第063回国会 予算委員会 第9号
昭和四十五年三月二十七日(金曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     大森 久司君     鈴木 省吾君
     渋谷 邦彦君     鈴木 一弘君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         堀本 宜実君
    理 事
                木村 睦男君
                柴田  栄君
                任田 新治君
                山本 利壽君
                吉武 恵市君
                鈴木  強君
                横川 正市君
                矢追 秀彦君
                向井 長年君
    委 員
                岩動 道行君
                梶原 茂嘉君
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                小山邦太郎君
                郡  祐一君
                近藤英一郎君
                白井  勇君
                杉原 荒太君
                鈴木 省吾君
                田村 賢作君
                中村喜四郎君
                八田 一朗君
                平泉  渉君
                二木 謙吾君
                増原 恵吉君
                柳田桃太郎君
                足鹿  覺君
                小野  明君
                岡  三郎君
                加瀬  完君
                亀田 得治君
                木村禧八郎君
                戸田 菊雄君
                羽生 三七君
                山崎  昇君
                塩出 啓典君
                鈴木 一弘君
                三木 忠雄君
                萩原幽香子君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  小林 武治君
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  坂田 道太君
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
       郵 政 大 臣  井出一太郎君
       労 働 大 臣  野原 正勝君
       建 設 大 臣  根本龍太郎君
       自 治 大 臣  秋田 大助君
       国 務 大 臣  荒木萬壽夫君
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
       国 務 大 臣  中曽根康弘君
       国 務 大 臣  西田 信一君
       国 務 大 臣  保利  茂君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       内閣法制局第一
       部長       真田 秀夫君
       総理府人事局長  栗山 廉平君
       警察庁刑事局長  高松 敬治君
       行政管理庁行政
       管理局長     河合 三良君
       行政管理庁行政
       監察局長     岡内  豊君
       防衛庁長官官房
       長        島田  豊君
       防衛庁防衛局長  宍戸 基男君
       防衛庁経理局長  田代 一正君
       防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君
       防衛庁参事官   江藤 淳雄君
       防衛施設庁施設
       部長       鶴崎  敏君
       経済企画庁国民
       生活局長     矢野 智雄君
       経済企画庁国民
       生活局参事官   西川  喬君
       経済企画庁総合
       計画局長     八塚 陽介君
       経済企画庁調査
       局長       宍戸 寿雄君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
       法務省人権擁護
       局長       川島 一郎君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省経済局長  鶴見 清彦君
       外務省条約局長  井川 克一君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
       大蔵大臣官房審
       議官       高木 文雄君
       大蔵省主計局長  鳩山威一郎君
       大蔵省理財局次
       長        本間 英郎君
       大蔵省国際金融
       局長       奥村 輝之君
       文部省社会教育
       局長       福原 匡彦君
       厚生省公衆衛生
       局長       村中 俊明君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    城戸 謙次君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省薬務局長  加藤 威二君
       厚生省社会局長  伊部 英男君
       厚生省保険局長  梅本 純正君
       農林大臣官房長  亀長 友義君
       農林大臣官房予
       算課長      大場 敏彦君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       農林省蚕糸園芸
       局長       荒勝  巖君
       水産庁長官    大和田啓気君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  柴崎 芳三君
       通商産業省重工
       業局長      赤澤 璋一君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     三宅 幸夫君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     本田 早苗君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
       通商産業省公益
       事業局長     馬場 一也君
       運輸大臣官房審
       議官       内村 信行君
       運輸省航空局長  手塚 良成君
       海上保安庁次長  林  陽一君
       郵政大臣官房長  野田誠二郎君
       郵政省電波監理
       局長       藤木  栄君
       労働大臣官房長  岡部 實夫君
       労働省労政局長  松永 正男君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
       労働省職業訓練
       局長       石黒 拓爾君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省河川局長  坂野 重信君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
       自治省行政局選
       挙部長      皆川 迪夫君
       自治省税務局長  降矢 敬義君
      ――――――
       会計検査院長   山崎  高君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引続き、鈴木強君の質疑を行ないます。鈴木君。
○鈴木強君 きょうはひとつ、予定を変更しまして、万博の事故の問題を最初に伺いたいと思います。
 十四日の開会式にも、御承知のような空中ビュッフェの事故がありまして、三時間半もお客さんがかん詰めになるという事故がありましたので、われわれはその後たいへん心配をいたしておったのでありますが、昨日、動く歩道で四十数人の重軽傷者を出すという大事故が発生いたしました。また、きのうは、子供たちの楽園、エキスポランド、ここでもジェット・コースターがワイヤのゆるみでストップをして、四十二人の子供たちが地上十メートルのところから非常階段を使って脱出するという、こういう事故も起きております。また、きのうは、立体迷路で、五つの坊やが、この遊び道具の繩ばしごから転落をして大けがをする、こういう事故が起きておるのでございます。「人類の進歩と調和」をテーマにした万博会場が、このような「人類の後退と混乱」を起こすような事故が発生したことは、非常にこれは問題だと思います。ひとつ、その模様を初めに報告をしてもらいたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日、万博会場内で、御指摘のような事故が起こりましたことはまことに遺憾なことでありまして、心から申しわけないことに思っております。
 事故の起こりましたのは、午前十時ごろ、北ゲート近くの動く歩道の乗り降り場で起こったのでございますが、四十二名の負傷者がございまして、四十一名は女でございます。すぐに診療所、病院に収容いたしまして、応急手当をいたしましたが、三十三名の方々は軽微でありまして帰宅をされました。九名が入院をしております。そのうち四名が重体でございます。協会から事務総長以下幹部がすぐに負傷者の見舞いのために病院に出向いております。
 なお、事故の原因でございますけれども、ただいま関係者が警察の調査、事情聴取等のために協力をしておもむいておりますので、もう一つ正確に突きとめられませんが、これは警察の調査に協力する形で事実を究明してもらうことがよろしいのではないかと思っております。
 なお、問題の、動く歩道につきましては、今日全面的にストップをいたしました。多少の、それからくる混乱は予測されますけれども、安全装置を確認いたしますまで再開をしないようにということを申してございます。
 なお、関係各省、それから建設関係の担当官、専門家などを入れまして、事故対策特別委員会をつくって、今後のこともございますので、調査研究をするように指示をいたしておきました。
 なお、今後考えられる対策は、それらの調査等を待って考えるべきでございますけれども、とりあえず、動く歩道の乗り降り場の観客を誘導するための柵でありますとか、あるいは標識を増設する。また、場合によって、乗る人々の数を制限する。また、必要があれば――現在、往復の、行き来の動く歩道があるわけでございますから、乗員の動向に応じまして、それを両方とも同じ方向へ二本動かすことも考えられるかとも思っております。この万博の会場では、中央に協会の警備隊本部、そこに通信指令室がございまして、それが無線装置を持ち、また閉回路の、クローズサーキットのテレビジョンを持って、各現場を見ておるわけでございます。無線の端末装置が各出先にございまして、そこから指令室に情報が入ってくるようになっておりまして、今回の場合、この情報の伝達と、それからそのあと、診療所、病院、休憩手当所等に収容するその間の手続は、かねて計画されておりましたとおりいったようでございます。
 ただいままでのところ、事故の原因が、一人のお客さんが動く歩道の上で倒れたことに起因するのか、あるいは乗り場と降り場とのお客が交錯をして、そこから起こったものであるか、この点がまだはっきりいたしておりません。いずれにいたしましても非常に申しわけないことで、全員緊張いたしまして、とりあえず、事故の究明、それから対策等をただいま考えておるわけでございます。
 なお、ジェット・コースターの点のお話がございましたが、これは、調査いたしますと、ジェット・コースターは発進をする位置までの間百メートルほどあるようでございますけれども、ワイヤ・ロープでそこまで引っぱり上げまして、そこから発進をするということになっておるようであります。そこで、このワイヤ・ロープが何かの形で伸縮に狂いを生じましたときには、ジェット・コースターが動きませんように安全装置が働く、そしてストップをするわけでございますが、今回の場合には、その安全装置が作動をしてストップをした。何ゆえワイヤ・ロープの伸縮が予定どおりでなかったかということにつきましては、それが気温の差によるものであるかどうかといったようなことを、ただいま調査をいたしておるところでございます。
○鈴木強君 通産大臣の御説明でかなりわかりましたけれども、これは、事故の原因等については、警察のほうでも現地で取り調べられていると思いますけれど、警察関係のほうから、特に事故発生の原因、これをお伺いしたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 三月二十六日午前九時五十五分ごろ、お祭り広場から土曜広場に至る動く歩道――全長百二十メートルであります。動く歩道のソ連館出口付近で、ソ連館のほうへ来る観客と、ソ連館のほうから中央方面に行く観客とが混雑して、この歩道から出る観客が同歩道に入る観客に出口をはばまれたために行き詰まり、後続の観客に押され、重なり合うようにして倒れ、重傷六名、軽傷三十八名が発生したものでありますが、詳細の原因については目下調査中でわかりません。
 事故発生の報に接するや、直ちに警察官八十名を現場に急行させ、協会側警備員とともに、被害者の救出、病院への搬送及び観客の整理に当たらせました。
 なお、この件については、万博協会の雑踏整理体制と各種乗りもの機器の点検整備、警備要員の訓練を一そう強化するように要望するとともに、警察としては、さらに協会側と緊密な連絡をとり、雑踏事故の防止につとめるよう指示しているところでございます。
○鈴木強君 公安委員長の御報告ですと重傷は六人と言うんだが、通産省側は四人と言っておりますが、これはどっちが正しいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今朝聞きましたところでは、なお重体であると言われておられるのは二名だそうでございます。一人の人は回復に向かっておる。いずれにしても、入院をしておられる人が九名というふうに聞いております。
○鈴木強君 これは食い違いがある。どっちが正しいんです。警察庁は六人と言い、通産省は四人、二人違うんです。人命問題です。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 警察の調べは、けさもう一度確認した数字でございます。
○鈴木強君 警察のほうが私は信用度が強いように思いますから、宮澤さんのほうでは、ひとつもう一回調べてみてください。それで、私の質問中に答えてください。
 それから、いま伺いましたけれども、事故発生の原因について警察当局からのお話を聞きました。問題は、安全対策が十分であったかどうかということに基因すると思います。それで、この施設本体にどっか欠陥があったのか。この会社はどこの会社がやったかわかりませんが、そういう工事上のミスがあったのではないかということが一つですよ。
 それから、いま警察からも言っているように、警備要員の人たちの訓練というものが不十分だった。特に、お話によりますと、あの動く歩道をとめるためには、ちゃんとスイッチがあるんだそうです、すぐ女子の職員がいる近くにね。ところが、その職員は一ぺんも訓練されてないから、そこにスイッチがあることを知らなくて、逆にかぎを取りに事務所へ飛んでいったということが言われている。それから私が疑義に思うのは、もうすでにごとごとと小さい上下動だとか、それからきしみの音が聞えておったと、そこにいるガードマンさんたちに。にもかかわらず、それに対しては何らの手を打っていない。これは明らかに過失ですよ。協会側の過失ですよ、これは。そういう問題を、もう少し私は政府としてもちゃんと指導しなければいかぬと思います。これは特殊法人の協会ですから、通産大臣の立ち入り検査もできるはずですよ。これは民法上の特殊法人でしょう。だからして、私は、もう少しそういう安全対策について通産省としても、しっかりやっていただきたいと思うのです。どうですか、そういう点が欠けておったんでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘になりましたようなことは、私も報道等では存じておりますけれども、いずれにいたしましても、警察当局の最終的な取り調べを待ちまして判断をいたさなければならないと思っています。構造上の問題なども、やはり一ぺん調べてもらう必要があるというふうに考えております。
 なお、係の人たちの訓練は、昨年の暮れに一週間余り、それから三月一日から開会式までいたしておるのでありますけれども、何ぶんにも、開会式の日取りがきまっておりましたから、おそらく訓練が十分な状態であったとはなかなか申せないのではないか。率直に申しまして、そういう点はあったかと思います。
 それからもう一つ私ども考えますことは、あの中には俗に未来都市と言われるようないろいろな施設がございますが、そこに、ことに地方から出て来られる、それも中年、老年の人々から申しますと、毎日の生活環境とかなり違った施設、設備があるわけでございますから、ことにたくさんで、また、予定も無理をして来るというようなことになりますと、私どもが考えておりますよりはかなり違った生活環境に突然飛び込むということになるのではないだろうか。そういたしますと、そういう人たちを誘導いたしましたり、あるいは施設を使ってもらいます上で、よほどその点をこれからの警備誘導等で考えていかなければならないのではないかという点も、あわせて私考えておるところでございます。
○鈴木強君 これは確かに、たくさんの観客が、一度に何十万という人たちが入るわけですから、相当の混雑が予想されます。モントリオールの場合にも幾つかの事故が出ておるようにも聞いております。したがって、そういう安全対策というものは、絶対に、この万博の場合もそうですが、すべての場合にそうですけれども、抜かしてはならない、欠かしてはならない対策の一つであったと思うのですけれど、どうもそういう点に抜かりがあったように思います。まあ私は、きょうは時間の関係がありますから、これ以上この問題では触れる時間がありません。
 それで、もう一つ関連をして、この会場の中にある食堂ですね。これが非常に値段が高い。たとえば、筋ばかりのビフテキが一人前千円だとか、カレーライスが二百円であるとか、ビールの小びんが四百五十円、それから、どっかの広場の近くにある大衆食堂では、ラーメン一ぱい百五十円、卵どんぶりが二百五十円もしておる。一体、こんなべらぼうな高い値段で売っておるのに対して、何ら指導をしないんですか、これは。これはどこの官庁がやるんですか、そういう指導は。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう評判は私どもも聞いておりますが、これは、協会が営業を許しますときに、営業についての規則がございまして、その特別規則によりまして、営業者は販売する商品の定価について協会と協議をしなければならないということになっております。そこで、現在売られております価格は、その協議された価格でなければならないはずでございますが、もし協議決定の価格に違反している場合にはこれは違反になりますので、協会として必要な改善を要求することができます。したがって、現在協会では、現実に非難の対象となっておる品物及びその価格について、サービス等も含めまして調査をしておりまして、協議に違反しておれば、これは改めさせるということに、いま申しておるところでございます。
○鈴木強君 あすこに入るのには、あれですか、幾らか権利金を払って入るんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一平方メートル当たり二万五千円から、高いものはその倍程度の権利金を払っておるそうでございます。
○鈴木強君 これは、特に契約書の中で協議をしてきめるということになっておるのに、協議をしないでそういうべらぼうな値段をつけておるということは、これは契約違反でしょう。そんなものをいつまで放置しておくんですか。向こうに、あなたのほうは通産省の出張所を設けているんでしょう。電話でどんどん連絡がとれるじゃないですか。なぜそんなこと早くやらないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、協議に違反しておりましたものは当然改めさせなければなりませんので、そういうことに申しております。
○鈴木強君 だからね。こういう値段で売っておりましたからこう改めさせる、と言ってください。じゃなきゃ、わからない。
○国務大臣(宮澤喜一君) 市中のデパートの価格、あるいは宝塚あたりの遊園地の価格に比べまして、確かに会場内で売られているものがかなり高いということが、調査の結果、幾つかの品目について具体的に明らかになっております。これは、多少高いことは、百貨店などに比べますれば、私はあることであろうと思いますが、とにかく、これだけの事実が明らかになりましたので、これをどのように是正するかということが、ただいまからの問題であると思います。
○鈴木強君 時間がありませんから、その内容を全部知りたいんですけど、時間の関係がありますから、あとからその資料を出してくださいますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府がこの委員会に提出いたしますような厳密な意味での調査ではございませんが、ともかく当局が調査いたしましたものがございますので、のちほどお目にかけます。
○鈴木強君 もう一つ。せんだって、沖繩のコザ高校の二年生の生徒が万国博覧会見物のための修学旅行に参りまして、あの近くの旅館に泊まったんです。ところが、これは簡易宿泊所であって、プレハブづくりの非常にお粗末なものである。実に憤慨をしておりまして、新聞にもたたかれておるんだが、一行が泊まった宿舎は簡易プレハブづくりの二階建て、一棟約百人を収容して、二段ベッドをぎっしり並べ、出入口をカーテンで仕切っている。ふとんは一枚で、沖繩から来た生徒たちは、ぶるぶるふるえておったという。一体、こういうことはどこが取り締まりをしているんですか。これは亀田委員も、前に補正予算のときに、非常にインチキな建設業者がいいかげんな建築をしておるようだから特に注意をしてくれということを言ったはずですね。どうです。
○国務大臣(根本龍太郎君) 調べましたところ、これは許可を受けないで使用しておるということで、そのために、この監督は府でございます、府のほうに厳重に監督するようにいたさせました。なおまた、手直しさせたこともありますけれども、沖繩の問題は、全くこれは使用する段階に至らない不設備のものを、かってに営業しておったということでございます。
○鈴木強君 建築は、まあ建築基準法に違反してつくったならば、これは取りこわさなきゃいかぬと思う。一体、旅館を営業している場合に、その設備は厚生省が御監督になるわけでしょう。内田厚生大臣はこれ知っておると思いますが、何かありましたか。
○国務大臣(内田常雄君) 当時、私もそういうことを新聞で見まして、さっそく担当に申しつけまして、旅館業法によりまして旅館等の場合には都道府県知事の許可を必要とするものであるから、許可を与える場合には十分国民の健康や宿泊にたえるようなものに、そういうことを確認した上許可すべきである、無許可のものは直ちにこれを廃棄させるように、ということで通達を実は出させてございますが、なお、今後ひとつそれを検討してみたいと思います。
○鈴木強君 これは、内田厚生大臣は非常に適切な措置をしていただいて、私は国民にかわって感謝します。そういうふうに、行政が、ツーと言ったらカー、カーと言ったらツーと、こういうふうに動いていけば、国民は、ああいいなと思うわけです。いまみたいに、通産省みたいに、もたもたもたもたしておって、私の質問に答えないときには、点数が悪くなる。これは非常にいいですよ。もっとがんばってください。
○亀田得治君 ちょっと一つ関連してお聞きしますが、通産大臣にお聞きします。
 食堂の値段が高いということで、大阪の地元じゃ非常な不評判であります。そのことにつきまして、先ほど通産大臣が、いろいろ調査したところ、デパートの食堂なり宝塚の遊園地等の食堂に比べて高いということがわかった。だから、これを改めさせるのがこれからの問題だというお答えをしておるんですが、その前に、そういう料金をきめる場合には協会とその業者が協議をしてきめると、こういうことになっておるという話なんですね。したがって、そうであれば、その高い値段で売っていたのは、一体その協議にかかっていたのかどうか。その点を明らかにしてほしいんです。協議にかかりながら、万博の協会自体がそのことを認めていたんじゃないか。権利金を相当取っておるし、そういうことから認めていたんじゃないか。そういう、さっきのお答えを聞いていて、感じがするわけです。それではなかなか、業者のほうも、協会が一たん認めておって、いまさら何事かという話になりかねないわけですね。だから、その間の事情をひとつ明らかにしてほしいのです。高い値段というものは、業者がかってにやっておるものなのか、協会との協議を通っておるものなのかどうか。これが一つ。
 関連ですから一度に聞きますが、それからもう一つは、業者を協会が指導して、そうして普通の値段にこれを改めるようという指導をした場合に、それに従わない場合に、そこで営業する許可を取り消すと、こういったことができるような、協会と業者との間の協約になっておるのかどうか。この点が私はきめ手だと思うのですね。業者との間にそういう取りきめがないということになれば、これは水かげ論に終わる可能性もあるわけですね。
 二点だけ……。いろいろありますが、この二つの点だけ明らかにしてほしいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ごもっともなお尋ねであると思います。私も実は先ほどお答えをしながら同様の疑問を持ったのであります。つまり、協議して価格をきめると申しましても、その協議に応じる場合の基準価格というものが妥当なものであったのか、あるいは甘いものであったのかという、その問題が一つあると思うのでございます。
 それから、もう一つは、協議に違反しておるかどうかということでございます。後者の場合でございますと、協議の価格に違反している場合には是正を要求することができるということの由でありますが、その要求に応じない場合は、いわば与えました権利というものをもう一度奪回するというようなことが協定上ありますのかどうか、まことに申しわけありませんが、私いまつまびらかでございません。これは調べましてお答えを申し上げなければならないと思いますし、早急に調べまして申し上げます。
 それから、協議基準がそもそも高過ぎておるのか、あるいはそれはまあ妥当であるのかというようなことにつきましても、もう少し調査いたしましてお答えをさせていただきたいと思います。
○鈴木強君 これの問題について総理に最後にお考えを伺っておきたいのですが、まあ、「人類の進歩と調和」、これは総理のいつもおっしゃる考え方がテーマになっていると思うのですけれどもね。いまお聞きのように、開会まだ間がないわけですが、非常にいろんな事故が起きておりまして、たいへん不評判です。特にきのうの事故にあった方々は、もうこんなところには皆さん来ないほうがいいですよ、こういうことまでテレビを通じて当時の心境を述べております。聞いてみますと、いろいろと監督の面も入り組んでおりまして、厚生省、建設省、通産省、そういう監督の問題、あるいは指導の問題につきましても、基本的には、通産省が所管をしている特殊法人だと思いますから、通産大臣が御認可になった特殊法人だと思いますから、通産大臣にあると思いますけれども、もう少し全体としての指導というものを強化していただいて、この際思い切って総点検をする。そして再びこういう事故がないようにひとつやってほしいと思うんですけれども、総理大臣としての確固たる信念をひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君の先ほど来のお尋ね、また、当方の政府側の答弁など聞いておりまして、とにかく、いずれにしても、新しい万博というこの企画、それがいま実施されておるのであります。まあいろいろ考えなければならない点が多いと思いますが、何にいたしましても、第一は、現地において処理できるものが大部分じゃないか、かように思っております。私は、現地の万博協会それ自身がもっと責任をとるように明らかにする、これが第一じゃないか。もちろん、それにつきましても、中央官庁がそれぞれ協力することも当然でありますが、ただ、中央官庁が総合的に機能を発揮しないからこういうような事故が起こると、こういうようなことは許せない弁解だと、かように思っております。私どもも張り切って、アジアで開かれる万博というものを十分各界各層の方々に、また国内だけではない、世界各国からいらっしゃった方々に満足を与えるという、そういうこともよく注意しておるのでございますから、この上とも、いま御指摘になりましたような点、これはさっそく改善すべき点だと、かように思いますので、万博当局とも十分連絡をとって、今後一そう気をつけてまいりたいと、かように思います。
○鈴木強君 続いてもう一つ、事故の問題にも関連するお尋ねでございますが、実は、ジャンボジェット機が三月の十一日に太平洋に一往復就航いたしました。ちょうど二週間たっておりますが、聞くところによりますと、たった一度もスケジュールどおりに羽田に着いたことがない。そのために、受け入れ側の税関、入管、検疫、こういった、まあ大蔵省関係でしょうが、の方々、あるいは運輸省のほうの関係になる地上整備員だとか、あるいは航空管理制員ですね、それから荷を積みおろしする人とか、あるいは修理する人とか、そういう人たちが夜も寝られなくなってしまって――これはたいへんな話なんですね。私は、運輸委員会でも運輸大臣に二度、この問題は念には念を押して受け入れ体制について意見を述べ、お願いしておったのですけれども、残念ながら、こういうことになっておるわけであります。特に十一時以降は騒音規制の場所でございますから、夜中の零時、一時に到着をして、その規制のわれわれの基準に反するようなことがどんどん行なわれておるわけです。特にきのうは、税関、入管、検疫の三機関の方々が、もうがまんできないということでもって、パン・アメリカンの羽田空港の支店に、時間を守れという、まあ厳重な抗議をしておるわけです。これは自然発生的に。担当の人たちから見ればそうなると思うのですね。これは私は許せぬと思うのです。だからして、もしその原因がどこにあるのか。改善できないならば、もう十一時以降に到着した飛行機は出発させないというぐらいのことをやるべきじゃないでしょうか。そうしないと、たいへん迷惑ですよ。
 それからもう一つは、来月からはまた三往復になりますね。これは、国内航空、あるいは日本の国際航空ですね、日航の場合。あるいは外国から入ってくる。こういった航空管制ということについてもたいへんな支障を来たすと私は思いますから、この際思い切った措置をとってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) おっしゃるとおり、ジャンボが入ってきて、なかなかうまく運航ができておらないようであります。ちょうど小さな池に鯨が入ったようなものでありまして、たいへん混雑いたしておるようであります。これにつきましては、ジャンボ就航前に日本側としては現地アメリカにおいてジャンボジェット機のいろいろな研究もし、かつまた訓練もしてまいったのでありますが、大体の遅延の原因を調べますと、大部分の原因は、フライト中の時間ではなくて、荷物のいわゆる積みおろし、及び、大量の人がおりるものですから、それを受ける税関の取り扱い等が、日本側よりは、どちらかといえば、ロサンゼルスなり、あるいはハワイ等でおくれまして、それがだんだんと、日本が終着点でありますから、おくれおくれになっておる、こういうような事情であります。しかし、いまおっしゃったように、相当混雑しておる日本の飛行場でありますからして、平均二時間半ぐらいおくれております。長いときには五時間ないし六時間、そういうような時間がある。ことに、制限の十一時を過ぎて出発をせざるを得ないというのも、まあ二、三回あったわけであります。
 こういう状況にかんがみまして、羽田飛行場長から、いま鈴木さんがおっしゃったように、厳重にパン・アメリカンの会社並びに関係方面に通達を出すのみならず、空港長からも口頭をもって、最初、このような状態では飛行場の運営管理が困難である、したがって、運航時間、スケジュールは守ってもらいたい、こういう強い申し入れをしております。また本日、私からの指示によりまして、航空局長がパン・アメリカン並びに連邦政府の航空局に対して、このような実情である、こういう実情であっては飛行場の管理運営等に支障を来たすからして、したがって、このようなことのないように、万一今後引き続いてこのような状態があるなれば運航に関しても制限を行なわざるを得ないから、その点ひとつ了承願いたい、こういう意味の厳重な警告を文書で出しております。まあどういう状況になりますか、来月からはジャンボが倍になりますから、また、七月からは日本航空がジャンボを入れる、こういうことで、これからは羽田の飛行場は、正規の運営が行なわれなければ相当な混雑を来たします。そういう意味において、全体に影響するところは重大でありますからして、これが規制は十分に行なう方向であります。
