第068回国会 逓信委員会 第18号
昭和四十七年六月一日(木曜日)
   午後一時十八分開会
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   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     山田 徹一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         杉山善太郎君
    理 事
                植竹 春彦君
                長田 裕二君
                古池 信三君
    委 員
                今泉 正二君
                郡  祐一君
                新谷寅三郎君
                西村 尚治君
                松平 勇雄君
                鈴木  強君
                木島 則夫君
                松岡 克由君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君
   政府委員
       郵政政務次官   松山千惠子君
       郵政大臣官房長  森田 行正君
       郵政省電波監理
       局長       藤木  栄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部防犯少年課
       長        川崎 幸司君
   参考人
       社団法人日本民
       間放送連盟専務
       理事       杉山 一男君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に
 関する調査
 (郵便貯金の利率引下げ問題に関する件)
 (郵政省高級公務員の民間放送会社への就職状
 況に関する件)
 (テレビジョン放送番組の向上に関する件)
 (沖繩復帰後のVOA放送の実情に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のため、社団法人日本民間放送連盟専務理事杉山一男君を参考人として本日の委員会に出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(杉山善太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(杉山善太郎君) それでは、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
 鈴木君より質疑の申し出がございますので、鈴木君に質疑をお願いいたします。鈴木君。
○鈴木強君 先に郵政大臣に、郵便貯金の利下げの問題で若干伺ってみたいと思います。
 きのうかおとといの新聞を見ますと、何か佐藤総理から廣瀬郵政大臣が、しかられたという記事が載っておるんですけれども、私はこの記事を見まして廣瀬郵政大臣が、非常に大衆の預金である郵便貯金の利益を守るためにずっと御奮闘いただいておりまして国民が拍手を送っていると思うんですね。一日延びれば一日延びるだけに、がんばれがんばれと拍手を送っていると思うんです。それで郵政審議会にあなたが諮問されて郵政審議会でいろいろ論議がありまして大蔵省が言うような形にまとまらなかった。そのことをとらえて何か小言を言ったというふうに推察するんですけれども、これは私は筋違いだと思いますね。あなたは郵政審議会に諮問をされて郵政審議会が独自の立場に立っていろいろと御討議なさっているわけですから、それが結論が出ないからといって郵政大臣の責任がごときようなとらえ方をするのは、私は間違いだと思います。その辺のいきさつはどうなんでございましょう、これは簡単でようございますから。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 郵便貯金の利子引き下げの問題につきまして総理から私に御指示がありましたことは、もうすでに三回に及んでおりますわけでございまして 一回は、対外経済政策推進関係閣僚懇談会で、預貯金の金利を引き下げなくちゃならぬ。いろんな項目があったうちに、そのことも一つの強い柱であったわけでございます。この閣僚懇談会には私考えるところがございまして出席をしなかったわけでございます。ところが、その日佐藤総理から、きょうの関係閣僚懇談会の決定に基づいて郵便貯金は下げるということで、すみやかに郵政審議会を開くようにという御指示をいただいたわけでございます。
 それから二回目は、これは閣議の席上でございますから、二十六日でございます。この日に、この関係閣僚懇談会の決定に基づきまして通産大臣から、この内容は新聞等に載っておるので省略するけれども、そういうふうにきまったからひとつ了承してもらいたいという発言がございましてそれに基づきまして大蔵大臣から、ただいま通産大臣からお話があったとおりであって、ぜひ郵便貯金においても御協力願いたい。そしてその引き下げ幅は〇・五%にしてもらいたいというような要請があったわけでございます。そこで、私は郵便貯金は銀行貯金と全く異質のものであるという強い確信を持っておりますわけでございましてしたがって昨年の暮れにおきましては、公定歩合の引き下げが実施されましてそれに連動して銀行の預貯金、郵便貯金の利率を引き下げるべきであるという要請があったわけでございますが、私は、ただいま申しましたように、郵便貯金と銀行預金は全く性質の違うものである。簡単にということでございますから、どういうわけで性質が違うと主張しておりますかということについては省略いたしますけれども、そういうもんでありますから、郵便貯金は決して下げるわけにはまいらない、断じて下げません。しかし銀行預金については御自由でございますから、どうぞひとつ御先発くださいということを主張したわけでございます。ところが、郵政省のその主張が通りまして銀行預金も預金の利率を下げなくて済んで、ずっと今日に及んでおりますわけでございましていわばその音頭をとったのは郵便局であった、郵政省であったわけでございます。
 ところが、今回は、私は、昨年の暮れとだいぶ情勢が違ってきている。これは日本の景気上昇の状況、あるいはまた、外貨の滞留が非常に多いということ、さらにまたこういう状態が続きますと、重ねて円の切り上げをしなければならないという情勢というようなことが、昨年とだいぶ違っておりますので、これはいささか考えなくちゃならない時勢になっているとは、私は思っておりますわけでございます。でございますから、そのような閣議の決定については、あえて郵便貯金だけを絶対に下げませんと言うわけにまいらないと私は思っておりますわけでございます。ところが、大蔵大臣から、それに関連して、ただいま申しましたように、〇・五%銀行と同様に下げてもらいたいという発言がございましたから、私はさようなことは絶対できません、金利の引き下げの幅等については、これは実行の期日等もございますから、金利の幅等については郵政審議会で十分御審議願いたいと思っておる、その答申に基づきまして私がきめることになります、ということを申したわけでございます。
 それはそのままで済みまして、そのときの二十六日の閣議は、ただ一人郵政大臣が反対しただけで、他は了承したというような報道が新聞にされておりましたことは、御承知のとおりでありますけれども、その次の閣議が三十日にあったわけでございまして、ただいま鈴木委員の御指摘になっております佐藤総理云々ということは、その日のことであろうかと思っておりますけれども、これはちょうど二十九日に郵政審議会を開きまして、その翌日の閣議であったわけでありますが、そのときに水田大蔵大臣が、金利の引き下げというのは非常に切迫して急がなければならない、それなのに、きのう郵政審議会を開いたけれども、郵政相は何にもその具体的な諮問を示さずして結論も得なかったということを言われたものですから、そこで佐藤総理がその点非常に不満に思ったのでございましょう。そのように私はお顔を拝見したわけでございますけれども、郵政大臣、諮問に白紙で、何も問わないというような郵政審議会のあり方はないじゃないか、ぼくが最初から君に――それから二回目の二十六日のときも、佐藤総理は、郵政大臣、ひとつ金利の引き下げについて協力しなくちゃいかぬぞというような結びのことばもございました。
 それから三回目がただいま申しました三十日でございましたが、大蔵大臣が、そういうことを申しましたら、佐藤総理がただいま申しましたような態度でもって私に、郵政大臣、何も諮問事項を示さない郵政審議会というものはあり得ないじゃないか、最初から郵政審議会をすみやかに開けと言ったのは、諮問をやれという意味じゃなかったか、ということを言われましたから、私といたしましては、第一に、昨日郵政審議会を開きました。二十九日でございますが、午後三時から午後六時まで、三時間も、非常に活発な論議が展開されたのでございますけれども、賛否両論で結論に至らなかった。で、この次は今週の金曜日、つまりあしたになりますわけでございますけれども、六月二日に学識経験者を相当たくさん招致いたしまして、参考人としていろいろ御意見を聞きたいと思っております、そういうように郵政審議会は御決定になりました。そうして第二に申しましたことは、今度は問題が問題だけに、そう簡単に結論が出ないと思います、答申がないと思います、しばらくかかると思いますから、まあ政府が郵便貯金も金利を引き下げてもらいたいというその御趣旨は私はわかっております。わかっておりますけれども、簡単に結論は出ませんよ。相当しばらくかかると思いますから、お待ちください、ということを申したわけでございます。そうしてさらに申しましたことは、大蔵大臣が何も諮問しなかったということをおっしゃったけれども、私は明らかに諮問をいたしました。
 その文書もはっきり文言が示されておりますから明確でございますけれども、第一回は、郵便貯金の金利のあり方、あるいは郵便貯金の本質ということについて、ひとつ白紙にしてざっくばらんに御討議を願いたい。その間私の説明といたしまして、政府としましては預貯金の金利を引き下げなければならないということがきめられておるのでありまして、私も出ておりましたからそれを了承したかっこうになっておりますけれども、しかし具体的に申しますと、金利引き下げの幅なんということは全然きまっておりません。大蔵大臣の〇・五%という希望的意見は述べられておりますけれども、そういうようなことは全然きまっていない。また、いつ郵便貯金の金利引き下げを遂行するか、半年の後か、一年の後か、その辺もきまっていない。でございますから、そういうことをすべて含めて最初は白紙で郵便貯金の本質、基本について遠慮のない、忌憚のない御論議を願いたいということで、諮問事項としましては、郵便貯金の利子のあり方についていかに、というはっきりした文言で諮問をいたしておりますと、白紙で諮問したということは全然ございません。何も諮問しなかったなんという事実は全くございませんというふうに申したわけでございます。
 そこで、私といたしましては、適当な時期に郵政審議会から御答申でもございますれば――それはどんな答申になるかわかりません。全然一分だって、一厘だって金利を引き下げてはならないぞという結論が出るかもしれないし、あるいは大蔵省の主張どおり〇・五%、しかも銀行の預貯金と時を同じくして金利を引き下げるべきだという答申が出ないとも限りません。そういうようなことについては、またあらためて第二回目に――もし郵便貯金の利子を引き下げるということになれば、その利子の引き下げの幅はどのくらいにするか、これは〇・一%もあり得ますし〇・五%ということもあり得ますわけでございます。それから、いつから実施するというその実施の時期もありますわけでございまして、半年後ということになるか、銀行が七月一日に発足するということになっておるということであれば、郵便貯金が半年おくれて発足するということになればちょうど来年の一月一日でございまして、庶民金融の発足と時を同じくすることになります。一年後ということになれば、来年の七月一日ということになるわけでございます。これはたとえばの例でございますから、私の腹はまだ何にもきまっておりません。
