第071回国会 運輸委員会 第32号
昭和四十八年九月十八日(火曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十七日
    辞任         補欠選任
      栗林 卓司君    田渕 哲也君
      青島 幸男君    山田  勇君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
    委 員
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                高橋 邦雄君
                松平 勇雄君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                阿部 憲一君
                三木 忠雄君
                田渕 哲也君
                山田  勇君
   衆議院議員
        内閣委員長代理
        理事      奥田 敬和君
        内閣委員長代理
        理事      木原  実君
   国務大臣
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
   政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      秋山  進君
        経済企画庁総合
        計画局長    宮崎  仁君
        運輸大臣官房長 薗村 泰彦君
        運輸省自動車局
        長       小林 正興君
        運輸省航空局長 内村 信行君
        運輸省航空局次
        長       寺井 久美君
        運輸省航空局技
        術部長     金井  洋君
    事務局側
        常任委員会専門
        員       池部 幸雄君
    説明員
        防衛庁防衛局運
        用課長     上野 隆史君
        外務省アジア局
        外務参事官   大森 誠一君
        労働省労働基準
        局監督課長   岸  良明君
    参考人
        日本航空株式会
        社副社長    高木 養根君
        日本航空株式会
        社常務取締役  野田 親則君
        日本航空株式会
        社取締役    冨田多喜雄君
        日本航空株式会
        社経営管理室長 橋爪 孝之君
        全日本空輸株式
        会社社長    若狭 得治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○航空事故調査委員会設置法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○運輸事情等に関する調査
 (タクシー事業に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 川村清一君、青島幸男君、栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として伊部真君、山田勇君、田渕哲也君がそれぞれ選任されました。
○委員長(長田裕二君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 航空事故調査委員会設置法案の審査のため、本日、参考人として日本航空株式会社及び全日本空輸株式会社の役職員の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(長田裕二君) 航空事故調査委員会設置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。新谷運輸大臣。
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいま議題となりました航空事故調査委員会設置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 航空行政にとって航空交通の安全の確保が最大の使命であることは言うまでもないところでありますが、不幸にして航空事故が発生した場合には、航空事故の原因を的確に究明し、事故の再発防止に役立てることが緊要であります。
 現在のところ、大規模な航空事故が発生した場合には、そのつど民間有識者からなる調査団を編成して航空事故の原因について調査を行なっておりますが、このような調査体制には、調査をすみやかに開始することが困難であること、平素から調査の実施につき十分な準備を整えておくことができないこと等の制約があります。
 このような現状にかんがみ、航空事故の原因を究明するための調査を的確に行なう体制を確立するため、常設の航空事故調査委員会の設置をはかることが、本法案提案の趣旨でございます。
 次に、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
 第一に、運輸省に、付属機関として航空事故調査委員会を設置することといたしております。
 第二に、委員会の所掌事務は、航空事故の原因を究明するための調査を行なうこと、その調査結果に基づき、航空事故の再発防止のため講ずべき施策について運輸大臣に勧告すること、必要に応じ運輸大臣または関係行政機関の長に対して建議すること、並びにこれらの事務を行なうため必要な調査及び研究を行なうこととすることといたしております。
 第三に、委員会は、委員長及び委員四人をもって組織し、委員長及び委員は、委員会の所掌事務の遂行につき科学的かつ公正な判断を行なうことができると認められる者のうちから、両議院の同意を得て、運輸大臣が任命し、その任期は三年とすることといたしております。なお、委員会には専門委員及び事務局を置くことといたしております。
 第四に、委員会は、航空事故の原因を究明するための調査を行なう必要があると認めるときは、航空事故の関係者からの報告の徴収、航空事故の現場への立ち入り検査、航空事故に関係のある物件の提出要求等の処分を行なうことができることといたしております。
 第五に、委員会は、航空事故の原因を究明するための調査を終えたときは、当該航空事故に関する報告書を作成し、これを運輸大臣に提出するとともに一公表しなければならないことといたしております。
 以上のほか、委員会の行なう調査に対する運輸大臣の援助、関係行政機関の協力、航空事故の原因に関係のある者の意見の聴取、罰則等について所要の規定を整備することといたしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(長田裕二君) 次に、本案の衆議院における修正部分について、衆議院内閣委員長代理理事、奥敬和君から説明を聴取いたします。奥田君。
○衆議院議員(奥田敬和君) ただいま議題となりました航空事故調査委員会設置法案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、本法律案は、航空事故の原因を究明するための調査を的確に行なわせるため、運輸省に通設の航空事故調査委員会を設置しようとするものでありますが、この委員会による事故調査が、より一そう的確に行ない得るような体制を確立するため、衆議院におきまして、以下申し上げますような修正を行なった次第であります。
 第一に、航空事故調査委員会の独立性を確保するため、委員長及び委員職権独立行使の規定を設けるほか、委員の罷免及び専門委員の任命にあたって委員会の意見を聞くものとすること。
 第二に、航空事故調査は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の付属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して行なうものとすることを明らかにすること。
 第三に、委員会による航空事故調査の公正な実施を確保するため、航空事故調査を終える前において、聴聞会を開き、関係者または学識経験のある者から意見を聞くことができることとするとともに、必要に応じ、航空事故調査の経過について公表するものとすること。
 第四に、航空事故調査報告書には、少数意見を付記するものとすること。
 第五に、委員会の求めに応じて陳述等をする者を保護するため、これらの者に対する解雇その他の不利益取り扱いを禁止するとともに、質問に対する不陳述等に関する罰則を削除すること。
 第六に、委員長及び委員の秘密保持義務違反に対する罰則を削除すること。
 第七に、事務局に航空事故調査官を置くことであります。
 以上が本修正の趣旨であります。
○委員長(長田裕二君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○森中守義君 この法案は、雫石の事件以来、私は、単独の調査委員会の設置ということを強く主張してきた者の一人ですから、そういう意味で、もっと早く制定されてもよかったのではないか。ただし、国会の諸般の経過からして今日になったわけですが、そういう意味で、できるだけすみやかに成立を期待したいという気持ちで一ぱいである。ただし、内容をずっと吟味していきますと、だいぶ疑問としなければならぬようなところも非常に多い。ですから、各条項的に多少お尋ねしながら、少し航空政策にも論及してみたいと思います。
 まず第一にお聞きしておきたいのは、三条の、報告の義務を課しているということですね、これは在来、そのつどつくられていたので、どういう程度の航空機事故がいま事での調査委員会の対象になっていたのか。少なくとも、民間航空のかなり大型な事故に対して調査委員会が設置されておった。したがって、たとえば小型機が落ちたとか、あるいはヘリコプターか落ちたとか、あるいは自衛隊機が落ちたとか、こういうものは、そのつど調査の対象として調査委員会が設置されていなかったように思う。ところが、今回は常設的なものになってくると、おのずから事故調査の対象というものは、ある程度はっきりしておく必要があろうと思う。ただ、法案制定を強く主張した場合、当時のいきさつからいきますと、主として民間機の大型事故を想定に置きながら、常設的なものをという、そういう論拠を持っていたわけですが、しかし、どういうケースの事故であれ、およそ空と地を結ぶ事故であれば、そういう事故のケースに限定すべきでないと私は思う。したがって、この事故調査委員会の事故の対象というものは一体どういう範囲のものをいうのか、まず、これをひとつお尋ねしておきたい。
○政府委員(内村信行君) この航空事故調査委員会の事故調査の対象でございますけれども、これは先ほど衆議院の御修正にもございましたICAOに採択された基準、標準に従う、こういうふうになっておりますが、それによりまして航空機事故を定めてございますが、いわゆる航空事故全部を扱うわけでございます。
 と申しますのは、もう少し詳しく申し上げますと、事故調査の対象となるものは「航空機の墜落、衝突又は火災」それから「航空機による人の死傷又は物件の損壊」あるいは「航空機内にある者の死亡又は行方不明」、「その他運輸省令で定める」ものとなっておりまして、その他運輸省令におきましては、転覆倒立、横倒し、翼端接地、胴体着陸、爆発、発動機、プロペラの脱落と、こういうふうにこまかく規定されておるわけでございます。
 そこで、従来はどうしておったかということでございますが、従来の航空事故調査につきましては、航空局の中に事故調査課というのがございまして、そこでもってあらゆる事故を取り扱っておったわけでございます。したがいまして、日常起こる小さな事故につきましては、航空局の中の航空機事故調査課のほうでこれを調査いたして結論を出しておりました。ただ、先般起こりました雫石の事故とか、あるいは「ばんだい号」の事故とか、こういう大きな事故になりますと、これはもっと重大な問題でございまして、よほど慎重にしなければいかない、こういう意味で特別にそのとき臨時に委員会をつくりまして、そこでもって学識経験者の方々にお集まり願って事故の原因の究明に当たっていただく、こういうふうな経緯がございます。
 したがいまして、今度の航空事故調査委員会ができますと、もちろんこの事故調査委員会の委員の方は五名でございますけれども、その下に事務局長以下の事務局がございます。そしてその中に事故調査官という、いわゆる事故調査官という、いわゆる事故調査の専門的知識を持った者が置かれることになっております。したがいまして、今回の機構におきましては、小さな事故につきましては大体事務局のほうでこれを調査し、それを委員会に最後報告して了承を得るということに相なると思いまするし、大きな事故につきましては、委員会が直接これを手がけるということになるのではないかというふうに考えます。
○森中守義君 そうしますと、三条で規定されているように、七十六条の一項各号に掲げる事故をいうということなんですが、一号から四号まであるということになりますと、これは必ずしも民間航空機の人身事故を伴ったようなもののみには限らないということですね。さっき申し上げたように、たとえば小型機が落ちたとか、あるいはヘリコプターが落ちたとか、そういうものも当然この中に該当する、こういうことですか。
○政府委員(内村信行君) そのとおりでございます。
○森中守義君 そこで、衆議院の附帯決議の最後のほうに、「防衛庁長官は、自衛隊の航空機について事故調査を実施したときは、特に必要がないと認めた事故を除き、事故防止に役立つ情報を航空事故調査委員会に提出すること。」こういう附帯決議がつけられております。これはだいぶ、各条項を拝見しましたが、自衛隊機に対する本文上の制約が何もない。ないということは、私の解釈からいきますと、七十六条の報告の義務ということは、防衛庁機であるということで適用除外になっているとは思わない。特段の取りきめによってこの自衛隊機の墜落ということは、七十六条一項の一号から四号に該当するいずれかの事項であろう、こういうように思う。したがって、自衛隊機は調査の対象から除外されているのか、除外されているとすれば、七十六条にいう適用除外の根拠は何なのか。私は固有の意見としましては、およそ自衛隊機であろうと、常に主張してまいりましたように、航空行政というものは一元的でなければならぬ、これが航空法上の精神である限り、自衛隊機だからといって、それによる事故だからといって除外すべきではない、こういう見解を持つんですが、特に、衆議院では四項に附帯決議を付しているということは、そういう意味とずいぶん距離のあるような考えに立つんですが、その根拠はどういうことでしょうか。
○政府委員(内村信行君) 実は、自衛隊法の百七条によりまして、事故報告は適用除外になっております。自衛隊の場合には。そこで、従来は自衛隊の航空機についての事故調査の適用は除外されておったわけでございます。しかし、今回は自衛隊の使用する航空機は、附則の第7でございますか、「自衛隊法の一部改正」によりまして、「航空事故調査委員会設置法第三条の規定は、自衛隊の使用する航空機について発生した航空事故(自衛隊の使用する航空機が自衛隊以外の者が使用する航空機と衝突し、又は接触したことにより発生したものを除く。)については、適用しない。」というふうに書きまして、ここでもって自衛隊の航空機は適用除外するというふうにしたわけでございます。
 と申します理由は、自衛隊の内部的なもの、つまり、自衛隊の航空機なり。パイロットなりにいたしましても、その内部で事故を起こしたものというものは、特段に民間航空にはかかわりないわけでございますから、したがいまして、これは自衛隊の内部的な調査にまかせると、しかし、これが自衛隊と民間との衝突事故というふうな、たとえば雫石のような場合が出ますれば、これは当然調査委員会でもって調査を行なうということにいたしたわけでございます。ただ、自衛隊の事故と申しましても、同じ航空の事故でございますから、その事故調査の結果、将来の事故防止をするのに役立つことがあるというふうな場合には、この情報を当方の委員会のほうに流してもらい、それをこの事故調査委員会としても活用することが必要でございますから、したがいまして、「長官は、航空事故の防止のために有益であると認める前項の航空事故に係る情報を航空事故調査委員会に提供するものとする。」ということをきめました。それを附帯決議におきましてさらに、そういうものをしっかりおやりになさい、こういうふうになったようないきさつでございます。
○森中守義君 いまの航空局長の御答弁からいきますと、当然自衛隊法によって七十六条は免除されておる、こういう解釈なんですね。ちょっとはっきりしておきたいのは、自衛隊法のいま言われる百七条、その条項をちょっと私拝見しておりませんが、民間機と関係のある場合には対象になる、自衛隊単独のものは対象にならない、その辺の整理はいま私が申し上げるようなとおりなんですか、もうちょっとはっきりしておいていただきたい。
○政府委員(内村信行君) ちょっと技術部長からお答えいたします。
○政府委員(金井洋君) 現行の自衛隊法の百七条では、航空法の七十六条というのは事故があった場合の機長の報告の義務、百三十二条というのは運輸大臣の事故調査の義務、七十六条も百三十二条も現行の自衛隊法百七条によって適用を除外されておるわけです。しかし、本事故調査委員会設置法が設定されるにあたりまして、自衛隊法の一部改正をしていただく、そして一部改正の内容というのは、いままでは自衛隊機は全部航空事故に関しては適用除外になっておったものを、自衛隊機と自衛隊機以外の民間機の衝突というような場合には、適用除外にはならないというふうに改正していただくことになっております。
○森中守義君 そこでせんだって来、しばしば問題に供しましたように、雫石の場合ですね、これは一つの非常によい例だと思う。特別に総理府の中に事故調査委員会を設置された、しかも権威高い事故調の結論が出たんだが、ひとり防衛庁だけがこれを是認しない、不服を唱えているわけですね。それで今度この事故調査委員会により、いま御説明のように、自衛隊法の一部改正でもこれはするんだということで拘束はするんだが、実際出たあと雫石と同じように是認しない、意見がある、不服がある、承服しがたいというわけで、またまた最終的な処理というものは法廷に持ち込まれるという、そういうケースが将来依然として存続をするのか。一たん正確にその対象になった、調査委員会が推定原因を答えとして出した場合、是認するか否認するかというのは、そういう因果関係者の固有の判断にゆだねられるという解釈ですか。つまり、審判権がこれによって確立されたのか確立されていないのかという、こういう一つの基本的な問題になるのですか、その点はどうなんですか。
○政府委員(内村信行君) 確かに、ただいま先生の言われた審判権の問題というのは非常に重要な問題でございまして、本法作成にあたりましても相当議論された問題でございます。
 そこで、こういう事故調査機関を設定する場合、そういった場合の考え方でございますが、一つの考え方は、事故の原因を究明をいたしまして、それでその原因を客観的にはっきりする、それによって自後再び同様な種類の原因による事故が発生しないように手を打つ、これがまず第一の事故調査の眼目でございます。
 それにさらに一歩進めて、たとえば海難審判所でやっておりますように、いわゆる審判というふうなことまで行なうかどうか、その辺は相当議論があったわけでございますが、結論といたしまして、私どもといたしましては、これは審判まで持っていかないほうがいいであろう、少なくとも、この事故調査委員会のまず究極の目的は、事故原因というものを客観的に公正妥当に分析いたしまして事故の原因を究明する、それによって同じような原因による事故が再び再発することを防止する、これにまず最大の重点を置くべきであろうというふうなことを考えておるわけでございます。そういたしますと、一方におきまして海難審判の例など見ておりましても、これは人の権利というものに相当関係がございますので、勢い審判手続というものは純司法的な手続をとり、慎重にならざるを得ない。そういたしますと、事故調査というものの結論を出すのがえてしておくれがちにならざるを得ないというふうなことも一方においてございます。
 そういう点を考えますと、むしろ私どもは、何年もかかってそういうふうな結論を出すよりは、まだ記憶に新しいうちにいろいろ証拠も調べ、実態も調べ、そして早く事故調査の結論を出すということのほうが事故の今後の防止のためには望ましいのではないか、こういう考え方からあえて審判権というものは付与しなかったということが、これをつくった作成の経緯でございます。
 そこで次に、先生御指摘の、つまり、今度はこういう事故調査委員会を持って、そこでまず事故原因が推定され公表されるということになった場合に、それに対する不服とかいうものが出てくるのではないかというふうな御懸念があるかと存じます。しかし、この委員会の結論といいますのは、要するに、先ほど申し上げましたように、あくまでも事故の再発防止にあるわけでございますから、必ずしも最後の一つの結論にしぼるという必要はございません。そこで、この修正案にも盛られてございますように、少数意見も付記するというふうになっております。
 したがいまして、この委員の方々はいろいろ学者の先生方、いろんな角度からお調べ願いますので、あるいは意見が対立する場合もあるかもしれません。したがいまして、そういう場合は少数説も掲記するということになっておりますけれども、それはどういうわけかと申しますと、それによって事故防止に役立てるんだと。したがいまして、一つ一つの原因ではなくて、こういう原因が推定される、あるいはこういう原因も推定されるという場合には、その二つの原因というものを考えながら、事故対策としては両方に対する手を打っていくのだと、こういうことがわれわれの気持ちでございます。そういった意味からやはり責任を、刑事責任をきめようとか、刑事責任の有無、あるいはその程度をきめよう、あるいは裁判――損害賠償の義務の有無、そういったものをきめようという民事裁判、刑事裁判とはおのずからその性質を異にしていると思っております。したがいまして、こういう事故調査の結論が出ました場合に、その事故の当事者の方が裁判に訴える、民事裁判に訴える、あるいは刑事裁判に訴えるということは、これはそれとしておのずから別に開かれた道でございまして、それはそれとして当然の国民の権利として行使していくということは、別に妨げないというふうに考えておるわけでございます。
○森中守義君 いまの審判権の問題はですね、もう少し意見も持っておりますから、あとにしまして、問題は、この衆議院の附帯決議の自衛隊の情報提供の問題ですね、これは一言でならば、自衛隊、防衛庁の独自の認定にかかるわけですね、義務は課せられていない。そこで私は、三条の四号で、この調査委員会が「調査及び研究を行なう」ということがある。ところが空間におけるこういう事故の実験などということは、これは簡単にいきませんね。たとえばその機材がどうであったとか、パイロットの体調がどうであったとか、あるいは気象条件とか、大体航空事故の幾つものケースを見てきた場合に、どれもこれもやっぱり貴重な参考になると思う。地上におきましていろんなケースの実験が行なわれるというようなことは、さてその事故の瞬間に想定できるかどうか、なかなかむずかしいと思うんですね。
 そこで、ここでいわれている調査研究とは一体何なのかということにもなりますけれども、要するに、いかなるケースのものであろうとも事故を絶滅をするというのが前提であるならば、やはり防衛庁が不幸にして発生した事故というものも、事故防止のためにはきわめて貴重な一つの資料だと思う。地上におきましていろんなケースの実験が完ぺきに近いほど行なわれ、それによって防止策が講じ得るというならば、これはまた別ですがね、実験ができないだけに、防衛庁の飛行機が事故発生したような場合でも、ここにいう調査研究という一つの対象にもなろうし、また貴重な資料として再発防止のために、当然私は有益な内容になるんじゃないだろうか。
