第065回国会 農林水産委員会 第10号
昭和四十六年四月二十七日(火曜日)
   午後二時二十四分開会
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   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     寺尾  豊君
     津島 文治君     高橋  衛君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     寺尾  豊君     鈴木 省吾君
     山下 春江君     青田源太郎君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     亀井 善彰君     塩見 俊二君
     鈴木 省吾君     徳永 正利君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     徳永 正利君     鈴木 省吾君
     塩見 俊二君     亀井 善彰君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     櫻井 志郎君     山下 春江君
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  出席者は左のとおり。
   委員長          河口 陽一君
   理 事
                亀井 善彰君
                園田 清充君
                杉原 一雄君
                村田 秀三君
                沢田  実君
   委 員
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                鈴木 省吾君
                高橋  衛君
                高橋雄之助君
                堀本 宜実君
                山下 春江君
                川村 清一君
                達田 龍彦君
                中村 波男君
                片山 武夫君
                河田 賢治君
  国務大臣
      農 林 大 臣   倉石 忠雄君
  政府委員
      外務省条約局外
      務参事官      山崎 敏夫君
      農林政務次官    宮崎 正雄君
      農林大臣官房長   太田 康二君
      農林省蚕糸園芸
      局長        荒勝  巖君
      食糧庁次長     内村 良英君
      水産庁長官     大和田啓気君
  事務局側
      常任委員会専門
      員         宮出 秀雄君
  説明員
      経済企画庁国民
      生活局参事官    山下 一郎君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農林水産政策に関する調査
 (日ソ漁業交渉問題に関する件)
 (グレープフルーツの自由化問題に関する件)
 (米価問題に関する件)
○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○海洋水産資源開発促進法案(内閣提出、衆議院
 送付)
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○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず委員の異動について報告いたします。
 本日、櫻井志郎君が委員を辞任され、その補欠として山下春江君が選任されました。
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○委員長(河口陽一君) 理事の補欠選任についておはかりをいたします。
 委員の異動に伴い、理事に一名欠員を生じておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。それでは理事に亀井善彰君を指名いたします。
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○委員長(河口陽一君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
 まず日ソ漁業交渉問題に関する件について、政府側から報告を聴取いたします。大和田水産庁長官。
○政府委員(大和田啓気君) 簡単に御報告を申し上げます。
 日ソの漁業交渉は、東京におきまして第十五回の日ソ漁業委員会、サケ・マス、ニシンの問題それからカニにつきましては、モスコーにおいて政府間交渉が行なわれておるわけでございます。日ソ漁業委員会は、三月二日に開会いたしまして、科学技術小委員会あるいは取り締まり専門家会議等を経まして、現在規制措置についての討議をやっておるわけでございますが、サケ・マスの漁獲量あるいは休漁区拡大の問題さらに減船の問題、日本海の沿海州沿いの禁漁区設定の問題等々をめぐって交渉はきわめて難航をきわめておるわけでございます。カニは三月一日に開会式を行ないまして、科学者会議、違反問題小グループの討議、取り締まり問題等の討議を通じまして、ソ連側の態度が例年になくきつく、カニが大陸だな資源に入りソ連邦の所有物であるということから日本のカニ漁船に対する臨検の権利の主張がございまして、長い間その問題で終始をいたしましたが、四月に入りまして、現行どおりこの大陸だな資源であるかどうかという問題は一応たな上げをして実質的な規制の討議に入ったわけでございますが、おおむね三分の一程度の漁獲量に押えるというソ連案が出てまいりまして、それに対しまして日本側といたしましては種々反論をいたしておるわけでございますが、交渉はきわめて難航をきわめておるわけでございます。
 したがいまして、カニにつきましてはすでに漁期が過ぎておりますこともあり、今月の二十日に赤城元農林大臣を特使としてモスコー行きをお願いし、現地においてカニ交渉を行なっていただいておるわけでございますが、新聞紙上に伝えられますように、オホーツクのニシン、特に産卵ニシンの全面禁漁ということをソ連の政府がきわめて強硬に主張し、まだカニの本題になかなか入れないという状態でございます。サケ・マス、ニシンにつきましても、東京における藤田、モイセーエフ両代表を中心といたしまして、若干の進捗はございますけれども、大事な問題につきましてなかなか目当てがつかない状態でございますが、いずれにいたしましても、カニの漁期は過ぎ、サケ・マスのB区域の流し網その他の漁期が四月三十日に始まるわけでございますから、ぜがひでも四月三十日の出航ができ、カニも多少おくれましたけれども今月中に操業ができることを目途にいたしまして現在せっかく交渉を進めておる段階でございます。
 以上御報告申し上げます。
○委員長(河口陽一君) ただいまの報告について質疑のある方は発言を願います。
○川村清一君 当面の最大の問題であります米価の問題、また本日はたくさんの米価要求のために上京されている農民の方々の傍聴等があるわけでございますが、四時にならないと大臣はおいでにならないそうで、大臣がおいでになってから米価の問題についていろいろ議論がなされることと思います。したがって、ただいま水産庁の長官から御報告のございました北洋漁業、特にカニ、ニシン、サケ・マス、この問題等について若干御質問を申し上げたいと思います。
 そこで最初にお伺いしまするのは、けさの新聞を見ますと、政府の特使として現在赤城さんがモスコーへ行って、コスイギン首相やあるいはイシコフ漁業相とお会いになっていろいろお話をされておるようでございますが、その中で、ソ連側はカニの問題とひっかけてニシンの問題、特に産卵ニシンについて全面的に禁漁にしたい等の申し出があり、このニシンの問題を解決すれば、カニの問題も合意する、カニの問題の先にニシンの問題を解決したいというような申し出があるというようなことを新聞で見ましたが、この問題について日本政府としてはどういう見解を持っておるのかお伺いしたい。
○政府委員(大和田啓気君) 私どもといたしましては、カニとニシンとは全く別個の問題でございますから、ニシンはニシン、サケ・マスはサケ・マス、カニはカニということで交渉を続けようといろ態度で、赤城特使にもそういうふうにお願いをして対処いたしておるわけでございます。
○川村清一君 ずいぶん長い間カニの問題について交渉されておりますが、カニ交渉はいまだに妥結を見ない。そこで端的にお聞きしますが、カニ交渉の最大の問題点は何でしょう。
○政府委員(大和田啓気君) ことしのカニ交渉がこれほど難航をいたしましたことにつきましてはいろいろな理由が考えられるわけでございますが、やはり基本的な問題といたしましては、カニが大陸だな資源であって、それはソ連の所有物であるというそういう観点、これは一応先ほど申し上げましたように、いままでの交渉の過程でことしもたな上げするということで一応の合意を見ましたけれども、ソ連の規制案を見ましても、それがやはり根本としてあるというふうに考えるわけでございます。
○川村清一君 そうしますと、最大の問題点は、ソ連はカニは大陸だな資源であると主張しておる。これに対して日本政府は、それは大陸だな資源ではない、いわゆる公海資源であるという観点に立って話し合いを進めておる。それが基本的な問題であって、そこが要するに問題のキーになっておる、かぎになっておる、こう、水産庁長官の答弁から私は理解するわけでありますが、重ねてお伺いしますが、世界の国々の中でカニ資源を大陸だな資源であると、こういうふうに評価し、宣言しておる国は、ソ連のほかにどこがありますか。
○政府委員(大和田啓気君) 外務省からお答え願ったほうがいいかもわかりませんが、私どもの承知しておる範囲で申し上げますと、大陸だなの条約に加盟しておる国が四十五ほどあるわけでございますが、その中で定着性種族の中にカニが含まれるかどうかということを、国内法で明確にいたしておる国が十二あるわけでございます。その中で、アメリカとソ連その他を含めまして七ヵ国はカニは定着性生物であるというふうに国内法で規定をいたしておるわけでございます。しかし、それに対しましてフランスあるいはオランダ等、五つの国はカニを定着性生物から除外をいたしておる、そういう状態でございます。
○川村清一君 それじゃ日本政府としてはカニ資源に対してどういう評価を、定着性資源と見ておるのか見ておらないのか。
○政府委員(大和田啓気君) 私どもまず大陸だなの条約に加盟をいたしておらないわけでございますが、大陸だな条約の解釈といたしましても、定着性種族の中にはカニは含まれない。したがいまして、それは大陸だな資源ではなくて、公海資源であるというのが政府の一貫した解釈でございます。
○川村清一君 そうしますと、政府の一貫した見解というものは大陸だな条約に加盟しておらないというのが一つの理由、それから一九五八年ジュネーブで締結されました大陸だな条約のたしか第二条の第四項だと思いますが、そこに定着性資源、いわゆる大陸だな定着性生物の定義が書かれておるわけでありますが、その定義の上に立ってみても、大陸だな資源でないという、そういう見解を持っているのかもう一度お伺いいたします。
○政府委員(大和田啓気君) 政府の見解としてはおっしゃるとおりの主張を持っておるわけでございます。
○川村清一君 アメリカがカニ資源を大陸だな資源だと、こう宣言しておるというただいまの御答弁でありますが、これに対して日本政府としてはどう対処しておりますか。
○政府委員(大和田啓気君) 私どもアメリカに対しても同様な主張をやっているわけで、日米のタラバガニ協定、それから日ソのカニ協定のいずれも前文におきまして、ソ連はカニは大陸だな資源であるというふうに主張し、日本は公海資源であるということを主張し、しかし、日本のカニ漁業に対する従来の実績を評価して、両国の立場をそこなわないように、次のように協定を結ぶというのが共通のたてまえでございます。私どもアメリカに対しましても、ソ連に対しましても、カニは公海の資源であって、大陸だな資源でないということを強く言い、米ソとしては、いや大陸だな資源であるということを強く言い、結局両者の立場をたな上げをして、現実的な規制措置を講じておるというのが従来の現状でございます。
○川村清一君 政府のカニ資源に対する評価、見解は明らかになりましたが、それでは一九五六年に締結されました「北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約」、いわゆる日ソ漁業条約、この条約によりますれば、いわゆる公海資源として、この条約資源の中に御承知のように「サケ、マス、ニシン、カニ」とこう規定されておる。ところがここ数年来、いわゆるカニ資源というものをこの条約から離してしまって、そうしてことしもカニについてはモスクワで交渉しておる。サケ・マス、ニシンについては、東京で日ソ漁業委員会においていろいろ議論されておるということは、私どもとしてなかなか納得できないわけです。こういうようなことについて政府はどういう見解を持っていらっしゃいますか。
○政府委員(大和田啓気君) ソ連は大陸だな条約に加入し、昭和四十三年に国内法でカニは大陸だな資源であることを外国との協定あるいは国内法規に基づいて漁獲が許されるものでないものが漁獲した場合は船は没収されるし、当人が処罰されるという、そういう国内法をつくった経緯もございまして、昭和四十三年の日ソ漁業委員会におきまして、ソ連はカニの交渉を日ソ漁業委員会の外に出したいということを非常に強く主張をいたしまして、日ソ漁業委員会の運営が非常に行き詰まった事態があるわけでございます。それで四十三年におきましては、ソ連の主張にもかかわらず、日ソ漁業委員会でカニの話し合いをいたしたわけでございますけれども、翌四十四年からこのような事態では、日ソ漁業委員会における討議も円満に行なわれることが望まれないという見地から、カニ協定につきまして、これを政府間の協定として今日に至っているわけでございます。しかし、カニが公海の資源であるという日本側の主張は依然として貫いておりますので それは日ソカニ協定にも前文で明らかにされておるところでございます。
○川村清一君 外務省の条約課長にお尋ねしますが、条約とかこういうものについては私もしろうとですから、専門家の御意見をはっきり聞いておかなければならないと思いますが、いわゆる一九五六年に日ソ間に条約が締結されておる。で、この条約の附属書の中に、漁業委員会においていろいろ議論する資源として、先ほど申し上げましたように、サケ、マス、ニシン、カニということが規定されておる。それでこれは公海における漁業の条約でございますから、いわゆる公海資源として条約は規定しておるわけであります。しかるに、ソ連が一方的に国内法によって大陸だな資源として、いわゆるこの条約に相反するようなそういう宣言をすることは、これは条約と国内法との関連において、私どもは、条約に違反するような国内法というものはこれは条約を改定しない限りにおいてできないものという、これが国際法上の通念であろうと考えておるわけですが、この点に対して外務省条約局の御見解はどうですか、お伺いしておきたい。
○政府委員(山崎敏夫君) 先生御指摘のとおり、この北西太平洋の公海における漁業に関する日本とソ連との条約におきましては、ほかの魚種とともに、カニのことにも触れておるわけでございます。ただ、この条約には附属書がございまして、その附属書は、委員会が毎年集まりまして修正することができることになっておるわけでございます。したがいまして、いま水産庁長官からお話しがありましたような経緯に基づきまして、委員会において附属書の規定からカニに関する条項を削除して、別途政府間取りきめをすることになる、それ自体はその条約の規定に従ったものであると思います。それを削除するということについては、結局、その実体について、スムーズに話が進むためにはそのほうがベターであるという政府の全体の判断で行なわれたものと考えております。しかし、われわれといたしましては、あくまでカニは、この条約に書かれておりますと同じように、公海の漁業資源を考えておりますので、この点は、その別途の政府間取りきめにおいても、その最初の部分において明らかにしておる次第でございます。
○川村清一君 ただいまの外務省の見解は、最初私の聞いた大事なことを抜かしておる。条約があるのに条約に抵触するような国内法をきめること、一方的に宣言することは、国際法上それは正しい行き方でないと私は考えておるのでございますが、これはどうですかと言っておる。
○政府委員(山崎敏夫君) 日本の立場といたしましては、大陸だな条約に入ってもおりませんし、大陸だな条約の解釈といたしましても、カニは公海資源であると考えておるわけでございますが、ソ連側の立場とすれば、大陸だな条約に加盟し、そしてその中にいう定着性生物の中にカニが含まれるという考えをとっておるわけでございます。したがいまして、先方の立場としては、カニはこれとは別個の問題であるということは言い得る立場であろうと思います。しかし、そこで見解が違うために、こういう措置をとることになった次第でございます。
○川村清一君 外務省、これは外交上のいろんな問題もあろうかと思いますが、私はソ連側がどうとかこうとか言っているのじゃなくて、あくまでも法律論的にあなたは見解を言っていただけばいいのです。一九五六年の北西太平洋の公海における漁業に関する条約。その公海における漁業に関する条約の中にきちっと公海資源として規定しておるのがサケ、マスであり、ニシンであり、カニなんですよ。そのカニを、この条約の中で公海資源と規定しておきながら、両国合意の上で調印しておるそれを、一方的に、カニは大陸だな資源である、公海資源でないと言って、一方的に宣言することは、これは国際法上、いわゆる通念として間違いでないかということを言ってるのですが、私は法律議論はよくわからないので、法律論の上に立ってひとつあなたの見解を聞きたい。
○政府委員(山崎敏夫君) カニは大陸だな資源であるということは確かにソ連が一方的に言っておることでありまして、われわれとしてはあくまでもカニは公海漁業の資源であると考えております。したがいまして、その観点からしましても、われわれはこの条約どおりに考えておるわけでございます。ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、この附属書からカニを除くということは、委員会の決定として両国合意の上やったことでございまして、わが国としては、カニは公海漁業資源であるという立場は全く変えておりませんが、ただ、条約の手続として、附属書の修正として、カニをこの漁業委員会の討議の対象から除いて、別の場でやるということには同意したわけでございます。しかし、わがほうの根本的立場は、先ほどから申し上げますように全然変わっておりません。
○川村清一君 それでは、まあ外務省の御答弁は納得できませんが、時間もありませんので、話を進めて、それじゃ水産庁長官にお尋ねしますが、要するに、この条約にはそううたわれておるけれども、いわゆる両国委員会において合意に立って、いわゆる附属書を改定して、そうしてカニをここからはずしたという御答弁です。それじゃこの附属書、現在、私はできたときの条約案文しか持ってないですが、現行のこの条約、附属書の中から、これが除かれておるのかどうかということを一点お尋ねしたい。その次に、この条約の第四条――御承知でしょうね、第四条の(イ)号に、「定例年次会議において、その時に実施されている協同措置が適当であるかどうかを検討するものとし、必要に応じ、この条約の附属書を修正することができる。」と、こうある。ですから、これに基づいて修正したのだと思うが、したとすれば、その次が大事だ。「この修正は、科学的基礎に基いて決定されなければならない。」と書いてある。それじゃカニをこの条約からはずして、そうして別に政府間協定を結んだ、その科学的な基礎を明らかにしていただきたい。
○政府委員(大和田啓気君) 第四条、それから附属書の関係でございますが、現在附属書におきまして、サケ、マス、ニシンが規定されておりまして、カニが落とされておることは事実でございます。それからこのカニの規定を落とすことにつきまして、条約上の手続といたしましては、第四条の(イ)号に基づいて措置をいたしたわけでございますけれども、このカニを落とすことにつきましては、先ほども申し上げましたような事情、日ソ漁業委員会の運営がこのままでは非常に困難であるということが一つの大きな理由になってきておるわけでございます。
○川村清一君 日ソ漁業委員会の運営がこのままでは非常に困難であると。非常に困難であることはわかるけれども、困難であるからと言って、あなた、条約は国際間の法律だ。これにはっきり規定されておるものを、それを無視して、いたずらに、科学的基礎に基づかなければならないと言っているのに、科学的な基礎も何も、科学的な事情も何もわからないで、困難だから政府間協定によって、こっちからはずしてこう持っていった、こんな理由で、筋通らぬでしょう、どうですか。
○政府委員(大和田啓気君) まあこれはその「科学的基礎に基づいて」というのを、単に資源論的な意味でのものというふうに理解をいたしますれば、本条に基づきまして、カニを附属書から削除することについては、いろいろ問題があろうかと思いますけれども、私ども単なる資源論ということではございませんで、日ソ漁業委員会の全体の運営ということも考慮いたしまして、やむなくこの附属書から削除したというのが実態でございます。
○川村清一君 それじゃ、その条約の趣旨を全然あなた、無視しているんじゃないですか。そうして前に私、おととしか予算委員会で、カニ資源は公海資源か、それとも大陸だな資源であるか。大陸だな資源であるとするならば、大陸だな条約の第二条の四項に規定されている定義があるんだから、この定義に照らし合わして、そうして科学的な基礎の上に立ってカニ資源は大陸だな資源であるというなら話はわかるけれども しかしあのときにそうお尋ねしたら、あのときの水産庁の長官はどなたであったか忘れましたが、私に対する答弁は、カニは大陸だな資源であるか、資源でないかということは、いま学者の学説においても定説がないと、こういうふうな答弁しておったんですよ。ですから、要するに運営上支障があった、困難があったと。そうすると、そのために政治的配慮によって、きちっと条約にはっきりしている資源でしょう。そうして、それがまた附属書にうたわれておる。この「附属書を修正することができる。」、両国の合意の上に立って。ただし、それを修正するときにおいては「科学的基礎に基いて決定されなければならない。」。ところが、科学的基礎がきわめて不明確なままに、単に運営上非常に困難があるからと言って、そうしてこれからはずして政府間のカニ協定を結んだということは、政府の重大な責任じゃございませんか。そう思いませんか。
○政府委員(大和田啓気君) カニ資源が大陸だな資源であるか、あるいは公海資源であるかという点につきましては、これは日本政府の立場として、公海資源であるという主張を貫いておるわけであります。これは附属書からカニを除くか、除かないかということとは関係はございません。すでに御説明いたしましたように、日米カニ協定におきましても、日ソカニ協定におきましても、ともに両国の立場を併記して、両国の立場を害しないように、現実的な観点に立って協定を結んでおるわけでございます。したがいまして、二年前に水産庁長官がお答えいたしました場合に、学者の問で定説がないと、カニが公海資源であるか、あるいは大陸だな資源であるか定説がないということは、私も先ほど申し上げましたように、世界の中でもこれを大陸だな資源であるというふうに明確に書いておる、国内法として書いてある国もございますれば、国内法として明確に、カニは大陸だな資源でないというふうに国内法として明らかにしておる国もあるわけでありますから、そういう意味で、政府間の態度においても、いわば定説はございませんし、それを支持する立論の基礎になっております学者の見解におきましても定説はございません。私どもは、日本の研究者の意見の上に立って、これを公海資源と見なしておるわけでございますから、その点については疑問はございませんけれども、この第四条の附属書に載せるか、載せないかということは、これは当然政府の問題でありますと同時に、日ソ漁業委員会における国別委員との話し合いがまず第一でございまして、当時における日ソ漁業委員会の国別委員の話し合いにおきまして、カニを附属書から除くということになったわけございます。
