第064回国会 本会議 第3号
昭和四十五年十一月二十七日(金曜日)
   午前十時三分開議
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○議事日程 第三号
  昭和四十五年十一月二十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 一昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。鶴園哲夫君。
   〔鶴園哲夫君登壇、拍手〕
○鶴園哲夫君 私は、日本社会党を代表しまして、佐藤総理の所信表明演説に関しまして質問をいたしたいと思います。
 総理は四選直後のあいさつで、政治は国民のものであり、国民のための政治こそ基本であることを強調しました。そのとおりであります。問題は、どのようにそれを実現して、国民の納得と共感を得るかということであります。率直に言いまして、総理の発言は、国民の多くにとりましては口先だけだという感じが強いのであります。人間尊重を看板にしました社会開発はどうなりましたか。小骨一本抜かぬと言いました政治資金規正法は放置されています。前向きに取り組むはずの中国問題は後退の一途であります。物価問題こそ最大の政治課題だと言ったことはどうなったか。総理の話はそらぞらしい印象が強いのであります。四選直後の記者会見は、惰性の政治以外の何ものでもないことを暴露しました。総理に望みたいことは、言行一致、惰性を断ち切って、真の勇断をもって、みずからつくった山積する困難な外交、内政に取り組むべきことであります。
 沖繩国政参加の選挙の結果、本院にお二人の議員の参加を得ましたことは、お互いに心から喜び合いたいと思います。(拍手)
 この選挙の最大の争点は、七二年返還を取りきめた昨年の佐藤・ニクソン日米共同声明路線に対する評価であります。それは、政府自民党路線に対する沖繩県民の不信のあらわれであります。総理は、この選挙の結果をどのように正しく受けとめ、沖繩問題について対処するお考えか、所信を伺いたいのであります。
 昨年十一月発表されました日米共同声明の一周年の今日、ワシントンでは日米繊維交渉が、日本側の再三の譲歩にもかかわらず、八方ふさがりで暗礁に乗り上げております。一方、ニューヨークでは、中国の代表権問題をめぐって日米両国政府は共同で懸命な攻防戦を繰り広げました。繊維問題も、中国問題も、日米共同声明の最もなまなましい局面であって、この二つの問題で佐藤・ニクソン両政権が苦闘し、とりわけ佐藤政権の外交的責任問題を惹起しつつありますことは、この一年間の佐藤政権を取り巻く情勢の激しい移り変わりを物語っております。
 カナダ、イタリアの中国承認、国連総会におきます中国招請・国府追放の決議の過半数獲得と、中国をめぐる国際情勢は大きく前進してまいっております。フィリップス米代表の国連演説も一種の転換を打ち出さざるを得なくなりました。韓国と台湾は日本の生命線だといった根拠に立って、急速に韓国、台湾、南ベトナム、カンボジアと一方の側に大きく傾斜して中国大陸を封じ込めようとする日米共同声明路線は、国際の大きな流れの中できわ立って立ちおくれたものとなりつつあります。中国問題はいまや日本にとっても、アジアにとっても、世界にとってもきわめて重大な問題になっております。一昨日の総理の所信表明には、中国問題については具体的な考え方は全くないだけでなく、佐藤内閣の中国政策はいまや完全に身動きできなくなったことを証明しました。佐藤総理は従来の惰性を排して、勇断をもって政府の方針を示し、国民の理解を求めるべきであります。
 大使級会談の提唱は、台湾問題、戦争終結問題、緊張緩和の具体策等の結論を持たずして呼びかけるだけでは、単なるそぶりにすぎませんし、そのような時代はすでに遠く過ぎ去ってしまいました。中国問題に取り組む発想を大きく転換させ、アジアの平和と日本の国益を追求しなければならない時期が到来しているのであります。この段階におきまして、総理の所信と決意をお伺いをいたします。
 本年十月の佐藤・ニクソン会談では、六月に決裂しました繊維交渉を、「合意に達するため政府間交渉を再開する」と約束をしました。文字どおり、総理は蛮勇をふるって、業界との話し合いも済まないまま、世間でいう見切り発車の形で最終交渉に追い込まれました。交渉は総理の発言のしりぬぐいのかっこうにすらなっております。無理に無理を重ねた外交交渉の典型であり、自主性のない、追随の佐藤外交の失態というべきであります。
 そこで、伺いたいのは、従来、日本側が主張してきましたガットの原則による解決の方針を貫くべきだと思いますが、総理にその決意がおありかどうか、承りたいのであります。
 先日、駐米大使に訓令された十七品目六ワクの規制案は、これはさらに大幅に譲歩した案になったようでありますが、従来、政府が国会で説明してきました「被害立証がない限り規制しない」、さらに、「業界の自主規制に限る」、こういう約束とは全く異なった政府の態度でありますが、今回の最終案は自主規制なのか、自主規制は放棄したのか伺いたいのであります。
 なお、国内の意思統一もなく最終案を訓令し、さらにそれから大幅に譲歩した案でかりに対米交渉が妥結したとしました場合、国内での処理をどう進められようとするのか。このままでは貿易管理令によって強制的な輸出規制によるほかないと思われますので、政府は再三、貿易管理令は発動しないと国会で答弁していることから見ましてお伺いをいたすのであります。
 また、強権をもって繊維交渉を収拾するようなことは絶対にないと断言できるかどうか、お尋ねをいたします。
 佐藤内閣の経済運営の柱でありました経済社会発展計画が物価の安定に失敗しまして、ことしの五月、新経済社会発展計画に乗りかえましたが、この計画もまた半年で物価の面から崩壊することは必至の情勢であります。新計画では、計画期間を通じて消費者物価の上昇率を次第に低めて、物価の安定をはかることとなっております。これを受けて、今年度は消費者物価の上昇率を四・八%としておったのでありますが、経済企画庁内部では八%前後になるのではないか。さらに、この一、二年は七%前後になるのではないかという異常な事態になっております。佐藤内閣は、物価安定は最大の政治課題だと国民に約束し続けながら、六年間上昇を続け、四十四年、四十五年と、その上昇率は一段と高まっているのであります。佐藤総理の責任は重大と言わなければなりません。総理の責任ある物価安定の具体策と決意を明らかにされたいのであります。
 さらに、来年度の予算編成とも関連しまして、電信電話、郵便、大学授業料、公団住宅家賃、健保等の公共料金の大幅値上げが検討中と伝えられていますが、政府はこれら公共料金の値上げは断じて見合わせるべきであると思うのでありますが、総理の見解をただしておきたいのであります。
 この春以来、次から次に全国的に表面化しました公害による生命と健康と生活環境の破壊は、そのつど、次々に政府の無策を暴露し、住民、国民の不満は日に日に高まってまいりました。社会党をはじめ、野党は公害国会を要求いたしましたが、それから半年、やっと政府は重い腰を上げて、全国各地の悲痛な叫びと国民の深刻な不安と公害追放の願いの中で臨時国会が開かれるに至りました。経済成長優先の政治姿勢のもとで、財界は、生産第一、利潤第一に暴走してとどまるところを知らない、地域社会にどのような害悪を流そうがおかまいなし、問題になっても言を左右にして取り合わない、売れそうであれば欠陥商品でも有害食品でもどんどん生産して売り出す、価格操作や販売機構を握っての値段のつり上げを強行する、そして、政府の厚生行政や消費者行政も、これを見過ごすというありさまであります。こうして、地域住民も消費者も、みずからを守るために行動せざるを得ないことを学びました。同時に、それは大企業や政府に対する強い激しい不信に発展し、政府が企業や財界にどのように弱いかということも強く思い知らされてきました。地域住民や消費者の予想もしなかった根強い運動があって初めて政府も財界も幾らか反省をして、公害に重い腰を上げたというのが国民の実感であります。この国会への公害法案の提出の過程にあっても、財界の総理か、国民の総理かと、国民を嘆かせる場面が幾度かありました。公害一掃のため、総理の指導力の発揮を強く要望してやまないものであります。
 昭和四十二年に公害基本法が制定され、以来、幾多の公害法が改正、また制定されてまいりました。しかしながら、環境の保全を優先させるものがないばかりでなく、経済発展との調和思想がありまして多大の制約を受けてまいったのであります。しかしながら、今日の政府提案では、経済調和条項は削除されておりますが、環境優先の条項は盛られておりません。公害対策基本法の本来の性格からいうならば、当然にこれを設けるべきであります。総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、環境権について総理の所見を伺います。環境権という観念は、わが国においてはいまだ定立しておりません。しかしながら、最近におきます国内及び国際における動向を見ますると、次第にこれが定着してまいっております。日本でも環境権を根拠にした訴えが起こりつつあります。また、去る九月二十二日の日本弁護士連合会の人権擁護大会においては、よい環境を享受する権利と侵害を排除する権利が環境権であり、その権利は住民にあるとの確認をしております。国際的な動向を見ましても、環境保護の必要性、権利の容認が定着しつつあると考えられるのであります。国際連合の動向、アメリカ大統領の教書等にも、明確な発想の転換が示唆されておるのであります。このように環境権並びに環境保全の重要性について、国の内外において根本的な理念、施策の転換が行なわれつつある情勢と、わが国特有の環境破壊の激化の現状を考えるならば、総理も当然発想を転換し、これに基づく諸施策を断行すべきであると考えますが、総理の所感と決意をお聞かせ願いたいのであります。
 次に、企業の無過失責任の法制化について伺います。われわれは従来から早急にこの立法化、制度化を主張してきたところでありますが、この国会に至っても提案されておりません。公害対策基本法審議の際、両院の委員会の決議にもうたわれておるのであります。また、佐藤総理は、宇都宮の一日内閣で、無過失責任の法制化を急ぐと述べております。この立法化のめどについて、総理及び山中総務長官の見解を伺いたいのであります。
 公害罪の新設について、財界から強い反対運動が巻き起こって、その成立を阻止しようとしているようであります。その反対理由は、企業活動に支障があるということであります。これでは、公害を必要悪と見るこれまでの古い考え方から一歩も出ていない、あまりにもうしろ向きであります。公害罪法案は、公害を犯罪として、憎むべき反社会的行為と断定したところに画期的な意義がありますし、物質第一から人間中心へ転換しつつある時代の大きな流れを示すものであります。報道によりますと、運用によって、しり抜け法案になるような印象を強く受けますが、断じて許せません。総理の決意をお伺いいたします。
 最後に、裁定制度の創設について伺います。現行の紛争処理法による被害者救済制度は、もっぱら事後処理的であり、同時に、原因者側の同意がなければ、事実上紛争処理機関の決定が効力を持たないようになっているのであります。この点についても、わが党は、従来から裁定制度を創設することによって、被害者救済の実をあげることを主張してきたのであります。総務長官の見解を伺います。
 高度成長を遂げた日本はどこへいくのか、この二年、三年来、国の内外で関心が高まっております。総理は、国連二十五周年記念総会に出席しまして、日本は経済大国になっても、軍事大国にはならないと演説しました。しかし、同じ日に東京で、中曽根防衛庁長官をして、いわゆる第四次防衛整備計画を公表させました。国民が目をみはったのは、その規模の飛躍的な膨張ぶりであります。日本を一挙に軍事的大国に押し上げる計画であり、軍事的大国への危険をまざまざと実感させました。総理はこの国連総会において、日本が核装備しないことを約束すべきであり、また、核兵器を含めての軍縮を大胆に提起すべきでありました。総理は、そのいずれをも全くやらなかっただけでなく、その前日には国防白書を公表させ、徴兵制度をにおわせ、憲法上、核装備は可能であるとしました。国の内外で、日本の軍事大国への警戒と不安がますます高まるのは当然と言わなければなりません。
 まず、総理に伺いたいことは、平和憲法のもとに平和に徹するという日本の総理が、何ゆえに核装備はしないとの約束と、核兵器を含めての軍縮の大胆な提起とをなさらなかったかということであります。
 先国会における防衛庁長官の国会答弁によりますと、従来の国防の基本方針を改定したいと説明をし、さらに佐藤総理からもそのような旨の答弁がなされているのでありますが、この国防の基本方針改定についてどのような検討がなされているのか、総理に伺いたいのであります。
 第三に、防衛力の限界の問題についてただしたいのであります。四次防の総経費は専守防衛、通常兵器のみの防衛体制としましてはあまりにも巨大であり、政府の掲げる平和国家の理念とはおよそかけ離れたものと言わざるを得ないのであります。四次防計画を発表されましたときに、わが国民は際限のない軍備拡張への不安をひしひしと感じ取ったのであります。海外論調は言うに及ばず、米国の下院外交委員会の現地調査団すら、わが国の軍国主義化を指摘しているのであります。現在ほど、わが国が内外にその防衛力の具体的限界を示す必要に迫られている時期はありません。この際私は、軍事費増大をストップする勇気を総理に要望するものであります。総理及び長官の所見を伺いたいのであります。
 わが日本国憲法は三権分立の原則にのっとりまして、立法、司法、行政の三権が互いに相侵さざることを明定いたしております。しかるに、いまや司法権の独立の危機が叫ばれるに至りました。昨年八月のいわゆる平賀書簡問題に端を発して、その後に起こった一連の事件やその他の諸種の事件は、司法権の独立という見地から見て、まことにゆゆしき問題であります。いまここで問いただしたいのは、行政権による司法権に対する圧迫であります。たとえば北海道の長沼ナイキ基地に関する行政訴訟における担当裁判官である福島判事を、被告である政府が、青年法律家協会員であるとしてこれを忌避し、憲法に保障された思想・結社の自由を圧迫し、あるいはまた、行政訴訟における判決が自民党政府の意にかなわないという理由をもって、現職の法務大臣が、「このような裁判の傾向に対しては何らかの歯どめが必要である」という旨の放言をしたり、また、自民党の中に裁判官の思想調査機関とも疑われる司法制度調査会なるものを設けようとするに至りましては、自民党政府の思い上がりもきわまれりと言うべきであります。行政府の首長たる総理の司法権に対する心がまえについて所信を伺う次第であります。
