第071回国会 予算委員会 第9号
昭和四十八年三月二十三日(金曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     川上 為治君     林田悠紀夫君
     田中寿美子君     田  英夫君
     川村 清一君     竹田 四郎君
     瀬谷 英行君     和田 静夫君
     三木 忠雄君     藤原 房雄君
     木島 則夫君     萩原幽香子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大竹平八郎君
    理 事
                上田  稔君
                佐藤  隆君
                高橋 邦雄君
                西村 尚治君
                米田 正文君
                森中 守義君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
                向井 長年君
    委 員
                小笠 公韶君
                梶木 又三君
                片山 正英君
                木村 睦男君
                楠  正俊君
                熊谷太三郎君
                小山邦太郎君
                古賀雷四郎君
                塩見 俊二君
                白井  勇君
                竹内 藤男君
                玉置 和郎君
                中村 禎二君
                長屋  茂君
                林田悠紀夫君
                細川 護煕君
                山崎 五郎君
                山内 一郎君
                吉武 恵市君
                足鹿  覺君
                上田  哲君
                川村 清一君
                小林  武君
                瀬谷 英行君
                田中寿美子君
                羽生 三七君
                前川  旦君
                安永 英雄君
                和田 静夫君
                塩出 啓典君
                藤原 房雄君
                三木 忠雄君
                矢追 秀彦君
                萩原幽香子君
                岩間 正男君
                渡辺  武君
                青島 幸男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   田中 角榮君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  三木 武夫君
       法 務 大 臣  田中伊三次君
       外 務 大 臣  大平 正芳君
       大 蔵 大 臣  愛知 揆一君
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
       農 林 大 臣  櫻内 義雄君
       通商産業大臣   中曽根康弘君
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
       郵 政 大 臣  久野 忠治君
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
       建 設 大 臣
       国 務 大 臣
       (近畿圏整備長
       官)
       (中部圏開発整
       備長官)
       (首都圏整備委
       員会委員長)   金丸  信君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 二階堂 進君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       坪川 信三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       福田 赳夫君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  増原 恵吉君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂善太郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       前田佳都男君
   政府委員
       内閣法制局長官  吉國 一郎君
       内閣法制次長   真田 秀夫君
       内閣法制局第一
       部長       角田礼次郎君
       警察庁長官官房
       長        丸山  昂君
       警察庁刑事局保
       安部長      斎藤 一郎君
       行政管理庁行政
       管理局長     平井 廸郎君
       行政管理庁行政
       監察局長     大田 宗利君
       防衛庁参事官   長坂  強君
       防衛庁長官官房
       長        田代 一正君
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛庁人事教育
       局長       高瀬 忠雄君
       防衛庁装備局長  山口 衛一君
       防衛施設庁長官  高松 敬治君
       防衛施設庁施設
       部長       平井 啓一君
       経済企画庁調整
       局長       新田 庚一君
       経済企画庁国民
       生活局長     小島 英敏君
       経済企画庁総合
       計画局長     宮崎  仁君
       科学技術庁長官
       官房長      進   淳君
       科学技術庁研究
       調整局長     千葉  博君
       環境庁企画調整
       局長       船後 正道君
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
       法務省民事局長  川島 一郎君
       外務省アジア局
       長        吉田 健三君
       外務省アメリカ
       局長       大河原良雄君
       外務省条約局長  高島 益郎君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
       大蔵大臣官房審
       議官       大倉 眞隆君
       大蔵省主計局長  相澤 英之君
       大蔵省理財局長  橋口  收君
       大蔵省理財局次
       長        後藤 達太君
       大蔵省理財局次
       長        小幡 琢也君
       大蔵省銀行局長  吉田太郎一君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省大学学術
       局長       木田  宏君
       文部省体育局長  澁谷 敬三君
       厚生省公衆衛生
       局長       加倉井駿一君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       穴山 徳夫君
       厚生省年金局長  横田 陽吉君
       農林大臣官房長  三善 信二君
       農林省農蚕園芸
       局長       伊藤 俊三君
       食糧庁長官    中野 和仁君
       水産庁長官    荒勝  巖君
       通商産業省公害
       保安局長     青木 慎三君
       通商産業省重工
       業局長      山形 栄治君
       通商産業省化学
       工業局長     齋藤 太一君
       運輸省港湾局長  岡部  保君
       運輸省航空局長  内村 信行君
       気象庁長官    高橋浩一郎君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   舘野  繁君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   牧野 康夫君
       郵政省電波監理
       局長       齋藤 義郎君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       道正 邦彦君
       労働省職業安定
       局審議官     中原  晁君
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省住宅局長  沢田 光英君
       自治省行政局選
       挙部長      山本  悟君
        ―――――
       会計検査院長   白木 康進君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   参考人
       チッソ株式会社
       取締役社長    島田 賢一君
       日本住宅公団総
       裁        南部 哲也君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十八年度一般会計予算
 昭和四十八年度特別会計予算
 昭和四十八年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 これより、昨日の質疑に引き続き、三木君の質疑を続行いたします。三木忠雄君。
○三木忠雄君 それでは、昨日の質問に引き続きまして、きょうは特に日中航空交渉の問題について、外務大臣並びに総理の見解を伺いたいと思います。
 まず最初に、外務大臣に伺いますが、日中航空交渉の第一次交渉団が十八日に帰ってこられて、現実に帰国報告を受けられてから、外務大臣は今後どのようにその問題に対して感じられて、どう対処されようとされているか、この点についてまず最初に承りたい。
○国務大臣(大平正芳君) この予備交渉団の任務は、まず第一に、日中双方の協定の案文を詰めることでございまして、おおむねその任務を終えて帰ったわけでございます。しかしながら、この案文を詰める交渉の過程におきまして、日中双方の間で隔意のない意見の交換、意思疎通の機会が得られたことは、私は幸いであったと思っております。それを通じまして、全体の問題につきまして、先方が何を考えられておるかというようなことにつきましても、若干の感触は得て帰ったわけでございます。したがって、私といたしましては、今後残された協定案文の最終的な詰めを進めてまいりますと同時に、具体的な路線問題につきまして、運輸省当局と協力いたしまして、最終的な判断に必要なデータを正確に収集、整理することが当面の任務であると心得て、運輸当局といま打ち合わせをいたしておる段階でございます。
○三木忠雄君 聞くところによりますと、相当基本姿勢にも食い違いがあったんじゃないか、事務段階の相互の交渉としては、いろいろな点は終えられたと思いますけれども、やはりこの路線の問題、あるいは以遠権の問題等についてのいろんな、双方の基本的な姿勢に対する相当な食い違いがあると、こういうふうに私たちは聞いているわけでありますけれども、具体的にどのような点が食い違いをしておるのか。この点について外務大臣はどう考えていますか。
○国務大臣(大平正芳君) この協定は、日中間の航空協定でございまして、三木さんの言われる基本姿勢について食い違いがあると私は考えていないのであります。私どもがこの協定に臨む態度と、先方が臨む態度に大きな食い違いはないのでありまして、問題は、今後具体的な路線をどのようにとってまいるかという技術問題が一つと、それから、協定とは直接関係はないわけでございますけれども、従来事実上の関係で継続してまいりました日台路線をどういう姿で継続してまいるかということが、今後詰めてまいらなければならぬ問題であろうと思うんでございまして、あなたの言われるように、基本的な姿勢に食い違いがあると私は理解いたしていないのであります。
○三木忠雄君 そうしますと、これは運輸大臣に伺いますけれども、この路線の廃棄の問題ですね、あるいは減便の問題、こういう問題については、具体的にどのように進められているのかどうか、これについてお伺いしたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいま外務大臣から御報告がありましたとおりでございますが、具体的な問題としては、昨年の十一月でございましたか、わがほうから一つの試案を向こうのほうに送っております。それに対しまして、今度は中国側からいろいろ意見が出されたということでございまして、これは予備交渉団と言っておりますけれども、そういう問題について、双方協議をして何か結論を得るという目的を持って行ったわけではないわけでございまして、お互いに双方の主張、双方の意見を忌憚なく述べ合って、そうしてどういう点に問題があるかということをお互いに確認し合うというような交渉団であったと思うのでございまして、具体的にはいろいろ意見があったようでございます。日本側が試案として出しました案そのままではないということは言えますけれども、これは外務大臣が述べられましたように、お互いの具体的な問題についての意見が多少違っておる点はありますけれども、これは、基本的にそれは絶対に相いれないものであるというようには考えてはおりません。問題の内容につきましては、ただいま外交交渉の最中でございますから、具体的にここで申し上げることは差し控えたいと思います。
○三木忠雄君 そうしますと、この航空交渉、特にきょうの新聞等でも報道されているように、初の中国機がきょう羽田に飛来する、こういうふうな情報を私たちは新聞で見ているわけでありますけれども、具体的にこの問題は今後の航空交渉にどういうような影響を与えるのか、あるいはいままで交渉されてきたこのきょうの乗り入れまでの具体的な折衝の過程について、外務大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) きょうテスト飛行が行なわれると聞いておりますが、これは先方からの要望がございまして、日本側が受け入れたことでございまして、今後の航空協定自体と直接関係はないわけでございます。すでに去年の秋は当方から申し入れて同様なことが行なわれた経緯もあるわけでございまして、面接航空協定そのものとは関係はございません。
○三木忠雄君 そうしますと、現実に外務大臣は基本姿勢には大きな差はないと、こういうふうに認められているわけだと私は思うんですね、いまの答弁からしますと。そうしますと、やはり路線の減便の問題か、まあ外務大臣も前回もいろいろ答弁されているように、日中の友好関係をそこなわない範囲でこの日台路線も維持していくような話をされておりますけれども、具体的にはもうやはり空港をどこへ移すかどうかという問題より、私は路線の問題をどうするかということに、それに焦点がしぼられているんじゃないかと思うんです。その点については外務大臣のやはり政治判断にまかされているんじゃないかと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどお答え申し上げたように、私どもが判断する場合のいろいろ技術明なデータを正確にそろえてもらわなければならない。日本の空もなかなかふくそういたしておる状況でございまして、その状況のもとで安全な運航を確保してまいる、日中路線、日台路線、いずれも確保してまいりたいと思うわけでございますが、そういう具体的な正確なデータを十分取りそろえた上でわれわれが判断しなければならぬ問題であります。いまそういうデータを取りそろえるように、外務、運輸両当局で打ち合わせ中でございます。
○三木忠雄君 なかなか外務大臣の答弁も明らかにされないわけですけれども、運輸大臣にもう一つ伺いたいんですけれども、いま日航と台湾との間の航空便、特に夏季臨時便がいま申請されていると思うんです。あるいは台湾からの要請が、夏季臨時便の要請が出ていると思うんです。これは運輸省当局としての決断に迫られていると思いますけれども、具体的に申請どおりに認可される予定かどうか、これについて伺いたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 日本航空及び中華航空両方とも、私の手元には、いまお尋ねの夏季臨時便の申請はまだ届いておりません。
