第068回国会 予算委員会第二分科会 第2号
昭和四十七年四月二十四日(月曜日)
   午前十時四十三分開会
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   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     岩間 正男君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君     矢野  登君
     竹田 四郎君     上田  哲君
     上田  哲君     鶴園 哲夫君
     鶴園 哲夫君     工藤 良平君
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  出席者は左のとおり。
    主 査         内藤誉三郎君
    副主査         矢山 有作君
    委 員
                小笠 公韶君
                川上 為治君
                熊谷太三郎君
                矢野  登君
                山本敬三郎君
                上田  哲君
                工藤 良平君
                須原 昭二君
                三木 忠雄君
                岩間 正男君
   国務大臣
       国 務 大 臣  江崎 真澄君
   政府委員
       防衛庁参事官   高瀬 忠雄君
       防衛庁参事官   鶴崎  敏君
       防衛庁参事官   岡太  直君
       防衛庁長官官房
       長        穴戸 基男君
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛庁人事教育
       局長       江藤 淳雄君
       防衛庁経理局長  田代 一正君
       防衛庁装備局長  黒部  穰君
       防衛施設庁長官  島田  豊君
       防衛施設庁総務
       部調停官     銅崎 富司君
       防衛施設庁施設
       部長       薄田  浩君
       防衛施設庁労務
       部長       安斉 正邦君
       外務省アメリカ
       局長       吉野 文六君
   参考人
       日本住宅公団総
       裁        南部 哲也君
       日本住宅公団理
       事        播磨 雅雄君
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  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十七年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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○主査(内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。
 まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として岩間正男君が、また本日、土屋義彦君及び竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として矢野登君及び上田哲君がそれぞれ選任されました。
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○主査(内藤誉三郎君) 昭和四十七年度総予算中防衛庁所管を議題といたします。
 前回の会議と同様、政府からの説明を省略して本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○主査(内藤誉三郎君) この際、参考人の出席要求についておはかりいたします。
 本日、昭和四十七年度総予算中防衛庁所管の審査のため、日本住宅公団総裁南部哲也君及び同理事播磨雅雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○主査(内藤誉三郎君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○上田哲君 本日は基地問題と防衛構想について御質問をいたしたいと思います。
 去る四十五年の十月の参議院内閣委員会で、私は当時の山上防衛施設庁長官と質疑をいたしまして、その際、沖繩返還、七二年中央までに、とりあえず国内の基地は百を割ると、こういう確約を得ております。その後の経緯、今日の状況はどうなっておりますか、一応御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(島田豊君) 御指摘の昭和四十五年十月の参議院の内閣委員会におきまして、上田委員から当時の山上防衛施設庁長官に対しまして御質問がありました件でございますが、当時は、地位協定の二条4項(b)による二つの施設、つまり東富士演習場と長坂小銃射撃場とございますが、これを含めまして百二十四施設、面積におきまして約三万七百ヘクタールでございましたが、その後、移転集約及び返還の促進について鋭意努力いたしました結果、今日までに二十施設につきまして全部返還、九施設につきまして一部返還の実現を見ておりまして、現在先ほど申し上げました二条4項(b)による一時使用施設の二施設を含めまして百四施設、面積におきまして二万九千ヘクタールでございます。百カ所を割るかどうかという御質問に対しまして、当時はおよそそういう見当になるという回答をされたようでございますけれども、先ほど申しましたように、二4(b)を含めまして百四施設というのが今日の状況でございます。
○国務大臣(江崎真澄君) ちょっと補足して申し上げますが、この基地の問題は非常に重要に私ども考えております。したがいまして、現在の時点ではちょっと、実際上ひまもありませんので、十分な上層部における協議をする時間的な余裕に恵まれませんが、参議院を予算が通過したあとの時点で、米軍の基地それから自衛隊の基地、なお共用しておるもの、これはどちらが主体であるにしろ、それからだんだん都市化が進んでまいりましたら、新聞等にも出ておりますように、その基地を将来どういうふうに確保していくのか、またどう整理するのか、こういった問題を防衛庁全体で取り上げてみたい。これは従来でもそういう組織が施設庁長官を頂点にしてあったわけでありまするが、今度は防衛庁全体としてひとつ基地問題と真剣に取り組もう。たとえば基地周辺整備の問題にしましても、必要度の高いところがら整備をしておるわけでありまするが、これもやはり当然もっと計画的に行なわれる必要があるのではないかというようなことを考えまして、事務次官を主査にして、名称は今後きめることにしましても、そういう基地全体を検討するチームをつくっていきたい、こんなふうにいま考えて、目下、下作業に入っておるところであります。
○上田哲君 そのことは当然なことだと思います。次官を中心にするチームをつくると。これは基地の態様ないし数あるいは分布というものがどういうふうに整備されていかなければならないかという基本の問題にかかわって、しかもかなり前から議論されていたわけですから、いささかおそきに失しておるという気がいたします。いまの御発言は、かなり前向きなものだと私は受け取るのですが、次官を中心にするチームとおっしゃるのは、仮称どういうものですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 名称もきめておりませんが、要するに基地を再検討する、再調査する、こういう意味を強く含めたものでございます。
○上田哲君 在日米軍基地再検討再調査委員会というようなものですね。
 そこで、一昨年のアメリカ上院サイミントン委員会の証言によりますと、在日米軍基地の七〇%というのが人口稠密な関東地域に集中している、これがいわゆる基地公害というものを惹起していることはアメリカ側も認めているわけでありますけれども、問題は、こういう基地の返還が進んでくるにつれて、この返還の跡地をどういうふうにして使っていくかということが非常に重大な問題になってきます。この原則はどうなっていきますか。
○政府委員(島田豊君) 米軍基地が返還になります場合に、このあと地をどういうふうに利用するかということにつきましては、その土地の所有関係がどういうふうになっておるかということが問題でございますが、民有地あるいは公有地の場合におきましては、原則的にはその所有者に返還をするというのがたてまえでございます。しかしながら、米軍基地の中にはかなりの国有地を含んでおりますので、その国有地をどういうふうにあと地利用するかということは、これが返還になりますれば大蔵省の普通財産になりますので、これに対する利用問題はそれぞれの利用を希望される県なりあるいは地方公共団体なり、あるいはその他の団体からそれぞれの要望が出るわけでございます。したがいまして、そういう各種の各方面からの要望を大蔵省で取りまとめまして、そのあと地を最も有効に利用するにはどうしたらいいかということを中心にして検討せられるわけでございます。
 そこで手続的にはそのあと地が、たとえば国有地であります場合には、国有財産の地方審議会にかけられまして、その地元の地方公共団体なりあるいは学識経験者等の意見を求められて、そしてその利用計画を立てられるということが手続になるわけでございます。
 そこで国有地の場合におきましては、今日まで返還になりました各地の基地につきまして、それぞれやはり各種の要望が競合いたします。そこで自衛隊がその基地を引き続き使用したいという場合もございます。そこでそういう場合におきましては、財政当局と国有財産の元締めでありますところの大蔵省と十分自衛隊としても協議をいたしますが、ただその場合に、やはり自衛隊の使用につきましては、地元の要望意見というものも尊重しなければなりませんので、十分地元との話し合いを了した上で自衛隊が使用する場合には使わしてもらうと、こういうことになろうかと思います。これは全般的に非常に関東地区に最近米軍基地が集中的にございますので、この米軍基地の周辺は非常に地域開発が進みますとやはり地元からのこれに対する要望が強くなってまいりますので、その辺はやはり自衛隊が使用します場合には、そういう防衛上の必要性とそれから地元の経済開発、その他民生の福祉等との要求との調和をどういうふうにはかっていくかということが絶えず防衛庁としても問題になるわけでございまして、その辺は大蔵省を中心にして協議をいたすと、こういうことにいたしておるわけでございます。
○上田哲君 その問題を先にちゃんとしておきたいんですけれども、わかり切っている原則だと思うんですが、確認をしておきますけれども、アメリカ軍から基地が返ると、返った土地はこれは大蔵省の管轄に入る、つまり国有地となるわけで、そこからどこが使うかということはいわば同じスタートラインで出発をするわけで、この際自衛隊側の優先権というのは国内的にはないわけですね。
○政府委員(島田豊君) そういうことでございます。大蔵省の財産でございますので、まあスタートラインとしては同じに、ほかの団体の場合と同じようにすると、こういうことでございます。
○上田哲君 これは原則としてはそれ以外ないはずなんですけれども、実際にはいろいろと確かに感覚的にもアメリカ軍が使っていた基地はそのまま自衛隊にすっといくような感じで受け取られるところもあり、事実たとえば山田弾薬庫なら山田弾薬庫が、私も行ってみましたけれども、そこを防衛施設庁が管理しているわけです。それできわめて当然な顔をして説明をするわけですね。これは地元がほしければ少しは譲ってあげてもいいという御発言なんです。ところが、ことばじりをとらえるわけではないけれども、根本的にそういう理解が透徹をしていないという問題があるわけです。で、たとえばその山田弾薬庫なら山田弾薬庫を例にとれば、そこにすでに防衛施設庁が入って管理を継続していると、管理といわないまでも途中の管理を請け負っているというようなことになるんですか、そういう法的な立場というのはどういうことになるのか。
○政府委員(島田豊君) これは米軍から返還になります国有財産につきましては、本来は大蔵省がその管理に任ずるというのがたてまえでございますけれども、その間に大蔵省から警備の依頼を受けましてそれを施設庁が一時暫定的に管理をするということがございます。
 山田弾薬庫の場合におきましては今日そういう形でございますけれども、おそらく来月の半ばごろには大蔵省が今度は直接自分の管理下に置くと、したがいまして、その管理、警備につきましても大蔵省がみずからの手でやる、こういう手続に移行するようでございます。
○上田哲君 たとえばその近くの芦屋基地なんかへ行ってみますとね、実は米軍がいなくなった、初めてさくの中に入ってみたら自衛隊が来ていた、地元はびっくりした、こういう事実を私も目の前で見てきたわけですよ。ですから、無人にしておくわけにはいかないからおれのほうがひとつ男気を出してちゃんと管理しているんだという言い方にあるいはなるかもしれない。しかし、これは法的にはしっかりしておかなければならない。いまのお話のように、そういう点は自衛隊側に優先権はないということははっきりしましたね。そうですね。
 はっきりするとなりますとね、これから先、国有地となった、大蔵省に管轄される国有地となった米軍返還地をどこが使うかについてこれをきちっと、あらゆる地元の自治団体にせよ、あるいはもっと民間の有志団体にせよ、国有地に向かって一般の他の国有地と同じようにその利用を主張できるようなことを、その主張を調整できるような、もっと平たく言えば、防衛庁がわがもの顔をすることによって問題が解決するのじゃないようなそういう機関というものを、さっき長官が言われた一つのチーム、ここに含めるということは問題があると思いますけれども、そのもうちょっと違った面でふくらますというようなことにあるいはなるかもしれないが、一つの機関をつくって、なめらかにひとつ大いにあらゆる権利が主張できるような機関、運営をしてみたいということにはなりませんか。
○国務大臣(江崎真澄君) これはやはりそういう問題も含めて検討をしなければならぬと思っております。
 上田さん、これは分科会ですから率直に私申し上げますが、こういうことなんです。たとえばこの間もマイヤー大使やマッケーンが来ますと、私のところへ、例の札幌オリンピックにやってきて、関東平野の話もサンクレメンテで幹部同士がしたなんていう話から始まってですね、何十億ドルというたいへんなプラスのものをそちら側に返還するのだ、だから横田に集約するくらいのことはいとも簡単なような発言をするわけですね。なるほど関東平野の航空基地を横田の基地に集約するということになれば返還されるところの地価というものは非常なものなんですね。で、これは、日本全体にとっては確かに有効適切な、特に人家稠密地区の高価なものを返してもらうわけですが、これが売り払った場合には、たとえば地元に平和利用の方途が講ぜられたというようなときでも全部国庫に入ってしまうわけですね。そうして新たな基地整備というのは、御承知のとおり四次防でありあるいは五次防であるという限られたワク内で週辺の整備がなされ、また、横田に行けば住宅であろうと文化施設であろうといわゆる福祉施設というものがそのワク内でまかなわれていくと、ここにも非常に問題がある。だから、山田弾薬庫の場合でも弾薬庫の施設というものは万全な行き届いたものでありましょう。したがって、自衛隊はこれをほしがる。ところが、県全体という立場からいって、これがその人家に隣合わせてあるなんというようなことは私は時代から見て不合理だと思いますよ。ところが、それを放せば今度は新たな予算獲得をして、新たに弾薬庫をつくらなければならぬ、土地も取得しなければならぬ、こういうところに非常な不合理があるわけですね。ですから何か大蔵省においてもそういう国家の必要不可欠、これは私どものほうではそういうふうに踏まえておるわけですが、その必要不可欠の施設は、特に米軍の占領下からだんだん自衛隊の手に移るというような場合には、県知事が他に適地をあっせんしてくれる、あっせんしてくれた場合においては、そこに同じ施設をつくる経費というものはこちら側の払い下げをされたもとの施設、その経費でまかなえるといったような何か特例でも持たれることになればもっと私は整理というものは簡便になるんではないか、住民感情にも合うようになるのではないか。これはまだ私大蔵省に話し合ったわけじゃありませんから、軽々には言えませんが、何か私は筋が立つように思うのです。これは占領下からいわゆる独立日本へ、しかもその独立日本をアメリカの日米安保条約のもとに防衛をするという、今度の四次防も日米安保条約を基調としてと言っておりますが、そういうことばのあやや使い方はともかくとして、だんだん自衛隊がこれはやはり責任を分担しなければならぬことは言うまでもありませんので、そういう一体特例措置というものはないだろうか、こういったことも今後十分検討していかなければならぬと思う。そういうことが成就すれば私はもっと基地の問題というものはすらっと解決していく素地ができる、こういうふうに考えるわけであります。
○政府委員(島田豊君) 先ほど山田弾薬庫につきまして、大蔵省の直接管理下に入るのが五月十五日と申し上げましたが、四月十五日でございますので、もうすでに大蔵省の直接管理下に入っております。
○上田哲君 もういないわけですか、防衛施設庁は。
○政府委員(島田豊君) 入っておりません。
○上田哲君 そうですか。防衛庁長官、非常に熱意を持って取り組まれる感じがいたしますから、これはお気持ちだけでなくて、形をつくって、ルートをつくってひとつ考えていただかなきゃならない。やはりいまのお話から見ても自他ともにこの基地問題というのは、一つにはあと地という問題の利用問題から言っても、あるいは日本全体の防衛庁としての防衛構想から言っても大きな切りかえ点に立っているということは間違いないですね。そういう基本認識というもので問題を考え直してみなきゃならないと思うんですね。これ一つの例ですけれども、横浜市港北区にある岸根キャンプですか、四万平方メートル。これはアメリカが野戦病院として使用されていたんだけれども、おととしからもう病院がない、わずかの管理者だけがいるんですが、また横浜市として四月末で貸借契約を解除すると言っているわけですね。これは公明党さんの竹入委員長がハワイの太平洋軍司令官に会ったら、間もなく返還するという話があったというようなことがきている。ところが、いつになるかさっぱりわからぬ。地元は御存じのように密集地帯だというので遊び場の要求が強いとか、一つの典型的な例だと思うのですよ。これが全くわからない。相手はアメリカなんだといってしまえばそれまでだけれども、たいへんいろんな情報が乱れ飛び、どこをどう押せばどうなっていくのかということが流れがちっともきまっていない、こういう一つの例だと思うのです。この個別の例だけを言うのではありませんけれども、この辺を、例をとらえていまの筋道というのをもう少しかみ砕いていく方法を考えてみてください。
○政府委員(島田豊君) 御承知のとおりに、在日米軍の基地としましては、今後の方向としまして、空軍は横田に空軍施設を集中するという計画でございます。そこで、今後は横田はやはり現在すでにもう戦闘爆撃隊が移駐いたしておりますので、輸送あるいは兵たんの中心として横田が存在するということになるだろうと思います。それから陸軍は座間の現在の陸軍司令部を中心といたしまして、これも実働部隊がおりませんので、兵たん管理部隊としての性格を持つ、こういう方向になると思います。
 それから海軍のほうは横須賀及び佐世保を基地としまして、今後これは第七艦隊がどういうふうな傾向になりますか、それとのからみ合いにおきまして、やはり海軍の基地として使用せられる、大体の方向としては横須賀が中心になるのではなかろうかというふうにわれわれは見ておりますけれども。それから海兵隊は御承知のとおりに、岩国に海兵隊の航空部隊がございます。そこでただいま岸根病院の問題を御引用になりましたけれども、実はこれも御指摘のとおりに、すでに一昨年、岸根病院そのものが、これは岸根病院といいますか、岸根バラックスということばを使っておりますけれども、これは機能を停止いたしておるわけでございまして、その後米側としてはこれを使用いたしておりませんので、地元からたいへんこの返還につきましての御要望がございます。横浜市長からも先ほど御指摘のように、あそこが私有地でもございますので、今後は契約に応じないという御意思の御開陳もございますので、私どもとしましては、これはもう閉鎖後から無条件の返還ということを強くアメリカ側に主張してまいりまして、ことしになりましてからも再三府中の米軍司令部と折衝いたしております。そこでこれにつきましては、実は府中だけではこれの決定権限ございませんので、ハワイにおきまして、ハワイの太平洋軍司令部におきまして、目下検討中というふうに聞いておりますけれども、これらの問題がやはり米側の日本における基地の今後の配置に対する基本的な考え方がどういうふうになっていくかという問題と非常に関連があるようでございますので岸根バラックス一つとりましても、陸海空軍の調整を要するということで、その調整に現在時間がかかっておる、こういう状況のように聞いておりますので、これはそういう基本方針がきまりますれば、これに対する結論が米側から出てくるものだというふうにいま考えておるわけでございます。
 そこでこれは米軍の日本に対する一つのまあ基地政策と申しますか、その背後にはもちろん戦略的な面もあると思いますけれども、これがどういうふうになっていくかということが、この基地問題の今後の私どもの処理につきましても基本になることでございまして、そういう辺がまだ私も必ずしも明確になっておらないというのが今日の状況でございます。私どもはそういう米側の政策の方向を十分察知しながらこの基地問題と基本的には取り組んでまいりたい、基本的にはやはりできるだけ米軍の基地の整理縮小ということが私どもの姿勢でございますので、そういう情勢を踏まえながら今後この問題の処理に当たってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○上田哲君 方向としてはわかりました。つまり先ほど来議論しているように、いまのことばにもあったように、日本側としては基地の縮小ということがもう中心なんだ、そしてそういう意味で大体百という数字にもなってきたし、このあたりで基本的な切りかえ点だという点は防衛庁長官も先ほどからお認めになっておるところだ。問題はたとえばいまの基地の例一つとっても、しかしそれが実際問題としてはなかなか具体化していく道筋がない。したがって問題は、今度はアメリカ側の基地政策というものの転換構想、これをしっかり求めていく時期にきている、こういうふうにまず根本的にとらえなければならぬと思うのですね。具体的にはお伺いしますけれども、そういう考え方でいいですか、長官。
○国務大臣(江崎真澄君) 確かにそういう方向だと思います。
○上田哲君 そうしますと、本題になりますけれども、七三会計年度レアード国防長官の報告で、日本は対ベトナムと並んで一般的に平和時に地上統合軍を事前配備せず、有事必要に応じて増援する補完的部隊計画の中に位置づけられておりますね。それからトータル・フォース・コンセプトの日本に関する項目の中で、アメリカは日本及び沖繩にある米軍基地構造を簡素化して、相互の安全保障上の利益に適合するよう、日本と沖繩の米軍配備を最小限にとどめる努力をするというふうに述べているわけですね。これはまあ基本方針、構想でありましょうけれども、いま長官がお認めになったそういう大きな切りかえ点である、米軍にもそういう基地構想上の切りかえをしっかり求めていかなければならぬということになると、これは一つ大きな手がかり、これがその具体的に在日米軍基地の今後の分布方向がどういう展開をしてくるのか、もう少し突っ込んで御見解を承りたい。
○国務大臣(江崎真澄君) これは新聞等でも言われておりまするように、とりあえずは関東平野の空軍基地を横田に集約するとか、そういった形でだんだん整理縮小の方向がたどられていくというふうに思います。したがいまして、返ってくるものも相当私は考えていいと思うのであります。特に沖繩なんかでも、現在はまあ施政権を返すということがアメリカ政府としては目一ばいであって、やはり今後沖繩の基地等においても、施政権が戻ったら話し合いをしよう、こういうことをサンクレメンテではっきりニクソン・佐藤会談でも約束をしておるようでありまするから、私は急速度に減っていくのではないか。そのかわり、基地というものがアメリカはアメリカなりに合理化され、効率よく使われるような形になってくる。これに対応して、まあ先ほど申し上げたように、われわれ自衛隊の基地の配備について、やはり慎重に再配備検討といいますか、そういったことを含めて考えていくことも大事なことであろうというふうに考えております。
○上田哲君 そこで、どうしても中心になるのは横田統合ですね、一つのポイントは。で、福田外務大臣がサンクレメンテから帰りまして、横田飛行場への集中計画というものが話に出たということを発表されてから問題になっておるわけですけれども、これはどうなっていくのか。これは非常にいま関心を集めているんですが、どうも具体化が出てこない。この辺をひとつ御説明願いたい。
○国務大臣(江崎真澄君) これはまだ事務的にこれから折衝をするところですし、アメリカ自体もその命令が発せられて横田に集中する計画を練っておる段階というふうに報告を受けておりますが、さっきもちょっと申し上げましたように、マイヤー大使等が、何十億ドルという日本にとってはたいへん大きなプラスになる財産を返すんですよ、だから何億ドルぐらいかかけて横田周辺にいろんな福祉施設や住宅を新築されることはごく簡単なようなことを言うんです。まあ何かたいへんなおみやげ持ってきたぞというようなかっこうで私のところへ表敬にこられたわけですね。私があまり喜ばぬもんですからね、平素にこにこしているほうだが、あまり笑わないで、それはだめだと、四百億も五百億も、まだこれからの検討によってはどれくらいかかるとも知れませんなんという話をするから、ちょっと向こうのほうは戸惑っておったんです、実際は。しかし、これから新たに四、五百億円をかけて、あの周辺をアメリカ空軍の諸君に気に入るようにしようなんてことは、なかなかこれはたいへんなことなんですね。で、そういうところに米軍側との感覚の大きなズレがあるわけですね。ですから今後の検討についても、施設庁長官以下事務当局は非常に苦労するだろうと思う。ですからそういうことをひっくるめて、私さっき申し上げたようなプロジェクトチームでカバーをしながら基地の根幹に触れていきたい。まあそれまで寿命がありますかどうか、これはちょっとわかりませんが、とりあえず取っかかりをしっかり根をおろすことは、やはり日本の将来のために大事なことだというふうに考えております。詳しくはその後の事務経過を施設庁長官に報告させます。
○政府委員(島田豊君) 実はその後の事務経過と申しましてもあまり具体化いたしておりません。米側からかなり詳しいデータは出ておりますが、まだ米側自体としましても、現実に即しましての具体的な案というところまでまいっておらないような状況でございまして、私どももいま担当官に命じまして、この問題については府中の司令部と各基地ごとについての検討をいたさせておるわけでございます。しかしながら、これにつきましての基本的な方向なり計画というものをわれわれとしまして立てるまでにはまだ相当な期間を要するのではなかろうか、机上での統合計画というのは容易でございますけれども、現実に一つ一つの基地につきまして検討いたしますと相当問題もございますし、アメリカ側の要望が横田基地に空軍施設を集中、集約、統合するという考え方でございますので、
  〔主査退席、副主査着席〕
これにつきましては、いま江崎長官からお話がありましたように、相当な経費を要しますのと、それから相当な期間を要します。それからその経費をどういうふうにして積算をするかということにつきましても、一般会計の問題もございますし、特別会計の問題もございますので、これも個々の手続を進めるには相当な時間を要します。しかしながら、この問題は非常に方向としては私は望ましい方向である。ただ、これに伴いまして、いろんな地元との関連におきまして問題がございますので、その辺を踏まえながら、どういうふうな計画に持っていったほうが最も実際的であり、また有効的であるかということについて、いま事務レベルにおきまして鋭意検討いたしておるわけでございます。実際には沖繩の問題に私どもちょっと忙殺をされておりまして、この問題にまだ真剣に取り組むという段階までいきませんけれども、事務レベルにおきましては米側とずっと具体的な問題として詰めさせておるというのが現状でございます。これを今後、年度ごとにどういうふうな計画にしていくか、その前に全体計画をどういうふうにつくり上げていくかということについては、先ほど申しましたように、相当の問題がございますので、その辺を今後鋭意ひとつ詰めてまいりたい、かように考えているところでございます。
○上田哲君 防衛庁長官が渋い顔をしたというのは私はけっこうだと思うのですよ、これは国益に合致するものだと思うのです。ところが、たいへんけっこうなことだという施設庁長官のおことばには、私はまだその意味では統一見解を求めたいぐらいに感ずるわけですがね、どうしてけっこうなのかというあたりが。これはいま経費の問題あるいは期間の問題、いまのお話の中では年次計画ということが出ましたから、相当な長期にわたるある種の年次計画、プランがなければいけないのだということもうかがい知ることができますけれども、そういう問題じゃなくて、もう一つ基本的には、これは防衛構想上どういう意味を持つのかということはいまもって御説明承ったことがないのです。一体、日米合同戦略なり安保条約の変遷の中で、どういう防衛構想上の意味づけがあるのかということがまず先に御説明がないことには、これはどこかのところが余ったら幼稚園のブランコにしてやろうというような話とは重さが違うのでありましてね。ですからそこのところがきちっと説明されたところからまず始まるだろう。まだその御説明承っておりません。
○国務大臣(江崎真澄君) これは御承知のとおり、輸送及び管理支援活動、空軍の全体のまああそこが中心になる、こういうわけでありましょう。しかし、そのもともとが、これは日米安全保障条約によって私どもも日本の安全と極東の平和ということで、米軍の駐留を最小限期待いたしておるわけでありまするが、横田に集約されることはこれは私はやはり一口に言えば望ましい。別に施設庁長官の表現と違ったわけではないと思うんです。ただ相当な経費がかかることは米軍が考えるほど簡単ではないんですが、しかし、米空軍がこの関東平野だけでも数カ所にこの基地を持っておる。これを一カ所に集約する。これはもう時代の要請でもありまするし、当然なことだと思っております。まあ今後横田の任務がどう展開されていくか。これらにつきましてはアメリカ側としてもやはり一つの大きな拠点、特にこの関東平野一カ所にまとめてというわけですから、府中の司令部と呼応して。司令部もおそらくそうなれば横田一カ所に移すことになりましょう。しかし、これらはいまの既設のものを大事に使うといいますか、日本人の国民感情からすれば、まだ使えるものを破棄して一カ所に集めるということは実際なかなかむずかしいことでありまして、十分そういうことなどには、事務当局はもとより、われわれも介入して詳細に検討してまいりたいと思っております。
○上田哲君 そうしますと先ほど、繰り返しませんけれども、七三会計年度のレアード報告というものの考え方がここに具現され、結集されたものが横田集約だということですか。
○国務大臣(江崎真澄君) やはり一つの方向、合致したもんだというふうに思います。
○上田哲君 一つの方向というようなウエートでやるのかどうかというのは、これは非常に重大なところです。中心的なものなのか、つまり首都の近くでありますしね。これだけの大集約を行なうわけですね。言うところの有事即応体制の中心の機能を果たすものだということになるのかどうか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは一線部隊を横田に集約すると、こういうふうなものではないですね。やはり基地機能としては司令、補給、こういったことが中心なわけでありますが、しかし、もちろん御指摘のレアード国防長官の主張に基づくものであるというふうに言うことは、私正しいと思います。
