第071回国会 逓信委員会 第12号
昭和四十八年六月二十一日(木曜日)
   午後一時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     山田 徹一君
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     横川 正市君     鈴木  強君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        茜ケ久保重光君
    理 事
                今泉 正二君
                古池 信三君
                塚田十一郎君
                森  勝治君
    委 員
                植竹 春彦君
                迫水 久常君
                白井  勇君
                西村 尚治君
                鈴木  強君
                松本 賢一君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  久野 忠治君
   政府委員
       警察庁刑事局長  田村 宣明君
       郵政大臣官房長  廣瀬  弘君
       郵政省郵務局長  溝呂木 繁君
       郵政省貯金局長  石井多加三君
       郵政省電波監理
       局長       齋藤 義郎君
       郵政省人事局長  北 雄一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   参考人
       日本放送協会理
       事        坂本 朝一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に
 関する調査
 (NHKカメラマンに対する取材妨害等に関す
 る件)
 (郵便定額貯金等の利率引き上げに関する件)
 (郵便遅配等に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 去る十九日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君が選任されました。
 また、本日、横川正市君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(茜ケ久保重光君) 郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木強君 きょう、私は、過般大阪の参議院地方区の補選が行なわれまして、その際、自由民主党の大阪府連の選対本部の中で取材妨害をし、カメラマンに暴行を加えたというきわめて遺憾な事件が出てきておりますが、これについて、さらに郵政事業の面におきましても、最近、非常に郵便の遅配が目立っております。国民はたいへん迷惑をいたしておるのでありますが、これらの原因がいずこにあるものかただしておきたいと思います。さらに、いま当面問題になっております中期預金の利率の問題、あるいは自民党の通信部会長が旗を上げました福祉預金の問題等、一連の郵便貯金に関する問題等について、郵政大臣以下、御意見を承りたいと思います。それで第一番に、これはNHKにもきょうはおいでいただいておりますのでお伺いしたいんでありますけれども、私は、実は、東京の各新聞を拝見いたしまして非常に驚いた記事が載っておりましたので、これはもう見捨てることはできないと思いまして、きょう取り上げたわけです。
 事件は、六月十八日に行なわれました参議院大阪地方区補選の開票に際して、自由民主党大阪府連選対本部で取材中のNHK報道部の川上清君と前川育也君の二人のカメラマンが、自民党大阪府連選対本部の事務員約三十人から乱暴され、前川カメラマンは左腕に十日間の負傷をいたしました。川上カメラマンはカメラを取り上げられ、撮影したフィルムを抜き取られるという暴行事件が起きておるのであります。
 私は、これは正当な取材に対するきわめて悪らつな妨害であるし、また日本国憲法第二十一条の「言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という、このことに明らかに違反をする重大事件だと思います。しかも自由を守り、平和に徹するという自由民主党の立党の精神から見ましても、こういうことが起きましたことはきわめて遺憾であり、これに対する万全な対策も必要でありますと同時に、再びこのような事件が起こらないことを私は心から願うものであります。
 そういう立場から、まず、事件の概要についてNHK当局から伺いたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) ただいま鈴木先生からお話のありました件について、NHK側から事件の概要を御説明申し上げます。
 参議院の大阪地方区補欠選挙の開票が行なわれました六月十八日の午後零時四十分ごろのことでございます。候補者の森下泰氏の選挙事務所と併設しております自民党の大阪府連の選対本部内で、NHKの近畿本部報道部の川上清、前川育也の両カメラマンが取材をいたしておりました。
 で、たまたま事務所の表情と同時に、女子運動員が泣いている姿を発見いたしまして、それをまあ撮影したわけでございますが、その際、まわりにいた男の運動員の十数名の人が激高いたしまして、両名を取り巻き、フィルムを出せというようなことで、こづき回したわけでございます。両カメラマンはフィルムの提出は拒否いたしました。そうして、泣いている女子職員の表情等につきましては放送には取り上げないということを言ったんでございますけれども、運動員の人たちはがえんじませんで、両カメラマンを選挙対策本部の裏側に連れ出しまして、突き倒すなどの暴行を加えました。さらに二階の部屋で話をつけたいといって二階の部屋に引き上げられたわけでございますが、その際フィルムを抜き取られておったわけです。前川カメラマンはその二階の部屋で突き飛ばされました際に、ガラス窓にからだを突っ込みまして、左腕に十日間のけがをしたわけでございます。
 やりとりは約三十分続いたわけでございますが、自民党の大阪府連の岸田慶二郎事務局長が仲裁に入りまして、その場はやっとおさまった、こういうことでございます。それが事件の概要でございます。
○鈴木強君 この事件が起きましてから、NHKとしては、当然、自由民主党に対して厳重な抗議を申し入れる等の措置をとられたと思いますが、そのことはどうなされましたか。
○参考人(坂本朝一君) 近畿本部では、このことを知りまして、東郷報道部長が大阪府連の岸田事務局長にとりあえず電話で抗議するとともに、同日、抗議文を自民党大阪府連の原田憲会長に送ったわけでございます。
○鈴木強君 それに対して、自由民主党大阪府連選対本部長原田憲氏から、この抗議に対して責任のある回答がございましたか。
○参考人(坂本朝一君) その後、大阪府連の岸田事務局長が十九日の夕方NHK近畿本部を訪れまして、東郷報道部長に対し、釈明並びに暴行等の事実について口頭謝罪をいたしました。
 しかし、東郷報道部長は、先方の陳謝の趣旨は了解するとしても、本件は報道の自由、取材の自由等にかかわります重大なことなので、NHKとしてはやはり文書でもって御回答願いたいというふうに思いまして、現在、文書の回答を要求している事態でございます。
○鈴木強君 それから川上カメラマンはカメラを取り上げられていますね。それから前川カメラマンは左腕に十日間の負傷をしたわけですが、取り上げられたカメラ、それと抜き取られたフィルムはどうなりましたか。
○参考人(坂本朝一君) カメラそのものは無事でございますけれども、抜き取られましたフィルム――これはキャノンのカメラでございまして、カセット式なフィルムになっておるわけなんですが、そのカセットごと抜き取られまして、そのカセットは現在まだ返却されておらないという事態でございます。