○三木忠雄君 どうも事務段階でとまっているような話をしているそうでありますけれども、現実にこれは運輸大臣に判断を迫られている問題だと思うのですね。三月中にこれははっきりしなければ、日本航空は事業年度は四月からですね。この航空便の計画は来事業年度に入っているんですね。この問題についてはいつまで決断を出される予定ですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) もちろん申請がありますれば、すぐに、審査をいたしまして決定をしなければならぬと思っておりますが、今日までのところまだ両方から――先ほど申し上げましたように、まだ夏季の臨時便の問題は手元に申請書が出ておりません。出てきましたならば、なるべくすみやかにこれを決定しようということでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、出てきていないということは一応認めるとしまして、運輸大臣のところで必ず今月までに決断を迫られると思うんです。運輸大臣自身としては、この問題に対して、減便の予定でこの臨時便の運航許可を認めるのかどうか、あるいはそのまま継続の立場で認めるのかどうか、この点について伺いたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 日台間の航空路線の問題につきましては、一般的な姿勢として、先ほど外務大臣がお述べになったとおりでございまして、現に大体月に二万人程度の旅客の往来がございまして、貿易、経済、その他の交流もございますから、先ほど外務大臣も言われましたように、日中国交正常化をした、共同声明が出た、その基本的な方針に非常にそむくようなことのない程度におきまして、やはりこれは維持をしていくのが自然の流れであるだろうと考えておるんでありまして、そういう点を考えまして、この問題の処理につきましては、外務大臣の意向もよく聞いた上で最終的に判断をしなければならぬと考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、もう一度外務大臣に伺いますけれども、この臨時便の問題に対して、やはり日中の友好関係をそこなわない範囲という、こういう前提があると私は判断するんですね。そうしますと、この夏季臨時便等については、外務大臣はどういうふうな考え方を持っているのかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) まだそういう御相談を受けていないわけでございまして、ただいまの段階でお答えできることは、三木さんもよく御承知のとおり、日中関係の基本的な信頼関係をそこなわない範囲内において台湾の問題は処理してまいるということを信条といたしまして、個々のケースに対処したいと考えています。
○三木忠雄君 なかなか納得しがたい問題なんですけれども、そこまでしか言えないような理由も私はあると思うのです。しかしながら、四月に廖承志会長一行大型代表団が来る。あるいは中国の大使が三月の末に赴任する、これは特別機を予定しているそうでありますけれども、このことを通して、現実に日中航空協定の交渉は、要人は特別機を利用するけれども、日中の航空協定は相当おくれるという判断のもとにこういう特別機の乗り入れを認める、こういう考えなんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 日中航空協定自体は、政府間で交渉が妥結いたしましても、国会に批准を求めなければならぬ性格のものでございまして、そういう一迫の手順を考えますと、早急に仕上げてまいるということについては相当の時間を要するのじゃないかと考えております。伝えられる廖承志氏の来日に間に合えばけっこうでございますけれども、必ずしもそれが確信を持って言えないというのが今日の状況でございます。そういう状況のもとで、先方から要請がございますならば、相互主義のたてまえで、先方の要請に対して快く、特別機の乗り入れにつきまして政府として受け入れいたしたいという気持ちでおります。
○三木忠雄君 それでは最後の問題として、今後の具体的な日中航空交渉のスケジュールを、外務大臣としてはどのような段取りを考えていらっしゃるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 第一次の予備交渉団が帰ってまいりまして、案文の詰めを、これから仕上げていかなければいかぬわけでございまして、その詰めるにあたりまして、先方の方に東京に来ていただくとか、こちらから北京に参るとかいうような若干の過程があり得ると私は考えております。
 一方、外務、運輸両当局では、先ほど御答弁申し上げましたように、技術的な実態を検討いたしておるわけでございまして、私どもは、判断するに必要にして十分な材料を整えてもらわなければいかぬわけでございまして、そういう政府部内の検討をずっと精力的に続けてまいりたいと考えておるわけでございまして、そういった一連の仕事が終えた段階で、最終的に、仕上げはどういう姿でやるかにつきまして、いま、まだ考えていないわけでございまして、どういうレベルで、どこで仕上げをやるかということにつきましては、今後の経過を見ました上で判断せにゃならぬと思っておりまして、いついつ、どこでどういうレベルで最終の詰めをやるかということにつきましては、まだ考えがまとまっておりません。
○三木忠雄君 それでは、次に航空行政の問題について、一、二問伺いたいと思うんです。
 特に、航空行政はあくまでも私は安全第一主義でなければならないと思うんです。しかしながら、最近の東亜国内航空のDC9の導入について、どうも納得のできないような問題があまりあり過ぎる、こういう点が私は考えられるわけです。
 二月九日に衆議院の予算委員会で、わが党の大橋、山田両議員からいろいろこの問題について質問がありましたけれども、具体的に運輸大臣の答弁としては、このDC9の導入については白紙である、慎重に検討する、こういう段階で、その後の経過を私は見守っているわけでありますけれども、現実に、この白紙である、慎重に検討すると言って、その後の経過についてはどういうぐあいになっておりますか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 東亜国内航空のDC9の導入計画につきましては、いまお示しのように、衆議院の段階でも御質問がありましたのに対しまして、この点は、そういう申請がありましたが、安全であるかどうかということを第一義にいたしまして検討いたしておりますということをお答えしたのでございます。
 この東亜国内航空の路線のジェット化の計画につきましては、計画そのものとしては一応うなずける点がございますが、一気に十四機のDC9を導入したいという計画でございますので、ただいまも引き続きまして、安全運航の確保というものを第一義といたしまして、その計画の内容について詳細に検討をさしておる段階でございます。
 どんな点が検討事項になるかということを御参考までに申し上げますと、DC9の運航、整備体制のために、一方では、東亜国内航空は、大体YS11型機を主力にしております。そのYS11型機もやはり使わなきゃなりませんが、そのほうの安全体制の確保に支障を生ずるおそれはないのかということが、やはり考えられなきゃならぬ問題だと思います。それから、DC9そのものにつきましても、これは初めて入れる飛行機でございますから、それの運航、整備の体制を確立するために、これは相当に考慮しなきゃならぬ問題が多いのじゃないか、また、一気にそれを導入いたしましても、その人員あるいは施設等において欠陥が出るんじゃないかというようなこともございまして、この点については、DC9そのものの安全性というのは世界的にも大体これは立証されているところでありますが、それを受け入れた場合の運航及び整備の安全体制をどうするかということが一つの問題であるかと思います。
 それから、いまの、これは飛行機そのものの安全性とは関係はないのでありますけれども、東亜国内航空の航空路線の計画によりますと、既存の航空会社の路線と、ある意味において競合するような路線が生ずるおそれがございます。この点につきましては、先年の閣議決定――閣議の了解でございましたかによりまして、国内の航空企業の体制を整備いたしまして、そのときの申し合わせといいますか、そのときの方針からいいまして、こういった問題については、お互いに共存共栄でいかなきゃならぬということで、ある程度の調整が必要になってくるかと考えるのであります。なお、その当時、これは運輸大臣の示達として、各航空会社に出した中の一つでございますが、東亜国内航空が生まれ変わるといいますか、ああいうふうな体制で再出発をすることになりましたにつきまして、今後の発展については、先進の航空会社の技術的な協力を得なきゃならぬということになっておるんでありますが、この点につきまして、先進会社の他の三社がどの程度まで現実的に協力ができるかというようなことについても、十分これは他の各社の協力体制を検討する必要があるのでございまして、そういう点が、いま検討事項のおもなものになっておりまして、これはいつまでもほっとくわけにはいきませんから、結論を急いではおりますけれども、そういう事項についての検討のために、まだ最終結論が出ていないというのが現状でございます。
○三木忠雄君 そうしますと、これは白紙ではなしに、導入を進めるという仮定のもとでの検討、こう解釈してよろしいですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 航空会社がどういう機種を使うかということは、これは自由に各企業の選択にまかしてございます。運輸省といたしましては、それを受けまして、いま申し上げたような全体の航空体制の中において、そういう機種を入れてどういう運航をするかという事業上の問題と、それよりも大事なことは、この飛行機の導入によりまして安全体制が確保できるかどうかということをむしろ第一義にいたしまして、両面から検討していくということでございます。
○三木忠雄君 私は、このいろんな過去のいきさつ等についての具体的な問題は、きょうは論議したくはありませんけれども、実際に、三月末ごろまでにこれが結論を出さなければならないような態度に迫られているんじゃないかと、その点私は非常に心配な問題がある。特に、東亜航空は約四十億ぐらいの赤字をかかえながら、一挙に十四機も導入するという、こういうふうな計画を運輸省が認めるとすれば、これはまさしく、安全よりも、あるいは業者にあるいは一部の手にゆだねられて、航空行政が曲げられてしまっているんじゃないかと、こういう危惧を抱くわけでありますけれども、この東亜航空のDC9の導入は、こんなに早くまでして決定をしなきゃならない問題であるかどうか、この点についてもう一度伺いたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 東亜国内航空としては、そういう計画を、たぶんこれは一月だったと思いますが、一月に提出されまして、早くその結論を出してほしい、方向だけでもきめてもらいたいということを言ってきておることは事実でございますが、私は、先ほど申し上げましたように、そういういろいろの問題が検討中でございますので、いまお話しのように、三月一ぱいに必ず結論を出さなきゃならないんだということは考えてはおりません。しかし、先ほども申し上げましたように、そういう機種を選んできたその計画に対しまして、この点はいいとか、この点は困るとか、この点はこういうふうに修正したらどうかというようなことは、なるべく早く結論を出してやるようにして、東亜国内航空の将来の経営方針に対しまして、一つのやっぱり進路を与えてやるのが当然かと考えております。
○三木忠雄君 これはまあ非常に私は意味のある発言だと思うんですけれども、まあ国会で、運輸大臣が慎重に検討すると、こういうふうに約束をしたやさきに、翌日の記者会見で東亜国内航空の社長は、この秋にDC9を導入して、東京−釧路間を運航するんだというような、こういうふうな運輸大臣あるいは航空行政をなめたような発言をしている。こういう問題に対して運輸大臣、どうとるのか、どう考えるのか、この点について伺いたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 東亜国内航空の社長が、記者クラブでございますか、何かそういったところで、いまおっしゃったような発言をされたということを間接に聞いたのでありますが、これは東亜国内航空の社長のことばでございまして、運輸省といたしましては、いま申し上げた方針で処理をしていくつもりでございますから、社長がどういうふうな考えで、どんなことをお述べになりましたかよく存じませんけれども、それによって、運輸省としましては、いささかも拘束されるものではないということを御了承いただきたいと思います。
○三木忠雄君 これは総理に伺いますけれども、運輸大臣が白紙にすると、こういうふうに検討すると言ったやさきに、このような強気の発言を吐いている陰には、東亜国内航空の会長が総理を訪問して、DC9の問題でいろいろ話し合いをした、こういう話を私は聞いているわけでありますけれども、総理は、現実にもう東亜国内航空のDC9のこの導入の計画については了解を与えたんでしょうか、この点についてお伺いします。
○国務大臣(田中角榮君) 与えておりません。
○三木忠雄君 要請があったことは事実ですか、これは。
○国務大臣(田中角榮君) 東亜国内航空の会長というよりも、もとの毎日新聞の会長ですから、私と同じ姓であります。私と橋本幹事長と、ときどきゴルフをやっておったんですが、この一、二年やってないのでいつかやろうと、こういうことでございまして、寄ったわけでございます。私は、いま、次の日曜日にそういうことができるかどうか予定を組めないような状態だから、別な人とやってくれと、こういうことを述べたときに、DC9の問題に対して四、五分話がありました。これは、東亜国内航空というものの運営上必要な、過当な機種であるということで、いま運輸省にお願いしていますと、運輸省でも国会でも議論があった問題だし、運輸省は安全第一で慎重に調査をしておるはずだからその結果を待ちなさい、その結果を待つ以外にないと、こういうことでありました。
○三木忠雄君 この問題の具体的なことについて、私は運輸委員会等を通していろいろ究明したいと思うんですけれども、具体的に、この東亜国内航空が航空行政というものを非常になめているというか、そういう点、私は非常に感ずる。あの「ばんだい」号事件が起こったときにも、丹羽運輸大臣からもいろんな改善勧告が出ているわけです。あるいは、東亜国内航空は、ジェット化なんかについては政府が関与すべき態度ではないんだと、こういうふうないろんなことを、一貫して政府の航空行政をあまりにも甘く見過ぎるのじゃないか、あるいはなめられているのじゃないかといり私は姿勢があると思う。まさしく、航空業務の女全第一というこういう問題が、まさしく、こういう業界になめられ切っているのじゃないか。あるいは機種の導入についても、いろんな商社がうごめいていることを、私は具体的な例も知っております。こういう点が、あまりにもこの航空機導入にからんで、いやな感じを受けるわけです。この点については、もっと運輸省当局として、き然たる態度で臨むべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 私が非常に微力でございますから、なめられているとおっしゃればなめられているのかもしれません。しかしながら、御安心願いたいと思います。私は運輸大臣を拝命いたしましてから、特に航空機につきましては、安全第一をモットーにして各社を指導しておるつもりでございます。日航の問題が起こりましても、日航問題だけではなしに、東亜国内航空も全日空も同様であるというので、関係の各社の社長、会長を呼び出しまして、厳重に注意を与えました。これについてあなた方はいまどういうことを措置をしておるのか、今後どういうことを措置されようとするのか、具体的に意見を出しなさいということで、意見を徴しまして、その報告を持ってまいりまして、これに対しまして、私は、ここで報告書をお出しになった以上は、これは私との約束ですと、これをあなた方は全責任を持って守ってくださいということを指示したのでございまして、たいへん微力で申しわけございませんが、航空の安全、航空事業を正常な状態で動かしていくということにつきましては、及ばずながら微力を尽くしておるということを御了承いただきたいと思います。
○三木忠雄君 私は、もうこれは強い決意で臨んでいただきたいと思うんです。いやしくも飛行機の導入等について、安全をそこなうようなことがあったら、これは国民にたいへんなことです。この点は、厳重にひとつ導入計画についての検討をしていただきたいと思うんです。
