第071回国会 逓信委員会 第4号
昭和四十八年三月二十七日(火曜日)
   午後一時二十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        茜ケ久保重光君
    理 事
                今泉 正二君
                古池 信三君
                塚田十一郎君
                森  勝治君
    委 員
                植竹 春彦君
                郡  祐一君
                白井  勇君
                西村 尚治君
                松岡 克由君
                鈴木  強君
                松本 賢一君
                山田 徹一君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  久野 忠治君
   政府委員
       科学技術庁研究
       調整局長     千葉  博君
       外務省アメリカ
       局長       大河原良雄君
       郵政政務次官   鬼丸 勝之君
       郵政大臣官房長  廣瀬  弘君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   牧野 康夫君
       郵政省電波監理
       局長       齋藤 義郎君
   事務局側
       常任委員会専用
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       宇宙開発委員会
       委員長代理    山県 昌夫君
   参考人
       日本放送協会会
       長        前田 義徳君
       日本放送協会副
       会長       小野 吉郎君
       日本放送協会専
       務理事      藤島 克己君
       日本放送協会専
       務理事      松浦 隼雄君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会理
       事        斎藤  清君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に
 関する調査
 (郵政省における労使関係の正常化に関する
 件)
 (通信衛星及び放送衛星の打上げ計画に関する
 件)
 (沖繩復帰後のVOA放送の実情に関する件)
 (情報通信に関する件)
 (通信白書に関する件)
 (東南アジア海底ケーブルの建設計画の推進に
 関する件)
 (東京放送会館の土地建物売却等に関する件)
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○森勝治君 まず郵政大臣にお伺いをしたいのです。新大臣をお迎えしましてから私は最初の質問でありますので、過去のもろもろのできごとなどを思い起こしながら、これからの郵政事業のあり方について、大臣の基本的な考え方をお伺いしておきたいと思うのです。
 その第一点は、社会は急テンポに変革がなされつつありますが、郵政の事業は、げすなことばで表現いたしますと、旧態依然たるものがあります。すなわち、機械化文明についていけないという事業の一つの悲しむべき姿があるわけです。したがって、そこには何としてもそこに働く労働者の協力なくしてはこの郵政事業というものは伸展ができない。これは私がいまさらちょうちょうするまでもないのでありますが、過去、往々にして、労使の相互不信が招来した姿というものがここ数年来続いておりまして、あなたの前の大臣もたいへんこの点に心痛されて、改善方のお約束をなされましたし、その前の大臣も、その前の大臣も、またその前の大臣も、異口同音に、労使の相互不信を取り除くという点についてのお約束を、しばしば、当委員会におきましても、大臣個々との御面接の場合におきましても、私どもは伺っておったわけでありまして、その当時の任に当たりました大臣の方々は、どなたも異口同音に、事業の伸展のためには労働者の協力なくしては伸展はできない、こういうきれいなことばを大上段に振りかざしておられるんだが、さて、いざ実施の段階になると、大臣がおやめになってしまって、また新たな大臣ということになって、次から次へと数々の不祥事がいま惹起されているわけであります。ようやく桜の三月が来ましたから、自然の世界では春らんまんが間もなく見られるでありましょうけれども、全逓と郵政の相互不信のこの根というものは、自然の春が来てもなおかつ雪解けにならないような気がするわけです、これは率直に申し上げるのでありますが。すでにこのことについては大臣も就任早々だいぶ重大な決意をお持ちの模様でありますので、一体、この相互不信をかこっておるところの郵政の労使の紛争というものをどうしたら解決することができるし、どうすれば従業員をして生産線の第一点にふるい立たせることができるか、このことについてひとつ新大臣の所見を承っておきたいと思うのです。
○国務大臣(久野忠治君) 御指摘のとおり、いま日本の社会情勢というのは非常に急変しつつあると思うのであります。その社会情勢の急変に伴いまして情報化も進み、また、その際、担当いたしておりまする郵政省のこの情報化社会に対しまする対処、これには非常に大きな任務が課せられておると思うのでございます。そういう際に、郵政事業に携わっておみえになりまする皆さんの御協力なくしては、この事業を円満に運営することは私は不可能であると存じます。さような意味合いから、私が最初に就任をさしていただきました際に皆さんに申し上げましたことは、何としてでも円満な労使関係を確立する、このことを第一義にひとつ考えてみたい、かように皆さんに申し上げたような次第でございます。
 その内容等につきましては、御存じのとおり、まず第一に、職場環境の整備をはかりたい、そうして皆さんによりよい職場環境のもとでその仕事を進めていただきたい、そのための予算上の措置については新年度の予算編成の際にでき得る限り努力をいたしたい、かようなことを私は申し上げました。
 それから二番目には、この労使間の円満な協調関係を樹立するためには、組合当事者・関係者の皆さんと率直にお話し合いをいたしまして、そうして皆さんのお考え方をお聞きをし、また、それに対する私たちの考え方も申し上げて理解を深めるようにしていきたい、かような意味で、組合の関係者の皆さんとは、先般、第一回の会合を開いたのでございますが、私は、こういうような会をでき得る限りひんぱんに持ちまして、そうしてお互いに理解を深めるように努力をしていきたい、この二点について考えておるような次第でございます。
○森勝治君 まあ郵政の幹部の皆さんは法眼次官の放言に見られるようなことはおやりになっていない模様であります。ただ、この席上でお約束の事業のもろもろの問題についてはなかなか守ってくださらない悪弊があります。私はここであえて悪弊という表現を用いますか、――もっともです、もっともです、おっしゃるとおりです、やります、わかりました、がんばります、あとは何もないんです。これであってはならぬと思うのでありますが、大臣、特に大臣の直轄される、まあ直轄部下と申しましょうかね、事業の頂点にあなたは立っておられるわけですから、それぞれの部門の責任者であります各局長等の指揮というものはあなたどうおやりになるのか。委員会でのもろもろの幾多実例を出しますよ、こういうことはどうだったと。はい、わかりました、だけれどもわかりましたてもう済んでしまって、ややもすれば――われわれもある面では考えなければなりません。ある面では言いっぱなしというものがあるでありましょうが、どうも聞きっぱなし、委員会さえ済んでしまえばという、この空気がもしありとするならば、これはもってのほかでありますので、そういうことについての対処をどうされますか。過去にそういう事例がたくさんありますけれども、もし私がこれから一つ一つ指摘しますならば、さかのぼって改善策をお約束いただけますか。それとも、前大臣のことはいざ知らず、私が大臣の衝にあるからには、これからは私の責任でお約束を果たしますと、こう明言してくれますか、どちらですか。
○国務大臣(久野忠治君) 御指摘の点はまことに重要であると思います。私はまだ具体的な事実について個々に全部掌握をいたしておるわけでもございません。また、その点についての詳細な報告を受けていない面も多々あろうかと思うのでございます。しかし、私自身といたしましては、皆さん、特に各関係者の皆さんの御意見をでき得る限り十分拝聴いたしまして、微力ではございますが、努力を傾倒いたしたい、かように考えておるような次第でございます。
○森勝治君 大臣、どうもきれいごとばかりのお答えをいただいて、もう少し――あなたは気相はやわらかいけれども、しんのかたい人だというふうに前評判で承っておりますから、そのものずばりのあなたのかたい決意のほどをお聞かせいただけるものと思って実は質問したわけですけれども、あなたも大事をとって優等生大臣のお答えであります。それでは私はもの足りないんですよ。だからもう一歩進んで質問をいたしますが、もし当委員会で約束した事柄について果たさないことがあったとするならば、それらの所管の長については責任をとらしてくれますか。
○国務大臣(久野忠治君) お答えを申し上げます。
 具体的な事例についてまだ承っておりませんし、またそのような事例が適切ではないということであれば、私自身の判断でそれは処置をしていきたい、かように存ずるような次第でございます。
○森勝治君 大臣、具体的な事例幾つでもあるんですよ、先ほどから必要とあれば出しますと言っているんですから。ただ、私は、具体的な事例を出す前に、大臣がほんとうにそういう約束ごとを果たすかどうか、このことについてかたい決意をお持ちかどうかというこの基本理念の問題について、あなたのいわば姿勢をお伺いしているわけなのです。歴代大臣がそうであったように、あなたも事なかれ主義の答弁をされたんでは、われわれもここで意欲を燃やして郵政事業の伸展のための質問をする気魄に欠けてしまうものですから、あなたはうそを言わぬだろうという信頼をしながら、期待をしながら実は質問をこれから始めようとしているわけです。したがって、約束は守ることですね、信賞必罰と申しましょうか、悪いことは正してもらいたいと思います。これなくしては、労使の紛争、労使のわだかまり、あつれきというものは、これはもう解決いたしません、私はそう思うのです。
○国務大臣(久野忠治君) ただいま具体的な事例をこれから申し上げるというお話でございましたが、私自身の性格については森委員よく御承知のとおりでございまして、私初めて行政庁の長官としてのいすにつかしていただいたわけでございます。行政官庁にはいろいろのしきたりもありましょうし、あるいは法律の制約もありましょうし、制度その他の制約も私はあると思うのでございます。こういうような制約はございますが、しかし、その法律、制度、制約の範囲内において、私自身の判断ででき得ることがあるならば、十分勇気を持ってひとつ処置をしていきたい、かように私は考えておるような次第でございます。
○森勝治君 大胆、従来、郵政の最高幹部の諸君の中には、失敬でありますが、世俗でいうハト派、タカ派なるものがあるんです。流れが二つありまして、労使の紛争の場でも、片やは組合との協力なくしては事業の伸展はないからという話をしますと、そんなことばかり言っているから組合がつけ上がってどうにもならなくなるじゃないかと言ってよくおやりになる模様です。事業には心を一つにしなきゃならぬわけですから、ハト派、タカ派と人が複数になれば、当然そこでは感情もあるだろうし、好悪、善悪というものが交錯するでありましょうから、多少の個人的な違いはこれはやむを得ないにしても、郵政省の大幹部の中にそういう流れがあるということは、これは直していただかなきゃならぬと思うのです。前の大臣にも、この点は、必要とあらば私どもが見たハト派はどの幹部か、タカ派はどの幹部か申し上げましょうかと、こういうようなことも前大臣に申し上げたわけです。
 しかし、ことあげすることをもってよしとしませんから、私はあまりそういうことには深い発言はしたいと思わないんでありますけれども、しかし、この解決なくしてですね、労働者にのみ事業に寄与する発揚心ばかりを期待しようとしても無理ではないかと思うのです。したがって、大臣、そういう流れと申しましょうか、ものがもし二つの流れがあるとするならば、これは対組合関係ばかりではなくして、事業にとっても一大伸展のそごを来たすことは明らかでありますから、大臣、そういうことのないように、その点は改めさせる方針で今後部下を指導していただくことはお約束できますね。
○国務大臣(久野忠治君) 私の現在までの経験から考えてみますると、そのような二つの流れがあるとは私は理解をいたしていないのでございます。私の補佐していただいておりまする職員の皆さんは、忠実にこの法令の定むるところに従って、私自身の職務の遂行に御協力をいただいておるような次第でございます。実はこれは蛇足であるかもしれませんが、実例を一つだけ申し上げさしていただきたいと存じます。
 昨日、ある会がございまして、その会へ出ました。その会は皆さん御存じの中国の代表団の方たちがおいでになった会でございます。その会でも私は発言をいたしたのでございますが、万々一私自身の考え方、意思に反するような行為をなさるような方がかりにあったとするならば、そういうような方は――これはしかし秘密に類することについてはお約束はできませんが、そういう行為があった場合には、ぜひ私自身に率直にそのことは進言していただきたいという発言まで私はした次第でございます。そのような私自身、自分自身に決意をいたしますれば、従来の経緯等だけにとらわれずに、皆さんの御意見を十分拝聴いたしまして、今後とも努力をいたしていきたい、かように存ずるような次第でございます。
○森勝治君 大臣がせっかく真心込めてのお話と承りまして、次の質問に移りたいと思うのです。
 次の質問は、通信・放送衛星の開発関係について大臣の所見をただしたいんでありますが、この通信・放送衛星の早期開発問題につきましては、昨年の十一月十三日、当委員会でも取り上げられておりますけれども、その際、わが党の鈴木委員よりも両衛星の早期開発の必要性をより明確にしておくべきではないか、また郵政省の方針を宇宙開発計画にどのように反映させるか、つまり予算の編成までに宇宙開発政策との調整をすべきではないかという点を指摘いたしました。このことは御承知でありましょうが、ところで両衛星の開発経費に関する予算の要求、査定等を通じまして、また宇宙開発計画の見通しの決定時期、内容から見まして、宇宙開発委員会との折衝は必ずしも円満に進んでいるとはどうも理解しがたいのであります。新聞等の論調等を見ましても、何かゴリ押しをしたとか、通信・放送衛星の認知とか、郵政省の態度に冷淡というんでしょうかな、あるいはまた理解というものが少ないのか、とにかくそういうふうな新聞論調を見ます。したがいまして、この際、国民の理解を得るためにも、この両衛星の開発はしかじかかくかくの理由で必要かつ緊急を要するものだということを明確に示してもらいたいと思うのです。
○国務大臣(久野忠治君) 宇宙開発の必要性につきましては、森委員ただいま御指摘のとおりでございまして、郵政省といたしましては、長年にわたりまして宇宙開発の促進について努力をしてきたところでございます。その際に、御指摘のとおり、宇宙開発委員会との間の協議も十分話し合いをしてきたわけでございます。しかし、残念ながら、その間の経過の中には理解を得られない部分もあったのでございます。その点はまことに私は遺憾に存ずるような次第でございます。
 世界の今日の宇宙開発の情勢等から見まして、一日も早くわが国といたしましては通信衛星、放送衛星を打ち上げるべきである、かような考え方に立ちまして、五十一年度を目途として開発研究を促進するという方針を決定いたしまして、この方針に基づいて四十八年度の予算を要求いたしたような次第でございます。
 その宇宙開発の具体的な必要性、また現状等につきましては、事務当局をもって説明をさせたいと存じます。
○政府委員(齋藤義郎君) 御承知のように、国際通信用といたしましてはインテルサット衛星が打ち上げられて活躍しているわけでございます。そのほかにモルニや衛星、こういうものが実用に供されておるわけでございますが、最近におきまして、国内刑といたしまして、各国で宇宙開発という面が非常に伸展してまいりまして、米国におきましては国内用の通信衛星を打ち上げるという方針を昨年決定いたしております。それから昨年の十一月には国内用の静止衛星アニタというのがカナダで打ち上げられております。それからヨーロッパにおきましては、ことしまたは来年には実験用の通信衛星、それからオーストラリアにおきましては、五年ぐらい先を目途にしまして、国内の通信衛星をそれぞれ打ち上げるというような計画もあるように聞いております。またインド、カナダにおきましては、昭和五十年に衛星放送の実験を行なう予定であるということでございまして、このように世界の宇宙開発は非常に急激に伸展しておるわけでございまして、わが国といたしましても、世界のこの情勢に立ちおくれることがないように、通信衛星、放送衛星の開発を早期に進める必要があるというぐあいに考えるわけでございます。
 さらに、これらの世界の宇宙開発の伸展に伴いまして、わが国の電波権益を早期に確保することが必要でございます。衛星が静止衛星であるためには、赤道の上の三万六千キロの高さに打ち上げる必要があるわけでございますけれども、一方、衛星相互の間の混信という問題もありまして、これを避けるためにはある程度の間隔を置く必要があるということがございます。したがいまして軌道上に打ち上げることができる衛星の数は有限でございます。それから、わが国が利用する衛星に適当な静止軌道という位置は、わが国に最も近い南、真南が望ましいというような技術的な条件などを考え合わせますと、その範囲は限定されておるということが言えるわけでございます。また各国が通信・放送衛星に使用することができる周波数帯、これも特定の範囲が国際的にきめられておりまして、したがって早期に衛星を打ち上げて、衛星の位置及び周波数等につきまして実績をつくるということが必要であろうかと考えます。
 それから、一方、国内の通信需要のほうを見ますと、公衆通信需要というものが昭和六十年ごろまでにはおよそ幹線にして五十万回線ということの必要性が予測されておるわけでございますが、これをすべていままでの地上通信系でもってまかなうということはほとんど不可能でございまして、どうしても通信衛星システムを採用せざるを得ない。大体五十万回線のうちで三分の一程度は衛星回線ということでまかなわざるを得ないであろうというような予測もできておるわけでございます。
 さらに放送関係では、いま問題になっております難視聴問題、ビル陰並びに辺地の難視聴でございますが、だんだん辺地の難視聴というものが数軒あるいは数十軒という世帯単位になってまいりますと、従来の難視聴解消のやり方では必ずしもこれを全部解消するというわけにもなかなかまいりません。したがいまして、どうしても最後には放送衛星、これにたよらざるを得ないと考えられるわけでございます。
 こういうことを考えまして、放送需要あるいは通信需要に応ずるためには、最終的にはさらに大型の衛星が必要だとは思いますけれども、それに至る一つのプロセスとしまして中容量の二百五十キロないし三百キロ程度の通信衛星あるいは放送衛星をぜひとも早期に打ち上げる必要があるというのが郵政省の考え方でございます。
○森勝治君 現在の開発計画では、五十年の電離層観測衛星の打ち上げに次いで、百キロ前後の実験用静止通信衛星が五十二年に打ち上げられることになっております。しかもこの衛星には放送衛星の機能も若干ではあるけれども組み込まれていると聞いているわけですが、そのとおりですね。――もともと放送衛星は大電力を必要とするところから、NHK側の要望を満足し得ないだろうということは理解できるわけでありますが、電電公社の要望にも沿い得ないのか、つまり容量の少ないのは個数でカバーできないのかどうか、この点を聞かせてもらいたい。
○政府委員(齋藤義郎君) 第一番目の電離層観測衛星でございますけれども、これは静止衛星ではございませんで、地球の回りをぐるぐる回る衛星でございまして、これは電離層だけを上から観測するというために打ち上げるものでございます。したがいまして通信衛星あるいは放送衛星の機能は全然持っておらないわけでございます。
 それから五十二年度に打ち上げを予定されております実験用静止衛星、これは御指摘のように大体百二、三十キロ程度のものでございますけれども、これはどういう衛星を打ち上げるかという最初の段階では、確かに放送という事柄も念頭に入れたことはございますけれども、御指摘のように重量の制限という問題がありますので、放送衛星の機能を持たせることは無理であるということがわかりました。したがいまして現段階におきましては放送の機能は持っておりません。
 それから最後に、小さな衛星を数をよけい上げて代用できないかというような御質問だと思いますけれども、これは将来の通信衛星を考えます場合には、おそらく電話回線にしますとまあ一万回線以上という大容量の通信衛星の開発が必要になるだろうと思います。したがいまして、それに至る過程として、プロセスとして考えるならば、いまの段階では中容量の衛星をまず開発して、それから将来の大容量の衛星に技術的につながるというようなことが必要であろうかと思います。なぜ大容量が必要かと申しますると、これは主として採算性の問題でございまして、各国におきましても、大体、中容量の衛星をいま――大容量の衛星を開発しているものもございますけれども、五百キロ前後の衛星を開発しているところはまずないのではないか。これは主として採算上の問題からくる将来の需要予測、こういうことから出てまいるわけでございます。したがいまして郵政省としましては将来の通信需要に備えて、できるだけ早くそこに至る過程として、中容量の衛星を開発しておきたいということでございます。
○森勝治君 それでは、郵政省は、予算要求をする前に、両衛星の早期開発問題について宇宙開発委員会とどのような打ち合わせをされたのか、打ち合わせというよりむしろ話し合いをされたのか、この点をひとつ説明をしてもらいたい。