○鈴木強君 私は新聞報道等でこの事件を知りまして考えたんでありますが、その当時の現地の状況というのは、もちろん私たちがいまここで何日かの日時を過ぎて考えるより以上に深刻な現状があったと思いますが、それは自民党が補選に破れたというようなそういう沈痛の中で起きた事件でしょうから、そのときの心理的な状況というのはわかりますけれども、しかしそれはそれとして、少なくとも憲法に保障された言論、報道の自由、取材の自由というものを妨害したこと自体は、これはもう絶対許すことは私はできないと思うんです。そういうことですから、これはき然たる態度でやりませんと、今後、カメラマンやあるいは新聞記者の諸君が取材の自由をどうして確保できますか。
 私は、そういう観点に立って、いまこの問題を取り上げているわけですが、日本新聞協会というのもございますし、従来は、そういうところでもこういう問題は取り上げられて、そして加害者に対して厳重な抗議を申し込み、再びこのようなことのないようにやっておるはずでございますね。そういうところまでの働きかけはどうなっておりますか。
○参考人(坂本朝一君) ただいま御説明いたしましたように、この事件は、現状では、NHKと先方との間のことで、NHKといたしましては、ともかく文書の回答をほしという要求をしておるわけでございます。
 したがいまして、現状では、NHK自身の自主的な問題としてこれを取り扱っているということでございまして、文書の回答の内容等によって、それからどういうふうにこれが発展しますか、それは現状では私として推測的なことばを申し上げるわけにまいらないかと思いますが、新聞協会等とのかかわりの問題はその後のことになろうかと思います。現状では、私は、これはNHKと先方との報道、取材の自由の妨害問題として、き然として対処していきたいというふうに考えております。
○鈴木強君 それで、警察庁のほうからおいでをいただいておりますのでお伺いをしますが、この暴力事件に対して、大阪の東警察署は、前川さんが二階に連れ上げられてこづかれて負傷するというような事件でありますから、前川さんの救出というとおかしいんですけれど、救助、さらに抜き取られたフィルム――これはまだ戻っておらないようでありますが、そういうものに対しての事件一連の捜査ですね、取り調べ等をやられていると思いますが、この事件発生以来、言論報道の自由を侵害したということは警察側としてはとどめおくといたしましても、暴力行為を働いたことは事実でありますから、そういう見地から厳重な捜査をされていると思いますが、現在までの状況と経過をひとつここで説明していただきたい。
○政府委員(田村宣明君) 捜査状況でございますが、まず第一点の、前川カメラマンその他の救出の状況はどうであったかという点でございますが、警察側がこの事件を認知いたしましたのは、去る十八日の午後零時五十五分に一一〇番によりまして通報がございまして、それによって事件を認知いたしまして、東警察署から刑事官外三名が直ちに現場に参ったという状況でございまして、このときには、大体事件が発生いたしましたのが零時四十分ごろでございますが、何と申しますか、大体状況が終わったあとのことでございました。
 そこで、直ちに必要な関係者について事情聴取をその場でする、それから実況見分を行なう、こういうふうな手はずで捜査を進めたわけでございまして、現在、現場の実況見分をいたしましたほか、被害者、参考人につきまして事情聴取をいたしております。引き続き、本日も、相当数の関係者について取り調べをいたしておるはずでございます。
 それで、事件といたしましては、概要は先ほど参考人のほうから御説明があったことと概要において異なる点はないと思いますが、警察といたしましては、暴力行為等処罰ニ関スル法律及び傷害罪ということの疑いをもって、現在、捜査をいたしておるのでございますが、御指摘のように、取材の自由というものを暴力をもって妨害するということは決してあってはならないことでございますので、大阪府警察におきましても、事案の真相を明らかにするため鋭意捜査を続けるということで、現在、これに当たっておる、こういう次第でございます。
○鈴木強君 このフィルムをカメラの中から抜き取ったというのは、これは窃盗とか、強盗とか――どろぼうですか、何かそういうあれにはならないのですか。
○政府委員(田村宣明君) 現在まで私どもが聞いておりますところでは、カメラマンが取り囲まれていろいろと抗議をされておるという状況の中で、カメラが何人かによってあけられてフィルムが取られたという状況は、大体うかがうことができるわけでございます。それで、これは意志に反してフィルムを抜き取るといいますか、渡すということは同意をしていないように思いますので、その点さらに捜査を詰めなければなりませんけれども、そのときの状況によりまして、ただいま御指摘のように、強盗あるいは窃盗というようなものに該当する場合が出てまいるというふうに考えますけれども、ただ、その点、正確に何罪としての疑いとして事件とするかにつきましては、もう少し捜査を詰めてから、これをきめてまいるべきものであろう、こういうふうに考えます。
○鈴木強君 六月十九日の毎日新聞の朝刊に報道されているところを見ますと、いまの点だけ申しますと「前川さんらをムリヤリ二階の控室に連れ込んだ。運動員たちは「撮影したフィルムを出せ」といって、カメラを奪い、撮影済みのカラーフィルム一巻(二百フィート)を抜き取った。また、川上さんが持っていた録音マイクのコードも引きちぎった。」ということですね。
 当時は、おそらくNHKのカメラマンだけでなくて、各社の民放あるいは新聞社のカメラマンも私は行っておったと思うのですね。そういう中でNHKのカメラマンにそういう暴行を与えたということでありますから、特に撮影済みのカラーフィルムの抜き取りというのは、強盗に当たるようなものだと思うのです。ですからそういう容疑もあると思うのです。その点は、いま刑事局長がおっしゃったように、これからの捜査の中で明確にしておいていただきたい、そのことをいま特にお願いをいたしておきます。いいですか、その点は。
○政府委員(田村宣明君) 先ほどお答え申しましたとおりでございまして、その点さらにはっきりさせるように、捜査を進めるようにいたしたいと思います。
○鈴木強君 これはそういう捜査を一方では進めていただきます。
 それで、実は、きょう、私は自由民主党の総裁に来ていただきたいと思ったのですが、総裁も御都合が悪いというので、官房長官に連絡をとりましたが、私のほうもちょっと連絡の時間がおそかったものですから、おいでいただけないわけであります。政党政治であり、自由民主党の内閣でありますから、総理・総裁に、それがだめなら、官房長官も自民党の党員ですから、官房長官にということで実は考えたわけですが、ちょっと外出をしておりまして、この時間に間に合わないそうであります。
 それで、たいへん恐縮ですが、久野郵政大臣は国務大臣でもあり、自由民主党の党籍を持った大臣でありますから、この際、私は、一応この段階では久野郵政大臣に対して――いま私がNHKにただし、刑事局長にただしたような事件が、自由を守り、平和に徹する自由民主党の、しかも大阪府連の選対本部の中で起きたということは、何としてもこれは国民として理解できないことでありまして、きわめて遺憾な事件だと思います。これに対して久野郵政大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(久野忠治君) ただいまの質疑応答を通じまして承り、また新聞報道を通じて承知いたしましたが、今回の参議院の大阪地方区補欠選挙の開票日の六月十八日、自民党大阪府連選挙対策本部において発生しました本事件につきましては、警察当局におきましても刑事事件として捜査中のようでございます。
 これは両当事者間の問題であろうとは思いますが、しかし政府の一員といたしまして、憲法二十一条に規定いたしております言論、表現の自由、これを守ることは当然のことであろうと私は存じます。たいへん遺憾なできごとでございまして、このようなことが二度と起きないように十分注意をいたしていきたい、かように存ずる次第でございます。
○鈴木強君 それでは次に移りまして、もう一つNHK側に関係がありますからここで伺っておきます。
 実は、新潟県の上越市で録画をした「ふるさとの歌まつり」という番組がNHKにございますが、その録画をソ連側から譲ってもらいたいという申し入れがきているようです。これは上越市の厚生会館で録画したもので、日ソ友好の実情を伝えるために非常によろしいというので、首相がソ連を訪問する前に放送をして、両国の親善ムードを盛り上げたいというような理由もあるようでございます。これは著作権問題との関連もございますので、いままでなかなかむずかしかったようですが、ソ連が万国著作権条約に加入しておらなかったときと違いまして、その条約にも加入して五月二十八日に条約も発効しているというような、こういう時期でありますから、この際、ソ連側の要請にこたえて「ふるさとの歌まつり」の録画をソ連のほうに譲ったらどうか、こういうふうに思うのでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
