第066回国会 決算委員会 第1号
昭和四十六年九月二十八日(火曜日)
   午前十時二十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二十四日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     平井 太郎君
     若林 正武君     塚田十一郎君
 七月二十六日
    辞任         補欠選任
     塚田十一郎君     稲嶺 一郎君
     平井 太郎君     鈴木 省吾君
 九月七日
    辞任         補欠選任
     片山 正英君     高田 浩運君
 九月八日
  委員村上孝太郎君は逝去された。
 九月二十七日
    補欠選任        佐藤  隆君
    辞任         補欠選任
    二宮 文造君      沢田  実君
 九月二十八日
    辞任         補欠選任
     河口 陽一君     中村 禎二君
     二木 謙吾君     中村喜四郎君
     稲嶺 一郎君     熊谷太三郎君
     和田 静夫君    茜ヶ久保重光君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         足鹿  覺君
    理 事
                大橋 和孝君
                和田 静夫君
                中尾 辰義君
                渡辺  武君
    委 員
                石本  茂君
                熊谷太三郎君
                佐田 一郎君
                佐藤  隆君
                中村喜四郎君
                中村 禎二君
                細川 護煕君
                佐々木静子君
                西村 関一君
                水口 宏三君
                沢田  実君
   国務大臣
       文 部 大 臣  高見 三郎君
       国 務 大 臣  竹下  登君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長   瀬戸 正二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       総理府内閣総理
       大臣官房参事官  今泉 昭雄君
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    小林  朴君
       法務省民事局長  川島 一郎君
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
       大蔵政務次官   船田  譲君
       大蔵省国際金融
       局次長      林  大造君
       文部省社会教育
       局審議官     岩田 俊一君
       文部省体育局長  渋谷 敬三君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
       厚生省社会局生
       活課長      蝦名 真一君
       農林省農政局長  内村 良英君
       通商産業省貿易
       振興局輸出業務
       課長       宇都宮綱之君
       労働省労働基準
       局長       岡部 實夫君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
       建設省道路局地
       方道課長     高木 澄清君
       自治政務次官   小山 省二君
       自治省行政局選
       挙部長      中村 啓一君
       会計検査院事務
       総局第二局長   柴崎 敏郎君
       会計検査院事務
       総局第三局長   桜木 拳一君
   参考人
       日本銀行理事   渡辺 孝友君
       日本私学振興財
       団常務理事    平間  修君
       日本私学振興財
       団常務理事    池中  弘君
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  本日の会議に付した案件
○理事選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十四年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十四年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十四
 年度政府関係機関決算書(第六十五回国会内閣
 提出)
○昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第六十五回国会内閣提出)
○昭和四十四年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第六十五回国会内閣提出)
○派遣委員の報告に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(足鹿覺君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七月二十四日、若林正武君が委員を辞任され、その補欠として塚田十一郎君が、七月二十六日、塚田十一郎君が委員を辞任され、その補欠として稲嶺一郎君が、九月七日、片山正英君が委員を辞任され、その補欠として高田浩運君が、また昨九月二十七日、二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として沢田実君が、また同日佐藤隆君が委員に、それぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(足鹿覺君) 次に、理事の選任を行ないます。
 本委員会の理事が二名欠員となっておりますので、その選任を行ないたいと存じます。
 選任は先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(足鹿覺君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に鈴木省吾君、温水三郎君を指名いたします。
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○委員長(足鹿覺君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 昭和四十四年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査に資するため、必要に応じ政府関係機関等の役職員を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、日時、人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(足鹿覺君) 昭和四十四年度決算外二件を議題といたします。
 この際、御報告いたします。
 去る五月二十一日の決算委員会における和田静夫君の質疑に対する会計検査院当局の答弁につきまして、五月三十一日山崎会計検査院長より決算委員長あてに文書をもって次のとおり報告がございました。朗読いたします。「去る五月二十一日開催の決算委員会の席上、堀雇用促進事業団理事長が八月六日の会合に出席したのは「検査院のおそらく担当局長と課長の方々であったと思います……」と答弁したあと、本院小熊次長が「局長は第五局長の石川で……」という答弁をいたしましたが、その後、同次長から、あの答弁は私の記憶違いで、当時石川局長は東南アジア出張中で不在であったとの報告があり、答弁は事実と相違していることが判明いたしましたので御報告申し上げます。」
 以上御報告いたします。
 それでは、本日は前回に引き続き総括質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 まず外務省から伺いますが、佐藤総理が二十二日に世論と国益にまさに逆行をして国連の中国代表権問題の取り扱いについて逆重要事項指定、複合二重代表制両決議案の共同提案国になることを決断したわけですが、その際、中国は一つであり、中国、台湾の双方に国連の議席を与えることはあくまで経過的措置であるということを強調されました。この経過的措置ということの意味ですが、まずわかりやすく御説明をいただきたい。
○説明員(西堀正弘君) ただいまの件は、先生よく御承知のとおり、国連憲章におきましては、一つの加盟国は一つの議席を有する、一票を有するというのが、これが国連憲章の規定でございます。したがいまして、一つの中国というたてまえをとります以上、これは一票であるわけでございます。しかしながら、これまた現実を見ますというと、大陸には中華人民共和国政府というものが現存しておることは、これは事実でございます。また一方、チャーター・メンバーとして国連の誕生いたしましたときから中華民国というものが存在しておることも事実でございます。この二つの厳然たる事実、この事実を事実として認める。しかも、この両者とも一つの中国ということを言っておられる。その両者の主張、それには何らの、何と申しますか、影響を及ぼすことなく、とにかくこの国連の場において二つの現実に存在するところの政権の代表というものに出席を求める。そうして、終局的な解決、それに至るまでの経過的措置として、その両者が国連に代表される。と申しますことは、八億になんなんとするところの中華人民共和国の配下にあるところの人民、これがやはり国連の場で代表されないということは、これは不都合なことでございますし、また一方、中華民国というものがいままで存在してきたわけでございますから、この配下にあるところの方々も代表されないということは、これは不都合なことでございます。要するに、究極の解決に至るまでの、現実的といいますか、経過的措置として、お二人ともどうぞ代表としておいでくださいという意味が、経過的措置という意味でございまして、最終的な解決は両者でどうぞという考え方、こういった考え方で経過的措置ということがわが政府の立場でもあり、またわが政府と協調しておりますところの国連加盟の与国の出与え方でございます。
○和田静夫君 この間の十九日の日曜日にNHKのテレビの座談会で、本人いらっしゃらないのであれですが、福田外務大臣は、共同提案国になって、国連にいまの状態が続いたとしても、一年先、二年先はお先まっ暗だ、そういう意味では、このままいけるかどうかということはわからない、おそらくそうはならない、言ってみればいけないだろう、こう発言しておるわけです。そういう意味では、一年か二年先はわからない、その間の経過措置、そういう意味ですか。
○説明員(西堀正弘君) その見通しを申されたのだと思うのでございますけれども、これが一年先のことであるか、あるいは二年先のことであるか、われわれも全くわからないのでございますけれども、要するに、両者が話し合いと申しますか、両者の間で何らか最終的な解決が行なわれ、そうして一つの中国ということが名実ともに実現されるというときまでの措置、こういう意味でございます。
○和田静夫君 そういう意味ならば、今度共同提案国になることの意義が問われることになりませんか。つまり、中国を代表するのは北京政府である、台湾はその一部だと、そうはっきり認識をして、当面そこへ到達するまでの暫定措置としてきわめて短期的に台湾の地位を守ろうとするのだということを福田さんは明言をしたことになるわけでありますから、この一年、二年の違いが国際信義の上でどのような意味を持つというのですか。単なるメンツにこだわっているとしか国民は理解ができないわけですが、そうじゃありませんか。
○説明員(西堀正弘君) これは、結局は意見の相違ということに相ならざるを得ないわけでございますけれども、要するに、いま冒頭に申し上げましたように、このチャーター・メンバーとして国連誕生以来あるところの中華民国というもの、これを簡単に単純多数でもって追放してしまうということはいかにもおかしいじゃないか。と申しますことは、国連で数多の決議案が成立するわけでございますけれども、いままで国連が誕生以来千五、六百になりますか決議案が通っておりますけれども、そのうちの九九%までが現実には三分の二以上の多数決をもって成立しているわけでございます。たとえば、放射能の影響に関する報告に関する決議案といったような、まことに非常に政治的にといいますか、あまり重要性を持たないような決議案ですら三分の二の多数決をもってやられる。そういった場合に、このチャーター・メンバーとして初めから国連のメンバーであるところの、しかも忠実に国連憲章を守ってきたところの中華民国というものが単純多数でもって追放されてしまうというようなことはいかにもおかしいじゃないかということが、いま先生御指摘の逆重要決議案の趣旨なんでございます。そういった点からお考えいただきまして、それが一年二年先のことはどうなるかわからないとおっしゃいますけれども、そこから先は意見の相違ということになりますわけで、したがいまして、われわれの考え方といたしましては、ともかくその九九%に達するところの各種決議案、これと同じような取り扱いをしないで、ただ単に百二十七のうち六十四でございますが、これが賛成したならばこれを追放してしまうというようなことになるということは、これはいかにも不合理じゃないか、またあまりにもひどいじゃないか、こういった考え方から発足したのが現在の逆重要といわれているところの決議案の趣旨でございます。したがいまして、それが一年、二年先のことで何の意味がないじゃないかという御質問にはお答えになっていないかもしれませんけれども、その点はまあ意見の相違ということで御了承をいただかなければならないのではないかと私は感ずるわけでございます。
○和田静夫君 意見の相違になってないでしょう、福田さんはもう先の見通しはないと国民の前にNHKテレビを通じて明らかにしたのですから。そんな見通しのないことをこの段階であなた方が補佐的にやらせるというのは、一体どういうことですか。国際的には少数意見というものは尊重されなければならないという立場を政府はとる。ところが国内的には国会であなた方絶対やるんだというのは、強行採決をやってみたり、少数意見は常に葬られる、こういう状態なんでしょう。あなたの言っていることは、いわゆるまさに矛盾なんですね。そういう責任は、一体どういうふうにおとりになるつもりですか。日本の外務省の見通しというのはいかに誤っているかということを後ほど二、三述べますけれども。
○説明員(西堀正弘君) わが国のこの中国の国連におけるところの代表権の問題に関しまするところの基本方針というものは、これは、もうずっと年来と申しますか、ことに昨年の国連総会以来明確に提示されたわけでございまして、われわれといたしましては、その政策を実現するためにどういった方途があるかということでもって与国とも協議をした結果が、現在行なっておるところの手段でございます。それで、何がこの基本方針かということになりますと、これは、現実に大陸に存在するところの中華人民共和国、これを国連に迎え入れる、これが一つ。ただし、また厳然として存在しているところの中華民国、これの議席はあくまでも守る、この二つの大命題があったわけで、これがまあ言うなれば大号令としてわれわれに提示されたところの基本方針であったわけでございます。その方針に基づいて、どのような方策をしたならば特に後者の国府の議席をあくまでも守るんだというこの政策を実現し得るかということで、その方途として考え出されたものが現在行なわれているところの決議案である、このように御了承いただければおわかりいただけるんじゃないかと存じます。
○和田静夫君 全然おわかりいただけないんだけれどもね。あなたは大命題だと言っているが、佐藤総理はそう言っていない。佐藤総理は二十二日の記者会見でどう述べているかというと、一番問題になったのは共同提案国になるかどうかということだが、本来から言えば、これは副次的なものだ。中華人民共和国に国連の議席を持たせるかどうか、安保理の議席を持たせるかどうか、これが一番問題だ。大命題はそこですよ。あなたが言ったところのもう一つの問題は副次的な問題なんです。そして、共同提案国になって国府を国連に残すということは、主観的にはともあれ、客観的には中華人民共和国の国連入りを阻止する、そういうあなた方の願望のあらわれでしかないじゃありませんか。そこにはシビアな選択があるのだということが回避されているという意味で、詭弁にすぎない、私は少なくともそう思う。いかがです。
○説明員(西堀正弘君) 大命題ないしは大号令と申しましたのは、中華人民共和国を国連に迎え入れると同時に、中華民国の議席をあくまでも守ると、これが大命題でございまして、その共同提案国になるならないということは、佐藤総理がおっしゃいましたとおり副次的なものでございます。われわれとしてあえて言わしていただきますならば、ある決議案の共同提案国になるかならないかということが、まあ国内政治の面もございましたので、非常にたいへんな重要性を帯びてきたわけでございますけれども、これは本来ならば国連代表にまかせてしかるべきような本来ならば問題であったわけでございます。そういった意味におきまして、副次的な意味しか持たないんだという佐藤総理の御発言、まことにそのとおりでございます。で、大命題と言いましたのは、先ほど申しましたように二つございまして、そのうちの、要するに中華人民共和国を迎え入れる、同時に中華民国の議席を守る、これが大命題でございまして、それから先のことは、これはその大命題をいかにして実現するかという、いわばタクティクスと申しますか、術策と申しますか、国連の場におけるところのことでございまして、これがわが国の場合におきましては特に非常に重要性を持たれましたけれども、現実には各国とも、これはまあ、あえて言うならば、国連代表にでもまかせてしかるべき問題であったわけでございます。そういった意味で、副次的と申されたのは、そのとおりでございます。
○和田静夫君 この逆重要事項指定方式ですね、この国連における行くえ、見通しというのは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
○説明員(西堀正弘君) これは、過去数カ月にわたりましてずいぶんこういう御質問を受けたのでございますけれども、これは何分にも国連の票読みでございます。当初から終始一貫私申し上げておりますことは、チャンスはフィフティ・フィフティである。したがいまして、これは佐藤総理から「外務省何をやっているのだ」ということでおしかりをこうむり、自分たちが国内の選挙において何十万、何百万といった票も大体正確に読めるのに、わずか百二十七票の票の行くえがわからぬのかということで、ずいぶんおしかりを受けたのでございますけれども、これは各国とも――また現にわれわれ鋭意毎日のように票読みをやっておりますけれども、何分にも最後の最後まで決定を下さない国が多うございます。また、それがありますからこそキャンペーンということが必要になってくるわけでございますが、いまのところやはり申し上げ得ることは、チャンスはフィフティ・フィフティである、これ以上には申し上げられないのが現実でございます。
○和田静夫君 この間十九日のNHKのテレビで福田外務大臣は、日本が共同提案国になれば六、七票の差で勝つ、こう明言をしています。そう信じてよいですか。
○説明員(西堀正弘君) 福田外務大臣がどのようなインスピレーションでもってそういうことを仰せられたか、私ちょっと聞き漏らしたのでございまするけれども、事務当局の責任者として私申し上げられることは、やはりチャンスはフィフティ・フィフティであるという以上のことは申し上げられない次第でございます。
○和田静夫君 そうすると、福田さんがテレビを通じて国民の前に公表したことについては、外務省は自信がないということですか。
○説明員(西堀正弘君) 自信がないかどうかと言われると困るのでございますけれども、あくまでやはり前言どおりチャンスはフィフティ・フィフティであると、こう御了解をいただきたいと思います。
○和田静夫君 そういう状態でなぜ共同提案国にならなければならなかったのか。
○説明員(西堀正弘君) これはまあいろいろな意見があったわけでございますけれども、やはりそれ以前に、先に申しましたところの二つの大命題を達成するもののこの決議案というものに対して日本はもう支持をするんだということを明確にしておりましたし、そうなりますというと、やはり筋を通すという御考慮のもとにいわば佐藤総理の御決断があったわけでございまして、支持ということを公表いたしました段階におきましては、この共同提案国になるということは、これは自然の成り行きであったと私は考えておる次第でございます。
○和田静夫君 私は政府の見通しが当てにならない例というのをずっと調べてみたんですね。特徴的な一つ二つをあげてみると、たとえば昨年の十一月の国連総会が、中国加盟問題を討議採決するに際して、国府の国連追放と中国の招請を要求するいわばアルバニア案、この決議案の票読みで、日本の外務省というのは採決する以前まで賛成は五十二、反対五十四という予想を立てていらっしゃった。実際には賛成五十一に対して反対四十九、国連史上初めて中国派が過半数を占める結果になったわけですね。賛成派の票読みには誤算があった。大きな誤算はなかったが、反対派で五票の読み違いとなって、そしてこれらはすべて棄権に回ったのが結果でした。とすれば、中国国連加盟と国府の追放を快く思わない日本――あなた方に代表される外交陣のあまりにも希望的な観測に満たされた、非常に客観的情勢判断がないと昨年の事例を振り返って言わざるを得ません。いかがですか。
○説明員(西堀正弘君) ただいま先生何か数字をおあげになってアルバニア案の票読みの予想を昨年外務省が云々したというようなことを申されましたけれども、その数字はどこでお手に入れられたのか存じませんけれども、われわれ、票読みを事前に公表するとか、その予測を申し述べるとかいったようなことは一切いたしておりません。ただ、新聞記者の方々から非常に詰められますので、当時――私いま思い出しますけれども、われわれ、昨年のあれは十一月二十日でございましたが、十月ぐらいから攻められたときに申し上げておりましたところは、きわめて接戦である、勝つにしても負けるにしても、一、二票から二、三票だろうと言ったことはございます。これは現に、新聞にそれは報道されておりますけれども、ただいま先生がおあげになりましたような数字の形で外務省が予想を申し述べるというようなことは一切ございませんので、その場合は何かの誤報ではないかと存じますので、御了承いただきたいと思います。
○和田静夫君 外務省が予想を述べることはございませんと言ったところで、十九日のNHKのテレビで福田外務大臣自身が六、七票で勝ちますとはっきり国民の前で言っているじゃないか。これは、あなた方が票読みをやって予想の上申をしない以上、彼自身が単なる個人の判断で一国の外務大臣たる者が国民の前にそういうことを述べるということになりますか。しかも、共同提案国その他に踏み切るには、あなた方が言っているような間違った筋でも筋だから、それは基本でしょう。しかし、そのときでもちゃんと読みというものがあってやるべきでしょう。国益に関することを何の読みもなくしてやる、何の予想も立てずにやる、そういうばかな言い方というものは通用しますか。
○説明員(西堀正弘君) 昨日のことにつきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。それから、ことしのことにつきまして申し上げますならば、あくまでやはりチャンスはフィフティ・フィフティである。もちろんわれわれなりに票読みはしております。しかしながら、先ほど申しましたとおりに、賛成の確実の票というものがございます。それから反対の確実の票のものもございます。これも数字がございます。ところが、不明の、どっちとも決定していない、しかも、最後の最後まで、明日表決というようなことになっておそらくは決定する国と考えられる国が、これは数は申し上げられませんけれども、非常に多いわけでございまして、われわれといたしましては、その事実を事実として大臣に申し上げ、総理に申し上げたことはございますけれども、何対何で勝つか勝たないかというような形で申し上げたことはないのでございまして、また申し上げることができないのでございまして、あくまで御質問に対しては、それじゃあどうなんだということに対しては、チャンスはフィフティ・フィフティであるというのが、繰り返しますけれども、われわれのしいて言えば票読みでございます。
○和田静夫君 そういう言ってみれば典型的な官僚的な答弁、官僚的な姿勢、それが日本の国益を誤らせるという、言ってみれば失敗をした日中国交、そういうものにつながっていっているのですよね。そのことについてあなた方はいま国民の前に責任をとらなければならない立場にある。そういう自覚がないということが一番大きな問題です。たとえば、二十二日に佐藤総理は、アルバニア案が先議されることはない、いままでの経過から見て逆重要事項指定決議案が手続案件だから先議されると思う、こう言っていますね。これはあなた方の知恵でしょう。もしこれがならなかった場合の政治的責任というのはとりますか。あなた自身もおやめになりますか。
○説明員(西堀正弘君) この手続事項であるから逆重要が先議権をとるかとらないかという問題、これは外務委員会でも私ずいぶん質問を受けたのでございます。ここに西村先生もおられますけれども、御承知かと思いますけれども、問題点は、要するに先議権をとらなければどうにもならないわけです。したがって、それじゃあ確実にとれるかと申しますと、これは決して確実にとれるわけではございません。これは手続規則を見ますというと、決議案の審議順序というものは、あくまでその提出した時期、何と言いますか、提出したタイミング、これが早いほうからやっていくということしか手続規則には書いてないわけでございます。したがいまして、ことしはニクソン訪中というようなこともありまして、アメリカの態度がきまらなかったものでございますから、こちらの決議案の提出がおくれました。したがいまして、これは、このあとから出した決議案について先議権をとる、このためには戦わなければならないわけでございます。これは動議を出すなり、あるいはもちろん議長裁定ということもございますけれども、議長裁定がかりにわがほうに有利な裁定がありましても、これはまたアルバニア勢のほうから、何と申しますか、チャレンジをされるわけでございます、反論をされるわけでございます。そうすると、結局は票でございます。議長裁定に対して向こうが反論する、あるいはこちらが動議を出す。そうしますと、その動議に対して向こうがまた反論をいたします。そうして、結局は票でございます。その票の争いということになって、あくまで百二十七票のうちその過半数――これは単純過半数でよろしいわけでございますから、それがとれるかとれないか、そのときにわれわれの理屈といたしましては、われわれのほうの決議案はあとから出したのではあるけれども、言うなればこれは手続的なものであるということで戦うわけでございます。それが勝つか勝たないか、これはもうわかりませんけれども。そこで、いままで、たとえば六七年の第二十二回総会におきまして、このときも実はこちらのほうの決議案があとから出たわけでございます。したがいまして、そのときも同じようにやはり票の争いになりまして、そのときは幸いにしてこちらが勝っております。したがって、あの去年までの重要事項というものがその第二十二回総会においても先に審議をされて無事に通過したわけでございますけれども、ことしもこちらのほうがおくれて出しました関係上、これは手続規則にはございませんので、あくまで票の争いということでもって、これは何とか単純多数をとらなければ先議権はないのだ、こういうことは、これはもう外務委員会におきましても何回も御説明申し上げてきたところでございます。
○和田静夫君 こうしたところを答えてください。政治責任はどうされますか。あなたでは答えられなければ、あとで官房長官が来たとき聞きますけれども。
○説明員(西堀正弘君) われわれはいわば事務当局でございまして、ささたる一局長でございますので、政治責任というようなことになりますというと、これはひとつ政府の当局者の方においでをいただく以外にはなかろうかと存じます。
○和田静夫君 じゃ、外務大臣、外務次官に聞かなければならぬのなら、局長、呼んできてください。局長、ただすわっておって済むことじゃない。しかし、外務大臣は外遊中であることは明らかである。これまた呼び戻すことはできないでしょう。臨時代理いるでしょう。臨時代理をあなた連れてきなさい。あるいは外務次官、政務次官がいらっしゃるでしょう。連れてきてください。それまで待ちます。
○委員長(足鹿覺君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(足鹿覺君) 速記を始めて。
○和田静夫君 これは、参議院決算委員会がきょう総括をやるということは一カ月も前から通告してあるわけだから、そういう意味では、外務省の責任者のすべてが不在であるというようなことはどんな理由も成り立たないわけです。呼び返してもらう、それまではその責任の部分は外務省保留をしておきます。
 そこで、時間の関係もありますから、大蔵省にまず最初に一点だけ明後日の決算委員会の準備のためたいへん恐縮ですがお尋ねをいたしますけれども、明後日は大蔵省の決算をやりますので、ニクソン大統領によるいわゆるドルの金兌換停止声明に伴って西欧諸国は為替市場をすぐ停止したわけですが、わが国だけは変動相場制の採用まで約二週間市場を開き続けた、そのほんとうのところの理由を教えていただきたい。
○説明員(船田譲君) ただいまの和田委員の御質問にお答えいたしますが、詳しいことは、私も専門家でございませんので、専門家が参っておりますからそのほうに譲るといたしまして、わが国の輸出輸入の決済の大半がドル建てでやっておりまして、ヨーロッパの西ドイツのように五割以上自国通貨建てでやっております国とは趣を異にしております。したがって、にわかに外為市場を閉ざすことによって輸出入の決済に非常に支障を生ずることをおそれたのが一点でございます。
 もう一点は、ヨーロッパの各国はおおむね為替管理を自由にいたしておりまして、わが国はかなりきつい為替管理をいたしております。その点で短期資金の流入についてかなり制限をやれるという自信を持っておりましたため、市場をあけておいたわけでございます。
○和田静夫君 もう少し専門的な説明ありますか。
○説明員(林大造君) お答え申し上げます。ニクソン声明が出されましたのはアメリカ時間では十五日の日曜でございましたが、日本時間では月曜日の朝の十時でございました。したがいまして、十時にニクソンの声明が出ましたときに、私どもといたしましては、市場を開いておくべきか、あるいは何らかの措置をとるべきかという決断に当然迫られたわけでございます。で、そのときに私どもが考慮いたしました第一点は、日本の対外取引が大部分外貨建てでございまして、円貨建てはわずかに輸出入の一%前後にすぎない。このような状況は、ヨーロッパ諸国のような対外取引の半ばあるいはそれ以上が自国建てで行なわれているところと基本的に違う点でございます。具体的にどういうことになるかと申し上げますと、たとえばドル建ての為替を持っておられる方が市場でこれを円にかえられないということになりますと、そこに当然、円にかえられることを前提にいたしましていろいろな取引あるいは資金繰りなどを考えておられたところが、急に資金繰りが変わってくるわけでございます。したがいまして、そういうような状況になることは何としても避けたいというのが第一点でございます。
 それから第二点は、わが国の為替管理がヨーロッパ諸国に比べましてかなりきびしいものであるという点でございます。で、結果的に見ますと、為替管理がきびしいとはいいながら、いろいろな取引の関係でドルの売りはかなりな額に達したわけでございますけれども、しかし、あとから振り返ってみましても、ヨーロッパ諸国と基本的に違います点は、海外からの短期資本の流入というものは見られなかった。海外の投機的な資金が流入いたしますと、為替差益を海外のものが利得し、それに対して日本の政府が損失をこうむるわけでございまして、そのような点は十分防げる、おそらくかなりの程度に国内におきましてもドル売りが防げるのではないかという判断を持っていたわけでございます。で、戦後昭和二十四年に一ドル三百六十円のレートが設定されましてから以来、日本では為替市場が閉ざされたことは一度もないわけでございます。その点は、たびたびの通貨危機に際しまして、時々の状況に応じまして、比較的短期間ではございますけれども、為替市場閉鎖の経験があるヨーロッパ諸国とも違うわけでございまして、そういうような点を総合勘案いたしまして、為替市場は開き続けるほうがよろしいという結論に達しまして、あのような措置に相なった次第でございます。
○和田静夫君 そこで、二週間にわたって開き続けておって、結果的によかったといまでも判断をされておるわけですか。
○説明員(林大造君) 結果的に見まして、やはりあのときに為替市場を閉ざすよりは開き続けておったほうがよかった。で、最終的なことはもちろん歴史が判断してくれるということだと存じますが、私ども現在のところやはりあのところは開き続けておいてよかったというふうに判断いたしております。
○和田静夫君 あさっての大蔵省のときに具体的にその辺の質問をいたしたいと思いますが、そこできょうは資料だけちょっと要求をしておきたいんですが、この二週間に四十六億ドルの売りが、何月何日どの商社、あるいはどの銀行が幾らのドルを売ったか、その詳細な資料を明日の午前中までに私のところに届けていただきたい。
○説明員(船田譲君) ただいまの和田先生の資料要求とほとんど同様の資料を大蔵委員会から求められておるのですが、なかなか悉皆的に調べていくということはむずかしいということと、同時に、各銀行ごと、商社ごとという数字をまとめて、それをどの商社がどうだということを御報告申し上げることがいかがかと思う点もございますので、後ほど理事の方々と御相談いただきまして資料の問題を処理していきたいと、こう考えております。
○和田静夫君 どっちの理事ですか、こっちですか。
○説明員(船田譲君) 理事の方々と私と御相談申し上げて、それで御指示をどのように承るか、また明朝までと申しますと、なかなかこれも時間的にあれでございますから、時間をかしていただきたいと思っております。
