第063回国会 運輸委員会 第11号
昭和四十五年四月七日(火曜日)
   午前十時四十三分開会
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   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     加瀬  完君     鈴木  強君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     山下 春江君     渡辺一太郎君
     鈴木  強君     加瀬  完君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         温水 三郎君
    理 事
                金丸 冨夫君
                谷口 慶吉君
                藤田  進君
    委 員
                木村 睦男君
                河野 謙三君
                佐田 一郎君
                重政 庸徳君
                前田佳都男君
                渡辺一太郎君
                岡  三郎君
                加瀬  完君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                三木 忠雄君
                中村 正雄君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
       国 務 大 臣  保利  茂君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  宍戸 基男君
       法務省入国管理
       局長       吉田 健三君
       公安調査庁次長  内田 達夫君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    城戸 謙次君
       運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君
       運輸省船員局長  高林 康一君
       運輸省港湾局長  栗栖 義明君
       運輸省航空局長  手塚 良成君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       警察庁警備局参
       事官       後藤 信義君
       建設大臣官房技
       術調査室長    若木 三夫君
   参考人
       新東京国際空港
       公団総裁     今井 栄文君
       新東京国際空港
       公団理事     高橋 淳二君
       日本航空株式会
       社運航基準部長  長野 英麿君
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  本日の会議に付した案件
○港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○船員法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○運輸事情等に関する調査
 (日航機乗取り事件に関する件)
○新東京国際空港公団法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(温水三郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 提案理由の説明の前に、皆さんに対して厚く御礼を申し上げます。今回の日航機乗っ取り事件に関しまして、参議院の委員各位に非常に御心配かつまた御協力にあずかりまして、私たち幾多の不手ぎわな点がありましたが、とにかく全員が無事帰還できましたことにつきましては、皆さんの御支援の結果でありまして、心から厚く御礼を申し上げます。ただいま申しましたような不手ぎわにつきましては、おわび申し上げると同時に、お許しのほどをお願い申し上げたいと存じます。いずれ皆さんからの御質疑がありましょうからして、その際に具体的な点につきましては御報告かたがた御説明申し上げたいと存じます。
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 それでは、港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 近年におけるわが国経済の高度成長に伴い、港湾取り扱い貨物量は、年々約二〇%の増加を示しております。中でも、国際海上航路におけるコンテナ貨物等新し海上輸送方式により輸送される貨物の増加が特に目ざましく、この傾向は、今後も続くものと予想されます。
 このような現状にかんがみ、重要港湾におけるコンテナ埠頭等の整備を今後一段と促進する必要があります。また、これらの埠頭は、在来の公共埠頭と異なり、岸壁、荷さばき施設等を一体として特定の者に専用使用させることによってその効率的運営がはかられるものであり、また、その建設及び管理も国、港湾管理者がみずから行なうよりも、民間資金を導入して、民間事業者に行なわせるほうが、その整備を促進する上においてより効果があると考えられますので、このたび、民間事業者による埠頭の整備に関し、助成措置を定めることといたしました。
 次に、港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案の要点について御説明申し上げます。
 第一に、運輸大臣は、重要港湾について、その港湾計画が国の計画に適合し、かつ、当該港湾の利用上適当であると認めたときは、当該計画の概要を公示することとしております。
 第二に、重要港湾の港湾管理者がこの公示された計画に定められたコンテナ埠頭等を民間事業者に整備させる場合において、その建設または改良に要する費用に充てる資金を当該港湾管理者が当該民間事業者に無利子で貸し件ける場合は、国は、その貸し付け金額の範囲内の金額を無利子で当該港湾管理者に貸し付けることができることとしております。
 第三に、この方式による埠頭の建設または改良の事業を港湾整備五カ年計画に含めたるめ、港湾整備緊急措置法の一部改正を行なうこととしているほか、国の無利子貸し付けを港湾整備特別会計で経理するため、港湾整備特別会計法の一部改正を行なうこととしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
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○委員長(温水三郎君) 次に、船員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。
○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいま議題となりました船員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 現在海上労働者に対しましては、海上労働の特異性を配慮しつつ、その労働条件等を定めた船員法が適用されておりますが、同法の適用範囲は、一般商船につきましては五トン以上の船舶、漁船につきましては一部の例外を除き二十トン以上の船舶となっております。
 一方、二十トン未満の漁船につきましては、現在、船員法の適用がなく、陸上労働者一般を対象とする労働基準法が適用されております。
 今回の改正は、これら五トン以上二十トン未満の漁船にまで、船員法を適用することができることとするものであります。
 これら小型漁船の航行及び乗り組み員の労働の実態等を見ますと、これらは現在すでに船員法の適用を受けているものとほぼ同様のものであると認められます。
 このような実態、さらに商船との均衡をあわせ考慮いたしますと、地先漁業等限られた沿岸海域で漁業に従事する漁船を除き、五トン以上二十トン未満の漁船の乗り組み員に対しまして、労働基準法より海上労働の特異性を踏まえた船員法を適用いたしまして、その労働の実態に合致した、より適切な保護をはかることが必要であると思われます。
 なお、この適用範囲の拡大は、船員法と船員保険法との一体的運用をはかる必要性や関係漁業の経営の実態等を勘案いたしまして、段階的に実施することといたしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○政府委員(高林康一君) ただいま議題となっております船員法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院におきまして修正がございましたので、その修正点について御説明申し上げます。
 修正の概要は、船員法第十二条の船舶に急迫した危険がある場合の船長の最後退船義務に関する同条の規定を改正しようとするものでございまして、この規定を改正し、「船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない。」とするものであります。
 次に第二点の修正点は、同法第百二十八条第一号に、海員が、「船舶に急迫した危険のある場合において、船長の許可なく船舶を去ったとき。」は、刑罰に処することになっておりますが、この第百二十八条第一号の義務につきましてこれを廃止いたしまして、この刑罰規定を廃止いたしまして、この廃止に伴う経過規定を設けようとするものでございます。
 以上が衆議院におきますところの修正の概要でございました。
○委員長(温水三郎君) 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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○委員長(温水三郎君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 日航機乗っ取り事件に関する件について、本日、日本航空株式会社運航基準部長長野英麿君を参考人として出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(温水三郎君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 日航機乗っ取り事件に関する件について、まず、政府から事件の経過などについて報告を聴取いたしたる後、質疑を行ないます。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 日航機乗っ取り事件の概要を御報告申し上げます。去る三月三十一日発生いたしました日本航空機「よど」号乗っ取り事件は、御承知のとおり、同日、板付飛行場において老人、女子、子供ら二十三人が救出され、次いで四月三日、韓国金浦空港において山村運輸政務次官が身がわりとなることを条件に残りの九十九人の乗客全員とスチュワーデス四人が救出され、さらに四月五日には、北朝鮮から山村運輸政務次官及び機長をはじめ三人の乗務員及び「よど」号が帰国いたしました。今後の犯人の取り扱いを別にいたしますと、一応の解次を見た次第でございます。
 本事件の解決に至りまするまでの間における各党各派こぞっての御協力、御支援に対しまして深く感謝いたしたいと存じます。
 私は、事件発生後、即日、山村運輸政務次官を韓国に派遣し、乗客及び乗務員の救出に当たらせることといたしましたが、四月一日、政府の方針により、韓国へ運輸省の特別機で十七時十分金浦空港に私が到着いたし、韓国当局及び金山大使等と事態について善後処理に当たることとなりましたが、韓国に出発するに際しまして、総理大臣、官房長官、外務大臣等と協議し、乗客の安全を何よりも優先させるという人道主義の立場を政府の絶対的基本方針とすることを確認いたしてまいりました。
 このような基本方針に基づき、金浦空港においては、四月一日及び二日の両日にわたり、犯人たちに対しまして、乗客を安全におろせば、希望の場所へ飛行させる、したがって、何とか乗客をおろしてもらいたい旨の懸命の説得をいたさせました。
 一方この間、犯人たちの興奮状態をさまさせ、当方の最後の提案を受け入れさせる素地をつくるため懸命の努力を続けまして、食糧等の差し入れを受け取るよう説得を続けた結果、犯人たちも、四月一日夜、食糧、水、毛布などの差し入れを受け取ることに同意し、これを乗客に配布するに至り、翌日には、たばこ、チューインガムなどの嗜好品を要求いたしますので、直ちにこれを差し入れまして、その結果、興奮状態もかなりさめてまいった徴候を見受けるに至りました。しかし一方、犯人たちは乗客をおろせという説得にどうしても応じないために、興奮状態がさめかかってきた、冷静になりつつある時期をとらえて、かねてから希望しており、最後の手段と考えておった山村次官を身がわりとして乗客を全員おろすという提案を、四月二日の午後五時、これを提案をしたのであります。これに対して犯人たちはしばらく検討の末、約三十分後にこれを受け取る、原則として了承するという意味の回答がありました。この間、私が到着いたしましてから二十三時間と五十分であります。
 この間において、韓国当局は、軍事的にきわめて緊迫した状況にあるにもかかわらず、このような日本の人道的立場を理解され、最大限の協力をしていただいたのでありまして、この点、深甚なる謝意を表するものであります。特に、韓国閣僚が続々と空港に詰めかけ、乗客全員をおろすため不眠不休の説得を行なわれたこと、人道主義的な立場から犯人たち及び山村次官を乗せ北鮮に向けて出発することに同意されたこと、旅客に水、食糧、ジュース、薬品等の支給を行なったこと、あるいはわれわれに対して事務所及び秘書等を提供されたことについては、まことに感謝にたえません。さらに、北朝鮮におきましても、今回の事件に際しまして、人道主義の立場から関係者――山村次官並びに乗務員及び機体を直ちに日本に返還せしめることの理解をいただきましたことに対して感謝の意を表するわけであります。この人道的立場から各国がそれぞれの立場において御尽力をいただき、ついに無事解決を見るに至りましたことは、人道主義というものが、その強さ及び正しさを示したものとして真に意義深いものがあると考えております。
 なお、今回の事件がこのような形で解決を見るに至りましたのは、さきに述べました関係者の人道主義に対する理解とともに、機長をはじめ乗務員の冷静沈着な判断及び行動が大きな要因をなしております。
 私は、この解決になりましたことに対して、深く各党各派の関係者及び国内外の御理解と同時に同情に対して厚く感謝の意を表する次第であります。
 しかし、この事件にかんがみ、かかる事件が再び起こることはまことに重大問題でありますので、事前にいかにしてこのようなものを防止するかということについての措置、緊急の措置を具体的に講ずるとともに、今後これらの事故に対しては、従来の欠陥等について法的措置を含めて諸般の対策を早急に講じてまいりたい考えであります。
 以上御報告申し上げます。
○委員長(温水三郎君) 質疑のある方は順次御発言願います。
○森中守義君 運輸大臣、それに山村政務次官、それに官房長やその他いろいろな皆さんがこの事件の解決に一切を打ち込まれたことは、私ども当該の委員会としても、事態の成り行きに重大な関心を払いながらその措置並びに結果を見守っておりました。ただいま委員会に対する謝意を表明されたわけでありますが、むしろ私ども委員会としましては、本来ならば委員長が謝辞を言わるべきでありましょうが、そのお心に対して感謝をいたしておきます。
 そこで、しかしお尋ねしたいのですが、実はその間に一、二回委員会が開かれて、実は刻々とかたずをのむような思いで事態の推移を見守っておったのです。きょうはすべて事件が一段落を遂げたという状況でございますから、したがって、予算委員会あるいはその他で多少議論が出ておりますから、あるいは重複を免れないような気もしますけれども、所管の委員会としてお尋ねすることを御了承願いたいと思います。
 そこで、最初に、出席者の問題で関係者に聞いておきたいのですが、公安調査庁は次長ですね、おいでになっているのは。長官が更迭されてかなりの期間がたっておるようですね。これはどういうことですか。元来次長が政府委員なのか、あるいは長官が政府委員なのか。私は、私の記憶に関する限り、長官が政府委員になっておる、こういうふうに思っておる。したがって、政府委員更迭の手続がおくれているのか、あるいはこういう事件がにわかに発生をしたので他意あって任命を制限をされているのか。その辺をまず第一に一点聞いておきたい。
 それから、参考人の件ですが、石田機長、江崎副操縦士、相原機関士、こういうつまり機内で御苦労された皆さん方、お疲れでしょうけれども、真相をきわめていくにはどうしてもこういう皆さんに当該委員会としては出ていただくのが至当である、こういう認識のもとに要請をしたわけですが、何か聞くところによると、三日間は医師の診断の結果、静養を必要とする、こういうことのように聞いておりますが、もうあれから何日かたっておりますので、いまなお出せませんか。したがって、出てこなければこの運航部長が運航の責任者であるというなら、事件の真相をきわめ、ひいては将来にわたるこの種事件の再発を防止しなければならない、こういう立場に立つわれわれ当該委員会としてはぜひ出席をしてもらいたい、こういうように思っておるのですが、その経過を両方の当事者からそれぞれお答えを願っておきたい。
○政府委員(内田達夫君) お尋ねの政府委員は、公安調査庁の長官と次長と二名が政府委員でございます。長官は三月三十一日付で更迭いたしまして、新しい長官についての政府委員の発令手続がまだなされていないということで、新長官は政府委員になっておりませんので私が参った次第でございます。
○森中守義君 通例どのくらい日にちをとるのですか、政府委員の発令まで。
○政府委員(内田達夫君) 通例どのくらいか、私その点何日ぐらいか承知しておりません。間もなく出ることと思います。
○参考人(長野英麿君) ただいま御質問ございましたが、御発言のとおり、塔乗員はたいへん疲れておりまして、なお、その後でございますが、新聞社などに非常に追っかけられまして、一昨日帰りまして夜までにほとんど休んでおりません。で、昨日から休養に入っておるわけでございますが、本日もまだ休養状態であるというように伺っておりまして、私も昨日夕方まで実は衆議院の予算委員会のほうに参考人に呼ばれておりまして、そちらのほうの詳しい情報は個人的には得ておりませんが、私は事件が発生直後から「よど」号が羽田に帰着するまで、終始、飛行場に詰めておりまして、大体の経緯を承知しておりますし、また、帰った直後に私の聞き及ぶ範囲内におきましては、機長より話を伺っております。
 なお、御質問の中で私に答えられない機長の知っている部分がございますれば、至急後ほど調査いたしまして、あるいは本人、あるいは調査の結果を御報告いたしたいと思います。
 以上であります。
○森中守義君 これはまた後日もあることですから、そのときでもいいとは思うものの、まさか新聞の誤報でもないでしょうけれども、石田機長は直ちに帰宅をさした。これに対して、副操縦士と機関士はどこか知りませんけれども、どこかホテルに隔離をして、それで俗なことばで言うならばかん詰めにしておる、こういう話等も出ておるのですね。で、これは私どもが真相をただそうというのに何かこうある種の作意が動いておる、こういったように受け取るし、しかも、日にちの経過と同時にいろいろ疑惑がわいてくるのですよ。まあそのことはあとでまたお尋ねすることにいたしますが、いずれにしろ出席をしてもらわなければなりませんので、それは御承知願っておきたい。
 それから大臣にまず最初にお尋ねしたいのは、きのうの朝刊に官房長官が談話を発表しておる。この事件を政治的に扱うということは上策ではない。まあいわば国会の議論ということもほどほどにしてほしい。言いかえるならばそういったような談話が発表されております。政治的に扱うか扱わないかというのは国会以外にないわけですから、端的な言い方をするならば、国会でいろいろ聞くな、ものを言うな、つまり事件は全世界注目のうちに片づいたのだから、まあこれでいいじゃないか、こういったようなものの言い方だと私は受け取っておる。むろん、きょう午後には保利さんもおいでいただくようにしておりますが、その際あらためて問いますけれども、おそらく官房長官のその談話というものは、正確に閣議の決定であるかどうかは別として、一応内閣の意思として私ども受け取る。したがって、運輸大臣といえどもそういう官房長官の談話に全然無関心であるとか、あるいは関与されていなかったということには思われない。そこで一体政治的にこの問題を扱うのは上策でないというその真意はどういうことですか。あなた自身もそういうようにお考えですか、いかがでしょう。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 官房長官の談話なるものも私拝見しておりません。また、直接にも聞いておりませんから……。しかし、まあおっしゃるような意味の発言があったのでありましょうけれども、しかし、官房長官がどういう意味で言われたか、そう深いような意味で言ったものではないのじゃないだろうか、どちらかといえば、まあまあいろいろの不手際があったにしても円満解決ができて人命が、全員救助されたことは喜ばしいという意味が主であったのだろうと思います。とにかく、閣議でそのような話し合いが出たのでもありませんので、官房長官が記者会見で申されたのでありましょうから、官房長官が出席することになっておりますなれば、直接官房長官からその真意をお聞き願いたいと思います。
○森中守義君 大臣、そこで、私どもがいま究明を必要とするということは、平壌に着いたほうが事件の解決を早めたのか、あるいは金浦に着けたことによって事件の解決を非常におくらしたのか。つまり、板付を立って三十八度線を越えたとか越えないとか、あるいは機長は当初平壌に行くつもりで出た、それなのに逆に金浦に着いた。言いかえるならば、南北のきびしい対立の中の谷間に引きおろされたことが事件の解決を非常に長引かせた。したがって、板付を出てからどういう経路で、どういう措置のもとにああいう結果になったか。つまり機長の独自の判断で平壌に向かったものが、金浦におりたとはどうしても考えられない。つまりおろされたという、こういう認識を私どもは持つ。そこで、人道上とかいろいろ表現が用いられておりますけれども、逆説的にはかえって時間を長くかける結果になり、百数名の乗客並びに乗員に不必要な苦痛を与えた。一体板付から金浦までどういうことがあったのかというのが、これが私は真相究明を必要とする最大の問題だ、こういうふうに思っているわけであります。したがって、おおむね新聞等を通じてほとんど、真相といえば真相でしょうけれども、その経路を理解をしております。しかし、当事者からもう少し具体的に――板付を出るときには警察庁の指示は四項目与えてあったわけですから、そういうものを基礎に置きながら、つまり機長に指示が与えられた、とにかく出ろ、その辺のいきさつをもう少しこまかく御説明いただきたいと思う。
○国務大臣(橋本登美三郎君) こまかい点については、航空局長なり長野運航基準部長なりその他の方から説明があると思いますが、御承知のようにこの問題は、言うなれば日本の国内に起きました刑事事件であります。したがって、われわれ政府当局としては、原則として、できれば板付飛行場でこれを解決する、できれば犯人を捕えるということがこれは当然の政府の責任であり、方針でなければなりませんので、したがって、関係閣僚と相談した事件の当初においては、できるだけこれをひとつ板付で解決をしたい、このような方針でそれぞれの機関が最善の措置をそれぞれ行なったわけであります。しかし、皆さん詳しく、日本は報道の自由の国でありますから、こまかい点で御承知のとおりに、犯人は凶器を持って乗客をおどかし、ごらんのように二十三名の乗客がおりてくるときには、日本刀を持って、いわゆる万が一無理をすれば乗客をここで切り殺す、また機長に対しては短刀を突きつけて自由を拘束する、こういうようなことをやっておったことは、皆さん御承知のとおりであります。しかし、老人、婦人、子供たち二十三名を、いろいろ説得の結果それだけをおろして、なおかつ北朝鮮に行くことを命じたわけであります。われわれとしては、できるだけこれを国内において処理したいということで、最善のいろいろの措置を講じた、現地当局が講じた模様でありましたが、残念ながら、犯人たちの脅迫、危険な状態、このもとにおいて機長はみずからの判断であの飛行場を出発をせざるを得なかったことは御承知のとおりであります。これがおっしゃるように、なぜ北朝鮮に行かなかったかということについては、機長その他の関係者の方の意見を聞いてみなければなりませんが、ただ問題は、飛行機という特殊な乗りものによって行なわれたのでありますからして、したがって、機長の判断というものが最大の要件であります。私のほうからもし具体的に言うならば、どこどこに着けという命令は出しておりません。たとえば、私は、推測で恐縮でありますが、この行き先が経験のあるちゃんとした飛行場であるとか、あるいは、いわゆる国際飛行場、まあ大型飛行機でありますから、ジェット旅客機でありますから、そういうものが安全におり得る地帯であるかどうかは、機長が判断せざるを得ません。われわれにわかりません。でありますからして、北朝鮮に行けと、脅迫によって。もちろん北朝鮮に行くと言わなければ殺されるのでありますから、そういう意味で機長は飛び立ったのでありましょうが、その後における外務大臣が予算委員会等で言いましたように、どういう地帯で――飛行機ですからレールの上を走っているものと違うのですから、どこでおりるかわかりませんし、のみならず韓国の、いわゆる航空管制区域を飛んでいる、まず途中には韓国の領土がある、でありますから、韓国政府、あるいはあそこは韓国と米軍の管轄で空中管制等をやっておる状態でありますから、韓国政府なり米軍を通じて、万が一――朝鮮に向けて出発をしたけれども、韓国の地域を通るからして、この飛行機に対していわゆる発砲等の間違いが起きないように処置してもらいたい。またソ連に、世界赤十字を通じて――この飛行機が平壌に飛ぶといって飛んでおるから、その地域に、いわゆる北鮮地域に入った場合においても、この飛行機が安全に航行するように、ひとつ朝鮮当局に十分に伝えてもらいたい。かような手配を外務大臣としてはいたしたと報告を受けております。
 かような状態で、われわれはまあ脅迫感があったにしても、機長としては北朝鮮に向かって飛んでいくということでありますからして、特別の事情の起こらない限り北朝鮮に行くものと考えておったわけでありましたが、どうした事情があったのか、あるいは全く地理不案内でありますから、板付飛行場で与えられた地図は、小学校の教科書に載っておる朝鮮の小さな地図をコピーしたものだと聞いております。詳しくは運航基準部長に聞いていただきたい。要するに、日航には北朝鮮の、いわゆるわれわれの見ておるような飛行地図はない、そういうようなもの、かつまた北朝鮮飛行場の情勢等もわからない。こういうことでありますからして、おそらく機長としては心配をされながら飛んでいったものだと思いますが、どうしてそれが三十八度線を越えてから、西に向かって半島を横断していったわけですが、金浦飛行場におりたかどうか、それは石田機長の判断で行なわれたのか、その他の措置があったのかは政府としては全くこれは知るよしもないのであります。石田機長からの報告によれば、その近辺においていわゆる誘導が、レーダーによってこちらは平壌飛行場であるという誘導が行なわれた。そこで他からは誘導がなかったので、それに向かっておりていったということであります。さような金浦飛行場からなぜ平壌と呼んだかどうかは、何せあの辺は臨戦地帯でありますから、軍地帯でありますから、いろいろの考え方もあるのではないかと思いまするが、それらについてはわれわれとしては知るよしもないのであります。
 以上が大体の報告でありますが、こまかい点については航空局長なりあるいは長野運航基準部長なり関係者から御説明を願いたいと思います。
○森中守義君 一見自然な御説明として受け取っておきたいと思うのですけれども、それではやはり釈然としない。そこで、ちょっとその前段になる問題として、公安調査庁と警察庁のほうにお聞きしたいのですが、きのう同僚の岡委員から「週刊現代」の記事の内容が取り上げられた。そこでいま、これは国会図書館から借りてきたものですが、現物に間違いがない。一月二十二日の「週刊現代」でありますが、「過激派学生が飛行機乗っ取りを計画中」、かなり大きい記事が出ております。「選びに選んだ情報集団現代ニュースレター」。これはむろん図書検閲が行なわれる時代ではないから、その辺の追及はともかくとして、これだけ一月二十二日に大々的に、いわば一種のビッグ予見ニュース的なものとして、こういう大見出しの記事が出た。これを公安調査庁やあるいは警察庁、あるいは運輸省や日本航空のほうで関係者のだれかの目にとまらないということは私はないと思う。この記事、御存じですか。むろん私はいま見出しを見ただけで中身は見ておりませんけれども、この見出しによると、「過激派学生が飛行機乗っ取りを計画中」かなり大きい見出しです。全然こういうものを知りませんか。
○説明員(後藤信義君) その記事が出たことを私どもも承知いたしておりました。これに対しましては、警察庁としても当然関心を持ちまして調査をいたしましたが、確認に至らない状況でございます。
○政府委員(内田達夫君) そのような記事があるということは聞いておりましたが、私は現実には読んでおりませんでした。
○森中守義君 現実に読んでいないというんなら、これを読んでください。
○政府委員(内田達夫君) 事件後は読みました。
○森中守義君 通例の場合、いろいろ警察庁あるいは公安調査庁のおやりになっていることはわれわれは知っている。しかしその記事によって捜査はしたが確認はできなかった、こういうことのようですけれども、これを読んだ瞬間に、もしそういうものが発生したらどうなるか、むろんそういう計画を事前に防止する役目もあるでしょう。他面関係者に向かって――こういう事件が計画中というのだが捜査の結果十分ではない、しかしながらこういう記事が出ている以上、いま少し慎重な配慮が必要であったろうし、あるいはまた空港ターミナルにおける警備関係であるとか、そういう措置が事前に私はとられてもよかったのではないか。こういうように思うのです。もしそういうことが慎重に警察庁なりあるいは公安調査庁等々で配慮が加えられておったならば、事件は未然に防げたかもしれません。そのことに関する限り記事は見た、しかし計画の実体を追及したがどうしてもそれができなかったということでは、私は警察庁の責任は済まないのではないか、こういうように思うわけです。何かそういうことで運輸省なりあるいはJALのほうに特段の配慮をするように、あるいは警察みずからが未然に防止するために警備体制に入る、そういうことは協議されなかったのですか。
○説明員(後藤信義君) 私どもいかなる情報が入りましても、それにつきましては所要の体制で必要とするものは措置いたしますし、それから関係者があります場合には、それらに対して所要の連絡をするというのが原則でございます。ただしかし、今回の事件につきましては、これは現実に起こったわけでございますが、一月二十二日の「週刊現代」に載りました段階においては、いまだそこまで確認するに至っておりませんので、いたずらに関係者に対して不安動揺を来たしてはいけないということもありましたし、また、おそらくはこのような推測記事と申しますか、そういうものをまじえたものが巷間に出たわけでありますから、運輸省はじめ航空会社当局においても十分にその辺は配慮されておるものと考えておったわけでございます。私どもといたしましては、先生いまおっしゃいましたように、この過激派の学生連中がこういうことを計画したことはかつてございました。それは現実にそういう情報が入りましたのは昨年の十一月、佐藤首相が訪米される段階でございましたが、この段階においては、かなり具体的に、早朝に羽田空港に着陸する飛行機を乗っ取るというような話がありましたので、それにつきましては関係方面と十分な連絡をとりまして、その所要の措置をとり、事なきを得たのでございます。しかし今回は、はなはだばく然とした情報でございます。担当の記者に当たっても聞いたわけでありますが、出所があいまいでございましたし、私どもとしては、これは確たる情報として関係当局のほうに伝達するのにはまだ内容が不足であったという、こういうような判断であったわけでございます。しかしながら、当然私どもといたしましては、最近の過激派の学生、特にいわゆる赤軍派と名のる連中が非常に過激なことを考えておるらしいということは情報でキャッチしておりましたが、その方面の警戒はいたしておりました。さらにこの過激派の連中に属します主要な者につきましては、その動向について十分なる監視体制をとりつつあったわけでございます。
○森中守義君 これはしろうとの私が警備局長にお話し申し上げるまでもなく、やはり事犯を未然に防止するということ、これは警察当局の主要な任務である。現実に事件が発生をした、そこで対策を立てる、措置をとるということは、本来は二次的なものだと私は思う。事件を未然に防止さるべきものである。そこで、すでに一月の二十二日に、権威があるとかないとかそういうようなことまで私は言わないけれども、少なくとも週刊誌によってこういう事件が計画中であるようならば、これはやはりそれなりに対策を立てねば、これはやはり問題ですよ。なるほどいま局長の御説明によれば、取材の担当の記者に聞いたが、出所がわからない、追跡してみたけれども、その極点がどうしても明確でなかったというようなことでは、ここまで世間が大騒ぎをし、しかもかれこれ一週間というものは国民全部がテレビに吸いついた、そういう事件が、すでに一カ月有半も以前に一つの週刊誌によって予見をされ予告をされておったというならば、どう考えてみても今回の警察の措置というものは、それではやはり責任のある措置をとったとは言えない。むろんそういうことなどが累積をされて荒木国家公安委員長が辞任をするという、こういう段階に発展をしたものだと私は思う。おそらく国家公安委員長もこの記事を読んでいたかどうか知りませんけれども、荒木さんにはこのことは報告したのですか。長官の指示を受けましたか。
○説明員(後藤信義君) 「週刊現代」にこういう記事があるということは上司に報告してございます。
○森中守義君 答えになりませんよ。長官の指示を受けたかと聞いているのですよ。
○説明員(後藤信義君) 特段の指示はございません。私が先ほど御説明申し上げましたように、警察といたしましてはこの情報の確度をまず確かめて、しかる後に適当な措置をとりたいと思っておったわけでございますが、この点につきましてはこれを確認するに至っておりませんので、十分にこの出所を確認し、しかるべき措置をとるように指示したのでございますが、しかし、出所を確認するに至りませんでしたので、それ以上の手段はとっておらぬのでございます。