 そういうわけで利下げの幅もあれば、時期の問題もありますから、こういうことについては二回目の諮問のときに具体的に私は諮問をいたしたいと思っておりますと、こういうふうに申したのでございまして、とにかく郵便貯金の金利については郵政大臣が決定権を持っておる、持っておりますけれども、私どもは、やはり全体の金利に関係を持っております大蔵大臣に協議をいたしたいと思っております。協議をすることになっておるのでございますから協議をいたしたいと思っております。大蔵大臣が私どもの協議を経ずして、いきなり直接総理大臣にものを申し上げる。そして総理大臣から私に対して発言させるということについては、これは常道でないと思っております。これに対しては私は非常に不満を持っております。やはり常道を踏んで、そして協議がととのわないときに最終的に総理が裁断を下すということが、私は内閣の運営のあり方としてしかるべきではないか、こういうふうに考えるのでありまして、どうもそういうことは大蔵省の態度はよくないと思っております。そういうことについては非常に大きな不満を持っておるのであります。まあ俗なことばで言えば、トラの威をかりて私を押えつけようとするその態度は、私はまことに遺憾千万だと思っておるわけでありまして、こういうことではまことに残念だと思っておりますわけでございます。まあそういうことでございます。
○鈴木強君 よくわかりました。大臣の考え方についてはわれわれも全面的に支持いたします。何せ大衆預金者を犠牲にしていくような、そういうやり方は納得できないわけですから、今後もひとつがんばってもらいたいと思います。
 それで、念のために伺っておくんですが、いまお話しの二十六日の定例閣議の際に水田大蔵大臣が、銀行預金、郵便貯金とも一律〇・五%の金利引き下げを期待する、こういうことを言ったんですが、これは別に閣議決定ではないというふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(廣瀬正雄君) その点ははっきり申し上げますが閣議決定ではございません。私はそのようなことはできませんということをはっきり申し上げております。ということは、結局郵政審議会を近く開くことになっているんです。その御意見を聞かないと利幅の問題については、引き下げの問題については、いま大蔵大臣のおっしゃっておることは私は反対でございますということを申し上げておきました。閣議決定ではございません。
○鈴木強君 それから郵政審議会は四十数名の委員の方々がいらっしゃる大世帯ですね、ですから専門委員会的なものもおそらく同時に考えながら運営されていくと思いますが、藤井丙午会長の、新聞にも出ておりますように、言われておるように、大体三カ月くらいは少なくともかかるというような発表をされておりますね。いま大臣のおっしゃるように、第一段階としては、預金金利のあり方、それから郵便貯金の金利のあり方と、郵便貯金の本質について一応論議をしていただく、この答申が出た上に立ってさらに金利の引き下げの幅、さらに実施の時期、こういうことを諮問したいというお話を承りましたので、そうなりますと、藤井丙午会長が言われておるように、審議会としてそういうふうな慎重を期そうということでおやりになるなら、私はそうあってほしいと思いますね、大衆が汗をかいてせっかくためた貯金ですから。それを守ってやるということは政府の責任であるし、郵政大臣の責任であるし、したがって、そういう立場に立ってぜひやっていただくわけですから、その点も私は慎重を期する意味において非常にけっこうなやり方だと思います。ですからいま私の申し上げましたような二段がまえで答申をしてまいりますと、大体最低三週間なければちょっと無理ではないかと思いますがどうですか、もう少しかかるのじゃないですか、これは審議会のおやりになることですからあれなんでしょうけれども。
○国務大臣(廣瀬正雄君) いまお話のようにこれは審議会で自主的におやりになるわけでございますので、長いか短いかは申し上げにくいのでございますけれども、相当日数がかかるということだけは事実だと思っております。
○鈴木強君 郵便貯金の本質の場合に私は希望意見として特に申し述べておきたいのですが、どうも大蔵省は金利引き下げの、金利に対する大臣の権限をとろうというように考えられる節があるんです。この点は何が何でも断固として確保しておかなければ困るわけです。その点を念のために申し上げておるんですが、間違いなしに、それはどうしてもがんばってください。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 実は二十六日の最終日の閣議で決定いたしました庶民金融、俗にいう庶民金融でございますが、その法律案の作成の場合に、党の政調会長が中に入りまして、私どもと大蔵省、農林省との間の調整案ができたわけでございますが、最初の案に庶民金融を許す、しかし、大蔵省としては郵便貯金の金利決定権を大蔵大臣にまかせてもらいたいというような項目がございましたから、これには先生のおしゃるように断固として反対いたしまして、そういうことになりますと、百年の歴史を持った郵便貯金の制度を根本的にひっくり返すことになります。そういうことでは私ども庶民金融は要りませんからということではっきり申し上げまして、その後全くそれがなくなってしまったわけであります。
 ところが、法律案作成にあたりましてそういうことでがんばりましたら、その後調整案では、金利の決定については大蔵大臣と協議するということになりまして協議する。それは現実の法制におきましても、一般の金融状況なんかを考えなければならないことになっております。慣例として大蔵省と相談をいたしておりますけれども、ととのわないときには、郵政大臣独自の権限でやればいいわけでございますけれども、協議という文句は入りましたけれども、決定権を大蔵大臣に譲るなんという大それた、あられもない不当な要求に対してはもちろん退けたわけでございます。そのような取引は全然いたしておりませんので、取引をいたしたということになればそういう点がありますわけですけれども、ここでは、ちっとも郵政省の在来のやり方を傷つけるような取引はいたしておりません。皆さんおっしゃったように、先生がおっしゃったことは、郵便貯金の金利の引き下げと庶民金融との納得、了承とやみ取引してやったじゃないかという疑惑の念を持っていらっしゃる方もあるようですけれども、そんなことは断じていたしておりませんから、それでどうぞ皆さん方におかれましても、今度の金利の引き下げの問題と庶民金融と、これまた取引されずにひとつ関連を持たないものとして、もともと皆さん方は庶民金融の法案には御賛成をされていただいたわけですから、これはなるべく早く委員会のほうでお取り上げいただいて御審議を願いまして、郵便貯金はまた別途に、関連させずに、私は私なりにがんばっていきたいと思いますから、庶民金融だけはぜひひとつ関連いたしましてお願い申し上げたいと思います。
○鈴木強君 いま協議すると言われましたね。これは運用上、実施段階で相談するということはあると思いますけれども、少なくとも、この郵便貯金法にある条文を変えて協議してきめるというのは、そういうことをやるのではないわけでしょうね。その点は運用上の問題として従来やってきたとすれば、それはそれでいいと思います。法律改正は断固阻止してください。それでいいですね。
○国務大臣(廣瀬正雄君) そのような趣旨でございます。
○鈴木強君 じゃわかりました。
 次に、郵政官僚の民間放送への天下りの問題で若干伺いたいのですが、ここ数年間、郵政省を退職をされた局、部長クラスの中で、民放のほうに再就職をされた人はどのくらいおられますか。
○政府委員(森田行正君) 郵政省の幹部が、最近二年間におきまして、放送関係にどれだけ就職したかというお問合わせでございますが、個別的に申し上げますと、昭和四十五年八月退職いたしました元熊本郵政局長、山健策君が、同月に株式会社テレビ西日本へ就職いたしました。同四十六年四月に退職いたしました元東北電波監理局長、平井正俊君が同月株式会社テレビ神奈川へ就職いたしました。また、四十六年七月に退職した元貯金局長の山本博君は、同年九月NHKへ就職いたしました。それから四十四年十一月に退職した元郵政事務次官の浅野賢澄君は、四十六年十一月に株式会社フジテレビジョンに就職いたしております。
 以上でございます。
○鈴木強君 これは退職されて二年以上たっての方ですか。それとも二年以内に就職された方でございますか。その点はどうですか。
○政府委員(森田行正君) 浅野賢澄は二年たっておりますが、それ以外は二年たっておりません。
○鈴木強君 きょうは時間の関係で――さらに数年前にさかのぼっての資料はないようですから、これはまた、別途過去十年ぐらいのところを資料として出していただきたいと思います。
 浅野次官は在任当時、例のUテレビの免許について当時の小林郵政大臣を助けて、いろいろとあっせん、調停等に携われたと聞いておりますが、それは間違いないですね。
○政府委員(森田行正君) 先生が御要求になられました資料につきましては、後刻提出いたします。過去十年間でございますか、――それは後に提出いたします。
 次の問題につきましては、電波監理局長のほうからお答えいたします。
○政府委員(藤木栄君) 浅野次官は、当然次官として免許の関係は関係していたということが言えると思います。ただもちろん御存じのように、免許する際は、電波監理審議会の答申を得て、最終的には郵政大臣が免許する、そういうことになっておるわけでございます。
○鈴木強君 浅野次官が御在任中にU局に対して与えた免許は、これは各放送局別にわかりますか。どの社、系統が幾つというのがわかりますか。
○政府委員(藤木栄君) 浅野次官が御在任の期間は、昭和四十二年七月二十八日から昭和四十四年十一月二十一日まででございまして、この間、郵政大臣がいわゆる予備免許をしたテレビの局は三十五社でございます。そのこまかい個々の会社の名前は、もし必要がございますれば、いま手元に持っておりますけれども、――いま申し上げましょうか。
○鈴木強君 言ってください。
○政府委員(藤木栄君) 三十五社でございます。これは、北海道テレビ放送、新潟総合テレビ、長野放送、富山テレビ放送、石川テレビ放送、テレビ静岡、中京テレビ放送、岐阜放送、三重テレビ放送、近畿放送、サンテレビジョン、岡山放送、瀬戸内海放送、佐賀テレビ、鹿児島テレビ放送、テレビ長崎、テレビ熊本、福岡放送、山形テレビ、福井テレビジョン放送、山陰中央テレビジョン放送、青森テレビ、秋田テレビ、テレビ大分、テレビ岩手、テレビ山梨、愛媛放送、テレビ山口、テレビ高知、テレビ宮崎、福島中央テレビ、群馬テレビ、千葉テレビ放送、広島ホームテレビ、宮城テレビ放送、以上の三十五社でございます。
○鈴木強君 これは各ネット局との系列別に見るとどんなふうになっておりますか、三十五社の内訳は。
○政府委員(藤木栄君) この三十五社は、それぞれ東京のキーステーションからいろいろな番組をとっているわけでございますが、いわゆるネットと俗に言っておりますものを、五〇%以上供給を受けているということにいたしますると、この三十五社中、フジテレビから供給を受けている社は十四社ということになります。いわゆる東京のNETと申しますか、日本教育テレビから供給を受けている社は四社でございます。あとはそれぞれ東京の各局から少しずつ供給を受けているという状態でございます。
○鈴木強君 小林元郵政大臣は、四十二年七月二十八日から四十四年十一月二十一日の浅野次官の御就任の期間中は大臣でございましたか。
○政府委員(藤木栄君) 小林大臣の任期期間は昭和四十一年の十二月三日から四十三年の十一月三十日まででございますので、浅野次官とは多少ずれておりまして、浅野次官は先ほど申しましたように、四十二年七月二十八日から四十四年の十一月二十一日でございますから、一年くらいずれているということになろうかと思います。
