第071回国会 運輸委員会 第3号
昭和四十八年二月二十二日(木曜日)
   午前十時十五分開会
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   委員の異動
 二月二十二日
    辞任         補欠選任
     杉山善太郎君     辻  一彦君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岩本 政一君
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                橘  直治君
                松平 勇雄君
                伊部  真君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                辻  一彦君
                森中 守義君
                阿部 憲一君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        吉田 健三君
       運輸政務次官   佐藤 文生君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸大臣官房観
       光部長      中村 大造君
       運輸省海運局長  佐原  亨君
       運輸省港湾局長  岡部  保君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
       運輸省航空局長  内村 信行君
       運輸省航空局技
       術部長      金井  洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       水産庁調査研究
       部長       松下 友成君
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        原岡 幸吉君
       日本国有鉄道理
       事        阪田 貞之君
       日本国有鉄道理
       事        加賀谷徳治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
 (大阪運転所構内における新幹線列車脱線事故
 に関する件)
 (運輸行政の基本方針に関する件)
 (旅客駅の無人化及び貨物駅の集約に関する件)
 (北陸トンネル内における列車火災事故に関す
 る件)
 (ばんだい号等航空機事故に関する件)
 (中華人民共和国との航空機乗入れに関する件)
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○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 まず、磯崎日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますので、これを許します。磯崎国鉄総裁。
○説明員(磯崎叡君) 昨二月二十一日午後五時五十三分に、東海道新幹線の大阪方の車庫――魚飼という車庫でございますが、その車庫から、本線を運転する予定で出てまいりました電車が、本線に入るところでもって脱線いたしました。回送電車でございますので、お客さんはもちろん乗っておられませんでしたが、ちょうど下り本線を支障いたしまして、そのために下り列車は昨夜からあと全部運転を中止いたしました。中間に二十一本だけ、新横浜から西に二十一本を押えました。その間に、京都――新大阪間におきましては三本、これは駅の中間でとめざるを得なかったわけでございます。その他の列車は全部駅にとめておりました。その三本のお客さんは途中からほかの列車にそれぞれ乗っていただきまして帰っていただきました。いま上りのほうは、少しおくらしまして東京に着けまして、けさ、一番おそいのは午前三時ごろ東京に着いております。そのために、国電がそれを受けまして運転を行ないました。
 また、きょう午前中まではどうしても復旧にかかりますので、午前中は、いま八時五十分に下りの初列車を出しました。上りの初列車は七時四十五分に京都から出しております。おおむねきょう一日はダイヤが正常に戻るにはかかるというふうに思っております。
 問題は、事故の原因でございますが、いわゆるATC――自動列車制御装置と申しまして、自動的にコンピューターでもって列車の進路をきめていくという装置を持っておるわけでございますが、その装置のどこかに支障があったのではないかということで、非常に技術的にむずかしい問題でございますので、すぐ最高の技術者を現地に派遣いたしまして、現在いろいろ検討中でございます。
 あらゆることを全部二重系、三重系にいたしまして、運転の安全、保安を確保しておりましたわけでございますが、この点につきまして、将来こういうことがはたして起こり得ることかどうか、十分この電車そのものの機能あるいはATC全体の機能等につきましても、昨夜徹宵いたしまして検討いたしましたが、ATCの機能そのものにはいまのままでよろしいという結論を得まして、きょうから運転をいたしますが、この電車そのものにつきましては、その辺の回路の支障等があるかないか等につきましては十分検討いたしまして、今後の事故の防止につとめたいと思っております。
 新幹線はああいう輸送をやっておりますので、一カ所で事故が起こりますと全部をとめてしまわなければならないというふうな非常に大きな支障を来たしまして、たくさんのお客さまに非常に御迷惑をかけたことを深くおわび申し上げます。今後全力をあげまして、技術的にその点を解明いたしまして、輸送の安全にさらに万全を期してまいりたいというふうに思っております。まことに申しわけございません。
○委員長(長田裕二君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
 それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○杉山善太郎君 きょう私、大臣がお見えになりましたならば、この委員会における大臣の所信表明に関連をして若干のお尋ねをいたしたいと、こう思っておりますけれども、何ぶん大臣の御都合で、時間かせぎということになりますけれども、きょう、いまいみじくも磯崎総裁からATCの問題についての好ましからざる事象に対して、いち早く、御如才なくしかじかの説明がございましたけれども、要するに、あとからきょうの委員会でも……。
 最近いろいろ事象があると思いますけれども、広範多岐にわたって日本列島全域の輸送の動脈を掌握しておられる国鉄の当局としましては、旅客に対するサービスというものは、予測できなくて起きることがありますので、やはり安全第一がすべてのサービスに対する原点であり、基本であるというように私どもは理解をいたしておりますので、その点については、言われるまでもなくやっているんだということであろうと思いまするけれども、まあ次元が違いまするけれども、原子力発電所の安全性の問題について、非常に地域住民が、安全性の問題に関連をしていろいろ動いている。いや、アメリカのデータならデータがあって、これを基準として、日本ベースで学者先生などを動員してやっているからだいじょうぶだ――しかし結局、エネルギーの問題にしても、旅客の輸送に対しても、これは経済、社会、国民生活にきわめて重要なことでありまするけれども、原点は、念には念を置いて、安全第一がサービスの原点であるというふうに考えておりますが、その辺に対する総裁の、関係当事者の最高スタッフとして、ひとつ見解なり信条というものを伺えば幸いだ思います。
○説明員(磯崎叡君) ただいま杉山先生から、安全問題についてきわめて適切な御高見を拝聴いたしました。やはり私ども輸送業務をやっておる以上、いかなるサービスよりも、やはり安全という問題が基礎であるということは肝に銘じておるつもりでございますが、やはりその信念に反して、こういう事故がときどき起こりますことは、私どもそのつど反省し、新しいことを考えて、一つずつ安全対策を進め、一つずつ事故の卵を消していくという努力をしなければならないというふうに思っております。一たんきめた安全対策を、いつまでも絶対だというような過信あるいは盲信を捨てまして、常に新しいことを考えつつ、新しい安全対策を生み出していくというのが私どものほんとうの信念であり、生命でなきゃいかぬというふうに思っておる次第でございます。
 従来、当委員会におきましても、たびたびこの問題が論ぜられまして、そのつど、私も安全第一ということを申し上げましたが、やはりこういうことが起こりますことは、私どもの技術の中あるいは管理の中に、もっともっと意を尽くさなければならない点が多々あるということを反省いたしまして、今後十分この点に力を入れてやってまいりたいというふうに思う次第でございます。
○小柳勇君 三点質問いたします。
 一つは、在来の列車の脱線事故の復旧に比べて非常に時間がかかりました。おそらくいままでは、長年の経験で、非常に沿う救援車、その他支援施設等、支援の体制が長い歴史の中で積み重なっておるが、新幹線の場合、救援列車の編成なり、救援体制というものが十分でないのではないかと私は心配をしておりました。あれだけの脱線――あのくらいといいますと何ですが、あのくらいの脱線でこれだけの長時間かかるのは、実は解せないわけですね。したがって、その点で、現在なお救援組織の編成あるいは車両の増備などが足らぬのではないか、同時に、いまの車両の構造と違いますから、いままでの機関車脱線復旧に訓練された人が、新しい新型式の新幹線の車の脱線復旧の技術が訓練不足ではないか、そういう気がいたしましたが、この点はどうか、これが第一点です。
 第二点は、ATCの事故が過去二十七回あったということを、けさテレビで放送されておったが、そのようなことがあったのかどうか、あったとすれば、そのATCの事故についてどういうものがあったのか、お答え願いたい。
 それから第三点は、事故のあとお客へのサービスが非常に悪かったということが、たいへん騒がれて、東京でも大阪でも十分アナウンスもしなかった、三時間も車の中にかん詰めにしておいて、列車放送も十分なかったというようなことであります。これは一にかかって、サービス精神でありますから、これは技術的な問題ではないから、やろうと思えばできないはずはない。なぜそういうものがやれなかったのか。関連して、かつて順法闘争なるもののときに、各駅でそういう批判も聞きました。もっと親切にアナウンスしたり掲示したりすべきである。列車がおくれるならどれくらいおくれるかということくらいは、電話があるからわかるのではないか、ということを方々で聞きましたから、これもひっくるめて、アナウンス、あるいは案内、あるいは掲示、そういうものはもっと敏速に親切にすべきであると思うが、この三点について御答弁いただきたい思います。
○説明員(磯崎叡君) 第二点はちょっと技術的な問題でございますので、担当の常務からお答え申し上げます。
 第一点の復旧時間の問題でございます。私も昨夜、けさまでかかるというので、そんなことはないだろうというので、ずいぶん督励いたしましたが、ちょうど御承知の、高架線にのぼる斜めのところでありまして、非常に足場が悪くて時間がかかる、高架のところで非常に時間がかかるというので、人数は相当出たようでございますけれども、やはり実際の事故の復旧に取りつける、実際その場に、何といいますか取りついて作業をする面が非常に少なくて時間がかかったということと、それからやはり、線路が復旧しておりますけれども、けさ方復旧いたしましたが、やはりATCその他を、全部、何と申しますか、テストをやらなければいかぬというので、そのテストの時間が、相当慎重にやったためにかかったというように、けさ報告を聞いてまいりました。
 まあ、事故のあとは、極力慎重を期して復旧をしようということでございますので、今後、いまおっしゃったような、初めての脱線事故でございましたので、多少車両の構造も違いますし、ふなれな点もあったかと思いますが、そういう意味で、今後ともこういう問題については、十分、なるべく早く復旧できるような体制を整えたいと思っております。確かに相当時間がかかり過ぎたというように私は思っております。
 しかし、これを貴重な体験といたしまして、こういうことのないようにすると同時に、万一あった場合には、もっと迅速な手配がとれるような復旧機材等も考えなければいけない。大体、ジャッキで上げましたけれども、そういうものにつきましても考えなければいかぬというふうに思っております。
 それから、第三点のサービスの問題でございますが、これはずいぶんたくさんのお客さまに御迷惑をおかけいたしました。まあ、昨日発生いたしましたときに、相当復旧に時間がかかるというこは大体わかりましたので、まず運転を全列車取りやめる、上り列車も少しおくれて出すというようなことで、まず、東京あるいは大阪におけるお客さんが深夜に着かれたときのあと始末等につきましては、相当気を使ってやったつもりでございますけれども、列車の中に閉じ込められた方々、ことに京都−大阪間に、先ほど申しましたように三本の列車が駅の中間でとまっております。駅にとまっておりますものはともかくといたしまして、この三本の駅の中間にとまっておりますお客さまに対しましては、非常に何といいますか、高いものでございますから、そこからおりていただくわけにいかないということで、上り線に列車を列べまして、こちらからこっちに渡っていただくというようなやり方でもって、ずっと救援することにいたしますので、その救援列車が行くまでに若干時間がかかったということと、三本でございましたために、多少その間のやりくりがあったというふうなことでもって、一番おくれましたのは、下りが約五時間半おくれております。したがって京都に着きましたのが、一番おそいのが三時二十五分、東京に着きましたのがけさの四時ごろでございます。いずれにいたしましても、できるだけのアナウンス、あるいはお客さまに対する周知徹底をいたしたつもりでございますが、特に新幹線は電話を持っておりますので、情報はいつでも入るわけでございます。CTCからとまっている列車には絶えず情報を流しておったようでございますが、それのお客さんへの周知のしかたについて十分でなかった点もあったというふうに存じまして、その点、今後ともそういう場合には十分遺憾のないようにしなければいかぬというふうに思っておる次第でございます。
○説明員(阪田貞之君) 二番目に御質問のATCの二十七回、大体ただいま二件から三件くらい年間に起こりまして、これは一番大きいのは接点不良でございまして、接点不良になりますと、みんな新幹線に、フェイルセーフと申しまして、異常動作をしたときにはセーフ側に働くようになっておりますが、大体フェイルセーフになっている機構そのものがやられる場合もありますし、全般的には、ただいまのところ非常に多いのは、やはり接点不良で機能が落ちて、それで赤が出てしまうというのがほとんどでございます。
○江藤智君 大臣もお見えになったようでございますから、きわめて簡単に要望なり御感想を聞きたいのですが、私は今度の事故については非常なショックを実は受けたわけであります。ということは、新幹線は非常な高速運転をしておりますし、安全ということが絶対である。で、かつて架線故障やなんかはいたしました。それからATCの故障がかりにあっても、いま阪田理事がお話しになったように、故障があった場合には、すべて安全サイドですから、停止をするようになっておるということは、これはよく承知をいたしております。
 ところが今度は、ポイントのところで脱線事故を起こしたということで、私はたいへんにショックを実は受けた。私もそういう経験は全くございませんからよくわかりませんが、すぐ頭にひらめいたことは、高速運転中にああいう脱線事故が起こらないとも限らないのじゃないか。そういう場合のことを考えると、これはこれまで新幹線に対して抱いておった安全という問題について、いささか私の信頼の気持ちがゆらいだことは事実でございます。これがまあ非常に大きなショックを受けたわけでございます。そういう点において、どういうお気持ちを総裁は持っていらっしゃるか、この点が一点でございます。
 それからいま一点は、こういう大動脈がとまった場合のやはり処置ということでございまして、一つは、いま小柳委員が御指摘になった点、やはり旅客はたいへんに不安な気持ちでございます。その場合に、新幹線のときのみならず、非常にわれわれの耳に入りますことは、一体どうなっておるのだろうかということの周知徹底がたいへんに十分でないという非難あるいは苦情というものがあることはわれわれよく耳にするのでございます。で、その理由は、言うまでもなく列車運転は運転指令のほう、あるいはATCで握っております。事故が起こると駅長さんや車掌さんはいわばつんぼさじきに置かれておる。これは内容を知っておる者はわかるのでございますけれども、一般のお客さんに接するのは車掌であり駅長でございます。当然こういう人々がよく知っておるとみんな思っておるわけでございます。そういう意味で、事故が起これば運転指令が非常に多忙であることはわかりますけれども、やはり旅客に大体事故のわかっておる範囲の見通しというものは、できるだけ早く周知徹底させて、それに対する心がまえを与えるということがきわめて大切なことでなかろうか、かように考えます。特に、ただいまお話があったように、新幹線は電話を持っておる。私は在来線に対してもできるだけすみやかに列車電話を整備すべきであると考えております。できるだけそういうような処置を講じて、事故の場合に、旅客に事故の様子を刻々にひとつ知らせてあげるようにすべきであると考えますが、そういう点についてひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
 いま一点は、これまでは、新幹線はこのような事故がないというふうに考えておったのでございますけれども、今後本線上においてもこういうことが万一起こった場合には、一体どういうような処置をすべきか、今回もどういう処置をとられたか、そう点についてひとつお答えをお願いしたい。この三点をお答え願いたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) まず第一のATCそのものの問題でございますが、これはいま世界的に一番新しい列車制御装置というふうにいわれておりまして、これ自身の機能につきましても、すでにATCが開発されましてから十年になります。その後いろいろな角度からATCの新しい再検討をいろいろやっておりますし、またきのうの事故がどこの時点で起きたかということにつきまして、ほんとうの専門家を昨夜すぐ現地にやりまして、そしてその点で、もし改良、改善する余地があるかどうかということにつきましても、具体的に検討をさせておるつもりでございますが、いまのところATCの考え方そのもの、機能そのものには私は間違いがないというふうに思っておるわけでございます。しかし、それとブレーキとの関係その他につきまして、車両、特に具体的な、車両について何か問題があったかということについて、もう少し昨日の車の現物について当たってみなければわからぬということで、いまいろいろやっておりますが、やはり列車を自動的に制御するというこのATCのシステムは、考え方としては間違っていないというふうに思っております。ただ、それにもっともっとりっぱな肉づけをしなきゃいけない点があるのじゃないかというふうにも思うわけでございます。
 二番目のサービスの問題で、これは先ほど小柳先生からの御質問もございましたが、確かにこういうときには混乱いたして、相当お客さんに御迷惑をおかけいたしておりますが、昨日はわりあいに、先ほど申しましたとおり、とてもこれはあしたの朝までは直らぬというふうに思いましたので、思い切って運転休止する。そうして、まず東京のお客さんには在来線の夜行列車を動かすということで、すぐ夜行列車を手配いたしましたが、何と申しましても輸送力が少ないものでございますので、在来線のお客さんで、東京駅で待っておられた方が非常に不満を漏らされたということも事実でございます。大体夜十時何分を最後といたしまして、夜行で行っていただいた。それから中間にとまりました十数本につきましては、先ほど申しましたとおり、駅にとまっておりましたので、わりに情報は的確に入っておったというふうに思います。一番問題がございましたのは京都−大阪間にとまりました三本の列車でございます。これがおりるにおりられないというふうなことで、だいぶんお客さんがお騒ぎになりましたが、これは先ほど申しましたとおり、あれでおりていただくと非常にあぶないものでございますので、反対側の線路に列車を入れまして、そうして、けさ新聞に写真が出ておりましたが、歩み板を渡して下り列車から上り列車へ移っていただくというふうな操作をいたしましたために、相当時間がかかったわけでございます。
 いずれにいたしましても、まあ今後の対策と申しますか、新幹線はもちろんディーゼル機関車も持っておりますので、いざとなればディーゼル機関車を現地に出すということによりまして、引っ張ることなどもできることでございますが、きのうは大体ジャッキで上がるという判断のもとに、相当大型ジャッキで上げてみたわけでございます。しかし万が一こういうこともあるかもしれないということを前提といたしまして、もっと、いわゆる脱線に対する対策といいますか、そういうことについても、いまのディーゼル機関車だけでなしに、あるいはもっと大型のクレーンとかいうものも準備しなければならないかとも思っておりますが、もう少しこれは技術者に検討してもらいまして、対策を立ててまいりたいというふうに思う次第でございます。
○杉山善太郎君 新谷運輸大臣が御都合で若干おそくなられましたので、もののついでという意味ではありませんけれども、総裁にお聞きしていたのですが、私は大臣の所信表面に関連をして若干の質問をいたしたいと、こういう所存であります。
 あなたの運輸大臣としての所信表明の一番大きな柱は、運輸効率と安全第一だということ、あるいは交通公害の問題といったような所信が、大きな柱に立てられておるわけで、そういう矢先に、いまのようなATC問題もありましたので、それなりに国鉄の最高スタッフである磯崎総裁にも、私の基本的な考え方は申し上げておきました。
 ただ私は、もののついでに、実は私は質問の予定外に置いたのでありまするけれども、この間、新谷運輸大臣がさる場所の新聞記者との会見の中で、線路を走るものは音が出るのはあたりまえだといったような一それはそういう意味で言われたものじゃないと思いまするけれども、ともかくも新幹線の運輸効率あるいは騒音というような問題については、非常に新幹線が来るのを待望した者もいろいろと現地へ行って、騒音と生活というもの、環境というものをてんびんにかけて、事の予期に反していることに対して、そういうあれが出たと思うのですが、これは御返事をいただかなくてもいいんです、いいんですが、あなたのやはり所信の中に、運輸効率の問題だとか、公害の問題だとか、安全第一の問題というものが出ておりますので、同じことを二度言うことも蛇足でありまするけれども、運輸効率の問題にしろ、乗客へのサービスにいたしましても、ともかくも安全第一がすべての原点であるという発想で、どうかひとつ腕をふるっていただきたいということを、これはお答えをいただかなくてもいいわけでありますけれども、強く要望を申し上げておきます。
 で、あまり多く申し上げることも蛇足だと思いますが、結局、私の発想は、やはりあなたの所管では海陸空、それから港湾を含めて、非常に間口も広いが奥行きも深いと思うのであります。でありまするから、財政の問題であるとか、あるいは物や技術や人間関係という問題が十分調和がとれないというと、運輸行政は、どう所信で柱を立てられたり、うまいことばやうまい結びを言われても、なかなか言うがごとく、思うがごとくしゃばはいかぬというふうに考えておるわけであります。
 そこで私は、質問の第一点に、総裁をきょうそのことで呼んだわけではありませんけれども、おられますからついでにおってください。まず第一点といたしましては、国鉄の労使のあり方に対するやはり大臣としての現状認識と、現状は現状として、今後においてやはりこの労使の正常化という問題について、それは総裁のほうにまかせて、おれはもう関係ねえんだというようなぐあいに逃げてもらっては困りますが、私はこれは重大な点である、ポイントであるというかっこうで、簡潔にひとつ大臣の見解なり所信なりといったものをお伺いしておきたい。あわせて総裁も、何か御意見がありましたらばお答えいただいてもいいわけでありますけれども、主として運輸大臣からお答えいただきたい、こう思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 杉山先生の御意見、まことにごもっともだと思います。今日、私から言うまでもなく、国鉄は財政的には非常な危険な状態に立たされておるのでありまして、この国鉄の財政危機を切り抜けて国民の期待にこたえて、ほんとうに豊かな郷土づくりの一環として、この国鉄の仕事を立て直すということからいいましても、これは国鉄の幹部諸君をはじめ職員全体が一体となってこの線に向かって邁進するということが、これはどうしても必要であろうと思うのでございます。
 労使関係が、いままで沿革的に見ますると、いろいろの経緯を経てきたようでありますけれども、昨年来その問題も、非常に正常化の道をたどってきたというふうに私は聞いておるのでございます。何といいましても、この労使関係には、人と人との関係、したがってお互いの信頼関係というものが一番大事なことであると考えております。そういう意味におきまして、今後とも、幸いにして、今後とも。幸いにしてそういう正常化の方向に向かっておるというのでありますから、この機会に労使双方がお互いに胸襟を開いて話し合いをして、協議をして、そしてお互いに信頼感を取り戻して、そしてお互いにこの国鉄の再建に向かって協力をするというような姿勢、そういうような気持ちで事に処していただきたいということを、主管大臣としても心から希望をいたしておりまして、そういう点につきましては、国鉄の当局に対しましても、十分私も助言もし指導もしたいという考えでおる次第でございます。
○杉山善太郎君 これは昨年の時点でありますので、おそらくその当時は佐々木運輸大臣の時点であったと思いますけれども、十月の時点で、総評を頂点として、公労協であるとか、あるいは国公共闘を含めた、スト権を含めた労働三権あるいは十数万にも及ぶ懲戒処分等を含め、あるいはマル生運動を通して大量の提訴が十月、ILOの結社の自由委員会になされた事件があるわけでありますが、その事件に関連をいたしまして、ジェンクスILO事務局長が、結局、日本の政府と総評のトップレベルで直接にお話しになったらどうですかと、この事案に対して自由委員会が提訴を受ける受けないという問題は、一応凍結の状態に置いて、国内の問題は国内でひとつお話しになったらどうかと、これは通称ILOのジェンクス事務局長の仲介案といわれておるわけでありますけれども、今日的には、もう経過しておる事実でありますが、この点について、引き継がれて、運輸大臣がそれなりに消化していかれると思いますが、過ぎ去ったことでありますけれども、将来を展望いたしますというと、七三春闘も含めて、先ほどの労使問題等も含めて、一つの原点になろうかと思いますので、詰めて言いますれば、ジュンクス提案の仲介案に対して、どのように理解をしておられ、どのような認識を持っておられるかということを、新運輸大臣にこの時点でお伺いをしておきたいと、こう思いますので、追及はいたしませんが、思ったとおりの感情と、あなたのお気持ちというものをこの時点で承って、将来の一つの対処の参考にしたいと、こう思いますので、そういう意味でお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいまのお尋ねの問題は、私も就任して間もなくその御報告を承ったのでございます。
 この問題につきましては、御承知のように、政府といたしましては労務大臣あるいは総務長官がまとめ役になりまして、いろいろ関係各省と協議もし、審議を続けておるのでございます。私が政府の全体の立場を申し上げる立場にないものでありますから、杉山先生のお尋ねに対しては、あるいは十分でないかもしれませんが、この間も閣僚の協議会がありまして、聞いたところによりますと、国内で、総評との間で四回にわたりましていろいろと協議をされたようでございます。いま、お話しのような諸点について、具体的にこれをどう扱うかというようなことについてお話し合いがあったようでございます。不幸にして最終的には満足すべき結論に到達しなかったということを聞いております。
 しかし、こういった問題が国内において残っておりまして、それがいつでも何か問題の火種になるというようなことでは困るのでございまして、この点は、たとえばスト権の問題については公務員制度審議会においていま審議中であるといいますし、その他の問題につきましては、お話しのように、団体との間で、政府全体が統一歩調で協議を進めるというようなことがやはり望ましいんじゃないか。私はこの点は非常にむずかしいとは思いますけれども、何とかしてお互いにもっと根気よく協議をしてもらって、お互いに満足すべき解決点に到達するような努力を続けるということが必要ではないかと考えておる次第でございます。
○杉山善太郎君 御承知だと思いますけれども、四回の直接協議の結果が暗礁に乗り上げたというような結果でありますけれども、願わくは他人の別れは棒の端というようなことにならないように、またそういうニュアンスで大臣も評価し受けとめておられるようだと思いますし、御承知のように、十九日の日に例の凍結解除されて、結社の自由委員会の窓口にはこれを受理しておるわけでありますけれども、その際においても、やはりジェンクス事務局長は、できる限り、ひとつあらゆるパイプを通してこの問題は国のほうとしてうまく解決してほしいんだ、というような要望の趣旨もあって、って、相当に大量の提訴団が行かれておるようでありますけれども、それも弾力的に了解されたやに聞いておりますので、これは先々運賃の値上げ問題であるとか国鉄再建問題について、やっぱり先ほど申し上げたとおり、物と人と銭との関係がかみ合って、物情騒然として、英国のヒース内閣が大きくゆれているというような、九十万人の労働者とぶつかっているというようなことにならないような、そういうような危惧から、ひとつうまくかじをとってもらいたいということをあわせて要望しておきます。
 次には、これはあった事実でありまして、是非は論外といたしましても、マスコミ界ではスト権を復元要求するためのストであるというように、スト権ストと言っておりますけれども、去る二月の十日の時点における、やはりこれも国労、動労も含めて、さらに公務員共闘であるとか、あるいは国家公務員等も含めてこの二・一〇ストというようなかっこうでマークされたストライキ事件があったことは御了承のとおりだと思いますが、これに対して、それがスト権があるとかないとかというような既成の、在来の論議ではなくて、憲法の原点では、やはり労働三権は労働基本権として保障されておるし、国際基準のIOLの中でも、他の水準からいっても、一つの歯どめがあっても容認されておるのが常識でありますので、こういったような問題について一応二・一〇スト――中身は申し上げるまでもなく把握していらっしゃると思いますけれども、スト権を含む労働基本権を一体どうしてくれるんだと。それから全体として軽重の差はあっても十数万に及ぶ、あえて過酷といえる大量処分の問題について、ことに国鉄についてはマル生運動に対する不当差別等の問題も、いまは確かにいい方向へ、上向きであるというふうに私ども喜んではおりまするけれども、これらも含めて、やはりストライキという形で――あれはストライキじゃない、さみだれだ、あるいはいろんな論議はあっても、私どもは、政治の次元ではやはり一度起きたことは二度繰り返されないように、十分どこかで、もちろんいまことばの端にも出ました公務員制度審議会においても、これらの問題について取り扱いをどうするということが論議されておると思いますが、これに対する大臣の評価とか認識といった程度のものを、これもこの時点では、見解を聞いておくだけにとどめておきますけれども、私は、実は行政区域と国鉄の管理区域の違う一つの拠点である日本海沿線の糸魚川という駅へ行って、直江津という駅へ行って、初めて目のあたりに――なかなか大げさでありますけれども、機動隊も出てくるし、公安官も出てくるし、これはあとで、また別な機会に究明をしたいと思いますけれども、検察官も出てきておる、労働争議に思想検察官や労働担当の検察官が出てくるというようなことは、呼んだから出てきたのか、かってに出てきたか、とにかくいずれにしても事態の中身というものはそう大げさじゃないのでありますけれども、ともかくも二・一〇ストは何か大きな政治的な意味という様相がどこかで振りまかれたのか、何か、とにかくそういうふうに、このことに対してどうこうということをいまお尋ねしているわけじゃありませんが、二・一〇ストについて、どういう御認識と評価をしておられるかということをひとつ率直にずばりでいいですからお答えいただきたい、こう思っております。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先般のストライキ、あるいはそれに類似の行為につきましては、いま杉山先生のお話しのようないろんな背景があると思います。この問題については、政府全体としても慎重に扱うだろうと思います。私もこの問題については慎重に扱うように希望をしておる次第でございます。
