第061回国会 農林水産委員会 第29号
昭和四十四年七月四日(金曜日)
   午後一時三十九分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                高橋雄之助君
                宮崎 正雄君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
    委 員
                河口 陽一君
                小枝 一雄君
                櫻井 志郎君
                園田 清充君
                田口長治郎君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                杉原 一雄君
                中村 波男君
                沢田  実君
                河田 賢治君
   政府委員
       農林政務次官   玉置 和郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林大臣官房参
       事官       荒勝  巖君
       農林省農地局参
       事官       井元 光一君
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  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (九州地方における集中豪雨による農林関係の
 被害状況に関する件)
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○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
 まず、九州地方における集中豪雨による農林関係の被害状況に関する件について調査を行ないます。
 政府から被害状況の報告を求めます。荒勝参事官。
○説明員(荒勝巖君) それでは農林関係の被害につきまして御報告申し上げます。
 六月二十四日から二十六日にかけまして梅雨前線が低気圧の影響で刺激され、小型台風並みの風雨がありまして、関東以西においてかなりの被害が発生いたしました。さらに、六月二十八日以降、九州を中心に梅雨前線の豪雨があり、被害は増大しております。
 被害の概要につきましては、第一回の六月二十四日から二十六日までの分につきましては、都府県並びに営林局からの被害の報告によりますと、三十都府県に及びまして、内訳は、農作物等が果樹、野菜を中心に約十三億二千万円、農地が約二千三百カ所、約二億九千万円、農業用施設が約二千六百カ所、約十一億一千万円、林野関係が国有林を含めて約十四億八千万円、水産養殖施設等が約六千万円で、被害の合計は約四十二億六千万円であります。
 さらに、二十八日以降の被害につきましては、現在なお進行中でございまして、まだ都府県からの報告も十分ではございませんが、現在の段階では二十一府県に及びまして、被害の内訳は、農作物等が今回は水稲を中心に約二十九億八千万円、農地が約千九百カ所、約五億四千万円、農業用施設が約六千四百カ所、約二十五億三千万円、林野関係が国有林を含め約三十億円発生しておりまして、被害の合計は約九十億五千万円でございます。
 以上の梅雨前線豪雨の現在までの被害総計は約百三十三億一千万円になっております。
 で、これにつきまして、政府といたしましても、直ちに閣議を開きまして政府調査団の派遣をきめて、ただいま九州へ政府調査団が参っております。それにつきましては、農林省からも、農地局の災害復旧課長と林野から一人専門官が同行いたしまして、現在調査中でございます。
 なお、政府といたしましては、今回の災害を、六月から七月にかけてかかっておりますので、正式に昭和四十四年六月及び七月の梅雨前練豪雨による被害、こういうことで名称を統一し、かつ被害の集計につきましても同一扱いをするということでただいま作業を進めておる次第でございます。
 対策の概要につきましては、いま申し上げましたように、被害の発生後直ちに現地の係官もまた同行しておりまして現在調査中で、調査団は今晩帰ってまいりますので、被害の概要はおおむねさらに詳しいのがわかるのではなかろうか、こう思っております。
 農地、農業用施設、林道及び治山施設等の被害につきましては、暫定法あるいは負担法によりまして万全の措置を講ずるほか、特に田植え期前後でもありますので、かんがい施設の被害のある場合には、応急水路の設置等によってかんがい排水の確保に遺憾のないようにいたしたいと思っております。
 なお、査定につきましては、被害県から報告があり次第早急にこれを実施し、また緊急を要するものにつきましては、査定前といえども復旧を積極的に進めてまいりたい、こう思っております。