 それからもう一つ、私は、航空局として、省として納得のできない問題は、フライトチェッカーの導入について航空局のとった態度が、当初、ボーイング737を四十七年度の補正予算で五億八百万円を計上しておった。ところが、 DC9も、新たにこの東亜航空の導入の段階になって、これを検討するようになってきたわけです。ついに去る十三日には、この両者を打ち切って、ロッキードのガルフストリュームの購入を、小型機にわざわざ変えたという、こういう理由があるんです。これはあくまでもDC9の検討を加えた段階でのいろんな処理だと私は思うんですけれども、このように右に左にゆれる航空行政というものは、私は納得しかねると思うんですけれども、これのいきさつについてお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまのは、フライトチェッカー機の購入の問題に関連してだと思いますが、事務当局でどういう経過があったかはよく存じません。私の手元にまいりましたのは、四機種の比較表が出てまいりました。この問題につきましては、御承知でもございましょうが、昨年の臨時国会におきまして、補正予算として成立さしていただいたものでございまして、これによりまして、従来は、YS11型機を使いまして高々度の飛行検査をいたしておったのでありますが、性能の関係から、YS11型機はそれに非常に不向きでございまして、十分な検査ができなかったのであります。でありますから、ジェット機が非常に多くなりまして、非常に高い高度の飛行をします。それに関連いたしまして、どうしても航空局といたしましては、このレーダーの有効到達範囲を検査をいたしましたり、御承知のVORとかDME等によりまして、非常に高度の飛行をやっております航空機に対しましてその位置の測定をしてやるというような必要から、非常に高いところを飛んでおる飛行機に対する安全度を高めるための施設が必要になってきたわけでございまして、そのために非常に高いところを飛べるような、この飛行機の導入が必要になってきたわけでございます。それがこのフライトチェッカーの問題でございまして、いろいろの比較表が出ております。三木先生もある程度それは資料を入手しておられるかと思いますが、それで、この問題につきましては、いろいろ巷間言う人がありますけれども、この問題については、どの飛行機を導入してくれとかというようなこと、私のところにはどなたからも一度も電話もございません。書面による申請もありません。御依頼もございません。私は、自分の責任においてこの問題をきわめて事務的に処理いたしました。申すまでもありませんが、この飛行機の導入につきましては、非常にまあ高いといいますか、非常にやはり一機でも相当の値段のする飛行機を導入するわけでございますから、慎重の上にも慎重に私は検討いたしました。この飛行性能、それから搭載能力、それから整備、補給、経済性というようなものを比較検討いたしました結果、事務当局もこれが一番よろしいということで、私も同様に考えましたので、私の責任においてこれは決定をいたした次第でございます。その間、いろいろ何かうわさがあるとおっしゃいますけれども、どういううわさがあるか、私は存じませんが、これはきわめて事務的に、きわめて公正に、国費のむだがないように、安全を保持できるようにということを主眼にいたしまして、これは努力に努力を重ねた結果決定した次第でございます。
○三木忠雄君 そうしますと、非常にふしぎな問題になってくるわけです。この737を四十七年度の補正予算に計上していた段階でいろいろ検討されたと思うんです。それがはずされて、あるいは二月に東亜国内航空がDC9の導入計画を運輸省に出した段階において、フライトチェッカーのこの購入の段階と合わせてDC9を新たに検討の段階に加えた、こういうふうに私はいろいろ聞いているわけでありますけれども、こうなりますと、この東亜国内航空のDC9の検討と合わせてこの737ははずされた、こういうふうに解釈してよろしですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 事務当局の検討段階でどういう順序を経たかは実は私よく知りません。私が就任いたしまして以後、これは補正予算が成立し、本格化したものと思いますけれども、その段階で大体まあ金額の点におきましても、あるいは、何といいますか、どのくらい高いところが飛べるかということ、それから巡航速度、そういったものを考え合わせまして、大体こういう機種が考えられますというので、私のところへ持ってきたのは四種類ございました。それを比較検討したのでございます。いまお話のように、737がどうだとかDC9がどう、だとか、そういうふうないろいろわき道の考慮によりまして、この候補になった機種を選定したものではないと私は考えておりまして、結局、このガルフストリューム2という、それを選んだのも、彼此勘案いたしまして――これは値段も安いんです。それから航続距離も長いんです。また、一番高く飛べるんです、四万フィート飛べるのです。四万三千フィートですか。そういうことからいたしまして、この機種はアメリカにおいてはコーストガードにずいぶん使われておるようです。そういう点を考えまして、私はこの機種がいまの高々度の検査のためには最も適当であるということを信じまして、確信を持って自分の責任で、これはきめた次第でございます。
○三木忠雄君 そのようないろいろな検討段階から考えて、そうしますと、DC9の東亜国内航空の導入の問題、特にDC9についてはいろいろ検討の結果、運輸省もだめだと判断をされたんじゃないですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) DC9がだめだとおっしゃった意味がよくわからないんですが、いまの高々度の試験検査をするのにはDC9よりも、いまのきめました機種のほうがよりいいということを言ったのでございます。DC9は世界的にも旅客機としましては相当にこれは普及されている飛行機でございますから、DC9がだめだということは、そのおっしゃった意味がよくわかりませんが、旅客機としては不適当だということではないと思います。ただ、申し上げましたように、航空局でこれから使おうとする高々度の実験をする飛行機としましては、さらによりいいのが、いま選んだ機種であると、こういうことを申し上げているわけです。
○三木忠雄君 もう、あまり時間がありませんので、これ以上深く入りませんけれども、実際にDC9、これが私は既定の事実として、当初は十四機購入されないでしょうけれども、二機あるいは三機導入しながら、最終的にそういう段階に持っていくという、こういう段階にもしや私はいくようなことになったならば、これはたいへんなことだと思うのです。この点について、私は今後この決定を見守りたいと思っておりますし、もう一つ私は納得できない問題は、このフライトチェッカーの整備の問題は、これは時間がありませんから議論できませんけれども、実際に小型機で技術上は非常に不可能だと、こう言われているわけです。いわんや米国の騒音規定の証明が取っていない飛行機がこのガルフストリュームだと、こう言われているわけです。こういう点を考えても、この購入の問題を考えて、あるいは購入金額は安いかもしれないけれども、今後の修理費には、たとえば737の二倍あるいは二倍半以上の整備費がかかるという、こういうふうなガルフストリューム、こういう点を考えても、あまりにも右にゆれ左にゆれ、この航空機の導入等についての運輸省の考え方は、私は納得できないと思うんです。これをもう一度明確にしておいていただきたいと思うんです。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 技術的な専門家でありませんから、あまり技術的にわたる詳細な説明はできないのでありますが、このガルフストリューム・ナンバー2、これはアメリカの騒音規定にも合格しておる飛行機でございます。これはDC9も、それから737も同じことでございまして、それから、いずれもこまかい資料がございますが、ごく簡単に申しますと、先ほども申し上げましたが、他のDC9とか737等に比べまして、はるかにこれは値段も安かったんです。それから上昇の高度もはるかに高いところを飛べる。一万フィートぐらいよけい高いところを飛べるんです。それから巡航速度も早いんです。航続距離も長い間行くんです。ただ、これは旅客機じゃありませんから、非常に中のスペースが大きくない。そのために、いろんな計器類を積みます場合に、中身が広くありませんから、その点で多少の窮屈さはありますけれども、これは克服できないものではなくて、その中に計器類は十分積めますということが確実になりましたので、これに決定をしたということでございまして、御心配のような点は一応私のところでも十分検討いたしまして、そういう心配がないような配慮をしながら、これを決定したという点を御了承いただきたいと思います。
○委員長(大竹平八郎君) 時間ですから、ごく簡単に。
○三木忠雄君 もう時間が参りましたので、要望をして私の質問を終わりたいと思うんですけれども、飛行機の導入等について、あくまでも安全第一という航空行政の精神は強力に貫いてもらいたい。いやしくも、この飛行機の導入等をめぐって、あらぬうわさが巷間に流れるような、こういう問題が起こらないように、もっと行政当局はきびしい態度で臨んでいただきたい。このことを要望して私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) これにて三木君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(大竹平八郎君) 田中寿美子君。
○田中寿美子君 十五日の日に、私、質問を保留いたしましたのは、財政投融資資料の四十七年度版を出してくださいということを要求いたしましたけれども、それを出していただけなかったからでございますが、私がそれを要求しましたねらいですね、ねらいは三つあったわけです。
 一つは、いままでさんざんわが党も、また、ほかの野党からも要求してまいりました財政投融資資料がなかなか出してもらえない。で、秘密にすべきものでないものを秘密扱いしたことに対する抗議と同時に、今後こういう資料は公表してほしい、国会の審議にかけよということを言いたかったことが一つ。それから第二点は、もっと重要なことなんですが、この私が手に入れました、一万円で買った四十五年度版によりますと、非常にたくさんの問題点がある。特に、財投というのは、政府のGNP第一主義の経済政策のもとで、大衆の貯金や社会保険の拠出金、つまり大衆資金を原資として、そして財政投融資資金という名前でトンネル式に資金を企業にばらまいている。こうして利潤をあげている、その仕組みを、からくりを国会の中で、あるいは国民の注意を喚起したかったということです。それから第三点は、ことしは年金の年だというふうに言っていらっしゃる。ほんとうに五万円年金にするのに、財源がないのかどうか。これを見てみて、その立証をしたかったわけです。
 それで、総理大臣並びに大蔵大臣の、この三点についての御感想を伺いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 資料の問題でたいへん御論議をわかしまして恐縮に存じております。
 ただいま御質問の三点でございますが、それぞれ関連しておるようにも思われますけれども、まず第一点は、そのときにも政府委員から御説明したと思いますけれども、古本屋に出ておりました資料というのは、内部の執務上の資料でございまして、そのままの姿でごらんに入れるようなものではないと、まあ、平たく言えば、こういうわけでございまして、御所望の資料につきましては、その後も提出をいたしておるような次第でございますし、国会に対して秘密にするようなことは厳に慎まなければならない。これが今回財投につきまして国会の議決の対象にする法律を御審議願っておるのもそこにございまして、こういう機会にあらためて財投というものを国会を通して国民の皆さまに一そうの御理解を深めていただき、また同時に、御批判を十分ちょうだいいたしたい、こういう趣旨でございますから、この機会にますますそういう姿勢で臨んでまいりたいと思います。
 それから第二点は、これは財投の中身の本質にかかわる問題でございますが、お話のように、非常に大切な国民からの預かり金がもとでございますから、そのときの要請に応じまして財投の運用計画というものはつくらなければなりません。したがって、いろいろ各項目について御質疑もあろうと思いますから、お答えいたしたいと思いますけれども、たとえば四十四、五年の当時と、それから四十八年度計画では、ずいぶんやはり時代の要請に応じて考え方が変わってきておるわけでございまして、特に四十八年度以降においては、この大切な国民からのお預かりの金を国民に還元する、そして福祉国家建設への大きな柱にしたい、こういう気持ちでやっておりますので、必ずしも過去における資料等がこれからの政府の考え方というものとは平仄が合っておらない点もございますけれども、しかし同時に、過去においてどう考えたかということを御批判の対象にしていただくことは、もちろん大いに御批判をいただいてしかるべきところでございます。
 それから第三点は年金の問題で、これも、年金積み立て金と財投の資金計画というようなものとの関連等についての中身の問題でございますから、これからの御質疑に応じて順次御説明申し上げたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 財政投融資計画は国会に提出をして御審議をいただくということだけでございましたが、この国会で、野党の皆さんが長いこと御主張になっておりましたように、すべてが国会の議決案件になったわけでございますから、これからひとつ、審議の過程においていろいろ御説明申し上げることはもちろん、審議に必要な資料等、迅速に整えて、御審議の利便に供すべきであるというふうに考えております。いままでの問題に対して御指摘を受けるような部分があれば改めてまいりたいと、こう考えます。
○田中寿美子君 いまの国会にかかっている財投に関する特別措置法というのは、あれは全く部分的な審議にすぎません。歳入に関してだけであって、支出に関してはかからない。この問題についていま議論していると時間がありませんから。
 で、この間出していただきました資料、全くこれも不完全で、だいぶ編集されておりまして、私はやっぱり四十五年度の資料のほうで見たものから、問題点の中から幾つかをいま指摘しながら質疑したいと思います。
 まず、財投資金の内容についてですね、その構成と傾向を、数字と比率でお示しください、四十八年度。
○国務大臣(愛知揆一君) 数字については政府委員から御説明いたしたいと思いますが、要するに、資金運用部に預託された資金を総合的に管理して、それを総合的に国民的な要請にこたえて配分し、計画をするというのが財投の本質でございますし、それから、まあ財投の問題については別の機会にまたこまかく御説明いたしたいと思いますけれども、かねがね政府としては、先ほど申しましたように、財投というものを国会を通じて国民の御理解をいただきたいという趣旨で、この財投というものが、一般会計の予算と性質が違いまして、歳入歳出を立てるというような種類のものではございませんから、そういう性質のものではあるけれども、できるだけのくふうをし、かつ国会の二重議決というような法律的な難点を克服して、総合的に御審議をいただくのには十分と思うものを考えたつもりでございます。あえて一言付け加えて申し上げておきます。
○政府委員(橋口收君) お尋ねがございましたのは財投計画の原資の内訳であろうかと思いますが、四十八年度で申しますと、産投会計が一%でございます。資金運用部資金が八一・二%、簡保資金が一〇・七%、政府保証債が六・九%で、合計で一〇〇%でございます。四十七年度は、産投会計が一・五%、資金運用部資金が七九%、簡保資金が――これはちょっと後ほどお答えします。
○田中寿美子君 金額も……。金額と率。
○政府委員(橋口收君) 四十八年度産投会計が八百二億円、それから資金運用部資金が五兆六千二百三十九億円、簡保資金が七千四百五億円、政府保証債が四千八百二億円でございます。四十七年度でございますが……。
○田中寿美子君 四十八年度。
○政府委員(橋口收君) 四十八年度はいま申し上げた計数でございます。
○田中寿美子君 総額は。
○政府委員(橋口收君) 総額は六兆九千二百四十八億円でございます。
○田中寿美子君 さっき傾向ということを申しました。構成と傾向ですね。
○政府委員(橋口收君) 昭和二十八年に財投計画を編成いたしましてから約二十年の歴史がございますが、その間、そのときどきの金融情勢あるいは財源事情によりまして構成比の変化がございまして、たとえば、昭和三十年代におきましては政保債というものが相当大きなウエートを占めております。それから四十年代に入りましてからは政保債のウエートが下がっております。ごく最近になりましては資金運用部資金のウエートが非常に高くなっております。
○田中寿美子君 財投というのは第二の予算と言われるくらい非常に膨大な金額です。四十八年度は六兆九千二百四十八億、四十七年度六兆四千億ですね。だんだんこういうふうに膨張していくのは、なぜでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) たとえば郵便貯金というようなもののふえ方が非常な増勢を示しておりますことは、その計表の上でもよくおわかりいただけると思います。それから、年金等につきましても、これは相当にふえる見込みでございます。そういう関係で、いま理財局長から御説明いたしましたように、原資の構成も年を追うごとに相当の変化を来たしている、この事実が指摘されると思います。