○杉山善太郎君 きょうは、この問題については総裁をお呼びしておるわけではありませんでしたけれども、具体的な問題として、これは私がいままで運輸委員という立場でもなかったし、またそういうマル生運動等については百聞は一見にしかずというかっこうで、いろいろと総裁と会って、そのことで論議をした経過もありまするけれども、そのことは別の問題としまして、この間の二・一〇ストについてはそれぞれの拠点がやはり通告をされたであろうし、御認識であったと思いまするけれども、私がときたま、好むと好まざるとによらず、一つに偏せざる立場からこれを観察してほしい、見てほしいというような要望がありまして、私は新潟県地方区の関係もありまして行ったわけでありますが、御承知のように糸魚川は行政区域から言うと新潟県でありまして、警察や検察区域はこれは新潟県でありますけれども、鉄道関係は金鉄でありますが、いずれもあなたのほうの拠点では管理局長が本部長である。出先ではしかるべきスタッフの人が出先で本部長という位置づけにおられる、公安は想像し得べき限界をこえて前の日から来ておられる。所轄の警察署長だけではなくて、県本部からはやはり警備部長と第一課長というものが一線の指揮に入ってきておる。機動隊は百数十名、第一線の機動隊が来ておるこういったような現状であって、事態は別に大したことではありませんでしたけれども、そういったような点について、公安というもののあり方と、私行った時点では、金沢から派遣されている現地対策本部長は私が行ってから他の関係者にはお会いになるようになりましたけれども、それまでは全然会わないという方針をとっておられたようであります。しかし、そういったようなことがかえって連鎖反応を生んで、それからまた機動隊のほうも、前日から来ておられたというような関係でありますし、そういったような点については、そういう事件があった場合の慣行として、それは中央が指示するしないにかかわらず、そういう慣行であるかないか、その辺のところを、ひとつ総裁自身から承って、今後の参考に処したいと思うんです。
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生おっしゃいましたように、直江津は、私のほうは新潟の鉄道局でございまして、糸魚川は金沢の鉄道局でございます。ちょうど直江津と糸魚川の間で管理局の分界があるわけでございます。
 去る二月十日のいわゆるストライキの際には、動労の諸君が裏日本を徹底的にとめるというふうな意図からか、相当多数の人が東京からも現地へ参っておったようでございます。そして私どもといたしましては、やはり輸送を確保するという意味で、就業の意思のある乗務員をきちっと就業させる、またあるいは運転の安全を確保するというふうな意味で、現地の責任者をきめ、そして輸送の確保に当たったわけでございますが、その際に、やはり万が一、人命に関すること、あるいは器物の損壊ということがあり得ますので、一応公安職員は待機さした。もしそういう事態が起こった場合には、これは鉄道財産の維持という意味で、人命、財産の維持という意味で出るというふうなことでもってやっておるわけでございます。警察のほうにつきましては、警察は警察としての独自な判断でおやりになっているようで、どういうふうな指揮命令系統でそういうふうな出動があったかよく存じませんが、私のほうは私のほうというふうな、いままでの慣例でやっておるわけでございます。
○杉山善太郎君 私は、あの現場を見ながら実は思ったことは、公務員制度審議会のあり方や、それから公共企業体の働く人々についても、憲法で保障された労働基本権の問題、ILOの結社の自由委員会を通じて、国際レベルの慣行からいっても、やはり国やあるいは乗客、その他国民の生活に直接、間接に関係のある紛争については、どこかに歯どめとか、しかるべき権威ある仲裁あっせん機関があれば、結局ああいうような形は防止できるんだと。私は乗客の意見を聞いてみたんです、これは両方に言い分もあるであろうけれども、しかしこれは、こういうことになるならば何時から何時まで汽車は動きませんよということを言ってくれ、とにかく労働運動のあり方だとか労使紛争の中で、たとえば行動に移った場合についてもそれはみんな生かしていると……、これがこういう状態の中で起きるから、駅の構内が広い狭いは別の問題として、結局機動隊と公安と、それからピケ隊だけで、乗客なんというものはみんなどこかへはじき出されてしまっていると、そういう関係でありまするから、これが連鎖反応でますます先がけするというようなことは好ましくないんだ、原点は、労使関係は、やはり制度としては公務員制度審議会もあるし、そういうような問題にいくことが望ましいと思っておるわけでありますから、前段、運輸大臣にも、労使関係は将来、そういう問題はジェンクスILO事務局長等の勧告なども求めたわけでありますので、私の肌で感じたこともマル生運動はよりましの方向へ――総裁の努力もあったと思いますが、また大臣もかわられたわけでありますので、十分、これは労働事案だから労働省で、給与その他の問題については総務長官だというようなかっこうでなく、運輸大臣のほうが、何といったって所管の行政の一番のあれでありますから、どうか行政監督は監督、また総裁は総裁自身の問題として、十分いま私の申し上げた、言わんとする気持ちの底も配慮して、十分ひとつ自主的な姿勢でうまくやってもらいたい。私はああいうことはないほうが望ましいけれども、ある現象に対しては目をおおうてということでは、さらに好ましくない情勢が、違った形で大きく発展しては困ると、こう思っておりますので……。
 次に、これで終わりますが、運輸審議会のあり方について。実はこれも、昨年の七月の十三日の時点で、総評の市川事務局長が、消費者代表も含めて運輸審議会の構成だとか、あるいはあり方であるとか、それから機能について改善してもらう必要があるのだ運賃等を、あるいは広範多岐にわたる許認可を、大臣の諮問機関としてやっておられる重要な運輸審議会のあり方について、ひとつ改善をしてほしいのだという、そういう要望があって、当時の佐々木運輸大臣も検討するというようなニュアンスで回答されているはずであります。
 その当時は佐々木運輸大臣であったはずでありますが、その当時の問題について何か引き継ぎがあったのか、それについては事務当局、まあ次官かだれかおられればその点についてちょっとお伺いをしながら、さらにこれは運輸大臣もそれなりに感じておられると思いますけれども、総理の諮問機関である国民生活審議会の消費者部会から、何か聞き及ぶところでは、二十七日に総会の議を経て運審のあり方について、たとえば運審に消費者代表を加えるという問題や、それから消費者側について、公聴会の開催の要請権をひとつ位置づけるべきじゃないかといったようなものが公式に出るというやに聞いておりますが、ここら辺の問題に関連して、運輸審議会のあり方、今後の改善の問題について、これもひとつ、深追いはしませんが^大臣の今日ただいま考えておられる見解、それから国民生活審議会の消費者部会から公式に総理に答申のあった場合、これは新聞に出ておる事件でありますから、そういうものをミックスして、きょうは所信表明に関連をして浅く広くというかっこうで、深追いはしませんけれども、ひとつお答えをいただきたい。こう思っております。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 運輸審議会の問題につきましてはただいま杉山先生お話しのような事実があることを聞いております。前大臣の佐々木さんのところに総評議長からの申し入れがあって、その申し入れ書も入手しております。その申し入れ書そのものは、これは公共料金上げちゃいかぬぞという申し入れでございましたが、その際にいろいろお話しになったと思いますが、その際に運輸審議会の運営のしかた、あるいは運営審議会のあり方について、いろいろ意見の交換があったように承知しておるのでございます。
 また国民生活審議会の消費者保護部会、ここからごく最近お話しのような意味の意見が出たということも承知しております。
 この問題に関連いたしましては、従来、各方面からいろいろ運輸審議会のあり方について意見が出ておるようでございます。私は、就任以来日が浅いのでございますけれども、いま検討いたしております。一言で申し上げますと、運輸審議会の組織そのもの、これはいろいろな意見がございますけれども、あるいはその点については杉山先生とは多少意見が違うかもしれませんが、この運輸審議会のメンバーは、私はこういうふうに承知しておるんです。すべての委員が、一人一人全部が公益を代表して、つまり消費者の方々の意見も十分反映するような、そういう方々の集まりであって、これは御承知のように、各党から推薦したものでなしに、政府が推選をいたしますけれども、両院の同意を得まして、国会の承認人事になっておるわけでございます。その点では、おそらくこの六名の委員の方々は、そういう方向から見て、非常に適任な人であるというふうに了解されているんじゃないかと考えるのであります。
 ただ問題は、運輸審議会の運営の問題だと思います。運輸審議会は、御承知のように、いろいろの個々の事案につきまして、ちょうど行政委員会のように、諮問機関ではありますけれども、この問題は認可を与えていいとか悪いとかいうようなことまで運輸審議会の仕事になっております関係で、いま言ったようなことで、そこに利害関係者がお互いに顔を出して、利害関係を基礎にして議論をするというようなものでないほうがいいんじゃないか。ただ、運営上、運輸審議会が結論を得る前に、公聴会その他ですね、一般の国民の方々の意見あるいは消費者の方々の意見を聞くような機会が非常に少ないんじゃないかというようなことについて問題があるんじゃないかと考えております。この点につきましては、今後の運輸審議会の運営の方針につきましては、私もいろいろ各方面の意見を聞きながら見解をまとめまして、運輸審議会も、そういった点については忌憚なく話し合いをしてみたいと思っておるのでございます。ただいまのところはまだ研究段階にございますんで、最終的には結論は得ませんけれども、一応いままで私が方々から意見を聞いたり、自分で考えたりしました結果はそういうところにあるのでございまして、御了承をいただきたいと思います。
○杉山善太郎君 これできょうは終わります。
○伊部真君 私はいまのことについても少し触れてみたいと思うんですが、大臣から、いま、運輸審議会の人選の問題には問題があるんじゃなくて、むしろ運営だというふうに言われましたけれども、私はあながちそう言い切れないものがあると思います。やはりしばしばメンバーの構成だとか運営というものについて、世論なり、あるいは各方面からの意見がある場合には、私は必ずしもそれを固執する必要はないんじゃないか。やはり全般的に検討するという姿勢が正しいのではなかろうか。私自身も個々の人についてどうのこうの申し上げるんじゃないんですけれども、やはりそういう意見がある限りは、出身の経歴だとか、そういうものについて、やはり意見がある以上は今後に処さなきゃいかぬというふうに思います。そういう点、私は私の意見もあるということで、ひとつ検討いただきたいと思います。
 それから所信表明に関連をいたしまして少し御意見をいただきたいと思いますのは、いま交通問題を考えましたときに、本格的には総合交通のあり方についてもっと取り組んで議論していきたいと思いますけれども、一番基本として考えられることは、やはり旅客の輸送についても需要はかなり伸びてくる。そうすると、やはり大都市の交通麻痺状態に対してどうするのか。もう一点は、過疎地域の、いわゆる、地方市民の国民の足をどう守るのかということが私は問題だと思うのです。そういう点については、いまの交通行政というのは、いわばそういうふうな国民の足を守るとか利便を守るとか生活を守るという観点にあるのではなしに、それぞれがやはり民間企業であったり、あるいは国鉄の場合でも独算制という、そういう任務を負わせておるために、その点が置き去りになっているのじゃないか――置き去りになっているのじゃないかということよりも、むしろ置き去りになっているというほうが現実だと思う。たとえば地方なんかの場合でも、やはりバスがそこに、最低線の足があるのに、それですらもたない、それは民間だから、経営がもたないならしようがないと、補助金がその場合でも全国で去年で五億七千万。五億から六億。今度の場合でも、予算案を見ると十二、三億という程度、今日の状態で見て、そういう地方の最低の足を守るために打つ手としても非常にお粗末じゃないか。あるいは過密の都市に対する解消策も、ただ道路を広うせばいいと言ったって、道路を五割ふやしても車が倍になったのでは何にもなりません。したがって、やっぱり交通のリードをだれかがやらなければならないと思うのでありますが、どうもそういう点では一貫性がないので、むしろそういう意味でいきますと、関係省にわたる調整機関が必要なのではないか。生産によって公害が出てくるように、同じように、高度な、交通過密という欠点が出た場合の調整というものをどこかが機能を持つべきではないか、もしもそれが持てないとするなら、運輸省の中にもそういう点についてのやはり配慮するような機能というものが必要なのではないかというふうな気がいたしますが、その点についてお伺いをいたします。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 伊部先生の考え方については、私は何にも異存はありません。そういう考え方で進まなきゃならぬと思うのであります。それなら現状はどうかということになりますと、そういうことを踏まえまして、先年も、一昨年でございましたか、総合交通体系というようなものについて、関係各省の閣僚協議会で、非常にこれは大綱でございますけれども、一応の線を出しているわけでございまして、それぞれの交通機関に対しまして、ある果たすべき役割りというようなものを考えまして、こうあるべきだというような方向を打ち出していることは御承知のとおりでございます。ただ、それを現実の具体的な個々の問題について当てはめていくのには、まだ努力が足りないと思います。その点については、今後も関係閣僚の間で具体的にいろいろ相談しなければならない、また予算編成の際にももっと具体的にそういった問題について取り組んでいかなきゃならぬということについてはおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、今日それならば、そういったことについては全然無関係にやっているかといいますと、そうではないと思うのであります。で、まあ不十分ではありましょうけれども、大都市は大都市のように、通勤通学の混雑を緩和するためのいま考え得るあらゆる措置、これは道路も含めましてとっておることは御承知のとおりでございまして、また過疎地帯のほうは、これはまあ主として、道路もありますけれども、運輸省の所管の事項が多いのでございまして、昨年この国鉄の法律案を審議されました際に、御承知のように衆議院でずいぶんいろいろ御審議がありましたが、そういう御意見にも従いまして、非常に利用者の少ない閑散路線でございましても、他に交通機関がないというふうな場合にも、それをただ国鉄が営業上赤字であるということだけで足を奪ってしまうようなことはよくないということで、この点については、いずれまた御審議をいただくと思いますけれども、今度はそういう赤字線でございましても、具体的に実情を見た上で、代替するような交通機関があれば別でございますけれども、そうでない場合は、やはり赤字線でも地方住民の方々の意見をよく聞いて、納得した上で廃止するなら廃止するということにすべきであるというようにやっておりますし、それからお話のバス問題でも、今度はまあ金額が少のうございますけれども、地方自治団体とも連絡をとりまして、最小限度国民の足を守るということについては、運輸省も予算を取って努力をするかまえ方で進んでおりますし、また辺地の航空路あるいは海上の航路の維持につきましても、これは運輸省としては、金額は少のうございますけれども、できるだけの努力をしておるのでございます。
 いろいろ国民の方々からの要望からいいますと、まだ足りないという点がこれは多分にあると思いますけれども、わわわれとしましては、許された範囲内におきまして、そういう過疎地域に対する交通対策につきましては、過密対策――まあ都市における交通対策と並びまして、非常にこれは重要視して今度の四十八年度の予算では取り組んでおるつもりでございます。また具体的にいろいろ御指摘がございましたら、またそれに応じまして、関係当局から具体的な御答弁をすると思いますが、大体の方向はそういうふうな気持ちでいま努力をしておるという点は御了承いただきたいと思います。
○伊部真君 私は御答弁としてはわかるのですけれども、しかし現実の起きていることは、かなりそれと開きが出てきているというか、言われることが生かされていないことが多いのでありまして、それはたとえば国鉄のあり方でも、私たちがこの委員会で、赤字線撤去はますます過疎にしてしまうではないか、むしろこの地域全体の開発なり、あるいは住民の生活ということから考えれば、積極的に交通網の整備というものを考えていくというのがほんとうであって、赤字になるから、採算がということで、そこから出発するのではなしに、やはり国土全体の活用から考え、あるいは国民生活を確保するという意味で、やはり積極的に前へ出ていった交通行政がなければいかぬと思うのでありますが、どうもやはりそれがあと追いになっていくような気がいたします。
 具体的に言いますと、たとえば物流の場合でも、物の流れを、需要がどの程度になるかという見込みはそれぞれの相違があります。国鉄さんのほうは国鉄のほうで見方がありますし、あるいは建設省は建設省の見方あるいは運政審の見方なり改造論も、これはまちまちなんですけれども、いずれにしてもかなり伸びていくということになりますと、それはやはり物流の輸送というものを考えたときには、どういう輸送手段とどういう設備が必要だということを考えてやはり手を打っていかなければいかぬでしょう。しかし、やはりそうではなしに、いま動いているのは採算ベースで動くわけですね。そうなりますと、そこで一番問題が起きるのは採算ベースに乗るような品物はよろしい、採算ベースに乗るようなところのものはよろしいが、そうでないものは置き去りにされるということだと思うのです。たとえば小さな荷物でも、手小荷物だとか、あるいは小口貨物というものはこれは採算ベースにどうしても乗りません。そうなると、これはどこにいってしまうかと言いますと、国民自身の犠牲になってしまうということです。いま私たちが考えても、東京や大阪のような大都会はいいですけれども、地方に行きますと、小さな荷物を、子供にミカンをひとつ送ってやろう、もちをひとつ送ってやろうというと、どこへ持っていっていいかわからないという状態でしょう。やはり採算ベースに合わないような小口というものが、むしろ政治の面で生かされなきゃいかぬので、国民の心というものがそこで動くわけですよ。そういうのがどこにも生かされないというふうに考えるわけですね。
 ですから、やっぱりそのことが、全般として旅客の面でも貨物の面でもあるんではないか、そういう点は、私は総合交通の中でもっと本格的に議論したいと思いますけれどもそれは大臣のほうでこれからの行政の面で十分生かしてもらわなきゃいかぬことではないかというふうに思います。これはあとでまた関連がありますので、一応この程度におきます。
 もう一つの点は、私は前の大臣のときにも申し上げたんですが、いまの公共投資のあり方について、それは運輸省の行政の範囲内を見てでも妥当なのかどうかということ。ということは、たとえば産業立地が変わってまいりますね、たとえば港でも、昔東京港やあるいは大阪港や、というふうな港をつくった場合と、鹿島をつくる場合、むつ小川原の港湾を工事する場合と、私は本格的に性格が変わってくると思います。必ずしも不特定多数の公共施設だ、公共のためだというふうなことは言い切れぬと思いますね。そうすると、それらの問題についてのウエートとですね、それからもう一つは、片っ方におけるいわば公共施設である、だれが見ても、それから比較をすれば、国民のものである駅の施設だとか、あるいは物流でも、大きなこれから想定されるような大井だとかそういうふうな複合ターミナル、大きな拠点というものを比較をすれば、だれが考えても私はそっちのほうがウエートを占めるべきだと思う。これは公共あるいは国民生活との結びつきから見たらそうだと思う。そっちのほうへはやはり拠点投資のウエートというものが非常に低くて、いままでの惰性の状態であったものがいいというようなことは、私はどうもそういう点では、いままでの十年前の状態と現状というものとが大きく変わっているわけですから、当然私は変わるべきだと思うのですよ。それが依然として、やっぱり国鉄は国鉄ベースの中で設備投資をやれ。武蔵野線はすごい金がかかるけれども、やはりあの問題についても、それは国鉄が、採算がぼくは合おうが合うまいが、国家として国の資源輸送のためにあれが必要だといったときには、これは当然国鉄の採算ベースでやるべきじゃなしに、やはりこれは別の観点からしなきゃいかぬだろうと思う。
 そういう意味で、もう一ぺん全般に対する見直しをして、投資のあり方、ウエートのおき方というものは考えるべきじゃないかということを私は大臣に申し上げた。そのとおりで、その点は検討しますと言ったけれども、大臣の任期が短かったか、何ら具体的な計画なり、あるいはその作業というものが進んでおろうとも思えませんので、その点について、御見解と同時に、やはりこれは具体的にどっかで詰めてもらわなきゃいかぬと思いますが、お考えを聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) よく御意見のあるところは一わかりました。しかし世の中がどんどん変わってまいります。その世の中の変化に応じまして、政府の施策も当然これは変えなきゃならぬ、変わっていかなきゃならぬと思います。その中で、特にこれは、まあ政府の責任において出す予算でございますから、公共投資はどこに重点を置いてどういうふうな形で出すかということにつきましては、やはりまあ旧態依然たる出し方しておったんでは、世の中の進歩というものとかけ離れてしまいますから、そういったことを意識しながらやっているはずはないのでありまして、御不満があるかもしれませんけれども、やはり公共投資をどうするかということをきめます際には、予算編成の大綱におきまして、今度はこういう点に特に重点を置いてやろう、こういう方面に、従来なかったけれども新しい投資をしていこうというように考えていくのが、これは当然でございまして、われわれとしましては、今度の四十八年度予算編成にあたりましても、そういう点に重点を置いてこの計画をしたつもりでおるわけなんです。
 まあ国鉄の問題にいたしましても、これはまた、いずれゆっくりと御審議をいただけると思いますが、大都市は大都市、過疎地帯は過疎地帯に適応するような、十分とはいきませんけれども、最小限度の公共的見地における投資を促進するという意味で予算の編成をしたつもりでございます。
 その点は、多少、伊部先生からおっしゃられると、まだ足らぬじゃないか、一向かわりばえしないじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、これは具体的にいろいろの問題について御検討願いますと、今度は政府のほうも、全体といたしまして、経済成長型の予算から福祉優先の予算にいたしましたと言っておりますんで、これは、全体について、やはり国民サイドから見て国民生活を向上する上に役立つ、またそれに必要であるというようなところに重点を置いて予算を編成いたしておりますので、運輸関係の予算におきましても、もちろんこれは例外ではございませんで、その方向で最大限努力をしたつもりでおるわけでございます。その点は、ひとつわれわれの気持ちだけは御了承いただきたいと思います。
○伊部真君 私は一つの例として国鉄を申し上げましたけれども、私は国鉄のことは国鉄の問題がありますから、そのときに申し上げるとして、私が申し上げているのは、全体としてはそういう点が欠けているのではなかろうか。たとえば、言いますとね、カーフェリーだとかフェリーボートだとか、あるいは物流の場合の流通センターだとかいうふうなものは、私の考え方から言えば港湾と同じことだと、港と同じことじゃないか、新しい港の形式じゃないか。そうなら、やはり港と同じような見方というものを、一挙にはいかぬかもわからぬけれども、やはりせなきゃいかぬが、そっちのほうへはほとんど公共投資というもの、出資というものはないわけだ、融資関係は少しあっても。そうなると、やはり全般の交通施設だとか、交通機関に対する均等という面では非常に欠けてきているのではないか。そういうものが、現状、十年前にはなかったことですね。従来なかったことなんです。必要のなかったことなんだけれども、陸の港というものができたり、港の形式でも、コンテナだとか、そういうものができたら港の状態が変わってきているので、やはりそういう点が事実問題として出ていないから、その点は努力されたというけれども、努力をされた結果というものは少しも具体的ではないというふうに感じますので、そういう点は、ひとつぜひ生かしていただきたいというふうに思います。
 それから、これは大臣ではなくて国鉄のほうにお伺いをしたいと思いますが、国鉄の再建十カ年計画がかつて出された場合がありました、昭和四十四年でしたか。そのときの合理化の柱の中に、赤字線撤去の問題と駅集約の問題がありましたですね。まあ赤字線撤去の問題は、これはかなり変わってまいりましたけれども、駅集約の問題については、当初、旅客駅も集約をしたい、しかし、いろいろな事情があって、現状はやはり無人化あるいは時間的には無停車というふうなことで、運用の中で合理性を持つというふうなことを考えておられたようです。これは、何かこの無人化をする基準というのがあるのか。なくするときには――私も正確ではありませんけれども、一応旅客駅をなくするときには、たしか一日の乗降客が八百人とか、それから貨物の場合には八十トンとかいうふうなことを何かちらっと見たことがありますけれども、そういう基準がやはりいまでも尺度になっているのか。それから将来的に国鉄全線としての無人化の到達点はどの程度の内容を考えておられるのか、その点をお伺いをしたいと思います。
○説明員(原岡幸吉君) いま御指摘のように、四十四年に十カ年計画を立てましたときに、その中の柱の一つとして、駅の停留所化あるいは貨物駅のある程度の集約化ということを考えておるわけでございます。
 その基準といたしましては、お話しのように、旅客につきましては一日の乗車人員が大体八百人以下というような基準は一応考えておりますけれども、これは単にお客さんの数だけでもって進めるべきでないということでございまして、お客さんの集中度合い、あるいは近辺の道路状況あるいは夏冬の状況等々いろいろなことを全部総合いたしまして、一応の基準は基準といたしまして、具体的には現地の管理局において、基本の姿勢である国鉄の体質を改善しながら積極的に社会的、地域的事情に対応していく、こういう観点に合致するようなやり方、考え方、そうして選定、そういう観点で、管理局でそういう一応の数字的な見当を検討しながら、いま言った本来の趣旨を生かす具体策を具体的な選定をして進めていく、こういうようにしているわけでございます。
 なお貨物につきましても、一応量といたしましては年間において三万トンの発着というものが一つの基準じゃなかろうか、このように考えて出発いたしておりますけれども、これも道路の状況とか、あるいは荷物の状況とか、あるいは他に輸送手段をした場合にどのようなことになるか等々、いろいろ総合的に考えなければならない問題がたくさんあるわけでございます。それらの問題も、先ほど申し上げたとおり、現地で十分具体的な事情に即してよく検討いたしまして、具体的な選定、考え方はきめてそして進めていく、このようにやっておる次第でございます。
○伊部真君 そうすると、結果として四十四年当時といまは無人化――国鉄では停留所化と言われているそうですけれども、人がいない無人化された駅というのは、総体数で何ぼのうち何ぼぐらいですか。
○説明員(原岡幸吉君) 具体的には四十五年度、四十六年度、四十七年度、これが進められているわけでございますけれども、四十七年度一月末の時点において停留所化というものが行なわれましたのは六百七十八駅でございます。
○伊部真君 ちょっと簡単なことですからお聞きしますが、大体五千近くあるというようにいわれていますが、駅数は幾らありますか。
○説明員(原岡幸吉君) 大体五千ということで、計画といたしまして、大体その四割が停留所化が可能じゃなかろうかというおよその見当を持っておった次第でございます。
 なお停留所化のほかに、申し落としましたけれども、部外といいますか、そういう者に駅の仕事を委託するという、いわゆる委託駅という形の運営もございます。これが四十七年度一月末の実績で百五十七、こういうぐあいになっております。
○伊部真君 そうすると、大体二千ぐらいは無人化が可能だというふうに考えておられるわけですか。
○説明員(原岡幸吉君) 一応最初のおおよその見当といたしまして、そのような数字を想定いたしておった次第でございます。
○伊部真君 これは私、たいへんに問題だと思いますけれども、全国の旅客駅のうち、当初廃止駅が半分ぐらいというようなことを見当に置こうという話だから、お答えになるのは私は答えられると思いますけれども、これは私、大臣にお聞きをしたいんですが、旅客駅が五千ありますのを、大かた二千は人のいない駅をつくるという、この人がいないためにいろんな問題が起きると思いますね。これは国鉄側としては、採算面からいえばできるだけそういうふうにしたい、人件費を節約したいというのはわかりますよ。わかりますけれども、これは社会的にどうなんですか、こういう問題は。四割、二千駅ぐらいは廃止しようというふうな考え方については大臣どうお考えですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは具体的な問題として検討すべきだろうと思います。まあ陸上のいろいろの交通機関、道路運送というようなものがだんだん昔のようでなくなってまいりまして、わりあいに近所の、いままでで言いますと、隣の駅まで道路で、持っていくこともわりあいに楽だというような場合に、どうも私はまだ十分な研究はしておりませんけれども、国鉄のいままでの貨物運送の形態を、これはしろうと考えで見てみまして、非常に国民の立場から見まして困ると思うのは、どうもこれ出していつ向こうに着くかわからないというような、何といいますか、定時性といいますか、これは安全に着くということはもちろんでございますけれども、そのほかにこれはいつ着くかわからないというようなことについて非常に不安心なところがあったと思うんですが、そういう点について国鉄は考えたんだろうと思いますけれども、ある程度駅を集約いたしまして、そしてそこに貨物を集めて、そしてそこからものによってはコンテナで運ぶとか、あるいはコンテナでなくっても、まとめて方向をきめて運んでいって、これは確実に何日間で着きますよというようなことになるということは、国民の側からいいまして一つのプラスだろうと思います。まあそういった点を考えまして、これは比較考量をして、どちらが具体的に大切かというような問題を、これは具体的に検討をしてきめるべき問題じゃなかろうかと、私はそう思っているんですが、国鉄の方針としましては、大体いま申し上げたような方針からあまり逸脱しているとは思いませんけれども、全体を幾つかのおもな駅にしぼってそこに荷物を集めて、安全にかつ到着日時につきましてもある程度の見通しをつけて、こうしたほうが最終的には国民に対するサービスを向上することになるんだというようなことで計画を推し進めておられるんじゃないかと、私はそう思っているわけですが、いずれにしましても、これは具体的に各小さな駅々についてそういうふうなことがいいのかどうか、これは検討しなきゃならぬ問題だと、私は思っておるわけでございます。
○伊部真君 貨物のことはあとで申し上げるとして、私のいま申し上げているのは無人化ですよ。旅客駅が五千あるのは当初半分くらいなくするとかいうふうなことで議論があったけれども、それを変えられて無人化という形がどんどん進められておる。現在まで六百七十八駅が集約されたということですが、今後どうなるでしょうかとお聞きしたら、大体四割くらいをなくしたいというのが当初の目標ですという話だから、五千駅の四割といったら二千ぐらいなくするということですが、これはそこからたくさんいま現在でも子どもさんも学校へ行っているわけでしょう。これはやはり合理性ということよりも採算ベースから出ている問題ですよ。だから、こういう考え方は大臣としてはどう思われますかと、こう申し上げているのです。
○国務大臣(新谷寅三郎君) たいへん失礼しました。私ちょっとほかの用件で報告を受けていたものですから貨物の問題と考えておりました。
 旅客の問題につきましても、私はある程度同じような方向で考えるべきではないかと思っているのです。実は私の郷里でも同じような問題がございまして、非常に旅客輸送について無人にしたところが多いのです。しかし地元の住民の方々の意見を聞いてみますと、いろいろの具体的な条件がございまして、ある時間を、たとえば隣の駅かどこか知りませんが、そういうところから人を出して、そして無人駅というけれどもある時間は人を置いてやるとか、その他の時間はこれは車内で切符の処理をするというようなことで、具体的にいろいろ無人化というか合理化方向に向かって住民も協力をして実績をあげているような例が私の郷里にもあるわけです。これも私は一がいに、国鉄がいま御説明されたようですが、何でもかんでもとにかく半分にするとか四割減らすんだとかいうような前提で、地方住民の利便というものも考えないで、画一的に抽象的にやられることはいかがかと思いますけれども、しかし、おそらく国鉄もおやりになるについても一つの目標をもっておやりになるのでしょうから、そういう目標のもとに大体いろいろの方法を考えながら、地方の利用者に対する利便をさほど害さないような範囲内において自分のほうの合理化に協力をしてもらおうと、こういう趣旨だと思いますので、これも抽象論としてあまり問題にされるよりも、むしろ具体的にこういうこの線でこの駅はこういう時間帯でこういう利用者があるので、どうしてもこれは無人化するのは困るんだとかいうようなことになってくれば、当然これは考えていかなければならない問題ではないかと、私はそういうふうに受け取っておるわけでございます。
○伊部真君 まず一つだけ確認しておきますが、地元の皆さんが理解ができるような、あるいは協力を得られるようなものについて私は申し上げているのではなくて、そういうことについていろいろ摩擦があるようだけれども、その点はやはり地元の住民の同意を得るということが条件だというふうにお考えになっておられるわけですね、そういうふうに理解してよろしいですか。
○説明員(原岡幸吉君) ただいま大臣から非常に具体的に御説明していただいたわけでございますけれども、蛇足でございますけれども、まさに実行の場合には非常に具体的な安全性あるいは御不便をいかにかけないようにするかという対応策を十分立てておるわけでございまして、そのやり方につきましては地元と十分お話をして、そうしてその御理解をいただいて御協力を得て実行しておる、こういう次第でございます。