 総理は所信表明において、この大きな転換期に際し、教育改革の重要性について言及されました。私は教育について三点ほど伺いたいのであります。
 第一は、教育白書にも示されておりますように、六〇年代に入って、世界は教育競争の時代であります。各国が教育費の支出を急激に増大さした中で、ひとりわが国のみは教育費支出が低下し、最近の教育不在現象を露呈したのであります。わが国の六〇年代の教育政策がいかに経済成長一辺倒となり、今日の各種のひずみの発生原因をつくったかが教育の面でもよく実証されていると思うのであります。今日、米国、英国、西ドイツ等は国の教育費支出を急激に増大しつつあります。わが国の七〇年代の目標は、教育、学術を振興し、文化、文明の領域においてこそ、世界の指導的地位に立つことを心がけるべきではないでしょうか。それがまたわが国の憲法や教育基本法に示された理念達成への道だと信じます。教育費の投資増大について総理の明確な所信を伺いたいと思うのであります。
 第二は、教育行政のあり方であります。最近、東京地裁において教科書裁判の判決があり、国家と国民教育と国民の関係があらためて注目され、大きな関心を引くようになりました。わが国が自由主義、民主主義をたてまえとする国であるといいながらも、事、教育については、教科書や学習指導要領に至るまで、地域住民や親たちとはまるで無関係に、文部省が法律規則によって画一的にきめてしまおうというやり方、つまり、教育に対しては政府はこまかい点まで口を出すが、先生は研究くふうの余地はきわめて少なく、親は何の口も出せないという官僚統制のやり方が強化され、体制化されつつあることは、国民の不安と疑問を強めております。この際、教科書の自由発行、自由採択、教育内容にしましても大綱的基準にとどめる等の、自由と民主主義のたてまえの国にふさわしい教育行政に改革することが七〇年代の教育改革の第一歩であると思うのでありますが、総理の所信をお伺いをいたします。
 第三は、教育者の抜本的優遇措置の問題であります。教育の刷新充実と言い、教育の重要性を強調しましても、その達成については、すぐれた教育者に期待するほかはありません。しかしながら、社会が進歩し、国民の教育水準が上昇し、教職以外の専門的職業も増加した今日では、教育者の待遇も相対的な低下が目立っています。一般的にいいまして、教育の場は魅力ある職場ではありません。このような職場に人材を招き、わが国の将来を託そうとするならば、抜本策がなくてはなりません。この際、総理はわが国の将来に思いをはせ、教育者の地位、待遇を引き上げるため、抜本的改善策を講ずるお考えがないかどらか、お伺いをいたします。
 人事院勧告について一言お伺いをいたします。勧告がありましたあとの国会審議では、すみやかに措置すべきであるという点についての論議が行なわれました。前払いをすべきであるという論議も強く行なわれたところでありますが、政府はどのような検討をされておるか、お伺いをいたします。
 米の問題を中心に、農政は混迷の極に達し、今日ほど政府の農政に不信の声の高まっておるときはありません。農産物の自由化は、日本の代表的作物でありましたなたね、大豆、麦類を異常な早さで日本列島から追放しました。さらに自由化は、レモン、グレープフルーツ、そしてオレンジ、でん粉等に迫って、かんきつ類やカンショ作に大きな脅威を与え、また飼料作物の自由化のため日本の畜産は加工農業ともいうべき大きなかたわの畜産になり、一方、最大のよりどころでありました米も、ついに六十万ヘクタール分、二割という異常な減産政策が強引に進められ、それにかわるべき転換作物の育成策は見るべきものは何ものもありません。そして食糧管理制度はなしくずしにつぶされようといたしております。生産者米価は二年据え置き、その他農産物の価格も可能なだけ据え置く、農地法は改正して農民の階層分解を促進します等々、農政は大規模な農業撤退作戦の展開を行なっておるというよりほか言いようがありません。従来から財界には日本農業不要論がありましたが、それが政府の方針になりつつあると言っても差しつかえありません。総理の所信を伺いたいのであります。
 なるほど、毎年、米は約二百万トンの過剰生産でありますが、逆に麦類、大豆、なたね、でん粉としてのトウモロコシ等、食糧として穀類は毎年八百万トン輸入しています。このほか一千万トン近い飼料穀物を輸入しているのであります。米を中心に飼料作物、大豆、なたね等を含めた食糧総合計画を樹立し、農業経営の中に米以外の作物をつくれるように考えるか考えないかということが、日本農業、農民にとっての大きな分かれ道になっております。考えると決定するならば、これらの農作物を価格支持策や生産政策をもって農業経営の中に育てることは、さほど困難なことではありません。
 総理にお伺いをしたいのは、農業経営の中に、米以外の飼料穀物等を本格的につくれるように決断ができるかどうかということであります。この決断は大きな勇気を要します。いま撤退の途を歩いている農業、農政を転換させるからであります。
 次に、米の生産調整について伺います。生産調整では、まず農民の所得補償を優先すべきであります。三百万トンの減産調整は約四千億円の減収となります。本年並みの十アール当たり三万五千円の奨励金を出しましても約千七百億円の減収となるのであります。長期対策として行なうべき生産調整を、米の過剰を理由にして性急に農民の犠牲で強引に推し進められようとしているのであります。四十六年の生産調整の構想を具体的に提示され、米作農民の不安に答えていただきたいのであります。
 本年六月の日米繊維交渉の不調を契機としまして、政府の自由化に対する姿勢は一そう積極化しております。従来、農産物の自由化は、国内農作目の追放に終わったと言っていいのでありますが、これからどのような農作物の自由化の構想を持っておられますか、その対策とともにお聞きしたいのであります。
 さらに、大きな品目としましては、二年後のでん粉の自由化、物価安定政策会議がでん粉や砂糖の価格等を問題にし、また、沖繩復帰に伴う糖価安定法の運用方針が明らかにされていない等のために関係者の不安は大きなものがあります。でん粉及びサトウキビに対する方針を明らかにされたいのであります。
 第四に、食糧管理特別会計の根幹堅持についてお伺いします。根幹堅持は政府与党の公約であります。しかし、最近の買い入れ制限、二段米価、逆二段米価など、食管制度の根幹をゆさぶる論議が政府与党内で公然と行なわれています。これらは食管法の根幹堅持に沿っているのかどうか、農林大臣の見解を明らかにされたいのであります。
 私は、食糧管理制度の根幹は、生産者、そして消費者のために堅持すべきであることを強調したいのであります。
 以上、私は党を代表いたしまして質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣の具体的な、かつ明快な答弁を心からお願いをいたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 鶴園君にお答えをいたします前に、ただいま四選後の政治のあり方について、惰性を払拭し、言行一致の路線を歩めという激励のことばをいただいたことを厚くお礼を申し上げます。
 ところで、沖繩の一九七二年祖国復帰を前にして国政参加が実現し、衆参両院で七人の同僚議員を迎えることができたことは、まことに御同慶の至りであります。鶴園君は沖繩の選挙結果について、日米共同路線に対する沖繩県民の評価を示すものだと言われましたが、これは御意見は御意見として謙虚に承っておきます。ただし、国政参加も一九七二年復帰も、すべて昨年の日米共同声明に基づいて行なわれたものであることは、しっかりと御認識いただきたいと思います。この点だけはっきり申し上げておきます。
 中国問題に対するお尋ねが二、三ございましたが、政府の方針は、昨日も衆議院でも再三申し述べましたとおり、国際信義を重んじ、国益を守り、アジアの緊張緩和に資するという観点から慎重に取り組む方針であります。私は、国際連合記念総会における演説でも申し述べたとおり、北京政府と国民政府との関係につきましては、あくまで武力不行使の原則に立って平和的な相互の話し合いが行なわれることが最も望ましいと考えるものであります。カナダやイタリアが北京政府との国交を樹立し、国連における各国の動向にも変動が見られましたが、わが国としては、距離的にも近く、その上、中国大陸、国民政府のいずれとも深い関係にありますから、カナダやイタリアのように簡明直截な中国政策をとることはできないのであります。国民各位におかれましても、この点は十分御理解いただきたいと思います。また、北京政府との政府間接触の実現は、もとより政府の期待するところであります。政府としては、無用な誤解を解くためにも、今後あらゆる機会を通じて積極的な働きかけをする考えであります。
 繊維問題につきましては、妥当な解決策を見出すため、目下、日米両国間で鋭意交渉を続けております。わが国は、従来から米側に対し、ガットのルールに基づいて、重大な被害またはそのおそれが生じているならば、そのことを立証するよう主張してまいりました。このような基本的な考え方につきましては、今日も変わってはおりません。しかし、繊維問題をこのまま放置することは、日米関係にとっても、世界の自由貿易発展のためにも好ましくないので、先般、私とニクソン大統領との会談で交渉再開に合意したのであります。ただし、この合意は、交渉を再開するということだけであって、内容にはわたっておりません。この点は特に誤解のないように願います。この点は、専門的でありますから、大統領、総理、それらが十分理解しておらないのであります。そういう点を自分たちだけで、知らないうちにきめるということは望ましくない、そのことははっきり申し上げておきます。したがって、十七品目、六ワクという案は、その後、政府部内の協議を行なって決定した基本ラインであり、今月十四日に訓電したものであります。また、強権を発動することはないかとの御質問でありますが、たとえ両国間の合意が成立いたしましても、自主規制である限り、関係業界の協力が得られなければ、実効はあがらないのでありますから、政府としては、業界の理解を得られる線で、最終的妥結をはかりたいと考えている次第であります。強権発動という形で、輸出貿易管理令を発動することは、現在のところ全く考えておりません。はっきり申し上げておきます。
 次に、物価問題についてでありますが、最近の消費者物価が、当初の政府予想をかなり上回りつつあることは、残念ながら御指摘のとおりであります。お尋ねの物価安定対策でありますが、物価上昇の有力な原因である低生産性部門の生産性向上のための構造改善を進めるほか、総需要対策に留意し、さらに構造対策につきまして適切な手を打つ、これに尽きるわけであります。問題が問題だけに、直ちに効果をあらわすという性格のものではありませんので、物価対策が目に見えた効果をあげることができないで、ただいまのような物価上昇の状況にあるのであります。御指摘の点は、いずれも政府のきめのこまかい物価対策を示すものとして、着実に実効をあげ得るものと期待しております。また、公共料金につきましては、従来より政府は、十分な合理化努力を前提として、なおかつ、真にやむを得ないものを除いては、極力これを抑制することといたしております。御質問の各種公共料金につきましても、最近の物価情勢を考慮しつつ、きびしい姿勢で慎重に検討してまいります。
 次に、公害問題でありますが、私はあくまでも、国民生活優先のたてまえのもとに、積極、果敢に公害対策の前進をはかる決意であることをまず申し上げておきます。今国会に提案を予定している公害関係諸法案は、いずれも公害行政の水準を飛躍的に高めるものであり、公正な評価を与えていただきたいものと存じます。また、従来の公害に対する考え方をさらに進め、豊かな環境と自然を取り戻そうという観点から、自然環境の保全に関する規定を公害対策基本法に新設することを予定しており、鶴園君の論旨は十分生かされているものと、かように考えます。
 次に、環境権の確立につきましてのお尋ねがございましたが、環境権なることばがお話にもありましたように、まだ熟していないため、適切なお答えをいたしかねますので、ここでは生きがいのある、すぐれた生活環境の確保のため、全力をあげてまいる決意だけを申し述べておきたいと存じます。
 その他、公害罪、紛争の処理、裁定等につきましては、担当大臣からお答えさせることにいたします。
 国連演説で、核武装をしないことを約束し、核兵器を含めて軍縮に関する提案をすべきだったとの御指摘がありましたが、確かにそのような考え方もあろうかと思いますが、私は、わが国の場合、核武装をするとかしないとかというのはすでに問題外であります。国連の舞台でそれをあえて言うこと自体、無用の誤解を与えるおそれもあるという配慮から、平和国家のイメージを強く打ち出したのであります。軍縮につきましては、すでにジュネーブにおける軍縮委員会で、わが国の立場は明確に打ち出しておりますので、今回は焦点をしぼる意味から割愛したものであります。しかし、このような鶴園君の建設的な御提案は、政府として大いに歓迎いたします。防衛力の限度、限界、これは中曽根君からお答えをいたさせます。
 次に、司法権の独立についてでありますが、昨日も衆議院で社会党の下平君からのお尋ねに対してお答えをしたとおり、司法権の独立は、憲法上保障されたきわめて重要な事柄であります。政府として、司法に介入する意図も、また、その事実も全くないことをはっきり申し上げておきます。また、福島裁判官の忌避につきましては、国側が当事者の一方として訴訟上の権利を行使したものにすぎず、政府の司法への介入という批判は当たらないと思います。政府や立法府が司法権の独立を侵害したり、あるいは司法が行政の分野に介入することは、いわゆる三権分立のたてまえに相反するものであり、いやしくもそのような非難を受けることのないよう十分留意すべきものと考えます。また、自民党内の司法制度調査会についても、御意見を述べられましたが、私は、政党が、国政に関する調査活動の一環として、司法制度一般について調査、研究することは、何ら問題はないものと、かように考えます。もちろん、公党に置かれた調査会として、裁判官の独立を侵すような調査活動が許されるはずはなく、また、そのような事実はあり得ないものと考えております。どうぞ御理解をいただきたいと思います。皆さんも同様のことをしていらっしゃると思います。
