第071回国会 内閣委員会 第15号
昭和四十八年六月二十六日(火曜日)
   午後一時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     鶴園 哲夫君     神沢  浄君
     上田  哲君     鈴木  強君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高田 浩運君
    理 事
                内藤誉三郎君
                中山 太郎君
                山本茂一郎君
                片岡 勝治君
    委 員
                源田  実君
                長屋  茂君
                星野 重次君
                町村 金五君
                神沢  浄君
                鈴木  強君
                鈴木  力君
                前川  旦君
                宮崎 正義君
                岩間 正男君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山中 貞則君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       角田礼次郎君
       防衛庁参事官   長坂  強君
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛施設庁長官  高松 敬治君
       防衛施設庁施設
       部長       平井 啓一君
       建設省道路局長  菊池 三男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
   説明員
       大蔵省理財局国
       有財産第二課長  川崎 昭典君
   参考人
       日本道路公団理
       事        伊藤 直行君
       忍草入会組合顧
       問        天野 重知君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国の防衛に関する調査
 (北富士演習場内国有地の入会に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、上田哲君、鶴園哲夫君が委員を辞任され、その補欠として、鈴木強君、神沢浄君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(高田浩運君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 北富士演習場内国有地の入り会いに関する件について、本日、当委員会に、日本道路公団役職員及び忍草入会組合顧問天野重知君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(高田浩運君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。
 ただいま伊藤参考人及び天野参考人が出席しておられます。
 参考人の方々は、本日御多忙のところ、本委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。どうぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。
 初めに、北富士演習場内国有地の入り会いに関する件について天野参考人から意見を聴取いたします。天野参考人。
○参考人(天野重知君) 天野でございます。
 右足がちょっと事故で悪いから、もしお差しつかえなかったら、すわらしていただきたいと思います。
 政府の北富士演習場の入り会い権に関する統一見解について、地元の意見を申し上げたいと思います。
 昭和四十八年四月十七日付政府統一見解は、去る三月十三日の最高裁判決が大正四年大審院判決を変更して、国有地入り会いを承認したのに伴って、大正四年大審院判決を根拠に、北富士演習場内梨ケ原国有地の入り会い権を否定していた従前の政府統一見解――以下旧見解と言うことにいたしますが、この理由を補正したものであります。
 私は、国有地入り会い問題がいわゆる北富士演習場問題のかぎであり、また、国有地入り会い権を否定した政府統一見解が、今回の使用協定の締結、したがって自衛隊演習場への使用転換を強行した法律的な前提条件ともなっているという意味で、その重要性に着目し、国有地入り会い権を主張する地元忍草入会組合の立場から、以下若干私の意見を申し述べ、政府統一見解の誤謬を指摘することにいたします。
 まず、本論に入るに先立ち、政府統一見解が、三月十三日最高裁判決に伴って見解を改めるといいながら、実は、旧見解の骨子となっていた論理を基本的に修正している点について、触れておきます。
 旧見解では、演習場内国有地を、明治初年の地租改正に際してのいわゆる土地官民有区分によって、官有に編入された土地と民有に編入された土地に分け、前者については大審院判決で入り会い権なしとし、後者については陸軍との売買契約によって、同じく入り会い権なしとの結論を出していたのでありますが、政府統一見解は、旧見解がとっていた右の論理のワク組みを変えて、官有地に編入された部分についても陸軍との売買契約の効果を及ぼすようにして、最高裁判決を機縁に、旧見解の誤りや不十分さを全面的に改正しているのであります。
 この点は、政府当局が、問題の最も基本となる国有地入り会い問題について、いかに安易な取り組みをしてきたか、いかにずさんな根拠で入り会い団体の主張をごまかしてきたかの明白なあらわれであります。
 しかし、だからといって、新しい政府統一見解が正しいと言えるか。問題は全く別であります。そこで、次に、政府統一見解の内容について問題点をあげ、その誤りを明らかにしたいと存じます。
 政府統一見解は、最高裁判決に従い、官有地編入処分それ自体が入り会い権を消滅させたものでないとの判決を、「かりに」という仮定の修辞序つけて、しぶしぶ認めながら、「その後大正初年にかけて土地の所有者又は管理者により林野利用に関する諸規則が定められ、地元住民の利用は土地所有者等の監督のもとに置かれるに至り、土地利用の法律関係も昭和初年に至るまでには入り会い権とは全く別個の人工造林又は桑の栽培を目的とする借地契約及び人工造林を目的とする部分林設定契約等に変化しており、入会権は消滅した」と言っているのであります。
 いま、この点を最高裁判決について見ると、判決は、次のように判示しています。
 第一に、「官有地に編入された土地についても入会権の消滅が明文をもつて規定されていないかぎり、その編入によって、入会権が当然に消滅したものと解することはできない」とするのであります。したがって、本件官有地編入については、明文をもって入り会い権消滅を証する資料はなくかえって逆に、明治四十四年県有地移管に際しては、帝室林野管理局は県に対して、従前の入り会いに関する権義関係は引き渡し当時の現況により継承さるべきことを申し入れ、県もこれを確認して受け入れたのでありますから、官有地になり、さらに県有地になったという所有名義の変更によって直ちに入り会い権は消滅していないと考えなければなりません。
 第二に、判決は、確かに入り会い権の消滅する場合をあげております。つまり、「もっとも、その後官有地上の入会権を整理し、近代的な権利関係を樹立しようとする政策に基づいて、従前入会権を有していた村民の官有地への立入りを制限し、あるいは相当の借地料を支払わせて入山を認めることとした」ような地域では、「入会権が事実上消滅し、あるいはその形態を異にする権利関係に移行したとみられる」と言っておるのであります。
 入り会い権の消滅に関する最高裁判決のこの部分は慎重に解釈されなければなりません。というのは、判決は続けて、「旧国有林野法、同法施行規則、国有土地森林原野下戻法、旧国有財産法、現行国有林野法、現行国有財産法の各規定は、」官有地上に入り会い権が存続することの「妨げとなるものではない。」とつけ加えているからであります。
 したがって、次に、この点から、政府統一見解のいう「大正初年にかけて……諸規則が定められ」たことによって、はたして、入り会い権が消滅したことになるかどうか、考えてみることにいたします。
 御料林の下賜、つまり県有地への編入は、入り会い権者にとっては、入り会い地が他人の所有地となり、新たに土地所有者たる県との一定の関係を生ずることになったわけであります。したがって、入り会い地の利用に土地所有者による若干の規則、たとえば地代の支払いとか、利用目的の変更につき土地所有者の同意を得るなどを受けるのは当然であります。しかも、土地が県有財産である以上、その財産管理に関する規則ないし条例に規制されるのは当然でありますから、土地所有者たる県の管理のもとに条例等に従ったとしても、そのことは何ら入り会い権であることを否認するものではないのであります。
 本来、入り会い地における人工造林や桑の栽培自体が入り会い権の行使であり、その内容をなすものであります。このような人工的利用の場合、通常、経済的利益を生ずるので地代等を収受するため、土地所有者が分収契約その他の土地使用契約の締結を要求することになるのでありましょう。その契約が入り会い権を明らかに否認するものでない限り、入り会い権者が契約締結に応ずるのは当然であり、そのこと自体、入り会い権に何ら消長を来たすものではないと言わねばなりません。
 土地利用の権利が入り会い権であるかいなかは、規則や契約の存在や、その形式によってきまるものではなく、その利用の実態、権利の性格によってきまるものであります。このことは、各地の市町村有入り会い地において、入会い権者が人工造林を行なっており、これに対し、市町村は、条例、規則等により分収契約を締結することが多いのでありますが、この契約の締結が造林者の入り会い権を否定するものでないことが当事者間において争われていないことを見ても明らかであります。
 また、国有林野法の部分林に関する規定、その他借地契約に関する法律を見ても、入り会い権を否定する旨の規定はありません。それにもかかわらず、部分林契約、借地契約を結んだことにより入り会い権が消滅したというのは、単に形式的にものごとを律する形式論でなければ、右の契約が、入り会い権の消滅を来たすことを明示し、または入り会い権の消滅することを部分権者や借地権者が承認した内容のものでなければならないはずであります。
 もし部分林契約や借地契約を結んだことによって入り会い権が消滅したのだとすれば、規則や条例で一方的に入り会い権を侵奪したことになり、憲法第二十九条に反し、許されるわけがありませんし、その契約は法律的に無効であります。
 また、部分林という権利形態は、決して最高裁のいう近代的な権利関係というわけにはいかないのであって、入り会い権そのものであり、この点を認めた判例としては、昭和三十八年広島高裁判決、昭和三十六年秋田地裁大曲支部判決によっても明らかなところであります。
 さらに、右の管理規則、すなわち恩賜県有財産管理規則は、入り会い権ということばを避けて、入り会い慣行ということばを使っていますが、五条、六条、七条、十条等々において、入り会い慣行をはっきりと承認しておりましたし、また、現行の管理条例、つまり恩賜県有財産管理条例も、同じく、入り会い慣習を承認している事実は否定すべくもありません。
 最高裁判決によれば、「官有地に編入されたとはいえ、その地上に村民の植栽、培養を伴う明確な入会慣行があるため、これが尊重され、従前の慣行がそのまま容認されていた地域もあり、このような地域においては、その後も官有地上に入会権が存続していたものと解される」というのであります。つまり、明確な入り会い慣行があって現在も容認されていれば、それは入り会い権であるとの立場を明白に打ち出しているのであります。この事情は、御料林時代においても変わらず、その入り会いの権義関係を継承した現在の県有地編入によっても、何ら変更されてはいないのであり、前山梨県天野知事も、県有地における入り会い慣行の存続を文書によってはっきりと確認していたのは、公知の事実であります。
 政府は、一体、管理規則ないし管理条例の制定によって、いかなる理由で、何を根拠に、入り会い権なしとの判断を下したのか、理解するに困難どころか、全く不可能であります。
 しかも、政府は、昭和三十五年並びに翌三十六年、防衛庁長官の名義で、梨ケ原における入り合い慣習を確認し、将来にわたって尊重する旨の覚え書きを、忍草入会組合に対して発しているのであって、この事実を政府はどのように解されるか、最高裁判決によるとしながら、政府統一見解は、最高裁判決をじゅうりんしているのではありませんか。
 防衛庁長官が確認しただけで政府は知らないとは、機関人格の法理から、とうてい主張できないはずであります。しかも、確認した時点は、梨ヶ原が官有地となり御料林から県有地に移管され、陸軍が買い上げて再び国有地となり、戦後占領接収を経て、安保条約、地位協定上の施設・区域として提供されていたその時点において、その経過を知悉している政府によって確認されているのであります。もし、国務大臣である防衛庁長官が大うそつきでないとすれば、入り会い慣習を確認した以上、入り会い権をはっきりと確認するのが適正な法律的判断であると信ずるものであります。
 最後に、政府統一見解のいう第二の論点、すなわち、陸軍との売買契約によって入り会い権は消滅したとの問題について触れておきます。
 昭和十一年から十三年の間に、梨ケ原を中心とする県有地、恩賜林組合有地並びに民有地の大部分が陸軍演習場のため国に買収されたのは言うまでもない事実であります。しかし、政府統一見解は、この買収に際して、出所地有者は国に対し一切権利の付着しない完全な所有権を移転することを承諾したこと、並びに土地利用者に対し相当な補償がなされていることを理由に、入り会い権が存在したとは考えられない旨主張しております。
 しかし、第一点のうち、ここで問題となる梨ヶ原県有地について完全な所有権を移転することを約していたのは山梨県知事であって、物権たる入り会い権を有する入り会い団体は、これについて何らの同意を与えてはいなかったのであります。したがって、いかに県知事が入り会い権のないことを約したとしても、入り会い権者でない知事が入り会い権を放棄することは不可能であり、その行為は権限のない行為であって、法律的には無効であります。
 このことは、恩賜林組合有地についても同様であって、本来の入り会い権者である入り会い団体の同意を得ていない以上、入り会い団体、つまり旧十一カ村の有する一定の事務を信託されている機関にとどまる恩賜林組合長が入り会い権の放棄を約することは違法であり、そもそも入り会い団体は、同組合長の昭和十一年五月二十日付承諾書第四項にいう「第三者との間に何ら関係なき完全な所有権を移転する云々」の第三者に該当しないのであります。