 これは実は、そういう週刊誌に載りました記事というのはいままでにも何べんかございました。たとえて言いますと、武器をどこかから密輸してくるのではないかというようなことをかなり推測まじりに大々的に書いた週刊誌もございます。しかし、その点の事実は私どもの手では真偽を究明するに至っておりません。そういうようなこともございまして、週刊誌に載りましたことが直ちに事実に結びつくというふうに考えることは早計である、そういうことが私どもの考え方であります。
○森中守義君 そういうことでその対策を立てる、あるいは手回しをするということが不必要に世間を騒がせるということには私は通じないと思う。むろん、警察庁がこういう予見されるものがあるから、だから国民はこういうことに気を配ってくれという、そういう鳴りもの入りでまさか宣伝されたことはいままでに経験がないですね。私が言うのは、警察庁がいままでやってこられたいろいろの方法からいくならば、隠密に、しかも未然に防止をするという、こういう方法をとるべきではないか。
 そこでどうなんです、いま万が一の一がこの「週刊現代」であるかどうかそれは知りませんけれども、要するに、その予見、予告というものが現実に結びついた、その期間約一月半余りであった、こういう現実に直面をしていま何か考えるところはありませんか。やっておけばよかったとか、もっと関係の向きにでも協議を行なっておけばよかったとか、そういう現状について理解は持たれませんか。
○説明員(後藤信義君) いま現実に事件が発生しましたわけでございますから、いまの段階におきましては、あらゆる情報について十分なる措置をすべきであったわけでございます。また、先生おっしゃいましたように、こういう「週刊現代」に記事が載っておりますと、したがって過激派の連中のことでありますから、万が一ということも起こるかもしれないという程度の連絡はあるいはしたほうがよりベターであったろうというふうに考えるのでございますけれども、しかし繰り返して申し上げますように、当時の段階におきましては、しばしばいろいろな推測記事をまじえて出しておりますような週刊誌につきまして、これを連絡をするというようなことは、警察側の体制の問題もございますし、たいへん不安、動揺を与えるという問題もございますので、簡単にはやらないというのが私どもの大体の行き方でございます。つまり、警察は単にこういううわさがあるとか、あるいはこんなことがどこかに載っておるというようなことだけで関係の方々にお話をするということは、これはもう警察の責任から申しましても、はなはだ当を得ないように思われるわけでございます。やはり警察としてそれを関係方面に伝えるからには、ある程度の確信を持った事実をつかんだ上でやるのが原則でございますし、それが至当であるという判断のもとに今回はそのような措置はとらなかったのでございます。
○藤田進君 関連。
 どうも後藤警察庁参事官の話を聞くと、ますます不安が私ども並びに国民も増してくるように思うんです。国務大臣でもある橋本運輸大臣にお伺いしたいんですが、警察庁あるいは公安調査庁、公安調査庁次長のごときは、週刊誌に出たことは聞いたが、よく読んでいないのだ、これは代表している以上、公安調査庁の機関として、個人的に読んでいるかもしれないが、メカニズムである公安調査庁としては、こういうものを全く一笑に付したという、ことばをかえれば、その道にあるものはいろいろの報道というものは十分これに関心を持ち、そうしてこれに対して万全の予防措置ということが必要ではないだろうかと思う。全くのうのうとしておる。それからいまの後藤参事官のごときは、読んだけれどもそんなものは一々相手にしないのだ、簡単に言えば、そういうことです。しかし、いま言われておる犯人はすでに指名手配をしていたはずです。そうでないならばないと言っていただきたい。それを全く大手を振って、どんな準備もせぬ。そういう動きがむしろその道ではない週刊誌等にキャッチされていることは事実なんですね。ですから、そういういわば指名手配ということに対する重要性、それから一連の暴力学生に対して、ある政党がこれは泳がせているんだということをわれわれは早くから聞いております。確かに私ども見ましても、何だか予算を取るために戦前からこういう手段を警察はとられてきたと、先輩たちから聞くと、言っております。全く戦前と同じような形をとっておりますね。予算を取るために、そういう事件を培養しながら、事件が起きれば何かそれにかまえていく。人手がない、予算がないということにむしろ利用するということが今日も行なわれておると言う人が非常に多いのです。今度の事件を特に一つのモデルとして、ですから私自身が見ましても、学生暴力に対する泳がせ政策――という表現は私は使わないにしても、現実に火炎びんを投げる、あるいは逮捕されて保釈になっておる同じ人間が、写真もとられ、そしてちゃんと数人が目撃、確認をしておるにもかかわらず、警察は全然手もつけていない、こういう状態じゃありませんか。それは何を意味するのか。いまのように、予防するということでなくて、現実に事件を起こさせてこれに対処するという、むしろそういうかまえにあると言わなければなりません。今後を含めてどういう措置をとるのか、あるいは指名手配ということをすでに打ち出していたにもかかわらず、ああいったような事件が起きたということに対する納得のいく説明をしてもらいたいと思うのです。運輸大臣におかれても、治安関係についてもっと掘り下げたひとつ所見、所信をお伺いしたいと思います。
○説明員(後藤信義君) ただいま先生からいろいろな点を御指摘いただいたわけでありますが、第一番目の、未然防止に対する体制が十分でなかったのではないかとおっしゃる点でございますが、結果的に事態が発生しておりますので、私その点は私どものほうでいろいろ弁解がましいことを申し上げることは差し控えたいと思うわけでありますが、私どもは少なくとも、先生おっしゃいました中に、一部の者の中に泳がせておるというような説があるが――こういうお話がございました。これは私どもは全く誤解であると存じます。すでに昭和四十二年の十月八日第一次羽田事件以来、私どもが検挙しました過激派学生の数は一万八千をこしておるわけでございます。その他のものを入れまして約二万でございます。これだけの者を逮捕し、検挙し、処置しておりますが、さらにその間、負傷しておる警察官もほぼ同数の者が負傷しております。中に二人の殉職者を出しておる状況であります。また、今回の赤軍派に関して申しますと、昨年の佐藤総理の訪米阻止をするということで、赤軍派が大菩薩峠で訓練をしておりました。このとき現行犯として五十三人を逮捕しておりますが、これらにつきましては現在までに、赤軍派は昨年の九月に結成されておりますが、四十四件、二百八十八名を検挙しております。現在でも、四月五日現在でございますが、五十四名がいまのところなお未決勾留中である、こういう状況でございますが、三月に入りましてからも、三月十五日には赤軍派の最高指導者であります塩見を逮捕しておりまするし、その他の幹部を含めまして、活動家を三名逮捕いたしておるわけでございます。そうでございますので、私どもといたしましては、こういう連中を泳がせておるとか、あるいはそれを何らかの手段に使うというような考えは毛頭ございません。警察本来の使命でございます、警察法にきめられました責務を達成するために十分な努力を払っているつもりであります。だが情報の収集はおのずから限度がございまして、私どものほうで必要とする情報収集と申しましても、これは十分達せられない問題もございます。特に昨年の十月、十一月段階において、赤軍派が各所に過激な行動をとり、このことによって多数の者が検挙されるということになりまして、かなり打撃を受けたことは事実でございます。その結果、いわゆる幹部が地下に潜行するというような状況に至りましたために、さらに情報の収集、彼らの動きをキャッチすることがむずかしくなっていることは事実でございます。しかしながら、私どもはそういう困難を乗り越えまして、さらに彼らの動きを十分にとらえるべく努力をし、その結果が実りまして、三月十五日ついに最高幹部の逮捕にまでその手が伸びていったわけでございます。
 今回の事件はまことに不幸な事件であり、残念な事件であります。私どもがこれを未然に防止できなかったことにつきましては、まことに検討すべき問題が多々あるのでございますけれども、少なくとも私どもが努力を怠ったとか、あるいはさらに進んで彼らを利用しようとするというようなことは決してあり得ないということを申し上げたいと思います。
 それから、先ほどちょっとお話がございましたが、この機会にちょっと申し上げさしていただきたいのでございますが、ソウルに着陸するということにつきましては、警察の方針であったというようなお話がございましたが、これは全く間違いでございまして、警察のほうでは、さような方針を出したり、あるいはそういう方針を関係の方面に連絡するというような権限もなければそういう気持ちも毛頭ございません。これはあくまでも国内において処理するということを第一に考えて、乗客の安全な救出及び国内においてこれを処理するということを基本方針としてこの問題に取り組んだわけでございますけれども、結果的にはこのような事態になったわけでございます。
○加瀬完君 あなたそうおっしゃいますけれども、日航ではハイジャックにあったときは、小細工をせずできるだけ不法者の希望にさからわないようにせよという内容の方針をきめておるわけでしょう。ということは、ハイジャックの問題が当然起こるであろうということが予知されておるわけです、予想されておるわけです。それならば、かりそめに、それがいままでは調査の対象にならなかった週刊誌の内容であろうとも、何であろうとも綿密な調査をするというのが当然これは行なわれてしかるべきでしょう。なぜならば、日航は政府の傍系機関みたいなものですから、日航がこういうものをきめるのに運輸省なり警察なり、関係官庁が全然相談がないということはあり得ない。これは運輸省もこういう事態が生ずるおそれというものは確認されておったのであろうし、そうであれば警察も知っておらなきゃならないわけですから、そういう状態の中で、前の委員が御指摘のような問題を警察が十二分に調査をしないというのは、私は少し手落ちではないかと思うわけでございます。
 そこで、警察も含めて政府機関が人道的人道的とおっしゃっておりますが、その人道的な考え方に少し疑問を持つ。なぜかと申しますと、 ハイジャック問題が起こるならば当然それは政治亡命ということでありますので、反対側の国へ逃避するということは当然です。同盟国――もっとも善隣友好関係のある国に逃避するはずはないのであります。そうであるならば、当然今度のような問題が起こるわけでありますから、原則がいまのような前提であれば、あるいは北朝鮮なんかに行くような場合はどうすべきかということを検討されてしかるべきです。そういうことが偶然のような話で説明されておりますが、おかしいと思う。それで先ほども申し上げましたが、日航の考え方としては、機長の談話も出ていれば社長の談話も出ておりますように、北鮮に行かせるよりほかしかたがない、また社長も、北鮮に行かせるよりしかたがないであろうということを相談なしに発表されておるということで、こういう場合には、やはり犯人の指定するところに行かざるを得ないだろうという事前の了解といいますか、高度の方針というのが日航ではさまっておったはずであります。こういうものを取り上げないで、そして北鮮に結局入ることを阻止するような事実方法がとられたわけです。一体、北鮮に行かれることを阻止することがどうして人道的なのか、あるいは機長や日航の方針のとおりにやらせてなぜ人道的でないのか、日航の申し合わせにも、こういう場合どうすべきかということをきめたということは、人道的な立場に立ってきめられたことでありますし、で、航空法にも機長の権限というのがあるわけですから、機長の権能にまかせておいていいわけです。それを政府の力で、北鮮への阻止というものを結局やったような形になってしまった。それが最高の人道的だという考え方は成り立たない。警察もいまいろいろ説明したけれども、少なくも五時間あそこに置いて、その中で何とかしようという考え方というものに無関係であったとも言われない、当然政府機関として、それはどう処置すべきかということは相談の中に入っているわけです。そういう人道的人道的と言いながら、一つの慣習なり、その日航という専門家が考えた一番人道的だという考え方があるのに、そういうことは尊重しないで、別の権力によって別の人道的立場を主張をする、こういうことを繰り返しておる限りはこの解決にはならないと思う。そうではなくて、もし人道的立場ということを警察も主張するならば、針のようなうわさでも、ハイジャック事件というのが起こるということが予想されるならば、事前に十分な調査をしないということは、どう考えてもこれは申しわけないということに私はならざるを得ないと思う。そうじゃないですか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 加瀬さんの御意見でありますが、原則として、私は最初のほう、人道問題云々ということ、その点に異議があるわけではありませんが、ただしかし、亡命にもいろいろの手段があるわけですね、したがって、まあ何といいますか、飛行機がどこかに行く、必ずしもこれは同盟国とか特別な友好関係とかでなくても、だれが見ても政治亡命の場合は、友好関係であっても、これは政治亡命は認められますから、必ずしもその政治亡命する者が、たとえば日本と友好国である、国交関係ある国の政治亡命も可能なわけですね、政治亡命の場合は必ずしもできないわけではない。問題は、政治亡命にしてもいろいろの事情があります。今度の場合は、ごらんのように、現実に刑事事件的な条件が備わっておった。富士山ろくからずっと手を縛られて、そうして何を持って……、そういう条件ですから、国内に起きた事件で、しかも向こうに行くためには油が足りないということで福岡に着陸をしたわけですから、そこで政府当局としては、できればそこで国内において処理ができればしたい、しかし、できない場合は北鮮に行くことをもちろん初めから覚悟はしておったわけです。ですから、強制的にあらゆる実力を使っても阻止するという措置はできなかったのですから、人道的問題として処理をしたいというのはいわゆる板付を立ってから、これはもう当然そうなりますね。国交のない国に行くというのですから、そういう意味で犯人の動機なり、犯人といいますか、事件の性質なり動機なり、こういう問題でやはりいろいろの処理すべき状況が変わってくると思うのです。これは加瀬さんにもわかってもらえると思います。
 ただ、先ほど日航においてそういう事件が起きた場合にはというお話がありましたが、私は原則として、日航がそういう方針をとられたことについて異議を差しはさむものではありません。ただ、いま申しましたように、これが安全な飛行ができるかどうかということは航空会社並びに機長に判断をしてもらわなければならぬということであります。そういう意味で、今後このような問題が、万が一にも起こしちゃいかぬけれども、起きた場合には、そういう条件さえ整えば、政治亡命である場合あるいはそうでない場合も、刑事問題であっても、まず人命尊重で、どう解決するか、人命を何とかして助けるという前提に立って、その他の問題は――メンツとかなんとかというのにとらわれずにこれは処理していくという基本方針は今後とも変わりはない。しかし、今回の事件によっていろいろ非常に教えられまして、今後いわゆる臨機応変、かつまた迅速なる措置が将来はとり得るのではないかという意味では貴重なる経験を得た。ただいろいろな外国の例だけではわかりませんものですから、その意味では貴重なる経験を得たので、十分にそれらを配慮して、今後政府としてはやっていきたい、かように考えております。
○加瀬完君 もう一問。その日航の方針というのは、日航は特殊法人ですから、当然ハイジャックの問題なんかに対する方針がきめられるとすれば、これは運輸省全然知らないことはありませんよ。政府がすでに了解をしているその内容で日航の方針がきめられた。今度の機長の判断というものは、日航の方針に従った判断をしたわけですね。飛行機の中の判断は機長にまかせる以外はないという、ああいう密室になった場合、その機長の判断というものは一番尊重されたかということになると非常に疑問がある。機長の判断にまかすべきものを外の力でいろいろ機長の判断に圧力をかけたととられるような方法がとられたことは、はなはだ私は当を得てないと思う。運輸行政からいってもその点が非常に私はおかしいと思うわけです。
 それで、政治亡命というにしては刑事事犯の内容が多すぎるという、そのとおりでありますが、いずれにしても政治亡命をしたいという、手段が悪かったが目的は政治亡命ですから、政治亡命者によって乗っ取り事件が起こるということであれば、それが同盟国ばかりとは限りませんから、反対側の国へ行くようなことも考えられる場合もある。どういう措置をとるべきかということは、事前に配慮があってしかるべきである。そういう配慮が不十分であったということも私は認めざるを得ないのじゃないか。そういう点を今後考慮してもらわなければ困る、意見になりますが、そういう点を申し上げたかったわけです。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 先ほど申し上げましたが、いわゆる亡命者によってはさような国交のない国に希望する場合もあります。これは当然、あるいはどっちかといえばそのほうが多いだろうと思う。ただ、問題は飛行機を安全に着陸させられるかどうかということは、これは機長の判断、航空会社の判断です。ですから、たとえば日航の国際線ですね、それがまあ経験のあるところを飛んでいくということであれば、しかも向こうが大型飛行機を着陸するに足るということであれば、おそらく機長はそっちへ行ったのだろうと思いますね。もちろん、これは機長は平壌に行ける、行こうという気持ちで行ったのだろうと思う、政府としては平壌に行ってはいかぬという指令は出しておりませんから。したがって、飛行機になりますというと、その運航といいますか、判断は、どうしてもこれは機長にまかせる以外はないと、こういう意味で……。ただ、加瀬さんのお話のうちに、何か政府でチェックせぬかということについては、政府ではこれに対していわゆる絶対に行ってはいかぬぞというような命令は出しておりません。
○岡三郎君 ちょっと関連。
 そこで私はその点について非常に疑問を持っているんですよ。これは運航部長もおりますから聞いておいてもらいたいのですが、この三十一日の事件が発生した当時、総理がこう言っているのです。総理ですよ。これは戸田君の質問に答えて「まず一つはっきりしておきたいことは、両国政府間の問題でないこと、政府が関係しておらないということ、これだけははっきりしておるようでありますから、そこで政府間に誤解があってはならないと、かように思っております。」こういうことを言っているわけだ。「どうも北鮮の上空から南下を始めたと、飛行機が南下しつつあると、こういうような話でもございます。とにかくいまのところ、一部の暴徒というか、暴力行為者、それらの連中、無謀な連中に乗っ取られて、ただいま行く先がわからない。」総理が言っているのですよ。行く先がわからない。飛行機が飛んでいるわけですよ。「案外、われわれが心配はしているが、福岡までまた帰ってくるかもわからないと、あるいは途中でとまるかもわからない、そういうような状態でございます。」こう言っている。総理はこの答弁の中において、明らかに福岡に帰ってくるか――これは運航部長、あなたがきのう言った答弁とかかわりがある。途中でとまるということになれば、これは金浦ですね、そのほかに私はないと思う、途中でということになるというと。そうするというと、この時点において総理が言っているということは、明確にこれはどこかできまっていたということで、総理のほうにこういうふうな情報が入っていたと思うのです。きのうの話だというと、運航部長は、あなたが直接的に板付の米軍に電話連絡をして、途中で板付へ引き返すか、あるいは北鮮の平壌に行くということで――その点違っていたらあとで直してください。途中についての飛行機の安全というものを確保してもらいたいということをおっしゃられたわけですが、これは橋本さんのほうも関連があると思うのですがね。総理のほうとしては、もうすでに機長は北鮮に行くということで出かけているわけですね。明らかにもう板付を立ったときには北鮮に行くということ、北鮮に行かれちゃたいへんだということで板付へ帰るようにあなたのほうで米軍に頼んだと、米軍のほうから韓国によろしく頼むということになったわけです。そういうことについて、これは明らかにこの場合、段階においては、あなたが米軍に単独で依頼したと言っておりますが、総体的にいってこの時点において韓国に平壌にはもう行かせないのだと、つまり朝鮮において阻止して、そうして板付に返す、それができない場合には京城におろす、金浦におろすか京城におろすか知りませんが、おろすんだという方向のこれは答弁だと思って聞いているわけです。だから、これでいうと、明らかに日航を含めて政府の意図全体が、板付から離陸したときには北鮮に行ってはならないという意思が働いて、そういうふうな具体的な指示を百二十一・五メガサイクルでやれというふうに、あなたのほうでも機長のほうにそういう微妙な間における連絡をとったということの中で、私は真相というものがわかってきて、具体的に出てきているというふうに思うわけです。これは総理が三十一日に明確に答弁しておりますからね。この点について、これは全然そういうことがないのだ、それは一方的に途中でどういうわけか知らぬがやったのだ、だから政府はそういうことは関知していないのだ、日航がやったのだ。ところが、日航がやったという形ではあっても、その間において外務大臣と防衛庁長官も、米軍ないしは韓国の政府に対してすでに連絡をとっておいて、二国間の、政府間の問題になっているわけですね、具体的に、もうすでにこのときには。この間についての事情を明確にしてもらいたいと思うのです。
 要するに機長は、いま加瀬さんが言われたように、北鮮に行く方向での一つの指導というものがなされている。しかし、現実に板付から離陸したあとの、三時に到着する一時間の範囲内において、緊急にそういう措置をとって、板付へ帰すかあるいは途中でおりろ、そういうことになっておったんでしょう。これはどうなんです。これはポイントですからね。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 総理大臣の発言のことに関しますから私から……。まあ私総理大臣自身でありませんから、どういう意味で言われたかははっきりいたしませんけれども、ただ機長は自由な意思を持っていなかったということはお認めになりますね。あの短刀を突きつけられた状態の中で……。
○岡三郎君 平壌に行くということについて。
○国務大臣(橋本登美三郎君) いや、平壌に行くということについて、自分自身の判断だけで平壌は心配ないからおりられるのだという意味で、ほんとうに完全な自由の意思のもとになかったということは、これは想像できるわけですね。そこで総理大臣は、私自身もどこに行くかわからないと言われたのですよ。北朝鮮に行くと言って出発をしたといっても、北朝鮮に行くということをはっきり言ったのは、とにかく機長も自由な意思のもとで自分のコースをきめられない状態にあった。ですから、どこへこの飛行機が安全飛行するか、目的は、人命を安全に運ぶためにはどういうような方向でどういうようなことをするかということは機長自身がきめることですから、われわれ外部の人も、私も航空局長から報告を受けていませんし、総理大臣ももちろん私が受けていないのですから――あるいははどこへおりるのだと、いまおっしゃったように平壌に目的があるのじゃないかというようなことは、もちろん私自身から総理大臣に報告がいくわけですから……。
○岡三郎君 総理大臣がかってにそんなことを言いっこないよ。
○国務大臣(橋本登美三郎君) ですから、機長の気持ちを反映しがたいから、そのようにどこにおりるかわからないという意味の一般のわれわれの気持ちの上でおっしゃったのだろうと思います。いまおっしゃったように、初めから平壌におりるのだという……。
○岡三郎君 いやいや、板付。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 板付に帰すのだというようなことを考えて申されたのではないであろう。全く自由意思を奪われている機長の立場を考え、また運航という――あとで長野君からパイロットの精神とかいろいろの事情もお話があるでしょうが、そういうことから飛行機の問題とか、機械のことについて全くわれわれは予知しにくいという点をただ申し上げたいのであります。
○参考人(長野英麿君) この間の経緯について少し説明をさしていただきます。
 だいぶそこら辺が――たまたま昨日、中曽根長官が米軍への連絡と私のことばがあまりにも符号し過ぎたもので多少誤解があったのじゃないかと思いますが……。
○岡三郎君 私は総理の答弁について聞いている。
○参考人(長野英麿君) それではお伺いをいたしますが、総理の答弁は何時ごろでございましたでしょうか。
○岡三郎君 一時ごろですよ。
○参考人(長野英麿君) 一時でございますか。私は実は福岡でできるだけ給油を長引かして時間をかせぎたいと思いましたのは、一つには、できるだけ犯人を説得いたしまして乗客をあそこでできたらおろしたいという意図があったことは事実でございます。と申しますのは、北鮮の情報が私どもにはさっぱりわかりません。御承知のように、飛行場とかあるいは地上施設とか、いわゆる飛行機が飛ぶために必要な情報が全然ございません。そのために、少しでも時間をかせいでそのインフォメーションが入手できればこれを機長に渡したいと考えたことが一つでございます。それともう一つは、昨日も申しましたように、韓国空軍及び北鮮の空軍に対して、できれば、日本航空の飛行機がハイジャッキングされて心ならずも不法越境していくという状態を知っていただきたい。御承知のように、私どもは、このハイジャッキングの問題につきましては、もう世界じゅうでは百件をこえるハイジャッキングが起こっておりますので、日本航空は昨年の初めからこれに対する対策を始終考えておりまして、現在IATAではほとんどプリベンション、防止する方法はほとんどむずかしい、ハイジャッキングはほとんど成功しておるというようなことから、われわれはむしろハイジャッキングが起こった場合に機長はどうしたらいいかということ、ことに空中で機長はどうすべきかということを主体にいたしまして、いわゆる空中という限られた条件の中におきまして機長がどういう行動をとったらいいかということにつきまして、実はここに皆さまもお手元にあるいは入っているかもしれませんが、会社の方針を打ち出しております。そして、飛行機が地上におりました場合には、われわれはあらゆる手段を尽くしまして機長を援助いたします。その場合に、機長が知り得ない情報についてこれを機長にできるだけ伝えるという原則がございますが、板付におきましてはハイジャッカーのほうが、犯人がうしろでもってインターホーンを持って機長の交信を全部傍受しておりました。そのため私どもは伝えたいことも伝えることがなかなか困難でございました。私は大体八時半から飛行機の出発まで東京の運航統制室におりまして、福岡の運航所及びこの前申し上げました米軍、あるいは関係当局への連絡に当たっておりまして、指示を出しております。私は時間の推移で全部御説明を申し上げることができますが、少なくとも、最初飛行機が無事に到着いたしましてから十時半ごろまでの間は犯人の説得に全力をあげました。と同時に、板付から平壌への飛行計画を私の部下の者に立てさせました。これは機長へ飛行計画を伝えてやりたかったのです。そのときに、そういう努力をいたしましている間、いわゆる婦人、子供をおろすという状態が発生いたしまして、多少の明るさが見えてまいりましたので、もう一段の努力というところまでこぎつけたんですが、いよいよその手段がだめになったというところにおきまして、私はとっさの場合に、先ほど申しましたように、防衛庁あるいは米軍に対しまして、北鮮あるいは韓国空軍へ対する連絡の方法を何とかしてさがしていただきたいということをお願いいたしました。ところが防衛庁のほうからは、現在ホットラインがないというようなお話で、コンタクトができないというお話でございましたので、私自身がそのときの判断で米軍の板付の司令官に電話口に出ていただきまして――この出るまでの経緯は昨日御説明申し上げたとおりでございますが、そして昨日申し上げたようなことをお願いしたわけでございます。これは、私自身がパイロットでございまして、韓国空軍へ米軍を通じて情報をお願いするというようなことは、私ども国際線を飛んでおりますパイロットにとりましては、私どもが空中でこういうような状態に入りましたときには、米空軍であろうが、あるいはソ連の空軍であろうが、とにかくできる手段に対して処置をお願いすることはごくきわめて常識的なことで、あまりそうシリアスに考えずに米軍の司令官を呼び出しまして、韓国空軍に伝えていただきたい、米空軍のほうも、私のパイロットであるという立場と、運航責任者であるという立場をすぐ了解してくれまして、それは韓国空軍へ伝えるということでありまして、お願いしたことが、偶然に一致はしておりますが、そのときの状態では、私は一切どこからも指令を受けておりません。会社の中の上司の指令も受けるひまがございませんでした。私は責任者として単独でそのときの状況判断のもとに行動いたしたのでございます。
 それから機長は、あくまでも最後まで、デスティネーション、行く先は平壌である、韓国の東海岸を見つつ三百五十五度で北上する、三十八度線を越えたところで進路を西に向けて平壌に行く予定であるということを申しました。そのために私どものほうでは、その機長の指示に従いまして、それについては燃料がこれこれ要る。ところが、燃料搭載が四万ポンドでは着陸重量を少しオーバーいたします。そのために私どものほうから機長に対して、フライトに対して指示を与えたのは、高度を低く飛んで少し燃料消費を多くしてみなさい、そうしないと平壌に着いたときにはオーバーウエートランディングになるぞというような意味のことを伝えるよう私は中島航務課長――これは福岡の航務課長でございますが、機長に伝えるよう申しました。この点だけでございまして、私はこの点に関しましては全く指令を受けておりません。
○岡三郎君 そんなことを聞いているんじゃないよ。
○参考人(長野英麿君) 政府の指令を受けておりませんと、こう言っているのです。
○岡三郎君 政府の指令じゃない。こっちの言うことを……。あなたが言うのは、平壌に行くということについていろいろ配慮したということは、それはきのうから聞いているからわかっている。ただ問題は、それがどうしてこっちへ帰ってくるかということについて、どうなっているのかということをあなたは知らないわけなんだから、そういうことを頼んだということでしょう。
○参考人(長野英麿君) ですから私は、米軍へのお願いは私自身の独断でやったということを申し上げているわけです。
○岡三郎君 それはあなたに聞いているのじゃない。きのうのことと同じなんだ。
○三木忠雄君 私はちょっと一つ、きのうの話を続けて聞きたいのですけれども、日航から米軍に依頼するという法的な根拠ですね、これはどういうふうな法的な根拠があるのですか。こういう緊急な場合に対しては米軍に依頼していいとかどうだとかいう、その点、一点。
 もう一つは、福岡において、福岡の空港長なりあるいは給油員なりが平壌向けの地図を機長に渡したかどうか。その二点について。
○参考人(長野英麿君) 米軍に連絡することは、われわれはふだんごく日常茶飯事でやっております。たとえば太平洋上で東京に向かってくる飛行機が非常事態に入ったような場合、米軍に要請して救援機をお願いすることはしょっちゅうやっております。こういうことは、米軍にお願いすることは、法的にはいまのところ問題ないというふうに私は……。
○三木忠雄君 根拠はありますか。
○参考人(長野英麿君) 根拠はございません。日常そういうことをやっているということです。
○三木忠雄君 それは通常の例ですか。
○参考人(長野英麿君) そのとおりでございます。
 それから、地図もできるだけ渡すように指令はいたしましたけれども――ここに持っておりますが、このような、これが機長が受け取った貧弱な地図でございます。それでこれが、ふだん国内を飛ぶときに、国内のルートとか、あるいは地上の施設、ラジオビーコンであるとか、波長であるとか、そういうものが全部書かれております。機長はこういうものに従ってふだん飛んでおります。ですから、このような地図で飛ぶことは非常に危険である。以上です。
○森中守義君 さっきの話にまた戻りますが、この記事をいまちょっと私他の人の関連の質問中読んでみましたが、かなり重要なことがありますよ。つまり、こういうハイジャックの計画があるというのでインタビューをやっておる。日本航空に対しても藤松忠夫さんという広報室の課長補佐の人にものを聞いているのです。そこで藤松忠夫さんは、「防止しようにもできない。航空会社として打つべき手はありません。たとえその情報が確実だとしても、当局に協力するぐらい」藤松という人がしゃべっている。インタビューですよ、この記事を中心にして。それから警察庁の場合には、刑事局の田中という参事官、この人にインタビューをして、そこで田中参事官が、「反博行動」――万博反対ですね、「反博行動の一つとしてハイジャックも十分考えられるので、万全を期すつもり。いまはその情報を集める段階ですが、突発的な行動だけに防止はむずかしいでしょうね。しかし、無防備というわけではなく、情報を徹底的に分析し、危険がありそうならば、制私服の警官を空港や会場」――会場というのは万博の会場です。「会場に投入して、事前にチェックしてみせます」こういう談話をやっている。そこで、これはもう何としてもこの種事件というのは、乗り込んでしまったら終わりだから、チェックインのときにどうとめるかという問題だ。したがって、田中参事官は、これからいくならば、この情報は、さっきお話もあったように、きわめて不正確、あるいは追跡してみたけれども、極点がつかめなかった、だから配備しなかったということにも通ずるわけです。そこでやはりこういう、つまり警察における事犯を未然に防止するということの姿勢が一体どういうものであるか、結果的に私は偶発、偶然だとは思いませんよ、これだけの一つの材料を提供されているのです。それを放置して、こういう大事件に発展させたというその責任の一端は当然警察はになうべきだというように思うのです。どう思いますか。
○説明員(後藤信義君) 田中参事官は刑事局の参事官でございますが、当面、万国博覧会関係の事務を担当しているわけでございます。先ほど御質問の中にその点がございましたですが、これは田中君のほうにも一応問い合わせましたが、彼の記憶はさだかでなかったように私は承知しております。しかしながら、いま現に御指摘のように、警察のほうにもそういう情報と申しますか、そういう記事になるようなうわさないしは情報的なものがあるということでございますから、私どものほうでは、それにつきましては十分にその裏づけの調査をいたしたわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、これを確認するに至らなかったわけでございます。結果的にはこのような重大な事件が起こりましたので、空港の警備その他について手抜かりがあったのではないかとおっしゃられますならば、私どものほうとしましてはできるだけの手を打ったつもりでございますけれども、結果的にこういう事態が発生しましたから、その点に関しましては十分に反省をし、今後二度とこういうことが起こらないようにやっていくということにならざるを得ないと思うのでございます。当日、私どものほうで承知しておりましたことでは、早朝でございましたけれども、羽田の空港におきましては、通常よりは警察官を分厚く制私服を配置しておったのでございますが、しかし、これは全く、結果的に申しますと、無法者、この犯人たちを未然に発見し、凶器類を押収するに至っておりませんので、これは何とも申しわけのしようがないというふうに考えておるわけでございます。