○和田静夫君 富士銀行のときもそういうことがありました。ありましたけれども、結果的に私にマル秘扱いで資料が提示されたわけですから、よく御存じのはずです。これは委員長、委員会要求にしていただいてもいいようなたいへん重要な問題で、いま二週間のあれをやったことは間違いではなかったという判断を示されましたから、したがって、それであるならば、間違いでなかったならば、具体的な資料があったから間違いでないということになっておるわけですから、資料がないということにはなりませんから、ぜひ――そうでないと、あさってそれがないと、私全然質問ができなくなります。
○説明員(船田譲君) ほんとうの専門家の林次長からお答え申し上げます。
○説明員(林大造君) 実は、ただいま御要求いただきましたのは、商社ごと、あるいは銀行ごとにどれだけのドルがその期間に売り上げられたかという御質問だと理解いたしますが、本件につきましては、大蔵委員会でもほぼ同様な御要求が出ましたときにお答え申し上げた次第でございますけれども、現在の為替統計の仕組みが、商社ごとに、あるいは銀行ごとにどういうふうに売り上げられたかということが把握できる仕組みになっておりません。それで、そのようなものはなかなかむずかしいわけでございますけれども、しかし、御趣旨のようなことをできるだけわかるように――と申しますのは、八月中の外貨準備の増加が四十六億ドルでございます。そのうちに八月の後半すなわちニクソンショック以後の部分が大体八割以上を占めておるということでございますので、大体四十六億ドルの内訳を項目別に判断いたしまして、そうして何らか御参考に供せられればということで鋭意努力中でございますので、先ほど政略次官から申し上げましたとおり、後ほど大体どういうようなことで御満足いただけるかということで御相談申し上げられればというふうに存ずる次第でございます。
○和田静夫君 そうしますと、私の趣旨に基づいたところの資料をお出しになる、まず第一は。そこで、その資料のいわゆる内容のつくり方については相談をする……。
○説明員(船田譲君) ただいまの和田先生の御趣旨にできるだけ沿う形で――ただいま林次長が申し上げましたように、悉皆的な調査をする統計のしきたりになっておりませんものですから、時間的なものがございますけれども、できるだけ御趣旨に沿うような形で資料を提出いたしたいと思っております。
○和田静夫君 いまの次官のお答えの一番最後のくだりですが、時間はあしたじゅうに間に合うということですか。
○説明員(船田譲君) できるだけあしたじゅうに出せるようにいたしたいと思っております。
○委員長(足鹿覺君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(足鹿覺君) 速記を始めて。
○説明員(船田譲君) ただいま委員長の言われました趣旨にできるだけ沿いたいと思っておりますが、ただ、完全に和田委員の御要求になった商社別、銀行別ということがあしたの午前にまとまるかという問題もございまして、できるだけ御趣旨に沿った形で出すようにいたします。
  〔委員長退席、理事中尾辰義君着席〕
○和田静夫君 次に文部省に移りますが、来年の二月三日から開く札幌のオリンピック、きょう二十八日現在であと百二十八日に迫ったわけですが、スキーの強化合宿費の横領事件、オリンピック史上最大の不祥事であって、対外的にも非常に恥ずかしい事件でありますが、監督官庁としての文部省では今回の事件についてどのように把握をしているわけですか。
○説明員(渋谷敬三君) 現在、和田委員の御指摘のような横領容疑事件ということで司直の手で捜査が行なわれているわけでございますが、その捜査のさらに進行を見ませんと事件の全貌はわからないわけでございますが、しかしながら、いずれにいたしましても、そういう容疑が出て、直接の強化に当たっておられた責任者が逮捕されるという事件が起きましたことは、まことに遺憾なことでございまして、その逮捕の報道がありました日に、文部大臣とオリンピック担当の渡海自治大臣が協議されまして、ちょうど文部大臣がその日の午後御出張になりますので、文部大臣の分も含めまして渡海オリンピック担当大臣から会長、体育協会の責任者に、自今このようなことがないように厳重な注意をいたしますとともに、選手たちが動揺していろいろ今後の強化に支障がないように、さっそく体制を再建して強化に邁進して、オリンピックをりっぱにやってもらいたいということもあわせて言及いたした次第でございます。
○和田静夫君 今回の事件はどういうところに原因があったと文部省は判断するのですか。
○説明員(渋谷敬三君) これも、まだ事件の全貌が捜査の途中でございますので、ただ新聞報道でいろいろなことが報道されておるくらいしか私どもも真相がよくわからないわけでございますが、ただ、いろいろ聞いておりますところ、逮捕されました久慈さんという方は、いわば選手強化の鬼といいますか、御承知のように、冬の競技は日本はあまり強くないわけでして、いままで過去何回か冬季のオリンピックはございましたけれども、入賞いたしましたのはただ一つ猪谷選手が銅メダルを取っただけということでございます。そういうわけで、せっかく日本で開かれるということでございますから、スキー、スケートその他関係の競技団体では、やはり日本で開く以上恥ずかしくないようにというようなことで、体育協会をはじめ非常な熱を入れまして強化事業を始めたわけでございますが、そのようなことでいままで日本のスキーはあまり世界から注目もされておらなかったわけでございますが、今回のノルディック種目でも、笠谷選手その他、相当世界から警戒されるといいますか、注目されるようにまで育ててきたわけでございます。そのようなことで、こういう事件が起きましたことはたいへん遺憾なわけでございますが、どうしてこういう事件が起きたかということはいまにわかに――いろいろな角度から判断しなければならないと思うわけでありますが、そういう経理事務にふなれであるとか、いろいろあるかと思いますが、それから何でもオリンピック、オリンピックということで、少し関係者が甘えたんではないかというような批判も一部にあることは事実であります。それからさらに、事務的に申し上げますと、選手強化事業に体育協会が支払います金は、体育協会に基準がございまして、かなり厳格になっております。たとえば、旅費につきましても、選手の場合は普通急行の旅費、それからコーチや役員の場合は、同じく特急などは認めませんで普通急行で、グリーンと飛行機などの旅費は認めない。それから宿泊費その他も非常にきびしくなっておるわけでございますが、そういう点はかなり厳正に行なわれたわけでございますが、そういう点に選手強化をやります以上いろいろな――ときには栄養も少しよけいつける必要があるとかいろんなこともあろうかと思いますので、そういう基準などにつきましても将来は少し検討をする必要があるのではないかというような点もあるかと思いますが、いろいろな角度からさらに検討する必要があると思います。
○和田静夫君 九月十四日のスキー連盟の緊急常任理事会では、理事長以下理事全員が辞任ですね。そして逮捕されている二人は解任ということですね。で、これで今回のような不正事件が今後起きないのか。いわゆる起きる可能性は全くなくなる、そう判断されているわけですか。
○説明員(渋谷敬三君) 今回の事件が発生いたしまして、まずスキー連盟は、いま和田委員の御指摘になりましたような措置がとられまして、十月の上旬に役員の改選を行なうと聞いておるわけでありますが、一方この選手強化事業は体育協会の事業として行なわれておりまして、その中で選手強化事業につきましては一部を競技団体に委託をする、契約に基づいて委託をするというかっこうで行なわれておったわけでございますが、体育協会の事業でもございますので、体育協会におきましても強化本部長がスキー連盟の理事長をやっておったわけでありますが、それも新しく強化本部長もかえまして、日本オリンピック委員会の体制も立て直して、それから体育協会といたしましても、スキー連盟といたしましても、今後そういう経理関係につきましてもっとしっかりした体制をつくり、また監査を十分にやるという体制をさっそく立て直しておりますので、それから体育協会内部、スキー連盟自体も十二分に反省しておるところでございますので、自今そういう立て直した体制で近くに迫ったオリンピックに邁進をしてまいりたい、そう思っておるところでございます。
○和田静夫君 札幌オリンピックの選手強化ですね、このために国庫補助金はいままでどのくらい使われたのか、そのうちスキーに使われたのはどのくらいか、年度別に教えてもらいたい。
○説明員(渋谷敬三君) これは昭和四十二年度から行なわれておるところでございますが、昭和四十二年度は――その前に、いま和田委員の御指摘の事業は、札幌オリンピック冬季大会選手育成強化事業ということで日本体育協会の事業として行なわれてまいりました。で、その事業費でございますが、四十五年度までは決算額を申し上げます。四十二年度は三千六百五万四千円でございます。そのうち国庫補助金が千八百六十万円で、なおこれはスキーだけでなく、スケート、バイアスロン、ボブスレー、リュージュ、今度行なわれます五種目の全体の選挙強化関係でございます。それから四十三年度の事業費総額九千二百七十九万六千円、そのうち国庫補助金が三千六百万円でございます。四十四年度が二億三千八百九十六万八千円、うち国庫補助金が九千八十五万円でございます。四十五年度が一億九千三百二十三万二千円でございまして、うち国庫補助金が七千九百十二万円。以上は決算額でございますが、四十六年度の予算額は一億八千万円でございまして、うち国庫補助金が七千二百万円。この決算額及び本年度の予算額をひっくるめまして、この五カ年間の総事業費が七億四千百五万円でございまして、うち国庫補助金が二億九千六百五十七万円ということになり、考え方といたしましては、この事業費の約四割を国が補助をする、約四割をスポーツ振興資金財団が負担をする、約二割を各競技団体が負担するという目安のもとに、そういう目安で予算が組まれてまいりまして、しかしながら国庫補助金としては定額補助ということになっております。
 それから、そのうちスキーに使われた金でございますが、これがまた、その事業費が四つか五つに分かれておりまして、この競技力の強化費、つまり強化合宿費と、それからその他コーチ力強化とか、スポーツの国際交流とか、スポーツ科学強化とか、施設関係とか、災害補償とか、いろいろ分かれておりますが、そのうちで競技力強化、つまり強化合宿費につきましてだけスキー関係のを申し上げますと、スキー競技の競技力の強化合宿の経費だけ、つまり現在容疑事件で対象になっておりますそういう競技力強化、合宿強化費のスキー関係の経費だけ申し上げますと、四十二年度が六百八十七万六千円でございます。四十三年度が千九百八十八万円、四十四年度が千三百六十六万八千円、四十五年度が二千三百二十六万九千円、これは決算額でございます。四十六年度の予算が二千三百四十四万円、合わせまして五カ年で八千七百十三万三千円というものがスキー関係の強化合宿費でございます。ただスキー関係でも、それ以外に、先ほど申し上げましたコーチ力の強化費とか、スポーツの国際交流、そういった海外のコーチを招請いたしましたり、チームを海外に派遣したり、そういう費用がこのほかにございますが、いま申し上げましたのは国内で強化合宿を行ないました関係でございます。
○和田静夫君 選手強化のために日本体育協会から交付金を受けている競技団体にはどんなものがありますか。
○説明員(渋谷敬三君) 現在のところ、札幌冬季オリンピックを目ざしまして選手の強化が行なわれておりまして、それにつきまして国庫補助金が出ているわけでございますが、その際、さっき申し上げましたいろんな事業のうち選手の強化の合宿、強化合宿につきましては、各競技団体に体育協会が委託契約を結びまして委託をいたしております。したがいまして、スキーの競技でございますと、スキー連盟に事業を体育協会が委託をして、委託契約に基づいてやっておるわけでございますが、いま御指摘の点は、スキーに関しましては、ノルディック種目といいまして、これはジャンプ、それから距離の競技、それからジャンプと距離を複合いたしました複合競技、これをノルディック種目といいますが、このノルディックの関係、それからスキーはあとアルペンというのがございまして、これは回転、それから大回転、それから滑降の競技でございます。これをアルペン種目といいますが、スキーの関係はスキー連盟、そのもとに二つ大きく分けましてございます。そのほかにスケートの関係がございます。それからスケートの関係では、アイスホッケーとフィギアの競技でございます。そのほかにボブスレーという競技がございまして、これは鉄のそりといいますか、二人乗りの鉄のそりの競技でございます。それからリュージュというのがございまして、これは木のそり、一人乗りの木のそりの競技でございます。そういった関係の競技団体がございまして、強化合宿の事業は体育協会がそれぞれの競技団体に委託契約に基づき事業を委託してやっております。
○和田静夫君 そこで、その選手強化費というのはどういうルートを経て合宿責任者に渡るわけですか。
○説明員(渋谷敬三君) これは、たとえばどこどこで合宿をいたしますと、その合宿するところに至るまでの旅費とか、それから合宿所におきます宿泊費、そういったものが必要になってまいるわけでありますが、事業が終わりますつど体育協会に書類が出てまいります。その証拠書類をつけまして、たとえば宿泊費でございますと公給領収書の写しを添えまして体育協会に請求が出てまいります。体育協会は先ほど申し上げました基準を持っておりまして、宿泊費の場合は選手、役員を問わず一泊二千円以内、それから補食費――宿泊費には朝めしと夕めし分しか含められておりませんので、昼食、おやつの分といたしまして補食費が五百円以内。つまり宿泊費は二千円以内、補食費は五百円以内。それから旅費につきましては、さっき申し上げましたような基準に照らしまして査定をいたします。それをこえている分は除きまして、それはもう競技団体で自分で負担しなさいということで、それを除きました基準に合致しますものを、申請された請求書、証拠書類に基づきまして査定をいたしましてそれを払うというわけでございますが、その際に、先ほどの、現実には、そういう強化合宿がありますたんびにそういう請求に基づきました審査をいたしまして、それを強化本部長を経まして、ノルディックの場合でございますと、ノルディック種目の責任者でございます――今度逮捕されていま捜査中の久慈さんという方でございますが、種目ごとの現地でやっております責任者に支払うというルートになっております。
○和田静夫君 そこで、結論だけ答弁していただければいいんですが、私の質問の趣旨、そこだけを。合宿責任者の久慈さんが請求をすればスキー連盟から久慈個人名義の口座に請求どおり送金をする、そういうシステムですよね、一言で言えば。
○説明員(渋谷敬三君) 体育協会から強化本部長を通しましてそれからスキー連盟――スキー連盟に事業を委託しておりますからスキー連盟にまいるわけでございますが、スキー連盟も先ほどのようにノルディック種目、アルペン種目をやっておりますので、今回の場合はノルディック種目の強化合宿をやっております責任者の久慈さん、スキー連盟からその実際の現地の責任者である久慈さん名義の口座に支払われていくということでございます。
○和田静夫君 私が言ったとおり。そこで、上部団体接待費というのがございますね、上部団体接待費、これは一体何で存在しているんですか。
○説明員(渋谷敬三君) 先ほど申し上げましたように、体育協会は競技力強化事業委託に関する基準というのをつくっておりまして、これは札幌オリンピック冬季大会に関連いたします基準でございますが、この基準に照らして一々審査をして支払っております。その中には要するにいま先生の御質問の趣旨のものはございません。したがいまして、そういう接待費などは体育協会からは払われておらない。つまり、体育協会が支払いますものは、選手諸費といたしまして旅費、宿泊費、それがさっき申し上げた基準、それからコーチの諸費といたしまして旅費、宿泊費、それから会場費といたしましていろいろ競技をやるための会場の借り上げ料、その場合の会場整備の賃金、それから用具費といたしまして消耗用具購入の用具費、それから用具の運搬費、それらの費用だけが支払われておるわけでございます。
○和田静夫君 そうすると、巷間伝えられた上部団体接待費というのはないわけですね、これは週刊誌や新聞等に出たやつはないと、私どものほうでもう少し調べますけれども。
○説明員(渋谷敬三君) 体育協会の予算は、事業費はそういうわけで、国庫補助金、それからスポーツ振興資金財団からの資金、それから競技団体の負担金、約四割、四割、二割というのが予算に組まれておりまして、その事業費をいま申し上げた基準で支払っておるわけであります。もしその種のものがあるとしますと、スキー連盟自体が別に若干の費用を出しているということがあるかと思います。それから、新聞でいろいろいま伝えられておりますものは、結局書類上支払ったという金と実際支払った金に差がある、その差をそういうものに使ったのではなかろうかということがいわれておるわけでございます。
○和田静夫君 そうすると、そのいわゆる差が私の言うところの上部団体接待費的なものに使われているとすると――仮定ですが、これから調べる部分でしょうが、スキー連盟にもこの事件は及んでいるというふうに見なければなりません、上部団体の接待費にそういう形で使われているとするならば。
○説明員(渋谷敬三君) これも、いま和田先生も仮定であると、私どもも新聞報道でだけ、そういうことではなかろうかということしか承知していないわけでありますが、いろいろ選手を合宿に運ぶための車ですね、そういうものの購入費とか、その修理費とか、その燃料費とか、それからそういう選手に少し栄養をつけるための金とか、それから役員の接待費などに使ったのではなかろうかということが報道されておるわけでありますけれども、それも今後司直の捜査がもっと進まないとわからないわけでございます。
○和田静夫君 もう官房長官が来るようですから急ぎますが、このオリンピック参加の競技団体で法人化されているのは幾つあるのですか。
○説明員(渋谷敬三君) 先ほど申し上げましたように、今回の札幌オリンピックに関係いたします競技団体で法人化されておるものは現在ございません。
○和田静夫君 そこで、そういうような状態だから不正使用という不祥事を生む要因になっているとはお考えになりませんか。
○説明員(渋谷敬三君) そういう点も確かにあると思いまして、先般体育協会を指導、助言いたしました際に、できるだけ早く公共的責任を持てる法人にするようにという助言をいたしました。
○和田静夫君 これだけ巨額のいわゆる資金を使いながら、金の経理の面は強化部長と経理担当の総務の二人だけにまかせていた、こういう点もたいへんルーズでしょう、いかがですか。
○説明員(渋谷敬三君) 御趣旨の点があるかと思います。
 ただ、いずれにしても、まあ率直に申し上げまして、自分の本職をなげうってやっておられる方でございまして、それから体育協会も、毎日八時、九時まで仕事をしているようなわけで、体育協会自身も、できればそういう競技をやっているところに経理に明るい職員を派遣して合宿のつどやりたいが、現実問題として毎日まあ八時までも残ってやっているような状態であるというようなことで、ただ、いま先生の御指摘のようなこともありますので、そういう事務的能力のある面の強化ということも今後十分考える必要があるという問題が残っておると思うわけであります。
○和田静夫君 会計検査院にちょっと尋ねますが、この札幌オリンピック強化費として、いまお聞きのとおり、国庫補助が昭和四十二年度から実施されている。これに類することはいままでもずいぶんあったということを灰聞をいたしますが、会計検査院はどういう監査を行なってこられましたか。
○説明員(柴崎敏郎君) 私どものほうでは、体協に対しましては過去四十三年に検査をいたしております。その前は一年ぐらいずつ置いて検査をいたしておりますが、四十三年以来は二年ほど検査を省略して、ことしまた検査をいたす予定でおりましたところが、こういう事件が起こってしまいまして、実は九月の二十一日に検査の予定で通告をしておったわけでございますけれども、このような事件がありまして体協のほうでもちょっと取り込んでおると、こういうこと。また、証拠書類等も検察庁のほうの手に渡っておりますので、しばらく様子を見ておりましたが、いつまでもほうっておくわけにもまいりませんので、実はきょう七名の職員を派遣して体協の検査をいたしております。
 それで、先生のお尋ねの観点でございますけれども、要するに体協に行っております私どものほうの観点といたしましては、補助金が適正に執行されているかどうか、こういう観点で検査をいたしておるわけでございまして、過去におきましては取り立てて私どものほうで気づいたような点はございませんけれども、たとえば体協と各種競技団体との間の金の経理につきまして、体協のほうで十分な内部チェックができるようにというような助言はいたしております。
 以上でございます。
○和田静夫君 処分について伺いますが、クレー射撃事件では、射撃の協会内部の問題であるのに、体育協会から除名されましたね。福永健司さんに代表される。
 今回の事件は、国民の税金である国庫補助金の横領ということで、非常に重大であるにもかかわらず、厳重警告だけにとどまった。ここはちょっと国民としては納得のいかないところですね。冬季オリンピックを意識して処分が甘過ぎるのではないかというちまたの声があります。何が何でも冬季オリンピックだけは成功させたいということだと思うのですが、一体こんな不祥事をしてオリンピックを成功させなければならないのか、これではもうオリンピック精神に明らかにもとるのではないか。
○説明員(渋谷敬三君) 体育協会としては、今回の事件にかんがみまして、慎重に御検討になったわけでございますが、クレー射撃協会の場合は、日本クレー射撃協会が全国を統括する団体としての統制力に欠けておる。それから、それとも関連いたしまして、アマチュア規定を守る能力に欠けておるといいますか、現にそういうような事件がいろいろございまして、要するにアマチュア規定に違反の事実が一つございました。また、自今、そういう能力に欠けておるのではないかということで、体育協会を退会させることにいたしたわけでございますが、今回の事件につきましては、選手には別に、当然アマチュア規定違反とか、そういったような何のあやまちもない、結局スキー連盟の一部の役員にそういう容疑事件が起きたということで、しかし、そういう容疑事件が起きた以上、責任は明らかにして再建を考えたいと、やっておられますわけでございます。クレー射撃協会の事件とは内容が本質的に違うということで、そういう処置をとられたと聞いておるわけでございます。
○和田静夫君 このスポーツ界に文部省の監督が強化されるのは、戦時中の苦い経験があるので、好ましいことではありません。しかし、これだけ巨額な金を競技団体に交付をする、体育協会にですね。もっと独自に正しい補助金の使い方というものを指導すべきではないか。金を交付する場合にも、その経理の体制がきちんとしていない団体には交付しないくらいの、そういう態度が望ましいのではないか。体育協会のそれぞれにまあ有名な政治家を頭に置かなければならぬという運営ね、こういうところにもやっぱり私はいま指摘をするようなこととの関連でいろいろ疑惑を生むようなことになりますからね。そういう点はどうお考えになりますか。
○説明員(渋谷敬三君) 今回の容疑が一部新聞に出ました直後に、文部省でもその関係の書類を事務監査をいたしたわけでございますが、すでに四十五年度文部省に決算報告がありましたものどおりのいろいろな公給領収書その他きちんとそろっておりました。それから体育協会も、そういうようなことで、先ほどの基準に照らしまして厳重に審査をしておったわけでございますが、それらの書類上のものと実際が違うのではないかということで司直の捜査が進められましたことは、たいへん遺憾な事件が起きたわけでございますが、そういうことで、体育協会としても、各競技団体に、競技団体自身がもっと事務体制をしっかりしてもらいたいということと、それから内部監査の体制をもっとしっかりしてもらいたい、それから体育協会自体も自今そういう監査をもっとしっかりやりたいというふうに今回の事件で反省をし、また指導をしているところでございます。
○和田静夫君 官房長官もお見えになったし、私の持ち時間の関係もあるからもうやめますが、一つだけ資料要求をします。昭和四十五年十二月十六日の衆議院文教委員会の議事録をずっと読んだのです。その中で、社会党所属の木島委員に対するクレー射撃の問題をめぐる統一見解をお示しになる約束がなされております。その統一見解をひとつ、福永健司会長に代表されるクレー射撃問題で一連する統一見解――文部省はわかりません、わかりませんということになっているのですが、私もこれはちょっと突っ込んでそこの質問がしたかったのですが、時間がなくなりましたので、きょうは、統一見解だけを明日中に私のところに届けていただけますよう、資料として要求しておきます。よろしいですね。
○説明員(渋谷敬三君) 承知いたしました。
○和田静夫君 それでは、文部省けっこうです。
 官房長官の御出席がありましたので、なるべく外務省で済ませようと思ったのですが、どうもそうはいかなくなりました。したがって、中国問題でまず第一に一、二お聞きをいたします。言ってみれば、二十二日の佐藤総理の発言  アルバニア決議案が先議されることがないよう、いままでの経過から見て逆重要事項指定決議案が決議案件だから先議されると思う、これがそうならなかった場合の政治責任をどういうふうにおとりになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 突然のお尋ねでありますが、外務省と和田委員とのやりとりの経過を存じないままに入っておりますことを御了承いただきたいと思います。
 いわゆる逆重要事項指定決議案が、これが手続案件であるだけに先議になる可能性を包蔵しておるというのは、まあ従来の重要事項がそうであったということから来る可能性を包蔵しておると、こういう考え方でございます。しかし、これとて、本会議において先議すべきでないという一方の考え方のもとに、そういうふうにいかない場合が一応予測の中では考え得ることであると思います。しかし、これは、今日この票差というものは一般的に申しましてまあ五分五分であるとこう言われておる実情でありますだけに、その可能性というものを包蔵しつつその方向に進んでおる今日、仮定の事実に対して政治責任という形でいま断定することは早計ではなかろうか、こういう考え方であります。
○和田静夫君 佐藤総理も、この問題は普通の政治責任と違う、これは国際的感覚の問題である、国際的な多数決できまる、個人、一内閣の責任というのはどうかと思う、こう言っています。いまの答弁も含んで、何のことかわからないんですが、国際的な多数決できまるから内閣の責任ではないというのは、これはあまりにも子供じみた論理ではないか。国際的な多数世論がどうなっているかがまさに国益にかかわるものである以上、その判断の成否は内閣の責任として意識されるのは当然ではないか。ところが、外務当局もさっきからそういう意識はない。いまの御答弁の中にも、やはりその意識はない。この辺は、官房長官、まさに明日をになうところの政治家ですから、ひとつその若さでしっかりしたところを聞かしてください。
○国務大臣(竹下登君) 和田委員こそ私より若いあすをになう政治家であるというふうに、私も尊敬いたしております。ただ、この問題につきまして、逆重要事項指定決議案の共同提案国になるということ自体に対しては、国際的に、今日までの国民政府ということのみならず、アジアにおける友好国家のもろもろの観点から、その信頼をつなぎとめる大所高所から結論を総理がされたことであるというふうに理解をしております。したがって、そういう問題が、私は、国際会議の多数が自分の意図する方向が少数で破れた場合は、これはすべて政治責任につながるという考え方は必ずしもとっておらないところでございます。国際会議でございますだけに、いろんな案件で日本の提案というものがいままでも敗れたこともございます。しかし、和田委員の政治的な感覚で御発言になりましたとおり、これが国内的にも国際的にも大きな関心事でありますだけに、普通のこのもろもろの国際会議の中で日本の主張が通らなかったという場合とその意識の度合いというものが違うという点は私にも理解ができるものでございます。しかし、いずれにしても、この仮定の事実に立っていま私が政治責任の所在というものを明確に述べるということは差し控えさせていただきたいと、このように思います。
○和田静夫君 私のほうとしても、私の見解を述べましたけれども、そのことを十分勘案されながら今後に処していただきたい、その意見だけ述べさしていただきます。
 そこで、時間もないので次に移りますが、宏信政経研究会、これは大蔵大臣水田三喜男後援会で、金融、証券、鉄鋼その他日本の有数の財界人を発起人として設立され、その入会呼びかけが各方面になされているのですが、これを御存じですか。
○国務大臣(竹下登君) 宏信政経研究会というのは、実は御質問があるやに承りまして、いま閣議後の記者会見のあと私の手元へ趣意書と会則、これは先生のお持ちのものと一緒であるかどうかまだ比べてみないとわかりませんが、持参いたしております。
○和田静夫君 ちょっと見ていただきたい、こういうものです。
 それで、二、三質問しますが、これはいま官房長官がお手元にお持ちのものを含んで同趣旨のものでしょう。これは大体東京の信用金庫を中心にしてばらまかれたものでしょう。そこには昭和四十六年八月二十一日付東調布信用金庫理事長長久保定雄という名前でまあいろいろのことが言われているわけです。そこで、これは明らかに実は間接的な贈賄をにおわせるものではないかということを思うんです。私は、これは大蔵大臣御本人の意思であるなどと思っていま取り上げているのではありません。関係するところだけちょっと読みますと、「雑金融機関と称せられたる信用金庫が預金高八兆円をこえる資金量を有する迄に成長発展致しました。」「このように申し上げることができますのは、信用金庫法を議員立法として立案し、国会に於て提案理由を説明せられ、信用金庫法を制定せられた生みの親」であり、また「大蔵大臣として、暖かき愛情を以て信用金庫の指導育成に当られた水田三喜男先生の御功績が、真に大なるものでありますことは」云々、「我々信用金庫もこぞって後援会に進んで参加し、信用金庫が今日あることに対する感謝の意を表すると共に、水田先生が」「今後共我々信用金庫界の向上発展の為に益々ご尽力」云々、こういうことになっているわけです。こういう形のものが、本人の意思はいかんとしても、現職大蔵大臣の後援会として出されている。そもそも監督官庁の長の後援会がその監督下にある団体に寄付を依頼したら一体どういうことになるのか、これは依頼された団体にとって客観的には脅迫とさえ受け取られかねない。政治資金規正法と政治家の姿勢がいまきびしく問われている。こうしたことは差し控えるべきではないか。ましてや、円問題で国民に対する強力なリーダーシップを要求されている大蔵大臣の立場を考えてみても、政治道義上の問題として、こうした後援会の呼びかけというのは辞退させるべきではないか、いかがお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) これは政治資金規正法の届け出団体、そしてもとより法律的には責任者にもなっていない場合が多い。それが特定の政治家だれを後援する会であるとかというようないろいろな関連性もあろうかと思います。その中で、私自身感じますことは、もとより水田現大蔵大臣とその行為そのものは直接結びついたものではない、これは私もそのように断定できると思います。しかし、まあひいきのあまりということばも、表現がいささかぎごちない表現でありますが、その後援者の方が、今日の水田大蔵大臣の地位そのものが非常になめらかに定着する方向に会員の募集を行なうということは、好ましいことではないというふうに考えております。ただ、これ自身、宏信政経研究会の発会自体はもとより大蔵大臣の現職の姿でおやりになったものではない、発会されたものじゃないというふうに理解しておりますが、ここにありますいま先生の資料でございますが、昭和四十六年八月二十一日ということになれば、これは閣僚におなりになってからと、こういうことになりますので、ある意味においては、政治家水田三喜男先生に非常なる善意をもって後援活動をしようとするお考えであったにしても、それはむしろその善意の後援者自体にこの種の行為は御遠慮していただくという配慮が必要なものであろうというふうに理解をいたしております。
○和田静夫君 私もぜひ、やっぱりそういう取り扱いを、閣僚でありますからね、せられるべきだと思う。そうした後援会の呼びかけが客観的にどういう動きを誘発するかという一つの実例だけをあげておきますが、これは大蔵省にお聞きになっておいてもらいたいと思うのですが、西武信用金庫というものがあります。これはたびたび決算委員会で私は問題にいたしました。そこの理事長の小原さんはいろいろの不祥事件を起こして大蔵省からいま辞任勧告がなされているわけです。おそらくあさってぐらいの大蔵委員会では報告を私はされることと思うのですが、その人が、九月二十七日ですから昨日、信用金庫健保会館に、その趣意書を信用金庫に配った長久保定雄さん、この方をたずねているわけですね。そして、水田後援会のことについて話し合うと同時に、水田大蔵大臣から仲介をしてもらいたい、自分のいまの立場上の問題を仲介をしてもらいたいという問題が昨日起こりました。それとのかね合いでもって、この後援会に私たちはもろ手をあげて入っていきましょうというような趣旨です。こういうようなことになっていきます。そういう意味で、私はまさか水田大蔵大臣ほどのできる方がそういうばかげたことに応じられるはずはないと思いますが、そうした後援会の入会呼びかけといったものを受け取った側というのは、往々にしてそういう動きをするものだということをやはりわれわれは肝に銘じておかなければならないと思います。同様の問題がもう一つあるわけですが、それは官房長官、ちょっとすみませんが待ってもらいます。
 労働省の雇用問題研究会、これはどういう団体ですか。
○説明員(住榮作君) お尋ねの雇用問題研究会は、社団法人としまして昭和二十三年の八月に設立されております。そこで、この雇用問題研究会の目的は、「広く雇用問題に関する周知を集め、もって雇用問題に関する調査、研究並びに知識の普及宣伝に貢献すること」、これがこの会の目的でございます。
○和田静夫君 一口に言えば、公益の法人であるということに聞違いありませんね。
○説明員(住榮作君) そのとおりでございます。
○和田静夫君 その役員名をちょっと教えてください。
○説明員(住榮作君) 現在、この研究会の会長は吾妻光俊さん、それから理事長が西村亮二さん、理事が松本洋さん、同じく理事斉藤邦吉さん、幹事、桧垣元一さん、こういうのが役員の構成でございます。
