第061回国会 本会議 第37号
昭和四十四年七月二十五日(金曜日)
   午前零時十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第四十一号
  昭和四十四年七月二十五日
   午前零時十分開議
 第一 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避のための日本国とインドとの間の協定を修
  正補足する議定書の締結について承認を求め
  るの件
 第二 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に
  関する法律の一部を改正する法律案(衆議院
  提出)
 第三 農林省設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第四 失業保険法及び労働者災害補償保険法の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第五 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 失業保険法及び労働者災害補償保険法の
  一部を改正する法律及び労働保険の保険料の
  徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の
  整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、この際日程の順序を変更し、日程第四、失
  業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を
  議題とすることの動議(近藤信一君外一名提
  出)
 一、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関
  する法律等の一部を改正する法律案につき社
  会労働委員長の中間報告を求めることの動議
  をこの際議題とすることの動議(藤田正明君
  外一名提出)
 一、社会労働委員会において審査中の健康保険
  法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等
  の一部を改正する法律案について、速やかに
  社会労働委員長の中間報告を求めることの動
  議(大谷藤之助君外一名提出)
 一、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関
  する法律等の一部を改正する法律案の中間報
  告
 一、社会労働委員長から中間報告があつた健康
  保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法
  律等の一部を改正する法律案は、来る二十八
  日午後十一時までに社会労働委員会で審査を
  了することの動議(藤田正明君外一名提出)
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君)諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 瓜生清君から病気のため会期中請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よりて、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) 近藤信一君外一名から、賛成者を得て、
 この際日程の順序を変更し、日程第四、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十六票
  白色票           九十六票
  青色票           百二十票
 よって、本動議は否決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十六名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      青島 幸男君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      三木 忠雄君    内田 善利君
      上林繁次郎君    矢追 秀彦君
      阿部 憲一君    中尾 辰義君
      松下 正寿君    沢田  実君
      多田 省吾君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    鈴木 一弘君
      二宮 文造君    渋谷 邦彦君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      柏原 ヤス君    白木義一郎君
      小平 芳平君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      佐野 芳雄君    林  虎雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      加瀬  完君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      春日 正一君    河田 賢治君
      岩間 正男君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      山崎  昇君    木村美智男君
      村田 秀三君    川村 清一君
      大橋 和孝君    田中寿美子君
      沢田 政治君    松井  誠君
      矢山 有作君    瀬谷 英行君
      吉田忠三郎君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      千葉千代世君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      森 元治郎君    阿具根 登君
      永岡 光治君    中村 英男君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    田中  一君
      藤原 道子君    松澤 兼人君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百二十名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      中山 太郎君    高田 浩運君
      中村喜四郎君    西村 尚治君
      八田 一朗君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    佐藤  隆君
      黒木 利克君    楠  正俊君
      岡本  悟君    高橋文五郎君
      土屋 義彦君    船田  譲君
      吉江 勝保君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      梶原 茂嘉君    大谷 贇雄君
      小枝 一雄君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    西郷吉之助君
      新谷寅三郎君    石原幹市郎君
      杉原 荒太君    安井  謙君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      近藤英一郎君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      今  春聴君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    内田 芳郎君
      大森 久司君    岩動 道行君
      和田 鶴一君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      井川 伊平君    金丸 冨夫君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      寺尾  豊君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      温水 三郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    赤間 文三君
      高橋  衛君    迫水 久常君
      斎藤  昇君    廣瀬 久忠君
     ─────・─────
○議長(重宗雄三君) 大谷藤之助君外一名から、賛成者を得て、
 社会労働委員会において審査中の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案について、速やかに社会労働委員長の中間報告を求めることの動議が提出されております。
 また、藤田正明君外一名から、賛成者を得て、
 この中間報告を求めることの動議をこの際議題とすることの動議が提出されました。
 よって、中間報告を求めることの動議をこの際議題とすることの動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。中間報告を求めることの動議をこの際議題とすることに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(重宗雄三君) すみやかに御投票を願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限をいたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。――まだ投票をなされない諸君は、すみやかに御投票願います。――時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。
 制限時間に達しました。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百八票
  白色票          百二十一票
  青色票           八十七票
 よって、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案につき社会労働委員長の中間報告を求めることの動議を、この際議題とすることに決しました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十一名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      中山 太郎君    高田 浩運君
      中村喜四郎君    西村 尚治君
      八田 一朗君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    佐藤  隆君
      黒木 利克君    楠  正俊君
      岡本  悟君    高橋文五郎君
      土屋 義彦君    船田  譲君
      吉江 勝保君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      梶原 茂嘉君    大谷 贇雄君
      小枝 一雄君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      安井  謙君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    久次米健太郎君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    井川 伊平君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      八木 一郎君    田口長治郎君
      平井 太郎君    寺尾  豊君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    佐田 一郎君
      菅野 儀作君    源田  実君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川上 為治君    山本  杉君
      米田 正文君    温水 三郎君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      赤間 文三君    高橋  衛君
      迫水 久常君    斎藤  昇君
      廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     八十七名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      塩出 啓典君    藤原 房雄君
      萩原幽香子君    山高しげり君
      市川 房枝君    三木 忠雄君
      矢追 秀彦君    中尾 辰義君
      松下 正寿君    沢田  実君
      多田 省吾君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    鈴木 一弘君
      渋谷 邦彦君    向井 長年君
      高山 恒雄君    柏原 ヤス君
      北條  浩君    白木義一郎君
      村尾 重雄君    上田  哲君
      和田 静夫君    松本 英一君
      安永 英雄君    竹田 四郎君
      杉原 一雄君    達田 龍彦君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      小林  武君    佐野 芳雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      加瀬  完君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      春日 正一君    河田 賢治君
      岩間 正男君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      山崎  昇君    木村美智男君
      村田 秀三君    川村 清一君
      大橋 和孝君    田中寿美子君
      沢田 政治君    松井  誠君
      矢山 有作君    瀬谷 英行君
      吉田忠三郎君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      山本伊三郎君    武内 五郎君
      森中 守義君    近藤 信一君
      鈴木  強君    森 元治郎君
      阿具根 登君    永岡 光治君
      中村 英男君    久保  等君
      岡  三郎君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
     ─────・─────
○議長(重宗雄三君) 中間報告を求めることの動議を議題といたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(安井謙君) 本動議に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。木村美智男君。
   〔木村美智男君登壇、拍手〕
○木村美智男君 私は、日本社会党を代表して、大谷藤之助君が提出した、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に関して委員長の中間報告を求める動議に対して、提出者大谷君に質疑を行なうものであります。
 質問に入るに先立ち、自民党がごり押ししようとしている中間報告を求める動議について、国民は一体どう見ているのか、まず、国民世論の動向を探ってみたいと思います。
 幾つかの批判の中から代表的な意見の一つをあげれば、最近とかく露骨な政府批判を手控える傾向の中で、朝日新聞は、「国会法無視の「中間報告」動議」という異例の社説を掲げ、まず、「「異常な国会」の混乱は、衆院から参院へと舞台を移し、議会政治の形骸化をさらに深めようとしている。」という警告的書き出しに始まり、中間報告の性格について次のように論じております。すなわち、「中間報告は、委員会審議が長びき、会期切れになるおそれが出てくるのを防ぐ手段として、与党が用いてきた戦術である」が、「それは、あくまでも委員会での審議がある程度進んでいることを前提としている。ところが、健保修正案は、衆院本会議における前例のない起立採決で「可決」され、参院へ送付されたものである。したがって、この法案の処理には重大な憲法上の疑問が残され、参院社労委では、いまだに提案理由の説明さえおこなわれていない。」として、議会制民主主義の名のもとに自民党という多数の暴力がいかに理不尽なごり押しをやろうとしているかを正確に伝えています。そして、さらに社説は、「審議がまったく開始されていない段階で、中間報告を求める動議が提出されたことは、国会史上、前例がない。二年前の「健保国会」では、参院で健保特例法案の中間報告が求められ、徹夜審議で成立をみたのだが、この場合でも、質疑はもちろん、参考人の意見聴取もおこなわれていたのである。」と述べ、また、きのうの本会議が終わる際に突如として自民党が健保の中間報告を求める動議を出したことについても、「悪先例をさらに上回る理不尽なやり方であり、われわれはもはや、いうべき言葉をもたない。ルール違反につぐルール違反を積重ねたあげく、道義感覚を喪失してしまったとしか考えられないのである。」と、痛烈に批判しているのであります。社説は、さらに、防衛二法を成立させたあと、自民党が「健保」「大学」の二つの法案を、来月五日までの会期内に成立させようとしている戦略的構想について言及をし、「「七〇年問題」に対処するため、抵抗の多い重要法案はすべて今国会で成立させ、極力荷を軽くして来年の通常国会に臨もうとしているのだ。これは、次期通常国会では予算成立だけに重点をおくことにして会期を延長せず、安保条約の固定期限が終了する六月二十三日以前に国会を終らせ、野党の抵抗を回避しようとする戦略にもとづくものである。」と、その謀略的企図を余すところなく暴露しているのであります。さらに、「このようなスケジュールのもとに、自民党は「健保」「大学」の審議を急ぎ、なりふりかまわず、手段を選ばず、成立に持込もうとしているように思われる。議会政治のルール違反も、憲法無軽も、「安保堅持」の大目標のためには、正当化されうると考えているのだろうか。このような自民党の姿勢は、六〇年安保の大混乱をひき起した岸内閣の国会運営と相通ずるものがある。」として、この兄にしてこの弟ありと言わぬばかりに、佐藤自民党のやり方に最大限の非難と侮べつを加え、最後に「「安保あって国会なし」といわんばかりの自民党の姿勢に、肌寒さを覚えずにはいられないのである。」と結んでいるのであります。
 そこで、私は、提案者たる大谷君に質問をいたします。
 大谷君は、突然かかる動議を提出いたしましたが、私はその真意をはかりかねておるのであります。衆議院から本院に送付されたと称する本法案は、御承知のように、衆議院社会労働委員会において審議中のものを、急遽修正案と称して本法の基本問題にすりかえ、ただの一秒の審議もなく、また提案理由説明さえないままに、七月十日夜八時、委員会室前の廊下において、与党議員が七、八名騒いだだけで、これをもって提案、討論、採決が完了したとされているのであります。本法案は、このように衆議院においてさえ出発点を持たないものであり、提案もされず、審議不在の法案でありますから、世間でも、これを呼んで、「まぼろしの法案」だとしているのであります。
 私が大谷君に伺いたいことは、まず第一に、あなたは、本法案の出発がどのようなものであったと理解されておられるのか、七月十日夜の事態のどこに合法性があると考えられるのか、それをお答えいただきたいのであります。
 第二は、健康保険法等社会保険の改正に関しては、まず、総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会、厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会の答申を経て国会に提出されねばならないものでありますが、本法案は全くこのような手続を経ていないため、明らかに社会保障制度審議会設置法第二条、社会保険審議会設置法第二条及び健康保険法第二十四条ノ二に違反するものであります。大谷君は、この手続の誤りに対し、社会保険審議会が、「本会は審議の意欲を失った」と強い不満の意を表したことについて、どうお考えになっておりますか、お伺いいたしたいのであります。あなたは、これでも本法案の出発点が有効であったと言われますか、お尋ねしたいのであります。
 質問の第三点は、本会議における七月十四日未明の事態についてであります。
 さきに述べたように、委員会採決は全く無効であるにもかかわらず、議長職権で強引に本会議を開会し、しかも表決の段階で、記名投票による表決が行なわれておりました途中、副議長は突然投票による表決を中止し、賛成者の起立を求め、起立多数と認めて可決したと称しているのであります。憲法五十七条第三項には「出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを會議録に記載しなければならない。」とあり、事態は明らかにこれに違反すると思われますが、いかがでありましょうか。
 第四点は、今国会の異常な事態についてであります。
 衆議院本会議における異常な事態に対して、衆議院議長・副議長は、衆議院の正常な運営に返すことができないとして、その責任をとって職を辞しましたが、正副議長を辞任にまで追い込んだものは何であったか、あなたのお考えを伺いたいのであります。
 大谷君も御承知のように、今国会は、かつてなかったほどの審議打ち切り、強行採決等による混乱が繰り返され、おそらく後世の歴史家をして史上最低の国会とうしろ指をさされるであろうと思われます。佐藤内閣発足当時の「寛容と調和」はどこへ行ったのであろうか。今国会における自民党の幹部の国会運営における陣頭指揮は、端的に言えば、多数党だから何でもやれるし、多数党ならばすべてを合法化できるという発想に立つものであるとしか見えないのですが、あなたはどうお考えになりますか。多数党であれば、廊下において採決を行なったり、記名投票中に起立採決に切りかえることができるとお思いになりますか。明確な御答弁をお願いしたいのであります。
 かくのごとく、本法案は、衆議院における出発点がどこにあるのやら確認できず、しかも、憲法違反の手続をもって幕切れとなり、今日ここに本院をわずらわす結果となったのでありますが、このように違法不当を重ねてきている本法案を本院が受領すること自体、私は明らかに不合理と考えます。法を守り、法を審議する国会こそが最も法に忠実たらんとすることは当然のことである。この意味で、本法案はいまだ本院に存在していないと解すべきであると考えるのでありますが、動議の提案者は、いかなる理由のもとにこれを正当な議案と認めようとするのか、質問の第五点としてお尋ねしたいのであります。
 質問の第六点は、以上のような理由により、私は本法案は正当な送付案として認めないのでありますが、かりに百歩譲って、送付案が一応本院に関する限り事務的手続が整っているとしても、いかなる理由によって中間報告の要求ができるかということであります。
 国会法第五十六条の三は、「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」と規定しております。また、参議院規則第三十九条では「先ず議案の趣旨について説明を聴いた後、審査に入る。」となっております。この法と規則はセットで理解しなければなりません。本法案は、いまだ社会労働委員会において議題となったこともなく、したがって、趣旨説明もなされておりません。ただ委員会付託済みという理由のみで審査中と称し、中間報告を求めることは、国会法及び本院規則のじゅうりんと言わねばなりません。また、本院において先例もないのであります。
 以上のように、法規慣例を犯してまで、あえて中間報告を求めようとする理由を明快に御答弁をいただきたいのであります。
 最後に、本院の任務並びに使命について伺いたいのであります。
 さきに述べたように、本法案が出発点すら確認できるものでなく、しかも、衆議院本会議における違憲無効な手続によって今日に至っており、さらにその背後には、特例法有効期間中に抜本対策を講ずるとの公約を踏みにじった経過が横たわっており、全く傷だらけのものであります。