 教育問題についてのお尋ねでありますが、申すまでもなく、教育の伸長は、一国の盛衰を左右するといっても過言ではありません。政府は、この観点から、教育の振興のための諸施策の推進に意を用いてまいりましたが、今後ともこのような態度で教育行政を進めてまいりたいと考えております。
 行政費の中に占める教育費の割合は、過去大体二一%前後を維持してまいりました。今後、教育投資の増大がはかられるべきことは当然であります。
 教科書の問題にも触れられましたが、これは後ほど担当大臣のほうからお答えいたします。
 教育の成否は、申すまでもなく、教師にいかに優秀な人材を確保するかにかかっているわけであります。そのためにも、教員の給与制度の改善が必要であります。政府としては、中教審におきましても、教育の質的、量的向上が検討されておりますので、右答申をもしんしゃくしつつ、これらの問題について積極的に検討する所存であります。
 なお、人事院勧告の扱い方については、山中君から後ほどお答えいたします。
 次に、農業問題でありますが、最近のわが国経済社会の著しい発展の過程における農業生産の国民生産に占める割合の低下、あるいは農業人口の減少、さらには農地面積の減少といった現象は、農業の後退作戦のあらわれであると言うのは当たらないと思います。私は、農業が経済社会の中で均衡ある発展を遂げることなくして、わが国社会全体の健全な発展はあり得ないと確信し、新しい事態に即応した新しい農政の展開を志しているものであります。
 また、その方向としては、米だけに偏することなく、今後需要の伸びる畜産、園芸作物にも重点を置くこととして、総合農政を推進しているものであります。米の恒常的な過剰の問題に関連して、現在生産が需要に対応できていない飼料作物、大豆等を含め、全体としての農業生産の方向づけを明らかにし、今後の農業生産を誘導してまいる所存であります。
 なお、生産調整、あるいは農産物の自由化、食管制度のあり方等々につきましては、農林大臣からお答えいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) 総理大臣から、きわめて詳細な御答弁がございましたので、私から補足することもございませんが、せっかくの御指名でございますから、簡単に一、二お答えいたします。
 一つは、ガットの問題でございますが、これは、たまたま昨日、衆議院の本会議で宮澤通産大臣からも、私はきわめて適切な答弁があったと思うのでありますが、私どもが考えますのに、ガットの体制というのは、アメリカとEEC全体と、そうしてわが日本、これがいわば三つの大きな柱になっておるわけでございますから、各種の経済問題、国際的な経済問題については、このガットというものを意識し、あるいは協議をし、あるいは協調して考えていくということが私は当然なことだろうと思うのでございます。したがいまして、ただいま問題の日米の繊維交渉につきましても、基本的には、そうしたことを頭に置きながらこれに当たっていくというのが当然なことだろうと思います。したがいまして、ただいま総理からも御説明がございましたように、今回のアメリカとの交渉におきましても、日本からアメリカに対する輸出の中で、被害のおそれを与える可能性のありなし自体が問題になり得る余地のないような品目は全部除いて交渉の対象にしておることは、御承知のとおりでございます。したがって品目は相当限定して交渉の対象にいたしております。そして、それをさらにグループに、総括的にグループをつくりまして、そして自主規制をすることの方法論がいかにあるべきかということが、ただいま中心の折衝の対象になっております。また、そういう考え方でございますから、かりそめにも、輸出が縮小するというようなことがあってはならないわけでございます。また、日本といたしましては、LTAというような非常に苦い経験をいたしておりますから、この苦い経験を生かして、さようなことがないようにいたさなければならないというのが、われわれの基本的な態度でございます。そして、こうした考え方のもとに、自主規制であって、強権発動であってはならない、ただいま総理大臣のおっしゃったとおりでございます。ただいま申しましたような考え方で、鋭意折衝を続けておりますが、こうしてアメリカに起こっておりますところのいわゆるミルズ法を中心にするような保護主義の台頭というようなことをできるだけ各国が協力して、そういう動きが起こらないように、あるいはその弊害というものを最小限にとどめるということに、私どもとしては最大の努力を払うのが、ただいまの国際的な環境の中にある日本の地位、あるいは責任、あるいは立場からいって大切なことではなかろうかと、かように考える次第でございます。
 それから、国連での総理の演説については、御自身からお答えがございましたが、私どもといたしましては、二十五回総会が記念総会でありまして、総理が御出席になりますから、これは次元の高い立場で演説をしていただく、そして一般総会の一般演説あるいは軍縮委員会等におきましては、鶴園さんの御要請になりましたようなことについては、もう十二分に政府の見解は説明をし、主張をしておりますので、これらはそれらの演説の中で十分御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕
○国務大臣(山中貞則君) 初めに、公害関係で、無過失責任の問題と公害罪の問題とをお尋ねになったわけでありますが、率直に白状いたしまして、この公害罪の問題と無過失責任論の現在論議中のもの、これは、どうも私自身もしろうとでございまして、司法権の運用というものを背景に置いた立法でございますから、私自身の見解がそのまま法務省見解と一致しないという点もございましたので、本日の閣議で、公害罪並びに無過失責任論についての答弁は、法務大臣一本でお願いをするということで、遺憾ながら私自身として、残りの十四法案について責任を回避しないということにいたしまして、申し上げましたとおり、だめであると言われればそのとおりで、率直に白状すると申し上げたのはそこにあるわけでございますので、質問者並びに議長のお許しがございましたならば、法務大臣からの御答弁をお許し願いたいと思います。
 次に、公害紛争処理法に関係をいたしまして、今月の一日出発をいたしました中央公害審査委員会の運営について、裁定の制度を持ち込むべきであるという御議論でございますが、私どもも、そのような議論は、先国会においても十分質疑応答等で検討も重ねたわけでありますし、その後も、最もあるべき理想の姿を求めておるわけでありますけれども、しかしながら、やはり裁定制度については、憲法第七十六条の、行政の中で最終審が行なえない、終審ができないというたてまえ等から考えますと、裁定権をかりにこの中央公害審査委員会が持って裁定をいたしましても、不服であれば裁判に移行できるわけでありますので、そこらの点を念頭に置いて、いますぐに裁定権を持つようにというお答えは即答ができかねますが、何ぶんにも出発早々のことでございますから、いろいろのケースの、予測せざる、中央公害審査委員会の持ち込み事項等がございます。したがって、これらの問題については、現在の中央公害審査委員会の実績その他を見ながら、裁定制度というものに対してどういうふうに対処していくかというようなものについて今後検討を重ねてまいりたいと思います。
 なお、人事院勧告の完全実施をされることに伴いまする予算の編成に関係をいたしまして、現在の予算の編成のしかたでは、先払い制度というようなもの等が実行上確保できないかという御意見はごもっともでございまして、予測できざる財源としての予備費の中から、国会で――今国会でもお願いをいたしますが、法律が通った後において支給を開始するというのは、いかにも芸のない話であると、今日の段階では思われますので、予算編成の際に大蔵大臣と、ことしのいわゆる完全実施を、打ち立てられた慣行であることを前提にして、完全実施を前提にしたところの予測できる経費として、一般行政費の中に最大限に盛り込んで、したがって、先払い等の制度でない、実質支給ができるような――勧告の実施がきまりましたときから支給が開始できるような制度を予算編成上打ち立ててみたい、このように考えておりますので、予算編成の責任者である大蔵大臣と、給与担当の私との間で相談をしてまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 国防の基本方針につきましては、事務レベルで引き続いて検討を加えていく予定でございます。防衛力の限界につきましては、憲法を守り、他の諸政策との調和をはかりつつ、他国に攻撃的脅威を与えないように、限度を守りながら、いわゆる海外派兵を行なわず、徴兵を行なわず、非核三原則を維持していく。内容といたしましても、また運用の体系といたしましても、国土防衛に徹した節度のある防衛力にいたしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
 来年度以降の米の生産調整を進めるにあたりましては、御指摘のように、これを奨励、誘導し得る所要の措置につきましてただいま検討中であります。稲からほかの作物への転換をすすめるにあたりましては、農産物の長期的な需給の動向に対応しつつ、農業の近代化を促進するとともに、国土の有効的利用をはかるという観点に立ちまして、農業基盤の整備、それから機械施設等の導入について、ただいま検討をいたしておるところでございます。
 作目につきまして、先ほど総理大臣の御答弁の中にもございましたように、農林省といたしましては、そういうことについて鋭意検討を続けておりまして、生産調整の方針が確定いたしますときには、それを発表いたして、生産者等の御協力も得たいと思っておるわけであります。
 農産物の自由化につきまして、これは、その後の数次にわたります関係閣僚協議会の決定の線に即しまして、これを取り進めてまいることにいたしておりますが、自由化にあたりましては、現在、総合農政の展開をはかってまいろうという重要な時期にございますので、そのことが、国内農業に与える影響に十分考慮を払いながら、必要に応じて所要の対策とあわせて検討をしてまいるつもりでございます。お話しのございましたでん粉及び砂糖等の輸入につきましては、国内産甘味類、イモ類等に対する悪影響を防ぐという見地から、今後も自由化はなかなかむずかしいと考えられますけれども、これらにつきましても、国内生産につきまして、できるだけの合理化を実行してまいりまして、競争力を増強してまいるようにつとめることにいたしております。
 それから米の買い入れ制限、あるいは二段米価、逆二段米価というふうなことについてお尋ねがございましたが、そういうようなことばが各方面で報道されておることは、私も見ておりますけれども、私の口から一度もそういうことを申したことはございませんで、来年度の米の生産調整と関連いたしまして、生産調整における公平を保ち、生産調整の実効を確保するためにどのような処置が必要であろうか、そういう点の一つとして米管理の制度、運営の改善をはかるべきことが現在重大な課題となっておることは御存じのとおりであります。その具体的内容につきましては、現在検討中の段階でありますし、いまだ結論を得ておるわけではございませんが、いずれにいたしましても、これらの措置は生産調整の実効を確保するという観点から、従来の米の管理制度、運営について所要の改善を行なわなければならないという趣旨のものであると思いますが、これらにつきまして、私どもは、ただいま生産調整と、こういうようなことについて、各方面と緊密な連絡を保ちながら鋭意検討を進めておる、こういう次第であります。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂田道太君) 教科書の行政についてのお尋ねだったと思うのでございますが、教科書行政は、この国会におきまして制定されました教育基本法、あるいは学校教育法、あるいはそれに基づきました諸法令に基づきましてやっておるわけでございまして、かってにやっておるわけではございません。
 それから、裁判の問題も、不服がある場合は、政府といえどもそれを控訴するということは当然なことであると思うのでございまして、家永裁判におきましては、特に学問の自由というものと、それから教育の自由というものとを同質同等のものと判断をしておられるところは、私たちどうしても承服ができないのでございまして、これを控訴いたしますことは、私といたしまして、当然の責務であるというふうに考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣小林武治君登壇、拍手〕
○国務大臣(小林武治君) 公害罪を処罰する法案、これは政府も提出をするつもりで準備をいたしておりますが、この法案は、実は世界的にもまだほとんど例のない法案でございまして、この内容等につきまして御理解をいただくことは非常にむずかしい問題でもございます。ただ、私どもは、現在公害というものが非常な深刻な影響、被害を及ぼしておる、こういう観点からして、初めて今日、公害というものを刑事罰の対象としてこれをとらえると、こういうところに非常に大きな意味があるのでありまして、世界的にも、実は日本にこういう立法がされるということで大きな反響を持っておると、こういう事態でございます。したがって、私どもは、これの運用とか立法には非常な苦心をいたしておるのでありまして、ただいまの状態におきましては、私ども法務省としては、法制審議会の答申も得ておりまするが、まだ、党との調整も不十分である、こういうことで、私どもとしては、この原案が国会に提出されるようにと、こういうことを強く希望をいたして、その調整をいたしておるのでございます。いずれにいたしましても、ここまで、これを一つの犯罪としてとらえなければならぬ、こういう事態まで来ておるという認識は、私どもは世間でもお持ちになっておると、かように思うのでありましてこれのひとつぜひ立法を期待をいたしておるものでございます。
