第063回国会 交通安全対策特別委員会 第2号
昭和四十五年九月十一日(金曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木  強君
    理 事
                鬼丸 勝之君
                二木 謙吾君
                沢田  実君
    委 員
                吉武 恵市君
                渡辺一太郎君
                小柳  勇君
                吉田忠三郎君
                田渕 哲也君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       警察庁交通局長  久保 卓也君
       防衛庁防衛局運
       用課長      福田 勝一君
       大蔵省主計局主
       計官       藤井 直樹君
       大蔵省銀行局保
       険部長      渡部  信君
       通商産業省重工
       業局自動車課長  大永 勇作君
       運輸省港湾局長  栗栖 義明君
       運輸省自動車局
       保障課長     永光 洋一君
       運輸省自動車局
       整備部長     隅田  豊君
       海上保安庁長官  手塚 良成君
       建設省道路局次
       長        吉田 泰夫君
   参考人
       日産自動車株式
       会社副社長    岩越 忠恕君
       日産自動車株式
       会社取締役    原  禎一君
       本田技研工業株
       式会社専務取締
       役        西田 通弘君
       トヨタ自動車工
       業株式会社常務
       取締役      松尾 f一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○交通安全対策樹立に関する調査
 (自動車の構造上の欠陥に関する件)
 (投下機雷の捜査と撤去に関する件)
 (救急医療体制等に関する件)
 (自動車損害賠償保険等に関する件)
 (自動車の保安基準等に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 交通安全対策樹立に関する調査の一環として、自動車の構造上の欠陥に関する件について、本日の委員会に、日産自動車株式会社取締役副社長君越忠恕君、本田技研工業株式会社専務取締役西田通弘君及びトヨタ自動車工業株式会社常務取締役松尾f一君を参考人として御出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、自動車の構造上の欠陥に関する件について、先ほど決定されました三名の参考人の方々から御意見を承ることにいたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいきつ申し上げます。
 本日は御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
 それでは、これより御意見をお伺いいたしたいと存じますが、議事の進行上、お一人十分間程度で御意見をお述べいただき、参考人の方々の御意見開陳が終わりましたところで、委員からの質疑がございますので、お答えを願いたいと存じます。
 それでは、まず岩越参考人にお願いいたします。
○参考人(岩越忠恕君) ただいま御指名がございましたので、リコールの問題について御報告いたしたいと思います。
 リコールの問題につきましては、昨年の六月、リコール制度というものの確立ということについて運輸省から御通達がありまして、その後業界におきまして、関連整備業界、販売業界を含めまして、この対策ということについて協議いたしました結果、リコール問題についての各分担というものを明らかにいたして、それぞれがリコールの問題に取り組むということにいたしたわけでございます。
 リコールにつきましては、申し上げるまでもなく、運行不能になって、それが原因で直接または間接でも人身に損傷を及ぼすおそれがあるということ、あるいは火災を起こすおそれの多いものと、その他人身に危険を及ぼすおそれのあるものについてリコールをするということがその趣旨でございまして、これによりまして昨年各社がそれぞれリコールの――従来各会社がそれぞれやっておりました問題を公表いたしまして、リコールを
 いたしたわけでございます。その結果、全体といたしましては、昨年いたしましたのは九七・七%対策を実施いたしておりまして、その後各社はそれぞれのつくったものに対しまして、その後いろいろリコールの対象とすべきものが出ればすぐにそれに対して届け出をする。運輸省に届け出をして、警察庁に届け出をいたしますと同時に、ディーラーに通知をいたしまして、ユーザーの方に連絡をするということでリコールを開始をしておったわけでございます。
 当社といたしましては、その後四十四年の十一月に一件、ことしの七月に二件、九月の九日に一件それぞれリコールをいたしまして、第二回目のものにつきましては一〇〇%回収いたしましたし、ことしの七月の八日に出しましたものについては八月三十一日までで六一%回収をするという実績でございまして、実際にこのリコールの問題につきましては、われわれといたしましては真剣に取り組んで今日に至っておるということでございます。当社といたしましては、こういうおそれのあるものにつきましては、製造上におきまして、また設計上におきまして、その後運輸省が新しく指示されましたことによりまして、新車の場合には検査あるいは試運転の時間というものを相当長くするというように、それぞれ取りきめもございましたし、また消耗部品につきましては、これの取りかえの期間を定めるというように新しく規定も盛られましたので、それぞれ項目をお示ししまして、販売店またユーザーの方々にお知らせする方法をとって現在に至っておるわけでございまして、われわれといたしましては、その効果が非常に上がっておるというふうに思いますし、忠実にこれを実行しておるつもりでございます。
 以上、リコールについて御報告申し上げます。
○委員長(鈴木強君) どうもありがとうございました。
 次に、西田参考人にお願いいたします。
○参考人(西田通弘君) 本田技研の西田でございます。本日は国政の最高の場におきまして、私どもの考え方、姿勢について発言の機会を得ましたことを深く感謝いたします。
 まず、リコール車について御報告申し上げます。欠陥のおそれのあるものについて点検を必要とするという意味のリコール車でございますが、これにつきましては、私ども軽自動車、小型の自動車、さらに二輪車とやっておりますが、まず軽自動車につきましては、四十四年の六月十七日に届け出をいたしましたものが九件、それから1300の車につきましては四十五年の六月六日に一件ございます。二輪車につきましては四十五年の三月十二日に一件ございます。軽自動車の九件につきましては四十四年の十二月、昨年の十二月までにほとんど完了しております。と申しますのは、どうしても追跡のできない車、たとえば国外に出てしまった可能性のあるもの、あるいは移転移転でどうしてもお客さまがつかまらないようなもの、これが若干ございますが、昨年末で運輸省に御報告しております九七・二%が完了しております。それから1300につきましては一件ございましたが、これは四十五年の七月、九・九七%を完了しております。二輪車につきましては一件、これも四十五年の七月に九七・七%完了したということで、それぞれその内容につきましては運輸省に御報告申し上げております。
 私ども全国にSFと称しております直営のサービス専門工場がございます。現在すでに三百カ所ございますが、これによって私ども迅速確実にこのリコールについて処理してきたつもりでございます。このリコール制度が発足しまして以来、これからそういうリコールの発生しないように全社をあげて組織の見直し、そうして新しいルールをつくり、品質の保証体制を整えております。
 次に、最近特に自動車構造上の欠陥ではないかということで問題にされております軽自動車について一言申し上げたいと思います。日本の道路事情あるいは人口の過密状態等から見まして、大衆の足として軽自動車が経済発展のためにきわめて大きい役割りを果たすものというふうに確信しております。私ども軽自動車の普及に全力を傾注してまいっております。御存じのNと称しております軽自動車につきましては、四十二年の三月に発売いたしまして、ちょうど三年半になりますが、国内の登録だけでも九十二万八千台、これは八月末現在でございますので、間もなく百万台を突破するような数字になるわけでございますが、このことは、ユーザーにわれわれの考え方が十分御支持をいただけたそのあらわれであるというふうに確信しております。
 今回新聞紙上などで取り上げられております事故について一言申し上げたいと思いますが、いろいろな具体例をお示しいただいているようでございますが、私どもメーカーの立場といたしましては、これまでも、あるいは今後も、個々に徹底して究明していきたいと考えております。しかし、いままで私どもが調べた限りにおきましては、言われているような設計思想が悪いという理由のために構造上の欠陥があったんじゃないかということについては、全く存在し得ないというふうにかたく信じております。自動車というのはあくまで人間によって操縦されるものであり、正しく使われて初めて自動車の役割り、社会への貢献ができるものだと信じております。今回のように、直接メーカーには全くアピールされませんで、多数の百万近いユーザーにいたずらな不安を与えるような問題の取り上げ方というのは、社会的な影響もあり、まことに遺憾に存じます。もちろん正常な消費活動によって公正な評価あるいは批判をいただくことにつきましては、まことに喜ばしいことであり、私ども喜んで受けたいと思います。
 以上私どもの基本的な考え方について申し上げましたが、具体的な内容については、また後刻御質問をいただきたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(鈴木強君) どうもありがとうございました。
 最後に松尾参考人にお願いいたします。
○参考人(松尾f一君) トヨタ自動車の松尾でございます。
 リコールの実態について御説明を申し上げます。四十四年度は六月以降十二月まで十四件のリコールをいたしたわけでございますが、それは現在においては全部対策済み、対策完了いたしております。本件に入りまして、現在まで六件のリコールをいたしまして、そのうち三件は対策完了であり、三件は現在対策進行中でございますが、その内容についてちょっと述べてみたいと思います。
 まずパトロールカー及び救急車等につきましては、本年の三月にリコールいたしまして、これは七百五十四台の台数でございますが、全部四十五年の七月に対策完了いたしております。それから四十五年の四月にハイエースをリコールいたしましたが、これは五万二千九百台というような台数でございまして、これは現在対策進行中でございまして、六二%の回収済みであるということで、本年の十月末に完了するというふうな予定で進行しております。
 次は四十五年の四月にクラウン系、コロナマークII系、センチュリー、2000GT、スタウトという車種のリコールをいたしました。これは総台数一万九千三百五十九台というような台数でございますが、これは四十五年の八月に対策完了いたしております。
 次に、四十五年の六月にコロナマークIIの関係及びコロナ関係のリコールをいたしましたが、これは総台数六万二百六十台というふうな台数でございまして、これも四十五年の八月に対策完了いたしております。
 次に四十五年の八月にパプリカ系、カローラ系、コロナ系、コロナマークII系のアクセル・リターン・スプリングの関係でリコールをいたしました。その台数七十七万四千二百九十六台というふうな台数でございまして、これは若干の日時を要する関係もありまして、四十六年の一月に対策完了するというふうな予定で進行しております。
 次にコロナマークII関係のバキューム・チェック・バルブのふぐあい、こういうようなリコールをいたしました。これを十一万七千三百七十二今というふうなことで、本年の十二月に対策完了するというふうな状況で現在進行中でございます。
 なお、リコールに関連いたしまして、トヨタは創業開始以来品質第一主義、ユーザー第一主義ということを信条にいたしましてトヨタ車を生産してまいりましたが、昨年六月、リコール関係を契機にいたしまして、社内体制の総点検ということをはかりまして、品質保証体制を改善するということを主体といたしまして、より安全なトヨタ車をユーザーに使用していただくというために、全社をあげて努力いたしております。
 その具体的内容の概略を御説明申し上げますというと、社長指示に基づきまして、自動車安全に関する総点検についての特別指示ということが出されまして、社内関係各部署一斉に総点検を実施したような次第でございます。第二といたしまして、品質保証体制の改善につきまして、保安部品特性につきまして管理方法の強化、それから不良品撲滅運動の一そうの推進、自動車安全に関する品質管理教育の全社的な実施、業務監督の実施。第三といたしまして、必要な組織の変更、強化をいたしました。これは設計、生産、品質保証等の各部にわたって実施をしたような次第でございます。それから第四といたしまして、サービス対策の改善でございますが、無料仕業点検等の実施を中心といたしまして、安全点検の実施をいたすことにいたしたわけであります。以上のような諸対策を全社をあげて強力に推進しております。
 以上で御報告を終わります。
○委員長(鈴木強君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの御意見の開陳を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○小柳勇君 参考人の方々は、ただいまリコール問題を主として御報告がございました。リコールの問題もあとで質問いたしますが、その前に、現在叫ばれております公害問題に対して、基本的にどういうふうに各社取り組んでおられるか、将来の展望も含んで質問いたします。
 各社御三人の方にそれぞれ質問いたしますが、現在叫ばれておりますこのエンジンの不燃焼あるいは排出するガスによる公害を絶滅するために、将来のエンジンとして、なおガソリンエンジンを使っていく計画であるのか。現在まで六十五年間使ってまいりましたガソリンエンジンを、あるいは電気その他のエンジンに改造して、公害を絶滅するという対策が将来の展望の中にあるのかどうか。まずその点から各社に質問いたします。
○参考人(岩越忠恕君) 現在排気ガスの規制の問題でございますけれども、これは一酸化炭素それから炭化水素、弗化水素というような排気ガスの中の成分を現在よりもどの程度減らすかということが大体七五年までの目標がアメリカでは示されております。日本もその方向でやられるというふうにわれわれは現在承知いたしております。ただ日本とアメリカとの試験の方法というのは違うことがございますけれども、内容はほとんど同じでございまして、われわれといたしましては、この排気ガスの規制に沿った研究をし開発をしていかなければならないと思っております。ただ排気ガス、こういったものをゼロにするということは不可能ではないかと思います。ただこの規制値に入れることについてそれが可能かどうかということにつきましては、あらゆる可能性を、求めてわれわれは研究をいたしておるというのが実情でございます。非常にこの規制の数値というものはシビアな数値になっておりますので、これに対して現在だいじょうぶですと言っておるところは外国にもないようでございますし、われわれといたしましても、現在できなくても、この数値というものを実現させたいという研究はいたしております。それから現在のレシプロエンジンではなく、その他についてはどうかという御質問でございますけれども、その他のものについても研究はいたしております。その成果がどういうふうになるかということについて、いろいろ研究を進めておる途中の段階でございますので、ここで申し上げるわけにはいきませんけれども、あらゆる可能性というものをわれわれは求めて研究をいたしておる。これに対する研究の人員動員ということ、また研究費用ということにつきましては、会社としては費用がどうだからできないということはないということで研究費を投下させまして、その準備をいたしておるというのが実情でございます。以上御報告申し上げます。
○参考人(西田通弘君) まず基本的な問題といたしまして、私どもの経営の考え方は、公害問題を解決できない企業というものは存在し得ない。特にこれは技術的に開発できなければ企業というものはもう成り立たないんだという姿勢でございます。とことんまで取っ組むことになるわけでございます。具体的には、ただいま岩越さんのお話の線と同じようなことでございますが、アメリカの排気ガス基準がございますが、日本のほうもほとんどそれにならったわけでございますが、私ども大きく分けまして、もちろん徐々に改善されていくわけでございますが、しいて分けますと三段階、まず昭和四十八年が一つの目標、次が昭和五十年、さらに五十五年ですか、この三段階に分けて考えでみますと、少なくとも四十八年につきましては、もう完全に見通しは立ったというふうに申し上げられます。これは現在のレシプロエンジンの改良によって十分その可能性は出まして、五十年につきましては、もちろん現在のレシプロエンジンの改良によって、さらにほかのたとえば吸入過程の改良とか、あるいはリアクター、触媒、そういったものを組み合わせればできることは間違いないんでございますが、これはやはりコストが上がったりしてその負担が問題になりますので、できるだけ合理的にできる方法はどういう組み合わせが一番いいだろうかというのが、おそらく各社もそうだと思いますが、それが五十年までの研究課題じゃないかと思います。五十五年のガス基準につきましては、たいへん私どもの現在の見方から見ますとつらい基準でございます。決してそう簡単に現在見通しはついておりません。ただ私どもの方向といたしましては、現在のレシプロエンジンのさらに大幅な改善、それとただいま御質問のありました全く別個なエンジンの開発、そういうものを並行に研究しております。もちろん私どもとしてはその見通しは全くないわけではございませんが、より早くこれを解決するために全力を傾けておるのが現状でございます。簡単でございますが……。
○参考人(松尾f一君) まず基本的な姿勢といたしましては、試験的な投資、あるいは人の動員というものについて、この排気対策を含めました、この安全性を含めましたものに全力を投入するというふうな基本的な考え方でございます。さらにそれはトヨタ自動車だけでなくて、トヨタ自動車を囲むグループがございます。たとえばトヨタ中央研究所とか、あるいは日本電装とか、あるいは愛三工業とか、日野自動車とか、ダイハツ工業とか、要するにトヨタグループというものがございますが、これらの総力を集中してこの対策に当たるということで現在進行中でございます。エンジンに対する考え方といたしましては、現在のところにおいてはレシプロエンジンが七五年――あるいは日本においても答申にあったような基準に達するためには一番早いだろうということで、これに集中するというふうな考え方でございますが、さらにガスタービンとか、あるいは電気自動車とか、あるいはロータリーエンジン等につきましても十分に関心をもちまして、並行して検討研究を進めていくというふうな体制で推進中でございます。
○小柳勇君 ほかの問題をもう一問お答え願いたいのでありますが、万博で電気自動車を相当宣伝をいたしました。しかしながら、いまは各社とま電気自動車についての御意見を十分に聞くことができなかった。とりあえずはレシプロエンジンをもっと完備をして排気ガスを基準以内に押えたいというのが最大の眼目のようでありますが、たとえば特別の政府の融資などを考えて金をかけるならば、電気自動車その他レシプロ以外のエンジンに切りかえることが早急にできるのかどうか。エンジン革命でございますが、自動車界の革命でございますが、金さえあればできるのかどうか。簡単でよろしゅうございますから御答弁願います、各社とも。
○参考人(岩越忠恕君) ただいまの電気自動車の問題でございますが、電気自動車は万博で走ったようなものをつくるならば、つくることは可能だと思います。ただし現在日本全国に走っております車を全部電気自動車にかえたら、現在の発電量を全部電気自動車のチャージに当てなければならないということで、電力の問題があると思います。もう一つの問題は、電気自動車にいたしました場合にバッテリーの問題でございますけれども、鉛でバッテリーをつくった場合に、バッテリーの性能をいつも同じ状態にキープするということに対してたいへんむずかしい問題があると思っております。それと同時にガソリンのように充電を短くすることができるという装置がなかなかありません。また各所にそれを持つということになりますと、その設備がなかなかたいへんなものになろうと思います。いま航続距離がどのくらい持つかということでありますが、普通の車に乗せる場合には大体百キロ未満しか航続距離がないのではないかというふうに考えますので、そういった点を随時充電することが簡単にできる、あるいはバッテリーを取りかえることが簡単にできるという設備が全部でき上がらないと、電気自動車に切りかえるということはむずかしい問題ではないか。スピードにつきましては、七十キロ、八十キロは出ると思います。そういうことでありませんと実際の実用化ということにはならないのじゃないか。万博の中で十キロくらいのスピードで走っているのじゃ実際の効果はないのじゃないかと思います。バッテリーにつきましては、電気を扱うということになりますので、相当電圧の高いものになるので、そこに別の意味の危険度も相当あるということを御承知願わなければならないと思います。バッテリーの寿命でございますが、現在の寿命からいっても相当短期間にこれをかえなければならない。そうしますと、鉛の排気物をどうするかという問題もあと大きい問題として出てくるのではないかというふうに考えられる点もありまして、大きな点で考えていかないと、ただ一つを解決すればいいということにはならないんではないかというふうに考えます。
 その他の種類のエンジンにつきましても、いろいろ検討は進めるということで研究はいたしております。内容につきましては、こまかく御説明する準備をいたしてきておりませんけれども、いろいろ研究をいたしておりまして、できる限りの――社会の発展のために自動車というものは必要な運輸手段でありますし、物資を運ばなければならない生産手段でもありますし、社会が発展していくためには必要な商品である。これが起こしますところのいまの排気ガスの問題をはじめましていろいろな問題があるわけでございますけれども、それらの問題を解決しなければ、次の社会の発展ということは私たちはできないのではないだろうかということを考えます。こういう問題の解決にはあらゆる努力をするというふうにわれわれは覚悟してやっておるのが実情でございます。
○参考人(西田通弘君) 電気自動車につきましては、ただいまのお話と同じことになりますが、一部の用途に対しては十分その効能があるというふうに思います。まあたとえば先ほどの万博のお話のようなそういう特殊な用途におきましてはその価値は十分にある、そういう意味の実用性はあるというふうに思っております。ただし現在の電池の実態では、これを現在のガソリンエンジン全部取りかえるということはまず現時点では不可能だと思います。もちろん、私どもとしてはこの電気自動車の研究については十分によそさん並みにやっておるつもりでございます。なお、かなりの研究は必要だと思います。ただ、ここで特に電池についての問題として私ども事前に考えなくちゃならないのじゃないかと思いますのは、現在のガソリンエンジンにしましても、五十年、六十年以前に現在のような大気汚染問題を考えておれば、もう少し次善の策が打たれたと思います。五十年、六十年たって、ガソリンエンジンがこれだけ出て初めていろいろな大きな問題になったということは、もうこれは私どものメーカーとしても責任を感じますが、そういう意識がなかったということははっきり申し上げられます。同じように、電気自動車につきましては、この電池に使われます材料はこれからのいろんな開発研究でどういうものがあらわれるかは未知でございますが、ただ鉛電池あるいは亜鉛を使う、あるいはカドミウムを使う、そういった種類のものが現在われわれの耳にしている大半でございます。いずれも重金属でございます。そういったものが全自動車に使われてまいりますと、たいへんな量でございます。その量が排気され、処分され、あるいは再生され、すでにカドミウムの再生工場たった一つでも大きな問題になっているものが、さらにこれが全自動車につきますと、たとえばカドミウム電池だといたしますと、それの排気あるいは再生によってたいへんな公害が発生する可能性は十分あると思います。そういうものからさらに電力の問題、これも電力はたいへんな電力量を必要とする、計算上出てまいります。そういったものに対する企業公害、これも三十年、四十年の先のことを同じように考えますと、たいへんな数字になってまいります。そういう問題をいまから考えなしに電池の問題に軽々しく取っ組むということはたいへん危険だというふうなことを私ども痛感しております。