○森中守義君 これは単にことばのやりとりで終わらないので、むろん今日の警察としても、配備計画等にも限界があるでしょう、そのことは一般原則論としてとらえるのはちょっと無理だと思うのです。こういう具体的に事実問題が提起されている以上、ここはやはり特段の配慮がほしい。だからといって、不必要に警察力の強化ということを私は言っているのではございませんけれども、やはりそういうことに関する限りは非常に重大だ。だから、そういう意味からするならば、治安担当の国家公安委員長が辞表を出すのは私は当然だと思う。むろん辞表を出したからといって事件は戻っちゃきませんがね。しかし、そういう行き方というものはあまり正しい行き方じゃありません。だから、これから先の議論はまたあとになりますが、やはり警察とこの事件という、そういう角度から問題をとらえる場合、明らかに警察は怠慢であった、そういうそしりを私は免れない、こう思う。むろん反省は前進だとはいうものの、それは世間をこれだけ騒がして反省というようなことでは済まぬのじゃないですか。これはひとつ慎長に、また近い機会もありますから、もう一回この問題は整理をして皆さんといろいろと意見をかわしてみたいと思う。
○岡三郎君 その点で一点関連して。
 最高責任者を四名つかまえたと言いましたね。犯人をいろいろ内偵していた間に最高責任者的なものを四名つかまえたと言われている。赤軍派の中にはビッグシックスというんですか、いわゆる幹部の中の幹部が六名、その中に日航のこのハイジャックをやった田宮がいるわけですね。しかも田宮は指名手配を受けている。四名つかまえた。で、田宮に対してどういうふうに調査をやっていたのか、これを聞いてみるというと、田宮についてはもう全然情報が得られなかったということですがね。私は指名手配をしている田宮がハイジャックをやるということも、週刊誌の信憑性は別にしてもとにかくある。これは田宮がやるかどうかは別ですよ、そういう一つのうわさがある。一方においては四名の幹部がつかまったが、その六人の中の一人の田宮という者は指名手配で追跡中であるということになるというと、ほかの者は別にしても、田宮という者をどうマークするのか。飛行場において、ほかの者は別にしても、田宮という者をどうマークするのか。これは写真はもうはっきりわかっているわけですから、そういう点について私はやはり問題点の究明がなされていないと思うのです。つまり何十人もいるのを一々あの繁雑の中でやるのはなかなかむずかしいとしても、指名手配中の者であり、六名の最高幹部の中の一人である、それがしかも赤軍派が乗っ取りを計画しているといううわさが一方においてある、田宮をどうマークするのか。もう一人の者は逃げておりますがね。そういう点についてやはりこれは少し、一般的な取り締まりとしてではなくて具体的な取り締まりとしてはこれは抜かっておったのではないかということです。この点についてどういうふうに考えられておるかということ、これは責任は私は十分あると思うのです。
 それからもう一つは、九名の中において七名が割れていると言いますが、あとの二名についてはわからぬと言っておりますが、もうわかっていると思うのですが、これは一般的にこういうふうな印刷物や何かで見るというと、あれは韓国の私費留学生である、そうして強制送還される段階になっていたんだと。韓国から日本に来ている学生である。だから、そういうものについて一体どういうふうに――強制送還になるということになっていれば、これは当然警察庁の一つのマークにもなっているのではないか。非常にせっぱ詰まった連中が乗っ取りでとにかく亡命を考えたということがいま言われるわけですが、そういう点について、強制送還を受けようとしているその二人の私費留学生というものはほんとうなのかどうか。もしもそれが事実とするならば、それに対する手配というものが非常に手落ちじゃなかったのかという気がするわけです。この点。
 それから私は橋本さんに言うのは、今度は法務省で新しい立法をする。七年以上無期、けがさした者は死刑にする。こうなるというと、これから立法した中でハイジャックをやっていこうという者はほんとうに命がけだと思うのです。今度やったような形ではなくて、一か八かということで、今度は立法されれば逆に私は峻厳なる法と取り締まりの中をどうくぐっていくかということになって、今度はほんとうにせっぱ詰まった連中がやるとするならば、それこそもう一か八かの命がけでやる。つかまればそのまま無期ですからね。いまのその最高の刑になると思うのです。もしもその中で、たとえばけがをさした、どの程度のものかわからぬけれども、たまたまそういう事件が起こったら死刑だということが明確になってくるならば、乗っ取り犯というものは今度は生命をかけてやる。今度の場合もそうだと思う。そういうふうになってきたときに、私は今度の一連の計画を見るというと、逆にいってほんとうに運がよかったと思う。これは一つの僥幸で、非常に橋本さんが苦労してやられたことはわかるとしても、一つのこれは運がよかった事件だ。運が悪かったらもっと別の事態になっていたということをわれわれは真剣に考えなければいかぬ。そういったときに、ハイジャックというものの性格からいって、やはりきのうあなたが言ったように、北鮮に行けばどういうふうに着くかわからぬと言っていたが、あの着陸した飛行場というものは非常にお粗末な飛行場です。平壌には国際空港があるのですね。これはもう中国の、中共の周総理が飛行機で乗りつけているところのりっぱな空港があるわけです。しかもその間に、北朝鮮が人道的な立場から航行の安全を守る、全部帰すと言っているからには、これで丁重なる連絡を向こうととって、百二十名をこえるところの人がいまこういう状況で行く、平壌の国際飛行場はわからぬけれども、ひとつ無事安全を頼む、あらゆる方途をとってもらいたいと言えば、ああいうふうな着陸状態にはならなかったと私は思う。でこぼこであったから、ああいう状況の中だから、生命がわからぬから帰ってきたほうがよかったのだ、金浦に着いたほうがよかったのだ、そういう見方があるけれども、私はそういう見方だけでは安定性というものがないと思うのです。したがって、あの状況の中において、韓国の了解を求めなければならぬといっても、問題の焦点というものが、韓国が北へ行かせないという気持ちが強く作用するということはわかるとしても、とにかくもっと無謀なる者が行った場合に、十分連絡をとって、向こうのほうに着陸さしてすぐ送還を頼むというほうが、こんな混乱を起こさないでよほどうまくいったのではないかという気がする。北朝鮮を敵視しているからその行為はうまくとれなかったというかもしれないけれども、私はそういう点について橋本さんの言動というものについては非常に疑問を持つ。非常に北鮮に対して失礼ではないのか。要するに、あの飛行場に着陸したのは――黄海を通ってくればいいということになっているのですね、その後……。ところが韓国のほうは日本海に出ろと言っている。これは韓国の権限があるからやむを得ないとしても、ああいうふうなせっぱ詰まった時間で、向こうへ着くときにはもう薄暮から暮れてしまうぎりぎりのときに出発さして、しかも出発さしたときには、向こうのほうには行きますよという了解も得ないで、めくら飛行で追っ払っている。こういうふうなことを自分でやりながら、ああいうあぶないところに飛行機をやるわけにはいかなかった、生命の安全は保証できなかったなんということは、私はこれがわかれば非常な不信感になると思う。猛烈なる不信感になると思う。だからその事態の中できちっと整理されていれば、百何十名というものが北鮮に入るということになれば、もうちょっと言えば、島根県の境からずっと入っていく、韓国に関係なくして。そうしてずっと一直線に入っていって向こうの北朝鮮に入る。あるいは黄海に出て、とにかく韓国のいわゆる領海の外に出て、そうしてとにかく向こうに着く、こういう方法は何ぼでもある、韓国に関係なく。ただ韓国にこだわっておるという問題がどうしてもここにある。だから、今後は生命というものをかけてやるところのハイジャックというのは、いま刑法改正されようとしている段階において、今後の措置としては、いままでのような認識ではこれは取り返しのできないことが起こるという心配が非常に強いのです。したがって、私は先ほど言ったように、国交の問題ということは非常に問題があるにしても、そういう点については十分にやはり措置をとっていくということに徹して考えていかないと、今後の問題の処理にならないのではないか。ということは国際線に乗って、また韓国線に乗っていったとする。韓国にはビザがなければできない。だからどうしても国内でやらなければならない。今度将来は国際線で向こうに、南のほうのルートを飛んで行った場合において、アラブゲリラがやっているようなものを考えれば、途中で乗っ取ってアラブ地域におりるというふうな情勢もなきにしもあらずと私は思う。そういう場合に、刑法の取り締まりが強化される場合において、命がけのハイジャックをやったほうがいいかどうか。あるいはアメリカとキューバの間に協定ができたように、乗っ取り犯がキューバに着いたらすぐ返してくれというような、二国間のきびしい対立の中においても、この問題は人道上の問題だから別だということで、それがスムーズに言えるような措置ができていなければ、これは今後非常にあぶない。これは逆にそういうようなことを考えさせられるわけです。法律をきびしくすればきびしくするほどそれに挑戦する者が出てくる。英雄視されるわけですね。しかし、それが一たん機内に入ったら、保安官を置くといってもこれはナンセンスだと思う。たとえば、三人なら三人が合意をして、ピストルならピストルを持って、そうして入った場合に、保安官がいても保安官は何もできないんです、中で始まってしまえば。これは人命尊重どころではなくなってくる。そういうことで航空保安官というのは、陸上における電車に乗っている保安官だとか、あるいは新幹線に乗っている保安官だと思ってこれをやってもこれは意味がないではないか。かえってそれはエキサイトして、航空機上において保安官と犯人との格闘、闘争ということがもしも行なわれた場合において、乗客は迷惑を受けこそすれ、何も効果は発揮できないのではないか、こういうふうに考える。そういうふうなことを総括的にいえば、この問題について、これは昨日以来の橋本さんの答弁を聞いて非常に疑問点と不安感を持つので、この点について両方からひとつ答弁願います。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 岡さんの御意見まことに貴重な御意見でありがとうございます。
 運輸省のほうとしては、これは単位立法ということになりますと、法務省の所管になるかと思いますが、ただ、運輸省の希望するのは乗客を安全に送るためにはどういう方法がいいだろうか、それから機内の秩序を保つためにはどうすべきか、ハイジャックの問題もありますけれども。そこで、やはり機長の権限をある程度強化していかなければならないのではないだろうか。保安官を置くことがいいか悪いか、いまおっしゃったように岡さんの御意見も貴重な御意見と思います。しかし、これはよく検討してみたいと思います。そのほうがいいのか、いま岡さんのおっしゃったように、かえって危険を増大するのか、これは十分に慎重に考えなければなりませんから、その点については御意見十分承りましたので、それらを含めていろいろ考えたいと思いますが、いまの法律には機長の権限なり秩序維持の問題が欠けておりますので、その点だけは整備をしてもらいたい。ただ、刑法問題としては、これは私のほうの権限でもありませんけれども、しかし、国務大臣としてはそれらの意見を述べる機会もあるのでありますから、おっしゃるように、はたして強化して厳罰にしたらなくなるかということ、その御意見は非常に貴重な御意見だと思いますから、そういう点等も考えて――しかしながら何でもかんでもそれでやれるのだということは好ましくありません。その限度をどう考えるかということは、岡さん等の御意見を十分に参酌しながら、いずれにせよ、皆さん方が、法律になれば国会の審議にかかることでございますから、国会の御審議の上においても十分に――要するに、問題は人命を尊重していけばいいわけでありますから、そういうことができますような法律にしてもらいたい、かように考えます。
 なお今回の事件について、先ほどのフライトプランの問題ですが、これは外務省のほうからアジア局長が来ておりますから、MAC等は外務省の所管になっておるわけございますから、そのほうから事情を説明してもらいます。
 北朝鮮側は、とにかく山村政務次官や関係者をできるだけ早い機会、即時に帰してもらったことについて厚く感謝を申し上げると同時に、こういうハイジャック事件というものは政治上の問題でありませんので、私自身も政治上の問題を離れて、いわゆるスムーズにこれらが処理されることが望ましいということを申し上げております。その方法のためにどうすべきかという問題は、外務省当局で検討してもらわなければなりませんけれども、これが未承認国であるからどうとか、あるいは国交のある国であるからどうとかいう政治問題とは関係なく、この種の事件がスムーズに運ばれるようなことであってほしいと、そういうためには、やはり近隣諸国、近隣諸国に限りませんけれども、日本は世界平和を念願しておるのであるからして、したがって、できるだけ政治問題とは別個の問題の意味でも、いわゆる親善の立場をつくらなければいけないということを私は申しております。これからそういういろいろな問題が出てまいると思いますけれども、ことにハイジャックに関しては、そういうふうな何らかの手を通じて、たとえば赤十字なり何らかの国際的な機関を通じて話し合いができておれば、非常にこれはけっこうだと思います。
 こういう意味で、ただ私自身は飛行場等の知識も十分でございませんので、ただこの前の着いた飛行場では非常にむずかしかったということを申
 し上げたわけでありまして、その点につきましては、韓国、北朝鮮側が今回の問題について善意をもって、これは韓国も同様でありますけれども、善意をもって扱ってくれたことに対しては、公式の席上においても感謝の意を表しておるわけでありますから、この点は御了承を願いたいと思います。
○説明員(後藤信義君) 先ほど御説明申し上げましたように、赤軍派だけにつきまして申し上げましても、結成以来二百二十二名検挙しておりますし、さらに三月に入りましてから最高幹部も逮捕しておりまして、鋭意努力しておることは御理解いただけると思うのでございますが、具体的には今回の、おそらく田宮に間違いないと思いますが、これが赤軍派の幹部の一人でございます。この指名手配になっておる者が今回の事件を惹起したということについては、ここで何とも私どもは言いわけがましいことを言うわけにはいかぬと思います。十分にその点につきましては、どういう点に手抜かりがあったか、そういう点を突き詰めて考えまして、今後のわれわれの捜査、情報の収集等に役立てていきたいと考えておる次第でございます。
 それからまた、九名の中の二名、近く韓国に送還される予定者があったかというお尋ねでございますが、私どもはそれを確認いたしておりません。
○瀬谷英行君 警察庁にちょっとお聞きしたいのですが、先ほどあなたの答弁の中で、ソウルに着陸させるようなことは警察の権限でないし、そういう指示もしていないと、こういう答弁がありましたね。しかし、三十一日の当日のテレビには、私も見たから記憶があるのですけれども、福岡にとめる、さもなくば韓国にとめると、そういうふうにテレビに警察の方針として出てきましたよ。このことは私だけでなくて、多くの国民もテレビも見ておるし、それから新聞にも同じようなことが出ておったのです。ところが、いままでの御答弁によると、警察は全然そういうことを指示した覚えもないし、考えた覚えもない、こういうふうに言われているわけです。そうしますと、テレビなり新聞なりマスコミがまるっきり警察の意図とは関係なくでたらめを報道したということになるのかどうか、警察の中にはそういう考えというのは一切なかったということになるのか、新聞報道にしてもテレビにしても全部でたらめということになりますよ。そういうふうに確認をしてもよろしいものかどうか、そのことが一つ。
 それから総理の三十一日の答弁には、戸田君の質問に対して、いま一体どうなっておるか、こういう質問に対して、「ただいま行く先がわからない。案外、われわれ心配はしているが、福岡までまた帰ってくるかもわからないと、あるいは途中でとまるかもわからない、そういうような状態でございます。」、こう言っているわけです。そういう状態でございますというけれども、途中でとまるかもわからないといっても、飛行機が途中でとまるわけにはいかないでしょう。福岡まで戻ってこないで途中でとまるということになると、飛行場のないところにとまれないわけですから、そうすると、韓国にとまるということは総理の頭の中には入っておったということです。しかもその次には、「いまメモが入ったところのその情報では、一たん北鮮に入りまして、三十八度線以南では韓国の飛行機がエスコートしたと、それから北鮮の上空になってからは、北鮮の飛行機がこれを追っ払ったというようなことになるわけですが、」、こう言っているわけです。「南のほうに、飛び立った日航機を南下さして、」「金浦飛行場に着陸許可を求めていると、こういうことであり、北鮮機は北に戻ったと、こういう情報でございます。」、総理大臣が国会で答弁をする、この答弁のメモ、情報というのは、これはもう私が言うまでもなく、北鮮から要撃されたということ、そういう事実はなかったということははっきりしておりますね。そうすると、三十一日の時点で総理が答弁をしたということは、これも全然でたらめだったということになるわけです。そういうでたらめの情報を総理の耳に入れるのは一体どこなのか、こういうことです。これはどうもたいへん問題だと思うのです。このところを警察のほうからはっきりお答え願いたいと思います。先ほどの岡さんが質問したときの答弁、警察のほうは全然関知してないということですから。
 それから日航のほうにもお伺いしたいのですけれども、先ほど冒頭に森中さんのほうから、機長並びに副操縦士等三人の乗務員についてお伺いをしたい、ここへ来てほしいという意味の質問があった。ところが、医師の診断によればということで、それから、あなたのほうから、新聞記者に追いかけられているという話がありました。私どもは飛行機が、「よど」号が着いたあとでもって記者会見をやったというところまで知っております。記者会見の終わりに、どういう人かわかりませんけれども、これから三日間ほどは取材に応じられないというふうなただし書きをつけておりました。いまのお話では、新聞記者に追いかけられているということなんですが、到着した日の記者会見以外にも各新聞記者に会って話をしているのかどうか、そういうことをやっているのかどうか、やっているとすれば、ここへ出てきて証言をしてもらうことは一向に差しつかえない。もし出てきていないということであれば、どこの新聞記者に追いかけられているのか、どこに話をしているのか、そこの点はどうもふに落ちない。それから乗務員の人たちが記者会見をやる前にもかなりの時間がかかった、なかなか出てこなかった。これはすぐに記者会見に応じたわけじゃないのですよ。そうすると、この乗り組み員の人たちは、飛行機に乗っている間は気の毒に犯人にその発言を規制されるし、せっかく帰ってくると何者かにその発言を規制される、こういうことがあるんじゃないかというふうに私どもは心配したくなる。こういう問題は人道的に扱うんだったらありのままに正直に言ってもらうということが大事なんじゃないですか。向こうに乗っ取られている間にずいぶん小細工があったようにわれわれ感じたんです。ところが、今度帰ってきた人たちの話を、真相を聞こうと思うと、ここでも何となく小細工か大細工かわかりませんが、細工が行なわれている印象を受ける。なぜそういうような疑問を残すようなことが行なわれているのか、その点をあなたのほうからお伺いしたい。
○説明員(後藤信義君) 警察のほうから先にお答え申し上げます。
 瀬谷先生、ただいまのお話で、警察庁が、飛び立った場合に北朝鮮でないところに着陸するようにということを指示したことは一切ございません。そこで、私どものほうで、テレビに出たのは私も承知しておりますが、このいきさつを調べましたところが、次のような状況でございます。
 それは、事犯の発生の第一報を受けましたのは担当の警備課長でございます。で、警備局長が、午前八時二十分でございますが、この時点において福岡の県警本部長に対して方針をただし、局長の指示を伝えた段階の以前の段階にことばのやりとりがあったわけでございますが、おそらくこれが警察庁の指示というふうに伝わったのではないかと推定されます。
 順序を立てて申し上げますと、警備局長が第一報を受けて福岡の県警本部長と連係をとりましたのは八時二十分でございますが、この時点におきまして、本部長にどういう方針で臨むのかということをただした段階において、まず安全に乗客を救出することを第一にする、それから、板付に着陸したならばあらゆる手段を尽くして離陸を阻止する方途を講ずる、こういう方針を確認し合っているのでございます。そこで、おそらくこの前の段階に、担当の警備課長が警備局長の八時二十分における指示を受ける前の段階で、とりあえず県警の係員と連絡をとっておりますその時点におきまして、安全に救出する方法は考えられる、あるいはそのために、発進の阻止をするためにはいろいろな手が考えられるのではないか、それからもしやむを得ないで離陸した場合にも、客の早期にかつ安全に救出するために近くの飛行場に着陸するというようなことは検討できないかどうかということを電話で連絡し合っているようでございます。このことは、警備課長がこういうことを連絡いたしますということを繰り返し局長に報告しておりますが、その際には、すでに局長が、いま申し上げました内容の県警本部長との確認もございまして、上司にも報告し、了承を得て、警察庁の方針がきまっておりましたので、福岡出発後において云々するというようなことは、もはやその段階における方針ではございませんでしたので、これはそのようなことを考える余地がないということで、その後警察がとりましたときには、何らかの影響は与えておりません。したがって、このことも方針として関係の各当局に伝えたということもございません。
 それから、総理が答弁なさったときに、警察からどのような情報が入ったのかということでございますが、板付を離陸いたしました後におきまして、事案につきましては、警察のほうといたしましては一切その情報は入手しておらぬのでございます。したがいまして、当日総理が答弁されました内容の中に、警察のほうから上がりました――ただいま瀬谷先生からの御質問に関する限り、私どものほうからそういう情報は流しておりません。私のほうは、どこから上がったか存じません。
○参考人(長野英麿君) お答えいたします。
 一つは、乗員の帰還後の行動でございますが、御承知のように、機長以下非常にくたびれていることは予想されましたので、前日の夜、彼らが大体帰ってきそうだというときに、日本航空といたしましては、当然予想される記者会見及びその他を考えまして、まだ東京に帰ってくるか福岡に初め飛んでくるか、そういう状況がわからない段階におきまして、ともかく、おそらく疲れているだろう、ひとまず休ませて気分を落ちつかせてから記者会見したほうがいいんじゃないかという意見がありまして、そういう意味で準備がなされておりました。私自身は福岡に到着することを考えまして、前の晩の夜おそく福岡に飛びまして、機長に、もし何か地上から援助することができるならば援助したいという考え方で福岡のほうに出向きまして、福岡の会社の波長でもって機長を援助いたしました。朝早くに入電がございまして、私はそのまま機長にできるだけの援助をするつもりで出かけました。機長が羽田に着きましてから記者会見までの時間につきまして正確に私はまだ把握しておりませんが、前の晩に計画されたことはそのようなことでございます。
 なお、記者のいろいろな質問に関しましては、記者会見という場のみで限定されると非常によろしいのでございますが、実際問題として、その前の晩にも家族の者から私のところに電話がございまして、ほとんど十分間隔で電話が鳴る、これは私はどの記者とどの会社ということはわかりませんが、そしてほとんど夜も寝られない、何とかしてくれないだろうかという話がありまして、それではとてもたいへんだろうから――着けばもっと、これは新聞記者の方ばかりでなく週刊誌その他皆さん方がお聞きになりたいと、あるいは民間のいろいろな方々がいろいろお見舞いあるいは問い合わせ、その他がございますので、電話はもう鳴りっぱなしといった調子でとても休むどころではないという話がございましたので、会社のほうとしまして、医師にも相談いたしまして、本人の意思を尊重いたしましてできるだけ別のところに移したほうがいいと、たしか江崎副操縦士は家族のところ――何かお兄さんかと思いますけれども、そこのお宅にお願いし、相原機関士は親類のお宅にお願いし、機長の場合は、これは本人の希望で自宅に帰ったというのが実情でございます。特に意識的に言論を統制するというようなことは、日本航空といたしましては考えておりません。
○森中守義君 ちょっと委員長、もう一時になっていますので、さらに続けてもどうかと思いますので、午後ひとつやりたいと思いますが、法務省の入国管理局長、いま運航部長のお話だと、無理にと言えば出れないことでもないという私は判断をした。したがって、機長以下三名の乗員ですね、可能な限り午後適当な時間でけっこうですから御出席をいただくように、委員長・理事打ち合わせ会で御決定をいただきたい。
○参考人(長野英麿君) いま森中先生のお話でございますが、私も乗員の一人としてお願いいたしたいのでございますが、どうか二日、三日休ませていただいて、決して出しませんとは申しませんから、その後に出さしていただくように、ぜひお願いいたします。
○委員長(温水三郎君) ただいま森中君の発言については、理事会で検討いたします。
○岡三郎君 先ほどの私の問いに対して……。
○政府委員(須之部量三君) 三十一日に金浦に着きまして、橋本大臣も……。
○岡三郎君 私に対する答弁と言わなかったから、はっきりしないのですよ。
○政府委員(須之部量三君) では、岡先生の先ほどの質問に対してお答え申し上げます。
 この「よど」号が金浦から平壌のほうに行くのに安全に行けるように配慮すべきだったという点でございますが、この点につきましては、三十一日に金浦に到着いたしまして、当面の努力は乗客をそこで全面的に全員おろすということであったわけでございますが、同時に、万一のことを考えました場合には、無事に行けるようにということは当然配慮したわけでございまして、一日の午前中に板門店にございます軍事休戦委員会を通じまして、先方のほうへ、こういう事情である、その際に飛行の安全を確保してほしいということは申し入れたわけでございます。それでそれに対しまして一日の昼過ぎでございますが、飛行の安全は確保する、それから人員の、乗客等の人道的な取り扱いも確保するという返事はそのときもらっておりまして、安全航行については一応無事であろうかというふうにこのとき思っておったわけでございます。
 それからいよいよ立つ前でございますが、そのときでございますが、このときの事実関係は、三日でございますか、三日の朝いよいよ立つと申しますか、乗員はおりるというような話がだんだん具体的に進みつつあったわけでございます。そのときもそういう状況に応じまして、いわゆるフライトプランを当然検討しておったわけでございますが、そのとき先方からも先方の希望するフライトプランというのが来ております。それでそれに対しまして、先ほど大臣もちょっと申されましたけれども、個々のどのルートをとるか、これはやはり韓国側の決定すべき事項でもございますし、韓国のほうとしては東のほうを回って行ってほしいという希望でございました。それでその点は従来の普通の慣例でも、出発するほうの側でフライトプランをきめるというのが普通だという話もございました。もちろん当時、そこは私どもには技術的にその辺わからないのでございますが、当時日航のほうの社長、それから日航の関係者の方、皆さん御一緒におられまして、それで東のほうのコースをとるということにきまったわけでございます。それで、そのころまだまだ交渉が、実は乗り組み員の交代の問題とか、その他のことで、いつ実は出発するかまだはっきりしなかったわけでございます。そのために、結局、乗員、乗客が全部おりましたのはたしか三時過ぎだったかと思います。しかし、その後いつ出発するという時間的な点はなかなかわかりませんで、結局、急に六時ちょっと前ぐらいでございましたか、いよいよ立つということになりまして、それで重ねて――まあその前からあれだったのでございますが、乗員が交代するかどうか、いつ立つのか全然わからないというようなことで、そのころまた重ねてと申しますか、もう安全な飛行のほうは、前回の一日のやつで一応私どものほうとしては先方も確約してくれたということでございますし、そのときは、今度は山村政務次官その他の方が行かれるので、至急返していただきたい、山村政務次官や乗り組み員の方を至急機体とともに返していただきたいという要請を出したわけでございます。それで、それに対する返事が来たのは、三日たしか七時過ぎだと思いますが、その返事が入ってまいりました。実はそのときの返事は、事情が変わったのでその点は――つまり至急返すということは確約はできないということを言ってきたわけでございます。しかし、ただ、すでにもうその返事が来たということ自体、あるいはフライトプランを以前に持ってきた、こちらにとにかく示してきたということ等々からいくと、行くかもしらぬ、あるいは最終的には行くということを承知しておったというふうに私どもは感じておりましたので、北から少なくとも撃墜するとか、そういうことは行なわれないであろうというふうに考えておったわけでございます。
○岡三郎君 私はもう言いたくないけれども、ポイントだけ答えてないのですよ。あと乗客がおりて、それで山村さんが乗るというふうな時間が刻々たっていると、その間において、一日に、北朝鮮に対して板門店のそこから了解を取った。しかし、乗客が全部おりて――その前には乗客の安全を保証してもらいたい、航行の安全を頼むと言っておったところが、全部変わったわけですね、全部おりたあとだから、山村さんとかわったんだから。事実ははっきりしているでしょう。そういうことでもう向こうはいいんだということで、ただ、立っていくものに対して、ほんとうに航行の安全を最終的に確認していかなければあぶないんじゃないですかね。向こうのほうがもうやってくれるんだと言ったけれども、もう向こうに着けば暗くなっちゃう。わからない。めくら飛行と同じような形になって、これから暗いところへ着くということが、そう時間的にも想定されるときに、その安全を頼むということをやらないで離陸さしているわけですね。私はここに非常に問題点があると思うんですよ。だから、向こうへ行ってみて、地上からずっとそこらを確かめて、ようやくおぼろげの中から小さな飛行場があったからそこに無理におりた。でこぼこのところにおりた。こんな不始末というものは私はないと思うんですよ。だから、私はそういう点については、いよいよ最終的にこういう状態になって、行くようになったというふうなことについて考えた場合に、その間においては何ら向こうに連絡とってないというのは、そのときの新聞に、韓国政府のほうはどうしても北へはやりたくないんだと、だから乗員の問題についても粘れというふうなことが言われておって、時間がどんどんたって、もう時間的に見てもどうしようもないというときに、最終的に、乗員の取りかえについてはならぬということの向こうのきついあれで出発せざるを得なくなった、そのままの状況で。しかも考えてみれば、非常に疲れておったとしてもかなり元気だったわけですね、あとから考えてみれば。だから、私はその乗員の交代についての要求は無理もないと思うけれども、そういうふうな時間的な余裕のない時間の中で、向こうに連絡もとらないで飛ばしたということ、しかも地図も何にもないということで、向こうに着けば暗くなってしまうということについての責任というもの、これは非常に問題だと思うんですよ、事故があったときに。もしもかりにあのときに事故があったとすれば、一体どうなるのか。とにかくわからないところへ暗くなる時間に着かせるように持っていった。だから、飛べなくなったとすれば、また一日延びるというふうな状況の中における小細工というふうなものが考えられるわけですよ。私は、そういうことをもってあの飛行場がインチキで、でこぼこの、へんてこな飛行場で、あんなところへお客を乗せて着いたらたいへんだというふうなことはよくよく言えないと思っているんですよ。時間的にしても無理だし、航行する場合における飛行機の飛ばし方も無理だし、黄海へ行けば近いやつを遠くへ回していけというふうなことですね。そういうふうな無理の中に入っていて、外務省自体というものが、それは状況の変化はないんだというふうなことを言っていることについて、私は状況の変化がたいへんにあった、時間的に見ても内容的に見ても。それだから、向こうのほうは一々責任を持たぬということになってきて、あとで向こうが気持ちをほぐして返してくれたからほっとしているわけだけれども、もしもいままだとめられているとしても、これはどうしようもないということになってしまうんじゃないですか。これをたまたま、北鮮のほうでこちらのほうに帰してくれたからということで感謝しているということを言っておりますが、その間において、もう少し向こうとの連絡を日本政府としても密にとっていくということができなかったかどうか。そういう点では、ぼくもハイジャックが起こったときに、外務省が一番ガンになるんじゃないかという心配が――北鮮を敵視しているから、南鮮の意向ばかり聞いて北鮮に対して敵視しているから手のとり方がいつでもおくれてしまう。そうして何か起こるというと、向こうの責任だというふうな形のおっつけ方では、今後の問題に私は対処できないんじゃないかと思うんです。この点どうなんですか。
○政府委員(須之部量三君) 私どもが乗り組み員の方、それから最後の段階では山村先生でございますが、その生命の安全、無事であれかしということはもちろん心から祈っておったわけでございます。しかし同時に、一応向こうのほうから、すでに一日以来、行くかもしらぬということは実は連絡もしてございましたし、それから当時、別に外務省として飛ぶか飛ばないかきめておったわけではございません。むしろ、私どもそういうことをきめられないわけでございまして、現地で、現に向こうのもちろん韓国側の責任者と、それから橋本大臣、それから現地の金山大使、それから日航の松尾社長並びに小田切さん等々で、たとえば、乗り組み員の疲労度がほんとうに激しいからかえたほうがいい、これは別に韓国に対する配慮とかなんとかじゃなしに、ほんとうにかえたほうがいいということを日航の人は当時も主張しておりました。それから同時に、出発の時間といいますか、フライトプランについても、東からでもいいということもございましたし、同時に、だんだん時間が迫ってくるのは事実でございました。しかし同時に、当時、私もわきで聞いておっただけなんでございますけれども、当時、ピョンヤンへ運ぶのが大体七時半ぐらいになる、それで出ましたのが六時ちょっと過ぎでございましたから、大体一時間ぐらいで行くということで、時間も迫るし、いまならばということを当時機長のほうからも言ってこられました。それで出発したというような事情があるわけでございます。その間、決して無責任に飛ばしたという気持ちでないということだけは御了承いただきたいと思います。