 なお、ここでよく問題になります民法上の無過失責任と、こういう問題でありますが、過失のないところに責任がないということは、世界共通のこれは民法上の大原則であるのでありまして、これは御承知のように、こういう国民生活に非常な大きな関係のある立法は、なかなかそう簡単、容易に結論を得るということはきわめて困難でありまして、政府といたしましても、これを現在慎重に検討いたしておるのであります。ただ、一般民法の例外として、無過失責任を認めるというようなことは、国民生活全体の安定の上から重大な問題であるのでありまして、ただ、公害のように、被害が深刻で、しかも、過失証明がきわめて困難あるいは不可能と、こういうふうな事態も予想されるので、特殊の公害等につきましては、無過失責任等のことも十分考えなければなるまいと、こういうことで私どもは検討しておるのであります。御承知のように、民法などの改正あるいは刑法などの改正は、法務省におきましても、法制審議会におきまして、慎重検討をするために、相当な時間をかけてやっておる問題でありまして、その緊要性ということは私ども十分心得ておるのでありますが、何といたしましても、かような問題は、それこそ、やっぱり世界にも例のない問題でありますから、いまの世論の動向等も考えまして、公害というような問題について、特に考えなければならぬ問題だろう、こういうことで検討いたしておる。したがって、いまの国会等においては結論を得ることはきわめて困難だ、しかし、われわれは、続いてひとつこれを検討してまいりたいと、かように考えておるものでありまして、以上のようにお答えを申し上げておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君) 鹿島俊雄君。
   〔鹿島俊雄君登壇、拍手〕
   〔議長退席、副議長着席〕
○鹿島俊雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、一昨日行なわれました佐藤総理の所信表明に対し、主として、総理の内政外交に対する政治姿勢並びに公害対策を中心に、若干の質問を行なうものであります。
 質問に先立って、去る十五日に行なわれた沖繩住民の国政参加の国会議員選挙により、沖繩県民を代表して、ここに二名の同僚議員を本院に迎え得ましたことは、沖繩県民はもとより、全国民とともに喜びにたえないところであります。(拍手)
 佐藤総理は、国政を担当して以来、すでに六年の歳月が経過いたしました。この間、外交面においては、日韓条約の締結、小笠原諸島の返還、さらに昨年には、待望久しかった沖繩の祖国復帰の取りきめなど、戦後のゆがめられた状態の正常化に力を注がれ、また、さきには、日米安保条約の延長を決定して、わが国の平和と繁栄の基盤を一そう強固なものとされました。また、去る十月二十一日には国連創設二十五周年記念会期に出席され、わが国の総理大臣として初めての国連演説を行ない、国際社会における日本の地位の高揚につとめられる等、その業績はまことに目ざましいものがあります。また、内政面におきましては、わが国の国民総生産はここ十年の間に三倍以上の飛躍的な増大を見、この結果、長い間の経済政策の目標であった完全雇用の実現を達成し、わが国産業の国際競争力の向上による国際収支の基盤が確立され、また、都市と農村、大企業と中小企業間の格差も一段と縮小され、ここに国民の生活水準は著しく向上し、高度大衆消費社会、すなわち豊かな社会をつくり出したことは、佐藤内閣の組閣以来のたゆまざる努力による着実な成果として、国民とともに御同慶にたえないところであります。
 さきの総選挙において、わが党は国民の圧倒的支持を得た信頼と期待にこたえて、佐藤総理は引き続き国政担当の決意を固められ、去る十月二十九日のわが自由民主党大会において四たび党総裁に選任され、わが議会史上まれに見る長期政権を担当する責務を負わされたのであります。佐藤総理は、昭和四十年、内閣の発足以来、国民とともに進むことを政治の基本姿勢とし、内政面においては物価の安定と社会開発により調和のとれた住みよい日本の創造をその目標として、自来、今日の国民生活の向上と繁栄を築いてまいったのでありますが、ここに一九七〇年代を展望するとき、現下の内政の重要課題であります公害、物価、交通、住宅、農業、社会保障、教育等、急激なる経済社会の変貌の中で生じたこれら山積する困難な問題の解決のため、四選の支持を得た今日、どのように対処される所存でありましょうか、総理の基本的政治姿勢と決意を承りたいのであります。
 また、七〇年代の外交における最大の課題は、何としても中国大陸との外交関係の処理であります。七億五千万人の人民を支配する中共政権の現実は、一衣帯水の隣国日本の立場において、それはきわめて微妙なものがあり、また、歴史的、文化的、地理的に交流の深かった双方にとってまことに重要な課題であろうと思います。去る十月十三日のカナダの中共承認、引き続き十一月六日にはイタリアも承認に踏み切っております。過ぐる二十日の国連総会における中共加盟に関する重要事項指定方式の決議案及びアルバニア決議案の採択の結果を見ましても、世界の趨勢はもはや予断を許さぬところに来ていると考えられるのであります。
 しかしながら、このような世界の大勢の中にあって、わが国が中共問題を解決するに困難なことは、中国が分裂国家であり、二つの政府が同時に存在し、それぞれみずからの政府のみが国家全体を代表する資格があるとの主張を譲らないこと、また、一九五二年来の日本国と中華民国との平和条約の存在及びフランス、カナダ、イタリア等の承認諸国とは異なり、台湾政府とはきわめて密接な国交関係にあるということであります。中国大陸との関係は、かかる世界の動向と国際信義との間にあって、この外交の処理は、アジアの平和とわが国益の見地から慎重に取り組む必要があろうかと思うのであります。総理の中国大陸問題に取り組む姿勢について御所見を承りたいのであります。
 次に、北方領土問題についてお尋ねいたします。総理は、国連二十五周年記念会期における演説の中で、北方領土に関する問題を国際的に提起し、この問題に対処する決意の表明がありましたが、沖繩復帰問題の解決のめどがついた今日、北方領土問題は最後に残されたわが国民の長い間の願望であります。すでに日ソ両国間の国交は回復され、友好親善を深めておる今日、できるだけ早い機会に領土の最終的解決がはかられるよう総理のたゆまざる御努力に期待するものであります。
 次に、繊維問題についてお伺いいたします。本年六月以来中断されておりました日米繊維交渉は、総理の十月訪米によるニクソン大統領との会談により合意を前提とした再開が決定され、今日その繊維交渉はまさに正念場を迎えております。政府は、牛場駐米大使を窓口として、先般来、特定十七品目、六ワクの規制方式を基本原則として交渉を繰り重ねておるようでありますが、米国の硬直的な姿勢によりその交渉の前途にはきわめてきびしいものがあるのみならず、他方、米国議会における一九七〇年代の通商法案は、去る二十日下院を通過し、上院に回付され、まことに憂慮すべき事態にあると思うのであります。今回の政府案の提示は、わが国の業界の納得を得ない見切り発車と言われるだけに、その成り行きについては、業界は無原則な譲歩による強権的解決には強い姿勢で臨んでおります。交渉の妥結内容のいかんによっては、わが国繊維産業のみならず、発展途上国にも多大の影響を与えることは明らかであります。このような米国の態度は、ガットの精神にも違背し、世界の自由貿易の大勢に逆行するもので、きわめて遺憾に思うのであります。政府においては、過去一カ年半に及ぶ日米交渉をこの際早期妥結に導くため、昨夜、従来の十七品目、六ワクの規制方式の基本姿勢をくずさないまでも、基準年次のとり方、輸出数量の年間の伸び率の引き下げ等、内容面において一部譲歩した修正案を用意されたようでありますが、その案の内容と妥結の見通し、さらには繊維の対米輸出縮小に伴う事後処理をどのように進められるか、あわせてお伺いいたします。
 次に、公害問題についてお尋ねいたします。七〇年代の本年に入ってから、公害問題は国の内外を通じて新しい胎動を見せてまいりました。ことに最近のわが国における水俣病補償問題やカドミウム、鉛公害、スモッグ、光化学スモッグ、ヘドロ公害、農薬、食品公害等と、新しい公害の激発は、大きな社会問題、政治問題として露呈してまいっております。公害は経済の進歩発達した高密度社会では、ある程度必然的に発生するものと言われておりますが、それが人の健康や生活環境に大きな影響を及ぼすものである点において、今後、人類が英知を傾け、その克服に向かって取り組まなければならない困難な、しかも重要な問題と思うのであります。ウ・タント国連事務総長やニクソン大統領の教書にも、環境破壊に対する挑戦が示され、先進諸国においても、いまや公害問題は快適な人間環境の達成のための世界的な願望とされております。四十四年度の公害白書では、公害の広域化、複雑化現象が進展したことが報告され、とりわけ、社会資本の立ちおくれ、無計画な土地利用等がそれに拍車をかけていることが明らかにされております。政府においては、今国会を特に公害問題を重要課題として公害対策の法的措置をとらんとしておりますことは、公害問題の提起から、その克服への実行に着手するものとして、その取り組む政治姿勢に賛意を表するものでありますが、総理は今後の公害対策をどのように進めるお考えでありますか、公害対策に取り組む基本的態度についてお伺いいたしたいのであります。
 次に、公害問題を担当する行政機構について総理にお尋ねいたします。公害問題ほど複雑にして巨大で困難な問題はありません。この問題の解明と克服のためには、相当長期にわたる時間と巨額の国家資金の投入は不可欠の要件であろうと思うのであります。総理は、本年七月、公害に対する社会的緊張の高まりにこたえ、英断をもって内閣直属の公害対策本部を設置せられ、みずからその本部長となり、従来、各省ばらばらの公害行政を一元化し、迅速かつ強力な対策を進められ、今日まで着々実効をあげられてまいりました。しかしながら、現行の対策本部は各省より選抜されたエキスパートにより編成され、山中長官のもとに一致協力して職務遂行に当たっておられるのでありますが、現行制度では、各省それぞれ独自に公害データの収集、公害研究の実施及び行政法規の解釈が行なわれております。この際、より効率的に強力に推進するため、これらを統合した環境省を設けて、専任の大臣を置くべきであるとの行政機構整備に関する意見がありますが、総理の御所見を伺いたいのであります。
 次に、公害対策の問題点について山中総務長官にお尋ねいたします。長官は、昨秋御就任以来、公害対策に沖繩復帰準備と、現下の最重要問題をかかえて精力的に政務に取り組んでおられますことをまことに多とするものであります。今回、いわゆる公害国会が開かれるにあたり、十五件の公害関係法案が提出予定されております。個々の法案につきましては、それぞれ関係委員会において同僚議員より質疑が行なわれると存じますので、私は以下二、三の点についてお尋ねいたします。
 第一点は、公害対策基本法改正案についてでありますが、今回の改正により、企業優先との批判が強かった一条二項の「生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにする」の中から経済条項が削除せられたことであります。これは、とりもなおさず、国民の健康と生活環境の保全を一体のものとした公害対策の基本的転換を意味すると思うのであります。さらに、憲法二十五条の精神を取り入れて、「国民が健康で文化的な社会生活の確保に資することを目的とする」と、手直しをしておりますことは時宜を得たものと思うのでありますが、さらに、この際、生命尊重の基本的理念に基づき、人の健康の保護が何ものにも増して優先されるべき生活優先の明記が果たし得なかったことを遺憾に思うのであります。公害憲章的な基本法においては、基本姿勢として、何よりも国民生活の優先を当然に打ち出してしかるべきと思うのでありますが、今後の経済発展と公害防止との関係について御説明を願いたい。
 次に、公害防止事業にかかる事業者の費用負担に関する法律案について伺います。本法案は、基本法第二十二条の規定に基づき、公害防止事業について、事業者に費用を負担させる場合の負担対象の対象となる費用の範囲、負担事業者の範囲、負担額の算出方法を規定せんとするものでありまして、企業が公害防止についても協力する責任があることは当然であります。ここに、三年来の懸案でありました本法が提出される運びに至ったことは、適切な処置であると思うのであります。本法によれば、企業の負担割合は、事業により四分の一から全額までとなっており、一定の事業については、法定により、その割合を定められておりますが、その他については、政令により定めることになっておりますが、政令に委任する負担基準はいかなるものであるか、明示していただきたいのであります。
 次に伺いたいのは、公害防止に対する抜本対策であります。今回提出予定の十五の公害関係法案は、それぞれ今後の公害対策に有力な効果を及ぼすことは言うまでもないことでありますが、ひとり、法的措置のみではその実効は期しがたいと思うのであります。公害防止の長期的展望に立って、より科学的に、より人間的に、その抜本策を樹立すべきが現下の急務であろうと思うのであります。長官は、公害克服の抜本対策として、年次計画的な防止対策、社会資本の充実とマッチした公害対策、地方への大幅権限委譲、公害に対する財政並びに科学技術的な抜本的対策、行政機構の整備等について、どのような構想をもって対処されていかれようとしておるのか、その所信を承りたいのであります。
 次に、佐藤総理に、沖繩の復帰と、その振興のための対策についてお伺いいたしたいのであります。思えば昨年十一月二十六日、佐藤総理は、沖繩復帰について、ニクソン大統領との会談の大任を果たし、無事、羽田空港に帰着されたのでありますが、一九七二年の沖繩復帰は、すでに目前に近づいておるのであります。復帰準備の進捗状況は、どのように進展しておりましょうか。去る十九日には、第二十回目の日米協議委員会が開かれたと承知いたしますが、今後に残された諸問題並びに沖繩返還協定調印のめどについて、この際お伺いいたしたいのであります。