 このような状態でありますからして、したがって、何といっても成田新国際空港は早く完成しなければ、ジャンボ機は向こうでもってやる予定でありますからして、この際、少なくとも来年の四月には新国際空港が発足できるようにしたい。そうなれば、新国際空港のほうで主としてジャンボを引き受ける、こういうことになって、将来のジャンボの増発に対する対策もできるわけでありますからして、できるだけこの方面の仕事も進めてまいりたい。同時に、羽田飛行場の秩序維持ということについては最善の措置を講ずる考えでおります。
○鈴木強君 まあ、ちょっとおそかったんですけれども、大臣が具体的折衝に乗り出していただいておりますから、その点、私は了といたします。ただ、お伺いしますと、おくれの原因が、ロスなりあるいはハワイにおける離陸の時間ですね、日本に向かって。そういうところにあるとするならば、これはやはりもう少し、なぜハワイにそう長くとまらなければならないかということを追及する必要があると思う。そして、どうしてもこういうふうにおくれが恒常的になるならば、出発をもっと早くしてもらうとか、日本に到着するのをもっと早くして、夜中の、人が寝ておるときにジャンボにぶうぶういわれたんではかなわぬわけですから、そういう点を含めて、もう少し積極的にやってもらいたいと思うんですが、これは運輸省が直接向こうのパン・アメリカンの本社とやるということになるわけですか。外交ルートを通さないでやるわけですか。その点はどうなるんですかね。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 航空のスケジュールの問題は、いわゆる会社関係なり空港がこれを行なっております。したがって、協定に関する直接の監督は運輸省でありますけれども、こまかい運航時間については関係者がこれをきめる、こういうことになっておりますが、しかし、いま鈴木さんがお話しのように、どうしてもコンテナの扱い等によって、あるいは乗客の乗り降り等に時間を費やす、従来の経験から考えて、どうしても時間がかかるという以上は、出発の時間を早めてもらう、こういうことも必要性があると思いまするが、いずれにせよ、わがほうとしては、もし午後十一時以後におくれた場合は、これは翌日に延ばすというくらいの強い規制を行ないたいと、かように考えて、その旨を航空局長に指示をいたしております。
○鈴木強君 だから、航空協定の中でそういう時間きまっておるわけですか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 航空協定の中には運航時間はきめてはおりません。したがって、それは当事者間でもってきめて、それをまあ了承すると、こういう立場になっております。
○鈴木強君 航空局長があなたの名代でやられるそうですけれども、できればやっぱり運輸大臣が直接その支店長と会ってやるような方法を考えていただけませんか。なまやさしいことじゃだめですよ、これは。
○国務大臣(橋本登美三郎君) そのような方針で指導いたします。
○鈴木強君 特にことしは万博もありまして、相当に外国からの飛行機が乗り入れてくると思いますから、ぜひひとつ絶対に事故の起こらないように万全の対策を立てていただきたいと思います。
 次に、言論・出版の問題について総理に若干の質問をしたいと思います。
 公明党、創価学会が言論・出版の自由を妨害したのではないか、こういう問題は御承知のように、衆議院の予算委員会を中心にして激しく論議がかわされたのでありますが、われわれ国民は、事柄が憲法第二十一条に規定されております言論・出版の自由の保障という基本的権利にかかる問題でありますだけに、きわめて重大な関心を持って論議の成り行きを見守ってまいりました。と同時に、国会の論議を通じてこの問題の真相が究明され、そのことが国民の前に明らかになって、今後再びこのような論争が国会の中で行なわれないようにと、こう私は願っておったと思うのでございます。しかしながら、残念なことに、国民が最も期待をしておりましたこの真相究明のための国会の中での論議ということが正規の場で行なわれなかったために、今日もいろいろとこの問題については疑義を持ってると思います。まことに私は遺憾にたえません。そして、この国会の運営そのものに対しても国民はかなりの疑問をまた深めてると思うのでございます。衆議院では、真相究明のために必要な証人、参考人の要求をめぐって意見が対立をいたしました。そのために最後まで調整がつかなくて、社会党、民社党、共産党の有志議員による、言論出版妨害真相究明の議員集会が開かれました。そうして、そこには藤原弘達氏外数人の参考人の意見開陳が行なわれたのであります。この集会における参考人の意見は、新聞、ラジオ、テレビ等を通じて大きく取り上げられております。その関係で、事実関係というものは国民の中に、この限りにおいては知らされてると私は思うのでございます。こういう報道が大々的に行なわれましたあと、国民の多くの人たちが、あれだけの事実関係が議員集会によって明らかになった以上は、なぜ自民党も公明党さんも国会の場所で堂々とこれに反論しないだろうか、こういう考え方を強くしてると私は思うのでございます。多くの新聞が一斉に社説でこの問題を取り上げたことも総理大臣御承知のとおりでございます。私は、このような言論・出版妨害の疑いがあるかないかという、この重大な問題が国会の論議を通じて明らかになっておりませんことは、前にも申し上げましたように返す返す残念に思います。したがって、参議院におきましては、参議院の良識によって冷静な態度でこの問題を取り上げ、そして言論・出版の自由の確保をはかるために優秀な結論を出さなければならないと私は思うのでございます。
 そこで一つ二つ、自民党の総裁であり、内閣の最高責任者である佐藤総理大臣にお尋ねをいたします。
 その一つは、「創価学会を斬る」の著者藤原弘達氏と田中自民党幹事長の二回にわたる会談についてでございますが、この会談が行なわれたことは田中幹事長もお認めになっておるようであります。田中さんは、要らぬおせっかいをした、こう言っておられますが、議員集会における藤原氏の発言内容を見ますと、おせっかいをしたというようななまやさしいものではないと私は思います。したがって、田中さんは少なくとも自民党の幹事長でありますから、かりに個人田中としてこの会談に出席されたといたしましても、与える影響は非常に大きいものがあると私は思います。
 そこで、総理大臣は、田中さんが藤原さんとお会いになることについて事前に知っておったかどうかということが一つです。もし知っておらなかったとするならば、こういう会談が持たれたことに対して総理としてはまずいと思いますか、どうですか。そういう上に立って総理としてのき然たる言論・報道・出版の自由を守るというお考え方をこの際明らかにしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 本国会では、衆参両院とも言論の自由、そういうものに対する圧迫と、こういうことが論議されております。また衆議院においては、ただいまも言われるように、特別な集会が持たれて、そうして証人に当時の模様を聞く、そういう態度をとられました。また、私この前、二宮君のお話を聞きながらも、二宮君が、やはり公明党の黒柳君自身が、どういうわけであんな発言をするかというようないろいろ怪電話がかかった、こういうような話も聞いております。もともと言論の府というか、国会というところは、とにかく自由な言論、これを展開することによって国民の真の政治意識、それに沿うところだと、かように私は思っております、したがって、国会における発言などはまあどういうことがあろうとも、政府もそういう意味ではこれこそほんとうに言論の自由を保障されていると。したがって、皆さん方も御承知のように、議員の発言は責任を間うというようなものではないとまで言われておる。しかし、その発言すらいろいろな圧迫を受けるような状態にただいまなっておる。こういうような事柄は、とにかく、一般世相としてこれは正さなければならないことだと、かように私は思います。これは与野党を問わず、政府といわず、これは当然だと思います。ところで、憲法二十条は、主として政府がこういうものに関与する……。言論の自由を保障するという、そういう立場に立つべきだということでございまして、個人間の場合だとやはり個人的な救済方法もあるのではないかと、かように思います。私はそういう意味でそれらの点は一応了承されるのじゃないだろうか。ことに議員集会の結果等がマスコミに報道ざれた。この報道がまちまちでありまして、ある程度、ある社によっては事前に計画されたメモ自身が記事そのものになっておる、こういうようなこともありますから、これもあの新聞の記事自身も国民にどういうように映り、どういうような批判を受けるか、これはまた別でございますけれども、少なくとも言論圧迫、言論の自由が抑圧された、こういう事実についての国民の関心は非常に高まったと、かように私は思っております。またそうして、そういうことこそ国民が良識をもってやはり判断し、批判するだろう、かように私は思っております。
 ところで、お尋ねになりました田中幹事長の話でありますが、私には、事前にさような相談はもちろんございません。もし事前にさような話があれば、私がどういうような処置をとったか、あるいはよけいなおせっかいをするな、かように言ったかもわかりません。またしかし、私自身が場合によると、いやあ自分もずいぶん悪口を書かれ、マスコミでは迷惑もしているから、それはやっぱり事実に合ったことを、それが正確に報道されるなら、そのとおりであってしかるべきだろうけれども、曲げて、事実が報道されないなら、これはやっぱり、それらの点を知人であるから、君からも注意することは適当だと、かように申すかもわからない。だから、私は、事実その当時の模様を知りませんから、事前の相談がなかったということだけでもうよろしいのかと思いますが、一言よけいなことを申せば、そのときに、はたして田中君の行動をとめるか、あるいは、君はそこまで知っているんだから、よけいなことではあるが、とにかく正しい事実、それはやっぱり報道することが必要だろうが、しかし、それらのことについて十分考えるべきだと、こういうような注意はしたかもわかりません。したがって、私は、過去の事柄でありますので――仮定の事実についてはいろいろ相談されましても、とやかくの批判は、これはもう当然受けるべき事柄だと思っていま発言をしておるのでありますが、はっきり申し上げれば、事前には相談はなかったと、それだけははっきり申し上げておきます。
○鈴木強君 いま首相が二十条のことをおっしゃったのですが、これは信教の自由の点でありまして、この二十一条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」ということは、何か総理は、政府が二十条についてはやるのであって、個人的には何か幅があるだろうというようなことをおっしゃったのですけれども、二十一条の言論、出版から集会、結社の自由というのは、これは個人であろうと政府であろうと、一切これは関係ないでしょう、平等でしょう、これは法のもとに。そこのところ、ちょっと誤解があってはいけませんので、そこを私が聞きましたので、もし、私の聞いたのが間違いだったらひとつ直してもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、二十一条は結社の自由だと、かように思っております。したがって、特別な宗教信者といえども、これは結社の自由はあると、かように私は考えておりますので、そういうことで、結社の自由というものは、そういう意味ではないかと、かように思っております。
 あわせて表現の自由も入っていると、こういうことでございますから、私の不足した部分は訂正させていただきます。
○鈴木強君 表現の自由が入っているというのですけれども、首相が言ったのは、二十条については、むしろ政府が拘束されることであって、個人の問題については幅があるというようなことをおっしゃったのだが、私が言っているのは、二十一条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」ということは、個人であろうとだれであろうと、これはもう差別はないし、当然法のもとに平等な保障がされているんだということを私は聞いているわけです。その点、ちょっと総理の言っていることが違うのですから、はっきりしておかぬといかぬです。
○政府委員(高辻正巳君) ごもっともな点の御指摘でございますけれども、総理が言われましたと同様なことを私も実は説明をいたしておりますが、要するに、基本的人権――特にそのうちの自由というものが一体何に対して保障されるのかという問題でございます。で、そういう自由というものについて、最高裁の判例等を引用して申し上げるほうがおわかりがいいかと思うのでございますが、たとえば、昭和三十年ないしは四十二年にございますが、これはたまたま信教の自由でございます。しかし、自由としては同じでございますが、そういう自由は、国家、その他の権力によって不当に侵されないことをいうのだというようなことが言われておりますし、また、この昭和二十六年あるいは二十七年の判例には、「言論、出版その他一切の表現の自由」というものに関連して、自己の自由意思に基づく制限を受けることがあり得ることを述べた裁判例がございます。要するに、憲法はよく、国政の基本に関する事項を規定したものだと言われておりますが、そのことから明らかでありますように、この自由というものは、この国政の権力に対して自由であるということ、国政の権力からの自由、これの保障というものが憲法の成立の由来でもありますし、典型的にはそういう場面を示しているものであるということが言えることは、まず間違いがないことだと思います。
 ただし、だからといって、それでは私人間でそういうものが放任されていいものかといえば、それはそうではなくて、そういう場合のために国内法の整備があり、民事上の責任の追及あるいは刑事上の責任の追及のための法の規定が整備されておるということになっておるわけでございます。で、それをまあ総理は簡単に言われたわけでございますが、本質的にはいま申し上げたようなのがこの筋道であろうと思っております。
○鈴木強君 判例を一応読み上げられましたから、結論だけは、わかりましたけれどもね、しかし、いま法制局長官もおっしゃっているように、だからといってね、個人の自由というものが侵されていいということにはならぬと私は思うのですよ。だから、その判例そのものが表現の自由、出版の自由、結社の自由、団結の自由についてのずばりの裁判であれば知りませんけれども、そうでなくて、関連したことから出てきたことをあなたは判例として出されたわけですからね。ですから、私はいまの法制局長官のことばをそのままいただくわけにはまいりません。憲法の解釈そのものは、これはまあ最終的には最高裁の判断に待たなければならぬと思いますけれども、そういうなまやさしいような、だいぶ弾力性のあるようなことを言われてはこれはちょっと迷惑しますよ。これはひとつこの場所で論争するという時間がないですから、また機会をあらためますが、そこで、藤原氏の発言というのは、総理も新聞でごらんになったと思いますけれども、かなり詳細に事実関係を述べておりますね。あれが全国的に伝わって国民の耳に入っている、頭の中に入っている。そうなりますと、それを否定しないということになると、それは事実として生きてくる――生きてくるというか、事実として認められてくる。こういう反作用を持っていると思うのですね。そういうふうなことで非常に真相究明ということが、一方の発言ですから、それに対してこうだということが出ておりませんので、非常にこれは困ったことだと私は思うのですが、そういう結果から見ると、しかし言わなければ認めたということになるのですか。――そういうふうなことになってもこれはやむを得ないのでしょうかね。それでもいいというのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 賢明な国民はあの記事を見てどういうように感じますか、その国民の良識で判断さるべきことではないかと、かように私は思っております。
○鈴木強君 そういう抽象的なお答えでは私にはよくわかりません。
 そこで、この田中さんと藤原さんの会談というものが、言論・出版の自由を妨害したものではないというふうに総理は確認いたしますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、田中君の国会討論で発言したところを聞いた。そうして田中君がはっきり、よけいなせっかいをしたのだと、こういうことを述べて、これは各党の代表者がその討論会で聞かれたことだし、また国民もそのまま聞いておる。確かに、私はよけいなせっかいをしたのだと、かように私は考えておりますし、いわゆる圧迫という問題だろうとは思わない。これはまあ私どももしばしばあることですが、現にたとえば私自身の悪口を言えば、また事実に反することが載るとすれば、それはひとつ何とかしてやめてくれぬかと、こういうことを話しするのはこれは当然です。これは普通の人情だと、普通のありきたりだと思うのですね。それをまあ直ちに、いや買収だ、いや圧迫だ、供応したと、とやかく言うのはこれはいかがなものでしょうかね。だから、その程度の問題も、過ぎるとこれは言われるとおりになりましょうが、しかし、あの程度の問題は、田中君が言っているように、これはよけいなおせっかいだと、私のところへ参りまして、たいへん総裁に御迷惑をかけてほんとうにただいま反省しておりますと、かように申しております。私は、それでいいのだとかように思っております。
○鈴木強君 それはそれとして、総理がいいと言うなら私がもう介入する余地はないわけですから、それはいいですけれども、ただもし私は、国民の立場からまた議員としての立場から心配するのですね。もしそれだけの妨害をしたことではない、買収をしたことではないというのであれば、むしろあなたは自由民主党の総裁として、国会は自由に言論について発言できる場所ですから、相手方がああいうふうに言っておるのだが、これは事実と違っておるのだということを堂々と証人なり参考人を出して、この国会の場でもってその真相を究明して、なるほどそうだったかと、言論・自由の妨害はなかったのだと、こういうことをはっきりさせることが私は総裁として一番大事なところではないかと思うのですけれども、どうでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはまあ使い分けしたと言っちゃ申しわけございませんが、私は総裁であると同時に総理でございますし、また、その政府がこういう国会の問題にタッチしたと、かように言われることも避けなきゃならない、かように思います。したがって、別に自分を二重に使い分けしたわけではありませんが、政府がきめることではない。私は、こういうような問題が国会の各党で、全部が賛成してですね、きめられるという、そういう態度が望ましいことではないだろうか、かように思います。少なくともこういうような問題が、まあいろんな問題がありますが、ことにまあ一党について、それが特別な非難攻撃を受けると、こういうような問題が全党の、各党の了承のもとに証人を呼ばれるならともかくも、それをやっぱり数で証人を呼ぶことを決すると、こういうようなものではないだろうと、かように私は思っておるので、ただいまこれらは総裁としての議論としてもですよ、……してはどうも国会でおきめになることではないか。よけいなことを政府は言わないにこす……。まあ一言多いとこれはたいへんな問題であろうと私は思っておる次第でございます。
○鈴木強君 まあ総理はわかっておっておっしゃっているのだと思うのですけれども、まあ私からすれば、総裁であり総理、総理であり総裁ですからこれは同じですね。二重的な議院内閣制をとる場合には、それなんですよね。したがって、大学管理法のときに、総裁が参議院議長に会って何かお話をされる、幹事長が来てやられる、こういうことを私たちは見ております。ですからそれは政党の総裁としてこの法律案はどうしても通してもらいたいというときにはやるんでしょうね、議院内閣制をとっている以上は。ですから私はこういう問題についてもひとつわかりました、みんなが一致しないから、たとえば参考人を呼ぶ場合でも、全体が賛成しないものを多数で押し切っていくというようなことはこれはどうかと思うと、こういうことだと思うのですね。私はそれはちょっとおかしいと思うのですよ。やはり国会運営というものはなるべくそうしたい、私も。全会一致でやるということは、これはたてまえだと思いますけれども、望ましいことだと思いますけれども、やはり最終的にはそのほうがいいという判断に立てばやはりおやりになるというのがあなたのおっしゃる多数決に従うという、その民主主義の原理だと思うのです。したがって、そういう立場からすれば、私はほんとうにあれが何でもないのだとするならば、しかも藤原さんの言っているあの発言はおかしいじゃないかということであるならば、当然それを打ち消していくだけのことを国会の場を通じてやるべきではないでしょうか。そういうことを総理としては、私はやってほしい、こういうことを言っているわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ同じことを言っていて相すみませんが、まあ、いま別にことばじりをとるわけではございません。何でもないものなら呼んだらいいじゃないか。何でもないものなら呼ばなくてもいいじゃないか。こういう議論が立つわけでございます。そこらのところは、これは水かけ論になりますから、そういう議論はともかくとして、私はいまの政治をやる、あるいは野党が反対でございましても、やはり政治の責任者として、このことは多数でやはり採決を遂行せざるを得ない、こういう問題はございますけれども、それとはこと違って、ただいまのようなこの事件の証人喚問という、そういうことはこれはやはり各党が了承しないとこれはできないことじゃないかと、多数でこれは押し切るべきものではないじゃないかと、こういうことに、私はなるのでございます。ただいまいわれるように、究明したい点がなお残っておるのだ、こういうことを、それはやはり本人について聞かなければならぬのだ、こういうことを言われますが、私は皆さん方も御承知のように、言論の自由、それの圧迫はこれは厳に戒めなければならぬというその態度が明確になれば、その公の問題としては一応済むのではないか。ただいま証人喚問というそういう事態にまでなって、そうしてそれも掘り下げていって、そこらにまたいろいろのよけいな波紋を投げかけることは、はたしてそれでよろしいのかどうか、私はやはり疑問を持つのです。これはやはりそういうような問題は、その大原則、それが守られるというそういう方向で進む、それが国民の望むところでもあり、国民はそういうことで事件の真相、その詳細にわたって事件を知ることということよりも、こういう問題についての政府の態度なり各党の態度というものがはっきりすることが望ましいのじゃないかと、私はかように思っております。まして、ただいま言われますように、これは別に問題はないのだから呼んだらどうですかという、それならばむしろおやめになったらいかがですかと申さざるを得ないようになるのでございます。これはどうもことばじりをとってとやかく申してまことに相すみません。これは鈴木君の言われることもわかりますけれども、私の真の言いたいことは、政府の政治に関する問題、これははっきりしたのだ、そういうことでお許しを得て、ただいまのそれから先の個人的な救済問題は、これは別途に考えていただきたいと、したがって、前段ならば、これは証人喚問ということに私どもも応ずることにやぶさかでございませんけれども、ただいま申し上げるように、これはそうではないのだ、そこらに他の一般案件と違うのだから、これは各党が了承されない限りやはり証人喚問をすべきじゃないと、かように私は判断をしております。
○鈴木強君 まあこれはたいへん問題はまだ残っておると思いますけれども、時間がありませんから、それではもう一つこういうことを承りたいのですけれども、衆議院の段階で例の議員集会が開かれまして、ああいう国会の正規の場所でやらなければならないことが、まあ院外というと……、この国会の会館ですからね、外といわれるかどうかわかりませんが、正規の委員会ではない、そこで開かれたということは、私も非常に問題があると思っているのです、これは。しかし、この場合に言論・出版の自由を妨害したかどうかというこれは基本的な憲法上の個人の権利の問題ですからね、そうかといって、そうだという人たちから見れば、これは引き下がることはできなかったと思うのですよね。だからして、やむを得ず私はああいう集会を開いたものだと思うのですよ。証人が出席しない、どうしても真相究明できない、したがって、ワンサイドになるかもしらぬが、一応その人たちの意見というものを聞いて、国民の判断を仰ごう、こういう趣旨で私は開かれたものだと思うのですよ。しかし、原則的には、少なくとも国会というのは総理もおっしゃるように、言論について自由に論議をする場所ですから、この正規の場所でやるというのが私は絶対正しいと思うのですね。それをはばむようなやり方というのは私は問題があると思うのですよ。そこにいま総理の言われる証人については全員が一致しなければ呼ぶべからずというお考え方に対する問題が衝突してくるわけですね。これはもっと私は論議をしなければならぬとこう申し上げたところなんです。そこで、しかし、総理としてああいうことがいいとは私、思っていないと思うのです、国会の論議のあり方として。だからしてもう少しああいう集会がああいう形で開かれないような、積極的なひとつ国会の場における運営ということを総理、総裁として当然考えてもらわなければ困ると思う。再び私はあんなようなことがないようにしてもらいたいと思う。われわれももちろんそれには積極的に協力しなければなりませんが、総理、総裁としてもそういう方向でやってほしいと思いますが、この点はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあとにかくりっぱな国会があり、それぞれの委員会があるしするのでございますから、そういうところで国会の論議が尽くさるべきだと、それ以外に特殊な議員集会というようなものが開かれて、そうしてそういうところで審議に準ずるようなことがやられると、それに参加する者と参加しない者ができると、こういうことはいいことではないことだと、これはもうおやりになったほうもいいことではないとおっしゃるし、そういうことをやらざるを得ないような状態にしたという、それらの方向にもやはり責任はあると思います。私は、そういう意味で先ほど来申し上げますように、この種のものは政府に対する問題と違うから、やっぱり各党で全部が了承する、そういう関係で初めてああいう事柄ができるんではないのかと、だから各党の賛成しない議員集会、これはなるべくやらないようにしていただきたいと、かように私は思います。
○鈴木強君 やらないようにするのには、あなたのほうもそういうふうな姿勢でやってもらわなければだめですよ。一方的では。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま申し上げましたように、それはさように思いますけれど、とにかく全部が了承するということが必要だ、かように思います。
○鈴木強君 まあ両方言っておりますから、私は総理の御意見は、ああいうものはまずい、ああいうやり方は。しかし、ああいうやり方をしなければならぬような重大な問題であったし、やらざるを得なかったんだ、しかし、そういうふうに追い込んでいったのはやっぱり自由民主党の三百議席を持つ皆さん、だからしてそういう両者がお互いにもっともっとよく話し合いをし、煮詰めて、そうしてああいうことがないように、国会の中で正規に開かれるような場所をつくるために努力をしなければいかぬということを私は言っているわけですから、それにすなおに答えていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) すなおに答えると、とにかく全体が意見が一致するということ、それが最も望ましいことだ、このことを重ねて申し上げておきます。また、そういう方向で私は絶えず努力しておるつもりでございます。
○鈴木強君 まあ、この次の問題は、私は意見として申し上げることになりますが、出版元に対する圧力が加わったかどうかという点でございます。この点につきましても議員集会で日新報道社の社長さんが、公明党の都会議員の藤原行正さんから、出版を中止されたい、題目を変えてほしい等、五つの点を申し入れを受けた、こういうことを明らかにしておるわけです。そこで私は、この際、公明党の皆さんにもひとつこの問題をよく考えていただきたいと思うんです。で、公明党の皆さんも言論・出版の自由妨害をしておらない、こういうことを再三言明されておりますし、また、党の機関紙その他一般の新聞にも責任者から談話を発表されておるし、PRもされておるわけです。そうだとすれば、やはりいま総理にも申し上げたように、国会の場所に必要な人が出てきていただいて、そうしてその公明党の言論・出版妨害なしという態度を堂々と表明されて、そうして国民からもし誤解を受けておるとすればその誤解を解く、そうしてお互いに憲法に保障された言論・出版の自由を確保するという、そういうところに私は結着をしていってもらいたいと思うのでございます。当然公党としてはそうあるべきだと私は思うのでございます。少し立ち入ったようなことで失礼ですけれども、私、これは希望でございます。
 そこで、これ以上時間ももうなくなりまして、私はこの問題について論究することはできませんので、ひとつこの取り扱い方について提案をいたしますので、委員長においてひとつ取り計らっていただきたいと思います。それは、一つは事件の真相を明らかにするために必要な参考人あるいは証人を呼んで論議をしていただくということ。二つ目は、その審議のやり方あるいは証人、参考人をだれにする、そういうことについては理事会のほうで十分に御協議をいただくようにしていただきたいと思います。このことを提案し、委員長の御所見を承って、言論・出版の問題については終わります。
○委員長(堀本宜実君) ただいま鈴木委員から私に、言論・出版の自由の確保に関しまする御意見がございましたが、この問題につきましては、後刻委員会の理事会で協議をいたしまして善処をいたしたい、かように考えておりますので、御了承をいただきたいと存じます。
 鈴木君の先ほどの御質問に対しまして通産大臣が答弁をするそうでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどの万博の事故の負傷者等の数でございますが、警察庁におかれて六名を重傷者と認定をざれたわけでございます。通産省が四名と申し上げましたのは、意識不明である患者を重体者と考えましてそれを四名と御報告をいたしました。なお、この四名はすべて先ほど現在でございますが、意識を回復いたしたそうでございます。
 次に、全体の負傷者数でございますが、警察庁は四十四名という御報告であり、これは警察当局へ届け出のあった人の数を四十四名と言っておられるようであります。通産省が四十二名と申し上げましたのは、診療所、医院等においてカルテに記載された負傷者の数が四十二名でございます。したがいまして、おそらくこの二名は、治療は受けたがカルテに記載するほどの程度ではなかったということではないかと推定いたされます。
○鈴木強君 その点わかりました。
 それで重傷者ですね、入院をしておる方々、こういう人たちの補償の問題は何か考えておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは万博協会があらかじめ一事故につきましての包括の保険契約を結んでおりまして、たしか一事故の最大のリスクは百億円という契約でございます。したがいまして、それで支弁ができるものと考えております。
○鈴木強君 次に、労働問題で若干お尋ねをしたいと思います。
 国家公務員の給与改善につきましては、御承知のように、戦後ストライキ権が禁止されまして以来、人事院勧告がそのストライキ権を補完するという意味において公務員の給与については守っておるわけです。ところが、御承知のように、人事院勧告制度が出まして以来たった一度も完全に実施されなかった。非常にこれは問題でございましたが、まあやっと政府も四十五年度からは完全に実施するというそういう御方針を固めたようでございます。おそかったがまあしかし来べきところに来たというので、私はその点は敬意を表しますが、念のために、完全に実施いたしますということをもう一回、これは総理大臣からもお聞きしておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 人事院勧告の完全実施、これは長い間の問題でありまして、政府としても完全実施のできておらない現状をまことに遺憾に思っております。ことしの四十五年の予算ではそれがまだ実現しておりませんが、来年四十六年の予算編成に際しましては、どういうものが出てこようと完全実施する、こういうことで予算編成と取り組む考えでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) いま総理が四十六年度からと、こういうふうに申し上げましたように聞きましたが、四十五年度というのを申し上げ違いのようであります。
○鈴木強君 ちょっと訂正してください。総理大臣が四十六年度と。私も言おうと思ったのだが、ちょっと訂正して……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大事な点を言い間違えまして、これはいま大蔵大臣が訂正してくれたとおりでございます。