 また、戦後国が買収した民有地についていえば、富士急行株式会社堀内一雄は、昭和二十二年十一月二十二日付確認書で、忍草部落に対して、当社が山番を置きかつ立ち入り禁止の標示をなしたるは、もとより同地に入り会いの関係のある忍野村忍草部落民の収益権を制限または禁止をなすの目的にあらずして、右は一に無関係者の侵害を防止するための措置である旨を明示しているのでありますから、入り会い慣習は依然として存続していたのであります。
 第二の補償措置については、問題は、その措置が入り会い権そのものの消滅の対価ではなく、入り会い権の行使の一形態にすぎない偶然的な桑の除去に対する、その樹齢を考慮した桑の植栽者に対する損失補償にすぎないのであって、入り会い団体に対する入り会い権の対価ないし補償とは断じて言えないという一事をもってすれば、その問題の入り会い権の消長に関する意義は明らかであり、この点からも、入り会い権の消滅を主張する根拠とはならないと思います。
 以上、私は政府統一見解が、多くの誤謬に満ちたものであることを述べてきましたが、最後に、このような統一見解を出してまで、自衛隊演習場へのいわゆる使用転換協定を強行した政府の基地政策とその姿勢について感想を申し述べ、私の意見を終わることにいたします。
 私は、政府統一見解を一読して、その中に、きわめて権力的な政府の姿勢をうかがわざるを得ないと言わざるを得ません。いかに不完全、誤謬に満ちたものでも、政府はこう考えるからそれに従えという姿勢であります。おまえたちに不服があるなら訴訟でも起こしたらどうだという居直りであります。
 このような政府の姿勢は、この統一見解が、自衛隊との使用協定が成立した四月十一日から約一週間後に発表されたという事実をもってしても明白であります。三月十三日に、旧判例をくつがえす最高裁判決が出たのですから、まずそれに従って十分討議し、入り会い問題を解決した後に使用協定を締結すべきというわれわれの申し入れば踏みにじられてしまったのであります。決定した使用協定を正当化し、合法化するためにこそ政府の統一見解がまとめられている事実は、決して忘れ去られてはならないと思う次第であります。以上であります。
○委員長(高田浩運君) それでは、まず参考人に対する質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○岩間正男君 それじゃ、参考人に二、三点、それと関連してお伺いしておきますが、簡潔に、明瞭にお答えを願いたい。
 第一は林雑補償の問題ですが、林雑補償について、政府の規定では、入り会い慣行を有する者が補償金の受給資格者となっておるが、最近では、演対協会長に一任しないと支払わないということになっているようでありますが、これはどうなんでしょう。
○参考人(天野重知君) そのとおりであります。
○岩間正男君 第一の問題は、そういう形ですね。そうすると、結局はもう、演対協に入っていない組合、そういうようなものには林雑補償を支払わないと、そういう形になっているんですが、こういう事態はどれぐらい続いておるんですか。
○参考人(天野重知君) 演対協が出まして、たぶん――私もこまかい点は忘れましたが、今度の未払い補償を払うについて、横浜防衛施設局からの文書を示しまして、補償の申請人は入会組合でなくて演対協小林会長である、そして補償交渉も演対協会長、契約も演対協会長、受領も一切会長、そういう横浜防衛施設局からの文書が参りましてそういうものでなかったら補償申請書も受け付けないし、一切はだめだということでありました。現に、忍草入会組合には補償金の支払いもしないし補償金も受領しないし――ここにおりますが、北富士入会組合長は申請書を突き返されております。それが実態であります。
○岩間正男君 第二にお聞きしますが、民生安定事業助成金、これが最近急増しているわけです。当委員会でもこれは私は質問をいたしましたし、大きな問題になったわけです。さらには、私は現地調査をしたんですが、演習場との相当な因果関係のないもの、こういうものがずいぶん民生安定事業の名によって出されている、こういう事実を現地で確かめたわけですけれども、実際は、これはどうなっておりましょうか。
○参考人(天野重知君) 問題は、林雑補償の問題はともかく、一番の問題は、御指摘の民生安定だと思います。
 言われるとおり、助成される膨大な民生安定のどれを見ましても、いわゆる周辺整備法の、演習場の運用と相当の因果関係を持っているものはほとんどないと私は言えると思います。たとえば、昭和四十八年度に改良舗装等助成の対象になっている道路が、富士吉田市、忍野村、山中湖村で十一本、たしかあると思います。そのほとんどが、演習場とかかわりがない道路である。いわば、おそらく因果関係は、いままで米軍も自衛隊も通った、これからもまた通るんだ、そこで道路を直すんだという因果関係になっておると思いますが、これは先生御調査のとおり、四市村内の道路であって、演習場とはかかわりがない。たとえば、具体的に申し上げますならば、御承知のとおり、米軍は、要するに東富士からの軍用道路というものがありまして、そこを通っているのであります。また、道路ばかりではなく、今度は施設について見ましても、たとえば富士吉田市と忍野村に、事業費それぞれ約二億円見当のコミュニティーセンターに助成がなされようとしております。このコミュニティーセンターと演習場との相当困果関係というものが、ほんとうにあるのかどうか。これはおそらく、リクリエーション等の広場が演習場になっちゃうために、なくなったというような関係を演習場とのつながりの理由にしておるわけでありますが、これはまっかなうそである。それは、富士山麓の地元民が、演習場ができたためにリクリエーションの場が奪われた、そこでコミュニティセンターをつくらなければならないというところへ来ているかどうかという問題でありますが、これは、一番はっきりした例が、富十五湖地方、いわゆる富士山麓地方に、東京、さらに大阪を中心とするあの膨大なお客さんが来て、いわゆるリクリエーションをしておる、この事実、さらに今度道路公団で予定している東富士有料道路を使わなければ、あすこの遊覧客、リクリエーションのお客のさばきがつかないという事実を見れば、土地の人がいままで利用していた、それが演習場になって遊ばれないから建物をつくるという理屈は――もうあの観光客、今度の東富士有料道路をつくるという実態を見ても、これはもう明らかなことであると思います。
○岩間正男君 私もそういう実態を調査したわけでありますが、むろん、高冷地のことでありますから、民生安定に対するいろいろな要求がある。それをしかし、演習場との関連で、そうして、しかも基地周辺の名によって民生安定事業という形で出しているところに、非常に、何といいますか不法な姿があるというふうに考えております。ただ、私としては、こういう民生安定に対する要求はあるんだが、それは別な方法で出す。地元の要求については、あるんだが、軍事基地を米軍に提供することの関連においてやることの不当、こういうことは非常に問題だと思います。参考人はいかにお考えになりますか。
○委員長(高田浩運君) 天野参考人に申し上げますが、時間の関係もありますので、簡明に願います。
○参考人(天野重知君) 御説のとおりだと思います。
○岩間正男君 第三点にお伺いしますが、北富士演習場の国有地の払い下げの問題ですが、政府の答弁と違って、私の現地調査では、吉田の恩賜林組合の払い下げを既定の事実として、新たにその所有地を富士急行会社に貸したり、また払い下げ予定地に大規模な事業計画をしているようでありますが、この点はどうでしょうか。私は、この払い下げはあくまで林業を進めるんだ、こういう名目でなされたものが、実際は目的に反するような方法で処理されつつあるというふうに聞いております。この調査でもそういうところを見たわけですが、いかがでしょう。
○参考人(天野重知君) 地元の率直な感じを申し上げますが、第一点は、法律問題は別として、富士山麓における最高の経済価値を有する二百十ヘクタールという土地が、国有財産審議会等の意見を徴さずに、一部事務組合たる思賜林組合に払い下げが特定されているということについては、地元民は、法律問題は別として、非常な疑惑を持っています。不安を持っています。
 それから第二点は、恩賜林組合は二千ヘクタールにも及ぶ山梨県随一の山林持ちであります。しかも、その組合は、組合地三百町歩をも富士急行に売り渡した。富士急行の今日をいたす非常な大きな役割りを演じておるということ。そういうところへ、一体、そんな大地主、しかも今度この払い下げといいますか、閣議了解がある、どういう関連か。その意味は、もう六十ヘクタールというものをまた富士急行へ貸すという議決、仮契約をしたという点、これが第二点です。
 それから第三点でありますが、払い下げの理由を、林業再建整備と言っております。問題は私はそこだと思うのです。恩賜林組合は、かつて、演習による被弾の被害として組合有地の一部からたいへんな被弾木補償をいただいております。それから第二として、これは全国に一つも例がないのですが、そのまた被弾木地域を利用して、林業経営阻害という、日本にたった一つのまた補償をいただいておる。しかも今度は、そのまたそれを理由にして、国有地二百十ヘクタールと、岳麓唯一の最高の経済価値を有する土地を払い下げようとしている。そこで、問題なのは、今度の新しい使用協定を見ればおわかりのとおり、着弾は国有地だけで県有地はいたしませんと、こういうことになっている。にもかかわらず、二百十ヘクタールが内定しておるというようなことに対しまして、地元は非常な怒りを持っております。
 さらに申し上げたいことは、時間があれですから簡単にしますが、その林業再建整備ということですが、一体これはどういうことかと。私の調査したところでは、林業再建整備じゃないんだと。あそこに白樺とかモミを植えて遊歩道をつくって、下に山菜を植えて、そうして一大苑圃といいますか、一大観光的な商売にしようというのが、これがはっきりとした――あとで修正するかどうかわかりませんが、これが林業再建整備の実態。それに対する、また民生安定の建物、いろんなものがいくというのが、これが仕組みである、そういうようなことになっております。これも非常に不満であります。そして、これを要するに、地元といたしましては、いま防衛施設庁当局のやり方は政府とは言いません、防衛施設庁当局のやり方は、防衛施設庁の言うことをきく者に対しては、国家予算も国有財産も、違法、不当おかまいなしにお渡しすると。しかし、その政策を批判し、その政策に対して異見を持つ、異なった意見を持つ者に対しては、財産権、生存権、さらに、さらにさらに人権までも侵していると。こういうことに対しまして、地元民は率直に、軍事優先の金権政治が出た、しかも、国民無視の強権政治が出たと言っております。これは岳麓全体です。実際は。ことにまた、忍草部落においては、それにとどまらない、まさに恐怖政治時代じゃないか、四十年以降の忍草に対する謀略、弾圧、この実態を知るとき、まさに恐怖政治じゃないかと、これが……。
○委員長(高田浩運君) 参考人には、本日はお忙しいところを本委員会のために御出席くださいまして、ありがとうございました。ここに御礼申し上げます。
○岩間正男君 委員長、私の予定時間を減らしていいから、もう一つ、いまのに関連して。私のは減らしていい。四十分あるのを二十分にしてけっこうですから。
○委員長(高田浩運君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(高田浩運君) 速記を起こして。それでは、引き続き質疑を行ないます。神沢君。
○神沢浄君 質問に入ります前に、委員長はじめ委員各位にお礼を申し上げておくんですが、懸案の質問の機会を与えていただいたことをありがたく思っております。
 そこで、私はきょう、主として、四十八年の四月十七日に北富士入り会い権の問題に関するところの政府の統一見解というものが出ているわけなんですが、当委員会でもいただいておりますが、この統一見解に基づいて質疑を行なっていきたいと、こう思うのでありますけれども、質問の参考として……。
 実はこの統一見解なるものは、これで二度出ているわけであります。昨年四十七年の八月二十二日、それから、さっき申し上げた四十八年の四月十七日と、両度にわたって統一見解が出されております。時間の関係もありますから、全文すべて読んでいただくのは避けたいと思うんですが、最もこれからの質問の中心にしていこうと考えております国有地に対しての入り会い権の否定の根側を述べておる前段がございますから、この両統一見解について施設庁のほうからちょっと朗読をしていただきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 初めに、この席をお借りして、ごあいさつをさせていただきます。
 私、御承知のような事情で、私にとっては青天のへきれきでありましたけれども、今回防衛庁長官に就任をいたしました。当内閣委員会においては、いまだ委員会に私が呼ばれておりませんでしたために、正式なごあいさつがおくれておりますが、いままで長年月の間、前国務大臣でありましたときの皆さま方の御指導を心から感謝いたしますとともに、今回は立場が違いまするために、問題がいろいろあると思いますが、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
 一言就任のごあいさつといたします。
○政府委員(平井啓一君) いわゆる明治初年、地租改正のときに官有に編入された土地に関する政府見解の部分というふうに了解さしていただいてよろしゅうございますか。
○神沢浄君 ですから、その二度出してある統一見解の全部を読むと時間がかかるから、国有地に関する前段の部分だけを対照的に読んでください。
○政府委員(平井啓一君) 昨年八月二十二日に政府統一見解が出されております。その官有地に編入された部分に関します見解は、
  官有に編入された土地(国有地)については、従前かりに入会権が存在してきたとしても、官有編入処分により一切消滅したものと解される。この見解は、大正四年三月一六日の大審院判決によって示されているところであり、政府としては、司法の最高機関の下したこの判例に従うのが妥当であると考える。
 これが昨年の八月二十二日の見解でございます。
 この部分に該当します本年四月十七日の政府統一見解は、まず冒頭に、「昭和四八年三月一三日の最高裁判所判決の趣旨にかんがみ、標記に関すする見解を左記のとおり改める一ということで、
  官有に編入された土地は、明治二二年御料地に編入され、ついで同四四年山梨県に下賜され、県有地(恩賜県有財産)となったが、その一部は大正五年恩賜県有財産保護組合(以下「恩賜林組合」という。)に払い下げられ、さらにそのうちの一部が民有となった。これらのうち県有地、恩賜林組合有地及び大部分の民有地は昭和二年から一三年にかけて国(旧陸軍)に買収され、さらに残る民有地も戦後国(調達庁)に買収され、国有地として現在に至っている。