 なお、山地の崩壊により人家、公共施設等に被害を及ぼすおそれが大きく、民生安定上放置しがたい個所につきましては緊急治山事業を直ちに実施してまいりたい。今回非常に多くの方がこのシラス地帯におきましてなくなられておりますので、これら緊急対策につきましては全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 なお、今回の災害の中心が南九州、特に鹿児島、宮崎を中心とした特殊土壌、いわゆるシラス、ボラ、コラ等の農地侵食の崩壊が大きな原因となっておりますので、これを防止するため、特殊土壌対策及び特殊の農地保全施設等の整備事業をあわせて実施してまいりたい、こう思っております。
 なお、水稲は第一回の雨によりまして――ことし多少干ばつぎみで田植えがおくれておりましたが、急に雨がありましたので、直ちに植え、その直後に今回のさらに第二回目の大雨がありました関係で、九州地区の一体はほぼ田植えは終わっておりましたが、田植え直後に水害を受けたということで、長期の冠水がありますと、あるいは水稲の生育上著しい被害が出るおそれもありますので、これが水稲の対策につきましても現在いろいろと協議中でございます。
 以上、農林省から、被害の状況並びに現在までに立てました対策につきまして御報告申し上げます。
○委員長(任田新治君) 本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
○沢田実君 ただいまの御報告で概要はわかったわけでありますが、特に私一点だけお聞きをし、またお願いをしたい問題がございます。というのは、水稲の冠水の問題がいま報告されましたが、現地の農民たちが一番困っているのは、苗を植えたばかりのところで冠水し、土砂の流入等がありまして、もう一度苗を植えかえさないとどうしようもない、こういうたんぼが非常に多いようでございます。ところが、もうすでに苗はない。鹿児島ではもう一度苗をつくって植えてもいい品種もあるやに聞いておりますが、九州全体あるいはこちらのほうからでも、品種によっては苗を持っていって何とか間に合わせるような方法も講じなければいかぬじゃないか。これはわが党の議員が実はさっそく参りまして、けさ帰ってまいりました。その実情報告によりますと、いまとりあえず農民が困っているのは苗の問題だ、こういうふうに言っておりますので、その点についての農林省の調査及び対策をお尋ねをいたしたいと思います。
○説明員(荒勝巖君) ただいま触れましたように、私たちとしましても、苗があるいは今回の災害対策のさしあたり一番必要な問題ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、県のほうにただいま直ちに指導いたしまして、もよりの苗を持ち寄って直ちに補植するとともに、現在特にまだ冠水中の場所も相当ございますので、農地局を中心といたしまして、排水ポンプで排水に全力を尽くしている次第でございます。で、排水が終わり次第新しく苗を植えるわけでございますが、ただいま御指摘がありましたように、九州地区は、特に南九州地区は予備苗の余裕があまりないやに聞いておりますので、県内でも十分需給調整の方法をはかるように県のほうに指導しておりますし、なお不足する分につきましては、九州内の他府県からも持っていってできるようにいたしたい。場合によりますと、南九州地区では、特に鹿児島県では、あそこだけ水稲の品種が多少違う、同じ九州でも品種が違うようでございますので、やはり場合によりましては、水稲の上再仕立てをしなければならぬのではなかろうかということで、なお現在、多少収量には影響があるかもわかりませんが、七月中に水稲の再仕立てをすれば十分間に合うというふうにも聞いておりますので、そういう線で最悪の場合には指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○沢田実君 その程度は私のほうでもわかるわけですが、実際に苗を都合しなければならない反別はどのくらいあって、それくらいは間に合うのかどうか。その点は目下調査中という段階でしょうか、あるいはその点についても調査が終わって、大体現地で間に合うと、こういう状態でしょうか。
○説明員(荒勝巖君) ただいま申し上げましたように、九州地区、特にきょうあたりは鹿児島はまた雨が降っているようでありまして、十分に調査がうまく進まない。特に冠水地区が依然として続いているということで、われわれといたしましては十分実態が掌握できないのが一番困っておる次第でございますが、極力そういう点につきましては、県並びにその現地の普及員等の活動を通じまして実態を掌握いたしまして苗不足のないように努力してまいりたい、こう思っております。
○沢田実君 冠水のほうの状態はわかりましたが、苗が一体あるのかないのか、これからもう一度もみをまいてやるしかないのか、その辺はどうですか。
