第071回国会 大蔵委員会 第17号
昭和四十八年四月十九日(木曜日)
   午前十時七分開会
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   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     山崎 五郎君     斎藤 十朗君
     西田 信一君     高橋雄之助君
     柴田  栄君     竹内 藤男君
     鈴木 一弘君     矢追 秀彦君
     渡辺  武君     塚田 大願君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田 正明君
    理 事
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                野々山一三君
                多田 省吾君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                河本嘉久蔵君
                斎藤 十朗君
                高橋雄之助君
                竹内 藤男君
                津島 文治君
                中西 一郎君
                西田 信一君
                桧垣徳太郎君
                船田  譲君
                竹田 四郎君
                戸田 菊雄君
                成瀬 幡治君
                山崎  昇君
                矢追 秀彦君
                塚田 大願君
                野末 和彦君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       大蔵政務次官   山本敬三郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       大倉 眞隆君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省理財局次
       長        後藤 達太君
       大蔵省銀行局長  吉田太郎一君
       大蔵省国際金融
       局長       林  大造君
       通商産業省公害
       保安局長     青木 慎三君
       運輸省海運局長  佐原  亨君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       農林省構造改善
       局農政部長    今村 宣夫君
       建設省計画局宅
       地部宅地政策課
       長        川上 幸郎君
   参考人
       税制調査会会長  東畑 精一君
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  本日の会議に付した案件
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○入場税の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間
 の協定に基づいて借り入れた外貨資金等の償還
 に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送
 付)
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○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、以上、四案を便宜一括して議題といたします。
 本日は、四案審査のため、参考人として東畑税制調査会会長に御出席をいただいております。
 東畑参考人には、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきましてありがとうございました。
 これから四案の審査に入りますが、委員の質疑にお答えいただくという形式で御意見を伺いたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○山崎昇君 東畑先生に二、三お伺いをしたいと思うのですが、実は、先生の対談あるいは著書等若干読ませていただきました。その中に、われわれ税調というのは社会的な技師であって、国会はビジョンをもっと出すべきではないかと。ある意味でいえば、国会議員に対する激励とも受け取れますし、もっと勉強せよという警告にも受け取れますし、あるいはまた税調の考え方をもっと聞けというふうにも聞こえますが、一連のそういう文章を読ませていただきまして、私どもも大いに勉強しなければならぬと思っています。ただ、残念ながら、いまの国会のあり方というものは、政府がほとんど提案いたしまして、そして提案するにあたりましては、それぞれの審議会の意見を聞いて出してくるという形をとっております。そして国会におきましては、ほとんど修正が不可能のような状況にございます。そういう意味でいいますと、社会的な技師という表現ではございますが、税調の考え方というものが、ほとんど税制については決定的な要素ではないだろうか、そういう点をまず前提にしまして、二、三先生にお伺いしたいと思うんです。
 そこで、今後の税制の問題の中で、たくさんございますが、何といいましても、やはり一つは、所得税の減税であろう。二つ目には、法人税の増額の問題であろう。三つ目は、物品税あるいは入場税等の大衆課税についての問題であろう。四つ目には、新しく大都市の問題等が出てまいりまして、大都市の税制をどうするかという問題もあろうかと存じます。そこで、たいへんきょうは時間が少のうございますので二、三に限って先生の御意見をお伺いしたい、こう思うわけであります。
 その一つは、所得税についてでございますが、この所得税につきましては、中身として私三つ指摘をしでおきたいと思うんですが、その一つは、累進税率制度をとっております。しかし、この累進税率制度をとっておりますが、比較的収入の低いほうにつきましては、税率の刻み方がきわめて多い。そして、そういうところに限って税率が急な変化を遂げているんではないだろうか、こう考えます。したがいまして、二、三計算したものを持っておりますが、私は、所得税に関しては、一つは、この累進税率そのものを検討すべき段階にきているのではないだろうか、こう考えます。
 それから、第二の問題としましては、最近控除額がだいぶ上がってまいりました。しかし、先般自民党の橋本幹事長は、サラリーマンユニオンの代表とお会いをいたしまして、来年ではありますけれども、二〇%から四〇%の控除を考える、必要経費として考える。これは二百万円までのもの、あるいは五百万円までのもの、五百万円以上と、こう三つに分かれるようでありますが、この控除額の引き上げか、あるいはいま申し上げました率でやるのか、これは上積みをすると、新聞には発表をされておりますが、これらについて先生としてどういうふうにお考えになるか、第二として聞いておきたい。
 それから第三点は、これも先般衆議院の意見陳述の際に先生から、来年度は未成年者といいますか、二十未満の勤労者の税金については非課税にしたいんだというような御発言があったようであります。そこで私は、具体的にお聞きをしたいんですが、二十未満ということになりますというと、多額の所得を得る人もおりますが、一般論としては勤労者だと思います。そういう意味で言いますというと、高校卒というのが一つの基準になってきやせぬだろうかと思います。そこで、私なりに計算をしてみますというと、かりに昨年の人事院勧告をひとつ基礎にして計算をしてみますというと、本俸が三万七千五百円でございます。これに期末手当あるいは東京で申し上げますというと、調整手当等々入れますというと、大体年間の収入は七十万円程度になります。一年たちますというと、大体一〇%から一五%ぐらい実は賃金が上がっておりますから、二十までかりに非課税にするとすれば、独身者の最低限度というものは、百万円前後にならなければ、未成年者の非課税制度というものはできないのではないだろうか、こう数字的にはじいてみるとなるのではないかと思います。そういう意味で、来年度に向けましてこの未成年の非課税制度をもしとるとすれば、一体幾らぐらいまで税調としてはお考えになるのか。
 あわせまして、未成年者も重要でございますが、長年働いて、いま年金がかなり問題になっておりますけれども、老人の収入につきましても、当然年少者と同様の扱いをすべきでないか。もっと具体的に言うなら、年金については、その人の収入がどうあれ、非課税にすべきものではないだろうか、こう考えるんですが、一応所得税につきまして、この三点について先生の御意見を伺っておきたい、こう思うんです。
○参考人(東畑精一君) この所得税の累進税率につきましては、毎回というほどいつも税制調査会では検討いたしておりまして、単に課税最低限を引き上げるということ以外に、まあいわゆる中堅層といいますか、はっきりした数字ちょっと忘れましたが、五百万円ぐらいまでですか、のところは累進税率でだいぶ緩和をいたしました。一つで所得税の公平をはかるということはなかなかできませんので、いつも課税最低限ですか、それの引き上げ及びそれに見合うある程度まで、その以上の人と見合うという形で累進税率を緩和していくとなっております。よほど、これでいわば下のほう、それから、中堅層の所得税は、つまり両方で緩和されてくるのではないかと、こう思っております。どちらを先にするかということになってくると、これはちょっと抽象的にお答えしにくいと思いますけれども、両々相まつということでやっておりますので。
 それから、控除の問題で自民党の幹事長がサラリーマン必要控除ですか、何か新聞に出たということですが、私不幸にして拝見してないんでありますけれども、つまり現在の、これは特に勤労所得でありますが、あの勤労所得控除でしたか、何といったか  給与所得控除というのは、なかなかこれやかましく言い出すと、いろいろ問題があると思うんでありますけれども、やはり給与所得者のいわば必要経費とでもいいますか、給与所得独自の問題になっておる。そういう意味で、新しく必要経費を上積みするとかなんとかといまお話がございましこですが、そういう複雑なことはどうも私あまり賛成しない。むしろ給与所得控除というものを引き上げるとか、ということのほうが、すっきりした税制になるのではないかと、こう思ったりいたしております。
 それから……。
○委員長(藤田正明君) 参考人に申し上げますが、お足が悪いようですから、どうぞおすわりになったままでけっこうです。
○参考人(東畑精一君) そうしていいですか。どうもここに来るとこわいもんですから。(笑声)質問のほうもそうしていただければ話がしやすいですから。じゃ、ありがとうございました。
 未成年のほうの問題も、実はそれほど考えていたことでありませんで、正直に申しますが、この間の衆議院で、まあ非常に所得税を払う人間が多い多いというお話だったんですが、多いこと自身は特に問題にならぬと思うのです。むしろ、そういうことについて考えなければならぬのは、他の形で導入したほうがいいんじゃないかということを思っておる。その一つは、未成年者が参政権を持ってない、こういう人が高額の税金を払っているのもどうかと思うと、こういうことであった。それ以上御質問がなかったもんですから、それだけのことで終わったんでありますが、私の考えは、実は二重になっておりまして、正直なところ一つは、未成年というものを引き下げるといいますか、たしかアメリカは十八歳にしたとか聞いておりますが、日本も教育もずいぶん普及いたしましたので、ですから、未成年の定義といいますか、これもひとつ一方に下げていく。まあ十八か十九がいいか存じませんけれども。それと見合って課税最低限といいますか、未成年者だからという特別なことじゃなしに、まあ、給与所得控除だとか、基礎控除というものをすこしふやしていくという形で、未成年者が受け取っている所得に見合うように大体していく。他方において未成年の定義をもっと下げていく。この両方で考えていただいたら、一番公平にいくんではないか。また日本の現状に合うんではないかと、こう思っております。いまの二十をもって未成年だと、こういう考え方はないんでございまして、これもひとつ動的に考えていただきたいと、こう思っております。
 老齢の問題、もう一つありますが、これも福祉政策という点からいって、多少考えていただくのが当然だと思います。現に若干老年控除というものがございますので、年金をもらっているから、それをということになってきますと、非常に複雑な年金制度になるんじゃないかと思うのですね。だから、収入は収入として考えてやっていく。現に、たとえば私どもが、個人のことを申しては恐縮でございますが、実はよく存じなかったんでありますが、自分でもらいに行って初めてわかったんでありますが、われわれは、たとえば恩給をもらっておるのです。昔のあれで。所得制限ということがあるのはもちろんでありますが、もらいに行きましたら、そこでやっぱり源泉所得税を取られておる。総合所得税にもちろん入っています。そこまできているのですね。これはしかし、別の独立して恩給は恩給と考えていけば、そういうこと、当然なるのではないかとこう思っておりますので、あまり一つの税にいんなことを結びつけるということはいかがかと、こういう考えでおります。
○山崎昇君 いま未成年の年齢の引き下げの問題が出まして、これはイギリスあたりでは、十八歳にして参政権を与えるという考えがあるようだけれども、しかしかりに先生の言われるように、十八歳まで下げたとしましても、いま初任給で計算をしても、かりにこのものを非課税ということにするとすれば、限度額は去年の人事院勧告で計算しましても、最低七十万程度まで上げないことにはどうにもならぬのではないだろうか。そうしますと、いま独身者の所得控除というのは、せいぜい四十五万か五十万程度でございますね。ですから、来年度の税制を審議される際には、当然そのくらいまで上げざるを得ないであろう、そういう意味でいまお聞きした。したがって、現実に未成年といえば、二十末満になっておりますから、二十歳までということになると、それの二年間分ある程度見なければなりませんから、そういう意味では、最低百万程度にせずばなるまい、こういうふうに申し上げたのであって、ぜひこの点は、きょうは先生に対する質問並びに御意見を伺うわけでありますから、どうってことはありませんが、ぜひ今後の税調の審議の際に、その点御考慮をいただきたい、こう思うところであります。
 それから、次にお伺いしておきたいのは、実は、地方交付税の場合には、寒冷補正という形で、寒冷地帯に対しましては特別の扱いをやっております。しかし、寒冷地帯に働いておる労働者が得る寒冷地手当その他については、所得という形でこれまた税の対象になるわけです。そういう意味でいいますと、私は、控除があまりいろいろな形でふえることには多少の問題があるといたしましても、寒冷地控除というものは考えてしかるべきものではないだろうか、こう考えるわけです。国の政策をやる場合には、交付税で寒冷補正という補正係数を持っておるわけでありますから、当然そこで住まう生活については、税制の面から私は、寒冷地控除というのはあってもいいんじゃないかと、こう考えますので、これもあとでお聞かせ願いたいと思います。
 その次にお聞きしておきたいのは、これも実は一昨日愛知大蔵大臣とかなりやり合った問題でありますが、大蔵省の見解と称して、法人税率の改正について新聞報道がなされまして、大蔵大臣からは税率を上げていくという方向には賛成だが、中身は関知せずというような答弁がございました。しかし、私は、しろうとでありますが、あれを見ますと、どうも法人税率はそのまま据え置いて、そのかわりに、言うならば、株主に転嫁をしていくというやり方をとるのではないだろうか、こういうような気もいたします。したがって、今後税調でこの法人税率につきましては、かつて最高四二%まであったわけでありますから、一体どの程度まで法人税率というものをお考えになっていくつもりなのか、その点ひとつお聞きをしておきたいと思います。
○参考人(東畑精一君) 寒冷地控除というお話がございましたのですが、これ、考え方によりますと、暑いところの連中はよその人よりはよけい氷を飲まなければならぬという問題が起こってまいりまして、それじゃ寒冷地でないところにまた別の控除を設けなければならない、これちょっとへ理屈ですけれども、あり得ると思うんです。沖繩あたりだと当然出てくると思うんです。ですから、控除という形でなしに、むしろ給与をふやす、特定なところは。そういう形のほうが私は、税の形からいうと賢明じゃないかというような考えです。これはほんの思いつきでございます。
 それから法人税率は、たまたまことし、四十八年度の税制改正についても、税制調査会といたしましては、他の問題が山積しておりましたので、あまり法人税につきましては議論いたさなかったので、若干の特別措置の改正ということをやったのですが、実は来年の、つまり四十八年一ぱいで法人税の三五%の本則に対して五%、一・七五%になりますか、それが臨時措置になっておりまして、ちょうど今年度の終わりでこれが廃止になるという。ですから、どうしても今年度中には何らかの形で法人税を論じなければならないというので、実は残しておりまして、これから、おそらくはことしの税制調査会としては一つの大きな問題になろうかと考えております。何%が適当かどうかということでありますが、それはちょっと言おうと思ってもなかなか言えぬ、お許しが出ないという意味で言わぬというのじゃないめで、不可能だという意味でありますが、私は、当然もう少し上げる、いまの特別措置を一・七五%、本則に返すというのはもちろんであります。それ以上の法人税率でやるのが、上げるのが問題ではないか、それが一点であります。
 もう一つは、単に法人税率そのものについて議論をすることも大事でありますが、つまり利益計算上の、法人のいろいろな特典がございましたです。これも改正していくということだと、法人税率を上げていくということとひとしい結果になる。こういう両方から攻めていく以外には道はない、こう思っております。
○山崎昇君 次にお聞きをしたいのは、物品税、入場税関係についてお聞きをいたしておきたいと思うのでありますが、ことし物品税あるいは入場税多少減税になるわけであります。ところが、物品税をよく見てみますと、私は、物品という概念からよくわからないのでありますが、どうも大衆課税になっておる。そうして物品税がかりに多少下がったとしても、物の値段は何にも下がらない。一体物品税の減税というものをどういうふうに理解をしたらいいのだろうか。言うならば、少し極端な表現になるかもしれませんが、消費者は何にも影響がない。むしろ税率の下がった分だけ業者の利益として入っていってしまっているのじゃないだろうか。こういう点は一体どういうふうに税調で御議論になっておられるのか、ひとつお聞きをしたい。
 それから、さらに物品税法の四十二条を見ますというと、小売り業者その他は、物の値段と税金というものは明記をすることになっております。しかし今日まで物の値段の中にこれだけ税が入っておりますなんて書いてあるのは一つもありません。特に私は、専売ではありますけれども、たばこのごときは値段すら入っておらない。こういう意味で言うなら、物品税法四十二条というものをどういうふうにお考えになるのだろうか、これは大蔵省にも後日聞きたいと思っておりますが、今日までほとんどこれは行政指導も行なわれたようには聞いておりません。そういう意味では、私は、物品税が下がっても、何にも物の値段が下がらぬというところにひとつそこにネックがあるのではないだろうか、こう考えます。それから資料をいろいろ調べてみますと、物品税につきましても、やはり一部新聞にも報道されておりますように、高級的なものについてはほとんど無税になっておる、税がかかっておりません。なお、最近金の延べ棒等が売られておりますが、これはほとんど非課税であります、何もありません。ですから、極端なことを言いますというと、金持ちは、そういう芸術品やあるいは金の延べ棒を幾ら買ったとしても、何の税の対象にもならぬ。こういうものについて私は、ごく安いものについてはかなりな税金がかかる。そういうものについてはほとんど非課税である。こういう税の不公平がひとつあるのではないだろうかと思います。
 それからさらに、たとえば、絵にいたしましても、その他にいたしましても、画廊に行って見て、これは一点十万円だとか、あるいは一号二十万だとか、こういう高額なものにつきましても、芸術展という名前がつけば何にも税金がかかっておらない。こういう点は、物品税を考える際に、やはり相当議論しなければならぬ問題ではないだろうかと思うのですが、それについての御見解を聞きたい。
 あわせまして入場税でありますが、これを見てみますというと、大蔵省の資料によっても、四十六年度でありますけれども、一人一回の平均入場料金というのが出されておりまして、一番安いのが競輪の八円であります。一番高いのが演劇の九十一円でございますね。そして四十八年度の税額は、まあ六十八億程度になっておりますが、言うならば、もうこういうものはやめるべきではないだろうか。大衆から一回八円何がしの税金取ってまでも、なぜ入場税なんか取って、演劇やスポーツやそういうものをやらなけりゃならぬのだろうか。したがって、私は、ぜひこの入場税等の問題については、ひとつとっぱらってもらいたい。税調でも十分これは御配慮願いたい、こう思うんです。ただ、先般トム・ジョーンズとかいう方が来られて、三万円の入場料を取ったというふうにも聞いておりますから、うんと多額のものについてどうするかという議論は残るかもしれません。残るかもしれませんが、いま出ておりますこの入場税を見ますというと、いま申し上げましたように、たかだか一回八円ばかりの入場税を取るなんということはやめてもいいのではないだろうかと、こう考えます。
 それから、映画演劇等は、これは人間の心の問題でありまして、人間形成上欠くことができないものではないだろうか、他のものとは、ギヤンブルなんかとはわけが違うんではないだろうか、こう考えますと、とりわけ映画、演劇、あるいは音楽にいたしましても、スポーツにいたしましても、これは撤廃をすべきがほんとうではないだろうかと、こう考えるんですが、先生の御意見を聞いておきたいと思います。
○参考人(東畑精一君) 物品税の物価への問題ということになってきますと、こいつはちょっと私もお答えいたしかねるんでありますが、なぜかと申しますと、日本でこの税の転嫁といいますか、この問題に関係あると思うんですが、これにつきましては、ほとんど実証的な研究というのは非常に少ない。早晩こういうことはやらざるを得ないと思いますので、ちょっと物品税下げたが、すぐ物価に影響しないということは、物価自身というものが、全体の購買力の問題になってくるのでありますから、物品税のわずかな引き下げが影響するということは体制としては非常にむずかしい。物価形成に対して税のシェアというものはもう私は、非常に少ないものじゃないかと思っております。まあいずれにいたしましても、ちょっとその転嫁問題ということに関連したことは、ちょっとお答えいたしかねます。
 それから、もう一つの問題で、いま金の延べ棒その他のお話がございましたんですが、これは現在のつまり物品税というのは、あれは六十何品目でありましたか、あって、それに法定以外のものは全部非課税となっている。これは非常に不公平な点がたくさんございまして、同じような働きをするものでも、一つは税がかかるが、一つはかからぬとか、これは技術進歩の影響だと思っております。それは修正していくが当然だと思うんでありますが、私は、むしろ物品税は少々下げてもいいが、全部物品税取ると、物品税というとあれだが、消費税でいいです。いわゆる一般売り上げ税とでもいいますか、こういった形のものにしてやったほうが、実は公平にいくんではないかと、こういう考えなんです。その前提のもとに、いろんな個々の減税、あるとかないとかいうことにつきましてもやらなきゃならぬ。いまおっしゃったような、金の延べ棒ですか、ナポレオンの帽子だとかというのは、法律に書いてないんですわ。そういうものはですね、一般売り上げ税という形でやったほうが、どんどん商品のできるときは、実務に忠実で公平じゃないかと、こう思っております。個々のまあ物品税ということも問題でありますけれども、一般的物品税とでもいいますか、消費税といいますか、売り上げ税といいますか、これは低くくてもけっこうなんです。そういう形へだんだん持っていくのが一番大事ではないか。これは例の、まだ議論終結したわけではございませんが、付加価値税です。これもなかなか複雑な例でありますが、あれにいく――かりにあれかいいとしましても、これにいくのにはなかなかいまの日本の状態ではいきにくい。それよりまあ一般売り上げ税かなんかで、だんだんだんだん国民がなれてくるということが大事じゃないかと。これは付加価値税をいいとか、悪いとかいう問題じゃありません。あの中にも一つの、一般売り上げ税とでもいいますか、その思想があるかと思う。まあ、第一歩としては、少なくとも一般売り上げ税、流通税とでもいいますか、これをひとつ考えるべきではないかと、こう思っております。これはしかし、きょうちょっと税調の意見どうと言われても、これは困るんでありまして、税制調査会というのは三十人でしたか、うるさい連中ばっかりなんですわ、実際。だから、私が言うのは三十分の一だとこう思っててください。
○山崎昇君 それから先生、入場税。
○参考人(東畑精一君) まあ、これは、私は三十分の一の意見ですが、こういうのは早くよしちゃったほうがいいというあなたの御意見には私は賛成であります。ただしかし、実施上、時によると不公平ができるんですかな。
○山崎昇君 物品税をなぜ私は取り上げたかというと、先生が東大の遠藤教授との対談で、一番不愉快なのは物品税ですよ。これが五、六十ありますが、その一つ一つに利益代表がついている。そのうるさいといったらたいへんなものだと、こういう対談が行なわれておって、まあ、この中身よくわかりませんが、またここでなかなか述べにくいと思いますが、いずれにいたしましても、すぐ物価がどうということにはならぬかもしれません。しかし、かりに一〇%の物品税が五%になれば、その分だけその品物については値段が下がってしかるべきだと思うのですが、下がったためしがない。もうすでに新聞では、形が変わるとか、いやどうだとかというかっこうで、業者はもうほとんど値上げという方向に向いておるようであります。ですから、そういう意味で、この物品税というものは、税調でも私は十分ひとつ御論議いただきたいし、それから、国民にならすというなら、当然この品物の値段はこれこれです、それから物品税はこれだけですというふうに明示をして、国民に知らせることが大事じゃないだろうか。しかし、どこへ行きましても、その品物の物品税なんていうもの書いたものは一つもありません。さっき私は、たばこの例を申しあげましたが、たばこなんか値段さえ書いてない。ただ、あまり吸い過ぎたら害がありますなんということは書いてありますけれども。これはやはり国民に対して、この品物については物品税どのぐらい入っているんですよということを明示をしていくのが税の一つの原則でもありますから、当然その点は私は、税調で御議論をいただきたい、こう思います。