○参考人(坂本朝一君) ただいま鈴木先生からお話のありました件につきましては、実は、経過といたしましては、ソビエトの国営放送のほうから、ナホトカと姉妹都市の舞鶴で近く録画される予定の「ふるさとの歌まつり」をロシア語の説明をつけてテレビで放映することも有意義ではないかという意味のアプローチが当初あったわけでございます。
 その後、いろいろと、いま御指摘の「ふるさとの歌まつり」のビデオテープも含めまして、先方の東京の支局長にも見せ、いろいろと協議いたしました結果、現状では、もう一つNHKとして用意しております「NHKの番組アンソロジー」というのと、それから「日本の民族舞踊」という二本がソビエト側としては適当ではないかという結論に達しまして、そしてその二本を、実は、昨日、ソビエトの東京駐在の支局長のほうにお渡ししたということでございますので、将来は、先生のおっしゃるように、もっとそういう範囲を広げて、いろいろと提供していく努力を続けなければならないというふうに考えております。
○鈴木強君 そうすると、大体、私のいま申し上げたような趣旨に沿ってやっていただけると、こう理解をしていいですね。
○参考人(坂本朝一君) 御承知のように「ふるさとの歌まつり」を例にとれば、先般のメキシコオリンピックのときメキシコで公開録画したというような前例もございますし、「ふるさとの歌まつり」に限らず、できるだけそういう意味の海外協力ということは、当然、姿勢として考えていかなきゃいけないだろうというふうに考えております。
○鈴木強君 昨年、私はヨーロッパを回ってみまして、たとえば「紅白歌合戦」ですね、ああいうふうなビデオテープが大使館のほうを通じて放映され、だいぶ多くの人たちが集まっておりまして、日本の民謡なんかも歌まつりで覚えたといって私らに教えてくれたんですけれどもね。だから、たいへんああいうものが国際親善の上に役立っているということを私は身をもって体験したわけです。
 ですから、いま坂本さんがおっしゃるような趣旨に沿って――もちろん、これは「ふるさとの歌まつり」だけを私は言っているわけじゃないんですけれども、特に上越でやったものは、何か苦労してロシア語の勉強をした人が画面に出てくるとかいうようなこともあってソ連側で熱望しているようですから、それを含めて、今後、国際間の、これはソ連といわず、全世界のそれぞれの国々と番組を通じて親善が深まるということになれば、非常にけっこうなことですから、そういう意味で私は申し上げているので、私の趣旨を理解して今後やっていただけると、こう考えていいですねということを念を押したわけです。
○参考人(坂本朝一君) 鈴木先生のおっしゃるとおり、NHKとしては、そういう方向で考えるべきだというふうに考えております。
○鈴木強君 それでは、それは終わります。
 その次に、郵便貯金の利息のことで、郵政大臣にちょっと伺っておきたいんですけれども、実は、大臣が大阪で何か記者会見をされたとき、庶民金融の限度額を五十万円にアップするとか、あるいは三年ものの新しい定額貯金をつくるとか、いろいろ言われておるわけですけれども、それに関連をして、新聞報道で見ますと、特に新しく市中銀行が二年ものの中期預金制度を設けるということに歩調を合わせて、郵政省のほうでも三年ものの定額郵便貯金制度をつくろうというようなことがいわれておるわけです。そこで、この定額預金に対する利率の問題で、いま大蔵省との間に意見が分かれて難航しているというふうに私実は聞いているわけですけれども、この問題に対しては現状どうなっているのか、ひとつ大臣から説明をしていただきたいと思います。
 私たちは、前回の庶民金融をつくる場合におきまする一件当たり十万円という、こういうちゃちなことでなくて、少なくとも五十万円ぐらいのものをしたらどうかという意見も出しましたし、また預金利子を引き下げるときにおきましても、庶民のための郵便貯金――郵便貯金法の精神にもあるようなこの精神を生かして、引き下げ率はできるだけ少なくするようにというような意見もずいぶん出しましてね、廣瀬郵政大臣もかなり粘ったんですけれども、最終的には大蔵省に押し切られたようなかっこうですね。何と情けないことかと私は思っておったんですが、今回もまた〇・二五%ではありますが、大蔵と郵政の意見が分かれて難航しておるというような報道を聞きますと、ちょっとじっとしておられないものですから私はここで質問をしたわけです。
 私たちの考え方はそういうところにあることを理解して、大臣として、いままでこれに対してどういう経過できたのか、そして現状はどうなっているか、これをひとつ説明してもらいたいのです。
○国務大臣(久野忠治君) 御指摘の点について、経過について簡単に触れ、現状、また私の考え方についても率直に申し上げたいと思います。
 去る六月二日でございましたが、大阪におきまして日本記者クラブとの懇談会が開かれまして、それにぜひ出席をして日中海底ケーブル布設に関する合意文書についての経過並びに内容について報告してほしい、またその問題について意見の交換を行ないたいということでございまして、私は大阪へ参りました。
 その際、記者と懇談をいたしておりました際に、たまたまこの郵便貯金の問題が出てまいりまして、そこで、当委員会におきましても昨年の法案審議の際に附帯決議もついておることはよく私は承知をいたしておる次第でございまして、そういう点等を踏まえながら、私は率直に私自身の考え方の方向として三点を申し上げたのでございます。
 まず第一は、本年一月から実施いたしました預金者貸し付けの限度額十万円を引き上げる、これは五十万円にしたい、もちろんこれは法律事項でございますから、国会で御審議をいただくということになるわけでございますが、来年度この法案の提出にひとつ踏み切りたいということが一つ。
 それから第二点につきましては、貯金利率の引き上げを行ないたい。その理由は、過剰流動資金の吸収あるいはインフレ対策等をも含めて、今回国民の間に定着いたしております郵便貯金の利率、これは国民の皆さんの利益を守るために、庶民の皆さんの利益を守るためには、何としてでもこの利率を引き上げて、そして御要望にこたえたい、こういう意味のことを申し上げた次第でございます。
 第三点は、従来の貯金の最高限度額は百五十万円になっておるわけでございますが、それを倍額三百万円にしたい。この三点について実はクラブで発表をいたしたような次第でございます。
 これは、あくまでも、私の考え方を申し上げたにすぎないわけでございまして、関係当局との間に打ち合わせをして発表をしたわけでは決してないのでございます。
 帰ってまいりまして、直ちにこれらの諸点について事務当局に検討を指示いたしました。しかし、その中で、さしあたって事務的に処理のできる案件といたしましては、預金利率の引き上げでございます。でありますために、この検討を指示しました後、事務当局から私のところへ一案が出されたわけでございます。その案は新聞紙上にて報道もされておりますし、鈴木委員からただいま御指摘のありましたように、定額貯金二年もの以上について〇・二五%ずつ引き上げる、それから三年ものを新設する、こういうような内容のものでございます。
 もちろん、このような事務当局の案はできたわけではございますけれども、これは関係方面との間の折衝を必要とするものであります。利率の引き上げ幅とか実施時期につきましては、もちろん郵政審議会に諮問した上で決定することになっておるわけでございますから、このような手続を踏みませんと最終的な決定にはならないわけでございまして、ただいま省内においてもいろいろと検討をいたしておるような次第であります。以上でございます。
○鈴木強君 いま三点お述べになりました。郵便貯金制度の改善につきましては、もう私たちも原則的には全く賛成です。
 それで、その中で、これから法律改正をしなければならない点は別といたしまして、郵便貯金の利率の問題については、おっしゃるように、法律事項からはずれて、今度は郵政審議会の承認を得てやれるようになりましたね。それだけに、われわれは、この前、これを法定からはずす場合にも非常に強い意見が出たのですけれども、郵便預金者の利益を守るという、そういう精神に徹してやっていただきたいということを強く申し上げておるはずであります。
