第063回国会 公害対策特別委員会 第2号
昭和四十五年七月九日(木曜日)
   午前十時十九分開会
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   委員の異動
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     大谷藤之助君    久次米健太郎君
 六月二十四日
    辞任         補欠選任
     森中 守義君     加藤シヅエ君
 七月八日
    辞任         補欠選任
     亀田 得治君     杉原 一雄君
     田中寿美子君     森中 守義君
 七月九日
    辞任         補欠選任
     原田  立君     峯山 昭範君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
                中津井 真君
                小野  明君
    委 員
                青木 一男君
                鬼丸 勝之君
                山本敬三郎君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                杉原 一雄君
                森中 守義君
                小平 芳平君
                峯山 昭範君
                片山 武夫君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       警察庁刑事局長  高松 敬治君
       経済企画庁国民
       生活局参事官   西川  喬君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    城戸 謙次君
       厚生省環境衛生
       局公害部公害課
       長        橋本 道夫君
       厚生省薬務局薬
       事課長      山高 章夫君
       農林省農政局参
       事官       遠藤 寛二君
       食糧庁業務部長  中村健次郎君
       水産庁次長    藤村 弘毅君
       通商産業省化学
       工業局長     山下 英明君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     本田 早苗君
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  柴崎 芳三君
       運輸省自動車局
       整備部長     隅田  豊君
       自治大臣官房参
       事官       立田 清士君
   参考人
       岡山大学農業生
       物研究所教授   小林  純君
       工 学 博 士  南部そう一君
       東邦亜鉛株式会
       社副社長     松井 郁一君
       東京保健生活協
       同組合氷川下
       セッツルメント
       病院長      赤澤  潔君
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  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○公害対策樹立に関する調査
 (大気汚染及び水質保全対策等に関する件)
○理事補欠選任の件
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○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六月二十二日、大谷藤之助君が委員を辞任をされ、その補欠として久次米健太郎君が選任をされました。
 また、同月二十四日、森中守義君が委員を辞任をされて、その補欠として加藤シヅエ君が選任をされました。
 また、昨七月八日、亀田得治君及び田中寿美子君が委員を辞任をされまして、その補欠として杉原一雄君及び森中守義君が選任をされました。
 本日、原田立君が委員を辞任をされ、その補欠として峯山昭範君が選任をされました。
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○委員長(占部秀男君) まず、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。
 先般当委員会が行ないました委員派遣について派遣委員から御報告をお願いしたいと思います。
○中津井真君 去る六月八日より十一日まで四日間、木島委員、片山委員及び私中津井理事は、本委員会の決定に基づきまして、大阪府公害監視センター、和歌山県及び愛知県下における公害の発生状況とその防止対策等につきまして視察いたしました。
 以下簡単にその概要を報告いたします。
 大阪府公害監視センターは、次第に重大化してきた大阪府の大気汚染問題について汚染状況の監視と汚染度が高まったときに、明確に緊急措置々講じる体制を整えることと、あわせて、公害排出源の規制に必要な検査及び公害に関する基礎的な調査、研究を行なうことを目的として設立されたものであります。
 建設費は建物、設備の機械類がそれぞれ四億五千万円、合計九億で、昭和四十三年九月から業務を開始いたしております。職員は現在所長以下五十四名であります。
 公害監視と緊急時の措置として、センターでは大気汚染総合コントロール方式による監視システムを採用しております。すなわち、基準観測定点二十局及び移動観測車を加えた各観測点における大気汚染の状況を電波を利用して、センターで集中監視し、高濃度汚染が発生し、または発生が予測されるときには、気象条件等も考慮の上、府下二百の主要な汚染の発生源工場に対し、一斉に無線回線で注意報または警報を発令し、各工場が備蓄している硫黄分低濃度の重油に一斉切りかえを行なうこととなっております。同時に公害パトロール車により工場の措置状況の確認を行なっております。
 公害監視機能は的確な資料を迅速に集中、対処することが重要であります。当センターの機能はこの要請に十分にこたえておりますので、大気汚染の危険の多い府県にあってはぜひこのようなセンターの早急の設置が必要であると思います。
 次に、和歌山県の視察に際しましては、大気汚染、水質汚濁等の公害に関する調査のほか、特に進出企業と県との間の公害防止協定を、また、愛知県下におきましては、通産省と協力して実施中の名古屋南部地区の総合事前調査、企業と県及び市町村との間の公害防止協定、公害関係の苦情及び陳情の処理状況について調査を行ないました。詳しくは別に補足資料を提出いたしますので、それによって御承知願います。
 和歌山県におきましては、県庁を訪問、県下の公害発生状況とその対策について説明を聴取いたしました。翌日、関西電力、南海火力発電所、住友金属工業和歌山製鉄所、串本地区における海中公園予定地の保護状況を視察いたしました。
 本県においては戦後、地域開発の振興を自的として積極的な工場誘致を行ないましたが、戦前からの工業地帯でなかったため、公害による被害は比較的少なく、その対策も十分行き届いており、将来の対策等に関しましても一応の方針が確立されておるように思われます。
 自然に恵まれた当県にあっては産業誘致による地域開発と自然の保護を両立させるべくつとめている知事以下県当局者の公害防止に関する姿勢に関しては、その努力に敬意を表したいと思います。
 特に、県が当事者として進出企業、既設大企業、中小企業団との間に公害防止に関して厳重な協定の締結及びその促進をはかっていることは本県の特徴と思われます。将来にわたり県当局の御努力と関係各企業の御協力をお願いしておきたいと思います。
 次に、愛知県におきましては、県庁を訪問、県及び名古屋市の当局者から公害の発生状況とその対策等について説明を聴取いたしました。翌日は、県南地区の工業地帯、新日本製鉄名古屋製鉄所、中部電力武豊火力発電所を視察するとともに、東海市役所を訪問、市長より当市の公害の実情について説明を聴取いたしました。
 愛知県は和歌山県と異なり、昔からのわが国における代表的工業地帯であり、さらに、戦後臨海埋め立て地に大工業の進出等工業化が著しく進み、加えて、都市化の進展、自動車の増加とともに交通量も飛躍的に増加し、自動車排気ガスも新たな都市の大気汚染源として登場する等、公害は増加の傾向にあります。県当局も、大気汚染、水質の汚濁防止対策に極力つとめておるところであります。通産省と協力して、産業公害総合調査を行なっております。この結果に基づき公害防止の諸対策を策定しようとしております。本年一月、名古屋南部地区の工場排水による水質汚濁防止に関する中間報告が提出されました。本報告に基づき、これからいろいろの調査と実験が行なわれ、当地区工場群の排水の改善、指導が強力に行なわれることが期待されております。
 次に、当県下における各企業と地方公共団体との公害防止協定については、和歌山県と方針を異にし、県は、協定の当事者となるのではなく、関係市町村と当該企業との間に協定を締結することを側面から強力に推進し、県は協定締結の立ち会い人となっております。協定締結の当事者は県がよいか市町村がよいかいろいろ意見があるところでありますが、その地域における工業発展の経過等にも関係があるので、協定に関していろいろの形態のあるのもやむを得ないと思います。要は公害防止に実効のある内容のものが締結され、これが守られることが必要なので、今後における県以下地方公共団体の努力と企業の協力が強く望まれるのであります。
 次に、河川の上流流域にある県外の工場の工場排水による下流河川、海域の汚染、また、県外の化学工業等の工業廃棄物を海洋投棄する場合、海域の汚染等により漁業関者係は大きな被害をこうむっております。これらの公害防止に関しては、広域行政の面から強力な指導も必要であると思います。
 以上のほか、県及び市よりの要望事項も多々ありましたが、これも資料とともに提出しておきます。適当な機会に各委員の御協力を得てその実現につとめたいと思っております。
 なお、今回の視察に際して、府、県、関係市町村及び視察した各企業の関係者の御協力に心から感謝して、報告を終わります。
○委員長(占部秀男君) ただいまの御発言にありました補足資料等につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 派遣委員の報告は以上をもって終了をいたしました。
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○委員長(占部秀男君) 次に、公害対策樹立に関する調査を議題とし、大気汚染及び水質保全対策等に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○小野明君 通産大臣が先にお見えですから、お尋ねをいたしたいと思うのです。大臣も今月六、七の両日、水質審議会の洞海湾部会が現地で行なわれたことは御承知であろうと思います。
 そこで、洞海湾を取り巻く二十二の工場があるわけですが、このらち問題となっておりますのは十四工場、重点指導をしてこられたのが六工場、こういうことが先般の委員会でも発表になったわけです。それで問題は、水域指定をしていないからということで経済企画庁も数字の発表等をやらないわけですが、してないからということで工場の排水処理の指導というものが行なわれなくてよろしいということはないわけですね。通産省がこれらの工場に対して水域指定を行なうまでの間、どのような指導を行なってこられたのかお尋ねをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には指定水域にいたすことが大切で、これは急がなければならないと思っておりますが、大体十月ごろを目途にその調査をいたしておるところでございます。
 他方で、経済企画庁の委託によりまして福岡通産局がこの調査のための基礎の実施調査をいたしましたことは御存じのとおりでございます。
 私どものいたしました調査は、ただいま御指摘の重要二十二工場について行なったわけでございますが、調査の結果、排水施設の不十分なものが多うございました。したがって、私どもとしては、ただいま法的には水域に指定されておるわけではございませんけれども、現実に排水施設が不十分であり、また、汚濁のもととなっておりますので、関係の各社から改善対策を提出を求めまして、そうして改善の指導に――これは非常に具体的に指導しておるわけでございますが、行政指導の形で改善につとめております。もちろん十月に水域に指定されますと、この指導を法的な基礎の上にざらに強力に進めることができると考えておりますが、とりあえずそれまで待てませんので、事実上の行政指導を行なっておるわけでございます。
○小野明君 いまの御答弁ですと、二十二工場中排水処理をしていないものが多かったという御答弁と承った。全くこの排水処理をしていない工場があるということを、これも私も聞いておるわけですが、その辺はどらですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員から申し上げます。
○説明員(柴崎芳三君) 二十二工場のらち、正確にただいま数字は把握しておりませんが、排水処理施設を持っていなかった工場は確かに存在しております。で、との点につきましては、調査の段階からわれわれも重要問題として考えまして、去年の十二月に二十二工場全体に対しましていろいろ計画を出させまして、具体的な指導を行なっておりますので、少なくとも現在、たとえばシアンとかそういった直接人体に影響のあるような危険な物質を出しておる工場につきましては、これは全部そういうことはやらないように指導しておるところでございますが、全体といたしましては、やはり水質基準がきまりませんと、指導の目標も立たないということでございまして、全体としての対策は、目下水質基準の設定を待ちながらあわせて検討をさしておるという状況でございます。
○小野明君 していない工場はどこどこであるのか、その数、名前を発表してもらいたい。
 それからさらに、これは工排法の盲点かあるいは通産省の指導不足か、海面下に排水口がありまして、干潮のもとでも原液は取れない。こういう排水口の施設をしておる工場がほとんどである、こういう話も聞くわけですが、この辺もあわせて、この工場名、工場数、これを発表してもらいたい。
○説明員(柴崎芳三君) ただいまの二十二工場のうち、排水処理施設を持っていなかった工場、これは直ちにデータを整理いたしまして、後刻御提出いたしたいと思います。
○小野明君 工場数は言えるでしょう。
○説明員(柴崎芳三君) 工場数も、いまはちょっと数字を持っておりませんので、整理いたしまして、後刻御提出いたしたいと思います。
 それから排水口が海面下にある工場でございますが、これは二十二工場のらち約七十五排水口がございます。その排水口のらち五カ所ないし六カ所が海面下にあるということで、ほかの排水口は満潮時におきましても海面の上にあるという状況でございまして、実際の水をとる場合には、工場の中の海の水が影響しないようなところで確実に採取しておりますので、海水によって具体的な排水の汚染の状況が影響されるような形では調査は行なっておりません。で、この五カ所ないし六カ所も後刻御提出いたしたいと思います。
○小野明君 そうすると、海面下にある排水口でも、原液採取は可能である、こう言われるわけですか。
○説明員(柴崎芳三君) 可能でございます。
○小野明君 それはどの時点で、どういった点で採水をするわけですか。
○説明員(柴崎芳三君) 会社の排水口の設計によりまして、いろいろ変わってくるかと思いますが、たとえば貯水槽がございまして、その貯水槽からある距離を経まして海に注ぎ込む場合、その貯水槽の直後でとるか、あるいはその貯水槽からさらに離れたところでとるか、それはいろいろケースがございますが、とにかく排水の処理が済みましてから海に注ぎ込む間に採水点というものをわれわれは見つげまして、そこから確実にとっておるわけでございます。
○小野明君 そうすると、現行工排法でそのことは可能であるわけですね。
○説明員(柴崎芳三君) 可能でございます。
○小野明君 それから二十二工場中、全く排水処理施設を持たない工場名、工場数がいま言えないというのは、これはおかしいですね。これは当然現地通産局も全部調べて、六工場に対しては重点指導をやっているわけですからね。全くやっていない工場は工排法違反でしょう。これが言えないというのはおかしいですね。
○説明員(柴崎芳三君) この二十二工場は水域指定のための調査の対象でございまして、水域に指定されませんと、工排法の対象には実はならないわけでございます。したがって、法的には排水処理施設を持つ義務はないというぐあいに言えるわけでございまして、したがって、調査の段階でその辺は確かに調査しておるはずでございます。ただ、調査の眼目が、排水の質がどうであったかというふうに重点がしぼられておりますので、われわれのほうもいますぐにその工場の名前とその状況を正確にここでお答えするという準備がないわけでございます。これは整理すれば整理できる問題であると思いますので、後刻御提出さしていただきたいと思います。
○小野明君 通産大臣に、時間がありませんから最後のお尋ねをいたしておきますが、洞海湾の汚染については、主たる染汚源がこの二十二工場、特に十四工場であるということは御承知のとおりであります。それが経企庁の昨年調査よりも、現地の市の衛生研究所で五月の末にやりました調査を見ますと、シアン等については八倍の数字が出ておるわけです。汚染が非常に進んでおるわけです。というのは、お聞きのように、全く排水処理施設等を持たないところもある。あるいは当初から工場が海面下に排水口を出しまして非常に取水が困難であるということを、いまできるということを公害部長は言われるけれども、現地衛生研究所は非常に困難である、この点を改善をしてもらいたいという意見も出しておるわけです。そういった死の海になった原因が洞海湾である、この工場であるということを十分御認識願って、その辺にどら対処されようとするのかお伺いをしておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 洞海湾がよごれておるということは、実は昔からわかっておったことでございまして、何と申しますか、それについて法的な規制が行なわれていなかったということは私も残念なことだと思っております。先ほど説明員から申し上げましたように、指定水域になりませんと、工場等の排水の規制に関する法律の適用がございませんから、法的には排水処理施設を設ける法的な義務はない、こういうことであったかと思いますが、できるだけ早く指定水域にいたしまして、そのような法的な義務をも課すことが当然必要でございます。
 それから先ほどの取水の問題でございますが、パイプが海面の中へ、海中へもぐっております場合でも、先ほど申し上げましたように、その前の部分で取水点を求めれば排水の分析はできる。これは説明員の申し上げましたとおり私も承知しております。その間に分析の結果が、海水の浸入によって影響されることはないというふうに聞いております。いずれにいたしましても、できるだけ早く法的な義務をも課しまして、法の上に立ってきびしい規制を行ないたいと考えておりますが、なおそれに至ります問、できるだけ行政指導を続けてまいりたいと思っております。
○小野明君 経企庁の長官にお尋ねをいたしますが、この現地部会で、前矢野局長が来られましてこういう見解を述べておられる。現行工排法はもうすでに古くなった。そこで、水質保全法とあわせてあるいは鉄鋼業法、石油業法等もあわせましてこの改正を検討中である、こういう見解を述べておられる。この点について長官の御意見を伺いたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) 矢野局長がどういうことを言いましたか、私直接は聞いていませんが、いま御指摘の制度の検討、これはいま通産省等関係各省と一緒になりまして検討を進めておるところであります。
○小野明君 いま申し上げた構想ですね、それらの法を一本にするか、あるいは別建てにするか。それはどのようなものになるわけですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 一本化したらどらかという意見も相当強うございます。まだ私、結論を出している段階ではございませんからはっきりは申し上げられませんけれども、いまいろいろと議論伺っておりましても、今日のいわゆる水域の指定、こういう制度自体に相当問題がある、これは皆さんも、もっともこの場でしばしばお話し合いしまして私も非常に痛感してきたわけです。そういうことで、まず現在の水域を指定しなければ規制ができないという、そういう制度を改めたい。率直に言うと、もう全国どこでも本来規制の対象になるべきものである、もちろんその全国ということになりますれば、一律の最低基準を設けるということで、あとでまた具体的に産業の種類、工場によってもっと高い土地を設けることになる。いずれにしてもそうした何かもっと根本的な制度の改正をしたらどうか、こういうような感じを持っておりまして、もしそういうものが実現できれば、いまお話しになっておるような点も相当解決できるわけでありますから、そうした点をいま検討を進めておる。法制的には相当大きな変革でもありますので、われわれとしては関係各省とも緊密な連絡をとりながらひとつ十分検討したい、こう思っております。
○小野明君 時間がありませんから端的にお答えをいただきたいんですが、その時期のめどはいつごろになりましょうか。
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん来たるべき、すなわち次の通常国会に提案ができるように検討したい、こういうふうに考えております。
○小野明君 続いてお尋ねをいたしますが、先般から洞海湾におけるシアンその他の、主としてシアンですが、データの公開という点がこの問題として取り上げてこられておるわけです。私も前回委員会でかなりきびしく要求をいたしたわけですが、企業に協力を得られないからということだけで拒否をされた、この法的な根拠というものが少しも明らかでない。簡単にその点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 現行制度のもとではいろいろの理屈が立つと思うんですが、今日まで協力を調査の上でもって得ておる、こういうことで、具体的な数字についての発表をしておらない、これは御指摘のとおりであります。ただ、御存じのように、個々の排水口の分はしておりませんけれども、この底を流れる流水の数字というものは、これは出しておるわけでございます。ですから今日としては、それでもってある程度間に合うじゃないか、こういう考え方があると思います。いまの制度の改正を今度やってまいりますと、そうすると、もう最初からこういうものはいかぬ、こういうことになりますから、いまの発表の問題なんかも変わってくると思いますけれども、少なくとも現行の体制のもとにおいては、個々の排水口について数字まで発表するということはなかなかむずかしい、こういうふうに考えております。
○小野明君 それで水質基準を設定するためのものである、だから発表する必要はない、こういう理屈も成り立ちます。しかし、基準を設定するためのものだから、なおこの排水口におけるこの数値を発表してもらいたい。特にまた毒劇物法違反の疑いもある。規定をはるかにこえる数値ですからね、その辺を隠しているものは、やっぱりこういったこの種犯罪行為を経企庁自身が守っておる、こういう感じを私ども持たざるを得ぬわけです。しかも法的な根拠を調べてみますが、確たるものがない、この辺がなお私は問題だと思うんですが、長官いかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) その法的な根拠がはっきりしておらないところが私は問題だと思います。今度検討しているものは、そういう意味で法的に根拠を与えよう、そういうことになって――まあ、これは私の考えなんですが、そういうことになってくれば、公表も可能になってくると私は考えております。いま犯罪行為というお話がありましたが、最近こういうふうにお互いに公害の問題の意識が高まってきたことは、これはまあ必然といえば必然なんですけれども、当然これは社会的な犯罪なんだという観念が、残念ながら今日まで確立していなかったところに私は問題があると思います。ちょっと適当な引例ではないかもしれませんが、立ち小便をしちゃいかぬ、これは一つの原則である、こういうことがあって立ち小便をするということであれば、これは黙っていてもわれわれはそれを処理しなければなりません。今日まで、何といいますか、自分の工場のすぐそばに川が流れておる、そこに汚水を流すということは、確かに今日の目から見れば、けしからぬことですけれども、残念ながら今日まで、そのそばの川に水を流すということを直ちに犯罪行為とは、そこまで考えなかった段階があったわけですね。今日、だんだんとその考えが変わってきたわけです。ですから私は、もしもそれが犯罪行為であるということがはっきりしていたならば、われわれはこれを擁護する何ものもありません。ただ、別に擁護しているという気持ちではないのですけれども、今日までずらっとそういう、いわば事実上の行為が積み重ねられてきたわけでありますから、すぐに排水口の数字をことさらに発表するということが、なかなか、調査の協力を得ているだけにむずかしい、こういうことを言っているわけでありまして、別にわれわれ、ある工場の利益を擁護するのでも何でもない。私は、いろいろそういうこともありますものですから、法律の制度をひとつ変えよう。まずもう捨てることがよくないのだ、こういう原則を打ち立てて、そして、もうそういう原則を立てた以上はこれは工場としては当然しちゃいけないことなんですから、これに対してわれわれ、もしそういう事実があればどんどん公表することもあえて辞さない、こういうふうに変えたい、こういう気持ちが今度の制度の改正につながっているわけであります。今日のところ、なかなかそこいらのところは制度的に見て議論が、確かに御指摘のとおり、あいまいな点があるのであります。そこのところをもっとすっきりさしたい、こういうふうに考えております。
○小野明君 長官の御答弁では満足できないですね。それで、時間もありませんから、あと一問だけ伺っておきます。
 現地洞海湾部会があります。私も非常な期待を持ってこれを見ておったわけです。ところが、六日は三工場の視察である。通産省が重点指導をしておるのは六工場で、問題は十四工場である。すべてを見ろとは言いませんが、六日は三工場である。七日の日は参考人六人の意見を聞いて、あとは洞海湾を船でかけ足視察で終わる。これではですね、まさにかけ足視察である。しかも新居会長が記者会見の席上、開口一番、企業もよくやっておる、他の学者も同意見だった、こう言うわけですね。それじゃ、よくやっておるならば去年よりもことしが八倍も汚染をするはずがないわけですね。これは簡単な理屈ですが、まことに、ベスト・オールスター・キャストですか、経企庁が言っておるのは。ベスト・メンバーで鳴りもの入りで入りましてこの程度の感覚のズレでは話にならぬと私は思います。しかも、この現地部会たるや非公開。しかも新居さんは、公述人の意見はとることもあればとらぬこともある――それはなるほどわからぬことはありませんけれども、公述人が意見を言う、その直後そういうことを言う。これでは私はいかぬと思う。しかも四十五水域と同様に全部非公開で行なわれた。これでは、いまのデータの非公開と同じように目隠し行政といわれてもしかたがないと思うのであります。そこで私は、現地部会の公開、さらに、東京からそういったような鳴りもの入りで学者が入ることもよろしいですけれども、やはり、イタイイタイ病あるいは水俣病でも、細川さんとか、あるいは萩野さんとか、現地の方が非常に大きな貢献をされておる。こういった審議会のメンバーに、あるいは現地部会のメンバーに現地の学者を加えてはどうか。この二点をお伺いをいたしておきます。
○国務大臣(佐藤一郎君) 先般の洞海湾の調査ですね。かけ足視察というお話がありましたが、それぞれ忙しい委員がやはりその中からあれだけの時間をさいて、そうしてできるだけ調査をする、こういうことでありますから、私はただ時間が多い短いだけで御判断願わなくてもいいのだと思うのですが、いずれにいたしましても洞海湾を非常に重要視し、そうしてその問題に対して本格的に取り組もう、こういう気がまえでおるわけでありますから、この点を御了解願いたいと思うわけでありますが、新居会長の話というのも私は直接聞いておりません。しかし、審議会会長としては非常によくやっていただいているわけでありまして、その片言隻句は別といたしまして、今日までにも審議会の会長として非常に積極的な態度で臨んでおられると私は思っております。今後洞海湾の問題は、われわれとしても非常に重要な問題ですから、できるだけひとつ検討を進め、対策を早く進めるようにしなければいかぬ、こういう考え方を持っているわけであります。
 また、審議会のやり方の問題は、これはいろいろ考え方があろうと思うのでありますけれども、非公開でとにかく言いたいことを大いに言い、そうして十分に審議を尽くす、こういうたてまえで今日までやってきておりまして、私は別に世間に隠すとか隠さないとかいうことではなくて、今日まで十分に審議を尽くすのにこの方式で十分ではないかと、こういうふうに考えているのです。
 現地の学者の問題はこれは人選の問題でございますから、今後ひとつ十分検討してみたい、こういうふうに考えております。
○小野明君 終わります。
○杉原一雄君 どの大臣とは申しませんから、私の質問に答えて――総括的な質問をいたしますから、各大臣がそれぞれの所管に応じて答弁をいただきたいと思います。
 とりわけ、日本鉱業三日市製錬所の問題でありますけれども、きょうの各新聞が伝えるように、いままでこれはたいへん危険な地域と指定された以外の広い地域の範囲に及んで予約米を受け付けない、一俵千円を盆までにもらえないということが明らかになったのです。この問題は午後に食糧庁の出席を求めて明らかにいたしますけれども、ことほどさように問題は日に日に拡大し、被害は深く掘り込んでまいっておりました。だから根本的な公害対策、諸政策についてたいへん大きな問題点を持ち、いまこそ関係各大臣がふんどしを締め直して問題に対処する時期ではないだろうかと思います。
 そこで、私、ぎりぎり住民の最近の声をお伝えいたします。それは七月五日の午後、天神新堀切というところの地域の人たち、つまり被害者住民協議会が決議を出しております。この地域はすでに五三・二PPM、あるいは雨といから一六〇〇PPMのカドミウムの検出がされたということが公表されておる地点でございます。農業補償も幾らかもらいました。そういう時点で、なおかつ要求している点は、第一点として、三日市製錬所買収の農地、これは昨年買収完了した地域で二十三万平方メートル、これは工業用地として転用するかのごとき企業の発表でありますけれども、たとえそれがペレット工場の進出であろうともまかりならぬという要求を実は出しております。その原因、中身等は申しません。第二番目には鉱山保安法の早期改正と同製錬所への同法適用を要求する。この二点を決議として上げております。これはたぶん通産の大臣の所管かと思いますが、その住民の端的な要求に大臣お答えしてほしいということが一つ。