○鈴木強君 四十五年度。
○国務大臣(佐藤榮作君) 四十五年度とはっきり訂正しておきます。
○鈴木強君 次に公労協の賃金問題について、これはひとつ給与担当の大臣からも伺いたいと思いますが――いやいや、これは総理でいいです。御承知のように、公労協は団体交渉権はあるのですけれども、肝心な給与については禁治産者で自主的能力がないという状態が続いているわけです。これはもう三公社五現業全部そうですね。そこで、この当事者能力がないことについては、総理の前の、なくなられましたけれども、池田前総理大臣が、確かに問題があるということで、太田・池田会談というのが持たれて、いまの公務員制度審議会でこの問題が論議されておると思うのですけれども、なかなかこれがうまくいかないのです。ところが、賃金交渉は毎年やらなければならないのですから、そこに大きなギャップが出ております。したがって、ことしもそういう中で公労協の諸君は団体交渉を進めていくわけですけれども、何としても――これは団体交渉で解決するというのが筋ですから、ひとつ政府としてもそういういろいろな不備欠陥はあるのだけれども、その中で懸案の問題ですから、何としても成功するように全面的な支援協力をしてやってほしい、こういうふうに思いますが、総理のお考えを承ります。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは団体交渉権が制限的にある。勤務条件その他についてはおそらく十分やっておると思いますが、ただ、賃金については、御承知のように、予算というワクがはめられておりますので、この予算のワク内でできること、それならばけっこうでございますが、それ以外のことになるとワクをはずすというわけには、これは国会できめられた予算、このワクをはずすということはちょっとできないことでございますね。そう簡単ではない。だからこれはもう少し折衝もし、そのときにおきまして皆さん方にまた御相談することもあると思いますが、そういう意味でいわゆる完全な折衝、交渉権、これを持ち得ない、こういう実情をひとつ御了承をいただきたいと思います。
○鈴木強君 ただ、総理、従来のこの交渉妥結の形を見ておりますと、結局、三公社五現業の場合には補正は組まないのです。既定経費の中でやるというのが大体たてまえでしたですね。それは多少の是正はしていると思いますけれども、費目の流用、弾力条項の発動、そういうことですから、給与総額そのものは確かにございますが、そこにある程度の弾力性というものを与えるべきではないかと私は思うのです。現に電電公社のような場合は、この電電公社が発足した当時は、給与総額の中における基準内外の移流用というのは電電公社総裁にまかされておったはずなんです。ところが、昭和三十二年から給与総則を変えて、郵政大臣と大蔵大臣が協議をしてきめるということになったのです。これは公社に対する自主性というものを侵害している、侵害というか、私は狭めた、こういうふうに理解しておる。だから本来の公社というのは、やはり自主的に運営できる体制をしいてやるのが公社の制度のまたいいところだ。あまりワクをはめてしまってはいかぬので、歴史をここで言っていると時間がなくなりますが、とにかくそういういきさつがあるわけですから、全面的にひとつ協力してやってほしいというのが私の考え方なんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) やはり問題は総ワクの問題だと思います。総ワクの中で話がつくことならまた別でございますけれども、それがなかなか融通がつかない、こういうときにいつも問題が起きておるわけです。まあ、最初から、非常に余裕のある予算を組んでございませんから、これは皆さん方が目を光らして予算をそこまで融通のあるようにはなかなか組んでくだざらない、そういうところにも問題があるように思います。そこらに私は十分、大蔵大臣がタッチするというのは、これはやはり予算の総体の運用について、指導的な役割がやはり大蔵大臣にございますので、その辺はひとつ政府にまかしていただきたいと思いますが、当面の当の責任者自身が総ワクをくずさない限り、私どもは異議を言うわけはないはずでございます。
○鈴木強君 一生懸命やってやってくれますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げましたように、総ワクは守る、そうしてその範囲内でいろいろくふうされることはくふうするようにいろいろ指導するつもりでございます。
○鈴木強君 まあこれから問題が進展して参りますから、その状況に応じて、さらに私は意見を述べ、政府にも協力体制をつくっていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、いまILO条約は百二十八ありますが、いま日本が批准をしておるのはそのうち幾つでございますか。
○国務大臣(野原正勝君) ILOの条約につきましては、全体では百三十でございますが、日本が批准しておりますのは二十六でございます。この問題につきましては、まだ先進国と比べますとやや中位にありますが、この条約批准につきましては目下慎重に検討しておりまして、近く相当数の批准にこぎつける、条件が整うということを期待しております。
○鈴木強君 その条件が近く整うというのは、およそどれですか。
○国務大臣(野原正勝君) 労働者災害補償法の関係におきまして、問題となっていました事項が大体整備されてきておるという問題もございます。その他いろいろな問題につきまして、何とかして批准の段階ができますように、目下慎重に検討しておるわけでございます。おそらく今後におきましては、この批准の数はだんだんに条件が整う、おそらく明年あたりには批准が相当数できそうだという状況でございます。
○鈴木強君 一九六八年に人権関係に関する条約はぜひ完全に実施してもらいたいというILO当局からの強い要請がありますが、この要請に対しては、日本はどうおこたえになりましたか。
○国務大臣(野原正勝君) 人権問題に関しては、ILO事務総長が昭和四十二年一月十二日付の外務大臣の書簡をもって、基本的な人権問題の七条約のうち、未批准の問題につきましての批准を希望して参ったわけでありますが、その時点ですぐにわが国は強制労働条約、結社の自由及び団結権保護条約、団結権及び団体交渉権条約の三条約を批准いたしましたので、残りは四条約でございます。すなわち団結権同一報酬条約、強制労働廃止条約、差別待遇の批准の可否につきまして検討いたしました結果、同一報酬条約、第百号でありますが、この批准をすることにいたしまして、第五十五回特別国会におきまして御承認をいただきまして批准を終わったところでございます。したがいまして、人権問題につきましてはまだ三つ残っておるわけでございますが、これも今後さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
○鈴木強君 団結権は、一九四九年にこれは批准したのじゃないですか。
○国務大臣(野原正勝君) 先ほど申しましたように、団結権及び団体交渉権の条約は、第九十八号でございますが、この条約は批准をしております。
○鈴木強君 で、残っておりますこの中で特に強制労働廃止と、それから差別待遇の問題についてはどうですか、もっと早くやったらどうかと思うのですが。
○国務大臣(野原正勝君) 強制労働廃止条約及び差別待遇の問題につきましては、目下調査をしておりますが、条件を整備いたしまして、できるだけすみやかに批准をいたしたいという考えでございます。
○鈴木強君 条件を調査してとおっしゃるんだが、そういうことがもたもたしておりますから、いま全逓の杉並郵便局で起きているように、監視員が行って従業員を常時監視しているというような、そういうふうな差別待遇が行なわれている原因をつくっていると思う。だから、これはなるべく早くなんていわないで、次の通常国会には出せますか。出してください。
○国務大臣(野原正勝君) 強制労働廃止に関する本条約の批准につきましては、禁止される強制労働の具体的範囲についての解釈上の疑点がありますので、その点を明らかにされるのをまちまして、引き続き検討を加えていく必要があるということでありますが、できるだけ早く検討を終わるようにしていきたいと考えております。
○鈴木強君 だから、次の通常国会に出せるように検討して……。
○国務大臣(野原正勝君) 次の通常国会ということにつきましては、まだはっきりとお約束申し上げかねますけれども――。
○鈴木強君 努力をして。
○国務大臣(野原正勝君) 努力をいたしたいと考えております。
○鈴木強君 それから、沖繩の軍労働者の問題で、これは総理府総務長官にお尋ねしますが、その後、大量解雇の問題をめぐる労使間の紛争状態はどういうふうなかっこうになっておりますか。
○国務大臣(山中貞則君) 全軍労の労使間の交渉は、御承知のように第一波、第二波のストが行なわれました。結果的に何ら進展を見ないまま、当初は三月内にも第三波ストを組まざるを得ないという背景にあったようでございます。しかし、その後、米側といたしましても、ハワイの太平洋艦隊司令部、あるいは予算流用等に関しますワシントン等の担当官等が現地まで参ったなどいたしまして、具体的な進展がいまだありませんけれども、当事者間において第三波という形、あるいは春闘という形、いずれにいたしましても四月に持ち越して、その間なお話し合いが行なわれておるようでございますが、予測される事態としては、春闘という形の中で三波ストの内容というものが話し合われていく、主として一九七一会計年度に処する労使間の問題が話し合われていくようでございまして、環境的にもまた日本政府側とアメリカ政府側との間におきましても相当な進捗が見られておりますので、その四月の予想される春闘なり三波ストなりというものがなるべく円満に、労使間である単にアメリカ側と全軍労だけでなくて、沖繩における好ましからざる事態を避ける意味において、政府といたしましてもなお努力を続けていくつもりでございます。
○鈴木強君 たいへん長官の御苦労を私たちは感謝いたしますが、いまあれでしょうか、具体的に一番問題になっている争点というのは幾つあるのですか。
○国務大臣(山中貞則君) 具体的には、政府から申し入れてあります本土並みの解職予告期間の延長、本土並みの退職金の現状からいえば増額であります。それから、基本的に労使紛争の起因となっておると両者確認し合いました雇用形態、すなわち、直接雇用を間接雇用形態に改める。この間接雇用形態はいろいろといま検討中でありますが、施政権下における、どのような形が実施できるかという点について詰めておりますけれども、その三点にしぼられると思いますが、しかし、労使だけの問題として、政府の問題でない問題としては、別途、指名解雇者の解雇撤回要求というものは組織の面目の問題として相当別の要因としてなお介在しておるようでございます。
○鈴木強君 私は、沖繩復帰の問題と関連をしてこれは相当に意見もありますし、政府の考え方も承りたかったんですが、時間の関係でただ一つだけ伺います。
 長官が最後におっしゃった、内地同様の間接雇用の関係に持っていきたいということについては向こうと協議をいたしましたか。交渉をされましたか。
○国務大臣(山中貞則君) これは外務大臣の権限分野と私の分野の接点でございますが、しかし、私も外交的にものが言えるのは日米協議会という場が提供されております。今日までの日米協議会におきましては、当該年度の施政権者としてのアメリカ側の日本政府の援助額に関する予算の問題だけを話し合うことにいたしておったわけでございますけれども、復帰が七二年にきちんとセットされましたために、外務大臣の御努力等も得まして、今回の日米協議委員会からこの種の問題等もお互いにフランクに議論し合うということになりまして、具体的な国家間の交渉ルートに乗ってまいったということでございます。
○鈴木強君 やってないのですね。
○国務大臣(山中貞則君) 具体的にやっております。先ほど申し上げましたとおり、どのような形が実現できるか、そのことが最も望ましい形とどのような距離があるか、一番基本的に言うならば、直接雇用というのはアメリカの四軍それぞれが自分たちで直接沖繩県民を雇用しておる形態でありますから、私としては日米双方の友好のためにも、なお残された復帰までの二年間のあり方について、日米双方が友好の基礎をさらに固める二年間にするのか、それともそこに憎悪の念あるいは憎しみ、感情的に対立したものを、亀裂を生ぜしめる二年間にするのかは、日米双方十分に、自分の国の立場から考えても、われわれの祖国とアメリカというものは意見の一致しないはずはないというつもりで私としては押してまいりました。外務大臣もその姿勢を外交ルートを通じて、終始、しかもほとんど毎日のようにその折衝をいたしておりまして、その進展も具体的に見られつつありますが、いまここでどのような形でいつごろということを申し上げるには、外交的形式のいま具体的の相談をしておりますので、まとまれば、申し入れた、よろしいということで短時間で済む問題になりつつあると思います。
○鈴木強君 けさの新聞を見ますと、ランパート高等弁務官はですね、もし日本からそういうことがあれば本土と相談をして善処するという趣旨のことを、衆議院から派遣ざれた沖繩・北方の委員の人たちに言っておるのですがね、これとの関係はどうですか、見通しはあるのですか。
○国務大臣(山中貞則君) あるいは外務大臣の御答弁をいただくほうがよろしいかと思いますが、私のほうで一応成り行き上答弁をいたします。
 私もランパート高等弁務官が衆議院の沖繩特別委員会の皆さま方に対してそのような返事をしたという記事を読みました。ただいまその詳細について確認中でございますが、少なくとも最初これは公明党の議員の一行に対して言われたことでありますが、退職金を本土政府が増額したいという申し入れがあれば受ける用意がある。今回はさらに、雇用制度の改善についても申し入れがあれば受ける用意があるということを言っておられました。そのことは、私どもは直ちにその申し入れの準備にかかっておるわけでありまして、したがって中身の話がつけば、直ちに私たちとしては具体的な申し入れであり、その瞬間、具体的な返事が向こうからもらえるという態勢をいまつくり上げつつあるわけでございます。そのことは事実でありますが、ランパート高等弁務官のその発言は事実でありますが、具体的にはどのようなものであったか等については、いまだ入手いたしておりません。
○鈴木強君 総理からさっき私答弁をいただこうと思ったのですが、差別待遇、強制労働廃止のこの条約については、労働大臣から話がありましたけれども、総理としても速急にひとつ促進していただけますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 労働大臣が先ほどお答えしたとおりでございます。私は、とにかく差別的待遇があったり、あるいは特に人権が拘束されたり、さような労働条件は、もう第三の経済大国になったといわれておるこの日本でそういう労働条件があってはいかぬと、かように私は思いますので、これは労働省当局を鞭撻して、できるだけ早くこの批准手続ができるように、一そう努力するつもりであります。もちろん事柄によりましては、第一の経済大国であるアメリカ自身がなかなか認めてないものもございますから、一がいには言えないことですが、しかし総体的に申しまして、原則的には、ただいま鈴木君の御指摘になったような点は批准――その準備を進めてしかるべきではないかと、かように思います。
○鈴木強君 ぼくは物価問題で少し伺いたかったのですが、時間がもうなくなりましたのですけれどもね。たいへん野菜が高いのです。これ総理、一本幾らだと思います。大根、幾らですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 二百円。
○鈴木強君 二百円……。農林大臣に伺います。見てください、これは見なければわからぬです。
○国務大臣(倉石忠雄君) よくわかりませんけれども、大体百三、四十円するのじゃないですか。
○鈴木強君 経済企画庁長官。
○国務大臣(佐藤一郎君) 二百円ぐらいだと思います。
○鈴木強君 これはみんな落第ですよ、みんな落第。これは百円です。高い高いということを言われておるものだから高く言わなければと思って言ったのでしょう。これは間違いです。このネギが六十円、一本十五円、タマネギが四十円、ジャガイモが三十五円、これはたいへんなことです。時間がなくなりましたけれども、それからタイガーマスクというような、食品衛生管理上問題がある、これはシンナーを使っておる。こういうものが、どこでつくったのかわからないものが出ております。この取り締まりはどこでやったのだかさっぱりわからぬ。これはかぶってみると、シンナーを使っておりますから子供によくない。まあしかし時間がありませんから……。
 こういうものはひとつ、どうしてこう高くなっておるのか、積極的にこれを下げるためにやっていただきたいということをお願いして終わります。(拍手)
○委員長(堀本宜実君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することといたしまして、これにて休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十五分開会
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 向井長年君の質疑を行ないます。向井君。
○向井長年君 きょうは佐藤総理の誕生日のようでございまして、おめでとうございます。さぞかし私の質問に対しましては満足のいける答弁があろうと期待いたしております。
 そこで、本論に入ります前に、二点ほどお伺いいたしたいと思いますが、その一点は、きょうのニュースで私聞いたんでございますが、この四月の早々にソ連が日本海といいますか、能登近海並びに土佐沖の近海、しかも接近した近海で射撃演習をやるようでございますが、これに対して、これは当然公海上でございますから、やる権利もありましょう。しかしながら、いろんな情勢で中止を要請する権利もあると思います。日本政府としては、これに対してどういう態度をもって臨むつもりか、ひとつお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 昨日ウラジオの無線局を通じまして、水路通報としての情報が海上保安庁の水路部に傍受されたわけでございます。そしていま関係省庁の間で十分緊密に連絡をとりながら、これが事実といたしますれば、その影響するところ、その他について十分検討いたしております。同時に、午後しかるべき時間に駐日ソ連大使を私招致いたしまして、この背景、目的その他等につきまして十分聞き取ると同時に、今回、いま傍受されておりまする状況によりますと、日本海あるいは太平洋の土佐沖等も危険水路の設定ということが伝えられておりますので、漁業関係のみならず、航路あるいは航空路等にも相当の関係があるのではなかろうかという点を懸念されますが、とりあえず、公海上の問題ではございますけれども、沿岸国として大きな関心を持たざるを得ませんので、きょう午後の間に、先ほど申しましたように駐日大使を呼びまして、まず事情を聴取すると同時に、いま実は各種の資料等を収集いたしておりますが、それをもとにいたしまして、話し合い、あるいは申し入れ、あるいは抗議、どういう形にしたらよろしいか、私も慎重にいま検討中でございますから、十分の措置をとることについて善処いたしたいと考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣からお答えいたしました。これはたいへんな問題だし、国民もたいへん不安に思っておることだと思います。きょうも閣議がちょうど開かれておりまして、その席でもこの話が出て、ただいま言われるような処置を外務大臣がとろうということになっておるわけであります。申すまでもないことですが、公海あるいはその公海の上のことですから、とやかく言う――向こうで自由じゃないかと言うかもわかりませんけれども、この付近は絶えず航空機等も通っておりますし、また航路上の上でもありますし、また日本海並びに北のほうでは、これはちょうどいま漁期に入っております。そういうこと等もあって、こういう事柄を行なうと、両国のせっかく築き上げられた親善友好関係にもひびが入るんじゃないだろうかと、実は非常に私は心配しておりますので、ただいま両国の親善友好関係を一そう固めるという上からも、ソ連において善処されることが望ましいと、かように思っております。いわゆる、ただ単なる抗議ということじゃなしに、ただいま申し上げるように、両国の親善関係をもっと深める、こういう意味でただいまの事柄は避けていただきたいと、かように思っておる次第でございます。
○向井長年君 大体わかりました。公海とはいえ、非常に日本の領土に接近したところであるように伺っております。あわせて漁業の最盛期でもあるし、あるいは航海等の危険も伴う状態にあると思います。したがって、政府としては、抗議だけの問題じゃなく、総理がいま言われましたように、何とか中止の要請を強くしてもらいたいということを要望いたしておきたいと思います。
 続いて、総理にお聞きいたしますが、昨日、全繊同盟の滝田会長と会見された模様でございますが、この会見の中で、総理はまことに重要なことを言われておると思います。それは三点ございますが、一つは、国会決議は無視できないということ、二つ目には、二国間協定はあり得ないということ、三つ目は、一挙にガットに持ち込んで話しすることはなかなか無理であろうから、日米間で十分煮詰めて、そしてガットに持ち込みたい。こういうようなことが言われたと私は聞いております。したがって、特にこの中で国会決議の問題は、衆議院の本会議で先般、あるいはまた、参議院の商工委員会で昨日決議をいたしております。そういう点もございますし、なお二国間協定はあり得ないということは、これは日米間で協定はしないと、こういうように解釈してよろしいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨日、滝田君と話をしたこと、大体ただいま御紹介になったような三点に尽きるのであります。もうすでに国会で決議している事柄、政府がその国会の決議を無視して行動するということは、これはできることではございません。私はそれをたてにするとかいうわけではない、当然のことだと、かように考えておりますので、その点でいわゆる二国間協定というものはないと、かように私も考えておりますし、皆さん方も期待しておられると、かように思っております。また、関係国も非常に多いことでございますから、そういう場合にいきなりジュネーブで会議を開きましても、これはなかなか話がまとまるわけでもないだろうと、私はお互いにあらごなしはしておかないと、やはりまとまるものもまとまらないということになるだろうと、かように思いますし、日米間においてそういう意味で事前に話し合うことは、これは私はジュネーブの会議――多国間の話をまとめる上において有効な、また有用なことだと、かように考えております。
○向井長年君 しからば、それに伴って日本政府は業界に対して強要はしませんですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは昨日もいろいろの話がございましたが、本来言うまでもなく、自主規制という、そういう問題でございますから、業界が納得することが第一の基礎的な問題でございます。私は、業界の方も、非常に狭い範囲でみずからの主張を通すということではない、いわゆる良識のある国際人であり国際商業人であると、かように考えておりますので、そういう点では十分私どもの苦心しておる点をも理解してくれるだろうと、かように思っております。ただいま貿易管理会その他の法令を適用するとか発動するとか、こういうようなことを考えていないということ、これはもうすでに申し上げたとおりでございます。私は、われわれの苦心、またいろいろ苦労しておることも、業界の方々も、同時にまた、組合の諸君も十分理解してほしいと思っております。滝田君からは、重要な段階についてはわれわれにもさらに相談してくれ、こういうような御意見も出ております。滝田君に対して、私、そういう意味で話し合おうじゃないかと、こういうことも申しておりますから、ただいま言われるように一方的に強権、強力を用いる、こういうようなことはしてはならない事柄だと、かように思っております。
○向井長年君 続いて、外務大臣にちょっとお聞きいたしますが、実はきのうの新聞で、二十五日、アメリカの上下両院合同経済委員会パットマン委員長ら外二十名が、ニクソン大統領に対しまして経済報告に関する勧告をしております。これは新聞でございますが、その中で特に消費者の立場に立って、この繊維規制問題については、インフレの助長等もあり、あくまでもこれは規制してはならぬ、あるいはまた、これに対しての割り当て規制はすべきではない、こういう申し入れをしておりますが、これは真相はどうなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 公の情報としてはまだ受け取っておりませんけれども、外電等については詳細に私も読んでおりますので、その事実に間違いはないと私は判断いたしております。アメリカの国内にもいろいろ議論がございますことは御承知のとおりでございまして、そういう考え方はアメリカの中にも私はあることはよく承知いたしております。
○向井長年君 そういうようにアメリカの上下両院、権威ある国会の中でもこういう動きが出てまいっております。したがって、このような動きを私は日本政府は慎重に配慮してこの問題に取り組むべきだ、こう思いますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 さて、本論に入りますが、総理にお伺いいたします。特に私は十数年近く国会に席を置いておりますけれども、最近非常に疑問を持っております。これは何かというと、憲法できめられた二院制度の問題でございまして、現在参議院制度がほんとうの真価を発揮しておるのかどうか、この点まずお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっとお尋ねの点がわかりかねるのですが、私は、いま、二院制度を採用した、そしてまたその二院制度のもとでわが国の議会は運営されている、この運営のしかたがいろいろ批判があると、かように思いますが、私個人がいろいろ批判することもいかがかとも思っておりますから、それは差し控えさしていただいて、こういう点が二院制度としてどうだとか、こういうことでよろしいのかという、まあ具体的な御意見を聞かしていただけば、私がお答えすることが適当な問題についてはお答えをいたしたいと、かように思います。
○向井長年君 時間がないから私はあまり多く言いたくないのですが、御承知のごとく、現状、特に今国会はソフトムードと言われて、あまり与野党が激突するような状態がないように思うのですが、しかし、第六十一通常国会等を見ますと、これは全く衆議院の焼き直しを参議院がやっておると、こう言わなければならぬと思うのです。そういう点から考えて、参議院の使命というものは、二院制度の使命というものは、御承知のごとく、衆議院の行き過ぎを是正する、あるいは足らないところを補う、こういうところに使命があると思うのです。それが何らされずして、強引な形で先般来の国会が進められている。今後それがないとは言えないと思うのです。そういう点を、私はどうなんだということを聞いておるのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私がこの施政方針演説で、国会――立法府、あるいは司法府、行政府、それぞれがそれぞれの立場において本来の目的を達し、国民の期待にこたえなければならないという抽象的な表現はいたしました。まあ行政府についての私自身が責任者でございますし、これはみずから姿勢を正すということに積極的であるかと、またそういう意味の御注文は広く各界各層から承るつもりであります。ただいま国会のあり方がこれでよろしいかと言われると、どうも政府が答えるのにこれは不適当なことのように思いますが、私総裁として許されるならば、私の意見を率直に申すと、二院という以上、両院の間に何らかの区別があってしかるべきではないだろうかと思います。同じことをするというならば、二院制度はあまり意味をなさないのじゃないか。しかしまあ、同じことをするにしても、参議院の良識がやはり事柄の性質上チェックする役割り、それはあるだろうと思いますから、同じことをして全然無意味だと、かようには私は思いません。思いませんが、二院制度であるならもっとくふうの余地もあるのではないだろうか、こういう点はいま向井君の御指摘のとおりでありまして、ただ単に選挙制度が両院で違うというだけではあまり能のある話ではないように思っておりますし、また参議院のりっぱな方々が、ただ自分たちの良識でチェックする、そういう役目だけだというのでは、いかにも満足されないだろうと、かように思いますので、何らかいい方法があればこれは国会そのものでお考えをいただいてしかるべきだろうと、かように思います。
○向井長年君 まず日本の政治が政党政治でございますから、いろいろな政策なりあるいは違いはあるのはあたりまえでございますが、しかしながら、院として考えてみました場合に、一つの使命は守らなければならぬと思うのです。そういう中から、これは政府というよりも、与党あるいは野党含めてこれは検討しなければならぬ問題だ。たとえば、先般の国会のように、政府から出した法案は絶対に何が何でもこの国会で通すのだという強引さ、そして衆議院を強引に通し、参議院に持ち出してこれがまた強引に通せというような指揮命令というものは、これは控えなければならぬじゃないか。あわせて、野党にいたしましても、どうしてもこの法案は反対だから絶対廃案に追い込むのだ、衆議院でこれだけの日程をかせぐ、参議院でこれだけの日程をかせげというような指示のもとに行動することは、誤っておるのではないか。こういう立場から、私は、各政党みずからがこれは反省をし、そしてそれに対して特に与党である自民党がまずその基本を示さなければならぬじゃないか、こういう立場から、私はまずそういうことを、総理・総裁というか、この中で精神的に、あるいは今後の運営の問題として検討すべきじゃないかと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 向井君からいろいろ国会の運営についてのお話がありました。その一つとして、どうも両院、二院であるが、政党化しておると、そういうところに一つの問題があるのじゃないか、それは御指摘のとおりだろうと思います。両院である限りにおいて、やはりそれぞれが政党化するというか、そうしてそれが上下二院にしても、衆参両院の間に同一政党が同一の考え方を持っていく、これもまたやむを得ないことだろうと思います。そうして、ただいまのまあ何でも反対、そういうことはもう避けると、また何でも積極的に成立さすというその強引さはひとつ避けてほしいと、こういうような御指摘であります。私は、これについてはいろいろの意見がまだあるのではないかと、かように思います。と申しますのは、国会を通じて政治の責任をだれに負っているかと、このことは国民に対して負うのであります。行政府の行政の責任、これは国民に対して負う。それをやはり国会で審議をして、国会の御承認を得て、その範囲で国民に対する責任を果たしていくということが本筋だろうと思います。しかしながら、やはり与党、野党と、その立場がございます。また、国民に対する責任を果たすという上からは、何としても提案した事柄、重要な問題については、やはりどうしても成立させたいという政府の気持ちはわからないではない。また同時に、そういう事柄についてこそ野党としても反対せざるを得ないという、これはやはり主張の問題ですから、どんな方法をしてもその成立をはばむという、そういう事態が起こるのではないかと思います。しかしまあ、それをお互いに良識の範囲で片づけていこうじゃないかと、こういうところで編み出されたのがいわゆる多数決の原理じゃないだろうかと思います。ところが、どうもただいまのように、何でもかんでも反対だと、何でもかんでも成立さすのだと、こういうことで激突いたしますと、いろいろ苦心の末編み出された多数決の原理も採用されない、これが現状ではないだろうかと思います。私は、こういう意味で、与党――多数党を持つものがみずからが反省する。と同時に、野党の諸君にもやはり、政治の責任の所在を考えて、多数決の原理、これはやはり尊重していただくと、まあ前回のような問題はなくて済むのじゃないだろうか、かように思います。しかし、前回のような問題が起こる前に、やはり各党で話し合いをして了承を取りつけるような努力が十分に払われてしかるべきだろうと思いますので、いきなり数で決すると、こういうような乱暴さは、これまたもちろん避けなければなりません。いろいろ努力はしても、最終的にたよるべきものが多数決の原理だと、かように申しましても、そこにこぎつけるまでの各党の努力がそれらに欠くるものがあってはならないのではないかと、かように私は考えております。そういう意味で、各党との話し合いがまず第一、それが先行すべきだと。そういう場合に、いろいろ時間はかけてまいりますけれども、なかなか最後までその時間をつぶすわけにもまいりませんから、適当なところで話は切り上げざるを得ないんだけれども、十二分に論議を尽くすこと、このことは必要だろうと、かように思います。