○政府委員(齋藤義郎君) 郵政省といたしましては、NHK、電電、KDD、こういう機関と四者協議会というものを持っておりまして、そこのところでいろいろ検討いたしまして、そこで先ほど申し上げましたような理由に基づいて、早期にこれは打ち上げなきゃいかぬというような結論を得ましたので、昨年の九月に、宇宙開発委員会に対して、わがほうの要望を申し上げたわけでございます。その内容は中容量の通信衛星、放送衛星を五十一年度までに打ち上げたい、したがって昭和四十八年度から開発に入りたい、こういうような内容の要望を申し上げたわけでございます。
 それに対して、宇宙開発委員会は、基本的な考え方は郵政省と全く同じである、しかし、技術的な問題について若干見解を異にしたわけでございます。宇宙開発委員会の見解として示されておりますのは、通信衛星及び放送衛星の開発を昭和五十一年度までに行なうことについては、外国技術を大幅に活用することが可能であって、かつ搭載機器の早期開発、開発体制の確立、こういう問題が可能であるならば、五十一年度の打ち上げは可能であろうと。しかし外国技術の導入問題、搭載機器の開発問題、それから開発体制の確立の問題、こういうことについてはいま直ちにすべてが整っていると判断するわけにはいかぬので、五十年代のできるだけ早期に打ち上げることには賛成であるけれども、五十一年度ということで期限を明定するということにはちゅうちょを感じるというような御意見でございます。
○森勝治君 宇宙開発委員会は一月の十四日大蔵省に予算の査定額に対し抗議をしたというような問題があるわけですが、これについては別の機会に質問をさしていただくことにいたしまして、目下審議中のこの予算に両衛星の開発研究費として八億七千三百万円が計上されていますが、郵政省としては、これでどのようなことを予定されておられるのか。また、いまも若干触れられましたが、五十一年度の開発は可能と見ているのかどうか、その見通しをお聞かせ願いたい。
○政府委員(齋藤義郎君) 御指摘のように、郵政省といたしましては、八億七千三百万円という経費によりましてまず衛星システムの研究を行なうということでありますが、これに通信衛星用としまして二億五千五百万円、放送衛星用として三億五千五百万円、計六億一千万円をかけて研究を行ないたい。またこれと並んで衛星搭載用の機器の開発研究、これは通信衛星用としては一億四千万円、放送衛星用としては一億二千三百万円、計二億六千三百万円、これを充てる考えでございます。したがって通信衛星には一億九千五百万円、放送衛星には四億七千八百万円を使用する計画でございます。
 郵政省の当初の計画では、昭和五十一年度打ち上げを実現するために、初年度約四十一億円の予算ということで開発に着手するということを要望しておったわけでございますけれども、昭和四十八年度の予算案では八億七千三百万円というような額に予定されておるわけでございまして、したがって現在までわれわれが考えておりました開発のスケジュールにつきまして早急に検討を加えまして、郵政省としてはぜひとも五十一年度に間に合わせたい、五十一年度を目途に打ち上げたいということで努力中でございます。
○森勝治君 宇宙開発委員会の山県先生にお伺いをしたいんですが、宇宙開発委員会では、三月の一日に、四十七年度の宇宙開発計画の見直しというものをいたしておりますが、それによりますと、実験用の中容量の静止通信衛星及び放送衛星を昭和五十一年度を目途に開発し、打ち上げることが強く要請されている。このことにかんがみまして、開発方法等の検討を行なうとともに、所要の開発研究を進めるものとすると、まことに抽象的な表現を用いられております。したがってそこには開発時期が明示されておりません。しかも予算編成から一カ月半もたった後に決定されておるわけです。
 これは、おそらく宇宙開発委員会が郵政省側の要請をどう扱うかということについてたいへん苦慮なされたのではないかと、まあ私は想像をしておるわけでありますけれども、一体、宇宙開発委員会はこの見直しの決定と両衛星の開発めどについてどのように考えておられるか、この点お聞かせを願いたい。
○説明員(山県昌夫君) ただいまの御質問でございますが、御承知のように、宇宙開発計画は、原子力の場合と違いまして、当初から毎年見直しということになっております。で見直しをするという内容は、ある時点におきまする計画を進めてまいりました場合に、変えなきゃならぬという点が出てまいりますれば、それを訂正するということが一つ。いま一つは、一種のまあローリングプランと申しますか、ころがし計画でございまして、ある時点から五年ないし七年先のものを常に持っていたい、したがって毎年の見直しに必要でございますれば、一年なり二年なり三年なり先のことも追加する、こういうことをやっております。
 そこでただいまの御質問の点でございますが、いろいろ郵政省側からお話がございましたように、郵政省の非常に強い御希望がございまして、五十一年度を目標にしてぜひ打ち上げてほしいと、こういうことでございます。いろいろお話し合いをし、また私どものほうの事業団とも御相談申し上げまして、郵政省側から御希望がございました時点の五十一年ということを開発面から考えまして、五十一年に必ず上げ得るというわれわれとしては自信がないと申しますか、不確定要素がまだあるのではないか。
 で御承知のように、この人工衛星の開発の段階でございますが、大きく分ければ、当然、設計の段階と製作の段階とそれから打ち上げの段階とございまして、設計の段階をブレークダウンいたしますと、まず第一に概念設計の段階――あるミッション、目的を持って衛星を設計する場合に、その目的に合うような衛星はどんなものであろうかということ、これは場合によりますというと、いろいろな組み合わせがございますから、何十何百という構想が出てまいります。でその概念設計をやりまして――これはアメリカでいうフェースAというやつでございますが、その概念設計をいたしまして、その利害得失をあらゆる角度から検討いたしまして、それをできるだけ少数にまとめると申しますか、そのたくさんの概念設計の中から少数のこれならばという幾つかのものをピックアップいたしまして、そして次の第二の段階すなわち予備設計の段階に入るわけであります。で予備設計の段階に入りまして、ピックアップいたしました幾つかの衛星の構想、システムに対しまして、それをこれまたあらゆる角度から検討いたしまして、でき得るならばそれを一つにしぼる、これがフェーズBの段階でございます。で私ども、フェーズBの段階までは、これはその衛星を御利用になりますお役所その他のところでやっていただくということがたてまえになっております。で設計の第三の段階が基本設計でございますが、これはいま申し上げました予備設計をやりまして、できるならば一つにしぼって、予備設計の結果によってこういうシステムということをはっきりきめまして、それでメーカーをきめまして、さらに基本設計へ入ってまいります。で基本設計に入りましてから、これがフェーズCでございますが、それからは宇宙開発事業団においてやると、こういうたてまえをとっております。
 したがいまして、昨年九月に、いろいろ郵政省からお話がございまして、御趣旨まことにごもっともなのでございますが、私ども今度開発という面から考えますと、まだまだいろいろいまのフェーズA、フェーズB、こういったところに問題があるのだろう、こういうふうに各方面の御意見も伺いまして判断をいたしたわけでございます。したがいまして、ただいまの御質問のこの昭和四十七年度決定の宇宙開発計画、これはある程度御指摘のとおりに抽象的に書いてございまして、これは四十八年度におきましては、ただいま御説明申し上げましたフェーズAとフェーズBをやっていこうじゃないか、そこで一つのものにしぼって、それで四十九年度からフェーズCに入りたい、こう私どもは思っております。
 したがいまして四十八年度すなわち四十七年度のこの開発計画の見直しの時点におきましては、現在もそうでございますが、五十一年に打ち上げてほしいという御要望、これは非常に私どもウエートを大きく考えておりますが、といいながら、まだこの時点におきまして、この計画の中に五十一年ということをはっきりうたうという自信がないと申しますか、まだそれだけの設計の段階を踏んでおらないので、したがいまして四十八年度におきましていま申し上げましたフェーズA、フェーズBをやります。
 でその結果を見ながら、また最近アメリカ、カナダ、ヨーロッパにも調査団を派遣いたしまして、明日詳しい話を聞く段取りになっております。そういうことを総合いたしまして、四十八年度の宇宙開発計画の見直しに際しましては、いまの五十一年というような数字は、あるいはそれがおくれるかもしれませんけれども、できるだけ五十一年という御要望に合うように今後検討してまいりまして、でき得れば四十八年度の見直しのときに計画の中に入れたい、こういう心組みでおります。
○森勝治君 この問題については、四十五年の十一月十一日にも、先生と私の質疑の中でもろもろの御意見を拝聴したところです。当時は、電離層観測衛星というものが四十六年度、実験用静止通信衛星は四十八年度に打ち上げると、こういうわけでありましたが、四十四年度になって宇宙開発計画がそれぞれ一年おくれることになった。ところが四十五年度になると、さらに打ち上げがまた三年おくれるということであったのであります。いまの三年おくれということになると、すなわち五十一年度ということになりますが、いまのお話にもありましたように、しからばじゃ五十一年度はどうかといいますと、いま先生もおっしゃったように、五十一年度には必ず上げるという自信を持たない、こういう赤裸々なお話であります。ならば、一体いつになるのか、その点です。従来は、私がいま若干数字をあげましたように、比較的的確にいつごろ、いつごろと設定があったのでありますが、今度のお話だと、必ずしも自信がないということで、ならば五十一年度に自信がなければ、五十二年度、三年度になるのか――五年後なのか、その辺のことをひとつもう少し詳しくお聞かせを願いたい。
○説明員(山県昌夫君) ただいまのお話でございますが、先ほど私申し上げましたのは、四十七年度の見直しの時点においては、まだ、新しく出てまいりました中型の通信、放送衛星、この二つの衛星に対して何年度に打ち上げるかということは、われわれの開発という面から見まして、年度をはっきりはできない。これは新しい問題でございまして、実験用静止通信衛星と違った問題でございます。したがいましてこの新しい放送衛星、通信衛星につきましては、四十八年度の見直し、おそらくこの夏の末か秋の初めにきめたいと思っておりますが、その時期におきまして、五十一年とかあるいは五十二年とか、そういったような数字がきちっと出ることを私どもは期待しております。
○森勝治君 先ほどのお話の中で、調査団を欧米とカナダに派遣した、こういうお話でありますが、何かいまのお話ですと、明日、報告を聞くということなのですが、すでに報告はまとまっておるのですか、まとまっておるとすればここでひとつお聞かせを願いたい。
○説明員(山県昌夫君) 調査団が帰ってまいりましたのは一週間か十日前でございまして、ごくあらましのことは聞きましたけれども、正式に明日聞くと。で、まだ明日までには報告書は作成できておらないので、おそらく行かれた方々の各人の感覚をお話しいただくような段取りになるのだろうと想像しております。正式なものはまだおそらく一カ月くらいかかるのじゃないかと思います。
 しかし重ねて申し上げますけれども、その報告によって五十一年とか、そういうものがすぐきまるわけではないと私は思っております。当然、先ほど申し上げましたフェーズA、フェーズB、こういった段階を経てきまる、そういう設計の段階を経て最終的に年度がきまるのだろうと思っております。
○森勝治君 山県先生にさらにお伺いしたいのでありますが、電離層観測衛星や百キロ前後の実験用静止通信衛星の開発が、ロケットの開発テンポの後退ということによって当初計画よりも、いまのお話にありましたように、もうそれぞれ四年もおくれておるわけです。そういう観点から、このユーザー側のあせりというものもまんざらわからぬわけでもありません。また宇宙開発委員会側のロケットの開発に整合させようとする考え方も理解ができるところであります。ところで今回の見直しは、問題となっております中容量の通信・放送衛星の打ち上げロケットには全然触れておらない。全然触れておらないと私は思うんでありますが、ならば一体、両衛星は国産ロケットで打ち上げるのか、あるいはまた、いま欧米に調査団等を派遣したというゆえをもって米国のロケットに依存しようとするのか、この宇宙開発委員会の方針をとくとお聞かせ願いたい。
○説明員(山県昌夫君) お話のとおりに、過去におきましてロケットの開発が非常におくれたと、これはまあいろいろな事情がございます。
 私――少し余談になりますけれども、いろいろな大きな開発プロジェクトが、たとえば原子力であるとか、まあこの宇宙開発もそうでございますが、出てまいりまして、それが最初の計画どおりに必ずしもいかない。たとえば原子力船であり、動力炉であり、過去におきます宇宙開発計画でございますが、これは開発ということの性格上、見通しどおりいかないということは当然考えられますが、と同時に、開発の計画を策定いたします場合に、徹底的にあらゆる方面から検討いたしましてそれで計画を固めたということにおいて、欠くるところがあったのではないか。われわれも原子力船とかこの宇宙開発計画を過去において取り組みましたことを振り返ってみますと、あれだけ大きなプロジェクトをやる場合に、十分な検討が完全にはなされずに計画が立てられた。したがいまして、やってみますといろいろ費用の面あるいは時間の問題これが狂ってまいります。で私自身非常に反省しておるのでございますが、過去において原子力船なり宇宙開発をやりまして、その計画の御相談にもいろいろあずかったわけでございますが、それがうまくいかないということにやはりいま申し上げたような欠陥があるのじゃなかろうか。したがいまして今後われわれがいろいろな大きなプロジェクトをやります場合に、開発そのものは特殊なものではございますけれども、少なくとも計画を立てますその時点におきましては、あらゆる検討をいたしまして計画をきめるべきものと、こういうふうに考えておりまして、まあそういうようなことで今回も四十八年におきましてフェーズA、フェーズBの検討をいたしまして、四十八年度の見直しのときに年度をきちっと入れたい。ただし、その場合に、郵政省の御希望もございますので、五十一年ということを強く念頭に置いて検討してまいりたい、こう思っております。
○森勝治君 五十一年度には気象衛星は打ち上げるわけですね。
○説明員(山県昌夫君) はい。本年度、四十七年度の宇宙開発計画の見直しにございますように、五十一年に気象衛星を上げるということは正式に計画の上に乗せてございまして、それに対する予算の措置もいたしました。
○森勝治君 先ほどちょっとお伺いしました欧米調査団の海外派遣の問題については、宇宙開発委員会では、海外の通信衛星、放送衛星の開発計画の実態を調査し、両衛星の開発計画の参考にするとともに、五十一年度に打ち上げる気象衛星開発の技術的問題点を調査することとして――これが海外調査団の派遣目的ということでありますから、明日、山県先生事情を聴取なさって、そのことによってまたこの開発というもの、打ち上げというものが先に延びるか何かで、この調査団の報告というものが重要なポイントになるのですか、単なる参考ですか。
○説明員(山県昌夫君) 先ほど申し上げましたように、この気象衛星につきましては、五十一年ということを決定いたしましたので、それが変わることはございません。調査団が参りましたのは、先ほど申し上げましたいろいろなミッションに対していろいろな方法がございますから、その最も有効なものをという調査でございまして、年度につきましては、気象衛星に関する限りは、調査団の御報告を承りまして五十一年が変わるということはございません。通信衛星、放送衛星に関しましては、この調査団の御意見を十分拝聴いたしまして、またわれわれも各方面で検討もお願いいたしまして、今後、五十一年なら五十一年ということを、年度をこれからきめることでございまして、気象衛星のほうは変わることはございません。
○森勝治君 山県先生、もう一つお伺いをします。
 宇宙開発はいわゆるビッグサイエンスで多額の経費を要することはもう皆さん御承知のとおりでありますが、しかもその技術の進歩が非常に早く、したがってその開発には緊急性と経済性を十分考慮して行なうべきであることは御承知のとおりでありますけれども、通信・放送衛星は、今後における通信需要の増大、教育、難視の解消、国際協力等の面からきわめて重要な役割りを果たすであろうことは疑いのないところであり、しかもその打ち上げ、あるいはまた利用についての制約も多いわけでありますから、世界の趨勢におくれをとらない、このことが十分配慮すべきことではないかと思うのであります。宇宙開発委員会においてはこの点を特に配慮するように要望しておきたいと私は思うのでありますが、宇宙開発委員会の対処方針といいましょうか、この点に関する見解をお伺いしたい。
○説明員(山県昌夫君) ただいまのおことばまことにそのとおりでございまして、私どももこの通信・放送衛星につきましては非常にウエートを多く持って考えております。まあ一番さしあたり現在で考えられます衛星の中で、通信・放送衛星、これが最も大きな国民の福祉に関係するものであろうと思います。気象衛星も同じとは思いますが、ここ数年来、衛星のミッションがいろいろ変わってまいりまして、気象衛星とはいいながら、大体過去における通信衛星というものが中心になって、それに気象のファンクションをくっつけていく、こういうようなふうに変わってまいりました。これは何も気象衛星だけではございません。したがいましてこの通信衛星あるいは放送衛星につきましては、私ども非常にこれを重視いたしておりまして、これを中心にして日本の宇宙開発を進めてまいりたいと思います。
 ただ、放送衛星につきましては、先ほど齋藤局長からもお話がございましたように、外国でもまだこれは実験段階でございますので、なかなかこの問題は通信衛星よりはむずかしいと思います。
 少し技術的になって申しわけありませんが、たとえば放送衛星でございますと、私どもはやはり三軸制御でございませんというと、将来の通信・放送衛星に対しましてぐあいが悪いのではないか。いわゆるスピン安定ではなかなか大電力を必要としますので、三軸制御でなければ将来につながらないんじゃないかという気もいたしております。こういった点につきまして、四十八年度には十分検討してまいりたいと思います。ただ三軸制御というのは相当むずかしい技術でございますので、一体、アメリカ側の技術をある程度活用いたしますにいたしましても、どれだけアメリカ側が技術を輸出するか、そういったことにも関連がございまして、通信衛星に比較いたしまして放送衛星はなかなか問題があると思います。その問題があるということが五十一年とかそういった打ち上げの時期にも関連が出てくると思いますが、これらにつきましては十分検討いたしまして、四十八年度の見直しのときにははっきり年度をきめたいと思っております。
○森勝治君 おそれ入ります、もう一つ。
 先ほどの私の質問の中でも静止気象衛星を開発し、打ち上げること、これは五十一年度に明確におやりになるというおことばがありましたが、いまの後段の説明の通信衛星及び放送衛星については「五十一年度を目途に開発し打ち上げることが強く要請されていることに鑑み、」とあるんですから、五十一年度にぜひとも打ち上げと、こういう期待が込められているはずであります。ただ、そのあとのほうで「開発方法等の検討を行なうとともに、所要の開発研究を進めること。」などと、こう宇宙開発委員会では線を出しておられるわけですね。山県先生が五十一年度の打ち上げに自信がないとおっしゃるのがこの辺にあるのだろうと思うのでありますが、これはもっと明確に、気象衛星の打ち上げをするように、どん詰まりで明言はできないという裏には、一体何と何が隘路であり、何と何が障害なんでしょうか。
○説明員(山県昌夫君) 気象衛星に対比されてのお話でございますから、気象衛星についてまず申し上げますが、先ほど私が申し上げましたフェーズA、フェーズBにつきましては、気象衛星は二カ年かかってたしか三億五千万円の金をかけて、この三月一ぱい、ちょっとおくれるかもしれませんけれども、四月早々にはフェーズBが終わるわけでございます。一方、この通信・放送衛星につきましては、郵政省あるいはNHKそれから電電公社、いろいろ従来御検討になっておりますが、国の計画といたしましていわゆるフェーズA、フェーズBという、そういう形でもって予算をとってはおらないわけでございます。したがいまして、その一方においては気象衛星は二カ年間準備期間を置いたわけでございますが、通信衛星、放送衛星につきましては、少なくとも国といたしましてはそういうフェーズA、フェーズBの段階の検討はしておらなかったわけでございます。したがいましてそこにやはり四十七年度の見直しに際しまして、一方は気象衛星につきましてはいま申し上げましたような二カ年間の、二カ年間といっても一カ年半でございますけれども、準備期間がございましたが、一方の通信衛星、放送衛星につきましては、これは国といたしましてはそういう予算の計上をしておりませんので、そういったフェーズA、フェーズBの検討には入っておらなかったわけでございます。したがいまして四十七年度の見直しの結果の開発計画、これにつきましては一方において気象衛星は五十一年ということははっきりわれわれとしては自信を持って書いたわけでございますが、一方においてはそういうような事情から、はなはだ歯切れの悪い、要するに四十八年度の見直しのときにきめよう、こういう趣旨でございます。
○森勝治君 山県先生、御苦労さまでした。
○委員長(茜ケ久保重光君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記始めて。
○森勝治君 VOAの撤去問題について、大臣おいでですから、大臣にお伺いします。
 一昨年の沖繩国会におきまして、VOAの沖繩の存続が大きな問題になったことは御承知のとおりでありまして、その際も、私は、撤去の一日もすみやかなれということの主張をいたした一人でございますが、その際、政府は、交換公文による担保措置として、VOA放送の傍受を行なうことを明らかにするとともに、その対策費として四十七年度予算に三千七百万円程度を計上したはずでありますが、VOAの傍受体制はどのようになっているのか、この点をお聞かせいただきたい。