 それで、三年ものの新設について六・五%の利率にする、それから二年ものは五・七五%を六%とする、それから二年六ヵ月ものは六%を六・二五%とする、こういうふうな趣旨のものについては、新聞報道の伝えるところですと、これは田中総理と協議をされて――あなたが大阪で発言をされたあと、総理もそれについては全面的に支持をして、具体的には意見が一致している事項だと聞いておるのですけれども、その点はどうなんですか。
○国務大臣(久野忠治君) 先ほども申し上げましたように、私の意見として考え方の方向を率直に皆さんに申し上げたのでございます。たまたま帰りましてから閣議がありまして、閣議が終わりましたあと、これは立ち話でございましたが、私はこの大阪での発言の内容について簡単に報告をいたしました。
 この報告に対して、総理大臣も、これはたいへん時期的には理解のできるところである、十分検討して、ひとつ作業を進めてほしい、こういうことでございました。これが真相でございます。
○鈴木強君 そうしますと、問題として、きょう私が特に伺いたかったのは、三年ものを新しく新設される利率の問題ですが、六・五%とするか六・二五%とするかということですね。これは新聞報道では六・二五%を大蔵が非常に強く主張しておる、郵政省のほうでは六・五%を主張して、なかなか折り合いがつかない。したがっておそらくきょうあたり愛知蔵相と久野郵政相との会談等も持たれるかもしらぬと、けさの新聞にも述べられております。
 それで六・五%という三年ものの新設について、この利息はわれわれの立場から言えば六・五%にして零細預金者の立場を守ってもらいたいという、こういう考え方を強く持っておりますけれども、そういう精神で貫いてもらいたいと思うのです。
 大蔵省は、この前も、いろんな横車を押してきまして――日本金融全体の問題ですから、それは大蔵省は大蔵省なりに意見を持っていると思いますけれども、せっかく新しい制度をつくるのですから、こっちがこうだからそっちを下げろと、低いほうへ下げようとするというのはけしからぬ話であって、もし六・五%を向こうが文句を言うなら、六・五%に市中もやればいいじゃないですか。私はそういうふうにしたらいいと思う。それをよくしようというものの足を引っぱるようなことは、どうもよくないと思うのです。これは簡単に言いましても、金融全体との関係ですから、むずかしい問題だと私は思いますけれども、郵便の預金者から見れば、率直にそういう気持ちを持つと思うわけです。せっかく郵政省が六・五%にしてくれるというのに六・二五%に足を引っぱるようなことはけしからぬ、こう郵政省のほうに応援していると思うのです。
 特に、最近のように、物価が一〇%以上も上がるようなことになりますと、それでなくても郵便貯金をしておれば毎年物価が上がっていくだけ損する。年率五%上がっても十年たったら五〇%で、一万の値打ちは五千円にしかならないというような単純な算術計算をしますとね。そういうときだけに、いましかも過剰流動性が論じられて市中に金がばらまかれている、そういうものをやっぱり吸収していくという立場からいったって、私は景気過熱を鎮静する意味からいったって、いま公定歩合も上げているじゃないですか、そういうときだから六・二五%に固執する大蔵省の考え方がよく理解できないわけですよ。一体、郵政大臣としては六・五%であくまでもがんばってやってもらいたいと思うのですけれども、その辺はどうなんですか。また押し切られるのじゃないかという心配もあるのですが、これは念を押しておきたいのです。
○国務大臣(久野忠治君) たいへん御理解のある御発言でございまして、私は感謝申し上げる次第でございます。
 私自身といたしましては、事務当局に指示をいたしましてできた案、これを何としてでも実現をいたしたいという考え方には変わりはないのでございます。大蔵大臣の御都合もございますので、いつ、どういう場所で、どういう時期にお会いするか、まだ決定をいたしておりませんが、最終的に政治的な判断でこれをきめるというようなことになりますれば、もちろん、ただいま御意見の中にありましたように、三年ものの新設を強力に推進し、さらにその利率を六・五%にすることを強く主張したい、かように考えておるような次第でございます。
○鈴木強君 総理もこういう制度の新設については理解をしておるし、賛成をしておるようですから、それだけにひとつこれは郵政大臣の言われるような御所信を貫徹していただきませんと、総理大臣に対する不信にもなると思いますよ。ですから、どうかひとついまの大臣の御所信を貫徹するようにがんばってもらいたいと思います。
 それから、これは突然のことなんでちょっと私も戸惑ったんですが、実は、自民党の小澤太郎さんが通信部会長をやられているようですけれども、二十日の同部会に、老人、母子家庭、身体障害者が行なう郵便貯金の金利を優遇することを目的とした福祉郵便貯金制度というものを設けたいという私案を提出されたということを聞きました。それで、これについては郵政省事務当局にこの案を検討させた上、できれば実施をしたいというお話のようです。ねらうところは、現在の欠陥の多い福祉政策の穴埋めにしようというようなお考えのようです。
 私は、特に老人の方々がふえております日本の現状で、それに対して老人福祉の面がなかなかうまくいっていない、これも事実ですし、母子家庭や身体障害者の方々が、母子福祉法や身体障害者福祉法というものがありましても、その恩恵に十分浴せない、これは事実だと思うのですね。ですけれども、その福祉行政の欠陥を補うために、穴埋めをするためにこういう制度をつくるということについては、いささか基本的には方向を取り違えているのじゃないかという気がするのです。ですから、そういう点が欠けていることはわれわれも認めるわけですから、その面に対する福祉行政というものを拡充強化していただくというのが原則だと思いますね。しかし、それがこういうふうに政府がやるんだけれども、いま直ちにできないから、その間、こういう措置でやるということであれば、これまた一つのやり方だと思います。だけれども、そういう老人福祉なりあるいは母子家庭の福祉なり身体障害者の福祉というものの基本政策というものが、一体、今後どうなるのかという自由民主党としての、田中内閣としての政治姿勢というものがはっきりしなければ、穴埋めをするんだといったって、どこまでその穴埋めをするのかという疑問が残るわけです。
 現に、いま、郵便お年玉はがきの場合でも、極端に言ったら、あの金が確かにいろんな意味において効果を果たしていることは事実ですけれども、あの郵便を扱う郵政省の職員の側から見ると、何かしっくりそぐわないものがある、だからああいう制度をやめてくれというような意見すら出ている時期でございますから、そういう意味において私は慎重をとらざるを得ないのです。
 まあ、しかし、これは一つの私案でございますから、いまここで私が論ずることも早いと思いますけれども、若干心配な点があるものですから、私の意見を申し上げておるのでありまして、もしおやりになるとすれば、基本的なそういう福祉政策というものを明らかにしていただいて、そうしてそれを補完する意味において、当面、こういう措置をとるのだというような形に整理をしていただきませんと、なかなかわれわれとしては受け入れがたいということをちょっと申し上げておきたいと思います。
 それから次に、郵便遅配の問題ですけれども、どうでございましょうかね、われわれは郵便料金を値上げするときにも、どうも郵便というものがなかなか昔のように確実に到着をしない、これに対して非常な国民の不満があるものですから、その点を何とか改善をしていただきたいということを強くお願いをし、郵政省のほうでも非常な努力をしていただいて、例の標準送達所要日数というのですか、ああいうものまでつくっていただいたわけでして、それが国民に示されて、ああよかったわい、まあ大体その線に近く郵便がくると、こう思っておりましたら、また最近おくれまして、私たちも山梨県からとっている地方の新聞というのは大体一日おくれできているのでございますけれども、三日もおくれたり、場合によったら四日ぐらいおくれてきたりしまして、もう新聞の値打ちがなくなるのですね。新聞はそれでも東京の新聞がありますから、ふるさとのニュースに接するのが若干おくれてもがまんできるとしても、急病人ができたとか、あるいは就職とかなんとか、いろいろ人間の基本にかかわるような問題がやっぱり郵便によって生きているわけですから、そういうことを思うにつけましても、われわれがかっておった郵政省当時のことを思うにつけましても、どうしてこういうふうに最近郵便事業というものがうまくいかないのだろうか。