○説明員(荒勝巖君) 九州鹿児島地区につきましては、ただいま申し上げましたように予備苗の用意はあまりない――多少予備苗もあったようでありますが、苗代ごと水に流されてしまいましたので、はっきりわかりませんが。しかし、ただいま県からの連絡等によりますと、大体県内で種苗の確保はできそうだというふうに連絡は来ておるので、何とかなるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○沢田実君 さらに、堤防の決壊によって土砂が流入してどうしようもないというところが各地にあるようでございますが、農家によっては一町歩耕作している中で六反ないし七反つかってしまった、こういうようなことで非常に困っておるわけですが、そういう災害に対する対策はどう考えているか。
○説明員(荒勝巖君) 今回の特に南九州地区につきましては水稲地区が水没もしくは流失しておるのでございますが、たまたま田植え前後で、適期は多少今後あるいは不十分になるかとも思いますが、直ちに農業としての災害復旧につとめますれば、何とか農作物営農はやっていけるのではなかろうか。さらにシラス台地につきましては、相当大水の関係でイモ作につきましても悪影響を受けているようでございますが、まだイモ苗のほうは相当余裕がございますし、さらに土寄せ等今後の肥培管理を十分にいたしますれば、農業としては十分に回復できるのではなかろうかと、こういうふうに思っております。大体以上でございます。
○沢田実君 公共施設については国なり県なりで金を出すということもございますが、圃場の災害についてはそういうことがありませんので、そういう流失、冠水等で実際に農家の方が困るわけです。そういう問題について何か対策があるかどうか。
○説明員(荒勝巖君) 今後被害の状態が――まだ、ただいま申し上げましたように中間報告でございまして、被害の実態を十分掌握いたしておりませんが、被害が一定の規模以上にかりになるということが予想されますれば、いわゆる天災融資法の発動等も場合によっては考慮せざるを得ない段階になるというふうに思っております。さらに今後被害の状況に応じて逐次われわれとしても手段を、対策を打ち出していきたい、こういうふうに思っております。
○沢田実君 そうすると、百三十三億もの被害を受けながらまだその状態では天災融資法の適用も受けられない。そうすると、そういう田んぼが流失したり冠水したり、農家はもうどうしようもない、自分で立ち上がる以外にしかたがない、農林省としては対策がない、こういうことでしょうか。
○説明員(荒勝巖君) 冒頭に御報告いたしましたか、この百三十三億というのは実は非常に緊急の事態における都道府県からの暫定報告でございまして、農林省といたしましてはただいま全力をあげまして各都府県に設置してあります農林統計調査事務所を通じまして調査をしておる次第でございまして、被害の状態がいわゆる一定の規模に達しますれば、それ相応の所要の手続をいたしたい、こういうふうに思っております。
○矢山有作君 一、二お伺いしておきたいのですが、先ほどもお話がありましたが、冠水田の排水を急ぐという問題あるいは緊急な災害復旧工事をやっていただくという問題等々につきましては、これはぜひ早急に取り組んでいただきたいと思います。私どもがいままでの経験しているところで見ましても、冠水田の排水をやるときになかなかポンプの手当てができなくてやれないという例を多く知っておりますし、それからいま緊急に復旧を要するという個所の復旧につきましても、災害査定前の復旧工事ということになりますと、実際の面においてなかなかきびしく締められており、着工が思うままにいかないというような問題も起こっておる経験があります。そうした点については、十分な対策をとっていただいて、早急な処置をおとりいただきたい。当局のほうでもそういうふうな御意向のようですから、ただ単なる意向ということではなしに、それぞれの実情を把握されて早急な処理をしていただくように私からもお願いをしておきたいと思います。それからもう一つは、補植用の苗の確保の問題なんですが、いまのお話を聞きますというと、大体間に合うだろうということのようです。そこでひとつ関連して伺いたいのですが、今度の場合の異常気象に対して、予報というのは相当早い段階で出されておったように私どもは思っております、気象庁を通じて。したがって、そうした段階でこうした豪雨があるというようなこともいわれておったことですから、まあ、予備苗しろをつくらせる、あるいはその他いろいろな手を農林省としても打たれて指導されたと思いますが、そういう点で現実にどういう指導をやっておられたかという問題が第二点であります。それから第三点といたしましては、ただいま天災融資法の適用の問題でお話がありましたが、現在の調査の結果に基づいてももう天災融資法を適用してもいいじゃないかと私どもは考えますし、さらに災害の実情が判明するにつれて、もっともっと災害の状態というものは大きくなっていくんじゃないか、そういうふうにわれわれは考えるわけです。そうした点からも天災融資法の適用ということを早期にやっていただきたいということを考えておるわけです。特に実際に天災融資法の適用をやるという段階になりまして、各都道府県からあげてきた災害の状況の報告というものを、農林省段階で案外きびしく締められるというようなことも間々あることでありますので、そうした点を考えながら天災融資法の適用というものを積極的に進めていただきたい。こういう三点について希望を持っておるわけですが、御答弁の中にも出ましたけれども、それらの点についてなおはっきりしたお考えを承っておきたいと思います。