○上田哲君 そういうことを言われると困るのですよ。こんなものは第一線部隊でないことぐらいはだれでもわかっている。だから、そういう方向にアメリカ軍の構想というものが変わってきているのだということになり、百も承知でここは第一線部隊ではないが大機能を集約するのだということになると、それと合同の立場をとる日本自衛隊の配備というものがどういう変化をもってくることになるのかというところまでいかないと、これは説明にならないのですよ。どうなんですか、そこは。
○政府委員(久保卓也君) なかなかむずかしいところなんですけれども、横田に集約されますものが軍事機能的にはいま言われましたような府中の司令部があるいは移動するかもしれません。しかしながらどうも施設庁のほうから聞いている範囲では、軍事的他の機能というものは横田に持ってまいるということでもなさそうであります。そうしてみますと、いま長官も言われましたように、全般的な構想としてはレアード報告の流れでありましょうけれども、特に横田にこの関東周辺の機能を集めることが非常にアメリカの戦略構想の変化につながり、それをまた受けて自衛隊の配備その他に影響を与えるものというふうにはどうも理解しにくい。しかしながら、全般の流れというものは横田を含めて日本のいろいろな基地について行なわれるであろうことは想像できます。ということで、私はこの横田への集中というものはむしろアメリカの経費的な観点から見られるべきであって、どうも防衛構想上、軍事戦略上の観点というものは次等であるように思えてしようがありません。
○上田哲君 それでは整理しておきます。横田の集約によってアメリカ空軍の戦略配置というのはどういう変化を受けるのか受けないのか。そうしてそれと関連して日本の航空自衛隊の――航空自衛隊だけではないでしょうが、配置は影響を受けるのか受けないのか。そこを整理してきちっと答弁してください。
○国務大臣(江崎真澄君) 横田の基地が日本に完全返還になりました場合には、これは米国の相当大きな戦略の変更につながってくると思いますし、自衛隊の配備も影響を受けると思います。しかしながら、いまのような集約という程度では、私はそういった影響はないものというふうに考えております。
○上田哲君 そうするともう一つ、経費、期間ということばがたいへんラフに使われておりましたけれども、経費、期間というものの見通しをきちっと出してください。
○政府委員(島田豊君) まあ経費につきましては、まだ私どもとして個々の施設につきまして検討中でございますので、全体としてどれくらいになるかということを数字で申し上げることはできません。先ほど長官からは四百ないし五百億というお話がございましたけれども、これはもう少ししさいに検討してみる必要があると思います。しかしながら、いずれにいたしましても関東地区における空軍施設を集約統合するということになりますれば、従来の経験にかんがみまして相当の経費を要するということは当然予想されます。しかも、これを一年や二年で実現をするということは不可能なことでございまして、おそらくまあ四年とか五年とかそれぐらいの期間は当然これが完了いたしますまでには要するものだというふうに考えております。
○上田哲君 四次防との関係はどうなりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 四次防との関係は直接的にはこれはございません。したがって、私さっき申し上げましたように、現在でもさっき申し上げましたような現存のものを高く売って別に適地を求めるという場合には、法律があるわけですが、これが厳密に利用されておらぬわけですね。ですから、そういったものを充実して、もうちょっと具体的に国有財産というものが実際価値あるものが戻り、そうしてまた新たに施設をするということがスムーズにできるように形を整えるということになれば、何次防計画というものには関係なく、こういったことができるのではないか。おそらくいま久保君も言っておりましたように、アメリカ側としてはこれが経済的な理由もありましょう。同時に私はやはりもういま二万人台に激減してきたアメリカの駐留兵というものの数からいって、関東平野の各地に飛行基地があるということは、やはり政治的に見ても望ましくないといったようなことが、今度の一つの集約にすみやかに踏み切った事情であろうというふうに思っております。したがいまして、方向としてはまさに望ましい。けれども、これがいまの四、五百億どころかあるいはもっとかかるかもしれぬということを踏まえての施設庁長官のさっきの答弁でありまするが、このあたりなかなか問題のところですね。ですから、これは今後事務的に十分詰めていきたいと思います。まあ四次防とは直接関係はないというふうにお受け取りを願ってよろしいかと思います。
○上田哲君 四次防と関係ないということがほんとうに言えるのですかね。関係あるということの言い方は、一つには日本の防衛構想とどうつながるかということ、これはつながらざるを得ないのでしょうが、たとえばそれ以外のもっと物理的な問題からいって、五年の年次計画になるとか、金額が大きいとか、いろいろなことを言って、どういうことになるのか、その関係ないという意味がよくわからぬのですがね。
○国務大臣(江崎真澄君) そのとおりです。私が申したのは、四次防構想というものには関係を持ってまいりましょう。これは自衛隊にもおのずと影響を与えるところはあろうかと思います。しかし、その関係がないと申しましたのは、経費の面で関係なく処置をしたいと、正確に表現すればそういう意味を申し上げたわけであります。
○上田哲君 関東地区に空軍基地が十六カ所、その一つ一つをお伺いしませんけれども、立川はどういうことになりますか。
○政府委員(島田豊君) まあ個々の施設の取り扱いにつきましてはいま検討中の段階でございますので申し上げにくいわけでございますが、当然関東地区におきますところの空軍施設の統合ということになってまいりますれば立川も対象に実はなるわけでございます。しかしながら、どこの施設がどうなるかということについてはまだちょっと申し上げにくいという状況でございます。
○上田哲君 立川はもうちょっとはっきり言えるでしょう。
○政府委員(島田豊君) まあ立川もこの計画の中には入ってくるのだというふうに考えます。この計画の中には当然入ってくると思います。
○上田哲君 対象になるわけですね。解除するわけですね。
○政府委員(島田豊君) この統合集約の計画の中には立川も入ってくるものと考えております。
○上田哲君 それらの議論を通じてみて、やっぱり先ほど来主張してきた基地の考え方についての切りかえ点であると、それはアメリカに対してもはっきり要求する時期であるということになってくると思います。それで次官を中心にする調査検討のプロジェクトというのは、これはもうおそきに失したにもせよ、とにかくやってもらわなければならぬのですけれども、すでに一年半前の討議の中で、これは防衛庁側から五ランクに分けるのだと、そうしてどんどん統合を促進していくのだということも出ているわけですね。それをただ踏襲してまた一年半何にもやりませんでしたというのではこれは全くいけないわけですし、そもそもが非常に受け身の姿勢でしかないというところに問題があると思うのです。
 短い時間を、次に移りたいと――まるっきりテーマを変えるわけではありませんが、一応区切って、それをどのくらいの中身で、前の五ランクというものがありますから、その辺を踏まえて、どのくらいの中身でどれくらい積極的に具体化していくのかというところを一つ承っておきたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 前にそういうことがあったことを私知りませんでしたが、これはひとつすみやかに検討をしたいと思います。一年ぐらいはかかりましょう。
○上田哲君 いつ発足しますか。発足はいつですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 発足は予算が参議院を通過したあとぐらいにこれはぜひ発足したいと……。
○上田哲君 今月中ですね。
○国務大臣(江崎真澄君) もっと早くほんとうはしたかったのですけれども、連休明けというふうに受け取っていただきますか。
○上田哲君 そこで、そもそもその根本的なところですべての切りかえ点に立っている、それは防衛構想の再検討ということになってくると思うので、前の一般質問のときに防衛庁側の御答弁は、私はたいへん示唆に富んだものだと思っているのです。少なくとも三つの方向をあげて、その方向で必ずしも脅威というものの見積もりの総和、これに対応するものでは、これは際限がなくてだめじゃないかというところへひとつ根本的な再検討の目を向けてみようということは私はおもしろいと思うのですよ。われわれは言うまでもなく非武装中立という立場しかないのですけれども、それはそれとして、防衛庁側が一つの考え方の再検討時点に立つということはおもしろいと思うのですが、何か久保防衛局長も私見だとは断わられたけれども、やはり大いにそういう考え方というものはいろいろな面で試みてみるのがよかろうと私は思いますが、私見は私見なりでもけっこうだが、防衛庁長官も官房長官も、ひとつ総理にお伝えしてなんていう話もあったぐらいで、大いに検討してみなければならない、いろいろな試行錯誤もあっていいと思うのです。まあ三点あげられた中で、いま二点、三点というのは、もうちょっと、きょうは時間もなくなりましたから、あまりかけ足の議論はしたくはないと思うが、一点、私のほうが幾らかでもほかのものよりも食指を動かすのは、一点だと思うのですよ。これは、おっしゃっているのは、平時には訓練中心の部隊、研究部隊を維持しておいて、有事の際はと、こう有事の際はついてくるのですけれども、その平時の訓練研究部隊という考え方というのは、もうちょっと具体的にいうとどういう構想になってくるのでしょう。
  〔副主査退席、主査着席〕
○政府委員(久保卓也君) たとえば防衛力の持ち方を、戦争があった場合にそれに間に合う兵力を常時から持つか、あるいはそうでない思想にするかということで、昔から争いといいますか、議論のあったところであります。従来の防衛庁、自衛隊の考え方は、有事即応という考え方でまいっております。実をいいますと、防衛庁、自衛隊の実体は有事即応でなかったわけであります。そこで日本に対する侵略が当分の間どうもなさそうである、差し迫った脅威がないというような場合には、近いうちに戦争があり、それに備えなければならないというような部隊のあり方ではない。教育訓練を中心にする部隊にするというようなこと。そういたしますると、たとえばいろんな兵器の定数というのが定められております。これはその定数でもって侵略があった場合に戦い得る数量ということになりますが、しかしながら要員養成という点に重点を向けますると、その要員養成に必要な兵器をそろえるということが一つ考えられます。ということは、必ずしも定数どおり持たなくてもよろしいということになります。あるいは充員にしましても、陸上自衛隊が現在八七%前後でありますが、これはまたほんとうは一〇〇%近くほしい。しかしながら部隊の幹部なり一般の隊員を訓練するに必要な程度の充足率ということも考えられます。これは空についても海についても同じようなことが考えられます。そういったような観点で、部隊の人員なりあるいは装備なりの常時持つ数を考えてみるというのが一つの問題です。
 それからもう一つは、やはりたとえばいまの防衛力の持ち方について二次防程度でよろしいというようなお考えもあるようでありますが、なぜ二次防程度でよろしいのかということはなかなか説明しにくい。やはり今日の技術が非常に高度に発展した場合に、そういった技術なり高度の兵器を駆使し得る能力とそれから人員は持っておるべきであろう。しかしながらそれを満ぱいにしておく必要はない。たとえば今度四次防で登場するかどうかは別といたしまして、海上自衛隊の中に対潜掃討部隊という構想があります。で、これはヘリコプターの搭載艦を中心にする潜水艦を捜索し、攻撃する単位部隊でありますが、本来ならばこういったものが海上自衛隊の将来構想としては幾つかほしいと思うに違いないわけでありますが、かりにそういったものが潜水艦を捜索し攻撃するのに有用なものであるという結論が出るならば、それを平時から数個単位持つのではなくて、一単位持っておる。そして運用を研究しておる、訓練をする要員を養成をしていく、そういうことによっていざというときにはそれを母体にして拡充するというような基礎的なもの、基盤的なものをつくる。これはナイキ・ホークの地対空ミサイルの部隊についてもやはり同じで、ほんとうに必要であればアラブの地域、あるいは現在の北ベトナムの地域、あるいはキューバの地域のようにその国土全般をおおうように必要なものでありますが、そういったものを平時は持たないというようなこと、そういうようなことを一つの基準にしてみるということであります。で、もちろんいま私が申し上げたのは、防衛力構想をそれで全部まかなってしまうということでありませんが、そういう構想も取り入れ得るという考え方をとってみてはどうか。もちろんいまのような思想は、現在の各幕僚監部は反対であろうと思います。(笑声)
○上田哲君 いや、非常に私は勉強テーマとしてはおもしろいと思うし、そういうところにあると思いますよ、賛成か反対かは別ですけれども。そこで、そうなると、よく防衛庁は、いま根底の思想として持っておられる脅威のポシビリティーというところにどうしても突き当たって、またはね返ってこなければならないと思いますね。で、仮想敵国を持たないということばになっているから、そこのところを蒸し返すようなことはしませんけれども、脅威のポシビリティーということになってくると、これは一方には、あらゆるポシビリティーに対応しなければならないということで、歯どめがなくなっちゃう。これは一千機と言おうが三十五万トンと言おうが、こんなものは全然意味がなくなりますね。そこの観点に立っておられるのだと思います。一々御答弁を求めないが、そうですね。
 そこで、そういうことになってくると、一方ではこうなってくる。それに対応する何か現実的なものを持っていこうということになると、幾つかの考え方が出てこざるを得ないその一つだと思うのだが、どうしてもそこで調整しなければならないのは、そういうポシビリティーというものをどういうように想定していくのかという問題が、やはり残ると、従来の考え方からすると、やはりその間を埋めていたものの一つがORですね。ORは今後どういうふうになっていくんだろうということですね。
○政府委員(久保卓也君) やはりこの防衛力の整備、あるいは防衛構想を考える場合に、周辺にどういった軍事能力があるか、それが日本に振り向けられるとすればどういうものがあるかということは、これはどういう防衛構想をとろうと、やはり知っておかなければならない、評価しなければなるまいと思います。したがって現在までわれわれのORというのは十分なものではありません。いろいろな要素、データが入っておらないままに進めておりますけれども、そういったORの手法というものはどんどん進めていくべきであろうというふうに考えます。
 そこで脅威の現実といいますか、ポシビリティーとしての脅威をどういうように評価するか、それはそれとして、われわれは防衛力整備をどう考えていくかということがあるべきだ。
 それからもう一つ、この議論の中で、あまりこの議論に、深みに入りますと大きな流れを見失いますのは、この前の一般質問のときに長官も言われましたように、脅威を極小化する。脅威をなるべく小さくするという問題、これは防衛力では脅威のポシビリティーに対応するものをつくろうというのが従来の考え方でありますが、その脅威そのものを小さくするという努力、これは防衛力ではありませんで、外交その他の努力になると思うので、したがって脅威論を考える場合には、やはり日本の安全保障、つまり外交問題を含めた日本の安全保障の中で、その脅威をどう極小化できるか。そうすると、その極小化された脅威に対して防衛力がそれにどう対応するかという問題もまた別途出てまいりますので、やはり広く安全保障の問題として取り上げているのが今後のわれわれの議論であり、あるいは政府がそういうような方向で考えていただくと非常にありがたいというように思うわけであります。
○上田哲君 ORはいままでのところ、たとえばソビエト極東空軍が六百六十機来るとかあるいは九百機という数字をあげてみたり、そういう中での撃墜率なんというところで試算されているわけですし、そういうものはやはりポシビリティーに対応するストレートの形になっていく、これではいかぬということで新しい試行錯誤がなければならないわけですね。そうなってくると、いままでのORは、おっしゃるように客観的なものでなければならないとおっしゃるのだから、それはそれで一つの原理として認めてもよいが、それと新しい構想、根底となるべき理論的根拠というとおかしいが、積算の根拠というようなものは、そのORのみにこだわっていてはいけないのだということなんですね。
○政府委員(久保卓也君) これは自衛隊の中でも非常に自覚しておりまして、ORというのは一つの検算である。一つのいろいろなものを思考する場合の手段でしかない。ただORというのは、正直でもありますが、同時にばか正直でもある。その範囲を区別しながら、われわれとしてはその能力の範囲内のものとして考えてまいりたい、こう思っております。
○上田哲君 もう一つの問題は、これは久保さんなんかが言われていることばだったとも思うのですが、古くして新たな問題ですが、自衛隊を軍隊でないものにしたいというような発想というものがそこに大きくあるように思うのです。で、自衛隊は軍隊であるかどうかということをそれぞれの立場から議論すればきめつけしかないのですが、これをもっと専門的にあるいは深い構想の上から考えて、非常にきめつけではなくて、そういう防衛構想上のある種の科学性や積算根拠を持った上での意味で軍隊でない自衛隊という構想というのはどのように具体化、顕在化されていくんですか。
○政府委員(久保卓也君) この辺は私の、私見でありましてこういう席で申し上げるのは適当でないと思いますが、せっかくの御質問でありますので申し上げますると、従来自衛隊が軍隊であるのかないのかということは憲法論議として行なわれてまいりました。で、憲法上の解釈はここでは置きます。そこで政治的に見て自衛隊が軍隊でないというゆえんのものは何であるかということを考えてみるわけでありますが、御承知のクラウゼビッツのことばの中で、戦争は別の手段をもってする政治の延長であるということばがあります。この戦争に軍隊を置きかえますると、軍隊は別の手段をもってする政治の延長である、つまり軍隊というものが政治の施策、国策の遂行の手段として使われてきたように思います。それは領土の拡張、権益の獲得と、その他いろんな意味で政治的な意図のもとに軍隊が使われてまいったという経緯があろうと思います。
 そこで日本の自衛隊というものは憲法にその性格づけがされてあるとおりでありまして、日本の防衛そのものしかできない、政治の手段としては使われない単なる物理的な力でありまして、国土のいわゆる専守防衛にしか使われない、政治の具としては使われない、言うならば対外的な政治施策の手段、あるいは海外における権益の防護、あるいは政府擁護の治安行動といったような、そういった観念をすべて払拭して、まさに専守防衛、単に国内の秩序を維持するだけと、そういう物理的な力、機能にのみ着目したもの、これまさに自衛隊ではなかろうかというふうな観点から自衛隊と軍隊の区別をつけ得るのではなかろうかというふうに考えてみたいわけであります。
○上田哲君 じゃ時間がまいりましたので、長官に二問だけしぼって伺いますが、第一にクラウゼビッツの逆語というのは、ちょっとこれはもう少し詰めないと、軍隊が政治の役に立つなんということはストレートに使われちゃこれはえらいことになりますから、まあクラウゼビッツ論というのはもう少しまたやりましょう。やりましょうが、その中から引きずり出し得る問題は、日本の防衛庁のいわれる自衛隊なり抑止力なりというものが日本の安全保障というものを志向する限り、外交とより強く密着をしていかなければならないのだという観点は、きわめて日本の外交、政治行動の中に具体化されていなかったといううらみは間違いなく指摘できるだろうと思うんですよ。
 私は時間がないからやめますけれども、たとえば衣笠駿雄さん、統幕議長がサイゴンに行かれたときの手続を見ると、一般文官と全く同じ手続でもって簡単に行けるとか、いろんな問題があります。それからアヒルが北ベトナムに行ったというときと全く連絡がないところに一体日本の外交の統一性があるんだろうかというような問題はやっぱり指摘されなきゃならない、説明は幾らでもつくでしょうが。まあこれはいいですよ、時間がないから。そのことじゃない。いいです、それは、触れなくていいです。私が言いたいのは、もっと高い次元でぜひお答えいただきたいんだが、外交と軍事ということばが当たるかどうかわからないが、防衛庁管轄の問題とがどのように何と言いましょうか、補完され合っていかなければならないか、日本の外交の中で、ある意味ではネガティブな要素としてのもっと高度な政治判断の中で、政治操作の中で掌握されなきゃいけないんだというところまでいかないと新しい構想というものはいかぬのだと思うんですよ。
 そこで、そういう観点から、より強く外交との関連において日本のいわゆる防衛力というものをこれから防衛構想というものを検討してみよう、考えてみようということで、さっき冒頭に基地問題についてプロジェクトということばがありましたけれども、防衛庁内でもけっこうだから、あるいは外務省とほとんど連関がないように私は見えてしようがないのだが、そういうこととつながってもけっこうだが、少なくとも英偉濶達な防衛庁長官の具体的な施策の一つとして、いままでの脅威のポシビリティから一歩も出ないような立場でない前向きのそういう多岐にわたる防衛構想の再検討の研究体制みたいなものをつくってみるというところまでいかないかどうか伺いたい。
○国務大臣(江崎真澄君) これは大事な御指摘だと思います。でまあ中曽根君の時代に、外務大臣と官房長官と定期に意見交換をする、こういう機関をもって常時やっておったようですが、これもどうも外務省側の気乗り薄でだんだん龍頭蛇尾に終わったもののようです。しかし方向としては私これは正しいと思いますね。それからまた国防会議というものがいろいろ疑義を生じまして議長裁定にまで持ち込んだわけでありまするが、やはり国防会議を重視するということは議員である外務大臣の意見というものをもっと国防の面に具体的に反映させるべきではないかという一つの大きな指摘であり、これまた私大事なことだと考えておる次第であります。したがいまして、これは防衛長官がリーダーシップをとって外務大臣や官房長官と定期会見をするというから話がおかしくなる、むしろ善隣友好、しかも平和外交の推進と言っているこの日本の国策の上から言うならば、外務大臣が絶えず平和の方向というものを求めながらそれぞれの関係閣僚に呼びかけて平和を確保するための努力というものをやはり貫いていく、これが大事だと思うんです。こういう形にもっていけば龍頭蛇尾に決して終わらない。だから今後私政府部内におきましてよく外務大臣等とも連携を密にしていまおっしゃる点は十分執行に移してまいりたいと思います。で、あくまで平和外交が主であって、自衛隊というものは平和外交と日本のきわめて善意の上に立ちながらも、何か理屈に合わないにわかの侵略といいますか、脅威にさらされたときにのみ応対する装備であると、こういう形にもっていかなければならぬというふうに思っております。
○上田哲君 これで終わります。
 いまもう一歩突っ込んでください。外務大臣のほうが主役だからおれのほうはだめなんだと言うならそれはそれでいいです。しかし少なくとも防衛庁の中でようやくいま芽ばえようとしている――これは現実にぶつかっているということはあるでしょうが、ようやく芽ばえようとしているそういう防衛構想のいろんな検討ですね、これはもうさっきの基地問題からずっと考えてみても非常に切りかえ点に立っていることは間違いないわけですから、研究という段階でもいい、そういうものをひとつ積極的に進めてみる、たとえばチームでもつくってみよう、そういう具体化がないと前向きになんという話はどうも信用できないので、せっかくの江崎防衛庁長官ですから、たとえばそういう。プロジェクトは少なくともつくってみようじゃないかと、一年もたったらそういうことをひとつ研究課題としても発表してみようじゃないかというようなことはひとつ前向きに出せないものかということが一つ。
 最後ですからもう一つ、テーマは違いますけれども、四次防の原案をいつつくるのかということはかなりもう具体的な論議の対象になっているわけです。で、もうこの予算委員会が終わるとそういう議論というのはなかなか煮詰まらないときでもありますから、これはひとつ腹を大きく開いて御開陳いただきたいんだけれども、四次防の原案というのはいつごろを目ざして、どういうものをつくるのかということを終わりにお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 前段につきましては十分検討をしていきたいと、そうして自衛に徹する自衛隊というものは、私は人間の英知の上からいうならばやはり攻防自在という従来の軍隊より一次元上のものだ、こういうふうに考えております。これをもっと自衛官が誇りをもって踏まえたらいいので、その哲学をやはり与える必要があると思うんです。そういうことが案外防衛研修所などでなおざりにされておる。もう自衛隊も二十周年を済ましたんですからね。もっとやはりこういう問題と真剣に取り組まにゃいかぬ。そうして政治家は新しい時代の自衛隊というものの性格を国連の場で堂々と述べたらいいのです。軍備縮小などを論ずるよりも自衛隊の性格を日本の代表が述べたほうが私は説得力があると思うんです。ただしその説得力のためにはもっと裏づけになる哲学をぴしりさせなければなりませんし、同時にまあ久保防衛局長も非常な勉強家でありますが、防衛庁の中には――きょうもここへずいぶん関係者が来ておりますが、有能な防衛の専門家が育ちつつあるわけです。これらが謙虚に討論をし合い、場合によれば激論をするといったような場面があっていい、その方向はさっきから話が出ておるような久保構想のああいった方向のことをもっと真剣に突っ込んだらいいと思うんです。これが、どうも防衛庁長官もしばしばかわりますしね、それからもう一つは、防衛庁へ行ってみるというと実際まあ国会くぎづけという面も――スタッフが多いんですね。ですから、場合によれば上田さんも防衛庁にしばしばお出かけをいただいて督励をしていただく、これはほんとうにそうだと思うんです、新しいものをつくり上げるのですから。ですからそういう形にしていきたいと思います。これはいまプロジェクトチームをどう発足するとかどうとかということではありませんが、やはり私は防衛局長を中心にこの層をもっと厚くしていく、防衛議論をしている人たちの。
○上田哲君 いまの久保構想をひとつ推進しようということですね。
○国務大臣(江崎真澄君) そうしましょう。努力をしてまいりたいと思います。そして、これは制服側に自信を持たせるということです。それは何も新しい時代の要請に基づく新しい自衛隊というものを、世界的なレベルのものにするんだということであれば、これは私文句のあろう筋合いのものじゃないと思うんです。
 それから第二点はこれは夏過ぎにはと、こう統一見解でいっておりまするから、夏過ぎには結論を得たいという方向で努力をいたしております。夏過ぎとはいつぞや、これは七月も夏でしょうし、八月も夏でありますが、おおむね八月ごろというのが妥当な線ではなかろうかと思っております。これもやはり急いで実はきめたいというのが防衛庁側の姿勢でありますが……。
○上田哲君 規模は五千億減ということですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 急いできめたいという方向でおるわけですが、大体おおむねそんなころでしょう。
 それから金額的には、これはちょっとまだ実際申し上げかねるわけです。中曽根原案が白紙に返ったということは、五千億減という西村構想というものも白紙であるべきはずですね、筋論から言えば。しかし、私は中曽根案というものが、簡単にぼっと出てきたものじゃなくて、やはり防衛庁においてしさいに検討の上積み上げられたものでありまするから、したがって、白紙に返ったとはいいまするが、やはり今度の新しい四次防構想というものを検討していく上に十分参考になることは、これは否定するわけにはまいらぬと思います。そういうような言い方からするならば、五千億を減じようとする西村案というものは、これは私は尊重をして検討をしたい、こう思っております。したがいまして、あの五千億減と、さまでこの大きな食い違いのあるものにはならぬのではないか、こういう推測はできるように思います。
○矢山有作君 いま非常に高次元の防衛構想の論議がかわされましたが、私のほうは少し次元を落としまして、防衛産業に関連する具体的な問題でお聞きしますので、時間の制約がありますし、ちょっと時間が食い込んでおるようですから、私も質疑を簡単にやりますから答弁のほうも簡単にお願いします。
○国務大臣(江崎真澄君) わかりました。
○矢山有作君 まず第一にお伺いしたいのは、退職自衛官の民間会社への就職状況、これを御説明いただきます。
○国務大臣(江崎真澄君) これは政府委員でよろしゅうございますね。
○矢山有作君 はい職員でいいです。
○政府委員(江藤淳雄君) 現在調達実施本部に登録されております会社が約千五百ございますが、その千五百の会社に就職しました自衛官は三十八年度から統計がございますが、三十八年度から約九年間の間に二千二十五名退職をしております。そのうち関連産業に就職しましたものが六百三十八名となっております。
○矢山有作君 次に長官、これは私は最近ちょっとおかしいと思っているのは、四十四年ごろの予算委員会で、この民間会社への就職状況の資料要求をしたときには、それぞれちゃんと個人の氏名を出して詳しい資料を出してきたんですが、四十五年ごろからちょっと個人の氏名というのは遠慮さしてくれとかいうので、きわめて簡単な資料しか出なくなったんですよ。これは私、やはり防衛産業と防衛庁との結びつきというのは、いろいろといま議論の対象になりつつあるときですから、資料要求として要求した場合にはやはりその氏名等も示した詳細な資料がほしいと思うのですが、これは何か特別な秘密扱いになっているのですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 秘密扱いにはなっておりません。したがって、氏名を出せという御要請があればそれにもおこたえするようにしていきたいと思います。
○矢山有作君 事務当局のほうはよく聞いておいてくださいね、いまの長官の話を。
○国務大臣(江崎真澄君) これは先般衆議院側でもそういう要請がどなたかからありましてお出ししたんです。個人の名前まで入れることはどうだろうかという、これは善意の配慮で出さなかったということであって、当然審議の必要上出せということであれば、これは出すのが当然だと考えております。
○矢山有作君 次は防衛庁との契約額における上位十社について、退職自衛官の就職の状況はどうなっておりますか。
○政府委員(江藤淳雄君) 大体上位十社の関係で申しますと将・将補、一佐クラスでその合計が百四十三名となっております。
○矢山有作君 ちょっと会社別に言ってみてくれませんか。
○政府委員(江藤淳雄君) 三菱重工二十一名、それから石川播磨十五名、川崎重工十九名、新明和七名、三菱電機二十七名、日本電気十五名、東芝二十六名、小松製作所九名、日本製鋼三名、日本航空機製造一名ということでございます。
○矢山有作君 引き続いて数字ばかりお伺いしますが、防衛庁との間で装備品の契約額を上位十社について言ってみてください。これは三十九年から四十五年ごろまでのがあるはずですから、それでお示し願います。
