第066回国会 外務委員会 第1号
昭和四十六年七月二十三日(金曜日)
   午後三時十五分開会
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  委員氏名
    委員長         松平 勇雄君
    理 事         石原慎太郎君
    理 事         長谷川 仁君
    理 事         山本 利壽君
    理 事         西村 関一君
                杉原 荒太君
                加藤シヅエ君
                森 元治郎君
                白木義一郎君
 昭和四十六年七月二十日右の者は本委員を辞任
 した。
    ―――――――――――――
 七月二十日議長において本委員を左のとおり指
 名した。
                石原慎太郎君
                木内 四郎君
                今  春聴君
                佐藤 一郎君
                重宗 雄三君
                杉原 荒太君
                橘  直治君
                長谷川 仁君
                松平 勇雄君
                村上孝太郎君
                山本 利壽君
                秋山 長造君
                加藤シヅエ君
                田  英夫君
                西村 関一君
                森 元治郎君
                黒柳  明君
                渋谷 邦彦君
                中村 正雄君
                星野  力君
 同日議院において左の者を委員長に選任した。
                松平 勇雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり
    委員長         松平 勇雄君
    理 事
                石原慎太郎君
                長谷川 仁君
                山本 利壽君
                西村 関一君
    委 員
                木内 四郎君
                今  春聴君
                佐藤 一郎君
                杉原 荒太君
                秋山 長造君
                加藤シヅエ君
                田  英夫君
                森 元治郎君
                渋谷 邦彦君
                星野  力君
   国務大臣
       外務大臣臨時代
       理        木村 俊夫君
   政府委員
       外務政務次官   大西 正男君
   事務局側
       常任委員会専門
       委員       小倉  満君
   説明員
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長       吉野 文六君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事選任の件
○調査承認要求に関する件
○国際情勢等に関する調査
 (日中国交回復に関する件)
 (中国代表権問題に関する件)
 (ヴィエナム問題に関する件)
 (東パキスタン紛争による難民の救援に関する
 件)
 (米華条約問題に関する件)
 (インドシナ三国に対する日本国の援助に関す
 る件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(松平勇雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、理事の選任を行ないます。
 本委員会の理事の数は四名でございます。理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に石原慎太郎君、長谷川仁君、山本利壽君、西村関一君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(松平勇雄君) 次に、調査承認要求に関する件についておはかりいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても国際情勢等に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(松平勇雄君) それじゃ速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
○委員長(松平勇雄君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 この際、木村外務大臣臨時代理から発言を求められておりますので、これを許します。
 木村国務大臣。
○国務大臣(木村俊夫君) この内閣改造におきまして御就任されました福田外務大臣が御病気のため、全くはからずも不肖私が外務大臣臨時代理の大任を仰せつかりました。
 内外の情勢がきわめてきびしいおりでもございますので、微力ながら全力を尽くしたいと思いますが、何とぞよろしく御指導賜わりますよう切にお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
○委員長(松平勇雄君) 次に、大西外務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。
 大西政務次官
○政府委員(大西正男君) お許しを賜わりまして一言ごあいさつを申し上げます。
 外務政務次官に就任をいたしました大西でございます。もとより不敏の者でございますが、時局柄最善を尽くして努力をいたしたいと考えております。どうか委員各位の御指導、御鞭撻を賜わりますよう心からお願いを申し上げます。
○委員長(松平勇雄君) これより本調査の質疑に入ります。
 質疑のおありの方は、順次御発言願います。
○西村関一君 私は、まず最初に日中国交回復の問題についてお尋ねをいたします。
 先般来、衆議院の予算委員会、また参議院の予算委員会等におきまして、各委員の質疑に答えて政府はそれぞれ方針を述べられ、これに対する見解を明らかにせられたのであります。ただ、少し明確でない点がございますので、その点についてお伺いをしたいと思います。
 木村大臣は、衆議院の予算委員会におきましては、日中国交回復の問題についてかなり前向きな御答弁をなさいました。それを受けて佐藤総理は、場合によれば自分が北京へ行って中華人民共和国の責任者と会見してもよろしいというようなことを述べられたのでございます。昨日の参議院の予算委員会におきましては、衆議院よりは少し後退したような御答弁であったように私は聞いたのであります。どうしても台湾との問題を簡単に切り捨てるわけにはいかないということからいろいろ質疑応答がございましたが、衆議院の御答弁よりは少し後退したという印象を受けたのでありますが、この点につきまして、日中国交回復問題については、政府は現時点においてどういう御見解をお持ちになっていらっしゃるか、まずお伺いしておきたいのであります。
○国務大臣(木村俊夫君) 日中国交正常化についての総理の考え方は終始変わっておりません。アメリカといい、日本といい、お互いその立つ立場がいろいろ異なっておるわけでございます。したがいまして、これに取り組む姿勢あるいは方策についてはいろいろニュアンスの相違はございますが、いまや日中国交正常化というものは、国民世論の大勢を占めていることでもございます。総理は、あるいは政府全体を通じて、あらゆる接触を通じて、この日中国交正常化への努力を今後も推進してまいりたいという考えに変わりはございません。
○西村関一君 いまの御答弁で、政府が従来から述べておられる基本構想については、前から同じことを言っておられますが、つまり、日本政府としては戦争状態もすでに終わっている、向こうから何らかの形で話しかけがあるならばこれに応じてもいい、こういう態度のように思うのでございますが、同時に、国連におけるところの中国代表権の問題に対しては、現時点においてはどういう御見解を持っておられますか。
○国務大臣(木村俊夫君) まず第一点の、戦争状態の問題でございますが、確かに、日華平和条約によりまして法的にはわが国と中国との戦争関係は終結したという見解を終結政府はとっております。しかしながら、そういう理論的、法的な問題の扱いと、今後、日中国交正常化を通じまして、その過程においてこの問題をいかに政治的に現実的にとらえるかということは、また別の見地で考えてしかるべきだと思います。
 また、第二の点でございますが、国連代表権の問題、ただいまのところ、はっきり申し上げて、政府としてまだその最終案を得ておりません。もちろん、これは日中という二国間の問題だけでなしに、国連という多数の舞台における処理でございますから、したがって、その多数の場における討論あるいは表決にたえ得るような案でなければならないということから、友好諸国とまだ連絡協議を行ないつつある最中でございます。
○西村関一君 まだ最終的な結論に達していないというお話でございますが、しかし、もう国連の秋の総会は間違に迫っております。すでに世界の各国のこれに対する動きもだんだん明らかになってきているわけでございます。いつまでもこういう状態のままでいけるものでないことは言うまでもございません。どのような点で問題が煮え詰まらないのか。まだ最終結論に達しないということでございますが、どの点とどの点が問題になっているのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 中国の国連代表権の問題、これはいろいろ従来のいきさつがございます。しかしながら、特にニクソンの訪中問題が起こりましてから、きわめて流動的な動きが出ております。そこで、わがほうの基本方針といたしましては、もうすでに総理が国会の予算委員会で明らかにしましたとおり、いまや中華人民共和政府が国連に参加するということはむしろこれを妨げるべきではない。むしろそれに対する賛成の立場をとるべきではないか。これは第一の基本でございます。第二は、しかしながら、ニクソン大統領あるいはロジャーズ国務長官がわがほうに明らかにしておりますとおり、さりとて、国府の犠牲においてこれを行なうべきでないということも言っておりますし、また、これが現時点における国連内の多数の意見ではないか、こう考えますので、この二つの基本を一体どういうふうに調整して、しかも、多数の場における国連総会の討論、表決にたえ得るような成案を得るかということについて、正直のところ、まだ苦慮している最中でございます。