○鈴木強君 小林武治、元郵政大臣がテレビ静岡の相談役になっているということは事実ですか。
○政府委員(藤木栄君) 私どもいわゆる役員でございますと報告があるわけでございますが、相談役というのは役員ではございませんので、私どもとしましては、正式な報告は受けておりません。しかし、これは人づてにそういう話は伺っております。
○鈴木強君 私はこの問題に対してすでに新聞が一斉に取り上げて、五月二日の閣議後の記者会見で、廣瀬郵政大臣に対して質問をされております。そのときに、いまのお話の浅野賢澄、元郵政省の事務次官が、昨年十一月フジテレビの副社長に就任された。それから小林武治、元郵政相は本年一月にテレビ静岡の相談役に就任された、こういうことの前提に立って記者団から質問があったのですね。これに対して廣瀬郵政相は、浅野氏は、国家公務員法に照らした場合には何ら異論はないが、免許責任者として直接関係の深いテレビ局に入ったことは、道義的に批判されてもしかたがない。小林氏の場合も、道義的には同じことが言えようかと、こういうお答えをしておる記事を私は拝見いたしました。すでに先般の委員会でも、こういう事実があることを私は指摘をして、あらためて大臣の御所見を承りたいということを言っておりましたけれども、きょうは、この問題をあえて取り上げたのは、御承知のように、私たちはUの免許をする際に、このチャンネルプランについては前から、Vのチャンネル当時からも問題がありましたように、この免許権については、いろいろとそういううわさ的な意見も流布されておりました。
 特に、FM東京の免許については、国会はたいへん大ゆれにゆれるところまで問題にされたのでありまして、免許というものをめぐって一点の疑義もあってはいけないし、国民に疑いを持たれてもいけない。だから放送法制調査会も、すでに放送行政委員会というものをつくって、いまの大臣権限から、そこに免許権を移すべしという答申をしていることも、これは事実であります。ところが、これもまた答申がそのままになっておるという状態でございます。ですから、私たちはUを免許するときは、過去の郵政行政に対する批判があるわけですから、その批判に対しえりを正し、ほんとうにプランを公に国民の前に明らかにし、そしておやりになったらどうか、と同時に、この免許に対しては、たとえば経済の大きな県は、あるいは二局ないしは三局併設ということも考えられるのですけれども、非常に経済の小さい、経済力のない県なんかですと、二局、三局免許した場合は、結局スポンサーも限度があるでしょうし、なかなか収入がうまくいきませんと、勢い番組に悪影響を与えるだろう、したがって、小さい県などはあと回しにしたらどうだろうかということを、われわれは口をすっぱくして時の小林郵政相に意見を申し上げたわけです。
 ところが、山梨県のように、ああいう小さい県に至るまでUを大いに免許をした。そういう点については、私たちは非常に大きな不満を持っておりました。ところが、たまたま一方その衝に当たっていた人たちが天下り的に民放に直接御就職なさったと、こういうことを聞きまして、非常に私は憤慨をしているものの一人です。もちろん就職の自由は憲法に保障されておりますから、だれがどこに就職されようと、私たちは文句を言うわけではございませんけれども、大臣の言われておるように道義的な点から考えた場合に、いかがなものかと私は思うのでございます。そういう意味でこの元郵政大臣である小林さんが自分で免許したテレビ静岡に相談役になられた。これは政治家としておやめになった小林さんがやられることですから、一般論としては私はだれも文句を言う筋合いではございません。ただ、そういういきさつの上に立った場合には、私一言ものを言っておかなければならぬと、こう思って私の意見を申し上げておるわけです。
 それから浅野さんの場合もいまお話しのように、三十五社のうちフジテレビから供給を受けている社は十四社です。御在任中に免許されたそのフジテレビの副社長に就任されたということは、御在任中に十四社に対して、えらい力をかしたものだととられても、これは申し開きができないと思のですね。そういう疑いを国民から持たれるようなことをなぜおやりになるのかということを、一面、道義的に私は考えるわけですが、ですから、これはわれわれが言うように、電波・放送法というのを答申のように早くお変えになって、本来の姿に戻されたほうが、こういう問題がかりに起きたとしても、免許権というのは第三者がその機関できめるということになれば、また問題は、多少とも国民の受ける感じは薄らいでくると思いますし、そういう基本的な問題はたな上げにして、そしてこういう問題が具体的に出てくるとするならば、郵政省として一考あってしかるべきだと私は思いまして、私はこの問題を取り上げたのです。
 長いことは触れませんけれども、大臣として記者団にお答えになったような御心境であろうと思いますけれども、私は国民にかわって道義的にこの人事は疑義があると、まずい人事であると私は考えます。したがって、これは郵政省だけに限ったことだけではなくて、公務員諸君の全体の天下り人事というものが、これは防衛庁あたりはもっとひどいかもしれませんが、各省庁にあるわけでありまして、もう少し私は政府全体としてもえりを正すべきことじゃないかと思います。自分が就任中いろいろ便宜を供与してやり、また、してもらいたいからいろいろとその会社をやるんでしょう。そして、いよいよやめたら、そこへ行くということは、利益誘導もずいぶんはなはだしいと思うのですね。私はそういう点から国民が批判することは、これは当然のことですからね。この点は十分ひとつ注意をしてもらいたい、こう思います。
○政府委員(藤木栄君) ちょっと大臣から御答弁申し上げる前に、三十五社といいますか、その当時の免許の手続的なことにつきましてちょっと御説明さしていただきたいと思います。
 この三十五社の免許につきましては、御存じのように、チャンネルプランというものを初めにつくりまして、それに従って各地に免許がおろされるわけでございますが、そのチャンネルプランを発表しますと、それぞれ放送事業を行ないたい人は無線局の放送局の申請を出すわけでございますが、それが御存じのように、一つのチャンネルに対しまして一局でございますると、これは問題はございませんけれども、相当な数が出てまいったということで、郵政省といたしましては、そのうち一つを選んで免許するということをすればよろしいわけでございますけれども、これはなかなか書類上一つの最もすぐれたものということを選ぶことは事実上不可能であるというわけで、まあ、地元の有力者、主として知事でございますが、知事にお願いいたしまして、数ある申請を一本化していただいて、そして一本化していただいたその申請に対しまして、私どもとしましては電波監理審議会に諮問いたしまして、その御答申を得た上で大臣が免許した、そういう経緯でございます。
○鈴木強君 あなたそういうことを言えば私もまた、それは事実に反しているところがある。私は山梨県ですね、たとえば山梨県の場合に、知事のあっせんで処理したなんてとんでもない話ですよ。ある自民党の代議士が大臣から言われて、そしてくにへ帰って、関係者を集めて、自民党のべースで調整をしたという事実があります。これは、私は、当時の地元新聞紙、写真入りのものを持ってきて、あなたに見せた。そういうていさいのいいことばかり言われても、これは事実と違いますからね。私たちは、少なくとも国会に議席を持って、どの会社の設立に参加するなんということはあってはいかぬと私は思いまして、いささかたりともそういうことをやっておりません。口添えもしていない。
 ただ、電波というものが国民のために、公平に、しかも有効に利用されるという見地に立って、私はやってきたつもりですよね。だから、そういうことを言われると、事実と違うので、そうばかりきれいにいっていない。なぜ、山梨の場合、知事にあっせんを依頼しなかったのか。だから、そうあなたが言うとおりに、いってないんだから。したがって、いろいろと言えば言うほど、ぼろが出てくるのだから、言わぬほうがいい。したがって、大臣は、率直に記者団に発表したような心境で、今後、この当事者、利害の非常に深い人たちがそれぞれのところにおる場合には、慎重にやってもらわないと、国民の誤解を招くし、疑惑を招くし、電波行政に対する不信をますます増大させるだけですから、厳重に、これは注意をしてもらいたいと思います。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 私は、郵政行政のうちで一番利権を伴うという心配のありますのは電波行政であろうかと平素思っておりますわけでございまして、したがって、放送事業と郵政省の首脳者の退職者、こういう方々のつながりと申しますか、就職と申しますか、人事と申しますか、そういうことについては、ただいま鈴木委員御指摘のように、最も戒心をしていかなくちゃならない、注意をしていかなくちゃならぬ問題であると、このように考えております。その辺は同感でございます。
○鈴木強君 FM東京なんかはもっと政治的な深い取引がされていることを私は知っておる。これは、予算委員会等でもその輪郭は出ておりましたけれども、ですから書類の整備、その他につきましても、われわれから見ると、きわめて適切でないような書類の整備をして、そうして免許申請をして、名義変更をしているということは、もうすでに国民の前に明らかになっているわけですから、だから、そういう電波行政の乱れを直すことが先決ですよ。そういう乱れの中で免許がされたということは、これは何といっても、われわれから見ると、納得のできないことです。ですから、大臣のいませっかくのお話がありましたから、今後、ひとつ十分注意していただくように、重ねてお願いしておきます。
 それから、その次は、きょうは警察庁の刑事局から川崎防犯少年課長さん、それから民間放送連盟から杉山一男専務理事さんにお忙しいところをおいでいただきましてありがとうございました。
 実は、先般来、新聞・テレビ・ラジオ等で大々的に報道されておりますポルノ映画の問題でございますが、もともと、日活ロマンポルノ映画事件というのが刑法百七十五条にいうわいせつ映画であるという見地から摘発が進められまして、「牝猫の匂い」、「愛の狩人」、「女高生芸者」、この三本は、いずれも数ヵ所にわたって男女が全裸でからみ合うシーンがあり、明らかに性行為等を描いているため、刑法百七十五条にいう、わいせつであるということから、大量な検挙や捜索が行なわれているように聞いております。
 これは前にそういう事件がございまして、一度警察当局が摘発をされたことがございますが、こういう事件に端を発しまして、最近はテレビ・ラジオ等、放送関係にもポルノ番組に対するいろいろな手が打たれておるように聞いております。確かに私どもも深夜に放送される幾つかの番組を見ますと、これでいいのかなと、非常に心配をするものもあります。ただ、しかしこの取り締まりというのは、一方では言論・報道・表現の自由ということが憲法上保障されておる。したがってそれと取り締まりとの関係といいますのは非常に重大な問題だと思います。ですから、一つ間違いますと、やっぱり憲法に保障された言論・報道の自由の侵害ではないかというきびしい批判が国民の中から出てくる。したがって、私は原則的には、これはやはりいまテレビでいいますならば、それぞれのテレビ会社に放送番組審議会というのがございますし、民放は民放として放送基準というものをつくって、それによって作製をされておるわけですから、放送事業者の良識において、豊かにして国民の教養に役つような放送番組をつくっていただくということが最重点でなければならない。法律によって押えていくということは、これは付随的に一面考えられることであって、これが先行してはいけないと、私はいつも思っておるわけです。