 聞くところによると、郵便料金もまた上げなければならないような状況にきているように私は思います。持ち越し現金を使ってやっとことしは収支ペイをしているような郵政会計の現状を見るにつけましても、こういうことも一面にはある。しかし、いま国鉄運賃が国民の前に批判をされているのはやはりそこにあると思うのですね、一方においてサービスダウンをどんどん平気でやって、駅を無人にしたり、あるいはノンストップにしたり、これが国民の鉄道かというふうに不満を持っている。おまけに一方ではたいへん物価が上がってまいりますから、どこへ行って聞いたって国鉄運賃を上げてくれなんというのはいませんよ。ぼくらの顔を見ると、どうぞひとつこれをつぶしてくれと、こう言われるのですね。郵便料金についてはそこまではいっておりません。しかし、そういうこともいままでの審議の過程からすれば出てくると思います。そういうときに、前回もわれわれが審議した際に、郵便の安全、確実、低廉、要するに公共性というものと採算性というものをどういうふうにマッチしてこの事業をやっていくか、これはたいへん苦心の要るところでございます。それだけに郵政に携わる全職員が姿勢を正し、ほんとうに事業のとうとさを身に受けて、国民の郵便を安全、確実に届けてやるという精神にどうして徹しられないのか、どっかに私は大きな欠陥があるように思うのですね。あるいは一つには、労働組合との労使関係の問題にあるのかもしれません、あるいはまた、ほかに大きな欠陥があるのかもしれません。
 毎日毎日われわれ、トイレへ行けば賃金カットとか、マル生中止せよとか、そういった新聞記事を見るにつけましても、何とも恥じ入らざるを得ない、ほんとうに肩身の狭い思いをする。われわれはかつての従業員であり、いまOBとして事業をながめるときに、ほんとうに残念しごくです。これはもう大臣以下大いに努力をされていることもわかりますし、いろんな歴代大臣もわれわれが見ておっても気の毒なくらいに苦しみ、悩み、いろんな努力をされてきていることはよく知っております。しかしそれが大臣がかわればまたもとに戻る。また新しい大臣が同じ苦労をしてまたあとへ問題を残していく、こういうことがここ十数年続いてきておる。どこかでこれを基本的に改革し、方向転換しなければ、郵政事業は国民から見捨てられてしまうような気がするのであります。
 大臣として、私は一生懸命やっておられることはよく知っております。歴代大臣に負けない努力をしておることも知っておりますけれども、あえて私がきょうここでこういう問題を出すのは、もう忍ぶにたえないということで、私はまたこの問題を取り上げたわけであります。大臣として、このような状況が出ております原因が一体どこにあるのか、そうしてその原因を除去するためにどういうような御苦労をされておるのか、われわれもまたお手伝いのできることがあればしたいという気持ちを持っておりますけれども、その辺、最初に御所信を承りたいと思います。
○国務大臣(久野忠治君) 非常に貴重な御意見を拝承いたしまして、私も感激いたしまして御意見を承ったわけでございます。
 最近、郵便物の滞留が非常に膨大な数に達しまして、国民の皆さんに御迷惑をおかけいたしましたことはまことに遺憾に存ずるような次第でございます。この原因が那辺にあるかということでありますが、私が日ごろ申し上げておりますように、郵政事業は人手を多く使って国が行なう事業でございます。であるだけに、やはり現場で働いておいでになります職員の皆さん、管理者あるいはまた私たちのような立場にある者が十分話し合いをいたしまして、労使間の円満な協調関係を樹立することによって郵便事業の円満な遂行が期し得られる、私は、就任以来、さように考えまして、皆さんとの間に率直な意見の交換を行ない、逐次、改善の方向に向かいつつあるという認識を持っておるような次第でございます。しかし力至りませんために、十分その目的を達することはでき得ませんが、今後、皆さんの御助力を得まして、そうして国民の皆さんに御迷惑をおかけしないように、郵便物の滞留を絶無にするように今後とも微力を尽くしたい、かように考えるような次第でございます。
 先ほど福祉貯金のことにつきまして、御見解の御披瀝がございました。非常に貴重な御意見でございまして、この点につきましては、昨日、自由民主党の通信部会で、預金利率の改定につきまして、私が経過の報告並びに内容等について申し上げました際に、通信部会長から突然私は伺ったような次第でございます。そこで、この通信部会長の御発言をもとにいたしまして、事務当局に検討を命じておるというのが現状でございます。
 しかし、私の考え方を率直に申し上げますならば、福祉行政の立ちおくれをこれでカバーするのではないかというような御発言がございましたが、それとは全然私は見解を異にするものであります。あくまでもこれは郵便貯金の、老齢者並びに心身障害者あるいは未亡人、こういうような方たちに対する利率を高めて、そうして皆さんの生活に不安なからしめるようにしてあげたいというような考え方は、いまいろいろ議論されております福祉行政とは別個のものでございまして、あくまでもこれは、現時点におきまして、私は、これらの方たちの将来の生活環境をよくしてあげるためにこそ取り上げるべき政策の一つではないかと、私は実はこの考え方には同意をいたしておるものでございます。
 しかし、その内容あるいはまた今後の進め方につきましては、いろいろ問題点があろうかと思いますので、皆さんの御意見をも拝聴しつつ、十分にこの処置につきましては微力を尽くしたい、かように考えておるような次第でございますので、今後の御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げたいと存じます。
○鈴木強君 大臣ね、福祉貯金制度のことはまあ私は新聞の報道でけさ知ったわけですから、報道の伝えるところでは、福祉政策の穴埋めをするための一つの方法だという、これは老人なり母子家庭なり心身障害者というのは確かにそうでしょう、そういう意味におきましては。特に健全な人たちに比べてお気の毒な立場にある人ですから、その福祉の面で何か考えようということはわかるのですね。ただし全く別だということになりましても、これまたつじつまが合わないことでして、大臣の考え方としては、私はわかりました。
 しかし、これは対象人員がどの程度になるのか、あるいは一般の預金者よりも高い利率にする場合に、その額がどの程度になるのか、その利率というものは、一般の預金者に還元すべきものをその中からその人たちにやるということになりますと、これまたいろいろの問題もあるでしょうから、そこにはだれもが納得できるような理屈がないと、何か実を結ばないような気がいたします。ですから私もちょっと出たことですから、きょうは言わなければよかったわけですけれども、やはり事業に関係しておりますと、ぱっと一番先に目につくわけです、この記事が。したがってたまたまこれがありましたので私は取り上げたわけですから、きょうのところは、私のちょっと新聞を見た感じと、大臣の御見解がちょっと出たということにしておきましょう、これは。私たちもまだもう少し真相を皆さんから伺って、事務当局がいずれ検討してくれるそうですから、そのまとまった段階で少し論議しようじゃございませんか。
 それで、いまの私の本筋のほうのあれですが、やはり大臣は抽象的なお答えになってしまうんで、それではいけないと思うのです。私は端的に言って、やはりこれは労使間の問題にあるんじゃないでしょうか。特に、大臣おっしゃるように、機械化できない、人力にたよるという郵政事業であるだけに、ほんとうにそこに働いている方々が郵政事業の何たるかを理解して、そして国民から負託を受けたこの事業を一生懸命やるんだという気持ちに徹しなければいけないですね。昔は逓信魂ということばをよく言ったんですけれども、そういう気持ちを持って、苦労はありましたけれども、やりましたよ。そういう気風がなくなったというのはやはり根本的には労使関係にあると思うのです。
