第061回国会 本会議 第34号
昭和四十四年七月二十二日(火曜日)
   午前零時三十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第三十八号
  昭和四十四年七月二十二日
   午前零時三十分開議
 第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
  する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)(前会の続)
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避のための日本国とインドとの間の協定を修
  正補足する議定書の締結について承認を求め
  るの件
 第三 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に
  関する法律の一部を改正する法律案(衆議院
  提出)
 第四 農林省設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第五 失業保険法及び労働者災害補償保険法の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第六 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 失業保険法及び労働者災害補償保険法の
  一部を改正する法律及び労働保険の保険料の
  徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の
  整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、内閣委員長八田一朗君解任決議案(村田秀
  三君外一名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
○副議長(安井謙君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(前会の続)を議題といたします。
 これより内閣委員長の報告を求めるのでありますが、
 村田秀三君外一名から、委員会の審査省略要求書を付して、
 内閣委員長八田一朗君解任決議案が提出されておりますので、まず、本決議案についておはかりをいたします。
 内閣委員長八田一朗君解任決議案は、発議者要求のとおり、委員会の審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 藤田正明君外一名から、賛成者を得て、
 本案の議事における発言時間は、趣旨説明については十五分、質疑、討論その他については一人十分に制限することの動議が提出されました。
 よって、この……(発言する者多く、議場騒然)時間制限の動議について採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(安井謙君) すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――まだ投票をなさらない諸君は、すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――まだ投票をなさらない諸君は、すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百二十一票
  白色票          百二十三票
  青色票           九十八票
 よって、本案の議事における発言時間は、趣旨説明については十五分、質疑、討論その他については、一人十分に制限することに決しました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十三名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      中山 太郎君    高田 浩運君
      中村喜四郎君    西村 尚治君
      八田 一朗君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    佐藤  隆君
      黒木 利克君    楠  正俊君
      岡本  悟君    高橋文五郎君
      土屋 義彦君    船田  譲君
      吉江 勝保君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      梶原 茂嘉君    大谷 贇雄君
      小枝 一雄君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    西郷吉之助君
      新谷寅三郎君    石原幹市郎君
      上原 正吉君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    久次米健太郎君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    井川 伊平君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      八木 一郎君    田口長治郎君
      平井 太郎君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    小林 武治君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    佐田 一郎君
      菅野 儀作君    石原慎太郎君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      温水 三郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    塚田十一郎君
      高橋  衛君    迫水 久常君
      斎藤  昇君    塩見 俊二君
      廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十八名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      青島 幸男君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      三木 忠雄君    内田 善利君
      上林繁次郎君    矢追 秀彦君
      阿部 憲一君    中尾 辰義君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    田代富士男君
      鈴木 一弘君    二宮 文造君
      渋谷 邦彦君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      中村 正雄君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      松本 賢一君    佐野 芳雄君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      須藤 五郎君    渡辺  武君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    鶴園 哲夫君
      野上  元君    千葉千代世君
      山本伊三郎君    武内 五郎君
      森中 守義君    近藤 信一君
      鈴木  強君    森 元治郎君
      阿具根 登君    永岡 光治君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    田中  一君
      藤原 道子君    松澤 兼人君
     ─────・─────
○副議長(安井謙君) これより発議者の趣旨説明を求めます。村田秀三君。
   〔村田秀三君登壇、拍手〕
○村田秀三君 私は、日本社会党を代表して、内閣委員長八田一朗君の解任決議案を提出いたします。
 まず最初に、決議案を朗読いたします。
   決議(案)
  本院は、内閣委員長八田一朗君を委員長の職より解任する。
  右決議する。
    理 由
  内閣委員長八田一朗君は、七月十七日の内閣委員会で防衛二法案に対するわが党委員の質問中、突如として質疑を打ち切り、喧噪の中で採決を行なったと称している。
 そもそも防衛二法案は、一九七〇年の日弁安保条約の改定期を控え、自衛隊の増員を図ろうとするものであり、第三次防衛力整備計画を補完し、自主防衛の突破口を切り開く重要法案である。しかも、これは沖縄返還と引きかえにアメリカが要求する軍事力増強の趣旨に即し、自民党佐藤内閣が本国会の最重要法案に指定したいわくつきのものである。日本の平和と民主主義の将来にかかわる安保改定、沖縄偏見を控え、同法案のもつ意図には重大な疑念がもたれるのであり、国権の最高機関である国会は、同法案に関する限り、一点の疑念も残さないよう徹底した審議をつくすべきである。
 しかるに、同法案が参議院に送付されて、わずか四回の委員会審査と三人目の質問の途中でこれを打ち切り、まだ七人の通告者をあましているのみならず会期はその議了に十分な日時を残しているのである。
 また、本院では、さきに各会派が慎重審議を旨とすべき申し合せを行なっているが、政府与党の走狗と化した八田委員長は、公平であるべき委員長の職責を放棄して、自ら院の良識をふみにじった。かかる行為は断じて許容できない。
 これが本決議案を提出する理由である。
 以上のとおりでありますが、私はさらに、その趣旨について御説明申し上げます。
 去る十七日、本院内閣委員会において防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について審査中のところ、突如、委員会は怒声と混乱の場と化し、審議不能におちいりましたが、この責任の大半は委員長八田一朗君にあると断定するからであります。
 その日午後十時三分ごろ、自民党所属委員の発声に呼応し、何やら紙片を手にしてうろたえ叫ぶ八田委員長を多数の衛視が抱きかかえるようにして連れ去ったのであります。その瞬時の一連の動作が、質疑打ち切り、法案採決を求める動議であり、その動議を全員にはかり、多数によって法案が可決されたとする委員長の暴挙は、絶対容認することはできないのであります。そのとき質疑発言中の私には一瞬の怒声と混乱が法案の採決であったなどとは、とうてい理解ができないのであります。
 当日の新聞は、参院内閣委員会において防衛二法を強行採決するのではないかとの自民党の方針を報道いたしておりましたし、終日緊迫感がみなぎり、多数の衛視と常にない報道班の入室など、まさに異常な雰囲気の中で質疑が続けられておりましたから、ただならぬ気配を感じておったのは事実であります。しかしながら、ルールを重んずるスポーツマンの委員長がこのような自民党の暴挙を許すはずもないし、自民党自体去る三月二十八日、自民党参議院議員会長平井太郎君の署名をもって取りかわした「本院の本会議及び委員会における議事の審議に際しては十分なる審議を尽くした上、結論を得るよう努力する」という公党間の約束を踏みにじることは、よもやあるまいと考えておりました。そしてまた、この約束に基づいて、去る四月二十四日、国鉄運賃値上げ法案を審議する運輸委員会において強行された質疑打ち切りの動議が取り消され、再び質疑が続けられた経緯もあり、かつは内閣委員会における防衛二法の審議は、去る十日審査を開始し、三日目を迎えたものの、この間、農林省の一部改正案を並行審査したため、その審議時間は実質わずかに十時間五十分、決定された質疑者、自民一、社会五、公明二、共産一、民社一、計十名のうち、終了したもの自社各一名にすぎず、私自身の質問時間も四分の一を残しておったのでありますから、十分な審議を尽くしたなどとはとても言いがたく、しかも当日は、衆議院において去る十四日、健康保険法の改正案についての本会議における憲法違反の採決の結果、異常な混乱を引き起こし、石井議長、小平副議長辞任という不測の事態のあとを受けた新松田議長の正常化への努力が続けられているやさきのことでもあり、当然国会全体の正常化を願う立場からは慎重にすべき情勢であったのであります。にもかかわらず、あえて公党間の約束を破り、一切の法規慣例を踏みにじった自民党及び委員長の暴挙は、まさに良識の府としての院の名誉を傷つけ、国民から負託された国会議員としての審議権を抹殺し、議会制民主主義を破壊するものとして断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 自民党は、今六十一国会において、すでに衆議院で十回、参議院において二回の強行劇を演じました。国民の国会批判はきびしく、民主政治の危機はその頂点を越えて、むしろ凋落への道をたどりつつあると極言する者もおります。この虚無感を国民に与えた責任は一体だれでありましょうか。それは、あげて自民党にあると言っても過言ではないと思うのであります。多数を頼んで理不尽に押し通そうとするやり方は、およそ民主国家の正常な議会運営とは言いがたく、民主政治への挑戦であると断言せざるを得ないのであります。このような暴力的行為によって成立した諸法律に統括される国民は、むなしさを覚え、政治不信の限界を越えて、憤りを行動をもってあらわすに至るであろうことは、決して予測にかたくないのであります。
 特に内閣委員会において審議されつつあった防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正案は、国民にとって重大関心事でありました。すなわち、この法案は、第三次防衛計画の進展に伴い、防衛力強化のため自衛官七千七百二名を増員することを中らとしたものでありますが、このことは、昭和四十五年の日米安保条約の検討期を控え、かつは政府言明による昭和四十七年の沖繩復帰問題及び第四次防衛計画と関連して重要な意義を持つ法案であると見られておったのであります。
 本来憲法違反である自衛隊は、昭和二十六年旧安保条約が締結されて以降、この条約の示す義務として設立され、自来国民の意思とはかかわりなく、歴代自民党内閣の手によって増強されてまいりました。そうしてそのつど日米安保条約とともに、国論を二分して争われてまいりましたことも事実であります。
 したがって、日米安保条約を堅持して沖繩の復帰をはかろうとする政府の方針が確定した現在、これと重大なかかわりを持つ自衛隊の動向に国民が具体的な関心を示すのはしごく当然であります。沖繩復帰後の米軍の基地の態様、事前協議、極東の範囲、そうして核の配置、また、ガスなど生物・化学兵器の配備される兵器体系を含め、自衛隊の沖繩防衛構想など多くの問題が山積し、しかも、南ベトナムからの米軍の撤退、イギリス軍のアジアからの撤収と軌を一にするアジア防衛の肩がわり論や、また、アジア地域に対する経済援助の拡大、商船護衛、自主防衛論の台頭など、国民は、自衛隊がアメリカのアジア戦略構想の中で重要な役割りを与えられ、大きく発展して、アジア安保条約に組み込まれる危険性について危惧を示し、同時にまた、佐藤内閣自体、自主防衛の名のもとに軍備を拡張し、ついには、かつての日本帝国軍隊を形成するのではないかとの深い疑念を持っております。この危惧や疑念は、当然国会において、一点の曇りも残さぬよう審議し尽くされるべきでありました。重要な案件であればあるほど、慎重に日時をかけて、合意のための努力を続け、もしかりに、完全な合意が得られなくとも、野党の意見にも耳を傾け、善なるものはこれを取り入れ、与野党ともに国民に責任を持ち得る運営をして議会政治を価値あらしめ、政治に対する国民の信頼をつなぎとめる唯一の道であり、国民に負託された国会の責任でもあったのであります。
 こうした重大な法案審議にあたり、冒頭述べたごとき委員長の暴挙は、自民党の党利党略の上に立つものであり、国民を忘れた行為と言わざるを得ないのであります。(拍手)その責任は当然追及されねばなりません。
 内閣委員長八田一朗君は自民党員でありますが、同時に、院の運営に責任を持つ重要な役員でもあります。国会法第四十八条に「委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。」と明示されており、そのための権能を付与されておりますが、この権能とは、単に一自民党のためにのみ与えられたのではないことは明白であります。にもかかわらず、与党自民党にくみし、議事をみずから混乱におとしいれたことは、公正であるべき委員長の権能を私物化した行為であり、許すことはできないのであります。加えて新聞の報ずるところによれば、その後の記者会見で、「ぼくはリモコンだよ」と言うに至っては、もはや完全に自主性を失い、自民党の走狗となって、民主議会を破壊に導く元凶として断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 以上、内閣委員長八田一朗君の解任決議案を提出するに至りました趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(安井謙君) 近藤信一君外一名から、賛成者を得て、
 暫時休憩することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(安井謙君) すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は、すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。
 制限時間に達しました。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。(発言する者多く、議場騒然)
  投票総数        百………票
  白色票          ………票
  青色票         百………票
 よって、本動議は否決せられました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      六十六名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      青島 幸男君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      三木 忠雄君    内田 善利君
      上林繁次郎君    矢追 秀彦君
      阿部 憲一君    中尾 辰義君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    田代富士男君
      二宮 文造君    渋谷 邦彦君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      山田 徹一君    白木義一郎君
      小平 芳平君    中村 正雄君
      村尾 重雄君    上田  哲君
      和田 静夫君    松本 英一君
      安永 英雄君    竹田 四郎君
      杉原 一雄君    達田 龍彦君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      小林  武君    松本 賢一君
      佐野 芳雄君    林  虎雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      加瀬  完君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      春日 正一君    河田 賢治君
      松井  誠君    瀬谷 英行君
      吉田忠三郎君    西村 関一君
      永岡 光治君    大和 与一君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     百二十名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      小山邦太郎君    植竹 春彦君
      木内 四郎君    山崎 五郎君
      若林 正武君    渡辺一太郎君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    佐藤  隆君
      黒木 利克君    楠  正俊君
      岡本  悟君    高橋文五郎君
      土屋 義彦君    船田  譲君
      吉江 勝保君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      梶原 茂嘉君    大谷 贇雄君
      小枝 一雄君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      近藤英一郎君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      今  春聴君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    内田 芳郎君
      大森 久司君    岩動 道行君
      和田 鶴一君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      井川 伊平君    金丸 冨夫君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      小林 武治君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      石原慎太郎君    源田  実君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川上 為治君    山本  杉君
      米田 正文君    温水 三郎君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      塚田十一郎君    高橋  衛君
      迫水 久常君    斎藤  昇君
      塩見 俊二君    廣瀬 久忠君
     ─────・─────
○副議長(安井謙君) 質疑の通告がございます。順次発言を許します。和田静夫君。
   〔和田静夫君登壇、拍手〕
○和田静夫君 ただいまの村田議員の八田内閣委員会委員長の解任決議案の趣旨説明に対して、私は日本社会党を代表して若干御質問いたしたいと思います。
 私、考えるのでありますが、もうこのように強行採決が乱発され、十日の衆議院社会労働委員会における健保特例法の場合のように、夜八時過ぎに、わずか二人の自民党議員が委員会室に入っただけで、廊下で喚声を発して、万歳万歳と叫びながら、それで採決が終了したと称する例まで出てまいり、また十四日未明の本会議でも、平然と憲法第五十七条が無視され、破られるということになりますと、このたびの参議院内閣委員会の状況がどのようなものであり、そこにはどのような経緯があり、その中で八田委員長のとられた強行採決という措置がいかに無謀であったかを云々する前に、議会制民主主義がまさに多数党の暴挙で破壊し尽くされようとしていることに対して、厳重に抗議の意思表示を行なわざるを得ないところであります。
 私は、この国会における両院の数々の強行採決の現状を踏まえて見た場合、八田委員長による今国会第十三回目の強行採決を、日本の議会制度のあり方の問題としてとらえ直して考えてみる必要があるのではないかとさえ思う次第であります。とりわけ、当日は、一方では衆議院で、松田新議長による国会運営正常化への打診工作が各党首脳との間で行なわれていたことを考え合わせますと、以上の感をさらに強くするのであります。
 私は、村田議員も触れられた、「ぼくはリモコンだから何もわからぬよ」という、あの強行採決直後八田委員長が吐いたといわれることばの中に、二つの問題点を摘出するのであります。
 その一つは、八田委員長をリモコンして強行採決させた多数党としての自民党の問題であります。
 イギリスの議事運営は、しばしば各国の模範とされております。しかし、下院の多数党と、多数党の支持を受けている政府とが、反対党の意思を無視して強硬に独裁を行なう決心をするなら、純技術的には、この国ほど容易に政権の座にあるものの意思が通せる国は珍しいのであります。それにもかかわらず、政府及び与党が独裁化しないのはどのような理由によるものでありましょうか。一口に少数党の意見の尊重といわれますが、私は少数党の意見の尊重といった程度のことばでは、事の本質をくみ尽くすものではないと考えるものであります。イギリスでは、議会の最も重要な部分は反対党であるといわれております。イェニングがキャビネット・ガバメントという本の中でそう言っております。
 それはどのような意味においてそうなのか。私は、野党は政府の政策を批判することにその任務があると思うのでありますが、その任務は、単に野党のみにあるのではありません。はき違えてはならないことは、そもそも議会そのものの任務が、政府のそれのように統治を行なうことにあるのではなく、政府の行動を批判することにあるということであります。議会の最も重要な部分は反対党であるといわれるゆえんは、この議会そのものの任務を野党が代表するというところにあるのであります。近代議会制度の母国イギリスでは、こういった思想が確固として根底にあるからこそ、各国の模範とされる議会運営が可能となったのでありましょうが、強行採決を連発するわが国の与党としての自由民主党には、この思想のかけらすら見られません。
 それでは、具体的にイギリスではどのような議会運営が行なわれ、この思想が貫徹していっているのか、博識な村田議員の知るところをお聞かせいただき、それを通じて、政府・自民党に対し、深刻な反省を求めたいと思います。
 もう一つの問題点は、内閣委員会の委員長がリモコンされていることに平然としていられるわが国の国会における常任委員会制度の問題であります。
 「人々が、政治的代表を用い始める場合には、いつでも、かかる代表制度を民主政治に推挙したと同様の利益が、やがてまた、この集まった代表たちをして、さらに「委託」へと論理的な一歩を進ませる」とは、マコナキーがその著の中で、委員会制度の発生を顧みて述べたことばでありますが、一三四〇年にイギリスにおいて初めてこの制度があらわれて以来、各国の長い議会史の中で、常任委員会制度そのものが、その制度に内在する幾多の利益の特質に基づいて進化し、委員会制度の現代的意義を確立するに至ったと思うのであります。
 常任委員会というものの歴史的起源を離れて、その現行法的意義における委員会制度の目的を、村田議員はどのように考え、それとの関連でいまわれわれが直面しているわが国議会における委員会の問題をどのように考えられるか。強行採決をどのように考えるか。何ら自主的判断を持たないリモコンされる常任委員会委員長のあり方をどのように考えるか。総括的にお聞かせいただきたいと思います。
 とは言ってみても、いまここにあるわが国の政治情勢から離れて、理想的な議会運営を論じてみても無意味だと思います。われわれは、いまこの時点から、この場所から出発しないわけにはいきません。わが国議会運営の改善の第一歩をどこから踏み出すか。幸いにもわが国には、参議院は良識の府であるという常識があります。私は、この常識を大事にすることの中に、わが国の全体的議会運営改善の芽を見出そうとするものであります。しかるに、常識とは、これと反する事件の発生がたび重なることによって、だんだん常識ではなくなるものであります。そうして参議院における今回の強行採決が、この常識の非常識化の方向に作用するものであることは言うまでもありません。そのことは、いま述べてきたことからも明らかなように、ただ単に参議院が良識の府であるという常識に反する行為であることにとどまらず、わが国の議会制民主主義の回復前進の芽をつぶそうとするものであると言わなければなりません。そういう意味で私は、連発される強行採決の前にわれわれ自身感覚を麻痺されることなく、あくまでも八田参議院内閣委員長の強行採決並びにそれをリモートコントロールした自由民主党の政治責任を追及しなければならないと思います。ましてや、防衛二法という政府・自民党の憲法違反の、上塗り法案の強行採決であります。このような事態の中では、いわゆる防衛二法案の問題点はほとんど解明されていないのではないかと危惧されますが、いかがでしたか。一体、内閣委員会のメンバーは何名で、そのうち何名が質疑を終了したのですか。聞くところによると、わずかに与野党で二名ということでありますが、この程度の質疑で国民が疑問とするところが解明されたと考えられますか。国民の信託にこたえたと言えるものでしょうか。村田議員はどう考えられますか、具体的に詳細にお知らせください。
 また、自衛隊は本来非武装、平和国家を宣言している日本国憲法に抵触するものであり、防衛二法による七千七百二名の増員は認めがたいものであることはもちろんでありますが、それにしても現在自衛隊の欠員は何と一万五千八百余人もあり、不当そのものの二法案の提案であると言わざるを得ません。何ゆえに本年度大幅増員が必要なのか、国民が納得する説明がなされていましたか、具体的にお知らせを願います。
 さらに、日本国民が熱望している沖繩返還という当面の政治外交上の重要問題とからめて増員をはかろうとするアメリカ追随的な露骨な印象を国民に与えていますが、委員会審議を通じてこの解明はできたのでしょうか、その内容をお聞かせください。
 今日、一九七〇年の安保改定期にあたり、国民の請願行動などを鎮圧する治安出動のための治安対策の一環ではないかという危惧を国民は抱いております。
○副議長(安井謙君) 和田君、時間を経過しております。
○和田静夫君(続) もしそうであれば、国民の基本的人権をじゅうりんし、民主主義の基礎をくずすことになりますが、こうした危惧は全くないのかどうか。そうした点につき十分審議が尽くされたのかどうかもあわせて承っておきたいと思います。
 ともあれ。
○副議長(安井謙君) 和田君、時間が経過しております。
○和田静夫君(続) もう終わります。
 かつて八田さんは、オリンピックに負けて頭を坊主にしたという話でありますが、今度の責任のとり方としては、そんなことでは済まされないと思うのですが、村田議員いかがですか。
 以上、村田秀三議員提案の八田内閣委員会委員長の解任決議案に対する質問を終わりますが、私は、この解任決議案が、オリンピックに負けて頭を坊主にしたほど稚気に満ちた八田さんの純情をリモートコントロールして強行採決に走らせた政府・自民党への弾劾の念を込めたものであることを強調して終わります。(拍手)
   〔村田秀三君登壇、拍手〕
○村田秀三君 私は先ほど内閣委員長解任決議案を提案いたしましたが、それに対しまして、ただいま和田議員より質問がございました。内容多岐にわたっておりまして、はたして私の答弁が和田議員の求めるところに対応し得て、適切な答弁がなされるかどうか、きわめて不安に存ずるのでありますが、各項にわたりまして、詳細に御答弁を申し上げたいと存じます。