○西村関一君 御承知のとおり、アメリカの上院におきましても、台湾蒋介石政権の問題について新しい動きが出ておるようでございます。また、わが国におきましても、超党派の日中国交回復議員連盟がございまして、この連盟の動きも活発になっておるし、また、超党派でこれに関する決議案を出そうという動きもあることは御存じのとおりでございます。こういう内外の動きに対しまして、政府はどのように対処しようとお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 国会において日中国交回復に関する決議案の提出問題が問題になっておることはよく承知しております。政府としてこの日中問題に対処する基本は、先ほど申し上げましたとおり、国連代表権を含めまして、いまや中国が国際社会にできるだけ早く復帰すべきである。また、国際情勢の中におきまして、いままでの日本が中国との非常に断絶した関係をこの際思い切って調整する必要があるのではないかというのがいまや国民世論になりつつあるのであります。そういう認識の上に立ちまして、政府といたしましては、今後国際情勢の中で、日本の国益を踏まえながら、しかも緊張緩和に資するような方策を今後とっていきたい、そういうふうに考えております。
○西村関一君 政府のお立場もお考えもわからぬわけではございませんが、従来から述べてこられました国益と国際信義、また、極東におけるところの国際情勢というものを踏まえて日中問題を処理していきたいというお考えは変わってないと思いますが、しかし、これとても、国際情勢、極東の安全保障という問題も、現時点におきましては相当状況が変わってきていると思うのでございます。そういうことも考え合わせられながら、いままで打ち出しておられなかったところの中華人民共和国の国連加盟はこれは必至の実情にあるし、日本国政府としてもこれに協力していくという方針をとっている。これは確かに従来から考えると一歩前進した形になってきたと思う。この極東の安全保障を勘案して従来からちゅうちょしておられた点が、その点が変わった。それゆえに、国連に中華人民共和国が加盟するということに対して日本政府としては協力の姿勢をとる、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、端的に率直に申し上げれば、確かに国際情勢も非常に変わりつつあるのでございますし、また、その中における中華人民共和国のあり方もずいぶん変化しつつあると思います。そういう意味におきまして、やはりこういう緊張緩和政策をとっていく上におきまして、そういう国際情勢の緊張緩和の中において一体どういう具体的な方策をとっていくかということは、当然外交の基本でなければならないと思います。そういう事態に即しまして、従来の、過去のいきさつもいろいろございますけれども、この際、この日中国交正常化について相当思い切った判断のもとに外交政策を進めるべきだという見地に政府は立っております。
○西村関一君 いまお話しになりましたような御判断のもとに相当思い切った措置を講じていくべきである、外交手段を講じていくべきである、こういうことを言われたのでございますが、相当思い切った外交手段ということはどういうことを意味するのか。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど御指摘がありましたとおり、まず中華人民共和国が国連に復帰すべきである、それが望ましいことであるということを政府はこのたびの国連総会における対応の姿勢として明らかにしております。まず国連における中国代表権の問題の取り扱い、その後における日中国交正常化への努力を通じましてその政策を明らかにしていきたい、こう思っております。
○西村関一君 国際信義ということを常に言ってこられました。これは蒋介石政権に対する日本国の国際信義ということであったと理解するのでございますが、きのうの予算委員会における森委員との質疑応答の中におきまして、個人的な信義の問題と国際情勢の中にある日本国の進むべき道とはおのずから別個に考えるべきではないかという意味の質疑に対しまして、その点は総理も同意されたように私は仄聞したのでございますが、この点につきまして、政府のお立場としては台湾政権の問題の処理についてはむずかしい問題だということは理解いたしますけれども、来たる秋の国連総会までにこの問題についてはどういう形で検討していかれますか。検討中といっても、模索しておられるわけじゃないと思うのでございますが、どういう形で検討を続けていかれるお考えでございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) もうすでにたびたび明らかにしておりますが、あらゆるレベル、パイプを通じて中華人民共和国政府との接触を見出していきたいと、こういう努力をしております。
○西村関一君 ちょっと私はっきり聞こえなかったのですが、申しわけありませんが……。
○国務大臣(木村俊夫君) たびたび申しておりますとおり、やはりこれは話し合を開くことが先決問題でございまして、お互いのいままでの立場の理解なくしてはこの話し合いが成熟いたしません。そういう意味におきまして、政府といたしましてはあらゆる接触――大使級接触あるいはもっと高いレベルにおける接触等を通じて、中華人民共和国政府との理解の促進を続けていきたい、こういう考えでございます。
○西村関一君 それは、中華人民共和国との接触をより密にして話し合いを深めていきたい、そういう中で台湾の問題も解決に向かうよう努力していきたいと、こういうことでございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、日本政府のそういう願望にもかかわらず、まだ不幸にして中華人民共和国のほうから何らの反応がございません。これは事実でございますが、なおこれを断念せず、昨日の総理の国会における発言にございましたとおり、あらゆる呼びかけを通じてその実現をはかっていきたい、こういう考え方でございます。
○西村関一君 私はこの際特に政府に要望いたしたいと思いますことは、あらゆる呼びかけを通じて話し合いの機会をつかんでいく、こちらからどのように働きかけても一向応答がないということを言われますが、日中問題は私どもにとりまして長い歴史があると思うのでございます。古い昔のことはさておきまして、明治百年の歴史、特に日清戦役以後の好ましくなかった日中関係の歴史を振り返ってみまするときに、いかにわが国が中国に対して罪悪を行なってきたか、これは日清戦争以後中国をべっ視し、中国を虐待し、中国をひどい目にあわせてきたか。特に大東亜戦争のときにおいて日本軍が中国大陸の人たちに対して行なったまいりましたところの残虐行為、こういうものは、この際私どもは忘れようとしても忘れることができないと思うのでございます。特にあの南京虐殺事件のごとき、昨今日本の報道関係も取り上げて、これを明らかにしてまいっておりますけれども、当時日本国民は、ナチスドイツがユダヤ人に対して行なったアウシュビッツのあの大残虐行為にも匹敵するようなことが伏せられておった。ようやくこのごろこの問題がぼちぼち各新聞雑誌等において報ぜられてきておるのでございますが、南京虐殺事件だけではございません。その他、今回の大東亜戦争におきまして日本軍が大陸中国の人民に対して行なってまいりました非道な行為に対して、日本国政府としては何らこれに対して中国に対して謝罪をする、あるいはその罪を償うというような意思表示をしたことはないと思うのでございます。昨今、ニクソン氏が北京を訪問するというような時代になってきたことから、政界は言うに及ばず、財界からも北京に大きく目が向けられておるし、姿勢が変化してきておる。台湾に向けられておったところの眼が北京に向けられてきておるということでございますが、そういうことの前に、中国と友好親善をはかっていく、国交正常化をはかっていくということを考えます前に、私どもは、かつての五十年来の歴史の中において日本が大陸中国の人たちに行なったそういう非道な行為に対して、まことに申しわけありませんでしたという謝罪の意思表示することが日中国交正常化の前提とならなければならないのじゃないかというふうに私は思うのでございます。そういうことなくして総理がかりに何らかの機会に北京に行かれましても、どういう顔で行かれるか。私は、そのことを抜きにして日中国交の正常化、日中国交の回復ということはできない。もちろん、そういうことにつきましては中国側としては少しもそういうことは言っておりませんし、そのことに対して日本をとがめだてするというような言動はありません。しかし、それであればあるだけに、日本としてはこのことを忘れてはならないというふうに私は思うのでございます。いろいろな代表団が北京に行く。各政党も行く。また、政府も野田訪中団を派遣しようとなすっていらっしゃる。財界も出かけていく。そういうことでは、私は、日本人としての廉恥心といいますか、そういうものが疑われるのじゃないかというふうに思うのでございます。こういう考え方に立って、政府はまず日中国交の正常化につきまして、私のいま申し上げましたような見地に立って何らかの措置を講じていくということをお考えになっていただけないでしょうか。また、議会は議会としても、私は超党派でむしろそういう形の決議をするというようなことを考えられていいのじゃないかと思いますが、議会のことはともかくといたしまして、政府としてこういう問題に対してどうお考えになりますか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) わが国が中国大陸――これは中国大陸だけでなしに、アジアの諸国に非常に迷惑なことをいたしました。そういう反省の上に立って戦後平和憲法が制定され、守られて、再びそういうあやまちを繰り返すことのないような措置を国民総体がとっておる。そういう基礎の上に立ちまして、日中国交正常化の政府としての考え方も、当然そういう道義的基礎の上に立った交渉でなければならぬと、こう考えます。
○西村関一君 アジアにおいてかつて日本がやった犯罪行為に対して、再びそういうあやまちを繰り返さないという精神からいまの憲法が制定された、こういうことでございますが、この憲法がはたして守られているかどうか。憲法の精神がどれだけ貫かれておるか。憲法を改正しようという動きもあるやに伺っております。そういう動きの中において、いま憲法があるから、の憲法の精神によって平和を促進していくんだと大臣が幾らおっしゃいましても、これはそのままそのことばを受け取ることはできない。中国側としても、日本国憲法があるから、これで日本も心を入れかえておるのだというふうに受け取るまいと思いますが、その点、重ねてお伺いいたしたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 平和憲法を守ろうとするのは、これはもう国民に定着した問題であるので、私はその点について懸念はいたしません。しかしながら、これについて、アジア、特に中国において、日本に軍国主義が復活の傾向があるというような認識をしておるようであります。これはいろいろその原因もございましょうが、わが国が戦後非常に経済的に国力が大きくなった。また、経済進出のあり方等について非常にいろいろな批判をこうむっております。そういう面から、アジアあるいは中国にそういう懸念を生ぜしめておる。これが最大の原因だろうと思います。そういうような誤解、あるいは場合によっては曲解もございましょう。そういうものを解消するためにも、一日も早く国交正常化をはかって、そこに両国民同士の理解を生み出していかなければならない、こういうような考え方に立っております。