○田中寿美子君 つまり、毎年毎年貯金もふえる、年金の積み立て金もふえていく。ですから、財投の資金というのは膨張せざるを得ないようにできているわけなんです。それを今度は、たくさんに企業にばらまかざるを得ないような仕組みになっているということをお認めになりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点が、先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、したがって、資金の配分計画もずいぶん変化をしておるわけでございます。たとえば、その一番の適例を申し上げますと、年金の積み立て金の分で分けてとってみますと、八五%までが、われわれの分類で言う第一分類から第六分類、すなわち、それは全部が国民の福祉に直結する問題であって、そういう点に融資が行なわれておる。あるいは、いわゆる還元融資というものは比率が四分の一から三分の一に上がっている。これらは、前年度までは若干は、まだいわゆる産業融資に向けられておった分もございますが、四十八年度計画で言えば、基幹産業向けとか、あるいは海外経済協力とかいう面がゼロになっておるというようなところに端的にその例があらわれておる、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
○田中寿美子君 私は数字をしさいに検討したのです。それで、国民の福祉に直結すると言われたけど、そういうふうな種類のものではありません、使われ方は。それで、それは後に次々に質問してまいります。それから還元融資なんというのは四十八年度で五千億ちょっと。だから、六兆九千億のうちの五千億ちょっとです。
 そこで、いま積み立て金の累積額ですね、幾らになりますか、資金運用部資金、簡保。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金は、本年の二月末で二十二兆三千三百九十億円でございます。簡保資金は昨年の十二月末で約三兆円でございます。
○田中寿美子君 年金資金。
○政府委員(橋口收君) 厚生保険の預託金は二月末で六兆二千九百五十億円、国民年金の預託金は一兆九百五十億円でございます。
○田中寿美子君 つまり、いままで積み立ててきている貯金や、それから拠出金が合計で二十二兆円あるということ、しかも、これは元利を回収してきた総額ですね。そうでしょう、長年かかって。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金の総額でございますから、これはストックの計数でございます。御承知のように、年々歳々資金がふえてまいりますから、それを運用いたしておりますから、当然回収もございます。それら総体を含めたストックが二十二兆ということでございます。
○田中寿美子君 ということは、積み立て金と、それから回収金を合わせた二十二兆円というものは、いまのようにインフレで物価がどんどん上がっていく場合、これは値打ちがずいぶん下がっていくというふうに考えられませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) 値打ちが下がるといいますか、物価が上がる、それと反射的に貨幣価値が下がっているという点からいえば、お説のとおりだと思います。
○田中寿美子君 つまり、大衆からそのようにたくさんの金を積み立てて、そうしてそこで元金と利息を回収した分を加え、そこに置いておくということは、これは企業だったら、二十二兆円というのはたいへんなもうけになっている。これが資金運用部資金から、あるいは財投全体の貸し付け金から企業に流れていって、そうして大きな金を生んでいるということをお認めになりませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) 同時に、これだけの大切なお金をお預りすれば、それだけまず第一に預金の利子その他もお払いをしなければなりませんし、それから管理にも相当かかります。同時に、これを四十八年度予算でも、財投計画の中でも織り込んでおりますが、中小、農業というような関係、それから住宅はもちろんでございますが、できるだけ貸し付けの金利を引き下げて、そうして大衆的な要望にマッチするようにしたい、こういうふうに運営してまいるつもりでございます。
○田中寿美子君 資金の運用先を見ますと、それはもういろいろの形で――それは国民の生活に関係ないことはない。だけれども、これは、これを積み立てている者に直接返すべき性質のものであるのに、こういうふうになっているということを、私は非常にはっきりと見るわけなんですが、一体、この資金運用部資金の沿革を話してください。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金の沿革は、明治の初年にまでさかのぼるわけでございますが、当時駅逓局預金というのがございまして、それが今日の郵便貯金でございます。郵便貯金として受け入れましたものは、大蔵省の所管する資金運用部の前身である、準備制度と申したかと思いますけれども、そこに集中をして管理をいたしておったわけでございます。現在のような制度ができましたのは昭和二十六年でございますが、その前に、大正十四年に預金部預金法というのができまして、従来集めました資金の管理運用につきましては行政府に一任をされておりましたのを、法律に基づきまして預金運用規則というものをつくりまして、厳重な運用をいたしたわけでございます。戦後になりまして、昭和二十六年に現在の資金運用部資金法ができまして、現在の規定は、先生御承知のように、運用の対象まで法律で明定をされておりまして、これは財政法四十四条で認められた資金でございますから、国会の委任を受けて大蔵大臣が管理するという体制になっておるわけでございます。
○田中寿美子君 いまのはたいへん事務的な説明ですけれども、資金運用部資金は、太平洋戦争中の戦費調達のため、高度国防国家をつくるというので、大蔵省預金部に、郵便年金、厚生年金、それから郵便貯金を入れ込んだんですね。戦後の二十六年、司令部の指導のもとに、これは資本の蓄積、産業資本をたくわえるという意味で資金運用部資金というのが設定された。そして今日、経済成長政策のたいへん大きな原資になってきている。こういう状況が今日資金運用部資金の重大な意義だと思います。そして、これは外国にも例を見ないほど大蔵省の中に運用権があって、そして大きく投資されていっているということを私はここで指摘しておきたいと思う。
 それで、貸し付け先についての疑問なんですが、貸し付け先、特に資金運用部資金の貸し付け先で一番多額に融資をしているところはどこですか。機関名を。
○政府委員(橋口收君) 昨年十二月末の計数でお答え申し上げますと、地方団体に対する融資が三兆二千億円で最大でございます。そのほか、各機関で申しますと、国鉄が約一兆五千億、中小公庫が一兆円、住宅公庫が一兆三千億、農林公庫が一兆円、開発銀行が一兆六千億円、輸出入銀行が一兆三千億円、それから住宅公団が七千九百億円、道路公団が六千三百億円、大体そういうものがおもなものでございます。
○田中寿美子君 いま言われたようなものは、本来一般会計で行政が支出すべきものを、大衆の貯金や年金積み立て金を大量に使っているということなんであって、これらの政府関係の公団、公社あるいは金融機関を通じて企業のほうに出しているわけです。まあ一種のトンネル状況なんですね。それでは、開発銀行から貸し付けした貸し付け先ですね、そのおもなところ、業種別で。
○政府委員(橋口收君) これは二十日の日に委員会資料で提出いたしました資料に出ておりますが、四十六年度末の業種別の残高で申しますと、電力が三千四百九十億円、石油が六百八十億円、海運が六千六百九十億円、大都市再開発が二千億円、流通近代化が二百九十億円、地方開発が二千三百四十億円、それらがおもなものでございます。それから、資本金別の貸し付け状況でございますが、十億円未満の企業に対する貸し付け、件数で千三百七十三件、構成率で七〇%、金額で申しますと約三千億円、構成率で一五%、十億円から百億円までの企業数が四百七十四件、構成比が二四%、貸し付け残高が七千三百二十八億円、三六%。百億円以上の会社に対する貸し付けの件数が百十二件、貸し付け残高が九千九百八十九億円、四九%でございます。
○田中寿美子君 私の持っている四十五年度版のほうでは、貸し付け先の会社名も出ているわけです。今度いただいた資料は、それは省いてあるわけなんですが、たとえば海運関係では、日本郵船、商船三井、川崎汽船、ジャパンライン、山下新日本、昭和海運などという大きな海運会社に出しているということですね。ですから、これは大衆の資金ですが、それが資金運用部資金から政府関係の機関に行って、そうして政府関係の金融機関あるいは公庫、公団などを通じて、大きなところに、小さいところにも行っているけれども、ばらまかれているという状況、こういう状況でございます。
 そこで、お尋ねしたいのですけれども、これはどの資料にもない、回収に関して。貸し付けたものの回収状況は一体どこで把握していらっしゃいますか。
○政府委員(橋口收君) お尋ねの御趣旨は、あれでございますか、開銀が貸したものの回収はどうなっているか、そういうことでございますか。
○田中寿美子君 財投全体で、回収に関する資料はほとんどない。これはみな計画と実績ですね。貸した金は返ってくるわけでしょう。
○政府委員(橋口收君) 財投対象機関から、一般予算と同じように、八月末までに予算の要求がございます。融資機関につきましては、来年の融資規模をどうするか、事業機関につきましては、来年の事業規模をどうするか、まず規模を設定いたしまして、それに対しまして、自己資金、回収金、あるいは収入金、そういうものがございます。総じて自己資金でございますが、そういうものを充当いたしまして、さらに運用部資金、あるいは簡保資金に対する償還金もございます。その差し引いた残りが、資金運用部あるいは簡保資金からの融資の対象になるわけでございまして、そういう意味で回収の実態を把握いたしておりすす。
○田中寿美子君 それはどこに、そういう資料があるのですか。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金で申しますと、先ほども御説明いたしましたように、資金のかたまりとしては二十二兆円のものがございますが、これは年々歳々預金の受け入れ等もございますし、払い出しもございますし、それから融資もございますし、回収もございます。で、回収につきましては、昭和四十八年度の予算の説明の中に、その他という欄を特に設けて、資金運用部資金の内訳を示しております。そのその他の中に回収金が入っております。
○田中寿美子君 それでは全くどんぶり勘定なんですね。こまかくは一つも出ていない。大蔵省、その回収は、貸し出した以上、こんな巨額の金ですから、どっかにその帳簿があるはずなんですよね。そういう資料はつくっていらっしゃるのですか。
○政府委員(橋口收君) これは四十八年度予算の私の補足説明の中にも明らかにいたしておりますが、昭和四十八年度の資金運用部資金の回収金は一兆二千七百九十四億円でございます。機関別の内訳を申し上げますと、おもなものだけ申し上げますと、国民公庫からの回収金が二千八百億円、中小公庫二千億円、開銀千億円、輸銀千五百億円、それから地方公共団体千三百億円、おもなものはそういうものでございます。
○田中寿美子君 全く話にならないですよね。貸し付けのほうはこまかく出ていて、回収状況は全然簡単なバランスシートが、貸借対照表として出ているだけなんです。で、それの中から見ても、回収金の延滞があるのですね。こういうのはどうしているのですか。今度の資料ではもらいませんでした。古いほうで見ますと、たとえば開発銀行、四十三年五十三億、四十四年百三億、四十五年百七億の延滞金を持っている。四十六、四十七年はどうですか。そしてこれはどう処理するのですか。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金に対する各機関の延滞金というものはございません。先生のおっしゃいましたのは財投対象機関の回収金の問題であろうかと思いますが、いまお話しになりましたのは、開発銀行の延滞金のことではないかというふうに拝聴いたしましたが……。
○田中寿美子君 はい。毎年出ていますね。
○政府委員(橋口收君) 四十六年度、四十七年度の計数でございますか。これはいま手元に用意がございませんから、調べてお答えいたします。
○田中寿美子君 どんどんふえているのですよ。いまわかりますか。ちゃんとこれ、持っていれば、あるでしょう、四十七年度の。私のには編集して出してきたから入ってないのです。要回収額というのと、未回収、回収額とあって、年度末延滞額というのがあるでしょう。貸し付けるばかりで回収しない……。
○政府委員(橋口收君) 延滞額の御質問でございますから、よく御承知だと思いますけれども、貸し倒れということではございませんが、計数を申し上げますと、四十六年度末、日本開発銀行の年度末の延滞額は百九十億九千七百万円でございます。
○田中寿美子君 四十七年度はわかりませんか。どうしてそんなに小出しにするのですか。
○政府委員(橋口收君) 四十七年度末はまだ完了いたしておりませんから、計数は持ち合わせておりません。
○田中寿美子君 年々ふえておりますね。それで、これは一例なんであって、日本開発銀行が回収すべき金額と回収した金額――延滞額というものは毎年毎年ふえている。これは私、四十年以降財投原資の中の回収金の実情、それから延滞金を融資機関別にいただきたいと思います。どうですか。資料を要求します。
○政府委員(橋口收君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、先生もよく御承知のように、これは資金運用部資金の延滞の問題ではございませんで、私どもが金を貸しておる先の機関の延滞がどうなっておるかと、こういうお尋ねであろうかと思います。開発銀行につきましては、先ほど申し上げましたように、四十六年度末で約百九十億でございますが、そのうち大部分は石炭でございます。
 それから、いまお尋ねがございました各種機関の延滞額、これは手元に用意がございませんから、よく調べた上で、また御相談をいたしたいと思います。
○川村清一君 関連。
 ただいま問題になっている問題でございますが、これにつきましては、先般、私、本会議におきまして、この財投の問題について質問をいたしたわけであります。そのときに、いま田中委員が質問されておりますところの、その他の資金の問題について質問したのです。いまのこの説明にもありましたけれども、昭和四十八年度の財投の計画の総資金は六兆九千二百四十八億円、そのうち資金運用部資金というものが五兆六千二百三十九億円、構成比は実に八一・二%を占めておるわけです。したがって資金運用部資金というものは、この財投の中において一番重要な部分であるということになります。その資金運用部資金の内訳を見ますというと、厚生年金が一兆四千五百億円に対しまして、その他資金というのが一兆六千一百六十億円、厚生年金以上のいわゆる資金が「その他」というところにあるわけであります。で、「その他」というのは何かというと、大部分は、これは償還資金なんであります。ところが、この償還資金の詳細区分は全然わからない。これは大蔵省の聖域となっておる。これは許されない。一体毎年度、今後その他資金というものがどのくらいふえていくのか。つまり、その他資金の中の大部分を占めておる償還金というものがどのくらいふえていくのか、どのくらい見積もられるのか。これが大蔵省以外に何もわからないという。すべて大蔵省の自由裁量、独断行政によって運用されておるということは、国民の零細な金を集めて、そうしてそれを運用するのに、こういうことは絶対財政民主化の立場からは許されないのではないか。だから、このその他の資金の見通しと、それから償還資金の詳細区分というものを明らかにすべきでないかということを質問申し上げましたところ、大蔵大臣は、これは意識的にか、あるいは質問をよく聞かないで落としたのか知りませんけれども、この部分については答弁がなかったわけですよ。そこで再質問をすべきでありますけれども、まあ私は気が弱いもんですから実はしなかったんだが、この機会を得たので、あらためて質問をいたします。