○岡三郎君 御了承できないな。
○委員長(温水三郎君) これをもって暫時休憩いたします。
   午後一時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十分開会
○委員長(温水三郎君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日航機乗っ取り事件に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
○森中守義君 官房長官時間があまりおありにならないようですから、二、三点簡単にお尋ねをいたします。
 せんだって来のハイジャックについてたいへん政府も御心配であったと思いますが、どうも疑問が多過ぎる。したがって、両院とも一斉にこのことの究明が始まったわけですが、その中で、特に私はどういうおつもりであったのかよくわかりませんからお尋ねをするのですが、たしかきのうの新聞で、官房長官が記者会見をされて、この事件が政治的に扱われることは得策ではない、こういったような談話を各紙で私は見ております。おそらくつくられた報道とも思えません。したがって、むしろ進んで国会に報告をなさってきておるのに、なぜいまごろになって政治的に扱われることは適当でないと言われるのか、どうしても私どもとしては理解がいかない。むろん、それにはそれなりの政府側のお考えもございましょうが、進んでこういうことは政府みずからが真相究明に当たるくらいのことを私は言ってもらいたいと思う。そこで、何か特別立法でもこしらえて自後の措置をはかりたいという、まあそういうことであり、片や真相究明等はあまり問題にしない、そういうことは得策でないということになると、まことにどうも妙な因果関係が成り立つのじゃないかと思うのです。したがって、何がゆえに政治的に扱うことが適当でないとお考えなのか、その点をまず第一にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) きのうでございますか、おとといでございますか、石田機長はじめ乗務員並びに山村政務次官が機体とともに帰られるという報道を受けまして、情報に接しまして、ほっといたしたわけでございます。昨日帰ってきてくれました。ありていに申しますと、ほっといたしましたわけですが、この間、国会、わが両院、各党各派政治を越えて、党派を越えて人道的見地から政府を鞭撻をしていただきましたことに対して、私ども第一に考えなければならないと思います。同時に、一たん平壌放送、平壌の情報として、板付からあのまま北鮮に入っても乗客、乗務員、機体の安全は保証してあげるというような情報が流れてきております。それがいきさつがどうあるにしましても、金浦飛行場に着陸をした。その後、平壌等からもいろいろなルートで、あるいは板門店の休戦委員会、あるいは日赤、あるいはソ連、そういったようなはなはだ間接的なことでございますけれども、――どうも乗客の救出、せめて乗客の救出は金浦の飛行場で何とかひとつやってもらいたい。しかしそれができましても、どうも犯人たちの北鮮行きということはやむを得ない、そういう情勢にございましたので、実は北鮮にかりに飛び立つという場合にどうであろうかと。ところが、その前後――最中のことでございますが、平壌の放送を通じて、情勢が変わっておるから、前の声明は保証されないというような非常に心配になる情報があったことは森中委員も御承知のとおりであろうと思います。そこであの数時間、いよいよ石田機長、山村政務次官ら四人が犯人とともに北鮮に入った。しかも、そのことについては何らの保証も得られていない、非常に心配をいたしたわけでございますが、それにもかかわらず、北鮮当局は非常なすみやかな処置をとっていただいて、四人を飛行機ともども返していただいたということは、今回の韓国政府の処置といい、北鮮当局の処置といい、いろいろ政治の上からいえばむずかしい問題を引き起こす要因はたくさんあるにもかかわらず、そういうことを抜きにして、とにかくひたすら人道主義といいますか、人道的見地でこの事態を扱っていただいたということは、われわれとして貴重な教訓として身につけていかなければならないのじゃないか。そういうことで、その事実の究明を云々とか、そういうことは、これはあたりまえのことでございますから、ただこの問題を国内においても、各党各派を通じて、政治を越えて、人道的見地からお取り扱いをいただき、また近隣各国も政治を越えてお扱いいただいたことについて、われわれは深く教訓として受け取っていかなければならないのじゃないか。私の申し述べている真意はそういうところでございまして、何ゆえに金浦に着いたのか、どうして平壌に着いたとか、そういうことは事実問題でございますから、これはその当該の関係した向き向きでなければわかりもしませんし、私ではわからない。これはそれぞれ帰ってくる人が帰ってきた上でよくわかることである。国会がまた必要とされるならば、そういう方々を招致されて事実をただす、あるいは真相をきわめる。これはあたりまえのことで、そんなことを私はやったらどうだとか、こうだとか、申し上げようはずもございません。ただ、この問題を北鮮も韓国も、われわれもそうでございますけれども、政治的な扱いとして扱わなかったということは、日本をめぐる近隣諸国のその扱い方というものは、貴重な教訓としてわれわれも考えていかなければならないのじゃないか、私の真意はそういうことでございます。
○森中守義君 わかりました。そこで、そのことを議論していると時間がたってしまいますから、一応官房長官の御意向はわかりました。ただ、そこで少し思い過ぎをされては困ると思うのですね、何も当該の二国に対して、真相究明の中で非難をしようとかどうしようということはだれも考えていない。むしろわれわれも感謝していますよ。そういう意味ではちっとも変わらない。ただ、実際問題として平壌に着けたほうが早道であったのか、金浦に着けたことによって問題をさらに長引かしたのか、つまり人道的と言われるけれども、逆に非人道的な結果になったじゃないか。まあ、こういう議論がいろいろあるんですよ。したがって、その辺の事実を究明をするというのが、まあ私は両院におけるひとつの意思だと思っている。だから、もうとにかく人が帰ってきた、飛行機も帰ってきたんだから、まあここで何にも言うな、まさに一つの立論でありましょう、発想であろうけれども、それだけではおさまらぬ。それだけでこの問題がすべて解決をしたというわけには私はまいらぬと思うんですね。
 そこで、政府は政府なりのお考え方でやられることはけっこうですけれども、それでは承服しがたいということが一つの答えになるわけです。で、それといま一つ、どうも推理が走り過ぎるかわかりませんが、ここに参考人においでいただいている日本航空の運航部長のお話、先ほどだいぶ詳しく説明もありました、あるいは新聞での談話等も聞いておりますし、きのうはまた、岡委員が本院の予算委員会で同趣旨のことを言われておりますが、要するに板付を立ったあとのことはだれにも相談していない、すべて日本航空、すべて運航部長の責任において処理しました、まあ、こういう実は答弁があっているんですね。このことがはたしてそうであったかどうかがこれからの実は詰めということになりましょうけれども、どっちかというと、人道上の問題ということで人質まで入れて救い出した、見どころは政府だと、しかしもし万一なことが飛行機、乗員等にあったらその責任は日本航空だというような、そういう二面の細工が行なわれていたんじゃないか。そういうことが、実は官房長官がこれ以上言うべきでない、聞くべきではないというような談話にかかわりがあるんじゃないかという、そういうことも私どもは少しく頭の中にあるし、ひっかかるんですね。特に機長をはじめ乗員が帰ったあと、わずかの時間であったにしても、一体どういうことが皆さんとの間で話されたのか。これはやっぱりなぞですよ。おそらくこれとこれとこれについては言っちゃならぬということで箝口令をしいたんじゃないかと思われるし、非常に疑惑が疑惑を生むんですね。ですから、政府もこの問題は政治的な問題だとか宣伝の舞台にしているんじゃないと、こういうことをしばしば言われているけれども、実際の経過の中ではそうではないというように思われる節もないではない。したがって、そういうように、悪いときには日本航空が悪い、いいところは政府が取る、こういう使い分けなんかされたことありませんか。
○国務大臣(保利茂君) どうも森中さんのおっしゃることは私にはよくわからぬのですがね。あの板付空港を大体どうして立ったかと、立ってから政府は何か飛行機の運航についてやったのかというのは、正直言ってもうこれはあれよあれよでを出す。どうも飛行機がどっちに飛んで行くか、板付た、北進だ、それじゃ北鮮へ行くんじゃないか。まあ防空識別圏ですか、その間は航空自衛隊の任務に属するらしい。防衛庁長官が言っておりますように、築城とどこからでございますか、四機の飛行機を飛ばしてこれを保護している。それは防空圏を出てしまって北へ入ったから、そこから反転して引き返した。防衛庁長官ともどもそのとき一緒におりましたが、この飛行機は一体どこへ行くつもりだろう、北鮮へまっすぐ入るんだろうか、韓国へ入るんだろうかということがちょっと私どもにはわからなかった。そうしますと、三十八度線を越えた。だんだん北鮮、韓国の休戦ライン、あの辺のところをどうも西進しておるというようなこと、間もなく、どうも航路が平壌に向かっておるようだ、それじゃもう平壌着は間違いなかろう、北鮮、平壌着陸であろう、それじゃまあそれからのことだ。
 それから、金浦を飛び立つという前には、はたしてどうかわかりませんけれども、まだ飛び立つ前に、結局山村君の身がわりとかなんとかという犯人側との折衝も始まっておるし、万が一にもやはりこれは北鮮に行かざるを得ないようになるかもしれない。そうなればというので、外務省――外交機関に活動していただいて、その場合といえども安全飛行なりあるいは人命の保証なり安全なりというものをやってもらわなければならぬ、欠けないようにしなければならぬというので、ソ連のほうには中川大使が第二極東部長を訪問して手当をする、こちらのほうは板門店の委員会を通じて北鮮側に呼びかける、日赤にも依頼して朝鮮赤十字に働きかける。そういう場合にはひとつぜひお願いをする、こういうことで実際できる限りの手配はいたしておったわけです。
 それから森中先生の一番御疑問とされるところは、平壌に向かっておったじゃないか、それが何でこっちに入ってきたのだ。それは政府は全然知らないのです。知らなかったはずはないと、普通思われるのがあたりまえじゃないかとおっしゃる点はごもっともだと思います。ところが、残念ながら全然わからない。南進をして金浦飛行場に着陸をしたということで、ありていに申しますと、私はここで乗客を救い出さなければならない、何とかひとつ。いろいろあとでは、あなたもおっしゃるように、平壌のほうに着いておったほうが、もっと早く帰れておったかしらぬじゃないか、あるいは帰らないで終わったかもしれないじゃないか。平壌に着いても、平壌に着いたら乗客と飛行機はすぐその足で帰すよという保証があればまた別ですよ。しかしおおよそ、そうはとれますけれども、そうとろうとすればとれないこともございませんけれども、残念ながら今日の国交状態が、国交を持っていない。したがって、金浦に着けば、金浦に着いたという知らせを受けてみれば、国交のある国である、親交を厚うしておる国でもあるから、いろいろ乗客の救い出しには便利である、ここでとにかく全力をあげて乗客の救い出しをしなければならぬ。ちょうど日航の松尾社長が朝の十時半からモスコーから帰ってきて四時にはソウルに向かう。その直前、電話がございまして、日航から私が電話をいただいたのはこれが初めてでございます。社長以下どういう人たちが働いておるか知りませんけれども、日航当局から私が連絡をいただいたのはこれがたった一回であります。そこで私は、この席で申し上げることはいかがであるかと存じますが、日航社長は、これから四時の定期便でソウルに自分も立ちたいと思っております、政府の御意向はいかがでございましょうか、ということでございましたから、私は、金浦の飛行場で乗客を救い出すということ以外のことは考えておりません、とにかくそれに向かって全力をあげていただきたい、それが万一というときは、現に政府を代表して橋本大臣が行っておる、万策いかんとも施しようのない場合においては、運輸大臣が現場で決断されるかあるいは何らかの御相談をされるか、とにかくあなたとしては金浦の飛行場でお客さんを救い出すということだけをひとつ考えて行っていただきたい、これが私を含めての政府の希望であると、こういうことを申し上げた。
 右のようなことが事実でございますので、まあお答えになっておりますか、なっていませんかわかりませんけれども、ざっくばらんなところ私の感じを含めまして、そのときの事情を申し上げる次第です。御了承いただきたいと思います。
○岡三郎君 いまの官房長官の御答弁を聞いて、国交の回復していない北へ行くということになれば、すぐ帰ってくるか、お客さんが無事に日本に帰ってくるかもわからぬし、向こうでソウルに着けてやるという方法のほうがいいと判断したということがいまあったわけです。
○国務大臣(保利茂君) いや、そうじゃない。それは全然違います。
○岡三郎君 そうじゃない。じゃいま言っているには、北へとにかく飛び立ったことに対して、そのときには機長も犯人の脅迫で北鮮に行かざるを得ないということで飛び立っていったということになっておりますね。それに対して、政府のほうとして、北鮮に着陸したならば国交回復していない、だからどこかほかの方法がないのかと考えるのは、これは一つの方法だと思うんです。それも考えなかったのですか。そうするというと、それも考えていないで、あとは韓国に、米軍にお願いしただけと、政府のほうとしては、そういう点については。じゃ、そうでないとするならば、ノータッチだと、これなら私は無責任のそしりを免れないと思うんです。とにかくいずれにしても板付でおろそうと思ったけれども、おろせなかった。飛行機は、われわれの意図と反し、政府の意図と反し、また日航の意図と反し板付から飛び立った。これは明らかに北鮮に向かっている。それに対して、じゃこのままこの飛行機を北鮮に行かせるのか、どうするのかということを考えないような政府だったら、私は政府は要らぬと思うんです。それを官房長官は、いやそうでないと言われたんだけれども、じゃそのときはそういうことは何も考えていないで航行の安全だけを韓国にお願いし、米軍にお願いしたということになるんですか。私は少なくとも、私が当事者であるならば、この飛び立った飛行機に対してどうするのか、政府は、おれたちのことじゃないんだから、これは日航にやらしたんだということに、そうするとなるんですか。そこら辺のところをもう少し具体的に言ってもらわぬと、何もしてなかったというのもおかしい。何かしたと言われれば困ると――それは日航が独断でやったのか、飛び立ったあとをですね。そうして飛行機はとにかくこちら平壌といって金浦に小細工でおろされているわけですね。じゃそれは一体だれがやったのか、小細工をだれがしたのか。つまり平壌でないのを平壌といって現実にあの飛行機は、三五一便はおりているわけです。じゃそれは一体韓国の独断でやったのか、政府のほうは全然ノータッチであったのか、日航がそういうふうにやったのか。少なくとも佐藤総理は、飛び立ったあとの三十一日の答弁では、福岡に引っ返すか途中でおりるかはっきりしないけれども、ここのところは何とかなるだろうと、こういうふうに答弁がしてある。だから、これは総理がそこまで言うておるということになれば、日航がとった処置を政府のほうが聞いて、そうなっているというふうにとっただけのことなのか。だから、要するに政府がここの段階においてどうなされたかということによって、その御返答をもらいたいと思う。
○国務大臣(保利茂君) ごもっともな御疑問であろうかと思います。何さまあれだけのスピードを持っております飛行機でございます。それで私どもが承知しましたのは、大体閣議――ちょうど火曜の閣議の直前、どうも飛行機が遭難したようだと、何だと、それはどうも乗っ取りにあったようだと、こういうことでございまして、どのくらいのお客さんが乗っていたろうかと、おおよそ満席であろうと、こういうことがわかりました。それで運輸大臣……。
○岡三郎君 ちょっと官房長官、私は、福岡から飛行機が立ってからのことを立つ前の状況の中からどうとられたか……。
○国務大臣(保利茂君) まあ岡さんのような方であればそれはどうでもとられるかもしれませんけれども、私は正直言いまして、私がもし政府を代表しておるとすれば、この飛行機は北鮮に向かって飛んでいったということはわかる。で、無事に着陸してくれるかどうかということについては、その以前に、いまの板門店委員会やあるいは赤十字あるいはソ連を通じて安全保証方についてあらゆる努力をして、大体まああの飛行機の安全と人命の保証と、そして早期の送還ということは保証されたようでございますから、まあまあと思っておるところへ、だんだん飛行機は西のほうへ進んでいく、いよいよ平壌へ着くんだなと思うところで引っ返して金浦へ着いたわけですね。この間について政府は、いやおまえは南へ行っちゃいかぬ、なぜ平壌に行かぬかというような処置はとっていないと思います、どの関係当局も。これはまたとるすべもなかろうと思います。いわんや私がその飛行機に向かって指示すべき何らの力もございませんし、また才覚もございません。でございますから、私どもとしては、平壌へ着けば着いたとき、金浦へ着いたら着いたとき――金浦に着くということは板付を飛び立ってからは予想していないんでございます。予想しておりましたのは、北鮮へ着陸するであろうということだけを予想しておりました。したがって、ほんの一時間足らずの飛行過程で、ただ飛行機の進路を追っかけておるところから情報をもらっておると、刻々の推移を見ながら金浦の飛行場へ着いたと、それだけの事実しか実は知らないんであります。私のほうから平壌へ着け、金浦へ着けろというような、どういう形においてもそういうことは、おそらくどの関係当局も、しておるか知りませんけれども、私は各当局から情報を集めてみましたけれども、そういう情報には何も接していない。私自身も、ただ総理から言明されておるのは、乗客、乗員の身になって万全を尽くしてもらいたいという指示を受けただけでございまして、総理がどういうふうに申し上げられておるか、私は正直知りませんけれども、事実はそのとおりでございます。
○岡三郎君 私はこれでやめますが、だから、質問に答えてくれてないわけですよ。総理は、これはもうけさから言っているのですが、どこへ行くかわからぬが、それで案外、われわれが心配はしているが、福岡までまた帰ってくるかもわからない、あるいは途中でとまるかもわからない、いまそういうような状態でございますということを三十一日の午後の予算委員会で答えられているわけです、これは。だから総理がそれを全然――あなたは知らなくても総理が知っていた、ある程度……。
○国務大臣(保利茂君) 知らない。
○岡三郎君 いや、だから、知らない知らないというから、ますますこれは口裏を合わせて知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでいるのだなあというふうな取られ方になりがちなんです。そのときに、日航の運航部長さんのほうは、板付の米軍の司令官を呼び出して、ひとつ日航機が行ったらば板付へ返してくれということを頼んでいるのですよね、米軍に。で、米軍のほうは、よしわかったということで、これは韓国に連絡をしてそういうふうにやりたいということを言っているわけですよ。これとこの答弁とはぴたりと合うのですよ、符牒が合うのですよ。そこでだれかが小細工をして北に向かっているものを途中でインターセプトして、そうして今度は京城を平壌と称してトリックを使って、そうして兵隊さんに服を着がえて――韓国のほうが知らなければ、北朝鮮の服に着がえるなんということを、それから横断幕で歓迎のアーチをつくったなんといって、そうして旗も取りかえたと、そんな舞台装置がにわかにできるわけがないのですね。そうするというと、これはだれがこの小細工をしたのか、とにかくその点がもことしてわからないから、だから今度は石田機長並びにその人たちを呼んでやらなければいかぬということになったのです。だから私は、ただここで言うのは、飛行機が百二十数名を乗せて北へ飛び立ったことについて、私たちは北へ行くと思った。そうして北に対しても特別の措置をとってないのですね、全然とっていないんですよ。百二十一名。北に対してどういう措置をとったというならば、あなた言ってもらいたい。とらないで、米軍と韓国に対しては――防衛庁のほうも米軍に、日航も米軍、そうして外務省は韓国政府に対して頼むという電報を打って、電話をしてやっているわけなんです。北に向かっているものに対して、北へ行ったならば、これは無事に着陸しなければいかぬから何とか手を打たにゃいかぬということについてのあれは、あれよあれよといっている間にいつの間にか京城に、金浦におりた、ということになっておるのですよ、いままでの話を聞いてみると。だけれども、私はまことにふしぎでしようがない。私は、政府としたならば、当然日航を招致するなり何なりして事情は聴取されていると思うのが常識じゃないですか。その中で、一応とにかく手としてはわかっている。板付でとにかくお客をおろすように最善の努力をせい。きのうも愛知さんが言っているように、いよいよ状況がだんだん、だんだんと煮詰まってくると、とてもそんな甘いものではないということで電話連絡をしているということです。そうすると官房長官はただ何にもしなかったということになるのですか。
○国務大臣(保利茂君) 私は、日航から連絡を受けたのは、松尾社長が京城に出かけたというその直前の電話を一回いただいただけであります。日航当局がどういう措置をとり、どういうまた措置をとってもらいたいかということを政府側に、私にですね、一回の連絡もなかったということを非常に不満を実は持っておるわけです。私は、ありていに申し上げまして、したがって、運航部長がどういうふうな措置をとったのか、日航がどういう措置をとったのかということは一切知らない、その点非常に不満を私は持っております、ありていに申し上げまして。
○岡三郎君 総理がこう言っている。
○国務大臣(保利茂君) そこで、私は、総理がその答弁をされたのは、総理がちょっと困ったと思うのです。というのは、板付に着きまして間もなく、だれの話でございましたか、相当責任ある人の話でございます、私は院内大臣室におりましたし、そこへ、もうこの飛行機は外部からエンジン故障を起こして飛び立たないようにいたしまして、機内には赤ランプがついておりますから板付で処理するほかはないと、まあそれじゃ一人のけが人も出さないように、少々時間がかかっても、急ぐお客さんがおるだろうけれども、しかしとにかくけが人を出さないように万全のひとつ救出をやるようにしてくれ、こう言っておいた、その点を報告を総理にしたわけです。まあ、総理大臣だいじょうぶですと、飛行機が動かぬようになりましたと、それで板付で何とか処理できるだろうと思いますから御心配はそう要らぬじゃなかろうか、こういう報告を最初したわけなんです。ところが、この総理に報告して間もなくこの飛行機が出たわけです。だから総理としても、官房長官はさっき、この飛行機はもう不能になっていると、こう言ったにかかわらず出たというのはこれはどういうことなのだ、それでおそらく総理の御判断で、あるいは飛び立つようなかっこうをしてまた引き返してくるのかあるいは韓国にでも寄るのかというような想定をされたのじゃないかと、あるいは大阪あたりに来るのじゃないかというような想定をされたのじゃないかと思います。私は、もう北進しておるという状態においては、総理に連絡の方途がなかった。それからいま岡さんは……。
○岡三郎君 官房長官、これ、違うのだよ。
○国務大臣(保利茂君) 違いやしませんよ、そんな、ことばは悪うございますが、北に向かっていくときに、韓国や米軍には何かいろいろ手を打ったようだけれども、小細工やったようだけれども、北鮮に対しては何もやっておらぬじゃないかと言われることは、外務省にかわいそうでございます、それは。この飛行機は板付を飛び立つと北鮮に向かうと、飛び立ったら――しかし幸いに飛び立たないと言ってくれますから、それでも外務省としては万一飛び立つということになると国交のない北鮮でございますから、そこで板門店の委員会を通じ、あるいは赤十字を通じて、あるいはソ連の政府に、中川大使に至急訓令を発して、そして万一北鮮に向かったときに、北鮮領空の飛行の安全と人命の保証だけはひとつ何とかやってもらいたいということで、ほんとうにこれはあの晩は、三十一日の晩は外務省関係者皆徹夜をして全機能を働かしておったわけでございまして、この辺はひとつ、まただんだん事情もわかってまいりましょうから……。
 しかし、どういうふうになったかは、これは正直言いまして私どもは、日航はそういう状態でございますから、まあ運輸省はあるいは直接主管当局としてどこまで日航の報告を受けておったか、私は少なくも直接的にはそういうふうな情報を何も聞かないものですから、ただ金浦へ着いたところで、正直言いまして成田委員長にも頼みあるいは石橋国際局長にも頼み、御本人の阿部代議士に頼んで、いまや阿部代議士がお客さん救出の幕あけのかぎを持っておるような形になって、ああいうふうな御無理な御相談をお願いして、喜んで、委員長積極的に、石橋君積極的に、阿部君の御奮発を願って飛んでいただいたようなことでございまして、この点はひとつどうぞ、あとのことを正直言いまして、私も何も隠しやしませんよ、そういうところでどうぞお許しをいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
○委員長(温水三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(温水三郎君) 速記を起こして。
○三木忠雄君 私、最後に整理する意味も兼ねますけれども、いろいろ新聞を読んだり、いろいろな話でさっぱりとにかくわからないわけですから、話を進めるについて整理していきたいと思います。実際やられたのは局長さんだと思いますので……。
 いま保利官房長官から、日航から切めて入ったのが、松尾さんの電話が四時に一本だという話でありましたけれども、航空局と日航との連絡は、大体時間はいつ連絡があって、どういう指示系統になっておったか。それともう一つは、福岡に着いてから、飛び立って金浦に着くまでの時間帯をちょっと教えていただきたいと思います。正確に航空局としてキャッチしておる時間、また運輸省として金浦に着くまでの間の打った手ですね。その三点を航空局長にお伺いしたいと思います。
○政府委員(手塚良成君) これは昨日の予算委員会にも、岡先生の御質問で触れましたが、まず私どもがこのハイジャックの件を了知いたしましたのは七時四十三分に、飛行機と東京航空交通管制部との間の超短波による連絡で聞いたわけでございます。その内容といたしまして、いま赤軍派とおぼしき者から脅迫を受けておる、それから同時に北朝鮮へ行くんだ、こういうことを言われた。しばらくといいますか、七時四十六分の通信の中で、連中とコンタクトして燃料補給のために福岡へ着こうということになったということを、また同一の系統によって知り得ております。そのほか、いろいろ途中の交信がございますけれども、そういう状態でこの飛行機は福岡へおりて、それから北朝鮮へ行くと、こういうことをその間においてわれわれは知ったわけです。
 そこで、その内容を知りましたについて、これは一般に航空機の遭難等のときにもやります方針ですが、これを関係方面に連絡をいたしております。連絡先といたしましては、まず当然日本航空にもいたしております。日本航空はまた日本航空自体のほうから私のほうへも折り返しそういう内容があったことの連絡を受けております。外部の関係といたしましては、まず防衛庁に御連絡を申し上げております。それから警察関係に御連絡を申し上げております。それから本省に連絡が参りましたので、本省を通じまして、また外務省のほうに御連絡を申し上げております。大体そういうところがおもなる連絡の先であったと思います。それから米軍に連絡が行っております。府中のこういった情報のセンターでございます。
 そのうちに飛行機が福岡へ着いた。当時閣議もあり、閣議の前段にもこの話が議題になりまして、福岡へ着くということであるならば、福岡で極力ひとつ犯人を説得しよう、こういう話になっておりましたので、関係方面ともいろいろ御相談をし、その中央の趣旨を現地に伝えまして、現地の空港事務所長、県警本部、日航、こういった三者が主になりまして、いろいろ福岡に引きとめの相談をして、まあ新聞紙上いろいろ具体的なことがいわれておりますが、そういったことはすべて三者意見一致、中央との連絡のもとに行なわれた結果でございます。そういたしまして、なおまた私どもは、福岡に管制部というところがございまして、飛行機が飛行場から出発しますについては、必ずどこそこへ行くというフライトプランの提出を求め、それに出発よろしいというクリアランスを与えることによって出発ができるわけですが、この飛行機はいまのようにできるだけあそこへとどめようということでございましたので、そういったところにはクリアランスを出してはならない。結果的に見ますと、フライトプランが出てまいりませんでしたので、当然クリアランスは出さないという結果に終わりましたけれども、事前にはそういう措置をとりまして、何とか福岡で犯人の説得をし、しかも乗客の救出をしたいと、こういうような方策をとったわけでございます。
 それから、そういう状態を続けておりましたけれども、全くこれは機長独断の判断で、いまの一般的な空港出発の手続なしに飛行機は離陸をした、こういう状態でございます。で、離陸後におきましては、これは福岡の管制部と連絡をとっております。それでこの連絡によりますと、北朝鮮の方向へ行くと、こういうことを連絡をしておりますので、韓国の大邸の管制本部にそういう趣旨の連絡を福岡管制部からいたしております。その前に、ハイジャッキングの連絡が入りましたときに、向こうの管制部からもいろいろ問い合わせが来ておりまして、どういう飛行機であるとかどのくらいのスピードであるとかいうようなことを大邸の管制部から問い合わせがございましたが、離陸してから後につきましては、私どものほうからそういった内容のことを積極的に大邸のほうに連絡をいたしております。またその間に私どもは外務省にいろいろお願いを申し上げまして、そして北朝鮮へ入るについての航空上の安全のためのいろいろな情報を知りたいというようなことで、そういったものの情報をしかるべきルートを通じて取っていただくというような措置をお願いをしております。そういうような関係と私ども措置をとりまして、大郷のいまの管制本部からのいろいろ情報がございますが、そういうのは省略いたしまして、最後に、十五時十六分に福岡管制部は、大邱管制部から、同機が金浦空港に十五時十五分に無事着陸した、こういう旨の連絡を受けました。これをまた先ほどの、出発当時の関係方面に連絡をしておるわけです。
 で、この間はいま申し上げたような次第でございますので、先ほど来問題になっております、当該機が板付空港出発後どこへどうしろというような指示につきましては、私どもは全く指示もいたしておりませんし関知もしていない。日本航空の飛行部長の言われました、いろいろ米軍にお願いになったという件につきましても、実はだいぶ時間をかけてそういうことを知った。これは長野部長の御説明にありますように、あのときの逼迫状態の、時間のないというような事情から、こういった人命救助のためにあらゆる手を尽くすというようなことで一応容認されるのではなかろうかと考えます。
 それから、金浦へ着きます直前のことについていろいろ御疑問があるようなことでございますが、私どもは、いま申し上げたような状態でございので、実は金浦へ着いて、ああ着いたか、こういうようなことなんでございます。で、実は機長が昨日参られましたので、機長にその間の実情を私なりに聞いてみました。そうしましたら、機長のこれは言でございますが、三十八度線を過ぎたと思われるころに機首を北々西に向けて飛行をしておった、そうして緊急用の百二十一・五メガサイクルで平壌を呼び出した、そうしましたら、平壌の進入管制の周波数は百三十一・四メガサイクルである旨の返答があって、この周波数にセットをしてレーダーによる進入管制を受けながら着陸進入をした、そうしたらそれは金浦に着陸しておった。一たん北鮮に入ってからUターンして金浦に着陸しようとしたというものではなくて、いま言った実情で、周波数を合わせたら、それに合わせてレーダーに誘導されたらそこにおりた、こういうようなことを機長からの言で聞かされておりましたです。
○三木忠雄君 そうしますと、運輸省としては――これは端的でけっこうですが、何の指示も結論としては出していないわけですね。そうとってよろしいですね。
○政府委員(手塚良成君) そのとおりでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、運航部長に伺いますが、私、新聞の報道で見たんですが、福岡で日航機が給油中、長野日航運航部長が板付の米軍基地を通じて、進路妨害をしてくれ、威嚇は空砲で頼むと、米国両軍に仮想迎撃のトリックを頼みましたと、こういうふうな話がされておるんですけれども、これは事実かどうか。
○参考人(長野英麿君) それは事実ではございません。昨日私が申しました――お聞きになっていると思いますが、あれ以外のことは申しておりません。
○三木忠雄君 そうしますと、運航部長は何も申されなかったと。そうしますと、日航の福岡支店で、石田機長に対して地図が与えられた、それから緊急用の百二十一・五メガサイクル、これに特に注意して空軍と接触を保つようにと、こういうような指示がなされたというのですが、これもないかどうか。
○参考人(長野英麿君) 私は、昨日申しましたように、米軍へ三項目の要求をいたしました。このあと米軍のコマンダー、カーネル・エドワード・オーニーという方ですが、この方が、戦闘機から、もし韓国の戦闘機が日本航空に指示を与えるとしたら、コンタクトをする場合には波長はどういう波長を使ったらいいのかということを聞かれました。そのときに私は、百二十一・五ならば飛行機が持っておりますから、それならばよろしいと言いましたら、その旨伝えますと、そういうふうに言われたので、私は福岡の中島航務課長を通じまして機長に、わからないけれども、もし韓国領を通過するときに戦闘機が上がってきたような場合には百二十一・五をウォッチしていなさい――ウォッチというのは聞いていろという意味ですが、ウォッチしていろということを伝えました。と申しますのは、犯人が聞いていますので、よけいなことを言うとかえって疑惑を受けるといけませんので、ただウォッチをしていなさいと、それだけを申しました。以上です。
○森中守義君 運航部長、これはまあ機長が見えてからもっとその辺詳しく聞きたいですがね、最初から疑問だったのは、それ一つあるんですよ。つまり、板付を出てすぐ百二十一・五に切りかえたのかどうか、それをずっと出しっぱなしで向こうへ飛んだのか、あるいはある地点で、いま言われた韓国機がコンタクトを求めた場合に百二十一・五を出すと、その辺はどうですか。それが一つと、「よど」号には短波がないかな、短波ないでしょう。