○川村清一君 長官ね、ぼくはどうしても納得いかないんですよ。学者の定説云々の話も納得いかないんですよ。大陸だなに関する条約の第二条の四項にね、こう書いてあるんです。「収獲期において海床の表面若しくは下部で静止しているか又は海床若しくは地下に絶えず接触していなければ動くことができない生物をいうものとする。」、これが大陸だな資源なんだ、天然資源なんだ。そうすると、カニは一体、常に移動するのに地下にからだの一部をうけておるか、つけておらないかということは簡単な問題ですよ。カニはね、あなた、はうだけでないんですよ。カニは一夜にして相当の距離これは移動するものなんですよ、このカニという資源は。こんなもの常識でしょう。移動する資源、常にからだの一部を海床につけておらなければ、これは大陸だな資源でない。これは条約にはっきり定義としてうたわれているんですよ。それを学者が、カニは大陸だな資源だか、大陸だな資源でないか、学問上、研究での定説がないなんて、これは常識論ですよ。これはカニを少し知っている者は、だれだってこんなこと言ったら笑い出しますよ。ね、そうでしょう。これは、北海道あたりの漁師に聞いたらみんなこれは憤慨するのはあたりまえなんだ。ですから私は――まあいいですよ、ここをはっきりしておく。
 長官はいろいろ答弁されますけれどもね、私はこの日ソ漁業条約の附属書にきちっと書かれておるこのカニ資源を、これから離して別に政府間協定を結んで、そうしてカニ交渉として別個にやっておることは、何と日本政府が答弁しようとも、ソ連の大陸だな資源論というものを認めている。そうでしょう。それ以後、全部ソ連のペースでもってこの問題を議論している。ですから、もう大陸だな資源であるということをこれは実質的に認めていることになりませんか、どうですか。
○政府委員(大和田啓気君) 日本の立場といたしまして、カニが公海資源であるということは一貫した主張でございまして、決してソ連の大陸だな資源であるということを認めておりません。それから、カニが大陸だな資源であるかどうかということにつきまして、学界の定説がないということを申し上げましたのは、世界的に見て定説がないということでございまして、日本のカニの研究者の間で、カニが大陸だなの資源ではなくて、公海の資源であるということについて、疑点を持って、意見を直接発表している者はございません。私どもも研究者の研究の成果に従いまして、いまお話がございましたように、日本でカムチャツカのタラバガニにつきまして、相当古くから標識をつけて放流いたしておりますから、その例を見ましても、またアメリカのブリストル湾でタラバガニについての試験研究の報告もございまして、ともに一日十数海里をカニが移動したという例がございますし、また年間に三百六十海里、カニが移動したという例がございます。これは決して海底を歩いてそれだけ動いたということではなくて、波に乗じ、あるいは一種の泳ぎ方をしてカニがそれだけ移動したというふうに私ども主張をいたしておるわけでございます。
 ただ、はなはだ残念でございますけれども、カニが大陸だな資源であるかどうかということにつきまして、ほんとうに利害関係がある国というのは、日、米、ソの三ヵ国でございます。フランス、オランダ等、カニは大陸だな資源ではないというふうに国内法でも明記しておるようでございますけれども、実体的な利害関係がございますのは日、米、ソの三ヵ国でございまして、その米、ソの大陸だなにカニがあり、日本がそれをとりにいくという、そういう状態でございますので、問題がなかなか深刻であり、日本側の主張が米ソによってなかなか受け入れられない現状でございます。カニが公海資源であるということにつきまして、日本政府は疑ったことはございませんし、また、日本の研究者もそれを支持しておるわけでございます。
○川村清一君 カニ議論はそれぐらいにしておきますが、さて先ほど冒頭申し上げましたように、けさの新聞によれば、モスクワで赤城さんとコスイギン首相、赤城さんとイシコフ漁業相、この話し合いの中でニシンが取り出された。産卵ニシン、抱卵ニシンを全面的に禁漁することを向こうが主張してきた。で、この問題となればまたニシンを別に話をする。カニに抱き合わせてニシンを持ってくる。そしてニシンをもしモスクワでいろいろ話し合いをするということになれば、これまた今度は附属書の改定も何もないわけだから、明らかに日ソ漁業条約違反ということになると思うんですが、これについての御見解はどうですか。
○政府委員(大和田啓気君) サケ・マス、ニシンは当然日ソ漁業委員会、現在東京で行なわれているものの権限でございますから、側面からモスクワで赤城特使がその交渉の促進方について御努力をいただくということがあるいはあるかもわかりませんが、モスクワにおいて話がきめられるということではございませんで、東京における日ソ漁業委員会において最終的に決定されるということで、私ども現在藤田・モリセーエフ会談を進めておるわけでございます。
○川村清一君 先日ちょっと新聞で拝見したわけですが、ことしのカニ交渉あるいは漁業委員会の問題等から関連して、倉石農林大臣が条約の改定を検討しておると言ったような発言をされている模様ですが、この条約が調印されてからはすでに十五年たっておりますし、これは十年たったらどちらかの国からでも一方的に廃棄を通告できるような仕組みになっている条約ですが、毎年毎年こういうようなことを繰り返しているものですから、日本の業界におきましてはもう日ソ漁業条約というものを改定あるいは廃棄してもらいたい、こういう声が強く現在出ておるわけです。こういうような声に対して農林省はどういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか。
○政府委員(大和田啓気君) 現在交渉の継続中でございますから、交渉のあり方をどうするかということを申し上げることは適当でないと思いますけれども、いま御指摘のような事情もございまして、明年度以降の交渉のあり方につきましては、私どもその改善方について十分の検討をいたしたいというふうに考えております。ただ農林大臣の御発言ということで、条約の改定というお話がございましたけれども、私もその席上に立ち合っておりましたけれども、条約の改定という趣旨で申し上げたのではございませんで、何らかの交渉のあり方について改善の余地があるのではないかという、そういう趣旨を申し上げたわけでございます。
○川村清一君 条約を廃棄すべきだという、そういう声がこの種漁業に関連しておる漁業者から強く出ておりますが、この日ソ漁業条約を廃棄する考え方はございませんか。
○政府委員(大和田啓気君) まあ私ども日ソ漁業交渉は、条約の条文の問題よりもむしろその運用といいますか、交渉のあり方の問題が大部分でございまして、条約の廃棄ということを現在考えておることはございません。
○川村清一君 御承知のように、カニ漁業というのは、この操業は四月十五日から始まるわけですね。これを目ざして操業用意をした船団が現在北海道の函館に集結しているわけです。もう例年ならば出漁しているわけですね。ところがいま四月が終わらんとしてなお出られないで函館にいるわけです。この漁業経営者並びに漁船に乗り込んでいる労働者の人々は生活がかかっているのですよ。たいへんな気持ちでおるわけです。それでもう矢もたてもたまらずもう出ていくというそういう気持ちさえ持っているわけです。ぼくはそういう気持ちよくわかるわけです。多額の資金を投じて用意しているわけですね。それが現在まだ出漁できない。長官も御承知のように、カニというのは入りガニと出るガニとあるわけです。その最初が大事なわけです。全然出ていない。ばく大なこれは損害はっきりしております。こういうような損害をこの漁業者に与えた責任というものはやっぱり政府が負わなければならない。もたもたしていまだに解決しない。ことしはこうだからといったような指導も別段しておらなかった。それで業界、あるいは漁船乗り組み員労働者の方々が大損害を受けた場合において、政府はどういう措置をとられようとしているのですか。
○政府委員(大和田啓気君) カニ交渉につきましてのソ連の態度から見まして、先ほど申し上げましたように、まず大陸だな資源であることを主張し、臨検を主張し、そしてそのあとに三分の一程度に漁獲量を押える規制案を出してきたわけですが、早期に出漁期に間に合うように交渉をまとめることをまず第一に考えますならば、ソ連案をそのままのむ、あるいはソ連案に近いところで妥結するということに私はなるかと思いますけれども、それは私どもいかにもできないことでございまして、ソ連案を押し返して種々折衝をいたしておることはこれは政府として御了承いただけることだろうと思います。ただ、いつまでもカニ漁船の出漁を待ってもらうことははなはだ困難でございますので、サケ・マス等とあわせまして今月中に解決をはかるように現在せっかく努力中でございます。
○川村清一君 倉石農林大臣は、まあこの北洋漁業については漁民にこういうような損害を与えているし、米価問題については農民に全く死ねと言うばかりの措置をとっておるし、一体日本の農林水産政策というものは何をやっているのか、私らにはちっともわからんのですが、まあ農林大臣が行かなかったのは、いまの米価の問題があったから行かなかったのだと思うけれども、その半面、行っても自信がなかったから行かなかったのではないかとも思うし、いまは北洋のカニは大きな資本漁業ですからいいのですが、まあいいとも言えないけれども、そういう点がありますが、二丈岩とかサハリンとか、それから北方領土の三角水域、ああいうところに出漁する船というものは全く沿岸漁民ですよ。沿岸漁民者はこれでやれないということだったらまた沿岸漁民は死活の問題です。もう少ししっかりやってもらわないとこれはいかんと思うのです、これは答弁はいいですが。
 そこで日ソ漁業委員会の問題等についてもお尋ねしたいのですが、これは聞いたって、これは外交上の問題でいま話しているから答弁できないとあなた言うからあえてお聞きしませんが、このサケ・マス漁業者の中には、水産庁長官は四月三十日までは必ず解決するといまおっしゃっているが、もし四月三十日まで解決しなければもう出漁するということを言っている。そういう漁師がたくさんいます。もし四月三十日になっても合意に達しない場合は、沿岸漁民が出漁した場合、これはもちろんA区域にいかない、B区域ですが、B区域に出漁する、そういう沿岸漁船に対しても、それは押えますか。それとも、心配するな、四月三十日までには絶対にこれは解決して、心配なく出漁できる、そういう情勢をつくるとここでお約束できますか。はっきりしたひとつ長官の御見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(大和田啓気君) 私ども、いま四月三十日、予定どおり出漁できるように懸命の努力をいたしておるわけでございまして、四月三十日までに問に合わなかった場合、そういう事態が万一起こりました場合にどうするかということにつきましては、その時点で慎重に判断する以外にない、前もっていろいろ申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○川村清一君 長官は日ソ漁業委員会のほうに行かれるそうですし、外務省の方も何か御用で退席されるそうでございますから、もう質問をやめますけれども、まあ北洋漁業、サケ・マス、ニシン、カニ漁業ともどもこれはわれわれの父祖、先人が命をかけて開拓してきたものです。ニシン漁業なども、これは御承知のように、沿岸に産卵のために接岸するニシンをこれは昔からとっておった。それがニシンが全然、資源が接岸しなくなったので、ニシンの沖どりという漁業を開拓していった。そして沖刺しニシンというものを現在開拓して実施しておる。そうして沿海州からずっと北のほうにまで行って、北洋まで行ってやっておる。全部これはわれわれの先人が開拓したものです。サケ・マスの流し網もしかり。それが年々歳々、だんだん漁場を狭められ、漁獲量が少なくされて帰ってきておる。しかしわれわれは、日ソ漁業条約というものを高く評価しているわけです。この条約があればこそ、サケ・マス資源なんというものも現在は存在しておる。それでなければ、大体日本の漁業者というものは、もう資源も何も考えないで無制限に乱獲してしまいますからね。現在存在しておるということは、やはり条約があったからだ。この点は高く評価するわけです。だから、やはり条約の趣旨を尊重して、あくまでも世界人類の共通の資源である資源を維持し、増大をはかり、持続的にこの生産性を維持することを目的として科学的研究調査を進めて、それを基礎として漁獲努力というものを調整していく。これが条約の基本的な目的であり、考え方である。だからこの上に立ってやってもらわなければならぬ。したがって、この漁獲努力の調整というものが、あくまでも科学的な論議というものを基礎にしてなされなければならないと思います。
 しかし、毎年の経過を見ても、せっかく科学小委員会をつくっていろいろ議論しても、いつもそこに合意される結論が出ない。そうして、政治的な配慮によって最終的には決定される。そうなれば、政治的な力関係によって決定されるということだ。非常にこれは遺憾なことなんです。ですから、何とかもっと、あなたは運営運営、運営で苦労されて何年もたった。この条約ができて、すでに十五年たっているのです。こういうようなことから、関係漁業者、漁民の中から、こんな条約によって常に押えられるようじゃ、これはたまったものではない、もうこんな条約は廃棄してくれという、そういう強い意見が出てくるのは、私は当然だと思うのです。ですから、もっとこの条約の趣旨に立って、日本政府も強力にこの問題解決のために努力してもらいたい。一日も早くカニの問題、サケ・マスの問題あるいはニシンの問題、両国が合意に達し、両国の友好関係を阻害しない一歩を進めていくという立場に立って解決し、そうして漁業者並びに漁船の乗り組み員労働者、こういった方々の期待にこたえ、生活を守るため、努力してもらいたい。衆議院の農林水産委員会にも過般決議案が上程され、決定されたようですが、あの趣旨を一日も早く実現されるように私は強く要望いたしまして、何か御用があるようですから、これで質問を打ち切ります。
○委員長(河口陽一君) 本件に対する質疑は、この程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(河口陽一君) 次に、グレープフルーツの自由化問題に関する件について、政府側から報告を聴取いたします。荒勝蚕糸園芸局長。
○政府委員(荒勝巖君) 先般、農林大臣から御命令をいただきまして、四月十一日から十八日にかけまして、温州ミカンの解禁州拡大の問題につきまして、私外三名、合計四名でワシントンへ参りまして、温州ミカンの解禁州について、その拡大の件で折衝してまいった次第でございます。
 交渉いたしました相手方といたしましては、国務省のトレザイス次官補、クロンク次官補代理、それから農務省のパンビー次官補、アイオワネス海外農業局長、アービング農業研究局長、こういった方々と会いまして、日本側のかねてから要望しております輸入解禁州の拡大について、日本側の立場を強く主張した次第でございます。その件につきまして、アメリカ側との話し合いで、いままで従来のアメリカ側の姿勢といたしまして、解禁州の拡大についてはあまり返事らしい返事も従来はなかったのでございますが、今回の私の折衝に際しましては、本件の検討を今後進めて、この問題の解決のために努力がなされるのではないかというふうな感触を得て帰ってまいりました次第でございます。この間におきまして、向こう側としまして直ちに解禁州の数をふやすというような形での返答はいただけなかった次第でございますが、しかし、ただいま申し上げましたように、何らかの形で検討をしたいという意向であることは、確かにそういう感触を得て帰ってきておりますので、今後ともわれわれといたしましては、解禁州拡大につきましてはなお一そう努力してまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
○委員長(河口陽一君) ただいまの報告について質疑のある方は御発言を願います。
○園田清充君 局長、あなたの報告も簡単だが、私も簡単にお尋ねをいたします。
 どうもいしまのあなたの報告を聞いていると、温州ミカンの輸出の拡大のためにアメリカに行った、こういうことですね。ところがどうも聞いていると何かミイラ取りがミイラになったようなことで、けさの、総理のケネディ特使との会談では五月自由化の実施というようなことで、むしろある意味では自由化を促進してきたんではないかというような受け取り方さえされるような気がいたすわけですが、しかし私は、出発前非常にあなたがこのことについていろいろ考え、努力をしていられた内幕を知っているだけにその御苦心のほどはよくわかるんです。
 そこで二、三お尋ねをいたしますけれども、まず第一にグレープフルーツの自由化ということですが、いま総合農政の中でのガイドポストとして地域分担の中でも示されておりますように、果実のほうに非常に大きな皆さん方の――特に西南暖地に対しては一つの拡大作物の指針となっているんですが、一体国内の現在の生産、消費の現状、それからいま新植あるいは増反がなされておりますけれども、日本におけるミカンの自給というのは何年になったら、消費の拡大もありましょうが、完全に自給体制に入れるのかどうかということの見通し、この点について一つお伺いをいたしたいと思います。
 それから二番目には、いまお話しがありましたとおりです。あなたから報告があったとおり、長谷川農林大臣時代に植防の関係で温州ですか、日本の温州系統を受け入れてもいいという、だがその他はいずれも禁止をしておるということで非常に困難性がある。しかし、当時の交渉の中で長谷川さんから、いわゆる輸出――輸入の、アメリカの受け入れの拡大について努力をしてほしいということだったんですが、一体この交渉当時からアメリカがわが国の申し出に対してどれだけの誠意ある州法の解禁について努力してきたか、その実績があるならば実績についてお聞かせを願いたいと思います。なお、お帰りになって早々、総理のああした発言を見てみますと、これはあなた自体の報告に基づいて総理が御発言になっているのかどうかということ、それからいま努力をしようということであったが、外交というのは私はやはり互恵平等、相互、お互いの利益を尊重していくというところに外交の基本があると思う。そういう点から考え合わせるならば、当然当時つけられた条件というものに対してアメリカ側が、いま私がお尋ねをしたようにもう一年近くなるんですからその間の努力というものがあってしかるべきだと思う。これがいま、今後とも努力しようということでグレープフルーツの自由化だけが非常に早くなってきているような、一方的、譲られているような気がするんですが、あなたの訪米によって長谷川さん時代からの交渉というものは余韻が残されておるのか、あるいはこれでもう一たんおしまいになっていまの自由化ということの総理の発言になったのかどうか。
 それから第三点は、ぶっ続けにお尋ねしますけれども第三点は、グレープフルーツに対して季節関税をかけるからということが当時長谷川さん時代にいろいろ説明になっておりましたけれども、これはたしか九月から二月まで四〇%、その他の期間が二〇%だったというふうに聞いておるのですけれども、間違いがあったならばひとつ御訂正を願いたいと思います、この点は。なお、この季節関税の点に関連しまして、グレープフルーツの長所として長期保管が可能であるということ、極端な話をしますと、半年なら半年保管をしていたからといってそう質が変わらない。そうなると安い関税がかけられる時期にたくさん輸入をしてきて税金の高い時期には輸入をしてこないというようなことになってくると、これは国内産の果実を極度に圧迫するということになってきはしないかという気がするわけです。したがって、この点についてどういうふうな配慮をなさっておるのか。以上三つの点についてお尋ねをします。また答弁によっては重ねて御質問申し上げたいと思います。
○政府委員(荒勝巖君) まず国内のかんきつの生産状況並びに今後の長期見通しに関して御答弁申し上げます。
 全体のかんきつのことでございますが、四十三年には二百七十三万八千トンのかんきつの生産がございまして、このうち温州ミカンは二百三十五万二千トンでございます。それから四十四年には少し作柄が減りまして二百五十一万五千トンの総生産量で、うち温州ミカンの生産量は三百三万八千トンというふうに若干低下いたしております。さらに四十五年は、昨年はまあ温州ミカンにとりましては、多少これはまだ確定数字ではございませんが、推定でございますが、ただいまの段階では二百六十万トン前後の温州ミカンの生産量がありまして、さらに夏ミカン等の晩かん類につきましてはまだ的確な数字はございませんが、大体二百九十万トン前後のかんきつの総生産量があったんではなかろうかと、こう推定しておる次第でございます。それに対しましてかんきつの長期の見通しにつきましては、大体この五十一年にはわれわれの見通しでは国内の生産状況はおおむねまあ二、百八十万トンから三百十八万トンということで三百万トン台前後を目標に温州ミカンの生産見込み、を立てておる次第でございまして、しかしこの長期見通しにつきましては、昨年来この当委員会でも私から御答弁申し上げておりますが、ことしじゅうに、四十六年度じゅうに長期見通しの改定をいたしたいということでただいま作業をいたしておりまして、この生産並びに消費の見通しは若干変更があるんではなかろうかというふうに理解しておる次第でございます。
 次に第二の点でございますが、私自身アメリカへ参りましてこの解禁州の拡大問題について話し合った次第でございますが、これは当時いわゆる長谷川前農林大臣時代にアメリカ側のトレザイス国務次官補と日本側との話し合いのときに、米国が日本産温州ミカンの輸入解禁州を実質的に拡大するとの了解のもとに日本はグレープフルーツを四十六年十二月末までに自由化するとの考えであるということで向こう側と協議いたしまして、なおその際日本側からは季節関税を設定するということを明らかにしている次第でございます。
 でその当時からわれわれといたしましては温州ミカンの解禁州の拡大についていろいろと努力をしてまいった次第でございまして、去年いわゆるアメリカからパンビー農務次官補が日本に参りました際にも農林大臣から強くこの温州ミカンの解禁州の拡大について要望し、またことしの一月から二月にかけまして、農林省から担当課長をアメリカ側に派遣いたしまして、植物防疫に関する技術的な話し合いを中心といたしまして折衝を続けておる次第でございます。
 それからなおこの間外交折衝を通じまして、この日本側の希望である温州ミカンの解禁州の拡大については現在もなお外交折衝を通じて努力している次第でございますが、私の向こうでの、現地で受けました感触といたしましては、従来は相当壁が厚かったといいますか、解禁州の拡大については非常に向こう側も向こうなりに国内事情といいますか、いかにして日本の温州ミカンの解禁州拡大の件で農家に納得させるかということで相当苦慮しているようには見受けられましたが、解禁州拡大が全然まあ見通しがないというふうな感じでは毛頭なかったと、むしろ何らかの形で日米の間で話し合いの行なわれた件について解決の糸口をつかみたいというふうな趣旨に私は見てきた次第でございます。ただこの温州ミカンの解禁州の問題は食物防疫の問題が非常にからんでおりまして、いわゆるかんきりかいよう病という問題の点につきまして、アメリカ側はまだ懸念を持っておる。日本の温州ミカンにはそういったかんきつかいよう病が絶無ではないというふうな理解がありまして、この問題について日本側からさらに十分アメリカ側を説得できるようなデータ等を相そろえましてて、今後さらに折衝をいたしたい。こういうふうに考えている次第でございます。