 このような衆議院段階における誤りと暴挙をチェックすることこそ、良識の府たる本院の任務ではないでしょうか。しかるに、本動議の提案者は、良識どころか、この誤りをさらに繰り返し、罪を重ねようとしておるのであります。一体あなたは、みずからが本院に席を置きながら、この崇高な使命を忘れ、本院にどろを塗ろうとしているのでありますか。議会の権威が失墜したといわれ、国民の間に政治不信が根強く広がっておる今日、本院こそが、その本来の使命に忠実に事を処することなくして、だれが、どこで、その憂うべき状況を救うことができましょうか。
 大谷君が真に良識の府の一員たる自覚と責任を持つならば、本動議を撤回をし、衆議院においてあらためて成規の手続を経て審議し直すよう努力すべきであります。このことが、大谷君が主権者国民に対してこたえ得る道であることが御理解いただけると信じます。この点についての御所見を明確に御答弁いただきたいと思う次第であります。
 ここ数年来、日本経済の高度成長を通して貫かれてきた資本の論理と経済合理主義によって、人間が経済に隷属せしめられ、人間としての価値そのものが見失われている中で、科学的に人間としての復権、すなわち、人間としての権威の回復の一つの道として社会保障が重視され、医療政策が見直されなければならない時期にきていることは識者の指摘するところであります。社会保障が貧困から人間生活を守るという制度から出発して、いまや一般国民に対する近代国家の責務として、また、国民大衆の権利として認識されなければならない段階にきているのではないでしょうか。そのためには、現行の健康保険制度を国民の健康管理の重要な一環としてとらえるとともに、医療保障を単に医療費の保障としてだけでなく、国民大衆の健康と医療を保障するための疾病からの予防、治療、アフターケアを一貫した総合的制度として確立しなければならないと思うのであります。このためには、現在のような企業優先、産業過保護の財政経済政策を転換して、住宅や上下水道、清掃施設の完備、公園緑地など、まず勤労国民の生活環境を改善するための社会資本の充実をはかる一方、産業公害、食品公害、交通事故などに対する積極的な発生予防措置をとりながら、労働災害や職業病の防止、労働時間の短縮、保育施設の増備など、労働環境の改善が必要なのであります。
 わが国の労働者は、生産点において過酷な労働条件のもとに酷使され、生活点において劣悪不備な環境の中で暮らしておる。政府管掌健康保険の主たる被保険者は、経済成長のひずみをまともにかぶっている中小企業労働者であり、彼らの中には、最近とみに疾病と貧困の悪循環の中に呻吟する者が激増いたしております。わが国の健康保険制度は、被用者健保においては労働者に対する労務管理政策として、また、国民健保においては富国強兵政策を背景に、農民に対する救貧対策として発足したのであります。この理念は、戦後の健保制度の運営においても引き継がれ、国民大衆のからだと生活を守るというよりも、むしろ経済機構として医療費を保障すること、すなわち、保険財政を保険料収入でささえ、赤字になれば保険料をふやすのは当然といった考え方、すなわち、いわゆる保険主義はわが国の健康保険制度、とりわけ政府管掌健康保険や日雇い健康保険にはとうていなじむことのできるものではないと私は考えるのであります。この点いかがお考えになられるものか、承りたいのであります。
 そして、あなたはこういう動議を提出をし、そして国民に対して、ほんとうに私は皆さんのために働いておりますと、胸を張ることができますか。私はこのことを政治家としての大谷君に問うのではなく、人間としての大谷君の良心に聞いてみたいのであります。まじめに、国民にもよく理解できるよう御答弁をお願いをして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔大谷藤之助君登壇、拍手〕
○大谷藤之助君 木村君の御質疑に対し、お答え申し上げます。
 先ほどの御質疑、第一から第十まであるようでございますが、第一の問題、本法案の衆議院における成り立ちと申しましょうか、第二の、法案の内容の点、第三が、衆議院の扱い方は正しいかどうか、第四は、正副議長の辞任の理由、原因は何と思うか、第五は、記名採決を起立採決に行なわれたということはどうであるか、憲法違反かどうか、第六、本院に送付してない案だ、まぼろしの案だ、不在の案だということについての問題、第七は、国会法五十六条の三、参議院規則第三十九条に照らして、これは違反じゃないかという御質問、第八が、本院の使命と任務にかんがみて、かかる動議は撤回せよという点、第九は、法案の内容について、いろいろお話がございまして、それについてのお尋ね、第十が、かような動議を出して、胸を張って歩けるかどうかという御質疑であったように承知をいたします。
 第一の、本法案の成り立ち、第二の、本法案の内容、第三、衆議院の扱いは正しいか、第五の起立採決云々の問題でございます。第一からこの第五までは、関連する問題もたくさんございまして、一括してお答えを申し上げたいと思います。
 本法案の成り立ちに対して国民がどう思っているか、あるいはまた、本法案の衆議院側における送付案のこの内容について、これは他院の問題でもございますし、これについて私は特に申し上げますならば、衆議院側があるいは成規の手続を経て、そうして本院に送付してきたこの案件は、私は正しい、私どもが受けとめるべき案件と考えております。むろんこの案件、あるいはまた、他の法案についてもしかりでございますが、それは内容についてはいろいろ意見もあるわけでございますけれども、衆議院側においてさような手続を経て、今日まいっている段階においては、先ほど私が申したように、第一、第二、第三、第五の問題は考えるべきであると申し上げたいと思います。第四の正副議長の辞任の原因はどうかと、これまた私があれこれ申し上げることはどうかと思いますが、私が承知をいたしておりますところでは、一身上の御都合ということを承知をしております。あるいはまた、本議場における答弁の、私どもがお聞きしましたところでは、関連した総理の答弁もあったようでございます。それを私が承知をいたします限りにおきましては、この法案の内容なりこの法案の扱いの責任をとって辞任をされたとは私は承知いたしておりません。蛇足を加えますならば、辞任によって今後の衆議院の運営がなおさらよりよくいくことを念じてというようなお話も仄聞しておるのみでございます。
 第六の問題でございます。本院に送付してない、不在の案、まぼろしの案、かようなお話もございました。いままでの答弁で尽きると存じますけれども、申し上げますならば、成規の手続を経て衆議院から送付した案件でございます。決して不在の案でもなければ、まぼろしの案でもないと思うのであります。第七の国会法五十六条の三、参議院規則三十九条に照らしてこれは違反であるという御指摘でございます。これに対しましては、本法案の中間報告を求める動議のポイントでもございますし、ふえんしてお答えを申し上げたいと存じます。
 国会法第五十六条の三第一項の解釈について特に御指摘になりました「審査中」、この問題については、社労委員会で、付託をしただけで、趣旨説明あるいは質疑が行なわれていないのに、審議も行なわれていないのに、かような動議を出すことは、これは違反であるという御指摘がございました。(「違反じゃないか」と呼ぶ者あり)私はそうは考えておりません。その理由についてひとつ申し上げます。
 私どもは、国会法は、案件の審査につきまして、いわゆる委員会中心主義をとっております。これは御承知のとおりでございます。委員会中心主義をとっておるといっても、もとより最終的処理は議院にあるのであって、委員会が議院の意図から独立して案件の運命を決するということができることを認めたものではございません。議院は本来の職務権限を行使するために、特に必要があると認める場合には、いつでも直ちに付託された案件について、当該委員会の処理状況を知り、それによって当該案件の処理方針を定めることができるものでなければならぬと考えます。本条、まさに議院の権限を定めたのが、この五十六条の三でございます。したがって、委員会における当該案件の処理がある段階に達しなければ中間報告は求められない、たとえば、趣旨説明が済まねばいかぬとか、あるいは審議に、質疑に入っていなきゃいかぬということではございませんので、特定の段階に達した以後でなければ本条の権限を行使することができないと解したのでは、本条の趣旨を全うすることはできぬわけでございます。当該案件が付託された以後においては、特に必要があると認めた場合には、いかなる処理段階におい
 ても、これを報告せしめることができると解釈するのが合理的であると考えます。よって、この条項にいう「審査中」というのは、案件が付託された以後の段階から、委員会において最後の議決をして、こうなったということを議長に報告が終わるまでの間だと解釈すべきものでございます。この動議は先例こそございませんけれども、決して国会法に違反しているものでないことを御了承願いたいと存じます。
 もう一つ、参議院規則第三十九条の問題についてもお触れになりました。なるほどおっしゃいますように、参議院規則のほうでは、これは案件の審議の順序が書いてございます。それは、付託された案件は、まず趣旨説明を聞き、審査に入る、こうなっております。これは審議の順序が書いてあるのでありますから、そこで同じ「審査」という文字が使ってあっても、私は、国会法五十六条の三の「審査中」は、先ほど申し上げましたように解釈すべきであり、言うなれば広い意味に解すべきものであろうと存じます。これは、ところによりまして、同じことばでも広義に解することもございます。あるいはまた、参議院規則第三十九のように、いろいろ順序からいくと狭義に解することもあってしかるべきものではないかと解釈いたしております。私どもが出しております動議は、決して国会法なりあるいは参議院規則に違反しておるものとは考えられません。
 第八番の、本院の使命と任務にかんがみて、まぼろし、不在の案というような本案に対する要求動議は撤回せよという御質疑でございます。私は、ただいままでお答え申し上げました点からもおわかり願えると存じますが、成規の手続を経て送付されましたこの案件は、できるだけすみやかに委員長の御報告を願いまして、委員会における審議の状況をすみやかに知らしていただきたいと存じます。そうすれば、先ほどいろいろ内容についてのお話もありましたが、私もそれを承知したいわけでございます。すみやかにこの動議に賛同をお願い申し上げこそすれ、これを撤回する意思は残念ながら毛頭ございません。
 第九の、法案の内容の点についてもお触れございましたが、これはまず、私どもの要求のこの動議をお認めいただきまして中間報告をお聞きしますれば明らかになる問題で、私も同様にその内容を、委員会の審議を承りたいと念じておるのでございます。
 第十、この動議について、いまさら十の御回答を申し上げる要もないかと存じますけれども、私の意のあるところはおくみ取り賜わったと存じます。決してこの中間報告要求の動議が、あるいは国会法、あるいは参議院規則に違反するようなものでございません。送られた案の内容について、それぞれ個人的に意見のあることは、これはまたやむを得ないかとも思いますが、送付されたる案は成規の手続をもって本院に送付されたものであって、私は、この中間報告要求の動議は、皆さん方、国民の皆さん方にも十二分に御了解を賜われるものであると確信をしている今日でございます。
 以上をもって答弁にかえさしていただきたいと思います。(拍手)
   〔木村美智男君発言の許可を求む〕
○副議長(安井謙君) 木村君、何ですか。――木村美智男君、再質問の御要求でございますから認めますが、簡単に願います。
   〔木村美智男君登壇〕
○木村美智男君 せっかく提案者からお答えをいただいたのでありますが、残念ながら、項目の羅列だけは、一応まあ正確に受けとめておられると思います。で、その回答の中身が、賛成であるか反対であるかは別にして、最も重要視しておりますのは、今日、いわば中間報告を求める対象となっておるこの法律案というものは、私どもは、まぼろしの法案である、なぜかといえば、それはとにかく成規の手続を踏まれてない。したがって、この健康保険法あるいは社会保障制度審議会設置法、社会保険審議会設置法、それぞれ項目をあげましたけれども、これに違反をしておるし、それから、したがって、成規の手続を経て衆議院から送付された、こういうふうには認められないので、それが成規の手続を経たのだと言うからには、法的に第何条のどういうことに基づいてやられたかということを明らかにしてほしい、こういうことを一つは言っておるわけです。
 たくさん申し上げようと思いませんが、もう一つ回答いただきたいのは、少なくとも、本会議における起立採決をやったということは、これは、憲法の条項に照らして、どうしてもこの問題もこれは不当である、無効である、こう言っているわけです。それを成規の手続を経たのだというからには、その憲法第何条から言えばそういう疑義があるかもしれぬが、こういう条文から照らしてこれは正当なんだという、そういう解明がないと、これは納得ができないわけでありまして、あと、せっかくの時間の関係を制約をされましたから、いまの二つの問題について明確に法的な根拠をひとつお示しをいただいて、御回答を再度お願いをいたしたい。
   〔大谷藤之助君登壇、拍手〕
○大谷藤之助君 再質問に対してお答えを申し上げます。
 第一の、衆議院側の踏んだ措置は成規の踏み方を、手続をしていないという点についての再質問。第二は、記名投票を起立採決によってやられたことは違反ではないか、違法ではないかという、この二点でございます。
 先ほど申しましたとおり、この衆議院側における審議なりあるいは手続を踏まれた内容の問題は、参議院ならず衆議院、他院の問題でございます。したがいまして、その詳細について、私どもがあれこれ申すことは差し控えたいと存じております。ただ、これは、衆議院が、衆議院の名において、衆議院の名において、成規の手続をとって送られてきたものでございます。この点、これは衆議院から正規に送られた正しい案件として受けとめることが私は当然であると思います。
 第二の記名投票が起立採決に変えられたる点、これは変えられるべき余儀なき事情があったと存じております。決してこれが違法あるいは法律違反であると考えておりません。これは、衆議院議長みずからがその点を明らかにしておられるところでございます。これ以上他院のことについて触れるのは御遠慮させていただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 渋谷邦彦君。
   〔渋谷邦彦君登壇、拍手〕
○渋谷邦彦君 私は公明党を代表して、大谷藤之助君から提出されております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案の中間報告を求める動議を議題とする動議に対して、若干の質問をいたすものであります。ただ、お断わりしておきたいことは、ただいまも答弁を伺っておりましても、きわめて明確さを欠きますので、私の質問に対しましても御迷答にならないように、ひとつお願いしたいと思います。
 初めに伺いたいことは、自民党においては、参議院の良識と権威を守ろうとする熱意がないのではないかということであります。昨日午前に、議長は事態収拾のため、あっせん案ともいうべき回答を各党に示したのであります。これによると、動議を直ちに本会議で取り上げるのではなく、社会労働委員会において審査をすみやかに行ない、結論を得るように努力してほしい、こういうものでありました。わが党は、審議を一つも行なっていない委員会の中間報告を求める愚は、全く参議院の良識と存在すらも危うくするものであり、議会民主政治崩壊の危機すらあると判断いたしました。せっかくの議長のあっせんにのっとり、中間報告の動議を取り下げ、すみやかに委員会で慎重審議することを決したのであります。しかるに自民党の入れるところとならず、ついに現在見るような最悪の事態となったことは、まことに痛惜の至りであります。
 政府・自民党は、かねてより今国会における最重要法案とされる健保法の改定を面目にかけても成立をさせよう、こういう意向を示し、そのために今国会の会期を七十二日間という長期間の延長を強行したことを見ても明らかであります。ところがこの間、衆議院におけるこの法案に対する委員会審議は、わずか三日間、質問者三人、まさに質疑は序論ともいうべきもので終わっているのであります。あとには十五人という質疑者が残っているにもかかわらず、自民党の常套手段ともいうべき多数暴力によって、成規の議事手続を無視し、しかも、委員会室の外の廊下で、混乱と怒号の中で強行採決をしたのであります。全く言語道断と言わざるを得ないのであります。いかに議事堂の中の行為とはいえ、委員会室の外での採決は、国会史上先例のないことであります。この異常な採決にかかわらず、自民党は、十分な審議を尽くしたと強弁し、採決有効を叫んで本法案の成立に狂奔する姿は、与党の専制的独断の、議会ルールを無視した横暴の一語に尽きるのでありますが、この点については大谷さんはどういうふうに考えておるか、お答えいただきたい。
 憲法第四十一条に規定する「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」との国会の権威は、こうした自民党の暴挙により、根底から破壊されつつあると言わざるを得ない。この点についてはどう考えられますか。
 その上、衆議院本会議での採決は、先ほども話がありましたように、憲法第五十七条の「出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。」との規定を無視し、起立採決を強行したわけであります。このような憲法違反さえ強行したところに、収拾し得ない混乱が現在も引き続き起こっておるわけであります。多数決原理が議会制民主主義の意思決定のかぎであることは否定いたしません。しかし、少数意見であっても、それを無視していいという道理はないわけであります。この点についてはどうお考えになるか。
 言うまでもなく、国会は言論の府であり、主権者たる国民の願望に背反するものであってはならないことは自明の理であります。しかるにこの動議は、主権者たる国民大衆の意思を否定し、愚弄し、欺くものであり、国民大衆をして、いよいよ政治不信に追い込むだけであると断定せざるを得ないわけであります。また、自民党執行部の無責任かつ独善的な国会運営のパターンは、議長の権威を踏みにじり、衆議院におきましては、議長、副議長が結局のところは引責辞任という波乱を巻き起こしているわけであります。議長はそのとき、「ベトナム僧の焼身自殺と同じ心境と言える」と述懐しております。いまや、議長とは、自民党の国会運営のための道具と化し、強行採決によって生じた混乱を正常化させるための人身御供と言われているわけであります。まことに残念のきわみであります。私は、このように憲法と議会制民主主義を踏みにじる自民党にいささかの弁明も許されないと思うのでありますが、この点については提出者はどう考えられておるか。いまこそ、良識の府たる本院においては、勇猛心をふるって、議会民主主義再建の課題に取り組まなければならぬことを強く私は訴えたい。そして、広く世論に耳を傾け、一歩解決を誤れば、さらに深刻な危機を招くことの目に見えて明らかなことを痛感するわけであります。
 本院においては、議会政治の筋を通すべく、委員会における一方的質疑打ち切り、強行採決、続いて議長職権による本会議開会等、異例なる審議をいかなる事態たりとも要請されるべきではなく、ましてや中間報告を求めるなどとは、その真意が全く不可解なのであります。この点についてはどのように理解し、判断されているか、御答弁いただきたい。
 私は、再び議長が焼身自殺を遂げたり、犠牲台上にのぼるようなことが起きないように祈るものでありますが、この不可解なる動議に対して、詳しくその経過等についての御答弁を伺いたい。
 また、この動議による国民への疑問と不安とに対して、明快にやはりお示しいただきたい。
 御承知のとおり、戦後のわが国の国会制度は、米国の議会制度の長所を取り入れた常任委員会制度を設けて、本会議の前に委員会において慎重な論議を行ない尽くすというたてまえになっております。当然のことではありますが、およそ国会の論議というものは、常に国民の意思を的確に反映しなければならない。これは与野党の別なく、議員たるわれわれが常に肝に銘じておくべき課題でございます。
 そこで、私は、米国での中間報告なるものがどのように規定され、運営されているかを見まするに、まず、委員会において審議省略の動議を提出せんとする者は、当該案件が委員会に付託された後、三十日を経なければ動議を提出することはできないのであります。そして、提出後七日たっても動議の取り上げられないときは、さらにこの動議を、本会議で審議することを求める動議をあらためて議長に提出する。議長は、これを受けて、全議員の署名を収集し、過半数に達したときに初めて次の第二月曜、または第四月曜に限って、優先的に本会議で審議されるようになっております。このように、中間報告の動議に対しては、二重にも三重にもチェックがなされて初めて手続を完了するものでありまして、およそその手続が全部完了するまでには、短くて三十八日、長ければ五十日以上の日数を要するようになっております。このことは、委員会の審議を省略するということが、はなはだ異常なる方法であり、でき得る限りそのような事態を避けるようにした運営の規定であり、民主主義を守ろうとしたまことに賢明なる手続と言えるのであります。この点については、あなたはどう考えていらっしゃるか。
 しかるに、わが国では、形式的には常任委員会制度を取り入れながら、その精神を忘れ、国会法第五十六条の三項に関し、先ほどのお答えでは、決してその項目には誤っていない、項目の運用について誤っていないというような答弁がなされておりますけれども、なるほど項目そのものについては誤っていないかもしれませんけれども、しかし、誤れる運営を慣行として取り入れているということは、常任委員会制度の趣旨を根底から危うくするものであると言わざるを得ません。したがいまして、国会を真に討論の場とするならば、国会法のこの条項は絶対に乱用すべきものではなく、むしろ、運営の面では死文化させるべきものであると思いますが、どうお考えになっていらっしゃいますか。
 しかるに、与野党の意見対立が激化するや、常にこの条項を適用し、党利党略のために強権的に他に押しつけようとする政府・与党の議会運営は、まさに議会制民主主義の本旨に対する重大なる反逆であり、絶対にこれを許すべきではないと思うのであります。
 そこでお伺いしたいのは、かかる中間報告というやり方が、議会制度の本来の趣旨から見て正しいと考えられないわけであります。また、米国のように、乱用をチェックするためのもろもろの方策を将来において実現する考えはないか。もしもこれを乱用するならば、いかなる法案も政府・与党の意のままに行なわれることであり、これこそファシズムヘの道を進むことになるおそれが出てまいります。この点についてどう考えられるか。議会民主主義を守らんとする限り、かかるやり方にはおのずから一定の限度、限界があるはずであり、この限界について政府・与党の見解を明らかにしておく必要があると思うのであります。この点についてもあわせてお答えをいただきたい。
 次に、この動議の提出者である大谷さんは、法案の内容を慎重に検討された上でこの動議を出されたのかどうか。おそらく十分に慎重に検討される時間がなかったのではないか、こういうように思いますが、これもあわせて御答弁をいただきたい。
 周知のように、二カ年の期限を約束して無理に通過させた健康保険特例法は、当然これにかわる医療保険の抜本的改正案の提出を前提としたものであります。したがいまして、第五十六臨時国会で成立してからは、その抜本改正が政府に義務づけられているはずであります。政府は、社会労働委員会やあるいは衆議院の本会議においてもしばしばその公約実現を言明してまいりました。しかし、今度の特例法廃棄によってこれまでの公約はほご同然になったのであり、国民に対してその公約の責任はどうされるのか、与党側の立場としてお伺いしたい。
 すべてが政府の無責任な政治姿勢と怠慢行政によってもたらされてきたものでございまして、今回の中間報告にいたしましても、自民党の巧妙なる陰謀は、時限法から恒久法化へのすりかえとして本院に送付されてきた。そこで、何とか早くこれを成立させようという意図があることは明らかであります。
 従来から、医療保険の抜本改正は、社会保険並びに社会保障両審議会からの答申にもあるように、早急に実現すべきであるとされておりながら、実現することができなかったのであります。これは、医療機関側をはじめ、各健康保険支払い団体などのゲバルトが横行したこともさることながら、政府は、これを収拾する能力を欠いていたと思われるのであります。国民皆保険が叫ばれ・それが社会保障の一環として整備されるためには、現在の医療制度が抜本的に改革されなければならないのは当然であります。この点については、どう考えていらっしゃるか。
 今回の改定は、臨時措置の保険料率の引き上げ、入院費負担、初診料の値上げというものを、本法たる健康保険法などの改定に織り込んで処置しようとし、そして、抜本改正のタイムリミットを取り去るという、政府は、その巧妙な回避策を今回提出したわけであります。国民に対しては、まことに二重の裏切り行為であるという議論が起こってくるのもむべなるかな、こう思うのでありますが、この点についての明快なる御答弁をいただきたい。