 これは重大な問題ですよ。大体において財投資金の伸びは、財投計画の伸びは二八・三%です。今年度、この大蔵省からいただいたこれに書いてある。そこで、その他資金の伸びというものは実に四四・一%を占めておるのですよ。このように伸びている。そうしますと、このように伸びていくならば、その他資金というものはどんどんどんどん伸びていくでしょう。それが一体、その金がどこへ貸したものか、返ってきておるものか、返ってきておらないのか。いま聞いてみると、未償還部分というのが相当ある。そういう未償還分であるとか、利子だとか、こういったものがきちんと入ってきておるのかどうか。国民が納得するような、いわゆるお金を積んでおる国民大衆が納得するような方向にその金というものが運用されていっているのかどうか、その辺もちっともわからない。こういう点は私は許されないと思うのですよ。したがって、ことしからこれが国会の議決を得る一つの問題になりましたけれども、表面だけだ。いわば受けざらだけは国会の承認を受けるわけですよ。受けざらで受けたものがぽんと出ていく。どこに出ていくのかちっともわからない。こんなことをきょう国会で認めろといったところで、少なくとも国民の代表であるわれわれとしては認められないでしょう、こういうことは。この点はきわめて大事なものなんです。これを田中委員がいま質問されておるのですから、私も田中委員も納得するような、しっかりした答弁をいただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 回収金は一兆数千億になります。これは財投全体が投融資したものが回収されてくる額でございます。それから、「その他」という項目の中には、それが大きな比重を占めておりますが、そのほかに、たとえば船員保険、その他の積立金の関係などもございます。それら合わせまして「その他」というかっこうになっております。その回収金は財投へ入ってくる。そうしてそれが配分されるわけです。
 で、その配分の計画は、対象別に国会において御審議をいただき、議決の対象にするわけでございますから、その回収というものについては、いままで運用した回収金でございますから、別にその中身等につきまして何か秘密にしておくとかなんとかいう性格のものでは私はないと思います。
 それから、配分のほうの計画は、今後国会の法律が成立いたしますれば、ただいま申しましたように、対象別の配分計画というもの、長期の五年以上の配分計画については御審議をいただくわけでございます。
 それから、先ほど来、ちょっとこう、すれ違った議論があったようにも思いますけれども、未回収とかあるいは返済不能とか、貸し倒れとかいうのは、財投から出ましたいわば受けざらの機関のそれ自身の貸し付けについての問題が御指摘になっておるところであると思いますが、財投とその受けざらとの間の関係におきましては、償還不能になったり貸し倒れになったものはございませんと政府委員が申し上げておりますのは、そのとおりでございます。財投には瑕疵はございません。その点も分けてお考えいただきたいと思います。
 なお、それから全体の運用につきましては、これもあとで御質問が出るかと思いますが、資金運用審議会というものがございまして、国会に御審議を願うような原案につきましても、そういう審議会等で十分議決といいますか、審議をしていただいて、そして原案がつくられることになると思います。
○田中寿美子君 いまの、「その他」の中の回収金一兆二千七百九十四億円という、理財局長が説明してますね、これを説明してください。その中身がはっきりしていないということなんです。だから年金から返ってくる回収金は幾らなんだろう、そういうことがはっきりわかるように説明してほしいということです。
 それから、資金運用審議会に報告書を出すことが法律できめられておりますが、その報告書をいただきましたけれども、これも全く簡単なもので、回収なんかに関してはほとんどありません。ですから、私どもは、貸し付ける計画はこまかいけれども、それをどういうふうに回収しているかという面についてもっとはっきりさせろということを要求しているわけです。いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 回収については、いまお話を申し上げましたような次第でございますが、もう一ついま御指摘になりました点は、たとえば年金積み立て金の分についての貸し付けの回収というふうなことになりますと、これは御議論の存するところと思いますけれども、全体を総合的に運用いたしておりますから、積み立て金分の貸し付けからどれだけの回収があったかということは、現在のこの制度のもとにおいては、それだけを分離勘定にして、そして貸し付け、回収というものを区別してやっておりませんから、その角度からの回収というものは具体的には数字が出てこない、そういう仕組みになっております。この点はいろいろ御議論のあるところと思いますが、そういうやり方になっておりますから、その点は御承知おき願いたい。
○田中寿美子君 その仕組みがおかしいんですね。年金の積み立て金は、もう累積額が約八兆円ほどあると。ところが、回収の中には、「その他」という名前でその中には年金からの回収も入っている。そうしたら、私は年金の財源を求めているものなんで、年金の積み立て金だけを数えるのはおかしいと思う。年金から返ってくるものも年金の財源に入れるべきだと考えるからこういうふうに言っているわけなんです。この仕組みは、回収金はみんな一緒くたになっているからわかりませんじゃ承知できないです。
○国務大臣(愛知揆一君) これは制度の問題に触れるわけでございまして、政府の考え方は、こうした大切な資金ですから、全体を総合運用することが、管理費その他の関係から申しましても、さらにまた、これは税金などと違う資金の性格のものでありますから、これは総合一体的に運営することが妥当であるというのが政府の見解でございます。同時に、積み立て金だけを分離して運営をするということも一つの考え方であるし、それを御主張なさっていると思いますが、その点は私は遺憾ながら意見が違うわけでございます。それから、おおよそ積み立て金から運用されたものでどれだけ返ってきているであろうかということは、そういう目的から御判断なさるのならば、大数的な私は観察はできると思います。ただ、いまの仕組みがそうでございますから、個々に分けて、これの分からはこれだけ回収されたというふうなものは現在の制度では出てこないということ、これはせっかくのお尋ねでございますけれども、その点は遺憾ながらできないということを申し上げたわけでございます。
○田中寿美子君 だから、どんぶり勘定なんて言われるし、それから、戦時中の大蔵省預金部時代から伏魔殿だなんと言われた、その伝統を持っていると思うのです。この際、そういう仕組みを改めてもらわないと、年金は今後どんどん掛ける人がふえていって、膨張していくにきまっている中で、その回収金がはっきりわからないなんというような状況は、私はぜひ改めてもらいたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、ざっくばらんに申し上げますと、国民からお預かりしているお金ですから、そういうふうに区分をしないで、回収金も何も含めまして、全体の財投の資金というものが大衆に還元されるように運営されるということが望ましいことであると思います。で、先ほど来申し上げておりますように、四十八年度の計画をいままでとお比べいただきますと、ずいぶんそういった線に沿うた改善をいたしたつもりでございますし、将来ともに大きな資金量で、大きく方向を国民に還元するように持っていくべきものであると、こういうふうに考えております。
○田中寿美子君 その還元のしかたが還元されていないから、私がこう言うわけでございます。大蔵省としてはたいへん大きな財源だから手放せないということがあると思う。
 それで、財投の実行状況について不審な点を一つ、二つ。それは、今年度、四十七年度の財投資金全体ですね、これの実行状況。幾ら実行されていますか、現時点。
○政府委員(橋口收君) 昭和四十七年度の財政投融資実行状況でございますが、これは先生にたしか資料として差し上げてあるかと思いますが、本年の一月末現在で支出を終わりました額は二兆三千百六十九億円でございます。進捗率で申しますと三六・二%でございます。
○田中寿美子君 大蔵大臣、いまお聞きになりましたでしょう。今年度六兆四千億あるのに、二兆三千百六十九億しか、まだ一月末で使っていない。四兆円も残っているのですよ。一体、二月、三月で四兆円を消化するんですか。
○政府委員(橋口收君) これは機関別に御説明を申し上げますとよくおわかりいただけるかと思いますが、一番おくれておりますのは地方団体でございまして、地方団体に対する財投の額は、現額で申しますと一兆三千七百億円でございますが、そのうち現在まで出ておりますのは約千三百億程度でございまして、これは御承知のように、地方団体の決算の関係がございまして、四月、五月に大量に資金が出るのでございます。したがいまして、一月末現在あるいは三月末現在をとらえてみましても、地方団体に対する融資は非常に少ない。それは繰り越し金として翌年の四月、五月に大幅に出る、こういう仕組みになっております。
○田中寿美子君 大蔵省から私いただいた資料で見ても、もう実にほとんどが、まだ七〇%、八〇%使ってないわけなんです。第四四半期にそれを使う。それから私日銀の資料で見ましたけれども、これはもう毎年そうなんですね。ひどいもんですね。第四四半期まで七、八〇%残している。そうしてほとんど繰り越していく。これは資金が膨張していくので第四四半期になって全部ぶっ込むというような感じがするのですが、いかがですか。大蔵大臣、おかしくないですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、先ほどの説明にもございましたように、財投の貸し付け先と申しますか、平たく申しますと。それが、地方公共団体が五十何%を占めております。ですから、資金量からいいましてもこれは膨大なものでございますが、地方公共団体の関係は、ただいま理財局長から御説明いたしましたように、地方公共団体の決算等の関係から、たとえば地方債の問題その他が例年これは繰り越して消化されることになっておりますので、そういう状況になっております。
○田中寿美子君 繰り越してといっても、ほどがありますね。予算というのはその年度の中で審議するもので、財投ばかりはいままで国会の審議にかけないで、ほとんど大部分を翌年に繰り越すというおかしなやり方をやっている。こういうようなやり方で、つまり資金が去年は補正でまた五千三十億か、入れているでしょう、財投。総理大臣ね、資金がだぶついて過剰流動性だなんて騒いでいる。これ、財投がそういう資金をばらまいているんですよ。そうお思いになりませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、財政と金融だけではなく、政策を行なわなければならない部門に対しては税制上の優遇という問題が一つございます。もう一つは、一般会計による補助金とか国の直轄とかいう問題がございます。ちょうど民間の金融と一般会計とのまん中ぐらいにあるものが、長期低利ということで、政策目的に沿って体制金融を行なわなければならないというようなものに対しては、これは財投資金を使っておるわけでございます。中小企業金融公庫とか、そういうものに対しては一般金融ではまかなえないし、また、金融機関に一般会計が利子補給をするということよりも、合理的に政府関係機関を設立をして、そこに財投資金を投入するということになるわけでございまして、これはもう政策遂行上の一つの手段でございますので、これが資金をばらまくというのではなく、この機関がなければ、一般の民間金融機関にたよるか、もしくは一般会計の対象になるかしかないわけでございまして、補助金というよりも一般金融機関に近い状態であって、政策メリットを求めるという場合に、財投資金等が使われるということでございます。
○田中寿美子君 それじゃね、国鉄、住宅金融公庫、それから開発銀行、日本輸出入銀行、道路公団、年金福祉事業団、海外経済協力基金、こういうものの実績状況と、なぜそんなふうにたくさん第四四半期にほとんどが余っているのかという理由を……。
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっと、制度の問題ですから私から一言言わしていただきますが、要するに、これは一般会計の歳入歳出と性格が違いまして、その結果、これはいずれ大蔵委員会で御論議いただくところだと思いますけれども、財投の関係の法律案で明らかにしておりますように、たとえば繰り越しを認めていただきたい、それから弾力条項をつけていただきたい、かなり大幅にこれをつけていただきたいということをこの法律案の上でもお願いいたしておりますゆえんのものは、これは相当長期にわたってやるべきものでもございますし、それから税金というようなものじゃなくて、有償の預かり金をお預かりして、これを長期に国民的に運用したいという金融的な性格が非常にあるわけでございますから、一般会計と違いまして、きちんと三月三十一日で締め切る、あるいは歳出の項目が一円でもふえればこれは補正の手続をしなきゃならぬというものとは性格がもう全然違うわけでございます。そういう点からごらんになりますと、いわゆる予算をごらんになる角度からごらんになりますと、この財投のやり方というものは御不審な点が数々出てくると思うんですけれども、それはやはりその基本のところを御理解いただけますと、われわれのやり方も御理解いただけるんじゃないかと、こういうふうに思いますが、具体的の数字は政府委員から御説明いたします。
○政府委員(橋口收君) 先ほど地方団体について御説明を申し上げましたが、いま大臣から基本的な性格について御説明がございましたが、利息のついたお金でございますから、融資機関にいたしましても事業機関にいたしましても、できるだけ利息のつかない自己資金、回収金とか、あるいは事業収入とか、そういうものを先に充てまして、借り入れはまあ一番最後の段階に持ってくる、こういうことがいわば経済合理性に立脚した行動でございますので、まあ運用部の立場で申しますと、なるたけ平準的に金を借りてもらうということが望ましいわけでございまして、まあお預かりしている預金につきましては日々利息をつけておりますので、運用のほうもできるだけ適時に借りていただく、それで利息をちょうだいする、こういうことで収支が相償うわけでございまして、先ほど財投で金をまいているというお話がございましたが、先ほど来先生の御指摘になりましたような実行がどうしても後半に寄りますので、資金ベースで見ますと、資金運用部資金は現在揚げ超になっておりまして、いわゆる過剰流動性問題に対しては消極的な作用をいたしておるわけでございます。基本的には利息のついたお金をお借りするということでございますから、どうしても融資機関の借り入れというものが後半に片寄る、したがいまして、四十八年度で申しますと、おそらく四十七年度から繰り越されたものが四十八年度で支出になる、四十七年度で申しますと、四十六年度の繰り越しが四十七年度の上半期に支出になる、こういう形で推移をしていくわけでございまして、そういう有償の資金を運用するという立場で申しますと、適時にお借りいただくことが望ましいのでございますが、先ほど来申し上げたような事情で、どうしても年度後半に片寄るというのが実情でございます。
○田中寿美子君 いまの説明、私納得しませんけれども、それじゃ一つ例で、さっきあげたのの説明をまだ受けておりませんね。海外経済協力基金というのがありますね、これは六百十億当初計画です。いま四十億しか使ってないんですがね。ことしのうちに六百十億使うんですか。
○政府委員(橋口收君) 経済協力基金は、ただいまお示しがございましたように、計画額は六百十億でございます。現在まで、一月までに使用いたしましたのは約百億円でございます。そのほかに四十六年度から繰り越したものを二百十億円使っております。したがいまして、一月末現在で三百十億円の資金を使用いたしておりますが、まあ経済協力基金は、御承知のように、直借の関係、政府間協定の実行状況との関係がございますから、機関の性格から申しまして、比較的繰り越しの多い機関であろうかと思います。
○田中寿美子君 さっき言ったのは……。さっきあげた機関はどうですか。道路公団、住宅公団、みんないっぱい余っているんです。全部来年度の第一四半期に使うんですか。
○政府委員(橋口收君) 住宅公庫でございますが、当初計画は三千七百四十七億円でございますが、一月末現在で二千百三十七億円でございますが、公庫は従来の実績から申しますと、ほとんど全部出ると思います。
○田中寿美子君 公団……。
○政府委員(橋口收君) それから住宅公団でございますが、住宅公団は、御承知のように、昭和四十七年度になりましてから東京周辺の建設が意のごとく進みませんので、まあ建設戸数も減額をすると、こういう事態でございますので、住宅公団は相当の繰り越しと、それから不用額を立てるということになろうかと思います。
 それから、お尋ねのございました国鉄であったかと思いますが、国鉄は、先ほど来申しております性格のまあ最も代表的なものでございまして、日々料金収入がございますから、できるだけ財投資金を借りない、それから法律の規定によりまして繰りかえ使用が認められておりますので、これは無利息の金でございますから、国庫に余裕金がございますときはこの繰りかえ使用をいたしております。したがいまして、実際に国鉄が利息のついた金を借りますのは年度後半、ことに三月末になるのでございまして、現在、目下借り入れ実行中でございまして、私も毎日判こを押しておるわけでございます。これは全部出ると思います。