 そういう意味で、きょうはまず日活映画のロマンから始まったことですから、これを摘発された警視庁のお考えですね。それと、その後事件がどういうふうな進展をしておられるか。同時に映倫のほうでも、新聞紙上で見ますと、従来の基準をかなり変えられたということも聞いておるわけです。したがってこの変えたことが、直接間接的に警視庁の摘発事件に関連をして映倫がそういう態度に変えたのかどうなのか、その点も私は聞きたかったわけですから、映倫の委員長にきょう御出席をお願いしたわけですが、ちょうどたまたま委員会があるそうで、おいでになっていただけませんで残念に思いますけれども、そういう点がきょう明かでありませんので、これはまたいずれあらためてやることにいたしまして、とりあえずテレビ映画のほうにつきましては、民放連から杉山専務理事にいらしていただきましたが、きょうはその辺だけにひとつしぼっていきたいと思います、多少関連はありますけれども。
 そこでまず第一番に警察庁にお伺いしたいのですが、警視庁の保安第一課で、度の過ぎたセックス電波、これが遠慮なく茶の間の中に入っている。これは青少年のためによくない。わいせつ罪の疑いがある、こういうことに大体判断をされまして、いま昨年の六月ごろから、ビデオテープコーダーで要注意番組というものを、モニターをして証拠集めをしているということを聞いておりますが、これは事実であるかどうか。もし事実とすれば、いま私の申し上げましたような、警察庁がこの証拠集めをしようとする一番の根拠はどこにあったのか、それから要注意番組というものは一体何と何なのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
○説明員(川崎幸司君) 警視庁におきましては、都民から内々の、テレビ番組、あれはわいせつじゃないか、取り締まりをすべきじゃないかというふうな趣旨の通報を、投書とか、あるいは一一〇番とかういふうな方法でもって受けておるというふうなこともございまして、先生御指摘のように、四十六年の六月ごろから、特殊なそういうたぐいの番組がわいせつに該当するかどうかということについて検討いたしますがために、ビデオ集録いたしております。
 その状況について申し上げますと、現在までのところ、検討いたしました結果、わいせつに該当する容疑があるというふうに認めたものはございません。
 なお、作業といたしましては、番組の選定――ビデオ収録する番組の選定につきましては、新聞の番組ニュースから選択いたしまして、そういうものについて収録をして、翌日担当者によって検討すると、検討の上問題がなければ、即日それを消してしまうというふうなかっこうで実施いたしてきているものでございます。
 法律的に申し上げました場合には、御案内のように、現在警察がやっております取り締まりはあくまでも事後取り締まりといいますか、刑法の百七十五条、あるいは電波法の刑罰規定にわいせつの通信という規定があると思うのでございますが、そういう法律に違反するかどうかということについて調査、捜査をするという立場でやっておるものでございます。で、具体的にどういうふうな番組が当たるかということにつきましては、ちょっと私直ちにここで申し上げるだけの資料を持ち合わしておりません。一般に深夜放送で特定番組と申しましても、やはり新聞の番組ニュースから見ました場合に、そういう疑いが持たれ得る番組の場合もあるでしょうし、そうでない場合もあるということでございまして、そういう疑いがあり得る番組だけについて、そういうふうな法律違反の疑いがあるかどうかということを検討するがために、さような作業をいたしているというところでございます。
○鈴木強君 テープは、モニターはテープでやるわけですね。収録をして、翌日すぐ内容を見て、そして問題がなければすぐ消しちゃうというお話ですけれども、聞くところによりますと、二十巻分ぐらいのテープレコーダーに収録したものがそのままになっているということですけれども、そうではないんですか。その点はどうですかね。
○説明員(川崎幸司君) 私も、先生御指摘のように、二十巻ぐらいという新聞記事があったように記憶いたしておりますが、その件について警視庁について調査いたしましたところ、そういう事実はございません。
○鈴木強君 それはわかりました。そうしますと、いままでどの番組とどの番組をモニターしたかということは、いまそこにはわからないんですか、どういうんですか。
○説明員(川崎幸司君) 先ほど申し上げましたように、わいせつ罪等の法律違反があるかどうかということについての作業でございますので、なければもう即刻消していくべき筋合いのものでございますので、消していっておるということで、そういう作業のしかたでやっておりますので、現在までどういうテーマのものをやったかという記録は一切残しておりません。したがいまして、担当者の記憶に頼りますならばお答えすることができる面もあるかと思いまするが、正確に記録によってお答えするというふうな、そういう記録制度を仕事の上でとっておりませんので、御了承願いたいと思います。
○鈴木強君 そうすると、記憶でおわかりの点がありましたら答えてもらいたいんですが……。
○説明員(川崎幸司君) まことに申しわけございませんが、ちょっと私ただいま何日のこの番組ということを申し上げる記憶がございませんので、必要がございましたならば、後刻調査いたしまして先生のほうにお知らせ申し上げたいと思います。
○鈴木強君 それでけっこうですから、後ほどひとつ警視庁のほうからお問い合わせいただいてお願いします。
 それから百七十五条違反と認めたものはないと、いままでモニターで調べた結果ではないと、こうおっしゃるんですが、ある番組で注意をし、あるいは警告を行なったという報道をなされておりますけれども、これはございますか。
○説明員(川崎幸司君) 警告といいました場合に、警察で正規に扱う場合には警職法に基づく警告であると、先生の御質問もそういうことじゃなかろうかというふうに解するわけでございますが、さような事例はいままでのところございません。
○鈴木強君 そうですが。この点間違いないですね、警告したことは一度もないということは。
○説明員(川崎幸司君) ただいま申し上げましたように、警職法に基づく警告をした事件は一件もございません。
○鈴木強君 法律でなくて、いわゆるまあ行政指導的な面でこれは注意したほうがいいじゃないかというふうな、そういうふうな意味における注意はなかったですか。
○説明員(川崎幸司君) 私が承知いたしておる限りにおきましては、民間からの投書であったと思いまするが、で指摘されたものがございまして、そういうものの中で、二件につきまして注意をするように要望したという事例はございます。
○鈴木強君 その二件については放送局名と題名をひとつ、これはまあメモでもいいですから、あとでひとつ届けてくれますか。
○説明員(川崎幸司君) じゃ後刻先生の手元にお届けいたします。
○鈴木強君 それから、このやり方がひとつ問題になると思うんですが、警察庁のほうは警察庁のほうとして、いまあなたがお述べになったようにいろいろと投書もあったと、したがって、これはモニターして一応内容を検討したと、こうおっしゃるわけですね。ところが見方によりますと、一種の検閲的なものではないかと、こういうまた一面見方が出てきますね。昔は検閲というのが非常に活発に強力にやられまして、あるいはラジオのある一部分が消されてしまうということがあったわけです。これは旧憲法下のことでございますけれども、いまはまあそういうことは全然世の中変わっているわけですが、憲法も変わっているわけですから。だけれども、やはりそういうふうな誤解を招くおそれも一面出てくるわけですね。この点について、おたくのほうではどういう見解を持っているんですか。
○説明員(川崎幸司君) 先生御指摘のように、検閲というふうな事前取り締まり的な制度は現在警察の権限にはございません。警察はあくまでも現行法に基づく犯罪容疑があるかどうかという観点からの活動をいたしておるものでございます。映画等につきましても、それが刑法百七十五条なり、あるいはその他関係の法律に、刑罰法令に触れるおそれがあるかないかという、捜査の面から言うなれば、事後取り締まりという形でやっているものでございます。
○鈴木強君 まあこれは事務的な一つの予防手段としておやりになっていると思う。それはそうでしょうね。しかし、一面見方からすると、また検閲をされているんだと、その分だけ――というようにとられるのも、これもまた否定できないんです。だから、一面ではそういうふうに見る人もこれはあるわけでして、ですから、扱い方はこれは非常に慎重を期さないといけないように思うんですね。その扱い方についてはひとつ十分注意をしていただくようにお願いしたいと思うんです。
 だから、わざわざ全部テープレコーダーにおさめて、それを収録しなきゃならぬのか――こう見ておって、何人かが、お互いに自由ですからね、見るのは。そういう中でおやりになるとか、やり方についてはいろいろあると思いますね。何かテープレコーダーに収録して、そしてそれを丁寧に見るというようなことになると、一方から見ると何か検閲でもされているんじゃないかというような気かするわけですね。ですからして、そのいろんな投書にこたえて、皆さんのほうではそれぞれどんなものかといってやるのは、これは職務上当然のことですから、私はそれをやっちゃいかぬというわけじゃない。やり方についてもう少しくふうをする必要があるのじゃないかと思いますけれどもね。見方ですね。
○説明員(川崎幸司君) 冒頭先生の御指摘の中に、表現の自由、公共の福祉の立場というものにかかわる問題だから、非常に慎重な配慮が必要であろうというふうな御趣旨のことがあったかと思うのでございますが、私どもこういうたぐいの捜査にあたりましては、特に慎重な配慮を必要とするというふうに考えて当たっておるものでございます。何がわいせつであるかどうかということの認定を誤りました場合には、非常にたいへんなことになろうかと思うわけでございまして、わいせつに該当するかどうかということの認定は、非常に慎重な検討を経た上で行なわれなければならないというふうに思っておるわけでございまして、そういう観点から考えました場合には、やはり現行の作業のしかたが適当ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木強君 これは見解の相違になりますから、これ以上私申し上げませんが、やはりやり方については若干御配慮をいただいてもいいじゃないかという、私気がいたしますから、まあひとつ検討をするときの参考にしてほしいと思います。
 それから、せんだって大阪府警の保安一課のほうで、深夜テレビに出演したストリッパーの、これはペンネームですが、一条さゆりさんが公然わいせつの現行犯で逮捕されましたね。これは五月七日でございますか。その逮捕の理由を見ますと、四月中旬放映された「3時のあなた」これは関西テレビですね。五月一日の「11PM」で「見たな関西ストリップの妙技」「レズショーをのぞく女子大生のポルノ感覚」これは読売テレビ。この二つに出演しているが、その出演している部分の中で、公然わいせつの現行犯であるということから、これは逮捕されたように聞いておりますけれども、これは逮捕した理由は、どういうことでございましたですか。
○説明員(川崎幸司君) 私どもが承知いたしておる限りにおきましては、当該ストリッパーがテレビに出たことが公然わいせつの陳列罪に該当するということで、それだけで大阪府警で検挙したという事実はないというふうに承知いたしているわけでございます。ただ、同ストリッパーがテレビに出ました興行場、その同じ興行場で行ないました行為につきまして、公然わいせつの疑いありということで検挙したということになっておるわけでございます。
○鈴木強君 そうですが。この一条さゆりさんはなるほどストリップ劇場かなんかでやっているんでしょうね。ですからストリップ劇場の場合ですと、これはもちろん成人に限るとか、子供は遠慮してくれとか、特定なあるいは成人に対して見せるというような制限がとれるかもしれませんね。ところが、テレビの場合ですと不特定多数、子供のいるところ、青少年のいるところに入ってくるわけですからね。その点が違うと思うのですが、いま課長おっしゃるようなことでなくて、番組の中の、さっきも私が申しましたような「3時のあなた」とか「見たな関西ストリップの妙技」とか、こういうふうなテレビ番組そのものの中で、ストリッパーがやったことが公然わいせつ罪に触れるということで逮捕されたと聞いているのですが、これはそのとおりじゃないんですか。