 その次に黒部の市長、先般市議会において不信任案をたたきつけられたけれども、少数否決になったが、その市長はそういう苦しい立場から、各所管の大臣には陳情書が届いておると思います。中身を若干申し上げまして、これに対する各省の取り組み、考え方、これを明確にしてもらいたいと思います。それは、「今や公害は全国的、統一的に施策を推進すべき政治上行政上の重要な問題として浮び上って参りましたが、本市所在の三日市製錬所については、従来鉱山保安法等の適用がなく監督官庁も操業に関する特段の指示命令も行ない得ず公共用水域の水質の保全に関する法律に基づく指定水域及び水質基準が未設定であり、また大気汚染防止法に基づく指定区域及び排出基準も定められていなかったため、具体的な調査指導はできず単に企業の良心に」――ここは非常に大事だと思います、「依存していたのが実情であります。申すまでもなく、市町村の段階では調査機能が弱く、」――この点は午後の自治省の出席を求めて追及いたします。「法令による規制の上に立たない公害行政の執行ができないので、これら法令の強化と大気汚染を対象とした微量重金属についての環境基準を公害対策基本法に定められているように国民の側に立った健康の保護と生活環境の保全を目的として早急に定められ、」云々とこらあるわけであります。でありますから、この市長の陳情書の中には公害関係諸法の不備と相互の関係、この問題をきつく指摘しているところであります。特に先ほどの住民の鉱山保安法との関連を市長も訴えているわけでありますし、最後に公害対策基本法について欠陥を指摘いたしております。この点、私、厚生大臣の所管に関すると思いますが、公害基本法そのものが改正せらるべき時期に到着いたしていると思います。でありますから、この問題と関連しながらも、大臣からはかって国民に向かって公害省を設置したいと呼びかけられたので、われわれはそれを新聞報道で受け取ったのでありますが、その気概、その方針、対策等についても明確にお答えを実はいただきたい。特に公害基本法の問題について改正の問題でありますが、これは後ほど午後の質問の中に詳細に質問しますが、富山県が六月十五日の県会で公害防止条例を改正いたしました。公害防止条例が初めてつくられたときに、私は当時の公害対策県の委員として強く条例の規制事項等について要求したのでありますが、最もすぐれた条例をつくるといって実はざる法になってしまったのでありますが、今度はこれを機会に改正ということになったのであります。この中の論点は、国民の命、生活環境に重点を置き、経済の調整のところはこれは基本法の第二項にあるわけだが、これを抜くという点で改正の議論が集中したと思いますが、最終的には、第一条に公害基本法にのっとりということで逃げてしまったわけでありますから、いまこの逃げ場である公害基本法そのものについての大臣としての考え方を明確にこの際していただくことが 地方自治のあり方につきましても、はっきりした指針を与えることになるのではないかと、こう思います。総括的な質問でございますので申しわけなかったのであります。
 最後に、企画庁長官に申したいのでありますが、新産都市指定になっているところは富山県もその一つです。そのことの成功をあせるあまりに、あるいはある県できたないくさいにおいをまき散らしたような工場も喜んで歓迎し、それを受け入れるような関係にあります。もちろん協定を結んでおります。しかし、現地に行きますと、なおかつくさいのであります。たとえば、そのことが、言うならば新産都市計画、いまの新全総、その計画を推進する中において、公害に対する施行の基本的なチェックを、総合計画の中で、新全総の中でどのようにしているのか、もししていないとすれば、今後改定し、どうしようとしているのか、その点を答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 関係大臣がおられますが、私から私が考えております事項につきまして、ただいまの杉原委員のお尋ねにお答え申し上げたいと存じます。
 お尋ねのように、基本法改正についての構想、あるいは公害省設置についての気概というようなことについてもお触れになりましたが、私の気持ちといたしましては、公害対策基本法をこの時期にもう一度全体として見直したいと、こういう気持ちでございます。公害対策基本法ができましたのは、御承知のように、いまから三年前でございまして、私は、当時としては非常に進歩的な法律であり、またいろいろの面におきまして、これによりまして公害対策が促進をされました面を多々認めておるのでございますが、しかし、この両三年の間に、公害に対する国民の考え方、または政府の取り組み方、あるいはまた、公害の発生源でありますところの企業や事業場そのものの公害に対する責任についての考え方というようなものも非常に前向きに進んでまいったと見られまするし、また、この三年間、私どもが公害対策を進めてまいりました経験から考えましても直したほうがよろしい、そのほうが政府に対する国民の信頼を一そう強め、あるいは不安を除去すると思われる点もあると私は考えますので、そういう課題につきまして、次の国会に至るまでの間になお各省と協力をいたしまして検討を進めまして、そして改正を要するとしたならばその改正点をだんだんまとめてみたいと私は考えるものでございます。
 それから公害省の設置というようなことを、これは私は一つの厚生大臣の気概として確かに申したことがございます。これは、私はそのくらいの気概で当たらなければならないという意味のことを申し上げただけでありまして、正直なところ、今日ただいま私が公害責任の一省をつくることが一番いいとは思っておりません。ここに通産大臣もおられますが、公害対策たるや、私ども国民の健康をあずかったり、あるいはまた生活環境につきまして深い関心と、また所管をいたしております厚生省といたしましてはいろいろの構想が浮かんでまいりますし、また、ここまではぜひ公害防除の見地から企業を縛っていきたいというような限界につきましても考え方が出てくるわけでありますが、しかし、その公害に対する具体的の対策を実施いたしますためにはどうしても私は通商産業省なり、あるいは業者等の問題に関連、あるいは航空機の問題もそうでございます、運輸省でございますとか、あるいは自動車を動かすほらのことにつきまして、実際に公害防止についての実力を行使していただくためには、やはり公安委員会でありますとか警察庁とかいうような、そういう現実に企業を所管し、あるいはまた道路交通運送についての規制権を持っておられるところの各省と厚生省が一体となってこれを進め得るにあらずんば、厚生省がどんなにきばってみましても、かえって公害対策についての実効はあがるものではないということを私は常々考えます。要は、たとえば私と宮澤通産大臣とが二人三脚になって、公害対策を進めていくということが肝心であり、あるいはまたこれに運輸省を加えた三人四脚になる、あるいは下水道の関連において建設省等の協力を得ながら進んでいくということが大切であると考えるものでありまして、これは一省に権限を全部まとめました場合にもちろん便利な面もあるでございましょうが、実施の面においては私は必ずしも上策とは考えません。ただし、現在のように権限が各省にまたがっておりまして、これの協議機関として私ども個々に閣僚がおりまして、内閣のもとに公害防止対策会議という閣僚会議を持っております。そこで打ち合わせをして政策の協調を得るということが先ほども触れました公害対策基本法には書いてございますけれども、それだけで十分であるとも考えられません。二人三脚なり三人四脚のやり方をさらに円滑にやりますための、何らかのやはり総括、協調の機構、それに私はつくづく考えますのは、私ども厚生省といたしましてもこれだけ公害の問題がやかましくなっておりましても、それと取り組んでおります職員の数とか、厚生省自体の、厚生省に関する機構そのものもまことに貧弱でございまして、少なくとも厚生省にやはり公害局ぐらいのものをつくって、そしてそこに主力を集中し、いつでも常に公害に対する臨戦体制の形をもって対処できるような機構がほしいというようなことはつくづく考えております。そこで私は一つの気概を示すものといたしまして、公害省ではなしに公害庁、一局どころではなしに公害庁ぐらいのものを私の役所にもつくりたい、聞き方によって省と庁と間違ったところがございますが、なに、私の気概としては公害省ぐらいのものはつくりたいぐらいのところから出発いたしましてちょうどいいところにくる、こういうふうなぐあいに考えるものでございます。
 なお、水域や地域につきましても現在、先ほどから御議論になっておりますように、今日は水域指定、地域指定主義をとっておりまして、その地域指定、水域指定がないと規制法が完全に網羅的に働かないという仕組みになっておりますことは、先ほど来経済企画庁長官も述べておりますように、この問題についてはさらに掘り下げて研究して、個別指定ではなしに、もうこうなった以上は公害でよごれている水域、地域のみならず、むしろ公害でよごされていない水域や地域を守ることのほうが私は常々、また公害対策の先取りという意味においてもきわめて必要である、こういう考え方をお互いに持つようになってきております。ただ現在いきなり全部の水域を指定をする、あるいは全部の上空を大気汚染防止法で指定をいたしますと、御承知のように、各地方でつくっておりますところの公害防止条例の機能が全部死んでしまう、公害というものは申すまでもなく地域的特性もございまして、今日では地方公共団体で非常に自覚をされてまいりまして、そしてほとんどの府県が公害課あるいは公害対策室、あるいは公害監視所、公害衛生研究所というようなものをつくるまでになっておりまして、公害防止条例などもたいへん整っておるところがございますので、国が形式上の責任を全うするというような意味からいきなりここで全水域を指定したり、全空域を指定することによりまして、法律の解釈上これらの条例を殺してしまって、残るところ、その穴埋めが急にはできないということがまた現実の問題としては考えなければならないところでございますので、これらの地方条例との調整の点をも十分考えまして、先ほど来経済企画庁長官の申されることを厚生省もそのまま当てはめまして、特にこれは前向きで検討いたしてまいる所存でございます。
 またお話にございました、お尋ねにございました公害対策基本法における経済の健全なる発展との調整という文言でございますが、これはもう杉原先生も御承知のように、ほんとうは公害対策というものは、経済との調整を考えなくてもいいことはいまの公害対策基本法でも実はなっておるのであります。と申しますのは、公害対策基本法の主たる目的が国民の健康を保護するということであり、付随的に生活環境を保全するという二次的の目標が掲げられておりまして、国民の健康を保護するということに関しては経済との健全なる調和という意味、文言は全く書かれておりません。生活環境を保全するというような目標、目的に関連いたしまして、経済の調整ということばを第一条の第二項に残されておるのでありますが、しかし、これが私だけの考えでは、これは公害対策であれ、あるいはまたその他の衛生対策でございましても、産業経済なり、あるいはその他の人間生活との調和は当然のことでございまして、厚生省だけがひとり経済のことは考えないのだということでは全くございませんけれども、この段階になりまして、生活環境の整備についてもいま申すように、経済との調整という文句を残しておることがいろいろな誤解を国民の間に生んだり、また不信を生んだりということがあるならば、そもそも公害対策基本法というものは、いわば衛生立法であるから、衛生立法に産業条項みたいなものはいずれにおいても入れないほうがいいと、こういうことを私がこのごろ申し立てをいたしておるということでございます。これは政府全体に対しましても私はいま申し述べましたようなことを今後もおはかりをいたしてまいるという私は姿勢でおります。いろいろ漏れた点もございますけれども、厚生大臣としての一応のお答えを申し上げました。
○委員長(占部秀男君) この際質疑をされる方にお願い申し上げますが、先ほどのように、きょう
 はだいぶ質疑者がたくさんでございますので時間を厳守していただきたいということ、それから政府側、大臣も御答弁をひとつ簡略にお願いいたしたいということをお願いしておきます。
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいまの御質問でございます新産都市建設促進法、あるいはいわゆる全総計画と公害の関係について御質問がございました。新産都市法は御存じのように、三十七年に立法されております。残念ながらこの時代においては、まだ公害という問題の取り上げ方が希薄であったように思われます。したがって、法律の制度上、公害の問題について特別の指摘がなされておりません。ただこれの実際に地域指定をいたしましたのが三十九年ごろからでありますが、三十九年に厚生大臣の通牒で新産都市の保健計画というものについて特に意を用うるべきことを公害の観点から通牒によって指摘をしておる程度であります。四十四年にできました新全総計画は、そこへまいりますとやはり公害問題というものを大きく取り扱っております。主要なる課題の一項目として特にこれを取り上げてございます。まあ新全総計画は御承知のように、別に制度でも法律でもございません。昭和六十年度までのビジョンでございますが、しかし、今後新たに大きなプロジェクト等をつくります際によほど公害についての事前調査を十分に行なわなければならないということから指摘を始めておりまして、現にわれわれの全総計画についての審議会がございますが、この中に特にいわゆるこれらの問題の調整をはかるための研究部会、委員会みたいなものを設けまして、小川原なら小川原の建設については事前に十分時間をかけて公害問題を調査する、そうしてその上に全体の建設計画というものをつくる、こういう構想になっております。今後におけるいわゆるこの建設計画については、公害というものは非常に大きな観点になると思います。そしていろいろと議論もただいまありましたように、現在まですでに行なわれておる汚染については極力全体としての公害対策を進めてまいる、こういうことになろうかと思うのであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 公害行政についての基本的な考え方は、先ほど厚生大臣が答えられたとおりでありまして、通産省といたしましてもこれは他人の問題ではございません、もう自分たちの問題でございますから、受け身でなく積極的に、関係各省、ことに厚生省と協力してやってまいりたい、従来から私そういう心組みで行政を指導してまいったつもりでございます。
 それから三日市の製錬所の問題が法の盲点になったことは御指摘のとおりであります。そこで、本来、鉱業法あるいは鉱山保安法というものが山元を中心につくられた法律でございますので、このようないわゆる独立製錬所といったようなものにこれを適用するというような考え方で法律ができておりません。おりませんが、しかし、こういうケースが出てまいりますと、何の規制も行なわれないということもまた非常に危険な、好ましからざることでございますから、何とかこの法律の解釈にあまり無理をしない範囲で、同一鉱業権者に属する独立製錬所を規制できないかということを実は検討をいたしております。私どもとしては、法制局等々、法律の純粋の技術的な見地からとうてい不可能だということでありたしたらやむを得ませんが、そうでございませんでしたら、この鉱業法あるいは鉱山保安法の事実上の適用を同一鉱業権者に属する独立製錬所にも考えてみたらどうかと。法律を改正するということになりますと、時間もかかりますし、間に合いません。そういうことをただいま検討いたしております。
○杉原一雄君 ただいまの大臣の、結論はいつごろ出しますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは法制局と話がつきますれば、あとは行政の範囲内での、省令等を出せばよろしいのでございますから、もう一両日と申し上げてもよろしいかと思っております。
○森中守義君 先月の十八日に、チッソの江頭社長を、参考人としてもし出席ができなければ証人として喚問してほしいということを私は強く委員長及び理事のほらに申し出ております。それがいまなおきょうも出席していない。どういうことなのか。これはすでに細川証言があり、さらに熊大の前の学長である鰐淵証言等が行なわれ、むろん訴訟中でありますけれども、けれども訴訟をやっているから都合が悪いということは私はないと思う。三権分立上のたてまえからいって、どうしても出てもらわないと困る。むしろ質問の内容としてもチッソに聞きたいということはあまりにも多過ぎる。その辺の問題が解明をされないで水俣問題は解決しませんから、もう一回ひとつ委員長のほうから、どういう経緯か、あるいは呼ぶ意思があるかどうか、これを最初にお聞きしておきます。
○委員長(占部秀男君) いまの森中委員の御質問ですが、理事会でもたびたびこの問題をやっております。で、われわれのほうで呼ぶ意思がないというわけじゃございませんので、やはり訴訟しておるさなかで、いろいろな事情もございますので、次の理事会で、呼ぶように、さらに努力をしてみたいと、かように考えております。
○森中守義君 衆議院で呼ばなかったとか、あるいは訴訟中だから呼べないという理由はないと思います。おのずから、国会は国会の権能があるわけですからね。もし、すべて裁判でものごとを処理するというならば、国政調査権であるとか、そういうふうなものが国会には事実上否認されるようなことじゃ困ると思って、どうしても呼んでもらいたいと思います。よろしゅうございますね。
○委員長(占部秀男君) 御趣旨は尊重いたします。
○森中守義君 刑事局長見えていますか。――たいへん時間がないので、ほんとうに中途はんぱなお尋ねになりますので、あとまた少し重ねて今後もお願いしておきたいと思いますが、そのつもりでお答えいただきたい。
 昨年の予算委員会で、私から、この事件は当然刑事事件として扱うべきではないのか、こういう質問をいたしました。これに対して当時の刑事局長は、すでに時効が発生をしているから、残念ながら刑事事件として捜査に踏み切るということはやや困難である、まあこういう答弁があった。ところが、すでに警察当局でも御承知のとおり、細川証言というものが行なわれた。これは公式に裁判官が臨床尋問をして、かなり権威あるものと私は受け取るのです。そこで、細川証言の内容からまいりますると、いままで繰り返されて政府側が答弁をされてきたような無過失ではない、過失でもない。むしろ私は故意である、こういう解釈が成り立ってくると思うんです。そこで、言うまでもございませんが、三十五年の十一月までに百十五名が発病し、まあ最近五名新しい患者の認定が行なわれたので、百二十名になりましょう。その中で四十五名が死亡している。胎児性が二十三名。さらに、最近医学界で言われている不顕在性患者というものが相当いる。こういうような経過を考えてみますと、細川証言が非常にはっきりしてきた。しかも鰐淵前熊大学長の証言等からいけば、明らかに故意である。少なくとも、当局側におかれても、その容疑があるということは私は間違いないと思う。したがって、熊本の地裁で、どういう状態で裁判が進行していくかわかりませんけれども、刑事当局として、当然、容疑という立場からも捜査に踏み切られていいと思うのですが、どうですか。それと、実質的には四十五名の死亡者がいるということは、明らかに殺人もしくは傷害致死、こういう刑法上の疑いも非常に濃厚だと思う。そうなれば、民事上の時効十年ではなくして、殺人ないしは傷害致死ということになれば、時効は十五年でしょうから、当然個々的に四十五名の死亡者を、死亡の年月日等を追及していけば、私は十五年の時効、時効切れになっていると思わない。時効発生していると思いません。ですから捜査に踏み切られてもいいんじゃないかと思うんですが、お考えどうですか。
○説明員(高松敬治君) いわゆる細川証言の具体的な内容につきましては、熊本県警本部も、まだ十分にはよく承知してないようでございます。ただ、いま御質問の、いわゆる時効の問題とからんでの、殺人事件あるいは傷害致死になるのではないか、業務上過失傷害という問題ではないのではないかと、こういう御質問でございますが、やはりそこまで刑法上の故意、未必の故意がとれるかどらかということはやはり問題であろうと思います。まあたいへん刑法上いろいろむずかしい議論はございますけれども、故意があるという以上は、やはりそこに事実が発生するということを容認する、認容することが必要であるというのがやはり現在の通説であろうと思います。そういう点から申しまして、そういう事実の認容があるかどうか、たとえばある結果が発生するかもしれないということを知りながら、しかも発生すればしたでしかたがないと、そういう認容があるかどうか、それによって故意があるか過失があるかという問題がきまってくるんであろうと思います。その点から申しますと、結果に対する認容はいろいろむずかしい。で、刑事的な問題としては、やはりそこに故意をとることは非常に困難ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○森中守義君 まあ、これでいろいろ議論をしているとこれで終わりますから簡単に言いますけれども、細川証言というのは、担当の裁判長が言ってるんですよ。しかもそのメモも渡されている。少なくとも材料全部そろっているわけです。ですから、熊本県警なりあるいは警察庁のほうで裁判所からそういう資料の提供を求められると、大体私はその辺の筋道は立ってくると思う。少なくともこれは容疑はありますよ。そこで政治的な判断であるとかあるいは今日の公害というものは、ややもすると義務を怠っていることはこれは事実ですよ。そういう角度から、当然私は裁判所から資料の提供を求められて、警察庁独自で容疑があるかないか、その答えは出してもらってもいいんじゃないかと思うんですがね。当然細川証言というものはかなり重視しなきゃならぬと思う。それとさっきから申し上げるように、鰐淵前学長の証言なども明らかに故意ですよ、これは。ここで論争しませんがね、容疑はある。警察庁は容疑があれば捜査するんでしょう。ですから、そういうものをとられてみて、検討の結果容疑があれば捜査するなら捜査するというふうに答えてもらえばいいんですよ。
○説明員(高松敬治君) 先ほど申し上げましたように、民事の裁判所でとられた証言の内容を実は私どもまだ十分に聞いておりません。そういうものを民事の裁判所で出していただけるかどうかも一つの問題ですけれども、一応またわれわれとしても従来どおり調査は進めてまいります。それによってまた措置は考えてまいりたいと思いますけれども、現在のところでは、やはり殺人ということについての因果関係の問題あるいは故意の問題、そういう問題からいって殺人罪で問擬するというふうなことは困難ではなかろうかと、かように考えております。しかし、事実をまたわれわれとしても調査をしてまいりたいと思います。
○森中守義君 何かちょっと歯切れが悪いんでね。あれでしょう、通例の犯罪の場合には何かひっかかりがあればすぐ皆さんやっているでしょう、捜査していますね。それであした公判があるんです、熊本で。公判の記録もとれましょうしね。それよりも、むしろ積極的に進んで裁判所にいろいろ協議をされるなり、あるいは一切の週刊紙や新聞に出ているわけですから、そういうことをまずやっぱり検討さるべきじゃないですか。しかし、いまお話の中にある非常に困難ではないかと思うという一つの潜在意識に立っているところに問題があると思いますよ。私は明らかにそれは殺人あるいは傷害致死罪に値するのかどらかわからぬけれども、しかし少なくとも容疑は捜査をしなければ答えが出ないわけだから、容疑があればどんどんやるべきじゃないですか。どうもやっぱり歯切れが悪いですよ。
○説明員(高松敬治君) 犯罪があると思量した場合には捜査をすることは確かに警察の職務でございます。しかし、その場合の犯罪ありと思量するということは、やっぱりそこに客観的な事実、客観的なあるいは法律の事実判断、そういうものを前提にしてのことでございます。そういうものを前提にして考えた場合に、直ちに殺人あるいは未必の故意がとれるというふうな議論も一部には確かに学者の間にはあるようでございますけれども、それだけでは私どもとしては、まだ現実の犯罪ありと思量して捜査するというところにはまいらないというふうに考えているわけでございます。新聞紙上伝えられておりますいわゆる細川証言の内容は、新聞紙上に伝えられている程度のことは私も承知しておりますげれども、しかし、あの程度の証言であるとすれば、はたしてこれで故意がとれるかどらかということはまだ不明確だと思います。しかし、これは新聞に伝えられているところでございますから、さらに具体的にどのような証言がなされたかというふうなことも、もしできますれば裁判所その他にも聞いてみましょう。そらしてそれによってまた調査を進めてまいりたいと、かように考えているところでございます。
○森中守義君 判決をあまりしろうとの私が想定をするわけにいきませんがね、故意だという判決が出た場合、それがいまの刑事局長の見解からいけば、全然警察当局としては手をつけなかった。そうなると、これはたいへんな怠慢になると思うのです。だから、答えがどう出るかは別として、少なくとも故意の容疑が非常に濃厚だと、警察みずからがそういうものにある程度私は立ち入っていくことはちっともおかしくない、それをやってほしいと、こう言っているのですよ。いまのあなたの答弁からいきますと、ある程度検討が加えられて、すでに傷害致死罪あるいは殺人罪等に値しないのじゃないかという前提に立っているということは、何がしかの検討が加えられたということですか。さきのお話だとだいぶ違いますよ、やっていないと、こういうことなんだから。
○説明員(高松敬治君) いわゆる民事上の故意、過失と刑事上の故意、過失という問題も一つございます。それからいまの検討が加えられているという問題は、新聞紙上で伝えられている程度のことは知っているではないか、こういう御質問でございましたので、その程度は読みましたし、知っておりますし、またそれについては、この程度であればどうであろうかというふうなことは私どもも当然それは考えました、こういう意味で申し上げたのでございます。
○森中守義君 これはなまくら問答続けて時間がたってしまいますが、要するに検討を加えますね、捜査するかどうか検討を加えますね。
○説明員(高松敬治君) さらにその点の細川証言というふうなものの事実につきまして、私どもとしてもこれは調査をしてみたいと思っております。
○森中守義君 通産大臣、ちょっとお尋ねいたしますがね、チッソの水俣工場というものの体質というのか、あるいは実際の安全工場であるのかですね、その辺のことはどういうふうに見ておいでになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 工場の体質をどう見ているか、ちょっと私どうお答えしていいかはっきり存じませんので申し上げることができませんが、お入り用があれば政府委員から申し上げます。
○森中守義君 具体的に言えば、昭和三十年に熊本の労働基準監督署から安全管理特別指導事業場に指定をされている、この事実を知っておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま初めて承りました。
○森中守義君 じゃ、だれか知った人がいるでしょう。
○説明員(山下英明君) ただいま調べておりまして、現在までまだ正確な情報が入っておりません。
○森中守義君 これはひとつこの次資料に出してもらいたい。私の手元には昭和二十五年から三十六年に至るまで死亡者が十名、それから災害の発生件数が年次別に二十五年が六百六十、それから二十六年が六百十二、二十七年が六百八十八、それから二十九年が五百二十八というように非常に多いのですよ。それで熊本の監督署ではもう最低の工場だと、こういうことが安全管理特別指導事業場に指定をしている、こういう会社なんですね。これはひとつ認識を新たにしてもらいたい。そこで、こういったような会社であるがゆえに、こういうとんでもない事件を起こしている。それで厚生大臣も通産大臣も両方からお答えいただきたいのですが、事件が問題に供されるようになって以来、ほんとうに被害者の側に立ってものを見てこられたかどうか、企業の側に立ってものごとを処理してきたのではないか、こういうことが今回の細川証言やいろんなものを集めてみると言えるのですがね。間違いなく公正中立、そういうようにやってきたという自信がありますか。
○国務大臣(内田常雄君) これはまあ、あの事件が発生いたしましたのは十年以前にもなることでございますので、その当時からの経過は私ども実はつまびらかにいたしません、書いたもの以外には。しかし、少なくとも私が現在厚生大臣としての立場、また前の大臣でもそうだったと思いますが、前々の大臣の時代に水俣病はチッソの有機水銀が原因であるという公害認定を厚生省ははっきりいたしたわけでございます。また私といたしましても、隣におります通産大臣も同じ気持ちであると思いますが、少なくとも厚生省という役所は産業官庁ではございません。国民の健康と生命、また生活状況を守る役所でございますから、私の発言や態度というものはすべて国民の側に立ったつもりで私はやっておりまして、会社をかばう、会社側に立つという考え方で私自身は毛頭やっておりませんことは、ぜひひとつあらためて御理解いただきたいと思います。
○森中守義君 もう時間がまいったそうですからこれで終わりますが、資料を少し出してほしいのです。一つは、食品衛生部会が答申を出している、これは御存じですね。それからすぐその部会を解体したようですが、当時病原究明のために五千万の予算が計上されていたのに、これを何か伊勢湾台風か何かに金を使ってしまってゼロ予算になったと、こういうのですね。したがって、食品衛生部会を解散をしたあとにどういう究明をとってこられたか、その詳細な記録がほしい。すなわち相当長期にわたらざるを得なかった理由というのが、少なくとも積極的な取り組みの姿勢を失っていた、こういうことになると思う。ですから食品衛生部会の答申をとったまではよかったが、その後通産あるいは農林、こういうところと協議をしながら病原究明を続けていくということでありながら、実際どういう調査あるいは究明が続けられていたか、その辺の経緯を次にはひとつ正確に出してほしい。
○小平芳平君 厚生大臣は公害に対して非常に積極的な姿勢のようにいまお話をなすっておられますけれども、今回厚生省が発表されたカドミウム環境汚染要観察地域に関する云々というこの結論は、公害対策が非常に後退したのじゃないかということを各新聞とも一斉に取り上げておりますし、また大多数の国民が非常に不安に思っております。したがって、暫定基準で玄米で〇・四PPMであったのが、それがなぜ一PPMでよろしいのだというようなことを現段階で発表されたか、その点についてひとつ簡単でけっこうですから、お答え願いたい。