 もう私の時間がないようでありますから、もう一つ先生にお聞きをしておきたいのは、また、先生、対談で申しわけございませんが、日本の政治は地方自治から始まった政治ではないからです。中央から始まった政治である。だから、地方自治に合った財政、行政のシステムが成熟する時期がなかった。むしろそれをこわしていった。これだけ国に余裕ができたわけだから、そういう一面も培養していく必要が非常にあると思うという意味で、自治体の充実といいますか、地方自治体の行財政の確立にかなりな熱意を示されていると私は思うのです。そういう意味では、今後の税調におきまして国税と地方税の関係というものを、よほどこれは考える時期に来ているのではないだろうか、こう私は判断をするわけなんですが、地方税と国税のあり方等について、もっと詰めて言うならば、地方税が主力であって、それに付加税として国税を課するとか、思い切ったことをやらなければ、なかなか自治体の行財政の確立ということは不可能ではないだろうか。そういう意味では、この地方税と国税とのあり方についてひとつ先生の御意見を聞いておきたい、こう思います。
○参考人(東畑精一君) えらいむずかしいお話を山崎さんに聞かれて、どうも答えにくいのでありますけれども、私自身は、地方というものはもうちょっと重んずるといいますか、国に対してですね、というのが、これは税の問題でなしに、全体の日本としても、大事なことだと思っておるのでありますけれども、何しろいま地方というものが非常な不均衡な発展をしているのですね。ですから、現在非常に哀えつつあるところと、栄えつつあるところとある。こういう状況の中で、デフィニティブな、国税と地方税との関係というものを決定するのは、非常に無理じゃないかと、またかりにきめても長続きしないではないかと、こう思っております。地方自治というものの力をふやしていくということはもっともなことだと思っておりますが、いまのような状況のために、非常にそこは私自身としては苦慮しておる、こういう状況なんであります。気持ちは持っております、非常に。
○山崎昇君 それでは最後に、これもたいへんむずかしい問題であろうと思うのですが、私も初めてこの税法をずっと見まして、まあ実に税金というものはよく取られるものだという感想が一言であります。先般、第一線で働いている税務の方々に、税法についての感想を聞いてみたのです。そうすると、第一読会、一ぺん読んだときには理解が困難だ、二回目読んだら理解が無理だ、三回目読んだら不可解だ、これが第一線の税金を担当している人のことばであります。そうしますと、まあ理解困難で、無理解で不可解だ、私ども見ましても、一体あれたけの税法――これたけむずかしい問題でありますから、そう簡潔にはならないとしても、この税法自体もう少し整理できないものだろうか、もう少し何とかわかりやすいものにならぬものだろうか、この点税調でどういうふうに御検討されているのか、この機会に聞いておきたいと思うのです。というのは、昔は三大難解の法律の一つに恩給法というのがございましたが、先般総理府で実効恩給規程というのをいまの世に合うようにアレンジしまして、つくり上げたのもございます。ですから私は、そううまいぐあいにはいかないかもしれませんが、少なくともいまの税法を、もう少し何か整理できないものだろうかと、こういう気持ちを持っている一人なんですが、その点について、税調でもし過去に議論等があったり、あるいはこれからについての御意見等があればひとつ承っておきたいと思います。
○参考人(東畑精一君) 数年前でありますが、税制簡素化という委員会をつくりまして、だいぶいろいろな点で整理いたしたのであります。そのときもしょっちゅう問題になっておったのでありますが、おっしゃるとおり、法律のやっかいなことは、これは六法だけでこれだけありまして、私は税制調査会十年ばかりやっておりますが、いまだかつて読んだこと……。(笑声)いま四十二条どうのというのは初めて実は知ったのでありますが、しかし、税の複雑になる一つの理由は、非常に社会が複雑であるということと、もう一つは、悪いやつが多いのですよ。それで何とかしてのがれようのがれようというやつがおるものですから、やっと言ったら悪いかもわからぬが、そういう人もおるものですから、それをひとつ押えようと、こういうことの取っ組み合いなんですね。これを少し簡単にしちゃったら、ずいぶん頭のいいやつは脱税していくと、脱税と言わないで節税なんて言っておるのは、もうそれなんですから。だから、そういうことが起こりまして、自然こういうことになってくるのじゃないかと思うのでありますが、それにしても、山崎さんと感想はもう同じであります。まあみなソクラテスみたいな人間ばかりおりますと、こんなやっかいなことは要らないのであります。ただ一番根本は、やっぱり所得税その他が申告制度になったということ自身が、非常に大きなこれは問題であります。それで初めて脱税ということが言えるのですね。そこらはひとつ税の運営については非常な進歩だと、こう思っております。申告制度というものをもっと促進していくということが大事じゃないかと思います。まあ何とか、要領を得ないような話ですけれども、そこらでひとつ……。
○成瀬幡治君 実は、税制調査会に大蔵省はどのくらいの資料を出したか、それはもう国会にも出しなさいと、こう言ったら、これだけ資料が出た。これは全部か全部でないか、これは高木主税局長に聞かなければいかぬが、これは全部じゃないだろうと思うがどうだね。まあそう角ばらんで。
○政府委員(高木文雄君) 全部でございます。
○成瀬幡治君 そうしますと、発想の転換ということが非常にやかましく言われておるわけですが、残念ながらこの資料を見ますと、発想の転換は私は全然ないと思う。いわゆる福祉に何ら税調は諮問されていなかったかという気がしてしょうがないのです、これを見ますと。しいて言えば、それは若干はございますけれども、ほとんどない。そこで、先ほどもちょっと出ておりましたが、意見として私はお伺いしたい点は、たとえば、租税特別措置法というのは既得権じゃないのだと、全くタイムリーに運用すべきであろうと思っておるわけです。それから、法人税法で言えば、引当金の中の、特に銀行保険の引当金の千分の十二というようなものは実態に合っていないわけなんです。ですから、こういうものがタイムリーに運営されていかなくちゃならぬと思う。とともに、個人の今度は福祉とかいうことになれば、所得税の減税の中にいろんな問題が出てこなくちゃならぬと、こう思っておるのですが。
 そこで、先生に伺っておきたい点は、法人税と所得税と、それから租税特別措置法、そういうものが非常にアンバランスでいけませんから、この際そういうものを全部洗い直してみると、これは大蔵省から諮問がなくても、私は、税調からお出しになるのがあたりまえのことだと思っておるのですが、そこら辺のところについてはどういうようなふうにお考えになっておるのか。もう福祉に行くべきで、いままでの高度成長をこれでリードしていくという、金融と税制でリードしていくと、そういうときは終わったのだと、だから、全部廃止してもいいんじゃないかと、思い切って言えばですね。しかし、そうはいかぬだろう。だから、大なたをふるうというところにきているのじゃないかと、こう思っておりますが、どうでしょう。
○参考人(東畑精一君) 税制調査会としましては、政府の諮問というのはきわめて抽象的なんであって、高度成長のときにおいて適切なる税制はどうだとか、こういう形になっておりませんで、もっと内容については、いわゆる諮問というものはございません。われわれとして問題を出していって、それでやっているということが多いのですが、また、それについて大蔵省なら大蔵省がこういう意見もございますとかというふうになって、そこらはお互いは調子よくまあ話をしているのであります。資料につきましても、大体こちらの要求している資料はみな出ているのであります。そんなわけで議論しておりますので、今日、税と言わず、すべての点におきまして、やはり国政を新しい構想のもとにやっていくということは非常に重要なことでありますし、その気持ちはみな持っている。これをかりに狭い範囲において税としてはどうなんだと、こういうことはしょっちゅう議論しているのであります。今後もまたうんとやっていきたいと思っております。
○成瀬幡治君 そうすると、具体的に租税特別措置法の中の準備金なり、それから引当金というものはもう本法に入っちゃっておるわけですから、そういうものはこの次のときと申しましょうか、いままさにもうずっと検討を続けられておって、この次の税制改正のときにはそれが成果として出てくると、われわれは期待していいわけですか。
○参考人(東畑精一君) まあ御期待に沿えるかどうかわかりませんが、先ほども申し上げましたように、法人税率そのものの検討ということと、法人に対するいろいろな特別措置の検討ということは、これは一緒にやらないと、ただ税率を上げたり下げたりするだけでは、ほんとうの問題にならぬと、そういう意味のことはぜひやりたいと思っております。
○成瀬幡治君 あなたのほうで事業主報酬制度については反対の意思表示がございましたですね。これは、所得税とのバランスがくずれるということが大きな意味だったと思うのです。そこで私は――しかしもうくずれちゃったわけです。だから、前からクロヨンだとかトーゴーサンというのがあったが、今度は何ということばができるか、私知りませんけれども、もっとくずれちゃったわけです。しかも、税収はどんとふえておるわけです。そこで、このバランスを来年度まで持ち越していくのか。年度内減税というようなことも、バランスをとるためということ。それから、もう税収が非常に伸びてきたという点で、給与所得税が非常に過酷だということはみんなが思っているわけですね。ですから、私は、年度内減税というものを、税調としては、バランスをとるという立場と、歳入の立場と、両方から年度内減税をすべきじゃないかという意見を持っているが、いかがでしょう。
○参考人(東畑精一君) 年度内減税――年内減税一度やったんでありますけれども、どうもそれは効果としては、三ヵ月待つだけの問題でありまして、やっぱり年度をやったほうが、税の執行その他からいいましても、非常にスムーズにいくんではないかと、こう思っておりますんで、年内の減税ということは、私自身はあまりどうも好まない。そのかわり新年度においてもっと大きく減税ができるということをできるんではないかと、こういう観念であります。前に年内減税やりまして、四十七年度ですね、七年度は所得税の減税はほとんどやらなかった、新しく、前にやっておりますから、そういうことになったんですが、結果からいいますと、減税の程度は非常に少なくなっているんじゃないかと、こういう感じを持っております。
 もう一つの点は、実はこれは少し世離れしとって成瀬さんに笑われるかもしれませんが、実は私は、税制調査会に行きまして、もう十何年ぐらいになると思いますが、初年度ばっかりなんです。初年度がなかったことはたった一回であります。そういう改正をしていくというのは、ちびちびちびちびやって、毎年ちょっとずつ満足しておるというよりは、まあ三年に一ぺんぐらいずつ大きくやったほうが、実は所得税の減税のいろいろ効果が多いんじゃないか、こういう観念をいま持っております。あまりちびちびちびちびいろんなことをやっていくのは実はとらぬと、こう思っておるんでありますけれども、まあ、世の中の変化が大きいものでありますから、毎年毎年やっておりますのですけれども、そういう考えからいうと、年内のことよりは、三ヵ月延ばして、新年度から少し大きくやっていくと、こういう考えのほうが賢明ではないかと、こう思っておるんです。
○成瀬幡治君 私は、税は公平ということが、たくさんやったとか、少しやったという、そのことも非常に大切ですけれども、税の負担が公平であったかどうかということが一番大事だと思うのですよ。そこはあなたのいま言ったように、大幅にやるために少し延ばしたらいいじゃないかと、全くもう不公平が出ちゃったわけです。目に見えちゃったわけです。ですから私は、そういう不公平を直すためには、早くやったほうがいいという意見で、先生と少し意見が違うようですけれども。だから、しかも、その不公平を直すためには、ちびちびのものじゃない。大幅にやらなけりゃ挽回ができぬところにきちゃっているんですよ、と思っているんですがね。特にその給与所得税の減税については、重ねて御意見を……。
○参考人(東畑精一君) 事業主報酬制度というやつに関連したそれは不公平を増していくというのは、どうもわれわれの考え方で、だから、税制調査会としては、あれは反対したんです。それで特別措置法として、必ずしも最初の案よりはもう少しきびしい案になっておるように思っております。まだあれは通らないんでしょう。(笑声)ですから、不公平はまだ出ない。
○成瀬幡治君 まあそういうことじゃなくて、もう少しまじめに議論してみたときに、やっぱりだれが見たって不公平なんです。ですから、先生そういうことで、それは茶話的な、座談的なことで、またそれはそういう点はいいと思うんですがね、もう少しまじめに考えますと、やはり不公平ということが一番いかぬことなんです。高くても安くても、公平であったら、国民は信頼するんですよ。ところが、いま一番いかぬことは、トーゴーサンとかクロヨンだというような、今度また出たから、何ということばができるか知りませんけれども、そういうことになっちゃうんですよ。だから、ぼくは拙速をたっとぶということはこういうことだと思うのです。だから、タイムリーにやらなくちゃいかぬと、悪いものは何だといったら、引当金なり、準備金なり、租税特別措置法の中のそういうところを洗い直さなきゃいかぬ。それとともに、給与所得税の問題をどこにやってくるという問題なんです。
○参考人(東畑精一君) 公平を実現するということは、これはもうずっとわれわれの根本原則の一つになっております。一つ一つそれを、公平の原則に合っておりますので、しかし、新しい不公平をつくられるということになってきますと、この修正ということはなかなかたくさんあるんですよ、そういうものが、一たんできるとなかなかその不公平については直らぬということになってまいりまして、これにつくづく私ども弱っているのです。一番いい例はお医者さんの問題です。これはしかも、国会で皆さんがおきめになったということになっているのですからね。その修正に弱っているのです、言いやすいのです、これは。公平だということは。いかなる形においてやるかということになってきますと、技術的にもなかなかむずかしい問題がありまして……。
○成瀬幡治君 医療制度の例の二八%、七二%の問題は、おっしゃるとおり国会で、これは昭和二十七、八年ごろの問題ですわね。一点単価を一円上げるか上げないかの問題で、どうやってあそこのときに、健保のほうじゃどうにもならぬという妥協の産物としてきたわけですね。あのとき私はあれでよかったと思うのです。しかし、もうそこじゃいかぬよというところにきたわけです。それでまああんたが身を挺してやられると言うから、私たちはずいぶん期待しておったわけです。ですから、今度はそういう報告が出るだろうと思って実は期待しておった。大蔵委員会では相当議論をし、いろいろとあったときに、今度は東畑さんが命をかけてというところはいかなんだけれども、それまでぐらいの勢いに受け取れるようなふうな大体答弁がありましたから非常に期待しておった。ところが、実現せなかったという問題があります。まあ、そういうこともございますけれども、とにかく私は、いまのような問題、あんたがむずかしいとおっしゃるなら、おっしゃるとおりだと思うのです。法人税ひとつとりましても、一体いま法律的には、五百円で七人ですから、五、七、三千五百円の資本金から、何千億という新日鉄の会社まで、法人税一本でやっているからね。これを見ましても大体九十二万一千二十社あるわけですね、法人の数は。二百万未満を見るとこれは五十六万社あるわけです。それじゃ一億以上が幾らかといったら、七千八百四十五社しかないわけなんです。これが一本の税法でやられておるところに問題があって、しかも、それにくると特別措置法があってやるから、小さいものと大きいものというなら、どうなるかというと、その恩典がいかない問題、それを一本でやるというところにもその問題があると思いますけれども。ですから、法人税法全体で議論をするなら、もっと私もいろいろなことが言いたいわけですけれども、そうじゃなくて、そういうものをひっくるめちゃって、もうそういうことは先生も十分御承知だし、いろいろな見方をひっくるめていまは何かというと、小さいほうが大きいものよりもだんだん負担が重くなっていくと、一番重いのは何だといったら、給与所得じゃないか、だから、給与所得を早く減税を大幅にせないとバランスがとれない。しかも、歳入にそれじゃどのくらい穴があいてきたかどうかといえば、相当余裕があって。ですから、大幅にやれるタイミングに来ておるじゃないか、だから、もし給与所得のほう財源が不足だというなら、準備金なり、引当金を整理して回してもいいのじゃないかと、だから、大なたを先生にひとつふるってもらおうと、こう思って、うるさいということをおっしゃるが、それは利益代表の人が出てうるさいのか、その点はようわかりませんが、ニュートラルに議論をされたら、私は落ちつくところへ落ちつくのじゃないかという期待を持っておりますが、いかがですか。
○参考人(東畑精一君) 抽象的な、一般的な意味においては、成瀬さんのおっしゃることに何も反駁する気持ちはありません。大体において私もおっしゃるような気持ちなんであります。ただ税制そのものを改正するというについては、これはいつも私思うのでありますが、税制調査会だけに期待されても実は困るのです。これはやっぱり三者が共同とでもいいますか、大蔵省といいますか、直接は。役人とわれわれと、何よりも、国会というのは、全体としてこういう方向でいくと、この三者の共同とでもいいますか、連絡とでもいいますか、これがうまくいっていないとなかなかいかぬのです。いまのところ私は、国会とそれだけの話もあまりしたことは、機会もございませんで、きょうこういうところへ来るのは非常にだから喜んで来た。どんどんいろいろなことをおっしゃっていただくのは非常にありがたいのでありまして、そうして共同的にみなが進んでいくと、こういうことができるのでありまして、根本としては、どうも過去の経験からいって、それが少し弱過ぎるのではないか、こう思っております。何しろ税制調査会自身だって、いろいろな利害の対立がありますのですが、それはやっぱりみなが一本になりたい、なりたいというだけ、その大きな気持ちでとにかくひとつまとまっていく、大蔵省もそれでまとまっていく、国会もそれでまとまっていく、こういうふうにいきたいんですね。ですから、どうかこれはひとつそういう意味で、きょうもここへ来るのに、別に敵陣に乗り込んでくるという――御質問なさる方か自民党は一人もいないんですけれども、敵陣に乗り込んでくるというんじゃなしに、やはり一緒になって大きな問題を議したい、こういう気持ちでおりますので、どうかその点は誤解のないように。
○成瀬幡治君 いま東畑さんの意見というのは、ぼくは提案と考えるんですが、非常に大事なことて、大蔵委員会も今後――まあ、幾つも部があるようですから、ぜひ東畑先生以外のそういう部長さん等ともいろいろおやりになって、それは意見交換なり、その点また非常に有意義だと思いますから、せっかくの御提案ですから、ぜひひとつ理事会等で検討して善処していただきたい。
○委員長(藤田正明君) そのような方向で進みます。
○成瀬幡治君 それじゃ次にお伺いしておきたい点は、全くこまかい話なんですけれども、たとえば、環状線がこうできてるんですよ、高速道路ができましたために、とっても騒音と振動と、空気もよごれたものが入ってきていかぬと思って、個人でサッシかなんかで窓ワクをしますね。そうしますと、いま公害に対する姿勢の問題の一つの例として申し上げたいんですが、そうやったときに、個人はそれに対していろんなことをしましても、必要経費は認められぬわけです。ところが、会社のほうが何か装置をやったり、いろんなことをすると、何とかかんとかって公害損失準備金だとか、あるいは公害施設何とかの形で損金にみんな落としていっているわけですね。ですから、私はもう少し個人がそういうようなときに、大事にしたいようなときには、何か優遇措置というものが考えられているのか。あるいはこの所得税の控除のやつをずっと見ていっても、火災保険は二千円で頭打ちになっておるんですね。そうすると、これは一軒のうちの火災に幾らそれじゃ掛け金かけたら二千円になっておるのか、あるいは生保は五万円でかけておれば三万五千円の控除になると、いろんなことを考えてみたときに、せっかくいま生きておるやつをやっても、非常に不公平だと思うんですよ。もともと基礎控除がどうだなんという議論をすればもうおのずとわかる。そういうようなことについて、私は従来どおりきたんだからという一つの惰性でどうもきておるような、ものの貨幣価値との動きから見ていかがなものであろうかというふうに考えておりますけれども、そういうことじゃなくて、もうあんまりこまかいことを設けることはやめて、給与所得の中の何%というものは頭から天引きしていくというなら、なお税法が簡単になっていいと思うんですよ。それから、脱税のほうもかえってそのほうが、節税のほうが――脱税と言やことばが悪いので、節税のほうもなくなってくるんじゃないかと思うんですが、それはどうでしょうか。
○参考人(東畑精一君) ちょっと御趣旨のこと了解しがたいんでありますが、大体税法という名前は、長い間の歴史からできておりまして、ある意味で非常に鍛練されておるものなんで、少々まずい税をつくっても、長くやっていると、それにこう人間が適応していくということがありますので、一挙に大変革するといいましても、大変革したこと自身が、今度は目的はよくても、必ず何年間というものは混乱を起こすと、こういうこともございますんですが、ことに控除問題になってきますと、一そうそういうことが多いのじゃないかと思うんですがね。ある時期においては、そういうことを控除しなければならぬが、できないものだから、ほかの点で控除しておるというようなことがありまして、そういうものが非常に混淆しているかと思っているわけです。
○成瀬幡治君 私は、公害がやかましくなると、発生源のほうに対してはいろいろな点で恩典があるわけです。個人がこれを守ろうとしたときには、恩典がないということが言いたいわけです。
 そこで一言、たとえば例をとれば、保険会社のほうにはいろいろな意味で、銀行でも、担保も保証人もつけておるやつに、貸倒準備金なんというものを、引当金なんというものをつくっておる。そうやって守っておる。ところが、個人のほうは、騒音、振動があるからといってサッシをつくって守っても、何らそういうものに対するめんどうが見てもらえぬというところに問題があるんじゃないですかという提起の一つの例として、非常におかしいという――いま現に控除になるいろいろな項目をあげてみても、一つ一つ見ると、もうとてもとても文句が言いたいものばっかりありますので、そういうことを申し上げているわけです。
○参考人(東畑精一君) まあ会社の声は強く響くが、個人の声は強く響かぬと、こういうことですな。
○成瀬幡治君 まあ端的に言えばそういうことです。
○参考人(東畑精一君) それは一つのものを考慮する重点だと思いますね。気をきかしてやるということになってきますと、声が小さくたって、必ずしも力がないんだというんじゃなくて、小さい声でも理性的に考えれば大きい声なんだと、こういう問題はたくさんあると思うんですよ。それは生かしたいと思いますね。
○成瀬幡治君 たとえば、自動車などを持っていますと、強制保険と任意保険と二つありますけれども、強制保険なんかは、これは入るべきだというふうにきめていますね。入ったわ、そうして任意保険もやったわ、事故、いろいろなことがありますから、私は、もしいまの所得申告の中でいろいろなことをやるなら、そういうようなものを見ていく、いわゆる個人のほうの声も聞いてやってやるという姿勢、あまりこまかい――事柄はこまかいかもしれませんけれども、いわゆる発想の転換ということを、いままでは企業のほうに目が向けられてあって、個人のほうにはあまり目が向けられていなかったという点で申し上げているわけでございます。まあこれは先生の御意見、るる伺ったので、いいです。
 それから次に、物品税の話が先ほど出ておりまして、とともに非常にだめだわい、とらえにくいよと、たとえばナポレオンの帽子を買ってどうだという話が出ました。それとともに、不合理だという点で最近富裕税という問題が一つ出てきたわけです。国会では相続税の問題が議論をされました。そこで、富裕税をもしやるとしてみても――私はやったほうが、何かしなければ、こんなに差が出てきちゃったので、何か縮めなければならぬという、抽象論では非常に賛成で、今度は個々にこれを具体論に引き直してやったときに、つまり表現財産というものは、金の小さなものは、表現財産でおるわけです。だんだんだんだんとたまるほど、表現財産じゃないものにいくわけですね。とらえられるのは、表現財産だけだということになると、非常にむずかしい問題がある。過般資料として査察の入った人たちの架空名義、無記名預金と表現預金との比較をしてもらいましたら、三十五対六十五で無記名、架空名義のほうが多いわけなんです。架空名義はと言ったって、私が、成瀬幡治の名で北海道で預金しても、これは架空名義か実名かわからぬわけなんだね、実際のこと言うと。背番号とか、何か米穀通帳ぐらい持っていけば、それはわかるかもしれませんけれども、なかなか容易な問題じゃない。そう思っておるさなかで、富裕税というようなことばが出ておりますが、物品税も非常に不愉快な法律で、わけのわからぬようなものですが、ここで富裕税というものについてもし何か御見解があるならひとつ御意見を承りたいと思います。
○参考人(東畑精一君) 私ちょっとあまり考えたかった問題でございまして、お答えしにくいんでありますけれども、どうも富裕税を取るということは、ちょっと聞いてみないと――いまおっしゃったように、非常に景気のいいことばであります。いかにもいい考えのようなんですけれどもこんなまたあいまいなことばはないんですね。いまおっしゃったような、顕在している財産と、価といいますか、つかみにくい財産というものがありまして、どうも富裕税というのは考えとしてはおもしろくていいと思うんですけれども、実施上は非常なこれは困難なことになってくるし、また一そう隠匿財産というものをつくっていくんじゃないか、こういう心配がありまして、ちょっと記憶いたしておりませんが、シャウプのときに、何かしばらく……。