○西村関一君 おっしゃるとおりだと思うのでございますけれども、私は国交正常化をはかるための日本国の姿勢の問題を申し上げておるのでございます。もう三十数年前の、かつての戦争のときに行なったあの残虐行為に対して何ら責任を感じていない、何らその罪を償おうという精神を持っていないというのでは、私は国交の正常化はできないと思うのでございます。大臣は南京大虐殺事件の内容について御存じだと思いますが、これは実に悪虐無道なことをやったんでございます。私は、この国会の委員会の席上で、いまさらそういう昔の悪夢を取り立てて政府を追及するというような考えはございません。これはお互いの問題、お互いの姿勢の問題として、この際、この問題に対してもっと真剣に責任を感じ、戦争責任を感ずるだけではなくて、こういう戦争には残虐行為がつきものだとは言えますけれども、このような悪質な悪虐無道な事件に対して目をおおうていくことは許されない。中国が黙っているからといって、そのままで過ごすことはできないと私は思うのでございます。そういう意味において、私は、もしかりに総理が北京に行かれるというようなことがあった場合、その姿勢なくしては、私は話し合いはできないと思うんです。何も卑屈になれとは申しません。しかし、やったことの責任は負うと、これはそういう形で真剣に話し合いをするということが必要じゃないかと私は思うのでございます。これは大臣の個人の御見解でもけっこうでございますから、もう一度その点に対するお考えをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 両国が、特に政府がある交渉を持ちますときには、国益というものを背景にして、これはきびしい現実がございます。しかしながら、その際におきましても、いま西村先生が言及されましたような、いままでの過去のいきさつに基づく道義的な精神というものは貫かれていなければならぬと思います。これは個人的見解でございます。
○西村関一君 私は、国民の間からも、国民の世論の間からも、日中国交回復、日中国交正常化の問題に対して、いま私が申し述べましたような意見が出てきておる。これは新聞その他の投書、国民の各階層の投書の中から見ましても、まず、そういうことからやらなければ、ほんとうの正常化はできないんじゃないかという意見が出てきているのであります。これにわれわれは目をふさぐことはできないし、また、そういう声があがってこなくても、われわれ指導的な立場にある政府当局及び国会議員といたしましては、この点から出直していくということが非常に大事な点ではないかというふうに考えますから、私は、この点につきまして政府当局の猛省を促しておきたいと思うのでございます。そのことなくしては、私は、ことばは悪いですけれども、幾ら北京参りをしましても、私は問題の解決にならない。ほんとうに腹と腹と触れ合う、心と心と触れ合うところの話し合い、真の外交というものは私はできないと思うのでございます。そういう点から、御答弁は要りませんですから、重ねて、私は政府当局にお考えを願いたいということを申し上げまして、一応この問題についての質問は終わります。
 次の問題に入りたいと思いますが、第二の問題は、かねてからこの委員会においてしばしば論議をされてまいりましたベトナム和平の問題でございます。回を重ねてまいりましたベトナムの和平のパリ会談がようやく大詰めを迎えつつあるやにうかがわれるのでございます。これは南ベトナム臨時政府の代表から提案されております最近の提案、七月初めに提案されております七項目の提案、これに対して、まあ、ベトナム共和国側の代表は別といたしまして、アメリカ側もその他の国々もきわめて好ましい反響を示しておると思います。こういう七項目の提案に対しまして、アメリカ側はいまだに回答をいたしておりません。この七項目の提案に対しまして、これをどう煮詰めていくかということが、これが私はパリ会談が成功するかあるいは失敗するかの一つのキーポイントだと思うんでございます。こういう点につきまして、ベトナム和平の行くえにつきまして、外務当局といたしましてはどのようにお考えになっておいでになりますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 南越臨時革命政府が提起しました七項目、米側もこれについていままでにない非常に積極的な要素を含んでおるという評価をいたしております。特に、米軍の撤退と見合わせて俘虜の釈放をコミットしておるということは、非常な前進だろうと思います。したがいまして、米側といえども、この問題について――また、南越政府は別の提案を出しております。御承知のとおりでございます。パリ会談を通じてこの問題についての相当な前進があろうかとは思いますが、ただ七項目の中に入っております南越政府を否認するという政治的な項目、これについては、おそらく南越政府もあるいは米側も直ちにこれを容認しがたい事情から申しまして、これによって直ちにパリ会談が非常にスピーディに進行するということはまだ時期尚早であろうと思います。
○西村関一君 南越政府を否認するということじゃなくて、やはり民主的な平和的な政府をつくろうという提案だと思うのでございます。従来、チュー=キ=キエム、大統領、副大統領、総理を否認いたしておりましたけれども、今回の提案の中におきましては、チュー大統領は別といたしまして、キ副大統領、キエム総理は名ざしをいたしておりません。含みのある提案の項目だと思うのでございますが、とにかく平和的な民主的な南越の政府ができるならばこれは協力していきたい、そういうことでございますし、これは何も北越のベトナム民主共和国の勢力下に置くというのじゃなくて、南越の自主的な民主的な総意によってつくられるところの新しい政権、そういうものと話し合っていこう。こういうふうにだいぶ様子が変わってきているように私は受け取っているのでございますが、この受け取り方につきまして、日本政府は、その点、従来と同じようなお考えでございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、総じて、いままでよりは非常に前進的、柔軟な内容であることを認めるにやぶさかではございません。しかしながら、この七項目の提案に対する南越政府の受け取り方、これは必ずしもいま言われましたような受け取り方をしておらないようです。まあ、しかし、こういう問題を含めて、この七項目がこのベトナム問題の解決に、政治問題を別にいたしましても、非常に大きな前進を与えるであろうということは、日本政府としても十分予測しておるところでございます。
○西村関一君 いま大臣がお話しになりましたように、政治問題とは別個にこの停戦の問題は考えるということを言っておりますし、アメリカ軍の撤退のスケジュールがきまって発表されるならば、米軍の捕虜釈放の日限も同時に発表するし、その最終的な終結を迎えるのは同時に行なうと。つまり、撤退と捕虜釈放とは最終的には全部同時に行なうのだということをも言っておるのでございます。そしてまた、南越におけるところの政治情勢とは別個に停戦の問題を考えると言っておるわけでございます。ですから、この問題に対して米側は、にわかに反対だと言ってけってはいない。非常に慎重に取り扱っていると思うのでございます。非常に大事な段階に来ていると思うのでございますが、日本政府といたしましても、これらの情勢に対して敏感にその実情を把握しながらも、やはり米側に対しても言うべきことを言い、打つべき手を打っていくということがきわめて大事な時期に来ているのじゃないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私どももそういう認識を持っております。ただ、この米中接触と申しますか、ニクソンの訪中発表によりまして、非常に短期的には北ベトナムの反撥等もございまして、にわかに楽観はできませんが、長期的に見ますと、ニクソンの訪中自体が、この北側の、南越臨時革命政府の七項目と相合わせまして、ベトナム問題の収拾に非常に明るい見通しを得た、こういう考え方のもとに、従来もわが国としてはできるだけの努力をしておりますが、なおその努力を重ねてまいりたい、こう考えます。
○西村関一君 ニクソン氏の中国訪問がベトナム和平に対してもきわめて明るい見通しを与えている――と言われますが、私は必ずしもそうはとらないのでございます。これは北越のニャンザン紙などの論調を見ましても、必ずしも北越側はこれを歓迎していないように見受けられるのでございます。それは従来一貫しているのです。つまり、中国の干渉を受けたくない。アメリカの干渉も受けたくないが中国の干渉も受けたくない、あくまでもベトナム和平はベトナム人の手によって解決したいという従来からの方針が貫かれておると私は思うのでございます。ですから、必ずしもニクソン氏の北京訪問ということがベトナム和平に対していい影響ばかりを与えるとは私は思わないのでございますが、それらの動きに対しまして日本政府としては一番大きな関心を持たなければならない事態に来ておるというふうに考えますので、私は政府当局の見解を伺っているわけなんでございます。でありますから、もちろん、これは南越――ベトナム共和国の側に最近の情勢の変化もございますし、また大統領の選挙もございますし、いろんな情勢がからんでおりますけれども、しかし、パリ会談がやっぱり私は正念場だと思うのでございます。これに対して政府としては重大な関心を払っていただいて、特にアメリカ側に対して、よくいわれますように、アメリカに追随するのではなくて、日本政府としてのベトナム和平に関する自主的なアジア外交を推進していく。日本政府といたしましては自主的な立場で、この際、アメリカの側も誤らせないように、やはり主導的な役割りをとっていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 重ねて。ニクソン大統領の訪中発表が短期的には北に対する一つの反撥となってあらわれておりますが、しかし、長期的には、パリ会談に間接的ではございますが大きな影響を与えるであろうということは、私は十分見通されると思います。したがいまして、そういう新しい情勢下におきまして、当然わが国政府も、従来ジャカルタ会議等における努力、またICC等を通ずる努力等をもっと積極的に推進いたしまして――数日前もオーストラリアの労働党党首のホイットラム氏からいろいろ話を聞いておりますが、やはりこのインドシナ戦争の解決の方式があまりにもアジア式に傾いていない。と申しますのは、逆に言えば、きわめて西欧的な解決にゆだねられておるところに、中国あるいは北ベトナムの反対意見が非常に生じておる原因であろうと思います。そういう意味におきましても、わが国はアジアの有力な一員として、当然この問題についていま以上の積極的な努力をいたさなければならないと、こう思っております。