○伊部真君 それでは具体的なことでお聞きをいたしますけれども、いま問題になっているのは、私の聞いている範囲内ですけれども、加古川線とそれに関連する各支線、三木線、鍛冶屋線、北条線というような各駅が、それがたいへんな問題になっているわけです。無人化十九です、この線だけで。それから手小荷物取り扱い廃止駅が二十二駅、それから小口扱い廃止駅が二駅、車扱いはこれは四つぐらいでしたが、全廃ということですね。これが加古川線とその支線ですね。それから福知山線がまだ残っておりまして、これも無人化が四つ。それから手小荷物廃止駅は、この四つと広野駅と合わせて五つ。貨物廃止駅も四つあります。
 これでざっと計算をしたとき、大体国鉄の職員か五、六十名減員になるということが主眼のようですけれども、しかし乗降客は、これは神野ですか、これで一日に二千百三十ぐらい昭和四十六年にあります。厄神でも千二百ぐらい、これに加えていま問題になりますのは、小浜線に問題があります。小浜線については、あとから辻委員からもお話があろうかと思いますけれども。そういうかなり規模の大きなこの統廃――無人化もしくは手小荷物の廃止というものであって、これが地元の市長、村長あるいは議会、最近は、確認はしておりませんけれども、二月中旬の兵庫県議会にこれは出すということでありますから、そういうところかこぞって、これは子供の安全上からいっても問題だとこう言っているんです。手小荷物の場合なんかも七キロも八キロも今度は持っていかなきゃいかぬ。先ほど大臣は、集めてやればよいというふりな話もありましたけれども、集めていまの現行のやり方についてメスを入れて早く行くような指導をするのがよい、これは当然だと思いますけれども、そのために住民がいままで持っていった荷物は持っていく場所がないという、しかもどこへ持っていったらいいかわからぬという状態ですわね、ほとんどは。こういうふうな状態というのは、もう明らかに国民から、荷物を送るといういわば権利を剥奪するものですよ。そういうことに対して、私は地元のやはり同意を得るような、あるいは地元の同意が得られない場合はやはり見合わすという、それまで努力するというのがほんとうじゃないでしょうか。その点についての御見解をいただきたいと思います。
○説明員(原岡幸吉君) 加古川線の問題、それからその関連の三支線の問題でございますが、これによってなるほど御指摘のように数十人の要員の合理化ということができるわけでございますが、加古川線の今回現地において考えておるいろんな着眼点は、これによってあの地域が非常に都会の近郊線的な性格になって、乗降客も非常にふえて便利にしていかなきゃならない、こういうことであそこに旅客列車の増発、そしてスピードアップ、こういうものを計画しておるということで、設備投資もいたしまして、それからまた、それに対応する駅の改善をはかって、具体的には新設、延長で十八本の列車をふやす、あるいはスピードアップもかなりできる、こういう計画をもって、そして実行する、こういうことでございます。
 実行の過程において、具体的な問題といたしまして、青野ケ原といいましょうか、そこの小学校の通学の関係で非常にあぶないという問題もございまして、その点につきましては、その通学の時間に他の駅から職員を派遣して安全の確保には万全を期すというような対応策を考えるというようなことで、いろいろ具体的に地元の関係とお話をしておる最中でございます。
 その輸送改善、それからスピードアップ、こういうものを実行する際にいろいろ出てくる問題点については、いろいろ具体的に、どのように対応していくか対処していくかということを、非常に具体的に地元と話をしている最中でございまして、その御理解を得て、御協力を得て実行いたしたいと、このようにいま進めておる最中でございます。
 なお、小浜線につきましても、あの地帯に列車をふやす、要するに国鉄の列車をふやすということも考えておるわけでございまして、その地元に合ったような輸送体制を積極的にやっていく。しかし、その際に、いままでどおりの駅の配置でいいか、あるいはいままでどおりの荷物の扱い方でいいかということになりますと、いろいろ環境、世の中変わってきておりますので、その変わった情勢を十分踏んまえて国鉄の体質も改善しながら、積極的にその地域の需要にこたえていく。そうして、ただ、いろいろ支障のある問題につきまして、地元とよく話し合いながら、理解を得ながら、御協力を得ながらやっていく、こういう気持ちでやっておる次第でございます。
○伊部真君 いまの話で、無人化をするということと、その本数をふやすということとは関係ないんじゃないですか。それはいま、無人化にしなくて人間がおっても――現状で駅をなくしてしまうなら別ですよ。駅をなくするということを言われ、で、それを考えられてその本数だとか、あるいはスピードアップというものを考えられるのですか。いまの無人化と、駅員がおるのか、おらぬのかとは関係がないんじゃないですか。
○説明員(原岡幸吉君) 駅を停留所化する、その人を即、列車を増発する場合のドライバーとして使う、そういう意味で申し上げたわけじゃございませんけれども、サービスをよくするためには人間を必要とするわけでございまして、そういう総合的な中で考えておるわけでございまして、別に人を減らすこと、そのことを目的としているわけじゃございませんですけれども、積極的にサービスを改善していくというためには、いままでどおりの、人の配置というものはできるだけ合理的に、要るときには人を配置し、要らないときにはいなくする。そうしていわゆる管理駅、非管理駅というふうに私どもでは言っておりますけれども、いなくても他の駅から十分見れるような体制をつくっていく、これが停留所化の眼目でございます。
○伊部真君 いまの点でもう少しお聞きをしておきますけれども、そうすると、これは無人駅であって、駅をなくするということを将来的に考えてやっているということであるのかどうかですね、その点についてはどうですか。
○説明員(原岡幸吉君) 将来的に駅をなくするという考え方で停留所化を進めているわけではございません。
○伊部真君 それで、旅客の面はそうですが、今度手小荷物の取り扱いもこれでなくなるわけですね。手小荷物の廃止という問題は、これはやはり、いわば適当な住民の行動範囲といいますかね、持っていける範囲内というものを考えながら、私はやっぱりあると思うんですよね。それを単に人件費の節約という意味で三つのところを一つにしよう、五つのところを一つにしようというふうな発想では、これはたいへんに国鉄の持つ使命からいって問題ではないかと、これは私鉄と違って、あるいはバスと違いまして、そういうふうな任務を国鉄としては持っているはずですよね。私は、やっぱりたまに子供に送ってやろうということもそうでしょうし、あるいは中小企業の人たちが、小さな、コンテナに入らぬような程度の一日の発送量というものがあった場合は、それによってやっぱり私は生活をしていると思うんですよね。そうすると、手小荷物や小口混載だとかいうふうな貨物扱いの小口荷物の問題については、これは赤字が出るのはあたりまえだと思うんですよ。経費が出るのはあたりまえだと。それは赤字なしにやっていこうったって、私はそうはいかぬと思います。大きな物量の中で、もうかる荷物だけはやっぱり路線業者や、そっちのほうが取りますよ、これは。
 だから結局そういう小口荷物のようなものはどうするのかといったら、それは国民生活の維持の上で、あるいは殺伐たる原価計算だけでいくような状態でなしに、そこはやはり見ていくということが私は大事なところではないかと思うのですよ。そういう意味で考えると、必ずしも私は採算ベースで、どこの距離がどうだというふうなことでやるということは、私は問題だと思うのです。人を考えたら、駅だけでも二十二駅もなくしてしまうということは、一挙になくするということは、私はたいへんに地元の産業に対して、中小企業だとか、あるいは住民に対してたいへんに無人化と一緒にショックだと思うのですよ。そういう意味で、やはり現場のほうが地元の人たちにどれだけの努力をされたのかということが私はたいへんに気になるわけです。いまだに地方自治体のほうで全部反対の意思があるわけです。
 それともう一つ、私が具体的に申し上げたいのは、ここで三月一日実施というふうなことを巷間いわれているようですが、この事実はどうなのか。
○説明員(原岡幸吉君) 小さい荷物の扱いでございますけれども、なるほど二、三キロ駅間の各駅で扱えるということであれば便利なことには間違いないわけでございますけれども、まあ非常に、比較的個数の少ない場合、いろいろ御不便はあろうかと思いますけれども、もよりの扱う場所まで持っていっていただく、こういうことに対するサービスを考えているわけでございまして、それでもってこたえさしていただきたい、かように指定計画をつくっているわけでございます。
 なお、かなり数が多い、あるいはまたいろんな条件があるような場合には、駅前に簡単な委託する場所をつくりまして、そこでもって受託していただくというような方法ももちろん考える。いずれにしても、できるだけ御不便のかからないような対策でもって対応していきたい、かように思っておるわけでございます。
 そして三月一日の問題でございますが、加古川線、それから三支線、これ三月一日から実行すると、このように私どもは聞いておったわけでございますけれども、昨日でございましたか、一昨日でございましたか、地元の管理局でまだ煮詰まらない問題があるということで、その問題を煮詰める必要があるということで、三月一日の実行ということはとりあえず延期するというふうに現地の管理局で決心したように私は聞いております。
○伊部真君 私の、きのうの簡単な調べですけれども、時間表で見た距離で見ても、大体手小荷物の取り扱い駅廃止によって、今度は七キロ半ぐらい平均よけいに持っていかなきゃいかぬことになっていますね、それから車扱いの取り扱いが廃止されたために大体十五キロぐらいです、こういう計算をしますと。だからちょっと考えて七キロ半外へ荷物を持っていくというのはかなりのぼくは距離ではないかと思います。ですからこれは住民にとっては相当な負担にもなろうし、不安もあろうと思います。そういうことを考えると、やはり地元の少なくとも地方自治体だとか荷主さんだとか、あるいはそこの利害関係の人たちの十分な理解を得ないで出発させるというようなことは、私はやめるべきだと思う。
 私は必ずしもそれはできないことじゃないと思います。先ほどおっしゃったように六百何カ所かいろいろトラブルはあったとしても究極的にはそういうふうなことで地元が理解をしているなら、やはり地元の了解を得ないものは出発させないということを、私は確認をしていただきたい。
 それから幸いにして加古川線と関係線については延期をされるということでありますけれども、小浜線も三月十五日に実施をするというようなことで日にちを切っておられるようですが、この点はいかがですか。
○説明員(原岡幸吉君) 小浜線につきましては、私、現地からの報告によりますと、地元の二市五町村でございましょうか、それぞれ十分お話をして大体お話が理解され、協力されるような態勢に進んでおる、このように聞いておる次第でございます。
○伊部真君 それでは、この点はあとでまた意見が出ると思いますが、三月一日はやめたけれども、一カ月相談してまたやるというふうなことはないわけですね。やはり地元の了解を得て、その点について十分な話し合いをするということで、その了解を得た上で実施されるというふうに理解してよろしいですね。
○説明員(原岡幸吉君) 現地で問題点を整理いたしまして、その点について積極的に御理解を得るように努力をしておる、こういうことでございますので、その御理解を得て実行するようにいたしたいと、こう思っております。
○伊部真君 最後に私、この問題と直接でありませんけれども、駅集約が行なわれたり貨物の集約が行なわれるという場合に、やはり方々でひとつ問題を起こしているのは、集約をしますと、あるいは貨物駅の大きな駅をつくりますと、それに伴う道路というものがたいへんに問題だと思うのですよ。ここの、たとえば三木だとか大きなどこかの駅を全部なくしてそこの一つだけにしてしまったときに、そこから出入りする道路というのが、その点が国鉄さんのほうは、どうも建設省なら建設省のほうと事前に打ち合わせをした出発のしかたをしてないようですね。
 その点、もう方々でトラブルが起こるので、この点、私は先ほどの話じゃないが、総合交通というものは、物流であろうが何であろうが、やはり関係のところと非常に影響があるのですよ。だからそれは、当然にかなり前から建設省は建設省の予算を考えるとか、そういう手を打っておかぬといかぬのじゃないか、たとえば武蔵野線の新座ができた、あるいは梶ヶ谷ができる、あるいは越谷が始動するといった場合にはたいへんな、私は膨大な量だと思うのです。そういう点について、私この間、建設省の道路局長のほうにも相談がありますかと聞いたら、私は聞いておりませんという話で、それじゃいかぬと思いますな。やはり駅集約だとか、そういうふうな大きな変革の場合には関係のところとよく連絡をとっていただいて、始動する場合には、すぐにそういうトラブルが起きないようなスムーズな指導ができるようにして、それは手配をしていただきたいということをお願いをして私の質問を終わります。
○委員長(長田裕二君) 本件に対する午前中の調査はこの程度にいたします。
 午後一時五分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 杉山善太郎君が委員を辞任され、その補欠とし辻一彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(長田裕二君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
○辻一彦君 私、きょうは三点について質問いたしたいと思います。
 一つは伊部委員の合理化問題についての総論を受けて、各論として具体的な問題で若干質問いたしたいと思います。
 もう一つは、北陸トンネルの被災者の救済に関する件。さらにトンネルの安全対策と当局の責任のあり方と、この三点でお尋ねをいたしたいと思います。
 第一には、午前中伊部委員のほうから全般的な合理化、無人駅あるいはこの貨物扱い駅の集約等に関する、こういう総論が展開をされました。そのときに大臣の御発言として、そういう問題はなるべく抽象論を避けて、具体的な問題として提起をしてもらえば論議ができると、こういうような御発言がありましたので、私はそういう観点からお尋ねをしたいと思うんであります。
 まず第一に、大臣に、これはまあ若干一般的なことでありますが、お伺いいたしたい。それはこの地方住民の足を守る、あるいは地方の生活、産業開発、こういうものに非常に大事な関係をローカル線というのは、私、地方線というのは持っていると思うわけです。ところがこういうものの合理化、近代化こういうものが非常に機械的にともすると進められようとしている状況があると、こういうように私は考えるんでありますが、この点についてどういうようにお考えか、この点をまず一点お伺いしたいと思います。
 総裁には続いてもうちょっと具体的な問題で、続いてございますから。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま辻先生のおっしゃったことは、私もそのように考えるのでありまして、ローカル線につきましては、お話しのように他に交通手段のない場合には、ほんとうに地方住民のそれが足になり、また地方住民の生活の上に、これは欠くことのできない手段を提供しているものでございますから、この点については、いろいろ国鉄自身が計画がありましても、やはり地方住民の生活を守っていくということについて最大限の考慮を払うようにしなければならぬと考えております。
 国鉄のほうは、一方また今日のような財政状況にあるものですから、これを合理化して、何とかして全体を建て直して、そうして長い将来にわたりまして、国鉄の使命が遂行できるような財政的な基礎を確立しようという努力をしておるのでありますから、この点もひとつ方向は変わりますけれども、これも考えなきゃならぬことだと思います。要するに、この問題は両方の調和点をどういうふうに発見していくかということだと考えます。でございますから、私さっき申し上げましたように、これは抽象論ではなしに、具体的にその土地、土地の状況に応じまして、他の交通手段があるかないか、そういったことを具体的に見た上で判断をしていかなきゃならぬ問題であると、このようにさっきも申し上げた次第でございます。御了承いただきたいと思います。
○辻一彦君 総裁にお伺いしますが、若干具体的になりますが、先ほど伊部委員からも御提示がありました小浜線――ローカル線の合理化がいま進められていますが、どうも私は、たとえば金沢管理局内でほかの線が一応合理化、近代化体制というものが進められた。だから残っているのはこの小浜線だと、何が何でも三月十五日までにどうしてもやらなければならぬと、こういう地域の十分なる産業あるいはこれからの発展の展望、こういうことも十分な考慮なしに進められている、計画を推進している、そういう懸念を非常に強く持ちますが、この点についてどう考えるか、まずお伺いしたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 一口にローカル線と申しましても、いろいろやはりいま先生がおっしゃったような、いわば将来性のあるローカル線あるいは大体もう命数の尽きたようなローカル線、いろいろあると思うのです。
 で、小浜線は御承知のとおり、やはりこれは裏日本をずっと縦貫する、ローカル線とはいいながらも、例の八十三線のときにも全然廃止対象にはなっていない線でございまして、いわば将来の問題としては有望な――有望ということばはちょっと語弊がございますが、見方によりましてはそういうローカル線だと私は思っております。亜幹線と申しますか、そういう線でございますので、金沢管理局といたしましても、たとえば同じ福井県の中でも三国線に対する考え方と小浜線に対する考え方とはおのずから違っておったと思います。またそれは当然なことだというふうに思います。
 一方、もちろん幹線といえでも、いろいろ近代化いたしておりますので、小浜線も経営の近代化をしなければならないことも事実でございます。その点、私は金沢の管理局といたしましては、やはりある程度将来展望を持ちながら、地元といろいろお話をしているというふうな根本的態度は、決してよそがやったからここもしゃにむにやるんだという考え方ではなしに、やはり午前中、伊部先生おっしゃいましたように、一つのローカル交通、地域交通としての交通計画を考えながらやっているというふうに私は了解いたしております。
○辻一彦君 そこで昨年の四月の二十四日、参議院の予算委員会運輸分科会で、私は当時の丹羽運輸大臣に対して、海洋性レクリエーション開発構想、日本において東、九十九里浜、西、若狭湾をもって、国民保養基地を建設したいという運輸省の構想をただしまして、これについては具体的にも推進をされておりますが、一大国民保養基地を若狭湾に九十九里浜と並んで海洋性の基地を建設したいというそういう方向は新谷運輸大臣においても変わりはないかどうか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) この点については事務当局からも報告を受けておるのでございまして、四十七年度には小浜市を中心として東西にわたっていろいろの施設を配置しようというような、これはまだ大ざっぱな構想でありますけれども、そういう構想について検討が進められておると聞いておるのでございます。これが実を結びました場合には、いまお話しのように、われわれもこれに対してできるだけの御協力をしようという考えでおることは変わりはございません。
○辻一彦君 もうちょっとお伺いしたいのですが、当時、予算分科会において、単なるレクリエーションや娯楽の基地でなしに、健康な、国民が家族ともども保養できるような一大基地を九十丸里浜と並んで若狭湾に建設をしたいという、こういう明確な答弁がありましたが、いま大臣のお話は、構想や計画と言われますが、一部はもうすでにヨットハーバー等の建設をして――和田で――私かなり具体的な状況であると思いますが、こういう方向に進める考えなのかどうか、その点はいかがですか。
○政府委員(中村大造君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘ございましたように、若狭湾を中心といたしますレクリエーション基地の整備につきましては、新全総の開発計画におきまして全国的な適地の一つとして取り上げられまして、昭和四十四年以来いろいろな自然調査、需要調査その他につきまして調査をしてきたわけでございます。そうして、ただいま大臣から申し上げましたように、四十七年度には大まかな配置計画というものができる予定でございます。
 したがいまして、それができ上がりました暁におきましては、それをどのようにして、どういう順序で、またどういう施設については何が主体になって建設するかという具体的な計画につきまして、四十八年度以降におきましてこれを推進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○辻一彦君 具体的に高浜町和田の港にヨットハーバーの建設が昨年以来具体化されておりますが、その様子をごく簡単に簡略でけっこうです。
 それから西日本、関西、中京等における夏の観光としては、毎年五十万程度の観光人口がふえて、四十六年度は三百五十万、四十七年度は夏だけでも四百万、まあ年間をいえばあの若狭湾に五百万ぐらいの人が来てますが、こういう傾向が将来とも続くと見ておるかどうか、その点。二点だけ。
○政府委員(中村大造君) お答え申し上げます。
 第一点の和田岬におきますレクリエーション、ヨットハーバー基地の整備につきましては、四十七年度の予算といたしまして三千万円の予算が計上されてございます。したがいまして四十七年度におきましてすでにこういう面での工事は着工の運びになる予定でございます。
 それから関西におきます、御指摘のような地区でのいわゆるレクリエーション客の予想でございますけれども、将来このような基地が整備されました暁におきましては、当然、京阪神は非常な人口をかかえておりまして、そのレクリエーション利用というものは膨大なものがございますので、もちろんいろいろなところにいろいろな整備が進められると思いますけれども、若狭湾方面につきましても相当な数のレクリエーション客が出向くのではないかというふうに思います。
○辻一彦君 調査によると、年間一千万あるいは一千五百万以上の――まあ夏が中心であるけれども、四季を通してそういう観光人口を若狭湾に誘致をするという、こういう調査の内容を私聞いておりますが、その点については、ごく簡単に、どうですか。
○政府委員(中村大造君) これはいわゆる需要調査というものをいたしましたときに、先ほど先生御指摘のような一千万ないし一千五百万というふとうな観光客が見込まれるであろうという一応の調査結果は出ておるわけでございます。ただ関西地方といたしましても、いろいろな種類のレクリエーション基地が整備されてまいりますと、一カ所に集中するということも考えられませんので、必ずそこに年間一千万人の観光客が殺到するであろうということは、これははっきりとしたことは申し上げられないと存じます。
○辻一彦君 そこでこの内容を、きょうは私詳しくやるのが目的ではありませんので、ごく大まかに伺ってとどめますが、いまの御答弁を聞いても、西日本における一大観光基地、保養基地を建設しようというそういう方向の大臣の発言であり、すでに調査費が昨年度はついて、そして今年度は具体的な着工――ヨットハーバー等の――そういう段階になり、しかもいろいろな形で運輸省を中心に調査した内容によれば、一千万、千五百万の観光需要が将来見込まれる、こういうことが私は明らかになった。しかも先ほど言いましたけれども、夏場ならばことしは四百万程度の人がやはりおります。年間で五百万、こういう方向がずっと、私は逐年五十万程度の人がふえていくという状況にあると思います。
 そこでこれは運輸省や政府だけではなくして、非常に先を見るに機敏な資本の関係におきましても、たとえば若狭湾の三方郡におきましては三井資本、小浜市の甲ケ崎半島においては三菱資本が、巷間伝えられるところでは四百五十億からの土地買収費をもって土地の買収に手をつけている、こういうことがいわれておりますが、要するにこの土地が、この地域というものが、そういう意味において運輸省の大規模観光開発の構想とあわせて非常に将来性が見られるということが、こういう私的資本がやっきになって土地の先買いに動いている裏づけじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。こういうことがあるということを私は一つつけ加えておきたい。
 そこでこれは、あと国鉄のほうからいろいろお話があると思いますが、夏型中心がいまのところ多いわけであって、これをやはり四季にどう分散させていくかということが、いまあの地域における非常に重大な問題である、こういうふうに私は思っております。
 もう一つ、夏になると、あの国道が全部自動車、自家用車がストップをして、三時間四時間は炎天の中に自動車をずうっと連ねておらなくちゃならない。ヘリコプターで上から見ると長蛇の自動車の列があるということですが、こういう中でトラック輸送というものは非常な制限を受けていく可能性がある、荷物の動きからいたしましてもあると、こんな点から、私は冒頭に若狭湾の実態と地域の実態ということを一応明らかにしておきたいと思うわけです。
 そこで実は昨年の四月二十四日にも政府答弁があったのでありますが、年々ふえるこういう保養人口、観光人口の増大とともに、これにふさわしい大量輸送手段を策定をして推進しなければならないという丹羽運輸大臣の答弁がありましたが、これについても新大臣は同様の見解を持っておられるのかどうか、その点をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいまお話しのように計画が進んでまいりますと、勢い観光人口もふえてまいると思います。それに対応した輸送手段を必要とすることはもちろんのことでございまして、前大臣がそういう答弁をしたということでございますが、全然同じようにお答えを申し上げるのが当然かと思います。
○辻一彦君 輸送手段の充実強化という中には、駅に人がいなくなるんですね、正規の職員あるいは委託された職員の人がいなくなるという、そういうものでは、私は拡充された形にはこの観光拠点駅においてはならないと、やはり正規職員がいる、あるいは委託の職員がいるという、そういう形で、ちゃんと人がおって、駅舎もあり、人もおって輸送の安全、こういうものが殺到する人たちに対して期せられると思いますが、この点はどうですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的な結果を得ない段階でございますから、具体的に申し上げることはいかがかと思いますが、もちろん国鉄におきましても、そういう輸送に対する需要というものを見て、いろいろの施設をするのは当然でございますから、そういうふうに観光人口がふえて、非常に多くのお客さんがそこに集まるというようなことになりますと、輸送需要が変わってきているわけですから、それに対応したような施設を完備しておくということは、これはもう当然のことだと思います。
○辻一彦君 そこで、まあ先ほどもお話しのように、具体的な問題を提起すれば、それについてひとつ論議をしてもいいと、こういう御発言でございましたから、私は国が政策として進めようとしている保養基地建設という方向と、そして今日、地方線に行なわれる合理化、無人化の問題が、政策的に考えても、あるいは非常に機械的な押しつけになるんじゃないか、こういう懸念を先ほど申し上げましたが、そういう観点から具体的にひとつ申し上げたいと思います。
 一つは、小浜線の合理化計画は、これは無人化を六つやるという計画、それから一つは委託化をする。それから貨物をいわゆる敦賀と小浜に集約しようという、こういう形で出ております。そこで私は、小浜線の中でたとえば青郷、加斗、新平野、大鳥羽と、こういうそれぞれ駅が、それぞれの歴史をもって設置をされていると、こういうことでありますが、時間の点で一つ一つは別として、観光の私はそれぞれが大事な駅でありますが、たとえば三方という駅があります。ここでは、これは背後に、まあ国鉄さんが出しているこういうパンフがありますが、三方五湖といわれて、五つの湖があって観光地としては非常に著名になっております。ここの表玄関が三方町であり、三方町の駅なんです。その三方町のいわゆる駅を委託化をしようという計画が出ております。私は第一に、上中という町がありますが、その表玄関である上中駅が七百四名で現状においてこれが残されておる、一町に一つの駅ですからね。たくさんありますが、そのうち一つはそのまま残している。人員はちょっと減るかもわからないのですけれども、残しておる。ところが三方町の表玄関の三方駅、七百六十七人が乗降している。これは八百人というようなことをめどにすれば若干足りませんが、将来におけるそういう展望等を考えると、私はこういう観光の拠点駅表玄関を、やっぱり国鉄正規職員がいなくなる、そして委託化する、こういう方向は非常に矛盾が、問題があるんじゃないか。しかも一町村に一つぐらいはまともな駅――まともな駅と言っちゃ悪いんですけれども、正規の職員が存在をする駅を残すという観点から、私は上中が七百四名であっても残しておると思うのですが、こういう観点からいって、三方のこの駅の委託化をどのようにお考えになるのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
○説明員(原岡幸吉君) 三方の駅につきましては、いま先生御指摘のように、年間の平均ですと乗車人員が七百六十七人、こうなっておりますが、これを委託駅として運営したいという現地の計画になっております。この点につきましては、委託をする場合には、国鉄の仕事に十分なれておる、そういう経験を持った人に委託をいたしまして、サービス上全く遺憾のないように十分考えておると、こういう現地の計画で委託を進めようと、こういう検討を進めておる、こういうふうに承知しております。
○辻一彦君 まあそれはいいですよ。私が伺っているのは、そういうことじゃなしに、観光の重要な将来ということを考えた場合に、拠点駅の性格。それから一つのたいへん大きな町でありますが、その表玄関の駅が民間委託と、こういう形になるのじゃなしに、上中同様に正規の職員配置と、こういう形ですね。私は町村に、大きな重要な町には、一つは表玄関としてそのまま残すべきじゃないか。この点についてどう考えておるか、この点を伺いたい。
○説明員(原岡幸吉君) 三方の駅は、三方町でございますけれども、三方町全体を見た場合に、先生のおっしゃる本来の職員のいるのは、十村という駅にはそのまま本来の職員を置いてやっておる、こういうことでありまして、委託駅だから即非常に何といいますか、サービスをするのに適切でない、あるいはまた玄関としての機能が非常に劣ると、こういうふうに考えることはないと思うわけでございます。むしろ委託駅も、あるいは停留所化も含めまして、いろいろ現地に即して、そしてまた積極的に地域の需要、それから将来の展望に合うような大きな計画をこれから展開していくという中で、いろいろ停留所化し、あるいは委託しつつやっていく、こういうことでございます。
○辻一彦君 三方町には十村、藤井、三方、気山と四つ駅がありますね。そして、いま言われた十村、これはあれでしょう、切りかえかなんかの運転の要員でしょう。何もあなたの言われるように、三方の町に一つちゃんとした正規職員が配置された駅があるという、そういう性格じゃないでしょう、その中身は。
 それから、たとえば上中の駅が、まあ七百数名、そのまま残されている。これは私、たいへんけっこうだと思うのですが、こういう観点から三方にひとついわゆる正規職員をきちっと配置した表玄関の駅を残すと、こういう考えはとれないんですか。これは切りかえですね、ハンドルを持って線路を切りかえる、そういうところの駅の職員の方と、いま私の言っている玄関に正規人員を配置しようということは、非常に内容的には違っている、こう思いますが、どうですか。
○説明員(原岡幸吉君) 正規職員で置くか、あるいは委託の駅で運営するかということにつきましては、現地でもっていろいろな総合計画の中で判断して決定していくと、こういうことでございまして、こういう員数の場合には直営でやる、こういう員数の場合にだけ委託駅でやるということを、そういうふうに機械的に中央でもって判断して決定していくというわけにはいかないと、かように考えております。
○辻一彦君 それじゃ、三方のほうで住民の皆さんから、表玄関の駅だから正規の職員を残してくれという強い声があれば、現地で十分協議に応じますか。もうこれは一方的に進めていますよ。
○説明員(原岡幸吉君) 具体的な問題といたしまして、三方の駅の委託の問題につきましては、現地の町のほうと協議をいたしまして、町のほうでは、大体御理解いただけていると、こういうふうに私は聞いております。
○辻一彦君 それでは、具体的な問題にいろいろ入らなければいかぬですが、現地の了解を得ておるという点について、さっき伊部委員の御発言もありましたので、ちょっと関連して確かめておきたいと思うんですが、どういう形をとった場合に、この廃線という場合と、無人化だとか委託化、いろいろ違うと思いますが、いわゆる地域住民の了解を得る、こういう問題。これは国鉄労組との間にも一つの皆さんの協定がありますね。そういうものの理解ということは、どういう形で理解をされれば、地域の理解を得たものと、こういう判断をされるのか、その基準を述べて下さい。
○説明員(原岡幸吉君) その点につきましては、地元の市なり町、その責任者との話し合いによって理解を得ている、と、そういう判断をいたしておるわけでございます。
○辻一彦君 話し合いというのはどんなんですか。金鉄の話を聞きますと、市町村長が賛成はできないけれども、まあやむを得ぬなというようなことを言えばもうこれでいいんだと、こういう見解をとっておりますが、そうかと思えば、全部の区長の判を金鉄さんや駅の方が回ってとっておられる、そういう例もありますね。それは了解を得ているというけれども、頭をちょっとかしげた程度なのか、どれぐらいの程度をもって得ていると判断しているのか。