 それから季節関税の件でございますが、私たちの、この三月三十日だったと思いますが、参議院で成立いたしまして、関税定率法の改正が行なわれた次第でございますが、その際グレープフルーツにつきましては従来一律二〇%の関税でございましたが、今回季節関税を設けることによって十二月一日から五月三十一日の間、いわゆる日本側の晩かん類を中心といたしましたかんきつの出回る時期には四〇%、それから六月一日から十一月三十日までのおおむね日本側としてはミカンがあまり出回らない、ほとんどない時期というときには二〇%の関税でいくということで国会の法律が成立いたしておりますので、グレープフルーツの自由化の時期にこの新税率を適用するということで、政令はまだ施行しないままただいまのところ二〇%だげということで実施している次第でございます。
 ただいま御指摘がありましたように、グレープフルーツにつきましては相当やはり長期保存の可能なものでありますが、日本側に早々と入れまして、六月以降二〇%の時期に入れて十二月以降の四〇%の関税時期までもっということではありますが、可能性があるという御指摘でございますが、われわれの見たところではあるいは全然そういうことはないとは申せませんが、大体アメリカ側のグレープフルーツにつきましてもこの六、七月ごろになりますと、多少収穫期を終えてから半年以上もたちますと、相当弱ってまいりまして、この年末前後、いわゆる十一月の終わりのほうになりますと、向こうにもグレープフルーツというものはあまりもう大量にはないと、一月ごろのニュークロップを待つまでの問わずかだとは思いますが、おおむねそういうふうな形でそう大量のものが――日本に安い関税のときに大量のものが入ってくるとは思ってない次第でございます。
 以上簡単でございますが……。
○園田清充君 いまのまず第一の問題で、需給事情を改定をしたいということですけれども、いまの増反新植の状況からして、これはあなた方が今日までの目標としておられるものよりも早く目標が達成せられるということへの私は改定だと、かように理解をいたします。
 それからもう一つは、おいでになって、解禁州の拡大、アメリカは州法によってこれは植物防疫の関係上輸入を禁止している。ところがこの長谷川さんと交渉があってから、アメリカの政府として努力をしているならば、私はどこかに実を結んでいなければならないと思う。ところがそれが全然ないということはアメリカさんのわれわれとしては誠意を疑わざるを得ないということになると思うのです。
 と、もう一つは、四十六年の十二月末というのが当初の約束だった。それが五月実施ということになると半年繰り上げられた形になるでしょう、これは。その問の経緯は、いろいろ過程も私はいささかの承知はしておるつもりですけれども、ただこちらの政情が、これは局長のあなたに聞くのは非常に無理だと思うけれども、いま米価の問題で全国からこれだけの生産者の方々が三年据置きということに対しての不満をぶちまけていらっしゃる中で、特に西南暖地で果樹に転換しようじゃないかという、果樹に依存していこうかという将来の見通しを求めているこの農家にとって、この五月実施ということが心理的に――一体政府は総合農政ということを、何を考えておるか、これは与党のわれわれすらいささか不満にたえません。こういうことが次々に打ち出されていって、一体皆さん方が私は第二の食管という、ある時期にきたときに、グレープフルーツの当時、自由化をやったけれども、この三、四年、五年待たずに三、四年先には私はこれはミカンの果樹をかかえて非常にまた皆さん方が御苦心なさる時期がくるのじゃないかと思う。
 そういうことをいろいろ考え合わせていくと、何もアメリカさんが日本の申し入れに対して誠意ある政治的な措置をとっていないのに、こちらだけがあわてふためいて自由化を急ぎます、急ぎますという理由、この辺に、裏を返してみるといわゆる貿易の問題、いろいろなことがあろうと思います。あるけれども、その不満、しわ寄せというものが農村のわれわれにきているというようなことが、私は果樹農家の不満だと思う。これはただ単に果樹農家だけでなくて、それが米生産農家の不満につながる、いろいろな面での不満につながってくると思う。こういう時期的な政治的な問題というのは、やはり慎重にお取り扱いを願いたいと思うし、だから、私が聞いたことにお答えございませんでしたが、総理があなたの報告を聞いて、ケネディ特使に対して五月実施をやりますよということを言ったでしょう、あるいはあなたが帰ってこられた前後だったと思う、佐藤経企庁長官がやはりこのことに触れた発言をしておる。だから、私はまことに自分の内輪の政党の恥を申し上げるようだけれども、私どものところの国会対策委員会でも、佐藤経企庁長官というのは大蔵事務次官をやっただけに、行政的にはたんのうかもしれない、しかし政治的にはゼロじゃないかということを私は同じ同僚だから、同年兵だから言ってきた。そういう経緯等を考え合わせてみると、あなた自体が総理にやはりそれだけの報告をされて、総理が踏み切られたものか、そうであるならば私どもは私どもだけで問題を煮詰めて検討することに考え方をかえていかなければならないと思う。これはだからあなた、言いにくいだろうけれども、ひとつはっきり御答弁を願いたい。
○政府委員(荒勝巖君) 私から直接総理には御報告等を申し上げる機会は持っていない次第でございます。ただ私もワシントンにおりました間中、毎日アメリカ側とも接触いたしまして、その毎日の結果につきましては、電報で外務省を通じて連絡いたしております。それから帰りましてからまた農林大臣には再三にわたりまして、アメリカ側との接触経過等につきましては、ただいま私から口頭でここで御報告申し上げたような感じのことを多少具体的に大臣には申し上げておりますような次第でございます。
○園田清充君 これはあなたに質問しても気の毒だと思いますからやめます。あとは内輪の問題として、それぞれの機関を通じて、ただすべきことはただしてまいりたいと思いますが、ただ一つ、ここであなたにお願いしておきたいことは、私どもは私どもの政府与党の内部においてそれだけの努力をしてまいりたいと思いますが、総理が五月実施をアメリカのケネディ特使とお約束をなさっていらっしゃるようだけれども、国内の事情は非常に困難であるということについては、事務当局としても重ねて私はいろいろな進言をなさるならば進言をして、このことに対して不満があるということの報告と、アメリカさんがいまあなたに聞くと、今度は何ら長谷川さん時代の交渉の成果というものがあなたが行ってこれは確認できていない。言いかえるならば、私は大臣と話し合ったことで日本の大臣がばかにされたことだと思う。それをそのまま認めて一方的に私どもは十二月末までという約束を五月に実施しますということは、これはどうしたって私どもとしては譲るべからざることではないかという気がする。
 そこで、ひとつ農林大臣あるいはその他に御報告になる場合にも、私があなたにお尋ねして、あなたからその後の努力の成果というのはなかったと、努力をしようという話はあったが、この期間における努力の成果というものは残念ながら局長の訪米においては見ることができなかったということを、あった事実をそのまま御報告を願いたいということが一点。
 それからもう一つは、第三点の季節関税の問題。おっしゃったとおり、あなた方の何で一つ実は困っているというけれども、これはしかし私よりもここにミカンの産地の堀本先輩がいらっしゃるけれども、堀本先輩の経験からしても非常に変質しにくいかんきつであるということもおっしゃっているし、おそらく国内の業者も受け入れなりいろいろなことで問題は、これは出ることはわかっている。七月からこうだ、六月の端境期にこうだということになると、六月なら六月にばっと入れて、そして関税の高くなる時期にはこれを減らしていくということは、私が商人だって考えますよ、局長あなたがそうだっておそらく考えると思う、これは商売人だから。だからそういうことの予防の措置とともに、これに対する対策というものも十分ひとつ今後とも検討願いたいということを要望申し上げて、これでおきたいと思います。どうも御苦労さんでした。
○杉原一雄君 じゃあ局長ね、アメリカの事情としてどうしても日本にこれを押し売りしなきゃならぬ都合の悪い事情は何ですか。
○政府委員(荒勝巖君) 私もアメリカに行くに際しまして、いろいろと勉強さしていただきましたし、また向こうでも現地側と、現地というかワシントンの政府側といろいろとお話しましたが、やはりアメリカといたしまして、まあ基本的には私が向こうから受けた感じといたしましては、少し私が言うのはあるいは話が大きいのかもわかりませんが、向こう側の強い姿勢としては、日本はもういまや大国である、大国は大国なりの責任がなければならない、それに反して非常に輸入制限物資が多過ぎる、もっといわゆる貿易の自由化を大いに促進すべきであるという、そういう姿勢からこの問題を強く取り上げておられるんではなかろうかと、個々のグレープフルーツとか何とかということは、たまたまそういうふうに話のいきさつ上なったんで、まあ約束したものは約束してもらいたいということで、全般的な貿易自由化という観点の中で、その中で約束したグレープフルーツは自由化してもらいたいということはあったように私は理解した次第でございます。
○杉原一雄君 グレープフルーツはいま自由化されていないわけだけれども、店頭に売っているわけですわね。それが幾らほど値段するかぼくら貧乏人はめったに買わないわけですからね、一ぺんか二へんしか買わないわけですから、それが一つ――かりに自由化すれば値段の関係はどういう動向を示しますかね、局長の判断をひとつ……。
○政府委員(荒勝巖君) まあ仮定みたいな話になりまして、これは絶対的な話ではございませんが、現在グレープフルーツは過去二、三年来の経緯を見ますと、小さなもので大体まあ三百円ぐらい、大きなものになりますと五百円ぐらい、これは非常に上等なものだと思いますが、われわれの見通しでは自由化いたしますと、大体まあ百円から百五十円、まあ非常にいいものでも二百円以下というような形になるんではなかろうかと、こういうふうに推測している次第でございます。
○杉原一雄君 自由化すれば――私は三百円というのを買って食べたことがあるんですが――百五十円ぐらいになるということをおっしゃるわけですね。そのことで結局園田委員が非常に心配した、つまり政府が新しい農業の地図を考えたわけですが、同時にまた長期計画等もあるわけですが、そうした日本の今後の農業のあり方、とりわけ後ほど米の問題でいろいろお話を伺い、質疑応答をやりとりいたしますけれども、結局この間、私、予算委員会で質問したように、その米を減反、休耕する、ないし転作するのだと、転作は麦だとかトウモロコシだとかくだもの、こうあるわけですからね。これをもう政府の当面する一つの政策として動かないものだと思いますが、それといま園田委員が言ったことですね。結局こいつを入れることによって政府がこれから進めようとする転作の方向に大きな打撃を与える、方向転換を余儀なくさせるというようなことなど、非常に憂慮されますがね、それはそういうことを心配しなくてもいいんですか。そのかわりにミカンを向こうに送れば何とかなるというんですか。その辺のところを局長のほうへもう一度念を押しておきたいと思いますが、どうですかね。
○政府委員(荒勝巖君) グレープフルーツの自由化をかりに実行した場合でございますが、われわれとしてはやはりグレープフルーツの自由化に伴いまして、それはそれなりに若干国内産のかんきつに対しまして影響なしとしない。ある程度影響を与えるんではなかろうか。特にまあ甘夏ミカン――甘夏ミカンとかその他の晩カン類につきましては、時期がほぼ同じ時期にかち合いますので、そういった意味で影響があるものと理解している次第でございます。しかし一方日本側といたしましてもかねてからグレープフルーツの自由化の時期は切迫しておるというふうに判断いたしまして、従来の古い形のかんきつ、夏ミカン等、すっぱくてあまりおいしくない夏ミカン等につきましては積極的に改植を進めまして、甘夏ミカンとかその他のかんきつ類に作付転換といいますか新改植を進めるとともに、また日本のかんきつにつきましてもいわゆる保管ができますように、生産と出荷のための貯蔵庫を政府としては助成いたしまして全国につくらせ、あるいはまたかんきつの今後の需要増大を促進するために、ジュース工揚等につきましても新植等をすすめまして、国内産のかんきつの構造改善といいますか、体質改善といいますか、国際競争力を一日も早く成り立つように、相当積極的にかんきつ類の国内生産につきましては、ただいま指導助成をいたしておる段階でございます。
○杉原一雄君 いまの局長の話だとね、結局生産費、値段の勝負だと。日本従来のものとそれからグレープフルーツとは値段の勝負だと。だから政府では助成したりコストを落とすような政策等に努力するというふうにも受け取れるわけですがね。その努力はぼくは多としたいと思います。ただそれだけでなしにあなた方よく言われるいわゆるうまい米とかなんとかおっしゃるように、味の勝負ということもあり得るわけですね。国民の嗜好の問題。これは非常に嗜好は偏差がありますから断言できませんけれども、これは私は確かにうまいと思いますね。そうした勝負に対するいわゆる対抗措置といいますかね、そうした問題等について検討されたことがあるかどうか。そうしてまた値段の生産費の問題とすれば、いま堀本さんもおいでになりますが、愛媛の皆さん方が海峡を渡って九州で三十ヘクタール程度の大きな農園をつくってミカンをおつくりになっておる努力もあるわけです。たいへんな努力だと思うのですね。それはアメリカが五十ヘクタールでグレープフルーツをつくってコストを落としておる。こちらでは三十ヘクタールくらいで勝負をしようということで非常な努力をしているわけですから、そういうコストの問題。それは集団化、いろいろの方法はありますが、いま申し上げた味の問題等については局長これは非常にむずかしい答弁になると思いますがどうでしょうか。日本を風靡すると、あるいは黒船来たるというような感じですね。そういった感じはないですか、どうですか。
○政府委員(荒勝巖君) ただいま私の答弁が少し舌足らずでございまして、十分御理解願えなかったと思いますが、値段につきましてもアメリカのグレープフルーツに対抗できるようにいたしたいと思っておりますほか、この品質につきましても、やはり一日も早く良質なかんきつを生産することが日本の農業にとって一番大事なことじゃなかろうかと、こういうふうに私たちも考えておる次第でございます。したがいまして従来から国民には非常に感謝されて、感謝というか普及してまいりました夏ミカン、従来の夏ミカンというものもまだ大量にございますが、しかしいつまでも従来型の夏ミカンではやはりすっぱ過ぎて国民の嗜好には合わない、時代の流行にそぐわないというふうにも考えまして、われわれといたしましては、農家の御努力で最近普及してまいりつつあります甘夏ミカンヘの切りかえということで、夏カンを切りまして、夏ミカンの上に甘夏ミカンのつぎ木をいたすこと等によりまして、また新植する際には、従来の夏ミカンではなくて甘夏カンの苗木等を植えるということで、一日も早くこの晩カン類につきましても品質の向上をはかりたいと思っております。さらに温州ミカンにつきましても従来までは量一本やりでまいりましたのを、最近の技術指導ではやはり品質の向上というところに特に重点を置きまして指導奨励しておる次第でございます。で、まだただいま言い過ぎかもしれませんが、グレープフルーツだけが今後の国際競争力の対象ではなくして、やはりオレンジ等が今後大量に輸入される時期もまいりますので、今後オレンジに十分負けないだけの温州ミカンをつくっていくことがわれわれの最大の仕事ではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○杉原一雄君 非常に近いものだけ比較されていろいろ対策その他若干議論したわけですけれども、しかし先般青森の農政部長などに会って、青森のリンゴの問題で、これは一昨年になりますか、かなり心配のあまり御相談いただいたことがあるのですが、結局リンゴはリンゴで勝負するだけじゃなくて、くだもの全体の問題として農林省がとっているそのくだものに対する政策がやはりいろいろな意味で大きな影響を与えてくる。だからグレープフルーツ即夏ミカンということじゃない。たとえばバナナ、干しブドウ、レモン等がなだれを打って本土に押し寄せてくる。そのことがミカンのやはり価格なり、そして結果的には生産の問題等に大きな影響を与えている事実を私は認めるわけですがね。だから局長はそうした全体の問題を考える立場から、先ほど園田さんが言われたように、日本全体の今後の農業のあるべき姿として、ここに農民がたくさんおりますが、ほんとうに安心して、農林大臣が先般言ったように、くだものに全力を尽くしていいのかどうか。ところがいまどっこいグレープフルーツが大手を振って横浜の港に上がってくるということになると、さてまた青森の農政部長が頭をひねらなければならないし、長野のリンゴ生産には打撃を与えるということ等はあり得ると思いますが、それは局長はそうしたことをすでに計算済みでこの問題に当たってきたのかどうか、その辺のところをどう見通しておられますか、明らかにしてほしいと思います。
○政府委員(荒勝巖君) 農林省といたしましては、果樹につきましては先生方も十分御存じのように、果樹農業振興特別措置法という法律がございまして、果樹につきましての生産と消費の実態並びに将来にわたる見通しというものをわれわれはつくりまして、十年後の大きな見通しを立て、それに基づきまして五年先の植栽の目標というものを設定いたしまして果樹農業の振興に資してきておる次第でございます。それがたまたま五年たちまして、ことしが、四十六年度が改定時期に当たっておりますので、現今のいわゆる果樹農業を取り巻く内外の諸情勢というものを十分に掌握しながら、今後五年間間違いのない果樹植栽計画というものを立てて、農業者の生産を指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それは主として量的な話でございますが、われわれといたしましては当然に、今後国民所得の増大に伴いまして果実に対する国民の嗜好は今後当然増大するものと理解をしておりますし、また世界じゅうの、日本よりも先進国と思われますヨーロッパあるいはアメリカ等の果樹に対する需要量というものを比較検討いたしますと、まだまだ日本では果実に対する需要量は増大しても差しつかえないものというふうに考えておりまして、当然その考え方をこの秋ごろまでには長期見通しの中に織り込んで、あらためて当委員会で御説明できるようにいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。その際、あわせまして、単に果樹の生産と需要の見通しというふうな単純な見通しだけではなくして、われわれといたしましては国内でできます果実が十分に消費者の需要に即応するものでなければならないということで、ただいま御指摘のございましたリンゴ等につきましても、従来からの、国民に非常に親しまれてまいりましたけれども、新しい時代の波にはうまく沿いません。国光とかあるいは紅玉とかいうふうなこういった型のリンゴが最近市場でもあまり歓迎されない向きもございますので、われわれとしましてはスターキングとかふじとか、こういった新品種への改植あるいはつぎ木による再開発というふうな形でこういったリンゴにつきましてもそういうふうな指導方針を立てておる次第でございます。
 さらに、世界的に見ますと、日本だけがどうもなまのまま果実を摂取するという習慣が長く続いておりますが、やはり果実の消費というものはやがては、そのまま食べるのではなくて、ジュースという形で消費の増進をはかる必要もあるし、また消費者もジュースという形で飲む時代も近づいておるというふうに理解いたしまして、ミカンだけでなく、リンゴにつきましてもことしからジュース工場を、ことしは一ヵ所でございましたが大体青森県に設置するということで、リンゴの加工による需要の増進ということをはかってまいりたい。さらに日本のかんきつあるいはリンゴ等につきましては、やはりそれはそれなりに非常にいい特性といいますか、がございますので、海外の需要も、努力すれば今後開発できるということで、ミカンにつきましてはアメリカの解禁州をさらにふやすという努力を今後一そう続けてまいりたいと思いますが、カナダ等につきましては、こちら側の西部海岸には従来から相当大量のミカンが輸出をされて、約一万五千トン前後の温州ミカンが輸出されておりますが、さらに東海岸の、いわゆる大西洋岸のほうにも何とか実験的に温州ミカンを持ち込みたい。さらにはヨーロッパにも日本の温州ミカンを輸出したいということで、四十六年度予算で、これも実験的ではございますが、今後ヨーロッパにも、イギリスを中心といたしまして日本の温州ミカンの輸出の振興をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。またリンゴ等につきましても、日本のリンゴは非常に世界的にもそのできた形といたしましては最高の品物でございますので、従来から東南アジアを中心といたしまして相当日本のリンゴは輸出されておる次第でございますが、今後沿海州、ソ連の方面にもなおリンゴの輸出の余力があるというふうに考えてさらに努力を続けてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○堀本宜実君 大臣がまだのようだから、私も少し質問をしようと思っておりましたが、局長とはもうアメリカから帰ってきて数回接触をいたしておりますので、私はあなたの意見を聞こうとは思いませんが、いま御答弁になりました中で、グレープフルーツというものを、われわれが考えておりまするものよりも非常に安易に考えておられるのではなかろうかと思いまするので、二言申し上げておきたいと思います。
 御承知でございましょうが、アメリカのカリフォルニア州でつくっておるグレープフルーツの所要労働時間は一アール九時間くらいでつくっておる。同じ面積の日本における温州ミカンの投下労働時間は三十倍ぐらいかかっておるのであります。広い畑の中をスピードスプレーヤーで、双方に二十メートルも飛ぶような消毒機械をもって消毒をして、防除をしております施設と、日本のような山坂で防除をいたして栽培をいたしておりますものとの投下時間の差がたいへん違っておる。したがってコストは高くつくわけでございます。ですから、アメリカのグレープフルーツと日本のくだものとを競争さしてみてもとうてい勝てようはずがございません。グレープフルーツという名のように、ブドウのようにたくさんなります。グレープフルーツというのはそこから出てきた名前でございまして、しかも非常にもちがいい。半年の間二〇%高の季節関税をかけるというのでございますけれども、私は六ヵ月だけの若干高い税金をかけても保管といいますか、保存といいますか、そういう保存のきく果実でございますので、日本の果実とは全然趣を異にいたしております。ミカンに例をとってみますと、日本のミカンはたいへん腐りやすいのであります。赤道を越えてアメリカに行きますと、たいへん品質が悪くなるのでありますが、アメリカのグレープフルーツはそうではございません。またいま三百円、四百円しているから、それはそんなにはないであろうというようなお考えのようでございますが、これは自由に入れてよろしい――いまは数量を制限しておりますから。そうでなくて自由に入ってくるということになりますと私は相当安くなるものと思うのであります。かりに一個が百円以下になってまいりますると、もう日本の夏カン、甘夏カン、その他伊予ミカン等は当然その売れ行きが減ってまいることでございましょうし、いままで構造改善やあるいはたんぼを休ませて、最後には果樹園にしてはどうかというおすすめもいたしておるようでございますが、とてもそういうことでは農家は立っていけないのであります。このグレープフルーツという、わずかアメリカから来ようとしておりますくだものが国会でも取り上げられ、西日本におきましてはもうたいへんな苦痛を感じておりますること自体がたいへんこの品物をおそれておるという理由でございますので、安易に考えないで、十分に対策を立てるべきである、かように思うのであります。