 それからほかのエンジンについてということでございますが、先ほど申し上げませんでしたが、私どもガスタービンその他かなり深い研究を続けておりますが、いずれにしてもこれはお金さえあれば解決するという問題ではなく、冒頭に申し上げましたように、技術的に解決ができるかどうかがやはりキーポイントだというふうに思います。この点におきましては、たとえばアメリカのような自動車の先進国から、私どものような自動車にとっては後進国のメーカーはたいへん技術的におくれているというふうに言われておりましたが、事少なくとも公害に関する限り、全くアメリカと日本とは同水準、全く同時スタートしておるというふうに確信いたします。あえて申し上げますが、むしろある意味では私どもの日本のメーカーのほうが進んでいるというふうな面もあるように思います。そういう意味では新しいエンジンの開発とともに、現在のレシプロエンジンの改良につきましても、事排気ガスに関する限りは十分皆さんの御期待に沿える方向に進んでいるというふうに確信しております。
○参考人(松尾f一君) 結論から申し上げますと、現在において幾ら金だけ投入しても開発はむずかしいだろうと、技術がついてこないということが結論だろうと思います。しかしながら先ほど申し上げましたように、トヨタグループとしてわれわれは検討研究を進めておるわけでございますが、お話のあった万博の電気自動車につきましても、われわれのグループのダイハツ自動車が開発した車でございまして、そのほかにトヨタ中研等においても、もちろんわれわれトヨタ自動車においても検討を進めておるわけでございます。将来の方向としては、たとえば先ほどもお話がありましたが、牛乳配達だとか、新聞配達だとか、あるいは一部の用途につきましては、町中を走る車として非常に適当であると、したがってそちらの方向に展開していくということが一つ考えられます。それからもう一つの方向としては、ガソリンと電気と両方組み合わした車をつくる、郊外においてはガソリンで走ってその間充電する、そうして町中に入ってきたら電気で走るということが、可能かどうかわかりませんが、そちらの方向も検討しているということが現状でございます。
○小柳勇君 次にリコールの問題について質問いたします。
 私どもは車がメーカーでつくられて検査を受けて出ていく。そうして車検、たとえば二年なら二年の車検の有効期間は車は完全なものと理解していままで使っておったわけですが、昨年の六月の運輸省の通達でありますが、それ以来急速度に欠陥車というものがクローズアップされてまいりました。いまも報告がありましたように、各社とも完全なテストをやって町に出した車に何件かずつの欠陥があって、リコールしてこれを直したという報告があった。このつくりました車の欠陥というものが、交通事故などの発生によって事故がたくさん出たから欠陥車というものが見つけ出されたような気がしてならぬのでありますが、当然欠陥があればリコールして完全なものにしなければなりませんけれども、このリコール問題というのは現在もう完全になりましたとおっしゃいますけれども、それでは一体一昨年の段階に立ち返って考えて見ますと、またこれから出てくる車にもそういうものが出てくるのではないかと思うわけです。したがってこのリコールの問題というものは、会社としては、メーカーとしては完全なものとして出すけれども、時代がたつに従ってまたこの欠陥が出てくるのでありますと考えてよいのか、いや、もうこれだけいままで欠陥車のわかったものは完全に解消しておりますから、今後はもうこういう問題は起こりませんと考えてよろしいのか、これがまず第一点であります。
 第二点は小さい問題でありますが、たとえば新聞に出ておりますホンダN360の横ぶれ、左右動ずるというふうな具体的なことが報道されておる。また軽自動車にも車検を運輸省としてはなるべく早く実施したいというふうなことも報道されておりますが、たとえば軽自動車には軽自動車の安定があるはずであります。メーカーとしては完全なものとして研究してお出しになっておる。出たあとでこういうものが欠陥車として出てくるのか。私はさっき本田技研の西田専務が切々と訴えておられた、ユーザーの責任があって起こった事故でもメーカーのほうの車の欠陥として宣伝されておるのではないか、そのことがユーザーに大きな不安を与えておる、ユーザーのほうは一体だいじょうぶなのか、こういうような切々と訴えがございました。私もそういう気がするわけです。交通事故が頻発したからメーカーのほうへ徹底的に目を向けて、そして欠陥車欠陥車と騒いでおる。そのことがいたずらにユーザーに不安を与えておるのではないか。運転の未熟のために起こった事故も、たとえば横ぶれのために事故が発生したとか、そういうようなことにすりかえてあるのではないかという気がいたします。したがってそういう問題は根本的にどうなのか。どんどん交通事故が発生して騒いで、さあメーカーはどうかと言って、あらためて会社も向き直って、これこれございましたと報告されておるのか。いや私どもは完全だ、運転のほうはだいじょうぶでしょうか、道路はだいじょうぶでしょうか、そういう言い分がたくさんあるのじゃないかという気がするわけです。したがって根本的なものと現状については私どもこうですと、もう少し言いたいことをはっきりおっしゃっていただきたいと思います。各社ともお願いいたします。
○参考人(岩越忠恕君) ただいまのリコールの問題でございます。私たちが車を設計し、そしてそれを生産いたしますにつきましては、いろいろなその車の使用の目的に沿うたようなふうに車が設計されているかどうかということを計算もいたします。またそれに従いまして実際にそれを試作して実験もいたします。その結果これを届け出をいたしまして、車を販売するということにしておるわけでございます。あらゆる現在われわれのできる限りの試験をし、起こるであろうと予測されることにつきましてはあらゆる対策をしてわれわれは出しておるわけでございます。したがいまして、われわれが新しく出しましたときには欠陥がないということで出しておるのでありますけれども、ただ製造の工程におきまして、たとえばゴムの部品のような場合にはゴムの加硫の時間がちょっと足りなかったかというようなときに、製造の管理がうまくいかなかったというようなことで、従来起きた問題が多かったかと思っております。こういったことにつきましては、先般来管理ということにつきまして、十分関連工場も含めまして管理体制ということの強化をやりましたので、大体そういう問題は起こらないというふうに考えております。しかし、どういうところでどういう不ぐあいなことが起こるかということにつきましては、出ました後に車を使われる人の技能、あるいはその条件ということによって千差万別でございます。われわれが実験したようなことを離れたことが実際に起こってこういうことが、こういうクレームがあるんだといった場合には、われわれはそれに対して対処しなければならないということが今日出てきているリコールの内容ではないかというふうに思っております。いかなることがクレームとして出てきましても、われわれはそれを見のがしにすることはなく、これに対する対策をし、それに改善すべきことは改善するということがリコールの内容でございまして、今後にわたってリコールがないということは断言することはできないと思います。そういうことが起これば、すぐにそういうことをするということがわれわれのクレームに対する対処の方法だというふうに考えております。したがいまして、車を使われる方々につきましては、私のところではお納めするときによく点検をしてお納めをいたしますけれども、車をお使いになって千キロとか三千キロ走られたらば、もう一回販売店に持ってきて車を点検さしてください、これは無料でやっております。その後それを過ぎましたら、今度は三カ月に一回ずつは、車をお使いになる方はサービス工場に入っていろいろ点検をしていただきたい、その点検の場所はこういう場所を点検していただきたいということについてわれわれはよく通知もしてございますし、サービス工場に持ってきていただければその点検をすることにいたしております。
 なお道路運送車両法にございますとおりに、日々でございますけれども、毎日毎日車を運転する場合には、こういうところは注意する、たとえばハンドルのぐあいはどうである、ブレーキを踏んでみてどうかということにつきましては、日々自分が運転する場合は、仕業点検ということをやりなさいということも法律できめられております。そういうことを十分にやっていただけば、私たちは事故というものは相当なくなるのではないだろうかというふうに思います。ただガソリンだけつぎ込んでしまえば車というものは安全だというふうに考えられて、潤滑油というようなものもやらずに走られるということになったり、あるいは危険でも何でも、車のスピードをこのくらい出るのだからといって、悪い道でも何でも走られれば、思わぬところにぶつかってそれが原因で故障を起こすということもあり得るのであります。したがいまして、ドライバーの方々は千差万別でございますので、その使い方ということについても、ドライバーの方々にも慎重にやっていただかなければならない点が多々あるのではないかというふうに思っております。
 将来の問題につきまして、われわれはワコールがあることがないように努力はいたしますけれども、これから数年後にわたってそういうことがないかということにつきましては、ないことを期しておりますけれども、絶対にございませんということはどうかというふうに考えております。なお車両検査がございまして、営業車は一年、自家用車は二年に車両検査がございますから、そのときに自然に摩耗してくる、消耗してくるところについては、取りかえなければいけないところは取りかえなさいということも規定されておりますので、そういったところを取りかえていただいて、日々の仕業点検ということをやってくだされば、車というものは安全に運行できる、こういうふうに考えておりまして、やはりメーカーとしてつくった車を使われる方が、その目的に合ったようにやはり注意していただき、使用していただくということを、われわれとしてはぜひお願いしたいものだというふうに考えている次第でございます。
○参考人(西田通弘君) まず今後リコールは起こらないかというような御質問に対しましては、絶対起こらないということは申し上げられません。ただ、このリコール制度が起きてはじめてこういう問題が取り上がったのではなくて、私どもリコール制度というものができる以前からも、やはり問題があれば直ちにそれを解決するという努力は続けております。リコール制度ができたから急に変わったということではございません。一貫して同じだと思います。ただリコール制度ができまして、私どもさらに反省をしまして、先ほど申し上げたように品質保証体制というものを強化するために、いろいろ具体的な方法、ルール、そういうものをつくったわけでございます。より以前よりもそういう問題が発生しないような、全社的な努力は続けているつもりでございます。
 それから特に先ほど問題にされました軽自動車Nの横ぶれというような意味の問題が盛んに取り上げられておりますが、先ほど私どもの姿勢については申し上げたわけでございますが、具体的に私どもにはいろいろな資料が入ってまいりませんので、新聞に発表されました十四件ですか、これだけについてはいろいろ名前その他がわかりましたので、私ども徹底的にこれについては追跡の調査をしてみました。その結果は、いわゆる正常な運転状態とはほど遠いような事実がたくさんございます。著しく事実と違う点、あるいは重要な事実が隠されているのか、これは故意じゃなくて、あるいは落とされたのかわかりませんが、そういう内容があまりにも多いので、実はびっくりしております。そういう結果が出てまいりましたことは、たいへん残念に思います。
 それからその後ユーザーユニオンさんですか、九十一件まだ問題があるという御指摘があったようでございます。私どももいろいろ情報を集めておりますが、あるいは私どもの知らないものがまだユーザーユニオンさんのほうに報告されておるのだということですと、ユーザーを守る私どもの立場としてはたいへん問題がございますので、さっそくユーザーユニオンさんにもその内容、氏名その他をお問い合わせをしたわけでございますが、残念ながら、きょう現在御回答いただけない状態でございます。いずれにしても、私どもの現在まで調査した範囲内では、正常な使い方においてこのような構造上の欠陥というものは全く考えられませんし、また私ども各種のテスト、その後もいろんなテストをやっておりますが、全くそういう構造上の欠陥とおぼしきものは見出し得ません。それが現状でございます。
 いずれにしても私どもメーカーの責任として、はっきり出るものがあればこれは堂々――というとおかしいですが、明らかに私どもの責任と断定されるものにつきましては、それだけの責任はとるつもりでございます。以上でございます。
○参考人(松尾f一君) 先ほど御説明申し上げましたように、従来から創業以来品質第一主義、あるいはユーザー第一主義をもってやってまいりましたが、このリコールをチャンスに、さらに社長指示に基づいて安全の総点検だとか、あるいは品質保証体制の改善だとか、あるいは組織の変更強化だとか、あるいはサービス対策の改善ということで絶無を期しておりますが、しかしながら、やはり千分の一だとかあるいは万分の一だとかいう単位において、こういうふうな車が発生する可能性があるということが言えると思います。御参考までにアメリカの状況を申し上げますというと、一九六九年におきまして、GMが年間に起こりましたリコールが六百五十八万台ということでございまして、アメリカにおけるGMの生産量が五百二十五万台ですから、生産量より多いリコールをアメリカでも行なっている。あるいはフォードは六十八万台、生産量が二百八十二万台、このような状況でございまして、まあ決していいことではないと思いますが、アメリカにおいてもこういうふうに問題が発生しているということは、日本においても発生する可能性があるということだというぐあいに考える次第でございます。したがいまして、われわれは絶無を期するわけでございますが、出たからには早急にリコールをやって、事故が発生しないようにするということが一番大切なことじゃないかというぐあいに考える次第でございます。
○小柳勇君 質問を終わります。
○沢田実君 関連。本田技研の西田参考人にお尋ねしたいんですが、先ほど西田参考人はホンダN360については構造上の欠陥はないというお話でございました。そして車は人間によって操縦されるんだから、正しく運転されれば事故の発生はないというようなお話がございました。そこでお聞きをいたしたいんですが、事故がございました車のエンジンナンバーの前後のナンバーのものを無差別に指定するというような方法によってでも、その車を使用して公開テストをするというような御意思がおありになるかどうか承りたいと思います。
○参考人(西田通弘君) 公開テスト、たいへん望むところでございます。ただ、その方法につきましては、公正な評価のできるというのがすべてでございまして、たとえば事故があった場合、故意に事故の起こるような車にしたものをテストしても、これは意味はございません。そういう意味で、その時期の車をその時点の状態において一これは設計思想が悪いのだというふうな御指摘でございますが、設計思想が悪い以上はすべての車、そのときの新車は全部だめだということになりますので、そのときの状態に保守整備をいたしたものをテストしていただければ公正な結果が出てくるというふうに思います。これにつきましては、むしろ先生方にひとつそういう公正なテストをどうやってやっていただくかどうか、お考えいただけたら幸甚だと思います。
○鬼丸勝之君 この「リコール問題について」という印刷物の一ページの下のほうに「下記各号の不具合は、「リコール」の対象から除外されます。」と書いてありますね。そのホの「他の原因がなければ通常発生しえない不具合。」、これはどういうものを予想して書いておられますか。どなたからでもけっこうです。まず伺います。この安全対策協議会の自動車のリコール問題について。
○参考人(岩越忠恕君) お答えいたします。
 それは、普通の状態で運転しておればそういうことが起こらないと思うのですけれど、特別にたとえば五トンというような車に十トンも積んで、そして走って事故が起こると、こういうようなことは設計の状況と全然違うことが起こることでございますから、そういったことについてはわれわれは責任を負うことができないということでございまして、その規格の範囲外のことをやられた場合、あるいはどこかにぶつけて事故が起こったというようなことに対して私たちはその責めを負うことはできない、こういう意味でございます。
○鬼丸勝之君 いまお話しのような解釈ですと、実際問題としてリコールの対象からはずすべき理由に該当するかどうか。すなわち、この「他の原因」というのが正常でない運転というようなことで、メーカーの責任には帰せないということでございますが、一体それがリコールの対象として回収する前の段階でどうやって認定されますか。その点を一つ。
○参考人(岩越忠恕君) それは、そういう事故がありましたときには、こういうことでたとえば折れたとかというようなことがまいります。そうしますと、そこへサービスロードマンという技術専門の者がおりますから、そういった連中が行って、その事故について判定をいたしまして、そして、これはこういうことで起こったのではないでしょうか、あるいはもしも材質が非常に悪くて折れたというようなことも、われわれとすればその実情を見ればすぐわかります。それで判定をいたしまして、そういうことで起こったものは、われわれはリコールすることができないわけでございます。リコールというのは、結局将来それと同じようなことが起こるかもしれないということで易の製作した範囲のもの、非常に多くの台数のものをわれわれはリコールしておるわけでございまして、リコールした台数全部がそういうことが起とるということではなくて、その期間につくったものについてはどうもあやしいということで、ちょうど裁判で言いますと、あやしきは罰せずじゃなくして、あやしきは罰するという主義で、悪そうじゃないかといったものは全部大きなグループとしてやっておるのがこのリコールの趣旨でございます。そういうことからいいまして、特殊な使い方、特殊なことで起こったことに対して、われわれは全部リコールすることはできない、こういう趣旨でございます。
○鬼丸勝之君 私はその認定の方法が問題だと思うのです。会社側のロードマンがその現場に行って、これはどうもあなたの運転がまずいから起こったのだ、リコールはしませんよと、こういうことでは私はここに該当する認定にならないのじゃないかと。なるべく会社のサービスロードマンは会社の側に都合のいいように言うか、そういう判定をするおそれが多分にある。私は警察なりその他公的機関の立ち会いのもとにこれは判定をすべきではないかというふうに考えるのですが、どうですか。
○参考人(岩越忠恕君) それは事故がございまして届け出がございましたときには、必ず警察官のほうも立ち会っておられまして、こういうことになったのではないか、事故があれば必ず届け出がなされますから、それによってわれわれのほうが行って判定をするということになっておりまして、われわれがかってにこれだからこうと言って押しつけるようなことは絶対いたしておりません。
○鬼丸勝之君 もう一点。私もリコール問題に関連いたしまして、設計思想が間違っておって欠陥車になるということもありましょうが、ホンダN360の場合でもその点ははっきりいたしませんが、会社側では設計思想は間違っていないと言われております。問題は、先ほどからお話しのように確かに運転が非常に未熟だ、あるいは未熟でなくても無謀な運転をした、あるいは無謀な運転に入るかもしれませんが、道なき道を行くというような極端に悪い道路を突っ込んで走って行ったとか、そういう原因によって車の欠陥が出てきたという場合はあると思うんですが、私もあまり一々調べておりませんけれども、各社で車を販売される場合に、セールスマンがそういうドライバーに対する注文ですね、注意、その車ごとに注意する点が不十分ではないかという感じがするんです。私のこれは勉強不足かもしれませんよ。何か性能がいい、かっこうがいい、快適だ、そういうことばかり盛んに宣伝をしまして、ドライバーに対するリコールの原因に該当する、あるいはただし書きに該当するようなことについての注意、特に運転上の正常運転をしっかりおやんなさいという注意がきわめて不十分じゃないかという感じを持っておるんですが、この点についていかがでございますか。どなたからでもけっこうです。
○参考人(西田通弘君) ただいまのお話のように、そういう正常な運転をするための指導という面でございますが、もちろんやってないということではございませんが、こういういろんな問題、最近の状況から見まして、よりそういうものを正しく指導する必要性というものは痛感しております。たとえば一例で申し上げますと、横ぶれの問題の大半の原因だと思われますのは空気圧でございます。タイヤの空気圧、タイヤの空気圧が規定以上に入れますと、これはどんな車でも横ぶれいたします。車によっては簡単にひっくり返ります。そういうような問題がマニュアルには書いてございます。特に高速運転にはタイヤの圧力というものはたいへん危険ですよというようなことも入れてありますが、そういうものがさらにいろんな形でより十分に、特に初心者の人たちにわかるようにそういう指導をする必要というものは私ども痛感し、なおいろんな方法は今後も考えていきたいというふうに思います。
○参考人(岩越忠恕君) ちょっと、ただいまの新しい車を買った方に対してのどういうふうにやるかということの注意をしたらいいじゃないかということでございますが、車をお買いくださいますと、私のところではこういう本を三冊必ずお上げしております。これに書いておりますように、自動車の使い方、とにかく運転ができる人というのはこれだけは読んでください、読んでからでないと使わないでくださいといって、新車の取り扱い、日常の手入れ、車の走らせ方、高速ドライブのコツ、こういうときはどうするかというようなことを書いたものを必ずお上げしておりまして、これを読んでから運転してくださいということで私たちは書類を差し上げております。なお、それに伴いましてこの保証書をつけておりまして、必ず何キロたったらこういうところへ行ってサービスを受けてくださいという――五千キロことに必ずこういうところへ行ってくださいという本までつけて、そこでもってこういうことをしたんだということを、どこの工場でこういうことを受けたということまでここに記録してくださいという本までつけてお上げしておるのでございまして、われわれとしては、われわれが販売いたしました車に対して、これはりっぱに使命を果たしてもらいたいということについては十分注意をしてお客さんにサービスをしているつもりでございます。以上です。
○鬼丸勝之君 いま本田さんと日産さんからそれぞれお話ありましたが、メーカーの立場ではやっておるとおっしゃるけれども、販売会社ですね、あるいはセールスマンのそういう指導が私はきわめて不十分じゃないかと思うんです。横ぶれの原因になっているのはタイヤの空気圧が一番だという、それは各機種、車を通じて共通の問題ならば、あるいは自動車練習所あたりでも十分指導してもらいたいと思いますけれども、どうも岩越さんのお話の三冊のりっぱな本ですか、実は私も最近日産系の車を買ったんですが、販売会社のほうからはそういう本を持ってきてないようです。会社のりっぱなカタログですね、説明すると、りっぱで、性能がいい、快適である、かっこうがいいというようなことの宣伝が多くて、初めて車を買う人あるいは新たに買う人に対する指導がきわめて不十分であるという事実を私は実際に感じております。どうかこれは傘下の販売会社あるいはセールスマンに対して十分ひとつ徹底をしていただくように強く要望しておきます。
○田渕哲也君 関連して一点御質問したいと思います。自動車の安全公害に関する問題というのは、これは非常に重大な問題でございまして、またこれはそれぞれの特定の企業の問題ではなくて、実は自動車産業全般に与えられた非常に大きな課題であろうというふうに考えております。最近は各メーカーともこの安全公害の問題にはかなり力を入れられておられる様子が、工場の視察等によりましてうかがわれるわけでございますが、自動車業界というのは非常に企業競争の激しい業界だけに、どこの工場に行きましても企業PRということは非常に力を入れられるわけですが、自動車産業全体として、一刻も早く安全公害の問題を解決する。そのために個々の企業の競争原理の中でやったほうがより早く有効に進められる分野と、それから共同研究をやったほうがより経済的で、また時期も早くできる分野とあろうかと思います。これがどの分野がそれに相当するかでなかなかむずかしい問題だと思いますが、現在の自動車業界の特に安全公害に対する協力関係についての具体的な活動なり進展状況、そういうものをお伺いしたいと思います。どなたでも代表の方でけっこうでございます。