 そういうことを考えますと、何も防衛庁がいい悪いという議論でなくして、雫石の例をすべてに適用するという意味でなくて、事故防止、再発の防止という、こういう観点からいけば、自衛隊機を本法の適用除外にすべきではない、やはり調査の対象にすべきだ、こういうことを少なくとも将来の航空界のためにとるべきだと思うんですが、これは条項の中にいまにわかに手を入れようとしてもなかなか困難でしょうが、むしろ衆議院のこの附帯決議というものはそういう意味で、自衛隊の自由な認定によって、このケースは調査委員会に連絡をしよう、報告しようという、そういう自由裁量にまかせないで、ある程度義務化しておく必要がある、最低ですね。一歩進めるならば、私は当然事故の調査対象にすべきだと思う。七十六条の適用除外にすべきでない。それが現状においてどうしても困難であれば、認定を防衛庁にゆだねるべきでない。報告の義務を課する。このほうがむしろ事故調査委員会の発足にあたって一歩前に進んだという感じを持てるんじゃないか、実際問題としましてね、そう思うんですが、どうでしょうか。
○政府委員(内村信行君) 私も本質的に先生の御議論には同感でございます。ただ、かといって、この法案の中から、いわゆるその自衛隊機も全部ひっくるめて事故調査するかということについては、いろいろ議論も行ないました末こういうふうになりました。この点については、直ちにこれを改正するというふうなことは申し上げかねます。いまおっしゃいましたように、やはりその調査研究いたしますにしましても、外国の航空事故の事例、あるいは国内航空事故の事例、いろいろな事例を集めまして、それを調査解析をしていくと、それによって今後の事故の対策をするということが主眼でございました。
 その意味から申しますと、防衛庁の飛行機の事故についても、これを情報としてその事故原因なり、その状況というものを知らしてもらうことは非常に有益であろうと思います。したがいまして、この法文の中では、長官は、特にその航空事故の防止のために有益であると認めるものについては情報を提供しなさいと、こういっておりますが、附帯決議の中では、むしろ原則的には全部提供してもらう、特にその必要がないと認めた場合を除いて提供してもらう、ということは、原則的に情報というものは事故防止の役に立つのだから、あらゆるものを提供してもらうというふうなことでございまして、そういう趣旨でもってこの運用を進めてまいりたいと思っております。先生のおっしゃる御趣旨には私は賛成でございます。
○森中守義君 これは局長、いずれあとで少し議論いたしますが、やはり航空法の抜本的な改正ということ、これはもう喫緊の急務だというように私は考えている。むろん、先年来省内にこの検討機関もつくられたようですが、やはりこの七十六条の一号から四号までを見ていましても、どう考えてみても、自衛隊機は適用除外してもよろしいという論拠は生まれてこないんですね。このどれかのケースにやっぱり自衛隊機も該当しますよ。そうなると、自衛隊機は自衛隊法によりまして航空法を排除しておっても、これはむしろ航空法改正の際に適用除外というものは認めないと、少なくとも自衛隊機の事故というものも、さっきから申し上げるように非常に貴重な一つの資料になると思う。
 しかも、たまたま落ちたんだが、民間機とぶつからなかったからよかったという、実はそういうたぐいのものであって、事故の状態というものは、いつ、どういうような、たとえば空域の問題とか、あるいは管制上の問題とかいうようなことなどが当然想定される。幸いにして民間機と衝突しなかった。もう現に雫石などが一番いい例ですからね。だからそういうことを考えると、もっと総合的に航空対策を考えるならば、自衛隊機の事故といえども適用除外とすべきでない。だから航空法を抜本的に改正をする際に、その辺のことを当然これは検討さるべきだと思う。いま適用除外されているのは、ある意味では政策上の問題なんですね。そういうものが事故調査という異常な事態において勘案していいものかどうか、配慮されていいものかどうか、私はその発想にはかなり疑問を持つ。事故というと、やっぱり政策上の問題じゃありませんよ、これは。そういう意味で政策以前の問題、純粋な航空事故防止という観点からいくならば、今回つくろうというこの事故調査委員会の範疇に当然入れておくのが至当だと、こう思うんです。大臣、どう考えますか。航空法改正の際に適用除外としないということはお考えになりませんか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 政府委員からいろいろ御答弁申し上げたとおりの趣旨で今回の事故調査関係の法律案は構成をいたしております。ただ、いまおっしゃるように、確かに自衛隊機でありましても事故の内容によりまして、われわれが航空行政全般から見て、これは非常に事故防止に役立つという問題があるわけです。そういった事故の調査の結果をいただくことは、報告してもらうことは非常にこれは事故防止にプラスになるという面がありますから、この附帯決議でも、衆議院では特にそれを強調しておられるわけでございます。で、私どもはこの問題については、いまおっしゃるように航空法制全体を検討いたしまして、抜本的にこれはおっしゃるように法制の整備をしなきゃならぬということを考えておりますから、その際にはおっしゃるような趣旨を十分考えまして、この航空全体についてさらに積極的な事故防止対策が講ぜられるような方向で検討をし、自衛隊ともこれは交渉しなければならぬと思っておる次第です。
 航空関係の法律は、これは御承知のように古い法律が多くて、その上に非常に変化が多いもんですから、あと必要な規定を積み重ねていったようなかっこうで、いまあとからこれを振り返ってみますと、法体系からいいましても、また内容についても改正すべきだと思う点が少なくないんです。正直言いまして。私は、この法体系もそうだし、内容についてもこれ非常にむずかしい問題でありますけれども、権威者の意見を聞きながら素案を早くつくってほしいということで、事務当局を督励しております。やがてそういう段階に入ると思いますんで、いまおっしゃったような点は、航空法の改正にあたりまして十分考えてみたいと思っております。
○森中守義君 これは大臣のせっかくの御答弁ですから、まあそれでけっこうですが、さっきから申し上げますように、やはり航空事故というものは政策のワク外でなくちゃいかぬ。この一つの基本原則というものをきちんとやっぱり踏まえなきゃいけませんよ。なるほど現在採用されている方式というものは、これは何といっても政策のワク内に自衛隊をはめ込んでいるという感じなんですね。ところが、事故というのはこれはそういう質のものであっちゃいかぬと思うんですね。ですから、これはいろいろな意味で防衛庁が制約を受ける、だから適用除外だという主張は、ある意味では防衛庁は主張するかもわからない。しかし、これはわが国の航空界の将来を考えますと、政策外のものとして当然航空法の中に入れ込んで、この事故調査の対象にする、こういう姿勢はひとつ貫いてもらいたい、こういうように思うんです。
 そこで、総理府来ていますか。――ちょっとこの項の関係などでお聞きしておきたいんだけれども、せんだって連絡は受けましたが、防衛庁が独自の調査をやった、雫石の場合。そこで山縣委員会の推定原因は承服しがたい、ついてはかくかくの疑問があるというわけで、かなりの期間が経過したあとに総理府経由山縣委員長に照会を出した。これはこの委員会あるいは決算委員会等でも二、三回私はお尋ねして、どうも適当な措置ではない、もともと総理府が、消滅をした事故調査委員会に公式な文書で照会を出したほうも出したほうなんだが、媒介をした総理府も見識のないことではないのか、こういうことを強く主張しながら、その措置を求めたわけですが、結果的にはどうなりました。
○政府委員(秋山進君) ただいま先生からお話がございましたように、防衛庁のほうから昨年の十二月付の文書で、航空交通安全の参考としたいということで、三項目にわたって山縣先生の御回答をいただきたいのでお取り次ぎを願いたいという文書が参りまして、それの取り扱いについていろいろ検討した結果、私どもも専門的な知識を持ちませんので、当時の委員長である山縣先生に一応書類をお届けいたしまして、その先生のいわゆる回答を、いろいろとお話してお待ちしていたわけでございます。去る六月末に先生のほうから回答がございまして、これについては回答しないというようなことで御回答がございましたので、その旨公文書で防衛庁にお伝えした次第でございます。
○森中守義君 そういう措置はあまりにも当然なことでね。ただ、盛岡地裁あるいは民事で争われておる中に、三項目の照会事項がかなり重要な内容になっているようなんですね。それで、これは航空局長ね、これから先もこういうケースが当然予想される。全日空あるいは日本航空とか、あるいは防衛庁というように限らないで、いよいよ事故調査が一つの推定原因をまとめた、が、あとで、いやどうもあれはおかしいというようなことがこの事故調査委員会の発足したあともあると思うのです。予測されますね。そこで、そういうようなことが事故調査委員会の権威を、あるいは運営を、さらにその推定原因か――結審じゃないけれども、調査原因の側面あるいは背景としてこの辺にどうも被害、加害という、刑法上の問題からあえていうならば、そういうものがにじみ出てきた場合、どうしてもこの報告書は是認しがたいというようなことが予想される。
 こういうことを繰り返していくということは、せっかくつくろうという事故調査委員会の将来の問題にあまり適当だとは思わない。そういったようなものをこの調査委員会で具体的にどういったように消化していくのか。むろん五名の委員、あるいは専門員、それに事務局一体となった調査が行なわれるという法案になっているようですからね、かなり充実したものになるでしょう。しかし、因果関係というものが結果的にどういうような答えを出していくのかということになると、私は雫石の問題を一つ念頭に置くものですから、そういうことが将来は起こらないで、出された推定原因というものは非常に値高いものとして認知される必要があるのじゃないかと、こう思うのですが、そういうことが起こらないためにこの調査委員会の使命、性格、内容及び他の関係者という、こういう関係においてどういう措置がとられますか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 事故調査委員会ができまして、非常に慎重な手続、それから非常にそのほうの専門家あるいは見識の高い人が集まりまして結果を出すわけです。航空事故ですから非常に推定をしなきゃならぬ部分も多いと思いますけれども、調査委員会としてはあらゆる角度から検討し、あらゆる資料を集めまして、事故原因はこうだったろうということを、幾ぶん推定が入るでしょうけれども、そういうことを権威をもってきめるわけであると思うんです。そのきめ方については、これは法律に詳しくありませんけれども、委員会自体が自分の責任において、自分の権威において、これはいろんな方法を考えましてきめていくことになると思います。そういうことですから、この事故調査委員会の決定というものはおそらく最高のものになると、私はそういうふうに見ているわけです。
 それを民事、刑事の裁判所がどう取り上げるかという問題でございますが、これは私は民事、刑事の裁判所をこれによって拘束するというようなことにならない、理論的には。それはもう不可能だと思いますし、これがちょっとほかにも例があるでしょうが、先決訴訟のような形になるということも法律上は、これは明定はできないと思います。しかし、そういう事故があって、すぐに発動をして、そして原因を探求して、これ以上の調査はできまいというような方法で調査をし、結果を出されるんですから、裁判所におきましてもこれを最大限に尊重されるだろうということは、これは想像できるわけでございいます。ですから、そういうことは裁判所の判断によるわけですけれども、この事故調査の結果が非常に間違っておったということでなければ、これはもう最大限尊重される、これがもう最終的な事故原因であるというふうに、裁判所も推定するであろうということを私たちは期待をしておるわけでございます。非常に私は、その点では権威のある結果が生まれてくるというふうに考えておるわけでございます。
○政府委員(内村信行君) 若干事務的に補足説明さしていただきます。
 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、いま大臣が申し上げたようなことが実際に行なわれるためには、この委員会というものは非常に高い権威のものでなければならないということがまず前提でございます。したがいまして、この御審議いただいております法律案におきましては、まず、この委員の人選の問題がございます。これにつきましては、科学的な、公正な判断のできるというふうな方々の中から、これは運輸大臣が任命するわけでございますが、その際には、特に両議院の同意ということを条件にしております。両議院の同意を得まして、これならばだれが見ても間違いがない、りっぱな人であるという、こういう人をまず委員に選任するということが一つ。
 それからもう一つ、先ほど先生が若干お触れになりましたが、実は何か事故調査委員会の結論その他に、いわゆる政治的な圧迫が加わるおそれがありやしないかというふうな御懸念ではないかというふうに拝察をするわけでございます。したがいまして、その点につきましては、私どもも特に航空局の中から離しまして、独立した事故調査委員会を置くということはその意味でございます。まあ、これは運輸省の付属機関でございますから、運輸大臣のもとにあることは、これは任命権も、同意を得るということでありますけれども、運輸大臣にある。
 しかし、これは、その職に関しては全く運輸大臣から独立して、その指示は一切受けない、独立してこれを行なうのである、こういうふうなことから、特に衆議院のほうで御修正をいただきまして、「委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行なう。」というふうなことを修正案としてお入れをいただいたわけでございます。これによっていかなる政治的な圧迫にもめげず、独立してほんとうに客観的な真実を求めるということをやり得る体制になる。しかも、権威の高い人々が両院の同意を得て構成されるということによって、ほんとうの意味のしっかりしたいいものができるだろうというふうに期待しているわけでございます。
○森中守義君 ちょっと木原代議士ね、衆議院でいまの結審の問題、審判権の問題これはかなり議論されたものと想像する。ただ、私は申しわけないのですが、衆議院の会議録を全く読んでいない。そういう意味で、どういうふうなことが議論の中心であったのか、つまり結審制度をこの委員会に採用すべきという意見、そうでなくてもよろしいという意見、大体方向はどういう内容だったのでしょうか。
○衆議院議員(木原実君) お答えをいたしますけれども、衆議院段階におきましては、まずこの委員会の性格につきまして、やはりこの独立性の付与ということが中心の議論になりました。いろいろやはり委員会の構成上疑義がございまして、つまり、事故の態様によりましては、運輸省自体が被告の立場になる可能性がある、しかもそういう状態が予想される中で、任命をされる委員、あるいはこの委員会が運輸大臣のある意味では統率下にある、一つの矛盾ではないか、こういう問題がございまして、したがって、この原案のワクを最大限に解釈をして、総体的にできるだけやはり独立性を付与をしよう、そういうことで、まあ、議論といたしましては、問題が残りましたけれども、おおむね解釈としましては最大限に独立性を付与して、そうして権威と見識の高い調査活動ができるようにと、こういうことでわれわれは承認をしたわけでございます。
 したがいまして、お尋ねの結審の方法につきましては幾つかの議論がございました。独立性と関連をいたしまして。たとえば運輸省の中には、御案内のように、海難事故に対する審判の制度がある、この制度に比較して、この委員会制度がはたして十分に独立をした、権威ある自主的な行動ができるかどうかということについても、制度論として何がしか問題がある、こういう問題が若干実は残ったわけでございます。しかし、お尋ねのことに関して申し上げますというと、最大限に独立した権限と、それから活動をやってもらおう、こういうことで議論を終結したわけでございますけれども、制度論としましては、何がしかこれからの運用の中に問題が残るのではないか、こんなふうに議論が行なわれました。
○森中守義君 それから、木原代議士にもう一つお尋ねしますが、さっき私が申し上げた附帯決議の防衛庁の報告、情報提供の事項ね、これはどうも認識としては非常にゆるやかなものだというふうに判断するのですがね、この辺の議論はどういうものでしたか。
○衆議院議員(木原実君) たいへん問題のあったところでございまして、議論の中では、私どもとしましては、やはり先ほど来森中委員から御発言がございましたように、当然自衛隊にかかわる事故も、むしろいまの自衛隊がかなりの数事故を起こしているわけでございますけれども、防衛庁自体の航空事故に対する処理のしかたというものがやや閉鎖的である、こういう問題等もございまして、せっかくこういう制度ができるときに、防衛庁関係の、自衛隊関係の事故も調査の対象にすべきだと、こういう主張もしくは意見が出たわけでございます。
 ただ、やはりいまの制度の中では、自衛隊の中にそれぞれのいままでのしきたり、あるいは自衛隊独自の性格、こういうものが強調をされまして、将来の問題として考えるけれども、当面はこの制度を発足をさせ、それから先のことは別個にやはり考えよう、こういうようなことで、附帯決議の中にそれらの意見を盛り込む一こういうことでこの制度はとりあえず発足をさせる。しかし、衆議院側の意向としましては、この問題は将来に問題を残したまま、とりあえずこの事故調査委員会を発足をさせるということで、附帯決議に盛り込んで意見を反映をさした、こういう締めくくりになっているわけでございます。
○森中守義君 やはり三条の二号、三号で、「航空事故の防止のため講ずべき施策について勧告」、「航空事故の防止のため講ずべき施策について建議」、これは原案にあったのですか、それとも修正されたものですか。
○政府委員(内村信行君) 第三条第二号「航空事故調査の結果に基づき、航空事故の防止のため講ずべき施策について勧告すること。」これは原案にございました。
○森中守義君 そうなると、これは非常に重要な事項ですし、この委員会の性格の一面を見ることになりますがね。もともと語義として勧告と建議というのはどう違うのですか。
○政府委員(内村信行君) 両方とも一つの事項を示して、こういうことを行政上その他に反映させなさいということの意味においては、勧告も建議も性格は違いませんけれども、勧告のほうが一般的にやや強いというふうな感じでございます。勧告の場合には、これはこの勧告に対して――この法律案によりますと、いろいろな事故調査いたしますけれども、その当該事故調査についての結果に基づきまして勧告する。勧告をされたならば、運輸大臣はその結果につきまして、さらに勧告の実施の結果につきまして委員会に報告をするということになっております。
 それから建議のほうは、勧告よりいささか性格が弱いと思いますが、この法律上考えておりますのは、「航空事故の防止のため講ずべき施策について」、これは航空事故調査をやっております場合に、必ずしもこの当該航空事故の原因ではない、しかし、たまたまこういうふうな事項が発見されましたと、あるいはこういったことは将来行政に取り入れたほうが航空の安全を担保するためにいいでしょうと、あるいは外国の事情をいろいろ調査解析してみた、その結果、こういうふうなことは日本の国の行政に取り入れてもよかろう、こういうふうなことがあれば、随時その件につきまして、各関係行政機関のほうにそういったことを慫慂するということにいたしたわけでございます。したがいまして、いずれも拘束権というほどのことはございませんけれども、勧告のほうはやや強い。それから建議のほうは、特に当該事故に関連するものでなくてもいつでもできる、こういった違いを持たしておるつもりでございます。
○森中守義君 なるほど、語義としては勧告と建議は確かにいまお述べになったとおりでしょう。それでこの事項というものは、非常に調査委員会の性格をどういったように認識すべきかという一つの判断の基礎になる。私は端的な言い方をしますと、勧告といい建議といい、かなり行政部門、政策部門に踏み込んでいくという、こういう認識が非常に強い。ただし、調査委員会のやるべき範囲としては調査なんだと。事故防止のために、こういうもの、ああいうものというものが勧告される、建議される。それを受けて行政にどう反映すべきかというのがこの背景をなすものでしょうけれども、これは当然、たとえば航空審議会とかあるいは運輸審議会、勧告を受けた、建議を受けた、受けたものはそういうところにおはかりになる場合もあろうし、あるいは大臣がこれは直ちに法改正するとか、あるいは政策立案をするとかという、そういうことになるでしょうが、大体建議、勧告の原則といいますか、限界というのはどういうことですか、事故防止に関するという、そういう制限的なものですか。
○政府委員(内村信行君) やはりこの事故調査委員会は、航空事故の原因を究明いたしまして、もって航空事故の防止に寄与するということが目的でございますから、やはりその権限というものは、航空事故の防止ということに限られておるというふうに考えております。
 そこで、先ほど申し上げましたように、勧告は二十一条にございますけれども、「委員会は、航空事故調査を終えた場合において、必要があると認めるときは、その結果に基づき、航空事故の防止のため講ずべき施策について運輸大臣に勧告することができる。」二項に、「運輸大臣は、前項の規定による勧告に基づき講じた施策について委員会に通報しなければならない。」というふうに書きまして、この勧告権というものが一体どういう態様において発動され、それに基づいて運輸大臣はどういうふうなことをしなければいかぬかということを義務づけられておるわけでございます。
 したがいまして、あくまでも航空安全と申しますか、事故の防止、こういったことが権限の範囲内でございますが、そういったことはあるいは非常に技術的なこまかいこともございましょうし、あるいは一つの体制上の問題というようなことにも関連が出てくる場合があるかもしれません。したがいまして、原則的には、そうこまかい事項につきましては、こまかいと申すより技術的な事項につきましては、あるいは運輸政策審議会とか、あるいは航空審議会というもののおそらく担当すべき範囲にまではならないと思います。また、かりに安全を担保するためにはぜひともこういうふうな体制の変更が必要であるとか、あるいはこういうふうな施策の変更が必要であるというふうなことが航空行政上のあるいは運輸行政上の大きな施策として出てきます場合、そういった場合には、あるいは場合によって航空審議会なり政策審議会の問題になる場合もあり得るかと存じます。しかし、それはあくまでも航空事故防止というものに限られた範囲内であるというふうに考えております。
○森中守義君 これはあまり適当な言い方でないですけれども、中にはこの法案あるいは調査委員会はもろ刃の剣だという、こういう批判をする人もままある。ですから、私は、その調査と政策の斉合が非常に大きな問題だと思う。事故調査委員会が一つの機能を持つ。しかもだんだん強化充実されてくる。そこで第三条にいわれているように、調査研究というものがかなり深刻なものになっていきますと、たとえば現行の法令上に問題点が発見されることもあるでしょう。あるいは政策上にもどうもこれは行き過ぎがあったとか、緩漫であるという、こういうこともあるでしょう。あるいは、あえて全日空とか日本航空というわけでもないけれども、企業に対する監督官庁の指導監督というものはどうであるか、あるいはそういう企業の運航状態はどうなのか、かなりその内容に踏み込んでいくものになると思う。
 しかし、それはあくまでも固有の勧告であり、建議なんだから、実際、行政上には政府機関である運輸省が携わるので、説はありますね。説があることはこれは当然だと思うんですが、しかし、出される勧告といい建議といい、要するに事故調査、事故防止と政策上の斉合というものが何か将来混淆されてくる心配がやっぱりあるんです。たとえば、管制官あたりもほんとうはきょう来てもらって、そういう先行きなども少し聞いてみたかったんですが、できませんけれども、これが非常にやっぱりこの委員会の特徴でもあろうし、また、見方によっては危険なファクターを持つんじゃないかというように考える。