○国務大臣(内田常雄君) 小平先生のお尋ね、また御不審の点は全く誤解に基づく――たいへん失礼でございますが、に基づくものでございまして、積極的にも私どものほらから御説明をさせていただきたいと存じておるところでございました。おっしゃることは、今回厚生省がたとえば米について申しますと、玄米については一・〇PPM、また精白したものにつきましては〇・九PPM以上のものについては人体に有害な限界を越えるものである、こういう決定をいたしまして、これは発表いたしますとともに、農林省等につきましてもそれに基づく措置を要請したわけでございますが、いまお尋ねの、以前に玄米について〇・四PPM以上のものは危険だということを言ったじゃないかということは、そういう趣旨じゃございませんで、玄米の中に〇・四PPM以上のカドミウムを含むようなそういう情勢、状況のもとにおいてはこれを全部調査の対象にする、そうして調査の対象にいたしまして、その中からさらに経過の観察を要するところは要観察地域にする、こういうことで昨年来指定をしてまいりました四つの地域のほかに富山の今度の新しい地域も観察地域に加えた、こういうことでございます。そこでここに大臣の私にもわかるような書きものが出ておりますので、簡単に述べさせていただきますと、今度の一あるいは〇・九PPMのカドミウム含有量というものは、必要以上の安全基準として厚生省は計算をしておる。その理由は数点ございましたが、それの計算の根拠といたしましては、尿中のカドミウムの濃度が一リッター当たり三〇マイクログラム、これ以上の尿中カドミウムの蓄積といいますか、保存というものは、これは精密検査とかあるいは鑑別検査をしなければならないような悪い状態である。しからばそれを今度は食品のほうへたどってまいると、米については幾らで押えるかという逆計算をいたしてまいりまして、その第一にまず食べものはその地域の方々はその地域の食品を食べる割合を最も多くとる、ほかの地域のものも買うのでしょうが、主としてその地域のものを食べるという大前提、それから地域以外の食品あるいは米以外の食品中に含まれているカドミウム、これについても地域の外はカドミウムがないものとしないで、かなりのカドミウムが含まれるとも見ている。それから第三番目の米を最も多く食べるという条件のもとに、言いかえると非常に大食漢、通常の人の二倍くらいの米を食べる。こういう三つの想定のもとに計算をいたしてまいりまして、さらに第四番目に、それに尿中のカドミウムの濃度の条件を四分の一程度、つまり四倍ということになる、四倍の安全度を見ているということも掛けて、そうして逆算をしてまいりますと、いま申しますように、玄米については一、白米については〇・九というものが出てくる。しかし、これはそれだけの条件をとってやりますと、実際一リッター当たり三〇マイクログラムではなしに、一リッター当たり九マイクログラム以上のカドミウムがあるものは全部アウトだという程度の厳格さだそうでございます。いま申しましたような玄米一、白米〇・九という、いま私が申しましたような前提ではじいていきますと、もう尿中のカドミウムの保存状況は〇・九ぐらいのところで押えるという計算になるそうでございます。
 なお、国際的にはカドミウムについては、こういう基準は日本が一番厳重で、一九六三年のWHO、FAOの会議できめられたあらゆる食品の中のカドミウムの保存の許容度というものは五PPMとされているそうでございまして、これなどに比べますと、今度厚生省が警告をいたしました一とか、あるいは〇・九という米の中のカドミウムの含有量というものはその五分の一以下というきついところで押えておるということでありまして、これは私どもが政治的に介入したり、あるいは現地をかばったり、発生企業をかばったりという見地でこういうものを出したのではございませんで、厚生省ばかりではなしに、関係の専門機関の協力のもとに得た結論でありまして、全く自然科学的な、生物科学的な正しいものだそうでございます。これ以上のことはお尋ねによりまして専門家からお答えをさせますが、私は大臣として今度の発表を了承いたしておりまして、これだけ申し上げまして世間の誤解をぜひ解いていただきたいと思います。
○小平芳平君 私は初めから誤解していると言われますけれども、いま大臣のお述べになったことは事務当局からも聞いているわけです。
 そこでもう一つ、要するにこの発表によりますと、この要観察地域にはカドミウムによる病人はなかったということも一つ入っているわけですね。そうしますと、この結論の中には、なお「イ病とCd中毒との関係の解明のためにも、尿蛋白の生化学的性状の検索が今後の研究の重点項目であると考えられた」とか、あるいは「Cd環境汚染がみとめられる、これらの地域の住民については、ひきつづき経過を観察すべきものと考えられた。」と、こういうふうに一方では言いながら、この地域に病人がないからということで、いままでは〇・四PPMだと要観察地域の一つのレールに乗るわけですね。ところが、今回は、〇・九PPMまではお米もどんどん出荷するわけですか、今後は。
○国務大臣(内田常雄君) 小平先生のお尋ねのことに関連しまして二つの問題がございますが、私は大臣として安心をいたしたし、また世間の皆さま方にも御理解をいただきたいんですが、しかし、これは決して逃げるわけでもなんでもございませんが、だからといってこれで手放しにしてしまっていいということではなしに、今後も私はこのカドミウムの問題についてはさらにいろいろな機関の発表なり研究の結果にも耳を傾けながら進んでまいるんだと、こういうこともあわせて述べさせておるわけでございます。現在の時点においても厚生省の発表したものは自信がないとか、あるいはもうこれでだいじょうぶだからぶっ放すと、こういうことでは全くございません。そこも私決していばってこれでいいんだということではございません。
 それから精密検査の対象になりました方々は、私が聞いておりましたところではたしか十四人、安中方面で九人、それから長椅県対馬で五人、十四人の方々について精密検査をいたしましたところが、いずれも濃度が三〇以下であった、こういうことにとどまるわけでありまして、少なくとも他の三地域、あるいはまた、いまの二地域をとりましても十五人では少ないわけでありますので、今後さらに疑わしい、あるいは必要のある場合には鑑別診断と申しますか、精密検査をもいたしてまいりまして、この点をも究明してまいりますが、いまのところ、その地域の関係機関から示された状態のもとにおいての最もひどいと思われる十五人については、そういう病気の状況はなかったと、こういうことでございます。しかし、これもさらに、だからいいのだということにはいたしませんで、進めてまいるつもりでございます。
 また、米の出荷の問題その他につきましては、これは隣におります公害部長も私と同じように、法学士、経済学士でございますので、ほんとうの学術、技術者の橋本公害課長から補足説明させていただきます。
○小平芳平君 出荷するかどうかだけでいいのです。
○説明員(橋本道夫君) いまおっしゃいました尿中のたん白についての研究項目は残っております。重点は〇・四以上のものを出荷することをとめるという根拠はないと私どもは思っております。ただ一点申し上げたいのは、それでは〇・四以上擁してもいいとは決して考えておりません。よごれておることは事実でございますが、〇・九以下は安全だということを申し上げておるわけでありまして、企業の方がもし〇・四まで擁していいのだとお考えになるのでしたらこれは大きな誤りで、全く自然のところで〇・四まではいいと、こういうことでございます。
○小平芳平君 米を出荷するかどらか尋ねているのです。
○説明員(橋本道夫君) いま申し上げましたところは食糧庁のほらからまたお答えがあると思いますが、食糧庁は私どもの自家用保有米ということで計算をしたものもございますから最も不利な条件になっております。理屈で申しますと、一般の出荷の場合にはそのほかのあまりよごれていないものを食べておるわけですから、もっとほんとうは安全にたくさん食べられるということがあるわけですから、それは社会通念上、いまの世の中では通用しない。それで積極的に自家用保有米の数字を自分たちのほかの配給米のほうにも行ならということにいたしております。出荷云々については現在私どもは触れておりません。
○小平芳平君 ですから結局言わんとするところは自家用保有米で計算したのだから、〇・九PPMまでの白米ならば配給のルートに乗せればまぜて売るだろうから、それで〇・九は下がるというわけでしょう、言わんとする趣旨がね。ですから、そこで厚生省のこの発表においてすら、あるいはただいまの厚生大臣の御答弁においてすら、完全にだいじょうぶだとは言ってないわけですよね。要するに、カドミウム中毒というものはこの米が原因になるということは全く考えられないというふうに言ってないにもかかわらず、保有米で〇・九まではよろしいということだから出荷してもよろしいということですよ、結局ね。配給米のときにはほかのもまざることも考えられるわけですから。そうなりますと、厚生大臣としましても、じゃ、このお米は〇・九PPMのお米だというふうに表示してあっても買ってきて食べますか。あるいは厚生省の食堂で十年、二十年このお米は〇・九PPMだ、一PPMだとわかっておりながら平気で食べられますか。あるいは小さい子供さんや孫がそういう、これはカドミウムに汚染された米だとわかっておりながら平気で食べるのを見ておられますか、いかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) いま正直のところ申し上げますと、公害課長から、〇・九PPMに至るまでの間、つまり〇・四からお尋ねの〇・九までの間は安全だといってしまってよろしいかという、私にひそひそ話がございました。ほんとうはそれは食べてもよろしゅうございます。私も食べます。ただし、だからそこまでは土壌やあるいはかんがい用水をカドミで企業がよごしていいということは絶対にないのです。厚生省は〇・四以上の状態が発生するのについては、全部環境調査やいろいろな健康調査も、精密、鑑別じゃございませんけれども、いたしますが、米の中の、白米の中のカドミに関する限りは、今日の科学技術の水準におきましては、〇・九まではだいじょうぶだ、こういう〇・九まで、尿中の、さっき私が申しましたようなカドミの含有量一リッター当たり三〇マイクログラムじゃなしに、普通の場合には九マイクロにとどまるので、したがって〇・四とか、〇・五、〇・六、〇・七という限度では体内へのカドミの残存量というものは、それよりもさらに低い量にとどまるので、食いもののそれについてはだいじょうぶだと、こういうことを私は申し上げたのです。
○小平芳平君 どうも時間がこんなに限られた時間で、何もきまりがつかなくて困るわけですけれども、要するに、〇・四から〇・九までの間ならば、全く米としては無害だというならば、それならば米屋で表示しましていいですか。その表示された〇・九を、喜んで食べますか。それは大臣もう少しイタイイタイ病患者のあの悲惨な生活、あの苦しみというものをお考えになれば、こうした人間の生命健康に直接関することは、若干の検討はまだ必要だと、今後とも観察が必要だと言いながら、ということは、要観察地域をはずさないわけでしょう、今後とも。それはいかがですか。要観察地域が四地域、調査をなさった黒部が入って五地域になりますか、要観察地域もやめますか。これはいかがですか。簡単に……。
○説明員(橋本道夫君) 要観察地域にしますには、一日当たり〇・三ミリグラム食べるか、あるいは三十歳以上の住民、三十例以以上の尿中の平均のカドミの場合においても、九マイクロパーリッターというところを要観察地域にするということを言っておりまして、これは非常に安全を見た予防的な対策としてやっておるわけです。それをやりませんと、一のところはわかりません。一・五という数字を引きますとほとんど漏れてしまいます。そういうことで私どもはやっております。
○小平芳平君 そういうことを聞いているのじゃない。病人がない、安全だというならば要観察地域にすることの必要ないわけでしょう。したがって、病人がない、安全だというならば要観察地域をはずすのですかと、それを聞いている。
○説明員(橋本道夫君) 現在問題にいたしておりますのは、非常に世界の最先端の学問のところのカドミの問題を論じておりますので、それにつては絶対に安全性をとるということで、慢性の問題ですから、長く研究をする必要な点はやろうことを申しているわけでございます。そういう意味で要観察地域として続けていくということを言っておりますが、決してあぶなさを私ども持っているわけではありません。はずしてしまうということには、もう少し学問的に慎重にいこうということでやっております。
○小平芳平君 要観察地域に指定し、またこれまでのいろいろの研究をした結果も、なおかつこういう点について先ほど読み上げたことが必要だと言いながら、その〇・四から〇・九PPMの米は安全だというふうになぜ発表されるか、それがわからないわけです。そこでもって、たとえば倉庫に米が一ぱいになったから、少し〇・九ぐらいにするとか、そんなことは考えられないでしょう。あるいは企業の責任が大きくなり過ぎるから、少し〇・九ぐらいにしようとか、そんなこと考えられないでしょう、普通。それにもかかわらず、なぜこの時点で〇・九あるいは玄米一ということをいわれるか、それがわからない。
 それからまた、午後小林教授等の参考人の御意見も承ることになっておりますし、午後はもうちょっと時間がありますから、いろいろ尋ねたいこともありますが、厚生大臣もぜひ出てもらいたいと思うのです、委員会へ。そうして、そうした専門的な方の発表なさる意見も聞いて、ひとつ政府の対策というものを尋ねたいわけです。先ほどの黒部のことにつきましても、たとえばカドミだけじゃないわけですよね。いろいろな重金属が検出されている。こういう点について見ても、カドミだけが尿のそれからいってだいじょうぶだということがどうしていえるかということを、それは野菜や水から入る分は計算に入れたといわれますけれども、他の重金属もどれほど出ているか、そのところによっても違うわけですよ。したがって、午後また続けて参考人の御意見もお聞きしてからいろいろ尋ねますが、どらも厚生大臣の今回の姿勢はちょっと私は納得できない。
○国務大臣(内田常雄君) 時間がございませんが、一つだけ私の気持ちを述べさせていただきます。
 非常な安全度を見て、先ほども申したので繰り返しませんが、尿中のカドミウムの非常な安全度を見て、逆算していって米の中のカドミウムの含有量を〇・九とした。それ以上は出すな、こういうことできめました。これは農林省とも通産省とも全く相談してないそうであります。もう厚生省としての良心できめたそうでございます。
 ところが、それとは違いまして、私実は小平先生、いまの要観察地域にするのに四つとか五つとかいうことじゃなしに、たとえば鉛の精錬工場があるところは一応みなあやしいとして全部要観察地域に指定してしまえ、隣の福井県でも何やらそういう問題が出て、調査の対象になっているというようなことも聞くわけでありますが、でありますから、それは要観察地域としていろいろな環境調査をしたり、あるいはまた住民の一般健康診断をしたり、その他の、会社、工場の中のいろいろな排出状況などを点検するのには、これは米の中の〇・四というようなものを取っかかりにしたりするのじゃなしに、もう全部の、カドミウム排出があるかもしれないという地域を要観察地域にすべきじゃないかということを、実は私は言っております。したがって、要観察地域にするかしないかという問題と、今度の厚生省の発表の〇・九以上はいけないのだということとは、またつながりはございますが、観察地域にする以上、そこの米は多少とも、あるいはそれが〇・四とか、多少ともカドミウムが入っている場合にはみなだめだということにするかしないか、ということとは別のこととしてお考えいただいてもいいのじゃないか。おことばを返すようですが、一言申し上げておきます。
○峯山昭範君 私は厚生大臣のいまの答弁聞いておりまして、私は厚生大臣にこの問題、質問するつもりじゃなかったのですげれども、いまの答弁を聞いておりまして、全く厚生省自身が、大臣自身が――国民の立場に立っていろいろな問題を処理していく、これは当然のことだと思うのです。少なくとも厚生省だけはと、こういう考えを国民は持っているわけです。先ほど橋本公害課長がおっしゃったように、〇・四以上一・〇までは、よごれていることは間違いない。大臣はよごれていることは間違いないといまおっしゃいました。よごれているのです、とにかく。少しでもよごれている。そのよごれた米が安全だという理屈は成り立たないのです。そういうことをぽんと、まだ何もきまらないうちに、まだはっきりしていないこの問題については、少なくともそういう問題を先走って厚生省が発表することは何もない。私はそう思うのです。どうか、私はほかの問題がありますから、午後の委員会に出てください。それで私たちが言うのが正しいか、専門家の人たちも来ています、そういう人たちの意見も聞いてください。大臣、よろしいですね。
○委員長(占部秀男君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(占部秀男君) 速記をつけて。
○峯山昭範君 通産大臣お急ぎのようですから先に質問しますが、私は、きょうは福井県の九頭竜川流域のカドミウム汚染について質問したいと思います。
 すでに大臣も御存じのことと思いますが、日本亜鉛の中竜鉱業所というのがあります。これはすでに操業してずいぶんになります。大臣も御存じのように、あの神岡鉱山とおんなじ歴史を持った鉱山であります。私はきょうは時間が短時間でありますのでぱっと問題点だけしぼって申し上げますが、まず第一点は、四十年の九月に、この中竜鉱業所では操業以来積み重ねてきた残滓ですね、その残滓が――この残滓の中には相当のカドミウムと亜鉛が含まれております。その残滓がすべて豪雨で流された。現地の所長の話によりますと、山はだが見えるまで流れた、こら言っています。地元の市長さんの話によりますと、その流出した量は八十万立米といわれています。私は両三度工場に伺いまして所長に聞きましたら、いや八十万立米じゃない、四十万立米だと、こう言ってます。四十万立米でも問題です、これ。その四十万立米というカドミウムを含んだ残滓が流されたということについて、それ以後相当の日にちもたっております。またカドミウム汚染ということが相当問題になっております。それに対して通産省は、工場に対してどういうぐあいな指導並びに処置をとってきたか、端的におっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 詳細なことでございましたら説明員から申し上げますが、今年の五月の末に大阪の鉱山保安監督部が調査をいたしまして、濃度も調査をいたしております。それから停電、故障などの異常事態が発生した場合についての処理施設の容量を大きくする、そういう工事をするようにということで、これは八月までに完成をすることといたしておるように聞いております。
○説明員(莊清君) 御指摘のございました堆積場の整備の問題でございますが、四十年九月の異常豪雨で決壊いたしました経験にかんがみまして、抜本的な強化を行なうという指導を行ないまして、まず堆積場の堰堤でございますが、堰堤のかさ上げ、それから堰堤の厚みを厚くするというふうな工事によりまして、水が上のほうから雨等によりまして堆積場に入ってきた場合、そこで貯水能力が十分あるようにという工事を行ないました。また、水が堆積場の中に流入いたしました場合に、土砂とか流木とかによりましてそれがうまく下のほうへ排水されないということが、実はこれが四十年のときの事故の一つの大きな原因といわれておりますので、そういう排水の円滑化のための工事、こういうことを行ないました。また、堆積場の上のほらにございます山林につきまして、土砂の流出とかあるいは流木ということを防ぎますための補強工事等を実施してまいったわけでございますが、本年七月の初めに大阪の保安監督部長が会社の責任者を呼びまして、土砂や流木どめのさらに補強工事を行なうようにというふうな点につきまして指示を行なら等のことを行なっております。
 以上でございます。
○委員長(占部秀男君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(占部秀男君) 速記をつけて。
○峯山昭範君 いまの答弁、大臣、聞いてまして何にもやってないですよ、これ。そうでしょう。現実に何にもやってない。ことしの五月、七月、八月なんて問題じゃないですよ。カドミウムということについて非常に重大だという考え方があるならば、少なくとも四十二、三年ごろから相当問題になっているわけです。四十年の豪雨で何十万立米というカドミウムを含んだいわゆる残滓が流れているわけですね。現実に。私はきょう午後のこの委員会でこの席上に専門家に来ていただいてそして裏づけをしていただきますけれども、現実に現在でもこの工場から、中竜鉱業所のシックナーの排水口からどのくらいのカドミウムが排出しているか、この分析によりますと、中竜鉱業所のその排水口の川底からカドミウムが一二六〇PPM、亜鉛が二三〇〇〇〇PPM、鉛が六五〇〇です。その少し下の、これは五キロ少し離れていますが、その下の川底からでも三八PPM、亜鉛が三九〇〇〇、鉛が一六〇〇出ております。また、和泉村の水田からでもカドミウムが七二PPM、亜鉛が六一〇〇、鉛が六七〇〇というように、相当のカドミウムが検出されている。これの学問的裏づけはあとでやってもらうとしまして、神通川のときですよ、四十二年の神通川のとき、いわゆる鹿間工場の同じところですね、神通川のあの神岡鉱山の同じところの同じ時点におけるいわゆるカドミウムは三六〇です。亜鉛が二三〇〇〇、鉛が五二〇〇というデータがこれは厚生省の機関で調べた一覧表によっても出ております。そういう点から見ても、もういまだにたいへんなカドミウムが排出されている。これに対して一体どういうぐあいに何を手を打ってきたのか、残滓の液が流れないようにするというだけで、それはあたりまえのことです、これは。そういうことでは私はほんとうにこのイタイイタイ病に対する政府の姿勢、カドミウム汚染に対する姿勢があまりにもなまぬるいと思うのです。この点どうですか、大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは問題を二つに分けて考えなければならないと思いますのは、カドミウムというようなものがすでにいろいろな形で地中に堆積をしておるということは各所でいろいろに考えられることでございます。何十年あるいは何百年であるかもしれませんが、そういうものを、堆積をどういうふうに処理するかという一つ問題があるわけでございます。それと別に今度は現在毎日毎日フローとしてのカドミウムが出ているかという問題がございます。ただいま言われましたそのシックナーのオーバーフロー、現在どのような状態であるかということについては、五月の末の調査ではこれは〇・〇〇〇以下ということで、〇・〇〇一PPMをはるかに割っているというところまでは間違いはないというふうに聞いております。
○峯山昭範君 それはどろですか、水でしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) カドミウムの濃度でございます。それでございますから、現在のフローを基準以下に押えなければならないという問題が一つ、これはもう現在の行政でやっていけるわけでございますが、他方でいままでのいろいろな形での地中へのストックをどう処理するかという問題がこれが大きな問題として残されておるのではないか、こういうふうに問題を考えております。
○委員長(占部秀男君) ちょっとどうでしょう、須藤君に一問だけやらしていただきたいのですが。
○峯山昭範君 もう一問で終わります。
 私は工場に両三度行ってきたのです。いま長年堆積したカドミウムとおっしゃいましたけれども、そうじゃない、シックナーの排水口の下はこれはコンクリートを打っております。現在でもコンクリートを打っているのです。そうしてそのコンクリートの上にいわゆるその排水口から出てきたいろいろな残滓が堆積しております。コンクリートの色も変わっております。そうなんです、大臣。ですからそういう点もよく検討してほんとうにいろんな、前向きでそのメーカーに対しても指導していただきたいと思うのです。この点どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうふうにいたしたいと思います。
○須藤五郎君 厚生大臣はさっき、私の発言は国民の生命を守るために発言しておるんだと大みえを切られましたが、大臣はもちろんそうあるべきもんだ。これは厚生大臣のみならず各大臣がそうあるべきだ。同時に、われわれ議員も国民の立場に立って、国民の利益を守るために発言しているのです。それに何ぞ大臣は、きょうは一時間半しか出席できない。国会の用件がまず第一だと私は思うんですが、それを国会には一時間半しか出ない。そういう決定をして出てくるということはぼくはけしからぬと思うのです。だから、大臣も午後全部出席されるのが私は適当だと、当然だと、こうと思います。
 そこで、通産大臣が急ぐようですから、通産大臣だけに問題をしぼって二問私は質問をしたいと思うんです。
 ゼネラル・モーターズとスタンダード石油の子会社にエチル・コーポレーションというのがありますね。日本におきますところの四アルキル鉛を生産する企業の東洋エチルはそのエチル・コーポレーションと東洋曹達、三井物産との合弁会社だ、これも事実です。この間の新聞報道によりますると、東洋エチルの田内五郎常務がこういうことをしゃべっておるのです。政府が無鉛化するという意味は、無鉛化の方向に接近させていくということで、五年ぐらいでは全く鉛を除くようなことができるはずがない。わが礼としては計画を変更する方針は全然ない。むしろ外国から輸入して
 いたものを国内で生産するのだから国益に沿ったものと自負しておる。こういうふうに常務が述べておるんですね。
 そこで、以下私は質問をするわけですが、まず第一は、私かためて質問しますから、頭のいい通産大臣だから、よく覚えておいて答えていただきたいと思うんです。通産省は、この企業にどのような行政指導をしておるのか。公害防止についての企業の反省がないではないか。これがまずAです。
 その次は、この外資会社の認可を取り消すべきだとわれわれ思うが、背後のアメリカの二つの巨大企業にあなたは遠慮しておるのではないか。これがBです。
 その次、Cは、出光興産は、同社に対し四アルキル鉛の原料であるエチレンを年間三千百八十トン当初供給する契約をしたといいますが、通産省はこの供給計画に対し、どういう行政指導を行なっているのか。これがCです。
 その次、日石、昭石その他の各社は東洋エチルから四アルキル鉛を購入する計画だと伝えられておりますが、これに対して通産省はどういう行政措置をやるのか。まず、この四点をお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 申し上げるまでもないことでございますけれども、四エチル鉛は自動車の、従来アンチノック剤として不可欠のものと最近まで考えられておったわけでございますので、相当の輸入をいたしておりました。しかし、輸入するぐらいであれば国産をすることがよかろう、こら東洋エチル株式会社が考えまして、外資の認可を求めてまいりました。私どもそれを許可いたしたわけでございます。ところが、最近になって無鉛化ということが言われ出して、私どももいま産業構造審議会等々でできるだけ早く無鉛化計画を達成いたしたい。これは文字どおり無鉛ガソリンをつくりたいということでございまして、ただいま昭和四十九年ごろまでにはそれが可能なのではないか、そういう目途で、外国でもそうでございますが、わが国でも研究を進めております。そういたしますと、この四エチル鉛というものは事実上要らないことになるわけでございます。で、会社が純粋の無鉛ガソリンというものはできないと、こう考えられておることは、それは一つの考え方で、かってでございますけれども、私どもは無鉛化を実現したい、数年のうちにはしたいと考えております。私どもの計画、考え方が正しければ、この東洋エチルで四エチル鉛を含むいわゆるアンチノック剤をつくりましても、やがて需要はなくなる、このことはよく会社に申してございます。それが私どもの基本的な態度でございます。
 認可につきましては、したがって私ども取り消すつもりはございません。反社会的なものを認可したというつもりではございませんでしたしいたしますが、ただ会社自身が需要がなくなるというふうに少なくとも政府は考えておる、このことは会社はよく知って処置をせられるべきであろうと思っております。
 それから出光興産との関係でございますけれども、私どもが聞いておりますところでは、東洋エチルの事業計画に必要な数量について出光石油化学がエチレンを供給してもいい、求められれば供給してもいいという話がいっときあったということは承知をいたしておりますけれども、こういう需給の現状にかんがみて現在東洋エチルがどのように考えておるかはつまびらかでございません。
 第四に、昭石、日石などが東洋エチルから製品を買うことについて契約があるが、それについて政府はどう考えておるかということでございますが、この点は調査をいたしました結果、そのような契約はないようでございます。
○須藤五郎君 そうすると、国に需要がなければもう会社はつくらなくなるだろう、こういうお考えのようですが、そうなってしまえば最もけっこうなことだと思うのですが、しかし、その場合に、せっかくこういう会社をつくって資本金を投入してつくって、会社としても困ったことに追い込まれるだろうと思うのですが、だからいまのうちにやめろと、こういう行政指導をなさるほうが私は適当だと思うのですね。それから、もしもそれじゃあなたの言うようにいかないで、その後も、五年後も会社がなおその四エチルを精製を続けるならば、そのときには断固としてその認可を取り消すといろ決意を持っていらっしゃるのかどらかという点ですね、これを伺っておきたい。
 それから私たちが聞くところによりますと、東洋エチルの四アルキル鉛生産計画は、当初一万八千トンだと言われています。そのうち一万四千トンを国内向けで処理する。残りの四千トンは韓国、台湾、東南アジア全域にこれを売る計画だ。それでいまの事業計画は一万八千トン計画だ、こういうことになっておるのです。ここで問題になるのは、日本国内で使用禁止になって、国内には売らなくなったら、今度は国外に向かって、この計画どおり、韓国や台湾や東南アジア全域にこの四アルキルを売るというこの計画に対して、通産省どういうふうにお考えになるのですか。もしもこういうことがなされるならば、これは国際的な道義に大きな違反をする問題だと私は思うのです。国内で毒だから製造禁止にせい、使わせないという決定をしたものを、国外にもし売るとなるならば、これは国際道義に反することになると思うのです。それでは国際的にももう売らない、国内にも売らないとなればゼロでしょう。それが五年後にはゼロになるということがわかっておるならば、いまのうちにこの会社に対して通産省として行政指導なさるのが当然じゃないでしょうか、どうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもは、先ほど申し上げましたような態度で、国内に需要がなくなるということを、会社は当然想定しておくべきだと考えておりますので、その以後の判断は会社が自主的にすればよろしいことであると思っております。
 そこで、輸出との関係になりますが、これは今日までは少なくとも不可欠なものだと世界各国が思っておったものでございまして、何も兵器や武器を輸出するのとは違いますので、そこでわが国なりあるいはアメリカなりで無鉛化が完成して、公害との関係でガソリンが無鉛化になる、自動車もそのようにつくられるというときに、韓国等々が同じような道を歩むならば、これは輸出をいたそうにも向こうも需要がないはずでございますが、外国がそこまで公害の問題を考えずに、あるいはわが国ほど公害の問題がやかましくなくて、なおアンチノック剤を入れたガソリンがほしいということでしたら、それを供給することは別段われわれとして非友好的なことでもありませんし、非人道的なことでもないと、こら考えるわけでございますから、要は、会社がなお将来輸出の需要があるかないかということをそれらの国の実情を考えて判断すればよろしいことではないかと思います。