 次に、山中総務長官に、沖繩復帰のための施策についてお尋ねいたします。何と申しましても、四半世紀の間、米国の施政権下に置かれてきた沖繩は、本土に比較して、行政及び住民福祉の上に大きな格差のあることは申すまでもありません。政府においては、本土と沖繩との一体化施策を推進し、民生、医療、経済、社会、教育、文化等、各般にわたる格差を是正するとともに、さらに進んで基地依存経済の脱却と平和産業の育成振興を期する必要があると思うのであります。また、沖繩は鹿児島県からはるか一千キロ以上のかなたに位置する特殊性も十分考慮に入れて、真に物心ともに豊かな沖繩県を建設することが要諦であろうと思います。政府においては、去る二十日、沖繩復帰準備施策の第一次要綱を取りまとめられましたが、現地沖繩においては、この第一次要綱のうち、教育行政制度及び米価据え置きに対し異論があるやに報ぜられております。政府は、これらの問題に対し、今後琉球政府とどのように調整をはかり、沖繩県民感情に対処する所存でありましょうか。また、今回の第一次要綱に含まれなかった問題で、対米折衝の関係により、裁判制度や軍用地税等、重要問題が未解決のまま残されておりますが、これらの解決のめどについてもあわせてお伺いをいたします。
 最後に、来年度予算の編成の基本方針について大蔵大臣にお伺いいたします。恒例の予算編成のシーズンが到来いたしましたのでありますが、明年度の予算編成は、今国会の中心課題であります公害対策、さらには物価問題や道路、運輸をはじめとする公共投資などの社会生活環境の整備充実が急務とされておりますほか、食管、国鉄、健保など、いわゆる3K対策の解決も迫られております。その他、年々膨張を続ける財政需要に対し、いかにしてその財源調達をはかるかが大きな課題であろうと思うのであります。諸般の情勢から、四十六年度予算の年内編成は微妙な段階にありますが、来年度予算の財政規模はおよそどの程度のものとなりましょうか。自然増収の見通し、重要施策に対する財政措置及び税制改正にいかなる基本的方針をお持ちであるか、お伺いいたしたいのであります。
 また、今年度の人事院勧告に伴う給与改善費並びに米の買い入れ費用の増加分及び良質米奨励金の補正財政措置はいかにする所存でありますか、あわせてお伺いいたします。
 以上、四選後の総理の政治姿勢並びに外交、繊維、公害及び沖繩等の現下の重要課題に関する私の質問に対し、ここに国民の前にその所信並びに対策を明確に示されんことを望みまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 所信表明演説で申し述べましたとおり、最近における国民的課題は、物質的な豊かさを追求するにとどまらず、人間としてのよりよい生きがいを求めるところにあると考えます。私は、このような国民の動向に適切に対処することこそ政治の使命であり、責任であると思うのであります。二十五年以上に及ぶ平和維持と国民の英知、勤勉によって、われわれは確かに史上初めての繁栄を築き上げることができましたが、これからはさらに国民一人一人が自分なりの生きがいを見出し得る社会を築き上げなければならないのであります。私はこのような認識のもと、今後とも国民福祉の向上と世界の平和確保に一そう努力する決意でありますから、何とぞよろしくお願いをいたします。
 次に、中国問題はアジアにおける最大の問題であることは申すまでもありません。御承知のようにわが国は、国民政府を中国の正統政府と認め、日華条約を締結し、自来、国民政府との友好関係を維持してまいりました。しかしながら、一方において、北京政府が中国大陸を支配している事実は事実として認め、中国大陸との間に人の往来、貿易、文化の交流を促進してきたのであります。最近カナダ、イタリアが北京政府との国交を樹立いたしましたが、わが国にとって中華民国及び北京政府との関係は、これらの国々とは比較にならないほど複雑であります。両国のように、中国問題について簡明直截な政策を打ち出すことはできません。先ほど鶴園君にもお答えしたとおり、国際信義を守りつつ、あくまでも、わが国の国益と極東の緊張緩和に資するという観点から、慎重に対処する方針であります。しかしながら、政府としては、北京政府を敵視する意思は毛頭なく、このような真意を伝えるためにも、北京政府との政府間接触によって相互理解をはかりたいと念願している次第であります。
 対ソ善隣友好関係の維持発展は政府の一貫した政策であります。特に沖繩返還の目途がついた現在では、北方領土問題の解決を願う国民の気持ちは、従来にも増して強められております。政府としては、日ソ関係が今後真に安定した基盤の上に発展するためには、一刻も早く北方領土問題を解決して、日ソ間に平和条約を締結することが不可欠の要件であると考えております。遺憾ながら、今日までのところ、ソ連側は日本側の主張に耳を傾けるには至っておりませんが、政府としては忍耐強く努力を続けていく所存であります。
 次に、繊維問題につきましては、わが国は従来から米側に対しガットのルールに基づいて処理すべきことを主張し続けてまいりました。しかしながら、繊維問題を放置することは、日米関係にとっても世界の自由貿易体制の維持のためにも好ましくないので、大局的見地から、先般のニクソン米大統領との会談におきまして、合意に達することを目的として交渉を再開することで意見が一致したものであります。この合意に基づき、現在早期解決をはかるため交渉を行なっております。この交渉において、わがほうは被害のおそれを生ずる可能性の有無が問題になり得る余地のないような品目を除いて、しかも、グループごとに総括的な方式で、わが国の輸出が縮小しないような規制方式を探求して交渉に臨んでいる次第であります。この交渉の結果、国内的に何らかの被害が生ずる場合には、適当な救済措置を講ずる方針であります。
 次に、鹿島君から、今後の公害対策に取り組む基本的態度についてお尋ねがありました。その基本的方向につきましては、一昨日の所信表明演説におきまして申し述べたとおりであり、あらためて多くは申しません。私は、単なる公害のあと追いにとどまることなく、積極的に国民の生命や生活を守る観点から、前向きの姿勢でこの問題に取り組み、真に生きがいのある生活環境の確保に全力をあげてまいる決意であります。
 次に、環境省新設の御提案がありましたが、公害行政の一元化をはかるため、内閣に公害対策本部を新たに設置し、関係各省庁をあげて公害対策に取り組む体制を確立したところであります。すでに見るべき成果をあげつつあることは十分お認めいただけるものと自負しております。御提案の環境省の新設は将来の検討課題として、当面この体制を活用して、公害対策に万全を期してまいる所存であります。なお、専任大臣の設置につきましては、現在、国務大臣増員問題との関連で、これまた慎重に検討中であります。
 最後に、沖繩の祖国復帰問題につきましてお答えいたします。両国政府間で鋭意作業を進めておりますが、幸いにして順調に進捗しております。政府は復帰対策を進めるに際して、琉球政府、沖繩県民の意思を尊重し、施策に反映させていく考えであります。また、交渉妥結の見通しとか、協定調印の予定につきまして、何ぶん相手のあることでもありますから、一方的にきめるわけにはまいりませんが、政府の心づもりとしては、明年春から夏にかけて協定に調印の上、明年内に国会の承認手続を完了することを目標に諸般の準備を進めている次第であります。
 以上、私からお答えいたします。その他は担当大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕
○国務大臣(山中貞則君) 公害の問題に関しまして、国民生活の優先というものは何ものにもまさるものである。したがって、今回の公害基本法の改正において、第一条第二項の「経済の健全な発展との調和」条項の削除は一応は評価するけれども、さらに一歩前進して、経済発展と公害防止に関する規定というものを考えられなかったかという意味の御質問でございますが、実は、何ものにも優先することは、心がまえであり、政府の施政の根底であり、そうして、経済発展と比べて公害防止事業というものがどういう形で議論さるべきかは、法律で規定すべきことではなかろうと私は判断をいたしております。というのは、経済が極度に成長して、公害を今日の日本のように急速に生ぜしめるケースのときもあり、あるいは停滞し、デフレになり得るときもあるわけでありますから、それによって公害対策というものが左右されてはならない性質のものであろう。でありまするので、やはり今日の企業の生産過程というものが、大量生産の過程を踏む場合における、私たちの生活に不要なものが、必要なものを生むために排出をされることに対して、私たちの人類の英知を傾け、日本人の頭脳の英知を傾けて、それを有効に再生回収し、あるいは無害に処理するということにわれわれは義務があるのだという立場でもって進めてまいりたいと考えるわけでございます。
 費用負担法に関しまして、法定された一定の基準があるようであるが、さらに政令で定めるものもあるという話でありますが、今後政令で定めまするものは、今後予想されない事態等が伴いますことによって新たに事業等を起こさなければならないことが予想されまするので、それらの事業等を受けて、政令等で定められるよういたしていく予定のものでございまするが、しかし、現実には都道府県に大幅に権限を委譲いたしますので、都道府県に置かれる、今回の法改正によって「置くことができる」から必置制となりました地方公害対策審議会という場所において、それぞれの企業費用負担に関する専門の審議部会等をお設けいただくことにより、それぞれの地域に適した、しかもその公害の実態に応じた、そして企業のその公害との関連度合いに応じた負担が定められていくための目安を法律並びに政令で定めておるわけでございます。そのようなふうに御理解いただきたいと考えるわけでございます。
 さらに、地方委譲に伴って、財政上の問題その他の問題があるではないかというお話でありますが、これは当然でございますので、まあ地方も便乗して、公害関係の役人の人件費まで全部半額補助しろというようなことまで要求するような御意思もないようでありますから、私たちといたしましては、まず国が行なうべき財政上の措置、並びにそれを受けて地方自治体が行なわなければならない措置について、場合によってはいろいろの手段を講じつつ、次の通常国会において、予定される予算編成の中に国の財政上の処置並びに税制、金融等、ことに中小企業等にきめこまかい配慮を必要とするもの等を盛り込んだことを受けて法定し、そしてそれを公害対策の財政上の配慮として具体的に打ち出してまいりたいと考えておる次第でございます。なお、科学技術の研究等、あるいはこれについて今後どのような姿勢をとるかについては、現在、総理の手元において検討中でございますが、国立公害研究所を新しくどのような形で設けるか等についての検討と、さらに一歩進んで、地方に大幅に権限を委譲することに伴って、単に財政上だけの手当てをいたしましても、その能力等において、どうしても地方公務員の担当者の方々の、日進月歩する、あるいは千変万化する公害の態様、あるいはその対応策というものを、中央の研究機関が開発し、あるいは対応策等を打ち出しました場合に、直ちにそれが地方の担当官で現地に生かされていくことが必要でありますから、それらの研修センター等を設けてみるかということについて、いま検討中でございます。
 年次計画等の御指摘のようなことはもちろん必要でございますし、現在でも下水やあるいは屎尿、ごみ等の五カ年計画等がございますが、公害防止事業に伴う三地区については、すでに千葉、市原等を中心といたしまして、近く閣議決定をいたしますが、さらに引き続いて東京、大阪、神奈川等について、公害防止事業計画の決定を急いでおるところでございます。
 次に、沖繩の問題でございますが、復帰準備については総理からもお答えがございましたように、沖繩の意向を十分に反映させられるかどうかという問題ではなく、私たち自身の政府の心がまえとしても、本土一億の心がまえとしても、沖繩の方々のお気持ちに私たちがどこまでこたえられ得るのかどうかという問題を問われているものだというつもりで私はやっているつもりでございます。したがって、先般四十項目の第一次の要綱について、復帰に関する基本的なものを決定をいたしました。現地との間に最大限の意見の一致を見るべく、形式上も、あるいはお互いの実際上の話し合いの中でも、十分に努力を重ねてまいったつもりでありますが、しかし、遺憾ながら、御指摘の一、二の点、たとえば教育委員会の任命制の問題等について、あるいは生産者米価の問題等についての不一致点が残りましたことをたいへん残念に思っている次第でございます。
 第一の教育委員会の教育行政の問題につきましては、なるほど、私たち本土も沖繩もアメリカ側から同時に任命制という新しい制度というものを強要されて、六三三制で今日に至ったわけでありますが、本土においてはこれが公選制というもので出発いたしたわけでございますが、本土においては今日いろいろ議論はありましたけれども、任命制という制度に、日本としてはそのほうがよろしいということでとっておりますが、現地沖繩においても、出発は同時に公選制をもって出発いたしました。ところが、本土の県に該当する沖繩琉球政府の教育委員会の制度の段階において、現地側の御意向によって、米当局とのきびしい折衝の結果、米側の主席を任命する制度と同じように、中央の教育委員は任命しようといたしましたものについて、現地の沖繩の方々が必死な苦労をされて、それを公選に持ち込まれたという、本土とは違った経緯のあることを私も承知いたしているわけでございます。しかしながら、これを、何もものを申し上げないで、摩擦を避けるために、回避をして、事実を述べないでこのままただ黙って推移をいたしますと、両者意見が対立のまま復帰のある日のある時間を、午前零時を迎えることになります。そうすると、自動的に本土の制度がそのまま適用されて任命制に移るというのでは、あまりにもこれはわれわれとして出過ぎたことではなかろうか。だから、事前に十分に意思の表明と反映とをはかりたいと思ったのですが、意見の一致を見られなかったわけでございます。私たちが、なぜ、しからばこれを本土並みにしたいかというと、もっぱら私たちとしては、いわゆる義務教育の小中学校の制度の置かれるべき立場のあり方というものについて考えたわけでございまして、現在でも施政権の壁のもとで事実上の軍政下にありますけれども、本土の教科書を送って、そして沖繩の方々がかちえられた教育基本法で、日本人たるの教育が行なわれております。これは、私たちとしてたいへん喜ばしいことであり、感謝にたえないわけでありますが、しかし、復帰をいたしました後、沖繩県内のみが別な教育環境のもとに置かれることが義務教育の中でいいのであろうか。どちらがいい悪いの議論はさておいて、やはり義務教育に関する限りは、本土と同じ状態に、どこの県に転任をおとうさんがしたから、小中学校の生徒が移っても、同じ制度の中に置かるべきが至当なものであろう。もっぱら児童の立場から、義務教育の立場から考えたのでありまして、別段他意のないものでございます。したがって、これを感情的な議論等にしないで、なるべくこの考え方というものを、私たちは国民全体――沖繩県民、父兄を含む全体の県民の方々が、冷静に議論をしていただきたいと念願をしてやまないものであります。