 そこで一つの勧告、建議というものはどの範疇にとどまるか。一言でいえば、いやそれは事故防止のためなんだということで非常に割り切れますけれども、実際の勧告、建議というものは、だんだん中に入っていけばいくほど、政策あるいは行政の面に踏み込んでいく可能性が十分あるし、そこまでいかなければ、やっぱり勧告、建議の意味がないと思うのです。これはまあもろ刃の剣などといって、最初から変なことを言うようで恐縮なんだけれども、しかし、この辺のことをある程度明らかに、どういうことで斉合する、どこまでが勧告、建議の範囲であるというようなことは、もう少し抽象的な言い方でないと、なかなかこれは局長のほうの答弁もできないと思うけれども、しかし、これは調査委員会の性格を裏づけるものだと思う。在来、随時つくられていた事故調査委員会にはこういうものは全然なかったわけですから、これが恒常的な一つの機関の特徴ともなろうし、欠点ともなろう、こういうように思うので、どういうようにお考えですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 実際の運用にあたって、非常に問題になるような点を御指摘になっていると思うのですね。これは私の考えでは、この勧告とか建議とかいうようなものは、事故防止に関係のある事項については、これは広くってけっこうだと思うのです。広い範囲でけっこうだと思うのです。それがおっしゃるように、運輸省で担当しております一般交通政策、航空政策というものに触れてきた場合にどう扱うかということにつきましては、これは最終的な責任を持っている運輸大臣が、斉合して調整をしていかなきゃならぬということになると思います。
 勧告そのもの、建議そのものにつきましては、ここで初めから航空審議会のやるような政策問題を取り上げてやるということは、これは困ります。しかし、事故防止のために、これは非常に航空行政としては一番大事な問題ですから、事故防止に関連をして政策に触れるような問題がありましても、これはこういったところに基因しているのだから、こういう政策についてこれは考え直したらどうとかいうようなことは、これは大いに勧告をし、建議していただいて私はけっこうだと思うのです。
 それから、いま御指摘になった四号の必要な調査研究ですが、これは私の希望では、どうせ委員会ができましたら、独立の立場から、自分の職務権限において委員長及び委員がおきめになることだと思いますが、私の希望としましては、これはそういう事故防止に関係がある事柄について、事故が起こったから初めてそこで調査研究するというのじゃ、間に合わない部分がたくさんあると思うのです。これは事務局もあることですから、ふだんからそういう調査研究をしていただいておいて、そうして事故が起こった場合には、具体的な事故との関係を明らかにしていくというような方向でやっていただくと、事故原因の探求というものについても、より真実性が得られるというふうに考えておりますので、二号、三号、四号とも、これは私は広範にやっていただいてもけっこうであると、こういうふうに思っております。
○森中守義君 もっとも調査委員会の本旨というものが、「科学的かつ公正な」という一つの原則がありますから、その限りにおいては、きわめて識見の高い委員あるいは専門委員等の任命が行なわれるでしょうから、いま私が申し上げるのは、あくまでも単なる一つの理論的な危惧であって、実際問題としてはそういうことはあり得ないであろうし、運用の妙を生かされると、こう思う。しかしながら、やはりここに恒常的なものが設置される以上、この辺のことはよほどきちんと会議録等に残しまして、将来のためにしておきたいと、こう思うのです。
  〔委員長退席、理事木村睦男君着席〕
 そこで今度は、設置法上の航空審議会ですね、これとその事故調査委員会の勧告、建議というものは、内容的に、質的にやや類似してくる可能性が非常に濃厚だと思う。これは、いや航空審議会は独特の性格を持っているし、調査委員会はこれまた同様だと、したがって、別に重複したことはないということもありましょうが、この辺は少しどうなんでしょうかね、審議会とこの建議、勧告の内容をもう少しすっきりと、出てきたならば審議会にかけるとか、ただどちらが上級、どちらが下級という、こういう判別はこれは実際できません、並列的なものでしょうからね。しかし審議会の諮問事項、それと調査委員会の建議勧告というものの扱いをある程度原則化しておく必要がありはしませんか。たとえば建議、勧告が出たら必ず審議会に付するとか、そういったようなことがこの際はある程度きちんとしておくほうが、私の危惧をある意味では、もし危惧が危惧でないような場合、歯どめになるという可能性もあると思うのですね。その辺の整理は実際できますか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 審議会のほうは、組織法に書いてありますように、航空に関する重要な事項について運輸大臣の諮問にこたえて意見を出す諮問機関でございます。これはしかし、この事故調査の委員会とは、事故調査機関とはだいぶ性格が違うと思うのです。事故調査のほうは、事故の調査に関する限りはここに書いてありますように、これはもう独立の権限を持ってやるわけですから、重要事項についてとありますけれども、審議会のほうでこういうことがある、ここにいま提案しておりますようなこういう事故調査については、これはもう全然権限がないということにならざるを得ないですね、第一に。
 それから、おっしゃった要点であります事故調委員会の出した勧告、あるいは建議というものが航空政策全般に触れるような場合にどうするのか、こういうことになりますと、これは先ほども申し上げましたように、この重要事項については運輸大臣が諮問をするのが例だと思います。あるいは航空審議会に諮問しないで、運輸大臣の責任において片づける問題もあると思います。
 いずれにしましても、この事故調査委員会から出てきた勧告、建議につきましては、事故調査の探求ということについては、もう別に他の委員会に諮問をする必要も何もありませんが、それから出てくる航空政策全般についてわたるような、たとえば制度の問題であるとか、あるいは組織の問題であるとか、そうった問題になりますと、やはり航空審議会に諮問をしなければならぬというようなケースが多くなってくるのじゃないかと思います。そういった点については運輸大臣が責任を持ちまして、両委員会の本来の職責を果たしてもらえるような運用をしていくということになるだろうと思うのです。どこまで諮問をするか、どこまで諮問しないかという問題については、これは航空審議会のほうの――むしろ航空審議会のほうの側が重要な事項ということになっておりまして、どこまでだという限界がありませんから、これは運輸大臣の裁量でやっていくということにならざるを得ないだろうと思うのです。
○森中守義君 衆議院のほうでは、これは木原さん、どういう議論になったのでしょうか。
○衆議院議員(木原実君) いま大臣のお答えがございましたように、衆議院の段階におきましては、特に何といいますか、その辺の調整のことは問題が提起がございませんでした。ただ、調査、勧告、その他の範囲の問題、あるいはまたやり方の問題等については論議がございましたけれども、審議会の関係等についての斉合の問題もしくは競合の問題取り扱いの問題等については特に議論がなかったと、こういうふうに記憶をいたしております。
○森中守義君 それから、少々こまかな質問で恐縮ですが、五条の「委員長及び委員四人をもって組織する。」、「委員のうち二人は、非常勤とする。」と、こういうくだりがありますが、別段これはどういう、まあ、たとえば予算を積算するなんというそういう筋のものとはもちろん違いましょうし、大体たとえば公取が何名とか、これに準じたようなものがこういうことになっておるようなので、まあ、あえてその辺を問うのもやぼったい話なんですが、一通りお尋ねするという意味で、この発想というのは大体どういうところから出ておるんでしょうか。
○政府委員(内村信行君) これは先生ただいまお話ございましたように、特段にこうでなきゃいかぬというふうなことはもちろんございませんで、私どもとしては、なるべくなら常勤委員が多いほうがいいというふうなことはかねがね感じていたわけです。一番初めの原案におきましては、委員長が常勤、そのほかに常勤委員一人ということで、委員長を含めまして五人の委員のうち二人が常勤で、三人が非常勤という形でございました。これが初めに衆議院に提出された法律案の原形でございました。
 その際に、衆議院でいろいろ御議論がございまして、やはり常勤の委員が少ないんではないかというふうな御議論が非常に多くございました。それを受けまして、まあ結果としてその当時の法律案はもろもろの事情がありまして廃案になってしまったわけでございますが、その当時そういうふうな議論のあったということを踏まえまして、大蔵省及び行政管理庁にも特にお願いいたしまして、委員の常勤を一人ふやしてもらった、それで委員長及び委員の二人、この合計三人を常勤にしていただくということに相なったような経緯でございます。ですから、特段にこれが一番いい形であるというふうなことは申せませんけれども、大体、委員長とあとそのアシスタントとして二人ぐらいの方が常勤としておられれば、日常の業務を事務局その他でやってまいります場合において、いろいろ御意見を伺うとかあるいは御指示を賜わるとかいうことについても、まずまずこれならば支障なくいけるんではないかというふうなことを考えておるわけでございます。
○森中守義君 それから、その法律が施行されたあとのことなので、なかなか人のことですから、いまにわかにどうなるのかという想定もつきませんし、ただ、一般論として「科学的かつ公正な」という、こういう選考の原則があるわけですね。なかなか聞くほうもこの辺が抽象的に聞かざるを得ないんですが、おおむね科学的かつ公正にというのはどういうことを大臣お考えになるのか。ここにはJALや全日空もいらしていますが、ほんとうに航空の専門家とは一体どういう人たちをさすものですか。何もかにもおまかせしてもいいという、科学的、公正にというその辺のことが、どなたという意中の人物まで漏らしてくれなんというそういうことは聞きませんけれども、概念としてどういう人をお考えですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) これはまあ、ここに書いてあるとおりに解釈していただく以外にないと思うんですがね。結局、法律や経済を知っておる方だけではいかぬということでございます。公正ということはこれはもちろんでございますけれども、どこにも片寄らないで独自に、勇敢に自分の判断を出してもらうというようなことが公正でございまして、それから科学的という意味は、やはり事故調査でございますから、全然、航空に関するいわゆる科学的方面の知識も経験もないという人を選びましても、事故調査には役に立たないだろうということを考えられますので、したがって、対応する問題としては、まあ、さっき申し上げたような法律、経済の専門家で非常に公正な人がありましても、これは科学的な方面ではどうかということで選考基準には合致しないと、こう思いますが、科学的とは何だとおっしゃっても、これは百科辞典を開いてもなかなか出てこない問題でございまして、これはやはり事故調査委員会にふさわしい、事故調査ができるようなやはり能力を持った方というように、非常に抽象的、散文的ですけれども、そういうふうに御解釈いただきたい。あとはひとつ選びます場合にどうせ両院にかけますから、両院でこれは科学的、公正じゃないとおっしゃればこれは通らない、そこでひとつ御判断をいただく以外にないと思います。
○政府委員(内村信行君) 若干補足説明をいたします。
 と申しますのは、実はこの議論は衆議院でも出た議論であると記憶しております。それでその際、私が御答弁申し上げましたのは、科学的と申しますのは、いわゆる合理的、客観的に判断のできる人ではないかということを申し上げました。科学には自然科学もあり、社会科学もあり、人文科学もございまして、それからいわゆる物理とか化学とかそういう科学もございますというふうなことで、そういうことを総称して考えると、やはり合理的、客観的な判断を下し得るような方ではないかというふうな考えを私は持っておるわけでございます。
 ちなみに、これは法律根拠も違いますから参考のために申し上げるだけでございますが、アメリカのNTSBあたりもやはり委員会制をとっております。その場合には、やはりこれが司法官出身の方であるとか、あるいは知事出身、つまり行政官出身の方でございますとか、あるいは飛行機のパイロット出身であるとか、あるいはコーストガードの出身であるとか、あるいはいわゆる航空に専門的な知識を持った方とか、こういったような方々がいろいろ集まって一つの合議体を形成されているというのがNTSBの場合の例でございます。ただし、これは法律的根拠も違いますから、必ずしもそうでなくてはいかぬという意味ではございませんけれども、御参考としてアメリカあたりはそういう構成をとっているということを申し上げます。
○森中守義君 これは公正という意味では、まさに一般的不特定多数のだれにでも該当することでしょうね。ただ、科学的ということになると、しかもあとでかなり任命の制限条項がある。そうなるとこれは俗学的、俗論的な科学的ということではいきますまいし、制限条項はかなりきびしいから、おのずからその対象というのはややある限定された分野におさまるでしょうね。むろんこれは国会の同意事項ですから、その際にまた、何が科学的なのか少し検討さしてもらわなければいかぬと思うのですが……。まあ、これはこれでいいでしょう。
 それからこれに関連しまして、五条の四項ですね、この禁止条項というのは、おおむね公務員法を引用されたものだと思うのですが、たとえば、これもあまり具体的に踏み込んでもどうかと思うのですが、五条の四項の三に該当する場合、つまり過去にこういう経験を持っていた人などはどうなんですか。この文言の中に出ていませんが、現にこういう職務にある者をさすものか、あるいは過去の経験者もこれに該当するものか、あとの条項に多少関係しますから、ちょっとこの辺聞いておきましょう。
○政府委員(内村信行君) この第四項第三号、これはいわゆる航空事故調査につきまして権限関係を持っている人、その事故原因について権限関係を持っている人、こういう人は公正な判断ができないだろうということから欠格条項にしたわけでございます。かと申しまして、過去において航空に経験のある人、あらゆるものを禁じてしまいますと、いわゆる学識経験のある人というのは得られないというふうなこともございます。したがいまして、これは現在従事している者は禁止しておりますが、過去については禁止しておらないというふうにいたしましたわけです。
○森中守義君 いま理事のほうから、十二時ぐらいで午前中ひとつ休憩に入れということですから、そういたしますが、これは大体、予算としてはこのためにどのくらい要求しているんですか。もちろん、ちょっとその質問は早過ぎるんですけれども、大体出された概算要求はどのくらいになっているのか。
○政府委員(内村信行君) 委員会の四十八年度の成立予算は、人件費が約六千四百万、物件費が約千五百万、合計七千九百万円を計上しております。
○森中守義君 四十九年度の予算ではどうなりますか、いま要求された概算では。
○政府委員(内村信行君) いまこまかい数字は手元に持ち合わしてございませんけれども、
  〔理事木村睦男君退席、理事山崎竜男君着席〕
相当程度の要求をいたすつもりでおります。
○森中守義君 これはまた午後、もう少し事務局の内容等もお尋ねしなければなりませんから、できますならば概算要求の、目までは要りませんが、款、項ぐらいのところをちょっと教えていただきたい。
 それから、参考人にお越しいただいてたいへん恐縮ですが、特に、日本航空と全日空の参考人でいらっしゃるので、こういうものを行政官庁がつくるというのに、見解はどうかと聞くのもどうかと思いますが、大体こういうものをごらんになって、航空界の将来のために非常に裨益する、あるいは航空界の発展のためにそうでもないというような判断、どうでしょうか。それと、どっちにしてもこの法律は時間の問題になってきましたので、一人歩きすることになりますが、御希望を付されるようなことはありませんか。またあといろいろお尋ねしますが、包括的にどういうお考えでしょうか。
○参考人(高木養根君) 私、日本航空の副社長の高木でございます。
 ただいまの森中先生の御質問につきまして、日本航空としての考えを申し上げますと、ただいま御審議いただいておりますこの事故調査委員会、これは航空界の将来のためには絶対必要なものだと思います。特段の希望というのはございませんけれども、この法案が可決されまして、実施に移されましたならば、将来の航空界のためには非常に裨益するというふうに考えております。
 簡単でございますけれども、私の考えを申し上げました。
○参考人(若狭得治君) 全日空の若狭でございます。
 ただいま日本航空の高木副社長の意見と全く同様でございまして、一日も早く委員会の実現するよう心からお願いいたします。
○理事(山崎竜男君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十四分開会
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き航空事故調査委員会設置法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○森中守義君 午前中に引き続き、少し条文ごとにお尋ねしたあとで、また全般的にお尋ねします。
 第九条の「委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。」と、この条項は一見きわめて民主的であり、会議の形態としても首肯できる筋のものであります。ただし問題は、事故調査のぎりぎりの場面、つまり推定原因を突きとめようという場合に、少数意見を付してというそういう断わり書きはありますが、元来、多数でこういうものをきめるということは、たとえば思想的な議論になるとか、あるいは学理的なものであるとか、そういうものは別としても、少なくとも一つの物理的なものを探求する、一つの真実を追求するという場合、数少ない委員の皆さん方に甲論乙駁というものがあったにしても、その辺はさらに議論の余地が残っておれば、再度そういう調査をぎりぎりまで詰めていけば、あまり小数意見とか議論が分かれるということは実際問題として避くべきではないか。したがって、全会一致ということが望ましい結論の出し方ではないのか、こういうように思うんですね。そこで、在来個々のケースごとに設置をされてきた調査委員会の経験に照らしてみて、そのつど小数意見というものはあったのか、完全に調査原因の追究が多数、小数という分かれたような状態で運輸大臣に報告書か提出をされたのか、そういう実績と、論理的に、私はさっき言ったように、多数意見、少数意見という分かれたような状態で答えが出るのはあまり好ましいとは思わないんですが、どうでしょうか。
○政府委員(内村信行君) 確かに理論的と申しますか、あるいは理想的には全員一致というのが望ましいことは先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、私どもも従来もそうでございましたが、今後もこの委員会に望むことは、全員一致でもって結論を出していただくということが望ましいし、できるだけそうしていただきたい、こう思っております。ただしかし、現実の問題を振り返ってみますと、実際に航空事故というのはほとんど全員証人もいなくなり、何もわからなくなってしまうというふうなことが、全損の場合が多いのがわりあいに多い事例でございます。したがってそういう場合には、いろいろな仮説を立て推論を立てながらやっていかなくちゃならないというふうなことが普通の、一般の地上の事故と違った点でございまして、その点につきましては各学識専門家の方々、いろいろそれはそれぞれの御意見をお持ちで、なるべくそれを集約して一致させようと思ってもできない場合が事実問題としてございます。しかしやはり委員会として何らかの意見というものは合議体である以上決しなければならない。したがいまして、やはり理論的、理想的には全員一致が望ましいが、実際問題として可否同数を捨て過半数でこれをきめるという一応の形をとらざるを得ない。
 さらにそういうふうな場合も、先ほど申し上げましたように、この委員会の目的が真実を探究して同種の事故の再発を防止するというたてまえでございますから、あらゆる想定し得る疑問、問題については手を打っていくということが必要でありますから、したがって、そこで少数意見もつける、そういうことによって対策といたしましてはあらゆる場合を想定し、たとえ黒でない灰色であるというところについても手を打っていくということでこういふうな形をとり、なおかつ少数意見を付記するということによって事故の再発を防止しようというふうにいたしたわけでございます。理想的には先生のおっしゃるとおりであることは間違いございません。運用といたしましては、なるべくそういうふうに運用していただきたいというふうに考えております。
○森中守義君 これは多数意見があり、少数意見があり、足して二で割って妥協線を見出すというそういう性質のものではもちろんいかぬと思う。だから推定原因を突きとめるという場合、妥協ということはこれはもう絶対あってはならぬという、そういう見解であると同時に、多数意見があって話がまとまらない、しかし、やむを得ないので少数意見を付したと、そういう扱い上、実際問題としてあり得ることでしょうから、それはわからぬでもないけれども、たとえば九分九厘まできた、どうしても一厘のところが少数意見があってそのことがネックになる場合、多少時間がかかってでもその一厘の割り出しにもっと探究を、整理してみるという、そういうようなことが実際問題としてやはりやらなきゃいかぬと思うんですね。
 そういうことは、私はこれを拝見してものごとがものごとだから、多数意見、少数意見ということで割り切るべきもんじゃなかろう。もちろん妥協の産物として、足して二で割ったという行き方はもとより適当じゃない、こう思うんですが、そしてこれが一つの結論が出た、これから先の事故防止にいかように役に立てようかというときの少数意見というものが実際の行政作用の中にどういったような作用をしていくのか、むしろ私は、問題はその辺にきていると思うんですね。
 調査委員会の答えは出た、しかし、少数意見がくっついている、報告書に基づいて自後の処置をとろうという場合に、その少数意見が実際の行政の上にどういうウエートを占めてくるのか。しかもそれはネックとして残されたまま行政に反映する、防止対策に反映していくということになる可能性があると思うんです。ですから、やはりここは私は、本来ならばこの条項は削除して、あくまでも全会一致、足りなければさらに時間をかけるという、そういうやり方をしないと、実際事故防止に報告書が援用され、行政に移しかえられていく場合に、こういうものがかなりネックになってくると思うんですよ。そういうものをあらかじめ予測するならばむしろこの条項はないほうがいい、あくまでも全会一致制というように私は考えるんだが、その辺は行政にどういうかっこうで少数意見を反映し、それが事故防止にどういったようなエキスになるのか、ちょっとその辺の見解をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(内村信行君) 先生の御指摘の理想につきましては、私、全然異議を差しはさむものではございません。ただ、実際上われわれの経験から言いますと、五人なら五人というふうな方々が、専門家が集まりましていろいろ意見を出した場合に、必ずしもそれが全部一致するとは限らないというのがいままでの経験でございます。その場合に、委員長なりあるいは団長なりが従来、最後まで何とかして全員一致でいこうというふうに努力をされて、いろいろ議論もし、努力もされておられました。しかし、にもかかわらず、やはり最終的に学者の先生方は非常に自分の信念がお強い方がございます。したがいまして、単に妥協というふうなことはできない、これはお気持ちはわかるわけです。
 そういうことでどうしても自分の信念上、むしろ学者の良心と申しますか、そういう点から私はこう考えるんだが、これについて譲れないと、こういう場合がままあるわけでございます。そういうことをしいて一緒にまとめようといたしますと無理が起こってくる、先生のおっしゃったような、足して二で割るような結果になる場合があり得るということ。それから、そういうことでやっておりますと非常に時間がたつわけです。それで私は、事故調査などというものはなるべく記憶に新しいうちに全部の事実関係、情報関係を取りまとめて、そして早く結論を出すということが望ましいと思っておりますが、そういうふうな手続でもって非常に長い月日を費やしますと、結局何か初めのころの印象が薄れてしまって、ほんとうの事故の原因の究明というものが何かおぼろになってしまう、こういうふうなことになってくるというのが、これは理屈ではなくて、むしろ現実の問題としてわれわれが人間である以上あるわけでございます。したがいまして、そういう実態を踏まえまして、やはり多数決によって決し、そしてまた少数意見は特に書くと、一人でも意見の違った人があればそれはちゃんと書いておくということが、やはり事故防止上望ましいというふうに考えているわけでございます。