○政府委員(黒部穰君) ちょっといま後ほどお出しいたしますが、とりあえず四十五年度から申し上げますと、四十五年度は第一位が三菱重工業でございます。第二位が石川島播磨重工業、第三位が川崎重工業、第四位が新明和工業、第五位が三菱電機株式会社、第六位が日本電気、第七位が東京芝浦電気、第八位が小松製作所、第九位が日本製鋼所、第十位が日本航空機製造でございます。四十四年度は第一位が三菱重工業、第二位が川崎重工業、第三位が石川島播磨重工業、第四位が三菱電機、第五位が日本電気、第六位が東京芝浦電気、第七位が日立製作所、第八位が小松製作所、第九位が日本航空機製造、第十位が伊藤忠商事株式会社。昭和四十三年度は第一位が三菱重工業、第二位が三菱電機、第三位が東京芝浦電気、第四位が日本航空機製造、第五位が日本製鋼所、第六位が石川島播磨重工業、第七位川崎航空機工業、第八位日本電気、第九位新明和工業、第十位小松製作所。昭和四十二年度は第一位が三菱重工業、第二位が川崎航空機工業、第三位が三菱電機、第四位が石川島播磨重工業、第五位東京芝浦電気、第六位日本電気、第七位川崎重工業、第八位日立製作所、第九位舞鶴重工業、第十位小松製作所となっております。
○矢山有作君 いま御説明いただきましたが、私のほうでちょっと三十九年度から四十五年度までを合計してみたんです。そうしたらこれはたいした大きな差はないと思うんです。そちらから出していただいた資料でこれを集計しましたから。参考のために読んでみますと三菱重工が二千三十億八千万、それから石播重工、つまり石川播磨重工ですね、これが七百六十三億五千万、三菱電機が六百七十億七千万、川崎重工が四百六十三億二千万、川崎航空機が三百六十五億八千万、東京芝浦電気が二百九十五億三千万、日本電気が二百九十一億六千万、新明和工業が百七十六億五千万、日本航空機製造が百七十四億、小松製作所が百七十二億六千万、こういうふうになっているわけです。それで私はこれを見て感じたのは、現実に防衛庁との契約額の大きいところ、それから、さらに今後もますます大きくなるだろうと思われるところに、防衛庁からの退職自衛官の就職者も非常に多いわけです。これは防衛庁からの契約額と、それから退職自衛官の就職の数がいみじくも大体において比例をしておるということを私は示したいためにいまのようなことを言ったわけです。このことは大体において間違いないと思ってよろしいか。大体の傾向として、どうですか。
○政府委員(江藤淳雄君) 自衛官全体で申しますと、必ずしもそういうふうにはなりませんけれども、先ほどから申し上げますように、一佐以上でありますと、まあ比較的発注量の多いところに、お世話になっている人が多いということは言えると思います。
○矢山有作君 あまり下のほうはそう大きな、われわれが問題にするような影響力を持つわけではないんで、やはり一佐以上というような、防衛庁内、自衛隊内で非常に大きな力を持っておった人たちが、その多くが防衛受注額の多いところに大体行っておる、この傾向は大体確認できたと思うんです。このことが私はやはり重要なことだろうと思っております。
 それから、防衛庁は技術研究開発にどのくらいいままで金をかけておりますか。たとえば三次防でどのくらいとかというふうにおっしゃっていただけばけっこうです。
○政府委員(岡太直君) 御質問のございました研究開発費でございますけれども、四十二年度から四十六年度まで、三次防の場合、合計金額にいたしまして三百九十一億、こういうようになっております。
○矢山有作君 それで、これは白紙還元になったとはいわれておりますが、中曽根原案では、大体この技術研究開発はどのくらいの予定になっておったんですか。
○政府委員(岡太直君) これは昨年の原案のときの数字でございますけれども、研究開発費といたしまして千五百億程度、このくらいの研究開発費が考慮してございます。
○矢山有作君 それで、この技術調査研究委託の実際の姿というのはどうなっているんですかね。これも大体上位十社で、あげてみてもらいたいんですが。
○政府委員(岡太直君) 四十二年度から四十五年度までの集計いたしました企業別の試作及び技術調査研究委託費を、われわれのほうから支払いました金額の合計を申し上げます。
 三菱重工業約八十七億、日本航空機製造約六十六億、三菱電機十一億、新明和工業十億、東芝八億、日本電気七億、日立製作所五億、川崎重工業五億、富士通信機二億、小松製作所約二億、以上でございます。
○矢山有作君 いまの上位十社で大体計算してみると、全体で二百六億ぐらいな、技術研究委託ということで金が出ているわけですが、その中で、ただいまの三菱重工業と三菱電機、これを合わせてみますと九十九億になるわけです。二百六億に対して九十九億というと、大体四八%強の比率になっているわけですね。
 それからもう一つ、先ほど三菱重工と三菱電機の防衛庁装備発注契約額、これを見てみると、私一が先ほど読み上げた額で――これは三十九年度から四十五年度です、先ほど言いましたように。上位十社中に占める三菱重工と三菱電機の受注額、この割合を考えてみたんですが、上位十社全部で五千三百八十四億受注しておるわけです。そのうち三菱重工が二千三十億、三菱電機が六百七十億、こうなっています。そうすると二千七百一億です。これは全体の中に占めておる比率というのが大体五〇%、こういうふうになっておるわけです。
 そこで、私は考えられるのは、今後はやはり、先般来防衛庁でいろいろと強調されておるように、装備の国産化という傾向が強まってくるのだろうと思うのです。そうするというと、この技術研究開発にも力点が置かれてくるだろうし、そしてまたその研究開発に当たったメーカーが、いままでの経過を見ておると、そのままその開発成果を生かして防衛庁の兵器調達を受ける、こういうことになっておるようです。したがって、メーカーはまず第一に技術研究開発の委託を受けるというところで激しいせり合いをやって、委託を受けたならば、今度はそのまま防衛庁の調達に応ずると、こういうふうなしかけになっていく。しかも、それが今後、技術研究開発においても、装備の調達においても、非常に増大していくだろう、こういうふうに考えられるわけです。そこで、そういう情勢の中で退職自衛官が、たまたま、先ほど言いましたように、防衛受注額の多いところ、あるいは技術研究開発の委託を受けた率の高いところ、そういうところに集中しておる。こういう形が、私は、もう数字は正直ですから、数字の上から明確に出てきたと思うのですね。ここで、私は、やはり防衛庁と特定防衛企業との間の結びつきがやはり非常に強まっていく傾向が生まれておるのじゃないか、こういうふうに感じておるのですが、どうでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) まあたいへんな御勉強で、そういうことを御指摘いただくことは、私は大事なことだとほんとうに思います。謙虚に承っておったわけです。結びつきについては、いまさっきそれぞれの政府委員から御答弁いたしましたように、三菱全体の生産量からいうと、この兵器生産そのものは微々たるものですが、それじゃ兵器生産の額はどうかというと、御指摘になった額というのは決して少なくないわけですね。ですから、今後ともかりそめにも外部から疑惑の目をもって見られるようなことのないよう十分注意をしてまいりたいと思います。
 それから、最近、さっき御指摘になりました制服の、顧問、相談役等々への就任ということですが、もとは実際もう文字どおり、相談役、顧問とは名ばかりで、捨てぶちをもらって、まあそれも十万円か十五万円足らずというようなわずかなもので、こういう大きな部屋へ数人の者が机を並べて、毎日、新聞を読んだり切り抜きでもスクラップするという程度のことだったようです。ところが最近は、経営者側の話を聞いてみますると、非常に見直されてきた。やはり自衛官の有能な者というのは事務の上に十分使えるのだ、だから、その適性に応じて実務につけようという動きが非常に活発になってきた。それは防衛庁とのつながりを深めるということだけでなしに、その会社自体の業態の中で消化しようという積極的な考え方に変わってきたようです。それはやはり、たとえば新入社員の訓練とか、在来社員の定時訓練とかいうことに彼らを使えば、それなりの特徴を発揮するわけですね。どうも従来の使い方がへたであった、こういう反省が多量に採用しておるところに出てきたようでありまして、これはまあそれなりに、非常に自衛官の能力を認めてもらったこととしてけっこうなことだというふうに考えておりますが、いま御指摘の点等につきましては、かりそめにも癒着の疑いを受けないように、十分私注意をしてまいりたいと思います。
○矢山有作君 私は、防衛庁長官、おことばですが、企業の側が、まあどういう待遇にしろ、少なくとも顧問、嘱託あるいは中には役員に入っている人がある。あるいは研究室の室長、あるいは調査部長だとか、技術部長だとか、それ相応な地位をもって迎えられておるのに、そんなに使い道がないものを私は迎えるとは思わないです。その使い道はどこかというと、なるほど会社の中で、私は、これをやれということで、一般の職員のように特定の仕事で朝から晩までやらされてはいないかもしれない。しかし、私はその人たちの果たす役割りというのは、たとえばバッジ・システムを導入するときの例に見られたように、あるいはロッキード、グラマンの激しい取り合いのときに見られたように、いわく言いがたい、きわめて重要な、企業にとってはメリットのある役割りを果たしておるんじゃないかと、私はそう思っておるのです。それだからこそ、企業がこんなにたくさんの退職自衛官をどんどん、どんどん自分のうちに取り込んでいくんだと、私はそういうふうに考えておるのです。そこのところを長官にも、率直に考えて、今度の、防衛産業と防衛庁とのあり方というものを注視をしていただきませんと、いまおっしゃったような形で見られておったんでは、私がせっかくこうしてゆうべ数字を拾い上げて、防衛生産の受注額と技術調査委託の関係、あるいは防衛庁の退職自衛官の就職先の状況を関連づけてみて、せっかく申し上げたのがあんまり意味がなくなるのですよね、これは。どうなんでしょうね。
○国務大臣(江崎真澄君) よくわかります。これは矢山さんのおっしゃる意味は、冒頭申し上げたように非常に貴重な質問だと思って、ほんとうに傾聴しておるんです。ただ、そうかといって、これは一佐が五十三歳、それから将補――というと昔の少将ですね、これがいわゆる一般定年の五十五歳、しかも彼らの経歴からいうならば、有能、優秀な者もおるわけですね。こういう者の行き場所をどうするかということは、歴代防衛庁長官の全く悩みの種です。私はちょっと弁護をしてみたくなって後段に申し上げたわけですが、そういう面で非常に利用されておる人もあるが、御指摘の点は重要であると思います。これはよく承りまして、注意をしてまいるつもりでおります。
○矢山有作君 長官ね、それは確かに五十三や五十五で退職していくんですから、たいへんだと思いますが、そこまで退職自衛官の身分を考えておやりになり、さらにまた、防衛庁と防衛企業との結びつきについて、とかくの目をもって見られないように厳重に考えていこうとなさるなら、その就職あっせんの努力を、防衛産業に、防衛庁に関係のない、いわゆる民間企業の方向へ全力をあげて考えてやれないですか。私は、その就職の努力が防衛企業に集中するところに問題がある。だから、防衛企業に集中しないで、防衛庁との、あまりその受注なり研究開発の委託などと関係のない、純然たる民間機関にひとつ就職するように努力してやってください。あなたのおっしゃるほど優秀な退職自衛官なら、私はどこの企業でも喜んで迎えると思うのです。これはいやみでなしに、ほんとうに真剣にお考えいただきたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) これはいいサゼスチョンでしてね。そのとおりなんです。いや、それも考えようによっては、私は、彼らの真価というもののPRが足りないと思うのですよ。だから、これは広報課長等々に申しつけまして、募集だけでなしに、はけるほうについてもPRしろということを、これをよく言いましょう。よくわかります、それは。
○矢山有作君 さすがに長官、ものわかりがおよろしいようで、ひとつそのものわかりのいいところで、今後、二度と再び防衛庁と防衛企業の間で妙なことの起こらないように、ひとつ厳重に御注意を願い、さらに今後の退職自衛官の就職につきましても、従来の姿を踏襲されないような実績を、今年度からひとつ具体的にお示しを願いたい。このことを私どもお願いをし、さらに、今後の措置については注目をして見詰めさしていただきたいと思っております。
○国務大臣(江崎真澄君) わかりました。
○矢山有作君 次に進みますが、わが国の工業生産における防衛生産の地位というのは、大体どの程度ですか。
○政府委員(黒部穰君) 防衛生産額というのを、この場合、防衛庁の国内調達と、駐留米軍の調達、いわゆる特需でございますが、これとを一応合計いたしますと、それがわが国の工業生産額に占めます比率を求めますと、昭和四十五年度におきましては〇・四%、全体の工業生産の中では〇.四%という比率になっております。もちろん、産業部門別に見ますと、中には非常に高いものもございます。航空機の場合は、防衛庁の調達あるいは駐留米軍航空機の修理というようなものがございまして、
  〔主査退席、川上為治君着席〕
これが航空機関係の総売り上げの六七%、武器弾薬につきましては、他に需要がございませんので九九%というような比率のものもございますが、その他のものを見ますと、たとえば船舶関係では、防衛庁の調達は一・八%、車両関係では〇・三%、電気通信機器関係では〇・五%というようなぐあいに、非常に低い比率になっているわけでございます。
○矢山有作君 いまお話しになったのでおわかりのように、なるほど、わが国工業生産全体に占めておる防衛生産の地位というのは、確かに〇・四%程度だといわれておるのですが、これはたいしたことじゃないと言えると思うんですね。また、そういうふうに中曽根長官以来強調されてきたんです。ところが、私は、考えなきゃならぬのは、七〇年代戦略産業といわれておる航空機産業で、先ほどおっしゃったように、その全体に占める防衛生産の割合が、六七%をこえておるわけですね。しかも、航空機産業が、御承知のように民間機の生産は、国産旅客機のYS11の生産の打ち切り、あるいは次期民間ジェット輸送機YXの開発計画の実質的なたな上げ、これで全くもうしりすぼみになっておるわけですね。ところで、その一方で防衛生産のほうはどうかというと、装備国産化という方向が強まって、御案内のように、T2、C1のいわゆる四次防の目玉商品の調達がおそらくこれは本格的に始まるのだろうと思う。それからまた、対潜哨戒機P2Jの生産、あるいはRF4EJファントムのライセンス生産、それからFST2改などの生産の開始、こう考えてくると、航空機の産業の存在というのは、まさに自衛隊にかかっておるということになるわけですね。自衛隊が存在しなかったら日本の航空機産業は存在しない、こういう姿になっているわけです。このことは、これはただ単にわが国の工業生産の全体の中に占める比率が〇・四%だからたいしたことはないんだと、産軍の結合の力というものはそう大きなものにはならぬのだというふうに見ることはできないのじゃないか、こういうふうに考えておるんですが、長官、航空機産業というのがきわめて重要な地位を持った戦略産業であるだけに、特に私はそういう感じを深くしますが、どうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の、一半の理由は確かにそういうことがあると思います。しかし、また、日本としては、これは高度な技術を駆使した産業というものと今後取り組んでいくことが、産業界には強く要請されておると思うんです。航空機というものが時代産業の最先端をいくものである、これはもう言うまでもないことでありまするが、このことが各種産業に非常に影響をする――たとえば繊維がああいう結果になりました。おそらく、今度は安価なテレビ、ラジオ、トランジスタ製品といったものがマークされてくるでしょう。もうすでにそういう形になっておるようですね、アメリカ市場においては。そういうことになりますと、日本が経済的に程度が高ければ高いほど、高度技術を要請されてくることは、これはもう矢山さん専門家としてもお認めいただけると思うのです。そういう点で痛しかゆしのところが確かにあるわけですね。で、今度でもT2が問題になりましたが、一部は発動機等輸入にたよっておりますが、これも大量生産をすれば日本で完全にりっぱなものが生産できる。ただ、数が少ないから輸入をするんだという説明を私は受けておるわけでありまするが、マッハを切る航空機が日本の技術によって可能になった。このことは当然、電子機器類によっておおわれておる飛行機そのものからいいまするならば、日本の産業界に大きく貢献する。そういうことがまた、防衛庁の研究費等も特定会社と合同をして使われるということにもなろうかと思いますが、これは問題はありまするが、今後の方向としては、やはり高度なものを国産によってまかなっていきたい、この方向は私、一つの指向するものとしては間違っていないように思いますが、この点いかがなものでございましょうか。
○矢山有作君 おっしゃる意味は私もわかるんです。ところが、防衛庁が技術調査研究委託をやっておられる場合、それから生じた工業所有権などの所属というのはどうなっておるかと思って調べてみたら、ほとんどこれは委託を受けた会社側の所有になっているわけですね。防衛庁の所有に属しておるものはもうほとんどないと言っていいんです。私がいただいた四十七年一月三十一日現在、試作及び技術調査研究委託から生じた工業所有権で、防衛庁と会社が共有するものというのが三件、それから会社に帰属しておるというものが三十四件、こういう数字が示されておりますが、そうすると、なるほど技術研究開発の波及効果というものをどういうふうに考えるかでいろいろ議論はあると思いますが、少なくともこういう状態を見ると、その技術研究開発をやったその成果というものは、その委託を受けた企業内部、あるいはその企業に関連を持った企業、そこの中でもう占有的に使われるという態勢ができてしまうわけですね。ここらが私は一つは問題じゃないかということで申し上げてみたわけです。したがって、こういうような技術調査研究委託から生じた工業所有権の帰属などというものが、これはやはり一応再検討する余地があるんじゃないか。私の承知しておるのでは、通産省あたりが大型プロジェクトの調査研究を委託してやらした場合には、これは大体通産省のほうに帰属しておる。つまり国に帰属しておるはずなんです、その成果は。防衛庁の場合は、まあ軍事技術の開発というような立場があるのかもしれませんが、これがいま申し上げたようにほとんど受託企業に占有されておる。これは私は一つの大きな問題だと思っているわけですがね、どうですか。
  〔主査代理川上為治君退席、主査着席〕
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は確かに重要な点だろうと思います。詳しくは政府委員から答えさせますが、今後の検討課題ということで私承っておきます。
○政府委員(岡太直君) まず、工業所有権の数字でございますが、会社が所有しているものが三十四件、防衛庁と共有のものが三件というお話でございましたが、これは調査委託をした、あるいは試作を依頼した場合に発生したものでございます。そのほか防衛庁としましては、防衛庁の部内の研究によりまして発生いたしました工業所有権を持っております。この数は九十七件ございまして、決して技術面で会社にいっている工業所有権が多いというわけではないというふうに考えております。
 それから、会社に開発を依頼しまして発生した工業所有権でございますが、これは直ちに会社に全部いくというわけのものではございません。これはその所有権の対象になります発明なり考案が主として会社側の創意くふうによる場合は会社に属する、それから防衛庁の技術指導によってできたものは防衛庁に帰属する、両者もやもやしております場合には協議してきめる、こういうことになっております。それで、試作なり委託をやります場合は、防衛庁は生産施設を持っておりません。したがいまして、防衛庁は会社に実際のものを製作さしておるわけです。したがって、こういう工業所有権も会社のほうに発生するケースが多い。ただ防衛庁の場合は、部内の研究において、そのほか技術の成果があがって、九十七件の工業所有権を持っているというふうな現状でございます。
 それから通産省の大型プロジェクトのお話が出ましたが、これは防衛庁の場合と違いまして、通産省の場合は、一つの企業ではリスクが非常に多い、しかも社会の要請からいいましてぜひとも技術を進歩しなきゃいかぬ、こういう要請がある場合に、コストも大きいということで、通産省、それから国立の研究所、民間企業が共同のかっこうでチームとなって開発を進めておられる、そういうふうに感じております。そうしてこの目的が新しくできた技術を社会のために役立てたいということで、最初からそういう技術を公開するという、こういうことを前提にして出発した。したがって予算面におきましても、そういう工業所有権を国に帰属させるための対価が織り込んである、こういうのが実情だと思います。これに対しまして防衛庁の装備品を開発する場合は、これは技術面からいいましても非常に限られた問題である、そう してわれわれのほうの立場からしますと、装備品の作戦なり運用構想に合ったものが得られればよろしいというわけで、工業所有権を得るということは必ずしも絶対の条件ではないというわけで、経費を算定いたします場合にも、たとえば材料費だとか、人件費だとか、それから技術者の金だとかというものを積算をいたしておりますけれども、会社が持っておりまして従来から蓄積したポテンシャルと申しましょうか、会社の実力といいましょうか、つまり技術的ポテンシャルのない会社には高度の製品を出すわけにはいかない、そういう意味で、それだけの予算を組んでおりません。したがって、工業所有権の場合は先ほど申し上げたような取り扱いになっております。ただ将来の方向としましては、やはり競争原理というようなことも導入しなければいかぬということもありましょうから、前向きの方向で検討する必要があると思っておりますが、何ぶん予算面だとかその他いろいろ問題があるというのが現状だと、こう思っております。
○矢山有作君 私が工業所有権の帰属の問題を言ったのは、防衛庁のほうの側が調査研究委託をした場合のことだけに限って話をしておりますから、防衛庁が保有する工業所有権九十七という話はこれは抜きにしてください。そうせぬと、私が言っている防衛庁と企業との関連というものがぼけてきますからね。
 それで、いまの御説明は御説明として承りますが、ただ、技術研究調査の結果生まれた工業所有権の帰属について、防衛庁のほうは、確かに防衛庁が主として技術的指導した場合には防衛庁に所属するし、企業が主として技術的指導をした場合には企業に所属するんだというような訓令があるようですね。あるようですが、しかしながら、それじゃ主として技術的な指導も防衛庁がやったか、企業がやったかという問題になってきますと、これは私どもはそこまで突き詰めて議論する場合には、もっともっと詳細な調査をしてからでなければあなたとの議論にはならないと思うのです。しかしながら、きょうのところ私が申し上げたいのは、そういうふうに技術調査研究を委託する場合でも、それが特定の大企業に集中をしていきつつあるし、そしてしかもその成果がその受託の大企業に所属するという形になっておるし、それを基礎にして防衛庁の装備調達がその特定企業に集中しつつあるし、それに対してその特定企業に防衛庁からの退職自衛官というものが集中する傾向がある。これだけはやはり今後の問題として、私は十分心していただきたい。そうしないというと、こういう形で特定の防衛産業――大企業と防衛庁との癒着関係というのが強まってきますと、これが日本の政治経済の中でやがて大きな力を占めてくるようになる、そうなると、いわゆる産軍複合体といわれる弊害というものが露骨にあらわれてまいりますから、それが出ない段階で私どもはそれをチェックしていく必要があるだろう、そういうことでわざわざこの議論を持ち出したわけですので、ひとつ長官のほうは十分この点をお考え願っておきたいと思います。
 そして、最後に一つだけお伺いしたいのですが、防衛庁と経団連との常設懇談会というんだそうですが、四十五年九月以降持たれておるというんですが、これの大体出席メンバーはどういう方が出席しておられるのか、またどういう内容の話をやっておるのか、それからまた、これまでに開催状況はどうなのか、御説明いただけますか。
○政府委員(黒部穰君) この常設懇談会は、中曽根長官時代に、経団連側の要望もありまして、防衛庁の発注を受ける企業側のいろいろの苦情なり諸問題を提示を受けて、これについて意見の交換を行なうというのが趣旨で発足されたようでございます。防衛庁側は私が、装備局長が出まして、経団連側は経団連の防衛生産委員会事務局長千賀氏が出ることになっております。必要の場合は経団連の防衛生産委員会所属の団体の、たとえば兵器工業会とか造船工業会とかというようなところの専務理事が出席するということになっております。原則として月一回ということになっておりますが、私、実は着任したのが九月でございまして、十月から国会が始まりました関係上、なかなかうまく開催できませんでおります。私が着任してから四、五回じゃなかったかと思いますが、その前が約五回ぐらい、あわせて大体十回ぐらい開催した、かように考えております。
○矢山有作君 装備局長ね、長官にもお聞きしたいのですが、こんな経団連との常設懇談会なんというものは、設けるのなら私は会議公開にすべきだし、そういうものを設けないほうがいいのじゃないですか。そうでなくても防衛庁と防衛産業、特に特定大企業との結びつきが云々されているときですからね、どう思いますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 私、御指摘のとおりだと思います。要らぬことだ、こんなことは。用事があったら防衛庁へ来たらよろしい。それくらいの強い態度で装備局長がもの言ったらいいので、何も定期的にそんな便宜をはかる必要はありません。かりそめにも疑惑を招くようなものがあれば、それはやめたらいいと思います。私はそういう主張です、率直に。
○矢山有作君 それは、長官、これはもうおやめになりますね。おっしゃるように、用事があったら防衛庁へ来させればよい。
○国務大臣(江崎真澄君) そのとおりです。用事があれば、防衛庁はいつ来てもいいのですから、それで防衛庁で会ったらよろしい。何も進んでこ
 ちらが行って何か――便宜供与ももちろんけっこうですが、ことさらにそういう議論をする必要はない。しかもそういう代表者のようなのが元防衛長官を呼び捨てで呼んだことがあって、電話で。私、はなはだけしからぬと思っておるから、それはそういうふうに処置しましょう。わかりました。
○矢山有作君 きわめて明快なお話ですから、こういうような防衛産業との癒着を思わせるような常設懇談会はもうなくなる。一つ前進したと思うのです。まだほかに防衛装備の発注の実態等についてもお伺いしたいのですが、私の持ち時間が参りましたから、これできょうは一応打ち切っておきまして、またあらためての機会に伺わしていただきます。
    ―――――――――――――
○主査(内藤誉三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 ただいま上田哲君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。
 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十七分開会
○副主査(矢山有作君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。
 休憩前に引き続き、防衛庁所管を議題として質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○須原昭二君 航空自衛隊第二補給処高蔵寺支処、まあ俗称われわれ高蔵寺、春日井の高蔵寺弾薬庫と言っておりますが、この任務と役割りについて、ちょっと御説明願いたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) これは政府委員からお答えさせます。
○政府委員(鶴崎敏君) 高蔵寺にありまする航空自衛隊の弾薬庫は、岐阜基地の航空自衛隊第二補給処の支処になっておりまして、航空自衛隊が使用します弾薬の受け入れ、保管、検査、発送、こういったような業務を行なっております。
○須原昭二君 この弾薬庫の敷地面積はどのぐらいですか。
○政府委員(鶴崎敏君) 高蔵寺弾薬庫の敷地面積は、全体で百七十四万一千平方メートルばかりございます。
○須原昭二君 この弾薬庫の中に、敷地の中に弾薬庫が何棟ぐらいありますか。
○政府委員(鶴崎敏君) 小口径の弾薬あるいは中口径の弾薬、それから爆弾、ロケット弾、こういった弾薬類が全体で約千三百トンばかりございます。
○須原昭二君 千三百トン――私が申し上げているのはむねですね。
○政府委員(鶴崎敏君) あ、棟数ですか。
○須原昭二君 棟数です。
○政府委員(鶴崎敏君) 建物関係は、面積にしますと約一万七千四百平方メートル、棟数にしますと、約二十六棟ございます。
○須原昭二君 その二十六棟の中で、からっぽのやつがだいぶんあるという話を聞いているんですが、その点はどうなっていますか。全部入れますと、どのぐらい収容能力がありますか。
○政府委員(鶴崎敏君) 全体の貯蔵能力としましては、約二千百三十トンぐらいであります。
○須原昭二君 そこでちょっとお尋ねをいたしますが、どんな種類の弾薬、これが入っておるのか、この点を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) 先ほどちょっと申し上げましたが、小口径の弾薬、それから中口径の弾薬、それから爆弾、ロケット弾、こういったようなものが格納されております。
○須原昭二君 それは種別ですね。具体的に言って、たとえば私たちが聞いておる情報によりますと、空対空ミサイル――サイドワインダーですかね、これだとか、F86Fジェット戦闘機用の五百ポンドぐらいの爆弾、それからF104Fジェット戦闘機用の二十ミリ機関砲、先ほどのF86Fジェット戦闘機用の七百五十ポンド爆弾、その他いろいろ航空自衛隊が使うものだということを聞いておりますが、具体的にこうした目玉的な弾薬はどのぐらい。
○政府委員(鶴崎敏君) ただいま申し上げました種類別に、なおこまかく申し上げますと、小口径の弾薬が約二百三十七トンございまして、内訳としましては、口径五十ミリの普通弾、同じく口径五十ミリの曳光弾、同じく五十ミリの徹甲弾――失礼しました、口径〇・五インチでございます。〇・五インチの普通弾と〇・五インチの曳光弾、それから徹甲弾がございます。
 それから中口径の弾薬としましては七十八トンでございまして、内訳は二十ミリの訓練弾、二十ミリの曳光弾、それから二十ミリの実弾。それから爆弾としましては四百九十一トンで、五百ポンドの爆弾、三百四十キログラムの爆弾、それから三ポンドの訓練爆弾、二十五ポンドの訓練爆弾。それからロケット弾としましては四百八十六トンで、二・七五インチのAAR、これは空対空ロケットでありますが、それとASRの弾頭、それから七十ミリのロケット砲弾、それから五十五ミリのロケットモーター、百二十七ミリのロケットモーター、それからAAM−1、その他AAM−9B、こういったようなものがございます。
○須原昭二君 そこで、二十六棟の中で何も入っていないものが何棟ぐらいあるんですか。
○政府委員(鶴崎敏君) この弾薬の貯蔵は、そのときどきによって増減がございますので、まあ時期によっては特定の期間、庫があいていることもありますし、また、しばらくすると入るということで……。
○須原昭二君 あえてあけておるというわけじゃないですね。
○政府委員(鶴崎敏君) 一部につきましては、あえてあけておるところもあるかと思います。これは……。
○須原昭二君 それは後ほどお聞きいたします。
 そこで、昨年の三月だったと私は記憶をいたしますが、国会で、あそこにナパーム弾千七百発が貯蔵されておったということを私たちは聞いております。これは撤去されましたか。
○政府委員(鶴崎敏君) 七百五十ポンドのナパーム弾の、いわゆる約二千発分ぐらいの材料でございますが、これは現在も高蔵寺の弾薬庫にあるわけであります。
○須原昭二君 これは、撤去するということではなかったのですか。これは撤去するということで、地元市民もこれは了解をしておるわけで、いまなおあるんですか。これはうそを言ったことになりますよ、また。
○政府委員(鶴崎敏君) ちょっと装備局長が担当なもんですから、呼びに行きましたから。