○説明員(原岡幸吉君) 地元の公共団体の責任者が責任をもって、その国鉄の計画に対して理解を示してその計画を進めることについて十分協力すると、こういう状態になったときに私は理解を得ておると、こういうぐあいに理解をしております。
○辻一彦君 そうした場合、それは地元の代表者ということは、責任者ということは、自治体の首長ですか。議会の意思はどうなりますか。
○説明員(原岡幸吉君) 原則的には、第一義的には市長、町長、こういう公共団体の長でございます。実際問題としては、議会の議長にも地元でお話をしておるというふうに私は理解をしております。
○辻一彦君 じゃ、三方駅の問題については、私はまあ、この理解の受けとめがいろいろあるので、必ずしもそのようには確認はしていませんが、これはあとでもう一度触れたいと思います。
 二つだけあと具体的な問題で……。一つは東小浜という駅がありますが、御存じのように八百七十八人の乗降客が毎日平均ありますね。この駅は、昔この東小浜――遠敷という村でしたが、この村の財産の村有林、これを売って、そして敷地を求め、駅舎を建てたといういきさつがある。ところが、いつの間にか――知らない間にと住民の人は言っておりますが、委託化をされて、さらに無人化をすると、こういうふうになっておりますが、八百七十八人も人が乗降する、こういう駅を無人化にしてしまうというのは、一体どういう見解ですか。
○説明員(原岡幸吉君) これもいわゆる乗降客の数だけでもって判断をしているわけじゃございませんので、いろいろな事情、一応のお客さんの数などを一つの目標に置きながら、具体的な事情を現地で判断して地元と御相談を申し上げておる、こういうふうに理解しております。
○辻一彦君 いや、その現地判断が非常に問題があると思うんです。たとえば去年の四月二十四日の先ほど言いました運輸分科会で、この若狭湾と九十九里浜と比較しての国民保養基地をつくろうという特徴的な点は何かという私の質問に対して、政府答弁でこういう答弁がされております。前に海あり、背後に山あり、しかも文化財があると、こう言っているのですね。この地方は、これは中国、朝鮮から渡来した昔の文化が若狭を通って京都、奈良に至ったという、そういうことで非常に国宝が神社、仏閣に多い。したがって、こういうところをたずねる人というものが日増しにどんどん毎年ふえている、こういう状況にありますが、私は政府の見解においても特徴的な一つのバックグラウンドとして文化財の存在というものが確認されており、その中に日増しにそれをたずねる人がふえているという、そういう状況の中で、平均の乗降客も八百七十数人。しかも、そういう傾向を持つ中で、これを現地でどんな判断をされてこれは無人化にされるのか、どうしても理解できないが、その点担当理事どうでしょうか。
○説明員(原岡幸吉君) 数字だけで申し上げますと、まさにずいぶん多いんじゃないか。それから、バックグラウンドとして、一大文化施設地帯だという将来の展望を見た場合に、そういう先生の御指摘の問題わかるわけでございまして、その点につきましては、地元の計画が現地の小浜市でございますか、小浜市と十分まだ話がついていないというように聞いておるわけでございまして、その点現地の管理局においても、地元の意向を十分くみ入れてなお理解を深めるように話をしておると、こういうふうに承知をしております。
○辻一彦君 まあ、あなたの小浜市についての午前の伊部委員に対する一括答弁じゃ、全部理解があったような御発言でありましたが、その点はかなり中身が違うということを指摘しておきたいと思います。
 もう一つ、ここはあの地域における――いま農林高校というのが非常に全県でも少なくなっている唯一の農林高校の存在地であって、ここに毎日たくさんの生徒が通学しています。しかも中学が小浜市の市街地に第二中学という形で集中しているために、今度は逆にそこからまた毎朝たくさんの子供が中学に通っている。しかも加えて、今度県は合同庁舎をこの東小浜駅の近くに建設をして土木、県事務所等が全部ここに集中する。これは通勤者が、言うならばますますふえる傾向にある。生徒や子供の安全等を考えたら、これはもう反対側で発車オーライをやって、あとに生徒たちがこう駆け込むような状況の中で起こり得る事故の危険等を考えれば、安全からいっても私は重大な問題だと思う。こういう点は一体どう考えますか。きわめて具体的な問題ですが、人数においても、また将来性においても、そうしていま通勤者がますますふえようという、こういう状況の中で、これを無人化するという判断はどう考えますか。
○説明員(原岡幸吉君) ただいま先生御指摘のようないろいろな事情、これを現地管理局においても十分検討いたしまして、いかにそれに対処するかという観点から地元となおよく話をしておるというふうに理解しておりますが、私のほうからもよく話をするように指導いたしたいと、このように思います。
○辻一彦君 いや、言うことは、こういう具体的な例の中で十分再検討をするということですか。何か十五日にめどをきめてもう何でもかんでもやってしまうんだという態度なんですか。どちらですか。
○説明員(原岡幸吉君) いろいろ具体的にどのように対応していくことが安全上、またサービス上、また将来の問題上必要であるかという点をよく地元と話をして、十分理解をするようにしていきたい、このように思う次第でございます。
○辻一彦君 まあこの問題は、もう一つの具体例を取り上げて、そのあとに論議をしたいと思います。
 もう一つは、先ほど私は申し上げましたが、運輸省がやっているヨットハーバー建設地の和田という港、ここに和田という駅があります。これは海洋性レクリエーション基地、いわゆる大規模観光開発の目玉の地域になっているから、そこでヨットハーバーが和田港につくられている。こういう中で、言うならば私は、運輸省のまあ大規模開発の目玉地域にこの地域がなると、こう思います。ところが、ここは夏には非常に人口が集中する。これは高浜という町全体でありますが常住人口一万二千人、土曜、日曜は二十三、四万、もっと今年はふえると思いますが、そういうような人が集中する地域ですが、夏場を除くとかなり私は人員の点について問題がありますが、これはまあ、そこでいえば五百三名という平均になっていますが、将来、ヨットハーバーをつくり、建設され、そてし大規模観光開発の拠点になり、将来の展望を考えたときに、私はここを無人化にしてしまうということは非常に問題がある。この和田という駅は、旧村時代から観光開発を目ざして、駅の庁舎をつくるとか、敷地を広げるとか、全面的に協力をしてやっていて、ここに町の生命をかけておるような駅ですが、これを私は、また無人化の計画ということ、委託化、無人化と。非常に将来を展望したときに地域のそういう要望や実態、そういうことをあまり配慮されないやり方でないか、こう思いますが、この点どうですか。
○説明員(原岡幸吉君) 若狭和田につきましては、お客さんの乗降者数はいま先生御指摘のとおりの乗降者数でございます。これにつきましては、特に夏には非常にお客さんが多いわけでございまして、その時点ではお客さんのサービス上遺憾のないように職員を夏には配置すると、このように現地では計画いたしておるわけでございまして、お話しのような、いろいろ需要が発展する段階におきましては、十分それに即応できるだけの体制でこたえていくということでございまして、現時点におきましては、現地において計画しておる委託駅を無人駅にして対処していくように、地元に理解を求めて御理解いただくように話しておる最中でございまして、そういう方向が近いうちに御理解のできるようなふうに私ども聞いておる次第でございます。
○辻一彦君 これは総裁どうですか。夏非常に人がたくさん来るときには人員を配置する。それはそういうことも言い方はあるでしょう。しかし利益のあがるときには人間を配置するけれども、冬場のあまり利益のあがらないときには人を引き揚げてしまう、こういう考えですよ。ここの、先ほど私言いましたが、一番大事なのは、夏に集中するそういう人口をいかに四季にいろんな形で分散をするかということが非常に重要な問題なんですよ。そうすれば国鉄が夏の利益のあがるときだけ人が来てやって、あといなくなったらはいさようならと、こういうことでは、四季を通して十分に人を誘致をして、いわゆるこの地方が目ざすような方向に発展していくために協力する体制ではないと思うんですよ。
 やはり夏の忙しいとき、冬のわりと暇なときには知恵をしぼって、そしていかに夏より多く、そして四季を通してやはり多くの人がこういう国鉄を利用するようにするか、そのために知恵をしぼる人が年じゅう私は実態を見なければ、冬はいわゆるスキー場に行って夏は海岸へ行く、こういう人のやりくりでは、私はほんとうに地域の振興というか、地域の発展に即した体制がとれない、こう思いますが、この点総裁どう考えますか。
○説明員(磯崎叡君) 具体的な駅のことは先ほど原岡から申しました。
 私、小浜線多少知っておるものですから、私なりの意見をこの前も申し上げましたが、いま京阪神の人が海へ行くといったら若狭湾しかないわけですね。したがって将来、運輸省の計画を待つまでもなく、若狭湾というものは非常に大きな優良健康的なリゾートの地域になるということは、これは私すべての政策の前提だと思います。したがって、いわゆるこの小浜線という線も、いま先生おっしゃったように京阪神がみんな自動車へ乗っていくんでなしに、できるだけ私どものほうの汽車を利用してもらいたいということが第一だと思います。したがいまして、あるいは将来になれば部分的に複線にするとか、いろいろな問題が当然起きてくる線路だというふうに思っております。ちょうどいま、いわば房総半島に非常に最近私ども力を入れ、またたくさんのお客が東京から行っていると同じような姿になるというふうに私は期待できるところだと思っております。しかもそれは、夏だけでなしに、やはりオールシーズンでなければいけないということが観光地の前提だと思います。夏だけ冬だけという観光地は、これは絶対さびれます。これはもう長持ちしないところでございますので、やはりオールシーズンの観光地でなければいけない。これも当然、私は観光開発の前提だというふうに考えます。
 その際に、小浜線につきましては、たとえばいまの小浜線ですと、たしかこれはいま急行が四本ぐらい入っていると私は思っておりますが、この急行が四本やそこらでは、いま先生がおっしゃったような大規模な輸送機関としての役には立たないという意味で、小浜線というものの生命がこの地域だけの線路であると同時に、やはり京阪神あるいは名古屋、北陸からお客さんを呼び寄せる相当大きな幹線筋になってくるということが、やはりこの近代化、合理化の前提でなければいけないというふうに思います。
 したがって、いまの房総半島などに例をとりましても、あまりに拠点が多いということはお客さんが迷うわけでございます。なるべく一町一カ所ぐらいに拠点を集めまして、そのかわり駅の設備もよくするし、レンタカーも置くというふうに、なるべく拠点を少なくして、そしていわばそこへお客さんに集中してもらうという町の中心をつくって発展さしていくというのが最近の観光開発の一つのルールになっております。したがって私といたしましても、将来のいまのヨットハーバーの問題あるいは三方の問題、若干知っておりますけれども、それらにつきましては、やはり中心になるところをきちっときめてそれを大きくしていく。たとえば将来特急とか急行がもっと走るような場合にも、お客さんがあまり各駅各駅にとまっていかないで、やはり町の中心になる駅へとまって、そこからはレンタカーその他で行ってもらうというふうな観光システムに変わっていくだろうと私は思っております。
 そういう意味で、今度の金沢の局のやりましたことも、多少そういう含みを持って考えているというふうに思いますので、たとえば和田の問題なども、むしろ高浜あたりまで行って、そこからぱっと車で行ってしまったほうが早いというふうなことも考えられますし、町が違いますとなかなか――本郷は町が違いますのでだめですが、高浜あたりからなら二、三キロで行けるということになりますので、将来のそういういろいろな海洋開発の基地、それもあまり方々に点々とつくらないで、手始めとしては基地をあまり多くしないで開発していくというほうが、私は開発の一つのやり方であると思います。したがって具体的な駅名その他は別といたしまして、考え方としては、私はなるべく若狭湾もオールシーズンの観光地にすべきだということを前提として、私どものほうもいろいろ駅の配置その他考えていきたいというふうに思っております。
○辻一彦君 いま総裁の言われた中に、単一シーズンではさびれてしまうというのですね。じゃあさびれるような方向に拍車をかけるような人員配置と思いませんか、夏は人を配置するけれども冬はやめてしまうというなら。国鉄自体がそういう単一シーズンをやはり解決をして、オールシーズンにしなくちゃならないと、こう御発言されながら、人間の配置ではまさにさびる方向に拍車をかける人員配置だと思いますが、その点どうですか。
○説明員(磯崎叡君) その前程として、私は基地の数でございますね。たとえばここで申しますと高浜、和田、本郷、こう三つ並んでいるわけです。これではなかなかお客さんもわかりにくい。たとえばヨットハーバーへ行くなら、これは町がたしか高浜でございますから、高浜へ行けばいいのだ。そうすると隣の和田なんというところはなかなかわからぬ。やはり高浜というところでもって切符を買っておりていくというふうに、なるべく基地を単一化して、そうして高浜として売り出す。高浜へ行けばヨットもあるし海水浴もできるし山もあるというような開発のしかたがいいのではないかというように思います。したがって通勤問題その他は別といたしまして、いわゆる観光の面からいけば、高浜町は高浜を中心として観光開発すべきだというふうな方向にいくべきだというふうに考えます。
○辻一彦君 私は高浜にも重点を置かれるということはけっこうですが、しかし夏の実態を総裁は御存じない。あすこには、これは問題違いますが、原子力発電所の世界有数の基地で、この問題をめぐってわれわれはいろいろな論議をしておりますが、非常の場合にどういう自動車がどう配置できるかということになると、もう見当がつかぬような混乱状態です。夏場に二十万、三十万近い人が、この高浜、和田の海岸にあふれて、そういう中で自動車ですっとあっちへこっちへ行くというような、そういう状態にはあの地域では私はないと思うのですよ。だからこれはやはり地域の実態を考えてもらって、そして和田等、これだけもう観光の拠点として、それに旧町の生命をかけてきた場所なんですね。こういうところがもっと私は有効に生かされるという、こういうことを考えるべきであるし、そしてその前提が問題があってくずれるとすれば、やはり私は単一シーズンだけに人を配置してあとは引き揚げるということでは、国鉄さんみずからがそういうさびる方向に拍車をかける方向だ、むしろ冬にも、人員をそういう夏にたくさん来るところには配置しておいて、十分実態をつかんで、知恵をしぼってよりオールシーズン化するために努力するということが、将来を見たときに必要でないか、こう思いますが、その点どうですか。
○説明員(磯崎叡君) 私も多少あの辺を知っておりますけれども、やはりいま若狭の高浜町という町を全国的あるいは少なくとも中京、関西圏に売り出そうとすれば、やはり焦点をしぼって高浜というところに行けばいいのだというふうにすべきであって、通勤問題その他はさっき申しましたとおり一応別といたしまして、一観光開発からいけば、なるべく拠点を分敷しないというほうがオールシーズンの観光地になる一つの大きなベースだ、これは房総あるいは伊豆等をごらんくださいましても、大体そういった形でもって開発されておりまして、それが全然違う理由で、たとえば高浜町の町の中を全然通れないというような問題、これはちょっと別になりますけれども、原則といたしましては、やはり一つの町に町名を持った駅が中心になってよその地域からそこに来てもらうということが一番その地域の観光開発になっていくというふうに私は思います。
○辻一彦君 もう一つ、それについて私は、あの高浜、和田の地域の夏の込みぐあいという実態からして、高浜の駅にはもう問題がないという、こういう考え方はやはり実態に合わないと、こういうふうに私は思います。
 それからもう一つ、夏に人口が集中して冬は少ないと言われますが、いまここに、この間金鉄当局にも指摘をしておきましたが、関西電力がこの地帯に六百三十万キロワットの発電所建設を計画をして進めていると、これは非常にスケールの大きい発電所ですね。したがって和田にいま三百戸の関西電力の社宅を建設をして、ことしはたしか人が入るようになっておるのですね。三百戸に社員が家族を連れて入り込んだら、私は通勤状況だってうんと変わっていくと思うんですよ。そういうことを考えると、この和田というのは夏の人口という点だけじゃなしに、将来その周辺に、すぐ近くに三百戸からの住宅、その家族が移ってくる。そういう中で、通勤状況というものは私は非常に変わっていく。この点からいっても、委託にいまなっておりますが、これも全部無人化してしまうというのは問題があると思いますが、この点はどうですか。
○説明員(原岡幸吉君) この点につきましては、いま現在こういう計画になっておって差しつかえないという地元の判断でやっておるわけでございますけれども、現実に非常に数は、乗降のお客さんの数が多くなって、それでは十分でないということになればまた現地で判断すると思いますし、また現地で判断すると思いますし、また現地に十分弾力的に対応するような指導をしていきたいと、こう思います。
○辻一彦君 地元で差しつかえないと言われるけれども、まず私は、それでは午前中あなたは、小浜線については市町村の理解を大体得られていると、こういう御発言であるが、ここに、たとえば小浜線の駅無人化、貨物の取り扱い廃止に反対する各議会の決議の写しがありますが、県議会がまずきめていますね、県議会が。それから小浜市の議会が、意見書で東小浜も含むこういうのを存置をしてほしいということを、決定を議会はしている。それから美浜町ですね、その議会、美浜町はこれはあとで触れますが貨物の問題がある。それからいわゆる和田を含む高浜町議会が全員一致で和田駅の無人化等に反対をしている。こういうふうにして、この議会の決議、県議会、小浜市、高浜、美浜、こういうようにして議会が決議をしている。それから、これは福井県の農業団体が各地区から持ち込んだ金鉄への陳情書で、国鉄へもいっていますが、この中に敦賀市の農協の組合長高木孝一、これは県議会の議長、それから上中町の農協組合長の中川平太夫福井県の知事、こういうのが連署して金鉄へ持っていって、金鉄ではこういう方がよく署名捺印をしましたねと言って驚いているような状況ですが、こういう地方議会の意思がそれぞれあるわけです。
 それから私は、総裁にお渡しをしなくちゃいかぬが、束小浜についてはこういうふうに二千数百の全員の署名が捺印されてある。それから和田についても二千余りの全員の署名がここにされております。それから、上中、美浜、これは駅のほうは別として、貨物のほうになりますが、こういうふうにして署名がある。それからさらに、一月の二十三日に私はどういう御意見を皆さんが持っておられるかということを聞くために、一日若狭地区のほうに参りましたが、そのときに和田、青郷等からはいわゆる部落の区長四十数名がお集りになって、いま言ったようないろいろな事情を述べられて、観光拠点としての駅をどうしてもひとつ守り育てたい、こういうことを切々としてお話しになっている。そしてまた具体的にここにあるのですが、こういうのを見て地元の了解は一体どういう形で得られているとあなたは御判断になっておるのですか。
○説明員(原岡幸吉君) 私、午前中に小浜線につきましては大体御理解いただいてると、こう申しましたのは確かに言い過ぎでございまして、若干十分お話ができてない場所もあることは承知しております。で、具体的には小浜市と高浜町につきまして、いま先生が御指摘になりました駅につきまして、地元と目下御理解を得るべくいろいろお話をしている最中である、このように理解しておるわけでございまして、完全に、御指摘になられた場所、駅についても理解ができてしまっておるんだと、こういうぐあいには私は考えておりません。
○辻一彦君 まあ午前中の発言を訂正をされたわけですが、それなら私は総裁並びに大臣にお伺いしたいんですが、こういう私は三つの駅を具体的に取り上げて、大臣御提示のように具体的に地域の実態を見てどうかということを申し上げて、かなり問題点があるということはこれは大臣も総裁も御理解されたんじゃないかと思う。こういう中で、いわゆる金鉄管内が全部合理化が進んだからあとは小浜線だけだ、三月十五日までどうでもしてやらにゃならぬというような形で進められるところに私は機械的だ、こういうふうに私は最初に申し上げたわけですが、この点ひとつどうお考えになりますか。大臣と、それから総裁からお伺いしたい。
○説明員(磯崎叡君) いろいろ合理化をいたします場合には、そういうたくさんの陳情もいただくこともございます。また市町村長あるいは議会議長の賛成の裁議をいただくこともございます。さまざまでございまして、やり方も、何年もかかるところもあれば半年ぐらいで話のつくところもある。さまざまないままでの経過を経てきております。私どもといたしましても、最後の一人まで絶対賛成でなきゃやらぬと、これはできないことでございます。大多数の方々がいいと言われれば、これはそれでやらしていただく。そして全体としての小浜線のこれからの利用のしかたを考えるという方向にいくべきだと思います。極力私どもといたしましても現地におきまして、いま先生のおっしゃったような事情をもう一ぺん踏まえた上で、現地とも折衝してなるべく早く話を進めていきたい、そして新しい小浜線をつくっていきたいというふうに思うわけでございます。
○辻一彦君 大臣の御発言いただく前に……。私もそんな最後の一人まで賛成しなくちゃだめだと、そんなことは全然言ってませんよ。しかし、ここにあるこの署名と議会の意思というのは一人や二人じゃないですよ。圧倒的大多数がそういう意思を表明しているというこの事実を私は言っておるのです。だからそんな一人残ったその人も、そういうことは言ってない。これはおわかりいただけると思う。
 それからこういうことは、私、大臣にお伺いしたいんだが、いま三つの駅についてお話をしましたが、こういう具体的な問題を考えると、かなり私は再検討する必要ありと、こういうふうに思うわけですね。三月十五日という日を設定して、もうダイヤをすでに組んで、これでやるんだ、これでやるんだといって押しつけているような状況では私はいかぬと思うのですよ。だから三月十五日の日を延期をして、この点について再検討する余裕があるのかどうか。それが地元住民の意向を私はくみ入れる、これだけの意思に対してこたえるのが国鉄の道である、こう考えますが、この点について、大臣ひとつ政治家としてどうお考えになりますか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 三つの駅の事情はいま拝聴いたしました。これについての具体的な措置は国鉄総裁のほうから申し上げると思いますが、一般的に考えまして、先ほども申し上げましたように、国鉄は何とかしてこの機会に自分たちの努力によって国鉄の再建をはかりたいという熱意をもちましていろいろの計画をしておるんだろうと思います。で、その結果は、この具体的な問題とそういう地方の計画とがどういうふうに結びついておるかというところに問題があるかと思います。少なくとも本年度はどの程度の計画を進めたい、合理化計画を進めたい、こういうことを国鉄では計画しておると思いますが、それは具体的に、各地方地方に参りました場合に、いまお話しのような点があちらこちらに生じてきておるというのが問題になっているんじゃないかと私は思うんでありまして、それはやっぱり先ほど来申し上げましたように、具体的に各地の現状、それから将来に対する計画、そういったものとの関連においてこれは最終的に決定すべきであると思います。したがって将来ともそういう合理化を、あるいは省力化をして、それでまあ地元の方も、こういうかわりの方策があるんだからこれでどうでしょうかというように話し合いをして、それで、なるほどそれもいいなということになれば、それはもちろんそれでけっこうでございますけれども、おそらく、いまの若狭湾の計画のごとく、中央で各官庁がいろいろの計画をもって相談をし、それから計画を進めているという問題について、はたしてどこまで現地の機関がそれを把握して、それを頭に置いて計画をするかということになりますと、必ずしもそれは十分にいっているところばかりじゃないと思うんです。そういう点からそごが出てくると思いますから、私は先ほども申し上げましたように、やはり地元のそういった正当な将来の発展に対する計画というふうなものについては、十分これは把握をさして、そういう需要がふえてくるのにかかわらず、かえってサービスを減退させるというような傾向には持っていかないようにしないと、国鉄がほんとうに中枢的な交通機関としまして十分にその職責を果たしていないということになるんじゃないか。この点については、私も国鉄に対しまして、そういう考え方で今後指導しなきゃいかぬということをいま感じたようなわけでございます。その点御了承いただきたい。
○辻一彦君 わかったようなわからぬようなところがありますが、具体的な問題を提起したことに対して大臣の答弁も具体的にお願いしたいんだが、こういう状況の中で、三月十五日を延期をして再検討する、練り直しをする用意があるのかどうか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) その点は私が決定する問題ではなくて、国鉄総裁が決定する問題だと思いますけれども、私がお聞きしておった範囲から判断いたしますと、相当国鉄もいまお話しのような点をよく踏まえて、もう一ぺん再検討してしかるべきだと、こう思います。
○辻一彦君 総裁に伺いますが、大臣の答弁を聞いてどうですか。もう一ぺん再検討してしかるべきと思うと、こういう御発言でありますが、総裁の見解をいただきたい。
○説明員(磯崎叡君) まだ日にちもあることでございますので、いま先生の御指摘になった数駅につきまして、私どものほうの地元と、それからこの若狭の地元の方々となるべく回数を重ねてお目にかかって、そして具体的なうまい妥結方法をきめていきたい、こういうふうに考えております。
○辻一彦君 ということは、再検討するということですか。
○説明員(磯崎叡君) 三月十五日までまだ日にちもございますので、十分ゆっくり地元とお話ししたいと、こういうことでございます。
○辻一彦君 いや、総裁の答弁は、十一月九日のトンネルでもそうだが、非常にそういうところは答弁がうまいけれども、具体的な点は、私はすりかえられる。時間があるから十分お話をすると言われるけれども、やはりこれだけ具体的に問題が出て、大臣答弁があって、再検討を私は、これは無期限に延期せよとか、そういうことは言っていませんよ。しかし、これだけの問題を、少なくとも練り直して再検討する必要があると思いますが、その点をもうちょっとはっきりしたことを言ってください。
○説明員(原岡幸吉君) 問題点につきまして、十分時間をかけまして問題点を整理して、地元の御理解を得るように現地を十分指導してやっていきたいと思います。
○辻一彦君 そんな答弁は大臣答弁と全然違うじゃないですか。十五日前に何とか説得して、計画したことをやってもらうという、端的に言えばそういうことでしょう、端的に言えば。十分地元の意向を、いま言った幾つかについてこの意向を聞いて検討する、再検討すると、こういうことなのか。あなたの御発言では、十五日まで何とか説得してやりたいんだと、こういうふうに私は受けとめるが、どうなんですか。
○説明員(原岡幸吉君) 御指摘のいろいろな問題点、これをよくまた再確認して、そして、そういう問題点の上に国鉄の計画ももちろん考えなきゃなりませんし、そして、それを考えてまた地元と十分話をしながら計画を進めさしていただきたい、こういうふうに考えているわけでございまして、再検討すると申して、いままで考えていることが全部再検討しなければならないことであるかどうか、これはずいぶん計画をしてから時間をかけて話してきておるわけでございますのでいろいろきょう御指摘のお話も十分また加えて入れまして、そうして地元とのいままでの話につけ加えまして検討を重ねていく、で、理解を深めていく、そうして実行さしていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。
○辻一彦君 総裁に一言伺いたいが、いま全部を再検討するというのじゃない、それは私わかります。しかし指摘した問題については、少なくとも再検討すると、こういうふうな答弁に受けとめましたが、それでいいかどうか、総裁。
○説明員(磯崎叡君) いま御指摘の三つの駅につきましての具体的な御指摘について、私どもなりの調査をいたします、それで、それに応じて、極力地元とのお話し合いを進めてまいりたい、こういうふうに思います。
○伊部真君 私は、ダイヤ改正のときでもそうですが、やっぱりトラブルがあるのは、地元という表現、その地元というのは、やはりどこと話をするのかというのをある程度明確にしておく必要があるのじゃないかと思います。これは私、前の三月十五日のダイヤ改正のときにも大臣にも要請をしておったのですが、地元といった場合に、たとえばダイヤの場合は、学校の先生、授業がいつ終わるのかということを考えながらやっぱりダイヤの問題について、とめるかとめないかということも考えなければいかんだろうと思のです。親御さんの、いわゆるPTAその他の、ぎょうさん、お気持ちというものをくんだやはり形というものが生かされなければならぬと思うのですね。そういう意味では、やはり地元でそういうダイヤ問題だとか、こういう無人化とか、こういう問題が起きたときには相談するような何らかの対象というものをお考えをいただいて、そうして大体手続的にはどこも同じような、たとえば市町村の了解を得る、あるいは市議会の議長の了解を得る、PTAならPTAの了解を得るとか、あるいは学校の先生方とも話し合いをつけるとか、そういうふうなある程度の基準で明確になっていないと、私は非常に問題だと思うのです。
 これはまあ私は、別な機会にも言いますけれども、ダイヤ改正があって、鈍行が今度急行になった、子供には罪はないのだけれども、急行になったために、急行に乗せてもらえない、定期を持っていってもそれは乗せてもらえない。これじゃ困るじゃないか、国鉄さんの都合で鈍行をなくしたので、子供には罪はないのじゃないかと言ったら、ようやく定期券でその分だけは急行券買えば何とかしようという話になってきたくらいなんですね。これでは私、不十分だと思うのです。そういう問題のときにも、これはやっぱり地元ということについて、しかるべき対象を考えながら相談をして、国鉄のダイヤだとか、そういう無人化だとかいうふうな問題について、あるいは貨物駅のあれについてもそうですね。小さなところは乗せるとき問題が起きるわけですから、そういう委員会とか、何か国鉄を取り巻く、相談をする相手というものを、やっぱりきめておく必要があるのじゃないか。あるいは常につき合う、接触するような場というものを、対象というものを、本社なら本社の、国鉄なら国鉄で、運輸省なら運輸省できめておかれるというのがいいのではないかという気がいたしますが、その点いかがですか。
○説明員(磯崎叡君) こういう問題でありますと、なかなか――地元と話が対立することございません。逆にいろいろ地元からお頼まれすることもあるわけです。わざわざ私どもまでいらっしゃる方もたくさんございまして、やはり地元の方々の環境の中で国鉄が動いているわけでございまして、その場合には、やはりたとえば市町村長とか、あるいは議長さんとかいう、おのずから中心になる方があらわれて、そうしてその方々と私のほうとで、こちらがお頼みしたりお頼まれしたりというようなことでやってきているわけでございまして、話をあまり何とか委員会といたしてしまいますと、たとえば一ぺん青森県でつくったことがございますが、非常に形式ばってしまいまして話がうまくいかないということで、三、四回やってやめた例もございます。たとえば、貨物の荷主と通勤の先生とはだいぶいろいろ利害関係が違う場合もございます。そういう意味で、やはりそういう場合は市町村長さんなりあるいは議長さんたちに仲に入っていただいて、そして、全体としてみればこうだというふうな結論を出していただくことが多いわけでございまして、いままでどおりなるべく市町村長さん、あるいは議長さんたちを中心にしてお話を進めていくのが、こちらからお頼みするときもお頼まれするときも便利じゃないかというふうに思います。
○伊部真君 私は、やはり辻委員も言いましたけれども、こういう問題を処理する場合に、国鉄のほうはめどを持つなと言いませんけれども、加古川線なら三月一日にはどうしてもやらなければならない。現地ではいろいろな関係あるんでしょう。予算の関係いろいろな問題あるんでしょうけれども、加古川の駅にまずくい一本だけでも三月中に打たせてくれ、そうしないと四月に入ったら困るのだと。そういう日にちをきめて追い込むような形というのはやめるべきで、やっぱり地元の住民や国民となじんだ国鉄でなければいかぬと思うのですよ。そういう意味では、やっぱりなじんで皆さんと一緒に国鉄を使ってもらうんだから、皆さんとほんとうに相談をしてやるんだ。もちろん、利害関係が出てくるし、それがあったら損が出てくるかもわからない。しかし、全体としてどっちがプラスになるかということで私は話を進めていけば、住民の理解を得られると思うのですよ。ですから、そういう意味では、日にちを切って追い込むという形はやっぱり好ましくないと思いますね。
 それからもう一つ私は、そういう意味から考えますと、無人化だとか、あるいは駅集約だとか、貨物の廃止問題というふうな問題については、もうこの辺で国鉄の全計画をやはり明らかにすべきではないか。出していただくということが必要ではないか。管理局単位に少なくとももうできておるのではなかろうか。私は、いろんな影響があることはわかりますから、そんなに軽率に扱えというわけじゃありませんけれども、少なくとも昭和四十四年のときの構想からいえば、十年後にはやはり旅客駅も貨物駅も大幅に縮小するんだという頭の構想があって、それは現地の調整をしながら旅客駅も貨物駅も縮小という問題を進めているんだと思う。そうしたら、かなりいま説明聞いたんでは、五千駅のうち六百何ぼかの旅客駅がそうだと、私は、貨物駅の場合には、昭和三十五年当時三千四百あったのが、いま昭和年四十七年でちょうど千九百二十ぐらいになったということになれば、かなりそういう方面でずっと進んでいるわけですから、われわれとしても、あるいは地元の人間としてもやっぱりこれから後にはどんな形になるんだ、年度的には四十九年に何ぼ、五十年に何ぼになるというものがあっても、もう私はある程度計画図というものを、計画ですから変更してけっこうだと思います。あるいは変更されるのは状況としては当然のことだと思いますが、そういう無人化だとか、あるいは駅集約についての具体的な計画図を私は委員会のほうに出していただいてしかるべきだと、こう思いますが、出していただけますか。