 かつて全逓信労働組合というものが一本であり、その歴史をたどればいろいろとあります。一つの政党が組合を牛耳り、その組合支配を脱却して新しい民主的な組合が生まれ、その本流を受けているのが全逓だと私は思っております。ですから、そういう組合があるにかかわらず、一部の不心得者が第二組合をつくるために金をいろんな角度から流用したり、使ったりして、そして飲んだり食ったりし、最近は人事権まで振りかざして、第二組合員になれば早く主任になれる、こういうようなことがわれわれの耳に入ってくるし、現にありますよ、これは。ですから、そういうところをやはりほどかなければ、この問題の解決にはならないんですよ。
 労働組合は自主的にやることですから、私たちがかつて一政党に支配されたときに、だれからも頼まれないで、自主的、民主的な労働組合をつくろうといって、われわれはあえてその組合を割ったこともありますよ。割るということはちょっと語弊がありますけれども、われわれは一緒にできませんものですから、中央委員会で退場をして、そして労働組合は不幸な分裂をしたこともあります。それはあくまでもその労働組合員の自主的な判断によってやられるべきものである。
 ところが、ある政党や一つの考え方が入ってきて、そしてその管理者が組合員を呼んで、全逓を脱退せよなんというようなことをやるような話があるようですけれども、そういうことをやると、これはもう全く不当労働行為であるし、あってはならないことです。そんなことで労働組合が弱くなるなんて思ったらとんでもない間違いです。
 私は、やはり、労働者が団結をするということは自分たちの要求を実現することでしょう。と同時に、そこにおる事業をもり立てて、事業が発展する中にまた労働組合も発展していくという、そういう思想に立ってこそ労働運動というものはりっぱに国民の支持を受けるんですよ。ストライキ権があったって、そのストライキ権をやたらこたら使うなんというのは間違いですよ、私に言わせればね。ストライキ権を使わないようにするように、労使間が誠心誠意話し合いをしていくのが労使間の正しい姿だと私は思うんです。私はかつてそういう考え方で労働運動を指導してきました。私がMRAに入ったのもそこですよ。ストライキがなくて済むというフランクさんの教え、それはとうといものだと思う。
 それには経営者も組合もへそを出して裸になって話し合え、うそを言うな、もうけを隠すな、もうけのないときにはこれだけない、これだけ出せば会社がつぶれる。そこまでほんとうに話をし合ったときにストライキは避けられるのです。会社がつぶれてもいいから労働運動を、賃上げをするというのは、これはある政党の思想であって、特定の人たちの考え方で、そんなことは通用しない。やはり事業が発展し成長して初めて労働者はしあわせになる。
 それを意識的に作為的に第二組合をつくって、強い労働組合をつぶそうなどというそんな不心得者が郵政省にいる限りは、この事業は国民からあいそをつかされる形になりますよ、よくなるはずはありません。もう一回私は歴史を振り返り、ほんとうに郵政の管理者諸君も頭を冷やして、あやまちがあればこれを正し、よき労使慣行をやはりここに確立をして、全職員がふるい立って郵政事業のためにがんばるのだという、そういう気風をつくらない限りは、いまのような状態がどこまでも続いていくと思います。だから、そういうふうなことができないものでしょうかね、どうでしょうか。
○国務大臣(久野忠治君) 私たちは組合運動に介入しようなどというような考え方は毛頭持っておりません。それは自主的に職員の皆さん自身が、憲法並びに法令の定めるところに従って、それぞれ処置をされる問題であると思います。でありますから、私たちがこれに干渉をしたり、あるいはまた不当な介入をしたり、そのような考えは毛頭持っていないのでございます。
 しかしながら、やはり円満な郵政事業を推進していくためには、そうした考え方の違いなり矛盾点をお互いに率直に話し合いをいたしまして、そして徹底的に議論をし合いまして、結論を見出しつつ協力し合うというところに、私はりっぱな郵政事業の確立をすることができるのではないか、かような考え方を持っている一人でございまして、先般も当委員会でも申し上げましたが、組合の幹部の諸君ともお会いをいたしまして、意見交換を行なっているような次第でございます。今後とも、私は皆さんともお話をいたしまして、皆さんから御意見を拝聴し、なお国会の関係者の皆さんからも率直な御意見を承りまして、国民の皆さんから喜び愛される郵政事業を確立していきたい、かような念願を持っているような次第でございまして、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
○鈴木強君 郵務局長、何か六月の新聞の記事に、大阪で選挙のときでございましたかね、自民党の郵便物だけ配ったというような記事がありましたが、あれはどういうのですか、真相は。
○政府委員(溝呂木繁君) 私もその新聞報道を読みました。郵便物の差し出し人等の問題でございますので、ここでは、どこの郵便物がどうということを避けながら、某差し出し人の郵便物がどのような扱いになったかという形で答弁さしていただきたいと思います。
 新聞報道にもございますように、七日に、当大阪中央郵便局、その他の局もそうでございますが、相当速達郵便物が大量に差し出されました。しかもその日――大体、大阪中央あたりですと、速達一号は朝七時ごろ出ていきます、その一号便にかかる郵便物数は大体五千通ぐらいで、ちょうど一号便が配達、帰ってこれるという状態なんですが、そのとき九千六百通が速達全体でありました。そういう場合、私どもの指導といたしましては、速達一号便で配り切れないような場合は、速達二号、三号にいっちゃいますと、かえっておくれます。そういう場合は、通配――通常配達の一号便で早目にいくところはそっちへ組み込ませまして、いわゆる通配一号便で速達便を配達させるという指導をしております。
 その七日もそうですが、八日もやはり同じような事態が出ましたので、そこの管理者が非常に持ち出し数の多いのを見て、その一部を通常配達のほうに持っていかしたという事例がございました。たまたま、その通常配達に回したのが某差し出し人のものがまとまってたくさんあったということでございまして、私どもとしては、特に特定の差し出し人のものを特定の扱いをするという意思は毛頭ございませんで、あくまでも出てきました速達郵便物の多い場合に、どっちを速達のほうへ回し、どっちを通配に回すかという処理をしておるわけでございます。
 普通は、なるべくならば、われわれは通常配達のほうに回さないように、かえって通常配達に回されたほうの方の苦情が多いのでございまして、今回の場合は、通常配達に回したことについて何か報道で特別な扱いをしたという、私どもが見ると逆の形で報道されておるようでございますが、いずれにしてもそういった事態でございますので、これはやむを得ない処置であったというふうに考えているわけでございます。
○鈴木強君 そのいきさつはわかりましたが、ただ、われわれが速達郵便として出す場合には、速達郵便料というものを通常郵便料金のほかに払うわけですね。ところが実際にそれが配達される場合には、通常郵便のケースで配達をされたということになりますと、これは約束に反するんじゃないでしょうかね。その場合には料金を戻すとかいうことはあれにはないようですけれども、それだと、差し出し人の、われわれの意図に反する方法をとることになる。
 たとえば大阪の中央郵便局で速達一号便が五千通しか配達できないような要員措置しかしてないんですか。たとえば六千通来たときにはどうするとか、七千通来たときにはどうするとか、九千通来たときにはどうするとかいう要員措置についてちゃんとやっておかないと、速達制度がある限りは、大阪の局に何千通来るかわからないでしょう。それは統計によって大体何通ということでやっていると思いますけれども、しかし九千通来たから配達できないから、それを通常郵便のルートでやるなんていうことは、速達郵便とて引き受けた以上は、約速違いですよ、これは。だからそういう場合に何か人を雇ってやるとか、そういう方法をとって、とにかく速達郵便が速達郵便の精神に沿って配達されなければ、これは約束違いで、われわれは速達郵便料を返してくれという訴訟を起こすことになると思うのだけれども、それはどうしてそうなるんですかね。そのほうが速いからやったというんだけれども、ほんとうならば一号便で五千通と同じようにその残された四千六百通というものはいかなければならないわけだ、約束が違うわけだ、これは、そうでしょう。一号便で五千通だけしか配達できない、四千六百通残って、その分は普通に組み入れたというわけだからね。そうすると速達で持っていったその五千通と、あと残されて普通郵便にいったのとは、時間はどのくらい差があったかはわかりませんけれども、いずれにしても扱い方が速達じゃないんだ、これは。それとも速達で人が行かないから、通常郵便を持っていく人に持たしてやったというようにして、本省が指導しているんですか、その辺ちょっとよくわかりませんね。