○須藤五郎君 もう一つ通産大臣。いまのあなたの答弁聞いていると、外国の国民が被害を受けようとどうこうしようと、おれたちは知ったことではないんだと、向こうが買うという、それなら売ったって差しつかえないんじゃないかという意見になるんですよ。それでは日本の通産大臣としての考え方としてはおかしいじゃないですか。やはり自分たちが使っちゃいけない、毒があるということを認定した以上、外国にも売らないように行政措置していくというのが、私は日本の通産大臣の行くべき道じゃないかと、こういうふうに思うんですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは兵器や武器のことではございませんから、突然悪もの呼ばわりされました四エチル鉛はかなり迷惑を感じておるだろうと思うのであります、きのうまでは不可欠だといわれておったのでありますから。でありますので、それらの国が無鉛化を完成し、自動車を無鉛化してくれることは非常に望ましいことですが、そこまでいかなくて、やっぱりアンチノック剤の入ったガソリンが要るんだということになれば、そこまで私どもが干渉することはできないではないか、これだけのことだと思います。
○委員長(占部秀男君) これで午前中の会議を終えます。
 一時まで休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十三分開会
  〔理事中津井真君委員長席に着く〕
○理事(中津井真君) ただいまから公害対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○小野明君 通産省にお尋ねをいたします。午前中尋ねておりました洞海湾周辺の二十二工場の中で、全く排水処理をしておらぬ工場数、その名前について再度御説明をいただきたいと思います。
○説明員(柴崎芳三君) 二十二工場のらち排水処理施設を持っていないもの、あるいはほとんど排水処理施設らしきものを持っていないもの、この数は十一工場ございます。その工場名につきましては、ただいまプリントを作成中でございますので、プリントが届き次第すぐ御提出いたしたいと思います。
○小野明君 午前中の答弁とだいぶ違うんだが、きのうもこの点は質疑をするように私が申し上げてあったと思うのですが、どうしてこのように変わるのですか。
○説明員(柴崎芳三君) 午前中の答弁は、二十二工場のらち相当程度のものは排水処理施設を持っていないと思いますというぐあいにお答えしたわけでございますが、それが約半分の十一工場になったということでございまして、十一工場直ちにお答えできなかったことはまことに申しわけないと思います。
○小野明君 そのプリントは、この委員会終了までにできますね。
○説明員(柴崎芳三君) あと三十分ないし一時間以内にでき上がると思います。
○小野明君 それから、海面下に排水口があって、干潮のときでも海面下にあって、原液がこのまま海中に排出されておる、この工場数と工場名について発表をいただきたい。
○説明員(柴崎芳三君) 午前中の御質問に対しまして、満潮時に排水口が隠れる工場が五つないし六つあるということでお答え申し上げましたが、これは私のデータの読み違えでございまして、満潮時に排水口が出ておるものが五つないし六つあるということで訂正させていただきたいと思います。干潮時におきましては、ほとんどすべての排水口が外部から見られるわけでございます。
 なお、具体的な工場名と、その排水口の状況につきましては、正確を期しますために現在もう一度確認さしておりますので、これは後刻、他日委員長あるいは事務局のほらにデータを提出さしていただきたいと思います。
○小野明君 干潮時にやはり出ておらぬ、干潮時でも海面下にあるという工場はどれくらいありますか。
○説明員(柴崎芳三君) 干潮時でも海面下にあるものは若干あるようでございますが、この点もただいま確認さしておりますので、満潮時のときのデータとあわせて御報告さしていただきたいと思います。
○小野明君 そうしますと、ほとんど排水処理施設を持たない工場が半分ある。それから満潮時には全部隠れるということは、ほとんどこれはもう全部いままでたれ流しであった、こういう状態ですね、これはいつこの事実がわかったわけですか。
○説明員(柴崎芳三君) 正確にわかりましたのは、去年の調査を実施いたしましたのが六月から九月でございますので、その段階でそういった事実は判明しておったわけでございます。
○小野明君 その後、わかった段階でそれらの工場についてはいかなる指導をされてきたのか、勧告を六工場についてはされたということであるけれども、いま対象になっておる工場等についてはどういう勧告をされたのか。
○説明員(柴崎芳三君) ただいまの二十二工場につきましては、昭和四十四年十二月中に排水処理対策を早急に立てるように指示いたしまして、四十五年六月現在におきましては、この指示に従いまして各社の応急対策と恒久対策についての計画が提出されております。特に応急対策と申しますのは、シアン等の急激な毒物に対する対策でございまして、現在これは完全に行なわれておりまして、毒劇法に基づきます排水口の二PPM、この基準が守られておるのが実情でございます。恒久対策につきましては、水質基準の設定その他を待ちませんと完全なものはできませんので、とにかく水質基準が設定された場合には、できるだけ早い時期にそういった具体的な排水の処理についても実効ある対策がとれるようにというようなことで、そういった計画なり準備をさせておるというのが実態でございます。さらに御指摘の六社でございますが、この六工場につきましてはシアンの関係で非常に問題があるということでございましたので、四十四年の十二月の改善指導とは別に改善指導を行なっておりまして、六月十五日から十九日にそういった指導の結果をさらに克明に調査したわけでございますが、これはその調査の結果は、単一排水口において完全に二PPM以下に改善されておるという状態を確認いたしまして、われわれとしても現在ざらにその監視を続けておるという状態でございます。
○小野明君 この六月十五日から十九日までの間に行なわれた調査で二PPMは守られておったと。この調査は抜き打ち調査ですか、それとも予告をしての調査なんですか。
○説明員(柴崎芳三君) これは抜き打ち調査ではございません。
○小野明君 これはわれわれが視察に参りましても、その当日だけは重要な設備装置については休ませる、こういうようなことがあったわけですね。これは予告をされておれば当然これはその点を心得て作業をしておる、悪く言えばね、言いたくはないのですけれどもそういうことも考えられる。だからこの毒劇法にいう二PPMが守られておると、こういうように考えるのはこれは誤りではないか、油断があるのではないかと思われます。当然排水口が、これについて改善の勧告をされておると思うのですが、この排水口についての改善勧告というのはどらですか、これをやっておりますか。
○説明員(柴崎芳三君) 排水口を海面に出せということでございますか――その排水口が海面の下にありましても、実際の排水状況には影響がないようなぐあいにわれわれは見ておりますので、排水口そのものの改善は指示しておりません。で、法の対象になってまいりますと、これは監督者は常に工場に立ち入りができることになりまして、その結果最も妥当なところで常時水がとれるといような体制になりますので、水域指定後におきましてはそういった形でも問題は残らないであろう、かように考えております。
○小野明君 去年の五月か六月の段階で最もひどい工場で前回発表によりますと二五PPM、これが最高であったというのですが、それが二PPM、毒劇法の規定の範囲内にとどまっておるということが、信じたいけれども、なかなかこれはにわかに私は確信を持ち得ないのであります。ですから、この点については十分に去年のことも配慮しながらひとつ指導をお願いをいたしたいと思います。この点についての計画と御意見がありましたら伺いたいと思います。
○説明員(柴崎芳三君) 先生御指摘のとおり、抜き打ち検査でないと実態がわからない面が確かにございますので、今後できるだけ早い機会に抜き打ち検査もやらせるようにしたいと思います。さらに、できるだけ早い時期に水域の指定を行なっていただきまして、それに基づいて完ぺきな体制をとるように、あらかじめ前向きに、かつ強力に指導してまいりたいと考えております。
○小野明君 それから経済企画庁にお尋ねをいたしますが、いま通産省のほうから答弁がありましたように、去年の五月か六月の時点で調査をしておるわけですね。そのデータを発表されない、こういうことですが、最近五月二十九日ですか、北九州市の衛生研究所がやりました調査によりますと、かなり経企庁の数字を上回っておるわけですね。これは御存じだと思います。この事実について、シアンのごときは昨年の調査の時点の八倍になっておる、この結果についてどうお考えであるか、御意見が伺いたい。
○説明員(西川喬君) 北九州市が調査をいたしました結果につきましては、現在まだ企画庁の手元には届いておりません。私たちもその数字につきましては、いまのところ承知しておりません。
○小野明君 これはおかしい。現地部会をやるときに、あなた行ったのでしょう。現地部会に行っていないのですか。
○説明員(西川喬君) 現地部会には国民生活局長が参りまして、私は留守部隊で東京のほらにおりました。
○小野明君 それで経企がやった場合には低い数字で、一年たって、シアンごときは非常に大きく、昨年の八倍。市の衛生研究所がやった調査について承知をしておらぬというのは問題です。洞海湾部会のときには、当然これは報告されておると思うが、いかがですか。
○説明員(西川喬君) 北九州市のほうは独自な立場で調査したのではないかと思いますが、現在のところ、企画庁のほうには報告がまいっておりません。
○小野明君 そうすると、この調査結果についてはあなたのほうはどういう見解を持つわけですか。これはいなかの市がやったことだから、うちがやったほうが正確であって、これは信用ならぬ、こういう態度ですか。
○説明員(西川喬君) ただいまそういう事実を承知いたしましたので、直ちに地元のほらに連絡をとりまして、そのデータの報告を求めて今後の審議の参考に資したいと思います。ちょっとつけ加えますけれども、先ほど行なわれました現地部会におきまして、北九州市長のほうも地元の意見を代表して述べたのでございますが、そのときにおきましても、そのような独自の調査の数字は出てこなかったようでございます。ですけれども、いま先生おっしゃいましたように、そういうデータがあるならば、早急に市のほうに連絡して、報告させまして、それを今後の審議の参考にいたしたいと思っております。
○小野明君 これは私は非常に不可解に思うのですがね。同じ洞海湾の調査をして、もう市民に発表されたものを、経済企画庁のおたくのほうに報告をしない。たしか地元の新聞では、洞海湾の現地部会があるときに報告をする、こういうふうに市のほうも発表しておったと思うのです。それを報告されておらぬというのは、どうしても私には解せぬですがね。
○説明員(西川喬君) 現地部会に出席したのが参っておりますけれども、その話を聞きますと、報告はなかったようでございます。
○小野明君 それでは先ほどの御答弁があったように、その数字を求めて今後の作業の参考にすると、こういうお話でございますから、先に進みますが、この数値を見ますと、市の衛生研究所のやりました数値を見ると、経企庁が発表した数値よりもシアンにおいてもカドミウムにおいても総水銀、フェノールにおいてもあるいはCOD、DOにおいても全部上回っておるわけですね。この一年間で非常に汚染が進んでおる、こういうことを見ざるを得ぬわけです。市の衛生研究所の所長の意見でこういうことを言っておるわけです。砒素、これは経企庁が独自でやった調査項目では抜けている。カドミウム、シアンのほかにマンガン、鉛、亜鉛、銅、水銀などのあらゆる重金属がまじっておる。調べると、きりがないほど有毒物質が検出されると思う。こういう所長の見解が発表されておるわけです。それでどうも経企庁は現地部会は非公開、データは法的根拠がなくて公開しない、こういう態度から見て市がやった調査とおたくがやった調査との開きがあることを見ますと、どうも経企庁の調査については信用できない、こうとしか私は受けとれないんです。ですからいま申し上げたマンガンその他重金属、有毒物質等について洞海湾について再調査をしてもらいたいと私は思いますが、この点についてはいかがですか。
○説明員(西川喬君) いま先生のおっしゃいましたようなその他の物質がどの程度含まれておるかという問題につきましては、必要があればそのときのデータ等を検討いたしまして、また企画庁のほらといたしましても再検討いたしたいと思いますが、当面としては、先ほど通産省のほうからもお話がありましたとおり、早いところ基準を設定しなければいけない、こういう問題がございます。ですからその再調査はまた別の問題として、これは一ぺん指定水域にいたしましても、その基準を設定してからその後変更によって逐次追加していくということは可能でございますから、審議の過程におきましてそういう必要があればそういうものもあらためて調査をする。現在までの調査データ、それからいまお話のありました市のほらのデータ等もありますれば、それらの内容等をよく検討いたしまして、できるだけまず第一発の基準設定のほらを急ぎたい。さらに必要があれば追加項目について調査研究をやることにやぶさかではありません。一応現在までのデータをもとに基準設定を急ぎたい、このように考えております。
○小野明君 いかなる水質基準が設定されるか、これが中心であります。ところが、経企がやりました数値よりもシアンについては八倍も汚染が進んでおる。五月二十九日の調査、七月四日の発表で八倍汚染が進んでおる。ですから、それを参考にして云々ということはけっこうであるけれども、現地の市も経企庁に報告をしておらない、こらいろパイプの詰まりようではおかしな水質基準がきめられるのではないか、こういう疑惑はぬぐい得ないわけでず。ですから経企が去年やった調査よりもこの時点では汚染が進んでおるのかどうか、現実の汚染度に応じて水質基準を設定するという作業で私はしかるべきではないか。そうすれば最近の時点で水質基準を設定するための資料はこれだ、これを調査することが重要ではないかと思うわけです。これはむしろ必要があればということよりも、調査を進めるほうが私は妥当だと思うんですが、いかがですか。
○説明員(西川喬君) この点につきましては、先ほどから申し上げましたように、市のほうの調査結果を至急報告させまして、その調査の場所なり、これは海の問題でございますので採水の深さの問題もございます、採水の地点の問題もございます。そういうようなことを全部調べまして内容を検討いたしまして、そうして、それが当然使用にたえ得る調査である、データであるということになれば十分参考にいたしたいと思います。ただ、それ以外にシアン等の問題、健康項目につきましては、これは一般的に見ましてもすでにいわゆるナショナル・ミニマム的な考え方でこれ以上のものを出してはならないという数値があり、現在の汚濁ではたいしたことはないからもっと出していいという性格のものではない、微量重金属関係、有毒物関係は、健康項目は、きまっておるものにつきましては最低これだけでなければならぬという数値がきまっておりますので、そのような数字にしてなおかつ湾内の流水としての汚染度がどのくらいになるか、それが環境基準にマッチしなければさらにきつくしなければならぬということになりますので、そのようなことを十分あわせまして早急に検討して水質基準のほらをきめたい、このように考えております。
○小野明君 シアンの検出をするようになっておりますから当然ですけれども、それよりも進んで他の重金属等の汚染が当然出てきておるわけですから、あなたのところはせぬと言うのに、やれということで押し問答しても時間がないから私は要望しておくが、去年の経企庁の発表というのは、地元住民の間では完全に信用がない。市がすでに発表しておるから、それよりも進んだ数値を発表しておるから、その信用を回復するためにも再調査をやってはどうですか、あまり手間ひまがかかる問題ではないではないか、こう申し上げたいのです。再度答弁をいただきたい。
○説明員(西川喬君) 必要が認められれば再調査いたします。ただ先ほども申し上げましたように、マンガンとか亜鉛とか銅、そのようなものにつきましては、もし必要があるならば調査をいたしまして、あとからそういう項目を追加する、そういうような態度でCODその他一般項目につきまして、どうしても水質基準としては直ちに設定しなければ基準としておかしいという項目につきましては、これは早急に設定をしなければいけませんので、データを検討した上で態度をきめたい。目標としてはできる限り早い機会に水質基準をきめるという方向に向かって進みたい。いま先生のおっしゃいました再調査というようなことも、これは必要があれば再調査をいたします。
○小野明君 洞海湾をBランクにする、Cランクにするということでいろいろ意見が分かれておる点もあるが、この点は一体経企庁としてはどう考えるか。
○説明員(西川喬君) 環境基準をどこの類型にあてはめるかという問題につきましてはこれからの問題でございまして、まだ現地におきまして意見を聞く部会が終わったばかりの段階でございます。今後これらの意見を中心といたしまして早急に案をまとめたい。まとめる段階におきまして、一体どこを、環境基準の類型としてどういう形のものを当てはめたらいいかということは、この前参りました審議会の先生方と十分な審議を経て、早急にそういう案をまとめてまいりたい、このように考えております。
○小野明君 審議会のメンバーにも一ぺんここに来てもらって、一体何を見てきたか、はっきり私もただしたいと思いますが、先ほど申し上げたような感覚の委員ばかりだと……その辺をひとつ心得て、十分徹底した指導をしてもらうように私は要望しておきます。よろしいですか。
○説明員(西川喬君) 今後の審議の過程において十分先生の御意見を尊重いたしたいと思います。
○小野明君 それから大牟田川についてお尋ねをいたしたいと思います。水産庁長官見えておりますか……水産庁次長ですね。
 まず通産省に――通産省になりますか、このヘドロの始末は。大牟田のヘドロをどう一体処理するようになっておるのか、これをお尋ねしたいと思います。
○説明員(柴崎芳三君) ヘドロのしゅんせつにつきましては、現在県が中心になりましていろいろ計画を立てておるわけでございますが、そのベースといたしまして、現地の通産局、県、市、それから関係企業、四者で協議会を持っておりまして、その協議会の結論に従って、ただいま一応計画はできております。と申しますのは、三井東圧の海岸の埋め立て地を利用いたしまして、しゅんせつしたヘドロをそこに流し込んで、外には絶対出さない形で流し込みまして、完全にしゅんせつするという計画で、県も一応予算を計上する用意があるようでございますが、現地の漁業組合その他との話し合いがまだ完全に済んでおりませんで、その計画を実行する段階に至っていないというのが実情でございます。
○小野明君 水産庁次長。たまたまこれはノリの汚染が表に出た。それでいま現地の県議会で問題になりましたのは、奇型のボラができておるようですね。ボラが奇型になっておるというので、当然これはノリに汚染がある以上、他の魚介類にも汚染の影響がありますことはこれはもろ明らかであります。この他の魚介類についての影響についてはどのように考えておられるのか、御所見を伺いたい。
○説明員(藤村弘毅君) 現在のところは調査いたしておりませんが、ノリの調査からいきますと、沿岸部におきましてノリに対する影響が強くて、沖合いにいくほど影響が少なくなっている実情でございますので、沖合いを回遊いたします魚類についてはあまり大きな影響はないのじゃないかと考えておりますが、貝類につきましては干がたの沿岸におりますので、ある程度の影響はあるというふうに考えております。現在貝につきましての分析調査はいたしておりません。今後ノリに対する影響が現在のところはさほど大きいとは考えておりませんが、これが大きくなるようなことがございますれば、その他の貝類あるいは魚類についても調査を進めていかなければならないというふうに考えております。
○小野明君 ノリについて被害が大きくないというのは、私どもは大きいと思う。現地の漁民は死活の問題だと大騒ぎしているのに、たいしたことがないと言ってすましておられるその根拠が私は非常にわからぬ。経済企画庁、この魚介類の調査はどうなっておりますか。これはおたくには関係がないわけですか。
○説明員(西川喬君) 魚介類につきましては、結果としての、問題が、下に沈でんしたものが魚介類に摂取されまして蓄積されているということになるわけでございますけれども、一応現在の保全法の体系といたしましては排水並びに流水の水質のほらは私どもが責任をもって監視しているわけでございますが、下に沈潜した堆積物あるいはそれを摂取します動植物のほうの濃縮過程、このようなものにつきましては経済企画庁としては現在手が出ない、所管できないということになっております。
○小野明君 これは次長、通産省もそうだけれども、早急にこの魚介類――あすこにはムツゴロウというようなヘドロの上に住む魚もおるわけですからね。それから貝類もここにはできるわけですが、当然調査を始めてしかるべきだと思いますが、どうですか。
○説明員(藤村弘毅君) ここの付近の底のどろにつきまして福岡県で調査を実施する計画を現在立てておりますので、その調査を待ちましてその後の計画を立てたいと考えております。
○説明員(柴崎芳三君) 先ほど御説明いたしました現地の四者協議会におきましてその問題が具体的なテーマになっておりまして、県が中心になりまして、とにかく早急に魚介類の調査も進めるという態勢で進んでおるはずでございます。
○小野明君 どらも県がやるからというような……。県がやるというのは、これはいつごろの話ですか。また、いつごろから調査するんですか。その辺は県にまかせるんではなくて、これだけこの委員会でもノリの問題が出ておるのだから、当然他の魚介類についても水産庁として、あるいは通産省としても調査を始めてしかるべきであると思うが、どうしてそういう消極的な姿勢なんですか。積極的に県を指導し、あるいは直接にやるということはできないんですか、調査は。
○説明員(藤村弘毅君) 私のほうといたしましては、県にいろいろ調査を連絡いたしましたところ、県のほうでは、底のどろの調査を実施するということを県知事も県会で答弁しておりますし、県でも計画を立てております。そこで私のほう――水産庁といたしまして、直接各河川の、あるいは河口水域の海藻、貝類の調査を実施するという態勢は現在のところとれておりませんし、魚体あるいは貝の内部に食料としてどれぐらいのいろいろの毒物が入っているかというような調査は、現在のところ、いたしておりませんので、現段階では県にまかせておる。それでもしそういう必要が出てまいりましたら、私のほうも厚生省とも十分連絡いたしまして、食品の中の成分の分析なり、検査をいたしていきたいというふうに考えております。
○小野明君 その必要が出てまいりますればということですが、水産庁としてはもうノリにこれだけ来ておるのだから、当然市民の不安を除くために、いま言われたような必要な措置をとる。こういうふうな答弁がどうしてできないのですか。
○説明員(藤村弘毅君) ただいま御指摘ございましたが、ノリにつきましても、今度の調査におきまして博多湾におきますものに比べてカドミウムなり、鉛が何倍か外くなっておりますけれども、人間が食べるという面では、ノリについては人体に影響がない段階であるというふうに私ども考えておりますので、そういう点で申し上げている次第でございます。
○小野明君 魚介類については……。
○説明員(藤村弘毅君) 魚介類につきましても、ノリのように底に年じゅうついておりますものでこの程度でございますので、魚介類につきましてもそれまで調べなきゃならないという段階ではないのではないか、したがいまして、前に申し上げましたように、底のどろを検査をしまして、そこでもし貝類なり、ムツゴロウなり、生成生物に影響がありはしないかという疑念が起こりましたときに調査をしてまいりたいというふうに考えております。
○小野明君 きわめて不満ですね。ノリについて汚染が出ておるのに、ノリの摂取量が少ないから魚介類もそれと同じだ、こういうことでは私は問題があると思う。やっぱり早急に市民や県民の不安を除くためには、その調査もやる、あるいはヘドロの処理の方法も早く方向を示していく、こういう姿勢で当たってもらってしかるべきであると思うのだが、くどいようですが、これは再度ひとつその考えを変えることはできぬですか。
○説明員(藤村弘毅君) 私どもといたしましては、現在ノリの摂取量が少ないということもございますけれども、現在出ております排水が排水基準を上回っておるというものではございませんので、直ちにそういう必要があるというふうには考えておりませんが、先生御指摘のような、市民にもしそういう不安があるとするならば、私どもといたしましても、県と十分相談いたしまして、調査の方法なり何なりを検討いたしたいと思います。
○小野明君 早急にやってください。
 それからこれは初め厚生省に尋ねます。尿中のカドミウムが一リットルについて〇・〇三ミリグラム、これが基準であるというが、カドミウム中毒のきめ手になる尿たん自の分析方法というものが未確定であるという意見もある。その点について簡潔に答弁をいただきたい。
 それからカドミウムは、御承知のように、蓄積効果ということが問題とされております。これが〇・九あるいは一・〇という基準でこのおそれがないものか。
 この二つお伺いします。
○説明員(橋本道夫君) 第一の御質問でございますが、私どものお願いいたしました研究班ではカドミウムのたん白につきまして三つの方法を用いておりまして、そのうちの一つは、これはスエーデンの学会で発表いたしておりまして、非常に固まっているものでございます。それにつきましては何ら問題ございません。そのほかに新しくゲルろ過法という問題が出てまいりまして、それを富山の衛生研究所の人が検討いたしました。そのやり方でわかるのではないかという議論があるのですが、そのはかっておるものがはたしてたん白であるかいなかというところに生化学者の間での議論があるわけでございます。そういうことでございますので、全然方法がないというわけではございませんで、新しく編み出ざれた一つの方法について高度の生化学者の判断を求め、研究をしておいたほうがよかろうと、そういうことでございますので、すべてがわからないということではございません。
 それから第二点のほうでございますが、精白米で〇・九、それから玄米で一ということでいたしましたならば、私どものいままでの計算、セイフティーを含めたならば、これは私ども心配ないというように考えております。それは尿中のカドミウムにどれくらいの濃度が出てくるかということから判断をいたしておるわけでございまして、現在明らかにカドミウム中毒だということにつきましては、国際的には大体一リッター当たり一〇〇マイクログラムぐらいのカドミウムの濃度が出てくるということをエルキンスという人が出しております。これは非常に国際的な権威のある方でございます。それに対しまして、日本で一リッター当たり五〇マイクログラムぐらいのカドミウムにしてやってはどうかということが労働衛生の中で現在議論されておりますが、これも中毒の患者をふるい出すための一つの尺度ということでございまして、これをこえればすぐ中毒にするという議論は現在労働衛生の中にないわけでございます。先生方の検討の結果、一〇〇マイクログラムの三分の一というセイフティーをとりました。三〇マイクログラム・パーリッターというところで第一次検診から第二検診にかけようということで、それを基礎として私どもはセイフティーをどんどんかけまして出した計算でございます。さらにいま申しました三〇マイクログラム・パーリッターに対しまして、やはり四分の一のセイフティーがかかっておるということでございますので、私どもはこれによってこのカドミウムの蓄積として問題の起こるようなことはないというぐあいに考えておるわけでございます。
○小野明君 もう一問ですが、〇・九PPMというのは、いままでの指導基準から見ると私どもはずいぶん甘いような感じがいたします。かりに農民が一日に四合の米を食うとします、四合の限度一ぱいの米を食うとすると、尿中のカドミウムは幾らになるのか。それは基準に比べてどうなるのか。農民ですからたくさん食べると思うんですがね。
○説明員(橋本道夫君) 合とグラムの関係がわかりませんので恐縮でありますが、いま農林省に伺いましたところ、百五十グラムということで六百グラムということでございますので、その六百グラムに対しまして〇・九をかけるということで〇・五四ミリグラムのカドミウムが入るということでございます。現在までの科学的な知見では、食品から入ったものは一%くらいしかからだの中に残らないということが国際的な学会の中では出されております。
○小野明君 そうしますと、〇・五四とすれば、基準が〇・〇三とすればかなり上回った数字になるんだが、〇・九でもだいじょうぶですか。
○説明員(橋本道夫君) ちょっとこれは数字が違って恐縮でございますが、四百グラムの米、これも相当多くなるわけでございますが……。
○小野明君 四合ですから、六百グラムでしょう。
○説明員(橋本道夫君) ちょっと計算いたしましてからお答えをいたします。そのほうが間違いないと思いますから。
○小野明君 食糧庁に尋ねたいんですが、玄米と白米の許容量ですか、こういうものが発表されて、これをこえた四十四年産米については廃棄処分をする、こういうことが発表されております。そういうことはもうすでに通知を出したのか、どういうふうにされようとしておるのか、その辺をお尋ねします。
○説明員(中村健次郎君) ただいま許容限度ということがございましたけれども、私のほうではまだ許容限度というふうには承っておりません。厚生省のほうからいろいろ御説明がありましたように、安全基準として今回玄米で一・〇〇PPM、それから白米で〇・九PPM以上の米を継続して食べる地域については、そういうものを食わないような対策をとることがよろしい、こういうことが厚生省から出ました。しかし、私どものほうといたしましては、四十四年産米がいま保有米として保有されておるわけでございますが、この保有米の問題は、一応保有米をそういうふうに食べてはいけないという地域につきましては、配給米を配給することにいたしております。
 それからそこの地域でとれまして、政府がすでに買い入れております四十四年産米につきましては、それぞれ現在ある地域で配給をすることをやめてこれを凍結いたしております。これの処分につきましては、厚生省と十分に配給上いかに扱うかということを、今後御相談をしてきめてまいりたい、このように思っております。
○小野明君 廃棄処分にする米の量あるいはそれを地域別に推計できますか。