○説明員(原岡幸吉君) 駅の停留所化あるいは貨物駅の集約の全体的計画の資料の提出の問題でございますけれども、この問題につきましては、大きなめどを持ちながら地方の事案といいますか、地方の事項として具体的に計画を立てさせているわけでございます。したがって、現時点で具体的にその計画が全部どうなっているかということを把握する計画が確定するといいますか、それを確認するといいますか、そういう段階には至っておりません。しかし、まあおおよその、何といいますか、計画といいますか、非常にまだ変動するという要素を十分踏まえての上の大体の図というものは、これは可能でございます。で、それはまとめて資料を提出することはいたしたいと思います。ただ問題は、固まっていないのでありまして、非常にまだ変動するということが前提にございます。
○伊部真君 ぜひこれは総合交通を議論する場合に、やはり貨物駅のこれからの将来構想というものはわれわれも必要だと思うのです。ぜひそういう意味で出していただきたいと思う。
 私、なぜこういうことを言いますかというと、たとえば過密と過疎地域の交通、物流の場合でも相違があるのですね。たとえば、東京のほうで今度はコンテナを扱う貨物駅というのは新宿をなくするとか、池袋をなくするといった場合に、この場合の地元の意見というのと私が先ほど言った小浜の場合とは違うのですね。しかし、考えなければいけませんのは、東京の新宿、、池袋の場合には、私、原則的にはそれは反対じゃないのですけれども、しかし、そのために貨物輸送をコンテナで輸送するということさえやめてしまったために、国鉄のほうはそれで少しは合理的になったかもわからぬけれども、コンテナを道路で運ばなければならぬ、トラックで運ばなければいかぬということになったら、これは国鉄さんのほうの合理化だけであって、物流全体から見れば非常に損な形になるわけです。そういう問題を検討する、あるいは議論しようと思ったら、やっぱりあれの計画図というものが妥当なのかどうかということの資料になると思います。私はたいへんに大きな論点になると思いますので、ぜひそういう意味で出していただきたい。私は首都圏の分はいただきましたが。首都圏はいただきましたが、ほかの県はあまりいただいて……。何べんもいただくように私は要請したのですけれども、出していただきませんで、私は、不本意でありますけれども、委員会の席上で、ぜひ委員会のほうに出していただくようにお願をいたします。
○説明員(原岡幸吉君) 先ほども申し上げましたように、構想段階のものが非常に多いのでございまして、資料はもちろんお出ししますけれども、確定といいますか、計画がきまっていないということでございますので、その点は御了承願いたいと思います。
○辻一彦君 先ほど総裁から答弁がありまして、私は、確かに各管理局にそういう権限はある程度ゆだねておるという仕組みの中で、いまここで大臣答弁を受けてすぐ具体的に再検討すると、こういうふうには言いにくいということはわかります。しかし大臣のあの御発言もあったことでありますし、これからひとつ地元の住民の意向を十分くみ入れてこれは検討していただきたい。特に、指摘した数点については再検討のように十分ひとつ調査もし、この意向をくむようにお願いしたい、こういうふうに思います。その点いいですね。
 じゃもう一つ、時間がかなりおくれてきているのでありますが、簡単に私、貨物駅扱いについて二、三点だけただしたいと思います。
 ここに実は各地の農村から米や肥料や農薬等の物資の集散等を考えると、どうしてもひとつ車扱いの貨物駅はある程度残してほしいと、こういう声が強く出ております。私は詳しくは申し上げませんが、地方の産業の将来等を考えた場合に、いなかの一つの郡に一駅くらいは車扱いの貨物が扱える、そういうところを残して、将来のその地方における産業の振興等を十分考えてやっていくべきでないかと、こういうふうに思います。したがって、あの地域には三方郡、遠敷郡、大飯郡という三つがありますが、その郡に一つは、物資の集散という点から、産業の振興、将来を考えて残すべきじゃないかと、こう思いますが、この点についてひとつ国鉄の御見解を聞きたいと思います。
○説明員(原岡幸吉君) 貨物駅の集約の問題でございますけれども、先ほど旅客駅についても申し上げましたとおり、いわゆる拠点駅を整備して、そこに貨物を集中するということが、貨物輸送全体のサービス上非常に大切な基本的な眼目でございます。そういう意味で、実際の物資の流動を見て拠点駅を整備して、そこに集めていただくようにする、そしてそれが鉄道貨物輸送が新しく生きるゆえんである、それからまた、鉄道輸送と道路輸送をうまく結ぶゆえんである、そういう構図のもとに具体的に貨物の集約を考えておる。したがって集約して持ってくる場所につきましては、新しい輸送、積みおろし、あるいは輸送ができるような設備を整備してそれにこたえていこうと、こういうことでございまして、新しい貨物輸送体系の整備をこういう貨物駅の集約という形をとりながら、体質を改善しながらやっていくと、こういうことでございます。なお、それによって与えまするいろいろな影響につきましては、具体的に道路で送れないものとか、あるいはこういう利用方法がないものとか、あるいは逆に、もう少しこうやったほうが便利じゃないか、有利じゃないかというような具体的な変化に対応しては、これは具体的にわりあい特定しておりますので、十分対応策を検討しながら進めさしていただいている、こういう次第でございます。
○辻一彦君 これはあまり具体的に時間の点もあって触れられませんが、この地方の一つの何々郡という郡に、しかも、村部であれば、米にせよ肥料にせよ農薬にせよ、いろいろな物資の動きというものがあるわけですから、そういうところに一つは車の貨物が扱えるように何かするということが将来の産業の振興というか、地域の産業等も考えて大事な点じゃないか。ただ何トン以下ならば切ってしまうとか、それだけじゃ私は、なかなか地域の産業等を考えると、済まされない問題だと思うんですが、この点はなかなかむずかしい問題ですが、大臣、ひとつどうお考えになるか。できれば私は、一郡に一つ程度はそういう扱いができるように検討をいただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど間違って、旅客についてのお尋ねのときにお答えしたような気がいたしますけれども、繰り返しますと、一郡あるいは一市一郡がいいかどうか、これはやっぱり具体的な事情によるんじゃないかと思います。貨物につきましては、自動車輸送の手段が非常にこのごろは便利になってまいりましたので、必ずしも一市一郡に一つずつということが必要かどうかということについては、私は具体的には判断はできませんが、しかし、とにかく、そういう貨物を扱う駅につきましても、さっき申し上げましたように、国鉄自身としては、一方でなるべく財政を再建したいという考え方から、できるだけ経費を節約するという意味で、そういう集約の方向に、ある、そういう方向と、それからいまおっしゃったような地域のいろいろな要望、需要というようなものとが調和をするように、これも旅客と同じように地元の状況、それから地元の方々との折衝、そういったものによって具体的に徹底していく以外に方法はないのじゃないかと、私はこういうふうに考えます。
○辻一彦君 じゃ、この問題はこれでとどめたいと思いますが、担当理事のほうですね、まあ貨物の点につきましても、地元のいろいろな意向等がかなり強くあるわけですから、十分ひとつ聞き入れて検討していただくと、こういうようにお願いしたいと思います。いいですね。
 じゃ引き続いて私、次の問題として、十一月六日に起こりました北陸トンネルの火災事故の救済対策について入りたいと思います。
○委員長(長田裕二君) それでは、北陸トンネル内の列車火災に関する事故調査について報告を聴取いたします。秋富鉄道監督局長。
○政府委員(秋富公正君) 北陸トンネル内列車火災事故のその後の措置について御報告申し上げます。
 昭和四十七年十一月六日、国鉄、北陸本線、北陸トンネル内において列車火災事故が発生し、多数の死傷者を生じましたことにかんがみ、十一月八日、運輸大臣より国鉄総裁に対し、この種事故の絶滅を期するよう警告するとともに、同日、国鉄監査委員会に対し、事故の原因の究明、事故発生後の措置、今後の保安管理体制のあり方について特別監査を命じました。
 本年一月十六日、同委員会から特別監査報告書が提出されましたが、同月十八日、国鉄総裁に対し、具体的改善計画を樹立し、これを報告するよう通達いたしました。
 これに対し二月八日、国鉄総裁より現在実施中の対策及び今後とるべき対策について御報告がありました。
 この概要を申し上げますと、消火器の増備、携帯電灯の搭載、一斉点滅スイッチの設置等の応急対策は、昭和四十七年度末までに完了することといたしております。
 消火せんの設置、無線の難聴対策など長大トンネルに関する地上設備の改善並びに客室出入り口、便所、洗面所の天井内張りのアルミ化粧板への取りかえ及び連結間ほろの難燃化等の車両改善は、おおむね昭和四十九年度未までに完了することといたしております。
 これらに要する費用は、昭和四十七年度に車両関係十六億円、地上設備関係二十五億円、計四十一億円、昭和四十八年度に車両関係四十五億円、地上設備関係三十億円、計七十五億円の見込みであります。
 また、人的面では、長大トンネル等における列車火災事故に対する乗務員の取り扱い基準の明確化、部外関係機関との連絡体制の緊密化、共同訓練の強化等をすることといたしております。
 運輸省といたしましては、実施計画が明確となっているこれら改善措置につきまして、当該計画が確実に実施されるよう指導してまいる所存であります。
 しかしながら、トンネル内の排煙方法など、なお専門的に検討を要する対策につきましては、各界の学識経験者による鉄道火災対策技術委員会において鋭意審議が進められており、現段階では、その具体的対策がまだ明確ではありませんが、全般的な最終結論を待たず、方針の定まったものから直ちに実行に移す所存であります。
 なお、現在入院中の方が二十一名(負傷者総数七百十四名)おられますが、死傷された方々に対する補償、医療等につきましては、すでに四百六十九名(うち死亡者十七名)の方々と示談が成立いたしておりますが、今後とも最善を尽くすよう指導してまいる所存であります。
○委員長(長田裕二君) それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○辻一彦君 北陸トンネルの火災事故については、
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
十一月の九日に本委員会で私、問題を取り上げたことがございます。きょうは、その中で非常にまあ救済対策が問題があると、こういう点から具体的にお尋ねいたしたいと思います。
 お手元に、委員長を通しまして私の調査をしたアンケートが配付されております。これは現在では二百通余りアンケートなり手紙が参っておりますが、十五日現在で、百八十二通についての時点でまとめております。
 そこで、この六日の事故で死者が最終的には三十名、そうして負傷者が七百十四名、これに及ぶ多数のこういう犠牲や負傷者が出たということは、非常に遺憾なことであったと思います。私も、この機会になき犠牲者の遺族に十分な補償を行なうことと、入院者に十分な治療と事後処置を行なうこと、こういうことが非常に大事だと思いますが、この二つについて、まあ心がまえについて、私はまず総裁にひとつお伺いいたしたいと、こう思います。
○説明員(磯崎叡君) まず、十一月六日の北陸トンネルの事故におきまして多数の負傷者並びに死者をお出ししましたことにつきましては、重ねてこの席を拝借しまして深くおわび申し上げる次第でございます。
 なくなった方並びに負傷者に対する補償問題、それからこの種事故を再び起こさないためのいろいろな物的な対策の問題と、おもに二つ問題があるわけでございますが、ただいまの御質問は前半のほうの御質問でございますので、まず、私といたしましての心がまえと申しますかにつきましては、当日あるいはその後十一月の二十六日に現地に参りましたときにも申し上げましたように、私はできるだけのことをいたしまして、死者のお弔いを申し上げ、また負傷者に対する補償をいたしたいという根本的な考え方でございます。
○辻一彦君 次に、当時この病院に収容された人について、その後国鉄として追跡の調査をやっているかどうか、その点はどうですか。
○説明員(磯崎叡君) 御承知のとおり、現在、入院中の方が、昨日現在で二十二名ございます。このうちの三名の方は、いわゆる精密検査のために再入院したいということで、再びおいでになった方でございます。したがって、その方を除きますと十九名でございます。
 御承知のとおり、現地に医療対策委員会、これは国鉄関係のものを除きまして、現地のお医者さま並びに九州、金沢の有名な、この方面の専門家にお願いいたしまして、医療対策委員会をつくりまして、いろいろ検討していただいておりますが、追跡調査と申しますとどういう内容になりますか、まず、おいでになっている方々は、現在入院中の方々はこれはもう申すまでもございませんが、その後、大体いま現地においでになるのは二十二人のうち約十人内外――六人ぐらいだと、あとの方々はみんな、大体自分の郷里あるいは住所にお帰りになっておりますので、それらの土地でもって、各病院でもってごめんどうを見ているわけでございます。また、すでに退院なさった方につきましても、何か異常があったらぜひ御遠慮なくお申し出くださいというふうに申し上げておりますので、大体、追跡的にいろいろ御検討申し上げているというふうに申し上げていいと思います。
○辻一彦君 追跡調査と一言で言ったので十分でなかったと思います。そこで、通院中の人がそれじゃ何名あるか、それから後遺的症状。いわゆるこの種の特徴として、頭とのどと胸に特徴的にいろんな症状があらわれておりますが、こういう症状を事後において、退院後においても訴えている人がどの程度あるか、それについての調査があれば伺いたい。
○説明員(加賀谷徳治君) 現在、通院している数につきましては、まあ変動がございますので、はっきりしたあれは持ち合わせておりませんが、いま入院中の数より倍ぐらいいろいろな数があると思います。
 それから、特に現在特別な症状が出ているかどうかというような問題につきましては、一人だけ一酸化中毒ではなかろうかというふうにいわれている人がおられまして、これはまあ現地の病院にまだ継続して入院治療中でございます。それ以外の人につきましては、一酸化中毒というような事態の判定は下ってないというような状況でございます。
○辻一彦君 まあ、具体的につかんでおられぬということに一言に尽きそうですが、移動があっても通院されている人がどれぐらいあるか、およその見当は、私は調べてみればわかると思うんですよ。
 それから、COといいますか、一酸化炭素の中毒が一人と言われるけれども、それは後遺症として認定というか、精密に後遺症ということが断定された人は、その人数は別として、後遺的症状に悩む人がきわめて多いということは、私はもうこれは非常に強く言えると思うんですね。そういう点について具体的な把握がされていないものですか、されておるんですか。
○説明員(加賀谷徳治君) その後遺症があるかどうかという判定については、ただいまの一酸化中毒症の人についてもまだはっきりした断定が出ておりませんし、またこれからもいろいろな症状が出てまいることも絶対ないとは申されませんので、現地でやっております医療対策委員会にお願いをいたしまして、次回は四月の二十八日ごろ開かれると思いますが、それまでの間に後遺症というものの判定についての基準といいますか、そういったのを専門的に出していただくと、そういったようなことで、それから、いままで治療しましたものについての具体的な判定も、できれば出していただくというようなことで対処をしておるわけでございます。
○辻一彦君 いまの御答弁では、どうも具体的につかんでおられないように感じます。そこで、まあ私が一月末に、十二月七日、八日入院された四百二十名の方に、全員にアンケートしてみました。それから被災者の会も七百数名の方に対してアンケートされたようであります。それは一応別として、そこの手元の資料にあるように、私のアンケートによると、入院中十九、通院六十一で、八十人の人。百八十二の回答中四四%の人が入院もしくは通院をしているということになります。これは被災者の会が調べた数字を、まだ大まかなものでありますが、聞きますと、三百二十の回答があって、やはり入院二十一、通院百二十七、百四十八名。パーセンテージからいうと、やはり四四%が入院、通院されている。それからこの種の場合に非常に特徴的なのは、頭が重くて頭痛がする、目まい、もの忘れ、耳鳴り、脳波に異常、目が痛いというように、頭に関係あるいろんな症状を訴える方が、私の場合も半数アンケートの結果出ている。それからのどが病い、声がかすれ、よく声が出ない、せきが出る、こういうのが半数、重複ありますが……。それから胸の関係で黒いすすのまじったたんが出る、胸が苦しい、こういうのが四五%というように、特徴的に頭とのどと胸にいろんな症状を訴える方が非常に多い。しかもこの場合、百六十八名のうちに、いまのところこういう症状がないという人は三十四人、二〇%で、具体的にこういう内容を書いている人が八〇%――八割の人はいろんな頭、のど、胸のまだあとの症状を訴えておるという、こういう実態に即して、一酸化炭素中毒は一人のようでございますとか、そういう私は把握のしかたということは、まず、たいへん問題がある、こういうように思いますが、総裁、どうですか。
○説明員(磯崎叡君) いま申し上げました一酸化炭素中毒が一人と申しましたのは、はっきり一酸化炭素中毒の後遺症として認定された方がいま一人ある、こういうふうに申し上げた次第であります。その他の方につきましては、すでに全国ばらばらになっておられまして、私どもといたしましては、退院される際に、いつでも何か差しさわりがあったらお申し出くださいということをくれぐれも申し上げております。現にきのうも一おとといですか、一人見えまして、一ぺん精密検査をしてほしいという方がいらっしゃいます。したがいまして、ある時期に、今度四月二十八日に医療対策委員会が開かれますので、その席でもって私どもがいろいろ申しますと、また何と申しますか、必ずしも御信頼いただけないような面もございますので、すべて中立のお医者さんにお願いいたしまして、今後そういう問題についてはどういうふうにして……。たとえば、もう一ぺんおいでくださいと、精密検査しますということをこちらから申し上げていいものやら、お申し出の方に幾らでもお取り計らいしますというふうなのがいいのか、そういう被災者に対する私どものものの言い方、切り出し方なども非常に実はむずかしい問題でございます。そういう意味でなるべく中立の、しかも科学者であるお医者さまにお願いいたしまして、こういう問題のあと始末をしていくのが一番いいのじゃないかというような考え方でございます。したがいまして私どもといたしましては、もし、ちょっとおかしいんだけれども再検査してくれとか、あるいはもう一ぺん入院さしてくれとおっしゃる方がいらっしゃれば、決してそれを拒んだり、それを何かするということは絶対にございません。現にそういう方が再入院しておられる事実からごらんくださいましても、決してそういうことを申し上げている事実はないというふうに考えております。したがって、もしそういうお話がございましたら、いつでも御遠慮なく言っていただきたいと思いますし、また、来月の医療対策委員会でもって、その具体的なアプローチのしかたにつきましても、いろいろ御検討を願うというふうな考えでございます。
○辻一彦君 まあ、なかなか努力をされている点はわかる点もありますが、しかし、具体的に切々たる手紙を見ると、なかなか総裁のその御発言が具体的にほんとうにそのまま進んでいるかどうか、問題点もありますから、これはあとでひとつ明らかにしながら対策をただしたいと思います。
 そこで三井三池のあの炭鉱のガス中毒と、今度の北陸トンネルの煙によるガス中毒、これは同じ性格なのか、あるいは違うとすればどういう特徴があるか。あるいはガスについて、有毒ガスについて毒性においてはどういう成分の組成を持っているか、この点、長くやっているともう時間がないので、簡潔に答弁をお願いしたい。
○説明員(加賀谷徳治君) 当時、委員会でもこれが討議されまして、この病名につきましては、まあ北陸鉄道型といいますか、そういう名前も付されたぐらいでございますが、そういう意味では三井なんかのあれと違いまして、非常に濃厚なガスを非常に長時間吸ったという形ではなくて、直接的な一酸化炭素中毒症というような形ではなくて、やはりばい煙とかそういったものをかなり吸っておって、そういうものが全部排出されるまでにいろいろ時間がかかる、その間において肺がある程度そういう意味でおかされますから、肺炎の症状が出るとか、そういったようなことで多少その一酸化ガスによっておかされたという症状の程度は低いというようなことで、特別な北陸トンネル型というような名前がつけられたくないのであります。そういう点で、あれとはだいぶ違っておるという判定のように伺っております。
○辻一彦君 その北陸トンネル型の中に、炭鉱の場合とは違って、新建材で燃えて、難燃性等のものが燃えて、それによって出た有毒ガスの影響というのはどの程度あるか、どう考えておられるか。それと千日ビルで同種の新建材の燃焼による煙がありましたね、そういうものと比べてどういう差があるか、この点どうですか。
○説明員(加賀谷徳治君) 有毒ガスによる影響ということについても、目下、医療対策委員会でいろいろ検討してもらっておりますが、まだはっきりした結論は出てないというような感じでございますが、そう多量のガスによっておかされておるというようなことではないというふうに私ども聞いております。
○辻一彦君 二月十六日に、これは北陸地方の新聞ですが、その中に医療対策委員会でこの委員長並びに黒岩教授が発言をされている、その記録がありますが、この中には、間欠型であり、患者の多くが呼吸器の症状を訴えており、今後ともその通入院患者ともに引き続き肺機能の調査を進める必要があると、特に北陸トンネルの場合声帯の麻痺、声門の変化などが著しく――現在はなおっている人が多いが、まだ声がかれる、出ない、こういう症状が残っていると、こういうことが発言されておりますね。こういうことはあれですか、新建材の燃焼したガス、それも長時間ではないというけれど、やはり六時間――八時間そこに放置をされて、そして助け出された、そういう方がかなり多いわけですね。そうしますと、かなりな長時間、新建材等による有毒ガスを吸収したさらに新しい問題もあるんじゃないかと、こういうふうに考えますが、この点どうですか。
○説明員(加賀谷徳治君) 声帯がおかされておると、まあ、しわがれ声がなかなかなおらないという症状を訴える方が、確かにいま先生のおっしゃるようにかなりあるようでございますが、それが当時のばい煙を吸ったためのあれなのか、あるいはまたそのほかに出ている何らかの有毒ガスによってそうなったものかというようなことにつきましては、一応いまの医師の診断といいますか、それからいきますと、気管支性の原因によるのどの炎症だというようなことでございまして、そういった因果関係のはっきりしたものについては、今後やはり対策委員会の研究によって明らかになるんじゃないかというふうに私ども期待しております。
○辻一彦君 まあむずかしい問題ですが、この新しい有毒ガス等によっての、どの程度の影響、因果関係があるかということはやはりまだわからない点もあると、こういうようにいまの御発言を受け取っていいんですか。
○説明員(加賀谷徳治君) まあ、いずれ対策委員会でその結論は出ることを期待しております。
○辻一彦君 まあ、そういう心配がないとは言い切れないというやはり問題もあると思うんですね。そこでこのアンケートなんかによっても八割の人が頭が痛い、のど、胸のいろいろな症状をなお訴えていると、こういう点から考えると、被災者の人が現在、まあ入院中あるいは通院している、あるいは一応なおったといわれるそういう人も、何かあとにいろんな症状が――後遺症というように断定される段階じゃなくても、後遺的症状といいますか、そういう症状が将来出はしないかという不安を非常に持っている人が多い。そうして、このアンケートを見ても、そういう場合に完全にひとつまず現在治療してもらい、それから将来そういう問題が出たときにどうしても完全な治療を受けたいと、こういうことがこのアンケートを見ても非常に多いわけですね。これは私は当然だと、こういうふうに思います。
 たとえば、私のどころに二百通ほどのアンケートと一緒にたくさんの手紙が来ておるんですが、これをいろいろ御紹介する時間はあまりありませんが、この中身を見ますと、将来後遺症が出やしないかと、その場合に心配だという声が実は非常に多いわけなんですね。たとえばこう言っておりますが、この方も家族三人が被災をして、御主人と子供さんはいろんな関係で先に退院をしたと、しかし年末まで入院をしておってせめて正月だけは家族と一緒に暮らしたい、こういうことで病院に許可を求めたら、外泊ができるなら退院したらどうかと、こういうことで退院をしたと、しかし正月に家におって結局は起き上がることができずに、もちもほかからもらって食べて、そうして正月後もう一度見てもらいに行ったら、これはとても無理だからもう一ぺん入院しなさい、こういうことで入院をすすめられたけれども、子供のことやそういうことを考えるともう入院はしておれぬと、こういう悩みを訴えていますね。こういう中で、こんな状態がいつまで続くのか不安でたまらない、将来後遺的な症状が出るんじゃないかと、こういうことを訴えている人がずうっとこれを見ると非常に多いわけなんです。
 あるいは、ある被災者ですが、私がたずねましたら、その奥さんが、字を書いたのを私に見せたのですね。その字も、田中総理大臣と書けない、田中とまで書いてあとは違った字が出ている。あるいは足し算、引き算ですね、そういうことを奥さんが渡しても、それがなかなかできないということで、定年前、まだまだ働く方ですが、非常に奥さんが心配をしている、こういうことがずいぶん具体的に会ってもありましたし、手紙でも来ております。こういう中で、一つは後遺症として断定をされて補償金をもらうよりも、現在の状況をもう完全になおしてもらうということが大事だと、こういうことを非常に、ぜひひとつもとになおしてほしいと、それだけが頼みだということを切実に奥さんが言っておられた。私はこれは当然だと思うんですね。そこでこういう、現在に万全の治療を尽くし、それから将来そういう問題が出たときにも、これはもう十分なひとつ対策を立て治療をする、このかまえが、私、先ほど総裁からもそういうことをやりたいと、やる考えがあるということを伺いましたが、もう一度確認をしておきたいと思うんですが、その点についての見解を一度お伺いしたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生おっしゃいましたように、やはりなるべくいまの時点でおなおしになるのが一番私はいいことだと思います。ですから、さしあたり多少長くかかっても入院しておられて、そして自信がつくまでおられて治療するというのが一番いいことだと思います。あとで、途中からまた後遺症で入院するというようなことは必ずしも得策ではないというふうにも考えております。したがって私どもといたしましては、極力もう気の済むまでひとつ入院していただいて、そして医者がいいと言い、御本人が納得されたら退院される。こういうような方法が一番いいことではないかというふうに思っております。
 ただ病院によりましては、多少近ごろ病人の多いせいか、非常に病院が満員になってしまって、何か出てくれというふうなことを言った病院があるとかないとかいうことを聞いております。そういう際には、何なら私のほうの直営の医療機関に来ていただくというのも一つの方法でございます。したがって、やはりなるべく現時点で多少長くかかっても、思い切り治療をされることが一番いいことではないかというふうに思います。しかし不幸にしていまなおったと、しかしまたおかしくなった、医者にみてもらったら後遺症だということになれば、これはもちろんそのときには十分私どものほうとしても、引き続き治療されたと同じようにごめんどうをみるというつもりでおりますし、ほかの例を申し上げて恐縮でございますが、現に私どものほうの病院でも数年前の事故の患者がまだ入院しておられる方がおられます。したがいまして、まあ私どもといたしましても、決してこの場限りのことでなしに、できるだけ長い間ごめんどうを見たいという気持ちでおることだけは率直に申し上げたいと思います。
○辻一彦君 そこで、いまの石川県の被災者の一つの例ですが、入院をしてお医者さんのほうはよくなったというのだが、どうも日がたっても頭が痛い、胸がいたい、そういうことは気分の問題ではないかと、こう言われて腹が立って地元へ帰った、地元の病院で見てもらったら何でもない、こう言われて金沢大学の病院へ行ったときに検査をして、胸の中にすすがたまり、こびりついている、頭の血管が異状がある、こういうことがわかって治療をやっている、こういうことが出まして、私は、まず現在いろいろな症状を持っている人を完全になおすことが大事だ、そのためには精密検査を全部ひとつやることが必要でないか、あとで出るよりもいま十分な検査をしてやることが大事だと、そういう意味で、この被災者全員に対して精密検査をやるように国鉄が積極的に、希望者がありましたらやりましょうと、こういうことではなしに、被災者全員に一度精密検査を十分受けてもらう、こういうことを積極的に国鉄がやるべきではないかと、こう思います。その点どうですか。
○説明員(加賀谷徳治君) 現在のところでは、いろいろあちこち散在しておりまして、いろいろ申し出のあったものについてはできるだけの処置をしておるというようなことでやっておるわけでございますが、全般について精密検査あるいは定期的に何か検査をすることを考えたらどうかというようなこともあるわけでございますが、こういったものは非常に特殊な病気といいますか、そういったようなことでございますので、一番いいのはおもに地元の、あるいは大学とか、地元で実際に扱った病院とかいうふうなことになってまいりますので、そういった点につきましても、そういった人たちは、いまちょうど都合のいいことに医療対策委員会を構成しておるというようなこともありますので、医療対策委員会にそういった点についてはどうであろうか、何かいい方法がありますかということで諮問しておる次第でございます。
○辻一彦君 これは少なくも四百二十人の人が十一月八日現在で入院しておりますね。この人たちに対しては御希望があったらやっていただくということではなしに、積極的に将来のことも十分考えて精密検査を受けられるように、私はぜひひとつ医療対策委員会で検討して打ち出してほしいと思います。
 同時に、私も結核をやって二、三年寝たことありますが、結核の場合ならば療養所を出てから六カ月ごとに定期診断をやって再発がないか、あるいは心配はないか、こういうことを調べます。同様に私は、今度の場合も、これは新建材等による有毒ガスをかなりな時間、長時間吸収して、それによって起こる問題が科学的に十分解明されていないとすれば、こういう定期診断の必要性がやはりあるのではないか、こう思いますが、これもあわせてどう考えるか伺いたい。
○説明員(加賀谷徳治君) いまの有毒ガスももちろん含めての話ですが、医療対策委員会のほうにもいろいろなデータが集まっておるはずでございます。それらを全部総合して、現在までのいろいろな症状を勘案いたしまして、いわゆるはっきりした後遺症というものが残るのかどうかという判定をいまお願いしておる。その中で、いろいろ医学的な科学的なお答えが出てくるということを期待しております。
○辻一彦君 定期的な診断も対策委員会で検討されてするということですね。
○説明員(加賀谷徳治君) そうです。
○辻一彦君 これはおそくなって出てたいへん困る場合よりも、早く精密検査や定期検査によってなるべく状況をつかんで治療を十分やってもらう、こういうふうにぜひしてもらいたいと思います。
 それから先ほど総裁は、現在の人が完全に治療するのが大事だ、こういう御発言であった、私はそのとおりだと思います。しかし現在被災した人が入院している、あるいは通院している人が十分治療を受けるにはどうしても暮らしの問題があります。まあ給与が何カ月か休んでも心配がないというふうな条件の人でもあれば別として、そういう人でも私はボーナスとかいろんなことの問題が出てくると思いますが、特にたとえば自営をしている人、これは私どもにたくさん来ていますが、大工さんとか、あるいは子供をかかえた主婦であるとか、あるいは学生さんであるとか、こういう方は安んじて治療するにはやっぱり最低の暮らしの保障がないと、おちおち入院もしておれない、あわてて出てしまう、通院もしておられぬ、こういう問題が私は非常に具体的にあると思うのです。そういう点で、たくさん手紙の中にも出ておりますが、それは別として、休業した補償を、暫定的に所得をある程度考えて、暫定的に休業補償をするということが、そういう暮らしの不安を何とか防ぐ上に、あるいは安心して治療する上に非常に大事だと思いますが、こういう暮らしの暫定補償というものを早急にする考えがあるのかないのか、その点……。
○説明員(磯崎叡君) 暫定にはいまおっしゃったように、確かに現在治療、通院している方で非常に生活が困っておるという方がおられます。実はその中でも特にこういうお申し出がありまして、たいへん事情がお気の毒だと思った方々につきましては、すでに年内、去年で約九十数件暫定払いをいたしております。これは全面的にということでなしに、お困りの方につきましては御事情を伺った上である程度の暫定的なお支払いをするということで、すでに九十数件のお支払いをいたしております。