 したがって、国民のこの疑問と不満に対して、納得の与えられるだけの慎重なる審議を尽くすのが、民主的な議会のあり方であり、国会議員として当然の任務であると思うのであります。しかるに、本委員会においては、提案理由の説明すらも聞いていないのに、中間報告を求めたこと自体が、議員としての本来の使命を放棄するような考え方でいるのではないかと、疑念を持つわけでございますが、もちろん、国会議員である提出者が、この任務を放棄しようなどとは、とうてい考えられないと思うのでございまして、早まって中間報告を求めたのではないか、この点、提出者の明快な答弁を期待して、私の質疑を終わりますが、私のほうからも、もし答弁漏れがございますようならば、再質問をすることをお含みおきいただきまして、どなたにでもわかる明快なる御答弁をいただきたい。(拍手)
   〔大谷藤之助君登壇、拍手〕
○大谷藤之助君 渋谷君の質疑に対しお答えを申し上げます。
 慎重にお聞きしたつもりでございますが、どうも項目がかなり多いようでございまして、あるいは聞き漏らしておる点がございましたら、ひとつ御指摘を願いたいと思います。
 御質疑の第一の問題は、衆議院の採決のあり方、委員会での強行採決を中心にしたこの運び、あるいは本会議での採決あるいは議決のあり方、参議院の良識から見て、これを一体君はどう思うかと、かような御質疑と存じます。第二は、少数党意見の尊重についての所信を聞かれております。第三は……(発言する者多し)項目がたくさんございますから、漏れがあったらいかぬと思いますから、一応お聞き願いたいと思います。第三は、議会制民主主義を守る私の決意についてお尋ねがございました。第四が、この中間報告を求める動議の趣旨についてお尋ねがあったとお聞きしております。第五、米国その他の例も引かれ、中間報告の要求は慎重であるべきであるということについての御所見と存じます。第六は、中間報告の乱用は避け、この刀は抜くべからざるものであるということについてのお尋ねでございます。第七、同じように乱用するなというふうに受けとめたわけでございますが、第六、第七は。第八は、法案の内容についてお話しがございましたが、今回改正の点は点として、さらに抜本的改正を行なうべきものであるけれども、おまえは一体どう思うかと。第九は、中間報告要求を取り下げるべきではないか。以上であると存じます。よろしゅうございますか。
 第一の、衆議院の委員会におけるこの法案審議の運び、最後の、採決をめぐるこの運び方、本会議における採決のこのあり方、先ほど御答弁申し上げましたが、他院の問題に私が直接、あるいは当事者としておるべき場でもございませんし、あまり立ち入っての意見は私は差し控えたいと存じますけれども、衆議院は衆議院とされて委員会での審議も尽くし、やむを得ずああいう採決が行なわれたと考えられます。本会議においてもまたしかりでございまして、この衆議院側の審議あるいはとられた手続、運びについては、私は、衆議院の場としてやむを得なかった事情もあるのではなかろうかと推察するものでございます。しかも、この法案そのもの、案件そのものは、衆議院議長から参議院議長にあてて、議長の名において成規の手続を経て送り届けてこられまして、受理されているわけでございます。したがいまして、私は、そういう委員会での強行採決なり本会議でのさような採決は、決して好ましいものと毛頭考えておりません。でき得る限りひとつかような不正常な採決は避け、正常な審議、正常な運びができますように、与野党、各党各会派、やはりお互いの立場を理解し尊重して、ひとつ話し合いによってこれが運び得ることを念願するものでございます。(拍手)
 第二に、少数党の意見を尊重すべきであるけれどもどうかという御質問でございますが、私は、おっしゃるまでもなく、渋谷君と同様の考えでございまして、多数党といえどもむろんのこと、少数党の場、少数党の意見も尊重して、そうして話し合いを重ね、お互いを理解し、お互いの信頼の上に立って話し合いで、積み重ね積み重ねて、ひとつ少数意見も尊重しながら、最後はやはり多数決による議会制民主主義を守っていくということでありたいと考えるわけでございます。
 第三の、議会制民主主義を守る決意について御質問がございました。もとより、その熱意におきましては、渋谷君の御意見、御質疑と私も同様でございます。私は、各会派が、先ほども申しますように、相互のやはり立場を尊重して、よく理解し合って話し合い、いわゆる実力審議の阻止とか、不正常な議事の引き延ばしというものは排して、常に話し合いによって、互いに歩み寄る努力を積み重ね、審議を尽くして、少数意見を尊重しながら議会制民主主義を守り抜くことが大事だと存じます。これによって良識の府として国民の負託と信頼に私どもこたえなければならぬと存じます。
 第四の、この中間報告を求める動議を出した趣旨も明らかでないじゃないかという御質問が中心でございます。およそ御理解は願えたことと存じますけれども、重ねて私はこの趣旨について付言をいたしますならば、この法案は、この延長国会において重要法案の最たるものの一つと私どもは考えております。国民生活あるいはまた国民の福祉にも大きく影響を与えるもので、国民の皆さん方もまた大きな関心を持っておられるものでございます。本法案が六月十八日に社労委員会に予備付託をされております。七月十四日に本付託されておりますが、いまだに趣旨説明も行なわれていないやに聞いております。委員会審査の状況はどうなっておるのか、その実情を委員長から御報告をいただきたいというのがこの動議を提出いたしました趣旨でございます。御了解を願いたいと存じます。
 第五は、米はじめその他の例を引いて、中間報告についてのこの要求というものは、さらにさらに慎重であるべきだ。あるいは、今日定められておるわが国会法以外に、さらに規制も加えるべきものであると、これについての私の意見を聞かれております。まさに仰せのとおりでございます。しかし、私は、中間報告を求めましたこの動議は、私どもは国会法のルールあるいは参議院規則のルールに乗って行なっております。しかしながら、私は、この中間報告というものは乱用は申すに及ばず、論外のことでございます。まあ、これが一回も行なわれずに済むというような議事運営でありたいものと常日ごろからこいねがっておるものでございます。しかし、先ほど実は提出の趣旨について申し上げましたように、かねて社労委員会の御努力には敬意を払ってまいりましたが、また、議長もいろいろ御苦心を積み重ねられたようでございますが、この段階においては、やむにやまれず、余儀なくこの動議を提出せざるを得ない心境でございます。御理解を賜わりたいと存じます。
 第六の、中間報告の乱用は避け、これは抜かざるべきものであるというお話でございます。ただいまの私の答弁で御理解をお願い申し上げたいと存じます。
 第七の乱用についても同じでございます。
 第八の、この法案の内容について、いろいろ今日改正点についてもお話がございました。私も一応はこの法案の内容なり、衆議院での修正送付の内容についても承知をいたしておりますが、これこそ社労委員長の中間報告を承って、その内容を私どもは十分ひとつ承知をいたしたいために、まず中間報告を求めたわけでございます。この点ひとつ御理解を願いますと同時に、抜本改正という問題もございまして、いずれこの点は、社会労働委員会の審議なり、あるいは今後の場において当然明瞭にもされ、また私どももその内容を知りたいと願うものであり、個人として私の意見をあえてお聞き賜わりますならば、抜本改正というものはやるべきものであると、私は私なりには考えております。
 第九は、中間報告の要求動議は取り下げよという御質疑でございます。先ほど来、実は繰り返して申し上げたわけでございますが、この中間報告の要求動議は、決して国会法あるいはまたその他に照らして違法なものでもございません。また乱用でもなく、このたびはやむにやまれない、余儀ない立場でこの要求をいたしております。これをいまさら取り下げるということは残念ながら考えておりません。御了承を賜わりたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
   〔渋谷邦彦君発言の許可を求む〕
○副議長(安井謙君) 渋谷君何ですか。
○渋谷邦彦君 答弁漏れ。
○副議長(安井謙君) 渋谷君。再登壇して簡単にお話し願います。
   〔渋谷邦彦君登壇〕
○渋谷邦彦君 一つは、冒頭にお尋ねしました議長のあっせんが不調に終わった、これはあげて自民党の責任であるというふうに私は申し述べたことに対しての回答がないことが一つ。それから、一貫していまの答弁を伺っておりましても、先ほど社会党の方に申されたことの繰り返しの答弁で、しばしばすりかえられておる。まことに遺憾だと思いますけれども、まあその程度かと。
 それから第二点は、米国の例を取り上げた。アメリカの制度の例を取り上げた、そうした問題について、あなた方は前向きに改めようとする考えがあるのかどうかというそういう大事なことを……。(「ここは米国じゃない」と呼ぶ者あり)何言っているんだ。それを参考にしてと言っているではないか。よけいなことを言うな。
   〔大谷藤之助君登壇、拍手〕
○大谷藤之助君 渋谷君の再質問にお答えを申し上げます。
 先ほどの答弁で漏れておった点があったことは、まことに遺憾でございます。
 第一点の、本日の議長あっせんの御苦労が実らなかったのは、自民党の責任ではないかという御質問でございます。残念ながら私は、その席におる当事者でもございませんし、その点は、私は私なりに申しましても、わが党――自由民主党は、できるだけ先ほどのように話し合いでまとまるものはまとめたいという最善の誠意と努力を尽くしても、遺憾ながらかような結果になったのではないかと推察するものでございます。
 第二の、アメリカの例を引かれまして、たとえば中間報告のあり方について制度的に国会法その他の場においても前向きで検討することにおいて、君の意見はどうなんだ――漏れておるという御質疑でございます。お話のように、先ほども申し上げましたが、私はさような前向きの検討をすべきことには、渋谷君とも同じ考えでございます。私はむしろ、さような中間報告の問題はもとより、国会法の改正について、どうぞひとつ渋谷君をはじめ皆さん方に御協力を願いまして、よりよき国会法の改正、制定にひとつ前向きで進みたいものと念願をいたしております。以上。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(安井謙君) 藤田正明君外一名から、成規の賛成者を得て、
 質疑終局の動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十票
  白色票           百十七票
  青色票           九十三票
 よって、質疑は終局することに決しました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百十七名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    山崎 五郎君
      若林 正武君    渡辺一太郎君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    吉江 勝保君
      江藤  智君    大竹平八郎君
      大谷藤之助君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      大谷 贇雄君    小枝 一雄君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      新谷寅三郎君    石原幹市郎君
      上原 正吉君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    久次米健太郎君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    井川 伊平君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      八木 一郎君    田口長治郎君
      平井 太郎君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      温水 三郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    高橋  衛君
      迫水 久常君    斎藤  昇君
      廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十三名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      塩出 啓典君    藤原 房雄君
      萩原幽香子君    山高しげり君
      市川 房枝君    三木 忠雄君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    中尾 辰義君
      松下 正寿君    沢田  実君
      多田 省吾君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    鈴木 一弘君
      二宮 文造君    渋谷 邦彦君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      柏原 ヤス君    北條  浩君
      白木義一郎君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      佐野 芳雄君    林  虎雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      加瀬  完君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      春日 正一君    河田 賢治君
      岩間 正男君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      山崎  昇君    木村美智男君
      村田 秀三君    川村 清一君
      大橋 和孝君    田中寿美子君
      沢田 政治君    松井  誠君
      矢山 有作君    瀬谷 英行君
      吉田忠三郎君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      千葉千代世君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      森 元治郎君    阿具根 登君
      永岡 光治君    中村 英男君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
     ─────・─────
○副議長(安井謙君) これにて午前九時まで休憩いたします。
   午前五時二十一分休憩
     ―――――・―――――
   午前九時五分開議
○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 中間報告を求めることの動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。小野明君。
   〔小野明君登壇、拍手〕
○小野明君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提出されております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に関する中間報告の動議に対し、反対の討論を行なうものであります。
 反対の理由は、大きく分けて二点であります。
 第一の反対の理由は、国会法の解釈から見て、このような中間報告の動議が、何と申しましても納得し得ないからであります。大谷君も答弁をされておりますように、国会法第五十六条の三を踏まえてこの動議は提出をされております。その条文はいまさらここで読み上げる必要もありませんが、その中にこの動議が抵触をいたします二つの文言があります。
   〔「提案者がいないぞ」「休憩休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔小野明君降壇〕
○議長(重宗雄三君) 小野君の御登壇を願います。(発言する者多し)御静粛に願います。御登壇を願います。
   〔小野明君登壇、拍手〕
○小野明君 大谷君いま見えましたので、初めからやり直します。
 私は、日本社会党を代表して、ただいま提出をされております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に関する中間報告の動議に対し、反対の討論を行なうものであります。
 反対の理由は大別して二点であります。
 第一の反対理由は、国会法の解釈から見て、このような中間報告の動議が、何といっても納得し得ないからであります。
 大谷君も答弁をされておりますように、国会法第五十六条の三を踏まえてこの動議が出されているのであります。その条文は、いまさらここで読み上げる必要もありませんが、その中にこの動議が抵触をする二つの文言があります。一つは、「特に必要があるとき」、いま一つは、「委員会の審査中の案件」ということばであります。
 まず、「特に必要があるとき」という用語の解釈を大谷君はいささか間違えておられるのではないでしょうか。よもや大谷君が、そして自由民主党が主観的に必要と認められたら、「特に必要があるとき」に該当すると解釈をしておられるのではありますまい。この解釈は主観的なひとりよがりであってはならないと思うのであります。多数をもって独善的な解釈を国民に押しつけるものであってはならないと思うのであります。やはり客観性と合理性に裏づけられるべきものであり、さらに、一個の条文のみを取り上げることなく、この法体系全般の中での位置づけを正しく把握をして、合理的な解釈をしなければならないと思うのであります。
 国会法が、各院の意思決定に先行をして、常任委員会による審査を前提とする原則、すなわち、委員会中心主義をとっておりますことはご承知のとおりであります。そして、この原則の例外として、委員会審査省略の制度と中間報告の制度が設けられております。ところで、この二つは、委員会の審査を先行させる原則をくつがえすものとして同質のものとお考えになっておられるのではないでしょうか。これは、形の上では同じように見えても、その実質は全く異なるものであります。
 委員会審査省略は、当該委員会の提出法案のごとく、案件作成の過程におきまして、全委員の意見が合致している場合にとられるのでありますから、その実質は委員会中心主義を破るものとは言えません。
 しかるに、中間報告は、院の議決によって委員会の審査にチェックを加え、極端には委員会の審査権を放棄させるものであって、名実ともに委員会中心主義を破るものであります。例外規定は厳格な解釈をすべしということは、法解釈の初歩的な原則であります。したがって、中間報告の制度は、どうしても委員会にまかせておいては院の意思決定ができないという客観的な、そして何ぴとももっともだと納得するような理由がある場合にのみ運用さるべきであります。このような委員会抑制の姿勢は、制度的に保障されている国もあるようでありますが、そのような制度的な保障がなくとも、委員会中心主義という原則を国会運営の大きな柱とする以上、当然の運用基準と言わなければならないと思うのであります。もし中間報告の制度が、客観的な条件、合理的な理由なく乱用されるということになりますと、中間報告に名をかりた委員会の審査省略の制度というものがもう一つ新たに設けられるような結果になると思うのであります。
 私は、社会労働委員会に席を置く一人といたしまして、今国会における法案審査に参加をし、また、いま問題になっております健康保険関係法案に対処しようとしている委員会のあり方には、右に述べたような中間報告を求めなければならない合理的な事情は、全く存在しないとしか考えられないのであります。委員会は、付託されました順序に従って、円滑に、しかも各法案にそう手間どることもなく、現在先議順に、児童扶養手当法と国民年金法の一部改正の二法を残しまして、審査を進めてきたのでありますが、大谷君はいかなる事態を取り上げて、中間報告を必要とする客観的、合理的理由とされたのか、全く理解に苦しむのであります。また、この先議案件二法をもこの中間報告の巻き添えにするなど、全く許せない暴挙としか考えられない措置なのであります。
 次に、中間報告が委員会で審査中の案件についてのみ認められる制度になっていることは、大谷君もよく御承知のところと思います。しかしながら、社会労働委員会では、いまだ提案理由の説明さえも聴取をいたしておりません。あるいは、すでに六月十八日の本会議において趣旨説明を聴取したではないかとの論をなされる向きもあるようでありますが、そのような論者に対し、私はよく法律案を見ていただきたいと勧告をせざるを得ないのであります。
 議事の手続上、事務上の扱いとしては、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案と掲げられておりますが、その実体は、衆議院から送付をされました法律案の内容からは、この「臨時特例法」という字句がなくなっている。したがってまた、臨時特例という時限立法の実体も、全く消え去っているのであります。したがって、今回の法律案については、本院に関する限り、本会議においても、また委員会においても、全然趣旨説明は聴取しておらないということになるのであります。
 中間報告は、過去に十一回の例があるようであります。そのつど、それらの措置の当否について論議がかわされているわけでありますが、先例による「審査中」のぎりぎりの線は、少なくとも委員会において提案理由の聴取が行なわれているという一線でありました。この点があるからこそ、委員会におきましても、あるいは議長のあっせんにおいても、何とかお経読みだけはと、執拗な動きがあったことは御承知のとおりであります。しかも、この一線の問題についても異論があり、各党の了解がついているわけでもないのであります。
 この過去十一回の中間報告の強行は、日本の反動化の歴史であり、議会政治に対する国民の不信とその形骸化を生み出す以外の何ものでもなかったと考えます。いままた、この中間報告が乱用されようとするにあたり、しかも法案は、当初とは似て非なるもの、換骨奪胎どころか、羊頭を掲げて狗肉を売るものになっているのであります。この法案によっての中間報告は、断じて許すことがあってはならないと思うのであります。
 第二の反対理由は、この法律案が参議院に送付されたことについて、議事手続上の疑義を持つからであります。
 参議院と衆議院とは、それぞれ独立の活動をするのでありますから、互いに相干渉する必要は原則としてありません。しかし、先ほどの質疑に対し、大谷君が、他院のことであるからと言いながら、これを合法的と答弁をしたことは、何としても暴言であり、われわれの納得できないところであります。私が申し上げたいのは、事法律に関しましては、その成立が両院の意思の合致いかんにかかっているのであります。そのためにこそ先議、後議の議事手続がとられていると思います。この法案のごとく、参議院が後議の院となって意思決定をするためには、先議となった他院の議決が合法的になされていることが、法律として成立するかいなかを決する重要な要素となると思うのであります。もし先議の院の意思決定に疑義あるいは瑕疵があるときは、本院における委員会の審査も、また本会議における議決も、むだな努力となるおそれがあるのであります。したがって、どうしても先議の院の議決に対する疑点を放置をしてしまうことはできないのであります。
 この法律案が、衆議院の審議段階における修正によって別個の性格のものになっていることは、さきに触れたところでありますが、疑点の一つは、このような修正がはたして修正という形式で行なわれてよいものかどうかという点にあります。委員会における審査が無視されて、一党のみの独走が修正をあえてしたことは、委員会中心主義が意図している少数意見の尊重という趣旨を没却するもので、まことに遺憾とするところでありますが、これは他院の運営だけのことでありますから云々することは差し控えたいと思います。しかし、修正という形式がその範囲を逸脱をして、全く新立法、新提案という形まで行なうことは許されないと思うのであります。参議院が送付を受けたと称する法案は、まさにそれに類する性格の変更が、修正という名において行なわれているのであります。
 これに対する疑点の第二は、さらに基本的な点で、衆議院における議決の効力に関する疑義であります。経緯はすでに各位の承知しておられることと存じますから、詳しくは触れませんが、憲法五十七条三項の精神をじゅうりんした議決が有効なものであるのかどうか。それは正副議長が更迭をしたということによって解決をされるものではないと思うのであります。まさに違憲かどうかの法律問題であるのであります。この解決はいまだに決着を見ていないのであります。したがって、私どもは、参議院が送付を受けたと称するものが有効に議決されたものでないという点であります。これは白を黒と言いくるめ、サギをカラスと言うたぐいであり、自民党一流の憲法無視のこじつけ解釈と言わざるを得ません。