  これらの土地に関する地元住民による林野利用は、官有地編入当時かりに入会権によるものであったとしても、その後大正初年にかけて土地の所有者又は管理者により林野利用に関する諸規則が定められ、地元住民の利用は土地所有者等の監督のもとに置かれるに至り、土地利用の法律関係も昭和初年に至るまでには入会権とは全く別個の人工造林又は桑の栽培を目的とする借地契約及び人工造林を目的とする部分林設定契約等に変化しており、入会権は消滅したものと考えられる。
  また、国(旧陸軍)が土地を買収するに際して土地所有者は国に対し一切権利の附着しない完全な所有権を移転することを承諾し、土地利用者に対し相当な補償がなされているので、おそくとも買収後においては入会権が存在したとは考えられない。
 以上でございます。
○神沢浄君 そこで、これは両度の統一見解を文書でみますと、発行者は防衛施設庁名であって、(政府統一見解)、こうなっているわけであります。そこで、政府統一見解というからには、私は、当然内閣の統一した意思として出ておるものと思われますから、きょう内閣官房長官にも出席要求をいたしたのでありますが、どうしても御都合がつかないということでもって事前に連絡がございまして、私の分まで山中防衛庁長官に答えてもらうようにするから、それでひとつ了承してほしいと、こういうお話がありましたので、まあ私も考えまして、御都合がつかないのをそれ以上の無理を申し上げるわけにもいかないですし、加えて、私は、先ほどごあいさつがありましたが、山中防衛庁長官が就任をされたということに、ひそかに一つの期待を持っている一人です。
 というのは、どうも従来、この入り会いの問題をはじめ、北富士演習場にかかわる問題の審議につきましては、語弊があってはいけませんけれども、どうも防衛庁や防衛施設庁の答弁というのは、まことにお役所的答弁に終始をしておりまして、問題の核心などに触れ得ないし、何かほんとうに、お互いに住民のことを考え、あるいは国民の権利のことを考えてやっていかなければならないような点に実際親しく触れてまいらないようなことに終始してきておるわけであります。そういう点は、私の考える限りにおきましては、山中長官のフレッシュな感覚に、ひとつ今後の審議の中でも大いに期待をいたしたい。私は、実は、この間の例の不発弾の暴発事故もございまして、あの際、何か立ち入りを禁止するとかいうようなことがいろいろ言われたときに、就任早々の長官のところへ持ち込んだならば、国民の足をとめるなどということはできないということを、一言にして、まことに歯切れよく言われたという、あの事実からしましても、実は私は、今後この北富士演習場問題というものに対する長官の歯切れのよい対応というものを期待をいたしてまいっておるところでありまして、したがって、きょうの論議につきましても、ひとつ忌憚のない御質問を申し上げますので、ぜひひとつ実りのある審議にしていただきたいと思うわけです。
 そこで、いま両見解を対照をして読んでもらいました。お聞きになっておっておわかりのように、昨年、入り会い権を認めない理由として掲げたのは大正四年の大審院判例であります。そこで、私は、入り会い権の問題というようなもの以前の問題として、この入り会い権の問題の審議というのが、参議院の当内閣委員会におきましては、私の調べたところでは、少なくとも昭和三十六年以降繰り返し引き続いて今日に及んでいるわけであります。そういう中で、ときには学者の意見も聞きましたり、あるいは関係当事者の意見も聞きましたり、現地の視察もいたしましたり、もうすべての審議の方途をとりながら積み重ねてまいりました。そこで集約されたものは何かというと、昨年の統一見解がいっておりますように、現実の問題として入り会いの慣行というものは、これはもう存在することは当然だけれども、大正四年の大審院判例なるものが司法の最高意思として存在する限りは、これは行政府とすればそれに従わざるを得ないという、これが実は今日まで十年を越えるところの長期にわたる論議の集約であったわけです。
 これは私が参考までに申し上げますけれども、昨年の四月の論議の中で、私の質問でこういうことを言っているわけであります。「それじゃ質問を続行しますが、施設庁長にお伺いしておきますが、一つ一つ片をつけていきたいと思うんですが、先ほど来ずっと論議をしてまいりました入り会い権を認めないという根拠は、これはもう私が午前中からの論議を通じて認識するところでは、大正四年の大審院判例のみを根拠にしておるというふうに受け取れますけれども、それでよろしゅうございますか。」、こう聞いたことに対して、いまの次官、当時の施設長官でありました島田長官から「この件につきましては、今朝法務省のほうからも御答弁がございましたように、大正四年の大審院判決もございまして、その後これをくつがえすだけの新しい判例が出てきておらない。したがいまして、この考え方はその後も継続的に国としては持っておる、こういうことでございまして、私どもの国有地の入り会い権の問題につきましては、けさも申し上げましたように、大審院の判決を根拠にしておるわけでございます。」、こういうふうに答えておるわけであります。さらにその後、たしか十月であったと思うんですが、当委員会においての審議の中におきまして、当時の足鹿委員から、さっき参考人が述べましたような内容についての発言がありまして、そうして政府の見解を尋ねたことに対しまして、山下官房副長官は、こう答えているわけです。「御意見は十分承りましたが、政府といたしましては、司法権の意思というものが最終的に最高裁の判決で示されている限りは、それに従うことであると考えておるわけでございます。」、そこで足鹿委員から「これは重大な御発言を聞いたわけですが、まだ最高裁の判決は出ておりません。近く出るでしょう。そのときにはそれに従うという御意思と私は受けとめます。注目いたして今後に対処したいと思います」、こういうふうなやりとりが行なわれているわけであります。
 その後、御承知のとおり、本年三月に青森判決が出ておるわけです。最高裁におけるところの青森判決は、国有地上に入り会い権が存在する旨をはっきりと明記をいたしてまいっておるわけであります。国側が述べてまいっておりました司法の最高意思なるものが、あらためて示されたわけであります。ですから、私は、当委員会十年越しのこの審議は、そこでもって最終的にこれはきまったんだというふうに考えていたところであります。もう当然、自動的に国有地上の北富士の入り会い権につきましては、あの判決と時を同じゅうして確定をいたしたものというふうに判断をいたしていたところであります。ところが、先ほど対照して読んでいただきましたように、またまた新たな統一見解なるものが政府から発出をされておるわけでありまして、その統一見解の内容というのは、さっき朗読をいたしたごとくに、従来政府が述べておりましたその根拠は、全くこれはもう、たなに上げてしまわれて、そして全然新しい説明をもって入り会い権を否定をいたしてまいっておるところであります。
 その入り会い権問題の内容は私はあとから触れたいと思うんですが、入り会い権問題の以前の問題として、それじゃ十年越しの当委員会の審議の経過と事実というのはどうなるのか。私は、立法府と行政府との関係、国会と内閣との関係という、非常に重大な意味を投げかけてまいっておるではないかと思うわけであります。申し上げるまでもございませんけれども、憲法において、国会が国権の最高機関だというふうに定められているわけです。しかも、わが国におきましては議院内閣制であります。そういう中でもって、十年をこえるような長期にわたっての審議が当委員会でもって積み重ねられ、積み重ねられ、その集約として、司法の最高意思が、大審院判例が出ておる限りはしかたがないという、こういう政府態度であったものが、それが改まった以上は、どうしてこれが自動的に確定できないのか。これでは、まるっきり、この委員会の十年をこえるような長い間の審議というものは、全くこれは無視されて、弊履のごとくほんとうに内閣から無視されてしまっておるという、こういうことになっているわけであります。その点につきまして、先ほども申し上げましたように、官房長官にかわっての立場も了承いたしているわけでありますから、山中長官から内閣としての見解をお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(高松敬治君) 従来の答弁との関係でございますので、私から先に御答弁申し上げます。
 確かに、従来の政府の見解は、いま御指摘のように、大正四年三月十六日の大審院判決というものを根拠にいたしまして、官有地編入処分により処分が行なわれれば、そこで入り会い権が消滅したんだということを根拠にいたしております。その後の問題については、特に論ずるまでもない、この時点でまずそういう一つの形を、官有編入処分というものがあればそこで一切消滅したんだ、こういう見解をとって、四十七年八月二十二日の統一見解もそれを基礎にいたしておるわけでございます。
 そこで、今度の四十八年三月十三日の最高裁の判決が出まして、これは、いまも御指摘のように、官有地に編入されたということだけでは直ちに入り会い権が消滅したことにはならないということを前提にしている。その点では従来から政府が説明していたことは否定されたと、こういうわけでございます。ただ、この判決も、そのあとで、官有地に編入されたという、そういう一つの行為だけで入り会い権が全部消滅したということにはならないのだけれども、その官有地に編入された後においても、入り会い権が存続しているものと存続していないものがあるという二つをはっきり指摘しているわけであります。で、本件の青森県の扉風山の土地については、いろいろな論点をあげて入り会い権は存続しているのだということを主張しているわけであります。第二回目の私どものほうの政府の統一見解、四月十七日の統一見解は、この最高裁の判決に立脚いたしまして、北富士の場合には、事実関係から申しますと、むしろ入り会い権が、形態を異にする権利関係に移行したもの、あるいは入り会い権が事実上消滅したもの、これに該当する、最高裁判決にいうこのタイプに該当するということをここに書いているわけでございます。その点では、従来のいろいろな御審議から、官有地に編入されたということで、直ちに入り会い権が生ずるということには、この最高裁の判決の趣旨からいっても、それはならないと私は思います。
 そういうことで、政府の統一見解というものは一回目と三回目とその根拠は異にしておりますけれども、いわば形式的な面よりも、むしろ実体面について、そういう最高裁判決の趣旨に従って政府の統一見解をつくった、こういうことになるわけでございます。
○神沢浄君 私は長官の答弁を求めているわけでありますが、長官の答弁をいただく前に、いま施設庁の長官からの説明がありましたから、関連をして申し上げますけれども、先ほども言うように、今日までのその十年をこえるような長きにわたった当委員会の審議の中で、今回政府が入り会い権否定の理由としておるようなことがただの一度でも出ておりますか。これは出ていないのです。いままでの論議の中で。要するに、一口に言えば、恩賜県有財産の管理条例というものに基づいて従来入り会い権があったとしても、今回の青森判決でそれを認めることになったとしても、実は北富士におけるところのあの入り会い権の問題は、権利の近代化というか、違った形態の権利に移行しておるということを国は言いたいわけでしょう。そういう論議がこの一度でもなされたかという点が一つある。こういう論議がただの一度でもなされておれば、いま突然としてこの理由が提示されても、われわれは別にそれはふしぎに思いません。しかし、その長い間の論議の中でもって、ただの二度も出ていないんですよ。さっき足鹿委員と山下副長官のやりとりのところを私が朗読をいたしましたが、あの山下副長官が答える前の非常に長い足鹿委員の発言というものがあります。その発言等に対する応酬の中におきましても、政府は一度もその権利近代化の問題などについては触れてはいないのです。きょうまでただの一度も、今回理由として提示したものは、政府発言の中にはないのです。今回急に新しい統一見解の中にそれを持ち出してきておるということは、これは私は問題にならないと思いますし、したがって、私は、それは入り会い権の内容の問題ではなくて、次元のずっと高い問題として、十年にわたる国会の審議というものを弊履のごとく無視してそれでいいのかという、国会と内閣との関係という、立法と行政とのかかわり合いという憲法上の問題からいたしましても、そのことに対しての内閣の意思をまず先に聞いてかかりたいと、私はこう思っているわけです。(「長官に答えてもらわないと……、防衛庁長官に。」と呼ぶ者あり)
○政府委員(高松敬治君) その前に私から申し上げます。
 確かに、いま御指摘のようなことで、政府としては従来から大審院の大正四年の判決を基礎にしておりました。これは、先ほども申し上げましたように、この点について明らかであるから他は論ずるに及ばないといいますか、他の点についてはいろいろ言及しなくても、この大正四年の判決というものによってやればいいと、こういうふうに考えていたわけです。ただ、今度の第二回目の統一見解に出ましたような考え方というものは、軍は政府内部としては急に出てきた見解ではございませんで、たとえば昭和四十七年六月十三日に忍草入会組合との損害賠償請求事件について法務省が出している準備書面がございます。その中に入り会い権はないんだ、ということを論じておりますことの論理の仕組みは、まず第一は、大正四年の判決によって、まずないんだ、その次に、もししかしこれが否定されるとしても、いま統一見解にありますような、第二回目の統一見解にありますような、権利関係の変遷によって、すでに陸軍が買収する前に大体消滅していたんだ、第三番目として、もしそれがかりに消滅していないとしても、陸軍が買収した時点において権利の付着していないものを取得したんだからその時点において入り会い権はなくなっていると考えられる、あるいは富士山麓土地の問題等も引用いたしまして、そういう点からなったんだという、いわば三段がまえの論法をとって、その準備書面が構成されているわけです。これは去年の六月の問題でございます。こういう点につきましては、私どももこれについていろいろ当時参画をしてこの主張をつくったわけでございますけれども、そういうことで、まず第一段階という、その一番最初の段階においての問題が国会で従来論議をされておったと、こういうことに承知しているわけでございます。今度の判決にいたしましても、最高裁の判決の摘示している点に従ってこれをつくっているわけでございまして、その点においては、従来の国会の審議を軽視して突如として出した、あるいは司法の最高機関の判決に違反して出したと、こういうことにはならないと考えます。
○国務大臣(山中貞則君) これは、法務省も含めてのいろいろの法律論が存在すると思いますが、ただ内閣として、国会において、ことに当委員会で累次繰り返されてきた議論の前提は、ただ一つ大審院の判例のみであったということが事実でありまするならば――ということは、私自身はその論議に参加しておりませんので、この第二回の本年の四月十七日の統一見解、この際において、従来の政府の答弁してまいったことについて言及をして、その点は自分たちの主張が存立し得なくなったということの事実をやはり書き加えておくべきであっただろうと、そう思います。