 そこで、その次に、それを行政にどう反映するかという問題でございますが、結論が一つである場合にはその結論を反映させます。ただその結論につきましても、たとえば、直接の原因はパイロットの操縦ミスであるということがございましても、その遠因とか何とかいろいろ書かれておる場合が多うございます。それなりにそういうふうなことにつきましては、直接の原因についての手当てのみならず、遠因となったものあるいはそれに関連のあるものについては全部手当をしていく、通常それは勧告に盛られておりますけれども、そういうふうな手法でやってまいるわけでございます。
 したがって、たとえばかりに多数説と申しますか、委員会ではパイロットミスということになったといたしましても、少数説ではこれはむしろ保安施設の欠陥であるというふうなことが出されました場合には、私どもの打つ手といたしましては、パイロットのミスのないようにということを心がけると同時に、保安施設についてもそういう誤りのないように、両方について行政上の手を打っていくということを考えておる、こういうふうにして多数説、少数説、両方を加えて行政施策に反映させる、それによって航空事故というものはなくなってくるだろう、私はそういうふうに確信をしております。
○森中守義君 この点はひとつ、いま私が申し上げたようなことも一つの側面でもありますから、実際の運用上よほど配慮されるように望んでおきたいと思う。
 それから、九条の職務上知り得た秘密を漏らしては云々というのがありますね。これは退任したあとも同様だと、こう言われていて、かなりきびしい条件が付されておりますね。これは社会通念上、常識化されたものであって、もちろん公務員法等を引用されたものと思うのですが、ここにいう一体「秘密」ということ、これは調査段階、結論を得るに至るまでの、そういうことが報告書を作成をして公表しなければならぬ、こういっているわけですけれども、報告書に出る以外に一体何があるのか。だから私は、ここをずっと読みながらこういうように思うのですよ。ここにいう「秘密」とは、たとえばA、B、Cというようにそういう因果関係が三つにまたがっている、その中のAなりBなりCなりがどういうケースのものかは別として、どうしてもこれは個人的な秘密に属するもの、こういうものはこれは当然秘密を――業務上知り得たことを漏らしてはならぬということになると思うのだけれども、あと報告書に盛られる以外に一体秘密に属するようなものがあっていいも一のかどうなのかということになると、これは非常に問題だと思いますよ。しかも任期が終わったあとも言ってならぬぞと、こういっている限り、かなりシビアにこれは見ているわけですね。
 そこで、一体ここでいう「秘密」とは何をさすのか、少なくとも私はいま申し上げたように、中間的に必要があれば公表しなければならぬ、報告しなきゃならぬと、こういっているし、しかも調査終了段階ではこれを公にする、こういっているわけだから、公にするものはこれからこれまで、秘密にしておくものはこれからこれまでというように、どうも使い分けしているんじゃないか。そういうことになると、一体国会も知りたい、国民も知りたい、しかしこの条項によりまして報告すべきものとしないものとが分離されたんじゃ、これはとてもじゃないが科学的かつ公正という名に値しないのじゃないか、こういうふうに思うのです。だから、ここでいう一体「秘密」とは何なのか。もともと、事故調査原因を追及するその経過と結果というものは余すところなく公にされるべきものであろう、調査に対して秘密というものはあってならぬ、こういうように思うのですが、この辺の見解はどうですか。
○政府委員(内村信行君) 御質問にお答えするために、この条文の私どもの趣旨を申し上げますと、まず、形式論からいけば、一般公務員につきましては国家公務員法上の秘密保持義務があるということ、これは今度の委員長及び委員は特別職の国家公務員でございますから、それに付随して国家公務員である以上、当然秘密保持の義務があるということは形式論でございます。しかし、ほんとうの意味というものは、できるだけ真実を知りたいということが基本的な意味でございます。
 と申しますのは、たとえば証人だれそれに来てもらってこういうことを聞こう、その際に、その証人としては自分がこういうことを言ったということが人に知られては非常に困るんだと、そういうふうな場合がやっぱりあり得るかと思います。たとえばその企業に属する人が、たまたまその企業に属する飛行機の整備の欠陥のためにこうなったんですよというふうな証言をいたしますと、企業に帰ってから非常にぐあいが悪いということで、これは名前を伏せておいていただきたいと、こういう場合もあり得るかと思います。そういった意味で、しかしこの場合には、ともかくあなたの名前をあげるわけではない、だれがどう言ったということではない、そういうことはどこにも伏せておきますから、したがって、真実を言ってくださいということによって真実を引き出そうというのがこの条文の目的でございます。したがいまして、客観的な事実、これは秘密にも何もなるわけではない。特に、事故の原因に関連のある事実については、これは秘密にすべきものではないし、むしろこれは公にすべきものである、しかし、だれがどう言った、かれがこう言ったというふうなことについては秘密を守りましょうというのがこの趣旨でございます。そうすることによって真実の原因が探求される。また、特にふえんして申しますと、衆議院の修正の中で、特に企業上の秘密を漏らすとか、そういうことがあった場合にでも、その企業は不利益処分をしてはならないといった意味の修正案文がとられているようであります。それと相まちまして、個人の秘密を守って、そしてまたほんとうのことを言ってもらい、ほんとうのことを言ってもらった人に迷惑がかからないようにするということがこの条文の趣旨である、こういうふうに考えております。
○森中守義君 なるほどね、わかりました。
 そうなると、結局、これは主としてその第三者あるいは関係者の証言におおむね該当するものであるという理解をしておくほうがいいですね、調査それ自体じゃないと。私はまたこれを読んで、退任したあとも言ってはならぬとこういうんで、よほど調査に秘密を伴ったのを使い分けして、これは公にする、これは出さぬというようなことであるのかと思ったんですが、それはいまのでわかりました。
 それから専門委員の問題ですが、これは委員にかなりきびしい条件を付し、しかもその任命条件も吟味されておるわけですが、この専門委員というのは航空企業であって、ほとんど任用あるいは選考の条件というのがこれはない。だからこれは、委員の任命あるいはいまの秘密保持等のそういうものに準ずるのですか、あるいは専門委員というのは、もうただだれてもいいから――だれでもいいといっても、学識経験者から、こういっているんですが、委員とは異質のものとしてごく簡便に任命するつもりですか。
○政府委員(内村信行君) この専門委員と申しますのは、普通の場合に――専門委員は委員と違いまして、委員の場合は常勤あるいは非常勤を問わずすでに任命されておる方々、それからそのほかの事務局の調査員その他でもって事故調査というものは進めてまいるわけでございます。しかし場合によっては、そういった者だけの知識では足りない場合がある、その場合には、専門委員をそのつど委嘱いたしまして、足りない場合を補っていただく、これが専門委員の趣旨でございます。したがいまして、常時きまっているものではなくて、その事故のつど必要に応じて委嘱すると、こういった性質のものでございます。たとえば証言、気象、航空管制、あるいはヒューマンファクター、こういったような専門家が特に必要であるという場合には、そういった人を任命するということでございます。
 そこで欠格条件、これは先ほどの委員のような厳重な欠格条件を付するかどうかということでございますが、そういったような性格であらかじめ任命しているものでなくて、個々にそのつど任命するものでございますから、そのつど、むしろこれはその次の条の「職務従事の制限」がございますけれども、そういうことによって専門委員を、当該「事故の原因に関係があるおそれのある者」については、「航空事故調査に従事させてはならない。」ということによって、そういうものは専門委員としては任命しないであろうと、またかりに任命しても、そういう事実がわかればそれはやめていただく、こういうことになって、むしろ専門委員の場合はこの十三条の「職務従事の制限」によって公正を担保しよう、こういうふうな考え方でございます。
○森中守義君 そうしますと、これはそのつど任命ということですね。
○政府委員(内村信行君) そうでございます。
○森中守義君 そのあとの十三条ですね、これは非常に見ようによると重大な問題なんですね。少なくともこの文言でいけば、事故に「密接な関係を有すると認めるとき」と、こうなっているんですね。もしこれはその任命の目標を誤って――こんなことが実際私はあり得ないと信じたい。もし、こういうことがあったとするならば、これはやっぱり事故調査委員会のイメージというのは一ぺんに崩壊しますね、しかし、法律上こういうものを予測をして、一応網を張っておくというのは、非常にけっこうだと思うのでありますが、いままで何回か事故調査委員会がつくられた過去の経験の中から、実際にこういう事例が幾つかありましたか。
○政府委員(内村信行君) 実際上そういう経験はあまりございません。したがいまして、事実問題としては、あまりこういう事例は発生しないかと思います。しかし、ただ理論的に考えますと、この六条四項のほうで欠格条項ございますが、「禁治産」とか「禁錮以上の刑」というふうなことについては、当然初めからわかることでございますから、そういったものがこの十三条に発動されるわけはないわけでございまして、むしろ第三号の「航空運送事業者若しくは航空機の装備品の製造、改造、整備若しくは」云々と、こういうふうな欠格条項がございますが、こういう人には、こういう欠格条項には該当しないということで設定いたしました場合に、たまたま事故が起こった場合に、こういうことに具体的にひっかかってくるということが理論的にはあり得るわけでございます。そういった場合にはやはり公正を担保する意味から、この問題についてはその人には去っていただきたい、しかし、そのほかの問題については当然この方は委員を続けていただく、こういうふうに制度をやりたいということで、実際はあまりないと思いますが、理論的にはこういうふうな構成をとらざるを得ない、こういうふうに考えているわけでございます。
○森中守義君 それから十四条の四項で、「事務局の内部組織は、運輸省令で定める。」とありますが、布令はできているんですか。
○政府委員(内村信行君) この省令は形式論といたしましては、法律ができましてからその委員会のほうでつくらなければならない問題でございまして、まだできておりませんが、大体の考え方はできております。
 組織につきまして申し上げますと、事故調査委員会の事務局には、事務局長を一人置きます。それから総務課を置きまして、そこに管理係と調査係の二つの係を設けます。そのほかに主席航空事故調査官外九名、合計十名の航空事故調査官というものを置くというふうに考えております。
○森中守義君 これは局長、もちろんその案でけっこうですが、これはやっぱり出してもらわないと、大体事務局というのはどういう構想でいくのかさっぱり見当がつかない、むしろかなり強力なアシスタントとしてその事務局が整備されるのは当然だと思う。午前中、予算はどうかと聞いたのも、むしろ予算の大半というものは事務局によって裁量されていくと思うんですね、何かあるような話ですが、あればひとつ出してください。あとでいい。
○政府委員(内村信行君) はい。
○森中守義君 それから、その案を見ればわかりましょうが、現在の航空局の機構で、事務局のほうに移しかえるんですか、どの機構をどういったように移しかえるのか。
○政府委員(内村信行君) 現在の事故調査課に所属する者は全部移しかえます。
○森中守義君 この調査課というのは、課長以下何名おるんですか。
○政府委員(内村信行君) この現在の調査課でございますか……。現在の調査課は、課長以下十八名ございます。と申しますのは、実はこの法案につきましては、法案成立する以前に予算が成立しておりまして、そういった関係から、前の、この法案提出以前よりはよけいにふやした形で人員をつけられておりまして、それをこの機構ができませんために、現在の事故調査課のほうで吸収してこなしておるというふうな状況でございます。それが十八名でございます。
○森中守義君 さっき言われるその専門調査官というのか、航空事故調査官ね、この人たちもこの中に行くんですね。それといま言われる課長以下十八名と事故調査官というのは別々なものですか。
○政府委員(内村信行君) もう少し詳細に申し上げますと、現在の組織は、航空事故調査課というのがございまして、課長が一名おります。その下に管理室というのがありまして、室長一名、それから補佐官が一名、管理係が三名、調査係が二名、そのほかに専門職十名というのがおります。この専門職十名がいま御審議願っております法律案によります航空事故調査官十名と、こういうことに相なっております。
○森中守義君 そうなると、事務局長以下事務局は総員何名になるんですか。
○政府委員(内村信行君) 事務局長以下十八名でございます。
○森中守義君 まあ、この十八名という事務局の構成は、調査委員会がすべり出してみればなかなかこの十八名の事務局でうまく運行できるかどうか、しかも内容的にかなり重みがついてきましょうから、そうなると、これは逐次増員の方向に行くということになりますね。大体四十九年度の予算では十八名のままの予算要求なのか、あるいは幾らかふやしておりますか。
○政府委員(内村信行君) 現在の組織は中央十八名、そのほかにあとで出てくると思いますが、航空局の中における地方にやはりこの委員会を援助する要員といたしまして、事故調査関係の要員が約十八名おります。それを合わせたものがいわゆる事故調査関係に従事する職員であるということです。
 それから、今後の問題といたしましては、私どもこの十八名で必ずしも足りると思っておりません。したがいまして、四十九年度にはさらに増員を要求したいと思っております。
○森中守義君 どのくらい、四十九年……。
○政府委員(内村信行君) 現在本省関係としては――本省と申しますか、事務局の本部、ここには六人を要求したいと思っております。
○森中守義君 これはこれから業務量の増加あるいは整備と対応してふえていくことでしょうから、まあいいと思うんですが、できるだけひとつ、せっかくつくるものですから、人が足りないでどうにもならぬということがないように、大臣のほうでも政治折衝あたりの際には特に御配慮が必要だと思います。
 それから、十五条の中でいわれている、要するに準拠として、「国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空事故調査を行なう」、こういわれておりますね。これは事故調査の一つの方程式というものがこれによってきまっているんですか。それとも在来の事故調査の経験に徴して、いろんなものがこういうものとは別にあるのかないのか。まあ、当然あってしかるべきだと思うんですがね。これが一つの憲章みたいに受け取れるんですがね。どういうことでしょうか。
○政府委員(内村信行君) こまかいことは技術部長のほうから御説明いたしますが、大体におきまして、標準において標準化されております。たとえば運航グループであるとか、あるいは証言グループとか、どういった種類のグループをどのくらいつくってやるというふうなことが標準化されております。そのほかいろいろな意味においてそういった標準が一応できておりますので、それにのっとりたい、こういうことでございます。
○政府委員(金井洋君) ただいまの局長の答弁を補足いたしますと、御承知のように、ICAOでは事故調査の標準、それからどういう方法でやれという勧告、それから事故調査の実際の専門別のグループの組み方、このグループとしましては、構造とか発動機、気象等、十一のグループごとに分けて、そしてそのグループごとで独立で仕事をし、最終的にみんな調査結果を集めて、そして最も科学的な根拠に基づいた判定をくだす、こういう方式をとっております。従来から航空事故の場合につきましては、ICAOの定められた方式とか勧告された手順に従って事故調査をしていたわけでございますけれども、今回この法案の審議にあたっては、特にこの十五条として国際民間航空機関――ICAOの標準にのっとって明文化すべきであるということでございましたので、特に明記してある次第でございます。
○森中守義君 それから、この中で要するに処分の問題が例示してありまして、しかも先ほどの説明では、おそらく秘密保持ということは、ここの中における質問等もそういう証言を対象にしたものだと私はさっき申し上げたんだが、それで結局そういったように秘密保持が置かれて、しかも「処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」と、こういっている。そうなると、当然これは協力要請、こういうような解釈が成り立つんですが、しかし、最後のほうに罰則条項があるんですね。拒んだ者は懲役もしくは罰金に処するぞと、こういう。そこでその協力というこの発想と、最終段階における罰則というこのことが多少矛盾したような感じがする。この辺の解釈はどうしたらいいですか。
○政府委員(内村信行君) 実は航空機事故調査の処分権限、これをこの第十五条できめたわけでございまして、これが実は一番航空事故調査に必要な重要な権限でございます。したがいまして、これは単なる協力要請ではなくて、むしろ相手方は義務づけられると、こういう性質のものでございます。したがって、これに対しては罰則がついている。ただ黙否権の行使、これだけは一応罰則をはずしてございますけれども、これは刑法その他との関係におきまして、これは衆議院の修正におきまして罰則を削除したものでございます。それ以外につきましては罰則はつけまして、これは義務的なものになっております。そういうふうにして大きな権限を与え、それによってほんとうのことを供述してもらう、相手方も義務をもって供述をするということをするかわりに、その秘密は保持してその供述した人の身分は守っていく、こういう趣旨でございます。したがいまして、これは単なる協力要請という意味では考えておらないわけでございます。
○森中守義君 そうなると、聞きようによっては司法警察権が留保されているようにも見えるんですが、その辺はどうですか。
○政府委員(内村信行君) これは一応司法警察権とは思っておりませんで、そのために特に「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」と、こういうふうに申しておるわけでございます。と申しますのは憲法の第三十五条、これでは「何人も、その住屋、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三條の場合を除いては、正當な理由に基づいて發せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」というふうに規定しておりますが、これは一般の刑事手続に関するものでございまして、行政上の指導取り締まりが行なわれるものはこれとは一応別個であると考えております。
 そこで、通常の行政機関の職員に対しまして令状なしに立ち入り権限を行使する、そういう権限を与えるわけでございますが、しかし、それが一たび誤って、犯罪捜査と同様な強力な権限を持ちますと、不当に他人の人権を侵害するというふうなものもございますので、特にこれは令状を持たずにやることができるのであるけれども、犯罪捜査のために認められたものではないから、したがって、司法警察的な権限ほど強くはないんですと、こういう意味で念を押したわけでございます。
○森中守義君 この辺の扱い、非常にむずかしいですな。拒否すれば罰則がついている、しかし司法警察権はない。この辺の法理論の組み立てがかなり私も問題があるなというように思うんですが、しかし、事故に対する協力というものは何人も惜しまないでしょうしね。そういう意味で秘密の保持は保障されているということであれば、よほど運用の妙というものを生かしていく必要がありましょうね。ただ、幸いにして最後の罰則条項あたりは適用されないような事態が最も望ましいというようなことを特に強調しておきたいと思う。
 それから、十七条の運輸大臣の援助行為の問題ですが、これは一言で言うならば、要するに事故調査委員会と運輸省が一体となって共同調査をやれという理解のしかたが正しいんでしょうね。
○政府委員(内村信行君) これはむしろ、共同調査と申し上げますよりは、委員会がその権限において独立して調査を行ない、それを運輸大臣が援助するというかっこうになるかと思います。と申しますのは、従来の航空事故調査では、運輸大臣がその権限におきまして、上から下まで事故調査を監督するということが事故調査の態様でございましたが、今度の新しい委員会設置法ができまして、この新しい委員会ができますと、事故調査の権限は本来的にこの委員会か持つというかっこうでございまして、運輸大臣は、それに対して援助を行なう、要請があった場合に、そのつど、末端のところにおいて、いろいろな現場保存をするとか、そういったような事項がございます。そういったことをやるとか、あるいは初動の立ち上がりにおいて、なかなか中央にある調査委員会から人が行けないというふうな場合に、現場の航空職員が行って立ち上がりの初動調査をする、そういうふうな面で、援助は申し上げますけれども、本来の権限はあくまでも委員会にある。それに対して運輸大臣、運輸省の職員は御援助を申し上げます。こういうたてまえでございます。
○森中守義君 この辺が実務的にどういうことになるのか、大体想像つくようなものではありますが、具体的に言えば、さっき局長が言われたように、事故調査課というものは全部移り変わるわけですね。そうなると、事故それ自体の、つまり実務的な援助というのは、もうあとは運輸省はないんでしょう。そうなると、それ以外の、たとえば救援対策であるとか、あるいは情報の収集とか、そういう外郭援助というような、そういうことになるんですか。実際の援助機能というのはもうないと私は見るんだけれども、どうなんですか。
○政府委員(内村信行君) 先ほど申し上げましたように、この委員会は運輸省の本省の中に置かれます。したがいまして、地方の出先がないわけでございます。しかし事故は相当遠方で起こる、非常に不便な山の中等に現場があるというふうなことが実態でございまして、そういう場合には、やはり運輸省の出先機関の職員がとりあえず現場の保存をするとか、あるいは事実の調査、物件の収集をするというふうなことをいたしまして、援助いたしませんと、実際問題としての委員会の機能というものが十全に発揮されないわけでございます。そういった意味から、これは事実として本省の職員ではございませんで、地方航空局ないし空港事務所にいる現場の職員、こういったものが事実の調査、物件の収集等についての援助を申し上げるということで、事故の原因を判断するための云々というふうなものには関与するものではない、あくまで事実問題としての御援助を申し上げると、こういうたてまえでございます。
○森中守義君 十九条ですね。「原因関係者等の意見の聴取」、ここで示されている聴聞の問題ですが、これは形式はどういうことですか。内容次第では公開あるいは非公開というようなことが、当然一般的に言えると思う。しかし、たてまえ論として、私はあくまでも、いかなる場合でも公開を原則とすべしという、そういう会議の形態を主張したいわけですが、その聴聞会の運行の形式はどういうことに考えていますか。
○政府委員(内村信行君) この点は、実は衆議院でも相当議論された問題でございます。先生の御指摘のように、あくまで公開でやるべきであるという議論もございました。ただ一方におきまして、たとえば聴聞をしますと、証人等を御依頼いたしまして、証言を求めるとか、そういうふうなことをやっていく場合もあるわけでございます。したがいまして、そういう場合には、おれがどうこう言ったということは人に知られたくないんだというふうな、先ほど申し上げたようなケースもあるわけでございます。したがいまして、その真実の探求という意味において、公にすることがいいのかどうかということは、実際問題として相当疑義のある問題で、これはやはりケース・バイ・ケース、その委員会の判断に従ってやらざるを得ないだろうというふうなことでございます。したがいまして、これは必ずしも公開原則ということで考えておりません。むしろ場合によっては非公開のほうがいいのではないかというふうなことも考えております。
○森中守義君 そうなると、公開、非公開によって多少異なった結果になりましょうが、報告書を提出する場合には、聴聞会の会議録というものを添付するのですか。
○政府委員(内村信行君) これは現在、FAAで同じような制度をとっております。これは事故後大体一カ月くらいあとに、こういう聴聞会を開いておりますけれども、その場合にはその議事録は添付しておるようでございます。ただしそれは、だれがどう言ったとかこう言ったとかというふうなことは書かれていないというように思います。