 米価の問題については、もちろん食管法の本土並みということで、生産者米価というものも本土並みにしなさいという御要望のあることも了承をいたしておりました。現在、沖繩で九万トンの米の消費のうち一万トンが島内産であり、八万トンが輸入によって供給されており、そのうち、ことしからわれわれ本土米が三万トン現地に届いたことは各位御承知のとおりでございます。ところが、その一万トンも、昭和三十年代の半ばにおいては三万二千トン、キビ等の価格補償等があまりうまくいかなかった時代においては、米のみでそれだけの生産量を示した実績も持っておるわけでございまして、それらの点を考えますと、沖繩が今後農業の立場からどのような立場をとることが一番いいのであろうか。それは、一番南に占める有利な地位、すなわち暖地営農というものの確立にあるであろうと考えますと、やはり今日、キビとパインというものの占める大きな比重から考えまして、どうしてもキビ、パインを主軸とする、沖繩の立地条件を生かした、本土が追いつけない、まねできない、そういう条件のもとに有利な態勢をつくっていくことに御協力申し上げるほうがいいのではないかと考えまして、あのような生産者米価というものに対する――消費者米価は当然の、生活のための必需品として据え置く制度をとりましたけれども、生産者米価を据え置くかわりに、そのかわり、キビ、パイン等の基幹作目に転換される場合は、本土の一般の現在の休耕奨励等でいわれておりまする性格と、金額と異なったものでもって、これを沖繩の農村の方々に誘導政策をとりたい。そうしてキビとパインとを基幹として沖繩の発展がはかられるように農業的な配慮をしたいという考えでございます。
 以上を御説明申し上げておきたいと考えるわけでありますが、あと裁判制度の問題や軍用地の問題、あるいは御指摘になりませんでした資産引き継ぎ等の問題は、それぞれ外務、防衛、大蔵等を中心に折衝しておられますけれども、総理御答弁のごとく、一定の時期を目ざして返還協定の作業は順調に進んでおると申し上げることができるかと考えます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 四十六年度予算でございますが、目下鋭意編成の過程でございます。したがいまして、具体的なお答えができないのでありますが、私のただいまの気持ちといたしましては、編成の方針としては、この予算が、非常に機微な経済情勢に対しまして正しく作用する。つまり、いま景気調整政策をとりまして、これが定着しようとしております。そういうことを考えますときに、来年の予算が、またこの予算の関係で過熱がぶり返すというようなことになっては相ならぬ。その辺をひとつ気をつけなきゃならぬ。同時に、逆にいまの調整政策がきき過ぎまして、沈滞がまた過度に、大不況につながるというようなことになっても困る。その辺を十分に配慮しなければならない、かようにいま考えておるのであります。と同時に、いま御指摘のように難問山積でございます。あるいは社会資本も充実しなければならない、あるいは物価の問題、公害の問題、それらに取り組まなければならない、そういうことを考えますと、それらの需要に対して、財政がその与えられた任務を尽くさなきゃならない、こういう立場にもあるわけでございます。したがいまして、ただいま、来年の予算のワクはどうなるかというようなことでございまするが、まあ経済の成長、これがどの程度のものに落ちつくか、名目成長率、これをどこまでも見守っていかなきゃなりませんけれども、現実の問題とすると、多少それを上回るところに落ちつけたいし、また、落ちつくことになるであろうと、かように見ております。
 次に、税の自然増収はどんなものかということでございますが、これは一に、来年の経済の見通しがどうなるかによってきまります。ただ、申し上げ得ることは、鎮静化が進むわけです、そうしますと、ことしのように非常に上半期において好況を呈した、そういう際の自然増収、これとちょっと様相が変わってくるんじゃないか。つまり、自然増収はかなりあるとは見られまするけれども、その伸び率が鈍化するのではあるまいか、さように見ておるのであります。
 それから、そういう情勢に対して税制をどうするかというお話でございますが、これはただいま税制調査会にはかりまして鋭意慎重な検討が進められております。ことし――四十五年度にはかなり大幅な所得税減税を行なったわけでありますが、まあそういう大幅減税のあとだから所得税減税は一休みしたらどうだという意見もあります。しかし、私は所得税減税はこれを続けたいと思っています。その続ける幅等につきましては、これからまあ固めなきゃなりませんけれども、少なくとも、物価が変動するというようなことに対する適応、これは税制においてもそれをぜひ実現しなければならない、かようにいま考えておるのであります。
 その他、自動車関係の課税の問題、物品税、入場税等をどうするかとか、あるいは輸出振興特別措置、これをどうするか、交際費課税をどうするか、それらがただいま私の検討事項になっております。
 次に、昭和四十五年度予算につきまして、補正予算を組むのか、組まないのか、そういうお話でございますが、お話しのように、給与費が予定したよりは千二百億以上の増加を必要といたします。そのほかに米の買い入れが予定よりもかなりふえる見通しでございます。そういうことを考えますと、財政需要が、かなりこれは予算が、編成後の事情によりましてふえてくる、それに対する財源が一体どうなんだというと、はなはだ心細い状態でありまして、予備費が三百億余りしか残っておりません。それにいま既定予算の整理、節約を励行いたしておるのでありまするけれども、それでどのくらい調達できますか、そういうことを考えますと、私は四十五年度は総合予算主義にのっとりまして増ワク補正はやらないということを旨としてやってきたのでありまするけれども、今日この時点で展望いたしますと、どうもこれじゃ済みそうもない、どうも補正、増ワク補正の案も御提案申し上げなければならぬじゃないかなあというふうに、心細くなってきておるというのが今日の状況でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 原田立君。
   〔原田立君登壇、拍手〕
○原田立君 私は、公明党を代表して、総理の施政方針演説に対し、若干の質問を行なうものであります。
 かつて、総理は、児童手当を実施するとか、政治資金規正法の改正をするとか、物価を必ず安定させるとか、住宅難を解消するとか、所得減税を大幅に実施するとか、いろいろと国民に公約しているが、いまだ実施に至っていない。しかも、さきの総理演説においても、「福祉なくして成長なし」と言っておりますが、もはや国民はこうした単なることばの積み重ねを求めているときではないと思うのであります。今日ほど総理のリーダーシップを問われるときはございません。いろいろな意見はあろうが、総理がたびたび公約もし、また、国民のひとしく求めていることは、総理のことばをかりて言えば、断固蛮勇をふるって実行すべきであると思うのであります。児童手当はいつ実施するのか、政治資金規正法はいつ提案するのか、総理の決意を伺いたいのであります。
 第二に、公害問題についてお伺いいたします。二十一世紀を目前にし、わが国は驚異的な高度経済成長を遂げたのでありますが、その政策の根本的欠陥は、人間生命軽視となり、いまや公害という国民の生存さえ脅かす重大問題となってきております。このような実情では、GNPが自由世界第二位になったから国民は自信を持つべきだと総理が声を大にして叫んでみても、もう国民はだれも信用するわけにはまいりません。政府が企業保護という政治姿勢を根本的に改めない限り、必ずや第二、第三の水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくなどの悲惨な被害者を出すことは目に見えております。総理は、自分の目で公害に苦しむ人々のその実情を実際にごらんになり、そして、イタイイタイ病の激痛に泣く幾多の被害者の悲惨なまでの訴えを御自分の耳で直接聞かれたことがありますか。公明党は、いままで、あらゆる地方の公害総点検をいたしてまいりました。その結果、東京湾、大阪湾、伊勢湾、瀬戸内海、洞海湾等、もはや死の海と化し、有害なシアン、カドミウム、水銀等が検出されております。総理、総理のひざ元の岩国市の沖、また瀬戸内海においても、パルプ工場からの排水により、まっ黒いヘドロが四メートル以上も海底に広くたまり、一方、赤潮現象に伴う酸素不足のため大量の魚の死滅が相次いでいるのであります。すでに瀬戸内海全面積の六分の一は魚の生存不可能となり、死の海となることは、目前の問題となっております。また、私も今年の九月、北九州の洞海湾汚染調査に行ってまいりました。総理、そこで驚くべき事実を発見してきたのであります。それは、一番奥の奥洞海という位置で、茶色にきたなくなった海水をガラスの水槽にくみ上げて、魚には気の毒でありますが、生体実験を船の上で行ないました。キス二匹、アジ二匹を入れた。十秒、二十秒――一分十秒ぐらいで、白い腹をポカリと上に向けて浮いてしまった。はて、これで死んでしまったのかと思って見ていると、二分十秒ぐらいたったら、断末魔のあがきとでもいうか、水槽の中をぐるぐると死にもの狂いで泳ぎめぐり、そして、三分たったら、ぴたっととまって死んでしまいました。魚の住めない死の海の実態であります。
 わが公明党は、人間生命の尊重という最も大切な原点に戻り、単なる政策のための政策でない、大衆福祉をめざす抜本的な対策を講ずるよう強く主張するものであります。今日までの政府の公害対策は事務的な、しかも場当たり的な施策に終始してきましたが、今後は人間尊重、環境保全の立場から事前防止対策を総合的、計画的に行なわなければならないと考えるのであります。その意味において、国民の健康と福祉の保持が経済上の利益の追求に優先するという趣旨を公害対策基本法に明確にすべきではないかと考えるのでありますが、総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、具体的な問題として企業の無過失責任制度について伺いたい。この点については、現在の公害対策基本法制定当時からたびたび論議され、附帯決議にも責任制度の立法を検討することの趣旨が盛り込まれ、国民は一日千秋の思いで政府の勇断を待ったわけでありますが、基本法の制定からはや三年、いまだ実現を見ないばかりでなく、いわゆる公害国会として国民から強く期待された今国会でさえ提出が見送られたのであります。政府は、その理由として、対象の物質が多過ぎて特定しにくく、いまの民法の原則からいって特別立法には問題があると説明しておりますが、要するに、経済界からの強い圧力に屈服したとしか考えられないのであります。しかも、民法制定当時には予想をもし得なかった公害がわれわれ人類を危機にさらし、現実にイタイイタイ病、水俣病をはじめとする悲惨な死者を出す社会的変動が起きているのに、法律の思想は変えられないという理由をたてに、企業をかばう神経は、あの水俣病の場合を例にとってみても、一昨年秋、原因は日本窒素の工場排水にあるという理由で公害病として国が認定したにもかかわらず、会社側は、第一に因果関係はわからないと言ったり、また第二に過失はないという主張に終始し、御承知の水俣裁判の経過をたどっているのであります。被害者をして、何の力もない、科学的知識もないわれわれに、国は素手で企業と戦えというのかとさえ言わしめている実情を総理はどのように考えられるのか。総理は、きのうの衆議院本会議で、次期国会に実現へ一歩進めると答弁しておりますが、因果関係の明確なカドミウムや水銀に限らず、幅広く食品公害等も対象に加えるべきだと考えますが、総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、公害罪の運用について基本的な所見を伺いたい。政府案においては、法人はもとより、その法人の責任的立場にある個人に対しても罰則を適用するという、いわゆる両罰主義をとっていることと、また公害発生の因果関係についても推定で立証できる規定が設けられるとのことがありますが、しかし実際の運用と、その効果面においては多くの疑問と危惧を抱くのであります。実際には公害罪適用のケースがあるのかどうか疑問視されるのであります。また、大企業、中小企業とを比較した場合、大企業は資力もあり、反証の能力もあるので、罪の適用を免れる可能性が考えられるが、それに対して資力もない小規模零細企業のみ罰せられ、弱い者いじめになるのではないかと思われるのでありますが、この点、総務長官の所見を伺いたいのであります。
 次に、処罰の対象として人間の健康に関する公害に限定しているが、今日における公害の実情から見て、生活環境、財産権が侵害の対象とならないのは時代おくれの感がするのであります。この点どう考えておられるのか。また、実際の公害罪の適用に伴う体制として、現行の検察官、裁判官の人員の増加、それに伴う予算の問題に対して総理の所見を伺いたいのであります。