○神沢浄君 私がお聞きいたしましたのは、もう少し次元の高い問題としてお尋ねをしておるわけでありまして、内容はあとから触れてまいります。内容はあとから触れてまいりますが、ごく端的に申しますと、繰り返しになるんですけれども、十年に及ぶような当委員会の審議というものが、実は全然これはもう、新しい統一見解とのかかわり合いにおいては無視をされております。全く無視をされておるわけであります。こうなりますと、それでは、俗語に従えば、国会がなめられたということになるのではないですか。私は、憲法のもとにおいて、内閣は国会に対して責任を当然とらなければならないと思います。そういう意味合いから、国会と内閣とのかかわり合いの上で長官にお聞きをいたしたいのは、そういう事実の上に立って内閣はどういう御見解で今度の新たな統一見解というものを出されたのか。国会なんか無視したってかまわぬ、自分たちの都合のためには、いままでの審議の経過なんというものはねじ曲げたって、全く御都合主義の立場でもって新しいものを押しつけてでも押し通すと、こういうようなことにしか私どもには受け取れないですよ。ですから、その点でもって、内閣としての国会に対する御意思というものを、御所見を承りたいと、こう聞いておるわけでありますから、ひとつそのお答えをいただいて、それから今度は内容的、具体的問題に入りたいと、こう思っております。
○国務大臣(山中貞則君) 内容の問題について、私がここで答弁するのは、まだ少しく未熟である点もございますので差し控えますが、私は、この統一見解が出された後、当委員会において議論が全くなされなかったのかどうか、そこらのところもよくわかりません。されていないとすれば、現時点において責任者は私であります。したがって、内閣全体を代表して私が言うわけにはまいりませんが、少なくともこの文書は防衛庁ということで、私は、これに政府統一見解と書くことが少し奇妙に感じられますけれども、少なくともこの文書の作成は防衛庁の外局たる施設庁がつくったものであるということでありますから、その責任は現時点において私にあると思います。したがって、この第二回目の四月の政府統一見解というものが、いままでなされた議論が全く大審院判決の大正年間になされた結論だけを前提にして、それ以外の問題については、そのこと自身が存在しないから種々の問題点はもう議論する必要がないということで終始しておるんだということでありまするならば、当委員会に対しまして、私ども政府、すなわち連帯して国会に責任を負う閣僚として、また主管大臣として、いままでの議論と今回の統一見解というものがその前提条件において大きく変化しておるその変化を認めなければならぬと思います。そして、その変化したことについては、やはり変化しても、なお、その今回の最高裁の判決の内容から見て直ちに消滅したと思われない分野のものにこれは属するんだということについて、いま少しく懇切、あるいまはた正確な今日までの論議の過程を踏まえた表現であってしかるべきであっただろうと、こう思いますが、現時点においては、このような文書はすでに公にされておりまするために、私自身が現時点において遺憾な点があったということを認めざるを得ない、それだけであると思います。
○神沢浄君 ちょっと関連でもってお尋ねをしたいと思うんですけれども、法制局、見えていますね。冒頭申し上げたように、これは、政府統一見解、こうなっておりますけれども、その発行者は防衛施設庁ということになっておるんです。これは実際、政府統一見解ですか。政府統一見解ということになれば、少なくとも閣議で決定するとか、了解をするとか、手続が踏まれていなければならないだろうと、こう思うわけです。だから私は官房長官の出席要求をしたのだけれども、山中長官ならば私にかわってという話ですから、したがって、山中国務大臣が官房長官にかわってお答えをいただければそれでもよろしいですと、私は承知をしておいたわけであります。そこで、法制局に尋ねますが、これはほんとうに政府統一見解ですか。
○政府委員(角田礼次郎君) 書面に書いてありますとおり、政府の統一見解でございます。なお、防衛施設庁というふうに書いてございますのは、政府の統一見解ではございますけれども、主管庁が防衛施設庁であるという意味だと思います。なお、私どもの関係から言いますと、防衛施設庁から御相談がありまして、法制局長官まで決裁をやったわけでございます。
○神沢浄君 長官、法制局の長官にも出席の要求をしたのですけれども、これまた総理大臣と一緒でなきゃならないという御都合だそうでありまして、かわって代理の方がお見えになっておるんですが、いま、政府統一見解でありますと言われても、何かそのまま受け取れないような感じがします。
 そこで、長官にお尋ねをするんですが、これは政府統一見解として認めても、責任を持っていただけるかどうか、その点をもう一つお尋ねをしておきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) これは関係各省の大臣決裁も得ているものだそうでありますから、政府が一つの事柄について国会に対して統一された見解を示すということにおいて、別段手順上おかしい点はないと思います。それはよく防衛問題等において議論が起こりました際に、急遽休憩などがなされまして、その間に総理をもとに関係大臣が集まりまして、これが最後の最終かつ統一された見解でありますというようなことを委員会の席上等で述べておる例も私も見ておりますので、手続としては別段統一見解ということがおかしいという点はないのじゃないかと思います。政府が責任を負える文書であるということであります。
○神沢浄君 貴重な時間でありますから、私は重大な問題だから詰めたいと思うんですが、そこで、委員長にお願いですけれども、いままでの応酬の中では、これは決して本意が尽くされておりません。私は、当委員会として今日まで、繰り返すようだが、十年の上に及んでの審議を経過してきておる問題だけに、後日でけっこうでございますから、委員会として、さらにこの問題の審議につきましては、ぜひお取り上げをいただきたいと存じます。そういうことにして、次の問題に移っていきたいと思います。
○鈴木強君 ちょっと関連。
 政府の統一見解について、これは防衛庁長官にひとつ伺っておきたいのですが、いま法制局でも政府統一見解ということを明確にしていたんですけれども、これはすでに予算委員会、私、法務委員会でも、四十八年四月二十四日法務委員会、政府の統一見解が出ましたあと、この問題について私が質疑をいたしました際に、政府の統一見解ということになれば、常識的に見ると閣議がこれを了承する、あるいは決定する、こういう姿が私は正しいと思うんです。そういう意味で質疑をいたしました。ところが、いまお答えのように、この統一見解というのは大蔵省と法務省、林野庁、内閣法制局、それから防衛施設庁の各関係大臣が決裁を得て統一見解ということになっているわけです。昨年出したのもそうなんですよ。ですから、このやり方はまずいということを私は申し上げまして、確かに政府の統一見解としては閣議の了承を得るほうがよろしいということはおっしゃったんですね。ですから、そういうふうにちゃんとしてもらいませんと、何かこう統一見解そのものが表現上の内容が違っておるという、そういう私は印象を強くするものですから、これは形式的なことのようですけれども、非常に大事なことですから、今後ひとつ少なくとも政府の統一見解として出す場合には、閣議の了解を得るようにしていただきたい、これをひとつお願いしておきたい。
○国務大臣(山中貞則君) いまのは鈴木さん、法務大臣がそういう意向の答弁をされたということですか。
○鈴木強君 そうだ、そういう点もある。それから――そうですね、法務大臣だね。
○国務大臣(山中貞則君) 私も閣僚をいたしておりましたから、統一見解の態様はいろいろあると思いますが、しかし、長年月にわたって論議を呼んだ問題であって、そして、それに対しては今後もまだ議論が続くであろうと思われるような問題については、やはり政府の関係各省の大臣決裁まで経たものを統一見解として示すのでありますから、少なくともその統一見解に背反するような意見は存在しないということを証明したものであると思います。しかし、それは法務大臣のそういうような意味の御意見もあるとするならば、手続上はたいへんおくれますけれど、私の請議による閣議報告をいたしまして、それから了解事項ということできちんとしたものにいたすことにいたします。
○鈴木強君 それから、さっきから基本的な問題で神沢委員が質問をされているのですけれども、あなた方は大審院判決というものを二つに分けて、一方は、政府の見解が間違っておったから、最高裁の判決が出て、それに従います。一方は従いません。それは屏風山の事件と内容が違います。そういうことで逃げようとしています。これは法務委員会でも明確にそうおっしゃっているのです。ここに、前段のところについてあなた方は非常に主張しているわけですね、判決の。そこに、「もっとも、その後官有地上の入会権を整理し、近代的な権利関係を樹立しようとする政策に基づいて、従前入会権を有していた村民の官有地への立入りを制限し、あるいは相当の借地料を支払わせて入山を認めることとした地域があり、このような地域においては、従前の入会権が事実上消滅し、あるいはその形態を異にする権利関係に移行したものと見られる」、こういうところがあるのです。これを非常にかわいがって解釈をして、そうして北富士には入り会い権なし、こういうことを言っておるのですよ。さっきも神沢委員がおっしゃるように、従来ただ一つのよりどころは大審院判決にあったわけですから、その判決がくつがえされた以上は、すなおに政府はそれに従っていくべきことが筋ですよね。たまたま判決の中にこういう点があるのだが、たとえば、それでは「従前入会権を有していた村民の官有地への立入りを制限し、あるいは相当の借地料を支払わせて入山を」認めた地域、こういうのが北富士のどこにあるのか。そういう具体的な問題についてわれわれ国民が納得するようなものを出していただかなければ、抽象論じゃこれはいけないと思う。そこいらはどうなんですか。具体的にどこがどうだということを……。
○政府委員(高松敬治君) たとえば、先ほどももちょっと参考人からもお話がありましたが、明治四十五年の三月に山梨県恩賜県有財産管理規則というものが出ております。これについては、あるいは解釈のしかたもいろいろあるかもしれませんけれども、この時代におきまして、一つ、法の責任を組合に課するとともに、交付金、制度を設け、あるいは小芝、下草採取地域を設定してこれを貸す、あるいは部分林制度をつくるというふうなことが行なわれております。それからまた小作地として小作料を徴収して地元住民に貸しつけたという土地がございます。これらの貸し付け地の小作権は、相続はもちろん、地元住民間で自由に譲渡することも認められておったというような状態もございます。詳しく申し上げるとこれはむしょうに多いのですけれども、いろいろな観点からいきまして、そういうふうに入り会いの態様が非常に明治の初年から大正の初めにかけて変わってきたのだということを申し上げているわけで、そういうことを主張しているわけであります。
 それから大審院判決の考え方というのは、こういう二つのタイプがあるということにつきましても、これも急に出できた考え方ではございませんので、いままでの下級審の事例でも、こういう考え方が二つあるということは幾つも言っているわけでございます。最高裁判決の見解も、二つあるということにつきましても、新しく最高裁で出てきたということではございませんで、従来の下級審の判決の中にもこういう主張が幾つかあるわけでございます。いずれにいたしましても、私どもとして、大審院判決が否定されたから急に突拍子もないものを持ち出してきたということではございません。いろいろな従来の経緯その他にかんがみまして、こういう考え方が妥当であると、かように考えて統一見解をつくったわけでございます。
○鈴木強君 施設庁長官ね、あなた、何と言うのかな、一流の役人の、ことばの言い回しをうまくやっているんですけどね、それはいろいろあったでしょう。あったでしょうけれど、さっきも神沢委員のおっしゃるように、十年間の参議院における論議の中で、政府がただ一つよりどころとしてきたのはやっぱり大審院の判決でしょう、大正四年のね。ですから、それが変わればね、それに従いますと、いまはとにかく大審院の判決がありますから、行政府として、ただ一つその大審院の判決によってやるのが当然の責務であるということをおっしゃっているわけなんです。であるならば、北富士はいまにそういうことが始まったわけじゃないでしょう。部分林の問題にいたしましても、小作料を払ってどうとかいう話はいま始まったばかりじゃないでしょう。そんなものは厳然たる事実としてあったわけですからね。そういうことも、最高裁の判決があったとすれば、あわせてここで述べるべきですよ。そうじゃないんだ。要するに、前段で言っているようなことではなくして、その本文の中にある「官有地に編入されたとはいえ、その地上に村民の植栽、培養を伴う明確な入会慣行があるため、これが尊重され、従前の慣行がそのまま容認されていた地域もあり、このような地域においては、その後も官有地上に入会権が存続して」いると解釈する、このことが正しいんですよ。あなた方は都合のいいような一方的な解釈をしては、そして一番大事な国民の基本にかかわる権利を奪いとろうとするような、そういうやり方は絶対承服できない。これはもう私は法務委員令でも平行線で、一応論議を打ち切っておりますけどね。そういう三百代言のようなことでもって、この大事な個人の権利というものを見過ごすわけにはいきませんよ、これは。なぜもっとそれは親切にそういうことを言わなかったんですか。いま降ってわいてきたようなこと言ってるじゃないですか。そうじゃなかったとするならば、なぜこれだけ詰めた論議をする中で、これこれこういうふうなこともございます。これは大審院判決によって入り会い権は認めておりませんと、したがって北富士もこういう例です。ということを言えなかったはずないですよ。それを念には念を押して、どこに問題がある、大審院判決だと、ただ一つか、そうだと、それじゃそれが変わったら従うか、従いますと、こう言っておきながら、いまになってそういうことを持ち出してするのは、これはへ理屈というものであって、そういうことでは私はいけないと思うんですよ。あなた方の解釈は絶対これは納得できないです。
○政府委員(高松敬治君) 大正四年の大審院の判決の際に、実体的ないろんな問題というものもあわせて論議の、あるいは答弁の内容をなしておればそれが一番よかったかと思います。実際に下級審の判決なんかでもいろんな形態のものがあったわけですから。それから下級審の判決につきましても、いろいろ御引用になって御質問もあったはずでございます。私も一、二それを伺ったことがある。そういうことではそのほうがよかったかと私は思いますけれども、一応大正四年の大審院判決というものを前提にすれば、前提にしていく限り、他は一応議論をする必要はない、まずこれを前提にして考えていこうというのが従来からの態度でございました。