○須原昭二君 後ほど。――そこで、このナパーム弾の問題については後ほどお尋ねをいたします。実はそのナパーム弾の問題は、昨年三月問題になって、地元のたいへん大きな騒動になったわけです。撤去をしたということで鎮静をしたわけです。だれも確認をしていないから、あらためて聞いているわけです。ですから、その点は後ほど装備局長がお見えになってからお尋ねをいたしましょう。
 そこで、これら弾薬の搬入あるいは搬出、輸送というものは、どういう方途によって行なわれておりますか。
○政府委員(鶴崎敏君) この弾薬類の輸送は、トラックで実施しております。
○須原昭二君 それは高蔵寺駅まではどこから来るか知りませんが、国鉄で来るんですね。それからトラックというのは、どこのトラックで……。
○政府委員(鶴崎敏君) トラックは、自衛隊のトラックで輸送いたしております。
○須原昭二君 どうも現実を御理解をいただいておらないように私は思うのですがね。高蔵寺の駅までは国鉄で輸送してくる。それから、高蔵寺の駅から弾薬庫までは日通の車が輸送しておって、自衛隊の車は何にも使ってないはずです。一ヵ月にどのくらいの往復を走られるか、それを聞きたいのです。
○政府委員(鶴崎敏君) 輸送量は月平均トラック三十両程度というふうに聞いております。
○須原昭二君 そこで、いまトラックのお話、自衛隊の車ではないんですよ。現実に現場のことを御存じないような気がするのですがね。私たちの聞いている範囲では、防衛庁と国鉄本社と日通の本社とが包括契約といいますか、そういう形で契約が結ばれているというふうに私たちは聞いていますが、どうですか。
○政府委員(鶴崎敏君) この輸送の詳細につきましては、間もなく装備局長が参りますので、装備局長からお答えします。
○須原昭二君 そうですが、後ほどまた聞きましょう。
 そこで、輸送の問題で、この弾薬等についてはきわめて危険性が高いわけなんですが、この輸送における安全性についてどう対処されておりますか。
○政府委員(鶴崎敏君) この弾薬類の輸送につきましては、国内法規によっていろいろ厳重な制限がございます。火薬類取締規則その他の規則に準拠しまして、安全性については十分配慮の上で輸送しておるという実態になっております。
○須原昭二君 そこで、弾頭と信管とは必ず分離して輸送しておりますか。
○政府委員(鶴崎敏君) それは弾頭、信管は必ず分離して、別々に保管をしておるというふうに聞いております。
○須原昭二君 その振動等によって事故の起きる可能性が多分にあるんですが、この車に対する輸送について、民間会社だけにまかしておるんですか。
○政府委員(黒部穰君) ちょっと、いま突然入りましたものですから、あるいは少し的はずれかもしれませんけれども、一般的に……。
○須原昭二君 もう一ぺん私から申し上げます。いいですか。あのね、まずナパーム弾の話ですよ、春日井の高蔵寺弾薬庫。昨年の、四十六年の三月ですね、国会でナパーム弾が千七百発ぐらいここに貯蔵されておる、保管されておるということが指摘をされて、地元ではたいへん大きな問題になって、撤去すると、こういうことで地元は鎮静をしたんですが、いま参事官のお話を聞きますと、まだ材料は中に入ってるんだ、何ら変わってないという御報告なんですが、その点の事実。
○政府委員(黒部穰君) ナパーム弾というのは、御存じのように、炸薬が入った弾薬ではございませんで、使用の際に弾体にガソリンと、それからゲルファ剤と、こう言ってますが、それをまぜ合わせて使用するわけでございます。そこで、この高蔵寺にはその弾体、つまりからのものがあるわけでございます。それと信管が入っているわけでございます。で、それ自体だけでは使用できないわけでございまして、もし使用するとなれば、それにガソリンとゲルファ剤というものをてん入しなければ使用できない、こういうことになるわけでございます。
○須原昭二君 これは撤去すると言われたんですよ。一ぺん前の記録をひとつひもといていただければわかると思うんですが、撤去すると言われたから、地元の民衆はこれで安心をしたんです。しかし、撤去されたのかどうか、私は確認の意味でいま聞いたんですが、たまたままだあるということですから、これは大きな問題だと……。
○政府委員(黒部穰君) 私どもにあります記録によりますと、四十六年三月三日、参議院予算委員会におきまして上田哲委員の質問がございまして、そのときの長官からの答弁は、使うということは総理大臣の命令で、総理大臣の命令に従う。しかし、防衛庁としては展示演習その他、使う可能性だけは留保しておくということで、撤去するということは申し上げていないように記憶しております。
○須原昭二君 いや、地元のほうでたいへん大きな問題になって、防衛庁等に陳情、抗議というのが繰り返されたわけです。そのときには防衛庁は撤去するという公言をしたということを私たちは聞いてるわけなんです。その点はどうですか。
○政府委員(黒部穰君) 私の手元にあります資料によりますと、当日の委員会では、ナパーム弾というものを今後自衛隊が使用するのかしないのかの統一見解を問うということで、防衛庁長官と、さらにそれを受けまして佐藤総理大臣から答弁申し上げているように書いてあります。
○須原昭二君 これは、春日井の弾薬庫にナパーム弾があるということが国会で指摘をされたんでしょう。それでなければ問題にならぬじゃないですか。地元の新聞は一斉に大きな見出しでナパーム弾が保管をされているということを、こう指摘をしたんですよ。これは国会で追及されたと言われているんです。長官、時間がたちますからね、この点は地元の皆さんはもう撤去されてどこかへ移転をされたと、こう理解をしているんですよ。しかし、いまお話を聞きますと、まだそのままにあるということが明らかになった以上、やはりこの処置はひとつぜひとも長官の手元で処理をしていただきたい、かように思います。どうも防衛庁うそばっかり言っているような感じがしてしようがないと思うんですね。
○国務大臣(江崎真澄君) これは先ほどからのやりとりを承っておりまして、おそらくその撤去ということはあるいはなかったかもしれません。あったとしてもですね、あったとしても、冒頭に言いましたように、直ちにそれが使用にたえる弾ではない。いわゆる普通のことばでいうと、入れものと信管だけがあると、そこへガソリンとそれからゲルファ剤、これを充てんして、そうして焼夷弾になるのだと、だからそれだけならば危険度はきわめて低いし、そのままにしたと、こういう意味のようにも受け取れるのですが、その辺よく調査しまして、もしそういうことで御約束があるとするならば、当然これは何かしかるべき措置をしたいと思います。
○須原昭二君 これはどうも私たちキツネにつままれたような感じがしてならないわけで、ひとつ厳密に調査をしていただいて、処置をしていただきたいと思います。
 時間の関係がございますから、先へ進みますが、もう一つ、先ほどトラックで駅から輸送されていると、搬入搬出ですね、弾薬の。これについては自衛隊の車でやっておられるというお話ですが、現実にはそうではないと私は理解していますが、どうですか。
○政府委員(黒部穰君) まず一般的なことを申し上げますと、弾薬は防衛庁で調達いたしますと、補給処なり弾薬庫なりまでを、民間、つまり納入すべき業者がみずからの手で弾薬庫なり補給処なりに持ってまいります。そこで受け渡しが行なわれるわけでございます。その際に大体発注した品物ではございますが、納入業者は日本通運とか、そういう輸送専門会社を使うということになっておるわけでございます。それから弾薬庫からたとえば演習に使う、あるいは各部隊に配備する、補給するという場合は、おおむねは、例外もございますけれども、自衛隊の車で搬送するというのが普通の例になっております。
○須原昭二君 国鉄と日通本社、両本社で防衛庁との間に包括契約ですか、そういう形で運行されておるというように私たちは聞いています。
 そこで、その点は全体、個々の業者が委託をしているんですか。包括契約でしょう。
○政府委員(黒部穰君) 弾薬の納入業者は三つか四つあるわけでございます。それがそれぞれの輸送業者と契約を結んでおるので、これは包括でやっているかどうかということについては、私どもは存じません。
 それからわが自衛隊のほうでは、弾薬に限らず、日通と一種の包括的な契約を結んでおります。
○須原昭二君 そこで、現地の方々のお話を聞きますと、自衛隊の車でやると目につきやすくて批判が出るから、だから日通さんに頼んでいるんだというような感じがするわけですよ。そこで、日通のほうの車でも、自衛官が乗るときと乗らぬときとあるようなことを私たちは聞いているんですが、必ず乗ってやはりやってもらわぬと、一業者にまかしておいただけでは私はいけないんじゃないか、こう思いますがね。どうですか、その点は。
○政府委員(黒部穰君) 弾薬の輸送が、まず搬入されるまでの場合、つまり、わが防衛庁で受け取るまでの場合を申し上げますと、一般に弾薬の運搬については、火薬類取締法の適用を受けるわけでございます。したがいまして、輸送する場合には、車両で輸送する場合は、その発送地の公安委員会に届け出することになっております。公安委員会から途中経過地の各公安委員会にも全部通報がいくことになっておりまして、その届け出は、いわば規則にのっとったものでなければ受け付けてもらえない。受け付けてもらえなければ、また輸送の証明書をもらえない、こういう形で規制されているわけでございます。したがいまして、民間の業者が、かりに自衛隊の弾薬でありましても、民間輸送業者が行なう場合には、やはり規則に従って行なわれているわけでございますから、安全については十分ではなかろうかと思うわけでございます。
○須原昭二君 そこで、火薬類取締法に基づいて、これはたしか三十五条だと私は思いますが、「保安検査」、これは通産局がやるんじゃないかと思いますが、定期的な自主検査が規定をされているわけですが、どういう形で自主検査をやられておりますか。
○政府委員(黒部穰君) 自衛隊でも火薬庫がたくさんあるわけでございますが、これにつきましては、全部防衛庁長官から通産大臣に承認申請書を出して、保安距離その他の安全の措置をとるということにいたしてございます。
○須原昭二君 そこで、保安距離が出てきたんですが、この保安距離が、住宅が隣接をしている。したがって、弾薬が納められている棟ですね、これとの距離を離さなければならないということで、からっぽになっている棟がだいぶあると聞いておるんですが、何棟ありますか。時間がないから……。
○政府委員(黒部穰君) 何棟あるかということは、ちょっとわかりませんですが、いずれにせよ、保安距離のために貯蔵のトン数を減らすというような措置をやったように記憶しております。
○須原昭二君 これは御答弁必要ないんですが、要するに保安距離が必要なんですね。周囲が全部ニュータウンで、新しいビルが建っているわけです。ですから、保安距離を保っために、三分の一ぐらいはからっぽにして、まん中の一番遠いところへ全部入れてあるということを聞いておるんですが、その点の実態はつかんでおられますか。
○政府委員(黒部穰君) 役所のほうではもちろんそういう資料を持っているわけでございますけれども、ちょっとそこまで用意しておりませんでしたので……。
○須原昭二君 調べておいてください。
○政府委員(黒部穰君) さっそく調べます。
○須原昭二君 そこで、公団側にひとつお尋ねをいたしたいと思います。
 その弾薬庫をめぐるその周辺一帯は、東海地方でも冠たるいわゆる春日井の高蔵寺ニュータウン計画が進んでおるわけで、その第一工区、第二工区、すでに八万九千人のニュータウン計画、二百五十七万坪ですか、これの想定にして、第一工区、第二工区が着々進んでおりますが、その第三工区はいわゆるいま申し上げておるところの高蔵寺弾薬庫にあたるところですね。
○参考人(播磨雅雄君) 現在、昭和三十五年以来、高蔵寺のニュータウン計画といたしまして、土地区画整理方式によりまして、いわゆる第一工区と第二工区の区画整理事業が現在進捗中でございます。いまおっしゃいました第三工区というのは、法的にはまだ何の手続もとっていないところでございまして、まあ当初から私たちは、できれば開発区域に取り込みたい、こういう希望を持ちましておるところでございます。
○須原昭二君 法的に計画にはなっていないけれども、日本住宅公団としては、人口八万七千人のニュータウン計画、二百五十七万坪、人口密度グロスーヘクタール百人ですか、こういう非常にりっぱなニュータウン計画が進められておる。その計画はあるけれども、法的にはやっていないということですね。いいですね。――
 その第三工区を将来やるつもりがあるのでしょう。
○参考人(播磨雅雄君) 現在、お話のございますとおり、まだ防衛庁のほうでお使いでございますが、あきますれば、公団といたしましてはぜひ開発さしていただきたい、かような希望を持っております。
○須原昭二君 公団側に聞きますけれども、それを入るか入らないか想定せずに第一工区、第二工区ができているのですか。
○参考人(播磨雅雄君) 当初高蔵寺ニュータウンのいわゆるマスタープランといいますか、全体計画をつくりますときには、第三工区まで含めました絵をかいたことがございます。そういうふうな区域のとり方で開発を進めたほうが、地形あるいは土地の姿から申しまして望ましいというふうに考えておりますが、ただいま申しましたように、現在御使用中でございますので、第一工区と第二工区を法的手続によってやっておるというのが現段階の姿でございます。
○須原昭二君 どうも住宅公団の皆さんね、マスタープランとしてはできておる。しかしながら、第三工区は法的な措置はまだ講じていない。しかしながら、現実には入るものとして計画が進められているのですよ。これは日本住宅公団の御説明を私がせんならぬというようなばかなことはないのですけれども、これはマスタープランなんです。これがいま第一工区、第二工区がこうできているところ。第三工区の三分の一できちゃっているわけです。道路計画が全部いっちゃっているわけですよ。全部行きどまりになっているのです。ここが入ってこなければ、土地利用計画は全部変えなければならない。そういう事態でしょう。
○参考人(播磨雅雄君) 何度も申すようでありますが、一応土地の非常に有効な利用から申しますれば、第三工区まで含めて使えるのが一番いいわけでありますが、とりあえず……。
○須原昭二君 歯に衣をかぶせたようなこと言ったのじゃだめだよ。
○参考人(播磨雅雄君) 第三工区がなくても、一応使えるような形で設計いたしておるような状態でございます。
○須原昭二君 いや、マスタープランは第一工区、第二工区、第三工区全部一緒に含めてやってあるわけだ。当然この弾薬庫の中まで全部計画ができちゃって、全部行きどまりになっているのですよ、道路が。それから排水、下水装置も、こっちから流れるものと、こちらへ流れるものと、全部計画が済んで進んでいるんだよ。だから、これがあるかないか、そのまま弾薬庫が残るか残らないかによって、第一、第二の土地利用計画というのは全面的に変えなければならないという実態になっている。日本住宅公団が現場のことがわからないようなことではだめですよ。そうじゃないですか。
○参考人(播磨雅雄君) 何度も同じことを申し上げますが、とにかく第一工区、第二工区しか使えない状況におきましても、一応支障なく住めるような形で設計をいたしておると、こういうことを申し上げておるのでございまして、第三工区もあわせて開発さしていただきますれば、ニュータウンの開発効果が非常にあがると、こういうことで、何とか第三工区も開発をいたしたいという希望を持っておるわけでございます。
○須原昭二君 これは日本住宅公団がそういうことを言われるということは、私は想像もしなかった。そうしたら、お尋ねをいたしますが、日本住宅公団が、弾薬庫がおってもらっちゃ困る。だから、当然、施設庁がやらなければならない仕事を、弾薬の移転先まで一生懸命土地買収、土地交渉をしていることはどういうことですか。
○参考人(播磨雅雄君) ただいま御指摘のとおり、この第三工区に着工いたしたいものでございますので、住宅公団といたしましても、行き先の調査につきまして尽力いたしておるような状況でございます。
○須原昭二君 どうもわからぬことをおっしゃるのですね。じゃお尋ねをいたしますが、愛知県、そして名古屋市、あるいは春日井市、小牧市、地元の住宅自治会、こういうものから実は弾薬庫の移転、あるいはまた撤去、いろいろ表現の差はありますけれども、県会、市会を通じて議決もされておる事実を、公団は御存じですか。
○参考人(播磨雅雄君) はい、承っております。
○須原昭二君 それにどのように対処されておりますか。
○参考人(播磨雅雄君) 公団といたしましては、この弾薬庫の行き先につきまして、公団なりの協力をいたしまして、ここをあけていただくというのが公団としてできる最大のことでございますので、そういったことで候補地の選定等に携わっているわけでございます。
○須原昭二君 逆にお尋ねいたしますが、なぜそういうことをやるのですか、公団が。移転先をさがさなければならないのは、その必要性はどういうところからきているのですか。
○参考人(播磨雅雄君) これは、だれが行く先を見つけてまいりましてもいいわけでございまして、現在の場所があけてさえいただければいいわけでございますが、実際問題といたしまして、公団のほうからお願いいたしました筋もございます。そういったことで、公団といたしましても、微力ではございますが、そういった努力をしたわけでございます。
○須原昭二君 そこで、じゃあもう一度お尋ねしますが、こういう計画、できちゃっているんですよ、いま。マスタープランは全部こうなっているわけですね。それからこれは現実にできたところなんですね、ここまで。これが弾薬庫のあるところです。第三工区ですね。全部道路がとまってるんですよ。これは当然ここが移転をしてもらえるという前提の上に立って土地利用計画を立てられている。住宅地がどこで、商店街がどこで、学校がどこで、下水道がどういうふうに流れて――全部そうなって、計画がなっているわけですよ。もし、これが移転してもらえなければ、ここへ、道路が行き詰まりになっているんですから、ここへ迂回路線をつくって、こちらの水がこちらへ流れるように、全部計画を変えなならぬでしょう。
○参考人(播磨雅雄君) 確かに、先ほどから申しておりますように、第三工区を包括いたしまして、一体的な開発ができたほうが非常に効果があがるという形であることは申すまでもございません。ただいまお話しのございました、もし第三工区がかりにできなかった場合に、非常な変更、ないしは手戻りが起こるのじゃなかろうかというお話しでございますが、そのマイナス面の話でございますが、道路も、迂回道路的なものが必要じゃないかという問題、あるいは排水の問題がございまして、地区内に公団の第二工区から流れ込む分水、流域がございますので、第三工区の区域内の河川が、場合によっては改修しなければならないかもしれないというふうなことはございますが、それ以外ではそう不必要になるような、あるいは手戻りになるような大きなものはないと思っております。
○須原昭二君 そうしたら、そうした、たいしたことないとおっしゃるけれども、現地の名古屋の住宅公団の支所長のお話しを聞きますと、たいへんなことなんですよ。あなたたちは現場を見ておられないから、そんな簡単な――ああちょっと変えりゃいいわというような簡単なことをおっしゃっているけれども、現実にはそうではないわけです。何本かの道路が全部弾薬庫の敷地まで行って行きどまりになっているのですよ。商店街が、まん中に置かなければならないということであったけれども、第一、第二――なければ、もう少しまた移転をさせなければならない。弾薬庫から、いまのお話しのように距離性――距離の幅を持たせなければならない。そうすると、いま、弾薬庫自体を、周辺が三分の一ぐらいからっぽになってるんです。どうも、白木住宅公団の皆さんは、現場の実情をとくと御理解をいただいておらないような感じがいたします。
 率直に申し上げますが、この橋本さんですね、日本住宅公団名古屋の支所長は、たいへんな事態になったと。もし、弾薬庫が移転をしていただけない場合には、第一工区、第二工区の土地利用計画は全面的に変えなきゃならない。下水道から、道路の敷設計画路線から、それから商店街の位置から、パーク、公園の位置まで、全部変えなきゃならない、たいへんなことだと、こう実は言っているわけです。
 そこで、その土地利用計画、もし五十年までに第三工区が着手できない場合には、土地利用計画を変更する手続をとらざるを得ない。そして愛知県、そして春日井市にそういう打診をしたら、県も、そうして春日井市も、そんな、土地利用計画を変更してもらっちゃ困る。こういうことで、板ばさみになって困っているのが、いま、日本住宅公団高蔵寺ニュータウンの実態なんですよ。それは中央の日本住宅公団の本部が、そんな現実を知らないようなことは、全く言語道断だと言わなきゃならぬ。どういうことですか、そんなことま……。
○参考人(播磨雅雄君) 私どもといたしましても、現在やっております第一工区、第二工区のニュータウンとしての効果を、当初期待いたしておりましたとおりに十分に発揮させるためには、第三工区をあわせ開発することが非常にいいということはよくわかっておりますし、また、そのための努力も今後とも続けていきたいということで、決して第三工区の開発を断念したとか何とかというつもりは現在ございません。そういったことで、今後とも努力してまいりたいと思っております。
    ―――――――――――――
○副主査(矢山有作君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 ただいま鶴園哲夫君が委員を辞任され、その補欠として工藤良平君が選任されました。
    ―――――――――――――
○須原昭二君 じゃあお尋ねいたしますが、非常に困ってるんですよ。だから数年前、当然、これは防衛庁が、防衛施設庁が、県の移転をせよという決議、地元の春日井の市会の全員一致の撤去の決議案、こうしたものをとらえて、地方住民にこたえる道は、防衛庁、防衛施設庁自身が一生懸命これにこたえなきゃいかぬと思う。それをこたえないものですから、そのまん中に立って住宅公団は困ってしまっている。公団自身が移転先のあっせんを、一生懸命数カ所にわたって運動しているじゃないですか。その事実は何ですか。御存じでしょう。なぜ、そういうことをやるんですか、そうしたら。たいしたことでないというなら。
○参考人(播磨雅雄君) 確かに、おっしゃるとおり、昭和三十六年から始まりまして、現在まで、数カ所の有望と思われる候補地を選びまして、下交渉に入ったことはございます。いずれもいろいろの事情がございまして、現在まで実現を見ていないというのが実態でございます。
○須原昭二君 公団の立場だと、どっちへ肩持っていいやらわからぬもので、防衛庁の長官の顔見ながらもの言っておるから、どうしてもはっきりしたことが言えないんだと思うんですよ。現実に第三工区欲しうてたまらぬのです。欲しうてたまらぬでしょう、代弁しておきましょう。欲しくてたまらぬ。このままでは、第一と第二工区を全面的に土地利用計画を変えなきゃいかぬ。といって、防衛庁にもあんまり強いことをよう言わん。だから、自分で一生懸命代替地をさがして歩いているのが実態なんですよ。
 そこで、防衛施設庁にお尋ねするけれども、この事態をどうとらえられていますか。
○政府委員(島田豊君) 鶴崎参事官からお答え申し上げさせます。
○政府委員(鶴崎敏君) この高蔵寺弾薬庫の移転の問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、県議会あるいは地元の春日井市におきましても前々から要望がございます。そこで、防衛庁としましては、これまでいろいろ努力しまして、いろいろな場所について移転について検討したわけでございますが、残念ながら、ある程度まで話がつきますと、どうも地元で反対というようなことになって、いまだに実現をしておりません。そこで、最近の状況としましては、先生も御存じと思いますけれども、稲武町につきまして検討しておりましたけれども、これも三月の三十日に町議会において弾薬庫の受け入れを拒否するという決議が行なわれまして非常に困難な事態になってきております。しかしながら、われわれとしては、この団地の計画については十分協力しなければならないという気持ちでこれまでも努力をしております。稲武問題につきましては、困難な状態にはなりましたけれども今後とも協力は惜しまない、こういうつもりでおります。
○須原昭二君 そこで、稲武では、いまお話のように全員協議会で反対になっちゃった。現実に防衛庁が出かけて行ったんじゃなくて、公団が行って再三交渉をしているわけです。公団は、住宅の用地を確保するためには専門かもわかりませんが、弾薬庫を設置するところの土地買収にはそれはしろうとですよ。だから、たとえば三千万円出してあれだとか、道路はこういうふうに自衛隊の車が走るからこれだけ拡幅するとか、さまざまなことを言っておるものですから、もうその過程のの中で、住民の皆さんの中で、もうすでに金もらったやつがおるだろうというようなことでけんけんがくがくで、平和であるべきあの稲武の町がもう騒々しい状態になっているわけです。特に稲武の問題については、ここに私は持ってきておりますけれども、山村振興計画という計画村になって、平和な町づくりをするということで、もう補助計画まできちんと総理大臣から許可を得た町なんですね。平和な町ですよ。しかも、その予定地の横には、名古屋市の多くの学童が夏に行く野外教育センター、こういう非常に平和的な環境ですからね、反対が起きるのは当然なことだと私は思うんです。その他、下山とか額田だとかあるいは岐阜とか、いろいろなところを公団の皆さんが飛んでおられておるんですが、防衛施設庁自身が先頭に立って――私は、撤去するのがほんとうであって移転とは言いませんよ。移転とは私の立場からは申し上げませんが、百歩譲って、移転先をさがすにしても、防衛施設庁が先頭を切って当該春日井市民あるいは県民の皆さんのこの決議にこたえることがほんとうではないか、こう思うわけですが、どうですか。
○政府委員(鶴崎敏君) この問題につきましては、防衛庁としてもいろいろこれまで努力をいたしております。ただ、申し上げたいのは、防衛庁がどうも正面に出ていきますとなかなか事がうまく進まないという面もございます。そこで、当該地がはたして技術的に適当かどうかというようなことは、これはもうもちろん防衛庁自体が十分検討しておりますけれども、代替地の取得について、少なくとも初めの時期においては公団のほうに折衝していただいて、ある程度可能性が出てくればもちろんこれは防衛庁が交渉に当たるということになろうかと思いますが、そういう意味で、決して防衛庁が逃げておるというようなことではございません。当初においてはひとつ公団のほうにしていただいてということで進んでおったわけでございます。
○国務大臣(江崎真澄君) これはむずかしい問題だと思います。住宅公団がほしがられることもわかりますし、あのニュータウン計画の壮大さからいって、これは弾薬庫があることは私は望ましくないと思う。ただ、同じ役所同士のことだものですから、すでに防衛庁が占有権を持っておりますと、そこをのいてくれと言うのはあとから計画をした住宅公団ですから、どこか代替地を求める最大の努力をしておる、こういうことだと思います。実は稲武町ですか、この話も私地元の新聞等でよく見聞きしておりますが、どうもやはりその説明が十分行き届いておらぬようです。これは稲武町ばかりでなしに、もっと数カ所について当たっておられるようでありまするから、御指摘のように、当然防衛庁側も同じ役所部内であるから、協力をするという意味ででもそういうところに説得に向かうことは必要かと思います。まあさっき鶴崎参事官から申し上げましたように、防衛庁が前面に出るというと非常にまた事を大きくする、まさにそのとおりだろうと思うのです。それから、弾薬庫というものはそんなに危険度の高いものではありませんが、やはりまだあの戦争当時のイメージが残っておるだけに、弾薬庫というと、それはもうたいへんなものを持ってくるということになって、これは日本中なかなかさがしてもどこも適地がない、ましてや、歓迎はしてくれないというようなことで、ずいぶん無理なところに弾薬庫がそのまま残っておるという感じがいたします。したがって、午前中上田委員にお答えしておりましたように、こういった弾薬庫も基地の再検討等に含めまして十分ひとつしさいに検討をしたいと思うのです。できれば、今度のこのケースはやはり住宅公団が旺盛に代替地をさがしていただく。稲武町なんていうのは愛知県でも、なるほどそれはレクリエーションの場ではあるかもしれぬが、長野県境の非常に奥の奥ですね、そういうところでもなかなかむつかしいということで、ちょっと住宅公団もここへきてまあ投げた形じゃないかと思うが、やっぱりあそこは住宅適地ですから、われわれのほうはどこかに候補地さえ見つけていただいて、それが何とか話し合いになってくればいつでも明け渡すことにやぶさかじゃありませんので、なお今後ひとつ協力をしまして努力を重ねてまいりたいと思います。
○須原昭二君 そこで、初めに任務、それから役割りをお尋ねをし、そしていま、保管をされているトン数をお尋ねしたんですが、実は半分近く、三分の一はがらっとあいているわけです。周囲がずっと大きなビルが建ってしまって、近いところでは、三百メートル近くにあるんですね。ですから、保安距離をもたなければいけないということで、この周辺の弾薬庫の峰はからっぽになっている。そこまでからっぽになっておれば、この際全国的な計画を再検討して、どこかへ集中をするとか、そういう検討の方法もあるのじゃないか、春日井については撤去することができるのじゃないか、その点はどうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは検討いたします。これは深刻にひとつ検討しましょう。そして、幸いこれは公団側にも協力が願える立場ですから、のみならず、同じ愛知県内で何か一ついい場所がないものか、県当局にもこれはお願いしてみるとか、やはり現にあるんですから、こいつの代替地をどこに求めるか、これはひとつ努力してみたいと思います。
○須原昭二君 移転先が、下山というところと額田と稲武と三カ所出てきたわけですね。すべてがだめだと。そこで、どうも防衛庁長官はわが地元ですから、わが地元で処理をしなければいかぬような感じをいだかれておるようですが、万が一、百歩を譲って、移転をさせるにしても、愛知県で収拾をしなければならない義務は私はないと思うのです。岐阜の市長なら市長なんですからね。どこでもいいじゃないかというような感じがするわけですが、その点は公団がはき違えていると思う。愛知県だけでやらなければいかぬと思って愛知県くまなく走って歩いている、しかも防衛庁が出にくいから、そういう県民をろうらくをするというとことばが過ぎますが、調子よくいくためには公団がいい。それで公団にやらしておいて、防衛施設庁は唯々諾々といいますか、公団ができなければ移転したらんぞと、こういう居すわりの姿に私は出てきているのではないかと思います。特に第一工区、第二工区の計画案を見ますると、五十年までにやってしまおうということなんですね、土地造成を。そういたしますと、あと二年しかないのです。よほど早くピッチをかけなければ下水もいけない、道路もみんな行き詰まりになっている、こういう状態では、たいへんな事態になったと私は理解をしております。したがって、わが地元から出ておられる江崎長官のことですから、政治家は優柔不断であってはならない、非常に決断力旺盛な大臣ですから、その点は、もう二年先に迫っている事態をとらえて、特に公団側は土地利用計画の変更手続をとると言っているのです。
  〔副主査退席、主査着席〕
それに対して、春日井市は絶対だめだと、もちろん愛知県も決議をされている以上、これを了承するわけにいかない。そして、公団がまん中に立って非常に苦しんでいるという事態なんですね。だから、こちらのほうには好意をもって言ったつもりが、どうもぼくの言っていることと食い違うというばかな話はないわけで、これは一ぺん総裁きちんとしてもらわなければいけないと思うのですが、そういう点で、長官のぜひとも明確なるひとつ御答弁といいますか、せっかく愛知県から出た唯一の大臣ですし、あとしばらく大臣は出ぬと私たちは思っているものですから、江崎さんがやらなくてだれできるかという、そういう感じを私たちは持っているわけです。その点どうですかね。
○国務大臣(江崎真澄君) これはどうも他県に持っていくという場合にどうしても歓迎してくれませんですね。そうすると、愛知県で処理しなければならぬという問題ではなくても、やはり愛知県内でできれば候補地をさがすと、このほうが実現性が多いと思うのです。ですから、そういう方向に立って公団側にも努力していただくし、わがほうも、これは居直るといいましても、もう第一工区、第二工区がどんどん完成してまいりましたから、こういつまでも置けるものじゃありませんですね。ですから、こちらも協力態勢に立って、愛知県知事等にも御協力を願う要請をして、ひとつ何とか解決の方途を講じてみたいと思います。もうしばらく時間をおかしください。