○和田静夫君 そこで、斉藤邦吉さんの政治資金規正法上の後援団体として斉藤研究会というのがございます。この斉藤研究会がいま言った公益法人雇用問題研究会から政治献金を受け取っておるという事実があります。これは自治省、いかがですか。
○説明員(中村啓一君) 斉藤研究会に対しまして、ただいま問題になりました雇用問題研究会が過去四十五年まで、三十八年から四回にわたって献金がなされておる事実がございます。三十八年下期に百万円、四十一年下期に百五十万円、四十四年下期に二百六十万円、四十五年上期に三十万円であります。
○和田静夫君 そこで官房長官、これで官房長官に対する質問をやめますが、公益法人の理事が自分の政治団体に献金するなどということは、これはもう私は背任の疑いさえ出てくるが、官房長官いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 私も不勉強でありますし、それから法律の知識は、まああんまり詳しいほうではありませんが、この法人は国庫の補助金を受けておる団体ではないようでございます。その限りにおいては違法性というもの、法律上違法であるということはなかろうというふうに私は思います。ただ、この問題に対して、まあ論理づけはいかようにでもできる課題ではありますものの、いま和田委員が御指摘のような御指摘を受けることそのものにやはり慎重を要する点がありはしないか、こういうふうにとっさでございますので、私の感想を述べさせていただきました。
○和田静夫君 先ほど私確認したのですが、これは国費が投入されている公益法人ですね、さっき御答弁があったとおり。したがって、国民としては、ともあれ国民の血税の一部がつぎ込まれているそういう法人、それが一政治家に献金をするということになれば憤慨するのが当然。これは自治省、法的にはどうなんですか。
○説明員(中村啓一君) 和田先生、十分御案内のところと存じます。現在、政治資金規正法におきまして、いわゆる政治資金についての規制として定められておりますところは、国なり地方公共団体から補助金等の財政援助を受けております会社なり法人なりから寄付を受けるということは規正法の二十二条では禁止をされておりますが、この禁止は、選挙に関して寄付を受けることを禁止されておるというところでございまして、したがいまして、選挙に関する寄付という挙証がない限りは直ちに政治資金規正法にもとるということにはなるわけではないという事情にございます。
○和田静夫君 その選挙ですがね。あなた方は選挙が告示されてからですが、しかしながら選挙運動というのはいつから始まっているか。選挙というのは、そういう意味ではたいへんむずかしい問題ですよ。いまそのことを深入りしようとは思いません。
 労働省ですね、いま社団法人雇用問題研究会が昭和三十八年下期から四十五年の上期までに五百四十万円を斉藤研究会に献金をしているわけです。ところが、これは自治省に届けられておりますからその限りでは明らかなわけですが、ところが、雇用問題研究会の収支報告書を見ますと、どこにも政治献金をした事実の記載がなかったんですよ、これはどういうわけですか。
○説明員(住榮作君) 御指摘のとおり、政治献金をしたという収支決算書等におきます明確な数字はございません。私ども、この雇用問題研究会は、一般会計と出版会計、この二つに分かれておりまして、出版会計の中の販売費及び一般管理費の明細の項目に寄付金という項目がございますが、おそらくそこから御指摘のような政治献金がなされておるのじゃないか、こういうふうに考えます。
○和田静夫君 実は、雇用問題研究会の会長の吾妻教授に尋ねましたところ、報告書などは見たことがないというような言い方をしております。で、会長が研究会の収支報告書を見たこともない、社団法人たる雇用問題研究会というのはそういう運営をしているところですか。
○説明員(住榮作君) 会長がどのようにおっしゃったか、私どもそこまで調査はいたしておりませんが、いずれにいたしましても、この定款によりますと、総会及び役員会がございまして、そこにおきましては、収支決算書その他について付議をする、こういうことになっておるのでございまして、役員会において、収支決算書なり財産目録なり、あるいは事業概況、こういうものがきちっときめられておるものだと、こういうふうに承知いたします。
○和田静夫君 資金の内容については、会長なんかには見せません、そういうことになっておるわけですかね、いまの答弁総合すると。とにかく時間がないからもう一つだけ言っておきますが、この前私が取り上げた雇用促進事業団、労働省傘下の雇用促進事業団をめぐる疑惑というのは、衆参を通じてきびしく追及をされてきたところですが、そのときこの斉藤研究会に関東物産という疑惑の中心的な会社が献金していることが問題となっておりました。その後調べてみますと、相当数、関東物産だけではない、名工建設、大成建設、大木建設、岡本組、浅沼組、戸田建設、勝村建設、常盤開発、三輪建設、こうしてくると、これは雇用促進事業団の施設を建築したおもな建設会社で、これが元労働省事務次官のために献金をしている。こうした事態について何の反省も労働省側にはございませんですか。
○説明員(住榮作君) いろいろ雇用促進事業団につきまして、本委員会においても、あるいは衆議院においてもいろいろ御意見を承ったのでございます。私どもそういうことにつきまして調査もいたしましたし、同時に、今後そういった問題が起こらないように事業団とも十分連絡、あるいは指示をいたしまして、いろんな点におきまして業務を厳正に執行していく、そしてまた、それを担保するようないろんな面での体制も固めております。そういう意味で、今後いやしくも事業団の業務をめぐりまして、いろんな御指摘、御意見、疑問点、そういうことのないように厳正にやっていく考えでおるわけでございます。
○和田静夫君 それならば、労働省の決算のためにちょっと資料要求をしておきますが、そういう御答弁ですが、労働福祉事業団、労働福祉共済会、株式会社共済商事、これは御承知のとおり同居しておりますね、小川町かどこかに。役員も重複しています、混居している、混然一体となっている。それぞれの性格さっぱりわからぬですが、そこで、昨年すでに発注をされた骨つぼ、この関係の骨つぼの現品を私に資料としてください。それからもう一つは、契約関係がわかる一切の資料、たとえば何個、単価は幾らでどの会社を通じてどこの会社に、それから、あの骨つぼの意匠登録、その意匠の特許権ですか――のいわゆる帰属先、それから意匠の値段、こういうものを含んだ契約関係一切のわかるものを急いで私に届けてください。
○説明員(岡部實夫君) ただいま御要求のございました資料につきましては、関係者に至急ただしまして、できるだけ早く調製をいたしましてお届けをしたいと思います。
  〔理事中尾辰義君退席、理事和田静夫君着席〕
○西村関一君 時間がありませんから簡単に質問をいたしますが、また、政府委員のほうも簡潔に要点についてお答えをいただきたいと思います。
 本日の質問は、同和対策事業についての問題ですが、特別措置法が六十一国会で成立をいたしました。同和対策長期計画というものがなされたのでありますが、すでに二年を経過いたしております。この間、この法の趣旨に従い、また、同対審その他の各機関のアドバイスによりまして、政府は同和対策事業に格段の努力を払っておられると思うんでございます。先般、八月三十一日でありますか、部落解放同盟の全国大会が東京の台東体育館において開かれまして、私もこれに出席をいたしました。そのあと、政府各省との統一交渉が行なわれたんでございますが、これに出ていまして、二年も経過しているけれども、十分な法の趣旨が達成されてないという感を受けたのであります。特に、当日政府を代表して閣僚の一人であられます山中総務長官がこの大会に出席をせられまして、少なくとも、四十七年度の予算におきましては四十六年度の予算の三倍に及ぶところのものを計上したいと政府は考えている、皆さんもさらに一致団結せられてがんばっていただきたい、こういう趣旨の祝辞を述べられたのであります。私は、山中総務長官のこの祝辞によりまして、政府も前向きの姿勢をもってこの問題に対処しようとしておられるということを感得することができまして、その点におきましては、私は評価をするにやぶさかではなかったんであります。しかし、いろいろな現状から推察いたしますと、二年も経過しているのに必ずしも前進をしているということは言えないというふうに感ずるんであります。
 そこで、まず概括的なことでございますけれども、総理府はこの問題に対して各省庁との連絡関係においてどういうふうに評価しておられるか、また、どういうふうな姿勢で対処しておられるかということを総括的にまず伺っておきたいと思います。
○説明員(今泉昭雄君) 総理府といたしましては、同和対策事業特別措置法及び同和対策長期計画に即しまして同和問題を所定の期間内に解決する決意のもとに、本年六月一日を基準日といたしまして各省とともに全国実態調査をしております。また、予算の面におきましては、各省から財政当局に対します要求提出の前の段階から、重点事項について説明を聴取するということをやりまして必要な調整を行なっております。それから、編成の段階におきましても、各省の調整を受けまして側面からできるだけ援助してまいる、こういう所存でございます。
○西村関一君 調査の進捗状況はどうでございますか。また、各省との連絡調整を通じましてどういうふうな方向で対処しておられますか、伺っておきます。
○説明員(今泉昭雄君) 調査は六月一日に行ないまして、現在、各地方団体から調査表が総理府のほうに届けられておる段階でございまして、至急これの集計を行なってまいりたいと思います。また、各省との連絡調整につきましては、同和対策協議会という協議会がございますが、その協議会の幹事会といたしまして、各省の連絡会議をひんぱんに開きまして種々の連絡調整をはかっておる次第であります。
○西村関一君 それと地区内の声はどういうふうに受けとめようとしておりますか。
○説明員(今泉昭雄君) 地区内の声につきましては、行政の面からは全同対といいます全国同和対策連絡協議会が行政機関の連絡会議でございます。それと会合を開きまして各地方の同和関係の対策者といろいろ実情を調査する、それから、各地方の方とたとえば前回は九月一日に交渉がございました。また、この十月にも別の団体からの陳情要請もございまして、そういうような陳情につきましては、そういう陳情の段階を通じまして実情把握につとめております。
○西村関一君 別の団体とか連絡協議会のほうの団体で話を聞いているということですが、総理府でつかんでおられます同和地区の団体というのは幾つぐらいありますか、その名前、勢力分野をおっしゃっていただきたいと思います。
○説明員(今泉昭雄君) 現在三つの団体がございまして、住民の団体につきまして部落解放同盟というのがございます。それから部落解放同盟から分かれました部落解放同盟正常化全国連絡会議というものがございます。それから全日本同和会という会、この三つがございます。また、各地区にその支部がそれぞれ設けられております。その構成、人数等についてはちょっと不明でございます。
○西村関一君 人数が不明だということは、それは非常にあなたのほうとしては怠慢だと思うのですね。そういう点をはっきりつかんで、どの地区にはどうということも含めて、そういうことをはっきりつかんでおられないと行政指導がやはりできないと思います。私の承知しておる範囲におきましては、いまあげられました同和会でありますとか、部落解放同盟正常化全国連絡会議、その二つにつきましては、地域的にも、人数的にもそう大きな数ではないというふうに承知しておるのです。そういうことについては、あなたのほうでは正確にその情勢を把握しておられるということが必要だと思うのでありますが、その点につきましても、いま御答弁願えなければ、これはひとつぜひ資料として提出をしていただきたいと思います。
○説明員(今泉昭雄君) 調査いたしまして提出いたします。
○西村関一君 そこで、私は一つの事例といたしまして、先般の解放同盟の大会の各省統一要求の席において大きく取り上げられました愛媛県の同和対策事業についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、自治省にお伺いをいたしますが、愛媛県の場合は、いまお話のございました同対協――同和対策協議会というものの会長を現職の知事が兼ねておられるということでございまして、つまり法によって責任を負わなければならない地方自治体の県の首長であるところの知事が、この要求を持っていくところの側の同対協の会長をしておられるということは、これはまあ民主的に選ばれましたのだと思いますけれども、そういうこと自体は私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのでございます。これは特別措置法が制定されます前でありますならば、そういう形もあったかもしれませんけれども、特別措置法が制定せられまして、国及び地方自治体がこの法の達成のために協力し合っていくということがうたわれているのでございますから、知事が同対協の会長をきれるということはおかしいとお考えになりませんですか、いかがですか。
○説明員(小山省二君) 先生御承知のとおり、愛媛県におきましては、従来部落解放同盟と同和対策協議会という二つの団体がございましたが、三十六年の四月からこの二つの団体が一本になりまして、愛媛県同和対策協議会というのが結成されたわけでございますが、この二つの団体が、結成された機会に、たまたまこの合同の会長に当時の松山市長さんが選出をされまして、以来二カ年間松山市長が会長の職にあったわけでありますが、三十八年の大会のときに、愛媛県の知事がこの大会で会長に選出をされたわけでございます。いま御指摘になりましたように、要求する側の立場と、これを受けて仕事をする立場の知事とが、両方兼ねた中で会長をしておるというようなことは、確かに一見ある意味においては矛盾したような感じを持つわけでございますが、まあ御存じのとおり、同和対策事業を官民一体のもとに、できるだけ早期に問題の解決をはかりたいという、おそらく考え方から、知事が会長に選ばれたものと思うのでありますが、したがいまして、私どもといたしましては、その選任がきわめて民主的な方法で選ばれたといたしますると、その選出の方法に、自治省としていなやを言うということもいかがかと考えまして、私どもはこの選出の方法さえ民主的であれば、自主性に待たなければならぬというふうな考え方で善処いたしておる状況でございます。
○西村関一君 政務次官がおっしゃる点も一応ごもっともだと思いますが、しかし、実際に愛媛県におきまして同和対策事業が円滑に行なわれているかどうかということが問題だと思うわけです。運営のあり方、いまのような形で、要求する側と要求を受ける側との長が同じ人であるということが、どのように民主的な方法でそういう結果が生まれたといたしましても、実際の運営なり、また、事業の推進なりが円滑に行なわれていなければ何にもならない。それが問題だと思うのでございます。で、そこのところを、自治省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。つまり、具体的に申しますと、いま行なわれております愛媛県会におきましても、県会を傍聴いたしました地区内の人たちが、議会を傍聴しながら、その態度もよくなかったんじゃないかと思いますけれども、かなり騒然たる状態が生じた。また、地区内の人たちが知事に面会を求めましても、知事は県庁の入り口という入り口を、守衛なり勤務中の職員なりに命じて閉鎖する、機動隊まで動員するということで、非常に厳重なかまえをして、結局知事は会わなかったということであります。で、県会議員が中に入りまして面会をするようにということをあっせんしたのでありますけれども、言を左右にして知事は会わなかったということであります。その真意がどこにあるかは私もわかりませんけれども、そういう事態が起こっておる。なお、いまも県会が開かれておりまして、そのことが議員の中から知事の態度を難詰していくという事態にまで発展しているということであります。そういうことが、これはまあ自治省としては、地方自治の問題でありますから、これに介入するべきでないという立場をとっておられると思いますけれども、これがたまたま同和事業に関連をいたしまして、その運営が円滑にいっていないという一つのあらわれだと客観的に受け取りましても、私は無理がないと思うのでございます。そういうことでございますから、私はこの際、自治省としても実態を十分に把握するために調査をしていただきたいということを考えますが、いかがでございましょうか。
○説明員(小山省二君) 従来、愛媛県にありました二つの団体が一本化をはかったということは、円満に同和対策事業を推進したいという私は趣旨ではなかったかと思うのでありますが、結果において、そのようなトラブルが起こったといたしますれば、当然自治省としても調査をしてみたいというふうに考えておりますが、御承知のとおり、愛媛県では五十五の同和対策協議会の支部があるわけでございますが、そのうち五十二カ所はその地元の市町村長が支部長を兼任しておるというような形で、まさに文字どおり官民一体で同和対策事業を推進しておるというのが愛媛県の実態でございますので、まあ私どもとしては、知事が会長に選ばれたことも、そういう趣旨で選ばれたのではないかというふうに理解しておったわけでございますが、いま御指摘のような、内部にそういう紛争があるということでございますれば、できるだけ早期に実態をよく調査をいたしたいというふうに考えております。
○西村関一君 同和対策協議会は愛媛県だけじゃなくて全国にあることは、もう政務次官御承知のとおりでございます。それは、民間の団体というよりも、むしろ政府の機関に協力する、どのようにして政府の方針なり県の方針なりを円滑に行なわしめるかということでできておるものなんであります。その同対協の各地方の支部の会長が町長とか村長、市長がなっているところもほかにもございますが、しかし、同時にやはり、民間の自主的に動いて起こってまいりました民間の団体、それは二つのものが一緒になって同対協になったんだという愛媛県の歴史的な過程があるかもわかりませんけれども、それは法が制定される前の時点でございまして、この特別措置法が制定せられまして後の時点におきましては、やはり受ける側、それから要求を出す側とが、これは全く別な者が責任者にならなければならないというふうに考えるのでございますし、また、愛媛県におきましては同和会というものがある、いま言われました部落解放同盟が二つに割れた、それが一つになろうという動きで部落解放同盟再建準備会というものができているというふうに聞いているのでございますが、いずれにいたしましても、部落解放同盟の者には絶対に会わないという態度を知事が示していなさるということは、私は非民主的ではなかろうかと思うのでございます。もちろん、会い方につきましても、知事が問題にせられる点があるんじゃないかと推測いたしますけれども、それはや、はり行政指導で民意をくみながら知事は進んで解放同盟の諸君に会うという姿勢を持たれるべきじゃないか。これは愛媛県に限らず、どこの府県の知事でありましてもやはりそういう態度でなければならないし、また、そういうふうにやっておられると思うのでございますが、愛媛県におきましては、そういうことで紛糾している、トラブルが起こっているということでございますから、いま政務次官が仰せになりましたように、ぜひ調査をして的確な事実をつかんでいただきたいと思うのでございます。
 で、これは先般解放同盟の大会におきましても、厚生省のほうからも厚生省主管の隣保館の問題でいろいろ論議が出ましたときに、これは直ちに調査をする、できるならば解放同盟の代表者とともに愛媛県の実態を調査するという約束がなされたのでございますが、その点、厚生省のほうはその後どうなっておりますか、お伺いいたします。
○説明員(蝦名真一君) 厚生省所管の隣保館のことにつきましては、愛媛県から先日報告を受けましたし、また、私ども別途に全国の隣保館の調査も実施し、ただいま集計しているところでございますけれども、この愛媛県の問題につきまして若干問題があるように思われますので、来月早々に現地調査をいたす予定にいたしております。このことにつきましては、ただいま西村先生から解放同盟の同行というお話でございましたけれども、一応行政の立場で、私どもが行って――係官を派遣をして現地調査をするという予定でございます。
○西村関一君 隣保館の問題ですが、地区内におけるところの地区のための隣保館が全国にどのくらいありますか、そうしてまたその運営状況はどういうふうになっておりますか。たとえば、概括的に言って、この隣保館は運営も活動も良である、あるいは非常にすぐれておる、あるいは非常に悪いというふうな三段階ぐらいに分けてみまして、全国的にはどういうふうな状態になっておりますか。
○説明員(蝦名真一君) 隣保館につきましては、現在約四百館近くの隣保館がございますが、この隣保館、大ざっぱに申しまして、大体三分の一程度が非常に活発に動いておる。それから、三分の一がまあまあ動いているんじゃなかろうか、あとの三分の一はもう少し活発に動いてもらわなければならないんじゃないかというふうな大体の推察でございます。これは先ほど申し上げましたような調査の結果でございませんで、いまいろいろな関係者の方、あるいは地元の方の話を総合してみると大体このように考えてもいいんじゃないだろうかというごく大ざっぱなめどでございます。
○西村関一君 法が制定されましてから二年以上たっております。もう少し的確な行政指導をなさる必要があるんじゃないか。隣保館がいまのように三分の一はだめだ、三分の一はよろしい、あとの三分の一はまあまあという程度だ、こういうまことに大ざっぱなお答えでございます。これではちょっとやはり行政の責任をとっておられます厚生省としては、私は指導、監督の責任は果たしておられるとは思えないので、特に問題が起こっております愛媛県の隣保館につきましてはもう即刻調査をするべきである、解放同盟と一緒にということは、あのときにはそういう話がありましたけれども、私は、いま生活課長が言われるように、厚生省独自の立場でさっそくその調査をするべきであるというふうに考えておりましたが、それすらいまだにやっておられないということでありまして、問題が起こっているところですから、問題の起こってない全体の調査は少しはひまがかかるかもわかりませんけれども、問題の起こっている愛媛県の隣保館につきましては即刻やはり調査をなさるべきでないか、私は、きょうはこの決算委員会におきましてそういうこともお話を伺えるかと思っておりましたが、できてない。と申しますことは、補助事業でございますね。ですから、補助金が適正に使われているかどうかということにも関係がございます。決算委員会としても、そういう観点からも関心を持たざるを得ないのでございます。これは隣保館だけではございません。同和対策事業全般につきまして、国の、つまり国民の金がどういうふうに適正に使われているかということを知るわれわれとしても義務がございます、責任がございます。ぜひそういうことについてはっきりと伺っておきたいと思うわけでございます。
 そこで、隣保館でございますが、一例をいま問題の起こっております愛媛県にとって、隣保館につきましては何館でございますか。
○説明員(蝦名真一君) 現在、十八館設置されております。
○西村関一君 その十八館は全部何々隣保館という名前を使っておりますか、あるいは他の名称を使っておりますか。
○説明員(蝦名真一君) 隣保館以外の名称を使っておりますものが、三つございます。三カ所でございます。
○西村関一君 私は、名称にこだわりません。実際、隣保館としての適切な運営をやっているかどうかということをその次に伺っておきたいと思います。
○説明員(蝦名真一君) 愛媛県の隣保館の運営につきましては、隣保事業といたしましては、このたび実は六月一日に調査いたしました調査結果を見ましても、隣保館の運営は行なわれてございます。ただ、一部の隣保館におきまして建物の一部を他に利用、貸しているという例が見受けられたところがございます。
○西村関一君 私の手元に参っております地区の人たちからの報告によりますと、十八館のうちの二、三の隣保館を除いて、ほかの用に供せられているものが多い。たとえば、漁業組合の事務所が隣保館の中に厳然と居をかまえておる、実際隣保館が漁業組合の事務所になっておる、あるいは社会福祉事務所がある、役場の支所がある、会議室、一般公民館としてやっているところもある。まあ会議室に使ったり一般公民館に使ったりするということはまだ許せるといたしまして、漁業組合の事務所になっている、役場の支所になっている、社会福祉事務所になっているというようなことは、それは目的を逸脱していると言われてもしかたがないと思うのです。これは国の補助でやっている隣保館、しかも、これは人件費の補助もついているわけなんです。ですから、専任の事務員、隣保館の主事がいて運営するんじゃなくて、そういう国の補助がついているところの人件費も、いま私があげましたような隣保館以外の目的のために使われている、そちらの仕事に従事している人たちのために使われているんじゃないか、こういうふうに疑われてもしかたがないんじゃないかと思うのです。これから調査をせられるのでありますけれども、これはもう電話一本でもわかることなんですから、その目的を逸脱しているような運営をやっているということについてはどうお考えになりますか。
○説明員(蝦名真一君) お答えいたします。
 隣保館の運営につきましては、そこを拠点として行なわれる隣保事業、これは先ほどのように専任の職員が配置されて隣保事業を行なっておるわけでございますが、隣保事業はいずれの隣保館においてもかなり活発に行なわれていたように報告を受けております。ただ、繰り返しますようですが、ただいま先生から御指摘ありましたように、その建物の一部を福祉事務所が使用する、あるいは漁業協同組合の事務所、事務室に貸しておったという例がございます。ただ、そういうように設備を一部貸したということがございましたけれども、隣保事業そのものはこちらの補助金の交付の趣旨のとおりに行なわれ、また、その対象となった職員も設置されておりまして、その職員が隣保事業に従事しておったという報告を受けております。
○西村関一君 そういうことをおっしゃるなら、私はここに詳しい資料がありますから言わなければならないのです。私はこの資料が信憑性があるということは、自分が行って調査したのではありませんからそこまでは言いませんけれども、いま厚生省の生活課長が言われたように、ごく一部を貸しておるというが、やはり大部分は隣保館本来の事業をやるための運営がなされておるというのではないということが、この資料にあらわれておるわけなんです。ですから、これが間違いであるなら間違いであると言っていただいてけっこうなんだけれども、そうならば、私も質問した以上、事実を調査に行かなければなりませんから、こういうことが、補助金が適正に使われておるかどうかという問題と関連いたしまして、愛媛県における同和対策事業の問題点になっているということは事実なんでございますから、その点で御質問申し上げているわけなのであります。一々館の名前を申し上げませんが、備考欄を見ますると、福祉事務所が占有しており地区住民の利用なしというのがあります。公民館と同居し地区住民の利用ほとんどなしというのがあります。活動停滞、単なる地区集会施設程度にしか利用されていない、しかも使用料を百円とっている、それから燃料費をその上に百円とっている、これでは私は隣保館の姿とは言えないと思います。それから、公民館に占有されているので主事はこれに協力しているという程度であるというのがあります。それから、保育所併設、公民館の活動なし、これは広義に解釈すれば保育所も大事な地区の活動でございますから、私はこういう問題にはこだわるつもりはございませんけれども、さらに館活動なし、漁業組合に占有――一部貸しているんじゃない、漁業組合に館自体が占有されている、全部使われているというふうに書いてございます。それから、役場の支所と診療所が同居している、役場の支所がある、それから診療所が同居している。小さな建物でしょう、隣保館は。そんな大きな建物はどこにもありません。その小さな建物を役場の支所が使い、診療所が同居しているというならば、はたして隣保館活動ができるかどうかというふうに疑わざるを得ません。活動状況が良好であると言われておりますのは、十八館のうち二、三にとどまっているのであります。こういうことでは、私は問題にされてもしかたがないのじゃないかと思います。これがさきに自治省の政務次官にお伺いいたしましたように、やはり知事が同対協の会長でありまた同時に知事であるというようなことが、下上に従う、ならうということで、やはりずっと各市町村に至るまで、そういういわば非民主的な運営が、官僚的な運営がなされておるというふうに言われてもしかたがないのじゃないかと私は思うのでございます。また、さらにこの隣保館をつくるときに、これは国が一応よろしいということを許可しなければできないはずですね。その前には、市町村と県とが協議してどこにつくろう、さらに県と国との話し合いの結果その位置がきまるということだと思いますが、その点そうなんですね、間違いありませんか、どうですか。
○説明員(蝦名真一君) 県から出てくる前の段階ではどのような話し合いがいたされているかわかりませんが、最終的に隣保館の設置についてそれをきめるのは厚生省でございます。
○西村関一君 その点、まあ一応県の決定を厚生省としてはお認めなさるというのが従来の慣例だと思いますけれども、やはり問題があるときには、問題が起こってるときには、それらの点は、厚生省としてはめくら判を押すのじゃなくて、やはり問題のありかを的確につかんで、その位置の決定をしなければならないと私は思うのであります。
 で、昭和四十五年度までに建築された十八館のうち二、三を除いては、すべてその地区から数キロ離れた地区外に設置されておる。で、役場の中に隣保館をつくってる、役場の敷地内につくってるところもあるわけです。地区からずっと離れている、数キロも離れているところに建てられている。もちろん私も必ずしも地区の中に隣保館がなければ隣保館の運営はできないというふうには考えません。それはいろいろなそれぞれの地域の実情がありますし、また、地域住民のいろいろな心理的な影響もありますから、必ずしも地区内に限るというふうには私個人としては考えませんけれども、地区の人たちが利用するのに不便な場所になぜ選定しなければならなかったかということを私は問題にいたします。その点につきましては、これも資料がございます。この何々隣保館は地区外にあって地区の人がほとんど利用できないところにあるということがずっと出ておりますが、そういう位置の選定、これはまあどういうことでありますか、これは調査しないとわかりませんけれども、漁業組合が使ってるとかあるいは役場の支所になってるというようなことと関連をいたしまして、地区の住民が隣保館として十分に活用できないようなところに置かれているということは、私は一つの問題じゃないか。前段申し上げましたように、必ずしも全部が全部地区内にとは私申しません。しかし、それがやっぱり本来の姿ではないか。地区の隣保館でありますから地区内につくるべきだと思います。これはやはり公民館とは若干違いますから、隣保館の性格から申しまして地区内につくるべきだ。しかし、地区の人たちが利用できないような隣保館の位置の選定ということは私は問題があると思うのですが、いかがですか。
○説明員(蝦名真一君) 隣保館の配置につきましては、以前に二つ、あるいは三つの地区の住民が共同利用するというふうな構想のもとに、かなり地区から離れたところに建設した例がございます。これは他にも例がございますが、実はその当初はそういうことで隣保館の効率的な運営、あるいは地区住民がそのために非常に生活を向上することができるという構想のもとに建てられたわけでございますけれども、その後実際運営をいたしてみますと、いかにも地区から遠いところは住民の利用に不便であるということが反省されまして、現在では地区内、あるいはまあわれわれ対象地区という場所のほかにさらに――隣保館の対象地区ということばを使っておりますが、地区の周辺でそこに置くことによって一般の住民とも非常に交わりが深くなる、あるいは便利を供することができる、あるいは地区内に適当な土地を求めることができないということで、地区の非常に近いところにつくることはございますけれども、住民の利用に不便なような、地区から遠く離れたところには現在では配置させないということで指導をいたしております。
○西村関一君 そういうたてまえが愛媛県下における隣保館において守られているかということについても、今度の調査の中ではっきりしていただきたいと思います。
 それから、隣保館の人件費の使途でございます。これは専門の主事を置いているところが全国的にどのくらいあるか、また愛媛県下においてはどのくらいか、その補助金の使途はどういうふうに使われているかということをお伺いしたい。
○説明員(蝦名真一君) 全国の隣保館につきましては、各隣保館とも少なくも一名の専任の職員が置かれており、愛媛県の場合にも同様一名あるいは二名という職員が設置されております。
○西村関一君 愛媛県においても同様だということでありますが、私のところにきております報告によりますと、常勤主事を置いているところが二館しかありません。あとはみんな非常勤であり、また非常勤主事、非常勤嘱託というのが大部分であります。これはもし私の手元にきております報告が正しいとするならば問題だと思うのです、これは職員に対する補助金が出ているのでございますから。これは国が二分の一、県が二分の一、運営費は三分の二が国でしょう、二分の一ですか、同じく二分の一、二分の一と二分の一、運営費も二分の一、それから人件費も二分の一、それからあとの二分の一は県が、地方自治体――市町村が持っている。そういうことですね。それからこれは地方自治体は出さないであるいは国からの補助金だけで非常勤を雇っているという疑いも出てくるわけです。それらの点も含めてこれははっきりさしていただきたい。ということは、運営が的確に行なわれていない、したがって、活動もこの法の精神に沿わない状態にある、こういうことだと思いますからこの点もはっきり調査してください。
 それから、政務次官がお急ぎのようでございますから政務次官に一言お伺いいたしておきたい。時間がありませんので私は詳しい質問ができませんでございましたけれども、いまお聞き及びのような愛媛県における同和対策事業の実態がございますので、この点につきましても自治省といたしましては適切な指導監督をしていただきたいと思いますが、最後に一言お伺いをさしていただきまして、それで政務次官には御退席になっていただいてもけっこうです。
○説明員(小山省二君) 御指摘のとおり、一日も早くそういうトラブルを解消して同和対策事業が円滑に推進するよう自治省としても関係者に十分注意をいたしまして、そのような方向で善処をいたしたいとわうふうに考えております。
○西村関一君 次に、文部省にお伺いいたします。
 同和対策事業の中に集会所というのがございますね。この集会所は全国各対象地域に幾つぐらいございますか。