○政府委員(齋藤義郎君) 沖繩のVOA放送につきましては、沖繩が返ってまいりましてから郵政省において傍受するということになっておりまして、全放送を録音テープに録音いたしまして、これを外務省に届けるということをいたしております。
 傍受につきましては、VOAの送信所国頭村、ここに比較的近い場所に受信所を設けまして、全放送番組を傍受して、これを那覇市まで伝送して録音する、こういうことをやっておるわけでございます。
○森勝治君 それは沖繩国会のとき私がすでに聞いておるところなんです。
 いま傍受をして外務省に送ったというだけであなた方の任務は終わりですか。当時の郵政大臣との質疑応答は、これちゃんと速記録持ってきましたが、違うでしょう。十分できると言って言い切っておるでしょう。何もやってないじゃないですか、いまのその話。
○政府委員(齋藤義郎君) VOAの内容等につきましては、外務省が検討をするということが政府部内で取りきめられておるわけでございます。したがいまして郵政省は傍受だけをして、その録音テープを外務省に届けるというのが郵政省の担務でございます。
○森勝治君 それではもっと具体的に聞きますよ。現地であなた方が傍受したテープですね、これはどのような経路で放送内容の確認が行なわれているんですか。また当時問題になりました国益をそこなうような事柄については、どう皆さんが監視体制をしかれましたか、具体的な事例を引いてください。すでにもう外務省に送られれば、イエスかノーか、アジアの安寧をそこねるものであるかどうか、謀略放送であるかないか、もうおわかりでしょう、何回もおやりなら。
○政府委員(齋藤義郎君) ただいま御説明申し上げましたように、傍受は郵政省、内容は外務省と、こういうことに分かれておるわけでございますが、私たちが外務省から聞いたところによりますと、いままでは放送番組については問題がなかったというぐあいに承知しております。
○森勝治君 外務省から聞いたところによると問題がなかったというのですか、どこから聞いて問題がなかったんですか。
○政府委員(齋藤義郎君) 外務省からでございます。
○森勝治君 それでは外務省から郵政省あての文書がありますね、そのことについて。
○政府委員(齋藤義郎君) これはあの国会において御質問が出まして、その際の外務省の答弁があったわけでございます。
○森勝治君 外務省の答弁を開いているんじゃないんですよ。外務省から聞くところによると実害がなかったというあなたのお話だから、しからば郵政省としては外務省からそういう文書をもらっているんですねと。あなたの話だと、いま人のうわさをここに出すんですか。文書をもらっているんでしょう。あなたがこの委員会で言明されるにあたっては、当然公文書か何かもらっていないと、そういう言明はできないですよ。だれそれがささやいた程度ではだめですよ。
○政府委員(齋藤義郎君) この担務は政府部内におきましては外務省の担当でございますので、われわれとしましては、電話連絡等によりまして、そういう情報を得ているわけでございます。
○森勝治君 そういう証拠はありますね、外務省から電話連絡で差しつかえないと言われた。あなた方がプリントを送るでしょう、送ったものについての外務省の回答でしょう。全部電話回答ですか。これは重大なことですよ。外務省から回答を得ていないのではないですか、あなたは。もらっていますか。もらっているなら公文書でしょう。あれだけ沖繩国会で大問題になって、私も長時間この問題について廣瀬大臣と意見のやりとりをしているのです。昔の速記録お見せします。郵政大臣として国民に約束されているのですよ、そのことについて。いまになって外務省であって郵政省は知らないというのは、そんなばかな官庁がどこにありますか。だから外務省からもらった電話連絡なら、何月何日、何々事務官から連絡を受けたという証拠があるでしょう、電波監理局の中には。そうでしょう、プリントをやるのですから外務省に。そうすると翻訳するでしょう、向こうで。そうでしょう。プリントの結果というものは、当然これは措置しなければならないでしょう、これだけもめているのですから。外務大臣が約束したのではないですよ、このことは。郵政大臣が私の質問に答えて、沖繩特別委員会で、よろしいですか、外務大臣は外務大臣の所管について答弁をし、総理大臣は総理大臣の所管について答弁をし、時の郵政大臣廣瀬さんは、廣瀬さんの郵政大臣としての所管についての答弁で約束がなされているのですから、それを守っていますか、実行していますかということをいま聞いているのですから、私どものほうはプリントをとるだけですと、運搬屋ですと、あとは外務省ですと、外務省から聞きましたと言うから、それなら公文書で聞いたのかと言ったら電話連絡。その前何か衆議院でしゃべったのを聞いたとか何とかいうことを言いかけたのでしょう、あなた。だから人のうわさはだめだと私が申し上げた。そうしたら電話連絡で受けたと言うのです。これだけ重大な問題が電話連絡なんかで済みますか、これ。
○政府委員(齋藤義郎君) VOA放送の放送番組の内容が国益をそこなうかどうかということの判断をするところは、政府部内の打ち合わせによりまして、外務省が担当しているわけでございます。私のほうとしましては、そういう放送をすべて録音して、これを届けるというのが私のほうの担務でございます。
○森勝治君 それは前から聞いて明快ですよ、そんなこといまさら聞こうとは思わないですよ。聞いたとおっしゃるから、中身は差しつかえないというのでしょう、だからどこから聞いたかと言っているのですよ、あなた。そうしたら外務省から聞いたと、だから、うわさではだめだと言ったら、電話連絡だと言うから、何月何日――あなた方プリントを出すでしょう、そのつど外務省に送るでしょう、これについて翻訳するでしょう。当然、何月何日、外務省からそうしたものについては云々というのが来るでしょう。その電話連絡を受けたというのでしょう。だから、いつそれを受けたかと言うのですよ。やりとりしていないのではないですか、あなた方は。
○政府委員(齋藤義郎君) これは外務省サイドですべて内容については検討をするわけでございまして、郵政省が届けたことの内容を聞くという事柄は、政府部内の取りきめではないわけでございます。
○森勝治君 これ貸してあげますから読んでください。いまの問題あとにしますよ。読んでください、当時の大臣が何と答えたか。それでは、そのお答えがあるまで、次の問題に移ります。
○鈴木強君 関連して。
 いまのやつは、議事録を見て、本来の適法であるかどうか、謀略放送であるかないかという判定は外務省側にあって、郵政省はただ単に運搬屋ということであれば、あなたがよけいなことじゃないんだが、森委員の質問に対して、われわれが心配したような放送内容であったかどうかということについて、おおむねそういうことがなかったと言うから、なかったというなら、何を証拠にしてやるんだというので聞いておるのだから、何月何日、どういう人からこういう連絡がありましてこう聞きましたと、文書で来たと、そういうことをはっきり答えてやらなければ、これは平行線になるんですよ。
 そこで、前回もこの問題私もこの委員会でやったんですが、やはり実際に謀略放送であるかないかということの判定というのは、いま言ったように、沖繩で傍受したものを飛行機で送るのでしょう、そして外務省に行ってそれが翻訳されるには何日かかるんですか。だから、できれば英語あるいは中国語であったら、そういう中国語や英語のわかる人が直接もうなまにその放送を聞くという、そういうところまでやはり配慮しないと、半年もかからぬでしょうけれども、二カ月もたって放送されたものをあとで翻訳してみたって、もしそれが好ましからぬ放送であった場合には事後措置しかとれないわけで、どうにもならぬのですよ。
 ですから、これは郵政省と外務省とよく相談をして、大臣、できれば傍受というのは、郵政省がほんとうにこの要員が確保できて、そういうことばがわかる人がおればそこでやってもいいと思うのです、私は。しかし、ただ単に電波をキャッチして仲介するだけの仕事が郵政省の仕事だとするならば、そういう専門的な語学にたんのうな方々を外務省が――これは沖繩まて行かなければ聞こえないものか、あるいは東京におっても傍受できるのか、技術的に可能であれば何も沖繩でなくたっていいわけですから、東京で一々沖繩から発信される放送内容というものを外務省のどこかの部屋で傍受するということも可能でしょう。ですから、そういうくふうをして、実際にきょう放送されたものをこの瞬間にこれがいいか悪いかというぐらいの判定ができるような体制をしがなければ、いまのようなスローモーションの傍受体制では、しかも翻訳がだいぶかかると思うんですよ。こういうことじゃわれわれが心配しておった懸念というものに対して忠実に政府がこたえているとは思えないわけですから、これはひとつ前から私は申し上げていることですから、一回、大臣も傍受体制というものについてもう少し政府として適切な方法がとれるようなことを考えてほしいと思うんですよ。そうしませんと、この論議はいつまでも続くし、またもうビールのあわが消えてビールのにおいがしないようなときにこの問題を持ち上げてみても、これはあとの祭りになるような心配もありますから、その辺もうひとつ再検討してもらいたいと思うんです。いまの傍受体制じゃこれはだめですよ、翻訳体制ではと、私は思うんです。だから外務大臣とも相談をなすって、そういう適切な体制をしいてもらうように努力をしていただけませんか。
○国務大臣(久野忠治君) ただいまお話を伺っておりますと、いろいろその処置、手続その他について問題点があるようでございます。でございますから、十分この事実関係なども調査をいたしまして措置をいたしてみたいと、かように考える次第でございます。
○森勝治君 廣瀬前大臣がこういうことも言っているんですよ。番組の内容の概要についてもあらかじめ入手できるよう交渉すると、明快に言明しておるんですよ。ところが、いまの局長の答弁聞いたら全然違うじゃないですか。こういうことを明言しているんですよ、廣瀬前大臣は。いいですか、放送の内容までキャッチするというんですよ、そういう交渉をすると約束しているんですよ。それを運搬屋だけで済みますなんて、どうしてそういうことを言えるんですか、ものの一年もたたないうちに。だから、番組の内容の概要についてもあらかじめ入手できるようアメリカ側と交渉すると、廣瀬前郵政大臣は言明をしておりますから、その点についてはその後どうされておられますか。
○政府委員(齋藤義郎君) 繰り返すようでおそれ入りますけれども、VOAの放送内容につきましては外務省が担当するということでございますので、廣瀬前大臣が言われました事柄を外務省と折衝いたしまして、外務省で相手側と話を進めたいというぐあいに聞いておるわけでございます。
○森勝治君 外務省は答弁要求してないんだよ。きょうは帰って――外務省の出席は求めてないんだ、撤回したんだから。
 話を進めましたか、いつです、何月何日です。
○政府委員(齋藤義郎君) いま資料がございませんので、期日は明確にお答えできませんけれども、記憶していますところでは、当委員会において質疑がありましてすぐに外務省にお願いしたと、こういうことでございます。
○森勝治君 お願いしたということは、交渉ではないんですよ、局長。お願いしたと、依頼ですから、哀願ですから、哀訴ですから、泣訴ですから、交渉じゃないんですから、これは。明快に答えてください。
○政府委員(齋藤義郎君) 外務省と交渉しました結果、外務省において措置するというぐあいにきまったわけでございます。
○森勝治君 どういうふうに措置するようにきまったのですか。約束したことだから、お答えする義務があるでしょう。
 郵政大臣、先ほど私があなたの所見をただした意図はこういうところにあるのですよ、おわかりですね。大臣が約束したことを部下は知らぬ存ぜぬなのです。これでは期待される郵政省としてはだめですぞということですよ。大臣、いいですか、舌の根のかわかぬうちに何かこうぬけぬけと言うんですよ、おかしいと思いませんか。
○国務大臣(久野忠治君) 事実関係につきましては、ただいまお話を伺ったわけでございますが、私といたしましては、もう少しこの内容を調査いたしましてしかるべく措置をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
○森勝治君 大臣、郵政省は、このVOAの問題は何もやっていないんですよ。私に反論があるなら言ってください、いかなる措置をしたか。沖特で通ればよいというので、何をやっていますか、何もやらないじゃないですか。あとは全部外務省だ、外務省だと言って、指摘されれば全部逃げるんですよ。電波行政の担当の衝に当たる郵政省が何もかも外務省ばかりに依存していてはだめですよ。いまは沖繩は祖国復帰をしたのですから、日本の法律に、VOAが存続しているなんということがどだいおかしいんですよ。おかしいことをあえて郵政省がしたのじゃないですか。だから、われわれはそういうことは一日も早く撤去してほしいという希望を出しているわけです。さっぱり約束が守られてないじゃないですか。私は失敬でありますが、重ねてこれは付言いたしますが、大臣、あなたの所見をただすときに、おそらくこういう答弁になるだろうと思うから、私は大臣にくぎをさしたつもりです。しかし、もう質疑応答でおわかりでしょうから、これ以上深追いはいたしません。大臣の善処をひとつ期待をして、次の問題に移ります。
 VOAの運用に伴う電波障害、なかんづくテレビの聴視にかなりの影響があるといわれていることは、これは前からもわれわれも具体的に指摘したところでありますが、交換公文でも米国側に混信その他の妨害の除去措置を義務づけております。したがってその実情はどうなっているのか、これもお聞かせ願いたい。
○政府委員(齋藤義郎君) 御指摘のように、一般に大電力の放送局の近くにおきましては電話にラジオ放送の声が入りましたり、テレビの画面が乱れるというようなことがあるわけでございます。VOAの送信所につきましても、その近くではこのような障害があり、これまでにも問題になったことかあると――これは復帰前の話でございますけれども、こういう話を聞いておるわけでございますが、このような障害の除去の対策といたしまして、電話線を地下に埋没する、あるいはテレビ放送の映像障害を防ぐためには電力線を地下に埋没し、あるいは共同受信設備をつくるということが必要になるわけでございますけれども、いずれも復帰前に措置されておりまして、現在は混信問題はないというぐあいに聞いておるわけでございます。
○森勝治君 ないと聞いておるというのはどういうことですか。電波の妨害その他というのは、これはあなたの所管じゃないですか。祖国復帰の暁は、沖繩はわが国に帰属したわけですから、返ってきたわけですから、あなたの所管事項を、聞いておりますとは何事ですか。もう少しはっきり責任の所在を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(齋藤義郎君) 現在では、そのような障害はございません。
○森勝治君 せっかく外務省来ておりますからね、私もいままでの出席のやりとりで、局長ね、お伺いしないつもりでいた。しかし、あなた押し売りというのがありますが、そこで押しかけですからね、だから私も我を張ってもう質問しないというのもおとなげがありませんから、せっかくおいでになっているから一、二だけこの際聞きましょう。
 この問題については沖特の特別委員会でも私が触れたところでありますが、返還協定の第八条では、VOA施設は五年間の継続運用を認め、効力発生の日から二年後に将来の運営について日米間で協議する、こう御承知のとおりなっています。しかも政府は二年間を待たず、米側と折衝を開始したいという積極的な姿勢を私の質問によって示されたわけです。ところが新聞等によりますと、米国では一九七四年度予算にVOA沖繩の移転費一千六百万ドルのうち七百九十一万三千ドルが盛り込まれておると報道されておりますが、これは事実なのかどうか。
 さらに、これが事実とするならば、この問題は日米間の折衝のもたらしたたまものなのかどうか、いわゆる日米間の夢前交渉、折衝によって描かれたものなのかどうか、それともまた米国の自発的な意思によってそう方針が打ち出されたものか、この点をお伺いしたい。
○政府委員(大河原良雄君) 最初に、行き違いがありまして御迷惑をおかけしましたことをおわびしておきます。
 ただいま御質問のございました米国政府が予算を要求しているという問題でございますけれども、ことしの一月の二十九日に発表されましたアメリカの一九七四会計年度の予算案の中で、VOAの上部機関でありまするUSIAが議会に対しましてVOAの沖繩中継局移転のために総額一千六百万ドルの支出権限を求めております。またその予算案の中におきまして、USIAの施設取得費及び建設費の項目の中に、沖繩にありまするVOAの中継局移転のための支出を含む一九七四会計年度の支出計画の見積もりといたしまして七百九十一万三千ドルが計上されておるわけでございますが、米側の説明によりますと、七百九十一万三千ドルと申しますのは、沖繩の中継局移転の費用だけでありませんで、ほかのVOAの関連の施設の費用というものも含まれておるということでございまして、このうちに沖繩のVOA施設のための費用が幾らになっておるかという中身については現在私どもは承知いたしておりません。
 最後に、こういう動きは日本側との話し合いの結果かという御質問でございますけれども、この問題につきましては、先ほど御指摘のとおりに、返還協定そのものは暫定的に五ヵ年間の運営を認めており、また協定の効力発生の日から二年たちまして将来の問題について協議に入るということになっておりますけれども、沖繩国会当時以来のこの問題に対する国会における御審議の経過にもかんがみまして、私どもといたしましては、米側に対しまして国会での審議の状況等は十分伝えてあるわけでございます。したがいまして米側といたしましては、協定に基づく協議は来年の五月から始まるということを十分承知はいたしてはおりますけれども、五月以降、日本側との話し合いの結果、移転に要する費用というものが会計年度中にでてくる場合に備えて、先ほど御説明しました予算の計上をはかったと、こういう経緯があるわけでございます。
○森勝治君 そうしますと、VOA撤去の話し合いはしていないということですね。約束どおり二年間の凍結期間を待って、それから始めるということですね。
○政府委員(大河原良雄君) 協定の規定には、二年後に将来の運営について協議をするということがございまして、協定によって合意されておりますのはまさに二年たちましてからの協議でございますけれども、沖繩国会以来、政府側とそれから国会の審議の過程におきましていろいろのやりとりがありました経緯を私ども十分承知いたしておりますので、それを踏まえて対処していきたいと、こういうふうに考えております。
○森勝治君 ですから、まだ折衝はしていないというのでしょう。公式であろうと非公式であろうと。
○政府委員(大河原良雄君) いわゆる折衝というものは始めておりません。
○森勝治君 あなたも、当時、私と外務大臣、私と郵政大臣との質疑応答はつぶさに聞いておったと思うのですが。
○政府委員(大河原良雄君) 国会の議事録を通じまして、よく承知いたしております。
○森勝治君 議事録をお読みになれば明快になりますように、向こう二カ年間凍結をして、しかる後に撤去折衝を始めるということになっているが、国会の論争を通じ、この点特に私が言質をとったところでありますが、祖国復用後直ちに――祖国復帰後直ちにというよりもむしろ祖国復帰後すみやかに話し合いを、二カ年ということはあるが、待たずにやるという約束ですよ。その点を郵政大臣が「ぼつぼつ」という表現を用いて、私が「ぼつぼつ」とは何ぞやというので、やゆした一幕があるのですよ。その辺の、そこにも速記録ありますから読んでいただけばわかりますが、三年間凍結しないでやる。そのとき外務大臣が、私が広義における「作業」という表現を用いたら、それは森さんは「作業」と言うのだが、作業じゃないと言って、外務大臣が逆に私に食ってかかった始末の速記録がありますように、いわゆる話し合いを二年を待たずにするという約束です、これは、外務省も郵政省も。
 ですからアメリカ局長がおやりにならぬとするならば、郵政省、大臣がですね、郵政大臣がこのことを約束したわけだから、いいですか、電波局長、何も外務省がやるやると逃げてばかりおらんで、あなた方、これは積極的な姿勢を示されましたか、外務省にそういう点申し入れされましたか。前郵政大臣の国会における答弁をすみやかに具体化するためには、外務省こうしようじゃないかという提案をされましたか。しないでしょう、失礼でありますが。あったら教えてくださいよ。あれほど明快に郵政大臣が沖特の特別委員会で言明されたことが、委員会が終わればナシのつぶてじゃないですか。やっちゃいないじゃないですか。だから私が指摘をするんですよ。やっているならちょっと言ってください。やってないから言えないでしょう。大臣、どうしてこの約束を守らないんですか。いま指摘しただけでも二点あるでしょう、電波監理局の問題だって二点ある。まだたくさんある、掘れば掘るほど大判小判がざくざく出てくるようにたくさんだ、残念ながら。どう思われますか、大臣。これ国会で委員会できめたことが守られない。国会の答弁さえ済めばよいという、事なかれ主義と申しましょうか、郵政省がまだこのからを捨て切れない。これは残念です。大臣、先ほどお約束いただいたんだから、この問題について具体的にひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(久野忠治君) 先ほども申し上げましたように、VOAの処置の関係につきましては、事実関係を初めて私は速記録を読ませていただきました。それから森委員からの御発言も承りました。
 事実関係につきましては、この両者の間に相当な違いがあるように私は感じた次第でございます。これは私の感じでございます。でありますから、この事実関係を十分捜査を、捜査と申しますか、皆さんから聴取をいたしまして、そしてしかるべく措置をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