 最初に質問いただきましたことは、要約をいたしますると、わが国の今日の議会の実情を憂え、それをいかにして民主議会に発展をさせるかという、そういう祈念を込めたところの御質問であったと思うのでありますが、そしてしかもイギリス議会の実情について聞かれたようでありますから、実は、私もイギリスの議会を見聞したことはございません。しかしながら、せっかくの御質問でもございますので、文献によりますものを参考までに申し上げまして、御了解を得たいと思うのであります。
 イギリス議会の特徴といいますか、私どもが模範としなければならない点は、野党の議員が議会で意見を述べる役目を果たすことを選挙民から期待されておりますことはわが国と変わりありませんが、政府は野党の意見に耳を傾け、これを考慮に入れて政治を行なう用意を有するという点が、イギリス議会民主主義の特徴であろうと言われております。政府がかりに多数党であっても、かってなことをしてよいというわけではなく、また野党、反対党の案のほうがすぐれて正しい場合が当然あり得るのでありますから、政府が反対党の意見の長所を認めず、反対党の修正案や政策上の意見はすべて悪いときめてかかり、反対党の行動を麻痺させるとすれば、これは民主主義に反すると考えられておるようであります。
 たとえば、イギリスの議事手続は、制度を外面的、機械的な観察をすると、どこが民主主義なのか、はっきりしないきらいがございます。たとえば、歳出のうち毎年議会の議決を経て支出される費目の金額について見ますると、政府が予算見積もり書中に示した各項目別の金額が、後に議会が独自に発議し可決した議定費歳出予算法の別表中にそのまま記され、議会はごく形式的に見れば、政府原案中の金額に対し、不文憲法上増額修正を行ない得ないばかりか、実際問題として、減額修正もなし得ないのが普通であります。その点だけに着目すると、議会が何ゆえに複雑な予算審議手続を経るのか、また、このようなことでどうして少数党の権利が守られ得るのかふに落ちないのでありますが、しかし、イギリスの議会の運営の妙味は、制度上多数党の意見が最後には通るが、しかも、そこに到達する前に、少数党に十分意見を述べる機会が与えられている点にあり、また、それらの意見の中に政府が採用することができる意見があれば、政府は、野党が修正案を取り下げることを条件に、野党の意見をいれた政府の新しい案を提出するというようなことがスムーズに行なわれている点にあるのであります。この辺がきわめて重要な問題ではなかろうかと思うのであります。このことは、議定費目の歳出予算の各項の金額についても言えるのであって、議定費目の予算の審議をする最も重要な委員会である議定費歳出全院委員会では、予算の各項別議決をするにあたって、予算全体が不成立に終わることが絶対にないように、特定の日には審議未了の各項の金額につき、討論を省略して承認議決を行なうことになっております。したがって、野党としては、この日がこないうちに、批判の対象としてみずからの党が取り上げた各項の審議を済ませてしまうことが望ましいわけであります。なお、イギリスでは、野党の予算修正案が可決されると、それは政府を支持する党が内部分裂を起こしたことを意味し、政府は、たとえ百ポンド減額修正が成立しても責任を感じて総辞職しようとするのが普通であろうと考えられております。この辺もまた、わが国とたいへん違うところでありまして、まさにイギリスの議会、議員、政治家は、国民に責任を持ち、まことに良心的な議会運営をしておると見てよろしいのではないかと思うのであります。野党はまた、減額修正案が可決されることを期待して減額修正案を提出するのではなく、この修正案を討論のきっかけとして、予算中の各当該項の金額の背後にある政府の政策を批判するのが例であります。わが国国会においても取り上げるべき示唆に富んだ多くの点が見られると思うのでございまして、この点御質問の趣旨に沿い得ますかどうか、お答えをいたす次第でございます。
 さらに、八田委員長のリモコン問題を取り上げまして、その自主性のなさに憤りを持ったところの御質問がございましたが、私も和田議員の質問の趣旨に全く同感であります。しかも和田議員は、委員長の責任と、そしてまた委員会制度が確立した経緯、なぜ委員会制度が必要であるかという点についても触れておるようでございますので、それに対する考えを申し述べたいと思うのであります。
 私が申し上げるまでもなく、国会を構成する両院のうち、衆議院、参議院がございます。その議員によってそれぞれ組織され、さらに一方、国会が国権の最高機関であり、唯一の立法機関であることから、国会または各議院の審議を要する案件はきわめて多く、しかも一定の会期中にこれらの多数案件を数百名の議員から成る議院の会議において直接処理することは不可能に近いのであります。したがって、幾多の委員会に審査を分担させ、その報告を待って議院の会議に移すことによってのみ議院の審査を迅速かつ能率的に可能ならしめることができると考えます。マコナキーもこの点について、「議員が増大し、案件が増加すれば、議院は新しい、そしてよりこまかい分業を余儀なくされる」と言っております。
 第二に、審議すべき案件がその数においてきわめて多いのみならず、社会の進展とともに、その内容もまたきわめて複雑多岐かつ困難となり、国会の任務とも相まって、その審議にあたり、専門的な、そしてときには技術的な知識経験を必要といたします。しかも、すべての議員にすべての問題についての専門的知識を要求することはできないのであります。したがって、あらかじめ専門的知識を有する少数の委員の審査を経させることによって、審議の能率を上げ得るのみでなく、議院の審議をして初めて精密にし、粗漏なからしめることができるのであって、この点は、常任委員会制度への進化にも見られるように、現代委員会制度を支持するきわめて重要な理由となっておるのであります。そして、それがためにこそ、常任委員はその任期中その任にあるものとされているのであります。
 第三に、議会に対して往々なされる非難の一つである議院の会議における討論の形式化の弊を補い、自由な討議によって問題を遺憾なく検討し、熟議と妥協とによって妥当な結論に達するためには、少数の委員によって構成され、かつ討議形式のより自由な委員会によるほかはないと言わなければならないのであります。
 このことは、前述した委員会発生の理由のほかに、イギリス、アメリカにおける委員会発生のいま一つの歴史的事実として、イギリスにおいては、専制的国王に対抗するため、束縛されない熟議のために、みずから選んだ委員長のもとに略式な会議を持ち始め、また、アメリカにおいても、植民地議会と本国主ないしその代表または植民地統治者との摩擦の増大とともに、議員たちが本国の権威との争いを処理するために、略式の打ち解けた委員会――性格的には、しばしば寡頭政治的な少数の法外団体――を発達させようとした事実にかんがみましても明らかでありますが、旧来の議会が単なる天皇の協賛機関として政府の提出する議案に対して賛否を決することの多かったのに反し、唯一の立法機関となった新国会が、その根本のあり方としてみずから法律の立案に当たることのためには、上述の第二の理由とともに、特にこの点において委員会の持つ特質を認識しなければならないと考えるのであります。したがって、このようなことを考えてみた場合、委員会の任務はきわめて重要であり、かつ、委員会を主宰する委員長の責任は非常に大きいのであります。
 国会法第四十八条に、「委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。」と規定されておるのはそのためであり、いやしくも他よりの教唆、扇動、圧力に屈することなく、き然たる態度で四十八条に明記する責任を果たすことこそが、国民の負託にこたえる道であろうと考えるのであります。にもかかわらず、去る十八日の新聞を見ますと、わざわざ記者会見をいたしました八田委員長が、「ぼくはリモコンだからわからぬよ」とうそぶいたと報ぜられていますが、このことは、与党にくみし、その圧力によってかいらい化した証拠であり、まことに遺憾であると言うほかはないのでございます。
 第三の問題でございますが、和田議員は、重要な、きわめて国民の関心の高い防衛二法についての委員会審議の状況を詳しく説明せよということでありますから、そのようにいたしたいと存じます。
 本法案は、御存じのように、衆議院においては提案理由の説明をめぐって若干の混乱がありましたものの、比較的順調に審査が続けられ、その審査時間三十三時間、その結果、正常裏に表決がされ、去る六月二十二日、本院に送付されてまいったのであります。その前に、本院においては去る三月十七日、本会議において提案理由の説明を聴取し、北村暢議員はじめ、概括的な質問はなされておりましたが、委員会の運営方針として、衆議院よりの送付順位に従って審査を開始することとしておりました関係、当時、宮内庁法の一部改正案、農林省設置法案の審査を継続中でありましたために、防衛二法は後順位に置かれ、七月三日、宮内庁法一部改正案本会議議了の後、七月八日提案理由の説明を聴取、次いで、七月十日実質審議に入ったのであります。このときまだ農林省設置法の一部改正案について議了しておらなかったのでありますが、与党のたっての要請でもあり、並行審査をすることとし、十五日定例日には前半を農林省、後半を防衛二法の審査をいたしました。強行劇が行なわれた十七日には、前半、農林省設置法の一部改正について採決を行ない、午後二時過ぎより防衛二法の審査を再開いたしました。初めに前川委員が前日に引き続いて質問を続行、午後四時十九分ごろ終了いたしました。次いで、自民党の源田委員が質問に立ち、約四十一分で質問を終了いたしました。私は社会党の三番手として質問に立ったのでありますが、ようやく場内は騒然として異常さを感じせしめるに十分でありました。なぜかならば、当日の新聞報道によれば、十七日、この日、自民党が強行採決を行なうのではないかと見られていたからこそ、報道班の常にない入室があり、多数の衛視の集合があったものと感ぜられます。このとき五時五十八分休憩に入り、午後九時四十五分ごろ再開されましたが、私が質問に立つと間もなく、発言中に、自民党佐藤隆君の発声に続いて八田委員長が紙切れを振り上げて、何やらわめきつつ多数の衛視に抱きかかえられて守られながら連れ去られたのであります。委員会場は狭い第五号委員室でありましたが、一瞬怒声と混乱のるつぼと化したのであります。これが、自民党及び八田委員長の言明する防衛二法が正当な手続に従って質疑打ち切り、法案採決の動議が出され、八田委員長はこの動議を採択し、全員にはかって法案が多数によって成立したとする状況であります。
 内閣委員会の構成は自民十一、社会五、公明二、共産一、民社一の計二十名であり、委員長は自民党であります。
 内閣委員会は、さきに、定例日に法案審査を行なう、また、慎重に審議を尽くす、さらには強行は行なわれない、との運営の基本方針を確認し、順調に議事を進めてまいりました。過去二回、廃案のうき目を見た行政機関の職員の定員に関する法律案、いわゆる総定員法を三十数時間の日時を費やし、慎重に審議を尽くし、賛否を明らかにして成立せしめたのも、この方針に基づいて運営されたからにほかならないと存ずるのであります。今回の場合も当然それが守られるものと思っておりました。前もって質疑通告をし、理事会において決定された質問者と順位は、社会党前川委員、自民党源田委員、社会党、かく申し上げております村田、社会党林委員、公明党峯山委員、社会党山崎委員、公明党中尾委員、民社党片山委員、共産党岩間委員、社会党北村委員の計十名でありますから、十七日の時点では、わずかに自、社各一名終了したのみであり、私の質問時間も四分の三を余していたのでありますから、とても満足に質疑が尽くされたなどとは言い得ないのであります。なお、衆議院では三十三時間の審議時間、本院内閣委員会では、合計十時間五十分の審査時間でございます。また、会議録には、自民党佐藤隆委員が、「委員長」と叫んだ、その「委員長」のみが記載されており、あとは「……」、白紙であり、結論については明記されておらないことを申し上げます。
 次いで、和田議員の質問は、自衛隊は不十分な充足率にもかかわらず、何がゆえに今回大幅増員が必要であるのかという内容を中心とする御質疑がございました。さらに、今日の自衛隊は、日米安保条約あるいは沖繩返還問題と関連して、第四次防へ発展し、あるいは沖繩防衛構想の一環として、今回の増員が考えられておるのではないかというような危惧の念も示されたのでございますが、私は初めに、何ゆえに大幅増員が必要なのであるかという点について申し述べてみたいと思います。しかしながら、前もってお断わりを申し上げねばならないことは、とにもかくにも、質疑は尽くされておらないわけでございますので、防衛庁長官の考えが那辺にあるかという点については、まだ不明瞭でございます。したがいまして、私の類推するあるいは推測する事実についてお答えを申し上げる以外にないわけでございますので、この点はひとつ御了承をいただきたいと思うのであります。
 一言に申し上げまして、ただいま和田議員も御指摘のとおり、自衛隊の充足率はきわめて悪く、特に、陸上自衛隊においては、その充足率九〇・三%であります。したがって、今回、かりに定数増が認められても、自衛隊の実質十八万体制の実現は不可能に近いと判断されるのであります。なお、今日、自衛隊の定数増による緊急防衛の必要が認められるかといえば、そのような事実はどこにもないのであります。それのみか、海外派兵あるいは出撃等はいたさない、専守防御の自衛隊の任務として、今日近代戦に適応して考えてみるならば、むしろ、かえって陸上自衛隊の増員は、まさにふしぎであると言っている軍事専門家がおるのでございます。思うに、このことは、今秋訪米を予定している佐藤総理が、ニクソン大統領と会談するについて、何かおみやげが必要であり、アメリカとの旧約を忠実に果たしつつある証拠がほしいと、こういうことではなかろうかと思うのであります。
 和田議員も御承知のように、昭和二十八年、当時の池田・ロバートソン会談によって、すでに陸上自衛隊十八万人体制が義務づけられておったやに承知をいたします。でありますから、日米安保条約第三条において、バンデンバーグ決議の趣旨を取り入れ、「継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を維持し、発展させる」と規定してあります。したがって、この義務を果たさねば、何となく行きにくい、話しにくいということのために、とりわけその必要を認めないにもかかわらず、訪米前に法案を通したいというところで無理をしていると理解するほかはないのであります。日米安保条約の申し子とも言うべき今日の自衛隊であってみれば、これもまた宿命であるのかもしれないのであります。
 なお、和田議員は沖繩復帰後の防衛構想についてお聞きでございますが、御存じのとおり、先ほども申し上げましたが、審議は尽くされておらないのでありますから、私の口からは的確にお答えできないことをはなはだ遺憾に存じます。
 質問の第五点でございますが、和田議員は、今日の陸上自衛隊の増員は国土防衛というよりもむしろ国内の治安対策ではないかというような御心配を持っておられたようでございますが、そしてまた治安出動の心配があるのかどうかという点に触れられたと存じます。私も実はその点を非常に心配をいたしまして、いろいろ調べてみたわけでございますが、和田議員も御存じのように、防衛庁設置法第五条に、防衛庁の権限を定めておりますが、その十三、十四号に、直接侵略ばかりでなく、間接侵略――具体的には明らかにされておりませんが、その間接侵略に対しわが国を防衛し、また公共の秩序を維持するために行動することが明示されております、また、自衛隊法第三条において、自衛隊の任務として、同様趣旨のことを定め、第七十八条及び第八十一条によって治安出動を明示しております。でありますから、和田議員お説のごとく、治安出動はあり得ると考えてよかろうと思われるのであります。ただ、この治安とは何か、間接侵略とは何かと申しますと、その概念は明白でないのでありますが、思うに、先ほども申し上げました今日の自衛隊の創設経過を見まするに、日米安保条約とともに歩んでおり、昭和二十六年締結された旧安保条約には、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛にみずから責任を負うことを義務づけ、かつ、在日米軍に対して出動を要請できることとしておりましたが、その後二十九年、保安隊が自衛隊と改称、発足をいたしました際、先ほどの目的、任務を付与し、そして昭和三十五年締結した現行安保条約では、米軍の治安出動を拒否はしておりますが、第二条において、自由な諸制度を強化することをうたいあげておるのであります。したがいまして、その治安出動の内容はおのずから明らかなような気がいたすのであります。もっとも、治安出動については、内閣委員会においてわが党の前川委員の触れたところでありますが、有田防衛庁長官は、終始慎重に考慮すると言明はいたしたものの、ついに防衛出動はしないという約束は得られなかったのでありまして、これをもっても推測にかたくないのではないかと存ずるのであります。
 ただ、この際付言をいたしますが、御存じのごとく、自衛隊法第七十八条による治安出動は、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議し、その承認を求めねばならないこととなっておりますが、第八十一条、都道府県知事の要請による治安出動に対しては、内閣総理大臣の下命によることはもとよりでありますが、事後国会の承認を必要とせず、ただ当該都道府県の議会に報告すれば事足りることとなっておりますが、これでは治安出動を一地域に限定したものとして安易に行動できるという法の不備を追及、一地域の問題といえども、自衛隊が治安のため出動するとする大事は、すべて第七十八条を適用する旨、不明瞭ながら答弁のあったことを申し上げておきたいと思います。
 いずれにいたしましても、この一連の体系から考えますと、自衛隊は自由な諸制度、すなわち政府のいう現行の政治・経済体制を維持強化するための番兵ではないかとの理解に立たざるを得ず、真に日本及び国民を愛するために存在するかどうか疑わざるを得ないのであります。自衛隊発足以来今日まで、国民の合意を得ることができなかった理由もここにあるのではないかと考えられるのであります。過般陸上自衛隊において隊員の意識調査をいたしましたが、この内容を見ますと、防衛意識はきわめて低く、むしろ町に出たとき、自衛隊員であることについて肩身が狭いと思う者が、曹九・五%、十二一・一%、生徒二三・八%もいることを見た場合に、国民の合意なき自衛隊の実相を知る思いがいたしました。隊員みずから自衛隊の存在に疑問を持っておる証拠だと存じますが、その疑問を解消せしめるものは、少なくとも国民の合意であり、合意できる条件を具備せしめる必要があると考えるのであります。憲法において国民は、思想、信条の自由が保障されておりますが、政体もまた、憲法を前提として、自由に国民の欲する政府を樹立することができるものと理解されます。いやしくも自由な諸制度を守るといって、現行政府と政策の番兵であるとするならば、国民をして敵となし、戦わざるを得ない自衛隊となるでありましょう。このような事態とならぬように強く望むものの一人でもあります。
 さらに最後でございますが、委員長の個人の問題についてお伺いのようでございます。私は個人のことについてはあまり承知もいたしませんし、また触れたくもございません。しかし、せっかくのお尋ねでありますから、知り得た範囲で申し上げますが、彼は昭和六年日本アマチュアレスリング協会を創立し、同七年ロサンゼルスオリンピック大会に選手として出場し、その後わが国アマチュアレスリング界の長老として、今日もなお協会の会長の任にあります。柔道八段、合気道七段、剣道四段、スポーツマンであると同時に、また武士道の真髄を会得したお人であろうかと存じます。そしてまた、俳誌ホトトギスの同人となり、まことにゆかしさを兼ねた、昔のことばで言うならば、文武両道に通じたお人であろうと思うのであります。スポーツマンはルールを守って正々堂々の戦いを進めることをたっとび、武士道とは義によって破邪顕正の剣をふるい、また俳句とは自分をきびしく見つめ、純粋性を求める求道的要素を持つものと聞いておるのでありますが、おそらく八田委員長はそうしたものを持っておられると思います。率直に言って常にはそうしたものを感ずることができるのでありますが、今回はよほど魔がさしたものというほかはありません。しかしながら、国会は個人的な感情をもって事を処理するところではございません。リモコンをもってみずから任ずるがごときは、やはり許されるべきでなかろうと、はっきり申し上げたいのでございます。
 以上要約いたしまして、お答えを申し上げた次第でございますが、もしも答弁漏れがございましたならば、御指摘をいただきまして、再び御答弁を申し上げたいと思います。(拍手)
○副議長(安井謙君) 中尾辰義君。
   〔中尾辰義君登壇、拍手〕
○中尾辰義君 私は、公明党を代表しまして、ただいまの八田内閣委員長不信任決議案の趣旨説明に対しまして、若干の質問をいたしたいと思うのであります。
 先ほどの説明の模様では、提案者は十分にまだその趣旨説明を終わることができなかったようでありますので、私がこれから質問を申し上げることに対して、懇切丁寧にお答えを願いたいと思うのであります。
 私はまず、この決議案が提案されましたことにつきまして、最も近代的な議会制民主制度を尊重している憲法の趣旨から申しましても、まことに残念に思うのであります。と申しますことは、国権の最高機関である国会において、権威ある参議院の内閣委員長というポストにある八田君に対して、この本会議場において不信任の決議案が上程されましたことは、まことに重大な問題であります。したがって、私は、そのことに対し十分に検討し、事件の内容につきましても十分に真相を究明しない限り、軽々に判断をいたすべきでないと思うのであります。
 そのような立場から私は、提案者に対し、数点にわたり質問をするものでありますが、八田一朗君は、ちょうどいまから四年前、参議院全国区から初出馬されまして当選をし、当選歴も浅くして早くも内閣委員長という大任を受け、議会運営に当たっているわけであります。
 八田君は、先ほども提案者からいろいろとお話がございましたが、私も参議院要覧をちょっと拝見いたしましたところ、まことに豊富な経験を持っておられるのであります。すなわち、明治三十九年六月広島県安芸郡江田島に生まれて、昭和七年早稲田大学政治経済学部を卒業しておられます。その後、日本アマチュアレスリング協会を創立しており、ロンドン大学に留学、帰国後大谷総裁秘書として北支開発株式会社に入社、その後陸軍主計中尉として応召され、解除後再び同社に終戦まで勤務しておりますが、何と申しましても八田一朗君は世界のレスリング界に日本の名をとどろかした功績は大なるものがあります。すなわち、スポーツマンとして昭和七年第十回ロスアンゼルスオリンピック大会にレスリング選手として出場、ベルリン、ヘルシンキ、メルボルン、ローマ、東京の各オリンピック大会に役員として参加しており、スポーツ交流を通じ、外遊六十数回を数えております。そして昭和四十年七月に参議院議員に当選をされ、四十四年十二月内閣委員長に任命されておられるのであります。
 こういうスポーツ界あるいは政界にきわめて豊富な識見を持っておられる八田君であってみれば、私は十七日の内閣委員会における防衛二法案を強行採決して国会混乱を生じたことについて、ますます何か委員会の表面に出なかった何ものかがあったのかと、不可解な感じを深くいたすのでありますが、こういったことにつきまして、一体原因が那辺にあったのか、私は提案者から再度十分なる説明を承りたいと思うのであります。
 次に、強行採決の議題になりました防衛二法案の審議に関する八田委員長の態度でありますが、その前に、御承知のとおり、この防衛二法案は、第三次防衛整備計画に基づき日米安保体制を基調として陸海空の三自衛隊を増強するもので、防衛庁設置法と自衛隊法の一部を改正しようとする法案であります。
 この改正の内容は、自衛官の定数を七千七百二人増加をし、十八万体制をとろうとするものであり、増員の内訳は、陸上自衛隊にあっては六千人を増員し、普通科連隊を三個連隊新しく編成し、東北方面の第六師団、中部方面の第三師団並びに第十三師団に配置し、七千人師団から九千人師団に昇格しようとするものであります。
 なお、新設される普通科連隊は、それぞれ京都府の宇治市に一個連隊、福島市に一個連隊、広島県の海田市に一個連隊を配置する計画となっております。
 海上自衛隊千二百二十二人の増員は、艦船の就役要員並びに航空関係の後方支援部隊の充実のためであります。
 なお、航空自衛隊四百八十八名の増員は、ナイキ部隊の編成、警戒管制、救難等の部隊要員となっております。
 次に、自衛隊法の一部改正では、第一に、海上自衛隊の航空集団の編成を一部改め、航空集団の直轄部隊をつくろうとするものであります。
 第二に、自衛隊の予備勢力確保のため、予備自衛官を三千人増員して合計三万三千人とするものでありますが、わが国の自衛隊はすでに現有兵力におきましてもAAグループ自由国家群の中では、最も均衡のとれた軍事力を有し、防衛兵力としては、中国を除き、アジアで最強の兵力といわれておるのであります。
 今後さらに自主防衛の名のもとにアメリカの極東戦略の一翼をにない、日米軍事同盟を強化し、ますます増強されようとしておるのであります。しかも一方では、総定員法案によって公務員の定員の削減を行ない、他方では自衛官、警察官の増員という奇妙なアンバランスがこの防衛二法案の改正に見られるのでありますが、このような重要法案は、慎重の上に慎重を重ねて十分に審議を尽くすことがいかに大切であるかということは申すまでもないことであります。はたしてこの点、八田委員長は、国民の総意が十分に反映するような審議を尽くされたのかどうか、詳細なる説明を承りたいのであります。
 また、およそ状況の判断というものは、政治家にとっては最も重要な機能であります。まして院を代表する議長、委員会を運営する委員長に求められるものは、適切公正なる判断力でありますが、八田一朗君が、この点内閣委員長として、最適任であったのかどうかということを説明を願いたいと思います。第三には、委員長の権限と責任について質問をしたいと思うのでありますが、国会法を見ると、委員長は役員となっております。院の構成にとって欠くことのできない役員であるということになっておれば、一党に偏することなく、公平な立場において、委員会の運営をしなければならないと思うのでありますが、はたして今日まで八田委員長は、公平に内閣委員会を運営してきたのかどうかという点について、提案者にお伺いをいたしたいと思うのであります。
 私は、この際、詳細かつ正確に十七日の内閣委員会における経過をさらに述べていただきたいと思うのでありますが、参考までに申し上げますことは、私も内閣委員会のメンバーとして出席をして、当日の模様も若干記憶がございますが、十七日、午前中から社会党の前川君と、自民党の源田君の質疑を終わり、次に村田君の質疑に入りましたが、十八時ごろ休憩をされ、十九時再開の委員長報告により、委員会は一たん休憩に入ったのでありました。十九時になりますと、院内放送により、ただいまから内閣委員会が始まるので、委員の方は五号室にお集まり願いますというアナウンスがありました。私は、ちょうど十九時十分ごろ委員会室に参りましたが、委員会は開会されず、多数の傍聴者やカメラマンで異様な雰囲気でありました。一向に委員会は開催されそうにありません。とうとう約三時間も待たされ、ようやくにして、九時四十六分ごろになって、委員長の開会の宣言があったのであります。この間何らの了解を求めず、ただしばらく待ってもらいたいとの委員長のことばがあったのみでありましたので、公明党の峯山議員が、再開の冒頭にあたって、議事進行で発言を求めたのであります。そうしますと、何ゆえか、八田委員長はきょとんとした表情で返事がなかったのでありますが、強硬なる野党議員の発言により、しばらくしてから峯山君に指名があったのであります。そこで峯山君は、この傍聴者で立錐の余地もない、暑さでむんむんした異常な雰囲気の中で、委員長は防衛二法の質疑打ち切り、強行採決をやるのか、そういうことはないと思うが、やらないという委員長の確信ある答弁を承りたいと発言したのであります。ところが、八田委員長は、ややあって、ただ、「承っておきます」と答弁をされたのであります。「承っておく」ということは、「質疑打ち切り、強行採決はやらないことか」との再度の質問をしたのに、八田委員長は「承っておく」と繰り返すのみで、村田君の質疑を続行したのであります。
 そこで、私は提案者にお伺いをいたしたいのは、この八田委員長の「承っておく」という日本語の表現は、はなはだ不明確であります。私どもは峯山君の発言については、了解した、質疑打ち切り、強行採決はやりませんという意味に受け取ったが、提案者の村田君はどのように考えておられるか。この八田委員長の発言はきわめて重大であり、単なる聞き流し程度に承ったのか、もしそうだとすると、野党議員に対する公開の席における重大な侮辱であり、また質疑打ち切り、強行採決はしないということに了解したとの意向であれば、八田委員長のとった行為は、委員会に対し、きわめて重大な背信行為として糾弾せねばなりません。また、八田委員長の不信任に対し、賛否をきめる重大なポイントと考えますので、この点について、提案者の詳しい説明を承りたいと思うのであります。
 第四に、防衛二法案が参議院に送付されましてから……。
○副議長(安井謙君) 中尾君、時間がまいりました。
○中尾辰義君(続) 強行採決された十七日までの委員長並びに理事打ち合わせ会は……。
○副議長(安井謙君) 中尾君、時間がまいりました。
○中尾辰義君(続) どういう経過をたどり、こういう混乱国会に至ったのかについてお尋ねをいたします。
 また、関連して衆議院の段階におきまして、防衛二法に関する内閣委員会の審議が一体どういう状況のもとに進められてきたか。なお、衆議院の段階では、質疑打ち切りはあったが差し戻しになり、結局円満に質疑、討論まで終わったが、何ゆえ参議院内閣委員会のみ混乱したのか、承りたいと思うのであります。
 第五に、もし野党が、政府与党の……。
○副議長(安井謙君) 時間がまいりました。
○中尾辰義君(続) 希望どおりの審議日程で審議を進めることに応じていたら、与党が委員会の過半数を占めている現状では、政府提出案の審議は全部フリーパスで通過してしまうことになります。これでは、国会の審議においての議決は単なる儀式か、形式にすぎない。十分に納得のいく審議を尽くし、是非を明らかにしてこそ、野党を支持する国民の意思が初めて国政に反映されるのであります。予算案にしても、法律案にしても、与党は少数党の意見も尊重して修正するだけの雅量があって、国会運営も円滑にいくし、それでこそ、議会民主主義といえると思うが、この点はどうでありましょうか、提案者にお伺いをしたいのであります。
 最後に、私が……。
○副議長(安井謙君) 時間がまいりました。お急ぎ願います。