○須原昭二君 そこで、日本住宅公団に申し上げますが、いま、あれだけ好意ある江崎長官の発言があるのですからね、土地利用計画変更手続をやめるということを確約を願いたいと思います、どうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) それはうっかり言えぬわね、なかなか。(笑声)
○参考人(南部哲也君) 高蔵寺の弾薬庫の問題につきましてお話がありましたように、住宅公団をいたしましては、あそこが全部高蔵寺のニュータウンの計画としてやっていくということが一番これは日本のためになる、こう思っております。そのために、先生御指摘のように、いろいろ弾薬庫の移転につきまして実はいままでも努力してきておりますし、防衛庁のほうには、四十一年六月に前総裁の名前でこの移転についてぜひ考えてほしいというお願いも出しておるわけでございます。したがいまして、いろんな候補地があった場合に、必ずこれにつきましては防衛庁とも十分な打ち合わせをいたしまして、そうしてこれが弾薬庫の適地として可能なものかどうかという点の調査等は十分にしていただいておるわけでございます。一日も早くこの移転ができますようにわれわれとしては念願しておりますが、いま長官からお話のありましたように、何せ、ものがものでございますので、どこへ行っても最終的になりますと反対という問題が出てくるわけでございます。そこで、どうやってこれをあれしていくかということにつきましては、私も地元の県知事さん以下にもいろいろとお願いを申し上げておる次第でございますが、どうか一日も早くこの弾薬庫の移転が可能になりますように、これからも努力していきたいと思いますので御協力をお願いしたいと思っております。
○須原昭二君 名古屋支所長の橋本さんでしたね、橋本さん自身が頭へきちゃってもう総裁に土地利用計画案を出すと、ここまできているわけですね。しかも、五十年の年限がきちんときまっているのですから、これはもう早急にやらなければならない問題点です。ですから、そんなに気短になるなと言って下部を指導されることをひとつ願いたいということと、江崎長官、いま私語が聞こえてまいりまして、何とかせよと島田さんにおっしゃっておるのですから、ですからもう一ぺん、五十年という年限が切ってあるのですから、少なくともこの半年ぐらいまでに結論を出すと、このくらいのひとつ勇断をぜひともお願いをしたいと思います。どうでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) 日を切られると、これ、なかなかむつかしくなるのですが、最大の努力をしてみましょう、これは。当然、御指摘になる意味はよくわかりますし、何とか解決しなければならぬ問題だと思うのです。全く引き取り手のないものは困るですね。これでほんとに社会党が御理解いただけると話は早いのですけれどもね、そうもいかぬということになると、ずいぶん手間ひまもかかるわけですが、最短距離でやりたいと思います。これはよく承りました。
○須原昭二君 ひとつ大臣の勇断をお願いしたいということと、もう一つ、先ほどのナパーム弾の問題は、きょう私が言ったことによって、こういう事実が、かえって地元の皆さんの異常な関心が私はまた高まってくると思うのです。ですから、早急にひとつ現地を調査されて、住民のほうの誤解のないようにやはり適切な処置をとっていただきたい、特に要望しておきます。
○国務大臣(江崎真澄君) いま至急、せっかくの御質問ですから調べさせましたところ、そのナパーム弾を撤去しなければならぬというお約束はしていない、こういうふうに言っております。のみならず、これはさっきも話題に出ましたように、ナパーム弾そのものの、いきなり直ちに右から左へ使えるというものじゃなくて、使う場合には、新たにそれに弾薬に相当するものを装てんしなければならぬわけですね。まさに容器だけというような形でもありまするので、危険度という点からいえば、危険度というものはむしろ皆無なもので、ナパーム弾そのものよりも、ナパーム弾というかナパーム弾の容器そのものよりも砲弾の実弾のほうが、それは、これも安全装置があるしきわめて鈍感なものであります、御承知のように、これは科学者でいらっしゃるから。鈍感なものですが、まあナパーム弾の容器というならばさほど住民感情にも、よく説明をすれば刺激をするということにもならぬように思いますが、その辺はひとつ十分調査したいと思います。
○工藤良平君 私は、短時間で済ましたいと思うのですが、実は、防衛施設周辺の整備、そして安全という問題についていろいろお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一番は、自衛隊の演習場の使用問題につきまして、その法律の中に、第一条、障害の防止の義務ということがうたわれているわけでありますけれども、この辺について、特に周辺部に対するいろいろな対策についてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(島田豊君) 米軍基地並びに自衛隊の基地の存在から発します各種の障害につきましては、従来は行政措置をもってそれに対する対策を講じてまいっておりますが、御承知のとおりに、防衛施設周辺の整備等に関する法律が制定せられました以後は、その法律に基づいて各種の施策を
 いたしておるわけでございます。この法律の三条、四条でございますが、三条は、米軍並びに自衛隊の行為あるいは施設の運用から生じますところの各種の障害に対しまして、これを防止し、あるいは軽減し、あるいは除去するという事業でございますし、第四条関係は、そういう防衛施設の存在から発しますところの地元に対する各種の発展の阻害と申しますか、そういう要因に対しまして民生安定のための各種の助成事業をいたすと、こういう趣旨で四条の規定がございまして、障害の防止、軽減につきましては、この三条並びに四条を主として運用いたしましてその対策を講じておるというのが今日の姿でございます。
○工藤良平君 特に、この演習場の問題につきましては、従来その地域におりました者が――もちろんこれは戦前以来――土地を追われ、そして生活が非常に困窮をしてきたというような実情がたくさんあるわけでありまして、そういう意味から、特にこの地元民の生活の擁護という関係については万全の措置が必要ではないかと私は思っているわけであります。その意味から、もちろん今日まで防衛施設庁が行なってまいりましたこの地元民対策というものも、それぞれ行なわれてはおりますけれども、現在の農政の衰退の状況の中において、特にこの地元民の生活擁護という関係については重大な問題になってきているわけでありまして、そのような地元民の生活擁護という関係からいたしまして、防衛施設庁としては、一体どのような対策を講ずるのか。もちろん、これは個々の演習場によっても違いましょうけれども、全体的に、その姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(島田豊君) この法律の三条にございますように、「重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施その他政令で定める行為により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、」、まあ予算の範囲内におきまして、たとえば農業用施設あるいは林業用施設あるいは漁業用施設、それから道路、河川、海岸等が障害を受けました場合のそれに対する対策あるいは防風施設、防砂施設その他のいわゆる防災施設、あるいは水道、下水道、こういう事項につきまして、地方公共団体に対しまして費用の全部または一部を補助いたしまして、こういう障害の防止、軽減に当たっておるということでございます。そのほか演習場の関係でございますけれども、たとえば北海道の演習場におきますような航空機等で音響、いわゆる騒音が生じました場合には、これもやはり三条でそれに対する対策を講じておるわけでございます。そのほか四条関係で、先ほど申しましたように、こういう防衛施設の存在によりまして、生活環境施設あるいは事業経営の安定に寄与する施設等につきまして、これも補助事業でございますけれども、そういう事業に対して補助をいたしまして、基地の存在からくるところの各種の障害につきまして、できるだけこれを防止し、緩和しあるいは軽減をするという考え方でございます。そのほか演習場におきましては、現実に演習場を使用いたします場合に、先ほど申しましたように各種の温水、渇水等によりますところの障害もございますし、そのほか振動等の問題もあろうかと思います。そこで、こういうものにつきましては三条なり四条を活用をいたしまして、できるだけ基地の存在と住民の生活なりあるいは周辺の地域開発なりというものとの間に調和、調整をはかりまして、基地の安定的使用をはかると同時に、その周辺の方々に対しまして、基地の存在からくる各種のいわゆる迷惑に対しましてできるだけの予算措置をもってそれに対策を講じてきた。この法律施行後、かなりの予算額をこれに用いましてそういう目的のために事業をやってまいりましたけれども、今日、やはり基地の存在と、それから地域開発がだんだん進むにつれまして、その地域の住民の福祉向上という問題との間がますます深刻化を加えておるという状況でございます。ことに、大都市周辺の都市が非常に都市化現象が激しい、人口集中が激しいということで非常にこの問題が深刻化してまいっておりますので、私どもは、四十七年度の予算におきましてもそうでございますけれども、この周辺対策経費につきましては、特に重点を置きまして、その間の調整、調和をはかる、こういうことに努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○工藤良平君 この演習場と、その周辺の地域民との間におきましては、生活の問題をめぐりまして、場合によっては非常にきわどい問題が起こる場合があるのであります。たとえば、従来からあります入り会い権等の問題から、放牧その他の関係でどうしても生活の面から演習場の中に、周辺に入らざるを得ないというような問題も起こります。したがって、生活の問題と同時に安全性の確保という問題につきましても重大な関心を払うと同時に、対策というものが講じられなければならないと思うのでありますが、この安全性の確保という意味において一体どのような体制がとられておるか、安全な対策がとられておるか、その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(島田豊君) 演習場におきまして、自衛隊が訓練いたします場合あるいは米軍が訓練いたします場合に、当然訓練上の安全性の確保ということについては、従来からたいへんこれにつきましては意を用いておるところでございまして、訓練そのものから生ずる事故というものは今日まであまりないように思います。一面、航空機のひんぱんな離着陸によります騒音につきましてもこれはたいへん大きな問題でございますので、その周辺、いわゆる騒音規制と申しますか、訓練そのものにつきまして各飛行場ごとに一定の基準を定めまして、たとえば市街地の上空はできるだけ避けるとか、あるいは夜間の飛行をやめるとか、そういういろいろな各種の内部規制を設けまして騒音規制をやっておりますけれども、この安全性につきましても、そういう点は特に訓練上意を用いておるところでございます。したがいまして、たとえば、ある演習場で実弾射撃というものをやりますような場合につきましても十分それは安全について注意をしておる。そこで、先ほどの一般の住民の方々の生活の安定という観点、見地から入り会いの問題が出ましたけれども、これにつきましても、従来から国有地につきましてそういう入り会いの慣行があります場合にはこれを尊重して、もし、その演習の実施によりましてそういう入り会いによるところの収益が阻害されるような場合には、これに対する適正な補償を行なうということでまいっておるわけでございます。それから演習場の使用によりますところの火災予防等につきましても、これも十分意を用いておるところでございますし、また砲撃音その他からきますところの騒音問題につきましても、いろいろ騒音防止のための電話の施設を講じますとか、あるいは地元の市町村に対しまして消防自動車の設置に対する助成を行ないますとか、あるいは放送施設、いわゆる有線放送施設を設けますとか、そういう意味で、いろいろな角度から基地から生じますところの各種の迷惑に対して今日まであらゆる施策を講じてまいっておりますけれども、この問題は、今後とも十分ひとつ努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○工藤良平君 そこで、演習場の用途外使用ですね、それから演習場を演習用として使わずに一般の方が使うという場合、そういうような場合には、もちろん許可をして、その許可の範囲内で使用が行なわれると、こういうことになるだろうと思うのでありますが、そのような場合に、もしも事故が発生をした、許可をして使用している間に事故が発生をした、こういうような場合にはその補償というのはどういうようになりますか。一般的に聞いておきたいと思います、あと具体的に入りますけれども。
○政府委員(鶴崎敏君) 演習場を一般の民間の方の使用に供するというようなこともあろうかと思いますが、そういう場合には、もちろんその使用を要するについての一定の条件を付して許可するわけです。したがいまして、そういった条件に違反した結果何らかの事故が発生したという場合については、防衛庁としては責任を負いかねるということになろうかと思いますが、条件は守っておってもなおかつ何らかの事故が発生したというときには、その事故の発生したときの状況その他をよく調べまして、結局、社会通念上、この場合は本人の責任であるかあるいは防衛庁の責任であるかというケース・バイ・ケースの問題になろうかと思います。
○工藤良平君 あと、具体的に入りますけれども、その前に防衛庁長官にお伺いしますけれども、先ほどから三、四点をお伺いいたしました。特に、防衛庁の使用している演習場周辺の農民との間においては、非常に生活の問題あるいは安全性の問題等におきまして問題が起こりやすいわけでありますけれども、これらについては、もちろん防衛庁といたしましては十分な体制というものはとっているだろうと、このように思いますけれども、なおさらに、これらの問題については、地域住民の対策については万全の措置をもちろん講じられると思いますけれども、その点に対する考え方をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘のように非常に重要な問題だと思います。特に、基地周辺住民と自衛隊との関係というものはやはり一つの信頼関係に立つことが大切でありまして、こういう基地周辺整備また福祉に関する協力、そういうことが信頼にもつながっていくわけですし、また、基地の一種の公害といいますか、それを許容する気持ちにもつながるわけでありまするから、十分ひとつ今後とも予算措置を講じまして努力をしてまいりたいと思います。特に、予算措置を講ずるというだけでなく、常に地元側と出先機関とが話し合いをして相互理解を深めるというようなことが大切だと思うのです。特に最近の農村というのは、いろんな機関があって、代表者もおられるんですから、そういう方と話し合いを設けるようにしてまいりたいと思います。
○工藤良平君 それでは、具体的に私お伺いをしたいと思いますけれども、あるいは報告がきておるかどうかわかりませんが、私、大分県のまん中に日出生台という、これはもう以前の軍の使用しておりました演習場があるわけでありますが、九州でも優秀な演習場と、こういわれておったわけでありますが、この日出生台演習場の周辺部の農家の人が廃弾処理をいたしておるわけなんですが、防衛庁から廃弾を譲り受けまして、その解体作業をやって若干の生活をささえて、一日多いときには二千円にもなる、こういうようなことから、周辺農家にとりましては非常に生活のかてとしては重大な収入源になるわけでありますが、この廃弾処理の問題につきまして、実は日出生台演習場等に関する協定というのが結ばれております。その協定に基づいていろいろな、さっき申し上げましたように、目的外の使用にも供せられるというようなことになっておると思いますが、この協定は、私は防衛施設周辺の整備等に関する法律の範囲内であればもちろんこれは有効だろうと思うのでありますが、その点についてまず確認をしておきたいと思うのです。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点について、私、ここに資料や報告書もきておりますが、時間を節約する意味で鶴崎参事官からお答えさせます。
○政府委員(鶴崎敏君) 先ほど島田施設庁長官から御説明がありました周辺整備法、これはいろいろな施設区域あるいは自衛隊の基地の運用に関連した障害の軽減とか防止とか、あるいはその障害は直接的でなくて間接的なものもあるわけですが、そういったための事業に対して国が一定の補助金を交付するということを主体とした問題でございます。ただいま先生御指摘のこの日出生台演習場の使用協定に盛り込まれた、たとえば廃弾処理の問題というのは、ちょっとこの周辺整備法の問題とは性格が違うかと思いますけれども、要するに、演習場と周辺住民の生活というものがなるべく両立していくような方向で、演習場使用協定の際にそういった事項を盛り込んだという一つの例がこの廃弾処理になったと、こういうことだと存じます。
○工藤良平君 この事件というのは、昨年の五月の四日だったと思いますけれども、山本一次さんという方が、大体この方は廃弾処理をやっている方でありますけれども、他の部落から大体二・三トンのもちろん廃弾、それからロケット弾、それからブルドーザーのこわれたもの、こういうものを譲り受けてまいりまして、小野さんという方が解体作業を始めた。その段階で、実は不廃弾が中に入っておりまして、その不発弾によって小野さんが死亡し、そしてその山本さんの奥さんでありました方が負傷して翌日なくなった。こういう事件であるわけでありますが、これをその後、防衛庁との間に再三にわたって折衝をいたしておりますけれども、防衛庁としては、それらについては責任は防衛庁側にないということで補償要求を拒否していると、このような実は私、報告を聞いているのでありますけれども、これらについてどのような報告を聞いていらっしゃるか、また、その対策はどう講じてこられたか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) 日出生台演習場の中で廃弾等がございますが、こういったものを地元に払い下げる場合には、必ず不発弾の処理班の者が立ち会いまして、その中に不発弾があるかどうかということを厳重にチェックしまして、そうしてそういう危険なものはないということを確認した上で地元の不発弾の組合に対してそれを払い下げをしている、こういう形になっております。したがいまして、この山本さんが不発弾を処理する途中で事故が起こったということにつきましては、この入手経路等が明確でございませんけれども、どうも正規に自衛隊から払い下げられたものではないというふうに現地からは報告が参っております。
○工藤良平君 通常、この演習場に関する協定、しかもその中の細部協定というのがあるわけでありますけれども、その細部協定の中には、いまお話のように、もしも不発弾があった場合には不発弾を自衛隊が処理をしてそうして払い下げると、こういうことになっているわけですね。で、この山本さんが田尻部落という部落から連絡を受けて、そうして取りに行って、持って帰って処理をしているうちに破裂をしたわけですけれども、その中にロケット弾が三十発入っておった。で、通常このロケット弾というのは実弾と演習用のたまとは色分けをしてあるということなんですね。色分けをしてあるとすればこれははっきりわかるわけですから、まさか不発弾を解体すればきわめて危険だということはわかっておりますから、そういうことは起こらなかったと思うのですね。この三十発のロケット弾というのは一体どういう形でそれでは場外に持ち出されたのか、これは非常に大きな問題になると私は思うのですね。田尻部落という部落から山本さんが買い取ってきた。その田尻部落にどういう形でそれでは流れたのか。いま言うように十名の監視員がおって、不発弾の場合にはそれを処理して払い下げるということで実際に行なわれているとするならば、きょう何発撃ってそのうちの不発弾が何発あったというのはわかるわけでありますから、処理ができたはずだと思いますが、そこら辺のいきさつについてもう少し御説明をいただきたい。
○政府委員(鶴崎敏君) 日出生台演習場におきます廃弾の処理につきましては、昭和四十五年の五月三十日に成規の手続を経てある量のものを払い下げをいたしておりますが、それ以降、事故の発生日――四十六年の五月四日でございますか、その間においては払い下げをしておらないという報告が参っております。したがいまして、どうもこの事故の起こった不発弾というのは、成規の手続を経て地元に渡ったものではないのではないか、こういうふうに考えられますが、ただ現時点におきましては、それじゃどういう経路でいったのかということについては、自衛隊のほうとしては把握しがたい、こういう状況になっております。
○工藤良平君 この問題については、結局自衛隊側としては、地元の人たちがかってに持ち出したのだというような、端的にいいますとそういうような解釈になるわけですね。かってに持ち出したのだ、だからわれわれのほうとしては責任がないのだと、こういうことになってくるわけですけれども、したがって、その間のいきさつについて、どうも話が進まないということから、大分の行政監察局に山本一次さんが調査を依頼しているわけですね。その調査の内容というのを私はいただいているわけでありますが、その際に、この不発弾が一体自衛隊のものなのか、あるいは以前三十二年まで使用しておりましたアメリカ軍のものではないかということまでも実は言われておる。警察当局も、それは、この中に入っていろいろ調査をしているわけでありますけれども、どうもそのたまがどういう形で――しかもアメリカ軍のものか自衛隊のものかわからない。自衛隊の側としては、これはアメリカ軍のものであろうということを言っておるわけでありますが、そういうことになると、三十二年までアメリカが使用しておって、その後自衛隊が全面的に引き続いて使用しているわけでありますけれども、もしも、その廢弾がアメリカ軍のものであるとするならば、その責任というものは、現在の自衛隊は、日出生台演習場の場合には一切責任をとらない、こういうことになるわけですか。その点をちょっと聞いておきたいと思います。
○政府委員(鶴崎敏君) 御承知のように日出生台演習場は、以前米軍が使っておりましたけれども、これが返還になって、現在は自衛隊の演習場になっております。したがいまして、その演習場内に、以前米軍が使用していたところの不発弾がありました場合、それについての責任と申しますか、これは米軍には追及はできないと思います。現在、これは行政財産として防衛庁が管理しておりますから、そういう意味における管理責任という面はあると思いますが、ただ、その事故の発生した態様が、成規の手続を経て払い下げられたものの中に、たとえば米軍の以前のロケット弾があったということであれば、これは問題だと思いますけれども、どうも調べたところによりますと、正規に払い下げられたものの中には不発弾というものはあり得ない。これはもう専門家が立ち会って全部チェックしますから、そうしますとどうも経路自体がよくわからないということになります。
○工藤良平君 私もお話をしておりますとだんだんわからなくなるわけです、けれどもね。それではこの田尻部落という部落に――これは周辺のいわゆる演習場から、実はだんだんだんだん押し出されていった部落なんです。私も何回かここに入っておりますけれども、追われ追われて出ていったところなんで、いま言うように、やはりあの地帯は、農業と同時に――農業といってもなかなかうまくいきません。非常に地味の悪いところで、水田をやりましてもあまりうまくできないところなんです。したがって牛を飼ったり、あるいはみす竹を編んで生活を支える。ところが、そのみす竹がここ二、三年病害虫が入りまして一斉に枯死してしまったわけなんです。そういうことから、やはり演習場内の廃弾でも払い下げてもらって生活をしなければという非常に窮地に追い込まれておる。もしもおっしゃるように、四十五年に払い下げたまま昨年まで一回も払い下げをしていないとするならば、その間にこの田尻部落の人たちがどういう形で演習場の中に入ったかしりませんけれども、これは廃弾なんていうことになりますと、かなり着弾地点になるわけでありますから、危険な場所ということになるわけであります、相当距離が離れておりますから。そういたしますと、着弾地点から持ち出すということになりますと、むしろ私は防衛庁の安全という意味の確認なり監視というものが一体どういう形で行なわれているのか、そこに落ち度はなかったのかということが言えるわけです。いつ持ち出されたのかわからないというようなことであるとするならば、二・三トンですから、二トン積みのトラックに一ぱいなんでありますから、かなり相当の量になるわけでありますが、それがそのまま放置されていたとするならば、そこには防衛庁側の落ち度はなかったか、こういうことにもなろうと私は思うのでありますが、その点はどうなんですか。
○政府委員(鶴崎敏君) 日出生台の演習場の管理面につきましては、まず演習場の区域を明確にするというようなことから、演習場に通ずる道路のところには、ここから中は演習場である、したがって部外者は立ち入らないようにという立て札をそれぞれしております。それからまた、特に危険地帯であります着弾区域につきましては、その周辺に赤いポールを五十メートル間隔で立てまして、ここは危険であるから立ち入ってはならないという措置もとっております。しかしながら、何といっても広大な面積でございますから、どこからも入れないというふうにはこれはできないわけで、まあ通常の状態であれば、当然演習場の中であることはわかるし、また特に危険区域もわかるように表示してあるというようなことでございます。それから、この演習の際には、演習する部隊が要所々々に歩哨を立てまして、関係のない者が入って危害を受けるようなことのないように措置をしておりますし、それから演習が終わったあと不発弾があったらいけませんので、これも必ず不発弾の清掃をいたしております。そういうことで、危険防止という点につきましては、自衛隊側としては十分な措置はとっておりますけれども、たとえば、夜間等に外部から絶対に侵入できないようになっているかといわれますと、そこまではとても実際問題としてはできかねるという状態でございます。
○工藤良平君 この問題だけでやりとりをしておってもしようがないと思いますけれども、しかし、いずれにしても自衛隊の演習場の中から不発弾が出たということは確かなんで、それは黙って取ったのか、あるいは払い下げをしたものの中から出てきたのか、あるいは通常の監視体制の中にルーズな状態があったのか、いろんな要素が、条件が考えられるわけですね。しかし、この山本一次さんが田尻部落という部落から買い取ったその廃弾の中にロケット弾三十発ある、その二十九発は現在残してあるそうでありますけれども、そのうちの一発、最初解体をした一発が、実は爆発をしてこういう事故が起こったわけなんで、そういたしますと私はどうも日常ふだんいわゆる弾を発射する、その状態のときには、地域周辺の人たちの入場というものは、監視をしているかもわからぬけれども、通常演習をしていない状態の中においては、比較的自由に出入りができておったのではないか、これが通常ふだんの状態ではなかったのかということも、実はあの演習場の状態を知る者からすると、そういうことも考えられないこともないというふうに私も実は思うのです。ただ要は、それがどういう形で出たにしても、いずれにしても、いわゆる演習場の中から出たことは間違いないし、その不発弾が処理されていなかったということも事実なんですね。ですから私は、その意味において、この種の問題が、今後、まだやっぱり起こるかもわからないですね、いまのような状態に追い詰められておりますと。これが幸いに、あの周辺の山本さんといううちで起こったからいいようなものだけれども、これがもしも町工場の中にこの廃弾が持ち込まれて処理をされるとするならば、事故はもっと大きな問題に発展をしたのではないかと、実はあとから考えてみるとそらおそろしいような気がするわけなんです。ですから、まあそういった意味で、田尻部落という部落がどういう形でとったかは、それがいわゆる規定に違反しているかどうかということは、警察もいろいろ調べたけれどもなかなかわからない。自衛隊のほうも言っているけれども、このたまは、いわゆる弾種は結局は不明だと、こういうことも言っているようですね、行政管理庁の調べの中においては。そうすると、このような状態が起こったときに、それじゃあ山本一次さんの奥さんと、小野さんという解体をした二人は泣き寝入りをしなきゃならぬのか。それはやった人が悪いんだから、これはもうしようがないんじゃないかということで済まされるかどうかということですね。非常にむずかしい問題だと思いますけれども、その点どうでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) 工藤さんの御指摘の点は非常に微妙な問題だと思います。微妙だと思いますが、どうも私もさっきからやりとりを承っておりまして、よほど防衛庁側としてはこの不発弾処理には神経をつかっているわけですね。で、もしかりにありとすれば、米軍当時の弾で地中深く入って不発になったもの、そういうものが想像されますですね。そういうものを平素自由に入れるというようなところからそれを掘り起こしてきたと、その中に不発弾がまじっておった、こういう場合も想像されると思うんです。当然二人もなくなるという大事故ですから、警察側としても、やはりそれを集荷してきた――集荷というか、要するに収集した田尻部落の者を相当調べたと思うんですね。それがどうも明らかでないというあたりに問題があるように思います。したがって、防衛庁から正規に出たものであれば、これはやはり監督不行き届き、まあ工藤さんの場合は、それをもう一つさかのぼって、そういうところで実弾を撃つからそういうことにもなるんじゃないかと、これをおっしゃっているように思いますが、しかし、それはみだりに入ることのできない演習場に入って、もしかりに無断で持ち出したものであるとすれば、その無断で持ち出した者が罰せられるべきですね。そしてまた、無責任にそういう不発弾を集荷して、転売をした、ここにやはり一つの犯罪行為が構成されるようにも思います。いま、いろいろ手元にありまする資料には相当詳しいものが出ておりますが、なお、私どものほうとしても、今後こういうことを再び繰り返さないように十分調査したいと思います。
○工藤良平君 私も、これはいま長官のおっしゃいましたように、もちろん演習場がありますから、そこでたまを一切撃つなということはもちろん申しません。申しませんが、しかしやはり安全というものは、これは第一の条件であるし、いつどういう場合にその流弾が飛んでくるかもわからないという、周辺部の人たちにとっては非常に重大な問題になってくる、ただ廃弾の処理だけではなくて。ですから、そういう安全という意味において、私は非常に大きな問題があると同時に、さっきからしきりに言いますように、生活という問題等の関連の中から、一体どういうことでこれを処理したらいいのかという問題が起こってくるわけで、従来の慣行というものを見てみますと、協定はあるけれども、大体廃弾を集めてきて、たとえば二トンあったといえば、あとでその二トン分、一キロ当たり一円五十銭の単価でかけて自衛隊に金を納めると、こういう措置を実はとっておるようなんですね、実際問題としては。日常ふだんそういうことをやられておったような状態が私どもの調査の中では出てきておるわけです。そうすると、田尻部落がどこからどう集めてきたか、その経路はわからないけれども、とにかく集めてきた二・三トンというものが山本さんに渡り、その処理の段階で事故が起こったという、しかも山本さんは、その事故が起こったことによって奥さんをなくし、しかも、使っておりました小野さんという方がなくなった、その家族から今度は補償の責めを問われているわけです。私は、そこに非常に重要な問題が出てくるわけで、もちろんこれは、今後こういうことが起こってはいけませんので、十分な防衛庁側の演習場内におけるきびしい監視の体制、廃弾処理の問題についての対策が必要であると同時に、この種の問題については、これは国家賠償法やあるいは裁判によって争って白黒をつけるという問題では――もちろんそれがたてまえかもわかりませんけれども、そういう問題ではないのではないか、こういう実は気がするわけであります。この点については、私は大所高所に立った長官の配慮というものが必要だろう、このように実は考えておるわけでありまして、そういう点についての私は具体的な調査なり、対策、事後処理というものが必要ではないか、このように思います。