○森勝治君 VOAは、先ほど局長の話だと、何もそういうことがありません、いわゆる被害はありません、謀略ではありませんという趣旨のことを言われたわけですが、もし皆さんが言うことを一〇〇%正しいと仮定いたしまして、そうなれば――皆さんの言うのは、文化的施設だからそういう謀略放送はしてませんというのが沖特を通じての御意見だし、いまのお答えもその考え方が貫いておる模様でありますから、それならば先ほど言われたように、七百九十一万ドルは移転費用のすべてでないけれども、移転費用を包含しているんだ、移転費用の一部だというお話でありますから聞くんでありますが、それならば皆さんが言われるように、文化的な施設がVOAだとするならば、移転先を秘密にする必要はないんでありますから、一体これはどこへ移転されようとしているのか、このことをお伺いしたい。
○政府委員(大河原良雄君) 移転先については、全くまだ案が固まってないというふうに承知いたしております。
○森勝治君 移転先は固まってないけれども、アメリカは自主的に移転先の費用として、具体的にどこそこと、移転をするしないという具体的な例証がなされたときに、いいですか、すぐ移転できるように予算措置をしておるということでしょう、先ほどのアメリカ局長のお答え、そうですね。
○政府委員(大河原良雄君) 沖繩返還協定の合意によりまして、米側は沖繩にありますVOAは長くても五年ということは十分心得ているわけでございますから、将来の移転に備えて必要な予算手当てを講じておきたいということを考えたものと承知いたしております。
○森勝治君 いま外務省の話を聞いても、郵政省の話を聞いても、撤去の問題について、国会で答弁されたような積極的なことばはあったけれども、その後の行動には具体性に欠けたところがあります。具体性に欠けたところがあるということを指摘します。
 ですから、この一千六百万ドルのうちの七百九十一万三千ドルというものはVOAの移転費用の一部だとするならば、アメリカが自主的に沖繩から撤去することの意思表示と承るんです。だから日本は何もしないがアメリカが自主的に動き始めた。日本は、国会で約束しておりながら、知らぬ存ぜぬで、いまこうやってわれわれの追及を受けているという、残念ながらぶざまなかっこうを露呈しておるということです。残念だが、私はそう指摘せざるを得ないのであります。したがってこのVOAの撤去費用は、沖特のところでも当時申し上げたんでありますが、これは米側が一切負担をすることになっておりますから、この点はこちらは負担をしませんと、これは重ねて聞きますが、明らかですね、この点は。
○政府委員(大河原良雄君) VOAが沖繩から移転――出ていきますに伴う費用については、日本側は全く負担いたしません。
○森勝治君 大臣に、この点について要望があります。
 VOAが依然として沖繩に存続すること、まことにこれは残念であります。したがって二ヵ年間ということで向こう二ヵ年間凍結ということだが、二ヵ年間の凍結を待たず、日米両国間で撤去方の話し合いを積極的に進めるというのが外務大臣並びに郵政大臣の答弁でございました。しかし郵政省では全然それをおやりになっていない。まことに残念でありますから、国会で約束されたとおり、ぜひともそのことについて一日も早く撤去できるようにひとつ皆さん方からも関係方面に働きをかけてもらいたい。何といってもあの放送によって沖繩住民が苦しんでおることは、具体的事例を用いるまでもなく皆さんが承知のはずでありますから、どうぞひとつ沖繩が祖国復帰の暁でもなお外国がそういう特権的な意識を振り回すことのないように、皆さんも積極的な姿勢を示すことを約束したわけですから、この約束をぜひとも早急に守っていただきたい。
○国務大臣(久野忠治君) 御意見の点につきましては、私としては理解できるところでございまして、留意をいたしたいと、かように存じます。
○森勝治君 電波法、放送法、この両法の改正案は今国会に提出するかどうか検討中だと、こう聞いておったわけでありますが、郵政大臣の所管事項の説明にはこの問題については一言半句も触れておりません。これは一体どうされようとするのか、この点お伺いをしたい。
○国務大臣(久野忠治君) 電波法、放送法の改正につきましては、ここ十年来の長きにわたりまして、大きな課題といたしまして郵政省の省内において種々検討を進めていたところでございますが、事は言論に関する立法であり、またこの問題に関する各方面の御意見の方向が必ずしも一致を見ない状況でありますので、いましばらく各方面の御意見をお聞きしまして、改正の内容等について確信を得たいと考えておるような次第でございまして、改正案をいつ提出するかとのことでございますが、目下鋭意努力して検討いたしておる次第でございます。
○森勝治君 次へ移ります。
 来年度の重要施策のうちの一つに、生活情報システムの開発上実験調査を行なうと、こういうことになっていますが、その概要をお聞かせ願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 生活情報システムの開発実験と申しますものを来年度の予算の中に組み込んでおりますが、これはいわゆる同軸型の電線――われわれこれを同軸ケーブルと申しておりますが、これによりまするところの実際いろいろの応用の道があるわけでございます。しかしながら難視聴地域における放送の実態の救済のために利用するということがおもになっておりまして、実際問題とすると、もっともっと多くの利用の道があるであろう、そういうことを政府といたしましてもよく考えてそういう道をつくって、それを実験して、どういう方法が一番いいのかというようなことを見出して多くの方に利用していただこう、こういう目的でこれをやっている次第でございます。
 そこで、先般郵政省の中にCCIS、これはコアクシアル・ケーブル・インフォメーション・システムという名前で呼んだわけでございますが、これに対するいろいろ調査をいたしまして、その検討の結果なども参考にして、多摩ニュータウンでこれをやってみよう、こういうことに考えておる次第でございます。
○森勝治君 それではいまお話しのように、多摩ニュータウンで、生活情報システムですか、それの研究ですね、それをスタートさせたいと、何かこの名称が多摩ニュータウン生活情報システム協会ですか、こういう名称を用いて発足をさせたようでありますが、その目的あるいはまたスケジュール等についてお聞かせを願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) ただいま申し上げました多摩ニュータウンでの実験に際しまして、これを実施するにあたっては、一応一つの協会でいろいろの関係者がここに寄って実験することが得策であるというふうに思いまして、この協会を、正確には多摩ニュータウン生活情報システム開発協会、こういう名前でこの実験を実施するということにしております。
 スケジュールという先生のお尋ねでございますが、本年度中にこの設備をつくりまして、そうしてどういう情報がよろしいか、どういうシステムがサービスとしていいかというようなことについて、これをはかってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○森勝治君 いまのお話にもありましたように、郵政省ではそういう形でもっていこうとする。片や通産省側でも昨年の五月に、これは生活情報じゃなくて、映像情報システム開発協会、われわれから見ればどっちでも同じようなものじゃないか、こう思うのですが、五十年度を目途として郵政省と通産省で同じような実験を行なおうとしているわけですね。類似の実験を行なおうとしているわけでありますが、これをちょっと私は見ましてね、何か通産省と郵政省で、げすなことばで言えば、役所のなわ張り争いが、この情報化研究機関をめぐって引き起こされてきておるような気がしてならぬわけです。私は、むしろ、なわ張り争いでないとおっしゃるならば、それはいさぎよく取り消しますが、私はそういう印象を受けておるわけですから、そんないま通産省だ郵政省だということでなわ張り根性を振り回さずに、両方固まって一緒に研究をし、いわゆる統一して開発研究を行なうことができるならば、経済的であり、しかも効率的であるのではないかと思うのでありますが、郵政省はこの点についてどう考えておられますか、お聞かせ願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 確かに先生のおっしゃるとおりであろうと私存じますが、発想のもとはそれぞれ違っております。
 われわれは、先ほど申し上げましたように、郵政省といたしましては、この同軸ケーブルによるところのテレビジョンの伝送を片方向でいこう、こういう考え方で、それの応用のしかたにどういうことが利用者に喜ばれるかということを見つけようというのがわれわれの発想でございます。通産省が確かにそういう映像情報システム開発計画というものを持っているということはその後知りまして、そうしてそれは双方向性、つまり同軸ケーブルを両方往復して使うような形のものをやっていきたい、それにはコンピューターも接続していろいろなその住民の生活に必要なる情報の交換ができるようにしたいというような形であったわけでございます。これは確かに発想のもとは違っておるのでございますが、現実に行なわれるところの手段としてはやはり同軸ケーブルを使うわけでございますから、これを一緒にやるべきであるというふうに考えまして、また通産省もそのように考えられまして、いまそれぞれその計画を持ち寄りまして、どういうふうにこれを総合して実行していくか、こういうようなことを相談いたしました。向こうにもそれを実施する協会を設立されておりますようでございます。先ほど申しました私どもの郵政大臣の認可にかかわるところの協会もございますが、これを合体いたしまして一つの協会にして、一つの事業としてそれぞれの仕事を進め発展させてまいりたい、かように考えて進めている次第でございます。
○森勝治君 郵政・通産省両方で――なわ張り問題を指摘しましたが、これはあれですか、両方で共同して開発研究をもっぱらにするというわけにはいかぬですか。
○政府委員(牧野康夫君) ちょっと聞き取れなかったんでございますが、失礼いたしました。
○森勝治君 郵政省と通産省がお役所根性でなわ張り争い――まあ片やふやそうとし、片や守ろうとするのでしょうが、そういうことをやらずに、もっと門戸を開放して、開発研究に精を出すことができないかどうかということです。
○政府委員(牧野康夫君) 私どもも先生と全く同じことを考えているわけでございまして、何も通産省と張り合ったり、役所のセクショナリズムによって実際の利用者が迷惑をこうむったり、あるいはむだな経費がそこに使われたりすることはできるだけ避けていかなければなりません。したがってこれの開発につきましても、それぞれの研究項目について、通産省が受け持つ分、それから郵政省の受け持つ分というものをきめまして、そうしてそれぞれを開発し、その成果を持ち寄ってまた検討していく、こういうふうな仕組みでやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○森勝治君 今後もそれはうまくいきますか。
○政府委員(牧野康夫君) うまくいくように最大限の努力を払いたいと思っております。
○森勝治君 先般CCIS調査会から一年四カ月間の研究成果というべき報告書が郵政省に出されている模様でありますが、その概要を差しつかえなければお聞かせ願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、この同軸ケーブルの利用につきまして、技術的な面とそれから制度的な面についてこれを今後どういうふうにはかっていくべきか、通信のおもなる点という観点からどういうふうにやっていくべきかということによってこの調査会を郵政省の中に設けた次第でございます。
 そこで、去る二月一日に報告書をその調査会からいただきました。その報告書はかなり大部にわたって詳細なものがつくられておるのでございますが、大体、現在におきますところの世界各国におけるところの同軸ケーブルによるテレビジョンその他の利用状況の報告、それから今後のこれらのシステムをどういうふうにつくって、どういうふうに利用できるかという問題の予測及びそれに必要なる経費。それから制度の面といたしまして、これが現在行なわれております都市難視聴に関してどういうふうな手を打っていけばいいのか、あるいはまた区域外再送信というような放送の部面におけるところのいろいろの現在の制度上の問題に対する意見、それから双方向通信という問題が、これは新たな問題でございますが、これが現在の制度の上においてどういうふうに制度との間に問題があるかというようなことについていろいろの提案も含まれております。
 それで私どもといたしましては、将来におけるところの同軸ケーブルによるところの映像伝送と申しますか、いろいろの利用方途というものが無限の可能性を持っておると考えておりますので、何とかしてこれを利用させるために、利用が普及する方法を見つけるために、ただいまの提案を慎重に検討して今後実行に移してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○森勝治君 いまのお話を聞いてますと、今後の実験結果というものに期待を寄せている、期待を持つべきではないか、それによって将来の展望をはかるべきではないかという、そういう説明だと私は聞いたわけです。そうなりますと、この報告書の中でも指摘しているように、いまあなたもちょっと触れました制度の問題、政策の問題これらの問題については、郵政省はどういう受け取り方をしているんですか。
○政府委員(牧野康夫君) 現在の諸制度とそこのなかなかよく合わない点が確かに出てくるように思うのであります。これは、従来、電気通信上の基本的な法律の一つである有線電気通信法というものがございますが、その点に触れてまいる点が多々あろうかと思います。あるいは放送関係の法律にも触れるところがあるのではないかと思うんでありますが、その点について、われわれは、それが可能なるように、将来、同軸ケーブルによるところの通信手段というものが、その利用の方途が可能なるように、そういう方向で検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○森勝治君 もう一つ調査についてお伺いしたいんですが、行政情報通信ネットワーク関連技術開発に関する調査――長ったらしい調査をおやりのようでありますが、この概要をお聞かせ願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 行政情報通信ネットワークの問題につきましては、御承知のように、わが国におけるところの行政省庁がたくさんございますが、それぞれがそれぞれの通信手段を持ちまして、独立に自分が持っておるのもございます、あるいはまた公衆通信事業者である電電公社なり国際電信電話株式会社の通信設備を利用するなり、あるいは賃借するなりいたしましてやっておるものがございますが、かなりの額に達しておるようにわれわれは聞いておるわけでございます。そしてこれらの設備を一緒にして、各行政庁が利用する通信を全部まとめて、一緒のシステムの中で、一つのネットワークをつくりましてその中で使うことのほうが利用がより高度になり、そして経済的であり、能率もよかろうと、こういうふうに考えて、先年来、一体その流れる情報にどういう種類のものがあるのかということをいろいろと調べてまいりました。もちろん電話による通信がかなりの部分を占めております。しかしながら、わが国における行政の一つの流通の中における情報の媒体といたしまして、文字の記載された紙によるところの情報の流通ということがかなりの量を占めております。これをどういうふうに速達させるか、そうしてそれをまとめて早く迅速に処置できるかという問題が一つの問題として浮き上がってきたわけでございます。
 そこで技術的手段といたしましては、ファクシミリ――模写電信という手段がございますので、この模写電信を使いまして、これを一つの総合された行政省庁のネットワークに乗せまして、各省庁が出先の機関あるいは県あるいは市あるいは村そういう単位に至るまでのネットワークを組みまして、そこに文書によるところの送受をやる。文書といってもそれに一つの緩急の順序がございますからして、急ぐものは早くやる、それからゆっくり送ってもいいものはあとで送ってやる、あるいは同時に送る必要があればそれをまとめてめんどうをみる、こういうような方法を仕組んでいったら、全体として非常に効率的な行政通信ができるんではないか、かように考えてその研究を進めたい、こう思っている次第でございます。
○森勝治君 これによりますと、各省庁共用の行政情報通信ネットワークの形成をはかりと、こうあるわけですが、これは具体的に言うとどういうことでしょうか。
○政府委員(牧野康夫君) 各省庁が専用線として持っておりますいろいろの線がございます。それらを一緒にいたしまして、一つの交換組織というものを設置いたしまして、その交換組織でその各省庁の持っているものを一括して使っていけばかなり有効に利用できるのではないか。たとえば大蔵省なり、あるいは自治省なり、あるいは通産省なりがそれぞれ通信回線を持っておられる、それを一括いたしまして、行政管理庁なら行政管理庁でそれをまとめてつくりまして、そして線は電電公社の線を使いまして、交換機を設置して、そして情報を流通させよう、こういう仕組みでございます。
○森勝治君 だいぶどうも旗を上げた模様でありまして、また一つあるんですね、開発調査が。農林漁業地域における総合情報通信システムの開発調査、これはどういうことでしょう。
○政府委員(牧野康夫君) いろいろ問題を掲げているという御指摘でございますが、これも大切な問題の一つなのでございます。
 農林漁業地域におきますところの問題でございますが、御案内のように、農林漁業地域、いわゆる過疎地帯でございますが、ここにおけるところの通信の手段はいわゆる有線放送電話の設備、それから電電公社が設置いたしておりますところの地域集団電話、あるいはそれぞれの加入電話、あるいは地域団体加入電話、こういうシステムが先生御案内のとおりございます。で、だんだんとこれらもそれぞれ発達してまいりまして、かなりの量になってきております。それの業務区域あるいは加入区域というものも混合して、オーバーラップしてあるところもございます。そういうことによって、それを利用する地域住民がかなりの負担になり、そしていろいろと接続の問題が十分利用者の意に満たないというようなことになっては相ならぬということになりまして、今後この問題とどういうふうに取っ組んでいったらいいのかということで、まず、いま有線放送電話は農業協同組合を主体とする方々、あるいは地方自治体の方々、それからあるいは電電公社それから農林省の方々、あるいは学識経験の方々、そういう方々にお集まり願って、一体、今後どういう形が農林漁業地域に最も適しているかということを見出してまいりたい、そういうふうに考えて、明年度これの調査会をつくり、そして御意見を拝聴し、その御意見を取り入れながら、一体どういう形がいいのかということのシステムを一応設計してみたい、かように考えておる次第でございます。
○森勝治君 いま説明された中に三つあるわけですね。生活情報システム開発実験調査、行政情報通信ネットワーク関連技術開発に関する調査、農林漁業地域における総合情報通信システムの開発調査、この調査研究の具体的内容がわかればひとつ聞かしてほしいのです。
○政府委員(牧野康夫君) それぞれの問題は、やはりこれからのわが国における通信の秩序をいかに保って、いかに生々と発展させるかということを目的に、それぞれの項目について調査なりあるいは実験をして、そしてその方途を見出していこう、こういうことで、具体的な内容といたしましては、先ほど申し上げましたようなことをもくろんで、そうして調査会の中でそれぞれを肉づけしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○森勝治君 何か郵政省は通信白書ですか、をおつくりになるとかというふうに聞いておるわけですが、そのとおりですか。もしそうだとするならば、その内容はどういうものを織り込むのか、お聞かせ願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 確かにただいま通信白書というものを国民の皆様に公開して、広く知っていただくという意味におきまして、現在、作業中でございます。
 内容といたしましては、これは郵便をも含んだ現況を明白に書きまして、で今後の技術の伸展に伴ってどういう問題があるかということをその中から見出せるような仕組みにやっていきたいというふうに考えて、作業中のものでございます。
○森勝治君 失敬でありますが、郵便料の値上げの口実にされようという、そういう短慮から出発したものではないですね、この点念を押しておきたいのです。
○政府委員(牧野康夫君) 私、郵便を所掌いたしておりませんので、それに言及することをお許し願いたいと思います。
○森勝治君 いや、あなたが郵便も含むとおっしゃるから聞いておるのですよ。
 それじゃ、その点、所管の局長来ておりますか。
○政府委員(廣瀬弘君) 電気通信並びに郵便を含めて、現状につきまして白書をつくりたいと考えておりますが、ただいま御指摘のような値上げのための材料という意味では決してございません。
○森勝治君 いつごろ完成できるのでしょうか。
○政府委員(廣瀬弘君) 来年度の秋ごろを目途にいたしております。
○鈴木強君 白書の点ですがね、これはあれでしょうか、白書をいまつくろうとする目的は何なんですか。ただ単に現状を国民に明らかにするということだけですか。それとも、さらに将来への展望なども含めてのものになるのかどうなのか、その辺ちょっと――。
○政府委員(廣瀬弘君) まだいまのところはっきりした内容は固まっておりませんけれども、ただいま検討中でございますが、現状分析を主といたしまして、なお将来の参考にもいたしたいということを考えておりますが、主として現状分析ということでまいりたいと考えております。
○鈴木強君 放送関係は入らないわけですね。
○政府委員(廣瀬弘君) 主としては電気通信がおもになると思いますが、その他関連のところではあるいはそういった点にも触れられるのではなかろうかと思いますが、まだ、先ほど申し上げましたように、最終的にどういう内容にするかというところまで固めておりません。
○森勝治君 いまのあれですね、いわゆる郵便と電話ということですね、放送は別だとおっしゃるから。そうすると、その次には保険白書とか貯金白書とか、あるいはまた郵政白書とか、こういうものが次々と生まれてくるんですか。
○政府委員(廣瀬弘君) ただいまのところ通信ということで考えておりますので、郵政省所管にいわゆる貯蓄業務がございますけれども、それを含めるということではございません。したがってただいまのところではそういう計画を持っておりません。