○説明員(井元光一君) 農地等の災害復旧事業について御答弁申し上げます。
 ただいまの応急を要する復旧工事につきましては、県または国の出先の職員が立ち会えば応急復旧は事後処理でいたします。あるいはそれがなければ写真等によって現況を残しておく、そういう措置であとから補助がついていくようにいたしたい。以上でございます。
○説明員(荒勝巖君) 天災融資法のことについてまず御説明申し上げます。
 もうすでに十分御承知のように、お手元に差し上げてあります資料に一応百三十三億ということになっておりますが、天災融資法の発動は農作物だけの部分でございまして、一応右の欄の一番下から二行目にあります四十三億というのが、一応本日現在の時点における数字でございますので、この数字では、まだ十分に統計調査部の調査を待たないと判断いたしかねるというのがわれわれの率直な気持ちでございます。
 なお、さらに、この災害予防について十分あらかじめわからなかったかというお話でございますが、私、気象庁の人間でございませんのではっきりしたことを申し上げかねますが、政府部内での過去における打ち合わせによりますと、今回の鹿児島の豪雨は鹿児島気象台開設以来二回目の記録というふうで、場所によりましては三百ミリ、四百ミリ、さらに非公式には六百ミリを記録した場所もございまして、非常に大雨であるというふうに理解しておる次第でございます。農林省といたしましては、すでにことしの長期の天気予報の気象庁からの連絡によりますと、西日本では初め干ばつがあってさらに干ばつ後においては、いわゆる集中豪雨が出るおそれがあるというふうに聞かされておりましたので、この五月三十日付けをもちまして、農林事務次官名をもちまして、一応「向こう三か月の予報(六〜八月)とその技術対策について」ということで指導はしている次第でございます。
○矢山有作君 現在の状況で直ちに天災融資法の適用に踏み切ることができないということは、この数字を見れば私もわかるわけです。しかし私が言っているのは、詳細がわかるにつれて被害状況はおそらくまだ拡大していくだろうという予測を持っておりますし、それと同時に各都道府県からそれぞれの報告があがってくるその段階で、農林省で天災融資法の適用について締めていくというようなことのないように、できるだけ現在の農業情勢等をにらみ合わせながら天災融資法の適用というものを前向きで考えてもらいたい。これを言うわけです。ことに、ことしのような米価が据え置きになった状態では、米価は据え置きになるわ、災害を受けて減少するわ、というのでは、これは農民の立つ瀬がありません。そういう点を御考慮願いたいというのが私の一つの考え方です。
 それからもう一つの、気象庁関係の直接あなたは担当者でないから気象条件の詳しいことはわからないということはよくわかります。しかしながら、少なくともことしの気象がどういうふうに推移するかということに対して、農林当局として深い関心を持たなきゃならぬということもこれも明白なことだろうと思うんです。ことに農作物は、御案内のとおりに、気象条件に左右されることが非常に多いわけですから、それだけに気象条件については深い関心を持って私は取り組んでおられると、そういうふうな前提に立ってものを申し上げておるわけです。
 そういう前提に立って、ものを申し上げますと、当然この災害が起こってからことしの気象庁の気象予報はどうなっておるんだろうということで、ずうっと一月段階にさかのぼっていろいろ調べてみましたが、ことしの初めの段階で、すでにことしの気象条件は異常なものがあるということが気象庁からは繰り返し発表されておるようです。特に、北日本の冷害あるいは全国的に大雨のおそれがあるということは、こういったことは明確に指摘されているようですから、そういうことを踏まえての対策というのが、私は農林省当局としてはあってしかるべきじゃないか、したがって、その前提で具体的に何をやられたか、気象庁でないからよくわからぬから何もされなかったのか、その点を言っているわけです。
○説明員(荒勝巖君) 先ほどのいわゆる天災融資法の点につきましては、農林省といたしましても、報告の補正を待ちまして結論を出す予定でございます。
 なお先ほどの、このうちの災害予防の件でございますが、農林省といたしましても、ことしの気象庁の予報部からの連絡によりますと、ことしの天気予報は非常に悪いということは十分に存じておりまして、例年になく異例な措置といたしまして、先ほど申し上げましたように、次官通達をもちまして、一応五月三十日付で出した次第でございます。
 読み上げてみますと、「用水の確保、配分の調整および適正な使用、既存かんがい施設の点検および整備等計画的な管理につとめること。とくに干害のおそれのある場合には、過去の干害応急対策事業で購入した揚水機等の活用について検討すること。」、「ため池、用排水路等の農業用施設の整備をはかり、災害発生の防止につとめること。」、「その他の栽培管理技術についても、今年は天候の変動が大きいと予想されているので、農作物の健全な生育を期するため適切な指導を行なうよう地方の実情を考慮して十分検討すること。」、こういう農林本省といたしましては地方農政局長あてに通達を出しまして、これを地方農政局長が九州なら九州地区におきまして十分に各県を呼びまして、これについての具体化の方法を検討しているということで、今年の天気予報が長期的には非常に悪いということは本年当初から十分農林省としても理解して、不十分ながら手を打ってきている次第であります。