○説明員(中村健次郎君) 廃棄処分にするかどうかということはまだ通達も出しておりませんし、廃棄するということも私のほうは言っておりません。ただ、現在政府が買い入れて持っております米につきましては、群馬県の安中地区におきまして岩井部落、中宿部落の一部、野殿部落の一部、一一・二ヘクタールの農家のつくりました生産量四十六トンでございます。そのうち三十トンを買い入れておりますが、これにつきましても現在保留して持っております。黒部地区につきましても、五部落で買い入れまして、現在現地に持っておりますのが千二百八十トンございます。それから大阪に送りまして保存しておりますのが百四十トン、愛知県に百七十六トンというふうな数字が行っております。これらの米につきましては、これから――実はいまのこれをやりますときには、〇・四PPM以上のものが出て要観察地域として指定されました地域全体の米を保留いたしておりますので、今度出ました基準によりまして、一・〇PPM以上の地域として指定された地域のものに限定をして、その地域から出たものをこの中から抜き出しまして、それをいかに処分するかということを厚生省に相談したい、このように思っております。
○小野明君 もう一問だけです。本年産米の予約に待ったをかけられたというんだが、この辺でもし買わないということになれば、これは食管法違反の疑いが出てくると思う。その辺はどうですか。
○説明員(中村健次郎君) これは実はこの厚生省の発表が七月七日でございまして、その日、直ちに富山県からの照会もございましたので、富山県に対しましては、濃密な調査をする地域――一・〇PPM以上の米が出まして、そうしてその地域では保有米を農家には食べさせないほうがよいという地域、こういった地域であるかどうかということを調査しておる地域につきましては、これは調査の結果そこの米は農家が食べないほうがいいということになった米について、食糧庁が食糧管理法で買い上げましてこれを一般の消費者に配給するということが国民の世論なり国民の了解を得られ得るかどうかというふうな食管法以前の問題もございますので、これは今後十分に食管法とそういった情勢とを検討いたしましていかにするかということをきめてまいりたい、このように考えます。
○小野明君 その問題は同僚委員が尋ねますから、私の質問はそれにとどめたい。それから先ほどの保留した分、答弁を願います。
○説明員(橋本道夫君) 先ほどのお答えで、少し荒い計算でございますが、六百グラムの米で〇・九PPM食べますと、〇・五四ミリグラムになります。で、米から入りますカドミウムの割合というものを、いままでの調査を全部見ますと、いろいろのウエートがございますが、お米の食べ方が少ないとしますともう非常に食べ方が少なくなりますので、米の食べ方が非常に多い場合をとりますと、一番多いものでは八割ぐらいのものもございます。それでは今度はまたあまり多くなる。で、米のウェートが多くてほかのものがほとんど入らないというようなところもございますので、大体、米が六割、あとが四割というところ、ちょうど中間ぐらいの感じでございますが、そういうところで計算をしてみますと、幾ら多く見積もっても〇・七ミリグラム・パー・デーを上回ることはない。そういうことにいたしますと、尿中のカドミウムの濃度は、多くても一リッター当たり二十マイクログラムを上回ることはないということでございます。そういうことで、詳細な資料はございますが、私どものほうでは安全だというふうにしております。
○小野明君 あなたのほうの資料では安全かもしれませんが、従来指導してこられたのは、一リッター当たり〇・〇三ミリグラム、三〇マイクログラムですね。それから見ると約十八倍の尿中のカドミウムになる。これが十八倍も出てだいじょうぶだということは、どうも私には納得がいかぬですがね。
○説明員(橋本道夫君) いまおっしゃいましたのは、ミリグラムとマイクログラムの単位の相違がございまして、尿中のカドミウムの濃度は、一リッター当たり三〇マイクログラムというのを要観察にして第二次検診にかけるわけでございます。それをもとにいたしまして、これだけの、もっと不利なことを考えてみましても、大体一リッター当たり二〇マイクログラムを上回ることはないということでございますので、三〇マイクログラムに対しましては三分の二以下にゆうゆうとどまると、こういうことでございます。
○小野明君 これはそれ以下になるということですか。
○説明員(橋本道夫君) はい。
○小野明君 六百グラムを食べても、〇・五四ミリグラムと、それから尿中カドミウムの基準というものは〇・〇三ミリグラムというふうに従来はやってきたんじゃないですか、基準になりますのは。
○説明員(橋本道夫君) いま、〇・二ミリグラムといいますのは要観察地域でございます。一日当たり〇・三ミリグラムのカドミウムを食べるというところは要観察地域にしようといったところでございまして、要観察地域にしようといった場合の、その一日当たり、〇・三ミリグラム当たり食べた場合の尿中のカドミウムの量は、一リッター当たり九マイクログラムになっております。先生のおっしゃいました三〇マイクログラム・パー・リッターと申しますのは、もっと非常に多く食べるわけでございまして、その場合には、全体といたしまして一・二五四ミリグラムを食べるということになります。ですから、一・二五四ミリグラムを食べるのに対しまして、〇・七ミリグラム弱しか食べない、それに対応する尿中カドミウムの濃度は、一リッター当たり二〇マイクログラム以下になる、こういうことでございます。
○小野明君 どうも数字がようわからぬわけです。それで、あとで資料でその辺をひとつ説明をしてください。指導基準から比べて、私は私なりに見ると、十八倍というわけです。ですから、その辺を資料で説明をしてもらいたいと思います。
 終わります。
  〔理事中津井真君退席、理事小野明君着席〕
○杉原一雄君 ちょっと、いま小野委員から質問が行なわれていた引き続きでございますので、中村部長に明らかにしていただきたいと思いますが、第一点は、もうすでにきのうの時点で、富山の食糧事務所から、黒部、魚津、入膳の地区に対して予約米を受け付けないという通達を出しております。そこでいま厚生省が、先ほど橋本課長が、〇・九PPMが正しいの、一・〇〇がどうのと、盛んにおっしゃっているわけですが、そのことは、実は省として明らかにされたのは、一日早い七日であります。ここで明らかにしてほしいのは、もうわかるような気がしますが、予約米の受け付けをしない地域というのは、厚生省が七日に発表した〇・九ないし玄米一・〇の地点であるのかどうか。そのことをまずはっきりしてもらいたい。
 そこで問題は、各省との連絡は緊密にされていると思いますから、これまた、あなたから答弁をいただくのはどらかわかりません。だから、該当省から明確にしてほしいんですが、予約米を受け付けないということは、結果的にどういうことが起こるか、もうはっきりしていますね、お盆の農民の小づかい銭がなくなるということです。私も四年前まで百姓をしておりましたから、予約米制度のありがたみといいますか、便利さはよく痛感しているわけですから、それがストップされる、その辺の、農民の心理じゃなくて、農民の実益から考えて、そうしたこまかい問題についての処置をどうするのか、そこまで考えてあるのかどうか。同時にまた、予約米を受け付けないということは、結果的には米を買い上げないという結果になるだろうと思う。そうしますと、すでに問題が五月時点で発生しておりますので、その時点で田植えをし、その後抜き取りをし、補償をもらった分については一応――それでいいとは申しませんが。だが、そこまでの指定を受けないままで、少なくともいま米をつくり、肥料をやり、農薬をまいて、大体農民とすれば投下資本の七、八〇%を投入してしまっておる時点ですから、こうした農民の今日までの努力に対して、どのようなそういう補償を行なおうとするのか、しかもそれはだれがやるのか、企業がやるのか。私は今度の三日市の問題は、いわゆる私たちのことばをもって率直な表現をすれば犯人は明らかなんです。いまから全国手配をする必要はないので明確なんです。神岡鉱山のように逃げ隠れはできないわけですから、そうすれば明らかにこれは論理的にも常識的にも企業の責任だと思われますけれども、その辺のところ監督指導なさっている諸官庁の皆さんが、どう、特に農林省はその通達を出すのは、その辺の連絡、調整ができていると思いますから、その辺のところを明確にここで答えてほしい。
 その次に、結果的にはいま〇・九ないし一・〇の地域であるか、〇・四の地域であるかはその辺のところを明確にしてもらうと同時に、一体どれだけの地域に、いわゆる反別でどれだけの地域が該当し、それはその辺の地域で平均収量というのがあるわけです。私も富山ですから、米は非常にたくさんとれるところなんで、そうしたことを過去の経過からはじき出されますから、どれくらいの損害になるのか、つまり予約金は、予約のお金はもらえるのか、もらえないのか。また、もし米全体が廃棄処分のような形になれば、どうなるのか。その辺のところを明確にしてもらいたい。その食糧事務所の連絡以後、県が直ちに産米対策を発表しているわけですが、この中に二品種はだいじょうぶだということでホウネンワセかなんかを指定しているようです。このことは、農業の技術的な側面から見てはたして妥当なのであるかどうか。これは非常に小さい問題であるようですが、しかしまた、これは、農民に対して今後の生きる希望にもなるわけですから、明確な答えをいただきたい。
 まず、これだけひとつ最初に質問させていただきます。
○説明員(中村健次郎君) まず第一点でございますが、富山県に予約を受け付けないという通達を出した。こういうことでございますが、私のほうは一応予約を受け付けないということではないのでございまして、出しました通達は、富山県の里部の地区及び魚津の一部で、カッコをいたしまして、県が濃密な調査をいたしておる地域については一時予約を保留するように、留保するようにということを通達をしたわけでございます。したがいまして、この地域と申しますのは、厚生省から一・〇PPMという一つの安全基準が示されました直後でございますので、濃密な調査をするという地域につきましては、県がこれから一体どこをそういうふうな地域として調査をしていくのかという点を確定していただかないと、どれだけの地域になるということは私のほうで承知できないわけであります。しかし、とりあえずそういった調査をした結果、その地域の米は保有米として使用することがよくないということになるとすれば、その地域でできました米を政府が買うということについては、いろいろ今後検討すべき問題がございますので、予約の段階で一応その点を検討する余裕が要る。したがって、その間予約を待ってもらいたい。こういう意味でございまして、決して予約を受け付けないと言っているわけではございません。
 それから、第二の各省との連絡ということでございますが、これはけさほど厚生省からお話しございましたように、今度の発表につきましては、われわれ事前に相談を受けておりませんので、突然発表になるということでございまして、発表になった段階でわれわれとして打つべき早急の暫定的な措置をとったということでございまして、今後実情に合わしてこれを修正していくという考え方でございます。
 それから、予約を受け付けないということは、農家に対して非常に損害を及ぼす一俵当たり千円の予約金がもらえないという問題になるわけでございますから、これは相当損害を与えるということになりますけれども、いま言ったように予約を受け付けない、こういうことではないのでございまして、留保するということでございますから、予約期限は八月の末までございます。したがって、その間には、これらの問題を解決したい。なお、昨日富山県から県の担当の次長、課長がお見えになりまして、夜おそくまで相談をいたしまして、至急、お帰りになって、そういった地域をきめていただきたい。その他の地域については、われわれは予約を受け付けることについて何ら問題はないということを申し上げてございます。したがいまして、その地域というのは、従来〇・四PPMの出る地域で、要観察地域というので広くなっておりますけれども、あの中でいろいろ調査をしておられるようでございますから、どの地域を濃密に各世帯の保有米について調査をし、厚生省の出した基準に従って保有米の使用に対する措置をとられるのか。その辺がきまれば、そう私は大きな地域になるのではないのではなかろうか。このように考えております。
 次に予約を受け付けないということは、買い入れしないということにつながるのではないかという問題でございますが、これはいま申しましたように、予約を保留いたしました結果、その間に調査が進みまして、その地域の米は農家が保有米として使うことはよくない。したがって、その地域の米は、保有米も配給米で農家に配給していく。残った保有米の処分は、県と相談して、それの処置を考えるということになるかと思いますが、その場合に、政府にしからばそこの米は売り込んでいいのかという問題は、その米を買いました政府が、これを国民に配給していいのかどらかという問題と関連してきます。したがいまして、厚生省とその点打ち合わせておるわけでございますが、われわれ聞いておるのでは、そういった濃密な地域で毎日その米を長く食らということで問題がある。したがって、断続的にあるいは少量食べるということで、必ずしもこれがカドミウムの害を受けるということにはつながらないということでございますが、しかし、そうは申しましても、農家で食べない米を政府へ出して、それを消費者へ配給するということは、これは受けられる消費者の側からすれば、決して受け入れられない問題ではなかろうかということもありますので、その点につきまして、今後こういった米を食管法で買うことが妥当であるかどうかということは検討をしてまいりたい。こういうふうに考えておるわけでございます。
 それからそういった場合の、たとえば農家が保有米を食えなくなって、配給米を受けるというような場合の、配給米を買う金あるいは作付をやめるということによる損害、こういったものは、私のほうでははっきりしておる。その加害者の企業側で持ってもらうのが妥当であるというふうに農林省では考えております。
 それから産米対策として、二品種はだいじょうぶかという問題でございますが、これは私の専門外のことでございますので、農政局のほうからお答えをいたします。
○説明員(遠藤寛二君) 二品種についてだいじょうぶかというお問い合わせでございましたのですが、私ども富山県がそういう指導をしているとすれば、富山県の過去におきますデータに基づいてやっているのだと思いますけれども、私ども一般的に申しまして、どの品種がカドミウムをよけい吸い、どの品種がよけいに吸わないかという点についてまだ確信を持っておりませんので、私どもといたしましては必ずしも二品種、どの品種であるから安全であるということは、まだ言い切れないのではないか。そういうふうに考えております。
○杉原一雄君 いま部長の答弁ではございますけれども、ただ新聞面の報道等においては、予約米を受け付けないとなっておるわけですね。だから、いまの答弁だとそうじゃないんだ、しばらく見合わせるんだというようなことなんです。それは食糧事務所の取り扱いの面でそのようなきつい表現になっていたのかどうか、それはまた記者諸君のとらえ方の問題なのかどうか、それはぼくはわからぬですけれども、しかし、あなたのおっしゃることがほんとうだとすれば、そのような意味のことが正しくPRされることがまず必要であると思いますし、同時にまた、明らかにしてほしいのは、とりあえずですから、この問題にはっきりした結論を出していくことは八月末の前渡金が渡るころまでに何とかする、そういうことと理解していいのかどうか。とりあえずというのはそういう意味なのか、それをはっきりしてください。
○説明員(中村健次郎君) 先ほどの問題は、これは私のほらは電報を打っておりますので、事務所のほらは受け付けないというふうには言っておらないと思いますけれども、その辺は現地のやりとりでございますので、詳細にはわかりませんが、内容は私が先ほど申しましたとおりでございますし、なお、PRにつきまして、PRと申しますか打ち合わせにつきましては、ゆうべもおそくまで県と打ち合わせをいたしました。そしてすぐ夜中に食糧事務所長にも電話をいたしまして、県できめる地域――一・〇PPMになって保有米が使えなくなるような地域ということで調査をされる地域に限定をしなさいということの指示をゆうべ電話でしております。けさほど県のほうへもその旨を電話で長官の許可を得ましてやっておりますので、この点はいま報道されておりますような誤解、あるいは非常に広い地域にわたっての予約受付の保留ということはなくなる、こういうふうに私たちは考えております。
 それから予約保留しておって、あといつまでにどうするのかという問題でございますが、これは私どものほうといたしましてもできるだけ急ぎまして、予約の少なくとも期限が来るまで、まあそうおそくなってはいけないと思うのです。できるだけ早い時期にどういうふうにするかということは、県のほらでその地域をきめ調査をされて、この地域は保有米を食ってもいい一・〇PPM以下の地域だ、ここはいけない地域だということがはっきりすれば、その時点でいいというところは問題はない。しかし、保有米は食えないんだという地域につきましては、これはあとの買うか買わないかという問題との検討によって、予約を受け付けるかしないかという問題と関連してくると思いますが、いずれにしてもそういった問題は県の調査とも相まって進めていかなければならない、このように思います。
○杉原一雄君 業務部長ね、いまちょうど田の草取りのほうが上がり、追っかけ薬をまいている時期なんですよ。農民のそうした米づくりの努力が仕上げ段階に入っているわけですよ。そこで、おたくはこういう通達が出ると農民だってどういう心情になるかおわかりだと思う。最後の仕上げですよ。そういう段階にこういう通達が出て、政府が買わないなんということになると、非常に農民の努力、企業努力といいますか、減退をする。それは農林省の期待する減反なり減収に通ずることはいいという、そんなわけにはいかぬですから、その辺のところ、非常に農民の心理でも経営責任者としても重大な問題だと思いますから、あいまいな態度で進むことなく明確なポイント、ポイントのPRをしっかりやっていただきたい。このことを農林省に対して、質問の最後につけ加えておいて、私の農林省への質問をこれで打ち切ります。
 その次に、これは通産と厚生とにまたがると思いますから、両者からしかるべく答弁をしていただきたい。
 三日市製錬のカドミウム問題が大きく取り上げられたのは五月十八日の地元紙の発表以来だと思います。しからば問題はそれまでなかったのか、断じてそうでない。つまり三日市製錬の事業が開始され運転始まって以来の問題である。それは隠れていたんではなくてあったんです。あったんでありますけれども、大きくそれが問題にされなかったところに公害行政の大きな問題点が私はあると思う。大前提にそれを頭に置いて私はものを言いたいと思う。でありますから、今日現在のことはあとほど聞きますが、とりあえず今日までの三日市製錬所の歴史的経過がある。つまり昭和二十九年に操業を開始した。その時点で通産省として、あるいは厚生省はそこまで乗り出すときではなかったと思いますが、所管の官庁が企業開始に対してどの程度の点検と勧告その他を行なってきたのかどうか、つまり企業開始前の指導行政のあり方、問題点、それから三十年から約四けたの蒸留亜鉛の生産が始まっておるわけですから、それから三十六年にカドミウムが七・一六トン生産されるまでの間、それを私は第一期と申します。三十六年からことしの問題が摘発された五月十人目までを第二期とします。そうして五・一八以後急速度に世論となり、住民の不安となり、行政当局の大きな問題点となって浮かび上がって、いまは全国的な問題として注目されております。だから一地域の問題、一企業の問題では断じてありません。そういう観点からいま私が申し上げたように、企業開始前の所管の庁の取り扱いあるいは問題点、それから第一期におけるところの問題点、これに対する取り扱いその他、第二期の場合も同様であり、特に私最後の、いわゆることしの五・一八以後の取り扱いと、しかもこれからの見通し、つまり企業はいま四割操短をやっている、これはフル運転をするめどがあるのかどらか、これについては企業はどのような努力をしているのか、その努力に対して所管の庁がどういう指導行政をやっておるのかどうか、こうしたことについてのことをも実は通産関係からあるいは公害担当の厚生省等から、どのような指導をやっているのか、特にその点には十分重点を向けながら御答弁を実はいただきたいと、こう思っております。ただこの質問をする際に、私はこうしたデータを官庁の皆さんが持っておいでになると思いますが、私はことしの五月十八日に事件が起こったんじゃないということを証明するためには、会社が地域の農民に対して農業被害補償というものを実は出しておる。それは被害補償などとは言わない。それは三井金属でも同様であります。三井金属も被害補償ということばを使えば明らかに企業が犯人であることを認めることになりますから、必ず見舞い金とか奨励金という形でごまかして出します。ですけれども、見舞い金として出しておりますのは昭和三十年から昭和四十四年まで毎年出しておる。しかし、毎年出しておる数字の中で非常にふしぎに思うのは、たとえば初年度は百五十万出しておる。ところが三十九年度は十五万しか出していない。そうしてカドミウム生産が三十六年でありますが、その翌年の三十七年では十五万しか出していない。そういうふうにして年度ごとに違っているわけです。このことは企業との関係において分析すべきことでありますが、ただそうした措置が企業の良心においてなされているということ、しかし同時に、これは加害者、被害者の意識から言えば、加害者であるという自覚に立っていると私は思っております。そういう意味から、いま申し上げた企業の歴史の幾つかの屈折段階に応じた通産省なり厚生省のとってきた措置、しかも省みてその間において各省庁のもし指導上の欠陥があるとすれば率直に出していただきたい。午前中の大臣ように、法にも盲点があったんだと率直に認めているわけですから、そういう観点から、やはりこれはわれわれが手を出そうとしたけれども私企業であるから手が出せなかった、この点はこうしようと思ったけれども法には不十分な点があった。だから私が言った段階ごとにその問題を明示されることが非常に期待されるわけです。
 総括的な質問のしかたをして申しわけないですけれども、時間の関係上そういう質問のしかたで、答弁に応じてまた質問いたします。
○説明員(城戸謙次君) 厚生省といたしましては通産省よりの連絡へあるいは県からの報告等によりまして現在の段階で百九十三ほど鉱山、製錬所あるいはメッキ工場、カドミウム電池工場その他を把握しているわけであります。今後もできるだけ調査等に努力をいたしたいと思っております。
 この三日市製錬所につきましては、四十三年に通産省に照会しました段階では、実は鉱山保安法が適用になっていなかったというような点の行き違いもあったかと思いますが、報告のありましたリストに入っていなかったわけでございます。その後四十四年の二月二十八日付で全国都道府県あてに出しましたカドミウム取り扱い工場の有無についての報告、これに対します富山県からの回答によりまして三日市製錬所がカドミウムを生産しているということがわかったわけでございますが、同時にその時点で県としては周辺への影響の可能性について調査を計画している、そういう旨の回答を得ております。
○説明員(本田早苗君) 先生御指摘のとおり、三日市製錬所は昭和二十八年の九月に日本鉱業と日窒鉱業との共同出資で設立されたわけでございまして、三十六年の二月に敦賀化学工業と合併いたしまして日本製錬株式会社になったわけでございます。この時点から御指摘のように、カドミウムの生産を開始いたしたわけでございます。当時カドミウム等の重金属による公害の発生ということにつきましては知識が不十分でございまして、当時の知識では予想していなかったわけでございます。それから御指摘のように、同製錬所というのは、鉱物の掘採をする鉱業所と別個の法人であるということで鉱山保安法の適用を受けない、いわゆる独立製錬所であったわけでございまして、そのために一般製造業と同じような法的規制を受けるということで、調査を行なえないままに推移してまいった点は法的な問題としては手落ちのあった点だろうというふうに考えております。カドミウム等の公害が問題になり始めました四十三年ごろになりまして、公害防止をはかるために地方公共団体の条例で規制をするということが行なわれたのでありまして、富山県におきましても条例が制定されまして、三日市製錬所がその規制を受けるということに相なりましたので、地域実情に応じた対策が期待できるということで富山条例の規制にまかしたままにしたという点がございました。また、今回事件が発生しましては、やはり公害防止の対策の経験に基づきまして調査、指導を行ない必要があるということで、名古屋通産局あるいは本省のほうから現地に派遣しまして、特に通産局長名で緊急対策並びに恒久対策を指示しまして、会社側がこれを確実に実施するように指導し、その旨の回答を得ておる次第でございます。厚生省、富山県におきましても要観察地域の指定、環境観察、健康観察を実施することになっておりますので、関係機関とともに密接な連絡をとってこの事態を早急に改善をはかってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
 そこで、暫定措置につきましては五点ございますが、これら五点につきまして、たとえば原料受け入れ荷役に伴う防じん対策としての荷役場の風防を行ない、集じん機の保守点検または故障に備えて複回路にする等々でございますが、この五点の緊急対策は全部実施いたしております。
 恒久対策としまして、原料受け入れの荷役室を密閉化して室内にダストの集じん機を設置するという点につきましては、各密閉建て屋を建設中でございまして、九月末までにはこれを完了することになっております。それから焼結工程粉じん処理対策といたしまして、全電気集じん機に、ミスコットレルを設置する、これも建設機械を発注しまして、納入が十月初句になりますので、中旬には完了することにいたしております。それから電気炉点検時の粉じん処理対策の強化につきましても収じんバグを設置するということで、これは今月末までには終了の予定になっております。それから排水処理の強化及びスラッジ処理対策として、スラッジ連続排出型の沈でん櫓及びPH自動調整装置を設置する。これらにつきましては、PH自動調整装置は七月末までに設置を終わる予定でございます。その他の点は十月までに検討を終わる予定でございます。それから工場内外の環境調査に自動測定器を考慮するということに伴いまして中和塔出口のSOメーターの設置、これは七月末の完了の予定でございます。着地点のSOメーター四カ所の設置、これは八月中旬にほぼ完了の予定でございますし、浮遊粉じん測定のためのハイボリームサンプラー四カ所設置、これは七月四日にすでに設置は終わっております。一応緊急対策、恒久対策は十月までには完了するということに相なっておるわけでございます。われわれといたしましては、これらの措置によりまして、今後のカドミウムの公害の発生防止に著しく効果をあげるというふうに期待しておるわけでございまして、御指摘の、現在四割操短いたしておりますが、この点につきましては、会社側からも県に対しまして、県の検査を受けた上で操短解除については相談するということにいたしております。県を含む第三者が実際の効果を確認の上で御相談するということにいたしておる次第でございます。
○杉原一雄君 それではいまの通産省の御答弁に念を押しておきますが、五つの点について企業の側では通産省の指導に従って一生懸命やっているのだ、平たく言えば、十月が来れば四割操短を一〇〇%動かすことができるのだという意味に理解してよろしいですね。
○説明員(本田早苗君) 四割操短を実施いたしておりますが、これを解除できる要件として恒久対策を処置しますので、その効果を第三者にも入ってもらって確認の上で操短ができるかどうかということを御相談したい、こういうことでございます。
○杉原一雄君 その第三者というのは主体は県ですか。それに第三者というのはプラスアルファ何ですか。
○説明員(本田早苗君) 県に対する回答としては、県の現場の検査を受けるということになっております。県としてはおそらく学識経験者等を入れて確認されると思います。
○杉原一雄君 となりますと、県の責任はきわめて重大になってきますので、今度は話が県が主体として作業を進めております防止条例になってくるのですね。自治省からどなたか……。あと厚生、通産に対する質問が若干残っておりますが、時間があれば述べることにして、公害防止条例の問題がきわめて重大でございますから、自治省にすでに連絡があったと思いますが、条例は六月の十五日の県議会で決定して自治省へ上がってきておるのですね、御承知でしょうか。
○説明員(立田清士君) いただいております。
○杉原一雄君 いただいておるわけでしょうが、十分に点検されまして、これは県民からざる法だという非難を受けておるのですが、ざる法ではありませんか。その辺はどうですか。
○説明員(立田清士君) 非常にむずかしい御質問でございますが、一般的に地方団体の条例につきましては、御承知のとおり、地方団体でいろいろ御検討の上自主的に御決定をしていらっしゃるわけでございますが、この条例についてもそういうかっこうで制定されておる性格のものでございます。内容につきましては公害防止条例、全般的な条例のきめ方につきましては、それぞれ地方団体の事情に基づきましてそれぞれの形があろうかと思います。が、拝見いたしました限りにおいては、通常他の府県においてきめられておるような方式と似通ったような方式になっているのではないか、こういうふうに考えております。
○杉原一雄君 その辺の最後のところのことばが引っかかるのですがね。世間並みということでそれが正しいということにはならないと思うのです。特にこの公害防止条例はいま初めてつくられたのではないのです。昭和四十三年に前ののができておって、そこで黒部の問題が大きくなり、イタイイタイ病の問題が大きくなったものだから、とれではいけないということで、県民の声が激しいので、県は最大の努力をされたつもりだと思いますけれども、しかし、結果的にはこういうものが出てきておる。ほかの県と比較して云々とこうなるわけですね。私はまあ実は前の条例ができたときにやはり相談にあずかった、公害対策協議会の委員としておりましたものですから。そのときの経過の中では、すみやかに公害担当の部局をつくれということと、公害の防止条例をつくれということを強調したのでありますが、部局はなかなかつくられないで、公害係をつくり、やがて公害課をつくって、いまどうにか知事部門の直轄何とかをつくるようなところまで前進をしてきているわけです。防止条例につきましては、これは当時私が主張をしていたときは十六県しかつくられていなかった。でありますから、当時の知事がほかの県にも負けない、もっとりっぱなすぐれたものをつくるからいましばらく時間をかしてくれということで、しんぼう強くがまんしていたところが、出てきたものはどの県よりも私は悪かったと思う。そこで今度の経験を経て、新しい案をつくるということになったものですから、それは県議会の中の与野党をあげてこれは命を大事にするような防止条例をつくり、企業をうんと規制をしていこうじゃないかということで、相当の情熱を傾けた討論をされたと私は理解をしております。ところが、最終的には結果的にこういうものが出てきたわけですが、この中の論争点は結局憲法問題なり地方自治法の問題なりがあったりして、法に違反するものをつくってはならないということが最大の理由になっているわけです。ところが、法をこえるものとか、違反ということの限界が自治省ではどういうふうに理解しているのか私は知りませんが、とのことが、たとえばこういうことなのですね。一つは、先ほど厚生大臣がなかなかじょうずに御答弁されましたが、私はあえてじょうずに、と言いたいのですが、それはこの経済との調整のところは、環境とのかかわりにおいて経済の調和をうたっているので、健康は別だ、健康は優先しているということをおっしゃるので、法の配列の基準から言えば確かにそうなっているし、文章のかかわりぐあいは確かにそうなっているのです。環境を整備するとか保全するとかいうことは何のためにですか。やはりもとをただせば健康じゃないですか。健康な生活でしょう。それとかかわりないとおっしゃるけれども、健康とはかかわりがあるので、環境保全の立場で第一条の第二項ですか、あると言われております。だから、県内で、議会の中はもちろん議会外においても、新聞紙等で論争されたのは、命を優先させるか経済を大事にするのかといろ問題で、経済の面はもはや条例の面から抹殺しろという意見が大勢を占めていたと思うのです。それで苦しまぎれに今度は公害基本法に何か云々というところにじょうずに逃げ込んだわけであって、でありますから、そのことをいま私端的に申しますが、私たちは直接署名運動をやって臨時県会を開き公害防止条例を改めろという運動をいまやっておりますから、十三日までに一万数千の署名が集まれば臨時県議会を開かせてわれわれの主張を県議会において十分問いますが、そんなことを皆さんにお話しても始まりません。ただ問題は、ここに新たに健康のほうを優先して書いて、経済の発展とか調和を抜きにしたらいけないのですか、どうですか。それは参事官、答えていただけませんかね。