 私はそこの見解があなたと少し違います。レモンでも、当初レモンというようなものは、日本でつくっておった。それが自由化になりまして、いまレモンの木は皆切っております。日本にありまするレモンはほとんどありません。そうしてレモンが外国からきてどういうことになっておると思いますか。レモンジュースという、レモンをしぼって汁をとっておる。ジュースをとるのに外国から長い八千キロの海を隔てて持ってきて、そしてなおかつ日本でジュースにしておるのであります。でありますから、これはおそらくグレープフルーツがきましても、グレープフルーツのジュース工場が日本に建つであろうと思うのであります。たいへんなことでございます。それが日本のミカンはアメリカヘは渡れない。それはかんきつかいよう病という病気があるからであろうと、こうおっしゃいますが、かんきつかいよう病がそれだけおそろしい病気で、世界の恐怖の的になっておるという病気でございまするならば、政府は大きい力で試験研究所を持っておるのでありまするから、農家にそういうものをゆだねておらないで、試験研究をして、早くその薬品を発明をし発見をして、そしてその生産が満足にいかれまするようにすべきであると私は思います。昨年わずかに経費二百万円か三百万円かの予算をさいてこれに充てたと思いますが、今年はどのくらいな予算をお組みになったか知りませんけれども、ただこの病気がおそろしいというだけでなくて、指導的立場にある国は、すみやかにこの原因を解明いたしまして防除につとめなければならぬと私は思うのであります。
 私はまだ申し上げたいことがありますが、もうここ二、三日中に党においても、農林省のあなたらも含めて、この問題と真正面から前向きに取り組んで解決をしなければならぬ時期に到達をいたしておるのであります。農民は、米の問題といい、このグレープフルーツの問題といい、全くよく言われておりまするダブルパンチを食った感じでございまして、ぼう然自失しているのがいまの農家の姿でございます。この問題はあまりに安易に考えられないで、十分にほんとうに真正面から取り組む姿勢を持っていただきまするようお願いを申し上げる次第でございます。
○委員長(河口陽一君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(河口陽一君) 次に、米価問題に関する件について政府側から説明を聴取いたします。内村食糧庁次長。
○政府委員(内村良英君) 昭和四十六年産の米穀の政府買い入れ価格につきましては、昨日から米価審議会が開催されております。政府といたしましては、資料でお配りしてあると思いますが、ただいまから読み上げますような諮問を米価審議会に対して行ないました。
  昭和四六年産の米穀の政府買入価格について
 は、米穀の一需給の均衡を図るため米穀の生産調
 整が行なわれている本年の需給事情に即応して
 生産費および所得を考慮して決定することにつ
 き、米価審議会の意見を求める。
  昭和四六年四月二六日
           農林大臣 倉石 忠雄
 次に、諮問についての説明を朗読いたします。
  米穀の政府買入価格は、食糧管理法第三条第
 二項の規定により、生産費および物価その他の
 経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図る
 ことを旨として定めることになっており、その
 算定につきましては、各種の算定方式の変遷を
 経て、昭和三五年産から昭和四五年産の米穀ま
 で生産費および所得補償方式によって行なって
 きたところであります。
  米穀の政府買入価格は、最近における米穀の
 需給事情を考慮して、昭和四四年産および昭和
 四五年産とその水準を据え置いたのであります
 が、これまでの間年々相当の上昇をみてきたた
 め、米価の水準は他の農作物にくらべてなお相
 対的に有利であり、このため他の諾要因とも相
 まって米の生産は増大し、他方米の需要は食生
 活の高度化により減少を続けているため、米の
 生産は大幅に需要を上廻るという深刻な供給過
 剰となり、この需給の不均衡を是正することが
 当面の農政の最大の課題となっております。
  このような現状に対処して、政府は、米の需
 要の拡大に努めつつ、まず四五年度に非常緊急
 の措置として一五〇万トン以上を目途に米の減
 産を図ることとして生産調整等の施策を講じた
 のでありますが、米の恒常的な生産過剰の事態
 にかんがみて、四六年度以降五ヵ年間を実施期
 間として、総合的かつ計画的に、米の生産調整
 および稲から今後需要の増大が期待される他作
 物への作付転換のための施策を推進することと
 し、四十六年度においては二三〇万トンの生産
 調整を行なうこととしております。
  このように、これまでの米価のもとにおいて
 米の需給は大幅な供給過剰となり、需給の不均
 衡を是正するために米の生産調整のための特別
 の施策を講じなければならない事態にあります
 ので、米穀の政府買入価格の決定にあたっても
 このような事態を十分考慮しなければならない
 事情にあります。
  このような事態のもとにおいてこれに即応し
 た米価の算定のしかたをどうするかは、きわめ
 て重要な問題であります。すなわち従来の生産
 費および所得補償方式をそのまま続けることに
 は種々問題が指摘されております。しかしなが
 ら従来の方式を変更するにはそれ相応の検討を
 要するので、算定のしかたについては今後早急
 に検討しなければならないと考えますが、さし
 あたり本年産の政府買入価格の算定にあたって
 は生産費および所得補償方式によりつつ以上申
 し述べましたように米穀の需給の均衡を図るた
 め米穀の生産調整を行なっている本年の需給事
 情に即応して算定することとしてはどうかとい
 うことであります。
 これが諮問の説明でございます。
 これに関連いたしまして、政府は「昭和四六年産米穀の政府買入価格の試算」を米価審議会に提出いたしました。これは諮問の説明にもございますように、生産費及び所得補償方式をとっているわけでございますが、若干算定の資料等について変わった点がございます。そこで、それはどういう点かと申しますと、四十六年産米価の政府試算は、米穀の需給の均衡をはかるため、米穀の生産調整が行なわれている本年の需給事情に即応し、基本的には生産費及び所得補償方式によりつつ生産費の取り方及び家族労働費の評価のしかたを修正しているわけでございます。
 すなわち、昨年と異なる点を申し上げますと、家族労賃の評価がえに用いる都市均衡労賃について、製造業従事者の都道府県別賃金を都道府県別の米の販売量によって加重平均して算出した賃金をとっていることでございます。それから第二に、基準とする生産費として必要量に見合うところまでの生産費をとったこと、これが昨年と算定方式上違うところでございます。
 そこで、それでは具体的にはどうなっているのかということをこの試算の算定説明について申し上げますと、まず第一に、過去三年の生産費を基礎にして計算しているわけでございますが、昨年までは五俵以上の米の販売農家の平均生産費をとっていたわけでございます。それを本年は生産調整を進めて、二百三十万トンの生産調整を進めているという事情もございます。そこで二百三十万トンの生産調整の数字の基礎につきましては、るるここの当委員会においても御説明しておりますので省略さしていただきますが、要するに、政府の配給に必要な数量は七百六十万トンでございます。そこで生産費調査の結果を用いて、四十三年産、四十四年産及び四十五年産に米の販売農家の百五十キログラム当たり生産費を低いほうからずっと並べまして、価格決定の必要販売数量に見合う販売数量までの農家の生産費をとったわけでございます。これはどういうことかと申しますと、生産費調査の中で農家の販売量がございます。それをずっと並べまして、要するに、生産費の低いものからずっと並べまして、さらにそれに農家の販売数量がございますから、その生産費調査の農家の販売数量の――具体的には四十三年の米の販売数量実績は千十三万トンでございますから七百六十万トン、この比率をとると、これは七五%になるわけでございます。したがいまして七五%のところまでとりまして、それ以上の農家の生産費の平均をとっているわけでございます。それから四十四年産米につきましても同様のことをやりまして、四十四年の販売数量実績は九百六十万トンでございますから、これに対する七百六十万トンとの割合八〇%を四十四年産についてはとって、八〇%の販売数量のところからの生産費をとっているわけでございます。四十五年産につきましては販売数量実績が八百五十万トンでございますから、七百六十万トンとの比率が九〇%になります。したがいまして九〇%の数量までの生産費というものをとっているわけでございます。そのようにしてとった農家の生産費を基礎にいたしまして、これを従来どおり現在の物価に引き直しているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、家族労働費につきましては昨年と評価のしかたを変えております。すなわち家族労働費につきましては昨年は製造業従事者の全国平均の賃金を基礎にしたわけでございますが、ことしは製造工業賃金の地方調査というものを基礎にいたしまして、それに米の販売数量でウエートをつけて賃金を出すというやり方をしたわけでございます。その二点が変わっておりまして、あとの点は大体昨年と同じような方式で生産費を計算して求める価格を出したわけでございます。その求める価格が「政府買入価格の試算」の二ページにございますが、一万九千三百十円、百五十キロ当たり。それからそれに運賃を加えまして、さらに補整額八百七十七円を加えて二万三百二十円。それからウルチ軟質米の三等裸価格は基準価格に一−五等平均と三等との等級間格差を足しまして、それから歩どまり加算を引き、さらに補整額五円を足して二万四百七十円。それからさらにウルチ一−四等の平均・包装込み・生産者手取り予定価格はウルチ軟質三等裸価格から三等と一−四等平均との等級問格差を引きまして、それに歩どまり加算を加えて包装代二百七十三円を加えて二万六百八十一円というような、こういうような価格の算定をいたしまして、これを米価審議会に材料として提出し御審議を仰いでいるということで、本日いま米価審議会が継続されている状況でございます。
○委員長(河口陽一君) 本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
○中村波男君 具体的な内容については大臣が来ましてから同僚なり、関連で質問したいと思いますが、いま次長が御説明になった諮問案を審議会に出して審議を仰いでいるという御説明がありましたが、いま審議会はどういう状況で審議しておりますか、きのうからきようにかけての経過をこの機会にお聞かせいただいておきたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 私けさから衆議院のほうへずっと出ておりまして午後こちらに参りましたので、本日の審議状況については必ずしもつまびらかではございませんが、役所から連絡を受けて聞いておりますところから申しますと、昨日審議会が開かれまして、まず大臣のあいさつ、諮問、それから諮問案の説明、政府が提出いたしました試算の算定要領の説明というようなことで、まあ従来米価審議会がやっておりました手続にのっとってずっと審議が進みまして、それで午前中の審議が終わったわけでございます。で、午後から質疑がございまして、各委員からいろいろの意見の御開陳がございました。それで四時か四時半ごろだったと思いますが、生産者代表の委員の方から、どうもこの一つの算定試算だけではいけないんではないかというようなお話が出まして、さらに一人の委員の方から、どうも政府はすでに据え置きをきめておるんじゃないか。それでそういうことではこういうところで議論してもしょうがないんじゃないかというような意味の御発言があって、生産者の代表からこのようなことであっては審議に参加しても意味がないから退席したいというような御発言があったわけです。その結果休憩になりまして、世話人会等を開きまして事態の収拾について小倉会長を中心に論議がなされたわけでございますが、結局政府側の意見を聞こうということで、きょうこの会議が終わりまして六時ごろ大臣が米価審議会に御出席になり政府側の見解を申し述べられると、それに基づいて今後どうするかということになるわけでございます。本日のところは、したがって現在のところ懇談会ということで米価審議会が開かれております。午前中の米価審議会の状況は、私の承知しているところでは生産者を代表する委員は御出席になっていないということで、その他の委員でいろいろな懇談的な質疑が続けられておるというような状況でございますが、午後の状況につきましては私自身ちょっとつまびらかにしておりません。
○委員長(河口陽一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(河口陽一君) 速記を起こして。
○杉原一雄君 政府がいま進めようとする農政の基本的路線と申しますか、その中における食管――食糧管理の問題、なかんずく米価決定の基本的な考え方、抽象論でございますが、最初にそのことから確かめていきたいと思います。大臣は、いまお進めになっている農政の基本的な路線、もっとほかの表現をすれば、農政の原点は農業基本法に基づいておやりになっていると理解してるんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 方針は、農業基本法の方針はきわめて妥当なものであると存じますので、そういう方向で農政を進めてまいるつもりであります。
○杉原一雄君 先ほど大臣がおられないときに、全日農の代表者として鈴木さんがここで陳情なさったわけですがね、それは農民の全部であるとは思いませんけれども、農民はそう受け取っていないわけですね。たとえば決議案の中で「減反と米価据置きのもとで、出稼ぎが激増し、農民生活は破綻に追い込まれ、自殺者さえだすに至っている。消費者物価や労賃が上昇するもとで、政府は、生産者米価を四十三年度水準に釘づけにし、そしてことしもまた据置きを強行しようとしている。」云々という形で先ほどおっしゃったわけですが、大臣がおっしゃったように、農業基本法の精神に従って農政をたくましく前進させ、農民に対して不安なき農業政策をおやりになっているようにもおっしゃっているわけですが、農民はそのように受け取っていないわけですね。そんなことを、いま釈迦に説法のようなことを申す必要はないわけですが、大臣がいま確信を持っておっしゃったわけですが、農業基本法の前文には、こんなことを申し上げるのもどうかと思いますが、「わが国の農業は、長い歴史の試練を受けながら、国民食糧その他の農産物の供給、資源の有効利用、国土の保全、国内市場の拡大等国民経済の発展と国民生活の安定に寄与してきた。」、――そのとおりだと思います。「また、農業従事者は、」、――ここが大事だと思いますが、「このような農業のにない手として、幾多の困苦に堪えつつ、」――まさにそのとおりです。「その務めを果たし、国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきた。」、――ここにおいて農民の皆さんはその意味では誇りを持って今日までこられたと思いますが、そこで次に、「われらは、このような農業及び農業従事者の使命が今後においても変わることなく、民主的で文化的な国家の建設にとってきわめて重要な意義を持ち続けると確信する。しかるに、近時、経済の著しい発展に伴なって農業と他産業との間において生産性及び従事者の生活水準の格差が拡大しつつある。他方、農産物の消費構造にも変化が生じ、また、他産業への労働力の移動の現象が見られる。」、――そういう情勢把握をも前文の中でうたいながら、あくまでも農業に対する国家的な使命、農業従事者に対する大きな期待がうたわれているわけです。
 しかるにいま、きょう内村次長から説明を受けたこの米価試算についてこう見ますと、そのような精神がほとんど影をなくしているんじゃないだろうか。ただ説明の資料の中で、食糧管理法第三条第二項の規定により、「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨」として定めることになっており、ここで食管法の第三条を引用しながらあたかもこのことに忠実にこの諮問が出されてくるような印象を与えておりますけれども、私は率直に言って大臣が、農業基本法、いわゆる基本法農政はまさに変えるべきだ、これは変えるんだ、食管制度はこのような試算を出す限りにおいてはこれをなくするんだということを農民の前に正直に言ってもらったほうがいいのではないかと、どう見てもそのようにしか私は考えられませんが、重ねて農林大臣の見解を明らかにしてください。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農業基本法が差し示しております方向というものは、やはりわが国の農政の指針とすべきものであるし、私はりっぱな考え方であると思っております。われわれ自身がこの法律の制定に十年前に参加いたしておるわけであります。そこで一つ一つの事案を取り上げてみますというと、そのときどきにおいてはいろいろな御批判も、それから問題も出てくる機会が多いだろうと思います。いま米というものを取り上げて、その米の価格というものをただいまのようなことにしなければならない、また生産調整ということをしなければならないというその一こまを取り上げて考えてみますときに、私ども農政をやっておる者から見まして、まことに暗い気持ちを持たざるを得ない場面もあるわけであります。
 そこでしからば、それを放置したらどういうことになるかということを逆に考えていかなければなりません。で、私は、いまは、申すまでもないことでありますが、米は統制品でありますので、政府が法律に基づいたやり方で米価を決定しなければなりませんが、米も商品であります。この商品がもし統制でなくて自由なマーケットで取引されるものであるとすれば、これはやっぱり需要供給の関係でおのずから価格は決定されるでありましょう。
  〔委員長退席、理事園田清充君着席〕
しかし、米というものがわれわれ一億国民の主食でありますし、かつては非常に不足をいたしておった時代もありますので、昭和十七年に制度が設けられて、今日のような統制が行なわれるようになってまいった。したがって、米に対しては、その当時から政府は非常に手厚い保護をいたしてまいったことは御存じのとおりであります。また、わが国のような北は亜寒帯から南は亜熱帯に至る細長いこの国土の中で、農作物として米はたいへん適当いたしておるものであると考えられます。したがって、日本人のおなかにもちょうど一番ふさわしい主食として育ってきました。ところが、最近の情勢によれば、だんだんと国民の主食に対する、食べものに対する関心が変わってまいりました。そして一人当たりの消費量が逐年減退いたしてまいりました。そのかわりに、今度はいままでよりも一そう激しい勢いで野菜、果物、肉類等の需要が多くなってきております。生産の技術が進歩し、保険もございますし、農作物の中で割りのいいものであるということで、しかも、日本の農業家は非常な研究心に富んでおりますから、だんだんと増産せられるようになってまいった。しかも、どういうものであっても統制価格である限りは、うまかろうがまずかろうが同一価格でありますからして、多収量の品種のものが栽培されるようになってきたことも御存じのとおりであります。私どもはこういう現実を見て、そこでいま政府が管理いたしておる制度のもとにおいて、政府は何をなすべきであるかと申せば、やはり一トン当たり政府の保管しておる米が十三万何がしというようなものが余っておるから、えさに売ってくれと全購連から話がありましても、やはりえさということになれば二万五千そこそこの値段しかつけてくれません。海外に輸出するといってもこれは百四十ドルそこそこでありますから、われわれの手持ち価格の半額ぐらいであります。こういうことをそのまま積み重ねてまいるということは、国全体の国益から見て私はみんなが考えるべきことではないかと考えます。そこで、米の生産調整というものはぜひ理解を持ってやっていただかなければなりませんということで、去年希望申し上げましたところが、一三九%という非常な御協力を願えました。まことにわれわれ当事者としてはありがたいことでありますが、さらに今年も需給の状況を見ますというと、二百三十万トンの生産調整はしていただきたい。ところが去年は単年度の報償金でありましたが、そういうことでなくて長期の計画を立てるべきであるというので、政府は五ヵ年間の計画を立てまして、単純休耕及び永年作物に対する転作等についてそれぞれ奨励金を別にしまして、その間にこの転作の定着するようにお願いいたしたいということで、いま一番の末端のほうまでその趣旨が徹底いたしておると思いますが、そういうことをお願いいたしておるような次第であります。
  〔理事園田清充君退席、委員長着席〕
したがって、米はこういう実情でありますので、全力をあげてわれわれは御協力を申し上げますので、生産調整はやっていただくが、わが国にはほかの農作物で、もっともっと生産し得るものがあるはずでありますし、しかも、全体の面積この狭い国土の中で、大体八十何%を占めておる山林と原野と農地、こういう美しい緑の中で、しかも、農業というものが産業として成り立っていくために、全力をあげて転換作物についてわれわれは御協力をいたしますので、ぜひひとつそれぞれ地域に合った転換作物に転換していただきたいということを要望いたしておる、これが現状でございますので、一般の生産者たちにも、そのことに十分な理解をもっていただいたものですから、去年はあれだけの成績があがった。ことしもかなり地方のほうで御協力をいただいておるわけでありますが、そういう意味で、いまの需給状況を勘案いたしますというと、価格で生産を刺激するようなことのないように、私どもとしてはつとめてまいらなければならない。こういうことで米というもの及び生産者というものだけ取り上げて考えてみますと、先ほど申し上げましたように、さぞいろいろな御事情があって、おつらいことであろうと思いますが、そのかわりそれにかわるべき転作――もちろん御存じのように、単作地帯で転作が非常にむずかしい地域もありましょう。そういう地域に対しては、そういう地域なりのやはり御協力のしかたを考えなければなりませんが、おおむね、おしなべて私どもの考えております施策はいま申し上げたとおりであります。
○杉原一雄君 先般いただいた農業白書の中で、特に四十五年度の「農業経済の概観」ということが出ておるわけですが、この中で第一点として、産業としての農業が国民の食料の供給、こうしたこと等について非常に貢献をしてくれたということを一応高く評価している。第二点としては、労働力の供給に果たした農家・農業の役割り、こうした点もこれは評価しているわけです。それから第三点として、土地及び資本、もろもろの資源の非農業部内への移動を通じて果たした役割り、このことの是非は別として、つまり工業化、都市化への貢献度、そうしたことも評価しております。第四点として、農民が物を買ってくれる、いわゆる偉大な消費人口であって、そのことが国内市場の拡大に大きなささえになってきたということをも実は評価しております。
 この四点をおしなべて総括いたすと、私なりに解釈すれば、GNPが自由国家群の第二位だという基礎をつくっているものは、農民ではないだろうかと言っても過言ではないでしょう。しかしながら、そこで白書はいま非常に重大な問題を農業の側面で持っているというので、指摘していることは、米の生産過剰、それが大臣がいまおっしゃったように第一にとらえております。第二は、継続的な物価上昇の問題、これもとらえているわけです。
 第一点の過剰の問題につきましても、私たちは直ちにこれを容認するかしないか別です。後ほど別な角度から質問いたしますが、第二点の継続的な物価上昇の問題、こういう問題を、農林省はそれぞれの機関を通じて評価しているということと、いま米価の据え置きとの関係、かなり大きな疑問が出てくると思います。
 第三点は、経済の国際化、つまり貿易の自由化の問題、先ほど、大臣がおいでにならない前に、グレープフルーツの問題について荒勝蚕糸園芸局長からの報告を実は受けたわけですが、こうしたものが日本の農業に対して非常に大きな影響を持っているということも指摘してあるわけです。この第三点は、とらえ方、内容等においてはわれわれが直ちにOKと言うわけにいかぬでしょうけれども、こうした事実もまた否定できないだろう。
 こうしたことをいろいろ総合しながら今後の農政をわれわれは考えるべきだと思いますが、いま大臣の主張は、主として生産過剰だと、米は余るんだと、ここに重点を置いておられるようでありますが、その点、去年の十月時点で七百二十万トン米は余っておると、そういうことなんですけれども、その点、内村次長のほうで、確かにこの数字は狂いのない数字か、十月以後の今日の段階でもそのことは正しく立証できるのかどうか、これは次長のほうから明確に答えてほしいと思います。