○説明員(川崎幸司君) 先ほど申し上げましたように、私どもが承知いたしておりますのは、同ストリッパーがテレビに出た場面について公然わいせつというものに該当するという容疑はない。ただ、そのテレビに出ましたストリッパーがストリップ劇場で行なっている行為、それがテレビに出た行為とは違った行為である。そのことについて公然わいせつに該当するということで検挙したものでございます。
○鈴木強君 いずれにいたしましても、ストリップ劇場でストリップをやる場合と、テレビに出てストリップをやる場合と、いろいろこの人たちは商売ですからおありになるでしょうけれども、いまあなたがおっしゃるように、テレビに出たのをごらんになったんですか。ちょっとわれわれはテレビに出てその踊り方とかなんかが、非常にまずかったので公然わいせつ罪ということで、劇場でやっているのと同時にテレビ画面の中でそういうふうな場面があったというふうに聞いているのですけれども、そうではないんですか。その辺は間違いないでしょうか。
○説明員(川崎幸司君) 何べんも繰り返すようで恐縮でございますが、私は直接そのテレビ番組を見たわけじゃございません。大阪府警も、そのテレビ番組に出たシーンが公然わいせつ罪に該当するということで検挙したのではなしに、別の行為といいますか、そういうことについて公然わいせつに該当するということで検挙したということでございます。
○鈴木強君 それはわかりました。まあおたくのほうの答弁ですからそれが間違いないと思いますから、そのように私も理解いたします。
 ただ、何といいますか一つの心理的な影響というものが非常にストリッパーにかかってくると思うんです。ですからして、テレビに出てやる場合でも、普通のストリップ劇場でやっているストリッパーが、そういうふうな逮捕を受け、いろいろと取り調べられるというふうなことからして、テレビに出演する場合にも、心理的にも失望するような、そういうことはないでしょうか。私取り調べしたことありませんから心理的なものわかりませんけれども、おたくのほうではそういうやはりストリッパーの心理的な転換といいますか、変革といいますか、そういうものをやっぱり一つのねらいとしてやる面もあるのですか、そういう取り調べをしたり逮捕したりすることは。
○説明員(川崎幸司君) 検挙とテレビ出演とはどういう関係に心理的になるかということにつきましては、私もよくわかりません。ただ、警察におきましては、どういうケースでございましても法律に違反するという観点のものについて、そういう立場において捜査をし、検挙をするという仕事のしかたをいたしておるものでございます。
○鈴木強君 それからちょっと前後しますけれども、さっきの番組のモニターの問題に関連をしまして、東京都の場合は青少年保護育成条例というのがございますね。この青少年保護育成条例に触れるような有害番組というものは、いままでのおたくのモニターによる検討段階ではなかったと、こういうふうに理解してよろしゅうございますかね。
○説明員(川崎幸司君) 結論を先に申し上げますと、東京都の青少年保護条例違反に該当するものがなかったというものではございませんでして、刑法の第百七十五条に該当するようなそういうものはなかったという趣旨でございます。先ほど来の御意見の中に出ておりますように、その家庭の中で見る、つまり青少年を含んだ家族として見るというケースと、それからストリップ劇場その他で見るというケースで態様が違うじゃないか。確かにそういう点があろうかと思うわけでございますけれども、しかし、現在までの判例の示すところによりました場合には、ともかくそういう家族、家庭でテレビを見る、あるいはストリップ劇場で見るという場合、いずれにいたしましても、公衆というとらえ方をしておりまして、若干その態様が違いまするけれども、基本的なとらえ方には差異はないというかっこうになっておるわけでございます。
 それから、東京都の青少年保護条例、これについての有害テレビが保護条例に該当するかどうかということの解釈につきましては、いろいろの解し方があろうかと思うわけでございまするが、有権解釈をすべき東京都におきましては、テレビ番組はこの中に入らないのだというふうに解しております。
○鈴木強君 おたくのほうで、モニターをされて、有害番組だと一応考えて、東京都の青少年対策室に通報されたものがあるんじゃないですか。
○説明員(川崎幸司君) 具体的に有害映画の点につきましてどうかということは、私ただいまお答えする資料持ち合わせておらないのですが、先ほども申し上げましたように、東京都の青少年保護条例に関する限りにおきましては、いわゆる有害映画、有害映画の指定というものは東京都の青少年保護条例で考えておると、しかし、テレビは一過性のものであるから、あの保護条例の有害という物権の中に入れるのは、なじみにくいというふうな考え方から、テレビ番組については入らないのだというふうに東京都のほうで解しておるようでございます。
○鈴木強君 東京都のほうは、そういう有権解釈をされていると思うのですが、警察庁のほうとしては、たとえば成人映画「鉄輪」というのですか、「鉄輪」というものを、ベットシーンの撮影を放映したあの深夜番組ですね。あの百七十五条のわいせつ、陳列の疑いがあるということで、そういう警告を東京都の青少年対策室に通報したという事実はあるのでしょう。
○説明員(川崎幸司君) ただいま具体的にあげられました事例につきましては、ちょっと調査の上、また先生の手元にお答えいたしたいと思います。
 ただ、有害映画、あるいは有害図書というふうなことで、都道府県知事が指定したというふうな事例は全国的に相当数あるだろうと思います。
○鈴木強君 それで、最後に締めくくり的に警察庁のほうに見解を求めておきたいのですが、最初に私が申し上げましたような検討と、実際のおたくのほうで検討するという具体的な手段との間に、いろいろと問題があることは重ねて申し上げる必要はないと思いますが、そういう中で一面、非常に俗悪な、国民の目をおおうような番組についても何か措置をしなければならぬという、そういう点もわかるわけでして、その中で、板ばさみ的な立場に立って警察庁もおやりになると思うのですが、この扱いは慎重を期していただきたいということ、これはさっき申し上げた点ですが、それとやはり放送事業者が自主的にきめております放送番組の基準ですね、それと、やはり放送事業者が常識を持って国民のためになる番組をつくる、そのところにやはり第一義的にはどうしてもウエートを置いていかなければならぬと私思うのですね。
 だから何か法律を先にかざしてやることは私は間違いだと思うのですよ。ですから、そういうことのないようにぜひしていただきたいということを特に申し上げて見解を承ると同時に、いまおやりになっている防犯的、予防的立場に立っての一つの検討ですね、こういうものがだんだんとかかっていきますと、やがては、刑法百七十五条違反というようなことになって、日活のポルノじゃないですけれども、大々的な摘発、捜査というものが行なわれていくようなことも想像されるわけですね。だから私は放送事業者の常識においてそういうことのないようにしてほしいのですけれども、これは警察は、何かやろうとすれば、具体的に幾らでもやり得るような一つの要素というものがあるかもしれませんね。
 しかしそのことはやはり一挙に捜査、摘発に踏み切ることでなくて、まあ非常に慎重で、時間はかかってもよく話し合いをしていただいて、放送事業者が悪いところは反省していただいて、そしてよりいいものを流してもらうというような形にするのが、私はほんとうの意味の警察のあり方だと思いますので、その点はいかがなものでございましょうね。
○説明員(川崎幸司君) 警察としての基本的な姿勢を申し上げる場面がなかったので申し上げなかったのですが、先生の御意見を伺っておりました場合に、基本的には全く先生と同じような考え方であるというふうに申し上げられるんじゃないかと思っております。私どもといたしましては、やはり自主規制というものによって問題が起こらないようにしていただくことが一番望ましいというふうに思っているわけでございます。そういう意味で、自主規制というものを尊重して仕事のしかたというものを進めていきたいと思っておるわけでございますが、不幸にいたしまして自主規制をされておりましても、なおかつ法に触れるというふうなものが横行するようになりましては、警察としてはやはり黙視するということは法のたてまえ上できないということも御理解いただけるかと思いまして、その辺の捜査の進め方ということにつきましても、先ほど来申し上げておりますように、慎重な配慮で当たっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木強君 これは戦争後の一つの風潮として非常に変わったものがあらわれてきたわけですね。戦前のわれわれのような教育を受けたものからしますと、どうもちょっとなじみませんね、ほんとう言って。ところが最近の若い人たちは性行為といいますか、性なんというものに対する感覚はわれわれと全く違っておりますね。われわれは昔結婚して夫婦で歩く場合でも、手をとって歩いたら、人が何か言うというので、一メートルか何ぼかうしろを女房が歩いてくるというような時代ですから。いまの若い人たちは手をつないで、外苑に行っても、宮城前に行っても、寝っころがってからみついておりますね。感覚が違うのですよ。われわれが外国あたりに行って、フランスあたりのある場面では、公園なんかで人の見ておるようなところでキスしているのですね。人が見ていたって平気ですね。そういう感覚はわれわれはなじまないのだけれども、若い世代の人たちには何でもないことなんですね。
 だから、その辺がこれはやはり年代の相違によって、一つの行為であっても目をおおう人と、おお、と言って、またあらためて見直す人とあると思うのですね。だから、それらの戦後の移り変わり、時代の変革、そういう中で性というもののとらえ方がまだどうしていいのか右往左往しているわけですね。ところが刑法百七十五条というのは、一つの古い型の中で育ってきたものがどうかすると存在しているわけですから、これが時代にマッチするようなものにやっぱりある程度変わっていかなきゃならぬというのがあると思うのですね。ですから、その辺が何か日本の国全体として一つの方向というものを私は見出されていないように思いますね。ですからそういう中でいまテレビ、ラジオ等があまねく普及発達をして、そしてこれがどこの茶の間にも入ってくる、それを見た人たちが、こんなけしからぬ番組流してとんでもないというのと、いいじゃないかというのと、やはり見る人によって受けとめ方が特に違うのですね。ですから目をおおうような人から見ると、取り締まってもこれはあたりまえだと、こう言うでしょうし、これはいけるいけるといって、かっこいいぞというて、見直す人から見ると、何だこれは、こんなの取り締まるのはけしからぬ、こういう感覚にはっきり分かれていると思いますね。
 ですから、やり方によっては非常にむずかしい問題でして、いわゆる憲法上の言論、報道、表現の自由ということ、この問題が公共の福祉と一体どこで抵触してくるのか、これらの問題は、性問題については特にむずかしいと思うのですね。ですから、そういう中で取り締まられる警察というもののあり方も相当な幅を持っていただかないといけないように私思うのでございますがね。だから、非常に御苦労もあるし、たいへんだと思いますけれども、その辺の時代の変遷と、そういう流れをよく把握された上で、ぜひひとつ国民からとかくの警察権力に対する批判が出ないような形でやってほしいということを重ねてあなたにお願いしておきたいのですよ。