○向井長年君 多数決の原理とか、論議を尽くすとか、これは非常に基本的な問題でございますが、しかし、実際行なわれている問題は、参議院で重要法案を審議するような期間を与えておらないでしょう、今日まで。いいですか、われわれ民社党――私のほうは廃案に追い込むんだということを一回も言ったことはないのです。十分審議をさせ、国民の前に明らかにさそうと、こういうわけで、審議をさせぬとは何事だ、こういうことでわれわれは抗議は言っておりますが、そういう立場から考えて、私は、参議院が審議するような時間を与えないような強引さを持っておるということは、これはやはり反省しなきゃいかぬ。そのためには、衆議院は別としても、参議院においてはある程度執行部等で締めつけはやめるべきじゃないか、ある程度参議院の自主性、良識にまかすべきじゃないか、こういうことを私は総裁に言いたいわけです。いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 基本的には、まさしく向井君の御指摘のとおりであります。私、いまの二院制度でありながら、どうも参議院に審議の時間が非常に短くて、最終的の段階でかけ足せざるを得ないと、かような御指摘がございましたが、これらの点はこれからくふうしなければならないことだと思います。ことに、両院制度である限りにおいて、提出法案がものによりまして適当に両院に分け得るのではないか、そういうことによりまして審議の時間等も十分に与えられるんではないか。またあるいは、予備的な審査等の手続もございますから、必ずしも提案を待ってからという、正式提案を待ってから、あるいは一院を通過してから後だけが審議と、こういう期間に限る筋でもないだろうと思います。そこらは私、やはり国会の運営上の問題ですし、もっとよく話し合えばおのずからその道が開けるんではないかと思っております。過去の場合におきまして、どうも重要法案が参議院において審議する時間が短い、こういう御批判に対しましては、私どももこれからいかにあるべきか十分考えていかなければならぬと思っております。やはりただいま申し上げるような予備審査の時間というものも適当にとってしかるべきじゃないだろうかと、かように思いますし、これらのことも含めて、十分国会において御意見をかわしていただきたいことだと、かように思っております。
○向井長年君 これは、私のいま言ったことは、おそらく自民党の諸君も野党の諸君もみな同感のことだと思うのです。そこで、私がただ、いま言ったのは、運営上の心がまえ、あるいは反省、この上に立っての問題でございますが、しかし、やはり制度の改正も必要だと思うのです。制度の改正と申しますか、これに対しては、いま総理もいみじくも言われましたけれども、まずやはり制度化しなければならぬ問題があろうかと思います。したがって、たとえば参議院先議の問題、これもやはり十分活用すべきじゃないか。衆議院から回ってくるまで手をつかねて待っておるというのでは……。実際予備審査というものは、大臣も来ませんし、できません。事実上。したがって、先議という問題を制度化すべきじゃないか。その制度化につきましては、条約一般の問題とか、あるいは法律案においても長期的な視野に立つ法律案は参議院で先議していいのじゃないか。流動的な問題は衆議院からやってくるのがあたりまえです。こういう問題が一つあろうかと思います、第一番に。第二番目には、重要法案は、参議院においての審議期間というか、日程を最低限やはりきめるべきである。たとえば一週間であるとか、あるいは十日間であるとか、こういう問題はやはり制度化に踏み切っていかなければいかぬのじゃないか。あわせて特別委員会の設置でございますが、特別委員会というものは、いまの特別委員会は、衆議院に八つ、参議院に七つありますけれども、これは常任委員会の性格を持っておる。特別委員会の性格というものはそんなことじゃなくて、臨時的に短期間に結論を出すというのが特別委員会の性格だと私は思っておる。そうすれば、必要であるのは常任委員会にしてしまって、たとえば短期間であるならば、健保の抜本改正の法案、あるいはまた大学法案とか、こういう問題については、特に特別委員会を設置して、短期間に結論を出す、こういう方向に踏み切っていけばいいのではないか。そういう問題については、特に参議院はあらゆる専門家がたくさんおるのですから、参議院においてまずやってくれということをまず政府から委託すればいいのじゃないですか。参議院で立法、特に議員立法としてこれをつくる、これを衆議院に提案していく、こういうような運営を今後改正していくべきではないか。あるいはまた、今後の問題として、非常に世間ではやかましくいわれておりますが、参議院から大臣を出すということはやめたほうがいいのじゃないですか、これは一考すべき問題だ。二院制度ですから、そういう問題もあわせて、総理はまず総裁という立場において自民党の中において、あるいはわれわれ野党もあわせて検討すべきじゃないかと思いますが、総理の見解はいかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 ただいま具体的な問題についての御提案でございます。私は向井君の識見に対して敬意を表します。全く、先議あるいは審議等について特別な期間を重要法案についても幾らかとれとか、どれくらいにしろとか、または特別委員会、いまあるものを、これを常任委員会にしたらどうかとか、こういうような御識見に対しては敬意を表します。また、いずれそういう事柄は、御提案になったような点が各党の国会対策委員会等でも審議されるだろうと思いますし、また私どもも、常任委員会に、これで防衛の委員会をつくってほしい、こういうような提案もしておりますから、あわせてひとつ御審議をいただきたいと思います。特別委員会という以上、それは特別なものであるべきだ、毎会期それはできる。また、閉会中においても相当特別委員会が残っておるという、そういうようなのはちょっとおかしいのじゃないか、こういうように私も思います。
 それから最後に、参議院から大臣をとるのをやめろ、こういう御意見でございますが、これはよく御意見のあるところを伺っておきます。
○向井長年君 これで参議院の機能の問題につきましては私は終わりますが、何をきめようとするにいたしましても、やはり自民党――与党が踏み切ってこなければできません。野党の中でも、必ずしもすべてが賛成というわけではございませんけれども、ひとつ積極的にその機能回復と国会正常化という立場において御検討を強く要望したいと思います。
 そこで、続いて私は総理にお聞きしますが、今度の施政方針でも明確に総理は言われておりますが、特に外交問題――中国問題でございます。中国問題に対しましては、過去におきましては、まあ政経分離論、あるいはケース・バイ・ケース、こういう表現を使っておられた。今度の施政方針では、そういうことを言わずに、明確に、やはりできるだけ接触を深める、促進していきたい、こういうようなかっこうで表現をされております。総理はおそらく同じことだと言うかもしらぬけれども、私はこれは違うと思います。相当やはり意欲を持ってきた、こう解釈したいのです。その点いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私が事新しく申すまでもなく、中国大陸、それに隣する日本でございます。その大陸との間に何ら接触なしに過ごせるものではございません。ただいま民間で接触はいたしております。あるいは特別な使節等が出かけてはおりますけれども、まだ政府間の接触は全然ないという状況であります。前回の選挙でそういう点を打ち出した。どうも政府は選挙のときよりか後退するのではないか、こういう批判を受けておりますが、別に選挙中の発言と現在と私どもの考え方は変わっておりません。したがいまして、適当な場所があれば、そういう場所で政府間の接触はしたいと思っておりますし、ただ、単に限られた貿易でなしに、やはり開かれた貿易というか、そういうのをするためにも政府間でやはり話し合っていくことが必要ではないだろうかと、かように思っております。
○向井長年君 アメリカが昨年からことしにかけて非常に中国に対して接触を深めてまいっております。これは具体的に出ておりますね。これは私から、時間がないから、言いませんけれども、こういう中で日本政府が、「あれば」と、こういうことを言われたが、われわれから考えれば、「ある」と思うんですよ。なぜ、これをどう進めるか、こういうことで具体的に積極的に私は取り組んでもらいたい。しからば、「あれば」だけれども、やはり接近しようとするならば、やっぱり人的交流がまず必要だと。いま藤山さんなり松村さん行っておられますけれども、これはほんとに政府の意を体して行っておるんですか。その人的交流というものは、少なくとも政府の意をくんで行かなければならぬと思うんですよ。まだ正常な国交回復してないから、政府間交渉は別にいたしましても、そういう人的交流というものが今後なされなきゃならぬと思いますが、この点はいかがでしょう、具体的に。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま北京に出かけました藤山君あるいは古井君、川崎君、この三人は、向こうへ出かけます前に私に会って行っております。田川君には会っておりません。松村先生――というか――大先輩は、もうすでに議員ではございませんから、私に会ってはおられません。しかし、できればということで、その意向は藤山君から私に披露されたところであります。
 私は日中間にはずいぶんいろんな問題があると思います。長い間の誤解があるし、まだ疑念が残っておりますので、そう簡単に一朝一夕にこれが解けるとは思っておりませんけれども、しかし、努力しなければいよいよ解けないことになると思います。したがって、何と言われようと、私の気持ちは、ただいま申し上げるように、隣の国だと、隣国と、そういう関係の間に誤解がないようにつき合いができるようにすることが本来の筋だと思っております。ただ、いつも問題になりますのは、私が申し上げるまでもなく、中国は一つだと、こういう立場でございます。いかに中国大陸が大きかろうが、多数の人口を擁しておろうが、私どもはサンフランシスコ条約の後に、台湾にある中華民国、これを中国として承認し、そしてその間に国際条約を締結し、権利義務が生じております。いわゆる中国は一つだと、こういう問題に触れないでただいまのところの接触をするということ、なかなかむつかしいのでございます。技術も要るわけであります。私はそれが漸次両国の間で歩み寄りができて、お互いに話し合ってみようじゃないかというような気持ちにもなるんじゃないだろうか、かように思っております。ことに昨年中国から逮捕されてた商社員五名また新聞記者一人、そういうものが釈放された。これがどれだけ私どもの感じというか、気持ちを楽にしたかわからない。非常な喜びでもございます。こういう際でありますだけに、私ども何かできることはないだろうか、かように思っているわけであります。最近の状態で、一足飛びに何もかも解決はなかなかいかないだろうと思いますが、いままで日本に在住している華僑、これが中国に帰る、広州の見本市に参加すると、かような場合でも、いままでは一つも許したことはないのでありますけれども、まあ最近、ひとつ支障のない限りそういう事柄についても手をつけようじゃないか、これは英断であったと思っております。こういう事柄が国交正常化にどれだけ役立つか、これはまた別の問題であります。その他にも郵便協定だとか、あるいは航空協定だとか、あるいは漁業協定だとか、いろいろの次々に解決しなければならない問題があるのでございます。そういう際に、いわゆる中国は一つだと、こういう考え方を乱さないで、ただいまのような大陸とのつき合いができるように、私いませっかく努力しておる最中でございます。
○向井長年君 いま総理が言われましたように、そういう接近をはかろうとするならば、人的交流がまず必要である。あるいは窓口が必要である。したがって、少なくともこれはやはり常時大使級と申しますか、そういう諸君が接近するような形をとっていかなければならぬのじゃないかと思うんです。そこで、昨年末ですか、選挙中だったかと思いますが、川島副総裁が中国に行きたい、行くというようなことが発表されました、事実かどうか知りませんが。これは現在どうなっているのか。また総理はこれに対してどういう意見を述べられたのか。あれはただ選挙中のスローガンだけであったのか、こういう点等も合わせて人的交流にやはり常時そういう窓口をつくらなければいかぬのじゃないか。これをどういう方法でやっていくのか。この問題いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 人的交流、これは必要でございます。私はいま、たいへん小さなパイプではあるけれども、松村さん、同時に今度は藤山君、古井君、そういう人が出かけて、これが私どものいま窓口になっている、かように思って大事にしておるつもりであります。川島副総裁の問題は、一時出かけたいという、これはもうバンドン会議に出たこともあるし、そういう意味で周恩来首相も知っている、こういうことではないかと思いますが、まだ副総裁が出かけるというところまでは具体的には発展しておりません。ただいまそういう気持ちがありましても、これを受け入れるまでにはまだもう少しかかるのではないだろうかと、かように私は思っております。
○向井長年君 藤山さんや松村さんに非常に期待しているようですが、これは貿易の協定の問題が中心になっておると思うんですが、それであるならば、先ほど言われた郵便の問題、あるいは気象の問題、航空の問題、こういう問題について政府はあの人たちを通じてひとつ理解をするように、日本政府はこう考えているというような腹がまえを、その人たちに会って注文をつけたんですか、意見を言われたんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、藤山君はただいま久しぶりにというか、おそらくいままで中国に出かけたことは、過去にあるか、あっても非常に遠い昔だろうと、かように思います。したがって、出かける前にも言っているように、中国の要路の人々と知り合いになることがまず第一の私の目的ですと、かように申しております。そういう意味で一つのパイプを通じてほしいと、かように思います。また古井君は、出かける前に、何かといろんな問題を打診してはまいりました。しかし、なかなか私どもの了承できないというか納得、よろしいとなかなか言えないような問題ばかりでございますから、なかなかむつかしい苦労をしてただいま折衝しておるんではないだろうかと思います。私は北京からの通報を、実は首を長くして待ってるというのがいまの現状でありますが、ときに順調に話ができてると、進んでおると、こういうような記事を見ますと、たいへんうれしく思う、しかし、また、そうは言うものの、なかなか本体にまで入るのになかなかかかるんじゃないだろうかと、かように思っております。ここらは、古井君ももうたびたび北京に参っておりますから、相手の事情をよく心得ているので、そういう意味で、適当な接触をしておると、かように思っております。まあ、帰ってくるまでは、これらの状態がわからないのですから、また事前にとやかく言わないほうがよろしいんじゃないだろうかと、かように思っております。
○向井長年君 これは、ただいまの問題でございますから今後、先ほど言われたように、あらゆる問題を促進するために、常時その窓口なり、そういう人的交流を持っていくと、こういう決意ありますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申し上げることで、私の決意はおわかりいただいたろうと思います。そういうものを持たなければならないと、かように考えております。
○向井長年君 それは、大使級というか、そういうクラスでですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまのこの古井君のルートは、依然として続くだろうと思いますが、しかし、これではやっぱり政府の意向を伝えるのには不十分ですから、適当な場所で適当な交渉を持つこと、これが必要のように思っております。アメリカが、中共と久しぶりに話し合いを始めた。これはポーランドですが、しかし、ここが必らずしもいいわけでもないだろうと思いますし、私どもは、相手方にも考え方があるだろうと、そういうことで、こちらのほうはどこそこでなければならないと限定はしないから、そういうことだけはこの機会に確認しておきたいと、どこでもけっこうだと、かように思います。そうして、そういう際に、いわゆる参事官級で話をするよりも、やはり大使級で話をすることのほうがより効果的であると、かように思いますから、そういうところをねらって話し合いのできるところをさがさないと、なかなかうまくできないように思う。まあ、いままでのところでは、たとえばある場所でその国の一つの行事がある。たまたま北京政府の代表者と当方が顔を合わしても、まだなかなかこんにちはも言わないような状態ですから、そこらにも、まだもっと積極的に触れる筋があるんじゃないだろうかと、だから、その具体的な話に入る前に、少なくとも日常のあいさつぐらいはできるようになると、今度は、ひとつ会談を持とうじゃないかという申し出もできますけれど、いまそこまでは行っておらない。現状はそういうような状態であると、これだけは認識していただいて、これからさらに私どもが努力する目標は、ただいまのような、そういうほんとに身近なところから始めて、そうしてさらにそれが国家間の意思疏通の場合になる、こういうものに持ち上げたい、盛り上げたいと、かように私ども考えております。
○向井長年君 この間、まあ社会党の羽生氏の質問で、郵便協定の問題が総理から答弁があったんですが、そういう一つのなにをつくって、それから具体的な問題をここに出していきたいということで、やはり気象の問題も航空の問題も早急に出したい、こういう気持ちを持っておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 航空の問題になりますと、ちょっと問題があろうかと思います。と申しますのは、領空というようなことになるし、適当な飛行機というか、双方にそういう問題がありますから、そう簡単ではないだろうと思います。しかし、気象通報の交換、これは双方で幸いすることですから、こういう事柄は早く話がまとまってしかるべきではないだろうかと、かように思っております。
○向井長年君 貿易問題でございますが、これは外務大臣でいいと思いますが、昨年はこれは中共貿易六億二千万ドルですか、ことしはどれくらいになると思っているのですか、拡大が。
○国務大臣(愛知揆一君) 貿易は、一九六九年中には、日本から言いますと、輸出が三億九千百万ドル、輸入が二億三千五百万ドル、合計六億二千六百万ドル。これは従来から見ますと一番多い額になっております。ただ御案内のように、いわゆる覚書貿易の占める比重が減少しておりますので、こういう点から申しましても、ただいま総理からも話がございましたが、今回の覚書協定と申しますか、これの前途に対しては私どもも期待を持って、これが拡大されるように期待をいたしておるわけでございます。全体としての見込みといたしましては、率直に申しますと、日本から適当な輸入物資、先方からの輸入物資がどちらかというと乏しいということが一つの問題点でございますけれども、全体としては、さらに現状からいたしましても、もっと伸びるのではなかろうかと、たいへん大ざっぱな話でございますけれども、そんな見込みを持っております。
○向井長年君 この日本に輸入する、農、鉱等に対して輸入計画は何らか確立されておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 現在日本として、的確にこれこれのものをこれだけ輸入したいというものは具体的にございません。
○向井長年君 総理にお聞きしますが、総理は常にプラント輸出の問題についてはケース・バイ・ケースだということを言われておりますが、これはケース・バイ・ケースといえば、ノーもあるし、イエスもあるということですが、これはどうなんですか、そう解釈してよろしいか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ケース・バイ・ケース、ただいま言われるとおりでございます。
○向井長年君 そうすると今日、日立造船なりあるいはまた笠形ドックですか、あるいは肥料、繊維等の業界が、会社が、ぜひこれを申請したいという意欲を持っておりますが、そうすると、申請いたしますと、適合すれば一つでも認めるということもありますね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 非常に期間の短いものは、いままでもそういう例があると思います。しかし、長期のものについては、いままでのところは、いわゆる倉敷レイヨン、それ以外にないと思っております。
○向井長年君 いま私が言いました、そういう業界が申請すれば、審査して条件にかなえばこれは認めると、こういうこともあり得るということですな。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは申請したらそのときに十分審査すると、かように答えておきます。
○向井長年君 認める場合もあると。
○国務大臣(佐藤榮作君) 審査するということをお答えしておきます。
○向井長年君 それから、今日まで中国とはポンド決済をやっておりますね。もうポンドの不安定なり、行き詰まりという問題もくるんではなかろうか。これはやはり近く円元決済に切りかえなきゃならぬのじゃないか、こう私は思うのですよ。ところが、円元決済といったところで、まだ国交回復しておりませんから、直接できない。円元表示決済と言うのですが、こういう問題については大蔵大臣どうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは関係者、特に金融機関を含めて、よかろうということでありますれば、政府としては異存はございませんです。
○向井長年君 まあ中国との問題たくさんございますけれども、やはりひとつ総理が所信表明で言われましたように、積極的に接近し、あらゆる問題を解決していく、こういう意欲に立ってひとつやっていただきますように要望いたしておきます。
 そこで、次に大蔵大臣にお伺いいたします。それは行政機構の改革問題についてでございますが、これは行管の長官にもお伺いいたしますが、まず大蔵大臣にお伺いしたい問題は、行政費用の節減問題についてでございます。これは、政府は四十二年度、四十三年度あるいは四十四年度、こういう形で二百九十二億円、あるいは三百八十二億と、こう出ておりますけれども、これは実際一%にも足らないのですよ。こういった問題については、大蔵省は各省にどういう意味の通達を流されておるのですか。ほんとうは、社会通念上この程度では、〇・六%程度なのですよ。こんなもの節減と言えないですよ、本来であるならば。どういう通達で指示されているのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 年度途中におきます予算の節約は、そのときの方針によって多様であります。つまり、あれは昭和四十年度予算でありましたか、一時かなり多額の節約を計画したことがあります。それは途中で取りやめにいたしましたが、そのときは公共事業費までくるめましてやったんです。四十二年に節約をやりまして、いまお話がありましたが、あのときは行政事務費の七%、これをやったわけです。それから四十三年度、四十四年度におきましては、四十二年度にそういうことをやりましたから、したがって、当初の予算から従来の事務系統の費用は七%落とすと、こういうことにいたしております。四十五年度におきましても同じでございますが、四十四年度――ことし節約いたし、給与財源に充当いたしたわけでございますが、これは当初に七%節約をいたしましたその上に、さらに行政事務費、これの五%の節約をすると、合計一一、二%ぐらいになるのですが、それを目途にやったわけです。私は常日ごろ閣議等におきましても、予算の実行においては節約を旨とすべきものであるということを強調しておりまして、閣僚におきましてもこれに協力をくださった、その結果がさような数字になるわけであります。
○向井長年君 これは、民間はやはり経費の節減、高能率、合理化というものに真剣に取り組んでおるのですよね。したがって、私は少なくとも大蔵省の通達によって厳正にこれをやるならば、一%やあるいは二%近い節減はできるのじゃないか、こういうような立場から、この問題について今後どう節減態勢についてとっていくか、これをちょっとお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 額にしては、四十四年度におきましてもそう多額ではないのでありますが、とにかく公共事業費、また社会事業費、それから地方交付税交付金、これが予算の中で大口のものでありますが、これらにつきましては、整理、節約することはまあ妥当ではない、さように四十四年度は考えたわけであります。そこで、その他の一般の行政事務費、これを当初において七%、また年度途中において五%と、こういうふうに出しましたが、今後とも国費は大事にしなければならぬというたてまえで、必要に応じましてまた各省と相談して、最小限度の費用をもって最大限の能率をあげる、こういう心がまえでやっていきたいと思います。
○向井長年君 行政管理庁長官にお聞きいたしますが、行政改革とは、要するに各省庁の機構の膨張を歯どめし、そしてやはり機構の簡素化、高能率、こういうところに本旨があると思うのですが、今日まで何をやられてきたのですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 行政運営の能率化に関しましては、これまで行政改革の一環として、許認可及び報告事項の整理、行政事務の下部機構への委任、機械化等による事務の合理化を推進してきましたが、特に行政事務の改善については、昭和三十二年十月の閣議決定、公務員の給与に関する取り扱い等について行政運営改善の推進機関を設けることとし、各省庁における能率官及び能率官を構成員とする各省庁事務連絡会議を設置して、改善を促進しております。また電子計算機の利用については、昭和四十三年八月の閣議決定、政府における電子計算機利用の今後の方策により、行政管理庁の総合調整の推進をはかっております。また行政監察においても、行政の能率化、簡素化という面に主として重点を置いて実施してきておりまして、たとえば昭和三十九年から昭和四十年度にかけて行なった行政運営の改善に関する総合監察では、戦後から当時までになされた行政の能率化、民主化についての一連の閣議決定事項の実施をはかるとともに、行政事務の機械化、窓口事務の改善等をはかっております。
○向井長年君 いま長官から報告ございましたけれども、私は、コンピューターの導入による行政能率の向上の方針が決定された四十四年度で四十名ばかり養成員がなされたということと、六千万円の行政情報処理調査費が計上された、それ以外にほとんど何もないと思うのですよ。今後行政管理庁長官は、各省庁に対して、行政の簡素化、高能率化のために長期計画をどう持っていくのか、これを具体的に、あるとするならば知らしていただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 行政管理能率化は行政の基本方針とするところでありまして、行政管理庁としても、従来とも総定員法等三年間五%の定員削減措置並びに第一次、及び第二次の行政改革計画等により、これに取り組んできたところでありますが、今後ともこのような基本方針を堅持してまいる所存であります。特に事務の能率化に関する具体的方策としては、第一に、従来から推進してきました能率官制度をさらに充実させるとともに、事務改善担当官の養成を強化する、これにより各省庁における資料管理、報告制度、決裁事務などの改善を積極的に実施することとしております。第二には、電子計算機の利用の高度化であります。これについては、昭和四十三年八月の閣議決定をさらに推進してまいります。その主要な項目としては、各省庁共通業務のシステム開発、各省庁間ネットワーク・システムに関する研究開発、電子計算機要員の確保と育成、特に基幹要員に対する統一的研修の実施、データ・コードをはじめとする各種標準化などがあげられると思います。
○向井長年君 それでどれくらいの経費の節減になるんですか、それをやると。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答えします。
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。
 ただいま御質問の経費の節減でございますが、これにつきましてはっきりと積算はいたしておりません。ただ、共通システムの開発なり、あるいはネットワークの開発によりまして、行政事務の非常な簡素、合理化、能率化が行なわれると信じております。
○向井長年君 荒木長官ね、やはり行政の簡素化とか高能率といえば、これによって国民の血税をこれだけひとつ浮かすんだと、こういう目標がなければいかぬのじゃないですか。それなしにこれやるんだこれやるんだ、そんなことであったら、何を目的としておるんですか、この点どうなんですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 たとえば電子計算機の問題にいたしましても、幾ら金銭にして節約できるかということは、推定は困難でございますけれども、相当の節約ができるであろうということだけは言えると思います。金額的に申し上げかねますけれども、要はそういう意味合いにおいて理解しておるところであります。
○向井長年君 総理、いま長官が言われましたようにですね、いま民間では、民間企業におきましては、合理化あるいは近代化、高能率化、こういうことで一番真剣にあらゆる業界でも取り組んでおると思うんですよ。政府機関がこれに対してもっとやはり具体的に真剣に、民間においては、これを近代化すれば、これを能率化すればこれだげの財源が浮いてくると、こういう目標のためにやはりやっておると思うんです。そういう立場から今後長期構想を立てて真剣に取り組まなきゃならぬと思いますが、総理はどういうように指導されますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりです。まあ簡単にさように答えていいかと思いますが、それでは御満足がいかないだろうと思いますし、私も官僚の出身、またいまの荒木君も官僚の出身であります。しかし、もう国会にずいぶん長く席を置いております。そこで、いままでのような組織でなくって、もっと能率のあがって、ほんとに国民のためになるような行政を推進する、そういうものがほしいと、かように思っております。まあいままで取り上げたものも、臨時行政調査会からのこれは答申でございますが、一省一局削減、あるいは総定員法を成立させたことも、ただいまの行政簡素化あるいは能率をあげるその方向だと思っております。ただいま鋭意取り組んでおるのが許認可あるいは届け出事項の整理でございます。これはたいへんなむずかしい問題でありますし、ものによりましては、やはり民間からも、なるべくときに政府、各省がタッチしてくれたほうがやりやすいという意味で、整理の協力も得がたいものがございます。しかしながらそういうことを考えないで、思い切って許認可事項やあるいは届け出、これを簡素化すると、同時にそれにつながる人も整理されるわけであります。それがこの前成立させた総定員法で運用されるわけであります。実際に出血しないで人員をふやさないという、そういう方向でこの問題と取り組むのでございます。したがいまして、どうしてもある程度の時間はかかると、また政府がやっていることはいかにも手ぬるいように考えられます。しかし政府としては、あらゆる機会にただいま申し上げるような方向で取り組んでおるつもりであります。ことに最近はまた各省の縦割り行政ということについての批判がきびしい、各省がセクショナリズムにおちいっておりはしないか、もっと総合的に施策を進めろ、こういうような注文も出ておりますので、そういう点も考えつつ行政機構を整備していくというのがただいまのたてまえであります。私は不要になったものが整理されると、しかもそれが出血という形で出てきて問題を投げかけるということのないように、お互いに納得がいくような方向で、事実は国民に役立つような行政機構の整理、改革を断行していくつもりであります。幸いにして各省ともそういうことで協力しておりますから、この成果は必ずそのうち出てくるだろう、私は、特にそのうちということばを使っているのも、相当時間のかかる問題だと、こういうことを御理解いただきたいと、かように思う次第でございます。
○向井長年君 誤解あってはいけませんが、出血を来たすというようなことを私は言っておるのではなくて、民間においても出血来たしておりませんよ、これは。自然淘汰をやっておるのですね、採用とあるいは退職との。こういう形でやはり人員の問題は取り組まなければいかぬと思います。
 時間がございませんからこの問題これくらいにいたしますが、次に経企庁長官にお伺いいたします。
 実は三月二十五日の毎日新聞でございますが、朝刊に、「新経済計画に横ヤリ」という見出しで、自民党から特に――これは経済社会発展計画について経済審議会の構想が二十三日に公表されました。これについて自民党の田中幹事長から九兆円上乗せをぜいという横やりが入った。これに対して経企庁長官は苦慮している。こういうような内容の文章ですが、これは事実ですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) そういう事実はございません。
○向井長年君 これは新聞の誤報ですか。毎日新聞朝刊の誤報ですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ二つございまして、一つは、幹事長のほうから何らかの意味でもってそういうことが行なわれたかどうかを私は耳にしておりません。それから、これは私自身に関することですが、したがって私が苦慮したということは全然ございません。
○向井長年君 苦慮はないか知らぬが、その事実はないのですか、事実が。
○国務大臣(佐藤一郎君) 私耳にいたしておりません。
