第063回国会 物価等対策特別委員会 第5号
昭和四十五年三月十八日(水曜日)
   午後一時三十八分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         横山 フク君
    理 事
                小枝 一雄君
                竹田 四郎君
                阿部 憲一君
                中沢伊登子君
    委 員
                上原 正吉君
                大森 久司君
                櫻井 志郎君
                高田 浩運君
                山本  杉君
                鈴木  強君
                竹田 現照君
                山本伊三郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      谷村  裕君
       公正取引委員会
       事務局長     吉田 文剛君
       経済企画庁国民
       生活局長     矢野 智雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       公正取引委員会
       審査部第一審査
       長        石川  一君
       通商産業省重工
       業局次長     山形 栄治君
       工業技術院標準
       部長       久良知章悟君
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  本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査(公正取引
 委員会の物価対策関係業務に関する件)
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○委員長(横山フク君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。
 本日は、先般公正取引委員会から物価対策関係業務の御説明がありましたが、本件について質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。鈴木君。
○鈴木強君 最初に、八幡製鉄と富士製鉄の合併問題のその後の経過についてお尋ねをいたします。
 八幡製鉄と富士製鉄の合併問題については、御承知のとおり、公取が昭和四十三年の四月三十日、両社から事前相談として趣旨説明を受けてから世間では大きな問題になりました。この合併が独禁法第十五条第一項第三万の、いわゆる合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限するかどうか、こういう点が大きな論争になりました。当委員会におきましても、たびたびこの問題は取り上げられまして、論議をいたしたところでございます。しかし、結局、昨年十月十五日に、両被審人から、同意審決の申し入れと違反行為の排除計画書というものが出されてまいりまして、公取は、両者が合併すれば、この合併によって競争が実質的に制限されることと見られるのは、鉄道用レール、食かん用ブリキ、鋳物用銑、それから鋼矢板、この取引分野であるということになりまして、排除計画を条件として合併を認める審決を十月三十日に行なったのであります。
 私は、合併は独禁法違反であるという立場を終始とってまいりました。したがって、この審決にはたいへん不満を持っておる者の一人でございます。しかし、手続を経て審決が下されました以上は、私どもはこれ以上ここで問題を蒸し返すことをいたしません。あとは実際にわれわれが心配したような形になるのかどうなのかということの今後の問題でございますから、私はそういう意味において、今後事態を強く監視してまいりたい、こう思っておるのでございます。
 そこで、一、二これに関連をしてお尋ねをいたします。審決主文は、そこにお持ちだと思いますが、それを拝見いたしますと、二十四項目からなっております。主文一項、八項、十項、それから二十項、これに基づいて両社がそれぞれおとりになった措置、それから主文二項、十一項の措置をとるにあたって行なった必要準備行為、これについては、合併期日前に公取に報告しなければならない、こういうふうに義務づけられております。聞くところによりますと、新会社は三月三十一日にいよいよ発足をするということも私たちは承っておりますが、きょう現在その報告は公取のほうに参っておりますかどうですかということを最初に聞きたい。
○政府委員(谷村裕君) いま御質問の件でありますが、本年の一月の十二日に第一回の報告、それから二月の二十七日に第二回目の報告が、いわば中間報告と申すものであろうと思いますが、それが参っております。そして現在、いわば最終的な報告になりますか、それともまた中間的な報告になりますか存じませんが、近々のうちに次の報告が来るという予定であるというふうに聞いております。
○鈴木強君 念のために伺っておきたいのですけれども、この報告は一つの義務行為だと思うのです。したがって、この報告がまいった場合に、事実排除すべき事項が排除されているかどうかということの確認は、一体ただ単に文書によってやるものか、あるいはもう少し現実に公取が出ていって、監査といいますか、調査といいますか、そういう方法ではっきり公取の目で確認してからそれを認めていくのか。もし万一、文書ではきた、しかし、実際ではどうもおかしいというので、監査してみたところが事実おかしかったというようなことであれば、これは例でございますけれども、そういうような場合には審決というものは一体どうなるのか。要するに、それが確認をされない限りは私は新会社というものは発足はできないと思うのですけれども、審決そのものは一時延びていくという程度のものでしょうか。要するに、それよりも、審決は生きておるのだが、合併期日というものは当然延びていくというふうに考えればいいんですか。
○政府委員(谷村裕君) 具体的に富士・八幡の問題についてのお尋ねでありますが、二つの点を問題にしておられると思います。
 第一は、いろいろ審決で命じました義務を、いかにして公取は確認するかという審決執行の問題、それから第二番目には、もし審決違反があった場合に、事態はどういうことになるのか。一般的に申しまして、私どもは富士・八幡に限らず、いろいろな勧告をいたしましたり、あるいは審決をいたしたりしております。それについてたとえばある協定を破棄せよというふうなことを申しました際には、破棄をちゃんとして、これこれかくかくのものを出しましたという書類を、たとえばその通知の写しをそろえて持ってこさせたり、あるいは破棄のたとえば総会の議事録の謄本というものを持ってこさせたりして、そうして確認しているというわけでございます。たとえば謄本そのものがまたインチキなものであるとかいうことがあれば、まあいわば官公庁に対する公文書として、ちゃんと公の官庁に対する文書を偽るということで、それ自体も一つのあれになりますから、事と次第によって、そういうようなことはたいへんな問題になるわけであります。一般の審判事件そのものについて、一体どの程度のことをやっているかということになりますと、それは契約書の写しを持ってこさせるとか、それからたとえばユーザーに出した通知があれば、その反対側のもらったほうの人に行ってちゃんと受け取ったかどうか確認するとか、事と次第によっていろいろやり分けているわけでございます。富士・八幡の場合につきましては、たとえば、ノーハウ、いろいろ技術の提供というふうな関係のことにつきましては、その両者の間でかわした契約書の写しというものを、たとえばちゃんとつけて持ってこさせておる。ところが、それでは株式を処分したという報告、これについて、いまの段階ではまだ私どもは、具体的にそのほんとうに株主名簿を現場に行って調べてやっているかといえば、いまの段階ではまだいたしておりませんけれども、最終的な段階までには、たとえばそういうこともきちっとやるべきものは、これはピンからキリまでいろいろ問題がございますけれども、やるということも考えておるわけでございます。特に大きな問題でございますから、まずその確認の問題、これは程度の問題でございますけれども、従来の例にならってやろうと思っております。
 それから第二番に、合併期日までにちゃんとやれということがやられていない場合どうなるか。これはいまのところ、私どもは、大会社でもあり、国民からも一般に信頼もされ、また期待もされておる会社でありますから、さようなことにはならないと思っております。おりますけれども、まあ仮定の質問として、もしわれわれから見て審決どおりの実行をやっていないと思われる状況があったらどうなるかという、仮定の御質問としますと、その場合には、別に審決がそのままずっと続いていて、合併はそのままできないという形ではございませんで、合併は合併として実行されても、これは審決違反という状態が起こりまして・そうして審決違反による罰則の適用、かような問題になるのが従来とも審決の執行のやり方でございます。そうしてまた、それが法律の考えているところでございます。
○鈴木強君 私は、非常にこの点を重要視するのは、少なくとも鉄道用レールと、食かん用ブリキと、鋳物用銑と、鋼矢板の取引分野におきましては、実質的に競争が制限されるというように見ているのですね、結論は。しかし、これについては、条件をつけてならばそういう制限にならないということですからね。それだけに、かつてない公取としても事前審査も慎重にやられたと思いますし、特に二十四項目にわたる主文における条件を示しているわけですから、一つ一つこれは具体的に出ていますわね。したがって、私は、譲渡とかあるいは株の売買だとか、そういうようなことはそれぞれの手続によってもちろんやられていくと思います。ただ当初、まあ言うならば独禁法違反ではないんだ、自由競争制限にならないんだという、そういう考え方でもって突っ走ろうとしたのに対して、公取がかなり慎重に審査をいたしました結果、結論としてこういうことになっただけに、これは、私は相当に今回の場合は他の例と違って、公取は重要な関心を持ってこの排除事項を実施できたかどうかということについてはやってもらいたいと思うのですよ。そうしませんと、たとえ一つでもかりにあったとしても、それはそれとして審決は生きておって、合併はやっていくのですと、審決違反で罰則だけですということでありますれば、それは法律的な立場はそうでしょう。しかしながら、そんなことで、罰金を払ってもいいからやろうということにこれがもしなったとしたらたいへんなことですから、それだけに、異例の審決だけに、この条件の実施の成否についてもひとつ厳重な態度で臨んでほしい。これははっきり谷村新委員長からも答えておいてもらいたいのです。非常に国民は、あらゆる物価の面にこの鉄というものが広範な影響をするものでありますから、それがはたして物価にはね返るかどうかということはたいへんな問題だと思いますから、ひとつこれは、私はくどいようですけれども、委員長からもき然たる態度でやってほしい、やってもらえるというお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) お説のとおり、たいへん世間からも注目を浴びたことであります。両社あるいは関係者、みんなこの合併がいかなる効果をもたらすか、また合併後において一体どういうふうになるか注目していると思います。そういう意味で、私どもは審決の執行というものには、おっしゃるような意味で十分な注意を払ってまいるということは、確認と申しますか、当然のことでございますが、なお、お話にも出ませんでしたけれども、審決後においても要求されている問題もございます。さような点につきましても十分私は、両社、新しくなれば一社でございますが、十分、世間の期待にこたえて間違いなくやっていってもらえると信じておりますけれども、その面につきましても、われわれとしては十分注意をしてまいりたいと思います。さらには、合併にあたって、法律的な見地からは、まさに御指摘になりましたような四品目について実質的な競争制限ということになると、したがって、それを排除するようにという処理が行なわれたわけでございますけれども、一般的に言いまして、日本の経済の中で非常に重要な地位を占める鉄鋼業であり、また巨大産業でもあり、巨大企業でもございます。巨大企業といいますか、そういう日本の経済の中で非常に、いわば力の強い、それだけにビヘービアが大事であると、そういった企業の行動のしかたは、これは十分私どもとしましては、この合併で指摘した点だけでなくて、大企業全体の動き方とか、そういったものも十分に注意してまいりたい、さように考えております。