 それで、本件の土地について、北富士の場合、三月十三日の最高裁の判決の中の屏風山事件の判決というのは、その判決の事件の内容は、その前をごらんいただくと、そこに書いてありますけれども、要するに、旧幕時代から「津軽平野の開発のために防風、防砂の目的で」 「地元の農民らに黒松や雑木を植栽させた」。それで、それの「植林事業の一環として、当時地元であった広岡部落の部落民が黒松や雑木を植林したもので、その植林の功により広岡部落民は本件土地に立ち入って、防風、防砂の目的を害しない範囲内で、風倒木、害虫木、雑木等を採取して薪炭材等に利用していた」というふうなのが判決の摘示する事実でございまして、まあこれは入り会い権のある形としては非常にこう典型的なものだろうと私どもは思うわけでございます。これに比較いたしまして、北富士の場合はこれとはかなり趣を異にしている、かように考えられるわけでございます。
○神沢浄君 まあ、苦しいようですけれども、私は真実こそこれを追求しなければならぬと思いますから、続けてお聞きをいたしておくんですが、この青森判決の中で、前段はさつき鈴木委員がお読みになったように出ておりますね。おそらく政府が、内閣がそのよりどころというか、しがみついたのは、「もっとも、その後官有地上の入会権を整理し、近代的な権利関係を樹立しようとする政策に基づいて、従前入会権を有していた村民の官有地への立入りを制限し、あるいは相当の借地料を支払わせて入山を認めることとした地域があり、このような地域においては、従前の入会権が事実上消滅し、あるいはその形態を異にする権利関係に移行したものとみられる」、これにこじつけようと、こうなさっておるのだろうと思います。しかし、判決はさらに続くのでありまして、「一方、官有地に編入されたとはいえ、その地上に村民の植栽、培養を伴う明確な入会慣行があるため、これが尊重され、従前の慣行がそのまま容認されていた地域もあり、このような地域においては、その後も官有地上に入会権が存続していたものと解されるのである。」、こうなっております。北富士の場合は、これはその最後のほうに該当するのです。大体今度の統一見解を見ますと、借地権に変わったり、部分林に変わったり、こう言っておるのですがね、部分林というのは何ですか。これは、「その地上に村民の植栽、培養を伴う明確な入会慣行があるため、これが尊重され、従前の慣行がそのまま容認されて」いるということに該当するのでありまして、部分林というものは一つの入り会い権です。これはまことにこの判決なるものは明確ですよ。政府は、その前のほうの北富士の事情に少しも該当しないほうの部分だけをとって、何か権利の近代化だというようなことを強弁しようとされているようでありますが、私は、それは非常に大きなまあ誤りというか、故意にねじ曲げようとしておることにほかならないと思うのです。
 お聞きいたしますが、北富士入り会いにつきまして、実は恩賜林の組合が数年前に、東京大学の――これは入り会いにつきましては日本の最高権威の一人ですね、川島教授。その川島教授に依頼をして、というのは、国がなかなか入り会い権を認めないから、そういうことでもって川島教授に依頼をして鑑定をしてもらったものがあります。鑑定書があります。これは昨年の現地視察の際に、当委員会では現地から入手をいたしまして、この委員会の審議はこういうものに基づいて今日まで行なわれてきておるわけであります。この鑑定書を読んでいますか。
○政府委員(高松敬治君) 読みました。
○神沢浄君 じゃ読んでおるとすれば、この鑑定書の結論というのはこうなっていますね。
  山梨県有財産に対する入会権については、特に次のことを忘れてはならない。それは、今日の恩賜県有財産は元来は地元民の私有財産であったのであり、それが明治初年の動乱期に官民有区分と称する処分によって不法に――本来、私有財産たる住民共有地は官有に没収されてはならないのに――官有に没収されたということ、したがって、地元民はそれに対し単なる利用権的な――いわゆる「地役権的」な――入会権を有するだけでなく、むしろその地盤そのものに対する共有権を有すべきものであったのであり、それゆえ宮内省は地盤を地元民に下戻す方針を一度は立てたということ、したがってまた、入会地が県に下賜されたことによって入会権は、本来有すべき権利をまだ完全には回復していないこと、である。したがって、今の時点において、入会権者の「地役権的」な利用権たる入会権さえも否認するということは、明治政府や御料局すらも完全にはなし得なかったことを、現行憲法のもとであえてすることを意味するのであり、単に法律上違法であるばかりでなく、政治的にも永く将来にわたって不幸な結果を生ずるであろうことは、入会権が圧迫された時代の経験にかんがみて明らかなところであろうと考える。
 こう鑑定は結論づけておるわけであります。きびしいですよ。明治政府や御料局すらも完全にはなし得なかったような非民主的な弾圧的なことを現行憲法のもとであえてするということを意味するものであると、こう言っているじゃありませんか。読んだと言うならば、これに対する反論をお聞きしましよう。
○政府委員(高松敬治君) 四十三年九月十五日のこの鑑定書というのを私も一通り目を通してみました。非常に鋭い議論であると思います。しかし、私どもの立場は、先ほども申し述べました四十七年六月十三日の法務省の準備書面にあるような考え方、こういう考え方のほうがより実証的であるというふうに考えたわけでございます。それで法務省の見解に従ってこういう統一見解をつくったわけでございます。
○神沢浄君 準備書面なるものを私は承知をしておりませんから、いずれまたこの問題については、さらにまた審議を続行しなければなりませんから、次にはひとつ準備書面なるものを提出をしてください。
 それから私は長官にお尋ねをいたしたい。いまの論議の応酬をお聞きになっておっても御判断いただいておると思うのですが、今回のこの統一見解なるものは多分に疑義がある。私は、施設庁の長官という一役所の立場でもって判断をするよりか、やはりその道の権威であるという東京大学の川島教授の鑑定というものに信をおきます。おそらく私は国民のほとんどがそうだろうと思います。少なくとも国民の権利を左右するような問題について、権威ある学者の説というようなものを尊重できないなどという私は行政はあってはいけないと考えるのです。ただ単に論争ならさておいて、そのために国民の権利が無視され、消滅されるのですよ。そんな残酷な行政というものがあっていいでしょうか。私は率直に申し上げますけれども、先ほど来言っておりますように、十年の上にも及んで審議をしてきたその経過も弊履のごとくここでもって無視し去り、しかも権威者の学説をまで、これをも無視して、そうして牽強付会の説を立てて入り会い権の否定をしようというその政府の態度、私はその根拠がわからない。推量できるものは、入り会い権を認めては都合の悪い政府側の立場だけが理由じゃないですか。そんなことでもって国民の権利が無視されていいものでしょうか。私は、行政というものに対する態度について、これは長官の御所見を承りたいと思うのです。
○国務大臣(山中貞則君) 理論的考え方の上では私もそのとおりだと思います。したがって、これが演習場にかりになっていなかったならば、おそらくこういう反論はしなかったであろうというような明確なものであるならば、私はこれはいわゆるあなたのおっしゃったことじつけであるというようなことにもなろうと思います。しかし、林野行政、国の国有林行政の中では入り会い権に関してはずいぶんいろいろなケースがありまして、なお結論を得ていないもの、あるいは私の選挙区でもありますが、屋久島という島あたりでは、それをめぐって四十年の星霜の後に敗北をしたというようなところなどもありますし、したがって、いろいろとケースはあると思います。したがって、このことがたまたま現在自衛隊管理とはいえ提供施設であって、そうして自衛隊が管理する演習地である、したがって、困ることがあるからいままでの所論をすりかえて、したがって、依然として入り会い権を認めない立場を貫こうというようなものが加味されてはならないと私は思うのです。純粋に法理論的に実体というものが入り会い権として証明され得るのか、あるいは入り会い慣行という、いままでの取りきめという形でいくべきが至当な事情なのか、それはやはり法律論と実体論というものを冷静に分析をした後において決定されるべき結論であると、政策上の判断を加えるべきものでないと、私もそう思います。
○神沢浄君 そうあっていただかなければならないと私は思います。
 そこで、大体この統一見解が政府から発表されましたのは四月の十七日だったかと思うのですけれども、四月の十一日に演習場の使用協定は締結をされているわけでありますね。それ以前の参議院の予算委員会において、きょうはお見えになっていませんけれども、たしか上田哲委員から質問がありまして、地元に権利関係でもっていろいろな問題があるので、まあそれらの問題に対しては慎重にしかもその円満な対処を必要とすると、こういうことに対して、田中総理は、そのとおりであるからそうすると、こう答えているわけなんです。であるならば、青森判決によって従来の入り会い論争というものが一つの方向が示されてまいったわけでありますから、私は少なくともそこに入り会い権ありとするならば、これは入り会い権者の承諾を得なければあの協定は締結できないでしょう。そうであるとすれば、国民の権利をとうとぶのが内閣の当然の立場であろうと思いますけれども、そうであるならば、締結以前にどうしてこの統一見解が出されないのか。十一日に締結をしてしまって、あとから何かもう一週間もおくれてから統一見解を出すというような、そういう私は態度自体からして、どう考えましても政府側の御都合主義のこれはこじつけにすぎないと、このように判断をせざるを得ないわけでありますし、同時に、続けてお聞きいたしますけれども、これだけ重要な住民の権利の関係の決定をいたすのに、この恩賜県有財産の管理規則をたてにとっておられるわけですよね、借地の問題にしてもあるいは部分林の問題にしても。施行者である山梨県知事の意見を聞きましたか。あるいは恩賜林の保護に当たっているいわゆる保護組合、保護組合には連合会もあります。その連合会の少なくとも代表者の意見ぐらいはお聞きになりましたか。あるいは先ほど参考人の陳述がありましたが、地元にはその他入り会いの団体も多くあるわけです。こういう利害関係当事者の意見を聞きましたか、この統一見解策定について、どうなんですか。
○政府委員(高松敬治君) 四月三日に使用に関する覚書ができました。十一日からその効力を発効するということになりました。当時すでに最高裁の判決が出ておりまして、これについての検討を関係各省でもやっておりました。それで大体意見が、この判決は、先ほど来申し上げたような理由によって、最高裁の判決に従って検討した結果、やはり入り会い権は消滅しているのだと、いまの近代的債権に移行しているという点、それからもう一つは旧陸軍に買収された時点と、こういうものをとって、その二点をとって、やはり移行している、消滅している、こういうことについては関係各省ともほぼ意見が一致いたしております。それで統一見解を至急つくりたいということで、これは前の増原長官も当時、参議院内閣委員会でしたか予算委員会でしたかで、そういうことを早くつくって提出するということを言明されました。私どももそれで関係各省といろいろ相談して、字句その他をいろいろ修正したり、あるいはその内容の表現その他を検討したりいろいろやって、それがとうとう間に合いませんで、十七日にようやくそれができまして当委員会にそれを提出したわけでございます。その間に鈴木委員からも、統一見解を至急つくって出せという御質問がございました。で、すみやかに出すからということで、気はあせっておったんですけれども、なかなか内容についてのそういうふうないろんな修正検討ということに手間どりまして、統一見解という形になったのが十七日でございます。
 それから第二点の恩賜林組合は、私の承知しているところは、恩賜林組合のみに入り合い権があるという主張をずっと続けておるということでございます。それから山梨県としては、県有地には入り合い権はないというのが、これは従来からずっと一貫してとっている県の態度でございます。まあ関係その他の意見につきましては私どももいろいろ聞いておるものもありますし、あるいは本で読んだもの、論文その他で読んだものもございます。そういうものをいろいろ検討いたしまして、そしてこの統一見解をまとめた次第でございます。
○神沢浄君 統一見解がおくれたという、その経過をくどくどと御説明を受けたわけでありますが、私がお尋ねしたのは利害関係当事者の意見等を聞いたかと、こういう点であります。まあ要すれば聞いてないということですね。県は初めから国と見解を一にしておる、それから恩賜林組合は自分たちにだけ入り合い権があると言っておる、こういうようないま御説明があったわけでありますが、この見解策定について、手続として、当然踏むべき手続として、知事の意見を聴し、あるいは恩賜林組合の意見を聴し、その他入会組合の意見を聴し、こういうことをしたかと、こう聞いているんですが、要するにしなかったということだと思います。そこで、県は青森判決以後においては入り合い権がないなどということは言っておりません、まだ明らかにしておりません。青森判決以前に官公有地には入り合い権を認めないという大正四年の大審院判例に基づいての説明をしていたことは事実であります。しかし、その後、あの判決以後、県は入り合い権の存在有無についてのまだ明らかな所見というものは出していませんよ。それから入会組合の連合会はさきの鑑定書でもって示すように、そういう主張をいたしているわけであります。入会組合はなおさらのこと、みずからの入り会い権を強力に主張している。むしろ今日まで戦っておるわけだ、それを否定する国との間において。そういうようなことを全く無視をして、さっきの説明を聞きましても、ただ省庁間において手間がかかったということだけのことじゃないですか。内閣の中だけでもって手間がかかったということだけのことであって、肝心の利害関係者の意見を全然聞いていないわけだ。私は、それだけでもこの統一見解などというものは全く不備で、全くこれは意味をなさないものだというふうに考えるところであります。
 長官にお尋ねをいたすのですが、どうでしょうか、いままでの応酬を通じてもかなり明らかにされておりますように、私は、この統一見解というものを大体出すまでの間にかなり手続上の不備というものもあるし、それからその学説などまであえて無視をしておるような、この委員会の審議などにつきましても、あえてほおかぶりをしておるような、こういうような策定経過の上からいっても、私は一度これはやっぱり取り下げて、そうしてもう一度検討し直してみたらどうですか。われわれが納得いくようなちゃんと手順を踏んで、そうして根拠を示して、これが政府の統一見解でありますということに私はしていただきたいと、こう思うのですが、その点どうでしょう。