○森中守義君 この聴聞という方式は、非常にフレッシュな感じがするのですよ。一つの事件が発生して、調査はかくかく進んでいった、そこでいろいろな関係者の出席を求めて聴聞会が開かれる。私は、これは非常に賛成、しかも公開であるということを前提にしましてね。
 そこで報告書には、やはり第三者あるいは関係者の意見がかくかくに聴取されて、開陳が行なわれたと、当然報告書には添付すべきだ、こう思う。局長のいまの答弁のように、よそではどうもやっているようだというようなことではなくて、どうしたい、こうしたいというような、実は答えがほしいのですよ。
○政府委員(内村信行君) 私も先生と同様に、非公開、公開は別といたしまして、その議事内容というものは添付さすべきだろうと思います。ただその場合に、証言者の特定の名前をあげて、甲証言者はこう言ったとか、乙証言者はこう言ったとかというふうな議事録ではなく、その内容をあらわすといった意味の議事録と申しますか、そういうものは当然添付すべきだろうと、こういうふうに考えます。
○森中守義君 これはそれでけっこうでしょう。意見聴取、聴聞に参加した人の名前は出なくても、一応公になるわけだから、別段言ったことが改ざんされるというようなことは考えられませんから。とにかく、やはり聴聞会の内容というものは報告書に添付されて、広くだれしもにわかるように、ぜひこれはそうしてもらいたいと思いますね。
 それから聴聞の時期の問題ですが、ここでいわれているのでは、「航空事故調査を終える前に、」と、こうあるのですね。これは文言どおりに読んでいけば、ほぼ調査は一段落ついたと、それで集約しようという際に、というような印象を受ける。これは一体どういう解釈をしたらいいのか。そういう終局の段階なのか、終わる前にというのだから、結論が出ない前、つまり当初でよし、中間でよし、あとでよしという、そういう段階的にどれにこれは相当するのか、ちょっとその辺の時期を教えてください。
○政府委員(内村信行君) これはほんとうは委員会が形成されましてから、委員会の判断によっておきめいただくのが至当かと思いますが、私の個人的な意見を申し上げますと、この場合の聴聞の時点というのは、事故発生後約一カ月前後であろうかと思います。むしろその前の段階というふうに考えます。と申しますのは、これまたアメリカの例を引いて恐縮でございますが、米国のFAAの場合には、まず事故が起こりますとFAAの職員等がいろいろな証拠を、先ほど申し上げたようなグループに分かれて、いろいろな証拠調べ等をいたしまして、そこで一応の自分たちの証拠というものが、事実関係がまとまったと、この段階において、はたしてこれでいいのか、もう一回念を押してみる必要があるということで聴聞会を開くというふうなたてまえのようでございます。そういたしますと、これは、したがって事故後比較的早い段階においてこういう聴聞が行なわれる。そこにおいて事実関係というものをはっきり確定をして、さらにその後、その対策に移っていく、こういうことだろうと思います。
 それからもう一つ、十九条第一項の「航空事故調査を終える前に、当該航空事故の原因に関係があると認められる者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。」、こうございますけれども、これも私なりの解釈といたしましては、これは初めの段階ではなくて、むしろ終わりに近い段階、で、最終的に、大体事故の原因がほぼこういうふうであろうというふうに推定された場合、いわば「事故の原因に関係があると認められる者」というものは、やはり何と申しますか、利害関係の一番大きなものでございますから、念のためにもう一回意見を述べる機会を与えましょうということで、このほうは同じ文言を使っておりますから非常にまぎらわしゅうございますけれども、むしろ終わりに近い段階、それから聴聞会のほうは初めに近い段階と、私は個人的にはそのように解釈しております。
○森中守義君 これは局長、非常に重要な個所なんですね。たとえば、私が私流に読んだ場合、「終える前に、」というのは、ほとんどその調査が終局の段階に来た、そこで聴聞というようにも想定をした。そうなると、へたなやり方をすると、固めてきたものが聴聞によってくつがえされるという可能性も十分あると思う。で、そういうようなことを考えますと、よほどこの設定をする時期、これは慎重でなければならないし、非常にこの問題は捜査上敏捷な扱いをしないと、かえって混乱が起きるという、こういうことが想定されるわけなので、この点については、局長の言われる私見でもかまいませんが、よほど時期の設定を誤らないような配慮が望ましいと思う。
 それから、この項で両参考人にお聞きしておきますが、日本航空及び全日空の場合、この聴聞の方式ですね、かりに両社のいずれかにこういう事態が発生をしたという場合、どういう時期が一番適切と思われるか、あるいは聴聞の内容についてはどういう方法がいいと思われるか、この点いかがでございましょう。
○参考人(高木養根君) 日本航空からお答え申し上げます。
 ただいま航空局長からもお話がございましたように、事故が起こりましたあと、いろいろな事実関係を調べてまいります。で、あまりこの調査の段階が進みます前に、やはり聴聞が行なわれるのがしかるべきではなかろうかと思われます。
○参考人(若狭得治君) 先ほど航空局長から大体一カ月程度の期間を置いて聴聞をやりたいというお話でございましたが、事故の発生した場所等の関係もございますけれども、またそのときのいろんな条件が、われわれ航空事業者におきましても綿密に把握する必要がありますので、そういう調査の時間をいただきますれば、できるだけ早い機会にこの聴聞をやっていただくことが望ましいと思います。
○森中守義君 それで局長、この聴聞に来てもらう人あるいは意見を述べる機会を与えなければならないという陳述者、こういう人たちは、この十五条の一号から六号に該当する人たちであるとか、あるいはたとえば搭乗員であるとか、いろんな人であると思うんですがね。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
たとえば日本航空代表とか全日空代表という人にとどまらないで、機長とか、あるいは機関士とか副操縦士とか、そういう人たちも聴聞の機会は当然あり得ると考えていいですね。
○政府委員(内村信行君) ここに「関係者又は学識経験のある者」と書いてございますが、その「関係者」は十五条にいう「関係者」でございます。したがいまして、「航空機の使用者、航空機に乗り組んでいた者、航空事故に際し人命又は航空機の救助に当たった者その他の航空事故の関係者」というふうに限定してございます。この「関係者」でございますから、先生の御指摘のとおりに、そういった方々も入ると思います。
○森中守義君 この報告書の場合、大体事件が発生をして調査終了までおおむねの時期をどのくらいと見ているのですか。したがって、その事件の内容次第で相当長期化するおそれもあるし、あるいは短時間に片づく場合もあるでしょう。したがって、この中でいわれている調査報告書の提出というものは、事件発生からおおむねどのくらいを想定するのか、あるいは中間報告をするというのは最終結論に至る期間によってきまってくると思うのですね。中間報告は、たとえば半年ぐらいかかるだろうと普通想定した場合に三カ月日にやるのか。そのぎりぎりの報告書提出の時期をどのくらい想定をし、それによって中間報告はどの時点をとらえるか、その辺はどういうようにお考えですか。
○政府委員(内村信行君) これも本来委員会の判断によるべきところでございますので、私見としか申し上げられないわけでございますが、これはいろいろ事故の態様にもよりますし、結論はなるべく早く出してもらいたいというのが希望でございます。しかし大きなものでも大体一年ぐらいたった後には結論を出していただきたいというのが私の希望でございます。したがいまして、その一年の間に結論が出ない場合には、やはり経過を報告していただきたいというのが、私見ではございますが私の感じでございます。
○森中守義君 二十三条の政令への委任ですが、これはさっき私が政令の用意はあるのかという問いに対して、一応原案的なものはあると、こういうお話でしたが、ここにいわれている「政令」というのも大体その政令と同じようなものですか。
○政府委員(内村信行君) これは先ほどのとはちょっと違いまして、むしろ委員会の議事規則的なものを政令で委員会委任してはどうかというふうなことをいま考えておるわけでございます。内容としてはまだはっきり固まっておりません、この場合は。
○森中守義君 これも非常に重要なものなんですね。だから、政令というものは法案が成立しないと出すべくもないというたてまえはたてまえでわかりますが、やはり調査委員会の内容というものをある程度つかみ取るには、きちんと固まったものでなくても、大体想定としてはこういうものである、そういうことが法案審議にはどうしても必要ですから、できるだけ早い機会にひとつお示し願いたい。もし構想がまとまっておればね、ちょっと述べていただくと、それでもよろしいんですがね。
○政府委員(内村信行君) いま事務当局において研究中でございますが、まだはっきりしたものは残念ながら固まっておりません。で、そういうものができ次第また御報告さしていただきたいと思います。
○森中守義君 輪郭もわからないの。
○政府委員(内村信行君) 先ほど申し上げましたように、当然委員会ができますと議事手続というものが必要になってまいります。その議事手続を一体どうするかどいうふうなことがおもな内容になる。それからあとは専門委員の解任の場合にどうするかというような手続上の問題そういったことをきめたいというふうに思っております。
○森中守義君 それで、条文の最後に施行期日の問題等がございますが、かりにこの会期中にこの法案が成立をした場合、大体三カ月以内と、こういわれておりますが、委員の任命、あるいは機構の発足、おおむねいつごろを予定しておりますか。
○政府委員(内村信行君) これまた、そこまで詰めておりませんけれども、できるだけ早い機会にやりたいと思っております。ともかくこの問題に
 つきましては、委員の人選等につきましても両院の同意が要るわけでございますから、その辺のこともございまして、国会閉会中にどうするかというふうなことを、またあらためて、もう少し慎重に検討しなければいかぬかと思っております。
○森中守義君 これはこの条項によって、閉会後も可能なように、任命になっておりますが、それはそれでいいんでしょうが、非常に短い時間の逐条審議みたいなことで十分じゃございません。しかし、そのつど運用上いろいろと御配慮願いたいということもつけ加えておいたわけですが、ひとつ最も有益な委員会になりますように、特に局長は大臣とよく相談をされて、早く任命を終わられて、直ちに発足できますように、期待をしたいと思います。
 それと、私はこれをずっと拝見しながら、やはり航空法と比較した上の実際は審議が一番妥当だと思う。ところが、しばしば私どもが言ってきましたように、現在の航空法というのは、かなり今日の航空事情に距離があり過ぎる。そういうことになりますと、やや調査委員会が必要に迫られてできたとはいうものの、基本的には航空法が多少立ちおくれた、こう私は思う。ですから、この法案というものは成立をしたあとといえども、航空法の抜本的な改正を期待をしたいと思うし、その際にもう一回見直す、その程度の余裕はこの委員会にも持たしておく必要があると思う。ですから一体航空法というものは、いままでの経過を踏まえまして、次の通常国会に、局長としては提出される意思があるのか。大臣がおいでになると一番いいんですが、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(内村信行君) 実は航空法の改正というものにつきましては、例の雫石事件の直後の合同審査におきまして、すみやかに航空法を抜本的に改正しろというふうな御決議をいただいたわけでございます。それにのっとりまして、実は航空法の一部改正案を今国会に提出しておるわけでございます。残念ながら審議の期間がいただけず、今回は審議を完了していただけなかったことは、たいへん残念に思っております。
 ただ、航空法は、先ほど先生の御指摘のように、相当大部の法律でございまして、これは航行に関することから、あるいは飛行場のこと、航空保安施設のこと、乗員のこと、検査のこと、対空照明のこと、あるいは航空事業のこと、それから国際航空のこと、あらゆるものを含めて規定しておるわけでございまして、したがいまして、本来ならば、そういったものを総合的に、抜本的に改正するということが必要かと思います。ただ、それには相当の大部のものでございますから、それをやるためには相当の年数あるいは一年ないし二年をかけなければ、この抜本改正はむずかしいと思います。しかし先般の事故にもかんがみまして、さしあたり航空の安全に特に重要な問題、特に交通規則的な問題について改正を行なうというふうなこと、それから自衛隊との関係についての整理を行なうということを眼目にいたしまして、航空法の一部改正案というものを提出しておるわけでございます。
 私といたしましては、まずとりあえず法案を次の通常国会にでも継続していただきまして、さらに、それと同時に抜本的な改正につきましても、もう少し息を長くしてこれを検討してまいりたいというふうに考えておるのが、私の考えでございます。
○森中守義君 少しその辺になると議論が分かれるんですよ。私は抜本的な検討ということは、気の毒だけれども、いま出されているものは、一口で言えば手直し程度のものであって、これでは新しい航空事業に対応する法律ではない。ここまで行政需要がものすごい勢いで拡大をした。あるいは航空産業自体が、これからそのことを聞きますが、非常に大きな変化を遂げているときに、二十年代の航空法が現代の航空態勢に対応しているとは思えないんですね。だからこれはまあ廃案というよりも、自発的に一回取り下げて、もう一回出し直そう。いま局長の言われるように、各般各面の検討が必要でしょうから、きわめて短時間にということは非常に困難でしょう。けれども困難を避けて手直しというわけにはいかぬと思うんですね。
 だから、そういう意味では、この事故調査委員会が世間の要請にこたえたという意味はあるにしても、一歩やはり先に進んだ。航空法は非常におくれているということであれば、困難でしょうけれども、できるだけ早い機会に航空法の抜本改正というものは当然予定されてしかるべきだろう、こう思うのですがね。まだしかし、大臣と局長の間の意見調整あるいは省内の議論等も十分でないようですから、これはひとつ所管局長として進めていかれるお考えがありませんか。
○政府委員(内村信行君) ちょうど大臣も戻ってこられましたが、私の考え方は先ほど申し上げたようなことでございますが、この抜本改正ということを早期にやらなければならぬことも事実でございます。ただしかし、早期にやるにいたしましても、抜本的改正には相当の手数が、あるいは年月が要る。年月と申しますと大げさでございますが、期間が要ることも事実でございます。実はこの航空法の一部改正をやるためには、実は事故調査委員会設置法もかけたわけでございますが、民間の学識経験者あるいは論説委員の方々も加えまして、一つの航空法改正検討委員会というものを設けまして、そこでいろいろ御議論願ったわけでございます。そうして、その際に、この事故調査委員会設置法についても、御検討いただき、そういった御意見を内容として盛り込んでいただき、同時に航空法の一部改正につきましても、そういった皆さん方の御意見を集約してまとめたわけでございます。
 ただ、そのときにも、さしあたり、まず安全に必要な部分だけは早急に手直しをする。しかし、そのことによって航空法全般が終わったわけではない、したがって、引き続きこれは今後十分検討して抜本的な全体の改正をすべきである。こういう意見を賜わっておりますので、そういう線に沿って進むことはやぶさかでないのでございまして、そういったものを極力早く進めたいということはいたしたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) ちょっと用事がありまして失礼いたしましたが、航空法の改正の問題についての御質問のようですからお答えいたします。
 現在国会に提案しておる航空法の一部改正案、これは御承知のように、航空事故が頻発したものでありますから、最小限度安全に必要な部分だけ取り急いで取りまとめまして、提案をしたようなわけでございます。これはこの国会で、できるだけ御審議を願って、通過をさせたいということを願っておったのですが、これについては会期もありませんし、私どもは成り行きを非常に案じておるわけなんですが、これはもうほんとうに安全確保のためには最小限度、何としても早く御審議を願って通過をさせたい問題でございます。午前中にもお答えしましたが、現在の航空法及び関係法令、こういったもの全般にわたりまして再検討をすべきだという御意見は、全く私も同感でございまして、いまその方向で準備を進めております。これは、しかしなかなか、いま現在の航空法というものは、大法典でございまして、航空の政策から技術方面のことから、すべてここに盛られておりますから、これを法律体系の上からいっても、体系づけて、そうして内容をいまの航空界に合うように、航空事情に合うように改めていきますのには、相当時間がかかるのではないかと思うのです。非常に急ぎましても、これは相当時間がかかると思います。この暮れの通常国会にはとうてい間に合わないだろうと思います。
 そういうわけでありますから、おっしゃる意味はわかります。全般的な改正をしないで、一部改正だけでとどめるのかということでございましょうが、できれば全般改正の中に包含するのが筋でしょう。しかし時間がかかりますから、全般改正のときには全体の法体系の中で、いま提案している問題もどういうふうにこれを含めていくかということはあらためて考えますが、ただいまのところは非常に緊急を要する、安全に関する問題だけは、取り急いで御審議を願って通過をさせていただくようにしたい、こういうことでございますから、その両方の関係は、必ずしも理論的にも、実際的にも、これはあなたのおっしゃるようなぐあいには、なかなか統合できないという事情をひとつ御了察いただきたいと思います。
○森中守義君 まあそれは事情としてはよくわかります。しかし、できるだけ慎重に検討をされて、できるだけ理想的な航空法になりますように、なお一そうの御検討を願っておきたいと思います。
 ただし、その際に、日本航空株式会社法、これも非常に短い条項ですけれども、やはり二十年代のものなんですね。今日の日本航空がこの日航法の規定によっていいのかどうなのか。まあいろいろ内容を吟味すれば、むろん私どもも日本航空に注文をつけたいこともある、あるいは体質についても議論したいことがある。ですから航空法の改正の機会に、これまでもやっぱり手をつけていくべきじゃないか、現在のまま日本航空を推移させていくならば。そういう意味で日航法の改正はお考えになりませんか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 日航に関する特別法ですが、これも全体の改正をいたします際には、研究の対象になることは事実でございます。これだけほっておいて素通りするというわけにはいかないだろうと思います。ただ現在のところ、この日航法でいろいろ審議の過程において御指摘になった点は私も覚えておりますけれども、そういった点は十分考えながら、全体の法体系を整備する場合に、それをどうするかということも、あわしてこれは検討したいと考えております。
○森中守義君 そこでちょっと少し先に進みましょう。
 ことしの二月の一日ですね、大臣から朝田日航社長あてに「安全運航確保のための業務改善について」という改善命令みたいなものが出た。この中で特に強調されているのは、「これは、主として運航業務員の安全運航に対する責任意識の不足と運航乗務員に対する管理体制の不備によるものと判断せざるを得ず、その背景には、急速な事業の成長に社内管理体制が十分に対応し切れなかった事情があるものと考えられる。したがって、この際、」云々と、こういうわけ。そこで社内体制が現状に対応しきれなかった、言いかえるならば、今日の国際航空あるいは国内航空ともに、まあいわば航空企業が国際的、国内的な一つの要請のもとに異常な伸展を遂げた、まあそれにつま先立ちをし過ぎたという言い方だと思うのですね。
 そこで問題なのは、まあこれはどれがいい悪いという議論じゃなくして、航空関係一体のものとして考えておかなくちゃいかぬのは、こういうように一体未来の航空はどうなっていくのか、少なくとも行政はそういう先取りをする政策の展開が必要であろうし、そういうものを基調に踏まえながら関係企業への指導監督というものが必要であろうし、いわば総合的な政策でなくちゃならぬ、こういうように私は思うのです。そうなりますと、大体航空部門というものは、少し上品な言い方をすれば、航空の一世紀とは何年ぐらいを範疇にとめるものですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) この一世紀とか一世代とかいうことばはよく使われることばで、これについては使う場合により、いろいろの意味を持たしておると思うのですね。で、あなたのおっしゃる意味は、相当に変化が激しいじゃないかと、どんどん変化をしている過程の中で、どのくらいの年限をめどにして、将来、基本的な変革に対する体制を立て直していく用意があるのかと、こういうように受け取れるんですが、もしそういう意味で間違いなければ、これは一方からいうと技術革新のほうもどんどん進んでまいります。これはおそらく、どこの国でも大体同じような歩調で進んでいると思いますけれども、私は技術者でありませんが、過去の歴史を振り返ってみると、大体航空機の発展の過程を振り返ってみると、まあ十年からせいぜい十五年以内のところで、相当に大きな段階的な発展が考えられておると思うのです。
 一方航空事業ということになってまいりますと、やはりこういう技術革新とある程度並行して行なわれると思いますけれども、世界中の国々の航空に対する輸送需要といいますか、旅客が主でございますけれども、旅客及び貨物の輸送需要がどう発展して、世界の各国がお互いの航空路というものに対してどういうような期待をもって両方の間の親善関係あるいは貿易関係というようなものに対処しようとしているかということによって、これはきまっていくと思うのです。これは世界の社会事情、経済事情がどのくらいのテンポで変わっていくかということによって左右されますから、一がいには私は言えないと思いますけれども、しかし過去の例を振り返ってみると、さっき申し上げた、やはり技術的な革新、そういったものと大体歩調をそろえているように見えるんです。過去の例を見ますとですね。ですから、やっぱり今後とも、大体さっき申し上げたような意味におけるこの一世紀といいますか、一世代といいますか、そういったものを考える場合には、航空においては大体十年から十五年そこそこのところで相当の変革が来るということを予見しながら、すべての対策を講じていく必要があるということを私は考えておりますが、これは人によってとらえ方も違いますから、いろいろの御意見があると思います。私はいまのところ、過去の例を振り返ってみまして、大体そのくらいの程度でとらえていって間違いないんじゃないかというふうに考えております。
○森中守義君 いま大臣の言われるのは、実は非常に適切だと思うんです。これは私が言うんでなくて、米国の民間航空委員会のJ・V・ブロックという人が貴重な専門家として著作をあらわしている。これを秋山龍さんと石神義久さんお二人の共同翻訳で出ているのですが、非常に示唆に富んでいるのですね。同時に、これをちょっと拾い読みしますと、大体わが国の航空産業、航空界というものも、こういう一つのテンポを描きながら進んでいるんですよ。
 そこで、いま大臣が十年もしくは十五年と、こう言われるんだが、大体ブロック氏もそういう指摘をしておりますね。それ以上になると、これはもう空想科学的みたいになって、とても今日の人間の頭脳では解明しがたい。けれども、おおむね十五年というものは現実的にとらえられる一つの世代であろう、一世代だと、こういっている。この中で非常に興味があるのは、たとえば需要予測の問題等なんですね。企画庁もそういうことのためにちょっとお越しいただいたのですが、一この前運賃審議の際、大体輸送総量の需要予測を、新しい経済計画で一兆三千二百億キロトン、そういうように目測を置きながら、海上輸送がほぼ五〇%、それからトラックが三四%、国鉄一四%というような、そういう占有率をお示しになった。ところが、そのときには航空関係の予測というものが全然入っていなかったのですね。ところが、このブロック著によれば、国際的に、いまや航空輸送というものは旅客、貨物ともに異常な伸展を見るであろう、こういうとらえ方をされておる。