○鈴木強君 それからこれは谷村委員長の御見解を私があえて聞こうとするので、多少失礼になるかもわかりませんけれども、私は、非常に心配を国民とともにしておるものですから次の質問をいたしますが、実は、歴代公取委員長の辞任の経緯なんです。なかなかこれは国民には合点がいかぬ。昨年の十月三十日にいまお尋ねをいたしました審決がなされて、その一週間あとの十一月八日に山田精一委員長は、健康上の理由で辞任されたと聞いております。しかし、私は、端的に言って、この山田委員長の辞任というものは、単に健康上の理由だけではないと私は思う。山田委員長は非常に合理主義者でございました。この委員会にも幾たびかおいでいただきましたが、信念の強いりっぱな方だと私は信じております。しかも天井知らずの物価高の中で何といっても国民が期待をするのは、もちろんこれは厚生省なり、農林省なり、一般的に政府に望みますけれども、特に独立的な立場に立って大きな物価のお目付役的な立場にある公取、さらにその委員長に期持するものは非常に私は大きかったと思います。しかし結局、こういう大きな期待があるにもかかわらず、富士・八幡の合併問題について一体政府はどういう態度をとっているかというと、財界の首脳部もそうでありますが、政府自体も私は一貫してこの合併を支持しておったように思います。ここでも私は幾たびか通産大臣ともやり合いました。公取というのは、行政組織上は総理大臣の所属に当然なっておりますから、行政官庁であることは間違いない。しかし、独禁法を見ますと、公取の委員長のその職権の行使ということについては、やっぱり独立性が保証されておると思うのですね。だから、山田さんは私は正義の士として大いに健闘されたと思いますし、一生懸命にやられたと思いますが、これに対して合併を促進する一連の反動的な力が有形無形に私は山田さんにがかった、こう思うのです。そうして情熱をもって独禁政策に打ち込んできた山田さんもついにやめなければならなくなったというようなことでは私はないかと思うのであります。また、そのように国民が疑念を持ってもこれは弁解の余地がないとも私は思うのです。歴代の公取委員長が、何か重大な決定をするとそのあとにやめておる。これは歴史が証明しております。谷村新委員長は、山田委員長のあとを受けて重大な公取行政の独禁政策の矢面に立たれると思う。私はその責任はきわめて大きいと思います。しかし、またそういうことが繰り返されないとは限らない。したがって、あなた自体が御就任以来、新聞記者の皆さんや、あるいは先般のこの国会において所信の御表明等を承りました。私はあなたが山田さんと同じように十分に国民の期待に沿っていただけることを確信いたしますけれども、こういうふうな委員長の交代の事実をあなたも知っておって山田さんのあとへ来たと思うのであります。したがって、何か胸に感ずることがあったらひとつ率直にこの機会に言っていただきたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) どうも鈴木委員の御発言の、その最後のほうは私がちゃんと自分の考え方を申し上げればいいんでございますが、初めのほうのことにつきまして、特に山田委員長がやめられたその経緯と申しますか、お気持ちはどうであったかというふうなことは、まあ鈴木委員がいわばそう推察しておられるということでありましょう。私はそれについていま何かそうらしいとも、そうでないとも申し上げる立場にございませんから、そこは許させていただきたいと思います。
 ただ、私も委員長になりましてから、いろいろ記録を調べたわけでございます。国会での御審議の様子、あるいはまた、内部でのいろいろな議論の展開、確かにあれだけの問題をさばいていくといたしますれば、いろいろな面でたいへんお疲れになったろうと思うことは、私は自分でもそういうふうに感ぜられます。もし私がその衝にあったら、私もずいぶん心身ともに疲れただろうと私は考えてみました。この間、お二人の委員の方が、やはりたいへんからだが疲れているのでという理由で御辞任になりましたけれども、その二人の方とは直接に話しておりませんが、やはりずいぶんお疲れになったと聞いております。これは人間のことでございますから疲れるのはいたし方ないと思います。
 第二番目に、私自身がどう考えているかということにつきましては、これは就任のときにここでごあいさつも申し上げましたが、私は山田委員長ほどにしっかりやれるか、あるいはさらに他の先輩の委員長ほどにしっかりやれるかどうか、はなはだ微力でございますが、私の全力をあげて私に与えられた職責を尽くしてまいりたい、かように思っております。
○鈴木強君 このあとに、もう一つ私はお尋ねしたいのですけれども、私があなたに何か胸に感じておることがあっから言ってほしい、こう申し上げたわけですね。いま日本は貿易、資本の自由化というような波の中でいろいろ問題があると思います。そのことはわれわれもわかるのです。ただだからといって、いまの独禁法そのものを一体変えていこうという考え方の人と、守ろうという人の考え方、これは当然あると思います。われわれも、何でもかんでもいまの独禁法が全く一〇〇%どこもいじらなくてもいいのだという考え方を持つかどうかについては私も断言できないのです。しかし、独禁法というものが制定をされ、独占排除の方針が日本で打ち立てられてきましてから今日までの過程の中で、この法律は法律としてのよさを発揮してくれていますよ。だからこれをかりに一部の人が言うように、突き破っていくということになるならば、それはそのかわりにどういう具体的な政策をとっていくのかということをはっきりきめると同時に、法律的にその点を明確にしていかなければ、結局は消費者、国民に対しての利益に影響することでもあるから、私はそういうふうにこの問題を受けとめます。
 そこで、いまわれわれが富士・八幡の合併を中心にして非常に感じていることは、さっき申し上げましたような客観的な一つの理由の上に立って、独禁法骨抜き、独禁法改正というそういう一連の動きが出てきているわけですね。そこで私は、国民は、一体その点をどういうふうに委員長としては考えておられるのかという点が一つ聞きたいことだと思います。と同時に、先ほども申し上げましたように、行政組織上は総理大臣の所管に入ります。しかし、職権の行使については独立性というものが与えられている。私は三権分立のように裁判所のような性格があるとは思いません、思いませんが、そこには独自性というものが与えられていると思います。だからその独自性というものを十分に発揮していただいて、そうして新委員長が独禁政策というものをやってほしい、こういう強い願いを、私は持っていると思います。この願いに対して谷村新委員長が、そうだ、その使命感と責任感をもってこたえていただけますか。あまり力がなくて非力だということは当たりませんよ、これは。まだあなたは若いのだ。だから思う存分独禁法の精神を体してひとつやってほしい。こう私は願うがゆえにさきの質問をしたわけです。やや今度の質問は具体的になりましたからひとつお答えをいただきたい。
○政府委員(谷村裕君) 鈴木委員も御指摘になりましたように、行政の立場というものは、そのときそのときのいろいろな情勢に対応して、いかにすれば国民全体のために一番役に立つように働けるか、法律もまたそうであろうかと思います。したがって、鈴木委員のおっしゃったように、法律というものは一ぺんつくってしまったらもうこんりんざい変えないというようなわけではなくて、よりよくしていくためにはどういう点に問題があり、どういう点は、たとえばここはこういうふうに直したほうがよりよくなろうかということを、行政官庁としては常に考え、必要とあれば立法府にお願いするという立場であろうかと思います。
 また、御指摘になりましたけれども、独禁政策の基本的な考え方を破って、日本はもうそういうものは要らないんだというふうに考えているような人は私はいないと思います。おそらく日本の経済あるいは日本のこれだけの発展をささえた基本になっているものに独禁政策というものがあったということは、いまの鈴木委員の御指摘のとおりだろうと思うのです。そういう上に立って、たとえばいま骨抜きの話が出ましたけれども、世間では、骨抜きだけでなくて、もっとこういう点に考えを入れてみたらどうか、こういう点も考えてみたらどうかというような意味での、ことばを逆にすれば強化論と申しますか、そういったことを言っていらっしゃる方々もおいでになるわけなんです。それこれあわせまして、実態的に一体どういう点が問題であり、何をわれわれはしなければならないかということは、すでに当委員会におきましても、三年ぐらい前からそういう問題を専門に勉強するという内部組織をつくりましてやっておるような次第でざごいまして、要は、いろいろジャーナリスティックに言いますと、骨抜き論とか緩和論とかいうことになります。あるいはまた、逆に強化論というような話になりますけれども、一体具体的にどういうことが大事か、そのために法体系というものはどうすべきかということ、さらにまた、行政機構ということに対してのあり方についての、感情的にああいうのはけしからぬとかどうだとかいう話でなくて、ほんとうに日本の経済全体のために、何も公取だけをつかまえるのでなくて、たとえば消費者行政なら消費者行政ということを全体として考えて、そういうときに公取のあり方はどうであるかとか、いろいろもっと高い見地から、独禁政策けしからぬというようなそういう考え方からでなしに考えるという問題であれば、私どもは十分そういうものについても耳を傾けなければならない、そういうように考えております。
○鈴木強君 私の質問が抽象的な質問ですからね。独禁法改正、じゃ一体どこを変えるのかというその焦点がぼけておりますから私申し上げておりませんから、委員長のお答えも非常にむずかしいと思うんです。一連の独禁法の改正というのは、富士・八幡の合併問題で公取がもたもたしているときに、これは新聞に載りましたことですから私は通産大臣にも伺ったんですけれども、そうなったらもう政府は独禁法変えてもやるんだというような、そういう記事が出たんです。そこで伺ったら、いや、通産大臣としてそんなことを言ったとすればもうすぐ首になるというようなことをここでお答えをいたしましたから、大臣が公の席で言われたからそれを私は信頼をしてきているんですけれども、しかし、それはやはり実態というものは新聞の皆さんが見ているような点がどっかにあるんですよ。だからしていろいろな意味における有形無形の圧力が加わったということを申し上げているわけです。ですからそこいらにポイントを置いて実は抽象的だけれども言っているんです。だから、いま経団連のほうでも独禁法研究会というものが現に持たれておりますね。それから自由民主党でも、行政調査会、経済調査会の合同部会というものが開かれ、すでにこれは中間報告も出しておられる。あなたもお読みになったと思いますけれどもね。こういうふうなもののねらいというのは、あなたも長い間役人をされておっていま公取におられるわけだから、私が言うのはかえって失礼なわけで、当然、行政官であったとしてもその成り行きというものはもうわかっておったと思うんですよ。だからして抽象的なことで抽象的なお答えをいただいたわけです。いずれ具体的な問題についても私承りたいと思っておりますけれども、そういうわけで、そういう一連の動きに対して私もある面はあなたと共通する点があるし、何でも反対ということでなく、よりよいものにするということについてはこれはやらなければならぬことですから。ただ要するにやり方ですね。手段、方法、そういうものをやはり十分国民の納得するものを考えつつやっていきませんと、そこに国民から見ると不信を抱くことがある。そういう取り運びがなくちゃならぬのですね。しかし、そうは言っても常識論が通らない、政治の中では。そういうまた一連の強い力を持っている、政治というのは。だからそこいらにあるいは行政府と立法府との考え方の相違というものがたまには出てくると思うのです。皆さんはこれは少し行き過ぎだと思っても、これをあえて政治の中でやられる場合もあると思うのです。実際にそこまでやらなくてもいいと行政官が思っても、政治はそれを許さない場合があると思うのです。ですから、そういういろいろと政治の仕組みというものがあるだけに、私はいま起きておる独禁法改正への動きというものは、これはただ単に黙って見るわけにはいかぬ。だからその成り行きについては絶えず注目をし、監視をし、内容を十分検討するという努力が必要だと思うのですよ。私もふつつかながら勉強させていただいているんですけれども、そういうわけであなたが就任されて、いまのところは独禁法というものを忠実に守っていくのがあなたの職責でしょうから、そしてその職責を忠実に守りながら国民の信頼にこたえていただきたい、こういうところにいくわけですよ。そこでひとつ承りたいのは、自民党のさっき申し上げた中間報告ですね、これに対しては委員長として何か御意見ありますか。あったらひとつ聞かしてもらいたい。