 私は、議長及び自民党の各位に申し上げたい。参議院は、その歴史と伝統において良識の府としての性格を持つものであります。もしも衆議院において憲法違反の疑いがある法案の取り扱いについては、一そう慎重を期すべきであります。にもかかわらず、衆議院と同じ暴挙をあえて行なおうといたしておるのであります。衆議院において憲法違反、違法の採決を行ない、いままた参議院において法律違反の汚点をこの法律に加えようというのであります。これこそまさに、日本の議会制民主主義の墓穴を掘る以外の何ものでもありません。もし一片の良識をお持ちであれば、いまからでもおそくない、かかる憲法違反、民主主義の破壊行為を直ちに中止すること、すなわち、本動議の撤回を要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君) 内田善利君。
   〔内田善利君登壇、拍手〕
○内田善利君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま提出されました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案の中間報告を求める動議に対して、議会制民主主義を踏みにじるものであるとの立場から、強く反対の意を表するものであります。
 いわゆるこの健保特例法は、政管健保を中心とする保険財政の赤字解消の臨時措置法であって、医療保険制度の抜本改正実現の期待と深い関係を持つものであります。政府は、ことしの八月末までに必ず抜本改革案を出すことを国民に公約していたにもかかわらず、それが提出不可能なため、さらに二年間の延長を提案していたものであります。このことだけでも公約違反の重大なる政治責任が問われるにもかかわらず、特例法案とは基本的にその性格を異にする修正案を提出し、強引に通過させようとしているのであります。国民を愚弄するにもほどがあろうというものであります。本来、政治の常道からすれば、これはまさに内閣総辞職に値する失政であります。したがって、廃案にするのが、参議院の良識であると思うのであります。にもかかわらず、自民党は、本院において、委員会において趣旨説明も行なっていない段階で、本案の中間報告を求める動議を提出したのであります。これこそ、自民党が多数の暴力をもって、その本性をさらけ出した姿であると断ずるものであります。これが反対の理由の第一であります。
 今国会において、自民党はすでに何回となく同様なことを行なってまいりました。すなわち、公共料金値上げの元凶となっている国鉄運賃値上げにおいてしかり、また、一昨日行なわれました防衛二法案においてしかりと、次々と数の暴力を頼んでいるのであります。そして、ここにおいてまたもや本案を委員会審議を経ずして中間報告を求めるという卑劣きわまりない横暴な態度をとってきているのであります。このような国会運営を、国民はどのような眼をもって見ているでしょうか。国民大衆は賢であります。必ずや、このことは近き将来において、自民党の多数党としての土台の崩壊となってあらわれるであろうことを、私は深く確信するものであります。この際、与党たる自民党議員の諸君も、ただ執行部のなすがまま盲従することなく、自身よく判断を一わきまえて行動すべきであると、一言申し上げておきたいのであります。
 さて、今国会における最重要法案とされている本案は、自民党執行部の面目にかけても成立をさせたいとして、今国会の会期を、本案の審議を十分に行なう見通しをつけて、いままでに先例のない七十二日間という超大幅な会期の延長を、野党の反対を押し切って強行したのであります。しかしながら、その後の国会運営は慎重審議を行なうどころではなく、衆議院の社労委員会における審議はわずか三日間、三人の委員が質疑を行なったのみでありまして、しかも、質疑は、本案の序論ともいうべき質疑で終わっており、あとに十五人もの質疑者が残っていたのであります。にもかかわらず、自民党はまたもや多数の暴力によって強行採決をしたのであります。しかも、いかに議事堂内の行為とはいえ、委員会室の外での採決は、国会史上先例のない暴挙であります。その上、本案の衆議院本会議での採決に際しては、国会史上先例のない、しかも、憲法違反である起立採決を行なうに至っては、まさに民主主義の危機を叫ばずにはいられないのであります。私は、このように、憲政と憲法と議会制民主主義を踏みにじる政府・自民党に対して強い憤りを感ずるのであります。
 本院は良識の府と言われております。このように失われた議会政治への信頼を取り戻すことが、良識の府たる本院の使命であると強く確信するものであります。そのため、六月五日の本院、社労委員会理事会において、次のような申し合わせがなされているのであります。
 一、本委員会の定例日は火曜日及び木曜日とする。
 一、法律案の審査は原則として本付託の順序に行なう。
 一、質疑者の数及び発言時間の制限はみだりに行なわず、審査は慎重に行なう。
 一、必要に応じ参考人の意見を聴取し、公聴会、連合審査会を開催する。
 一、強行採決は避ける。等々、八項目にわたって、今後の運営について申し合わせをしたのであります。しかるに自民党は、これらをすべて無視するという許すべからざる手段を用いてきたのであります。これが反対の第二の理由であります。
 御承知のごとく、国会は言論の府であり、その最も重要な場として、委員会が存在しているわけであります。この委員会の存在を無視し、中間報告を求める動議を提出しようとすることは、国会史上類例のない暴挙であり、国民を欺く行為であります。これにより、国民の政治不信の念はますます強まり、全く国民不在の国会運営となっておりますが、これは、一にかかって自民党のこの暴挙に責任があります。国会法第五十六条の三において、審査中の議案の中間報告に関する例を見ても明らかなごとく、要件の内容が、委員会における審査中の経過の中間報告を求めるものであります。しかし、本案は、いまだ一度たりとも審議が行なわれていないのであります。審議のみならず、提案理由の説明すら行なわれていないのであります。国会法にいう「審査中」に該当しないのであります。実に、国会法違反であります。これが反対の第三の理由であります。
 しかも、この異常な事態において、昨日の午前中、議長は事態収拾のためのあっせん案ともいうべき回答を各党に提示したのであります。これによると、動議を直ちに本会議で取り上げるのでなく、社会労働委員会において審査をすみやかに行ない、結論を得るように努力してほしいというのでありました。わが党は、審議を一つも行なっていない委員会の中間報告を求める愚は、全く参院の良識と存在すらも危うくするものであり、議会民主政治崩壊の危機でもあると判断して、せっかくの議長あっせん案にのっとり、中間報告の動議を取り下げるとともに、すみやかに委員会で慎重審議することを決したのであります。しかるに、自民党のいるるところとならず、ついに現在見るような最悪の事態となったことはまことに痛惜の限りであります。このような状況の中で、中間報告を求める動議を提出した大谷君の参議院議員としての良識を疑いたくなるのであります。先例のない中間報告を求めるこの動議が議会運営の将来に取り返しのつかない悪例を残すだけでなく、民主的議会制度を完全に破壊するものであります。日本の議会制民主主義を守るため、国民の政治に対する信頼を取り戻すため、本中間報告を求める動議の撤回を求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) 藤田正明君外一名から、成規の賛成者を得て、
 討論終局の動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百六票
  白色票           百十四票
  青色票           九十二票
 よって、討論は終局することに決しました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百十四名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    後藤 義隆君
      白井  勇君    横山 フク君
      小山邦太郎君    植竹 春彦君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    吉江 勝保君
      江藤  智君    大竹平八郎君
      大谷藤之助君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      大谷 贇雄君    青柳 秀夫君
      小枝 一雄君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      安井  謙君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    内田 芳郎君
      津島 文治君    岩動 道行君
      和田 鶴一君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      櫻井 志郎君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      堀本 宜実君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      小林 武治君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      塚田十一郎君    廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十二名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      塩出 啓典君    藤原 房雄君
      萩原幽香子君    山高しげり君
      市川 房枝君    三木 忠雄君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      阿部 憲一君    中尾 辰義君
      松下 正寿君    沢田  実君
      中沢伊登子君    片山 武夫君
      鈴木 一弘君    二宮 文造君
      渋谷 邦彦君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      中村 正雄君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      佐野 芳雄君    林  虎雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      加瀬  完君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      春日 正一君    河田 賢治君
      岩間 正男君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      山崎  昇君    木村美智男君
      村田 秀三君    川村 清一君
      大橋 和孝君    田中寿美子君
      沢田 政治君    松井  誠君
      矢山 有作君    瀬谷 英行君
      吉田忠三郎君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      山本伊三郎君    武内 五郎君
      森中 守義君    近藤 信一君
      鈴木  強君    森 元治郎君
      阿具根 登君    永岡 光治君
      中村 英男君    久保  等君
      岡  三郎君    羽生 三七君
      亀田 得治君    占部 秀男君
      大和 与一君    木村禧八郎君
      田中  一君    松澤 兼人君
     ─────・─────
○議長(重宗雄三君) これより、大谷藤之助君外一名提出の中間報告を求めることの動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百九票
  白色票         百二十二票
  青色票          八十七票
 よって、社会労働委員会において審査中の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等一部を改正する法律案について、すみやかに社会労働委員長の中間報告を求めることに決しました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百二十二名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      田村 賢作君    小林  章君
      伊藤 五郎君    後藤 義隆君
      白井  勇君    横山 フク君
      小山邦太郎君    植竹 春彦君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      中山 太郎君    高田 浩運君
      中村喜四郎君    西村 尚治君
      八田 一朗君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    佐藤  隆君
      黒木 利克君    楠  正俊君
      岡本  悟君    高橋文五郎君
      土屋 義彦君    船田  譲君
      吉江 勝保君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      梶原 茂嘉君    大谷 贇雄君
      青柳 秀夫君    小枝 一雄君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      西郷吉之助君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    河野 謙三君
      上原 正吉君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    安井  謙君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      近藤英一郎君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      今  春聴君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    内田 芳郎君
      大森 久司君    津島 文治君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    櫻井 志郎君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      堀本 宜実君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      寺尾  豊君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    小林 武治君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    佐田 一郎君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      塚田十一郎君    高橋  衛君
      迫水 久常君    斎藤  昇君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      八十七名
      原田  立君    峯山 昭範君
      山田  勇君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    内田 善利君
      上林繁次郎君    阿部 憲一君
      中尾 辰義君    松下 正寿君
      沢田  実君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    鈴木 一弘君
      二宮 文造君    渋谷 邦彦君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      山田 徹一君    柏原 ヤス君
      小平 芳平君    中村 正雄君
      村尾 重雄君    上田  哲君
      和田 静夫君    松本 英一君
      安永 英雄君    竹田 四郎君
      杉原 一雄君    達田 龍彦君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      小林  武君    林  虎雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      須藤 五郎君    渡辺  武君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    鶴園 哲夫君
      野上  元君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      森 元治郎君    阿具根 登君
      永岡 光治君    中村 英男君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    田中  一君
      松澤 兼人君
     ─────・─────
○議長(重宗雄三君) 委員長報告準備のため、午後二時まで休憩いたします。
   午前十一時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五分開議
○副議長(安井謙君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 これより健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案について、社会労働委員長の中間報告を求めます。社会労働委員長吉田忠三郎君。
   〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕
○吉田忠三郎君 先刻、国会法第五十六条の三の規定に基づいて、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に関する社会労働委員会の審査の経過について、中間報告を求められました。
 私は、社会労働委員長の立場から、本院の議決を尊重し、その要請に沿うような報告を行ないたいという熱意を持っておりますが、それに先立って、一言、議長並びに議場の諸君の御了解を得ておかなければなりません。それは多数の力によって中間報告を求められておるわけでありますが、事実は、いまだ社会労働委員会で趣旨説明がなされていない。したがって、審査に入っていないのであります。しかも、社会労働委員会が去る十四日付託を受けた法律案は、当初本院本会議で趣旨説明をなされた法律案とは内容が異なったものであり、このような変わったものを院議をもって中間報告をせよという、このこと自体に、参議院みずからが一つの大きな矛盾の前に立たされているということ、そうして私はあまりにも空であるものを報告しなければならないという事実、何とも表現のできないジレンマに立たされていることを、この報告をするにあたって、国民に告白せざるを得ないのであります。
 諸君、すでに御存じのとおり――(発言する者あり)黙れ、委員長みずからやっておるということがあるか……(「黙れとは何だ」と呼ぶ者あり)きわめて慎重を欠いていますよ、こういう状態では議長……。諸君すでに御存じのとおり、本法案は、わが国の社会保障体系の中で重要な柱となっている医療保険制度に関して、抜本改正という大仕事につながる法案でありますので、委員長としては、委員会において十分な審査が尽くされるべきものと期待し、かつ、その期待を委員会の運営の過程に反映させたいものと熱望していたのであります。この期待と熱望をいまも胸に秘めながら、しかし、院議を尊重して主観をまじえず、これから公正な報告を行なうことといたしました。
 御案内のごとく、この法律案は、過ぐる六月十八日、本院の本会議において趣旨説明が行なわれ、これに対し各党の代表、すなわち、自由民主党からは上原正吉君、日本社会党からは大橋和孝君、公明党からは上林繁次郎君、民主社会党からは中沢伊登子君が、それぞれ代表質問をされたのであります。
 しかるところ、それから二十六日の後、衆議院から送付され、社会労働委員会に本付託となりました法律案は、冒頭に申し述べたように、その題名と内容とが異なったものとなっているのであります。
 本会議において趣旨説明を聞いた法律案の内容は、次のような三つの条文から成り立っているものでありました。
 第一条は、一昨四十二年に制定され、本年八月三十一日限り効力を失うこととされていた臨時特例法の効力を、さらに二年間延長する。したがって、臨時特例法は、昭和四十六年八月三十一日までの時限立法とすることであります。
 第二条は、臨時特例法の母法ともいうべき健康保険法そのものを改正するものでありまして、分べん給付費を、被保険者本人については六千円から二万円に、配偶者については三千円から一万円に引き上げる、その見合いとして、保険料率を千分の一引き上げるというものであります。
 第三条は、右の健康保険法に関する改正と同じ内容のものを船員保険法についても講ずるというものでありました。
 要約いたしますれば、臨時特例法を時限立法のままで二年間延長するという部分と、健康保険法及び船員保険法について、分べん給付の改善措置を講ずる部分の二つが組み合わされた法律案であったのであります。そうして、法律案の前提には、健康保険制度の抜本改正が、今後二年の間に行なわれなければならないという法律上の歯どめの上に組み立てられていたことに重要な意味があったのであります。
 ところが、付託された衆議院送付の法律案は、私の見た限りにおいては、第一に、法律案の題名から、臨時特例法という名前が消えて、健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案と改められ、臨時特例法という時限立法の改正部分が削除されておりました。臨時特例法の中に盛られていた事項のうち、三つの条項が、臨時特例法とは別の健康保険法及び船員保険法の改正という形になっているのであります。このような事情が冒頭に申し述べましたような本法律案の重要性に加わり、かつはまた、衆議院における本法律案の経緯に照らして、参議院における審査は、特に慎重に、しかも、問題点を十分にただす質疑が行なわれ得るような審議体制を整えることこそが必要であると考え、その方向を目ざして、委員会における審査の段取りを進めてきたつもりであります。
 そこで、私は、社会労働委員長就任以来とってきた社会労働委員会における法律案の審査姿勢について、この際、御報告を申し上げます。
 今国会において社会労働委員会は、二十一件の法律案を審査することになっているのであります。その内訳は、参議院議員提出六件、内閣提出十五件となっております。内閣提出法律案十五件のうち一件は御承知のように、自然公園法の一部を改正する法律案が参議院先議とされたほかは、他の十四件については、いずれも衆議院からの送付を待つこととなりました。したがって、内閣提出法案十四件については、いずれが先に参議院に送付されてくるのか、また何日ごろ審査を始めることができるのかということについて、きわめて予測がつかないままに、困難な状態に置かれたのであります。
 そこで、本院先議となりました自然公園法の一部を改正する法律案は、審査を急ぎ、四月の十五日には委員会で可決をいたし、十八日には本会議で院の可決を見て、衆議院へ送付いたしました。
 一方、衆議院の社会労働委員会が所管いたしました法律案について、最初に議決したのは、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案でありまして、その日は四月二十四日でありました。したがって、社会労働関係に関する限り、参衆を通じて最も早い時期に、本付託法律案の審査を終えたことになるわけであります。