○中尾辰義君(続) 主張したいことは、自衛官は現在相当数に及ぶ欠員を出しております。なぜ強行採決までして議会運営を混乱させ、自衛隊の増強をはかろうとするのか、はなはだ理解に苦しむのであります。また、自主防衛の名のもとに、政府・自民党は、日米安保体制のもとに、すでに三次防の倍額に匹敵する五兆円にものぼろうとする第四次防衛整備計画を検討して、ますます軍事強化をはかっておりますが、はたしてそれほどわが国を取り巻く外国の軍事的脅威が増大したと言えるでしょうか。確かに国連の平和維持能力はいまなお弱体であり、世界に武力紛争が絶えないのは事実でありますが、わが国はアジアの他の国よりも海に囲まれているという有利な地理的条件のもとにあることは確かであり、たとえ政府の立場に立って、万が一侵略を考えても、それに対抗する自衛力は現在の自衛隊程度で十分であろうと思うのであります。政府・自民党が真剣に国土防衛を考えるならば、詳細なる国際情勢の分析のもとに、さらにアポロ十一号が月面まで到着する今日、大きく前進したであろう国民の国境を越えた世界平和への声にも耳を傾け、単に軍事力の強化のみにたよらず、国際間の政治、経済、文化の交流こそ、なかんずく、中国の敵視政策についてアメリカを説得し……。
○副議長(安井謙君) 時間が経過しております。急いでください。
○中尾辰義君(続) 中共を承認し、国際舞台に入れることこそが、世界平和への最も近道であり、真実の国土防衛であることを認識してもらいたいことを主張しまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔村田秀三君登壇、拍手〕
○村田秀三君 中尾議員の質問でございますが、ただいまお伺いをいたしておりますると、まことに一々もっともな御質問ばかりでございますが、先ほどの和田質問の内容と重複する点もないわけではないようでございます。したがいまして、まことに恐縮ではありますが、その重複する部分は省略をさせていただきまして、その質問の要点に対してお答えを申し上げたいと思いますので、御了承、御了解をいただきたいと存じます。
 先ほど、八田委員長の人柄等について、いろいろと中尾議員の感じ、印象をまじえながら、なぜ八田委員長はああいうことをやったのであろうか、こういうような質問の内容に私は受け取ったわけでございますが、その立場でお答えをいたしますので、もしも誤りがございましたならば、再度御質問いただきたいと思う次第でございます。
 実は私も、先ほど申し上げましたように、同じ内閣委員会に所属をしております関係上、中尾議員とほぼ同じような印象を持っておるわけであります。先ほども、彼個人の過去におけるところの業績等についてもいろいろと申しておられましたが、私先ほど申し上げましたように、大体スポーツマンは正直である、良心的である、らいらくである、あるいはそのことのために非常にきちょうめんなところを持っておる。こういうようなこと、ないしは、俳句をやるというような方でありますならば、私はとりわけ経験あるわけではございませんけれども、まあ単なる文学などというような表現では言い尽くせないような内容のものが俳句の道ではないかというようなことも聞かされた関係もございますから、こういう面で御苦労をなさり、そうしてまあ、言ってみれば、体験、体得をされておる方であるならば、きっと良心的な方であろうとは私も感じておったのでありますが、しかしながら、それがあのような結果になりましたということは、他からきわめて大きな力が加わった、圧力が加わったのではないか、実はこのように考えておるのであります。
 リモコン云々という問題は、これは、言ってみれば、両面から理解することができるのではないかと思います。一つは、これはもう人がよいので圧力に屈してしまったということ、まあ投げやりになってしまったということ、そういう心理状況もうかがえないわけではございませんが、しかし、さらばといって、これを許すわけにはまいらぬ。この二つの問題が存在するのではないかと思うのであります。私情においてはまことに忍びないのでございますけれども、どうしても国会という公の場におきましては、これを了解するわけにはまいらないわけでございますので、どうぞひとつ解任決議案に御賛同をいただきたいとお願いを申し上げるわけであります。
 それから、重要法案であるから慎重に審議をしたかという問題でございます。これは、中尾議員もるる今回の防衛二法の問題について触れておりましたけれども、まさにそのとおりでございまして、まことに重要な問題でありましたから、重要な問題であればあるほど慎重に審議を尽くさねばならなかったことは申し上げるまでもないのでありますが、先ほど和田議員の質問にお答えを申し上げましたように、まるでむちゃくちゃな委員会の運営であったと率直に申し上げる以外にはないのではないかと存じます。とりわけ今回の問題で、私は遺憾に思いますことは、少なくとも国会は各党の責任において、国民に責任を持ちながら運営されておると理解をするのでありますが、とするならば、先ほども委員会制度の重要性、しかもその成立の要因というものはどこから出発してきたかといいますならば、大ぜいの議員で多くの議案を審査するための非能率を、これを分科いたしまして、能率を上げるために各党の代表が寄って一つの委員会をつくるのだという、その考え方に立脚するならば、その委員会に入った各委員の発言権は当然確保されるべきであり、なおかつその国会の運営に参加する各党の意見は、小なりといえども正しくその委員会の審議の中に反映されるべきであったにもかかわらず、今回それがなかったという点についてはまことに遺憾であると考えておるわけであります。また、委員会審議の経過の中で、委員長のとった態度、そうしてまたその判断は的確かどうかという内容でございますが、これまた不的確、不正常であると断言せざるを得ません。とりわけ、中尾委員は、休憩後再開しましてからの経過について特に言及をされておりましたが、その際、確かに峯山委員あるいは岩間委員の発言、つまり異常な雰囲気の中で強行採決が予測されたために、その強行採決の意思ありやなしやという問い詰め方をしたのでありますが、その要求に対しましては終始沈黙を守っておったのでありますが、最後に、「承っておきます」ということは確かに明言をいたしました。この「承った」ということばに対してどのように提案者自身が理解をするのかということでございますが、どうも委員長自体の胸中を推しはかることはなかなかむずかしいわけでありますけれども、その経過の中における「承りました」というその表現を解析をいたしますならば、当然、強行はいたしませんというふうに受け取るのがまことにすなおな受け取り方であるのではないか、かように明言をいたしたいと思うのであります。
 さらに衆議院内閣委員会では順調な審議をし、なぜ参議院だけが強行をしたのかという、そういうことでございますけれども、お尋ねでございますからお答えを申し上げますならば、衆議院では本会議趣旨説明二月十二日、委員会趣旨説明五月十五日、委員会採決六月二十六日、本会議採決六月二十七日、審議日数は八日間、審議時間は自民四名、社会七名、民社二名、公明一名、合計三十三時間二分、このように慎重に審議がなされておったのございますから、まことに参議院が本来良識の府といい、かつは各党間におけるところの公約があったにもかかわらず、しかも、なおまた、会期がまだ十分にあるにもかかわらず、十七日の時点で強行採決をいたしたということについては、何としても理解ができないところでございます。これを多角的に申し上げますと、まことにいとまがないわけでありますが、このような推測を申し上げましていかがかとは存じますけれども、とにかく、会期末、余裕ありとはいいながら、参議院には重要法案が全部送り込まれてきておるわけでございまして、御存じのように、内閣委員会では防衛二法、地行では定年制、社労では健保の問題、農水では農地、逓信では簡易郵便局法案、さまざまあるわけでございまして、これを短い日程の中でどう処理をするか、しかも、その中で一番成立をさせなければならない法案は防衛二法である、一番先に法律を確定しなければならない理由につきましては、先ほど和田議員の質問にも答えましたところでありますが、したがいまして、内閣委員会が、防衛二法の重要性にかんがみ、犠牲になったと言ってもいいのではないかと思うのであります。言ってみれば、自民党の党利党略の犠牲になったという理解もできるわけでございまして、そのように私は理解をしていることについてお答えを申し上げたいと思います。
 なお、最後の部分、二、三ございましたようでございますが、まことに中尾議員の質問の趣旨、全くそのとおりでありますし、先ほど和田議員に対してお答えを申し上げましたことと相当部分の重複がございますので、これをもちましてお許しをいただきたいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、国権の最高機関である、国民の代表がこの議会の中に参集をしているこの中で、常にあのようなことが行なわれているとするならば、院内における各党間の対立は、これは高まるばかりである。しかも、このことが、国民の中に断絶をもたらし、そうして日本の将来のために、まことに不測の事態を招く結果になるやもしれないということで、きわめて心配している一人でございますので、どうぞひとつ今後そのようなことがないように、自民党に強く反省を申し上げ、抗議をしながら、お答えにかえたいと思うのであります。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(安井謙君) 藤田正明君外一名から、成規の賛成者を得て、
 質疑終局の動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百十二票
  白色粟          百十九票
  青色票          九十三票
 よって、質疑は終局することに決しました。
     ─────・─────
○副議長(安井謙君) 午前八時まで休憩いたします。
   午前五時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午前八時三分開議
○副議長(安井謙君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 内閣委員長八田一朗君解任決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。前川亘君。
   〔前川旦君登壇、拍手〕
○前川旦君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案されております内閣委員長解任決議案に賛成するものであります。
 以下、賛成の理由につき申し述べます。
 まず、今回の防衛二法案の審議に際しては、日本の将来並びに当面の防衛問題につき、国民の前に明らかにしておかなければならない諸問題が多々あったのであります。私は、くどくは申しませんが、二、三の例を申し上げますならば、たとえば、防衛庁は沖繩返還交渉に際し、沖繩防衛構想をまとめているのでありますが、それによりますと、沖繩米軍の機能を順次自衛隊が肩がわりする。そのため、とりあえず、陸一個師団、空一飛行隊、海一地方隊程度を派遣して、純防衛面を担当するというのであります。そこでまず、陸の一個師団は何のために派遣するのか、沖繩駐留米陸軍のどの部分を陸上自衛隊が肩がわりするのか、きわめてあいまいであります。初めから治安対策として一個師団を送り込むとするならば、これはあまりにも沖繩県民を踏みつけた構想でありますが、納得できる説明のなされないままになっているのであります。
 さらに、沖繩防空を航空自衛隊が肩がわりする構想でありますが、愛知外相は、当本会議場にて帰米報告として、「基地の機能をそこなわずして返還する」と述べられております。もし、現在の防空能力を低下させないで非核ナイキJに置きかえるとするならば、沖繩じゅうをナイキだらけにしなければならなくなってしまい、まことに奇妙なことになるのでありますが、これまた、明らかな答弁もなく、構想の説明もなかったのであります。
 また、化学兵器の沖繩における存在が暴露されましたが、生物兵器についてはどうか。こうした化学・生物兵器が本土にも持ち込まれているのではないか。これを事前協議の対象とすべきであるがその点はどうか。これらはきわめて残虐な大量殺人の攻撃的兵器でありますが、日本の自衛権、憲法との関連はどうかといったような事柄につきましても、防衛庁は何らの明快な説明を示さずに終わったのであります。
 次に、今後の自衛力増強は、海と空に重点を置くことが総理の指示もこれあり、財界からの強い圧力も加わり四次防の基本方針となろうとしております。しかし、現代の著しい武器の進歩から見て、はたして船団を護衛することが現実に可能なのかどうか。日本への輸出入のうち半分は外国船によるものでありますが、これらをひっくるめて無差別に海上交通を破壊するという事態は、全面戦争においてしか考えられないのでありますが、そのような事態がはたして起こるのか。起こるとすればどのような場合か等についても、同様科学的根拠も示されず、打ち捨てられたのであります。
 次に、今後の日本にとって最も警戒すべきは、いわゆる産軍複合問題であります。最近の米国におけるABM論争に見られるごとく、米国においては、議会や人間の知性のコントロールを離れて、産軍複合が独自な歩みを始め、逆に政治外交を支配するという不幸な姿を呈しているのでありますが、わが国においても防衛庁と大企業との癒着状態から見て、かかる産軍複合の危険性が十分に予測されるのであります。これに対する歯どめなり、コントロールの的確な方針などは論議検討の時間を全然与えられずに終わりました。
 また、自衛隊の治安出動は、危険な内容をあまりにもはらみ過ぎております。たとえば、自衛隊は直接間接の侵略に対処することが第一の任務であると自衛隊法で規定されておりますが、一体間接侵略とは何をさすのか。近ごろ毎日新聞社は、自衛隊のルポルタージュを三冊に分けて発表いたしましたが、その中で指摘されているがごとく、自衛隊の中で間接侵略に対する認識が全くばらばらであり、混乱しているのであります。一例を引用いたしますならば、たとえば、「ある中堅幹部が「私見ですが」と前置きしていった。――間接侵略には、狭義と広義の二種類がある。前者は内乱、騒じょう、ゼネストなどで、警察力で抑止できない場合。後者は政治、経済、軍事、外交面で日本が知らぬうちに間接侵略されている場合だが、この対策をどうしたらよいかを、三年前に、われわれ仲間で研究し合った。そのさい、日本は、現在どの程度”間接侵略されているか”を各種団体、個人などの主義主張、行動面と世論調査などの諸要素から分析した結果、狭義では二〇パーセント、広義では五〇パーセントという数字が出て、びっくりしたことがある云々。」ここで考えられている間接侵略とは一体何か。一部の自民党タカ派以外の考えの持ち主は、すでに間接侵略に侵されているということなのでしょうか。たとえば安保条約に反対することは間接侵略なのでしょうか。非武装中立をもって最も有効な安全保障の手段として主張することは間接侵略に当たるのでしょうか。ソ連と中国と友好関係を結ぼうとする努力は間接侵略なのでしょうか。ベトナムからアメリカ撤退を求め、沖繩や本土の基地に反対することは間接侵略なのでしょうか。
 防衛庁は、このほど自主防衛力整備の長期構想をまとめたはずですが、六月二十日の東京新聞で報じられたその内容を見ると、たとえば「極東の共産国は米国との直接対決を避けて、主として間接的手段によって米戦略体制の弱体化およびわが国家体制の変革をはかろうとする。わが国の防衛に当たっては、間接侵略をもっとも重視すべきだ。とくに国内の様相をみると、間接侵略の機運が醸成されつつある。」と述べられ、さらに引き続いて、「日本への間接侵略は、具体的には反政府革命勢力を支援し、その勢力で日米を離間させ、安保破棄――無防備化をはかることになろう」と結ばれているのであります。防衛庁長官は、六月十八日午後与党の合同会議に出席し、「中国核兵器開発はかなり進んでおり、それが整備されてくれば間接侵略の危険が出てくる」と説明し、この構想を裏づけているのであります。
 政府の外交防衛方針に批判を加え、かつ政治的行動として表現することが、一九七〇年を迎え高まりつつある反安保の国民運動が、間接侵略なら間接侵略に備える自衛隊は一体だれを敵にしているのか。国民の半数を敵と見立てた防衛構想は、自衛隊が自民党の一部の私兵として使われる政治軍隊であることをみずから告白しているではありませんか。
 本案は陸上自衛隊の六千人増が主眼でありますが、一体陸上自衛隊はどんな使われ方をするのでしょうか。もし直接侵略に対処するとすれば、はたして防衛構想が成り立つでしょうか。国土を舞台に防衛戦闘をするとすれば、まず住民の避難対策をどうするのでしょうか。かつて第二次大戦末、帝国陸軍が本土決戦を計画するにあたり、最も頭を悩ましたのがこの問題でありました。結局、何の妙案もなかったことは周知の事実であります。沖繩攻防戦では、軍人の犠牲に倍する一般非戦闘員の犠牲がありました。現実の問題として、本土で大軍を動かしての防衛戦争は不可能であります。つまり、現在の陸上自衛隊は直接侵略に対抗して使用できないものであり、最初から治安対策部隊として配置されていることは明白であります。この点についても何ら納得できる結論もなく、かつ、十分な討議をする時間さえ奪われてしまったのであります。
 およそ国の安全保障という最重要な問題を、ただ力ずくで押し通すことが日本の将来の安全保障にとり、どんな悪い結果をもたらすか、与党は深い見通しをはたして持っていたのか、私は憂いにたえないのであります。佐藤総理は、防衛問題についてはナショナルコンセンサスが必要であることをしばしば繰り返しておられます。だが、真の国民的合意を得るためには、あらゆる角度、立場から徹底した討議、検討がなされなければならないことは言うまでもありません。一つの考えを押しつけることでナショナルコンセンサスを得ることが一体できますか。「よらしむるべし、知らしむるべからず」といった封建的政治理念から民主国家における国民的合意を導き出すことができるでしょうか。いわんや、今回の委員会の審議においては物理的抵抗というがごときものは一度もありませんでした。あるいは引き延ばしのための質問も一言もありませんでした。にもかかわらず、突如として採決が強行されました。私は、あの一瞬の混乱の中に、民主主義と議会制度のくずれゆく異様な音を感じとりました。
 八田一朗内閣委員長は、そのスポーツマンとしての経歴が示すとおり、まことに清廉かつ直情の士であります。また、俳諧誌「ホトトギス」の同人でもあり、もののあわれを知るやさしい心の持ち主であります。私は、同じ昭和四十年に初当選した同期生として、日ごろ深く敬愛の念を抱き、かつ信頼してまいったのであります。私は、あの強行採決の瞬間において、苦しみに打ち悩む八田委員長の表情をいまもなおありありと思い浮かべるのであります。聞くところによりますと、八田委員長はその後、ノイローゼの症状と漏れ承っております。良心的な八田一朗君のことでありますから、私はさもありなんと同情にたえないのであります。八田委員長は峯山、岩間両委員の強行採決をするなという要求に対し、承知しましたと答えられました。また、採決と称するあの瞬間、八田一朗君は、ただ一言、二言ウオーと叫んだのみでした。私は委員長席の目の前におりましたから、よくこの目で確かめております。すなわち、速記録記載のごとき委員長発言は全くなかったのであります。これまた八田委員長の人柄のよさをうかがわせる一面であります。そのゆえに私はかかる人柄のあとに位置し、八田委員長を強要し、強引に強行を命じた与党執行部に対し激しい憤りを感じざるを得ないのであります。八田一朗君のような人柄は内閣委員会のごとくシビアな対決を事とする委員会には適さないのではありますまいか。この際、内閣委員長の席をしばらく離れ、ノイローゼをおなおしになり、あなたのお人柄を生かせるような他の委員会に差しかわられたほうが、将来性ある八田委員長のためにも適切であろうと私は思うのであります。この際、解任決議の通過を待たずに、思い切って辞任されることを期待しつつ、以上、私の内閣委員長解任決議の賛成討論といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 三木忠雄君。――三木君は間違っておりました。高山恒雄君。
   〔高山恒雄君登壇、拍手〕
○高山恒雄君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました八田内閣委員長解任決議案に対して賛成の意を明らかにいたすものであります。私個人といたしましても、かかる賛成の意を表することはまことに残念に思うのであります。
 従来本院におきましては、たびたび議長を中心にして良識の府として国会の正常な運営をはかることを申し合わせ、その実をあげつつあったやさきであります。しかるに、七月十七日、本院内閣委員会における防衛二法案の強行採決が行なわれましたことは、せっかくの申し合わせの趣旨に水をさすものであります。まことに遺憾のきわみであります。われわれは、その責任の衝に当たる八田委員長は、経歴から言っても、先ほど社会党の議員からもおほめがございましたが、私も、スポーツマンであり、フェアプレーに徹した識見と人格を持ったすぐれた尊敬すべき人であると思うのであります。今回の防衛二法案の審議にあたり、慎重に審議できるであろうと期待していただけに、意外な感を強くするのであります。このことは八田委員長の本意ではないと信じたいのであります。おそらく委員長の所属する自民党の意向や圧力に屈したものと思わざるを得ないのであります。しかし、このような事態を招いたことについては、委員会の責任者として、その責めは免れないのであります。
 また、八田委員長は、あの七月十七日の防衛二法案の審議中、強行採決をしてはいけないという再三の要求を了承しておったにもかかわらず、このような暴挙をあえて行なったことは、われわれは断じて許せざるところであります。国民は一体この事態を何と見るでありましょうか。国会の不信はますます深まるばかりでなく、特にわれわれが本解任決議案に賛成をするゆえんのものは、内閣委員会においてわが党の委員に質疑の機会を与えないままに採決を行なったということであります。わが民社党は、これまで、たとえ反対の議案であろうと賛成の議案であろうと、国民の前にその議案の持つ意義、内容を明らかにして批判を問うことを堅持してまいったのであります。われわれは、いたずらに反対のための反対に終始するというのではなく、十分審議を尽くすという姿勢で取り組んできたのであります。あまつさえ防衛二法案は、言うまでもなく重要法案であり、今後わが国の防衛のあり方を論及していこうとするとき、慎重の上にも慎重を期すべきであったと思います。
 以上の論点から、今回の内閣委員長のとった処置は糾弾に値する行為と言わざるを得ません。よってわが党は、八田内閣委員長の解任決議案に賛成するとともに、国民の名においてきびしく反省を求めるものであります。
 以上終わります。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(安井謙君) 藤田正明君外一名から、成規の賛成者を得て、
 討論終局の動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百八票
  白色票           百十九票
  青色票           八十九票
 よって、討論は終局することに決しました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百十九名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      中山 太郎君    高田 浩運君
      中村喜四郎君    西村 尚治君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    吉江 勝保君
      江藤  智君    大竹平八郎君
      大谷藤之助君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      大谷 贇雄君    青柳 秀夫君
      小枝 一雄君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      近藤英一郎君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      今  春聴君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    大森 久司君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    井川 伊平君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      八木 一郎君    田口長治郎君
      平井 太郎君    寺尾  豊君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      小林 武治君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      石原慎太郎君    源田  実君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川上 為治君    山本  杉君
      米田 正文君    温水 三郎君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      塚田十一郎君    高橋  衛君
      斎藤  昇君    塩見 俊二君
      廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      八十九名
      原田  立君    田渕 哲也君
      山田  勇君    塩出 啓典君
      萩原幽香子君    山高しげり君
      市川 房枝君    三木 忠雄君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    阿部 憲一君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    片山 武夫君
      田代富士男君    鈴木 一弘君
      二宮 文造君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      村尾 重雄君    上田  哲君
      和田 静夫君    松本 英一君
      安永 英雄君    竹田 四郎君
      杉原 一雄君    達田 龍彦君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      小林  武君    松本 賢一君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      須藤 五郎君    渡辺  武君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      千葉千代世君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      阿具根 登君    永岡 光治君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
     ─────・─────
○副議長(安井謙君) これより内閣委員長八田一朗君解任決議案の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十二票
  白色票            九十票
  青色票          百二十二票
 よって、本案は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十名
      原田  立君    田渕 哲也君
      山田  勇君    塩出 啓典君
      萩原幽香子君    山高しげり君
      市川 房枝君    三木 忠雄君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    阿部 憲一君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    片山 武夫君
      田代富士男君    鈴木 一弘君
      二宮 文造君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      中村 正雄君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      小林  武君    松本 賢一君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      須藤 五郎君    渡辺  武君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      千葉千代世君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      森 元治郎君    阿具根 登君
      永岡 光治君    久保  等君
      岡  三郎君    羽生 三七君
      亀田 得治君    占部 秀男君
      大和 与一君    木村禧八郎君
      藤原 道子君    松澤 兼人君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     百二十二名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    山崎 五郎君
      若林 正武君    渡辺一太郎君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    佐藤  隆君
      黒木 利克君    楠  正俊君
      岡本  悟君    高橋文五郎君
      土屋 義彦君    船田  譲君
      吉江 勝保君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      梶原 茂嘉君    大谷 贇雄君
      青柳 秀夫君    小枝 一雄君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      新谷寅三郎君    石原幹市郎君
      上原 正吉君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    久次米健太郎君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    井川 伊平君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      八木 一郎君    田口長治郎君
      平井 太郎君    寺尾  豊君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      小林 武治君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      石原慎太郎君    源田  実君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川上 為治君    山本  杉君