○参考人(岩越忠恕君) 各企業の安全と公害の問題に対する研究でございますけれども、各社それぞれ車の大ききも違いますし、そういうことで仕様も違っている点がございますが、目的とするところの安全のこういう項目をやらなきゃならないということが示されておる点、そういったことにつきましては各社の車に合うようなことを徹底しなければならない。同じものがあっても、その車につけるのに最も適当なふうに設計しなければならないという点で、そういう点があろうと思います。で、安全と公害の問題につきましては、これは工業会で取りきめておりますけれども、各社が開発していろいろな特許を取られるというようなことがあっても、それはお互いに公開して使うということをとりきめておりますので、自分のところが独占してよそへ使わせない、そういうようなことは絶対ございませんし、その趣旨でわれわれは研究していくというふうに考えて現在やっております。
○田渕哲也君 自動車工業会で具体的に現在進められておる機関、自動車研究所というのがせんだってできましたけれども、これの活動状況、それからこれに対する各メーカーの投資額、それからそのほかにそういう機関があるのかないのか、それから具体的にいまここでどういう問題を研究されてどういう成果があるのか、その辺もしおわかりでしたらお答えいただきたいと思います。
○参考人(岩越忠恕君) ちょっと技術的な問題で、研究していることを私よく…。いまここに付き添いに来ております者の中で知っている者がございますが、それからでもよろしゅうございますか。
○委員長(鈴木強君) この際、参考人の出席要求についておはかりいたします。
 本日出席を願っております三名の参考人に追加して、日産自動車株式会社取締役原禎一君の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。
 それでは原参考人。
○参考人(原禎一君) 日産自動車の原でございます。
 自動車研究所は、おもな費用を自動車工業会で持ちまして、大体いまのところはっきりした数字は記憶しておりませんが、年間十億ぐらいの研究費を自動車工業会その他で負担して仕事を進めております。その中で一番大きく取り上げておるものは公害問題です。それからその次に安全問題、これが主体でございまして、その他基礎的なことも研究所のほうで進めております。
 公害問題では、各企業がもう現在差し迫った問題ですぐに手を打たなくてはいけないものは各企業のほうにおまかせいたしまして、今後三年、四年先のようなものを共同でその原理を追求していくというようなものを研究所のほうで取り上げるようにしております。具体的に申し上げますと、たとえば間もなく問題になると思います酸化窒素をどうするかとか、それから将来の排気の浄化の一番主役になりそうな触媒関係を追求していくとか、そういうような共通の命題になりそうなものを主として取り上げております。
 それから安全問題では、個々の車につける規則による安全問題は各企業でやることといたしまして、エアバッグのように、基礎的な原理で各車に応用できる、そういうような種類のものは自動車研究所を中心として進めております。そういう状況でございます。
  〔委員長退席、理事鬼丸勝之君着席〕
○鈴木強君 それでは、私から若干の御質疑を申し上げたいと思います。
 わが国におきましても、御承知のように完全にモータリゼーションの時代に入りまして、われわれ国民生活にとって自動車はなくてはならないものになりました。産業経済の面においてもまた同じだと思います。ただ、御承知のように、自動車がいま一千六百万台ないし七百万台というふうに日本にふえておりますが、そのために自動車戦争といわれ、交通事故も負傷者を含めて百万という段階に入っておりまして、その面から抜本的な対策を立てることがいま国の緊急な課題になっていると思います。そういう意味で、いまお話しになりましたような、一面におきましては一酸化炭素やあるいは先般のオキシダントのような炭化水素や窒素酸化物、こういった新しい公害まで引き起こしているわけでありますから、メーカー側におきましてもこれらの点に意を尽くして完全な自動車をつくっていただく、こういうことがもう必至の情勢にきていると思うわけでございます。そういうときに、いま欠陥車の問題が非常に社会問題になっておるわけでありますが、構造上からくる欠陥において自動車が事故を起こすということはどうしてもこれはがまんできないことでありまして、何としてもこの欠陥を追及して、よりよい自動車をつくってもらいたい、こういうことをわれわれ願うわけであります。そこで、きょうもただ単に過去のミスを追及するだけでなくして、将来に向かって、わが国自動車産業が資本の自由化あるいは貿易の自由化の中で激しい過当競争が行なわれておりますが、そういう中で強く、たくましく、りっぱに成長し、進んでいただきたいということをわれわれは国民とともに願うわけであります。
 そこで、いまいろいろ御質疑がありましたが、私が最初に伺いたいのは、田渕委員もおっしゃったように、現在自動車産業では過当競争が激しいと思います。そういう意味において過当競争からくるコストダウン、こういうことをやはり各企業とも真剣に考えているようでございます。また当然そうなると思います。したがって、いま出ております欠陥は、トヨタさんにしても日産さんにしても、あるいは本田さんにいたしましても、大体アクセルとかブレーキですね、運転上非常に重大なところに欠陥が出ておるわけですけれども、そういう欠陥部分に対する設計なり、あるいは実験なり材料選択、こういう点に欠けている点があったのではないだろうか、こういうことをわれわれは心配するわけであります。耐久試験とか品質管理をやるということになりますと、膨大な金もかかるでしょうし、時間もかかるでしょう。特に燃料パイプのひび割れとか、それからブレーキの欠陥などは設計上のミスが非常に重大であると同時に、部品をつくるメーカーにいろいろコストダウン、経営の合理化等からやはり自動車会社のほうから部品メーカーに対してできるだけ安いものを納入していただくような要求が当然出るでしょう。こういうふうないろいろな問題からして、私はコストダウンということが勢い欠陥を生ずるような道に通ずるのではないだろうか、こういうような気がするわけであります。メーカーがお使いになる材料なんかも現在全部テストをしておるのでございましょうか。アメリカあたりではいろいろなデータを集め、研究した結果を持っておるようですが、日本のメーカーさんは実際に日本で実験しないで、そういうデータを借りて参考にしてやっておるようなことはないでしょうか。そういうような点を私は最初に伺いたいのでございます。
○参考人(岩越忠恕君) ただいまコストダウンの問題についてお話がございましたけれども、私たちはただ値段を安くして、材料は何でもかまわないということを言ったことは一度もございません。材料につきましては、そのものをつくるのに必要な材料を使い、そしてその材質というものも十分吟味してわれわれは使っております。材料につきましては、鉄板でもパイプでも、使いますものは一品一品検査いたしております。その上使用いたしております。したがいまして、保安部品に関係するごときものは、もう鍛造の過程から一品一品検査するというぐらい材質的にも検査し、熱処理しては検査するというように十分に検査をしておりまして、値段を安くするために材料の悪いものを使うということは絶対ございません。ただコストを下げるという問題につきましては、われわれは合理化を進める、あるいは非常な大量生産をするというそういうところから出てくるコストダウンということを要求しておるのでありまして、ただ人手をかけてつくっているということでは物は安くならないということで、いかに合理化の設備をするかということがコストダウンにつながっておる道でございまして、いたずらに値段を下げろということを言っておることはございません。しかも、われわれの商品というのは国際的競争商品でございますし、やはり国際的に競争できる価格であるべきはずだと思います。日本だけが高いはずでもないし、安いはずでもないというふうに考えておりますので、その点については、+分下請工場に対しましてもわれわれの趣旨は徹底してやっていただいておるというふうに考えております。
○鈴木強君 いま私のお尋ねしたメーカーが使用する材料をあらゆる状況で調べる、そういうふうな装置は会社として全部お持ちになっておりますか。
○参考人(岩越忠恕君) 会社のほうでもって全部その検査の施設を持っております。したがいまして、もしも皆さん方で一度検査の施設――納入品の検査の施設からあるいは実験施設というものまで見ていただければ、要所要所でどういうふうにやっているかということを見ていただければしあわせだと思います。
○鈴木強君 それでは日産の岩越参考人に少し具体的にお聞きしますが、先般ダットサン・サニーなど二十二万三百七十一台と輸出車三万三千八百二十一台が、ブレーキに欠陥があるということをお認めになりましたね。そして運輸省に届け出たわけであります。その欠陥はブレーキ液のかすがたまってブレーキがきかなくなったという珍しいものだと思います。これは構造以外の欠陥が見つかったというので初めてのケースだと思うのでございますが、そこで、ブレーキ液に不良品がまじっておる、そして強いブレーキを長時間続けると、熱による変化でかすができ、ホイルシリンダーの内壁にくっつく、そのためにピストンカップとホイルシリンダーにすき間ができて液がにじみ、ブレーキのききが悪くなると、こういうふうにわれわれ聞いておるわけですが、そうすると、この液はエチルグリコールを主成分にしているということですが、これはどこの会社から購入したものでございましょうか。そしてその購入した会社の製品のどこにそういうふうな問題があったのか。それから主成分がありますから、そのほかにまだ成分があるはずでございます。したがって、その液はどういうものがあるのか、これをひとつ聞かしてもらいたい。
○参考人(岩越忠恕君) ただいまブレーキ液のことについて御質問がございましたが、これはブレーキのブレーキオイルを購入しておりまして、たまたま車から少しブレーキが片ぎきをするようなことがあるというような問題が起こったわけでございます。それはよくクレームとしてある問題でございますが、それはどういうことでこの片ぎきが起こるのだろうかということを調べてみますと、ホイルシリンダーの中に油が漏れてきているということがありますので、従来そういうことはなかったものでございますから、シリンダーの精度が悪いのではないだろうか、あるいはそこに入っているカップにきずがあるんではないだろうかというようなことを調べておったわけでございます。それが油であるかどうかということがわかりますのに非常に時間がかかっておるという問題が一つございます。それは全部の車にそういうことが出てきたのではなくって、一つの工場でつくっておる車の中のある種類のものに出てきたものですから、その部品に欠陥があるのではないかというふうに考えておったわけでございます。ところが、だんだん調べてみておりますうちに、熱による変化が起こっているのではないだろうかと思われるスラッジができているというようなことがございまして、それでスラッジがあるけれども、それにしてもそれはどういうことでできたかということで、ブレーキオイルのテストというのは大体七万回ぐらいいろいろテストしてみるわけでございます、ブレーキを踏んだり何か。そういうことで検査や何かするわけでございますけれども、それくらいのことでは出てきておらないという問題でございます。それでどういうことかということで私たちも研究しておったのでございますけれども、ある程度熱によって化学変化が起きるということが明らかになってまいりましたので、この油を取りかえなければいけないということで、その油を納めたところに聞きましたところが、こういう油をいつから納めたのだということを聞きましたら、昨年の六月から十二月ぐらいと、そういうことがわかりかけたものですから、われわれとしては、先ほど申しましたように疑しきはやめると、もうすぐやめてしまうんだということで、その油をかえて去年の十二月からほかの油を使っておったということでございます。しかし、それでもなおその油からできるものかどうかということについての疑問を持っておりましたので、若干そのために研究がおくれておったのでございますけれども、油の中にむしろその性能をよくしようとして添加物を入れたと、それがかえって化学反応を起こしてスラッジを起こす原因になったということになりましたので、これをリコールいたした、こういう次第でございます。これがその工場から納めたものに全部出てきた傾向というものは、夏になって少し暑くなって出てきたものですから、これは全部かえなければいけない、こういうふうにいたした次第でございます。
○鈴木強君 どこの会社。
○参考人(岩越忠恕君) これは三進という会社でございまして、資本金五百万円ぐらいの企業でございます。
○鈴木強君 要するに、このブレーキ液が不良であったということは認めたわけですね。最終的に。したがって、私はいまあなたがおっしゃるように、あらゆる機材、その製品について、部品について独自な研究をし、そういうことのないようにしておるとおっしゃるわけですから、そうすると技術が日本はおくれているわけですか。そういうふうな結果を生じたことは、このブレーキ液が明らかに不良液であるかどうかというそのことがキーポイントですからね。そういう点についてはやはり会社のほうで研究がこれは不足しておったのじゃないですか、こんな下良液を買ったということ自体が。もう少しその液がどういうものであるかを慎重に分析検討しておけばこういう事故は起きなかったということじゃないですか。
○参考人(岩越忠恕君) それはただいまおっしゃるとおりでありまして、いまブレーキオイルの規格というものがございまして、それの現在検査をしておる規格の範囲内には入っておることでございまして、その現在の検査方法でもそれが見つからなかったということが一つあったと思います。で、これは新しくそういった項目についても今後の商品の規格の中に入れられなければならない問題であるというふうに考えておりますけれども、この点についても最近規格にそういったことがつけ加えられるようになるだろうというふうに考えております。
○鈴木強君 このエチレングリコール、この液が主成分ですから、そのほかにも何か入っておるわけでしょう。大体混合比というものはエチレングリコールというのはどのくらいになるわけですか、全体の。
○参考人(岩越忠恕君) 成分を申し上げますと、ポリグリコールというのが二五%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルというのが二五%、エチレングリコールモノブチルエーテルというのが三〇%、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルというのが二〇%、これが配合の内容になっております。この配合の内容はこのほかにもたくさんブレーキオイルをつくっている会社がございますが、この配合の量は各社それぞれいろいろな配合量を持っておりまして、このほかに問題を起こしましたのは添加剤でございまして、ポリエタノールアミンというのと、酸化防止剤としてジターシャリーブチル四メチルフェノール、それから二メチルベンゾチアゾール、ヘキサメチルイミンというのが合計いたしましてこれは〇・一%以下入っておる。この〇・一%以下入っておる添加剤から問題が起こった、こういうことでございます。
○鈴木強君 ちょっと聞き取れないところがありましたから、後ほど資料でいただきたいと思います。
 それからもう一つこの問題で伺いたいのですが、いまの欠陥車は昨年の六月十六日から十二月二十八日までにつくった車だと思いますが、それでこの問題が出てきたのは昨年十月ごろからブレーキ液がにじみ出るというクレームがメーカーや販売店に寄せられてきたということで、お宅のほうではいろいろと社内で研究をされ、昨年の十一月に社内の耐久テストをやられたようですが、その結果その液が不良であるというようなことがおわかりになったのですね。だとするならば、なぜもっと私は早くそのことを国民に知らせて、ユーザーにも知らせて、そして不良品のところは取りかえていくとか、そういう措置をなぜもっと早くとれなかったものでしょうか。大体新車を発売してから、そうしてユーザーに使わして欠陥が出てきたら、その欠陥をあとから処理するというようなそういうやり方について私は非常に問題があると思うのですよ。こういう点はもう少し作製段階における試験、実験といいますか、そういうものをもっともっとはっきりして、少なくとも全体の車の中にそんな欠陥が出てくるというふうなことのないようにしていただかなければ、それは百万台に一台とか、ほかにもいろいろ不可抗力な原因による事故はあるかもしれませんが、少なくとも全体に不良であったというようなものが出るようなそういうやり方については私は非常に重大だと思うのですよ。そういう点はいかがですか。
○参考人(岩越忠恕君) これはただいまおっしゃるようなことは、確かにわれわれとしてもっと早くやるべきだというふうに思いますけれども、これが工場で、車種がたくさん書いてございますけれども、その中の全部に出てこなかったものですから、われわれとしてはこれが全部すぐ油であるかどうかということに対して若干の疑問を持っておったわけでございます。それが夏になりましてからほかの車にもそういうことが出てきたということでございまして、われわれといたしましては、このブレーキオイルからそういうことがあるのではないだろうかということで、そういうことが疑わしいということならば、すぐにそれはやめたほうがいいということで取りかえまして、なおかつそれについても、向こうでもいろいろ添加剤につきましては〇・一%以下のものについて酸化を防止しようということで入れておったものが、そんなに関係のあるものかどうかということもよくわからない点もあるわけでございます。で、ブレーキオイルのテストと申しますのは、大体現在七万回以上踏んでやってみなければいけないものでございますから、そう一ぺんにすぐに分析して出てくるというものではございません。化学反応が起こるというものでもないのでございます。そういう長期間を要するために、そういう問題についてわれわれとしては検討しておったわけでございますけれども、最近になりまして、この七月くらいになって熱によっての化学反応からそういうことが起こってきたんではないかということが明らかになってきたものですから、それで全部をやろうということに決定いたしたわけでございます。多少先生からおっしゃったような気味のあった点というのはわれわれとしても反省しなければならないというふうに考えております。
○鈴木強君 それから次に本田技研さんのほうに伺いたいのですが、今度ユーザーユニオンの皆さんが取り上げた問題と同時に、過去の交通事故の中で軽自動車の事故がどういうふうに発生しているかということについて、われわれは非常に注意深くこの委員会でも調査追跡をしてまいりました。その結果、かなりの事故の中にホンダN360という自動車のあることがわかったわけです。そこで問題も表面化してきたと思いますが、ユーザーユニオンのほうでは事故の原因については満ぱいのときとか、あるいは高速走行のときとか、下りカーブのときとか、あるいはアクセルを離したときとか、非常に危険なポイントというものを幾つかに分けて指摘をきれておるわけです。それで、これは私はすでに事実あった事故でありますから、その事故について当時警察庁がどういうふうな措置をしておったということは追跡をすればよくわかることですから、ほんとうにやる気になってその事故の追及をしようとすれば、これはたやすくできます。困難があってもやらなければならぬと私は思うのですね。そこでわれわれがこの事件が起きてから本田さんのほうの態度を見てりますと、少し合点がいかない点があるのです。それは新聞報道ですから、私は本田さんのほうおでもそうやはり事故があるとすれば、それについて謙虚に反省をしていただいて、その原因結果を追跡していって、事故がないように最善の努力をするという考え方だと、こう思っておりました。ところが、きょうあなたのさっきの発言を聞きましても、非常に高飛車ですね。絶対おれのほうにはミスはないのだと、そういうお考え方でもって意見を述べられておるわけです。これは皆さんのほうの自信と確信のあるところをお述べになるのはけっこうですけれども、しかし、総体的に総合的にいま考えてみたとき、やはり買っていただくのはお客さんでしょう、皆さんにとりましては。ですから、そのお客さんの中に自動車に乗って事故が起きたということになれば、一体その事故についてはどういうところに欠陥があったのだろうか、どうだろうかということを会社としては当然に探究しておられると思うのですね。そういう点から私は謙虚にこの問題については、それは自信はけっこうですけれども、こういう事故が起こらないようなことについてもっと積極的に会社が取っ組んでいくという姿勢が前面に出てしかるべきだと思う。それが出ておらない。まあ聞いてみると、さっきのあなたの御意見の中に、そういうような気持ちがあるようですから、かなりわかりましたけれども、この事件が起きてからの会社側の姿勢というものについて国民は多少不安を持っております、それは。ですから、いまから私が申し上げるような問題について少し検討してもらいたいと思う。
 もともとこの軽自動車というのは、これは昭和二十五、六年ごろ車種ができたわけでございまして、それはおっしゃるように非常にその型が小さいし、どこへでも入って行けると、簡単に運転も特別な運転免許でやれる。ガソリンも節約できるということでもって、確かに庶民にとってはなじめる車なんですね。そういうことからあなたのおっしゃるように発展したことは事実なんです。ところが、当時はたとえば免許も普通の一種二種と違った程度のもっと低い試験で免許がもらえる。それから車検もこれは定期点検だけでよろしい。車両法上の車検はやらないでいい。こういうようなことが軽自動車にとっては特性として認められておったわけですよ。ところがその後高速自動車道というものがどんどんできてまいります。スピードが百十五キロから百二十キロと、こういうようなスピードの出されるようなところまで性能が開発されたわけです。ですから百二十キロもスピードを出す人が軽免許でいいかどうかということも、これは私は後ほど政府のほうにもさらに追及したいと思いますし、車検もいまや普通車と同じようにちゃんとやるべきだと私も思うのですよ。そういうふうに技術開発というのはどんどん進んでいったんですけれども、法律制度というものは後手になってきている。ですから、皆さんも軽自動車を考えられた当時の考え方からすると、性能がよくなったから絶対安全だとおっしゃるのですけれども、やっぱり高速道ができれば、そこで最高百二十キロ飛ばせる車であればそれは飛ばしますよ、人情として。そうするとやはり事故が起きてくる。大体当時は五十キロか六十キロくらい出せばいいというのが軽自動車の社会通念だったわけです。それがいまこういうふうに百二十キロも飛ばせるようなことになったわけですから、そこにもう少し会社としても、この法律制度の面からは国が当然考えるでしょうけれども、スピードを出していくそういう態勢の中に、八十キロ出せば横ぶれがくるとか、そういうようないろいろな具体的な例があるわけでして、そういうことについて何か頭でっかちのような形になっておるのではないだろうか、こういうふうな気がするわけですけれども、性能的に皆さん絶対百二十キロ出したって間違いないのだと、こうおっしゃるでしょうけれども、しかし、そこらに多少の疑問があるのじゃないかという気も私たちしろうとですからするわけです。この点ひとつ最初に西田さんの意見を承りたいのですがね。