○政府委員(谷村裕君) 自民党の経済調査会と行政調査会でありましたか、合同していろいろ勉強しておられるその内容は私も拝見いたしました。基本的にそれが独禁政策それ自体を否定しようということではなくて、よりよき運営をしていこうというお考え方に基づいておられるものだというふうに私は拝承いたしておりますけれども、具体的にその内容その他についていまそれを私が論評することは差し控えたいと思います。しかし、たまたま富士・八幡事件の最中にああいうことがなされたということによって、いかにも富士・八幡事件で、いま鈴木委員がおっしゃいましたように、公取がもたもたしておったときに、ああいうことをやったということで、ある種の批判をしておる向きがあるかと思いますが、私は、そういった問題と切り離して、そういったいろいろな公取あるいは独禁法あるいはさらには独禁政策はいかにあるべきかという意見は、自民党に限らず各方面の御意見を十分によく伺って検討いたしたい、かように考えております。
○鈴木強君 これはこれ以上無理でしょうから、次に具体的にひとつ伺いたいのですが、持ち株会社のことですけれども、これは独禁法九条によって設立が禁止されておる。ところが最近、持ち株会社を復活したらどうかというような意見がかなり出ておりますね。特に、経団連の独禁法研究会では、独禁法を改定して、持ち株会社の全面復活を認めよというような主張をされておるようです。そこで、あなたはこの持ち株会社の復活の問題についてはどういうふうにお考えでしょうか。これは具体的な問題ですから、ひとつ見解を聞かしてほしい。
○政府委員(谷村裕君) 経団連のほうはときどき新聞だのあるいは雑誌だので、しかも委員会とかなんとかいうもののいわば公式のまとまったものという意味ではなくて、何かそこの委員長ですかあるいはスポークスマンの方ですか、そういうことをやっておられる方が語っているのをわきで聞いておるという程度で実態が一体どういうことを考え、何をそこから引き出そうとして議論しているかという点については、まだ私何も承知しておりません。さようなわけで、独禁法全体のいろいろな問題の中で、持ち株会社ということの勉強も率直に申しまして私ども内部でしていないわけじゃございません。これはいろんな問題は勉強したほうがいいという意味で、過去においてどういう立法の経過あるいは改正の経過があったかというふうなこととか、諸外国でどのようなことになっておるかというようなことも、私はまだそう十分得ておりませんが、事務局がずいぶん勉強をしておるようでございますし、いま突然とお聞きになりましたような意味において持ち株会社の規定をどうするかということについては、私はいまのところどうとも考えておりません。これからまたどういうお話になるのか、よく伺ってみないとわからないわけでございます。
○鈴木強君 あなたは先般、新聞記者との会見をされましたね。これは私は記事を拝見したのですがね。その際に、記者の皆さんに、持ち株会社に対しての御見解をお述べになっておりました。そういうことがありながら、公の国会の場において国民の知りたいと思っておること、これを私は取り上げました。これに対して、突然の質問だというふうに言われるわけですが、どうして御見解の発表ができないのか、はなはだ私は奇異に思う。見解があったら大いに発表したらいいじゃないですか。
○政府委員(谷村裕君) 新聞に出ておりますことは、そのとおりでございます。これは私、一方的にしゃべったわけではなくて、御承知のように、新聞の方がいろいろお聞きになる、そのお聞きになったのに対して、まあこういうことでしょうかというふうなことでお答えしておるわけで、私がいま申し上げましたことは、いわばその結論のようなことを申し上げましたので、その結論に至る過程では、たとえばこういうことを考えて、持ち株会社を復活したらどうかと考えておられる向きがあるがどうかという、そういう質問が新聞の方からあったのです。具体的に申しますならば、たとえば石油の海外資源を開発するのにいろいろな会社がそれぞれの地域についての何か会社をつくって、それに出資をしておるというふうなやり方を、もう少しまとめて一つの会社でもって石油資源の開発を海外に向かってはやるようにして、いまそれぞれの地域において、それぞれの会社がやっているような事業は全部その一つの会社のいわば子会社みたいにして、株をプールしてみたらどうか、かような案を考えている人があるがどうかと、かようなお話が出たわけでございます、たとえばです。それからたとえばだれも財閥の復活を考えているようなことはないけれども、ある事業会社がそれぞれの事業部門をそれぞれだんだんに独立させていって、たとえば従来子会社を一つ二つと持っていたようなものが、だんだんそれぞれの事業部門を独立させていったらば、そしたら、とうとう最後に残ったのは管理部門だけになっちゃったというふうな、これは持ち株会社を設立するんじゃなくて、持ち株会社となってはならないという、それに触れるかどうか、そういう問題としてたとえばお話が出たわけでございます。それからさらには、どういうおつもりでございましょうか、提携という形もあれば合併という形もある、そんならちょうどその中間に持ち株会社というかっこうがあってもいいじゃないかとおっしゃっている方もいると、これは全部私が自分で考えているのではなくて、そういうふうなことを言っている人があるがどういうことだと、こういうお話として聞いておるわけです。ただそのお話を承っておりましても、それじゃ具体的にその話が九条を変えなければどうしてもできない問題であるのか、また、それだけのことまでして一体いかなる経済上あるいは実体上の実益というものが、あるいは要求と申しますか需要というものがあるのか、そういうことを私どもは十分検討してみなければ、簡単に答えが出るものではない。ただそれはその方々は、世界でたった日本が一つだけああいう規定があるのだということもよく言っていらっしゃいます。それからもう一つ、外資の上陸に対抗するものとしてつくったらどうかと言っていらっしゃる方もいるそうでございます。それこれあわせて私どもそう言っていらっしゃる方々の具体的な内容についてもまだ実は十分承知しておりませんし言っていらっしゃる方もそれほど突っ込んで勉強して言っていらっしゃるということではない、これからその辺はまた勉強するのだと言っていらっしゃるそうです。そういうことで、私どもはそういう話は一切もう耳はかさないということはこれはあり得ない、十分そういう話があれば、やはり聞いて差し上げて私はいいことだと思うのです。そういう意味で私どもも内部で勉強もしております。たださっき結論めいて申し上げたことは、いまの段階でどうしようという考えは持っておりませんということを新聞の方にあのときも申し上げたわけでございます。
○鈴木強君 いろいろ展開する情勢の中で適宜適切な考え方を持っていくということだと思いますが、結論的にそうすると、こういうふうに理解しておいていいですか。谷村委員長としては、現段階において九条を変えて持ち株会社を持つという、そういう制度の復活については考えておらぬ、ただいろいろこういう情勢になってくると考えなければならぬ点はある、したがって、それらの点については絶えずわれわれも――委員長、あなたも深い関心を持っておる。それが制度改正にいくかどうかということはそれからのことになるんだろうと思うけれども、相当幅を持っているわけですな。絶対これ以上何が何でも変える必要がないと、こういうわけではなくて、そこには相当な幅を持って持ち株会社については考えておる、こう理解をしていいわけですか。
○政府委員(谷村裕君) これは答えを、一番最後の答えを端的に言ってしまえと仰せられますならば、いま言われたようなことであろうと思います。何が何でも耳をかさない、絶対これをタブーだから耳をかさないとか、さようなことは私は行政官として申すべきではない。それはそういう中で状態に応じて考えなければならぬものがあれば考える、さらに進めなければならないものがあれば進めるというのがお国のためであるということならば、そうすべきであろうと思っております。
 ただ忘れてはならないことは、独禁法第一条に揚げております独禁法の目的ないしは独禁政策というもののわが国における位置、そういうものから見たいわば何と申しますか、バックボーンと申しますか、基本的な線をくずすものであってはならない。これは私だけではなくて、おそらく言っておられる方も、またどういう立場から言っておられるかにもよりますけれども、少なくともいま言っておられる方々はその線をくずそうと考えてはおられないと私は思うのです。
○鈴木強君 時間がありませんので、もう少しここはやりたかったんですけれども、いまの委員長のお答えでかなりわかりましたから、次に移ります。
 もう一つ、昭和四十三年でしたか、独禁懇話会というのが公取の中に設けられました。これはおそらく委員長の私的な諮問機関というか、何か相談機関だと思いますけれども、これも私たちは設置の目的、ねらいですね、何をねらっているのか、どういう目的でつくられたのか、現在、一体何をいままでなされてきているのかというようなこととも実はきょう少し承りたかったんです。これは私は、独禁法改正の問題とかなり関連を持って聞こうと思ったんです。まあ一つはそういう考え方と、もう一つは独禁法そのものをいかに忠実に厳格に正しく施行していくかという、そういう問題点の解明の目的もあると思いますけれども、しかし、これは私はこの次に伺いますけれども、時間がありませんから、非常に関心を持っておる人間がおるということだけはひとつ腹に置いてやってほしいと思います。あなたもかつて委員長になる前、委員をされておったんですから。いただいておりますこの資料だけではとても理解に苦しみます。できるならもう少し内容を聞きたかったんですけれども、時間がないようですから、次にいたします。
 それから次に、この前のあなたのほうの業務関係に対する報告を承りましたときに感じたのですけれども、実は再販価格の維持行為の規制の問題ですけれども、四十四年度中に、資料を拝見しますと、医薬品、それから化粧品、家庭用石けん、歯みがき、海外旅行用のカメラ、これはノータックスの場合には認められておるわけですが、これは一応省きます。したがって、歯みがきまでの四つの問題についてリベートだとか、あるいは現品添付の実態調査というものをやられたようですが、何件の御調査をなさったのか、また、その御調査の結果はどういうことになっているのかひとつ聞かしてもらいたい。
○政府委員(谷村裕君) いま御質問の再販関係での、いわば流通関係のリベート等の調査は、私の承知しておりますところでは、二百二十五社に調査表を送って実態調査をしたと聞いております。
○鈴木強君 結果は。
○政府委員(谷村裕君) 結果は、実はまだ集計しております段階で、これは任意調査でございますために、先方が記入して報告してくる。そうすると、それをもう一ぺんまたいろいろな角度から整理しておるということで、総括的に申し上げる段階にはまだ至っておりませんが、一部分、部分的にはわかっております。部分的なものでもよろしければ申し上げましょうか、いかがいたしましょうか。
○鈴木強君 ええ、お願いします。
○政府委員(谷村裕君) それでは事務局長から申し上げます。
○政府委員(吉田文剛君) 先ほど委員長から申し上げましたように、再販指定商品でございます医薬品、化粧品、石けん、洗剤、歯みがき等につきまして、再販実施業者と、それから商品は指定されておりましても再販を実施していないもの二百二十五社につきまして、リベート、マージン、現品添付等の状況を調査いたしたわけでございます。現在まだ集計はできておりません。集計を検討している段階でございますが、中間的に一部わかっているのもございます。これはたとえば医薬品の場合でございますが、メーカーの名前はこれは申し上げませんけれども、マージン、リベート、現品添付合わせまして小売り価格の五〇%、あるいは最高の場合は一二五%、これはある期間、二カ月間ということでございますが、それからあるいは七六%、七五・六%というような例がわかっております。これは一年じゅう通じてやっているというものではございません。特売期間中というような、特に多い期間における例外ではございますけれども、そういう例がございます。
○鈴木強君 これはいずれ私は、個々の内容についてもう少し御説明をしていただく機会をつくりたいと思いますが、特にお願いをしておきたいのは、一つ一つの、個々の契約内容について検討を当然されておるわけですが、その際正当な行為の範囲を逸脱したものとか、あるいは一般消費者の利益を不当に害する、いまもちょっとお聞きしまして驚いておるのですけれども、そういうものについては何かの強力な規制措置というものを当然私はやるべきだと思うのです。その規制措置についてはいま公取としてお考えになっておる点ありますか。