      米田 正文君    木島 義夫君
      温水 三郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    塚田十一郎君
      高橋  衛君    斎藤  昇君
      塩見 俊二君    廣瀬 久忠君
     ─────・─────
○副議長(安井謙君) これにて午後三時まで休憩いたします。
   午前八時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十六分開議
○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、これより委員長の報告を求めます。内閣委員長八田一朗君。
   〔八田一朗君登壇、拍手〕
○八田一朗君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法案の内容は、まず、防衛庁設置法の一部を改正して、自衛官の定数を七千七百二人増加して、二十五万八千七十四人とすることであります。その増員の内訳は、陸上自衛官六千人、海上自衛官千二百二十二人、航空自衛官四百八十人となっております。
 次に、自衛隊法の一部を改正して、第一に、海上自衛隊の航空集団の編成を改め、航空群以外の直轄部隊を加えること。第二に、予備自衛官の員数を三千人増員して三万三千人とすることであります。
 本法案は、去る三月十七日、本会議において趣旨説明が行なわれた後、同日党委員会予備付託、六月二十七日、本付託となり、七月八日、政府より提案理由の説明を聴取し、同十日より質疑に入ったのであります。
 委員会におきましては、防衛庁長官、外務大臣その他関係政府委員の出席を求めて審査が進められたのでありますが、そのおもなる質疑は、まず第一に、自衛官の定数増に関連して、陸上自衛隊十八万体制の必要性とその根拠、有事即応体制と自衛官の充足対策、海・空自衛隊における予備兵力の必要性、陸上自衛隊の国土防衛構想。
 第二に、沖繩防衛構想に関連して、沖繩防衛計画の基本方針、沖繩における米軍の基地機能の実態と自衛隊の防衛任務、核抜き返還による基地機能の低下と自衛隊配置との関連。
 第三に、四次防計画に関連して、その基本的性格、自主防衛構想と安保体制、装備の国産化、海上防衛力増強の意義、防衛出動と海上警備行動との関係、自衛権の発動と交戦権との関係、ローリング・バジェット・システム採用の必要性。
 第四に、治安出動に関連して、間接侵略の定義、命令出動と要請出動との関係、治安出動に関する警察との協定。
 第五に、日米安保体制に関連して、愛知外相の訪米目的と交渉内容、安保条約堅持と自動延長。
 第六に、軍縮問題に関連して、軍縮に対する基本的態度、生物・化学兵器の禁止及び海底軍事利用の禁止問題に対する方針等でありますが、
 このうち、おもなる問題についての政府側の答弁について申し上げますと、
 陸上自衛隊の十八万体制の根拠については、国力、国情に応じた自衛力の整備の方針にのっとり、通常兵器による侵略に対応するためのものである旨、沖繩防衛構想については、返還後の沖繩防衛は、第一義的に自衛隊が当たり、その計画は現在検討中であり、おそらく四次防計画に含まれることになろうが、場合によっては三次防の追加ということも考えられる旨、四次防計画については、自主防衛を積極的に推進し、陸・海・空の三自衛隊の均衡ある整備をはかるが、特に海上自衛隊の整備に重点を置くこととし、従来どおり五カ年計画としたい旨、治安出動については、きわめて厳格、慎重な態度で臨む方針である旨、等であります。
 かくて七月十七日、佐藤委員より、質疑を打ち切り、討論採決に入ることの動議が提出され、多数をもってこれを可決、討論なく、直ちに採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) 近藤信一君外一名から、賛成者を得て、
 本案を内閣委員会に再付託することの動議が提出されました。
 よって、本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本案を内閣委員会に再付託することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。――投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百十四票
  白色票          九十三票
  青色票          百二十一票
 よって、本動議は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十三名
      原田  立君    峯山 昭範君
      山田  勇君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    阿部 憲一君
      浅井  亨君    中尾 辰義君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    田代富士男君
      二宮 文造君    渋谷 邦彦君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      山田 徹一君    柏原 ヤス君
      小平 芳平君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      松本 賢一君    佐野 芳雄君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      須藤 五郎君    渡辺  武君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    鶴園 哲夫君
      野上  元君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      森 元治郎君    阿具根 登君
      永岡 光治君    中村 英男君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百二十一名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    小林  章君
      伊藤 五郎君    後藤 義隆君
      白井  勇君    横山 フク君
      小山邦太郎君    木内 四郎君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    吉江 勝保君
      江藤  智君    大竹平八郎君
      大谷藤之助君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    大谷 贇雄君
      青柳 秀夫君    小枝 一雄君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      新谷寅三郎君    石原幹市郎君
      河野 謙三君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    内田 芳郎君
      大森 久司君    津島 文治君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    井川 伊平君
      櫻井 志郎君    金丸 冨夫君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    堀本 宜実君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      寺尾  豊君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      木島 義夫君    温水 三郎君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      塚田十一郎君    赤間 文三君
      高橋  衛君    迫水 久常君
      斎藤  昇君    塩見 俊二君
      廣瀬 久忠君
     ─────・─────
○議長(重宗雄三君) 本案に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。矢山有作君。
   〔矢山有作君登壇、拍手〕
○矢山有作君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、若干の質問をいたします。
 まず、防衛関係二法案質疑の前提として、佐藤内閣の政治姿勢について総理に伺いたい。
 第六十一国会は、本来五月二十五日をもって会期を終了しておったはずであります。しかるに、政府・与党は一方的に議会史上まれに見る七十二日間という会期の大幅延長を行ない、あまつさえ、国鉄運賃値上げをはじめ、数々の暴力採決の新記録をつくり、異常国会と非難される状態をつくり出したのでありますが、その行き着くところ、さきの健保関係法案の衆議院通過にあたっては、ついに憲法じゅうりんという暴挙をあえてし、その結果、正副議長は辞任せざるを得ないという破局を迎えたのであります。しかるに、政府・与党には、こうした事態を招いたことに対する一片の反省すらないのみか、防衛二法改正案について慎重な審議が続けられていた参議院内閣委員会においても、またまた、質問通告者十名のうちまだ二名しか質疑を終わっていない段階で、突如質疑を打ち切り、混乱のうちに強引に採決を強行したのであります。採決が行なわれたと称しておりますが、その実、速記録を見ると、「騒然、聴取しがたし、」とあるのみで、採決の実態は存在しないのであります。たび重なる政府・自民党の暴挙に痛憤を感ぜざるを得ないのであります。
 特に、健保特例法延長法案の衆議院における審議については、さすがにマスコミも、「健保特例法修正案は提案理由の説明もなく、まして野党の質問も一切抜きのまま、委員会室の入り口でのもみ合いと怒号のうちに可決されてしまった。野党側が事実上の新法案ともいうべき修正案の中身が知らされないうちに採決が行なわれたわけである。国会史上例のない言語道断のやり方であった」と非難しておるのであります。
 また、衆議院本会議の通過にあたっては、憲法第五十七条第三項に保障された記名投票の権利を剥奪し、起立採決の手段に訴え、政府・与党みずから憲法をじゅうりんしたのでありますが、この暴挙に対しては、「わが国の憲政始まって以来八十年、本会議で起立採決が行なわれたのは初めてのこと、議会政治の荒廃と堕落もついに底をついた感があり、保守永久政権のもとで国会の、国権の最高機関としての機能喪失を、この一週間の国会劇は余すことなく示したと一声える」といっておるのであります。佐藤内閣はまさに憲法と国会をじゅうりんする前代未聞の反動的権力内閣と言わざるを得ないのであります。
 このような佐藤内閣の性格は、与党・自民党の中にも余すところなく示されております。それは衆議院本会議での違法採決の直後、数名の自民党議員が三階の傍聴席までかけ上がり、乱闘、その上逮捕連行される傍聴者をうしろからけり上げたと伝えられている。これまた国会史上前代未聞のできごとであります。総理は、かかる事態と、それに対する全国民的な非難を前にして、いかに考えておられるのか承りたいのであります。
 多数暴力による違法採決のあとで、自民党議員の叫んでおる万歳は、一体何の万歳なのでしょうか。国会がみずからの手で滅亡への道をたどることを喜ぶことの万歳なのでしょうか。私は、あの万歳を聞くたびに、むなしさというよりも、何ともいえない無惨さを感ぜざるを得ないのであります。政府・自民党の性こりもなく繰り返される暴挙の中で、国民の政治不信はつのり、国民は国会にべつ視の眼を向け、国会、議会政治は、みずからの手で大きな墓穴を掘りつつあるのではないでしょうか。みずからの墓穴を掘りつつあるとも知らず、万歳を叫んでおる姿、これを無惨といわずして他に言うべきことばはありません。数々の暴挙を繰り返し、国会を無視し、憲法をじゅうりんしておる佐藤内閣の存在にはがまんがならぬのであります。佐藤内閣に良心のかけらでも残っておるならば、憲法を尊重し、擁護する義務を規定した第九十九条を破った内閣として総辞職をするのが当然ではありませんか。かつて倉石農林大臣は、この憲法九十九条違反のゆえをもって、実質的に詰め腹を切らされたではありませんか。農林大臣の憲法否定の発言は、責任が追及され、政府・与党という集団がやった憲法違反の行動には、最高責任者たる佐藤総理は、責任を回避して、衆議院の正副議長にのみ責任をかぶせ、これをやめさせ、あとは知らぬ顔の半兵衛をきめ込むとは、みずから日本の議会制民主主義を破壊するものと断ぜざるを得ないのであります。憲法を否定して、議会制民主主義破壊の元凶である佐藤内閣は、即刻退陣すべきであります。そして、まずもって、政治の基本を正し、憲法が尊重される条件を整えるべきであります。国の基本法が否定される多数暴力の横行をそのままにして法案審議もなかろうと存じます。佐藤内閣の厚顔無恥な態度と政府・自民党の国会運営の姿勢に強く抗議し、反省を求めたいのであります。総理の答弁を求めます。
 次に、防衛二法改正案について質問をいたします。
 質問の第一は、本法改正の真意について総理の答弁を求めます。
 日米安保条約は、中国封じ込めを主要目的とするアメリカのアジア侵略の策謀に、自民党政権が加担している軍事同盟条約であることは、明白な事実であります。アメリカのアジア侵略が最も露骨にあらわれたベトナム侵略のアメリカ軍の軍事行動は、今日、完全に失敗し、その他のアジア地域でもアメリカの支配は動揺しております。そうした情勢の中で、アメリカは、アメリカの核とドルのかさのもとに従属し、優等生的成長をしたわが国の経済力、軍事力を利用して、ゆるみがちなアメリカのアジア支配を立て直し、再編成したいと願ってお勢、このことは、今日のアメリカのアジア支配に不可欠の要請となっております。自前の防衛とか、国力相応の防衛力強化とか、安保条約の相互義務の履行とかが、日米両国の政府筋から宣伝されていることが何よりの証拠だと言わねばなりません。アメリカのアジア侵略の肩がわりを果たそうとしておるのが、安保体制下の自民党の政権であり、佐藤内閣であると断ぜざるを得ません。
 戦争を放棄し、世界平和を希求する大多数の日本人民の立場からは、現在、わが国で、なぜ自衛隊七千余人、予備自衛官三千人の増員の必要があるのか、全く理解できないのであります。アメリカのアジア侵略政策に加担し、憲法違反の軍隊をますますふやすやり方は、大多数の日本人民の願いを無視するもので、佐藤内閣の反人民的性格のあらわれであり、この防衛二法改正は、アメリカへの軍事協力であり、アメリカヘの忠誠を誓うものであり、それは逆に、中国をはじめアジア諸国人民を敵視し、アジアの孤児となる佐藤内閣の姿勢のあらわれで、危険きわまりないものと断ぜざるを得ません。総理の答弁を求めます。
 第二にただしたいのは、自衛隊増強が沖繩返還交渉とのかね合いであり、沖繩返還の見返りであるとの説が巷間伝えられておるが、真実はどうかということであります。
 ニクソン大統領は、選挙前に発表した内外政策白書の中で次のように述べていた。「沖繩返還の条件としては、極東における防衛を日本が肩がわりすることである」と。また、日米議員懇談会で、来日したアメリカの議員のほとんどが、「防衛力の増強をはかることが、沖繩返還の必要最小限度の条件である」と言っておりました。しかし、こうしたアメリカの言い分は明らかに間違いであり、佐藤内閣がこうしたアメリカの言い分をうのみにしているとしたら、絶対に許せないのであります。
 そもそも沖繩返還要求は、沖繩が日本固有の領土であり、アメリカの信託統治提案を前提としない、不当不法な占領をやめさせることを要求する権利がわが国にあるという基本に立つものであって、決して、物ごいの姿勢や見返りがなければ返還を要求できないというような性格のものではないのであります。もしそうした卑屈な考え方に立っているとしたら、佐藤総理は日本の総理だとは遺憾ながら言にないのであります。
 有田防衛庁長官は、自衛隊増員について、「日米安保体制を前提にした最小限度必要な人員増であり、アメリカを意識していることは当然で、増員そのものよりも、そんな法案すら成立できぬのかとアメリカに考えられることこそは、今後の沖繩返還交渉に響き、日米安保体制に悪い影響がある」と、自主性喪失の標本のような発言をしたといわれますが、防衛庁としては、この法案を沖繩返還交渉及びアメリカ向けの自衛努力放送に必要不可欠なものと考えているのかどうかただしたいのであります。総理及び防衛庁長官の率直かつ真実の見解を聞きたいのであります。
 第三は、この自衛隊の増員は、返還後の沖繩防衛を意図したものかどうかということであります。
 さきの愛知訪米の際、防衛庁は、沖繩防衛試案として、返還後の沖繩は本土防衛の最前線基地であると位置づけ、陸上自衛隊は最低一個連隊ないし一個師団を配置し、海上は米第七艦隊の肩がわりということで護衛艦、駆逐艦を中心とする基地警備隊の設置、さらに空については次期主力戦闘機F4Eファントムを主力とした要撃飛行隊を配置することによって駐留米軍との混合部隊をつくり上げる構想と伝えられますが、この際、沖繩の防衛構想を明らかにすることを要求いたします。
 次に、こうした日米混合部隊の沖繩防衛構想は非常に危険であるという点を指摘して答弁を求めます。
 参議院内閣委員会で自民党が防衛二法改正案を暴力可決した翌日、沖繩米軍基地で兵器用神経ガスに侵された二十数人が病院に収容、手当てを受けたというショッキングなニュースがアメリカから伝えられたのであります。沖繩に致死性神経ガスの実戦用兵器を配備していることは明らかであります。いまや、米国軍隊の装備は、原爆、水爆はもとよりのこと、むしろ最もおそろしい殺戮兵器としての化学・生物兵器の開発に関心が集まっているといわれております。一度に多量の生物を毒ガスで殺傷する兵器を備えた沖繩米軍の撤退こそまつ先に要求すべきであり、これと混合部隊をつくろうとか、安保条約を根拠に共同防衛云々ということはまことに危険千万であり、断じて行なってはならぬと思うのであります。わが党が主張してきた無条件即時全面返還の正しさが実証されたのでありますが、今日の沖繩県民の不安を取り除くためにも、返還後の沖繩県民のためにも、沖繩の毒ガスの実態を詳細に報告されたい。また、今回の事態に対し、政府のこれまでの措置及び今後の方針について伺いたい。
 なお、最近、防衛庁では、沖繩返還を控え、自主防衛力整備の長期構想をまとめたと伝えられ、自主防衛力の強化とともに、国防省への昇格、非常時立法の整備など、機構、法制の整備もあわせ促進するとして、戦前の軍国主義再現を企図しているが、かかることは、平和憲法下、われわれの絶対に容認できぬところであります。その内容について、全貌を明らかにされたい。
 さらに、外務大臣には、将来万一、日本の自衛隊がこうしたおそろしい化学・生物兵器を使うことのないために、一九二五年の毒ガス使用禁止に関するジェネーブ議定書を批准すべきだと考えますが、所見を承りたい。
 第四は、この防衛二法改正案は七〇年に向けた治安対策ではないかという点であります。
 四十四年度予算は、警察機動隊六千人の増員をはじめ、治安対策予算のおおばんぶるまいが行なわれたことは、記憶に新たなところであります。総理自身、九年前の安保闘争の際には、自衛隊出動を最も強く主張した一人であることは世間周知の事実であり、さらに自民党内のタカ派と言われる治安グループは、学園紛争を含め、民主勢力の活動一切を治安問題として弾圧しようとねらっており、自衛隊の治安出動を期待している向きも多いと聞くのであります。さきの国会で明らかになったごとく、防衛庁は、治安行動教範の作成をはじめ、指揮官向けの指揮官心得の作成などを進め、さらに、四十三年度中にジェラルミン製防御たて、ヘルメット、警棒代用の木銃、催涙ガス液等を大量に調達し、大都市周辺の各所に備えていると伝えられ、また、最近、自衛隊の治安訓練が強化されているといわれておりますが、これらは、まさに安保七〇年を意識した治安対策重点の施策だと言わなければなりません。さらに、注目すべきは、防衛庁が最近まとめた自主防衛力整備の長期構想の中で、自衛隊の国内治安対策の面が前面に押し出され、強調されていることであります。これらの点から考えた場合、今回の陸上自衛隊六千人の増員もその重要な一環だろうと思うのであります。治安行動教範に明らかなごとく、自衛隊の治安出動の際の攻撃の対象は、日本の人民大衆であります。われわれは、自衛隊の治安対策重視のあり方や、治安出動を認めることはできないのであります。この際、自衛隊の治安対策なり、治安出動に対する総理及び防衛庁長官の見解を承りたい。
 第五は、行政簡素化と自衛隊増員との関係についてであります。
 佐藤内閣は、総理のお声がかりということで、四十三年度に、一省一局削減と定員五%削減を決定したのであります。一般公務員の定員は、大幅削減の政策を強行しながら、他方では、自衛隊員を七千余人も増員する。こうした支離滅裂な政策は、まともな内閣は考えないところだろうと考えます。自衛隊は特別職だとか、特別公務員だから、この削減方針とは別だというようなことは、納税者の多数国民の立場からは、詐欺的行為と断ぜざるを得ないのでありますが、行管庁長官は、これに対してどういう態度をとったのか。長官は、その立場上反対したのだが、軍事力強化オンリーの総理の方針でこれを押えたのか、あるいは治安問題については、高一点と評せられる長官自身がその立場を忘れて、むしろこれを推進する立場をとったのか。その間の経緯について、総理から答弁をされたい。また、総理は、このような一貫性のない施策に対して何らの矛盾も責任も感じないのか、所見を承りたいのであります。
 さらに、大蔵大臣は、財政硬直化を理由に、公務員削減を推進した一人だと聞くが、自衛隊の増員は、財政硬直化の要因にならぬと考えるのかどうか。防衛二法改正に伴う予算措置を承認した経過と、大蔵大臣としての責任について答弁を求めます。
 第六は、わが国の防衛力の整備目標についてお尋ねをしたい。
 政府は、口を開けば、防衛力は国力、国情に応じて整備すると言っておりますが、その内容については、国民を納得させる説明を聞いたことがありません。国力に応じてという政府の言い分については、本国会で総理、大蔵大臣は、経済の適正成長率は、今後数年間年率一〇%という考え方を明らかにしておりますが、そうした経済成長見通しのもとで防衛関係の予算の伸びはどうなるのか。国力が増加していった場合でも、現在、政府が言っているように、通常兵器による局地戦を対象とした戦力の充足をはかろうというのか、それとも国力増加に見合って金のかかる近代的な装備の方向に進もうとするのか、政府の方針を聞きたいのであります。
 また、米国の前国防長官マクナマラは、「一国の防衛は仮想敵国を明確にし、相手方の戦力、国力を十分知って、その対応策を立てなければならない」と言っているが、政府は、「どこにも仮想敵国はない、国力、国情に応じて防衛力を整備する」とのみ言ってきたが、一国の防衛、軍隊の整備に仮想敵国の想定なしにできるということはないはずであります。今回の防衛二法改正も、どういう外部からの脅威を想定して、政府は防衛計画を立て、自衛官七千七百二人を増員しようとするのか、明らかにされたいのであります。
 最後に、武器輸出についてであります。
 四十四年七月八日の朝日新聞は、台湾政府からの注文で、宇品造船所が給油艦を建造しておることを伝えております。政府は輸出貿易管理令の運用にあたり、紛争当事国やそのおそれのあるものには武器輸出をしないとしており、佐藤総理も、国会でしばしば同趣旨の答弁をしております。本給油艦の注文は、台湾政府の海軍総司令部であり、起工の際には、台湾政府の魏大佐外一名が派遣され、現場で監督していたといいます。この給油艦が戦争目的のためにつくられることは明らかであります。政府は、自分がつくった法律を破り、総理の国会答弁をほごにして、武器輸出をねらっておることは許されません。本件に関し、総理並びに輸出貿易の総括責任者としての通産大臣の答弁を求めます。
 なお、今日すでにわが国の防衛産業は大きな発展を遂げておりますが、最近では財界、産業界は、兵器工業会、防衛産業委員会等を中心に、武器輸出のみならず、防衛産業自体の全面的な振興のために積極的な動きを始めております。今日、アメリカでは議会や人間の知性のコントロールを離れ、産軍複合が独自な歩みを始め、逆に政治、外交を支配するという不幸な状態に立ち至っておるのでありますが、わが国でも防衛庁と大企業との癒着状態から見て、かかる産軍複合の危険性が多分に予想されるのであります。これに対する総理の見解を伺いたいのであります。
 以上で私の質問を終わります。総理及び関係大臣の明確な答弁を重ねて要求をいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 矢山君にお答えをいたします。
 最近の国会審議が、会期の大幅延長以来、たいへん異常な状態だ、こういう御指摘であります。私も確かにさように思います。そうして私の国会に対する態度をお尋ねというよりも、批判されたように聞いたのであります。ことに抗議を申し入れるというようなお話であったと思います。私は、しばしば申し上げておりますように、われわれは議会主義、そのもとにおける民主政治を遂行する、これが私どもの本来の政治姿勢である。また、今回の衆議院議長並びに副議長がやめられたこと、これは何か手続上憲法違反でもあったから、その責任をとってやめたものであるかのような御意見であるが、さようなものではございません。正常な、手続上何ら違法的なものではない、堂々とやめられたのであります。この点は、私からもはっきり申し上げますが、同時に、議長副議長もさような憲法違反、あるいは国会法違反でないとはっきり申しております。私どもはその線に沿って、私自身はきょうも石井議長と会いましたが、私はやめる必要はないんだと思っております。しかし、議長は、どうもやめたほうが国会の運営を円滑にするんだ、かように思うがゆえに、自分は違法だとは思わないし、そうだが自分はやめるんだと、こういうことを、重ねて私の了解を求めておられます。
 いま、矢山君がたいへん示唆に富んだ御意見を述べられました。今回の国会は多数の暴力、横暴だ、こういう御意見がありました。しかし、議会主義というものは、お互いにやはり話し合って協議を続けていくということでなきゃならぬ。多数を非難する前に、少数の暴力、物理的抵抗も、これまたやめていただきたい。(拍手)このことは、私がこの席で申し上げるよりも、国民の皆さんがよく御理解されておると思います。私は、むしろ、国民の考え、そしてわれわれに課せられた責任は国会の場において審議を尽くし、そうして国民の期待に沿う、これが政治家の態度である、私はかように確信をします。
 次に、防衛二法その他のお尋ねについてお答えをいたします。
 防衛力は、他国からの侵略を防止するという、いわば消極的な機能を果たすものであり、防衛二法の改正は、国力、国情に応じて漸進的にその充実をはかろうとするものであって、この私の政治姿勢と何ら矛盾するものではありません。これはわが国の特殊事情による防衛力であります。
 また、矢山君は、防衛二法はアメリカのアジア侵略政策の片棒をかつぐものであるとの御意見でありましたが、社会党の非武装中立論がいかに観念的であり、また、米国の政策が侵略政策であるとする議論が機械的、形式的なものであるかは、従来の安保論争においてしばしば指摘したとおりであります。私は、むしろ独立国家として、自衛力の整備は当然の責務であると考えております。社会党の方々も、いたずらな偏見は捨て去って、事柄を公正妥当に評価していただくよう、この機会にお願いをいたす次第であります。
 次に、自衛隊の増強と沖繩返還との関係でありますが、今回の増強は、第一次防衛力整備計画以来の懸案を逐次計画的に実現してきたものであって、沖繩返還という新しい事態に即応した措置ではありません。したがって、沖繩返還がされた暁におきましては、あらためて所要の防衛力について検討をする所存であります。
 なお、返還後の沖繩の防衛構想につきましてお尋ねがありましたが、返還後の沖繩の防衛責任は、わが国土として第一義的にわが国が負うことは、あらためて申すまでもありません。ただ、沖繩の防衛構想は、返還後の沖繩に残置される米軍基地の態様や、返還時における国際情勢に関連するところが大きいので、いまこれを具体的に申し上げる段階ではありませんが、一般的に申せば、返還後の沖繩に整備する防衛力は、沖繩の直接防衛の機能を果たし、また、沖繩に配備することによってわが国全体の防衛に役立つものに限定されるのであって、現在沖繩の米軍が果たしている軍事機能のうち、戦争抑止力の中核となっている攻撃作戦機能、極東自由諸国の防衛作戦支援機能等につきましては、わが国防衛力でこれにかわることはあり得ないと考えております。
 次に、沖繩の毒ガス事故についてでありますが、政府は、十八日の夕刻、在京米国大使館のオズボーン公使を外務省に招いて、事件の真相の調査を求めるとともに、米軍基地の運用にあたっては、沖繩住民の安寧福祉に対する十分な配慮を強く要望するとともに、もし大量破壊を目的とする化学兵器が配置されているとすれば、これらの兵器は撤去されるよう申し入れをいたしました。これに対しアメリカ側は善処を約束し、その後の調査の結果を連絡してまいりましたが、それによると、問題の物質は厳重な保安下にあり、事故が再発したり拡大する危険はなく、沖繩住民の福祉には万全を期すとのことであります。なお、化学兵器と並んで化学・生物兵器も大量破壊兵器として使用し得るので、その禁止が検討されるべきであり、わが国としては、すでに軍縮委員会において朝海代表からこの方針を明らかにした次第であります。私としては、このような考え方のもとに、さきに申し上げた米側に対する申し入れの事後措置について注意深く見守ってまいります。
 次に、自衛隊の増員と治安対策の関連でありますが、自衛隊の増員は、後に申し上げますが、いわゆる治安対策を重点として考えたものではありません。誤解のないよう願います。
 次に、一般公務員の定員削減の方針と自衛隊の増員は、防衛力の整備充実の重要な支柱としてこれを行なおうとするものであり、行政の簡素能率化を目的とする一般公務員の削減計画とは性格を異にするものであります。なお、一般公務員におきましても、増員を必要とする特定分野にはもちろん増員を実現しているのであって、形式的に一律削減を行なっているものではないことを念のため申し上げておきます。
 また、わが国の防衛力整備目標についてのお尋ねでありますが、日米安全保障体制を堅持しつつ通常兵器による局地的侵略事態に有効に対処し得る効率的なものを目標としていることは、従来たびたび申し上げておるとおりであります。問題は、この目標を内外の情勢、国力、国情を勘案しつつ、漸進的に達成することにあり、今回の防衛二法の改正もまさにその一つの適正な過程であると、かように考えております。