 そういうものと符節を合わせるように、国内におきましても、せんだってどの新聞かでいわれていたのでは、愛知県かどこかに航空貨物の専用空港を一つつくろうか、こういう話題が出て、いずれこれは一つの実現の前段的な意味合いを持つと思うんですね。そこで企画庁では、基本計画の中で航空輸送のシェアをどのくらい見られるのか。これは私は、これから先十五年以内における航空関係の発達を描いていく上に一つのビジョンになるんじゃないだろうか、こういうような気がするものですから、あえてこの機会にお尋ねしてみたいと思うのです。
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘のとおり、経済社会基本計画は五カ年の計画でございましたものですから、現在でも相当のウエートを持っておる旅客については、航空についての推定を出しております。つまり、たとえば人キロで見ますと、現在四十六年度が一・七%程度のシェアであったものが四・一%に五十二年度には上がっている。伸び率は二四%程度ということで、非常に高いわけでございます。
 貨物につきましては、現在の段階で見ますと、そのウエートは〇・〇〇二%という程度でございまして、こういったマクロの計画として出すにはちょっとウエートが小さ過ぎるということもございましたものですから、これにあげておりませんけれども、推定をいたしますと、この伸び率は、貨物につきましては旅客よりもさらに高い伸び率で伸びるであろうということが、私どもの当時の検討でも出ております。したがいまして、そういったことに対する政策ということは、ある程度この計画でも論ずべきであったかもしれませんが、五カ年計画ということでございましたので、特にそういった形での政策を明確に出しておるということにはなっておらなかったわけでございます。
 別途、いまちょっと数字をおあげになりましたが、昭和六十年度を目ざして、いわゆる新全総計画というのが四十四年度につくられておりますが、この中では、そういった意識がかなりはっきりと出されております。特に新しいネットワークの形成ということが、この計画における一つの大きな柱でございますが、その記述におきましても、高度の全国的な通信網と航空を中心とする高速交通体系を密接に関連させながら、情報、人及び物の交流をはかっていくと、そういうネットワークをつくるんだということを書いておりますし、また特に航空貨物につきましては、「国際交流緊密化への対応」という課題で、急増する航空貨物の増大に対処して貨物取り扱い施設の整備をするということが書いてございます。この計画の策定のときに、私ちょうど担当局長でありましたから、若干いろいろこまかい点を覚えておるわけでございますが、SSTというものを相当これは重視して考えておりました。その辺の問題は、その後の事情が若干変わっておるようでございますし、新全総そのものも、御承知のように、いま全面的な再検討をやっておるわけでございますから、これをもって今後ともこの線で進みますと、私が申し上げるわけにはまいりませんけれども、しかし昭和六十年あるいは六十五年というようなロングレーンジで考えますと、航空についての貨物問題というのも相当大きな問題になってくる。こういうことは私ども十分考えておるわけでございまして、これからの総合交通体系の議論あるいは各種の作業等においても、そういう面の研究を進めてまいりたいと思っております。
○森中守義君 これは将来問題でもあると同時に、きわめて現実的な問題に間もなく到着すると思うんです。ですから、企画庁のほうでも、この辺の輸送総量の需要予測をどうするのか、よほど慎重であってほしいと思うし、できるだけ早い機会に、マクロであろうと、ミクロであろうと、一ぺん試算してみませんか。こういうものが、一つの総合交通体系の核にならないと、おそらくこれから先、空間を無視していろんなことができないという、そういう非常に速いテンポで進んでいくように思うんです。国際的にそうなるんだと、こう言い切っているわけですね。この著述がすべてではもちろんございませんけれども、大体趨勢見れば、指摘のように移り変わっておるんですね。
 それで両参考人にお聞きしたいんですが、いま日本航空のほうでは貨物部門に対する力点の入れ方、全日空ももちろん同様ですが、その辺の社内事情と社内計画の構想をお持ちであれば、もう少しく教えてほしい。
○参考人(高木養根君) 日本航空として、いまの貨物の問題についてお答え申し上げたいと思います。
 この貨物の問題、私どもの立場から申しますと、当然なことでございますが、国内貨物の問題と国際貨物と両面ございます。そうしまして、ただいまも御発言がありましたように、伸び率という意味で見ますと、貨物も非常に高い伸び率を国際も国内も示しております。そういう意味で、従来は航空といいますと、特に国内の場合は、どちらかというと旅客重点でございまして、貨物につきましてはあまり重点が置かれていなかった、比較して言いますとそういうことになると思います。国際の場合はやや国内と事情が違いまして、従来とも国内に比べますと貨物についてもかなり重点か置かれておりまして、しかし今後は国内、国際双方につきまして、今後の航空事業の運営におきましては、貨物についてより重点を置かなければならないということが考えられておりまして、特に私どもとしましては、従来も国内に一部、東京−大阪というような幹線につきましては貨物専用便というものも飛ばしておりますが、今後これがますます便数もふえていくであろうということが考えられますと同時に、特に国際線におきましては、現在もいわゆるDC8型、これの62あるいは50というようなもので数機、十機に近い貨物専用機を保有してございますが、今後二年ないし三年後には、現在のいわゆるジャンボジェットと言っております747のカーゴ機、こういうものも入手をする予定にしておりますし、これが今後数年あるいは先ほども話がございましたように、一つのサイクル、かりに十年ということで考えますと、十年後にはこのジャンボ機の貨物機というようなものを十数機飛ばすと、こういうことになると思われます。
○参考人(若狭得治君) 国内輸送につきましては、四十九年度からエアバスが入ってまいりますので、その国内の貨物輸送力を十分活用するよう現在検討を進めております。
 国際輸送につきましては、今後どういう形でこういう輸送に参加していくかということについて、現在社内的に検討を進めております。成案ができましたら、またお願いに上がるつもりでおります。
○森中守義君 これは大臣、成田をはじめ、いま空港の方々の拡幅等でかなり整備五カ年計画も手一ぱいの状態ですが、やはり趨勢としては、今日の需要構造、輸送構造というものがかなり変化していくであろう。変化の一つの点を航空に求めるということになりますと、どうしても愛知等でいわれている貨物専用空港というのも、もはや現実の日程にのぼってきたという見方を私はするんですが、特段にいますぐということに通ずるかどうかは別として、一応その線引きの中に入れる段階にきたんじゃないかと、こう思いますけれども、整備計画を一部手直しをするとか、あるいは専用空港に対して、ひとつの見識を持つという、そういうことはお考えになりませんか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 航空事業全般をながめまして、いま二つのことをおっしゃったんですか、一つの問題としては航空の需要というものが、輸送需要というものが非常に大きく、非常な勢いでふえておるにもかかわらず、日本の空港の施設か非常に足りないということは痛感せざるを得ないところです。まあ成田のことをおっしゃいましたが、その他空港の施設をもう少し整備をしていかないと、この航空需要には追いつかないということでございまして、空港整備については一段の努力をしなきゃならないと、こう考えております。
 それから貨物の関係でございますが、先ほど経企庁の政府委員からもお答えをされましたが、まだそういうコンピューターなんかを使って、非常な科学的なデータをもとにしての計算は運輸省でいたしておりませんけれども、各方面から、いろいろの機会において、将来の交通というものについて御意見が出ております。それを総合して考えますと、旅客も貨物も、今後やはり一番集中してくるのは航空であろうと、こういわれております。ことに貨物については、現在までの航空機による貨物輸送、特に日本を中心にしての貨物輸送というものが非常にシェアも少ないし、まだその設備も足りない、こういうことを言われましても、これは事実であろうと思います。
 今後、わが国を中心としての貨物の航空輸送というものは、相当急激な勢いでふえてくるだろうということを予測しておるのでありまして、これは権威のある数字じゃありませんけれども、大体昭和六十年には国際的な貨物輸送の量が五百万トンぐらいにはなるだろうといわれておるわけでございまして、まあ一つのめどになるかと思います。そういったことを考えますと、先ほど両方の航空会社からもお話がありましたが、いままでのところは、やはり旅客輸送に重点を置かれております。で、この貨物輸送をどうするか。現在のところでも、外国の航空会社に比べますと、非常に日本の航空会社の貨物輸送に対する姿勢というものは劣っておると思います。率直に言ってですね。で、これをどうするかということは、いまから考えておかないといけない問題だということで、私どもも、この問題に対しましては真剣に取り組む必要があるということを痛感いたしまして、いろいろ計画をいま進めようとしておる段階でございまして、まだ具体的に、それならば空港をどうするかとか、あるいは貨物輸送の体制をどうするかというようなことについては、具体的にまだ計画らしいものを御披露するような段階にはいっておりません。いっておりませんけれども、これはもう何とかして早くそういう体制を整備する必要があるということだけは痛感しておりまして、これは早急にわれわれも考えなきゃならぬし、また一般の、皆さんのそれに対する考えも伺いまして、間違いのない方向でこの問題の解決をはかっていこうと、こういう姿勢でございます。
○森中守義君 私が唐突なように、なぜこんなのを出したかということは、非常にテンポの激しい、しかもどの程度まで予測を見るかということで、かなりいろんな政策も変化を伴ってくると、こう思うからなんです。
 そこで、たいへんくどいようですが、ブロック氏の一節を引用しますとこういう言い方をしているんですね。「将来の空港の姿をつかむ一つの手がかりとして、航空需要予測の期間としては妥当と思われる十五年先のことを推測して見よう。これ以上永い先のことを考えることは、科学小説に等しいものになるきらいがあり、話としては非常に興味かあるかも知れないが、」――しかし、そのことは本書の目的ではないと、こう言いながら、こう言っている。「十五年後の将来に、あっちこっちの航空路を飛び交う航空機がどのようなものであるかについては、かなりはっきりしている。」と、こう言い切っている。「というのは十五年という期間が、大体において航空機一世代の寿命に相当するからである。言い換えると、十五年後には今日の空を飛んでいる航空機は、ほとんどその姿を消し、ここ数年間に登場する航空機が、十五年後の空を埋めることになるという意味である。」こう言っている。「現在航空機組立工場や、テストセンター、または設計室で行なわれているいろいろの課題によって、われわれにはもうなじみ深いものになっている。」もう現実になったんだと、こう言うんですね。「これらには、大型、小型のジェット機あり、超音速機あり、そしてVTOL機やST
○L機も登場する可能性が大きい。」、まあただし騒音問題、公害問題というのがまだ正確にこの中では解消されているとは言い切っていない。それがテストセンターでの一つの作業中という意味なんでしょうがね。
 しかし、どちらにしろ、いま飛び回っている飛行機というのはもう十五年内になくなってしまうと、こういう見方をしている。そこにさっき貨物の問題を出したり、あるいは両社にどういう新しい時代に対応する社内計画があるかという問題等々から推しはかっていきましても、もうこれは超大型機というのが実用段階に来ているということを示唆していると思うんですね。であるならば、わが国の航空政策、もういろんな対応のしかたというものは、さっき大臣はいみじくも十年、十五年先生言われたわけですが、そういうものに歩調を合わせるというのか、そういうことのために、たとえば航空法を整備するとか、あるいは事故調査委員会をこれに合わしていくとか、あるいは各社への指導体制を、こういう方向にはめていくという、まあそういうかなり次元を変えた政策展開というものが、もはや今日の航空政策の根本でなくちゃならぬ、こう評論家みたいですけれども思うんですね。ところが実際問題として、そういうことが、いまの航空対策として可能なりやどうかということになると、まあはなはだ言いにくいことですが、もうほとんどその対応性というものは乏しい、こう言わざるを得ない。
 しかし片やこういうテンポで進んでいる。それにつま先立ちをするようになったところに事故が発生する。さっき大臣が朝田社長に出された、要するに管理体制が現代の航空社会の背景を背にしながら、十分でなかった。これはもう非常に大きな問題だと思うのですね。で、これを大臣としてはどういったようにこれから見直していかれるのか。少し迂遠な、気の遠くなるような質問かもわかりませんけれども、しかし、これは先々のことは先のことだと、いまどうするというようなことで切り離して考えると、ずいぶん社会資本の一つである、たとえば空港整備の問題でも、いろんなことに蹉跌を生じてくる可能性がある。そういう意味では国益が守られないという、こういう一つの答えが出てこようかと思うのです。いまにわかに、いやそれはこうするという答えが具体的に大臣から出ようとも思いませんけれども、一つの発想、認識としては、こういう方向に行くべきだと私は思うのですが、御見解どうですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 方向としては、あなたのおっしゃることはごもっともだと思うのです。私も別にあなたのおっしゃることに反対でもないし、むしろそういう方向を考えているんです。
 ただ申し上げたいことは、この航空事業というものは、とにかく旅客運送で考えますと、一たび事故が起こるとたいへんな人命の損傷が起こるわけです。これは最近、数回にわたりまして、そういった悲惨な経験をわれわれはなめたわけです。これはしかし、もう事業が成長するとか発展するとかいうことの前の問題でございまして、私はあらゆる交通機関について同様だと思いますが、特に航空におきましては、安全を第一にするということは、もうだれがどんなところから考えましても、これだけは厳守してもらわなきゃ困ると思っておるわけです。でございますから、私は就任以来、昨年におけるいろんなできごとを振り返ってみましても、その中には私の考えが相当入っていますから、あるいはそれがあとから見て行き過ぎであったとか、間違いであったとかいう批評は出るかもしれませんが、責任大臣としまして、そういうふうに判断したわけです。
 それには、いままでどんどん日航も非常な勢いで成長してきた。世界の日航といわれるようなところまでだんだん近づいてきた。それはけっこうなんです。しかし、そういうことが、一方において安全確保というところにつなげて考えてみた場合に、考えてみる点かありはしないかということを感じたものですから、いまお読みになったようなことを書いたわけです。私が希望しますところは、何か事故が起こったから一生懸命になって安全対策を講じるというのでは、私はだめだと思うのです。主管大臣からやかましく言われたからひとつしっかりやりましょうと、これではだめだと思うのです。およそ人命を預かっている航空会社というものは、これはもう管理者から、パイロットから、あるいは整備をしておられる整備員から、すべての方々の仕事というものは、みんな安全につながってくる問題ですから、そういう事故が起こらなくっても、あるいは監督官庁からやかましく言われなくっても、本来航空会社の体質として、もう安全はどうしてもみんなで守ることがわれわれの責務なんだと、そういう体質になってもらいたいということを念願したものですから、社内打って一丸となって、直接に関係のある部門あるいは事故に関係が薄い部門もありましょうと思いますが、それはしかし、自分たちは薄いから安全というものを考えなくてもいいのだというものじゃ困る。全体が一丸となって、この航空の安全というものだけは確保するのが当然なんだと、これは第一なんだという、そういう体質を航空会社が持ってくれるようにすることが、この際第一であるというふうに考えたものですから、少し強いことばで、こういうふうな通達を出したわけです。
 この点については、単に日航だけじゃございません。まあ全日空も東亜国内航空も同じように人命を預かるのですから、私は日航を呼び出すと同時に、両社の社長を呼びまして、あなた方は一体この日航の事件にかんがみてどういうふうにしておられますかと、どんな考えを持っておられますかということを同時に尋ねまして、いまやっておられる対策、今後やろうとする対策を具体的に出してくださいということを申したわけです。各社とも喜んで出してくれました。私はそれを関係当局に渡しまして、一つ一つ具体的にチェックしてもらいました。それでお互いに意思相通じまして、とにかく当面、安全対策を確保するためには具体的にこういうことをやっていこうじゃないかということで、大体意見が一致しまして、それで各社とも私に対して、いまはこうやっております。今後この問題についてはこういたしますということを約束をしてくれたわけでございます。
 自来、いろいろなことがございましたけれども、なお改善する余地はたくさんあると思います。各社ともそれぞれ持っていると思います。しかし幸いにして、そういう方向に向かって進んでくれているものですから、幸いにして今日まで大きな事故がなくて来ているということを、私は非常にうれしいと思っておりますし、この上ともそういった努力をさらに強めて、もう航空についての安全体制だけは、われわれの責任において守りますと、こういう社全体としての体制が確立されることを心から希望しておるわけでございます。
 それと、いまおっしゃった航空需要がどんどんふえていく、それとの対応でどう思うかと、こういうような最終的な御質問があったかと思いますが、私はその問題ももちろん大事だと思います。しかし安全体制を確保しないで、いかに伸びる余地があっても、私はこれは第二義的なものだと思います。したがいまして、いまそういう体質を皆さんがつくっていただいて、その基礎の上に立って安全を確保しながら伸びていこうということでございましたら、政府もこれに対して、できるだけの協力をし援助をするというのは当然のことかと思っております。それは安全の体制が第一、その基礎の上に立って将来の成長策を考えてもらいたいというように、私は相当割り切ってこれは考えているつもりでございます。
○森中守義君 基本的には、あまり大臣の見解と異ならないのですよ。私が申し上げているのは、一つの大事故があった。そこで反省が加えられた。その反省を基盤にして前進をした。この限りにおいては、決して否定すべきものじゃないのですね。しかし事故というあまりにも痛々しい犠牲は高価過ぎる、そういうことがない前に何かできないのか、こういうことを私は言いたい。
 そこで問題は、やはりいまの航空界の政策の基盤というものが、これでいいのかという疑問がやっぱり出てくるのですね。たとえば、いまお話しになりましたものの一つとしまして、「航空交通の安全のため運輸省が講じた措置の概要」というのが委員会に提出されました。これを拝見しますと、指導監督の強化を行なった、それから航空行政組織の強化をはかった、それから保安施設の整備促進を行ないつつある、法令の整備をやり始めたというようなことが、ここに――訓練空域の設定など、包括的にここにいわれている。これはこれなりに価値はあると思うのですね。しかし、これもまた見方によりますと、何をいまさらという気もする。もうとっくの昔にこんなことがあってしかるべきだし、こういうことがより運航の安全のために重要なささえになっているという認識がユーザーには強いんです。また航空機はそうあってほしいのですね。ところが、いまさらのように、こういうものが措置されなければならないというところにむしろ問題があろう。
 また、この大臣の改善命令を受けた三社からの報告の要旨をこれまた拝見して、たとえば日本航空を例にとってみた場合に、機長の昇格、型式移行時の基準の改訂、いろいろいわれておるのですけれども、これも何をいまさらというような気がするのですね。そういう日本航空はやるべきことをやっていなかったんじゃないか。ことに日本航空の場合、機長昇格の基準改訂の中で、飛行時間三千時間以上でかつ副操縦士経験三年以上の者を在席副操縦士に指名し、
  〔理事江藤智君退席、理事木村睦男君着席〕
百回以上の離着陸及び飛行時間六百時間以上を経験させたあと機長に昇格させることとした。こういって、在来三千八百時間であったものが四千六百時間となるようにしたと、こういっている。これで機長になるには約八百時間経験を踏まなければいかぬ、こういっている。法令上どうであるか別として、法令がこうなっているからこれでいいというのは、これは最低のものだと思うのですね、機長の基準としては。本来は四千六百時間の飛行時間を持つべきものを三千八百時間にとどめておった。この差の八百時間というものが、さて事故につながったのかどうなのかというのも一つのやはり問題になってこようかと思う。こういうところに、管理体制を、非常に成長する航空産業の中の対応策がなかったというようなものに結びつけて考える場合、どれもこれも指摘されていることは、何をいまさらという気がしてしかたがないですね。
 こんなことを考えますと、たくさん日本航空であげられたあれがありますけれども、本来ならば、これはもっと早くとらるべきものをとらなかった。運輸省も、本来立ち入り検査もできる、適切な指導監督ができる。だから監督不行き届き、社内体制の弱化といいますか、そういうものなども輪郭としてとらえていくならば、これはやはり基盤がゆるみ過ぎている。しかも、そこに十五年後の世界の航空というようなものを考えた場合に、もう全くこれは話にならぬというような、そういう不安が一ぱいある。だれかが言ったように、日本の飛行機は危険が一ぱいというのはこれを意味すると思う。
 それから、少しこれは日本航空は聞きにくい話ですが、こういうものを日本航空は出されましたね、「安全運航確保のための業務改善具体策」。これは一読して非常に感銘をしましたが、やや抽象的で羅列的。ただし実際の内容は違いますという反論があるかわかりませんがね。ところが、これと大体時期を同じようにしまして、四十八年の四月十日、日本航空運航乗員組合、日本航空乗員組合、両者の合作で「私達の主張」という、こういうパンフレットが手元にある。これを比べてみますと、こちらでは改善をやったんだと言われる、こちらでは、やったけれどもでたらめだと、こういう主張なんです。どっちをわれわれは聞いたほうがいいのか、非常に判断に苦しむ。これが出ますと、じゃこっちはうそなのか、こちらは、じゃうそ言っているのか、どちらが真実なのかという疑問が出てくる。大臣はお読みになったかどうか知りません、しかし非常に乗員組合の皆さん方、みずからの命に関係したことですから、創作だとは思えない、やはり真実だということになるでしょうね。
 そういう中身からいくならば、飛行機に自分の命を託する、大ぜいの人命を預かるという意味からするならば、かなりこのピンク色の主張書というものは、枚数にしちゃ少ないけれども、非常に内容としては重いものだという、こういう認識を私はせざるを得ない。あまりきょうは時間もありませんから、個々の内容については避けましょう。けれども高木副社長は十分お読みになっただろうし、話の中に出てきたと思うんですね。だから私どもは、こういうようにJALそれ自体が改善策をお出しになる、一方ではこれを否定をする、全然そういうものはでたらめだ、うそだという言い方が濃厚ににじみ出ている。
 それならば、大臣の改善命令、これにこたえる改善策、しかしこれはどうなんだと、こういう疑問が依然として消滅しないんです。こういうことを考えてみますと、さっきから申し上げるように、非常に激しい勢いで進んでいこうというのに、こういう問題を介在したまま、さて先に行けるのか、言いかえるならば、全体的に今日の航空政策のあるべき姿というものはどうなければならぬかというような、そういう問題にぶつかるのは当然だと思う。そういうことを、私は大臣に繰り返し繰り返し申しているのですが、具体的な問題として、ここでひとつ当の日本航空のほうから、これとこれの相違点、これはだいぶ強い調子でいわれておりますが、いずれが真実なのか、ちょっとこの機会に、概略でもいいですから、お述べいただきたいと思います。