○政府委員(内村良英君) 昨米穀年度末に七百二十万トンの過剰米があるということは事実でございます。
○杉原一雄君 それでは、食糧庁で、あちらこちら農業倉庫が最近がらあきになって、農協関係からいろいろな陳情、苦情があがってまいりますので、たいへん困ったことだと、そしてそのためには、農業食庫の運営等については法改正もしていきたいし、できるならば共済制度をつくって農業倉庫の運営等について万全を期したいということなど、あなたの庁の中で御検討なさっているようなことを、私はここで新聞の名前は申しませんが知っているわけですが、そのような事実はないのですか。
○政府委員(内村良英君) まず、現在国内米の在庫がどうなっているかということについて、数字一的に御説明申し上げます。
 今年三月一日現在の在庫量は、千百六十二万二千トンでございます。で、国全体の倉庫の収容能力は、これは農業倉庫から営業倉庫――米の政府指定倉庫にしております営業倉庫まで全部入れまして、千五百二十万トンでございます。したがいまして、この数字からも、若干倉庫に余裕が出ております。しかしながら、県別に状況を見ますと、非常に倉庫が詰まっているところと、それから特に西のほうは若干倉庫に余裕があるというふうなことで、県別には多少事情が違いますが、国全体といたしましては、ただいま申し上げましたような状況になっております。
 新聞報道の点につきましては、私どもはそのようなことはいまだ承知しておりません。
○杉原一雄君 承知しておらないということは、その内容、倉庫があいているとかあいていないとか、実態を把握していただいて、その対策等について、あるいは法改正なり共済制度、あるいは施設をどうするとか、そうした具体的な検討をしてないという意味なのですか。それとも、西のほうがあいているとおっしゃったわけですね、いま明らかに。東は詰まっておる。こういう事実は掌握しておいでになるわけですね。いまあげた数字だけでも、四百万トンほど余裕が出てきているわけですね。この数字も、実はいま疑えば切りがないわけですけれども、私はそれだけにとどまらないのじゃないかと。新潟の、ここにおいでの方の情報をきのうあたり聞きますと、相当がらあきのところがあるようですね。だから、この数字さえも私は信頼していいかどうか疑問ですよ。疑いたいのは、やっぱり七百二十万トン去年十月ごろにおいて余ったのだと、大臣のことしの米価決定の基本的な考え方というのはそこから出発しているわけですから、その点のところをやっぱり明確にしないと、われわれもまた議論ができないし、また、国民の食料をこれからわれわれが政治的に判断する場合に、そのことが非常に大事なことですから。この数字は絶対間違いないわけですね。そをして、いまおっしゃったように、食糧庁ではそんなこと関知しないと、倉庫の運営等については議論したこともないと、こういうことなのですか。その辺のところをはっきり、いま一度説明していただきたい。
○政府委員(内村良英君) 数字につきましては、私のほうの食糧事務所等を動員して調べた数字でございます。倉庫があいているという話でございますが、確かに、一部の地域におきましては、倉庫の収容力に余裕が相当出てきたところがございます。たとえば新潟のある地域につきましては、韓国に米を輸出する際に新潟米を相当出したというようなことがございまして、地域によってはそのようなところもあるかと思います。しかしながら、私どもの調査によりますと、新潟県全体では倉庫の収容能力が七十万九千トンある。それに対しまして三月一日現在で五十四万四千トン米が入っております。それから食庫があいているから共済制度でそれを救おうというようなことは食糧庁としてはまだ検討しておりません。あるいは農業協同組合等でそういうことを検討しておったことが新聞に出たのかもしれませんが、食糧庁としては、もちろん農業倉庫、営業倉庫、われわれの米を預かってもらっているわけでございますから、倉庫の問題については非常に関心を持っておりますけれども、そういった事情で、共済制度云々の問題は、食糧庁としてはまだ検討しておりません。
○杉原一雄君 私は倉庫運営論のほうをやっているつもりじゃないのであって、ほんとうにあなた方米が余る余るとおっしゃるものだから、農民の皆さんはたいへん疑問を持っているわけですね。その点でいま内村次長のほうから、これは間違いない数字なんだというふうにおっしゃるわけですから、私らもそれを点検した事実の数字を持ちませんから、反論は不可能ですけれども、私はその点やっぱりいまだにすっきりしないわけですね。
 そういうことを疑問のままに付して、次の問題に移りますが、それで、これはなぜ――もう一つは小さい問題に移りますが、いま四月ですが、ぼくも毎年三番町のあそこへお伺いするわけですが、三番町の庭の風景は、去年と違っているわけですよ。なぜ、一ヵ月も二ヵ月も早く米審をお開きになったか、その理由を簡単にお聞きします。
○国務大臣(倉石忠雄君) ことしは去年よりも非常に多い、倍以上の生産調整をお願いいたすわけであります。そこで、元来、米価でありますから、できるだけ早く決定をすることが好ましいのでありますが、さりとて、やはりその年の米価算定をいたしますために、前年までの生産費その他の資料が整って米価審議会に提出する、万端の準備ができなければそういうことはできませんからして、そこでいままではややおくれてきておりますが、ことしは去年に比べて倍以上の生産調整もしていただくのでありますから、なるべく早く米づくりの農家の方々に、ことしおつくりになる米価はこういう値段になりますということをお知らせするということが親切でもあり、きわめて妥当なことではないかと、こういうので、できるだけ早く開催いたした、こういうことであります。
○杉原一雄君 それでは、経済企画庁からおいでになっていますね。――それでは順序をへて、一つ一つ聞きますから、そんなにずっと前からさかのぼってお聞きしても始まりませんから。
 労賃ですね、労働者の賃金、四十四年、四十五年、そうして四十六年はまだ春闘の半ばでございますけれども、最近出たデータによると、二万円の賃上げをかちとった組合があるようですが、そうした四十四年、四十五年、四十六年――四十六年はいま申したような事情がございますから困難でしょうが、労働者の賃金は大体どれぐらいずつ上昇してきましたか、前年度比。
○説明員(山下一郎君) 春闘の賃上げ率で申し上げますと、四十四年が一五・八%、四十五年が一八・三%でございます。
○杉原一雄君 それで、いま私言った四十六年のやつは、何か情報を持っていますか。大体どれぐらいのベースでいまきていますか、ことしの春闘。
○説明員(山下一郎君) 本年度につきましては、先生御承知のように、ただいま春闘が行なわれていると申しますか、目下労使の問で交渉が行なわれている段階でございますし、また、ただいままでに大手で決定したところも比較的少ない状態でございますので、計数的な資料は私どもただいまのところは持ち合わせておりません。
○杉原一雄君 四十四年からというのは、ちょっと私の発想が間違っていたようですが、少なくとも米価の据え置きの時点から考えると、もう一度お願いしますが、四十三年度の上昇率、あわせて消費者物価が四十三、四十四、四十五、そしていまの新しい、ことしに入ってからの三月ごろまでわかると思いますね、おたくのほうは商売ですから。三月くらいで前年と比べてどのくらい上昇しているか、消費者物価について。それをお聞きします。
○説明員(山下一郎君) 四十三年から申し上げますと、春闘の賃上げ率が四十三年度、一三・五%でございます。これに対しまして、消費者物価の四十三年度の上昇率は四。九%でございます。四十四年度春闘賃上げ率が、先ほど申しました一五・八%、消費者物価の上昇率が六・四%、四十五年度の春闘の賃上げ率が一八・三%でございます。で、最近の消費者物価の動向でございますが、三月の東京都区部の消費者物価で申し上げますと、最近これまでのかなり急ピッチな消費者物価の上昇の動向がやや頭打ちのような形になっておりまして、四十六年三月の消費者物価の総合の上昇率は対前年同月比五・二%というふうに、やや鎮静の状況を見せております。
○杉原一雄君 私、ここに持っているのはことしの一月、七・七ぐらいになっているんだと思うんですが、その辺はどうですか。三月は五・二、それは私比較はできませんけれども、どうですか。
○説明員(山下一郎君) 先生御指摘の七・七%という数字は、ただいまここに資料を持ち合わせませんけれども、四十五暦年の一−十二月の総合の対前年比の上昇率、これがたしか七・七%であったというふうに考えております。で、ことしに入りまして最近の総合の消費者物価の月別の対前年同月比の上昇率を申し上げますと、昨年の十二月が全国で八・三%、一月になりまして七・七%、二月が六。七%、ただいままで申しましたのは全国の数字でございます。三月はまだ全国の数字は出ておりませんけれども、東京都の区部で代替させますと、それが五・二%ということになっております。
○杉原一雄君 同時にコストの問題もあるから、生産資材の関係はどうですか。同じ年度でひとつ簡単にお願いいたします。
○説明員(山下一郎君) 卸売物価の対前年比上昇率を同じ年度について申し上げますと、四十三年度が年度間で〇・三%の減になっております。四十四年度が二・四%の上昇。それから四十五年度はまだ年度が出ておりませんけれども、ただいままでの私どものほうの推定では、〇・一%程度の上昇にとどまるのではないかというふうに考えております。
○杉原一雄君 これは農林省に聞いてもいいんだけれども、ついでですから、農業の所得ですね、これはどのくらい上昇してきたか、ダウンしてきたか、いま申し上げたような年度でけっこうですから。
○説明員(山下一郎君) 農家所得そのものの指数でかえさしていただきますと、四十三年度から申し上げますと、四十三年度の指数が一〇九・三、四十四年度が一一一・一ということになっております。
○杉原一雄君 それで経済企画庁の立場から、物価政策というものが、こちらのほうで基調をお示しになると思いますから、物価政策の観点から米価がどうあるべきかとか、いま農林省がおとりになっているような方向がきわめて好ましいというのがあなた方の判断なのか、これでは農民がかなわぬじゃないかというふうに考えられておるのか、同時にまた物価全体の政策から、こちらを犠牲にして押えてやれ、黙っているから。そういうような判断に立っておいでになるのか、経済企画庁が進めようとする四十六年度と、四十六年度以後の物価政策として、同時に米価の問題というのをどういうふうに構想として描いておいでになるか。それはいまの指数と照合いたしますと、いろいろ私なりのプランが出ておりますが、経済企画庁はどう考えておいでになりますか。いまの据え置きの状態のほうが最も好ましい。農林省にハッパかけたほうがいいという事情がありましたら、率直に申し述べてください、物価政策について。
○説明員(山下一郎君) 昨年度、消費者物価の年度間の上昇率を四・八%と、当初の経済見通しで推定をいたしておったわけでございますけれども、まだ実績は出ておりませんが、いろいろの状況から非常に消費者物価の上昇が、時期が加速化されておりまして、七%をこえるような年度間の上昇を見るような最近の情勢でございますので、私どもといたしましてはあらゆる可能な方法を総動員いたしまして、消費者物価の安定をはかることがきわめて必要であると考えまして、たとえば公共料金を、値上げを抑制するとかあるいは輸入政策の活用とか、可能な各種の手段を動員して、これを消費者物価の騰勢を鈍化するように努力をいたしておるところでございます。
 で、消費者米価につきましては、御承知のようにこれが単一のものとして消費者物価の中に占めるウエートは非常に大きいわけでございますし、また消費者米価が引き上げられるということは、そのウエートだけじゃなく、他の物価一般に非常に大きな影響を及ぼすところから、消費者物価の安定をはかることがきわめて肝要であるというふうに考えております。で、生産者米価につきましては、これは消費者物価と直接に結びつく問題ではございませんので、やや私どもとしての関与のしかたと申しますか、間接的になるわけでございますけれども、生産者米価の引き上げによって消費者米価の引き上げを招来するような事態は厳に避けたいというふうに考えておる次第でございます。
○杉原一雄君 一番最後のところは御心配されなくとも法律でそうなっているんですよ、生産者米価が上がっても消費者米価を押えなければならないというのは。それを忠実にやるかやらぬかは政府の政策にかかるわけですからね、その点は企画庁が心配しなくとも。だから問題は、生産者米価の上昇ということを非常に御心配なさっておるようですが、一体、国民の生活していく場合に必要な経費、生計費と申しますか、お米のほうはどれくらいのパーセントですか。それを動かす、支配する力といいますか、お米のほうはどれくらい一人一人の生活に影響力を持っていますか。パーセンテージでお示しください。
○説明員(山下一郎君) 消費者物価全体を一万といたしまして、そのうちで主食が九百四十二、約一割、一割弱のウエートを占めております。さらにこまかく申しますと、そのうちの配給米のウエートが四百九十八、それから配給以外の米のウエートが二百二十九、このようになっています。
○杉原一雄君 おたくの質問はそれでようございます。
 農林省のほうですね、米価算定方式というものが従来幾つか変遷をたどってきておりますが、今回のは、これは何方式ですか。何か読んでみると生産費・所得補償方式というようなことも書いてあるとか、一部は需給がどうとかということが書いてあるし、新聞記者のほうで、ちょっと読んでみたけれども、必ずしも新聞記者のほうで何々方式とぴしゃっとした書き方ができないようですね。内村さん、何かこの辺はお考えになっているでしょう。どういう方式なんですか。
○政府委員(内村良英君) 生産費・所得補償方式でございます。
○高橋雄之助君 関連してお尋ねしますが、先ほど大臣の答弁の中で、いま杉原委員から、なぜことしは従来と違って早期に米審を開いたかという問題に対して大臣から、本年は特に生産費調整を昨年の二倍以上やってもらわなければならないから生産者米価というものを先にきめて、それを了解していただいて生産調整を実行していく上に十分な理解と努力をしていただきたい、こういうことでございましたが、私はその考え方がちょっと違うんではないかと思うんです。たとえば生産調整を二百三十万トンぜひともこれは願わなければならない、こういうことでございますから、それはそれとしてひとつぜひやってもらいたい。しかしながら、今年つくられる米については、いわゆる生産調整について農家の所得が減るんですから、だから減るためにもやはり政府の愛情の面から考えてみても、あるいはまた農家の所得の面から考えてみてもその点については米価据え置きでなく、いわゆる正当な計算の上に立って、ことしはひとつ上げますよ、したがってこちらはぜひ実行してもらいたい、これが私は農林省として、大臣としてのお考えが正しいんではないかと思うんですが、その点は何か両方ともまずい結果にしてそれをやれというようなことは、これは農民としては非常に了解できがたい点ではないかと思うんですが、大臣、その点どうも私、非常に考え方が違うんですが、どのようにお考えですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 時期はなるべく早いほうがいいと思っております、この米価を決定するのは。できるならば予算編成のときに明確にできれば一番都合がいいのではないかと考えるのでありますが、それは先ほどもちょっと申し上げましたように、いろいろな生産費等の資料収集に当たりましてなかなか困難である。そこでなるべく早いほうがいいということ、これらは原則的にだれもが考えられるところでございます。そこでことしの米の値段というものはどうなるかということは、米をつくられる方も植えつけのときに十分お考えになった上でおやりになることが御安心でありますから、そこで私どもとしては、なるべく早く米審を開いて米価を決定いたしたい、こういうのが四月末に行なうということに決定をした理由であります、という考え方からであります。
○高橋雄之助君 その年の米価を早くきめるということは従来から強い要望があるわけです。いわゆる営農計画を立てる前にやはり米価をきめてもらいたいというのが、これはもう相当前からの強い要望です。これは全く私も同感ですが、ことしに限ってそれを早めたということは、長い間の要望にこたえたということになりますが、その内容として、私はいま申し上げたようなことで、米価を据え置きにして協力させるということでなく、それを実行させるためにこちらは考えてやるぞという考え方が私は正しい農政のあり方じゃないか。あるいは農家の所得の面あるいは生産の条件を実行してもらうという点からもそのことが私は正しいと思っております。その点が非常に食い違っておるのですが、もう一回お願いしたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 高橋さんのお話よくわかるのでございますが、いま理屈を言うわけではありませんが、農政は長い目で見て、長い時間をかけてやっていかなければならない問題であると思っております。したがって、いまのような段階で生産調整をしないというわけにはいきませんのです。農協等と話しましたときにも、二百三十万トンについて、数字についてはなかなかいろいろ御意見もありましたが、生産調整をしなければならないということについては御異議は全くありませんでした。生産調整すべき量についての意見の合致はなかなか見られませんでしたが、そういうことで、そこで、これはやはりことし――先ほど私が冒頭に申しました、一こまだけをとって考えれば、たいへん私どもとしても暗い気持ちになる点がありますことは率直に私が申し上げたとおりでありますが、長期に農政というもの、同時にまた日本の農業の体質をしっかりさせるということに立脚して考えていくときには、やはりその場、その場でごきげんのいいことをしておったのではなかなかうまくまいりません。いまいろいろ御意見はあるであろうと思います。米審などでもいろいろな御意見が現在ただいまもいろいろやっておられるわけでありますから、それぞれ人々によって御意見はありましょうけれども、私どもはやはりこれだけの余剰をかかえておる、しかも放置しておけばさらにこの余剰が重なってくるという事態には、やはり生産調整というものは必要だと、そのためには――生産したほうが利益である、統制経済のもとにおいて生産を、価格が上昇していけば自然に生産調整は困難になるのではないでしょうか。私どもといたしましては、やはりとにかく、いままでは予約申し入れのありました米は政府は残らず引き取っておったわけでありますから、こういう制度のもとに価格を上昇していくということは生産調整の成功をはばむことになるではないでしょうか。そういうことを考慮いたしまして、調整はしていただくが、そのかわりに転作その他のことについては、所得補償のために政府はごめんどう見ます。同時にまた昭和四十六年度予算でも御存じのように、われわれは直接の生産対策、調整対策には、去年は八億円ぐらいしか出ておりませんでしたが、四十六年度には四百二億円を直接のこの調整、転作に出しております。そのほか、五年間の計画でやりました奨励補助金というのは、今年度分だけでも千六百九十六億、約千七百億ばかりであります。それからそのほかには、これも予算面に計上いたしてありますように、小規模な土地改良であるとか、圃場整備というようなものを換算いたしてまいりますというと、かなりの額がそういう方面からつまり構造改善のために出しておるわけでありますから、一時的には確かに、私は米づくりの方のそのときのことを考えますと、いろいろ御意見があると思いますが、やはり私どもとしては、いま申し上げましたように長期の計画を立てて、一日も早く着手しなければならないという段階でございますので、いろいろ御意見もありましょうけれども、そういうことをやらざるを得なかった。まあこういうことでございますので、この点はひとつ理解をいただきたいと思います。
○杉原一雄君 それでは、私は村田委員のほうの質問もありますので、もう一問で終わります。
 先ほど、くしくもことしは生産費・所得補償方式だとおっしゃったわけですから、そうすると、さっき経済企画庁の発表によると、労働者の賃金、消費者物価、生産資材等、毎年毎年上昇を積み重ねてきておるわけですよ。ことしも、大蔵大臣の予算説明等におきましても、五・五%の物価が上がる、私らの推定ではもっと上がる、こう考えているわけですから、生産費・所得補償方式でいきますと、どうしてこういう数字がどんぴしゃり出るのか、私はわからぬ。農民だってわからぬと思うのですよ。一円も違わない。去年と違わない、二万六百八十一円。これはどんなに説明したって――私は村へ帰りますが、あすからあさって。農民はそれ聞いてくれといっておったことですが、私は説明できません。生産費・所得補償方式でやったのだとおっしゃったし、食管法も改正されたわけでもないし、農業基本法も厳として存在しておる。こういう条件の中で、あなた方が試算をなさるわけですから、米が余ったことのみが最大の理由で、これがこういう形になるということにも納得できないし、もう一つ、大臣の説明の中で、これは商品である、需給、供給できまるのだ、そこで、もし米価を上げると生産を刺激するのだ。生産を刺激するということは、ことばをかえていうと、農民にいままで増産しなさい、増産しなさいという運動をした政府の、笛や太鼓でおっしゃったことを裏返しすれば、生産奨励ということになるでしょう。そういうことが、いまでは罪悪ということになりますね、今度は。そうしますと、まことに私らとしてもとんちんかんの話になりまして、政府の生産制限その他には、意図と違った傾向が出るという意味かもしれませんけれども、しかしまた減反、休耕に協力して、あと荒らしづくりをやって、適当に農民が手を抜く、そういう姿が正しいのか。かりにいわゆる減反、休耕に協力したとしても、自分がつくろうとしたたんぼについては、やはり除草その他には、あしたに霜を踏んで夕べには星影をいただいて帰るような農民的な努力というものは、これは生産刺激という概念の中にぼくは入ると思うのです。だから大臣のそういう表現は、私は農民に対してはちょっといただけないような気がいたします、そのことについてあらためてお聞きしようとは思いませんから、次長のほうから、そういうわけで経済企画庁も先ほど言ったわけですから、あの数字を基礎に置いて生産費・所得補償方式でことしの米価を割り出してみられたでしょう、おそらく、試算として。幾らほどなんですか。
 いま一ぺん系統的に聞きますが、一体昭和四十二年度のいわゆる算定方式で割り出した場合に、ことしの四十六年度の米価はどれだけになるか。これはすぐ答えが出ますね。ぼくら頭が悪いからわからんけれども、あなた方は簡単に、出ると思う。それで、去年の四十五年度の算定方式でいくと、ことしの米価はどれだけになるか。その辺のところを答えを出していただきたいと思いますが、しかしそれは実は二万六百八十一円だというところに、私どもはどうも納得できないわけです。これは、ここにおいでになる農民にだって絶対わからんと思うのです。わかったら頭がどうかしていますよ。そういうことで、四十二年度の算定方式のことしの米価、四十五年度の算定方式のことしの米価、それはどれだけになるか。それだけひとつ明らかにしていただいて、あとは村田委員に譲ります。
○政府委員(内村良英君) お答え申し上げます。
 昭和四十二年産米穀の政府買い入れ価格の算定をした方法によって、昭和四十六年産米の政府買い入れ価格を、ウルチ一−四等平均、包装こみ、生産者手取り予定価定を計算してみますと、百五十キログラム当たり玄米で二万八千六百八十六円になります。それから昭和四十五年産米穀の政府買い入れ価格の算定と同じ方法によって四十六年産のウルチ一−四等平均、包装こみ、玄米百五十キロというものを計算いたしますと、二万三千六百十四円ということになります。