○西村関一君 パリ会談が妥結をいたしました場合に、国際的な保証を取りつけなければなりません。それにはやはり国際会議の開催ということが当然考えられます。そういう場合に、いま大臣がおっしゃいましたように、アジアの考え方に立ってアジアの諸国を含めた国際会議――「含めた」というよりも、むしろ重点的に考えられたところの国際会議を開くべきであるというお考えを述べられたようでございますが、これに対して日本政府も積極的に協力していきたい。もしかりに、そういう国際会議が開かれた場合に、関係諸国が同意いたしました場合に、日本政府としては、これに参加して協力する御意思はございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) その招集される会議がどういう形になるか、あるいは新しいジュネーブ会議の開催という形になるかどうかわかりません。しかしながら、そういう会議が招集、開かれますときには、当然、わが国はその一員となって参加すべきである、こういう考えでおります。
○西村関一君 参加すべきであるというお考えは、大臣としてお述べいただいたわけでございます。そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) そのとおりでございます。
○西村関一君 わかりました。
 じゃ、時間がありませんから、次の問題について質疑をいたします。
 それは、いまアジアにおいて起こっておりますいま一つの大きな問題は、東パキスタンにおいて起こっておりますところの紛争の問題でございます。これは国内問題でありますし、まだ状況が明確につかめない時点にございますから、論評をすることは避けなければならないと思いますけれども、しかし、見のがすことができないのは、この東パキスタンにおいて起こりました紛争のために、おびただしい数の難民が東パキスタンからインド領内に流れ込んできている。その数は六百万人といい、七百万人という。そうして、毎日、数万人の難民が非常なみじめな状態でインド領内に流れ込んできておるということでございます。私は、特に東パキスタンと西パキスタンとの問題、及び、東パキスタンに起こりましたところのあの紛争の解決につきましては、次の時点において考えるべき問題だと思いますが、いますぐに考えなければならぬのは難民の問題だと思うのです。
 この東パキスタンからインド領内に流れ込んできた難民、また東パキスタンの領内にあるところの難民、こういう人たちに対していまどのような手が打たれておるか。日本国政府としてはどのような救援の手が差し伸べられているかということをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 三月末から東パキスタンにおける内乱によって生じたパキスタン国民の難民が非常に増加しておりますが、それが、先ほどおっしゃいましたように、インドに流入した数は、もうすでに六百万人をこえておるようでございます。したがいまして、もうすでに前々から、インド政府からも、そういう意味における救済を日本政府に強く要請してきておりますし、また、国連におけるウ・タント事務総長のアピールもございますので、政府といたしましては、六月八日に、閣議決定をもちまして、まず二百五十万ドルの難民救済費を支出することを決定いたしました。今後、インド政府がインド領土内の難民の処理についてどういう扱いをいたしますか、その情勢に応じまして、またわが国からの、東パキスタン及びインド政府に対する援助のしかたを考えなければならぬという状態でございます。
○西村関一君 閣議決定されました二百五十万ドルに相当する救援物資は、どういうルートを通じて、どのような品物を、どのように送られましたか、伺っておきたいと思います。
○説明員(須之部量三君) 物資は、実は政府の、ただいま申しました二百五十万ドル――九億円でございますが、これは米でございます。そのルートは、国連とFAOでやっております世界食糧計画、このルートを通してくれということでございますので、このルートを通して提供するということになっております。で、その米は、現物にいたしまして一万六千トンでございまして、七月二十七日から三回に分けて輸送され、八月の末までにすべて現地に到着するという予定になっております。
○西村関一君 米だけですか。
○説明員(須之部量三君) これは、国連のほうからのアピールでも、日本に対しては特に米を期待しておりまして、この二百五十万ドルは米にいたしました。
 そのほかに、実はコレラの対策といたしましてコレラのワクチンの要望がございまして、これはWHO、つまり世界保健機構を通じてでございますが、このほうに、約三百万円見当でございますが、このワクチンを出しております。
 それから、これは政府でございませんが、日本赤十字のほうがインドの赤十字のほうからの要請を受けまして、これは医薬品その他の一般物資でございますが、約七千五百万円の物資を、これは日赤のほうから提供しております。
 以上が大体現状でございます。
○西村関一君 私は、政府がいち早く閣議決定をされてこういう措置をとられたということに対して、一応これは評価するのでございます。しかし、その額があまりにも貧弱であると思うのです。私のいただきました資料によりますと、米国は九千万ドル以上を出しておりますし、英国は千九百二十万ドルからを出しております。オーストラリアはやはり千百二十万ドルというふうになっております。そういう国々と比べまして、額から見ましても、アジアの大国である日本、しかも、GNP二位である、三位であるといわれておる日本といたしまして、あまりにも少ない額ではないかと思うのでございます。また、聞くところによりますというと、難民の数はますますふえておるし、食糧に困っておるだけじゃなくて、子供のミルクだとか、医薬品だとか、あるいは難民を収容するところのキャンプの資材、そういうものも非常に欠乏しておるということです。また、日本が送ったトラックのようなものも、パキスタンにおきましては、必ずしもパキスタンの難民のために使われてないで、他の用に使われておるということも聞きますし、インドに送られたものにつきましても、十分にその効果があがっていないというふうにも聞くのでございますが、この状態に対しまして、日本政府は、いま木村大臣は、状況をよく見た上でさらに必要な措置を講じていくのだというお話でございますが、これはやはり緊急を要する問題だと思う。人道上の立場から、私は、日本政府としては、もっと真剣に、この東パキスタン難民の救済の問題に対して処理をしていただかなければならないと思うのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 従来としましても、こういう人道的な立場における救済が、非常に遺憾ながら、政府の対応する手がおくれがちでございます。今回はいち早く対応はいたしましたけれども、その金額等がきわめて不足であるということは私どももよく認識しておりますが、ただ問題は、現地が非常に把握しにくいような現状でおりますし、輸送手配その他が非常に困難である。いま西村先生が言われましたように、はたしてその救済品が実際に難民の手に届くまでの過程におきまして、一体どういうふうになっておるのか、なかなか把握しにくいような現地の事情でございますが、しかしながら、そういう問題は別といたしまして、世界各国のこれに対する救済の規模に比較いたしますと、遺憾ながらまだ非常に不足をしておりますので、政府部内でできるだけ早い機会に情勢に応じた手を打たなければならぬ、こういうことを考えております。
○西村関一君 政府は、東パキスタンからインド領内に流れてきました難民の状態に対して、外務省は所管でございますから調査をしておられると思いますが、諸外国では、私の聞いたところでは、アメリカ合衆国だとかその他の国々からは有力な調査団を、国連はもちろんですが、送っているようでございます。宗教団体も送っているようでございますが、日本政府としては、状態が把握しにくいということでございますから、的確な状態を知るためには有力な調査団を派遣するということも考えるべきであると思いますが、外務省はその点についてどうお考えになっておられますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 特別の調査団はまだ派遣するに至っておりませんが、現地のカルカッタ総領事館を中心にして、それに本省の人を派遣いたしまして、極力現地の把握につとめているというのが現状でございます。
○西村関一君 ぜひひとつ十分な事実をつかんでいただきまして、これは政府はもちろんのこと、民間にも訴えていただきまして、人道上の立場から、六百万あるいは七百万――つまり数も正確につかめないおびただしい難民が非常に困窮の状態にあるということに対して、敏速に適切な措置を講じていただきたい。
 実は私は明日カルカッタに参ります。それで明後日難民キャンプを視察する予定をいたしております。私はその調査に基づいて政府にも協力したいと思います。ぜひひとつ政府におかれましてもこの問題に対して重大な関心を払っていただきたい。
 私の質問を終わります。
○委員長(松平勇雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(松平勇雄君) 速記を始めて。
○石原慎太郎君 中国問題については、いままでずいぶんいろいろな質問が繰り返し出まして、前外務大臣はこれをいみじくも愚問愚答の繰り返しと喝破されましたが、おりしもニクソンの北京訪問がきまりました新しい時局でもありますので、いささかオーバーラップするかもしれませんが、二、三政府の基本的な見解についてお尋ねしたいと思います。
 日本の外交に関して外務省が米国との一体感をいかほど強くしておられましても、中国問題に関します日本とアメリカの国益というものはおのずと違ってくると思います。ということは、この問題に日本側あるいはアメリカ側からつけるべき条件や解決の原則というものが違ってくるべきだと思いますが、いずれにしても中国問題の解決の方法、方式が必ずしも日本とアメリカが一致し得ないものであり得るということをいかがお考えになりますか。そうお考えになりますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 確かに石原さんおっしゃったとおり、たいへんな違いがあろうと思います。もう現にこの接触のスタートが非常に違っております。これが第一点であろうと思います。