 次に、公害防止のための工場立地規制についてであります。現在の公害関係法の規制のたてまえは、四日市における第三コンビナートの例のごとく、公害のひどい地域においてすら何ら企業の立地規制をすることなくして、改善命令とか特別排水基準の方法で間接的に押えているのみという現状であります。このような方法では環境基準の順守どころではなく、ますます環境悪化を招きかねないのであります。今日の公害の深刻化の状況を見ると、このような中途はんぱな方法では汚染絶滅は決して望めないのであります。そこでお尋ねしたいのは、特に公害のひどい地域においては、新規の工場設置は認めないという工場立地規制法のような法的措置を講ずるべきであると考えるが、総理大臣、通産大臣の所見をお伺いしたいのであります。また、それに伴って、操業停止ができるように制度を開くべきではないかと思いますが、あわせて所見を伺いたいのであります。
 さらに、政府は、長年の弊害であった公害行政の一元化を目ざすと再三釈明されてきたのでありますが、最近聞くところによれば、従来の中央公害対策本部とあわせて新たに研修センターの設置のみにとどめるということであります。このような政府の姿勢の後退は、ここまで公害が深刻化し、その対策が叫ばれている今日、国民福祉を無視した行政としか受け取れないのであります。国民が望んでいることは、現在の中央公害対策本部のような公害防止のための調査、調整機関ではなく、公害排除のための実行機関の設置なのであります。また、臨時的な設置によってその場のがれをするのではなく、恒久的に国民の健康と環境を守るところのものでなくてはならないと思うのであります。そのためには、各省庁に分散している行政を円滑に推進し得る一元的な行政改革が必要であり、その総合機関としての環境保全省の設置を提案するものであります。
 総理は、きのうの衆議院本会議で、中央公害対策本部の現体制で、すでに見るべき成果をあげていると答弁しておられますが、はたして今日の複雑な公害対策が、現在の行政組織で万全を期することができるのか、重ねて環境保全省の設置についての、総理大臣、総務長官の御見解をお尋ねいたします。
 次に、公害防止のための中小企業への助成についてであります。産業公害に対して、その防除費用は企業負担の原則にのっとり、すみやかに実施すべきであることは当然のことであります。ただ、きびしい企業負担を課する場合、中小企業をどうするかが大きな問題であります。現行の中小企業近代化資金などの制度は、いずれも貸し付け条件の認定がきびしく、利用できないといった事態が起きております。特にメッキ工場などにおいては、その約七〇%が負担能力のない零細企業であります。したがって、政府の考えている公害防止事業団の融資ワクの拡大、融資条件の緩和だけでは、その対策は実のないものになってしまうおそれさえあるのです。問題の解決にならないことは明白であります。そこで、中小企業に対しては、思い切った低利融資制度、政府による防除施設機械のリース制度の確立、また工場団地の建設、移転に伴うところの助成金、防止施設を設置した中小企業への減税等、どのように考慮されているのか、お答え願いたい。
 次に、今後の問題として、自動車の排気ガスあるいは遠隔地の工場からの汚染によるところの公害補償についてであります。山中総務長官は、これらの公害による健康あるいは生活環境に対する被害については何ら補償はできないと言明しているのでありますが、このような発生源が明らかでない、いわゆる複合汚染問題について何らかの救済措置を講ずることが必要であると思うのでありますが、総理の見解をお聞きしたいのであります。
 次に、国際協力による公害防止の、わが国の姿勢に関してであります。一九七二年にストックホルムにおける国際会議で、国際的な公害対策が協議されることになっております。この会議では、国際条約の制定、国際的規制、技術開発援助の問題が検討されると聞いておりますが、人類繁栄か、あるいは滅亡かのかぎを握っているこの公害問題に関して、公害列島といわれる日本こそが積極的に世界各国に国際協力を提唱していくべきであり、またその中で日本は具体的にはどのような役割りを果たしていくべきか、総理の所見を伺いたいのであります。
 第三に、物価問題についてであります。総理もよく御承知のとおり、消費者物価がこの秋に入り急激に上昇し、九月の全国消費者物価指数は、昨年九月と比較して七・四%と大幅に上昇し、さらに十月には九%の大台をこすものと見られるに至っているのであります。この結果、年度末まで横ばいで推移したとしても、年度間平均上昇率は政府見通しの四・八%をはるかに上回り、七%にもなろうという異常な事態になっております。しかも、その値上げの中心が、生活に密接な関係のある食料品や雑貨ということから、毎日の国民生活は極度の圧迫を受け、破綻に瀕していると申しても過言ではないのであります。
 私が国民にかわってお伺いしたいことは、物価安定に本気で取り組む気があるのかということであります。国民は正直に申して、総理の物価安定に総力をあげて取り組むとか、物価対策を強力に推進するという演説は、この六年間聞き飽きたというのが本心であろうと思うのであります。そういう政府に対する国民の不信感を一掃させるためには、総理の勇断で物価安定のための対策を具体的に実行し、その効果を国民の前に実証として示す以外にはないものと確信いたします。そこで、まず当面の緊急課題として、生鮮食料品に対する具体策についてであります。この生鮮食料品に対する対策は、数年前から種々検討され、対策も立てられているわけでありますが、具体的には全然実行されていないのであります。そのため、ことしの一月から三月にかけての暴騰に続いて、現在また値上がりしている現状であります。総理は施政方針演説の中で、生産対策の強化、流通機構の改革を強力に推進すると述べているが、総理は手はじめに、何を、いつから実行に移す気か、お伺いしたいのであります。
 次に、独禁法の運用の強化についてであります。現在の異常な物価高を解決するためには、財政金融の面からや、個別の対策も当然必要でありますが、公正かつ自由な競争による物価水準の安定こそ、いま一番求められている対策であろうと思うのであります。先般、わが党が実施したところの物価総点検の調査内容を見ましても、カルテル類似行為や再販行為に類似するもの、暗黙の協調によるもの等々で値段が操作されており、自由競争の原理が全然働いていないということを明白に実証しているのであります。しかも政府は、それに対して手をこまねいて、何らすることなしという実情であります。現にあのお酒のさみだれ値上げや、管理価格の疑いのあるビールの値上げ、また先日の公正取引委員会の調査で明らかになった家庭電気製品の二重価格の実態など、その氷山の一角ではありますが、国民の前にその姿をあらわしているではありませんか。もし、このままに自由な競争が失われた状態でいけば、絶えざる物価高騰による国民生活の破壊はもちろんのこと、経済の合理性が失われ、資源の不均衡な配分を通じて、日本経済を破滅に導くものと思うのであります。物価安定のためには、持続的な成長のためにも、これら大企業の独善的な総管理価格ともいうべき現状を監視し、その規制を強化しなければなりません。同時に根本的には独禁法の運用を強化し、その実施機関である公取委の体制充実を当然実行すべきであると考えますが、総理の所見を伺いたいのであります。
 次に、公共料金についてであります。政府は、公共料金抑制と言いながら、年々引き上げております。消費者米価は昨年とことしは据え置きとなっているものの、四十年から毎年値上げされ、国鉄運賃は四十一年と四十四年、定期券に関しては四十三年にも行なわれ、郵便料金は四十一年に現行料金に値上げされ、その他四十三年のたばこ、私鉄は四十一年と、佐藤内閣の歴史は公共料金値上げの歴史ともいえるのであります。しかも、本年に入ってからも、タクシー料金、通運料金、国道貨物運賃、医療費、そして私鉄運賃と値上げが続き、公共料金は極力抑制するという総理の方針は完全にほごにされていると思うのであります。これら公共料金の値上げの国民に対する影響は申すまでもありません。したがって、政府は、ほんとうに物価の安定を実現しようとするならば、まず率先して、郵便料金等の公共料金を据え置く原則を貫くべきであろうと思うが、総理のお考えをお伺いしたいのであります。また、安易な料金値上げを防止し、適正な料金を決定するためにも、公共料金政策を確立するとともに、その料金決定は、現在の各種審議会などでばらばらに決定を見ているのを改め、一本化し、たとえば、公共料金裁定委員会ともいうべき厳正中立な裁定機関を設けて検討、決定すべきであると考えますが、この点について、総理の所見を伺いたいのであります。
 第四に、沖繩の問題についてであります。まず、私は沖繩の祖国復帰に先がけて、すでに国政参加の選挙が行なわれ、本院にも沖繩選出の二名の議員を迎えたことはきわめて意義深いことであり、大きな喜びとするところであります。さて、わが党は沖繩の復帰に備え、数次にわたり沖繩に調査団を派遣し、沖繩県をすみずみまで回り、県民の皆さんと話し合ってまいりました。その結果によれば、道路、港湾、交通、通信、放送、学校、厚生施設、住宅、環境衛生、国土保全等の社会資本の充実がはるかに立ちおくれ、特に医療体制の不備、サトウキビ、パイン農家の低収入等、大きな格差があります。一方、祖国復帰に伴う物価上昇の問題等の不安も大きく、また、戦争末期に飛行場の建設のため日本軍により接収された土地の問題、戦後、米軍に接収された軍用地の問題、米軍による人身被害の補償の問題等、未解決の問題が山積みしているのであります。私は、これら山積する諸問題を解決し、本土とのあらゆる格差を是正し、平和で豊かな沖繩県を建設してこそ、真の祖国復帰といえるものと思うのであります。そしてこのことは、戦時中、そして戦後と、大きな犠牲を払ってきた沖繩県民の皆さんに対する、日本政府のなさねばならぬ大きな義務と思うものであります。
 そこで次の数点について、総理並びに総務長官にお考えをお聞きしたい。
 現在の米軍基地依存経済を脱却し、平和で豊かな沖繩県の建設には、まず立ちおくれた社会資本の充実が何としても必要であります。昭和四十五年五月、経済企画庁発表の新経済社会発展計画によると、日本本土における公共投資の総額は、昭和四十五年より五十年の六年間に五十五兆円に達すると見込まれております。本土と比較して、沖繩の社会資本のおくれのあることを考えるならば、せめて、この五十五兆円の一%の五千億円くらいの公共投資は、少なくとも昭和四十七年、本土復帰までの二年間に行なうべきと思うのでありますが、お考えをお聞きしたい。
 次に、沖繩県民の民生安定こそ急務であります。さきに述べた医療体制の強化、物価の安定、社会保障の充実、産業の振興等、本土政府の強力な援助なくしては実行不可能であります。政府はあくまで沖繩県民の意思を尊重しつつ、強力な援助をすべきであると思うが、そのお考えをお聞きしたい。
 次に、軍用地の問題、米軍による人身被害の補償の問題等、米施政権下の琉球政府の未解決の諸問題も、あくまで日本政府の責任のもとに、県民に納得のいく解決をすべきと思うが、そのお考えをお伺いしたい。
 第五に、日米繊維交渉の問題についてであります。佐藤総理は、日米間の誤解と不信は解けたと思うと、日米首脳会談を終えたあとで満足げに語ったと伝えられております。私は、このたびの佐藤総理の訪米によって日米間の誤解と不信は解けたというよりも、むしろ外交上の不手ぎわを国内繊維業者にかぶせたと見るほうが妥当であろうと思うのであります。さて、今回の繊維問題は、米国が自国産業のみを保護するための措置であり、まさしく自由貿易に逆行するものであります。また、かつての綿製品協定の失敗という苦い経験にもかかわらず、このたびの繊維交渉にあたって、貿易量の減少を政府補償で償えばよいとするような安易な交渉態度であっては断じてならないと思うのであります。また、この問題はひとり日米間だけの問題ではなく、他の輸出国、他の輸入国にも波及するものであり、国際的にも十分是認される形で解決されなければならないのであります。ところが、佐藤総理は、互譲の精神という美名をたてにデッド・ラインを密約するという重大な誤りをおかしているのであります。デッド・ラインを密約することにより、総理の言うように日米間の誤解と不信は解けたと考え、日米間の経済的摩擦の拡大を回避し得たとするならば、全くもって業界無視の政治交渉としか思えてならないのであります。日米経済戦争とまでいわれつつある繊維交渉に、降服を意味するデッド・ラインを何ゆえに密約しなければならなかったのか、総理の考えを伺いたいのであります。
 次に、総理は、繊維問題が政治問題に発展しそうだが、経済面から見るとアメリカの要求は理にかなったものとは思わないと、暗に不合理の繊維交渉を認めているのであります。おりから、テレビの関税評価差しとめ措置をはじめ、チューナー、金属洋食器、板ガラスなどダンピング問題が相次いで起こり、日米間の貿易関係に暗雲ただならざるものが生じてきたのであります。いずれにしても、このたびの繊維問題の本質は、日米友好関係の維持増進があくまで必要であるとの政治的立場と、何よりもガットの精神を第一とする経済的立場との相克であります。ところが、佐藤総理とニクソン大統領の会談で、合意のための政府交渉の再開がきまったときから、すでに予想されていたとおり、最近に至って政府は、業界の同意を得ない妥協案を持って政府間交渉に入る見切り発車を実施したことは、国民の論議の結果である国会決議の無視もはなはだしいものがあります。このことは、佐藤総理の議会制民主主義を踏みにじる重大な誤りであると思うのでありますが、総理はこの責任をどのように感じられているのか伺いたいのであります。
 次に、日米繊維交渉のもつれによる繊維業界へのひずみの影響についてであります。いまや繊維産業は金融引き締めのあおりをまともに受け、また、じわじわと浸透してきた不況の波を一挙にかぶり、加えて、対米繊維自主規制というダブルパンチに見舞われているのであります。その上、日米繊維交渉の手詰まりによって、見切り発車という政府の業界無視の一方的譲歩に対して、繊維業界の間ではますます怒りと不信の声がつのっているのであります。わが党の繊維問題調査団が、繊維織物の産地に参りましたときにも、現地の業者は、佐藤総理は、繊維業界の人々を殺してまでニクソンとの約束だけを守ろうとしている、なぜ日本の繊維産業が発展するように外交を展開しないのか、政府は常に中小企業、零細企業に犠牲になれというのと同じだとの、政府の弱腰を責める誤気は、さらに激しさを増しているのであります。したがって、加工賃の低下あるいは製品の滞貨による中小零細業者の打撃は深刻の度を加えております。政府は、これら撚糸、織物、染色をはじめ、二次加工業者に対して特別融資ワクを設け、並びに税制の特別措置を講ずべきであると思うが、総理の所見を伺いたいのであります。