○説明員(岩田俊一君) 同和集会所は昭和四十五年現在で二百八十三館ございますが、そのうち、四十五年度までに国庫補助をもって建設されたものが百六十八館ございました。これは四十五年度まででございまして、本年度――四十六年度におきましては、さらに四十館ばかり追加建設されることになりますので、補助対象の集会所は本年度中には二百館をこすであろうと思います。
○西村関一君 この集会所の働きは非常に大事だと思うのでございますが、いまお話になったような二百になるということでございますが、現在の運営状況はどんなふうでございますか。
○説明員(岩田俊一君) 同和集会所は、同和地区住民の社会教育に関する事業をそこで行なう場所になっておりまして、住民の一般教養の向上とかあるいは健康の増進とか情操の純化、こういったような趣旨の事業を行なうことになっておりますが、大体、対象といたしましては、私どもの調査におきますと、同和地区住民のみというのが八十七でありまして、それ以外の一般地区住民も加えていろんな事業をやる。これは集会所の性格が単に地区住民だけということでなくて、一般住民もこの同和事業について十分理解を持ってもらうというのが本質的な目的になっておりますので、それらの住民も加えたところの運営をやるものが八十一、こういうふうになっております。
 それから、事業の運営面でございますが、これは市町村が設置するものでありますから管理は形式的に言いますると、これは市町村が管理するのは当然でありますが、私どもは補助の要件としまして、同和集会所につきましてはできるだけこの運営委員会というものをつくって、そこには同和関係の方も一緒になっていろいろ企画、運営しようというふうにいたしておりまするので、多くの集会所の中ではそのような同和関係者、その他、ボランティアと申しますか、有志の方も入った運営がされているように思います。
  〔理事和田静夫君退席、理事中尾辰義君着席〕
 それから、おもな事業の内容でございますが、先ほど申し上げましたような補助なり集会所の性格にかんがみまして、同和教育関係団体の育成事業だとか、あるいは学級講座だとか、あるいはその他の集会とか、そういうようなこと等が行なわれておる状況でございます。
○西村関一君 まあ、そういうことが行なわれておるということは私も承知しておりますが、実際の実情がどうなっておるかということですね。たとえば運営委員会を設けるということが、どの程度まで運営委員会ができておるかということもありますし、それから、これは次官通達がありますね。次官通達の中で四十四年七月の長期計画、それから集会所の整備とか、それから有効な活用をはかるとかということが、これは閣議了解事項になっておりますね。それから次官通達の中にもあったと思うが、ちょっと時間がないから……実際これがどの程度活用されておるかということですね。実際、名前があって予算がついておって運営がうまくいっていない、ほとんど有名無実というようなことになっておるきらいもあるやに見受けられますが、その点どうですか。
○説明員(岩田俊一君) この集会所の運営につきましては、私どもいまの設置の数のことを申し上げましたけれども、そのほかに集会所の運営につきまして指導事業といたしまして、やはり国庫補助をもちまして、その運営のことにつきましていろいろの研究、集会をそれぞれの集会所において持つ経費を計上しておりまして、それはいま申し上げましたいずれの館においても設けられて、そういう事業が行なわれておりますので、いま御質問になりましたような意味におきましては、おおむねいずれも目的に沿って運営されておるものと考えます。
 それから、先ほどの隣保館の話にございましたような意味におきましての問題でございまするが、この百六十八館のうち同和地区内に設けられておるものが百六十六ございまして、二カ所ばかりが同和地区から少し離れた、はずれたところにあります。そういう意味で、私どもはそこに着目して、留意しておるわけでございますが、そういう県が一県ございまして、それは離れておると申しましても、何キロも離れておるというようなものではございませんで、国道を――道を一つ隔ててその地区が違っておるというようなところが一カ所と、それから一般地区と同和地区との接点と申しますか、その中間のところへ設けられておるのが一カ所ございまして、同和集会所は先ほど申し上げましたように、もっぱら一般住民との交流と申しますか、一般住民についても交流を、同和事業について理解を持つということの趣旨からいきましても、あながちいけないというほどのことではあるまいというふうに考えております。
○西村関一君 時間がありませんから、私は愛媛県下の具体的な事例についてお伺いすることを省きたいと思いますけれども、必ずしもいまお話になったようなぐあいになっていないというふうに受け取られる節があるわけなんです。つまり、これは新しく建てたものでなければいけないということがあります。
 それから、これは三分の二の国庫補助ですね。厚生省関係は二分の一なんです。文部省関係の集会所については三分の二の国庫補助です。幾つかの条件が――五十戸から三百戸までの戸数がなければならないということがありますが、愛媛県下におけるところの集会所の中に、これもさっきの隣保館と同じようにその目的に合致しないようなものがある。いまその事例をあげる時間がありませんから、ここに資料がございますけれども省きますけれども、そういうことが愛媛県だけでなくて、全国にもあってはならないと思います。そういう点も、よく実情を把握していただきたいし、適切な指導を願いたいと思うんでございます。そしてまた、これはせっかくの予算がついておるんでありますし、せっかく地区集会所というものをつくろうと、これはいわば社会教育的な活動をやるセンターであるということでございますから、ぜひともこれが運営また活動に適切を欠くことのないように指導をしていただきたいと思うんでございます。
 それから、これの運営に当たる人の人件費につきましても、これはやはりなかなか適当な人を得ることがむずかしいですが、人を入れるということがむずかしいということは、人件費が安いということにもつながると思うんでございますが、これも十分に検討していただきたいと思うわけでございます。その点、愛媛県におきましても問題が起こっておりますから、問題が起こっておりますということを頭に入れていただいて、地方の愛媛県の教育委員会等と連絡をとっていただいて、十分に調査をしていただきたい、よろしゅうございますね。
○説明員(岩田俊一君) 全般的な全国の概況については先ほど申し上げたとおりでございますが、いま御要望のございましたところの愛媛県の問題につきましては深くまだ承知いたしてない向きがございますので、教育委員会を通じましてその実情についてよく調べてみたいと思います。
○西村関一君 次に、建設省にお伺いをいたします。
 住宅地区改良事業につきましては、通常は改良地区内の道路整備ということがなされることはもちろんでございますが、地区外に住宅を建てる場合は、その住宅に至る道路整備をする場合もあるということが当然でございます。しかし、地区内の道路というものが、これは私も全国の地区をだいぶ回ってみましたが、非常に悪い、いまだに悪いんです。日本の道路は全般的には非常によくなってまいりました。いなかのすみずみに至るまで舗装されておるようになってきました。しかし、地区の道路は非常に悪い、いまだに悪いのでありまして、まあ簡易舗装しているところはまだいいんですけれども、簡易舗装もされていないところが一ぱいあるわけなんです。この点、地区の道路整備につきましては現在どういうふうになっておりますか。
○説明員(高木澄清君) 建設省といたしましては、地区内を貫通いたします府県道及び重要な市町村道につきましては、道路事業の一環として採択する方針で、地方公共団体に申請がございますならば、一般ワクの中で今後とも優先的に取り扱っていく方針でございます。なお、地区内の一般の市町村道につきましては、生活環境整備の一環として、総合的に厚生省で実施することになっておりますので、各府県の土木部に対しましては、担当局と緊密な連係の上、技術的にも十分協力するように従来どおり指導してまいる所存でございます。
○西村関一君 私の伺っておりますのは、一般的な方針ではなくて、現実に全国の地区道路がどうなっているか、どの程度までよくなっているか、あるいは拡幅されているか、あるいは舗装されているかということについて伺っているのです。
○説明員(高木澄清君) ちょっと資料をいま調査いたしましてお答え申し上げたいと思います。
○西村関一君 それは、時間がありませんから、あとでその状態を報告してください。私も全国を歩いたわけじゃありませんけれども、関心がありますから地区に入っていく場合が多いわけでございます。私の県、滋賀県だけでなくて、ほかの県に回りまして非常に道路が悪いということを私の感じでは受けておるわけです。まだなかなか改善されていないということを感じますので、その点の状況をお伺いしたわけでございます。あとで資料を私の手元まで届けてください。よろしゅうございますか。
○説明員(高木澄清君) 私のほうでわかりますのは全国の府県道の改良率、舗装率、それから全国の市町村道の改良率、舗装率でございますので、その資料でよろしゅうございましたら御報告申し上げます。
○西村関一君 いま言われた程度で、できるだけの資料を出してください。
○説明員(高木澄清君) 手元にあります資料によりますと、都道府県道の四十六年度末の改良率は四九・一%、それから舗装率が五二・八%でございます。それから市町村道の全国の改良率は一五・八%、舗装率は一三・四%でございます。
○西村関一君 これできょうは終わりますが、いまお伺いしましたところによりまして政府側の答弁をいただきましたが、この問題につきましては、まだまだ問題が山積していると思います。ただに愛媛県だけでなくて、全国的にも、山中総理府総務長官の発言があるにかかわらず、いまだに十分な成果をあげているとは言えない。そういうところにも地区の住民たちの不満がある。地区の住民たちの問題意識が消えないということでございますから、特別措置法ができまして、これが成果をあげるためには、各関係各省庁が緊密な連絡をとられまして、迅速に処理していただきたい。総理府総務長官が四十七年度の予算を三倍にしたいということを発言しておられるのでありますから、その点も踏まえながらこの問題に精力的に取り組んでいただきたいということをお願いいたしまして、私の質問は終わります。
○理事(中尾辰義君) 午後は、二時三十分に再開することとし、休憩をいたします。
   午後一時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十七分開会
  〔理事中尾辰義君委員長席に着く〕
○理事(中尾辰義君) 委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、河口陽一君、二木謙吾君、稲嶺一郎君及び和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として中村禎二君、中村喜四郎君、熊谷太三郎君及び茜ケ久保重光君が委員に選任をされました。
    ―――――――――――――
○理事(中尾辰義君) ただいまの委員の異動に伴い理事が一名欠員になりましたので、その補欠を選任いたします。
 選任は、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(中尾辰義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に大橋和孝君を指名いたします。
    ―――――――――――――
  〔理事中尾辰義君退席、理事大橋和孝君着席〕
○理事(大橋和孝君) それでは、昭和四十四年度決算外二件を議題とし、休憩前に引き続きまして質疑を続行いたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○中尾辰義君 私は、私学振興財団の学校法人等に対する補助金交付並びに融資の状況について若干の疑義がありますので、お伺いしたいと思います。
 まず最初に、四十二年度当時、私学振興会だったわけですが、当時から四十六年度までの貸し付け額並びにこの補助額について、その実績並びに対象学校数を年度別に説明を願いたいと思います。
○説明員(安嶋彌君) 私学振興財団――四十二年度当時は私立学校振興会でございましたが――からの貸し付け及び文部省並びに私学振興財団から学校法人に対して貸し付けあるいは補助をいたしました金額の総額並びに貸し付け対象学校法人に関する資料、ちょっといま手元に持ち合わせておりませんので、至急調べてお答え申し上げたいと思います。
○中尾辰義君 それはあとからまた御報告願いたいと思いますが、私学振興財団の補助の対象並びに融資の対象学校はどういう資格があるものになっておりますか、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(平間修君) いわゆる貸し付けの対象となる資格があるものは学校法人――その中には民法による財団法人も含みますが、原則として学校法人及び各種学校を設置する準学校法人。ただし、これは制限がございまして、医療系、工業技術系、保母養成、栄養、各種学校についてはそういう種類のものに限られております。あと学校法人であれば大学から幼稚園まで貸し付けの対象になるわけでございます。
○参考人(池中弘君) 私、私学振興財団の補助金のほうの担当でございます。
 経常費補助金を交付できる対象は、大学、それから短期大学、それから高等専門学校、対象はこういうことになっております。
 それから、その中でも、いろいろ欠格条項に当たるものは、たとえば役員間の紛争があるとか、あるいは財団からの借り入れ金を長期にわたって滞納しているとか、いろいろ欠格条項がございまして、それに該当する学校法人は大学、短大、高専であっても交付の対象にはしないということになっております。
○中尾辰義君 それでは、具体的にお伺いをしたいと思いますが、愛知県の神野学園につきまして、その設立の認可はいつになっておるのか、それが第一。学園の理事長並びに設置されておる学校等についてお聞かせを願いたいと思います。
○参考人(池中弘君) 理事長名は神野浅義、それから、学校名は中日本自動車短期大学、昭和四十二年四月開設でございます。設置する学科は、自動車工業科と工業経営科でございます。そのほかに、中日本航空専門技術学校、これは各種学校でございます。中日本航空専門技術学校は昭和四十四年七月開設でございます。学科は航空機整備科、飛行機操縦科コースでございます。学校の所在地は愛知県江南市でございます。
○中尾辰義君 自動車学校もある……。
○参考人(池中弘君) 自動車学校の所在地が愛知県江南市。
 もう一度申しますと、中日本自動車短期大学の所在地が岐阜県加茂郡坂祝町。それから、中日本航空専門技術学校のほうは愛知県江南市でございます。
○中尾辰義君 そのほかに、江南自動車高等整備学校というのは、これはどういうことになっておりますか。
○参考人(池中弘君) 中日本航空専門技術学校は各種学校でございまして、補助金の対象にはなりません。大学、短大、高等専門学校だげが対象でございますので、中日本航空専門技術学校のほうには補助金は出しておりません。
○中尾辰義君 私が聞いているのは、神野学園はどういう学校を経営をしておるのか。いまおっしゃったのは、中日本自動車短大、それから中日本航空専門技術学校ですね。そのほかに、江南自動車高等整備学校というのは、これはどうなっておりましょうか。
○参考人(平間修君) 学校法人神野学園としましては、おっしゃるとおり、江南自動車高等整備学校というのを四十年から設置しております。そのほかに、もちろん、短大がいま申し上げた短大、そして、四十五年と記憶しておりますが、四十五年から、いま申し上げました中日本航空専門技術学校、したがって、学校法人としてこの三つの学校を経営している。こういうことでございます。
○中尾辰義君 その三つで学校法人になっているのですね。
○参考人(平間修君) さようでございます。
○中尾辰義君 はっきり答弁してくださいよ。
○参考人(平間修君) さようでございます。
○中尾辰義君 そのほかに、この神野学園は、学校以外に営利会社を経営をしておるというように聞いておりますが、これは神野個人か、それとも学園とは別かもしれませんが、その辺わかっておりましたらお伺いしたい。
○説明員(安嶋彌君) 神野学園が営利事業をやっておるという事実は私どもないと聞いておりますが、ただ、神野氏個人が現に社長をやっておりまする営利会社が若干ございまして、それは東栄製絨株式会社、津島瓦斯株式会社、東海近畿工業株式会社、そういったものがあるということを聞いております。
○中尾辰義君 それでは、神野学園、つまり中日本自動車短大への補助金交付並びに融資の実績につきまして、四十二年度以降、年度別に説明を願いたいと思います。
○説明員(安嶋彌君) 補助金につきましては、昭和四十二年度から四十四年度までは文部省で補助をいたしておりました。四十二年度におきましては、私立大学理科等教育設備整備費補助金といたしまして千五百八十四万円、同じ事項につきまして四十三年度二千七万一千円、同じ事項につきまして昭和四十四年度千五百三十八万二千円、さらに、昭和四十四年度におきましては、私立大学教育研究費補助金といたしまして八十四万九千円を支出いたしております。それからなお、昭和四十五年度におきましては、私立大学等経常費補助金、これは私学振興財団から交付されたわけでございますが、その金額が千二百三十六万四千円でございまして、昭和四十二年度以降神野学園に交付されました補助金の総額は、六千四百五十万六千円ということに相なっております。
○参考人(平間修君) 貸し付け金のほうを申し上げたいと思います。四十二年度に、理工系学生増募施設費といたしまして、校舎の新築、実習室の新築、学校用地の買収等について四千万を貸し付けております。四十三年度におきまして、大学生増員施設費といたしまして、やはり校舎の鉄骨、実習室の鉄骨、用地の買収、そういうもので一億二千三百万、それから一億二千三百万にさらに用地の買収で九百万ございました、追加いたします。それから同じ四十三年度に、設備の購入のための資金の一部の貸し付け――経営費と申しております、それに千四百万。四十四年には、既往債の弁済費――債務の肩がわりでございます、それを千百万。同じく四十四年度に、視聴覚教育の設備、車両の購入等について三千万。四十五年度に、校舎の、鉄筋の新築等のために三千六百八十万、それから校地、運動場用地の買収としまして三千九百万。現在まで四十二年度以降四十五年度までに貸し付けた総額は三億二百八十万、そのうち償還済みのものが二千八百九十一万、したがいまして現在の残額は二億七千三百八十九万、こういうことになっております。
○中尾辰義君 私は、この神野学園の補助金融資に関しまして若干疑問がございますので、三点にしぼってお伺いをしてみたいと思います。
 まず最初にお伺いしたいのは、補助金の問題から入りまして、財団が学校法人に対して補助金交付をするその対象になる経費はどういうものが入っておるか、その点まずお伺いしたいと思います。
○参考人(池中弘君) お答えいたします。
 経常費補助金の対象となる経費は、まず専任教員の給与費でございます。それから次に教育研究経常費でございます。私立大学等における教育研究に要する機械器具及び備品並びに図書、消耗品、燃料等の購入費、賃金、印刷製本費、光熱水料、通信運搬費等の経常的経費でございます。ただし、専任教員以外の教職員の給与、旅費及び謝金並びに国または地方公共団体等から受ける他の補助金、委託費等の交付の対象となる事業に要する経費は除かれております。
○中尾辰義君 そうしますと、そういった補助金交付の申請をする場合に、どういう書類が添付されて出るわけですか、その点お伺いしておきたい。
○参考人(池中弘君) 補助金の申請をします場合には、その大学の専任教員の給与表を添付して出していただきます。それから、そのほか学生数、それから校地、校舎の面積、図書の数、それから学部、学科別の収支計算書、そういったものを資料として提出していただきまして財団で内示額を各大学、短大、高専に示すわけでございます。その内示額に基づきまして、各大学、短大、高専からその内示額と同額のものを申請していただく、こういう手続をとっております。
○中尾辰義君 それで、再度お伺いしますが、この補助の対象になっている人件費、つまり専任教員の給与費の問題ですがね。この給与費の補助交付の対象になるにはどういう条件が整っておらなければならないのか、その点もう一ぺんひとつ確認をするためにお伺いしたいと思います。
○参考人(池中弘君) 御質問の趣旨が必ずしもはっきりいたしませんが、まあもしかして趣旨が間違っておりましたらまた訂正さしていただきますが、大学、短大、高専は原則として補助の対象とする。しかし、欠格条項がきめられておりまして、それに該当する場合は除くということでございます。それから、専任教員として見る場合、専任教員とは何ぞやという定義の問題があろうかと思います。で、専任教員とは何ぞやということでございますが、当該私立大学等から専任の教員として発令されていること、これが第一でございます。第二に、主たる給与の支給を受けているということ。第三に、当該私立大学等に常時勤務しているということ。それから第四に、学長または校長並びに教授、助教授、講師及び助手、こういうものを専任教員と考えております。
○中尾辰義君 そうしますと、この専任教員は補助の対象になるけれども、それ以外はならないと、こういうことになろうかと思いますが、それで、その専任教員であるかないか、それを判断するにはどういうような資料で皆さん方は判断なさるのか、その点お伺いしたいと思います。
○参考人(池中弘君) 財団といたしましては、各大学、短大、高専から専任教員の調査表というものを提出願ったわけでございます。その調査表には、氏名、それから住所、それから年齢、それから年間の給与額、それから十二カ月の月額給与額、それから勤務時間数、そういう詳細な資料を提出していただきまして、書面審査をしたわけでございます。なお、書面審査の結果いろいろ疑問が起きる事項が多々ございましたので、各大学から財団に担当者においで願う、あるいは一定の場所にお集まり願いまして、個々の学校ごとに担当者と財団の担当者とがひざを交えて懇談し――ヒヤリングと言っておりますが、そのヒヤリングをやりまして、財団のほうで査定をしたわけでございます。その査定をしたものによって補助金の計算をいたしました。なお、必要があるものにつきましては、事前に実地調査に行ったところもございます。
○中尾辰義君 これはまあ文部省から出ておるだろうと思いますが、「昭和四十五年度私立大学等経常費補助金取扱要領」、まあこういうものがありまして、この中に「補助対象経費」として「専任教員給与費」、これがあがっておるわけですね。これはまず一つは、その当該私立大学等から専任の教員として発令されておらなければならない。これが一つ。その次は、かつ主たる給与の支給を受けておらなければならない。その次に、当該私立大学等に常時勤務、これは(外国留学中を含む。)と書いてありますが、常時勤務している学長または校長並びに教授、助教授、講師及び助手の給与に要する経費、こういうふうに出ております。これをひとつ逐条的に詳しく説明願いたいと思います。まず、この一番目の専任の教員として発令されておるかおらないか。これは何をもって証明ができるのか、そこからひとつ始めてください。私は、なぜこれを質問するかといいますと、いろいろな補助金の申請に対しまして、まあ私学財団のほうは、大かたが書類だけの審査に終わっている。書類さえとにかくそろっておれば補助金ないし融資等が出されるということ。その辺にも非常に問題点があるわけですので、書類審査であればあるほどこれはこういった問題を突き詰めて審議をしなければならぬ、そういうことで質問をしておるわけです。お願いします。
○参考人(池中弘君) 専任教員として発令されているかどうかという問題は、その人事の発令簿が学校にございますので、それによっております。
 それから、主たる給与の支給額という意味でございますが、税務署に十二カ月――年間分を取りまとめまして源泉徴収を行ない、税務署に申告をし、納税することになっておりますので、その源泉徴収票を出してもらう。それからまた、税務署との関係で、主たる給与の支給者であるか従たる給与の支給者であるかということがわかりますので、主としてそういうものによって判断をしております。
 それから、常時勤務という問題でございますが、まあ内規でございますが、大体六時間ということを考えております。ただし、教員によりましては、まあ研究のみに従事するという方もございます。また、学校の理事を兼務する、あるいは学部長を兼務するということで、必ずしも授業時間がそれだけないという場合におきましても、それぞれの実情を勘案しまして、まあ必ずしもその六時間ということにはとらわれず実態に即して判断しておりますが、大体の目安は六時間以上ということで考えております。
 それから学長、校長、それから教授、助教授という問題も、それぞれ学校の人事発令簿に基づいて判断をしておるわけでございます。で、書面審査の場合には、その源泉徴収票だとか、あるいは人事発令簿というものを一々は見ておりませんけれども、「取扱要領」でそういうものをここに掲げてくだざいということを学校にお願いして、それを書いていただいておるわけでございます。
○中尾辰義君 教務課から出ております前期、後期の時間割表というのがございますね。その中には、だれそれ教授は何科を何時間担当するというふうに出ておるようでありますが、その時間割表に出てなくて、本人は講義を一つもしない、そういう場合でも専任教員となり得る場合があり得るのかどうか、その点をお伺いしたい。
○参考人(池中弘君) 原則としましては、授業をしておられない場合には専任教員として見ませんけれども、学校によりましては研究所などを持っておりまして、もっぱら研究に従事しておるという方もおられますので、一般論としてお答えしたわけでございますが、まあ神野学園の場合、研究にもっぱら従事しなければならないというような状態にはないのではないかと思っております。ただ、財団のほうに出された書類では、授業の時間数を持っておられるように出してこられた。で、われわれとしてはそれを認めたものがあるということでございます。
○中尾辰義君 ただいまの答弁聞いておりますと、専任教員でなくても、まあ授業時間はなくてもほかに研究をしておるような場合もあると、こういうようなことをおっしゃったんですがね。そうすると、専任教員でなくてもいいわけですか、まず第一番は。その点もお伺いしたい。
○参考人(池中弘君) お答えします。
 専任教員でなければいけないわけでございます。ただ、専任教員の定義でございますけれども、原則としては授業を持たれるのが通常でございますけれども、学校によりまして、その年度では研究のみにもっぱら従事するという方もございます。それから外国へ留学中の方もその年度では学校で授業を持っておられない。しかし、そういう方も専任教員の定義の中に入れて考えるということでございます。専任教員に当たらないものに対して補助金の算定の基礎にしようという考え方はございません。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
○中尾辰義君 そうしますと、補助金交付の対象になる条件としては、まず専任教員としての発令がなければならない、これが最初の条件ですね。それから、いわゆるよく世間でも言われておりますけれども、名義だけ貸して学校には出ていない。ところが、まあ学校案内等にはたまたま出ておるというような場合があり得る。これは私がちょいちょい聞くような話ですけれどもね。そういうようないわゆる名義貸し教授というものはどういうふうに理解すればよろしいのか、その点ひとつお伺いしたいのですが。
○参考人(池中弘君) ただいま御質問のありましたような名義貸し教員につきましては、経常費補助金の積算の基礎としては算入しない、専任教員とはみないという考えをとっております。
○中尾辰義君 それは聞いていないですよ。いわゆる名義貸し教授というものはどういうものを予想して名義貸し教授というのか、それをお伺いしているのです。通俗的にですよ。
○説明員(安嶋彌君) 通俗的に名義貸し教員は何かというお話でございますが、私ども普通に理解をいたしておるところによりますと、名前だけ学校の職員録と申しますか、職員組織に名前を連ねているけれども、実際にその学校の教育にも研究にも企画にも参画せず、学校にも顔を出さない、そういう者が名義貸し教員であるというふうに考えております。
○中尾辰義君 そうしますと、まあそういうようないわゆる名義貸し教授と称すべき人は、当然これは補助金の交付の対象にはならない、そういうことですね。その点お伺いしたい。
○参考人(池中弘君) おっしゃるとおりでございます。名義貸し教員は補助金の対象にはいたしません。
○中尾辰義君 そこで、お伺いいたしますが、中日本自動車短大で昭和四十五年度の補助金交付の対象になったいわゆる専任教員は何人いらっしゃるのか。なお、その総額は幾らになっておるのか、その点お伺いしたい。
○参考人(池中弘君) 補助金の対象にいたしました教員数は三十九名でございます。それから、補助金の金額は先ほど局長からお話がありましたように千二百三十六万四千円でございます。
○中尾辰義君 その中で、三十九名の専任教員の中で、四十五年度の前期、後期の短大発行の教務課の時間割表に全然名前を連ねてない人があるわけですね、この三十九名の中で。私、これ見ているけれどもさっぱり出てこない。出てきてない人が何名か見受けられるわけです。ということは教べんとっていらっしゃらないということ、そういうのは必ずしも補助金交付の対象になるのかならぬのか、その点をお伺いしたい。
○参考人(池中弘君) 四十五年度の経常費補助金は、その前の年である四十四年度の四十四年十二月三十一日現在の教員の数によっておるわけでございます。したがって、先生がおっしゃった四十五年度と四十四年度で年度がまあ一年ずれておるということはございますけれども、まあ一般的にはその事実をもって授業が行なわれなかったと推定するならば補助の対象にはすべきものではなかろうと思うわけでございます。もちろん、原則論で申しましたように、例外も多少あるわけですけれども、まあ神野学園の場合はそういうことはなかろうと考えます。
○中尾辰義君 その点、はっきりしてもらわないと、ここは決算委員会ですからね。要するに、この時間割表に出ていないという方は教べんをおとりになっていらっしゃらない、そういう人は補助金の交付の対象にならないわけですか、それともなり得る場合もあり得る、こうおっしゃるのか、その点をはっきりしてください。
○参考人(池中弘君) 時間割表に載っていない場合には、通常対象にならない場合が多いだろうと思いますが、学校によりましては、研究のみに従事するという教員を置いておるところもございますし、実態をもう少し調べた上でありませんと、直ちには結論を出しにくいと思います。
○中尾辰義君 それでは、具体的に私、お伺いしますけれども、これはあなたのほうから出していただいた資料ですよ。「昭和四十五年度私立大学等経常費補助金交付申請書」、この中に、本務教員調査票、中日本自動車短大の、これはあなたのほうから出していただいた資料です。この中には、これは私は個人の名誉もありますから名前は言いませんが、これにはまず教授名が書いてある、発令年月日、氏名、それから最終学歴、年齢、それから授業時間数、授業時間数は一週間当たり時間数が幾ら、年間の時間数が幾ら、それから俸給月額がまあ十数万とか、一年間の支給総額が百八十万とか二百万とか、こう出ています。この中で一つ私は例をとって言いますと、これは名前は控えさせてもらいますが、某教授は、一週間当り時間数が十二時間、年間総時間数三百六十時間、俸給月額が八万一千八百円、年間支給総額が百二十八万四百七十六円、これが専任教授として神野学園からこういうような書類が添付されて出ておるわけです。これを皆さんは審議をなさっていらっしゃるわけでしょう。当然この手は専任教授として何がしかの補助金交付の対象になる。だから三十九名の中に一人として入っておるわけですね。ところが、これは当然正規の俸給表にその人が入っておるのかどうか、これが一つ。この〇
○教授は実際に教べんをとっておるのかどうか、ここまでは御存じはないかもしれません。その点を、そういう例がたくさんあるのですよ、私、見ておる中に、それをまず一つ。教務時間表に全然ない、いくらさがしてもない、そういう人が数名いらっしゃる。あと次を言ってもいいですがね、こういうのはどうも名義貸しの疑いがある。いかがですか。
○参考人(池中弘君) 先生がいまおっしゃいましたのは、四十五年度の教員調査票だろうと思います。
○中尾辰義君 四十五年度です。
○参考人(池中弘君) それは四十六年度の補助金を出すときは四十五年の、一年前の実績を出して検討して……。
○中尾辰義君 四十六年もありますよ、時間表は。
○参考人(池中弘君) いまおっしゃいましたのは、四十五年度の補助金のために、四十四年の実績を神野学園から提出されたものでございますか、その年度を……。
○中尾辰義君 四十五年度の私立大学等経常費補助金交付申請書ですよ。
○参考人(池中弘君) わかりました。その点、財団といたしまして、この間、九月九日と十日にわたりまして現地を調査に行ったわけでございます。ところが、そのとき実態を十分に把握できないで帰ってきたわけでございます。と申しますのは、当時の経理担当者三名が退職しているという事実もございましたし、それから書類がどの程度かわかりませんけれども、学校外に持ち出されているというような学校の答弁もございまして、十分に実態が把握できなかったわけでございます。それで時間割表も提出を要求したわけでございますけれども、そのときは提出がなかったわけでございます。で、まあ他の調査によりまして、わがほうも専任教員として認めることが適当であるかどうかということについて疑問を現在持っておる教員もあるわけでございますけれども、まあそんなことで実態を十分には把握しないで現在に至っているということでございます。
 それから、もう一つは、そのとき疑問を持った教員で昨日財団に提出されました時間表によりますというと、その疑問に思った人の中で時間割表に載っておるという教員もあるわけでございます。したがって、まあもう少し実情を調査いたしませんというと、軽々にこれは対象にならないということを言うことがはたして適当であるかどうかということを迷うものでございますので、はっきりと、この方は、あるいはこの何人はということは申し上げられないわけでございます。しかし、一般論として、授業を持っておられない場合というのは専任教員の範疇からはずすというケースが多いだろうと推測されます。