 最後に、自主防衛力整備の長期構想についてのお尋ねでありましたが、矢山君の言われるように、最近特にこれをまとめたものがありません。国防の基本方針に基づき現在第三次防衛計画を進めておりますが、さらに今後とも国力、国情に即した防衛力の充実をはかってまいります。
 次に、武器輸出と防衛産業のあり方についてでありますが、根本的には、防衛産業はあくまでもわが国の防衛力をささえるものとして、防衛庁の防衛需要に対処し得る体制を考えているものであり、武器の輸出を振興することによって防衛産業を振興するようなことは考えておりません。また、産軍複合の問題についての御心配でありましたが、わが国の場合はアメリカと異なって、一企業の中に占める防衛産業の比重はさほど高くないので、御指摘のような弊害は生じないものと考えます。しかしながら、国の防衛計画が一部の企業の利益のために影響されることがあってはならないので、今後ともそのような事態の生ずることのないよう十分に注意してまいります。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(有田喜一君) 今回の自衛官の増員は、さきにも総理大臣がお答えになったように、第三次防計画に基づいた防衛力整備の一環として行なっておるものであります。特に陸上自衛官六千人の増員は、第一次防計画以来の整備目標である陸上自衛隊十八万人体制の実現をはかろうとするものでありまして、決していわゆる治安対策などというものではありません。また、今回の増員は、沖繩の返還を前提としたものでないということも明らかであります。治安の問題は警察力をもって対処することが本義であります。したがいまして、わが自衛隊の治安出動ということは、あくまでも慎重な態度で、警察力をもって対処できないというようなときに臨むべきものと思います。しかしながら、自衛隊にも治安出動ということが任務の一つとなっておりますから、われわれは平素から訓練をやって、国民の期待に沿っていくようにいたさなくてはならぬ、さようなつもりで訓練だけはしっかりとやっていかなければならぬと考えております。
 返還後の沖繩の防衛構想については、ただいま総理からお答えになったとおりであります。
 なお、防衛整備の目標についても総理からお答えになったとおりでありまして、私どもとしては、今後の防衛力整備にあたっては、海洋国家であるわが国の特性にかんがみまして、海峡防衛及び海上護衛能力を向上するとともに、進攻部隊を初期の段階において撃破し得るところの能力及び防空能力の向上をはかっていきたい、こういう考え方を持っております。
 なお、自主防衛の長期構想ですが、これも総理からただいまお答えになったように、われわれとしましては、第四次防計画についてはまだ具体的な作業に着手しておらないのでありまして、自主防衛力整備の長期構想をまとめる段階にはなっておりません。しかしながら、今後の防衛力整備の方向としては、日米安全保障体制を堅持しながら、核抑止力や憲法の制約上わが国が保持し得ない軍事力は米国に期待いたしますが、それ以外の防衛の手段については、みずからの国はみずからの手によって守るという、その気概を持って国の安全を守れるような防衛力を保持することが望ましいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) 総理大臣の御答弁を補足いたしまして、二点についてお答えいたします。
 その一つは、今回の沖繩におけるガスの問題でございます。アメリカ側の説明によりますと、今回の事件の原因となりました物質は、化学兵器として使用されるものであるけれども、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の伝えるような致死性のVX神経ガス兵器ではないということでございます。しかしながら、このような事情にかんがみまして、政府は、沖繩において大量破壊を目的とする化学兵器が配置されているとするならば、これを撤去するように申し入れた次第でございまして、その後、注意深くさらに状況を見守っておるというのが、ただいま総理から御答弁があったとおりでございます。
 一九二五年のジュネーブ協定議定書の問題でございますが、本件につきましては、すでに内閣委員会におきましても詳しく御説明申し上げましたように、ジュネーブ議定書の中身につきましては何ら異存はございません。その当時におきまして、批准をしていなかったのは、すでに四十数年前のことでございますから定かなる事情のわからない点もございますけれども、一八九九年のへーグの毒ガス禁止宣言や、一九〇七年のへーグの陸戦法規の、慣例条約の締約国になっておりますので、十分であるということで批准をしなかったのではなかろうかとも想像いたされます。同時に、ただいまの状況は、すでに七月三日にジュネーブの軍縮委員会において、わがほうの政府代表朝海君から表明しておりまするように、いわゆるBC兵器に対しては、これを絶滅をしたいというのがわが国の立場でございます。これを内外に明らかにいたしておりまする関係もありまして、新たに提案されておりまするいわゆる英国案、これも十分に検討の値打ちがあると思いまするし、要するに、一九二五年のジュネーブ議定書に規定されていることにさらに新たなる条件を加えまして、政府としてはりっぱな条約ができることを期待し、かつ、その方向へ努力をするということが最善の態度ではなかろうかと、かように現在考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 私は、国の財政の責任者といたしまして厳粛な気持ちでその衝に当たっております。私はまあ日本一のけちんぼうだと、そうなければならないと、かようにまあ考えておるのでありますが、私がけちんぼうであるゆえんのものは、大事な問題があるときに、その需要を完全に充足できるような体制を整えるためなんだと、かように考えておるのであります。定員の問題もそれと同じだと考えます。一般の不要不急の定員、これは極力抑制する、しかし、必要なものはこれを充足しなければならぬ、これが基本的な態度でなければならない、かように考えておるのであります。いま総理からもお話しのように、これは自衛力の漸増、これはもうわが国に与えられた今日の重大な課題であります。私が、一般の職員につきましては抑制方針をとりながら、自衛隊の増強を承認したという態度には、いささかの矛盾もない、かように確信をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 御質問の船は、宇品造船所が中華民国海軍から本年一月十七日に受注いたしました給油船であります。本承認にあたりましては、買い手が紛争当事国の海軍であるところから、御承知の武器輸出三原則に照らしまして慎重に検討を行なったのでありますが、民間で使用するタンカーと同種の船型であること、軍艦の場合とその仕様を異にいたしておりますこと、武器も装備していないところから、軍隊が使用して直接戦闘の用に供するものとは認められないので、三月四日に輸出の承認を行なったものであります。
 なお、船舶の建造につきましては、臨時船舶建造調整法によりまして運輸大臣の許可を必要といたしますが、運輸大臣の判断も私どもと一致しております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君) 竹田四郎君。
   〔竹田四郎君登壇、拍手〕
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表し、さきに慎重審議を尽くさず、不当にも強行採決をされた防衛二法案について、補充的に幾つかの質問をするものであります。関係大臣におきましては、明快な御答弁をいただきたいと思います。
 質問の第一は、国会の防衛庁や自衛隊に対する政治的統制、いわゆるシビリアンあるいはシビルコントロールについてであります。
 軍部というものは昔もいまもたいへんおそろしいものであります。いま、世界をあげて非人道的な兵器として非難され、恐怖のどん底におとしいれられているものは、アメリカの神経性毒ガス兵器でありまして、アメリカの国会も日本の政府も知らない間に、いつの間にかわれわれ日本同胞の沖繩に多量に配備されていたのであります。また、さきの大戦におきましても、日本を敗戦の惨禍におとしいれたものは、日本の軍部の独断と独走であり、国会の、あるいは政治の歯どめがなかったことに起因しているのであります。シビリアンコントロールは、近代民主主義政治体制における必須の要件であり、さきに見たように、この制度の確立されていないところに軍の暴走があり、国際紛争の拡大化の原因があることは、歴史がたびたびそれを証明しているところであります。特に、今日のように兵器の発達が目ざましく、大量殺戮兵器、ボタン戦争の時代においては、沖繩の毒ガス事件でも明らかなように、この原則の確立こそ緊急なことであります。
 私ども社会党は、憲法違反の自衛隊を否定しておりますが、自衛隊、防衛庁に対してシビリアンコントール、言いかえれば国民の統制、国会の統制を確立しておかなければならないと考えます。第二次大戦の惨禍にこりて、国民もその歯どめを強く念願しているのであります。しかるにもかかわらず、国会や政府を無視した三矢作戦計画が自衛隊内部でひそかに研究されていました。三矢作戦計画を知った国民は、たいへん心配をいたしました。そしてその心配は、今日においても少しも消えうせておりません。防衛庁、自衛隊の内部では、内局の文官は、武官を完全に指揮、指導することができる体制も、また実権もないようであります。軍隊に対する国民の、また国民の代表である国会の統制が貫徹されるためには、自衛隊についてのすべての計画が国会において十分に審議される体制をつくり上げることが緊急にして必須の要件であります。しかるに、衆参両院の防衛関係の法案の審議にあたっては、諸計画のかなりのものが、あるいは機密と称し、あるいは極秘事項と称し、資料の提出を拒否しているのであります。まさに国民の、国会の統制の外に置かれてしまっております。これでは、日本の自衛隊、軍隊という範疇から逸脱してしまっております。それは、アメリカ軍の従属的な指揮下にあるからでありましょう。こうした従属的な事実も、国民は幾つか見てまいりました。これでは、自衛隊は安保条約のためだけにあると言っても過言ではないのであります。わが党は、自衛隊は不要と考え、外交的手段によって国際紛争を解決するとともに、積極的に国際的な軍縮を強く提議をし、戦争のない国際社会をつくり上げることに全力を傾けております。しかし、現に自衛隊は存在する以上、自衛隊に対するシビリアンコントロールを厳粛に確立すべきであります。政府は、自衛隊に関する年次計画、統合年度見積もり、長期計画、その他内部で作成されるすべての計画を国会の審議にかけるべきであると思いますけれども、明確な御答弁を承りたいと存じます。
 国民の、したがって国会の民主的・政治的統制に自衛隊が服するところのシビリアンコントロールが確立されているということであれば、当然合法的手段によって選出された政府が、それがたとえ社会党政権であれ、共産党政権であれ、その指揮に服すべきは当然であります。自衛隊幹部の中には、社会主義政権になったら反乱を起こすというようなことがときどきわれわれの耳に入ってくるのでありますが、かかる場合、民主的な統制を乱すものとしてきびしく糾弾されなければならないと思いますけれども、防衛庁長官の御見解を承りたいのであります。
 質問の第二は、軍縮委員会と自衛隊についてであります。
 御承知のように、いまジュネーブで軍縮委員会が開かれ、日本も初参加をして、朝海氏を首席代表として派遣しております。この委員会において、日本代表は、核兵器の絶滅と戦争のない国際社会の実現、戦争放棄の憲法の堅持を基調とした日本政府、日本国民の念願を強調するとともに、同じ趣旨が盛られている軍縮を通じての平和社会の実現を訴えた佐藤総理のメッセージを読み上げました。このことを訴えた国は、軍縮委員会七年の歴史で、日本が初めてだそうであります。朝海代表が演説でこの部分を読み上げたとき、各国代表はこれを聞き、場内にある種の感激が漂ったと新聞は報じております。これによりますと、軍縮委員会における日本の役割りはまことに大きいと思います。日本は、潜在的な核保有能力を持ち、かつまた、戦争放棄の平和憲法を持っておりますがゆえに、核保有国のエゴイズムを牽制し、非核保有国の結束をはかり、核を含む軍縮を、CB兵器の絶滅を迫ることのできる国であります。月に人間が到達することができるようになった今日、人間が人間を殺し合う軍備はこれをすべてやめて、平和目的に利用するように提議すべき時期であります。外に向かって崇高な平和の理念を訴えながら、日米安保条約の固定化、アメリカの軍事政策への追随、みずから憲法を踏みにじって自衛隊という名の軍隊を増強し、原子力艦隊の寄港を許し、沖繩における核貯蔵庫の増設、B52の常駐、おそるべき毒ガスの配備を黙認し、日本領土においてもCB兵器研究施設を提供しており、また、外務省国連局内におけるところの軍縮室の仕事も全くおざなりということでは、軍縮委員会に代表を送り、りっぱな演説をしても、これは平和を愛し、戦争を憎んでいるところの日本の国民に対しましても、世界の諸国民に対しましても、欺瞞をしていることにはならないでしょうか。国際的な信用を確保し、世界の軍縮問題における日本の説得力ある自主的な外交政策を展開するためにも、ただいま議題になっておりますところの自衛隊の増強案は、即刻取り下げるべきであり、自衛隊の解消計画を提案すべきであろうと思いますけれども、お尋ねを申し上げます。(拍手)
 また、当然相模原市にありますCB兵器の研究を行なっていると言われておりますところの米陸軍四〇六医学研究所の撤去を求むべきであります。また、自衛隊の化学学校は直ちに閉鎖をし、警察を含めてのガス弾等の武器使用をやめるべきであると思いますけれども、どのようにお考えか、お伺いをいたします。
 質問の第三点は、防衛費と国民総生産との関係についてであります。
 今日において、防衛費の国民総生産に対する割合は〇・八四%になっているということであります。さきに訪米いたしました愛知外務大臣は、アメリカのレアード国防長官から、日本の防衛支出が国民総生産――GNPに占める比率の低いことを指摘されたということで、政府は、十一月の佐藤訪米までにGNPに対する防衛費の割合を一・五ないし二・〇%にする決意を固めようというようなことが新聞で報道されております。防衛庁も、これを裏づけるように、自主防衛の根本方針を打ち出し、防衛費のGNPに対する割合を二・〇%以上にしようとしているということを聞いているのであります。また、財界筋では、少なくともイタリア並みの三%程度までに高める必要があると宣伝をしております。アメリカ方面では、日本は防衛負担を逃げて、経済成長だけを追求するエコノミック・アニマルだという対日批判も出ているようでありますが、佐藤総理も、同様に、国を守る気概を持てと高らかにラッパを吹き鳴らしました。国民総生産が資本主義国家群の中において第二位になったことは事実であろうと思います。しかしながら、日本におけるところの社会保障の給付総額を見てまいりますと、資料は若干古いのでありますが、一九六三、六四年ごろのILO統計によりますと、国民総生産に対する割合は、西欧の諸国は一三ないし一五%になっております。さきに述べましたイタリアの場合には一二・八二%でありますが、日本は実に五・二四%と、きわめて低いのであります。特に老齢年金などについてはなおさらであります。いま、「深刻化するこれからの老人問題」というパンフレットが、経済企画庁の国民生活局から出ております。これによりますと、昭和四十年には総人口の九・七%でありました六十歳以上の老齢人口が、昭和六十五年になりますと実に一六・五%になり、約二千万人の人口になります。しかるに、老人扶養負担の増大により西欧並みの年金給付額にいたしますと、昭和四十年度の年金給付額が千五百億円でありますが、昭和六十年には実に六兆三千億かかるという計算になっております。また、家族扶養の衰退、核家族化によるところの老人世帯の増加、老年労働力の相対的な過剰、物価上昇等で、今後の老人生活は危機的様相になるでありましょう。厚生省は二万円年金の構想を持っていられるというお話でありますが、防衛費を増額するのでなく、老齢者福祉対策の長期計画をつくり、国民所得の相当部分を充当していかなければならないと思います。この立場から、GNPと防衛費の比率を二%にするということについて、将来の老人福祉対策との関連で厚生大臣にお答えを願いたいと思います。
 防衛費が多くなることが、すなわち自主防衛の努力が強化するということにはならないのであります。自衛隊が違憲の存在であることは明白でありますが、自民党の諸君がとっている立場におきましても、GNPと防衛費とを比較することは、何ら意味を持たないものであります。自党民の論理におきましても、自衛隊は防衛だけに限られているのでありまして、攻撃的な要素は認められておりません。ABM兵器などを除けば、防御用のものは攻撃用の兵器に比べましてその経費のかかりぐあいは安いのであります。攻撃用のものははるかに高価のものが多いわけであります。したがって、防御的任務を持つ自衛隊、核兵器を持つことのできない日本の自衛隊の防衛支出が低額であるのは当然であります。他国に比して著しく低いということにはならないのであります。真の防衛は、国民生活を安定させ、向上させることにあります。誇り得る、そして失いたくない政治が行なわれている国こそ基本であろうと思います。保障の充実、公害の除去、大量の住宅建設など、将来に、未来に明るい約束があり、その実現過程を示す政治の体制があることであります。防衛費をふやすことは、インフレ要因をつくり、社会経済の発展に大きな障害を与え、防衛費のみのいたずらな急増を引き起こすものであります。いま必要なことは、生活面におけるところの社会資本の充実、おくれた産業分野における構造改善にこそ投資をすべきでありましょう。いたずらにGNPと防衛費との比率を高めることは、きわめて危険なことであろうと思いますけれども、防衛費の増加はすべきではないと私は思いますけれども、総理大臣、大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思うわけであります。
 最後の質問は、陸上自衛隊の充足率と十八万人の科学的根拠についてであります。
 自衛隊、防衛庁はたいへん熱心に十八万人の陸上自衛隊を完成することを悲願のように望んでいるようでありまして、六千人の定員増もその一環であろうと思います。十八万人の陸上自衛隊案が出されたのは、実は昭和二十八年の池田・ロバートソン会談において日本から提示されたものであります。当時、自衛隊の前身である保安庁でも、だれ一人としてこの数字の算定をした者はなかったというのであります。山田陸幕長は、「高度の政治的決定で出されたのでしょう」と語っておりますし、また、当時の池田さんのもとで働いておりました村上大蔵事務次官も、「隊員の募集のことは全然考えていなかった」と語っております。その当時においてすら、十八万人は何ら科学的根拠はなかったのであります。それから十六年も経過しており、諸情勢はたいへん変化をしております。今日においても明確な科学的根拠があるということであれば、国民にその根拠を示すべきであります。
 また、今日の陸上自衛隊の定員は十七万三千人でありますが、不充足人員が一万五千人もあるということであります。特に士――昔の兵でありますが、その階級における充足率は八〇%台にすらなっているのでありまして、北海道の真駒内にある第十一師団の場合、普通科連隊普通科中隊の定員二百十三名に対して充足率は七〇%と、非常に低いのであります。その上、士の階級に属すべきところの十八歳から二十四歳の隊員適齢人口は今後減り続けるということであります。そうなれば、充足率はもっと低いものになってしまうでありましょう。かかる明白な情勢を前にいたしまして、六千人増員の提案を強行採決いたしましたことは、国民にその根拠を説明することができないためではないか。六千名定員増の必要性、定員充足のための計画と手段とを具体的かつ詳細にこの場において国民に明示すべできあろうと思いますが、どうでしょうか。それができなければ、六千名増員案等の本提案は即時取り下げるべきであろうと思いますが、いかがでしょうか。
 以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。明確なる御答弁をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 竹田君にお答えいたします。
 シビリアンコントロールは、これは防衛庁の組織を貫く原則でありまして、お話しになりましたように、国会の統制、内閣の統制、防衛庁内部における文官の統制、その三面から構成されていることは竹田君も御承知のことだと思います。また、自衛隊のシビリアンコントロールは十分徹底しているので、新しい制度を確立する必要があるとは考えておりません。この点で一そう、御注意も一ありましたから、シビリアンコントロール、これは間違わないように指導してまいりたいと思っております。
 また、現代における軍備の意味すること、これは戦争に勝つということではなく、戦争を未然に抑止することであります。この意味から、陸上自衛隊の十八万人計画は、わが国の国力、国情に応じたものであり、通常戦争を抑止するものであります。しかし、一方、国際間の軍備拡張競争に歯どめをすることは、平和維持の観点からきわめて重要であり、わが国がジュネーブ軍縮委員会に参加したことは、この点から大きな意義があるものと、かように思います。珍しく私のメッセージをほめられましたが、私は、ただ形だけでなしに、真に世界の平和を願うがゆえに、この種の軍拡、これは必要でないのじゃなかろうか、その意味において、強国に特に反省を求めるといいますか官省を求めたのであります。私は、ただいまも申し上げましたように、十八万計画、これはわが国の防衛上必要なものでありますから、そういうように考えますと、ただいま朝海君がジュネーブでいろいろ話をしておることと、自衛隊の六千人増員計画、これは別に矛盾するものではございません。したがって、竹田君が、どうだ、取り下げるつもりはないかという私の注意の喚起でありましたが、ただいま取り下げるつもりはありません。
 また、GNPと防衛費との関係についても、いろいろ御意見をまぜてお話がありました。私は、この点について、GNPが大きくなったから一定の率で当然防衛費がきまるのだと、かようなことは申しませんが、私がしばしば申しますように、抽象的ではありますが、わが国の必要なる防衛費、これは国力、国情に即して整備をする、かねてから申し上げておりますので、その方針に変わりのないことを重ねてお答えといたします。
 私が申し上げるまでもなく、国際情勢は目まぐるしく変転かつ流動しておりますが、中でもわが国の国際的地位の向上は目ざましいものがあります。米国はわが国の最も信頼する友邦であり、日米間の相互信頼関係は、アジアの平和と安定を確保するかなめでありますから、ことさら特別な考慮を払うまでもなく、ただいまのような基本的方針にのっとってわが国の防衛体制を整えるつもりであります。(拍手)
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(有田喜一君) 自衛隊のシビリアンコントロールに関連いたしまして、すべての計画を国会で明らかにするために資料を出してはどうか、こういうお尋ねでございますが、自衛隊は国民とともに存在するものでありまして、広く国民に理解され、その支持を受けるものでなければならぬと考えます。この意味において、国会を通じて自衛隊の実情を明らかにし、国民の理解を得ることが望ましいことでありますので、国益に反せざる限り、資料の提出についてできるだけ進めていきたいと、かように考えております。
 また、合法的政権が何党であろうと、自衛隊がその統制に服すべきだ、こういうお尋ねでございますが、言うまでもなく、自衛隊は、憲法第十五条に示されたように、全体の奉仕者として行動し、不偏不党の立場を堅持しなければならぬのであります。そのような御心配は要らないと思いますが、どうか自衛隊に対する一そうの御理解を深めていただくようにお願いいたします。
 なお、相模原にある四〇六部隊、つまり米軍の四〇六部隊を撤去したらどうか、こういうお尋ねでございますが、しかし四〇六部隊は、BC兵器の開発とか、また、さような研究は行なっていないのでありまして、風土病とか寄生虫、あるいは蛇毒、動植物の分布調査などの医学的調査研究に限られておるように聞いております。さようなものである限りはこれを撤去する必要がないのじゃないかと考えます。
 なお、わが自衛隊の化学学校におきましては、これはCBR防護及びこれに関する器材の補給整備に必要な知識及び技能を習得させるための教育を行なっておるのでありまして、決していわゆるBC兵器を使用するための教育というものは行なっておりません。したがいまして、これを閉鎖する必要もない、かように考えております。
 なお、陸上自衛隊十八万人の科学的根拠を示せ、また、充足不可能な状態にあるのではないか、こういうお尋ねでございますが、池田・ロバートソン会談のことはともかくとしまして、その後、陸上自衛隊十八万人構想については、わが国の防衛は、日米安全保障体制を堅持しながら侵略を未然に防止して、また、万一の場合の事態に対処するための有効な防衛力を整備するということを基本方針としまして、この方針のもとに第三次防計画では、陸上自衛隊の編成定数を十八万人にするということにしておるのです。で、この十八万人体制というのは、国力、国情に応じた陸上防衛力について防衛的、技術的見地から検討を行なって、わが国の国土地形に応じた編成をしておるいまの五方面隊、十三個師団、この体制を充実整備するための編成でありまして、十八万人体制が適当であるとの結論を得たものであります。かような見地から、十年ほど前からの懸案であって、これを解決したいというのが今日の状態であります。
 なお、十八万人充足ができるかどうかというお尋ねでございますが、隊上自衛隊の充足率は非常に困難な募集環境にもかかわりませず、自衛隊に対する国民の理解がおかげさまでだんだんと深まってまいりました。また一方、隊員の処遇改善等の諸施策の浸透によりまして逐年向上してまいっておりまして、本年五月末現在では九二・一%となっておるのであります。最近の隊員募集状況も比較的良好でありまして、今後も募集強化施策をさらに推進すれば、平時支障のない程度の充足を確保することは十分可能である、かように考えております。
 なお、御参考のため申しておきますが、世界どの国を見ましても、陸上の部隊が一〇〇%充足しているということはないのでありますが、大体九〇%以上というのが世界の常識であることを御理解願います。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) 簡単にお答えいたします。
 化学・生物兵器の問題につきましては、使用のみではなくて、進んで製造も研究も開発もこれを禁止したい。したがって、また貯蔵も廃棄すべきものである、こういう考え方を政府は持っておるわけでございまして、このことは先ほど矢山君の御質問にもお答えいたしましたとおりに、そういう趣旨で去る七月三日の軍縮委員会でわが政府代表が見解を表明いたしておるわけでございます。したがいまして、今後における生物・化学兵器の問題に対しましても、これも先ほど申しましたように、英国案のとるべきものを十分前向きの態度で取り組んでいきたい、これはわが国が平和憲法を持っておる立場から申しましても当然の私は態度である、UNDCに参加いたしました以上、こ場を活用いたしまして、私は国民的なこういう態度でぜひ一つの成果を目ざしてまいりたい、かように考えておるわけでございますが、同時にこういったような基本的、あるいは根本的な軍縮というようなことが成果を国際的にあげ得るまでは、現実的にわが国の安全ということについて、十分配慮をしていかなければならないということが、現実の同時に政治の課題である、かように確信をいたす次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) GNPと防衛費の関係でございますが、今日、竹田さんが御指摘のように、わが国においては防衛費はGNPの〇・八%、非常に低いわけであります。アメリカにおきましてはこれが一〇%、フランスは五・三%、英国は五・七%、ドイツは四・三%、イタリアが三%、わが国の戦前におきましてはこれはかなり商いのでありまして、二・二六事件以後、軍事財政ということになってまいりますが、その以前のいわゆる戦前基準年次におきましては、実に六%、こういう高さであったわけであります。私はよく考えるのでありますが、戦後、わが日本が先進諸国に比べて非常に高い経済成長、発展を遂げた、しかも最近四カ年のごときは、先進諸国の三倍の速度の発展であります。それは一体何だろうということを考えてみますると、諸外国がそういうふうに高い防衛費負担をしておる、軍事消耗に使っておる、わが国は〇・八しか使っておらぬ。つまり財政におきましても、国の物資の配分におきましても、われわれの生活のために、また経済の発展のために、ほとんどのものがさかれてきた、これがわが国の他国に比べての経済発展の大きな違っておる理由である、こういうふうに見るのであります。そういうことは一体なぜ許されたかというと、これは日米安保体制がそうさしたんだと、このことをつけ加えさせていただきます。
 今後、〇・八がよいかどうかと、こういう問題につきましては、私はこれは他の経費とのバランス、そういうものを考えてきめられるべきものである、こういうふうに考えますが、要するに、戦後二十五年間、こういうふうな偉大な経済発展をしたその基調はどこにあるかという一つの問題点は、防衛費が低かったんだ、こういう基調、この基調は変えずにいきたい、こういうふうに思うわけであります。つまり、安全保障体制のもとに、なるべく安上がりの軍備防衛費でやっていきたい、かように考えていることを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
○国務大臣(斎藤昇君) 国の防衛費と社会保障費、ことに将来の老人対策費についての御心配のお尋ねがございましたが、今日の社会保障費は御承知のように、約一兆に近い、九千四百六十九億でありますが、それに比べまして、防衛関係の諸費は、四千八百三十八億、約半額でございます。御承知のように、今後老人対策費も相当増してまいると思うわけでございまして、ただいま提案をいたしております国民年金法案、厚生年金法案、これが成立をさしていただければ、これらの年金関係におきましては、世界の国に決して劣らない年金の水準になるわけでございますが、そうしてそれに対する今後の国費の増加を考えてみましても、今日の日本の防衛費関係から考えまするならば、決して防衛費がそういった社会保障費の圧迫になると、かようには考えておりません。したがいまして、総理もおっしゃっておられますように、今日の日本の現状に照らして、必要な防衛力の整備、充実というものは、決して社会保障費や将来の老人対策費に対する圧迫にはならないということをお答え申し上げます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) これにて午後八時まで休憩いたします。
   午後六時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時三分開議
○副議長(安井謙君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、質疑を続けます。峯山昭範君。