 最後に、中国問題についてお伺いいたします。さきの国連総会においても、中国問題が最大の課題となったように、七〇年代初頭の多極化した国際社会においては、中国問題を抜いての外交課題はあり得ないと思うのであります。総理は、去る五月八日の衆議院外務委員会において、大使級会談、外相級会談等をやることについてやぶさかでない、また同じ委員会で、気象、郵便、航空といった身近なものから手をつける前向きの姿勢をこの機会に明らかにしたいと述べておりますが、この言明に対し総理は今日までどのような努力をしてきたのか明らかにしていただきたいのであります。また、今年二月、ニクソン米大統領は、外交教書の中で、中国は国際社会から孤立していてはならない。中国の尽力なしには安定した国際秩序はあり得ないと述べているのであります。総理は昨年の総選挙でも、中国問題に前向きに取り組むことを再度国民に約束したにもかかわらず、今回の国連総会では、首相演説においても、外相演説においても、この重要な問題に触れなかったのはどういう理由であるのか、総理並びに外務大臣の所見を伺いたいのであります。
 総理は、この演説後の記者会見において、中国の国連加盟問題は次元が低いと言われたと伝えられておりますが、この総理の低次元の認識は、中国などの国連未加盟国の加盟が国連の最も重要かつ緊急な課題であるとするウ・タント国連事務総長などの認識と大きな違いがあると思うのであります。総理は、中国の国連加盟問題が低次元の問題だといまでも考えられているのか、御所見を伺いたい。
 また、ことしの国連総会で多数の国が日本を非難している演説に注目をすべきだと思うのであります。カナダ、イタリアの中国承認に続く各国の動き、代表権問題のアルバニア決議案の表決の結果から見て、日米両国の中国敵視政策は、みずから孤立化を招こうとしております。政府はこの際、これまでの中国政策に見られるような対米追従外交をやめて、自主独立外交を強力に推進すべきだと思うのであります。日本が世界平和へのリーダーシップをとるというのであれば、来年以降の国連総会において、重要事項指定方式の共同提案国をおりるのはもとより、中国を締め出すためのいかなる決議案の提案もなすべきでないことは当然であり、さらに一歩進めて、わが党のかねてからの主張のとおり、中華人民共和国の即時承認、国交正常化、国連加盟を推進すべきであると思いますが、総理の御所見をお伺いしたいのであります。
 以上、簡単に質問いたしましたが、全国民に誠意ある答弁をなさることを希望し、私の質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 原田君にお答えをいたします。
 まず、公約を守れという見地から、私の政治姿勢について御叱正がありました。公約は極力実現をはかる、また、そのため最善の努力を払うべきことはあらためて申すまでもないことであります。具体的に御叱正をいただきました政治資金規正法の改正の問題でありますが、これはぜひ実現すべきものと考えております。これにはまず国会の御賛同が必要であり、特に過去三回、国会に提案したにかかわらず、いずれも廃案となった経緯にかんがみ、実現可能な成案を得べく慎重に検討中であります。
 また、児童手当につきましては、来年度予算の課題として、目下、関係者の間で具体案が協議されている段階であり、近く成案が得られる見込みであります。
 次に、公害問題についてお答えをいたします。まず、国民生活優先を明らかにせよとの御提案でありましたが、今回、公害基本法第一条を改正して、国民が健康で文化的な生活を確保する上において公害の防止がきわめて重要である旨を冒頭に加えたのも、まさにその趣旨に出でたものであります。
 次に、無過失責任の問題でありますが、これは、故意または過失による責任を大原則とする民法の例外となるものであり、法理論上種々むつかしい問題がありますので、今回の国会までに結論を得ることは残念ながらできませんでしたが、公害による被害者の救済を容易にすることは当面の緊急課題であり、今後引き続き無過失責任制の導入につき検討を進め、早急に結論を得たいと考えております。
 公害罪は弱い者いじめという、この点については山中君からお答えをいたします。
 また、その処罰対象を拡大せよとの御意見でありましたが、公害の防止は、まずもって強力な行政諸施策の実施によるべきものであって、現在公害とされているもののすべてに刑罰をもって臨むことは適当でないものと考えます。
 次に、企業立地の制限につきましては、すでに首都圏、近畿圏におきまして企業立地の制限を行なっておりますが、さらに、公害規制立法において、過密地帯における新規立地には、既存施設よりきびしい基準を適用することにより、過密化の進行を防止することを考えております。
 環境保全省の設置につきましては、さきに自民党の鹿島君にお答えしたとおりでありますので、省略させていただきます。
 次に、中小企業の公害対策につきましては、必要な資金援助、技術指導につき十分留意してまいります。自動車の排気ガスに基因する複合汚染、光化学スモッグなどによって健康被害の救済を必要とするような事態におちいらないようにすることが現在の課題であると考え、今国会に、所要の対策を織り込んだ大気汚染防止法、道路交通法等の改正案を提出し、御審議を願うこととしているのでありますが、今後被害が発生し、被害救済措置が必要と認められるときは所要の対策を考えてまいりたいと考えます。十分御審議のほどをお願いいたします。
 最後に、わが国が公害に関する国際協力に積極的に寄与すべきだという原田君の御意見は全く同感であり、私は、さきの国連総会における演説におきましても、率先これを表明したところであります。この点については、わが国に寄せられる期待もまた大きいのであります。なお、日米間におきましては、すでに、公害に関する日米会議を開催し、情報の交換、公害防止に関する研究の推進をはかることとしている事実を、念のため申し添えておきます。
 次に、物価問題について、まず、生鮮食品の値上がり対策につきお尋ねがありました。初めに、何をいつからという、たいへんきびしい具体的なお尋ねをいただいたのでありますが、打つべき手段は適時適切に今日講じていく機動的な姿勢で対策を進めてまいる所存であります。
 また、独禁法の厳正な運用と、公正な取引委員会の体制の樹立につきましては、政府は従来より十分に配意してまいりましたが、今後もこの方針をさらに積極的に推進してまいる考えであります。
 公共料金につきましては、さきに社会党の鶴園君にお答えしたとおりでありますが、最近の物価情勢にかんがみ、さらに慎重に検討してまいる所存であります。なお、公共料金に関連して、中立の裁決機関を設けよとの御提案がありましたが、経済企画庁との協議、物価対策閣僚協議会への付議等、現行の手続で御質問の趣旨を十分達成しているものと考えますし、そのような裁決機関が円滑に動くかどうか、これも疑問でありますので、御提案は御意見として伺い、なお、私もさらに研究してみる、こういうことにいたしたいと思います。
 沖繩の社会資本を可及的すみやかに充実しなければならないことは、原田君御指摘のとおりであります。政府は目下、沖繩の経済社会の振興をはかるための基本法的なものを鋭意準備中であり、これに基づいて所要の復興計画を立てる考えであります。
 繊維問題についてお話をいたします。私とニクソン米大統領との会談で、合意に達することを目的として、日米繊維交渉を再開することについて意見が一致したのは、密約ではございません。昨日から再三申し上げておりますので、もはや誤解はないものと考えます。また、貿易上の交渉においては、互恵互譲の精神で問題の解決をはかるのは当然であります。問題の本質を見間違えないようにしていただきたいと思います。日米繊維問題は目下、鋭意交渉中でありますから、どのような形でまとまるか、そして、その結果、国内的にどのような影響が出るかにつきましては、しさいに申し上げる段階ではありませんが、かりに、これによりまして被害が生ずるような場合には、私は、政府は適切な措置を講ずるのが当然だと考えております。また、政府は、国会決議の趣旨は十分に尊重し、関係業界の理解と協力を得る方向で妥結すべく、努力に努力を重ねている次第であります。
 最後に、中国問題についてお答えをいたします。中国との接触交流につきましては、わが方の門戸を開放しつつ、北京政府の反応を注目しておりますが、いままでのところ、何ら具体的な進展はありません。しかしながら、北京政府との間に、たとえば大使級会談のような政府間接触の道が開ければ、そのこと自体、相互の誤解を解き、不信感をなくすことに大いに役立つことでありますから、引き続き努力する考えであります。国連総会においては、分裂国家問題を中心として、アジアの緊張緩和について、わが国の考え方を明らかにしてまいりましたが、言うまでもなく、中国問題は、二つの政権が中国の主権を主張しているという事実が、問題の解決を妨げている基本、根本的な障害の一つでありますから、政府としては、この問題と正面から取り組んだものであります。中国問題に対処するにあたって最も必要なことは、いかにして、わが国が国際的な信義にもとらず、国益を守り、アジアの緊張緩和に貢献するかということであります。したがって、今後の国連対策におきましても、まず、このような基本的認識に基づき、わが国として最も妥当な方針が打ち出されなければなりません。国際情勢の推移を見守りながら、柔軟かつ慎重に検討する考えであります。
 以上、私からお答えいたしましたが、これは必ずしもお尋ねを具体的にそれぞれ答えたものとも私も思いません。以上で本来の政府の考え方を御理解いただきたいと思います。
 なお、また、その他の点については、総務長官からお答えする点もあろうかと思います。(拍手)
   〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕
○国務大臣(山中貞則君) 公害問題についても山中、答えろということでございますので、公害罪の内容の問題は別にいたしまして、そのでき上がります予定の法案の運用にあたって、中小零細企業というほうがいじめられるほうに回って大企業その他はのがれることになるのではないかという御意見がございました。私どもも先般メッキ関係の中小企業の方々がお集まりになって、そして、カドミウム・メッキはもうやめるという申し合わせをされた事実等は、決して見のがすことのできないことでありますし、政府内のいまの検討の段階では、公害罪の前提として、これから御審議を願います各種規制法の中で定められた排出規制その他の基準を守っておる場合においては、当然この法律の対象にはならないということは、関係閣僚会議等においても確認をして出発をしておることでありますから、中小零細企業等においてそれぞれの国の定める基準を守るための必要な資金、あるいは税制上の措置、あるいは資金の融資の期間なり金利なり、そういう質の問題等は、総理からも御答弁もありましたように、十分に格別の配慮をしていきたいと思いまするし、企業の費用負担に関する法律の場合においても、中小企業に対する特別の規定を一項目起こしてその配慮を掲げるつもりでございます。
 なお、総理から幾たびも答えておられます環境保全省の設置に関する問題は、山中はどう思うかという御質問でございますが、私は、総理の御下命どおり、数少ない手勢ではございましても、全力をあげていまやっておるわけでございますので、総理の御判断で、これではだめだということであれば、新しい機構なり何なりができることになりましょうし、私自身は、命ぜられた範囲において、悔いなく全力を傾けてやるということを申し上げるだけでございます。
 さらに、次に、沖繩の問題について、総理の御答弁になりました以外で御指名の答弁の要求がございました点について、沖繩の社会資本の充実が何よりも優先するということは、数多く指摘をされました問題点は、私も同感でありますが、その最前提であることについて、私も、さらに同感でございますが、新全総計画の関連において一%の五千億くらいを五カ年間で投入したらどうか――これもまた、二年間で五千億という金額の額でもってお示しを願いましたので、ただ額だけで、その内容をどこまでとらえて議論するかについては少しどうかと思われまするので、金額
 それから繊維につきましては、すでに総理からお答えがございましたので、省略させていただきます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤一郎君) 公共料金の抑制に関連しまして、中立的な第三者的な機関を設けて、これに裁決をさせたらどうか、こういうお話でございました。もちろん公共料金対策というものは、今日最も重要になってきております。最近の物価の騰勢状況から見まして、われわれが従来考えている以上に、公共料金の抑制というものにさらに打ち込んでいかなければならない情勢になっておるわけでありますから、政府といたしましても、現在ございますいわゆる閣僚協議会、その他をフルに動員いたしまして、そうして公共料金の抑制につとめたいと考えておりますが、ただ公共料金の問題はいろいろの角度から問題がございます。そういう意味におきまして、こういう第三者的な機関によって処理することが適当であるかどうか、この点については、なおせっかくの御提案でもございますから研究いたしたいと思います。目下のところはまだそういう考えを持っておりませんが、十分検討さしていただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
○国務大臣(愛知揆一君) この九月の国連総会のときには、私は、国連自体のあり方、運営、機構、憲章、こういうものの改善につきまして、問題を限定して政府の見解を表明いたしましたものでありますから、他の問題に言及することをいたしませんでした。ほかに他意はございませんので、中国問題を軽視しているというようなことでは全然ございませんので、その点御了察をお願いいたします。(拍手)
○副議長(安井謙君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時七分散会