○国務大臣(江崎真澄君) これは田尻部落がどうして入手したか、ここがわかればおのずと責任の所在が明確になるように思うのですね。田尻部落の集荷したものが不法不当にまあ窃取したものである――ことばは適当でないかもしれぬが、そういうものであったとすると、これは防衛庁側が補償するということは問題になってくると思うのです。で、それは演習場の中に不発弾があるのであれば、これは防衛庁としても責任が持てるというか、その処理ということに当然責任を持たなければなりませんが、入っちゃいけないところへ入ってきてかってに持っていった不発弾で事故が起きた、それを防衛庁が処理するということになりますと、今後この演習場では――それでも命とひきかえっこですから、そんなことがにわかに行なわれるとは思いませんが、実弾射撃があったあと、ばらばらと無秩序に人が入っていって砲弾さがしやると、これはまあまことに貧しい場面で、そんなことをしなければ生計が立たぬ農家の実情というものには全く御同情しますが、これもやはり秩序をみだることになりますね。そうであってはならぬと思うのです。ですから、もう少し警察側にも動いていただき、わがほうからもこれを督励し、また現地にもよく事情を調べるということで預からしていただくわけにいきませんでしょうか。
○工藤良平君 これはもちろん警察側もかなりの調査はしておるようですね。しかし、それは明らかでないし、たまの種類も、いま言うように、アメリカのものか、あるいは自衛隊のものかというものも、すでに爆発をしておりますから、破片を調べたけれどなかなかわからないという状態で、そういう不明なような状態の中において、それじゃ山本さんの奥さんなり、あるいは小野さんがなくなり、その家族から補償を要求されておる山本さんにしてみれば、非常に生活が困窮の状態にある山本さんにしてみればたいへん重大なことですし、そういう意味から訴訟でもやらなければならぬ状態になってきた。しかし、そういうような、訴訟をやるような実は生活実態ではないわけでありまして、私はそういう意味から、事の重大性をとらえてここまで実は持ち込まざるを得なかったということなんで、その点については、特に、この演習場周辺に対する安全なり、あるいはその生活の関連の中において、私が強調した点はそういうところであって、この田尻部落というものも、何回か追われ追われて演習場の外に行き、ある者は大分の周辺に集団移転をするし、あるものは十何戸がそこに残って、周辺に残って、もちろん防衛庁の力で開田もするなりして、次の生活の方途というものはとられてはおりますけれども、これは、その実態というものは従来の生活からすると決して楽なものではないし、もちろん、その移転をした開田の地帯というものも、地味そのものも悪いし、開田した当時でありますから非常に収量も少ないという状態でありますので、おのずから私は生活のかてを、やはり手っとり早いそういうところに求めざるを得なかったのではないかということで、その責任なり、あるいは刑事事件になるかどうかという問題で、とことんまで追及をしていって明らかにすることが地域住民の人たちのためになるのかどうか、あるいは今後の演習場使用の問題についてためになるのかどうかということを考えてみると、それは私はもっと別の角度から検討してみる必要があるのではないかという気がいたします。したがって、この問題については、もちろん明らかにすべきものはしなければならないと思いますけれども、要は、いま起こっている、この二人のなくなった人たちをどう救済をしていくかということに私はかかってくるだろうと思っておるわけです。まあ防衛庁としては、見舞金として五千円をまずとにかく差し上げたということですけれども、五千円やそこらでは、これはまさに香典という意味しかないわけでありまして、私は、この二人のなくなったということを、これを機会に演習場の周辺住民との間の秩序というものを確立する必要があると、このように思うわけで、そういう意味からひとつ検討できないかどうかということですね。
○国務大臣(江崎真澄君) おっしゃる意味はよくわかりますが、これはなかなか――それじゃ防衛庁が補償に踏み切れるかという点はいろいろ疑義があると思いますね。まあそのこともしかしよく調査します。と同時に、自分かってに持ち出しができるような、そういうことのないように、これは安全性という上からも、それからまた協力を願っておるその周辺農民の多少でも生活をささえるかてになっておるというなら、正規のルートでそういうものが農民の手に入るように、しかも手に入ったときは、政府委員から説明しておりまするように、きわめて安全そのものであるといった形で払い下げが受けられるように十分努力をしたいと思います。
 補償問題についてはちょっと即答いたしかねるいろいろまあ疑問も多いように思いますので、十分ひとつ調査をすることにいたします。
○工藤良平君 もちろん、私もこの席上で防衛庁長官に、はい、それは補償いたしましょうということは何も求めてはいないわけであります。ただ、そういう実情にあるし、これは四角四面に、こういう状態で、しかも防衛庁が処理をしたものを払い下げるという状態の中で生まれたものではないということも、私どもは承知しております。ただ、今日までの過程の中において、それでは廃弾処理をすべてそういう措置をしておったかというと、そうではない実情があるわけなんで、その点については、私どもの調査と、公にそちらの報告にあがったものとの間においては、私は開きがあるというように実は理解をしているわけで、そのような運営というものもこれからちゃんと秩序立てていくということが私は必要だと思うし、その契機にしなければならないと思っているわけです。ぜひひとつそういう処置をとっていただきたいと、このように思うわけでありまして……。
○国務大臣(江崎真澄君) 御趣旨はよくわかりました。
○工藤良平君 非常に具体的な小さな問題でありますけれども、ぜひひとつ、この点については善処方を要望しておきたい、こういうように考えます。
 大体以上であります。
○国務大臣(江崎真澄君) 承知しました。あとまた御返事するようにします。
○三木忠雄君 時間の関係もありますので、私は、装備計画を中心に、特に戦車の開発の問題、あるいは購入、配備計画、あるいは戦車の欠陥問題、業界との癒着の問題等について、具体的な問題を通して質問したいと思います。
 特に、四十七年度の予算で、予算書を見ますと、六一式戦車が六十両の予算要求をされているわけです。その金額は四十五億六千二百万円、ただし本年度分が一億四千百万円と、残りは後年度負担になっていることは、これはもう長官御承知のとおりだと思うのです。この六一式戦車は、四十六年度まで使っておった戦車と同じ戦車を四十七年度に購入する予定なのかどうか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) そのとおりでございます。詳細は政府委員から申し上げます。
○政府委員(黒部穰君) 六一戦車は四十四年度以降毎年六十両ということになっておりまして、四十七年度も同じものを購入する予定でございます。
○三木忠雄君 そうしますと、四十八年度もこの六一式戦車を六十両購入すると、こういうふうに理解してよろしいですね。
○政府委員(黒部穰君) まあ四十八年度予算はまだできておりませんし、要求原案もできておりませんし、四次防の第二年度ということになりますので、これから検討に入るわけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、四十九年以降に新型の戦車が購入計画の中に大体のぼってくると、私は想定しているわけでありますね。そうしますと、この四十八年度にもし新購入が行なわれないとすれば空白ができると、こういう想定のもとで考えてよろしいですか。ただし、この新戦車の開発費が四十二年から四十五年までに十六億二千六百万円これに注ぎ込まれているわけです。現実にこれ自体を考え合わせますと、この防衛庁のこの六一式戦車の四十七年度あるいは四十八年度に私はおそらく調達されると思うのです。これ自体は新型戦車との間にむだ使いが相当考えられるのじゃないかと、こう思うのですが、この点いかがですか。
○政府委員(久保卓也君) 六一戦車を当初購入し、引き続いて新型戦車に引き継ぐ予定でありますが、なぜこういうことをするかと申しますと、現在戦車の定数が約千百両でありますが、従来戦車を一番保有いたしました時期は二次防末のころで約九百両でありました。ところが、そのうち消耗、減耗いたしまして、補充が十分でありませんでしたもので、四十六年度末で七百七十両になっております。したがって、われわれとしては、なるべく、まず二次防末の九百両に、でき得べくんば四次防においては千両程度に増加させてまいりたい。その場合に新型戦車が出るまで待てばよろしいではないかということになりますが、そうなりますと非常に数が減ってまいります。かといって新型戦車を生産するときにその台数をふやしますと、この新型戦車の寿命、それから生産規模というようなことを考えてみますると、一がいに年間の生産規模をふやすわけにはまいりません。やはり、おのずから合理的な生産台数というものが年間出てまいります。そういうことを考え、かつ六一戦車というものが、私どもの見るところによっては、やはり有用であるということで、今後の自衛隊の中では六一戦車と新型戦車とが両方併存してよろしいという考え方のもとに、六一が使える範囲はそれを使って、新型戦車が出てくるまでは六一戦車の生産を継続すると、こういう考え方であります。
○三木忠雄君 そうしますと、六一式戦車は、これは四十九年にはもう使わない、購入しないと、四十八年までで、新型戦車は四十九年と、こう理解してよろしいですか。
○政府委員(黒部穰君) 新戦車は現在実用試験中でございまして、あらゆる条件の場合にどのような耐久力といいますか、というものがあるかどうかということで、現在試験中でございます。そのぐあいが悪い点が出てくれば、また試験中にいろいろ手直ししていかなければなりませんので、まあ先生おっしゃるとおりに、大体あるいは四十九年ごろには正式採用ということに踏み切れるのではなかろうかと思いますけれども、まだ十分なるデータがそろっておらないというところでございます。
○三木忠雄君 まあ四次防が八月の末に、八月ごろにできるという話ですけれども、まあ当初の計画からいきますと、この四十七、四十八に六一戦車を六十、六十と、それから四十九年に新型に切りかえて四十両、それから五十年、五十一年と五十両、六十両と、こう採用するように私は伺っているわけですね。こういう点から考えますと、あとでいろいろ欠陥問題について私論議したいと思うのですけれども、六一戦車が絶えず、二次防の終わり、あるいは三次防の終わりのごろに全部追加発注をされているわけですね、現実に見てみますと。ちょうど二次防の終わりに四十両六一戦車を追加発注し、一部改定されて六一式Bになって三次防を迎えているわけです。そしてこの終わりに、四十七、四十八年度の間にまた六十両、二年度にわたって百二十両ですね。これを購入するということは、まあ皆さん方も十分承知のとおり、六一式戦車というのは欠陥問題でずいぶん騒がれた問題の戦車なんですね。このものをまた二年間続けて購入するということについては、これはちょっと私は不自然ではないか。いわんや四十二年から四十五年まで開発費を十六億円も注ぎ込んで、新型を――何も私は新型をほめて推奨するわけじゃ決してありません、本意じゃありませんけれども、現実にそういうふうな開発費を注ぎ込んで四十九年まで待たしたということ自体は、何となしに私は納得できない問題があるのです。この点いかがですか。
○政府委員(黒部穰君) 追加発注したではないかというまず第一点の問題、私よく御質問の御趣旨がわからないわけでございますが、三十六年度に十両契約いたしました。三十七年度九十両の契約をいたしまして、これは九十両の分については三カ年でそれを分割で取得して入荷いたしております。それで、次いで四十一年度に四十両、四十二年度六十両、四十三年度六十両ということで、四十二年度から毎年度大体六十両という形できているわけでございます。
 それから六一戦車につきまして欠陥というお話もございましたが、世界の戦車の大勢から申しますと、現在六一戦車の持っております砲は、戦車砲は九十ミリでございまして、大体よその国は、いま百五ミリが中心になっております。ということで、また、かなり重いものを使用しているわけでございますが、日本の国土の状態というものを見まして、全備重量を非常に少なくして、しかも大体各国並みの百五ミリの戦車砲を持ちたいということで現在開発しつつあるわけでございます。六一戦車開発当初、少しエンジンのトラブルがあったではないかというあるいは御指摘かとも思いますが、これにつきましては若干の改善をいたしまして、現在はほとんど問題がないと思っております。
○三木忠雄君 欠陥問題は、あとで具体的な問題を私質問したいと思うのですけれども、そうしますと、四十七年度の予算で、本年度分の予算が、六一戦車購入代金としては一億四千百万円ですね。これで四十七年度の購入分はどこへ配備すると、こういう計画でございますか。
○政府委員(久保卓也君) 四十七年度分がどこにというのは、おそらく計画はあると思いますけれども、私どもの手元で持っておりますのは全体の総合的な計画しかありませんので、御必要であれば調べてみます。
○三木忠雄君 装備計画の面から考えても、これ一億四千百万円を四十七年度購入したら、おそらくこの戦車七千六百万円だと思うのですね。二両も購入できない。――二両分ですか、これは。どういう形になるのですか。
○政府委員(黒部穰君) 大体重要装備、主要装備品につきましては、二年度ないしは三年度の国債で購入するわけでございまして、ただいま御指摘の点は、車体のほうは関係ございませんが、これに積みますところの戦車砲の前金になるわけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、現実に六一式戦車は四十七年度には入らないと、こういうことですね。購入はしないわけですね。
○政府委員(黒部穰君) 大体翌年度に入っております。したがって、四十七年度契約分につきましては四十八年度に入ります。
○三木忠雄君 ちょっと私は、それは納得できないのですけれども、装備計画からいきましても、翌年度に入るというけれども、四十七年度に一億四千百万円か踏んでいないわけですね。それが来年入るとしても、そこの装備計画の間に穴ができるのではないですか。
○政府委員(田代一正君) 予算技術的な問題ですから私から申し上げますが、従来、防衛庁といたしましては、戦車を購入する場合には、二年、国庫債務負担行為ということで、四十七年で申しますというと、契約総額は四十五億六千万円で契約をいたします。契約ですよ。その中で現金分といたしましては一億四千百万円、これは砲の前金として四十七年度中。そこで、あと残りの四十四億二千百万円は四十八年度に戦車が入りました際に金を払う、こういうかっこうになります。従来もそういうかっこうでもって戦車は契約をしていたわけでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、具体的に国庫債務負担行為の問題は私はわかります。ところが装備の面からいきますと、これはそうしますと、六十両というのはどういうような配備計画になってくるのか、具体的に。
○政府委員(黒部穰君) 四十七年度に入ります戦車は、四十六年度契約分のものが入るわけでございます。四十八年度に入ります戦車は、四十七年度契約分のものが入る、こういう順繰りになるわけでございます。現在は六一に関しては三百八十両あるわけでございまして、これは四十六年度末で三百八十両でございまして、四十七年度には六十両がまた新たに追加されて四百四十両になる。で、それにまた廃棄分さえ起きなければ、さらにまた六十両加わりまして、四十八年度末には五百両になる、こういう段取りになるわけでございます。
○三木忠雄君 配備計画をもう少しあとで聞きますが、そうしますと、この六一式戦車、先ほど台数も言われましたが、二次防から開発された六一式戦車ですね。それの戦車の開発費と三十七年からの購入の年次別購入数量、それから購入単価はどういうぐあいになっておりますか。
○政府委員(黒部穰君) 六一戦車の開発経費は、昭和三十年度に二億六千百万円、それから三十三年度に一億七千三百万円、三十四年度は、この戦車砲の中での、さらに、また特殊な装置につきまして九百万円投入いたしまして、合計四億四千三百万円かかっておるわけでございます。
 それから、この調達につきましては、三十六年度に先ほど申し上げましたように、契約ベースで申しますと、三十六年度十両、三十七年度九十両……。
  〔主査退席、副主査着席〕
○三木忠雄君 取得ベースでいいですよ。
○政府委員(黒部穰君) はい、わかりました。それでは取得ベースで申します。取得ベースで申しますと、三十七年度十両、三十八年度十両、三十九年度二十両、四十年度三十三両、四十一年度二十七両、四十二年度五十両、四十三年度五十両、四十四年度六十両、四十五年度六十両、四十七年度六十両、こういう実績並びに計画になっておるわけでございます。
○三木忠雄君 単価は、購入単価。
○政府委員(黒部穰君) 実はその古い分の単価を用意しておりませんですが、四十六年度、ごく最近契約いたしました単価で申し上げますと、七千二百二十万でございます。
○三木忠雄君 古い契約はわからないと言ったって、これはもうわかっているんですよ。いま私言いましょう。二次防で購入した戦車が一台が八千六百万ですよ。三次防で五千六百万、四次防で七千六百万と、こういうぐあいです。この違いは、戦車がだいぶ改良されたとか、いろんなことは、おそらく理由は言うと思うんですが、現実的に同じ戦車ですね。それが三次防では、まあ量産したから安くなると、こういう理由を私いろいろ言ってくると思うんですよ。しかしながら、また四次防にきて七千六百万と、こういう購入単価の問題についてもなかなか納得できないような問題があるんですが、これはいかがですか。
○政府委員(黒部穰君) 二次防時代に八千万という数字はいまちょっと手元にございませんので、何とも申し上げられないわけでございますが、まあ一般的に申し上げますれば、最初数量の少ない発注をいたしました場合は割高で、その後の単価の、何といいますか、査定をいたします場合には、私どもは慣熟度というのを使いますが、つまり、企業側、工場側が一定数量を同じ型のものをつくってまいります場合に、なれというものが出てきまして、それの分を工数といたしまして査定し七削減いたします。一方におきまして物価の値上がりというものがありますので、その慣熟度のマイナス要因と物価でのプラス要因というものを勘案しまして予算単価を決定いたし、大体、予算単価の範囲内で契約をいたすと、かようになっているわけでございます。
 なお、ちなみに、四十二年度の単価は六千八百三十六万でございます。それから四十三年度は六千八百五十八万、それから四十四年度は六千九百万……
○三木忠雄君 それはいいんだ、わかっているんだ、そこは。この二次防、三次防あるいは四次防との境目には、必ず追加発注という――まあ皆さん方は追加発注とおっしゃらないんですよ、ところが、四十一年度には四十両追加したために、あるいは四十七年度、四十八年度に百二十両購入するという条件のもとに、まあ私の考えでは、これが単価のただいまのいろんな操作になっている、あるいは設備投資という問題等を含めて、防衛庁の発注方式がみんなこういう形態で、年度の最後の切り回しのときに追加発注方式をとっているということは、T2においても私は同じような形態が将来出てくるということを十分予測をしているわけです。こういうような発注方式を防衛庁がいまとっているということは、現実的に、これ自体が購入単価のコストの上にも具体的に私はあらわれてきていると思うんですよ。この点いかがでございますか。
○政府委員(黒部穰君) 取得ベースで見ましても、当初十両から始まりまして次に二十両、三十両というふうにまいっておりまして、三次防に入りましてから五十両、それから六十両、こういうふうにきているわけでございまして、どうも二次防末にたまたま四十一年度四十両という数字がございますが、これは追加発注ということではなくて、むしろ、次の年から六十両ずつ契約いたしているわけでございますので、全く防衛上一定の六一式戦車を買っていかなければならない、むしろ、何といいますか、防衛上の要望にこたえるには少ない数量を、がまんして買っているというのが実情ではなかろうかと思います。
○三木忠雄君 これは防衛庁からの要望じゃないんですよ。業界からの要望なんですよ。これによって――これを論議しておったら、これだけで二時間も三時間もかかりますので、私は論及しませんけれども、現実的にこういう問題が何の問題でも出てきているわけですから、装備計画の中に。こういう点は、やはりもう一歩慎重に洗い直さなければ、私はいけないと思うんです。設備をさしておいて、最後に追加発注する。あるいは六一式Bにかえて、また、かえたから、それだけの負担分を何とかめんどうを見てやるために追加発注をしてやるという装備計画になっている。これがまあ――今後の装備計画も私はいろいろ見守っていきたいと思いますけれども、現実に、そういう姿が私はあらわれてきているんじゃないかと思います。したがって、欠陥問題は具体的に指摘をしてみたいと思いますけれども、こういう問題が、具体的に、この欠陥を直したその負担分まで全部車両の単価の中に入れて購入をしていくというような形態、上積みしていくという形態にあらわれてくるわけですよ、この点はあとで詰めたいと思いますけれども。
 それで次に、この戦車の製造について、三十二年の防衛庁長官の指示事項は、戦車は三菱が独占、装甲車は三菱と小松という、この長官指示というものは現実に現在も残っているのかどうか、この点。
○政府委員(黒部穰君) 三十二年にはさような指示は出ておりませんで、三十年に長官の指示で、いわゆる六一戦車――後から六一戦車になったわけですが、戦車の研究試作を三菱にやらせる、それから一〇六ミリの自走無反動砲を小松製作所にやらせるということが出まして、さらに三十五年の長官指示で一〇六ミリの自走無反動砲は小松製作所、それから三十六年の長官指示では、戦車は三菱に行なわせるということになっております。なお装甲車につきましては、三十七年にやはり長官の指示で――これは開発ではなくて調達のほうですが、調達では、小松製作所と三菱の三社を指定する、こういうふうになっているわけであります。
○三木忠雄君 この長官の指示は現在もそのままですか。
○政府委員(黒部穰君) そのとおりでございます。
○三木忠雄君 これは防衛庁長官に伺いますが、あとでお話ししたいと思うのですけれども、まあ欠陥戦車だと、二次防時代にはエンジンが相当溶けていろんな問題になったこの六一式戦車ですね、この問題等突っついておっても、この長官指示等を見ても、戦車の開発あるいは購入の問題につきましてやはり競争原理は導入すべきではないか、こう思うんですけれどもね。一社独占で――まあいろいろ他社もこの戦車には取り組めれる姿勢があるそうですけれども、やはりこの長官指示というか、競争原理を導入しない防衛庁の姿勢の中にも問題があるんじゃないかと思うんですが、これはいかがですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点の競争原理の導入ということは、私全く必要だと思っております。ただ問題は、日本の場合、輸出がきかないわけですね。そういうようなことから、つい、その研究開発を中心にやったところを育てていくというようなことになるわけですが、かりそめにも、そういう温情が何か疑惑を招くような形になることははなはだよくないと思うのです。もともと、もう少し数量がまとまって、たとえば周辺諸国へでも出せるというようなたてまえがとれる国柄ですと、そのあたりに、競争原理を導入したらむしろ技術改善という面でも非常な励みが出てくると思うのですが、これが不可能であるというところに、実は痛しかゆしの問題が内蔵されておるように思うんです。
 私は就任しましてから国会に明け暮れておりますから、あまりこういう問題にこまかくタッチはしておりませんが、しかし、装備局やそれぞれの担当者はよくやっておると思いますが、どうも、業界が少し独占企業であるというようなところに寄りかかって、むしろ業界のほうは専門家集団ですし、こちらのほうもむろん専門家が相当そろってはおりまするものの、上層部がしばしばかわる、これは防衛長官ほどでなくても、やっぱりかわりますから、そういうところから、どうしてもいろいろ問題が出てくるように思うんです。ですから、これはもうしばらく時間をいただきまして、私ひとつしっかり見きわめてみたいと思います。御趣旨の点はよくわかります。
○三木忠雄君 これは決してできないのではなしに、他社でも相当やる意欲を持っている話も私はいろいろ承るわけです……。
○国務大臣(江崎真澄君) それはそうでしょう。
○三木忠雄君 現実にできるわけですよ。ところがこういう体制になってしまっておる一つの問題点は――私はガンになっているんじゃないか、こう思うんですが、鋭敏な長官でございますから、その点は理解されると思うんですけれども、具体的に申しますと、この装備の問題についても、やはり一社の独占ということ自体、欠陥を招く一つの要素ではないかと思うんです。この点は私要望として……。
○国務大臣(江崎真澄君) よく承りました。これは十分誤解を生まないような、前向きの検討をよくいたしたいと思っております。
○三木忠雄君 次に、この六一式戦車の配備計画について、購入当時から、もしわかっておれば説明していただきたいと思うんです。二次防時代にはどういうふうに配備したか。
○政府委員(久保卓也君) 調べればわかりますが、いま手元にありまする資料では、今日の配備状況しかわかっておりません。
 そこで、現在三百八十両でありますが、そのうち北部方面隊二百四十三両、東北方面隊に二十六両、東部方面隊が十七両、西部方面隊が六十三両、学校等が三十一両というのでありますが、師団別もございますけれども、一応以上です。
○三木忠雄君 三十九年あるいは四十年年当時までに、東北方面隊、あるいは東部方面隊、あるいは西部方面隊に六一式戦車が配備されておったかどうか。
○政府委員(久保卓也君) いまの六一の場合は、二次防当時には、数が少ないので、大体北部方面におもに配置されたと思います。
 それから、戦車群というのがありますから、これは専門の部隊でありますので、こういったものが中心になり、次いで西部に移った。したがいまして、東北とか中部とかいうのは、あとのほうで配備されているはずであります。
○三木忠雄君 ここが私は問題だと思うんです。六一式戦車の欠陥問題が出たのは三十七年の十両から始まって、三十八年、三十九年に購入したやつが全部欠陥であるというような話が、ピストンが溶けたとか、いろんな話が出て、この配備が現実的に北部方面のみに限定された。一部は学校ですね、富士学校、ここに配備されただけであって、あとは配備されてないはずだと私の調査ではわかっておるわけです。こういう点から考えますと、この六一式戦車がBに改良されたのが四十二年ですね。こうなりますと、この配備計画自体が、国土の防衛という意味から考えて、戦車のこの配備計画ははたして妥当であったかどうか、どう思いますか。
○政府委員(久保卓也君) 私どもは、六一戦車が、必ずしも欠陥戦車だとは考えておりません。もちろん、新しいタイプの機種というものは、常にトラブルがあるものでありまして、部隊に配備された後に、その技術改善要求によって逐次直されていく、配備しながら、なおかつ直されていくというのが通常のありようであります。そこで私どもとしましては、日本の防衛の見地からしますると、やはり北部重視ということで、第二次大戦末期から大戦後のアメリカの貸与の戦車を、北海道という第一線に置いておくわけにいかない。やはり新しいものが出れば、北部方面に持ってまいりたいし、それからまた、いわゆるひな型、モデル部隊でありまする富士学校、ここでいろいろの運用の研究をやりますので、そこに新しい戦車を配置するということ自体については、私は間違っておらなかったのではなかろうかというふうに思います。
○三木忠雄君 防衛局長が答弁すると、必ず、そういうふうになると思うんですけれども、必要だから北部方面に持っていった――現実に、六一式戦車が、三十八年あるいは三十九年あるいは四十年にピストンが溶けて修理をしたという例はないですか、ありますか。
○政府委員(黒部穰君) ピストンが溶けてそこなわれたというケースが配備当初はあったようでございますが、その後、ピストンの何といいますか、材質を変えることによって、その問題は解決をいたしております。
○三木忠雄君 解決した――一部解決したでしょう。しかし、三十七、三十八あるいは三十九、あるいは四十年には、配備したこの六一式戦車が、何ですか、空冷ディーゼルのエンジン一二HM型ですね、これ自身が、エンジンのトラブルで、特にアルミニウムのピストンヘッドが溶けた、こういう事故が数多く頻発しておったことはこれは事実でございませんか。
○政府委員(黒部穰君) そういう事故があったということは知っておりますが、数多くあったかどうかということまではちょっとわかりかねます。とても使いものにならないというほどのトラブルではなかったように思います。
○三木忠雄君 報告を具体的にはお聞きになっていないんじゃないかと思うんですけれども、時期も古いですから。二次防自体がもう現実的にそういうふうな欠陥戦車で、特に配備計画が北部あるいは富士学校等に限られているのは、やはり一部の業者の整備関係との関係をからみ合わしての配備計画であったということを私は耳にしているんです。
 現実にそうしますと、この外注会社ですね、戦車の整備工場の外注はどこに出しているんですか。
○政府委員(黒部穰君) 北部のほうでは、エンジンにつきましては北海道三菱ふそう株式会社、その他の戦車につきましては日本製鋼室蘭工場でございます。なお、それ以外の地域につきましては京王重機、本州以南の地区につきましては京王重機でいたすということになっております。
○三木忠雄君 それでは、具体的に戦車の修理状況を、年度別に、台数と金額について示していただきたい。
○政府委員(黒部穰君) もともとこの戦車は部隊で最も使用するものでございますし、したがいまして、各戦車部隊の中でも、軽微なものは一々修理するようになっておるわけでございます。それが少し重い、何といいますか、修理を要するような場合は、これが師団単位の整備隊に入りますし、もっとむずかしいような整備の場合は、さらに地区ごとに補給処がございますが、この補給処の中に修理工場がございまして、修理工場で修理いたすわけでございます。大体はそこまでの段階で、つまり、自衛隊の中の整備工場でほぼ済んでおるわけでございます。それ以上のオーバーホールのようなもの、かなり年月のたったようなものにつきましてオーバーホールをするわけでございます、あるいはオーバーホールでなくても、かなりの大きな修理、大修理を要するというような場合に、エンジンを外注いたすということになっております。先ほど申し上げました北海道三菱ふそうは、戦車の中でもエンジン部門しか修理を受けないわけでございますが、四十五年度の実績で見ますと七千……
○三木忠雄君 わかっている年度の年度別の車両数と修理金額……
○政府委員(黒部穰君) この修理の完了の数だけ申し上げますと、四十二年度は六台、その金額は、エンジンだけの金額でございますが八百万、それから四十三年度は十一台、千二百万、四十四年度は十二台、金額二千万円、四十五年度は十四台、金額三千百万円ということになっております。戦車全体の外注での修理は七千万円でございます。
 なお、戦車の修理の予算は、先ほど申し上げましたように自隊修理のほうがはるかに多いわけでございまして、ただいまちょっと四十五年度の金額は手元にございませんが、大体二億八千万円ぐらいじゃないかと思っております。