○参考人(高木養根君) お答え申し上げます。
 私ども会社から御報告申し上げておりますことは、私どもとしてはもちろん真実ということで御報告申し上げております。これは正直に申し上げますけれども、乗員組合と私どもとの過去におきます関係、これがあまりうまくいっておりませんでした。これはもうはっきり申し上げますが、過去においてあまりうまくいっておらなかった。これを事故以後、やはりわれわれの仕事というのは、何といっても安全第一である。安全第一ということについては、われわれ会社の運航の仕事に携わる者はもちろん、整備の仕事に携わる者も運送の仕事に携わる者も、全部の部門に携わる者が、ほんとうに一致をしてこの安全ということを推進しなければいけない。そういう意味では、やはり労働関係がうまくいってないというようなことではまずいという社長の決断がありまして、この関係を改善するということに現在努力をしております。
 しかし、そのいわゆるピンク色のカバーの文書が出ました当時の関係といいますのは、いま申し上げましたように、実はあまりいい関係でなかったというようなこともありまして、お互いの立場の相違あるいは見方の相違というようなこともございましょう。しかし私どもの立場で申し上げれば、会社として御報告したことが真実である、こういうふうに申し上げたいと存じます。
 なお本日は、整備本部長の野田常務と、それから運航本部の副本部長であります冨田取締役、この二人が一緒に参っておりますので、専門的な事項、技術的な事項等につきましては、それぞれ運航面、整備面につきまして、この二人からお答えをさしていただきたい、このように考えております。
○理事(木村睦男君) 野田参考人、冨田参考人、何か御説明、御発言ありますか。
○参考人(冨田多喜雄君) ただいま副社長からお話し申し上げましたように、組合との関係という問題は、確かにございました。当時また春の闘争の時期でもございました。ただ内容としまして、私どもが感じております改善策として大臣に御提出申し上げましたこれは、むろん運輸省からも指摘された事項でございますけれども、それ以前から私ども運航の安全強化対策という面では十分心をしまして、そして着々実施をし、運輸省からも指導等につきまして、一応の御回答を申し上げたものでございます。その面におきましては、私どもは最善を尽くしていると申し上げたいと思います。
 終わります。
○森中守義君 私どもとしては、やはり注目すべきものだと思っております。また、こういうことを少したんねんにお尋ねする機会もありましょう。とにかくどちらが真実なのかという問いのしかたもあまり私ども好きじゃないんです。けれども、事か事ですから、ひとつぜひ慎重な御配慮をお願いしたい。
 外務省、ちょっとアジア局長においでいただきたかったんですが、日中航空協定、これはずいぶん長い期間この委員会で質疑をかわしてきましたが、最近また一とんざという感じがしますけれども、おそらく前回と同じようなお答えかもわかりませんけれども、目鼻が立っておりますか。
○説明員(大森誠一君) 政府といたしましては、本年に入りましてから二回にわたりまして政府関係者を北京に派遣いたしまして、航空協定をめぐります日中双方の考え方につきまして意見の交換を行ないまして、交渉の促進につとめてまいりました次第でございますが、目下新しい日中関係にふさわしく、かつ内外の理解を得られる協定をつくるべく、鋭意検討しているところでございます。政府といたしましては、できる限り早く航空協定を締結することを希望しており、現実の問題点に対して慎重な考慮を払いつつ最善の努力をしていく所存でございます。
 現段階におきましても、ただいま申し上げましたような線に沿いまして、外務省及び運輸省におきまして、鋭意検討を進めているところでございます。
○森中守義君 ちょっと参事官では実務的な内容を聞く以外にないんだけれども、例の共同声明の八項の関係。要するに実務的なことについては、中国側は実績を尊重するという意味のこと、この辺の解釈のしかたがだいぶ日中の間にズレが来ている。こういうことが一般的にいわれているし、私も実際問題としてそうであろう。
 そこで台湾条項が問題なのか、あるいは以遠権が問題なのか、おそらく着陸点、離陸点というのは、これはもう技術的なことでしょうからさほど問題ではない。台湾条項、以遠権この二つの中のどれをやってみてもまとまらないということなのが、あるいは新任の国務長官キッシンジャーが近々中国に行くらしいという、その内容は航空協定が中心であろうということがよくいわれる。そうなると、へたすれば東京頭越しということで、米中の航空協定が一足先にきまる可能性もあるような気もするのです。
  〔理事木村睦男君退席、委員員長着席〕
だから一番ネックになっているのは何なのか、共同声明八項の解釈は統一できるものかどうなのか、少なくとも距離があるようですから、その距離が埋められるのか埋められないのか、台湾問題以遠権、こういうかみ合いは何が最大のネックなのか、きょうはひとつ参事官にそういう実務的な感触を聞きまして、あとは運輸大臣、外務大臣あるいは総理おそろいのところで聞かなければ、ちょっとやはり参事官では無理だな。あなたはどう思われる、実務者として。
○説明員(大森誠一君) ただいま日中間で話し合っております問題につきましては、具体的なことにつきましては交渉中でありますので、私としては申し上げることを差し控えたいと存じますが、いま御指摘の諸点は、いずれが大きいかという判断は、私にとりましてはたいへん困難な判断でございますので、その点につきましても、申し上げるのを差し控えさしていただきたいと存じます。
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは外交交渉でございますから、外務大臣からお答えするのが本筋でございますが、私のほうは直接の交渉はしておりません。外務省が交渉をしておられまして、ときどきその情報をいただいておるというようなことですが、しかしお話しになった、日中の国交が回復してから一年になります。この実務協定も、今日までいろいろの実務協定が双方の間で論議をされ、討議をされてそれぞれに進捗を見ておることは御承知のとおりです。どの実務協定もまだ協定に調印をするという域には達していないということでございます。
 その理由は何だろうか、こういうことになりますが、これは外交交渉の内容でございますから、具体的には外務省としても言いにくいだろうと思います。しかし両方とも非常な熱意をもって、一年たっておりますから早く調印の域に達したいということで努力をしていることは事実でございます。私どもの関係する部分は航空協定と海運協定でございます。両方ともだんだん話が煮詰まってきていることは事実でございます。それならばどの問題で行き詰まっているんだ、こういうお尋ねであったように思いますが、どの問題で行き詰まっているという状態ではございませんで、全体がお互いに隔意のない意見を支換しながら前進をしておるということでございまして、私たちはそれが早く、両国のああいう国交回復というようなことがございましてから一年もたつわけですから、いち早くその成果をあげたいということで、政府としては、関係閣僚協議の上で努力をしているというように御承知をいただきたいと思います。
○森中守義君 それではこれからの件はあまり深追いはよしておきましょう、またの機会にいたします。
 そこで調査委員会法案につきましては、ひとつこの会期中に成立を私どもとしても努力をしたいと思いますが、いよいよ成立の暁は、さっき申し上げたような幾つかの問題点がなお残されているような気もしますし、ぜひひとつそういうもろもろの懸案事項が運営の中で解決をされるように、しかもせっかく世論の背景のもとに仕上がろうとするこの法律が、より完ぺきを期せられるように、大臣及び航空局長の特段の配慮を強く要望いたしまして、質問を終わります。
○委員長(長田裕二君) 高木参考人、若狭参考人には、お忙しいところありがとうございました。
○小柳勇君 この法案につきましては森中委員から詳しく質問がありました。したがって重ねて質問いたしません。ただ、この法案ができましたその原因は昭和四十六年七月の雫石の自衛隊機と全日空機の衝突によってこういう問題が発生したわけであります。それからちょうど二カ年たちました。で、ほんとうならば先般問題にいたしました岡垣射爆撃場の開始にいたしましても、もう少し慎重にやってもらいたかったわけです。あれだけ重大な事故を起こして、そして航空交通安全緊急対策要綱なるものができた。そしていま民間航空と自衛隊の訓練との間にいろいろ取りきめがなされておるのでありますから、この岡垣射爆撃場の使用開始については、いま少しこの対策要綱にのっとって詳しく取りきめをした上で、安全だということで出発すべきであった。ところが先般のこの委員会の私の質問によりましても、若干まだ納得できない点があります。
 またこの書面をその後いただきました。これは防衛庁の防衛局運用課長から運輸省航空局技術部運航課長あての書面でありますが、この日付は四十八年八月二十五日であります。ところがあの射爆撃場を使用しているのは八月一日からです。官報に出ましたのは、八月一日から九月三十日まで訓練している。訓練を始めたあと、八月二十五日にこのような細部取りきめがなされている。しかもその第一項には、「一、航空自衛隊は、築城飛行場から岡垣射爆撃場への往復飛行に際して航空路(G14)を横断する場合には、三〇〇〇フィート以下を飛行する。二、航空自衛隊は、射爆撃訓練を実施している空域に接近する航空機をレーダーにより確認し、その旨を訓練機に通報する。」、一番大事なことですね、訓練するには。築城の飛行場からG4の三千フィート下を通りなさいと、同時にこの芦屋基地のレーダーで民間航空機をとらえたら訓練機に伝えなさいと、最も大事なことを書いた書面が八月二十五日に出ているんですよ。ところが官報ではもう八月一日から訓練が開始されている。こういうずさんな取り扱い方、私はこのような事故調査委員会などが幾らがたがた言っても、基本的な運輸省なり防衛庁の姿勢が確立しなければ、この法律によって調査委員会だけができましても事故防止はできぬのではないか、そういう気がするわけです。先般も質問いたしましたから、この点は詳しくまたやりたくないけれども、そういう姿勢が納得できない。だからこの問題について、ひとつ釈明してもらいたい。同時に、もう時間の都合で質問続けていきますよ。
 第二問は、G4の安全最低高度は五千フィートと書いてある。ところが玄海進入ルートの最低安全高度は何フィートであるのか。これは技術部長から聞きたいと思うんです。以上二問。
○政府委員(金井洋君) 八月一日から演習をやっていたではないかということですけれども、私どもが防衛庁から聞いておりますことは、防衛庁告示は八月一日ですけれども、訓練を始めたのは八月二十七日から訓練を再開するというふうに聞きましたので、八月二十五日に、一応防衛庁との間でレーダーで監視とか、あるいはグリーン4を三千フィートで通過というふうなことを取りきめたわけでございます。
 それから次に、グリーン4の高度は一応四千フィートと五千フィートということになっておりますが、玄海進入高度は一応現在のところ一万二千フィートということで公示してあります。現行の玄海アライバルルートです。
○小柳勇君 前の姿勢の問題は。
○政府委員(内村信行君) 私からお答え申し上げますけれども、先ほど先生御指摘ございましたように、この事故調査委員会設置法案というものも、例の雫石の事故とか、あるいはその前の「ばんだい号」の事故、そういったものを契機としてできたわけでございまして、その意味におきましては、私どもは単に事故調査委員会というものをつくるということだけではなくして、航空事故の防止に万全を期さなければならぬということは確かに御指摘のとおりであり、私どもその覚悟でおります。
 特に防衛庁との関係におきましては、防衛庁の飛行機の飛び方というものと一般の民間航空機の飛び方というものが違いますので、これはやはり分離して飛ぶべきであろうというふうな基本的な考え方に立ちまして、個々の事案について、いろいろと具体的な審査をしながら、認めるところは認め、認めないところは認めないということが基本的な態度ではございます。そこで先ほどちょっと誤解を生じたかもしれませんが、告示が八月一日からである、しかし文書はもっとおそいではないか、実際に始まったのは八月何日と、こういうことでございましたが、実は私ども、必ずそういうふうな場合には現場の意見を聞きまして、現場で一体どうなんだということを確かめてからやっているわけでございます。ただあの際は、現場においてはこれでだいじょうぶであるということを初め聞いておったわけでございますが、これは率直に言わせていただきますと、あとになりましてからどうもこれでは納得がいかぬというふうな意見が出てまいりました。したがいまして、防衛庁の射爆撃の開始というものは待ってもらいまして、そこでいろいろと話し合いをしたわけでございます。その結果、航空路の下三千フィート以下を飛んで来いとか、先ほどおあげになりました文書が出てまいりました。
 それからさらに、なお現在七千フィート以下につきましては、これはもう大体現場も了承をいたしまして、これならよかろうということでやっておりますが、一万一千フィート以上のところにつきましては、なお疑問がございますので、これについては引き続き検討いたしまして、これはまた防衛庁にはお気の毒ではございますけれども、やっていただいていないというのが現状でございます。
 姿勢については、先生のおっしゃる姿勢をもってやってまいりたいと思います。
○小柳勇君 防衛庁に質問いたしますが、いま運輸省からは官報の告示は八月一日ですけれども、実際は八月二十五日ごろまで待ってもらいましたという話ですけれども、あれだけ騒がれて、航空交通安全緊急対策要綱か四十六年八月七日に出たにもかかわりませず、なぜそういう完全な運輸省との了解がないまま、八月一日からの告示を七月二十六日に山中長官の名前でしたんですか。
○説明員(上野隆史君) 岡垣射爆場におきます訓練開始の日は、先ほど技術部長がお答えいたしましたとおり八月二十七日でございますが、その間に、実際訓練を始めます前に、やはり慎重の上にも慎重を期さなきゃならないということで、鋭意運輸省の御当局のほうと私どものほうとで安全上の措置について御調整を申し上げておった次第でございます。
○小柳勇君 じゃ十分な運輸省との合意に達しないまま、なぜこの防衛庁の告示を出したんですか。この責任者はだれですか、告示を出した責任者は。
○説明員(上野隆史君) ちょっと時間的な経過を御説明申し上げたいと存じますが、運輸省と防衛庁との間でこの文書といいますか、文書上の扱い――航空交通安全に関します文書上の岡垣射爆場の扱いの最初は、一番最初の日にちは四十七年の三月でございます。この日からずっと、その前からもちろん口頭で事務レベルにおきましていろいろな折衝があったわけでございますけれども、正式に防衛庁のほうから運輸省に書類でもって御照会申し上げたのが四十七年の三月。それから四十八年の七月に一応運輸省のほうから文書でもって岡垣射爆場につきまして訓練開始をする、訓練を行なうということにつきましての安全上の措置につきましては、御回答をいただいたということでございます。
○小柳勇君 いつですか、回答日はいつですか。
○説明員(上野隆史君) 四十八年七月二十四日でございます。そして、そこでそういう御回答をいただきましたので、告示をするという手続をとりました。しかしその間におきまして、なお個々に、先ほど先生御指摘のような問題につきまして、すでに事務レベルと申しますか、口頭では了解がついておったのでございますけれども、なおこれを確認するという意味で、八月二十五日にこの文書を運輸省にお出ししたというわけでございまして、それで八月一日から訓練開始ができる法的状態にありながら、なぜ訓練をしなかったのかということでございますが、これは運輸省とのそういう御調整ができなかったということも一つの大きな理由ではございますけれども、そのほかにも、ちょうどその時期は海水浴のシーズンである、それから八月のたしか十日前後でありましたでしょうか、お盆の行事が地元では行なわれるといったようなことから、夏の暑いそういう海水浴シーズンと、お盆のシーズンははずしてくれという地元からの強い要望もございました。そういうようなことを勘案いたしまして延ばしたわけでございます。なお延ばしております間に、いろいろ検討いたしました結果、八月二十五日のこういう文書の内容は、やはり明文で定めておいたほうがよろしかろうという結論になりまして、八月二十五日のこの文書ということになったわけでございます。
○小柳勇君 四十七年の一二月から運輸省と協議に入ったとおっしゃいますけれども、そのころはまだ保安林の解除もできませんし、県知事もオーケーしてないんですよ。県知事がオーケーしましたのはことしに入って六月ごろですから、それはただもう事務レベルの、もし開始になったらどうでしょうかという相談でしょう。そんなものは聞いていません。そんなもの聞いたって無意味です。したがって、いまあなたを責めても、ここで問題にならないのだ。基本的に、いまおっしゃったように海水浴場である、しかも漁場です。しかも保安林を解除しなきゃならぬ、しかも国定公園の一部です。そういうところに射爆撃場があること自体がもうこれは矛盾です。あなたを責めたってしようがありません。これはもう何回も予算委員会でも責めましたし、内閣委員会でもやっている。したがって根本的な問題がありますから、きょうここでは……。しかも、いま内村局長から話がありましたように、一万一千フィートからの急降下爆撃はまだオーケーになっていないようですから、そういう話がきまりましてからさらに質問しましょう。これはきょう結論が出るような話じゃないようであります。
 ただ言いたいのは、おとつい、一万人ぐらいの地元の皆さんや労働団体、民主団体が集まりまして、この反対の決議をいたしましたが、これからも再々そういうものが起こるでしょう。そういうものを懸念してでしょうけれども、保安林の横に鉄条網がありますが、そこに立て札を立てて、いま猛犬を放してあるからこの中に入ったらあぶないからこの森の中へ入るなと、立て札をしてあるそうだ。風光明媚な海水浴場の近辺に爆撃場をつくって、そこに猛犬を放して、その爆撃場に入らせぬような、そういう感覚というのか、もうとにかく爆撃訓練するためには、もう国民などちょっとでものいておけと、こういうような姿勢そのものが自衛隊が責められることではないかと思いますから――これは課長から御意見を聞いてもしかたがないでしょうから、帰ったら山中長官に言ってください、きょうそういうことが問題になったと。したがって、それが事実であれば、すぐそういう立て札などは撤去して、もちろん猛犬を放し飼いしちゃ、それはたいへんなことです。そのことだけでも責めなきゃなりませんから、そういうものはすぐひとつ正常に復してもらいたいと思います。いいですか、その点は。その点だけでも答弁してください。
○説明員(上野隆史君) 猛犬の件でありまするが、これは自衛隊におきましては、この岡垣だけではございませんで、だいぶ以前から主として基地警備上の観点から犬を飼っております。ただ、この犬は放し飼いにしておるとかいうようなこと、それで人に危害を加えるというようなことではございません。必ず飼育係と申しますか、その係の者が手綱をとりまして、そして見回っておるという状況でございます。
 なお、これはもし御要望がありますれば、どのくらいの数の基地でもって犬を何匹飼っておるかということにつきましての資料がございますけれども、決して岡垣だけの特殊の問題ではございません。
○小柳勇君 山中長官を一ぺん呼んで、ひとつ猛犬の取り締まりについてやらなければなりませんが、基本的に、どうも国民を全然無視して、この爆撃訓練をやっている、しかもあんな風光明媚なところで……。現在どのくらいやっていますか、訓練を。
○説明員(上野隆史君) 訓練の回数ですか。
○小柳勇君 ええ、一日に何機、何回ぐらい。
○説明員(上野隆史君) 大体一日に四回程度でございます。
○小柳勇君 四回。
○説明員(上野隆史君) はい。
○小柳勇君 何機ずつですか。
○説明員(上野隆史君) これはおおむね四機編隊で四回、午前二回午後二回といったように分けてやっております。
○小柳勇君 そうすると、一回でどのくらい訓練するんですか、何回ぐらい――相当やっているようだよ。
○説明員(上野隆史君) 一回で十五分ないし二十分程度でございます。
○小柳勇君 そうでしょう。いずれにいたしましても現地ではたいへんな騒動で、子供たちも勉強もできないし、主婦も相当反対があります。したがって射爆場撤去の問題は基本問題として、また総理なり長官に話しますから、具体的に、もういまやってれば事故の起こりませんように、あるいはいまの犬なんか、すぐ撤去するようにして、そうしてとにかく撤去まで――撤去は基本的な問題ですから、事故が起こりませんようにしてもらわないと困りますが、とにかく早急に撤去すべきであるという方向で、長官にもひとつ問題にしたと言ってください。
 それからいまの、この事故調の法律につきましては、森中君も言いましたが、基本的に発足が、自衛隊機と民間機の衝突からですけれども、それは米軍機にも適用されなきゃなりませんしね、この法律は。それから民間機同士も適用されなきゃなりませんので、専門委員の選考など、厳正公平にされて、時の権力に迎合するような結論が出ない、そういう委員会をつくってもらいたいと思います。
 以上で質問終わります。
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 航空事故調査委員会設置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(長田裕二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  新谷運輸大臣。
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいまは慎重御審議の結果、御採決をいだだきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 今後、航空事故の発生防止に対しましては、なお一そうの努力を傾けたいと存じます。
    ―――――――――――――
○委員長(長田裕二君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○瀬谷英行君 タクシー会側の不当労働行為的な運営の問題について、若干質問したいと思います。
 内容は埼玉県の武蔵野交通というタクシー会社なんでありますけれども、これが運転手との間のちゃんとした雇用契約を結ばずに運転手を使い、これは一日四千円とか五千円とか、こういう金を全納させて、ガソリン代、故障代、オイル代等を運転手が負担をすると、こういう形でもって、上前をはねるようなことをやっておるわけですね。およそこのような事業形態というのは、あまり聞いたことがないんでありますけれども、道路運送法に違反をするというようなことがはっきりすれば、当然この道路運送法で登録を取り消しをするなり、事業の停止をさせなければならぬということになると思うんでありますけれども、この問題について、運輸省としては、一体どのような見解を持っておるのかということを、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(小林正興君) ただいまお示しのタクシーの運営形態におきまして、通称リース制というような名前で呼ばれておる制度があるわけでございます。これは全国各地に最近散見されるわけでございますが、その水揚げの中から一定の経費を会社に納める、あるいは定額で納めるというようなことで、通称利益配分方式というような名でもいわれておるようなわけでございます。
 これは本来、賃金制度でございますので、会社が所定の賃金規定あるいは就業規則というようなものを定めて、労働基準局に届け出をされると、またそういった賃金制度を選択するのは労働者の本来の権利でございますので、会社の内部において、そういう利益配分方式がとられるということについては、これは道路運送法上の問題とはならないわけでございます。そういった利益配分方式が、労基法あるいはそういった関係の点からいかがかという議論につきましては、これは当然主務官庁であります労働省において検討されておるわけでございますが、道路運送法のほうにおきましては、先ほど先生の御指摘になりました、名義貸しを禁止する規定があるわけでございます。これは道路運送法の三十六条に明らかに規定しておりますとおり、他人に名義を貸し、または利用させるということでございます。