 もう当然ながら米国はワルシャワにおいて百三十六回にわたる政府接触がすでに行なわれており、しかも、不幸な、戦争状態ではなかった。もちろん、朝鮮戦争、ベトナム戦争等を通じて米中間に断絶はございましたが、そこに基盤的な関係はずっと続けられており、こういう関係がまず日本の立場と根本的に違う点であろうと思います。したがいまして、戦争状態が法的にあるか現実的にあるかという問題を別にいたしますと、確かにわが国は経済交流、貿易交流、人的交流では、もうアメリカよりあるいは十数歩先んじておりますが、そういうような不幸ないままでの政治的ないろいろな歴史的経緯から見まして、政治的接触においてははるかにアメリカよりおくれておるというところから出発しなければならぬというところが、たいへんな私は違いであろうと思います。石原さんの御意見に同感でございます。
○石原慎太郎君 日本とアメリカの中国問題における国益の違いというものが、ますますこれから、日本とアメリカの間に介在する問題を踏まえて、開いていくと思うのでありますが、その違いというもののほとんどは、日本が日本自身の外交によって獲得なり解決していかなければいかぬと思います。で、私は従来日本の政府が中国問題の解決に対して、それを相手側がどう受け取ろうと、いずれにしても、日本側の原則というものを政府の責任ではっきり出されることなくして過ごしてまいりました。今回ニクソンが北京に訪問し、どのような話し合いが行なわれるか、これは全く憶測のさらに憶測しかできませんでしょうが、もし日本政府が中国問題の解決について日本側の原則を、北京がどう受け取ろうと、そういうものを出しておったならば、アメリカの中国問題に対する解決の姿勢というものに、アメリカも当然、アメリカとの最も強いきずなの友好国である日本というものの国益を、アジア問題の中で踏まえなくてはならないというからみで、アメリカのこれまでの対中国の姿勢というものに規制を加え得たのではないかという気がいたしますが、それは別といたしまして、ニクソンが五月までというのは何らかの期間があるわけでありますが、この時点で日本の政府が日本が望む解決の原則というものを出したならば――それまでおそらく日本の総理が北京を訪問することはあり得ないと思います――ニクソンと毛主席との話し合いの中で、ニクソンが日本の立場というものを配慮しての発言というものがあり得るのじゃないかという気がいたしますけれども、こういうことで、私は、日本が政府の責任において何らかの日本側の原則を出すべき時期に来ているのではないかという気がいたしますが、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほどお触れになりました日米両国の国益の中に占める中国問題のウエート、これがたいへん私は違うと思うのです。今回のニクソン大統領の訪中発表の背景となるのは、いまアメリカの国内的、国際的一番大きな問題はベトナム問題です。これが私はもうほとんど大きな理由であり原因であったろうと思いますが、その面について、ある意味におきまして、アメリカは中国問題へのアプローチに対して非常に数多くのカードをみずから持っている。そのカードを一つ一つ出すことによって米中接触がはかられる一つのゆとりを持っておる。しかしながら、わが国の中国問題に対する取り組み方においては、非常にアメリカと違って、もうすでに問題に直面している。すなわち、台湾問題の処理を講じないと日中接触がなかなか行なわれがたいというような立場に立っているところが、アメリカにおける中国問題の一つの順位と申しますか、日本における中国問題の順位との差をあらわしておるということが言えると思います。したがいまして、御指摘のとおり、この問題を扱うにおいては、もはや相当原則論に触れた点まで踏み込まないと、中国は日本政府との接触を好まないだろうということは、これはおのずとわかることであると思いますが、しかしながら、伝えるところによりますと、今度のニクソン大統領の訪中、非常にいろいろ観測が乱れ飛んでおりますが、どうもまだまだ台湾問題についての最終的処理まで暗に了解された上でのキッシンジャー・周恩来の会見ではなかったように伝えられております点が、またこれ、日本とアメリカとの中国問題へのアプローチの差としてあらわれておると思います。
○石原慎太郎君 そのアメリカ当事者の政治全般の状況を考えても、ニクソン大統領の次の大統領選挙というものに対するキャンペーン――いろいろうがった見方もあるでしょうが、私はしかし、おっしゃったように、北京問題は非常に流動的な状態で行なわれると思いますので、日本側がここである原則を出すことによって、ニクソンと北京当事者との話し合いの中に、アメリカにとってやはりアジアにおけるバイタル・インタレストたる日本に対する配慮は当然持ち込まれると思いますが、そういう規制を日本の外交の当事者を通じて考慮するべきであると思います。
 次に、日本とアメリカの中国問題における国益の微妙な差ということで一番気になりますのは防衛と安全の問題でありますけれども、アメリカが、さっきおっしゃったような中国問題の解決に持っておるカード、つまり、中国問題を解決しようとするモチーフの一つの大きなものであるベトナム問題というものが何らかの形で解決するなり、あるいはその解決に大きな進展を見た場合に、一昨年の十一月に行なわれた日米共同声明の中での極東条項に対する日本側とアメリカ側の解釈というものが違ってくるのではないか、そういう可能性があり得るのではないかという気がいたしますが、この点、いかがお考えでございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、おことばを返すようでございますが、解釈の違いが今後生ずるというよりは、むしろ共同声明の中の、いまおっしゃった朝鮮条項、台湾条項の意味合いが、実際の実質面、実体面が、今後、情勢の変化と申すよりは、むしろ米中緊張緩和によって生ずる国際環境の改善の中でその実体面が変わってくるというふうに受け取ったほうが適当ではないかと思いますので、日米両国政府が共同声明のあの極東条項についての解釈が変わってくるよりは、むしろ共通の問題として日米両国政府でこの共同声明の運用において実質的な変化があらわれてくるべきだということを考えております。
○石原慎太郎君 最後に一つ大事な問題でお聞きしたいのですが、ことしの秋の国連総会で中国――北京が議席を持つ可能性というのが非常に増加してまいりましたが、かりに、といいますか、そういう前提で国連で北京が中国の代表権を持った場合に、それはあるいは持ち得るにしても、政府の見解として、それは過去から現在までの中国大陸における政治的な状況の実質的な変化に基づいて北京が台湾とつまり代表権を交代したのか、それとも、いままで不当な議席を占めていた台湾にかわって――かわってといいますか、かわりに北京が復権したのか。オールターネーションかレストレーションかどちらであるのか。どちらであるべきだとお考えでしょうか。これは当然、戦争継続の問題や賠償の問題につながってまいります。私、さきの外務委員会で条約局長に、一九三二年ですか、延安の中華ソビエト人民共和国臨時中央政府が一方的に日本に発した戦争宣言というものが国際法的に合法かどうかと聞きましたが、条約局長は、その限りで合法ではないと思うという見解を表明されましたが、私は非常にそれを評価するものですが、条約局長の言うこともさることながら、この局面で将来非常に可能性の強い、あり得る北京の代表権というものが台湾との交代であるか、それとも復権であるか、その点、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) これは非常に法律的な法律論とまた政治論が両立しておることは御承知のとおりでございまして、アルバニア決議案の理論的裏づけとしては、いま石原委員が言われたように、これは中国代表権の問題である、したがって、メンバーの交代ではない、こういうような解釈の上に立っております。しかしながら、いろいろ出ておりますその他の方式、たとえば二重代表権の問題にいたしましても、あるいはその他の方式は、必ずしも国連憲章にいうそういう法律論に立たないので、たとえば中華人民共和国政府、中華民国政府、この二つの政権があることは客観的事実であるから、それをそのまま国連憲章の法律論にとらわれずに、国連の中にそのまま入れるべきではないかというのが二重代表権の方式の裏づけでございます。そこから申しますと、必ずしもいま触れられましたような代表権の奪権であるか、復権であるかということにとらわれずに政治的にこれを解決しようという大きな一つの方式の背景になっております。その面について日本の政府としてはいずれにくみするかといえば、やはり二十数年来原加盟国であり、また常任理事国であった中華民国政府の立場というものは、これは従来も合法的にこれを保持しておったという立場に立たざるを得ません。しかしながら、今後のこの問題の扱いについては、流動する情勢の中でどういうふうな考え方でいくべきかということは、また別の考え方でいかなければならぬと、こう思っております。
  〔委員長退席、理事長谷川仁君着席〕
○石原慎太郎君 そうしますと、台湾というものの存在は評価するというたてまえからいえば、代表権に関しては復権ではなしにやはり交代である――という見解に近いと解釈してよろしいですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、「交代」といいますと、もうすでに示唆されましたように、中華人民共和国が入ってくる、したがって、その結果として中華民国政府が出ていくということであれば交代でございますが……。
○石原慎太郎君 代表権の問題に関して。
○国務大臣(木村俊夫君) 代表権の問題といたしましても、これは結局、いま申しました政治的解決がはかられなければならぬという立場をいまだ友好諸国との間にとっております。まだ代表権の交代という法的立場はとっておりません。
○石原慎太郎君 質問を終わります。
○渋谷邦彦君 限定された時間の範囲で、十分意を尽くせないと思いますが、きょうは今後の議論のきっかけとして二、三お尋ねしておきたい、こう思います。したがって、項目的にお尋ねするようになろうかと思いますが、まず初めに、報道されたところによりますと、カナダの進歩党党首のスタンフィールドさんですか、昨日の朝、総理と会見された、いわゆる総理の訪中に対して総理から要請があった、このように聞いておりますが、その事実があるかどうなのか。もし、事実だとするならば、どういう内容を示されたのか。この点、いかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私、実はその会談には立ち会っておりませんので、まだはっきりした知識は持ち合わせておりませんが、おそらく私の推測では、スタンフィールド野党党首に対して、カナダのいま置かれておる中国との関係においては、もし接触することについてごあっせん願えれば喜ばしいという程度のことを言ったのではないかと、こう推測いたします。