○政府委員(溝呂木繁君) ちょっと説明が不十分だったために誤解をお招きしたかと思いますが、平常においては、普通五千通ですと、それに六千、七千ぐらいですと、状況によって帰局が少しおくれるという程度で処理できる場合がほとんどでございます。こういった場合は、非常に例外中の例外という形で指導しているのでございまして、おっしゃるとおり、前もって非常に物数の多いことがわかるときは、混合、あるいは速達要員の配置を、なるべくほかの通配のほうの関係を少し差し繰って速達をまず優先する、それから管理者もその中に入るとか、いろいろ手を打っておったわけでございますが、たまたまそのときはちょっと倍もあったということと、それから通配のほうの出が、出といいますか、通配のほうはそう重くないという判断をして、したがいまして通配でも、うしろのほうに回りますと十二時ごろになってしまいますが、道順によって速いところへ組み込むということで、あくまでもこれは例外中の例外という処理でございます。
 おっしゃるように、当然、速達便は――大阪中央あたりになりますと五号便あります。ただ速達が一号便で持ち戻りますと、次の二号便になりますと、終わりは十二時過ぎになる点などを考えて処理したのでございまして、あくまでもこれは例外中の処理ということで、私どもの指導は、あくまでも速達便でお渡ししたほうが、受け取るほうもやはり速達ということでお受けになることによって非常に心証も違いますので、これはもう例外中の例外という指導をしておったわけでございまして、たまたまその例外で処理したことと、某差し出し人のものが非常に多かったという二つの問題がからんだために、まあ新聞報道されたということでございまして、まさに先生のおっしゃるとおり、速達である以上は速達便で配達するという基本原則は、これは私ども地方に対しても強く指導しているところでございます。
○鈴木強君 わかりました。だから、あらゆる措置をとっても、なおかつどうしてもこういう方法しかとれないという例外中の例外として、多少速達よりもおくれるが、また行って帰ってきてからやるよりも、一号便持っていった人が帰ってきてやるよりも、通常郵便でいったほうがやっぱり速かったということであるならば、これは一つの措置としてやむを得ない措置だと思います、わかりました。
 それで、この前、私がここで文句を言ったのですけれども、議会便ですね、公報といっている、あれなんかでも、最近は、世田谷の郵便局なんかでも非常に気を配ってくれまして、私は大体八時二十分から八時半ごろ出るのですけれど、大体間に合うか、ちょっとおくれるか、ときにはおくれることもありますけれども、その程度で持ってきてくれますけれども、まあ年配の方でして、速達ですというふうにこのごろ言ってくれますね。非常に受けるほうは気持ちがいいですね。中にはまだ依然として黙って突き出していく人もいますけれども、まあまあだいぶよくなりましてね。そういうふうにおそらく管理者なんかの方々もときにはやっているのじゃないかというように私気がしているのですけれども、世田谷区は比較的国会議員の人たちが多いようですから、いろんな気を配っていただいていると思うのです。
 まあ気持ちの問題ですから、速達はやっぱり速達として、郵政省に頼めばそれは速達でいくんだということにならぬと、普通郵便で人が足りないから持っていったというようなことが表面に出ると、それは速達の意味がなくなっちゃうわけでして、その辺はひとつ御苦労ですけれども、例外中の例外であるけれど、何とかそういう場合に臨機応変にやれるような措置も、やっぱり側面では考えておいておかないといけませんよ、これは。そういう点のひとつくふうもぜひしておいてくれませんか、たいへんですけれども。
 それから、人事局長が見えているようですからちょっと伺いますが、労使間の問題が私は今日のような郵便遅配の原因をつくっていることは間違いないと思います。せんだっても新聞を見ましたら、新宿の郵便局で三百二十五人の組合員がマンモス訴訟を起こして、トイレへ行けば賃金カット、病気で休めば自宅へ監視に来る、これでは人間の尊厳を保てないということで、東京地裁に訴訟を起こしたというような新聞記事を見まして、まあ一体どういうことなんだろうか、常識では考えられないことなんだけれども、そんなまあ明治の初めにもないような古いことをやっておるのかなと私も思いまして、ふしぎでたまらぬものですから、ちょっとこの新聞を見て疑問に思いますから伺うわけですけれども、人事局長、答えてくれますか。
○政府委員(北雄一郎君) 実は仮処分の申請がなされたわけでありますが、内容が非常にこまかいことをたくさんこう出しておりますので、従来、私どもが同局について把握しておらなかったような問題がいろいろ提起されております。したがいまして私どものほうでもその一つ一つについて実否を調べておるところでございます。
 ただ一般的に申せますことは、やはり勤務時間中に黙っていなくなるということであれば、これはどういうわけでいなくなったのかということをあとで聞くわけでございますが、聞く中で、うるさいというようなことで何も言わぬ人もある。それからそういう人があとで実はトイレへ行っておったのだというようなケースもあろうかと思うのでございます。こういった場合はやはりはっきり言ってくれなければ、やはり勤務を欠いたわけでありますから、その間の時分は欠務とせざるを得ない。ただし欠務処理が直ちに賃カツにつながるものではございませんので、一ヵ月間にその累計が三十分をこえませんと賃金カットはいたしておらない、こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、具体的なものにつきまして、目下、私のほうで実際はどうだったのかということを調べておるところでございます。
○鈴木強君 まあこれは新聞報道ですからね、いろいろ表現とかその他にニュアンスの相違はあるかもしれませんが、訴状によりますと、太田という郵便局長は四十六年の七月ですか、二年前の七月に着任して以来、良識者の知性とか職場秩序確立などを唱えて、極端な弾圧的労務政策を強行し、用便のための勤務中断の規制あるいは喫煙の禁止などを行ない、分秒単位の賃金カットなどで労働を強制している、こういうふうに書いてあるようですが、これは労使間の大きな問題であるし、これは一つの小さいことであるけれども、基本だと私は思うんですね。
 たとえば、たばこを勤務時間中にあるいは仕事中に吸うか吸わないか、あるいは用便に行くために仕事を休んで行くか行かないか、そういうようなことについては、おのずからそこにいる職員との間に従来のいろんな慣行もあるでしょうし、それから労働組合があれば、労働組合とその職場の管理者との間にそういうことについてはどうするかという話もあると思うんですね。たとえば灰ざらをどういうふうに配置するとか用便に行くときにはだれかにどうするとか、そういったものは管理者が一方的にきめて、これをさあ守りなさいというものでなくして、そこには労使間でよく話し合いをして、そして理解と納得を得てそういう方法をとれば、私は組合のほうだって、職員のほうだってそうむちゃくちゃなことをするとは思えませんよ。
 ところが、何か権力者が非権力者に対して高圧的にこうすべきだ、ああすべきだというふうに一方的にきめて押しつけてくるから、そこには反発が出てくるのはもう理の当然でありまして、そういう方法ではだめなんですね。われわれ職場にたまに行ってみると、これはまあ郵政の職場でなくて、ほかの職場に行ってもそうですけれども、職場によっては仕事をやりながらたばこを吸っているところもありますよ。それをある管理者が、何だ、おまえはそこいらへたばこの火を消すためにすりつけてやるのはけしからぬと、こう言うんだそうですね。それをやるのもけしからぬといえばけしからぬかもしれぬけれども、そんならば、なぜ灰ざらを置いてやらないかというんですよ、灰ざらをね。それで吸ったものはそこに入れるようにすればいい。それはまたあとで話し合って、こういうときには仕事中だから絶対吸っちゃいかぬということもないでしょうし、その仕事の状況によっては吸っているところだってありますしね。ですから、そういうときはちゃんと灰ざらを備えて、その灰ざらの中に吸いがらを入れるというようにすれば問題は起きないわけでしてね。灰ざらも備えないで、そこへこすりつけるのはけしからぬと言っても、これはやっぱりなかなか問題があるわけです。