○向井長年君 この計画案審議に対しましては、少なくとも経企庁の中から幹部が出席しているはずなんですね。そういう中で、この問題については何ら出なかったのですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 出ておるということを聞いておりません。
○向井長年君 出ておるのですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 出ておるということを聞いておりませんから、出ていないと思います。これは、御存じのようにもともと経済審議会が私どもに答申を、いま案をつくられまして近々中に答申を出されておるということでございます。したがいまして、この経済審議会に対して、審議会自身が各方面の関係者の意向を徴するというようなことはあると思いますけれども、そういう介入というようなことは全然聞いておりません。
○向井長年君 じゃ、これは新聞の誤報である、うそである、こういうように解釈してよろしいですな。
○国務大臣(佐藤一郎君) 私に関する限り、全然聞いておりませんから……。
○向井長年君 これについて、まあ私はこれは誤報か何かはっきりしませんが、国民経済計算の面から、この数字の変更というものは問題だと思うのですよ、計算ですからね。これが実施になれば、これは自民党の幹事長であるし、あるいは政府がはっきり実施するんですから、意見出ても私はしかるべきだと、こういう問題がこういう途中で、誤報であるにしても、何らかこれはあるんじゃないかというような気がするんです。何か大蔵大臣御存じですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 全然聞いておりません。
○向井長年君 総理大臣いかがでしょうか。自民党の幹事長としてものを言っておられるんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私も全然さようなことは聞いておりません。
○向井長年君 それ以上その問題は追及しませんが、とにかく経企庁長官は、今度の長期計画を立案する中で、特に私はこの中で消費者物価の安定、第五項の中で「物価と賃金・所得、生産性」の項で触れているが、物価を押えることは非常に困難である。しかしながら、十年一日のごとく月並みのような説明をしておるんです、政府は。既存の政策をずっと羅列されたにすぎないと思うんです。こんなことで実際物価政策がとれますかということです。この中ではですね、御承知のごとく五十年度まで年平均四・四%、それから一番最後には四・三%を想定しております、五十年度には。これは、しておるけれども、最終年度にこの物価をこの水準に押えるということが、これは当然だということを言われると思いますけれども、実際どういう構想で押えられるのか、これは経企庁長官、どうなんですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 向井さんの御指摘になりましたように、今日、計画の策定に使っております中期マクロ・モデル、これは約六十の方定式に基づいて出るところの数字でございます。ですから、その数字自身について、これを動かすとか動かさないとかいう問題は、全然これは起こり得ない話でございまして、その点だけはひとつ御信頼願いたいと思います。
 なお、いまの物価の点につきましては、これはまあいま答申案を作成中でございまして、近々に出るという手はずでございますが、その中におきまして、いま御指摘のように、この物価の問題はたいへん重要なものとして特に取り上げ、そしてそれについての幾つかの提言が内容となっております。これが結局、従来とあまり変わりばえがしないんじゃないかと、こういうことだろうと思います。この物価の政策というものは、いわゆる構造政策あるいは総需要の抑制政策、これらいわゆる本格的な政策というものの中身は、早急に目新しくなるものではないと思います。ただ、まあ問題は、今後それをどうやって実現していくかという点にあるんだろうと思います。なお、いまお話がございました物価の、五十年度は三・八ということを想定しております。それで中期マクロ・モデルによって一応の計数出ますけれども、なお今後輸入の自由化とか、また自由化しないまでも輸入政策をできるだけやってまいるとか、こういうようなことをできるだけやってまいると、そうした政策努力ということも考えまして、四・四%という数字を出したようなわけであります。
○向井長年君 これはただ一つの目標スローガンでしょうけれども、具体的にやっぱりこれは国民の前には、こうして物価を押えられるのだ、こういうことが明示されなければならぬと思うのですよ。たとえば物価安定臨時措置法というような法律をつくって、そうして具体的に公共料金の問題あるいは一般の問題、流通機構の問題どうするのだ、こういう状態が出てこなければ国民は信用しませんよ。そういうことをやる意思ありますか。またやらなければならぬと思うのだが、経企庁のほうはどうですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ答申の、いま原案作成中のその中身というものが目新しくないという話ですが、私はこれは今後政府が責任をもって実行していかなければならないと、そういうふうに考えております。
 なお、法律を制定するかどうかという問題でございますが、その法律がどういう中身を持っているかわかりませんが、かりに法律的に、たとえば価格統制を行なうとかいうような中身であるといたしますと、私どもはそういう手法は目下考えてはおりません。ドイツなんかでもいわゆる市場経済の方式を使っておりまして、日本と同じでございますが、法律使ったことがありますが、あれは主として財政について、特に地方財政についての統制を規定したものであります。そういうことで、もしも価格統制というようなことを考えてのお話でありますと、私としては目下考えておらない、こういうふうに申し上げます。
○向井長年君 いま言われたような政府の構想は、歴代の企画庁長官が言うたことですよ。佐藤さんは、少なくとも大蔵省出身であり、非常に見識高いと私たちは評価しておるのですよ。非常に期待も大きいわけですよ。したがって、やはり国民に、明確に今度はこうするのだぞと、したがって物価はこうなるのだぞというものを明示しなければ、こんな羅列ではだれも信用しませんよ。この点について具体的に何らか、そうすると構想を持っておりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 別に法律を制定するいま予定は持っておりませんけれども、提言の内容になっておりますところのものを、ひとつできるだけ努力をもって実現してまいりたい。そのためには、場合によって、まあ法律ではございませんけれども、そうした方式を閣議決定によってやるとか、これから私たちもできるだけ、その計画のみならず、御存じのように物価安定会議その他いろいろ提言もございます。そうしたものを実行していくように、われわれとしても考えております。
○向井長年君 時間がございませんから次に移りますが、あまり満足すべき答弁じゃございませんので、今後適当な機会で再びやりたいと思います。
 次に、私は電力行政についてお伺いいたします。
 宮澤通産大臣にお聞きいたしますが、いま電力は危機だといわれております。電力危機というようなことばでいわれております。なぜ危機が起こったんですか、危機というのはどういうことなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 当面私どもが申しておりますのは、今年の八月ごろ――ピーク時には供給予備率がかなり下がりそうである、三%台に下がりそうでございまして、御承知のように通常でございますと、七%ないし九%はございますわけでございます。来年まで見通していきますと、需給関係がかなりくずれてきておるということを感じております。
○向井長年君 現在三%余りであると。しからば大体予備力はどれくらいが一応妥当だと思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来わが国では七%ないし九%程度が妥当といわれておると聞いております。
○向井長年君 予備力たくさん持つことはこれはいいことですが、安全ですから。アメリカでは一〇%から一五%、あるいは英国では一五%以上あるといわれておるのですね。日本では三・八%、現在。いまそうすれば、開発計画はどういう計画になっておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 欧米の場合とそのまま比較できるかどうかということには、多少問題があるようでございますけれども、いずれにしても、わが国が妥当とする供給予備率をはるかに割り込みそうだということは、おっしゃるとおりでございます。そこでまあ火力、あるいはこの節はもう一ぺんまた水力ということ、ことに揚水発電というようなことがまたいわれておりますが、とにかく、今年あたり資金の手当てをよほど本格的に考えまして開発をしてまいりませんと、いずれにしても今年の間には合いませんが、明年以降かなり心配な状態にある、そういう施策を精力的に進めてまいりませんとならない年になったと思っております。
○向井長年君 現在需要伸びが一四から一五%の伸びを示していると、これに対して予備力は三・八%しかないと、したがって急速に開発を進めなければならぬということですね。しかし開発は遅々として進まないんじゃないですか。いろんな問題があって、なかなか開発が思うように計画どおりいかないと、こういう理由は何ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 土地によりましていろいろ異なった事情がございますが、概括して申し上げますと、やはり一つは大気汚染等の公害についての問題でございます。それからときとしては、漁業補償の解決に非常に手間どる場合もございますし、また自然の景観をこわすというような住民の反対の場合もございますし、さらにはその地域の開発計画の一環としてやってもらいたいというような要求が出たりいたしまして、なかなか立地が決定をしないという場合が非常に多うございます。そのほかいろいろ土地によりまして異なった事情があるようでございます。
○向井長年君 私はこの問題については、ただ企業の問題じゃなくて国家的見地から、少なくとも御承知のごとく日本の経済成長に伴った今後の重大な大きなエネルギー政策である、あるいは国民生活の大きな重大な問題である、こういう中からこの問題を取り上げておるんですが、いま宮澤大臣が言われましたように、遅々として進まない状態はおおむねそういうところにあると思うんです。しかし私の解釈では、その開発地点に対して、一つにはイデオロギー的な反対が一つあるということ、二つにはやはり公害問題の反対があるということ、三つ目にはやはり補償に対する条件問題の反対がある、まあ景観の問題もありましょうが、大体これに大別されるのじゃないかと思う。この問題に対して、ただ一企業の問題じゃなくて、それぞれ政府機関に関係する問題が大きいわけなんですよ。これに対して通産省は主管省として各関係省と連携をとって促進しておりますか。しておりませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、電源開発調整審議会で決定をいたすわけでございますが、それまでの間に各官庁では緊密な連絡をとっております。また現実に立地になります際にも、地方公共団体にもできるだけ働きかけまして、この問題は御説のように一私企業の問題ではございませんから、できるだけ公益的な見地に立って、関係地方公共団体、また住民の協力を求める、極力いたしております。
○向井長年君 私はひとつ例を申し上げたいのですが、申し上げるというよりも、例に対してお聞きしたいのです。京都の宮津において御承知のごとく、これは関西電力の開発問題ですが、これに対して四年間取り組んできたけれども、いまだに開発ができ得ないと、あるいはそれに対する決定すらできない、こういう理由は何でしょう。その後の経過はどういうことになっておるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の承知しておりますところでは、京都の宮津の発電は昭和四十一年に電源開発調整審議会で決定をされたものでございます。その後地元の協力、それから漁業権の問題等もまず大かた見通しがつきましたので、起業者が京都府に対して所要の許認可事項について申請をいたしたわけでございます。それは申し上げるまでもなく、御存じのとおり公有水面の埋め立てでありますとか、あるいは自然公園法に基づく許可でありますとか、森林法に基づく許可でございますとか、いろいろございます。これらはすべて京都府の府知事の許認可事項、あるいは府知事を通じての申請事項でございますので、それらの申請がなされた。ところが、どういう理由でありますか、それらの申請は受理されないまま数年を経過しておるわけであります。もともと、この計画は予定どおり進みますと、昨年の暮れには四十五万キロワットがすでに運転を開始するはずでございましたし、今年の六月にはさらに新たに四十五万キロワットが加わる予定でございましたが、両方とも現在進捗をいたしませんために、地域の電力会社の供給予備率は非常に低い状態になっておる、こういうように承知しております。
○向井長年君 これですね、関西電力がこの地点をみずからやろうとしたんじゃなくて、宮津市の市議会で誘致運動が起こって、そして宮津においては誘致を積極的に進めてきたわけですよね。そういうところで御承知のごとく漁業補償なりあるいは用地取得補償が全部完了したにもかかわらず、やれなかったという理由は何ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もつまびらかにはいたしませんが、事実はいま向井委員の御指摘のとおりでございます。そこで先ほど申し上げましたようないろいろな法律に基づく許認可の申請あるいは経由というものは、当該官庁において不適当と思えば不許可にする、適当と思えば許可にするということが通例でございますと思いますが、申請そのものを数年間にわたって受理しなかったという事態はきわめて異例なことであると思っております。
○向井長年君 先ほど通産大臣は、各省庁と連携を保ちつつ今日まで促進をしておると言います。しからば京都府に対して自治大臣はどういう指導なり勧告なり、行政的なことをやられたのですか。本来であるならば、府なり市なりはこれに対して積極的であっても地元が反対するというのが多いんですよ。これは逆なんですよ。地元が誘致運動をやって、しかもその地点においては少なくとも補償もすべて解決して、いつでも工事やってくださいというかっこうになっておるわけです。それを府が認可しないということについて、自治大臣どういう指導をされたのですか。あるいは京都府に対してどういうようなこれに対する勧告なりあるいは相談をされたのか、この点明確にしていただきたい。
○国務大臣(秋田大助君) 自治省といたしまして、この問題につきまして積極的に指導等をしたことはございません。
○向井長年君 何もやってないじゃないですか。通産大臣、省庁と相談してやってるって、何もやってないじゃないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもの役所にも地方に出先の機関が御承知のようにございますわけでありますが、まことに残念なことでありますが、私どものそのような国の出先機関と当該官庁との連絡というものは非常に円滑を欠いておりまして、事実上とういう問題について意思を通じようとしましてもできなかったという事実がございます。
○向井長年君 総理、いまお聞きのような状態ですが、とにかく電力危機だと言われて、いま約百万キロ近いやつがちゃんと準備完了しても開発ができないという実態があるんですよ。しかもこれは御承知のごとくですよ、電源開発調整審議会で決定をしてそして進め、用地を取得して、地方自治体がこれに対して認可をしないという理由は何ですか。こんなこと許していいんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) その理由がわかっておれば非常に楽なんですが、理由がわからないところに問題がある。これはいまのところ京都府で一体何を考えておるのか、もう四年もたって、その問題をそのままにしている。悪いなら悪いと言って、はっきりどこが悪いとか、どこをどういうふうにしろとか言うならわかりますよ。何も言わないで放ってある。これはどうしようもないですね、不作為行為は。そこに私どもも問題がある、かように思っております。ただいま向井君が関電の電力需要の非常に増加しているこの際、一日も早く発電所がほしい、こういう気持ち、これはよくわかります。したがって、何とかこういうことは早く解決されることが、これが必要だと思いますが、ただいまのように行政官庁がそれぞれ違っておる。中央政府でどうすることもできない問題だと、ここにいま問題がある。問題の所在だけをはっきりしておきますが、その理由がわからない、こういうことがあってよろしいのかと、そこにおそらく批判は集まっておる、かように私は考えております。
○向井長年君 私の調査によりますと、京都府の知事さんは、正規の行政ルートに乗せてないからいかぬと、こう言うんですよ。そうらしいです、ぼくが聞くと。しかし、いままで全国的に開発ルートというものは誘致運動もあれば、あるいは起業者が設定して地元でこれを了解してもらって、それから許認可を出すわけですよ。これはもう恒例であり慣例であるわけですよ。にもかかわらず、地元では誘致運動が起こる、宮津市においては。そして栗田という地点においては賛成をして補償金をもらってそしてやろうとしたところが、認可をおろさない。まだ早い、早いと言って、これをずっとおくって、四年間置いておったわけですよ。こういう地方行政というものはあるんですか。私はこれをどこへ持っていって話したらいいんだ、こういう問題は。中央政府、総理ですらわからぬ、何もできぬと、地方自治というのはそんなに強いものですか。がんとしてむちゃでも言えば通るんですか。この点いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ中央政府と地方自治体が対立ということはありましても、その国民の便益、それをはばむという、さような自治体があってはならないと、私はかように考えます。そして、そういう事柄はきびしく国民から批判される問題だと、かように思っております。ただいまの問題はただ単なる権限争いの問題として云々すべき問題ではなく、これは国家的な重大事件だと、かように思っております。また、そういう方向で批判されるべきものだと、かように私は思っております。
○向井長年君 そういう重大な問題を私がこの予算委員会で初めて言わなきゃみんな知らぬというのはおかしいじゃないですか。少なくとも所管大臣はこういう重大な問題について、先ほど言われるように、自治大臣も知らぬと、こんなことでは電力危機と言われる国家的見地からどうして今後やっていこうとするか、私はすべての府県でそうだとは言いません。しかし、こういうようなことで、一つの例を申し上げますならば、真剣に努力しても、いまなお四年たってもこれが開発されない。こんな状態では、中央の行政指導は那辺にあるかということを伺いたい。いかがですか。
○国務大臣(秋田大助君) 地方の自治行政と、これに関する中央政府からの指導の問題、なかなかデリケートな問題、かつ困難な局面を呈する場合もままあるわけでございます。本件に関しましては、自治省として、ただいまも申し上げたとおりでございます。事情を必ずしもつまびらかにいたしておりませんけれども、ただいま当事者間でいろいろ協議も行なわれていると伺っておりますので、この際自治省といたしましては、地方行政運営全体の問題として何らかの措置に出るが適当かどうかという問題がありますけれども、事態の推移をいましばらく関係省庁ともよく連携を取りつつ、事態の推移によって適当の処置をとりたいと考えております。
○向井長年君 それともう一つこれに関連して私は申し上げておきたいのですが、これは農林省に関係ありますから、農林省にも答弁願いたいと思いますが、先ほど言った開発地点が漁業のいわゆる組合を持つ栗田というところなんです、宮津の。この諸君がやはり市の決議にまじめに協力をして、そうしてこの問題に対して解決をしたのですよ。解決をしてやったときに、ちょうど御承知のごとく、昨年からことしにかけて漁業権の更改時期に達した。五年経過満了しまして、他の漁業区においては直ちに海区調整委員会ですか、あすこで審議会つくって、あすこで全部認可した。この漁業区に対しては認可をしない。これは農林大臣御存じですか。しなかったことを御存じですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) いまのお話の件ですが、前回の漁業権の一斉切りかえに際しまして、京都府宮津市の栗田漁業生産組合にかかるイワシ等の定置漁業権七件の免許が当初の免許予定日である四十四年一月一日から約四カ月おくれて行なわれた、その事例であろうと思いますが、本件の免許がおくれました事情としては、京都府知事の切りかえの一連の手続におきまして、四十三年十一月九日、知事から京都海区漁業調整委員会に対して漁業法第十四条の漁業権免許の適格性について諮問が行なわれましたが、同委員会での審議がおくれまして、四十四年四月下旬に至ってようやく関係定置漁業権七件を免許するよう最終的な答申が行なわれまして、知事はこの答申に基いて五月一日付で関係漁業権の免許を行なったものであります。本件の免許の遅延につきましては、京都府に対しまして、水産庁からたびたび漁業法所定の手続により海区漁業調整委員会の審議を促進して、すみやかにその答申を得るように連絡いたしましたが、海区漁業調整委員会の審議が容易に進まず免許がこのようにおくれた次第であります。
○向井長年君 これも重大な問題ですよ、はっきり言いまして。五十年以上の先祖代々の漁業権ですよ。これを宮津の火力開発に協力したというかどでこの海区調整委員会では問題になって、ほかのほうは全部無条件で許可しているにもかかわらず許可しない。四カ月おくれた。その間やはり死活問題でしょう。生活問題ですよ。こんな問題を放置することができるのですか、憲法上。これは私は重大問題だと思う。いかなる理由があろうと、生活権を奪うのは何事だというのです。これは法務大臣どうでしょうか。こんな生活権をかってに奪ってよろしいか。その理由は何だといえば、先ほど言った開発地点に賛成したからいけないのだ、こういうことで漁業権の権利を奪おうとしているのです。よろしいか、法務大臣。
○国務大臣(小林武治君) いまのお話しのようなことは故意あるいは怠慢によってやっておる、こういうことによりまして漁民の人権をそこなう、こういう事実は私は適当でないと思いますが、私どもにおきましては、当事者からそういう事態の申告あるいは申し出があれば当然調査をいたすわけでございますが、いままでのところ、われわれの関係者にはそういうことがなかった、これからでもあれば調査をいたして善処いたします。
○向井長年君 この調整委員会は、どういう形で構成されておりますか、農林大臣、海区調整委員会。
○政府委員(大和田啓気君) 海区漁業調整委員会の委員の数は十五名でございまして、うち九名が公選で、学識経験ある者あるいは公益を代表する者から六名、知事が選任をいたすわけでございます。
○向井長年君 知事の任命ですか。
○政府委員(大和田啓気君) 知事が任命するわけでございます。
○向井長年君 こういうように、その調整委員会において引っぱって、引っぱっていやがらせをして四カ月間、そして最後に調整委員会では結論が出ない、そこで知事部局にこれに対して結論を出すために農林省のほうがいろいろ説得をし勧告をしたと私は思います。そういう中から、これはやはり人権問題であり、生活権の問題だから何とかしなければならぬなというかっこうになっと私は想定するのですが、そういう中で、最終的には条件をつけてのましておるんですね。その条件たるや、どういうことか知っておりますか、農林大臣。知らなかったなら私が言いましょう。条件は、まず火力地点に対して賛成して補償金をもらったことに対しては、悪かったという謝罪文を出せ、よろしいか、これは知事からですよ、謝罪文を出せ、続いて補償金一億六千万円だったか七千万円だったか知りませんが、その区域ですね、この金は使ってはいかぬ、凍結する、漁業組合に凍結する、京都府漁業組合に凍結する、こういうことらしい。そうすれば漁業権をやる。そんなことが許されていいですか、農林大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私、ただいまの内容をよく存じませんでしたけれども、いまのようなお話が事実であるとすれば、これはたいへんなことだと思います。お話がございましたので、すみやかに調査をいたしてみます。
○向井長年君 そういう形で、栗田の漁業者約五十軒です、家族を入れますと百五十人程度、この諸君が四カ月間職を失って生活が困窮した。ようやくそのあっせんをのまざるを得ないというかっこうでのんで、この問題が、金はたな上げせられ、謝罪文は取られて、現在そのままになっているんですよ。こういう問題について私は、これはそういう金を凍結するような権限がどこにあるのですか、何の法律を根拠にしてやれるのですか、これをちょっと教えていただきたい。どの大臣でもけっこうですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が報告を受けております限りでは、当該漁業組合、宮津市と府の漁連でございますが、副知事があっせんをしてこのような条件による約束を結んだ、謝罪等々、ただいま向井委員の言われたとおりのことを私も報告を受けております。したがって、これは法律の根拠に基づくものではなく、おそらく一種の、どう申しますか、和解というのでございましょうか……。
○向井長年君 脅迫だ。
○国務大臣(宮澤喜一君) あっせんの結果に基づく私的な約束というのでございましょうか、そういう条件のもとに、先ほどお話しの免許が更改時期に当たっておった申請のつまり更改を許した、こういうふうに私は報告を受けております。
○向井長年君 これは和解と見ますか。漁業権をやるためにはこうやらなければやらぬぞというようなことは和解じゃないですよ、これは。しかたなしに漁業権、あしたからの生活困るからしかたなしに漁業権をもらわにゃいかぬから金は凍結してください、やむを得ませんということでしょう。脅迫ですよ、これは。こんなことを私はどういう中で、どういう法律根拠で凍結ができるのかということを言いたいのです。総理どうでしょう。法制局長官もおられるし……。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、ただいま言われることが事実なら、たいへんな問題だと思います。したがって十分……。
○向井長年君 大臣が事実だと言うています。
○国務大臣(佐藤榮作君) 十分事実を調査して、そして適正なる指導をすることが必要だろうと思います。私はかような不公正な取り扱いが許されてはよくない、それはそれらの人たちがきわめてわずかにしろですよ、たいへん、法の保護のもとに置かれるべき人たちがただいまのように不公正な取り扱いを受ける、かようなことを見過ごすわけにはまいりません。したがって、ただいま法務大臣も申しましたが、訴えがあればもちろんですが、ただいま向井君がこうしてこの予算委員会の場でお話しになるのでございますから、そういう点は十分政府において取り調べてこれに対する善処をすること、これは当然のことだと思います。
○向井長年君 まあ総理からその実態を十分調査して善処をすると、こういうことでございますから、これでこの問題終わりたいと思います。
 最後に申し上げておきますが、この開発に対しましては宮津市、あるいは岩滝町議会、峰山町議会、網野町議会、弥栄町議会等が促進決議をしております。宮津市農協七団体、あるいは商工会議所等も開発促進決議をしているにもかかわらず、これに対して府がおろさなかった、こういう実態もあわせてひとつ御調査をいただきたいと思います。
 そこで、続いて私は大蔵大臣にお聞きいたしますが、先ほど言われましたように、わずか三・八%の予備力しかない。今後急速に開発を促進しなけりゃならぬ。もちろん原子力もありましょう。あるいは揚水の水力もこれからまた取りかからなければならぬ。火力はある。これに対して相当なやはり資金が必要だと思うのですよ。その財源に対しましては、昨年もことしもおそらくやそれぞれの企業からこれに対する社債発行等の申請があると思うのです。そういう問題についてはどういう状況下にいまあるか、ひとつお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 金融調整下におきまして非常に大事な基幹産業である電力資金をどういうふうに充足するか、特に電力はいま話がありましたように予備供給力が非常に少なくなっておる、そういう状態下の電力資金をどうするか、これは前から私も頭を痛めておる問題であります。電力業界から七千億円の金が要るんだというふうに聞いております。それは結局、増資によるか、あるいは社債の調達によるか、あるいは金融機関からの借り入れ等によりますか、大体調達の道はそういうことになりますが、いま調整下でありますので、その七千億円という金まるまるをということはなかなかむずかしいんじゃないかというふうに見ております。しかし、先ほど来御論議がありますように、非常にこれは大事な問題でありますので、できる限りこの緊急必要とする資金につきましては、これが充足されるようにという心づもりで、こっちはまあ強制権はないのですが、あっせん、誘導に当たっておるというのが、現況でございます。
○向井長年君 まあ、金融引き締めという中で、非常にむずかしい問題があると思いますけれども、しかし、実際は増資の問題もありましょうが、やっぱり社債になってくると思うのですよ、不足分は。おそらく昨年が二千数百億だったと思いますが、全国でね。ことしは三千億余りの、やはり社債発行という問題が出てくると思うのです。そこで常に社債の問題については申請どおり認可しないと思うんですよ。問題があるようですね。したがって若干これが低目になってくる。そうすればいまの予定では昨年と同じような考え方を持って、もし社債がそのくらいに押えられるとするならば、六百億から八百億の不足を来たすと思うのですよ、おそらく私たちの調査では。これに対してどういうように対処しようとされますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 社債市場の需給も非常に窮屈であります。いままでの調子でいきますと、やっぱりこの面から電力資金の不足という問題が出てくるのでありまするが、いままでの社債全体の中における電力社債ですね。これのシェア、これを高めるか、あるいは他の方法でこれを充足するか。たとえば共同証券あたりに社債を持ってもらうというようなことを考えますか、いまいろいろときめこまかな配慮をいたしておるという最中でございます。
○向井長年君 たとえば別ワクで、まあ俗に言う縁故債といいますか、こういう問題を一つ認めざるを得ないんじゃないかと、こういうように思いますけれども、これは大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 向井さんのおっしゃる別ワク、縁故債というのは、おそらく取引先に社債を持ってもらうというようなことだろうと思う。そうすると取引先は、やっぱり電力会社に比べれば中、小の企業でございます。それの資金を今度は圧迫するという問題がありますので、なるべくそういう方法に寄らないで、緊急な資金の充足をはかりたい、さような考えでございます。
○向井長年君 取引先だけじゃないと思うのですよ。やっぱり大口需要家とか、こういうところがあると、それから発電をやっておるのは大企業ですよ、これは。建設は。そういうところもやっぱり一つの能力はあるし、各社はそれぞれ努力をしてそれをつくるということであるならば認めてもいいんではないかという感じを持つのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 弊害のない持たせ方、これならば別に支障はないと思いますが、まあ社債を押しつけておいて、そしてそれを資金化させるというようなことになりますと、その企業のほうでまあ資金圧迫を受けるわけであります。それ自体なんかは避けなければならぬというふうに考えておりまするが、いろいろな角度から見て支障、弊害がないんだというような持たせ方がありますればそれは別に私どもが異を唱えるところではございません。
○向井長年君 いろいろと申し上げたいのですが、時間がございませんが、とにかく通産大臣も言われましたように、事実ただいま電力危機だと言われている。これに対応するためにやはり開発計画から、その他それぞれの問題とあわせて、これに対する開発資金問題もあわせて大蔵大臣十分な配慮をしてひとつ取り組んでいただきますように、これは私強い要望として申し上げて、この問題を終わりたいと思います。
 そこで、毎年同じようなことを言うようでございますが、自治大臣、ことし総理から電気ガス税について軽減するように示唆されたと私は聞いておりますが、示唆されましたか。
○国務大臣(秋田大助君) 予算編成の交渉過程におきまして、大蔵大臣から、総理が電気ガス税の軽減を考えてくれと、きみに伝言があるよということを聞きまして、総理から間接にその指示を受けたと、私は心得ております。
○向井長年君 総理、事実ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題は私はもう何回もこの席あるいは他の委員会等、あるいは本会議でもお答えしたように、私はもっと軽減を進行すべきものだと、かように思っておりますので、あらゆる機会にただいまのような点をお話ししておるわけであります。今回そのほうで実現しなかったことはたいへん残念でございますけれども、大蔵大臣これをたいへん苦心しまして、わずかではありますが、その課税最低限を引き上げたという、そういうことがせめてもの私の趣旨に沿ったものではないかと、かように思っております。しかし、いずれはさらにもっと積極的に。パーセンテージ、率まで下げていく、こういうことでなければならぬと、かように思っております。