○説明員(立田清士君) これは一般的に非常にむずかしい基本的な問題だとわれわれ思っているのです。ただし、私たち地方行政をやっております面からいきまして、公害行政というものは一つの地方行政における一つのその地域における問題として把握をしていく必要があるというふうに、いま地方行政の立場ではそういうふうに考えているわけでありますが、その場合において、やはり公害対策というものは住民の福祉ということを優先的に考えていく必要があるのじゃないか、そういうふうに考えております。
○杉原一雄君 参事官のお答え、たいへん私わかりにくいのです。優先するということは、要するに私たちがいま考えているように、第一条の経済の調和発展とかいうようなことを、進歩とか調和とか、くだらないことを言わないで、どんずばり、健康中心の防止条例、生活を守るのだということで書きかえていくことは妥当であるかどうか、答えてください。いいですか。
○説明員(立田清士君) いま具体的なこの条例については私らのほうでこうだということはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、一般的に、いまお話しのように、前回の四十三年の富山県の防止条例におきましては、いまの御指摘のような点が文言上書かれておったわけでありますが、今回拝見いたしますと、この条例自体は、前の条例と違いまして、やはり県民の健康の保護あるいは生活環境の保全ということを正面にはっり出しておられる、そういうふうに私たちは考えております。
○杉原一雄君 ちょっと待ってください。そういう意味に出ておりますか、あなたのおっしゃっているように。どうなっているのですか。公害対策基本法云々と書いて、そこのところで経済の問題がからんでいるような説明をしているわけですが、いいですか。これは文言がそのまま出ておらないからそれでいいと解釈していいのですか。そうなると今度は厚生省に私論鋒を向けますが、あなたの解釈でいいですか。
 それでは厚生省どうですか。きょうは大臣が公害基本法の欠陥を若干指摘したのだけれども、指摘しながらもなかなか明確にしなかったところは、第二項と第一項のかかわり合いの問題です。厚生大臣の答弁をあなた方は否定したり修正したりすることはできないと思いますが、あの解釈で統一されているのですね。その点もう一ぺん聞きましょう。
○説明員(城戸謙次君) 大臣から御説明申し上げたとおりでございまして、人の健康の保護という面と生活環境の保全と二つの目的がございまして、健康の保護の面につきましては経済との調和条項はかかっていない。生活環境の保全につきましてだけ経済の健全な発展との調和をはかられるようにする、これが基本法の第一条の目的でございます。
○杉原一雄君 それはあたりまえのことですよ。健康と生活環境はどういう関係にありますか。そんな論理ぐらいわからないことはないでしょう。はっきりしてくださいよ。
○説明員(城戸謙次君) 私申しましたのはその趣旨を申し上げたのでございまして、大臣がお話ししましたのは、そういうようなことになっているけれども、厚生省としましては経済の調和条項というものはいろいろな誤解を招くもとになっているのではずしてもらうよう、政府部内で検討を申し入れている、こういうことでございます。
○杉原一雄君 それで、これはどこの省との関係があるのかわからぬけれども、大蔵省におった村上さんが、四月の上旬から五月の上旬まで、フランス、オランダ、西ドイツ、スエーデン、イギリス、アメリカ、OECD事務局を訪問して帰ってこられたわけですが、その調査報告、いわゆる社会開発調査団の報告書がもうまとまっていると思いますし、この報告を受けて、特に厚生省あたりは一番関係の多いところですから、この報告書から学んで、もう予算編成期の過程に入っておりますから、四十五年度にはこのことだけはこの報告書の中から得たヒントでがんばろうということなど決意を明らかにされますことがありますかどうか。もしあるとすればお伺いしたいのですが、それは特に公害基本法との関連において私は聞きたい。一体今日までの日本の公害に対する関係省庁の態度、姿勢の中に基本的な問題がある。いま第一条の解釈の中にもある。大臣の答弁の中にもある。このことが明確にならない限りは、公害対策などという問題は一歩もとは言わないけれども、大きな展開は望めないんじゃないか、私はこう考えております。でありますから、いま端的に、村上調査団の報告の主たる内容と、これを受けとめた厚生省の反応というのですか、特にそれが来年度の公害対策に関する政策上の何か一歩手がかりになっているものがあるかどうか、お聞きしたいわけです。と申し上げるのは、この間わが党の加藤調査団が東洋エチルの南陽工場の調査に行っているのです。会社の工場長とのやりとりの中で、工場長は、そのような危険な四エチル鉛、四メチル鉛の生産をやっている、このことが自動車の排気ガスと非常に関係がある一わけですから、どうでしょうか、おやめになったらいかがですかというようなやわらかい要求をしたところが、いやまだまだ自動車の規制がどんなに行なわれても、国内需要は減るととはありません。もしまた減るようなことがあれば、それは東南アジアに輸出します――別な表現をすれば、そういう毒素を持っている公害を東南アジアに輸出するというわけです、ということを平気で言っているわけです。私は、企業家ならこら言うのはあたりまえとは言いませんけれども、それはほんとうの本音だろうと思います。だから経済との調和その他の問題というのは、こういうかかわり合いにおいては、公害政策を進める皆さんの立場においてこのことをふっ切らなければ、私はやはりこういうような問題はまだまだどっかに起こっていると思います。今後とも起こり得ると思います。私も火力発電の煙の下にいますが、これはまだ顕著には出てきておりませんが、竹が枯れました、枝木がぼつぼつ枯れ出したから関連があるんじゃないかというような住民の声がぼつぼつ出てきております。老人が春になるとからだがかゆくなるという問題もあります。これは取り上げるところまでいっておりません。調査などにはまだ出ておりません。でありますから、こういう関連も出てくるので、だから問題は、やはり産業、企業との関係、特に人間の命の問題等について明確な姿勢が厚生省なり通産省当局にない限りは、こういう問題が連鎖反応的に起こってくるように思われてしようがない。これは私の悪い推測かもしれません。しかし、いま申し上げた村上調査団との関連において、第一条の問題を含めてもう一度答弁を伺いたい。
○説明員(城戸謙次君) 厚生省では、現在省の中に事務次官を長とします公害対策連絡会議というものを設けて、省をあげまして公害対策に当たっているわけであります。実は、村上調査団につきましては、来週火曜日に村上団長みずからおいでいただきまして、いろいろお話しいただく。今後の公害対策、法律改正の問題もございますし、予算の問題もございますし、新たに取り入れていけるようなものがあれば取り入れていったらどうかということで、来週の火曜日にそういう会合を持つようになっているわけでございます。
○理事(小野明君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(小野明君) 速記を始めて。
  この際、参考人の方々に一言あいさつを申し上げます。
  本日は御多忙中にもかかわりませず、本特別委員会に御出席をくださいまして、まことにありがとうございました。ただいまから、それぞれのお立場の各位に若干その実情をお伺いをしまして、調査の参考に資したいと存じておりますので、よろしく御意見を御発表いただきたいと存じます。
○小平芳平君 初めに小林先生にお尋ねしたいのですが、お米のカドミウム汚染につきまして、厚生省は暫定対策の玄米〇・四PPMというものを従来設定しておりましたが、今回新しい基準として、白米〇・九PPM、玄米一・〇PPMというものを発表いたしております。で、午前の委員会でも厚生大臣に質問をいたしましたが、その答弁だけではとうてい納得のいく答弁ではなかった。とのように考えております。
 この問題が新聞に報道されたときに、小林先生の談話が多くの新聞に載せられておりますが、科学的根拠に疑問を持つというような趣旨の談話が多かったように思いますが、先生の忌憚のない御意見を最初に承りたいと思います。
○参考人(小林純君) ただいま、厚生省が以前は〇・四PPMをもって暫定的な基準としておられましたが、最近急にそれを基準を引き上げられまして、白米は〇・九PPM、玄米は一PPMというふうにお引き上げになったわけでございます。
 私は、実はこちらへ参りますまで、そのどういう根拠によってそういうふうになさったかということを知らなかったのでありますが、けさほどこの厚生省がお出しになっております印刷物を拝見いたしまして、一つは黄色い表紙の「要観察地域におけるカドミウムの摂取と蓄積に関する研究、昭和四十五年三月三十日、日本公衆衛生協会」それからもう一つはガリ版刷りになっております「カドミウム環境汚染要観察地域に関する四十四年度研究・調査の要約および厚生省の見解と今後の対策、厚生省公害対策連絡会議、厚生省環境衛生局公害部」この二つを先ほどずっと大急ぎで読ましていただきました。
 で、どうして基準が急にあのように引き上げられたかという根拠をさがしてみたのでございます。そういたしますと、このガリ版刷りのほうの二一ページに、注の一というのがございまして、それがどうもその根拠らしいということになります。この二一ページの注の一を拝見しますと、この刷り物の前のほうに図の五というのがあります。それから先ほど言いました黄色いほうの印刷物ですと、一番裏の表紙に図の十というのがございます。この図の十と、それからこのガリ版刷りの図の五というのは、同じものらしく受け取れました。問題はこちらの黄色いほうでいきますと、図の十ですが、一日当たりカドミウムを住民が何ミリグラム摂取した場合に、その尿中に何ミリグラム排泄されるかというその関係を図にしたものがこの図でございます。この図で拝見いたしますと、非常に散らばりがありまして、斜めに線が引っぱってはありますけれども、いろいろの点がこの線の上につながっておらない。極端な例といたしまして、このずっと右の一・二ミリグラム・パーゼロと書いたその上のほうにかけじるしがございます。これはもう、この斜めの線からいいますればずいぶんとはずれた位置にあります。こういうふうに線からものすごくはずれたものをも含めまして、そしてこういうぐあいに、ごく少数のデータからこういう関係線を導き出されておるわけでございます。しかもこれは、中をちょっと拝見しますと、ある一日だけのカドミウムの摂取量を食物について調べた。それから、同じその日に小便から出たカドミウムを調べたというわけでございますが、その日に食べたカドミウムがすぐ直ちに小便に出るわけではありませんでして、当然時間的なズレがございます。それを無視して、同じ一日にカドミウムを幾ら食べたらその同じ日に幾ら小便からカドミウムが出たという関係を示すわけの図でござます。ところが、今回の〇・九PPMをきめますにあたりまして、この図が非常な大きな基礎になっています。この図にものをいわせておきめになっているということがわかったのでございます。そのいろいろの計算の基礎が、こちらのガリ版刷りの二一ページの注の一にずっと計算が示してあります。ところが、私のほうで同じことを――私のほうでは、汚染地区の住民を六名、これは安中と富山の住民ですが、六名選びまして、一カ月間近く毎日毎日陰ぜんの食事を送ってもらいまして、これは萩野さんと高柳さんと二人にお願いしまして陰ぜんを送ってもらい、また大便、小便を毎日毎日送ってもらいまして、私どもでカドミウムその他の分析をしたのであります。ところが、私どものデータから見ますと、この図の十のようにならないのでありまして、この斜めの線がはるかに立ち上がって、非常に急な線となってまいります。そうしますと、一日にカドミウムをとった摂取量と尿から出た量の関係が、この図とはまるっきり違ってまいります。二倍からの開きが出てまいります。厚生省のこの図からいけば、なるほど一・九幾らPPMまではだいじょうぶだと、一・九四PPM、二一ページの下から二行目に一・九四PPMとありますが、こういう数字まではだいじょうぶだと。それで、安全度を見越して、その半分の〇・九PPMにきめた。こういうことになるわけでありますが、私どもの尿のデータからいたしますとそうはなりません。この関係した直線がこれよりも倍くらい急に立ち上がります関係で、ちょうど半分の値に出てまいります。ですから、厚生省でおきめになりました〇・九PPMの半分の〇・四ないし〇・五PPMというほうが正しいのじゃないか、こういう結論になってまいりまして、私は、前から厚生省が暫定的におきめになっておった〇・四PPMのほうが妥当ではないか、こう考えるわけでございます。その原因は、先ほど申し上げましたように、厚生省のほうでは一日だけ陰ぜんをつくってお調べになった。そのつくったものがその瞬間に小便になって出るわけじゃないわけですが、その瞬間に出た小便をお調べになって、関係ありとしてこういう計算をおつくりになった。そこに問題があるのじゃないか。しかも、非常に件数もわずかですし、それから非常にこういうぐあいに、とんでもないところにかけじるしがありましたりして、ただこれだけのデータをもってああいう重大な結論を導き出すというそういう計算には相当問題があるのじゃないか。まあこれは私のほんとうに感じたことを率直に申し上げまして、そういう感じがするわけでございます。ですから、私としましては、前々から厚生省でおきめになっておりました〇・四PPMのほらが妥当である。厚生省の今度計算なさったその計算は、むしろそういう結果になるのじゃないか。これは、摂取量とそれから尿の中のカドミウムの量の関係をもう少し正確に分析なさったならば、あるいは私のように一カ月ぐらい継続してお調べになれば、当然あのようなデータが出るのじゃなかろうか、こういうように考えております。
 それからまた、別の方面から考えまして、イタイイタイ病の重症患者が出ました神通川の流域の場合を考えてみましても、農家の保有米が一・九PPMはここではだいじょうぶと出ておりますが、私は、一・九、あるいはラウンドナンバーで言えば二PPMですが、この二PPMぐらいの農家の保有米を三十年間食べ続けたならば、神通川のあの悲惨な重症患者が出るのじゃないか。萩野さんはよく三十年のキャリアということをおっしゃっておりますし、それからまた私は、昭和十八年の神通川の汚濁が一番ひどかったときを見ております。また、その前後の模様を勘案いたしまして、農家の保有米は大体二PPMあるいは一・九PPM内外であったろうと、こういうふうに推定いたしまして、ただそれが三十年という長い期間のうちにたまりたまってああいう病気が出たのじゃないかということを申し上げたいと思います。
 それから第三番目としまして、先ほどの厚生省の計算では一・九四までがだいじょうぶと出たけれども、安全度を見てその半分の〇・九PPMをとったということをお示しになっておりますが、やはり国民の健康の総元締めであります厚生省としましては、危険性のある濃度の半分というよりは、四分の一とか五分の一におきめになったほうがいいのじゃないか。そうして住民の健康を守ったほうがいいのじゃないか、そういう感じがいたします。
 で、カドミウムというものはもともと有害無益なものでありまして、人体に何ら必要のない有毒物質であります。ですから、理想からいえばカドミウムの摂取量はゼロであることが理想でありまして、世界の中にはアフリカ人のようにカドミウムの摂取量がゼロという国民もありまして、じん臓や肝臓を見てもカドミウムが出ないという国民もありますね。不幸にして日本はカドミウムが非常に多い国でありまして、それも主食のお米が大きなその原因をなしておる。それから今度は、パンの原料にします小麦にしましても、オーストラリアとかカナダの小麦を私のほうで一度分析しましたところではカドミウムは検出されなかったにもかかわらず、日本のパン用の小麦からはカドミウムが出てまいりました。それからまたお米にしましても、いわゆる外米、タイとかビルマのそういったお米のほらが日本の米に比べてカドミウムは非常に少ない、こういう分析結果が出ておるのであります。ですから、いずれにしましても、カドミウムを非常にたくさん日本人は食べておる。そうして日本人の体内にカドミウムがたまっておる。そのことは、アメリカの人体の重金属の分析で私が昔十年前に習いましたテネシー大学のティプトン、この人が東京と京都大学から――東京のほらは大学ではありませんが、東京とそれから京都大学から人体を三十数名分取り寄せましてティプトン博士が分析いたしておりまして、その結果を見ましても、日本人の内臓にはカドミウムが非常に多いという値が出ております。ですから、そういったいろいろな意味でカドミウムの規制は厳重にしていただいたほうが日本人の健康のために、長生きのためにいいのではないか、こういうふうに考えます。
 それからもう一つの問題としまして、汚染米というのは全体から見れば非常にわずかな微々たる量であります。現在日本ではお米はもう不足しておらない。ですから汚染地区の明確な図をつくりまして、たとえば赤と黄と青で塗りつぶしまして、カドミウム汚染地区で赤に相当するところは農家に休耕をさせる。それから青に相当する非汚染地区の米を県外に、たとえば富山県ですと県外へ移出したならば富山県産米の信用は非常に高まってくる。それにもかかわらず、非常にこの基準をゆるめて〇・九PPMもあるような米を富山産米に混ぜ込みますと、結局富山県全体の非汚染米の信用ががた落ちになりまして、かえって富山県の不利になり、やぶへびの結果になるんじゃないか、こういうような感じがいたしますので、むしろそうやって休耕するなりなんなりしまして、厳重にその汚染米を選別しまして、そして汚染されない米だけを送り出すということのほうが国民の健康のためにも、またお米の主産地であるたとえば富山なんかにしましても、そのほらが有利でないか、こういうふうに考えます。ですから、何にしましても、このカドミウム汚染の問題は、企業がもっと早く取り組んで対策を立てておったならばこんな大きな問題にならず、企業の損害も、また住民の被害も少なくて済んだわけでありますが、かえってその公害対策がいままで怠られておりましたために、問題が大きくなって、企業のコストも高くなってしまったんじゃないか。早く対策を組めば企業のコストは安くて済んだんじゃないか、こういうふうに考えております。
○小平芳平君 この厚生省の基礎データがこういう性格のものだということがよくわかりました。
 で、次に重金属、たとえば砒素などとの相乗作用をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。カドミウムが非常に問題にされているときに、最近の新聞では安中、黒部の米から砒素が検出されたと、そのように報道されております。先生が直接安中、黒部の調査にもおいでになったようでございますので、その結果等がございましたらお述べいただきたいと思います。
○参考人(小林純君) 去年の岩波書店から「科学」というような雑誌が出ておりますが、その雑誌の六月、七月、八月で「イタイイタイ病の原因の追究」という題で三回連載しております。それをごらんいただきますと、カドミウムを単独、ネズミに与えました場合よりは、カドミウムのほかに亜鉛や鉛を加えたほうが相乗的な効果があらわれましてネズミの骨がよく溶ける。つまり骨軟化症になりやすいということを図をもって示してございます。で、そういうぐあいに、カドミウム単独で考えるよりもやはりほかの金属、たとえばカドミウムの出ます場合にはそれの数百倍の亜鉛が同時に出ておりますし、また鉛も非常にたくさん出ております。ですから、カドミウムだけを切り離して考える場合よりは、そういったいろんな重金属が重なって人体へ入ってきたときのほうが、人の抵抗力の問題からいっても被害が強く出る可能性があるんじゃないかと考えます。
 先ほどお尋ねのありました富山県の三日市製錬所ですか、あそこへ――黒部市ですが、あそこへつい先だって参りまして、いろんなサンプルを集めました。どろなんかはかなりの遠距離にわたりまして三百点ばかり集めました。それからまた粉じん、屋根やといにたまっております粉じんなんかも集めまして、いま分析を開始するところでございますが、実は大急ぎでちょっと定性的に調べましたところでは、あそこの屋根にたまっております粉じんには、カドミウムのほかに亜鉛と鉛と砒素とそれからマンガンとニッケルとモリブデンとバリウムとがたくさんに含まれております。で、すでにマンガンはどこかよその地区で粉じんに含まれておるというので、医学上問題になっておるところでございます。それからまた、砒素ももちろん有毒物質でありますから、粉じんとしてこれが降ってくれば、当然、人の呼吸器を通じてからだに入ります。それからまた、バリウムもこれはどういう化学形態であるかによって毒性が変わりますが、塩化バリウムのように溶解性のバリウムもあれば、〇・六ぐらいでたしか致死量になるというような私は記憶を持っておりまして、バリウムの化合形態によっては有害である。それからまた、お米自体もモリブデンなんかも吸い上げておるように見受けております。ですから、こういったいろいろな重金属をまき散らしておりますので、ただカドミウムだけ切り離して、これまではだいじょうぶだと言うていいものかどうか、やはりいろいろな点を総合しまして、かなりの安全度を見ていただいたほうがいいのじゃないかと考えます。
○峯山昭範君 ただいま聞いておりまして、まず第一点は、関連としまして、ただいまの厚生省の玄米のカドミウムの含有率を〇・四から一・〇に上げました、いろいろな問題をお伺いしたいのですが、何ぶんにも私たちしろうとでございますので、要するに、先生のお話をお伺いしておりまして感じましたことでありますが、この厚生省の資料は学問的に見まして、要するに計算の基本データも少ないし、実際問題間違っているといいますか、ちょっとおかしいのじゃないかと、端的に言いましてこういうことでしょうか、この点がまず第一点でございます。
 それから、実は午前中に九頭竜川の問題をやりましたのですが、これもあわせて、あまり時間がないそうでありますので、続けて質問をしておきます。九頭竜川の問題につきましては、実は先生も先般現地に行かれまして調査をされたように聞いております。実は、その一つは、分析の結果でございますが、特に問題になる点をお伺いしたいのと、それから私たちが現地に参りまして、特に九頭竜川の中でも私は和泉村だけを問題にしたいのですが、この和泉村には、まあ三・五ヘクタールのいわゆる農地がございまして、このお米はほとんどが自主流通米となっております。現地ではすでにイタイイタイ病の症状に似たおばあさん等も出ております。ぜひとも診察をさしてほしいと、こういうふうな要望も出ているわけでありますが、こういう方々のいわゆる結果が非常に心配になるわけでありますが、私はこういう方々は、和泉村の皆さんはできるだけ早く健康診断をしたほうがいいのじゃないかと思っておりますのですが、この点についてはどういうぐあいにお考えでしょうか。
 それから、現在でも私たち向こうへ参りまして感じますことは、シックナーの排水口からカドミウムが相当出ているのじゃないかということを心配しておりますのですが、ここら辺のところはどらでございましょうか。
 以上、何点か申し上げましたが、初めのお米の問題とあわせて御答弁をいただければ幸いと思います。
○参考人(小林純君) 先ほどのお米の問題はお話し申し上げましたとおりでございまして、例の図の十というのが、あれが〇・九PPMをきめる絶対的な基礎となっておりまするが、あの図は相当科学的に問題があるのじゃないか、こら考えております。あるいは尿の中のカドミウムの分析そのものについてもあるいは問題があるかもわからないと思いまして、大体厚生省さんのほうが尿のカドミウムが低い値が出ております。私のほうが商い値が出ております。同じカドミウムを摂取いたしました場合に、そういう場合に二倍からの食い違いが生じておるわけでございます。
 それからただいま御質問のありました福井県の九頭竜川の流域の鉱山の問題ですが、先ほど申し上げましたように、黒部市の公害を調査に参りました帰りに、公明党さんのお供をしまして鉱山をちょっと拝見したのであります。そうして、大体これはと思われますポイントを選びましてサンプルをとりまして、大急ぎで分析したわけでございます。それによりますと、いまお話のありました鉱山のシックナーの廃水の放流口から川に放流されておるわけでありますが、その放流口の直下にかなり比重の重い黒い砂のようなものがたまっております。これを分析しましたところがたいへんな量なんでありまして、カドミウムは一二六〇PPM、それから亜鉛は二三〇〇〇〇PPM、鉛は六五〇〇PPMといろまあたいへんな数字が出てまいったのであります。これはちょうど昭和四十二年度に厚生省のイタイイタイ病関係の調査団が神岡鉱山に調査に参りました際に上部放流口の北側の土に相当数の、二百何十PPMのやはりカドミウムを見つけ出したわけですが、あれとちょうど同じシックナーの出口にたまった土でございます。そういうぐあいに漏れておるということは、やはりシックナーの能力が足らない。現在日産千五百トンの鉱石を掘って粉砕して浮遊選鉱にかけておりますが、あの小さなシックナー一個で上澄みをつくって川に放流するということではとうてい無理であろう。私が行きました日は鉱山は日曜日で休んでおりましたが、もの一個増設しましてシックナーの能力をあげればこういうことは起きないだろう、そう考えます。それからその鉱山から少し下がりましたところで藤倉川というのが、この鉱山が沿っている谷川なんですが、それが黒谷という川と合流しますその直前の藤倉川の川底のどろを見ましたところが、カドミウムが三八PPM、亜鉛が三九〇〇〇PPM、鉛が一六〇〇PPMというふうにかなり高い川底のどろの分析を示しております。それからまた、その近くで水田が、和泉村と申しますが、その結局鉱山の下流にあります水田のどろ、これを見たわけでございます。私は目で見まして稲が黄化現象を起こしている。稲の下葉が黄色くなっておりまして、これはひどいなと思う水田からサンプルをとりまして見ましたところが、表層のゼロセンチから十センチまでの間のどろの平均値ではカドミウムが四七PPM、亜鉛が五〇〇〇PPM、鉛が五八〇〇PPMでありまして、さらにその下の十センチから三十センチの層は普通ならば表層より減るわけなんですが、この場合は逆に七二PPMのカドミウムを持っておりますし、亜鉛は六一〇〇PPM、鉛は六七〇〇PPMという非常に高濃度の重金属を持っていることがわかったのであります。ですから、この和泉村の水田は何とかしなければこのまま放置してお米をつくらしたのでは農家の健康のためにもよくないし、これは企業のほろに責任を持ってもらって、適切な処置をしてもらったほうがいいと、そう考えます。
○峯山昭範君 このいまの問題でもう一つだけございましたのですが、この和泉村のこの水田は先生見ていただいていま黄色になっておったという話でございましたが、ここのお米を食べている農民の皆さんですね、現在でもイタイイタイ病に近い方がいらっしゃるわけでありますが、健康診断等についてはやはり私たちは一刻も早くしたほうがいいのじゃないか、このように思っておりますのですが、この点はどうでございましょうか。
○参考人(小林純君) 稲の葉っぱが黄色くなっております場合は、相当カドミウムを持ったお米がとれますから、常食にして、保有米として食べておる人たちがあるとしましたら、そういった農家を健康診断したほうがよろしいと考えております。
 それから先ほど申し落としましたのですが、黒部市の周辺で、稲をひっくり返しまして耕作をやめております。ところがこの汚染の広がり方と、それから稲を刈り取ってやめてしまったその場所とが一致しておらない。まだ残っている場所に汚染の相当あるところがあるのじゃないか、それは稲の色合いなんか見ましてそういう感じがいたしましたので、特に北部の方向に向かいまして、まだ汚染地区が残っているという感じがいたしましたから、つけ加えさせていただきます。
○小平芳平君 それじゃ次に、松井参考人にお尋ねいたしますが、東邦亜鉛では四無作業といいますか、四無作業ということが掲げられていて、遠くから見てもよく目につく四無作業というのが掲げられているのを見かけるわけでありますが、この内容はどういう内容をお示しになっているのか、また、この東邦亜鉛としての公害についてのお考え、基本的なお考えを御説明願いたいと思います。
○参考人(松井郁一君) 松井でございます。お答え申し上げます。