○国務大臣(山中貞則君) 私はよくわかります。わかりますが、政府の統一見解は正当な手順を経て、正当な法解釈の関係者は全部集まって一応やっております。したがって、その決定を白紙に戻すということについては、また私がここで返答できる性格のものでありませんし、この内容について、きわめて重大なる事実誤認あるいは法律上解釈の誤りがあるというようなことでありますならば、これはまた私ばかりでなくて、法務省なり法制局なり、あるいは入り会いについて直接件数の実例を持っております林野庁なり、こういうもの等を、それぞれ検討した後でなければまた申し上げられないことになると思いますけれども、一応四月にすでに決定しておることでありますから当委員会との、内閣並びに最高の決議機関である国会との間の仁義の問題等において欠ける点があったやに私も承りました。それらの点は、現時点において以降は私の責任であります。したがって、鈴木委員から御提唱のありました、きちんとした手続をとれということも、これは私が決断すればできることでありますから、そのことについては私が、そういたしますという御答弁もいたしましたけれども、この一応統一見解として公にされたものをここで白紙にしてやり直すということについては、現時点においてそのようなことはおそらく私としても蛮勇をふるっても不可能なことであるというふうに、いまたいへん遺憾でありますけれども、率直に答えさしていただきます。
○神沢浄君 私は正しいものが守られていく上には蛮勇をふるっていただかなければならぬのじゃないかと思うのです。大体政府だけでもって、なるほどそれは形式的にまあ法律上の討議ぐらいはされたかもしれませんけれども、それは政府の中だけでもってやっただけの問題ではないですか。実はこのことによって、繰り返すようですけれども、貴重なその権利を左右されるようないわゆる利害関係の当事者の意見などというものは全然聞いていない。そんなばかなことが私はあっちゃならないと思うのです。そういうふうな点からいたしましても、これはここでもって、しかし長官は自分の責任だというふうに言われているけれども、私は長官の責任じゃないと思う。その当時長官だったわけじゃないですから、しかし、今日長官として就任をされたからには、そうして本日こういう状況を御承知になられたからには、 ここでもってそれじゃ取り下げようということは無理かもしれませんけれども、少なくともこの問題については、もうこのままでもって放置するというような態度でなくて、私はやっぱり政府部内でもって再検討すべきだというふうに考えざるを得ません。
 それから委員長にもお願いでありますが、お聞きのとおり、この問題というのは決して、私はもとよりですが、おそらく委員の各位をも納得させるだけのものにはいささか不備であろうと思います。したがって、政府がどういう態度を示されるかは長官の良識に待つといたしましても、この委員会としてもなおこの問題については続けて、後日でけっこうでございますから、御審議をひとつしていただきたい。知事も呼んだり、それから恩賜林の組合の代表、入り合い団体の代表、利害の関係の当事者等をひとつ呼んで意見も求めたりして、今後やっぱり重大な問題でありますから、ぜひひとつ審議を続けていくように取り計らいをいただきたいと存じます。
 そこで、時間の関係がありますから進ましていただきますが、私は政府は――個人でもその言動に責任を持たなければならないのは当然のことであります。ましてや、私は政府の立場というのは、今日までの政府の言動というようなものに対して、これは絶対にやっぱり責任というものを持たなきゃならないことであろう、こう思うんですが、さっき入会組合の立場から忍草の組合の天野顧問の参考人としての陳述がありましたが、私の知る限りにおきましては、政府は忍草入会組合に対しましては、昭和三十五年の八月九日、当時の江崎防衛庁長官から、あるいは三十五年の八月二十六日には当時の丸山調達庁長官から、三十六年の九月十二日には当時の藤枝泉介防衛庁長官から、あるいは三十九年には小野裕防衛施設庁長官から、数度にわたりまして忍草入会組合に対して、従来からの立ち入り使用収益をしてきたところの入り会いの慣行を認め、そうしてその慣行を将来にわたって尊重するという覚書をこれは発行をいたしているわけであります。私は今日までの経過を認めて、将来にわたってまで尊重するということになりますれば、これは全く成熟をした慣行でありまして、民法においては成熟した慣行は即権利であります。ただ障害になっておったのは、国有地であったから、したがって、当時としては大審院の判例をたてにとって権利としては認めてこなかったわけであります。しかし、これはもう青森判決でもって大審院判例なるものはくつがえりました。こうなってまいりますと、ほかの入り会い論争というものは多少あとへ譲るにいたしましても、このくらい明確に政府自体が四たびも五たびも約束をして、尊重をして、確認をしてやってきております以上は、当然現時点において、あの青森判決以後においては、これはもう権利として認めなければならないのじゃないか、これが常識じゃないかというふうに私は判断をいたしておるわけであります。これが認められぬということになりますと、これは政府は国民をだました、ごまかしたということにならざるを得ないじゃないですか。その点についての御所見はいかがですか。
○政府委員(高松敬治君) 統一見解で申しておりますように、旧陸軍の買収以前においてすでに権利関係の変遷があって、そこで消滅をしているというのがそこの第一点、第二点としては、少なくとも旧陸軍の買収の時点において、そこで権利の付着しない完全な所有権を国が取得したのだから、そこで入り会い権は、かりにそれまで認めるとしても、その時点でなくなっているんだというのが統一見解の考え方でございます。したがいまして、いまいろいろ御指摘がありましたように、防衛庁長官あるいは防衛施設庁長官が、かつて入り会い慣習あるいは入り会い慣行を尊重するということを何度か申してまいりましたが、これは旧陸軍時代から長期にわたり、国の統制のもとではありますけれども、周辺住民が場内国有地で小芝、下草等の採取を認めてきていたと、これが一つの事実行為として、周辺住民の生業に必要であったので、行政上の問題としてこの長年にわたる慣行を、旧陸軍時代以来からの慣行を入り会い慣習あるいは入り会い慣行という表現をもって、これは政府としても現在もこれを尊重するということを申してまいったわけでございます。
○神沢浄君 まあ、おそらくそのようなことを言われるだろうと私も予期をいたしておりましたが、理由の一つとしてあげるのは、帝国陸軍の演習場として買収をしたときに、地上権は伴わないという、当時の何か契約書か売り渡し証書の上にそのことが記載をされておることは事実です。私もよく承知をいたしております。したがって、それを理由としてあげられておるだろうと思うんですが、これはしかしあの書類を検討してみればきわめて明瞭なようですね。あれは入り会い権者の承諾ではありませんね。地番所有者との間であの契約が結ばれておるわけでありまして、したがって、その書類に入り会い権者の同意書でも付帯をしておればこれはそうでしょう。しかし、そうではないんです。あれは県にいたしましても、あるいは恩賜林の組合にいたしましても、地番所有者である立場でもって政府との間に覚書を取りかわし、あるいは売り渡し証書が残っておる、こういうことにすぎません。入り会い権が消滅をした根拠には全然なりません。全然ならないんです。私はあんなものを大体理由としてあげた統一見解なるものの不見識というものをむしろ問題にしなければいけないじゃないかというようにさえ考えております。
 当時を想起をしていただけばわかるんですが、昭和十一、二、三年というあの当時であります。いわゆる支那事変の直前であります。勃発当時であります。当時の日本は、もうそれこそ当時の陸軍が絶対の権力を持っておったときであります。聞くところによれば、あの演習地の買収などにいたしましても、サーベルをがちゃつかせて応諾をさせたというような、これはもうほとんど地元の人たちが知っておることでありますけれども、しかもあの売り渡し証書をごらんになってみれば、あのくらい一方的な証文というものはないと思うんです。官の都合によってはいつでもその契約ももとへ戻してしまう、こういうような条項が入っておる。対等のものじゃありません あれは。無理はないんです。あの当時の社会情勢を反映しておるわけですから。そういう中で――それはさておきましても、要するに地上権には他の権利など付帯しないなどというようなことを言ってはおりますが、地番所有者がそういう証文を入れたというだけのことで、それじゃ入り会い権者から同意書を取ってあるかといえば、取ってあるわけではない。入り会い権者との間の契約にもなっていないわけです。私は、それこそこんなものは全然しろうと考えに考えたっても法律上何の効力も持たない。しかも実態はどうかと申しますと、当時やはり桑園などが相当ありまして、そうして養蚕に利用されておった部分がかなりあったようであります。そういう桑をこぐわけでありますから、桑園に対するところの実損の賠償といいますかね、そういうようなことをさしておるようであります。あれは入り会い権を含めての権利をさしておるわけじゃありません。そのくらいのことは私はもっと真剣に研究をしていただきたいと思うわけであります。私はあんなものは全然、それこそこれはこじつけにものを言おうと思いましても、これは根拠には絶対にならないものであろうと、こういうふうに考えるところであります。
 そういたしますと、そのことが全く無効であるということになれば、あとは権利近代化の問題以外にない、またもとへ返るようでありますが。その権利近代化ということは、借地権になったり、部分権になったりしているのだということを国は言いたいわけであります。しかし、その部分権というのは即入り会い権なんです。今度の判決の中にだってそれは明らかに出ておるじゃありませんか。植栽等の慣行がその後認められて続いておるものは、これは官有地といえども決して入り会い権が消滅したものじゃない、明らかですよ、事実は。これを政府の一方的見解でもって押し通そうたって、これは私はやっぱりそれは通るものじゃないと思います。そういうふうな点からさっきも長官にお願いをしたんですが、私はやっぱりここで取り下げるということはそれは無理かもしれませんが、少なくとも政府部内におきましては、さらに検討し直す必要というものはこれは多分にある。私はこんなものがすぐ通っていくということになりますと、いまの国の行政というものを国民は絶対信頼しない。少なくともかかわりを持つ住民におきましては、今日の政府の行政というものに対して、それこそ救いがたい不信というものをそれはもう投げかけることにならざるを得ないだろうと思う、どうでしょうか。重ねてのようでありますけれども、長官の御所見を伺っておきたいと思うんです。ことに、さっきも申し上げたように、政府がとにかく四度も五度も約束をしてきておるんですよ。約束だけはするけれども、しかし、いよいよとなれば認めないというような、こんな行政があっていいものかどうか、私は全く不可解千万です。いかがでしょう。
○国務大臣(山中貞則君) これ、なかなか私、なったばかりで、詳しい経過、あるいは具体的な統一見解等について作業にタッチしておりませんために、ややふだんの私と違う明快な答弁ができない点がございます。ただ、いまおっしゃった政治というもの、行政というものが不信を買うのではそれはいけないんだというお話、私はまさにそのとおりだと思いますし、現に不信も買っておることを私は北富士等において認めざるを得ない事実が存在することも承知もしております。したがって、それらの不信解消については、これは全力を持って努力をしていかなければならぬと私は考えます。法律をそのつど都合のいいように一方的に解釈できる権利は政府にもありませんし、国会にも私はないし、それはやっぱり、むしろ憲法に優先定められておる国民の権利というものが、確立されたものが、それに背反しないということにおいて進められていくべきものが普通の常識だろうと私も常識論として思います。しかし、このケースは長い年月の間にここまでまいりましたケースでございますので、一朝一夕でこれを解決できるとも思いませんけれども、この統一見解の文書の内容を変更する、その他の問題は、私のほうで軽々しくこれを返事できない、そういう立場にございます。したがって、すでに政府が法律的な見解も加えて最終的に調整したものでありますので、これはこれとして、いままで政府が当委員会、国会に対して述べてまいりました基本的な説明のしかた、あるいは理論の骨幹というものと今回の統一見解との間に、皆さま方からいえば、それは論理のすりかえがあるというような点がありましょうし、また、当方で鳩首協議いたしました最高裁判決を受けての法律上の解釈では、これはやはり最高裁の青森について示した扉風山の判決とはやや様相を異にする分野に属するという一応のまた法理的な結論もあり得たと思いますので、ここらの点はさらに一そう勉強して、統一見解を直すとは申しませんが、せっかく長い間の慣習によって入り会い慣行として何とかやってきておりまする人たちとの間に、もっといい関係ができるような努力は私に課せられた使命だ、そういうふうに考えます。
○神沢浄君 納得できるわけではないのですけれども、もういま御注意がありまして、時間がもう終わったそうでありますから、本日の質問は一応はしょらなければなりません。先ほど来委員長に御要望申し上げておきましたように、この論議はこれが決してもう十分のものではないと思います。もっとずっとずっと深く掘り下げて詰めていかなければ、大きな権利関係でありますだけに、国会としての責任も私は果たせぬのじゃないかというふうに考えますから、さっき御要望いたしましたように、内閣と国会との関係、それから入り会い権の内容関係、こういうふうなものについて、後日でけっこうでありますので、ぜひひとつお取り上げをいただきたいと存じます。
 そこで、最後に大蔵省の方と、それから建設省の方にも出席を要求をしておきましたから、一問ずつお尋ねをして終わりたいと思うわけですが、大蔵省の方にお聞きをいたしたいのは、例の問題になっております二百十ヘクタールの払い下げの関係というものが、その後どう経過をしておるか、現状においてはどのような状態にあるか、それをお尋ねをいたします。
 それから続けて質問をしておきますが、建設省の方には東富士有料道路の路線はきまったか。この前予算委員会で私がお尋ねをしたときには、標高千メートルから千百メートルくらいの位置がこれが最も妥当に考えるというような御答弁をいただいたんですが、標高千メートル、千百メートルというと、北富士演習場の国有地のどまん中をこれは道が通ることになるわけでありまして、それはそれならそれでけっこうでありますが、はたしてそういうようなことができるのかどうなのかできないということになれば、これはもう通る場所というのは、その払い下げ問題の対象になっております二百十ヘクタールの地内を通る以外にはないと思うのです。そうなりますと、これはせっかく閣議了解事項の中でもって二百十ヘクタールの払い下げなどを約束をいたしておりましても、事情、条件というものが異なってくるのじゃないかという点を私は非常に大きく関心を払いますので、お聞きをいたしておるのですが、したがって、いまのそれぞれ一問ずつ大蔵省及び建設省からお答えをいただいて、私の本日の質問はこれで終わります。