○向井長年君 総理は苦しい答弁しておりますが、きょうは誕生日だからあまりいじめたくないのですけれども、これは総理の意思に反していますよ、わずかっていうが、これ五百円を六百円にしたというのでしょう、免税点。どれくらいになるのですか、自治大臣。財源どれだけですか、全国で。電気の場合。
○国務大臣(秋田大助君) 減税額六億三千一百万円と聞いております。
○向井長年君 自然増収はどれくらい、ありますか。
○国務大臣(秋田大助君) 四十四年度電気だけでございますか、電気ガス税の中で。七百一億円と見込まれておるものが四十五年度八百十七億円になる見込みでございますので、百十六億増加になるわけであります。ただいまの六億を引けば百十億の増加、こういうことになります。
○向井長年君 これくらい自然増収があるのですよ。昨年私この予算委員会で佐藤総理に言ったところが、来年度は軽減するように最善の努力をすると言った。それを受けて大蔵大臣にことづけて、ことしは軽減せいよと、こう言われたはずだ。そうでしょう、それをなぜ百十六億もあるのに、六億でこれを終わっているのですか、これで軽減したといえますか、総理の意思を体してやったといえますか、あなた。
○国務大臣(秋田大助君) 総理の御意図は伺いもし、従来も承知をいたしているところであり、また向井先生も私のところへ親しく見えられまして、このお話を承っております。私といたしましては誠意を持って、また熱意を持ってこれが解決にあたり、検討もし、措置につきいろいろ事務当局とも熱心に検討をいたしたところでございます。これが軽減は御承知のとおり市町村税、ことに都市財源に影響を来たすわけでございます。したがって、何らかの都市財源に対する措置をしない場合には、百数十億に及ぶところのいろいろの、これは一%いじりますと百三十億になるわけであります。これをまあいま直ちに全廃するわけにはいかぬわけでございますから、その点はお含みおきを願っておると思いますが、そこで都市財源につきましては、御承知のとおりいろいろの措置を講じてきておる。もう一方、住民税の課税最低限をもっと引き上げて、所得税のそれと少くとも一致さすべし、少くともその差を縮めるべしだという御意見も熾烈にあるわけであります。この問題とからまりまして、いまの問題とからまりまして、いろいろ苦慮いたしたわけであります。住民税の課税最低限の引き上げにつきましては、今回は所得税のそれよりは少しほどを高めまして、すなわち従来あった差よりは縮めた措置を講じておるわけで、これで六百六十二億円の減税措置を講ぜられるわけでございます。向井さんの意を迎えんとすれば住民税の問題にもからみ、住民税の問題を考えればまたこちらに影響があるというような二律背反的な問題もございまして、都市財源の充実という点も考慮しなければなりませんし、いろいろ地方減税につきましてはその他個人の事業税についても同じような問題もあり、これについても六十億円の減税をはかり、等々を考慮いたしまして、やむを得ず今回のような措置になりましたのでありまして、十分誠意は尽くし、いろいろと考えてみ、また措置についても事務当局へ命じた結果こういうことになりました。まことに遺憾ではございますが、誠意のあるところだけはひとつおくみ取りをいただいて事態の推移を、今後なるべくこれに応じまして御趣旨に沿うようにさらにさらに努力をしなければならぬことは当然であります。将来のひとつ懸案にいつも残っておるような形になりまして、去年のいろいろ審議の状況も、私この点につきましては詳しく速記録について調べました。まことに申しわけない次第でありますが、いましばらくお待ちを願いたいと存じます。
○向井長年君 そんなあなた何ぼ言いわけしてもだめですよ。住民税は悪税じゃないんですよ。電気税は、これは悪税だと総理が言われているんですよ、悪税だということを。まあしかし、ただいまのところは必要悪だということで若干あることはやむを得ない。しかし年々これは軽減していくんだという立場から考えるならば、これは軽減になっておりません、これは軽減に。
 大蔵大臣、あなたはこれ、税の三原則と大きいことを本会議で言われたんですよね。まず公平でなければならぬということ、それから応じられる能力でなければならぬということ、それからもう一つは国民の摩擦をなくすることだと、まあこういう三つを言われた。なるほどそのとおりだと思う。国民はまことにこれに対して非常に怒りを持っておりますよ。毎年毎年二百万が三百万の署名運動が私のところにくるんですよ。それは悪税だって総理みずからが言われている以上は、少なくとも軽減らしい軽減をしなけりゃならぬのじゃないですか。
 自治大臣、あなたね、大体この六百円にした場合に、電灯を家庭でどれだけつけられますか知っていますか。ちょっと答えていただきたい。通産大臣……。
○国務大臣(宮澤喜一君) 定額の契約でございますと二十ワット電灯一個、六十ワット電灯二個、白黒のテレビ一台であります。従量でございますと二十ワット電灯二個、四十ワット電灯一個、六十ワット電灯一個、白黒テレビ一台、以上を一日五時間使用できる量でございます。
○向井長年君 通産大臣、それだれから出したか知らぬけれども、そうじゃないですよ。あなたそれは機械的に事務局かだれかからもらったんだろうが、それは違いますよ。大体定額の場合に、これはまあ各社それぞれ違いますけれども、定額の場合に二十ワットと六十ワットとテレビ一つですよ、これですよ、いいですか。従量の場合には東京で比較した場合には三十五キロですよ、よろしいか。三十五キロといえば、との電灯何ぼ知らぬが、百ワット一つ十時間つけたら一キロですよ。一日にそれくらいしかつけられないんですよ。いま皆さんの家庭でこれに該当するうち、ここにおる議員なり、あるいは政府委員なり、あるいは新聞社の皆さん、あるいは傍聴者の皆さんおりますが、だれもいない。部屋を借りて一灯か二灯ともせば別ですよ。世帯持っている人はこんな者おりませんよ。ほんとうの低所得階層と申しますかね、こういうところは確かにこの六百円で若干潤っています。この実態をあなた知ってこの六億円をやったんですか、六百円にしたんですか。そういうほんとうに総理が悪税だから何とか少しでも軽減するようにしようじゃないかという意図が何ら伝わっていないじゃないですか。大蔵大臣どうですか。先ほどの税の三原則から考えて。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ今度自治省でですね、免税点を引き上げをした。まあ幅の問題だろうと思うのですが、非常に大事な市町村財源でありますので、まあやむを得ないところじゃなかったかと私は考えておるのです。しかし、いま御指摘のように、零細な家庭まで負担をかけるという状態につきましては、これは改善していくと、こういう考え方をとる必要があると思います。
○向井長年君 それは財源難ということは、私もわからぬことはないのです。一応財源難ということもね。しかしながらやっぱり税の構成から考えて悪税――生活に最も必需品だ。いま電気なくして何やれるのですか。家庭であなたランプつけている家ありますか。そうでしょう。そろそろ文化的な生活をするといって、いまやもう電気洗濯機も、あるいはまたその他いろいろな電気製品が各家庭に入っていると思うのですよ。そういう中で、たとえばすべての家庭にないものまで、使うやつに減税せいということは言いませんけれども、最低限の減税はこれはやるべきだ。しかもそれも昨年度のいわゆる財源を減らせとは言ってないんですよ。ことし、毎年毎年自然増収があるから、この自然増収ぐらいはなんとかこれは是正するのがあたりまえじゃないですか。しかしながら自然増収を一ぺんにいかなくても、その百十六億円の中でわずか六億円ばかりだけしたから、これで減税だというようなことは、これは世間で通りませんよ。これは総理の意思にも反している。先ほどえらい陳謝しておりますけれども、自治大臣、こんなことで国民は納得しませんよ。悪税はなくさなければいかぬのですよ。正当な税金はこれは取ってもやむを得ないと思います。取るべきであろう。こういう意味におきまして、私は再度総理にこの決意のほどを聞きたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど大蔵大臣がお答えいたしましたように、たいへん市町村税という、これは財源難だと、こういうことでありますので、まあ基本的にはもう少し適正に財源も分配する要があるだろうと思いますが、そういうこととは別にして、これが悪税であることについては、いまだに私さように思っております。したがって、そういうものを何とか財源を見つけてでも、これをやはり減らしていく、そういう方向で私の姿勢には変わりはないと、かように御了承いただきたいと思います。
○向井長年君 いま総理が言われましたその姿勢の上に立って、まあ来年私がここで質問しようとすれば、自治大臣はかわっておるかもしれませんけれども、しかしながら、その自民党のどなたがなろうとですよ、当然これは総理の意図を体して、来年度は自然増収ぐらいは必ずこれに対して低減すると、こういう約束できますが。
○国務大臣(秋田大助君) 地方財政上税体系あるいは税源の配分、特に都市財源に対する配分、こういう点を考慮しつつ、この問題を前進的に解決をしたい。その趣旨におきましては私は向井先生並びに総理と同じでありまして、前向きに必ず検討してまいる所存でございます。
○向井長年君 時間がきましたのでこれで終わりますが、まことに防衛庁長官なり、あるいはその他通報いたしました大臣の質問が時間的な関係でできなくなりました。いずれ一般質問なり、その他のほうでいたしたいと思いますが、これで私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(堀本宜実君) 以上で向井君の質問は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(堀本宜実君) 次に、矢追秀彦君の質疑を行ないます。矢追君。
○矢追秀彦君 非常にお疲れとは思いますし、また、きょうは、先ほどもお話がありましたように、総理の誕生日でパーティーが用意されているようでありますけれども、もうしばらくごしんぼうをお願いしたいと思います。
 最初に、先ほども向井委員から最初に質問がございましたソ連の爆撃演習の問題でありますが、もう少し詳しく、どの範囲で爆撃演習が行なわれる予定であるか、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、先ほども申し上げましたように、昨日、ウラジオの電信局からの――電信局といいますか放送局からのラジオで海上保安庁の水路部に入りました、まあ情報と申しますか、あるいは一種の通報と申しますか、それによって事実を承知いたしたわけでございます。そして、その水域は、わが国と関係のあるのが四カ所でございます。特に北方のほうはカムチャッカ沿岸でありまして、これは従来もときどきあった問題ですが、今回のこの水域の中には、土佐沖の水域と、それから日本海の水域がございます。これはもちろん公海上の水域でございまして、日本の本土からは相当の距離ではございますけれども、しかし、そんなにまた遠いところでもないわけであります。御承知のとおりに、公海法におきましては、公海の自由ということが各国間で保障されておりますが、同時に、公海法におきましても、航行の自由とか航空の自由とかあるいは漁業の自由とかいうことが沿岸国あるいは非沿岸国に対しましてもその自由を侵害しないように配慮をするというそのことも記載されてあるわけでありまして、法律論からいえば、公海の自由ということとそうした航行その他の自由とが若干法律観念からいえば接点ができているような観念の問題であると思います。そういうことでございますけれども、しかし、まず、ソ連政府として、どういう意図でどうして新たに日本海あるいは土佐沖でこういう演習をやることにしたのか、われわれとしては解しかねる点が多々ございますから、そこで、先ほど申し上げましたように、国会の御審議の時間をちょっとお許しをいただいて、ソ連大使を呼びまして、そしてソ連政府としての見解をただしたいと、そうしてしかるべき措置をとりたいと、こう考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 まあ正式なソ連政府の見解はこれからのこととしましても、現在、いま外務大臣の言われた範囲を見ましても、わが国の漁業等にも相当影響が出ることはもちろんでありますけれども、いま水域の問題を言われましたけれども、いわゆる航空機でありますから、やはり空の領空の問題がからんでくると思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいま外務大臣から場所については大体お話し申し上げましたから、詳しいことを申し上げませんが、二十六日の午前九時三十分から十時四十五分までの間に、海上保安庁の通信部でいわゆるウラジオストックの海軍無線局の放送によって受けたものであります。文書によって通知を受けたものではありません。それによりますというと、一カ所は日本海の大和堆付近、大体本州からして百カイリの近くであります、これが四月四日から二十七日まで、昼夜ともにこれを行なうと。もう一つは、四国南方海域で、これは百五十カイリぐらいのところでありますが、四月十八日から二十七日まで、これも昼夜。あとの二カ所は、カムチャッカの東側及び西側、及び千島列島の東側、この四カ所で同じような期間に長期にわたって爆撃練習が行なわれるという短波無線によるところの、まあ通報といいますか、従来ともに文書では来ておらないのであります。
 それがために、わがほうといいましょうか、関係方面で被害を受けますのは、海運関係で申しますというと、このソ連が設定した日本海の危険区域は、ソ連材を輸送する船舶の航路に当たっております。また、太平洋の危険区域は、フィリピン航路及び豪州航路に当たります。わが国の商船隊をはじめとして、外船も迂回しなければなりませんし、その影響は相当のものがあると考えられます。また、この訓練期間中に、この区域を航行する日本航空の便数は相当の数でありまして、日本海の危険区域で、東京モスクワ線は七便、アリューシャン列島近海の危険区域で東京−アンカレッジ間で約百便にわたります。また、海運関係の航路では、日本海区域が五隻、フィリピン航路約九十隻、豪州航路約百隻と、相当の影響を受けるわけでありまして、かつまた、飛行機の場合は、ちょうどそれに危険区域にかかっておりますので、もしこのまま実行されるとなれば、その航空路を変えなくちゃなりません。そのために、いわゆる迂回いたしますからして、経済的な損害が大体まあはっきりした計算はまだ出ておりませんけれども、おそらく一日百万円前後のものが三週間なり四週間なりにわたって起きると、こういう結果になるわけであります。
 かようなことで、本日の閣議におきまして、外務大臣に対して、これらの非常な影響を受けるからして、ぜひその区域の変更方を外交ルートをもって交渉してもらいたい、できればこれは中止するととが一番けっこうなんですが、最近における日ソ間の親善ムードの上から見ても好ましくないというので、外務大臣に対してこれら調整方をお願いしまして、先ほど外務大臣からソ連大使のほうにお話があったと、かような結果になっております。
○矢追秀彦君 農林大臣にお伺いしますが、この演習による、サケ、マスは、日本海でいま一番とれる時期でありますから、相当影響があると思いますが、その点はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) これらの四地域は、私どもの漁船が往復する場合にいつも通るところでございますし、現在この四カ所ともそれぞれ重要な漁場であります。ことに四月のことでありますから、もう漁船が一番出動しておるときでありまして、これらに対して、しかも、いまお話しのございましたように、長期間爆撃の演習をされるということの被害は、およそ甚大なものであろうと存じます。いまいろいろ調べておるわけでありますが、そのようなことでありますので、外務当局が適切な措置をとっていただくように期待いたしておるわけであります。
○矢追秀彦君 防衛庁長官にお伺いしますが、今回、このような非公式の情報でございますけれども、ソ連がこういうふうな演習を行なうというこの事態を、どのように評価されておるか。特に、最近、ソ連は海軍力に非常に力を入れていると、こういう点を伺っているわけでありますけれども、そういう国力の誇示と見るべきなのか、あるいは日本に対する何かの考えがあるのか、あるいは日本にいるアメリカに対する何かのデモンストレーションなのか、そういう点をどのように評価されておるか、長官からお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先方の事情はよくわかりませんが、万国博をやりましてポドゴルヌイソ連国家元首がおいでになるというやさきで、日ソ親善ムードが盛り上がっておる折りから、われわれの玄関先でこういう物騒なことが行なわれることは、あまり国民のために歓迎すべきことでない、日ソ親善のためにも策を得たことではないと、そのように思います。
○矢追秀彦君 演習が始まってみないと何とも言えませんけれども、うまく中止ができれば一番いいわけでありますが、かりに行なわれた場合、いろいろな爆弾の誤投等が行なわれる可能性もなきにしもあらずでありますけれども、この演習がもし行なわれるとなった場合、それに対する対策はどのようにされておるか、これは総理府総務長官のほうになるかと思いますが、いかがでございますか。防衛庁でも……。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 損害が起きた場合等に関しては、これは外務省のルートで行なわれると思いますが、海上保安庁としては、その付近に危険が及ばないように事前に関係方面に通知をして、そのような危険のないようにする任務はあります。ただ、結果としてさような事態が起きた場合は、これは別の関係において解決されると思います。
○矢追秀彦君 最後に外務大臣にお願いしたいのでありますが、きょうソ連の大使とお会いになると伺いましたが、ぜひ中止を要請していただきたい、これは非常に強い態度で臨んでもらいたい。その決意があるかどうか、それが第一点。
 それからもう一つは、もしどうしても演習を行なわざるを得なくなった場合、わが国に対する漁業、またいまの運輸大臣の答弁にありましたようなそういう航路に対しての被害のないように、もしある程度あった場合にはその損害賠償はどうなるのか、そういった点についてどういう態度でお臨みになるか、その所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) まず、先方の意図というものが那辺にあるのかということを十分ただす必要があると思います。そうして、その上に立って、こういうことは私はやめてもらうべきではないかと思っておりますが、そういう方向でできるだけの努力と説得をいたしたいと思っております。
○矢追秀彦君 次に、これも質問通告をしないで農林大臣にお伺いするのは非常に申しわけないのですが、いまソ連との話が出ましたので、ついでにお伺いしたいと思いますが、日ソ漁業交渉の問題ですが、けさの新聞報道によりましても、ソ連が非常に強い態度で、カニの規制、あるいはサケ、マス、ニシンの規制を言ってきているわけでありますけれども、これに対して今後どのような態度でお臨みになるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、日ソの関係につきましては、先方はカニについては別な役割りを持った者が交渉相手に一つなっております。従来と違っておるわけであります。去年からそういたしました。それは、いわゆる西カムチャッカにおける西部の大陸だなに住んでおるカニは大陸だなのものであると、それでソ連の所有のものであるという、こういう主張をいたしておりますものですから、カニは別にいたしまして、それからサケ、マス、ニシンと、これが漁業条約のほうでありますが、しかし、わがほうは、同じ代表を継続して同じ仕事をやらしておるわけであります。
 そこで、今日までの状況を申し上げますと、日ソカニ交渉は、二月九日に開会いたしまして、カニの資源状態の討議等、専門家間で討議を行ないまして、その後二月末から両国代表で、同じ漁獲量その他の規制措置についての討議に入りまして、現在、日ソ漁業委員会と併行して折衝を行なっておりますが、ソ連側は、昨年同様、カニはソ連の大陸だな資源であるとすると同時に、カニ資源がたいへん悪化しておるという理由で、全般的にきつい規制を主張いたしておる、現在まだそういう状態であります。
 第二の日ソ漁業委員会におけるものは、三月二日に開会いたしまして、科学技術小委員会において、サケ、マス、ニシンの資源状態などを討議いたしまして、また、取り締まり専門家の討議を行なってまいりましたが、このほどこれらの討議をほぼ終了いたしまして、その報告書を本会議に提出いたしました。今後、これらの報告をもとに、サケ、マスの漁獲量や、サケ、マス漁業、ニシン漁業の規制措置を審議することになっおるわけでありますが、本年はサケ、マスの不漁年でもございますし、ソ連側の態度は非常にきびしいので、楽観を許さないと見ております。わが国といたしましては、カニ、サケ、マス、ニシンなどは、いずれも公海の漁業資源であるという見地に立っております。したがって、資源状態の科学的評価を行ないまして、これを基礎にして資源の保存に十分な考慮を払いつつ諸問題の審議を尽くして、わが国漁業の伝統的実績を最大限に確保するよう今日代表が鋭意努力を続けておるというところでございます。
○矢追秀彦君 いまのカニ資源の、ソ連の主張と日本側の主張とが違うわけでありますけれども、ソ連の主張ですね、大陸だなについているものなんだと、そういうのと、カニは浮遊生物だと、こういう考えと分かれておるわけでありますけれども、世界の学問の世界における大勢は、日本側に有利な理論になっておるのか、あるいはソ連側に有利な理論になっておるのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほども申し上げましたように、一般的にはカニは公海資源であるというふうに理解されておるわけであります。
○矢追秀彦君 カニの船団を四船団から三船団に減らすと、こういう要求が来ておるといわれておりますけれども、すでに本年はたしか四船団がもう出発をしたと、このように聞いておりますが、今回の四船団が漁に出たのは、たとえこの交渉がソ連の言うのをのんだ場合でも別に問題はないかどうか、その点はいかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 去年のつもりで用意していることは事実でございますが、まだ出発はいたしておりません。
 それから四船団を三船団というふうないまお話がありましたけれども、そういうことについては別にまだ何もきまっておらないわけでございます。
○矢追秀彦君 外務大臣にこの問題で最後にお伺いしますが、いまの爆撃とこれと結びつけたくはないのですけれども、何か、きのうときょうの話ですから、非常にソ連の日本に対する姿勢、いま言われたように親善ムードがある一方、こういうふうなことに出てきている。こういうソ連との間を今後どのような方向で改善をされていこうとしておるのか、その点お伺いしておきます。
○国務大臣(愛知揆一君) ソ連との関係はきわめて正常的なものであると、基本的には私は認識をいたしております。また、若干の問題については、ちょうどこれも同じ時期でございますが、御承知のように、いよいよ日ソ定期航空の相互乗り入れと申しますか、シベリア上空の日本に対する開放、これはどこの国よりも先にいよいよこの月末、もう明日、明後日から始まるわけでございます。こういう点は非常によくなってきておる点でございます。それから、経済協力の問題などにいたしましても、先方から相当積極的な提案がある。あるいは万国博におけるソ連の力の入れ方などはごらんのとおりでございまして、そういうほうはよい面ということが言えると思います。しかし、同時にただいまの漁業交渉というような問題になりますと、なかなか先方の主張も、われわれから見れば理がないと思いますけれども、先方は先方としてなかなかねばり強く自説を固執しているような態度でありますので、こういう具体的な問題についての折衝は、なかなか骨が折れると思います。また、北方領土の問題についても、先方の態度は御承知のとおりでございます。
 私は、こういう環境でございますから、たとえば漁業交渉と結びつけて、四月に爆弾投下の演習を日本の沿岸でやるということがこれと関連があるとは私は思いたくないのでございますけれども、なおそういうような点については、先ほど申しましたように、十分先方の背景や対日姿勢、こういうことにも及んでさらに具体的な心証を得、その上に立って善処をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 次の問題も通告にない問題で恐縮ですが、けさの新聞で、インドシナ戦争が非常に拡大をしてきておりまして、米軍がカンボジアの共産軍を爆撃した、こういうニュースが出ておりました。この点について、どのように外務省では掌握をされておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) カンボジアにつきましては、先般も当委員会で御説明いたしましたように、シアヌーク殿下を元首から解任するという決議は、カンボジアの国内手続としてはカンボジアの憲法によって成規の手続で行なわれたものである、したがって、今後、カンボジアとしての従来友好関係にあった国々との間の関係はもちろんであるし、また平和、自主、中立的な立場もとっていくのだということが新政府によって声明されているわけでございます。そして、この新政権のこれからの歩みがどうなるのか、あるいはシアヌーク殿下の従来から特に農民層その他からの人気がいまだに強いという見方もございますが、どういうふうにこれから発展していくかということについては十分注視していかなければならない。にわかに日本政府としてこれに対してコメントすることはもう少し差し控えていきたいと考えております。
 それから、今朝、新聞等に伝えられているところでは、これは三月の十一日からであったかと思いますが、カンボジアの国内において、北越あるいはNLF等に対する相当激しいデモ等がございました。その影響下であるかどうかはわかりませんけれども、それらの国の大使館の引き揚げというようなことも起こりつつあるようであります。情勢は流動的でありまして、なお非常に注意をもって見守っていく必要があると思います。いずれにいたしましても、戦乱が拡大するというようなことはないように期待し、かつ、そういう気持ちでこの事態を見ていかなければならないと思うのであります。ラオスにつきましても同様の立場で、戦争状態がエスカレートするというようなことがないように注視をし、また、できることならば、日本政府としても応分のやるべき役割りを果たしていかなければならないと思っております。
○矢追秀彦君 この問題で総理に最後にお伺いしたいのですが、ベトナム戦争がせっかく縮小の方向へといきながら、こういう事態がいま外務大臣の言われたような状態になってまいりました。再びインドシナにおける戦争の拡大という懸念を非常に私たちとしては強く持つわけですが、いま、政府としても何らかの役割りを果たしたい、こういう外務大臣の答弁でございましたけれども、総理としては、これをベトナム戦争拡大と見られておるのか、またその場合、これに対して日本政府としてはどういう措置をおとりになろうとされておるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ベトナム問題が中心的課題だと同時にラオスの問題、今度はカンボジアの問題、これは一連の問題としてやっぱり見ていかなければならない問題だろうと思います。しかし、いわゆる北越にエスカレートしている、こういうものではございませんだけに、この扱い方としても特殊なものがあるだろうと思います。私は、たいへん困った状態がまた出てきたと、さきにはラオスの問題でこれはたいへんなことだと、やはりベトナムとラオスが同時に解決しない限りほんとうの和平がラオスにはこない、平和はこない、かように思っていたのですが、そればかりでなく、今度はカンボジアにまでと、こういうことを考えると、これはどうも軽視できない状態でございます。ラオス自身ではいち早く声明もして、カンボジアに対する爆撃を中止するようにと、こういうことを米軍に申し出たというような新聞記事を見ております。そういうことを考えますと、ただいまベトナム自身の内乱状態が、それぞれ撤兵はして米軍の規模は小さくなったとはいいながら、その周辺の地区においていまなお激しい戦闘が継続しておる。見方によっては拡大とすら見られる。そういう状態でありますから、私は、いわゆる拡大ではないと、かように考えますが、少なくとも早くこういう事態が関係国の間で話し合いができる、そういうものができないだろうか、こういうことを実は考えておるような次第であります。私は、ただいまのところベトナムにいる米軍、同時にタイにいる米軍等が主力でございましょうが、しかし、沖繩がやはり巻き込まれておる、さらに南方のグアム島の基地からも飛び立っているだろう、かようなことを想像すると、やはり軽視はできない。何か話し合う、そういうことができないものだろうか、かように考えておる次第であります。
 私が何か何かと言っただけでは、矢追君もつかみどころがない話のようにお考えだろうと思いますが、たとえば中近東の問題などについてはアメリカ、ソ連、イギリス、フランスなどがやっぱり会議を持つように進んでおります。やはりこういうアジアの問題、そこらで最も影響力のある国がやっぱり話し合う機会を持つことがこういう事態を鎮静させるゆえんではないだろうかと、かようにも思わないわけではございません。しかし、日本がいまの状態で直ちにそういう口を開く、そういうチャンスがあるかどうか、これはもっと考えてみなければならぬと、かように思っております。
○矢追秀彦君 それでは、次に繊維の問題に移りますけれども、先日来、エードメモワールが出されまして、その返事がまだ来ないということでございますけれども、これはどうして返事が来ないのか。その点はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 御承知のように、この繊維問題につきましてはずいぶん詳しくこの委員会におきましても御質問があり、またお答えもしておるわけでございますが、御承知のように、今月の上旬に日本側の本件に対する考え方というものは、それまでも話し合いはあったわけでありますけれども、いわば集大成いたしましてずいぶんこまかく、またあらゆる角度から日本の態度というものを詳細につづりまして、これをエードメモワールの形でアメリカ側に手交したわけでございます。この覚え書きに対しましては、向こうの回答というものはまだございません。同時にこちらといたしましては、このエードメモワールに盛られた日本側の姿勢というものは、政府として理にかなった考え方であると信じておるわけでございます。これを詳しく申し上げますと時間がかかりますし、御承知のとおりと思いますが、要するに筋目の立った解決をしたい、ガットの精神で、また一口にいえば、被害なきところには規制があろうはずがないではないかということが基本の姿勢であります。また同時に、これは関係国も多いことでございますから多数国間の話し合いで最終的にはきめるべきものであるということであると、一口にいえば申すことができると思います。これに対して、この数日来も、御論議がございましたいろいろの日米双方の民間経済人も何とか早く解決をしたいというそれぞれの立場で、たとえばケンドール氏というような人もずいぶん熱心に問題を考えてくれたようでございますけれども、どうもやっぱりアメリカ側の考え方というものは日本側として一番困るといいますか、原則論でぶつかるいわゆるコンプレヘンシブということば、これは日本語にこのごろなったような気がいたしますが、包括的、全面的な規制ということ、どうしてもこの考え方をアメリカ側に理解、納得させなければならないというところで話し合いが、率直にいいますと、膠着状態になっておる、こういうわけでございます。したがいまして、いまくどくど申し上げましたが、私どもとして基本線、筋を立てて、しかし円満に、できるならば早く解決をして、そして日本の繊維業界の方にもいつまでもこのいらいらした気持ちといいますか、環境であられることを払拭してさしあげたいと、政府としてはそういう気持ちでおりますので、その間に処して最善の道はどこにあるか、またそういう線で先方をどうやってさらに納得させるかということについて苦慮しておるというのが今日の現状であると、こういう状態でございます。
○矢追秀彦君 いま膠着状態ということを言われましたが、そうすると、この間からのケンドール私案なるものは、日本のほうにも異論もあるし、また米国内にも非常な反発もあるようにも聞いておりますが、このケンドール私案というものは消滅をしてしまった、こう考えてよろしいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 一昨日でしたか、私、当委員会で申し上げたわけですが、ケンドール氏も先ほど申しましたように、何とかして助力したいという非常な善意の私は気持ちから出たことであると思いますけれども、何ぶんにもこの案というものはアメリカの政府筋でつくられたものでもありませんし、また日本側政府として受け取ったわけでもございません。こういうふうな関係でございますから、だれが出したか、だれがつくったかということを別にすれば、あの中に書かれていることにも示唆のある点もあるとは思いますけれども、これを具体的な商議の――ネゴシエーションでございますね。そのたたき台にするということには、率直に申しまして、どうかなという感じがいたすわけでございますし、アメリカの官辺筋も、これはアメリカの政府としては関係のないことである、こう言っておりますことは新聞等にも報道されているとおりでございます。