○矢山有作君 先ほど申しましたように、何しろ農業というのは天候に左右されることがきわめて大きいものですから、できるだけ気象条件等については事前に的確におつかみになって、そうしてまた適切な指導をやられることが、やはり災害を最小限度に食いとめる上において必要だと思いますので、今年の異常気象が伝えられている状況の中で、今後のこともありますので、十分な対策をおとり願いたいと思います。
 そこで、これに直接結びついた問題でもありませんがお伺いしておきたいのは、北海道なり北東北等で五月の中ごろから非常に冷温が続きました。そのことは御存じだと思いますが、そういう関係で水稲の活着不良がたくさん出ているようですし、さらに北海道では豆類などの畑作物の成長のおくれが出ているというふうに伝えられております。そうして北海道では苗が足りないので欠株水田が出た、あるいは北東北のほうでは補植苗が不足でそのためにいろいろな問題を起こしているようであります。たとえば苗のブローカーというのがあるのだそうです。苗のブローカーが横行したり、あるいはよその苗を盗んだりという悲惨な状態が起こったことが知らされておりますが、そうした北海道なり東北地方における冷温のために受けている被害の実態というものがわかっておりましたらこの際お話を願いたいし、そうしてそれらに対してとった対策なり、あるいは今後どういう対策をとるのかということもあわせてお答えをいただきたいと思います。
○説明員(荒勝巖君) お答えいたします。
 今年北海道並びに北東北が非常に冷害ぎみでございまして、いろいろ農家の方が苦労されているというふうに農林省でも報告を受けております。特に北海道につきましては、実は先ほども北海道の部長が出て来ておりましたのでいろいろ話を聞いた次第でありますが、相当低温によりまして生理機能障害を起こして、一部の水稲については植えかえというか、採種田というか、補植せざるを得ない部分も相当あるような話を聞いた次第でありますが、ただ北海道の長い経験的知見と申しますか、部長の話によりますと、北海道につきましてはこの六月の下旬から気温が大きく持ち直したということで、従来から七月、八月の天候が北海道農業の大きなウエートを占めるというようなお話がございまして、多少ただいまの段階では希望を持っている。昨年あるいは一昨年のような豊作に恵まれることはなかなかむずかしいのじゃなかろうかと思いますが、当初考えられておったよりは多少最近希望を持ち直したというふうに聞いている次第であります。なお青森あるいは岩手等の一部につきましても冷害が出ていることも、われわれはそういうふうに理解しております。それにつきましても、十分に今後補植等を進めることによって、何とか少しでも回復いたしたいということで指導していることも事実でございます。ただきょうちょっと、北海道あるいは東北関係のデータを持ち合わせておりませんので、具体的数字に触れて御説明できないことを残念に思っております。
○矢山有作君 北海道、東北の状況というものも、私ども聞いておりますのは、かなりきびしい状況のようですから、事前に申し上げておりませんでしたので、実際の実情がどうかということは資料をお持ちであろうと思いますのでまた御提出をいただきたいと思います。また北海道の関係のほうからお話をお聞きになって、七、八月の天候が北海道の作況に非常に影響を持っておる。現在の見通しでは何とかなるんじゃないかというお話ですが、気象庁筋から出てくる話を聞いて見ますと、やはり七、八月にそういう条件になっていくかどうか、気象庁の数字としてはきわめて疑問視しているものですから、したがって、非常な冷害がくるということを予想しての対策というものは私は十分にとっておいていただきたい。かつてのような悲惨な冷害の状況を最小限度に食いとめるためにもそのことは必要ではないかと考えますので、そのことをさらに重ねてお願いをしておきます。
 それから、この異常気象とからんでの問題は、病害虫発生が非常にことしは多いんではないかということも伝えられておるようでして、この点につきましては、農林省としてもすでに通達を出しておられて万全の策をおとりになる準備をやっておいでになるようですが、おそらく異常気象の関係でこうした病害虫の多発ということも予想されることですので、それに対するどういうふうな今後指導をし、対策を立てていくのか、こういった点をあわせてこの機会に伺っておきたいと思います。
○説明員(荒勝巖君) この先ほどの五月三十日づけの次官通達の中にあります「病害虫防除については、病害虫発生予察情報に注意して、防除の徹底を期すること。」ということで通達を出しておりますし、また今回さらに、この九州地区の長雨によります、あと天気が回復いたしますと急に気温等が上がりまして、また病害虫の発生が非常に懸念されますので、農林省といたしましても直ちにいまのところさらに近いうちに適切なる指導をする準備をそろえておる次第でございます。