○森勝治君 鈴木さんもちょっと触れられたように、目的というものは広く国民に内容を知ってもらいたい、そんな木で鼻をくくったようなお答えですけれども、そう言われると、なおかつ何かあるんだろうとげすの勘ぐりをせざるを得ないのですが。
○政府委員(廣瀬弘君) 各省でも、それぞれ各省所管のものに関しまして白書を出しておりますが、郵政省におきましても、そういったことは前々から議論の対象になっておりまして、それが実行に移されなかったというのが実情でございます。したがいまして各省並みに、私どもの通信事業を広く皆さんに知っていただくという意味での、本来の白書という名前にふさわしいものにいたしたいというふうに考えております。
○森勝治君 東南アジアの海底ケーブルについて二、三お聞きしておきたいのですが、重要施策事項によると、東南アジアの海底ケーブル建設計画の推進ということで三百万計上されているわけですが、この三百万で足りるということですか、大蔵省で削られてしまったというのか、これがどうも心もとないんですが。
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 東南アジア海底ケーブルが三百万円でできるわけは絶対にございません。これはわれわれが十年以上前からSAFECケーブル――サウス・エーシア・アンド・ファー・イースト・ケーブル、一名セーフェック・ケーブルとも外人にいわれておりますが、サフェックとわれわれ呼んでおりますが、このケーブルの計画を十年以上前に立てたわけでございます。そうしてこれは大体、日本それからフィリピン、ベトナムあるいはタイ、シンガポール、ジャカルタ・インドネシア、そういう国々をつなぐ海底ケーブルを実施いたしたいという考えで進めてきたわけでございます。
 で、それがその後宇宙通信の開発、伸展によりまして各国が衛星設備、地上局を持ちまして、一応その良質な回線をつくることができるようになったわけでございます。しかしながら、だんだんと進歩いたしまして、これでいまのところ間に合っておりますけれども、各国間の情報の流通の量というものはだんだん高まってきております。それからまたわれわれの生活というものが国際的な広がりを持ってきますとともに、その情報の円滑ということに非常にたよる率が多くなってきたわけでございます。それで情報が一たんとだえたときのおそろしさということは、われわれが考えても身の毛がよだつようなふうになってまいりました。そこで万全の策といたしましては、やはり衛星通信によるところの通信手段とそれから海底ケーブルによる通信手段、両方とも持って、そうしてあわせ運用することによって通信の確保ということを十分はかってまいらなければならない、こらわれわれは感じておる次第でございます。
 各関係国に対して国際会議でもその趣旨を申しましたところ、大かたの賛意は得ております。しかしながら、これには大体見積もりまして一億ドル程度の経費を必要とするわけでございますが、その経費につきまして各国が自分の所有にかかわる部分の分担がなかなかむずかしい、そのために日本からひとつ資金供給を願いたいという話があるわけでございます。で日本の資金供給につきましては、その利率、償還期間あるいは据え置き期間等について、前回では――前回と申しますのは十年ほど前でございますが、かなりいわゆる条件がむずかしかったために、受け入れられなかったのでございます。今後、われわれはもう少しゆるい条件のもとでこれを進展いたさせまして、そうして各国の了解を得てそれを結んでまいりたい、かように考えている次第でございます。
 そこでこの三百万円と申しますのは、各国と交渉をし、こちらから出かけていって向こうとよく相談をする経費、それからある程度まとまりましたら、今年中に関係国にお集まりを、しかるべき時と場所において願って、それをとりきめる場をつくってまいりたい、要するにそういう経費でございます。
○森勝治君 三百万でできないのは当然ですね。しからばどういう計画でこの東南アジア海底ケーブルを建設されようとするのか、具体的な構想が当然もう出てくる時期ですから、おありでしたらお聞かせを願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、日本、フィリピンそれから香港、タイ、シンガポール、ジャカルタ・インドネシア、そういうおもなる国々を海底ケーブルで結んでいきたい。それのこまかい、どのぐらいの通信路をとるのだとかということについては、まだまだこれからでございますが、いずれにいたしましても現在の同軸型のケーブルによりますところの海底ケーブルをこの各国の間に結んで、その間の通信の流通をはかりたい。これのおそらく実施時期はまだ昭和五十一年とか二年とかという時期になろうかと、かように考えております。
 しかし、いずれにいたしましてもその関係諸国の同意が得られなければこれはできないことでございます。それについて十分われわれは同意を得るように努力をし、そうして何とか完成させたいと念願している次第でございます。
○森勝治君 いま説明されたその地域は、現在インテルサットを使って結ばれているところはもうほとんど地上局の建設が完了しているわけですから、そうなれば、これはもう二重通信になるような気がするんですね。したがって衛星通信では一体疎通ができない事情があるのかどうか、このことをお聞かせ願いたい。
○政府委員(牧野康夫君) お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、現在確かに先生のおっしゃいますように、これらの国々については衛星の地上局設備がございまして、インテルサットによりましてその通信の疎通が行なわているわけでございます。そうしてケーブルをそれの上に張れば二重設備にならないかという御質問でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在は情報量が非常に多く、いろいろな情報をますます流通させて、しかも確実にしていかなければならないという時代になってきているわけでございます。で衛星は地上から三万六千キロに上がっている星でございます。いつこの星が故障しないとも限らないわけでございます。それが故障したことによってその疎通ができなくなったということは、われわれにとってはおそろしい事態だと考えております。そういうことを防ぐために、海底ケーブルもそれに応ずるものがあって、万一の場合に備えて、どんな事態が起きても通信の疎通が絶えることがないという万全の策を講ずるのが最も大切なことだろうとわれわれは考えておる次第でございます。
○森勝治君 どんなことがあっても通信の絶えるときのない施設をつくっておきたいという高邁な理想、遠大な計画はそのとおりいただきますけれども、それだけではだめですね、三百万ですから、ことしは。お話になりません。したがって、いまあなたがおっしゃった理想を達成するためには、どうしても膨大な資金計画が必要となります。したがって資金計画はどうされるか、その点を伺っておきたい。
○政府委員(牧野康夫君) 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、日本の所有に属しますところの部分の資金につきましては、これは法律によりまして国際電信電話株式会社が持つわけでございます。それから各諸外国が持つべきものは、その関係の国がその資金を持たなければなりませんが、現在のところ、各関係する国々がそれに必要なる資金を持ち合わせないから、日本からそれを貸してもらえないかという話は必ずついてくるわけでございます。その資金の貸し方につきまして先ほどちょっと申しましたが、前回交渉のときには、その条件がきつ過ぎてとても受け入れられないということであったわけでございますが、今度はもう少し利率を下げたり、あるいはその据え置き期間を長くしたりして、容易に借りることができるような状況をつくってまいりたいと、かように考えております。
○森勝治君 せっかく御努力されておるわけですから、水をさすような話はしたくありませんけれども、計画をするからにはやっぱり成功させたいと思いますからあえて聞くわけですが、郵政省でいまあなたがおっしゃったような問題が近き将来実現する見通しがお立ちですか。
○政府委員(牧野康夫君) 現在、ただいまのところ、資金がたなの上に置いてあって、それを持っていくという状況までには至っておりません。しかしながら政府部内においてこれを関係の省庁とよく相談をして、これを実現するように私は最大限の努力をしたい、かように考えております。
○委員長(茜ケ久保重光君) ちょっと速記をとめて。
 〔速記中止〕
○委員長(茜ケ久保重光君) 速記を始めて。
 それでは、調査に対する森君の残余の質疑は後刻に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
○委員長(茜ケ久保重光君) この際、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。久野郵政大臣。
○国務大臣(久野忠治君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和四十八年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算について、概略を申し上げます。
 事業収支におきましては、収入は一千五百四億二千万円で、前年度に比し三百九十七億六千万円、支出は一千三百二十五億八千万円で、前年度に比し二百十一億円それぞれ増加し、事業収支差金は百七十八億四千万円となっておりますが、このうち百四十三億五千万円を資本収支に繰り入れ、三十四億九千万円を翌年度に繰り延べることといたしております。
 資本収支におきましては、収入、支出とも三百六十八億六千万円で、前年度に比し、収入は十億八千万円、支出は十九億円の増加となっております。
 次に、事業計画につきましては、そのおもなものは、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及をはかるため、放送網の建設を行なうこと、テレビジョン放送及びラジオ放送の番組内容の充実刷新を行なうとともに、教育、教養番組の利用促進につとめること、積極的な営業活動を行ない、受信契約者の維持増加をはかることなどとなっております。
 また、放送センター建設の完了に伴い、不用となる東京放送会館の土地、建物を売却することとしておりますが、その収入は、借り入れ金の返還、放送文化基金の設立、事業安定化資金の確保等に使用することといたしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について慎重に検討いたしました結果、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどをお願いいたします。
○委員長(茜ケ久保重光君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。前田日本放送協会会長。
○参考人(前田義徳君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和四十八年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対し、厚くお礼申し上げます。
 協会の昭和四十八年度の事業の運営につきましては、事業経営の長期的構想のもとに、中心機能の放送センターへの一元化を契機として、一そう業務の効率化を推進し、テレビジョン、ラジオ両放送の全国普及の早期達成につとめますとともに、すぐれた放送を実施して、国民の要望にこたえ、国民生活の充実向上に資するよう努力する所存でございます。
 また、放送センター総合整備の完了に伴い、不用となる東京放送会館の土地・建物を売却することといたしております。この売却収入につきましては、これを最も有効に国民に還元する趣旨のもとに、放送センターの建設及び沖繩の復帰にかかる債務の返還並びに放送界全般の向上に寄与する放送文化基金の設立に充てるとともに、事業安定のための資金確保を行なうことといたしております。
 次に、昭和四十八年度事業計画のおもな事項について、御説明申し上げます。
 まず、建設計画から申し上げますと、テレビジョンにつきましては、難視聴地域の早期解消をはかるため、二百二十地区にテレビジョン中継放送局の建設を完成し、百四十地区の建設に着手するほか、辺地において共同受信施設を一千十施設設置することといたしております。また、県域放送を実施するためのテレビジョン局二局の建設に着手することといたしております。
 一方、ラジオにつきましては、超短波放送局三十三局の建設を完成するとともに、二十局の建設に着手することといたしており、このうち、沖繩地域において那覇など三局を完成して、沖繩県で超短波放送を開始することを計画いたしております。
 このほか、報道用取材機器、中継放送用機器、業務の効率化のための機器等の整備を実施することといたしております。
 次に、事業運営計画について申し上げます。
 まず、国内放送につきましては、テレビジョン、ラジオ放送ともに放送系統の性格に即して、番組内容を充実刷新することといたしておりますが、テレビジョン放送におきましては、総合放送は、広く一般を対象とした番組を編成し、昭和四十八年度は、特に、変動する社会情勢、国民生活の動向に対応し、報道、教養番組の充実、少年少女向け番組の刷新を行なうほか、内外のすぐれた芸術の積極的紹介等を実施することとし、教育放送は、系統的な教育番組を中心に、高等学校向け番組の充実、語学番組の拡充等番組内容の充実強化をはかることといたしております。
 なお、カラーテレビジョン放送時間は、総合、教育放送合わせて一日二十二時間三十分とすることといたしております。
 ラジオ放送におきましては、第一放送は、ラジオの機動性、速報性を生かした番組の強化等番組内容の充実刷新につとめることとし、第二放送は、高等学校向け番組の充実等学校放送番組の強化をはかることといたしております。また、超短波放送は、県域を基本とするニュース・インフォメーション番組等ローカル放送を充実強化し、あわせてその特性を生かした番組の充実をはかるとともに、沖繩県において新たに放送を開始することといたしております。
 また、国際放送につきましては、一日三十七時間の放送時間により、ニュース・インフォメーション番組の充実をはかるとともに、各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じての国際間の理解と親善に寄与することといたしております。
 次に、営業関係につきましては、社会情勢の変化に即応した常業活動を積極的に推進することとし、受信者の理解と協力を得るよう、協会事業の周知及び電波障害対策等受信の改善を積極的に行なうことといたしております。
 これらにより、極力、受信契約者の維持開発につとめ、受信料の確実な収納をはかることといたしております。
 調査研究につきましては、番組面において、国民世論調査、番組聴視状況調査並びに意向調査等を行なうとともに、技術面において、放送技術新分野の開発研究、カラーテレビジョンの改善研究、放送衛星に関する開発研究、放送技術発展のための基礎研究等を積極的に実施することといたしております。
 経営管理関係につきましては、事業規模の拡大に伴う業務の増大に対処いたしまして、業務全般にわたり、効率化を積極的に推進して、経費の節減につとめますとともに、職員に対する教育訓練の実施等により企業能率の向上をはかることといたしております。
 また、業務の効率化により、要員数を前年度どおりといたしますとともに、給与につきましては、適正な水準を維持するよう改善をはかる所存であります。
 最後に、これらの事業計画に対応する収支予算につきまして申し上げます。
 事業収支につきましては、収入において一千五百四億一千九百万円を予定いたしておりますが、昭和四十八年度における受信契約者の増減につきましては、カラー契約において三百二十一万五千件の増加を見込み、普通契約においては、カラー契約への変更等により二百五十七万九千件の減少、契約総数において六十三万六千件の増加をはかることとし、年度末における契約数を、カラー契約一千八百八十二万六千件、普通契約五百八十六万七千件、契約総数二千四百六十九万三千件と予定し、これによる受信料収入を一千百六十三億九千百万円と予定いたしております。
 このほか、国際放送関係等の交付金収入二億二百万円、預金利息等の雑収入二十二億五千百万円、東京放送会館の土地・建物売却益等の特別収入三百十五億七千五百万円を予定いたしております。
 これに対する支出は、総額一千三百二十五億七千九百万円で、この内容は、国内放送費に三百五億七千八百万円、国際放送費に八億二百万円、営業費に百三十一億二千百万円、調査研究費に十七億二千四百万円、管理費に百二十六億四千八百万円、給与に四百十四億一千二百万円、減価償却費に百六十五億円、財務費に二十六億四千五百万円、放送文化基金設立のための支出等の特別支出百二十七億四千九百万円、予備費に四億円を予定いたしております。
 これらにより、事業収支差金は、百七十八億四千万円となりますが、このうち百四十三億四千七百万円を債務償還のため事業収支差金受け入れに計上するほか、三十四億九千三百万円を事業安定のための資金として、その使用を翌年度に繰り延べることといたしております。
 次に、資本収支につきましては、収入において総額三百六十八億六千四百万円を予定いたしており、この内容は、事業収支差金受け入れ百四十三億四千七百万円のほか、減価償却引き当て金、資産受け入れ等二百二十五億一千七百万円となっております。
 これに対する支出は、総額三百六十八億六千四百万円で、建設計画の実施に百七十億円、放送債券の償還に十二億四千万円、長期借り入れ金の返還に百七十七億三千八百万円、放送債券償還積み立て資産の繰り入れに八億八千六百万円を計上いたしております。
 以上、昭和四十八年度日本放送協会の収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活の向上に放送の果たすべき使命がますます重要となっていることに思いをいたしまして、従業員一同総力をあげ、この責務の遂行に努力する所存でありますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞすみやかに御審議、御承認を賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(茜ケ久保重光君) 本件に対する審査は、後日に譲ります。
    ―――――――――――――
○委員長(茜ケ久保重光君) それでは再び調査を議題とし、森君の質疑を行ないます。
○森勝治君 日本放送協会の本部のあと地処理問題について若干お伺いをしてみたいと思います。
 NHK会館のあと地の処分をめぐってこれが大きな社会問題となっておりますことは御承知のとおりでありますが、どうも私どもが新聞論調等を見ますと、NHK会長の前田さんがあるいは言論機関をあるいはまたその他のものをたてにとっておられるような気がしてならぬのです。たとえば私どもが過去この問題についての発言をいたしましたそういうもろもろの事象を逆にとらまえて我田引水的な発言をなされているような気がしてならぬわけであります。ですから、いま私どもは、一体逓信委員会は何をしているんだ、NHKとの癒着じゃないかなどと、あられもない疑いをかけられておるわけです。そういうことはさておきまして、この問題はやはり正しい処置のしかた、だれが見ても納得のいく解決策というものを発見していかなければならぬと思うのです。したがって、私は、この際、一体私どもから見ると、個人のことについてとかく言うのはまことに失敬でありますけれども、どうも最近前田会長いたけだかになっているような気がしてならぬのです。ことばをかえますと、高姿勢、新聞等の記者会見の模様の報道等を見ましても、おれの土地を売るのがなぜ悪いのだと、こういうふうに開き直ったような印象を新聞の論調や報道の端々にうかがい知るわけでありますから、それをもってしてNHKと癒着だと言われてしまったんでは、われわれもまことに迷惑千万この上もなしであります。したがって、きょう、このNHKの予算の審議に先立ちまして、この問題の質問をいたしますのも、一体何がほんとうなのか、新聞で報道するようにNHK会長が一人相撲なのか、おれがやったことがなぜ悪いとふんぞり返っておられるのか、それともそこに誤解があるのか、あるいはそういうことについてのもろもろの問題が付随してまいりますから、そういう問題のあり方を私は正確に把握し、ただしてみたい、こういう考え方に基づいて質問をするわけです。
 そこで第一点の質問は、坪当たり千百万円という、いわば史上空前の土地の売買価格だろうと思うのでありまして、これが会館あと地の売却値が全国の地価高騰を誘って、NHKは地価高騰の元凶であるとか、あるいはまた庶民のマイホームの夢を打ち砕いたのはNHKであったとかいう風当たりが当然会長の周辺に巻き起こることはそのとおりでありまして、信頼をもって国民とNHKの間が結ばれておった従来のこの関係というものが、あと地の処理をめぐるNHKの態度等によってそこに空間というよりも、不信の念がきざしてきたような気がしてならぬわけであります。したがってNHKを代表する会長として、この国民世論の批判というものをどういう受け取り方をしておられるか、この際所見を伺っておきたいと思います。
○参考人(前田義徳君) 御指摘のような反響が新聞雑誌等の記事によって一部生まれていることについては私もはっきり自覚しております。しかし私が特別に高姿勢をとるというようなことは毛頭考えておりませんし、むしろ私としては低姿勢に転じているということを御理解いただきたいと思います。たとえば、あと地三千百九十一坪五十二合の土地について坪千百万円などということは絶対にございませんので、あと地の最高価格は坪八百八十七万円であります。この点についてもいろいろな意味で誤解をいただいているのかもしれない、こう思っております。
 私は、この問題を取り扱うにあたっては、すでに先生御指摘のように、四十四年三月以来、当委員会においてもいろいろな御質問をいただき、いろいろな御検討もいただいているわけでありますが、それ以来の既定方針に従って、これらの環境の中で御説明申し上げましたように、四十八年度の中ごろには放送センターが完成するという意味で、その時期にこの土地と建物を処分しなければならない。したがいましてその経過の中でたまたまいろいろな意味で土地問題が国民的フィーリングの中で一番大きな問題となっている時期に、この処置をしなければならなかったということについては、私はいろいろな誤解を生み、また環境上まことに遺憾であったというように考えております。