○政府委員(谷村裕君) 再販問題は非常に最近やかましい問題としていろいろな角度から議論されておると思いますが、私自身はなはだまだ就任いたしまして日が浅いものですから、十分勉強いたしておりませんけれども、いまの御指摘になったような点まで含めまして、再販契約というものの持つ意味、何を一体これはねらっておるのか、そしてまた、それが現実にどういう姿として運用されるのが法目的としては正しいのか、あるいは法目的から逸脱しておるというふうに考えられるのかということが、もう少し時間をかしていただいて、十分勉強させていただきたいと思いますが、少なくともベートとか現品添付とかいうふうな問題は、いわゆる独禁法の二十四条の二のもっぱらただし書きで言うと、「当該行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合」というのに該当するかどうかということをいろいろ他の例もあわせて勉強いたしまして、考えてみたいと思っております。
○鈴木強君 これは委員長、そんななまっちょろいことではだめなんですよ。あなたは御就任になって日が浅いかもしれないけれども、終始一貫公取としては、再販価格の維持行為の点については努力をされてきておると思うのですよ。そういう措置がいつも後手々々になるものですから、そういう間隙をぬってやるわけですね、商魂たくましいものがあるのですから。だからして、やはりそういう規制はすみやかにつくって、そしてやることによって消費者の利益をほんとうに害さないようにするのがあなたの責任ですよね。だからして、まあ就任されたのですから、その点はあなたの個人的な立場はわかるけれども、公取としては、もうこれは再販価格の問題が世の中に出てきているからやっているわけですからね。独禁法というものができてから。ちょっと少しスローテンポじゃないですか。一体いつまでにやりますか。ただ検討するということではちょっと困る。
○政府委員(谷村裕君) 御指摘のとおり、私はまあそういうわけではなはだまだ不勉強で申しわけないのですが、みんなでこの問題は勉強しておるようなことでございますし、また、ただ単に再販問題というだけを抜き出してつかまえる以上に、いろいろな、たとえば製品差別化とかなんとかいうようなむずかしい問題とかあるいは流通機構の問題とか、その再販それ自体の、いわばバックになっているというふうな問題もかなりあるのじゃないかと思います。そういうことまで含めて、はなはだ私ども怠慢のそしりを受けるわけでございますが、いわば問題を表面的にでなく、もう少し掘り下げて考えてみたいという気持ちが私はしているわけでございます。いつまでにというお話は、これはそういう事柄でございますから、ここでお約束を申し上げるわけにはまいりません。
○鈴木強君 これは職務怠慢だ、そんな適当な態度で公取がおったのじゃ、これはけしからぬですよ、私はね、こう思いますよ。だからして、あなたが期限が切れぬというのだから、ここで切ろうとしてもこれは無理でしょう。ただ、願わくは、私は怠慢と言われてもこれはやむを得ないと言われるのですが、怠慢ですよ、したがって、怠慢の罪ほろぼしをするために、すみやかにあなたが音頭をとって近い機会にそういう規制を考えてください。これは私が強く要望しておきます。
○政府委員(谷村裕君) 甘んじて怠慢ということばを受けとるといったつもりではなくて、先生から怠慢だとおしかりを受けましたが、という意味でございます。私どもは、怠慢にならないように、できればこういう問題はある意味では早くしなければならない、ある意味では、また十分いろいろな問題を掘り下げて慎重に扱うと、この両面をやはり行政としては踏まえて、できるだけ御要望に沿うようにしっかりやっていきたいと、そういう気持ちを申し上げたわけでございます。
○鈴木強君 私は、公取を信頼し、公取の厳正妥当、公正な措置を期待するがゆえに国民を代表して言っているのですよ。したがって、規制を加えることについては必要性があるのだから、あるから検討するのでしょう。規制をしない場合のほうがいいかもしらぬなんて、そんないいかげんな考え方は、これは私は返上しますよ。規制をしたほうがいい場合と、またそれをおくらしたほうがいい場合があるがごときような委員長の御発言というものは私は受け取れませんよ、そんなもの。何を言っている。
○政府委員(谷村裕君) 少し私の申していることが十分御理解になっていただけないのかと思いますけれども、たとえば過大なリベートであるとかあるいは過大な現品添付というような問題があること自体を私はいいことだとは思いません。それは、その点についてはそうだと思います。ただ、一般論として再販問題をどう考えるかというお話として申し上げたときに、いろいろと勉強したいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○鈴木強君 まあ、公取がそういうことならそれでいいですよ、私のほうはそういうつもりでやりますから。
 それから、四十四年度中に十三件の違法な再販価格維持行為に対する審査が行なわれているが、その三件について法的な措置をとった、こういうふうに言っていますが、その三件の内容は何か、明らかにしていただきたい。
○政府委員(谷村裕君) 第一審査長からお答えいたします。
○説明員(石川一君) 一件は松下電器株式会社に対する件でございます。三件はございませんです。
○鈴木強君 書いてあります、三件あると。少なくも公取委員会が昭和四十五年の二月二十五日に出した「昭和四十四年における公正取引委員会の物価対策関係業務について」の報告の中に、これは、ページ数が書いてないですな……。
○政府委員(谷村裕君) いや、おっしやるとおりです。
○鈴木強君 その中に、昭和四十四年度には十三件を不法なる再販価格維持行為について審査を行ない、三件について法的措置をとりました、と書いてあるから、その三件の内容は何かと聞いている。一件しかないというのはうその報告書だ、そんなインチキな報告をされてはかなわぬ。何をしているのか、公取は。
○政府委員(谷村裕君) 御指摘を受けまして、まことに十分な答弁ができないで申しわけございませんが、直ちにこの点につきましては、私、調べるように命じます。しばらくお待ちいただきたいと存じます。どうも失礼いたしました。
○鈴木強君 まあ、あなたの内部のこれは運営の問題の不手際だと思うが、少なくともわれわれがいただいた正式な報告書の中に書いてあることがわからぬようなことで審議は続けられませんよ。
○政府委員(谷村裕君) ちょっとお待ちくださいませ。
○説明員(石川一君) 一つは、楽しい手芸のハマナカ関西代理店会、もう一つは、同じく九州代理店会、もう一件は、大塚製薬株式会社に対する件、三件でございます。
○鈴木強君 内容は。
○説明員(石川一君) 松下は間違いでございました、前年度の問題でございます。
○政府委員(谷村裕君) いま石川審査長から申し上げましたように、何か三つあるようでございますが、その内容についてさらに申し上げましょうか、お聞きになりますか。
○鈴木強君 時間が少しありませんから、大塚製薬のオロナミンCドリンクだと思うのですが、違いますか。
○説明員(石川一君) さようでございます。
○鈴木強君 それで、石川さんを私は責めようとは思いません、人間ですからちょっと戸惑うこともあるでしょうから、その点は私よくわかりますが、一つ議事録の関係で訂正をしておきたいのは、最初松下と言いましたね。一つしかないと言ったんだけれども、そうでなくて、松下も間違いなんだけれども、一つと言ったのは間違いで、三つあったということですね。そういうふうに立ってお答えいただいて、それからオロナミンCドリンクのやつだけちょっと簡単でいいですから、概要だけでいいですから、それをひとつ教えてください。
○説明員(石川一君) オロナミンCドリンクという保健の飲みものがございますが、大塚製薬が販売業者に対しましてこれについての再販売価格を指示しておったという案件でございます。
○鈴木強君 どういう措置をとられたのですか。
○説明員(石川一君) 大塚製薬の本件の行為は、一般指定の8の拘束条件つき取引に該当し、十九条に違反するというふうに認定いたしまして、当該違反行為の排除を命じております。
○鈴木強君 わかりました。それではあとの二件はまた後ほど資料で出していただきたいと思います。
 それから次に伺いたいのは、再販違反事件で現在審判の継続中のものは何件ございますか。それで一番審判開始が古いものですね、――古いものというのは審判にかかったのが早いものだと思うのですが、それはいつか、これをひとつ教えていただきたい。
○説明員(石川一君) ただいま審判中の案件は六件でございます。
○政府委員(谷村裕君) いまの鈴木委員の御質問は、やみ再販関係だけでございますか、それとも審判関係全部をおっしゃったのでございますか。
○鈴木強君 やみだけでいいです。
○説明員(石川一君) やみだけは一件でございます。
○鈴木強君 そのほかは。
○説明員(石川一君) そのほかは五件でございます。
○鈴木強君 審判の開始が始まったのは、一番古いのはいつになりますか。
○説明員(石川一君) 一番古いものは日本郵船株式会社外十六名に対する件、これは三十九年の七月に審判開始決定をしてございます。
○鈴木強君 これは「業務の概略」を見ますと、三十九年六月十七日と、こうなっているのですが、七月だというと、これはこっちが誤りですか。どちらが誤りですか。こういうのがあるでしょう、「業務の概略」。その一〇ページにある。
○政府委員(谷村裕君) 確かに御配付申し上げました「公正取引委員会の業務の概略」の一〇ページに、「審判継続中事件一覧1日本郵船ほか十六名」というのは、三十九年六月十七日と書いてございます。鈴木委員の御指摘のとおりでありますが、実は私が手元に持っております資料でございますと、審判開始決定日は七月十四日となっておりまして、石川審査長はそっちを見て答えたと思います。私も実はよく存じませんから、至急ここはよく調べて御報告申し上げます。ミスがございましてまことに申しわけございません。
○鈴木強君 公取は台風みたいに乱れている。出す資料出す資料がそういうミスがあっちゃ困る、注意してください。
 六月、七月はこれは調べてもらうとして、大体審判開始してから五年半、六年になんなんとする。一体こういう事件の審判がおくれる原因はどこか。メーデー事件で十七年もかかった、これは国民の批判を受けている。公取の審判が六年近くかかるというのは合点がいかない。一体何が原因でこういうふうに延びるのか、原因はどこにあるか教えてください。
○政府委員(谷村裕君) 鈴木委員の御指摘を待つまでもなく、私自身がたいへんこれは長くかかっているものだと思って、まず着任いたしましてびっくりいたしまして、まことにこれはどういうことであろうかと思っていろいろと事情を聞いてみましたところ、なかなかやはり一件一件についてたいへん実態的にも込み入った話、特にこの「郵船(株)ほか」というのは、海運関係のいわゆる何とか三重運賃というのでございますか、それでございまして、私も少し勉強しようと思って資料を見てみたのでございますけれども、たいへん込み入っており、しかも何年か前にもうその話は済んでしまって、いまは全然ない、いわば過去に行なわれた事態についていまそれをどう扱うかという実態になっているようでございます。これに限らずいろいろな問題についてそういうことはございますが、私どもおっしゃるような意味で、問題がそれはむずかしいかもしれないけれども、しかし、やはり処理すべきものはできるだけ早く処理しなければならないということは考えております。それは人が足りないからであるというようなことであろうかと思いましたが、むしろそういうことではなくて、問題それ自身が非常に扱いにくい問題であるということによって多分にそうなっている実態があるものが多いように私は思います。御指摘のように、まことにこれは残念なことでございます。
○鈴木強君 あなたも就任されてそう思ったということですから、われわれがそう思うのは当然なことで、やっぱりその問題解決のためにたいへんな努力をしてほしいと思います。また、どういうわけでできなかったのか、もっと詳細な各件数件数ごとに納得できる資料と説明をあとでぜひほしい。ちょっと私の時間がオーバーしているようですから、まだ幾つかありますけれども、次の機会に譲りましょう。
 そこでこの問題と関連して一つ御注意をしておきたいのは、たとえばそのあとにある5、6、7の兵庫県の牛乳商業組合と愛知県の牛乳商業組合、東京都の牛乳商業組合杉並第三支部、これの違反事件に関する審判は四十二年の六月二十三日にそれぞれ開始されております。これが結審したのがたしかことしの三月でしたかね、これでも二年半以上かかっているんですよ。一体二年半かかっても、二年半前に違反行為をしておったものがいま審決しても価値ないですよ、こんなものは。しかも、その間においては自由競争の制限ということがやっぱりそのままになってしまうでしょう。だからして経済効果の面を見ても、こういうだらだら長々の審判をしておったんじゃ私は意義ないと思います。だからして特にスピードを上げていただくように、人が足りないならば人をふやすように委員長は要求してください。われわれはそれを認めますよ。だからしてそういうふうにして体制をひとつつくってほしいと思うんです。