○村田秀三君 食糧庁の次長にお伺いいたしますが、先ほど諮問案の生産費算出要領をお伺いいたしました。そこで、実はこれはいろいろ問題があるわけであります。時間が限られておりますから一点だけお伺いいたしますが、何という表現がとられるのか、わかりませんが、新聞なんか見ますと、必要数量係数を採用したというようなこともいわれております。正確にはどう言うのか、それはわかりませんけれども、少なくとも算式に大幅な変更があったこと、これは御説明のとおりであります。そこで四十三年、それから四十四年、四十五年、それぞれ販売数量、あるいは政府が必要数量とも受け取れるわけでありますけれども、そのブロックによって、いわゆる生産費のとり方が違うわけですね。これがはたして純粋な意味の生産費を意味するのかどうか、この点についてまずお伺いいたします。
○政府委員(内村良英君) 先ほど御説明申し上げましたように、四十三年産、四十四年産、及び四十五年産につきまして、七百六十万トンという政府の配給必要数量だけの米を確保するためには、過去三年の場合と比べてみると、何%までの生産費をカバーすればいいかということで、四十三年産につきましては、御説明申し上げましたように千十三万トン分の七百六十万トンが七五%、四十三年産米は、九百六十万トンに対する七百六十万トンの八〇%、四十五年産は、販売数量八百五十万トンに対して七百六十万トンで九〇%、これのやり方は、生産費を高いほうからずっと並べます。一方、それぞれ農家は、販売数量がわかっております。したがいまして、生産費全体の中の販売数は幾らということはわかりますから、そこで七五%までの線でとりまして、それから上の、生産費の安いほうの農家の生産費の平均をとったわけでございます。それは各年につきましてただいま申し上げました。パーセントで切って、そこで平均生産費をとっているわけでございます。したがいまして、この生産費の性格は何であるかということになるわけでございますが、現在の需給事情から見て必要な数量を確保するために必要な生産費というふうに私どもは考えております。
○村田秀三君 そうすると、これは純粋な意味の生産費補償ということではなくて、つまり政府の政策的意図によってつくられ得る生産費である、こう断言できますね。いまのお答えをそのまま率直にお伺いするとそういうことになる。
○政府委員(内村良英君) 政府の配給に必要な七百六十万トンまでの数量を確保するために必要な生産費をカバーしているというふうに考えております。
○村田秀三君 そうすると、今度の資料には四十五年度までのものでありますが、一年経過して明年は、ことしの必要な数量ということになりますると、政府買い入れ米と自主流通米七百六十万、その七百六十万トンを基礎にして四十六年度の原生産費は計算されるという前提にあるわけですね。
○政府委員(内村良英君) 明年以降のことにつきましては私申し上げる位置にございませんし、さらに生産費・所得補償方式につきましては、昨年の米価審議会でも、種々問題があるからこれを検討すべきであるということを一部の委員の方々からそのような答申を受けております。したがいまして、明年のことについて私ははっきり申し上げる位置にございませんが、理論的に申しますと、ことしの米穀の販売数量が七百六十万トンで、来年かりに生産費・所得補償方式でやって、そのときの必要数量が七百六十万トンであるということになれば一〇〇%でございますから生産費をとると、そういったような線を引いて落とすということはしないということになるわけでございます。ただしこれは仮定の話でございまして、明年度以降のことにつきましては私ちょっといろいろのことを申し上げる位置にございません。
○村田秀三君 そうなると農家の生産が補償されるところの生産費というのは、これは毎年変わり得るということですね。純粋な意味の生産費ではなくて、つまり政策的に生産費がつくられているということは将来ともに続くということですか。
○政府委員(内村良英君) 大臣からも御答弁がございましたように、現在米は統制物資でございますが、一方商品生産になっているわけでございます。したがいまして、算定方式自体が賃金の上昇だけでどんどん上がっていくということになりますと、現実の需給事情との乖離が出るわけでございます。その結果非常な過剰生産が起こるというようなことで、それが国民経済的にもいろんな負担になるというようなことでございます。したがいまして、米価の算定方針につきましても、やはりそのときどきの需給事情というものは当然これは考慮されなければならぬものと私どもは考えております。
○村田秀三君 まさに欺瞞だと私は思うんですね。まあ話を続けます。
 そこで、この資料を見ますると、四十三、四十四、四十五年、この三ヵ年の原生産費を平均してことしの価格が決定されるということになるわけでありますが、しかしながら、昨年米審に出しました資料、それからことしの米審に出されました資料、四十三、四十四の原生産費というのは相当数字に狂いがあるんですよ。これはおそらく今度採用された方式をさかのぼって再計算したものと理解するわけですが、どうですか。
○政府委員(内村良英君) 昨年の場合とことしの場合の数字が違ってまいりますもとは、昨年の算定にとりました生産費は五俵以上の販売農家の生産費をとっているわけでございます。ことしの場合にはただいま御説明申し上げましたようなやり方をとっておりますのでもとが違っているわけでございます。したがいまして出てくる数字が違うと、こういうことに相なっているわけでございます。
○村田秀三君 ちょっとお伺いしますが、昨年の米価が決定されましたときにはこれはことし出ておりますところの買い入れ数量なり販売数量、これは同じものであるわけですね。価格が決定されて施行されているわけです。いまここに出てきてますところの昨年度あるいは一昨年度の資料を見まする限り、それが妥当であるものとするならばこれは過去にさかのぼって米価も改定しなくちゃならないですよ。どうしてこういうことがやれるのですか。
○政府委員(内村良英君) これは算定方式に生産費調査を使っているわけでございます。したがいまして生産費調査の中で大体五千戸くらいの農家を調査しているわけでございますが、その中から五俵以上の販売農家の生産費をとって去年はやったわけでございます。ことしは先ほど申しましたように四十三年については七五%、四十四年については八〇%、四十五年については九〇%というような、一種のまあバルクライン的な、そういったようなところまでカバーする農家の生産費をとるというやり方をしておりますが、当然そこで算出の基礎になってくる生産費調査の農家のもちろん戸表は全部同じわけでございますが戸数が違ってくるというようなことがございましてただいま申しましたような違いが出てくると、こういうことになるわけでございます。これはあくまで算定方式の問題でございます。
○村田秀三君 算定方式はわかりましたよね。昨年とことし、おととしと去年、それが違うことは私も承知しています。がしかしですよ。しかしことし方式を変えたからとて昨年、一昨年にさかのぼって再計算、再評価をするということであるとするならば、昨年の米審で確認をされたところの原生産費というのは一体どういうことになるのですか。
○政府委員(内村良英君) 米価算定について過去三年の生産費を使うわけでございます。したがいまして今年は四十三、四十四、四十五の生産費、四十五年の生産費を基礎に米価をきめるわけでございます。四十四年の場合は四十二年が入りまして、四十二、四十三、四十四の過去三年の生産費を基礎にして、それから米価をきめるときまでの物価の上昇を修正してきめているわけでございます。したがいまして昨年きめた場合には今年使いました四十五年の生産費というものは計算の基礎の中に入ってないわけでございます。要するに、生産費を基礎にしてきめるとその生産費調査というものがございましてそれに農家戸数が、調査農家戸数がある、その戸表の使い方が若干違っております。たとえば去年使った四十四年について同じことをやっておらぬではないかということになるわけでございますが、そこはそういったサンプルのとり方を違えておりますから結果的な数字は違ってくると、こういうことになるわけでございます。
○村田秀三君 ちょっと、机上の算術ですよ、それは。少なくとも昨年は、ここに昨年の資料も持っておりますけれども、少なくとも昨年は確かに過去三年の平均をことしの価格にするというこの原則、この原則はわかります。しかし昨年使っておる資料というのは四十二年の原生産費、これは当然まあことしの場合は採用されませんからこれは省略をするといたしまして、四十三年の場合、昨年価格決定に利用されたところの数字、これは四万四千五百三十四円、これが今度の資料では四万一千五百四十二円になっていますね。四十四年度はこれは昨年、最終年度として利用されたものでありますけれども、これは去年採用された数字は五万三百九十七円、これが今度は四万七千九十八円になっているわけですね、下がっているのですよ。だから、下げようとして確かに皆さん方が苦労して逆の資料を作成し、新たな基準を設けて下げる努力をしたということは明らかにわかっておりますけれども、そのこと自体私は問題だと思うが、しかしながらこの基礎資料に入れるもの、つまり昨年の米価をきめるときには少なくとも四十四年は五万三百九十七円、四十二年度分は四万四千五百三十五円という生産費が、高い数字でもって米価が決定したわけですね。だから、すでに米価を決定したものを、よしんばここでもって政策的に変更をしなくてはならぬという事情がかりに出てきたとしても、昨年まで決定をされた、確認をされたところの原生産費を変更する必要はないと私は思うのです。それをやろうとするならば、昨年の米価をまた変更しなくてはならぬという事情になるじゃないですか、理屈からいえば。
○政府委員(内村良英君) 四十三年と四十四年が、昨年とことしとダブっているわけでございますが、原生産費につきましては、そこの個々の調査農家、五千戸くらいございますが、その使った原生産費は同じ原生産費なわけでございます。その戸表の数字をいじるというようなことは全くしておりません。ただ、サンプルの取り方が、昨年の場合には五俵以上の販売農家の戸表を集めましてその平均を出しているわけです。ことしは、さっき申しましたように、七百六十万トンまでの生産費をカバーするという意味で、四十三年については七五%、四十四年については八〇%、四十五年については九〇%ということをやりましたので、集める平均を出すサンプルが違ってきているわけでございます、戸数が。その結果、平均値の数字が違ってくるということでございまして、原生産費のサンプル自体は的く変わっていない。サンプル自体の数字をいじっているというようなことは全くしておりません。
○村田秀三君 だからそれは算術計算だというのですよ、机上の。それは、言っていることはわかりますよ、サンプルは同じであって、取り方が違うからだと。その取り方を変えたのは、ことしは政策的に変えているわけですね。そうすると、昨年、生産者米価をきめた数字、原生産費、一昨年価格をきめたところの原生産費、これを前提としてことしの新しい算式でもってはじいた数字を含めて三年間平均するというのが妥当な取り方じゃないかというのですよ。もしもこれを過去にさかのぼって全部新しい方式でもって計算をし直すとするならば、昨年の生産者米価も変更しなくてはならぬじゃないかというのです。まああとのほうはこれはつけ足りですが、どうなんですか。それじゃわれわれどういうふうに理解すればいいのですか。昨年、原生産費はこれだけかかりますよと。したがって、しかじかかくかくの価格にきまりましたから、これをもととして消費者米価をきめて、国民の皆さんも食ってくれと。ところが、ことしはどうかというと、算式を変えました。ほんとうは昨年のあるいは一昨年の生産費はもっと安かったのですよ、安かったのだけれども、実はあなた方間違って高いものを食わされたということになる。そうじゃありませんか。
○政府委員(内村良英君) 確かに五俵以上の販売農家の生産費が、先ほど申しましたような本年の必要販売数量までの農家の生産費をカバーするという点で違いはございます。したがいまして、サンプルのとり方、サンプルと申しますか、戸表自体は全然変わってないわけなんです。ただそれの数の集計方法が変わっている。これは政策的に変えたんじゃないかということでございますが、そこは需給事情を考えまして、本年の需給事情から見れば、とにかく生産調整を二百三十万トンやって、七百六十万トンとにかく配給用にこれを確保しようということをしておるわけでございますから、それに必要な生産費をカバーするということでございます。
○村田秀三君 これはこの問題、どうも認識の相違だかどうか知らないけれども、われわれの正常な認識ではとても理解できない。だからこれは米価を据え置くための逆算的な政策生産費、政治思量であるというふうに世評言われている、そのとおりのことをいまあなたは裏書きした、こう理解します。
 次の問題ですが、時間がありませんから申し上げますが、私は今回もそうですが、去年もそうですが、食管法違反、知能犯だと思うのですが、農林大臣はどう考えていますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) どういうことかよく理解できませんが、私どもは妥当なものであると考えております。
○村田秀三君 私も食管法とはここ五、六年つき合っているわけですが、いまさら言うのもほんとうにこれはおこがましいのですが、食管法に需給事情を考慮して価格をきめるって書いてありますか。
○政府委員(内村良英君) 食管法三条第二項におきまして、「前項ノ場合二於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所二依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と書いてございます。そこで需給事情は「其の他ノ経済事情」の中に当然入ることであるというふうに私どもは解釈しております。
○村田秀三君 そういうごまかしを言ってはだめですよ。政令だから何でもできるというものではない。これは生産費・所得補償方式と普通言われている。あなた方もいままで使ってきていることばでしょう。大臣もそうですよ。この「物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」というのは、再生産を確保することができる生産と農家の所得を補償するというところに重点がかかっているのです。それを政令できめるということなんです。政令で適宜きめてもよろしいということではないはずです。いまあなたがおっしゃったような解釈なんというのはいつからあるのですか、これ。大臣ひとつ答えてくださいよ。
○政府委員(内村良英君) 食管法は、申し上げるまでもなく、「国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ」ということになっております。したがいまして、国民食糧の確保のために必要な数量七百六十万トンということについて、再生産を確保しなければならぬということでございます。そこで「其ノ他ノ経済事情」の中に需給事情が入るということは、これは別に最近そのような読み方をしたわけではございませんので、「其ノ他ノ経済事情」の中には、需給事情は経済事情であるから入ってくるという解釈をとっております。
○村田秀三君 ずいぶん無責任な話だと思うのですね。先ほど杉原委員の質問の中にもありましたが、まあ需給事情、本来自由市場であるならば需要と供給の関係で価格がきまるはずである。しかし統制品である。統制品であることは、全くいまもってだいぶんしりが抜けておりますがね。三分の一はしりが抜けている、実際。しかしそれは別にいたしましても、少なくともこの野菜生産出荷安定法、これは第一条にも書いてある。消費を安定させるために生産を安定させるということですね。生産を安定させるということは常に必要である、こういう前提に立ってものごとを考えていくとするならば、需要と供給のバランスを常に保たせ得る条件の中で、しかもその必要とする――全くこれはグレープフルーツなんかだったら食べなくても生命は守っていかれますけれども、これは一主食なんですからね。米食べなくても、肉ばかり食べても生命は保てるというかもしれませんけれども、日本人はそんなわけにいきません。ということであるならば、需要に見合う生産がいつでもできて、その生産をする農家の方については、食管法の示すとおり、農基法の示すとおり価格を保障するようにこれは計画的に進めなくてはならないということは、これは初めからわかり切ったことであります。四十二年か三年だったと思いますけれども、私は米六十万トン輸入をしておったときに、まあ外米あるいは外麦の輸入の問題は別にいたしましても、少なくともこの開田のスピードからするならば、早晩これは米過剰状態がくるから、開田についても行政的な措置を講じてはどうかという質問をしたことがあります、公式に。そのときに、大臣は違いますが、しかし、開田規制はできないという答弁である。どんどん開田の奨励をした。輸入もした。結果的には余った。そうして今度は政策的に生産費を落とし込んでいる。そして米価を据え置かなければならないというようなそういうことがあっていいのかどうかということを考えてみると、これは農政の基本、今日までの農政の責任というものは私は重大だと思う。大臣いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 生産費・所得補償方式のお話がございましたが、これは三十五年ごろから採用されておると思うのでありますが、その前は例の所得パリティ方式で長いことやってきました。ところが当時はこの所得パリティ方式では、需給の、つまり不足がちでありました当時の生産を刺激していくのにはパリティ方式ではうまくないという考え方が出てまいりまして、そこで生産費・所得補償方式というものが取り入れられるようになって、約十年であります。したがって私は先ほどお話のような生産費・所得補償方式というのが食管法の精神であるという、すぐにそれに結びつくということは私どもはそのようには理解しておりません。いま申し上げましたようにパリティ方式というものが長く採用されておった。そこで先ほどもお話に出たようでありますが、昨年の米審のときには生産費・所得補償方式という従来のやり方は、これは来年は用いられるかどうかわからぬではないかということについて、方式を検討すべきであるということで中立委員の十数名の方々からわれわれのほうに申し入れのありましたことも先ほどお話ありました。
 そういうことでありますので私どもといたしましては、来年はどうするかというようなことについては、この方式についてさらによく事情を勘案いたしまして、検討しなければならないと思っておりますが、要するに生産調整はお願いをいたしますが、米というものはそれならばどういう位置にあるかといえば、米は依然としてわが国農業の大宗でございます。このことには間違いないのでありますから、一定量の米というものはぜひ生産をしなければならない。しかも需要の強いような品質の上等な米がたくさん需要されるようになるでありましょう。そういう方法について米生産につきましては農林省といたしましても、さらにさらに力を入れていくことは当然のことであります。これはやはり需給均衡が保たれるということを前提にしておることは当然であります。その他のことにつきましては先ほど来私が申し上げております方向で拡大の生産をやってまいりたい、こういうわけであります。
○村田秀三君 その価格関係で、そうして生産を抑制しようというのは、いま私が発言をしましたこととうらはらでありますけれども、価格抑制をしてそうして生産を制限するなどというような、抑制するなどというようなことはこれはやはりとるべきことではないと思う。後ほどまた触れたいと思いますけれども、少なくともこれは昨年減反が初めて採用されるときに私もここで半日論議したことがありますけれども、少なくともよしんば当面余っておる純粋な意味におけるところの生産調整ということが必要であるとすれば転作も協力しましょう。しかし何をつくったらいいのか。つくったものが農家の所得が補償され、生産費も補償されるような価格体系にあるのかないのかが問題であって、ということを私が申し上げました。農林大臣はそれを検討するということである。今度もまた減反は昨年に倍するものであるけれども、当初の場合は、当初新聞紙上を見ておる限り、また外麦は輸入を少し控えるかなどという話もあったようでありますけれども、しかし依然としてそれは変わらない、こういう農政であってはこれは自殺者が出るのも当然、先行き不安、荒らしづくりがふえてくる。生産量も落ち込む、三年か四年たったらまた米が不足だという状態にならないとも限らない、こういうことだろうと思うのです。だからいまここで、いわゆる転作問題について言及するつもりはないけれども、農政の方向、基本理念というものを変えなくてはならない時期にきておるということを私は感ずるわけであります。そこはどうですか。思い切ってトウモロコシをつくり、価格保障をしようじゃないか、これは私はやはりやるべきじゃないかと思うのですね。本日はこの問題が課題じゃございませんからそう深入りはいたしませんけれども、そういう体制をやはりとる必要がある。いかがでしょう。
○国務大臣(倉石忠雄君) その点は全く同感でありまして、政府もしばしば表明いたしておるところでございますが、農林省でも出しておりますとおり、五十年までの転作面積を大体五十万ヘクタールと計算いたしております。水田で六十万ヘクタールほどは余剰になると、農林省は発表いたしております。それについてどういうことをするかということも農林省では外に出しております。飼料作物に二十万ヘクタール、永年性作物に三万四千ヘクタール、大豆等豆類に十八万ヘクタール、野菜に五万六千その他の作物に三万、それから植林を四万ヘクタールぐらいやりたい、こういうことを申しておるわけであります。村田さんの御指摘のように私どもといたしましては、たとえば飼料作物をつくるにいたしましても、輸入品と比較いたしましてかなりの格差があります。そういうものを育成してまいるには、たとえば豆類でもそうであります。やはり私どもといたしましては、いま五年間の間に転作は奨励金で四万円ずつ差し上げますから、その間に可能な限りそういうよう転作が定着するように努力をしてもらいたい。しかもその上でなおかつ競争力が維持できないという場合には、価格政策の面で、予算委員会等でも私はしばしば申しておりますように、価格差補給金であるとかあるいは関税制度であるとか、あるいは課徴金であるとかいうような、これはひとりわれわれが考えておるわけではありませんで、世界各国でも農作物についてはそういう意味でかなりの保護政策を一時的にはとっておるわけで、私どもは米から転換いたしていきますためには、できるだけ近代的にコストを安くするように、なるべく規模を大きくしてコストを安くするように指導奨励はいたしますけれども、それでもなおかつ間に合わない場合においては、いま申しましたようないろいろな施策を講じて保護政策をとっていく考えである。弾力的にそのときときに応じて調整するようにいたしてまいりたい。したがって、私どもといたしましては米の生産調整はいたしますが、他作物への転換につきましてはできるだけの協力をいたすために、こういう計画に従って予算的措置も、それからさっきちょっと申しました御希望の土地改良であるとか圃場整備等もやってまいるんだと、こういう方針でございますので、先ほど村田さん御心配を賜わりました考え方とわれわれは同じ憂いを持ち、同じ方向でやっていこうとするわけであります。
○村田秀三君 それではお伺いしますが、これは先ほど杉原委員も触れたのですが、直接実情を調べた上ではありませんが、新聞報道によれば、すでに昨年から以降十四人の方が自殺をしておる。そしてこの米審が開催される直前、二十三日であるというふうにも聞きますし、二十四日であるというふうにも聞きますが、また北海道と新潟で自殺者が出ているということを、ここに来ている、三番町分室に来ている農家の方から聞きました。農業基本法には、先ほども杉原さんも触れましたけれども、そのようにいままで日本の産業経済の発展に寄与してきたところの農家の方々が、他産業の従事者、一般国民とともに、健康にして文化的な生活を営むようにしなければならぬということがこれに書かれているわけですね。この状態を農業基本法にいう、農業従事者が他の国民各層と均衡する健康で文化的な生活を営んでいると理解しますか、これは。農家の人が減反問題、あるいは据え置きもあるでしょう。これは直接米に関するものです。まあしかし何をつくっても生活が成り立たないようであるから、非常に先行き不安である。農業に対してこういうことであれば、農業全体ということが言えるかもしれませんが、しかし直接事米に関して自殺をしている方がおるということ、これは基本法で言うところの、少なくとも健康で文化的な生活を営んでいると大臣は理解するのかしないのか。これをひとつお聞かせください。