○辻一彦君 私にいろいろ来ている手紙等を見ると、まあ三カ月も放任されて何の話もないとか、いろんなあれが来ておりますが、かなり暫定補償されている点もあると思いますが、私は、これは早急に調査をして、困っているような人にはすみやかに暫定支払いを行なう、こういうことをひとつ考えてもらいたいと思います。
 それから次に、いろいろ病院に通うのに毎日タクシー代が要るとか、こまかい問題がありますが、こんなことはひとつ十分具体的に検討して対策をしていただきたいと思います。
 そこで、治療はやはり専門的にやらなきゃならない。ところがのどを痛めて、そうして声帯が痛んで声が出ない、そういう人は耳鼻咽喉科もない病院に入って非常に困っておられるという例があります。これはプライベートな問題なので、名前等を出すことはどうしてもできませんが、声楽の、音楽の声楽のほうの教師をしている方が、この手紙を読んでくれるだけでも自分が救われるという、こういう手紙が来ております。身のやり場のない単調な暮らしの明け暮れに半ばあきらめ顔で、それでも少しでも早くよくなりたい、それだけがささえになって入院生活を続けていると、こうずっと書いておりますが、楽器よりも声楽の勉強を続けて、ある発表会にも大きな都市で出て、いろいろ希望を持っておったと、こういう方がいま声が出ないと、また声帯が赤くなって、二カ所のぶつぶつがあって完全になおらない。何もしゃべらないことが一番いいと、こう言われているが、お医者さんの話から判断しますと一ヵ月や二ヵ月じゃとても無理なようで、半年でもむずかしいことになったと、そう言ってますね。そして専門的な治療ができないかといいますと、国鉄のほうの御答弁は、私どもは医者じゃないので治療のほうは病院の先生におまかせしてあるからそれより方法がないと、こう言われる。ところが病院に申し上げますと、ここには耳鼻咽喉科はないからほかへ行きなさいと、こういうことも言わずに、文句があるなら国鉄に言いなさいと、こういうような冗談すら出ておるという、こういう方はやはり専門的な治療を、しかも声楽という一番のどが大事な、声帯が大事なそういう職業を持ちながら、そういう状態に置かれているということですね。私はこの例だけではなしに、たくさんの例がありますが、専門的な治療を精密検査をやって、直ちに検討してやるということが大事ではないか、こういう点を考えますが、この点はどうですか。
○説明員(加賀谷徳治君) ただいまの例の場合は、確かにその声、しばらくの間でもやはりしわがれ声になるということは非常な影響があると、このように思います。
○理事(江藤智君) もうちょっと大きい声で。
○辻一彦君 ちょっと大きな声で答えてください。聞こえない。
○説明員(加賀谷徳治君) 治療につきましては、できるだけ早く治癒をするということが必要だと思いますので、そういうものにつきましては、特に私どもも専門家をあれして、また、なお何といいますか、そういう治癒に努力していきたいと思います。
○辻一彦君 これは福井県のほうのある町の主婦の方ですが、声帯が麻痺して、まだものを言ってもつらい、そして九州の炭鉱の先生にでも見てもらいたいと、こういう手紙が来ていますね。この九州の炭鉱の先生というのは御専門の黒岩教授をさしておられると思うんですが、やっぱりこういう方がいなかに帰られて、そして専門的な治療の手が差し伸べられずに放任をされている。そして九州の炭鉱の先生に見てもらいたい、こういう声が、手紙が来ていますが、私は専門的な角度からひとつ調査の上、こういう声を聞くと、まさに私は声なき声ですね、声が出ない。この人たちのそういう切実な声をどう聞くかという点、治療には専門的の万全の手を尽くさなくちゃいかぬじゃないかと、その点が不十分じゃないかと、こういうふうに思いますけど、その点もひとつ十分考えてもらいたいと、こう思うわけであります。
 それから、そういう点からいって、私はさっき追跡調査と言ったのは、心配がない、もう示談はこの程度進んでいます、それから入院中は何名、まあ一酸化炭素でほんとうに後遺症と断定した人は一人、そういう状況ではないから、国鉄はやっぱり責任をもって一人一人の患者に、被災者について追跡調査をやって実態を把握すべきじゃないか、こういうことをさきに申し上げました。この点が非常にまだ足りないように思いますが、総裁どうですか、その点。
○説明員(磯崎叡君) 私のほうもできるだけやっておるつもりでございますけれども、具体的にそういうただいまのお二人の例、私も耳にいたしております。たびんお二人とも黒岩先生に見ていただいたと秋思っておったんですが、あるいはそうでなければ次の機会までにぜひ黒岩先生に一ぺん見ていただくようにいたしたいと思います。私もよく存じ上げている例でございます。非常に声楽家の、たしかあれは学校の音楽の先生だったと思いますが、たぶん黒岩先生ごらんになったと思うのですが、もしそうでなければ、いまもう一つの例の方もちょっと伺っておりますので、ぜひ私ども事務的に連絡いたしまして、今度おいでになる機会にぜひ見ていただきたいと思っております。
○辻一彦君 このアンケートの結果によっても、将来後遺的症状が出るのではないかということを懸念しておる人が非常に多い。そこでこれは、南条の第一次救援隊に参加をした消防隊員の方ですが、この方の手紙を見ますと、朝一番最初に救援隊を組織をして中に入って第一次救援をやっておった。二次救援隊が来ないので今庄口に連絡に行ったときに煙に巻かれて自分も倒れて、そして助けられたと、決死隊三人が入ってようやく引き出してくれたと、こういうことで入院をされて、あとでいろいろ注射を打ったりやっておられる。この人の手紙の中に、一度なおってもあとどうも心配があると、そういうときに治療が受けられる証明書がもらえるか、こういうことをですね、将来のためにほしいというのが一つあります。
 それからまた、これは学生ですが、やはり示談はしたんだけれど、そのときにはまああまりからだの調子はそう思わなかったが、そのあと虚脱感というか、力が抜ける、それから頭がふらつくと、こういうことで後遺的症状の心配があるのだと、しかし示談書に判を押してしまったので、これはもしそういうふうになった場合に非常に心配だ。こういう声が出ております。
 そこで第一に、将来被災者が後遺的な症状が出たときに、国鉄は責任をもって十分な治療をするかどうか。これは先ほど伺いましたが、もう一度念のために。
 第二は、これからいろいろ行なわれる示談書の中にそういうものを条文にしてほしいという被災者の声が非常に多い。これは私、十八日の日曜に福井で被災者の大会が開かれて全国から七、八十人被災者の方が見えた。そのときにちょっと聞いておりましたが、こういう声が非常に多いわけですね。したがって、その示談書の中に、将来後遺的症状が出たならば、これをひとつ十分治療のめんどうを見るという条文を入れてもらえるかどうか。
 それから第三に、後遺症であるかどうかということを認定するというのは非常にむずかしい問題だと思いますが、そういうような認定の基準の作成というようなことを医療対策委で御検討のように新聞で見ましたが、どういうように考えておられるのか。
 もう一つは、第四として、新しい有毒ガスによる初めてのケースであるとするならば、認定の条件というものをあまりきびしくすれば、全部その因果関係等からはずれてしまうだろうから、なるべく認定条件を緩和をして、こういう症状が出た場合にこれを救済する、そういう考えがあるかどうか。この四点について後遺症が将来出た場合という前提において伺いたいと思います。
○説明員(加賀谷徳治君) その病気の症状が、予想せざる症状があとでこう出てきたという場合は、これはもう治療をしていただくということについては先ほど来申し上げておるとおりでございます。
 なお示談の問題につきましては、原則としてこの示談は医者がもう治癒したという人についてまあ話をつけてやっておるわけでございます。したがって、それはそれで一つの解決だということにはなると思うのですが、特にあとから何か症状が出て、医者がはっきりこれは後遺症的症状であるというその証明が問題ですが、その点はいま医療対策委員会でそういった基準といいますか、そういう認定のしかたについて答えを出していただくわけですが、そういったものがあれば、これは示談書に何も特に書いてなくても、そういうことを、先生おっしゃるようなことを別に書いてなくても、私どもとしては当然お話に応ずるということになるわけでございます。
○辻一彦君 口頭ではそういうことを伺っておるとみんなこう書いていますが、それをひとつ示談書の中に、条文で、簡潔でもいいけれど条文化をしてくれないか、あるいはそういうのが出た場合には治療をするという証明書を出してほしいという、こういう声が非常に強かったのですが、この点についてどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(加賀谷徳治君) 治療の証明書は、これは北陸トンネルで負傷された方というのは、こちらで全部わかっておりますので、ですから、御本人に間違いないということがはっきりすれば、これは特に証明書といいますか、そういったもので御本人に間違いないとなれば、その人の治療をやらなきゃならぬということになると思いますが、先ほども申しましたように、条文を入れても入れなくても、これは結果としては同じだというふうに私どもは考えております。
○辻一彦君 じゃあ条文を入れても入れなくても結果として同じということは、そういう症状であれば治療に万全の対策を立てると、そういうことですね。
○説明員(加賀谷徳治君) 後遺症の症状の、医者の判定といいますか、そういったものが条件にはなりますけれども、そういったものがはっきり下ったというふうな場合には、当然そういうものに応ずるということでなければいかぬと思っております。
○辻一彦君 私の第四の質問の中の、非常に基準をきびしくすればなかなかむずかしくなるし、なるべく緩和をするというか、これは非常にむずかい問題でしょうが、あとに出てくる頭、のど、あるいは胸等については、なるべく条件を広げて救済をするようにと、これについてはどうですか。これは医療対策委員会の基準との関係があろうかと思いますが、そういう基準を作成されるときに十分そういう点を考えて基準をつくられるかどうか、その点はどうですか。
○説明員(加賀谷徳治君) これはやはり、純粋に医学的に専門家の結論を待つより、私どもはなかなかものさしがない性質のものでございますので、そういった医療対策委員会の結論を待ちたいということでございます。
○辻一彦君 これは医療対策委員会において十分その声をくみ入れて基準をつくるならば、つくってもらうようにしたらと思います。
 そこで先ほど私は、休業補償の問題にちょっと触れましたが、暮らしに困る人、安心して入院しておれない人、安心して通院ができない人、こういう人もずいぶん多いということを申し上げました。
 そこで時間の点もあって、いろんな例を紹介することはできませんが、三カ月間、一家の大里柱、洋品雑貨商なんかを営む御主人が三カ月間ぶらぶらして所得がないので家族とのもめごとがあって、毎日家の中がごたごたする、こういう訴えがありますね。
 あるいは女一人で暮らしをしているのに、二カ月入院、十日も休んだんだけれども、小さな会社におそらく日雇いのような形で出ている女の人と思いますが、これについても暮らしの補償を何か考えていないか。
 あるいは、これは富山の方でありますが、声帯が麻痺して声が出なくなったので御主人が付き添いに来て、長期にわたって失業してしまった。これは非常に困っているとか、あるいは先ほどちょっと出ましたが、声が出ない方ですね。三カ月も何のお話もなしに放任がされている。もの言うのもつらい、こういうようにずっと暮らしの状況を訴えている方が非常に多いと思います。こういう点を見ると、誠意ある努力をされているという、そういうふうには、私はことばどおりに受け取りたいのですが、非常に問題があるように感ずるわけなんです。特に三カ月も放任しておくというような例があっていいのかどうか、この点総裁どうでしょう。
○説明員(磯崎叡君) 三カ月もほうってと、お話みたいな例は私はまずないと確信いたしておりますし、実は御承知かと思いますが、病院には全部私のほうの職員を張りつけてございます。もしそういうお話があれば、必ず私のほうの耳に派遣職員から入っておるはずだと私は思っております。しかし万が一そういう手ぬかりがあってはまことに申しわけないことでございますので、さっそく――私はないと思っておりますが、取り調べることにいたしたいと思います。
○辻一彦君 そこで補償の基準が各管理局ごとに非常にばらばらで、九州の方からの二十一日入院した自分の場合は、金額的にいうと、いろいろな計算をして八万円の示談の金額はあったんだが、それが同じような状況で無理をして仕事の関係で帰って、入院をせずに通院をしながら、無理につとめて非常に状態の悪い人が、それは三万円で終わっている。こういうふうに具体的な例が上がっておりますが、個々の例は別として、基準がないので、ともすると一人一人の被災者は弱い、だから弱い人に強くあたるという結果になって不信感を招いているような例が私はわりと多いんじゃないか。せっかくこれでは努力を国鉄がされても、そういう不信感を持たれるようではいけないと思いますが、こういう点で補償の統一基準を示して、一応それに基づいて話をしていくというようにすれば、そういう不信感を緩和することができるのじゃないか、こう考えますが、この点どうですか。
○説明員(加賀谷徳治君) 補償につきましては本社で一定のものをきめましたものに基づいて実施をしておるわけでございまして、その負傷の態様と申しますか、そういったものとか医者のいろいろな診断、そういったようなものによって個人個人、それは微妙な差が出てまいりますので、そういった意味で違ってくるというふうなことはあると思いますが、基準がどうだからということで、地域的な差が出るという問題は私どもはないと思っております。
○辻一彦君 ないと断言されますけれども、具体的な事実としてはあまりにも多過ぎる、こういう点で私は申し上げておる。一人一人は千差万別でいろいろ条件があると思うんです。だけれども、一応の統一基準を示して、その上で千差万別を考えていく、こういうことにするという点から、基準があるならば、それがその被災者の人に理解をされていないということですが、そういう被災者の方に示される共通の基準があるんですか。
○説明員(磯崎叡君) いま加賀谷から申しましたとおり、大体なくなった方につきましてはお一人お一人全部本社で査定と申しますか決定いたしました。負傷者は非常に数が多いことと、地域的にばらばらなために各管理局にやらせましたけれども、実際の算定の基礎につきましては、大体御承知のとおり、治療費はこれは問題ございません。一切これは私どものほうでまかないます。それから治療中の慰謝料、これはいろいろ自賠責その他の例がございますが、そういう例を相当上回った治療中の慰謝料の算定を命じております。これは自賠責にははっきり出ておりますが、一日幾らというふうに出ておりますが、それを相当上回った金額で算定さしております。
 また一番問題は、私は休業補償だと思います。休業補償につきまして非常に、さっき先生たまたまお触れになったように、はっきりした会社その他につとめていた人は、わりあいに休業の損失がわかるわけでございますが、たとえば個人企業とか、あるいはいまおっしゃったような受け取りのないような企業になりますと、非常に休業補償の算定がむずかしいということでございます。あるいはそういう点についての認定のしかたが若干人によって違っているということがあるかもしれませんが、これは非常にむずかしくて、なるべく御本人のおっしゃっていることを聞いておりますけれども、もし違うとすれば、その休業補償の一日当たりの収入の見方について非常に明確でない方々についてのいろいろなお話し合いにおいて若干認定の差異が出てきたのかというふうに思います。
 また物件損害、これははっきりしておりますが物件損害、つまり雑費等の加算額でございまして、それがおのおの傷の程度によって違う、こういう算出でもって、こういう傷なら幾らというふうに全部計量化して出すわけにはまいりませんので、やはり抽象的な文句になりますけれども、大体各管理局の人間も、こういうことはわりあいにときどき残念ながらあるものでございまして、そう初めて手がけた仕事でございませんので、大体私のほうの基準とそう違ったような算定はしていないと思います。もし違っているとすれば休業補償の基礎給与の見方などが少し違った原因になったかと思いますが、あとは一律――大体一律でございます。
○辻一彦君 そういう基準があるならば、被災者の人たちが見せてほしい、示してほしいと言われればぜひひとつ出して、私は納得を、理解をしていただく、こういうようにすべきであると思います。
 それから休業補償も、その所得がいろいろむずかしいからといってほうっておけない状況が、先ほど私が紹介申し上げたようにあるのですね。これについてやっぱり早急に休業補償を暫定的にも、対策を先ほどの御答弁のようにやっていただきたい。
 それからもう一つは、一人一人の人は非常に弱いといいますか、入院をしていたときには非常に丁重に扱われる。ところが転院をして地元へいって一人一人になると非常に前と様子が変わってくる、こういう点がいわれておりますが、やはり私は、子供さんとか、あるいは子供をかかえた未亡人だとか学生だとか主婦だとか、こういう弱い人にも十分ひとつ考えなくてはいかぬのじゃないか。
 特に弱い被災者がそういう点である集まりをもって、そして自分たちのいろんな願いを反映さしたい、こういうことでいま被災者の会というのをこの人たちがつくっておりますが、金鉄ではこの被災者の会は当事者能力なしとこういうので認めないというような判断をいままでされていた。しかし、この十八日の被災者の大会で二十五日までに本社と相談をして、そうしてこれについての見解を知らす、こういうことであったわけですね。そこで私は、こういう一人一人は弱いけれども、こういう被災者が二百五十名で一つの会をつくっていろんな意見を、希望を話してきておられる、こういうのを交渉の団体として認めたほうがいいのじゃないかと思いますが、この点どうお考えか。
○説明員(加賀谷徳治君) 本来負傷したものが、負傷した当人が国鉄にその損害を請求する、こういう法律関係になるわけですが、したがって被災者個々人と国鉄との話によって問題を解決するというのが法律のやはりたてまえであろうと思います。ただいま先生おっしゃられました被災者の団体というものも性格はいろいろあると思いますが、しかし、そういう団体としてお話のありましたことについて私どもが、個々の問題というか、いろいろな考え方といいますか、そういったことについての話し合いは別に拒むものではないというふうに考えておる次第でございます。
○辻一彦君 話し合いは拒まないということはわかりますが、この被災者の会、二百五十名からがいま集まっておりますが、そういうものを交渉の団体として認めるのか認めないのか、どうなんです。
○説明員(加賀谷徳治君) これはもう非常に個々人によっていろんな微妙なケースがございまして、微妙な問題もからんでくるというようなこともありますし、それから、これまでにも過半数でございますが、かなり解決しておるというようなものもたくさんあるわけでございますが、そういった点でいろいろ微妙な問題がございますので、明らかに本人がたとえば全権を委任してこの人にかわって交渉してもらうんだというようなものであれば、これは当然でございますが、その団体につい七個々の折衝はたてまえからしてやはり非常にむずかしいのじゃないかというような感じでございます。
○辻一彦君 時間が来ておりますから急ぎますが、示談のやり方等を見ても、子供さんの場合なんかの中には見舞い金を示談金から引いたというような例もこの手紙にありますね。こういうことは普通は私はあり得ないことだと思うのですが、こういうことが出ております。あるいは衣料を買ってくれと、しかしそれは補償金が出る段階になると差し引きをする、こういうことを聞いている。まあ、これは聞いているということですが、こういうことは私はあってはならないことですが、一人一人の被災者の人は、さっきも言ったように、病院におるときにはたくさんかたまっておったのでいろんな話もできたけれども、ばらばらになって別れてしまうと、それはもう地域にみなちらばってしまう。そういうときにいろんな話が出たときに、わりと弱い立場にある。たとえば役場につとめているある人は、毎日示談の交渉に見えるので、いかなこと公務員――役場におってこれだけ足を運ばれるとどうもならぬ、こういうので、非常に不本意だがおりたというようなこともありますが、私は、家庭で女一人あるいは老人であるとか、いろんな条件の人で、わりと一人一人が弱い、そういう人の意見がもう少しよく出るようにしてあげるために被災者の会、こういうのを交渉団体として認めて、そして統一の補償基準であるとかそういう問題は、こういう会とある程度交渉してきめられたほうが、一人一人とやるよりもむしろ効果的でないか、こういう観点からも思いますが、被災者の会をどうしても認められないというような理由があるのかどうか。その点どうですか。
○説明員(磯崎叡君) 実は、私どもときどき事故を起こしましてそういうケースがたくさんございます。過去の例におきましても、そういう会ができまして非常にあとから混乱したこともございます。またうまくいったこともございます。そういう意味で、一人一人の災害にあわれた方がもうこの会にまかせるんだというふうに言っていただいてしまえばこれは問題ない。私どもはもちろん直接にお話しするのが法律関係でございますけれども、その相手の方々がそういう団体におれの言うことはみんなまかせたとおっしゃってくださればいいのでございますが、その点がはっきりいたしませんと、過反の実際の私ども扱った例から申しますと、そういう団体は非常に実はあとあとむずかしくなります。かえって非常に話がこんがらかってしまうような例も実はあったわけでございますので、いま加賀谷がそういうふうに申したわけでございますが、できれば、私どもは何もばらばらにして強い立場でというそういう卑しいことでなくて、やはり私ども末端の職員が本気になってお世話するのが一番いいんじゃないかというふうに思います。
 そういうわけで、この二十八日までに御返事することになっているようでございますけれども、もうちょっと、私どものほうもいままでの例を考えまして、どうしたら皆さまの方、ことに弱い主婦の方とかいう方々が損をされないようなかっこうでその話ができるように持っていきたいというふうに思っておりますので、目的は同じような目的でございますが、どういうふうなアプローチをしたら一番いいかということにつきまして、もう少し御返事するまで部内で考えたいというふうに思っております。
○辻一彦君 私はこの間、被災者の会のいろんな意見を聞いておりましても、個々に一人一人にどうしても話ししなければならぬ問題もあります。しかし全体として最低これぐらいはやってほしいという問題は交渉する団体もある。そういう点から被災者の会を交渉団体として認めて、全体に共通する問題はここで交渉するというふうにしたほうがいいんじゃないかと思いますが、その点については被災者の皆さんの強い声もありますから、十分ひとつ御発言のように検討していただきたい、こう思います。
 最後に、これは遺族に対する補償とそれから職員に対する補償の問題でありますが、私の手元に遺族の方からも手紙が来ておりますし、なくなられた機関士あるいは人事不省で非常に努力されて、最後に病院に入院されて退院されたそういう人たちの状況を見ている周辺の方から、やはり率直な、こういうのをほうっておいてはいかぬという声が強くまいっております。
 そこで一つは遺族の方ですが、わりと多い声は、葬儀や合同慰霊祭においては国鉄の丁重な態度には感謝をする、しかし丁重ではあったが遺族一人一人に職員の皆さんが非常に丁重に付き添われた、そういうことで、遺族全体が集まっていろんな話をしたいという機会が、あの福井の合同慰霊祭にせっかく集まりながらついにその機会がなかったと、こういう点が、誠意を尽くしていただいたというような受けとめ方の反面、何か遺族みんなが一ぺん集まっていろいろ話し合いをしたい、そういう機会が意図的に避けられたんじゃないか。こういうような感じを持っている方もかなり多いようでありますが、この点は私はいろんな受けとめがあると思いますが、この点についてどうお考えなのか、総裁ひとつお答えいただきたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 御承知のとおり、非常に全国の方がおられたもので、皆さんいろいろ御都合がございます。しかし私のほうでも、たとえば一周忌とか、そういう物日、紋日にやはりもう一ぺん全部お集まり願う、あるいは慰霊碑をつくるとか、いろいろこれからお話があると思います。そういうチャンスを利用いたしまして、できるだけ、そういう方がみなお集まりになってなき人をおしのびになる機会をお持ちになることに、もし御援助できたらというふうな気持ちでおります。
○辻一彦君 そういう機会をぜひ持ってもらうようにしたいと思います。
 それから、あと二、三点で終わりますが、この補償額、これは遺族の方が、補償額の計数の算定について、金額だけが明示をされて、その中身についてはなかなか説明がいただけないと。それで説明をしてくれと言うと、それは弁護士さんに聞きなさいと。しかし弁護士さんに、相談すると一万五千円ぐらい相談料を取られますと。こういうことで、金額は示されるけれどもその中身について納得できるような説明が受けられない、こういう声がかなり来ておりますが、この点について私は、十分、むずかしいものでありますが、中身についてやはり理解をしてもらうような努力を当然すべきであると思う。その点どうです。
○説明員(磯崎叡君) 私のほうの、なくなった方に対する補償の算定基礎につきましては、政府が去年、例の全日空とのときにやりました算出方式等ございますので、これが公定版になっておりますが、いわばホフマン式で計算した喪失利益と慰謝料というものの合計になりますが、それでは今度の方々が、わりあいに収入の少ない、主婦のように収入の算定に非常に困難な方がたくさんおられましたので、とてもこれでは数字になりませんので、相当実は大幅な調整額を加えました。それがむしろ逆に申しますれば、一千万円を下らないというところに、逆に筋を置きましてやりましたもんですから、非常に調整額がばらばらでございます。そういう意味で、そういうことを一々申し上げますとかえってむずかしいんじゃないかということで、一本で申し上げておりますが、どうしても説明を聞きたいとおっしゃる方には、ごくその三つぐらいの内訳は申し上げていると思いますが、非常に調整額が多いもんでございますので、多少段階がありますので、その点で少し逡巡して、を申し上げているというふうに思います。
○辻一彦君 まあ非常にむずかしい問題でありますが、そういう気持ちをやはり配慮して、説明を求められればぜひそういうようにお願いをしたいと思います。小さい子供をかかえた未亡人であるとか、それからいろいろな方の切実な声もありますが、これは十分対策も立てておられると思いますが、遺族の方の補償については、十分な点をひとつ考えていただくことに願いたいと思います。
 それから第二に、トンネルの中で殉職をされた機関士の方があります。非常に痛ましいことだと思います。また救助作業に非常に努力をされて、人事不省になって一週間も気がつかなかったと、こういう方もある。こういう職員の殉職された方に対する補償の問題、これは心配ないと思いますが、あるいは職員で入院された方が、やはりみんなが退院をしておるのだからといって、場合によれば急いで退院をして、あとに後遺的ないろんな症状に悩むということがあってはいけないと思いますので、この点についても万全の対策をとるべきである、後遺症等の心配がないようにすべきであると思いますが、遺憾はないと思いますが、この点もう一点だけ伺っておきたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 私のほうの職員にまでいろいろ御心配いただきまして、まことにありがとうございます。
 私といたしましても、遺族の、あるいは被災者の救護が一段落いたしましたと同時に、なくなりました作田君を殉職の扱いにいたしまして、またその他の職員につきましてもできるだけの手厚いことをしたつもりでございますが、なお遺憾のないようにいたしてまいりたいと思います。たいへんありがとうございます。
○辻一彦君 予定として、私はもう一つ、いわゆる安全対策と当局の責任のあり方という問題を伺いたいとこう思いましたが、時間が非常に過ぎましたので、この問題は別の機会にして質疑を終わりたいと思います。
 そこで、第二の問題で、被災者の実態ということがいろいろ質疑を通して明らかになったと思いますし、まだまだ訴えなくちゃならない不十分な点がございます。しかし、そういう実態を十分ひとつ把握をされて、まさにひとつ、総裁と当時の運輸大臣が現地に行かれて、できるだけのことをしたい、御心配のないようにする、治療にも万全を期する、こういうことを当時の運輸大臣と総裁が現地でそれぞれ発言をされた、それをぜひ守ってやってもらいたい、こういう被災者の声が非常に強いということを最後に申し上げて、まとめて大臣からこの点について一言伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 北陸トンネル内における火災事故、これは申すまでもありません、国鉄当局はもとよりのこと、運輸大臣としても非常に責任を痛感しておるところでございます。
 ただいま国鉄当局から申しましたように、この問題につきましては、ほんとうに誠意をもって賠償及び治療のためにあらゆる措置を講じ、詰めるように、国鉄に対して極力指導をしてまいるつもりでございます。
○辻一彦君 終わります。
○瀬谷英行君 せっかく大臣がお見えになっておりますので、若干基本的な問題についてお伺いしておきたいと思うんですけれども、いまの北陸トンネルの問題にいたしましても、あるいは新幹線の脱線事故にいたしましても、およそ事故というのは絶対にないということはないと思うんですよ。どんなに飛行機が発達してみたところで、やっぱり飛行機はときどき墜落するわけです。それから船だってやはりときどき沈没をするし、そうしてみると、およそ走るものは事故がないということはこれはあり得ない。だから考えてみると、事故をなるべく起こさないようにするということが第一だし、それから絶対にないというわけにいかないんだから、事故が起きてもその被害を最小限度に食いとめるという方策を講ずることが必要じゃないかと思うんですね。事故を起きやすいようにしておいて事故対策にばっかり万全を期してみても始まらないと思います。
 そこでこれからの国鉄のあり方、これは国鉄に限りませんけれども、交通機関のあり方として、安全により一そう重点を置くべきではないかという気がする。そのために金もかけなければならないし、そのために人も配置しなければならないというのが鉄則でなければいかぬと思う。ところが合理化政策というのは、なるべく人手を節約をしようと、金も節約をしようと。それがいわば合理化政策という具体的には形になってあらわれてきておりますね。そこで今後、合理化を進めなければならぬという問題が出てきた場合に、その安全対策とその合理化とをどういうふうに調和をさせるつもりなのか、大臣の基本的な考え方をまず最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先般、私の所管事項御説明の際にも私の考えを申し上げたのでありますが、交通機関は人の生命を預かっている機関でございますから、私は何をおきましても、安全対策というものに主眼点を置いて陸海空のこの交通機関を動かしてもらいたいということを申し上げたわけですが、就任以来まだ日が浅いんでございますけれども、航空関係におきましても、陸上交通のほうにおきましても、あらゆる機会をつかまえまして、そういう方向で私の考えを申し述べ、具体的に着々その方向に向かって各交通機関が協力してくれていると考えておるのであります。もっとも、日が浅いですから、まだ実効がどこまであがっておるかは疑問でございますけれども、今後ともこの安全第一という主義をこれはどこまでも堅持していきたいという考えでございます。
 したがいまして、いまお話しになりましたように、合理化といいますか、ことばはいろいろ使われますけれども、省力化をして、その結果安全を阻害するようなことになりますと、これはもう非常な私は本末転倒になると思います。したがいまして安全対策を破壊するというとことばが過ぎますけれども、それに障害のあるような方法でもって合理化することにつきましては、これはもう極力再検討し、慎重に問題を処理してもらわなければならぬ。これは国鉄に限らず、あらゆる交通機関についてそういうふうに考えておる次第でございます。
○瀬谷英行君 たとえば新幹線の問題ですが、たまたま脱線事故を起こしたけれども、二重衝突のような事故に発展しなかったというのは不幸中の幸いだと思うんです。しかし新幹線にしても、私はできたときからちょっと不安を感じたんですけれども、上下線の間隔というのは一メートル足らずなんです、列車がすれ達う場合。複線でもって幅はたかだか十メートルそこそこです。しかし高速道路をつくる場合は、高速道路の場合は幅が少なくとも三十メートルから五十メートルぐらい用地を買収します。それで新幹線と比べると輸送効率は全然問題になりません。新幹線が安全を期する場合には、いまたまたま大きな事故がないけれども、二百キロ以上のスピードで走っているんですから、その二百キロ以上のスピードで走っている新幹線がどう間違っても絶対に脱線なんということはあり得ないということは、これまたあり得ないと思うんです。だからもしそういうことがあっても、二重衝突やら何やらそういう派生的な災害を少なくするためには、いまの新幹線よりもう少し用地の幅をあと二メートルか三メートルだけでも広げる。それだって高速道路には及ばないわけですから。そういうことによってかなり安全を期することができるんじゃないかということも考えられる。
 それからトンネルにしても、北陸トンネルでもってああいう悲惨な事故がありましたけれども、いま北陸トンネルより条件の悪い、もし火災が発生したならば、条件の悪いトンネルはあるわけです。たとえば単線のトンネルですね、あるいは地下鉄ですね。地下鉄なんかの場合は、ほんとに窓と壁との間はわずかしかない。いま、たまたま火災なんということはないけれども、ああいうぎりぎり一ぱいのトンネルの中で火災が発生した、逃げ場所がないということになったら、これは北陸トンネル以上に悲惨なことになる。だからそういう、もうすでにできてしまったものを改修するというのはなかなかたいへんだろうと思うけれども、これからつくる鉄道、新幹線にせよ、あるいは新線建設にせよ、これからつくる鉄道の場合には、もっとゆとりをもって安全対策に万全を期するのがほんとうじゃないか、こういう気がするわけです。