○中尾辰義君 それで、あなたにお尋ねしたいのは、あなたのほうの調査では非常にまだ不十分であったと、私の手元にあるのは、いまさっき申し上げました〇〇教授が、つまり一カ月に約十万円――八万円から十万円のまあ給与、一年間に百二、三十万円とここに出ておりましたが、その人がわずか一万円しかこれは神野中日本自動車短大からもらっていない。一万円の受け取りがたくさんありますよ。本来ならばその人は十万円程度の本給を、基本給をもらわなければならない。それが、これは写しですけれども、全部一万円の、これはまあ謝札金ということでしょうね、一万円ですよ。こういう人に皆さん方は補助金を出したわけです。それで私が疑いを持たざるを得ない。これは専任教授でほんとうに教べんをとっていらっしゃる方、たとえ教べんをとらなくても専任教員として特定の研究に従事しておる、そういう人はあるとあなたはおっしゃったのですね。それにしても、まず給与のこの基準表によりますと、最初は専任教員として発令されておらなきゃならぬ。二番目が主たる給与の支給源ですよ。一万円がその人の俸給の主たる給与であるはずは私はなかろうと思う。一万円ではめしが食えませんよ。その方はどこかで十万円か十五万円か知りませんけれども、主たる俸給がほかになければならない。こういうのは、私は明らかに名義貸しの教授ではないか、このように疑わざるを得ない。私はここで何人おると断定しません。けれども、少なくとも氏名のあるのはここには六人いらっしゃる、名前言いませんが、六人全部毎月一万円です。これを見ましても、これは非常に疑惑があると思います。この点はいかがですか。
○参考人(池中弘君) ただいま中尾先生がおっしゃいましたように、われわれ自身も多分に疑惑を抱いております。そこで、今後十分に実情を調査しました上で、その名義貸しの教員であるかどうかということをはっきりと確認したいと考えております。
○中尾辰義君 ここでやりとりしても結着つかぬかもしれませんが、私は融資の問題につきましても非常に疑問がある。この点は、文部省、財団並びに会計検査院におきましても厳重にひとつ監査をお願いしたいと思います。
 そこで、私は補助金の対象にならぬので補助額は返済してもらわなければならないと、こう思うわけですが、その点いかがですか。
○参考人(池中弘君) ただいまお答えいたしましたように、現在疑惑は持っておりますけれども、まだ最終的には実態把握までいっておりませんので、その最終的な実態把握が完了した後において適切な措置をとっていきたい。場合によっては返還を命ずるということも考えております。決してわれわれもうやむやに事を済まそうというような考え方はございません。私学の姿勢を正す意味におきまして、是は是として非は非として白黒をつけていきたいと考えておるわけでございますが、何ぶんにも、先ほど申しましたように、実態把握がまだ十分にできておりませんので、その実態把握の上に立って適切な措置をとっていこうという考えでおります。
○中尾辰義君 大体、私は現時点におきまして、こういったような資料をもとにして判断をいたしますと、やはり七、八名、そこら辺があるのではなかろうか。
 もう一つ、これは明らかに学校の書類ですよ、名義貸し教授の給与実態というのがあるじゃありませんか。こういうものを裏帳面として学校の事務局でつくっているのですよ。もう少し財団もしっかりしてもらわぬと、補助金は皆さんの税金でありますから。この名前わかっているけれども、私はそれは言いませんが、ここには名義貸し教授等の給与実態と、明らかにこれを見てもこれははっきりしておるわけですから。ただここで、私は数が幾らということは断定できないわけで、少なくとも七、人名か十名そこらくらいはいらっしゃるかもしれない、数の面は断定できません。その点留意して冷静なる監査やってください。これをあとでごらんになればけっこうです。
 補助金の問題は一応これで終わりますが、次は、融資の問題につきましても非常に問題がありますので、伺いたいと思います。
 最初に、神野学園に対して四十二年以降の融資の実績はどうなっておるか、それをひとつ数字を出してください。
○参考人(平間修君) 先ほどちょっと申し上げたのでございますけれども、四十二年度以降現在までに融資しました額は三億二百八十万、そのうち二千八百九十一万が返還済みでございまして、したがって現在の残額は二億七千三百八十九万円ということでございます。
○中尾辰義君 その中で、この四十五年度資金の借り入れ申し込み書というのがありますが、四十五年六月は幾らになっていますか。
○参考人(平間修君) 四十五年の六月三十日に三千四百万融資しております。
○中尾辰義君 四十六年三月……。
○参考人(平間修君) 四十六年三月に四千百八十万円融資しております。
○中尾辰義君 申し込みは幾らになっていますか。それはあなたのほうで確定をして融資をなさった金額ですね。申し込みのほうは両方で、四十五年六月分と四十六年三月分と合計をいたしまして申し込み分は幾らになっていますか。申し込みが幾らで、査定の結果幾ら融資したと、こういうふうに説明してください。
○参考人(平間修君) 申し込み額は、最初六月に融資したときの申し込み額は三千八百六十万、三月の分は申し込み額が五千八百五十万ということになっております。
○中尾辰義君 それはちょっと違うのじゃないですか。四十五年六月三十日は――まず一番目は申し込みですよ。校舎鉄骨鉄筋新築等で三千八百二十五万、それから二番目が実習室鉄筋増築等で三千八百九十九万一千円、合計で七千七百二十四万一千円、それが四十五年六月三十日。それをあなたのほうで査定をなさって決定をなさったのが、その大体五〇%融資になっておりますね。四十五年六月分の第一回分が千七百三十分、二回分千九百五十万で、合計で三千六百八十万、その中の二百八十万は翌年度繰り越しになっておりますので、差し引き三千四百万と、こういうことじゃございませんか。
○参考人(平間修君) ちょっといま申し込み金額がはっきりいたしませんでしたので間違いましたが、大体、先生のおっしゃるとおりと考えております。うちの融資した数字から考えてもそれが正しいと思います。
○中尾辰義君 はっきりしてもらわぬと、ここは何べんも言いますが、決算委員会ですからね。それはいいですよ。私が問題にしているのはその次の問題ですからね。その四十六年度は、これは中日本自動車短大の運動用地買収費として七千八百二万四千円、これが申し込みになっておりますが、その点はいかがです。
○参考人(平間修君) 申し込み額は仰せのとおり七千八百二万四千円になっております。
○中尾辰義君 それならば、いまの七千八百二万四千円、これの事業実施計画といいますか、これを明細にひとつお答え願いたいと思います、あなたのほうで。
○参考人(平間修君) この七千八百二万円と申しますのは、短大の運動場といたしまして面積八千五百九十三平方メートル、それを安川という方から……。
○中尾辰義君 ちょっと、何のために、どこの所在地なのか、買収物件は何か、使用目的は何か、買収面積はどうなっているのですか、買い取り金額は幾らか、売買契約締結はいつなのか、それから所有権移転はどうなっているのか、買収費の支払い期間はどうなっているのか、その辺ひとつ詳しく説明してもらわなければ――あなたのほうから出てるんだから、あなたそれを持っておるでしょう、それを読めばいいですよ。
○参考人(平間修君) 目的は中日本自動車短期大学の運動場用地として、場所は関市市平賀字長峰、四筆八千五百九十三平方メートル、それを取得価格七千八百二万四千円ということで、神野学園が取得した、こういう申請でございまして、いつ取得したかと申しますと、それは売買契約書によりますと、昭和四十五年の八月二十九日に売買契約を結んでおりまして、八千五百九十三平米の登記は十二月になって登記しておるのでございます。したがいまして、その購入相手は、うちに出されたその書類によれば安川氏でございまして、それに対しまして五〇%の三千九百万を融資した、こういういきさつでございます。
○中尾辰義君 それでは私、疑いがありますのは、あなたのほうに――土地売買契約証書、これに出ておりますね、七千八百二万四千四百円と。あなたのほうで読んでください。この売買の金額と、それから売り主と買い主と立ち会い人と面積、それだけでよろしい。あなたのほうにあるんでしょう。
○参考人(平間修君) 売り主は岐阜の関市に住んでおる安川義弘、買い主は神野学園の理事長神野浅義、金額が七千八百二万四千円、そういう書類になっております。
○中尾辰義君 それで、売買物件はどうなっておりますか。
○参考人(平間修君) 関市市平賀にあります土地四筆、八千五百九十三平米を買うということになっております。
○中尾辰義君 もうちょっと詳しく読みなさいよ。これを持っておらないのですか、あなたの出したもの。これはあなたのほうから出したんですよ。何を売ったのか、その辺をやっぱり明確にしなきゃならぬので、こういうのは、大ざっぱに言わないで、売買物件が、これを見ますと、岐阜県関市市平賀字長峰七百九十二番、これは四百六十二平米、七百九十三番が二百九十七平米、七百九十四番が二百九十七平米、七百九十五番が七千五百三十七平米、合計で八千五百九十三平米、こうなっておりますね。これはあなたのほうに学園から提出された売買の契約書ですよね、そうでしょう。
○参考人(平間修君) 間違いございません。
○中尾辰義君 私がふしぎに思いますのは、ここにもう一つあるんです。不動産売買契約証書というのがありまして、これは売り主は安川義弘氏で、買い主は神野浅義氏、こうなっております。そして取引業者はちゃんと出ておりますね。これを見ますと、この売買代金は八百六十六万八千円、こう書いてある。これは「上記金額の壱割は税金引当金とする。」、こうなっている。これはえらい違いですよ。片方は八百六十六万八千円で、片方は七千八百二万四千四百円、どうです、これ。この辺に私は疑問を抱かざるを得ないんです。もしこれがほんとうであれば、これは契約書はにせものじゃありませんか。偽造文書ですよ。その点はどうですか。
○参考人(平間修君) いま先生がおっしゃいました八百六十六万八千円という売買契約書、これは私たちが補助金と一緒に九月九日、十日現地調査したときにもわからなかったもので、その金額は実はいま初めて耳にすると申し上げてもよろしいのでございますが、私たちが調べた範囲内におきましても、先ほど御指摘の安川さんと学園との売買契約書は事実と相違しているということがわかったわけでございますが……。
○中尾辰義君 どういうことですか。
○参考人(平間修君) 事実は、いろいろお話を聞いた結果、それから、その書類に当たった結果、今回貸し付けの対象にした土地というものは、四十二年に、理事長の長男という人の名前で安川さんに金を支払いました。それは面積がたいへん多うございまして、約二万五千平米を買ったということになります。それに対して約六千八百万円の金を払っている。そして、その後四十五年になりまして、その土地を造成をいたしまして、造成したものを学校法人が買ったと、こういうようなかっこうで、その造成の隣の土地を合わせまして約五万平米を造成して、相当の金額を支払っておるようでございます。したがいまして、実際上はやはり長男の方が一たん買って、ただし売買契約はいたしませんで、したがって登記ももちろんいたしませんで、登記はもとの地主の安川さんのままになっておる。それを造成した上で私のほうに八千五百九十三平米分を七千八百万というふうにして持ってこられた。約七千八百万という数字は――造成した費用とそれから長男の方が一度安川さんから買ったというその金額とを合わせますと一万四千平米、七千八百万円は支払っておる、こういうような事情になっておるようでございます。したがいまして、いろいろ込み入った点はございますが、とにかく、うちに出された売買契約書、こういうものは全く、いわば偽りであったというようなことは言えると思います。
○中尾辰義君 それならば、この借入事業明細書、これは神野学園から出ておりますが、買収費の支払い期間が四十五年の九月から四十五年十二月まで、こう書いてありますね。この間に何回か払われておるでしょう、代金が。もう一ぺん言いますと、買収費の支払い期間、四十五年九月から四十五年十二月まで、この間におきまして八回払いでこの売り主に支払いをした。その八回分の領収証があなたのほうにも学園から出しておるではありませんか。それをおっしゃってもらいたい。
○参考人(平間修君) この九月から十二月までに売り主安川さんに支払ったという受領証が確かに私のほうにきております。それはやはり事実と相違していると思います。
○中尾辰義君 だから読んでもらいたい。これは八回払いの領収証があなたのほうに学園から出されているはずです。それは何月何日幾ら、いつ幾日に幾ら、こういうふうに読み上げてもらいたい。
○参考人(平間修君) 四十五年九月三十日に一千万円、同じく四十五年の十月九日に千五百五十四万七千円、四十五年十一月十日二百五十万円、四十五年十一月二十日六百六十六万八千円、四十五年十一月三十日七万八千円、四十五年十二月二十五日に五百十三万二千円、四十五年十二月二十八日二千六百五十万円、最後に四十五年十二月三十一日に千百六十万円、合計七千八百飛んで二万五千、こういう数字になります。
○中尾辰義君 だから、要するに、八回払いでもって七千八百飛んで二万五千円を学校側が安川氏に支払ったというこれは領収証でしょう。それはあなたのさっきの証言と違いますよ。この点いかがですか。
○委員長(足鹿覺君) 参考人に申し上げますが、委員の質問には、率直に、押し問答にならないように、時間もあることでありますから率直に御答弁をいただきたいと思います。そうしないと時間が非常に経過をいたします。その点お含みの上御善処願います。
○参考人(平間修君) そういうつもりはさらさらないのでございますが、私が申し上げているのは、学校からは七千八百飛んで二万五千という申請がきまして、そういう契約書もきております、そういう受領証もきておりますということで、それでもってすべて審査の対象にいたしまして三千九百万を融資いたしました、ところが事実行ってみると、現在の調査とではそれは相当に違っておるということがわかったということを申し上げたわけでございます。
○中尾辰義君 ですから、結局この受け取りというものは、これは私の判断では、学校当局が虚偽につくった領収証である、私はこういうふうに推測をしているんですが、そうして、この受け取りは御本人の判こも押してあります。みな名前と判こが、この契約書も同じ文字ですね、ですから私は念のためにちょっと現地で聞いてみたんですよ。御本人は、私は七千八百万というお金はもらっておりませんと言った、御本人が。私はここでいいかげんなことは言えないので、電話ではありましたけれども、あなたに関する問題ですからね、正直に、どうですか。こういうふうに出ていると――七千八百万という大きな金はもらっていません。そうして、この契約書に書いてありますように、八百六十万八千円のほうがどうもほんとうらしいですがね。そうしますと、学校当局から出ておりますところの、理事会でこの物件をこれだけの金額でもって買収するという、これは神野学園の理事会の決議録、これもあなたのほうから出していただいた資料でありますけれども、これも全く虚偽のものであると私は判断せざるを得ない、これもですね。そうしますと、学園から出されておるこういった理事会の決議録、あるいは土地売買契約書、それに関するところの、先ほど言いました八回払いの領収証、そういうような一連の関係書類というものがどうも偽造の文書であるとしか私は受け取れない。こうなりますと、たいへんなことですよ。わずか八百万円しかかかってない土地を七千八百万と虚偽の申請をして、その約半分の三千八百万円の融資を受けたということになると、これは私学財団の大きなミスですね。時間がありませんから、私はもう一件ありますが、これは文部大臣はどうお考えになりますか、途中でありますけれども、ちょっとせっかく大臣いらっしゃっておりますから、御見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(高見三郎君) 中尾先生と財団とのやりとりを伺っておりまして、私自身がびっくりしておるところでございます。もともと私学に対する助成なり融資なりは、私学というものの公共性というものを高く評価して、これに対する融資を考えていく、それに便乗をしてもし不正な処置があるとするならば、これは私は文部大臣として承知するわけにはまいりません。これだけははっきり申し上げておきますが、ただいま財団のほうでも申し上げましたように、まだ明確に断定する段階に至っておらないということでございますので、しばらくの時間をおかしをいただきたいと存じます。決していいかげんに処理しようとは思っておりません。
○中尾辰義君 それでは、最後にもう一点だけお伺いいたします。この買収物件でありますところの岐阜県関市市平賀字長峰七百九十二番、七百九十三番、七百九十四番、七百九十五番と、こうなっておりますが、本来であれば、この申請書のとおりでありますというと、中日本自動車短大の学校用地として使われなきゃならない、そういうものでしょう。ところが――関市といいますと、刃物の産地でありまして、ドルショックの関の刃物の業界の状況はどうかということで、私はたまたま関市に行ったのです。そして、この番地はどうも近所らしいということでちょっと見てきたのですがね。そこには国際工業大学新築工事というような看板が出ておりました。そしてすでにこういったような鉄骨の、これは何だか知りませんが、国際工業大学の学舎になるんじゃなかろうかと思いますが、私もこれは的確にこの番地であるということは断定はできません。できませんけれども、その辺の人に聞きますと大体この辺らしい。らしいですよ。実際ははかってみなければわかりません。そういうようなことで、そうしますと、これは本来の融資の対象になっている中日本短大の学校用地であるべきとごろにこういう学校を建てようと、これまた問題じゃありませんか。その点はいかがです、簡単でいいですから答弁してください。
○説明員(安嶋彌君) 神野学園におきまして国際工業大学という新しい四年制の大学を設置したいということで準備を進めておられるということは伺っておるわけであります。まだ文部省には申請書は出ておりませんが、その計画があるということは伺っております。ただいま先生御指摘のその建築のことでございますが、私どもが調査いたしましたところによりますると、融資の対象といたしましての、買収をした運動場用地そのものに建築が行なわれておるということではないようでございますが、一団地で、隣接された土地で建築が行なわれたということは事実のようでございます。
○中尾辰義君 その辺は、番地のことですから私も一がいに断定はできませんけれども、大体その辺じゃなかろうかということでありました。これは調査してもらえばけっこうですが、ただ、これはなおまだ認可ができてないのに、どうですか、国際工業大学というような看板を掲げてもよろしいのですか、その点いかがですか。
○説明員(安嶋彌君) 国際工業大学というこの名称は、学校教育法第一条に掲げるいわゆる一条学校の名称でございます。一条学校の名称につきましては、学校教育法の八十三条の二項におきまして、「各種学校その他第一条に掲げるもの以外の教育施設は、第一条に掲げる学校の名称を用いてはならない。」、こういう名称保護の規定があります。で、この規定の趣旨からいたしまして、そうした名称を麗々しく掲げて、いかにも何か実体があるかのごとき形をとることははなはだ不適当であるというふうに考えます。申請をした、あるいはその準備中であるということならば、申請中とかあるいは準備中というぐらいの表示は少なくともあってしかるべきだと思います。
○中尾辰義君 私は、時間がありませんからこれで終わりますけれども、以上私は三点述べまして問題を提起をしておきます。決定版は、それは再度厳密な調査をされなければならないと存じますけれども、こういうような事件であります。金の、金額の問題というよりか、教育者として社会に人材を送り出さなければならないその学校当局がそういうごまかしをするということは、非常に私は遺憾に思います。今日私学振興が叫ばれておりますから、その予算の面においては文部大臣にも私は大いにがんばっていただいてお願いをしたいわけですけれども、しかし、それとこの問題とはまた別です。こういうごまかしが私立学校、たくさんの私立大学に普及いたしますと、非常にこれは問題ですよ。学園紛争の種にならぬとも限らぬ、こういう問題ですね。ですから、私は、これが大きくならないうちに、むしろ私学財団並びに神野学園当局のためにもこれは親切の意味におきまして申し上げておるのであって、今日人間育成が叫ばれておるときに、非常に私は残念に思います。どうかひとつ、会計検査院にも要望しておきますけれども、厳密なる審査をして、なお文部大臣の的確なる監督、さらに財団のほうも、単に書類審査だけだから私のほうはどうしようもないという、こういうことでは私はいかぬと思うのです。財団のほうが職員の方も少ないし、たくさん出ている書類を一々検討をしてもなかなか完ぺきを期し得ないこともあろうかと思いますけれども、しかし、表に出た問題はこれはひとつ取り上げて、これを一つの契機として適正円滑なる補助金、融資の運営をはかっていただきたい、このように私は要望しておきまして、終わりたいと思います。
○沢田実君 静岡県の三島市に富士見丘女子短期大学という学校がございます。この大学は、昭和四十年に開学をいたしまして、三年間学生を募集しただけで、現在はりっぱな校舎がありますけれどもあき家になっております。私は、本委員会において関係各省にその経緯をお尋ねすることによって問題の所在を明らかにし、創立者が希望しておりますように一日も早く子女の教育ができるようになりますよう、関係各省の事件に対しての正しい認識と御努力を希望いたしまして、いろいろ質問いたしたいと思います。
 まず最初に、文部省から、同大学が今日のような状態に至った経過と現況について御説明をいただきたいと思います。
○説明員(安嶋彌君) 富士見丘学園問題の経緯についてでございますが、実はこの学園から、この問題の一部始終につきまして文書による報告は文部省は受け取っておりません。紛争の長い経過の間におきまして、関係者が口頭でいろいろ文部省に報告をしに参りました。そういったところを取りまとめて、私どもの理解をしておる範囲の経過ということになりますが、それを御報告申し上げたいと思います。
 富士見学園は静岡県の三島市にございまして、富士見丘女子短期大学、沼津北高等学校を設置する学校法人でございます。昭和四十年四月にこの短期大学を設置いたしましたあと――これは学科といたしましては文学科と家政科でございますが、短期間に学科を増設するなど、急速にそれに対応した施設の整備を行ないましたために債務の金額が累積をいたしまして、教職員に対して給与を支給することができない、あるいは欠配をするというような事情が起こりまして、昭和四十二年の七月の末に至りまして不渡り手形を振り出し、銀行取引の停止処分を受けたということがございます。その後、債権者会議で学園の再建について検討いたしました結果、小野理事長が退任をいたしまして、四十二年九月、政岡弥三郎氏が新理事長に就任をし、学園の債務整理を行なうことになったということでございます。この理事長の交代につきまして、小野理事長側と申しますかが、これをきめた評議員会、理事会の決議は無効であると主張をいたしまして、静岡地方裁判所に訴訟を提起し、昭和四十四年の三月に一たんは和解が成立したということでありますが、その後和解の有効性をめぐって新しい訴訟が提起されておりまして、その間の裁判所の結論がまだ出ていないということでございます。
 一方、ただいま先生からもお話がございましたように、こうした事情にございましたので、昭和四十三年度の学生募集は行なわれず、四十三年度に一年から二年に進学をしたいもののその段階で中途退学をするとか、あるいは転校をするとかいったような者が続出をいたしまして、四十三年度は二年生だけ、約二十名でございましたが――について授業が行なわれておりましたが、その翌昭和四十四年度におきましても、学園のこうした紛争が解決されないために学生募集が行なわれない、したがって現在は学生が皆無という状態でございます。
 それから、この間、昭和四十四年十二月の十七日までに、校地、校舎の大部分が債権者の申し立てにより競落されたいうことでございます。この競落について小野氏は東京高等裁判所に対して異議の申し立てを行なっておりましたが、昭和四十六年五月に却下されまして、現在は最高裁にさらに訴訟が係属をしておるというふうに聞いております。
 それからなお、昭和四十五年の二月二十三日に富士見丘女子短期大学の廃止認可申請書と学校法人の富士見丘学園解散認定申請書が理事長職務代行者政岡弥三郎氏から文部大臣に提出をされておりますが、その後、昭和四十六年六月十六日、静岡地方裁判所の決定によりまして政岡氏は理事長の職務代行を解かれまして、望月さんという弁護士が現在職務代行に選任されておるということでございます。
  〔委員長退席、佐田一郎君着席〕
文部省は、この紛争の間、大学当局に対しましてはこの再建につきましていろいろ指導、助言を行なっていたわけでございますが、この廃止認可申請書の扱いといたしましては、いろいろな訴訟が重複をいたしておるわけでございますし、またこの職務代行者政岡弥三郎氏がはたしてこうした法人の解散あるいは学校の廃止の認可申請をなし得る立場にあるかどうかといったようなことも法律上の一つの問題であろうかと思いますので、これに関連する法律問題が決着いたしますまでこの扱いは留保したいというふうに考えておる次第でございます。
○沢田実君 その学園に対して文部省としては補助金等を出しているかどうか、あるいは私立学校振興会等から融資等があるかどうか。それから、その学校の学長は一体だれになっているのかという点についても御説明をいただきたいと思います。
○説明員(安嶋彌君) この法人短期大学に対しまして文部省から補助金は出ておりません。
 それから、私立学校振興会からの貸し付けがございまして、四十年度に三千万円、これは大学生の増員施設費といたしまして貸し付けております。それから四十一年度には経営費の貸し付け金といたしまして二百七十万円を貸し付けております。それから同じく四十一年度におきまして既往債務の肩がわり弁済費といたしまして六百三十万円を貸し付けております。計、貸し付け額の総額は三千九百万円でございますが、その後この貸し付け金は償還されておりませんので、利息が約九百八十万円つきまして、したがって元利合計、現在、富士見丘学園が私学振興財団に対して履行すべき債務の額は約四千八百八十万円ということでございます。
 それから、学長が現在だれかということでございますが、学長の就任につきましては文部省に届け出ということになっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、理事者間に対立がございまして、それぞれの側から学長の届け出があるというようなことでございまして、いずれが適法な学長の届け出であるかということを判定いたしかねるような事情もございました。そこで現在は、文部省が正式に受理しておる学長は空席であるということでございます。
○沢田実君 ただいまの文部省の説明に対する具体的な質問はあとにいたしまして、ただいま経過の中でも御説明がございましたが、学校の経済的な事情が非常に悪くなったことに端を発しているようなお話がございましたが、私はその前にさかのぼりまして、この学校が三島市に設立された当時の状況等についても正しい認識をすることが大事であろうと思いますので、その当時私が聞きました範囲では、三島市にあります錦田農協という農協がその土地に学校を誘致したいという希望がございまして、それを条件に融資をしようというような状況もあったようでございますが、これは農林省にお尋ねをしたいわけですが、錦田農協が四十一年の一月から五月ごろにかけて約一億二千万円の融資をいたしておりますが、それは私が聞いておりますような、いわゆる地元の人たちがこの学校を誘致したい、だからその条件といたしまして融資をしようというような状況のもとに融資が行なわれたのかどうか、その当時の状況について説明をしていただきたいと思います。
  〔委員長代理佐田一郎君退席、委員長着席〕
○説明員(内村良英君) お答え申し上げます。
 単協の監督は県がやっておりますので、静岡県から得た報告によりますと、同県下の錦田農協は昭和四十一年一月二十日から四十一年七月三十日までの間に八回、計一億二千万円を富士見丘学園の理事長であった小野正実氏に融資をしております。この融資は、四十一年一月十七日から四十一年五月二十七日までの問に九回にわたり合計一億二千万円が同農協に飯田誠外六名の名義によって行なわれた定期預金を担保として行なったものであります。ただいまの御質問の、農協側と申しますか、地元に誘致しようという気持ちがあったかどうかということは農協の監査からはうかがえませんが、県から聞いているところでは、農協の一部の理事者の間にはそのような空気があったのではないかというふうに聞いております。
○沢田実君 そのような状況で融資されました農協の貸し付け金が、一年を経過しました四十二年に至りまして急に返済の要求があったというふうに私は聞いておるわけでありますが、どのような状況が発生したために急にその農協は貸し付け金を回収しようとしたのか、その辺について調査していらっしゃればお答えいただきたいと思います。
○説明員(内村良英君) 錦田農協が貸し付け金の返済を迫った理由といたしましては、ただいま申し上げました融資の担保となっていた定期預金について貯金名義人から貯金の引き出し要請があった、これは一年間の預金でございまして、貸し付けも一年でございます。そのため融資の弁済期も到来したということから組合側は学校側に対して返済を要求した模様でございます。
○沢田実君 私が創立者から聞いております事情によりますと、農協はそのような要求ではなしに、要するに三島市にある農協が沼津市に住んでおります小野さんに貸すということは会員でないいわゆる員外の貸し付けになるという農協法の違反だということで返済をしてほしいというふうに迫られたというような話を聞いております。そのことについてはいろいろ疑問な点もございますが、ここで農林省の担当の方といろいろ議論をいたしましても、直接この問題には大きな関係がございませんので、きょうの質問はこの辺にしておきますが、文部省の方に御認識いただきたいのは、そのような事情があって急にいわゆる借り入れ金の返済要求があった。そのようなことで設立者である理事は金に困っていろいろな問題が起きてきたというような事情が、いま文部省から説明のあった前提にそのような条件があるということをひとつ御認識いただきたいと思うわけです。そのような返済の要求がありましたが、理事者といたしましてもすぐに一億二千万円の金が返済できるわけではありませんので非常に困っておりましたときに、私が聞いておりますところによりますと、農協の元役員であった方が東京に住んでおります金融業者の政岡何がしという人を紹介してくれて、そこでその方に四千八百万円借り入れした。さらに一千二百万円都合いたしまして六千万円農協に返済したというふうに聞いております。それから残りの六千万円については、その後政岡なる人間が債権の肩がわりをしたというように聞いておりますが、その辺の残額について農林省ではどのように掌握していらっしゃるかお尋ねしたいと思います。
○説明員(内村良英君) お答え申し上げます。
 残額の六千万円につきましては、農協と学校の間に政岡弥三郎という金融業者が出てまいりましていろいろ返済についての話し合いがあった結果、農協は残りの債権を政岡氏に譲りまして、六千万円の債権を四千五十万円で政岡氏に譲ったわけであります。その結果、農協の経理といたしましては約二千万円の赤字が出たわけでございまして、この赤字につきましては、組合員に一切迷惑をかけないという立場で、前の組合長あるいは前の役員という人たちがこれを責任弁済いたしまして、今日経理上の問題は片づいております。
○沢田実君 農林省はそれでけっこうでございます。
 その後、九月二十何日かでございますが、これは法務省の民事局にお尋ねしたいんですが、この学園の理事者が交代をしたという登記がなされておりますが、その点について御説明をいただきたいと思います。
○説明員(川島一郎君) 学校法人の富士見丘学園の登記に関するお尋ねでございますので、最初から簡単に申し上げてみたいと思いますが、まず昭和四十年三月十日に設立の登記がされております。このときには理事は倉島延三外五名、合計六名の理事が登記されておったわけでございます。その後、四十二年九月二十三日に、最初に設立登記の際に登記されておりました理事全員が辞任により退任したという登記がなされておりまして、これにかわりまして政岡弥三郎外五名の新しい理事が就任をした、こういう登記がされております。
 それから、その後若干変更がございますが、四十四年の……。
○沢田実君 それはけっこうです、あとで……。
○説明員(川島一郎君) じゃ、そういうことでございます。
○沢田実君 警察庁にお尋ねをしたいわけですが、民事局のほうから答弁がございましたような書類が出されて登記が行なわれ、その学園の理事が変更になったわけですが、その後、十一月二十四日に三島署に告訴がございまして、三島警察署といたしましていろいろ調査をなさり、送検をなさったように聞いておりますが、その辺の調査の概要について御説明をいただければ御説明をしていただきたいと思います。
○説明員(小林朴君) 四十二年の十一月の二十四日に公正証書原本不実記載という罪名で告訴がなされたわけでございます。これは告訴人は短期大学の元の校長で小野正実氏、それから同短期大学の理事後藤義春氏、この二名になっております。被告訴人が政岡弥三郎氏ということで、公正証書原本不実記載と申しますのは、理事会の会議の決議録、評議員会の会議の決議録等が一部の理事者、関係者の間でかってにつくられて登記をされたというようなことが内容で、おそらくこの公正証書原本不実記載という罪名で出たということだろうと思うのであります。
 それで三島署のほうではそれの捜査を遂げまして、一応、公正証書原本不実記載罪と、こういう議事録関係の問題でございますので、これは私文書偽造、同行使というような罪名で、四十三年の三月十人目に検察庁のほうに送付をしておるわけです。以上です。
○沢田実君 民事局にお尋ねをいたしたいわけでありますが、四十四年の三月十一日、先ほどちょこっと出てまいりました時点において、民事局ではその登記をまた――元の創立者である小野さん及び最初に理事であった方々等が評議員会をやり、理事会をやり決定をしたという書類によって登記をなさっておるようでございますが、その当時の事情について御説明をしていただきたいと思います。
○説明員(川島一郎君) その後の状況でございますが、先ほど申し上げましたように、四十二年九月に政岡弥三郎外五名の理事就任の登記がされました後に、その後、一部若干変更がございましたけれども、その後、四十四年の三月十一日、ただいま御質問にございましたように、政岡ら理事として登記をされておる者が全員退任いたしまして、小野正実外六名の者がこれにかわって新しく理事に就任した、こういう登記がなされております。登記は、御承知のように、登記所に対する当事者の申請によってなされますので、理事の変更について登記をしてもらいたいという当事者からの変更登記申請がございまして、その申請に基づいて登記を行なったわけでございます。