○成瀬幡治君 財産税やりましたね。
○参考人(東畑精一君) 財産税やったんですが、財産税ということ自身が非常にあいまいなんですね。財産というのは非常にあいまいということなんです。私は、現にこれは一つの例でありますけれども、戦前のことでありますが、地主というのを少し研究したことがあります。一体、何町歩の地主だというのは実にあいまいなものだ。隣近所の三ヵ村にまたがっておるというような地主はつかみやすいが、二県、三県にまたがっている、あるいは北海道にある、こういうふうになってきますと、実は名寄せということもできませず、地主というのははっきりしておらないわけです、一ところの地主と違いまして。それが非常に多くなってきているんですね、近年は。でありますから、日本で五町歩の地主だといいましても、私が、三重県に三町持っている、愛知県に一町持っている、北海道に一町持っている、実は五町歩の地主なんでありますが、どうも相当詳しく勉強しましても、なかなかつかめない、結局三町歩の地主東畑と、一町歩の地主東畑、一町歩の地主東畑と、三人の東畑になってあらわれている、こういうことになってくるんです。ああいうはっきりしたものにでもそういうふうになってくるのですね。いわんや近年になってきますというと、目につかない財産というものが非常にふえてきている。土地なんていうものは、むしろ簡単なものなんですね。ですから、富裕ということ、あるいは多く財産持っているということは、実に技術的につかみにくいのじゃないか、こういうことなんです。それよりもむしろ所得税というもの一本で考えるとか、こういう形でいったほうが、実は公平にいくんではないか、こういう考え方をいたしております。ですから、富裕税をつくるということ自身には、それほどの熱意が持てないのですね。
○成瀬幡治君 私は、富裕税が出てきたという背景は、全く片方では勤労所得でがっちりとつかまれてしまって、そして財産税で何とかといっても、昭和二十五年から七年までですか、二年間か三年間やられておって、一応差はなかった、一応敗戦直後差がなかった。ところが、ここ二十年ちょっと、三十年ばかり、二十五、六年の間に、全くある人とない人の差が出ちゃった。だから、先ほど出たナポレオンの帽子買ったり、この間のイギリスの骨とうのあれなんか、一億の絵を買ったんでしょう。絵を買ったということは、会社が、いまあそこじゃ買ったかもしれませんけれども、将来はだれか個人が持つことになるでしょうね、あるいは会社が持つことになるかもしらぬが、個人が持つことになる。それだけの貯蓄ができたということは、どうやってたまったんだろうというと、たまった理由がよくわからなくなるのですよ。ほんとうなら所得税で完全につかまされていなければならなかったものが、つかまされなかったということになる。だから、あなたがいまおっしゃったように、じゃそういうものはいかないから、かわるべきものは所得税じゃないか、そうおっしゃるなら、その所得税というものがいいぐあいにつかまれてきたかというと、いままでのやつではつかまれなかったから、こういうアンバランスが出て、脱税とは言わぬけれども、節税をやっちゃって蓄積されたということになるだろうと思うんですね。ですから、なかなか容易じゃないと思うんですが、しかし、みんなは非常に不信感を持つわけですね、勤労給与所得の者が。だから、私は話をもとに戻しますが、給与所得の大幅減税というものをやらないと、全く不公平になってきたというふうに感じておるわけなんです。
○参考人(東畑精一君) 所得税だけ――所得税及び相続税両方、それで考える、富裕税のかわりに。そういう形でいったほうがスムーズにものがいくんではないかと、こう思っておるんです。
○成瀬幡治君 この間、相続税をここで議論したんです、相続税やっても、ほんとうの話が、私はあなたのいう顕在財産、表現財産、これはつかめますけれども、隠れているものはつかめないわけなんだね。書画、骨とう、貴金属はつかめない。だから相続税でそういうものがつかめるなんと思ったら、私は、たいへんな間違いじゃないかと思っているんですね。
○参考人(東畑精一君) そこは税務行政のいかにあるかということにも関連があることだと思いますが、どうしてもつかめぬ、隠れたものがあってもしかたがないと思いますが、その隠している本人は相当の苦痛を感じますよ、それは。(笑声)現にそういうケースがあるんですから。苦痛を感じている。それで解決するよりしかたがありませんな。(笑声)だから、もし給与所得の公平をはかれということは、それは決してそのことは当然のことだと思っております。そういう意味で。大体給与所得控除というものができたのは、言わず語らずのうちにクロヨンということに対する一種の対抗策なんでありますと私は解釈しております。理屈としてどうなるかしりませんけれども、そういうふうな問題あると思いますね。何となしにクロヨンなんていう、これはなかなか立証することはむずかしいことでありますけれども、そういう感じがあるんですね。そこに出てきたのが給与所得控除という問題だと思うのでございます。そういう巧みな税法をつくっていく以外に道がない、こう思うのですね。ことに近年になってきますと、外国へ物が逃げるということがございます。これはもうどうにもならぬということになります。また、日本に逃げてきている財産もずいぶんあります。
○多田省吾君 私は、東畑先生に、最初にたいへん失礼かと存じますけれども、税調の基本的姿勢というものについてお伺いしたいと思うのです。私は、東畑先生にお尋ねするのは初めてでございますから、あれですけれども、やはり政府の審議会あるいは調査会というものが、ともすれば政府の隠れみのではないか、こういうことがいろいろ国民の間にささやかれておる。特に私は、選挙制度審議会第六次、第七次に特別委員としてずっと出てまいりました。選挙制度ですから、これは与野党が非常に激突するものでございまして、なかなかコンセンサスというものが得られない。そういうこともありましょうけれども、どうも政府の任命、総理大臣の任命でありますが、やっぱり一方に片寄った任命のしかたをするんじゃないか。それから、審議会に参加しておりましても、どうしても与党のおっしゃることに賛成しやすい、こういう傾向が私、主観的かもしれませんけれども、感ぜられるわけです。しかし、税制というものは、やはり国民生活に非常に重大な影響を持っているものでございますから、やっぱり国民は国民の側に立って審議していただきたい、調査していただきたいという考えが強いと思います。それで私は税制調査会のやられていることについて全然無知でございますから、実際を知りませんから、何も言えない立場でありますけれども、総理大臣から毎年のように諮問が出るわけでございますが、これが抽象的な諮問なのか、あるいは質疑応答の中で相当具体的な政府の考えというものが出るのかどうか。まあ、この前も政府が五千億減税とおっしゃった、税制調査会から出てこられた答申は初年度三千百億円の減税ですか、政府は地方税を入れれば五千億近いとおっしゃっていますが、大体政府の意向に沿ったような答申が出るのじゃないか、こういうことから考えまして、ほんとうに政府の、また総理大臣、大蔵大臣の大体お考えになっているような方向で審議が進められるのか。それとも、それと全然関係なく、抽象的な諮問に対して、公平な国民的な立場で審議されるのか、たいへん失礼な質問でございますけれども。というのは、やはり税制調査会の委員のメンバーなんか見ますと、いまたいへんさわがれている、商社の投機や買い占めでさわがれている丸紅飯田の社長さんなんかも委員の中に入っていらっしゃる。私は、個人的に何も攻撃したくありません。しかし、いろいろな立場の人が入っていらっしゃる。そういうことで、やはり会長さんとしても、これは非常に取りまとめに御苦労なされるのじゃないか、このように思います。ですから、まず最初に、私はどういう態度で調査会を運営なされているのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○参考人(東畑精一君) つまり税調といたしましては、その税の理念ということを一方において描いて、同時に、現代の状況とでもいいますか、これを頭に描いて、その二つをいかに調和していくか、こういう形でおります。
 もう一つは、一年限りでものを考えることはできない。たしか委員の任命は三年になっておったと思いますが、多年度にわたりつつ税の理念に合うといいますか、理想に合うといいますか、それと現代の状況のもとにおいて実現できるかどうか。こういう三つのことをあわせていつも運営しておるということであります。ただ、これは人によって違うと思いますが、私自身はこういう考えでおるんでありますが、いかにりっぱな案を出しても実現できなきゃ、それは意味をなさぬと、やっぱり実現するということが一歩でも前へ進んでいくと、こういうことが必要ではないかというので、私は、大蔵省のお役人諸君にもいろいろ頼んで、ひとつ国会はどういう議論をされているとか、こういうことはしょっちゅう、私の、これは個人的なあれでありますが、自民党はどういう考えでおるとか、公明党はどういう考えでおられるとか、社会党はどうだとか、共産党はどうだとかいうことをしょっちゅうこれはしておりますし、また場合によりましては、こちらはこういう考えでおるんだということを非公式に伝えておるということはあります。これはものが実現する一つの道ではないかと、こういうことはいかぬと言われればそれっきりなんでございます。
 私は、そういう形で運営いたしておりますし、別に政府の隠れみのという気持ちは持っておりませんね。ただ、しかし、最初に山崎さんのときに申し上げたと思いますが、大蔵省ずいぶんよく使っていくんですよ。大蔵省の連中は秀才で、しかも、非常によく勉強しますから、ありがたいんでありますけれども、何しろわれわれと一緒で、頭が小さいんです。そんな大きな考えは出っこないんですよ。ですから、あわせてわれわれやっていこうと、こういう考えでおりますので、これは国会に対してもそういうことを申したんです。こういうのが運営の原則なんですが、一般的に言えばそういう形でおります。
 先ほど山崎さんでしたかが、私があるところでしゃべったという何か話を言われたが、あまりあちこちでしゃべったことをたてにとられても困るんですけれども、私は、実はそういう意味で、税制調査会というのは、一種の技師なんです。非常にりっぱな考えをいかにして生かしていくか、これをもっぱらやっているんだと、こういうことを思っております。で、りっぱな考えが出るのはやっぱり国会ですよ。大蔵省じゃないんです、実は。それはそうです。だから、国会に対しては非常に敏感にやっておるんであって、国会がりっぱな考えを出していただければ、喜んでわれわれ技師は働くんですよ。ところが必ずしもそうじゃない。(笑声)これは率直に言ってそう感じます。どうかひとつ出していただきたい。もうこまかい話はいいんですよ。こまかい話はやるんですよ、それは。それはもう通じているんです、みな。大きな考えを出していただきたい、こういうことであります。
○多田省吾君 お考えはよくわかりました。私たちもやはりこれはしっかりしなきゃならないと感じますけれども、やはり政府が現実に一歩でも前進して実現できるものというお考えが強ければ強いほど、どうしても大きな案は出しにくいということになってしまいますので、まあその辺のところを、お願いでございますけれども、やはり大胆に国民の側に立ってお願いできればお願いしたいと、こういう感じでございます。
 それで、昭和四十八年度の税制改正に関する答申は、昭和四十六年十月、総理から、社会経済の進展に即応する税制のあり方について諮問を受けられて、まあ一年以上審議を続けられたわけでございますが、今度は昭和四十九年度の税制改正に関する答申を出されるのは、今後の諮問にまって出されるわけでございますから、非常に期間が短いんじゃないか。まあ半年ぐらいで年内にまとめられるものではないかと思いますが、大体どういう見通しをお持ちでございますか。
○参考人(東畑精一君) 四十九年度はまだ開いておりませんが、近く開始したいと思っております。
 問題は、もう非常にたくさんありまして、昨年から残っている問題もあります。たとえば、法人税の問題これも一つの大きな柱であります。それから所得税、いろいろお話ありましたですが、これもやらざるを得ない。こういう点がありますし、大都市の税源とでもいいますか、この問題もございまして、なかなか問題は山積しておるんです。従来はそれほどなかったんでありますが、少なくとも昨年度は、五月ごろから始めまして、何十回やったですか、ちょっと奔命に疲れるぐらいやりましたですね。暮れは最後の一週間やりまして、これは連日、一週間のうちに七回かやりました。やっと三十日に間に合って出たのでありますが、それで土地の問題はまだやれませんで、一月の幾日でありましたか、やっと一月早々からやり出しましてまとめたのでありますが、問題は非常に多いものでありますから、どうも勤勉たらざるを得ない。こういうことでおりますんで、それで心ならずも残した問題がたくさんあります。これは今度やりたい。
 一つは、言うまでもなく法人税の問題であります。それから、一般のそれに伴う特別措置の検討、その他いろいろな問題があると思っています。それをやりたい、こう思っております。
○多田省吾君 先ほど山崎委員からもお尋ねがございましたけれども、まず私は、所得税についてお尋ねしたいと思います。
 というのは、東畑先生が衆議院の大蔵委員会に出られたときだと思いますが、田中総理が、サラリーマン減税のために必要経費を一律三〇%ぐらい認めて大幅な減税をしたい、こうおっしゃっておる。この参議院の大蔵委員会でも、田中総理は、一律三〇%ということをおっしゃった。これはたとえばの話で一つの例であると、そうすれば、四千五百億円ほどの減税で相当これは減税になるんだ、こういうお話でございました。それは、一律に二分の一減税すれば一兆何千億かかかるということと並べて、一律三〇%の必要経費の減税ということをおっしゃったわけです。しかし、大蔵大臣はそのあとで、これは一つの例であって実際にそんなことはできるわけがないというような答弁もございました。私たちもそう思います。もう一律三〇%の必要経費を認めたならば、せっかく給与所得控除で相当御苦労なさって、定額控除が今度の改正で十六万円まで、それから二〇%の定率控除の適用が百五十万円まで、一〇%の適用を三百万円まで、五%の適用を六百万円まで、また限度額を七十六万円とする、こういう改正案を税調として出されたわけです。その直後に一律三〇%。私たちもやはり、三〇%であろうと四〇%であろうと、低額所得の方々に対する控除ならこれは妥当だと思います。そうあっていただきたいと思います。しかし、一律三〇%となりますと、せっかく最高七五%までの税率にしてあるのに、三〇%にしたら、それこそ最高でも七五%の七割になっちゃって、五二・五%が最高の税率だと、こういう不合理が出てくるわけですね。そんなことは、やはり高額所得者に対する大幅減税になりますからこんなことはできるわけがない。一つの例だと思っていたところがそうじゃないんですね。
 やはり自民党の橋本幹事長が、先ほど山崎委員もおっしゃったように、もう具体例を出しておられるわけです。二百万円未満まで四〇%控除、二百万円から五百万円まで三〇%控除、五百万円以上は二〇%控除。そうすると、五百万円以上は二〇%控除ですから、まるまる最初から二割は考えに入れませんから、八割に対する七五%課税ということになりますと、最高税率が六〇%になってしまうんです。こんな不合理は許されるはずはないと思うんです。
 そのことを大蔵大臣にお尋ねしましたら、これも一つの案としては考えられるけれども、何も大蔵省として、政府として、税調にこういう具体的な諮問をするわけじゃないんだ、税調できちんと妥当な所得税減税を考えていただくんだと、こういう答弁でございます。
 で、私たちは、これはあくまでもいままでのお考えに従って――やっぱり標準家族で課税最低限を百五十万円までに引き上げるという野党の一致した要望もあるわけでございます。それから、たとえば、二百万円以下の方に対しては、四〇%控除でも、三〇%控除でもけっこうでしょう。だけれども、高額所得者に対する減税として二〇%控除、こういうことは、私たちはちょっと考えられないことだと思うんです。
 で、やはりこれは具体的な問題になってたいへん失礼ではございますけれども、東畑先生はこの問題を、抽象的でもけっこうでございますから、ほんとうに下に厚く上に薄く、あるいはほんとうにサラリーマンといわれるような方々の必要経費の減税であって、何も三千万円とか、一億円とか、何十億円という所得のある方々に対して、定率控除を二〇%まで認めるんだというようなやり方がはたして妥当かどうか、できる限りひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○参考人(東畑精一君) 国会問答のことは、ちょっとよく存じませんが、どうもお話を聞いておりますと、大蔵大臣がお答えになったことのように私は考えておりますが、現在はことしの所得税改正案が出ていると思いますが、われわれとしましては、定額控除十六万円ですか、あとは定率控除で六百万円までは給与所得控除というものを認めておりますが、一億も二億まで、何割でしたか、ちょっと……。
○多田省吾君 二〇%。
○参考人(東畑精一君) それは何かのはずみの話じゃないんですか。(笑声)常識的に言いましても、それはちょっとおかしいと言わざるを得ないですね。新聞見ていると、どうも必ずしも趣旨が徹底して伝わっているかどうか知りませず、また国会の中での勢いに乗じていろいろな話が出るんじゃないかと思いますけれども、どうもいまの話はちょっとおかしいですよ。
○多田省吾君 東畑先生は専門家中の専門家でいらっしゃるから、そういうばかなことはないと、たちどころにおっしゃいますけれども、やはり大蔵大臣もこういうことはおっしゃらないわけですよ。だけれども、やっぱり政治的な御発言かもしれませんけれども、総理がやっぱり一律三〇%減税とか――確かに橋本幹事長なんかは、全部の新聞に同じように書いてあるんですから、私は間違いないんじゃないかと思うんですけれども、五百万円以上が二〇%控除なんてはっきり出ているものですから、やはり東畑先生おっしゃるように、ほんとうにおかしいなと、そのように感じたわけです。そういうことはないとおっしゃってくださっておりますので、四十九年度における所得税減税に対して、私は、税調はサラリーマンまた国民の立場で考えてくださるんじゃないかと、このように思っております。
 先ほども未成年者に対す非課税の問題がございました。現在でも四十三万円ちょっとで未成年独身の方に対しては税金がかかる。そしてまた株の配当のみで所得を申告されるような方は、やっぱり標準世帯で二百七十五万円まで非課税である。こういう非常に大きな矛盾があるわけでございますが、この問題に関しても、総理大臣あたりは、独身未成年の方のみを特別扱いするのはどうか、それで、所得税減税を大幅にやって、課税最低限を引き上げていく中で、この未成年独身者も非常に非課税の分が大きくなるのだというような答弁でございました。東畑先生としては、そういう一般的な所得税減税で、独身未成年者の分も包括していったほうがよろしいとお考えなのか、それとも、独身未成年の方に対しては、特別に控除をしたほうがよろしいのじゃないかとお考えなのか。まあたいへん込み入った質問になりますけれども、お答えできる範囲内でひとつお願いしたいと思います。
○参考人(東畑精一君) 特別な控除をするということでなしに、一般的な形においてやっていきたいと、こう思っております。一ぺんにやれるものじゃありませんで、近寄せたいと、こういう考えでおります。と申しますのは、未成年者は翌年になってくるとがたっと今度はふえてくる、特別な控除をいたしますと。そうでなしに、やはり全体を動かしていくと、こういう形がいいと思いますので、特別の控除はしない、こういう考えでおります。
○多田省吾君 次は、法人税についてお尋ねしたいのですが、まあ総理や大蔵大臣も、大体四十九年度はいまの三六・七五%という特別措置をそのまま本法に繰り入れて、それにプラスして引き上げていきたいと。まあ野党は一致してことしから四〇%ということを主張しておりますけれども、そこまではちょっといけないのじゃないかというような考えを述べておりました。しかし、私たちは、やはり法人税のわが国の実効税率が四五・〇一%ですか、諸外国がほとんど五〇%以上なのに、諸外国と比べても五%内外日本の法人税が低いということを考えますと、やはり野党の主張するようにせめて四〇%以上、中には四二%、四三%ぐらいにすべきだという意見も強くございますが、せめて四〇%以上という考えがわれわれには強いわけでございます。
 ですから、美濃部都知事なんかも、法人税率が日本において低いというので、東京のような大都市税源のためには、法人事業税なんかの地方税で取れる二つのあれを相当アップしてもいいんじゃないかというような提言もしているわけです。そういったことを考えますと、私たちは、やはり法人税率は大幅に引き上げてもよろしいのじゃないかと、このように考えるわけでございます。
 それからもう一つは、やはりいまは二段階でやっておりますけれども、やはりそのいろいろな意見の中には、四段階ぐらいにしてもいいんじゃないか。たとえば、四十七年度の法人所得番付を見ますと、トップがトヨタ自動車で一千四十七億円だ、松下電器が九百五十四億円だ、日産が八百十四億円だ、五十位でも百七十六億円、こういうような大法人が何十社とあるわけでございますけれども、それと、資本金一億、年収三百万円をこえる企業が一律に三六・七五%、基本税率が三五%ですね、こういう現行法人税制では、担税力から見ましても非常に不均衡じゃないか。ですから、この二段階を四段階ぐらいに分けてもいいのじゃないか。そうしますと、総理や大蔵大臣は、法人がみんな小さく分かれてしまうおそれがある、こういうお答えでございますけれども、私たちはそういう四段階ぐらいではそういうことは考えに入れなくてもいいんじゃないかとも考えます。
 ですから、法人税のアップ、それから、四段階ぐらいにしてはどうかということ、この野党の提言に対してはどのようにお考えでございますか。
○参考人(東畑精一君) 法人税問題は、当然今度はひとつわれわれとしても勉強したいと思っておりますが、大勢としては、引き上げるということになるかと思いますが、引き上げ方の問題でありまして、だから、法人税自身の問題もありますが、同時に、法人事業税の問題があります。これともかみ合わせていかなければならぬと思います。
 それから、いま多田さんのお話で、いま二階段になっておるわけでありますが、四階段ですか、そういうお話もございましたのですが、それも一つの考えだと思いますが、同時にまた産業の種類によりまして、という一つの分類もできると、こういうこともありまして、そこはいまきょうここでお答えすることはちょっとできないと思っておりますが、来年になればもっとまとまったお答えができるかと思っております。
○多田省吾君 それから、租税特別措置でございますけれども、非常に日本は数が多い。税調の答申でも、これは勇断を持って処理したらどうかという答申も出ているわけでございます。もうある学者なんかは、租税特別措置を全部やめて、どうしても困るようなところだけはひとつ正式な所得税、法人税の本法に繰り入れてやったほうがよろしいんじゃないかと、こういう意見すらあるわけです。それほど租税特別措置による減税額というのは膨大になっているわけです。大蔵省の資料を見ますと、租税特別措置による四十八年度の大体減税額は四千六百億円とかこう出ていますけれども、実際は、私は、その中に交際費課税の増税が千七百億円ぐらい入っておりますから、もともとこの交際費は、諸外国並みにほとんど本法において損金算入を認めなければ、四十八年度においては一兆六千億ほどの交際費を使うと大蔵省でも予定しているわけです。それを全然認めなければ、私は三六・七五%かければ、もう相当膨大な税源になるわけです。それを損金不算入ということにして、千七百億円の増税だという計算ですから、租税特別措置全体が四千六百億円の減税となっておりますけれども、この交際費を考えに入れないで、むしろそれにプラスすれば、はっきり言って、この一兆円以上の租税特別措置がなされているといっても過言じゃないと思う。交際費をまた別な考え方でやれば、共産党さんなんかは、大企業に三兆円の租税特別措置をやっているんだと。これは所得税や法人税の本法の中にもいろいろな減免税がありますから、それも考えに入れられていることだと思いますけれども、中小企業も入っているんじゃないかと思いますけれども、やはり正確に計算すれば、やっぱり一兆円、二兆円ぐらいの租税特別措置による減税がなされていることは間違いないと思うのです。これはやはりいまの社会情勢から考えて許されないことだと。ですから、交際費課税を強化するとか、あるいは大企業の輸出奨励の意味の租税特別措置とか、そういったものも一切ここでやめて、そして公平な税負担ということで、国民が納得するような租税特別措置の勇断を持った改廃というものがいま必要じゃないかと、このように思いますけれども、どうお考えでございますか。
○参考人(東畑精一君) いまの多田さんの計算はちょっと私もわかりませんけれども、特別措置は、一つは経済政策といいますか、この変遷する経済状態に対して新しく経済政策をやろうというのが、特別措置の一つの根本思想だと思うのでありますが、そういう時期も過ぎても相変わらず既得権的にやっているとかいうことは、これはもちろん修正しなければならぬと、こう思っております。全部これをよすとなりますと、生命保険の控除だとか、少額貯金の控除だとか、これが非常に大きいわけです。税額としましてそいつはできないと思う。ただ、あまり不公平だとかいう点はやらなければなりませんし、先ほどもちょっと申し忘れたんですが、法人税の改正というものは、法人税率をどうするかという以外に、特別措置的なものを修正することによって法人税が事実上上がると、こういう面もありますので、それから事業税、全面的にあわせて一本として考慮したい、検討したいと、こう思っております。
○多田省吾君 時間がまいりましたので、最後にまとめて三つお尋ねしますので、簡単でけっこうですから、お願いしたいと思います。
 一つは、所得税の中にあるいわゆるキャピタルゲイン非課税ですね、それをいつまで続けられるのか、昭和二十八年に全部非課税になってからもう二十年たつわけです。しかし、やはり努力をすれば、アメリカやイギリス並みに、この膨大な証券市場のある日本において、非常に不公平と言われるこのキャピタルゲイン課税は私はできると思いますし、大蔵当局も、将来はやっていかなくちゃならないという腹をきめておられるようでございますが、これは私は早急にやるべきだと、このように思います。