   〔峯山昭範君登壇、拍手〕
○峯山昭範君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係各大臣に若干の質問を行なわんとするものであります。
 今回の防衛二法案の審議について、今後は慎重に審議し、強行採決は行なわない、との申し合わせをしたはずであります。しかるに、去る十七日の内閣委員会再開の冒頭において、委員会の異様な雰囲気から、私は議事進行について発言し、八田内閣委員長に対して、慎重審議を行ない、強行採決をしないことを再三再四要求したのであります。八田委員長はこれを了承したにもかかわらず、午後十時四分、社会党の村田議員の質疑続行中、突如として自民党の佐藤議員が質疑打ち切り並びに採決の動議を提出したのであります。そのため、委員会は混乱のうちに同法案の採決を強行するという暴挙に出たのであります。今国会の、参議院における政府・自民党の強行採決は、国鉄運賃値上げ法案に次いで二度目の強行採決であり、多数の力により、国民の声を押え、押しつぶすという非民主的な態度に出たことに対し、心から憤りを感ぜざるを得ないのであります。今後は、慎重に審議を尽くし、国民の期待を裏切るような強行採決等は行なわないと約束してもらいたいのであります。
 さて、今世紀において、世界はすでに二度までにもわたる世界大戦の惨禍を経験し、しかも核兵器の未曽有の発達は、世界の人類をダモクレスの核の剣のもとに立たしめているのであります。したがって、もはや過去の概念による防衛思想や戦略思想をもってしては対処し得ない強大な破壊力がこの地球上に存在していることは、周知の事実であります。そのため、国際平和の維持と国際協力の達成を大目標として設立された国際連合も十分にその機能を果たしているとは言いがたく、現代国際社会における諸種の矛盾、対立抗争は依然としてあとを絶っていないことは、まことに遺憾だと言わざるを得ません。
 いまさら申し上げるまでもなく、人類共通の念願であります。特に戦争の惨禍と世界唯一の核兵器の攻撃を受けたわが国は、他のいかなる国にも増して強く世界の、平和を望んでいるのであります。しかし、今日の国際情勢を見るとき、まことに遺憾ではありますが、平和への道はきびしく、依然として複雑かつ流動を続けている状態であります。すなわち、ヨーロッパではNATO体制、ワルシャワ体制の再編成がもくろまれており、アジアにおいても、英国の退潮、アメリカのアジア政策の失敗、中国の核武装、ソ連の極東への関心の増大、中ソ国境事件等々が見られるのであります。特に極東における緊張の緩和は、わが国の平和と安全の維持に不可欠のものであるにもかかわらず、ベトナム問題やプエブロ、EC21型偵察機の撃墜事件等を含む朝鮮半島の緊張など、いまだに憂慮すべき事態があるのであります。さらに国内では、一九七〇年の安保再検討期を目前に控えて、沖繩、北方領土の早期返還、基地撤去闘争、原潜寄港反対、大学紛争など、保守、革新の激突の危険性がいよいよ増大しているのであります。このような内外情勢のきびしい現実を考えるときに、人類絶滅の前に地球上の人類は、同一の運命共同体としての連帯感を強めていかなければならないと強く主張するものであります。このために、わが国は国連の強化をはかり、自主、平和外交方針の確立によって、近隣諸国との経済的、社会的、文化的交流等外交関係を緊密にしていくことがアジアの緊張を緩和させ、ひいては世界平和に通ずるものであると主張するものであります。
 さて、佐藤総理の沖繩返還構想についてであります。
 従来、佐藤総理は、日本及びアジアの平和と繁栄は、アメリカの軍事力によって維持されてきたのであるという基本的立場に立ってきたのであります。そのため、アメリカの沖繩基地の現状維持こそが、アジア及び日本の平和と安全につながるのだという主張に対し、沖繩の本土並み返還をあくまで主張することができるのですか、総理の所見を伺いたいのであります。
 次に、琉球政府主席である屋良朝苗氏は、沖繩基地の態様についても、核つき自由使用などは論外と言わねばならない。米国は既得権を手放すまいとして沖繩の核基地保持あるいは基地の自由使用を強硬に主張する懸念があるが、沖繩県民は核つきにも自由使用にも反対であると述べております。また総理は、このたびの愛知訪米に際し、沖繩返還交渉に対する成田社会党委員長の公開質問状に対し、「返還後の米軍基地がその機能を有効に果たすためには、沖繩県民を含む日本国民全体の支持し得る形態のものでなければならず、このような観点から、返還後は、日米安保条約及びその関連取りきめを本土と同じように、そのまま沖繩にも適用するのが最も自然である」と回答したのであります。総理の言うことを突き詰めて考えていくならば、当然沖繩返還交渉は核抜き、本土並みで自由使用を認めないことになると思いますが、いかがお考えか、承りたいと思います。
 現在、沖繩において最も重要な問題の一つに人権問題があります。これは、日本の国土である沖繩が四分の一世紀の長期にわたって異民族の支配下にあり、沖繩住民の人権がさまざまな点にわたって侵害されていることは、まことに憂慮にたえない次第であります。なぜかならば、沖繩県民の悲壮な叫びは日々の新聞に報じられているとおりであります。沖繩県民をこれらの苦しみから一刻も早く救い出すことは、日本政府の重大な責任であると思いますが、この点に対する佐藤総理の所見を伺いたいのであります。
 また政府は、沖繩返還に備え、本土との一体化三カ年計画を検討中であると言われております。これに対し、先日、岸沖繩日本政府事務所長から、人権問題に対する意見書が提出されたと聞いております。これに対する政府の所見を伺いたい。
 さらに、政府は、人権問題が一番重要であるといいながら、政策的な面で一体どのような処置をしているのですか、あわせて御答弁願いたいのであります。
 現在、米軍及び米軍属の犯罪は、増加、悪質化の傾向にありながら、検挙率は非常に低いというのが実情であります。この原因の一つに、琉球警察の捜査権は、米軍人、軍属の犯罪に対する現行犯逮捕を除いて、完全に否定されているのであります。琉球新報一九六六年十一月八日付の報道によれば、新垣警察本部長は、「米兵のからむ事件に関する限りわれわれ民警察には捜査する権限はない。CID発砲事件のように、沖繩人被害者の証言と捜査当局であるCID当局との言い分が食い違ったりすれば、どれが真実かわからない。被害者が沖繩住民であれば、われわれ警察当局は当然真相を究明して、法的に処罰を受けさせなければならないが、それができない。逮捕権を拡大する時期に来ている。外人犯罪を絶滅するにも、米兵への捜査権や逮捕権がほしい」と、不合理さを訴えているのであります。刑事裁判権は軍人、軍属のみではなく、その家族についても、琉球政府になく、その上、事実上非公開の軍法会議で処理され、裁判の結果は公表されていないのであります。これでは沖繩県民の人権は守られるはずがないと思いますが、政府は、捜査権、逮捕権、裁判権を琉球政府に認めるべく強力なる申し入れをアメリカに対してすべきであると思いますが、どうですか。
 次に、B52爆撃機問題についてお尋ねしたい。
 昨年のプエブロ事件による極東情勢の緊迫化に伴い、B52爆撃機が嘉手納空軍基地に移駐したのは昭和四十三年二月五日であります。ですから、駐留は一年半の長きにわたろうとしているのであります。その間、B52の爆音、航空機燃料の流出、墜落事故等による被害が相次いで発生し、基地周辺の住民の生活、学校教育に多大な悪影響を及ぼし、住民は深刻な不安に打ちひしがれております。B52の沖繩移駐のときの米政府の申し入れは、一時的な駐留ではなかったのですか。また、政府は、このような米政府の違反行為に対し、沖繩県民の不安を取り除くため、撤去の申し入れに対し、どのような努力を払い、その結果は具体的にどうなったのですか。あわせて明確なる答弁を求めるものであります。
 次に、原子力潜水艦寄港と海水汚染問題についてであります。
 米原子力潜水艦の那覇港寄港によって発生した放射能汚染について、昭和四十三年六月、米琉合同の調査が実施され、米軍は、「人体に無害である」と発表しましたが、原潜汚染問題調査研究委員会は、「那覇軍港内の海底泥から検出されたコバルト60は米軍発表を上回る」と発表したため、一般住民に大きなショックを与えるとともに、近海漁業を営む者は生活に不安を感ずる昨今なのであります。沖繩県民は、このような状況のもとに、原潜寄港阻止に立ち上がり、本土政府に対し強力な対米折衝を行なうよう要求しているにもかかわらず、政府は何もやっていないのが現状であります。一体、政府は、原潜寄港阻止をアメリカに申し入れる意思があるのかどうか。また、この問題をどのように解決しようとしているのか、その解決策についてお伺いしたい。
 さらに、放射能調査測定についての専門家を沖繩に派遣常駐し、測定器具の整備や技術指導に当たるようにすべきであると思いますが、どうですか。
 次に、国連における中国代表権問題についてであります。
 ことしもまた国連総会が間近に迫ってまいりました。政府は、今秋も国連で討論される中国代表権問題について、イタリア、カナダなどの中国承認の動きがすぐ国連総会に大きな影響を与えるものではないとの見解に立っており、ことしも、従来の政府の態度であった中国代表権問題に関しては重要事項指定方式に態度を固めてきたように受けとめられております。いまや世界の趨勢は中国承認に向かっており、わが国も世界の平和と安全、特にアジアの平和と安全を強く願うならば、日米安保条約を近視眼的に見ていたのでは、とうていその目的は達せられないのであります。つまり、アメリカの極東政策が変わらない間は、おそらく現状はそれほど好転しないでありましょう。しかし、ここに自主性を貫き、血路を開くただ一つの道があるのであります。それは、日本が右顧左べんすることなく、絶対平和主義を外交方針の基調として、日本はみずから地球上のあらゆる国々と平和友好条約を早急に結ぶことであります。なかんずく、まず第一に、中華人民共和国と万難を排しても平和友好条約を結ぶべきであると思いますが、総理の所見を伺いたい。そのため、国連における中国代表権問題には重要事項指定の共同提案国をおり、中国に代表権を与えるべきであると思いますが、どうですか。
 次に伺いたいことは、国連における朝鮮問題決議についてであります。
 毎年の国連総会の席上、各国の間で種々の論議が活発にかわされる重要な問題として取り扱われているのが朝鮮問題であります。そして、朝鮮問題の安全保障理事会及び総会決議を例年再確認してきているわけであります。この朝鮮問題決議の中には、かの有名な一九五〇年六月二十五日、二十七日及び七月七日の決議、すなわち、北朝鮮を平和の破壊者ときめつけ、在韓国連軍を設置し、その指揮権をアメリカにゆだね、三十八度線を突破して北朝鮮にまで侵攻を許している決議と、一九五一年二月一日の中国侵略者決議が含まれているのであります。このような北朝鮮と中国を敵視した決議が、毎年の国連総会の席上再確認されてきているわけでありますが、政府は、事もあろうに、一九六六年よりこの方、国民の了承も得ずして、国連の場において賛成票を投ずるのみではあきたらず、アメリカと一体となり共同提案国になったのであります。そこで公明党は、昨年より衆参両院において、機会のあるごとにこの点を指摘してまいりましたが、政府は、国内において、中国も朝鮮も敵視しておらないとの詭弁を弄してまいっております。口先では幾ら敵視していないのだと述べても、実際、敵視している決議に共同提案国になっているということは、敵視につながることは言うまでもありません。
 そこで伺いたいのは、今秋開かれる国連総会で、再び中国、朝鮮を敵視している決議を含む朝鮮問題決議に対して共同提案国となるのかどうか、明快なる御答弁をお願いしたいのであります。
 次に、去る四月二十四日、公明党の多田議員が、政府の朝鮮問題決議に対する国会での質問に対し、答弁があまりにも場当たり主義で、答弁らしい答弁になっていないため、文書にして回答をしてもらうために質問主意書を提出いたしました。この答弁書が五月二十日に政府より出されましたので、その中より二、三質問したいと思います。
 まず、質問第三で公明党は、「日本の立場は、日米安保条約、日韓基本条約で、米韓両国との「国連憲章の原則による協力」を約束し、さらに一九六六年以来、米国とともに従来の朝鮮問題決議のすべてを再確認している朝鮮問題決議の共同提案国になっているから、その勧告に対して協力する義務を負い、法律的拘束を受けているのではないか」と質問したのに対し、政府の答弁書によれば、「毎年の国連総会で採択されている朝鮮問題決議は、勧告的性格を有する従来の諸決議を確認したものであって、これらの決議の共同提案国になることによって勧告の実現に協力する何らの法律的拘束を受けるものではない。」と述べております。確かに勧告決議であるため、法律的拘束力を受けないのは当然でありますが、日本は共同提案国にまでなり、三十八度線突破を再確認しているわけでありますから、法律的拘束は受けないにしても、道義的あるいは政策的な拘束力を受けることは当然でありますが、どうですか。もし道義的あるいは政策的な拘束力をも受けないというのであるならば、共同提案国になること自体無意味になってくる関係上、この無意味な共同提案国からおりて、少なくとも棄権をすべきであると思いますが、いかがですか。さらに、もし道義的、政策的にも拘束力がないとするならば、吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文で日本がアメリカに基地や資材や役務を提供する必要もなくなってくるわけでありますが、この点、アメリカに基地や資材や役務の提供を行なわないことを政府は確約できますか。この確約もできず、また、道義的にも政策的にも拘束力がないというにもかかわらず、共同提案国にまで日本が国連の場で朝鮮問題決議に対して深入りするのは、結局、わが国が道義的あるいは政策的に拘束を受けているからにほかならないと思うのですが、国民の納得し得る御答弁をお願いします。
 次に、共同提案国であり、またASPACで五〇年十月七日の総会決議の尊重と実行を誓った政府、日米安保条約で米国と安保問題における国連政策を一致させることを約束している政府、さらには、日韓基本条約で韓国政府と国連政策を一致させることを約束している政府は、朝鮮問題の安保理決議あるいは五三年七月二十七日の参戦十六カ国共同政策宣言、国連憲章に基づいて発動されることになっている米韓相互防衛条約、または国連憲章の第五十一条の集団的自衛権の発動というような種々の論拠に基づいて在日米軍が国連軍を名のって日本から戦闘作戦行動を起こした場合には、日米安保条約の事前協議でノーと言えないことになりますが、どうですか。また、佐藤総理は、昨年三月二十五日の参議院予算委員会で、社会党の瀬谷議員の質問に対して、「在日米軍、これが日本から出かけることは考えなければならぬ。そういう場合になると、これはたいへんなことだと、かように思います。」と答弁されております。ここでは明らかに戦闘作戦行動の出撃を総理みずから認めているわけでありますが、総理の答弁の裏にある具体的事態はどういうものなのか。つまり、朝鮮にどういう事態が起こったときに在日米軍が日本から出撃するのですか、お伺いしたいのであります。
 次に、去る二月六日の衆議院予算委員会で佐藤条約局長は、社会党の川崎議員の質問に対して、「沖繩の返還がどういう形式になるかわからないが、沖繩から何らかの形で直接戦闘行動が行なわれる場合、当然日韓米は軍事的に一緒になる」と答弁しております。米韓相互防衛条約は、国連の目的に沿って発動されることになっており、沖繩の米軍がそれを発動した場合、日本政府は、事前協議を受ければ責任をもってそれに協力しなければならないため、日韓米は軍事的に一体化となってくるわけであります。また、これは、米華、米比、ANZUS等の各相互防衛条約の場合も同様になってくるのであります。そうすると、沖繩が返還されて、本土並みに事前協議が行なわれても、沖繩自体がそのような条約の適用区域になっているため、沖繩からの戦闘作戦行動が行なわれる場合、政府のいう弾力的運用で、たとえわずかでもイエスを与えれば、日韓米の軍事的一体化につながり、アジアの新しい集団相互防衛条約への日本の参加につながってくると思うのですが、どうですか。したがって、もしこのような日韓米の軍事的一体化を阻止しようと思うならば、沖繩からの戦闘作戦行動に対しては一切ノーと言わなければなりませんが、政府はノーと言うことを国民の前で確約していただきたいと思いますが、この点について明確なる御答弁をお願いいたします。
 次に、在日米軍基地について伺いたい。
 政府は、昨年十二月二十三日に、在日米軍基地の整理状況について発表したのでありますが、その後どういう状況であるか、総理並びに防衛庁長官にお伺いいたします。
 在日米軍基地については、日米安保条約のたてまえからと、政府は再三再四申し述べておられるのでありますが、しかし、わが公明党の基地の総点検によりまして、在日米軍基地の実態というものが明らかとなり、しかも、それらの基地がわが日本国民にとってきわめて危険と不安を及ぼしているということが国民の前に明らかにされたのであります。しかし、まだまだ基地の撤去については、政府自体のはなはだ貧弱なる交渉のゆえに、いまだに返還のめどがついていない基地がある現状であります。
 その第一は水戸射爆場についてであります。政府は、水戸射爆場の移転先を新島にきめたのでありますが、これは地元住民をはじめとして関係各省からの強い反対にあい、断念せざるを得ない形になっておられるようでありますが、政府は米側に対して、水戸射爆場の移転ではなく、撤去を要求するつもりはないか、はっきり御答弁願いたいのであります。
 また、王子病院の移転についても、多摩弾薬庫あとに移転を決定しておるようでありますが、伝染病というきわめて危険性がある基地としての移転先として万全の体制はできておるのか、その処置について伺いたいと思います。
 また、返還された基地の利用方法についてであります。住民の長い間の念願によって返還が決定されたにもかかわらず、自衛隊が使用したりするという全く地元住民の願いが反映されていないのであります。総理は、返還後の基地について利用方法は十分な検討をすべきであると思うのでありますが、いかがお考えなのかお伺いしたいのであります。
 また、東京都公害研究所が昨年九月、十二月の両月、ジェット機で行なった騒音実態調査の結果によりますと、昭島、八王子、立川など九市町の一部五十平方キロの約二万五千世帯、十五小中学校が予想以上にひどい基地騒音の影響を受けていることがわかったと発表しております。さらに住民の健康などに相当の影響があるとされているのであります。政府は、こうした基地騒音などの基地公害についての具体策はいまだ示されず、今日まできているのでありますが、今後の対策を示していただきたい。また、基地公害処理法案はいつできるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
 次に、基地交付金について伺いたい。
 現在、政府は、在日米軍基地並びに自衛隊の基地所在市町村に対し、基地交付金を付与されているのでありますが、きわめて少ないのであります。たとえば、青森県三沢基地についてであります。三沢基地という基地の中でも特殊性があるところでありますが、予算総額の八〇%が国有財産台帳登録資産の評価額に基づいて配分されており、この対象資産は五年ごとに評価がえになっておるが、大都市と、当三沢市の地価上昇率には雲泥の差があり、更新ごとにその差額をますます深めているという状態なのであります。政府は三沢基地をはじめとしての基地交付金の増額をはかる考えはないかお伺いしたいと思います。
 次に、北海道夕張郡長沼町に設置を予定されている馬追山ナイキ基地について伺いたい。航空自衛隊のナイキ基地にするために保安林の指定を解除するかどうかでもめていた北海道夕張郡長沼町の馬追山について、林野庁は、防衛施設庁が申請して以来約一年ぶりに保安林の指定解除に踏み切ったようであります。しかし、この農林省の保安林指定解除の告示に対して、地元夕張郡長沼町市街地旭町区の長沼ミサイル基地設置反対同盟ら百七十三人の町民及び農民らは、保安林解除処分取り消しと工事着手停止を求める処分執行停止の訴えを起こしたのであります。政府はこれについて、保安林解除処分取り消し、また、ミサイル基地の設置を取りやめる考えはないか、お伺いしたいと思うのであります。
 次に、陸上自衛隊十八万人体制についてお伺いします。
 第一次防衛整備計画は昭和三十二年六月の国防会議で決定し、三十三年から実施されたのであります。このとき、陸上十八万体制を明らかにされたのであります。しかし、実際には、池田・ロバートソン会談の結果、日本側が十八万体制というところでアメリカの要求をのんだ結果であります。この十八万体制は一次防、二次防、三次防と変わっていないのであります。政府がその国防の基本方針に従って、「国力、国情に応じ、自衛のため必要な限度に応じて効率的な防衛力の整備をする」と言っているのでありますが、池田・ロバートソン会談当時とは、国情、国力もずいぶん変わってきております。何の根拠もないこの十八万人構想を後生大事にする政府の感覚はおかしいのではないでしょうか。もしそうでないと言うならば、十八万人でなければならないという防衛構想を明らかに示してもらいたいのであります。しかも、三次防は四十六年までの計画であります。四十四年度は計画の三年目に入るわけでありますが、ここで突然に六千人を増員せねばならない理由がどこにあるかと伺いたいのであります。これは明らかに、明年に迎える安保対策であるという国民的疑惑は消えないのであります。警察官五千人の増員に続いて今回の増員であります。もし、政府が七〇年の治安対策のためでないとするならば、十七万人でもだめ、十九万人でもだめで、どうして十八万人でなければならないという理由を総理並びに防衛庁長官に伺いたいと思います。
 次に、自衛隊発足以来の自衛隊の増員と在日米軍兵力を見ると、在日米軍の減少に伴い、自衛隊が増強され、三十二年六月の岸・アイク共同声明により、米陸上部隊の撤退を始めた三十二年以降、自衛隊、米軍の合計数はずっと二十九万人台で大きな変化を見せておりません。これは、米側が、駐留軍の引き揚げ後の穴埋めとして、自衛隊の増強を要求して、それにわが国が応じたものと見られております。今回の増員についても、昨年秋以来、日米間で検討されている在日米軍基地の整備、縮小に肩がわりするため、米側からの大きな要請があったものではないかと想像されるのであります。また、今秋に予定される佐藤・ニクソン会談の手みやげではないかとも考えられるが、この点についての総理並びに関係大臣の見解を伺いたいのであります。
 次に、私は、国防の基本方針並びに四次防について伺いたい。
 一昨年の秋、佐藤・ジョンソン会談以後、佐藤首相は、「みずからの国はみずからの手で守る」気概を積極的に説き、今国会でも、「防衛力を漸増、整備しつつ、七〇年以降も、補完的ではあるが日米安保条約を堅持する」と、自主防衛体制の強化を強調して、従来基調としていた日米安保条約を従とし、わが国の自主防衛を主にしていこうとする旨の発言を行なっておりますが、これは一次防以来、防衛力増強の基本としてきた国防の基本方針を変更することになるが、総理並びに防衛庁長官の所見を伺いたい。
 次に、外務、防衛両当局の話し合いを通じて沖繩防衛を盛り込んだ自主防衛体制を実現するため、防衛努力の一つの目標として、国民総生産に占める防衛関係費の比率を、今年度の〇・八四%から一・五ないし二%まで上げようというような点が報道されておりますが、防衛庁長官として、四次防におけるGNPに占める割合はどの程度と考えているのか所見を伺いたい。
 また、わが国の防衛費については、今回の愛知外相の訪米の際にも、米側のレアード国防長官から、そのGNPに占める割合の低さを指摘されたということが報道されておりますが、四次防の費用総額についてはどの程度を予定しているのか。また、四次防の総ワクについては五兆円前後に達するものとも見られておりますが、この秋佐藤総理の渡米までに決定すべく、事務当局において準備中とのことであるが、これらについて当局の見解を伺いたい。
 次に、治安出動について伺いたい。
 政府が先日発表した自主防衛強化に関する見解によれば、直接侵略よりも間接侵略を重視しているようであるが、間接侵略の場合、どのような形態をとった間接侵略が行なわれると想定するのか、今後の自主防衛体制を決定するに重要な要素と思われるので、具体的に防衛庁長官の所見を伺いたい。
 七〇年安保改定期を前に、防衛庁は、自衛隊の治安出動に備え、大量の防石たて、催涙ガス液等々をすでに準備していることが、予算委員会の審議経過を通して明らかになっているが、治安出動の際の治安行動教範についてはつくらないし、検定もさせないが、行動準拠ともなるべき指揮官心得は検討している旨、前防衛庁長官である増田さんが在任中から発言をされておりますが、また、今国会に有田防衛庁長官もしばしば、指揮官心得を検討中で、近く成案を得る旨、衆参両院の委員会で答弁しているが、従来の防衛庁長官の国会答弁では、いつごろ成案を得るのかはっきりした答弁がなされていない。このような重要な問題については、当然作成時期の目標があると思うが、それについて明らかにしてもらいたい。
 指揮官心得を公表するかどうかについて、成案を得た上で検討する旨答弁しているが、自衛隊に対するシビリアンコントロールの趣旨からも、このように国民生活に直接関連する問題は、国会に対してその内容を明らかにすべきと思うが、防衛庁長官はどのようにお考えか、伺いたい。
 新聞の報道するところによりますと、防衛庁の四十四年度統合防衛年次計画は、重要な柱の一つとして国内治安対策の充実を掲げ、特に東京を中心とした練馬の第一師団、群馬県榛東村の第十二師団、習志野の空挺団等では、従来年間四十五時間の治安出動訓練時間を二百時間以上にふやすと伝えられておりますが、これらの報道は事実ですか。さらに、従来もかなり訓練を行なっているようでありますが、訓練の実績について説明していただきたいのであります。また、従来それだけ訓練を行なっているのならば、その基準ともなるべき教範のようなものが必要と思いますが、実際あるのかどうか。ないとすれば、何を基準にして訓練をしているのか、伺いたいのであります。
 また、治安出動については、自衛隊法の第七十八条、第七十九条、第八十一条のほか、自衛隊の治安出動に関する訓令と、昭和二十九年に当時の木村防衛庁長官と小坂国家公安委員長とで取りきめた治安出動の際における治安維持に関する協定等がありますが、昨年八月の参議院内閣委員会における増田前防衛庁長官の発言では、「これらの治安出動に関する諸規定は、間接侵略とそうでない一般の秩序維持の際とを十ぱ一からげにして規定しており、適当ではないため、指揮官心得の作成とともに検討する」と答弁しておりますが、有田防衛庁長官となってからも実際に検討されているのかどうか。さらに、この問題についての結論がついているならば、お伺いしたいのであります。
 最後に、去る七月八日、沖繩の米軍基地において発生した化学兵器による事故に関してお伺いしたい。
 七月十九日の各新聞は、沖繩において米軍基地からVX神経ガスが漏出し、これを吸った米基地要員二十三人と米民間人一人がその被害を受けて病院にかつぎ込まれたことを米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがすっぱ抜いたことを一斉に報じております。このことにより、従来明らかにされていなかった沖繩の米軍基地機能を含めて、米国が海外基地に致死性の毒ガス兵器を配置していたというおそるべき事実が明らかになったのであります。琉球政府の屋良主席がいみじくも、沖繩は世界の最悪の基地であると言われたように、おそるべきCB兵器が存在することは、まさに沖繩住民にとって地獄ではないかと私は思うのであります。このようなおそるべきCB兵器があるために最も悲しむのは、沖繩同胞であります。政府は、アメリカに対して、沖繩にあるCB兵器を即時撤去するよう申し入れを行なうべきであると思うが、どうでしょうか。また、沖繩住民の安全の保障にどんな具体的な措置をとるよう米側に申し入れをしたのか、伺いたいのであります。
 また、こうした危険性の高い生物・化学兵器に対し、本日の衆議院沖繩特別委員会で、日本には化学兵器を置いていないと愛知外相は答弁されましたが、政府も御承知のとおり、相模原の米陸軍医療センターは、フォード・フレデリック研究所の出先機関であり、米陸軍第四〇六部隊医学研究所として生物兵器を研究しているではありませんか。これこそまさにCB兵器そのものではありませんか。したがって、C兵器はなくとも、B兵器に関してはどうか。さらに昭和三十六年の衆院内閣委員会で、池田前総理は、事前協議はしないと答弁し、愛知外相は、返還後の沖繩及び本土への生物・化学兵器の持ち込みは、日米安保条約の事前協議の対象とするよう米側に働きかけるまでもなく反対だとの態度をとっていると、本日付の新聞報道がなされています。とすると、アメリカと何らかの協定、すなわち交換公文とか、共同宣言をするとか、日米新協定を結ぶとかという取りきめをすべきであると思うが、総理並びに外相のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
 次に、言うまでもなく、生物・化学兵器禁止については、一九二五年にジュネーブ議定書が約五十カ国の間で調印されていますが、アメリカ、日本及びブラジルなど数カ国は現在に至るまで批准をしておりません。政府は、本日、英国案に対し賛意を表しているようでありますが、わが国としては、この議定書をまず批准することこそが、政府が真にCB兵器に対し誠意のある態度をとったことになると思いますが、批准をいたしますかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○副議長(安井謙君) 時間がきておりますから、簡単に願います。
○峯山昭範君(続) 一昨日、すなわち二十日付のワシントンの有力紙、サンデースターが伝えるところによりますと、毒ガスを含む生物・化学兵器についても、沖繩から撤去する合意が成立するだろうと述べる一方、核兵器と合わせてその有事持ち込みも検討されると報じております。それに加えて、米政府は、直接的な軍事危機にあたっては核の持ち込みについて、自動的な承諾を得られるように日本側からあらかじめ秘密リストの形で同意を取りつけておくとの態度が明らかにされました。
 政府は、アメリカのこのような条件に対してどのように対処するのか。すなわち、CB兵器の有事持ち込みはさせないし、核の持ち込みはさせないし、また核の持ち込みに対して秘密リストの同意は行なわない旨、国民の前に確約してもらいたいと思いますが、明確に御答弁願いたいのであります。アメリカが返還後の沖繩及び本土にCB兵器の有事持ち込み、核の持ち込みを行なうならば、それは人間性に対する侮辱であり、人類の尊厳に対する冒涜であり、また、生命の尊厳に対する挑戦であると訴えるものであります。今回のこのような不詳事が起こった原因は、基地内の審査が行なわれていないということにあります。これこそ政府の怠慢と言わざるを得ないのであります。
 なぜなら、佐藤総理は、本年四月一日、本院の予算委員会において、わが党の多田委員の質問に答えて、沖繩にある米軍基地、それがそのまま何らの審査なしに返還というものが実現するとは思いませんと、基地審査の必要性を強調しているのにもかかわらず、こういう不祥事が勃発したのであります。総理は基地の点検について単なることばだけであったのか、また、今後、基地の総点検を行なうつもりはないか、また、政府みずからの調査はできるのか、はっきりとお答えをいただきたい。