 同時に、また同じ前文でありますけれども、基本法の前文の後段でありますが、「農業及び農業従事者の使命が今後においても変わることなく、民主的で文化的な国家の建設にとってきわめて重要な意義を」持っている。その使命にこたえるために、われわれ国民は公共の福祉を念願するという立場に立って、この農業従事者の健康で文化的な生活を守る責任があるんだと書かれているんです。その責任を果たしておるかどうか。国民全体で責任を果たすのだということになっていますね。それを代表する政府、しかも米に関する、農業に関する直接の責任者であるところの農林大臣が、この今日的状態を私は単に政策的原生産費をつくるとか何とかという、そういう数字いじりの問題じゃなくて社会問題だろうと私は思います。その責任を農林大臣は果たしておると理解するのかどうか。二つの点についてお伺いをいたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは、幾ら一生懸命でみんながやっても足りないほど努力しなければならない多くの難問題をかかえておると思っております。われわれの力及ばず残念千万でありますが、やはり日本の農業基本法の精神というものは私どもが十分にこれを体して、その方向で努力すべきであると思っておりますが、ほかの席でも私申したかと思いますが、私どもの任務というのはいまいろいろあります。たとえば農業をどうするかという問題、それから農民をどのように考えるか、農村の人々が住んでおる農村地域をどうするかということ、それから、国民全体に対して食糧を供給するべき食糧省的な立場を私どもはまた持っているわけであります。そこで混淆しないように常に私どもは注意しながらやっておるわけでありますが、農業というものを考えてみましたときには、やはり御承知のように日本人全体の就業人口の中で専業の農家というのは一六%ぐらいしかおりません。兼業がはるかに多いことは御存じのとおりです。しかも純粋の農業所得より兼業所得のほうが多いわけであります。全体平均してもそのとおりであることは御存じのとおりであります。結局そういうようなことを考えてみましたときに、その他の人々はどういう方であるかといえば消費者階級であります。この消費者階級の一般的利益も私どもは考慮しなければならない行政府の立場に立つわけであります。
 そこで、おしなべて言えますことは、日本の農業もやはり競合するような品物については国際的にも競争し得るような体質を強化して、しっかりした農業というものを育成していきたい。基本法で示しているとおりでございます。残念ながらしかし基本法のとおりにわれわれは成功いたしておりません。けれども、そういう方向で総合農政等の目標も自立経営農家をしっかり育成していくという考えであるわけであります。同時にまた兼業でもやはり年金等をもらって農業を離れたいと考える方もあるし、あるいはそうでなくて依然として土着をして農業を営みながら兼業に励みたいとお考えになる方もあります。かなり多いようであります。そこで、この前農地法、農協法等を改正していただきまして、農協等も、合理化法人等も土地の流動化をはかり規模を大きくしていくことの、そういうことの協力ができるようにいたしたいと、こういうわけでありますが、そういうことについて私どもはできるだけ農業、農村の方々の立場を考慮しながら農基法の示しておる方向でひとつ農政を進めてまいる、こういうわけであります。
○村田秀三君 まあいろいろ問題はありますが、正直に言って、先ほど減反のために奨励金を出して云々というようなことを言っていましたが、むしろそれがうまくいっていれば自殺者は出ないのですよ。あまりにもこれは急激ですよ。薬も過ぎれば毒になるわけですから。つくれつくれと言っておととしまでは。今度は、去年から減らす。食管制度を守るためにはやむを得ないといって去年は協力をした。ところが今度はどうかというならば昨年の倍以上減反、しかもなおかつ買い入れ制限、これじゃ本来的に言って食管制度の私は根幹などというものがなくなっている。ことしあたり食管制度を守るために協力をしたにもかかわらず翌年度は食管制度がなくなっていると言ってこれは私は過言でないと思うんです。そういうことをやっておるから自殺者が出るわけでありましょう。しかしこれ以上に突っ込みたくはございませんけれども、いずれにしろ農業の先行き不安を何かしら心理的に解消しなければならない時期にあることは間違いないとするならば、ここでやはり政治判断をわれわれはしなくちゃならぬと思うんです。なるほど消費者の立場も考え、こう言っております。消費者は安いほうがいいでしょう。しかしいま町の店屋さんなりあるいは一ぱい飲み屋でもいいですから話してごらんなさい、まあなるほど買う米は安いほうがいいけれども、あまり三年据え置くというのもひどいと、こういう声があるはずですよ。そういうことを考えればことしはやはり農業の先行き不安を解消する一つの手だてとして――その他たくさんありますけれども、いまは米価の問題でありますから米価について言うわけでありますが、今回は上ぐるべきが私は妥当な政治判断であると理解する。上げますか。諮問案はすでに出して、昨日の米価審議会では、これは撤回できないとか、あるいはきょうは参議院の本会議の終了後には何か答弁するというような話もあるわけでありますけれども、どのように考えておりますかお伺いします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 米審の方々に熱心な御討議を願っているわけでありますから、その御答申をいただいた上で、それを参考にして政府は十分に考えた上で判断をいたしたい、こういうことであります。
○川村清一君 関連。ただいまの大臣の御答弁に対しまして、村田委員の質問に関連して御質問したいんですが、先ほど村田委員は、ことしの米価の算定方式はこれは政策的なものであると、したがって政府が出しておる米価というものは政策米価である、こういうことを強く指摘したわけです。それに対しまして、食糧庁の次長の御答弁は、決して政策米価じゃないと、あくまでも生産費・所得補償方式に基づいてやったものであり、ただ生産費の取り方が違っておると、こういうようなことで、政策米価でないということを強く主張されておったわけであります。
 そこで、その答弁を聞いて私は納得できない。大臣にお尋ねするわけですが、今年――昭和四十六年度の予算編成に当たりまして、今年の政府買い上げ数量は五百八十万トン、そうして自主流通米百八十万トン、合計七百六十万トン、これを卑俗なことばで言えば七百六十万トンについては政府はめんどうを見る。あとについては知らない。それから次長は先ほどの答弁の中で、食糧管理法第一条の、いわゆる国民食糧の確保、ことし確保すべき食糧は七百六十万トンである。したがって七百六十万トンが必要なんであるから、七百六十万トン、生産に見合うところの生産費、これを算定していって、そうして数をきめた、こういうことをおっしゃっております。しかし、いま米審に諮問しているところの価格であるところの二万六百八十一円というこの数字というものは、これは予算にすでに決定している数字である。政府が五百八十万トン買い上げの単価で、しかもその予算説明に当たって、いわゆる総理大臣の施政方針演説の中で佐藤総理大臣は、今年の生産者米価というものは据え置きであるということをはっきりおっしゃっているわけであります。そうしますと、この二万六百八十一円というこの価格というものは昭和四十六年度予算編成のときに政府のきめた価格である。そこで、なるほど米審に対する諮問案についてはその数字は出ておらない。「生産費および所得を考慮して決定することにつき、米価審議会の意見を求める。」。しかし、その前書きに「米穀の需給の均衡を図るため米穀の生産調整が行なわれている本年の需給事情に即応して」と前書きに書いてある。そうして数字が出ていない。農林大臣の御答弁は米価審議会の答申を得て政府は決定したい。一応げたは米審にあずけてあるけれども、現在の総理大臣発言、農林大臣、政府首脳の考え方は、この価格を変更する意思は毛頭ないと思う。なぜならば、予算編成のときに、そうきめ、そうして日本の国の最高責任者であるところの総理大臣が国会の本会議で施政方針演説の中ではっきり言っているのですから。そういうようなことを前提にして、そしていま諮問されておる昭和四十六年産米穀の政府買い入れ価格の試算算式は、まあわれわれのような学のない議員にはこの方程式は何のことやらちょっとわからない。わからないけれども、いわゆるP――求める価格イコール非常にむずかしい方程式が出ておる。本来から言うならば、数学の常識から言ってPというものはこの算式のあとにイコールPにならなければならない。そういうことにはあまりかかわりませんが、Pイコールこういう式がある。Pというものはきまっておるんだ。そうでしょう。Pを変える意思は政府はないのでしょう。したがって、先にPをきめておいてPイコールこの算式を合わせていく。NとかHとかCとかいろいろなことがあるが、これを読んでいくとこれは何であるかわかるわけだが、結局、Pに合わせる、もう決定しているPに合わせる算式をとっている。そこに数値をはめているのでしょう。次長、そうでしょう。だから、要するに、このPの決定は、いわゆる計算をしていってイコールPになったのじゃなくして、PがきまってPイコール、この計算になっているわけだ。だから逆算だと言うのだ。逆算イコール政治米価だと、こう指摘している。これに対して次長はどういうふうに私に納得させるような御答弁をなされますか。
○政府委員(内村良英君) 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、現在の需給事情に即応して算定方式は生産費・所得補償方式をとりながら、労賃の評価、生産費のとり方について現在の需給事情に合うように修正したということでございます。
○川村清一君 それだから、Pイコールこの式でなくて、ぼくの言うのは求める価格はPなんだと、Pというのはいわゆるいろいろな生産費や何かをとっていって、そうして出てきたところの価格イコールPにならなければならない。ところが、Pというのはもうきまっているでしょう。あなたは官僚だ。日本の国の政治の最高責任者である佐藤総理大臣が、Pというのは二万六百八十一円だということを国会ではっきり言っているのです。そうしたらあなた方官僚はその二万六百八十一円に合わせるような数字をつくるでしょう。そうでしょう。これははっきりしてください。
○国務大臣(倉石忠雄君) ちょっとその前に。――えらいそこのところ先にこう決定してしまわれておるようですけれども、皆さん方に「昭和四六年度農林予算の説明」というのをあの予算編成の当時皆さまにあげてあるのです。これに食管関係の数値が出ておりますが、つまり私ども予算編成をいたしまするときの予算としては、米価の水準は据え置くということで一応会計をつくっております。その方針を内閣において決定をいたして、総理大臣の施政方針演説にもそういうことを御披露しておるわけであります。しかし現実に米価が決定されるのは、米審の答申を待ってあることは御存じのとおりで、米審においてどのように御審議を願い、どのような答申を出していただくかは未定でありますけれども、そこでいま事務当局が諮問案を出しました考え方は、当初予算で米価の水準は据え置くというたてまえであるので、そういうような考えでございますからということで諮問を求めておる、これは事実であります。そのとおりでございます。しかし、米審の御答申がどのようなものが出るかによりまして、私どもといたしましては、政府部内でもこれを参考にしなければなりませんし、まあ率直に申し上げればそれぞれの機関の方々にわれわれのほうでは御相談をいたし、政府の腹をきめる、こういうことでありますので、そのことについては今回だけじゃなくて従来もやっていることであります。
○川村清一君 関連ですからあまり長いことやりませんけれども、大臣、それが現在自民党政府のやっておることはすべてそうなんだ。この審議会というものをつくるわけだ、そうして審議会の意見を聞くわけです。それで一つの民主主義の隠れみのになっているんですよ。そうして審議会の御答申を待って決定いたします、こうおっしゃっている、まことにそのとおりだ、けっこうなことだ。それを否定するつもりは私はないわけです。ただし、審議会からそれが政府の考えが間違っているからこうしなさいといったような答申が絶対出ないような仕組みになっている。これをつくっているあらゆる審議会そうでしょう。
 そこで私がもう一度言いますが、一国の最高責任者たる一番えらい佐藤榮作総理大臣さんが国会の本会議において、ことしは米価水準は据え置くということをはっきりおっしゃった。そうして予算を組まれておる。それが変更されることないでしょう、政府のいまの腹の内は。だからこの米審の会議前に総理あるいは田中幹事長あるいは農政の責任者の倉石農林大臣、あなた方首脳部が会議を開いてそうしてこの既定方針は変えないということを申し合わせ決定しておるじゃありませんか。ちゃんと新聞に報道されているじゃありませんか。そういう考え方のもとに事務当局に対してつくれと、こうおっしゃるでしょう。事務当局は大臣のその指示に基づいてつくることは当然でしょう。だからさきの二万六百八十一円という数字があって、この数字にどうつじつまを合わせるかということで事務当局は涙ぐましい努力を重ねておる。おそらく夜も寝ないでほんとうにもう頭を冷やしながら努力を積み重ねてこれをつくったと思うんです。そうしてこの米審に諮問しておるんですよ。そうして米審からはいろいろ質問が出ていると思うんだが、行ってみたことないからわからないんです。そうしてこれに反対するわれわれのような意見を言う委員に対しては説得これつとめているんでしょう。確かにこの数字は従来でも農林省から出たこの諮問案はそんな権威のないものではないわけです。まして別な意見が出たからといって、すぐ、はいそうですかといってこれを変更するとか、そんな権威のない考え方でつくってはいないと思う。だから何とか反対委員にこれを説得して納得させたいとして努力しておると思うんです。だから村田委員のおっしゃっている、これは政治米価だ、昨年の常識で言えばこうだ、その前の算定方式で算定すればこうだ、全然これは価格は高くなる、そうすると総理大臣のせっかくの施政方針演説も狂ってくる、そうして全体の財政計画も狂ってくるんです。だからこれを通そう、通そうとしておるんです。そういうことはひとつやめて、少なくとも昨年の算定方式ぐらいは――昨年だってあれだけ問題があったんだ、しかしあれを通した。せめて昨年の算定方式ぐらいとっていかれることがこれが最も一般的なことじゃないですか。まだそれでも全国の農民の方々は不満はあると思うけれども、せめてそのぐらいしてあげることが現在の為政者としての国民に対する思いやりのある施策じゃないかと私は思うんです。これに対する大臣のお考えを聞きたいし、もう一点、大臣でもいいし事務当局でもお答えいただきたいんですが、ことしの確保すべき食糧は七百六十万トン、あとは知らない。この七百六十万トンというものを来年、再来年ずっと確保する自信がありますか、国民の食糧消費事情が非常に変わってきた、こういうようなことで年々再々減ってきておる。そこで、何とか需要をふやすための施策をしておるのかどうかという問題が一つです。そして需要をふやすための努力というものを具体的な施策の上において何も行なわないで、そうして外国からは食糧をどんどん輸入しておる。まことにこれは矛盾している政策じゃないか。この点、もしもこの七百六十万トンというものがさらに減り、さらに減り、さらに減っていった場合に、これは買うのは国民の、消費者の自由ですから、買わないというやつを無理やり買わせるわけにはいかないし、ふやすほうの努力もせぬでどんどん減るような要素を取り上げて、どんどん減っていった場合に、これが五百万トンになり、四百万トンに減っていったときに、日本農業はどうなる、こういう先の見通しなどもはっきり持っているんですか。この七百六十トンというやつを絶対確保できるんですか。これらについての御見解をはっきりしていただきたい。私は関連ですからこれ以上申しません。
○国務大臣(倉石忠雄君) 本年産米価につきましてはたびたび申し上げますように、米審の御答申をいただいて、十分検討をいたして決定をいたしてまいりたいと思っております。
 それから消費量につきましては私どもいま持っておりますストックの処分は四年の間に処分をするということで予算措置もお願いしておるわけでありますが、そのほかの新しい生産につきましては、大体先ほどちょっとお話も出ましたけれども、消費量がやや漸減していくことは傾向としてあるようでありますが、私どもといたしましては、その消費、つまり米に対する不当な何といいますか心配等を取り除いて、たとえば米を食べれば高血圧になるとか妙なことを言う者があります、学術的根拠があるかないか別問題でありますが、そういう迷妄はなるべく打破するようにつとめることと同時に、また学校給食等ではいま試験校がありますが、そういうことについてできるだけの消費拡大をいたしたい。しかし傾向としては五十二年度に対して「長期見通し」をつくっておりましたあの時代から見ますというとやや傾向が違っておりますが、最大の努力をいたしてこの消費量の維持、増大については努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
○沢田実君 「四六年産米穀の政府買入価格の試算」というこれを見ますと、先ほど来議論になっておりますように、生産者米価は据え置くということを前提にしてつくられた試算であるというふうにしか考えられませんので、このことについていろいろ質問することは何ら意味がないように考えられますからやめておきますが、たった一点だけこれは食糧庁次長でけっこうですが答弁をいただきたいのは、算定基準の中の二番の、そこに補正額八百七十七円と出ておりますが、これはどういう要素であるのか御説明をいただきたい。
○政府委員(内村良英君) 先ほどお話が出ました求める価格でございますが、この求める価格はここにございますように二万六百八十一円ではなしに、一万九千三百十円になっているわけでございます。そこで、われわれの考えている現在の特殊事情に即応して考えた計算方式によりますれば、求める価格は一万九千三百十円になるわけでございますが、一方現実の米価というものがございます。したがいまして、こういう言い方はちょっとあれなんでございますが、既存の米価水準よりも価格は下がるということは、やはり需給事情がどうだと言っても問題があるのではないかということで、既存の米価水準をにらみながら、この補整額をきめたと、こういうことになっているわけです。
○沢田実君 そうしますと、一応こんなふうな考え方で算定はしてみたけれども、二万六百八十一円にならないので八百七十七円というものをたしたんだと、こう理解していいですね。
○政府委員(内村良英君) 現在ある米価水準をにらみながらきめております。
○沢田実君 それでは、大臣にお尋ねいたしますが、生産者米価を据え置かなきゃならぬ理由ですね、それには食管会計の赤字が増大するとか、あるいは先ほど来話がありました、価格政策によって米の減産をはかるんだとか、いろいろなことがあると思いますけれども、要するに生産者米価を据え置かなければならない理由はこういうことなんだということを、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは逆に申しますと、価格は米審の答申を得てからでありますが、政府が予算編成に臨みましてきめました態度は、その水準は動かさないと、こういうことでありますから、それはやはり今日の非常な過剰の状態に、価格によって生産をうんと刺激するようなことは避けるべきであると、こういう考えが一つあると思うわけです。
○沢田実君 昨年の米価を決定する場合に、ここでいろいろ議論されました。そのときも、米審の答申を待ってから価格はきめるというふうにおっしゃったと思います。そして米価がきまりました。で、その後に今度は、政府は自民党との話し合いによって、何かつかみ金というのを出しました。そうしますと、結局、去年上げたほうがよかったとぼくは思うんですが、こんなことしないで。それならことしは去年と同じ米価で、つかみ金出さないのかといいますと、おそらくこれからまたいろいろと事情があって、政府と自民党が話し合って出すかもしれない。また出すなら、ぼくはここで上げておいたほうがいいと思いますが、つかみ金について、大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) つかみ金ではないのでありまして、あれは良質米を生産していただくための奨励金でありますので、これは堂々たるものだと思うのであります。それで、御承知のように、これ率直に申し上げますが、政党政治でございますので、政党の幹部とも話しましたときに、やはり等級間格差というふうなものを、これは消費者側からの御要望でございます。銘柄格差も取り入れるべきであるという、これもごりっぱな意見でございますし、また東北の方、農協長などたまに私のところにお見えになりまして、おれのところでは一生懸命でいい米つくっているんだけれども、それが銘柄として特別にいい値段で買ってもらえないというのは、米づくりとしては不満であるというふうなことを言っていらっしゃいました。お買いになるほうでも、ちっとは高くてもうまいものが食いたい、これはもう当然のことだろうと思うんであります。そういうようなものをひとつだんだん奨励していくには、格差をつけることがいいじゃないかということで、鉛筆なめなめ計算をして、そういう数字が出てきた、これが正直なところでございまして、つかみ金と言われますとちょっと残念でございまして、そういう次第であります。
○中村波男君 ちょっと関連して。いまのつかみ金、昭和四十四年度は二百二十五億ですね。四十五年は二百三十八億。そこで去年の特に二百三十八億は、米価という性格でお出しになったというふうに当時説明をされておりますし、米価審議会の答申のあとに自民党あるいは農業団体等々から強い不満と突き上げがありまして、そこできめられたいわゆるこれは政治米価ですね。政治米価です。で、良質米云々というようなことであるならば別途に予算を堂々と組むべきであったのですから、昨年の二百三十八億というのは、私たちの理解では実質的な米価である、こういうふうに認識しておったのですが、この性格を明らかにしていただきたいのですが……。
○国務大臣(倉石忠雄君) 性質はいまお答えいたしましたように、良質米の奨励金であります。
○中村波男君 そうしたら、自民党の丹羽総合農政調査会の小委員長はうそを言ったということになりますね。これは政府がうそを言ったのではないから倉石農林大臣には責任がないかもしれませんけれども、こういうような報告をしていますね。実質米価である。来年の米価算定に算入することを言明しておられますね。だから大臣の言われることは詭弁だと思うのです。だから沢田さんの質問しておるのは、ことしも多分にそういう動きがありますが、そういう政治米価を言われるような実質的な米価の値上げをするぐらいなら、いま言われておるような不明朗な形で据え置きをやる、そして別途米価を上げるというようなやり方をやめて、理屈に合った算定方式を政府はやはり諮問すべきである、こういうことだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 各個人の政治家がいろいろ御判断で御意見を述べられることは、私どもは別にどう干渉することはございませんが、政府といたしましてはさっき申し上げましたとおりでありまして、四十三年、四十四年、四十五年の米審の記録にもございますが、良質米奨励金、良質米の生産・販売を奨励するためというようなことで、米品質改良奨励金とこういって米審にもそのとおり述べておりますし、これはたしか大臣談話であります。そこでこれは当初予算に組んでありませんでしたから予備金で出しております。それにもやはり政府は良質米奨励金ということで会計の扱いをいたしておるわけであります。