○説明員(川崎幸司君) 御案内のように、法のこのわいせつの問題につきましての警察の活動というものは、判例の線で動くというふうな現在の国内法のたてまえになっているわけでございます。判例におきましては、最高裁の判例といたしまして、わいせつというものは、こういうものであるという判例を示しているわけでございますが、非常に先生が御指摘になっておりますように、風俗感覚とか、あるいはわいせつについての社会通念というものは非常にむずかしい段階に差しかかっているというふうなことを、私ども十分承知しながら仕事いたしておるわけでございますが、その場合におきまして、最初に申し上げましたように、判例の線というものがある。そういう点をやや具体的に申し上げました場合には、社会通念が変わったとしても――性についての社会通念というものは時代とともに変わるであろう。しかし変わったとしても、なおかつ越ゆるべからざる限界として性器、性行為は非公然の原則というものがあるんだというふうな判例の線が出されているわけでございますが、警察の仕事は、そういうふうな判例の基本線に即した活動のしかたを社会情勢等にらみ合わせながらやっていっているというところでございまして、警察といたしまして、何といいますか、非常に良識の線を逸したような取り締まりといいますか、純粋に法匪のような取り締まりというようなことは考えておらないわけでございまして、あくまでも適正な取り締まり、適正な法の運用というものを通じまして、風俗の維持をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木強君 郵政大臣に一つ伺っておきますが、電波法百八条に「無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によってわいせつな通信を発した者は、二年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」こうなっておりますが、法制定の趣旨は、「無線通信又は高周波利用の通信設備によって、わいせつな通信を発した者を処罰することを目的とする。「わいせつ」とは「人をして嫌悪醜恥の情を催さしめるもの」である。
 刑法第百七十四条から第百七十六条までにわいせつ罪の規定があるのに、本条を特に設けたのは、刑法第百七十四条は公然わいせつの行為をした者を処罰する規定であるから、テレビジョン等による本条の場合とはその処罰の対象を異にしてをり、又刑法第百七十五条は、わいせつな文書図画その他のものの頒布販売又は公然陳列を処罰の対象としているが、わいせつな通信がわいせつな文書図画に該当するかどうかが疑問である上に、かりにこれを以て文書図画以外のものに該当するとしてもテレビジョン以外はこれを「公然陳列罪」として処断することは甚だ困難であるから、これらの点を考慮して本条のような規定を設けることとしたのである。」、こういうふうに、提案趣旨では述べているわけですが、いままで私はテレビ番組とこの刑法百七十四条ないし百七十六条こういったものとの関連でいろいろ伺ってまいりましたが、ここにテレビジョン等による本条の場合を特に設けたのは、いわゆる刑法上の公然陳列罪というものとして処断することははなはだ困難であるから、こういう法案を特に設けたのだ、こういっておるのですが、刑法上とこの百八条との関係はどういうふうに使い分けておるか。警察庁のほうでは百八条があるにかかわらず、刑法上の問題としてとらまえていまやっているわけですよ。郵政省としては百八条でやらなければならぬ。
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 刑法との関係でございますが、このわいせつというものの定義というものは、刑法と別に変わるところはないと思いますが、まあ先ほど先生お読みになりましたような趣旨で、この無線通信の場合は、これはラジオ、テレビだけじゃございませんで、一般の通信もあるわけでございまして、このいわゆる刑法において非常につかまえることがむずかしいというような趣旨におきまして、特にこの百八条の規定を設けたのではないかと思っております。
○鈴木強君 警察庁、これは法務省でなければいかぬのかなあ……。警察庁ではこの点、百八条との関係はどう理解をされておられるのですか、百七十五条でいま取り締まり、盛んにやられておりますね。テレビジョン等のものは、この百八条のところのやはり罰則規定というものが適用されるのじゃないでしょうかね。
○説明員(川崎幸司君) 電波法につきましても先生の御指摘の条文については、たしか三年という刑罰法規があったかと、罰則があったかというふうに思うわけでございますが……。失礼いたしました。百八条では「二年以下の懲役又は十万円以下の罰金」という罰則が設けられておるようでございますが、百八条の条文を読みました場合に、「わいせつな通信を発した者は、」ということになっておりますが、ここで言う「わいせつな」というのは刑法で言う百七十五条の「猥褻」と全く同意義であるということであろうというふうに解しております。それの「通信を発した者」、「通信」とは何かというのは電波法に定められておるところになろうかと思うわけでございます。したがいまして、刑法百七十五条の場合について見ました場合には、テレビ放送がかりにわいせつ物の放送であるというふうになりました場合には、そういう公衆の面前でそういうものが観覧に供されたというふうな点から見ました場合には、わいせつ物の公然陳列罪という罪に該当しましょうし、あるいは当該物をテレビ会社にいろいろ売って歩いたというふうなものにつきましては、頒布販売罪という罪になろうかと思うわけでございますが、この百八条との関係につきましては「公然猥褻罪」と、ここに言う百八条違反罪というふうなものが、ちょっと法律的にはむずかしくて、よく検討しなければ正確には自信のあるお答えができないんでございまするけれども、競合罪の関係に立つんじゃなかろうかというふうに考えております。
○鈴木強君 これは藤木さん、あなたいまわからないような答弁をされたんですけどね。特に刑法百七十四条から百七十五条までの猥褒罪の規定があるにかかわらず、それでは不適当であるから――テレビジョンのように電波を通じてやられるわいせつ行為というものは、この百七十五条に言う刑法上の取り締まりをするのは不適当であるから、したがって、こういう百八条による規定を設けてるということですからね。だから、警察庁当局がまだ法律的にはっきりした見解を示しておらぬのですから、これもまたおかしな話だと思うんだけれど、少なくともこの電波法の運営については郵政省が責任を持っておやりになってるわけですから、もう少しわれわれが納得できるような解釈をしてください。私はいまさっき、この百八条を制定したときの精神というものは、読み上げたような精神であろうと思う。そうであれば、警察当局がやってる刑法上の問題と、おたくのほうでやってる第百八条との関係はどうなってるんですかということを伺ってるわけですから、その点についての明確な答えをしてもらわなきゃ困るんです。
○政府委員(藤木栄君) ちょっと私も自信のある答弁をするのにはもう少し研究さしていただきたいと思います。たいへん恐縮でございますけれども、後刻また先生のほうにこの解釈につきましてはっきりした意見を持ちまして御説明に伺いたいと思います。
○鈴木強君 これは声を大きくして私は言いませんけどね、もうちょっと勉強してくださいよ。時あたかもあなたたちが監督をしているテレビジョン放送の中に、もう警察はモニターまでして猥褻罪にひっかかるかどうか調べてるんですよ。もう二十巻も収録して調べてるっていうんですよ。その中であなたが所管する百八条はどうこの刑法との間でつながりを持つのか。――私はさっき申し上げたような点で間違いないと思うんですけどね。そうであれば警察庁の取り締まりというのは一体どうなってるのか。テレビジョンを通じてやるわいせつ、通信を媒介としてやる場合のわいせつですね、これは通信の中にテレビジョンも入るでしょうから。その辺はあなた、さっぱりわからないでやってるということも、これもおかしな話ですよね。
 これはもう大臣、わからぬというのをいまここで私が言えと言ったって無理でしょうから、ひとつ若干時間を与えますから、次の委員会までに統一見解として、警察庁なり法務省とも話し合いをして、私の質問に明確に答えてください。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 不勉強の点はまことに申しわけないと思っておりますが、この次の委員会までに必ずよく検討いたしましてお答えいたしたいと思います。
○鈴木強君 そこで、民放連の杉山専務理事に若干関連して伺いたいのですが、現在民放連は放送基準というものをつくられておりますね。で、性の問題につきましては六十七から七十四まで、それぞれ基準をおきめになっておりまして、これを見る限りにおいてはいま私がいろいろ質問をしてきたような番組が作製されないように思うのでございますけれども、実際にはいろいろと問題が起きておるということが事実ですね。警察がすでにいろいろと検討をしているとか、そういうことも明らかになっておるわけですが、さっき最初に申し上げたような日活ロマンのポルノ映画事件に関連して、映倫が先般、ことしの五月十七日に審査基準研究委員会の委員長さんの宮沢俊義さんから映倫管理委員長の高橋誠一郎さんにあてて、審査基準研究委員会が昭和四十四年十月からいろいろと十八回にわたって基準上の解釈面の研究を続けた結果、一つの答申をされているわけですね。その答申を受けて基準を変えるという方針を五月二十三日に高橋映倫委員長が明らかにしておる。その内容を私ここで全部申し上げる時間がありませんから申し上げませんが、これと大体同じようなふうにとれるように、一方警察が盛んにテープレコーダーで収録して猥褒罪になるかならないか、要注意番組というものを検討しているという中で、民放連が一つの基準を最近また変えられるような話を聞いておるのですけれども、これはよもや警察が取り調べを始めたから急いでこれを変えるというのじゃ私はないと思いますけれども、どうかすると、そういうふうにとられるようなタイミングで改正が検討されているというのですけれども、それはどういうことでございましょうね、その辺の経緯をまず最初にお伺いしたい。
○参考人(杉山一男君) 民放連では放送基準を改定するという観点から作業は現在のところしておりません。ただCMの時間量、これが多過ぎるのではないかということで、番組向上委員会から意見が出ておりますので、これを、このことについて現在検討し、放送基準に定めておるCMの量の規定に問題があればこれは変えなくちゃいけないし、あるいはこの辺、はたして量が多いかどうか、いろいろの計算のしかたによってその量が変わりますので、そういう作業は現在行なっております。しかし、基準をいま変えるという、いわゆるいまの性に関する項目、先生が指摘された条文、そういったものについて変えるという作業なり、あるいはそういう準備はまだしておりません。
○鈴木強君 いまの基準は昭和四十五年に改定をされたものですね、四十五年ですね。
○参考人(杉山一男君) そうであります。
○鈴木強君 五月十七日に民放連の放送基準審議会というのが持たれましたでしょう。そこで、基準の中の性表現に関する部分だけを手直しをするというのが大体意見としてまとまったというふうに聞いておるのですけれども、いまのあなたのお話ですと、そういうことはないとおっしゃるんだが、その点は念のためにもう一回明らかに言ってください。
○参考人(杉山一男君) 民放連の公の場でそういうことが取りきめられたことも、そういう話が出たことも現在のところありません。ただ放送基準というものは、先ほどちょっとお話が出ましたように、社会の変化とともに立場もいろいろ変わってまいりますので、この改定をしなければならないときはあるいは来るかもわかりませんが、現在そういう作業なり、そういう考え方で放送基準審議会は活動していない。性の問題につきましてはいろいろな問題が指摘されておりますので、民放連としては海外へ視察団を出して、そしてその結果によってもっと具体的な判断なり、その結果によって基準を変える必要があれば変えるというようなことも考えてみたいというふうに考えておりますけれども、お話のようなことは、現在のところ公には出ておりません。
○鈴木強君 新しい問題ではないのでしょうけれども、性問題に対していろんな批判等が放送番組についても出ていることは事実だと思いますね。