○参考人(西田通弘君) 軽自動車につきましては、いまお話しのように相当古くからあったわけでございますが、私どもが、特に本田が軽自動電を始めましたのは最後発メーカーでございまして、すでに高速道路、あるいはアメリカその他への輸出、そういう海外事情も考えまして、国際的に通用する商品でなければ軽自動車の業界に入っても意味はないという時代に私どもこの軽自動車界に入ったわけでございます。したがって、私どもは最初からそういう高速というものが存在するという前提で、しかも特に日本という国は山あり川あり海ありで、まず全世界的にも最もいろいろな条件がまあそろったといいますか、ある意味では最も過酷な自動車にとっては条件だというふうに思いますが、そういうところに耐えられる車がつくれなければ私ども軽四輪界に出てもしようがないという前提だったわけでございます。したがって、設計の思想的にも最初からそういうものに耐え得る車をつくるということでスタートしたわけでございます。当初は確かにまだ日本にもそういう高速道路のない時代でございましたので、そういう思想でなくても軽自動車というものは存在価値があったと思いますが、その後ほかの各メーカーさんも同じようにそういうものに耐えられる車をおつくりになったというふうに思います。少なくとも今回問題になっておりますNにつきましては、百二十キロという速度については何ら技術的に不安のない車だというふうに思っておりますし、また私どもほかのメーカーさんはきょういらっしゃいませんが、軽自動車のメーカーさんの車もいろいろ比較テストさせていただいておりますが 十分同じようにそういうものが耐えられる車だというふうに思います。ただお客さまの使用の用途、そういうものがいろいろございまして、もう都市の中だけで使って、高速であまり走らないというような使い方の方もいらっしゃいますので、そういう意味で私ども実は最近タウンシリーズと称します要するに都市向きの車というので、最高速度を百五キロに押えました馬力を落としました低速、中速に力のあるような、要するに都市の中だけで乗りやすいような車も発売したわけでございます。これはたいへんいま都市の方には好評でございまして、注文も殺到しておる状況でございますが、そういうふうなお客さまの今後のお使い道の問題と私どもの技術とのからみ合わせで、必ずしも百二十キロにこだわっておるわけではございません。そういう意味では用途に応じた車をどんどん技術的に開発していきたいというふうに考えております。
 それから、ただいま今回の問題についてたいへん高飛車だというお話があったんですが、そういうつもりではございませんが、少なくとも私どもはいままで私どもの責任と思われる車については、先ほど一番先に冒頭に申し上げましたようにリコールもしております、責任もとっておりますが、今回の問題については、私どもの構造上の欠陥でないというふうな技術的な判断をしたにすぎないわけでございまして、いつも何でもかでも私ども責任をのがれているということではございませんので、その辺を御理解いただきたいと存じます。
○鈴木強君 それで西田さん、私はお願いをしたいんですけれども、確かにユーザーユニオンさんというのは自動車を使っていただくお客さまですよね、その方々が組織をつくっているわけですから、だからその方々とも、資料を要求したけれどもくれないとかおっしゃるわけですけれども、そこには何かまたあるようにも私は感じましたけれども、もっとどうなんでしょうか、お客さまとのつながりなわけですから、そういう方々ともひざを交えて常時自動車の問題について話し合えるような機会をつくらなければ、ユーザーユニオンの設立目的は、やはり自動車をよく知ってユーザーの方々の親睦をはかっていこうというのがこの組織だと思いますから、そういう意味においてはもっとざっくばらんに話し合えるような間柄になっていなければおかしいんじゃないか。それで今度九十何件かの具体的な例をあげておられると思うんです、これは警察庁のほうでもわかります。やっと警察庁のほうでも再調査をすることになりましたけれども、ですからあなた方のほうでもひとつ警察とも打ち合わせをして、そしてどういうときにどういう事故が起きたのか、これはユーザーユニオンとも相談していただいて、そして謙虚にこの事故が、ほんとうにおっしゃるようなところに原因があったのかどうかということについて聞く姿勢をとっていただきたい、聞く耳も持たなければだめですよ。そうしないとますます感情的なものがあると、私はないと思いますが、もしあるとすればたんへんなことですから、そういうことがないようにしていただいて、皆さんの姿勢はわかりましたけれども、しかしこういうことが具体的に事例として出ているわけですから、それについてはその原因をもっともっと厳粛に謙虚に追及していって、もし誤りがあるということならば、それにはやぶさかでないという態度を持ちつつ対処しなければ、いまあなたに高飛車だと私が言ったのは、新聞なんかに出ている皆さんのほうの御意見を聞いても、おれのほうには絶対悪いところはないんだ、それは運転する人が未熟だとか責任があるのだというふうにとれるようなニュアンスでものを言っておられる。それじゃこの問題解決しませんよ。その問題についてはいかがですか。
○参考人(西田通弘君) もちろん謙虚にそういう問題については取り組みたいと思います。いままで私どもわかりましたものについては、そういう意味で徹底的な調査をしたわけでございます。なお引き続きそういうまだ私どもの知らないことについては、あらゆる手を使いまして、そういうところと連絡をとりたいと思います。ただ、私どもは先ほど申し上げましたが、全国に直営のサービス工場というのを持っております。これは非常に分散した全国に網羅してあるわけでございますが、そこはほんとうに修理専門でございますので、そこへはもう皆さんに気軽に、全国共通といいますか、共通のネットで、たとえば東京で買われてもどこで買われても、どこのサービス工場を使おうと、全く建物も一緒でございますけれども、私どもの従業員が行っておるわけでございます。そういう末端に密着したサービス組織を持っておるつもりでございます。それだけにお客さまの声というのは早く吸収できる、また早く迅速にそういう処理ができるというサービス体制のつもりでございます。なお徹低的にこういうものはお客さまの不安がなくなるような努力は続けていきたいと思います。
○鈴木強君 ぜひその点はお願いいたします。
 それから最後に、私は非常に宣伝費もかかると思うんです。本田さんの場合には、「ホンダTN360商売繁盛」といってCMでやっておりました。ああいう宣伝費はどの程度年間お使いになっているものですか。それと同時にクレーム対策費、こういうものはどの程度お使いになっていますか。これはできましたら三社から聞きたい。おわかりになった方から。
○参考人(岩越忠恕君) ちょっといま数字を持ってきておりませんので。われわれといたしましては、国内だけでなく外国にも出しておって、クレームもございますので、ちょっと数字を頭の中に覚えておりませんものですから、後ほど書面で……。
○参考人(西田通弘君) 私のほうもただいま持ってまいりませんでしたので、資料は後ほど差し上げたいと思います。よろしくお願いします。
○参考人(松尾f一君) 資料は持っておりませんけれども、概略のことを申し上げますというと、宣伝費につきましては、実は私のほうは宣伝関係の担当は販売会社であるトヨタ自販の担当になっておるものですから、こまかい数字はわかっておりませんが、大体年間六十億ぐらい。それからクレーム費関係も資料は持っておりませんが、大体月に約五億円程度くらいというふうな見当でございます。
○鈴木強君 わかりました。いまわからなければやむを得ませんが、しかし、それぞれ副社長さんであり専務さんですから、少なくともクレームについてどういう対策をされ、年間どの程度のわが社はそれにお金をぶち込んでおるかということがいま即座に頭の中にないということ自体が、クレームに対する関心が薄いということを証明するものでありまして、非常に残念に思いますが、しかし、ないものはいま出せないですからやむを得ませんが、後ほど資料で出してください。終わります。
  〔理事鬼丸勝之君退席、委員長着席〕
○小笠原貞子君 本田技研の西田参考人にお伺いしたいと思います。時間もございませんので、いま問題になっているN360についてお伺いしていきたいと思います。先ほどのお話の中で、やはりいま鈴木委員が言われましたように、私は非常に本田技研さん自信をお持ちになっているということを感じました。それでこのN360については、先ほどおっしゃったように設計について悪いところはない、欠陥車というふうに見ることはできない、絶対自信を持つ、そういうふうにとってよろしいですか。
○参考人(西田通弘君) 先ほども申しましたように、いままですでに九件欠陥と疑わしいということでリコールしたものはございますが、それ以後はございません。現在のところはございません。
○小笠原貞子君 先ほど去年の十二月までに九七・二%完了したとおっしゃっていましたが、このN360については回収したというのはどれぐらいになりますですか。その年月日、いつごろどの程度回収したというようなこと……。
○参考人(西田通弘君) その不ぐあい個所の内容が違うわけでございますが、先ほどからN360と申し上げておりますが、そのうち一番主体になっておりますのが乗用者のN360という型式のものでございますが、これは昨年リコールいたしましたのは、対象車の製造期間が四十二年の三月から四十三年の四月に製造したもので、対象台数が十三万五千三百五十一台でございます。
○小笠原貞子君 それではいま出ているN360についてはそういう欠陥は認められない、安全であるというふうに自信を持っていらっしゃる、そういうことになりますか。
○参考人(西田通弘君) さようでございます。
○小笠原貞子君 それでは続いて伺いますけれども、先ほどから非常に自信を持っていらっしゃるわけですね。そうしますと、その自信を持っていらっしゃるというのは、何か具体的な科学的な根拠がなければおたくで自信持たれても困るわけなんで、じゃどういう根拠があってそういう自信をお持ちになったのか。たとえばどういう検査をしたのかということをお伺いしたいと思います。
○参考人(西田通弘君) このいま問題になっております当時の機種を私どものテストコースその他を使いまして、この問題が出ましてからさらに、もちろんそれ以前にも絶えず耐久テストその他を行なっておりますが、それとまたさらに追加しまして、あらためてこの機種については数種類のテストをやっております。その結果を見ましてもこういう状態の――今回いろいろな事故の場所その他の状況が出ておりますので、その状況と同じような状況で走っても全くそういう横ぶれその他の現象が起きないということでございます。
○小笠原貞子君 じゃその数種類のいろいろな実験についての結果というものはそちらでお持ちになっていらっしゃるわけですね。それについて資料としていただくことできますね。
○参考人(西田通弘君) はい。
○小笠原貞子君 それではあとでいただかしていただきたいと思います。
 それから数種類のテストとこうおっしゃいましたけれども、先ほどあなた自身がおっしゃったように、自動車というものは人命にかかわるたいへん危険な品物でございますね。相当に慎重なテストが必要だと思うのです。おたくのほうは本職だからおわかりであると思いますけれども、数種類のテストではたしてその車が安全かというと、私はそれは非常に不安だと思うのです。そうすると安定性と操縦性に対しての試験方法というのが一体どういうものがあるかということを考えて、少なくともこれぐらいはやって、それだから安全だというふうにやってもらいたいわけです。たとえば定常円旋回試験ですね、ローリングの試験と、スラローム走行試験、手放し安定性試験、車線の乗り移り試験、直進性試験、インパルス応答試験、それからステップ操舵試験、横風応答試験、シミー試験、キックバック試験、低速操舵力の試験、それからすえざり試験、限界特性試験、フィーリング試験、それに加えてパワーオフとパワーオンの試験、こういうようにほんとうに安全な自動車をつくろうとお思いになるならば、先ほど責任を持ってというふうにおっしゃったならば、これぐらいの実験というものはやってもらいたいと思う。
○参考人(西田通弘君) もちろんやっております。
○小笠原貞子君 これ全部やっておりますか、十五言いましたが。
○参考人(西田通弘君) はい。ただ、いまお話のありましたようなテスト方法、内容が名称だけでございますので、どういう試験方法でどういうふうに具体的にやるべきか、これについては現在これならば安全だ、こういう数字がいいんだというものは見つかりません。ですからこれはいろいろ比較の問題とか、あるいは総合的に片方が悪くても片方がよければという問題もあります。一つずつこれなら合格不合格というような数字は出ておりませんが、それを総合的に判断するということになります。
○小笠原貞子君 それではいま言いました十五についても一応の試験はしていらっしゃるというのならばそれも資料として、きょういまいただかなくてもいいのですけれども、あとでどういうふうな状態でこれをなすって、どういうふうに評価なすったかということについて、その資料をいただきたいと思います。それをお願いいたします。
 そうしますと、私たちとしてはユーザーの立場に立つわけですね、自分たちがいつ危険になるかもしれないと。そういうユーザーユニオンで先ほどから言われておりますように調査もしていらっしゃる。その調査の中で非常に出てくるのは、追い越したとき傾いて蛇行し、これが絶対直らないで突っ込んだりなんかする。これはいつも言われていらっしゃるから、いやというほどお聞きになったと思いますが、パワーオフテストで、百メートルの半径を八十キロの速さでハンドルが内側に巻き込まれて戻りにくいというような点だとか、デフロック現象が起きて、ハンドルがきまりにくいとか、それからボデーとピラーを取りつけるブッシュ部分の材質がホンダの場合は非常に粗悪品で、一年たたないうちにすり切れて悪くなるというような問題があるというようなことがユーザーユニオンの調査では、まだほかにもありますけれども特徴的にいえばそういうことが出ているわけなんです。おたくはそういうことをお認めになりますか、お認めになりませんか。
○参考人(西田通弘君) もちろんその中に認める問題もあるかと思います。一つ一つの内容はまだ全部わかりませんですが、ただ先ほど申し上げたように、車というのは総合的に判断しないと、この試験で多少ほかに比べて切れが悪かったから、だから事故が起きるのだというような結論にはならないかと思います。
○小笠原貞子君 そうしますと、いろいろと総合的な判断ということもそちらではあるかと思いますけれども、私たちの立場から調べて、そして結果を見てみますと、やっぱり客観的にいやでも非常にこのN360というのが事故を起こしており、その事故も非常にいま言ったような特徴的なところに事故が起きている。こういうことになりますと、これはおたくが認める認めないにかかわらず客観的に出てきているわけなんですね。それで、またおたくはそういう欠陥はなかったというふうにおっしゃっておりますけれども、おたくの会社で働いている労働者というのは一番よく知っているわけですね、自分たちが車をつくっているのだから。そうすると、どこがあぶないなということはわかるわけですね。それでその働いていらっしゃるおたくの会社の方の中から、実際自分がやっていて、これは非常に危険で、こういうふうに設計変更したのだというような手紙も来ているわけなんです。これは名前は出せません、おたくで圧力かけられたらたいへんだから。こういうふうに書いてある。「事故の件に付き一言。自己車は四十三年迄に生産された車ではないかと思います。前輪駆動はアクセルを踏み続けている時は良いが、アクセルを離すとエンジン内部の欠陥(……)により「横ゆれ、ダ行」がおこり、そのままハンドル又はブレーキを踏むと転倒、激突を……。この件は内部で発見され(ユーザーには……)以後急ぎ設変しました。」と、こういうふうに書かれているわけですね。そうすると、おたくは認めていらっしゃらないと言っても、この本田の会社の中の人たちからこういう手紙が来ているというわけです。
 それからまた先ほどのお話の中では、たとえば自動車というのは運転する者の未熟度があるとか、それからまた道路がでこぼこだとか、そういうようなことが言われておりましたけれども、全部事故が起こったというのを見てみますと、たとえば熟練工ですね、タクシーをやってれば熟練している、そういう人も事故を起こしている。またおもしろいのは、佐賀県警の秘書課長なんという慎重にやらなければならない人も事故を起こしちゃって死んでいる。それから今度は乱暴な若者というのじゃなくて、家族を連れてやはり慎重な運転をするようなそういう年輩者も出ている。そしてそういう人たちが多く出ている事故というのは、調べてみますと全部ハンドルをとられて蛇行でという、ほとんどそういう結果が出てきているわけなんですよ。それでまた、それがうそだと思うのだったら証人に立ってもよろしいと、その人は被害者なんです。自分がこっちへ車でいったら前からN360がこっちへきた。ぐっと曲がっちゃっておかしいなと思ったらぶつかっちゃったと。被害者ですね、ぶつかられたほうで、とても普通の自動車の状態ではああいう運転はできない、これは必ず欠陥があるのだ、自分は被害者だからいつでも証人に出ますと、こういうふうな方もいるわけなんです。そういうような事実があるにもかかわらず、おたくはやっぱりそういう事故はありません、いままで届けられた九件ですか、しかないのだ、欠陥というものは認められないと、なお確信をお持ちになって言い切られるでしょうか。
○参考人(西田通弘君) いまいろんな具体的な例示がございましたのですが、私どもも独自で調査する以外ないものですから、現在のところはいま出ておりました幾つかについてはやっておりますが、またいまのお話の逆の話もございまして、たとえばこの十四件の中にある事故でも、事故を起こしまして車がいたんじゃったんだけど、またやっぱりN360を新車としてお買いになっている方が二人いらっしゃいます。そういうこととか、これは明らかに自分の家族のミスだということをうしろにくっついていた車の家族の方が証言されたり、そういうようなお話もありまして、必ずしもいまの全部のお話がそのまま私どもの調査とは全く同じではございません。そういう意味で、再度公正な皆さん方のところで十分お調べをいただきまして、私どもがほんとうに問題だとすれば、はっきり責任をとらさしていただきたいというふうに思います。
○小笠原貞子君 それではまだやっぱり自信は持ってらっしゃるわけですけれども、そうしますと、まあ欠陥車だというふうにきめつけることはできないけれども、欠陥のおそれがある、欠陥があって危険のおそれがあるということはお認めになりますか。
○参考人(西田通弘君) 現在のところはまだそういうふうに思っておりません。ですからそういうおそれがあるという判断をいたしますれば、もちろん事故の対象になるわけです。
○小笠原貞子君 まだその欠陥車ではないけれども、危険を起こすおそれがあるということに対しても自信を持ってるからそんなのは認めないと、いま再度確認されたわけですね。それではそこまで確信を持ってらっしゃるならもう一つ聞きたいと思うのです。これは読売の大阪版で見たのですけれども、四十五年八月六日付です。大阪地裁でいま裁判で取り上げられておりますね。道済信幸さんという方が事故を起こされた。事故が起きたのは四十三年二月二日、貝塚市の国道二六号線で突然蛇行して転覆して民家に突っ込んだ、こういう事故が起きているわけなんですよ。この車に対して、おたくが回収してほしいという案内を出してらっしゃるわけですよ。ここにその道済信幸さん宛てのおたくから出されたもののリプリントしたものがありますけれども、ここに何と書いてあるかといえば、これは、いままで御愛用いただきましてどうもありがとうございました。しかしこれには不良の個所があって危険のおそれがあるから直接販売店にお申し出くださいと、こういうふうに書いておたくで出してらっしゃるわけですよ。もし危険のおそれがないと、そこまで確信をお持ちになるなら、これは一体どういうことになるのですか。ちゃんとおたくで出してらっしゃるのですよ、これ。
○参考人(西田通弘君) その内容、出ている内容はこれとは関係ございません。先ほど申し上げました昨年リコール対象になりました九件と申し上げましたが、その中に入っている車なので、そういう御通知を差し上げたわけであります。
○小笠原貞子君 しかしあれでしょう、こういう御通知をお出しになったというのは、危険のおそれがあるから出しているのでしょう。それじゃあ自信がないじゃないですか。さっき自信があると言ったのはおかしいじゃないですか。取り消しなさい。
○参考人(西田通弘君) ちょっと私のことばが足りないのでしょうか。そのいまの道済さんの車、その対象は先ほど申し上げた、リコールしたというふうに申し上げた対象車の中に入っているわけでございます。したがってそのふぐあいについては危険があるものですから、それは早くお取りかえいただきたいという御通知を差し上げたのです。ですからそこを直しさえすれば完全でございます。
○小笠原貞子君 だから結局危険があるから直したほうがいいとお思いになったわけでしょう。だからさつきから自信があるのだ、危険のおそれがあるのかと言ったらおそれがないと、そこまで確信を持っていらっしゃるのは、これ一つ見ても確信があると言うのはちょっと口幅ったいのですよ。こういう事実を見ておたく回収していらっしゃるわけでしょう、これを出してね。だから私たちはほんとうにおたくの会社の姿勢として、先ほど初めにおっしゃったように、ほんとうに自動車メーカーとしては人命をあずかるそういう商品をつくるという会社の責任において、口ではたいへんりっぱにおっしゃったけれども、事実はどうなんだ。事実がついてないのですよ。たとえば先ほどユーザーが調べたのが九十一件あった、だけれどもそれは私らのほうには知らされない、私のほうでは十四件をこれを追跡しておりますと、こうおっしゃいましたね。そうでしょう。
○委員長(鈴木強君) ちょっと西田さん、焦点をちょっと合わせてもらいたいのです。小笠原先生のおっしゃっているのとあなたが違うと言ったでしょう、さっき。おたくのほうでリコール車として、欠陥車として認めて措置をしたものと、今回この係争になっている問題、いま先生がおっしゃっている現在問題になっている欠陥であるかどうかという車との関連が一緒くたになっているのですね。ですからもしあなたが違うとおっしゃるなら、ぼくもよくわからないのだけれども、それはどういう点か、そこを整理してもらわないとちょっと理解できないのだ、どう違うか。
○参考人(西田通弘君) わかりました。先ほど手紙を出したと申し上げたのは、ふぐあいの場所がフロントブレーキホースの耐候性不足によるゴムの劣化が起きたということで、ホースの材質を天然ゴムの配合率を変えたものと交換するという作業でございます。ですからブレーキ関係のほうのことでございます。今度の場合、いま御指摘受けております横ぶれとかいいますか、その問題とはここは全然関係ないわけでございます。たまたま同じ車の内容でございます。
○小笠原貞子君 私は横ぶれだけ言っているのではないのですよ。やっぱり危険が起こるということを言っているわけですね。だからブレーキの個所であろうとそれからハンドルの個所であろうとどこの個所であろうと、その車のどこかに危険のものがあれば、危険を起こすおそれがあるというふうに言わざるを得ないわけでしょう。おたくひとりで横ぶれだけに限っていらっしゃるわけですね。私は車全体としてこういう危険があるということを言っているわけなんですね。だからそれをお認めになってもっと謙虚に聞いてそしてやってほしいと、こういうふうに言っていたわけなんですよ、いいですか。
 それじゃ続いて、先ほどからユーザーユニオンで九十一件も調査されたけれども私のほうにはこないと、こういうふうにおっしゃっていますけれども、おたくのほうで、たとえばこの問題が起きてからでもけっこうです、このN360についてこういう事故が言われているけれども、これをお使いになった皆さんにこういう問題についていろいろ事故があった方はお知らせくださいというように、全国のユーザーに向かって集めるような努力なさいましたか。
○参考人(西田通弘君) これは私どもの販売機構が小売り店を通じてお客さまと接触しておりますので、そういう問題は全部小売り店のほうに打ち上がってくるわけでございます。すでに、新聞その他で見たんですけれども、おれの車はどうだろうというのが百件ほど私どもに来ております。ですから、あるいはその百件が残った九十一件と合致するのかもしれません。ただそれがわからないものですから、合致してない、私どもの未知のものがあってはユーザーさんに申しわけないものですから、先ほど申し上げたようにユニオンさんのほうにもお知らせを願いに行ったわけでございます。
○小笠原貞子君 それじゃ伺いますけどね、じゃ、百件近く来てるってわけですね、おたくのほうに。さっき十四件しか来てないと言ったでしょう。百件近く来てるんなら、その百件近くについて会社として当然責任持って追跡調査するなり、事実調査しなければならないわけでしょう、責任者として。それなすってらっしゃるんですか。
○参考人(西田通弘君) はい、しております。
○小笠原貞子君 それは資料がありますか。
○参考人(西田通弘君) はい、ございます。
○小笠原貞子君 それではどういう事故についてどういう……。
○参考人(西田通弘君) それは事故ということでなく、心配だとか、あるいはそういえばちょっと横ぶれするようだというようなのも含まっております。それは全部私どものほうで処置をとっております。
○小笠原貞子君 それじゃそれも資料としてあとでお伺いしたいと思います。