 それから第二点は、この前残されたとおっしゃっているギャンブル課税ですね。
 それからもう一つは広告費課税。
 こういった問題も四十九年度の税制において相当真剣に、答申まで出るようなことをお考えになっておられるのか。以上三点をお尋ねします。
○参考人(東畑精一君) キャピタルゲイン、思想としてはもう私も賛成です。いかにこれを実現するかという問題であります。
 それから、ギャンブル税もぜひこいつはひとつ考えたいと思いますが、ギャンブル税のいかんによりましては、どういうんですか、私的にやる、のみ屋、ああいうことになってきて、片一方で押えて、片一方で変なものができてくるという、これも考えなければならぬ点なんですね。なかなか賢いですからね、人間は。そこらの重さといいますか、これを考えなければならぬ。こういうことは、実際は私どものように世の中をあまり知らぬ者からいうと、いい知恵出ないんですよ。むしろ第一線に御接触になっている皆さんですね、そういう方からこれは実は知恵を授けてもらわないと実際のところ、結局われわれは机の上の学問ですからね、そういう点は多田さんなんかからむしろ知恵を授けてもらわなければならぬと、こう思っております。
 広告税も、これは交際費という問題とからめて考えなければならぬ点が非常に多いのでございますね。単純な広告税と言うと、いかにも広告税のようでありますけれども、これもまた実に複雑でして、テレビから何から全部出てこなければならぬ。非常に交際費的な広告費というものが非常に多いんですね。そういう点もありまして、いろいろ苦労しているんですよ、それは。そういうわけでありまして、要領を得ない答弁ですけれども……。
○多田省吾君 どうもありがとうございました。
○野末和彦君 来年度の税改正で法人税がたぶん引き上げになるだろうというようなことをちょっといま先生おっしゃいましたけれども、しかし、これは、たとえば景気がことしよりも悪くなったとかりにしますね、後半から。そうなった場合に、法人課税を強化していく、税率を上げるなりあるいは租税特別措置をいじるなり、ともかく強化する方向にいきにくくなるんじゃないかという不安があるわけですね。いろいろないままでの財界との関係なんか考えますと。そうなると、ことしでも法人課税強化というのは足りなかったとぼくらは思うわけですよ。そうすると、なお来年もし景気が悪くなりそうだというのでこれに踏み切れなかったとしたら、これで福祉税制へ転換するチャンスを完全に失っちゃうんじゃないか。そういうふうに考えますと、税調の基本姿勢として、景気のいかんにかかわらず法人税は絶対に上げる方向にいくんだということなのか、経済情勢を見ながらやはりそこは弾力的に考えていかなければならぬと、こういうふうにお考えなのか、法人税を上げる基本的姿勢をちょっとお伺いしたいんですが。
○参考人(東畑精一君) いまは非常に実は野末さんのお話、やわらかいことばなんですけれども、問題としては非常に私は深刻な問題だと思うんです。と申しますのは、景気見通しの問題と関連した問題があります。来年は悪くなるかもしれぬ、こうなってきますと、一般に法人税率を上げるということに対して非常に強い抵抗があると思うんですね。ですから、これは非常に、何といいますかね、洞察力の問題だと思うんです、ことしやるのは。ことしやるといいますか、ことしわれわれが議するのは。そういう問題があるんですが、いまのような点は、まさに法人税を考える上にとっては非常に重要な問題だと思います。それにもかかわらず、やるのかやらないのかと言われたときに、先ほど申しましたように、私自身として三十分の一の発言力ですよ、正直のところ。ですから、何とも言えませんけれども、あま天下の大勢としては、法人税というものは少し上げるのが筋じゃないかと、こう思っております。
○野末和彦君 そうすると、かりに景気が悪くなりかけたとしても、租税特別措置は、これだけは景気がいい悪いにかかわらず、先ほど成瀬先生からの話も出ましたけれども、ああいう租税特別措置は絶対に、まあ検討して当然改めるなり、廃止するなりこれはしなければいけないと思うんですね。だから、税率の問題は別としまして、これたけはやはりやるのか――いままでのいわゆる企業優遇の税制の色が濃いわけですから、それを福祉税制に変える、これをもしやらないと、何か税調も政府の単なる手先で、まあたいした権威も何もないんじゃないかという判断をせざるを得なくなってしまう。その租税特別措置に関してだけいえばどうでしょうか。
○参考人(東畑精一君) つまり景気ということと、まともに受ける受けぬという問題でない特別措置もございますからね。それは私は、ある程度まで議することはできると思うんですよ。
○野末和彦君 もちろん何もかもというのはすぐには当然無理ですけれどもね。
 それから、法人税はそのくらいにしまして、先ほど出ましたサラリーマンの減税云々というやつですね、これもいまの先生の御意見ですと、結局必要経費なんというものを考えずに、給与所得控除というもの、これを引き上げて実質減税にするのが本筋だという御意見だとお聞きしたんですが、これはぼくはちょっと反対なんです。結局、事業主報酬制を税調は反対したけれども、その意見が無視されて、実現しそうだということは、当然そこに、事業主報酬制は白色と青色との比較とかそういうことから出たらしいんですけれども、サラリーマンとの間に結果的には負担の不公平が出てきたわけですね、新しい問題。そこで、今度はサラリーマンが自分たちは一番不公平、重税感にあえいでいる、あるいは不公平のあおりをまともに食っているんだ、こう思っている。これは感情論かもしれませんが、こういう感情的な問題を税制にもう反映しなければいけないときだとぼくは思うわけですよ。大蔵大臣あたりは、感覚的に言っていることはわかるけれども、制度とはこれはまた別でという考え方をすぐするわけなんですが、それはちょっとまずいんで、やはりサラリーマンというものがいま感じている不平、不満、そういうものを押えるには、給与所得控除を上げたということではもう解決できないんで、別にサラリーマン独自の必要経費というようなものを認める方向にいかなければ、だめなんじゃないか、不公平感というものは絶対なくならない。しかし、そんな感情論はやっぱりこれは別で、税制というものはそんなものじゃないと言われればそれまでなんですが、そういう意味から、必要経費という控除を別にサラリーマンのために設ける、そうでなければ、いままでの給与所得控除を上げる。これは十六万をかりに二十万に上げるということだと、事業主のほうにだってそれは関係してきているわけですから、やはりその考え方でいくのはちょっと間違いで、税調としてもサラリーマンの必要経費について本格的に検討していただきたいと思うんですが、いかがですか。
○参考人(東畑精一君) つまりサラリーマン控除というものは必要経費論なんだというたてまえなんです、われわれは。ですから、これを上げていくという形において、必要経費という形において、必要経費というものを概算的に認めていく、こういう考え方なんです。別個にまた新しく、給与所得控除以外に新しく控除するという考えには、ちょっといままだ至っておりません。それが例の事業主報酬制度に波及してくるということがあるので、それでわれわれは反対したんです。
○野末和彦君 そうなりますと、だからいまの先生の給与所得控除ほぼイコール必要経費ですね、そうすると、事業主報酬制に反映していくから反対したんでしょう。しかし、これはもう実現するんですね、事業主報酬制は。そうすると、これが実現すると、もうこれは反対したまま来年にそのまま持ち越していくわけですよ。そうすると、全然これは解決にならないと思う。税調は反対した、しかし、自民党の圧力か何かしりませんけれども実現してしまった、これではちょっと納得できないと思うんです、サラリーマンは。だから、事業主報酬制に反対した、 その反対の理由が無視されてこれが実現した以上、今度は逆にサラリーマンのために考えなければいけないじゃないか、サラリーマンを重点的に考えて給与所得控除イコール必要経費であるけれども、ししかし、別に項目を設けなければいけない、不公平は直らないというふうにぼくは考えるんですが、いかがですか。
○参考人(東畑精一君) そういう問題が出てくるというので実は非常に反対したんです、そういう波及力がありますから、税法としましては。だから非常に尊重していないんですよ、その点は。
○野末和彦君 非常に興味のあるお答えなんですが、これは主税局長それから大蔵大臣にお聞きしますと、税調の意見は、答申には反対と、好ましくないとはっきり書いてある。ぼくは好ましくないというのは反対だというふうに解釈するのは当然だというふうにお聞きしましたら、そうではなくて、税調にもいろいろの意見がありまして、つまり反対ということではなく、賛成の部分もあった、その賛成の部分を取り入れてああいうふうになったのだということなんですよ。だから、そうなるとどうも、税調ははっきり反対したにもかかわらず、それは無視されたという結果を見ると、何となく税制も、利益代表がきめたり、圧力団体がきめたりするような感じが濃厚にしてくるんですが、そういう面について。
○参考人(東畑精一君) そこまでのことは国会で論議してくださいよ、そういう問題は。われわれには圧力団体もないし、事実上事業主報酬制度という主張者もたくさんございましたし、反対者も非常にあり、帰結するところどうも反対せざるを得ない、こうなったわけですね。だけれども、今日の特別措置法に出ているのは、少しその当時における事業主報酬制度とは多少違ってくると思います。あまりそういう不利益になるような、予想されたような利益にはならないような私は感じがいたすのですが、片方のほうの給与のほうは優遇したかもしれませんけれども、残ったあれについては法人税が適用されておりますから、しかも、法人税は少しずつ高くするという気運ですからね、各人の選択にまかせているんですから、あれはどうなりますか、あなたどうですか、どうなるかということは。
○野末和彦君 それはぼくにはわからないんですよ。
○参考人(東畑精一君) ぼくもわからない。
○野末和彦君 それは大蔵大臣も結果を見て、主税局長もそうなんです。その結果を見て、いろいろの意見がまた出てくるから実際面からの意見を反映してということをお答えになっておりましたが、だけど、国会で論議という点なんですけれども、ぼくらかけ出しでよくわからないけれども、国会で論議をしても、もう税調の答申があって、それをもとに政府が出してきた案は、もう幾ら何を言ってもそのままなんですよ、いまの状態では。途中、審議のプロセスでいろいろな意見が出ますが、それは大蔵省がそれを資料として税調にその意見を出しているというふうには思えないわけですね。そんなことで、どうもぼくは国会審議でというふうに税調の会長さんが言われても、やはり税調にまず期待するほうが大きいわけですよ。
○参考人(東畑精一君) いまここで審議しているのも、一種の国会審議だと私思いますが、いろいろお話を聞いていることは、言いたいこともあるし、賛成のこともあるし、必ずしも賛成しないこともございますけれども、どんどんそういう意見をおっしゃっていただくのは非常にありがたいのですよ。
○野末和彦君 じゃ、どんどん。こういうチャンスをつくっていただくのは非常にありがたいと思いますがね。
 未成年の話に飛びますが、これもぼくが一番最初ここで質問したときに、この問題を出したわけですよ。未成年の勤労者から税金を取るなんというのはおかしいと、こう言い出したわけですが、そのときはあまり賛成意見はなかったですけれども、来年からいわゆる未成年を特別に優遇するんじゃなくて、課税最低限を引き上げることによって実質減税するという方向でどうやらきまりそうですからいいとは思うんですが、ちょっとここでぼくは違う意見があるのは、課税最低限を引き上げて、結果的にその中に未成年も入ったぞという考え方ではなくて、未成年勤労者というものが、特殊な性格を持った納税者だという面を見なきゃいけないと思うんです。つまり、納税の義務と、それから、国政参加の権利は、表裏一体をなすものですから、ですから、彼らのように選挙権を持ってないという人間は、いわゆる税負担公平という見地から見れば、ハンディをしょっているんだと、そのハンディを人的控除で示すのが当然で、弱者保護というか、まだあんな未成年の中学卒業したての子供からかわいそうに税金取ってというような考え方だけでは、ぼくは十分ではないんだと考えるんです。ですから、課税最低限を引き上げて、一般的な形で減税になるということもけっこうですが、やはり未成年勤労者控除というものを、少額でもいいんですが、勤労学生控除と同じように、人的控除として設けるべきであって、先ほど先生がおっしゃいましたように、未成年を十八にかりに下げたとしても、そうしたら、あるいは十八歳に選挙権が行使できるようになったとしても、十七、十六、十五というのがいますから、やはりここで未成年勤労者控除というものを設けておくことが大切なんじゃないかと、これは課税最低限とは別に考えるべきだというふうに思っているんですが、いかがでしょう。
○参考人(東畑精一君) あなたがそういう発想を持っていたということは実はきょうまで知りませんでした。いまお伺いしたんですけれども、私は、二つのほうから言って、未成年の資格をどんどん下げていくということ、それから、一般の勤労者控除を上げていくという形で、実質上結果としていま未成年者は所得税払わない、こういうことにいきたいのが筋じゃないかと、こう思っております。と申しますのは、未成年控除するというと、翌年成年になったときにがたっとそれが減っちゃうということは、いかにも段階がはっきりしておりましてね、税としてはまずいのではないか、こういう考え方です。
○野末和彦君 そうですがね。別にがたっと減っても、それは全然あたりまえのことで、成人に達したのだからということで割り切ると思うのですがね。そういう御意見であるということで、私のほうもまた考え方を検討してみますけれども。
 それから、課税最低限が引き上げられるたんびに感じることなんですが、もうとっくに引き上げられた課税の対象になっていない層がどんどんこれからふえていくわけですね。そういう人には減税の恩典がないわけで、税制上はそれでいいのですけれどもね、いわゆる低所得者層と言っちゃ変ですけれども、課税最低限がある、その以下の所得層に対しては歳出の面でいろいろめんどうを見なければならぬ、これが筋だと思うのですがね。しかし、日本のいまの政府の考え方でいくと、そう簡単に――口ではめんどう見ているのだと言うけれども、福祉とか社会保障という面では非常にお粗末なわけで、そんなに極端に前進するとも思えないわけですね。そこで、やはり外国なんかでも逆の所得税というような考え方が、いろいろ内容はそれぞれ違うようですけれども、出ているわけですね。税調なんかでも、もう日本でもこういう負の所得税といいますか、逆所得税というのですかね、こういうものを検討してもいいのではないかという声がありますか、それともまだ全然それは学者だけの話で、税調にはお話が出ておりませんか。
○参考人(東畑精一君) まだ逆所得税の観念は、そのものとしては議したことはないと思っておりますが、ただ低額所得者に対していろいろな政府が出している金がございます。こういうことはもちろん考えております。逆所得税を、特別委員の肥後君という人が税調で発表されたことがあります。漸次そういう問題、つまりいろいろの低額所得者に対する、何といいますか、給与がございますね、それと引っくるめたようなことになって、所得税も議さなければならぬ時期にはだんだん近寄りつつある。ただ所得税そのものとしては、はずれた人は問題にならぬですけれども、それではいかにも国政を議するという点からいったらまずいですから、逆所得税的ないろいろな財政支出がございますから、これは引っくるめて考えていきたいと思います。
○委員長(藤田正明君) 参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。
 東畑参考人には貴重な時間をおさきいただき、心から御礼を申し上げます。本日はありがとうございました。
 午前の質疑はこの程度とし、午後三時三十分まで休憩をいたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四十五分開会
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。本日、柴田栄君、山崎五郎君、西田信一君が委員を辞任され、その補欠として竹内藤男君、斎藤十朗君、高橋雄之助君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(藤田正明君) 休憩前に引き続き、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、以上、四案を便宜一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○戸田菊雄君 まず、大臣に、本論に入る前に二、三の点について質問したいと思いますが、その第一点は、この前の本天各員会におきまして、うちの竹田委員が質問いたした点でありますが、四十七年度の国債発行三千六百億は打ち切ったと、それで四十八年の四、五のこの二ヵ月分で七千二百億、こういうことで、その目的は過剰流動性を吸収するというたてまえである、こういう答弁であったと思うのですね。そうだとするならば、むしろ四十七年度の三千六百億もこれは打ち切らずに、むしろ一兆円以上の過剰流動性を吸収することになるのですから、そのほうが政府のやり方としてはむしろ適切じゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、その辺の見解はどうなんでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 四十八年度の四月に三千五百億円、それから五月に三千八百億円程度、これを発行予定いたしまして、その実施に入りつつあるところであります。
 なぜ四十七年度の予定した三千六百億を取りやめにしたかということでございますが、これはまず予算のほうのたてまえからいけば、四十七年度補正予算の編成のときには、歳入見積もりが、この前も御批判をいただきましたが過小であった、結果においては過小であったということを事実として政府としても認めざるを得ません。そこで、補正予算編成の当時は、歳出の権限をいただいて、歳入の税収の見積もりがそれに足りないので、それでこれを執行するために、公債財源によっておったわけでございますが、その点は御理解をいただいたと思います。
 そこで、第二の問題は、なぜ取りやめたか。四十八年度の計画としては二兆三千四百億円の公債発行を予定しておりますし、それから四月、五月と、ちょっと数字を、なんですが、四十八年度におきましては、シンジケートの引き受け分が一兆八千七百億円のうちで、上期に一兆円、これが五二%に上期はなるわけでありますが、そこで四月、五月には、いま申しましたような額を発行いたしますると、この両月でシンジケート引き受け発行予定額の七三%を発行することになるわけであります。で、この程度が、四十八年度の年度初において、現在の判断といたしましては、この程度の公債をいわば繰り上げて発行することによって、過剰流動資金の吸収ということについては十分効果がある、それから、御案内のように、諸般の金融措置を並行してとっておりますから、これ以上、現在一兆円程度に発行するというようなことは行き過ぎであると、こういう判断に立ちまして、もう四十七年度分はやめにして、四十八年度の年度計画を、年度中の繰り上げ発行ということで目的を達し得る、こういう考え方に立っているわけでございます。そして市中消化が原則でございますし、シンジケートの引き受け団との話し合い等から申しましても、実際問題としても、いまパーセンテージを申し上げましたように、発行予定額の七三%、年度間の発行予定分からいえば三八%になりますから、この程度が最も妥当であろうと、こういうふうに考えておるわけであります。
○戸田菊雄君 時間もありませんから、詳しくはいずれ機会があったときに再度また質問してまいりたいと思うのですけれども、もう一つは、私の質問に対して大臣が、四十七年の三千六百億というものを打ち切ったのは、自然増収が当初の見積もりより非常に多かった。いわば財源補てんができるという状況になった、こういうことなんですね。従来政府の主張してきた国債発行の理由は、あくまでも建設公債。赤字公債がどうかということで論議をされたわけでありまするけれども、そういうことになりますると、その理由一つからいけばこれは一面的に判断はできませんけれども、どうも政府のいまの態度というものは、やっぱり赤字国債補てんということになるんじゃないだろうか。こういうふうに考えるんですけれどもその辺の見解はどうでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) 学問的に言えばいろいろの論議があると思いますけれども、財政法第四条、第五条の規定によって市中消化建設公債ということの中にはきっちり当てはまるものでございますから、赤字公債という考え方ではございません。同時に、公債というものは、一面には景気調節の手段として有効でありますが、同時に四十八年度における公債の計画というものは、一面において現下の金融情勢に対応して適切な措置であると思いますが、同時にこの公債財源によるものは、財政の機能を通じて従来の経済高度成長よりも、福祉国家建設の方面に向ける。こういう考え方で、この機能を通じてかじを切りかえようとしているところにまた大きな意味があるわけでございます。したがいまして、一面歳出においての年度内の支出の調節にあたっても、これも前回の委員会で申し上げましたように、最近における特定の物資の需給関係、価格の高騰の状況等をにらんで若干の調節をやるわけでございますけれども、生活関連、福祉関連というようなもの、それから寒冷地というようなところ、対象的、地域的には予定どおり、あるいは場合によってはそういう面はむしろ早く支出をするという配慮をいたしまして、現在こまかく歳出の支出の計画を現に練って、こまかく計画を立てている次第でございます。
○戸田菊雄君 そうしますと、今後も従来主張してまいりました再建国債という基本方針でいく、こういう姿勢でございますか。その点一つ。
 それからもう一つは、時間ありませんから端的にお伺いしますが、四十九年度の経済見通しですね。これはいま非常に金融引き締め体制に入っておる、こういうことですから、あるいは来年の一月以降の経済見通しについてどういう考えを持っておられるかわかりませんけれども、私いろいろな国際的な背景などを考えましても、どうもアメリカの貿易圧力が一つくることは間違いないと思うのです。それから、国際通貨体制の調整がまだできない。これはナイロビ総会等で今後検討されるという手はずになっているわけですけれども、その辺の見解も非常に私は困難な一面を持っておるのじゃないだろうか、こういうふうに考えるのですけれども、こういうことをいろいろ考えてまいりますと、国際通貨問題はあといずれ機会あったときにまたお伺いしたいと思うのですが、どうもアメリカで経験をしたスタグフレーション、こういうものに日本の景気が来年一月以降追い込まれないのかどうか、そういうことになりますと、あとで法人税の税率引き上げにも関係してくるのでありますけれども、いずれにいたしましても、あまり芳しい経済状況ではなくなっていくのじゃないだろうか、こういうふうに考えるのですけれども、その辺の見通しが一つです。
 それからもう一つは、従来歴代自民党内閣で、池田内閣の場合は所得倍増政策ですね。しかし、財政部面では、きちっとやっぱり税収一本で財政を確立するという、そういうけじめをつけておったですね。佐藤内閣では、いろいろ内容ごまかしがあったけれども、やはり安定成長を目ざすというようなことをはっきり言っておったですね。ところが、今回の田中内閣の場合には、この方針が明確なものがきまってないと思うのです。大蔵大臣の従来の予算委員会その他の答弁で考えていくならば、非常に財政部面については積極性、積極化ですね。それから、金融面については引き締め政策をやっている。こういういわば態度をとっているのですから、この調整がはたしてうまくいくのかどうかということは、非常に私たちは疑問に思っておるところなんです。ですから、今後一体列島改造というものを下敷きにして、現状進められておる経済の動向というものはきわめて超高度経済成長ですね。以前にも増して大きくなった。そういう中で、財政積極化、金融引き締め体制、こういうことでいくわけですから、この政策がはたしてうまい調整というようなかっこうでいけるのかどうかということを非常に、私は、疑問視するわけなんですけれども、その辺の考え方について端的にひとつお答え願いたいと思うんです。三点です。
○国務大臣(愛知揆一君) 非常に問題が広範でございますから、できるだけ簡単に申し上げたいと思いますけれども、まず、公債政策を今後どうするかという御趣旨が第一だと思いますが、四十九年度については、私は、四十八年度は特殊のときであって、相当程度の公債を発行することが妥当であると、しかし、四十七年度の公債依存度よりは少しでも少なくという配慮をしたことは御承知のとおりでございます。そういう考え方は、将来長く公債依存度を相当の幅で続けるということは、不適当だと考えます。これは端的にいって、償還計画というようなものを考えましても、その考え方は妥当であると思います。で、ところが一方、いま池田内閣という話が出ましたが、池田内閣当時には考えられなかったような国民的な要望、つまり一口に言えば福祉国家建設ということがもう至上命令にいま国民的な課題になっている。このためには財政需要が相当膨大になるということを当然覚悟していかなければならない。これは長期社会経済計画の示すところでもあるわけでございます。どうしてもやはり税収入というものは相当考えていかなければならない。
 そこで第二の問題に入るわけでありますけれども、経済の見通しと、それでは担税力の相対的な関係がどうなるか、いま、おまえは法人税重課ということを言っているけれども、そういうことができないようなスタグフレーションとか、あるいはデフレ現象が起こるのではないか、こういうことだと思いますけれども、いま私が、当初から前古未曽有のような条件を与えられたということをトリレンマということばで表現したわけでありますけれども、そういう三つの課題に対処していくためには、従来考えられなかったような対策を考えていかなければならないということにも関連するわけでございまして、ことに、そこに通貨調整という大きなまた命題が出てきておるわけであります。ですから、今後においては、それらのむずかしい条件の中で、できるだけ安定した成長率ということを続けていかなければならない。したがって、ともすると、現在の時点では、あらわれてきている異常なる現象に対する対策にだけ目を奪われてはいけないのじゃないかと思います。現に、ある老練な経済評論家が、今朝の新聞にも一つの評論を出しておりますが、私は、必ずしもその方の評論に満幅の賛意を表するわけではございませんけれども、今日のこうした一連の引き締め政策というものは、今日においてはこれをやらなければなりません。しかし、これが相当の程度続いて、途中での機能的の運営を誤りますと、これが年度後半において、いま予想しないような結果を生ずるかもしれませんから、常にその財政と金融とのいわゆるポリシーミックスを的確に行なっていかなければならない。これがしたがって、公共事業費の支出などについても安定成長を続けるように努力をしなければならない。あまり引っ込み過ぎたようなことになることは、いまから心しておかなければならないということを配慮しているからでございます。