 このことについて新聞あるいは雑誌等においては非常に徹底的にたたかれました。しかし同時に、それ以外の方々からはあるいは何といいますか、激励も受けているという事実もあり、また同時に、そうでないある種の人からは生命と関連する脅迫も受けていたということは事実でございます。
  〔委員長退席、理事古池信三君着席〕
 しかし、私としては、これは国民の財産であり、数次の予算もしくは決算審議を通じて、放送センターの建設には聴視者の負担をふやさないというたてまえで、あの建設を完成させたいという意味におきまして、主として聴視者の利害関係を考えながら最後の判断を下したということについては御理解いただきたいと思います。現在御審議いただいておる明年度予算におきましても、われわれの契約の世帯数は二千四百六十万でございまして、この世帯はおおよそ明年度間に受像機を備えつけると考えられる三千七百万世帯のうちの大部分でございます。私としては、新聞雑誌等の非常に強い御批判と、実際としてNHKの責任者として二千四百六十万世帯との関係でどのような決定を下すべきかについてはかなり苦しみました。しかし、私としては、ただいま御質問をいただいている道を選んだわけでございますが、しかし、このことが私が高姿勢であるという意味とはかなり違った意味での決意であったということを御理解いただきたいと存じます。
○森勝治君 田中さんが総理大臣になって日本列島改造論なるものを繰り返してから今日までわずか数カ月でありますが、地価暴騰はまさに異常なものであります。そこには残念ながら庶民の夢を打ち砕くようなことが次から次へと行なわれておりまして、しかも一般商社が本来の業務外の仕事にも、こういう地域にも手を染めてきたというこの現在の姿、あるいは米穀に見られるごとく、木材に見られるごとく、各地に買い占め等が行なわれております。したがって今回のNHKが時価より相当――すなわち社会常識よりも相当高い値段で取り引をしたということ、世間ではこれをばかげた取引と、こういうふうなことで呼ぶ人もおるわけです。このような行為というものが公然とまかり通るということは、いま申し上げたように、政府に土地政策がないということがその起因するところだろうと思うのでありますが、それにしても数々の公共機関としての恩典が与えられておるこのNHK、または言論機関としてのこのNHKが国民に大きな影響を与えておるわけですから、NHK側をもってするならば、地価つり上げの先導的役割りは毛頭果たした覚えはないとおっしゃるかしれませんが、少なくとも私どもはこれを一千百万と評価しました。あなたは八百八十七万とこうおっしゃる。こういうことの違いについては、いずれこのあとでただしていきたいと思うんだが、いずれにいたしましても、想像を絶する取引をされたということ、これは国民のものだから、国民に返すのだからという、なるほど大義名分はおありだろうが、やっぱり異常な神経が動いた、こういうふうにしか考えられないわけであります。したがって世の非難というものがきゅう然としてNHKに集まったのも、この世間の常識という通り相場をこしたこの行為についてであろうと私は思うのです。したがって法に照らして、あるいはその他に照らして反省するところごうまつもないと言ってうそぶいておられるしろものではなかろうと思います。したがってこの点についてもあらためて会長からひとつお考えをもう一度聞きたい。
○参考人(前田義徳君) この場所、この広さ、しかもかなりの地上物件を持ったこの処分の総額についていろいろな御批判のあることは私も存じております。先ほど申し上げたとおりであります。
 ただ、公示価格ができて以来、四十五年、四十六年、四十七年と公示価格、標準価格が発表されておりますが、この地域の価格は、これを新橋寄りにとりまして三百五十七万円、これを丸ノ内寄りにとりますと坪当たり四百三十九万円になります。しかもこの三回の公示の実情を考えますと、毎年一一%公示価格自体が値上がりいたしております。私どもは、四十七年一月の公示価格を基礎として、これに権威ある三社の鑑定をお願いいたしました。その結果として、総額百五十一億円という鑑定価額が示され、さらにこれを競売に付す場合には、公開入札に付す場合には二〇%ないし三〇%の増額を見込まれ得るという鑑定をいただいたわけであります。もちろん私どもも、四十四年以来の当委員会における質疑その他の関連で、これほど高く売れるとは考えておりませんでした、率直に申しまして。先生も御記憶だと思いますが、私どもは百五十億で売れるならばこれにこしたことはないとミニマム――最高価格か百五十億ぐらいになるであろうということは四十四年の三月にも申し上げてあります。
 ただ、実際から申しますと、この八百八十七万円という価格は、大体、公示価格それと鑑定価額の標準から申しまして、あるいはまた四十四年三月に私がこうありたいと申し上げた金額百五十億円というものを基礎として考えますと、平均坪単価は処分の時期においてわれわれの予想よりも七割高かったということでございます。このこと自体が日本全国の土地の問題と直接関連するかどうかということは、いろいろと原則的には、あるいは国民的なフィーリングの中では、いかにも価格をあおったかの印象をお持ちになる、あるいはそれによって攻撃されるということも私としてはやむを得ないという気持ちは持っております。しかしながら、あの場所のこの土地、そしてそれに対する公開入札、十五社による公開入札の結果がただいま申し上げたような内容になったということについては、二面で私はかつ驚き、しかし他面、これが特殊な地域であり、これが全国的な地価の暴騰に拍車をかけるかどうかという点については、私もはっきりした、そうだともそうでないとも申し上げられませんが、しかし、この地域の利用の内容からいいますと、これは全国的な地価と必ずしも直接関係のある値段ではないのではないかというように考えます。
 NHKは、御承知のように、昭和三十五年第一次五ヵ年計画をつくって以来、戦前の、あるいは戦争によって打ちこわされた全国の放送会館を建て直してまいりました。あるいはまた御審議いただく予算書の中にも、もう一つの土地の売却もございます。ただいままでのところ、私の記憶によりますと、この期間に三十八件の土地の処分をいたしております。これらはむしろ、あるいは当時の契約に従い、あるいはその他地方公共団体の要請に応じまして、まことに地価全般から見れば、私としては、やはりNHKという公共企業体が地方公共団体と協力するという意味で、かなり低額で、あるいは条件に従って無償でこれを開放いたしております。こういう事実の中に立っても、私どもが特に土地でもうけなければならないという気持ちは持っておりません。
 いずれにしても、この会館及び土地は、御承知のように昭和七年から二十七年にかけてわれわれの先輩が聴視者の零細なお金で建設したものであり、これは先生も御指摘されたように、NHKの財産という意味ではなくて、零細なお金でわれわれを支持し成長させてくれた聴視者の方々の財産であり、これに対して適当な妥当な処置をし、その結果、たとえば過去五年においても、五年間も値上げをしておりませんし、御審議いただく予算では、将来三年間値上げをしないというたてまえを明らかにしながら、これを聴視者に還元するという気持ちでございますので、この際、私どものきわめて率直なお気持ちを御理解いただけるならばまことに幸いと存じます。
○森勝治君 前田会長は、会館あと地の売却につきましてはすでに国会の承認も得ており、競争入札に付したものであるし、また野党の逓信委員からも高く売れと励まされて、売買契約は適法かつ妥当なもので道義的な責任もない、したがって白紙還元はあり得ないと公言しておられるようでありますが、政府の干渉や世論に屈することなく、NHKの独自な道を歩まんとする血気盛んなところは、これはもうまことにおみごとと言わざるを得ないのでありますけれども、今度のような高い値段で売却をする、しかもそのことがあたかも国会筋の要請に基づくものであるかのごとき感触を国民に与えたということについては、まことに遺憾だと私は考えます。
 なぜならば、かつて、私は、本件について、当委員会におきましても、NHK会館は視聴者たる国民の財産である、その処分には慎重な配慮を願いたいと再三にわたって要求しておったわけであります。それは随意契約などによって不当に安く処分してはならない、適正な価格で公明正大にやってもらいたいということを申し上げたのでありまして、世論を無視してまで高く売れなどということは要形したわけではありませんし、他の諸君もそういうことを言ったとは私は覚えないのであります。したがって当時の速記録から見ましても、前田会長は、いまのお話にもありましたように、百五十億円を見込んでおると明言をしておりますことからしましても、容易にこの点はおわかりがいただけると思うのです。この際、会長は、われわれの意向をどのように受けとめておられるのか、これは新聞の報ずるままでありますからわかりませんが、この辺のところはひとつ明らかにしていただきたいのです。
 すなわち、当委員会における審議の問題、たとえば当時百五十億という線が出ましたが、私は百五十億は過小見積もりだという意思を申したつもりです。もう少し高く売れるのではないか、周囲の状況からいっても高く売れるのではないかという意味のことを申し上げたように記憶はするのでありますけれども、だからといって地価つり上げの先導役をつとめろなどという、そういうおこがましい発言をした覚えもないし、他の諸君もましてやそういう発言はしたことはないというふうに私は理解いたしておりますから、一体、当委員会におけるわれわれの意向をどのように受けとめておられるのか、先ほどもちょっと触れられましたけれども、もう一度その点真意をひとつこの際明らかにしていただきたい。
○参考人(前田義徳君) 私の発言が、もし当委員会が高く売れということだけでその中身が報ぜられたといたしますならば、まことに私としては行き過ぎであったと考えます。
 ただ、私としては、あの放送センターの建設計画と関連して、先ほど申し上げたように、四十四年の三月以来、特に具体的に田村町の土地及び建物の売却と、聴視者に不利益を与えない、まあ聴視者の負担を増加させないという意味での放送センターの建設という意味で、数次にわたって当委員会で御質問をいただきお答え申し上げてきたわけでありますが、たとえば四十四年の三月においては、委員の先生のお一人から、一体売れるのかどうかという、確信があるかという御質問もいただいております。私は、先生の御質問に対して、事務当局は百十億だと言っておると、しかし私としては今後の社会経済情勢を勘案すると百五十億で売れるかもしれないということを申し上げました。先生も御指摘のとおり、先生御自身も、まず百五十億を標準にして、売り手と買い手の問題があるからあるいは百四十億になるかもしれない、あるいは百六十億になるかもしれない、しかしすべてこれは国民の財産であるから、その取り扱いについては慎重にせよという御発言を私はいまだに強く銘記しております。私は先生の御質問に答えて、最終的にミニマム百五十億を考えるということを申し上げております。その他ほかの先生の御質問に対して、私の同僚である財務担当は、できるだけ高く売りたいという発言もいたしております。これらが混然として私の脳裏では、先ほど劈頭に申し上げましたように、私が予想したより高かったという事実と、現在の国民的フィーリングが土地問題に集中されているこの現実から考えて、私はこれをいかに取り計らうべきかという最終段階に追い込まれたことも事実であります。しかし劈頭に申し上げましたように、当委員会における質疑応答その他私どもの考え方を明らかにしたあとで、さらにこのことが聴視者全体の財産であり、まあ口幅ったいようですが、国民の財産でもございますので、これを単なる形式的なフィーリングの中で処理することはできないと、したがって私は非常な非難も受けるであろうということを覚悟しながら、実は最終的にこれを契約どおりに実行したいという決意を固めたわけでございます。
 繰り返して申しますが、非常に高く売れという御発言はありませんでした。しかし少なくとも百五十億をめどとして売ったらどうかという御発言もあり、ある先生は売れるのか、ほんとうに売れるかという御発言もございました。繰り返して申しますが、私の財務担当の理事は、できるだけ高く売りたいという意思表示をしたことも事実であります。そういうような環境の中でいろんな御批判をいただくことはいろんな意味で私は当然のことであり、またこの点については、私も国民の一人としていまの社会情勢の中での国民のフィーリングというものを考えるときに、ときどき私自身が悩んだということは申し上げられると思います。
○森勝治君 私は、売買契約そのものをもってきて不法であるという意味で申し上げているのではないのです。日ごろ国民の放送局をもって任じておられるNHKともあろうものが、国民大衆の意向を無視して、高ければ高いほどよい、法律に抵触しなければ営利企業そこのけの商行為をやってもよいということでは、かえってNHKの今後の運営に支障を来たすのではないかということを心配するあまり申し上げているのです。
 もちろん相対的な関係がありますから、相手方の行為、NHKばかりを責めるわけにはまいらぬと思うのです。三菱側にも重大な責任の大半があることは私は否定をしません。特にこの会社は、まことにことあげして恐縮だが、他の場においても同じようなことをやって、たとえばある地方の官庁が土地を買おうとしたが、先回りして近くを買い占めたために公共施設をつくることができなかったという例がこの会社に二、三見受けられるのでありまして、まことにこれではよろしくないと思うのです。
 まあそのことはさておきまして、確かに高い安いということは当事者間の主観の問題だと私は思うのでありますが、そこにはおのずから限度というもの妥当性というものが見出されるだろうと思うのです。したがってこれを称して適正価格と社会では名づけておりますけれども、この適正価格というものが当然そこに生まれてこなければならぬわけです。土地についてはすでに地価公示法によって標準価格が明示されておりますけれども、現行法令ではあまり拘束力がないことは御承知のとおりでありますけれども、NHKはこの会館の処分にあたってどのような方法をとられたのか、この点ひとつ聞かせてもらいたいと思います。
○参考人(前田義徳君) 私どもは、一部先ほど申し上げましたが、具体的な問題の一つとして、標準価格を基礎として三社の鑑定をお願いし、そしてその標準価格、三社の平均価格を基礎として、私どもはいわゆる十五社の公開入札に付したわけでありますが、この基本方針としては、この売却についてはその重要性にかんがみて、特に協会の公共性と社会的立場から厳正でかつ公平な競争によって処理する、これは四十四年三月に先生が御指示された原則の一つでございます。
 実施の方法といたしましては、私どもは幾つかの条件をつけました。たとえば転売を許さない、投機の目的で入札することは許さない、あるいは地理的環境またNHKの建物も残っているというたてまえで、風俗的な問題と関連する仕事には使わせないと、幾つかの条件をつけまして、そうして入札者の公募と申しますか、をしたわけでございます。でこの競争入札のまず確実なところを相手としなければなりませんから、主要金融機関等を通じてもその信用調査その他を厳重にいたしました。そして最終的に残ったのが十五社でございます。で入札方式につきましては、参考として、国有財産の処分にあたって政令の定めるたてまえ、これの最高価格の入札者をもって落札者とするとか、あるいは公共企業体におけるやり方、これらをすべて研究、勘案いたしました。そのような結果がいま御指摘のような数字になったことは、私としても、先ほど申し上げたごとく、このような数字になるとは予想いたしませんでした。しかし結果は以上のごとくであり、私たちがとりました態度はただいま御説明申し上げたとおりでございます。
○森勝治君 電波監理局長にお伺いするのですが、電波監理局長はNHKあと地処理問題に言及をして、この問題は法律上、行政上支障はないものと思うというふうに言われたそうだが、いまでもそう思っておられるのですか。
○政府委員(齋藤義郎君) 確かな記憶がいまございませんけれども、おそらく法律的には問題がないように思うということを言ったように記憶しております。
○森勝治君 ですから、法律上は問題ない、じゃ行政上の支障は――これもないと言ったんですか。
○政府委員(齋藤義郎君) 法律的に郵政省としてはこれをどうするとかいう権限がないわけでございますから、行政的な問題が起こらないというぐあいに認識しておるわけでございます。
○森勝治君 そういう認識のもとならば、全然動かなければいいですね。だいぶんこのことで頭を悩まされて動かれたんでしょう。全然動きませんでしたか、第三者にも一つも話をしませんでしたか、どうでした、失敬でありますけれども。
○政府委員(齋藤義郎君) 御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが。
○森勝治君 じゃ具体的に言いましょう。これは後ほど郵政大臣にもつぶさに質問したいのですが、この問題の解決に郵政大臣が奔走したという新聞報道がありますね。そのときにあっせん役をしたのはあなたではないですか、折衝をしたのは。違いますか、全然違いますか。所管の長ではないんですか、隠密作戦でおやりですか。
○政府委員(齋藤義郎君) そういう動きをしたことはございません。
○森勝治君 それではいま申し上げたように、この問題は法律上、行政上支障がないということで、このことについてはあなたは全然動かなかったと、こういうことですね。
○政府委員(齋藤義郎君) 先ほど申し上げましたように、行政上ということばを使ったかどうかは記憶が確かではございませんけれども、この問題について動かなかったということは確かでございます。
○森勝治君 ですから、私もこれは人聞きですからね、あなたから直接聞きたいと思って、これは第三者のことばですから、あなたがそうおっしゃったという第三者がおられるものだから、当事者のあなたにお伺いしておるのですよ。そうすると、このことについては全然動かなかったと、それはいわゆる法律上、行政上支障はないものとしてゆう然とかまえておったということですね、あなたのお話では。
○政府委員(齋藤義郎君) この問題について、ああしろこうしろというような法律上の権限が郵政省にはないわけでございますから、介入する余地はないというぐあいに認識しているわけでございます。
○森勝治君 世論がこんなにわいていても知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでおったということを告白されたわけですね。
○政府委員(齋藤義郎君) 法律上の権限がないわけでございますから、われわれといたしましては、この問題には介入しないと、こういう立場をとったわけでございます。
○森勝治君 あなたは先ほど会長の率直な発言を耳に入れたでしょう。身の危険も感じたという発言もされておるのですよ。なるほど法律上あなたのおっしゃるとおりかもしれません。これだけ世論がわいて、これだけNHKに糾弾の火の玉が上がっていて、電波行政をあずかるあなたがのほほんとしているというのはどういうことですか。そもそも行政というものはそういうものですか。法律に抵触しないからおれの知ったことではないと。血の通う行政というものは、たとえ法律に抵触しなくても、世論が今日NHKに対する非難でわき立つときには、あなたが率先してそれらの解消につとめるのが行政の指導というものじゃないでしょうか。大臣、どうですか、この点。関係ないから知らぬとおっしゃる。
○国務大臣(久野忠治君) 私は関係がないから知らないとは思ってはいませんでした、その当時。このたびの東京放送会館の売却問題が、先般鈴木委員にお答え申し上げましたとおり、異常な土地騰貴の呼び水になったという世論のきびしい批判については、私はよく承知をいたしておるわけでございます。でありますから、何らかの形において世論が納得でき得るような方策はないものか、いろいろと私は苦慮いたしました。私自身も、先ほどNHKの会長がくしくも発言なさいましたように、身の危険を感じるような事態も間々ございました。夜の夜中に電話が何回もかかってまいりまして、夜も寝れないような時期が長い期間続いたのでございます。で、そのために私自身といたしましては、やはりこのような国民のきびしい批判にこたえるためには何らかの措置は見出されないものかというような観点からいろいろと苦慮もいたしまして、事務当局に対しましてもこのことを検討を命じたことは事実でございます。しかし、それに対して事務当局は、現行の法制上からいって、これに介入し、これに対して命令をする権限はない、かようなことでございました。私もいろいろ検討をいたしてみましたが、最終的にはそのような判断をいたしたような次第でございます。
○森勝治君 法に抵触するしないはさておきまして、この問題の問題点を解明しようと大臣はお骨折りをいただいたが、NHKの行為は法に抵触しないから動く必要はないという事務当局の考え方に左右されてしまったと、したがって自分としては解決に努力をしたけれども、それはいたずらに徒労に帰した、そういう告白だというふうに受け取っていいですね。
○国務大臣(久野忠治君) 私は徒労に帰したとは思っておりません。私自身といたしましては、これは何らかの形で世論の納得でき得るような方策を見出したいという意味で努力をしたことは事実でございます。しかしながら、その道が見出されなかったことはまことに遺憾に存ずるような次第でございます。
○森勝治君 大胆、もうちょっと聞きますが、世論の納得する姿で努力したいと大臣は真摯にお考えですが、大臣の補佐をする所管の長は関係ないから動かなかったとおっしゃっておるんですが、大臣と関係局長との隔たりはどういうわけですか、率直にお聞きしたいんですよ。
○政府委員(齋藤義郎君) 先ほどことばが足らないで、はなはだ失礼いたしましたけれども、私はこの取引が合法的であるとか、いなとかいうことではございませんで、郵政省として、行政官庁としてこれにタッチする権限があるかないかということを申し上げたわけでございます。