 そうしますと、私は最後に申し上げたいんですけれども、先ほどおっしゃったように、会社として売るほうの宣伝費には非常に強くお金をかけてらっしゃるわけですよね、まあどこさまでもそうですけれども。しかし、その会社がこういう危険だと思われるというようなときに、そのときにこれを公表して、いろいろ事故を出してくださいとか、これを聞きたい、こういうようなのはきっぱり目立たないんですね。いま時間がないから日産さんもトヨタさんも私聞きませんけれども、おたくに何もないというわけじゃないんですから、また時を改めて私は伺わせていただきたいと思いますけれども、たとえば一つだけ日産のほうで言いますと、その回収なさるときの広告ですね。この広告もまことにあいまいな広告なんですよ。たとえばこういうところで危険だから至急回収したいからという、ほんとにこれ命にかかわるんだから、緊急な訴えぐらいテレビなんかでやったらいいんですよ。それなさらないでしょう。で、新聞に出るわけですわ。その新聞をちょっと見ても、弊社製品に関しましては、愛用直の皆さまに心配をおかけいたしましたと、「右記に該当する車種には未整備のものもございますので」、「最寄りの販売店にお申し付け下されたく」ちょんちょんですわ。それから「車種および項目」、「ニッサンエコー」、「高速性能の向上」、「対策内容」と。こういうふうに危険だから回収しなきゃならないんだと、当然命を守る立場に立ったらそれくらい大胆に責任を持ってやっていただきたいのに、何ですか、未整備のものがございますとやら、高速性能向上のためなんと言ったら、これねえ、ほんとに何を言ってらっしゃるんだかわからないですよ。だから私は非常に会社側としては無責任な態度だと、こういうことを言わざるを得ないわけです。
 それで最後は、すみません、もうこれで終わりにいたしますけれども、それじゃ事故が発生いたしまして、一ぱい事故があるから、おたくも事故を出していらっしゃるのだから、それを調査しましょう。その事故でどう考えてもこれは車の構造上の欠陥であるということが認められたときは、当然さかのぼってその賠償はなさるべきだと思うのですが、その点いかがですか。それで終わります。
○参考人(西田通弘君) 当然だと思います。
○委員長(鈴木強君) どうもありがとうございました。
 参考人の皆さまには、長時間にわたり貴重な御意見を御開陳くださり、まことにありがとう存じました。
 これにて参考人に対する質疑を終わります。
    ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) 引き続き、交通安全対策に対する調査を行ないます。
 それでは、山中総務長官も御出席いただきましたので、午前中の参考人に対する質疑応答から二、三政府に対して要望しておきたい点があります。
 その一つは、ユーザーユニオンから横ぶれ事件について捜査の要請が出ているようですが、警察庁のほうとしてはこれをひとつ積極的にやってほしいということですね。
 もう一つは、ホンダN360軽自動車の場合には、昭和二十五、六年ごろにこの車種ができておるわけでして、当時は五十キロないし六十キロくらいのスピードでやられておったのですが、いまは百二十キロというようなスピードになっているので、その辺法律的な整備、たとえば車検をこれに対してやらなければいかぬとか、あるいはその運転免許についても普通二種ですか、そういうようなものに制度を変えるとか、法律と実態とを合わせてもらいたいと思うのですよ。そういうようなことをしませんと、交通安全の対策ということが確保できませんので、それらをぜひひとつ長官としてやってほしいと思うのですが、この二つだけ当局から承りたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 御承知のように、総理府は実務はいたしておりませんが、ただいまの委員長の午前中の参考人の意見聴取に関する問題点を集約しての御要望につきましては、第一点は地検捜査の問題であろうと思いますが、これを法務大臣のほうに伝えます。
 第二点の、スピードが当初発売されたときよりも、同じ車種であって異常に早い性能を備えてきておる、それらは一体車検の立場から、あるいは免許の対象としての一種、二種の問題としての取り扱いをどうすべきか、そのまま放置していいかどうかという問題は、所管大臣の運輸大臣のほうへ伝えたいと思います。いずれもこれには問題があるし、この点はすみやかに結論を出すようにという方向で伝えたいと思います。
○小柳勇君 私は、米軍の投下機雷が先般爆発いたしまして負傷者が出ました。したがって、米軍の投下機雷の掃海の問題について質問いたします。
 去る昭和四十五年五月九日の午後三時七分に郷灘港のしゅんせつ工事中のポンプ船第一東洋丸、これは千二百トンでありますが、このカッター付近に爆発音がありまして、当該船の船体各部に損傷を受け、作業中の船員及び作業員四名が負傷いたしました。爆発事故による負傷の最近の発生は不明でございますが、同様の事件が過去にも数回発生いたしております。たとえば昭和三十二年十一月二日に戸畑港内、昭和四十年八月五日の下関福浦港内、昭和四十五年三月二十九日若松港の二号ブイ付近、このように再三関門港において爆発事故が発生しておりますが、この投下機雷の現状はどうかと調査いたしましたところが、防衛庁の調査によりますと、昭和四十年十二月八日の段階におきまして、全国で五千百二十六発なお残存機雷がある。おもなるものは東京湾が五十七、福岡湾付近が百十八、唐津湾付近が八十五、新潟港付近が三百八十一、七尾港付近百五十七、敦賀港付近百十八、大阪湾及び紀伊水道が四百十一、播磨灘が三百七、広島湾が三百九十二、伊予湾、別府湾及び周防灘が百二十九、その他全国各地にございますけれども、その合計は五千百二十六発。戦時中に米軍が投下いたしました全体の数は一万一千八十発だといわれている。これは敷設機雷でありますが、一万一千八十発のうち、今日まで掃海されたものは、いま申し上げたもののほか、掃海されております関門港だけについて申し上げますと、約四千五百投下されておりましたものが、三十九年末までに処理されたものが千九百八十七個、四十年から四十四年までに処理されたものが十九個、したがって、昭和四十五年現在で約二千個がなお関門港付近に機雷が残っているということであります。これが現状であります。そのようなことで、いままで、たとえば防衛庁あるいは第四港湾建設局など運輸省関係で掃海もされたようでありますけれども、完全に撤去されていないわけです。だから港のしゅんせつ工事はやらなければならぬ、あるいは港の整備工事はしなければなりませんけれども、やる場合には相当危険が伴う。だから防衛庁なりあるいは海上保安庁なり、あるいは運輸省なり、関係者がそれぞれ協議をしてこの掃海についても努力はしておられるようでありますけれども、現状はいま申したとおりです。先日、私は保安庁の高官に、現在の関門港管理組合の組合長である亀井福岡県知事から、危険でしょうがないから、完全な掃海を頼むという陳情書がきたから、あなたのほうの担当ではないかと電話しましたところが、私のほうではないと、戦後は海上自衛隊がやりましたけれども、もうこれは私のほうの所管ではないし、いま完全掃海といわれましても困ると、いろいろ持ち回りました結果、各省に所属しない事項で、総理府の総務長官にひとつお願いしようというお話でありまして、総務長官にお願いいたしましたところが、心よくこれを引き受けて、よしそれをひとつ完全にやろうという非常な快諾を得て、そしてまあ一週間ぐらいしましたら、運輸省からさっそく担当課長が私の部屋に見えまして、そしてその内容を聞いて帰られた。そしてすぐあと一ヵ月もたたぬうちに膨大な資料が運輸省から参りました。その迅速果敢な長官の処置については、この際敬意を表しておきたいと思うのです。役所の仕事というものはえてして、うちの省ではできませんといって持ち回って非常に不信を買っておる。こういうものが現在の行政に対する不信を招いておりますが、長官のとられた措置は非常に敬意を表するに値すると思いますが、きて問題は、これを完全に探査して、完全に掃海するには一体どうするかという問題です。各省とも非常に関係省は苦労しておられるようです。現在まで各省庁の打ち合わせ書面の交換などを見ていますと、非常に苦心していられますが、ところが、私がやろうというところはないんですね。あの書面では、たとえば防衛事務次官から海上保安庁長官に対する手紙の中に、未掃海地区においてはこういう処置をとれとか、既掃海地区についても非常に危険ですよ、しゅんせつ用工具が直接機雷に接触し衝撃を与えれば爆発するおそれがある。既掃海というすでに掃海したところでも機雷があって、直接に機雷に接触したら、衝撃を与えたら爆発すると書いてある。未掃海区域についてはなお爆発の危険性があるし、最後のほうにこう書いてある。「探査によって機雷の位置を確認した場合には、すみやかにもよりの海上自衛隊の地方総監部または基地隊に通報し、当該機雷の処分を待ってしゅんせつ作業を開始する」、と書いてある。ところが、その防衛庁に電話したら、私のほうではなかなかちょっと掃海できませんという話でありましたが、全体的なものは一体どういうふうになっているか、総括的に長官から御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) これは小柳さんが、君の所管であるとは思わなかったが、しかしどこも引き受けてくれぬので、君のところへ持ってきたというお話がございましたように、本来私のところでやるべきかどうか疑問でございますが、しかしそのような人命に危険を及ぼすおそれが確実に存在する問題等について、各省が自分たち単独の仕事ではないという意見等で、もし不測の事態が起こったらという場合には、やはり所管等に関係なく、私は総理府として動くべきが総理府の使命であるというふうに考えておりますから、銚子沖のイペリットの問題も何で総理府がやらなければならないかという根拠になりますと、はなはだあいまいですけれども、やはり私のほうで関係各省、水産庁を含めて集めて、次々と予算措置等を行ないながら、地元の漁民諸君との話し合い等を通じて、さらに今月に入って二回の大々的な掃海もやるようにしております。また政府の深海潜水艇の「しんかい」号、これももぐらせるようにいたしておりますが、今回の場合もほぼ類似のケースでありますが、しかし対象物がまた別の意味できわめて危険であり、イペワットが最も危険でありますけれども、沈んでいるだけでは危険ではない。しかしいまの敷設機雷の場合はこれは沈んでいること自体が危険であるという非常に重大な課題と考えます。さらに最近は鹿児島湾でもどうも機雷ではありませんが、砲弾が続々上がってくるというようなこと等も記事に出ているわけでありますけれども、これらの一連の問題は防衛庁が所管事項ではないかもしれません。防衛庁ができてからの自分自身の責任ではないかもしれませんが、しかしそれらのものの処理をする能力を備えている役所は、防衛庁しかないということに実はなるわけです。そこでどうしても防衛庁がそこに入ってもらわなければなりませんし、本来は私は浮遊機雷みたいなものかなと思いましたので、それならば銚子沖の場合は二百メートル以上の深いところだから海上自衛隊の備える掃海能力というものでは深度がおそらく及ばないだろう、それは無理であろうことを認めたのですけれども、引き上げた場合の処理だけにとどめましたけれども、防衛庁自体が最初から引いてみたらどうだということをやったのですが、これは実はそういうものとまた違って、敷設機雷であって、中間に浮いているものでもないというようなことでもありましたので、それならば直ちにいま工事をさしあたり行なわなければならぬので、しゅんせつあるいは埋め立て、あるいは第二関門、そういう問題等で必要な個所がきまっておりますから、そこらはすみやかに海上保安庁、防衛庁、そして本来はその工事の主管者である運輸省港湾局ですか、そういうところが中心になって、私の審議室のほうであっせんを申し上げながら会合を持って、地元の皆さまあるいは関係の漁業者、地元の責任者の市町村、そういった方々と会合を持って、さしあたりどのようにすべきか、全面的な問題はこれは至るところにありますので、至るところにあると言っていいほどあちこちにありますので、全面的な問題の結論はよろしい、さしあたり何をしなければならないか、どこをどうするかという問題の結論を出すように、私のほうがあっせん役をもって進めておりますが、ただいま審議室長もまいりますので、その具体的な進行状況についての御報告は、審議室長からさせたいと思います。
○小柳勇君 審議室長が見えましてから、あとで具体的な将来の計画を聞きますが、防衛庁に質問いたしますが、防衛事務次官が海上保安庁長官に出しました書面が四十年十二月八日でございます。これでいま申し上げましたこの端数の個数までちゃんと書いてあるわけですね。だから大体のことは見当がついていると思うが、なぜ今日まで完全な探査事業と掃海作業ができなかったのか、お知らせ願いたいと思います。
○説明員(福田勝一君) 防衛庁が海上自衛隊に機雷掃海を下命いたしましてやらせました従来のいきさつ、それから残存機雷がどうしてそのような数現実に残っているにかかわらず掃海がなお完了しないのかという御質問でございますが、その点につきまして申し上げたいと思います。
 先ほど先生からもお話がございましたように、機雷を敷設いたしました危険海域というものは三万四千三百三十三平方キロメートルございまして、そのうちすでに掃海を完了いたしました海域が三万一千九百九平方キロメートルございまして、残っております海域は約七%、二千四百二十三平方キロメートルでございます。この残っております海域と申しますのは大体におきまして、これはそうでないところも若干ございますが、大体におきまして二メートルから四メートルぐらいの非常に浅いところでございます。その海域と申しますのは、やはり港湾に非常に小さい船が出入りするそういう場所、それから漁業権がございまして、いけすであるとか、あるいは囲い海域になりまして、そこでいろいろ海産物の養殖等をしておる、いろいろそういった漁業関係者の方が囲い等をしておるというような地域がほとんどでございます。したがいまして、船の出入りをいたしておりますそういった港湾関係につきましては、その港湾管理者といろいろ話し合いをしているわけでございますけれども、掃海をするためには、どういたしましても船の出入りをある程度時間的に制約を加えて掃海をしなければならないという一つの問題がございます。それからいま一つ先ほど申し上げました漁業権がございまして、いけすであるとか、あるいは囲い海域をつくりまして、いろいろ海産物の養殖その他しておられるところにつきましては、そういった囲い内のいろいろの漁業関係の施設を一時的にやはりそこから移動して掃海をしなければならないという困難があるということでございます。そういうために、そういった浅いところの掃海が必ずしも十分に行なわれなかったということでございます。もちろんこういった海域につきまして防衛庁、自衛隊といたしましては、港湾管理者の方々であるとか、あるいはそういった小船を扱われる漁業者の方々であるとか、あるいは漁業権をお持ちのそういった方々といろいろお話をしたり、あるいはそういう方々に防衛庁といたしましては、自衛隊が掃海をしたいと思うので御要望がありますればひとつお申し出をしていただきたいということで、年々そういったPRを含めまして要望を出しているわけでございますけれども、先ほど申し上げたようなこういう方々の御都合等もありまして、必ずしも掃海が全部まだやり切れない、こういう状況になっておるわけでございます。
 それからいま一つ、そういった浅いところの、先ほどお話がちょっと出ましたんですけれども、これはいわゆる係維機雷と申しまして、おもりをつけまして、さらにそのおもりの先に綱をつけて、そうして浮かしておくそういう機雷でございませんで、主として残存機雷のほとんどがこれはもう沈底機雷と申しまして、海底に沈めまして、これは主としてB29等の米軍の戦時中の飛行機によって投下敷設されたものでございますけれども、沈底機雷になってございます。したがいまして、この沈底機雷につきましては、それなりにいろいろの性能がございまして、音によって感応いたしまして発火する、爆発するそういう機雷もございますし、あるいは磁気によって感応いたしまして爆発するという機雷もございますし、あるいは船が通った場合に、その水圧の変化に応じまして感応いたしまして爆発するという機雷もございます。従来防衛庁がやっておりますそういった掃海におきましては、海底に沈んでおりまして信管等が生きておりまして、いわゆる発火機構と申しますか、そういったものが生きているそういった機雷につきましては、従来終戦直後から海軍省が行ない、第二復員省が行ない、さらに復員省が行ない、しかる後海上保安庁が行ない、昭和二十七年から海上自衛隊等が行なっております。そういう掃海におきましてほとんど処理されておるわけでございますが、問題はその海底からさらに海底の砂ないしは陸上等から流出いたしますところの泥土であるとか、あるいは砂、そういったものに埋められてしまいまして、いわば海底におきまして砂なりあるいは土の中に埋没してしまっておる機雷、こういう機雷につきましては、現在海上自衛隊が持っております能力、機能では必ずしも十分な掃海ができない。こういう状況になっておりまして、砂に埋まってしまったそういった機雷を探査する方法といたしましては、もう磁気探査の方法以外にないわけでございまして、磁気探査の能力を持っておりますのは、聞くところによりますと、日本で一社そういう特殊な機械を備えてやっておられる会社があるというふうに聞いておりますけれども、こういう機能が残念ながら現在の海上自衛隊にはないということでございまして、そういうものにつきましては、残念ながら先ほど申し上げました港湾関係の方々であるとか、あるいは漁業関係者の方々であるとか、そういった方々のいろいろ問題等がございまして、掃海が十分にできないというばかりじゃなくて、私どもの能力では限界を越えるという意味で掃海が十分にできないという面もあるわけでございます。そういうことで先ほど申し上げました二千平方キロメートル余りの海域が掃海ができないでいるという状況でございます。
○小柳勇君 時間が少ないそうですから、答弁も簡単に願います。
 私が質問しているのは、いまはっきりここに五千百二十六と端数までわかっているのに、いまおっしゃったように二千平方キロしかないのに、探査能力がないならないとはっきりおっしゃって、いまの能力では探査能力がないとおっしゃるなら、政府に言って、政府からも金を出して探査能力をつくれということを言いますが、航行の停止の問題とか漁業権の問題では答弁になりません。爆発する機雷があるので探査するからと言えば、漁業組合はあまり文句を言わぬ。漁業組合が十発は最近発見している。したがって、探査能力がないならないとおっしゃつて――二千平方キロのものについて、将来たとえばいま政府が一体となってやろうと言っておりますが、海上自衛隊のほうで二千平方キロは探査して、早急に五千百二十六発を完全に掃海せよと言われた場合に、海上自衛隊としては能力があるのかないのか、おっしゃっていただきたい。
○説明員(福田勝一君) 海底の泥土等に沈んでおりますそういう機雷につきましては、現在海上自衛隊が持っております一連の機器材によりましては探査することが不可能でございます。
○小柳勇君 海上保安庁に質問いたしますが、海上保安庁もいろいろ作業をしなければならぬので、作業するときには次のように考えようという海上保安庁警備救難部長から各管区海上保安部長に対して四十一年三月一日の日に書面が行っておるのであります。いろいろ苦労しておられるようでありますが、この機雷を撤去しなければ作業は安全でないんですけれども、どういうふうな対策を持っておられるか、御答弁願います。
○説明員(手塚良成君) 先ほど防衛庁からもお話がありましたように、機雷の掃海自体につきましては、二十七年以来その仕事そのものが保安庁から自衛隊のほうに移管されておりますので、私ども自体のほうでこれをどうするということは目下のところできないわけでございます。ただやはり港長業務という意味でこの港内でいろいろ作業いたしますについては、許可をおろすということになっておりますので、その許可をおろします際に、いまのような爆発等があって危険であるというような際に、それの措置をとらなければならぬということになるわけです。その意味で先生いまお示しの通牒を出しまして、とにかく未掃海のところについては掃海をしてもらう、海上自衛隊にやっていただく。それから掃海が済んだところでもいまのようなまだありそうだ、残存していそうであるというところで工事をやりたいということが出るわけでございます。そういう際にはよく自衛隊と相談、協議をする。なおまた自分みずからひとつそういう範囲について探査をやる。潜水探査なりあるいは磁気探査なりというものをやる。そういうことができた後において安全と一応考えられる段階でひとつその許可をおろす。かような方法をとっていくことにいたしております。先般の事故が起こった直後におきましては、そういった範囲をもう少し拡張するとか、あるいは探査をする注意の度合いを高めるとか、そういったことを実際にやられる方に御指導を申し上げるというふうなことで今日きております。
○小柳勇君 次は運輸省でありますが、港湾建設でたいへん苦労しておられるが、運輸省として、この残存機雷がまだ五千百発もあるのですが、特に関門の場合二千発もありまして、関門のほうは水深を深くしなければならぬ。その他掃海作業も収集作業も進んでおりますが、どういうふうな対策を立てられるか、運輸省からひとつお聞きしたい。
○説明員(栗栖義明君) 関門地区におきましては、国が直轄工事でしゅんせついたしておる場合、港湾管理者が行なっておる場合がございます。その他しゅんせつにつきましては、私企業が自分の前を推持するということもございますけれども、おもに機雷の関係は新しく航路あるいは港口を深くしたり広げたりする場合に残存機雷の問題が出てまいります。過去におきましても、一、二度ここにございましたが、そういう例がございましたので、私どもといたしましては、防衛庁あるいは海上保安庁ともいろいろ御相談申し上げまして、現地でもその方法を具体的に御相談申し上げながら、実際に工事にかかる前にこういう調査をやりまして、現に見つかった例もございます。その場合には防衛庁にお願いして処理していただくというふうなことで、その調査の方法といたしましては、磁気探査なりあるいは局部的にあやしいというところがありますと、潜水探査というふうな方法を使って万遺漏なきを期するようにということで、方法等についてもあらかじめ指示してございます。たまたま今回こういう事故が起こりましたので、従来やってきた方法をさらにもう一度再検討して、万遺漏なきを期したいとは存じているのでございますが、いまの私どもでできる範囲のことは、いままでやってきたというふうに考えているのでございます。
○小柳勇君 運輸省のほうでできるだけのことをやって、ここに表にも、第四港湾建設局が発見し撤去した経過がずっと出ております。しゅんせつ作業もやらなければなりませんから、かなり作業上やっておられるものと思いますけれども、山中長官、いまお聞きのとおり、各省やらなければならぬけれどもたいへんむずかしい仕事だということで、特に海上保安庁も運輸省も防衛庁のほうにお願いしなければ、探査も撤去も機雷の爆発も専門でなければできませんものですから、頼っておられるようですけれども、海上自衛隊のほうとしては、現状としては探査能力としても限界がある、磁気探査についても潜水探査についても一つの限界がある、能力の限界があってとても無理だとおっしゃっているのですが、どういたしますか。とにかく五千百二十六発もこの日本の近海の重要な港にあることは事実ですから、ちゃんと防衛庁が調査しておるのですから、とらなければそのしゅんせつ作業はできない。港湾建設もできないのですからとらなければならぬが、一体どうするかということですが、まず現在の長官の考えをお聞きしたいと思います。
○委員長(鈴木強君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(鈴木強君) 速記を始めて。
○国務大臣(山中貞則君) 港湾局のほうから答弁するのが至当かと存じますが、一応港湾局関係の工事の場合に、当該地区が海上保安庁の通達等によって要注意地区であるという場合、そこにおけるもしそのような危険な埋設機雷等があった場合等のために、工事単価の中にそれを処理する費用を見込んでおり、さらにその処理能力を持つ業者というものに限ってその工事を認めておるということだそうでありますが、しかし遺憾ながら自衛隊が磁気探査能力は持っておりませんという答弁でありますから、そうすると民間の業者というのは……。
○委員長(鈴木強君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(鈴木強君) 速記を始めて。