○三木忠雄君 私は、いろいろ資料要求したのですけれども、外注の一部の修理費だけしか私には資料もらえないわけです。現実的に補給処とかあるいは自衛隊内で修理したものが大多数であって、直らないたいへんな問題について外注修理をするといういまの装備局長の答弁からしましてもね、外注修理だけでも四十二年からわずか四年間に四十三両、一億四千百万円の修理費、これは現実的に外注した分だけですよね。あと補給処で直したとか、あるいは実際には金額にあらわれてこないというか、まあ防衛庁内で整備をした関係で私たちに資料がもらえない、こういう相当な装備の修理費というものが、金額が相当出ているはずなんですね。その具体的な戦車についての修理費がわからないという、私たちに対して資料が提示されないということは、非常に戦車の問題については残念なんですね。この点、いかがですか。
○政府委員(黒部穰君) これはまことに私も残念に思うのですが、補給処にはコンピューターが入っているのですけれども、そういう分類で、つまり、補給処には修繕するための人員がそれだけいるわけでございます。それから、いろいろな部品も買っております。その部品もまた一々戦車の部隊から、あるいは中段階の師団の野戦整備隊に至るまで、全部資材を統制して流しているわけでございます。しかし、それと、今度は人件費とを合わせて一体どれだけの経費がかかったかというふうに、なかなか分類して出てこないということになっているわけでございます。そういうことで、先生の御要望に十分こたえられなかったわけでございまして、御了承をお願いしたいと思うわけでございます。
○三木忠雄君 こたえられなかったじゃなしに、こたえなかったと私は解しているわけですよ、この問題についてはね。
 で、現実にこれは自衛隊員の声を聞きましても、自衛隊の中で、演習をやればやるほど修理費がたいへんなんで、あまり演習をやらないという、この戦車については、これはたいへんな私は話だと思うのですが、その点いかがですか。
○政府委員(黒部穰君) 実はこの戦車の予算の修理のワクが、四十六年度三億三千万円、四十七年度三億九千万円ちょうだいしているわけなんですが、これは全体の三百八十両の六一戦車のほかに、実はおんぼろの供与戦車、米軍からもらいましたM24、M41戦車があるわけでございます。こちらのほうの戦車は、確かに非常に古い型の戦車でございまして、まあ動かせば動かすほど故障が出てくるということで、なるべくあるいはそっとしているという状態かもしれませんが、確かに本来ならば六一に早く切りかえるべきところを、いまだに、まあどこの国でも持っていないような戦車を、わがほうは全体の数量の半分ぐらいはまだ供与戦車を持っておるという状態なわけでございます。かつまた、この修理費の三億何がしというお金でございますが、これが全体の車両といいますか、戦車の金額に比べますと、大体、二%にも満たないという金額になっておるわけでございます。そうなりますと、大体自動車をお持ちの方はおわかりかと思いますが、自動車価額に対して何%ぐらいかの修理費というものが必要になるわけでございまして、私どもはこの点は非常に予算が不足であるということで、今度精密なるデータをつくりまして、財政当局に修理費の増額を要請したいと思っております。
○三木忠雄君 自動車と戦車の修理では、わけが違うんですよ、これはね。現実に、これはもう少し真剣になって、現地の自衛隊員がほんとうにこの六一戦車で苦しんでおることをもっと知らなければいけないですよ、装備局長は。実際に、修理費があまりにも多いので、現実には購入単価の中に入っておるのじゃないかという話がある。保証期間が限られている。したがって、この修理費があまりに多く出てくるので、新規の購入単価の中に修理費まで含めて入れているんではないかという話があるのですが、いかがですか。
  〔副主査退席、主査着席〕
○政府委員(黒部穰君) 単価の査定につきましては、きわめて厳密にやっておりますので、さような修理費の分まではとても織り込めないというのが現状でございます。
○三木忠雄君 そういう答弁がくると私は期待していましたけれどもね。それでは現実に、一例をあげますと、北海道の三菱ふそう工場、この整備部門は戦車専門の整備部があるわけですね。
○政府委員(黒部穰君) エンジンだけの工場を持っておる由でございます。
○三木忠雄君 この北海道の、何もこれは私は三菱ふそう工場を敵対視して言っているわけじゃありませんけれどもね、現実にこういう事実があるということは、欠陥戦車あるいはそれをサービスする部門に適用しておるという一例だと私は申し上げるわけです。実際にこの三菱ふそう工場に、戦車の開発に当たった現実の自衛官のメンバーが、将校がサービス部門に入っておるということは事実ですね、これは。
○政府委員(江藤淳雄君) 詳しいことは存じませんが、北海道三菱ふそうには、おそらく、前自衛隊員が数百人くらい入っておるのじゃないかというふうに思っております。その中に、若干幹部も入っておるのじゃないかというふうに思います。
○三木忠雄君 私は修理工場のことについては詳しく調べておいてもらいたいと言ったんですけれどもね、人事局長おわかりになりませんか。どういう関係で、どういう駐在官が入っておったかということが、もし名前があれだということだったら、私はあれですけれどもね。
○政府委員(江藤淳雄君) 三菱ふそう関係には、現在、特殊車両部の整備課長以下三十名入っておるそうでございます。これはおそらく、三菱ふそう自動車販売株式会社のほうの特殊車両部の整備課長若松宗治という、これは自衛隊当時におきましては階級は士長でございます。それ以外
 には……。
○三木忠雄君 具体的な名前があれだったら、あとで資料を提出してください。
 私、具体的には、立場上、これは長官にも聞いてもらいたい問題ですけれども、自衛隊の戦車の当時の駐在検査官が、メーカーの戦車のサービス部門に天下るということですね、この事実、あるいは当時六一式戦車の開発に当たった二等陸佐とか、あるいは同じく陸佐何名かが、やはり整備工場の車両課長あるいは本社の戦車担当の営業とか、あるいは現実に当時の自衛隊員の整備隊員が三菱ふそうの戦車の整備あるいは修理専門に入っている。これはほとんど予備自衛官であるという、こういう関係で、一説によれば、ほとんど修理の問題が外に漏れないために、そういうシステムを、修理部門をつくっている、こういう話を私は――これはいやな話です――耳にするわけです。こういうこと自体が、やはり業界と防衛庁が癒着しておる。いわんや欠陥戦車にまで、欠陥問題にまでこういうふうな手が出てきているということは、これは自衛隊員の人命尊重の立場からいってもまずい問題だと思うんですよ。その点、いかがお考えですか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは容易ならぬ御指摘で、十分注意しなければならぬと思います。それで、装備局長も一生懸命答弁しておりますが、私は、装備局というのは、実際買うときに相当きびしく調達実施本部等々と話し合ってやっていると思うんです。ところが、もしいま御指摘のようなものがあるとするならば、それは直接使用しておる制服と会社側との関係ですね、これについて装備局がどの程度平素監督しておるのか、これは私も明らかにしておりませんが、十分ひとつ注意します。のみならず、端数はともかくとして、当初八千万円であった――それはわかります。それが量産態勢に入って五千万円台になり、それでまた人件費や、いわゆる資材が値上がりしたからというて、また、量産態勢のラインに乗りながら、七千万円になるなんということがはたして妥当であるかどうか。これはまことに、長官がそういうことで不見識ぶりを発揮しておったんでは、暴露しておったんでは話になりませんが、御指摘の点は私はわかるような気がするんです。これは同じ政治家として、こういうことはチェックしなければならぬと思うんです。のみならず、現地で使っておる制服が一体どういうふうなのか、そのあたりに、これは内局側で責任を持って、かりそめにもそういう誤解を生じないように十分調査をします。そして、調査の結果を明らかにしたいと思います。
○三木忠雄君 まあ長官のはっきりした答弁をいただいたので、私はもうこれ以上詰めませんけれども、現実にこういうふうに、やはり業界と自衛官の癒着という問題が――これは何も高級官僚だけではなしに、やはり同じ部門で、整備部門で仕事をやるということ自体あまり考えてもよくない話だと思うんですね。こういう点もやはり是正をしてもらいたいと思うんです。そして、産軍複合体と、こう世間から言われる問題に、やはり具体的にこたえていかなければいけないと思うんですね。もっともっと独占体制も、競争原理を導入するなり、あるいはもっと国民が明確にわかるような装備計画であってもらいたい。具体的な兵器等についてはなかなかわかりずらい問題があると思いますけれども、やはりどうしても国民の血税がむだ使いされているんじゃないかという、そういう気配が数多くあるわけです。今回のこの戦車の問題も、三菱が誇っているエンジンの問題ですね、魚雷艇にも使っているわけです。こういう問題から考えましても、やはりちょっと納得のできない問題ではないかと思うんです。この点については長官の善処を私はお願いしたいと思うんです。
○国務大臣(江崎真澄君) これはお約束いたします。そうしてやはりこういうことは、かりそめにも何となく疑惑を招くということでは、今後いい国産技術を育てていく上にもこれは支障をきたすわけですから、誤解のないように十分ひとつ検討して、その結果を御報告します。そうして不当なものがあれば、これはやはり処置をしたいと思います。
○岩間正男君 海上自衛隊は日米合同の対潜水艦訓練をこれまでしばしば行なってきたと思うんですが、いままで何回くらいやっておりますか。
○政府委員(久保卓也君) 米側との訓練をやりますのには二つのタイプがあります。
 一つは、米側も部隊を出し、わがほうも部隊を出して、同一の目的のもとに共同の訓練をやるというタイプであります。それは対潜特別訓練という形で毎年一回づつやっております。この場合に、通常は潜水艦が一隻ないし二隻米側も参加いたしております。過去の例では潜水艦が参加しなかった例もあるようであります。
 これは共同訓練でありますが、それ以外に、海上自衛隊の訓練をやりまする場合に、米側に潜水艦を出してもらって、その潜水艦を目標にしてわがほうが対潜訓練を行なうというのがございます。これは大体年に四、五回くらいやっておると思います。
○岩間正男君 そうすると、年一回、そのほかいろいろあるわけですが、昭和三十四年から四十六年あたりまでで大体十何回やっておりますか。これは何か資料を出してもらえますか。
○政府委員(久保卓也君) 私の手元にありまするのは、四十一年からでありますので、三十六年からになりますると、別途資料を差し上げることにいたしたいと思います。
○岩間正男君 それでは資料をお願いしておいて、この合同演習はおもにどの海域でやっておりますか。
○政府委員(久保卓也君) 共同演習の場合には、主として日本海が多いようでありますが、必ずしも日本海のみに限りませんで、たとえば過去の例で申しますると、伊予灘、それから三陸から日本海にかけて、それから九州の北方及び西方といったような海域であります。
 それから、海上自衛隊が、訓練をやりまして、米側から目標艦としての潜水艦の提供を受けて海上自衛隊が訓練をやる場合、これは銚子の沖のいわゆるチャーリー海域というところであります。
○岩間正男君 これも資料の中に入りますね。大体四十一年からの演習場ですね、これはわかりますか。
○政府委員(久保卓也君) 四十年の対潜訓練、これは佐世保から函館に至る沿岸海域、これは太平洋の場合でありますが、それから四十一年、これは横須賀から三陸それから津軽を経て日本海、四十二年が横須賀から津軽を経て日本海、四十三年がやはり同じであります。四十四年が九州の北方及び西方、四十五年は日本海の西のほうと九州の北部、四十六年は津軽から日本海の東部から山陰にかけてという海域であります。
○岩間正男君 そうすると、ほとんど日本海が圧倒的に多いわけですね――ということははっきりしていると思います。
 そこで、これらの訓練は、何を目的として行なわれておるんですか。
○政府委員(久保卓也君) 言うまでもなく、日本は貿易立国であり、四方を海に囲まれておるわけでありまして、わが国の脅威の一つというのは、やはり海上交通を破壊される危険性というものであります。したがいまして、そういった事態が現実に起こらないようにするためには潜水艦を捜索し、攻撃する能力というものをなるべく持つ必要がある、抑止力としてそういう能力を持つ必要があるということで、潜水艦に対する訓練ということがもちろん主たる目的であります。
○岩間正男君 では具体的にお聞きしたいのですが、昨年の五月二十八日から六月の五日までの間に日本海で行なわれた日米合同訓練には、どの部隊のどの艦船や航空機が参加したか。これはアメリカ側、日本側、それから参加部隊の名称、艦船、航空機の数、そういうようなものについてお知らせを願いたい。
○政府委員(久保卓也君) 昨年の五月から六月の初めにかけて行なわれた訓練は、いま申し上げたように津軽海峡から日本海東部、山陰にかけてという海域でありましたが、その訓練の目的は対潜、つまり潜水艦に対する捜索及び攻撃、それから洋上で給油をする、油を供給する、それから通信連絡網、各艦船同士あるいは地上司令部との通信連絡網というのが主たる訓練目的であります。それから参加部隊は、海上自衛隊の場合には第一護衛隊群司令が指揮官になりまして、護衛艦隊に属しておりまする護衛艦四隻、それから第一潜水隊群に所属しておりまする潜水艦一隻のほかは、航空機が航空集団所属のP2V及びS2Fという小型機を含めまして、延べでありますが約三十機、それから大湊地方隊所属のヘリコプターが、延べでありますけれども六機、それから米海軍は第三対潜部隊の指揮官が総指揮官になりまして、対潜空母が一隻、駆逐艦が六隻、潜水艦が一隻、給油艦が一隻、航空機も哨戒機が若干入っておるようでありますが、機数はわかっておりません。
○岩間正男君 これら米日の参加した艦隊の軍艦の名前、これわかりますね。
○政府委員(久保卓也君) 米軍のほうは手元の資料に書いておりませんが、海上自衛隊の場合には護衛艦が「いそなみ」「しきなみ」「なつぐも」「むらくも」、それから潜水艦は「あらしお」であります。
○岩間正男君 米側はわかりませんか。
○政府委員(久保卓也君) 米側はわかるかどうかちょっと調べてみます。いま手元ではちょっとわからぬと思いますので、あとで……。
○岩間正男君 ではあとで。
 それで、先ほど訓練の目的について話されたんですが、具体的にはどういう行動をしたのですか。
○政府委員(久保卓也君) これは横須賀を出まして、部隊が津軽海峡を経て日本海に入って、その後これは潜水艦、米側も海上自衛隊もそうでありまするが、自由行動をさせて、それを艦艇のソーナーあるいは航空機による対潜機材によって捜索をするということを繰り返して、北のほうから西のほうに及んでくるというような訓練のしかたであります。
○岩間正男君 米日の両艦隊は津軽海峡から日本海に入って、ここで米日二隻の潜水艦を仮想敵潜水艦にみなしてこれを追尾した、さらに攻撃を行ないながら対馬海峡を南下した、こういうふうに聞いておりますが、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(久保卓也君) 大体そういうことに了承いたしております。
○岩間正男君 ところで、この編成の実態を見ますというと、これは米日混合の編成になっているのじゃないですか。
○政府委員(久保卓也君) これはどういうふうに申せばよろしいかわかりませんが、要するに共同訓練でありますから、指揮系統そのものは、海上自衛隊は海上自衛隊、米軍は米軍の指揮系統でやる。しかしながら、目標艦は海上自衛隊及び米軍のものを利用して、双方が連絡をとりながら訓練を進めていくという形になります。
○岩間正男君 これは連絡をとりながらならいいですが、私はこう聞いているのですが、米日両軍のこの混合編成の実態は、つまり米旗艦を見ると、これには自衛隊の幕僚が乗り組む、それから日本の旗艦には米艦隊の幕僚が乗り組んで、文字どおり混合艦隊、こういう編成になっておった、こういうことを聞いておるのですが、これは事実違いますか。
○政府委員(久保卓也君) その事実は存じておりませんが、必ずしも実態と違わないと思います。と言いますのは、訓練をやりまする場合には、特に米軍と一緒にやりまする場合には、対潜訓練のやり方についてわれわれのほうで十分にアメリカならアメリカのやり方を勉強する。米側は米側でまた日本海上自衛隊のやり方を研究し、場合によっては指導するという分野がございます。したがいまして、いわゆる派遣幕僚というものが相互に派遣され合ってもおかしくはない。それからまた、双方の指揮連絡をやりまする場合に、当然ことばの関係もありますので、双方の士官がおのおのの艦艇に乗り組んでいるということも当然あり得ると私は思います。
○岩間正男君 これは防衛庁長官どうでしょうか。いままでは指揮系統は別々だというふうに説明してきました。まさか日本の海上自衛隊にアメリカの幕僚が乗っておったり、それからアメリカの旗艦に日本の幕僚が乗っておると、こういうことは夢にも考えていなかった。国民もそう思っていましたね。共同演習という場合の説明を聞くというと、いままでほとんど指揮系統は違うのです、別々にこうやっておるのだ。ところが旗艦までお互いに幕僚を交換してやっていく。連絡をとりながらという限度をはるかに越えているのではないかというふうに思われますね。幕僚をお互いに派遣しながらやるのは差しつかえないのだという、いま防衛局長のそういう御説明でありましたけれども、 これはそういうことになりましょうか。私たちはこれを聞いて、実はやっぱり日米混合というものはこういう形で具体的に進んでいるのではないかと、この一つの例としてあげたわけですけれども、長官どうお考えになりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 合同演習というか、共同演習というたてまえから言うと、そういう交互に乗り合わせるという場面もあるといういまの説明は、比較的常識的なように思えるのです。ただ重要な点は、やはり指揮命令の系統はさい然と分かれておる。これは絶対間違いありませんと、こういま私にそばにおってささやくわけでありますが、その点が非常に重要なように思います。
○岩間正男君 これは納得するでしょうか。いままでずいぶん、これは単に海上だけじゃないので、富士演習場あたりでも私たちは、同じ目標に向かって米海兵隊も撃っている、それから同時に自衛隊も撃っている、こういう実態も聞いているわけですね。そういう場合の説明を求めるというと、それは偶然にそうなったので、別にそれは最初からしめし合わせたものでないというふうに言われているわけです。そうしてそういう説明をされてきた。さらに合同演習というものは指揮系統は違うので別々にこれはやっていくのだ、ただそれを総合的に見ると、これは共同になるのだという説明だったですね。ところが、これはどうもその辺はおかしいのじゃないですか、どうでしょう。幕僚が乗り組んできて、これは単に観戦だけなのかどうか。演習を単に見るだけということにならぬのじゃないか、相互に交換し合っている。何を見るんですか。
○政府委員(久保卓也君) 前の防衛局長島田施設庁長官に伺いますと、従来あまりそういった面での御質問がなかったので答えてなかったのではなかろうかということを言っておられますが、合同訓練についての、共同訓練についての御説明は確かにしておると思いますが、その場合やはり指揮系統は別個である。しかしながら、日米安保体制のもとにおいて有事の場合に共同防衛をやるという、それに備えての共同訓練でありまするから、あらかじめこの共同防衛なり、あるいは日米安保体制の実があがり得る方途を考えるというのは、必ずしもおかしくはないんではないか。しかしながら、これはこの種の訓練あるいは実動なんかの場合に、外国でも常に問題があるところでありまして、指揮系統は明確に別個に立てる、それが主権の存するところ、主権のあらわれでもありますので、ただ、その基礎の上にどういうような便宜的な手段、円滑に訓練を行なう手段を講ずるかということは、おのずから別個の問題ではなかろうかというふうに私は思います。
○岩間正男君 だから私はさっきのアメリカの艦船を聞いているのですけれども、どうです、出てきたら出してください、そうすれば問題ははっきりするんです。
○政府委員(久保卓也君) いま艦船の名前は至急問い合わせているところでありますが、艦船の名前がわかっても、いまの問題は解決をしないのではありませんでしょうか。
○岩間正男君 それから共同作戦といっても、これは艦の数はなるほど日本が多いでしょう。しかし、もう艦の性格からいったらずいぶんこれは違うわけですね。対潜空母が出ているわけでしょう、第七艦隊のね。タイコンデロガというのですか、これは三万二千八百トン、艦載機が四十五機、それから駆逐艦、潜水艦、給油艦、こうあるのですけれども、そうして日本から出た「なつぐも」とか、そういうやつはどれぐらいのトン数持っているのです、トン数は幾らです。
○政府委員(久保卓也君) 「いそなみ」「しきなみ」とありますが、「なみ」クラスが千七百トン、「なつぐも」「むらくも」とありますが、「くも」クラスが約二千トンであります。
○岩間正男君 このタイコンデロガはわかりませんか。これは間違いないですか、三万二千八百トン。そうして艦載機四十五機、そうして第七艦隊の対潜掃討部隊、これは主力艦ですね。そうしてこういうものが、十分の一にも足らない、二十分の一ぐらいのトン数の船とこれは合同をやっているのです。そういうときに主導権はどういうふうになるか。主導権が二つに分かれておるというようなかっこうになっているでしょう、形の上は。しかし実際はそれで戦闘訓練になりますか、演習になりますか、実戦に役に立ちますか、これ。
○政府委員(久保卓也君) それで戦闘が一体成り立つか、訓練が成り立つかというのは、確かに基本的な問題であります。外国でも常にそれが争われてまいったわけで、その結果がNATOの統一軍司令部というのができたわけであります。しかしながら、かりに軍事的機能の面ではそれが望ましいものであっても、日本の政策としてはそういうことはとらない。若干の不便は忍んでも米側と日本側はそれぞれの指揮系統を別個に持つというのが政府の従来からの方針であると承知いたしております。
○岩間正男君 だから、形はそういうことになって、これは国会答弁用でもあるんじゃないかと思います。しかし、実態はどうか、このことが非常に今日重大なんです。しかも、自衛隊の艦艇のコールサイン、これは日本語使っていますか。
○政府委員(久保卓也君) これは海上自衛隊にしましても、それから航空自衛隊にしましても、御承知のように、民間航空機にいたしましても、英語を使っておるわけでありまして、いろいろな面から見まして、英語のほうが共通の意思疎通のために都合がよろしいというたてまえから、そういう方法をとっております。
○岩間正男君 だから、自主防衛とかそういうことを言っているんですけれども、これはまあ自衛隊の発足当時、警察予備隊時代から問題になった問題ですけれども、ほとんどこれは英語を使う、これは空軍も同じです、海軍も同じです。たとえば「たかつき」というのはルナ・クラウン、こういう名前で呼んでいるんですか、「あまつかぜ」は何と呼んでおりますか。
○政府委員(久保卓也君) 存じておりません。
○岩間正男君 ジェットコースター、こう聞いております。
 それから潜水艦に対する攻撃戦法としていろいろなオペレーションがあると思いますが、この名前なんかについても、オペレーション・トマト、オペレーション・ピンホール、サーキュラー・アタックというようなものです。こういうような形で、全くこれは米艦隊のパターンがそのまま自衛隊にも行なわれているというのが現状です。長官どうお思いになりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) どうも合同演習、共同演習という形ですと、どうしてもアメリカ側と一体になってやるというたてまえからいうと、そういう呼び方もやむを得ぬのではないかと思います。
○岩間正男君 シビリアンコントロールというのは、これはやっぱり内局とそれから制服の問題もありますけれども、また長官と内局の各責任者相互との関係もある。あなたは政治的な責任の立場ですから、そういう立場から、いまのような実態がはたして、専守防衛とか自主防衛というのを中曽根長官以来大いに宣伝しておる、そういう名に値するかどうか。実際は英語で全部使われておる。これは自衛隊員の士気を高めることになりますか。どうお考えになりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 共同演習というか、共同防衛に任ずるというたてまえから、英語を使う場合のほうがかえって便利であるということもあろうかと思います。しかし、御指摘のような誤解を生む点をことさらに強調して今後やる必要もないわけですから、改められる点については十分検討をしてまいりたいと思います。
○岩間正男君 それでは、このような米軍との合同演習や訓練様式を見ると、何か米海軍と海上自衛隊の間に協定のようなものがなければ、ぼくはうまくスムーズにいかないんじゃないかというように思うわけです。これはどうなんですか。この協定があるんですか、ないんですか。
○政府委員(久保卓也君) これはそのつどの共同訓練をやるわけでありまして、任務あるいは参加艦艇その他も違います。したがいまして、協定はありませんが、協定がなくともこういった合同訓練はできます。これは海上自衛隊の中でもときどき訓練をやるわけでありますが、そういう際に、あらかじめ何らかの規定があって、それに基づいてということではございませんので、そのための日米間の協定というものは必要ないと思っております。
○岩間正男君 これはないんですね。久保・カーチスのような、ああいう取りきめはこれはないのですか。そのつど、ケース・バイ・ケースでやっているんですか。
○政府委員(久保卓也君) これは米側もいっその艦艇を提供できるか、なかなかあらかじめは予測しがたいのでありまして、おおよそその可能性が出てきた時点において、海上自衛隊と米海軍が調整をして訓練を始めるということでありますので、常にケース・バイ・ケースの話し合いということになっております。
○岩間正男君 米海軍の戦略構想を見るというと、ソ連海軍、特にその潜水艦を最大の脅威と考えて、常にこれに対する対潜攻撃のためのよきパートナーとしての役割りを日本に期待して、また海上自衛隊もこれにこたえているのが現状じゃないですか。
○政府委員(久保卓也君) アメリカの考え方によりますと、大西洋、太平洋、インド洋という非常に広域な海洋にわたって米海軍が海上交通の安全を確保するという能力はない。したがってそれらの海洋における海上交通の保護、維持については、それぞれの地域各国の努力でもってやってほしいという考え方であります。そこで日本海の周辺については、アメリカにたよるのではなくて、日本側でやれるという体制が望ましい。しかしその場合にでも、新たな対潜の攻撃方法、捜索方法、そういったいろいろの索敵方法について、米側からいろんな指示といいますか、教訓を得るというようなことから言いまして、非常に親交している米海軍と一緒に合同訓練をすることが望ましい。また、当然日米安保体制というたてまえがありまするから、ある場合によっては米海軍と一緒に、有事の場合に一緒になって対潜掃討をやれることも可能である。しかし、実際の場合にはおそらく日本海周辺については日本が主としてやるだろうというふうに予想しています。
○岩間正男君 特に日本の海軍の防衛任務について米側が肩がわりを要請してきておる、そういう事実はございませんか。
○政府委員(久保卓也君) アメリカなりソ連なりの海軍というものは、いわゆるオーシャン・ゴーイング・フリート、海洋艦隊とでもいいますか、そういった性格を持っておるわけであります。日本の海上自衛隊はコーストガードというわけではございませんけれども、日本の周辺に限られておる。日本の周辺についてまでアメリカがめんどう見るというのは、それは耐え切れない。当然日本の海域付近でありますから、日本側が責任を持ってやってもらうということであって、それは本来当然のことであって、アメリカの肩がわりと、また特にいま言いました海洋艦隊的な性格をわが海上自衛隊は持っておるわけではありませんし、将来も持ちません。したがって、アメリカのたとえば第七艦隊の肩がわりをするというような性格では本来あり得ないというふうに思っております。
○岩間正男君 特に対潜掃討ですね、こういうものについては日本に期待していることは非常に多かったと思いますね。これはアメリカの軍部の幹部たちが日本に来たり、その他の場合に、これに対して要望されたことがたくさんあると思うんですがね。そういう中で、これは最近、どうですか、昨年の七月五日ですけれども、レアード国防長官が来日しましたね。あのとき在日米当局は次のようなことを言ってるわけですね。「米国は日本がアジアの軍事戦略の中で、より大きな役割りを果たすよう望んでいるが、その一つとして、日本周辺水域における第七艦隊の幾つかの任務を日本が引き受けることを希望している。」そうしてこの幾つかの任務の中では対潜水艦対策ですね、これが相当大きなウエートを占めておると、こういうことが考えられますが、これはいまそういうような肩がわりを要請してきた事実はないというようなことでありますが、これは肩がわりということになりませんか。
○政府委員(久保卓也君) アメリカは世界の警察官、憲兵ではないわけで、特にまた最近のアメリカ国内情勢からして、そういう要請が国内で非常に強くなっておるわけであります。したがって、NATOであれ、日本であれ、韓国であれ、アメリカが安全保障条約を結んでおる同盟諸国が相当の防衛努力をやってもらえることは、世界の警察官である任務を軽減させ得るという見地から米側はいろいろと要望したいでありましょう。いま御指摘の点はレアード長官が言ったわけではありませんが、そこで、米側のほうでの希望がどうであるかということと、わが日本でどういうような防衛力の整備のしかたをするかということは当然別個の問題である。その点はNATOであれ、その他の国であれ、同じことであろうと思います。
○岩間正男君 特にいままでの共同訓練の中で、日本海が多く選ばれたという背景は何でしょうか。
○政府委員(久保卓也君) 特にということは存じませんが、太平洋のほうでもやっております。しかし、白紙で考えた場合に、潜水艦がどの辺にどの程度多いであろうかということを考えた場合に、これはまあ物理的な話でありますけれども、日本海のほうが多いと考えたのかもしれません。いずれにせよ、日本海であれ、あるいは三陸であれ、また九州の西方であれ、いずれもそういったところを選んでやるということと同時に、もう一点は、これはもっと現実的な問題でありまするけれども、時期によりまして、何といいますか、漁獲期をなるべくはずすとか、あるいは魚をとる海域をなるべくはずすとかいうことになりますると、どうも太平洋のほうがいろんなひっかかりが多くて不便であると、したがいまして、より訓練のやりやすい日本海のほうを選んだということが実態ではなかろうかと思います。
○岩間正男君 ソ連の潜水艦の現状、これはつかんでいられる情報でいいですけれども、どういうふうに……。
○政府委員(久保卓也君) ソ連の潜水艦は、特にウラジオといいますか、極東のほうにある潜水艦は約百隻ばかりで、そのうちで原子力潜水艦が約三十隻ぐらい、それからSSBNといいますか、ミサイルを積載をしておる潜水艦、これは原子力潜水艦もありまするし、通常型の潜水艦もあります。つまり、ポラリス型でない、潜水艦の上に載っけて、水上に浮かんでから発射するタイプのものでありますが、これがおそらく十数隻程度、それからポラリス潜水艦型のもの、Y型というものは昨年のいまごろの情報ではまだ配置されておるまいということでありましたが、今日、ごく最近の情報はまだわかっておりませんけれども、Y型の建造が非常に進んでおりますので、配置されている可能性はあるいは考えておかねばなるまいかと思います。以上の段階です。
○岩間正男君 日本海の三海峡の封鎖というような、そういうことは作戦の演習の一つの項目になっているんじゃないかと思いますが、このねらいは何ですか。
○政府委員(久保卓也君) やはり日本の周辺における海上交通を保護するという場合には、太平洋岸の航路も確保しなければなりませんし、日本海における交通も保護しなければいけない、両方とも大切であります、内航関係といたしまして。そこで、外から日本海に入る、あるいは日本海から外に出るといったような潜水艦の動きというものは、いまのような海上交通の保護という見地から見ると、やはりわれわれとしては十分に把握する必要があるということで、封鎖とか何とかいう問題よりは、まずその状況を確認するということのための監視体制というものは、われわれとしては平時から持っていなければならないというような構想であります。