 それからもう一つ、年金福祉事業団であったかと思いますが、年金福祉事業団は、これは四十六年度から全体の金融緩和の影響を受けまして、資金の出がたいへん悪くなっております。これは、先ほど来お話がございました還元融資の代表的機関でございますが、業務上の制約等もございまして、実際に金が出ないということでございますので、四十八年度が、御承知のように、その業務を拡大すると、そういう措置をとっております。
 それから、道路公団は、当初計画が四十七年度で申しますと千七百億円でございますが、一月末で九百十九億円出ておりますが、これはおそらく全部出ると思います。
○田中寿美子君 いや、道路公団は四千五十三億円でしょう。まだ千八百億しか使ってない。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金で申しますと、当初計画は千七百三十五億円、追加がございまして二千百四十五億円でございまして、一月末までに九百十九億円出ているということでございます。
○田中寿美子君 いままで全部財投で聞いているんですよ。資金運用部資金じゃなくて、財投計画で聞いているわけですね。財投全体として……。財投全体の資金計画というのは非常に大きくって、そして第三四半期末までにはほとんど使えないような状況で、第四に全部――これ、非常に私疑問を持ちます。しかも、次年度はさらにそれに繰り越しが多額にあるのに、さらにまたよけい計画しているわけですね。来年度繰り越し総額、どのくらいになりますか。
○政府委員(橋口收君) 繰り越しは、御承知のように、四十五年度からは大体五千億円程度でございますが、財投計画全体では約七千億円でございます。四十六年度から七年度へは運用部資金で七千億円程度、財投全体では九千億円程度でございます。まだ三月二十日過ぎでございますので、的確な計数は申し上げにくいのでございますが、いずれにしましても、昨年からことしへの繰り越し九千億円よりはさらに大きな金額になろうかと思います。
○田中寿美子君 一兆円を越しますね。
 こういうふうに、次年度にたくさんもう繰り越しながら、しかも来年、次年度の予算は、またそれより大きく取る。これ、取らざるを得ない仕組みになっているわけですよ。これは、年金は掛ける人がどんどんふえてきますから、財源が出てくる。そこで、さっき総理も大蔵大臣も、まあ利回りを、利子をつけて貸し付けているものなんで、というふうにおっしゃっておりましたが、この利回りですね、どういうふうな仕組みになりますか。たとえば、年金の場合を考えてみて、年金のその資金を資金運用部資金に入れるときに幾らで、そこから政府機関の金融機関を通じ、その次、市中銀行あるいはそのほかの企業に行くときに、これ、どういう利率になっていますか。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金は、御承知のように、年金資金のほかに郵便貯金の受け入れ金もお預かりいたしておりまして、まあ預金者平等の原則という立場から、郵便貯金と年金資金と付利に差等を設けておりません。預かり金の期間に応じまして、短いものは安く、長いものは高くということでございまして、現在、御承知のように、七年以上の預金に対しましては六・二%の金利をつけております。年金資金につきましても、郵便貯金と同じように六・二%の付利をいたしておりますが、年金は、御承知のように、一定の保険財政に基づいて計算をいたしておりますので、予定利回りは五・五%というふうに承知いたしておりますが、それに対しまして実績利回りとして六・二%の付利をいたしております。
 資金運用部資金も一つの金融機関でございますから、有償の資金をお預かりして有償に運用して、多少の利益を上げるということが要請されております。これは法律の規定にも明定をされております。したがいまして、本来であればお預かりした六・二%の金利のついたお金を、期間に応じて、長期のものには高く、短いものには安くというのがいわば金融の常識でございますが、しかし、長い期間を必要とするような機関は、より一そう公共性を要請される、たとえば国鉄とか、住宅とか、そういうものでございますので、現実には期間によって金利に差等をつけておりません。全部六・二%でお貸しをいたしております。したがいまして、たいへん利の薄い商売をいたしておるわけでございまして、従来は低空飛行で数十億円の利益を出しておりましたが、一昨年来の金融緩和の影響を受けまして、余裕金の運用が短期証券ということになりますが、短期証券は四・一二五%でございますから、六・二%でお預かりをいたしまして四・一二五%で運用すると、こういう状態になっておりますので、運用部の収支はたいへん苦しくなっております。ただまあ、そういうことではございますが、できるだけ一方には有利に運用するという要請もございますから、債券の発行が可能な比較的経済性の強い機関につきましては、六・二%の貸し出しのほかに、比較的高い六・八%程度の債券の引き受けという行為もいたしておりますし、それから、国債は、先ほど来申し上げておりますように、資金は吸い上げになっておりますから、その運用として国債に運用いたしておりまして、これは六・七%でございますから多少の利ざやがございます。そういう形で、機関に対しては利ざやなしの六・二%の運用が原則でございます。で、機関からそれぞれ事業の活動の場合の資金コストがどうなるか。それから融資の場合の金利をどうするかというものは、これは一般会計の補助、助成との関連においてきまる問題でございまして、私のほうといたしましては、いわば一視同仁に六・二%の運用というのが基本的な原則でございます。
○田中寿美子君 私の質問に答えてないところがあります。厚生省なり郵政省が資金運用部資金に資金を入れ込むでしょう。そうすると、厚生省なり郵政省は、そこで幾らかの利子をもらっているのかどうか。それから、その六・二なり六・五%で貸し付けたその開銀とか輸銀だとか、あるいはその他の政府金融機関が企業に貸し付けるときは、もっと安く貸していますね。これで見ると、四分五厘から六分くらいに貸していますね。損をして貸していることもありますね。それはどうするんですか。
○政府委員(橋口收君) 先ほどの御説明で尽きておるかと思いますけれども、早口で申し上げましたので、もう一回申し上げますと、厚生省、郵政省に対しましては、七年以上の預金に対しましては六・二%の金利をお払いいたしております。資金運用部資金から各機関に対しましては原則として六・二%で融資をいたしております。で、その融資を受けました融資機関なり事業機関が、どういう金利で融資なりあるいはどういうコストで事業を行なうかという問題は、これは一般会計からの助成の問題と関連がございます。
 いま、先生がおっしゃいました、たとえば四・五%、社会福祉事業振興会のごときは四・八%であったと思いますけれども、そういう融資をいたしております。したがいまして、六・二%で借りて四・八%で融資をいたしますから、その間に一・四%のどうしても差額の補給ということが必要になります。それにつきましては、一般会計の出資なり、あるいは利子補給なり助成金なり、そういう形で始末をいたしておるのでございます。
○田中寿美子君 つまりね、六・二%で貸し付けて、たとえば開発銀行がもう少し安く企業に貸し出しているわけですよ。これは利率、ここに出ているので見ると四分から六分、七分で貸していすすね。そうすると、そこで差損があるわけです。それを政府が補給したり補助している。資金運用部資金からこれを補助するということはないですか。補給するということは。
○政府委員(橋口收君) 資金運用部資金も一つの経営体と申しますか、企業体でございますから、お預かりした金利より安い金利で融資をするということは、これは機関のたてまえ、法律の精神から申してできないと思います。
○田中寿美子君 できないと思いますでなくて、ここに利率が出ているんですよ。
○政府委員(橋口收君) 一般会計から資金運用部資金に対する利子補給なり補助というものは受けておりません。
○田中寿美子君 ちょっと意味が違います。
○国務大臣(愛知揆一君) いまの御質疑につきまして、差額があった場合はどうしているのかと。これは、資金運用部から差額の補てんというようなことはしておりません。そして、その必要な場合は一般会計から補給をするということになります。
○田中寿美子君 実は、たいへんこの資料を見るといろいろ問題だらけなんですね。それで、こういうふうなずさんなやり方、回収に関してはっきりさせない、こういうようなことでいいとお思いになりますか、大蔵大臣や総理大臣は。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、先ほどもお答えいたしましたように、私は意見の分かれるところだと思うのです。たとえば、各種の積み立て金を特別な制度にして独立に運営するほうがいいんではないかというお考え方から言えば、現行の制度はいかぬという結論になると思うんです。ところが、われわれは、政府の態度といたしましては、これを一括して運営することが適切であるという考え方でございまして、このほうが効率的でもあり能率的でもあり、また経費もずっと少なく済むと、こういうふうな考え方でございます。それから、ただいまの御意見の中にもございますが、私どもとしては、要するに、資金運用部資金あるいは財投全体を、何でもかんでも押えておいて、そして、これの運用をやりたいから、したがって、年金の積み立て金を分離することに反対である、そうなんだろうということをよく言われるのでありますけれども、そうではございませんで、これはやはり同じような性格の、資金的に言えば、これは原資として一元的に集めてこれを運用するほうが国民的にベターであると、こういう考え方でございます。年金の問題については、もう一方に、積み立て方式がいいか賦課方式がいいかという別個のまた問題もございますけれども、それらとの関連でいろいろの御意見があることは承知いたしておりますが、原資の運営としてはこの方法がいいと、こう考えております。
○国務大臣(田中角榮君) 財投資金の一括運用の是非という問題は、これは、自主運用の問題が絶えず出てきておるわけですが、先ほども述べましたように、いわば財投というものは一般会計の補完的任務を持っておるわけでございます。一般の金融機関というよりも、財政よりももう少し合理性を追求するほうがいい、しかし一般金融機関にはまかせないというために、財政から出資をしたり利子補給を行なったりしておるわけでございますから、財政に対する補完的任務を持っております。そういう意味から言うと、一括運用が効率的である、これは理論的にもそうだと思います。
 それからもう一つは、いま御質問がございましたが、これは財投資金を投入をした先の金融機関の回収問題に対してお触れになりましたが、これは政策金融でありますから、一般的な金融のように強硬な取り立てということを前提としておらないわけであります。これは財政を補完しておるものであるということで、財政でも金を出しますが、また、そういう機関に対して政策的に必要があれば償還猶予もしますし、場合によっては、一部切り捨ても行なわなきゃならないということもあり得るわけです。これは石炭企業が非常にいい例でございます。ですから、そういう意味で、一般金融機関のように取り立てを強行するものではない。ですから、そのために次年度の計画ができたときには償還金とあわせては考えますが、引き続いて継続的にその機関に対して財投投資先として定めるということになるわけです。
 もう一点、この際、ちょっと申し上げておきますが、どうして繰り越しが多いのか、これは全く納得できない問題だと思うんです。先年度の問題をことし使って、ことしを来年、ここに会計制度の問題があるわけです。これは、六月県会でもって継続をきめる、九月県会で新規をきめる、一番新しいものは二月県会になってやっと――あと二月、三月という二カ月しか残っておらぬときに新規なものをきめる。これは、自治省の財政収入の見通しが確たるものにならない以上、なかなかきめないといういままでの制度というもの、それから地方自治体も財源確保ということがはっきりしないとなかなかきめられないという現実問題があるわけです。まあそういうことで、特に地方自治体が負担をしなければならないような事業というものは、全部第三四半期以後に決定をされているというのが問題なんです。ですから、こういうふうにして予算審議をいただいておりながら、文部省、厚生省、自治省というような、その年度の新しい府県別、町村別の起債の割り当てやその他が最終的には十二月から一月になってきまるというような事態、こういうものをだんだんだんだん改めさしておるわけでございますが、やっぱり会計年度が四月から三月であるということで、こういう問題が起こっておるわけです。ですから、繰り越し制度だとか、いろんなことで会計年度を変えなくともちゃんとうまくやっているんですと言うんですが、いまいい数字を御指摘になったわけでございます。これは、もう事実そういう年度関係にあるという問題も、これはおおうことのできない一つの原因であるということは事実でございます。
○田中寿美子君 地方公共団体に出している分、六兆四千億のうちの一兆三千七百億ですね。そのほかのところが全部軒並みにそうであるということ、私、まだあまり納得はしませんけれども、いまおっしゃった、結局、財投の資金あるいは資金運用部資金をいかに効率的に経済的に使うかという問題と、福祉のために使うかということに分かれると思うんです。厚生大臣、あなたの決意があれば、私は、ここは少し変わるはずだと思う。大蔵省に対して強く要求するべきだと思うんですね。これは厚生年金積立金、国民年金積立金並びにそれの回収金、こういうものを、さっきは、自主的な運用は反対だと大蔵大臣はおっしゃった。じゃ、私たちは自主的に運用すればいいと思うけど、それはなかなか簡単にはできないとすれば、財投の資金の中で別ワクの勘定をつくってやることができないか。そのくらいの意思がおありにならないかどうか、厚生大臣。
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げますが、厚生年金、国民年金の保険料を自主運営するという問題、これは一部に意見のあることはあるわけでございます。特に国民年金法が十二年前できた当時、この零細な国民年金の保険料は軍事費に使うんではないかといったふうな野党の諸君の御意見等もありましたときに、そういう意見があったことはあったわけでございますが、私は、資金運用部というこの制度がある以上は、一括してやはり運用していただくというのが私はむしろ望ましいというふうに考えております。ただ問題は、その一括運用ということでございますが、運用にあたりまして、その金は零細な方々の金でございますから、福祉に十分使っていただくというワクさえあれば、やっぱり、もちはもち屋と申しますか、そういう制度がありまして、運用になれておるわけでございまして、私どもは、そこに六分二厘の金利をつけていただいて預金しているようなものだと、こんなふうなことを考えてみますれば、やっぱり一括運営が適当ではないかと、こういうふうに考えておりますし、さらにまた、別ワクというお尋ねでございますが、この金は厚生年金のほうの回収金だとかいうふうなことはやっぱりしないで、一括してやっていただいて、そしてそれを使う使い方については福祉に使っていただくと、こういうふうにしていただく。幸いに、この問題につきましては、歴代大蔵大臣が非常に御協力をしていただきまして、御承知のように、八五%は国民生活に関連のある事業に使おうではないか、さらにまた、ことしは還元融資を、四分の一を三分の一にしようではないかと、こういうわけでございますから、私は、一括運営のほうがむしろいいのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田中寿美子君 厚生大臣、もっと意欲を持ってほしいんですね。もちはもち屋なんて言わないで、私は、シーザーのものはシーザーに返せというふうに言いたいと思う。大蔵省の役人さんが私のところに来て、もし厚生省がその決意があるなら、そんなものやったっていいですよというようなことを言っているくらいなんですね。もっと意欲を持ってください。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は、厚生大臣として福祉の充実には強い意欲を持っておりますが、この金の運用につきましては、一括、そういう資金運用部という資金運用部という制度があり、財投計画において福祉のためにできるだけ使おうではないかと、こういう財投計画ができておる現在、私としては一括のほうが望ましいのではないかと、かように考えております。