○渋谷邦彦君 そうしますと、そう積極的な――いままで衆参両院の答弁を聞いておりますと、結論的には総理自身も昨日は訪中する意向を明らかにされていらっしゃるわけですね。いままでと違って相当前向きだ、こう理解してよろしいんではないかとこう思いますときに、たいへんこう消極的な頼み方ではないだろうか。なぜならば、いままで出てきたことばを整理して考えてみますと、まず迷いでしょう。そして模索し、慎重に検討すると、これが一貫して貫かれているわけです。結局どこに突破口を求めるのか。それはいろいろ問題があるだろうと思います。短時間で、一切これから詰めて結論を出せといっても、それは無理でございましょうけれども、やはりこの一歩前進という、そういう立場でどこかに突破口というものを模索されているならば、その模索という段階から一歩踏み越えて切り開くことができないものだろうか、それにしてはあまり消極的ではないか、こんな感じがしますけれども、外務省のほうでは、いまおっしゃったとおり、全然会談の内容については詳細にわたって確認されてないということでありますので、これ以上何とも申し上げようがございませんけれども、そんなふうに理解しておけばよろしゅうございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) その会談の内容をつまびらかに私は承知しておりませんが、まあしかし、あらゆる接触を通じて北京と話し合いたいという、そういう積極的意欲は、総理は変わりません。したがいまして、それがスタンフィールドさんに希望してかなえられることか、また、それが唯一の道か、当然、これが唯一の道でないことははっきりしております。そういうことの問題がありますと同時に、また伝えられるところによりますと、キッシンジャー補佐官が周恩来と会談いたしましたその際も、お互いに食い違う主張をペーパーにしましてお互いに会談したというふうにも伝えられております。これは結局、ある前提を持っていかなければ接触に応じないというような北京の日本に対するきわめてきびしい姿勢とは、アメリカに対する考え方が非常にそこに差があるのではないかというようなスタートラインが違っているようですから、しからば、そういう原則をはっきり前提に掲げていかなければ総理の訪中が実現しないとなれば、なかなかこれは困難であろうという見通しも同時に持っております。そういう意味から申しておるのであって、決して積極意欲に欠けるということではないと思います。
○渋谷邦彦君 最近、このニクソンの訪中が決定いたしましてから、特に取りざたされている問題の中に、訪中する前に当然訪日すべきではないだろうか、という議論が出ております。まあ、訪日することもけっこうでございましょうし、あるいは、政府の責任ある立場の方が訪米をされて今回の訪中の真意というものをただしてみる必要、それからまた、これから日本として置かれた位置というものを再確認をし、そしてどういう展望に立って日中関係の打開につとめるべきかということは早急に手を打たねばならない問題ではなかろうかと考えるんですけれども、いかがでございますか。
  〔理事長谷川仁君退席、委員長着席〕
○国務大臣(木村俊夫君) 確かにそういうことを私どもも考えておりますが、何せ、なかなかそこまで接触に至るまでの道程がむずかしいという点を御理解を願いたいと思います。まあしかしながら、その接触についての努力をもちろん怠ってはならない。昨日総理が予算委員会で申しましたことばも、これはもう北京に対する公的な、公式な呼びかけととってほしいという総理の言明、これらは、こう申してはなにですが、いままでになかった一つの総理の考え方の表明だろうと思うんです。これに対する北京の対応が直ちに出るとは私もそこまで考えませんけれども、こういう政府の考え方の積み重ねといいますか、今後、これに対する積極的意欲を機会あるごとに示すことによって総理の訪中が実現することは、決して私は可能性はないとは言えないと思います。
○渋谷邦彦君 昨日の答弁を伺っておりましても、しきりに国際上の信義を重んじなければならない。これはわかります。というような関係からでしょう、従来の自由主義国家群の指導階層とも十分話し合いを進めながらきめなければならない問題もある、こういうふうに――あるいは私の表現が多少違うかもしれませんけれども、そういう趣旨のことをおっしゃっておる。とりわけ私はアメリカだろうと思うのです、総理のおっしゃっているその本意は。事態が刻々変わっていく、あるいは一カ月過ぎれば、二カ月過ぎれば、またどういうショッキングなことが起こり得るかもわからない。こういうきわめて激しい流動性がある状況に置かれておるだけに、何らかの手を打たなければならないことは、だれが考えても、しろうとが考えてもわかります。そうした場合にどういうスケジュール――スケジュールといってもちょっと問題があろうかと思いますが、要するに、何らかの対応策というものをお立てになって、とりあえず関係国との話し合いを進めるなら進めるのもけっこうでしょう。いろいろなことを踏まえた上で、こうだという日本の立場から中国に対する考え方というものを明らかにしませんとたいへんなことになりかねないということで、いま申し上げておるわけです。その点はどう一体現在進んでおるかということですね。
○国務大臣(木村俊夫君) この日中国交正常化をスケジュールにのせて進めるということは、きわめて私は困難だろうと思います。したがいまして、まず差し迫った問題である国連における代表権の問題、この取り扱いを、間接ではございますが、いままでの政府の中国問題に対する取り組み方の、ある意味における前進を示すもの、こう受け取っていただきたいと思いますが、そういう国連の場における中国問題の取り扱いが、今後、国連の場は別といたしましても、この日中間または日華間においてどういう一体変化が起こってくるかということも、同時にわれわれはこれをしさいに静観しなければならぬと思います。まあ、そういうような変化、それはまたある意味においてはこの問題に対する国内的なコンセンサスというものにどういう一体影響を与えるか、私ども常々言っておるのでございますが、アメリカにとっては中国問題は第三、第四の順番である。しかしながら、わが国にとっては、もういまや第一の順位の問題である。したがって、これに関する国内の世論も、いろいろ世論調査にあらわれておるごとく、まだまだ非常に分かれております。これは必ずしも世論調査がそのまま今後の政策決定の最も大きな要素になるとは考えません。まあ、しかしながら、はっきり申し上げますと、自民党以外の支持の国民の中にも、この際北京とは仲よくすべきであるが台湾と断絶してはいけないという率が五〇%以上にのぼっている。こういうような世論の分かれ方というものが、政府がこの問題を扱う上において相当心すべき問題ではないかと思います。そういう国際情勢の流動化の中で、この中国問題の国内世論に及ぼす影響、その変化、そういう点も合わせていろいろ考えまして、この問題について取り組んでいきたい、こう考えております。
○渋谷邦彦君 結論としては、いろいろ申し上げたいこともありますけれども、来年五月までの間、いま三月あたりが最も有力じゃないかなんということも流布されているようでありますけれども、
  〔委員長退席、理事長谷川仁君着席〕
その以前に――まあ以前というか、先ほど冒頭にお伺いしましたように、北京を訪問する前にニクソン大統領を東京に呼ぶ予定は現在ないのか、また、これから考える必要がないのかどうか、その点、いかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 現在のところ、そういう予定も、また考え方もございません。
○渋谷邦彦君 それから次に、ちょっと中国問題から離れると思いますけれども、関連がないわけではございませんので申し上げたいんですが、内閣調査室の監修による「国際情勢資料」というのがございますね。この中で、ニューヨーク・タイムズの有名なサルツバーガーという記者が、一九五七年ですか、葉外交部長と会見をされた中身が出ているわけであります。お手元にもコピーがおありになると思います。それによりますと、一九五四年の十二月、例の米華相互防衛条約が調印された八日後にダレス長官と書簡の交換をして、そして、その模様について話をされたことが出ているわけですが、そのときに中華民国の葉外交部長が話をした中身が、たいへん気になることが出ているわけですね。あるいは、かつて衆議院や参議院外務委員会等で議論されたかもしれませんけれども、もしそうであるとするならば、もう一ぺん再確認をしておきたい、こう思います。その中に、「蒋介石がアメリカの許可なしに中国本土に侵攻しないと約束するが、アメリカのほうも同じように(この部分は公表されていない)」というふうに出ているようですが、「まず蒋介石と協議することなしに沖繩駐留のアメリカ軍事力を大幅に縮小することをしない」と、このように約束してありますというふうに葉外交部長がサルツバーガー記者に語ったと出ているわけですよ。もちろん、全然事実のないことがこうして論評されたり、記載されたりすることはあり得ないという観点に立ちまして、もし、このような約束事が秘密裏に行なわれているとするならば、今後の沖繩返還という問題にあたっても重要な事柄に発展しかねないということで、あえてこの問題に触れたわけでございますが、この点について政府筋はどのようにいままで掌握をされていらっしゃるのか。
○国務大臣(木村俊夫君) 結論的に申し上げて、御指摘のような密約は何ら存在しなかったというふうに受け取っておりますが、いずれにいたしましても、米華条約の米国上院審議の際にダレス国務長官の説明がございました。それに徴しましても、米国が台湾で行なった援助の結果である軍事力が、米国の同意なくして台湾外に移動されないようにすることが本来の目的であって、沖繩――これはグアムも同様でしょうが、沖繩からの米軍の移動を国府との合意事項にしたということはとうてい私どもは解することはできない、こういう立場をとっております。
○渋谷邦彦君 葉外交部長といえば、当時非常に有名な方でございますね。彼は日台条約の調印者の一人でもあります。そうすると、この談話そのものがきわめて信憑性がない、事実無根のことについて取材をしたということになりかねない。これはたいへんな問題になると思うのですね。はたしてそういうふうに受け取ってよろしいんでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) この点につきましては、昨年の十一月十八日に、米国のマクロスキー国務省報道担当官がその点ははっきり言明して否定しておりますので、われわれはそれを信頼しております。
○渋谷邦彦君 そうしますと、いずれにしても外務省で掌握されている範囲としては、マクロスキーの言明に従って、それを踏まえて、そういう事実は全然ないと、このように理解すべきなのか、しかし、何とも割り切れないものが残っているものなのか、非常にくどいみたいですけれども、この点、これからの沖繩返還の問題に関連して、また中国問題とも関連することなので、この辺をほんとうは明確にしていただきませんと、ただいまの御答弁で、「ありません」、「はあ、そうですが」と、これは単純に引っ込める問題かどうか非常に疑義があるわけです。