 それからあと私は、過大な景品つきの販売、不当表示の規制事項についてこれはなかなか公取もやっていただいております。私はこの点は、チクロの問題をはじめ最近の電子レンジの不当表示の問題、適切に公取が立ち回っていただいておりまして、この点は深く感謝をいたします。ただ、まだまだ問題は尽きません。テレビの「クイズ・キングにまかせろ」でマンションをあげますというような、これも私は不当なものだと思いますので、きょうは聞きたかったんですけれども、これは次回に譲りますけれども、これなんか私はたまたま三月十四日の日に午後七時から第八チャンネルのクイズ・キングというものを見ておりましたけれども、三LDKのマンションが当たるような、こういう膨大な不当と思われるような景品を出してクイズをやっておりました。これらについても問題があると思いますから、もう少し公取のほうでも目を光らしてもらいたいと思います。
 それから最後にこれは一つ伺いたいんですが、警察庁のほうで、きのう全国の警察に悪質の不動産屋の取り締まりを強化するように指示をしたようです。ちょうど四月となると退職の人たちがたくさん出てまいりますね。土地を買う、家を買う、そういうところに便乗して悪徳業者がはびこってくる、そういうシーズンにタイミングを合わして警察がやったことは私は非常にいいことだと思います。推奨すべきことだと思います。そこで、昨年の警察庁の不動産取引をめぐる犯罪の検挙者も千二十二人というふうにたくさんございます。しかももぐり営業、不当な報酬請求、誇大広告というような、こういうような連中が七百九十二人も含まれている。特に東京、神奈川、大阪、兵庫等の大都市の周辺だと思いますが、これは委員長ぜひ警察とタイアップして積極的にこれをひとつ取り締まってほしいと思うんですがね、それについて具体的なひとつお考えを持っておられると思いますから、公取としてはこういうふうにしたいんだという、そういうような考え方があったら述べてほしい。
 それからもう一つは、これは来年度予算のことで、私どもまた予算委員会のほうでお聞きをしますけれども、率直に言って公取の陣容、体制ですね、これがまだ不十分のような気がいたします。したがって、もう少し調査研究等が十分できるように、それからこの審判がどんどんやれるように、適切な公取の活動ができるようにもっと陣容等についてはふやさなければいかぬと思うんです。ことしあたりかなり人を要求したけれども、ほとんど見ておられない、こういう不満を私は持っております。ですから新委員長は大蔵にもおった人だし、来年度の予算も八月ごろからそろそろ始めるわけだから、いまからひとつ大いに準備していただいて、公取の機能が十分発揮できないようなことでも困りますので、むしろ拡充強化していくという上に立ってひとつ体制の整備をぜひやっていただきたい、これは私の希望です。
 最初の分だけ御回答いただきたい。
○政府委員(谷村裕君) 御激励いただいてたいへんありがとうございました。
 最初の点につきまして、特に一般消費者を誤解させるような悪質な不動産広告等につきましては、たいへん事務局も力を入れましてやってくれております。私も委員長としてたいへんそれを感謝しておりますし、また大いにそういうことをやってもらいたいと思っております。そうしてそのことは一般に消費者行政とか、いろいろそういうふうに言われる問題でございますが、私どもの気持ちといたしましてはいまの警察だけでなく、さらに各省各庁すべてそういうところが問題をそういうほうに向けて、公取だけがひとりで旗振って騒いでいるというようなことでなしに、全官庁があげてそういう体制になってもらえることが私といたしましてはぜひ望ましい方向ではないかと、このように考えております。
  〔鈴木強君「やる気十分というところですね。いいですか。」と述ぶ〕
○委員長(横山フク君) 鈴木君、私語でなくどうぞ発言を求めてください。
○鈴木強君 ちょっと足りないと言うのですよ。やる気十分だという活気に満ちていない、いまの答弁は。もうちょっと、若いんだし、あなた、情熱と信念もあるだろうから、そりゃ建設省とか、警察とも、それぞれ、経済企画庁とも連絡をとりながら、もっとやるんだというひとつファイトのあふれるような答弁をしてもらいたい。そうして、実際にそれをやってもらわなければ困る。
○政府委員(谷村裕君) どうも声もからだつきも鈴木委員のようにしっかりできておりませんもので、まことに申しわけございませんが、私の気持ちといたしましては、私の与えられた職責をしっかりやっていくつもりでおります。
○鈴木強君 終わります。
○委員長(横山フク君) 竹田君。
○竹田四郎君 私に、限られた時間もあまりありませんので、なるべく鈴木委員の御質問とダブらないようにいたしたいと思いますが、新しく委員長になられました――しかし、いま経済界というものを考えてみますと、たいへんな企業の集中あるいは合併というような形がかなりたくさん出てきております。しかし、独占禁止法というようなものが、たいへんじゃまになるということで、いろいろな形で独占禁止法の抜け道をさぐって、そうして、実際上の経済界におけるところの独占的な支配力を確立しようという動きが各所にあらわれているわけであります。それに対して公取委員会が、独占禁止懇話会を通じて寡占価格あるいは独占価格の研究というものを進められていることについては敬意を表します。実際にはコングロマリット等も最近は大きな問題になってきておりますし、経団連でも、先ほどお話がありましたように、企業合併という形ではなしに、コングロマリット方式によってある程度の市場における支配力というものを確保しようというような動きもあります。あるいは自動車業界の再編成を通じて、業務提携という形を通じての、実際上のシェアを確保する、こういうような動きもあるわけでありまして、こうしたことについて新委員長のこれからのそういうものに対する考え方、態度というようなものも実はお聞きをしたいと思っておりましたけれども、時間がございませんから、そうした問題は次の機会に譲りたいと思いますが、ただそうした面についても一体独禁法の精神との関係でどう考えていくべきなのか、こういうことは研究してもらわなければいけないと思うわけでありますが、私の乏しい知識では、アメリカのコングロマリットによるところの企業合併、こうしたことに対して、すでにニクソン政権は、それに対して独占禁止法を適用した例というものも二、三あるようであります。そういう意味で、まあ経団連の最近の動きから考えまして、そうしたものについてもひとつ十分研究をしていただいて、独占禁止法だけを守ればそれでいいのだということではなしに、独禁政策全体としての立場というものを貫いていただかなければならないと思いますが、そうした問題、幾多の問題がございますけれども、そうした問題は、新委員長から先ほどのお話がありましたようにひとつ強い決断をもって進んでいっていただかなければしかたがないと思いますが、鈴木委員とのやりとりを聞いておりまして、もう少しひとつ独禁政策を進めるという立場を、確固としてそういう立場を守ってもらいたいという私の希望を表明して、そうした一切の質問は今後に譲りたいと思うわけであります。
 いま政府のほうで、JISマークというものを商品につけまして、JIS規格ということで、国民にもJISマークという問題がかなり入ってきていると思います。それだけJISというものに対する信用というものが出てまいっていると私は思うわけでありますけれども、しかし、最近、巷間特に繊維関係のようでございますが、そういうものを関係者に聞きますと、どうもJISマークというのは二円出せば買えるのだと、それをつけて売っているんだというような話を聞くわけでありますが、まあJISマークは多くの商品の場合には打刻されたり、それ自体に印刷されたりというような形で、かなり明確でありますが、繊維製品の場合には、おそらくこれが縫いつけられていくというような形があると思うんであります。許可された工場以外から出た商品につきまして、そうしたマークをつけるのは不当表示といいますか、そういうことに私はなるんだろうと思いますが、これはどうでしょうか。
○政府委員(谷村裕君) 不当表示の御質問でございますので、私からお答えいたしますが、確かになるというふうに考えられます。しかし、その問題はもう少し他の面、すなわち法律違反とかなんとか、そういう問題がその前にあるのではないかというふうに思いますが、その点は私、所管いたしておりませんので……。
○竹田四郎君 違反している場合にはもちろん取り締まらなくちゃならないわけでありますが、通産省の方ですか、いらっしゃいますか。
 一体そういうものに対してどういう取り締まりなり、検査なりをしているのか。そういう面でも検査というようなものがおそらくあまり行なわれていないんじゃないか。たとえばJISマークをつけてよろしいという標準工場でありますか、許可工場でありますか、まあそれについては、その設備あるいはそれが一体どのくらいの期間にわたって製造されるものか、あるいはその生産品の生産高、こういうものについての立ち入り検査はあるようでありますが、具体的に小売店にそういう置いて売られているところのJISマークつきの商品というものはどのくらいの程度が検査されたか。私どもいろいろ業者仲間に聞いてみますと、JISマークをつけることのできる工場で、それだけの生産品全部にJISマークをつけない、余ったものをほかに渡す。まあその価格が一枚二円だと、こういうようなことでありますが、こういうことでありますと、私は非常にJISマークに対する国民の信頼というのを失うし、同時に、そういう場合にはおそらく基準以下の品物に縫いつけて、それを売って、しかもかなり価格は高くなる、こういうようなことになるだろうと思いますが、通産省のこういうものに対する検査とか審査とか、そういうあり方が非常に足りないのではないかと思うんですが、具体的にどういうふうにやっておられるのか、お示しいただきたいと思うわけです。
○説明員(久良知章悟君) JISマークにつきましては、これは工業標準化法にきめられておるわけでございますが、現在約七千ほどのいわゆる工業規格というのがございます。この工業規格には基礎規格、方法規格、製品規格と、大きく分けまして三つに分けられるわけでございます。このJISマークにつきましては、ほとんど全部がいわゆる製品規格というものに関連をするわけでございます。で、製品規格の中で通産省所管で申し上げますと、約千百の品物につきまして、これは大臣が指定をしまして、このものについていわゆる生産条件、設備でございますとか、製造設備だとか検査設備、それから管理能力というふうな点で一定の基準に合格するものに対して申請があった場合には、JISマークをつけて品物を売ってもいいという許可を与えるわけでございます。繊維製品について申し上げますと、約十二の品目にわたりまして三百二十ほどの繊維製品の工場について、そこでつくる品物が日本工業規格の品質要求に合格しておればマークをつけてもいいという許可をしておるわけでございます。
 こういう工場につきましてのそういう取り締まりでございますが、工場の申請がありまして許可をいたしますときに、これは通産省の出先機関でございます通産局の職員が実地にその工場のただいま申し上げました点についての検査をするわけでございますが、その後におきましては、毎年この関係の工場の生産状況、それから品質の検査の状況その他の報告を出させまして、その中からさらに必要と考えられるものについては、いわゆるこの立ち入り検査を実施しておるわけでございます。現在千百の品目につきまして約六千程度の工場があるわけでございます。毎年通産局、の職員によりまして、約五百から六百の工場の立ち入り検査をやっておるわけでございます。それからそのほか特に消費財、それから安全、衛生、公害というふうな国民生活に直接関連の深い品物、品目につきましては、通産局のただいまの検査だけでは足りませんので、繊維製品検査所、それから工業品検査所の職員を使いまして、さらにその工場の製品につきまして、これがJISの条件を満足しておるかどうかということを中心にいたしました検査をやっております。で、大体四十四年につきましては約六百工場程度をその方式によって検査をしておるわけでございます。