○国務大臣(山中貞則君) 先ほどの私の言い方は、やはり専門官庁にまかすべきでありまして、探査の費用というものを組んでおるということですから、そうすると探査能力がないということでありますと、じゃそれはだれが探査してくれるのだということで、費用を見てもしようがないということになると思うのです。しかし民間に一業者が能力を保有しているということでありますから、いままでの分はその民間のそういう専門の磁気探査能力のあるところをお願いして、その探査費用の中で工事費全体として消化していたのだと思います。したがって、当面小柳委員の御質問の中の事業を行なわなければならない、あるいは予定、すでに実地測量、調査等を行なったというようなところについては、やはりその能力を備えておる会社というものに一枚かんでもらわなければできないということがはっきりしたわけでありますけれども、これは私中曽根君と相談してみたいとも思いますけれども、防衛庁にいま聞いた範囲では、防衛庁自体は今後といえどもそういう磁気探査等の能力を備えたたとえば、掃海艇といいますか、私はしろうとですけれども、そういうようなものの建造計画も、あるいは四次防等の将来の計画についてもないということだそうであります。しかし、これも私耳で聞いて記憶しておるという程度の中曽根防衛庁長官の構想の中に、今後の日本の国土防衛の幾つかの柱の中で、海峡防衛というようなことばも確かに聞いたことがあるような気がいたします。そうすると、じゃ日本は海底に沈下させておく機雷については全然自衛能力はないのだということを今後ともはっきりさせていくとすれば、日本を攻撃する国が――いまあるとは思いませんが、日本はその面では全く手薄な国である、あるいは船で放り出していってもわからないだろうし、夜間ひそかに空から落してもわからないだろうしというのは、やはり今後専守防衛でありましても、分相応なものの一つにはそういう自衛隊も磁気探査能力をみずから備えるというものは必要ではなかろうか、これは防衛問題でありますから、与野党の合意というものが別な意味でないと思いますけれども、少なくとも現在自衛隊があるという現実の上に立って、私またいまの内閣の構成員の一人として考えますときに、そういう全く探査能力を持つ船を今後とも保有する意思もなければ計画もないということはどうなんだろうかという気もいたします。もちろんそういうものが探査されて発見をきれて、自衛隊の処理班が処理でき得る条件になれば自衛隊がこれはできるのだと思うけれども、しかしそれを探査する能力は欠如しておるということは問題だと思います。防衛庁の中にくちばしを差しはきむつもりは毛頭私はありませんが、これらの問題はやはり日本は専守防衛なら専守防衛の中で見落されている点ではないかという気もいたしますし、また、いまだ掃海も行なわれていない、あるいは行なわれてもなお危険な場所が相当あるという事実から見て、国内の行政上からもそういうものを国が、防衛庁がどうしてもそれはいかないのだというならば、あるいは保安庁なり何なりということも考えられますし、港湾局ということも考えられるかもしれませんが、何らかの国の対応措置というものが必要ではなかろうかという気がいたしますので、ここで具体的にどこの役所にどういう船をつくらせるとか、あるいはさらに民間にそういう機能を持った船をもう一隻つくらせるとかという具体的な答弁のところまでまいりませんが、今後ひとつ御示唆を受けて検討してみたいと思いますし、関係大臣にも相談してみたいと思います。
○小柳勇君 わかりました。いまのが結論のように思いますけれども、念のために書面を読み上げてみたいと思います。「戦時中米軍が日本沿岸海域に敷設した機雷は一万一千八十個あるが、このうち五千九百五十四個は昭和三十九年度末現在処分されている。従って残りの五千百二十六個が日本沿岸海域に残存していることになる。」、以下これは残存機雷というと言って、その地域まで書いてありまして、こういうふうになって端数まで書いてありますから、防衛庁ではどこどこの地域にどういう機雷が敷設されているということはわかっておるんじゃないかと思ったものですから、私は追及しているわけであります。わかっておるならば、その二千平方キロのところを探査して、この五千百二十六個を撤去することができるのじゃないかと私どもは思うわけです。だからくどく質問するわけです。
○説明員(福田勝一君) その点につきまして、ちょっとお断わりさしていただきたいと思います。実は米軍が敷設いたしました機雷敷設の危険海域の面積、それから敷設の個数、こういったものは戦時中パイロット等の機雷投下の報告をもとにいたしまして、そして総数をまとめたものでございまして、その後いろいろ移り変わりはございますが、海上自衛隊に引き継がれた数が先生おっしゃられたような数でございます。したがいまして、これはパイロット等の機雷投下の報告というものをもとにしたわけでございますので、それは一部陸上に投下されているというものも相当あるのではないかと思います。それからもう完全に何といいますか、そういった陸上で処理ないしは戦時中に空襲の際に一緒に爆発してしまっているというような数も若干はあるんじゃないかと思いますけれども、一応報告をもとにして処理数というものを聞いた数がそういったものであり、大体その報告によってこの地域に幾らというようなそういう計算でございますので、必ずしも絶対精密なものだということは言い切れない数字でございますので、よろしくお願いいたします。
○小柳勇君 運輸省、いま建設中にですね、何かきつき私語があっていましたけれども、どこかの民間会社が探査能力を持っていて掃海し、あるいは機雷を撤去しておるという話があったようでありますが、現在の作業ではどういう作業をやっておられるのか。それがもう少しその機械があれば、日本の全体的な掃海ができるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○説明員(栗栖義明君) 現在実施しておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、磁気探査と申しまして、われわれがしゅんせつ計画いたしております上を船で走りまして、磁気感応させまして、鉄分がありますと反応いたしますので、そういうところをまずさがし出しまして、そういうところにはたとえば鉄くずが落ちましても感応いたしますわけでございます。これを潜水探査と申しますか、そのときにあぶない――あぶないと申しますか、怪しいところがございましたら潜水夫を入れまして、これは非常に原始的かもしれませんけれども、局部的にしんちゅうの棒で海の底をつついてみるという方法をとっているわけでございます。これ以外には鉄片であるかどうかという区別はつきにくいということで現在実施しているわけでございます。
○小柳勇君 結論は長官からお話がありましたから、各省関係大臣に早急に相談されまして、責任担当大臣はどこだ、具体的な予算はどうする、それから具体的な措置はどうする、この五千百二十六個についてはいつごろまでに完全にひとつ撤去しようというような、具体的に話を煮詰めてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山中貞則君) この残存機雷の数はいま防衛庁のほうから報告しましたように、総体の投下推定数のうちのはっきりしたものを差し引いた、いわゆる差し引き残によるところの残っているであろう数を推定しているということになるわけでありますから、それを全部できるかどうかは、冒頭に例をあげましたように銚子沖のイペリットのかんにしましても、やはり支障のない状態にするということを当面は目標にせざるを得ませんので、それらの点を重点として私のほうは事務を、直接行政はやりませんから、繰り返しますが、各省大臣と連絡をとらせながら総合的に推進をはかっていくつもりでございます。
○小柳勇君 質問を終わります。
○鬼丸勝之君 六月の当委員会においてだったと思いますが、私は交通安全施設整備事業計画が第二次計画として来年度で終了いたしますけれども、道路整備五カ年計画が本年度から走り出した今日、さらに交通事情が激化している事態に備えて新しい総合的な第三次計画と申しますか、これをどのくらい考えておるかということをお尋ねいたしました。八月に各省庁それぞれ概算要求をされたわけでありますが、そこでまず、建設省、警察庁に交通安全施設整備事業計画の新しい計画についてどの程度の予算上要求をきれておるか、ごく簡単に概略をまず御説明を願いたいと思います。
○説明員(吉田泰夫君) 明年度まで現行の三カ年計画があるわけでございますが、先生のおっしゃいました趣旨に即しまして、新五カ年計画とも対応させながら四十六年度からの五カ年の新しい交通安全対策事業を計画いたしております。そのための当面の明年度要求といたしましては合計千六百七十億程度でございますが、その内容は、従来比較的小規模の局部的な歩道の設置であるとか、横断歩道橋の設置であるとか、あるいは道路照明等の付属物、こういったもののみを交通安全対策事業として考えておりましたけれども、実はそのほかに金額の張ります改良事業によって交通安全がはかられるもの、あるいは小規模のバイパス、あるいは踏切道の立体交差化等の事業が別途あったわけでございまして、そういったものも今度の新五カ年計画では交通安全対策事業に取り込むこととし、かつ拡大することとして要求いたしました数字が先ほど申し上げました千六百七十億でございます。
○説明員(久保卓也君) 現行の交通安全施設緊急整備三カ年計画の三カ年における事業量は二百七十七億でありまして、本年度は県単独事業を含めますと約百億であります。これに対しまして、総務長官の御指導もありまして、明年度からの五カ年計画を拡大改定をいたしております。で、安全対策といたしましては、取り締まりでありますとか教育の関係もございますけれども、この安全施設関係で申しますと、私どもは交通管制システムということばで申しておりますが、これで五カ年で総事業量が三千七百二十六億、このうち昭和四十六年度分が五百三十四億でありまして、さらにこの中で国費の占める分が二百八十一億ということで大蔵省に要求いたしております。
○鬼丸勝之君 いま道路局次長の説明で千六百七十億というのは来年度からですね。四十六年度でしょう。
○説明員(吉田泰夫君) きょうでございます。
○鬼丸勝之君 そこで建設省関係または警察庁関係は来年度から新しい交通安全施設整備事業計画を発足きせると、これはちょうど年次も一致いたしておりますし、また道路整備五カ年計画と一年おくれではありますけれども、交通安全施設の問題は道路の改良、新設等の事業の進捗によって一年おくれて整備するという面もありますから、これはけっこうだと思います。
 そこで問題は、これだけの予算を要求して、要求どおりひとつ確保されるように山中総務長官、せっかくかねて非常にこの問題に熱意を持って取り組んでおられましたから、全力をあげてがんばっていただきたいと思うのでありますが、これだけの予算で交通安全施設が整備されるということになると、どれだけの効果が期待されるか。また、この事業整備計画が完結する昭和五十年に交通量をどの程度予想して、それに対して事故がどの程度減少するか、前に長官から伺ったときには約半分減らすというお話を承っておりましたけれども……。
○国務大臣(山中貞則君) 歩行者……。
○鬼丸勝之君 はたしてそうであるかどうか。それから前に伺ったときに、どうも警察庁と建設省あるいは運輸省との間に交通量の予測について何か食い違いがあったと思うのです。その辺もどういうふうに調整され、政府として一つの同じ計数のもとに交通量を予測し、そうして事故率の――いまの歩行者の事故の減少でもけっこうですが、どの程度にこれを期待するそういう効果を判定されているか、この点伺います。
○国務大臣(山中貞則君) こまかくは各省から説明をしてもらいますが、たとえば建設省では五年後の計画終了時には市街地の道路については全部歩道がつく、ガードレールは完成きせるとかというようないろいろな計画の中身はあるわけです。そこは各省に説明をやらせてもらうことにいたして、私のほうとしては、確かに予算要求の取りまとめのころまでには、各省はどうも相互連絡はもちろんありませんし、考え方がばらばらでございまして、建設省のほうは道路五カ年計画が残り四カ年だから、従って安全計画も四カ年計画というものを一応私どものところに相談に来てくれました。また運輸省のほうは、踏切を中心とする安全施設は十カ年計画というものを設定をいたしました。警察庁は一番早く議論を始めましたので、道路五カ年計画に一年おくれてちょうどかえって安全施設はよかろうというので初めは一年おくれの計画でございました。それらのものを調整いたしませんと、やはりいまおっしゃいましたように、それらの年次計画を達成した場合において想定される、あるいは何をもってどこを目標にそれをやろうとするかの問題があいまいになるおそれがあります。そこで建設省のほうにも原案の四カ年を一応検討し直してもらいました。それで、もちろん五カ年にしますと総額もふえるわけでありますが、一兆二千七百億という相当な規模になりますけれども、これを五カ年計画に直してもらって、警察庁とあわせて一本でいけるように、運輸省のほうは十カ年であっても、それをやはり前期という名前をつけてもいいから五カ年計画ということで一応のやはり目安をつけられて、三者一体となった五カ年計画案にしてくれということでそれぞれ了承をもらいました。私としては少し出過ぎておるかもしれませんが、しかし来年度の予算の再検討の問題を考えますと、道路五カ年計画がことし発足したものの、実は鬼丸君御承知のように、その財源論争は実はことしに持ち越しているんですね。きて、これがはたしてどうなるか、予備費の使用をどこまで解除するのか、ここらの問題は一にことしの予算編成の財源論争にかかってくることであろうと思いますし、また警察庁のほうは、一般予算としての対前年度比二五%増のワク内というものの中には、とてもこの金額は、ネットが小さいわけですから、それに二五%じゃ話になりませんから、風呂敷からはみ出しちゃうというので大蔵省は受け付けないというようなやりとりがありまして、まあ一応私としては、特別会計というのはやはり特定財源の大部分を収入として持ちながら、そして国の一般財源がある程度カバーするものでないと事業特別会計というものはむずかしいという財政法上のたてまえがあることを知っておりましたので、当初はそのような姿はどうかと思ったのですけれども、しかし、ただすらっと一般警察庁予算として五カ年計画の予算を大蔵省に持ち込んで、初年度の五百三十四億、全体で三千七百二十六億の議論をするのは、何しろ相手が受け付けてくれないということでありますから、そこで一応受け付けてもらうための窓口手続として特別会計構想で、また、世にいま議論されている自動車税とかその他のいろんな新税構想がある、その中のおすそ分けをわれわれにも当然いただけるであろうという程度のばく然たる歳入の――まあ警察庁はそれは歳入がほしいわけですけれども、財源全体としては道路予算と同じように入れていないものですけれども、それを当てにするということで特別会計という構想を持って進んでおりますが、私は財源論争さえ片がつけば、あえて特別会計にしなければならないものであるとは考えてはいません。これは今後運輸省の五カ年計画も含めまして、それぞれ交通対策としての三本の柱をなすわけですから、私の対策本部の手元において、単に各省の意見を調整するのみならず、大蔵省との予算折衝の過程において来年の大きな財源論争の一つである各種道路財源に関連する交通安全施設の財源というものを、私も相当深く立ち入って財源当局と議論をして、私自身もそれならば交通対策本部長として責任を持てるだろうというくらいのところの計画には最終的に練り上げてみたいと考えております。
○鬼丸勝之君 ただいま山中長官から言明されましたように、また、いままで非常に各省庁の調整に御努力願ってようやく交通安全整備計画も一つの統一的な計画ができつつあることを私はほんとうに長官にむしろ感謝申し上げますが、いまお話のように、問題はこれだけの予算が獲得できるかどうか、われわれはぜひひとつ、びた一文もこれを減らさぬように確保していただきたい。私どもももちろん力強く応援させていただきますが、そこで財源の問題はお話のように特定財源がいま論議されておりますから、この特定財源の中から思い切って交通安全対策費の財源をひとつ確保してもらうように一そうの御努力をお願いいたします。
 そこで、実は先月上旬に山梨県の交通事情、交通安全対策を調査いたしたのでありますが、鈴木委員、沢田委員、石原幹市郎委員と田渕委員と小生と参りまして調査いたしました。その結果について一、二お尋ねいたしたいのです。あそこに石和という近郊温泉地の町がございますが、国道一三七号、国道二〇号、これが交差しているところで甲府バイパスがいま築造中であります。で、その石和の町の中の国道二〇号、一三七号から入っていったところがメインストリートになっております。このメインストリートがわれわれ予想以上の交通渋滞を来たしておる。歩道は全然ない。これはあちこちそういう姿が見られますが、バイパスを築造中であるからここに歩道を新設することは、まあ一種の二重投資になるということを建設省関東地建の道路部長等が言っておりまして、われわれ各委員そういう感覚では困るなあと、これはほんとうのところそういう意見を申したのです。そうしたら、いや、交通安全施設整備事業として別に予算が取れればというようなことで申しておりましたけれども、これは建設省としても、とかくバイパスを築造すると旧道については、この間の委員会でも私道路局長に申したのですけれども、旧道のほうはもうしばらくほったらかすと、こういう傾向があるのです。ところが旧道が町の中を通るメインストリートで、バイパスを築造するまではもちろん、その後も相当の交通量がある。しかもバイパスができれば旧道というものはほんとうに人間さまの通る道になるわけですよ。通過交通である車はほとんどバイパスを抜けますから、旧道はほんとうの人間の道路になる。したがって、現在においても歩道が必要なことはもちろん、将来も必要です。私どもはそういうふうに考えた。この点について石和町の問題だけでなく、全国的に特に中小都市におきまして、国道の通っておる町の中心部にそういう事例が多々ある。静岡県の清水――蒲原の間にもそういう事情がございました。こういう点について根本的な建設省の考え方を伺っておきたい。つい新しいバイパス、新しい道路を築造することに熱意を持つあまり、旧道は人間の通るという面において配慮が欠けておるのではないかという感じを持ったわけでございます。この点についてひとつ道路局長の意見を再度伺っておきます。
○説明員(吉田泰夫君) 先生のおっしゃいますとおり、石和町地区内の国道二〇号線につきましては、交通量が激増しておりまして、しかも歩道がない。歩道をつくるだけの幅がないということでございまして、このため大規模な甲府バイパスというものを四車線で計画しております。当面二車線分のみを取り急ぎ施工いたしまして、四十五年度末には二車線のバイパスが供用されるわけでございますが、ただいま御質問の御趣旨の中にありました、バイパスを建設中であるから現道は二重投資を避けて、当分歩道のないままでやむを得ないじゃないかという考え方は、いまの状況では困るというお話でございます。確かにおっしゃるような点は十分考えなければならないと思いますが、こういうようなこともありますので、先ほど申し上げました新しい交通安全対策の五カ年計画におきましては、現道にそのまま歩道をつけることのできないような場所につきましては、小規模なバイパスあるいは脇道を設定するとか、あるいは拡幅に伴いまして歩道をつくるとか、いろいろ積極的な施策を取り込む方針をきめた次第でございます。なお、この個所につきましては、本年度末にとりあえずバイパスが二車線完成いたしますし、さらに四車線の計画を進めていくわけでございまして、御趣旨に即しまして現道のほうの計画も検討いたしていきたいと思います。
○鬼丸勝之君 バイパスがだいぶできつつありますが、だから舗装する前でも何かもしできたら、四車線分用地を確保して土工はやっておったのではないでしょうか。なるべく早くあっちを通す、そうして旧道の拡幅はたいへんでしょうから、旧道のほうは狭くとも歩道をつくり、あるいは一方通行にする、こういうようなことを思い切って考えていただきたいと思います。だから二重投資云々というような感覚はぬぐい去ってもらいたいということを、ひとつこれは現地に行きました委員全体の意見ですから、私から要望しておきます。
 それから中央道の現在二車線を四車線に拡幅して築造するという問題が今年度から進んでおりますですね。それであれも一応大月まで四車線という計画で進んでおるようでございますが、幸い御案内のように用地は買ってあるのです。工事上のむずかしいところは多少工事費のかかるところもありますけれども、せっかくやるのならば富士吉田までもう一歩です。富士吉田まで進めるということが、この富士山ろく周辺の交通を円滑にするためにも私は非常に必要ではないか、これは知事その他も強く要望しておりましたので、私どもとしましても、大月から富士吉田まで、ひとつもう一歩ですから延ばしてもらいたいと考えるのでございますが、この点いかがですか。
○説明員(吉田泰夫君) 中央道の八王子以遠が二車線になっておりまして、交通事故が頻発し、非常に世間に御迷惑をかけておる次第でございますが、ようやくおっしゃるとおり八王子から大月までの間につきましては鋭意工事が始められ、八王子から相模湖間は四十七年度に完成いたしますし、さらに相模湖から大月までの間は四十八年度に四車線完成することになります。問題は大月から先富士吉田までの間でございますが、これにつきましては、相当部分用地としては四車線を確保しておるわけでございますが、現在一応八王子の側から重点的に急いで工事を実施しておりますので、大月からの先につきまして、なおよく検討して、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
○鬼丸勝之君 次に、道路法の第四十二条の規定について伺いたいんです。この第四十二条の規定は道路の維持または修繕に関する規定でありまして、第一項は努力規定になっております。第二項に「道路の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は、政令で定める。」ということになっておりますね。
○説明員(吉田泰夫君) はい。
○鬼丸勝之君 そして、これはたしか現行道路法制定当時からある規定だったと思いますが、そうでしょう。
○説明員(吉田泰夫君) はい。
○鬼丸勝之君 そうすると、昭和二十七年に道路法が制定されておって、まことにふしぎなことには、この二項の政令はいまだもって制定されていない。制定しようというどうも具体的な案なり、また熱意もあまりないように見受けるんです。一体これはまあ私も責任があるといえばあるんですが、二十七年だからあまり責任ないかな。この法律を制定するときには維持、修繕に関する必要な事項を政令で定める予定、腹づもりがあったからこの第二項の置かれておる。そうでなければ法制局を通りませんよ。十数年たっていまだもって制定されないということを、単に技術的にむずかしいからという理由ではすまぬと思うのです。この規定は道路の交通安全に重大な関係を持っておると思います。時間がないから一ぺんにしゃべってしまいますが、大体建設するときの構造令はあるけれども、維持、修繕についてのこういう政令もないということでは、交通安全上道路をよく守っていくということの私は熱意が足りないじゃないか、こう考えざるを得ない。たとえばすべりどめなんという事故が非常に多いのです。特に高速道路では多い。道路公団の東名道路が開通いたしまして直後、御殿場でしたかの付近のあのトンネルでスリップ事故がありましたね。あれはフランスから輸入しておったサルビアシムを使って舗装した。ところがサルビアシムの工法でやったものを、これは初めてやったというのはあれはミスですが、開通式で忙しかったから試験走行をやらなかった、そのためにああいう事故を起こしたというようなことを道路公団の課長が、これは新聞にも発表しておりましたが、これはまことに奇怪な話で、サルビアシム工法はすでに第三京浜、その他名神はどうでしたかな、だいぶ前から使っております。で、そういうふうに事故が起こってから弁解するというのも、私はせっかく道路法がありながら道路法に基づくこういう政令もない。新設の場合は構造令の問題かもしれませんが、安全上必要な構造の点もなお不十分ではないかと思う。さらに道路の維持、修繕に必要なそういう政令の基準なりあるいは行政上の基準が不十分ではないかと疑わざるを得ないのであります。特にすべりどめの一例を申し上げましたが、今後たとえばすべりどめについてどういうことを考えておるか、私の仄聞するところでは、国際空港は今後全部特別なすべりどめ工法を実施する、そういうことをやらないと国際空港としての規格からはずれると、こういうふうにも聞いております。高速道路については同様なことが考えられると思うのでありますが、この点についてこのいまの政令の問題と特にすべりどめの工法について所見を伺いたいのであります。