 これは一つの例ですけれども、そういうふうに何か権力意識といいますか、そういうものが先に出てしまって、さあこれについてきなさいという、そういう考え方が郵政の政策の中にはあるんじゃないですか。私はそういうものがなければ、こういうことが起きるとは思えないですね。もう少し働く人たちというか、職員の人たちとよく相談をして、いろんなものがきめられないものでしょうか。こんなのは全く恥ずかしい話ですよ、これはね。こんなことで訴訟を起こされるなんていうことは、まだこれからよく調べてみるというお話ですから、それは調べていただいて、次の機会にでもまた報告していただくことですけれども、いま申し上げたような、この訴状の中にあるような用便中の問題だとか喫煙の問題なんかについても、何かそこにはこう異常なものがあって、常識では考えられないような雰囲気というものがあるように思えてしかたないんですけれども、その点どうですか。
○政府委員(北雄一郎君) 私ども、当然話し合うべき問題については、十分話し合いをしろということを言っております。現に新宿の場合も、いま手元に資料ございませんが、交渉に応じないというような苦情もあったようでございますけれども、それに関連して調べてみましたら、やはり毎月三回か四回は組合といろいろ話をしておるというふうに聞いております。そういう中で話し合うべき問題については話し合いをする、これは当然のことだというふうに思っております。
 ただ、当該局は、御承知のように、あの地域の近年における異常な発展ということに伴いまして、逐年大幅の定員増がある局でございまして、数年前たしか五百名前後の局でありましたのがいまは八百名ぐらいの定員を擁する大きな局になっておる。したがいまして新しい職員というものがどんどん入ってくる。そういう中で非常に管理のむずかしい局の一つに数えられておることは事実でございます。しかしそういった職場でございますが、そういった中にも、先ほども大臣が言われましたように、そういう職場なりに秩序ある明るい職場をつくっていくということで管理者もいろいろ心を砕いておるというふうに思うわけでございます。
 その間、現実に仮処分ということが出ておるわけでございますから、いろいろなトラブルがあるという事実もあるわけでございまして、その点私ども把握しております。そういった問題につきまして、その仮処分の中には含まれておりませんが、それ以外にも病気休暇とかあるいは遅刻の処理の問題がございまして、そういった問題につきましては、五月の終わりの段階で、私どもも新宿局についての具体的なケースについて一定の線を出しまして、実は労使間では話がついた面もあるわけでございます。
 今後とも、当該局の労使間の問題につきましては、私どもといたしましても、十分注意を払っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○鈴木強君 個々の具体的な例については、きょうは私時間がありませんから省略さしていただきますが、先ほども大臣に申し上げましたように、やはり郵政事業は、大臣もおっしゃっているように、機械化もできない、すべてが人の力にたよらざるを得ない、こういう事業の特性ですから、やはりそこに働く職員が気持ちよく仕事ができるような待遇なり作業環境というものを整備してやる。と同時に職員には職員なりのいろんな希望もあるでしょう、要求もあるでしょう、そういうものに対して最大限耳を傾け措置をして差し上げる、こういうことによって郵政事業は私はほんとうの姿に戻っていくような気がするんです。
 ですから、大臣が先ほどから申されているように、第二組合を育成するような、そういうようなことは考えていないということです。しかし現実には、さっきから私が申し上げているように、個個の職場の中に具体的にそういう事例が出ておるわけでありますから、抽象論ではもう済まされない時期に来ておる。したがって、いま人事局長からお答えになったのはほんの一つの小さい問題のようですけれども、これはすべての問題に私は共通することだと思います。だからものの考え方、やり方が権力によってすべてをやるというそういう考え方、これは私は間違いだと思います。
 戦争前に、われわれが郵便局の職場におった当時、日給一円といわれると、こんな安い賃金はないと思いましても、自分一人では言えませんでしたよ。ですから、ときには泣きながら仕事をすることもありました。勤務時間が二十時間とか十五時間といわれましても、こんな長い勤務時間はないと思ってもこれはどうにもなりませんでした。それは当時労働組合がないからでしたね。一人一人の職員は、非権力者は権力者の中で泣いて仕事をするというのが戦前における日本の郵政職員であり、多くの職場にそういう現実があったと思うんです。戦後、新しい時代が生まれて労働三法が制定され、労働者が対等の立場に立ってものが言える時代に来た。そういう中で労働組合が結成され、その組合員が団結をしてみずからの要求をかちとっていく、これも当然のことです。
 したがって、それに対して意識的に脱退運動をあおり、そそのかし、くどいようですけれども、いろんな金をいろんな形で使って、そして脱退運動をする。さらにまた人事権によって不当な扱いをする。第二組合に行ったら、そういう人は先に主任になるというようなことが現実に人事の面である。こういうことをして郵政事業をうまくやろうとしたって、これはもう本末転倒もはなはだしいわけでして、これでは絶対に郵政事業は国民から信頼されるようにはならぬ。そういうことが今日の遅配を起こし、郵政事業が国民から背を向けられていることだと私は思うんです。そこに私は根本的な原因があると思う。
 だから、そういう間違ったやり方をやめて、ほんとうにささいなことであっても、働く人たちとよく相談をして、理解と納得を得てやるというその姿勢が出てくれば、また職場の人たちも責任をもってきめたことをやっていこうということになると思う。ものの考え方ですよね。ですから戦前のお役所における官吏服務規律、その中で絶対的に管理者が権限を持っておったときと違うわけです。ですから、そこには大きな頭の切りかえと、近代的な労使慣行の中に郵政事業を立て直していこうという、そういう脈々とした一つのパイプがない限りは、いまのような姿は、私は残念ですけれども、続いていくと思うんです。これを直すのが大臣の責務でしょう。われわれも何年か何年かこのことを歴代大臣にもお願いをし、迫ってきておるわけですけれども、依然として間違った方向が直っていない。そこいらに私は大きなあやまちをおかしている郵政省の政策があるんではないかと思うんでございます。
 大臣、あなたは国務大臣であり郵政大臣ですから、郵政の局長の間違ったところは、あなたの権限によって正させなければならない、正させることができるわけでしょう。そういう立場にいらっしゃるわけですから、ひとつ勇気と決断をもって、いまの郵政事業を国民の期待に沿えるような方向に持っていくために、間違った第二組合の育成や全逓の切りくずしなどということは直ちにこれをやめて、そして近代的な労使慣行を確立するように、大臣が死にもの狂いのひとつ努力をしてもらいたい、これが私の切なる願いなんです。どうかひとつ大臣、勇気をもってがんばってもらいたいと思う。もう一度ひとつ大臣の決意を聞きたい。
○国務大臣(久野忠治君) 御意見の点は十分配慮いたしまして、努力をいたしてみたい、かように存じます。
○鈴木強君 どうも、大臣のおっしゃる、その御趣旨の点をというのですけれども、これはいま始まったことでなくて何回も何回も言っていることですし、私ども抽象的なことではもうだめだと思うんですね。ですから、何か具体的に、そういう問題について、大臣が、あやまちを直すためにこうするとか、こうしなければいかないんだという、問題の具体性というものをやっぱりここへ出してもらわなければこれはだめなんですよね。そういう意味では、もう少し、われわれが見て、なるほど大臣もやってくれるなという、そういうふうなものが映るようなやっぱり御決意がなければこれはだめですよ。何か消極的のように思うんですが、どうですか、その点は。
○国務大臣(久野忠治君) 十分御意見の点を身に体しまして、検討さしていただきたいと思います。
○委員長(茜ケ久保重光君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
   午後二時四十四分散会