○竹田四郎君 どうもその検査というのが適確に行なわれていないようですが、具体的にその表示許可工場から出る生産高ですか、それに、まあトレパンならトレパン一つ一つにこうマークをつけているわけですね。マークの入ったラベルの数と生産高というのは常に合うわけですか。これは必ず常に合えば、ほかの業者、許可工場でない工場の製品にはつかないわけですね。その辺はぴしっと合わしているのですか。それともある立ち入り検査で生産高とラベルの数というものを出させれば、あとはもう自由だ、そうなれば一枚二円で買いにくれば自分の工場のものはつけなくても、ほかの工場へそのラベルを売っちゃう、まあ具体的にはこういうような形で、おそらく許可工場でない工場の製品にラベルがつけられて売られている、こういうことになるんですが、その辺のラベルと製品の数量といいますか、そういうものとはぴしっと合わしているんですか、どうなんですか。
○説明員(久良知章悟君) JISマークの制度と申しますのは、これはあくまでも任意制度でございます。ですから一つの工場でつくりますそういうJISマークの対象となっておる品物にJISマークをつけるかどうかということは工場のほうにまかせてあるわけでございます。ですから必ずしも許可工場でつくられた全部の品物にマークがついておるかどうかということは言えないわけでございます。それからもう一つ、JISのマークのつきました全部の品物を役所のほうで検査をして合格適否をきめるということは実情不可能でございますので、私どもでいまやっておりますのは、ちょうど自動車の検査と似ておるわけでございますが、そういう自動車が車体として十分かどうかということになろうかと思いますが、いわゆる工場の設備というものがJIS製品をつくるのに十分な性能を持っておるかどうかということ、それから自動車のメーターその他に相当するわけでございますが、工場でつくった製品に対するいろんな検査測定の器具ないしはその使用法というものがやはり一定の基準に合格しておるかどうかというようなこと、それからさらに運転者に相当するわけでございますが、いわゆる最近で申します品質管理という技術があるわけでございますが、その的確な品質管理の技術によりまして、その工場でつくる製品のばらつきというものが一定基準以内におさめ得るかどうか、それだけの管理能力を持っておるかどうかということに重点を置いて検査をするわけでございまして、したがいまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、ラベルと数量の上で直接の関係がどうかということは現在の取り締まりの対象と申しますか、直接の対象にはなり得ない、していないということでございます。
○竹田四郎君 そうしますと、これはほかでそういうラベルをつけて売っていても、別に通産省のほうではどうにも取り調べの対象にならない、発見することはできない、せいぜいたまたま目に触れたならばそれはやるでしょうけれども、そういうような非常な穴があるような感じがするわけですが、そうしたら幾らでも、それは結局ラベル一枚二円で買ってどんどん張りつければ、買う人はJISマークの製品だとある程度の信用を持って買うし、売るほうだって一枚二円のJISマークをつけているわけですから、これはある程度価格を引き上げるにきまっている。これは国民としてはJISマークによって迷わされているというふうに言わざるを得ないと思う。どうなんですか、これは公取のほうでもそういうものについては一体どういうふうに考えているのかはっきりしてもらいたい。
○委員長(横山フク君) この問題、谷村公取委員長……。
○政府委員(谷村裕君) 当該法律の違反の問題については私どもあれでございますが、私どもといたしましては、もしさような事実があるといたしますれば不公正な競争の条項に触れる、あるいは工標法違反の問題になるという見地から調べてまいる必要があろうかと存じます。
○委員長(横山フク君) ちょっといまの話がずれているのですが。
○竹田四郎君 もう一ぺん聞きましょう。通産省のほうではそういうふうな形になってもしかたがないと、そういうことですね。
○説明員(久良知章悟君) 工業標準化法の第十九条に、JISマークをつけ得るものは許可を受けた製造業者であって、品物が日本工業規格に適合している場合だけに限るというふうに規定していいるわけでございまして、ただいま先生が御指摘になられたようなケースの場合はまさしく十九条の違反になるわけでございます。ですから私どもそういう事実が明らかになりましたときには、これは厳重に取り締まりをいたします。
○竹田四郎君 どうもそういうことで、しかも検査の体制というのはそれに相応していないと私は思うのです。だからこれはひとつ早急に私は考えていただかないと、むしろ繊維製品に対するJISマークの評価というものもますます落ちるし、これは同時に消費者にとっては非常に迷惑なんです。まあおたくのほうでもJISマークを見て買いましょうという宣伝を盛んにしているわけです。これがそうしたPRによってだんだん浸透していく中でそういうことが行なわれている。巷間そういううわさが流布されるということは私はあまりいいことじゃないと思う。業者の間に行けばそういうことはあたりまえですよ、当然ですよ、こういうふうに言われております。だからこの点はひとつ通産省も公取のほうも調査をしていただきたいと、こういうふうに私は思います。
 それから時間がありませんから鉄鋼の問題に入りたいと思います。最近鉄鋼が非常に上がってまいりまして、最近は若干落ちつき気味のようにも報道されておりますけれども、特に小形棒鋼の値上がりというものはたいへんな値上がりであります。ここ一年で鉄筋棒鋼等にいたしますと、大体二倍以上上がっておるわけです。みがき棒鋼あたりにいたしましても二割から三割上がっている。上がっていて手に入ればこれはまたけっこうでありますけれども、現実には中小企業の経営者などは、特に特殊鋼の棒鋼等のものは注文しても品物がいつになって来るか全然わけがわからない。こういうのが実態で、企業の中においては、注文はあるけれども材料がないから仕事ができないという事態まで最近は来ております。で、こうした値上がりというものはいろいろな原因がたくさんあるだろうと思いますが、巷間では鉄鋼合併の影響もあるのではないかというふうにうわさされているわけでありますけれども、このような小形棒鋼の値上りする原因は一体どこにあるのか。しかもそれに対して通産省は一体どういう対策を考えておられるのか。このままでいけば中小企業の中でそうした材料がないために仕事ができない、あるいはそのために大きな営業上の不利益をこうむらざるを得ない、こういう事態になっているようでありますが、その辺の事情と対策というものをひとつお聞かせを願いたいと思うのですが、公取のほうでは、こうした鉄鋼需給というものが大型合併に関係があるのかないのか、その点をひとつ資料かによりまして明確にしてほしい、こういうふうに思います。通産省のほうはそういう対策、こういうものをどう考えておられるのかお聞きをしたいと思います。
○説明員(山形栄治君) ただいま竹田委員からお話がありましたように、最近鉄鋼の価格が非常に高騰いたしております。われわれのほうのいろいろと調査等行ないました現段階の判断といたしましては、主としてこの原因といたしましては、内外の需要が非常に堅調である、若干鉄鋼業界のほうも盛んに設備の増強につとめているのでございますけれども、現段階では若干需給がタイトになっている、その結果鉄鋼価格が上がっている、こういうふうに理解いたしておるわけでございますが、特にいま御指摘ございましたように、鉄鋼価格全般の問題というよりは、むしろ品種別に非常に片寄りまして、現在一番問題になっておりますのは、御指摘のように小棒価格でございます。この小棒価格は、御存じだと思いますけれども、大部分が建築用材でございまして、現在非常に土木建築関係の需要が強いものでございますので、まずそれが非常に価格の騰貴を押し上げておる。反面またこの小棒関係といいますのはメーカーも非常に数が多いし、それからその需要先が中小の土建業者、全国に十万あるんではないかといわれているような現段階でございまして、若干思惑もあるかと存じます。特に流通関係が非常に複雑でございますので、その辺の底流としての需要の強さに加えまして若干の思惑が存在しておるんじゃないか、この辺をわれわれとしましては何とか冷やさなければいかぬということで、昨年の十月に小棒の価格の鎮静のための対策を打ち出しまして、この場合にはまず鉄鋼小棒関係の流通のあっせん所を設置いたしまして、平電炉メーカーから一定の小棒を供出させて、注文に応じてこれを流すというかっこうをいたしたわけでございますが、その後も若干一時まあ鎮静したわけでございますけれども、若干まだ強いものでございますので、本年の一月に入りまして高炉メーカー、それから特殊鋼メーカー等現在小棒をつくってないところに現有施設を利用して小棒をひとつひいてくれないかという勧奨をいたしまして、業界の御了解を得て、現在だいぶ高炉メーカーなり特殊鋼メーカーなりが小棒をひいておる次第でございます。で、それこそ対策が実を結んだといいますと口幅ったいのでございますけれども、一月をピークにいたしまして二月、三月と大体非常に値段が下がり出しまして、現在は大体横ばいないし若干弱含み、水準は高いのでございますけれども、傾向といたしましてはそういう方向に進んでおる段階でございます。
○政府委員(谷村裕君) 竹田委員からは、これがいわゆる新日鉄の合併に何か影響されているというふうな問題はないかという趣旨のお尋ねがあったかと思います。私どもいま通産当局のほうからお答えがありましたように、棒鋼の関係は正直申しまして私それほど専門家でございませんが、私どもの事務局の調査しておりますところによれば、いまのようないろいろなメーカーがたくさんあるというようなこと、あるいはその流通関係の問題、そうして基本的には需給関係の逼迫というふうなことがありまして、新日鉄あるいは現在では富士また八幡、それが棒鋼の関係で大きなシェアを持っているということではございませんし、直接の関係はないというふうに考えております。
○竹田四郎君 時間がありませんので、ひとつ簡単にお答え願いたいと思うんですが、いまの御答弁の中にも、先高を見越しての出荷控えといいますか、そういうようなものがあると考えられる、こういうわけでありますが、こうしたものはこれだけ鉄鋼の需給が逼迫しているわけですから、その辺の行政指導といいますか、行政措置というものは適切にやっていただかなきゃいけないだろうと思うんです。さっきあっせん取引所を十月に設置したというふうにおっしゃっていますけれども、十一月に若干下がったことは事実でございます。しかし、十二月、一月というのはまたこれも急騰しているわけであります。最近も若干落ちつきぎみという程度でありまして、これが一体今後下がっていくのか、あるいは横ばいで進むのかということはまだ明確でありません。その辺についてもひとつ明確な行政指導を実施していただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 たいへん恐縮ですが、もう一問だけお願いしたいと思いますが、新聞の記事によりますと、ガソリン、灯油、これがまたたいへん値上がりをしている。これについて公取は、業者の出荷調整があるのではないか、こういうことで非常に注視をしているという記事があるのであります。この点をお調べになってそうしたことがあったのかなかったのか、あるいは調べ中なら調べ中、この辺の事情をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) 私の記憶しておりますところでは、そういったもののいわば卸あるいは小売りというふうなところが、これはたとえば東京都あるいはその他の府県等におきましてある程度その価格の問題について独禁法違反に問われるようなことをやっておりましたことを何件くらいでございましたか、ちょっと私、記憶いたしておりませんが、調べまして、そうしてそれをやめるようにという勧告をいたしまして、そういう何と申しますか、一種の取りきめをやめたという例があったのを私は記憶しております。そのほかにも現在の段階で、そういったいわば末端のほうの問題になりますが、におきまして調査をいたしておりますかどうかちょっとその辺は記憶しておりませんが、もし何でございましたら、政府委員からお答え申し上げます。
○説明員(石川一君) お答えいたします。現在軽油、灯油等の価格協定案件につきましては、正確な数字は覚えておりませんが、十数件ほど審査中でございます。
○竹田四郎君 時間がありませんからわかる範囲で、できたらあとで資料でけっこうですから、ひとつ教えていただきたいと思います。
 そのほかいろいろあるのですけれども、時間がありませんから、またこの次にひとつ質問をさせていただく機会を与えていただきたいと思います。
 きょうは、これで終わります。
○委員長(横山フク君) 阿部君