○国務大臣(木村俊夫君) 重ねて。私どもは、この米政府の報道担当官が言明したとおりであるということについて何ら疑念を持っておりません。
○渋谷邦彦君 これはむしろ事務的にアメリカ局長に伺ったほうがいいかもしれませんが、当時、その時は局長は局長じゃなかったろうと思うのですけれども、こうした情報があった点については、資料としても外務省筋は全然キャッチする対象とならないという判断で、別に問題にしなかったんでしょうか。
○説明員(吉野文六君) 端的に申し上げますと、そのとおりでございます。御存じのように、米華防衛条約の附属にダレス長官と葉外交部長との間の書簡交換がありまして、それが御指摘のとおり一九五四年の十二月十日、すなわち、条約サインの十二月二日から八日おくれた日に行なわれたわけでございますが、その中に、先ほど大臣から御説明のあったように、「両国の共同の努力及び貢献の所産である軍事力は、相互の合意なくして第六条に掲げる領域の防衛力を実質的に低下させる程度まで当該領域から移動しないものとする」と、こういう条件が書いてございますが、これは、実はよく読んでいきますと、台湾から中国に移動さしちゃいかぬ、こういうことを書いてあるのでございまして、まさかアメリカの領域内の軍隊を国府の同意なくしては移せないというようにはわれわれとしても考えられない、こういうことで、これ以上追及しなかった次第でございます。
○渋谷邦彦君 そこでいまの答弁から、この往復書簡の中で、としていま御説明があったわけですけれども、台湾から中国に移動しないということは、大陸進攻はしない、こういうふうにも解釈できるわけですね。その往復書簡で公表されてない分の中にこういうものがあった。その一つとして、その反対条件といいますか、いま申し上げたその事柄に触れている。非常に気になるわけです。沖繩から大幅に軍事力を削減しない、そういう約束があったとしたならば、これはもうたいへんな問題だ。しかし、解釈の上では、いま局長がおっしゃったとおりそういうことが成り立つとするならば、何となくやはりそこに割り切れないもう一つのものが残されているような気がしてならない。これはいまここで答弁を伺わなくてけっこうです。これから議論の焦点をもう少し詰めていく中で問題にしたいと思います。
 時間がないので、もう一つだけ伺っておきます。これは一九六九年四月十八日、東京で調印した「太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」、これがございますね。最近、中部太平洋において膨大なアメリカの軍事基地が建設されている。おそらく現在の沖繩以上の規模を持つであろう。ことに空軍基地については嘉手納の二倍ぐらいある、このようにも言われております。そうした基地の建設に日本から技術提供とかあるいは労務提供をやっている。しかも、その第一条には、日本国は現在五百万合衆国ドル、日本円に換算して十八億円ですか、これを無償で施政権者のアメリカ合衆国の使用に供する、それについてはこまかいその細目は追って定めると、こういうふうになっておるわけです。しかも、お金の面でそういう無償で供与し、その上にさらに軍事基地増大に力を貸すために、日本から、沖繩を含めて多数の労働者の方や技術者が行っている。この事実については確認されていますか。
○説明員(吉野文六君) 御存じのとおり、渋谷先生御指摘のミクロネシアの協定につきましては、日米双方とも五百万ドルずつ出し合って住民の福祉のために使うと、こういうことになっておるわけです。この点につきましては、わが国のほうは協定の国会批准後間もなく、すなわち、昨年と本年二回にわたりましてすでに十八億のうちの六億ずつ、すなわち十二億の金を実は用意して持っておるわけでございます。しかしながら、協定にも書いてありますように、これはアメリカ側もやはり同額を同時に支出すると、こういうことになっておりますから、実はアメリカ側の予算措置が終わるのを待っておるわけでございます。で、アメリカのほうはつい最近アメリカの予算のいわゆる授権法が通りまして、これからおそらく必要な金を支出するという形になっていくんじゃないかと思うわけでございます。
 それからこの金の使途につきましては、日本国の産品ないしはサービスで提供すると、こういうことになっておりますから、しかも、これは施政権者であるアメリカ政府と協議して提供すると、こういうことになっておりますから、これから向こう側が金を出す用意があることを見きわめた上で、日米双方で合意して、いかなるものを提供するかということを合意し、そのうちに支出すると、こういうことになるわけでございます。
 いずれにせよ、したがってこのお金はいわゆる基地建設のようなものには絶対使い得ないような性格のものでございますから、御指摘のようなことはあり得ないわけでございます。もっとも、いま太平洋のいずれかの地にアメリカが大きな基地を建設しておるというようなニュースは、われわれとしてはニュースとして受け取っておりますが、これにつきましては、いろいろ調査した結果、実は事実無根ということでございます。一部あれは南鳥島かいずれかに台風避難のための単なる飛行機のランウエーを建設中であるということは聞きました。しかし、それ以上のことは私としては知っておりません。しかし、マーシャル群島のマジュロ島に観光客誘致振興策としてジェット旅客機発着可能な七千フィートの滑走路を有する民間用の新空港を建設中であり、同空港の完成後は現行空港に取ってかわる予定であると、そういうような計画があるようでございます。
 先ほどの南鳥島というのは誤りでありまして、これはマーシャル群島のマジュロ島でございます。失礼しました。
○渋谷邦彦君 最後に、ちょっと要領を得ない御答弁のようでございましたけれども、実際にマジュロ島をはじめケゼリンあるいはパラオ、トラック等々に労働者として行って帰って来た人の話を総合して聞いてみると、いま、観光用としてとおっしゃられましたけれども、七千フィートじゃなくて七千八百メートルの間違いと違いますか。嘉手納空港の滑走路の約二倍に当たる滑走路ですよ。そんな長い滑走路が民間航空のために必要とするかどうか。それはもうジャンボ・ジェット機のようなものが離着陸をしなければならない昨今ですから、あるいは必要かもしれません。けれども、実際に、ホテルの建設といい、病院の建設といい、要するに基地に付随する施設というのがいろいろあるわけですね。それは、表向きはもちろんいまおっしゃったように軍事協力をするなんということは言うこともできないし、おかしな話です、いままでの政府の一貫した答弁を伺ってみましても。けれども、それが直接であれ間接であれ、何らかの形で軍事協力をしているというおそれは十分に、ないとは言えない。いまの局長の答弁で十分とは、私はここで理解するわけにいかないのですが、いま木村国務大臣が私どものやりとりをお聞きになっておられて、具体的にこうだ、ああだと言うことはおできにならないかもしれませんけれども、しかし、現実にそういう問題がいま起こりつつあるという場合に、日本としてこれからどういう手を打たねばならないのか。もう役務の供給ということはすでに行なわれている。それから、日本からもいろいろな建設会社が行っているというようなことがいわれているわけです。そういうことが確認されているのかどうなのか。確認された上で、いま局長が言われたようにまっこうから否定されたのかどうなのか。その辺はきょうは時間が足りませんので十分意を尽くせませんでしたけれども、締めくくって大臣から、いま申し上げたその辺のその経過を踏まえた上で総括的に所信を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) お答えいたします前に、先ほどの滑走路の長さの点、やはり七フィートということになっております。したがいまして約二千百三十メートルということが事実のようでございます。また、いずれにいたしましても、こういうわがほうの善意に基づく協力がいやしくも軍事協力に相なってはならない。これはもう当然の立場、したがいまして、今後この問題が具体化する過程におきましてそういうことがないように十分留意して、必要とあらばアメリカに照会等もいたします。
○星野力君 与えられた時間が非常に少ないので、私は主としてインドシナに対する政府の援助の問題にしぼって若干お聞きいたしたいと思うんです。
 アメリカ国防総省のいわゆる秘密報告によりましても、ベトナム戦争がアメリカの一方的な侵略戦争であるということはまぎれもないことでありますが、日本政府はそのアメリカの侵略戦争、これを全面的に支持してアメリカの軍事行動に対する協力、援助を行なってきたわけであります。
 ここでお聞きしたいのは、時間の関係もありまして、そうした援助等一般についてはいたしません。日本政府が南ベトナムをはじめとするインドシナ三国の政府、あの反共政権に対してどういう援助をやってきたか。昨年十月の佐藤・ニクソン会談で、サイゴン政府などに軍事援助を含む援助を強化してほしいという要請がアメリカ側からあったということがいわれておりますが、また、先般来日いたしましたレアード国防長官の要請に対して佐藤総理がインドシナ諸国政府の援助強化を約束されたようであります。政府は、それらの反共政権に、どのような方針で、どのような援助をやってきたのか、また今後やっていくのか。時間がございませんから、南ベトナム、あのサイゴン政権に限ってもよろしゅうございます。大筋だけでよろしゅうございますが、できるなら若干の具体例もあげてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) ベトナム戦争全体のとらえ方についてはいろいろ意意見もございました。それは別といたしまして、わが国がベトナムに対する経済援助、これには当然住民の民生安定、福祉の向上のためにわが国としてもできる範囲のことをいたしたい、そういう応分の寄与をいたしております。こういう方針については今後とも変わることがございません。また、ポストベトナム援助というものは、インドシナ地域に和平が訪れた場合に、北ベトナムを含めてこの地域の経済開発のために、広い国際的基盤に立って援助を行なおうとするものでございます。この点も、いま星野さんが申されましたような、ベトナムに平和が訪れたときの人道的あるいは経済復興のための援助というふうに御理解いただきたいと思います。また付言いたしますれば、佐藤総理とレアード国防長官の会談の中には、インドシナに対する援助の問題は一切含まれておらないと承知しております。
○星野力君 若干具体例ということもお願いいたしたのでありますが、私、ポストベトナムのことをお聞きしておるのじゃなしに、今後この反共政権に対してどう援助していかれるかということをお聞きしたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 反共政権というおことばでございますが、すでにわが国と国際的に友好国交を結んでおるという諸国に対しましては、政府としては当然これに要する援助をいたさねばなりません。しかしながら、それがその地域におきまして戦力に転化し得るような可能性のある援助については、従来もこれは厳に押えております。また、それ以上のことは今後もいたさない方針でございます。