○沢田実君 それだけの御答弁の内容ですとこの書類を見ればわかることなんですが、私が聞いておりますのは、実は最初た登記をざれました登記が、添付されているいわゆる書類、それが学校の寄付行為に反するような書類でもって登記をされたというようなことが本人から法務省の民事局第四課にいろいろな申し出があって、そのことをいろいろ検討の結果、確かにそのとおりだということをお認めになった。それでその登記は錯誤であるということで訂正をしようというお話もあったそうでございますけれども、それには相当日数もかかる。御承知のとおり、四十四年の三月のことでございますので、学生の卒業等々もございまして、その点を考慮いたしまして急いでそのことをやりたいというような希望を当事者として申し上げたのでございますが、それで、それならということでこの書類を提出をいたしまして、いわゆる理事権が回復したというような――実質的には――という手続をとってあるのだと、こう私は聞いておりますが、そのような、書類上に出ていないいきさつ、そのことを御承知であればお尋ねしたいわけです。ですから、いまおっしゃるように、表面上では確かに書類を審査をして登記をする、書類面で。また別な重複した書類が出てくればまた別な登記をするということは当然なことでございますけれども、最初に登記されたその登記の申請に付属されている書類に不備な点があったということを法務省の第四課お認めになったというように私は聞いておるのですが、その点はいかがでしょう。
○説明員(川島一郎君) ただいまの四十四年三月十一日の理事変更の登記がなされるにあたって、法務省の民事局の第四課に当事者が相談に来られたというお話でございます。私、当時のことは承知しておりませんが、担当の者に聞くところによりますと、当時この学園内に紛争があって、そしてこの登記のことについても、一方の当事者の方、それに弁護士が付き添って法務省へ御相談にみえた、こういう事実はあったようでございます。ただ、その御相談の内容でございますが、この当時はもちろん前の偽造の関係がどうなっておるかということもはっきり承知しておりませんでしたし、また、もし前の登記が偽造で無効のものであるならば、これは当然抹消すべきものでありますので、そのようにお答えしたはずでございますけれども、しかし、実際には、そういうような話ではなくて、ただ御相談としてこの登記についていろいろな法律上の問題についての話し合いがあったというふうに聞いております。具体的に、前の登記を抹消するとか、あるいは抹消するのにかえて別の方法をとる、そういうようなことは法務省としては申し上げていないというふうに私は聞いておるわけでございます。
 それから、これは申し上げるまでもないことでございますが、登記の申請は、これは三島の登記所において行なわれたわけでございまして、登記所では、登記の申請が行なわれますと、これは特に法務省に相談しなくても単独に処理する権限を持っておりますので、その提出された申請書類に基づいてそうして登記をした、こういう経緯でございます。
○沢田実君 その表面的な答弁、それはよくわかりますが、それだけなら問題は起こらないんです。その裏にいろいろな問題がありますので、きょうは質問を申し上げているわけでございますので、調査してなければ、これからでも調査をして、その事実を明らかにしてほしいと思うわけです。
 本人が申しておりますのは、要するに、登記をするために必要な書類といいますか、一式書類が出てまいります。この場合には、学校法人の理事変更登記申請書には、評議員会の会議録あるいは理事会の決議録あるいは学校の寄付行為等々についての書類が添付されております。ですから、当然添付されておるこの寄付行為に基づいて評議員会及び理事会が行なわれなくちゃならない。それを証明するためにこの寄付行為がついているんだろうと私は思います。それで、そういうふうに出されたこの四十二年の登記ですね、その最初の変更の登記のときについてまいりました評議員会の決議録、その決議録は、出席評議員は七名で行なわれたように書いております。この七名で評議員会を開くということは、まず寄付行為に反している。それからあとに出ておりますが、寄付行為の第二十二条第三項中より何名かの評議員を選んだことになっておりますが、二十二条三項の評議員というのは理事会で選任をする評議員のことになっておりますので、それが寄付行為に反しておる。そこで、選任される評議員は七名までになっておりますのに、ここでは八名になっているというような、約三点ほどの評議員会の決議録に、要するに寄付行為に反する点があるということを一生懸命主張して説明をいたしまして、確かにそのとおりだったと、これは、この書類で登記をしたことは間違いであったということを法務省ではお認めになったように私は聞いております。いまのお話ですと、そういう話はあったけれども、そこまでのことはわからないということでございますので、その最初の登記になった三島の登記所の書類を見ていただきますと、寄付行為に合致しているかどうかわかりますので、その点はお調べの上、私は御回答をいただきたいと思います。民事局ではそれをお認めになって、それでいま申し上げましたように、四十四年の三月でございますから、卒業等の時期的な問題もあって、その錯誤を認めて訂正をするのには、登記抹消するには一カ月以上かかるというようないろんなお話のために、この書類でもって登記をしたんだというのが本人の御主張でございます。表面上は全く新しい書類――今度、評議員会あるいは理事会が行なわれた、そこで理事全員がかわりました、評議員全員がかわりましたということでありますけれども、民事局としては、私は、この会議録の中の内容に確かに誤りがあるということをお認めになったように聞いているわけでございます。
 民事局のほうはそれだけでけっこうでございますが、そこで次は刑事局にお尋ねをいたしたいわけでございますけれども、先ほど警察庁からも御説明がございましたように、告訴の事実があったので、公正証書原本不実記載、同行使という告訴事実のほかに、私文書偽造、同行使というようなことで、四十三年の三月十八日に送付をしたといういま御報告がございました。刑事局のほうの資料によりますと、四十三年の三月十八日に受理になっているようでございますが、その送付された案件について、刑事局といたしましては、四十三年の八月二十七日に嫌疑不十分ということで不起訴の処理をなさったように報告を受けておりますが、いま申し上げましたように、民事局では確かにその内容の記載は間違っているというようなことをお認めになるような内容のものでございますし、なお警察庁のほうでは、いまお話がございませんでしたけれども、いろいろお調べになって、この書類が偽造されたものであるということのお認めをいただいたように私は聞いております。そういうようなことで送付された案件でございますが、これが不起訴になりました理由といいますか、その点の状況について御説明いただければ御説明をいただきたいと思います。
○説明員(辻辰三郎君) ただいま御指摘の案件でございますが、御指摘のとおり、この事案は昭和四十三年の三月十八日に静岡地検沼津支部で受理いたしまして、捜査いたしました結果、同年の八月二十七日に不起訴ということの決定をいたしております。
 そこで、どういう理由で不起訴になったかという不起訴の理由を説明しろという御指摘でございますが、一般論といたしまして、はなはだ恐縮でございますが、不起訴の理由については、これは通常は申し上げないという慣例になっておるわけでございます。これは関係人の名誉の問題その他いろいろございますので、申し上げるのを遠慮さしていただくことになっておりますが、それでは全然お尋ねに答えることができませんので、ごく骨子だけを申し上げますと、もともと告訴は、この四十二年の九月七日に理事会及び評議員会がございまして、理事会、評議員会がないのにあったごとくいたしまして、その理事会、評議員会の決議として、小野さんほかの方が理事を辞任された、あるいは評議員を辞任されたということの決議録をつくって、それを登記所に申請する際に添えて出したという意味の私文書偽造、同行使、公正証書原本不実記載、同行使という容疑なんでございます。
 そこで、問題は、そういう理事会が実際行なわれたのかどうかという点で問題があるわけでございまして、告訴人の小野さんのほうでは、そういう理事会は行なわれていないのにそういう決議があったごとく書類をつくって出したのだ、こういう御主張でございますけれども、この理事会が行なわれていないということをはっきりと検事の立場におきまして認定することができなかったということでございます。そういう意味で、この案件は証拠上公判に回すだけの証拠がないという判断を検事がいたしまして、先ほども言ったような不起訴処分に付したというふうに承知をいたしております。
○沢田実君 四十三年三月十八日に受け付けをされまして、四十三年八月二十七日にただいまのような決定を見たという御説明でございますが、実はその間にこういうような事実がございますが、その間についてのまた御説明をいただきたいわけです。
 四十二年の九月二十三日に登記がなされ、十一月の二十四日に告訴がされまして、十二月の十二日になりますけれども、当時の小野さん側の弁護士が、いろいろな事情等、当時の検事にも申し上げ、確かにこちらが主張しているような事実があるということを認められまして、四十二年の十二月十二日に当時の沼津の裁判官が職務停止の仮処分をおやりになっていらっしゃるように私は思うわけですが、というようなことは、要するに、告訴をされたその事実については相当疑いが大きいというようなことをこの当時はおそらく検事の皆さんもある程度お認めになってそのような裁判上の措置をおとりになったんじゃないかというふうに私は思うのですが、その辺についてはどんなふうに調査をしていらっしゃいますか。
○説明員(辻辰三郎君) ただいまの御指摘のお話は、昭和四十二年十二月十二日という仰せでございますが、先ほど来申し上げております、この検察庁が受理いたしました事案は、四十三年の三月十八日に受理をいたしておるわけでございます。で、その間、ただいまのお話によりますと、これは民事の仮処分として裁判所のほうに問題になったということでございますが、これは検察庁としては、時期的にも、また事柄の上からも、何ら承知をしていない事柄であろうと思うのでございます。
○沢田実君 失礼いたしました。これは刑事事件という問題ではなしに、確かに民事のほうの関係だと思いますので、これはあとでまたお尋ねをすることにいたします。
 私のほうで聞いておりますのは、その当時の事情については検事さんにも十分にお話ししてあると、いまお話しのように、書類としては三月の十八日に送付されているというようなふうに、事情としては聞いております。で、その後に、四十三年の二月の二十日に仮処分が解除になっているわけですが、なぜそれなら仮処分が解除になったのかということを私は本人に聞きただしましたところが、実はこの登記が仮処分になったために、いわゆるいろんな書類を偽造をして登記をしたと思われる政岡側のほうで仮処分の取り下げをしなければ、教授会に授業を放棄させ、卒業や進級はおぼつかないというようなことで、この当時は、実際問題は、法律上は小野さんは理事権が停止になっておりますけれども、創立者として、教育者としてこのようないろいろなお話がありましたので、それで当時の弁護士に相談いたしましたところが、これは本訴にすれば必ず勝つから卒業生のことも考慮して仮処分を取り下げてやろうじゃないかというような状況のもとに、この仮処分の取り下げが行なわれたというような状況と聞いております。まあ、そういうようなことで、この当時仮処分が一たんございまして、またそれが解除になり、四十四年の三月、先ほど民事局から御説明をいただきました時点まで経過をするわけでございますが、その段階に至りまして、法律上は創立者に理事権が一たん戻った、こういうようなかっこうになったわけです。そこでまた新たな事件が起こるわけでございますが、四十四年の三月十一日に理事権が戻りまして、数日後の四十四年の三月十五日でございますが、いままで学校の創立者の弁護士をやっておりました坪井という弁護士が、こちらの創立者の依頼をしないようなことをかってにやってしまったということでございますが、和解調書をつくって、いわゆる和解をした。そして先方から四百万円をもらって、そのまま持ち逃げしてしまったというような事実が起こったように聞いております。それで、そのような事実が起こりまして、その後に――四十四年の四月の二十二日になります、これは最高裁の民事局のほうの担当になるのかもしれませんが、四十四年の四月の二十二日か三日でございますが、静岡地裁の沼津支部で仮処分が決定をされまして――ここに決定書がございますが、この仮処分の決定書によりますと、要するに、学校の理事者にようやっと理事権が回復しました。創立者は貸借関係からいきますと債務者になっております。その債務者の理事権を停止いたしまして、債権者である政岡及びそのほうの一連の人たちを理事長職務代行及び理事にするというような仮処分の決定が行なわれているようでございます。四十二年の十二月十二日の仮処分、それから四十四年の四月二十二日の仮処分、この問題について、その理由等を御説明いただければ御説明をいただきたいと思います。
 私どもといたしましては、三権分立の立場から、裁判所の決定したことについてとやかく申し上げる意思はございませんが、最初に申し上げましたように、数億の私財を投じて大学を創立した人が四千八百万高利貸しから金を借りたことによってその大学が乗っ取られるというような、いますでに財産も競売になり、最終的な決定がされそうになっているというような、そのような段階にございますので、私は、その真相を明らかにして、創立者が教育を続けることができるようにという、そういう立場から、この辺の事情を明らかにしていただくために最高裁の民事局にも御答弁をお願いできれば、こういう立場で質問するわけでございますので、その点よろしくお願いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) ただいま沢田委員御指摘のとおり、静岡地方裁判所沼津支部におきまして、昭和四十四年四月二十二日、仮処分決定がなされ、債務者小野ちゑの理事長としての職務の執行が停止され、債権者政岡弥三郎が理事長の職務を代行するという決定がなされました。で、それに対しましては、昭和四十四年八月二日に仮処分異議が提出されまして、現在第一審におきまして仮処分の当否が検討されているわけでございます。しかし、具体的事件の裁判権は、その事件を受理した裁判所の専権とされているわけでありまして、その結果に不服のある者は法律の定めるところによりまして上級裁判所にその是正を求める道が開かれているのであります。したがいまして、事務当局にあるわれわれといたしましては、具体的事件についてその理由を説明するという立場にはない者でございますので答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○沢田実君 裁判の判決についてはまさにそのとおりであろうと思います。私は、仮処分の問題でございますので、あるいは局長さんは、仮処分も裁判の判決と同じだと、こうおっしゃるかもしれませんが、この仮処分の決定が、いまずっといろいろ事情を御説明申し上げておりますように、学校の経営権といいますか、運営をしていく学校の責任者の交代というようなことで十数億の財産が左右されるというような重大な問題を伴うものでありますので、こういうふうに沼津支部で決定なさったには、私は、それなりの理由があって決定なさったんだろうと、こう思いますので、その点をお聞きしたかったわけでありますが、この仮処分の決定書には、その理由はついておりません。それで、この当時の状況を考えますと、こういうふうに和解が、実は設置者から依頼されたもんではないというようなことで、裁判上の手続といたしましては、和解無効確認請求という、そういう請求がなされているようでございますので、裁判所としては、裁判官としては、私はその点の事情についても御承知になっていらっしゃったんではないか。また、四十二年の十二月に一度政岡なる者の職務停止を同じ裁判所でおやりになっていらっしゃるわけでございますので、その辺の事情も御存じであったんであろうと、私はそう思います。
 それから、昭和四十六年の六月の十七日に静岡の地方裁判所でさらにこの問題について決定がございまして、この四十四年四月二十二日に沼津支部で決定されたことがくつがえされまして、政岡及びその他の理事は全部職務を停止をいたしまして、第三者である沼津の弁護士さんの望月さんという方が理事長代行、もう一人の望月さんという弁護士さんが理事の職務を代行するということで、任命になっております。そして、その理由といたしまして、要するに、理事兼理事長職務代行者政岡弥三郎並びに理事職務代行者政岡敏夫外五名は、いずれも本件の債権者であって、債務者小野ちゑら学園を除く七名と対立をしている当事者の一方だ、そして昭和四十四年和解無効確認請求事件もあると、また学校法人の経営権をめぐって両者が対立しているということも十分明らかであると、そういうふうなことは当裁判所において明らかにわかっているので、こういう人が理事長の職務を代行するということは適当ではないんじゃないかというお考えのもとに、いま申し上げましたような仮処分が静岡の裁判所で行なわれております。その段階まではまいったわけでございますが、四十四年の四月の仮処分のときに処分をされました創立者の理事としての職務の停止については、そのまま続いておりますので、要するに二年余民事として訴訟いたしましてもいまだにその決定を見ないでいるわけでございます。その間に、四十四年の四月に仮処分を受けました政岡という人は、理事長の職務代行になりまして、債権を買い集めまして、みずからこれを競売すると。また、清水の金指造船の何がしという人と一緒に、二人で競落をするというようなことがございまして、そういうような事実もございまして、まことに学校の経営者としては不適当な措置であろうというようなことが事実の上に明らかになっているわけでございますので、そのような事情を考慮いたしますと、四十四年の四月のこの仮処分の決定にあたっては、私は、われわれしろうとの立場から考えますと、あるいは学校の創立者の立場で主張していることを申し上げますと、その直接の事件に関係しない第三者を選んでいただくことが適当ではなかったか、あるいはわれわれの主張に対して、その主張を聞いていただくような機会をつくっていただくほうがよかったというような希望を言っております。また、私どもが考えましてもそのように思うわけでございますが、ただいま御説明のとおり、裁判のことに対してはわれわれいろんなことは申し上げる権限外かもしれませんけれども、この仮処分の決定、これは裁判の判決とは私は若干性質が違うんじゃないか、裁判所としての行政的な処分に属するものではなかろうかというような点を考えますときに、この仮処分の決定については一考をしていただく必要があるんじゃないかというふうに――この問題は、先ほど申し上げましたように、四十六年にまたもとに返っておりますので、この処分がやや不適当であったんじゃないかという静岡の裁判所の決定にはなっているわけでございますけれども、その二年間の受けた被害というものはどうしようもないような状態になっております。そういう点を考えますときに、仮処分のあり方について私どもは若干疑問を持つわけでございますが、民事局長はどのようにお考えであるか、最高裁のお立場のお考えを承りたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 御指摘のとおり、本年に入りまして仮処分の内容が一部変更になりまして、政岡弥三郎が代行者の地位から退きまして、弁護士が代行者に選任されたという事実はございます。しかしながら、何ぶんにもこれは現在第一審に係属中の事件でございまして、やがて判決で最後の判断が下されるわけでございますので、これにつきまして、私どもといたしましてその当否を申し上げるということは、先ほど申し上げましたとおり、やはり差し控えるべきであろうか、こう存ずるわけでございます。
○沢田実君 最高裁としての立場もよくわかりますが、私がいま申し上げましたような事情もございますので、御認識の上、できるだけの御処置をお願いできればと希望申し上げる次第でございます。
 次に、最初に御答弁をいただきました文部省について、もう一ぺんお尋ねをしたいわけですが、先ほど文部省では、両者からいろんな問題について書類として受け取っているわけじゃないので、はっきりしたことはわからない、そのつどいろんな説明があったので、それを要約すれば次のようなことだといって御説明がございました。その御説明と同趣旨のことを私こうして文書としていただいているわけでございますが、その文書によりますと、債権者会議が行なわれて、小野理事長は退陣をして、政岡弥三郎新理事長が四十二年の九月に就任をした。そのことは、この学校にとって当然の姿であったように文部省としては認識しているような文書でございます。そうして、新しい理事長が学園の債務を整理をしたところが、小野という前理事長及びその夫人が、学園復帰を意図して訴訟を提起する等、政岡新理事長に対して種々妨害をした、このような書類になっているわけでございますが、私は私の質問に対する皆さまの御答弁によって事情を御理解をいただけると思うわけですが、私は、再三申し上げておりますように、数億の私財を投じて大学をつくった小野さんのほうが、妨害をして、悪者であるみたいな文部省の認識について、どういう資料に基づいてこういう認識をなさったのか、もう一ぺん承りたいと思います。
○説明員(安嶋彌君) 私は、先ほど先生にお答えを申し上げました答弁の中では、妨害をしたといったようなことは申し上げなかったつもりでございます。私どもが承知いたしております事柄の経過をつとめて客観的に御報告を申し上げたつもりでございまして、別に前理事長が適当ではないとか、あるいは小野理事長が適当ではないとか、あるいは政岡理事長が適当であるというような、そういう前提で申し上げたつもりではございません。
○沢田実君 局長のおっしゃるとおり、先ほどの説明はそうおっしゃいました。ここは訂正なさったのだと思って私は聞いておりました。ところが、文部省からいただきましたこの資料にはちゃんとそういうように書いてある。ですから、報告をいただいたこの報告が、いろいろ私が申し上げたことによって文部省の認識を変えられていまのような御答弁になったのか、その辺のことはいかがですか。
○説明員(安嶋彌君) 先ほど来のお話で私も承知していない非常に錯雑した事情を知ることができたわけでございますが、伺えば伺うほど非常に複雑な経過にあるようでございまして、私自身どういうふうにこの問題を判断していいかどうか、ただいまにわかにその判断がつきかねているわけでございます。しかし、問題の根本のところと申しますか、一番大事なところがこれは現在訴訟にもなっておるわけでございますので、その辺の決着を見た上で私どもとしてはこの問題に対処いたしたいというふうに考えます。
○沢田実君 そうしますと、報告をいただいた、種々妨害をなされたという文書については訂正なさる、こういう意味に理解してよろしゅうございますか。
○説明員(安嶋彌君) 先生のお手元に届いている文書は、これは御要求のままに便宜お届けをした書類かと存じます。公式にこの書類を文部省として外部に公表したというようなものではございません。ただ、ここで妨害云々ということが書いてございます。これは私は、事実かどうか、確認はいたしておりませんが、学校の中にし尿をまき散らすといったような、そういうトラブルもこの前後にあったようでございますので、事実といたしますれば、そういうことをさして書いているものではないかと思います。
○沢田実君 いまおっしゃるような問題については政岡側からの告訴状によって私も知ることができます。ですから、相手方はそう言っている、こちらでは学校を乗っ取られそうだと文部省に訴えてくる、この両者の対立した言い分がおそらくあったはずです。ところが、この報告を見ますと、政岡側の言い分だけ文部省としてはおとりになっているようにしか私、理解できない。この文書は、これは正式のものではない、こうおっしゃるかもしれませんけれども、これは私は参議院の決算調査室を通じて文部省からいただいた書類でございますので、それは文部省から出したのだけれども、正式のものじゃないのだ、そういう考え方は違うのだとおっしゃるならば、調査室で要求する資料については全く権威がないということにもなってしまいますので、その点については問題もあろうかと思いますが、そこはいま議論はいたしませんけれども、要するに、そうでない認識を私は前向きにしていただきたい。要するに、正しく認識をしていただいて、その創立者が子女の教育ができるような方向に文部省としても私は行政指導をすべきじゃなかったのか、こういうふうに思うわけです。ところが、大学に対する行政指導ということを私がお尋ねをいたしますと、あなた方は、大学の自治ということで特に人事権についてはそういうことは文部省はできないのだ、こういうふうに私は答弁をお聞きしております、電話でございますが。もしほんとうにそういうふうにお考えならば、なぜそんなら小野さん側に対しては、あなたおやめなさいということを文部省は言ったのかということを私はお聞きをしたい。これは証拠の書類としては残ってはおりませんが、四十二年この問題が起こりました当時、小野さんは一生懸命文部省に参りまして管理局長及び担当の課長等にいろいろ事情をお話し申し上げたようでございます。その当時の局長さんは宮地さんという方であったというふうに小野さんは言っております。また、犬丸さんという課長さんもこういうふうに言ったと言っておりますが、小野さんは早く理事長をやめなさい、あなたはいつまでもやめないでいると九州と同じように罪になりますよ――何かその当時九州に事件があったようでございますが、そういうようなことを盛んに言われました。ですから、小野さん側に対してそういうことを言うならば、私は、両方の言い分を聞いて行政指導をすべきだ、こう思います。ところが、その実情も両方お聞きにならないで、片方の言い分だけ聞いて、四年経過をした今日でもこんなふうな認識をしていらっしゃるのかということを私は残念に思うわけです。
 大臣、そういうわけでございますので、法律の上ではいろいろ私立大学の人事権については問題もあろうと思いますが、先ほど大臣の御答弁で、中尾委員の質問に対して、あちらの大学については文部大臣として断固たる処置をとる、こういうお答えがございましたが、いまのこの大学についても概略でございますが、時間の都合がございますので一つ一つの問題について突っ込んだこともできませんし、また、御承知のとおり、最高裁あるいは検察庁というような問題については、ここで一つ一つ私がこういう書類とかあるいは個人の名前を出して質問するわけにまいりませんので、概略の御答弁をいただいたわけですが、その概略の御答弁を通じて私は事件の真相というものを御認識をいただいたのではないかと思っております。そういう状況でございますので、債権債務の問題については、当然これは債務者が債権者に返済しなければならないことはあたりまえのことでございますが、創立者が子女の教育をといって願ったその教育のことを考えますと、私は裁判所によってきめられた理事長職務代行者がその学校を売り払うというようなことがあることを文部省が黙って見ておることが納得できません。その問題についても後ほど大臣の所見を承りたいと思っております。
 それで、先ほど局長の御答弁の中で、私立短大の学長の問題については、両方から出ているから、そういうことで私のほうではきめかねているのだというお話でございますが、学校教育法の第七条及び第十条を見ますと、当然、大学としては学長の届け出をしなければなりませんし、文部省としてもそれを決定しなければならぬのではないかと思うのでございますが、この書類を見まして、全国の短期大学の一覧を見ましても、学長の欄が空欄になっておりますのはこの学校一校でごいます。そのままであっていいのかどうか。それで、文部省としては何ら行政指導もできないのだ。しかも、補助金は出していないにしても、融資はされております。あるいは行政指導のいろいろな面もあろうかと思います。そういう大学という特別な性格の上から、私は税金も取らないで子女の教育ということで女子短期大学というものができているんだろうと思います。あるいは、関連した立法の精神もまさにそういうところにあるだろうと思いますので、現在の法律では文部省はどうしようもないのだというのではなしに、私も行って見てきましたが、りっぱな校舎が子女の教育に再び使うことのできるような前向きの行政指導をなすべきだと、こう思いますが、その点についての法律的見解を一つ。
 もう一つは、学校法人が財産を競売に付するというような場合には、学校教育法施行規則第二条第一項第二号によって、設立者ですか、要するに学園の理事長が、あるいは理事長職務代行が文部大臣に届け出をしなければいかぬというふうに法律ではさまっておると思いますが、政岡理事長職務代行がこの学園の土地建物を競売に付するときに、文部省に対してこういう届け出がございましたかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○説明員(安嶋彌君) 大学でございます以上、学長を定めて文部省に届け出なければならないことは当然でございます。が、先ほども申し上げましたように、またこの質疑応答の間におきまして明らかになりましたように、この大学の理事組織というもののあり方が判然といたしかねるわけでございます。この学長の任命権は、これは理事機関にあるわけでございまして、理事機関のあり方がいまお話がるるございましたように争われておる実情でございます。したがいまして、それぞれの理事機関から学長の届け出は出ておりますが、そのいずれの理事機関からの届け出をもって正当な届け出とすべきかということにつきまして、文部省も判断をいたしかねるものでございますから、非常に異例なことではございますが、ただいま御指摘のとおり、この大学につきましては学長が欠員で空席である、このような扱いをいたしておるわけでございます。
 それからなお、その私立大学に対する文部省の指導の体制の問題でございますが、私立学校につきましては、学校教育法だけではなくて、特に私立学校法という法律がございまして、これはよく御承知のことかと思いますが、その自主性を尊重するということが大原則でございまして、監督庁である文部大臣の監督権限というものも、これは限定列挙的に法律で明定されておるということが実際でございます。しかしながら、法律上の権限としてではなくして指導、助言という事実上の行為に出ずることもこれはもちろんあり得ることでございますが、本件のような場合におきましては、文部省といたしましても、どこにどういう指導、助言をなすべきかということにつきまして、はなはだまあ態度を決しかねる事情にあるわけでございますので、特に具体的な対処のしかたはいたしていないということでございます。
 それから、最後の点でございますが、校地、校舎の処分につきましては、御承知のとおり、学校教育法施行規則の規定によりまして届け出を必要とするわけでございますが、御指摘の本件の場合につきましては届け出がございません。
○沢田実君 届け出がない場合は、この法律では何かの罰則規定はございますか――おそらくないのじゃないかと思いますが。そうしますと、届け出をしなきゃならないということをきめた立法の精神というものもあるのじゃないだろうか、一点は。ところが、事実の上では、職務代行である政岡が競売に付している。しかも、自分が債権を買い集めて、自分が競売に付して、それを自分が競落しておるという事実が行なわれておるのを、私はこの立法の精神からいっても黙っておる手はないのじゃないかと、こういうふうに思いますが、どうですか。
○説明員(安嶋彌君) 御指摘のとおり、届け出を欠いた場合に対する罰則の規定はございません。それから、届け出という制度が設けられておりますのは――私立学校に対する監督はこれは極力自制すべきものでございます、それが法律のたてまえでございますが、しかし所轄庁といたしまして私学の状況を的確に把握していくということは必要でございますので、そういう趣旨からこの施行規則の二条の規定が設けられているわけでございます。
 それからなお、政岡氏が競落者自体であるという点につきましては、静岡地裁の決定の理由のところにもございますように、やはり非常に異常なことであるというふうに私ども考えますけれども、しかし、そのこと自体は、先ほど来いろいろお話がございましたように、争いの中心課題の一つにもなっているわけでございますので、そういう段階の事件につきましては、文部省といたしましても、行政的に介入することはむしろ差し控えて、裁判所の判決、決定に待つほうが適当であるというふうに考えておる次第でございます。
○沢田実君 局長さんのおっしゃること、わからないわけではありませんけれどもね。普通の場合に文部省が大学の人事権に対して介入することが好ましくないことは、私もそのとおりだと思います。しかし、この事件につきましては、先ほど来法務省のほうから御答弁がございましたように、あるいは刑事事件としては一〇〇%黒だという確信を持てないから不起訴になさったのだというような私は印象を受けましたけれども、あれ一〇〇%黒だという、勝てるという、そういう刑事上の問題としてはいろいろ問題があるかもしれません。あるいは、民事上の問題としても、いまいろいろ争われておりますように、いろいろなこともございましょう。事実のいろいろな審査等もございましょうかち日数もかかりましょうが、いま申し上げたようなことを私がちょこっと聞いただけでも、確かに政岡から四千八百万円借りた、数億の私財を投じ大学をつくった人が農協から請求されてやむを得ず借りた。その借りた事情も先ほどは申し上げませんでしたが、単協ではちょっとまずいので、あるいは県信連から都合してあげましょう、あるいは銀行のほうから応援してあげましょうといういろいろなお話があったので、ちょっとお借りするということで高利貸しから借りた。それがみんなこわれてしまって、そして四千八百万円がもとで取られてしまった。単に取られてしまって、取った人が学校を経営するならともかく、その校舎を競売に付しているというこの事実は、私は学校教育という面から見れば、これは刑事上、民事上いろいろ決定しかねる問題があるかもしれませんが、学校教育という立場に立てば、どっちがいいかはっきりするんじゃないかと思うのです。ところが、文部省としては、私立大学のためだということで、最初の理事会の決議録が偽造だ、偽造だと言っていることもほんとうかどうかお知りにならぬでしょうし、いろいろな登記についても御認識がないようでございますので、ただ、もう少しその辺は御認識をいただいて、そして前進の措置をとっていただきたいということを特に希望いたします。