○中村波男君 わかりました。良質米をことしも奨励するという考え方ありますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 米審で専門家がきのうから集まっていろいろ御討議を願っているわけでありまして、そういう方々の御意向を十分承った上で各方面の意見を聞いて定めたい、こう思っておりますから、まだ何にもそういうことについては考慮しておらないわけであります。
○沢田実君 昨年はそうしますと、米審で良質米に対する奨励金を出したほうがよろしいという答申があったわけですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) いまの私が申しましたのは、私の談話でございます。
○沢田実君 昨年はそういう答申がなくても出したけれども、ことしは答申がないと出さないと、こういうことですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) ことしはやはり米審のあの御答申をいただきましてからとくと考慮いたしていきたいと、こういうふうに考えております。
○沢田実君 それではことしもとくとひとつ考えて、そういうものは大いに奨励すべきだという大臣の先ほどの御発言もございますので、大いに考えていただきたいと思います。
 それからもう一点は、先ほど農業基本法の精神が非常に問題になりましたけれども、いわゆる他の産業従事者との均衡ある生活を農家の方々にも営ませるということがこれは大きな柱になっているわけですが、昭和四十二年の方式でいきますと一升当たり二百八十七円になるのですね。ところが、今年の方式でやりますと二百七円にしかならないので、一升八十円違うのですよ。米一升、たった一升で八十円ですよ。四割違うのです。それだけ物価が上がって、ここちょっと二年ほどの間に一升について八十円も農家は犠牲になっている。それで他の産業労働者と同じ生活を営むことができるのですか。これは生産調整に対しては補助金も出すとか何とかおっしゃっているけれども、これは安いほうの基準で計算されたらもっと安い金額になるのであって、この二百八十七円に比べたらとんでもないことになるわけですが、どういう方法で農家の方々の生活を他の産業従事者と同じような生活を営ませる方法を考えているのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 生産費の中の労賃の評価につきましては、農家は要するに肥料代だとかその他のいろいろの資材というものはこれは現金支出で出て行くわけでございますから、労賃の評価が農家の生活費になってくるわけでございます。したがいまして、四十六年産の私どもが政府買い入れ価格の算定試算に使いました場合には、労賃の評価を都市均衡、製造業の均衡労賃というものを地方調査をとってそれに米の販売数量で加重平均したというやり方で、大体米作地帯の製造工業に従事している勤労者が受け取っていると同じような、同じ水準の額を労賃の算出基礎にとっておりますので、大体その地域における他産業の従事者の方々と同じような生活と申しますか所得があげられる、こういう形になっております。
○沢田実君 そんな説明聞かなくてもよろしい。わかった。そんなことを言っているのではないのです。あなたがそう言ったら、四十二年の算式が間違ったことになるのですよ。そうでしょう。四十二年の算式では、要するに、農業従事者と他の産業従事者との生活を均衡させるためにこういう方法でやるのだときめたのです。そのときの算式でやれば二百八十七円になるのだよ。それがことしは二百七円にしかならないのです。八十円違うのですよ、一升。その八十円の差をどうやって農家の方々は――あなたは、算術の方法で実際は二百八十七円払わにゃいかぬのを、物価はそれだけ上がっているのに、二百七円で間に合わせると言っているだけなんだ。その理屈をつけているだけで、そんなことを聞かぬでもいい、ぼくは。大臣は、一升八十円、当然物価が上がっているのに、それを安くしている。その農家に対して、どうして他の産業と同じように生活をさせることができるのですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私ども、先ほど来いろいろ申し上げておりますのは、つまり、米は生産調整をしなければならないような状態でありますので、この点においては調整をしたりしていただかなければならないが、他の作物に転換して農業を持続していただきたいのだ、そのために特段な保護措置を講ずる考え方であると、こう言っているわけでありますから、その前に私が申しました本年の米及びその米価ということだけ一こまを取って見れば暗い気持ちになることもありますが、農業全体として考えていただくならば、私どもの考えが理解していただけるのではないだろうか、このように申しているわけでありまして、やはり私どもは米というものを価格によって生産を刺激するような手段はとらないほうがいいと、こういう考えに立って現在はやっておると、こういうわけであります。
○沢田実君 総合農政で農家の収入をふやしていくという基本的な考え方についてはわかります。それで米が余ったことについては、七百六十万トン以上の問題については、生産調整さえ守ってくれればそれ以上とれるようなことはないのだと、大臣再三おっしゃっているわけです。よほど何か変わったことがなければそれ以上とれないのだ。だから要するに、それ以上生産は変わらないことが原則なんです。ですから、生産調整で量のことははっきりするわけですので、他の産業に従事する者と同じ生活を営ませるためには、四十二年方式で上げるなり、あるいは修正したにしても、諸般の状況を考えて修正したにしても、去年の方式を採用するということがやっぱり納得のいく政治ということになるのじゃなかろうか。大臣のおっしゃることも全然わからないじゃありませんけれども、あまり極端過ぎるのじゃないか。そんな総合農政で何か転換した場合に、それに見合う収入が考えられるかといいますと、都市近郊で特に野菜等で何とかなるというようなところは別問題といたしまして、ほんとうに農業だけで、米づくりだけを専業としている農家で、いま何か転換しようなんといったって実際に転換するものはありません、農家に行って見ましても。そういう点、若干考慮されることが今日大事じゃなかろうかということを私特に考えているわけです。時間がありませんので、以上でやめておきますが、そういう点、十分考慮あって、先ほど奨励金のお話なんかも出ましたが、御考慮いただきたいということを希望いたしまして、質問を終わります。
○河田賢治君 他の委員が重要なことはみな質問しておりますので、二、三の問題だけを質問したいと思います。
 まず、最初に次長に質問します。農業新聞ですけれども、十二月は八%、一月が七%というふうに、消費が昨年よりふえたと見えて売却量がふえている。その事情はどういうことでしょうか。
○政府委員(内村良英君) ただいまの御質問は、政府米の売却が今米穀年度に入ってからふえてきたではないか、その理由は何かという御質問かと思います。そこで数字的にまず申しますと、十一月から三月の間に、私どもが計画しておりましたよりも十万トンくらい消費がと申しますか、自主流通米を加えて、政府の配給消費量がふえております。政府米の配給消費量がふえているわけでございます。その理由の一つといたしましては、まず自主流通米が、四十五年度においては、四十五年度産米については定着してきたということが第一だと思います。その結果、いわゆる自由米というものの消費が減っているのではないか。これは、自由米についてははっきりした調べがございませんので、必ずしも正確なことは申し上げることができませんけれども、自由米の消費が減って、自主流通米の消費がふえている。同時に政府米の消費も、配給米がだんだんうまくなってきたというような面もございまして、消費がふえているのではないかというふうに想定しているところでございます。
○河田賢治君 先ほど委員の中からも話がありましたし、昨日でしたか、農民の大会でもそういう問題が出ている、例の倉庫がからになっているという問題ですね。これは、この売却量がふえるという問題との関連ですね、これは相当あるわけですか。そうしてまた、ことしの米の需給見通しというものが何ら修正なしに、二百三十万トンかりに減反が行なわれたとした場合に、米の需給関係というものは別に差しつかえないと、こうお考えですか。
○政府委員(内村良英君) まず最近、倉庫がだいぶすいてきたではないか。それに関連して、ことし今米穀年度に入ってから、だいぶ政府米の売れ行きが計画よりも上回っているようだということでございますが、数量的に見ますと、それが、倉庫のあいているというところがかりにあるとすれば、それに影響しているというふうには私どもは考えておりません。
 それから四月以降の需給でございますが、大体四月以降になりますと、毎年、自由米の影響というものが政府配給米の消費のほうに影響がない時期に入ってまいりますので、今米穀年度の下期の消費が上期と同じように政府配給米が伸びるかどうかという点につきましては、私どもは若干の疑問を持っております。その点については十分今後フォローしていきたいと思っております。したがいまして、二百三十万トンの生産調整が行なわれれば大体需給はそれで短期的には均衡するわけでございまして、生産調整が行なわれている一方消費がふえている、そこで需給の不安が起こるのではないかという御質問かと思いますが、そのようなことはまずないというふうに考えております。
○河田賢治君 今年の単年度で需給関係は変わりはないと、そうお考えですか。
○政府委員(内村良英君) 今年度の、四十六年度の需給は心配がないということでございます。
○河田賢治君 大臣に質問しますがね、今度、非常に生産者米価について需給関係を考慮すると言われているんですがね。価格による刺激はあまり与えたくない、こういうようなお話でしたが、それじゃかつて外米を年に八十万トン前後入れたことが続いているわけですね、そのとき政府は、不足の事態にだ―っと価格を上げてそして米の生産を将励するということはやりましたか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどもちょっと、村田さんの御質疑でありますか、お答えいたしたように、米の買い入れにつきましては当初はパリティ指数計算でやっておりました。その後次第に不足状態を現出してきましたので、これではだめだということで、生産費・所得補償方式という形をとり出したことは歴史の示すとおりであります。したがって、そういうことで、やはり米は統制品ではありますが、商品の一つでありますので、やっぱり価格政策で刺激をしていくということが大事なことではないかと考えたのでございましょう、当時そういう方法を講じてまいったことは歴史の示すとおりでございます。
○河田賢治君 それでは、今度の米価についても、ずっと据え置きになっているわけです。それに合わして価格の算定方式というものを変えられておるわけですね。私たち、常識的に、米の再生産を確保するということは、これはやっぱり、そうこまかいたくさんのいろいろな要素をそう突き合わさぬでも、従来、賃金が上がるとかあるいはまた物価が上がるとか、それによって一応再生産ができるわけですね、それに応じて上げればですね。ところが、相対的に農作物の中でも米が有利だということもここに書かれているわけですね。相対的に有利だと。一体それじゃ、どの程度のところが大体普通のところかということをお考えなんですか。たとえば、農林省で発表されておる「主要農作物の一日当たりの家族労働報酬」、これは四十四年しかありませんけれども、これなんかは、水稲が二千四百四十円、これを上回っているものはだいぶあります。アズキとかね。これは北海道あたりで、だいぶ例のアズキで暴騰したときもありますが、これは非常に特殊な例だと思います。そのほかミカンだとかあるいは茶だとか、こういうようなものがありますけれども、しかし一体どの程度が、あなた方がお考えになる、つまり相対的な有利というものがなくなって、大体ここらが平均だと。そうすると、どのくらいまで下げるというお考えなんですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) この点はなかなか、どのくらいまで下げるという、そういう下げるという意識は持っておりませんですが、
○河田賢治君 下がっておりますが、毎年。
○国務大臣(倉石忠雄君) 要するにわが国の食糧事情からいたしまして、一応国民の主食でありますから、しかも北海道から南は九州までどこでもとれる作物、そういうことで日本人はこれが主食になっていると思うのでありますが、したがってこれは、いずれの時代においても非常に保護いたしまして、そしてその生産を確保するようにいたしてまいりました。共済制度などもうまくできております。したがって価格政策でも米についてはごらんのとおりにかなりの保護はいたしてまいった。そういうことでございますので、したがって米が主食であるからでもありますけれども、やはり農業生産の大宗である。それがいま生産調整をせざるを得ないという時代でございますので、こういう時代はなるべく早く生産調整というふうなことが終わって、そして定着した米の生産が行なわれるように、しかもそのときには、この米の生産というものは良質にしてみんなに喜ばれるようなものが大量に得られるように私どもは米対策をやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○河田賢治君 最近の農業、特に米の生産でもだんだん労働力がずっと減ってきているわけですね。機械化が進めば進むほど、これは土地収量がふえるわけでありませんけれども、直接には。多少の何はありますけれども、しかしこれまでの計算でいきましても、いい状態をもとにして計算しても、労働時間が減れば減るほど、どんどん労賃にかかる時間というものは、労働生産面から相当減るわけですね。よく農林省あたりで例に出されておるのは三口とか四日、四十時間くらいですね、いま反当たりやっているところがあるわけです。それがずっと減っていくわけですからね。これから一体、そういう場合にあなた方のほうでは米の生産費を見積もる場合に、だんだんだんだん労働力が減れば減るほど低下するというような問題はどうお考えですか、農政との関係で。
○政府委員(内村良英君) 確かに生産費計算の場合に、労働時間が減りますとそれだけ生産費が下がってくる。それはやはりある意味では生産性が高まってコストが下がっていくわけでございますから、その分を全部生産費で下げていってしまうのではおかしいんじゃないかということが、生産性向上利益の還元というようなことが、過去における算定方式の中でやられたということもあるわけであります。そこで、先ほども申し上げましたように、いろいろな最近の需給事情その他から生産費・所得補償方式については種々問題があるということが、米価審議会の一部の委員からも昨年そのような答申がなされているわけです。したがいまして、ただいま御指摘のあったような問題も一つの問題かと思います。しかしながら、今後算定方式につきましては、農林省といたしましてもいろいろな問題を考えていかなければならないだろう、いま直ちにそれをどうするとかいうようなことを御質問がありましても、私としてはそれをこうやって解決するんだということを、いますぐには申し上げられない。これは大いに今後の算定方式の一つの問題として検討すべき事項ではないかと思います。
○河田賢治君 もう時間がございませんからこれで終わりますけれども、先ほど来、予算のときは総理大臣から米価の据え置きということがあり、事務当局では米価の算定方式をつくり出した。本来ならば、政府は事情に合わなければ法律あるいは政令なんかを――法律が一番基本ですけれども、こういうものをあまりいじくらないで、堂々と自分たちの所信が正しいならば法の改正をやって、そうしてあなた方の考えを農家に訴える、われわれはわれわれの考えを訴えるということにして、あなた方も米の再生産の確保ということを基本的に進めるべきであるけれども、需給事情ということで、いま米が余っているからということでいろいろ計算されているのですが、もう少し食糧管理等々もずいぶんと今日では改廃されているわけですね。だから政府は、もしもほんとうに自分たちがやっていることが正しいのだというならば、堂々と法の改正でもやってそしておやりになったらどうなんですか。あまりこそくな解釈をいろいろして、そして米価の算定をやる。だれが見てもわからぬような算定方式を今度も出されているのですが、そういうはっきりした態度はとれませんか。そのことを大臣に質問して終わりたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) そういう問題は大切な問題でございますので、十分検討して善処してまいりたいと、こう思っております。
○委員長(河口陽一君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(河口陽一君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、漁港法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から三案について順次趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 水産業協同組合法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 水産業協同組合は、漁民及び水産加工業者の経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進をはかることを目的とする漁民及び水産加工業者の協同組織として、昭和二十四年に発足して以来、わが国経済及び水産業の歩みとともに発展してまいりました。
 しかしながら、近年における水産業をめぐる諸条件は、漁場条件の悪化、労働力の逼迫等きわめてきびしいものがあります。これら諸条件の変化に対処するとともに、増大する需要にこたえて水産物の供給を確保していくため、水産資源の開発の促進、漁業経営の近代化等のための諸施策を強力に推進する考えでありますが、同時に漁業協同組合その他水産業協同組合の経済活動を強化し、その健全な発達をはかることが必要であると考えるのであります。このため、組合の育成強化については種々の施策を講じてまいりましたが、さらに、組合の組織を水産業と漁民及び水産加工業者の実態に即応するものとし、かつ、組合の運営が一そう活発な経済活動を行ない得るように水産業協同組合の組織と運営に関する制度を改める必要があると存ずるのであります。これがこの法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、漁業協同組合の法人組合員資格についての改正であります。漁業経営体は、各階層を通じて資本装備の高度化、経営規模の拡大が進行しており、特に比較的規模の大きい経営体の法人経営への移行が進んでいることにかんがみ、漁業を営む法人の正組合員資格と準組合員資格の制限を緩和することとしたのであります。
 第二は、組合の管理についての改正であります。
 すなわち、組合の管理運営の円滑化に資するため、組合の役員の選出方法について、総会における選挙によるほか、総会外選挙及び総会における選任もできるようにするとともに、総代会の機能を拡充し、組合の解散・合併及び漁業権とこれに関する物権の得喪変更に関する議決以外の議決または選挙を総代会においてもすることができることとしたことであります。
 また、連合会の会員につきましては、一会員一票制についての特例を設けることといたしております。連合会の会員であります漁業協同組合の規模に格差があり、従来の一会員一票制では実質的な平等が確保されがたい実情も見られるようになってきておりますので、今回、これについて特例を認めようとするものであります。
 第三は、水産加工業協同組合に関する改正でありますが、水産加工業における法人経営体の実態にかんがみ、組合の組織を強化するため、法人の組合員資格の制限を緩和することといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 次に、漁港法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 国以外の者が北海道において漁港修築事業を実施する場合の国の負担及び補助の割合につきましては、従来北海道開発の推進をはかる見地から他の公共事業と並んで特例措置を講じてきたところであります。しかし、道財政の状況、他の補助制度との均衡等を勘案し、かつ、事業運営の効率的促進をはかる趣旨をあわせ考慮いたしますと漁港修築事業につきましても北海道における公共事業全般にかかる国庫負担等の特例に関する調整措置の一環として、昭和四十六年度から国が全額を負担しまたは補助する部分の負担または補助の割合を引き下げることが適当であると考えられるのであります。
 このような考えのもとに漁港法に所要の改正を加えるため、この法律案を提案いたした次第であります。
 この法律案は、国以外の者が北海道において施行する漁港修築事業に要する費用のうち、外郭施設または水域施設の修築に要するものにかかる国の負担割合または補助割合について現行法で全額とあるのを百分の九十に改めることといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその主要な内容でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
 次に海洋水産資源開発促進法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 近年水産物に対する需要は増大を続けておりますが、わが国漁業を取り巻く内外の諸情勢には、きわめてきびしいものがあり、需要の動向に即応した水産物の生産が必ずしも十分に行なわれていない実情にあります。
 このため、沿岸海域における水産動植物の増殖及び養殖を計画的に推進いたしますとともに、重要な漁場における他産業との必要な調整の制度を定め、また、海洋における新漁場の開発のための調査等を行なう海洋水産資源開発センターを設立することによりまして、海洋水産資源の開発及び利用の合理化を積極的に促進し、漁業の健全な発展と水産物の安定的な供給に資する必要があると考えられるのであります。
 このような考え方に基づきまして、ここに海洋水産資源開発促進法案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一は、海洋水産資源開発基本方針についてであります。農林大臣は、水産物の需要及び生産の動向に即して、海洋水産資源の開発をはかるための基本方針を立て、これを公表するものといたしております。
 第二は、沿岸水産資源開発区域及び開発計画についてであります。都道府県は、開発基本方針に即して、一定の沿岸海域で、水産動植物の増殖または養殖を推進することにより漁業生産の増大をはかることが相当と認められるものを、沿岸水産資源開発区域として指定するとともに、その区域における水産動植物の増殖または養殖の推進のための開発計画をたてることといたしております。また、開発計画の達成をはかるため開発区域内における海底の掘削その他海底の形質の変更等の行為につきまして、届出をさせ、必要な勧告をすることができる旨を規定いたしております。
 第三は、一定の重要漁場における他産業との必要な調整についての制度であります。開発区域以外の一定の海域で、海底の地形、海流等の自然的条件がすぐれている漁場を指定し、その漁場において行なう漁場としての効用を著しく低下または喪失させるおそれのある海底の掘さく等の特定の行為について届け出及び勧告の制度を定めることといたしております。
 第四は、海洋水産資源開発センターについてであります。この開発センターは、海洋水産資源の開発をはかるための調査等の業務を行なうことを目的とする法人として設立いたそうとするものであります。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(河口陽一君) なお漁港法の一部を改正する法律案については、お手元に配付いたしました衆議院修正送付案のとおり施行期日について修正が加えられておりますので、御承知願います。
 三案に対する審査は本日はこの程度にとどめ、明日午前十時三十分から開会し、質疑を行ないます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時十二分散会