 その後、社会労働委員会に本付託となりました法律案は、厚生関係では、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、その案が四月二十五日に、続いて、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案が五月九日に付託されたのでありますが、いずれも七月一日、七月八日に審査を終了して議決をいたしていることは、七月四日及び七月九日の本会議における報告によって御承知のとおりであります。続いて六月十二日、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案が、また、六月の二十六日に、国民年金法の一部を改正する法律案が付託となりました。この二法律案は相互に関連しているものでありますので、同時に審査を行なうことが妥当であると考えて現在審査を進めているところであります。ただし、この二法律案も、あとに申し述べますが、健康保険関係法の優先審議を主張されたことから生じた空白がなかりせば審査を了していたはずであったのであります。そして、ただいま議題とされております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案が付託されました。付託されましたのは、これまた各位が十分御承知のとおり、七月の十四日であったのであります。本日は七月の二十五日であります。この間、御承知のように、内閣委員会におきましては、防衛二法の強行採決等々の混乱がございまして、私どもは積極的かつ精力的にこの法案を取り扱うために努力をいたしましたけれども、私の非力では、この目に見えない力に抗し切ることができなかったのであります。
 他方、労働関係では、五月十五日に職業訓練法案が付託され、また、七月三日に失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、労働保険の保険料の徴収等に関する法律案、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案が一括して付託になりました。前者は七月三日に、また、後者の三法律案は七月十七日に委員会審査を終了して議決を行なったのであります。したがって、労働関係の法律案は、付託されたものは、すでにすべての審査を済ませている次第であります。
 以上、法案の進捗状況から委員会の審査の実体を申し述べたのでありますが、次に、委員会審査の進め方に関する各党間の申し合わせを中心に審査の姿勢について申し上げることにいたします。
 参議院先議の自然公園法の一部を改正する法律案を議決をして、次の職業訓練法案審査に入った六月の五日に、特に私は、「委員会の運営についての理事会打ち合わせ事項」について、委員全員の了承を求め、その旨を当日の会議録の記録にとどめました。それは次の八項目であります。
 その第一は、定例日は、火曜日及び木曜日とする。
 その二は、法律案の審査は、原則として、本付託の順序に行なう。
 第三は、質疑者の数及び発言時間の制限はみだりに行なわず、審査は慎重に行なうこと。
 その四は、必要に応じ、参考人の意見を聴取し、公聴会、連合審査会を開催する。
 第五は、委員の異動はみだりに行なわない。
 六、委員はつとめて委員会に出席し、常に定足数を確保する。
 第七は、しばしば参議院におきましても問題になっておりまする強行採決のことでありまするけれども、これらは、冒頭申し上げましたように、委員会のその後の運営にきわめて重大な悪影響を及ぼし、やがては、わが国の民主議会制度を破壊するものと私は考えまして、全委員にはかりまして、強行採決は避ける。これが第七項目で、申し合わせ事項として、はかったものであります。
 第八は、当然のことでありますけれども、その他委員会の運営は、理事会における話し合いにより円満に行なう。という八項目であったのであります。
 このことは、自由民主党の委員の諸君を交え、全会一致で確認されましたことを、この壇上から御報告申し上げる次第であります。(拍手)
 自来、さきに述べましたとおりの各法案の審査は、この申し合わせにのっとって、順調に、しかも、法案の予期する実施期日に支障を及ぼすようなことなく、順次進められてきたのであります。しかるところ、七月十四日に、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案が本付託となって、最初に訪れた定例日の十五日に至りまして、自由民主党の理事から、右の申し合わせ事項の例外を認めてもらいたいという申し入れがなされたのであります。
 そこで、その申し入れをめぐります理事会の打ち合わせ経過を若干詳しく述べることにいたしますが、ところで、その打ち合わせの前提として重要な事柄があります。それは、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に関する衆議院社会労働委員会の審査と採決及び衆議院本会議における採決に対する解釈の紛糾という事実であります。私が、ここでその問題を詳しく触れることは、他院に対する内政干渉ととられるおそれなきにしもあらずと懸念いたしますので、遠慮をいたします。ただ、参議院社会労働委員会に付託された送付案に含まれる修正の内容については、衆議院の社会労働委員会において十分な審査が欠けていたという事実と、本会議の採決の方法について、各党間の解釈が統一されていなかったという事実とを指摘するにとどめます。この二つの事実のうち、前者は、参議院社会労働委員会における審査の進め方をめぐる各党理事間の話し合いに重大な関係を持ち、また、後者の事実は、審査の開始時期を決定する各党理事間のやりとりに重要な関係を持ったものと思量いたすのでありまして、あえて指摘しておきたいと存ずるのであります。
 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案の取り扱いをめぐる理事会は、七月十五日、十八日の二日にわたって繰り返されたのでありますが、本日の報告に至るまでの委員会の審査姿勢について実情をよく物語っていると考えますので、会談の内容を詳細に申し上げることといたします。
 七月十五日、厚生関係の定例日となっておりましたので、当日の公報には、次の議案を付託順に掲載を委員長としていたしました。第一は、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案(閣法第五九号)(衆議院送付)、その次は、国民年金法の一部を改正する法律案(閣法第六四号)(衆議院送付)、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第九三号)(衆議院送付)、児童手当法案(参第二号)、出産手当法案(参第三号)、社会保障基本法案(参第四号)、母子保健法の一部を改正する法律案(参第二八号)、看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案(参第一八号)、社会保障制度等に関する調査。この掲載順序は、六月五日の申し合わせ第二項に基づいて、同時に審査の順序を示したものでもあります。
 一時十三分、理事会を開催いたしましたところ、自民党の理事から、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由を本日聞くことにしてもらいたいという第一回の申し入れがなされました。前に審議中の法案があったとしても、本付託になった法案の提案理由を聞くことは審査の順序を変更することにはならないし、また、本会議で趣旨説明が行なわれたことは、法案の重要度を示す一つの客観的な尺度と解すべきだから、できるだけ早く審査に入ってもいいのではないかということが申し入れの説明であったわけであります。これに対して、日本社会党の理事からは、現在付託され、すでに提案理由の聴取を終え、質疑に入る申し合わせがすでに済んでいるのであるから、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、それと国民年金法の一部を改正する法律案の二つの法案をすみやかに解決をし、健康保険法案の審査に専念できる当委員会としての態勢を早急に整える必要があるではないか。重要法案であるということは、審議を十分に尽くすべきであるという理由にはなっても、他をないがしろにしてもよいという理由にはならないのではないか。まして現在審査中の二法案といえども、国民、関係者にとっては重要性に変わりはないし、特にその中の国民年金法改正案は、本会議で趣旨説明が行なわれた点では同じ比重を持っている法律案である。この二法律案の質疑を詰めるのにきょう一日はかかるだろう。二法律案の審査をおろそかにしてしまわない限り、健康保険法案の審議に入ることは、物理的に、時間的に不可能である。提案理由だけを聞いて、実質上の審査に入れないのならば、何の意味もないではないか、というやりとりがかわされましたのであります。その後、双方とも考慮をあとに残すこととなりました。
 続いて、審査日を週四日にふやしてもらいたいという申し入れが、これまた自由民主党の理事から、その理由を申し述べて申し入れがあったのであります。これに対して他の理事からは、余日が二十日間もあることだから、今日までの審査の進捗状況から見ても、その必要は現段階では考えなくてもよいという意見が、圧倒的に理事会では多数を占めたのであります。自民党理事からの要請で、第一次の理事会は四十二分間で打ち切って、国会対策と打ち合わせのために休憩に入りました。
 二時五十五分、理事会を再開いたしましたところ、自民党理事から、健康保険法案の提案理由聴取を本日中に行なうことについて、自由民主党国会対策委員会が強い要望を持っている旨の申し入れが重ねてなされたのであります。これに対し社会党の理事側からは、衆議院本会議における採決に関する憲法の解釈問題について、各党の間で論議が行なわれている最中であるから、その解明がなされないままに審査に入ることにはたいへん大きな参議院としても疑問がある。この問題は社会労働委員会の問題を越えて、議会制度上の大きな問題として引っかかってくるのだから、その解決を待つべきではないか。当日は正常な状態にある二法律案の審査を進めていって、健康保険関係法案については、いずれかの判定が出るまで審査に入るのを待ったほうがよいという意見が開陳されたのであります。一時間に及ぶ協議の末、三時五十分に至り、ようやく健康保険関係法案の扱いは各党の国会対策委員会での話し合いに持ち上げることにいたし、趣旨説明の聴取が済んでいる児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案と国民年金法の一部を改正する法律案の審査を進めることの了解がついたのであります。この旨を委員会に報告をいたしましたところ、社会党の委員から、社会党の理事と打ち合わせをいたしたいことがあるから、休憩してもらいたいとの申し出がございまして、委員会の開会を暫時おおむね三十分延ばすことにいたしたのであります。かくて、予定の時刻から三時間半おくれまして、ようやく委員会開会の運びにこぎつけることができたのであります。
 まず、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案から審査に入って、質疑を続けましたところ、衆議院における議長・副議長辞職事件が起こったためか、委員の退席が目立ち始めたのであります。私は、この際、何党の委員の方々が退席したかということについては、かような場所でございますから申し上げませんけれども、目立って退席が多くなったために、午後六時三分、委員長として委員会をやむなく打ち切って、当日、三度目の理事会を開くことにいたしたのであります。委員会開会までの三時間半という時間の空費のため、また、加うるに、健康保険関係法案採決の方法をめぐる混乱によって、当日の初めに予定していた児童扶養手当関係法案、それと国民が熱望いたしておりまする国民年金関係法案の審査を中途はんぱのまま残さざるを得なくなったことは、委員長といたしまして返す返すも、まことに残念しごくであります。
 六時三分から開かれた理事会において、自由民主党の理事から、明後十七日は労働関係法案審査の定例日となっているが、午前中だけ厚生関係法案の審査に振りかえてもらえないかとの申し出がありました。これに対して、当日、審査を予定している失業保険法及び労働災害補償保険法の改正案は、それに関連した二つの独立した法律案を伴っていることであり、また、昭和三十九年以来懸案となってきた、労働関係といたしましての重要法案でもあるので、そのような差し繰りをすると、当日中に審査を終了し得なくなるおそれが出てくるため、今国会における労働関係の重要法案をあきらめることになってもかまわないかという異論が出されました。協議の結果、健康保険関係法案のみにこだわることなく、全体の法案をどうするかという大局的な観点から、審査方針を取りきめていこうということに全員が考え方を統一していくこととして散会をいたした次第でございます。以上が第一回の理事会――正確には三度の会合を持ったのでありますが――七月十五日における第一回の理事会における打ち合わせの内容であります。
 一日置いて十七日に、午前十時五十分から理事会を開きましたところ、冒頭、自民党理事から、十五日におけると同様の申し出、すなわち健康保険関係法案の提案理由を午前中に聴取してもらいたいとの申し出が行なわれました。これに対し、社会党理事、公明党理事から、それぞれ、衆議院の議決に関する確定的な了解がついていないという情勢は前回と何ら変ったところがないではないか、新たな話し合いを進めることは不可能ではないか、特にこれから審査に入る失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部改正法律案に対する質疑の通告者はすでに八名出ているのであるから、健康保険関係法案の実質審査に入る時間は物理的に不可能である。理事の間では実質審査を十分にしようという申し合わせであるのに、何ゆえ趣旨説明の聴取にだけそうこだわるのか解しかねる。要は審査に入るという形式にあるのではなく、実質的に審査を進めるという実体にあるのではないかという反論の交換が四十分間にわたって続けられたのでありますが、自由民主党理事の要請によって休憩に入ることになりました。午後二時四十分、再び理事会を開きましたところ、自由民主党としては、きわめて強い決意をもって、健康保険関係法案を議題とすることの手続を用意したい旨の発言がなされたのであります。しかし、六月五日に各党理事間で合意をいたし、そうしてまたさらに、委員全員の了承まで得ておりまする「委員会運営に関する申し合わせ事項」を、できる限り尊重していきたいという委員長の意向に沿うて、今後の善処を含みとして、ともかく労働関係法案の審査を進めることに決しました。二時五十五分、委員会を開会することになりましたが、当日午後七時まで続行された審査によって、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案と、これに関連した二法律案を議決をするに至ったことは、二十一日の本会議の議事日程に掲載されていたとおりであります。しかし私は、ただいまこの中間報告なるものをさせられておるわけでありますけれども、この三法案を扱いました社会労働委員長として、まことに遺憾にたえないと思うことは、いま申し上げたように、すでに十七日の日に三法案を、われわれは、これまた全委員の熱心な審査と、積極的な委員長に対する協力から、三法案は委員会におきましては可決をいたし、本会議に付託をされておりまするが、いまだに、この本会議が開かれておりまするにもかかわらず、われわれが熱心に委員会として審査をいたし、そうして可決をいたした法律案をこの本会議にかけられていないということが、私はまことに残念でならないところであります。
 委員会終了後、直ちに三度目の理事会を開き、健康保険関係法案の取り扱いは前にも申し述べましたとおり、各党の国会対策委員会間の話し合いを待って、あらためて協議することを確認したのであります。
 以上が第二日目の理事会における折衝経過であります。その際に、理事間において確認されていた再度の協議は、次の定例日である二十二日に行なう予定でありましたところ、本会議のこのような情勢によって事実上不可能となった次第であります。
 私はこの報告を閉じるにあたり、かつて昭和三十三年七月三日、本院において、われわれの先輩議員竹中勝男君が文教委員長として述べられた名言を思い起こすのであります。
 それはただいまと同じように、当時、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、その案についていわゆる中間報告を求められたときのことでありました。竹中氏はこのように述べているのであります。「中間という以上は、国会法によりましても、また一般の慣行や常識上から考えましても、初めがあり終りがある事柄について、少くともその初めからの発足があって後に中間があるのでありますが、現在この場合は、初めのない中間報告であります。きのうがない今日というようなものがあり得ないように、出発開始のない中間は実在しない」と述べておられるのであります。私はけだし名言と申さなくてはならないと思います。
 その当時から十年を経過して、去る二十一日には、人類が有史以来抱き続けてきた夢も、ようやくアポロ十一号が月面着陸という世紀の大事業に成功をいたしたのでありまするが、こうした月面着陸と人類の前途、限りない人間の可能性、その可能性を実現する手段は、もちろん科学でありましたが、科学といえども原理、原則の上に築かれているのであります。それに反して、わが国の最高機関といわれる国会において、初めがない中間、そうして中間をもって終わりという矛盾の中に私は立たされているのであります。審査の実体がないのに審査の経過を報告せい、というのでありますから、これは無理というものであります。このことを称して、無理が通れば道理が引っ込むと言っておるのではないでしょうか。
 私はこの機会に、声を大にして皆さんに申し上げなければなりません。何がゆえにこのような無理を通そうとされるのか、不合理を合理化せねばならない理由は一体何であるのでありましょうか。率直に申し上げますれば、報告者として最も苦悩し、心から残念に思うことは、その一事にあるのであります。重ねて申し上げます。提案理由はもとより、当委員会におきましては、ただの一回の審査も行なっていないことを申し上げます。したがって、国会法第五十六条の三、すなわち、各議院は、審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる−とあるが、私のただいまの報告は、どのように解釈されようとも、国会法第五十六条の三に当てはまらないのではないでしょうか。
 以上、院議をもって中間報告を求められたことについて、社会労働委員会における経過を申し上げ、報告を終わります。(拍手)
○副議長(安井謙君) ただいまの中間報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。森勝治君。
   〔森勝治君登壇、拍手〕
○森勝治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいまの社会労働委員長吉田忠三郎君の経過報告に対しまして、若干の質疑を行ないたいと存じます。
 私があえて経過報告と呼びまするゆえんのものは、吉田君も述べておられまするように、初めのない中間報告などあり得ないと切に考えるからであります。吉田君から、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に関して中間報告を求められたけれども、社会労働委員会において趣旨説明がなされておらない。したがって、審査に入っておらないので報告することは何もないということが報告されました。私は、これは重大な問題だと思うのであります。いまだかつて、このような先例はございませんでした。
 御承知のように国会法第五十六条の三、吉田君も、この点について触れられましたが、この五十六条の三におきましては、委員会に付託され審査中の議案については、本会議において中間報告を求めることができる――ということになっております。さらに、参議院規則第三十九条では、委員会は、議案が付託されたときは、説明を聞いて審査に入る一とされております。
 このことは、一口に申し上げますならば、社会労働委員会において、健保法等を改正する法律案について提案理由の説明をまず厚生大臣が行ない、修正案の提案説明を提案者が次に行ない、この説明を聞いて、しかる後に、審査に入ったときに初めて本会議において中間報告を求めることができるのであります。委員会における趣旨説明を抜きにいたしまして中間報告を求めることは、まさに天に向かってつばすることであり、かかる暴挙は国会史上に例を見ないものであります。
 私の記憶する限りでは、昭和三十三年の学校管理職手当法案について――この点につきましては、ただいま吉田委員長から触れられましたが、当時の竹中勝男文教委員長の中間報告と、昭和三十八年、失業保険法一部改正案について、当時の鈴木強社労委員長の中間報告と、二つの例が存在いたしております。しかし、これらはいずれも当該委員会における趣旨説明を行なった後に要求されておるのでありまして、今回のように、何らの趣旨説明もないままに中間報告を求めた例はないのであります。
 もともと理屈の通らないことを強要された吉田君の苦衷をお察し申し上げると同時に、現時点で中間報告などあり得ないと、き然たる見解を表明された社労委員長の御見識に対し、心から敬服の誠をささげるものであります。(拍手)
 吉田君の報告でも明らかにされたのでありますが、私は、これは単に一法案の内容、審議の問題にとどまるのではなく、憲法にかかわる重大な問題であると考えておるのであります。その理由等についてはここで詳しく述べる必要はないのでありまするが、皆さん御承知のように、過ぐる衆議院におきましては、起立採決という、憲政史上前例のない暴挙がなされた事実を、私どもは肝に銘じておく必要があると思うのであります。
 佐藤総理が、去る二十二日の本会議におきまして、わが党の矢山有作君の質問に対しては、憲法違反ではないなどと答えておりましたが、いかに陳弁これつとめましょうとも、それは総理の全く思い上がりにすぎないのであります。佐藤総理がどう考えられようとも、憲法第五十七条を消すことはできないのであります。国民のためのよき健康保険法制定のために心魂を傾けられております社労委員長の吉田君は、この現状をどのように把握されておられますか、まげて御説明を願いたいと思うのであります。
 今日、憲法を無視し、議会制民主主義を踏みにじる政府が国民を破滅に導いてきた事実は、ナチス・ドイツ、ファシスト・イタリア、軍国主義日本の例を見るまでもなく、世界の歴史の中に明らかなところであります。近くは自国民の目をはぐらかし、ベトナム侵略戦争に狂奔し、沖繩を奪っているアメリカが、そのよき例でありましょう。
 一九六三年、トンキン湾事件を契機にいたしまして、本格的にベトナム侵略に乗り出しましたアメリカは、六年の歳月と一千億ドルをこえる戦費を浪費し、三万四千名の米軍戦死者を出し、朝鮮戦争の二倍の犠牲をしいながら、数限りないベトナム人の殺戮を行なってきましたが、ベトナム人民の戦いと、平和を願う世界世論の前に、いま敗れ去ろうとしております。
 このベトナム戦争によってアメリカは、みずからの欲望と利益のために、ベトナムにおいて病院を爆撃し、学校を破壊し、ベトナム人の自由と生命と平和を奪い去るとともに、アメリカ国民の自由までも奪っているところであります。いまや、アメリカにおいては、自由と民主主義が、音を立ててくずれ去ろうといたしております。
 諸君は、一九六七年のワシントン大行進のことを覚えておられるでありましょうか。ベトナム戦争に反対をし、国防総省を囲んだ市民に対して、アメリカ政府は銃を向けたではありませんか。銃口の前に立たされたのは、間違いなく、アメリカ国民であったことを忘れてはならないでしょう。ブラック・パワーと称される黒人の暴動は、このような政府権力に対して、自由を求め、みずからの解放を求める、人間として最も基本的な権利の要求のあらわれであります。私は、ここで、単にアメリカの社会の論評を行なおうとしているものではありません。民主主義を否定する権力は、自国の国民ばかりでなく、他国民に対しても、自由を奪い、破壊をもたらしている事実を強調したいがためであります。
 去る六月、沖繩全軍労のストライキに対して、アメリカ軍は、銃に着剣して突進をし、安里社会大衆党委員長に刺傷を与えたことは、いまだわれわれの記憶に新しいところであります。沖繩におけるアメリカの軍政が、何らの根拠もない不当なものであることは、説明するまでもありません。最も重要なことは、沖繩百万県民を規制している米軍の施政が、日本国憲法はもちろんのこと、アメリカの憲法にも根拠を持っていないという事実であります。もちろん、日本国民たる沖繩県民に、アメリカの憲法を適用するなどということは、原理的にもあり得ないことであります。アメリカの憲法の基本であるといわれる自由あるいは民主主義という理念が、沖繩において、米軍によって完全に圧殺されているという事実は、アメリカが国内で民主主義そのものを踏みにじるアメリカ政府の投げかける暗い影であります。もとより、これはひとり、アメリカのみの姿ではありません。つい二十数年前には、軍国主義日本においても、国民の自由は影もなかったと同時に、朝鮮、中国では、日本は、これら人民の人権を切り捨てたのであります。そうして今日、自民党政府は、憲法の精神を無視して、軍備を整えるとともに、議会制民主主義のなしくずし的破壊を現に行なっておるのであります。