○参考人(長野英麿君) どこにですか。
○森中守義君 「よど」号には。
○参考人(長野英麿君) はい、ございません。
○森中守義君 VHFだけだな。そうなると、百二十一・五というのは大体高度八千ないし一万くらいで二百キロ程度がエリアでしょう、その辺でどうも疑問なんですよ。だから、その運輸省の各地上局と交信をしながら誘導されていったのか、あるいは米軍の百二十一・五に合わせながらずっと誘導されていったのか。要するに、百二十一・五は、そういう非常に到達距離の短い波長だから。その辺にどうもやっぱり疑問がある。それはどういうことですか。
○参考人(長野英麿君) お答えいたします。
 百二十一・五はおっしゃるとおりVHF――極超短波、UHFではございません。そのために到達範囲が約百キロないし百五十キロと申し上げましたのは、百五十キロと申し上げましたのは、地上から発信して、地上と飛行機との交信の場合には百五十キロくらいしか通じません。飛行機の場合には空中にさえぎるものがございませんからもう少し、たとえば距離が二百キロ以上でも聞こえる場合がございます。それで百二十一・五は、昨日も申しましたが、受信機が二つございます。一つのほうで、たとえばタワーとかあるいは会社のフリーケンシーであるとか、そういうものとコンタクトします。その場合、百二十一・五はいつもオンにして、いわゆるいつも聞ける状態にしております。しかし、パイロットが片方との、タワーとの交信とかあるいは別の交信に気をとられておりますと、こっちをうまく聞けない場合がございます。両方入ってくるようになっております。両方一ぺんに聞けるようになっております。それでたとえば、まあわかりませんけれども、どこの飛行機でもそうですが、戦闘機がそばに寄ってきたら、そのときには百二十一・五に注意していれば、飛行機が見えるところに来れば距離は非常に近うございますから、百二十一・五で発信してくれば当然聞こえるというわけでございます。そのために飛行機がそばへ近接してきたらよく気をつけてなさい――これは実際はむだだったのでございます。韓国の空軍は百二十一・五を持っていなかったようでございます。と申しますのは、戦闘機の波長はUHF、VHFではないようにあとからの情報で伺いました。私は実際にどういうことが行なわれたか知りませんが、戦闘機はVHFを持たずにUHFで――これはウルトラ・ハイ・フリーケンシーと申しまして、さらに高い波長の通信機を使っておるので、たぶんだめだったろうということを私はあとになって伺いました。
 以上です。
○三木忠雄君 防衛庁のほうに伺いますけれども、このレーダーのことについてちょっと伺いたいのですがね。新聞の報道によりますと、絶えず空幕に状況が入っておったわけですね。そして新聞によりますと、二時二十一分板付から北約二百七十キロの防空識別圏の直前でエスコートのF86戦闘機が引き返すと、こうなっているわけですね。そのあとすぐまたレーダーがずっと追っているわけですね。そうして二分くらいおいたら、次に韓国の飛行機がずっと来ておる、その境まではレーダーは映らないものなんですか。それとも、ここの関係はどういうふうになっておるか。
 それからもう一つは、防衛庁からこの護衛機といいますか戦闘機に何らかの合い図があったのかどうか、あるいは戦闘機のほうから防衛庁のほうにいろいろな連絡があったのかどうか。その周波数等の問題ですね。メガサイクル等の問題も含めてお答え願いたいと思うのです。
○政府委員(宍戸基男君) 防衛庁は在日米軍と平素からいろいろ連絡がございます。今度の事件に関しましても連絡なりいろいろな情報提供の依頼をいたしまして、情報の提供をしてもらったわけです。いまお尋ねのレーダーによる位置等もその情報提供の一つでございます。先ほどお話しの防空識別圏、ちょうど板付から立ちまして防空識別圏まではわがほうの86Fが追尾をいたしました、救難の意味で。そうしてその辺で引き返しております。その辺はわがほうのレーダーでつかまえております。それからあとは、米軍に依頼した情報によってわれわれは状況をキャッチをいたしたわけでございます。で、向こうの韓国にあるサイトでそれをつかまえたものをわれわれに情報として送ってくれたものと思われます。ただ、日本の86Fはもちろんこちらのサイクルとは交信しておりますけれども、それ以外の、たぶん韓国から立ったと思われます戦闘機らしいものとの交信はわがほうはしておりません。ただ、問題の航空機の来ている位置を逐次わがほうに知らしてくれたと、こういう状況でございます。
○三木忠雄君 そうしますと、「よど」号と戦闘機との間は連絡はつかなかったのですか、そういう報告はしてきておりませんか。「よど」号とこの二機の戦闘機。
○政府委員(宍戸基男君) 「よど」号とそれから韓国の……。
○三木忠雄君 自衛隊の戦闘機。
○政府委員(宍戸基男君) 自衛隊の戦闘機と「よど」号との関係では、先ほど運航部長言われたことと同じことでございまして、波長が違いますので、直接の交信はいたしておりません。
○三木忠雄君 そうしますと、結局防衛庁から特別な指示を出したわけでもないし、それから米軍のほうとのメガサイクルの関係なんですが、ちょっと私しろうとであまりわからないのですが、百二十一・五にしておけと、そうしてそれに合わせたところが、韓国の管制部のほうから百三十四・一メガサイクルに合わせろ、そうしてそれに誘導されて着陸した、こういうことになるわけです。そうしますと、もう実際に日本側としては百二十一・五にとにかく合わせろと、それだけの指示しかしていないわけですが、こう受け取ってよろしいか、それ以外のことは一切――北朝鮮に行くのだと、その行くには緊急用の百二十一・五メガサイクルに合わせなさい、そう言っただけにすぎないわけですね。
○参考人(長野英麿君) 百二十一・五はウォッチしなさいということを言いましたが、百二十一・五の指示に従えというようなことは言っておりません。もし戦闘機が出てきた場合にそれをウォッチしてくれと、私は向こうは持っているものと思でたものですから、そういうふうに言ったわけっす。
○森中守義君 これは私も専門家でないからあまり詳しいことわからないのですけれども、ITUあるいはICAOの固定周波数として百十八から百三十六以下、これが緊急通信の固定波になっているんでしょう、そうじゃないんですか。電波監理局ではそういう説明をしている。それから、だから本来ならば、パイロットがこういう緊急の場合には百二十一・五を出すのはこれは当然だ。別に指示を与えなくても、それで到達距離が同じ一万メートルくらいを飛んで二百キロ程度だ、こういうから非常に距離としては短い。しかもなおVHFしか持っていないというならば他に通信の方法がないじゃないか。それで運輸省の地上局にずっと誘導してもらうか、あるいは防衛庁にやってもらうのか、あるいは米軍にやってもらうのかという、そういう要するに金浦におりる手だてが当然その辺に出てくるわけです。しかも、百三十四・一もやっぱり緊急通信だというならば、どうしたってそこに百二十一・五に合わせておけといったことが、金浦におりろということに通ずるのじゃないですか、その辺どうも疑問です。最初から金浦におりろということを指示したのと一緒じゃないですか。
○参考人(長野英麿君) ただいま森中先生がおっしゃいましたのは、国際的に飛ぶ飛行機の持たねばならないVHFのチャンネルの幅でございます。百十八メガサイクルから百三十四メガサイクルまでは、この間は、うちの飛行機はポイント一おきに全部持っております。たとえば百十八・五でも合わせることもできますし、百十九も合わせることができますし、それ以外のチャンネルも合わせることができます。その中でどのチャンネルを、そのときのタワーであるとかあるいはレーダーコントロールであるとか、それぞれチャンネルが違いますが、自由に合わせるものを持っております。そうして国際線を飛ぶときには、先ほどから申し上げておりますように、国際線並びに国内のときに非常用として百二十一・五は常に合わせておくプロシーデュアになっております。きまりになっております。ところが、パイロットがほかのことに気を取られておりますときには、合わせておりましてもときどき聞き漏らすことがございます。で、私は、緊急発進のときには、言うなればいわゆる領空侵犯でございますから、非常に戦闘機との交信その他がむずかしいのではないかということを当然考えたわけでございます。ですから、米軍にお願いして、もしも戦闘機が上がった場合――これは上がるとはわからないのですが、当然予想されたものですから、もし上がった場合にはそれでコンタクトしていただきたいとお願いしたものですから、それでやるという返事は受け取っておりません。そのひまはございませんでした。ですから、とりあえず石田機長のほうに、百二十一・五にはもし飛行機が上がってきた場合には特に注意をするようにというようなことを申しただけであって、別にそのときになってそれに合わせろと、そういう意味ではございません。
 それから百三十四・一はレーダー基地には非常によく使う波長で、何も緊急用の波長ではございません。
○森中守義君 その百二十一・五というのはこれはもう国内法でも条約でも飛行機の緊急通信用ということの一つの固定波なんだから、だから別にあなたが指示しなくてもこれはパイロットとしては使いますよ。そういうことでしょう。そこで百二十一・五を出しながらずっと飛んでいった。しかもそれはある意味では無計画飛行ということになるでしょうがね。それで金浦の空港に上から平壌平壌と呼んだ。ところが下では金浦金浦と答えた。それであわてて下の金浦のほうから平壌平壌というように言いかえたと、こういう新聞の記事もちょっと見たのですがね。その辺に、無理やりにパイロットそれ自体が平壌だという偽装を電波で言いながら下のほうにもそういう感じ取り方をさせていたということは、すでに金浦におりるという目的であったわけです。あるいはまた行くときもそういうことを指示したのじゃないかというような推理が成り立つわけですよ。これは機長がいずれ見えますから、そのときもうちょっと詳しく聞くのですが、電波の取り違いというのは非常に私は重要だと思う。しかし、百二十一・五を使えと言ったこと、それはことさらに言う必要はない、当然使うべきものだ。だってこれは電波法においてちゃんと百二十一・五を緊急遭難の場合には国際的な周波数として使わねばならぬと定めてある。何も指示する必要ないですよ。特に指示を与えたというのは、金浦におりろと、そうすると金浦の地上局からそれにきちんと合わせたダイヤルに切りかえろという指示があるぞと、こういうふうな話し合いができていたのじゃないかということにもなるのじゃないですか。
○参考人(長野英麿君) いろいろやりました指示の中で私どもがいたしましたときは、緊急の場合にはやはり機長といえどもかなり気持ちが動揺している場合もございますので、特に私は米軍のベース・コマンダーからどのチャンネルやったらいいかと聞かれたときに、百二十一・五と答えたいきさつがございましたので、そういう意味で機長に、それを伝えただけで、これはたとえば人間が何かに気を取られているとき、二つのチャンネルをあけておりましても、たいがい、必ずしもいつもクリアにきれいに聞こえるとは限りません。それで特に戦闘機が上がってきた場合にウォッチしなさいということは、私どもは、ごくあたりまえのことではございますが、あたりまえのことも私どもはよく注意をいたします。それは特に意味があったわけではございませんことははっきり私申し上げます。
○岡三郎君 韓国の飛行機が来るということはわかっていたのでしょう。
○参考人(長野英麿君) いえ、それは予想されただけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、いろいろ百二十一・五と百三十四・一のメガサイクルの切りかえ問題が私は問題になってくると思うのですけれども、その前に防衛庁に伺いますけれども、府中の総隊司令部というのですか、そこと韓国とは絶えず直結した電話が鳴りっぱなしだと、こういうふうな情報も受けているわけですね、絶えず連絡はとられておったということ、だから上空を飛んでいて戦闘機と韓国の戦闘機との間にわずか二分間しかバトンタッチの間がなくてもちゃんと連絡はついておったというわけですね。こうしますと、防衛庁のほうから韓国へ直接、まあコントロールタワーのほうにも含めて、とにかく一三一・四で呼び寄せと、こういうふうな形で指示がいったのじゃないかと私は感じておるのですが、この点はどうですか。
○政府委員(宍戸基男君) 一二一・五とか一三四・一とかいうメガサイクルの周波数について防衛庁から指示したという事実は全くございません。府中ではもちろん米軍とわがほうの連絡官とが常時連絡は密にしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、位置等についても通報は受けておりましたけれども、周波数についての指示、その他の指示について、全然これはしたという事実はございません。
○三木忠雄君 韓国ともないですか。韓国の空軍と直接ありませんか。
○政府委員(宍戸基男君) わがほうと米軍と連絡しているだけで、航路の安全について米軍を通じて外務省のほかにわがほうからも依頼をした、それ以外は米軍を通じて韓国の上空の情報を提供してもらった、こういうことでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、韓国と直接はないのですね。
○政府委員(宍戸基男君) そうでございます。直接韓国とは連絡しておりません。
○岡三郎君 ちょっと関連して。
 それは、私はまあ米軍にやれば韓国に行く、すぐに自動的に行くということはわかっているから別にして、この三十一日の午後の中曽根防衛庁長官と宍戸防衛局長が記者会見をしておりますね。このときに対空砲火、ミグ21八機ということを明確に言っておられる。この日の衆議院においても愛知外相は、北朝鮮の対空砲火によって返されたと、進路の方向が変わったと、こういうことを言っているのですね。あとでこれは未確認情報だと、こう言っているわけです。未確認情報だけれども、ずいぶんこれが適切に北に向かっているのが入れられないから南へ下ったという理由づけには非常にまことに都合のいい、これはニュースなんですね。だから米軍がそういうニュースを防衛庁に入れた。すると防衛庁はそれを信じて記者会見で発表して、それが新聞に載った。愛知外相もこれを答弁している。そういう中において想定されることは、とにかく北に行っているのを北朝鮮のせいにして南に下るという想定をつくったと、向こうが対空砲火をやった、ミグ戦闘機21が八機あらわれたと、はっきり言っておりますが、これは米軍情報で未確認かどうか。これは米軍が言ってきたのだから、あなたのほうが信じてみんなに記者会見で発表したと思う。そのときのことばが未確認情報ということばだと、まことに実にうまい使い方ですね。いつでも逃げられるような形でうそを言っている。これは米軍のほうに、まあこういう打ち合わせをしたと思うのですがね。これはそういう形の中で南のほうに漸次下ってきて、そうしてコントロールされて金浦に着いたということになるというと、防衛庁と米軍の連絡の中において、これは非常にこの対空砲火というやつが重要な問題なんですよ。重要な問題なんですよ。これは最後まで、いや、そう言われたって飛行機の、別の高いところに戦闘機がいたかもしれないと言ってごまかそうとしたかもしれませんが、そんなこと、真剣にやっている人が、そんなこと、八機もあるやつがわからないわけがないですよ、いま言ったように飛行機が飛んでいればですよ。私は、この未確認情報という形で発表したのは一体これはどういうことなんです。未確認なら何も発表することはないじゃないですか。これを対空砲火、八機ということ明確に言っているのですが、この間はどういうような情報を受けて、どういうようにこれは処理してきたのか、その間もう少し詳しく言ってください。これはこのテーマを考えると、まことに防衛庁、在日米空軍、韓国が有機一体的な関係で、いろいろな作戦行動が練られているような状態があるわけです。末確認情報を発表しているのだから……。宍戸防衛局長というのは、あなたですか。
○政府委員(宍戸基男君) 防衛局長でございます。
○岡三郎君 あなたがやったのだろう。
○政府委員(宍戸基男君) わがほうと在日米軍とは安保条約に基づいて常時緊密な連絡をしておるわけでございます。これが基礎になっております。で、お尋ねの状況につきましては、先ほども申し上げておるように、米軍に依頼していろいろな情報をわれわれはキャッチしておりました。で、一番われわれも心配し、各皆さん方も御関心の一番高かったときにおいて、ちょうど板付を飛び立ちましてずっと北上いたしまして、さらに三十八度線を越えたころから西のほうに曲がっていったというところは、われわれの最も関心の深かったところでございます。われわれは何も金浦に行くことの予知はしておりませんでした。ついででございますけれども、先ほど非常に……。
○岡三郎君 それはいいから対空砲火の問題はどうですか。
○政府委員(宍戸基男君) 関心の深かった時点でございます。したがって情報も、向こうもその辺は非常にひんぱんに情報を送ってくれました。私もその情報を受けまして、逐次大臣に報告をいたしておりました。ちょうどずっと西方に行きまして、たぶん平壌の方向に行っておりました。ところが途中から情報をずっと見ておりますと、南下を始めまして、意外だったわけですけれども、そういう情報も逐次大臣に報告をしておったというのが実情でございます。ちょうどそのころ、その前後に対空砲火に関する情報もわれわれキャッチしたわけです。米軍を通じてまいりました中にそういうのがありました。それも大臣に報告をいたしました。私が申し上げるまでもありませんけれども、情報というのは事実と一致するのもありましょうし、事実と一致しないものもあります。本来情報というのはそういうものでございます。
○岡三郎君 冗談じゃないよ、あなた。米軍が連絡してくるのに、インチキ情報があるのかな。それじゃ米軍に一々確かめなければならぬな、そんないいかげんなことでは。
○政府委員(宍戸基男君) われわれは当時、情報ということで判断をいたしておりました。その情報の一部として報告をいたしておった、こういう状況でございます。後ほど機長が帰られまして、対空砲火を見たかということについて、対空砲火はなかったというようなお話は後ほどわれわれも承りました。きのうも大臣も、そのことのお尋ねがあって、それは機長としては見られなかったのであろうという意味のことは確かにお答えになっておられます。そういう状況でございます。
○岡三郎君 ここは重要なんですがね。日米安保条約のもとに、とにかく日米共同声明においては、韓国に事態が発生したときには緊急出動する、米軍は、そういう形の中で共同防衛するということになっているわけです。そうするというと、向こうで言う情報をもっと正確に、向こうのどういうところから言ってきたかということを詳しく言わなければ――というのは別のほうから怪電波を発送してやるかもわからぬし、そうしてその入ってくる情報が、どれが正確でどれが不確かだということがチェックできなければ、これは日本は振り回されますからね、韓国にいる米軍と韓国の状態で。それに対してですよ、これは正確だと思ったから、あなたが防衛庁長官に言って、共同記者会見をやって、こういうことがあったのだというように言われたと思うのですよ。もしもそれがへんてこりんのものだったら、そんなこと堂々と言えるわけはないと思う。これは確かな出所から来たからそれを取り上げて、対空砲火とミグ戦闘機が八機出てきたということを数まで明確に言っておりますからね。それをあとで機長が言ったなんて――機長だけではないですよ、百二十何人乗っているお客さんが、その他のものが全然そういうことはなかったと言っているわけですね。これは生命が危機にさらされて、北鮮に入るというなら、みな全神経を集中して、どうなるかということを考えているわけですよ。そういうことをばかにして、そんなこと、いやどこかに高いところにいたんじゃないかなんて、そういうことを一国の防衛庁長官がきのう言っているから、そういうあほうなことを言って答弁をごまかそうと思うのはいかぬと言ったけれども、その間、向こうのだれかがそういうことを言って、こっちが受けて、そうしてそれを信じたからこそあなたは発表したと思うのですよ、大臣と一緒に。それはどうなんです。あとになって、それはうそだったと言ったら、あなたが一番びっくりして、これはたいへんだ、韓国の米軍とか韓国というのは一体どこまで信用していいかわからぬ、と。そうではなくして、あなた方が連絡をとって、あそこへ入ったら対空砲火ということにして南に下らせるという方向にならなかったら、あなた方、防衛庁にいる資格はないよ。あなた方にとても国防なんかまかしておけないね。一たん別の事柄が起こって、始まった、出動せいということになったらかなわぬと私は思う。それはどうです。そこのところをもうちょっと具体的に言ってくださいよ。私は率直に言って、その点むずかしいと思うから……。
○政府委員(宍戸基男君) 繰り返すようでございますけれども、情報源は米軍でございます。
○岡三郎君 米軍のどこ……。
○政府委員(宍戸基男君) 米軍からわれわれは受けているわけでございます。
 で、おことばを返すようでございますけれども、対空砲火にしろ、それから戦闘機の遭遇にしろ、すべて機長がわかるかどうか……。ということは、すべてがわかるわけではない。といいますのは、たとえば86Fがエスコートいたしました、板付から。これは、われわれから指示いたしまして、防空識別圏まで行っておるわけですけれども、これもはたして機長が認識されたかどうかわからないわけです。そういうことで、目の前にぶつかるようにミグが出てくれば、それは機長も視認されたかもわかりませんけれども、すべて機長が視認されるかどうかは、それは確認はなかなかできないんじゃないかと思います。
 で、情報というものはそういう……。
○岡三郎君 対空砲火は……。
○政府委員(宍戸基男君) 対空砲火も、米軍からわれわれは……。
○岡三郎君 それを撃ったかどうか、機長はわからぬということですか。
○政府委員(宍戸基男君) 機長はそういうふうに言っておられます。
○岡三郎君 あなた方は……。
○政府委員(宍戸基男君) そういう機長の御認識も状況証拠の一つの有力なものであろうと思います。米軍の情報は情報として、当時、われわれはそれを一〇〇%確実と思ったわけではもちろんございません。しかし、情報として、一つの価値のある情報であるということで上司に報告をした。いろいろもっとあった。サイトに映っているのはあるいは価値のある――というふうに判断すべきかもしれません。いろいろな情報が当時あったわけでございますけれども、いろいろの情報のうち、報告をするに値する情報の一つとして報告をしたと、こういうわけでございます。
○岡三郎君 記者会見をしたのはどういうわけなんだ。
○政府委員(宍戸基男君) 院内の大臣室に私ども報告いたしまして、記者諸公にそのまま廊下でつかまりまして、どういう状況であったかというふうなことでございました。非常に、皆さん、御関心の高かったときでございます。で、大体の状況を私からお話をした。間もなく大臣が出てこられまして、大臣から記者会見をされた、こういう状況でございます。
○加瀬完君 ちょっと……。
 その、情報というものは、不確かなものだとあなたは御説明になりましたが、そういう未確認情報で不確かなものであれば、ああいうときにいかにも確実なように発表することの当否が当然問題になってまいりますね。なぜかというならば、対空砲火やミグにおどかされたので、したがって南下せざるを得なかったというような、形の上では結末をつけておるわけですね。その間においてあなたのほうで、その未確認情報をいかにも確実な情報のように、対空砲火があったと、ミグが来たと、こういう発表をしたということになると、事実はまことに未確認なものであるし、それから「よど」に乗っておった者たちは確認できなかったような状況であったわけですね。ミグにおどかざれたりそれから対空砲火があったから南下したのではなくて、正しい誘導に従って平壌だと思っておりたら金浦であったということになるわけですね。そうすると、岡委員が指摘されたとおり、初めからもう金浦に着けることを予知しておる、それの理由に、事前に対空砲火があったというふうな条件をことさらに発表したのではないかと勘ぐられたって、これは否定するわけにいかないのじゃないか、こういう見方も成り立つわけですね。少なくも、情報というものは不確かなものであるというならば、そう御認識しているあなた方が、いかにも確実なように、結論を導きやすいような形の発表をあの時点において、あのような内容のものをしたということは、今日の時点から考えてみるとどうも軽率であったというか、適当ではなかった、妥当を欠くということにはなりませんか。
○政府委員(宍戸基男君) まず、大臣を含めてわれわれも金浦に行くことについて予知はしておりませんでした。南下をし始めて意外に思ったのは事実でございます。
 それから、繰り返すようですけれども、情報というものは、わりあい確度の高いと思われる情報もありますし、そうでないのもありますし、いろいろでございます。これは私から申し上げるまでもないことだと思います。ただ、当時の状況といたしましては、南下をし始めたということは非常に意外で、かつ、皆さん、われわれを含めて、非常に皆さん方の、当時のわれわれを取り巻いておる記者の皆さん方非常に関心の深いところでございました。そういう雰囲気の中でそういう情報を得ておりましたので、そのことを大臣も発表になった、未確認ながらそういう情報もあるということを発表された、こういうのが当時の実情でございます。
○森中守義君 これはあさって機長が見えてからさらに詳細に聞かなくちゃなりませんが、大体機長が――さっき運航部長は、あたりまえのことでも念を押す必要があると、こう言われました。なるほど、それは運航責任者としてそうであるかもしれないけれども、こういう予期しない、しかも困難なことやってのけるほどのベテランが、まさか一二一・五をうっかりするようなはずはない、私はそう信じておる。そこで最初から一二一・五を入れておけと、ことにそれを命じた、そこで米軍、あるいは運輸省、あるいは防衛庁、少なくとも日本海沿岸の地上局にそれをずっと誘導されながら、しかも空中においては、いま防衛庁が言っておるように、日本の防衛庁機がずっと護衛していって、そこでどこかで米軍にタッチをして、今度韓国の地上局に一二一・五を合わせながらずっと飛んで、どうも三十八度線を越えたと思えない、私は越えたような気がしていないのです、そういうように空中と地上の態勢をずっと想像していきますと。そこに未確認情報であろうと何であろうと、三十八度線を越えていなければ対空砲火もミグもあらわれる必要もない、大体そういうようなことに実は判断が成り立ってくるんですね。したがって、当初出るときに金浦におりる、そこが実は一番問題なんですよ。非常にむずかしい。むずかしいということは、技術的にもむずかしいのだろうけれども、つまり問題の進め方がきわめて穏当を欠いている、なぜパイロットならパイロットにまかせないか。だから、金浦におろしたがゆえに七十数時間もかかった。平壌に持っていったならばもっとスムーズに片づいたかもわからぬ、すべては結果論ですが。しかし、さっき官房長官の話だと、モスコーの中川大使を通じて、すでに北鮮とモスコーとの間で根回しは済んでおるというような実は話もあったわけですよ。これはかなり北のほうに行っても、飛行機それ自体の安全はもちろん、乗客も乗員も返すというようなことがどの新聞でも伝わっておるし、テレビでもそれをしきりに言っておった。そういうような状態から考えると、三十八度線は越えていないという、こういうことが正しいんじゃないかと私は思うんですが。したがって、いま防衛庁の話あたりもこれは全く不見識ですよ。国民が、これはどうなるかわからぬというときに、情報には未確認情報と正確なものと二つある、その区別を、選択をすることなく、どんどん出されたんじゃ一体どうなりますか。まさにこれは北朝鮮とは国交はないにしても、ゆゆしい問題ですよ。そういうことを考えないで、とにかく、武力攻撃をしかけてきた、
 つまりミグが出た、地上砲火があったということで、ことさらに北朝鮮との関係を一つの防衛の材料、防衛の道具に使うようなことはけしからぬ。あなた方に国の防衛まかせられぬのはそのことですよ。だから、これから先も防衛庁が発表するいろんな情報というものは、よほど国民は吟味しなくてはならぬというような気もするんですがね。ただ、三十八度線を越えたか越えないのか、いま運航部長に資料持ってこいと言っても無理かもわからぬけれども、大体飛行機のコースなどはひとつ正確に、あさってぐらいにそれを出してくれませんか。
○参考人(長野英麿君) はい。
○森中守義君 それを基礎にして機長にいろいろ聞きましょう。一二一・五の存在、しかも地上局との交信の状況、あるいは防衛庁、韓国機の護衛の状態、これは実に奇々怪々ですよ。まさに何を言っているのか、質問に答えれば、こう言えばいいという適当なもんじゃ困るんですね。
○参考人(長野英麿君) まあ非常に、森中先生のお疑いがあるので、私がいま何を申し上げても信じていただけないかもしれませんが、その当時の状況と申しますのは、私どもはもちろん板付におきまして何とかして事態を解決したいと努力したことは事実でございます。それで、その間のいきさつに非常に心を砕いておりましたので、かなり時間が取られております。ここでゆっくり考えるような事態ではございません。次々と、たとえば犯人が脅迫しているとか、あるいはタイヤを取りかえるとか、あるいはブレーキをかえるというようなことを申し入れて、それは拒否された。燃料の補給の時間を延ばせとかいろんなことを言っておりました。たとえば、その間の段階におきまして、婦人子供をおろすということにやっと犯人が同意したと、じゃあそのためには、少なくとも婦人子供がおりるまでは飛行機というものに対してあまり手を加えないほうがいいんではないかとか、いやそこでとめたほうがいいんではないかとか、いろんな議論が百出しておりまして、私はその間にあって、たとえば平壌までの飛行距離をはかれとか、燃料を計算しろとか、あるいは北鮮に対してNHKの放送を頼んだらどうかとか、あるいは赤十字を通したらどうかとか、あるいは航空局へお願いするとか、いろんな手を打っておりました。ですから、私はとてもそのようなソウルへおりろと、おろさせるというようなことを考えるいとまもなく、私が米軍に連絡したときは、とにかくいま上がったら撃ち落とされる、撃ち落とされたらたいへんだ、何とか救けなきゃならぬということだけしか考えておりまませんで、そのときの状態は非常にせっぱ詰まったもので、何かやれというと、いや爆破されるかもしれぬというようなことがありまして、事態は非常に切迫しておったものですから、いまあとから考えればいろいろ御推察もあろうかとは思いますが、そのときの状態として、私はただ単にそのように申したつもりでございますし、また、これは機長を呼んで明後日お問い合わせていただければわかると思いますし、また米軍のカーネル・ウォーニーのほうに対しましては、飛行機が離陸したあと機長は、福岡のうちの支店にカンパニーフリーケンシーで、三十八度線のエスティメートと、それから平壌のETA――エスティメート・タイム・アライバル、つまり着予定と言っておりますが、この時間を知らせてきております。機長は、十三時五十九分ですか、十四時ジャストですか、まあ多少時間は、一分ほど食い違いがありますが、大体十四時に離陸いたしまして、三百五十五度でただいま北上していると、高度は二万五百、三十八度線エスティメートは十四時四十五分、それから平壌のエスティメートは十五時十六分というように報告してきております。ですから、機長はその時点において平壌に向かっておると私どもは考えておりました。ですから、その間のいきさつは、どういうふうにお取りになるか知りませんが、私は十五時半にもう一回カーネル・ウォーニーに電話をかけております。というのは、私は非常に不安だったわけです。というのは、機長が情報を持たずに、非常に貧弱な情報で飛び立っておりますので、はたしてうまく平壌の飛行場に着けたかどうかということが非常に気がかりだったわけです。それでカーネル・ウォーニーに、何かアライバルのインフォメーションが入ってないかということを聞きましたときに、金浦に着いたと、そういうインフォメーションがたったいま入ったと、いやそれは平壌の間違いじゃないかと、いや金浦だと、なぜだと私は聞いたことを覚えております。しかし、カーネル・ウォーニーは、とにかくそういう情報だけは入っておると、なぜだかわからぬと、それで電話切れました。そういう状況だったんで、その間私は、政治的なことは私一切わかりませんが、技術的に、あるいはそのときの人命救助ということだけに重点を置いてものを考えておりまして、先ほどからも局長も言われましたが、私が独断でいたしましたのは、ただ米軍への依頼、韓国空軍への依頼だけでございます。ほかは、やはり本部長がおられましたので、本部長の指示を受けておりました。米軍へのコンタクトを私の独断でいたしました。そういうことでございます。以上でございます。
○藤田進君 いろいろ論点は多岐にわたっていまだ明確ではございません、治安当局に対しても何に対しも。で、いま防衛庁の宍戸防衛局長並びに長野部長の発言を要約すると、わがほう――日本の政府機関並びに日航としては平壌に行くものと信じ、その措置をとかく心配をしていたが、突如として南下し始めて金浦飛行場に着いたと、こういうことは、この事件発生以来政府の上層部、特に大臣クラスはほとんど事態を知らないまま、担務者である事務当局が平壌に行くべきものを金浦飛行場に差し回すなりそういうようにも思われてきたが、上層部もそういうことは知らなかった。つまり平壌行きと信じていたが、さらに事務当局としても、防衛庁並びに運航部長としてもそのように信じていたことがはっきりしたと思う。これ間違いなら御指摘いただきたい。とするならば、一体どこが金浦飛行場に誘導し、金浦飛行場では、乗客の証言によりますと、すでに午前中指摘されたように、北朝鮮の軍服を着て、そして平壌のごとくカモフラージュしていろいろな舞台装置があったということも指摘された。ただ、乗客から私の聞いた限りでは、アメリカ製の自動車がうしろへくっついていて、これは犯人も気づくんじゃないかと心配したが、やはり案の定気づいた。それから犯人から、ここは北朝鮮ではない、韓国だろうと言ったら、そうである韓国だよと、ついつり込まれて北朝鮮軍人の服を着ているのがそう言ってしまったと、そういったうちに、ここは韓国だと、おりろというような相当きつい今度は態度に韓国側も変わってきた。一瞬非常に心配したということで、これはどうも曲げられない事実のようです。とすれば一体、今日までその後の追跡調査もされなければなりませんが、アメリカがそういうふうに、軍なり何なりがしたのか、あるいは韓国が金浦に誘導し、そういうことを日本政府とは関係なしにやったのか、あるいはアメリカ並びに韓国が共同して金浦飛行場への措置をとったのか、この点についての判断を、どう判断しているか。それから、その後、韓国なりアメリカなり、この措置についての、日本政府は知らなかったわけですから、釈明なり何なりがあったのかどうか、この際、ひとつ整理しておのおのから御答弁をいただきたい。