 そこで去年の十二月五日に、放送番組向上委員会の高田元三郎委員長から今道会長に一つのお願いが出ておりますですね。私はこの内容を読ましていただきました。きょうできますれば高田委員長にもおいでいただきたかったのですが、これもまたきょう理事会がありまして、どうしてもおいでいただけなかったわけでありますけれども、この中を見ると、やはりいまやポルノ問題、セックス問題というのは、性教育の問題ともからめて一つの転機にきておる。で、いまの放送番組基準についてもやはり検討を加えていく必要な段階にきているというような趣旨が簡単にいうと、述べられておるわけですけれども、この「放送番組における“性”の扱いに関しご検討方お願いの件」というこの番組向上委員会からの御要望は、民放連としてどういうふうに受けとめられておられますでしょうか。
○参考人(杉山一男君) 向上委員長からまいりました文書については、われわれこれを受けまして放送基準審議会で目下検討しております。なおこういう文書がきておるので、各社でもひとつ注意を喚起してほしいという文書は、各社へも流しております。いまこの向上委員会からきておる文書は、具体的に指摘した点がないので、われわれ基準審議会で論議する場合でも、そういう具体的な問題がなかなか出にくくて、この表現のどこまでが限界、許されるか、そういうようなことについていろいろ意見が出ております。マスコミ倫理懇談会でつくりました性表現の限界に関するいろんな資料がございますが、そういうものも参考にしながら、この委員会でいろいろ検討しております。
 ただ、しかしなかなかこういうものは抽象的でございます。民放連の放送基準の中で解説書がございまして、解説書にはいろんな事例なども書いてありますので、民放連はこの放送基準を守るか守らないかということが問題になりますので、この放送基準に照らして向上委員会からきたいろんな指摘されておる番組がございますが、それがはたして問題に触れるかどうかということについて、より具体的な論議を進める中で問題を処理していきたい、こういうふうに考えておりますが、御承知のように系列が別でありますと、各地方から出ておるいろいろな委員さんたちが番組を見ていないので、論議がどうしても抽象的になる。そのためになかなか時間がかかるわりに結論が出にくいということから、今度は具体的な番組を見ながらこの問題を討議して、そしてこの基準に照らしてどうであるかという結論を出して、いままでの抽象論を一歩前進さしてこの問題に対する回答を早急に考えたいと、そういうふうにしております。
○鈴木強君 民放連がおつくりになっておるこの基準というものですね、放送基準というもののほかに、各それぞれの放送局が番組審議会を持たれておるし、またそれぞれ基準的なものをつくっておられるのですか。それは大体どうなっているのですか。民放連のもので済ましているところもあるかもしれません。しかし、また民放連を受けて、それぞれの放送局がそれぞれの事業所としておつくりになっているものもあると思うのですが、それはどういうふうな実態になっているのでしょうか。
○参考人(杉山一男君) 放送法では、各社は番組基準を定めなければならないということになっておりますので、この民放連の放送基準は各社が守る大体憲法的な役割りを果たしているわけで、この民放連の放送基準を受けて、各社がそれぞれ番組基準をつくっているのですが、多くの社は民放連の放送基準を準用することにしております。なお、社によっては、それに何条か具体的な規定を設けておるというように理解しております。
○鈴木強君 杉山専務理事が、いま番組向上委員会の、このお願いの件について、抽象的でよくわからないとおっしゃっておられたようですけれども、内容を見ますと、そうでもないですよ。やはり基本的にはここに、ちょっと私、読み上げてみますと、「現在話題となっているポルノ問題は、セックス問題からはるかに進んだものであり、性教育とも、また単にヌードを写すなどとも違った次元のものである。セックスも明るいものであればよい、といった考え方でこれを放置するとすれば、これまでの低俗論議や放送基準そのものさえ無意味になってしまうおそれがある。これをどのように考えるかについて、送り手としての立場から真剣な検討をお願いしたい。」それから、具体的には特に深夜番組が重点ですね。こう書いてありますですね。「現在放送されているテレビの深夜ショー番組などの中にも、露骨に劣情をそそる題名」これは十月から十二月の二ヵ月にわたってNTV、TBS、フジ、NETのそれぞれ系列的に分けて、題名全部書いてありますですよ。十月一日の金曜日がどうだとか、たとえば、十月四日の月曜日がストリップオンステージであるとか、いろいろな具体的な指摘がされておりまして、「露骨に劣情をそそる題名のものや、放送意図、内容に疑問をいだかせるものも少くないようであります。また海外の性解放の風俗を紹介し、同性愛や夫婦交換などを写した番組等も、たとえ「啓蒙的」な意図によるものであったとしても、現状では猟奇的なものとして受け取られ勝ちであり、若年者を混乱させるだけの好ましからぬ結果を生むことになりましょう。」こういうように具体的に番組をあげておるわけであります。
 ですからこれは必ずしも指摘をしたからといって、それぞれの放送局で、そのとおりだとおっしゃらないかもしれませんね。しかし指摘された以上は、やはり一応検討を加えて、番組向上委員会の御趣旨をどう生かしていくかということに対して、一つの結論を出さなければならないと思いますので、たいへんなことだと思いますが、ひとつこの意見を受けて、ぜひ検討していただきたい、こう思います。
○参考人(杉山一男君) 私たちも向上委員会から指摘されております問題について、謙虚にこれを受けて、そして検討するという態度を持っております。そしてまた、問題視されるような番組もあるというように理解しておるわけですが、ここの付表に出ておる、これば一ヵ月の番組を羅列しておって、これ全部が問題である、こういうように向上委員会もしているわけではないわけです。したがって私たちが会合で論議する場合、具体的な問題から入っていかないと、私たちの論議が抽象的になるというのは、この番組のこういうところが問題だということになりますと、非常にわりに早いのですが、こういうような問題が番組全部に出てまいりますと、このうちのどこが問題になるかということがなかなかむずかしい。そうして系列が違えば、出てきておる委員の人たちが、なかなか見解が出せない。こういう問題がありますので、私たちのほうでは、この問題をより効果的に促進するために問題の番組を委員会で見ながら、その見たあとで、この問題が基準に照らしてどうであるかということを論議し、そして基本的な考え方に持っていきたい。その基本的な問題、姿勢の問題になりますと、これは各社の編成権の問題になります。したがいまして、そういう問題については会長のほうから各社と十分話し合っていくということになるんではないかと思います。
 で、われわれ放送基準審議会はあくまでも民放連の基準、これは全社が守るという立場でつくっておる基準でございますから、これに抵触するかしないかということを十分論議していきたいというふうに考えております。まあそれを結論を早くするためには、やはり一応基準審議会をつくってみましたけれども、より効果的にするために、番組を見ながらこれから論議しようということに今年度から変えております。
○鈴木強君 まあテレビでも、ラジオでもそうですけれども、放送番組に対する意見というのはなかなか出すのがむずかしゅうございまして、政府がこれを言うと、またこれを不当介入だとすぐやられるし――私は幾つかの民放に対するそれぞれの各方面からの不当介入の事実は知っております。私、党の番組不当介入特別調査委員長をしておりますので、不断にその問題は取り上げておりますけれども、また出し方によっては非常にむずかしい。そこで、私はまあこれは長い間かかって、池田総理大臣の時代から、もっと言うならば、田中角榮さんが大臣のころ、大臣は席で一億総白痴化運動を助成するものであるというような発言まで田中さんはやったことがあります。だから、民放よ、もっとしっかりしろというような発言をされたことも覚えておりますけれども、まあいずれにしても、いろんな経過を経て、番組をいいものにしてもらいたいという、これは国民の率直な気持ちだと思いますね。それをだれかがやはり言わなきゃならない。
 言うのに、政府が言うのはなかなかこれはむずかしくてすぐやられちゃうというようなこともありますし、われわれもその出し方は十分注意して党のほうで出す場合にもやっておりますけれども、したがって国民から見ると、この番組向上委員会というのは、一つのわれわれの世論を代表して、民放にものを言ってもらえるんだというような期待をしていると思うんです。
 ですから、私はこの番組向上委員会というものをできるだけ活用するように、民放連自体が中心になってやることがやはり必要ではないかと、まあこういう意見を従来から持っておるんでございますけれども、なかなか金を出すことになるとどうもうまく出してくれないというので、番組向上委員会の運営自体も一時は非常に危機に直面いたしまして、私はあのときに高田さんを激励し、ずいぶん一緒になってあの番組向上委員会を守っていくためには努力をしたつもりです。ですからして、民放連自体がそういうようなやはり気持ちになって、何かあそこが目付役で、じゃま者だと、そういう考え方は毛頭ないと思いますけれども、ややもすると――けちをつけるところですから、けちをつけるというか、まあアドバイスをするところですから、敬遠されるということもわかりますけれども、やはりその辺の考え方もひとつ直していただいて、もしあるとすれば――私ないと信じますけれども、あるとすれば直していただいて、そうしてその番組向上委員会あたりが出す意見というのは、貴重な意見として受けとめて、いまおっしゃられるようにひとつ慎重に検討して、間違っているところがあれば、これまた番組向上委員会にもものを言ってもいいと思いますし、なるほどと思ったら、そういう点は率直に取り入れて、国民の期待に沿える民放になってほしい。これはNHKにも言えると思うんですけれども、公共放送としての使命を果たしてもらいたいと、そういうふうな気持ちはわれわれは常々持っているものですから、いまの杉山専務理事のお話を承りまして、民放側としても謙虚に受けとめようということですから、私も安心いたしましたけれども、なおひとつ向上委員会のほうとも十分な連絡をとっていただいて、この機能が十分発揮できるようにお願いをしたいと思います。若干それに対して御意見があったらお聞かせいただいて、これは終わりたいと思います。
○参考人(杉山一男君) 私たちは番組向上委員会には、自分らでつくっておる自主規制機関として大いに活動していただきたいというふうに日ごろから考えておりまして、きのうも番組向上委員会の楠専務理事、菅野事務局長とも会って、私たち話をしたんですが、定例的に毎月執行部では話し合いを持っております。そうしてまた私もあそこの理事をしておるわけですが、その理事会でも、あるいはきのうの打ち合わせ会でも申し上げたことは、番組向上委員会の委員さんの意見はわれわれは率直に聞きたい。ですから、非常にもっと何といいますか、強くわれわれ内部でもう思い切って言ってほしいということは話しておるわけです。そうして、そういうことは各社の人たちと十分委員会が常に懇談をして、そうして委員のいろいろな考え方をわれわれのほうへ反映さしていただきたいということを、これはもう前々から話しております。うちの今道会長も、うちに向かってはどんどんきびしく言ってほしい、そうしてわれわれがつくった自主規制機関だから、われわれは向上委員会の意見というものは十分参考にしこれを尊重しなければいけない。われわれは、あくまでも放送の事業者は自主規制の立場でこの問題を解決して、対外的に規制がこないようにわれわれ内部で努力しなければいけない。そのために向上委員会の活動にわれわれは非常に期待しておりますし、先生方の意見は十分尊重しているつもりであります。そうして民放各社並びに民放連にはどんどんきびしく言ってほしいということをお願いしているわけです。