○説明員(川崎昭典君) 大蔵省でございますが、払い下げにつきまして、当面準備を始めたばかりでございまして、具体的な払い下げの事務というものは全然進んでおりません。御承知のように、いろいろな問題がございますので、関係各省集まって相談をしたり、あるいは地元の方の御意向など承知しますために県と話し合いをしたい、そういったことをこれから行なおうというふうにまだ打ち合わせの段階でございます。
○政府委員(菊池三男君) 有料道路の件につきましては、これは国道百三十八号線のバイパスという形で、河口湖から籠坂峠を抜けまして御殿場へ行く道のバイパスの計画でございます。御承知のように、非常に最近混んでおりまして、持に御殿場付近では一部直轄で工事を着工しております。それから河口湖に至りますまでの間を有料道路でやろうかという計画がございます。これがただいまの御質問の東富士の有料道路でございます。このルートにつきましては、現在検討中でございまして、まだルート的に確定はいたしておりません。これは実は途中に籠坂のところに二キロ余りの大きなトンネルを抜かなければなりませんし、それからまた東富士の演習場もあるいは通らなければならない。また、いま問題になっております北富士のほうもルートと関連があるというようなことで、まだこれは計画の段階でございまして、特にただいま問題になっております地形につきましても相当深い沢が入り組んでおりますし、また崩落しやすい地質のところもございますので、そういう点を十分検討した上でルートをきめ、そうして関係のところとお打ち合わせをして、それから着工という形になる予定でございます。
○委員長(高田浩運君) 神沢君から先ほど来委員長に要望のありました件につきましては、後日理事会において打ち合わせをいたしたいと思います。
○鈴木強君 いまの神沢委員の問題、二つ提起されたんですが、若干もう少し詳しく伺いたいんです。
 最初に大蔵省のほうですけれども、あれは普通財産になっておったはずですね。それで、防衛庁のほうが管理を委任された形で、いままで防衛庁がそれに当たっていたと思うのですが、それはいつ正式に使用転換に伴って普通財産として大蔵の管理に入ったか、その日をちょっと教えてもらいたいと思います。
 それから、まだ何にもやっていないような話なんですけれども、当然、これは地方にも国有財産審議会というものがございますし、関東にもそれぞれあるわけですから、その払い下げの基本方針というものが  ここでは私はきょうは密約のことは申し上げませんけれども、裁判に負けそうになって、そのために裁判を取り下げる条件としてやったことも、これは公知の事実でありまして、それだけに非常に問題があるし、それから、払い下げた土地をすでにどこかに転売するとかいうような話もあるわけです。さっきも天野参考人がおっしゃったように、仮契約までしてあるというのです。そういう話もあるわけです。
 ですから、私は、いまここではっきりしておきたいのは、中央国有財産審議会で、これ、やっているはずですよ、その基本方針について。その際に、少なくとも二百十ヘクタールを林業整備という目的によって払い下げるわけですから、それが再びどこかに転売されたりなんかすることのないように、これは明確にしておいていただきたいと思うわけです。とかく、国有地を安く払い下げて、それを土建屋が転売、転売をして不当な利益を得ているということは枚挙にいとまがない。だから、やっぱり国有財産払い下げに対しては、法的にも私はそういうはっきりした歯どめをすべきだということを、もう何回も、この参議院の委員会で主張してきているわけです。政府のほうもその点は認めているわけですね。制度もまだできておりませんけれども、少なくとも今回の場合は、そういった非常に、あなたがおっしゃるように、大蔵省が知らない間に、当時の山上長官と向こうの現地の組合との間で、裁判の取り下げをめぐって、そういう密約があったことが明らかになったわけですから、大蔵省もこれは迷惑をしていると思うが、しかし、私がいま言ったような基本的な姿勢というものはあくまでも守ってもらわないと困りますから、念のために私が申し上げておるのです。だから、中央審議会にはかる場合でも、そういうことだけははっきりしておいてもらいたい。これは、払い下げの価格の問題とか、いろいろあると思いますけれども、きょうは、もしそういう目標があるなら言ってもらってもいいんだが、その基本方針だけはひとつ、はっきりしておいてもらいたい。
○説明員(川崎昭典君) 第一の御質問でございますが、現在、大蔵省の普通財産を防衛施設庁の管理から大蔵省の管理に移すために、共同で、境界確定といった現地での作業をやっております。したがいまして、近く大蔵省の管理になるということでございますけれども、まだ日を確定いたしておりません。
 二番目の問題でございますが、こういう大きな返還財産は中央審議会で利用計画の大綱を御審議願うという方針をきめてございまして、この二百十ヘクタールもそれらの財産のうちに含まれるということまでお願いいたしましたけれども、中央審議会での御審議はまだこれからで、全然審議に至っておりません。先ほど申しましたように、いろいろ問題が多うございますので、関係各省と事務的な打ち合わせを始めたばかりでございます。したがいまして、確たる方針がどうなのかということは今後の問題でございますけれども、大蔵省から売り払います場合には、転売はできないという措置をとるわけでございます。
○鈴木強君 防衛庁長官は国務大臣でもありますから、いま大蔵の課長が言われたんで、転売のことは条件として転売させないということをつけることにした、それはそれでけっこうですけれども、大蔵大臣はたいへんお忙しいので出てこれませんので、たいへん恐縮ですけど、山中長官のほうから、ひとつその点は念を押しておいていただきたいと思います。よろしいですか。
○国務大臣(山中貞則君) これは私は現在無関係でありますが、私の大蔵委員長のときに、その国有財産を払い下げたあとの転売がきわめて異常な事態が行なわれておるときでありましたので、社会党のたしか堀委員でありましたか、の質問の最中に、私が委員長の立場から、大蔵省に、その部分の用途を指定して払い下げて、そして転売はまかりならぬという、相当長期間の期限をつけまして、私自身が処理した事柄でございますから、よく記憶しております。したがって、そのことは現在でも大蔵省で守っておりますから、今回のこの地域に対しても同様の基本方針は、当然法律、政令上貫かれてしかるべきものと考えますので、それに背反することはあり得ない、そう思います。
○鈴木強君 わかりました。その点、なおひとつ大蔵大臣のほうにも、私の意見のあったことを伝えておいていただきたいと思うんです。
 それから、道路局長にたいへんお待たせをしておりますし、先ほど道路公団のほうの伊藤理事にもおいでいただいたんですが、神沢委員の質問がああいうふうな状態でしたから、私はあえてきょうは伊藤理事には帰っていただきました。
 そこで、もう少しこれは突き詰めてお伺いをしておきたいんですが、四月九日の予算委員会で私が伺ったときにも、いま神沢委員がおっしゃるように、標高千メートルないし千百メートルのところを大体通るという、あなたそういうお答えをなさいましたね。ですから、おそらく御殿場から河口湖、要するに中央自動車道のターミナルまでの路線というものを、一応建設省は建設省として事前に相当調査なさって、それでルートをあらかじめきめるような努力を私はされていると思うんですね。
 その間、当時も私申し上げましたが、何せ演習場の中を通るわけですから、二百十ヘクタールの払い下げをするところを通るか、あるいは千メートルのあなたがおっしゃるところを通るか、いずれにしても演習場を通るということになるわけですから、それだけに防衛庁との関係についても十分に配慮をしておく必要があると私は思いました。
 ところが、その後新聞報道の伝えるところによりますと、東富士有料道路の着工をきめて一部やり出しているわけですね。ところが、演習場を管理する防衛庁あるいは防衛施設庁との間になかなか意見の一致がなかったために、一方では見切り発車をしたというか、防衛庁側の了解を得ない間に工事に着工したじゃないか、こういうことで、防衛庁のほうはだいぶむくれているという話を私は聞いている。これは無理もないことだと思いますね。そういうことで、全体の計画に対して多少なりともおくれるということになりますと、これは期待をしている人たちから見るとたいへん迷惑な話ですよ。ですから、そういうことがあってはならぬことですけど、もしそういうことがあるとすれば、これはたいへんなことでございまして、やはりそういう場合には、あなたのほうで、下請みたいなものですから公団にやらせるわけですから、建設省としてそういうルートをちゃんときめて、それから公団のほうにこうやってもらいたいという命令が出るはずですからね。ところが、公団のほうでも、防衛庁とか環境庁とか大蔵省とかそういうところとまだ十分話ができないままに着工するような形になったものですから、非常に困っているんですね。
 新聞報道ですと、ルートが、あなたが言っているように、千メートル、千百メートルのところしかないと。掘り割りにするかどうするかしてですね。したがって、そういうことでやらざるを得ないとするならば、これは何といったって防衛庁の理解を得なければならぬわけですから、そういう理解を早くとって、あとは、演習場の中ですから、交通安全対策のことはそれなりにまた考えておかなければ困りますよ。ですから、そういうふうな点をちゃんと整理して、そしてこの計画を促進してもらわないと、つまらない手続的なミスのためにこの計画がおくれることはたいへん迷惑ですから、この点を私は明らかにする必要があると思いまして道路公団からも来ていただいたんですけど、これはいずれまた建設委員会でも私は取り上げたいと思いますが、ひとつ建設省自体も、公団の勇み足というか、あなたのほうの命令する段階において防衛庁との理解が足りなかったというか、いずれにしても、そういう手続的のそごのあったことは、これは事実だと思いますから、そういう点をひとつ早く調整をしていただいて、既定計画のように実施できるようにお願いしたいと思います。私は報道を根拠にしておりますから、もし違っておる点があれば、それはすなおに言っていただいて、私も訂正するにやぶさかではないのですけれども、そういう記事が大きく報道されておりますので、地元の静岡なり、あるいは山梨県の県民はたいへん心配しておるものですから、いい機会ですから、この際局長にはっきりしてもらいたいし、それから防衛庁のほうからも、その間の経緯を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(菊池三男君) 先ほど御質問ございましたときにも、まだルートがきまってないというふうに御返事申し上げたのでございますが、そのとおりでございます。したがって、まだ公団のほうから防衛施設庁に――何か着工したというような記事があるいはあったかもしれませんけれども、それはまだ事実無根でございます。実は、有料道路の場合は、公団のほうから建設大臣のほうへ、こういう有料道路をつくりたいということで申請が上がってまいります。それにいろんな採算計算が入り、料金が幾らになるというようなことが上がってまいりまして、建設大臣がそれに対して認可をする。それから着工ということになりますが、まだ、いまだにその書類も出てきておりませんし、したがいまして、実際に工事が始まるというようなことはございません。ただ、標高が千メートル、あるいは千百メートルぐらいのところを通らないとなかなか道路はできにくいだろうということは、実際そうでございます。ただ、そのほかの問題にも、先ほど申しましたように、現在はまだ図面の上で――航空写真を図化しました図面の上だけの計画でありますけれども、インターチェンジのいろんな位置の問題やら、あるいはトンネルの問題やら、まだ詰めなければならない問題ございますので、それが詰まり次第、なるべく早急に詰めまして、地元の方の早急に道路をつくれという御要望もございますので、防衛施設庁あるいは大蔵省その他の関係のところ、あるいは知事関係のところと早急に打ち合わせをして着工という段階に持ってまいりたいと考えております。
○政府委員(高松敬治君) その新聞記事が出まして、私どもびっくりいたしまして、どういうふうになっておるのだろうかということで公団に連絡をいたしました。公団側では、いま御答弁がありましたように、まだ計画がきまっていない、計画を策定するについては防衛施設庁のほうともよく連絡をしてやります。こういう返事をいただいて今日に至っております。
○鈴木強君 皆さんは体面上問題を糊塗するようなことじゃ、これはいかぬと思いますね。だから、これは局長、はっきりしてもらいたいのですけれども、少なくとも御殿場のほうは着工しているわけでしょう。ルートは、いずれにしてもその中を通るということは間違いないのだ、これは。演習場の中を、あなたが言ってるように、通ることは間違いないのだから、そういう場合に、全体計画をある程度煮詰めてそれからやっぱりやることにせぬとまずいのじゃないのですか。しかも、そういうことは四月の時点であなたがちゃんと、少なくとも国会を通じて、千メートルなり千百メートルのところを通るということを言っているわけですからね。それは、あなたのほうだって、調査費を使い、いろいろと測量して、どこがいいくらいのことはやらなかったら、これは怠慢ですよ。やっているはずなんだ。であるならば、そういうことをやっぱり防衛庁ともよく連絡をとって、そして全体のルートが同時に発表できるようなことをやらなきゃ、これは職務怠慢じゃないですかね。防衛庁も、何かそういうところに来ると、つうつうみたいなことを言うけれども、そういう点じゃ、やっぱりある意味で不満じゃないですか。そこらは政府の姿勢として、ちゃんとしてもらいたいですよ。
○政府委員(菊池三男君) ただいま着工しておる区間は、実は東京でやっている直轄の区間でございます。それで、バイパスが県道でつきまして、それから河口湖の間を有料でやろうかということを考えておるわけで、その間についてはまだ決着しておりません。ただ、先般御質問がありましたときには、私も千メートルないし千百メートルと申し上げたのは確かでございます。これは、先ほど言いましたように、いろいろな図面の上で検討して、あるいはまた現地も歩くというようなことも、あるいはあるかもわかりませんけれども、そういうようなことでやっておりますので、これは路線が決定次第――当然防衛施設庁のほうともルートの打ち合わせをしなければなりませんので、合意がないとできませんので、きまり次第にさっそくにやるというようなことを考えております。
○鈴木強君 いつまでにやるか。
○政府委員(菊池三男君) ちょっとまだいつまでという……。ただ、事業予算としては本年度に予算が、ボーリングをしたり、測量したりする費用でありますけれども、そういう予算がついておりますので、年内にはそういう計画を出してもらってやろうというふうに考えております。