○政府委員(須之部量三君) どういう経緯で金浦へおりてきたか、これは私ども、正直なところよく存じません。ただ、現地に参りまして――私は橋本大臣のお供をして参ったわけでございますが、そのときに、韓国のほうの責任者が、例の機内の学生と交信しております。そのときに申しましたことは、韓国と北朝鮮というものは、ソウルの北方、非常に近いところでほんとうに対峙している。要するに臨戦地帯である。そういう地帯によくわからない飛行機が入ってきたというようなときには、なるべくすみやかに、必要ならばピョンヤンと称してでも着陸させるのが自分たちの通常とる措置である、それは当然のことであるということは説明しておりました。それで、私は、おそらくそれ以上の――当時の状況で、その辺のことをもう討議するあれではなくて、むしろ、乗客をいかに救出するかという点で一ぱいでございましたけれども、おそらくそういう判断で韓国の関係者がやったことかというふうにも考えられるわけでございます。
○藤田進君 ポイントが違うんですがね、――防衛庁と日航、それぞれ。
○政府委員(宍戸基男君) 防衛庁といたしまして知り得た事実並びに情報は、先ほど来申し上げているとおりでございます。先生のお尋ねの、どういう意図で、あるいは、だれが、ということに関しましては、全くの推測になりますので、お答えは差し控えさしていただきたいと思います。
○参考人(長野英麿君) その点については、私は全くわかりません。
○山田勇君 午前中から午後にかけて各委員が御熱心に質疑されましたので、私の聞きたいと思う点も一致しております。若干重複すると思いますので、簡単に二、三聞いてまいりたいと思います。
 とりあえず、これだけ考え方が違う各委員がお集まりになっても、やはり疑問を持っている一点というものはしぼられてまいりました。そういう点につきまして、やはり若干の疑惑はあろうかと私は思います。そういう点でお尋ねしたいんですが、金浦へおりたとき、金浦だと知っておりたのかという記者の質問に対して、いや、私は平壌だと思ったと石田機長は答えられています。運航部長はパイロットの経験があると思うんですが、フロントガラスから見て、ほかの飛行機が飛んでくるのは見えますか見えませんか。
○参考人(長野英麿君) いわゆる飛行機の前方並びに側方六十度ぐらいまでの視野でしたら入りますが、側方からうしろの飛行機はほとんど見えません。ことに、自分の飛行機より、自分の位置よりも下につかれた飛行機、斜め後方につかれたら、全くわかりません。
○山田勇君 副操縦士が機種を確認できる状態において、機長。パイロットは確認できませんか。
○参考人(長野英麿君) その飛行機が非常に前へ出てきた場合に、機長の視野に――機長は左にすわっております。副パイロットは右にすわっております。機長の視野にその飛行機が入ってきた場合には識別できます。ですが、コーパイロットが少しこういうふうにして見た場合には、機長の視界に入りませんので、コーパイロットしか見えないわけでございます。これは逆の場合も言えます。
○山田勇君 なぜそういう質問をしたかということになりますと、石田機長は、おりたときには私は平壌だと思ったということを言っておられます。そういう点がぼくはたいへん疑問だと思うんです。副操縦士が米国機と称する機を確認しているのに、依然として、まだおり立ってからでも、私は平壌だと思ったという点が、第一点、疑問がございます。当然これは視野として入ってくるものだと、まあこれは推測ですが、私は思うんですが、それから一部新聞に、福岡を発進させないためにオイルパイプをカットをしたということなんですが、この状態で飛行を続ければ、飛行機はどういう状態になってまいりますか。
○参考人(長野英麿君) しようとしただけであって、実際はしておりません。すればエンジンがとまりますから、飛行機は飛べません。
○山田勇君 整備上、一応そういうのは指示があったと思うわけです。オイルパイプを少しカットして、離着陸ができない状態にしようということで、まあしかし、それをもし整備の段階でなし遂げておれば、機長が脅迫された段階で、コントロールタワーからの指示もなくして発着した場合、これは大きな事故になってきたと思うんです。その点、ぼくは無事生還されたので非常によかったとは思うんですが、そういうような、何か、整備といわゆる指示する命令系統との不備な連絡というのは、ぼくは――すごく興奮状態でもあるし、緊急のことですし、緻密にはとれなかった点もあろうと思うんですが、そういうこともぼくは決して見のがしてはいけない大きな問題であろうと思います。今後ないということは絶対にこれは保証できない問題だけに、何かそういうふうにパイプカットはした、機長は脅迫によって発進したというようなことになれば、大きな事態をぼくはそこに招くと思っているんです。そういう点、気をつけていただきたいと思うんですが。
 それから、また金浦の問題に戻るんですが、この飛行機との交信はできなかったという点について、そうしますと、地上からのコントロールで誘導されていったということですか。
○参考人(長野英麿君) 私はそうだと思います。
○山田勇君 そうしますと、警察は知らないし、政府は知らない、日航側は知らない。全部知らないずくめでここまできたわけです。そうして、だれが一体地上からコントロールの指示をするんですか。管制塔というのは、イングリッシュですか、全部イングリッシュでやっているはずですね。
○参考人(長野英麿君) そのとおりでございます。英語でやっております。
○山田勇君 そうしますと、だれも知らない状態のままで、いわゆる平壌へ向かって飛行を続けていた。急に南下した。その間に擬装工作云々ということをよくいわれています。軍服を着かえたり、そういうことをその短時間で、もういわゆるその上空へ来てから看板をかえたとか、そういうようなことの擬装工作をするという、それだけの余地がありますでしょうか。前もって、やはり金浦へつくという若干の予測がなければ、そういうことはできないと思うんです。ですから、だれか、その地上コントロールから、何メガサイクルか私はよくわかりませんが、それの指示をしておりて行ったんですかね。その点、ぼくははっきりしてほしいわけです。各委員が質問するのについては、何もそうしたことが、金浦へおろしたことが悪いという意味じゃない。より早く解決できたのじゃないかと。しかし、福岡で完全に説得することができなかった。だから、ツーステップ目として金浦を選んだんだという、その答弁だけでぼくは各委員実際満足すると思うんですよ。これは大きなやはり人道上の問題をかかえてるんですから。もちろん防衛庁の問題であります。米軍対いまの日本の防衛線の問題、いろんな機密的なこともあろうと思います。これは、発表できないことはできないとはっきり申し上げて、しかし、やはり人間一人の命は地球より重い。その人間が百三十人乗っているという、人命という大義名分を立てるんですから、政府側として、何かそういうふうに各委員が疑問を持つということを――ぼくは絶対おかしいと思うんです。ですから、そういう点よく考慮して、いや、福岡で失敗したから金浦へ着けることを指示したのだ、何でそれがいけないんだと、ぼくは逆に開き直られてもしかたがない問題だと思うんです。ただ、それを何か隠そう隠そうとするところに、われわれは何かあるのじゃないかということを追及せざるを得ないということになると思うんですが、その点いかがですか。ぼくはこれで最後で、終わりたいと思うのですが……。
○参考人(長野英麿君) 私どもはもう、いまおっしゃられたのは、おそらく板付を当該機が出ましてから自衛隊機がうしろをつけておりまして、韓国のほうではそれをたぶん、米軍から通報が行っておりましたので、レーダーで見ておったと思うのです。ですから、韓国のほうが、「よど」号がずっと北の海上を北上しておる状態のときに、情報はすでに韓国はおつかみになっていたと思うのです。これは推察でございます。わかりません。
○山田勇君 金浦へおりるという……。
○参考人(長野英麿君) いえいえ、そうじゃありません。いわゆる「よど」号がどこら辺を北上しているということはつかんでおられたと思うのです。一応機長の話では、三十八度線を越えてから三百三十度、これは北北西でございますが、に機首を向けております。これは機長の言でございますが、三十八度線の手前の東側のところに小さな島がございます。機長はその島をレーダーで確認しております。ですから、そこら辺の位置は機長としてはかなりつかんでいたのではないかと私は推察いたします。ともかく、機長の言では、飛行機を平壌のほうへ向けてしばらく行ったところで戦闘機が前へ来たのが見えたと、私はそれまで飛行機が、そこで初めてついたのではなくて、少し遠くのほうを飛行機がずっと追っかけていたのではないか、当然これは領海外でございます。FIR、フライト・インフォーメーション・レージョンの中ではございますが、領海外でございます。ですから、飛行機が領海内に入る直前あるいは入った直後か知りませんけれども、ともかく韓国領に近づいたときに戦闘機がそばへ来たのではないかという推察はいたしておりますが、そういうようなことで、私は、韓国側が上空へ来てから初めて知ったというのではなくて、ずっと飛行機の動きを知ってたんじゃないかと、こういうことを私は考えておりまして、もちろん私どもとしては平壌の十分な情報が得られなかったのですから、私は、いまおっしゃられましたように、第二の場所として金浦でなぜ悪いのだと、私もそういうことに対しては別に反論する何ものもございません。ただ、そのとき機長は背中にあいくちをつけられて、平壌に行け、平壌に行けと、行かなきゃ爆破するぞと、こう言われている状態のときですから、私としてはデスチネーションは平壌であるというふうに理解しただけであって、でき得べくんば板付に帰ってほしい、それからあとは平壌に行くのだと、平壌に行くためには当然、先ほども出ましたように韓国のFIRの外側を回っていけば問題ないのですけれども、まん中を突っ切るわけですから相当な問題だなと頭をかかえて、撃ち落とさないでくれということを考えたわけです。その間私のほうとしては、機長に対してそういうことを言うひまもなければ、犯人が聞いておりますので、ソウルにおりろとか、ソウルに行けとかいう指示はもうほとんど考えられません。全部交信を聞かれておりますから、そんなこと言ったら必ずやられてしまうと私どもは考えておりました。
○山田勇君 その犯人がうしろで聞いているということですが、犯人も相当高等教育を受けた人間ですから、イングリッシュを理解するかしないかよくわからないのですが、部長は機長に聞いた時点ではどうですか。いわゆる傍受しているが、専門用語的に何か指示を与えられたことはなかったでしょうか。犯人がイングリッシュを知らない場合でしたら、かなり高度なイングリッシュの飛行用語を使いますと、犯人に悟られないでそういう運航とかの指示を与えられなかったかという点が第一点と、福岡の空港にしてもそうですが、金浦を立つときにしても、あまりにも資料等の提供ということが非常にぼくはまずかったように思うのです。中学程度の地図しか実際に空港にはないのですか。ぼくはそういう点非常に疑問に思ったわけです。金浦に至ってもそうなんです。やはり乗客の安全ということを考えれば、何か地図とかそういうことは絶対犯人は拒否しないはずです。自分の生命もかかっているわけですから、運航上の地図を入手することは機長が要求すればもっと高度の地図とか、そういうことはできたと思います。特に北朝鮮に入るときの運航ということに対しては、初めてのルートを飛ぶのですから、それならばそれなりのいわゆる地図を渡すとか、食糧を渡すときに一緒に渡すとか、何か資料提供というものがなかったように思うのですが、その二点だけ。
○参考人(長野英麿君) いま英語の話が出ましたが、板付の空港におりましてから、機上とわれわれと話しているときは全部日本語でございます。それから、かりに私ども実は英語でやればどうかなということを考えました。ところが、大体大学生ですから英語はわかるだろう、それから、ことにソウルと言えばそれはすぐわかるし、それで英語は無理だろうというようなことで、英語はわかるものと想定されましたので、それはそういう考えに立ちました。
 それから資料につきましては、飛行場の資料は、こういうルートの地図のほかに、飛行場の幅であるとか、長さであるとか、使う波長であるとか、各飛行場に関しまして非常にこまかい資料があるわけなんです。そういうものがないと、いわゆる悪天候とか夜間とかというとき非常におりにいくわけでございます。そういう地図に関しましては、共産圏は非常に秘密と申しますか、極秘にしておりまして、われわれとしては普通のルートでは手に入りません。それで、実はこういう問題が起きまして、今後の対策として、私どもいま日本航空で対策を練っておりますが、今後はそういう情報も、共産圏側のほうの、いわゆるわれわれのサイドでないほうの情報も何とか外務省とかどこかしかるべきところにお願いして情報を得たいというふうに考えております。
○森中守義君 委細は機長が見えてからとさっき申しましたが、ちょうど入管来ていただいておりますから、ちょっとお尋ねしておきます。今度の九名の赤軍学生と称する中に、大体七名は身元が割れている、あと二人がどうもはっきりしない、こういうことがきのうの新聞に出ている。それで新聞のほかに、お読みになったかわかりませんが、「週刊現代」のきのうのものに、なぜ学生たちが北鮮に行くことにこだわったかという、こういう記事が出ている。この中に、二名については、在日の留学生は強制送還をさせられる立場にある、したがって、この二人をどうしても亡命をさせるという一つの目的を持っていたのではないか、こういう記事が出ているのですが、それは真偽のほどはよくわからない。したがって、強制送還等のことになると、勢い入管でリストにあがっているのか。むろん、強制送還といえば国事犯等々かなり重要な犯罪を持っているということになりますから、その辺のいきさつをお尋ねしたい。
 それから運航部長にもう一つちょっと大事な点ですが、いま韓国機なのかあるいは米軍機かわからぬけれども、とにかく領海外からついてきたようだ、こういうお話がありましたね。これは江崎副操縦士の記者会見での発表によれば、すぐ目の前に来た、それで何かものを言いたい、あるいは交信をしたいのだが、うしろにいるからどうにもならなかった、そこで目くばせしたところがオーケーだと言ったので、そのままついていったと、新聞にそう言っているわけです。それから私の友人も乗客の一人として乗っていた。きのうあたりずっと来ていまして、いろいろ聞いてみると、自分の乗っていたすぐ横にそれは見えたと言う。だから、その飛行機が無理に誘導して、しかも戦闘機だからこっちだこっちだというわけで連れていったということも考えられるし、あるいはさっきの電波じゃないけれども、「よど」号から平壌、平壌と言ったところが地上では金浦、金浦と言い、あわてて平壌と言い直したと、こういう記事等もございますが、その辺はこれこそ機長に聞かなければわからぬけれども、下は電波で誘導する、上は戦闘機で無理におりろと言う。こういうことで、つまり、機長の意思と違ったことでおろされていったという観測が非常に強いし、他面また機長も、出るときに百二十一・五を使えと、こういう特命を受けてるわけだから、それを使えということは、すなわちその指令に従っておりるということになるでしょうから、まあその辺がどうしてもはっきりしないんですがね。そのぴったりくっついていた飛行機については、無理におりろというような言い方を実は機長はしていたんですか、どうですか。
○参考人(長野英麿君) これは機長と江崎副操縦士から聞いた話でございますから、明後日もう一回繰り返すことになると思います。
 江崎副操縦士が私に申しましたのは、その戦闘機が前に出てまいりまして、ほとんど顔が見えるところまで来たと。最初、要するにものを言えという意味で耳をこうやったところが、だめだと。要するに、それは先ほど申しましたように、戦闘機がUHFで、私はVHFだと思っておりましたものですから、そこら辺で、要するに交信はできないということを言って、こういうふうにやったそうです。これは飛行機の上では普通、高度を下げると、こういうふうな意味でございます。
○森中守義君 どちらがこうせいと言ったんですか。
○参考人(長野英麿君) 戦闘機のほうがです。そこで、飛行機は平壌のほうへ向かっておったわけです。すでに三百三十度で平壌のほうに向かってるわけです。だから、平壌のほうに向かって高度を下げ始めた。そして、飛行機が高度を下げ始めるのを見て、戦闘機はそのままずうっと前を横切って行ってしまった。
○森中守義君 戦闘機がこうやったわけだな、おりろと。
○参考人(長野英麿君) ええ、おりろと。飛行機の機首はすでに三百三十度で、平壌のほうを向いております。(「平壌かね、三十八度線の以南だろう」と呼ぶ者あり)いや、本人は、三十八度線を越えてから三百三十度で――これは明後日お聞きくださいませ。三百三十度、変針して、その変針してしばらくしたら戦闘機が前へ出てきた、こういうふうにやったから高度を下げた、その高度を下げ始めるのを見て、戦闘機が前を横切ってったと。そしてその間、機長か江崎かちょっと忘れましたが、百二十一・五で平壌を呼んだと、そしたら、平壌は百三十四・一であると言われたんで、スイッチを切りかえた、そのときの状況は。あとはその百三十四・一の波長で指示が来たと、その指示に従った、こういうことでございます。
○政府委員(吉田健三君) ただいまお尋ねのありました、犯人の中の二名が在日留学生で、強制退去を受けていた人物ではなかろうか、これが北鮮に亡命するのが目的で、今回の事件に何らかの意味で関係しておるんじゃないかというような御質問でございましたが、犯人の確認につきましては、当人をもう少し確認するとか、ほかの情報が入りませんとわかりませんので、一〇〇%自信はありませんが、現在までに得ました、あるいは判明しましたいろんな関係の情報、総合いたしまして、ただいま御指摘になりましたような在日留学生ということは事実無根でございます。いろんな方面にも連絡をとって調べてみましたが、いままで調査したところではそういう事実がございません。また、私たちのほうで持っております強制退去のリストの中にあるいは該当するかと推定されるような人物がいないかということで、いろんな角度からこれも検討しましたが、該当者ではないようでございますので、御指摘の週刊誌にありました情報は、その意味におきまして私たちも意外であり、これは何らかの間違いではなかろうかと、こういうふうに考えております。
○委員長(温水三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(温水三郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 日航機乗っ取り事件に関する件の調査のため、来たる九日午前十時に、日本航空株式会社航務本部運航乗員部機長石田真二君、副操縦士江崎悌一君及び同社の役職員を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議こざいませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(温水三郎君) 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
○加瀬完君 本日は航空機の乗っ取り問題で白熱した質疑が取りかわされまして、いま問題の新東京国際空港は若干かすんでまいりましたので、そのままかすみっぱなしになればわれわれ本望でございますが、そういうわけにもいきませんので、若干質問をしてみたいと思います。
 その前に、航空局長いらっしゃいますので、いまの問題でありますが、次にもう一度この乗っ取り事件が参考人を呼び質疑されますので、そのときに明確に御回答をいただきたい点がありますので、付言をいたします。
 金浦着は機長の独断と官房長官が新聞で発表いたしておりますが、独断でないことはこれは明瞭になっておると思います。
 第二には、百二十一・五メガサイクルでの呼び出しに、こちらは平壌と、こういう応答があったことも事実だと思います。
 第三には、百三十四・一メガサイクルというのは金浦の波長でありますが、それによりまして誘導をされて金浦に着いたということも事実でございます。
 第四には、金浦飛行場が偽装されていたこともまた事実であります。
 そうすると、結論といたしまして、金浦に着いたことは事実でありますから、少なくも金浦に着かせたのは金浦飛行場の関係者の責任であることは認めざるを得ないわけでありますが、この点がはなはだ本日の質疑の間には不明確でございますので、これを明確にしていただきたいと存じます。
 さて、成田空港でございますが、この成田空港については、総理はたびたび他の地域に空港の拡張をしないと言っておりますが、これはそのとおりと了解してよろしゅうございますね。
 それから第二点は、成田空港の規模は、四千メートルの滑走路が一本、二千五百メートルが一本、それから三千五百メートルの横風用が一本、こういう構想でございますね。
○政府委員(手塚良成君) 成田新空港は拡張しないということは、いままでたびたび言明されてきておりますとおりで、拡張はいたしません。それから、それで計画されております滑走路、これは先生のおっしゃるとおりの計画でございます。
○加瀬完君 最近、どうさばく旅客機とか、あるいは、寸足らずで見劣りがする成田空港というように、外国空港の滑走路の数の多いのに比べて成田が貧弱なので、これは将来の使用にたえる国際空港ということには適合しないという意見が強いわけでございますが、この点、どうお考えになりますか。
○政府委員(手塚良成君) 空港につきましては、その面積による広さ、それから中の滑走路の数あるいはその長さ、強度、さらには、これに旅客あるいは貨物を乗りおろし、搭載しますところの諸施設、こういうものが総合されまして空港の一つの機能を果たし、また能力ということになると思うんです。で、一部、今回の成田空港が、非常に面積が狭隘であり、あるいは滑走路の数等も当初の予定よりは少ないというような意味において、中途はんぱではないかという御意見が出ておるわけでございますが、私どもといたしましては、なるほど、当初は現在の倍のものを、滑走路も、現在の主滑走路二本をさらに二つふやすという計画を持っておったわけでございますが、これを諸般の事情で現状の規模及び滑走路の数等にしたことは、これまでいろいろ議論のあったところでございます。で、その結果といたしまして、現在計画されております面積と滑走路数及び計画中の諸施設というものででき上がりました空港の姿というものは、公団法に規定されておりますように、これの将来における離発着回数の処理能力というようなものは、当面、供用開始後約十年程度というのは維持可能であると。これらの計算の前提としての、いろいろ需要の測定あるいは今後の機材の大型化、その他いろいろ前提に問題があるかと思いますけれども、一応の私どもの推定としてはそういった推定をしておるわけでございまして、そういう意味におきましては、このでき上がります空港は、決して狭隘に過ぎ、使用にたえないといいますか、中途はんぱだといいますか、そういったものではなかろうというふうに考えております。
○加瀬完君 空港では、いわゆる航空機の安全度というのが一番の問題でありますのに、当初計画は四千メートル滑走路一本、横風用は第一期工事の計画の中にはございません。そうすると、一体、横風用もない、滑走路一本の飛行場というものが、いま局長のおっしゃるように、安全度が心配のない、長期使用にたえ得る空港ということになりますか。
○政府委員(手塚良成君) 横風用として三千二百メーターを考えております。この横風用の滑走路のでき上がりは、第一期工事中にはでき上がりません。したがって、その間供用開始をいたしますと、あるいはそういった横風の問題における安全の御疑問が出るかと思います。しかしながら、今日までいろいろ気象について調査をされましたところでは、この横風用滑走路を必要とする場合、回数は非常に少ないというふうに考えられております。しかしながら、そうはいいましても、やはりその必要性が起こる場合があり得るわけでございまして、その場合には、現在の羽田空港というものあたりを代替空港として利用することが可能であり、さらに、地理的に若干遠くはなるかと思いますが、名古屋あるいは大阪、そういったところでの一時的な代替利用ということによって、そういう横風の問題はある程度カバーをされる。なるほど、これは直ちにでき上がることが最も望ましいわけでありまして、そういう意味で、横風用滑走路を第一期工事に引き続き早急に整備をして、そういった問題の解消につとめたいと、かように考えております。
○加瀬完君 大体、航空機の横風用のを必要とするのは、風力七以上の場合はおそらく横風用を現在までは必要としただろうと思います。これはたびたび申し上げましたので省きますけれども、ここは突風の非常に多い地帯でありまして、少なくも一年平均十五日前後、風力十程度の突風が吹くわけであります。こういう場合は、横風用がなければ、ほとんど四千メーター滑走路は使用にはたえられません。そういう場合、名古屋に待避をするとかいうようなことでは、これは、少なくも、東京に至近な距離という意味の、新東京国際空港のこの法律の条文の内容とはほど遠いものになりますね。
 次に、成田を選んだのは、都市からの距離ということが第一。それから用地の取得が容易であるということ、これは容易でない状態にございますね。それから平たんの地形、それから他の飛行場とかち合わない空域があるということがございますね。
 そこで、一体、その他の飛行場とかち合わない空域というのは、五十キロから九十キロ、この程度の半径の範囲と考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(手塚良成君) 空域の広さにつきましては、これは離発着する飛行機の形態、その運航要領、大きさ、こういった諸種の事情で、ある程度変わってまいるかと思います。御承知の、戦闘機のようなものですと、非常に小回りがよくききますので、半径が少なくて済む。これに比べて、大きなジェット機になりますと、たとえばホールディングしておるというときには相当長方形の長い範囲を飛ばなければならぬというようなことで、いろいろ変わってまいります。概括的な数字で申し上げることもなかなかむずかしいわけでございまして、羽田の空域などでいいますとこれがどれくらいだと言われますと、東京湾の上一帯というようなものは、私どもは現在は羽田の空域というふうに考えております。で、成田ができました場合の空域につきましては、実は北のほうに百里の飛行場があり、南にいまの羽田の飛行場があり、西のほうに軍用の四飛行場がある、こういうようなことでございますので、それらの調整をやはりはかる必要があると考えております。
 この調整といいますのは、羽田の専用の空域、成田新東京の専用の空域、それから百里の自衛隊用の飛行場の空域、それから軍用の四飛行場の空域というものを全部別個な空域に仕分けをするということを考えております。この仕分けをするための手段は、地上にVORという電波無線標識をそれぞれの下に立てまして、空域の区域を、壁をつくる、たとえば百里と新空港との同におきましては銚子にボルタックというものをつくり、土浦にVOR、DMEというようなものをつくる。東京のほうにつきましては、新たに春日部あるいは下総、こういうようなところに新しくVOR、DMEをつくりまして、航空路、空域というものを仕分けをしてつくっていく。こういった新しいものをつくります予算は、実は今度御審議願います四十五年度の予算に計上をいたしております。さようなぐあいで、これ一がいにどういうふうに申し上げるのがよろしいかわかりませんが、私どもは、この空域の再編成、関東平野における空域再編成ということを考えまして、いま申し上げたことばではなかなか的確に申し上げ切れませんが、そういった専用の空域、航空路というものを新たに編成するということをたてまえにいたしまして、安全性の確保と、成田ができましたことによる関係飛行場との安全性の確保、空域面から見た確保ということをはかろうと計画をいたしております。
○加瀬完君 大体常識的に、いままでのこういう民間国際級の空港であれば、縦五十キロ横九十キロといいますか、この長方形の地域は、空域として必要だといわれておったわけですね。ところが、いま局長の御指摘のように、たとえば下総基地あるいは百里基地というのは二十キロから三十キロの間に入りますね。半径が二十キロから三十キロの間に入る。百里はもっと近いかもしれない。そういう近いところにある空域の重なりというものを、これは区分けをしようったって、区分けのしようはなかなか困難ではないかと思うわけです。そこで、公団法の第二条の一項には、「長期にわたっての航空輸送需要に対応することができるものであること。」とありますね。そこで、空域のことは、これは軍用飛行場というのを移せば片づくかもしれませんけれども、次の問題は第二条第一項の内容に当てはまるかどうかという問題が出てくると思う。それは成田空港の処理能力の問題であります。処理能力の問題であります。そこで、ここでは大体羽田のピークの計算と同じような方法をとりますと、発着回数の限度は年間十七万五千回程度と考えているわけですか。
○政府委員(手塚良成君) 羽田におきましては、いま少し変わっておりますけれども、従来十七万五千回ということで能力はきめられておりました。それはCランウェーとAランウェーというものを二本を主滑走路と考え、それにBランウェー、いま二千五百に延長中の横風用の滑走路、こういう組み合わせで、そういう回数を想定いたしました。ただこの場合には、CとAとのランウェーの間隔が実は新空港よりも狭い。したがいまして、この回数もそういった制約のもとにおける回数になっています。で、新空港におきます四千と二千五百の滑走路の間は二キロ五百の間隔を保たせまして、それぞれの滑走路が他の滑走路の離発着に影響されることなく独立に離発着が可能であるという設計に考えられております。したがって、これは同じ二本ではございますけれども、羽田の十七万五千回というのに比べまして、一応二十六万三千回という能力を計算いたしております。
○加瀬完君 一応二十六万三千回という計算を成田の場合はしているようでございますが、実際それだけの処理能力というのがあるか。たとえば、四千メートル滑走路というものと二千五百メートル滑走路というものは使用する機の形態が違ってくるわけですから、大型機なら大型機だけをさばくということになれば、四千メートルでなければさばけない大型機は二千五百メートルではどうにもならないということになりますと、四千と二千五百が同じような効率をあげるという計算は成り立たないのではないか。そこで地元では、間もなく、成田空港は十年を経ずして新しい空港にまた移らざるを得ないだろう、そんな不完全な空港に地元の犠牲が大き過ぎるという不平が、不満が非常にあるわけです。
 そこで、さらに質問を続けますが、新空港の使用開始を四十六年四月、それから十年以上の使用に耐えるという計算を一応しておるわけでしょうね。
○政府委員(手塚良成君) さようでございます。
○加瀬完君 十年後の発着回数は二十六万三千回というように考えるわけでしょうけれども、一体、二本の滑走路が二十六万三千回の処理に耐え得られますか。
○政府委員(手塚良成君) 二十六万三千回に耐え得ると思います。ただ、先生がいまの冒頭に御指摘になりましたように、四千メートルを必要とする飛行機、その飛行機は二千五百メートルを利用できないではないかという問題から単純に、二十六万三千回という計算は成り立たないというお説を御指摘になるかと思うわけです。一応ごもっともでございまして、四千メートルを必要と考えました、考えてこの計画いたしましたのは、御承知のアメリカのSSTを対象に考えました。このSSTの将来の機数増加、回数の増加というようなものにつきましては、いまだ現実のところ十分よくわかっておりません。また、この性能につきましては、われわれが四千を計画いたしましたのは、一応このアメリカの連邦航空局で発表いたしました性能を前提に考えており、かつヨーロッパ等で大体それの対策ということで三千五、六百メーターを計画しておるものに合わせたということであるわけです。そこでこの四千に離着陸しますのが、そういうのを目的で考えておりますが、さらに現在のジャンボあるいはDC8というようなものは、当然現状に引き続いて数もふえ離発着回数もふえると考えます。こういった機材につきましては、現状の羽田の三千が利用できる状態でございますと同様に、大体三千でことが足りる。さらには、いま羽田で横風用の滑走路を二千五百に延長いたしておりますが、若干の風の影響を加味いたしますと、二千五百程度でもさらに使える、風等がない場合には若干のロードファクターを減らす、かようなやり方によりまして、二千五百等を、現在のSSTを除いた機材について十分、活用が可能だ、かように考えておるわけです。したがいまして、この国際線用としてこの二つの滑走路におきまして、申し上げましたような回数が離発着能力というふうに算定できるかと思います。ただ、四千だけを必要とする、四千メーターなければならないというSSTの場合に、これをどういうふうに一本でカバーしていくかということについては、おっしゃるごとく将来の一つの課題であろうと思いますが、当面出てまいります五十二、三年ごろの状態といたしましては、回数としてはさほど多くもないだろうと考えておりますし、また、その飛行機におきましても、おそらくやはり一応問題のときにはロードファクターを落とすというようなことによって、三千メーターによる離発着も可能ではなかろうかというふうに考えられており、そういう場合には、経済性その他においては非常にダウンすることはもちろんでありますけれども、離発着そのものにつきましては、そういった面も可能ではなかろうかというふうに考えますので、新空港における能力としては運用開始後十年はカバーできる、かように考えております。
○加瀬完君 この二千五百メートル滑走路というのは、最初の成田空港の計画は、国際、国内両用に使うというので、二千五百メートルは主として国内の大型用をその対象に考えられたのではないかと思います。最近になりますと、航空局でも大体これは国際線に使う――国際線に使うということになると、二千五百というのは非常にはんぱですね。アメリカのように三千メートルの滑走路を使用するものを、二千五百メートルが使用に耐えないということはないということですけれども、各国とも飛行機の安全度というものを高めるために滑走路というのはだんだん延ばしているわけですよ。何も四千メートルなくても足りますけれども、四千メートルにする、その場合に、技術によっては二千五百メートルでもだいじょうぶですという滑走路をつくったって、じゃ技術によっては二千五百では危険性も伴うということに裏返せばなるわけですから、そんな滑走路に着陸させるわけにもいきませんし、着陸する飛行機もなくなりますよ。ですから、どう考えたって四千メートルの滑走路と二千五百メートルの滑走路が同じ効率をあげるというわけにはいかない。そこで大体二千五百メートルの滑走路というものと四千メートルの滑走路というものの段階をつけて考えると、十九万回前後というものが処理能力の限界ではないですか。こまかい計算を出せというなら出してもいいのですが、羽田の例から計算いたしますと、二十六万三千回なんというのはとんだとこで、二本というものだけであと拡張しないなら、十九万から二十万どまりに押えることが妥当ではないかという計算が成り立つわけですが、これ、大きく違っておりますか。二十六万三千回確実に処理能力がありますと言い切れますか、二千五百メートルを現状のままにしておいて。