○阿部憲一君 公取委員長に二、三御質問を申し上げたいと思いますが、産業界やまた通産省においては、産業再編成というようなことを言われておりますが、民主主義ということは、国民が政治的にもまた社会的にも平等の権利を持つということを意味すると思います。それだけでなくて、同時に経済的にも均衡のとれた民主的の姿、これが必要であると思います。このふつり合いな経済力が乱用されますと、これはやはり民主主義を脅かすことになると思うのであります。この自由主義体制をとっている場合には、特に経済の民主化のための歯どめが必要であると思いますが、その歯どめの一つが独禁法じゃないかと思います。同時にいまの日本の成長力を衰えさせないためにも、独禁法あるいは独禁政策はなくてはならない存在であると考えます。競争が十分に行なわれなくなりますと、価格は硬直化しますし、また同時に上昇するという現象も起きるわけであります。そしてまた、経済界も同時にそういうような傾向になりますと、いわゆる太平ムードと申しましょうか、というものが漂ってきまして、一般に活気が薄れていくことになりはしないかと思います。したがって、同時に経済の成長率というものが衰えていくというようないまと反対の現象になることをおそれるわけであります。したがいまして、フェアな競争というもの、これがそういう時代になりますと影をひそめてしまいますね。業者間の談合だとか、あるいは陰険な足の引っぱり合いをするという不公正なことが堂々と行なわれるわけであります。そこで経済の老化現象ともいうべきものを予防し、そうして安定した成長を維持させるためにはこの経済のための独禁法、すなわち経済の健康法ともいうべきもの、こういうふうに私どもは独禁法を考えております。その独禁法の番人といいましょうか、これを運用される今度新しく委員長としてお立ちになった谷村さんは、これは先ほども鈴木委員から話もありましたが、非常に重大なる責任をお持ちであると思います。そこで、私はこの独禁法の適切な運用によって、今後の日本経済のより安定した発展、同時に物価の安定、これを切望したいわけでございますが、委員長はこの意味におきまして、日本経済に占めている役割り、位置をどういうふうにお考え、またどのような方向にお進めなさるか、ひとつ御抱負を伺いたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) いま阿部委員のおっしゃいました、いわゆる独占禁止政策と申しますか、あるいは競争維持政策と申しますか、それがただいまの日本の経済にほんとうに生き生きとした力を与え、成長させる根源であるというお考えについては、私は全くそのとおりであると思っております。そしてそういう基本的な線に立ちながら、しかもいろいろと時代が変わり、国際的にもなってまいり、また技術的にもいろいろな意味で、たとえば規模の利益とか、いろいろのそういった問題が出てまいるというふうな実態が経済界にいろいろと出てまいりますことも、これまた一つの事実であろうかと思います。その間にあって、どういうふうに独禁政策あるいは競争維持政策というものを有効に展開していけるかということ、これはもういわば古典的にただ競争だけさせておけばいいというものでなく、いろいろの考え方をもって対処していかなければならない問題が出てくると思います。さような意味で、たとえば先ほど鈴木委員からお尋ねがあったときにも、そういう問題を実は踏まえて考えておりましたことでもございますし、また、竹田委員からお話が冒頭にございましたような問題のとらえ方、考え方ということも私は必要であるというふうに思いまして、新しい時代に対処するための独禁政策、ただいまのわれわれが従来やってきただけではたして十分であるかどうか、いろいろそういう点について私どもは積極的にもっと取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
○阿部憲一君 これからの日本経済は、自由化に伴う国際化ということで、世界情勢をもちろん無視するわけにはいかないと思います。そこで産業界では国際競争力の強化ということで、合併、提携という形による大型化、寡占化を指向しているものと考えます。しかし、その大型化、寡占体制によりまして、一面非常な弊害が生ずる、これは無視できないことだと思います。たとえば価格が上昇し硬直化する、これなどは不完全競争ということで当然起きてくる問題であると思います。もともと資本主義体制におきまして、完全競争を求めることは当然でありまするけれども、競争の働かない経済というのは、いずれは成長を阻害する要因となるわけでございますが、そういう意味で公取では、今後のスケールメリットと競争原理の関係をどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(谷村裕君) これは非常に技術的な問題にもなろうかと思いますが、すべての業種において私はスケールメリットというものがあるとは思いませんし、また競争力とかというふうなこと、特に対外的な意味における競争力というものが、必ずしも企業の大型化とか合併とかいうことを必要とするかどうかという点についても問題があろうかと存じます。しかしながら、御指摘のように、競争維持政策と申しますか、まあ別のことばで申しますならば、資本主義あるいは自由主義経済のほんとうの意味での若返る力、発展する力というもの、これは私は非常に大事なものであると存じます。そういう意味で、事柄事柄によって問題は違うと思いますけれども、一方の独占禁止政策、競争維持政策というものはいわば基本的な線であり、スケールメリットとか規模の大小とか、あるいは競争力の実態とかいうものは、これは個別的具体的な問題であるというふうに大体において理解し、その調和をはかってまいりたいというふうに考えております。
○阿部憲一君 先ほども独占の問題につきまして新日本製鉄の合併問題を話されましたが、端的に言って委員長は、このような合併が実現できたことを日本経済にとってプラスだとお思いになりますか、それともマイナスだと思いますか、個人的な見解でけっこうです。
○政府委員(谷村裕君) 私がここで答弁申し上げますからには、決して個人的な立場で申し上げるわけにいかないので、公取委員長としての立場でやはり申し上げることになりますが、私は基本的には、企業は自分の責任でもって自分たちがどういう体制をとっていくべきかということを考え、それをまた実行していくだけの自由を持っていると思います。それでありますから、富士・八幡の両社が、自分たちがこう考えて責任をもってこういう体制をつくって、それが日本経済のためになるんだ、こう考えております際に、私どもの立場から見て、それが一定の取引分野における競争の実質的制限になるという問題を除いてそういう体制をつくるのであるというのであれば、私はそういう企業の判断、そして行動、それをむしろ企業に託する以外には、日本経済のほんとうの姿、動かし方としてはあり得ないというふうに思いますから、それがいいだろうか悪いだろうかということを、個人的にとおっしゃいましたけれども、私ここで申し上げるわけにはいかないと思います。ただ望むべくは、新しくできました新日本製鉄というものが、ほんとうにそういった日本の中心になる産業のにない手として、そうしてまた世界を相手とする日本の企業として、しかも日本国民たくさんの人々がそういう会社の動き一ついかんによっていろいろの影響を受けるという、そういう立場も考えて、大企業としての責任のある行動をとっていただきたいというふうに希望しております。
○阿部憲一君 今度のこの合併につきましては、ちょうどたまたまこの合併が認められて、それが実現しようというような時点におきまして、鉄鋼価格――これはもちろん国際的に需要が高まったせいだと思いますけれども、非常に国内におきまして価格が暴騰した、ということになりますと、いかにも合併が実現できるということになったために価格が上がったんじゃないか、こういうように結びつけている方が相当おりまして、いわゆる巨大産業として国際的活躍ができることにおいては相当メリットがあると、こういうふうに思いますけれども、同時に、国民経済、国内的な観点からしますと、これがはたしてプラスになったかマイナスになったか、大いに疑問があると私はこう考えております。まあいま委員長からも伺いましたが、このたびの合併について関連して伺いたいんですけれども、どうも通産省を中心とする産業官庁ですね、これはいわゆる寡占論とかあるいは産業並びに企業の体質強化を合併とか寡占ということに求めて、公正な競争を排除しているごとき行政指導を行なっておるというふうに見られるわけでございますが、これがいまの合併問題のときにも、いろいろ世間でもうわさされたように公取に対する圧迫になったというふうにも考えられるわけですが、このようなことについて新委員長はどのようにお考えになっておられますか。
○政府委員(谷村裕君) それぞれの各省各庁が、それぞれ所管の産業につきましていろいろと指導されるのはけっこうであると思いますけれども、それがいま阿部委員がおっしゃいましたような意味で、公正な競争を害してまでもそういうことをやるというふうなお考えには私は立っておられないというふうに思っております。昨年まあここであるいは衆議院でも、その他いろいろのところで各委員から、公取委員長あるいは通産大臣等に対して御質問になっておいでになるその議事録も私目を通して見ましたけれども、時の大平通産大臣も、むしろ基本として立っているのは競争維持政策である、ということを言っておられ、そしてまた、公正な競争を前提とした上で産業体制というものを考える、というふうに御答弁になっておることを私は確認いたしております。そしてまた、これはよその省のことを申し上げてはなはだ失礼でございますが、通産省御自身も私が接触して伺っている限り、基本的なそういう考え方を否定してかかろうとしておる方は一人もいないというふうに私は信じております。
○阿部憲一君 先日、この昭和四十四年度におきまする公正取引委員会の物価対策関係業務についての報告をいただきました。それで結局、昨年一年の歩みでございまするが、来年度の四十五年度においてはどのような物価対策関係業務について重点政策、施策をお持ちですか、それをお伺いしたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) 年度が変わりましたからといいまして、特別に仕事を変えるということではございませんで、むしろ四十四年中にこういうことをいたしましたと申し上げております。それぞれここに四点ほどあげてございますが、これだけが物価対策のすべてではなくて、これ以外にも有効な競争条件をつくっていくという立場におきまして考えなければならない問題、やっていかなきゃならない問題、全部公取のやっておりますことはむしろすべてそれに関連してくると申し上げてもいいかと思いますが、やはりここの四点、特に私は具体的ないわゆる業務の執行という問題における、たとえば景表法の問題でありますとか、再販の問題でありますとか、そういうことは従来より以上にもっと力を入れてやっていきたいと思いますが、やはり私がこれからの経済の問題として取り組まなければならないだろうと思ってそれをうんと勉強していこうと思って考えておりますことは、この報告の第三点に書いてございます、世間でこういうことばが使われておりますからそのまま使ったのでございますが、管理価格という問題については、これは各方面の御協力も得まして、私どもはある程度力を入れて勉強しなければならない問題であろうかと、かように考えております。
○阿部憲一君 結局、新委員長とされては、従来、四十四年度の方針なりをさらにそれを継承して、ことにまあ重点は管理価格の問題について取り組んでいこうと、そういうことはいまわかりましたけれども、これに伴う予算というと、そうすると、前年度並みの予算でいいというふうにお考えになっておられますか。予算面についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(谷村裕君) 予算につきましては、いろいろと他の御要求もあったことかと思いますが、公正取引委員会につきましては、先ほど鈴木委員からのお話もございましたが、ある程度私は今回もつけていただいたと考えております。もちろん人も予算もといって多きにこうしたことはないといえばそれまででございますけれども、かなり私はやっていただいたと思います。それで限られた予算ではございますけれども、できるだけそれを大事に有効に使いまして責務を果たしてまいりたいと思いますが、もし内容等につきましてさらに詳しく申し上げる必要があれば引き続いて申し上げます。