○森勝治君 どうも理屈ばかり言われちゃ困るんですよ。だから法律問題はさておいてと申し上げているでしょう。法律問題はさておいて、大臣はこの問題の解決に奔走されたと、それを皆さんが知らぬ顔をしたと、そういうことでしょう、あなたの話と大臣の話。大臣は積極的だ。内容は何であれ、とにかく国民世論がわき立っておるんですから、その解明に大臣は努力したが、事務当局がそういうことを言っているから私の思うようにいかなかったという告白じゃないかと私はいまたたみかけている、大臣に。君のそんな公式論を聞こうと思っちゃいないんですよ。まあいいでしょう。次に移りましょう。
 NHKが確実そしてまた適正な処分を行なうために努力なされてきた点、これは私は認めたいと思うのです。
 もしそうであるとするならば、この入札等につきましては、やっぱり公共用地ですから、公共用地の処理にはおのずから限度と限界があると私は思うのです。高く売れればよろしいというものではなくして、あなたがいみじくも後段でおっしゃった地方の局等においては地方の自治体等に無償で提供していますということば、そういうことが間々ありますね、本来公共の用にすべきだという考え方。ですから、なるほど新しい建物ができて、この建物の完成をしなきゃなりませんから資金調達は当然でありましょうけれども、しかしそうだからといって高く売れれば何でもいいというわけにはまいらぬのですよ。したがってこういう入札をする心がまえのときに、まず第一、公共用地ですね、あるいは東京都あるいは電電公社あるいはその他の官庁でこれを必要とする向きがなかったのかどうか、そういう御努力はなされたのかどうか、この辺をちょっとお伺いしたい。公共用地の本来あるべき活用について心がまえを聞いておきたいんです。
○参考人(前田義徳君) 御承知のように、この問題は、先ほど申し述べましたように、三年来の懸案でありましたから、関係方面はすべて御存じだったと思います。しかし残念ながら昨年の処分の時期において、公共団体あるいはこれと類するもの等から引き受けたいというお話は、残念ながら一件もございませんでした。
○森勝治君 それで先ほどその会館処分にあたってどのような方法をとったかという話でありましたが、不動産鑑定三社の評価額が平均五百何万ですか――という話でしたね。したがってこの権威ある不動産鑑定三社というのはいずこの会社か、そうしてそれぞれの評定価額は幾らか、ひとつちょっとお漏らしいただきたい。
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 不動産鑑定関係の権威ある機関といたしましては、日本不動産研究所という独立機関がございます。それから一般的な関係といたしましては信託銀行が長年こういう関係の権威あるものというふうにされておりまして、NHKといたしまして鑑定を依頼いたしましたものは日本不動産研究所、東洋信託銀行、安田信託銀行以上三社でございます。
 で、金額について申し上げますと、日本不動産研究所百四十七億二千万、東洋信託銀行百五十二億五千五百万、安田信託銀行百五十四億三千万、これら三社を平均いたしますと百五十一億三千五百万でございます。
○森勝治君 大体、不動産鑑定会社の評価の差は一割五分ないし三割とこういわれていますね。ですからこれは大体それに合うわけでありますけれども、この鑑定の評価額と落札――会長は八百八十七万とおっしゃるが、私は千百万のような気がしてなりませんから、私の立場をもって言わしむるならば千百万という表現を用いますが、この隔たりをどう考えられますか。まあ驚いたということをおっしゃるから、その一語に尽きるんでありましょうけれども、もう少し枝葉をつけたお答えをいただきたい。
○参考人(前田義徳君) この鑑定三社はいずれも備考をつけておりまして、公開入札の場合には、この上にさらに二〇%ないし三〇%の増加価格が見込まれるという鑑定でございます。したがいましてどのぐらいになりますか、二〇%の場合は百八十億ぐらいになりますか、三〇%の場合も約二百億近くになるわけでございます。
 で先ほど申し上げましたように、それからまた国会でも百五十億と申し上げたときに、建物は含まないという、私としては、御説明を申し上げております。したがいまして建物を別にして考えますと、先ほど申し上げたように、落札者の土地の総額は二百八十三億二千九百万でございますから、坪当たり八百八十七万という数字が出るわけでございます。
 繰り返すようでございますが、千代田地区に例をとりますと、昨年一月の公示価格は四百三十九万円でございます。したがいまして百五十億と私自身が予想した場合から申し上げますと、この八百八十七万円という金額は坪当たり私の予想よりも七〇%余り高かったということになります。それからまた私の理解のしかたでは、三〇%公開入札の場合に高くなるという、二百億円近くを計算の基礎といたしますと、その増高分はさらにパーセンテージが低くなるというように感じたわけでございます。
○森勝治君 会長がいま言及された不用土地の売却のときには、建物を含まないという説明をされたというふうにいま受け取りましたが、そうでしたね。
○参考人(前田義徳君) そうでございます。
  〔理事古池信三君退席、委員長着席〕
○森勝治君 それが最近における土地取引の一般の常識でございます。したがって一千百万と私が申し上げたら、会長が八百八十七万とおっしゃるけれども、私はどうしても千百万のような気がしてならぬというこの根拠というのは、不動産取引のここ数年来の一般取引の常識に従って私はそういう発言をしているわけです。この問題が世上流布される前までは一千百万で、あなた方も予想外に高く売れたといって、幹部の中でもことばの端々に驚いたという表現をされた方もおられるわけですから、この中に建物と土地というふうに分けられたということはどうにも合点がいかない。したがってこのトップ入札の会社を除いて、他はほとんど建物には評価をつけていない。なるほど形式的にはつけたかもしれませんが、実体的にはこれはないのです。十年さき十五年さきはそうでありました。特に官公庁、公共用地のときには減価償却の済んでいないものには、減価償却、いわゆる耐用年数の残り分について何分の一というので掛けて評価額を算出するのが払い下げの常識でございましたが、今日は、地上物件が何であろうとも、むしろそれはこわし賃をほしいという入札側のそういう最近の取引の条件、希望、そういう形もありまして、地上物件というのは評価しない。NHKだけがこつ然として再評価の姿が出てきた。私はここに――NHKはなるほど一千百万円で驚いたということも一つあるでありましょうが、世論の追及、非難があまりにも急激なために土地と地上物件というものを区別してつじつまを合わせたのではないかという、正直言って、疑念が生まれたわけであります。
 ですから、皆さん、皆さんはその当事者ですからおわかりになるでしょうが、他の会社の評価額というものはそんなに違わないものと私は推量するんですよ。この会社がぽかんと上がってしまったというのでありまして、世論の追及のきびしさのあまり、逆算をして算出根拠を求めてきたもの、こういう私は邪推を持っているのですが、どうしてもこれ、会長るる説明され、衆議院等、予算委員会等の質疑応答を聞きましても、この疑念がどうしても私の脳裏を離れることができないのです。NHKは入札参加者に対して説明をしたはずです。どういう説明をされたか、入札の条件として説明されているはずですから、ひとつその担当の理事の方から、どういう説明をされたか、この辺のいきさつを簡単でいいですから、ひとつお聞かせをいただきたい。
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 先生御案内のとおり、事前に入札参加者の責任者の集合を求めまして、全体の入札の対象物の説明を行なうのが通例の例でございます。NHKにおきましても、入札の場合におきまして、全員を同時に集めましてこれを行ないました。その際、リストを各参加業者に提供いたしまして、土地の形状並びにその実態、それから建物並びに建物の付属設備、この全部につきまして図面を提供いたしまして説明を行ないました。さらにこれをもとにいたしまして、全員を同時に一日まるまるかけまして全施設について実際に見てもらいました。で以上申し上げましたようなやり方をいたしまして、実際の入札対象物としての土地並びに建物、付帯設備――これは付帯設備、建物については事実上は居抜きのままでございまして、そのまま使えるという状態を逐一見せてございます。
 以上でございます。
○森勝治君 斎藤さん、居抜きのまま使えるということを誇張されるから、私のような逆な質問が出てくるのですよ。なぜその点を誇張されるか、会長もそうでありますが、なぜ現状のまま使える使えるとおっしゃるのですか。不動産取引の常識として、たとえ使える建物であっても、売買の価格には入れないのがいまの取引の通念ですよと申し上げているのですよ。皆さんも十分御承知のはずじゃないですか、それは。私はそう思うのです。しかし、このことをあまり言ってもなりませんから、次の問題に移ります。
 それならば、減価償却の済んでいる建物もあるはずですね。ですからそれはどの程度になっているか。まだ建てたばかりのものもありますね。皆さんの言をかりて、評価額として皆さんなりの算定基礎というものを用いたはずですからね。それでなければ、NHKなりの売却の最低入札価格の発表はしなかったでしょうが、皆さんの目測というのがあったはずですから、この程度に売れればよかろうということになるから、そうすれば逆算すれば何が何万、何が何万と出てくるわけですから、それはどうおやりになったか、その点を説明してもらいたい。
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 売却対象物件の評価につきまして、先ほど総額について御報告申し上げました。実際の内容といたしましては土地、建物と分かれてございます。この評価額をもとにいたしまして、われわれのほうとしては予定価格を定めます。これは公表いたしません。で実際には予定価格を自分のほうの手元におきまして入札に付しました。その際の目算といたしましては、先ほど御報告申し上げた評価額をやや上回る金額で実際にはやりました。
○森勝治君 最後のことばがちょっと聞き取れなかった。
○参考人(斎藤清君) 失礼いたしました。予定価格の算定上は、評価額そのものを予定価格としたわけではございません。評価額をもとにいたしまして、われわれの認定で予定価格にいたしたものであります。
○森勝治君 まだ一つ残っていますが。
○参考人(斎藤清君) 土地、建物、建物付帯設備の当時の現況について申し上げます。
 土地につきましては、これは昭和七年当時から以降順次買い足しをしてまいりまして、NHKのものにいたしたものでございますが、令部私有地を購入したものでございます。個人ないしは法人の私有地であります。これは三千百九十一坪五十二合でございまして、取得価額は、昭和七年以来のあれでございますが、三億一千七百九十四万二千円になってございます。
 それから建物につきましては、これは昭和十五年に一番前の建物を建てました。これは戦前におきましての最後の建物だと思いますが、昭和十五年に建てましたものを本館と称しております。それから次に昭和二十年代に新館というものを建てました。それからその後三十六年に事務室を主といたします事務棟を第二新館という形で建てました。これが全体といたしましては延べ一方三百八十四坪であります。取得価額は、各年代における取得価額の累積でございますが、四十九億七千四百二十四万五千円でございます。
 これに付帯いたします諸設備、これはエレベーターとか冷暖房設備でありますとか、電源でありますとか、屋内駐車場でありますとか、電話関係とかいうようなものでございまして、建物付帯設備の取得価額は四十一億四千七百七十六万一千円であります。でこの現在価額は八億二千六百三万一千円。
 以上の諸項目を合算いたしまして、総数といたしまして申し上げますと、取得価額の総額は九十四億三千九百九十四万八千円であります。四十七年度末に整理されます現在価額といたしましては四十二億七千六百八十五万八千円でございます。
 以上でございます。
○森勝治君 昭和十五年に建てた本館の減価償却はどうなっておりますか。
○参考人(斎藤清君) 本館関係は鉄筋コンクリートのものでございます。全体がそうでございますが、したがいまして六十五年の償却でやっております。で現在の状況は、取得価額の総額は、これは昭和二十九年度の再評価後のものでありますが、十億三千二十一万二千円が取得価額でございます。で現在価額が六億二千六百二十二万一千円であります。したがいましてこの間の償却額はほぼ十億円が償却済みでございます。
○森勝治君 償却額をパーセンテージで言ってくれませんか、率で。物価がどんどん上昇するんですから、額で言われてもちょっと推しはかるわけにはまいらぬのですよ。
○参考人(斎藤清君) ただいま申し上げましたことで、ちょっと私間違いがございましたので、補正させていただきます。
 本館関係の取得価額十億三千万、それから現在価額は六億二千六百万でございますから、償却済み額は四億ということになります。その点間違えましたので補正させていただきます。
 四億という数字でございますと、ほぼ四〇%弱ということになります。
○森勝治君 いまのは建物を売る場合ですが、さてその逆な場合ですね。NHK用地としてNHKが土地を購入するときの方法、考え方を聞かせていただきたい、どういう手続をとるか。もちろん国会の承認は当然でありますが、そういうことでなくして、要務的な手続はどうされるのか。
○参考人(斎藤清君) NHKの土地の購入につきましては、一般的にいいまして、放送会館の敷地とそれから放送所の敷地というふうになろうかと思います。
 放送会館の場合は、これは機能上必要な都市の中で、要するに交通の便その他立地条件等を配慮いたしまして、適地をさがしてこれの購入に当たる。でその際の基本的な考え方といたしましては、一般の信頼し得る機関の評価というものをもとにいたしまして、持ち主と折衝を行なうということでございます。
 それから第二の放送所、これにつきましては、電波法との関連等もございまして、都心部から離れた必要な地点というものが定まってまいりますので、それらについての購入のしかたということになりますと、この点につきましてはただいま申し上げたと同じような評価をもとにいたしまして、その前後の金額で購入するというふうなことでございます。
○森勝治君 表現は違いますけれども、土地を購入する一つの定めというものを、あなた、いま説明されましたね。これは不動産鑑定士の何軒かのあれをもらって平均値を求めて買う、それをあまり逸脱したことでないような買い方をする、これが基本的な土地の買い方だという説明をされたというふうに理解するんですが、いいですね。
○参考人(斎藤清君) NHKはそのようなやり方をいたしております。
○森勝治君 そのときに何か若干上回るというように聞きましたが、たとえば今度のように櫛田さんのところでは百四十七億とか、東洋信託で百五十二億とか、安田では百五十四億とか変わりますね。一社でなくて、ごく百、二百は別ですが、大きいところは三社ないし三社の平均値を求めますね。その平均値からはるかに上に出たもの、いわゆる高いものはその土地がほしくても手が出ないでしょう。用地取得の倫理というものがあるから、いまあなたいみじくもワクをおっしゃった、だから手が出ないでしょう。ほしい土地を無制限に買わないでしょう、やはり。その点、明確にしてください。
○参考人(斎藤清君) NHKとしては無制限に買うというようなことはございません。
○森勝治君 ですから、そういう場合に、実際ほしいなと思っても――あなたは適地を選ぶと、これは適地を選ばない人はないんですから、だれでも適地がほしいから買うんですから、これはあたりまえのことですね。その適地を選んだ場合に、自分が百万で買いたいと思っても、百五十、二百といわれれば、正しい第三者の評価額から逸脱するでしょう。ほしくても手が出ないでしょう、だから買わないということでしょう、そうじゃないですか。ほしいところは金に糸目なしに買いますか、その点を聞かせていただきたい。
○参考人(斎藤清君) 私どもの立場として、金に糸目をつけずに買うというような考え方は持っておりません。
○森勝治君 ですから、三社なら三社、鑑定会社三社に委託して、三社なら三等分して平均値が出ますね。それを上回る買い方はしないということでしょう。原則としてそうでしょう、先ほどの説明は。その点明確にしてください。
○参考人(斎藤清君) 原則としてさようなことで考えております。
○森勝治君 郵政省にお伺いしたいのですが、郵政省の用地取得の場合に、いまのようなやり方で土地を買いますか。郵政省はどうしていますか。
 いませんか、だれか。官房長どこへ行った――それじゃ来るまで、次の問題。
 会長、いま担当の理事からお答えになったように、買うときにはおのずからNHKの体質に合った買い方があるわけですよ。買うときにはやっぱりNHKの予算とかいろいろの制約を受けてNHKなりに買うわけです。なるほど相対ですから、売る者と買う者、買うほうは一銭でも安いほうがよろしい、売るほうは一銭でも高いほうがよろしい。これは商取引の相互の心に持つ端的な考え方ですね。しかし、いま言ったように、公共用地を取得するときにはどれが基準になるかということになりますと、土地の鑑定士という新しい制度のもとでやるわけですね。ですから買うときがそうであるならば、売るときも当然こういう基準に照らしてやるべきが公用地の従来の全国的な売買の基本でしたよ。この場合は民間ですから、民間はえてして、たとえば公共用地が百万のものなら、百三十万とか百五十万とかいわゆるほしければ金に糸目をつけぬという風潮があることは事実でありますけれども、何といっても公共用地を処理するときにはそういうおのずからものさしというものがあるわけです。ほしくても買えない。郵便局でもそういうことはあるんですよ。電電公社では鑑定士の評価の平均値以上に買ったのは全国一つもないのです。私も数年前これを調査したんです。鑑定士三社ならば、三社のうちの一番下の評価よりも上回ることはあるが、この土地の鑑定士の出した評価額よりも上回る買い方はないのです。これが官公庁の土地取得の原則なのです、実を言うと。ですから買うときもそうなら、売るときもそうだ。しかし相手が民間なら多少のところはよいとする。それがいわゆる櫛田さんのところで出された、日本不動産研究所で出された三割ないし三割という差があるということだろうと思うのです。したがってそういうことから見まするならば、おのずから土地の評価というものが明らかになってまいりますから、発表しなかったけれども、予定の入札価格といういわゆるNHKなりの見積もりというものがおありになったようですから、当然それはそれで、その辺のところで皆さんが果断な措置ができなかったものかどうか。むしろこれは世論にたたかれてどうしようもないので、会長が何か開き直ったような印象を私は受けざるを得ないのです。もし私が受けた印象が誤解ならば、私はそれはさらりと捨てますけれども、われわれはそういう印象を――新聞でたたかれるものだから、なおかつ前へ前へと進んでいってしまった。おれがやったのがどこが悪いんだという、こういうふうになってしまって、本来マスコミの仲間がマスコミの仲間をたたく、言い分はありますからね。国民大多数は新聞の論調を大歓迎ですからね。会長、これはおわかりでしょう、そこが会長のつらいところでしょう、おそらく。しかし、そうかといって今度はそれが法律に抵触したとかなんとかということは出ない。田中内閣のイメージ、土地政策のぶちこわしをやったと世論からいわれるから、新大臣もそこはたいへん心配なされて奮闘なされた向きですけれども、これはあとでまた聞きたいですけれどとね。
 今日のNHKは、これからも予算の中の問題に後々入って私は質問したいと思うのですが、やはり世論を指導するという役目を持つNHKに常識というものさしが私はいまほど必要なときはないと思うのです。会長が世界に冠たるNHKを今日まで盛り上げた御労苦というのはわれわれは高く評価しますよ。あなたの手腕、力量を高く評価いたしますが、そのNHKにして今日のていたらくということであるならば、国民はどこにものさしを求めるかということになりますね。だからその辺のことで、土地の問題ばかり取り上げて、一がいにああだこうだときめつけることは早計かもしれません、あるいは早計のそしりを免れないかもしらぬけれども、国民は素朴にはだで感じているのですよ。NHKはわれわれから聴視料を取っておいて何だ、このごろ電波が乱れてなかなか完全な映像を送ってくれない。NHKはこれは加害者が負担すべきだとおっしゃるけれども、国民はそんなこと知らないんですよ、NHKは完全無欠な映像、快適な映像を国民に提供してくれるものと信じているわけですから。NHKだけがやらずぶったくりの高い値段で、国民のための財産といいながら、庶民の手の届かないようなはるかかなたのできごとであると、庶民はやっぱりあ然とするのですね。
 ですから会長に私がお願いしたいのは、いろいろの問題が派生する中でこそ、NHKは冷静に時の移り変わりというものを見詰めて、いわゆるものさしというものをNHKだけはひとつ正しく評価するようにしてもらいたいのです。このことはNHKの放映とも関係いたしますから――佐野さんはお見えになっていないのかな、じゃ副会長から――ややもすればNHKの電波の問題も云々されるわけですから、おれの土地を売るのになぜ悪いというこの考え方が、他の民放に比べて優位性に立つ自己意識過剰ではないかということが第三者から指摘される場合もあるのですから、これが放映と番組の制作等に、もし少しでも、げすなことばでおごり高ぶるという表現になりますが、天下の秀才を集めたNHKはそういうことはないと思うのでありますが、もしあったとするならば、やっぱりいま言ったものさしがくずれるわけですから、そういうNHKの心がまえについてひとつ、ほんとうは佐野さんがよかったのですが、いませんから、副会長からお伺いをしたいと思います。
○参考人(小野吉郎君) NHKの土地の問題だけに限らず、NHKが国民に対して奉仕をしなければならない基本的な立場につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。私どもは常々そのような気持ちを体して、協会の運営に当たっておるつもりでございます。