 で、そういう点を考え合わせながらまいりますれば、税の来年度あるいはそれ以降の構成ということについては、前々から申し上げておりますように、まず直間の比率も、必ずしも従来の考え方にとらわれずに考えなければいけない。直接税の中の配分については、どうしてもやはり法人重課ということに力点を置いていかなければならない。大衆課税は、反面においてできるだけ減税をしていかなければならない。こう考えてまいりますれば、私は、どうしてもやはり四十九年度の予算の編成については、法人税重課ということができるように環境をつくりながら、またいままで税率等についてはそういったようなこともございますから、四〇%とか、四二%やれというお話もありますが、それを具体的に数字で表明することはできないということは申し上げておりますけれども、法人税の重課とか、特別措置についての積極的な洗い直しとかいうことはぜひ実行ができるようにいたしたいと、こう考えておるわけでございます。
○戸田菊雄君 まあ、法人税率の今後の重課体制についてはわかったんでありますけれども、しからば、法人税率の引き上げ額の問題ですが、これもいままでいろいろと論争されましたから、複合する質問はいたしません。ただ問題は、社会発展計画を見ても九%、経済成長がですね。この程度で押えていこうということが言われているんですね。それから、税調答申でも、法人税は引き上げる方向でいきなさい、社会発展計画でも引き上げる方向でいきなさい、その点では一致しているわけです。ですから、経済動向に従って成長率何%を土台にしてそういうものが可能なのか、この辺の見解をひとつお伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(愛知揆一君) 四十八年度において実質一〇・六%、まあ、まずこの四十八年度で、いつも申しますけれども、まだ年度が始まったばっかりでございますが、前年度を通じて、そして結果において成長率実質一〇・六%という程度のところが経済見通しでもございますし、それは批評をされる方のほうから言えば、前提がいろいろ狂ったというお話もございますけれども、私は、やはり経済の見通しとして四十八年度においては、それが妥当なところではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。そして、この年度の経過中だんだんと四十九年度の経済見通しはどうなっていくであろうかということが、だんだんこれからの情勢の推移の中から、そういうことが政府としての見解としていずれはお示しできる時期がくるかと、かように考えておりますから、四十九年度以降について、いま現時点において九・何%がいいであろう、あるいは一〇%こすであろうとか、そういう点については、現在政府の立場としては言及することはできません。
○戸田菊雄君 その上げるということはわかるんですけれども、ただその幅の問題についてはきょう私質問しません。ただ問題は、いま政府が指向している方向は、一つは、私は、欧米並みということが考えられると思うんですね。そうだとするならば、あるいは野党のいろいろな要求としては四〇%ないし四二%まで引き下げなさい、政府もいずれにしても引き上げると、こう言うんですから、それならば、年次計画等を示して、この年次まではこういう状況でいきますよと言うことが、非常に国民に対する親切なやり方ではないだろうか。重課の方向も、政府の考えこうだなんていうことは明らかにわかるわけですから、ですから、そういう考えがないかどうか、これはひとつお伺いしておきたいと思うんです。
 それからもう一つは、この法人相互の株式、いわゆる同族会社の場合、これ時間ありませんから理由はいろいろ言いません。しかし、いまの同族会社の場合は、形式だけであって、実質的には本社のほうですべて人事権も給与体系も全部握っているんですね。ですから、大臣もご存じだと思いますけれども、川岸鉄工所の場合ですね、仙台で県条例でもって誘致をして税金をまけ、補助金を出して、そして坪三千円です、あのガス工場の前ですから、非常に一等地ですね。これを十年ばかりやってきて、擬装倒産でもって倒れてしまった。ところが、その収入は、全部本社へ入っちゃった。あるいは松下系列の電機関係の販売状況を見ましても、これは二重価格制でだいぶ消費者団体からいろいろな要求が出ましてやられました。そのときに、テレビの値下げをやったというのは、流通のマージン体制を縮小してやったんですね。だから、本社のほうは全然痛くないのですよ。そういうぐあいに、その内容も経営方式には非常にトリックがあるわけですね。だから、そういうものに対して同族会社だからこれだけの減税措置をやりますということは、私はどうも了解しにくい。ですから、こういった問題については、全額課税対象でいくべきじゃないか。確かに一面では、中小企業がどうのこうので、純粋なものがあることはありますね。だから、そういうものについては別途税対策を講ずるということが、私は、適切ではないだろうか、こういうように考えるんですけれども、その辺の見解についてまずお伺いしたい。
○政府委員(高木文雄君) ただいまお示しの具体例については、私詳しくは存じませんが、確かにおっしゃるような問題がいろいろ出てくることは間々あることでございます。しかし、それは一体本来税の問題であるのか、それともまあ商法で比較的任意にいろいろ企業を設置をして会社をつくって、そしてそれを実体的には一つの企業であるものが、二つの企業に分かれたり、またそれを合わしたり、それが比較的自由にできるという現行の商法のたてまえあたりに相当問題があるんではないかと考えるわけでございまして、税の問題としては、現行の税制はすべてそういう商法の考え方なりの上に立って仕組まれておりますので、いま言ったような問題についてはなかなかまあ手が出ないというのが現状でございます。それは同族会社であろうとなかろうと、いかなる場合にもその企業が、しかるべきときにしかるべき形でつくり上げることができるし、またやめることができるというあたりに問題があるわけでございまして、なかなか私どもも、ときどき戸田委員のおっしゃるように、具体的には好ましくないなという事例に当たることがございますが、どうも私は税法の分野の問題の前の問題のほうがより根本的であり、そこから直されていかなければならない問題ではないかと思うのでございます。
○戸田菊雄君 まあ、私も確かに税制面だけで規制できるとは考えておりません。それは商法も関係するでしょうし、民法も関係するでしょう。各般のやっぱり総体政策が入って初めて防止できると思うんですけれども、しかし、それだからといって、税制上各般の措置をとっているわけですから、できるだけこの国民が納得するような方向での努力は必要だろうと思うんで、この点は今後ともひとつ検討願いたいと思うんですね。
 それで次は、この利子・配当の分離課税の問題ですが、これはやっぱり私は廃止すべきだと思うんですね。今回確かに合理化その他やりました。改廃合理化やったですね、一部。しかし、結果的には増収態勢にいっておるのですね。別の面で拡大していっているのです。租税特別措置――その元凶が、何といってもこの分離課税にあることは間違いないのですから、だから、端的に言って、この課税最低限をちょっと見ただけでもわかりますように、配当課税の場合は三百四十三万一千六百五十二円――四十七年ですね。ことしは確かに九十何万減って、二百七十五万七千二百五十円になりました。しかし、これに比して給与所得の課税最低限は、夫婦子供二人、これで百十二万一千二百六十円、これは四十八年。先年は百三万ちょっとです。こういう状況になっているのですね。だから、確かに九十何万減らした、これはわかります。しかし、今後こういった所得税の最低限と、それからこの分離課税ですね、配当課税限、最低課税限、こういうものは均衡化の方向をとっていくのかどうか。もし、とっていくとすれば、やっぱりこれも年次計画でもってここまでいけば、所得税、地方住民税、そういうもの全体を含めて、こういう均衡化をはかりますよと、こういう意思なのか、その辺の内容について、ひとつ明確なものがあれば教えていただきたいと思うのです。どういう方向でいくのか。ことし確かに九十何万減らした、それはもう私は了とするところですけれども、今後どうなるんですか。これはやっぱり均衡化の方向に持っていくのか、そして最終的にはわれわれが主張するような全廃方向でいくのか、その辺の見通しをひとつ教えていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) ただいま御指摘の点は、分離課税の問題というよりも、むしろ例の配当控除の問題であろうかと思います。御存じのように、四十八年分から一〇%に下がるわけでございますが、これは四十五年改正から予定をしておりましたところで、当時一五%でありました配当控除税率を漸次下げて一〇%にする、四十六、四十七年は経過的に一二・五にするということで、四十五年度の改正でお願いをしたのが、今回実現をするというかっこうになるわけでございます。
 この問題は、おっしゃるように、しばしばサラリーマンとの関係で御指摘がございますが、同時に、資本充実といいますか、そういう見地から見ました場合に、ある程度貯金との関係で、配当についての優遇を考えませんと、いつまでたっても直接金融が伸びていかない。したがって、自己資本率が上がっていかないという問題があるわけでございまして、それと同時に、その直接金融の優遇といいますか、奨励といいますか、そういうことを考えます場合に、配当控除のような形で、株主段階で何かの形でインセンティブがあったほうがいいのか、あるいは法人段階で配当に充てますところの所得については配当軽課というようなことでいったほうがいいのかというような問題がございまして、これはいわゆる実在説、擬制説問題とはまたちょっと別に、政策論としていろいろあるところでございますし、各国の税制を見ておりましても、御存じのように、本年の本月一日から、イギリスではまたグロスアップ方式をとり出したというようなことで、各国の実例でもしばしば右に左にゆれ動いておるようなところでございます。
 要は、税制上の不公平感、理屈はとにかくとして、実質的な差、給与と配当とに関する不公平感の問題と、基本的な直接金融についてどのような形でこのインセンティブを与えたらよろしいのかという問題点と、相反する問題を同時に解決すべき問題であるというところに、非常にむずかしい問題があるわけでございます。今日まで、過去において一番高いときには二〇%でございました配当控除が、一五の時代を経過して一〇のところまできましたということは、やはり実感としての不公平感というものが放置できないということからこうなってきたわけでございますから、これから先どうなるかということについては、私の立場でいまなかなか申し上げにくいわけではございますが、いままでの足取りを見ますならば、やはりどちらかといえば、いままで歩んできた方向に行く、つまり配当控除がだんだん下る方向に行くのが常識的であって、一ぺんこう下がってきたものが、またもとへ戻るというのはおかしいわけですから、下がることになるか、いまの一〇%にとどまっているかというあたりは、非常にデリケートでございますけれども、もとに戻るということはちょっといまの税制としては考えられないのではないかと思います。ただし、来年度は、法人税制全般について洗いがえをする必要があるということを、しばしば大臣からも答弁されておるとおりでございますので、その場合に、税率の問題が議論される際には、配当軽課税率の問題も当然議論されますから、それとまたこれとが関連してくるという関係になるかと思います。いずれにしても、相当、基本は、税制の問題もありますが、税制の問題よりもう一つ前に、預金を奨励して間接金融を伸ばすようにするのか、株式投資を優遇して、そうして直接金融を奨励していくのか。その直接金融を奨励する場合に、配当については株主段階で何かインセンティブを企業段階で考えるのか、こういういろいろ複雑でございますので、その辺はとっくりと、今度は来年度を控えまして、各方面の御意見を承って結論に誘導していきたいと思っております。
○戸田菊雄君 時間ありませんから、次に移りますけれども、そこで、具体的な祖税特別措置の今度創設をした新設のものについて、一つだけ具体的な問題でお伺いしたいと思います。
 無公害化生産設備についてなんですが、初年度三分の一の特別償却制度の創設、こういうことになっているのですね。この三分の一創設で減収額総体で幾らか、それをちょっと示してください。
○政府委員(高木文雄君) 減収額は、実はなかなか的確に見込みにくいのでございますが、いまの計算では一応十三億と見ております。
○戸田菊雄君 それで、実は、大蔵省の担当の方からいろいろその資料内容については説明を聞きました。それも出していただいたのですが、どうも減収額の総額は、局長いま答えたように、この
 一つだけとっても、十三億ちゃんと出ているのですね。しかし、台帳にいきますと、なかなかわからないのですね。積算の基礎が出されてない。たとえば、これはいただいた資料なんです。この中で、「公害防止施設の特別償却の対象設備」それで区分として「船舶廃油処理設備」というのがございます。この減収額、あとでどのくらいか、またこれも発表してもらいたいのですけれども、これは、運輸省とのかね合いが出てくるのですね。運輸省と大蔵省がいろいろ合わせまして、減収額というものは総体何ぼと、こうやるわけですけれども、その台帳の内容が実は資料としてどうしてもつかみ得ない。大蔵省からは、非常に忙しいところでしたけれども、一定の資料はいただきました。これは「資本金階級別内訳」で一億円未満、一億円以上、十億円以上、五十億円以上、百億円以上、こういうことで、これは資料としていただきました。これは資料にありますから割愛をしますけれども、そこで問題は、 この「船舶廃油処理設備」の、その「船舶」の内容なんですね。これは、四十二年の運輸省告示でもってなされておる各指定――行政指導の省令告示たと思うのですね、これは。そのことによって、いろいろ行政指導を踏まえているわけですけれども、その中で、「船舶」については「船舶廃油処理設備」とありまして、船体、油水分離装置等々こまかく規制しているわけです。それから、「船舶廃棄物処理設備」については、油水分離装置なり、焼却設備なり、汚物処理装置等々、こまかく全部法律上は制度上として引き合いを出している。しかしこの法律の適用で、たとえばタンカーがいまどのくらい整備されて、隻数はどのくらいあるのか、あるいはこれから建設予定のタンカーはどのくらいあるのか、そういう会社に対してどのくらい減収分として恩典を与えていくのか。こうなると、それ以上の資料がわからぬということになるのですね。だから、運輸省、来ていると思いますけれども、その辺の、隻数なり該当会社なり、これは民間のおそらくオイル会社がほとんどだろうと思うのですけれども、そういうものを資料でくれと言ったんだけれども、まだ出てきてない。こうなると、審議ができないのですね、適切なものが。減収対策をとって、総額は積算されて出ているけれども、どういうところにどのくらいの償却三分の一を適用されているか、これは全然わからない。そうすると、国会における民主的コントロールができないということになるのですね。これでは審議ができません。そういう問題について、時間がなかったのかもしれませんけれども、おとといからこれは言っていることなんですね。私は前回の委員会で明確に委員長、理事にそれを依頼をして要請しているわけですから。それでも出てこない、各省からね。こうなると、国会でもって各般の実行をやるといったって、これは形式的なものになっちゃうんですね。その点の注文も含めて、ひとつ隻数の問題で発表してください。
○政府委員(佐原亨君) 運輸省のほう、きょう先ほど私耳にいたしまして、非常に準備がまだ不十分でございますが、どの程度の船舶にこういった廃油処理施設が設置されておるかという御質問に対しましては、これは海洋汚染防止法でもって、一応タンカーにつきましては全船舶、それから、タンカー以外の貨物船につきましては、総トン数三百トン以上、こういった船舶が義務づけられておりますので、三百トン以下の一部を除きましては、大半の船舶がこれを施設しておると、こういうことでございます。会社の数で申しますと、外航船舶で二百五十社、それから内航につきましては、オペレーターで八百九十七社、オーナーで六千五十七社、そのほかに――廃油関係ではございませんが、廃棄物処理設備、これは定員百名以上の旅客船でございます。いわゆるふん尿処理施設を義務づけられておりますけれども、こういった義務船舶が旅客船で約二百七十社でございます。
○戸田菊雄君 いま発表された会社数に全部いくんですか、一様に。これから、いま持っているこういう整備を完了したものに対して、償却三分の一適用されていくのですか。その会社数はどのくらいあって、これから建設予定のものがあるなら、それは何年計画ぐらいで全体に……。これは結果的には、廃油公害を全体なくしていこうということですからね。だから、当然行政指導として、官庁はやはり一定の計画に基づいて全部促進をさしていかなくちやいけないわけでしょう。だから、そういうものの内容をこまかく具体的に示してください。
○政府委員(佐原亨君) 海洋汚染防止法でもって一応義務づけられておるわけでございますから、いま申し上げました船舶は、大半が施設済みである。ただ、税制の適用が始まりましたのが四十七年度以降でございますので、それ以前に施設した船舶、会社は、この税制上のメリットを受けておりません。したがいまして、今後つくられる船舶に対してその税制のメリットが及ぶと、こういうことでございます。したがいまして、今後どれだけのタンカーがつくられていくかということでございますが、外航船につきましては、海運造船合理化審議会等でいろいろ御審議願いまして、いわゆる俗に言う計画造船の対象隻数ということで把握できますけれども、内航につきましては、これは非常にこまかい資本のわずかな零細企業が多うございまして、どの程度のタンカーがこれからつくられていくかということは、毎年、内航海運業法でもって適正船腹量というものをつくりまして、運輸大臣が告示することになっております。それでいきますと、荷物の伸びに応じて、現有船腹量プラスどのくらいの船をつくるかということが毎年きめられるわけでございますので、四十八年度の量につきましては、まだ年度当初でございますので、これから作業が始まるわけでございます。ちなみに四十七年度の実績を申しますと、外航のタンカーは約百七隻ばかりが建造されておる、四十八年度も大体同じ程度の数が建造されるであろう、こういう見通しでございますが、まだ的確にこの場でお答えする段階にまいっておりません。
○戸田菊雄君 それじゃ海運局長、あとでその資料をひとつ出してください。
○政府委員(佐原亨君) 承知をしました。ただ応の見通しになりますが、その点だけ……。
○戸田菊雄君 見通しになるのは、将来の建設関係でしょうから、それはやむを得ないと思います。
○政府委員(佐原亨君) わかりました。
○戸田菊雄君 それからもう一つは、通産省が参っておると思うのですが、汚水処理用設備の問題ですね。これもさっき資料を実は要求して、一定の資料いただいたけれども、この総額のトータルじゃどうにも審議の対象になっていかぬのですね。だから少なくともいま、たとえば地方自治体で浄化装置をつくるといえば、いま世界的に最高水準といえばスイスですね。そういうところの機械とマッチしたやつは、日本だって限られた民間でも数社なんです。だから、そういうことをさがし求めれば、必ず出てくるんですね。だから、槽あるいは塔、水路及び貯水池。化学工業、紙パルプ製造業、こういったものは限られているわけですから、この資料が具体的に出ないことは私はおかしいと思うのです。これは民間における公害防止設備比較の種類別内訳として企業ごとに総額だけ出ている、全体で三千何百億ですよ。それくらいいくんですから。だから、そういうものに対して、担当省として一体どういう行政指導をやっていくのか。これは社会資本充実その他については、政府のいまあげての重点方向でしょう、だから、それを促進していく担当省としては、こういうものはやっぱり完全に捕捉をして、そして適切に減税体制もとっていけるような、そういうものをやっているわけですから。それは減税そのものについては、私は基本的には反対ですよ、これは全部大企業その他に行っているんですから。むしろ中小企業その他をもっと育成強化すべきであって。だから、どうしてそういうものを捕捉できてないんですか、まずその理由からひとつ。
○政府委員(青木慎三君) 先生の手元にお渡ししました資料は、昨年の九月十五日現在で、企業に対しましてアンケート調査した結果の集計でございます。こういう公害設備投資の現在の私どもの把握しています資料としましては、四十八年度の計画につきましては、このアンケート資料しかないわけでございます。今後、実際に投資が行なわれてくる際には、いろいろ新しい情報も入ると思いますけれども、現在のところ、私どもが手持ちで持っております四十八年度の計画はこの資料でございますので、これを差し上げたわけでございます。
○戸田菊雄君 それも――時間がありませんからこれで終わりますけれども、あとで詳しい資料を、担当の方に話しておきましたから、それは提示をしてください。いいですね。
 それじゃ最後に、二点だけお伺いしますけれども、この土地税制ですね、土地保有税、このねらいは、私はほんとうは、土地を吐き出せるということにあるだろうと思うのです。しかし、一・四%ないし三%、これじゃ私はとても税率とすれば少な過ぎるんじゃないか、物価上昇以上にやっぱり税率を設定していかぬと、ほんとうの効果というものは出てこない。それから譲渡益についても、この根底が非常にあやふやだと思いますね。二〇%税率を課すると言っているんですけれども、こういう問題について、制度上の欠陥が相当あると思うんですが、その辺の見解については、今後どう一体検討されるのか、それが一つ。
 それからもう一つは、今回、事業主報酬制度でもって、青色申告に特典を与えたわけです。これはおそらく記帳させるから、そういう意味合いで、白色申告やその他には適用しないということになるだろうけれども、それは制度上設定したのですから、やはり全納税義務者に、その該当者を全部この制度上適用していくというのが正当じゃないか。だから、そういう記帳上の問題であるならば、それは制度上記帳させることにして、そして単に青色だけにこの特典を与えるということじゃなくて、全部適用させる、そういう制度に将来いくべきじゃないかと思うのですが、その二点について質問して、私は終わります。
○国務大臣(愛知揆一君) 土地税制については、前々から申し上げておりますように、政府としてもいろいろの角度から、全くいまだかってないような税制でありまして、しかもそれに、土地を吐き出させることとか、あるいは好ましいような宅地造成その他にそれを造成ができるようにするとか、しかも、その目的のために、他の土地政策のいわば補完的というか、そういう作用をねらって、税をできるだけ多額に徴収するというようなことを控え目にするとか、いろいろの要素がかみ合わされて、ここに二つの税を組み合わせて御審議を願っているわけでございます。いろいろの御議論が私はあり得ると思います。同時に、政府として結論的にこの案を出しましたゆえんのものは、保有税については、初めは未利用地税という考え方が大勢を占めたこともございますけれども、それでは端的な例を申し上げれば、NHKの所有地というようなものはその網にはかからないというようなことにもなる、あるいは未利用であることが、あるいは別の意味からいえばかえって目的に沿うことになって矛盾するではないかというような議論もあり得る。そこで、四十四年以降に取得したものであって、そういう土地には広く網をかけて、持っていても得にはならないと、たとえば、金利が七%であるとして、それが二割アップになるというところで、一・四ということが出てくるわけでございます。そういうふうな考え方で持っていても決して得にはならないということで、これが放出されることを期待する。
 それから、法人の譲渡税のほうにつきましても、いろいろの御議論があって、私も御質疑を受けておりましても、率直に言って迷うこともあるんでありますが、たとえば、極端にいえば、完全な分離をして、そして土地の譲渡益についてはもっと高率の七〇%とか八〇%の税率を掛けたらいいではないかという御議論も伺って、それ自体からすれば、そのほうがあるいは効果があるかもしれません。しかし、そこのところでまた何しろ税のことでもあり、欠損法人に対して、欠損であっても、とにかく土地から利益さえあれば、それに大きな税率の税をかけろということは少し行き過ぎではないか、あるいはまた税率を非常に高くすれば、ほとんど土地の流通性というものが否定されてしまいはしないかとか、あるいは極端に言えば、土地国有というようなことになってしまうではないかとか、いろいろの点からいいまして、一つの妥協点を欠損法人についても二〇%、したがって利益をあげている法人は合計すればほぼ七〇%の課税率になる、まあ、この辺のところがぎりぎりのところではないか、こういうことで御提案をいたしておるわけでございます。何しろ初めての試みでございますから、そういう実は、社会党の土地問題についてのこまかい御意見なども、政府としてもほんとうに謙虚に取り組んで、いろいろ取り入れさせていただきたいところは取り入れようという考え方で、ずいぶん勉強さしていただいたわけでありますが、そういう経過などをるる申し上げて恐縮でございますが、そういう考え方でございます。