 申すまでもなく、国会は、国の最高議決機関であって、国会が定める法は、国民の一人一人を規制するものであります。したがって、法を定め、あるいは改正を行なう場合は、法が国民の権利及び生活をいささかなりとも侵すことは許されないのでありまして、それゆえにこそ、法案、議案の審議にあたっては、慎重の上にも慎重を重ね、あらゆる意見を徴することが求められておるのであります。この原則を守ることが、主権者たる国民の義務であり、このことなしに議会制民主主義はないものと考えるものであります。
 健保法改正案を審査するに先立ち、社会労働委員長たる吉田君は、このことをどのように受けとめられ、慎重審議を具体的にどう進められる決意であったのでしょうか、御意見を伺いたいところであります。
 さらに私は、いま一つ重要な問題について吉田君の御見解を伺いたいと存じます。
 御承知でありましょうが、健保特例法は、国民の健康を守る基本である医療のあり方に関する重要な法律であります。そうでありまするがゆえに、二年前、特例法が提案されましたときにも、非常に活発なる審議が行なわれたところであります。特例法そのものの中身の説明は避けますけれども、国民の負担を増大させるものでありまするから、国民各層より多大の反対表明がなされたところであります。その反対を押し切って強行採決がなされる際に、政府は、二つの約束を国民の前に表明しておるのであります。一つは、特例法の有効期間内に抜本的改正を行なうこと、いま一つは、特例法の引き延ばしは行なわないこと、この二点であります。今日、この時点で、この約束はどこにあるのでしょうか。吉田君にお伺いしてみたいところであります。
 問題は、それだけではないのであります。抜本改正を怠り、延長法案を提出しただけでも国民に対する重大なる背信行為であるのに、それのみではなく、特例法延長案の修正という裏街道を抜けて、健康保険法そのものの改悪を行なったではありませんか。まことにけしからぬことであります。
 さきに述べましたように、健康保険法は、国民の健康にかかわる重要な法律であります。国民に対する政府の背信行為は、いかなる場合も許されるものではありません。事柄の重要性を考え合わせるならば、なお一そうその感を深くするものであります。この点、社労委員長の吉田君は、どのように考えられておるのでありましょうか、お伺いしたいと思います。
 そもそも、社会労働委員会は、国民の社会保障のあり方に責任を負う審議の場でありましょう。その長でありまする吉田君は、健康保険法の重要さと、委員会の義務を踏まえ、このような政府の行為に対して、いかなる考えをお持ちでありましょうか、お伺いをしてみたいと思うのであります。
 いまや、世界第二位の高度経済成長の陰に、公害、交通事故、住宅難、職業病、労働災害、成人病など、新しい貧困と疾病は日を追うて増加しております。いまこそ国民の生命と健康を守るための社会保障の拡大が要求されているのであります。政府みずからが、国民生活白書の中で、このことを強く取り上げておるにもかかわらず、現実の施策は、今回の健保改悪案に見られるように、後退に次ぐ後退では、国民の期待を裏切ることまことに大であります。私は、ここに、切に政府・自民党の反省を求め、信をつなぐに足る国政の開発に徹せられんことを強く望んで、私の質問を終わります。(拍手)
   〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕
○吉田忠三郎君 森君の御質問にお答え申し上げます。
 森君の御質問を伺っておりますと、国際的な視野に富んだ、たいへん識見豊かな、示唆に富んだ御質問であったと考えまして拝聴をいたしておったところであります。
 要約をいたしますれば、質問の第一点は、現時点における中間報告というものがあり得るのかどうかということのように私は伺いました。
 それから第二点は、衆議院社会労働委員会においての七月の十日の暴挙といわれる採決、七月十四日の衆議院本会議での、明らかな憲法の五十七条の違反ではないのかというような意味の御質問であったと解しているわけであります。したがって、憲法論議になりますれば、私は憲法を専攻した者でもなければ、憲法学者でもございませんから、したがって、今日の関係いたしておりまする憲法の条項、国会法の条項、これに関する諸規則等を申し上げて、そうして賢明な森君の御判断によりたい、これをもって答弁にかえたい、こう思っている次第であります。
 それからもう一つは、こうした国会運営をたび重ねて行なう場合においては、わが国の自由と民主主義が崩壊するのではないか、議会制民主主義が空洞化されるのではないかという御質問のようでございました。
 それからその次には、健保特例法を審議していく上にあたって、ただいま社会労働委員会に本付託されたものは、結果的には内容は違っているのであるが、これを委員長としてどう受けとめて、これから慎重審議をやるためには具体的にどうするのかという御質問の趣旨だと私は承ったのであります。
 その他幾つかございましたが、これを逐一申し上げておりますれば、先ほどの動議を求めた方の答弁と同じようになりまするから、私はあえてこの点を避けまして、順次この御質問の趣旨に簡潔明瞭に御答弁をいたしたいと思う次第であります。
 ただ、森君に一つお断わりをしておかなければなりません点は、ただいまも申し上げましたように、憲法については簡単にはなかなかまいらないと思うのであります。したがいまして、先ほど申し上げた方法で憲法については申し上げますから、あらかじめ御了承賜わりたいと存ずる次第であります。
 第一の、中間報告について一体あり得るかどうかという御質問でございますけれども、これは私見を交えない委員長としての、先ほど中間報告を求められた段階での経過の報告で私が申し上げたとおりでございます。私は今日の段階では森君と全く同感でございまして、当然のことながら、中間報告などはあり得ないものと考えておる次第でございます。
 さて、問題の憲法でありますけれども、これはたいへんなむずかしい問題でございます。そこで私は、森君だけではなくして、森君に答弁することを通しまして、本院における議員の各位にも私はこのことを申し上げてみたいのであります。
 憲法でありますから、憲法制定当時のことから申し上げなくてはならないと思うのであります。御承知のように、昭和二十一年十一月三日、日本国憲法公布におきまして天皇陛下から賜わりました勅語の一節を私はこの機会に申し上げたいのであります。それはこの憲法に対するこれからの答弁の基調になるからであります。天皇陛下から賜わりました勅語の一節には、「常に基本的人権を尊重し、民主主義に基いて国政を運営することを、ここに、明らかに定めたのである。」と賜わっておるのであります。
 しかるに、衆議院といわず、参議院においても今国会での相次ぐ強行採決は、まさに「異常」の二つの字に尽きるのではないかと考えております。何と言おうと、特に七月十日の衆議院本会議における、自由民主党は修正案を提出したと称していること、及び十四日の衆議院本会議における、森君も御指摘されましたように、明らかに憲法五十七条の明文にしるされているものの違反は、民主主義を唱えるこの憲法を否定するものであって、断じて許されてよいものとは私は考えておりません。ですから、こうした事柄が、良識ある衆議院議長、副議長が、表面には表現として出てまいらなかったようでありますけれども、辞任をしてこの解決に当たったのではないかと私は推察をいたすのであります。しかも、国民大多数はこの問題の大きさを重大視していると思うのであります。なぜかならば、各新聞報道、テレビ等の社説、論説等によりましても、あの議決は無効ではないのかという印象を与える論説が圧倒的に多いからであります。
 私が仄聞をいたすところによりますれば、衆議院の社会労働委員会、その委員会の部屋の前で――ざっくばらんに申し上げますれば、皆さん国会議員でありますから、国会のいわゆる内部事情を十分御了察いたされておるわけですから申し上げるわけでございますが、廊下において何か七月十日の夜の事柄が起きたと、私は聞いているのであります。しかも、そのときに自由民主党は、提案理由はもとより、修正案も一括して可決をいたしたと、こう言っているところが、つまり国会法の違反であるとか、あるいは国会法が無視されたとか、憲法に違反したとかいわれている第一点ではなかろうかと、私は想像をいたしているわけであります。
 第二点でありますが、これも私は聞いたのでありますから信憑性はわかりません。わかりませんけれども、伺ったところによりますと、七月の十日の夜でございますが、これはただいま申し上げたような状況下でありまするから、当然違法性が強い。強いというより、ただいま衆議院段階の  他院のことでありますから、あまり私は他院のことについては内政干渉の疑いがありますから、あまり申し上げたくないのでありますけれども、衆議院側では問題視されているところではなかろうかと思うのであります。御承知のように、健康保険法の改正が、社会保障制度審議会及び社会保険審議会などの議を経ずして行なったことは許されないと、これまた、どこかの新聞の論説に載っておりました。私も多少、せっかくの御高見豊かな森君の質問ですから、できるだけ的確に答弁申し上げなければならぬと考えまして、調べてみたわけでありますけれども、確かに、この社会保障制度審議会設置法第二条に、「審議会は、自ら、社会保険による経済的保障の最も効果的な方法につき、又は社会保険とその関係事項に関する立法及び運営の大綱につき研究し、その結果を、国会に提出するように、内閣総理大臣に勧告し、内閣総理大臣及び関係各大臣に書面をもつて助言する任務及び権限を有する。」とうたつているのであります。これが森君御承知のとおり、同条の第一項でありまして、続いて第二項には、「内閣総理大臣及び関係各大臣は、社会保障に関する企画、立法又は運営の大綱に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」と規定をいたしております。そうして次には、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法という法律がございますが、その第二条には、「審議会は、政府の管掌する健康保険事業並びに日雇労働者健康保険事業、船員保険事業及び厚生年金保険事業の運営に関する事項について、厚生大臣又は社会保険庁長官の諮問に応じて審議し、及び文書をもつて答申する外、自ら厚生大臣、社会保険庁長官又は関係各大臣に、文書をもつて建議することができる。」と明確に示されているのであります。中央社会保険医療協議会についても法律がございまして、その法律の十四条に、「中央協議会は、左に掲げる事項について、厚生大臣の諮問に応じて審議し、及び文書をもつて答申する外、自ら厚生大臣に、文書をもつて建議することができる。」とあります。次に、健康保険法を見るならば、その第二十四条ノ二に、「厚生大臣又ハ社会保険庁長官ハ政府ノ管掌スル健康保険事業ノ運営ニ関スル事項ニシテ、企画、立法又ハ実施ノ大綱ニ関スルモノハ予メ社会保険審議会ニ諮問スルモノトス」と明確にしるされております。このことは、社会保障制度の権威者たる森君も十分御存じのとおりであります。第四十三条ノ十四は、社会保険医療協議会への諮問について定めているのであります。すなわち「厚生大臣第四十三条ノ四第一項若ハ第四十三条ノ六第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ定メントスルトキ又ハ第四十三条ノ九第二項ノ規定二依ル定ヲ為サントスルトキハ中央社会保険医療協議会二諮問スルモノトス」となっております。ここにいう第四十三条ノ四第一項とは、「保険医療機関又ハ保険薬局ハ当該保険医療機関ニ於テ診療ニ従事スル保険医又ハ当該保険薬局ニ於テ調剤二従事スル保険薬剤師ヲシテ第四十三条ノ六第一項ノ規定ニ依ル命令ノ定ムル所ニ依リ診療又ハ調剤ニ当ラシムルノ外命令ノ定ムル所ニ依リ療養ノ給付ヲ担当スベシ」と、これまた明確に法律が定めをいたしておるのであります。そうしてまた第四十三条ノ六第一項とは、「保険医療機関ニ於テ診療ニ従事スル保険医又ハ保険薬局ニ於テ調剤ニ従事スル保険薬剤師ハ命令ノ定ムル所二依リ健康保険ノ診療又ハ調剤ニ当ルベシ」という条文であります。この点からすれば、当然のことながら、初診時、入院時などの患者の一部負担を法制化する場合には、これまた森君御案内のとおり、中央社会保険医療協議会に諮問しなければならないととが明確に法律で規定をいたしているのであります。何となれば、本法案が実施されるならば、保険医療機関における保険医は、厚生大臣の定める命令に従って患者から二百円の初診料と一日六十円の入院料を徴収することになるからであります。
 ここにいわゆる中央社会保険協議会等々が問題にしている意味があるのだと私は推察をいたしているわけであります。審議会等々に対する諮問を義務づけている法律のみを列挙すれば、第一に、社会保障制度審議会設置法の第二条第二項、第二に、健康保険法の第二十四条ノ二、第三には、同法第四十三条ノ十四、以上三つでございます。本案件は、まさに右の三つに抵触することは、これ以上の説明を、森君自体がたいへん御勉強なさっておりまするから、必要がないのではないかと存じます。
 これに対して予想される反論が、私はあるのではないかと存じますが、これらの義務規定は、厚生大臣をはじめとして関係各大臣に対しても拘束を持つだけであって、与党の議員立法の手続によって出された本法案は、これに該当しないという議論であります。しかしながら、御承知のように、今日の政党政治のもとにおける議院内閣制においては、少数党はいざ知らず、与党は実際問題として内閣と一体のものであって、政府の義務は、与党として行なうなら免れ得るという論は成り立たないものと、私は解せねばならないものと判断をいたしております。もし、このような議論が成り立つものとすれば、政府の義務不履行の責任をすべて与党の責任に転嫁さえすれば、何事も合法化し得ることになるでありましょう。本法案の場合も、政府原案を大幅に修正して本法を改悪する際、この案を閣議の席で公然と論議し、閣議が了承という手続を踏んでいることは、森君御承知のとおり、申し上げる必要が今日さらさらないと思うのであります。今日の議院内閣制の実態を端的に示しているものと考えられるから、私はあえてつけ加えて答弁をいたした次第であります。
 さらに、七月十日夜の事柄について、全く無効であるという説は一体どうなんだかということでありますけれども、常識的に見ても明らかでありまするように、もしかりに、森君なりあるいは議会が百歩譲ってみたところで、委員会が一これは私はお互い国会議員でありますから、委員会の会議というのはどういう手続、手順等々を踏まえながら運営するかという立場から、あえて常識的と、こう申し上げているのでありますけれども、委員会が院内の廊下でも開催ができるものと解釈するならば、国会法第四十九条に私は抵触するのではないかと思うのであります。国会法四十九条には、「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」と、しかもその会議を開く場所は、明らかに公報で第何号、第何号と、それぞれの委員会室が定められているのであります。そういうことが明確に国会法で示されているとするならば、これも、私は仄聞をいたしたのでありますけれども、衆議院における委員会の実態というのは、何か廊下で七名か八名の与党委員が集まって、そうしていろんなできごとはあったようでありますけれども、それが結果的には成立をしたとか、あるいは一切がっさい可決をされたと、こう今日称せられているところに、私はたいへん大きな問題が存在しているのではないか、こうやはり考えざるを得ない。この点につきましては、森君と全く私は同感でございます。
 なお、採決というものは、これまた、お互いにそれぞれの委員会に所属をいたして、長年議会活動を展開されてまいりました議員の皆さんですから、申し上げる必要がないのでありますけれども、委員長が採決に加わって議決をする場合には、賛成、反対同数のときにのみ、委員長がその採決に加わってきめるということになっておるのであります。それが衆議院の場合におきましては、最前もちょっと触れましたけれども、七名か八名の方々が立って、夜の夜中でございますから、廊下でありますから、人影もあったのではなかろうかと私は推察をいたしますが、そういう方々も、すべていわゆる数の中に加えて可決をしたということですから、今日新聞紙上でも、何かまぼろしの法案とか言われていますこのゆえんは、ここからきたのではないかと思うのであります。
 なお、他院のことでありますけれども、衆議院規則第四十四条は、「委員会は、議案が付託されたときは、先ず議案の趣旨についてその説明を聴いた後、審査に入る。」これは参議院側でも、これと全く同じような条項がございますることは、質問者の森君も十分御承知おきのとおりであります。ところが、こうした規定があるにかかわらず、与党修正案に関して、衆議院社会労働委員会は、片言隻句の趣旨説明らしきものも何かなされたと、私は仄聞をいたしておりますけれども、これまた同規則第四十五条には、こうしたことを戒める諸規定が明確になっているのであります。
 あまり憲法の問題に触れまして、冒頭に申し上げたように、詳細そういう諸規則を調査をいたしまして、できるだけ質問者に対して納得をしていただくために調べてまいりましたけれども、これはまだまだ申し上げますれば、関係法律がたくさんございますから、この点は、あとあとその時間が許されれば、全部読みますけれども、そうでないとするならば、この辺は私は多少割愛さしていただいて、どうせ私のこの原稿は、速記のほうにおあげしますから、おそらくや、こういう点は記録していただけるものと思うが、しかし、申し上げなければ記録にならないということに、これまた法律にきまっておりますから、あえて二、三点だけ申し上げたいと思うのであります。
 「委員会が予算を伴う法律案を提出するときは、その法律施行に関し必要とする経費を明らかにした文書を添えなければならない。」と、これまた、こうきまっているのであります。しかし、十日夜の委員会室の中にいた委員が気がついたときに、天井のほうからビラが降ってきて、これをあとからよく見てみましたところが、ここにいう修正案であったというような状況でありまするから、これまた予算を伴っているわけでありますから、この条項に抵触するのではないか。当然立法府に籍を置いておりまする議員としての解釈はそうなるんじゃないか、こう思っておるようなわけであります。
 それからなお、同規則第五十条には、「討論が終局したときは、委員長は問題を宣告して表決に付する。」、こうなっております。ところが、これまたあの夜のできごとは、委員長の宣告などはまるでなかったと私は仄聞をいたしているのであります。ですから、御質問にもございましたように、これまた関係する法律に私はやはり抵触をいたす問題であろう、こう思うのであります。
 さらにまた、他党の、私は悪口を申し上げるのではございません。ございませんが、そのまま申し上げなければ、これは質問者に誠意をもって答えるということになりませんから申し上げますけれども、自民党は、委員会室まで出張してこなかった委員の数まで入れたとか入れないとかというのがいろいろ問題にされているようであります。これはその後に、私もテレビを見ておったのでありますけれども、何か衆議院におきまして社会党の大原議員がその点を質問したところ、当時その扱っておった委員長は、答弁が満足にできなかったというようなこと等がたいへんな騒ぎになりまして、私も多少テレビで拝見をいたしておったのでありますが、この点については、詳細、森さんに答えるような資料は、残念ながら私はまだ手元のほうには調査をいたしておりませんから、この点はあらかじめそういう点であしからず御了承を賜わっておきたいと思うのであります。
 それから次に、御質問の第三における二つ目の問題、すなわち、七月十四日未明の衆議院本会議における起立採決が有効であるかどうか、こういう御質問の趣旨でございましたけれども、これは先ほど申し上げた憲法の条文をすなおに読めば、その答えは何ぴとといえども出てくる問題ではなかろうかと存じているのであります。私個人のことを質問されたわけでありますから、個人として考えてみると、これは国会に籍を置くとか置かないとか、いわゆる法律を専攻しているとかいないとか、法律学者であるとかないとか、そういうことは問わず、この近代社会における、特に最近学校教育が非常に進んでまいりましたから、教職員の努力によりまして  したがって、今日の小学生でもこのことについてはわかるのじゃないかと思いますから、この点は質問者の森君も、私のこのことばで御理解賜わりたいと思う次第であります。大体憲法について関連する点はこの程度ではなかったかと思うのでありまして、次の第三点のほうの答弁をいたしたいと思います。
 第三点は、この憲法論議から発しまして、自由と民主主義が空洞化されるのではないか、こういうような御質問の趣旨であったと思うのであります。私も同感であります。自由と民主主義の空洞化を、国の最高機関でありまする唯一の立法機関がみずから行なっているように思われることは、たいへんな私は関心事だと思うのであります。これでは立法機関の資格をみずから失うことになるのではないかということで、その院に議席を持っておる者として、私は心から心配をいたしているものであります。特に最近は、御承知のように、冒頭に天皇陛下の、この勅語を賜わった点を一節申し上げましたが、私は非常に心配をいたしておりまするのは、森君の質問にもございましたように、ベトナムの戦争、アメリカの問題も出まして、たいへん国際的な視野に富んだ質問でございましたが、私もこの点は同感でございまして、憲法第九条、戦争の放棄、第二十五条、ただいま私どもがこの問題にいたしておりまする保険制度等の問題もそうでございまするけれども、社会保障、社会福祉、公衆衛生、文化的な最低限度の生活、第九十二条以下の地方自治の空洞化が目立ってきたように私は思うのであります。これに加えて、四十一条以下の国会の規定を否定するこのたびのような、すでに皆さんが、この演壇で数々の方々が申されたような暴挙が常識的に行なわれるということになりますれば、たいへんな私は事態が発生すると思うのであります。私はきわめて浅学非才で、微力な者でございますけれども、国会議員の一人として、とうてい容認のできないものであるということを申し上げてお答えにかえたいと思う次第であります。
 次に、第四点でありまするけれども、本院で六月十八日、趣旨説明を聞いたのは一体何であったのか。これは、先ほどの報告の中でも申しましたように、これはあくまで健保特例法であったことは当然であります。しかし、衆議院から送付をしてきたと称しておりまする幾多の法律的な問題を内包した、しかも、内容とその性格を全く変えたものでありまするこの法律案は、したがって、いろいろ今日社会的な、政治的な問題を私はかもし出しているのではないかと思うのでございます。それを森君は、一体、君は社会労働委員長として、これをどう扱っていくのか、具体的にこれから審議をどうやっていくのだ、こういう御質問であったように思うのでありますが、私は、参議院の常任委員長の席にある者として、これを受けとめて審査に入る気持ちをいま直ちに持てと言っても、かなりやはり時間が必要ではないかと考えております。そうして、また、参議院社会労働委員会は六月の五日に、先ほど報告の中にも詳細申し上げましたように、各党超党派で、満場一致、ただ一人の異議もなくきめた申し合わせ事項がございます。しかも、ただいま社会労働委員会は、わが国の児童の問題で大切な児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案を審議中でございます。同時に、国民年金法の一部を改正する法律案も、ただいま審議中でございました。これも報告に申し上げたとおり、きわめて国民生活にとって見ますれば、重要な法案を審議中でありまするから、委員長といたしますれば、この院議でどうおきめになるのか、私は存じ上げておりません、これからのことでしょうから。しかし、院議できまれば院議できまったように、委員会には理事会もございまするし、先ほども申し上げましたように、私どもの社労委員会は、ああした八項目を満場一致できめるような委員会ですから、まことにスムーズにいっている委員会ですから、各委員の皆さんとも、この件について、新たなる問題ですから、相談をして私は運営をしたいと思います。しかし、私は、当面は、今国会の日数も御案内のとおりきわめて少なくなってまいりました。したがいまして、ただいま審議中のこの重要な二つの法案は、より積極的に各委員の皆さんの御協力をいただき、一日も早くこの国会で成立をして、国民の負託にこたえたい、こういう考えを持っておりますることを申し上げておきたいと思います。(拍手)
 第五は、一体、政府・自民党は、この法律をどのようにいままでに扱って、どういう国民に対して約束をしてきたのかという意味の御質問でありましたが、これはもう私から答弁するまでもなく、森君自身が御案内のとおり、政府・自民党は、四十二年に健保特例法を、社会党をはじめとする多くの関係団体や、被保険者が反対をしたにもかかわらず、二年前に、相次ぐ強行採決の連続をいたしながら、強引に成立させたことは、御承知おきのとおりであります。