○矢追秀彦君 そういうケンドール氏を悪く言うわけじゃありませんけれども、要するに今回のこの繊維の交渉のいわゆる政府間のあり方というものは、もちろんいろいろな意見の衝突等もありまして、膠着状態というようなことでケンドール氏が来たという点もわからないことはないのですけれども、何か私はその点が非常にすっきりしないというか、ケンドールという人の立場もはっきりしないし――政治的な立場がですよ。はっきりしないし、そういうのを間に入れて、おそらくアメリカの政府と何の関係もないともいえないと思うけれども、あの人の財界における立場あるいはニクソン大統領との関係性、そういうところからいいましてかなり関係の深い人と思いますけれども、そういう点の話し合いのあり方というものは、私は、何か割り切れないものを感ずるわけです。政府間同士でいくなら、あくまでも政府間で話し合いをされたらどうか。エードメモワールの返事が来ない、また新しい訓令を出された、それでも返事が来なければ、じゃどういうふうに政府として交渉に持っていくか、こういう点の何か私は交渉のあり方において非常にすっきりしない。それでよけい混乱している。特に繊維業界の人たちは、きょうもたしか福井かどこかで大会が行なわれておると思いますけれども、非常な不安になってきている。そういった点で、これから今後政府間でどのようなスケジュールでもって、特に三月一ぱいでこの結論を出したいと総理も言っておられるようでありますけれども、もうあと四日しか今月はありません。日曜も入っておりますし、また月末にはお客さんがたくさんお見えになりますし、そういう点でも非常に政府も多忙になってくると思いますので、これからのスケジュールをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これはしばしば申し上げておりますように、問題の性質というものが、いわゆる自主規制を先方は望んでいるわけです。それから日本政府といたしましても、先ほど来申し上げましたような基本姿勢に立っておりますから、今朝来、総理からもお答えいたしておりますように、政令あるいは法令の力によって日本政府としてこれに対する対策を講ずべきものではないということを堅守しておるわけであります。要は、乗り得る限界があれば、そこに日本側の業界の人たちがいわゆる自主的な規制ということに協力できるかどうかということにかかっておるわけでございますから、通常の問題といいますか、よくありますように政府間で協定をつくるとか、あるいは二国間の政府間だけで結着をつけ得るという問題ではない、こういうところにこの問題の特殊な性格があるということが、ごらんになりようによっては非常にもたもたして――というふうにごらんになる。これもまことにごもっともだと思いますけれども、そういうふうな性格の問題であるということが、なかなかこの二国間だけの政府間の話し合いとか協定をつくるということとは違った意味のむずかしさが非常にあるということで、政府といたしましてもなかなかまあ苦慮しておるということが実情でございます。
○矢追秀彦君 被害のないところに規制はないというガットの精神という話が出ましたけれども、アメリカから被害の発表もまだはっきりしたものがありませんですが、日本の繊維品が米国内においては価格の上ではどの辺のランクにあるか、それから米国内の、要するにシェアの中に占める日本製品の割合はどれくらいか、他の国との対比を入れてお伺いしたいです。
○国務大臣(愛知揆一君) これはまあ品目も非常にたくさんございますしいたしますから、御必要でございますれば資料等について通産当局から詳しく御説明をいたすことが適当と思います。
○矢追秀彦君 まあ資料はあとでいただくとして、品目にもよるとは思いますけれども、そう日本製品が安いから、だからアメリカの業界が被害を受けているとばかりはいえないと思います。韓国の製品などはまだ日本のよりも安いと聞いておりますし、そういった点で向こうが被害がある――あると言っておるのは、確かに日本の伸び率というのは、非常に伸びておることは事実です。しかしながら、はたして伸びがあるから、だから向こうが被害を受けているのだ――まあ値段の点においてはアメリカの繊維製品のほうが少し高いということも聞いておりますですね。ただやたらに日本の輸出が伸びておるから、だから被害があるのだということではいけないんじゃないか。特に向こうの繊維業界の構造のあり方、構造改善が非常によくなかったというような話も聞いておりますし、そういうふうなのは、こちらのせいではなくて向こうのせいなんですから、そういう向こうの状態もやはりもっと詳しくわれわれにもはっきりしたものがほしいと思いますし、そういうアメリカのいわゆる言おうとしておる被害というものを、どの程度に把握をされ、どの程度に評価をされておるのか、通産大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国からの輸出品とアメリカの国内の製品との価格の比較でございますけれども、これは物によって違いまして、二次製品、いわゆるアパレルと言われるようなものでございますけれども、これは伝統的にアメリカの国内ではブランドのありますアメリカのものが一番高い価格帯で、ブランドのないアメリカの製品がその次の価格帯で、それからわが国から行きましたもの、その下がもう一つあるわけでございますけれども、大体そういうふうに需要層と価格帯がいままで分かれておりまして、その中でわが国からの輸出がこの第三位の価格帯からだんだん品物が精緻になってまいりますので、第二の価格帯に上がろうとしているようなところがございます。しかし、価格帯、需要層とも概して分かれております。
 毛織物のほうは、これは逆でございまして、わが国から輸出のものがいわゆるファンシーといわれる手の込んだもので、これはアメリカのプレインといわれる簡単なものよりも高い価格帯にございます。ですから一般に、あまり競合する面はないように思います。
 それから、なぜアメリカが被害を受けておると感じておるかというお話でございますけれども、おそらくアメリカの繊維産業全体は、ただいまのお話と少し私どもの観察と違いますのは、一般的には相当構造改善が行き届いておりまして、生産性も高いように思うのであります。ただ、その中で比較的低位の、低価格の品物を扱っております業者が、労働賃金の上昇をまともに受けて競争がむずかしくなっておると、そういうことは、私は一部にはあるというふうに考えておりますし、それからまた、たまたまわが国で開発いたしましたものがアメリカで非常にはやったという例、タートルネックなんというものはその例でございますけれども、これなどはいかにも人の国のものが入ってきて、非常にはやってしまった。――これはしかし、こちらが発明したんでございますから、どうもしかたのないことでございますけれども、あるいはそういう印象を持ちましたかと思います。一般的にはしかし、アメリカの繊維産業というものは生産性がかなり高いものだ、業績もいいものだというふうに考えております。
 それから、わが国からの輸入のアメリカ国内消費における割合でございますが、一九六八年で綿製品は二・五%、毛製品が一一・二%、化合繊の製品は一%でございます。全体を合計いたしますと、アメリカの全部の消費の中で二・一%でございます。
○矢追秀彦君 まあ、いまのお話だと、いよいよ日本製品による被害というのは、そんなに全体的にはないと。むしろ今回こういうことになりまして、もしたとえ一年間にせよ暫定包括規制というようなことになってしまったとすれば、むしろこちらのほうが被害を受けてしまうのではないか。
  〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
そういう点でやはり政府は、もっと強い姿勢で私は臨んでいただきたい。これはもう前々から皆さんも主張されておることでありますけれども、そこで、この日本製品がもし規制をされてしまった、ある程度。そうするとまあ次は、韓国がそうなるということで、韓国が反対しておるという見方もあります。そういうこともいわれておりますけれども、いまの価格の問題からいうと、韓国のほうはまだ日本より安いわけですから、むしろ向こうがふえるということも出てくる。そうすると韓国は、日本がやられたら困るとは言いながらも、逆に言えばまた、日本がある程度規制をされて、輸出が減ったほうが、自分のところの輸出もふえるということもあるんじゃないか。こういうようなことも――両面が考えられると思うのですが、その点はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) それはごもっともでございます。したがって、韓国としても本件の成り行きについては非常に大きな関心を持っている。これは韓国だけではございませんで、その他の国々も御同様、あるいはヨーロッパの国におきましても相当の関心を持っているところが多いように見受けられます。したがって、先ほど申し上げましたように、この終結は結局、多数国間の話し合いということでまとめなければならないというのが、日本政府の基本姿勢の一つに厳として存在しているわけでございます。
○矢追秀彦君 最後に、総理にお伺いして、この問題は終わりたいと思いますけれども、いま言われました外務大臣の方針を、多数国間ということになりますとかなり時間がかかると思うのですけれども、少々時間をかけても、筋を通して、そうして日本の業界のためにもなるような方向でいくと、まあ総理はお考えになっておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題では、外務、通産両省が連携を緊密にいたしましていま取り組んでおる最中でございます。筋は通すと、こういうことでただいま両省ががんばっております。
 また、すでにもう国会で私どももワクをはめられておりますので、それはやはり守っていかなければ――政府がかってなことはできません。そういうものもございますから、そういう範囲で筋の通った解決をしたいと、かように考えております。
○矢追秀彦君 次に、中国問題に移りますけれども、先ほども質問がありまして、そのときに総理は、場所があれば政府間の話し合いに応ずると、こういう答弁をされましたけれども、もう少し具体的にどのような構想をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  [理事吉武恵市君退席、委員長着席]
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、最近のわが国の態度からも御理解がいただけるのではないかと思っておりますが、ことにこの前の選挙でも積極的に国民にも訴えた、そういう次第もありますし、したがって私どもも、外務当局も、機会をつかまえる方法にいろいろ苦心しておるようです。私どもは、海外からの情報等の報告を受けておりますが、それなぞを見ましても、やはり第三国の喜びごと、あるいはその他のレセプション等で中共代表と会ったような際には、やはりそういう機会に、近づき得るかどうか、それぞれ打診しておるようであります。ただ、いままでのところ、たいへん向こう側で固い態度でありますので、まだその状態が――会談を開くような状態がつかめないというのがいまの現状でございます。私どもは、どこそこでなければならない、かようなことは言わない。これは、どちらかといえば相手国の選択にまかしたような意味を持っておるわけでありまして、相手国にさえそのつもりになってもらえば、大使級の会談は私のほうですると、こういう意味でございます。そういう点が、おそらくこういう機会に、国会等を通じてこういう話が出れば、政府の考え方も誤解なしに理解してもらえるかと思います。また古井君が行なっておる、あるいは松村さんがお出かけになった。藤山君が行っていると、こういうようなことでも、まあそういうチャンスにも、日本政府の考え方は、正確に相手方に伝えてもらいたいという、そういうような話もしておりますので、だんだんほぐれてくるのではないだろうか、かように私はそういう機会を待っておるというのが現状でございます。
○矢追秀彦君 中国は前々から平和五原則あるいは政治三原則を主張しておりますけれども、いままでの政府の姿勢というのは、これに対して変わっていないと思うのですけれども、これからある程度向こうの主張に対しては、この項目についてはこの線で妥協ができるんではないかとか、そういう点がいままでとはだいぶ変わって、私はある程度向こうに対してもものが言えるのではないかと、このように思いますので、そういう項目がありましたならば、その項目について所見をお伺いしたいのですが、できましたら、一つ一つについてお答えを願いたいのです。
○国務大臣(愛知揆一君) 総理からお答えがあると思いますが、一つ一つについてということでございましたから、私からその前に申し上げたいと思います。
 先方の唱えております平和共存五原則というのは、領土主権の尊重、相互不侵犯、内政不干渉、平等互恵、平和共存、これがいわゆる五原則といわれているものであると思います。まあこの一つ一つの項目を見ましても、たとえば国連憲章の原則の精神といいますか、趣旨といいますか、それとも私は大体一致しているのではないかと思います。そして一般的に申しましても、こういったことは国家間の平和関係を維持する原則でございますから、特に異存を申すべきものではないのではないかと、かように考えております。
 それから次に、政治三原則といわれているものは、一つは中国敵視政策をやめること、これが第一の原則といわれますが、政府はこれも従来から、政治制度や、社会体制を異にする国とも平和裏に共存したいという方針を明らかにしておりますし、こちら側から中共を敵視したことはございません。
 第二の二つの中国をつくる陰謀に参加しないこと。これにつきましては政府としては、一貫して中国は一つであるという見解をとっておるわけでございますから、二つの中国の陰謀に参加するというような考えはございません。
 それから第三は、日中関係の正常化を妨害しないこと。これについては日中関係が正常化するということについては、諸般の国際情勢の推移、わが国の国益というようなことを十分勘案し、その上に立って正常化になることが望ましいという願望を持っていることも、申し上げるまでもないことではないかと、かように存じております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣から詳細に答えられました。私はいわゆる平和五原則、これはたいへんけっこうな考え方じゃないかと思っております。
 そこで、そのほうはよろしいのですが、あとの政治三原則、これについては、とかく私どもが誤解を受けるような立場にあるのではなかろうかと思います。幾ら敵視政策をとっていないと、かように申しましても、相手方では、日本は敵視政策、ことに佐藤内閣は敵視政策をとっておると、こういうようにきめつけております。
 また、第二の二つの中国に対する陰謀、それに加担しないこと。かように申しましても、私どもがサンフランシスコ条約、そういう際に選んだのが中華民国でございます。したがいまして、ただいま中国大陸には二つの中国政権をつくる陰謀に加担しないと、中国は一つなりと、かように言っておる、その立場から、過去の経験でわれわれが選んだのが中華民国だと、こういうところにただいま国際的な権利義務が生じておりますので、これを簡単に否定するわけにはまいらない、したがって、ここでは誤解を生みやすいのではないだろうか。
 また、第三点につきましても、ただいま言われるような点で、どうも両国の間に誤解が残るんじゃないか。私は正常なる国交回復、これを心から願っておる。かように申しましても、台湾にある中華民国を承認しておる限り正常なる国交の回復ができないじゃないか、かように言われると、これはやはり三原則のほうに、日本のいま選んでおるそのいき方、それについてはさらに説明を加える必要があるだろうと、正確に認識していただくためにも、よくこの辺のいままでの経緯を理解してもらうことが必要ではないかと、かように私は思っております。
○矢追秀彦君 中国敵視政策はとっていないと、向こうの誤解であると、このようにいま総理は言われますけれども、いままで日本のとってきましたあり方が、やはり向こうの一方的な誤解、きめつけだとは言えない面が私はあると思います。一つは、昨年ニクソン大統領との間に交わされましたあの日米共同声明、これの内容もかなり刺激をしております。それから国連における代表権問題、さらに国連における中国を侵略者とする決議、さらに昨年岸元首相が行かれました日華協力委員会の第十四回総会の共同声明の内容、そういうふうな、そういった声明とか、そういうのが出るたびに、やはり中国の人民日報とかあるいは北京放送とか、そういうものの報道を見ておりますと、確かにことばは相当きびしいことばで、佐藤政権に対して特にののしるというようなことばもあります、確かに。特に最近反動派ということばが非常に強く出てきておるように思います。で、それはまあことばの出し方は別としまして、やはり共同声明等が大きなネックになっていることは事実じゃないかと思います。そういう点で、まず最初にお伺いしたいのは、国連における中国政策でありますけれども、これは毎年いつも重要指定方式でこう片づいてきておりますけれども、この国連総会における日本の代表鶴岡大使の演説ですね、あれなんかも見ますと、やはり中国を刺激するようなことばがかなり出ている。特にああいう演説をされるのは、私はあまり適当じゃないんじゃないか。特に国連の権威を高めない、高めるものにならないから中国の加入には反対なんだと、こういうようなことばですね。何も権威を高めるとか――もちろん秩序をこわすようなものであれば、これは来てもらっちゃ困りますけれども、何も中国が来られることが権威を高めるようなものではないんじゃないかと、このように思うんですけれども、この演説の日本語訳がございませんので、英文だけでの、私も英語あまり得意でありませんので、内容については間違った訳をしているかもわかりませんけれども、そのように感ずるんですけれども、その点いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) この点もしばしば申し上げますように、中国の代表権の問題、国連における。これはやはり国連の運営の問題といたしましてもかなり軽微な問題も総会の単純議決事項にすることはふさわしくないということで、三分の二の表決を総会では決議しておるような現況でもございますし、これほどのやはり大きな問題でございますから、重要事項として扱うということは、私は妥当であろうと思います。今後もそういう方向で政府としては考えてまいりたいと思います。ただ、提案国になるかということについては、今後国連総会もまだ多少間のあることでもございますから、慎重にそのときに検討をすることにいたしたいと思います。また昨年までの慣行は、これも御案内のように提案国というのはかなりのたくさんの国で、その中で、そういうことになったら回り持ちでその説明をするというのは、よく各種の会議で行なわれることでございますので、そういうことから、昨年は日本がいわば当番になったと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○矢追秀彦君 当番になっても、演説はもうちょっと考えてもよかったんじゃないかと思うんです。もう一つ、特に一九五一年の二月一日の中国を侵略者とする決議ですね、朝鮮問題決議、これはもう前々から私も何回か委員会でもやったんですけれども、これの共同提案国ぐらいは、いま言われた重要指定方式のほうは確かに賛成している国でも、その中国の問題については接近をしていこうと、台湾問題は、一つは別にしておいて、接近をしようという国は確かにあることは事実です。だけれども、侵略者とする決議とか、あるいは朝鮮問題のあの三十八度線突破決議というふうな、かなり古い問題でありますし、しかも朝鮮で戦争がとまってからかなりの期間がたつわけですから、こういうことぐらいは、やはり共同提案国をおりて、やはり中国に対して少しでも接近をしようとしておる、敵視政策はとっていないんだと、こういう努力もしておるんだという姿勢を示される必要があると思うんです。昨年まではもう終わったことですからやむを得ませんが、本年からはひとつ侵略者の決議、これの共同提案国にはならないほうがいいんじゃないか、しかもさらに演説をして、相当まあ強いことばで向こうを刺激するようなことばを言う、こういうことがあればよけいまずいですから、当番であった点はやむを得ませんけれども、共同提案国をおりるという考えはあるのかないのか、前向きに検討ざれるおつもりなのか、その点、重ねてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの点は二つ問題があると思うんですが、一九五一年の決議のほうは、当時の事態において採択されたもので、過去の経緯を示しているものですが、現在は休戦も成立しておりますし、休戦協定のワク内で処理されておりますので、前の決議を取り消すというようなことは適当ではないのではなかろうかと思います。それから五一年の決議は、これは念のためですが、日本の国連の加盟以前の決議でございますことは御承知のとおりと思います。
○矢追秀彦君 加盟以前であろうとなかろうと、一九六六年から共同提案国になっているわけですから、よけい前の問題だからというんで断わる理由が出てくると思うんですけど、その点、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) いまの決議は、これはまあいろいろ御議論もおありかと思いますけれども、朝鮮問題に対する決議としては、「朝鮮における国際連合の目的は、平和的手段によって代議制の政体のもとに統一された独立の民主的な朝鮮を確立し、かつ、この地域における国際の平和と安全を完全に回復することであることを再確認し」ということになっておるのでありまして、私は、将来の望ましい姿というものがここにあらわれているのではないだろうかと、こういうふうに考えておるわけでございますが、もしこの点につきまして、さらに御意見おありでございましたら承れれば幸いでございます。
○矢追秀彦君 そういう確かに休戦の面があるかと思いますけれども、はっきりと中国が侵略者であるという決議になっておるわけですから、やはりその部分が非常に刺激をしておるわけですから、しかも今後戦争が起こるということは、これはもう休戦協定違反になりまして非常に不幸な事態でありますけれども、現状においてはあまりそういう危険はないという見方もありますけれども、何も日本がですよ、それに加わる義理はないと思うんです。外交上のつき合いだとよく外務省の方に言われますけれどもね、私は決してその辺あたりはもうはっきり自主外交を言っておられるんですから、共同提案国はおりる、そのほかのことで幾らでもつき合いができるんじゃないか、このように思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) この一九五一年の決議については、その御意見の御趣旨は、私はあるいは間違っているかもしれませんが、こういうふうに私は理解するんですけれども、中国を侵略国とした総会の決議の取り消しをすべきであると、その方法として朝鮮問題決議の共同提案国からおりるべきであると、こういうふうな御趣旨であろうと思って私は理解しておるわけでございますが、一九五一年の決議というのは、日本の国連加盟前のことでもあるし、また朝鮮問題については、先ほど申し上げましたように朝鮮の望ましい姿を対象としているものでもあり、かつ、これをもとにして、その後今日までアンカルクが国連において活動をして、毎年報告も出している、各国がこれを支持している、こういう状態でありますから、これを取り消すとかどうとかということは、私は現在政府として考えておりませんということを申し上げた次第でございます。
○矢追秀彦君 よくその理由が私もわからないのですけれども、そういうようなことを思い切ってやっていかない限り、中国敵視政策をとっておるといつまでも言われてもやむを得ないと思うのです。
 それから、その問題に関連しまして、次に共同声明の問題に入りますけれども、やはりこれは一番大きく刺激をしたのではないかと、このように思います。特に総理が、台湾問題のところ、あるいは韓国との問題のところ――これは一番いま話題になっておりますけれども、この共同声明の問題に入ります前に、もう少し中国問題をやりたいのですけれども、共同声明の問題に先に入らしていただきますけれども、この台湾のことを非常に強く言われた。また朝鮮の問題を強く言われた。ある程度はわからないことはないのですけれども、沖繩返還の共同声明、どうしてあれほどまで強く、特に韓国の場合はエセンシャルということばが使われておりますし、また台湾の場合はモスト・インポータント・ファクターということばが使われております。ここまで強い表現をされねばならなかったか、その点をお伺いします。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう御承知のように、わが国の憲法、自衛隊法、それらはございますが、しかし国連軍として韓国に米軍がいることは、これはもうはっきりしております。したがいまして、隣の国韓国に問題が起こって、そのときに私どもが安閑としておるわけにはいかない、そういう事態についても思いをいたすと、やはりこの問題にも触れざるを得ない。ことに沖繩にあれだけの軍事基地を持っておる米国、これは申すまでもなく韓国の控えというそういう性格が多分にございますので、そういう点でこの沖繩が返還されるについては米国民も安心されるように、やはりああいうような書き方をせざるを得ない。また台湾海峡、これは現実にさような事態があるわけではないが、国際緊張の場が現実に起きておるわけではございませんけれども、これは米華条約のあるたてまえの上、この点にもやはり触れる。そして問題は、この地帯において幸いにしてただいまは緊張の状態ができておりませんけれども、しかし、ここで事態がまた起こるとすると、これまた私どもは、近所といいますか、そういう意味でこれも注意せざるを得ない。こういうことで、これも私はだいぶ、何といいますか、中国大陸、北京政府に対して気を使ったつもりで実は書き分けております。大体気を使ってもそれは不満だと、こう言われるだろうと思いますけれども、そこらの点はあの書き方が二様になっておるところ、そこらも御理解いただきたいと思います。私は、できるだけ刺激しないようなそういう処置はとれないものか、かように思ってあれは書き分けたつもりでございます。
○矢追秀彦君 それから、この台湾問題についてもう少し……。先ほど少し触れましたが、日華協力委員会の第十四回総会、これには岸元首相を顧問として、団長が石井前衆議院議長で、かなりのメンバーが入られまして共同声明が出ておりますけれども、その中でも非常に中国を刺激するようなところが出ております。特に「中華民国政府の最大課題たる本土回復の成功のためにも、本土の共産政権が土崩瓦壊するであろう如き周辺の状況を、アジア諸国の一致協力によって造り上げること。」こういうことばがあるのですけれども、やはり本土回復の成功ということは大陸反攻、結局日華条約の中で言われております大陸反攻の条項と全く同じ、しかもいまこうやって中国とも何らかの接触をし、模索をしておるときに、もちろん台湾といろんな貿易がありますから、こういう会合を持たれてもけっこうです、共同声明をやられてもけっこうですけれども、わざわざ中国を刺激するような「本土回復」というようなことばですね、しかも共産政権がくずれるようなそういう環境をつくるのに「アジア諸国の一致協力によって造り上げる」というようなことを共同声明にうたわなくてもよかったのではないか、そのように思うのですけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはどうも私どもが指図はできないんで、民間の団体である日華協力委員会、そこの決議だと思います。たまたまその顧問が私の実兄である、こういうことで私がたいへん敵視政策の親分みたいに見られると、これはたいへん迷惑でございますが、ただいま申し上げるように、たまたま岸が私の実兄である、これを否定するものではございません。そういう状態でございますから、その点は御了承いただきたいと思います。
○矢追秀彦君 そうやってうまくごまかされると困るのですけれども、たとえ岸元首相でなくても、この顧問一団長というのは、これは自民党の議員です。自民党の衆議院議員です。さらに常任理事には元の国連大使という方もおられますし、委員には元駐中華大使、ざらに衆議院議員の方もおられますし、あとは大体財界の方でありますけれども、こういうメンバーが、政府と違うと言われてしまえばそうであります。いまたまたまと言われたが、これは非常にそういう点が私は総理のずるい答弁ではないかと思うのですけれども、やはり自民党の議員が何人か入っている。しかも、この人たちは議長をやった人であり、しかも総理をやられた方であるし、自民党の議員というのは与党でありまして、要するに政府の現大臣でなくても、かなり影響力の強い方です。そういう人が行かれて出された共同声明の内容に、やはりこういう強いことばがあったんでは、これは日中関係のせっかく敵視政策をとってないと言ってもわかってもらえないと総理は先ほどから力説をされておりますけれども、まずいのではないか、このように思います。そういう点で重ねてまあ要望したいのですけれども、民間でたとえ行かれる場合にしても、いろいろ連絡もあり、内容もいろんなことを御存じと思うのです。やはりそういう敵視政策については、中国を刺激するような――いま敵視政策をとってないのだから――そういうことは絶対に避けろと、こういうふうなことができないものかどうか。また、悪くとれば、結局自民党の中にはこういう考え方が根強くあると、結局中国とはいつまでも相いれない状態のままいかざるを得ない。そういう状態にあると、そういう勢力が非常に強いと、こうとったほうがいいのか、その点も重ねてお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねをいただいたので、これはぜひ私ももっとお話をして御理解をいただきたいと思っております。その一つはこういうことだと思います。われわれがサンフランシスコ条約の後に、中国の代表者は中華民国だと、こういうことで、これと講和条約を締結した。そこに問題が始まっておると思います。そこに私どもは国際的の権利を持つが、同時に義務もあるわけであります。大体日本の国というのは、一度きめたこと、これは国際の情義を重んずる国でありますし、そういうものを簡単に無視すると、そういう国柄でございませんから、やはり選んだ事柄、それについては忠実にこれを守っていく、そこに一つの問題があると、かように思います。したがって、後に外国が、北京政府を承認した事例を見ましても、いわゆる中華民国と同時に中華人民共和国、それを同時に承認している国はない。中国は一つだということで、やっぱりどちらか一つにきめていくということであります。日本の場合は、いまも申しますように、先に台湾にいる中華民国を選んだから、その中華民国との国際的条約をどこまでも守っておる、これが現実の姿でございます。また政府のとるべき態度でもあると、私はかように考えております。こういうところに日本国としての国際的信用もあるんだと、かように私は思っておりまして、吉田さんの選ばれた当時の状態は別といたしまして、その状態が続いておる。これで御理解をいただきたいと思います。
 もう一つは、私の党、これはその名のごとく、自由民主党でありまして、たいへん幅広い政党であります。だから、ただいまのような日華協力委員会ができるかと思うと、松村さんや藤山君や古井君のように北京に出かける人たちもおります。これはもちろん、これらの人たちは幾らすすめたからといって台北へなぞ絶対に出かける人ではございません。しかし、私どもの政党としては、そういうものをみんな抱きかかえて、それでやっぱりちゃんと党ができ上がり、統制がとれておるのです。それはもうその名のごとく自由党であり、自由民主党だと、たいへん幅広い政党だと、かように御理解をいただきたい。どこにそれじゃ主流があるのか、どこが主体になっているのか。これはやはりそのときどきに政府をつくっている、それが全体をまとめていっている。したがいまして、いろいろな意見がございます。他の例で申せば、私が憲法などは絶対に改正する考えはございませんと、かように私が申しましても、やはり党員の中には憲法改正論者もおります。また私が幾ら徴兵制度の採用をいたしませんとはっきり申しましても、徴兵制度も必要なのじゃないか、こういうような人もあります。しかし、そういうものを包摂して、全部を抱きかかえて、そうして調和のある政策がはじめて生まれるのでありまして、私はそこらに自由民主党のよさ、これをひとつ御理解いただきたいと思うのであります。
○矢追秀彦君 選挙はいま京都でやっていますけれども、自民党の宣伝を聞こうとは思いませんでした。