○説明員(吉田泰夫君) おっしゃいますとおり、道路法制定以来年月がたっておりますが、道路の維持、修繕に関する政令が未制定でございましてたいへん申しわけなく存じます。ようやく最近、昭和四十五年度から政令をぜひとも策定すべく作業に入りまして、現在専門家の集まっております日本道路協会にその技術的基準の案を作成するよう委託中であります。もちろん建設省当局もこれに参画しつつその原案をまずつくろうという段階であります。昭和三十六年にとりあえず内部の道路局長通達をもちまして維持、修繕の基準を定めまして、技術的にも未解決の問題がかなり多い、どこまで具体的に書けるかというようなところがポイントでございまして、そのために政令という形での制定が一挙にできなかったわけでございます。それにしましても、それから非常に年数もたっておりますし、おっしゃるとおり特にすべりどめ等につきまして、道路の建設段階での構造のあり方もきることながら、建設後の維持、管理の注意のしかた、点検のしかたが非常に重要な要素であるかと思いますので、ただいまのおしかり、御鞭撻を機会に、さらに従来の努力を一そう早めまして、政令の制定に持っていきたいと思います。ただ、確かに非常に問題が多うございまして、すべての項目について数量化したような具体的基準にはできないかもしれませんが、その点は極力具体化するということで、とにかく政令がないという変則状態を早くなくするということに当面の目標を置きたいと思います。
 スリップの防止に関しましては、直接には路面の舗装のしかた、その材料でございますが、非常にたくさんの要因によって起こるのでございまして、道路の横断勾配であるとか、あるいは雨水のはけぐあいであるとか、あるいは視距、見通せる距離をどのようにとるかとかございまして、そういったことを総合的に基準がつくられなければならないと思います。東名で起こりました事故などの例が二度と起こりませんように、政令を急ぐとともに、政令制定までも、事実上現在一応の結論として出ている基準によりまして十分指導してまいりたいと思います。
○委員長(鈴木強君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(鈴木強君) 速記を始めて。
○鬼丸勝之君 いまの御答弁をぼくは期待しておきますが、これは政令の問題であると同時に、行政措置としても、高速道路の事故防止のためにはいまのスリップを防ぐということ、これはドライバーにももちろん注意しなければなりませんけれども、いま御答弁のようにいろいろな要素がありますから、それを総合的に技術的な基準をきめて徹底していただきたいのです。それがないというのがほんとうにおかしい。これが非常な抜け穴になっております。だからアスファルト舗装、コンクリート舗装の場合にどういう資材を使うか、あるいはカッティングする機械を使ったほうがいいという場所もあるようです。そういうことを早く検討して結論を出していただくように強く要望しておきます。
○沢田実君 大臣非常に時間がないところを申しわけありません。実は各省から承って、最後に大臣の所見を承りたいのですが、時間がありませんので、そのものずばり三点だけ大臣に承りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 新聞で、これは警察庁の計画ですが、五年で交通事故を半減しよう、こういうことが報道されております。なお交通管理施設等整備五カ年計画案、またこういうふうに整備をいたしますと、死亡事故が減少するという効果の試算表まで警察庁ではおつくりになっていらっしゃるようですが、そこで問題になりますのは、先ほど来何べんかお話が出ております五カ年間の三千七百二十六億、このうちの来年度の五百三十四億ということがまず問題になるわけですが、先ほど一応お話がございましたけれども、これを取っていただきませんと、せっかくの計画も絵に書いたもちになってしまいますので、大臣のこの予算に対する確信のほどをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) この五カ年目の目標設定の死亡者半減はこれは歩行者の事故の半減でございますから、ということは、日本の高速道も逐次整備されてまいりますと、最近の統計等が示しております数字で顕著な傾向は、最近まで日本では自動車は走る凶器であるということは、歩行者及び自転車に乗っている人の事故が五〇%近くあるということを申しております。アメリカはその逆の比率を示しているといっていたのですが、日本でも最近は約三六%ちょっとくらいが自動車同士の事故もしくは自動車だけの事故という、いわゆる走る棺おけ現象等も示してきつつあります。これはいまの鬼丸委員の質問の中にもそういうことが前提になって質問があったすべりどめその他の問題があると思うのですが、そうすると様相がだんだん先進交通国型になりまして、歩行者の事故半減ということのほうは、これは大目標でありますけれども、だんだん走る棺おけ化しつつある日本の交通の実態というものも、この五カ年計画の整備の過程では道路予算を根底としてよほど考えていかなくちゃならぬというふうに思っております。予算については確信のほどをと言われるのですけれども、何しろ大蔵大臣は自称日本一のけちんぼうであると堂々と予算委員会で言うくらいでありますから、ことに自然増収の見通し等も、来年は過去ここ二、三年間の様相と異にいたしまして、国際環境、もしくは国内の主として法人税を中心とする自然増の様相がだいぶ違ってくるであろう。ということは、マイナス悲観的な様相が多くなるであろうということの半面、当然増経費がもうことしで一兆円を超すようになりました。これらの問題点を考えますと、どうしても新たなる財源を求めなければ、これは既定の道路五カ年計画の第二年目以降というものも困難であるという状態でございますので、どのようなものを税として求めるべきであるか、財源として発見すべきであるかというのがいま最も私どもの議論しているところである。これは財源省としても金がないから予算つけないといえない重大な問題でありますので、金をつけるにあたっての財源論争、あるいはまた財源の中で法人税論争というものが相当長くかかると思うのです。その結果その配分についての作業は比較的短時間で終わると思いますが、その意味では、私も国の税のあり方なり、あるいは財源事情はよく掌握しておりますので、その範囲の中において私のできるだけの努力をして、各省は各省でそれぞれ独自の努力もされるわけですが、その中において非常に困難なのは、ことに警察庁の五カ年計画であろうと思っております。というのは、建設省のほうは総体の十カ年計画の十兆三千五百億のワク内の議論として一応なるわけですけれども、全体の財源論争として足りないという議論にまた戻ってくるわけであります。しかし警察庁は、全く新規の新しい五カ年計画ですので、それだけの財源を新規に生み出すということになりますから、重点は、やはりその財源の感触にもいろいろと度合いの違いがございますが、そこらをよく踏まえて、今日の平和的な国家で戦争という名前をかしてちっともおかしくないのが交通であるとするならば、われわれは交通戦争ということばの中から戦争ということばを取り去る努力をしなければならぬという使命感を持っておりますので、私微力でありますが、全力をあげて関係各省をバックアップして当たりたいと考えております。
○沢田実君 歩行者五カ年間で半分と大臣おっしゃった。警察庁では昭和五十年までに交通事故による死者を年間一万以下にしたい。ということは三十四年の一万何がし、四十四年一万六千五十七、いまと同じような努力をし、いまのようにふえていくのであれば、昭和五十年には二万二千になるだろう、これを半分の一万にしたいという計画ですから、お間違いのないようにせいぜいひとつお願いいたします。
 それからその次ですが、飛び飛びになりますけれども、先ほど中央道のお話がございました。八王子までは四車線です。そこから先に行きますと二車線になります。片一方の上り線だけ二車線つくって、そして対面交通させているのです。これは工事費の都合で二車線にするということはやむを得ないにしても、中央分離帯の左右一車線ずつつくってくれれば、そのための交通事故というものは防げるのじゃないか。そういうところにも非常に人命を尊重しない道路行政というものを感じてきたわけですが、建設省の御意見もあろうと思いますけれども、私は今後四車線を二車線にする高速道路については中央分離帯をちゃんとつくっていただきたい。交通安全ということで断じてそれを守っていただきたいと思うのですが、その点の大臣の御所見を承わりたいと思います。
 なお、半面そういうふうにして対面交通させて危険なことをし、六十キロにスピードを落とさせていながら、料金はあたりまえに取っている。その問題は決算委員会で詰めたいと思いますが、きょうは交通安全という面から大臣の所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) これは建設省の道路工法、あるいはその前の限られた財源の最も有効適切な配分ということになるわけでありまして、そういうことで四車線で走っているうちに突如として二車線の地帯に入るというための現象が起こって、これがいけないことは、もう警察も建設省も握っているとおり、その場所における死傷者の激増というものははっきりしているわけです。ボトルネックということばをみんな使っているのです。なぜボトルネックということばが使われるかというと、びんの中が広くて出口がつぼまっているということがボトルネックになっておるのであって、やはり流れておる自動車の流れが急に何らかの特別な理由なく、あたりまえの条件のところで、まあまああそこあたりで二車線にしておこうという程度で狭まっておるので、これは運転者のマナーの問題ではない問題となるのでありましょう。だからここに、やはり先ほど富士吉田までをどうするのかという質問等もございましたけれども、一定の区間だけ解消してもさらに同じ現象が今後その残ったところに起こってくるということは当然予想できるわけでありますから、これらの予算の配分等については、建設省においても十分人命尊重ということを念頭に置いて配慮をしてもらうよう、これはこの場において、建設省道路局の首悩部がおられますから、そういうことを省内の相談なり、あるいは建設大臣等にも、委員会でそういう論議があったことをあげて、配慮してもらいたいと思います。
○沢田実君 私の申し上げたうち、省略しておりますから通じないようですが、四車線を二車線にするところは、交通量の都合でやむを得ないところもある、建設省の都合で。ただ、中央分離帯の左右に一つずつつくる、二車線で対面交通さしているんですよ、片方だけで。ですから、必ず二車線にする場合には中央分離帯をつくれと、高速道路は。これが人命を尊重した道路行政だと思うのです。非常に工費の都合、いまおっしゃるように予算の都合だとか、わかりますけれども、有料道路なんですから、高速道路と称して金を取っている道路が突然中央分離帯も何もなくなってしまう。まことに基本的な考え方が人命尊重でないということを言いたいのです。いろいろありますけれども、時間がありませんから、その点よろしくお願いいたします。
○国務大臣(山中貞則君) わかりました。
○沢田実君 それからもう一つは、死者もなく負傷者もないことが一番努力しなければならぬことですけれども、不幸にしてけがをしたという場合の救急病院の問題が非常に問題になるわけです。これは厚生省等のいろんな御意見を承った上でやるのがほんとうですけれども、簡単に申し上げますと、国及び公的な救急病院というのはわずか全国で七百二十しかない。私的なものが三千百五十八というようなことで、公的なこういうものが非常に不足しているんじゃないか。けがをしてもらいたくありませんけれども、事故を起こした場合の救急体制の確立、このことについて大臣の所信を承って私の質問を終わります。
○国務大臣(山中貞則君) 私の手元で来年度予算並びに交通関係の各省予算を調整いたします際に、その点は議論をいたしました。ことに私としては、公立病院は全部少なくとも救急病院の設備、あるいはそういう指定をなすべきである、まず第一義的に国のあるいは公立の機関というものがそういう点をいろいろ整えなければいかぬ、しかる後また民間へ協力を呼びかける姿勢が必要だということで、厚生省のほうへ申しておきましたが、それにさらにもう一つの問題点として、日本における交通事故の実態と、脳外科手術、診療手術ですね、こういうものの不足が、あたら助かるべき人が助からなかったり、後遺症が残って廃人になったりという大きな原因の一つになっているようです。やはり脳神経外科の臨床的な先生たちの養成というようなものもたいへん必要なことでありますから、厚生省のほうにそういうものの既存のお医者さんたちの研修等も含めて、やはり脳外科、特に交通事故の場合における脳挫傷等に対する処置が急速に近くで間に合うように全国的な体制がしかれるように、私のほうからもお願いしておりますし、厚生省もこれらの二つの点は原則的な姿勢として必要である、そして予算要求もいたしますと、こういうことを申しております。
○田渕哲也君 それでは初めに自賠責保険の問題についてお伺いしたいのですが、自賠責保険の累積赤字は現在どれくらいありますか。
○説明員(永光洋一君) 保険料の関係につきましては直接のあれでございませんので、間もなく大蔵省の保険部長が参ると思いますけれども、この前の昨年の自賠責審議会におきまして、一応二・七倍保険料率を上げるべきであるという答申、しかし激変緩和その他の事情によりまして約二倍にとどめた、そのときの昭和四十三年度末の累積赤字が約千七百億と推定したわけでございます。この保険料の累積赤字と申しますのは、将来支払われるであろう支払い保険金を想定いたしまして収支を見るものでございますので、当然これをその後見直しが必要でございます。審議会の答申におきましても、とりあえず二倍に上げるけれども、その後上げ不足があれば早目にもう一ぺん値上げをする必要がある、こういうようなことでございます。大蔵省の関係の自動車保険料率算定会におきまして現在作業を行なっておりまして、その後四十三年までの千七百億の赤字がはたしてその程度あったかどうか、あるいはその後やはり上げ不足があるとすれば、それに伴う累積赤字の増大がどの程度あるかということを現在算定中というふうに私どもは伺っております。
○田渕哲也君 その後ふえているのですか。
○説明員(永光洋一君) 去年十一月に約二倍に上げまして、その二倍という数字がやはり想定のときのように上げ不足があるといたしますれば、累積赤字はふえておると思います。
○田渕哲也君 現在のところ実態はつかめてないというのが事実ですね。
○説明員(永光洋一君) まだ正確なる数字はつかめてないということでございます。
○田渕哲也君 これは保険協会のお話によれば、かなり赤字がふえておるということなんですが、常識的に考えても二・七倍に上げるべきところを二倍にとどめたということであれば、ふえておると思うのが妥当だと思うのですが、そうすると料率の見直しということをやらなければならぬ。これは去年の答申にも出ておりますが、その点についての運輸省のお考えはどうですか。
○説明員(永光洋一君) この前の審議会におきまして数字を推定いたしまして、その当時におきましては上げ不足があると推定いたしまして、ことし夏から算定会としまして数字の見直しを行なっておりまして、早々にあるメドというか結論が出るというふうに聞いておりますが、数字として確かに警察事故は四十五年度の上半期におきましては、昭和四十四年度上半期に比べまして傷害事故がほとんど横ばいのような状態になっております。したがいまして、昭和四十四年の去年の推定いたしましたときよりもややカーブがゆるやかではないかと思われます。したがいまして、どういう数字が出ますか、場合によってはある程度上げ幅が少なくてもいいという結論が出るかもしれません。あるいはやはり相当大きな赤字である、あるいは穴があいているということになるかもしれませんが、その結果を見てわれわれとしては考えたい、こういうふうに考えます。
○田渕哲也君 その料率の問題と並びまして、去年十月の審議会の答申では、たとえば治療費の適正化、あるいはメリット、デメリット制をどう見るか、その他制度改善に対するいろいろ意見が出されておるわけですが、これについて現在どの程度検討され、どの程度実施に移されつつあるか、お伺いしたいと思います。
○説明員(永光洋一君) 昨年の審議会の答申におきまして、自賠責制度改善のために第六十三国会におきまして自賠法の一部改正を行ないまして、御存じと思いますが、休業補償費の限度額の設定、あるいは追加保険料制の導入、あるいは適用除外の範囲の縮小、自家保障の廃止というような、あるいは重複支払いの廃止というようなもろもろの制度を行ないまして、来月十月一日から施行することになっております。これに関連いたしますところの政省令の改正準備も整いまして、すでに決裁を終えまして、官報に載るだけになっておるのでございますが、その他残されました問題として大きな問題は、いま御指摘にありましたような治療費の適正化の問題があります。これにつきまして、まず審議会の答申において、暫定的措置としていわれておりますところの治療費の明細書の提出の励行という点につきましては、今回の法律に伴う政省令の改正におきまして、明細書の添付につきまして、できるだけ具体的な明細書を出すようにということを省令で義務づけました。その様式もすでに整いまして、早急にこれを実施したい。医師会にも一応その点連絡をいたしまして、具体的な明細を出してもらうということで話がついておりますので、この点については実行ができるというふうに考えております。
 それからこのたびの政令の改正の中で、実は現在医者の診断書を持ってまいりましたときに、易の中身について疑義があるときに、実行上非常にトラブルがあるわけでございますが、政令で必至があると認めるときは保険会社は自分の指定する病院で再診断を求めることができるという規定を新たに設けました。したがいまして、現在各保険会社で算定会でございますとか、あるいは各地方に査定事務所がございますが、各査定事務所がそれぞれ当該公的病院との契約といいますか、指定病院という形でコネクトいたしまして、自分のところに来たものについて後遺症の判定その他についてもう一ぺん診断をしてもらいたいというときには、そういう指定病院に頼み込むという制度をとることにしておりまして、現在その制度を進めておりまして、現在二十六カ所、各府県には一カ所われわれはつくりたいと思っておりますけれども、そういういわば自賠関係の協力病院といいますか、指定病院というものを着々と進めておりまして、これによりまして治療費の適正化、あるいは治療の適正というものを充実したい。それで、現在特別会計で行なっております保障事業の補助金行政、そういう自賠責の治療の適正あるいは治療について協力してくれるそういう指定病院については補助を行なって、側面から助成していきたいというわれわれの考え方もございます。そういう面で治療費の明細、あるいは診断書の再提出というようなことでの側面的な整備ということをやっておるわけでございます。審議会にかけてあります根本的な恒久的な対策としましての診療報酬基準の新たなる設定だとか、あるいは審査機構の充実だとかというような根本的な問題になりますと、これは非常に、医療全般の制度の問題とも関連し、いろいろむずかしい問題が、われわれも実際上タッチいたしましてあるようでございます。今後厚生省の協力をいただいてさらに進めたい、こういうように考えております。
○田渕哲也君 この治療費の明細書の添付の励行、これは義務づけられるわけですね、今度。明細書をつける場合に、それを審査してチェックすることまでできるんですか。明細書をつけるだけなんですか。
○説明員(永光洋一君) 実は現在査定いたしておりますのは査定事務所でございますが、現実にその実力は職員にはございませんので、医者の診断書、明細書をある程度審査するためには医者の経験があるか、もしくはそれと同等のある程度の知識がないとできないわけでございますので、やはり第三者的なそういう審査機関を設けるべきではないかということで、それがないと実際上明細書をとりましても取り扱いかねるということは御指摘のとおりでございまして、現在算定会の本部におきましては医療調査室を設けまして、それでそういう体制を整えたいということで努力しておりますけれども、現実には明細書をとってそれをいろいろ分析をして、資料収集するというところまでは準備ができておるのでございますけれども、なおなかなか医師会の協力もしくはお医者さんの協力を得て、そういう審査機構をつくるということまではいっておりませんので、努力中でございます。
○田渕哲也君 これも保険料の再引き上げの問題ともからみまして、やはり自動車のユーザー側の意見としましては、必要なものは出さなければしかたがないと思うのですが、ただ、やはり医療費というものに対する不満といいますか、あるいは信頼できないというそういう苦情が非常に多いわけです。だから今度料率を引き上げる場合にはその辺のことをきちんとしないと、なかなか筋が立たないのじゃないかと思うんですね。ところが、お医者さんというのは医師会ということで、非常に政治的にも強い力を持っておりますから、どうしても、安易な方向からいくならば、一般不特定多数の自動車ユーザーにしわ寄せせざるを得ない。そうしたことであると非常にまずいと思うんですね。だからその辺のことをきちんとやっていかないと、なかなかこの自賠責の問題についてもむずかしいと思うんですが、この辺についてはひとつよろしくお願いしたいと思うんです。
 それから大蔵省はまだ見えませんか。
○委員長(鈴木強君) 来ております。
○田渕哲也君 自賠責審議会のメンバーの増員という話があるわけですが、それについての事情をお伺いしたいと思います。
○説明員(藤井直樹君) 私公共事業の担当でございまして、ただいまの御質問、ちょっと運輸担当の主計官でないとお答えできません。
○田渕哲也君 それではそれはあと回しにしまして、排気ガス対策で主として通産省にお伺いしたうのですが、運輸省の案で四十八年規制、五十年規制というふうに出されたのですが、これは自動車業界等の意見を聞きましても、大体四十八年規制までは何とかめどがつくけれども、五十年規制、あるいは将来それがきつくなることは当然考えられるわけですね。その先になればなかなか自信が持てないというのが現状であります。だからといってこれをほっておくわけにいかないので、これに対する対策は産業界あるいは政府としても考える必要があると思いますが、それについての構想を聞かしていただきたい。
○説明員(大永勇作君) いま御指摘の、先般運輸技術審議会から出ました排気ガスの逓減目標に対する生産面からの対応策をどうするかということでございますが、御指摘のように四十八年の規制値に対しましては、むしろ現在のエンジンの改造その他で大体対応できるのじゃないかという考え方でございます。五十年の逓減目標はかなりきびしいものになっておりますので、現在のエンジンの改造等だけではやはり困難でございまして、触媒式浄化装置でございますとか、あるいは排気リアクターでございますとか、あるいは排気再循環方式でございますとか、新しい排気ガスの浄化装置を組み合わせたもので、やはり必要なエンジンの改造とそれらのものを組み合わせた形で行なう必要があるのじゃなかろうかと考えているわけでございます。そこでそういった触媒式浄化装置等につきましては、現段階におきましては実験室的にはほぼめどがついているというふうにメーカーサイドでも言っておりますけれども、それはあくまでも実験室的なものでございまして、やはり今後耐久性の問題でございますとか、あるいは量産化に伴ういろいろコストの問題、あるいは資源の問題でございますとか、そういった非常にむずかしいやはりいろいろ生産技術的な面での解決をはからないと、なかなかすぐには実用化されないというふうな状況でございますので、今後役所サイドにおきましても、それから民間サイドにおきましても、そういったものの開発につきまして努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○田渕哲也君 それから特に新しいエンジンの開発をする、そういうことになれば、政府としても大型。プロジェクトをつくって研究投資をやられると思いますが、来年度の予算の計画を、この間ちょっと新聞にも出ておりましたけれども、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(大永勇作君) 来年度の公害関係の予算につきましては、一つは電気自動車を大型。プロジェクトとして取り上げたいという考え方でございまして、これは初年度、来年度が五億五千万円、それから五カ年計画で四十八億円くらいを要求したいということで現在検討をいたしておるわけでございますが、大体最初の三年間で現在の鉛電池の型のものの画期的な性能の改良をはかるということでございまして、あとの二年間では、その鉛電池について引き続き研究いたしますとともに、たとえば亜鉛空気電池でございますとか、そういった新規の電池につきまして、これを搭載したような自動車を作製するというところまで考えていきたいということでございます。それが電気自動車の開発計画でございますが、そのほかに来年度からやはり工業技術院の関係でございますが、公害関係の技術開発につきまして新しく民間への委託研究の制度を実施したいということで考えておりまするが、その中に自動車の関連といたしましては、先ほど多少御説明申し上げました触媒式浄化装置のうちで特にむずかしいと言われております還元式の触媒、これにつきましての研究につきまして委託をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。そのほか従来から機械試験所等が中心になって行なっておりますが、安全公害研究センター、これにつきましては従来どおり二億数千万円の予算の確保をはかりまして、たとえば光化学スモッグの発生原因の研究でございますとか、そういった研究につきまして、引き続き研究をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。以上が一般関係予算の主たる点でございます。