 それから、事業主報酬制も、これはやっぱり全然新しい試みでございますから、まず時限立法にして、五年間の試みとしてやりたい。それから他との権衡ということもずいぶんいろいろと考えてみました。そして一番近い権衡相手としては、たとえば同族会社というようなところと見比べまして、同時に、零細な個人企業の場合でありましても、できれば、こういう際に経営の合理化、帳簿の整理、店と住まいとの区分というようなことを、この際明確にしてもらいたいというようなことから考えてまいりますと、白色申告に及ぶことはちょっとこれは無理であるということで、青色申告に限ったというようなことでございまして、いろいろ今後研究すべき多くの問題がまだ残っているかと、私は率直にそういうふうに考えますが、時限立法でもございますから、いろいろ今後の実施の経過等にかんがみて、改善すべきところは十分将来改善をすることにやぶさかであってはならない、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 資料をいただいたわけでありますが、まず、この資料の中で、四十三年以前と、四十三年以後との数字が出ているわけです。「産業別・資産区分別の土地保有及び取得の状況」というのを見せていただいたわけですが、この二枚目の一番最後のところに(A)(b)と書いてありますが、B欄のこれでいきますと、たなおろしの土地が四千三百ヘクタールですか、これだけあるということになっているのですが、一体四十三年度までに取得したこの四千三百ヘクタールというのは、おそらく建設省の調査は、四十一年から四十三年までというこの数字じゃなかろうかというふうに私は思うのですけれども、ひとつこの四千三百ヘクタールの、四十一年、四十二年、四十三年別の数字と、それから、この事業用資産というのも、実際はたなおろし資産的なものがかなりあるように私は思うのです。たいした計画もなしに、金が余っているからこの際土地でも買っておこう、土地を買っておけばまた転売してもけっこう銀行に預けるよりもいいもうけになるからということでありますので、ひとつその四千三百ヘクタールというのと、この上の二十九万八千八百二十七ヘクタール、この数字の年度別の取得状況をひとつ知らせてください。
○説明員(川上幸郎君) お答えいたします。
 各資産の年度別の取得状況でございますが、たなおろし資産から申し上げますと、四十一年度は八百七十六ヘクタール、四十二年度が八百四十五ヘクタール、四十三年度が二千百二十二ヘクタールとなっております。
 なお、事業用の資産について申し上げますと、四十一年度は二千七十一ヘクタール、四十二年度は三千五十一ヘクタール、四十三年度は三千七百十六ヘクタールが各年度の取得状況でございます。
○竹田四郎君 そこで、この前も私は、西武鉄道のお話を申し上げたわけでありますが、西武の有価証券報告、これで見ましても、分譲土地建物ということで、四十二年三月の決算期と四十二年九月の決算期で三百万ヘクタールくらい多く取得しているわけですね。それから四十三年の三月期と四十三年の九月期を見ても、これまた三百万平米ぐらい取得をしている。こういうことにもなっているわけですし、それから、別の資料、「A電鉄及びB不動産の土地保有面積」これを見ましても、たとえば、B不動産おそらく首都圏の郊外地域に出ている不動産であろうと私は思いますけれども、これを見ましても、四十六年の年度末現在の保有面積千六百二十一ヘクタール、それから、四十三年度末までに取得した土地、これが千三百五ヘクタール、圧倒的に四十三年度以前に取得している土地なわけですね。で、その他の資料を見ても、この四十三年度以前に取得しているものというのは相当ある。しかも、この中で不明のD欄に書いてあります六千百九十五ヘクタール、これは取得年次がよくわからないんですけれども、これは半分半分とたとえば考えてみますと、回答がないわけですから、もう半分半分と考えるしかないと思うんですけれども、そういたしますと、四十三年度末までのたなおろしの部分を見ましても七千ヘクタール、もう相当ばかでかいものに実はなっているわけですね。ところが、今度の法人の土地譲渡に対する期日の問題は、四十四年一月一日と、こうなっている。これは私はきわめて大蔵大臣、安易に、個人の長期譲渡所得とのバランスだけで考えていると思うんですね。しかし、土地の実態は実は違うんですよ。そうしますと、私は大部分のやつか――部分とは言わないが、少なくとも半分近くのものが四十三年以前に取得しているもの、これはおそらくものすごく安く、ものすごくもうけていると思うのです。たとえば、西武の土地の問題を見ましても、たとえば、大磯の取得した価格というものは、坪――ここは高いところでしょうが、坪二万一千円。ところが、実際その近くの公示価格は十一万八千八百円、それは造成費とかその他の金利とか、あるいは利潤とかそういうものがあるでしょうから、一律には言えないと思いますけれども、それにいたしましてもたいへんな違いです。たとえば、この前申しました横須賀の、これはおそらく建設省が出された資料とは違いますけれども、私のほうで大体それに該当しているんではないかというふうに思われるところの、ここの資料でいいますと、武山を見ましても坪当たり取得価格が平均じまして五千四百円、低いときには四千百円で買う、それがその付近の公示価格の坪当たりでいきますと八万七千四百五十円と、ものすごく安い価格で買い、結局売るときには、おそらくその辺の公示価格を見ながら売るわけですから、そうすると、非常に大きなもうけがころがりこむ、しかも、長い間いま問題になっている買い占め、売り惜しみというものが入っているわけですね。そうすると、どうも私はもう四十四年一月一日というのは非常に不公平だ。また、そういうことによって土地を出させようというふうにしても、これではもう長持ちさせるだけだと、持っていれば持っているほどもうかる。しかも、これはあとで聞きますけれども、大蔵大臣、少し、四十四年一月一日というその期日というのは、私はあまり適当な時期じゃない、非常に安易に個人の譲渡所得との関係だけというきわめて安易な形で法案を作成していると思うんですよ。これでは、今度法人の譲渡所得に対しても税金をかけるという趣旨とはたいへん違ったものになってくる、こう思うんですがね、その辺は率直に私は、修正なさるべきだと思うんですが。
○国務大臣(愛知揆一君) 非常にこまかく御検討をいただいての御意見ですから、私もそれに非常に敬意を表するんですけれども、いま御指摘ありましたように、これはまさに四十四年の個人に対する税制の改正を補完するというところに一つの時点を置いたわけでございまして、同時に、投機の対象としての土地が法人等によって大いに乱用されたというのも、過剰流動性というものが四十六年から始まっているというようなところから、四十四年以降にいたしました。それが悪いかどうかということになりますと、私どもの考え方としては、それならいつまでさかのぼればいいかということにもなるわけでございますが、政府の考え方としては、四十四年の税制で、そして放出された土地が思わざるところの手に入り、あるいはそれが投機の対象になった。たまたまその以降の時期において過剰流動性の問題が起こったのが事実であると、そういう点に着目をいたしまして、ここに時点を区切ったわけでございます。こういうふうな考え方をとりましたので、私は、修正するといっても、それならどこの時点までさかのぼるかということに、これはまたいろいろの議論が起こるのじゃないかと思いますから、修正ということは考えませんけれども、御意見のございますことは、私は、敬意を表しておるわけでございます。
○竹田四郎君 大蔵大臣ね、先ほど私はわざわざそれでこの建設省の調査の数字の中で、年次別の取得状況を述べてもらったわけですよね。たなおろし資産については、四十三年というのは非常にふえている、それから、事業の資産においても四十三年のところでぐんと伸びている。こういう数値がすでに出ているわけですよ。これは権威のある建設省のお調べですからね、単なる私の数字じゃなくて、建設省の数字なんです。そのためにもおそらくこのアンケート調査というのはおやりになったはずです。いつまでもただ個人の譲渡所得との振り合いだけ考えているということになると、私は、国民はあまり承知しないと思うのですね。
 ちょっと建設省に伺いますがね、それでは、こうした用地が一体どういうところにあるのか、ほんとうに吐き出させて、それですぐ役に立つような土地なのかどうなのか、これも私は問題があると思うのです。大部分は調整地域を買っているんですよ。当分の間、開発見込みのないようなところをわざわざ買っているというのは、十年たてば線引きは直しますよ。十年後を待っているということしか言えないわけじゃないですか。まさに買い占めになると、買い占め売り惜しみの典型的なものだと、私は思う。ひとつそれは、建設省のほうから、取得したところが一体どういうところなのか、述べてください。
○説明員(川上幸郎君) たなおろし資金につきまして、現在保有されておりますものの土地の内訳で申し上げます。大体パーセントで申しますと、市街化区域が一八%、それから市街化調整区域が三四・四%、その他の都市計画区域が一七・六%、都市計画区域外が一八・五%、それから不明、その他が一一・四%、このようになっております。
○竹田四郎君 どうですか、三分の一以上が、要するに開発できそうもないところをわざわざ買っているんですよ。それも昭和四十二年、三年ころからを中心に買っている。大蔵大臣がいつまでもその点で、四十四年に固執しているのはむしろおかしいと思う。その思いませんか、大蔵大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、ですから、そういう御意見も御意見として、敬意を表しているわけですけれども、政府としては、それなら、御指摘になっているようなこういう具体的の例はまさにそのとおりでございましょう。しかし、それなら四十二年にさかのぼったらいいんでございましょうか、あるいは四十年がよろしいんでしょうか、一体どこまでさかのぼるのかと。政府としましては、四十四年にさかのぼるということでも、ずいぶんこれは考え、かつ決心したところでございます。そういう論議を延々とやってきますと、いやこの土地はそれなら市街化調整区域であった、こういう地方においては、これはいまから見れば投機の目的であったと、こうやって遡及して、そこから適用するということにまあかりにしたとしますれば、国民が納得しない、しないという話ですけれども、一体どちらに私は国民の大多数が軍配を上げるか、ずいぶんむちゃなことをやるなという意見がまた出てくるんじゃないでしょうか。私は、ともかく四十四年一月にさかのぼるということが、政府としては精一ぱいのとこでございますから、せっかくの御意見ですけれども、この法案を修正するということは考えませんし、同時に、その一点に関する御議論ならば、さあ、どちらが妥当と多くの方が思われるかということに、私は、率直に言って疑問を持ちます。
○竹田四郎君 土地投機の問題というのは、必ずしもずっと前から大幅に起きていたわけじゃないと思うんです。ある意味で急激にここへきてぐっとのぼってきたことだと思います。
 主税局長に聞きますけれども、この法案つくるときには、すでに私は、建設省のこの調査というものはある程度できていたと思うんですよ。なぜこの調査というものを――ほんとうにこの調査を片一方に置きながら検討したんですか、どうですか。
○政府委員(高木文雄君) 十分その調査は検討の対象にしているわけでございます。そもそも普通の税法は、さかのぼらないのが原則でございますから、そこで、普通の税法だけからの税率からいきますと、四十八年以降の問題、前にそういう制度がなかったときに土地を買った個人、法人について譲渡税なり、保有税なりをかけるということは、いろいろな形で土地が買われておりますから、そういう意味で相当問題があるところでございまして、さかのぼるかと、いま大臣も言われましたように、さかのぼるか、さかのぼらぬかについていろいろ議論をいたしました。その際、建設省のお調べも十分参考にさしていただきました。そういう点で、必ずしも四十四年の一月一日以降と、一月一日以前とで土地の値上がりの状況なり、あるいは供給の状況なりが著しく違うから、そこで四十年一月一日以降にしたというわけではございません。ただどこまでさかのぼるかというのが、いま大臣からも答弁ありましたように、どうもめどがないと、どこまで戻っていったらいいかということについてめどがないと、そこで、今回の税の一つの側面として、個人の譲渡所得税の補完という意味もございましたので、それを一つのよすがとして、そこにそろえたということでございまして、確かにおっしゃるような問題があることは、われわれ内部でも議論いたしました。しかし、四十四年を四十三年にしたらいいとか、四十二年にしたらいいとかいうきめ手を発見することができなかったわけでございますし、同時に、やはり四十四年のころに非常にまあ土地問題が大騒ぎになりまして、それでそういう税制ができましたもんですから、やはりそれは、一つのスタイルというだけでなくて、かなり有力な根拠になるということで、そこまでさかのぼることにいたしたわけでございます。
○竹田四郎君 そういう、ただ個人のあれだけを問題にしていくというのは、私はどうもふに落ちません。もういまの世の中で土地問題が騒しくなる前に法人は買っているわけです、たくさん。たとえば、東急不動産の田園都市線沿線なんか見れば、坪五百円で買っているんです。いま十万円でそれを売ってるんだよ。そういうようなのは、全部今度は除外されちやうんです。私は、そんな不公平なことないと思うんです。ですから、これはとにかくもう一回ひとつ考慮し直してもらわなければ、私はどうもふに落ちない。どうですか、大蔵大臣、もう一度。
○国務大臣(愛知揆一君) とにかく政府としては、まあ、内閣はかわっておりますけれども、四十四年の税制の改正を企図して、かつこれを国会の議決を受けたということは、その当時の政府として土地問題に着目したことは事実であります。そのときから土地に対する政策というものを始めたわけなんで、そして税制もできたわけですから、それ以前にさかのぼってということになりますと、私は、もうそこのきめ手がないと思うのです。ですから、御意見は御意見として承りますけれども、政府としてはこれは修正などということは考えられません。
○竹田四郎君 まあ、私は大蔵大臣に申し上げますけれども、どうも政府の打つ手というのは常におくれている。いまの商品投機の問題だって、打つ手がおくれているからこうなってしまった。なるほど商社の投機行動も私は悪いと思うけれども、きょうも参考人呼んで聞いてみますと、ちゃんと政府の責任だと、彼ら言っている。政府がもっと手を早く打てばわれわれはこんなことをしなくてもいいのだと、これは原島というセメント協会の流通委員長もちゃんと言っているんですよ。私は、そういう意味では、たいへん常に政府の打つ手は半年ないし一年ぐらいおくれている、いまの何かテンポと合っていないような感じがするわけでありますけれども、私は非常に不満でありますが、その点についてはこの辺でおきたいと思います。
 農林省の方お見えてございますか。――こうして、たとえば、西武鉄道が買った土地、たとえば先ほどあけました武山の――これは私のほうの調査ですけれども、三百七十二ヘクタールの開発予定地、まあ、そのうちすでに買収済みと言われているのが三百六十四ヘクタールでありますが、その予定地域に、四十六ヘクタールの田及び畑がある。これは一体、西武鉄道がこういう畑やたんぼを買うことができるのですか。
○説明員(今村宣夫君) 先生いま御指摘の横須賀市の西武鉄道の土地の売買の問題でございますが、大体私のほうで調べてみましたところ、三百六十八ヘクタール、大体先生のおっしゃる数字でございますが、その中にお話のように農地が約一割強ございます。この農地の部分は、西武鉄道はただいま仮登記をいたしております。仮登記と申しますのは、御存じのとおり、農地の転用許可を条件といたしまして売買予約をいたしておるわけでございます。そのほかの大部分は山林原野でございますから、これは登記を終了いたしておりますが、農地のほうは、先ほど申し上げましたように、仮登記という状態になっておるわけでございます。
○竹田四郎君 しかも、この土地は調整区域ですよね。
○説明員(今村宣夫君) そうです。
○竹田四郎君 調整区域だということになると、おそらくこれは県も開発をしないだろうと思う。私、神奈川県に問い合わせたところが、そこについては、業者のほうからも開発をさせてくれという話はまだ一回も承ったことはございませんと、こう言っている。しかし、建設省の調査によると、話し合い中だと、こう書いてある、いいかげんなものだと思う。いつになって開発されるかわからないその農地が、具体的にもう買われている。仮登録されている。現状はどうなっているかというと、もう原野と同じようになっている。今度開発許可のきたときには、もう農地転用は要らなくなる。現状農地でありませんと、こういう形でやる。農地法というのは一体何のためにあるのですか。まさにざる法じゃないですか。どうなんですか。まさに農地法のかご抜けをやっていると、こう思うのですが、どうですか。
○説明員(今村宣夫君) ただいま御指摘の土地につきましては、市街化調整区域でございまして、私のほうにも転用許可申請は上がってまいっておりません。その農地の部分の状況がどうなっておるかということは、まだちょっと私のほうで調査中でございますが、ずっと前から買っておるということになりますれば、相当年限もたちますれば、現状農地でなくなるということがございます。と申しますのは、御存じのとおり、現在の農地法は現状主義で判定をいたしておるわけでございますので、そういう状況に相なることがあり得るわけでございますが、しかし、私たちといたしましては、現在の農地の転用許可基準に照らしまして、農地の転用許可につきましては、優良集団的な農地は確保する。できるだけ第三種の市街化された区域の農地から転用を認めていくという方針で処理をいたしておるわけでございまして、御指摘のように相当数年もたちますれば現状農地でなくなるということがございますけれども、私たちといたしましては、農地規制の判定につきましては十分慎重に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 これは国務大臣として愛知さんにお聞きしたいと思うんですが、こういうような農地転用をどんどん認めていっていいのですか。調整地域というのは、農業なり林業なりそういうものを専属的にやるという地域にきめているわけでしょう。そこが、大きな企業が買うことによって仮登記をやる。農民は売ったような気持ちになる。どんどん荒地になってしまう。こういうようなことで調整地域をどんどんそういうふうにしていっていいのですか。一方では、今度の宅地並み課税じゃありませんけれども、農地に対したって宅地並み課税をする、こういうふうに農地法を改正もしないで、全くざる法にしてしまう。改正するならちゃんと改正すべきだと私は思うんです。ざる法にしていて、それでいいんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、まあ所管ではございませんし、国務大臣としてというお尋ねでございますが、好ましいこととは申しません。同時に、農地法それ自体には私も一家言がございますけれども、これは大いに積極的に検討すべきものであると将来にわたりまして、そういうふうに考えております。
○竹田四郎君 これはひとつ農林省でも、こういうことを、現在の農地法のある中でそのまま認めていく、しかもこの地域というのは、要するに三浦半島地域です。かなりいろいろな園芸農業や、あるいは野菜の生産やら、そういうものが行なわれる土地ですよ。気候温暖な地域ですよ。都市に新鮮な野菜を供給する場所ですよ。そういうところがどしどしこういう形でどんどんなくなっていく。そして何も、遠くのほうから持ってこなくちゃならぬということはしなくてもいいと思うんですがね。もう少しこの点ははっきりさせるべきだと思うんです、どっちにしろ。農地法に対する考え方いろいろあろうと思うんです。
○説明員(今村宣夫君) お話しのとおり、私たちといたしましては、優良な集団農地はぜひともこれを確保してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、先ほど先生ざる法だというお話がございましたけれども、私たちとしては、農地転用の許可にあたりまして、十分厳正にこれを行なうことによって対処してまいりたい、と同時に、農業振興地域の指定をすみやかに取り進めまして、農用地として必要なものはこれを指定する、そういう形に進めてまいりたいと思います。同時に、仮登記が行なわれて、いろいろそういうふうな土地の買い占め状態が行なわれるということにつきましては、いろいろ検討をすべき必要性を痛感をいたしておりますけれども、ただ、国土総合開発法で今回立案がされておりますように、非常に特別な地域につきまして、その売買予約ということを法律上規制するということでございますれば、一つの方法でございますが、六百万ヘクタールございます農地につきまして、そういう仮登記という形、売買予約ということを法律上規制することがどういう効果と問題を持っているかということも含めまして、現在農地法につきましては、農地研究会を設けましていろいろ検討をいたしておるところでございます。農地法がざる法と言われないように、今後とも私たちはしっかりやっていくつもりでおるわけでございます。
○竹田四郎君 具体的に、この三浦半島の、ほかでもずいぶん買ってます。こういうところのものは、やっぱり同じような取り扱いで、非常にたくさんある農地をそのまま荒廃に帰させてしまうと、こういう考え方でいいんですか。それとも何か手を打つ予定があるんですか。
○説明員(今村宣夫君) 先生、先般いろいろ御指摘をいただきました案件につきまして、私のほうとしても調査をいたしましたが、その中で、農地の比較的含まれておる面積が少ない案件につきましては、現在県のほうへ申請が出ておるものもございます。同時に、県のほうといたしましては、いろいろ各部をもって構成します審議会を設置をいたしておりまして、その審議会で十分検討するという段階に至っておるものもございます。それから、同時に、また、そこまでは至っておりませんけれども、現在の時点におきまして、自然環境保全という対策が十分講ぜられておるならば、宅地開発して認めることが適当ではないかと考えられる案件もございます。したがいまして、御指摘の横須賀の土地の取得というのは、そういう状況にあるいは相なっておるかと思いますが、しかし、まあ全部そういう形になっておるのではなくて、比較的耕作を農家が続けておる、そういう農地もあるわけでございます。
○竹田四郎君 きょうは、これは税法の問題ですから、農業の問題じゃありませんから、これ以上言いませんけれども、実際現状農地になっているところのほうが少ないんですよ、ほとんどもう荒れてしまっている。しかも、いま、御承知のように神奈川県はどこも開発させないといって大騒ぎしているんですね。竹中工務店の問題あるいは高松山のゴルフの問題というのは、県会で大騒ぎをしているんですよ。それだけに、農林省もぼやっとしておられたんじゃ。これは神奈川県に会ってバックアップを少ししてやらにゃいかぬと思うんだ。自分の県のことを引いて申しわけないんですけれども。ほかでも同じだろうと私は思う。この点を特に要望しておきたいと思うんですが。
 次に、銀行局長にお尋ねいたしますけれども、銀行の、不動産取得に対する銀行の貸し出し、これについてはしばしば通達を出し、警告を発しているわけですが、大体いままで何回くらい出しました。
○政府委員(吉田太郎一君) 昨年秋に、まず、昨年の十月末であったかと思いますが、投機的な資金に対する融資を慎しむようにというのが一件ございます。それからその後に入りまして、今度は具体的な金額と計画を明示して、一−三及び四−六に総貸し出しの水準にまで、不動産関係の貸し出しの水準を落とすようにという通達が一件ございます。これが一般的な銀行の融資の諸通達でございまして、そのほかに、銀行が資本的に関連のある、いわゆる関連不動産会社に対して、そのあり方を正すようにという通達が一件、合計三件でございます。
○竹田四郎君 私は、この問題は去年の三月言ったはずですよ。知ってますか、あなた、指摘したの。
○政府委員(吉田太郎一君) ちょっとそれは確かめます。私、あるいはあったかと思いますが、ちょっといま記憶にございませんので、確かめます。
○竹田四郎君 私の言うことはたいして、浅学非才の者の言うことだからどうせ聞かないんでしょうけれども、速記録をちゃんと調べてくださいよ。去年の三月の銀行の土地投機に対する問題が大きく問題になっていたから、私はたしか三月、おそくも四月だと思うのです、水田さんが大蔵大臣のときで、水田さんがその点は厳重に警告を発すると、こう言っているんですね。それを出しているのに、いまの話、十月ですよ、もうこれで六ヵ月おくれているんですよ、やることが。それであなた、信託銀行がどのくらい不動産業者に貸し出しをふやしているか、ちょっと割合で言ってみてください、どのくらいふやしたか。
○政府委員(吉田太郎一君) 不動産業者に対する貸し出してございますと、四十六年の上期から急増いたしておりまして、割合で申しますと、四十六年の上期が二〇・五%、下期が三二・二%、それから四十七年の第一四半期が一〇・一%、第二四半期が三二・四%――これは、失礼しました六ヵ月合計いたしまして三二・七%でございます。そうして四十七年の九月末の三ヵ月で一六・一%ということになっております。
○竹田四郎君 信託銀行に対してはどういうように指導していますか。
○政府委員(吉田太郎一君) これも先ほど申しました一般全国銀行と同じ指導をいたしておりまして、総貸し出しの伸びに対する水準にまで融資の増加を圧縮するようにということで報告を求め、かつ、その計画の提出を求めております。同様の扱いをやっております。
○竹田四郎君 これは私が調査室で一生懸命調べてもらった資料でありますが、信託銀行四十五年の六月を一〇〇としますと、去年の十二月は実に一一〇六・二ですから十一倍貸し付けをしているんですね。そのくらい伸びているんですね。この信託銀行というのはじゃんじゃん投資をするために金を貸してやって――これは除外されているんですか、その十月の警告は。除外されているんですか、信託銀行は。
○政府委員(吉田太郎一君) 信託銀行も全く同様の扱いをしておるわけでございます。ただ、沿革的に、特に信託銀行の場合には不動産部ということで、いろいろ不動産の鑑定士を置き、評価などの経験者がおるという関係から、比較的土地関係に密接な関係を持っておったという実情はあろうかと思いますが、格別信託銀行に対する指導を別にしておるということはございません。従来から土地関係には比較的関係が多かったというところはあろうかと思います。
○竹田四郎君 それじゃ、四十七年の六月が四十五年の六月に比べて八・二倍、十二月になって十一倍と、こういうふうにやったということはどういうわけですか。あなたのほう何もやらなかったということじゃないですか。
○政府委員(吉田太郎一君) 私のほうでヒヤリングをやりました数字によりますと、四十七年の四−六期が不動産業の貸し出しが一〇・一%、これは増加率でございます。四十七年の七月から九月が一九・八%、それから、四十七年の十月から十二月が一六・八%ということになっておりまして、一般の貸し出しの伸びが大体六%前後でございます。したがいまして、四十八年の一−三の計画によりますと、総貸し出しは五%ぐらい伸びるということになっております。で、これの水準に合わせるのを、四−六期に最終的に合わせるという目標で、一−三はいわばその三分の二というところに減らす計画を出しております。