 ただ、ここで私は、やはり触れておかなければならない点は、その当時、佐藤内閣総理大臣はじめ関係閣僚は、特例法の有効期限内に必ずや抜本改正を行なうことを、そうして、その期間中には再延長はしないということを、たびたびこの国会、そして、国会を通して国民の前に明らかにいたしてまいったのであります。しかるに、今日では、森君御案内のとおり、延長というものではないのであります。これは、再三申し上げまするように、まさに本法を改正をして、これが固定化、恒久化をはかろうとする名目的な修正案であって、明らかに私は、いままでの佐藤内閣総理大臣の公約、歴代厚生大臣の公約違反はもとよりのこと、国民を裏切る行為に通ずるものと、各方面から今日批判されておりまするけれども、私も、この点では森君と全く同感でございます。
 第六点は、きわめて簡潔な答弁になりまして恐縮でございますけれども、このことは、森君御指摘のとおり、国民に対して背信行為でございまして、国民を愚弄するものであると、私も考えてみたり、思ってみたりしているところであります。約束を守る議会でなくて何で責任を持って政治を行なうことができるでありましょうか。政治に携わる者の最低限度の姿勢でなくてはならないと思うのであります。公約を守ったり約束を守るということは、最低限度の政治家としての私は姿勢であらねばならぬと思っております。そういう意味でも、このたびの健康保険法は廃案とすることがその政治姿勢を正す唯一の道であると私は考えておりまするけれども、佐藤内閣総理大臣にそれがあるかないかは私の存じ上げるすべはございません。私はそう思っておるところであります。
 最後に、社会労働委員会は国民の生活とまさに直結している点につきましては、質問者の森君と同感でございます。したがって、社会労働委員会という委員会は、私はどの委員会が重要でどの委員会が重要でないということは申し上げませんけれども、やはり憲法にもございまするように、社会保障制度を充実をしてまいらなければならないという見地からすれば、国民生活に密着をいたしておりまするから、重要な委員会であるということは、委員長としては認識をいたしておるところでございます。しかも、今回のような問題を内在しているだけに、私はその責任を痛感いたしております。何回も申し上げておりまするように、衆議院における法案の取り扱いについても幾多の法律的な問題を内包している法案であるということは、賢明な質問者の森君だけに、御了解いただいたものと存じます。したがいまして私は、社会労働委員会をあずかる当面の責任者として、責任を持って扱うことはたいへんな困難に直面するであろうし、困難が想定されるのであります。しかし、私の答弁の最後として、森君を通して全議員各位に申し上げたい気持ちは、この際は、参議院の良識と勇断をもってすみやかにこの法案を撤回をする、このことが国民の負託にこたえる最大の私は道であろうことを確信をいたしているのであります。
 きわめて私は浅学非才で、森君への答弁にかえることができなかったのではないかと思いまするけれども、以上をもちまして森君への答弁にいたしたいと思う次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 中沢伊登子君。
   〔中沢伊登子君登壇、拍手〕
○中沢伊登子君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております初めのない中間報告につきまして、吉田委員長にお尋ねをいたします。
 当然私の質問もまた中身に触れることのできない質問を残念に思います。そこで、私は質問に入ります前に、さきの防衛二法案に引き続き、このたびの健康保険法案等で、連日連夜このような愚かなことをなぜやらねばならないのか理解に苦しむところでございます。このような時間があるのならば、健保にしても十分慎重審議ができるはずではありませんか。わが党は、このようなことを避けるために、一日も早く連日審議に入ることを決定して、議長に回答をし、なお、各党間で最善の努力をしたにもかかわらず、良識の府であるといわれながら、自民党がみずからの議長のあっせん案を踏みにじり、果てはこのような議会運営がなされる羽目となったことはまことに笑止なことであり、残念でたまらないのでございます。あえて自民党に猛省を促さざるを得ないのでございます。
 質問の第一は、衆議院の採決をめぐる問題についてであります。今朝来、再三この問題について質疑が繰り返されましたが、衆議院の採決をめぐる問題について、私は憲法第五十七条違反の疑いがあると信じます。しかし、衆議院でいかに不当な採決がなされたといたしましても、一応成規な手続を経て本院に送付され、付託された以上、本院としてはこれを有効として取り扱うべきではないでしょうか。先ほども数回有効、無効論が出ましたが、無効の最終決定は最高裁における判定によって確立するのであって、そのような確定があるまでは、本院としては三権分立の立場から一応有効なものとみなすべきであると思いますが、いかがお考えでございましょうか。これはまことに重要な点でございますので、慎重に御回答をお願いいたしたいのでございますが、先ほど森委員への格調の高い御回答もありましたように、憲法論議になりますので、無理にとは申し上げないのでございます。
 質問の第二点は、今回自民党から提出されました動議は、国会法、参議院規則に違反の疑いがあるように思いますが、この問題につきましても、先ほど来の討論の中に意見が聞かれましたが、委員長はいかに考えられますか、お尋ねをいたします。
 なお、いまだかつて、委員会において提案説明も行なわれていない法案に対し、直ちに中間報告を求める動議を提出するような例は過去においてなかったと存じますが、いかがでございますか。
 次に、さきの社会労働委員会において、各党間で八項目の申し合わせをいたしましたのは、先ほど委員長の御報告にもありましたとおりでございますが、その後開かれた委員会で審議を進める上に、この八項目は役立ちましたかいかがでしたか、お尋ねをいたしたいのでございます。
 質問の第四は、わが党は、常に、いかなる法案であろうが、法律案の内容、意義等を国民の前に明らかにし、国民の理解を求めていくためにも慎重審議を行ない、いやしくもこれを党利党略に利用するようなことは絶対慎しむべきであると信じてまいりました。これがすなわち議会制民主主義であると存じますが、この点について委員長はどうお考えになられますか。相次ぐ強行採決は議会制民主主義を破壊する行為と言わなければなりません。あなたは社会党から選出されている委員長でありますが、委員長という重責を認識される立場から、私の意見を交えたこの質問に明快なお答えをいただきたいと存じます。
 今国会において、国民にとっての最重要法案の一つであり、その成否をじっと見守っておりますこの健康保険法改正案が社会労働委員会に付託になりました節に、まず初めに、ただいま審議中であります児童扶養手当法、特別児童扶養手当法及び国民年金法の一部改正案を先に御審議になるのでございますか。それとも健保を先になさるのでございますか。児童扶養手当法及び国民年金法は、ひとしく国民がかたずをのんで成立することを待望しているものでありまして、格別、国民年金法は、はがきで、手紙で、電報で、あるいはまた再三再四、全国各地から国民の陳情も受けておりますので、一日も早き成立を委員長をはじめ、全社労委員は願っていると信じております。そこで、この二法案を先に審議するのかいなか。委員長のお考えを伺いたいのでございます。
 次に、お尋ねいたしたい点は、健保の審議に入りました節、民社党にも十分質問の時間を与えられますか、いかがですか。はっきりしたお答えをいただきたいのでございます。実は、去る七月十五日の定例日、社労委員会は午後四時近くまで開会されませんでしたので、私は、得がたい座談会に一人のメンバーとして招かれておりましたので、出席の承諾をいたしておりまして、出かけようとしておりました際、ようやく開会された委員会は、児童扶養手当法の審議でありましたため、委員長に座談会出席の許可を願い出ましたところ、座談会をやめるようおすすめを受けました。そこで私は、これを中止し、私の質問はわずか十分間と申し出たのでございましたが、一人目の質問者である藤原道子委員の質問のさ中、委員長にかわって委員長席におられました大橋委員長代理に呼ばれて、目下衆議院において内閣不信任案が出されるので、不信任を受ける厚生大臣に質問をしても無意味だから質問を取りやめてはと、すすめられたのであります。吉田委員長が委員長席に戻られ、藤原道子委員の質問が済むや、質問を次回に延ばしては……とのことでしたので、わずかに十分間の質問をお願いしておりましたが、取りやめたことがございます。委員会散会後、さっそく衆議院に電話をもって不信任案云々の件を確かめてみましたが、全くそのようなことはなかったのでございます。(拍手)一体、これはいかなることだったのでございましょうか。まるでまぼろしのようなことだったので、この場を借りて、その真相を明らかにしていただきたいと存じましたが、先ほどの委員長の御報告によって詳細がわかりました。しかし、このような想像か、未確認の情報によってでも、議員の発言が取りやめになるということはゆゆしいことだと存じます。まして、強行採決においておやでございます。そこで、健保の審議に際しましては、必ず質問の時間を公正に与えていただくよう、確約を願いたいのでございます。
 最後に、委員会の議事日程については、通常、委員長が理事会を招集して決定されておりますが、特に、今回の本法律案は、まことに重要法案である関係上、各党の意見も十分聞く必要があると存じます。したがって、理事会に理事以外の各党委員一名をオブザーバーとして出席させ、議事の日程等についての協議を行なうべきであると思いますが、委員長のお考えを伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕
○吉田忠三郎君 中沢君にお答えをいたします。
 第一点は、憲法違反の疑いについての御質問であったと存じます。この憲法の問題は、前の質問者の森君のときに憲法の基調、さらには当該する憲法の条項、関連をいたします国会法等、関係いたします各それぞれの制度、審議会等々の法律関係を申し上げましたから、この点でおわかりいただけたものと存じまして、省略させていただきたいと思います。
 ただ、一点だけ憲法違反の疑いがあるけれども、無効であるかないかということについて委員長の所見はどうか、こういうことのような御質疑があったと記憶いたします。この件については、私は先ほども申し上げたように、そういう疑いがあるということで、衆議院段階、あるいは報道関係等々においても批判をされておるようだがというふうに答えましたが、これは違憲か合法か等々については、御指摘のとおり、裁判所できめられるべきものだと思うのであります。その段階で明確になれば、当然無効ということがあり得るのではないかと私は推察をいたします。
 さて、その段階で委員会へ参りましたならば、この健保特例法を一体どう扱うか、こういうことのお尋ねでございます。これは中沢君が御承知おきのとおり、まだ社会労働委員会では、先ほど来申し上げた二つの重要法案を審議中でありまして、しかも委員会全体の満場一致の申し合わせの、本付託の順序から審議をいたす、質疑が尽きた段階で議了するということになっておりますから、最初に中間報告を求められて、経過を報告をいたしたような次第になっておりまするから、この点は御了解賜わりたいと思うのであります。
 それから最後に、民社党さんに質問をこれからさせる意思があるかないかと、こういうようなお尋ねでございますけれども、私は民社党に限ったことではなくして、いまこういう大きな問題をかかえている法律案だけに、与党の自民党、社会党、公明党、そしてまた民社党、つまり社会労働委員会を構成いたしておりまする正規の委員の発言は十分――従来もそうでございましたけれども――確保いたしていくことのために前向きで努力をいたしたいと思いますから、さよう御心配のないようにいたしておきたいと思います。
 それから児童扶養手当法の審議中に、たまたま、私もなま身のからだでございますから、たしか生理的な現象で大橋理事と委員長席がかわったのだと思いますが、そのときのお話しの模様であるようでありますが、私は存じ上げておりませんけれども、かようなことがあったとすれば、当然委員長の責任でございますから、今後さようなことのないように十分配慮いたしていきたいと思います。深くおわび申し上げておきたいと思います。
 さて、そのほかは大体三つに分けられて御質問がございましたが、国会法、参議院規則に違反していないかどうかということでございますが、中沢君御案内のとおり、国会法はつまり衆議院、参議院を問わず拘束をいたしておりまする法律ですから、この点については、前質問者の森君に詳細答えておりますから、時間の関係で割愛させていただきたいと思う次第であります。
 ただ、参議院規則に違反をしていないかどうかということでありますけれども、これも先ほどお答えを申し上げましたとおりに、議員として最高の決議機関、国の最高の機関に籍を置く議員として常識的に考えてみますれば、世間で批判をされているようなことの疑いなしとしない、と私は考えているわけであります。したがって、今後こうした問題についても、具体的に委員会でこの問題はどうなるかはわかりません。今日ただいまのところ、中間報告を求められて、私がいわゆる社会労働委員会における今日までの経過を、私見を交えて申し上げた段階ですから、これからどうなるかはわかりませんけれども、こうした問題を扱うには、発言はもとよりでありまするけれども、十分慎重にして、そうして十分国民が納得のいくような審査をしてまいる所存でございます。特段の御協力を、今後とも変わらざる御協力を私は賜わっておきたいと思う次第であります。
 それから第二の、かかる例が一体あるのかないのかという件であります。この点につきましては、これも私の報告のみならず、いままでの方々がいろんな意見や質問の中でも申されておりましたように、こういう例はかつてなかったと、私の調査ではそうなっております。ただし、私の調査が不足であるかも存じ上げませんから、この点はあえて、私の調査によれば、ということで付言をいたしておきます。御承知のように、いままでこれに類似をしているような例が二件ございます。
 その一件は、委員会の趣旨説明だけで中間報告を求められましたものは、昭和三十三年の七月三日の参議院本会議であります。これは自由民主党の剱木亨弘君外一名による第二十九回特別国会において参議院――先ほども私は、けだし名言だと言ったのでありますけれども――文教委員会におきまして、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案の中間報告を求める動議が提出されました。当時、文教委員長は先ほども申し上げましたが、ただいまはなくなりましたけれども、社会党の竹中勝男議員であったことは、各議員の皆さんが御承知おきのとおりでありますが、このとき竹中委員長が申された件については、先ほども私が引例をいたしましたから割愛をさせていただきたいと思います。
 それからもう一つの例は、昭和三十八年六月二十八日、第四十三回国会において、草葉隆圓君外一名による職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律案について、中間報告を求める動議が出されました。当時は、社会労働委員会の委員長は、これまた、私どもの先輩でございます社会党の鈴木強君でありました。どうもこの緊急動議あるいは中間報告を求められるときの委員長というのは、期せずして、社会党の委員長であることはどういう因果のものか、私にはあまりよくわかりません。わかりませんが、このときも鈴木強委員長であったのであります。そうして鈴木委員長は、「審査中でもないものの中間報告を求められても報告のしょうはありません」と、これまた、私が先ほど報告したような意味の答えをいたしておりますることは、会議録に明細出ておりまするから、会議録に譲りたいと思う次第であります。
 第三の質問は、先ほどの報告では、社会労働委員会は八項目の申し合わせをしたではないか、一体この申し合わせば委員会の運営に役立ったかどうか、こういう御趣旨の質問であったと存じます。中沢君は、社会労働委員会の委員として、日ごろたいへん熱心に、出席率もたいへんりっぱな方だと存じまして、心から私は尊敬をいたしております。今後、会期も余すところあまりございませんから、より積極的に出席をされまして、御協力を賜わりたいと存ずるのであります。なお、この御質問の趣旨にございました八項目が、一体非常にこの委員会運営にプラスになったかどうかということにつきましては、先ほど来、報告の中にも申しましたように、自由民主党の理事を含めて満場一致できめられた事柄でございまするから、委員会の運営にはたいへんプラスになったと、委員長は判断をいたしております。その証拠に、今日ただいままでに社会労働委員会は円満かつ順調に、他の委員会より私は法案がスムーズに審議をされて可決されている委員会はないのではないかというこの証拠で、私はお答えになるのではない二かと思うのであります。あえて申し上げますれば、先ほども御報告いたしましたとおり、突然、健保特例法がかような状況の中から参議院に送付され、私どもの委員会に付託されたとたんに自由民主党の理事さんのほうから――るる申し上げませんが、つまり、この八項目を変えてくれとか、あるいは委員会の日を差し繰ってくれ等々のことが、一回や二回ならいざ知らず、執拗に出してきたところに、この八項目のいわゆる価値、値打ちが、中沢さんがいま問われるような状況になるのであります。まことにこの点では遺憾にたえないと思う次第であります。今後の運営については、この八項目はきわめてりっぱなものであるだけに、ひとり委員長だけではなくして、全社会労働委員会のものとして生かしていきたいと思っておるところでございます。
 最後に、議会制民主主義が破壊されるのではないか、この点についてはまことに同感でございます。これも前質問者の森君に答えた点と全く同じでございますから、この席からは割愛させていただきたいと思います。
 以上簡単でございますが、中沢君の答弁にかえたいと思います。(拍手)
     ―――――・―――――
○副議長(安井謙君) 藤田正明君外一名から、成規の賛成者を得て、
 質疑終局の動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○副議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十二票
  白色票          百二十四票
  青色票           八十八票
 よって、質疑は終局することに決しました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十四名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      山崎 五郎君    山本敬三郎君
      若林 正武君    渡辺一太郎君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      梶原 茂嘉君    大谷 贇雄君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      西郷吉之助君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    河野 謙三君
      上原 正吉君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      今  春聴君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    内田 芳郎君
      大森 久司君    津島 文治君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    櫻井 志郎君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      堀本 宜実君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      寺尾  豊君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    小林 武治君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    佐田 一郎君
      菅野 儀作君    源田  実君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川上 為治君    山本  杉君
      米田 正文君    木島 義夫君
      温水 三郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    塚田十一郎君
      赤間 文三君    高橋  衛君
      迫水 久常君    斎藤  昇君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      八十八名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      塩出 啓典君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      三木 忠雄君    内田 善利君
      上林繁次郎君    矢追 秀彦君
      松下 正寿君    沢田  実君
      多田 省吾君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    片山 武夫君
      鈴木 一弘君    二宮 文造君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      山田 徹一君    白木義一郎君
      小平 芳平君    中村 正雄君
      村尾 重雄君    上田  哲君
      和田 静夫君    松本 英一君
      安永 英雄君    竹田 四郎君
      杉原 一雄君    達田 龍彦君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      小林  武君    佐野 芳雄君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      野坂 參三君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    鶴園 哲夫君
      野上  元君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      阿具根 登君    中村 英男君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    木村禧八郎君
      藤原 道子君    松澤 兼人君
     ─────・─────
○副議長(安井謙君) 藤田正明君外一名から、賛成者を得て、
 社会労働委員長から中間報告があった健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案は、来る二十八日午後十一時までに社会労働委員会で審査を了することの動議が提出されました。
 よって、本動議を議題といたします。
 これにて午後七時まで休憩いたします。
   午後四時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時四分開議
○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 委員会の審査に期限を付することの動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。竹田現照君。
   〔竹田現照君登壇、拍手〕
○竹田現照君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案を社会労働委員会に差し戻し、審議促進をはかる動議に反対する討論を行なわんとするものであります。
 まず最初に、去る二十一日以来の本院における状況を顧みまするに、私たちがおりに触れて自負する良識の府・参議院は一体いずこにいったのだろうかということを深く憂慮せざるを得ないということであります。