 今度の沖繩におけるVX神経ガス事件が起こったということも、もとをただせば一九六〇年、安保改定期において、政府はCB兵器についての取りきめを何ら行なわれていなかったという失敗からなのであります。その結果が、このいまわしい悲惨な事態が発生したのであります。その責任こそ政府自民党にあることを指摘し、以上をもって私の質問を終わりにします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 峯山君にお答えいたします。
 広範多岐にわたる問題でありまして、私のほうも、十分問題の所在を検討いたしたつもりでありますし、できるだけ詳細にお答えしたいと思っております。
 まず第一に、沖繩における米軍基地でありますが、これは、日本及び日本を含む極東の安全保障に重大なる役割りを果たしていることは御承知のとおりであります。したがって、沖繩が返還された後におきましても、日本並びに極東の安全をそこなわないようその基地の機能が維持されなければなりません。沖繩返還交渉における政府の基本方針は、返還後の沖繩には、安全保障条約及びその関連取りきめがそのまま適用されるべきであるという点にあります。特に核兵器につきましては、わが国民の特殊な感情を説明し、米側の十分な配慮を求めております。政府としては、国民世論を背景に、このような基本方針のもと、今後の交渉に全力を尽くす考えでありますから、御鞭撻くださるとともに、交渉の推移を見守っていただきたいと思います。
 また、沖繩県民の人権問題につきましては、政府としても、かねてから深い関心を持ち、米側の慎重な配慮を求めております。先般、床次総務長官が沖繩を訪問した際にも、基地公害の処理について協議する用意があること、及び軍人、軍属による犯罪防止のため、軍の紀律維持に十分配慮されたい旨を申し出ております。今後とも、米側と緊密な連絡をとって人権問題の処理に当たる考えであります。なお、沖繩の刑事裁判管轄権が米側にあることについて、沖繩県民の間に強い不満のあることは私も承知しております。自治権拡大の見地から、これらの権限が拡大されることが望ましいと考えますが、施政権の返還までは種々の困難があり、人権尊重の見地から善処してまいりたいと考えております。
 また、米軍人・軍属等に対する琉球政府警察官による逮捕の権限は、相当程度今日は拡大されておりますが、施政権が返還され、一日も早く不自然な状態が解消されなければならない、かように私は思っております。
 B52の問題につきましては、かねてから住民に不安感を与えないよう米側の配慮を求めておりますが、政府としては、米側がB52を自主的に撤去することを可能にする情勢の早期到来を強く期待しておる次第であります。
 原子力潜水艦の寄港につきましては、その寄港の中止を申し入れることは考えておりません。
 また、沖繩の放射能調査については、すでに専門家の調査団を派遣し、琉球政府職員の技術指導に当たっておりますが、今後とも、技術的な面で協力を行なう方針であります。
 次に、中共との関係につきましては、従来どおり政経分離政策をとることが現実に即し、また、わが国の国益並びにアジアの緊張緩和に資するゆえんであると、かように考えております。
 また、中国代表権問題に関しても、ただいまのところ、従来の立場を変更する考えはありません。ただし、共同提案国になるかならないかにつきましては、国連総会におきまして、これらの問題が取り上げられたときに決定すべきものと、かように考えております。
 また、朝鮮問題につきましては、わが国は、国連憲章の目的と原則を尊重し、国連の目的に協力する立場をとっており、従来の態度も、このような基本的態度に基づいているものであります。その詳細は、外務大臣から一お答えをいたします。
 次に、在日米軍が国連軍として行動する場合のお尋ねがありましたが、その場合も、わが国との関係におきましては、日米安保条約及びその附属取りきめの規定に従うことになっていることはしばしば御説明しているとおりであります。したがって、米軍が国連軍としてわが国の施設区域を戦闘作戦行動の基地として使用せんとする場合は、事前協議の対象となります。
 また、朝鮮半島にどういう事態が起こったときに在日米軍が出撃するのかとのお尋ねでありますが、あらかじめ具体的に想定することは困難であります。
 さらに、沖繩からの戦闘作戦行動についてのお尋ねがありましたが、施政権返還後の沖繩の米軍基地の態様については、政府の考えはすでに申し述べました。したがって、事前協議に際しての政府の基本的態度は、あくまでわが国の国益に即し、自主的に判断いたしますから、誤解のないようお願いをいたします。
 基地の問題、在日米軍基地につきましては、漸減する方針のもとに、日米合同委員会におきまして話し合いが進められていることは御承知のとおりであります。基地周辺住民の不安や不便を少なくしていくことや、また、返還後のその利用であるとか、あるいはまた、補償あるいは交付金等の問題につきましても、政府は地域住民の利益を十分考えてこれに対処するというのが基本的態度であります。なお、具体的な問題につきましては、防衛庁長官からお答えいたすことにいたします。
 次に、陸上自衛隊の十八万人構想は、わが国の国力、国情に応じた陸上防衛力について、防衛的、技術的見地から検討した結果打ち出されたものであります。国土、地形に応じて編成している五方面・十三個師団体制を充実整備するための編成としては、十八万人の体制が最も適当であると考えております。また、十八万人体制は、第一次防衛計画以来の整備目標であり、今回充足が可能な状態となっていることから六千人の増員を計画したもので、安保対策だとか、あるいは今秋に予定しているニクソン大統領との私の会談、そういうこととは全然関係はございません。
 さらに、私が、自主防衛が主で安保条約がこれを補完するものとして、かねて申し上げておることにつきまして、国防の基本方針を変更したのかというお尋ねがありましたが、国防の基本方針は何ら変わっておりません。国民の一人一人がみずからの国をみずからの力で守る気概を持ち、国力に応じた防衛努力を行ないつつ、その足らざるところを日米安保体制によって補っていくのであります。そのためにも日米安保体制を堅持することを重ねて申し上げて、御理解を得たいと思います。
 沖繩にガス兵器が配置されておったかどうかは、政府も実は米国の新聞報道で初めて知ったのでありますが、今回の報道に関し、直ちに米国政府に対し真相の調査を申し入れるとともに、その際、沖繩県民の安寧福祉の保全に十分配慮をされるよう要請いたしました。これに対し、米側は、今回の事件の原因となった物質は化学兵器として使用されるガスであるが、致死性のVXではないこと、及び、米国政府としては今回の事件発生以前から化学兵器削減の方向でその配置を再検討中であると申し述べております。いずれにしても、政府としては、沖繩に、もし大量破壊を目的とする化学兵器が配置されているとすれば、これらの兵器は撤去さるべき旨、米側に申し入れた次第であります。
 次に、ジュネーブ議定書の問題でありますが、御承知のとおり、わが国は同議定書が作成された大正十四年に署名いたしましたが、批准はしておりません。これは、わが国が当時すでに一八九九年のへーグ毒ガス使用禁止宣言及び一九〇七年のへーグ「陸戦ノ法規慣例二関スル条約」の締約国になっており、すでに毒ガス使用禁止を受諾していたためと思われます。今般、英国は細菌学的戦争方法の使用禁止についてジュネーブ議定書を補足拡充する条約案を軍縮委員会に提出しておりますが、わが国としては、化学兵器の使用のみならず、進んで製造、研究、開発を禁止し、貯蔵も廃棄すべきだと考えており、去る七月三日の朝海代表の発言でもこのようなわが国の立場を明らかにしております。また、在日米軍が致死性化学兵器を持っておる事実はなく、また、米国としてこれらを日本に貯蔵する考えもないということであり、日米間に新しい協定を結ぶことはただいま考えておりません。今後、軍縮委員会を中心とする化学兵器規制に関する国際的な動きやその他の情勢をも勘案しつつ、わが国の主張を実現してまいりたいと考えております。核兵器におけると同様、化学兵器につきましても日米間に秘密の取りきめをするようなことは絶対にありませんから御安心いただきたいと思います。
 さらに、沖繩基地の実態調査についてのお尋ねがありましたが、日米間に返還の日時についての最終的な合意ができれば、それから返還までの間に、日米間で基地の取り扱いについての具体的な話し合いが行なわれることになるものと、かように考えております。したがいまして、その際に十分調査するつもりであります。また、六〇年の安保改定の際BC兵器についての取りきめをしなかったのは失敗であったとの御指摘でありますが、この問題は安保条約とは直接関連はありません。しかし、平和に徹するわが国の立場、化学兵器の製造禁止についても強く打ち出し、国際世論の啓発につとめてまいる考えであります。
 以上、私から数点についてお答えいたしました。そのほかの点については、関係大臣からお答えいたします。
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) お尋ねの諸項目につきましては、ただいま総理大臣からきわめて適切にお答えがございましたので、私からつけ加えることは特にないと思いますが、総理からもお話がございましたから、朝鮮問題についてだけ一言いたしたいと思います。
 朝鮮問題につきましては、国連憲章の目的と原則を尊重いたしまして、国連の目的に協力するという立場から、国連加盟の大多数の国々と協力いたしまして、従来行動をともにしてきておるわけでございます。政府のこのような基本的立場は、ただいまのところ情勢の変化もございませんから、引き続いてこれを堅持することが正しいことであると考えております。
 それから、この問題の関連で在日米軍が、たとえば、ただいまお尋ねもございましたが、国連軍を名のって日本から戦闘作戦行動を起こすような場合に、事前協議があった場合にも、国連協力というたてまえからいえば、日本はノーと言えないのではないかという御趣旨のお尋ねがございましたが、この点につきましては、御案内のように、米軍が国連軍として行動する場合におきましても、わが国との関係におきましては、日米安保条約とその附属取りきめの規定に全部従うことになっておることは御承知のとおりと思います。したがいまして、米軍が国連軍としてわが国の施設、区域を、たとえば、戦闘作戦行動の基地として使用しようとする場合におきましても、安保条約第六条の交換公文の定めるところによりまして、わが国の政府の基本的の態度といたしましては、わが国の国益の見地から自主的に判断する、そして諾否を決定するということに相なりますので、イエスと言う場合もありまするし、ノーと拒否する場合もありますことを念のために申し上げておきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣木内四郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(木内四郎君) 峯山委員にお答えいたしますが、沖繩における放射能の調査の問題につきましては、ただいま総理大臣からの御説明で尽きておると思うのでありますが、しかし、あえて蛇足をつけ加えますならば、科学技術庁といたしましては、米民政府と琉球政府、この一致した要請がありまするならば、利用し得る予算の範囲内におきまして、あるいは専門家の派遣、あるいは研修生の受け入れ、あるいはまた、情報資料等の提供によるところの技術の指導、あるいは器材の供与、あるいはまた、採取したところの物質あるいは生物等の本土における機関による分析、こういうようないろいろな方法によってできるだけの援助、協力をいたしたい、いたす用意があるということをつけ加えて申し上げておきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(有田喜一君) 昨年の暮れの日米安全保障協議委員会で協議された約五十カ所の在日米軍施設の返還等がその後どうなっているかということでございますが、御承知のとおり、これの具体的処理は日米合同委員会にゆだねておるのであります。合同委員会も非常に精力的に検討、調査を行なってくれまして、その結果、現在までに返還等が合意されておるものは二十一の施設でありまして、その残余につきましては、過般の安保協議会におきましても、その促進方を促しまして、鋭意検討を重ねて、これを促進する考えであります。
 なお、水戸射爆場の撤去を要求すべしという御意見でございますが、簡単に撤去というわけにはまいらないのでございますが、しかし、政府としましては、水戸射爆場を一日も早く移転せしめる、このことの必要を痛感いたしまして、実は過般の七月七日に開かれました日米安保協議委員会におきましても、このことを私からも非常に強く主張いたしました。しかし、一方、新島の問題も航空問題その他においてなかなか困難である。そこで、いわゆる移転の条件、これが、いままで条件が二百キロというような距離的な条件、その他のむずかしい条件がある。そこでこの条件はこれを緩和しないと、なかなか代替候補地がむずかしいということを主張いたしまして、そこでアメリカ側もこの点をよく了承してくれまして、代替候補地の条件を緩和して、そしてすみやかに水戸の射爆場を移転する、こういうことに意見が一致しまして、鋭意その促進に努力をしておると、こういう現状でございます。
 次に、王子病院の移転が実現した場合には、地元住民の不安のないよう、政府は防疫その他衛生上の問題につきましても熱意を持って米側と十分協議いたしまして、その対策について万全を期したいと思います。
 なお、施設区域の返還後の利用方法につきましては、国有財産のうちで、普通財産については大蔵省がやられる。また、行政財産については、これを所管する当該省庁が自衛隊の使用への転換をはかったり、あるいは民間の利用について考慮したりして、十分その辺のところを配慮してやっていかれる考えであります。
 なお、民有財産と公有財産がありますが、これは言うまでもなく、各所有者においてその利用方法をきめることとなるわけでございます。
 次に、基地の騒音等から生ずる障害についての具体策を申し述べますと、防衛施設周辺整備法等によりまして、たとえば、騒音の防止対策として、教育施設とか医療施設等に対しまして防音工事を実施いたしますとともに、飛行場周辺の家屋の集団移転というようなことを行なうなど、各種の施策を講じて周辺住民の障害の除去、緩和につとめ、その生活環境の改善、健康の保持等について積極的に措置しておるのであります。
 なお、いわゆる基地公害処理法をいつ出すのかと、こういうお尋ねでございましたが、これはいま直ちにそういうものを出す考えは持っておりませんけれども、将来の検討課題としたいと考えております。
 次に、北海道の長沼におけるナイキ施設の設置は、千歳基地に建設中のナイキ施設とあわせまして、北海道中央部における防空力の充実強化をはかるために必要でありますから、すみやかに完成さしたいと考えております。
 また、このため、先般行なわれました保安林の指定解除については、森林法にいう公益上の理由に該当し、かつ解除によって低下する保安林の機能を十分代替する工事を実施する計画もあるので、問題はないと考えておるのであります。
 それから自衛隊の問題につきましては、ただいま総理から御答弁申し上げたとおりであります。
 なお、十八万体制のことも竹田議員に先ほど申したとおり、また総理からも十分御答弁がありましたから、差し控えます。
 なお、四次防計画についてのお尋ねでありまするが、現在、三次防計画がようやく三年目に入ったところでありまして、まだ四次防計画について具体的な作業に着手しておりませんので、計画総額を想定し得る段階ではないのであります。防衛庁といたしましては、四次防計画の具体的構想がまとまるのは、三次防の期末における三自衛隊の姿が具体的に予想されるような段階になってからのことであると考えております。また、経費は計画の結果として出てくるものでありまして、あらかじめGNPに対する割合を設定するということは、考えていないのであります。
 なお、治安出動の問題についてでありますが、これも、自衛隊の治安出動につきましては、非常に慎重な態度でいかなければならぬということは、さきに矢山議員にお答えしたとおりでございます。
 お尋ねの間接侵略のことでありますが、これは、外国の教唆、干渉による大規模な内乱または騒擾をいうのでありまして、警察力をもって対処し得ないというような状態になりましたときは、もちろんわが自衛隊が、法律の命ずるところによりまして、治安出動に乗り出すわけであります。
 また、指揮官心得については、現在事務当局にて検討を続けておるのでありまして、近々成案を得る予定であります。この心得は部内のものでありますので、これを公表するかどうかは、まあ成案を得た上において検討いたしてみたい、かように考えております。
 なお、その次の御質問でありました首都周辺の部隊に対して、たいへん訓練をやっておるじゃないか、治安出動の訓練をやっておるじゃないかということでありますが、もちろん私どもも、法律で――自衛隊としましては、課せられた任務の一つでありますから、十分平素から訓練をしておって、いざというときに、万一の場合に国民の期待にこたえられぬようなことがあってはいかぬと思いますので、それで訓練をやるわけです。ことに首都周辺は大事なところでありますから、一般的には約五十時間の訓練でありますが、それの数倍程度をやっておるということは、私はその部隊として当然のことだと考えております。
 なお、治安出動訓練に関する教範はございませんが、従来からあるところの資料を使用いたしまして、訓練の実施に当たっておるのでありますが、ただいま申し上げました指揮官心得が制定された暁には、これをもって治安出動訓練の準拠といたしたいと考えております。
 なお、自衛隊法、自衛隊の治安出動に関する訓令及び治安出動の際における治安維持に関する協定に関しましては、特にこれの改正を前提とした検討はいたしておらないのであります。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 私に対する御質問は、基地交付金は今後増額するかという一点でございますが、基地問題も大事な段階に差しかかっておりますので、その実情に即しまして、十分配慮してまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 片山武夫君。
   〔片山武夫君登壇、拍手〕
○片山武夫君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対し若干の質問をいたしたいと存じます。
 法案の質問に入る前に、今回、本院内閣委員会におきまして防衛二法案の強行採決が行なわれましたことは、まことに遺憾であり、国民の参議院に対する期待を裏切る暴挙として非常に残念に考えるわけであります。ことに現在、最大の政治課題の一つである学生の集団的暴力の横行に対し、一日も早く解決を迫られている立場にある国会が、強行採決をめぐり混乱に混乱を続けている現状は、この暴力学生を批判する資格を国会みずからが放棄した行為といわねばなりません。今日、国民不在の国会といわれる最大の原因は、ここにあると思うのであります。まさに政党政治の危機といわざるを得ません。国民の信頼を回復するためにも、自民党総裁としての佐藤総理の国会正常化のための忌憚のない率直な対策があったならば、これを国民の前に示していただきたいと思うのであります。
 議長並びに副議長にも一言申し上げたいのでありますが、議長、副議長ともこの際党籍を離脱して、そうして党利党略のために利用されることなく、真に国民のための国会正常化に努力する決意を新たにしていただきたい、かように考えるものであります。
 なお、私は、この機会に、防衛二法案に関連いたしまして、きわめて重大な事件について政府の対策をお尋ねいたします。先ほど来たびたび質問がございましたが、私は違った角度からお尋ねをいたしますので、そのつもりでお聞きを願いたいと思うのであります。
 それは、沖繩の米軍基地におきまして発生したVX毒ガス事件についてであります。今日までアメリカは、沖繩は太平洋のかなめとして重視してきた関係から、核兵器はもちろん、これに匹敵する何らかの特殊兵器が貯蔵されているのではないかという疑惑を持たれていたところであります。今回、たまたまウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によって、その実在が発表され、沖繩住民はもちろん、国民の驚きと憤りはまさに頂点に達しております。しかも、この憤りの根底には、凶悪なる化学兵器に対しきびしくこれを禁じている国際法の精神、並びに文明と崇高なる人道主義に基づいた正義感が強く働いていることをあらためて認識しなければならないと思うのであります。
 そこで、政府にお伺いしたい第一点は、このニュースが報ぜられるとともに現地沖繩住民の不安と脅威は非常なものであったと思うのでありますが、政府はこれらの実情についてどの程度把握していたのか、さらに、アメリカに対しどのような手段を講ぜられたか、本国会を通じてさらに国民に詳しく報告をしていただきたい、かように考えるわけであります。
 第二の質問は、この報道に接し国民の抱いた疑問と不安は、本土の米軍基地にもこのような化学・生物兵器がひそかに持ち込まれているのではないかということであります。一部の新聞報道によれば、本土の場合は世論をおそれて沖繩に持ち込まれているのではないかとの推測もありますけれども、はたして本土には持ち込まれたこともなく、貯蔵されてもいないと政府の責任において言明することができるか、この際、明確な御答弁を得たいのであります。
 第三の質問は、現行の日米安保条約によりこのような化学・生物兵器は当然事前協議の対象になると思うのでありますが、政府としては、いかなる見解を持っているか、また、その場合、政府は断固として持ち込みを拒否する決意があるか、お尋ねをいたしたいと思います。
 最後に、今日まで政府は、毒ガス問題について、特に一九二五年ジュネーブにおいて締結されました戦争における窒息性毒性またはその他のガス及び細菌的戦争方法の使用禁止に関する議定書、これに対し、署名は行なっておりますけれども、いまだに批准を行なっていない。これは、先ほどの答弁でも明らかでございます。さらに、愛知外相、並びに総理も先ほどこの問題についてお答えがありました。すでに一八九九年の毒ガス使用禁止宣言、あるいは一九〇七年の陸戦法規の締結国になっており、これらの条約で毒ガス使用禁止を受諾していたので、ジュネーブ議定書を批准しなかったという答弁がなされております。この際政府は、憲法の示す平和と人道主義の立場から、ジュネーブ議定書の批准をみずから促進するとともに、アメリカに対しても、安全保障体制下において、この批准を強く働きかける決意があるかどうか、この点をお尋ねしたいのであります。
 先ほど外務大臣は、外紙の報道は誇大である、かように軽く扱われているようでありますが、事、生物兵器に関する限り慎重でありたいと思うのであります。
 毒ガス問題に対する質問を終わりまして、続いて二法案に関する質問に入りたいと思います。
 質問の第一点は、わが国の安全と防衛の基本を策定すべき国防会議のあり方についてであります。
 国防会議が昭和三十一年に発足して以来、十三年を経過をしておりますが、今日まで年に平均一回程度しか開かれていないということが報ぜられておるのであります。衆議院におきましてもこのことが質問され、政府は、この間、必要に応じて議員懇談会等を開催し、十分その目的は達せられているとの答弁がなされております。しかしながら、今日までわが国の防衛上重要な問題であるところの三十五年安保条約改定問題、あるいは沖繩返還問題、核防条約問題等、これらの問題が正式の議題として国防会議の対象とされなかったと伝えられております。私は、国防会議をこのような形式的なものとして軽視することは、政府みずからがその決定を踏みにじり、かつ朝令暮改のそしりをまぬかれないと思うのであります。すなわち、昭和三十二年五月の国防会議におきまして決定した事項、いわゆる国防の基本方針があります。まず第一に、国連の活動を支持する。二番目に、民生安定、愛国心の高揚、国家の安全を保持する基盤を確立する。第三に、国力、国情に応じ、自衛のための必要な限度で効率的な防衛力を漸進的に整備する。第四に、外部侵略に対しては、将来国連が有効に阻止する機能を果たし得るようになるまで米国との安保体制を基調として対処する。
 このような四つの項目の決定は、これはどのように変更されたのか。現在議長であるところの総理にぜひこの点をお聞きしたいと思うのであります。
 続いて、国防会議は、文字どおり、わが国の平和と安全を守る国防の基本を策定する機関として位置づけるとともに、いわゆるシビリアンコントロールを確立すべきであると確信するものであります。なお、国防会議は、単なる狭義の防衛措置のみならず、日米防衛協力体制や、軍縮、軍備管理等、これらの問題はもちろん、当面する沖繩問題、あるいは核防条約、防衛産業等、幅広い国防政策を策定する、このような国防会議の強化整備をはかる必要があると考えるのでありますが、総理の見解をお尋ねしたいのであります。
 質問の第二点は、わが国の防衛は、いまや量から質へ転換すべきときに来ていると思うのであります。その立場に立ちまして、現在の陸・海・空三自衛隊のあり方についてであります。
 わが国の自衛隊は、陸・海・空それぞれ独立し、三幕の統合調整がきわめて不十分であります。三幕を合わせた機動力、統合力に欠ける点があると思うのであります。たとえば、防衛体制一つを例にとってみましても、ナイキは空幕、ホークは陸幕、こういったぐあいに、それぞれの脅威に、効率的な総合的な作戦計画がないと言われております。諸外国におきましても、陸・海・空の三軍方式をとっている国が多いと言われておりながら、単に三軍の……。
 たいへん失礼でありますが、ちょっと気分を悪くしておりますので、この点で質問を打ち切りたいと思います。
○副議長(安井謙君) 申し上げます。
 片山君が質問中病気のため発言を中止することになりました。まことに残念でございます。したがいまして、片山君の質問は取りやめになりました。
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 次の岩間正男君を指名いたします。岩間正男君、御登壇願います。(「休憩、休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
○岩間正男君 強引な深夜国会が続くと、このような不慮の事故が起こることは、これは非常に遺憾とするところであります。これも強行採決の結果であることを私は確認したいと思います。
 それでは私の質問を進めます。
 私は、日本共産党を代表して、防衛二法改正案について質問します。
 まず初めに、緊急な問題である沖繩での米軍の致死性神経ガス配備、貯蔵の問題について総理の所見をただしたいと思います。
 このたびの沖繩基地における毒ガス漏れ事件は、昨年三月米国で数千頭の羊を狂い死にさせ、国民に衝撃を与えた猛毒ガスVXが、すでに日本の領土である沖繩へ秘密裏に持ち込まれていることを暴露しました。沖繩へのこの残虐な毒ガス配備は、核兵器とともに、沖繩県民の生命と安全がきわめて危険な状態に置かれていることをあらためて明らかにしました。このことはまた、アメリカが沖繩を拠点にして、ベトナムをはじめアジア各地に対し狂暴な侵略作戦計画をさらに推し進めようとしていることを重ねて示したものであります。いまや、このアメリカの毒ガス配備に対して、日本国民はもとより、米国内の世論を含め、全世界でいま激しい抗議と怒りの声が高まっております。そこで、私は佐藤総理にお伺いしたい。
 第一に、十九日付の毎日新聞によりますと、八日の毒ガス事故直後に、政府は、その概略についてアメリカ側の報告を受けているはずであります。にもかかわらず、政府はなぜ今日まで国民にその事実を明らかにしなかったのでありますか。アメリカから受けた報告について、そのすべてをこの議場を通じて明らかにしてもらいたいと思います。
 第二に、総理はこれまで、沖繩の米軍基地が、極東の平和と安全に重要な役割りを果たしていると強調してまいりましたが、毒ガスの配備もまた極東の安全に役立つと考えておられるかどうか伺いたいと思います。
 第三に、総理は先ほど、沖繩に配備されている毒ガスは致死性のものではないと答弁されたが、一体何を根拠として先ほどそう答弁されたのか。総理はこれを確かめられたのでありますか。今回の事故は、沖繩がアメリカのベトナム人民に対する残虐な毒ガス使用の根拠地とされていることを暴露しました。われわれ日本共産党は、すでに四年前に、ベトナムにおけるアメリカの毒ガス使用の際に、これを即時中止するようアメリカに政府が抗議すべきであるということを強く要求しました。しかるに政府は、これをなおざりにしたのであります。さらに総理は、昭和四十一年四月二十八日、この参議院の本会議でも、「アメリカのベトナムにおける毒ガス使用は致死性のものでないので、非人道的だと非難することは当たらない」と公言しましたが、わが国の領土が米軍の毒ガスの貯蔵庫とされている事実が明白になった今日、なおかつ、アメリカのベトナムでの毒ガス使用を容認する考えでありますか、伺いたいと思います。
 第四に、政府は、沖繩の毒ガス配備の実態を調査し、国民の前にこれを明らかにすべきであります。総理は、昨年七月、水泳中の沖繩の小学生が皮膚炎にかかった事件、また十本足のカエルが発見された事件等の原因究明等をも含めて徹底的に調査する必要があると思いますが、どうですか。
 第五に、今回の事故は、一九二五年の毒ガスの使用禁止に関するジュネーブ議定書の批准を拒否しているアメリカが、同じく批准を拒否している日本の領土に毒ガスを配備しているところから起こったものであります。まさに日本政府の共犯行為であります。そこで伺います。マクロフスキー米国務省スポークスマンは二十日に、「日本政府から抗議を受けていない」と述べています。なぜ政府は、アメリカの毒ガス配備に抗議しなかったのですか。また、毒ガスの即時撤去を要求すべきだと思うが、どうですか。もし撤去させるというなら、その確認はいかなる方法でこれをするのですか。愛知外務大臣の明確な答弁を要求したいと思います。
 第六に、毒ガス配備は事前協議の対象となっていません。したがって、日本に毒ガスが配備されても、国民はもちろん政府さえ何ら知ることはできません。米軍基地がある限り、日本は今回のような事故の危険に常時さらされているのであります。アメリカは、日本本土に化学兵器はないと言っておりますが、日本政府は、それをみずから確かめたことがありますか。また、その方法がありますか。また、政府の言う沖繩の、本土と差別しない返還では、こういった危険がそのまま残されるだけでなく、致死性の毒ガスが持ち込まれるに至った沖繩基地の状態がそのまま本土にまで拡大されることをも意味しております。その危険がないと総理は断言できますか。今回の事故は、日米安全保障条約の廃棄と沖繩の即時無条件全面返還こそが唯一の正しい道であることを重ねて証明したと思います。しかるに、総理は、なおかつ欺瞞的な沖繩の本土並み返還と安保条約堅持の態度をとり続けるつもりであるかどうか、はっきりと答弁をしていただきたいと思います。