○森勝治君 財界関係では、一番サツですか、一番フダと読むのですか、一番と二番の入札の格差があまりにも違うということを指摘しておられる模様ですね、新聞論調等を見ましても。また落札された三菱グループも非常に世論というものを気にして、オール三菱のイメージダウンにつながるのではないかということで非常に腐心をされた。これが世上伝えられた、かの白紙還元などというものが伝わってきたところだろうと思うのでありますが、当時そういう話が伝わってきたときに、会長は、ならば違約金を取るという表現をされたということでありますけれども、これもまたうがって、第三者の言ったことをことあげして会長の真意をただすのもどうかと思いますけれども、これは大切なことでありますから、私はあえて言いにくいことも、皆さんお聞き苦しいだろうが、聞きたいと思うんですが、当時、会長はこうおっしゃっておるんです。――内幸町というビジネス地区の異常な価格は庶民の宅地には全然影響しない。世論はいかようであってもNHKの財源確保が先決だ。したがって再考の余地はない、道義的な責任も感じないと、強弁をしておるような気がしてならぬのです。まあ先ほどいみじくもあまり高い入札で驚いたという御発言があるから、なるほどさもありなんと思いますけれども、どうしてもそういう印象をいまでも私はぬぐい去ることができません。したがってその辺をもう一度ひとつ明らかにしていただきたいんです。
○参考人(前田義徳君) 私は、自分で記者と会見して、会見を求めて自分で発言したことはございません。記者クラブの要請に従って質問に答えているだけであります。しかし新聞紙等、ことにおも立った新聞社あるいは週刊誌等は私の発言そのままを書いていないことも事実でございます。それから私は相手方から、これを白紙に還元したいとか、契約をやめたいということの通報を受けたこともございません。財界の中の空気がどうであったかは私は全く知りません。ただ、私が率直に質問に答えていたということは事実であり、しかし財源確保が大事だから白紙に戻せないというような表現はかつて使ったことはございません。
○森勝治君 政府・与党は、ことしは福祉元年、こう盛んに宣伝これつとめておるわけでありますが、その裏では、御承知のように、円の変動相場制への移行等を行ない、また中小企業を破綻の苦しみに追いやってあわててまた救済資金を出すような、また大企業は、先ほども指摘をいたしましたが、土地のみにとどまらず、米、大豆に至るまで買い占めをし、埼玉県はセメントの産地でありますが、セメントすらも買い占め、たんぼのキュウリすらも買い占め、消費物価のつり上げを行なっていることは皆さん御承知のとおりであります。
 私は、少なくとも公共機関による土地の公開入札というものは、最低額にとどまることなく、やはり最高限度というものを示して行なうべきではないかと、こういう考え方に立って質問をしたいんですが、すでに埼玉県の所沢市では――これは新聞でも報道されている。ちょうどNHKの問題が世論の激しい批判を浴びているまっ最中でありましたが、土地値上げの歯どめとして、市有地の一般競売による上限価格の設定をきめているわけです、最高額ですね。最高額以上入札してもそれはもう失格と、こういうことをやりました、やっています。また民間でも、十條製紙あるいはまた日立製作所等は、御承知のように工場移転のあと地を住宅公団や地元に役立たせるために、いわゆる社会公共の利益のために、まあ利益を度外視したという表現ではなくして、いわゆる比較的格安に地元に引き渡す方針をきめているわけです。先ほど会長のお話の中にも、NHKがそれぞれの地域でおやりになっていることは承知しております。だから、せっかくそこまで御努力になったNHKとしては、高く売れるという、この高価な額にあおられて、ついそれらの周到な配慮をむしろ忘れて――忘れ果てたという失敬な表現はしませんが、忘れたのではないか、私はこう思うのです。何もこれは日立や十條製紙ばかりではありません。鐘紡も栃木県の矢板市に買っておった工場用地というものを、普通のところなら他に転売してもうけようというんですが、これは工場進出が不可能になったから、本来工場を建てるために取得した土地だから、金もうけするために売却するものでないということで、買い取り価額にプラス金利だけで地元に引き渡したという報道もされているわけです。商取引が正しいから、法に触れないからといって、公共機関が率先して土地やその他の処理の場合に――物価を抑制する使命を帯びておるにもかかわらず、それを忘れて物価を高騰させる先導的役割りを果たすということはゆめおかしてはならぬと私は思うのです。したがって、そういうたてまえからいっても、下限はもちろんでありますけれども、上限の設定方法をとるのも一つの方法ではなかったか、私はこう思うのです。
 特にNHKは、あの広大な代々木の放送センターの敷地を文字どおり国から格安に払い下げを受けたわけですから、不用となった本部のあと地を、俗にいう法外な値段で売却しているんじゃないかという庶民のそしりを受けるようなことはすべきではなかったのではないかと思うのです。もちろん報道のために要するもろもろの設備投資等焦眉の急であることは理解はできます。だからといって、いまのようなやり方をするということはどうにもいただけませんし、本来NHKは高く売ってくれたと持ち主である国民が手をたたいて喜んでくれるのが普通であったでありましょうが、持ち主である国民からひんしゅくを買ったというこのことは、やはりNHKが反省をしなければならぬし、しばしば心が行き届かなかった、十分な配慮がなされなかったという会長の御発言ではありますけれども、やはり指摘をされれば、利用者にそれを還元すればいいんだ、文句があるかという――会長はそう言っておられないだろうが、新聞論調その他からいうと、そういう印象を受けるわけですから、私は率直に言うんですが、じゃよけいに高く売った分は国民に返すからいいじゃないか、何文句言うんだという、こういうふうにおっしゃっておるんではないか。もし、そういうことはないだろうが、皆さんはそういう疑問を非常に持っているわけですから、あえて、誤解であるならば誤解を晴らす意味でも、いましばらくNHKの真意というものをここで吐露していただきたい。
○参考人(前田義徳君) 私はその先生のお考えに対して反発を感ずるものではございません。できればそのようなことも必要であろうと思っておりますし、特にNHKのような場合にはそのことが必要であろうと思います。ただ率直に申しまして、先ほど申し上げたように、最終決定をするのは、結局は経営委員会の意向を聞いて、私がきめなければならないという段階で悩んだことは事実であります。しかし同時に各地の経営懇談会というのもございまして、それからいろいろな聴視者から投書もいただきました。投書等の場合は二十前後から六十以上の人まで投書をくださいましたが、これは要するに立場が違うと申し上げましょうか、過去五年間、われわれの計算でも一般消費物価は三〇%強上がっております、公共料金は二〇%以上上がっております。そういう現状でNHKがもし値上げをしないというたてまえであるならば、新聞紙等に攻撃されても、その方針を貫いてほしいという投書もかなりまいりました。それから経営懇談会には消費者の代表者あるいは消費組合の代表者その他が入っておりますが、これらの方々も、この限度の処分で、そして二千四百万世帯に負担がかからないという結果になるならば、これを支持したいという御発言もございました。
 いろいろな意味で今日の社会が非常な物価騰貴、インフレ的傾向あるいはこれと関連する通貨の問題、通貨の問題と関連する商取引の問題、これらを勘案するときに、私は一個のジャーナリストとしては非常に心を痛めたことは事実でありますが、同時に、私は、数年来、先生をはじめ各委員の方々の御意見を伺いながら、あの放送センターを完成してようやく移ろうという段階で、そのいずれをとるかについて非常に悩んだことは先ほど申し上げたとおりでありますが、私はある意味で二千四百万世帯というものを中心にして踏み切らざるを得ないであろうという気持ちになったわけでございます。できれば、先生のおっしゃるとおり、あらゆる面で非難、攻撃をされない心がまえというのはかつて私どものとってきた方針であり、今後もとらなければならない方針だと考えておりますが、この件に関して、ことに先生に御心配をおかけしたという点については、私も深く肝に銘ずるところがございます。
○森勝治君 次は郵政大臣にお伺いをしたいと思います。
 この問題の解決に、大臣就任早々だそうでありましたが、たいへん東奔西走された趣、陰ながら承っております。そこで聞くのでありますが、あなたや建設大臣や総理、官房長官等の方々が、何かNHKのあと地の処理問題の収拾策に乗り出したということは各紙が一斉に報じたところであります。このことはある面ではよいことであり、ある面では問題の種を後日に残すことになるわけでありますが、結果的には、失敬でありますが、大山鳴動してネズミ一匹という形になった模様であります。大臣は一生懸命動いた、担当の局長は紋次郎をきめ込んだということでありますが、一体、国民からこれだけひんしゅくを買って、これだけ大きな問題になったことについて、郵政省としてはどういう措置をとられたのか。大臣と担当局長がちぐはぐの答弁でありますので、先ほどの答弁で私はそういうふうに受けたんでありますから、いま一度、その点をただしておきたいと思うんです。
○国務大臣(久野忠治君) 前段の御指摘の点につきましては、田中総理大臣並びに二階党官房長官あるいはまた建設大臣から私は何らの指示も受けておりません。そのことははっきり申し上げておきたいと存じます。
 それから事務当局との間にちぐはぐがあったのではないかという御指摘につきましては、私はそのようには感じていないのでございまして、私自身といたしましては、何らかの方策はないものか、現在の法令上の範囲内において措置すべき点はないものかということを事務当局に指示をいたしたことは事実でございます。そうしてその点について事務当局はそれなりにいろいろと検討してくださったわけでございまして、その検討せられました結果を私は報告を受けまして、その報告に従って私自身もいろいろ判断をいたしまして、最終的な結論を出したというのが経過でございます。どうか御理解をいただきたいと存じます。
○森勝治君 まあ結果はともあれ、政府や郵政大臣が不当介入ということをしなかったということ、これは私は評価したいと思うのです、放送の中立性からいたしまして。
 だが、この地価の高騰というものは、これはもとより田中内閣の一枚看板である列島改造がもたらしたものでありますから、その失政というものを土地ブローカーとか大企業の土地買い占めに転嫁するだけでは根本的な解決にならぬだろうと思うのです。したがって地価の抑制や庶民のマイホームの期待を裏切らないためには、一体政府はどうあるべきか、その政府の一翼を占める郵政大臣としてはどうこの問題に今後対処しようとするのか。物価の問題いわゆる土地高騰の問題、民生安定の問題、郵政省が果たすべき役割りはたくさんあります。まさに多岐にわたっております。したがってあなたはどうされようとするのか、これを聞かしていただきたい。
○国務大臣(久野忠治君) 土地対策の問題につきましては、私の所管外の事項であることは森委員よく御承知のとおりだろうと存じます。しかしながら、私は田中内閣の一員でございまして、国務大臣でございます。でありますから、内閣全体としての責任を負わされておりまする一人でございます。であるだけに、今日の異常な土地の高騰につきましてはたいへん心配をいたしておる一人でございます。何らかの措置をとるべきであるというような事柄につきましても、私は私なりに考えておりまして、このことにつきましても政府全体が真剣に取り組んでおるというのが現段階における、実情でございます。
○森勝治君 大臣にお伺いしたいんですが、どうも郵政の事務当局とNHKとの仲か――連絡か何かは知りませんけれども、うまくいってない。この表現もあるいは当たらぬかもしれません、私の当て推量になるかもしれません。しかし、そういうことをしばしば聞くんです、数年前から聞くんです。小林郵政大臣のころからもそういう話をずっと聞いて、このうわさというか、それがまだあとを断たないんですよ。ですから当然これはもしそうであったならわだかまりを解かなければならぬわけですから、当然御努力なされるだろうが、かりそめにもそういうことが世上流布されることは必ずしもよろしくないことだと思うのですが、この点大臣はどうお考えを持たれておるか、お聞かせを願いたい。
○国務大臣(久野忠治君) 郵政大臣といたしましては、NHKを監督する権限を持っておるわけでございます。これは法律上にもいろいろの規定が設けられておるわけでございます。放送法上の規定に基づきまして、やはり監督指導すべきであると私は存じます。さような意味合いから、やはり郵政省とNHKとが一体になって国民の聴視者の皆さんのために奉仕でき得るような措置を講ずべきである、かように考えるような次第でございます。
○森勝治君 先ほど四十八年度の予算案の説明を受けたわけでありますが、今年度中に通らないと、大臣職権云々ということに相なりますね。この扱い方は国家予算の暫定予算の編成とは趣を異にしておりますね。これを大臣はどうお考えになっておられますか、この点ひとつお聞かせを願いたい。
○国務大臣(久野忠治君) もちろん私といたしましては、年度内に皆さんの御理解と御協力を得まして、何としてでも今回の予算の御承認をいただきたいと心から念じておるものでございますが、仮定の御質問でございますけれども、これが御承認がいただけないということでありまするならば、いまの放送法上の規定によりまして、私自身が措置を講じなければならないということに相なろうかと存じます。
○森勝治君 ですから、そのことをどう思うかということです、国家予算との関連で。
○政府委員(齋藤義郎君) 御案内のように、NHKの予算はNHKの経営委員会が決定してこれを郵政省に持ち込んでくる、そうしますと郵政大臣が意見をつけて内閣を通して国会に提出して御承認を求める、こういう手続になっておりまして、国家予算とは異なる取り扱いをしておるわけでございます。したがいまして国家予算ですと、暫定予算ももちろん国会の議決ということでございますが、NHKの場合には、そういうような予算の性質上、郵政大臣の承認――暫定予算につきましては承認と、こういう手続がきめられているものだと考えております。
○森勝治君 ですから、それに対する所感を求めているんですよ。好ましいのか好ましくないのか、このことを聞きたいんですよ。手続は知っているんです。
○国務大臣(久野忠治君) 私は、もう皆さんの御協力で、先ほども申し上げましたように、何といたしましても年度内に御承認をいただきまするように御協力を賜わりたい。私はそのような事態になることはまことに遺憾なことであると存ずるような次第でございまして、皆さんの御理解と御協力を切にお願いを申し上げるような次第でございます。
○森勝治君 大臣避けて通っておられるんですよね。しかし明快にお答えがないですから、その点は私は質問がまだなされてないものと理解しますから、いずれそのことについては明快にお答えをいただきたいと思うのです。時間の関係で――私の申し上げていることはもうおわかりなんですから、おわかりだけれども、避けて通っておられるんですから。
 NHK会館のあと地処分の問題は、残念ながら国民のひんしゅくを買ったことになりました。しかしいずれにいたしましてもきょう四十八年度の予算案が提出をされたわけであります。それで先ほど説明がなされましたが、この四十八年度の予算案についての大臣の御意見が若干触れられたような気がするんですが、明確になされなかったように――もっとも私ちょっとあるいは聞き漏らしたのかもしれませんが、この際ですから、どのような意見をつけられたのかお聞かせを願いたい。
○国務大臣(久野忠治君) 私、説明をいたさなかったことはまことに申しわけない次第と存じます。「お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付することといたした次第であります。」ということばで表現をしてあるわけでございます。
 書類として意見書が皆さんのお手元にお届けしてあるわけでございますが、この意見書の内容につきましては、最初に「四十八年度収支予算、事業計画および資金計画は、おおむね適当である。」と明記いたしてあります。そうして四点にわたって私の意見が書いてあるわけでございます。
 まず第一は、「業務の運営にあたっては、極力経費の節減と収入の確保に努めるべきである。」それから第二番目には「放送の難視聴地域の解消については、」努力をしなさい。それから第三番目には、受信料につきましては「経営努力を重ねることにより、極力長期にわたって受信者の負担増をきたさないように努めるべきである。」第四点は、「特別収入の一部を「放送文化基金」の設立に支出することとしているが、この基金の設立にあたっては、それが広く放送文化の発展向上に寄与することを基本的性格とする点に特に留意する必要がある。」この四点について、私は意見を付して皆さんの御審議をわずらわしておるような次第でございます。どらか十分御審議を賜わりたいと存じます。
○森勝治君 NHKにお伺いしたいんですが、このあと地処理の問題をめぐってけんけんがくがくと申しましょうか、世論がわき立ちましたね。これはこぞってNHKへの非難と申しましょうか、独善性といいましょうか、そういう問題について非難を浴びせられたような気がするんです。もちろん先ほど会長が言われたように、がんばれという声のあったことは事実でありましょう。しかし大方の皆さんはどうもNHKはかってなことをしているという、こういうような素朴な批判があったと私は思うのです。もちろんそれは木を見て山を見ざるたぐいが一部にはあったかもしれませんが、多くの国民はそう思っているし、どうもかってだと、こう思うんです。私はこの国民の不信の声というものが聴視料の支払いのときに影響があるとこれはたいへんなことになりはせぬかと思うのでありますが、NHKの首脳部といたしましては、そういう問題に深く思いをはせたことがありますが、このことをお聞かせ願いたい。
○参考人(前田義徳君) もちろん私どもは新聞各紙あるいは雑誌等の解釈のしかたがどのように聴視料の収入に影響があるかということについては、全国的に報告も受け、調査もし、内容を分析するということをいたしました。
○森勝治君 この際でありますから、不払いに関してちょっと聞いておきたいのですが、これは大事なことですから。何か街頭で不払いの示威運動をやられる方があるそうでありますが、これはどうしてそういうことになったんでしょうか、お聞かせをいただきたい。これは特定な名はことあげいたしません、この際ですから。
○参考人(小野吉郎君) その原因につきましてはつまびらかにいたしませんけれども、いろいろありまして、中にはNHKの番組が非常に偏向しておるから、われわれの立場をそのまま取り上げないからというような面もございます。一つには、国民のためのNHK、放送機関ということなら、広くやはり国民の要望を聞くべきじゃないかというようなこともあります。私どもとしては、やはり国民の要望に沿わなきゃならぬことはNHKに課せられた使命でございます。放送法にも明定してございます。それにはいろんな手段を用いて国民の意向を調査もいたし、これを吸収して取り上げるようにいたしておりますけれども、現実に言われるそれは、一々いかにもローマ時代の国民政治といったような形における、なまでNHKの経営に参加ができなければ満足がいかないのだというようなことになりますと、この近代の複雑な社会におきましては、そういうような面は非常に、御要望はもっともでありましょうけれども、実情は不可能なことでございます。そういった面の不平と申しますか、不満と申しますか、そういうような面において契約はしない、罰則もないのだから、みんなもやらんでもいいと、こういうようなこともあるようでございまして、まことに遺憾に考えるわけでございます。しかし、それはきわめて微々たる少数の数でございまして、数としては非常に多いものではございません。
○参考人(前田義徳君) ただいま副会長が申し述べましたのは、この土地の問題と関連がございません。御質問の点は、おそらく私の理解するところでは、特別の運動と関連するものと思いますが、これらの運動は昭和四十六年の末から七年の初めにあたってあったということが事実でございます。
○森勝治君 副会長はきわめて微々たる数だとおっしゃいますが、私は、信頼されるNHKとしては、これは軽率な発言だと思うのです。国民のためのNHKならば、きわめて限られた人であっても、やはり説得して協力してもらわなければならぬと思うんですね。いまは確かに微々たるものでしょう。しかし、あと地に放たれた悪罵というものがやがて勢いを持ってくると、そんなアリの穴にひとしいなどということは言ってはおられなくなるんではないか。またそういう事態が来てはならぬと私は思うから、あえて苦言を呈するわけですけれども、どうかひとつ国民のNHKであることを忘れることなく――皆さんかあと地の問題で私利私慾をもって行動したとはだれも思っていないし、われわれもそんなことは夢にも考えておりません。ただ、皆さん方の措置というものがNHKに寄せる信頼感、期待感というものを裏切ったことは事実でありますから、信頼の度を回復する努力をしてもらわなければならぬわけです。その一環として、やはり聴視料不契約運動とか未納運動とかというそういうものがあったら、できるだけNHKの趣旨というものを説明して徹底させていかなければ、ほんとうに世論となり国民の声となって、NHKの運営にもやがて支障を来たすようなことになりかねないものですから、これは私の老婆心であり、単なる杞憂であればこれに過ぎるものはありません。しかし私はそう簡単にあと地の問題からいたしまして考えてないんです。あるいは私の思い過ごしならばけっこうでありますけれども、そうなっては困りますから、あえて皆さん方に苦言を呈しているわけですが、どうぞひとつ従来も寄せられました国民の信頼というものを双肩にになって、今後もやっていただきたい、このことをあなた方にお願いをしておきます。
○国務大臣(久野忠治君) 御指摘の点は、まことに私たちとしては留意すべき点であろうと存じます。非常に貴重な御意見でございまして、十分私たちもこの点に留意いたしまして、NHKを監督、指導していきたい、かように存ずるような次第でございます。
○参考人(前田義徳君) 当然の御要望でございますし、われわれも全力をあげて、一人といえども御理解いただけない部分が残らないように、今後も努力を続けたいと思います。よろしく御支援をいただきたいと思います。
○委員長(茜ケ久保重光君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後六時七分散会
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