 そういうことに対する考え方が一つと、それから新線を建設した場合に、これは実にばかげたことがあるんですけれども、武蔵野線がもうじきでき上がろうとしている。ところが武蔵野線ができ上がった場合に、国鉄あるいは東武伊勢崎線なり東武東上線なり、西武線なりとクロスするところがある。そのクロスするところでは乗りかえ駅がそこにできないので、武蔵野線ができても乗りかえができないという問題が出てくるわけです。新聞に、これは二月十日の朝日に載っておったのでありますけれども、東武伊勢崎線なり東上線は、せっかく武蔵野線ができても、東武鉄道側は駅用地の無償提供を迫って話し合いが進まない。地元じゃぜひ乗りかえのための駅をこしらえてくれと、こういう要望があるんだけれども、どうも開業までにはこの話は間に合いそうもない。で、その沿線住民の不満は高まるばっかりだというのが、これは新聞にも出ております。何でせっかくこういう新線をつくる場合に、在来線――在来線というか、私鉄と交差をする場所でもって乗りかえができるようにしないのか。しろうとが考えてみたってばかげた話ですよ、これは。国鉄と私鉄だからわざわざ乗りかえの便をはからないようにするんじゃないかなんということを一般の住民は言います。そんなことをする必要はないと思うんです。
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
だからこういう問題が出てくる前に、表面化する前に、これは交互に乗りかえができるようにする。損得の勘定をしてみればどっちが得になるか損になるかわかりませんけれども、利用者の便宜をはかったならば、そのくらいのことは当然考えるべきじゃないかと思うのですが、この点、運輸大臣にこれまたお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 前段にお述べになりましたことは、大体瀬谷先生のおっしゃるとおりだと思います。私は技術的な方面はよくわかりません、わかりませんが、北陸トンネルの事故がありましてから、国鉄に対しても前大臣からも特別の監査をしたり、それに対して報告がありましたりいたしまして、私からもこういう方向で設備をしなさいということを注意をしております。ですから国鉄のほうの例をとりましても、北陸のトンネル事故がありまして以来、非常にむずかしい話かもしれませんが、いままでのトンネルについて調査をいたしまして、同じような事故が発生しないようにあらゆる努力をしておるということでございまして、ことに今後、たとえば青函トンネル、その他相当長いトンネルができますから、そういった場合には、いまから、トンネルをつくるときからあらゆる安全対策を講じるようにということで、国鉄のほうも鉄建のほうもそういう方向で設備をするように努力していると思います。
 あとのほうの武蔵野線の問題につきましては、私まだよく実態を承知しておりませんが、ただ抽象的に申し上げられることは、先ほども申し上げましたように、多少の省力化ということのために安全性が阻害されるということがあってはならないと思います。そういうことのないように国鉄に対しましては指導してまいりたいと思いますけれども、実はその実態をよく知りませんので、この点については国鉄のほうからお答えを願ったほうがよかろうと思います。
○説明員(磯崎叡君) 武蔵野線を敷設する際の駅の場所でございますが、非常にこれ、御承知のとおり私鉄がたくさん直角に交わっておりまして、私鉄との接続個所に全部駅をつくってしまうと非常に駅がふえてしまう。また一方、武蔵野線の用地を買いましたときに、やはり地元からぜひここに駅をつくってくれというふうな要望が非常に強かった。したがって地元からの御要望の場所をまず一番優先的に考えるということになりますと、必ずしもいまの私鉄との乗りかえ駅がそこに来るということにもなりません。したがって今度は、国鉄とのジャンクションには全部つくりましたけれども、あとの中間の駅は、大体地元でぜひこの辺という、地元の正式な御意見としてぜひこの辺というところにつくったらよかろう。それ以外に私鉄との交差点につくると非常に駅がふえてしまいまして、かえって時間がおそくなるということでああいうふうになったわけでございます。いま国鉄と私鉄の交わるところにつくらないということでございますが、大阪付近の大阪環状線には、私鉄との交差点、ジャンクションに全部駅をつくっております。そういうことで、その付近の輸送力の状況、地元の方々の御希望等によって大体駅の場所をきめますので、必ずしも私鉄とのジャンクションにはできてないというようなことが間々あるわけでございます。
○瀬谷英行君 武蔵野線の場合なんかは、これは新聞のこの写真にも出ておりますけれども、下を東武東上線が走っている向こう側に国鉄の駅が見えてるわけですね。写っているんですよ、これは。ここのところはものの百メートルあるかないかですね。だから地元でもし交差をしてくれという要望があれば、ちょっとこれをずらしてこっちへ持ってくれば乗りかえの駅がここにできるようになっておるわけです。地元も要望してるということなんだけれども、どういうわけだか話し合いがつかなかったということなんですね。こういうことは、いろいろと私鉄と国鉄との間の意思の疎通ということもあったのかもしれませんけれども、大局的に見て、せっかく駅をつくるんならば、乗りかえができるような設備にしたほうがいいじゃないか、利用者が便利になるんじゃないかということは、だれが考えたってわかるんです。したがって、そういう問題は、できるならばなるべく地元の要望にこたえて乗りかえができるようにするというのがほんとうじゃないかと思いますね。
 国鉄の駅がさらに余分になるというわけではなくて、たとえば朝霞と志木との間に北朝霞という駅が国鉄ではできる。ところが、そこのところを東武はつくらない。それは用地の無償提供という条件がからんでるということから、必ずしも国鉄の責任というわけじゃないけれども、これはむしろ運輸省のほうで指導をして、こういうところに乗りかえ駅をつくるように最初から計画をするというのがほんとうじゃないかという気がするわけです。
 それから武蔵野線の要員の問題ですけれども、徹底した合理化政策のために要員の配置がきわめて少ない、こういうことです。一体その要員の配置はどういうふうになっているのか。全然ホームにも人を配置しない、あるいは改札にも人を配置しない、全部機械でやる。こういうようなことになってまいりますと、たとえば何かけが人が出た、病人が出たという場合にも、あるいは犯罪があったという場合にも、たとえば集団すりだとか、何かこういったような車内犯罪ですね、車内犯罪があったという場合にも、もう全然無人地帯になっちまう。そういうような心配があるわけなんですけれども、そういう点での要員の配置というものがはたして考えられているのかどうかということです。先ほど大臣もお答えになりましたけれども、省力化のあまり安全対策あるいは旅客サービスといったような面でもって、全然手抜きになってしまうんじゃ意味がないんじゃないかというふうな御感想がありましたけれども、現実にそういう心配が、たとえば四月に開業予定されている武蔵野線にないのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 武蔵野線につきましては、新しくつくる線でございますので、思い切ったひとつ近代的な省力化した駅をつくろう。そしてたとえば札幌の地下鉄がやったような、ああいう思い切った近代的な――そのかわり設備をうんとよくして、そして人手のない、いわば最近小売り店もほとんどスーパー化して人手なしでやっております。ああいうふうな感じでもって、人手のない最も機械化された駅をつくろうじゃないかということでつくったわけであります。いまおっしゃったように犯罪のために駅員を置くとか、あるいは病人のために駅員を置くとか、これはなかなか困難でございまして、そういう場合には、臨時に電車をとめて車掌にやらせるとかいうことでないと、そういう旅客サービスに直接の関係のないことのために人を置くということは、なかなかうちのいまの現状としてはできないことであるし、また私鉄側ではむしろもっともっと徹底して合理化をどんどんやっているということで、私どもといたしましても、それほど私鉄まではできないまでも、新しい線であるから思い切った機械化をしたということでございまして、いまおっしゃったように、犯罪とか、あるいは病人とかのところまで手の回るような人の配置はいまの国鉄としてはとてもできない。むしろそういう必要があれば一時列車をとめるなどしてでも車掌なり乗務員がやるというふうな方向でいく以外にないというふうに考えております。
○瀬谷英行君 私は犯罪やら病人のために人を配置しろと言っているわけじゃないのですよ。現在の環状線――山手線だって犯罪のために人を配置しているわけじゃないと思うのですね、ホームに。これは混雑がある、その整理誘導ができないということじゃしようがないから人を配置しているのだろうと思うのです。
 だから、たとえば昔、日暮里事故というのがありました。ホームから混雑で人がころげ落ちて、そして何人か死んだことがありました。その際に、検察側からホームの係員が起訴されたのですよ、その整理誘導が悪かったのじゃないかということで起訴されております。結局、六年も七年もかかって無罪になりましたけれどもね。したがって、ホームの混雑を防止をするためにお客の誘導をするということも国鉄の責任であるというのが、常識的にはそういう見方をされているわけです。だから全然無人駅をつくってしまう、これは今後の問題として武蔵野線だけじゃなくて、その他の線にも出てくるのじゃないか、合理化政策として出てくるのじゃないかというふうに心配されておりますけれども、たとえば夜になっていままで駅舎があるところが無人になってしまうというのじゃ、女の子なんかは、おつかなくて通勤の帰りに駅へおりるのがたいへんだといったような話をちょっと聞いたことがある。そこまで徹底をして要員配置を省略をするということがはたして安全対策なり、あるいはサービスの面で妥当かどうかという疑問が生じてくると思うのですね。その辺のところの考え方を私としては聞きたかったわけです。
○説明員(磯崎叡君) これは一つのいわば常識的な判断の問題になってくると思います。
 それからもう一つは、いままであったところと新しくつくるところとでは、これはまたおのずから事情が違ってくるというふうに思います。したがいまして私のほうでも、私鉄ほど徹底した――私鉄の駅でもやはり同じような問題があるわけでございまして、公共事業面からいえば、この点については私鉄も国鉄も同じであるということからいえば、私鉄のほうは思い切った合理化をしている、しかし、うちのほうでもある程度、輸送上許される程度のことは合理化してもいいんじゃないかというふうに思っております。したがって、なかなか鉄道プロパーの用務以外のために人を置くということは、これはもうできないと思いますし、またかりに非常に人がふえてきた――いま武蔵野線の駅ではそういうオーバーフローするようなお客さんのある駅はございません、予定されておる駅はございませんが、かりにそこに非常に急激に団地ができた、あるいは人がふえたというときには――今度四月八日に根岸線を開業いたしますが、根岸線の大船――洋光台間の二駅とも初めから団地がございまして、お客さんが非常に多い、そういうところはちゃんと人を配置するというふうに、一律でなしに、やはり具体的な事情でもって人を配置するのが最も合理的な、しかも常識的な判断じゃないかというふうに思っておるわけであります。
○瀬谷英行君 きょうのところは、私多くの時間をかけるつもりがございませんので、ここでひとつ武蔵野線の問題についてはちょっと提案をしたいと思うのです。
 いまの抽象的な答弁のやりとりだけでは実態はわからないのです。はたして全然人を配置しなくてもよろしいのかどうか。現在のところ心配がないと言ったって、いま走っていないからお客がないわけなんです。これはあたりまえなんですがね。走り出したらお客が出てくるということは考えなければならない。そこで、そういう場合にはたしてこれほど徹底して省力化をすることがいいか悪いかといったような問題は、現実に試乗してみないとわからぬわけです。実際に武蔵野線を回ってみる必要がある。
 そこで私の提案ですけれども、委員会としてひとつ武蔵野線の試乗、線をずっと回ってみる、それから、それぞれの駅等についてその施設等を見学をしてみる、こういうような視察をやってみたらいいんじゃないか。そうすれば、おのずから要員の配置が多いか少ないか、これでいいか悪いかということも判断できるんじゃないか、こういう気がいたします。そこで日時等については、これは委員長におまかせをしたいと思うのでありますが、その実態調査という意味で委員会としての視察を提案をしたい。それに基づいてあらためてこの問題については取り上げるということにしたほうがよろしいんじゃないかと思うので、以上のことを提案をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(長田裕二君) いまの御提案につきましては、さらにまた理事会にはかりましてきめたいと思います。
○委員長(長田裕二君) 次に、ばんだい号等航空機事故等に関する事故調査について報告を聴取いたします。内村航空局長。
○政府委員(内村信行君) たびたび相次ぐ事故を起こしましてまことに申しわけなく存じております。この席上を拝借いたしまして厚くおわび申し上げます。
 そこで、ばんだい号の事故調査その他の事故調査につきましての結果が出ておりますので、それにつきましてまず御報告を申し上げたいと思います。
 資料を差し上げてあると存じますけれども、まずばんだい号の事故調査でございます。
 昭和四十六年の七月三日、東亜国内航空YS11A型、JA8764が、同社の定期航空六三便といたしまして札幌飛行場を離陸し函館空港へ向け飛行中、函館空港の北北西約十八キロメートルの横津岳南斜面に激突し、乗客六十四名、乗組員四名の計六十八名の方々全員が死亡されました事故につきましては、運輸省に学識経験者十名からなりまする東亜国内航空YS11A型機事故調査委員会を設けまして事故原因の究明に当たっておりましたが、昨年の十二月十八日に同委員会の守屋富次郎委員長から別添のような航空機事故調査報告書が提出されました。
 本事故の原因究明にあたりまして、JA8764の推定飛行経路につきまして運航面から解析したものと、目撃証言から解析したものとの二つが考えられましたが、後者については、函館通信局との交信内容(録音テープ)と合致しない点及び管制承認と相違する飛行を行なっている等の、全く理解しがたい、むしろ異常に過ぎる数点がございました。そこで目撃はJA8764を目撃したとは断定できず、同委員会といたしましては、JA8764は運航面から解析した推定飛行経路をとったものと認めまして、それに基づいて原因を決定したものでございます。
 なお、同報告書の勧告事項である航空事故調査委員会の設置、航空保安施設の整備、飛行記録装置の装備の義務化等につきましては、法制面の整備をはかるとともに、行政面においても具体的に計画を立て、航空交通の安全確保につとめる所存でございます。
 なお、その事故調査報告書の中には、この多数説と並べて少数説も併記してございますことを念のためにつけ加えておきます。
 それから次に、日本航空所属機のニューデリー事故の調査でございます。これにつきましてはまだ結論が出ておりませんので、経過報告をさしていただきたいと存じます。
 日本航空株式会社所属DC8−53型、JA8012は、日航四七一便(東京発香港−バンコク−ニューデリー−テヘラン−カイロ−フランクフルト経由ロンドン行き)といたしまして、昭和四十七年六月十四日バンコクからニューデリーに向け飛行中、現地時刻二十時十六分ごろニューデリー空港東南東十二・五海里の地点に墜落災上いたしました。
 同機には、乗客七十八名(うち日本人十名)及び乗組員十一名、計八十九名の方が搭乗しておられましたが、この事故によりまして、乗客七十五名、乗組員全員計八十六名が死亡されまして、三名が重傷を負われました。
 インド政府は、同年六月二十二日に、ニューデリー高裁判事を委員長といたしまして事故調査委員会を設置いたしまして、同年七月下旬に第一回の審理を開始して以来、現在に至るまで、機材、エンジン、ILS、証言等につきまして精力的に調査を行なってきたわけでございますが、結論は大体三月ごろになるものと思われます。
 なお、航空局の技術部長及び航空事故調査課長が日本政府代表としてこの審理に参加しております。
 次に、モスクワ事故の事故調査でございます。
 日本航空株式会社所属DC8−62型、JA8040は、日航四四六便、(コペンハーゲン−モスクワ−東京)として、昭和四十七年十一月二十八日十九時五十分(現地時間)モスクワ・シェレメチェボ空港を離陸いたしましたが、その直後に墜落し機体は大破災上いたしました。
 同機には、乗客六十二名(うち日本人五十二名)及び乗務員十四名の計七十六名が搭乗しておられましたが、この事故によりまして、乗客五十三名、乗務員九名、合わせて六十二名の方が死亡されまして、十四名が三週間から三カ月程度の入院の重傷を負われたわけでございます。
 この事故直後、民間航空省内に、ブイコフ次官を委員長といたします事故調査委員会が設置されまして、日本の航空局からは航空事故調査課長外二名の航空事故調査官が、また日本航空からは五名の職員が本事故調査に参加いたしました。
 ソ連当局の体制はきわめて機動的でかつ協力的でございまして、遺体の搬出、生存者の救援、現場の保存等が迅速かつ的確に処置されまして、事故原因の究明がすみやかにかつ円滑に行なわれた次第でございます。
 本事故の原因につきましては、「離陸安全速度(V2)に到達後、離陸上昇中乗員が飛行機を臨界迎角以上に至らしめ、その結果、高度と速度を喪失して墜落したものである。」と委員会は結論いたしました。臨界迎角以上に至りた理由といたしましては、次のいずれかであろうと推定されております。すなわち一つは、飛行中スポイラを誤って出し、それにより揚力が低下し、かつ坑力が増大した。第二または第一エンジンが何らかの原因で異常となり、操縦者が不適切な操作をした。つまり機首上げ操作をしたということでございます。
 なお、エンジンが異常であったということが、ボイスレコーダーの録音及び乗客、地上目撃者等の証言がございましたが、これはスポイラを誤って上げ操作をしたために、臨界迎角を越え、さらに大きな迎角に操作され、エンジンのコンプレッサーストール、バックファイア等の異常が発生したかもしれないと推定されております。
 なお、シェレメチェボ空港の航空保安施設、管制、気象等につきましては、本事故には関連がなかったというふうに結論されております。
 以上三件につきましての事故調査結果及びその経緯を御報告申し上げた次第でございます。
○委員長(長田裕二君) それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
○森中守義君 少し時間が足りないようですが、重要な点についてお伺いしておきます。
 いまの報告のあとに、二月一日付で運輸大臣から日本航空の浅田社長あてに、改善勧告と言うべきであるか、あるいは改善命令であるかわかりませんが、文書で重要な事項を指摘しながら改善命令を出された。この内容を見てみますと、非常に的確であるとは言いながら、やや表現の上において概念的過ぎる。つまり精神的な強調が非常に多過ぎる。むろんそういう基調を踏まえて新しい角度から見直せという意味だとは思う。けれども、ただここに言われている内容の中に、たとえば「運航乗務員の安全運航に対する責任意識の不足と運航乗務員に対する管理体制の不備によるものと判断せざるを得ず、その背景には、急速な事業の成長に社内管理体制が十分に対応し切れなかった事情があるものと考えられる。」こう言っているんですね。この辺の事情を、具体的に何をさしているのかちょっと抽象的過ぎます。こういう指摘をしなければならないような日本航空の社内体制とは一体何なのか、何をさしてこういう表現が用いられているのか、いま少し具体的に御説明願いたい。
○政府委員(内村信行君) 実はモスクワ事故以降の勧告を出します前に、御承知のとおりニューデリーの事故がございました。それからまたボンベイの誤着事故というものがございました。その際に、私どもボンベイ事故直後の昨年の九月二十九日から十月二十日までに乗員の訓練とか審査体制並びに機長に対する実地審査等の立ち入り検査を行ないました。十一月十三日付をもちまして規程類を順守せよ、つまりちゃんとコールアウトすべきときは、着陸のときにコールアウトしなさいとか、あらかじめブリーフィングをしなさいとか、規制的な規程がございますけれども、そういう規程を必ず順守しなさい、それから国際線運航乗務員の技能の保持をはかりなさい、これはもっと着陸回数をふやしなさい、あるいは国際線運航乗務員の語学力の向上をはかるようにということとか、あるいは規程類の整備をきちっとなさいと、そして下整備についてはきちっと守れるようにしていただきたいというふうな改善の命令を行なったわけでございます。
 そこで、こういうことがはっきり行なわれておりましたならば、今度のたとえばモスクワの例でございますけれども、ああいういわゆる初歩的なミスと申しますか、そういったようなものはおそらく起こらなかったであろうというふうなことが一応推測されるわけでございます。
 そこで、私どもは、そういうふうなことも頭に入れながら日航に対する監査をいたしたわけでございますけれども、実際問題として監査いたしてまいりますと、直ちに機構が膨大になったからそれでいけないということでは必ずしもございません。ただ一例を申し上げますと、従来パイロットの管理につきましては、主席パイロットがおりまして、その中で三十人ぐらいがその下におりまして、いろんな上からの情報を伝達するとか下からの意見をまとめたりとか、こういうふうなことをやってまいっておったわけであります。ところが、それが最近におきましては百名ないし百二十名ぐらいが、主席パイロットの下にワングループとして入っておる、人数が多くなっております。それから、そういったものがたびたびミーティングを開きまして、そうしていろんな意見を交換し、上からの情報は直ちに下に伝達するし下からの意見は直ちに上に上げる、こういうふうな組織になっておるわけでございますが、そういったミーティングが必ずしも開かれてないというふうな点もございます。こういうふうな点からいいますと、つまり規則類を整備するとかというふうなことはやっているんでございますけれども、それが必ずしも上のきめたことが下まできちっと徹底しておらない。先ほど申し上げたような勧告事項が、会社としてもこれはやっておるわけでございますが、それが徹底していないのが事実であるというふうなこと、それから必ずしも下のほうの現場の意見が上のほうにすらっと伝わっていないというふうな点がある。そういうふうなことから、私どもといたしましては、こういうふうな心証を得まして先ほど申し上げたような表現を用いたということが実情でございます。一例をあげて申し上げました。
○森中守義君 これは非常に重大な問題でして、このことが直ちに事故につながったのかどうなのか、これは多分に検討の余地が残されているとしながらも、一体日本航空とは何なのか、しかも行政監督の立場にある運輸省は一体何をしておったのか、非常に重大な問題がこの中にありますね。
 はしなくもいま局長が言われたように、その上と下、あるいは横、相互間という、この中にずっと出ていますね。裏返してみると、悪い表現使うならば、とにかく社内体制はなっていない、こういう言い方にもなってこようかと思うんです。しかもこういうことが二大事故につながった、人命が失われた。しかもそれが国際線だと、まさに国威を落としたということになりかねないんですが、もう少し、立ち入り検査の結果、こういうことがよくわかったから改善命令を出したということではちょっとやっぱり済まないように思うんですよ。いま少し内容的なものを、いま一つ実例をあげられたけれども、この中に言われるように、急激に航空産業が拡大していくと、そういう体制に対応できなかったというような言い方がされたんですが、それであればなおさら事は穏やかでないというように思うんです。しかも特殊法人の会社であればなおさらのことだと思うんですね。だからこういうことは日常指導、監督ができなかったものか、その辺の責任を運輸省は一体どう考えておるか、どうですか。
○政府委員(内村信行君) 私どもといたしましては日航に対しましても、あるいはほかの航空会社に対しましても、定時的に年末には必ず行なうとか、実際の現場に立ち入っての立ち入り検査ということはもう始終やってまいっておるわけであります。ただ、その場合の目のつけどころが、たいへん申しわけない話でございますが、いささかそれぞれの技術部門がどうであるかとか、整備の流れがどうであるかとか、機械がどうであるかとか、人数が足りるであろうかとか、ややともすれば、いわゆる個々的な現象についての監査にとらわれ過ぎておったのではないかといった反省が私ども率直に言ってあったのでございます。したがいまして、そういった、むしろ山に入って木を見るよりは、この際はもう少し角度を変えて、と申しますのは、幾らそういう監査をいたしまして、幾らそういう勧告をいたしましても現実に事故が起こっているということになりますと、私どもの見方も誤っている点もあるんではないかというふうな反省が率直にあったのでございます。そういうことで、今回は木を見るよりはむしろ山を見るというふうなところから、全体というものを少し判断していったらどうかというふうなことが一つの着眼点でございまして、そういった意味からは、いままでとは少し違ったようなかっこうの監査をいたし、その結論といたしましても、やや抽象的と申しますか、そういったようなかっこうの勧告を出した。
 これを今後どうするかと申しますと、これをどうやったらほんとうに具体化して、こういった趣旨のことが徹底するようになるかということが問題でございまして、それに対しましては、二月末日までに日航のほうからこれに対しての具体策を提出せいと申しておりますので、その中で、またよくそれを見まして、はたして具体的にこういったことが実現できるかどうかということを慎重にきめていきたい、こういうふうに考えております。
○森中守義君 多少私見にわたりますが、どういう見方をすれば一番正しいのか、にわかに考えつきませんけれども、世界全体やや航空産業が低下の状態にある、そういう状態の中にありながら、ひとり日本航空だけはわが世の春を謳歌している、そういうかなり急激に上昇してきた日本航空に、かなり大きなまかせっきりといいますか、こういうことが運輸省の中にもあったのじゃないか、こういう気もしてならぬのですよ。
 むろん先般の航空法の改正が一応廃案になっておりますけれども、また出してくるわけです。けれども航空法あるいは施行規則であるとか、施行令であるとか、あるいは日本航空株式会社法とか、こういう一連の法令以上に踏み込みができないとか規制ができないということはない、二重三重に、非常に規制としてはきめのこまかな法令を背景に持っている。そういうことが、はたして完全に運輸省自体の手でやるべき機会があったのにやったのかやらなかったのか、たまたま問題が発生したから立ち入ってみた、立ち入ってみたところがえらいことになっているというようなことが、どうもやっぱり、少し運輸省のやり方自体にも手抜きがあったというふうな気がしてしようがない。日本航空に信頼を置き過ぎた。むろんそれは信頼に値するものだと思いますけれども、この中に言われている限りにおいては必ずしもそうじゃない。私は事故以前の問題である。事は尊い人命を数百名失った。一体運輸省は世間に対して、日本航空は世間に対してどういう責任をとろうとするのか、なかなか穏やかな問題じゃないと思うのですがね。経過的に、何もニューヨークやロンドンに日本航空があるわけじゃない、目と鼻の先にあるわけですから、こんなこともう少し早目に適切な指導ができなかったんですか、どうなんですか。
○政府委員(内村信行君) その点につきましては、先生も御指摘のように、必ずしもその法律だけでしばっているわけではございませんで、法律の中でも、たとえば運航規程、整備規程というふうなものにつきましては厳密に運輸省の認可にかかっております。これはそれぞれの会社におきまして、整備のやり方をどうするとか、あるいは運航のやり方をどうするというふうなことをきめまして、これを政府の認可を得て実施をすると、これは各国共通のことでございます。それにおきまして、その整備規程、運航規程等を認可しておりますが、その下にさらに詳細な実施規則的なものを社内につくっております。それにつきましても、こちらとしては必ずしも寒行上は放任しているわけではございませんで、そういったものにつきましても、さらにしさいにチェックはしてきたつもりではおります。ただ、こういうふうにいたしまして、私ども万全を期したつもりではございますけれども、結果として事故が起きておる、そこに対して私は何ら弁明の余地はないと思っております。それに対しましてどうするかということは、これから何としてでも事故をなくするという方向であらゆる努力を重ねるということが、私どもとしての責任として尽くすべきことだろうというふうに存じております。たいへんことばはつたないと思いますけれども、言っている気持ちをおくみ取りいただきたいと思います。
○森中守義君 なるほど事務的に技術的に、個々的な指導監督ということもさることながら、もう少し一体的なものとして見る必要があったでしょうね。むろんこまかな材料を持っておりませんから、日本航空の体質がどういうものであるのか、どういう体制に置かれているのか、そのことは後日またとっくりと承る機会もありましょうし、また委員会として少し見てみたい、こう思う。
 そこで改善命令が出された翌日、間髪を入れないというようなことで、二月二日に航空三社からの、要するに中間的な報告が出ておる。むろん日本航空は今月の末、今月一ぱいにどういったように改善策を講じたか返答をよこせ、こう言っていますが、それは手元にありませんので言えませんが、中間的なものとして少し聞いておきたいんですけれども、たとえば機長の昇格ですね、それから型式移行時の基準の改定、これは出ております。そこで、にわかづけでしたがちょっと関係の法令をいじってみると、パイロットの資格要件として千二百時間――機長は別にしてですね、それからあと機長の資格認定というものが法令上はっきりしていない。先ほどいろいろ聞いてみますると、いやそれは各社の運航規程の中に、機長任命の際に、この機長についてはこれこれの時間飛んでいるということがいわれてきておる。そこで運輸省は航空法七十二条できめるんだ、こういう段取りになっておるようですが、この三千時間という機長の資格ですね、これは、なるほど諸外国の例を見たり、あるいは国内における在来の体験、経験等から割り出された時間のようですけれども、もう少しこの三千時間というのを、たとえばパイロットの一千二百時間飛んでいなければならぬという条件があるように、機長についてももう少しきちんとした制度をつくる必要がありやしませんか。むろん私は三千時間が不当である、当であるという、適、不適はいま議論しておりませんけれども、制度的にただ三千時間以上飛んでいればよろしいという、そういう内規的なものでは適当でない。法令上どこかにきちんとこういう機長の資格要件というものを明定しておく必要があると思うのですがどうでしょうか。
○政府委員(内村信行君) 本件につきましては、技術部長から御答弁申し上げます。
○政府委員(金井洋君) ただいま御指摘の点ですけれども、まず定期運送用操縦士の資格要件としては、先生御指摘のように千二百時間という飛行時間が規定されております。それから定期運送用操縦士のライセンスを取った者が、すぐ機長になれるわけではございませんで、それは航空法七十二条によりまして機長の認定を受けることになっております。この認定を受けるときに一応三千時間、これは世界的にもそういうことになっておりますし、われわれのいままでの経験によりましても三千時間で十分であるということで、機長審査基準、これは内規でございますけれども、それに三千時間というふうに定めておられます。ただいま御指摘の点は、そういう内規ではなくて、これを規則なり法律なりに載せたらどうかという御意見というふうに理解しておりますが、その点につきましては、一応、今後載せるとしたら施行規則に載せるかどうかということについて検討したいというふうに考えております。
○森中守義君 これはニューデリーとモスクワの事件が経験未熟なパイロットであったという言い方じゃございませんけれども、やはり原則的に考えると、パイロットの最低の資格が一千二百時間ということであれば、当然機長についてもそういったように明定する必要がありますよ。これは言うまでもなく、いわば乗員の供給事情であるとか、あるいは社内事情であるとか、三千時間を割るということではないでしょうけれどもね。けれども、たとえばこの中に言われているように、日本航空の場合に、この事故の前までは三千八百時間であったものを四千六百時間にかさ上げをしたと、こう言っております。それならば、四千六百時間乗っかっておればニューデリーもモスクワも事故が起こらなかったんじゃないか。逆説的に言うならば三千八百時間という、この程度の機長を乗せていたので事故が起きたんだという、こういう極端な意見も私は出てくると思う。やりようでは三千八百時間を四千六百時間に社内事情でもできるんですね。この八百時間あるいは千時間という差が、やはりこれは空の上の非常にむずかしい仕事でしょうから、いま運輸省の内規としてお持ちの三千時間というものは適当であるとはいいながら、日本航空自体が三千八百時間を四千六百時間に切りかえようとしているんだから、もう少し厳密に検討を加えて、国際線における機長は五千時間なら五千時間とか四千五百時間なら四千五百時間、国内線はこうこうだ、ジェットはこう、プロペラはこうというようなひとつ基準をあらためてつくってみたらどうですか。
 これは私は、一つの問題提起ですけれどもね。パイロットの一千二百時間が最低の要件であるならば、当然機長はこれこれでなければならぬというように思うのですが、どうですか。