○矢山有作君 これで終わりますが、いずれにいたしましても、ことしは先ほども言いました米価の据え置きという事態の中で、しかも異常気象が伝えられておる。それとの関連で病害虫の多発も予想されておる。こういうふうな状態にあるわけです。現実にすでに異常気象による災害というものも出ておるわけですから、それの復旧なり、あるいは今後の災害対策の予防の問題なり、あるいは病害虫対策なり、こういったことには万全を期していただいて、ひとつ農民がこれ以上苦しむことのないようにすることに対しては全力をあげていただきたい。このことを最後に要望しておきまして私の質問は終わります。
○園田清充君 参事官のこれは矢山委員に対する御答弁の中で、異常気象ということが通達として出されておるということでございますから、それに関連をして一つだけお願いなり、希望を申し上げて、その意思があるかないかだけお伺いをしておきたいと思います。
 というのは、あなたがもと食糧庁の出だから申し上げますが、今年御承知のような措置をおとりになった。いわゆる作付転換ということで、余剰米対策をおとりになっている。こういうことからひとつ災害と結びつけて考えていただきたいことは、せっかく転作資金を二万円出されたということになってまいりますと、いろいろ条件はございますが、この中で農業共済掛け金と両方併用すれば、いまからあわてふためいて復旧しても、収穫自体を考えるとそれは五俵とれるかとれないかという状態だと思います。
 そこでほんとうに災害地域の農民には災害復旧に専念をしてもらうということから、災害復旧に専念をしてもらうということとともに、いま異常気象が――なお今年は異常気象だという通達を出しておる、予想しておるような通達を出していらっしゃるので、もしいま私が申し上げたようなことで米作の転換対策費としての二万円、それから農業共済掛け金、これが両方が時限立法その他によって措置されるということになってまいりますと、災害地域の農民というのは、安んじて私は災害の復旧と取り組めるのではないかという気がしますし、考え方によっては、いま米価の据え置きの問題で非常にこれは農林省当局に対する農民の感情というものは悪い、率直に申して。またあなた方もいま今年の予想から五百六十万トンの余剰米をかかえなければならないということで非常に苦慮しておる、そういう時点でいま起きた。これは災い転じて福となすというような考え方から財政的な措置、そろばんいろいろおはじきになって、私はできたならば来年もやれ、再来年もやれということはここで申し上げない。だから本年度に限るというような時限立法その他の措置をおとりになって、こうした災害農民に対するあたたかい姿勢というものをお示しになることを検討なさる御意思があるかないかということ、なおありとするならば、ひとつ明確に検討いたしますという御答弁がいただきたいし、この席で御答弁ができなければ検討してみたいということならば、後日に私は返事を持ち越されてもけっこうだと思います。もしこれに対して何かお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(玉置和郎君) 園田委員が先ほど私のところへやってきまして、いまの話を事前に耳打ちしに来たのですが、こんなむずかしい話は私はなるべく聞かぬほうがいいということを言っておりましたが、あえて質問をされましたのでお答えいたしますが、私は一つの考え方だと思います。現在のこの農民感情を見ましても、これは農林省としても考えてまいらねばならぬ一つの考え方であると思っておりますので、よくひとつ検討してみたいと思います。
○森八三一君 いまの園田委員の質問は、ほんとうにひとつ取り組んでいただきたいと思う。私は南九州地域のこの災害地の方々が、六十数名人命を失ったというような悲惨な状況が発生しておる。それに関連して非常に広範な地域の農民諸君がその日その日の生活にも困窮をしておるという事実は、これは黙視してはならぬと思う。何といいましても早急にその対策を立てなければならぬと思います。そこで先刻沢田委員からもお尋ねがありまして、農民感情としては当然なことであり、またその生活を守るために、水が引いたらすぐ田植えでもして、収穫量は少なくても何とか食うだけのものをとらねばならぬというせっぱ詰まったところに追い込まれておると思う。まさにそうだと思う。しかし考えてみますと、農民諸君の生活を守ることができれば、何も早々のうちに労力や苗をかき集めて田植えをしなくてもよろしいということになると思います。