 それで、これは検察庁のほうでございますが、実は昨日、私にこういう電話がかかってまいりました、きのうの夕方でございますが、沼津の弁護士さんから。東京地検の三輪さんという検事さん、この方は当時沼津のこの事件を担当しておった検事さんでございますが、その検事さんから電話がございました。明日国会で公明党の議員が質問をするという話を聞いておるけれども、そういう質問はやめさしてほしい、こういうような電話がかかっております。私は地元のいろんなうわさを聞いておりますけれども、うわさだけで、ここで議論をしようとは思いませんし、いろいろ申し上げようとは思っておりませんが、なぜ当時の検事がきょう私が質問することについて質問をやめさせるようにその当時関係した弁護士に電話で依頼をしなくちゃならないのか、こういうようなことは、私はいろんな地元のうわさがあるいは若干正しいんじゃないかというような疑いを持つような事実は非常に遺憾に思います。こういうような事実がございましたので、検察庁としては、参考までに申し上げておきますので、その事情をお知りをいただきたいと思います。
 その他いろいろございますが、すでに時間も経過をいたしておりますので、いままでのような概略を申し上げ――これは四年間のことでございますので概略になりますが、このような事実に基づいて私は今後の善処をぜひ大臣にお願いしたい。そして、創立者が希望しておりますように、明年から生徒の募集ができるというような大学に復帰してほしいということを希望でございますので、大臣の御決意のほどを承りまして、私は質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(高見三郎君) 沢田先生から非常に詳しく経緯を――実は私は静岡の出身で、この問題についてうわさはいろいろ聞いております。うわさはいろいろ聞いておりますが、むしろどっちかといえば政岡という人物について私は何も存じません。したがって、少なくとも私は政岡側ではないということを御承知を願いたいということをまず申し上げておきたい。ただ、文部大臣として公正にものを考えます場合に一番困る問題は何かと申しますと、理事機構は全然まとまっていない、こういうことであります。そこで、私どもといたしましては、学校の運営等の準備ができますならば、一日も早く学生募集に踏み切ってもらいたいものだ、またそういうことを指導いたしたいと思いますけれども、指導する相手が実はないというところに非常な悩みを感じておるわけであります。しかし、お気持ちはおそらく沢田先生と私は同じだろうと思います。何とかいい方法はないものか。いわんや、学校が競売されるという実態が正常の姿において認められる状態では私はないというような感じを持っておりますけれども、文部大臣の権限に属することでございませんので何とも申し上げかねますけれども、私、ただいま先生御指摘の問題につきましては、十分その旨を体して善処いたしたいと、かように考えております。さように御了承いただきたいと思います。
○沢田実君 もう一つだけ。
 いまの御答弁のとおり、大臣ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、いろいろなことはできないかもしれませんけれども、この報告書に書いてありますように、四十五年二月二十三日、学校法人富士見丘学園解散認定申請書等々が文部省に出ておる。これは先ほど来、はっきりしないからそのままになっておるとおっしゃいましたが、これは強行をしないではっきりするまで保留をしておく、私はこのくらいのことは文部省でもできると思います。
 もう一つ、参考までに皆さまに御認識をいただきたいのは、私もこれだけのことをいろいろ申し上げるのは、人さまの名誉に関するようなことがあってもいけませんので、政岡さんという人が一体どういう人かと某興信所で調査をしてみました。「右の者は悪質高利金融業者として有名であり、中小企業で資金繰りに困り行詰まり、倒産直前又は倒産后、その所有する不動産に眼を付け、始何にも其の苦境を救ってやる如く持ち掛け、然も相手が法律的な知識に乏しいのをうまく利用して極めて合法的に私利を図り、相手の不動産を手に入れたり、合法的な貸金取り立て(この場合、相手側の無智に乗じ、契約書類に記載されたる事項或いは捺印にりいて本人が予想もしなかった結果となった事例もあると聞く)を行って来たことは、同業者のみならず、本人が現住する熱海市内に於いてもよく知られている」ところであるということで、例をあげれば幾らでもございますという内容のことが書かれております。これは興信所の調査でこのぐらいのところでございますから、こういう人が学校の理事者としてほんとうにいいのか、あるいは創立者の言い分が正しいのかというぐらいのことは判断していただいて、御承知をいただきたいと思います。
 参考までに最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
○渡辺武君 私は、円切り上げに関連して幾つかの問題を考えたいと思いますけれども、質問に入る前に、二、三予備的な点を伺ってみたいと思います。
 まず最初に伺いたいことは、輸出の動向でありますけれども、通関統計に先立って信用状の接受高あるいは通産省の輸出認証高、これが通関統計に若干先立った統計と普通見られておりますので、八月及び九月の信用状接受高、それから輸出認証高ですね、この動向がそれ以前の各月と比べてどうなっているのか、それを伺いたいと思います。
○説明員(林大造君) 認証統計のほうは、あるいは通産省のほうからお答えいただいたほうがよろしいかと存じますが、まず信用状統計のほうから申し上げますと、八月中の信用状の伸びは、前年同月に比べまして二四・七%アップいたしております。それから、輸出認証も手元にございますので、もし違っておりましたら通産省のほうから御訂正いただきたいと存じますが、八月中の輸出認証の統計は、やはり対前年同月比で二六・八%の上昇になっております。
○渡辺武君 ことしに入ってからどんなふうな動向になっているのか。それから九月の動向がわかりましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
○説明員(宇都宮綱之君) 九月に入りましてからの輸出認証額でございますが、九月の一日から十八日までのトータルで見ますと、前年同期比で二四・一%の伸びを示しております。
○説明員(林大造君) 信用状統計のことしの動向でございますが、ことしの信用状統計は、一月から順次申し上げますと、全部前年同月比でございますが、前年同月比で一月が一四・九%、二月が一九・四%、三月が三七・一%、四月が三六・二%、五月が三一・六%、六月が三六・〇%、七月が三三・三%でございます。九月につきましては、前年同月の取り方、いろいろむずかしいようでございまして、また、日別の統計が取りかねておりますので、もうしばらくお待ちいただければ計数が判明いたすと思います。
○渡辺武君 実額で言うとどういうことになりますか、ことしに入ってから。八月というのはふえている傾向ですか、減っている傾向ですか。
○説明員(宇都宮綱之君) 八月に入りましてからの、八月分の輸出認証額でございますが、大体この数カ月間の横ばいの数字というふうに見られます。実額で申し上げますと、四月が約二十億ドルであります。五月も約二十億ドル、六月が約二十二億ドル、七月が約二十三・五億ドル、八月が二十・六億ドルという数字になっております。
○渡辺武君 信用状のほうは。
○説明員(林大造君) 実額で申し上げますと、四月から申し上げますが、四月の輸出信用状、実額で十六億八千九百万ドル、五月が十七億二千百万ドル、六月が十七億四千七百万ドル、七月が十八億二千万ドル、八月が十六億一千八百万ドルでございます。傾向といたしましては、季節的なものがございますので一がいに申し上げますことはできませんけれども、八月は――四月から七月まで、この間はいろいろな偶発的な事情でかなり輸出が伸びた時期でございますが、その時期に比べますと、若干まあ勢いが落ちているということが言えようかと存じます。
○渡辺武君 この信用状の接受高ですね、八月はまだ例年に比べても、あるいはまたことしに入っての各月に比べても、そうひどく落ち込んでるというような事態でないようですね。これはどうなんですか、すでに成約した輸出契約が、これが反映していると、信用状統計にも。それから認証統計にはもちろんのことだと思うんですけれども、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(林大造君) ただいま御指摘のとおり、輸出は、成約の時点から信用状統計に出てまいります時点、さらには輸出認証、さらに通関と、次第にずれ込むわけでございまして、したがいまして、八月の輸出信用状統計に出ております数字は、それよりやや前の時点で成約ができたものであるというふうに存じております。
○渡辺武君 通産省では輸出関連の中小企業の実態を調査されたというふうに伺っておりますけれども、その輸出関連中小企業の場合ですね、ニクソン大統領がドル防衛政策を発表し、さらに日本で円の変動相場制移行という措置をとってから、輸出契約のほうはどうなっておりましょうか。また、中小企業だけでなく、通産省としては輸出動向懇談会というのを開いておられるそうですげれども、そこあたりでわかった動向などもわかりましたら、あわせて御報告いただきたいと思います。
○説明員(宇都宮綱之君) それでは、私のほうから全般的な動向についてお話しいたしたいと思います。
 輸出動向懇談会と申しまして、大体大手商社十二社、それから自動車メーカー二社、それから造船一社、それから銀行一行という構成で、毎月一回催しておるわけでございますが、それから聴取いたしました輸出成約状況でございますが、八月十六日以降につきましては、各社とも通貨情勢の成り行きを見守っておったということでございます。と申しますのは、各社とも、ことし一ぱい、ないしものによりましては今年度一ぱいまでの契約を手持ちしておった。特にクリスマス用品につきましては、すでに契約をすべて終わっておったということでございまして、通貨情勢の行くえを見守っておったわけでございますが、その後、変動相場制に移行しましてから、従来継続しておりました商談を再開した。それから新たに新規の成約もぼつぼつ出てきたということでございまして、最近時点におきましては、大体それらをトータルいたしまして、各社によってまちまちでございますが、従来の月平均の成約高の二〇%から五〇%くらい成約ができたということでございます。で、こういうことで次第に成約も上向いてくるのではないかと考えているわけでございますが、各社の契約の内容を聞きますと、大体自社レートをきめて、それで契約を進めておるというふうなところが多いようでございます。で、今後、成約の成り行きにつきましてよく見守っていきたいというふうに考えているわけでございます。
 なお、中小企業関係につきましては、大手の商社と違いまして契約の手持ちも、たとえば九月で切れるところもありますし、それから十月で切れるところもありますし、十一月で切れるところもあるということで、契約手持ち残がやや少ないということでありますが、これにつきましては、非常に影響が大きいということで、先ごろ九月二十三日に緊急中小企業対策というものが講じられたわけでございまして、これでかなり救われていくのじゃないかと考えるわけでございますが、なお、今後の輸出成約状況を見守っていきたいというふうに考えているわけでございます。
○渡辺武君 そうしますと、過去の成約を反映して信用状接受高あるいは輸出認証高、これには大幅な減少という形は出ていないけれども、いま通産省のほうの御答弁によりますと、大手商社でさえニクソンのドル防衛政策発表以後、しばらくの間輸出契約は見合わせ、過去の手持ちでやっておったというような状態で、変動相場制採用以降、新たな輸出の契約は通常の二〇%から五〇%という状況だというような事態が判明したわけですけれども、このように、まさに日本時間でいって八月十六日のニクソン発表以来、新たな成約、輸出契約ですね、これがほとんどなかったというふうに考えて差しつかえないような時点に、まさに為替市場では大量のドルが売られたという事態があらわれているわけです。しかも、この前、九月二日の大蔵委員会で私この質問しての大蔵大臣の御答弁によりますと、この中のかなりの部分が、輸出前受け金という形でドルを手に入れて、円にかえたんだというような御趣旨の答弁がありました。
 そこで、その点をもう少し確かめたいと思いますが、八月十六日から二十七日までに為替市場で売られたドルの総額は一体幾らなのか、これをお答えいただきたいと思います。
○説明員(林大造君) 八月の政府の外貨準備の増加額は約四十六億ドルでございますけれども、このうち八月の十六日から二十七日までに増加した分が、大体そのうちの九割前後でございます。したがって、約四十億ドルばかりのものがその期間に売られたというふうに考えてよろしいかと思います。
○渡辺武君 いま外貨準備高の増加で約四十億ドルというふうな御答弁がありましたけれども、これは私が申し上げるまでもなく、あなた方のほうがよく御存じだと思います。為替市場では、ドルを売る人もあればドルを買う人もあると思うんです。日本銀行以外に、たとえば輸入商社は、そのときに支払い期限がきておれば、為替市場でドルを買って送らなければならない。したがって、いまおっしゃったのは差し引き額だと思う。現実に売られた額ですね、これは為替市場での出来高を計算してみれば出てくると思うのです。それはどのくらいになっておりますか。
○説明員(林大造君) 為替市場における出来高は、銀行と業者の間、それから銀行と銀行の間、いろいろございますので、したがいまして、正確にそのときに、為替銀行の窓口でいかなる姿に十六日から二十七日の間になっていたかということは、把握することはできません。ただ、おっしゃいますとおり、当時は、輸出と輸入と両面ございまして、輸出のほうのドル債権は、なるべく早く回収しようという動きがございました。で、他面におきまして一輸入の関係のドルの支払いは、なるべく延ばそうという動きがあったわけでございます。したがいまして、その当時のドルの動きは、大体におきまして、ドルを為銀に対して売るというのが大部分であったと思いますので、したがいまして、四十億ドルというその期間における政府が吸収いたしましたドルは、おおむねその分だけ市場において売られたものであり、民間によりまして買われました金額は、比較的少額であるというふうに見て差しつかえないかと存じます。
○渡辺武君 私が計算しましたところ、この期間の為替市場の出来高は、五十六億二千七百万ドルということになっておりますね。そうしますと、いま四十億ドルとちょっとぐらいとおっしゃったわけですが、これと比べてみればはるかに大きいという数字になっておりますね。それで、確かにいま御指摘のように、その当時、おそらく円の切り上げ近しと見て、そうしてドルでの支払いは若干延ばすということはあったとしても、この期間、十二日間おるわけですよ。やはり輸入業者としては、支払いの期日がくれば支払わざるを得ないと思うのです。ですから、その差し引きが四十億ドルという純増になってあらわれたのであって、これがこの期間に売られたドルの総額だというふうには、どうしても考えられないのですね。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
ですから、その点もう少し正確におっしゃっていただきたい。
○説明員(林大造君) ただいま御指摘のとおり、債務の期日が到来いたしました分は、業者といたしましても当然為替銀行からドルを買って支払わなければいけないわけでございまして、御指摘のように、ドルを買う者もそのときにあったことは事実であろうと思います。結局、民間で出合いがつきませんで政府に対して売り上げられました金額が四十億ドル前後、というふうに御了解いただきたいと存じます。
○渡辺武君 それ以上の御答弁がどうも出そうもないので、この辺で次へ移りますけれども、私はやはりそういうふうな点はもう少し、あなた方なるべく内輪に見せようというような気持ちで純増額を出しているだろうけれども、あの期間に大量のドルが売られて、そして売った人間と、それから輸入代金の支払いのためにドルを買った業者とは、別の人間です。売った人は、これはこれから明らかにしたいと思いますけれども、かなりの程度投機的な性格を持ってドルを売ったと見なきゃならない。そういう事態が私は非常に明らかだと思う。ですから内輪に四十億ドルというふうにおっしゃらないで、やはり純粋にドルを売ったその額ですね、これについてあなた方まだ計算してなければ、これは正確に計算して、これは発表すべきだ。
 その点を要望しまして次の質問に移りますけれども、それでは、あなたのいま約四十億ドルとおっしゃったそのうちで、内訳はどうなっておりますか、輸出前受け制度によってドルを手に入れて売ったというふうにいわれておりますし、先ほど申しましたように、大蔵大臣はかなりの部分という表現をそれに与えておられるわけです。それから、その他の理由によってドルを円にかえたという、その項目別、それから金額ですね、これを詳しくおっしゃっていただきたい。
○説明員(林大造君) 最近八月の国際収支の速報が明らかになりまして、その速報を見ますと、もちろん輸出と輸入の金額の差額、輸出超過額がかなり大きいのでございますが、そのほかに特に目立ちます点は、短期資本収支及び誤差脱漏という項目が非常に多額にあがっているわけでございます。その金額が約二十六億ドルということに相なっております。
 この短期資本、誤差脱漏というのは、民間の受けました短期の資本受け取りのネットの金額、及びその名の示すとおり、ほかから突合できません誤差脱漏が若干あるわけでございますが、これは本年度に入りましてからは、マルクの五月のフロートその他でいろいろでこぼこがございますが、昨年度四十五年度全体を通じまして、年度間で十億ドル弱という金額に相なっております。したがいまして、この十億ドルという金額を月にならしますと、一億ドルに満たないわけでございます。この項目が二十六億ドルという非常に巨額にのぼりましたのは、おそらくそのような系統、いわゆるリーズ・アンド・ラッグズといわれる系統の動きで売られたドルであって、これが外貨準備に響いてきたのではなかろうかというふうに推測されるわけでございます。
○渡辺武君 そうしますと、九月二日の大蔵委員会の質問に答えて田中通産大臣が、八月の外貨準備高の増加四十六億ドルの中で、輸出前受け金及び輸出代金ですね、これと思われるものが約三十三億ドル、それから為替銀行の手持ちから売られたもの、商社の手持ちから売られたものが約十三億ドルという御答弁をしておられますけれども、いまあなたの御指摘になった二十六億ドルですね、正確には二十六億三千万ドルと思いますけれども、この短期資本収支の増加及び誤差脱漏ですね、この合計額は、三十三億ドルの中での話と見てよろしゅうございますか。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
○説明員(林大造君) 御指摘のとおり輸出入関係の、資本取引に関係のないほんとうの輸出と輸入の差額が、このほかに国際収支表上に出ているわけでございまして、したがいまして、この二十六億ドル、その相当部分が輸出前受け金ではなかろうかと推定されるわけでございますけれども、輸出入関係の受け取り超過額がその一部というふうに、おおむねお考えいただいて間違いないと存じます。
○渡辺武君 ちょっとわかりかねるのですけれどもね、先ほどおっしゃった三十三億ドルとの関係はどうなんですか。
○説明員(林大造君) 三十三億ドルの計算は、当時はまだ国際収支表の数字も出ておりませんでしたし、いろいろの方面から突合して推計された数字だと存じますけれども、貿易収支が八月中に八億ドルをこえております。それは資本取引に関係のない、貿易のネットの黒字でございます。それと、ただいま申し上げました数字とを勘案してみますと、大体あたらずといえども遠からずというふうな数字になるのではないかというふうに考えます。
○渡辺武君 どうも、この国会でもいろいろ問題になりましたしね、いま私があらためてここで皆さんに伺っているのは、いままでの御答弁がまことにあいまいもことしておって、どうも実態をつかみにくいというきらいがあるのですよ。ですからここであらためてまた伺っているわけですけれども、これだけ新聞にも騒がれ、国会でも各委員が何回となく質問していることですから、やはり皆さん、できるだけ正確に計算をして、その実態を明らかにするようにつとめていただくことが必要だと思うのですね。どうですか、それはできますか。
○説明員(林大造君) 本件は当院の大蔵委員会でも御要求があった資料でございまして、現在鋭意作成中でございまして、近日中に御提出の運びにいたしたいと存じております。ただ、銀行別とか、あるいは企業別という数字になりますと、これは現在の国際収支統計上のテクニックからいたしまして、把握ができないわけでございますが、当時の八月の計数をできるだけ明らかにするという方向で、現在、計数を取りまとめ中でございます。
○渡辺武君 それでは、いずれ御提出いただいた資料を拝見した上でさらに重ねて伺うことにしましょう。
 いずれにしても、いまの御答弁ですと、二十六億三千万ドル、この中の大部分が輸出前受け制度によるドルの円転換だということでありますが、この輸出前受け制度によるドルの入手、そうしてまたこれの円への転換ということは、最低限、輸出契約が成立しているということを前提にしていると思うのですね。ところが、先ほどの御答弁によりますと、この期間はほとんど輸出契約が成立していないと。大手商社でさえ見送っておったんだというお答えがあったわけです。ところが、例月にもないばく大な輸出前受け制度によるドルの流入、円への転換ということが行なわれたわけであります。これは国民が投機的なものじゃないかと疑惑を抱くのは、当然のことだと私は思う。
 大蔵省と通産省は、為替銀行や大手商社に立ち入り検査をしたということも国会で言っておられます。そこで、その点について伺いたいのですが、いつ、どこに、どういう商社とどういう為替銀行へ立ち入り検査をされたのか。そうしてまた、その検査をやられた場合の基準は一体どこに置かれたのか。それからまた、検査をされた為替銀行や商社ですね、これはこの期間にドルを売った商社なり為替銀行の何%くらいを占めているか。もしくは、皆さんが立ち入り検査をしたその金額ですね、これは、この期間に輸出前受けでドルを手にして円にかえた、その総額の中の大体何%くらいを占めておると考えておられるか。それから検査の結果はどうなのか。それらのことについてお答えいただきたいと思う。
○説明員(林大造君) 商社関係は通産省と合同で調査いたしましたが、便宜一括して私からお答え申し上げますが、銀行及び商社につきまして調査いたしますにあたりましては、やはり比較的大規模なものから選んで調査いたしたわけでございます。で、その調査の割合が大体どのくらいになるかということでございますが、それは当然、私どもの定員が限られておりまして、また事柄の性質上、安易に応援を求めるわけにもいかないわけでございます。それから立ち入り検査をいたしましても、一つの店に行くことしかできないわけでございまして、膨大な組織の中の一部について行なうよりしかたがないということでございます。したがいまして、全体の当時の輸出前受けの中で私どもが調査をいたしました割合は、ごくわずかなものであったと申し上げざるを得ないわけでございます。ただ、もちろん、ごくわずかであるとは申しましても、事柄の性質上、一般に対する、何と申しますか、警告と申しますか、指導の意味は非常に強いわけでございまして、したがいましてこの趣旨を広く徹底をいたしました。で、結果についてでございますが、結果につきましては、違法にわたると思われるところはなかったと。ただ従来、日本はドル不足に非常に悩んでいた期間が長かったものでございますから、したがって輸出前受けにつきまして特別にきびしい確認手続を要求しておらなかったのが従来の実情でございます。したがいまして、一本一本非常に厳格な確認手続は為替銀行でもとっておらなかった。また、厳格な書類の作成を命じてもおらなかったわけでございます。そこで、通産省にお願いいたしまして、為替銀行及び商社を集めていただきまして、その点は特に注意をしていただいたわけでございますけれども、しかしその点で若干の問題があったというふうに存じております。その点はもちろん関係の業者にできるだけ指導したわけでございまして、その結果、相当の効果はあがったというふうに存じております。
○渡辺武君 どうもね、非常に抽象的ではっきりしないのですけれどもね。何月の何日にですよ、まあ商社名や銀行名、もし言えなければ、少なくともあなた方が検査をした銀行の数、商社の数くらいは私は言えると思うのです。それからまた、この立ち入り検査をした対象の輸出前受けの金額ですね、これはどのくらいのものだとか、全体としてですよ、そのくらいのことは言えると思うが、どうですか。
○説明員(林大造君) 現在の国際金融局の為替検査の検査官の能力から申しますと、大体、やや大規模な調査をするときには二班程度、それより大きい、数を多くふやしますときでも、三つないし四つの班しか編成できない能力でございます。したがいまして、そのものが大きい銀行でございますとか、あるいは大きい商社に参りましてその調査をいたしますときには、長い間の期間を悉皆調査をできないのはもとよりでございます。で、参りましてからやはり二、三日は要するわけでございます。最も簡単な調査をいたしましても二、三日は要するわけでございますので、したがいまして、私どもの検査の能力というのは非常に限られたものである。ただしかし、いつ検査に行くかわからないということ、それから検査を受けましたときにいろいろと非違を指摘されるということが、いろいろな効果があるわけでございまして、したがいまして、どれだけの金額を調査したかということでございますが、それは検査ごとに一々集計いたしておりません。概略は話は聞いておりますが、ただいま申し上げましたようなことで、中に若干証憑書類その他に不備な点があると認められた。その中にはいろいろと、たとえば品目の呈示その他に問題があったということを聞いているわけでございます。
○渡辺武君 立ち入り検査をした商社の数と為替銀行の数はどれくらいですか。それから、いつ立ち入り検査されたんですか。
○説明員(林大造君) 私どもは常時、銀行の立ち入り検査及び商社の立ち入り検査をいたしておりますけれども、ニクソン・ショック以後、私どもが特に注意をして検査員を派遣いたしましたのは、銀行にして四行、商社にして五社でございますが、しかしそれも、その後も引き続き検査はいたしているわけでございます。
○渡辺武君 ほんのごくわずかな金額だと。それから調べた銀行もわずか四行、それからまた商社とすればわずか五社と、こういうことですね。いま、輸出前受け制度で大規模に活用できるという商社は大手商社と普通みられておりますけれども、大手商社の数だってこれは二十近いでしょう。そうでしょう。三菱商事、三井物産その他を指折り数えてみただけでも十六、七はありますよ。そのうちのわずか五社。為替銀行だってずいぶんだくさんあるでしょう。しかも、無制限でドルを売ることができる為替銀行。これは在京の為替銀行を計算しただけでもずいぶんありますわ。東京銀行、三菱、第一、大和、富士、神戸、勧銀、住友、三和、東海、三井、興銀、協和、埼玉、北海道拓殖などがこれに該当すると思うんですね。それらのうちのわずか四行しか調べないというようなことで、この輸出前受け制度が、あなた方の調べたところでは違法的なものは見当たらなかったと言うのだけれども、それ以外のものについてはどうなんだという疑問が当然出てまいりますね。まことにこれは国民の疑問を解くにはとうてい間に合わない調査だと思う。しかも、あなた方が違法的なものはほとんどなかったと、若干の問題のあるものもあったという御答弁ですけれども、違法かどうかというその基準はどこに置かれたんですか。どういう点からして違法的なものがないというふうに判断されたんですか。
○説明員(林大造君) 輸出前受け金につきましては、輸出前受けを証するいろいろの書類を提出することになっております。その書類の突合その他をいたしまして、たとえば輸出前受けは、標準決済規則によりますと、特別の許可を得ません限り、通常の貨物につきましては前受け期間は輸出認証前一年、それからプラント類につきましては輸出認証前三年ということに相なっております。そのような標準決済規則違反のものがございますれば、これは法令違反になるわけでございまして、そのようないろいろの為替管理法の規定、それは主として通産省のほうがお詳しい輸出貿易及び輸入貿易に関する法令の規定がございますけれども、それに違反しているかどうかという点を調べましたわけでございます。それからまた、為替銀行につきましては、為替銀行は関連の書類の確認をしなければいけないということが為替管理法の規定にございます。その確認義務を果たしているかどうかということを確認いたしまして、何らの書類もなしにドルを受け取っているというようなことがあれば、これは違法の行為になるわけでございます。そのような観点から検査をいたさせました。
○渡辺武君 まことに抽象的な御答弁なんですけれどもね。一体、その輸出前受け制度でドルの送金があった場合、そのドルを円にかえてほしいということで為替銀行に商社なり個人なりが書類を持って行きますね。その場合の重要な書類、欠くことのできない書類というものはどういう書類がありますか。
○説明員(宇都宮綱之君) 輸出前受け証明書を為銀から発行してもらうときには、これが貨物の輸出の前受けであるということを証明する書類が必要でございます。そのためには、たとえば契約書の原本あるいはその写し、あるいはテレックス、あるいはテレグラフといったものを証拠書類として銀行に呈示いたします。それに基づきまして、為銀ではそれを確認した上で輸出前受け証明書を発行するわけでございます。
○渡辺武君 そうしますと、何ですか、いまおっしゃった輸出貨物代金の前受け証明書ですね、これはもう全部為替銀行に出ておりますか。あなた方が調べた場合と、それからまたあなた方が調べないでそのままにしてあるものも、前受け証明書が必ず出ているというふうにここで確言できますか。
○説明員(宇都宮綱之君) 銀行と商社を、一部でございますが調査した結果、違法なものはございませんでした。で、申請のあったものにつきましては、すべて前受け証明書が発行されておったわけでございます。
○渡辺武君 業者から実情を聞きますと、輸出前受け制度で外国から送金を受けている人がこれを円にかえたいという場合でも、輸出前受け証明書を為替銀行に提出しない場合もあるのだということを言っております。その点を考慮しながらあなた方確認されましたか、どうですか。あなた方が調べた範囲では輸出前受け書が出ているとおっしゃったけれども、調べないところでどうだったか、その点の確認もできますか。
○説明員(林大造君) 私どもが検査をいたさせました範囲におきましては、輸出前受け証明書が出ていたわけでございますが、そのほかにいかなる状況にあったかということになりますと、先ほど申しましたようなことで、検査が完全には行き届いておりませんので、ここでさだかにそのお答えはいたしかねるわけでございますが、私どもが検査をいたしました印象では、各為銀とも法令の規定は順守していたようでございますから、したがって、まあ検査をしてみませんと何とも申し上げかねるわけでございますが、大体法令の規定は順守し、輸出前受け証明書はきちんと確認していたのではないかというふうに理解いたしております。
○渡辺武君 輸出前受け証明書と、それから契約書ですね、これ、ちゃんと照合していますか、どうですか。
○説明員(宇都宮綱之君) 前受け証明書を発行いたします際には、為銀は必ず輸出契約書等と照合することになっております。
 それから、私どものほうで銀行と商社を検査いたしました際に、疑義のあるものにつきましては、すべて契約書等を持ってこさせまして、全部突合いたしました。その結果、すべて貨物の裏づけがあるということがわかった次第でございます。
○渡辺武君 おかしいじゃないですか。あなた方の調査ざれたものも、まことにこれは局限されたところを、まるで平面の中の点にひとしいようなところをちょっと調べたというような状態で、もしかりにあなた方が言われているとおり前受け証明書とそして契約書がちゃんと照合したとかりにして、そうして、そこから出発して全局を判断するということは、一体できますか。先ほどの私質問の中で明らかにしましたように、この時点では、新たな輸出契約の成立というのはほとんど、大商社だってなかったということだったんでしょう。ところが、それにもかかわらず、契約書と輸出前受け金の前受け証明書とが、これが照合しておる。これ、全部だと考えることができますか。あなた方それくらいの疑問は持たなかったのですか、どうですか。
○説明員(林大造君) 八月の十六日以後になりましてから、かなりの金額にのぼる輸出前受けがあったわけでございますが、これはほとんど全部と申してもよろしいかと存じますが、八月十五日以前に成約になりました輸出契約の代金、それを前受けしたものであるというふうに考えております。
○渡辺武君 考えておるというのはおかしいじゃないですか。いいですか、商社が輸出契約をして、そうして代金を受け取るのに大まかに言って二通りの道がありますよ。一つは契約書、LCを送らせる、信用状を。そしてそれに基づいて輸出手形を発行する。もう一つは輸出前受け金制度で事前にドルを送らせるというやり方、大まかに言えばその二つでしょう。先ほど一番最初伺った信用状の接受高を見てごらんなさいよ。そんなに急増しておりますか。急増してないのじゃないですか。しかも、この期間に新たな輸出成約というのはほとんどなかった、見送り状態だったとおっしゃっている。その時点に、まさに輸出契約を前提にしなければ成立しない前受け金制度によるドルの送金、円への転換というのは、めちゃくちゃに急増した、そんなばかなことを考えることができますか。どうですか、その点は。
○説明員(宇都宮綱之君) 先ほど私が、八月十六日以降はほとんど契約がストップしておったというふうに申し上げたかと思いますけれども、ほとんどと申しますのは、大体商社によって違いますけれども、平年月の一割程度の成約はあったということでございます。それから、先ほど林次長からお話しいたしましたように、既契約分とその県一割程度の新規成約分とをあわせまして、前受け証明書の申請が出てきたものと考えられます。
○渡辺武君 と考えられますなんというようなところで片づけられたら、国民の疑惑は一つもとけやせぬですよ、それは。理の当然でしょうが。特別にその時点で輸出契約が急増するというような、そんな情勢でなかったことは明らかでしょう。その時点で輸出契約ができれば、いずれにしたって、これは日本の貿易というのはほとんどドル建てですから、円が切り上げられて、逆に言えば値段の下がったドルで代金を数カ月先に受け取らなければならぬという事態にぶつかってくることは明らかです。現に為替市場だって、先物市場一つ十分に立たなかったじゃありませんか。そういう時点で輸出契約が急増するというばかなことが考えられますか。しかも、林金融局次長自身がただいまもおっしゃった、この前の九月二日の大蔵委員会でもおっしゃった、あの時点では輸出前受け金制度について厳格なあれはなかった、形式的な厳格な制約は、そういうことを言っておられる。そういう状態で、つまりあなた自身が、抜け穴だらけだったことをぼくは別な形でもって告白していると思う。そういう状態で、思いますなんというようなことで切り抜けられますか、どうでしょうか。