○田渕哲也君 特に排気ガス対策というのは非常に急を要する問題だと思うんです。そこで、いまお伺いしたような程度のことでほんとうに五十年に間に合うかどうか。もちろんこれは通産省がやる以外に企業独自の努力というものも必要ですけれども、企業独自の努力にしましても、いまの日本の公害に対する技術開発は非常におくれておると思うんですが、その点に対するもう少し強力な取り組みが必要じゃないかと思うんですが。
○説明員(大永勇作君) ただいま申し上げましたのは、政府サイドでの対応策でございまして、やはり先ほど申し上げましたような新しい浄化装置の研究ということになりますると、これはどうしてもやはり民間が主体になって行なっていくという形が中心になるわけでございます。そこで、民間におきましてはどの程度の投資を考えておるかということでございますが、これは安全と公害と両方合わせた投資の数字が手元にあるわけでございますけれども、四十五年から五十年までの合計といたしまして二千九百四十億円、約三千億円の研究投資を行なっていくというふうな計画を民間の業界で持っておるわけでございます。これが現在はどのぐらいかということでございますが、四十四年度の実績で百二十五億円でございますので、これが逐年増加いたしまして、昭和五十年には八百七十五億円ということで、大体現在の七倍程度の水準になっていくということでございまして、そういったアップカーブの数字を五十年まで累計いたしますと、大体先ほど申し上げましたように三千億円という数字になるわけでございます。したがいまして、年々非常に大幅なテンポで今後の研究投資を増加していきたいということでございます。なお、この中で、これは安全公害研究のトータルでございますが、公害関係は二千九百四十億円の中で、手元にちょっと数字を持ってまいってないのでございますが、おおむね千七百億円程度であったというふうに記憶しておる次第でございます。したがいまして、政府の先ほど申し上げましたような施策と相まちまして、民間におきましても、今後の投資の重点はむしろこういう安全公害の研究投資に置くという姿勢で進んでおりまするので、われわれといたしましても、そういった民間の方向をさらにプッシュするように努力したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田渕哲也君 それでは最後に、大蔵省の保険部長が見えられましたので、一点だけ質問したいと思います。
 自賠責審議会のメンバーの増員ということが出ていましたけれども、それについての構想をお伺いしたいと思います。
○説明員(渡部信君) お答え申し上げます。
 自賠責審議会の委員の増員ということにつきましては、昨年来各界から増員をしてくださいというような要望がございました。しかしながら私どもといたしましては、いま政府の方針といたしまして、審議会の正規委員というものは、できるだけこれを整理縮小するという方針にありますため、政府といたしましては、臨時委員の制度というようなものを設けまして、とりあえず審議会にはかる問題が生じ、しかもそれらの問題が各界の代表者の御意見を聞かなければならぬという場合には、そのつど臨時委員を選任し、それらの方々から御意見を伺って、審議会の適正な運営をはかってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○田渕哲也君 先日の新聞では、その臨時に増員するメンバーはお医者さんと弁護士と、それから被災者、そういう代表の方というふうに書いてありますが、今度加害者側といいますか、あるいは保険をかける側の自動車の一般のドライバーとか、保有者とか、そういう人の代表がないように思うのです。運送業者の代表は入っていますけれども、最近はマイカーがふえて一般大衆が自動車を持っておるわけですから、そういう人の代表もやっぱり加えなければいけないのじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
○説明員(渡部信君) お答え申し上げます。
 ただいま先生のお話にありましたような御要望も私どものほうでは伺っております。したがって先ほど申し上げましたように、今後審議会にはかるべき問題点につきまして、その問題点を解決する上において、それらのたとえば被害者代表とか、あるいはユーザーの代表とかいうような方々の御意見を聞かなければならぬというような事態に立ち至りました場合には、そのつど選任をいたしまして御意見を伺いたい、このように考えておる次第でございます。
○小笠原貞子君 午前中に引き続きまして、ホンダN360について運輸省にまずお伺いしたいと思います。
 先ほど午前中から出されておりました日本自動車ユーザーユニオンで調査された九十一件という事故があるわけなんです。この九十一件の事故、それをちょっとずっと見てみましたら、四十三年度からなんですけれども、八月だけを見ましても十四件、この八月だけで十四件起きているわけなんです。そうしますと、先ほど本田さんのほうは非常に確信を持っておっしゃったけれども、現にこの八月だけで十四件も事故が起きている。そうするとこれは非常に緊急に対策をしなければならないという問題が一つあると思うのです。で運輸省としてもこういう問題には、メーカーから申請書がきたという場合に、それをどういう立場で認定されるのかというようなやはり責任があると思うわけなんです。そこで運輸省へ本田のほうから型式認定にかかわる申請書というものが出されていると思うのですけれども、その認定書というものを資料として出していただけますか。まず第一点としてお伺いしたいと思います。
○説明員(隅田豊君) お答えいたします。
 ただいまのお話の申請の件でございますが、きょう現在本田からどういう申請が出ているか、ちょっと私つまびらかにいたしませんが、出ているものがございましたら提出いたします。
○小笠原貞子君 それから型式認定を運輸省でなさるということは、結局メーカーから出た製品について、安全であるかないか、一応町へ出してもいいということで検査なさるわけですね。そうすると、この型式認定というものがどういう内容の検査になっているか、たとえば自動車を見て、そうしてこの製図を見て、そうしてこの自動車のこういう構造ならだいじょうぶだというふうにして書面だけで審査なさるのか。事故を起こしているというときには、六十ないし八十のスピードを出して走っていると、しかも人が乗っている場合ですね、多くの事故が起きている場合は。
  〔委員長退席、理事鬼丸勝之君着席〕
そうしますと、そういうように事故が起きるような状態、スピードを出していて人が乗っていると、こういう状態でこの車はどうだというような、そういう基準があって型式認定というものがきれているのかどうか。どうもこの型式認定が簡単におろされていっているから、事前にチェックしなければならないところがチェックできていないと、そこが運輸省に大きな責任のあるところじゃないかと、そう思うんですけれども、その型式認定の認定の内容ですね。いままでどういうふうな内容で、どうやって認可をしていらっっしゃつたのかということを伺わせていただきたいと思います。
○説明員(隅田豊君) 型式認定の申請が出ますと、まずもちろん書類的な検査をいたします。書類的な検査と同時にもし計算が必要なものがございますならば、計算というようなこともやっています。それからものによりましては、たとえば当然ブレーキなどというものは計算上ではわかりません。こういうものは走らせた上でとめてみる検査もやっております。それぞれ例をあげますと、非常にたくさんございますが、試験のやり方そのものは、たとえば日本標準規格というようなところに自動車のいろんな試験方法が定めてございます。そういう試験のやり方を使いまして、その上で審査する、こういうふうにやっております。
○小笠原貞子君 そうしますと、いままでの申請が出たものについて、具体的にこういう検査をしたというようなものはそちらにあるわけですね。それは資料としていただきたいという場合には出していただけるわけですね。そうですね。
  〔理事鬼丸勝之君退席、委員長着席〕
○説明員(隅田豊君) はい。
○小笠原貞子君 それもどういうときに、どういう試験をしてというのを資料としてあとでこちらからいただきたいと思いますから、そのときにはお出しいただきたいと思います。それからこの型式認定ということ、それも大事ですけれども、保安基準というものはほんとうに突っ込んで責任持ってやっていただきたいわけです。そういうような場合にいままで運輸省として、この本田の問題がこれだけ大きくならない前でも、やっぱり当然運輸省の権限で本田に入って行って資料をとるとか、これはだいじょうぶだろうか、また問題になってきた、こういうような問題が起きているけれどもどうだというようなことで、運輸省としての責任で本田の会社なんかに行って調べるというようなそういう積極的な対策というものをとられたことがありますか。
○説明員(隅田豊君) いまのお話は具体的な本田の問題としてお答えすればいいと思いますが、審査をいたしますときには、現行の保安基準に合っているかどうかということで当然やっております。したがいまして、最近問題にされておりますような高速時の安定性というような問題につきましては、実は現在までのところそういうような審査をしておりませんものですから、対象になっていなかったということでございます。したがいまして、そういう点について、本田について型式認定の立場から追及していくということは現在までのところ実際やっておりません。
○小笠原貞子君 その辺へいきますと、非常に責任がない態度ですね。もうちょっとこういう大きな問題になっているんだから、運輸省として行政指導するなり、調査するなりということをやっていただかなければ、会社の態度はさつきお聞きになったと思います。自信があると言っているんですね。自信があるけれども、八月だけできつき言った十四件あるわけです。そうすると、その上に立って運輸省がやっぱり責任持った態度でこれを調べるなり、指導するなりということをやってもらわないと会社だけの責任ではない。やっぱり運輸省の責任というものは私はずいぶんあると思うのですよ。これは非常に危険だということが検察庁のほうでもお認めになっている点ですね。そうしますと、この型式認定をちゃんとわかるまでどの程度調査して、そしてどういふうに――欠陥が絶対ないと言えないかもしれませんけれども、安全度が非常に高い、これならだいじょうぶだというような調査を早急にされて、その調査ができるまで型式認定を中止するということが必要だと思うのですけれども、そういう御意思おありになりますか。
○説明員(隅田豊君) 現在の型式認定をいたします――さつきと同じことをちょっと繰り返さしていただきますが、型式認定という行政行為をやりましたのは、現在の保安基準に合っているかどうかという立場でやりましたから、それ自体は型式認定というものは無効か有効かというと、有効であるということは避けられない。したがって、一応これはこのままで置かざるを得ないと思います。ただ、事実上の問題として、今後自動車の型式認定をしていく場合にそういうような要素を検討しないでいいかどうかということになりますと、これは態度としても当然私どもとして一応研究対象として考えてみる必要があると思います。これにつきましては、新設されました交通安全公害研究所のほうに伺いまして、自動車のこういう問題についてどういう評価をしているかというようなことについては、今後研究してもらいたいというふうに考えております。
○小笠原貞子君 いままでの審査ではこれはだいじょうぶということで型式認定を許可されたわけですね。それだからずっと生きていると、こうおっしゃったわけですね。私が言いたいのは、ずっと生きているけれども、これだけ事件が起きている、事故が起きてるんだと、だからいままでもずっと続いているからこれは有効なんだというのではこの事故は防げない。だからこの際こういう事故が八月だけで十四件も起きている。それを調査するまでこれについては中止だということができないのか、なさる意思があるのかないのかということなんです。
○説明員(隅田豊君) 個々の事故がどういうふうな原因で起きたかということになりますと、これは検察庁のほうでもいろいろ現在でもお調べになっているようです。その結果をいただいて私どもは判断しなければならないと思います。そういう意味で、現在ただ一応事故がたくさんあるというだけで型式認定を中止するというわけにはまいらないと思います。ただ、これから先の問題といたしましては、十分検討していきたいと思っております。
○小笠原貞子君 そういうふうになりますと、いつまでかかるかわからないわけです。そっちは検察のほうで調べていらっしゃるだろう、それができてから私どもはやります。警察のほうも調べるが、これは全国にたくさんあるからなかなかいかない。こういうことになれば、一ヵ月にこれだけ起きているんだから、これは緊急対策にはならない。それだからいまのところ早急に緊急に運輸省としてはこういった事態が起きているから、警察と協力して、そして全力をあげてこの調査をしようじゃないかというような、一つの内閣の中ですから、行政府の中ですから、そういう積極性がなかったらこの問題は解決しないわけですよ。どういうふうに調査したらいいかというふうなことで、検察庁なんか関係のところと相談をして、とにかくこれを調べるというような、そういう処置をとるという緊急対策を何とか考えようということでお考えになっていらっしゃいますか。なさる気がありますか。
○説明員(隅田豊君) ただいまお話の個々の事故の問題につきましては、検察庁のほうでいろいろと調査をしておられますので、それを待ってみないとわからないと思います。
○小笠原貞子君 繰り返しになりますけれども、ただ受動的にお待ちになるのじゃなくて、もっと積極的にどうなんだ、どこまで進んだと、お互いにやろうじゃないか、人間の命を守ろうじゃないか、そこを私は言っているわけです。時間がないからもうやめますけれども、そういう立場でないからこういう事故が続発しているんですよ。運輸省の責任というのはやっぱり考えてほしい。大臣によく伝えてくださいよ、ほんとうに。たいへんな問題なんですから……。
 それでは、時間もございませんから、あと警察のほうに移って終わりにしたいと思いますけれども、警察のほうでお調べになっていらっしゃるというふうに伺っていますし、いまお調べになっていると思うのです。しかしその調べ方ですね、全国にいろいろ事故が起こっているその調べ方が、向こうからきた調書でお調べになるわけでございましょう。
○説明員(久保卓也君) 現在の調べと今後の調べの状況を申しますと、七月初めにユーザーユニオンから私どもに連絡がありました。これは十四件であります。十四件について各県に報告を求めました。で、その中で各県が認知してないもの、つまり警察に届けられていない、事故として扱われてないものは二件ありましたので、十二件について報告がありました。この中でデータの不足のものもございまして、私どもが疑わしいと考えたのは二件であります。この状況に基づきまして、新聞にも出ておりますように、一般的には高速による事故というものが多いようでありますので、高速道路についての事故をさっそく調べてみましょうということで、八月に入って高速道路について事故を調べたところが、二十六件出てまいったわけであります。この二十六件の中でも、やはり風の関係とか追い越しの関係であるとか、あるいは本人がすでに過失と認めているということで、疑わしきの薄いものを残して、一件はこれはあやしいということを考えたわけであります。それが三件という容疑が出たわけですが、しかし、たいへん問題もはらんでいるようでありますので、二ついまダブっておりますから三十六件でありますが、これについては県の報告だけでなくしてもう一度検分を当たってみる。つまり供述調書であるとか、実地検分、捜査資料をもう一度見直して、その中でどういう問題があり、どういう共通点があるということを把握して運輸省と協議したい、かように考えておるわけです。
○小笠原貞子君 そういうふうにお調べになるときに、やはり目撃者がいるとか、一緒に乗っている人がいるとか、たくさんいるわけですね、何人か証言できるような人たちが。そういう人から客観的に状況というものをお聞きになって、そしてそれを正確に調書に出されて、そして集まるようになりませんと、ほんとうの事故の調査にならないと思うわけです。私たちといたしましては、いままでのこういうホンダN360についても、もう一回事故の原因というものを徹底的に洗い直して、そしてどこでどういう事故があったのかということをほんとうに洗い直してみなければ、ちょっと原因をつかむということは無理なんじゃないか。そういうふうにこの事故について洗い直して、そういうような目撃者とか同乗者というところから調査を始めるというふうなことをしていただきたいと思うのですけれども、そういうことはどうですか。
○説明員(久保卓也君) その点はこれは事件であります。つまり刑法上の業務上過失でありますから、刑事事件でありますので、御懸念に及びません。したがって、事件である限りは、いままでの同乗者、被疑者、あるいは加害者、目撃者、そういう者の供述調書、その他の資料がそろっているはずであります。しかしそれでなおかつ不備であると私どもがみなした場合には、県に申しまして再調査を命ずるつもりです。
○小笠原貞子君 そこのところです。ユーザーの方々からお手紙がいっぱい来るのを見ると、どうも警察でお調べになるのが、結果的には運転の未熟であるというところにもつていかれると、非常に納得がいかないというのがたくさん来ているわけです。そこで私はそういうことを心配しているわけです。
 一つ、例をあげたいと思いますけれども、これは交通事故証明書、三次警察署長、広島県なんですけれども、ここにいろいろと当事者はだれだとか、事故発生の日時、四十四年十月三十一日、事故発生の場所はこれこれこれ。そして事故の状況というのがありますね、調書の中に、事故証明の願いの中に。ここのところに消されているところがあります。事故の状況、たとえばここに書いてあるのを読みますと、「上記日時場所に於いて乙運転の車輌が」というところから消されて「道路左側に脱輪道路下の溝に転落しその車に同乗していての負傷である。」、こう書かれています。この消されたところが見えるのです、消したのが。何て書いてあるかというと、この乙運転者の車輌が「突然ハンドルがきかなくなり」というところが消されているわけです。突然ハンドルがきかなくなった、これが消されているわけです。そうすると事故の状況は、それは道路がどうだとか、いろいろなことがあると思いますが、その運転者が突然ハンドルがきかなくなったということもこれは大きな状況の一つですよ。これをお消しになっているわけです。そうすると私たちとしては、いやこれは刑事事件でございます、警察としてもだいじょうぶです、こうこうですとおっしゃっても、これは消されているのじゃないか。この消されておるところが、先ほど言ったように、ホンダN360の事故の一番大きなハンドルがもとへもどらなくなったとかというそれに合致しておるところです。ここを消している。そうすると一体警察というところは、会社のこういうことに対してちょっと遠慮なさってお消しになったのかと疑いたくなるわけです。こういう点は実際にあるのですよ。これをどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(久保卓也君) この点はあまり御存じないのは無理もないわけでして、まず区別しなければなりませんのは、捜査書類と事故証明書は違うということであります。捜査書類は加害者、被害者、関係者の供述書類その他の証拠書類が全部そろって検察庁にまいるわけであります。それには警察の見るところの事故原因その他が全部書かれております。ところで、いまお話の事故証明書というのは、たとえば被害者が保険会社に保険を請求する場合でありますとか、あるいは加害者と示談をしたり、弁護士さんに頼んだりする場合に、警察に事故証明というものをもらいに行くわけであります。そして警察は何をやるかといいますと、こういう事故がありましたということで、日時、場所、それから客観的に見て間違いのない事実、それを教える。したがって、本人に責任があるかどうか、加害者に責任がどの程度あるかということは捜査事実に該当することでありまして、これは裁判所で争わるべき問題でありますから、保険会社のために、あるいは本人のために、どちらに責任があるかということをその証明書の中であらわすのは不適当であるということでそれは書かれない。したがいまして、従来の様式によりますと、いまの御指摘の面は従来の様式のようでありますが、警察にはそういうものがずいぶんたくさんありますから、事務簡素化の面で申請者といいますか、申し込み者に書いてもらいます。その中で警察側が不適当と考えたものは消すことになっております。したがって間違っている事実でありますとか、あるいは責任の度合いをそこに書いてあるようなこととか、あるいは裁判所で争わるべき、あるいは警察側と検察庁が協議すべき事故原因がそこに書かれてあれば消すわけであります。それはもちろんあとでちゃんとわかってもけっこうでありますが、おそらく消して判こを押すと思いますが、そういうことでやるわけでありますから、これは正しいわれわれの扱い方だ。ただし、現在のやり方は本人の申請に待たないで、不動文字を書きまして、そこにまるを入れるようにしてあるということで、ここで問題なのは、それでもなおかつ関係者の利益のために警察はそこに書いてやるべきかどうかという問題が残ろうと思います。この点についての問題は、捜査関係の資料、一部でありますけれどもそれを外に出すことがいいかどうか、あるいはまた、あとで争わるべきものを途中の段階で警察が教えるのが適当であるかどうかという問題になりまして、その点は警察は消極的に考えているということであります。
○小笠原貞子君 たいへん専門的な知識をお述べになって御勉強きせていただいたわけですけれども、そうしますと、たとえば、こういうようにハンドルが急に動かなくなったというような原因については、これは裁判で当然やられるべきだから警察は関係ない、こうおっしゃるわけですね。そうしますと、裁判に訴えなくても交通事故証明書をもって賠償してもらうというときにも使えるわけですね。そうすると、そのときにこれを警察でお消しになるということは、裁判していれば裁判で結着つきますよ。裁判していない人たちがこれで補償をもらいにいこうとしたときに、それは裁判所でやるものだから、これは当然わがほうの関係ではない、消しちゃうということになりますと、ここでこういうふうに客観的にハンドルが突然動かなくなったという非常に本人にとっては重大な状況というものが消されてしまう。そうしますと、この例でも手紙に書いてあるんですけれども、その後警察や検察庁の取り調べに対しその事実を申し述べましたが、悪路、そろばん型道路、その悪路の走行の技術未熟というふうに扱われて二万円の罰金刑に処せられた、こういうふうになってくるわけですよ。そうすると、専門的な立場でこういうのは警察庁としては当然消せるんだとおっしゃっても、それはほんとうは本人が自動車のハンドルの欠陥の中から犠牲になった立場の最も大事なところを消しちゃうということは、私はそちらで正しいと言われても、これはやはりこの人の人権を守るという立場に立っていないんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○説明員(久保卓也君) 人権を守ると言われますけれども、たとえばいまハンドル操作を誤って云々と、こう書いてありましても、責任の度合いがどうであるかということはそこだけからは出てこないわけであります。したがって、最終的に検察庁なり裁判所なりで判断されれば格別として、途中の段階で警察がある種の判断を下して、しかもいまおっしゃった例であれば不十分な例であります。つまり七、三の原因であるか、一と九の原因であるかもわかりません。そういうようなものを基礎にして示談をするということが適当であるかどうか。本来警察というものは民事不介入という原則を一応考えております。刑事的な立場で動くべきであって、民事に関係するのはあまり警察としては適当でないという姿勢を持っておるわけであります。民事に介入する度合いが多ければ多いほど警察国家であろうと私は思うので、そういう姿勢がいいかどうかという問題であって、最終的な本人の問題はやはり裁判所で争われる。そこで問題がなお残るのは、途中の段階で弁護士に頼んだり、裁判所に持っていくのに時間がかかる、金がかかるという場合に、その救済ができないのじゃないかという別個の問題が残るわけで、これはこれとして警察以外の立場で大いに議論されるべき問題であろうと思います。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
  午後二時四十一分散会