○政府委員(手塚良成君) 二千五百メーターの滑走路を使用することは、なるほどこの国際線の現状を飛んでおります飛行機にとっては、十分完全であるということは言いにくいかと思います。また、これを当初計画いたしましたときには、これは国内線用にむしろ主として使うというような計画でありました。国内線用の機材というものがだんだん大型化してくる、エアバスというようなものを考えていかなければならない、こういうようなことを想定いたしまして考えたものでございます。したがって、太平洋あるいは世界一周航路というようなもので、現在の国際線用のものが、最も燃料を多数に必要とする満タンという状態で飛ぶ場合には、これは相当にロードファクターを落とさなければならないというふうに考えるわけです。しかし、やはり近距離の国際線等におきましては、こういった程度の長さで、ロードファクターは事前に調整された姿で十分というようなことになりまして、そういった使用をする飛行機の行き先別による使用のしかた、こういったようなことも考慮の中に入れまして、私どもは二十六万という先ほど申し上げた処理回数を言っておるわけです。ただ、いまのようなやり方等につきましては、これはなかなかやはり相当緻密な事前の計画あるいはダイヤ調整、そういったいろいろな運航上の調整を必要とするということは当然でございまして、こういう要素を加味いたしまして、いま言った処理能力をカバーしていきたい、かように考えております。
○加瀬完君 四千メートル滑走路は、一番短い間隔で何分おきに離発着させるという計画ですか。
○政府委員(手塚良成君) 二分間隔を考えております。
○加瀬完君 二分間隔で離発着は、四千メートル滑走路では不可能ですね。いまおっしゃるように、これはSSTあるいはそうでなくてもジャンボみたいな大型機ですね、それが一本の滑走路で二分間隔に離発着というわけにいかないでしょう。
○政府委員(手塚良成君) 御疑問の御趣旨はよく理解いたしかねておりますが、現在の羽田の滑走路、これは事実上C滑走路三千百五十メートル一本でございまして、この滑走路で大体十二、三万回くらいを処理する。一日の処理で四百機くらいを処理しておる。二分、若干それよりもまだ短いというような処理のしかたをしております。こういうふうにやりますにつきましては、もちろん、空港の保安施設といたしまして相応な施設を整備しなければならない。こういうことで、ILS等につきましても、いま羽田はランウエーの一方だけ、木更津寄りだけにしかつけておりません。こういったものは、新空港の四千についてはランウエーの両端にもちろんつける、こういうようなこと。そのほかに、アウターマーカーあるいはその他の保安施設をむしろ十全に整備をすることによって、先ほど来申し上げておるような回数であり、二分間隔は可能であろうと思う。なおもう一つ、新空港で計画上考えておりますのは、滑走路の離陸着陸について、できるだけ滑走路の占有時間を短縮するということが必要になります。そのためには、着陸した飛行機はできるだけ早くその滑走路から外へ出るということが必要になる。また一方、それが出たらすぐに離陸の飛行機が離陸位置、離陸態勢に入るということが必要になる。そういう意味で、いわゆるタクシーウエーにつきまして、この新空港ではダブルのタクシーウエーを考えております。羽田におきましては現在これがシングルであり、いま現状におきましてはAランウエーそのものをタクシーウエー等に使っておりまして、この面では、羽田よりははるかに能率がよくなる。したがって、それらを使用いたしまして二分間隔の離発着は可能と考えております。
○加瀬完君 発着回数の時間別度数分布が羽田空港を基礎として計算してありますが、羽田空港と同様にはなりませんね、これは。羽田は国内線が多いわけでありますから、国内線であれば時間帯もわりあいに一日のうちで平均されますが、国際線ということになりますと、ある時間に集中して離発着するという形になりますわね。そうなってまいりますと、羽田で二分間に一機離発着できたから成田でもできるという計算は成り立ちませんよね。算術計算としては成り立っても、具体的に、一時に集まって一時に飛び立つというようなことが考えられますので、なかなか計算は羽田のような計算ではいかなくなると思う。
 それから、この間ジャンボが来たときでもわかるように、なかなか前後の整備というのがひまがかかりまして、SSTになってどうなるかわかりませんが、大型機は大型機だけまた非常に高い安全度を求めなければなりませんから、そういう準備が――国内で小回りに一時間ぐらい程度で行ったり来たりするような飛行機とは形が変わってまいりますよね。それで二本の四千メートルの滑走路ということならば非常にゆとりがありますが、四千メートルを有効に使うと言ったって、これは自動車を出すのとは違いますから、危険度を伴うような処理のしかたはできませんから、こういう目一ぱいな計算で二十六万三千回飛ばせますということそのものが、航空機を扱う原則である安全度というものを非常にそこなうことにもなりかねないので、やはり十九万回ぐらいの程度と押えるのが妥当じゃないか。
○政府委員(手塚良成君) 二分間隔の前提になりますところの集中度の問題につきましては、なるほど、私どもとしては羽田の実績等をいろいろこの中に加味した計算をしておることは事実でございます。したがいまして、将来においてそういったダイヤ等の変更がない限りにおいては、羽田どおりにいかない場合にはいろいろ問題があろうということにはなるかと思いますが、ただ私どもは、この時間帯というものがいろいろな意味で将来変わってくる、あるいはまたある一定時期に集中しないようにさせなければいけないのではないかというふうに思っております。国際線等につきましては、御承知のとおりサンフランシスコから出て東京へ来るというときには、出発地の時刻、到着地の時刻の一番いいような時間帯を選ぶことによってああいうふうな現状の羽田における集中度合いになっております。しかしこれは、たとえばいまのジャンボ等の実績等を見ますと、ああいった集中度の激しい時期にリレーをして入ってくるというようなことは、やはり空港の維持管理、運用上は必ずしも適当ではないということで、私どもはこの時間帯については強くその調整を当該会社に指示なり勧告をいたしております。いずれそういうような状態を考えなければならぬのではなかろうかと会社も考えておるようでございますが、なおまた、SST等におきましては、御承知の非常にスピードが速いので、この速いままで運航いたしますと、とにかくま夜中の異常な時間に相手国に着く、そのまま運用いたしますと相手方に着くというようなことになりますので、これらの飛行機につきましては、その時間帯等については今後十分に検討がなされることにならなければならぬと考えられます。
 そういうようなことと、それから、各国におきまして、やはり空港がだんだんどこも手狭である、非常に現状のものでは繁忙をきわめてきているのは同様でございまして、そういう意味でこの時間帯の調整という問題は実はいま万博に入りまして、私どもは特に国際線を含めて、きわめて異例なことでありますけれども、強く指導をし実施をしてきつつあるところであります。アメリカのケネディ等においては、われわれよりも早くすでにこういったようなことをやっております。したがって、こういうことは将来の空港運営上、今後は相当に考慮をされて行なわれていく、エアラインがそれぞれ自分かってに一番いいと思う時期、それが一致した時期にならないように調整をとっていくというようなことが行なわれることになろうかと考えるわけです。そういうことによりまして、ぜひともこれは二分間隔の維持ができるような離発着のものにしなければならないと思います。
 なおまた、先ほどいろいろ機械のことで申し上げましたが、レーダー等につきましての進歩、技術革新等も非常にはなはだしゅうございまして、現在まで羽田では使っておりませんけれども、進入管制の自動化というようなことを実は計画をいたしております。こういうようなレーダー管制等における技術革新というようなことも相当に将来は考えられて、空港の能率が向上するのではないかというふうに考えております。私どもが新空港で計画をしました回数にはまだこういう回数は含んでおりませんけれども、こういう面における能率の向上ということも考えていきたいと思っております。
○加瀬完君 いまの御説明の前提が昭和五十七年ころの推定を大体十二万一千機、そうするとピーク時は二十八機から三十機、二分間隔に一機、こういう計算ですね。これは限度ぎりぎりの計算ですよね。いまレーダーとかいろいろ科学的装備ということをおっしゃっていますが、どんなに科学的装備をいたしましても、そのレーダーならレーダーが一回故障をいたしますと、ラッシュがばっと重なって処理能力が不能ということにかえってなりかねない状態が起こるわけですね。あなたのおっしゃるように、青森や九州から東京へ汽車が来るようにするなら、東京を中心に時間帯の調整というのができますけれども、それぞれ各国大きな国際空港を持って、世界各国からの旅客、貨物を運んでいるわけですから、日本の成田ができて、日本の成田の空港だけ、新東京国際空港だけが確実に二分間隔に一機という状態をつくろうったってそうはいきません、相手のあることだから。そこで、空港そのものとしては、どんな込んだ時間帯になろうとも処理能力があるという、その処理能力というものを具備しなければ国際空港としては完全ということにはならないと思う。そこで伺いますと、成田空港は拡張をしないというのでしょう。そうなってくれば、二分間隔で来るような大型機というものが、もし何かの都合で一機が故障をするということになったら、もうその時間帯はほとんどストップということになりかねない。といって、あと四千メートルの滑走路に移すというわけにいかない。こうなると「長期にわたっての航空輸送需要に対応する」という公団法第二条第一項、こういう内容はこのままの計画ではどうにもならないということになるわけですよ。これは航空局は専門家だからよくわかるし、日航でも、あるいは航空関係者でも、成田は長期にわたっての使用に耐えるという太鼓判を押しているところはどこもない。そうなってくると、現状の計画では法律違反になりかねない。といって拡張はしない。たびたび言っているように、政治的責任において拡張はしないという約束ですから、拡張しない。そうなったら、一本の滑走路で国際線をどう処理できるか。かりに四十六年に四千メートルが完成したとしても、近い将来もう一本四千メートルがなければ、二分間に一機の大型機の離発着というのは不可能ですよ。そういう点どんなに御説明されても私は納得できません。
 そこで、さらに質問を進めますが、この新空港には四百五十人乗りの巨人機といいますか、あるいはマッハ二以上といったような超音速機、こういうものが発着するということを想定をされておりますね。この点はどうですか。
○政府委員(手塚良成君) 前段のお話のありました点、るる御説明したつもりでございますけれども、若干ふえんさしていただきますが、現在羽田におきまして、実は今年離発着してくる予定のものが、万博を含めまして、非常に回数増が予定されます。外国航空会社も含めまして、離発着の時間帯の調整、これはIATAというところで協力をしてくれますが、向こう流でいいますと、フローコントロールということで、外国のエアラインの出発地を含めての時間帯の調整こういうことを私どもはいま調整基準委員会というものを設定して実施に移して、大体マキシマムの離発着能力をまんべんなく使用するということを実施に移しております。このダイヤ設定基準として、発着限界が一時間三十四回、三時間で九十回ということで、このマキシマムの調整を考えておりますが、こういう事態は今後ずっと引き続いていずれの空港においても行なわれるというふうに考えるわけです。
 なおまた、四千メートルが一本だけでは不十分という点についても、私どもも正直申し上げまして、二本であるほうが望ましいと思います。思いますけれども、この四千メートルそのものを当面必要といたします飛行機がSSTである、こういうことでございますので、このSSTについては、当初においてはそう離発着の回数が多くはなかろうということで、一本ということを考えておるわけでございまして、これも搭載量その他の関係で、ある程度短い離発着も可能であろうというようにも思いますので、万々一の場合にはそういうようなことで、他の滑走路を利用できると、もちろんそういう場合には、一時的な混乱があって、当初の予定のダイヤが乱れるということはあり得ると考えるわけです。
 で、御質問の成田のジャンボ及びSSTというものを計画をしたということで考えているかどうかということは、いままでの御説明でおわかりかと思いますけれども、四千メートルの長さを必要とするというのは、アメリカのSSTで、ヨーロッパでやっております、また、日航も購入を予定しております英仏共同のコンコルドというSSTは、四千は要らない、現状の滑走路で離発着は可能である、こういうことになっております。また、ジャンボというものも、現在羽田で離発着しておりますとおり、これは四千メートルを必ずしも必要としないということでありますが、成田では、もちろん国際線の空港でございますので、こういった飛行機は当然ここで離発着をするということを予想いたしております。
○加瀬完君 とにかくマッハ二とか、マッハ二・七といったような超音速機、それからジャンボジェットみたいな多人数を輸送する大型機、こういうものにだんだん航空機がなっていくということは否定できませんわね。それは人間をたくさん運ぶだけではなくて、航空貨物量も当然増加してきますわね。ですから、これからの空港というものは、航空貨物量をどう処理できるかという能力も考えなければ、空港としては完全ではありませんね。それで、あなたのおっしゃるように、二千五百メートルを使う飛行機も来るかもしれないけれども、これからは四千メートル滑走路でなければ、安全には離発着できないという飛行機がふえてくる。そうすると、新国際空港というのは、四千メートル滑走路というものでこれを迎える態勢というものを整えなければどうにもならないんです。たとえば大量旅客、大量貨物ということになれば、旅客の乗降方式とか、ターミナルとか、貨物の積みおろし施設とか、あるいは駐車場とか、整備施設、給油施設、こういうものも羽田と違った形で考えられてまいりますね。問題は、そうなってくると、千六十ヘクタールというところで、それらが十分まかなえるかどうかという問題が出てくる。時間帯で、先ほどフローコントロールということをおっしゃっておりましたが、フローコントロールするにしても、たとえば、パリは坪数にしていうと四百八十万坪、ローマのレオナルド空港は五百十万坪、アムステルダムは四百六十五万坪、ケネディが六百万坪、シカゴは八百二十万坪というように、成田空港から見れば、少なくも二倍近いあるいは二倍以上の広い地域の空港敷地というものを持っておるわけですね。そういうものを持たなければ、大型機の離発着といいますか、受け入ればできないということで、おそらく四千メートル二本くらいの滑走路というものはみんなこれからは持つようになってきておる。ロンドンのヒースローですか、これは三百三十万坪だけれども、これは使いものにならないというでしょう、この飛行場は。それよりも成田空港は小さいのですよ。これでは新東京国際空港、これから十年間は変更なく使用にたえるということにならないのじゃないか。よその空港が、少なくも新しくつくられた空港はみんな成田の二倍以上の広さを持っているのに、将来使用にたえないといわれるロンドンのヒースローよりももっと狭い空港で、滑走路も四千メートルが一本、あとは二千五百メートルですけれども、これはやり方によっては大型機も着きますよということでは、十年以上使用にたえ得る第二条第一項の目的の空港ということに判断をするのは無理じゃないですか。で、拡張工事はしないというのでしょう。そうすれば、計画してから工事に三カ年かかるとすれば、五十一年ごろを必要年度とすると四十八年には新らしい拡張工事に着手しなければ、おっしゃるような受け入れ状況はできなくなりますね。現状では、二千五百メートル横風用のものが四十八年に完成をするという予定ですけれども、現在計画が完成しないうちに新しい計画をしなければどうにもやり切れないということになるでしょう。少なくも、そういう航空機の発達から見れば、これは新計画を立てなければならないところに追い込まれていく。まあお立場がありますから、成田の空港はだめだとか、この空港は要らないという、そういうお答えは私は求めようとしません。しかし、これじゃどうにもならない。ここを拡張するか、そうでなければ新々東京国際空港をつくらない限りは、二十六万三千回というのを受け入れられるような状態には成田は完全とは言われないということが言えると思いますが、この点どうでしょう。
○政府委員(手塚良成君) 空港の機能といいますか、能力といいますか、そういったものについては、冒頭申し上げましたようなことで、私は面積的にだけものは論じられない。たとえば、いま貨物のお話が出ましたけれども、貨物の受け入れ施設等については、これは機能的に相当新しい技術を導入をして能率をあげなければならない。従来、いま羽田でもそうでございますけれども、背物上屋というものが一階のだだっ広いやつになっております。これは内部の荷役施設あるいは搬送施設というものが刻々技術革新されて新しいものが出ておりまして、これを二階あるいは三階等に持ち上げるというようなことも可能であり、これらの荷物の仕分けについてはコンピューター等をフルに使うというようなことにもなりつつありますので、そういうものを極力新空港においては活用できる。英国のヒースローが使いものにならなさそうだというお話がございましたが、やはり古い空港でございますと、そういったものが昔の古い施設のままで残っておる、そこで、いま申し上げるような新しい内容のものを盛り込むということは、なかなかこれは困難なわけでございます。羽田のごときも、そういうような意味において、従来の古いやつをぶちこわして新しい能率のいいものにつけかえようという一部内部の構造変化をやっておりますけれども、こういったものについても限度がありまして、なかなかむずかしい。英国のヒースローなどがまさにそういう面で非常に苦労をいたしております。ターミナルなどが、ダイヤモンド型の滑走路、タクシーウエーのど真中に置かれたりいたしまして、これがチケットカウンターなどを拡張いたしますのにもどうしても拡張できない。そういうことでタクシーウエーをつぶし、ランウエーをつぶして拡張しようというような状態になっておりますので、成田におきましては初めからそういう機能的な施設というものを前提にしてやっていくわけでございますので、単に面積がヒースローの千百万平米と非常によく似ておるというふうな意味で、中途はんぱで使いものにならないというふうにはしたくないというふうに考えるわけでございます。
 ただ、非常に長期の展望といたしまして、実は私どもは、ただいま部内に学識経験者をまじえまして、新しい航空の輸送需要について検討し、それをもとに将来の空港の考え方というようなものを逐次出して、来年度で終わります空港整備五カ年計画に新しい内容の五カ年計画を策定しようと計画中でございますが、こういった内容におきまして、さらに成田の十年以降の長期のものについてどう考えるかという考え方を出そうと考えております。ただ、先ほど来話しておりますように、成田自体を拡張をすることはいたしませんで、そういった将来の大きな需要に対応しては、さらにやはり空港としては数でこなしていかなければならぬだろう。一つの空港をうんと大きくするというのもある程度の能力の増になりますけれども、一定限度以上になりますと、どうしてもやはり複数空港という考え方になってくるわけでございます。これは特に空域等の制約をむしろなくするという意味で、そういうふうにしなければ能率はあがらないということになるわけでございます。英国ヒースローにおきましては、現在ヒースローはガトイックというのがあるほかに、さらにもう一カ所計画したり、あるいはニューヨークのケネディ、ニューワーク、ラガーディアとあるものに、さらにその当該空港の拡張ではなくて、別にもう一カ所つくる、こういうような計画をしたりいたしておりますのも、おそらくそういう思想からであろうと考えるわけです。そういうようなことを将来考えていきたいと思っております。
○加瀬完君 ですから、ヒースローにしてもアメリカの飛行場にしても、新国際空港の完成の時点におきましてもそれ以上大きな飛行場でありますのにまた第二の飛行場をつくらなければならないというときに、ヒースローより小さい飛行場を将来十年以上長期の使用にたえ得るという考え方で計画をしていくことに相当変更を要する時期にきているのではないかと思うわけです。で、滑走路を一階とか二階とか地下一階とかいうように現状においては二重三重の構造をとるわけにいかないのですから、少なくも面積が狭ければ十分滑走路がとれないということはこれは常識ですよ。問題のヒースローは大体十九万三千回ですね、発着回数が。そうすると、成田だってその程度にしかやはり離発着はできないということになりますよ。で、新しい五年計画か十カ年計画でさらに空港をつくるという計画があるということであれば、いずれにしても、成田は拡張しないでさらに新々東京国際空港か何かがもくろまれるということでございますから、その点はわかります。しかし、いずれにしても、いまの成田と同じように内陸に空港をつくるということであれば、住民との摩擦というのが当然生じてくる。まだ解決できないような、四年も五年もたっても解決できないような住民との摩擦をまた新しい空港で引き起こすというようなことは、これ以上愚劣なことはないと思う。そこで、さらにほんとうの意味の長期使用にたえる空港をつくるというならば、成田の空港そのものも中途はんぱなものですから、どういう限度の空港ということにするのか、長期計画とあわせて検討していただかなければならない問題だろうと思うわけです。で法律に従って空港がつくられるのに、その法律をつくった政府が法律にはずれるような中途はんぱな計画ということに、ことによったら、なるわけですから、これは政府に反省をしていただかなければならないと思うわけであります。しかし、時間が急ぎますので……。
 次の問題は、処理能力の問題が、いま申し上げたとおり、私にはほんとうの国際空港として、いわゆる十年、二十年という使用にたえられるものではないという点を一点あげたわけですけれども、もう一つ、全然政府において考慮されておらないのは騒音の問題であります。騒音防止法にも交通騒音は除くということになっておりまして、飛行機がどんなに大きな音を出しても、法律的に規制されている区域以外では八十ホン出ようが七十五ホン出ようが騒音公害としての規制はできないわけです。騒音の問題について、私は公団も含めて当局の研究は非常に不十分だと思う。そこで、厚生省の方いらっしゃっているので伺いますが、一昨年でございましたか、北海道大学の公衆衛生教室というのが、全国公衆衛生学会というのが千葉で開かれましたときに、騒音問題の発表をいたしておりますが、内容御存じでございますか。
○政府委員(城戸謙次君) 私は、その問題については直接存じておりませんが、実は、現在私どものほうでは生活環境審議会の中に専門委員会をつくりまして、騒音の環境基準の作成をいたしております。そういうような研究の成果をそこに持ち寄りまして、環境基準をつくるというかっこうになっております。現在のところ、簡単に御報告申し上げますと、第一次の報告書というのが昨年の七月に出まして、これは工場騒音を中心としたものでございます。その際、いま御指摘のような交通騒音がはずれておりまして、道路に面する地域におきまして、自動車の騒音についての環境基準につきましては、もっと検討しなければならぬということでございますから、引き続き第二次の報告は、この五月ないし六月ごろに出るように専門委員会で検討が進められております。いまお話がありました航空機に関しましては、さらにそのあとに、私どもとしましては、航空機、新幹線、高速道路等、こういう特殊騒音につきましての環境基準に手をつけました。専門委員会のほうでやっていただきますと同時に、先発しました工場騒音、あるいは自動車――道路に面する地域における自動車騒音、そういうものを中心とした当委員会における論議を進めていただく、こういう両面の検討を続けていこうと、こういうぐあいに考えております。
○加瀬完君 北海道大学の発表は、衆議院において土井さんが取り上げたはずでありますから、ここでは省きまして、昭島の騒音対策委員会というものがアンケートをとりました。飛行機騒音によって生命の危険を感ずるというのが八六%ございます。それから神経質になるというのが七九%、病気のとき非常に不快感を催すというのが八七%ございます。これは飛行機騒音でございますが、航空騒音でこういうような状態になるであろうということは御想像できますか。
○政府委員(城戸謙次君) いまのお話は、主として人の不快感、あるいはまた健康の面にいろいろ関連があるじゃないかという御指摘でございますが、実は騒音に関しましては、現在の工場騒音、建設騒音に対処すべき騒音規制法におきましては、一応生活環境にかかる公害ということで、生活環境を保全するという限りにおきまして、国民の健康の保護に資するという立て方をいたしております。ただ、いま御指摘になりました航空機騒音に関しましては、必ずしも単なる生活妨害というだけにとどまらないというようなこともいろいろ問題になっておりますので、私どもとしましては、現在大阪空港の関係におきまして、四十四年度から三カ年計画で、航空機によります騒音が周辺の住民の健康にどういうような影響を及ぼすかということを調査研究しようということで、いまやっているわけでございます。航空機騒音がどのくらいであるかというような調査等はだいぶございますが、これはなおかつどういうものにどういう影響を及ぼすかということにつきましては、人の健康に密接な分野につきましての十分な研究がございませんので、これを現在進めている段階でございます。
○加瀬完君 伊丹の騒音調査がやはり伊丹市の騒音対策協議会か何かで出されております。七十ホン以上の騒音の持続時間が、一キロメートル離れているところで二十九秒、五キロメートル離れているところで四十一秒、七キロメートル離れているところで二十三秒、こういう数字が出ております。それで最大騒音度は一キロメートル離れているところで百五ホン、五キロメートル離れているところで九十八ホン、六キロ離れておって八十五ホン、七キロ離れておってやはり八十五ホン、こういうように非常に高い被害といいますか、騒音度を与えております。で五キロメートル離れて九十八ホン、七キロ離れて八十五ホン、こういう騒音がありましても、現在の公害防止の条例でも法律でもこの航空騒音というものは対象の外に置かれておるわけであります。しかし、七キロ離れて八十五ホンなどということであれば、学校を防音校舎にするというような問題で騒音対策が完全だというわけにはいかないと思うわけですけれども、この点はどうでしょうか。
○政府委員(城戸謙次君) その点私ども全く同感でございまして、実は昨年大阪空港に関します騒音の規制の閣議了解の際にも、厚生省としましては、個人の生活環境というものでございますから、もっと個人の生活に影響ある問題に対処するための騒音対策を強力に進めてもらいたい。なおまた、いま申し上げました大阪空港を中心とします騒音の影響調査という結果次第によりましては、さらに騒音の基準等につきましても再検討をしてもらいたいということを運輸省のほうにも申し入れてあるわけでございます。私どもとしましては、そういうことで調査の成果がまとまり次第、ともかく総合的にこの航空機騒音に対します対策が進められるということを強く期待しておるわけでございます。
○加瀬完君 で、大型機になれば一応原則として騒音は高くなると考えなければなりませんが、いま申し上げましたように、騒音補償というものは、縦二キロメートル、横六百メートルの幅、しかも百ホン以上でなければ、法律としては騒音補償はされておりません。これ以外の土地はどんなに騒音があったところでどうにもならないし、閣議の申し合わせ事項で、地元成田空港の場合は騒音対策委員会というものをつくるということになっておりますが、いまだつくられておりません。騒音対策委員会ができたところで縦二キロメートル、横六百メートル、百ホン以上の地域以外、たとえば成田がそうなるかどうかわかりませんが、伊丹に直しますと、五キロ離れて九十八ホン、七キロ離れて八十五ホンという地域がまた成田に生じた場合に、伊丹と同様に、これは全然補償される対象にはなっておらない。これは公団総裁お認めになりますね。
○参考人(今井栄文君) そのとおりでございます。
○加瀬完君 そうすると、問題は、いわゆる三里塚地域に成田空港――新東京国際空港というのができて、成田あるいはその周辺はそういった騒音被害の地域にならないかどうかという問題が当然出てくる。で、飛行機は風向きによって上がりおりをするわけですから、そうすると、騒音も飛行機の離着するときが一番大きいわけでありますから、どちらの方向に向かって着陸するか、どちらの方向に向かって離陸するかということで音のまた高低も出てくるわけであります。で、一番多くこの地域に吹く風は北または北東風ですね。一月、二月、三月、十月、十一月、十二月、この六カ月問は北または北東風が吹きますね。そうすると、飛行機はこの期間成田の方向に向かって上がらざるを得ないということになりますね。航空局長どうですか。
○政府委員(手塚良成君) いま言われましたような風の場合はおっしゃるような運航経路になると思います。
○参考人(今井栄文君) 局長の答弁にちょっと補足させていただきますが、ただいまのような風向きの場合に、現在予定されておる離陸の経路といたしましては、四千メートル滑走路から直進する形になりますので、飛行機が成田の市街地に対しましては約三・五キロ程度離れておるというところで成田市に影響を与えるという形になるわけでございます。この騒音が大体私どもの想定では約六十ないし七十ホンというふうに計算されております。
○加瀬完君 九十九里の方向に向かって上がりおりするという最初の説明が公団からございました。したがいまして、成田の市街地は騒音の区域じゃないということでございましたが、九十九里に向かって上がりおりする時期というものは八月と九月の二カ月間ということに風向きからはなりますね。最も多い六カ月間は成田の方向――成田の方向三・五キロ離れた点という点は私にはまだ疑問でございますが、少なくも成田の方向に、市街地の真上は通らないにしても、上がりおりする時期というのは非常に一年の間に多い。で、飛行機の高度が一体離陸する場合どの程度になりますか、成田市の上空で。
○政府委員(手塚良成君) 成田市に対する騒音の被害の問題で、いま御質問の具体的な数字といたしましては、成田市につきましては七十ホンをだいぶ下回ったホン数になろうかと考えております。つまり、北から風が吹きます場合にも直進ということはできるだけ避けて、早急に海に出るというふうな、言うなれば羽田でやっておりますように、できるだけ早く東京市街地に出ないうちに海へ回り込むというような運航経路をとらせますことによって、成田市に対する被害はできるだけ僅少になろうかと思います。高度との関連におきては、これは先般も先生いろいろ御質問ございまして、私どもも資料も御提出申し上げたかと思いますが、一応DC8のスタンダードタイプでもって考えられておりますものでは、滑走路上の航空機の離陸点から五キロ離れたところ、十キロ離れたところ、ずっとこうやりますと、五キロ離れたところで高度が五百メートル、十キロで千メートル、十五キロで一・五キロ、二十キロで二キロ、かような数字が出てまいります。これらも飛行機の種類その他によって若干の相違があります。ダグラスDC8のスタンダードタイプ、気温等も平常の気温、標準気温というものを前提にしてのいまの高度と距離でございます。
 なお、これ少しふえんになりまして、御質問の線とは離れるかと思いますが、ジャンボ等で騒音の問題等が、機体が大きくなって大きいのではないかということはよくいわれます。将来の航空機はますます大きくなるので音は大きいのではないかというようなことがいわれますけれども、先般着きましたジャンボ等は、ごらんになりまして、また実際の音を聞きますと、決して従前のDC8以上には上回ってないということがただいままでの調査の結果出ております。これらは、航空機のエンジンに対する新しい装置が付加されまして、いわゆるバイパス装置がこれにつけられることによってエンジンの馬力あるいは機体の大きさというのが格段に大きくなりましても、音そのものはそう必ずしも大きくならない、かような状態になってきております。また、こういったことについては国際的にもいろいろ会議が持たれまして、これから製造していく飛行機はそういうような制限をつけよと、こういう動きがすでにICAOでもってある程度の骨格がきまっております。いわゆる騒音証明制度という制度でございまして、これは国際的にメーカーに対して、簡単に言いますと、現状の飛行機よりは大きな騒音を出さない、なお今後新しく設計していくものについては現状よりさらに十五PNデシベルくらいは低くしたものでなければ各国とも空港乗り入れを認めない、こういうような申し合わせ等ができつつある現状でございます。したがって、将来の飛行機の大型化に伴ってだんだん騒音は大きくなるという傾向は必ずしも当たらないものではないかと考えております。
○加瀬完君 そういう要望があるということはわかっておりますが、またそういう研究が進められているということも了解できますが、だから、これからできる大型機がいままでの在来機よりも音が低いという保証はどこにもない。そこで、一体飛行機がおりてくるというときの下降度といいますか俯角というのですか、あるいは上がるときの仰角といいますか、その角度は一体幾らですか、何分の一ですか。
○政府委員(手塚良成君) 一応そういう御質問の際にも前提がいろいろあるわけですが、着陸してまいりますときにILSというのを一応使う、今後の飛行機は安全度と、先ほど来御質問のお話による離発着に定時制を持たせるということで大体ILSを使うことになりますが、この機械を使いますと、電波の発射角度に沿って飛行機がおりてくることになりますので、この角度が飛行機の着陸角度ということになります。これは数字でいいますと、十九分の一と、こういうことになっておるようです。
○加瀬完君 それ、間違っていませんか、いまの航空法できめられているのは幾らですか。
○政府委員(手塚良成君) 先生の御質問は、いまの航空法でいう、いわゆる進入角度という意味の御質問で、これは五十分の一ということです。
○加瀬完君 ですから、最小限見ても大型機になれば五十分の一、ことによると七十五分の一という形でこれは離陸あるいは着陸ということになろうかと思う、そういう場合に、五キロ離れて五百メートルという高度がとれますか。
○政府委員(手塚良成君) 先ほどの十九分の一と申し上げましたのはILSを使って着陸してくるときですので、着陸勾配といいますか、着陸角度といいますか、そういう数字、それから離陸につきましてはいまの前提におきます当該機においては、十分の一という角度になると考えております。
○加瀬完君 ですから、五キロ離れて五百メートルの高度ということになりますか、その計算でいって。
○政府委員(手塚良成君) これは十分の一で、先ほど申し上げましたような計算になります。
○加瀬完君 この前の澤局長は、九十九里の海岸線で大体千二百メートル、それから飛行場はゼロと――大ざっぱに計算しますと、あの間幾らありますか。直線にして二十キロありませんね。十四、五キロでしょう。そうすると、千二百メートルから十二、三キロで着陸するということになりますと、こんな急カーブで、急角度で一体大型機がおりられますか。着陸のときが一番危険でしょう、飛行機は着陸のときが。そのときに大型機がそんな下降度をもって着陸できますか。それとも澤局長の説明が誤りですか。