 また意地の悪い質問になるかもしれませんけれども、そうしますと、中国問題については佐藤総理の在任がどこまでなるか、四選されればまた政権を担当されるでしょうけれども、まあどうなるか、それはわかりませんけれども、現在は沖繩返還をやられて、中国問題については非常にはっきりした線は出されないまま現在おられるわけです。したがいまして、この中国問題というのはもちろん台湾の問題もありますし、あるいは北京政府の問題もありますけれども、むしろ自民党の党内の、特に次期政権担当者がどういうふうになるかによって、私は大きく変わるのじゃないか。その意味では、対中国問題というのは外交問題ではありますけれども、国内問題、特に自民党内部の問題というふうに何か考えたく、いまのお話も伺って、したわけですけれども、その点、総理の政権下において、中国問題についてはっきり道をつけられる意図があるのか。たとえ次の人にバトンを譲るとしても私はある程度道づくりはされたほうがいいのじゃないか。いまのままであれば、台湾とも適当にやる、あるいは北京政府とも適当にやっていく、こういうふうな態度としか受け取れないわけですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、ただいま御理解をいただきたいのは、衆議院で三百名議席をとった、また参議院でも多数を持っている、こういう状態でありますから、自民党内閣というものは、おそらくこのもとでは続いていくのだろうと、かように思います。したがって、だれが総理であり、だれが総裁であるということとは別に、自民党内閣は続いていく。しかしてこの中国問題、中国との問題は、私は、二つの政権をつくる陰謀に加担してはいけないというこの北京政府の主張も、そのとおりだと思います。したがって、私どもは、不幸かあるいは幸いか何か知りませんが、とにかく中華民国を選んだ、その形で中華民国といま国交を持っております。そういうもとにおいて北京政府とつき合っている。しかし、政府間の交渉は持ちましても、いわゆる承認へ直ちにつながるような状態には、まずことしじゅうにどうなるというようなものではないだろうと思います。しかし、私は一九七〇年代の最も大きな問題としてこの問題が解決されなきゃならない、かように思うのであります。これはしかし、自民党、日本における自民党、それによってきまるわけではございません。もっとはっきり申せば、世界各国がこの中国大陸にある政権そのものを正式に認めるか、認めないか、そこに問題があるわけであるのであります。私はそういう時の流れというものが必ず出てくる、その時の流れにさからってはいけないのだ、かように実は思っております。したがいまして、この国連の問題もずいぶんむずかしい問題だろうと思いますけれども、ただいま言われるように、先を急いで、そうして実態を見失わないようにすることだ、これが大事なことではないないだろうかと、かように思います。しかし、私がいま一番必要なのは、中国大陸との間にとにかく人的な交流も必要だし、経済的な交流、文化的な交流、これは何としても必要だと思います。そういうものが積み重ねられると、政権を承認するしないというような問題よりも、その以前の基本的な問題が、もっと行き来がひんぱんになることによって、両国間の誤解や不信、そういうようなものがなくなる。そうなってくればよほど変わってくるのじゃないだろうか。まあ私の内閣がいつまで続くかは別といたしまして、ただいま大事な段階は、両国間にある長い間の誤解、不信、そういうものをなくすること、これが何としても必要なことではないだろうかと、かように思っております。
○矢追秀彦君 最後に、これは総理に、要望を含めまして御意見をお伺いしたいのですが、一つは、国会の中に超党派で中国問題の委員会をつくるように提案したいと思うのです。これは総理の立場というよりも、自民党の総裁としてのお立場に対する要望になるかと思いますが、ぜひ超党派での委員会の設置をお願いしたい。もう一つは、最近各新聞紙上でも円卓討論とかいろいろな討論が中国問題について行なわれておりますが、自民党が中心となり、これを含めまして、中国問題を話し合うような国民的な会議といいますか、そういうふうなものをぜひつくっていただきたい。このように思うのですが、特にでき得れば国会内にはっきりつくってもらいたい、こう思うのですが、その点についての御所見をお伺いして、中国問題はこれで終わりたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は先ほど申したように、七〇年代の最も重要な事項は、やはり中国大陸との問題だろうと思います。これをどういうようにするかということが、今日からもう始まらなければならない。口に中国問題を議論し、中国大陸の議論をいろいろ戦わしておりますけれども、私どもは地理的にはすぐそばにおりますが、実情についてはお互いに知らな過ぎるのではないかと、かように私は思っております。そういう意味で、もっと勉強することがまず第一必要なことで、両国の間の理解を深めるゆえんであろうかと、かように私は考えております。そこで、ただいまのようないま委員会を設けろ、これはもちろん国会で審議されることだと、かように思っておりますがですよ。もっと中国大陸の模様について正確な知識を持つことが何よりも必要じゃないだろうか、かように私は思います。
○矢追秀彦君 外務大臣が十五分間退席をされますので、共同声明の問題等についてはちょっとあとに回しまして、防衛問題を少し先にやらしていただきたいと思います。昨日の衆議院の本会議におきましてもあらためて――先日この予算委員会でも防衛五原則について中曽根長官よりお話がありましたけれども、きのうの衆議院におきまして、安保条約を半永久的に堅持していく、長期堅持が半永久的という、かなり少しは具体的な話となって出てきたのですけれども、総理はこれに対してどうお考えか、長期というのは半永久的なのか、半永久的というのは大体どれくらいの年限をさされているのか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が申し上げましたことばは、いまの情勢が続く限り日米間の安全保障体制、体制ということばを使っておるのです、安全保障体制は半永久的に必要であると思う、そういう意味のことを申し上げました。その真意は、われわれは過去の大東亜戦争の経験にかんがみましても、太平洋が荒れているということが、いかに日米両国の不幸であり、世界の平和を害するかということをしみじみ経験した次第である。やはり太平洋が平和な海で、日米間が真に友好関係にあるということは、またアジアの平和と安定のためにも非常に重要な要件になっておる、そして日本の現在の防衛体系を見ますと、憲法その他の制約下に核兵器はわれわれは持ちません、それから攻撃的兵器も持ちません、われわれは国土防衛に徹するという関係にあるわけであります。そういう意味から日本の防衛を全うしようとします際には、やはりそういう部分、核抑止力であるとか、あるいは攻撃的部面というものは、万一の際には米国にたよらざるを得ない。そういうあらゆる条件を考えてみた場合に、現状が続く限り、日米間の友好親善とそれから安全保障体制というものは、アジアのためにも日本のためにも半永久的に必要である、このように申し上げたのでございます。安保条約ということばを使っておりません。これは時代の変化とともにいまの安保条約の内容も、まず適用においていろいろ弾力的に変わる可能性もありましょうし、またある時代がたてば安保条約の内容も再検討されるでありましょう。ちょうど安保条約自体が昭和二十七年、三十五年、今度の四十五年でいろいろ変化してきたと同じように、これも発展的に動くものだろうと思います。そういう意味において安保条約ということばは使いませんが、日米間の安全保障体制、こういうことばを使ったわけでございます。
○矢追秀彦君 そうしますと、いま一つは改定という面を示唆されたと思うんですね。要するに条約自体は変わらなくても性格が変わるという、この場合もあるでしょう。一つは改定、もう一つは、前にたしか長官が言われたことをちょっと新聞で拝見したのですが、安保条約をなくして、そのかわりアメリカと友好条約を結ぶ、これは個人的な考えかとは思いますけれども、そういう面もあると思いますけれども、いま言われた日米安保、アメリカとの協力関係を続ける、この点はわかりましたけれども、その内容がはたして今後とも安保条約の条文はいじらなくても、いまの体制が続けられるか、あるいは状況が変化すれば改定をするのか、あるいはさらに安保条約はなくして、かわりの条約をつくるのか、そういう三つになるかと思いますけれども、この七〇年代においては、どういう可能性を長官はお考えになっておるか。これは総理にもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 七〇年代においては、現行の安保条約を弾力的に適用していくということは、まず妥当であろうと思います。しかし七〇年代は非常な可能性と選択の時代でもあり、変化の時代でもあります。特に日本の経済成長によりまして、ある数字によれば、一九七五年ぐらいには、GNPが四千億ドルくらいになる、八〇年代になると、九千億ドルくらいになるとすら言われております。もしそういうふうに成長していきますと、日本はアジア太平洋の繁栄のために、相当経済的文化的な面で貢献するということは、当然の国際的な趨勢になると思いますが、そういう場合に、アメリカと提携して、アジア太平洋の平和を繁栄に貢献するという形が私は妥当であると思います。そういう場合に、現行の安保条約がその形でよろしいか、あるいはもっと大きなそういう文化的経済的協力関係の一部分に包摂されてしかるべきか、そういう選択の可能性も必ずしもないとは言えない。そういう意味において、現行の安保条約を基本に堅持しながら、その変化に応じていろいろ検討していくということは有益である、そのように私は去年の下田会議で申し上げたのであります。そういう基本的考えに立って現行の安保条約を維持していくということを申し上げたいのでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの中曽根長官の説明でおわかりだろうと思いますが、これからどんどん情勢も変わっていくでしょうし、またわが国の国力も変わるでしょうし、取り巻く環境もどんどん変わるだろう。そういうものに対して、国益を守るその中心において私どもが善処する、これが本来の考え方でございます。可能と選択の時代だ、こういう表現をしておりますが、七〇年代は確かにどんどん変わっていくだろう、そういうものに固定した考え方でとらわれないようにするということが必要だろう、かように思います。
○矢追秀彦君 防衛五原則の問題に関連してお伺いしますけれども、この間もこの委員会で言われました、自衛隊は攻撃用兵器は持てない、あくまでも防御用に限る、足らざるところを米軍に補う、こういうように言われましたけれども、これから米軍基地の撤去がいろいろ出てくると思いますけれども、かりに攻撃用で、攻撃用兵器については、米軍に依存をする、そうすると攻撃用兵器の必要な場面をある程度想定をして、それだけの最低の米軍基地というものは、どうしても日本の本土の中に置いておかなければならないのか、あるいは今後の兵器の発達ということも考えて、日本の本土には米軍基地はゼロになってもなおかつアメリカの攻撃用兵器の応援をすぐさま受けられる、こういう体制をお考えになっておるのか、その二つのうちのどちらかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうあらゆる可能性を検討しながら、アメリカ側とよく話し合い、協調し合いながら計画を調整していくべきであろうと考えます。
○矢追秀彦君 そうすると、その米軍基地の撤去のスケジュールといいますか、プログラムというのも、そういう頭から考えておやりになっておると思いますけれども、現在、基地の撤去というのも、かなり一時においては話題になりましたし、数なんかも発表されておりますが、いま、もう一つ現状としては進んでないじゃないか、このように思いますが、それに対してアメリカとの折衝の状態、さらに今後の米軍の基地撤去のプログラムを防衛庁としてはかなり明確にお考えになっているのかどうか。その点、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはアメリカ側と正式に話し合いをいたしまして、正式の場所に出してから具体化さるべき問題でございます。まだ正式の場所に出しておるわけではありません。正式の場所というのは、日米安全保障協議委員会の席であるだろうと私は思います。しかし、最近の動向から見ますと、ニクソン声明以来、アメリカの基地に対する考え方も昔とは必ずしも同じでないようでございます。そういう情勢もよく踏まえて、いま日本にあるアメリカの基地について、私のほうで点検を命じてありまして、もしそういう事態に移行する場合に、どういう可能性があり得るかということを検討させておる状態でございます。
○矢追秀彦君 そうなりますと、安保条約というのは私は、かなり米軍基地が縮小されて、特にほとんど陸上には基地がなくなってしまうという事態も考えられると思うのですけれども、軍港の場合には、アメリカの意向としては、かなりがっちりと持っておきたいという意向が強いと、こういうふうに聞いておりますけれども、そうなりますと安保条約というのは、この間の長官の防衛五原則のお話だと、補充するという、かなりいままでとは変わった性格と私は解するわけですが、さらにそれが一歩変わって、結局アメリカの核抑止力をつなぎとめておくための条約にすぎなくなるのじゃないか。ということは、逆に考えれば、安保条約というのは核安保だ、それだけの意味なんだと、こういうふうな変質を遂げる可能性も出てくるのじゃないか、このように考えるのですが、その点いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは国際情勢や日本の環境がどういうふうに動いていくか、そういう客観情勢や脅威の実態にも関係してくるだろうと思いますし、また、日本側における内部の自主的防衛の努力がどの程度までいくかということにもかかってまいりますし、また、アメリカ側が極東の平和と安全維持についてどういうような考えを持っているかというような計画との調整の問題もございますし、いまこういう方向だというふうに独断することはできないと思います。
○矢追秀彦君 一つ具体的な問題でお伺いしたいのですが、在日米軍基地の自衛隊移管の問題でありますけれども、立川の飛行場の返還に伴う自衛隊への移管についてお伺いしますが、昨年の十月から米軍が飛行停止をしておりました立川飛行場、今度は自衛隊がその管理権を持って、自衛隊機と民間機が使用する、こういう長官の構想だと聞いておりますが、こういうような構想に対して、非常に立川市民は反対をしておる、非常に反対の声が強まっておる、このように聞いております。特に立川市民は、何も知らされなかった、そういうようなことで非常に反対の声が高まっておるということを伺っておりますが、この問題について詳しいことをお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 昭和四十四年十二月、立川飛行場における米軍機の飛行活動が停止されました。これは米軍側からも通報がございました。しかし米国側は、引き続き支援施設等として使用する意向を有しており、本施設が返還されるということは、まだございません。滑走路等の飛行場施設については、目下自衛隊及び民間航空の使用について検討を進めております。周辺住民の一部が、自衛隊及び民間航空の使用について反対していらっしゃる模様でもありますけれども、十分皆さんに御事情を御説明して御理解を得たいと思っております。
○矢追秀彦君 先日、衆議院の予算委員会でもかなり問題になりました、この米軍基地が自衛隊に移管するという問題についての地位協定の弾力的運用、こういう問題でありますけれども、この自衛隊移管を現行の地位協定の中で実現できると、このように解してよいのか。あるいは、できるとすれば何条でやるのか。一時使用、反復使用、あるいは断続的使用、こういうふうな点も考えて、もう一度あらためて確認をしたいと思いますが、その点についていかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは地位協定の二条の各項目の援用によりまして、相当いけるだろうと思います。たとえば、滑走路の使用等につきましても、断続的使用の場合もありますし、あるいは、ふだん使ってなくて、ある特定の期間を限って使用するという場合もございます。そういう意味において、海水面並びに滑走路等についてはかなり解釈によってそれが適用されるのではないかと思います。したがいまして、大部分は地位協定の解釈と弾力的運用によって解決するのではないかと考えております。
○矢追秀彦君 そうすると、この地位協定の弾力的運用というのも安保条約の私は変質だと、こう思うのですけれども、先ほどから、安保条約というのは結局、時代により、いろいろな問題によって変わってくると、こういうことをはっきり言われましたので、やむを得ないかと思いますが、これについて続けてお伺いしたいことは、軍港の場合、要するに、いま佐世保とか横須賀、こういうふうな軍港が返る場合でありますが、昭和二十五年の三月に、旧軍港市の平和都市への転換をうたった旧軍港市転換法というのが制定されておりますが、これはあくまでも平和都市というのが目的になっております。したがって、軍港がもしそのまま自衛隊に移管される場合には、この法律に違反しないかどうか、地位協定との関連はどうなるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) その法律はございますから、その法律と調整しつつ、基地の一時使用、共同使用、自衛隊管理、そのほかの態様を検討していきたいと思っております。大体米軍側の意向は、防衛関係に使うならば、返還を考慮されるというような意向があるようであります。そういう点からいたしまして、自衛隊にまず返還してもらって、共同使用にしておいて、そうして不必要な部分は民間に平和利用していただいたらどうかと、そういう段階的にものを考えたほうが事務としては処理が早いのじゃないかと、そう考えております。
○矢追秀彦君 いまのお話だと、そのまま平和都市といいますか、平和に使うための軍港の移管であれば、アメリカのほうが承知をしないと、こういうふうに受け取りたいというのですが、そうなりますと、いま言いましたように、せっかく法律が、古い法律であるにせよ制定された趣旨というものとかなり違ってくるのじゃないか。たとえば、段階的にものごとを考えるといま言われましたけれども、やはりそういった点で非常にまずいのではないか。しかし現状としては、軍港というのはなかなか返しそうにない――ポラリスの寄港あるいはエンタープライズの寄港と。しかし、この軍港というのは、一番私は、注目をしこれからしでいかなければならないのじゃないか。陸上の基地がなくなればなくなるほど、軍港、特に米軍の使用しておる軍港というものは注意をし、さらにそれを自衛隊移管にするにしても、私はまずいと思いますし、やはりこの法律にあるとおり、平和に使う、こう考えたいのですけれども、重ねてお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) あの法律は厳として存在しておりますけれども、法律ができた時期は昭和二十五年八月、警察予備隊ができる前にあれはできて、アメリカの対日占領政策が昔のように太平洋のスイスになれというような考えの時代の産物でございまして、朝鮮事変の勃発によって情勢が非常に変化いたしまして、警察予備隊ができたり、保安隊、自衛隊と成長してきたわけでございますけれども、そういうような客観情勢の変化と、その法律とは必ずしも吻合しているものではございません。そういう意味で、あの法律の内容について必ずしも、あのままでいいのかという感じのする部分もございます。やはり軍港を平和的に、かつ現実的に処理していくということを考えますと、あの法律の趣旨を生かしながら、いかに米軍側とも協調して現実的に適用していくかという行政的な処理が必要であるように私は思います。そういうあらゆる面を考えまして、いまのような処理で進もうと思っておるわけでございます。
○矢追秀彦君 もう一つ、少しこまかい問題かと思いますが、非常に大事な問題なのでお伺いしますが、現在横須賀の基地におきまして米軍が民間企業の下請商法をしておるということが問題になっております。米軍が下請商法をしていることについては日米合同委員会の協議で認められておる、そのようにいわれておりますが、それは拡大解釈であると思うんですが、その点はいかがですか。それが一点と、次に、その日米合同委員会の協議内容を明らかにしていただきたい。
 さらに、米軍が経営難の打開策として日本の民間企業の下請を始めたことは日米安保の乱用解釈にはならないかどうか。
 四番目としては、日本の下請企業を圧迫するおそれがあり、本来仕事がないのならば基地を返還すべきであると、このように思うんですが、その点はいかがですか。
 その四点についてお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 横須賀海軍施設内にある艦船修理部施設の一部を民間企業が使用することについては、昭和三十六年十一月、日米合同委員会において、地位協定二条4項(a)による共同使用が合意されて、それに基づいて行なわれておるものでございます。詳細につきましては、施設庁長官から御説明申し上げます。
○政府委員(鶴崎敏君) お答えします。
 ただいま長官からお話がございました横須賀のドライドックの使用の問題でございますが、これについては地位協定の二条4項(a)によりまして、米軍が一時使用していないときには日本国の政府あるいは日本国民に使用させることができるという条項に基づきまして使用させておるわけでございます。この使用につきましては、この合同委員会で三十六年の十一月に合意する以前におきましては、使用のつど合同委員会にかけて承認をしておったわけでございますが、非常に事務的に煩瑣であるというようなことがございまして、三十六年の十一月の合同委員会で包括的に承認をし、具体的には現地レベルでそのつど調整をして使えると、こういうことに相なったわけでございます。
 そこで、この使用につきましてはいろいろこまかい条件がついておりますけれども、この使用の範囲としましてはドック並びにこれの付帯施設というものを使用させるということでございまして、これを使用するに際しましては、使用する民間企業のほうからあらかじめその使用料を納めておいて、しかる後に使用をするというような形になっております。
○矢追秀彦君 時間がありませんので次に移らしていただきます。外務大臣がまだお帰りがないので、共同声明あるいは安保条約の事前協議等問題についてはまた次の機会に譲らしていただきまして、次の沖繩返還に伴う問題点について二、三お伺いします。
 これは総務長官にお伺いしたいんですが、沖繩返還後、要するに沖繩というものをどういうふうに持っていこうとされておるのか。要するに、沖繩の産業はどのような方向に持っていくべきか、あるいは沖繩というものをどういうふうな特色のある――返れば沖繩県になるかと思いますが、まずその構想をお伺いしたい。
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩が二十数年間日本の施政権外であったということをかりにその前提でなくいたしまして、ずっと戦後日本の施政権下にあったという正常な姿勢であったならば、沖繩はどうなっていたであろうかということを考えますと、おそらく、先日来もいろいろと議論をいたしました過疎地域みたいな現象の地帯におそらくなっていたであろうと考えます。ところが、現実には沖繩は戦前の人口の三倍近い百万に近い人口の増加をいたした地域となっておるわけでありまして、その人口増加の要因は、日本の施政権外にあったことにより、また日本の施政権外でありますからいろいろの渡航その他が制限されており、また、米軍の巨大な施設に依存する基地産業その他の関連施設等による収入増というようなものがありまして、県民所得の向上あるいは県外にそう簡単に出られないというような環境等もあったにいたしましても、相当な経済成長率の伸びを伴って人口増加をいたしております。そこでこれらの原因をしさいに分析をいたしまして、われわれが七二年に祖国の施政権下に迎え入れた後におきましても、本来想像されたであろう過疎県にならないように、依然として引き続き沖繩において、人口も定着増加しつつ、所得も県民全体としても、また一人一人の県民所得としても維持し、向上していくという努力を続けてまいりたいと思いますが、こまかな一々の具体的な問題等について御質問がありますならばお答えいたしますが、基本的にはそのような考え方で取り組んでおる次第でございます。
○矢追秀彦君 時間がありませんので項目だけ伺いますので、関係大臣で適当な方に出ていただいてお答え願いたいと思いますが、一つは、沖繩で海洋博をやられるという、七二年に海洋万国博というようなことが報道されております。この問題について一つと、で沖繩を、やはりこういったことも考えられる以上は、海洋開発するには非常に適当な場所ではないか、それが沖繩の産業にもプラスになるのではないかと思いますので、この海洋開発について海洋博覧会を中心としてどうお考えか、これが第一点。
 それから、いま沖繩の人口がふえたという問題が出ましたが、かなりこれから沖繩の人たちが本土へ返還後帰ってきて、本土の企業に就職をするという問題、現在でももうすでに企業はその人集めに行っておるとやらに聞いております。そうすると逆にまた過疎化するというおそれもあります。そのために企業進出というものをどう考えていくか。これから返還までの間、外資の進出もかなりあると思います。それに対する政府の姿勢。さらに、この産業の誘致に対する政府の返還までの、どうやるか、返還後はまたどのように沖繩づくりをやっていくか。
 さらにもう一つは、医療問題、非常に沖繩においてはハンセン氏病、一時ほどは多くないと聞いておりますが、私が前参りましたときも、かなりありましたし、医療施設が非常に不備であります。お医者さんの数の問題、医療施設の問題、これをどのようにされていくか、特に離島における医療施設をどうされるか、その点について関係の方から答弁をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 質問は簡単でありますけれども、中身はたいへんたくさんありますので、なるべく簡単に答弁いたします。
 海洋博覧会につきましては、沖繩の立地条件、あるいは珊瑚礁島嶼を取り巻く美しい海洋等の条件によってたいへん着目すべきアイデアだと思いますが、現在の体制の中で、沖繩で海洋博覧会を、国際海洋博覧会条約に基づいて催すことを決定するには、施政権の問題がありまして、日本国としてこれを催す、場所は沖繩であるということ等については国際法の解釈等がありますので、もう少しこれを検討してみたいと考えますが、一つの着目すべきアイデアであることは私も認めたいと思います。
 いま一つは、本土に人口が流出をこれから続けるのではないか、あるいは本土の求人難等の関係から、そのような現象も一方には起こりましょうが、しかしながら、やはり言われましたような現在ありまする外資、あるいは現在相当現地で企業の労働需要等を喚起するであろうと思われる企業の進出等、あるいは本土から向こうに参りまする本土産業、こういうものが、立地条件にふさわしい産業基盤づくりができますならば、私はそんな、ただ本土に人手が足りないからどんどん来るんだということでなくて、やはり自分の生まれたところで家族と一緒に、自分の県づくり、そして自分たちの県の経済づくりの人手として有効な活用がされるような沖繩をつくりたい、こう考えておりますが、本土の企業といたしましても、先般大阪で三日間にわたりまして日琉経済人の会合がございました。これは、復帰の目標がはっきりと七二年にきまりましてからは初めての会合でありましたことも手伝いまして、たいへん熱心な討議が具体的に繰り返され、ある場合においては、激論に近い真剣な議論が展開をされました。この結果、両者集約をされまして、日本政府に対しまして、本土の企業が現地に進出しやすいように、企業に対して、融資あるいは税制その他の問題でめんどうをみてほしいというような共通の要望がございました。私はこれを受けとめて、ただいま申しましたような不必要なる本土流出の現象にならないようにしたいと考えております。
 次には、医療の問題でございますが、ただいま御審議を願っております来年度予算の中で、医師の確保その他の続けてまいりました政策、あるいは巡回派遣医師等の予算の増額、人員増額等に、さらに今回から、離島の多い沖繩でありますので、巡回診療艇を一千二百万円で二隻、さらに一億四千万円でヘリコプターを二機購入いたしまして、離島の医療診療に誤りなきを期したいと、こう考えておりますが、その船の一隻は沖繩本島、一隻は八重山並びに宮古群島のどこかに拠点を置くというつもりで巡航をさせたいと思いまするし、またヘリコプター二機は、本島に基地を置くことになると思いますが、これは整備その他で緊急の場合にどうしても予備機が要りますので、二機ということにいたしましたけれども、これら等も、現地の医療に従事する方の協力を得まして、単に緊急な離島患者のけがや病気や、そういうものばかりでなくて、やはり立地条件から言いまして、向こうの漁業はくり舟漁業等の非常に零細な沿岸漁民が多うございますし、また太平洋地域といたしましては、沖繩の近くで本土から参ります漁船や、沖繩自体の沖合遠洋漁船等の遭難等も起こりまするし、そういうような場合におきましては、海上保安庁の将来は十一管区あたりも当然設定を考えなければなりませんが、それまでの間に、そのような海難救助等にも使えるような多目的な使命を帯びてヘリコプター二機備えておりますが、基本的には、沖繩において絶対数のお医者さんが足らない、そういうことが問題でありますので、これから十分それらの対策を考えてまいりたいと思う次第であります。
○矢追秀彦君 最後に、非常に急にこれも質問するようになりまして恐縮でありますけれども、自治大臣にお伺いしたいのですが、これは全然外交、防衛とも関係ありませんが、地方公務員の組合にいわゆるやみ専従者というものがあるということで、この前、東京都議会で問題になりました。自治省はこれについて、どのような見解をお持ちになっておるか、最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) これは昭和四十三年十二月十四日から新しい在籍専従制度の発足とともに、その趣旨の徹底並びにやみ専従職員の存在を排除するよう強く指導をしてまいったところでありますが、先般御指摘のとおり東京都の監査委員会において、東京都職員の中にそういうやみ専従があるということも指摘をされておるのでありまして、一般的にこういうものはないと考えたところ、まことに遺憾でございまして、これは排除を強く監査委員から指摘されておりますので、その処置を見守っておるとともに、今後このようなことのないように強く指導を徹底してまいりたいと考えております。
○矢追秀彦君 京都府でもふだんから職員がやみ専従になっておると、こういうことが非常に言われておりまして、そういう数も多いと聞いておりますが、その実態は調査されたのかどうか、お伺いしたい。
○国務大臣(秋田大助君) その点もうわさを聞いておりますので、ただいま調査中であります。詳細は判明しておりません。これにつきましても、また存在がありますれば、これは公務員法の、地方公務員の趣旨に照らしまして遺憾でございますので、これが適切な指導をいたしたいと考えております。
○矢追秀彦君 その調査は特に京都の場合、いますぐに始められてどのぐらいまでに結論が出ますか。
○国務大臣(秋田大助君) いま調査中なので、いつごろまでということはつまびらかにいたしておりませんが、なるべくすみやかにこの調査を完了したいと思っております。
○矢追秀彦君 今回の京都府知事選挙におきましても、非常に府の職員の選挙運動が非常に世間の非難になっておる、そういうニュースを私聞いております。特に、京都府の亀岡保健所におきましては、ここは何かひとつこの知事選の運動の拠点になっている、そういうふうな報告を聞いております。また、亀岡の農業改良普及所におきましては、昭和四十二年に所長が、某職員の勤務状態をメモしたということで、この所長が定期異動でもないのに左遷されたと、そういうふうなことも聞いております。しかも、この職員の人はこの十年の間公務に全然ついておりません。職場を放棄して特定の党活動に専念をしておる、そういうことが非常に世間の非難を浴びておる、こういうふうに聞いておるんですが、この普及所の職員が――普及所の職員というものは、こういうふうな特定の党の選挙運動を大っぴらにやっていいのかどうか、このような公務員の選挙運動が、地方公務員法上、許されるのかどうかその点を自治大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(秋田大助君) 申すまでもなく、地方公務員は、その職務時間中は、自分の与えられた職務に一意専心勤務をすべきものでありまして、その時間中にその職場を離れ、労働運動なり、あるいは選挙運動なりいたすということは地方公務員法違反でございまして、もしこういう事実がありまするならば、強くこれも適切なる指導をしなければならぬと考えております。
○矢追秀彦君 最後に。こういった問題に対して警察はどういう態度で取り締まりに対処されておるのか、警察庁の刑事局長おられましたらお伺いしたい。おられなければけっこうですけれども……。
○政府委員(高松敬治君) 公務員の選挙運動につきましては、御承知のように公職選挙法の百三十六条の二、地位利用による選挙運動の禁止、あるいは百三十七条の教育者の地位利用による選挙運動の禁止、こういう規定がございまして、警察としては、地位利用にわたる選挙運動につきましては厳格に取り締まりを進めてまいるつもりでございます。
○矢追秀彦君 最後に、議事進行で委員長に要望したいのですが、外務大臣がソ連の要人との会談で来ていただけなくて……、実はあとずっと共同声明、あるいは事前協議の問題で質問したかったのができなかったので、次の機会に譲りますが、ぜひきょうのソ連の代表の方との会談の内容につきまして、あすの本委員会の冒頭に、外務大臣より報告を願いたいと思います。
 以上、要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(堀本宜実君) 以上で矢追君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時開会することといたします。本日はこれをもって散会いたします。
   午後五時三十七分散会
     ―――――・―――――