○田中寿美子君 厚生大臣、よく財投の中身を見てみてください。還元融資の中身、どうなっておりますか。還元融資をちゃんと把握していらっしゃいますか。これの回収も。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 還元融資は四十八年度におきましては、新規資金増額分が一兆七千六百二十六億円、それは、先ほど来お話のありましたように、国民生活に関係のある方面に使おうではないか、産業、貿易、経済協力などには一文も使わない。こういう全般的な財投計画がありまして、その中で一兆七千億のうちの三分の一は、厚生省が一つの自主運営といったふうな意味合いもありましょうが、還元融資になっておりまして、この約三分の一の五千七百億に対して、年金福祉事業団千三百七十一億円、この金は労務者の住宅施設、あるいはごとし四十八年度からは労務者の個人住宅貸し付け金に使おうではないか、これが大体三百六十五億。大規模年金保養基地に八十一億と、こういうふうに年金福祉事業団を通して労務者の福祉のために使っておりますのが、五千七百二十四億のうちの千三百七十一億。それから地方公共団体特別地方債と称せられるものが三千五百四十三億。これは、御承知のように、簡易水道で国から三分の二の補助が出ます、三分の一の分は市町村の負担になります。その分を特別地方債で見てあげましょう、あるいは保育所の問題、その他の社会福祉施設、病院、そういう方面に使っておりますのが三千五百四十三億。そのほかに、医療金融公庫、社会福祉事業振興会。医療金融公庫は、御承知のように、民間病院施設の整備に充てるものであり、社会福祉事業振興会への融資は、御承知のように、民間の社会福祉施設に充てる。こういうことでございまして、還元融資の分全部五千七百二十四億というのは、厚生省所管の社会福祉施設にほとんど全部充当しておるような形で、福祉の充実に充てるということで運用いたしておるような次第でございます。
○田中寿美子君 もっとほんとうに、しさいに検討してほしいんです。八五%は福祉に使っていただくので、ありがたがっていられちゃ困るので、この還元融資の中身も、特別地方債の中にあります一般廃棄物処理、屠畜場、産業廃棄物処理、上下水道なんというのは、本来これは一般会計でやるべきものなんですね。それを拠出金を使ってやっているというようなことについては私は問題があると思います。それからまた還元融資も、これ、大量に第四四半期に残しているということです。
 こういうことを言っていると時間がありません。きょう、もう最後ですので、財投の中、全体に非常に不明朗なものがあるという意味で、産投会計に関して、産投会計の中のYS11に関して、さっきも航空機の話が出ましたが、私がこれを見て最初に気がついたのはそれなんですね。このYS11についての経過を通産大臣から御報告願います。
○国務大臣(中曽根康弘君) YS11、特別立法によりましてYS11を製造するということになり、政府並びに民間団体から出資金を得まして、日本航空機製造会社という会社をつくりまして、そして現在までに百七十五機売ったようでございます。残りあと五機国内需要で売りまして、全部で百八十機売るということになっております。この間において大体赤字として三百六十億見込まれております。それで、その間におきまして、会計検査院から一回、不当事項として指摘をされました。これはリースの関係で代金の回収がうまくいってないということ、それから今回改善事項として、約二十八億円の在庫物件に関する管理がよくないということで、これは改善事項として指摘をいたされた次第でございます。
○田中寿美子君 会計検査院の報告ですね、お願いします、YS11に関して。
○会計検査院長(白木康進君) お答えいたします。
 日本航空機製造のYS11の製造に関しましては、同会社の販売面が非常に弱かったというようなことで、販売に関連しまして多額の損失を招いておるという事態について、既往に検査報告にこれを掲記いたしたわけでございますが、さらに四十六年度におきまして、これは日航製の、まあいわば最後の終息の時期でございますが、製造を中止いたしましてもユーザーに対してはずっとサービスを続けていくという関係で、これを営業補用品と申しておりますが、そういったユーザーに対する供給部品を調達しております。この調達の状況が、従来の使用実績あるいは在庫状況というものをわれわれから見ますと、ほとんど考慮しないような、かなりずさんな調達になっておる。そのために相当多額の在庫品を生じ、中には相当減価を来たしておるものもあるわけでございます。そのほかに、最後の段階で、製造用の資材、これをかなり安全度を見て、ロスその他の安全度を見て購入するわけでございますが、さらにその上に、それを上回る余裕を見たというようなことで、最後の段階に来て生産資材にかなりの過剰品を生じた。さらにまた、御承知のとおり、日航製は多額の損失を計上しておるわけでございますが、会社当局としましては、この損失を航空機製造の機数の増加販売ということで少しでも軽減したいと、これは会社としては当然の考え方であったろうと思うのでありますが、ただ政府当局との完全な連絡が不十分なままで実施しまして、そのために、いわば会社としては見込み違いの資材調達をやった、そういうことでさらに在庫品をふやした、そのふえた補用品を非常に不利な価格で処分しておる。こういったことがございまして、若干私どもとしても既往においてもう少しこういった面で監督を厳重にする必要もあったのではないかと思いますけれども、非常にむずかしい問題でございますので、いわば最後の段階に来て指摘したというようなこと、さらに会社側にも損失軽減の意図が相当見られたというようなことで、これは今後の経理改善をひとつお願いするというようなことで、あえて不当事項には処理しませんが、改善事項として要求した次第でございます。
○田中寿美子君 三百六十億の赤字を出しているのですけれども、財投の中の産投会計で、これは私最初に発見したのですけれども、昭和四十五年まで日本航空機製造株式会社に出資しているわけですね。四十五年でとめている。しかし、このバランスシートのほうでは四十二億がまだ残っているわけなんですが、こういう金を一体どういうふうにしていくのですか。
○政府委員(橋口收君) 日本航空機製造に対する産投会計の出資は、ただいま御指摘がございましたように四十二億でございますが、そのうち四十億は、昭和二十九年に米国との間に成立をいたしましたMSA協定に基づいて日本が贈与を受けた資金による出資でございます。これは経済援助資金特別会計の出資でございまして、それを四十二年度に産投会計が承継をいたしたものの残りでございます。したがいまして、純然たる産投会計で出資をいたしましたのは二億でございまして、この処理をどうするかというお尋ねでございますが、これは日本航空機製造が最終的にどうなるかということできまる問題でございまして、出資金でございますから、法律的に申しますと、利益配当請求権と申しますか、最終的には剰余金配分請求権が化体したものでございますから、残余財産があれば分配を受け、もしかりに残余財産がなければ償却をすると、こういうことに最終的にはなろうかと思います。
○田中寿美子君 まあ財投の中身というのはまことにずさんで、このYS11のことを詳しく言ってられませんけれども、まあ乱費しているわけなんですよね。これ、将来たな上げになるのだろう。
 そこで私は、行政管理庁長官に、財投に関して監察をしてほしい。これまでは、これは監察の対象になっていないと思います。しかし、大蔵省の行政の中にあるのですね。ですから、こういうずさんな状況をもっと――疑問だらけの点が一ぱいです、回収に関してもそうです、これを監察する気がおありにならないかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 財投のこの原資機関である資金運用部資金につきましては、まあ、ちょっと古いのですが、三十五年に行政監察を実施いたしました。この監察におきまして、ただいま田中さんから御指摘の、どうもこの実施がずれるじゃないかという問題がありまして、この財投資金の融資が年末に集中する、これを改善すべしと、こういう勧告をしているわけなんです。その後、その問題がだいぶ改善されたと、こういうふうに実は聞いておったのでありますが、先ほど来田中さんと政府委員との話を聞いておりますと、まだだいぶそういう傾向が濃厚である。ことに海外経済協力基金のお話がありまして、二百億円以上のものが四十七年度に繰り越される。おそらく四十六年度の予算というのは四百億から五百億ぐらいのものでしょう。そのうち半分近くが繰り越されるということになると、会計年度を設けたその趣旨いずこにありやと、こういうことにもなってくるわけなので、私、実はそれを聞いていて、どうもおかしいなと、こういうふうな感じを持ったわけであります。まあ、いろいろ問題があると思いますが、行政管理庁は、いま物価の問題、公害の問題、土地の問題、これは当面の非常に大きな問題でありますので、その三つの点に眼点を集中いたしまして行政監察を実施しておるわけなんです。しかし、御指摘の段々です。私もいまよく承りましたので、機会を見まして監察を実行してみたい、かように考えます。
 なお、融資対象機関である国鉄だとか電電だとか、そういうものにつきましては、これは大かた監察を実施いたし、随時勧告をいたしておるわけですが、大かたその勧告どおりに改善が行なわれ、実効をおさめておる、こういうふうに見ておる次第でございます。
○田中寿美子君 ぜひこの際、いまどんどん資金運用部資金も膨張してきますので監察をしてもらいたい。ことに福祉を標榜していらっしゃる内閣なんですから。で、厚生年金や国民年金の積み立て金並びにその回収金ですね。それについては、私らは別の会計にして、そしていま差し迫っている年金の財源に使って、ほんとうの年金を早く実現していきたい。そういう意味で、どれだけのものが財源として考えられるかというような点も含めて、一ぺん監察をしてみていただきたいということを要望しておきます。
 そこで、総理大臣、大蔵大臣、財投について、今回法律で部分的な審議をすることになった。しかし、国会の審議に完全にかけてもらいたい。
 それから財投の資料をもっとちゃんと公表をしてほしい。ことに回収に関して非常にずさんな運営なんかありますので、見たい。それから衆議院のほうで社会党の議員から、財投白書を出せというようなことの要求があったようなんですが、もっと私どもに、収支、回収の状況、運用の状況その他がはっきりわかるような資料を――今度、こんなおかしなトラブルをして出してもらったりすることではなくて出していただきたいが、いかがでございますか。それが最後の質問です。
○国務大臣(愛知揆一君) 前段の点につきましては、先ほど来申しておりますように、法案も御審議いただいておるわけでございますから、大蔵委員会におきまして十分ひとつ御審議をいただきたいと思いますし、政府の考え方も、なお一そう詳細に御説明の機会を与えていただきたいと思います。
 それから後段の点は、私も全くごもっともだと考えております。ただいまお話がありましたように、衆議院の予算委員会では、財投白書というようなものも一つの考えではないかと、まことにごもっともだと思います。そもそも今回法案を用意いたしましたのも、国民的に財投というものの理解を進めていただきたいという趣旨でございますから、ひとつ積極的にくふうをこらしたいと思っております。
○国務大臣(田中角榮君) 財政投融資計画につきましては、今度の措置で、すべて国会の議決対象になったわけでございますが、しかし……。
○田中寿美子君 全部じゃないですよ。
○国務大臣(田中角榮君) いや、すべてなっておるんです、現実的には。別な、予算総則で、法律でというふうに、全部、今度のもので残ったものも全部議決対象になったわけであります。これをもう一ぺん一覧表で議決を求めよということになると、いままで議決対象になっておったものが二重議決ということが生じますのでということで、今度残されておった部分だけを法律でお願いをしておるわけでございますから、合わせると全部国会の議決になっておるわけでございます。
 しかも、その第二の問題、財投の行くえとか財投の運用の状況とかというものは明らかにせらるべきことは当然でございまして、国会における御審議の資になるように、可能な限り最大の努力を続けてまいりたいということで御了解をいただきたい。
○委員長(大竹平八郎君) これにて田中君の質疑は終了いたしました。
 午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 総予算審査のため、本日、チッソ株式会社社長島田賢一君及び日本住宅公団総裁南部哲也君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大竹平八郎君) 午前に引き続き、総予算に対し質疑を行ないます。森中君。
○森中守義君 郵政大臣にお尋ねしますが、きのう中国の代表が見えたようですが、これは海底ケーブルの交渉に見えたものと思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(久野忠治君) 御意見のとおり、日中間の海底ケーブル布設のための交渉にお見えになりました。
○森中守義君 この交渉で協定までこぎつけるつもりですか。それとも、話はどの程度まで進む予定でしょう。
○国務大臣(久野忠治君) 森中委員御承知のとおり、日中間並びに海外との間の電気通信の協定につきましては、日本側は国際電信電話株式会社が当事者でございます。そうして中国側は電信総局が指定をいたしまする当事者との間に協定を結ぶことに相なるわけでございます。これに対して郵政大臣が承認を与えるという形をとるわけでございまして、その間に処しまして、日本側の関係当事者との間に具体的な技術的な諸問題等について協議をしたいというので、昨日、来日をされたような次第でございます。
○森中守義君 一説では、中国側は業者間協定でなくて政府間協定にしたい、こういう強い希望の表明があるようです。しかし国内における取り扱いとしては、いま大臣の言われるとおりだと思う。そのことは中国側に完全に理解をしてもらえる自信がありますか。
○国務大臣(久野忠治君) 先般、技術調査団が来日をされまして、約一カ月間各地域を調査、検討されたわけでございます。その結果、日本側のこの体制につきましては十分理解されておるものと私は存じます。でありますから、やはりただいま申し上げましたような形で協定が進められるものと存じます。
○森中守義君 ちょっと時間がありませんから、まとめてお尋ねいたします。
 建設の当事者はだれとだれになるのか。それから、ケーブルの容量はどの程度のものであるのか。それと、そのケーブルの容量が将来の通信の需要をおおむねどの程度予測をしているのか。それと、ルートはどういうことになるのか、つまり日本及び中国側の陸揚げ地はどこを予定されているか。経費は概算どのくらい見積もっているのか、また、所要の経費は二国間でどういう分け合いになるのか。それと、開通の時期はおおむねいつごろになるのか。これだけひとつまとめて答えてください。
○国務大臣(久野忠治君) ただいま御質問の五点についてお答えを申し上げます。
 まず第一に、先ほど申し上げましたように、わが国のケーブル布設の当事者は国際電信電話株式会社でございます。中国側は中国電信総局が指示をいたします当事者でございまして、この両当事者間において協定を結びまして、建設、保安、運用等についての協定案文を作成することになるわけでございます。これに対して郵政大臣が承認を与えるという形をとるわけでございます。
 第二点のケーブルの容量でございますが、日本側といたしましては大容量のものが望ましいと考えておる次第でございます。それは、田中訪中が実現をいたしまして日中国交が回復をいたしまして以来、両国の通信量は非常に増大をいたしておるわけでございます。これは御存じのとおり、現在短波無線並びに衛星回線等を使ってこの通信が行なわれておるわけでございますが、この需要を満たし切れないというのが現状でございます。でございますから、将来の増大するであろうという需要の増大を考慮いたしまして、大容量のものを私たちは考えております。電話回線にいたしまして約五百回線程度のものではいかがなものかと考えておりますが、中国側の意向がまだ示されておりませんので、今後両当事者間におきまして、もちろん郵政省側もこれに加わりますが、協議をいたしたいと存じます。
 第三番目は陸揚げ地でございますが、中国側が先般調査団でおいでになりました際に示されました中国側の陸揚げ地は、上海地域を予定されておるようでございます。日本側につきましては、いろいろ皆さんから御意見があるのでございますが、郵政省といたしましては、沖繩、それから九州南西部、九州の北西部などを予定をいたしておるような次第でございます。
 それから費用でございますが、これは日中海底ケーブルはもちろんのことでございますが、国際間、どの国もこの費用の分担は折半でございまして、日中間の海底ケーブルは約五十億円程度かかるものと考えられます。
 それから第五点の開通の時期でございますが、これはできるだけ早期にしたいというのが私たちの希望でございます。郵政省といたしましては五十一年度を目途に開通したいというふうに考えておるのでございますが、しかし、これも今後の交渉によって決定をされる事項でございますので、交渉の経過を見ないとこの開通の時期は見通しが立たない。
 以上が御質問の五点に対するお答えでございます。
○森中守義君 いま示された陸揚げ地の問題ですね、一言に九州の南西並びに北西と言われても、むろん経済的あるいは技術的なそういう側面を持つことはわかりますが、おおむねどういう地域かということは、そろそろ選択の段階にきているのじゃないですか、お持ちじゃないですか。