○阿部憲一君 私は、委員長、だいぶ予算のほうでは御満足なような印象を受けておりますけれども、私自身の考えといたしましては、いまのように非常に経済の変動が激しい時期でございます。それだけに公取というものの存在も重要な地歩を占めていると思います。したがって、公取活動をするのに一番先立つものは予算だと思います。ですから多々ますます弁ずではないかと思っております。しかし、いろいろほかの諸官庁全体の予算との関係もございますので、委員長おっしゃっているように、一応満足すべきものではないかと、現状においては。そういうふうに思って御判断されたんだろうと思いますけれども、私は先日九州の博多へ参りまして、公取の福岡の事務所にお伺いしたのですけれども、あそこの事務所は九州全体の公取の業務をやっておられる事務所であります。十二、三人ですか、非常に数が少ない人で業務をとっておられると感じました。実際に伺っても非常に何といいましょうか、激務であるというふうにおっしゃっていましたし、私自身もそういうふうに推測したわけでございます。そんなことで、先ほども鈴木委員からお話がありましたように、結局いまのこの重大な業務を執行する上におきまして非常に遅延するとかなんとかいう現象が起きやしないかと思うのです。これが審判が遅延している、二年も三年もかかっているというふうな実際の実例もありますとおりに、何か非常に人手不足といいますか、スタッフが足りないというふうな感じを持ちます。これについて委員長どういうふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(谷村裕君) 私は、公正取引委員会の委員長といたしましては、できるだけやはりわれわれが十分に国民各位の御期待に沿って働けるように人員も予算もつけていただくことが望ましいと思います。で、いま具体的に福岡の例が出ましたが、福岡だけでなくて、大阪でも名古屋でも私ども各地に置いております地方事務所の職員は、少ない人間ながらそれぞれ一生懸命にやってくれると思ってたいへん感謝いたしております。ただ、まあ国全体といたしまして、これはやや口幅ったいことになりますし、どうもおまえは前大蔵省にいたからそういうことを言うのではないかというふうにおっしゃるかもしれませんが、やはり行政機構と申しますか、国民から託された税で、負担で、われわれが仕事をいたしてまいります行政機構全体のあり方というものをやはりあわせ考えていただきまして、これは私が申し上げることじゃ実はないのかもしれませんけれども、そしてほんとうに必要なところにはそこに回す、そして全体として、もっと能率的な行政のあり方というものを全体として考えていただきたいという気持ちは、これはどうも公正取引委員長として言うのはいけないのかもしれませんけれども、どうも私は全体としてそういう気持ちはやはり持っているものでございますから、できるだけ限られた予算、人員でしっかりやっていこう、しかし、ふやすものはできるだけお願いしたい、こういう気持ちであることを申し述べている次第でございます。
○阿部憲一君 なかなか国民の税金、大切な税金をむだ使いすまいという考え、こういうお考えに役人の方がすべて徹底していただければもっと国民の信頼に値いする政治が行なわれるのではないかと思いまして、委員長のお考えには敬服いたします。ただむだ使いということですけれども、ほんとうに国民のために必要な経費、これは当然予算として立て、そして業務の執行に当たるべきだと、こう思います。本年承りますと、純増しているのは五名といいますが、この五名でいまの委員長のお話のようにしっかりやっていけるのだというお考えなんでしょうか、それともその定員を増加するということは非常にむずかしいことなんですか、その点をお伺いしたい。
○政府委員(谷村裕君) これは政府全体の立場としましては、定員の抑制という立場をとっているのだと思います。しかしながら、それだけ厳重な定員抑制の方針の中でも、公取にまあ形式的には九名、いまおっしゃいましたように、凍結を除き五名という増を得ましたことは、足りないといえばまことに足りなくて残念だと思いますが、一方別の観点から考えれば、それだけでも配慮いただいたことを私はありがたいと思っております。それでとにかくことしは一生懸命やるつもりでございます。
○中沢伊登子君 関連。委員長御就任されて初めてでございましょうけれども、いま阿部先生のいろんな御質問を承っておりまして……、私どもはこの間広島のほうに視察に参りました。そのときに向こうで聞いた話ですけれども、予算も少ないし、人員も少ないので自分たちから進んでいろんなものを調べに行くだけの交通費もなかなか出ない。そういうところで一年間に二千円だか三千円交通費としていただいているような、消費者モニターの人からいろんな連絡があって初めてここにこういう問題があるからということで行くんですと、こういう話でした。それでは私は、やっぱり日本のいまの経済の中で公取という存在は日本の良心だと思うんです。このそういう日本の良心である公取がそういうことでは、私ども消費者のいろんな問題に対して、私は十分の責任を果たしていないんじゃないか、こういうことであれば、六人とか九人とかいまおっしゃっていられますけれども、そういうことではなくて、もっともっと人員増を要求をされて、私は予算ももっともっと取られて、そしていまのほんとうにこのややこしいいろいろな問題がございますが、先ほども竹田先生もおっしゃっておられたような、ラベルが二円で買える、こういうような問題も含んでいる時代でございますから、私はもっともっと公取が機動力も発揮して十分消費者の満足のいくような公取であってほしい、こういうふうに願いますけれども、その辺はいかがですか。私は去年でしたかおととしでしたか、まだ水田さんが大蔵大臣のころに、定員をあんまりふやすことはいま許されないんですと、こういうふうなことをおっしゃっていた中で、しかし、公正取引委員会のメンバーはあのときに十六人とか二十人ふえたことがございます。だからふやせれば私はふやせるんじゃないかと思いますよ。そういう点でせっかく広島で中国の公取がありながら、それがモニターからの連絡がなければ動けないということは、私はちょっとおかしいんじゃないかと思いますが、その辺はどうお考えでございますか。
○政府委員(谷村裕君) 私今回予算の折衝を、最後のときにもいろいろと大蔵省の方とした記憶もございます。なかなかむずかしかったわけでございますが、先ほどのようなことで、一応全体の中におさまりを見たようなわけでございまして、いま予算案の審議をお願いしております私どもの立場としてこれじゃ困るんだということを申し上げる立場ではございません。とにかくこれでやってまいりますということでただいま申し上げる以外にないのでございますが、おっしゃるとおり、私どもの出先、一生懸命やっておりますが、確かに窮屈な点があろうかと存じます。それにつきましては、基本的な気持ちといたしましては、先ほどからお励ましいただいておりますように、より体制を整えるためにいろいろ私も努力いたしたいと思います。と同時に、やり方などにおきましてもできれば、これは御視察いただいたときにあるいはそういう話が出たかと思いますが、都道府県、市町村あるいは他の関係各省庁、そういったところとも日ごろからそういった国民の、たとえば消費者行政の見地から公取だけがやればいいんだというようなことでなくて、十分にお互いに連絡ができるようにして、そしてやっていける体制、共正取引委員会は先ほどお話が出ましたように、行政官庁でございますが、ちょっと独立機関ということで他の各省各庁と別になっているようなかっこうになっておりますけれども、私はこれはやはり行政官庁でありますし、特に御指摘になりましたような消費者行政やなんかの問題になってまいりますと、これはほんとうに各省各庁と一緒になってやっていかなければならない、また、地方とも一緒になってやっていかなければならない、そういう気持ちでございますので、公取の人間をふやすこともございましょうが、そういう協力体制、これもできるだけ整えてまいるようにいたしたい、そういう気持ちでございます。
○阿部憲一君 委員長の御方針もよくわかりました。しかし、私がさっき触れましたように、九州に参りましたときに、実際問題として、十分な活動をするためには定員、要するにスタッフの拡充が必要だということと、また同時に、活動する費用――足代です。これなども非常に一ぱい一ぱいです、いまの経済事情からいいますと。要するに、うんと調査活動したいと思っておりましても、それができないというような状況にあると私は感じました。したがいまして、新委員長におかれましても、本部はとにかくといたしまして、自治省はよくおわかりになると思いますが、地方の出張所等の事情もよく把握されまして、御聴取されて、改善すべきことは改善すべきじゃないか、これが新委員長のまた活動に非常にプラスになるし、また私ども国民全体にとっても、公正取引委員会の活躍というものは目ざましくなり、それだけ国民に寄与するのじゃないかというふうに思います。その辺をお含みの上よろしく善処していただきたいと思います。
 時間もまいりましたので、最後に一言だけ再販の問題についてお伺いしたいと思います。先ほどもこの問題については御質問があったわけですけれども、基本問題としまして、いまの卸小売り店の保護、すなわち乱売を防いだり、品質を維持するためということで再販が認められておるわけでございますけれども、その当時、すなわちこの再販制度が認められた二十八年当時と現在では相当変化しておると思います。反対に販売業者に対する過重な拘束、過度のリベート競争あるいは生産段階におきます寡占化の傾向と相まって、小売り関係の硬直化などの弊害が生じておることは御承知のとおりだと思います。かつて四十二年に公取で抜本的な改正が考えられたということは、再販が必要ないと判断したからと私は推測いたします。自由かつ公正な競争という面から見て決して好ましい制度ではない、こういうふうに思います。基本的にこれをむしろなくする方向にいくべきじゃないかと私考えますけれども、これについて委員長のお考えを承りたいと思います。それからなおまた、これについて今後の態度についてもあわせてお示し願いたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) 先ほど鈴木委員にもお答え申し上げましたときに、少し私の申し上げ方が不十分であって誤解をされたのではないかと思うのでありますが、現在法律上認められております再販制度というものの意味、いま阿部委員も御指摘になりましたが、何のために何を、いかなる公益を目ざしてああいう法律があるのかということについて、これはもう公取の事務局としては十分に勉強した話じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、私がいまいろいろな角度から実は勉強しておるところでございます。たとえばブランド保護であるとか、あるいはおとり連販の防止であるとか、いろいろなことがいわれております。経済の実態というものは、はたしてそういうものであるだろうかと私は率直に申しまして疑問をやはり持っております。しかし、疑問を持っておるということから、直ちにもう再販制度――現在法律で認められております再販制度そのものがもう要らないというふうに断じていいかどうかという点については、私はそこまでまだ踏み切るほどに実は立ち至っておりません。あるいはおしかりを受けるかもしれませんけれども、私自身いろいろな角度からこの問題をいま勉強しておるところでございます。そういう意味で、先ほど鈴木委員にも私お答え申し上げたわけでございます。しかし具体的に、たとえば先ほど例をあげて申し上げましたが、再販関係の商品において消費者の利益を抜きにして、お互いの間で相当大きな、リベートだ、現品添付だというようなことが行なわれておる。そのこと自体については私は十分これから規制を加えていく方向で考えなければならない問題だというふうに考えておりますし、また品目等につきましても、やはり現在、制度そのものはあるといたしましても、品目によっては、それをはたして認めておく意味があるかどうかという点についてやや積極的に検討してみたいという気持ちを私は持っております。
○阿部憲一君 いま委員長もせっかくこれからこの問題について取り組んでいこうというような御姿勢であると承りましたが、私自身この再販制度そのものはやはりなくする方向に進むのがほんとうの公取の行き方じゃないかと思っております。そうすればまたやみ再販の問題も出てくるだろう、また、それが激化するだろうという一面現実的な面からの批判も出てくるかもしれませんが、むしろやはりそれは弊害が多い制度ではないかと思います。これは同時に国民――われわれ消費者にとっても、また、現実に販売業者にとっても決していい制度とは思っておりません。ですから、そういうようなお答えをいずれ委員長から検討の上にいただけるということを期待いたしまして、きょうはこの質問を終わらせていただきますが、いずれまた機会を見まして、この再販問題をさらに具体的な問題をひっさげてお尋ねしたいと思います。
○委員長(横山フク君) 本件に関する質疑は、この程度にとどめたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時一分散会
     ―――――・―――――