○竹田四郎君 大蔵大臣ね、いまのお話聞いてもわかるように、どうもずれているのですね。半年ぐらいは、ずれているのです、やることが。世の中の動きはたいへん早いのですから、大蔵大臣、もう少し時宜に適した政策をとらなければ、同じ政策とったって、どうにもならないわけですね。もう少し時宜に適した政策をどしどしと実行していくということでなければ、われわれがいかにりっぱな提案をして、能力のない頭でいろんなことを考えたって、もう常に時期おくれになっちゃう。どうですか、大蔵大臣、もう少し時宜に合うようにスピーディーに仕事はできないものですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、しかし、少なくとも最近における数ヵ月来は決して時期おくれとは思っておりません。全力をあげてやっておるつもりでございます。これは行政府のみならず、日本のあらゆる各界各層においてスピードが欲せられているであろうと思います。
○竹田四郎君 スピードが欲せられているというのはよくわかるのですがね。私が警告したのは、たとえば銀行の問題だって、去年の三月ないし四月ですよ。速記録を見てもらえればわかりますけれども、やっているのは十月でしょう。いかにもおくれていると言わざるを得ないのじゃないですか。それでスピーディーだと、こういうふうに大蔵大臣言えるのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、今年になってからスピーディーにやっておるつもりでございますと申し上げたわけでございます。
○竹田四郎君 いや、あなたが大蔵大臣になってからと、私はそういう前提で言っていないですよ。あなたが大蔵大臣になってからとは言っていないですよ。
○政府委員(吉田太郎一君) 私、はなはだ先ほどことばが足りませんでございまして、通達ということで通達を申し上げたわけでございまして、先生の国会の御質問のあと、いわゆるヒヤリングということを始めたのは、実は昨年の四月から各金融機関からヒヤリングは始めておるわけでございます。通達という関係でございましたので、十一月と申し上げたわけでございます。
○竹田四郎君 それじゃなぜそこでやっていてこんな数字が出るのですか。
○政府委員(吉田太郎一君) これは当時といたしまして、金融の面を問わず、いわゆる景気刺激策をとっておったわけでございまして、特に金融の引き締めという角度からの政策は考えておりませんでした。むしろ景気面からの刺激策をやっておったという角度から、いわゆる銀行の良識にまつ、投機的融資を排除するという形で、自主的にその良識にまつという態度の指導であったわけでございまして、それが遺憾ながら効果が出なかったということについては、私どもも責任を感じますが、今日とはよほど事情が変わっておったという背景があろうかと思います。
○竹田四郎君 事情が変わっていたということじゃないと思うのです。やっていないということじゃないですか。やっていれば、たとえば、一番極端なのは、信託銀行が十一倍なんかに少なくとも四十七年十二月になるはずないです。不動産に投資をする、不動産に金を貸してやる、そして土地買いを進めていくと、こういうことが景気回復ということなんですか。むしろそういうことは締めていこうという話じゃなかったのですか当時は。吉田さん、あなたあのとき何局長やっておられたか私知りませんけれども、その後おかわりになったんだから、私も、私になってからスピーディーにやっておると、こういうふうにあなたもおっしゃるかもしれませんけれども、何もやっていないという証拠じゃないですか。反省は何もないですか。
○政府委員(吉田太郎一君) 結果的に非常に不動産融資に対する融資がふえておりまして、私どもがそれに対して通達を出したということからわかりますように、私どもの行政指導いま一段とやるべきであったかと考えております。そういう意味では確かに反省をしております。
○委員長(藤田正明君) 時間ですから最後の質問にしてください。
○竹田四郎君 そういう意味で、大蔵大臣ね、私は決して必ずしも適切だったというふうには言えないと思うのです。これと同じように、最終的に私は申し上げますけれども、土地税制の問題についても適切さを欠いている。こういうもので所期の目的がかなうなどということは、私はとても考えられません。そういう意味で、私は、大蔵大臣にもそういう反省を実は求めたいと思います。おことばがなければけっこうです。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、率直に申しますけれども、人間は反省がなければならないんですから、いわんや政治家として大いに反省をして謙虚にいろいろの意見を承って、そして今日でいえば、私は自分自身で早とちりだと思うくらいせっかちにいろいろやっているつもりですけれども、ただ、まあいまもいろいろ御指摘がございましたが、なかなかやきもきしても、思うように動かないこともございます。そういう点では大いに反省を必要とするでしょうし、いろいろの面で御協力をいただきたいと思います。ただ、私は、税制の面で反省をしろとおっしゃられても、これは政策の問題で、四十六年以上にさかのぼってこの税制を行なわないことが、反省を必要であると言われると、これは私は、反省の問題ではなくて、意見の相違、政見の相違だと思います。政策を決定する場合に、それは御指摘のようなこういう事実はあります。それは認めますが、さりとて、それなら、一体四十一年からやればいいんでしょうか、四十年からやればいいんでしょうか、そういう点になると、これは政策決定の、意見の、私は、相違だと言わざるを得ないと思います。
○多田省吾君 二、三お尋ねします。
 租税特別措置法という中に入らないかもしれませんけれども、地方税の法人事業税が、計算上損金として認められているわけでございますが、どういうわけで、法人税からいうと損金でないのに、事業税も法人所得を課税標準としているのに、損金算入としておられるのか。
 それから、法人事業税が、大体一九七三年度、昭和四十八年度税収見込みは、これは地方税ではありますけれども、大体どの程度見込んでおられるのか、お伺いいたします。主税局長、お願いします。
○政府委員(高木文雄君) 事業税は、しばしば物税と言われておるわけでございます。個人の事業税につきましても、法人の事業税につきましても、たまたま所得を基準としております。たまたま所得を基準としておりますが、物税だ。物税ということばは、非常に私ども国税を扱っております者については理解がまたなかなかしにくいわけでございますが、まあ直接税ではなくて、非常に間接税に近いような性格のものと言えるかと思います。そういうことから、それは損金になる。ちょうど固定資産税、企業の持っております土地、建物の固定資産税等についても、これは固定資産税はかかりますが、一面法人税の所得計算上は経費として扱っておりますというのと同様のものでございます。
 それから、事業税の現在の見込み額は、地方財政計画におきまして一兆二千五百九十九億円、そのうち個人事業税が五百三十四億円、法人の事業税が一兆二千六十四億円ということでございます。
○多田省吾君 ですから、これは損金算入として認めないとすれば、一兆二千億円の法人税収としますと、もう四千億円程度減収になっているわけでございます。もちろんこれは中小企業等もございますから、一がいには言えないかもしれませんけれども、わが国のやはり法人税の実効税率が非常に低いというのも、法人税そのものが低いのは当然でありますが、そのほかに各種の租税特別措置がある、またこういった地方税たる法人事業税を払っても、これが損金として算入されているというようなことで、実効税率が非常に低くなっているのじゃないか、こういったものを損金算入にしないで、中小企業等が非常に困難ならば、全般的に中小企業に対しては減税すること、こういったやり方がとれないものかどうか、それともいままでのほうがいいと思われるのか、その辺はどうですか。
○政府委員(高木文雄君) 現在法人にかかっておりますところの地方税の主たるものは、ただいま御指摘の法人事業税と、それから法人にかかりますところのいわば住民税でございます。いま言われましたように、事業税のほうは一兆二千億でございますし、道府県民税の法人税割りは二千百億でございます。もしこれを何らかの意味において、ちょっと法人の所得計算上損金扱いをしないということであるならば、むしろ事業税と住民税とを一緒に考えるほうがいいのではないか、住民税のほうは御存じのように損金にならないわけでございます。一種の所得課税でございます。この事業税という制度は、戦前の営業税を引き継いできているわけでございますが、それは、当時は国税であったわけでございますが、その系統を引き継いでいるわけでございます。地租、営業税というものは非常に大きな税収でございます。いずれもしかし、それは損金扱いになっておったわけでございまして、もし事業税をやめるということであるならばともかく、つまり事業税と法人住民税を合体してしまうというのも一つの立法論としては、制度論としては、あるいはあり得ることかとも思いますが、現在までの長い歴史におきましては、もっぱらそういうことで性格の違うものということで扱われておりますから、その限りにおきましては、やはり損金扱いにせざるを得ないという感じがいたすわけでございます。
○多田省吾君 次に、交際費課税の特例について若干数字をお尋ねしたいのですが、この前昭和四十八年度の交際費課税の特例による増収額ですか、千八百五億円だ、交際費そのものは大体一兆六千億円に達するのじゃないか、こういうお答えでございましたが、そのうち、一兆六千億のうち、大体損金算入額はどのくらいで、損金不算入額はどのくらいか、どういう計算なすっているのか。昭和四十五年ですと、大体これは出ておりますが、損金算入額が七千八百二十三億円、昭和四十六年で損金算入額が大体九千三百七十二億円、そうすると、交際費の損金算入額が昭和四十八年度は一兆円をこえるのじゃないかと思われますけれども、大体どういう計算をなさっていらっしゃるのか、お知らせください。
○政府委員(高木文雄君) 昭和四十八年度の私ども持っております見込みでは、交際費課税によるいわば増収額は、千八百五億と見ておるわけでございまして、それは前提としては、四十八年度の企業の交際支出総額を、御指摘のように一兆六千億という前提で計算しておりますが、その一兆六千億と千八百億の関係は、一兆六千億のうち特例措置による損金不算入見込み額を四千九百億と見ております。その四千九百億のうちで、もともとこの赤字法人については関係がございませんから、利益法人の損金不算入見込み額というものを算定しておりますが、それを四千六百六十億、それに法人税率を掛け合わせまして、四十八年度の現行税法改正前七〇%の段階での増収見込み額を約千六百九十億見ております。それから、五%かさ上げしたことによります増収額を約百二十億と見まして、合わしたものが千八百五億という関係になります。したがって、お尋ねの損金不算入割合は、千六百億と四千九百億の関係で御判断いただきたいと思います。
○多田省吾君 そうしますと、大体一兆一千百億円と。これが損金算入額のほうなんですけれども、一兆円をこえるような、一兆一千億円をこえるような姿、毎年これはもう損金算入額が二千億円近くづつふえていく。この前、予算委員会等では、総理大臣なんかは七五%をさらに八〇%にしたいようなお答えもございましたけれども、それにしても、交際費というものが毎年ぐんぐんふえていく。これはやはり相当考えなければいけない問題ではないかと思います。
 やっぱり外国の例なんかを見ましても、西ドイツ、イギリス等は、交際費における損金算入額というものが非常に少ないように思います。それに比べると、国際的に比較しても、べらぼうにわが国の交際費の損金算入額が多いんじゃないか。
 ですから、これは、ちょっとした手直しでは追いつかないような気もするわけです。むしろ、交際費は、損金算入は本法において認めないとして、そして祖税特別措置で損金算入を幾らか認めていく、こういう特例のほうが私は妥当じゃないかと、このように思いますけれども、こういう制度上の改革を大臣としてお考えになったことはございませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、わが国の商慣習といいましょうか、そういうところから、交際費というものはそもそも損金であるという観念が一つあるわけでございますね。でその損金を、税の上では否認する考え方、七五%は今回は否認するわけてあります。そういったような――そのことがいいか悪いかは別問題でございますけれども、私は、そもそも損金であるというたてまえがあるところへもってきて、税法上は七五%は否認をするということにするのは、まあ相当なものではないだろうかと、ひそかにこう考えるわけでございますけれども、四百万円ということと、それから、この限度を七五をさらに引き上げるかどうか。これは、現在は七〇%であるわけですが、その点については、政府といたしましても、ずいぶん考えた末でございますが、今回の場合においては、七Oを七五に引き上げるということにいたしたわけでございます。
 もちろん、今後の問題としては、税制全体について、総合的にいろいろな角度から、いままでもいろいろ出ております御論議を対象にして、よりよき税制をさらに四十九年度以降においてはつくろうとしておりますから、そういう考え方の中で、一体どうやったならば、国民感覚的にも是認されるであろうか、あるいは企業のあり方、あるいはさらには、これは実はモラルの問題にもまたなってくる面もあると思いますけれども、そういう点を総合して、交際費課税というものをいかにすればいいかということは積極的に私も勉強したいと、こういうふうに考えております。
○多田省吾君 私も、やはり、大臣の心配なさるように、交際費というものが、特に中小企業において非常に、四百万円という問題があるために、多いわけです。ですから、一がいにこれは、大企業だけといえるわけのものでないと思います。ですから、やはりこれは、根本的に、大臣もおっしゃるように、考え直すべき時期が来ている。中小企業に酷であるならば、やはり中小企業全体の課税をもう少しゆるやかにするとか、いろいろ考え方があるわけです。
 このまま放置しますと、もう交際費課税が一兆円をこえたときでさえも、これはたいへんなことだと言われたのに、本年度は一兆六千億円に及ぶというようなことでは、やがて来年再来年にはもう二兆円をこすということにもなりかねません。これは一考しなければならない問題ではないか、このように思います。
 それから、この前もお尋ねしましたけれども、寄付金の問題もあります。これも、損金算入として認められるものが大体一千億円近くあるんじゃないかと、このように思われますけれども、これは主税局長に、大体四十八年度はどのくらい見込んでおられるものか。
 それから、政治献金なんかの場合に、会費というような名目でだいぶ出されておりますけれども、その場合、やはり交際費、寄付金、それから顧問料とか、いろんな名目で損金算入という形で出されている面が非常に多いわけです。ですから、交際費とか寄付金とか、あるいは顧問料とか、こういった問題は、やはり政治のモラルにまで関係してくる大きな問題になってくるわけでございます。その実態を、主税局長は、そういう政治献金の場合なんかの、たとえば、会費というような名目、あるいは政治献金そのものがどういう名目で出されているか。特に、国税庁等からお聞きになって知っておられると思いますけれども、その実態はどうなのか。ひとつ知っている限りおっしゃっていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) いま、政治に関連あるもろもろの金銭支出につきましては、数字は持ち合わせておりませんが、私どもが過去において経験をいたしました感じからだけで申しますと、ただいま御指摘のように、寄付金で支出されているもの、それから、人件費形式で支出されているもの、いま言われました顧問というのがそういうことになろうかと思いますが、人件費形式で支出されているもの、それから、いろいろな会の会費という形で支出をされているもの、これが明らかにいわばそういう政治に関連のあるものであるということであれば、会費としては容認されないわけでございますが、なかなか純粋のいわゆる会費と境目がつかないという種類のものでございます。主たるものはその三つになろうかと思いますが、一部は交際費形式で出ているものもあるわけでございます。
 主たる形態としては、実際のわが国の現状においては、その四つの形式があるということではないかと思います。
 もちろん、そのほかに、正規の益金処分といいますか、企業としては、企業外に出たものであっても、益金としてみずから自己否認をして、いわば正規の経理をしておられる部分も相当あるだろうとは思いますが、あまり正規でない形式としては、いまの四つのものではないかというふうに思います。
○多田省吾君 ですから、それでは寄付金の損金算入額は大体四十八年度はどのぐらい考えておられるか。
○政府委員(高木文雄君) 四十八年度の数字は持っておりません。と申しますのは、寄付金を支出をし、一部は損金算入を認められ、一部は認められないという結果の数字が、全部法人税収として見込まれてきておりますので、寄付金部分については、その点は区分をして計算をいたしておりません。
 結果は出てくるわけでございますので、その結果を参考までに申しますと、四十六年の寄付金の総額は七百十一億七千六百万円でございまして、その法令に認められました限度をこえました部分、損金不算入となりました部分の金額は、百四十億五千九百万円でございます。したがって、総寄付金の総支出額中に占める損金不算入部分の割合は約二〇%ということになっております。
○多田省吾君 次に、個人の配当所得の選択課税の問題でございますが、私も先ほどの質問のように、やはりこの配当所得の選択課税、分離課税は廃止すべき性質のものである、このように思います。ちなみにお尋ねしますけれども、配当所得の課税の特例で、四十八年度減収額五百三十億円と見込んでおられますけれども、これはそのもとになる配当収入が、どの程度と見込まれて計算なされたものでございますか。
○政府委員(高木文雄君) 配当総額は、法人のほうはそういう制度はございませんので、個人分だけが特別措置による減収額になるわけでございますが、個人分の受け取り配当総額は、四十八年度において八千三百三十億見込んでおります。
○多田省吾君 大臣にお尋ねしますけれども、こういう配当所得のいわゆる選択課税、現在でも標準家族で配当のみの所得としますと二百七十五万円までは非課税であるというような結果が出ておりますけれども、こういったものは、社会正義上考えましても、またこれからの国民感情を考えましても、廃止していくべき性質のものであると考えますけれども、大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、先ほど戸田委員からも御質問があった点でありますが、結局、私は法人擬制説と実在説ということが、これは率直に申しまして従来からの政府の本件についての基本的な態度である。こういうところからきておるわけでございまして、やはりその点に触れていかなければ、法人税のあり方の基本問題でごさいますからなかなかいずれとも――現在のところでは、私も大いに勉強しなければならない問題だと思っておりますが、先ほど戸田委員からは、控除率を引き下げるような方式でいくのかどうかと、これはまあなかなかお答えのしにくい点であるわけでございます。いまのような擬制説の立場をとりますれば、配当に軽課をするということならば配当控除率の引き下げということにつながるわけでございますし、それから、配当分についての法人税の負担を増加するということになれば、配当控除率の引き上げにつながってくるわけです。ところが、実在説をとると、両者の間には関係がない、こういうことになるわけでございます。それから、同時に、先ほど主税局長から詳しく申し上げましたけれども、法人における支払いの配当等支払い利子の問題、いわば直接金融と間接金融の問題と言うこともできるでございましょう。こういうふうな点がからみ合っているというか、理論的な問題として存在いたしておりますから、法人税のあり方という根本に触れてこれをひとついずれかに割り切っていかなければならない、こういうところであることはもう万々御承知のとおりでございます。ひとついろいろと検討いたしてみたいと思っておりますけれども、現在の立場は、従来からの伝統的の立場で擬制説に立脚しておると、こういうわけでございます。
○多田省吾君 大臣のおっしゃる法人擬制説か実在説かに割り切って一貫してやるべきだという御答弁には私も賛成でございますけれども、いまは、大企業、大法人、あるいは資本に対して優遇するような方向で非常に法人擬制説、実在説をうまく取り入れているというような感を受けるわけでございます。ですから、この前も八幡製鉄が政治献金した問題に対しましても、法人実在説のような立場で、やはり法人の政治献金というものを最高裁で認めている。ところが、肝心の税制においては、大企業は法人擬制説のような姿で二重課税になるからというような理由で、非常に課税が弱められている。ですから、私は大臣のおっしゃるように、アメリカなんかでは大企業、大法人に対しては法人実在説をとっているわけでありますから、そういう方向で行くなら行くと、はっきりした態度でこれから税制全般に関して処置をしていくように、このように考えます。
 時間がまいったようでございますので、これで質問終わりますけれども、以上要望として申し上げておきます。
○政府委員(高木文雄君) ちょっと技術的な点でございますので、お断わりをしておかなければいけないと思いますが、実在説、擬制説の問題いろいろややこしい問題ございますが、実在説的な考え方をとりまして、配当軽課もやらないとか、あるいは配当控除制度をやめてしまうというかっこうになりますと、ただいまのお説とは逆でございまして、小さい企業のほうに非常にきつくなります。というのは、小さい企業の場合には、同族の方が株主であると同時に、会社を経営しておられますから、その場合には会社のほうの負担もふえるし、個人の受け取り配当のほうにも負担がふえますから、同族企業の場合には、実在説的考え方をとりますと非常に負担が急増するかっこうになるわけでございまして、ただいまおっしゃるように、擬制説が非常に大企業に有利であるというわけではないわけでございまして、実はそこらあたりが非常に最近実在説のものの考え方のほうがわかりやすいと言われておりますけれども、しかし、さてどういうふうにするかというときには、そこが一つ問題があるということだけをちょっとつけ加えさしていただきます。
○多田省吾君 ですから、私は一律に中小企業まで実在説でやるべしということじゃなくして、実際の待遇を見ますとやっぱり大企業、大法人は実在説に近づいておるし、あるいは中小企業あるいは小法人等は擬制説のほうに実体がなっているのじゃないかと、こういう意味で申し上げたのであって、いまの税制は大企業、大法人に対して都合のいいような方向で、優遇するような方向で、擬制説、実在説を取り入れているような気がしますから、そういうことはいけないのじゃないかと、こういう意味で申し上げたわけです。
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○委員長(藤田正明君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、鈴木一弘君、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君、塚田大願君が選任されました。
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○栗林卓司君 二、三の点でお伺いします。
 法人税の改正の中身なんですけれども、同族会社の留保所得課税の控除額を引き上げるということは、理由は、端的に申し上げて、事業主報酬制度を今回取り入れたから、その見合いを考えてということなんでございましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 留保所得税の問題でございますね。会社と同族の株主とが、同族会社の場合には利害が一致しているわけで、社内に留保することによって累進税率の所得税の課税を免れて、租税負担を不当に軽減することができますので、これを防止するというのが留保所得課税であると思います。しかし、中小法人については、企業体質の強化のために、内部留保の充実をはかる必要があると認められますために、今回の改正では、定額控除を三百五十万円から五百万円に引き上げると、こういうことにいたしたわけでございます。
○政府委員(高木文雄君) 必ずしも事業主報酬問題と直接からんでいるということではないと思います。むしろ、毎年、昨年度も改正をさせていただきましたが、留保課税を漸次、特に、小さい企業については少なくしていこうということでございまして、事業主報酬制度とのからみはないと御理解をいただいたほうがいいんではないかと思います。
○栗林卓司君 一応念のために伺うんですけれども、この留保所得というのは賞与も含んだ内容になりますでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 賞与は含んでおりません。
○栗林卓司君 わかりました。
 次の点でお伺いしますけれども、土地税制の問題で大臣にお伺いしたいのは、よく言われることですけれども、保有税と譲渡税、これは土地税制を考える場合に、いわば柱になるものだといわれます。現在ですと、保有税は、地方税ということで自治省所管になり、譲渡税は、御提案のように、国税として大蔵省所管ということで、分かれているわけですけれども、土地税制として、これは一元的に取り組んでいく必要はありはしないか。この点についてはいかがお考えですか。
○政府委員(高木文雄君) 経過的にもこの問題は自治省ともしょっちゅう相談をいたしましたが、ある時期までは私どものほうで両方とも考えておったわけでございます。それで 最終段階で地方税のほうがよろしかろうということにしたわけでございますが、なぜかと申しますと、国税でやります場合に、具体的にその物件の異動があったということの情報を税務署が把握しにくい。市町村であれば、どうも、どこの会社が土地を買いにきているようだという話はすぐ耳に入りますから、市町村のほうが早くわかりやすい、早く耳に入るということからいって、運用が地方税のほうがうまくいくであろう。ただ、取得価格ベースで計算することになりますので、取得価格が幾らかということは、市町村でなかなかわからない、むしろ本社に聞かなければわからないという事情があります。そういう意味からいいますと、国税のほうがよろしいということになりますので、いろいろ議論の末、やはり何といっても漏れがあっては非常にまずいわけでございますから、地方税としてやりまして、そのかわり、地方の市町村からの照会がありましたならば、税務署がそれに協力をして、取得価格については調べてすぐ回答するということでやれば実効があがるであろうと考えたわけでございまして、制度論としては、確かに両方、国なら国でやったほうがいいかもしらないということは私もそう思っておりますが、実施の執行との関連で、地方税のほうをよしとせざるを得なかったわけでございます。