○岩間正男君 時間がないようですから、二、三点お伺いしておきます。
 先ほどの天野参考人の意見とも関連するわけでありますが、先に防衛庁長官にお伺いしますが、米軍演習場あるいは自衛隊の演習場に対して、これは憲法との関連において、当然、これに対して反対するという意見が国民の間に多いわけなんです。そこで、反対することによって受ける権益ですね、そういう当然の権利、そういうものは何か制限されたり、拘束されたり、あるいは不利益な処分にあうと、そういうことはあり得ますか。
○国務大臣(山中貞則君) あり得ません。
○岩間正男君 そうすると、現在これは起こっている――先ほど問題になったのでありますけれども、林雑補償の場合なんかでありますけれども、この処置が非常に不当じゃないですか、現在やっている施設庁のやり方というのは。つまり、演対協を窓口にして、そこを通さなければこの事務については扱わない、こういう態度だったですね。これは違いないでしょうね。
○政府委員(平井啓一君) 本年の四月十一日に、いわゆる北富士演習場を米軍の管理する演習場から陸上自衛隊の管理する演習場に使用転換をするこれは多年の懸案の問題であったわけであります。この懸案の問題を解決するにあたって、この演習場に関連しますもろもろの問題をできるだけ円満に解決したいということで、かねてから地元関係者とのお話し合いを続けてきたわけでありますがその話し合いを運ばしていただく形といたしましては、県知事に中に入ってもらい、また、北富士演習場対策協議会という組織に大方の関連の団体等が入っていただいているという関係におきまして、この姿でもって問題を円満に解決しようということで考えていたわけであります。したがって大きな懸案の一つでありました林野雑産物補償の問題も、こういった話し合いの中から解決をしていく、円満な解決をはかるという意味で、演対協の組織を通じてこの問題を処理していく、そういうことでお話し合いを進めさしていただいたわけでございます。
○岩間正男君 時間を私はあまり持っていないのです。長々とさきの関係、いかにも弁解がましいことを入れた前提条件が入ると、めんどうなんです。そういうことは聞いていない。要するに、演対協という窓口を通さなければこういう処置はしていないというのは事実でしょう。どうですか。端的に答えてください。
○政府委員(平井啓一君) 現在のところは演対協を通じて処理したいという線で進んでおります。
○岩間正男君 現在のところはというのは、事情が変わって筋が通らなくなれば変えるということですか。
○政府委員(平井啓一君) あくまでその線で円満に解決したいと考えております。
○岩間正男君 現在のところなんて――矛盾している。あくまでじゃないですか。だから、そういうふうにあなたたちはことばのなにでごまかしたってだめだよ、それは。絶対そんなことは了解できない。あなたたちのことばというのは実にあいまいだ。そのあいまいさでもって今日演習地の確保のためにやられている、全体を貫いているのだから、施設庁のいままでのやり方は。
 そこで、聞きますけれども、どうですか、たとえば忍草入会組合がこの演体協を脱退しておるでしょう。なぜ脱退しておりますか。その理由、あなたたち、これ、明らかにしておりますか。あんたのほうにも書類がいっていると思いますな。脱退理由というの、これは出されている。それから吉田の恩賜森組合の中でも、これは脱退しているところがあるでしょう。どうですか、この事実を知っておりますか。
○政府委員(平井啓一君) 当初両組合とも演対協に入っていた姿から脱退された理由はいろいろあると思います。いずれにいたしましても、基本的に演習場問題の処理の方向に関する意見の違いであろうと思います。
○岩間正男君 それは、脱退しているという事実は、これは認められるんですが、その脱退の理由というのは、はっきりしていますね。最初の演対協をつくったときの目的とは、これはまるで違う。そうでしょう。目的が今日では変わっている。全然性格が変わっているから、これは脱退している。これは昭和四十四年の六月二十一日につくられたもので、演習場に関係を有する団体及び住民の権益を守り、福祉の向上をはかる、こういうことで設立されたんでありますが、必ずしもそうなっていないどころか、非常に利益に反する。さらにまた、演対協そのものが今度の使用転換について協力的な態度をとる。平和的活用の方向でない、そういう方向で実は演習に協力をする。ことに安保条約体制の中に入っている。そういうことも大きな脱退の理由になっているわけです。それで脱退している。それをどうして一体、一つの窓口でなければだめだという形でそういうことをやっているのか。結局は、これに対して、当然、表現の自由、それから憲法に保障された平和を守る自由、そういうことのために、たとえば演習場の使用転換、実質的にはこれは米軍はいままでと同じように使う、単にこれは自衛隊に返るという名目だけで、実際は、これはこの前のあんたたちの答弁では、いままでよりも多く使うんだと言っている。現にそう言っている。予算委員会でも、これは分科会ではっきり言っている。あんたたち答弁している。そういうことですから、当然、これらに対して脱退をしたそういう組合に対して、はっきりした当然の、長官の先ほどの、これは差別待遇はしないという原則から来たなら、差別待遇をするということは不当じゃありませんか。
○政府委員(高松敬治君) この問題につきましては、御承知のように、事の発端は、各入会組合の中において忍草入会組合の取り分が非常に多いというところから議論が出まして、そうして昭和四十二年以来林野雑産物補償をやっていないということでございます。そこで、今回何とかこの問題を解決したいということで、いろいろ協議を行ないまして、そうして四十二年から四十四年までの三年間については従来の方式によって支払いをするということが一つ。それからもう一つ、四十五年以降においては農家経営の実態調査を行なって、それによって支払いをするということに大方の意見が一致したわけでございます。私どもとしましては、理屈からいえば、農家経営の実態調査をやって、それによって四十二年以降も支払いをするのが一番筋道であると思いましたけれども、しかし、こう長年にわたる問題でございますから、この際は一応そういう、いわば一つの妥協として四十二年から四十四年の分の支払いを従来方式によってやろうと、こういうことにきめたわけでございます。そういうわけで、あくまでもこの二つのものは両方が一緒に行なわれて初めて林野雑産物補償の円満なる解決になると思うのでございますけれども、この農家経営の実態調査について忍草入会組合のほうに若干御議論があるようでございます。そういうことで、この点において完全な意見の一致を見るに至っていないということ。
 それからもう一つは、いろいろ御議論のあるところだと思いますけれども、演対協というものが四十四年から発足いたしまして、従来からいろいろ窓口がたくさんあったものを窓口を一本化ということで、それが発足いたしました。不幸にして、それからいろいろ脱会をされる方も、組合あるいは行政部会で政党も出てまいったわけでございますけれども、しかし、私どもといたしましては、そういう経緯にかんがみまして、脱退した組合につきましても、北富士あるいは忍草という組合につきましても、演対協のあっせん仲介によってこの問題を何とか円満に解決していきたいと、そして四十二年以来の懸案をこの際何とか解決をしていきたいと、こういうことでやっているわけでございます。
○岩間正男君 いまの説明を聞いていると、あなたたちの都合のいいことだけだ。役所はそうしたほうが都合がいい。そして一つの窓口に締めておけば、あとから脱退を押えることができる。そうでしょう。そういうことなんでね。さらに、それによって一切は演習場の確保を可能ならしめることができる。演対協をあなたたちの支配のそういう操作の中に置くことができる、そういうことなんです。そのために、当然、基本的な権利ですね、そういうものを制限することはできないと言ったこの長官の原則というものを、あなたたちは破っているじゃないですか。はっきり破っているですよ。私が先に特に聞いたのは、それなんです。憲法に保障されている権利なんです。反対する権利。その反対することによっていろいろな制限を受ける。不利益処分を受ける。背後からいろいろな分裂工作、そういうものもあります。盛んにこれを支配しています。そういうことじゃますいと言うんです。ここのところは名目を明らかにすべきじゃないか。あなたたちには都合がいいでしょう。なるほど一つにしてもらって、そしてその上にボスだか何か乗っかって、その支配のもとに全部その傘下に置いたほうが都合がいいにきまっている。しかし、そういうことじゃ、基本的な権利というものは、これは侵害されている。当然受ける権利は侵害されている。そうしたら、脱退した人は脱退した自由で――それは当然、あなたたちはここで交渉するなら、したらいい。演対協は演対協でこれはやったらいい。二本立てで少しも差しつかえないじゃないですか。長官、どうです。この判断は。
○国務大臣(山中貞則君) これは、私も、昭和四十二年以来払われていないということの異常さに私自身もびっくりしましたし、また、その背景の複雑さについても、これは正直に言って、なかなかいろいろあるんだなあということはわかっております。しかし、結論を申しますならば、これは、それらの人々にこれ以上給付を受けるべき林雑補償金について支払わないでおくということをしては、国としてはできないことだと、私はそう思います。したがって、それに対して、まあ地方公共団体、あるいは関係市町村、あるいはいま申されました演対協なり、あるいは恩賜林組合その他の加盟各組合等、それぞれ寄り寄り協議をしてもらいまして、少なくとも個人個人はそれぞれの権利に基づいての林雑補償金の給付を受ける権利を持っておられるわけでありますから、それに対する給付が的確に行なわれるように急がせるつもりであります。
○岩間正男君 そうすると、演対協を通じて必ずやるという、そういう原則は、これはやめるというわけですね。変更せざるを得ない。そうして、当然の権利を守る、それが先に立つわけでありますから、そのような不当な、許すことのできない支配をいままでやってきたのでありますが、それは改めなくちゃならない。そして、そのことは実際は憲法違反ですよ、明らかに。明らかにこれは憲法違反です。そんなことで権利を壟断できるものではありません。それはいまの御答弁ではっきりしたと思いますから、それは明確にしておきたい。そして、即時それによって交渉を開始すればいいので、何も演対協を通じてやらなければならない、そういう理由は少しもないわけですから、それで忍草その他の組合とやるのは当然です。あたりまえでしょう。明々白々だ。それをいままで、もう何と言ってもだめだ。あなたにも会って、この前私は吉田の組合長とも一緒に行ったはずだ。ところが、もうあなたたちは言を左右にしてそれをやっているが、そういうものは通らぬと思うんですよ。少なくともこれは憲法の精神から反しますよ。そういうことをやるべきだ。そうでなければ、これは防衛施設庁なり防衛庁の性格というのは、非常にこれは疑われるんですから、この点はやっぱり明確にしてほしいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 私は、当然、支払うべきものをこれ以上支払いを遅延させてはいけないから、皆さんに、権利のある人全部に支払うようにさせますと、ただし演対協を通じないようにするという話はいたしておりませんで、いろいろな背景があって入りまじっているようでございますから、県あるいは市町村、あるいはそれらの演対協あるいは加盟組合、そういう人々のいろいろの入りまじったものをよく解きほぐして相談をして、一日も早く支給できるべき金というものが支給されるようにしたいというふうに申し上げましたので、まだ私が就任早々、快刀乱麻を断つごとく、これだけに乱れたものを、すっと一本に窓口をきめるようなふうにはまいっておりませんので、そこは誤解のないようにお願いします。
○岩間正男君 あなたの弁舌はさわやかで、前のほうだけ聞くとすこぶるうまいようだが、いつも後退する。最後になってくると後退する。いまのは理路整然たるものでしょう、私の言ったことは。脱退して、それに入っていないものを、何でそういうところを支配するのか、これは筋が合わぬですよ。その結果は、その人の当然の基本的権利というものが侵害される。筋が合わぬですよ。前後矛盾しますよ。さすが明敏な長官でもだめですから、そういうことがないように快刀乱麻を断てばいい。快刀乱麻などと言わなくてもいいですよ。このくらいのことは快刀乱麻じゃないです。だから、支払いをするというんなら、いまちゃんと、演対協を通じないで、そして交渉をやる以外にない。演対協を通ずる限りは絶対受けないと言っているんだから、忍草は。演対協を信用していない。精神が反するといって脱退したものを、何でそこのところを通ずるか、そんなこと、やれますか。いやしくも、それは団体の、集団の権利を認めるなら、脱退したものに対してあくまでもこれは演対協を通じなければならぬというのは、ボス支配を依然としてこれは奨励するということになる。だめです。
○国務大臣(山中貞則君) こういうふうに言い直します。
 思想、信条の差によって当然受けるべき給付金をおくらされたり、もらえなかったりすることのないようにいたします。その手段についてはいろいろと研究いたします。
○岩間正男君 当然、それはいままでの経過をずっと見ますというと、演対協を通じてではだめだと言っているんですから、当然それは別個にやらなければならない。いまのあなたの権利は、あくまで思想、信条の違いなしにやるということはできないんです。だから、ことばでうまく言っているけれども、実質はだめなんですよ。そのところはひとつ、はっきりしたと思います。
 時間がないから、もう一つは、国有地の払い下げですが、政府の答弁と違って、私も現地調査をしてきたんですが、吉田の恩賜林組合に払い下げましたが、これが売られている、あるいは富士急なんか、そういうものについて貸されたり、そういうことは先ほど申しましたような実情なんです。これは非常に重大な問題だと思うんですが、この点については、時間がないので、資料要求だけしておきます。委員長を通じて。
 事業計画書ですね、民生安定関係事業についての事業計画書、事業概要書、実施計画書、それからこういう関係書類ですね。それから林業再建整備事業、これは恩賜林組合の国有地払い下げの理由になっておりますところの林業再建整備事業、この内容書、これらの関係書類というものを、われわれは具体的にこれを審議する必要がありますから、関係書類をぜひ委員会に資料として提出してほしい、どうですか。
○国務大臣(山中貞則君) 大蔵省の資料も含まれておるようでありますが、連絡をしまして、私のほうは資料を出します。
○岩間正男君 これだけにしておきます。
○委員長(高田浩運君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
     ―――――・―――――