 われわれ非鉄製錬といたしましては、従来も公害という問題については極力関心を持ち、努力を、防止の点について努力をいたしておったつもりでございます。そういった意味合いで、いま御質問のような無煙、無臭、いろいろそういう意味の四つの公害に携わる悪影響のあるものを防止したいということから、四無作業だということを従来から唱えておったわけであります。残念ながら昨今に至りまして、このわれわれの努力の中に十分至らなかったという点が二つございましたことを反省いたしておるわけであります。これはまあただいま小林先生からもお話がありましたように、カドミウムというものが非常に人体に影響するというふうなことが、これはまあ学界からいえばずいぶん早くおわかりになったかとも存じますが、残念ながらわれわれしろうとにはつい何年か前からそういうふうなことがまあ言われ、あるいは察知されたというふうな実情でございましたので、これに対する対策というふうな形においては十分にいかなかったというふうなことは率直に反省をいたしておるわけでございます。いま一つは、公害の施策がだんだん進みますにつれまして、従来排水口においての基準というものが、だんだん環境基準を維持するということに変わってまいりました点でございます。もちろんそういう事態にこれから対処いたします企業として、十分に公害の防止ということにつきまして全面的に努力をいたしていきたいという覚悟は十分いたしておるわけでございます。幸い、幸いと申しますか、私のほうは去年じゅうにこの改善工事というものを相当進める対策をこしらえ上げたのでありますが、御承知のごとく、いろいろ不始末をしでかしまして、去年じゅうはその設備の工事に着手することができなかった次第でございます。幸い今年の二月通産省のほらからも改善工事着手の認可が得られまして、それから緊急工事から引き続き現在改善工事を実施いたしておるわけでございます。第一期の工事はすでに完成いたしまして、結果も非常に良好でございます。引き続き第二期改善工事をいたしております。これも年内に完成をする予定でございまして、およそ総額で五億八千万程度の金を投じ、いま申し上げたように、改善、公害防止に万全を期したい、端的に申しますと、いままでの汚名を一挙に回復したいというふうな覚悟で現状進んでおりますわけであります。その改善工事の一つ一つについてはもし必要であれば書類で提出さしていただきたい、かように存じております。また、引き続きこの公害という問題になりますと、大体煙のほうと水ということになるわけです。製錬所のほうは煙と水で、いま煙につきましてはただいま申し上げたように、一期、二期と改善をやっておる。水につきましては昨年の四月に出ました基準に十分に合格するような形でおりますわけですが、いま一つ、従来からかなり問題になっております長崎県の対馬でございますけれども、これはいま申しました煙のほうは山でありますので問題はございません。水の点は、数年来一応排水を全部集中管理するような形においての態勢をとっておりまして、たしか二年ほど前だと存じますが、公明党の内田先生も御視察になっておられます。十分対馬特有の実情という本ものも御存じであり、御認識をいただいておるというふうに私は考えております。
 以上でございます。
○小平芳平君 個々の施設についてはまた機会をあらためてお伺いすることにいたしまして、きょうは時間が限られておりますので、ごく基本的な問題だけをお尋ねしたいと思いますが、要するに四無作業といいますのは、無煙、無じん、無臭、無悪水と、こういうわけでございますね。
○参考人(松井郁一君) はい。
○小平芳平君 にもかかわらず問題が起きたことについては率直に反省もし、万全を期したいと、このようないまお話がございましたが、どうも若干の出版物で見ましても「隠された公害」とか、そういうような要するに率直に反省し、万全を期すという姿勢でないじゃなかろうかというようなことを聞くわけでありますが、小林先生は直接現地へ行かれたようでございますので、もしそういうような点についてお気づきの点がありましたらお述べいただければ幸いと思います。
○参考人(小林純君) 私が昭和三十八年と三十九年に長崎県の対馬へ調査にあがりましたときはまだ東邦亜鉛のほうでこのイタイイタイ病というものを御存じなかった。ですから全くフリーな立場で何もかにも開放的に私は調べることができました。そしてその二度目の三十九年の場合には一番カドミウム汚染が前年度の下調査で激しいと思ったところへ萩野さんをお連れしまして患者を見つけ出したわけでございます。しかしながら、それを学会発表するにはタイミングが早過ぎる、というのは三井金属の問題がまだいろいろと解決点に向かっておらない。園田大臣が四十三年に初めてあれを発表なされました、ちょうどその時期をねらいまして四十三年の春、初めて対馬にもイタイイタイ病がおるということを萩野さんと私とで、連名で日本衛生学会で発表したわけでございます。そらしましたところ、そのときから急に対馬のほうでその反論が出てまいりまして、私がこの人とこの人の井戸にはカドミウムが非常にたくさんあったという報告をしておりますと、その井戸はすぐさまセメントでふさがれてしまう、それからまた、萩野さんがレントゲンの写真をその前年の三十八年、私が下調査に行ったときは神経痛で寝たきりの人がおったんですが、萩野さんと行きました三十九年にはすでになくなっておりました。しかし、その人のレントゲンのフィルムが協立病院という厳原町の病院にカルテと一諸に残っておりまして、そのレントグンのフィルムを私たちがもらって帰ったのであります。そのフィルムにはちゃんと協立病院の判この入った紙が張ってありまして、患者の名前もちゃんとありました。そのレントゲンのフィルムはあとでイタイイタイ病であるということの一つの証拠になるわけでありますが、ところがそのレントゲンのフィルムも、小林、萩野は死んだ人の墓から掘り返して持って帰ったんじゃないかと、あれは遺族がなくなったときにその病院からもらって墓に葬ったんだ、そういうような発言をされておりますことは、その後の朝日グラフの「イタクナイイタクナイ病」という記事にも出ておりましたし、それからまた、最近の鎌田という人の「隠された公害」にもその記事が載っておりまして、そういうぐあいにして、あるいはまた、この樫根地区、患者が出た一番カドミウムの汚染のひどいところですが、樫根地区の各鉱山の労組の人が回りまして連判状をもらって、自分のうちからそんな患者は出たことはないという連判状を労組がもらって歩きまして、その連判状のコピーを所長がおつくりになって、そうして所長のあいさつをそれに添えまして、そうして至るところに小林、萩野は患者がいたと言うけれども、この連判状のとおり何もなかったんだというようなことを宣伝なさっておられるわけであります。
 また、安中のほうに同じ――同じと申しますか、その学会発表いたしました四十三年に参りましたときには、その製錬所からさっそくヘルメットをかぶった人がオートバイに乗りまして私たちのあとを追っかけてまいりまして、どこから来たんだというようなことで、ほかの鉱山ですとたいてい中を見せていただきまして、ざっくばらんに私たちの考え方、それから鉱山のいろいろな対策を親しく御相談できるのですが、東邦亜鉛さんだけはとうとう一度も中を見せていただいたこともありませんし、とても近づけない状態にあるのでありまして、いま、先ほどからのお話を承りますと、最近ではそうでなくて反省していらっしゃるということですので、今後はひとつヘルメットをかぶった人に追い回されないようにしていただきたい、こういうように考えております。
 それから見た感じを率直に申し上げますと、安中の製錬所の場合には煙が問題になったことはよく皆さま御存じですが、水のほうの処理がまだ残っている。延長放流と申しまして高崎の近くまでパイプで地下を排水を導きまして碓氷川に出しておられますが、この延長放流が私は不完全であると見ております。そのためにこのカドミウム汚染は高崎市内を通り抜けてしまうぐらいまで遠距離まで水田にあらわれておりまして、高崎のかなり下手のほうの水田にまでカドミウム汚染が出ております。これは延長排水路と鉱山ではおっしゃっているようですが、この延長水路に欠陥があるというふうに考えますし、それからまた、あの製錬所が丘の上に立っておりまして、製錬所の直下の水田との間ががけになっておりまして、そのがけ下から水田のほうに向かって何カ所からも湧水が出ております。この湧水は相当重金属を持っているようでありまして、こらいったものの処理をはっきりとしていただきたい。そうすれば四無作業がだんだんとでき上がっていくんじゃないか、そういうぐあいに考えております。
 それから対馬なんかもほんとうは、そういうふうにしてお隠しになるからかえって「イタクナイイタクナイ病」だとかいろいろな出版物があらわれて、鉱山のお考えとは逆効果のあるような逆宣伝に使われてしまいますので、むしろガラス張りで対馬に患者がおるかおらぬか見てくれといって萩野さんなり、その専門の方に見ていただくような姿勢をとっていただいたほろが住民も喜びますし、企業のためにもそのほうが結局は有利である、前近代的な企業だというようなことを言われないほうが東邦亜鉛さんのためにも私はプラスになると、こう考えております。
○小平芳平君 やはり松井参考人にもう一つお尋ねしますが、この企業の秘密は秘密といたしましても、このような公害に関する調査研究などには、やはり進んで協力をなさったほらがよろしいじゃないか、住民の健康第一に考えていこうということは、それは企業の責任でもあると、このように思いますので、先ほどおっしゃったとおりならけっこうだと思いますが、そういう点秘密にし閉鎖的にして、かえってマイナスになるということが起きないような姿勢で取り組んでいかれるほらがよろしいのじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
○参考人(松井郁一君) ただいま会社の姿勢につきいろいろ小林先生からもお話がございましたが、全部われわれのほらでだれにも見せないというような形で現在までも企業として門戸を閉ざしておるというわけではございません。しかし、従来とってきた方法について、確かにいろいろ反省すべき点もあるわけでありますので、そういう点は今後十分にひとつ検討をいたすつもりでございます。なお、最近の状況は、先ほども申し上げましたように、第一期の改修工事も完了いたしております。それの結果もかなり良好な結果が出ておりますわけでございます。御視察を願えますれば、会社が懸命に努力をしておるという事態も実態として把握願えるのじゃないか。また同時に、小林先生から御指摘のありました一部の溢流水の問題は、現水路、これは農地との関係もございまして、その下の農地をある程度市なりの承認を得て買い上げなければなりません。したがって、その点で、ただいまも申し上げました、昨年中はいろいろ会社のミスからごたごたがございまして、なかなかその点も順調に進みませんでしたのですが、幸い一部は水路の補修も済んでおります。同時は溢流水は一ぺん全部ポンプアップをいたしまして完全に工場内で循環処理をする、使用するというふうな形をとるように現在改善工事をいたすわけであります。先ほど申し上げました一期、二期の中にその施設も入っておるわけであります。お含み置き願いたいと思います。
○小平芳平君 それではただいまお述べいただいた御意見に対しまして政府側に質問する時間がありませんので、次の機会にぜひ時間をお願いしたいと思います。
 次に、時間の関係で南部先生にお伺いいたしますが、水資源、この水質汚濁と水資源の保護、この点について長年先生は御研究なさっていらっしゃるようでございますので、総括的なこの水資源問題、特に本日は湖沼、湖、沼、ダム等についての保護対策というものについてお伺いしたいと思います。
○参考人(南部そう一君) 水資源というものを考えてまいります場合は、普通の河川というものを湖沼というもの、さらには、最近、海水の淡水化というようなことも出ておりますので、海水も含めて資源の問題は考えていくべきだと、こう存じておりますけれども、時間の関係もございますし、先ほどの御質問の湖沼というお話もございますので、湖沼というようなことからちょっと考えてみたいと存じます。
 河川というものと湖沼というものを見てまいりますと、これはかなり相違点があるわけでございます。結論から先に申しますと、水質汚濁というものに対しまして、湖沼というものは河川に比べて非常に弱いわけでございます。非常に体質的に弱いところを持っているわけでございます。そこで、湖の汚染の問題でございますけれども、湖の汚染というものは、われわれ富栄養価、栄養に富むというような呼び方をしているわけでございます。なぜこの富栄養価ということが問題になるかと申しますと、湖の中に栄養分が多くなりますと、それを栄養にしまして、プランクトンというものが多数繁殖をしてくるわけでございます。そうしますと、この繁殖いたしましたプランクトンの中に、われわれの水利用に対しまして有害なものが数多くあるということに問題が出てくるわけでございます。具体的には、たとえば観光地など参りますと、やはり水は透き通って、きれいということが基本的な条件になるわけでございますが、こういうプランクトンが異常に繁殖しますと、水の色どころか湖面が褐色になってしまうというような事態が起こってくるわけでございます。また、そういった富栄養価になりました湖を上水道水源に使おうというような場合、これを普通の砂ろ過とか、そういう水処理で処理しようといたしましても、プランクトンが非常に小さいものでございますので、通っていってしまうというわけでございます。そうしますと、そこを通っていく小さいプランクトンの中に、味とかにおいというものに問題のあるものがあるわけでございます。したがって、そういう場合、給水を受けた利用者のほうから、ちょっと水ににおいがついているのじゃないか、味がおかしいのじゃないかというような問題が出されてくるわけでございます。
 それともう一つ、これは今後考えていかなければならない重要な問題点と思いますけれども、そういうように湖の中にバクテリアといった生物が多量に存在しているということは、そこに重金属といったような危険な物質が入りました場合に、生物に濃縮されるという問題があるわけでございます。したがって、最近、湖の中での重金属の濃度が上がってきたというようなことが非常に注目されております。この場合、その上がってまいりました重金属の濃度というもの、これはまだすぐ危険というレべルには達していないと思っておりますけれども、それを正しく理解することは、その湖において、じわじわそういう重金属の蓄積が起こっているんだ、そういうように認識をして、今後に影響がないような対策を考えるというようなことが重要になってくるのじゃないか、こういうように考えられるわけでございます。そこで、こういった湖の場合は、栄養がふえて、プランクトンが爆発的に繁殖したということが汚濁としてあらわれてくるわけでございます。それじゃ、なぜ湖の場合だけにそういう問題が起こるかということを河川と比較してちょっと考えてみますと、河川の場合は水が流れております。流れておりますから、その水によって、放流されました汚水というものも十分に希釈を受けるわけでございます。湖の場合、われわれが湖に参りますと、確かに膨大な水の量がそこにあるわけで、貯水量といいますか、そういうものが目の前にはございます。しかし、現実に汚染物質というものを連続に放流いたしました場合は、そういった貯水量というものは、希釈がほとんどきいてこないわけでございます。実際希釈がきいてまいりますのは、そういった湖に入ってまいりますきれいな河川、きれいな河川といったものが本質的には希釈にあずかるわけでございます。したがって、そういうきれいな川の流入のない湖というものは、幾ら貯水容量が多くとも連続的に汚水が入りました場合は、希釈はきいてこないというように考えられるわけでございます。それともう一つは、湖は非常に大きいキャパシティ、容量を持っております。したがって、汚染物質、この場合は栄養物質になりますけれども、そういうものが入りますと、湖の場合、二月あるいは三月というような滞留時間がございます。河川の場合は三日とか四日と、非常に滞留時間のオーダーも違うわけでございます。したがって、湖の場合は非常に滞留時間が長いわけでございますので、栄養を利用してプランクトンが増殖するのに十分な時間があるということになるわけでございます。
 そういった関係で、まあこの二つが最も代表的な点でございまして、湖というものは河川に比べて非常に弱質である。したがいまして、対策を考えます場合にも栄養物質というものの除去というものがまずポイントになってくるわけでございます。栄養物質の場合、具体的には窒素とかあるいは燐というようなものが一番一般的でございます。ところが、この窒素とか燐というものは現在の下水道で行なっております――高級処理といっておりますが、活性汚泥法では、この窒素、燐の除去率が非常に悪いわけでございます。活性汚泥法というものはもともとこれは有機物の除去という点を目的に開発されたわけでございますので、窒素、燐に関しては非常に効果が悪いわけでございます。したがって、この湖の、こういう富栄養価というものを防止するためには、いままで行なわれていたような普通の下水道あるいは下水処理技術では対処し切れないという問題があるわけでございます。したがって、いままで行なわれておりました下水処理プラス窒素、燐を取るために第三次の、さらに高級な処理というようなことを考えていかなきゃならない。そのための技術開発の問題、あるいはコストの問題ということもあるわけでございます。
 さらにもう一つの対策としまして、湖に入ってくるのを全く遮断してしまうという方法もございまして、この方法は実はスイスのジュネーブにおいて実現をしております。で、御承知のように、ジュネーブにはレマン湖という湖がございまして、そこに従来はジュネーブ市の汚水が入っておりましたけれども、湖岸に下水パイプを引きして、都市から入ってくる汚水をそこで遮断しまして、レマン湖には入らないというような対策も立てられておりますので、今後は従来のそういった下水道あるいは下水処理場プラスアルファの強力な技術的なものもございますし、そういった投資の問題もございますが、貴重な湖沼の水資源を保護するためには、完全なやっぱりこの辺で装備というものを施さなければいけないんじゃないかというふうな感じがいたすわけでございます。
○小平芳平君 いま特徴についていろいろお話を承りましたが、具体的に諏訪湖あるいは最近報道されました芦ノ湖、これらの汚染状況――ちょっと時間が制限されていてたいへん恐縮ですが、これらの汚染状況、対策、それから諏訪湖、芦ノ湖等はもとより公害防止計画というものが長期に立てられないことには、こうした湖の場合は一たん汚れたらなかなか取り返しがつかない。これは瀬戸内海とか東京湾のような海でもそれが言えるし、やがてはこの地球上の海そのものが非常な汚染が深まったような場合には、たいへんな事態になるんではないかというふうにも言われるわけでありますが、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
○参考人(南部そう一君) 御質問の最初の諏訪湖でございますけれども、諏訪湖につきましては、四十年から三カ年にわたりまして、地元の協力を得まして私どもも調査研究の一メンバーとして参画さしていただきまして調査を行なったわけでございますけれども、諏訪湖は御承知のように、非常に大きな観光地でございます、また新産都市にも指定されておりまして、産業開発も進められているわけでございます。ところがこの諏訪湖自体は、これは非常に水深の浅い湖でございまして、深いところでも水深がわずか七メートル。平均で三メートルぐらいというわけでございますから、貯水容量というものから見ても、非常に入ってきます汚濁の付加量に比べて貯水容量というのは非常に小さいというようなことで、非常な深刻な汚濁の影響が出ているわけでございます。そして先ほど申し上げましたように、ここでは現実に春先に水面が褐色になってきておりますし、また、この新産都市ではメッキ関係の工場も立地しておりますわけで、重金属の蓄積などが大きな問題として取り上げられておるわけでございます。
 次に、芦ノ湖の問題でございますが、芦ノ湖もこれもやはり日本といいますか、われわれ日本人の観光地として非常に重要な場所でございます。で、実は昨日これの調査報告会が催されたわけでございますが、芦ノ湖の場合はこれは明らかに観光客なりその地域に住んでおります住民、まあ生活排水が主ということになるわけでございます。ただこの芦ノ湖の場合、ひとつ今回の調査でわかりましたことは、そういうふうに湖の汚染を防止するためには、どうしても下水道をつくらなければいけないわけでございます。ところが現実、下水道がないというわけでございます。現在下水道がないわけでございますので、家庭のいわゆるし尿というものが、これが汲み取りし尿として処分されている。したがって、一面では幸いなことでございますが、そういった湖の栄養のもとになるし尿というものが、現在は芦ノ湖には入らないかっこうで別に処理をされているわけでございます。そういうふうにして一部のし尿というものは芦ノ湖に入らずに処理されておりますけれども、そのほか観光地を相手にしました公衆便所等々は非常に頻繁に使われておりますので、こういう現状でもすでに富栄養価というものは進んでおるわけでございます。そこでどうしても下水道の対策をしなければならないということで、下水道の施設を考えますと、当然水洗化をやるということになりまして、いままで別系統に持っていったし尿もその下水道の系統の中に入ってくるという問題が出てくるわけでございます。そうしますと窒素、燐というものを除去するのに、現在の技術では十分いってないというわけでございますから、ただ普通の下水処理ということをやったのでは、かえってさらに富栄養価をふやすということになってくる。したがって、下水道をつくったあと、さらに先ほど申し上げましたような、さらに高級の処理をプラスする。あるいはもう完全に芦ノ湖とそういう汚濁源を遮断するために、パイプで芦ノ湖以外に持っていくという方法を考えていかなければならないのではないか。こういったいままでとスケールの違う大きな対策を考えていかなければならないんじゃないかという結論が出たわけでございます。
 それから最後にたいへんむずかしい問題の御質問をお受けいたしましたわけでございますけれども、私、まあ環境保全関係のエンジニアの一人の意見としてお聞きいただければ幸いでございますけれども、現在確かに科学技術というものは進んできておるわけでございます。しかし、科学が幾ら進んでも、自然を完全に克服することはできないのが基本的にはわれわれにはあるんじゃないか。そういう自然というものを考えない技術開発というものが、こういった非常に深刻な公害問題を起こしているんじゃないか。そこでやはりこの段階で自然との調和というものをはかっていかなければならない。その自然との調和をはかっていくのに、一体どういうふうに、技術ももちろんでございますけれども、もう一つ国全体の基本的計画といいますか、環境保全のための何か基本計画というものを、もうこの辺でやはり考えていただくことが必要じゃないか。実は昭和四十一年、米国の科学アカデミーでもこういう問題について議論が行なわれておりまして、環境制御という関係のレポート、非常にりっぱなレポートでございますけれども出ております。やはり科学技術、非常に進歩した科学技術というものと自然との調和、そういうものをはかって、やはりさらに目標としましては百年とか長期の見通しを立てた計画が必要になってくるんじゃないか。それは、そういう非常に長い期間の計画というもののもう一つの意味は、先ほどもいろいろ話題に出ておりました重金属問題は、じわじわじわじわわれわれの健康におおいかぶさってきているわけでございます。
 そこで、いま簡単にこれをゼロにすることは非常にむずかしい問題があると思いますけれども、十年先、つまりわれわれの孫の時代に安全になるには一体どういうふうなことを考えていかなければならないか。で、百年先のことを考えますと、おそらく、今後、こういうものを出す企業というものは、もう生産をストップすべきだというような議論も、百年先という長期なところの議論だったらできるのではないか。五年とか十年とかというところの議論では非常にむずかしい議論になると思いますけれども、百年先の議論ではそういう議論もできるのではないかというような感じがいたしまして、ぜひこういうような基本計画のための何らかのアクションを起こす必要があるのではないかと感じております。
○理事(小野明君) それでは小林、松井、南部参考人の方に申し上げますが、貴重な御意見を開陳をしていただきまして、ありがとうございました。皆さん方の御意見を参考にいたしまして、今後、十分に検討をいたしたいと存じております。
 本日はどうもありがとうございました。
○須藤五郎君 参考人においで願いました赤澤先生は、いわゆる東京の牛込柳町における鉛公害の発表をされ、大きな問題を投げかけられ、鉛公害について全国民の関心を高められた方だと存じておりますが、赤澤先生に鉛公害について先生の御意見をまず聞かしていただきたい、こういうふうに存じます。
○参考人(赤澤潔君) 私どもは、先般、新聞紙上をにぎわしました柳町の公害につきまして、いろいろ調査してまいりました。私どもは、自動車の排気ガスというものは、一般的には一酸化炭素だとか、あるいは窒素化合物、あるいは炭化物というものが問題になっておりましたけれども、いままではこういう一酸化炭素やその他の化合物の人体内に対する影響というものはなかなか化学的分析できなかったわけであります。ところが、私どもは、この排気ガスの中の鉛、特に重金属であります鉛について、今回、人体内の蓄積を調査いたしまして、それを発表したわけでございます。
 これは、私どもがいままで二年余にわたりまして、大体、印刷工場ですね、鉛を職業とする印刷工の、労働者の診断、それから管理、治療、こういうふうな仕事を二年有余にわたってやってまいりまして、延べ二千名の方々の調査をやってまいりました。こういう中で、私どもは、この人体内に蓄積されている鉛というものは非常に有害なものであるということをはっきりと立証してまいったわけでございますので、今回の柳町の検診の結果を見ますと、労災基準――これは、ほんとうは住民の方々は労災基準に適応するかどうかということも医学的には非常に問題があるわけでございますけれども、労災基準に該当するものは十三名もおった、これはゆゆしい問題であるというふうにして、私どもは問題を提起したわけでございます。
 ところが、都の、美濃部都政のもとで、都の公害研ではさっそくこの気中鉛を測定いたしましたし、続いて都の衛生局では、私どもの検診のあとに続きまして検診をされたということは、たいへん私どもは医学者として敬意を表しておるところでございますけれども、この調査結果についてはいろいろ私どもも疑点を持っております。しかし、ここでは、特にその点には触れたくないと思いますので省略いたしまして、やはりこの鉛が排気ガスから大量に出て、それがしかも人体内に蓄積されている。ところが、厚生省のほうでは、さっぱりこの調査をしておらない。都のほうは積極的に取り組んだけれども、厚生省は何もしていないということは、私ども医療従事者にとってははなはだ遺憾に思っております。もっと積極的に、東京都と同様に、積極的な姿勢を示してほしかったというふうに考えております。私どもはこの排気ガスの中で特に鉛、鉛でも無機鉛、これは御存じのように、酸化鉛だとかあるいはハロゲン化鉛と称しております蓚化鉛、塩化鉛、こういうものが出ておりますけれども、それ以外に有機鉛として四アルキル鉛が、これはいろいろデータによって違うのでありますけれども、アメリカの、これはガソリンのほうの、産業界のガソリンのほうの調査によりますと、排管から出ている有機鉛ですね。つまり四アルキル鉛は二%から二〇%の幅を持って出ているというふうに報告されております。そういたしますと、私どもは、無機鉛であります大気汚染の状況というのは都の公害研が発表されておりますけれども、有機鉛については全然調査されておりません。こういうものはおそらく住民の方には有害な作用を及ぼしているんではないか、私どもはいろいろな自覚症調査などをいたしますと非常に神経症状の訴えが多いわけでありますので、これはそういう影響を受けているのではないか。しかしながら、現在のところ、いまの医学ではなかなかこの有機鉛、四アルキル鉛が人体内にどういうふうに影響しているかというのがあまりはっきりしておりませんけれども、四アルキル鉛そのものについての毒性はすでに赤塚教授によっても発表されております。これは神経毒でありますので、いわゆるこれの中毒にかかりますと狂い死にをするというふうな報告例が何例もございます。最近では昭和四十二年にぼすとん丸事件というのがございまして、これはアメリカから四アルキル鉛の原液を積みました船が大しけにあいましてドラムかんが破損をしまして、これでもって清掃した人が八名狂い死にをして二十名が中毒をしているという、そういうような報告がございましたように、この四アルキル鉛というのは非常に有害な重金属である、重金属を含んだ液であるというふうに考えております。私どもはそのためにこの排気鉛の中では特にこれを今後調査していく必要があるんではないかと思います。
 それから私どもがいままでやってきました調査についていろいろ新聞でもあるいは週刊誌などでも私どもの調査が非常にあいまいなんじゃないか、ひどい中傷では、容器が十分に処理されないで使っているんではないかというふうな、はなはだ中傷的なことばも聞いておりますけれども、私どもは少なくとも二年半にわたりまして印刷労働者の鉛の検診をいたしております。こういうことは、まことに医学的に言っても常識でありますので、こういうことに対する反証は幾らでも持っております。ですから、そういう疑念を持つこと自身が非常に遺憾だというふうに私ども医学者として考えております。
 それから一方、この鉛を私どもとしては現在の時点で、いわゆる典型的な鉛中毒の症状を呈してないから鉛中毒はないんだというふうに発表されているようでありますけれども、私どもはそういう典型的な中毒症状を呈してしまえば、これはイタイイタイ病あるいは水俣病のように犠牲者が出てからこれを問題にするというのは非常に遺憾である、われわれ医学者としてはそういう犠牲者の出る前に大きな忠告を与えて、人間に少なくとも有害であると思われるものは一刻も早く取り除いていただきたいというのが私どもの念願であります。そうして私どもの使命でもあると思います。私はそういうことを提案いたしまして、いままでの私どもの調査を簡単に報告いたします。
○須藤五郎君 お医者さんの御意見を伺ってますます私たちは鉛公害の重大性を感ずるわけですが、氷川下病院はその後人体内の鉛の検診をされておるということを伺っておるのでございますが、その測定結果が判明しておりましたらひとつここで御提示願いたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○参考人(赤澤潔君) 私どもは、その後文京区で十四カ所にわたりまして追跡調査をいたしております。この詳しい結果につきましては、本日私どもの医師団が記者会見をして発表することになっておりますので、この席上ではこまかいデータについては申し上げられないのでありますけれども、私どもは今回は対象地点をとりまして、そしてあとは交通渋滞のひどいところあるいは交差点周辺、あるいは自動車道路に面している部分を選びまして、大体百四十一名の方について調査いたしております。
 その概括を申し上げますと、対象地点の方は非常に血中の濃度並びに尿中の濃度は正常な状態でありまして、交差点並びに道路周辺の方は有意の差を認めております。すなわち鉛の蓄積が非常にあるということをここで申し上げたいと思います。
○須藤五郎君 ここで発表願えないのは残念でございますが、きょう何時に病院で御発表になるのですか、伺っておきたいと思います。
○参考人(赤澤潔君) 今晩六時には発表いたしたいと思います。
○須藤五郎君 じゃ、ちょっと赤澤先生にお待ちを願って、厚生省に少し質問いたしたいと思いますが、鉛公害源であるガソリンヘの四アルキル鉛添加の規制についてお伺いしたいと思いますが、毒物及び劇物取締法のほかに規制する法律はあるのかどらかということと、この取締法は猛毒の四アルキル鉛についての労働衛生上の規制に限られておるのかどうか、それが一点です。
 三つ続けて申し上げますから、答えてください。
 それから加鉛ガソリンが自動車燃料タンクに注入されたあとの蒸発ガス、エンジンからの排出鉛についての規制はしておるのかどうか。もしも規制しておるとするならば、所管省は一体どこなのかということ。それが第二点。
 第三点は、自動車のガソリンによる鉛公害を防ぐためにガソリンヘの加鉛量の検査が私は必要だと思いますが、どこの省が実際に検査をするのか。
 その三点をまず伺っておきたいと思います。