○栗林卓司君 実は、逆な感じを持っておりまして、土地の利用計画と土地税制というのは、これはまた別な意味で裏と表、一連の関係だと思います。そこで、利用計画ということになると、これはやはり地方自治体のほうにどうきめるかということが所属していくんではないのか。そうなると、実は両方含めて地方税のほうがすわりがいいんじゃないかという気がしたものですからお伺いしたんですけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点はまさにたいへんごもっともな御意見だと思います。いま主税局長からお話ししたとおりの経過でございますけれども、私どもは、保有税を地方税にしたということに非常な意味があると思うんです。これはやはり、土地利用計画にいたしましても、それから、土地の売買、移転等については、御案内のように今日では市町村長が非常な関心を深くしております。そういう点から、まあ政治的に考えましても、これは地方税にするほうがよろしいと、結論は、私は政治的に見てもよかったと思うんですが、しからば、法人の譲渡益に対する課税も市町村でできるかというと、これは行政能力からいってできませんので、末端において、これは副産物でございますけれども、市町村の行政に対して、国の行政機関の系統である税務署が協力をする、そして取得価格の認定、査定等について相協力していくということにおいて、国と地方との末端における行政の総合的推進にも役立つかなということも副産物的に考えまして、政治的に判断して、税制としては若干なじまないかもしれませんが、両建てにいたしたわけでございます。
○栗林卓司君 そこで実は御提案の譲渡税の性格にもなる問題だろうと思うんですけれども、法人の譲渡に対して課税をしていくということになると、確かに法人だけになるんですけれども、土地税制として全体を見ていった場合に、譲渡税はどういうように考えていったらいいのか。平たく言って、保有税というのはなるべく土地を吐き出す、供給をふやすという働きをどうもしそうな気がします。譲渡税というのは、土地をなるべく売ってもらっては困るんだ、そういう働きをある面では、それは率のきめ方によりますけれども、するかもしれません。そこで、たとえば、市街化区域、市街化調整区域ということに分けて考えまして、元来市街化調整区域ということを分けた理由というのは、緑地農地の保全ということから考えて、あまり宅地化してもらっては困る。そこでよく世上言われることばに、譲渡税の活用があってはいいんではないかということが言われたりするわけです。すると、今回の御提案といささか性格は違うんですけれども、いま私が申し上げたような、譲渡税というものを今後考えていく必要がないのか、あわせてそれは地方税として一元管理をしたほうが土地政策に有効に結びつくんではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 譲渡税はどうしてもやはり原価が幾らで、それから売った金額が幾らで、そのほか利子その他間接経費等が幾らかかったかということで、幾らそこでもうかりましたか、利益がありましたかという計算がありますので、それはどうしても法人の帳簿と密接に関連してまいります関係上、北海道で土地の売買がありましても、本社が東京にありますれば、東京で調べないことにはその申告が正しいか正しくないかということがわかりませんものですから、そういう関係から申しますと、譲渡税はどうしても本社所在地との関連上国税でやらないとうまくいかないのではないか。これは流通税みたいに一定率でいけばよろしゅうございますが、所得といいますか、利益といいますか、そういうものを基準として課税するという理論を使います以上は、どうしても法人税や所得税の仕事になれております税務署の職員が、その本店所在地において処理をするということでないとうまく動かないのではないかというふうに考えます。
○栗林卓司君 徴税手続という面の御説明はわかるんですけれども、土地の利用計画と、土地税制というものがありまして、これは地方自治体がなるべく一元的に管理をしたい。そこで、保有税は今回御提案になりました。問題は、譲渡税として、今回の投機に対する禁止的ないわば投機利益をなるべくつかんでおこうというこの面ではなくて、なるべくこの地域は土地を売ってもらっては困るんだ、これはいま市街化調整区域ですと、ある一定限度以下の売買は認めないという規制になるわけですけれども、そういった面と合わせた譲渡禁止的な、禁止的というとことばは強いですけれども、譲渡抑制的な譲渡税の使い方、片方では土地の供給をふやしていくという保有税の使い方、実は両々相まって利用計画をささえていくんだという議論があるんですけれども、私もなるほどそうだという気がいたします。したがって、御提案の内容とはちょっと違いますけれども、その譲渡税ということを今後考えますかということ、あわせて一元的に管理をする方法がございますか、お伺いいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) これも一つのお考えだと思いますが、現在御提案いたしております法人のほうは、法律ができましても原則的に一年たってから執行するということになっておりますし、それから、譲渡益に対する課税も必ずしもそのまま固定しておくということではなくって、やっぱりいまのうちに好ましいほうに放出をしてもらうというところもまたねらっておる、非常に複雑なねらいでございますから、いまのお話のように、われわれの考え方とは違うアプローチであるという前提でのお話しでございますから、これも一つのお考えでございますけれども、とにかくこの保有税との抱き合わせで、しかも、税制としてはおかしいところがあるかもしれませんけども、複雑な目的でございますから、これはとにかく実行させていただきたい、相当な効果はあるであろうと、現在はこう考えておりますので、相当将来の問題としては考えられるかもしれませんけれども、現在のところは御提案のような譲渡税というもの、あるいは地方税にするということは、ただいまのところは考えておりません。
○政府委員(高木文雄君) ちょっと補足いたしますが、今回の法人の重課のほうは、どちらかというと主として抑制税でございます。つまり法人が土地を買いましても、将来税金が重くなりますから、あまり土地の売買では利益を上げることができませんよという意味での抑制税でございます。それから、先生がおっしゃる意味での譲渡税を通じてむしろ供給をスムーズにしたらいいではないかという点は、個人のほうで累進にしないで比例税率にしているということ、そしてその税率をかなり下げているということは、これはむしろ供給促進のほうの譲渡税として役立っているはずでございます。で、その場合に、供給促進の上に役立っておりますところの四十四年以来の税制について、今後どう考えるべきかというのは、ただいま大臣からお答えいただきましたように、今後しばらく様子を見た上であの臨時措置、五十年で切れることになっております臨時措置を、どう持っていくかということで考えなければならない問題だというふうに思っております。
○委員長(藤田正明君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(藤田正明君) 速記入れて。
 ただいま議題となっております四案中、入場税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました法人税法と租税特別措置法の二改正案に反対の立場で討論を行なうものであります。
 初めに法人税についてであります。
 反対の理由は、大企業の税負担が軽過ぎるということであります。勤労所得者、特に、サラリーマンの課税最低限は、最低生活費にまで食い込み、かつ、住民税は過酷なものであります。反面法人税は、アメリカとの比較でも明らかなように、資本配分率では、日本はアメリカの二倍半多く、税負担と賃金はきわめて低く、大企業は多くの利潤を収めているのであります。国内においても他企業との比較でも、大企業は税負担率がきわめて少ないのであります。税負担の公平の原則に沿うように、年次計画を樹立し、直ちに法人税率を引き上げるべきであります。
 次は、租税特別措置法についてであります。
 反対の第一は、憲法八十三条の要請に反するからであります。租税特別措置は、財政補てんの機能の役割りを果たすものであります。日本国憲法八十三条は、財政主義を強調し、補助金等の国費の支出は、国会のコントロールは個別的で、かつ、具体的でなければならないことを要請されているのであります。租税特別措置は、財政議会主義を形骸化させるとともに、実質的には隠れた補助金であります。憲法の要請にそむくものであります。
 第二は、利子所得、配当所得の分離課税は直ちに全廃すべきであります。税の総合累進課税を形骸化せしめ、税の不公平を拡大するその元凶は、利子所得と配当所得の分離課税であります。今日までの審議でも明らかなように、課税最低限(所得税、住民税等との比較)一つを見ましても、いかに妥当性を欠くものであるかが明らかであります。結果的には、租税制度の持つ所得再分配及びビルト・イン・スタビライザーの機能を減殺し、一般の納税モラルを低下させ、大衆重課を促進する本措置は、直ちに廃止すべきであります。
 第三は、交際費課税についてであり為す。今回の改正で千分の七十五に引き上げましたが、商取引と社会風潮をゆがめ、かつ、本質的には、経営上の経費にならない交際費は一〇〇%課税すべきであります。
 第四は、土地税制についてであります。土地保有税の真のねらいは、所有する土地を吐き出させ、住宅並びに公共用の社会資本充実の使用に、低廉で提供することにねらいがあります。今回の改正は、制度上では地方税法を複雑化し、土地保有税は取得価格の一・四%、土地取得税は取得価格の三%では、土地を吐き出させ、地価高騰を抑制し、投機抑制を望む国民の当面の解決はできないからであります。また、土地譲渡税では、従来の開発利益はもちろん、猶予期間の開発利益に対しても特別の負担を免除し、かつ、民間デベロッパーを除き、ほかにも除外範囲を拡大し、まさにざる法のそしりを免れないからであります。
 ほかに、中小企業諸団体の多年の要望でありました事業主報酬制度が創設されましたが、内容は、青色申告者のみに限られておりますが、この特典は、事業を行なう者にはすべて記帳させ、全納税者に適用を拡大すべきであります。
 以上、今回改正に対する反対理由を申し上げましたが、大企業にとって重要な措置は一切手つかずに温存され、一貫して大企業優遇措置を持続しようとする政府の態度に対し強く反省を求め、反対討論を終わります。
○嶋崎均君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し賛成の意を表明するむのであります。
 まず、法人税法改正案について申し上げます。内閣提出の改正案は、同族会社の留保所得についての定額控除を現行三百五十万円から五百万円に引き上げるとともに、役務の割賦販売について割賦基準の適用を認めるものであります。これらの措置は、中小企業の体質強化をはかる上で、まことに適切な措置であり、また、現下の社会経済の実態に即したものと考えます。
 本委員会の審議におきましては、法人税率を引き上げるべきであるとする議論もありましたが、今回の内閣提出の改正案は、法人の税負担を課税所得の拡大によって増加せしめるという見地から、産業関連の租税特別措置について平年度約四百億円に及ぶ整理縮小をはかっております。法人の税負担の拡張については、前向きに検討すべき問題でありますが、さしあたりは改正案の程度とし、これを第一歩として今後福祉関係の財政需要の増加状況等を見合わせつつ、適切な措置を講じていくことが最も当を得ているものと勘考するものであります。
 次に、租税特別措置法改正案について申し上げます。
 今回の改正案で、まず第一にあげられるのは、法人の土地譲渡益に対する重課等の土地税制の改善であります。今日多大の批判を浴びている法人の土地投機を抑制するため設けられたこの措置は、その解決に十分役立つことが期待されるところであります。
 第二は、産業税制の改廃合理化であります。産業優先から福祉重視へという政策方向に即し、重要産業用合理化機械の特別償却制度、価格変動準備金制度を初めとし、各種産業税制の改廃を推し進めることとしております。また、交際費課税を強化する措置も講じております。
 他方、福祉対策としては、歳出面における各種施策を補完するため、老齢者年金特別控除制度の創設などきめこまかな措置を講ずるほか、勤労者財産形成、住宅対策として勤労者財産形成貯蓄にかかる住宅貯蓄控除制度の拡充、中小企業対策として事業主報酬制度の創設を行ない、そのほかに農林漁業対策、公害対策、資源対策等にも手厚い措置が講じられているなど社会経済情勢の変化に十分即応し、国民の納得の得られる改正案であると思われます。
 なお、租税特別措置につきましては、既得権化や慢性化があってはならないのであり、引き続き四十九年度以降におきましても、政府は、課税公平の原則に立って、その政策目的の合理性、政策手段としての有効性について十分検討し、随時見直しを行なうよう強く要望いたしておきます。
 以上、申し上げました理由により、私は、法人税法改正案及び租税特別措置法改正案に賛成の意向を表明するものであります。
○多田省吾君 私は、公明党を代表いたしまして、議題となっております法人税法の一部改正及び租税特別措置の一部改正につきまして反対の立場を明らかにし、若干反対の理由を述べます。
 法人税法の一部改正に反対の理由は、極端に低い大企業、大法人の法人税率を引き上げないで据え置きにしたことであります。わが国の法人税率は、基本税率三五%、特別措置一・七五%、合わせて三六.七五%であり、実効税率は、地方税等を含めましても四五・〇四%にすぎません。西欧諸国の場合は、アメリカの五一・六%、西ドイツの四九・〇五%、フランス五〇%等であり、また、税調でも、福祉充実のためには法人に応分の負担を求めるべきであるといっております。特に、最近の大企業、大商社の反社会的な買い占めや投機は、法人所得を法人擬制税の名のもとに保護してきた在来の法人税制は大きく転換される時期にきているのではないかと思います。来年まで待たずに、引き上げられるべきであった法人税率が、そのまま据え置かれたことは、何といっても納得できないところであります。また、大法人と中小法人の税負担の不均衡も見のがすことはできません。所得税減税が物価調整減税にも及ばなかったことと比べ、法人税優遇には強く反対いたします。また、わが国の法人税体系はシャウプ税制勧告以来、法人擬制説の立場に立って、法人間の受け取り配当に非課税の措置をとったり、配当分の税率軽減をしたり、悪い部分だけ乱用し、しかも肝心のキャピタルゲインに対しては非課税などの立場をとる等、一貫した措置がとられず、大法人優遇の原理が何よりも支配的なのがはなはだうなずけないのであります。
 次に、租税特別措置につきましては、従来より数多く指摘されましたように、中小企業や大衆向けの租税特別措置による特別減免税も若干ありましたけれども、全体としては、大企業、大商社、特定の産業、個人の高額所得者等に対しては、租税特別優遇措置が多くとられ、また、現行の所得税制にも、法人税制にも、各種の資本優遇措置が導入され、担税力に応ずる租税負担実現のための累進総合課税の原理は多くの面で崩壊せられ、税負担の不公平はますます著しくなっております。
 われわれは、これら各種大企業優遇、輸出優遇、資本優遇の租税特別措置をさらに大胆に整理、改廃する必要もあり、また交際費課税等もさらに強化すべきであったと思います。四十八年度の租税特別措置による特別減免税額は、事柄の性質上交際費課税強化を別にしますと、国税だけでも実質六千四百五十億円に達し、所得税法や法人税法にある特別減免措置を含めればまことにばく大な額に達するのであります。これは社会正義の上からも、税負担公平の立場からも、租税特別措置の大胆な整理、改廃をもっと本年度においてなすべきであったと思うのであります。
 土地税制におきましても、まだまだ不十分であり、法人の譲渡益分離二〇%の課税と、地方税保有税一・四%が創設されましたが、民間デベロッパーは事実上課税対象からはずれ、骨抜きとなり、土地投機についてはやはり野放しと言うべきであります。
 以上の諸理由により、法人税法の一部改正、租税特別措置の一部改正に強く反対するものであります。
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、法人税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について反対の討論を行なうものであります。
 これまで政府は社会保障水準のすみやかな引き上げを主張する意見に対して、将来の負担増を考えると、慎重に考えざるを得ないと答弁してきました。この将来の負担増ということについて、私は、次の政府答弁を思い出します。
 先般の委員会において、政府から法人税をあまり引き上げると、将来財源がなくなったときに困る、対策が打てなくなるという旨の答弁がありました。これは法人税を増税の安全弁として見ているということになります。しかし、それでよいのかどうか。もちろん政府は、租税特別措置法の改正によって、法人の税負担はふえていることを主張されると思います。しかし問題は、法人税が前年に比べてふえたか減ったかだけではないと思います。法人税を安全弁とした税収のワク内で政府は仕事をすればいいのか、それとも解決すべき政治課題に対し、その所要財源の調達をどのように税制面に反映するかという立場で仕事をするかが問題だと思います。私は、別に理屈を申し上げているつもりはありません。政府は、今回の見るべき提案のない法人税改正案に対し、来年度は洗い直しをしたい旨の回答を繰り返してまいりました。一年おくれになるが、政治は継続しているのだという答弁もありました。しかし、その一年おくれということばに対し、私たちが、社会保障の水準引き上げが一年おくれになるという意味だと読み取ったとしても当然でありましょう。具体的に言えば、青年時代を戦時体制下に送り、戦後は先がけて復興の中核となり、ようやく老齢になるに及んで核家族化の波に洗われている人たちに対して、政治の手が一年おくれになることにほかなりません。税法と国の財政は首尾一貫したが、国民の心は破れていると言っては言い過ぎではありましょうが、来年度の税制改正に期待することを強く求められながら、不十分な面の多い昭和四十八年度税制改正案の審議を終わるにあたって、その感を深くしないわけにはまいりません。この上は来年度の税制改正にあたっての抜本的な再検討を要請して反対の討論を終わります。
○塚田大願君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案に賛成、租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対の態度を表明します。
 まず、法人税法の一部改正法案に賛成する理由でありますが、今回の改正は、同族会社の留保所得課税について留保控除の中の定額控除部分を三百五十万円から五百万円に引き上げるものであり、同族会社の九十数%を占める中小企業家にとっては一定の改善となっていると認められるからであります。もとよりわが党は、上場大法人と同族会社とのバランスを理由に、同族会社に対し、普通法人の課税のほかに、同族会社の留保金に対する特別課税を重課している制度そのものには反対でありますが、この制度のワク内で留保控除額を引き上げることは、現在の中小企業にとっては所得の増加と、銀行借り入れを有利にする一定の前進的役割りを果たすものと考え、賛成するものであります。
 次に、租税特別措置法の一部改正案に反対する第一の理由は、依然として大企業、大資産家に対する特権的な減免税を続けようとしているからであります。たとえば、重要産業用合理化機械等の特別償却率の低減を一方で行なうとともに、他方では公害対策を名目に特別償却の対象施設を拡大し、振りかえを行なおうとしていることでも明らかであります。さらに、資源対策と称して、資源開発、投資損失準備金の開発段階における積み立て率を現行の三〇%から五〇%に引き上げるなど、ますます特定の大企業のための特権的減免税にしようとしているのであります。
 反対の第二の理由は、今度創設される土地税制が、国民の要求する地価抑制の要求にこたえるものではなく、逆に大不動産会社などの土地投機による買い占めを追認し、それによる高利潤をこの税制で保証するものと判断できるからであります。わが党は、大法人の土地譲渡益に対して、七〇%の分離課税を課すとともに、大法人の保有する土地を収用して、勤労国民に確実に渡し得るような措置をとるべきであると主張するものであります。
 反対の第三の理由は、中小、零細企業のためと称する事業主報酬制度の創設が、実は長い間、中小企業家の要求してきた、いわゆる自家労賃制度とは異なったものであり、圧倒的多数を占める中小、零細業者には無縁のものであるだけでなく、この制度は青色と白色、青色内部では中小企業の一部上層企業と、それ以外の企業の分断をはかるものであり、さらに記帳義務を強要することによって、付加価値税の導入を準備するものと考えざるを得ません。
 以上、租税特別措置法改正案の主な特徴を取り上げて反対の理由といたしましたが、わが党は総額三兆円に及ぶと見られる租税特別措置による特権的減免税制度を廃止し、租税における公平の原則を名実ともに打ち立てるべきことを主張して、私の討論を終わります。
○委員長(藤田正明君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、法人税の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(藤田正明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(藤田正明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認め、う決定をいたします。
    ―――――――――――――
○委員長(藤田正明君) 次に、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた外貨資金等の償還に関する特別措置法案を議題といたします。
 まず、愛知大蔵大臣から趣旨説明を聴取いたします。愛知大蔵大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた外貨資金等の償還に関する特別措置法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 わが国は、昭和三十年及び三十一年にそれぞれ第一次及び第二次の農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を締結し、米国からの農産物の購入に関連し、約一億五百万ドルの借款を受けました。また、昭和三十七年には、日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を締結し、戦後米国から受けた経済援助の最終的処理として四億九千万ドルの債務を負いました。これらの対米債務の返済は、現在、産業投資特別会計の負担において毎年二回の分割払いにより行なわれており、現在の債務残高は、前者については約九千三百万ドル、後者については約一億一千二百万ドルであります。最終支払い期は、前者については第一次、第二次とも昭和七十年、後者については昭和五十二年となっております。
 ひるがえって、わが国の国際収支の動向を見ますと、数年来かなり大幅な黒字基調が続いているのに対し、米国の国際収支の赤字は依然として大きく、特にわが国に対しては大幅な輸入超過となっております。
 このような状況にかんがみ、先に申し述べました対米債務は、この際、昭和四十八年度に一括して繰上げ償還することとし、これに伴う当面の資金繰り上げ必要となる資金を、産業投資特別会計において、昭和四十八年度から五十年度までの各年度に借り入れることができることとする等の特別措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 なお、このため必要な予算措置については、昭和四十八年度産業投資特別会計予算に所要の額を計上し、御承認を得た次第であります。
 繰り上げ償還は、この法律成立後、日米間で所要の手続を経て実施することとなりますが、その時期としては、五月一日を予定しております。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤田正明君) 次に、補足説明を聴取いたします。林国際金融局長。
○政府委員(林大造君) 農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた外貨資金等の償還に関する特別措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 政府は、提案理由説明で申し上げましたとおり、第一次及び第二次の農産物に関するアメリカ合衆国との間の協定に基づいて受けた借款及び戦後の経済援助の処理に関するアメリカ合衆国との間の協定に基づいて負担した債務の未償還残高を、一括繰り上げ償還することを予定しております。これらの対米債務の返済は、現在産業投資特別会計の負担において行なわれておりますが、今回繰り上げ償還を行なうことに伴い必要となる特別措置を定めることとした次第であります。本法案第一条は、このような法制定の趣旨を明らかにしております。
 産業投資特別会計においては、今回の繰り上げ償還に伴う当面の資金繰り上、昭和四十八年度から五十年度までの各年度において借入金をすることとしております。本法案第二条は、産業投資特別会計が借入金をすることができることとするための特別措置を定めたものであります。
 なお、産業投資特別会計が借入金をすることに伴い、当該借入金、その償還金及び利子についての会計処理上の取り扱いに関し、本法案の第三条において、技術的な規定をしております。
 以上、法律案の提案理由を補足して御説明申し上げた次第であります。
○委員長(藤田正明君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 次回の委員会は、四月二十四日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。
   午後六時二十七分散会
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