○星野力君 サイゴン政権から要請のあったといわれるたとえば大型バス二千台ですか、YS11十二機というような無償援助の希望ですね、あれについてはおやりになったんですか、これからやるのでございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) いまお尋ねの中のトラック、これは軍用に転化しないような種類のトラックであるということに重点を置きまして、これを援助するべく検討中でございますが、YS11の問題は、いまだ政府としてはもちろん決定もしておりませんし、なお今後検討すべき問題ではあると思いますが、いまだ決定に至っておりません。
○星野力君 軍用に転用されないとおっしゃいますが、これは乗りものでありますね、トラックにしろ、バスにしろですね。そうすると、アメリカとサイゴンの軍隊のための軍事補給的な性質というのはどうしてもこれは持つと思うのです。言いかえますと、アメリカのベトナム戦争のベトナム化、これに協力してサイゴンの反共政権――ということばがどぎつく聞こえるならサイゴン政権でいいですが、これの強化を目ざすことに結局はなると思うのですね。そういうことに対して軍用に転化されない経済援助だと、こうおっしゃいますけれども、当の相手の南ベトナム共和臨時革命政府にしましても、ベトナム民主共和国にしましても、ラオス愛国戦線あるいはカンプチャ王国民族連合政府――シアヌーク殿下の率いておるあの政権、こういうところも憤慨して日本を非難しておるということですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほどの私の発言を訂正さしていただきたいと思いますが、トラックと申し上げましたが、これはバスの誤りでございます。訂正いたします。このバスは当然サイゴン市内の交通機関として市民の便益に供するものでございますから、これは軍用に転化される懸念の全然ないものとして、しかしながら、まだその実施についてはまだまだ検討中でございます。
○星野力君 それでは一つお聞きしますけれども、ラオスのビエンチャンのワッタイ飛行場でございますか、あそこは、日本が百二十万ドルですか贈与しまして拡張をやっておって、たしか昨年の夏には拡張工事は終わったと思いますが、御承知のように、この飛行場というのは商業空港にも使われておりますけれども、軍用飛行場でもある。あそこに日本からの贈与で、しかも日本の業者がこれを請け負ってやっておったわけでございますが、これは明らかに軍事援助の性質を持つものではないでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) いまお触れになりましたワッタイ空港でございますが、これは民間大型ジェット機が発着可能な滑走路をつくるために日本が援助しているもので、決して軍事的な援助を目的にしているものではございません。
○星野力君 目的はそうかもしれませんが、私はあそこを、完成する直前くらいの時期までしかあの飛行場は見ておりませんけれども、見ておりますと、いつ行きましてもプロペラ式の爆撃機がひっきりなしに発着しているわけですね。明らかにこれは軍用に使われているのです。日本の側が、幾らこれは軍用目的じゃないと言いましても、実際には使われる可能性というものは大いにあるのですが、その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) もちろん、数少ない空港でございますから、それが軍用に使われていることは事実そのとおりでございます。しかしながら、同時に、これは欠くべからざる航空路にある空港でございますので、平和的な人的交流、または経済交流のためにも必要なものとして当然私は援助の対象としてもいいと、こう考えております。
○星野力君 このワッタイ飛行場だけ一つ例にとりますとそういうことも言えるかもしれませんが、同じような性質の軍用に転用されるような援助ですね、これはいろいろたくさん行なわれている。発電所の問題にしてもそうだと思いますが、それはいいです。
 それで、昨年八月ですか、サイゴンのチャン・チエン・キエム首相がやってきまして佐藤首相とも会談したわけですが、あの会談に基づいて、もちろんこれは援助を要請したと思いますが、それに基づいて、あの十月にベトナム経済協力の調査団でございましたか、現地に送られたと思うのですが、あの調査団の報告に基づいてベトナム援助基本計画というものが作成された、こうお聞きしておりますが、それらの報告書、それに基づいてつくられた援助基本計画というものをひとつ示していただけないでしょうか。示していただきたいと思うのですが。
○国務大臣(木村俊夫君) いまお話がありました経済協力調査団の派遣、その調査報告はもう外務省に対してすでに行なわれております。しかしながら、その調査の内容については公表されていない分もございますが、これはいろいろベトナムの事情――と申しますのはそういう軍事的な意味合いにおける事情ではございませんが、そういう点はまだ調査報告の中で今後検討した上で公表されるべきものもございましょうし、まだ完全に公表されておりません。
○星野力君 それは、よくわかりませんでしたが、部分的にはもう公表されているわけですか。
○国務大臣(木村俊夫君) いま私が「部分的」と申しましたのは、その概要について、調査をした結果を公表しております。
○星野力君 それは全面的に公表することはできないというのは、別にこれはそう秘密を要する問題は私はないと思いますが、向こうの政権もこれは承認して調査をやったわけでありますし、いまおっしゃるように軍事関係はないということなら、ひとつ全面的に発表していただきたい。私たちにも資料提供していただきたいと、こう思うんですが、
○国務大臣(木村俊夫君) いま、概要を公表いたしまして、公表しない分があると申しましたのは、その中には、ベトナムの国内事情、特に経済問題について非常に忌憚のない批判が含まれております。ベトナム政府に与える影響その他を考慮いたしまして公表を差し控えておるというのが事情でございます。
○星野力君 サイゴン政権に与える影響ということを言われましたけれども、アメリカ自体のベトナム・インドシナ侵略戦争というのは全く行き詰まっておる。結局は南ベトナム臨時革命政府の七項目の提案の線でベトナム問題というものは解決せざるを得ないと思っておるのでありますが、それ以外の解決の道はない。これは私の考えであり、客観的な成り行きはそうなると思うんでありますが、しかし、ニクソンの訪中というようなことがありましても、そういう事態になりましても、私はベトナム戦争というものがそう簡単には解決すると思っておりませんけれども、かりに米軍が撤退したとしまして、いまのグエン・バン・チュー政権、あのサイゴン政権というものが存続し得るという事態があり得るとお考えになるでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 政府のかねてから申しておりますとおり、ベトナム戦が終息いたしましたあとのベトナムの政治あるいは政府の形態、こういう問題は、すべてベトナム民族がみずから決すべき問題だ、そういう立場を一貫してとっております。
○星野力君 それはもうそれに違いないんですが、日本政府の外務大臣――まああなたいま代理でありますけれども、外務大臣としてどう観測なされておるかということをお聞きしたわけであります。まあ、よろしゅうございますが、もう時間がありませんから、私若干のことを述べて、お考えをお聞きして終わりにしたいと思いますが、いまそれらのインドシナの各政権、これに肩入れするというのは、これはベトナム問題、まあインドシナの問題、この平和的解決に逆行するものだと思います。平和的解決を妨害しおくらせることはあっても促進することには私はならぬと思う。アジアの平和、日本の安全という点から、ベトナム戦争を早く終結させるということがいま一番望ましいことであり大事なことでありますが、それに逆行するような、それらの政権に対する援助というものは、日本政府はやめなければいけんと思う。そういう考えがないかどうか。米軍が撤退して平和が回復された後には、この臨時革命政府の代表も言っていますように、ベトナムにできる新しいこの連合政権は、ひものつかない援助なら、アメリカをはじめ西側の援助を受けるにやぶさかじゃない、こういうことなんですが、援助は私はそのときでもおそくないと思うんですよ。いまこんなことをやって、ベトナム人民、インドシナ人民の恨みを買っておったら、そういう事態になったときの日本の援助というものが、かえってうまくいかないだろうと思うんですが、その辺の問題についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) おことばではございますが、このベトナム戦争によって最も犠牲になっておるベトナムの国民、そのまた経済、民生安定、このためには、当然ベトナム政府と親交関係にあります政府としては、経済協力は別といたしまして、民生的な人道的な立場に立つ援助は、これは何ら遠慮することはないと思います。まあしかしながら、その経済的な援助にいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、それが軍事に転化されるような経済協力であってはならない、そういう立場を堅持いたしまして協力をする方針に変わりはございません。
○星野力君 そうおっしゃると、いよいよお聞きしたいことがたくさんあるのでありますが、もうやめてくれと来ました。きょうはこれで終わります。
○理事(長谷川仁君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
○理事(長谷川仁君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
 国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(長谷川仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(長谷川仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○理事(長谷川仁君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 閉会中、国際情勢等に関する調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(長谷川仁君) 御異議ないものと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 なお、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等につきましても、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会