○説明員(城戸謙次君) ただいまの第一点でございますが、法的には現在のところは毒劇法の以外といたしましては大気汚染防止法でもし自動車排出ガスの中に鉛を規定しますれば、それに対応いたしまして十九条の許容限度をきめるということで対応できると思うわけでございますが、まあ問題は運輸省のほうで、現在は測定法が非常にむずかしいというようなこと、それからそのための装置等も問題があるということでございますから、私どもの考え方としましては、必要があればむしろガソリンの中の成分あるいは添加物の量を規制する、かようなぐあいに法律を改正すればいいんじゃないかという考え方を持っております。
 それから第二点の加鉛ガソリンの蒸発する場合のガス規制でございますが、これにつきましては現在は規制は行なわれておりません。行なうとすれば、これは運輸省のほうでお考えいただくという問題だと思います。
 それから第三点の加鉛量の問題でございますが、これはどこのどういう立場でやるかでございますが、たとえば毒劇法の立場でやるといたしますれば、私どもの省の薬務局のほうの所管でやることになると思います。
○須藤五郎君 そうすると、第一の質問に対しましては法的なそれがないから法を改める必要がある、法をつくる必要があるということを厚生省では認めた、はっきり。そうですね。
 それから第二の問題は、蒸発ガスとエンジンからの排出鉛については規制はしていない、そういうことですね。もしも規制するとするならば、その所管省は運輸省であるべきだと、こういう御意見ですね。
 それから第三問ですが、自動車ガソリンの鉛公害を防ぐための加鉛量の検査をやるとするならば、運輸省がやるべきだと、もう一ぺんちょっと……。
○説明員(城戸謙次君) ただいまの第一点でございますが、これは御指摘のとおりでございますが、前提としまして十九条の許容限度をつくる、その場合に測定ができるかどらかという問題と、それからもう一つ、そのための道路運送車両法に基づく政令で規制をする、その場合に除去の装置ができるかどうか、この二つの点が満たされれば、現行法でも運輸省のほらでやっていただくことができるわけでございますが、この点、もし非常に問題であるということでございますれば、むしろガソリンそのものを規制するということでなければいけないわけでございまして、そうなれば十九条の法律改正が必要だということでございます。
 それからいまの第三点の関連でございますが、これにつきましては先ほどもお話しございましたように、現在の法律体系としましては、毒劇法というのが法律的な裏づけの唯一のものでございますから、したがって、それによる加鉛量の検査はその体系でやる、それは厚生省の所管である、そういうことでございます。
○須藤五郎君 話を聞いていると、非常に規制について不十分である、またちゃんと整っていないということがわれわれ受け取れるわけですが、そういうことではいま問題になっておる鉛の公害をなくしていくということは非常にむずかしい、とうていできないのじゃないかと思うのですが、いま厚生省の答弁に対して、運輸省はもしも意見があるならば運輸省の意見も伺っておきたい。
○説明員(隅田豊君) 意見と申しますとあれでございますが、一応運輸省の立場から補足をさしていただきたいと思います。
 ただいまの第一点の鉛の排出規制の問題でございますが、ちょっと技術的な問題になりまして恐縮でございますが、自動車の燃料の中で現在添加物として鉛の化合物が入っているわけでございますが、これは鉛の成分と申しますものは、自動車の初めに入っておる形のものは燃焼の状態で化学的な物質としては変わっているかもしれませんが、鉛そのものは入ったものは最後までそのままで出てきます。その意味では、ほかの普通の一酸化炭素だとか炭化水素だというような、ほかの公害の対象になっております汚染ガスと違いまして、エンジンそのものに何らかの対策を施してこの鉛を出ないようにするということは、技術的におそらく不可能だろうと思います。少なくとも現在までの技術では不可能でございます。そういたしますと、やはり基本的な対策としては何とかして鉛を入れない、鉛の入っていないガソリンを使う、あるいはまた非常に鉛の少ないといいますか、ガソリンを使うという手を講ずるほかしかたがないだろうと思います。私たちの現在講じました手段といたしましては、
  〔理事小野明君退席、理事中津井真君着席〕
 実際上自動車の設計上のねらいよりも、どちらかと申しますと、鉛のたくさん入ったいわゆる通常ハイオクタン価ガソリンといっておりますものが普通非常によく使われておりますので、行政指導といたしまして、それほどハイオクタンのガソリンじゃなくても十分使用に耐えるということが明らかになりましたので、そういう点で鉛成分の少ない燃料を使うようにということを一般ユーザーに行政指導をしているというのが、現在の状況でございます。
 それからさらに燃料のほうは通産省の所管でございますので、そちらのほうにいろいろと鉛の入らない燃料をひとつつくってもらいたい。それから自動車メーカーのほうでも、それでも十分実用に耐え得るエンジンをできるだけ早い時期に開発しろということを、通産省と共同いたしまして行政指導をいたしておりますのが現在の状況でございます。
○須藤五郎君 厚生省に尋ねますが、ガソリンヘの四アルキル鉛の混入量の規制、これは当初一ガロンにつき三立方センチメートルであったのが、昭和三十年九月に一リッターにつき一・三立方センチメートル、すなわち一ガロンにつき四・九二立方センチメートルに引き上げられておりますね。これはどういう根拠によって引き上げたのか。毒劇物取締法というのは、第一条によりますると、保健衛生上の見地から制定された法律だと私たちは理解しておりますが、加鉛量引き上げの保健衛生上の根拠ですね、それを示してもらいたいと思います。
○説明員(山高章夫君) ただいまの先生の御質問にお答え申し上げます。昭和三十年に四アルキル鉛のガソリンに対する混入の率を変えましたのは、ちょうどそのときに航空機用のガソリンの国内生産が始まった、そのために改正したということでございます。
  〔理事中津井真君退席、理事小野明君着席〕
○須藤五郎君 それは何によってそういうことをしたのですか。それで保健衛生上差しつかえないという見解でそういうことをしたのですか。どうも保健衛生上の見地からいうと矛盾しているように思うのですが。
○説明員(山高章夫君) ただいまの御質問でございますが、毒物及び劇物取締法は、ものの急性毒性に着目しまして、その取り扱いを規制するという趣旨のものでございまして、加鉛ガソリンは毒物あるいは劇物にはなっておりませんで、毒物を使用した結果できたものであるということになっているわけでございます。そうして加鉛ガソリンの急性毒性の点につきましては著しく高くないという判断がございまして、航空機用ガソリンの国内生産の開始と同時にそういう措置をとらせていただいたわけでございます。
○須藤五郎君 私が言っているのは、毒劇物取締法の第一条の精神と、いま言っている航空機ガソリンが必要になったから、毒劇物取締法の政令五条によって四・九二までは使ってもいいというふうにしたのでしょう。それをそういうふうに変えたのは、保健衛生上の見地からいったら、この毒劇物取締法の第一条の精神に反するのじゃないか、こういうことを私は言っているのですよ。だからそういうふうに変えた法的根拠はどこにあるのか、こう言っているのです。法的な根拠はないでしょう、これは。どこにあるのですか、法律は。
○説明員(山高章夫君) おっしゃるとおり、毒物及び劇物取締法は、保健衛生上の見地から毒物及び劇物とされているものの取り締まりを行なっていくというのが制定の趣旨でございます。しかしながら、との毒物及び劇物を用いましてほかのものをつくった場合には、それは毒物あるいは劇物でなくなる。加鉛ガソリンは毒物あるいは劇物でない。ただ特定毒物としまして四アルキル鉛を混人するについて、四アルキル鉛の使用について混入の率をきめているという法律でございます。しかも、できました加鉛ガソリンについては、この法律で取り締まりを規定しておりますような毒性あるいは劇性の点からいきますと、そこまでには至っていないということで、航空機用ガソリンの国内生産に合わせてこれを変えたということでございます。
 なお、自動車用のガソリンにつきましては、これは混入率の最高限をきめて押えておるわけでございますので、従来どおり〇・八CCパーリッターで自動車用ガソリンは行なっていくようにという通牒で指導しているところでございます。
○須藤五郎君 あなたの答弁おかしいですよ。こんなことをいつまでもやっている時間ないですけれども、毒劇物取締法の第一条の精神によると、加鉛量を三立方センチメートルから一ガロン当たり四・九二立方センチにするということは、この毒劇物取締法の第一条の精神に反することなんでしょう。そうして四アルキル鉛が毒物だということははっきりしているのですよ。その毒物をどの法の根拠によってそんなにふやしたのか、それは第一条の精神に反しているのじゃないかということをぼくは言っているのです。そういう重大なことをやるのならば、やはり法によらなければできないことだと思うのですよ。それをどの法によってそういうことをやったのか、こういうことです。かってにそんな毒物をふやしていいのですか。
○説明員(山高章夫君) 繰り返して申し上げますけれども、加鉛ガソリンは、これは普通物になってしまいます。四アルキル鉛を使用した結果できたものは、これはすでに毒物あるいは劇物でないというのが毒劇法の趣旨になっておりますので。なお、先ほど申し上げましたように、繰り返し申し上げますけれども、その毒性につきましては、毒物あるいは劇物あるいはそれに準ずるような急性毒性はないという判断があったわけでございます。
○須藤五郎君 そんな無責任なことを言っちゃいけませんよ、四アルキル鉛が入ったガソリンを毒物でないという。その四アルキル鉛が入ったガソリンから毒性である四エチル鉛が出てくるじゃないですか。毒物じゃありませんか。四アルキル鉛を入れるとき、毒だからみんな人を遠ざけて入れているでしょう。そういう毒物をふやすのに何の法の根拠もないでやるということはいかぬじゃないかということですよ。それをぼくは追及しているのですよ。あなたは何じゃないですか、厚生省の薬事課の責任者でしょう。その薬事課の責任者が毒物でないなんて無責任なことを言っちゃいかぬよ。ぼくはそんな無責任な人と議論する時間がもらないのだ。だからそこをはっきりしなさいよ。
○説明員(山高章夫君) 四アルキル鉛はおっしゃるとおり毒物でございまして、しかも特定毒物になっております。しかしながら、特定毒物を使用しまして製造したもの、あるいはそういうものを含んでいるものは毒物ではない。これはたとえば毒物及び劇物取締法でニコチンを毒物に指定してございます。そのニコチンを使用いたしまして、ニコチンの性質に目をつけまして、これを農薬としてニコチンの製品となった場合には毒物でございますが、たばこは毒物でないというような、同じような考え方に立っておるわけでございます。
○須藤五郎君 そんなあほうな理屈をぼくはあなたと戦わす時間がないですよ。そんなばかなことを責任者であるあなたがよく言えたもんだな。何でいま四アルキル鉛が問題になっているのですか。何で加鉛ガソリンが問題になっているのですか。そういうものを入れたガソリンが問題になるというのは、そこから毒物が出てくるからでしょう。三立方センチメートルから四・九二立方センチメートルに加鉛量が多くなれば毒がたくさん出てくるじゃないですか。その結果を言っているのです。あなたが毒でないと言うならそれを飲んでごらんよ。ばかにしちゃいかぬよ。つまらぬことを言うなよ。
 では次にいきましょう。大気汚染防止法第二条第六項によりますと、自動車の排出ガスとして、「一酸化炭素その他の人の健康に有害な物質」と書いてありますが、自動車排出ガスの有害成分を一酸化炭素だけに限らないことを明らかにしておりますが、同法の施行令では、第三条で一酸化炭素だけに限ってしまっておるのです。これはなぜですか。当然塩化鉛、四塩化鉛等の鉛化合物、微粒子を含め、酸化窒素、炭化水素その他も含めるべきであると思います。法が一酸化炭素に限定しないことを明らかにしているのに、施行令で一酸化炭素だけに限定しているのは大気汚染防止法の趣旨を無視するものだと思いますが、見解を述べてもらいたい。
○説明員(城戸謙次君) この自動車排出ガスの定義としまして、ここにありますように、一酸化炭素のほかのものも当然政令できめれば取り入れることができると、かようになっておるわけであります。私ども、したがいまして、たとえばいまの鉛の問題にいたしましても、もしこれに規制の方法が、十九条による規制が具体的に働くとすれば、当然ここに入れまして規制をしていくということが適当であろうということで、この解釈等につきましては、内閣法制局のほうともいろいろ打ち合わせをしたわけでございます。ところが、先ほど運輸省のほうからもお話がございましたように、具体的な測定なり、あるいは排除のための装置、こういう点に問題があるということでございますので、それとうらはらでなければ指定ができない。そのようなことで、いまはまだその点は踏み切っていないわけでございます。将来もしそれがすぐ働くようになれば、当然その点広げていきたいと思います。
 なお、ほかの汚染物質につきましては、私どもとしましてはできるだけ早く環境基準をきめまして、その環境基準が達成できるような排出規制をしていくということが一つの考え方でございますが、もちろん環境基準ができる前におきましても、できるだけ有害なものは排除していくという考え方で、運輸省のほうとも御相談しておりますが、現に炭化水素につきましては、この夏からブローバイ・ガス還元設置を義務づける、こういうことを予定しているわけでございます。
○須藤五郎君 ここに法律があるがね。大気汚染防止法の第二条の六項の最後に、「……(……自動車のうち運輸省令で定めるものをいう。以下同じ。)の運行に伴い発生する一酸化炭素その他の人の健康に有害な物質であって政令で定めるものだ」と、こういうようになっておりますね、排気ガスね。ところが、大気汚染防止法施行令の第三条になると、「法第二条第六項の政令で定める物質は、一酸化炭素とする。」と、ここにはっきり一酸化炭素だけだと、こう書いてあるのですよ。そうすると、法の規制の対象になるものは一酸化炭素だけで、ほかのガスは一切ならぬということになるじゃないですか。それがおかしいではないかというのですよ、私は。
○説明員(城戸謙次君) 確かにおっしゃるとおりでございまして、ほかのものも有効に規制し得るということでございますれば、どしどし追加していきたいと思っているわけでございます。もちろん、前提として、人の健康に有害であるということが必要でございますので、その辺につきましても十分今後の研究を進めていきたいと思っているわけでございます。
○須藤五郎君 有害であればというがね、塩化鉛、四塩化鉛等の鉛化合物ですね、これはあなたの解釈じゃ、やはり有害じゃないという解釈ですか。また酸化窒素や炭化水素、それらも有害でないというのですか。有害なんでしょう。有害なら当然ここに入れるべきじゃないですか。
○説明員(城戸謙次君) 先ほどお話ししましたように、鉛が人の健康の上で有害であるという前提でここに入れることにつきましては、厚生省としては全く異論がないわけでございます。むしろそういうぐあいに推進をしていきたいということで、ここの二条六項の解釈のしかた等につきましてもいろいろ打ち合わせをしたわけでございます。ところが、これを指定をいたしましても、それを受けます十九条の許容限度をきめたりあるいは道路運送車両法の政令で規制をしていくという上におきましてまだ問題が残っておるという運輸省のお考えでございますので、その裏づけができますれば、当然にここに指定していくというかっこうでいけると思っております。なお、窒素化合物等の健康被害の問題につきましては、公害課長から御答弁申し上げます。
○説明員(橋本道夫君) いまうちの部長がお答えいたしましたように、おのおのの物質は私ども実は有害であると思っております。これは順次これに追加をしていくということで考えておるわけでございますが、追加をしていく場合に、部長の申しましたような、法制局の意見あるいは運輸省の意見としてどういうぐあいにしてこれを防ぐのかという議論があるというところでございます。そういうことで私どもは環境基準をきめていくということはもちろんやってまいりますが、できるだけ早くこれを足していくべきだということを絶えず主張して推し進めていく、そういう考え方に立っております。
○須藤五郎君 有害であるということは認めたね。それなら一刻も早くちゃんと規制していくように法改正をする必要があるならばするし、ちゃんと法を整備するということが必要だと思いますよ。
 それじゃ次に、厚生省及び運輸省にお尋ねしますが、大気汚染防止法によると、ばい煙の排出基準は、厚生大臣と通産大臣が共同の責任できめる、こういうふうになっておりますね。ところが、自動車の排出ガスについては運輸大臣の権限であり、厚生大臣は意見を聞かれるだけ、こういうようになっておるわけですが、このような違いはなぜ必要なのか。また運輸省は排出基準をどのような根拠によってきめておるのか。
○説明員(隅田豊君) 先ほどの前段の御質問でございますが、これは大気汚染防止法ができますときに厚生省と運輸省と十分話し合いをした結果でございますが、普通の煙突というような、ああいうばい煙のものと違いまして、自動車の排出ガスの場合には自動車そのものの構造その他に非常に密接な関係がございまして、大気汚染の問題ももちろんございますが、それだけでなく、たとえばエンジン性能の問題とか、ひいては安全その他も全然無縁ではございませんので、全然別の法体系ではございますが、道路運送車両法というようなところで、道路運送車両法の保安基準というもので従来とも公害関係のことを含めまして、こういう事実上の基準を定めております。大気汚染防止法ができましたときに、それとの関係をどうつけるかということがいろいろ議論になりまして、その結果この十九条の二項に書いてございますように、「道路運送車両法に基づく命令で、」云々という規定が入ってきたわけでございます。しかし、当然先生の御意見のとおり、運輸大臣が専管でこれがきめ切れないという点は、何と申しましても有害性という問題になりますとこれは運輸省の力では十分わかりませんし、その点につきましては十分厚生省の意見を聞く必要がございますので、そこで厚生大臣の意見を聞くということがついたわけでございます。現在、いままで実際上の事実の運用上におきまして、十分密接な連係をとって行なわれておりまして、現在までのところわれわれとしては支障を感じておりません。先ほど厚生省のほらから、たとえば有害性の問題、それから許容限度をきめる、鉛につきましていろいろ御説明がございましたけれども、私どもといたしましても、たとえば公害関係の施策をやっていきますのに、政令として――有害物として政令に何も書いてないから何もやらないというようなことは何も考えておりませんで、やはり自動車技術の立場からのそういう改善策はどしどし進めておりますし、行政指導その他を通じて進めております。必要なればそれだけの改善手当てはしていくつもりでございます。
○説明員(城戸謙次君) 法改正の問題につきましては、ただいま運輸省からお話がございましたようなことで、厚生大臣の意見を聞いて運輸大臣は定める、かような形になっておるわけでございまして、私どもとしましても、たとえば昨年の九月に一酸化炭素の許容限度が強化されました、その前の段階におきましてもいろいろと、たとえば使用過程車の規制の問題だとかあるいは炭化水素の規制の問題あるいはLPG自動車、軽自動車、こういうような問題をいろいろ運輸省に申し入れておりまして、その中の相当部分は実現の見通しは立ってきておるわけでございます。今後私どもとしては、フリーハンドで十分意見をかわしてもらいまして、これが何とか実現をできるようにやっていきたいと思います。
○須藤五郎君 まだはっきりしない点もありますけれども、ぼくは時間が非常に切迫してきているので、その次の問題に移りますが、厚生省は六月四日の各省担当課長会議で、大気中の鉛濃度の暫定基準を八時間から二十四時間で立方メートル中一・五ないし五マイクログラムにする、こういうふうにきめたといわれておりますが、そこで伺うわけでございますが、暫定基準とは一体どういうものなのか、またこの数字の根拠は何なのか、こういう点を伺います。
○説明員(橋本道夫君) いまの先生の御指摘のございました点は、鉛の汚染がある場合に、その汚染の程度が一体どの程度なのかという点について全く判断する尺度がないということは行政として非常に困る、無責任のことであるというふうに考えておりましたので、従来公衆衛生、労働衛生あるいは公害の分野の人々が一般的常識といたしまして労働衛生の許容濃度の三十分の一から百分の一という数字を一応の判断の条件として使うということが、これはおおかたの合意として認められております。それで私どもは、労働衛生で一立方メートル当たり〇・一五ミリグラム、つまり一五〇マイクログラムという基準がございますので、その三十分の一から百分の一ということで五マイクログラムないしは一・五マイクログラムというものを当面の目安としたわけでございます。暫定基準ではございませんが、この点については、次は暫定基準とすべきものであり、その次は環境基準とすべきものであると考えております。
○須藤五郎君 この点について赤澤先生、御意見がありましたら伺いたいと思います。
○参考人(赤澤潔君) アメリカである基準がありますが、ペンシルバニア基準は五マイクログラム・パ一立方というような基準がありますけれども、私どもの調べた文献では、ソビエトでは〇・七マイクログラム・パー立方というようなあれもありますし、西ドイツでは二マイクログラム・パー立方というのが環境基準として一応きめられておるようでございます。私どもは、一番人体に影響のない安全な環境基準が医学者としてはほしいわけでございますので、実際は鉛が全然なければよろしいわけですが、そういうわけにもいかないとすれば、一番安全なところをとっていただきたいというふうに思います。
○須藤五郎君 私どもは通産省が公表しております資料をもとにいたしまして、自動車ガソリンに混入される鉛の量を計算いたしました。これによりますと、昭和四十二年は四千五百六十トン、四十三年は五千四百八十トン、四十四年は六千七百九十トン、こういうふうになっております。七月から半減するといわれておりますから、昭和四十五年におきましてはガソリン電要量の増加もあり、通産省の発表した推算によりますが、五千百二十トン、こういうふうになるわけです。ということは、通産省が加鉛量を半減するといっても、ほぼ昭和四十三年の水準だ、こういうことになるわけです。だから、鉛による人体の被害はこの程度の措置では絶対解消しない、こういうことがはっきり言えると思うのです。通産省はじめ政府は直ちに私はガソリンの無鉛化をはかる必要があると思うのです。
 ここに私は皆さんにすぐ御理解願えるように表を持ってまいりましたが、皆さんの手元にこれ配ってあると思いますが、これをごらんくださってもすぐおわかりになると思いますが、昭和四十四年にはガソリンの使用量が一千八百七十七万キロリットルなんです。そこから鉛が六千七百九十トン出ているわけです。四十五年に換算しまして二千百六万九千キロリットルで、そこから出る鉛が五千百二十トン、こういうことになります。この五千百二十トンというのは、昭和四十三年の五千四百八十トンにやや近いものでありまして、通産省がいわゆる加鉛量を七月から半減するといっても、結果的に言いますならば、この鉛公害というものは少しも減らない。ガソリンの使用量が増加するから、鉛の公害は減らないということが私ははっきり言えると思うのです。こういうことに対して通産省は一体どういう考えを持っていらっしゃるのか。半減すればもう事足りるという、こういう安易な気持ちでおるのかどらか、そこの点を伺っておきたいと思うのです。
○説明員(柴崎芳三君) 先生の御質問にお答え申し上げます。
 加鉛量を半減するということはハイオクタンのガソリンの加鉛量を半減するという意味でわれわれ発表したわけでございますが、その結果、大体四〇%程度の加鉛量の減少になるであろうというぐあいに計算ができております。ただこれだけで満足しておるわけで決してございませんで、前に委員会の席上でも御説明申し上げましたように、五年以内のできるだけ早い時期に無鉛化するということで、無鉛化計画を別途検討中でございまして、近い機会に成案を得るめどがついております。それによりますと、現在の加鉛量から今後三年ないし四年のその目標年次までの間に、加鉛量は直線形態で減ってまいりまして、最終的にはゼロになるということになっておりますので、その間の暫定期間は若干鉛の排出はもちろんあるわけでございますが、ガソリンの増加量を考えましても、絶対量も急激に減少するというぐあいに見込んでおるわけでございます。
○須藤五郎君 そうすると、五年間にはこの使用量はもっともっと上がっていくのですよ、ガソリンの使用量は。そうするとね、無鉛ガソリンにしなければ、使用量が上がっていくから、このガソリンの排出鉛のトン数はもっともっと上がっていくわけです。そうすると、今日以上にわれわれはこの鉛公害に悩まなければならないという結果がくるのですよ。何で五年という年限をきめるのですか。何もガソリンに鉛を入れさえしなければいいじゃないですか。何でそういうことを言うのですか。何で五年もかかるのですか。何でお前たち五年間しんぼうせい、鉛公害をしんぼうしていけなんて、そういうことが言えるのですか。
○説明員(柴崎芳三君) お答え申し上げます。
 ガソリンの増加量は大体年間一一%程度でございまして、かりに目標年次を五十年の一月一日ということで考えましても、五十年の一月一日と現在の時点をつないだ直線の下がりカーブは、そのガソリンの一一%増を打ち消しまして、さらに急激な下がりになりますので、これは五十年一月一日というのは仮定でございますけれども、そういう仮定を立てましても、絶対量は減ることは確かでございます。
 それから五年以内のできるだけ早い時期ということで検討しております趣旨を御説明いたしますと、まず、五年計画ではございません、五年以内で技術的に許される限りの最短の期間を目標として減らしまして、その時期をきめたいということで、いままでの検討の結果ですと、五年を待たずして、約一年間程度は繰り上げ実施できるようなめどがついております。ただ、それにいたしましても若干の期間がかかるわけですが、それはどういう理由かと申しますと、鉛を減らします結果、現在のガソリンから全部鉛を減らしますとオクタン価が急激に下がりまして、約手数百万台ございます現在の自動車の走行上、非常に問題が出てくること、さらに鉛をすぐになくしますと、バルブ・シートが痛みまして、それから出てくる影響といたしまして他の有害のガス成分が非常にふえるというような種々の影響がございますので、その技術的な検討を行ない、かつそれを実施するために時間がかかるというのが第一点。それから第二点は、加鉛量を減らしました結果、下がるオクタン価をカバーするために新しく改質ガソリンあるいは分解ガソリン、そういった、いままでよりは別なガソリンの基材を増加させなければならないわけでございますが、それには石油精製会社のほうでそれだけの設備投資を行ないまして、その設備投資によって供給能力を増加しなければならないという問題がございまして、その二つをかみ合わせまして、現在、いつ目標を設定したならば最も早くかつ合理的な姿で達成できるかという点を検討しておるわけでございます。
○須藤五郎君 あなた、いまガソリンの中の四アルキル鉛の添加をやめるとほかのガスが出てくるということをおっしゃいましたが、おそらく一酸化炭素が増加したり、それから酸化窒素がふえたり芳香族炭化水素ですね、これが出たりする、こういうことを言うのだろうと思うのですが、これは事実かどうか。もしそうだとするならば、無鉛化計画の中でどのような対策をとろうとするのか。無鉛化するというのでしょう、五年後になると。そうすると、無鉛化したらこういうガスが出るというのでしょう。そうしたら、無鉛化したらこういうガスが出るならば、それに対する対策はどうかということですね。この問題に対しまして、ひとつ赤澤先生にも御意見を伺っておきたいと思います。
○説明員(柴崎芳三君) 有害ガスが出る原因といたしましては二つございまして、一つは鉛をすっかりなくしますとバルブ・シートにリセッションが起こりまして、その結果不完全燃焼が生ずる。不完全燃焼の結果、先生が御指摘になりましたようなガスがふえる可能性がある。まだ定量的にはっきりつかんでおりませんので、この実験もいまわれわれのほうで急いでいるわけでございますが、その点と、それから第二点は芳香族成分が非常に多くなりますので、これも有害ガスの増加の原因になるであろうということで、これもやはりいままで実験データは正確なものはございません。これから十分検討しなければならない問題でございますが、これまたわれわれのほらとしては検討を急いでおります。
 以上のようなことが予想されますので、無鉛化を行なら過程におきまして、エンジンのまず構造上、バルブ・シートを無鉛化した場合でも耐え得るような形で改造すること、それから燃料比を下げまして、オクタン価の下がったガソリンに対して対応できるような構造にすること。さらにその結果、やはり有害ガスはふえると思われますので、それらの有害ガスを総合的に取り除くために、接触コンバーターと称しますが、排気管のところにそういった有害ガスを全部吸収できるような触媒式のコンバーターをつけまして、出てくるガソリンは完全に清浄化する。その辺の技術開発が必要でございますが、これも検討しておるわけでありまして、以上のようなものを全部合わせるのにも若干の時間をかしてほしいということでございます。
○参考人(赤澤潔君) 私は医学者でありますので、特に専門的なことは申し上げられないのでございますけれども、私どもの関係で、通産省の技術部の方からお伺いしたところによりますと、この圧縮比の問題が非常にいま問題になっているのじゃないか。圧縮比をいまの自動車が大体六から七だというふうにいわれておるそうでありますが、六から七の圧縮比であれば大体八〇オクタン価くらいのものが出ると、これならば、十分自動車として走行に耐えられるようなことを聞いております。それから鉛が入っております場合には、いまお話がございました白金触媒のアフターバーナー、コンバーターというのですが、これは鉛が全部白金についてしまってアフターバーナーの得割りをしないということになりますと、一酸化炭素あるいはハイドロカーボンあるいは窒素酸化物とか、それから芳香族炭化物、それらがやはり十分に酸化し切れないのではないかというふうに私ども考えておりますので、やはり早急に鉛を抜いていただくことがまず大事ではないかというふうに考えております。
○理事(小野明君) よろしいですか。――それでは、赤澤参考人に申し上げますが、本日は貴重な御意見を御開陳いただきましてありがとうございました。
 御意見を参考といたしまして、今後十分に検討いたしたいと存じます。本日はどうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
○理事(小野明君) 理事の補欠選任についておはかりいたします。
 委員の異動に伴いまして、本委員会の理事が欠員となっております。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 選任は、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(小野明君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に久次米健太郎君を指名いたします。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
     ―――――・―――――