○岩間正男君 日本海を動ける潜水艦といったら、どこの潜水艦ですか。
○政府委員(久保卓也君) これは、海峡は自由でありますから、どこの潜水艦も中に入り得るだろうと思います。
○岩間正男君 そういう一般的なことをお聞きしているんじゃないんです。やっぱり防衛の立場からはっきりその点は考えていられるのじゃないですか。ただ、ここでそれを公言するというとぐあいが悪いということで、これは言われるのじゃないかと思うんですがね、どうでしょう。
○政府委員(久保卓也君) 防衛より外交が優先いたしますので、外交上の見地からものを考えたいと思います。
○岩間正男君 きょうは打って変わった御答弁をいただいたわけでありますけれどもね、あなたはいつでも軍事的な、専門的な立場ではこうなります、こういうことを、この前も、これは府中の核管理機構部隊のときに私が質問したらそういう答弁をされた。きょうはもう政治家になられたようですな。
 それじゃ、次に進みます。海上自衛隊が現在保有している対潜水艦作戦の装備にはどういうものがあるんですか。
○政府委員(久保卓也君) 対潜水艦作戦のためのものといたしましては、艦艇は、たとえば護衛艦であれ、あるいは潜水艦であれ、その用途に使われるわけでありますし、それからP2V、P2J、SSといったような、あるいはPS1といったような航空機関係も当然対潜用になるわけであります。そこでその次に、艦艇に載せられておる対潜機材としましては、ソーナーそれからアスコックでありますとか、それから魚雷――短魚雷といったようなもの、そういうものであろうと思います。
○岩間正男君 護衛艦何隻ありますか。
○政府委員(久保卓也君) すぐ調べますが、約四十隻でなかったろうかと思います。
○岩間正男君 潜水艦も調べてください。
○政府委員(久保卓也君) 護衛艦が三十九隻、潜水艦が十二隻であります。これは四十六年度末の現在数であります。
○岩間正男君 対潜哨戒機は……。
○政府委員(久保卓也君) 対潜哨戒機は約九十機であります。
○岩間正男君 ヘリコプターは。
○政府委員(久保卓也君) 約六十機であります。
○岩間正男君 次にお聞きしますが、無人ヘリコプターですね。これはどうですか。
○政府委員(久保卓也君) 昨年問題になって、当時はたいへんよく覚えておりましたが、昨年七機あったのが、たしか一機落ちて六機になっているんではないかと思います。――失礼しました。間違えました。十六機あるそうです。
○岩間正男君 この護衛艦ですね、この中の半分ぐらいはDASHが載っているんですか、載せているんですか、塔載されておる。――
○政府委員(久保卓也君) DASHを載せまするためには、甲板を少し改造して、無人ヘリが載るようにしなければなりませんので、そういうふうに改造されたものが七隻ございます。
○岩間正男君 これは長官にお聞きしたいのですがね、世界的な趨勢として、現代海軍の主力は水中核ミサイル装備の原潜である、こうなっていると思いますね、この点いかがですか。
○政府委員(久保卓也君) 水中核ミサイルというのはサブロックのことであるとしますると、これはアメリカしか持っておりませんので、まだ世界の趨勢とは言いがたいのではなかろうか。ただ、しいて言うならば、潜水艦の動力が原子力化する傾向にあるということは、一応世界のこれからの方向であるということは言えようかと思います。
○岩間正男君 この原子力潜水艦は通常潜水艦と違って水中速力が三十ノットから四十ノット、こういう高速で運航して、その潜水能力も通常潜水艦よりもはるかに深い深度をもって、数カ月も潜水可能である。海上自衛隊の現在の装備では、対原潜作戦ははたして効果的にこれは行なうことができるんだかどうか。こういう問題について、これは防衛庁長官はいままで検討されたのかどうか。そして四次防との関連もあるわけですけれども、こういう問題について何か対策を考えておられるのか。これは非常に重要な基本的な問題になるわけだと思うのでありますが、むろん私はこういうことをやれと言うのではありません、わが党の立場はそういうことじゃないですから。あなたたちの考えておられる一体構想というのはどういうことなんですか。この点をお聞かせを願いたい。
○政府委員(久保卓也君) もちろん原子力潜水艦は、いま御指摘のような特殊な性能を持っています。そしてわがほうは従来の通常型の潜水艦であり、通常のソーナーその他の捜索攻撃兵器しか持っておりません。さればといって、この原子力潜水艦に対する対処能力がゼロではありませんで、非常に低い、通常の潜水艦に比べて何分の一というふうに非常に低いのではありますが、なおかつ対処は可能ではあります。そこで、その場合に、当方が通常の潜水艦であり、通常の装備であるという場合に、たとえば相手方の潜水艦が集まりやすいようなところ、蝟集しやすいようなところにわがほうの潜水艦があらかじめ沈んでいる、待機をしているという姿勢をとります。これはおかしくはないんで、第二次大戦中にわが商船がどの海域で沈められたかという図面を見られると非常によくわかるわけでありますが、そういった相手もやはりえさの多いところに集まってくる、そういうところにわがほうは沈んでおる。そこで潜水艦は――いま原子力潜水艦、いま申された点は非常によろしいわけですけれども、マイナス面は非常にノイズ――雑音を高く出す。したがってわがほうでは、こちらの音を消しておけば相手の音が非常に遠くから聞こえてくるというようなことにもなりますので、その面ではかえって捜索がしやすいということもあります。さらに今後の問題としましては、わが通常型の潜水艦が持っておるソーナー、そういったものを改良をして、遠距離まで耳が達するというような方途を講じていくということが今後の目標ではなかろうかというふうに思っております。
○岩間正男君 そうすると、いまの説明を聞いていますと、音をひそめて水中深く沈んで待っている。忍者みたいなやり方ですな。主力的な、そういう有効的な対処というのは非常にもうできないでしょう、速力からいったって、それから潜航度からいったって。どうなんですか。どうしてもこれは対原潜作戦というものを効果的に行なうためには、高速度の原潜が必要になってくるんじゃないか。水上艦艇や航空機などによる誘導核爆雷、そうしてまた、高性能の核爆雷、こういうものが当然必要になってくるように思うのですが、こういうことになりますというと、原潜相手の戦いがもう主力になるのでありますから、そうなればこちらはいまのような状態でこれに対応できますか。どうなんです。これこそ軍事専門的な立場でやってください。どうですか。これは政治的ななには要りませんから、そこは。
○政府委員(久保卓也君) いろいろ御示唆をいただいているわけで、われわれも検討しなければならないのかもしれませんけれども、ただ忍者のようにとおっしゃいましたが、これは一つの戦法としてどこの海軍にもあることで、特にいわばわが国のような、弱者の戦法とわれわれは言いますが、そういう立場で非常に有利な方法を考えなければならない。それからもう一つ、ソーナー――相手の音を聞く手段、機材、これがアメリカのものに比べて日本のものは非常に劣っております。したがって、これはまだ相当に改善の余地がある。それからもう一つ、原子力潜水艦のスピードが速いということに対して、わがほうの魚雷のスピードがおそい、これが対処能力を非常に下げる原因になっております。そこで現在開発を進めているわけでございますが、ホーミング魚雷でスピードをあげていく。で、もちろん魚雷が相手を追っかけていくということではありませんで、潜水艦の進む地点を予測をしてその地点に発射をし、さらに、あるところからホーミングをしていくわけでありますから、こういったことで攻撃が可能になってくる。それから深度の問題でありますが、当然原子力潜水艦のほうがよけい深くもぐれます。しかし、現在海上自衛隊でも深度の改善については相当努力をしております。ですから、通常型の潜水艦でその機材の改善と運用によってある程度のことは対処できる。しかし十二分とはなかなかいきにくい。また、かりに原子力潜水艦があるからといって、それで十分な対処能力ができるかというと、必ずしもまたそうではない。非常に広い海洋でありますから、アメリカでもそういった点について、いろいろ意見が出ているぐらいでありまして、そう容易なものではないというふうに思っております。
○岩間正男君 そこでお聞きしますが、現在の海上自衛隊の装備の中で核装備をかりにやろうとすると、そういうものの可能なものは何々ですか。
○政府委員(久保卓也君) これは核装備ということばにもよるわけでありますが、たとえば核弾頭を持ってきたらそこですぐに発射ができるようなもの、そういったようなものはございません。ただ、艦艇なら艦艇は、とにかく入れるものでありますから、入れるものは持っている。それを改造して何か核兵器というものをその船に積むというようなことならば、これはいかなる場合にも可能でありましょうが、いまおそらく御質問のような趣旨でのものはない。たとえばターターが核装備ができるではないかという御質問が他の委員会でありましたけれども、ターターは核装備はできないということでありまするし、それからたとえばサブロックが積めるかどうかということについては、なるほど、サブロックの大きさ、直径というものは通常の魚雷と同じようになっておりますから、おそらく魚雷の穴に入るだろうと思うのでありますけれども、ただ、そういった弾を持ってきたからといってサブロックが撃てるものではない。やはり指揮管制装置、コンピューターその他というものが必要なのであって、これは相当大幅な改造を必要とするということでありますから、おそらく私の正しい答えとしましては、御質問に対しては、そういったものはないというのがしかるべき答えかと思います。
○岩間正男君 むろん、そのままではだめでしょうが、ちょっと手を入れて改造すればやれる。問題は、政府が核武装の方針、こういうものを決定するかどうかということですが、もし決定して、それをやるということになると、自衛隊はいつでも強力な戦術核攻撃部隊に転換できる。そういうふうに最近準備されつつあるんじゃないですか。これは、四次防の中にもそういう要素は含まれていませんか。
○政府委員(久保卓也君) 核装備論を私とやっていただきますると、その懸念が抜けると思うのですけれども、私は、日本の場合には、軍事理論的にいっても、核装備はペイしない、割りに合わないというふうに考えておりますので、どのような体制であれ、自衛隊が核装備することは、将来にわたってないというふうに確信をしております。
 なお、どのような場合であっても、自衛隊がどういう装備を持っておろうと、かりに核装備をしようと思えば、これは、別途にアメリカから持ってくればすぐできるわけでありますから、その議論はちょっと自衛隊の装備論とは合わないんではなかろうかというふうに思います。
○岩間正男君 先ほど、いまかりにやる気になれば装備のできる問題というので、ほとんどないというような話でありましたが、対潜ロケット魚雷アスロック、これは護衛艦に装備されているわけですが、これはどうです。それから無人ヘリコプターのDASH。それからついでにお聞きしましょう。対潜哨戒機のP2J、対空ミサイルのターター、こういうもの。ターターについては、先ほどそういう論議があったけれども、これは可能性はないというお話ですけれども、これはまあ程度の問題になるかと思いますが、可能性は全然ないというのですか。
○政府委員(久保卓也君) アスロックは核弾頭を装備するようなものがございませんので、問題ありませんが、たとえば、DASHにつきましても、短魚雷をたしか積んでおりますけれども、いまありますものは非常に小型のものでありますから、核弾頭を積むだけではいけないので、やはり核弾頭を放つためのコンピューターその他の指揮管制組織、器材といったようなものを積まないといけないのでありましょう。そうすると、いまのDASHに積めるものではありませんし、また、いまごろからそれに金をかけてやるような兵器でもないというようなことであります。
 あとP2Vその他の航空機などにしましても、これは運搬手段でありますから、もし同じことをやろうと思うならば、民間の輸送機でも同じことができるわけで、こういったものは、本来、核兵器あるいは核弾頭をつけた魚雷なり爆雷なりを積むものでは本来ない兵器である、というふうに考えるのが至当であろうというふうに思います。
○岩間正男君 これは今年の正月――一月一日の読売新聞ですが、海上自衛隊は核発射の兵器、いまあげたようなもの、こういうものに改造できるものを持っているだけじゃなくて、四次防の中では、原子力機関を十分積載できる、つまり原潜にいつでも昇格できる潜水艦の建造を計画していると、こういうふうに報道しているわけですが、これはどういうことでしょう。
○政府委員(久保卓也君) 現在持っておりまする自衛隊の装備、これに核装備するかどうかということで、可能性があるというならば、しいて言うならば、それはナイキ・ハーキュリーズとかF4とかいうものでしかないので、もし本気で核装備をしようと思うならば、いま自衛隊が持っておる装備ではなくて、別のものを外国から持ってくれば一番効率的なのでありまして、現在の自衛隊の装備を中心にしながら、そこで核装備論争をやるのは、きわめて私は不適当であろうというふうに思います。
○岩間正男君 それは弾頭をつけるかどうか、そういうことはいまおくとして、しかし、それに実際近いような、たとえば原潜に近いような形の潜水艦をつくっていくとかいう形で、なしくずしにそういう方向をとることができるだろうというふうに思うわけですよ。そういうふうな、いまあげた、いろいろな、DASHの問題とか、アスロックの問題とか、それから最近の潜水艦の建造のしかたが、涙滴型になってきているとか、そういうような問題、これはやはり、一つのそういう要素を持っているのではないか、こう言われてもしかたがない面があるのじゃないか。
 もう一つ、これと関連してお聞きしたいのですが、これは全然核訓練というものはやっていないのですか。
○政府委員(久保卓也君) 核訓練というのは全然やっていないと思います。せいぜいありますのは、海上自衛隊の一部の艦艇に、放射能で汚染した場合にそれを洗い落とす、水洗でもって洗い落とす装置が一部の船についておるという程度で、これは、おそらく訓練といいますか、たまに使ってみることがあるかもしれませんが、核訓練というものは、おそらく完全にやっておらないというふうに思います。
○岩間正男君 防護訓練もやっていないのですか。核の防護訓練。
○政府委員(久保卓也君) そういった面は、これはやっております。いわゆる核防護訓練で、たとえば放射能を検知をする。それから放射能のあるところでどういうふうにして立哨するか、あるいは偵察に行くかといったような訓練を何時間かやっておるはずであります。
○岩間正男君 結局、なんですね、これは核訓練の一種になると思うのですが、ここに自衛隊の、四十二年度に陸上幕僚監部が出した特殊武器防護という教範があるのですね。まあ写しですけれども、これを持っております。これには核武器に対するところの処置方法等を述べている。海上自衛隊にはこういうものはないのですか。これに相当するようなものは使われていないのですか。
○政府委員(高瀬忠雄君) 陸上自衛隊では、いま御指摘の特殊武器防護というのがございまして、これで、先ほど防衛局長が説明しましたように、核防護のための一般的な訓練をやっておりますけれども、海上自衛隊におきましては、やはり同じような教範がございまして、これは応急教範という名前の教範がございまして、大体同じような見解で、放射能を検出するとか、そういった、もっぱら防護のための教育訓練という眼目から教育しております。
○岩間正男君 これは、やはり出していただけませんか、資料は。応急教範、これとわれわれ符合してみたいと思う。陸上の特殊武器防護ですね。これに対する教範が出ているわけだから、海上自衛隊のやつも、われわれは参考にしてみたいと思うのです。日本の核訓練の度合いというものをやはり具体的に明らかにするためには、これは必要だというように思うわけです。防衛庁長官でも……。
○政府委員(高瀬忠雄君) 海上自衛隊の、ただいまの教範は「取り扱い注意」ということで指定されておりますので……。
○岩間正男君 いやいいんだ、それは。国会でもう論議したのだから。
○政府委員(高瀬忠雄君) 取り扱いを注意しておりまして、先生にお見せするというようなことでひとつよろしく……。
○岩間正男君 もう秘密はなくす。七十万点の秘密はあるので、ここでひっかかるわけですがね。これはどうですか、こんなの出したら。出しなさいよ。ちゃんと、これは名前まではっきりしたのだ。応急教範があるということが明らかになったのだ。そういう中で、いまこれだけの機密の問題が問題になっているでしょう。最大の機密の本拠は自衛隊なんですよ。そういう中で、どうですか、これは。
○国務大臣(江崎真澄君) 秘密は私は必要だと思うのです。必要だと思いますが、この問題は、いま事務当局側でも、まあひとつお出ししようということを言っておりますから……。
○岩間正男君 見せていただけますね。
○国務大臣(江崎真澄君) お出しするように努力します。
○岩間正男君 出してくださいね。
○国務大臣(江崎真澄君) ええ、そうしましょう。
○岩間正男君 これは、もう確約しておきたいと思う。ちゃんと陸のほう、あるのですから、海のを見ないと、これは片ちんばになりますから、はっきりそういうふうにやっていただきたい。
 それでは次に、これは外務省の――どなた来ていますか。
○主査(内藤誉三郎君) 吉野アメリカ局長。
○岩間正男君 それから、これは同時に長管にもお聞きしなければならぬのでありますが、まあ吉野さんと、それから長官にお聞きしたいのですが、これは想定の質問になるんですがね、海上自衛隊が、もし領海外の海上で米軍から核を受け渡しされた場合、こういう場合を想定しますと、そうして、これはまあいままでずっと述べてきましたが、この将来にあり得ないという問題ではないと思う。これは事前協議の対象になりますか、ならないですか。どうですか。
○政府委員(吉野文六君) これは、まあ非常に仮定の問題としてしかお答えできないわけでございますが、まあ国際法上考えますと、日本の海軍でございますから、軍艦でございますから、これは日本の領域と同じじゃないか。したがって、受け渡しをするということになりますと、やはり日本の領域に核を持ち込んだということになるんじゃないかという気がするわけでございますが、いずれにせよ、これは仮定の問題でございますから、具体的なケースが起こるまでは、われわれは判断する必要がないんじゃないかと思います。
○岩間正男君 あんたは妙なことを育っておるね。いままで想定でやってきたでしょう、この事前協議の論議というやつを、そうじゃないですか。全部想定でしょうが。みな仮定でしょうが。現実に起こってやっているのは、このごろ起こってからやっていますけれどもね。そうでしょう。だから、こういう事態を、ちゃんとこれは法的に明らかにする、そういう立場からやっておるんですから、これに対して答える必要はないなんというのはおかしいですよ。答えられないんですか。答える必要がないのですか。これははっきり答弁してください。
○政府委員(吉野文六君) まあ、われわれとしては、そういうことをいま予想をしておりませんから、したがってその意味で、答えも考えておらなかったということでございますが……。
○岩間正男君 ああそうですか。そういう意味ですか、
○政府委員(吉野文六君) とりあえずお答えをいたしますと、先ほど申し上げたとおりでございます。
○岩間正男君 これは困ると思うんだね。国会対策で頭が一ぱいなんですか。こういう事態までだね、ことに事前協議が大きな問題になっているんだから、あらゆる場合をこれは想定しなきゃならぬのですよ。これは当然ですね。この事前協議の洗い直しをいま総理から指示されている江崎長官にお聞きしたいと思う。どうです。
○国務大臣(江崎真澄君) これは、やはりアメリカ局長が答えたとおりの問題ですしですね、かりにこちらが核兵器を受け取ってみましても、使いようがありませんですね。装置もなければ、そういう訓練もしておりません。したがって、まあそういうことは起こり得ない、あり得ないというふうにお答えするほうが正しいと思います。
○岩間正男君 だから、まあ将来と言っているんです。将来そういう事態。これはわかりませんよ。核装備マイナス二年なんて言っているんだからね。そうでしょう。核武装マイナス二年なんというのは、これは財界で盛んに行なわれているでしょう。二年前、装備前の二年だということでしょう。二年くれれば装備が始まる可能性もあるんだと、こういうような構想でこれは進められている。日本のいまの軍事生産の背景には、そういうものがあるんでしょう。そういう体制の中で、そうしてまあ核艦隊の、この間、秘密電報なんか問題になったんですけれども、ないんじゃない、そういうやっぱり可能性があるんだという現実を、私は今日ですね、やはり明らかにしておくことは非常に重大だと考えたんです。ほんとにこの核装備を一体やるのか、やらないのか。われわれはやるなどということは考えていない。そういう立場から質問しているんでありますが、しかし、名目はしないしないと言いながら、実際は進められているんじゃないですか。この前の府中の第五空軍の核管理機構の問題。この問題だって、これはね、決して軽々しく見のがすことのできない問題です。これら一連のこういう情勢の中で、この問題を判断しなきゃならない問題だ。しかし、これはお答えできない。残念ですね。そうすると、こういう問題については、これは検討されますか。
○国務大臣(江崎真澄君) いまの段階では、検討の必要もないのではないか。持ちませんよ、これは、核は。やはり核は持たないと、これをやはり国是として通していく、それくらいのやはり責任体制を政治家がとらなかったら、これこそ政治不信がつのる一方だと思いますね。だから、絶対そういうことはありませんから、どうぞ御安心ください。
○岩間正男君 どうも、残念ながら立川なんかの例があるんでね。だから信用できない面があるんで申しわけないけれども、やっぱり情勢がまた変わるとわからぬから。そういうことはいってないのがいまの日本のこれは現実ですよ。背景が背景で深い。だからそういう点から言っている。
 次、ABMは核専用のこれはレーダーですか、装置ですか。
○政府委員(久保卓也君) ABMは、現用のものはもちん核弾頭がついております。ただ、理論的あるいは技術的可能性としては、核弾頭を使わないABMの研究が、かつてアメリカ海軍で行なわれたやに聞いております。
○岩間正男君 現状では核専用のものですね。そう考えていいですね。
○政府委員(久保卓也君) 現用のものは、おっしゃるとおりであります。
○岩間正男君 そこで、お聞きしたいんですが、日本の場合ですね、これは、海上にABMを持つのではないかと軍事専門家は見ているわけですね。海上自衛隊がこの核専用のABMを持った場合、これは事前協議の対象になるかならないかという問題です。これはクイズじゃありませんからね。
○政府委員(久保卓也君) 海上自衛隊がABM――核弾頭を持ったABMを持つときに、事前協議の対象になるかならないかという御質問のように思いましたが、事前協議はアメリカとの関係でありますから、これは問題はないと思います。
○岩間正男君 これは三原則とからまってくるわけですね。しかし、持たされる場合はどうです。
○政府委員(久保卓也君) 私どもは主権を非常に大事なものと考え、自主的に防衛ができると思っておりますので、持たされるということは考えておりません。
○岩間正男君 福田外相のこれは答弁があるわけですがね。これは、おそらくABMもこの中に入るんだと思う。三月二日の衆議院予算委員会、福田外相の答弁。核弾頭、核というのは何かと聞かれた。どういう内容を持っているのか、どういうものがあるのか、こういうものに対する答弁ですが、「核弾頭及びこれが発射装置、並びにこれに関連するもっぱら核のみに使われるところの通信施設等、こういうものはそういういわゆる核施設に含まれる、こういうふうに御理解を願いたいと思います。」、そうすると、それを日本が持つ、あるいは持たされる、そういう事態が起こったときに、これはアメリカとの関係で、このような事前協議というものはどうなるのかと、こういう質問であります。
○政府委員(久保卓也君) 事前協議の事態を考えます場合には、たとえば、アメリカが日本の国土の中にABMのミサイル及びレーダーを置きたいという場合、あるいは、少なくともABMの一部分であるところのレーダーを日本の国土に置きたい。これは核弾頭は船の上に、ミサイルのほうは船の上に置くけれども、レーダーを国土に置いてほしいといった場合に、事前協議の対象になるかならないかという問題は起こり得ようと思います。しかし、海上自衛隊がかりに持つ、日本の自衛隊が持つということになれば、これは安保体制の問題とは関係ありませんので、法律論としては、もちろん別個の問題になります。ただし、非核三原則ということでありますから、これは、そういうものを持とうということはさらさらないと思いますし、技術的に見ても不可能でありまするし、軍事的に見ても、私は割りに合わない装備であると、こういうふうに考えております。
○岩間正男君 それじゃ、この問題はこれぐらいにしてですね、吉野さんにお聞きしたいんですが、米軍のベトナム出撃の問題ですね、これは横田基地が使われていますか、いませんか。
○政府委員(吉野文六君) いままで、われわれが米側から通報された限りから申し上げますと、先般お答えいたしましたとおり、岩国から飛行中隊が出て行った、それから横須賀から艦船が出て行ったという、この二つでございますが、横田基地につきましては、具体的なことはわれわれは通報を受けておりません。
○岩間正男君 そうすると、日本の米軍基地からですね、ベトナムに出て行ったのは、いままで受けたそれだけですか。この前、国会で問題になったそれだけの通知しか受けていませんか。その後通知はありませんか。
○政府委員(吉野文六君) 米側の通報に関する限りは、それだけでございます。
○岩間正男君 岩国はどうなんです、岩国は。岩国はないんですか。
○政府委員(吉野文六君) 失礼しました。いま岩国を答えたような気がしたんですが。岩国と横須賀の……。
○岩間正男君 いや一ぺんあったというけれども、その後ないかというんです、その後。
○政府委員(吉野文六君) 岩国につきましては、岩国からベトナムにおそらく向けてだろうと思いますが、いずれにせよ、飛行中隊が出て行ったということは、通報はありましたが、それ以外にはございません。
○岩間正男君 あれは、出てから何日後に岩国はもらったんです、通知は。
○政府委員(吉野文六君) 出発のおそらく二、三時間前だろうと思います。
○岩間正男君 前ですか、あれは。
○国務大臣(江崎真澄君) 前です。
○主査(内藤誉三郎君) ちょと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○主査(内藤誉三郎君) 速記を起こして。
○岩間正男君 そうすると、まあ横須賀も岩国もその後通告はない。通告はないということは、政府としてはここから出撃はしていないと、こう判断してるわけですか、現状でどうですか、ちょっと答えてください。時間がなくなったから、数だけ。
○政府委員(吉野文六君) 横須賀につきましては、実は通告はなかったわけでございますが、われわれが横須賀から一部の艦隊が動いたということを聞きまして、先方に照会した結果、通告を受けた次第でございます。
○岩間正男君 さて、横田の問題ですがね。横田が騒がしくなると米軍の空爆が始まると、よくいわれている。これは、まあ土地の人はもっぱらこう言っているのですね。最近の横田の状況について、これは政府で調べておられますか、どうですか。
○政府委員(島田豊君) 最近の横田の飛行場の使用度が高くなっているかどうかについては、実は問い合わせておりますけれども、そう最近になって使用の頻度が高くなっているという通知はございません。
○岩間正男君 どこへ聞いたのですか、問い合わせは、どこ。
○政府委員(島田豊君) 府中の司令部でございます。
○岩間正男君 これは、昭島市の公害課が横田基地の周辺の航空騒音について最近調査したものです。四月一日から九日まで、これは米軍機の飛行回数が、多いときで一日七十回台、それが十日に入って八十回台になり、十一日には一挙に百二十九回、十二日には百七回、十三日には百三十一回とはね上がっている。こういう事実があるんですよ。これはもう地元の、しかも市が責任を持った調査なんです。これが司令部のほうに聞いたら、全然そういうことについてはなかったと、ここの食い違いはどうなんですか。こういう態度でいて、向こうの言いなりほうだいになっていて、一体ほんとうに守れますか。国民の安全を守れますか。平和を守れますか。この姿勢が問題なんです、姿勢が。どう思います。
○国務大臣(江崎真澄君) いま施設庁長官の言ったこともほんとうだと思いますが、そういう、いま御指摘のようなことがありといたしまするならば、十分先方に強く調査を依頼しまして、確答を得たいと思います。
○岩間正男君 これは知っているんでしょう、自分がやっているんですから。人に聞くまでもないことだ。この調査は、滑走路南端部から約ニキロの地点でこれは測定しているんですよね。これは恒常にやっているのでしょう、市の機構として。戦闘機が飛んだ場合、その音量スペクトルで見まして、これはもう鋭角の山を描いてはね上がっている。そして測定器がキャッチした音量が百十五ホンをこえると間違いなく戦闘機が飛んでいると、こういうふうにいわれているんですね。十七日には最大百十六ホン、十一日には百二十ホン、それから十日、十三日は百十五ホン。そして十七日の午後には戦闘機F4Cファントム二機が連続して飛び立ったということをはっきり目撃している人があります。こうした実情があるのに、これは全く、政府は全然関せず焉の立場をとることはできない問題じゃないか。ほんとうに国民の命、平和、そういうことを考えるなら。ところが、全然これには関せず焉という態度をとっているのが現状であります。いまの、とにかく非常に時間が迫ってまいりました少ない時間の中で、大急ぎで質問しただけでも、そういうことがはっきり出てくるんですね。これはどうでしょう。こういう態度でいいでしょうか。ここにこれはありますから、あとでごらんいただいて、発着をちゃんと測定しておるのがありますから、最近の横田の発着、これはあとでやりますから。これはどうです、これはやはり長官でしょうね。
○政府委員(島田豊君) 得承知のとおりに、ファントムは昨年タイへ移駐したわけでございますが、その後、ときおり飛来をいたしておるようでございます。しかしながら、最近になって特にファントムの飛来が多くなったという状況ではない。その他は輸送機が主体だと思いますけれども、ファントムについてはそう状況の変化はない、こういうことでございます。
○国務大臣(江崎真澄君) もともと横田の基地の性格そのものが、周辺の空軍基地の管理とか基地の支援とか、こういうことばが目的である以上、ベトナムの問題が起こったからといって、にわかに様相一変というほどのことはないというふうに私どもは考えるわけです。しかし、御指摘でもありますので、なお、今後十分調査をいたしてまいりたいと思います。
○岩間正男君 それは、もう戦闘を始めているのですからね。そうして、史上最大みたいなハノイ、ハイフォンの爆撃をやったり、その結論を、ニクソンの決意というようなものを新聞でわれわれ見ましたけれども、三カ月前からそういうことを考えていたと、そういう事態ですからね。そうすると、基地の変貌なんということは、これはすぐに起こり得るわけです。背に腹はかえられない、どんどんやっていますからね。そういう事態の中で、もう少し、やはり国民の立場に立ってこの問題を私は処置していく、これに対する対応策を考えていくというのが、いまの日本の政府の姿でなければならないというふうに思うのですね。その点どうですか。御確認されますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 性格は変わったとは思っておりませんし、その頻度等についても多分に疑問があるように思いますが、なお、調査をいたします。
○主査(内藤誉三郎君) 以上をもちまして、防衛庁所管に関する質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十八分散会
     ―――――・―――――