 そこでいま園田委員のお尋ねになりましたことを、真剣に考えていただきたいと思いますことは、せっかく田植えをした、それが流れてしまった、埋っちまったということで収穫がなくなったんですから、当然私は農業災害補償法に基づきまして収穫皆無の補償があるものと思います。出すべきだと思います。その上もう一ぺん田植えをして、また災害が起きるとなると、二重に苦しめられてしまう。そんなおろかなことをやる必要はない。そこで転換対策を当てはめる。特別の本年限り、災害特に限ってそれを当てはめるといたしますると、いまの制度で二万円もらえるということになります。そうすると災害補償金と、二万円の転作奨励金とをもらいますると幾らになりますか。かりに反当三万五千円くらいになるとしますと、これから五、六俵とってみたところで四万円、それには肥料も入れなければならぬ、非常に高い労銀も払わなければならぬ、苗しろも出さなければならぬということになって、差し引き農民のふところ勘定は一緒になってしまう。国の貴重な税金はどうなるか、こう申しますると、一トンつくるとして三反歩くらい要りますので、六万円の国の負担が要る。ところが一トン餌さにしてしまうと十四万円損するのですから、国民の税金を節約する上からいっても、目の子計算で八万円もうかってしまう。国民の血税をむだに使わぬという意味から言っても、農民の所得を減らさないという点から言っても、そういう災害地の復旧について、田植えをしてしまえばほんとうの本格的な復旧の作業は中断すると思います。それよりはこの夏場のあったかいときに、そういう地域の災害復旧に関する農地の整理について徹底的に土地改良をやるとなりますると、また労賃が入ってくる。こうなると、来年の田植えには災害を心配せずにやれるように、完全に復旧をやってしまう。その間の農民所得が減っちゃ困るので、減らぬような対策を考えると、国がトンで八万円もうかってしまう。そうすると、それは双方とも都合のいい対策になると思います。
 これは食糧管理制度の根幹を維持すると言ったって、幾らそういうことになりましても、年々歳々何百万トンかの米が余ってしまうという事態を放置することは、どうしても国民感情が許さない。どうしても米を減らさなければならぬ。不必要な生産はやらぬ。それのためにも当面の対策として、多少数字的には小さくても役立つことと思いますので、研究するということでございますので、ただ委員会でそういう答弁をしたということだけで終わってしまってはいけないので、真剣に御研究を願いまして――要綱を変えなければならない。これは法律ではございませんので、要綱を変えればいいので、もう一回国会の審議を求める必要はございませんので、農林当局が判断をなさって、大蔵当局とお話し合いになれば、それであすにでも実行ができることです。ぜひともひとつ実行してください。農民の所得を減らしてやっちゃだめですよ。農民の所得は、もう一ぺん田植えをしたと同じような処置をしながら、来年の田植えには完全に整理するという土地改良をやる。そうして国も利益をあげる、こういう三方一両損じゃなくて、三方みんなもうかってしまうという対策なんですから、ぜひひとつ真剣に考えていただきたい。重ねて希望を申し上げておきます。
 それから立ったついでにもう一つお尋ねいたします。これは南九州の水害の問題ではありませんけれども、前々からこの委員会でも議論があり、災害対策委員会でもしばしば論議がされておる。ことしの五月に東北地方を中心に関東地区も含まれておりますが、相当広範な桑害がございました。かつて養蚕は日本の輸出の大宗ということで非常に重きをなしておりましたが、今日では残念なことに海外から生糸を輸入しなければならぬというようなみじめな状態に相なっておりますわけでありまして、何といたしましても養蚕の振興をはからなければならぬと思います。そこでこの恒久対策としては樹勢回復用のために肥料を施す、あるいは発生するであろう病虫害の防除を徹底するために農薬を散布するということが一番好ましい当然の緊急対策である。がしかし、桑の葉っぱがとれなくなってしまって繭の収穫をあげるということができないという状態に追い込められている諸君といたしましては、損をした上また追っかけてそういうことをやるということはなかなか経済的に許さぬ。そこで、そういうような対策に対する助成をすべきではないかという意見が、これはおそらく全員の御意見として出ておるはずであります。ところが昭和三十七年にそういうような施策をいたしました結果、その金が必ずしも目的どおりに使われなくて、会計検査院からいろいろ指摘を受けた等の結果もございまして、自来、個人的な救済についてはそういう補助制度というものは実行しないということになっておりますわけであります。
 いま私はここでそのことをむし返してもう一ぺん要求しようとは思いません。やるべきであるということは考えまするけれども、いまここで重ねてそういうことを論議しようとは思いませんが、何といたしましても、輸出の大宗であった絹糸がいま輸入国に転落しておるというこのみじめな状態は、一刻も早く復活をしなければならぬと思います。そのためには、こういう災害に際しますると、何といたしましも、この次におとずれてくる夏秋蚕等の生産をうんと上げていくというような前向きの施策を考えなければならぬ。そのためには、申し上げまするような基本となる桑の葉の育成についての対策も考えなければなりませんけれども、同時にまた技術的な指導について周密徹底をするということが大切な私は要諦であろうと思うのです。ところが養蚕関係の技術指導の諸君は、養蚕家の負担においてその費用がまかなわれておるというような姿になっております。もちろん一部は国の補助なり県の補助もございまするが、基本的には養蚕家の負担においてそういう技術指導の施設というものが充実しておる。ところが農家の諸君は負担をする余地がなくなってしまったというわけでございまするので、今後年内に行なわれる生産についての指導が徹底的に行なわれるような費用というものが出にくい、こういうことになる。