 次に、防衛二法改正案の真のねらいとその背景について、総理並びに防衛庁長官にお聞きします。
 そもそも自衛隊は、アジア侵略と人民弾圧の先兵として、マッカーサー指令により、憲法第九条をまっこうからじゅうりんして創設された非合法の軍隊であります。しかるに、歴代自民党内閣は、アメリカの要求にこたえて、一貫してその増強に力を注ぎ、ことにも、最近沖繩返還の代償として、自衛隊の飛躍的増強が量的にも質的にも要求されているのであります。佐藤総理は、一昨年ジョンソン米大統領との会談以来、ことさらに自主防衛と国防意識の高揚を強調し、防衛予算の増額を最優先させています。また、愛知外相の訪米直前の外務、防衛両当局の最高首脳の打ち合わせでは、軍事力増強の積極的推進の方針を打ち出し、自衛隊の沖繩米軍の一部肩がわりを引き受け、海上防衛力の増強に力を入れるとともに、攻撃力の強化をうたっています。このことは、政府が沖繩の施政権返還を口実に、沖繩の防衛計画を突破口として自衛隊を飛躍的に増強し、アメリカのアジア戦略の一環として自衛隊を直接組み込もうとしていることを示す以外の何ものでもありません。このように防衛二法改正案は、何よりも一九五三年の池田・ロバートソン会談で、米側から日本再軍備の目標として示された陸上自衛隊の十八万人体制をいよいよ完成させ、沖繩防衛の名による自衛隊の大増強計画と、沖繩を中心とした西太平洋地域における日米共同作戦体制強化の土台をつくりあげようとするものであり、きわめて危険なたくらみであると言わねばなりません。これこそ、まさに本改正案のねらいというべきものではありませんか。総理並びに防衛庁長官の明確な答弁を求めます。
 最後にお伺いしたいことは、自衛隊の治安出動についてであります。
 政府は、自衛隊の治安出動を極力否定する一方、防石たて一万五千個、催涙ガス約九トン、木銃約一万八千丁、さらに十八万個をこえるヘルメットを装備するとともに――この十八万というのは十八万の自衛隊の数を意味しております。このヘルメットを装備するとともに、その訓練時間も約四倍の二百時間にふやし、ことに首都東京では年間六百時間をこえていると言われております。また、防衛庁は、非常時立法の法制化を急ぎ、装備、訓練、法制など、あらゆる面から安保、沖繩返還に備えた治安出動体制確立を急いでいるのであります。
 また、政府は、治安行動教範をひた隠しにする一方、人民圧殺の教科書ともいうべき指揮官心得なるものを作成することを公言してはばからないのであります。これら一連の人民弾圧体制は、本改正案による陸上自衛隊十八万人体制の確立によって一そう強化されるであろうことは明らかであります。国民の税金でまかなわれている自衛隊が、こともあろうに国民を殺す訓練をしている。国民はこのような自衛隊を断じて容認するものではありません。佐藤総理は六〇年安保闘争のとき自衛隊の治安出動を主張したその一人であるということを国民は決して忘れていません。総理は、自衛隊の治安出動は絶対に行なわないということを、この議場を通じて言い切れるかどうか、この点を私は明らかにしたいと思うのであります。
 自衛隊の治安出動に名をかりた一切の弾圧装備、弾圧訓練をやめ、治安行動教範を廃棄し、指揮官心得の検討を直ちに取りやめるべきであると思いますが、この点に関し、総理並びに防衛庁長官の答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま民社党を代表して片山君が、質問中に急病で質問をおやめになりました。ただいま……(発言する者あり)もちろん生命には別条なかろうと、かように私も思いますが、たいへん残念なことだと思って、民社党にまずごあいさつを申し上げる次第であります。
 次に、岩間君のお尋ねにお答えいたします。
 政府は、十八日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によって初めて事件の発生を知ったのであります。米側に対しさっそく詳細に説明を求めたもので、それ以前に、たとえば七月八日の事件発生直後に米側より通報を受けたというような事実は全然ございません。これは私ども初めて新聞報道で承知をしたのでありまして、その点をはっきり申し上げておきます。また、その際政府は、沖繩におきましてももし大量破壊を目的とする化学兵器が配置されているとすれば、これらの兵器は撤去されるよう申し入れました。このこともはっきりいたしております。
 そこで、これが極東の安全にどういう関係があるかとか、あるいはこの使用を一体政府はどう考えているかと、いろいろお尋ねがありましたが、ジュネーブにおける軍縮会議で、日本を代表する朝海君の発言でもわかりますように、私どももこの種の毒ガス、これを、致死性の化学兵器を認めるわけにはまいりません。これははっきり申し上げます。
 また、日本におる在日米軍が致死性の化学兵器を持っている事実はない、また、これを日本に貯蔵する考えもないということでありますから、岩間君の御懸念のようなことは、これまたありません。
 なお、沖繩は米国の施政権下にあり、政府としては、基地の実態を調査する立場にはないので、その意味からも、すみやかな復帰を願っている次第であります。これは申すまでもなく、沖繩に住んでおる人たち、これはわれわれと同じ日本人であります。そういう意味からも、ただいま申し上げますように、一日も早く復帰してくれれば、かような問題はないことでございますので、その点を心から願うものであります。また、そういう意味におきまして、共産党の方もこの復帰について政府をぜひ鞭撻していただきたい、よろしくお願いします。
 最後に、自衛隊の治安出動に関するお尋ねがありました。治安出動は法律で明確に定められた自衛隊の重要な任務の一つであります。したがって、どのような事態が起ころうとも、自衛隊に治安出動を命じないというような約束は、事柄の性質上できません。これははっきり申し上げておきます。(拍手)
 もっとも、治安の第一義的責任は警察当局が負っており、警察力をもって処理できないような事態が、そう簡単に発生するとは思いません。いずれにいたしましても、治安出動を必要とするような事態が発生することのないよう、国民各位の自覚と協力をお願いいたしたいと思います。
 以上をもってお答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩のガスの問題につきましては、十八日にウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事を見まして、政府としては直ちに活動を開始いたしました。二十日の日曜日にもアメリカ側に接触をいたしております。そしてそれらを通じまして、沖繩における大量破壊を目的とする化学兵器の撤去を申し入れてある次第でございます。今後におきましても、沖繩の県民の人たちに一日もすみやかに安心してもらえるように最大の努力を払いたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(有田喜一君) 防衛二法のねらいは、わが国の安全と平和を維持するためのものでありまして、岩間君の考え方とは全然違うことを遺憾に思います。
 また、治安出動につきましては、先ほど総理の述べられたとおりでありまして、自衛隊に課せられたる重要な任務の一つでありまして、万一の場合に備えまして、必要な装備を整え、訓練を行なうことは、むしろ自衛隊の責務というべきであります。これらをとりやめる考えは全然ございません。
 また、治安行動教範を作成することは、これを取りやめましたが、指揮官の適正妥当な権限行使に際しての心得は必要であると考えまして、目下検討中でありますが、近く成案を得たいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 北村暢君。
   〔北村暢君登壇、拍手〕
○北村暢君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております防衛二法案に対し、なるべく前の方と重複を避けて質問をいたします。
 質問に先立ち、内閣委員会の理事として、強行採決の後、このような時間に質問をしなければならないことに対しまして、遺憾の意を表します。
 私は三月十七日にこの法案について代表質問を行なっておりまするので、委員会の補充質問となりますから、質問も細部にわたることをあらかじめ御了承いただきたいと思います。
 まず、沖繩問題についてお伺いいたします。
 現在の沖繩米軍の機能は、核または核に関係ある兵器は、有翼ミサイルメースB三十六基、戦略爆撃機B52約三十機、戦闘爆撃機F105約五十機、核・非核両用の地対空ミサイル、ナイキハーキュリーズ九十六基などがあり、核弾頭あるいは核爆弾を常置していると見られております。通常兵力は、陸軍一万二千人、海軍と海兵隊一万三千人、空軍二万人、合計四万五千人と推定されております。沖繩は、核戦力から通信、補給機能に至るまで整備された総合基地であり、条約上も韓国、中華民国、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド各国とも安保条約の共同地域に組み込まれており、極東、西アジアのかなめの役割りを果たしているのであります。愛知外相は、訪米報告の中で、この基地の機能をそこなわないため十分な配慮が必要であることを強調しております。政府が、基地の機能をそこなわず、しかも、核抜き、本土並み返還を実現しようとすることとは、明らかに矛盾すると思うのですが、どうでしょうか。
 韓国の崔外務部長官は、ベトナム参戦国会議の席上並びにASPACの愛知外相との個別会談におきまして沖繩返還問題を取り上げ、基地の機能を低下させるような返還には強い不満の意を表したといわれております。国府も同様です。また、マイヤー駐日米大使は、着任後の記者会見で、沖繩返還には朝鮮半島の情勢を背景に韓国との約束を守り、責任を十分果たし得るようにしたいと言明したことは、政府の沖繩返還交渉に暗影を投じたと受け取れないこともないのでありますが、政府は、日米貿易経済合同委員会の返還交渉第二ラウンドを迎え、この難問題解決にあたり米側の了解を取りつける自信があるのかどうか、総理の見通しを承りたい。
 さらに、マイヤー大使は、同じ記者会見で、沖繩問題は東アジア、西太平洋全域と関連しており、この地域の平和と安定をささえるというワクの中で問題を考えていくと言っておりますが、マイヤー大使の言う西太平洋地域とは具体的にどこをさすのか。このことは、日米安保条約の極東の範囲の政府の統一解釈に何らかの変化を来たすものではないかと思われるが、外務大臣の見解を承りたい。
 次に、事前協議の問題についてお尋ねいたします。
 この問題については、三月十七日の私の質問、並びに愛知訪米報告に対する羽生質問では、特に具体的な例をあげて詳細にお尋ねをしたにもかかわらず、明快な答弁を得られないことは、まことに遺憾であります。事前協議事項のうち、装備の変更、すなわち核の持ち込みについてはノーであることが明らかになりましたが、戦闘作戦行動についてはケース・バイ・ケースで、ノーもあればイエスもあるという原則論に終始し、明らかでありません。政府は、核抜きについての事前協議にはノーであることを言明したが、ワシントンの有力紙サンデー・スターは、二十日の紙上で、米政府は、沖繩の核抜き返還の方針をきめる一方、極東に直接的な軍事危機が起こった場合、自動的に核兵器の再持ち込みができるという、いわゆる有事核持ち込みの諸条件について日本側と交渉を始め、あらかじめ秘密リストの形で同意を取りつけておくということを伝えております。外相は、有事核持ち込みについて密約をするのではないか。その間の事情を明らかにしていただきたい。すなわち、国防省筋では、メースBは、ミニットマン(ICBM)の信頼性の向上によって七〇年中に撤去される可能性があることを示唆しているが、対空ミサイル、ナイキ・ハーキュリーズや、戦闘爆撃機の核弾頭などの戦術核兵器の有事核持ち込みを考えているのではないかと思うのですが、どうでしょうか。これらについて何らの話し合いもないとは思われないが、外相の見解を承りたい。
 次に、戦闘作戦行動について伺います。
 事前協議にかかるような米軍の直接戦闘作戦行動はきびしく縛り、極東地域での緊張に限定し、それも日本の安全を脅かす事態に限り、国益を考え自主的にイエスの場合があるというのが政府の従来の見解であるが、米側は、核抜きはやむを得ないとしても、緊急時の基地機能の確保のために自由発進などの事前協議の弾力的運用について、日本側に何らかの文書などによる保証を求めてくることは必至と見られている。また、朝日の特派員は、国務省のある高官は、朝鮮動乱のような局地戦争が戦鮮半島に発生した場合、北朝鮮が韓国沖の小島を侵攻した場合、プエブロ捕獲事件のような事件の発生した場合、台湾海峡で中国の侵攻があった場合の四つを例示して、朝鮮半島の情勢を重視して、事前協議についてイエス、ノーのはっきりした基準をつくり上げるように考えているようであり、事前協議の運用基準が中心問題になることは必至であると思われると報告してきているのでありますが、このことは、判断を誤ると、日本と直接関係のない他国の紛争に巻き込まれることになる重大問題である。事前協議の弾力運用とはいかなる内容のものであるのか、また、事前協議の運用基準など新たな文書交換を行なうことになるのかどうか。返還交渉第二ラウンドを目前に控えて総理、外相の対米交渉の方針を重ねて明らかにしていただきたい。
 最近、政府・与党や財界の一部に、自衛力増強論が高まってきております。特に防衛庁は、沖繩返還に伴うアメリカの防衛力強化の要請や、第四次防衛計画の策定期が近づいたこともあって、自衛力増強の検討に入ったが、その方針は、海上自衛隊を中心に飛躍的に拡充しようという構想を明らかにしている。その理由は、内外の情勢、国力の伸長、国際的地位の向上等をあげているが、全く国民を納得させるものではありません。政府が防衛力の大幅増強をしなければならないほど、日本に対する外国の軍事的脅威が現実にあるのであろうか。日本は四方海に囲まれており、アジアの他の国に比べてきわめて有利な位置にあること、アジアの情勢も、ベトナム戦争は和平方向に動き、朝鮮の情勢を重視する向きもあるが、一時より危機は大いに緩和しているとの見方が強まっていると思うのであります。大新聞は、一斉に社説を掲げて、自衛力増強論に反対していることは御承知のとおりであります。今回の陸上自衛隊の六千人の定員増三二連隊戦闘団を増強し、二次防以来の悲願であった十八万人目標をようやく達成できたとしているが、委員会における前川委員の質問でも明らかなように、陸上自衛隊が上着陸した敵と戦闘を交えるということが、一体現実にあり得るであろうか。そのときは、すでに制空権も制海権も相手の手中にあるときだ。したがって、陸上自衛隊の増強は、他に目的があるのではないかという疑問が起こるのは当然であります。政府は、朝鮮の情勢に対応して、国連軍参加の名のもとに海外派兵をすることは、将来とも絶対にないと確約できるかどうか、お尋ねいたします。
 七月四日の読売の社説では、海上自衛隊の増強論は時代錯誤の危険な考え方であることを指摘し、日本の海上輸送路が長期にわたって封鎖されるような事態は、アジア太平洋地域を含む世界的規模の大戦に巻き込まれたとき以外は考えられない。かりに、そのようなことが起こったとしても、マラッカ海峡までの護衛ですら現在の二十倍の護衛能力が必要だといわれております。七つの海に活躍するすべての輸送船を護衛することは、夢のような構想であると、手きびしく批判をいたしております。衆議院で答弁しているような「守備範囲が若干広がる」という程度のことで済まされる問題ではありません。海上輸送路護衛のための自衛隊の増強については、根本的に再検討する考えはないか、お尋ねいたします。
 対馬、津軽、宗谷の三海峡の封鎖作戦を重視し、さらに外洋における対潜水艦攻撃のための装備の近代化を行なっていることは、自衛の限界を越え、アメリカの第七艦隊とポラリス潜水艦の任務である太平洋の制海権確保のため、攻撃的対潜水艦作戦の任務を分担するものであると考えられるが、防衛庁長官の見解を承りたい。さらに、近い将来、原子力を推進力とする原子力潜水艦を開発する意図があるかどうか、この際伺っておきます。
 航空自衛隊の当面の整備方針として、防空能力と防空要撃能力の向上に重点を置いているようです。しかし、正式のものではありませんが、自前の防衛計画では、有事に際して、相手方の侵攻基地を直接攻撃するために戦闘戦略爆撃機を装備することをうたっております。これが制服組の偽らざる考え方であると思われます。政府は近い将来、たとえば第四、第五次防衛整備計画期間内に爆撃機を持つ考えはないか、お伺いをいたします。
 政府の防衛力増強の計画と軌を一にして、日本兵器工業会は、五月二十九日の総会で、防衛産業における生産体制の確立など五項目の活動方針を決定し、政府に対し、せめて防衛費をフランス並みの国民総生産の四%程度に引き上げてもらいたいと要請しているが、まことに危険な考え方であります。先ほどの矢山議員の質問に対し、兵器産業の全産業に占める地位は低く、産軍協同体などの心配はないと答えていますが、日本兵器工業会の要請している国防費、フランス並みのGNPの四%は、現在で年間一兆八千四百億円であり、国の財政に及ぼす影響は重大であります。兵器産業の宿命として、武器の海外輸出に向かうことは明らかであり、同工業会は、すでに東南アジアヘの武器輸出の実現を総会で決議しているのであります。政府は、日本兵器工業会のこの要請に対し、いかなる見解を持ち、どう対処しようとするのか、通産大臣の今後の兵器産業に対する方針を承りたい。
 次に、CB兵器の問題については、質問が重複いたしまするので、省略をいたしますが、十八日の米海軍機が岐阜の山林に誤ってミサイル・スパロー3B型一発を落とし、いまだに発見できないでいる問題について、経過はどうなっているか。政府が在日米軍に対してとった措置並びに多発する在日米軍の事故についてどのように対処しようとするのか、方針を承りたい。
 次に、予備自衛官に関係してお尋ねいたします。
 予備自衛官三千名増員の根拠は何か。また、予備自衛官に、月千五百円の手当を支給しているが、その性格は何か、伺います。
 予備自衛官で、公務員、地方公務員の身分にある者はどのくらいいるのか。公務員である予備自衛官が教育招集の場合、いかなる手続でこれに応ずるのか。その場合、公務員の職務専念の義務との関係はどうなるのか。また、防衛招集の場合に、公務員としての身分はどうなるのか。また、負傷、病気、戦病死したときはどうなるのか。公務員法上どのような取り扱いになるのか。その根拠を明らかにしていただきたい。
 予備自衛官で、公職――市町村会議員等についている者がいるが、防衛招集になった場合、本人の公職としての身分はどうなるのか、法的に説明していただきたい。
 防衛大学校の学生の定員並びに教科課程はどのようになっているのか。さらに、卒業者の進路について、特に自衛隊以外に進学または就職等の傾向はどうなっているのか。防衛大学校は今後、より高度の教育技術が要求されるようになり、大学令による大学とすることも考えられているようであるが、今後の方針について、防衛庁長官並びに文部大臣にお尋ねいたします。
 この際、文部大臣にお伺いいたしますが、平和と民主主義を基本理念とする憲法について、初中等教育から高等教育までにどの程度を取り入れられているのか、現状と今後の方針を承りたい。
 以上で質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 北村君にお答えいたします。
 私からは基本的な政府の考え方を申し上げますし、また、具体的な問題については、それぞれの担当大臣からお答えすることにいたします。
 沖繩の基地が日本及び日本を含む極東の安全に重要な役割りを果たしていることにつきましては、国民大多数の理解と認識が深まっているものと考えております。したがって、沖繩が返還された後においても、その基地機能は維持されなければなりません。政府は、返還後も沖繩には安保条約及び関連取りきめがそのまま適用されることを希望し、その線で米国と交渉中でありますが、このことは、沖繩の基地機能を維持することと何ら矛盾するものではありません。韓国にいたしましても国民政府にいたしましても、極東の平和と安全がそのまま自国の平和と安全につながることはわが国の場合と同様であります。その意味から、日米間の交渉には大きな関心を寄せておるものと考えます。また、マイヤー新駐日大使が記者会見で述べていることの骨子は、沖繩問題は西太平洋地域全般の情勢の中でその地域の安定をささえるというワクの中で考えなければならないということだと思いますが、私もその点は同感であります。沖繩問題の日米交渉は目下鋭意努力中でありますから、しばらくその推移を見守っていただきたいと思います。時間をかしていただきたいのであります。
 また、返還後の基地の態様については先ほどお答えしたとおりでありますが、この点に関し米側と特別の取りきめをすることは考えておりません。米軍の戦闘作戦行動の事前協議について、何かイエス、ノー、その基準をつくるのではないかとのお尋ねがありますが、そのようなことはありません。また、米側でこれらの点について研究しておるともただいま聞いておりません。再三申し述べているように、そのときの状況に応じ、わが国の国益に照らしてあくまで政府の自主的判断で行ないます。したがって、イエスと言う場合もありノーと言う場合もあります。この点は特に誤解のないように願います。政府が別に答弁を逃げたという考えではなくて、そのときの実際の最も必要なわが国益を確保する、そういう立場でものごとを判断していくというのであります。
 最近また自衛隊の強化論がいろいろ起こっておると言われて、いろいろ御心配のようなお話でありますが、私がいままで、わが国の自衛隊はわが国の国力、国情に応じて充実していく、また、別に仮想敵国など持っておらない、こういうことをしばしば申し上げておりますが、ただいまもそのような考え方でございます。今日自衛隊の充実あるいは整備を計画しておるのも、ただいま申し上げるように、国力、国情がだんだん充実してきた、その点で、これについてのわれわれが対策を立てておるのであります。
 また、いろいろ具体的に、海上輸送の安全を確保するために強大な海軍力を持つ、こういうことはなかなかできないのじゃないか、慎重にやれ、あるいは対潜水艦についてどうするのか等々のお尋ねがありました。また、原子力潜水艦を開発する考えがあるかどうか、第五次計画はどうかとか、まだ私どもの考えてないような点についていろいろお尋ねがありました。これらの点で、後ほど防衛庁長官の関係する範囲のものはお答えすると思います。
 私はこの際に、特にお尋ねのありました国連軍に協力するとか、あるいは国連軍参加という名目のもとで朝鮮にわが自衛隊が出かけるようなことはないか、こういうお尋ねについてのみお答えをしたいと思います。御承知のように、わが国の憲法、これはまた自衛隊法もさようなことを禁止しております。したがいまして、さようなことは絶対にないと、この席から明確に明言してはっきりとお答えをいたします。
 その次に、毒ガス及び細菌兵器に対する政府の基本的考え方をまず申し上げたいと思います。毒ガス及び細菌兵器の使用禁止に関しましては、すでに一九二五年のジュネーブ協定議定書がありますが、その後の科学の発達に伴って、この議定書ではカバーできない兵器を製造することができるようになった。このため、同議定書を補足する必要があると考えます。さらに、政府としては、この種兵器の使用の可能性をなくするため、進んでその開発及び製造を禁止し、すでに貯蔵されているものをも破棄しなければならないと考えております。このことは、軍縮委員会でわが朝海代表が発言しております。この発言でわが国の基本的方針を御了承いただきたいと思います。
 なお、この事件に関しまして、政府が米側より事情聴取したところによりますと、米国政府は、つとに化学兵器を削減の方向で再検討中であったとのことであります。政府としては、沖繩において大量破壊を目的とする化学兵器が配置されておるとすれば、これらの兵器は撤去されるよう申し入れた次第であります。
 以上、私からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) まず、極東の範囲のお尋ねでございましたが、これは一九六〇年の現行日米安保条約ができましたときの政府の統一解釈、その範囲に何の変更もございません。マイヤー大使のことばを引用せられましたが、その点何ら行き違いはないと存じます。
 次に、朝日新聞あるいはサンデー・スター紙の記事を御引用されての御質問でありましたが、ただいま総理から御答弁がありましたように、日米間の沖繩施政権返還についての話し合いは、これからいわば第二ラウンドに入るところでございまして、いまだアメリカ側から確たる基準云々というようなものの提出されたという事実もございませんし、いまだ確たる見通しを申し上げる段階ではないのでございます。
 ただ、事前協議については、しばしば申し上げるように、また、ただいま総理からも言及されましたように、政府の基本的の態度は、わが国の国益、すなわち日本の安全を確保するという見地から、そのつど、ケース・バイ・ケースに自主的に判断して諾否をきめるべきものである、かように確信いたしておるのでございまして、一がいにこういう場合どうというようなことをきめるのにはなじまない性格のものである。一般的にかように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(有田喜一君) 御承知のとおり、わが国は石油とか鉄鉱石等の原材料についてはもうほとんど海外に依存しておるような状態でございます。したがいまして、海上交通の確保はわが国の存立上きわめて大事なことと考えております。わが国に対しまして侵略がかりにあった場合における海上における交通の破壊の様相は多種多様であろうと思われますが、その対処の方法についてもいろいろの面から検討する必要があるのはもちろんでありますけれども、護衛艦、航空機等をもって船舶の護衛に当たることは効果的な方法の一つであると考えるのであります。また、海峡付近において艦艇による侵略を阻止すること及び対潜掃討を実施すること、そういうことはわが国周辺海域の防衛を主任務の一つとしておる海上自衛隊の当然の任務でありまして、あくまでわが国防衛のために必要な行動であると考えております。
 原子力を自衛艦の推進力として使用することは、船舶の推進力の原子力利用が一般化していない現状においては、なお問題があると考えております。
 お尋ねの自前防衛構想のことでありますが、これは日米安全保障体制の必要性を裏づけるための参考資料として、某議員の依頼に応じて、外国の文献等から仮定の試算をしたものであります。したがいまして、その内容は防衛庁の見解を示すものではありません。われわれは対地、対艦支援のためのいわゆる支援戦闘機を持つことは必要であると、かように考えておりますが、他国に侵略的脅威を与えるような長距離爆撃機を持つ考えはございません。
 予備自衛官は、防衛出動にかりに出動したときに業務量の増加が見込まれる、補給とか輸送とか衛生等の後方支援部隊の要員及び戦闘機の減耗がございますから、その補充のための要員に充てるためのものでありまして、現在三万人おりますが、なお十分でないので、さらに三千名の増員をしようとするものであります。
 予備自衛官の手当は、予備自衛官が訓練招集に応ずる義務及び防衛招集に応ずる義務を負う精神的拘束に対する対価としての性格を持つものであると思っております。予備自衛官で公務員となっておる者の数は、四十三年度末現在で約二千百五十名であります。予備自衛官総数の七・二%に当たります。これらの者が訓練招集に応ずる場合には、ほとんど年次休暇の扱いで、勤務を離れて出頭しております。公務員が予備自衛官を兼ねる場合には、国家公務員法または地方公務員法の定める手続による許可の範囲内において職務専念義務を免除されるものと解しております。予備自衛官で現に公務員として勤務している者は、防衛招集に応じて出頭した日をもって自衛官となる。この場合、自衛隊法及び公務員法の規定上、その者が招集前にしていた公務員の身分は失うことなくそのまま存続すると、かように解しております。
 防衛大学校の問題につきましては、これは御承知のとおり、幹部自衛官となるべき者を養成する学校として必要な教育を施すために設立されたものでありまするが、従来ともその本科及び理工学の研究科につきましては、一般の大学とか、大学の理工学部及び大学院工学研究科と同等の教育を遜色なく行なっております。その内容も充実しておるのであります。また、自衛隊の医官、お医者さん、これが非常に不足しております。したがいまして、その抜本対策としましてみずから医者を養成することも必要な時期にきておるように考えられますので、必ずしもいわゆる学校教育法によるところの大学にとらわれるわけじゃありませんけれども、いま申したような諸点をあわせて考えまして、防衛大学校の教育制度を検討するため、事務次官を委員長とする防衛大学校教育制度調査委員会を設けまして、目下検討中であるのであります。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 日本兵器工業会の昭和四十四年度の活動方針についての御質疑でございますが、通産省といたしましては、従来と同様に、わが国の経済力並びに技術力の許す範囲内におきまして、自衛隊の装備の国産化をはかることを目安としまして、防衛産業を指導育成して、防衛装備の自主的充足体制を漸進的に整備してまいるという方針でございます。したがって、武器輸出を目的として計画的に防衛産業を育成するというような考えは、先ほど総理の答弁もありましたけれども、全然持っておりません。ただ、ものによりましては、従来も見られましたように、護身用の拳銃等、輸出余力があるものもございますけれども、その輸出によりまして国際紛争を助長するということは厳に慎まなければなりませんので、従来とってまいりました兵器輸出規制の三原則というものは、厳正に今後も貫いてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂田道太君) 防衛大学を一般大学と同じようにしようという防衛庁長官の発言に対する文相の見解いかんという第一の御質問でございますが、防衛大学を学校教育法上の大学と同様のものにしようという案も、防衛庁において検討されておるということは聞いております。非公式の連絡は受けておりますが、まだ正式には相談を受けておりません。正式に相談を受けましたときに、誠意をもって慎重にこれを検討したいと思っております。
 次に、平和憲法の憲法教育を学校教育でどのように行なっておるかという御質問でございます。学校教育におきましては、日本国憲法及び教育基本法に従い、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする国民の育成をはかることを期しているものでございます。このため、高等学校以下の学校教育におきましては、国の定める教育課程の基準、すなわち学習指導要領におきまして、それぞれの学校段階に応じてその内容を示し、各学校においては、社会科を中心としながら、学校教育の全体を通して、日本国憲法の趣旨の徹底をはかることといたしておる次第でございます。(拍手)
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前一時より開会いたします。
 これにて延会いたします。
   午後十時三十八分延会