○政府委員(手塚良成君) 澤局長のときのお話につきましては、私いま覚えておりませんので、後日また記録を読みましてよく検討いたしてみたいと思いますが、私の手元の資料によりますと、先ほど来申し上げておりますような十分の一の角度で、たとえば十五キロのところでは高さが一キロ五百、千五百メートルと、こういうデータになっておりますし、これのもとになりますものはILSという機械をもとにして、その機械のビームというものから割り出して計算をしておるので、こういう数字になっております。
○加瀬完君 実際飛行機が飛んでいませんから、私の言うのが正しいのか、あなたの御説明が正しいか証明をするわけにはまいりませんが、それでは騒音についてそんなに心配がないというなら、航空局はあのまわりを高度三百メートルなり五百メートルなり、あるいは一千メートルなり、それぞれとって、いまのジャンボでなくってけっこうですよ、普通の727でも何でもいい、それを飛ばしてこんな低い音だから心配ないという実験をなさる御自信がございますか。飛行機はたいしたことないというなら、いまボーイングでも何でも飛ばしてくださいよ。五百メートルなら五百メートルの高度、千二百メートルなら千二百メートルの高度で、九十九里の町においては千二百メートルでは音はこれだけだ、芝山町に来れば五百メートルでこれだけだ、三里塚の集落街に来れば五百メートルで音はこれだけだというものを、飛ばしてこんな低い音だから何も御心配はございませんよという実験をしてみせてくださいよ。そうでなければ、あなた方がどんな説明したって、羽田の場合にしても横一キロメートルで八十ホンか九十ホンというものを避けられない、縦五キロメートルで八十六ホンというものが出ておるわけですから、七十ホン、八十ホンというところで正常な生活が営まれるというようには安心できない。しかも航空騒音というものは、法律の外ですから、現在は。病院が防音装置されようが、子供たちの通う学校が防音装置されようが、実際そこで生活している住民は何にも防音の対象にはならないわけですから、そうなってくれば、北海道大学が発表したように、赤ちゃんがおびえるというのが四・八キロ離れても六七・五%も訴えがある。夜中に子供が目をさますというのが五キロ離れても四四・八%もある。耳が痛いという訴えや頭痛がする、食欲がなくなる、それから学習が非常に阻害されるというのが九三%も三キロ離れてもあると、こういう調査が説明されますと、どうも心配だということをぬぐうわけにいかぬでしょう。
 これは押し問答になりますので、大臣に伺いますが、飛行場つくって飛行機飛ばしてみたら、これはだれが考えてもここに住民を置くのはひど過ぎるという状態になった場合、一体飛行場の移転なり縮小なり、あるいは完全な防音対策というものを政府が責任を持ってやってくださるという御証言がいただけますか。そうでなければ、地元としては、いかに国際空港だといったって、何もおれのところに国際空港を持ってこなければならないという理由ないじゃないか、おれたちの子供は勉強しようったってさっぱり勉強できないと、畑に行っておちおち耕作もできないと、こういうことだったら、文句の出るのは当然じゃないですか。しかし、いままでですよ、いままで――繰り言になりますが、宮内庁の御料牧場なんかというのはばく大な金をかけて公団が一生懸命つくっている。しかし、騒音で困る人にはこういう施設をやりまして騒音の防止をいたしましたよというのは一カ所もない。これからぼつぼつ学校でもやろうかというところだ。保育所はどうするんだ、私立の精薄の施設はどうするんだと言うと、それも予算に入れようかな入れまいかなと、入ったかなどうかなというぐらいの程度で、こういうふうに直しましたよというところは何もない。空港をつくるということが一つの国の政策にあるなら、その国の政策で犠牲をこうむる者に対しては、国の予算、責任で救済というものが完全に行なわれなければ、これは納得しろったって無理ですよ。これは橋本さんはあまり御郷里も遠くなくて事情をよくおのみ込みでございますから、一体どうしてくださるのか、その間のひとつ御所見を承りたい。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 加瀬さんの非常に該博な知識、質疑を聞いておってまことに感心をいたしましたし、たいへん勉強せられておることは、それだけ関心が深いということを意味しますので、心から敬意を表します。技術的な問題は航空局長からいろいろ答えがあったようでありますので、その問題に触れることをやめにいたしますが、基本的には、いま加瀬さんがおっしゃるように、国際飛行場をつくることは地元の人が歓迎してつくったわけでもない。にもかかわらず、そのような騒音が起きるであろうことは御意見のとおりであります。したがって、いわゆる豊かなる社会をつくるといいますか、住みよい社会をつくるということが政治の根本であり、また文明社会の基本的な方針であります。ただ現状の場合、御承知のように財政上の制約もあり、あるいはいろいろの点もありまして、十分でないことは、まあわれわれもこれを認めざるを得ません。しかしながら、財政上の最大限の要求、あるいは処置によって、そうしてできるだけの措置を講じなければならぬ、こういうことで、われわれも公団あるいは政府の予算措置についてもできるだけの要求をいたし、これが実現を期そうと出しております。ただ、実際やってみませんので、わからぬ点が多々あります。しかしながら、事前に予知できるもの、たとえば学校とか病院とか託児所とか、あるいはそうしたものにつきましては、できるだけこれは事前に措置をしていきたい。そうして、先ほど申しましたような豊かなる社会をつくるというためには、しかも、国際飛行場なりあるいはそれに類するような国民あるいは国家的なものに対しそれを受ける被害の人々に対しては、これは何といっても国全体としてめんどう見なければならない。そうしてできるだけ環境を整備することによって不愉快な生活の一部を転換せしめる。こういう騒音を全然なくするということはできないことでありますから、その騒音によって受ける不愉快な気持ちを他のよき環境をつくることによってこれを転換せしめる。これは政治の要諦であります。そういう意味において、われわれ少なくとも政治家というものが、それがあしたに実現しろといってもできますまいが、それをなるべく早い機会に、騒音地域に対してはくまなく一般の住民にも受けられる施設、病院とか託児所だけでなく、一般社会の人々が不愉快なところを別な意味でもっていわゆるよき環境を得られるような、そういう転換されるような措置を広く行なわなくちゃならぬ。それがためには、将来日本の経済の許すような時代をできるだけ早く到来をせしめ、また優先せしめ、将来の措置を講ずる、こういうことにつきましては、皆さんの意見も十分に私は取り入れて、そうして全部のことをそんならいますぐやるかといいましても、一つのことをやりますにも二年なり三年あるいは五年とかかるのでありますから、その点は直ちにできないにいたしましても、私は広い範囲においてどこからどこまでが五十メートルから百メートル、何キロから何キロまでというような狭いものの考え方でなく、広い全体の地域に対して不愉快な目にあう人を一面においてまた愉快な環境にすることができる、そういう広い地域の設定を行なわなければならない、それが政治の要諦であると思います。かつまた、騒音等につきましても、現在の高度の科学技術の開発によってできるだけ、いわゆるそれらの大型化が多少おくれるにいたしましても、これは日本だけでできることじゃありませんけれども、いやしくも国際政治が、あるいは国内の運輸当局などが十分話し合いのもとにおいて、ただ単に大型化、大型化というだけでなく、いかにしてこれが人間生活に悪い影響を与えない程度にまでとどめ得るかどうか、私はそれが先決でなければならぬと思います。さようなひとつ理想を持ってやってまいりたい、かように存じますが、この際、いわゆる成田空港の場合には、何といってもこれはもう必要最小限度の国際的な要求であります。したがって、この点を十分に御理解願って、われわれはいまの規定でいいんだ、いまの制限でいいんだ、いまの防音装置の対策だけていいんだ、こう考えておりません。現在はやれないけれども、なるべく早くこれを、先ほど申しましたような広い関係から取り上げて、その広い地域の人が住みよい状態につくり上げる、不愉快な目があっても、時を得て愉快な目を得られるような、そういうような状態をつくり上げる、これが私は政治の要諦であり、またそうしなければならぬと強く決意して、防音対策については私は確固たる決心のもとに要求をし、かつまた実現をしていきたい、かように考えておりますことを御了承願いたいのであります。
○加瀬完君 防音対策のもとになる騒音条件というものをもう少し、これは公団というよりはむしろ航空局が検討をしてもらわなければならないと思う。航空局長のおっしゃるように、飛び立って市街にいかないように、なるべくすぐ海岸へ出るといいますけれども、そういう計画になっていないでしょう。風向きによって一応茨城県のほうを通って鹿島灘へ抜けるわけでしょう、一つのコースは。もう一つのコースは、今度は印旛沼から左に回って九十九里に出るわけでしょう。風向きによっていつでも最短距離というわけにいかぬでしょう。印旛沼の上からというと、印旛沼は成田の向こうです。成田の市街地の周辺を通らないで右折したり左折したりすることはできないわけです。それから、上がってくる場合もまた、芝山の向こうから着陸する場合はどうか、成田のほうから着陸する場合はどうか、こういうことで騒音の現象がどういうことになるかということは十分御検討をいただきたいと思うわけです。
 それから第三に地元が非常に不満としている点は、適地かどうかの事前調査もなしに位置が決定されたということです。若干説明を加えますと、飛行場の適地要件というものが私はあると思う。それは空といえどもあります。空があいておるかどうか。しかし、ブルー14というものがなくても、もう霞ヶ浦か成田の周辺かということにすぐなったかどうか。そうすると、ブルー14というもののためにおれたちのところに飛行場がきたのじゃないか。そういう意味からすれば、政府は空域、空のあいておるところだけでおれたちのほうにきめた、その前に気象調査なり地質調査というものが十分に行なわれたかどうか、こういう非常に疑問を持っております。
 そこで、具体的に地域並びに地質調査なりに限って問題にいたします。ボーリング状況を空港認可の時点において明確にされておりますか。一つの例をあげれば、空港を認可する以前にボーリングが完全に行なわれておりましたか。
○政府委員(手塚良成君) この敷地の中自体につきましては、当時の周辺の情勢によりまして、なかなかそういうことが困難な事情でこの中をやってございません。しかしながら、関東平野一円には御承知の関東ローム層その下の地層というようなものがある程度一定をしておるという概括的なことが前提になり、かつ、このごく近くにおけるところの深井戸調査その他によります地層の調査、あるいはその周辺のごく一部ではございますけれども、周辺の実際上のボーリング、そういうものが総合されまして地質的にはここは建設可能であるという判断に立って行なわれたわけでございます。現在、すでにここは土工事も実施をされておるわけでございまして、この実施の過程におきまして、関東ローム層というようなものは予定どおり相当な難物になってはおりますけれども、こういったものがはなはだしく支障があるというようなことはないようございますし、その他いろいろ現在行なわれておる工事あるいは今後やられる工事について格段の問題はないようでございます。
○加瀬完君 結果から見て、適地か適地でないかということ以前に、空港滑走路の路盤については各国とも路盤条件というのは非常にきびしいわけですよ。日本においても滑走路の設計基準というものが当然あると思う。論より証拠、霞ヶ浦は適地だといわれておったけれども、ボーリングの結果、非常に地盤が軟弱であるということで、これはだめになった。浦安もそうですね。この三里塚に限って路盤調査もしないで、いまやってみたら支障がないということでは、もし支障があった場合はどうなるという問題が出てくるのです。支障がないとは私は思いませんがね、現状においても。それは一応別の問題としても、滑走路路面に対するあるいは路盤に対する一つの基準というものが当然あるはずだと思うのですよ。その基準というものはないのですか。それを調査をしなくて、ボーリングをしなくて基準に合うか合わないかわかりますか。わからないところに位置をきめたということは一体どういうわけですか。
○政府委員(手塚良成君) この空港の位置をきめます当時も、土木的条件というものにつきましては、やはり一つの条件であることには変わりなかったわけでございます。しかしながら、これは現在の土木工学的な見地からいたしますと、難易はございますけれども、全く不可能という、よほどの条件のところではなかったように当時いわれました。先ほど例にあげられました霞ヶ浦の場合でも、これは確かに軟弱という面も一部にはございましたけれども、ここが適当でないという結論はこの土質からの問題ではなかったのでございます。たとえば一つは、湖底から塩の、何といいますか、固まった化石化した塩が出てきて、その工事のあとは湖がかん水化する。これが漁労あるいはかんがい用水に与える影響等から非常に困難である。あるいはまた、この遊水池としての機能上の問題これも解決不可能ではございませんでしたけれども、これにはものすごく多額な別途な方策を講じなければならないという問題等々からまあそういうことになったのでございまして、これらのものに比較いたしまして、この成田の場合は全く工事上はむずかしい工事はない。ただ、いろいろ、たとえば、埋め立てというような問題との比較におきまして、どちらがいいかというようなことも議論をされました。いまあげました浦安のような軟弱地盤の場合でもこれは不可能かという点については、必ずしも不可能ではないと。私どもの港湾局の検討によって尼崎あたりでいろいろやりました港湾工事等から見て不可能ではない。ただ、それは時間的な制約が非常に問題である、あるいは資金的に問題があるというようなことでございまして、これらの比較におきましてはこの下総台地一体というのは、そういう意味ではむしろ地盤的には問題は少ないほうである、こういう結論であったと思います。
○加瀬完君 地盤的にこの影響度が少ないか大きいか、調査をしないでわかりますか。あなたのほうは調査してきめたなら、これは事前調査をしてだいじょうぶだということになりましたということになりますけれども、関東平野全体が関東ローム層だから、大体関東ローム層はこれぐらいの強度を持ってるからと言いますけれども、いま建設省もいらっしゃるから伺いますけれども、関東ローム層の地域はCBR値が非常に低い。そこで他の地域から比べると、道路舗装をするにも、道路の路盤整備をするにも非常に金がかかる。だから関東ローム層の地域には補助金のかさ上げをしてくれという運動を、このローム層関係の各県では土木部が連合で行なってるわけです。それほどCBRというのは低い。いまあなた、浦安のことをいろいろ言われたが、浦安なんか調査しているのですか。シールド層が三十二メートルから三十四メートルあるのですよ。学校建てましたけれども、いま学校はこんなふうになっちゃってる。重量建築はできないということが初めからいわれている。だからあそこは空港はできなかった。同じ東京湾だって、ずっと千葉から南のほうにくると強度が違うのですよ。シールド層なんかないのです。あるなしにかかわらずここは調査してないでしょう、一つも。
 そこで建設省に伺いますが、この地耐力も問題ですが、地下水も問題ですね。地下水の吸い上げというものはその地盤の強弱に無関係ではありませんね。地下水の弾性係数あるいは変形係数または勇断強度、地下水が当然そういう点で影響力を持ってまいりますね。地下水の関係でその路面がいろいろ支持力なり地耐力について影響されるということは、これはそのとおりですね、お認めいただけるでしょうね。
○説明員(若木三夫君) ただいまの御質問の地下水と地耐力という点がちょっとわかりにくうございますけれども、一般的には地下水そのものの水が土にどのように作用してくるかということが要素になってくると思います。いまの御質問のくみ揚げるとかどうとかという問題とは、ちょっと地耐力との結びつきがよく理解できませんので。
○加瀬完君 この弾性係数とか変形係数とか勇断強度とかいったものが路盤の計算の中にあるそうですね。これに地下水は関係があるのでしょうか。
○説明員(若木三夫君) 地下水が影響いたしますのは圧密とか、それから極度に水を含んだ場合の土の性質、こういった場合には強度が落ちるということがございますが、天然の地盤におきまして地下水をくみ揚げたりするということは、いまの表面の地耐力との関係はそれほど大きく影響していないのではないかと見ていいんじゃないかと思います、全体的な地盤沈下、たとえば、大阪のような沖積層において。ただし、その場合に地下水をくみ揚げたことによって地耐力が影響するのは、主として粘土のような地盤において行なわれております。その点ひとつ土質と水との関係がからんでおります。
○加瀬完君 これは関東ローム層下がシールドですが、そして谷があって丘稜地みたいのところが入り組んでおりますため、地下水が平らじゃないわけです。地下水というものを完全に抜かなければ滑走路にはゆがみが出てくるというのは、これは専門的にそういう結論が出ておるそうですね。地下水というものを完全に抜いてしまわないと、路面に凹凸が当然出てくる。滑走路は千分の一の狂いが出てくると滑走路としては完全でない。ですから、千分の一の狂いを生じないためには、下の地下水の影響力というものを全部ぬぐわなければならない。そうなってくると、地下水の状態がどうなっているか、それからいまおっしゃった粘土層がどのくらいであるか、あるいは砂礫層がどのくらいであるか、あるいは関東ローム層がどうだかということは、事前に当然調査されなければならないはずなんですね。しかし、こういう調査はされておりません。
 そこで、いま建設省に伺った点ですけれども、地表の下の地下水の深さ、量、土質、岩盤までの厚さ、影響条件が非常に多いわけですれけど、そういう点の調査はされましたか、事前に。
○参考人(高橋淳二君) ただいまの先生の御質問、空港の特にまあ滑走路の建設につきましては、非常に大事な問題でございまして、公団の設立と同時に、まず周辺の類似の地質を求めましてボーリング、箱掘り、実際に土を掘りまして地下水の状態、それからただいま御指摘の粘度の厚さというようなものをかなり詳細に調べました。それで、一般的にあそこの地質といたしましては、関東ロームが五ないし六メートル程度の厚さを持っている。その下、一番下層に御指摘の粘土層がある。そのさらに下部はかなりかたい成田層である。しかも帯水層はない。ただ御指摘のように、粘土層の上面にいわゆる宙水と申しますか、多少の水がたまっておる。これがどうであるかという点でございますが、この点につきまして、その後、敷地内におきましても十分なボーリングを行ないました。その結果、いわゆる粘土層の宙水と申しますのは、こまかい毛細管状の穴がございまして、それに水が一時滞留しておるという状態でございます。それで、これは一部学者その他地質専門家の意見のとおり、雨水がしみ込んだことによってそれができ上がっておる。したがって、上面を舗装いたしますれば雨水の補給が断たれるわけでございますので、あの程度の期間を経ればその宙水も消滅するであろう、したがって急いでそれを手を加えて抜くということは必要なかろうというような返事でございます。ただ、念を入れまして、私どもといたしましては滑走路、誘導路等の大事なところはみぞを深く掘りまして、それらの水を抽出するということを考えております。
○加瀬完君 おっしゃるように、水を抜かなければ滑走路ができない状態だということは、いま御説明のとおり。ところが、あなたがおやりになったというボーリングは二十六カ所、数量は八十八ですね。それを地域別にして敷地内と敷地外を見ると、敷地内は一カ所もない。全部敷地外。敷地から二キロ以内、それから五キロ以遠と分けると、外のほうが多い、遠いほうが。二キロ以内はゼロ、五キロ以内が四、五キロから遠いところが十、十キロより遠いところが五。飛行場の二キロ以内のところは一つもボーリングをしないで、はなはだしいところは茨城県稲敷郡東村、十九キロ離れているところをボーリングしているんですね。これで飛行場の中のボーリングをしなくても大体敷地の条件がわかるということになりますかね。香取郡神崎町、十五キロですね。下総町小浮、十三キロ、下総町滑川、十三キロ、こういう遠いところをたくさんやっております。十九キロも離れているところをボーリングして、どうしてそれが地質調査になるのか。中は一つもボーリングしなかった、このあなたの御説明のボーリングの時点においては。航空法には、それが適地どうかということを十分調査しなければならないということが書いてある。そういう手続が踏まれていないじゃないですか。地元の者が井戸掘ると水がわいたり、井戸がくずれたり、全然地盤が悪いということは、これは実感としてわかっている。そういうことは一つもボーリングしませんで、より適地かどうかという検討は一つもしないで、空港は、空だけここがあいてるからここへつくるほかないんだと、ボーリングはいたしましたよ、茨城県へ行ってボーリングしました、そうしたらだいじょうぶです、こう言って、なるほどおれのほうは空港として一番適地だからやむを得ないという納得がいきますか。こういうやり方をしているんです、運輸省も公団も。植民地に何か工作物つくるわけじゃないですよ、これは。あまりにひど過ぎませんか。一番の基本条件、路盤が飛行場に向くか向かないかという検査がなければどうにもならないでしょう。どうやらできそうだということになってますがね。どうやらできそうだということは、ことによると、これからヤツを埋めていったり、ローム層を削っていったりした場合、いろいろあとで申し上げますが、支障ができるかもしれないというまだ不安だって全然ぬぐい去られてはおりませんよ。これは運輸省がやることなのか、公団がやることか知りませんけれどもね。ボーリングもしないで位置をきめたということは、少なくも政府としてはこれは手抜かりですよ。法律に、はずれているんですよ。それから、ボーリングをしてから工事の認可手続でも踏めばいいのに、工事の認可手続はきめてしまってから、それからとんでもないほうをボーリングをして問題を糊塗している、こういうやり方が納得できるはずないでしょう。松子は十回ボーリングしてますね。大谷津も十回ボーリングしてますね。松子や大谷津を十回もボーリングしなければならない理由というのは何です。そして中を一回もボーリングしないという理由は何ですか。ふに落ちませんね。
○参考人(高橋淳二君) 先生のただいまの御指摘の時期といたしましては、実はまだ敷地内に十分出入りができないという状態でございましたので、やむを得ず敷地外で予備的なボーリングをしてわけでございます。それで、ボーリングの目的にもいろいろございまして、いわゆる砂山を調査する、たとえば、埋め立てに用います山砂を採取します予定地のボーリング、そのようなものはかなり遠いところのボーリングをして調べる、そういうものを含んだ調査をしたわけでございます。したがいまして、敷地内の資料はないわけでございますけれども、これの最近の調査の結果によりますと、ほとんど敷地内と変わらない。むしろ谷津田の一部は、予定のへどろの深さよりもむしろ浅い。多少申しますれば、土質は良好であるというような結果も出ておりますので、この点につきましては、従来の研究をさらに下回ることはないというように確信しておるわけでございます。
○加瀬完君 おたくのほうの「第一期工事計画に係る滑走路及び誘専路の客土量」というのがありますね。「第一期工事に使用する客土は、谷地田部の滑走路及び誘導路の下部の盛土に使用し、その土量は約百三十万立方メートルである。」「このほかに滑走路、誘導路、エプロン等の舗装の下部に、約七十万立方メートルの山砂を敷きならすこととしている。」と、こういうことになってますね。しかし、百三十万立方メートルなり七十万立方メートル要るのか、あるいは足りるのか、足りないのかというのが、ボーリングしなきゃ結果はわからないでしょう。これは当て推量です。そうでしょう。その現地の滑走路をつくるところは何にもボーリングをしないで、とんでもないほうをボーリングして、どうしてその実際の滑走路の下に幾らの粘土層があるとか、幾らのローム層があるとか、どれだけ取り去らなければならないか、高低が幾らあって幾らだけの土量が要るかという計算が成り立ちますか。これは全然推測の域を出ないでしょう。それはお認めになるでしょう。推測でしょう、これは。
○参考人(高橋淳二君) 先生おっしゃるとおりございまして、外部の測量によって、ボーリングによってこれは計画したものでございますから、その後、敷地内に入りました結果によって、現在補正をしつつある段階でございます。
○加瀬完君 補正をしなければなりませんわね。それで補正をしていくわけでございますが、この
 一体、この砂というのはどこから持ってくるのです。これは百三十万と七十万立米で足りることになりますか、足らないことになりますか。その砂はどこから持ってくるのか。あるいは地下水をくむというけれども、その地下水は一応いままでの計画では、根本名川に流すはずですけれども、根本名川だけにくみ揚げて流すわけにはいかんでしょう。あそこは分水嶺になっておりますから。話がよそにいきますけれども、高谷川を使わなければ、あの分水嶺の三分の一になるか、四分の一になるかわかりませんが、その水、流せませんよね。しかし、高谷川の改修なり、高谷川に排水するという計画は一つもない。こちらは反対が多いからそっとしておくというのかどうか知りませんが、ない。そうなってくると、地下水をくみ揚げたその処理の方法というのも全然まだ立ってないでしょう。こういう点はどうですか。
○参考人(高橋淳二君) 山砂の採取の予定でございますが、当初の計画といたしましては、空港予定地の東のほう、約十キロばかりのところ、大栄という町がございますが、その付近の山砂を使うということで調査したわけでございます。その後調査を拡大してまいりますと、かなり近いところでも出るということがわかりましたので、現在では数カ所に分けましてとる予定にしております。
 それから使用量でございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、谷津田の埋め立てに使うわけでございますが、ただ当初の予定といたしましては、かなり関東ロームの施工がてこずるであろう。したがいまして、滑走路、誘導路等につきましては、その直下の土盛りはもっぱら山砂で施工する。その沈下を極力防ぐために、山砂だけでやるという計画にしておりましたけれども、最近現地に入りまして若干土工を始めてみました結果、関東ロームといえどもかなり上層の部分は良好であるということで、これも多少ふやして合わせ使うというふうにしております。したがいまして、当初の予定よりも減少できるんじゃなかろうかというぐあいに考えております。
 それから第二点、河川の問題でございますけれども、河川計画といたしましては、たびたび御説明申し上げましたように、県の方針あるいは国の方針といたしまして根本名川一本にしぼって流す、そのために、大々的に改修計画をするということに方針がきまっておりますので、公団といたしましてはその線に沿うて実際の排水計画を現在進めておる状態でございます。建設省に伺うんですけれども、具体的に伺いますが、表面からのローム層の厚さが二メートルのところと六メートルのところ、粘土層が地表から三メートルのところと十メートルのところと、地下水が六メートルのところと二十メートルのところと入り組んでいる地層の表面のCBRは晴雨にかかわらず同一条件を維持できるとは限りませんね。それが一点。
 それから、地下水は別として、ローム層が地表に近いところでは、寒冷のために地表が持ち上げられることが関東ローム層の特徴でありますね。いわゆる霜柱現象に近いものが出ますね。そうすると、地表に近い地下でもこういう現象が起こるのではないか、こういう点は十二分にその滑走路をつくる現地をボーリングをしなくて計画が立つのか。幾ら土を削るか、どこから水をはくかという計画が立つのか。そこで、あなた方のほうで国道工事なんかなさる場合に、ボーリングをしないで、地質調査をしないでいきなり道路工事に入るということがあり得ますか。この二、三点についてひとつお答えをいただきたい。
○説明員(若木三夫君) 第一点の地表の地耐力の問題でございますが、地耐力といいましても、普通表面からある程度の深さは影響がございますが、それ以下につきましては地耐力――道路当りの地耐力というのは深いところの粘土層、地下水にはそれほど影響がないと言ってもいいと思います。先ほど申し上げましたように、地下水は急激にこれをくみ揚げたときに圧密沈下現象が起こってまいります。地表面の地耐力につきましては、それに含まれている水の量でございますけれども、これはある程度の水の量は必要でございますが、全然水がないときよりも、ある程度の水を含む最適含水比というものがございまして、ある程度水がなければしまりがなくなるから必要だと思います。こういうふうに言えるわけです。
 それから第二点のお尋ねでございます凍上現象につきましては、地表に近いところ、これはいわゆる具体的な現象が出ておりますが、ある深さまでの影響範囲があるわけです。それ以下になりますと、地面の熱がございまして、大体北海道あたり、それから東北地方で非常に問題になっておりますが、五十センチとか七十センチという深さが凍上の影響する範囲であります。ただ凍上現象につきましては、日本の国土では北海道あるいは東北の一部だけ、そのほかの地区ではそれほど神経質になっていないわけでございます。これは地下水というものじゃなくて地面の中に含まれた水でございます。そういった関係で、凍上現象につきましては、それほど気温との関係で心配がない。また、関東ロームの中の土質につきましては、ほかの土よりも多少そういう影響が強いと思いますけれども、決定的なものとして、道路のほうではそれほど神経質にはなっておりません。
 それから第三に、建設省の道路関係のほうではボーリングをやらないで工事をやるかという御質問でございますが、これにつきましては、事前に踏査というものをやりまして、踏査の段階で既設の、すでにとらております資料が十分活用できます場合にはボーリングといったような大げさなことはやりません。また、軟弱地盤だとか、あるいは特にその間に重要な構造物をつくるような場合、これは特定なボーリングというものをここでやりますが、一般的にはそれほど大がかりなボーリングというものはやりません。いわゆる土質のサンプルの採集といったような程度で土質試験等をやるわけです。したがって、いまお尋ねのボーリングをやらないでという御質問に対しましては、ボーリングをやらないで路線を決定したり工事するということもございます。
○加瀬完君 しかし、幹線道路を――一級国道、旧一級国道みたいなものをつくるときに全然ボーリングやらないで――ボーリングしなくてだいじょうぶだという資料があるときは別ですよ、ボーリングしないで。おそらく工事するということはこれはあり得ないですよ。運輸省だって、トンネルつくるときにはもう、何回も何回も試さくしてそれで基礎調査を固めてからやるわけでしょう。で、空港の滑走路の場合には、滑走路の凹凸の限度は千分の一だといわれていますね。これは澤局長が御説明なさった。そうすると、相当のこれは地質調査というものをしなければ、千分の一の凹凸があれば飛行機が危険だということになれば、よほどの地質調査ということは問題になります。関東ローム層は、いま御説明のように、非常に水の含有量というのが、含む率が高いですね。いろいろ違います。ここでは大体三〇〇%くらい含みますよ。地耐力が二くらいですね。CBR二くらい。三倍くらいの水を含みます。そうすると、水を含んだときには非常に膨張しますけれども、水がないときはからからになって飛んじゃう。こういう地表ですから、したがって、これはどこまで削るか、こういうことが非常に技術的に問題になってくると思う、滑走路の場合は。そういう点がとにかく十分に調査がされておらなかったということは、十分にも何にも、その滑走路の該当地域は何にも調査していないのです。そういう点に非常に地元は、空だけあいているからおれのほうにきめて、こんな地盤の悪いところはないのに――あそこは千葉県でもどこでも一番泣いているところです、地盤が弱くて。そういうところに滑走路ができるかというような、非常な不信感というものがあるわけです。
 たいへん大臣も長い時間おつき合いをいただいて恐縮ですけれども、ただ社会党が扇動しているからとか、あるいは一部の学生が来ていろいろそそのかして反対が強いということではないということを御認識いただかなければならないと思う。不信をつくったもとは、全部公団や政府にあるとは申しませんが、少なくとも、県も中に入れて、手の打ち方によっては当然協力をしてもらえることも、手の打ち方が適当でなかったために反対の感情をあおっている、こういう内容もないわけではありません。その一つが、やっぱり十二分に市町村に協力を得て、地盤調査をして、適地であるから、あるいはまた賛成、反対というものを、航空法で前にきめられておったように、市町村の世論を聞いて、賛成が多いからここにという、こういう形で進められてくるならば、反対もあったかもしらぬけれども、賛成者もあったかも――積極的な賛成者も当然出てきた。しかし、頭から空港というものを押しつけて、賛成という手をあげた者にはほうびをやる、反対と言った者ははなもひっかけない、こういうことであっては、じゃ、どこもたよるところはないじゃないか、われわれの生活は、子供のためにも孫子のためにも自分たちで守る以外にない、こういうことで公団に対する反感になり、あるいは工事に対する抵抗ということになっておりまして、皆さんから見れば、何か収用法でも何でもかかっているのにけしからぬということになるかもしれませんけれども、動あれば反動ありで、全然何もないところに一番初めから反対運動というのは起こっているわけではない。少なくも、そういう点で農民の生活権をどう守るかということには何にも手が打たれておらない。そして、こういうふうに不合理な点で工事が進められているということも一つの大きな反対の理由であるという点も皆さん方にも知っていただいて、ではどうするという対策を立てていただかなければならないと思います。
 たいへんきょうは長時間おつき合いをさせて恐縮でございますが、あと地価の問題等またもう少し聞かなければならない問題もありますので、いずれにいたしましても、もう少し県がと言わずに、政府が責任を持ってこの問題の解決に乗り出していただきたいという点を一言申し上げて、一応質問をあとに回します。ありがとうございました。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 加瀬さんのだんだんのいままでの経過、私はいわゆる当初の経過等を存じませんので、ただいまいろいろ聞きましたが、おっしゃるとおりに、十分理解の道を講じ得なかったそれらの事情があったようでありますけれども、ただ、ここまで事が運び、そうして一日も早く第二空港の役目を果たさなければならぬ情勢にありますので、申されました感情上の問題はわれわれにおいても努力いたしますが、ひとつ加瀬さんその他千葉さん等の関係者もできるだけ、この大目的達成のためにはいろいろ問題があろうと思います、そういう問題も含めましてひとつ御協力また御尽力のほどを心からお願い申し上げます。
○委員長(温水三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十一分散会
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