 そこで私は、この養蚕地帯における災害の額が、ここに資料を持っておりませんが、聞きましたところでは四十億にものぼっておるということでございまして、わずかな地域で四十億も災害をこうむったとなりますると、なかなか今後の対策というものを自分たちの負担においてやるということは困難であろうと思いますので、できますればそういう技術員等の活動費というものをこの際助成をする、それによって今後の養蚕がさらに進展をする、そのことによってこの春蚕の災害における減収を埋め合わせていくということになりますれば、これは非常に養蚕農家にとっても好ましいことであり、また日本の養蚕というものを、輸入国からせめて自給国にまで当面発展をせしめていくということのためにも、国として当然なすべき施策であろう。災害に関連して、特別に考えてしかるべきことであろうと思うわけであります。そういう個人的な補助金のことはあと回しにいたしまして、共同の指導体制を充実するための技術員の活動費の助成というような問題は早急に考えてしかるべきではないかと思いますが、これはいかがでございましょうか。
○説明員(荒勝巖君) ただいま御指摘のありました農薬とか肥料とかの災害対策についての助成につきましては、かねてからの農林省の問題といたしまして、この実現ははなはだむずかしいのではなかろうかと、こういうふうに考えている次第でございます。なお、後段の御意見ございましたいわゆる技術員あるいは指導関係の助成の件につきましては、帰りましてよく蚕糸園芸局長のほうに伝えて相談してみたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○森八三一君 前段のほうの災害水田の復旧といいますか、その地域における農民諸君の所得を確保しながら、現状における農業政策を推進するという問題、あとの養蚕に関する補助の問題等につきましても研究をするということでございますので、研究していただいてけっこうでございます。それ以上私申し上げませんけれども、ただ研究するということだけで、ともすると数日待ってもあとさっぱり音さたない。速記録に残したからいいというだけでうしろ向きに私はものを申しておるつもりはちっともございません。ですから、ほんとうに研究するということならばまじめに研究をして――もっともだという顔つきをしていらっしゃいますから、もっともな顔つきどおりにそのことが
 実現されるようにやってもらわないと、せっかく貴重な時間にあまり言いたくないことを言ったことがむだになってしまうので、ぜひひとつ誠意を持ってこたえていただくことのできますように期待をしておりますので、裏切らないように善処をしていただきたい。重ねて申し上げておきます。
○沢田実君 もう一つだけ申し上げて実は善処をお願いしたいのですが、先ほど被害の調査についてはまだ最終的じゃない、こういうふうなお話でございましたが、私どもがちょっと行って知り得た範囲と、農林省でこうして集計してくださった統計とに相当の違いがございます。私はもっともっと被害が大きい、こう思います。一つだけ例を申し上げますと、福岡県の被害は農林省の調査では千八百五十八ヘクタール、金額についてはゼロ、こうなっております。私のほうの調査員の話では、福岡県の浮羽町というところで五百八十ヘクタール、それから瀬高町という町で千三百十ヘクタール、合わせて千八百九十ヘクタール、この二町だけでも農林省の統計分になっております。しかも浮羽町というところでは、冠水した五百八十ヘクタールの約一割にあたる五十八ヘクタールが堤防決壊によって土砂が流入するたいへんな状態になって、被害金額がゼロということはあり得ない。こういうような状況でありますので、十分な調査と、それに対する善処を私ども特に希望する次第であります。
○説明員(荒勝巖君) ただいま御指摘の点につきましては、実はこういうバックデータまでつけることについては、私たちのほうでもどうかと思ったんでございますが、これは県から報告をいただきました報速を直ちに集計したので、いま冠水面積とかあるいは被害面積というものは、おおむね県でちゃんと入れてこられたんですけれども、被害の見込み金額は、なかなかやっぱり減収量の金額は出しにくいということで、県のほうでお入れにならなかったので、われわれとしても無理に入れずにこのまま計上したようなかっこうで、今後被害の確定する過程で、この部分につきましては、なお整理してまいりたい、こういうふうに思っております。
○委員長(任田新治君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
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