 したがって、そこで問題になりますのは、免許を受けた者が、いわゆる他人にその名義を利用さして、そして本来免許事業で営なまなきゃならない権利を一定の値段で名義料を取って切り売りするというようなことでございます。したがって、名義を借りたほう、他人は当然無免許営業ということに相なるわけでございます。したがいまして、道路運送法上この他人というような点の認定が非常に名義貸しであるかどうかということの根本になるわけでございまして、現在リース制と称して企業内部において行なわれております利益配分方式というようなものは、そういった点から、労使間で決定される賃金のあり方、こういうような問題でございますので、これがはたして他人といえるかどうかというようなことになるわけでございまして、そういった点から一般論といたしましては、雇用契約を前提として、運転者が特定の車両に乗りまして、その水揚げに応じて給与を決定する一つのシステムというようなものを通称リース制と呼んでおるわけでございますが、これは道路運送法上の問題は特に起きないと、こういうふうに解しておるわけでございます。
○瀬谷英行君 いわゆるリース制の問題でありますけれども、これは合法的というふうな見解が成り立ち得るのかどうかですね。これはこの前も名古屋で企業内個人タクシーという問題がちょっと起きまして、結局この企業内個人タクシーといっても個人タクシーの形態はとるけれども、事実上は企業が車も持っておる、そしてその個々の運転手が責任は負う、こういうかっこうでもって、非常に変則的なかっこうなんですね。はたしてこういう形が、これは企業にとっては都合がいいかもしれないけれども、実際問題としては非常に変則的な形で好ましくないというふうに思うんですけれども、大臣としては、この種のタクシーの運営形態を、これは労働省とも十分協議をしなければならぬことだと思うんですけれども、はたしてどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思う。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど自動車局長がお答えしたとおりでございまして、このリース制リース制と申しますけれども、この内容はいろいろなものがあると思うんです。でございますから、これは雇用契約を前提として運転者が給与をどうしてもらうかというようなことについて、いろいろ雇い主との間で契約をしている、こういったのもそれはリース制の一種だというふうになれば、この点はわれわれのほうの道路運送の関係からいいまして、これは一つの利益の配分方式の一つの形態にすぎませんから、違法であるとは言えないと思うんです。
 ただ、あなたが御指摘になっておったように、いかにも表面は合法的なような形でありますけれども、名義を貸したりいたしまして無免許の営業をやっているというようなものにつきましては、内容の問題でございますけれども、これは違法であるから取り締まらなきゃならぬということになると思います。で、そういったものを一つ一つ具体的に調べて判別していくということは、なかなか困難でございますが、これにつきましては、陸運局が中心になりまして、われわれのほうも関与いたしますが、労働省の基準局あたりが中心になってそういうような違法な営業をしないように、これは厳重にやらなくちゃならぬと思いますが、そういうふうにしていかなきゃならぬと思います。
○瀬谷英行君 また、いわゆるリース制と別なかっこうになるんじゃないかと思うんですが、具体的な例をあげますと、最初に会社と約定書というものを取りかわす、その契約は約定書に基づくんだけれども、車両運行覚え書というものを閲覧をさせて、保証人二人でもって、個別契約という形で保証金三万円を一番最初に納める、保証金三万円納めて、それは円満退社の場合には返す、あるいは一年以上のときは返すけれども、解雇のときは返さない、こういうような形をとる。それから毎日小型車が四千円、中型車が五千円というふうに賃貸料というものを取って、そして車両費が四千円だとすると、車検代が百円、こういうものを納めて、そして仕事をする、こんなかっこうをとっているわけです。それで雇用契約というのとは全然違って、個別契約になっておりますし、車両運行覚え書き等は、これは閲覧をさせるというだけで、中がこれはよくわからぬ。きわめていいかげんなわけです。解雇する場合は、懲罰委員会というのがあって、この懲罰委員会でもって一方的に首を切られてしまう、こういうことで、普通の雇用関係を結んでいる労使関係とは想像できないようなかっこうをとっているわけですね。しかも、いろいろと不良運転手等を使って乗車拒否だとか、相乗りだとか、不当料金とか、こういったようなものがあったから、そういう懲罰委員会を設けるということにはなっておるけれども、実際問題としては、金を納めるのが、納めないということで簡単に解雇される。つまり個別契約による約定破棄というのは解雇と同じ形になっているわけです。こうなると、首になった者はもう全然手も足も出ないということになるわけですね。だから不当労働行為として警察へ訴えるにも、何しろ雇用契約がないということであるし、ちょっとこれは普通考えられないことですね。しかも陸運事務所なり労働基準監督署でも、これは明らかに違法というふうな判断をしているということなんですがね、もしそのような判断をしているとすれば、運輸省としても、その違法の判断に基づいて処置をしなければならぬということになると思うんですけれども、内容的に自動車局でもって実情を聞いておるかどうかですね。聞いておったとすれば、当然これは処置もしなけれればならぬということになると思うんですが、その点はどうですか。
○政府委員(小林正興君) ただいま具体的な例がございましたが、前段のほうの契約がタクシー会社と特定の他人との契約というように続み取れる面もございますが、また一方、解雇というような表現で雇用契約があるようにも解されるというふうな点で、非常にまぎらわしい約定になっているかと思います。で、この点につきましては、当然私どものほうで、最終的に雇用契約を判断するということについては、それだけでもっていずれであるかということは非常にむずかしいかと思います。
 ただ最後に先生の申されました、労働当局がこれについて明らかに違法であるというような、その違法の問題でございますが、これが労基法に定められた賃金規程の問題から違法であるということであるならば、当然それは賃金の、その関係の違法の問題として労働基準法に基づいて処分されるべき問題でございますし、またこれが雇用契約がないというような判断になりますれば、先ほど来申し上げましたように、当該タクシー会社と他人との契約ということになりますので、道路運送法違反の疑いが非常に濃くなるわけでございます。その前提となる雇用契約というようなものがあるのかどうか、労働者の地位というようなものが判断されるのかどうかという点が、やはり第一次的には非常にきめ手になるのではないかと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 瀬谷先生、そういう契約をしておるところは、労働関係法規それから私のほうの道路運送法、そういったものに照らしまして、これは違法であることが明瞭なような契約はしているはずはないと思うのですね。いろいろ考えて、こうすれば労基法にも違反しないじゃないかというようなことを考えてやっているのだと思うのですよ。それがもし労基法に違反しているとすれば、われわれのほうでもおっしゃるように処置をしなければならぬということは当然のことですが、具体的に、その契約書の内容のようなものをあなたがお持ちなら御提出になっていただいたらどうでしょう。労働省も私のほうも、それに基づいて協議をしまして、これがはたして違法であるかどうか、法律の解釈運用について、十分責任のある判断をしまして、その上でお答えするのが適当だと思うのです。そうしていただければ早速労働省にも頼んで、両方で協議の上、最終的な判断をさせたいと思います。
○瀬谷英行君 労働省が見えたそうですけれども、労働省の関係にはある程度具体的に話をしておきましたけれども、雇用契約があいまいで、一方的に解雇かできるというのは、これは雇い主にとってはきわめて都合がいいわけです。しかしこういう状態は、あまり例はないと思うのですけれども、あまり例はないと思うけれども事実こういう例があった。約定書に基づいて個別契約をやって、それに基づいてまた簡単に解雇される。またその仕事の内容を一々詳細にきょうは申しませんけれども、相当労働条件もこれは悪い、ほとんど休みなしに働いておる、また働かせられるというふうな内容になっておる。だからこれは詳細に追及していけばかなり問題が出てくると思うのですが、それらの点について、労働省として、本件についてどのような見解を持っておられるか。
○説明員(岸良明君) 少しおくれて参りましてまことに申しわけないのでございますが、基準局といたしましては、昭和四十五年に三回、四十六年に二回、四十七年に二回、この事業場について定期監督あるいは申告に基づく監督をいたしております。で、その間、ただいま御指摘のありましたように、四十六年の十月に新しくいわゆるリース制というようなシステムをとりまして、若干その問題については監督署としても問題があるということでいろいろと事情聴取等を続けておったわけであります。
 いずれにしても、ただいま運輸省からお答えがありましたように、はたしてこういうような形の契約でタクシーを運行するということが適切であるかどうか、確かに問題がある点でございます。私どものほうとしては、できればより労使関係を明確にするように、これは再三指導をしておりますし、今後ともまた運輸省とよく御連絡を申し上げまして、この面について十分指導をしてまいりたい、かように思っております。
○瀬谷英行君 現地の陸運事務所の担当者等もこの内容については相当疑問をもって、道路運送法三十六条の違反と、このような認定をしているようだけれども、諸文献は陸運局が持っているといったようなことで、そのままあいまいになっておるようです。そうすると、これは問題を明らかにするには、雇用契約の基本になる約定書というものが、はたして妥当なものであるかどうかということになってこようかという気もするのですけれども、このような例がいままで数多くあるのかどうか。
 それから、こういう形でもって労働省から摘発をされているというような例、それに対する処分をやったというような例があるのかどうか、この点もちょっとお聞きしたいと思うんですけれども。
○政府委員(小林正興君) 先ほど来申し上げましてるように、企業内部において特別な利益配分方式とか、そういった給与配分の一つの形式をとっておると、そのこと自体が違法であるかどうかという判断につきましては、私のほうといたしましては、第一次的にはいたさないわけでございます。で、当然このことが違法であるか、あるいは改善を要すべきことであるかどうかというようなことにつきましては、これは労働基準局で十分監督調査もいたしまして、適切な処分をいたしておるわけでございますが、確かにそういったあいまいな状態でタクシーを運営しているような会社につきましては、道路運送法におきましては、そういう形態自体を、直接しばっておる規定はないわけでございます。
 これは安全の観点あるいは利用者に対するサービスの観点というようなことから、もろもろの監督法規があるわけでございます。そういった車両の整備であるとか、あるいは日常の点呼をしなければならないとか、いろいろそういった規定があるわけでございます。こういう規定に抵触することが非常に多いわけでございます。そういうあいまいな形で企業運営をやっておるというような事業者につきましては、そういった点につきまして、先般、相互通報制度というようなものをしいておりますので、労働基準局において、疑わしいというような点につきまして、私どもに通報がございますので、それに応じまして、運輸省といたしましても、道路運送法の名義貸しの規定あるいはその他事業者として順守しなければならない運輸規則等の順守状況等について監査いたしまして、これの改善の措置を講ずるということにいたしておるわけでございまして、こういった例は全国相当な数にのぼっておると思います。
○瀬谷英行君 あいまいなかっこうでやられるので網の目をくぐりやすいということもあるんだろうと思うんですけれども、しかし公にならないで、うやむやにもみ消しになってしまう例も、これまた相当多いんじゃないかという気がするんですね。
 ただ常識的に考えて、三十六条、名義を他人のために利用さしてはならないということになっておるんですけれども、雇用契約そのものが全くあいまいでもって、そしてもう初めっから一日幾らということで、いわば金を納めて車を借りるというようなかっこうで、あとは運転者自身の責任においてガソリン代も払うし、故障代、オイル代も払うしということになると、これはいわばどう見ても、事実上は名義を借りてやってるというふうにとられるわけなんですけれどもね。じゃ認定をするきめ手になるのは、そうすると何かということになるんですけれども、やはり労働基準法違反といったような労働省関係の雇用関係、これがやはりきめ手になるのかどうかということなんですね。それはどうなんですか。
○政府委員(小林正興君) そのとおりでございまして、労働基準法の規定に抵触いたしました場合に、これが労働基準法に基づく監督なり改善の措置がとられるということは当然でございまして、そういった場合には、多くの場合、道路運送法におきましても順守しなきゃならない諸規定に違反している場合が多いということで、先ほど来申し上げました相互通報制度があるわけでございます。一方、名義貸しの規定につきましては、これは免許制をとっております以上、国から与えられた経営する権利、もちろん義務も伴うわけでございますが、こういった経営権と申しますか、営業することができる権利というようなものを他人にこれを利用させ、あるいは貸し与えて、そうして不当な利得を得るというようなことで名義貸しを禁止しておるわけでございまして、したがって一般的に労使関係企業の内部において先生お示しのような、いろいろな利益配分方式をとるということ自体、そのこと自体は直接名義貸しの問題とはかかわりがない問題でございます。したがって他人であるかどうかというものの認定、こういった点が三十六条の問題としては一番基本になるかと思います。
○瀬谷英行君 三十六条違反ということが明確になれば、九十二条、九十三条といったようなものは、これは適用になるということと理解してよろしいですか。
○政府委員(小林正興君) 九十二条は自動車運送取り扱い事業でございまして、四十三条に免許の取り消し等の行政処分の規定がございます。この四十三条が発動できることになるかと思います。
○瀬谷英行君 事業の停止及び登録の取り消しと、こういうところまで発展し得るかどうかということを聞いているわけです。
○政府委員(小林正興君) ただいま先生お示しの九十二条でございますか、これは自動車運送取り扱い事業と申しまして、タクシー事業のような事業とは全然別の種別になっておるわけでございます。自動車運送事業の場合でございますと、四十三条に免許の取り消し等の行政処便の根拠規定がございますので、その中に、この法律に違反したときは事業の停止あるいは免許の取り消しをすることができるという条文がございますので、三十六条という法律違反が明らかな場合には四十三条が働くと、こういうことに相なるわけでございます。
○瀬谷英行君 それじゃ労働省のほうにお伺いするけれども、労働省のほうとして労基法違反という問題が明確になった場合は、これは運輸省とどういうような連絡をとるようになっておりますか。
○説明員(岸良明君) ただいま運輸省からお答えをいたしましたとおりに、当然私どものほうで監督をいたしまして、労基法違反ということが明確になりますと、当然これは運輸省のほうに連絡をいたしますとともに、また独自の権限に基づいて、法上で定められた処置を講ずるということになるわけでございます。
○瀬谷英行君 これは、所管の基準監督署の報告等に基づいて、それが基準監督署において認定をした事実があれば、これは基準局のほうでその事実に基づいて運輸省と連絡をして処置をすると、こういうかっこうになりますか。
○説明員(岸良明君) そのとおりでございます。ただ、ただいま問題になっておりますこのリース制でございますが、これは、ただいま御指摘になっているような運送法上禁止をされているそういうようなリース制に該当するものはきわめて例は少ないわけでございますが、ただ、それとほとんど接近をするような形で、いわば労使関係があると認定はされますけれども、賃金のいわゆる形態において、成果配分制とか、あるいは利益還元制というような形態が漸次とられている傾向にあるわけでございます。そこで私どもとしては、御承知のとおり、労働基準法上では適裕事業場に使用されて、そして使用従属関係があり、そのもとにおいて労働を提供し賃貴を受け取る者が労働者というふうに認定をするわけでございます。事実上の認定でございますので、なかなかそのボーダーラインの線はむずかしい問題がございます。したがいまして、特に運送法上禁止されておりますようなリース制の疑いのあるものについては、慎重に運輸省のほうと連絡をして、事実認定に慎重を期するということでございます。当然これは労使関係ありと認定した限りにおきましては、基準法の該当条項に当たるものにつきましては違反を問う、これは当然のことでございます。
○瀬谷英行君 大宮の武蔵野交通等の例は、きのうちょっと話はしておいたんですけれども、労働省として聞いておりますか。
○説明員(岸良明君) 私どものほう、御指摘がございまして、早急に調べたわけでございますが、非常に事実関係の判断になお微妙な点がございまして、一がいにこれは労使関係がないというわけにはいかないような感じもいたします。しかし確かにこの問題は、この労働関係という面から見て、非常に微妙なボーダーラインにあることは間違いがないわけでございます。その点からもよく運輸省とも連絡をした上で、この問題についての判断を慎重にやっていきたい。
 しかし、いずれにしましても、私どものほうでは、現にその運転者が働いておるわけでございますし、また運転者の保護の面から言うならば、これは労働基準法に基づく労使関係を締結することが望ましいわけで、この点については、事業主に対し再三そういうような労働条件を整備するようにということを勧告または指導をしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 労使関係を指導しておるというけれども、指導していても実際問題として個別契約でやっておる、法網をくぐるようなかっこうで個別契約でやっておるというような場合には、一体どのように処置をするかということです。
○説明員(岸良明君) 労働基準法の分野と、それから道路運送法の関連の該当規定との間のちょうどボーダーラインでございまして、もしもそこのところに労働関係がないということになりますと、これは運送法上禁止されているリース制ということに該当すれば、これは運輸省の御判断を待つよりほかはないと思います。私どもとしては、やはり実態的にも労働関係ありと見られるような事実がありとするならば、これはなるべく労働者の保護の面から見て、労働基準法のベースに乗せていくような指導をし、その改善をはかっていくような形で誘導していく以外にないと、かように思います。
○瀬谷英行君 内容的には、これは個別契約であろうとも、自動車の運転手が働いているわけですから、どういう形にせよ、タクシー会社と運転手と、こういう関係になっておることは間違いないわけです。
 したがって、その個別契約でもって、ここのところをあいまいにされておるというのは、単に勧告とかなんとかという、なまぬるい形でもってやっておったのでは、らちがあかないだろうという気がするんです。事実関係に基づいて、これは完全な労使関係である、雇用関係であるということを認定するのは、この場合、運輸省のほうが中心になるのか、労働省のほうが中心になるのか。どちらがまず認定するという立場になるのかということなんですが、それはちょっと常識的に言うと、労働省ではないかという気がするんですが、それはどうですか。
○説明員(岸良明君) 非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう面から見まして、何といいますか、微妙なケースがございますので、相互通報制度で、両者相関連しつつ、これは適切に措置したい、こういう形のシステムができておるわけであります。
○瀬谷英行君 事実関係について一つ一つここで申し上げるのは相当時間もかかります。一々運輸省並びに労働省双方に聞いていくのもたいへんですから、事実関係についえは、ここでは申し上げませんけれども、運輸省としても、やはりこの雇用関係というものはほおかぶりをしていくわけにはいかないだろうという気がするんですがね。内容的に、完全にこれは、事実上は他人が名義貸しをしているというふうに判断される場合の処置のしかたというものは、運輸省としてはどういうふうにやっておりますか。
○政府委員(小林正興君) 一般的に名義貸しの判断は非常にむずかしいわけでございます。と申しますのは、名義を貸すほう、借りるほうが合意の上におきまして、こういったことをやっている。何かの事故その他のきっかけでもって、こういうことが発覚するわけでありますが、そういった際にも、なかなか運輸省といたしましては、監査をいたしましても、二重帳簿ができているというようなことで、なかなかわかりにくいのが通例でございます。したがって名義貸しの判断というようなものにつきましては、一つは会社が国から免許をもらいまして、そうして形だけ持っておって、そうしてその実他人にその経営する権利を与えているという形、これが一般的な名義貸しの形でございます。ですから、そういう場合には、車両の所有権というようなものも、名義を借りている者が実質的には持っている場合が通例であるわけです。会社はこの道路運送法上認められた免許あるいはこれに伴ういろいろの諸手続というようなものをやる機関にすぎなくなっているというのが一般的な名義貸しの場合でございます。
 したがって、そういった際の車両の所有の問題というようなことにつきましても、従来の例で申し上げますと、非常に調査がむずかしいわけでございます。それからもう一つは、先ほど来申し上げました他人に名義貸しをしたかどうかというようなことでございます。この他人に当たるかどうかということの最終判断につきましては、非常に労使関係の問題にもわたるわけでございますので、労働者たる地位というようなものを完全に否定し去るというようなことも、これはなかなかむずかしいわけでございまして、私どもといたしましても、いろいろな車両の問題、あるいは他人姓の問題につきましても、いろいろの角度から調査するわけでございますが、この名義貸しの断定ということは、最終的には非常にむずかしいわけでございます。むしろ、道路運送法はそういった名義貸しの規定を禁止いたしておりますが、それ以上に、やはり免許を得た事業者が義務を完全に果たしまして、そうして、安全で、利用者の利便を十分確保するような事業運営をやっているかどうかという点が一番道路運送法、運輸行政の中心であります。
 企業の内部関係において、賃金制度が適正であるかどうかというようなことにつきましては、これは専門の労働基準行政にお願いするよりいたし方ないわけでございまして、そういった点から、私どもは的確な事業運営体制をとってないというようなものにつきまして、三十六条違反であるかどうかということよりかも、むしろ道路運送法に基づきます運輸規則等の法令に違反しているかどうかということで監査をいたしまして、利用者の利便の確保と、それから安全な輸送というような点について、十分な監督をやるべき問題でございます。これが具体的には、そういったあいまいな形態でやっているところ、特に労働基準監督において疑い、あるいは問題があるというような事業者につきましては、多くの場合、道路運送法上もそういった諸規定に違反している場合が多いわけでございますので、相互通報制を活用いたしまして、私どもといたしましては、道路運送法の関係法令に適して、これはただ単に名義貸しの規定違反というような問題ではございませんで、的確な運営をしているかどうかという点について監査をいたしまして、そうして先ほど申し上げました、最終的には四十三条という免許の取り消しという一番重い罰則もあるわけでございますので、そういった点の監督あるいは改善の指導というものをいたしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 事実問題については、これはまたあらためて内容を十分に監査をしてもらって、それから明らかになった場合には、これは断固たる処置をとっていただきたいというふうに要望いたしまして、本日の質問は一応終わりたいと思います。
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
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