 今期国会は、政府・与党の一方的判断による会期延長を強行、それに符節を合わすために、いつ果てるともなき審議打ち切り、強行採決の連発、それに対する野党の抵抗を算術的に計算して、何日あればそれも乗り切ることができる。さてお次は、どの法律案を片づけるかと、まさに隴を得て蜀を望むがごときことが第一義となり、いかにして審議を尽くし、その内容を国民に知らしめ、理解と納得の上で法律の円滑なる運用をはかっていくか、そのためには、意見を異にする野党に対しては、何ものにも優先して理解と協力を得られるように努力を傾けることが、政府・与党の重要な任務であるにもかかわらず、そうした姿勢が何一つ見えないことは、まことに遺憾しごくのことといわなければなりません。特に、このようにして推移してまいりました衆議院の状況に対し、国民の批判は有形無形に高まっているとき、私たちは、この国民の声を正しく受けとめ、参議院本来の使命に立ち返り、ただすべきはあくまでもただし、その理非曲直を国民の前に明らかにすることこそ、憲政を守り、国民の議会制民主主義に対する信頼をつなぎとめ、真に国民と国会とが断絶なき連係を保ち得る最大の道であると思うのでありますが、事実はそれと全く逆であり、衆議院を上回る暴挙が行なわれていることに対し、絶望ともいえるものを感ぜしむるのであります。私たちは、いまこそ、国民各位より負託を受けた責任は何であるかということに、思いを新たにしなければならない重大な関頭に立たされていることを思い知らなければなりません。これなくして、政治不信のおもむくところ、いかなる事態が生じようとも、たれかその責任を他に転嫁するここが許されましょうか。冷静かつ謙虚に考えなければならないことであります。
 そのような考えに立って本動議に対しますならば、まず問題にしなければならないのは衆議院における経過であります。
 去る五月八日、提案説明がなされて以来、衆議院社会労働委員会は、付託順序に従って審議が行なわれてきたことは御承知のとおりであります。ところが、六月十九日、自民党委員は質疑打ち切りの緊急動議を提出、委員会は大混乱におちいりましたが、議長の取り計らいで委員会に差し戻され、七月二日から質問再開、実質審議に入ったのでありますが、七月十日午後八時、御案内のような経過をもって、いわゆる修正案と称するものの強行採決がなされ、続いて議長職権による衆議院本会議が開かれ、混乱の中に記名投票に入ったところ、七月十四日午後三時四十分小平副議長は突如として、記名採決を起立採決に切りかえ、起立多数をもって可決されたものとして、本院に送付されてまいったものであります。
 そもそも政府提案の改正法律案すら十分の審議が行なわれていない最中に、いわゆる修正案なるものは、七月十日の朝になって、政府・与党の間でまとまったものであり、その内容は与野党議員のほとんどが予想もしなかった中身であり、政府原案にあった二年間の時限及び薬代の一部患者負担をはずし、保険料率千分の七十などを事実上恒久化したもので、法案の基本的性格をがらりと変え、特例法が特例でなくなり、健康保険法等改正案となる名実ともに別の法案にすりかえられたものとなったのであります。これが世上いわれるところの換骨奪胎と化したものであるにもかかわらず、それを一度の質問も許さず、多数の力をもって強引に採決するようなむちゃくちゃは、断じて許されないことであります。加うるに、本会議における起立採決に至っては、明らかに憲法第五十七条第三項に定める「出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを會議録に記載しなければならない。」と明示されていることに相反する完全なる違憲、無効のものと言わざるを得ません。
 このような一連の醜状は、国会の権威を著しく疑わせるものであり、議会政治の堕落ここにきわまるといって過言ではありますまい。しかも、その結果あらわれた衆議院正副議長の辞任は、いかに国会混乱の責任を負ったような形をとっているかのごとく弁明しようとも、それは自民党の党利党略のいけにえとなったも同然であり、議会制民主主義の形骸化を実証するものとなったというべきでありましよう。
 したがって、国会の権威を回復するためにも、石井前衆議院議長がはしなくも記者会見で「この国会で自民党のやり方は、あまりにも強引過ぎると思う。強行採決が十数回というのではね、特に健保法案の委員会採決は異常だ、それで与党に委員会に差し戻すように話してみたがだめだった。」と述べているように、政府・与党の理不尽な審議手続の無理がもたらした影響に対して、真剣な反省を求めることによって国会のほんとうの意味における正常化をこそなすべきが今日最大の課題であり、そのためにわれわれは英知を集め、全力を傾けることが、参議院の当面する任務なのであって、相も変わらぬ強行策によって本法案の審議を促進することにのみきゅうきゅうとすることなどは、本末転倒もはなはだしきものであり、威圧をもって人に間違いを押しつけたり、ごまかして非を理として押し通す、史記にいうところの「鹿をさして馬となす」のたぐいにほかならないというべきでありましよう。
 それゆえに私は、二十八日午後十一時の期限をもって、社会労働委員会で審議を促進するという本動議に対してすなおに賛成するわけにはまいらないのであります。
 ただいま私が述べましたとおり、衆議院においては何らの審議が行なわれておらず、まして本院においては先ほど吉田社労委員長報告のとおり、提案趣旨の説明はもちろん、修正といわれる内容すら説明を受けておらないのであります。にもかかわらず、頭から期限を、それもわずかに三日間という短いものであり、土曜、日曜という本来休日であるべきものまでも含めるという、全く常識外の期限を付するがごときは、委員会中心制度を採用する国会の本旨にも沿わないものであり、吉田委員長報告にあったように、社会労働委員会全員一致の申し合わせに従って今日まで円満なる委員会運営がなされてきておりますことをくつがえすべき理由は、何ら見出し得ないと思うのであります。また、現在社会労働委員会において審議中の法律案は、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、国民年金法の一部を改正する法律案であります。しかもこれらの法律案の審議の促進を妨害しているものは、ほかならぬ自民党そのものであり、防衛二法強行採決以来のあおりを食って審議不能におちいっており、このまま推移するならば審議未了廃案のおそれすらあるとするならば、これらの法律案に対する政府・与党の真意が那辺にあるのか全くわからなくなってまいります。各党に異論がないといわれるこれら法律案の審議をこそ、申し合わせに従って直ちに再開すべきであります。
 さらに、国会法第五十一条には、「委員会は、一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験者等から意見を聴くことができる。」と規定されておりますが、この健保関係法律案ほど多くの国民が重大な関心を寄せているものはありません。法の定めることに従って当然の措置をとるべき責任が委員会にあることを思えば、この三日間の日数は、そのことが全く不可能なものであることは、三つ子にもわかる自明のことであります。急場しのぎであった特例の赤字対策が、いま大手を振って恒久的なものにならんとしています。特例法は死んでも、その実体は本法の中で強く生き返らせようとしています。このような小手先の法律いじりで、二年間の期限つき医療制度の抜本改正を逃げ切ろうとすることは、断じて許せないところであります。
 各医療保険制度間の給付の格差、多くの矛盾をかかえている診療報酬体系、年々ひずみの大きくなっている医療制度の抜本的改革に対する政府の確固たる方針は、何ら明らかにされておりません。当座の赤字処理だけに終始したり、佐藤総理が漏らしたといわれる、二年後の内閣は健保問題でたいへんだろうということばが、ポスト佐藤をめぐる自民党内派閥次元でとらえられ、万一にも今回のごとき修正となってあらわれたものとすれば、まことにもって不幸なことと言わなくてはなりません。保険あれども医療なしといわれる今日の医療制度のあり方に大胆なメスを入れる必要があり、それこそ国民の、また患者たちの切実な要求であり、それにこたえるためにいかにあるべきかを審議をするには、残された会期といえども決して十分なものではありません。ましてや、提案趣旨説明と修正案の説明だけでも済ませることによって、世間の批判から逃げようとする山師の玄関ともいうべき期限つき委員会差し戻し動議など、全く話にならないものであることを申し述べまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君) 藤原房雄君。
   〔藤原房雄君登壇、拍手〕
○藤原房雄君 私は公明党を代表して、ただいま提案されました委員会審査に期限を付する動議に関し、反対の意を表するものであります。
 まず、本案の不当性を批判する前に、政府・自民党のたび重なる強行採決という暴挙によって、わが国の議会制民主主義が根底からくつがえされようとしている冷厳なる事実を明らかにし、議会政治の危機を国民に訴えるものであります。言うまでもなく、憲法の前文には、「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」とわが国の議会政治のあり方が、明確に述べられているのであります。
 ところが、憲法が施行されて二十二年を経過した今日、議会制民主主義が定着するどころか、逆に議会制民主主義が危機に瀕している事実を、一体どのように判断すればよいのでありましょうか。すでに国民はこのような事実に目を向けようともせず、日増しに、政治不信を高めている状態であります。しかも、こうした国民の政治に対する無関心をよいことに、ますます政府・自民党は、党利党略をむき出しにして、一党独裁の道を歩んでいるという事実であります。特に、今国会における政府・自民党の政治姿勢は、傍若無人にも少数意見を無視し、問答無用の強行採決を繰り返してきたことは、国政を審議すべき国会の権威を失墜させ、国会の存在理由を根底から失わしめてきた、といっても過言ではないのであります。
 いままた、委員会審査に期限を付する動議が提出されたわけでありますが、この動議にしても、少なくとも議会制民主主義の原則をわきまえている国会議員であるならば、とうてい提案できない内容のものであることは明らかであります。議会政治の発達している先進諸国においては、たとえ少数意見であっても、十分に発言の機会を与え、あくまでも話し合いの原則を厳守しているのであります。自民党は、議会制民主主義の原理といえば、何かと多数決の原理を表に出し、今日まで強行採決を行ない、国会を混乱させてきたのであります。多数決の原理といっても、十分な審議を尽くした上で用いられる原理であり、審議もせず、当初から多数をもって、力づくで少数意見を封じ込めるがごとき態度は、多数決の原理をはき違えるもはなはだしいと、言わざるを得ないのであります。
 さて、本案の内容についてでありますが、本案は、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に関する委員会審議を、三日間に制限しようという不当なる動議であります。そもそも健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案は、国民に大いなる影響を及ぼす内容を含んだ法律案であることは、先刻、御承知のとおりであります。特に、今国会においては、重要法案の一つとされ、その成り行きが注目されている問題の法案であります。しかも、この法案は、当初から提出されていたものではなく、今月十日、急に、時限法から本法に切りかえ、衆議院社会労働委員会に提出され、何ら提案理由の説明もなされず、強行採決されたという、いわくづきの法案なのであります。さらに、衆議院本会議における採決においては、議長により、従来の慣習となっていた記名投票が、途中から起立採決に切りかえられ、憲法違反の疑いまで招く結果になったのであります。
 かくのごとく、自民党の暴挙により、正式な審議を経ずして、衆議院を通過した悪法を、いままた、わずか三日間の委員会審議で済ませようとする自民党の態度は、良識の府たる参議院の存在を全く否定するものであり、なかんずく、二院制の存立を危うくすると言わざるを得ないのであります。
 そもそも健保特例法は、しばしば言われてきたように、二年前に時限立法として世論の反対にもかかわらず強引に成立を見たものであります。しかも、その条件として、二年間の期限が切れる本年八月末までに、政府が責任を持って健康保険制度の抜本的改正を行なうことになっていたわけであります。政府は、この点に関して、かねてより本会議や社労委員会で繰り返しその実現を公約をしてきたのでありますが、今日に至るも、政府は、みずからの抜本策を示すことなく、無為に月日を費やしてきたと言ってもよいのであります。このような事態に至らしめた原因は、政府・自民党の保険制度の抜本改正に対する熱意のなさと、国民の利益を第二義にして、みずからの利益に右顧左べんしたことにあることは、だれの目にも明らかなことであります。しかも、抜本策が示せないと判断するや、政府は、国民に対する公約など、全く忘れたかのごとく、再び健保特例法の延長を提出してきたのであります。しかも、佐藤総理並びに厚生大臣は、衆参両院本会議において、ひたすら低姿勢で二年間の延長を請うたのであります。この壇上から、総理は、国民に向かって、異例の陳謝を行なったことを、私たちは忘れてはいません。本案のように無謀な内容を持つ動議が、公然として成立するような事態が、通例となったならば、すでに、委員会審議は形式的なものとされ、自民党の意のままに国会が運営されることは、火を見るよりも明らかであります。
 最後に、今回提出された動議の背後に隠されたつめをも指摘しておきたいと思うのであります。すなわち、自民党は、政府原案として提出した法律案は、いかなる理由を持つものであっても、たとえ、それが国民生活を圧迫するものであっても、成立させるためにあらゆる手段をとるということであります。すなわち、法律案を成立させるためには、議会制民主主義に反する手段すら、あえて用いるという事実であります。これは、国会がすでに三権分立の中の立法府としての地位から、行政府である内閣の従属機関におちいろうとしている姿にほかならないのであります。すなわち、たとえいかなる法律案が行政府によって提案されようとも、立法府として厳重にチェックし、そのすべてを必ず通過させなければならない義務は、さらさらないわけであります。ましてや、法案成立の目的のために、審議期間が限定されるなどという事態は、明らかに、行政府の立法府に対する介入という以外にないのであります。
 今回の動議は、かくのごとく、議会制民主主義の根底を脅かすにとどまらず、三権分立の民主主義の原理すら脅かすものと言わざるを得ないのであります。真の三権分立の姿は、たとえ行政府が提出した法律案であっても、国会審議によって、成立の見通しが立たないならば、そのこと自体が、立法府たる国会の意思であり、なかんずく国民の意思のあらわれにほかならないのであります。
 以上、述べてまいりました観点より、慎重審議の上、国益を守り、議会制民主主義の確立をはかることが国会に課せられた最大の任務であるという立場に立って、わが公明党は、断固反対するものであります。以上。(拍手)
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) 藤田正明君外一名から、成規の賛成者を得て、
 討論終局の動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百九票
  白色票           百十八票
  青色票           九十一票
 よって、討論は終局することに決しました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百十八名
      任田 新治君    高橋雄之助君
      田村 賢作君    小林  章君
      伊藤 五郎君    後藤 義隆君
      白井  勇君    横山 フク君
      小山邦太郎君    植竹 春彦君
      木内 四郎君    山崎 五郎君
      山本敬三郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      栗原 祐幸君    藤田 正明君
      大谷 贇雄君    小枝 一雄君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      西郷吉之助君    石原幹市郎君
      上原 正吉君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    安井  謙君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    久次米健太郎君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      津島 文治君    岩動 道行君
      和田 鶴一君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      櫻井 志郎君    金丸 冨夫君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      寺尾  豊君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    小林 武治君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    菅野 儀作君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      木島 義夫君    温水 三郎君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      塚田十一郎君    赤間 文三君
      高橋  衛君    斎藤  昇君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     九十一名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    中尾 辰義君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    片山 武夫君
      田代富士男君    鈴木 一弘君
      二宮 文造君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      中村 正雄君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      佐野 芳雄君    林  虎雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      加瀬  完君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      春日 正一君    河田 賢治君
      岩間 正男君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      山崎  昇君    木村美智男君
      村田 秀三君    川村 清一君
      大橋 和孝君    田中寿美子君
      沢田 政治君    松井  誠君
      矢山 有作君    瀬谷 英行君
      吉田忠三郎君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      山本伊三郎君    武内 五郎君
      森中 守義君    近藤 信一君
      鈴木  強君    森 元治郎君
      阿具根 登君    中村 英男君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
     ─────・─────
○議長(重宗雄三君) これより採決をいたします。
 藤田正明君外一名提出の、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案は、来る二十八日午後十一時までに社会労働委員会で審査を了することの動議を問題に供します。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十九票
  白色票          百二十四票
  青色票           九十五票
 よって、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案は、来る二十八日午後十一時までに社会労働委員会で審査を了することの動議は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十四名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      山崎 五郎君    山本敬三郎君
      若林 正武君    渡辺一太郎君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    吉江 勝保君
      江藤  智君    大竹平八郎君
      大谷藤之助君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      大谷 贇雄君    小枝 一雄君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      西郷吉之助君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    河野 謙三君
      上原 正吉君    杉原 荒太君
      剱木 亨弘君    安井  謙君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    久次米健太郎君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      津島 文治君    岩動 道行君
      和田 鶴一君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      櫻井 志郎君    金丸 冨夫君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      寺尾  豊君    古池 信三君
      松平 勇雄君    郡  祐一君
      青木 一男君    小林 武治君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    菅野 儀作君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      山本  杉君    米田 正文君
      木島 義夫君    温水 三郎君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      塚田十一郎君    赤間 文三君
      高橋  衛君    斎藤  昇君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十五名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    阿部 憲一君
      中尾 辰義君    沢田  実君
      多田 省吾君    黒柳  明君
      宮崎 正義君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    田代富士男君
      鈴木 一弘君    二宮 文造君
      渋谷 邦彦君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      北條  浩君    白木義一郎君
      小平 芳平君    中村 正雄君
      村尾 重雄君    上田  哲君
      和田 静夫君    松本 英一君
      安永 英雄君    竹田 四郎君
      杉原 一雄君    達田 龍彦君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      小林  武君    佐野 芳雄君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      須藤 五郎君    渡辺  武君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    鶴園 哲夫君
      野上  元君    山本伊三郎君
      武内 五郎君    森中 守義君
      近藤 信一君    鈴木  強君
      森 元治郎君    阿具根 登君
      永岡 光治君    中村 英男君
      久保  等君    岡  三郎君
      羽生 三七君    亀田 得治君
      占部 秀男君    大和 与一君
      木村禧八郎君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
     ─────・─────
○議長(重宗雄三君) 本日はこれにて延会いたします。
   午後八時五十六分延会