 私、お金の話がちょっと出ましたが、この問題を解決するに、金はあったほうがけっこうだと思いますけれども、最も効果的な方法がまだやり方によってはいろいろあるんじゃないかと、こういうふうに考えてもおります。そうしてまたその効果的なやり方をするために金が要るとするならば、われわれはその金は出してもいいという考え方を基本的には持っております。これからも向上委員会とは十分連絡をとりながらわれわれの自主規制を育てていきたい、どういうふうに思っております。
○鈴木強君 非常に力強い御見解を承りまして私は意を強うしました。率直にいって、従来何回か伺っておりますけれども、いまのように歯切れのよい御発言をされたのはあまりないんですよ。ですから、まあ非常にその後、いろいろな意味もありまして、やはり成長していくところですから、何よりも先にマスコミというのは時代の先端をいくところですから、時代センスはだれよりもいいはずであって、そういうことでお話を承りました。どうぞひとついまの御意見のような趣旨で積極的におやりいただくように、そうして警察権力が介入する余地を与えないように、みずからの力でひとつやっていただきたいと、こういうことを強くお願いしてこれは終わりたいと思います。
 それから最後に簡単に、いずれまたこれを詳しくお伺いしますが、沖繩が復帰してまだ期間もないんですけれども、われわれが心配するのは、大臣が国会で約束をしたVOA放送の傍受の問題が一体どうなっているのか。現実にとめどなく時間は流れる。その時間の流れに沿って放送は流れておるわけですから、いわゆる日本に復帰した沖繩からアメリカのVOAがどういう放送をしているのか、まあ聞かなかったということじゃ済まないわけでございまして、その辺についてこの前の昨年十一月四日の予算委員会における大臣の政府の統一見解として伺っております「VOA放送の傍受は実施いたします。なお、番組内容の概要についても、あらかじめ入手できるよう交渉いたします。」、こういう約束をされておるんですが、この傍受の実施はどういうふうにいまやられているかということと、それから一番大事な番組内容の概要についてあらかじめ入手できるように交渉いたしますというこのことは一体どういうふうになっておりますか。入手できるようになっておるんでしょうか。
○国務大臣(廣瀬正雄君) 二点のお尋ねでございますが、まず傍受の問題でございますが、最初は私どものあれにはなかったのでございますけれども、予算委員会で野党の皆さんの御要望もございまして、それに従って政府の統一見解をつくりまして、傍受の施設をやるということをお約束を申し上げたわけでございますが、そこで、本格的に傍受をやりますには、幸いにこのVOAは非常に指向性の強い電波でございますが、中継局の近くにすべての電波の掌握のできる場所がありますわけでございまして、大宜味と申しますが、ここに、これは中継局から六キロ程度離れております場所と聞いておりますが、ここに受信の場所をつくりまして、それから録音はさらに大宜味から六十キロ程度離れております那覇、こちらに設備をしまして録音するというような案をつくっておりますわけでございますけれども、ただいま御指摘のように、予算の成立もおそかったという関係もございますし、それから五月十五日から本土に返ってきたわけでございまして、直ちにその日から、本格的な工事をするというもとに、受信並びに録音するということはできなかったわけでございます。ただいまは仮の施設でやっておりますわけでございますが、その受信の場所の大宜味、ここの郵便局の内部に、敷地の中に仮の施設をいたしまして、局舎の中でございますが、仮の施設をいたしまして、そこですべての放送を、たしか中波が一つと短波が八つであったかと思っておりますが、とにかくそのすべての放送をことごとく受信いたしまして、そして同じ場所の大宜味の局内で録音もいたしております。そうしてこれを毎日航空小包郵便で外務省のほうに送付をいたしておるのであります。これは五月十五日の即日から実施いたしておりますわけでございまして、ただいま、仮の施設ではございますけれども、受信並びに録音をすべていたしておりますわけでございます。受信それから録音はテープでやっておりますわけでございますが、そのテープは一日に十巻だと聞いておりますが、これは小包で毎日航空便で外務省に送り届けて、外務省が一々これを翻訳をいたしております。そうして不都合な点がございますれば、日本の政府の見解としてアメリカ政府に申し出るということになっておりますわけでございます。
 それから第二のあらかじめ放送の内容について知りたいということを考えておりまして、このことについては、外務省のほうからアメリカ政府に折衝をいたしておりますわけでございますが、現在までのところ、あらかじめ内容について知りたいということについては、まだアメリカのほうからはっきりした回答がないようでございまして、これは御指摘のようにきわめて大切なことでございますから、外務省を催促いたしまして、なるべく早く、一日も早くその内容を知るという方便を講じてもらいたい、こういうように考えておりますわけでございます。
○委員長(杉山善太郎君) それでは、杉山参考人には、たいへん御多忙中のところ、長時間御出席いただきまして、たいへんありがとうございました。鈴木委員の質問に対して、たいへん親切丁寧にありがとうございました。お引き取りください。
○鈴木強君 いま大臣からお答えいただきました第二点ですね、事前に内容の概要について入手できるように交渉したいということが実現されておらないわけですから、これはひとつさらに強力に交渉をしていただきたい。そうしませんと、もう収録されたものを東京に送って、それを翻訳してということになりますと、相当なやはり時間がかかるでございましょう。ですから、その間にどういう放送がなされておったのかということはあとのまつりで、どうにもならぬことが現実の問題として出てくると思いますね。ですからできるだけ放送内容について事前に知らしてもらうことが大事だと思いますよ。どうせこれは約束したとおりに放送するならば、内容もあらかじめ知らしていただくのが筋ですから、そうすれば、日本政府としても、たいへんな私は手数がかかると思いますね。そういう手数を省くためにもそのほうがいいと思いますから、さらにこれは強力に交渉していただくことをお願いするわけです。
 そうすると、いままでごく最近の、たとえばいまここで私が五月三十日のVOAはどういう放送をしたかわかっておりますかと聞いたら、これはいまはどう答えますか、幾日たったらわれわれに見せてもらえるでしょうか。
○政府委員(藤木栄君) 毎日、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、十巻程度のテープを航空小包郵便で即日送っております。これがやはり一両日かかるわけでございます。それが外務省にいくというわけでございまして、それを外務省のほうで、これはまあ外務省のほうの仕事でございますけれども、翻訳のほうはいわゆる下請に出しているわけでございますので、五月三十日ということになりますと、テープが東京に到着するのが、きょうぐらいはもう到着しているのじゃないかと思いますが、それを下請の会社が翻訳をするということになりますので、おそらくやはり一週間やそこらはかかるのじゃないかと思います。私としましても、はっきりしたことを申し上げるわけにまいりませんけれども、そういう仕組みで現在やっているということでございます。
○鈴木強君 これは間尺に全く合わないんで、十巻の毎日収録したテープを翻訳するのに何日かかるのでしょうか、知っておりますか。
○政府委員(藤木栄君) まだ早々でございますので、何日かかるかという確言はまだ伺っておりません。さっそく伺いまして後刻御報告申し上げたいと思います。
○鈴木強君 それは大臣が傍受を実施するというのですから、傍受というのはどういう放送かを知りたいために傍受するのでしょう。その知りたいものは、一刻も早くわれわれも知りたいし、国民も知りたい、政府も知りたい。特にチェックするのは、外務省か郵政省かよく知りませんが、外務省でおやりになるにしても、やはり早く、翻訳を完了して中を見なければならぬわけですから、そういうためには、傍受というのは――大体郵政省が、どういう放送をしたかということを傍受する以上は、その内容を検閲――まあ検閲じゃないが、するのはおたくの仕事じゃないですか。たまたまお金がないし、外務省のほうに頼んで翻訳をするのじゃないですか。ただ録音機を回して収録するだけがあなたのほうの仕事だとすれば、傍受ということばを使わないで、収音、録音だけをやると――。傍受と普通言われるときには、われわれが知っている範囲では、その放送が、どういうものをやっているかを知るための傍受なんです。本来ならば、あなたのほうで翻訳をして、その内容がどういうものであるかを傍受しなければならない。こういうふうに思いますが。それは外務省のほうで翻訳してもらって、その内容は一体だれが見てあれするのですか。
○政府委員(藤木栄君) これは国として、その内容を見まして、必要があれば、米国の政府にこっちからの意見を申すというかっこうになっておりますので、私どもとしては、外務省と話し合ったわけでございますが、やはり外交の一環として米国政府に意見を出すということになるわけでございますので、それはやはり外務省だろうということで――これはまあ傍受というものの意味からしますと、確かにおっしゃるようなことになるかもしれませんけれども、私どもとしましては、技術的な面を担当しまして、実際に受信をして録音する。あと録音したテープを外務省に渡しまして外務省のほうで翻訳をいたしまして、必要があれば意見をアメリカに伝える、そういうかっこうになっているわけでございます。
○鈴木強君 だから、その任務の委嘱をしているわけですね。われわれが従来考えている傍受という観念は、傍受業務というのは、おたくで傍受する際にはどういうものが放送されているか内容に立ち至って聞くのが傍受なわけですね。日本語ならすぐわかるわけでしょう。ところが、たまたまやっかいな英語とか、そういうことでわからぬから翻訳してもらうということで、本来的な仕事は郵政省がやる、そしてその中で問題があればこれは外交ルートを通じてやるというのが筋だと思うんです。この場合はいろいろといきさつがあって、そういう任務分担で金も組んであるようですから、本来ならおたくのほうでも、そういうわけですから、やはりできるだけ内容がどうなのか、いつごろ送ったのか、何日かかって翻訳できるというようなことは、外務省とも相談して、われわれが聞いたら答弁できるような勉強をしておいてもらわないとちょっとおかしいんじゃないかということなんです。
 その点まだ出たばかりですから非常にたいへんだと思いますけれども、これは大臣どうなんでしょうか。その傍受したものの内容について概略何か一つの記録を残すようなことになるんですか、それとも問題がなければ破ってしまうわけですか。われわれとしてはできればせっかく翻訳したわけですから、要点だけでもプリントして、そうして逓信委員会とか、外務委員会くらいの委員にはひとつ配ってほしいと思うんです。金がなくてできないなんて言わずに、ひとつできたらしてほしいと思いますが、何かさっぱりどういう内容が放送されておるか、われわれも心配しておるのに、わからないということでは責任が全うできませんので、そういう方法を検討していただけませんか、外務省と相談をしてそうして定例的に出してもらいたい。
○国務大臣(廣瀬正雄君) その問題につきましてもひとつ外務省と相談をいたしまして、放送の内容の問題でございますから逓信委員会が関心を持つことは当然だと思うのでございますのでひとつ折衝してみたいと思っております。
○鈴木強君 それでは次の委員会までにさっきの電波法百八条のいまの問題を御答弁いただくことにして、きょうは時間もあれですからこれで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○委員長(杉山善太郎君) それでは本日の調査はこの程度にとどめたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会