○説明員(林大造君) 先ほど宇都宮課長から御説明いたしましたように、八月十六日以後の成約は非常に少なかったわけでございます。しかし、輸出前受けというのは必ずしも新規の契約についてあるわけのものではございませんで、八月十五日以前に行なわれました契約につきまして、その前受け金が八月十六日以後に入ってくるというのは決して不自然なものではないわけでございます。したがいまして、八月十六日以後に入ってまいりました輸出前受けは、ほとんど八月十五日以前の契約によるものだというふうに解していただいてよろしいと思います。
○渡辺武君 解していただいてよろしいと思いますなんと言ったって、解するわけにはいかぬですよ。そういう一般論を聞いているのではない。あの時点で、だれが考えたって輸出契約がどんどんどんどん成立するなんという時点ではなかった。それ以前の状況というのは、いま言った信用状接受高を見ればわかる。その以前の契約状況というのは、大体いままでどおりの状況が続いているでしょう。あなた方も統計の上ではっきりこれを私に教えてくれた。むしろ輸出契約が激減しているというような、そういう状態のもとで、ひとり輸出前受け金制度による契約だけは急増したという形になっている、あなた方の答弁によれば。そんなばかなことを認めることはできませんよ。しかも、あなた自身が言っているように、まことにルーズなものであったということを言っている。そうして八月の末、九月の初めにかけて、この輸出前受け金制度についてはきびしい規制を始めているでしょう。きびしい規制を始めたということは、いままでのような状態でいけば、輸出契約があってそしてそれに基づいてこの代金前受けしたのだと言っても、信用ができないのだ。いんちきな金がどんどん入ってきて、そうして投機的にこれが円にかわるということを、あなた方自身が自認していることを示している。その後にきびしくやったということは、そうでしょう。ですから、あの時点で大規模な投機的な資金の動きがあったということは、これは認めなければならぬと思う。また、その実情を調べるために、私はそんないいかげんなあいまいな調査ではなくして、もっと全面的な立ち入り調査をすべきだと思う。これが国民の疑惑を解く道だと思う。その点、おやりになるおつもりがあるかどうか。
○説明員(林大造君) 輸出前受け金がかなり大量に入ってまいります事態は、実は五月のマルクがフロートいたしましたときにも見られたわけでございます。この種の事象が起こりますのは、為替取り引き、貿易取り引きに伴う、ある程度まあ方々で見られる現象でございまして、五月のときにどういう措置をとったかということを申し上げますと、五月のときには、為替銀行の外国にある店で資金を調達して、その資金を日本に向かって輸出前受け金の形で送金してくる事例がかなり多いというふうに認められましたわけでございます。したがいまして、五月のときには、日本の外国為替公認銀行の海外におきます支店の、現地貸しの増加を非常に規制いたしました。その規制におきまして、五月のときには輸出前受けの資金の流れはとまりましたわけでございます。したがいまして、今回かなりその現地貸しの規制は働いていたというふうに存ずるわけでございますけれども、しかし、その規制ではやはり結果的に見ますと十分ではなくて、あのような大量の資金流入があったわけでございます。
 今後、どの程度の検査をするかということでございますけれども、現在、私ども限られた検査の職員を動員いたしまして、引き続き銀行及び商社につきまして検査を励行いたしてございます。ただ、残念ながら、やはり人員が限られております関係上、御指摘の期間につきましての悉皆の調査をするということはまずできないと存じております。
○渡辺武君 そういう御答弁ではまことに残念ですよ。やはり責任を持ってできるだけの努力をして、この事態を明らかにすべきだと思うのです。少なくとも、いままで調査した分について、どこの商社や為替銀行に立ち入り検査をやって、どういう結果であったかということについて、私はその点についての資料をいただきたい。なお、要員その他でいろいろ制限があるとおっしゃいますけれども、やはり今後できるだけ全面的な調査、あの時点での為替投機についての全面的な調査をできるだけやることを要求します。その点、御答弁いただきたい。
○説明員(林大造君) ただいま御指摘のありましたとおり、現在の検査の職員をできるだけ動員いたしまして、また通産省の応援もできるだけ得まして、今後とも検査を励行してまいりたいと存じます。
 また、資料の点につきましては、かねて当方で鋭意作成中でございますが、銀行の名前とか、あるいは商社の名前、あるいは検査の内容ということになりますと、これは私どもの立場上、おのずと限られたものしかできないわけでございますけれども、できるだけ御趣旨に沿うようなものをつくりたいということで、目下鋭意努力中でございます。
○渡辺武君 今後調査をなさるというなら、その点について一つ要望しておきますけれども、あなた方が先ほど、たとえば業者が為替銀行に出した前受け証明書、これと輸出契約とが照合すると言ったけれども、その輸出契約自体がはたして実体があるのかどうなのか、この点が非常に疑惑ですよ。ただ書類の上で形式的にこれが合法的だというふうなことだったら、幾らだっていまの大商社はそんなものだったらできるんです。輸出契約が実体的に成立するはずがないようなときに、輸出契約が成立いたしました、こういう書類だけがそろっている、ここに問題がある。その点の調査、できますか。いいですか。私がくどく言うのは、これが大きなスペキュレーションの疑いがあるから。いままで大蔵省は、日本では為替管理を厳重にやっているから短期資金の流入、投機などというものは起こりませんということを何回も、国会でも言っておった。ところが、いざふたをあけてみれば、輸出前受け金制度という大穴があいておった。そうしてここから、わずか十二日間、日曜を除けば十一日間の間に二十六億三千万ドルの中の大部分が、これが流れ込んでくるというような事態が起こっているのですよ。しかもどうですか、この間まで国鉄総裁をやっておられて、昔は三井物産の社長をやっておられた石田礼助さん、これが日本経済新聞に書いている記事をあなた読みましたか、九月三日の日の記事ですけれども。スペキュレーションをやるのは当然のことだと言わんばかりの記事が出ている。「当時のマネジャースルームの主要業務は、為替変動と金利差にいかに対処するかで、これが商売の生死を決することだった。」――言ってみれば、スペキュレーションをうまくやるかどうかということが、これが商売の生死を決することだというように書いている。そうして「昭和五年から十一年までのニューヨーク時代、私はドル買い円売りの主要人物だった。」と、はっきりと公然と言い切っている。そうして「第一次世界大戦中の太平洋における用船料の高騰にのって、当時のカネで一千万円、いまのカネで百億円をたちまちにしてもうけたのだ。」というような自慢話をしている。こういうことまで言っている。「私の体験からはかるところ、スペキュレーションに関しては、ユダヤ人や中国人も敏感だが、日本人はそれにまさるとも劣らない素質をもっている。」、こういうことを言っているのです。これはこの方は何ですよ、わりあいに歯にきぬを着せず言う方だということは、私も国会で質問をしてみて知ってますがね。おそらく正直なところを言われたのだと思う。こういう人たちが財界の首脳部にいるんですよ。その点もよく見なきゃならぬ。そうして、こういう財界の首脳部、これがやった大スペキュレーションに、あなた方は輸出前受け制度というのを大穴あけて協力した、こう見るより以外に道はない。どうですか、輸出契約がほんとうのものかどうかということを検討しますか。
○説明員(林大造君) 私ども何分非力でございまして、いま、御趣旨のとおり確実にできるかどうか、みずから危ぶむ次第でございますけれども、しかし、御趣旨を体しまして、検査にあたりましてはできるだけ真実を発見するように努力いたしたいと存じます。
○渡辺武君 まあおそらくあなた方も、そこまでおっしゃるなら努力してくださるだろうと思いますがね。私は、これはなかなか実態はつかめないだろうと思うんです。そこで問題が起こるんですよ。
 私この前、大蔵委員会でもはっきり申しましたけれども、この輸出前受け制度というのは、これは投機をやる人間にとっては絶好の制度、輸出前受け金をあれして、そうしてこの手に入れたドルを円にかえて、いま投機業者が一ドル三百六十円のレートでばく大な円を持って、政府が公式に円切り上げをやるのを待っているんですよ。そうして、円の切り上げが行なわれた時点で、つまりドルの安くなった時点でドルを買い戻して為替差益、ばく大な金をふところに入れようと、虎視たんたんとやっているところですよ。今日、日本に居住しておる人は自由にドルを売ったり買ったりできない。ところが、この輸出前受け制度でドルを手に入れた人間は、これはもし一年以内に輸出をしなかった場合、あるいはこの輸出契約がキャンセルになりましたといった場合には、ドルを買い戻して、これを外国に返す義務を負っておる。別のことばで言うならば、権利を持っておるのです。ドルを買い戻す権利を持っておる。だから一ドル三百六十円でもって円を手にした人間は、この円でもってドルを買い戻すその権利を、ほかの人が持っていない権利を持っておる。そして、これは為替差益をふところに入れるという絶好の制度なんです。ですから、あなた方がもしそれほど熱心に、これが投機かどうかということを追及される意図があるならば、この投機を未然に防ぐ必要がある。その道はある。この前、私、大蔵委員会で申しましたとおり、この輸出契約がもしうそのものであって、一年以内に輸出ができなかった、あるいはまたこれがキャンセルされたというような場合には、その人間は将来の為替相場がどうなろうとも、少なくとも一ドル三百六十円のレート、つまり彼らがドルを売ったレートでドルを買い戻すことを義務づける必要がある。そうすれば、このスペキュレーションによる膨大なもうけというものは封殺することができる。あるいは、いまこの円切り上げ問題で、中小企業をはじめとして国民はたいへんな被害を受けておる。大商社、大銀行しかこういうことができなかった。国民に対する義務から言っても、いま私の言ったような方式をとるべきだと思うが、おやりになるつもりがありますか。
○説明員(林大造君) 輸出契約がないのに輸出前受けという形の資金を取り入れました場合には、もちろん為替管理法違反ということになりますが、今後キャンセルになりました場合は、どちらの責めに帰するものであるか、またそれがやむを得ない事情によるものであるかどうかというような認定の問題もあるわけでございます。また、たまたま何らかの理由によりましてキャンセルになりましたがために輸出前受け金を返すというような場合に、いかなるレートによるかということにつきましては、現在のところこれを旧レートによって返すということを命じ得る根拠の規定はないということは、渡辺委員に一度御説明したことがあるかと存じます。
 で、それを立法をもってやる意思があるかというような御質問かと存じますけれども、本件はやはり法律の規定なくしてはむずかしいのではないかと存じております。まあ輸出と申しますのは、日本の現在までの成長を支えてきたたいへん大切な活動であったわけでございますけれども、その関係で角をためて牛を殺すようなことはあってはならないということで、現在のような仕組みになっているわけでございますが、そのようなことで、この輸出前受け金という方法を悪用した者があった場合に、どうしたほうがいいかという点につきましては、現在のところ、特にこういう措置を講ずる――ただいま御指摘になりましたような方法はどうかというお話でございますけれども、それを直ちに実施すべきかどうか、私としてはお答えする立場にないわけでございます。
○渡辺武君 よくひとつ大臣にそのことを言っておいてくださいよ。これは大事な問題ですよ。しかも、この問題を誠意を持って解決する努力をするかどうかということが、大蔵省や日本銀行があの大投機に手をかしたかどうかということを検討する一つの試金石にも私はなると思います。まあ、あなたにやれやれと言っても、あなたはそれを答弁する立場にないと言うんだから、これはやむを得ないですけれども、ひとつ大臣によく伝えておいていただきたいと思う。
 それからもう一つ、この輸出前受け制度だけが問題じゃない。私はもっとやはり大蔵省、日本銀行がこの大きな為替の大スペキュレーションに手をかした事実があると思う。その点について伺ってみたいと思うんですが、あの時点で日本銀行は、それまで認めていなかった外国為替資金貸し付けの期限前返済を認めたと言われておりますね。佐々木日本銀行総裁は二回にわたって認めたという答弁をしておられますけれども、それは一体何日と何日のことなのか、それによって為替銀行が売ることができるようになったドルというのはどれほどだと考えておられるのか、その点をまず伺いたいと思います。
○参考人(渡辺孝友君) 日本銀行の外国為替資金貸し付けの返済を認めた件についての御質問でございますが、先生御承知のとおり、外国為替資金貸し付けは、為替銀行の輸出手形買い取り資金を円で融資するものでございまして、いまの御質問の点だけ申し上げますと、二十五日と二十六日の二回に分けた。これはだんだん前から減っております。その後においても減っておりますが、大きく減ったのは二十五日と二十六日と申し上げてよろしいかと存じます。
○渡辺武君 二十五日と二十六日、つまり変動相場制採用を発表するその前日と前々日だ。まさに為替スペキュレーションたけなわなその最中に、いままでは為替銀行が輸出手形を買い取って、そのために支払う円を日本銀行からいま言ったような制度で借りておった。その場合は、為替銀行は同じ輸出手形を見返りにして外銀からドルを借りることはできないという仕組みになっておったでしょう。それを二十五日、二十六日の時点で、期限前に日本銀行に返済を認めたから、為替銀行は手持ちの輸出手形を大量に外銀に持ち込んで、大量のドルを借り入れて、そうしてこれを売って円にかえた。まさに日本銀行が為替銀行の為替スペキュレーションに手をかしたことになるのじゃないですか。一体、これによって売られたドルがどれくらいのドルになっておられるか、それからなぜこんなことをやられたのか、その点を伺いたい。
○参考人(渡辺孝友君) 外国為替資金貸し付けの経緯についてちょっと申し上げたいと存じますが、これは、先ほど申しましたように、期限付き輸出手形を買い取る為替銀行の資金を円で貸し付けているという、それだけ外貨の買い持ちになるという関係もございますが、そのほか、市中からかねて何とかこれを減らしていきたいという要望があったのでございます。私どもとしても、これは減らしていったほうがいいと考えておりましたが、何ぶんもう、一兆円以上に達しておったことでございますので、一挙にこれを認めますと、外貨の急増が起こってくる、外貨が急に入ってくるということで、いわゆるドルシフトでドルが入ってまいりますことを押えるために、外国為替資金貸し付けの減少はなるべく押えておったのでございます。ただ昨年来、輸入金融のほうにおきまして、いまのドルシフトの逆の円シフトの、それはむしろ外国からの借り入れを減らすほうになりますが、これを実施いたしまして、さらに本年三月以来、同じ輸入金融という趣旨から、大蔵省から外貨を預託をされるというふうなことになりましたので、それらの状況を見合わせまして、漸進的に減らしていこう、そういうふうに考えておったわけであります。現にピーク時には、ことしの四月に一兆一千二百億になっておりましたが、七月末には八千八百億ということになったのでございます。
 その後八月十九日に、いわゆる米国のドル防衛策が発表された措置といたしまして、外銀借り入れの増加を抑制する、残高をその十八日の時点で凍結したわけでございます。そういう思い切った措置がとられましたので、それ以降におきましては、これを外国為替資金貸し付けの返済を随意に認めましても、それによって外銀から借り入れをして外貨を持ってくるという余地はなくなったのでございます。そういう意味で、あの時点で、かねがねの方針のもとに、この期限前返済を認めるということをいたしたわけでございます。
○渡辺武君 時間がないので、伺ったことについて端的にお答えいただきたいと思うのですよ。せっかく御答弁あったので、その問題について一言申し上げますけれども、とにかく為替銀行が輸出手形の買い取りをできるだけしないように制限したとおっしゃったけれども、その制限というのは一体どこにあらわれてきたかといえば、中小企業の輸出手形の買い取りについては制限をして、大企業の輸出手形は買っていたじゃないですか。そういう形で大企業の輸出手形をたくさん抱えておって、しかもその買う資金を、日銀の外国為替資金貸し付け制度でどんどん日銀から金借りて、買い持ちしておった。ところが、先ほど来申しますとおり、こうして輸出手形を見返りにして日本銀行から金を借りている以上、その輸出手形を見返りにして外国銀行からドルを借りることができないので、そこで二十五日、二十六日という時点で、つまり変動相場制採用の直前に、あなた方は期限前返済を認めた。そうしてこの輸出手形をいつでも外国銀行に持っていって、これを見返りにしてドルを借りる条件をつくってやった。そうでしょう。そういうことなんです、実態は。
 それで、なおついでに伺います。何か御答弁のついでにおっしゃってください。いま、七月末の日本銀行の外国為替資金貸し付け残高約八千八百億と言いましたが、その正確な数字と、八月末のこの残高がどのくらいになっておるのか、それをついでにおっしゃっていただきたい。
○参考人(渡辺孝友君) 計数から先に申し上げますと、七月末が八千八百三十一億円でございます。八月末は二千四百九十八億、約二千五百億ということでございます。
 それから先ほどの御指摘の点は、ただいま申しましたように、八百十九日以後は外銀借り入れをふやせない状態になっているのでございます。したがって、現実に日銀に入っておった手形を持ち出して、それで外銀から借りたということはないと信じております。また、なかったことはこれは事実でございます。
○渡辺武君 そんなことないですよ。現に為替銀行の外銀からの資金の借り入れポジションですね、これはこの間の発表から、きょうこの数字持ってこなかったが、非常に悪化しているじゃないですか。そして為替市場の出来高も、それ以後急増しているのが実情です。八月の二十四日の出来高、一億六千五百万ドル、二十五日に五億一千百万ドル、二十六日は六億五千万ドルと急増している。つまり、日本銀行のいま言ったような措置によって、輸出手形を見返りにして外銀からドルを借りてきて、これを売りまくった。事実の資料がそう示している。しかもその金額は、いまあなたがおっしゃった数字で計算してみますと、七月末の日本銀行の外国為替資金貸し付けの残高が八千八百三十一億円、八月末が二千四百九十八億円、そうすると、一カ月に六千三百三十三億円減っておるわけですね。大体これがこの期間に、期限前返済で日銀に返済された金額だというふうに見ていい。これを三百六十円の公定レートで計算すれば十七億六千万ドルという数字になります。十七億六千万ドルのドルを、外銀から借り入れて売りまくる道を開いたのじゃないですか、あなた方。
○参考人(渡辺孝友君) どうも繰り返しになりまして恐縮でございますが、十九日以後は十八日末の残高で規制いたしておりますから、その十九日以後におきまして外銀借り入れが非常にふえたとかいうことはないと思います。それから、うちに入っている手形も、大体一日も持ち出しておりません。そのまま保管しております。そういうことから申しましても、ほんとうにこの二十五、六日の事態というものは、そういうことは行なわれなかったと存じます。
○渡辺武君 存じますでは、客観的な事態は、私が申しましたとおり、あなた方がそういう措置をとった以降、出来高が急増してドルががんがんまた再び売られるようになった、その事実が示している。また為替銀行の、きょう持ってこなかったのでまことに残念ですがね、外銀借り入れの急増という事態があらわれている。ですから、その点はやっぱり事実に基づいて報告していただきたいと思う。
 そこで、時間もないので私お願いしたいのですけれども、八月末の日本銀行の外国為替資金貸し出し残高の貸し出し先別の内訳ですね、それからまた、二十五、二十六日に期限前返済をやったといいますが、その期限前返済の銀行別の内訳ですね、これを資料としていただきたいと思う。いただげますか。
○参考人(渡辺孝友君) この外国為替資金貸し付けの残高につきましては、期末しか実は公表しておりませんが、きょうの御審議のために全部正確に申し上げたつもりでございますが、銀行別の数字につきましては、これまでもちろん出したこともございませんので、なお政府とも相談をしまして、そういうふうにさしていただきたいと思います。
○渡辺武君 それはぜひいただきたいと思うんです。国民は非常に疑惑を持っておりますよ。日本銀行が何であの時点に、私の大体の推算でも十八億ドルというようなばく大なドルを為替銀行に売る道を開いた。これは日本銀行が為替銀行と結託してやったことだとしか思われないんだ、どう考えても。疑惑を持っております。あなた方はその疑惑をもし解きたいと思うならば、その資料をぜひいただきたいと思います。
 それからもう一つ大蔵省のほうに伺いたいんですけれども、大蔵省は八月二十六日に、つまり変動相場制採用の発表のあった前の日ですね、あのスペキュレーションのたけなわのとき、そのときに為替銀行に三億ドルの外貨を預託したといわれておりますけれども、これは事実かどうか。
○説明員(林大造君) 事実でございます。
○渡辺武君 この外貨預託という制度、これは何を目的として、いつから始まったもので、八月末までに残高はどのくらいありましたか。
○説明員(林大造君) この大蔵省の外貨預託の制度は、ことしの三月に始められた制度でございます。で三月のときに始めました理由は、当時アメリカの金利が非常に下がりまして、したがいまして海外で金を借りたほうが有利な条件になってまいりました。で、そのような状態を放置いたしますと、大量のドルシフトが起こり、日本の外貨準備がふえまして、私どもといたしまして適当でないというふうに判断されましたので、かねてから日本銀行の輸入資金貸し付け及び大蔵省勘定のスワップという、その組織を通じましてそのドルシフトを食いとめていたのでございますが、それではどうも十分ではないということになりまして始めました制度でございます。
 で、三月以後、五月に一度改定をいたしました。五月に改定をいたしましたのは、五月のマルクのフロートによりまして条件がさらに悪くなった。したがいまして、この制度をさらに充実する必要があるということで実施いたしましたわけでございます。で、その五月当時には、五月三十一日に約二億ドルいたしました。五月以後毎月下旬に本件実施をいたしておりまして、六月には二十一日に実施いたしました。七月にも二十一日に実施いたしました。八月はややおくれまして、二十六日に実施いたしました。本件は四カ月で回転する仕組みになっておりますので、したがいまして、九月も、実は一昨日でございますか、土曜日でございますか、実施いたしました。そういう経緯でございます。
○渡辺武君 五月に二億ドル。六月は何億ドル、七月は何億ドル、八月は何億ドル、九月は何億ドルか、その辺ちょっとおっしゃってください。
○説明員(林大造君) 六月が三億ドルでございます。七月も同じく三億ドルでございます。八月も三億ドルでございます。九月は、過日閣議決定がございました中小企業に対する特別の別ワクが設けられましたので、三億五千万ドル実施いたしました。
○委員長(足鹿覺君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(足鹿覺君) 速記を起こして。
○渡辺武君 そうしますと、四カ月ごとに返済するとすれば、五月に貸したやつは八月末には返済ということになりますか。
○説明員(林大造君) 九月でございます。
○渡辺武君 九月に返済。そうすると、八月末までに十一億ドルの外貨が預託されておった、こういうことになりますね。そうしますと、私は五月に改定という意味は非常におもしろいと思うんです。まさにマルク問題が表面化した。そうしてマルク問題の表面化とともに、円の切り上げも近いだろうということで、円に対するスペキュレーションがぼつぼつ始まってきているという時期で、五月来日本の外貨準備高というのは急増し始めたのが特徴だろうと思う。同時に一方では、輸入貿易はずっと減退してきたというのが、まさにその時点の特徴だと思う。そういう事態で、輸入金融についてドルが不足しているなんということは起こりそうもないような時点に、何で大蔵省が毎月二億ドル、三億ドルというようなドルを、これを為替銀行に預託したのか。
 時間がないので端的に申します。これまた為替銀行のドル売りを促進させるためだ、こういう以外には考えられないと思うんです。十一億ドルのドルが公定レートでかりに売られたとして、そしてこれが、たとえば将来円が一〇%切り上げられたという時点で返済されるとすれば、あるいは現在の変動相場制で五%ということで考えてみても、五%で百八十億円の差損が出る、一〇%ならその二倍の差損が出る、こういうことになるんじゃないですか。これまた大蔵省が為替銀行の為替スペキュレーションを援助するためにやったものとしか考えられないと思うんですが、どうですか。
○説明員(林大造君) 本件、大蔵省の外貨預託は、決して為替銀行を援助するためのものではございませんで、輸出入の秩序を円滑にいたしまして、海外との取引が円滑に行なわれるという趣旨で行なわれましたものでございます。
 五月以後の輸出の数字を申し上げますと、五月以後の輸出は、五月が二八・三、六月二五・〇、七月二六・〇、八月が、まだ速報値でございまが、約三一%輸出が伸びているわけでございます。この間、輸入のほうはやや伸びが鈍かったわけでありますが、これは国内の有効需要が十分ついておりません関係上、輸入が伸び悩んだ次第でございまして、適去数カ月、大蔵省の外貨預託をいたしました関係で、いろいろの障害がありましたにもかかわらず、日本の輸出入の活動が円滑に行なわれていた。その証拠にと申しましてはちょっと語弊があるかもしれませんが、九月になりましてからも、やはり大蔵省の外貨預託はできるだけ円滑化の意味で実行すべしという要請が強かったわけでございまして、九月にも引き続き外貨預託を実行した次第でございます。
○渡辺武君 最後に……。それは、あなた方は肯定されないだろうということはわかります。この委員会の席上で肯定しちゃたいへんなことになるわけだ、為替スペキュレーションに大蔵省が協力したなんということは。しかし、客観的な事実がそのことを物語っていると思う。当時は、輸入資金、つまり決済のためのドルが不足しているというような事態じゃない。ドルがどんどん日本に流入している、そういう状態です。そうしてまた、輸入貿易が急増して決済資金が不足しているなんという事態でもない。あなた自身が言われていましたように、輸入貿易はこれは伸び率が鈍化してきているというのが状態だ。そういう時期に、決済資金のドルを大蔵省がわざわざ為銀に預託するということをやったわけです。これはもうスペキキュレーションに協力したという以外に道はないと思う。
 ところで、四カ月あとで返済されるという場合には、これはどういう為替相場でもって返済されるのですか。いま変動相場制で円が事実上五%上がっておりますけれども、その実勢で返済ざれるのか、それともまた預託したときの実勢で返済されるのか。そうして、まあ最後の質問ですから要望も兼ねて申し上げておきますけれども、やはりこの期間に大蔵省がこの外貨を預託した預託先の銀行と預託額、これをおっしゃっていただきたい。それからもう一つ、この預託した外貨についてはその使い道というものは規制されていたのかどうか、その点もあわせて御答弁いただきたい。
○説明員(林大造君) 三点でございましたが、まず預託した金額が返済になるときでございます。返済になりますときは、本件はドルで貸し付けておりますので、したがいましてドルで戻ってくるわけでございます。
 それから、銀行別の資料につきましては、本件は各銀行の営業上の秘密に属しまするし、また、私どもの立場上、その資料を作成し公表し得る立場にないということでございます。
 それから第三に、本件のこの資金がどういうふうに規制されていたかということでございますが、このドル資金には一々ひもをつけることはできませんが、しかし、本件は輸入のためのものでございます。輸入のために外貨を海外から借りている、その海外から借りている資金を返済きせるためのドル預託でございます。したがいまして、海外から取り入れますよりも有利になるだけの条件がここに形づくられるわけでございまして、為銀の貸し付け、輸入関係の貸し付け金利をそれに応じて引き下げさせるという措置をとっております。
○渡辺武君 一言言い落としたので、ほんの一言だけ言います。資金の使途がはっきり規制されていないということは、大問題だと思うのですね。やはり、ドルがたくさんあって売りまくるほど持っている為替銀行に、わざわざ三億ドルも預託するというのだから、これはもうスペキュレーションの資金を貸してやるようなものですよ。こういうものが、日本銀行でもやっぱり為替の評価損となってあらわれてくるし、外為会計でも為替の評価損となってあらわれてくる。いずれにしても、国家の財産にとって重大なマイナス、損失となってあらわれてくる。これは、きょうはもう時間がないので質問しませんけれども、日を改めて質問しますけれどもね、回り回って、やっぱり国民の負担になってくるのです。あなた方が大商社や為替銀行に大もうけをさした。それが結局は国民の肩にかかってくるということになってくる。その点を申し上げて私の質問を終わります。
○委員長(足鹿覺君) 林国際金融局次長に申し上げますが、午前中の和田委員要求の資料、すなわちニクソン・ショック後二週間の間における商社別、銀行別のドル売りの実態についての資料は、明日の午前中に提出する意味の答弁がありましたが、御提出願えますね。
○説明員(林大造君) そのときに政務次官からもお答えいたしましたとおり、銀行別、商社別というのはむずかしい。それから十六日から二十七日までという期間も、これも作成困難でございますが、八月中の外貨準備の増加要因につきましての資料を作成しておりますので、それを御提出いたしたいという趣旨で御答弁したわけでございます。たしかそういうことだったと存じますが。
○委員長(足鹿覺君) あなた方が、大蔵委員会においても同様の趣旨の御質問があり、資料を準備しておるという旨の答弁がありましたね。いまあなたがおっしゃるのはそのことですか。
○説明員(林大造君) そのとおりでございます。
○委員長(足鹿覺君) 私どもの受けた和田委員の資料要求は、二週間の商社別、銀行別のドル売りの実態について出しなさいと、こういうふうに聞いておるんです。だから、あなた方がそれを出せば、渡辺委員のただいままでの質問についても解明が行なわれるわけなんです。なぜそれを出せないんですか。
○説明員(林大造君) そのときも御答弁申し上げましたし、政務次官からも御答弁申し上げたわけでございますけれども、銀行別、商社別の数字が把握できる為替統計の仕組みになっておりませんし、それから日にち別の統計もできることになっていないわけでございます。したがいまして、あのときに政務次官がお答えになりましたのは、和田委員の御趣旨にできるだけ沿うように努力するということを申し上げたわけでございまして、そのことは大蔵委員会においても同じような趣旨のことに相なっているわけでございます。したがいまして、それ以上のものになりますと、できないという趣旨でございます。たいへん恐縮でございますけれども。
○委員長(足鹿覺君) とにかく、林次長、なるべく和田委員の趣旨に沿うような資料を作成して提出するということは、つまり和田委員の質問といい、渡辺委員の質問といい、問題になっているのは、二週間における商社別、銀行別のドル売りの実態が問題になってるんですよ。それを、いまあなたが言われるのはよく理解できないが、この実態に近い内容が、どういう点でこの実態に近い内容のものであるんですか。あなたの言う専門的なことばは抽象的でよくわかりませんが、もっとよくわかるように説明をしてください。
○説明員(林大造君) 実は、政務次官には大蔵委員会に対する提出資料の御相談をいたしております関係上、政務次官はいかなる内容の資料が作成可能かというのはけさ午前中にすでに御存じだったわけでございますが、そのときも、商社別、銀行別のものはできない、しかしできるだけ御趣旨に沿うようなものをつくりますということを申し上げましたわけです。できます範囲がどの程度かと申しますと、ただいま申し上げましたように、期日を限ってのものはできない。一カ月の数字が四十六億ドル外貨準備がふえておりまして、そのうち約四十億ドル前後があの期間というふうに思われますので、したがいまして、月中の数字をお話し申し上げれば概要はつかめるのではなかろうか。で、銀行別、商社別というのを正確につくるというのは、これは実際問題としてできないわけでございます。したがいまして、月別の統計をとりましても、国際収支統計上の項目に従いまして、銀行のポジションの関係で幾ら、それから輸出関係そのそのもので幾ら――輸出前受けとは違います。輸出入関係そのもので幾ら、それから輸出前受けと推定される短期資本収支、誤差脱漏という項目で幾ら、この数字はつかめるわけでございまして、その数字をお出しすれば当時の状況がおおむねわかる。で、銀行別、商社別ということになりますとむずかしいということは、たしか午前に政務次官も御説明申し上げたと、私隣におりまして、聞いております。
○委員長(足鹿覺君) 速記をとめて。
  〔午後七時十九分速記中止〕
  〔午後七時二十八分速記開始〕
○委員長(足鹿覺君) 速記を起こして。
 それでは、さらにもう一ぺん確認をしておきますが、和田委員要求の資料提出につきましては、政務次官の午前中の答弁の趣旨に沿う資料を早急に整備されて御提出を願いたい。
 さらに、いま懇談の中で私が申し上げたように、問題は明らかでありますから、懇談中に申し上げた趣旨の線に沿ってさらに作業を進め、本委員会の期待するにふさわしい資料の提出を早急に求めたいと思いますが、いかがでありますか。
○説明員(林大造君) 御趣旨を体しまして、上司ともよく御相談をいたしまして善処をいたしたいと存じます。
○委員長(足鹿覺君) 本日の質疑はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
○委員長(足鹿覺君) この際、派遣委員の報告につきましておはかりいたします。
 去る七月二十三日の委員会の決定に基づき、第一班として静岡県、愛知県、三重県に三日間の日程で四名、第二班として岩手県、山形県、福島県に五日間の日程で三名を派遣いたしましたが、これら派遣委員の報告は会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時三十分散会
     ―――――・―――――