○政府委員(金井洋君) ただいま御指摘の件、機長になるには三千時間以上の飛行時間があれば機長になる資格がございまして、もちろんこれは運輸大臣の認定が必要でございます。日本航空の場合、ニューデリーの事故が起こるまでは、機長になる平均的な時間は大体三千八百時間であったわけです。ところが、ニューデリー事故後、国内線で副操縦士としての資格をもっと積ませる必要があるのではないかというような運輸省からの勧告に基づきまして、日本航空はさらに副操縦士としての訓練期間を延ばしました。これは約一年間延ばしまして、大体平均一年間延ばしますと約八百時間飛ぶことになりますので、結果的には三千八百時間が四千六百時間になるというふうになったわけです。で、要するに従来に比べて約八百時間延びたということでございます。
 ここで御指摘の点ですけれども、それならそれに合わせて運輸省の基準を変えたらどうかということでございますけれども、三千時間という基準は一応私どもの経験あるいは世界的な例から見ましても必要である、十分であると思っております。ただトータルの飛行時間が三千というのではなくて、飛行機の型式ごとに副操縦士として何回ぐらい離着陸したかどうか、あるいは副操縦士として当該型式に何時間ぐらい乗ったかとか、もっときめこまかく規定する必要があるのではないかということは、御指摘のように私どもも感じております。したがってそういうきめこまかいきめ方について今後検討させていただくというふうにしたいと思っております。
○森中守義君 これは大臣、非常に重要な問題だと私は思うのです。
 そこでね、長年三千時間というものを航空局のほうの内規として採用されてきたようですが、やはりさっき申し上げたように、乗員の供給事情であるとか社内事情であるとか、いろいろな作用がかかってきますからね。この際は少しワクを広げてみて、たとえばパイロットの代表であるとか、あるいはその面の学識経験者だとか、いろいろな人たちを一ぺん集めてみて、どの時間が一番妥当なのか、こういうことを検討してみたらどうですか。
 それと、少なくとも内規じゃやっぱりいけない。規定の中なり施行令の中なり、あるいはもうすでに今度航空法がもう一回予定されておるようですが、そういうことの中にきちっと機長の資格はかくかくでなければならない。現行法では七十二条の認定条項以外にないですよ、ちっともそういうものがない。この辺にやはり問題が一つひそんでいるような気もする。
 ついては、こういうことを、いま技術部長と局長の答弁がありましたけれども、大臣としてどういうお考えなのか、ひとつ正確にお答え願いたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 実は差し上げた書類に載っておりますが、日本航空が最近相次いで事故を起こしましたので、特に私は日本航空に対しまして相当厳重に注意もし、それから現在どんな措置をとっているのか、安全対策ですね。また今後、安全対策としてどういうことを考えているのだということと同時に、運輸省に対してどうしてもらいたいかと。安全を守るためにですね、どうしてもらいたいんだというふうなことを遠慮なぐ出しなさいということを、実は日本航空に対しては昨年暮れに、就任早々でしたが、社長に言ったわけです。同時に、他の航空二社に対しましても、一月早々でしたが、同じようなことを言いました。その結果がここに、いま御指摘になった報告になってあらわれておるわけでございます。もちろんいまの航空法そのものについて安全対策上もう少しきめこまかに書いたほうがいいというような点もあると思います。しかし法律改正ではなしにでも、いまお話しのような点で各社が出してきました報告を見まして、具体的に運輸省として考えるべき問題もあると思いますから、これは入社のあらためての検討の結果よこした報告をもとにいたしまして、運輸省としてもそれに対する対策を、いやしくも今度は安全対策上遺憾のないような体制をとってもらおうという意味で、運輸省自身も検討をし、努力をするつもりでおるわけでございますから、その際に御指摘のようなことをもひとつ検討材料として考えてみます。
○森中守義君 それと三社報告の要旨をずっと比較してみますと、やはり内容的には、折からのことでもありましょうが、日本航空が一番中身の詰ったもののようですね。あと全日空及び東亜国内に至ってはやや内容的にはまだまだという感じです。
 そこで日本航空に改善命令が出て、その回答が月末に来れば、きちんと三社で共通のものでなければ私はいかぬと思う。そういう意味で、出された段階でもう一回委員会でお尋ねする機会に譲りたいと思いますが、ぜひいま申し上げたようなことが一つの大きな問題だろうし、それと、ことに日本航空に対しては精神的なものが強調されている、一体これは何なんだというような気がいたします。ですからそのことは次の機会にしたいと思いますが、いま大臣の答弁でおおむねはきょうのところはこれで終わっておきたいと思います。
 そこでもう一つ、しばしば大臣あるいは航空局長と問題に供してきた日中の航空協定の問題。これはせんだっての大臣の所信表明の一番最後のところで、日中の国交回復を契機として航空機問題はすみやかに解決をしたい、その準備を進めている。こういう内容でしたね。その限りにおいてはたいへんけっこうですが、具体的にどういうことをなさったのか。昨年の九月二十九日北京における両国の共同声明の中に、航空、海運、漁業、貿易、郵便、電信というように、すみやかに政府間協定を結びたい、こういうことがあっておるのですが、航空問題どうなっておりますか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 日中航空協定の問題につきましては、日中国交が正常化いたしまして以来、これはどうしても両国の親善を深める意味におきまして、なるべく早く成案を得るようにしなければいけないということは、これは常識でございます。われわれもその線に沿って、なるべく早くそういう結果が得られるようにということを期待しておったのですが、これについては、御承知のように、航空協定は大体政府と政府との間の協定でございますから、民間同士の協定というのはほとんどないと思います。政府と政府との間の協定でございます。やはりわがほうとして何といいますか、きっかけをつくる必要があるだろうということで、外務省と相談をいたしまして昨年の十一月でございますが、国交正常化して間もないころでございましたが、外務省も非常に熱心でこの点についてひとつ何かこちらの考えを向こうに伝えようじゃないかということで、こちらの考え方を中国に外務省から伝えたわけでございます。
 それに対して早くお返事をいただけることを期待しておったのですが、今日までそのままになっておりまして、まあだんだん、これは外務省のほうの問題ですから、私からあまり詳しく申し上げるのはいかがかと思いますが、大使の交換なんかもあり、いろいろ国交が回復するにつれて、いろんな問題を処理されるような体制がお互いにだんだんできてきたのでございますが、ごく最近、数日前に外務省のほうに公電が入りまして、中国側のほうも航空協定を急いでやろうじゃないかというような感触の電報が入りまして、私のほうはいまどういう内容のものであるか、それを早く知りたいというので、その公電の到着を待っておるというような状態でございまして、今日までこれをほうっておったわけじゃなくて、できるだけ早く国交を回復した以上は交通路もお互いに確保することが、具体的に親善関係を深めるゆえんであるというような認識のもとに努力をしてきたということでございます。
○森中守義君 この件は、別段外務省あるいは運輸省に資料要求したこともありませんしね、出されていない。したがって、その新聞関係等を基礎にした資料しかいま持っていないんですけれども、十一月の十八日、日本側が協定の文案を中国側に示した。ついては協定案の内容は一体どういうものであったのか。新聞にはいろいろ論評が加えられておる。けれども、おそらく十一月十八日に示したという事実に間違いはないでしょうから、この際その内容、どういうものであったのか、反応はどういうものか。むろんその反応というべきかどうかわかりませんが、十一月もしくは十二月段階で中国は対案を示してきた。そのことがいま大臣の言われる公電だろうと思うんですよ。したがって日本側の案、中国側の対案、その内容をひとつこの際お示し願いたい。外務省でしょうね、これは。
○政府委員(吉田健三君) 航空協定のわが方の案につきましては、運輸省と外務省とその他関係の方に入ってもらいまして、いろいろ検討したものができたわけでございますが、これはまあ従来、日本が各国と結んでおります幾つかの型がございまして、特に変わったということではございません。
 ただ、その内容は、いまこれから交渉に入っていきますし、まだ外交交渉の過程なもんでございますから、発表するのはもう少し差し控えさしていただきたい。かように考えるわけでございます。
 先ほど運輸大臣がおっしゃられましたように、私も国交正常化のときに田中総理にお供して北京へ参ったわけでございますが、両方の日中の首脳間で、まあ大使館はお互いに早くつくろう。外交チャンネルで交渉に入ろう。最初にやるのはひとつ双方の足を確保することが大事ではないか。それじゃ航空協定をひとつやりましょうということで、日本政府はすぐ航空協定の作成にかかりまして、おっしゃいましたように、昨年の十一月にわが方のいわゆる事務レベルの案を先方に提示し、先方はまあいろんな角度からこれを検討しておった。まあ向こうの政府部内も非常にああいう国内情勢で忙がしかったような模様でもありますが、私のほうからは催促したこともございますけれども、一応年を越しまして、つい最近になりまして、初めて先方がわがほうの案に対しまして反応を示してきた。ある種の反対提案とか、あるいは修正とか意見の感触を伝えてきたわけでございます。この全文が現在まだ東京に届いておりませんので、先方の考え方の全文が東京に届きましたら、さっそく、またわれわれ関係者で検討いたしまして、それを踏まえて早急にこの交渉に入りたい。先方も早急にこの交渉をやりましょう、こういう合意にいまなっておる。かような段階でございます。
○森中守義君 これは大体、外務省のお答えというのはいつものことなので、別段気にもしませんけれども、私の調査では、中国と航空協定を結んでいる国は二十五カ国ありますね。この二十五カ国の中で、台湾に問題のある国が幾つかある。むろん、イギリスはまだ結んでいないようですが、イギリスの場合一つひっかかるのは、キャセイが台湾に入っているというのが問題になっているようです。そういうことになれば、いやでもおうでも一体台湾線をどうするのかということは避けられない問題じゃないのか。まあ、これは常識的に考えてもそうだと思うのですね。
 そこで、その新聞論評等を引用するならば、日本がまず協定の案文を示した中に、全然台湾問題に触れていなかった。だから相手の台湾の中にも全然コメントしていない。けれどもいよいよこれが詰めに入る段階には、一体どうするんだということが最大の問題でないのか、こう言っているんですね。しかも実際の交渉の際には、日本側がその辺のことを何かきちんと割り切ったものを持っていかないと、持たなければ、なかなか簡単に交渉成立しないんじゃないだろうかというように思うのですが、ここはどうなんですか。一時運輸省ベースだったのか、外務省かわかりませんが、台湾は沖縄どまりだ。東京に北京と台湾と一緒に翼を置くわけにはいかぬ。沖縄どまりにしたらどうだろう。こういういわば小手先の議論等もあったように聞いておるんですが、一体台湾路線をどういうように処理されようとするのか。まあこれも機敏に触れる問題だというので、正確な答えをもらえぬかもわかりませんけれども、しかし、このことは日中の航空問題を議論する際の一つの常識だと思うのですがね、どうなんでしょう。
○政府委員(吉田健三君) ただいま中国側とわれわれと外交チャンネルで交渉しております協定案というものは、いわゆる協定案の実務的な一つの条文でございまして、そこには台湾問題とか、そういった政治的なもしくはそういう種類の政策的な要素というものは加味されておらないわけでございます。したがいまして、条約そのものといたしましてはきわめて実務的に解決できる分野が非常に多いわけでございます。
 ただ御指摘の台湾との航空路の問題というのは、あるいは今後問題になる可能性はあるかとも思いますけれども、いままでのところ先方は、われわれに正式に先方の考え方を示したことともございませんし、したがいまして、わが方でいまの段階でいろいろ憶測いたしましても、これは少し時期が必ずしも適当でない。いずれ事務的な条約文の中の詰めが終わって、いよいよ最終的な決定あるいは運営、運航という段階に入っていく時点において、あるいはもし問題になるということであれば、先方の率直な意見を聞き、また私たちの考えを述べてその場で交渉に入っていく、こういう態勢になるんだろうと、かように考えるわけでございます。
 従来、御指摘の新聞に沖縄云々というようなことが書かれたことがございますが、これはそういう議論を政府部内でいたしたことは一度もございません。外務省は一度もそういうことに意見を申し上げたことも運輸省と議論をしたこともございませんし、先方からそういう考え方があったと、こういうことでももちろんないわけでございまして、そのように御理解いただきたいと思います。
○森中守義君 まあ御説のように、その事務的なことだけで処理できるならば、これはいとも簡単でしょうが、そうはいかぬのでね。しかし、きょうそこまで掘り下げていくにはちょっと時間も足りませんし、なかなか複雑な背景も持つことのようですが、しかし、それはやっぱりある程度きちんとしたものを持たなければだめだということだけは強調しておきたいと思う。それと大臣、ただ漫然と進んでいくというわけにもいきますまい。そこで、この会期中に協定の批准を終わりたいという、そういう希望は持っておるのですか。逆に言うならば、交渉のスケジュールはどうなのか。新聞等では、三月の上旬に運輸省、外務省の専門家ともいうべき課長諸君を北京に出したい、しかも月末には小川大使が赴任をするので、そこで本格的な交渉に入りたいというようなことがいわれておるのですが、この国会批准を目標に詰める御意思ですか、それとも先さんの出方を見ながら対応していこうというお考えですか。消極的か積極的か、その辺どうでしょう。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど外務省から申し上げたように、おそらく、公文がまいりました場合に、関係各省で相談をいたしまして、この実務家レベルの交渉というのはそんなにおそくなく、来月にでも始まるのではないかと、これは予測されるわけです。
 そこで、いま消極的か積極的かとおっしゃいましたが、国交が回復し、正常化してまいります以上、これはやっぱり実質的にお互いの交通路が開け、これはよけいなことですが、通信の道も開けてくるというのがこれは当然のことでありまして、そういうことでないと、ほんとうの正常化はなかなかむずかしいと思います。したがって、わが国としましては、昨年、総理から声明を出しましたように、この日中両国の正常化がこれで実現したのだという以上は、早く実を結ぶようにしたい。それについては、われわれはなるべく早くそういう機会があることを期待しておるわけですが、ただ相手のあることですから、こちらだけで進むわけにはまいりませんので、そういう感覚でこの交渉に当たるのが適当ではないかということを私は考えておりますが、それには先ほど森中先生言われたように、いろいろの政治的配慮も必要であろうと思います。そういう関係で、これがこの国会中に間に合いますか間に合いませんか、いまのところはまだそこまでは予測はできません。しかし私は、積極的か消極的かと言われれば、端的に言うと、積極的に取り組んでもらいたいと思っておるということだけを申し上げておきます。
○森中守義君 これは大臣、積極的に取り組んでもらいたいでは、人ごとですから、あなた当事者ですから、積極的でなければいけませんよ。
 そこでもう一つ、内容的なことで、ちょっとこれも答えにくいものかなとも思うのですが、私の手元に持っている中国の国際線の事情をちょっと見ますと、イラン・エアがテヘランから北京−上海−東京を非常に熱望しておる。つまり以遠権の問題ですね。これは台湾と同様に、非常に至難なものとは思えない。ですから、イラン・エアが言うようにテヘラン−北京−上海−東京、逆のコースということが私は日本側の問題として提起されてくるのじゃないかと思うのです。あるいは中国は東京経由でニューヨークに行くのか、あるいはサンフランシスコに行くのか、いろいろ見解があるでしょう。このことについてはどういうようにお考えですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的にわれわれがこの以遠権の問題についてどういう提案をしたかということにつきましては、非常に国際的にもデリケートな問題でございますから、ここで申し上げることは控えたいと思いますが、以遠権の問題が入っているということは確かでありまして、これはほかの国との間の航空協定を結ぶ場合にも同様でございまして、その意味において以遠権の問題も提案をしておるということは事実でございますが、これもこれからの交渉の内容いかんということでございます。先方がこれに対してどういうふうな提案をしてくるか、これはやっぱり相互的にきまるものですから、中国の考え方とわが国の考え方、これがやはりバランスをとらないといけないと思います。そういう意味で、今後の具体的な非常に要諦になる交渉の一つであると思っております。
○森中守義君 ですから、相手のあることだからこちらの思うようにもいかぬということは、これは百も承知の上で聞いているわけですが、日本政府としてはどうなのか、なるならぬは別として、求めたいと思いますか。それとも、先様次第で、場合によっては出しもするが引っ込めもする。まあかなり柔軟なお考えのように聞いたのですが、そうじゃなくて、なるならぬはともかくとして、日本政府としてはこうしたいというようなお考えぐらいはそろそろ固めておってもいいのじゃないですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま申し上げたもつりだったんですけれどもね、以遠権の問題はこちらのほうの、わがほうの提案には入っておることは事実でございます、以遠権の問題は。ですから、たとえば上海あるいは北京と結ぶということだけじゃなしに、日本から出ました航空機が、向こう側がどこに着けてもいい、どの空港に着けてもいいということもまだきまりませんけれども、しかし、たとえば上海、北京に着いたとして、そこからさらにさらに遠くへ航空路を延ばしていくことができるようにという考え方は私のほうでは持っておるのでありまして、それを具体的にどこへ行くのだということにつきましては、非常にこれは国際的に微妙な関係が出るものですから、具体的にここで申し上げることは控えたいと思いますけれども、そういう姿勢でもって先方と交渉に当たりたいということだけは申し上げておきたいと思います。
○森中守義君 そうなりますと、大体日本側の最終の態度決定というのは相当先になりますね。まあ先というのか、運輸省、外務省の課長が行く、そこである程度たたき台を出しながらやってみて、小川大使が本格的な交渉に入るというのが月末なのだといわれておりますから、おそらく四月段階ぐらいではある程度進むでしょうが、その間には最終態度はきまりますね、どうでしょうか。おそらく三月の末と見るのですが。そうなると、そのころもう運輸省あるい外務省もそれぞれ一つの態度というものはきめておく時期に来ておると思うのですけれども、大体いつごろと予定されているのですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは先ほども申し上げましたが、決してこれは逃げて申し上げるわけじゃないんですがね。実は、先方が出したという感触を述べた公文さえもまだ入手していないのです。ですから、いまここで何月ごろにどうなるのだろうかという目標はなかなか立てにくいのです。しかし、さっき申し上げておりますように、われわれとしましては、事務レベルの交渉をしてもらって、そのうちに大使も赴任され、北京になりますか、東京になりますか、あるいは双方になりますか、これは外交交渉の問題でございますからわれわれにはわかりませんが、とにかく本格的な交渉が早く始まるだろうと思います。決してこの問題をおくらせることが双方の利益になるとは私は考えませんので、ですから国交を正常化した以上は、お互いに往来ができるようにしようということは、われわれだけではなしに、中国側も同じような考えではないかと思いますから、そういう意味で、今度の航空協定について早く交渉に入ろうじゃないかというような意思表示があったのだろうと思いますから、これは私はいつということは申し上げられません。わかりませんが、しかし内容的にいろいろな政治問題が含まれておりますから、むずかしい問題もあります。ありますが、そういう問題がお互いの好意で、お互いに相手方を認識をして、この合意に達するようなことができれば、あるいは非常に早い機会にできるんじゃなかろうかと思いますし、また政治問題がこじれますと、まあこの国会中には無理だというような見方も成り立ちましょうし、いまのところは、それについておまえはどうだと言われても、ちょっと確定的に予測を申し上げるわけにはいかないような段階だということを御了承いただきたいと思います。
○森中守義君 前大臣のときに、水俣のヘドロ処理の実施官庁はどこなのかと、こういう問いに対して、運輸省ですと、こういって答弁をもらいまして、やや安堵しております。
 そこで昨年の予算編成の際に、現地の市長あるいは知事等が参りまして、ずいぶん御無理も申したようであります。ついては、あのときですね、大臣並びに港湾局長と私の間で多少ペンディングになっていたのは、一体、二、三次公害を誘発させないために、処理方式をどうしたらよいか、これが一つの問題。
 それと、企業負担、国、自治体負担といういわば必要経費の分担の額等がまだ正確ではない。しかし、そうだからといって、いつまでもほうっておけない。だから、とりあえず県が調査費をつけて実査に乗り出したようだから、この際はむずかしい問題はあとにして、実施官庁が運輸省であれば、運輸省の調査費ぐらいつけてくれたらどうだろうか、こう私はお願いしまして、やや前向きに進んでおった。ところが、非常に事情がまたまた急迫してきまして、水俣湾全域について、きのうかおととい、県議会が操業を禁止すると、こういうかなり思い切った措置をとらねばならぬような状況になったようであります。おそらく新聞ごらんになったでしょうが、その理由として、水銀だけではない、PCBも厚生省の暫定基準からはるかに上回った、倍率ぐらいのものが検出される、そこで沿岸の漁民はどうにもならない、非常にあぶないということで、県が緊急の措置をとろうとしている、こういう実は報道もあるし、私のほうへ連絡もまいりました。それで、こうなりますとね、特に新聞の見出し等によれば「水銀ヘドロに妙案なし」と、こういっているんですね。私は、せんだって、おおむね六千万立米ぐらいだろう、こういう各界の意見を集約して局長に申し上げたことがありますが、最近は、対岸の天草あたりまで魚が回遊してそうなったのか、あるいはヘドロが潮流に乗ってそういうところまで堆積していっているのか、要するに不知火海全域に危険がいま広まりそうな状態なんです。ですから、ヘドロ処理のために協議をしていただいたと思われる予算はどのくらいなのか、実施計画はいつからおつくりいただけるか、まずこの辺のことをちょっと聞かしていただきたい。
○政府委員(岡部保君) ただいま先生のおっしゃいました水俣港のヘドロ処理の問題に対する基本的な運輸省の考え方、これは何ら変わっておりません。したがいまして、私ども前回の御審議のときにいろいろお約束申し上げたと申しますか、お話し申し上げました線で、四十八年度予算の現在御審議中の予算案の中に、私どもは水俣港のヘドロ処理の問題も含めまして、公害防止対策事業ということでの予算要求をいたしております。そして一応現在御審議いただいております原案におきましては、明らかにこれを含んだものが大蔵として原案で認められたと申し上げられる数字でございます。
 ただ、ここでただいま御質問のございました、一体幾らぐらいの予算を見ておるのかという点につきましては、先生十分御承知のとおり、実は、事業者負担が何割あるいはどのくらいになるかという問題がきまりませんと、現実にどのくらいの事業を実施できる予算であるかという問題がはっきりいたしません。したがって、はっきり申し上げられますことは、約十三港に対しまして八億四千七百万ほどでございます。約八億五千万の国費を現在の予算案として計上いたしております。そこで、これが事業費で幾らになるかという点は、この十三港それぞれですでにきまっておるのもございますし、それから、これから事業者負担の率をきめるたとえば水俣のような問題もございますし、どうも事業費を幾らであるということはちょっと申し上げかねます。しかしながら、いずれにいたしましても、水俣港の問題につきましては、予算措置は現実にできておるということを御理解いただいてけっこうだと思います。
 それから次に、もう一つの御質問でございます計画の問題でございますが、これも御承知のように、県が実施計画を立てるわけでございます。そこで、この県の実施計画が立てられまして、総額が大体どのくらいの金になる、そこで今度は県の審議会におきまして、事業者負担がこのうちのどのくらいになるということを審議会の御意見によって知事が決定されまして、それによりまして私ども国としてはその事業を実施するというかっこうで補助金の支出ということになってくるわけでございます。したがいまして私どもとしては、県の実施計画をなるべく早くおつくりいただきたいということで現在いろいろお話をいたしております。で、県といたしましても、できる限り早くこの実施計画を策定するということで、いまの私どもに入っております連絡では、この実施計画の策定あるいは県の審議会による事業者負担の額の決定等は六月ごろまでには何とか解決するつもりであるという県の御意向でございます。まあ現実に私としてはもっと早くできないかというようなことも申し上げておりますが、なかなかいろいろな点でむずかしい点があるんだということで、いまのところは六月までには何とかするつもりだという県の御意向でございます。
○森中守義君 ここで港湾局長、十三港分の八億五千万というのはことし初めてつけた予算ですか、あるいは昨年もずっとありましたか、新設のものかどうか。
○政府委員(岡部保君) 昨年も現実にございました。したがいまして、この予算の項目といたしましては、継続のことでございます。
○森中守義君 そういうことになりますと、結局六月ごろ県が実施計画をつくりたい、それを基調にして運輸省でおやりになるということになると、まあ大体夏のころには実行段階に入っていく。そこで、その十三港八億五千万というものは、むろんこれは単年度で全部終わるわけじゃないでしょう。来年もしくはそのさらに次年度というように、継続して必要なものはやっていきますね。
○政府委員(岡部保君) ただいま十三港と申しましたうちでも、七港は四十七年度からの継続でございます。そのうちの六港が四十八年度の新規の事業でございます。したがいまして、当然、この水俣の問題につきましては、四十八年度以降継続で、何年間かけるかはこれからの問題でございますが、継続で実施をしていくということになります。
○森中守義君 それと、その処理方式につきましては、まさにこれは専門的な研究、検討が必要でしょうが、これも、こういう予算のついた実施計画が実施の段階に入っていくと、おのずからこれと対応してその答えも出ますね。
○政府委員(岡部保君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、私ども一番頭の痛い問題はむしろこの工法でございます。したがいまして、いわゆる二次汚染を極力押えるということで、まあごくわずかの汚染というものは避けられないのではないかと思いますけれども、極力二次汚染を押えまして、押えるというための工法というものをどういうふうにしたらいいかという点、たとえばポンプしゅんせつ船で掘りまして、それを埋め立て地に――非常に濃度の濃いところは埋め立て地に入れてしまう、埋め殺してしまうというようなことを、この前も御説明申し上げたようなことを相変わらず考えておるわけでございますが、その際に、ポンプしゅんせつ船で掘ります際に、たとえばカッターをなくなして、カッターレスといっておりますが、ただ吸い込むだけでやったほうが拡散が少ないのではないかと、まあいろいろ技術的な問題これからも十分検討いたしていくつもりでございます。したがいまして四十八年度の予算実施段階に入りますれば、先ほども申しましたように、実施の予算を見ておりますので、この実施事業費の予算の中で、さしあたり工法の検討、この前調査費でというお約束を申し上げましたのを、現実には事業費の中のいわゆる調査費あるいは測量費等、事業費の中でそういうものを見られます。そういうものをまず支出いたしまして、それでそういう工法を十分検討した上で、なるべく早い機会に実施に移していくという考え方でございます。
○森中守義君 水産庁見えておりますか。
 県のほうで三月一ぱいぐらいには禁止の正式な決定をすると。まあむろん水産資源法に基づくものか、どういうものに基づくのか、ちょっと法的根拠は私ここに持っておりませんがね。まあどちらにしても、あの湾内じゃもう非常にあぶなくて、とった魚は食えない、売れないということですしね、どっかにこの関係の漁家というのは行かざるを得ない。そうなりますと、おそらくまあ三トンあるいは五トン等の新しい船を求めるか、それに対応して漁具もかえなくちゃならないと。あまりにも零細過ぎて漁具をかえるのもなかなか簡単にいかない。そこでその地元の漁協がチッソのほうに融資を申し出た。まあこういうことのようなんですがね。この融資の申し入れということは補償を含んでいる、補償含みの融資の申し入れというような状態ですけれども、水産庁として、漁業禁止に対する見解及び漁業の転換に対する助成策、こういうものは何か考えられませんか。
○説明員(松下友成君) ただいまの漁業の禁止措置でございますけれども、熊本県に照会いたしましたところ、まあこの問題の経緯につきましては、昨日の県議会におきましてPCBの問題についての審議が行なわれた際に、県側の御答弁の中に、現在実施中の精密調査の結果、PCBの暫定的規制値をこえた魚介類が検出された場合の措置として、操業の自主規制、漁場の転換等について関係の漁協と協議するというような御発言がなされたということを聞いております。こういったことから、おそらくただいま先生御指摘の新聞のような記事が出てまいっておるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、現在の漁業法、水産資源保護法によりましてはこれを禁止する当該事項がございませんので、県側の答弁にございますように、あくまで漁業の自主規制という方向に進まざるを得ないと考えられるわけでございます。
 それから、第二番目の転換措置でございますが、これはケース・バイ・ケースによりまして、非常に漁場が少なくなってまいりますので、県側とも十分打ち合わせながら、たとえば漁業の救済基金というようなものを、企業側からの基金に基づきまして、県も支出するというふうな方向に立ちまして、そういう基金とか、そういった制度の検討も県によってはなされておるところがございます。そういったものについては、国としてもしかるべく財政の措置、そういったものもやはり検討していく必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
○森中守義君 いまの水産庁でも検討してみたいということですが、ぜひひとつ慎重に御検討をいただいて、まことに気の毒な沿岸漁民に手をかしてもらいたいと思う。
 大臣、お聞きのとおりでして、これは前大臣からずっと継続した案件なんですよ。こういうことは大臣の引き継ぎ事項にはなかったと思うのですが、しかし事は非常に重要な問題でほうっておけませんので、港湾局長に一生懸命やってもらっておりますから、ひとつ督励をしてもらって、ぜひすみやかにヘドロの処理ができるように、かたがた農林大臣とも御相談いただいて、沿岸漁民の救済が早急にできるように御配慮願いたいと思う。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまの御趣旨のように極力取り計らいます。
○森中守義君 これはまあこの次に回すことにいたしましょうか。
 ちょっと大臣に資料要求を、少し気の毒ですけれども、ひとつ聞いておってください。
 補助金の問題ですが、昭和四十六年が初年度で、金額が千九百七十三万七千円、四十七年が二千六十八万一千円、四十八年はよく見ておりませんが、おそらくちょっとかさ積みされていると思うのですが、これは社団法人日本交通計画協会。参考までに申しますと、会長が同僚議員の山内一郎君、以下全部これは建設省の出身だな。これに運輸省から助成金が入っている、だからふしぎなんです。助成金の名簿を見たらすぐわかります。便覧見ましたらね。これは予算の分科会か何かでちょっと聞かなければならぬと思っておりますが、要するに、副会長が谷藤正三、専務が曹田何某、それと車両メーカー全員、建設の大手五社というように、大体道路関係が中心ですね。それで何をしようとするのかということなんだが、まことにあいまいなんですけれども、新交通体系とその基調をなす道路問題について委託をしたい――補助金じゃなくて委託費だ、委託ですよ。ですから、これを大体四十六年度の初年度からどういう意味で委託費が創設されたのか。その実績がどうなのか。運輸省はだれもいない。金だけ運輸省が渡しているわけです。これひとつ、よく私のようなしろうとにわかるような資料をおつくりいただいて、すみやかに御提出をいただきたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまの資料要求、承知しました。調べてみます。
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もなければ、本件に関する本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十分散会
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