○国務大臣(久野忠治君) 御質問の点は、おそらく日本側の陸揚げ地をどこにするかということであろうかと思うのでございます。これはその地域の情勢によっていろいろ選定が変わってくるわけでございます。たとえて申し上げまするならば、通信回線の接続の場所がどの地域が適切であるかということ、あるいは海底ケーブルを布設をいたしまする際の海中の状況と申しますか、海底の状況、こういうものによってきまるわけでございます。でございますから、私は九州の南西部もしくは九州の北西部と、こう答えたのでございますが、郵政省といたしまして頭の中に描いておりますることは、大体九州の南西部は鹿児島地域、それから九州の北西部は長崎地域、それと沖繩地域、この三カ所が私たちがいま想定をいたしておりまする地域でございます。
○森中守義君 郵政大臣、中国側は日中のケーブル協定成立と同時に、できるだけ日本を基地にして、そのような国際的な舞台に全部いきたいと、こういう意向のようですが、日本側としてはこれに対してどういうお考えでしょうか。
○国務大臣(久野忠治君) 中国側といたしましては、全アジア地域に対する通信網の整備の件につきましては、何ら意向は示されておりません。われわれといたしましては、やはり東南アジア全地域を包含いたしました通信網の整備を早急に進めるべきではないか。その一環として、まず日中海底ケーブルの布設を急ぐべきである。かような観点に立ちまして、この点に取り組んでおるような次第でございます。
○森中守義君 北朝鮮、それから北ベトナム、いずれも直通回線がありません。そこで、こういう国交未回復の国との間には、将来の通信回線はどういうような計画をお持ちですか。
○国務大臣(久野忠治君) 日本と北ベトナムとの間には現在国際電報、これは中国を中継地といたしまして通信が行なわれておるわけでございます。その中継地域は北京経由、上海経由、香港経由の三つの中継ルートで取り扱われているわけでございます。月間の発着数は約六百通でございます。ところが国際電話につきましては、取り扱いは全然なされておりません。これは中国中継で北ベトナムとの間に電話回線が設けられるようにいたしたいと私たちは希望いたしておるのでございますが、現在まだその交渉も進められておりませんし、どういう形で進むか、今日のところまだそのことをはっきり申し上げられる段階ではないと思います。しかしながら、御存じのとおりベトナム和平が実現したことでございますから、一日も早く直通回線を設置をいたしまして、北ベトナムとの間に電話回線が設けられ通信回線が設けられて、電信電話を通じて両国の国民がともに理解を深めることが一日も早く実現できるようにいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
 御指摘、御質問のありました第二点の北朝鮮につきましては、これは現在、先ほどお話のございましたように、日本との間に国交がまだ未回復国でございます。でありまするために、電報につきましては、現在四つのルートを中継地といたしまして取り扱われておるのでございます。これは北京、上海、香港、モスコー、四つのルートが使われておるわけでございます。これは国際電報でございます。それからもう一つ、電話につきましては北京、上海をルートにいたしまして、中継地としてこれが行なわれているわけでございますが、先日、国際電電を通じて郵政省へ連絡がございましたが、三月の十四日から北京を中継として北朝鮮と日本との間の電話回線の直通通話ができるようにいたしたい、こういうような連絡があったような次第でございますが、しかしながら一日も早く、北朝鮮との間には経済、人事、文化、スポーツの交流等も現に行なわれているのでございますから、やはり直通回線が設けられるようにという考え方の上に立ちまして、国際電電が中心になりまして、ただいま作業を進めておるような次第でございます。
○森中守義君 この種関係でもう少し問題にしなければならぬものがたくさんありますが、これはあとに譲ります。
 総理、ちょっとお尋ねしておきますがね、すでに中国がECAFEに入った、こういうことで、少なくとも全アジア地域における通信の完全なネットワークの形成が、いまや日本が果たすべき大きな役割りだと思うのです。よって、この際関係諸国に提唱して、アジア通信ネットワークを確立するための国際会議などお開きになるお考えありませんか。
○国務大臣(田中角榮君) いま郵政大臣が述べましたとおり、またあなたも御指摘になったとおり、アジア全域、だんだんと通信ネットワークを拡充し整備をしていかなければならないということは、日本もそう考えております。しかし、中国も国際会議に位置したわけでございますし、そういう場を通じて日本と中国との話し合いをしながら、これからアジア全域に対してどうするかというようなことから始めていくべきだと思いまして、いますぐアジア各国を招集して通信回線をどうするかというような問題よりも、国際場裏において話を進めていきたいというのがいまの考え方です。
○森中守義君 チッソの島田参考人にお尋ねいたします。
 せんだって、判決が出る前日でしたか、上訴権は放棄する、こういうことを言明されたようですが、このことに間違いございませんか。
○参考人(島田賢一君) チッソの島田でございます。
 お答え申し上げます前に、私のほうの工場廃水の不始末から、たくさんの患者さんを苦しい目におあわせし、また世間も騒がし、国家社会にも御迷惑をおかけしましたことを深くおわびさせていただきます。
 ただいまの御質問にお答えいたします。
 私のほうの判決は三月二十日、熊本地裁で下されたわけでありますけれども、三月の十八日に、私は上訴権を放棄する決心をいたしまして、現地水俣へ参りまして訴訟派の会長である渡辺榮蔵さんにこの由をお伝え申し上げ、そのあと新聞記者会見をいたしまして、上訴権を放棄したことを発表したわけでございます。
○森中守義君 逐次お尋ねしていきますが、チッソの徳江という専務が、三月二十日の裁判を前に、「水俣病問題の十五年――その実相を追って」、こういう著作を公にされたようです。むろんこれは非売品ということになっているようですが、この中で徳江さんがこう言っておられる。
○参考人(島田賢一君) いまのは徳江があらわしました論文ですか。
○森中守義君 いや、書物ですよ。
○参考人(島田賢一君) 書物ですか。
○森中守義君 それで、この中で「会社の善意と良心だけは、知らせ訴えておかねばならない」、こういうように言われている。そこで、一体チッソの「善意と良心」とは何なのか、具体的にお答えいただきたい。
○参考人(島田賢一君) お答えいたします。
 チッソの誠意と良心ということにつきましては、四十三年に公害病認定を受けました時点から、終始一貫、会社の責任であるということで補償をさせていただくという態度をとりました。これが会社のいままでの姿勢でございまして、ただ残念ながら、その中で四十五名の方たちが訴訟を起こされました。あとの八十九名の方々は厚生省のあっせんされました千種委員会で和解ができたのですけれども、訴訟となりまして、訴訟の席でいろいろと事実究明がございましたので、先ほど申しました会社の態度はさることながら、事実究明の場面で会社のそれまでやってまいりました工場の廃水の処理とか、いろいろなことを会社側の見解を申し述べたわけでございます。それが誤り伝えられまして、チッソは姿勢が、まことに公害の問題を起こしながらつべこべとものごとを言うというふうに世間で受け取られておりますけれども、会社全体の姿勢としては、四十三年の九月の二十七日でしたか、公害病の認定を受けましたときから、罪に服して補償をさせていただくという姿勢を打ち出したわけでございます。
○森中守義君 いまのお答えではちょっと理解しかねますね。ここに徳江さんの言われる「善意と良心」ということは、一般的にヒューマニズムだと私は思う。ところが、いままでやられてきたこと、あるいは徳江さんの中に示されている内容等からしては、全然そういう会社の体質としてのヒューマニズムというのは出てこない。だから、いわばこれは社内向けの一種の言いわけを、あるいは対外的な抗弁をするための材料にすぎないと、こう思うのです。
 それで、そういうことをこれから逐一実例的に申し上げてみたいのですが、プレスでは、チッソ首脳と興銀、旭化成の首脳が、すでに経営再建の方向を見出しつつある、ことに興銀並びに旭化成においては、四月の末までに再建計画をつくれということをチッソの中枢部にお話があったようですが、その事実に間違いございませんか。
○参考人(島田賢一君) 興銀当局並びに旭化成の宮崎社長がチッソの再建計画を立てろということを申したかという御質問でございますけれども、旭化成の宮崎社長は、正式には私にはそういうことは申しておりません。興業銀行は私のほうの主力銀行でございますので、判決が出ましたら、なるべく早い時期に会社の再建策を立てろということは前からの意向でございまして、今回あらためてそういうことを申されたわけではございません。
○森中守義君 ちょっと大蔵大臣、チッソの経営に対して、興業銀行あるいは三和銀行等がかなり積極的に介入しているという話がある。むろん銀行管理になっているわけでもありませんし、そういう融資機関である銀行が経常の経営にあまり深入りするということが銀行法上許容されますか。あるいは通例の場合好ましいものでしょうか。どうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 具体的にどういうふうな状況になっておるか、私もつまびらかでございませんが、一般論として言えば、債権者として金融機関が貸し付け先の状況等について大きな関心を持つことは、これは当然なことだと思いますし、それから、その融資先が今後どういうふうになるであろうかということに関心を持つことも当然であろうと思います。その状況が好ましいかどうかというようなことについては、いわばもう少しどういうふうな状況であるのか、その状況を私も承知しませんと、にわかにコメントできません。
○森中守義君 ちょっと島田社長、興銀及び三和銀行の、本社並びに子会社二十三社に対する株の保有率は、保有はどのくらいですか。
○参考人(島田賢一君) いま私のほうの借り入れ金合計は約五百六十億でございますが、その中で、興業銀行から拝借いたしておりまする金額合計は約百十四億でございます。そのほかに債務の保証が約百六億ございます。
○森中守義君 これは大蔵大臣にお願いですが、いずれにしましても、チッソプロパーとしてものごとの処理をしていない、興銀あるいは三和銀行等の意見がかなり強く入っているというのが一般的な見方です。ですから、いま社長が示された内容、その余の介入の状態等、ぜひチェックしてもらいたい。
 それから島田社長、先ほど再建計画についてはいまだ具体的に手をつけていないということのようなのですが、いずれこれは問題になるでしょう。そこで判決では、合成化学工場として要請される注意義務を怠ったから被告に過失の責任があると断定しているわけです。したがって、これを、厳粛な反省ということに実は会社では言っておられるわけですが、私は再建計画の前に、むしろ処理計画、このほうが先だと思うのですが、むろん二十日からまだ幾日もたっておりませんけれども、再建計画と処理計画はどういう状態にお考えですか。
○参考人(島田賢一君) 処理計画とおっしゃいますのは、廃水なりそういうものを、公害を起こさないように処理するという計画でございますか。その意味でございますか、処理計画とおっしゃい残したのは。
○森中守義君 処理計画とはいろいろありましょう。たとえば、新認定患者への処理とか、いろんな問題がある。きのうの患者さんから要求されたものとか、ヘドロの問題等、際限なくありますよ。そういうものを包括的に処理する計画をおつくりになるのが先であって、あとはもう二の次だと、再建計画というのは。あるいは再建計画の中にそういうものを入れられるのか、どうなのか。こういう意味です。
○参考人(島田賢一君) そういう御質問でしたならば、もちろん処理計画は、相当膨大な金額になることが予想されます。会社がいま考えておりますことは、まことに残念なことながら、私のほうの患者さんが幾つの派にも分かれております。この際に、そういうふうに分かれておる患者さん方のいろいろ補償なりの問題を、判決を機会に、あとに尾を引かないように、とにかく今回を機会にしてまとめてみたい。そういうふうにいたしますと、まだ未認定の患者さんがたくさんおられまして、数がどれほどになるかわからぬほど大ぜい出てこられるわけでございますが、かなり膨大な金額になることが予想されますので、その処理計画を組み込まない再建計画というのは考えられませんわけでございます。したがいまして、私のほうの再建計画と申しますのは、その処理計画を入れた再建計画になりまして、同時並行的に進んでいくというのではなくて、再建計画の中には処理計画の案が入っていないと、再建計画ができ上がったことにはなりません。――よろしゅうございますか。
○森中守義君 これはいま非常に正確なお答えで、まあまあという気がしますが、もう一回重ねて重要なことだから申します。これからおつくりになろうという経営再建計画の中には、当然なこととして処理計画が入る。こういうふうに理解していいですね。
○参考人(島田賢一君) 当然、いま御質問のありましたように処理計画が入るわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、患者さんの数が今後どれほどになるのか、これの見通しがいまだ立っておりません。これは現地でもどこでも立っていない。だれも、正直言いますとわからない状態でございます。この患者さまの数がどれだけになるかということで、処理計画なり再建計画がうんと金額的に変わってくるわけですから、ある程度の時期に会社としては見込みを立てなければならないということになりますので、その処理計画を立てた上での、含んだ上での再建計画でありますけれども、その中に、いまのようなまだはっきりとつかめない、かなりな金額的なものが含まれているということは、まことに残念ですけれども、数字が確定しない再建計画あるいは処理計画ということになるかと思いますけれども、もちろん、いまの処理計画を含まぬで再建計画が立つような会社の状態でもありませんし、経営の状況でもございません。
○森中守義君 いま言われたのでよろしいんです。相当長期にわたる計画になりましょうから、不確定要素があっても、そのワクの中で処理していくということであればけっこうです。
 それで、一歩話を進めますが、判決の中で非常に重大な個所としまして、たとえば、見舞い金契約については、住民の無知と窮迫につけ込んだものであり、社会の道徳観念に違反するものとして無効である、こう言っておる。そこで、私はこれにつけ加えたい。企業が地域社会をささえているとする支配権力的思い上がり、これがあった。むしろこのことが問題だと思うのですね。そこで、社長の言われる反省をしているということが、おそらくここまで断じ込まれた現在では、そのとおりだと受け取りたい。だとするならば、具体的に、何をおいても水俣工場は自後存続をする、存続の上で、関係の皆さんあるいは地域の皆さん方に物心両面の償いをやっていく、しかもそれは永久性のものである、こういうことをこの場でひとつ言えますか。どうでしょう。
○参考人(島田賢一君) ただいまの点についてお答えいたします。
 水俣工場に対する考え方は、いま先生から御質問いただくまでもなく、ここ一年半ぐらいの間に、私のほうがいまのように経営的窮境に立っているにかかわらず、約七十億の資本を投下いたしまして、水俣工場をスクラップ・アンド・ビルドし、そして、そういうことで人員が余裕になった人たちに、仕事をしていただくために回りに幾つも子会社をこしらえました。これらをひっくるめて、約一年半−二年ぐらいの間に七十億の投下でございます。いま、それらの仕事がやっとどうにか実ってまいりまして、子会社もなかなか赤字でございましたけれども、どうにかこうにか、行った人たちがめしが食えるというぐらいの状況までやっとこぎつけたわけでございます。
 それから水俣工場は、それまで年間に、まことに恥ずかしいですが、十億を下らない赤字を出しておりました工場だったわけですけれども、新鋭設備に金を投下いたしましたので、現在では、去年までは景気も悪かったですから多小赤字でございますけれども、どうやらみんなの給料が出せる、収支とんとんぐらいのところまで持ってきたと思っております。そういうことで、水俣から、よく世間で言われるわけですけれども、水俣から撤退するのじゃないかというふうなことが言われておりますけれども、水俣から撤退するつもりは毛頭、前から持っておりません。これは事実、水俣から撤退なぞできるものではございません。
 いま申しましたことのほかに、町が過疎化いたしますので、県並びに水俣市からの強い要請がございまして、いろいろ自分のほうの会社でいままでやったことのない合板事業だとかあるいはチェーンをつくる工場だとか、そういうものをこしらえまして、そこである程度の人員の定着をはかる。さらにそのほかに患者さまに、すでに和解ができ上がりまして和解案による補償金を差し上げております患者さんもおるわけですけれども、それらの人たちに、補償をすればそれで事足りるんだというのでなくて、最近やっておりますことは、福祉工場を建てよう。別府に行きますと身体障害者の太陽の家というのがございますので、これに何回か足を運びまして、そういうものを水俣でできないかというふうなことをやったわけですが、いまやっておりますのは、やっと実りましたのは、本年の二月からマウスを飼いまして、患者さんでもマウスを飼うような仕事でしたら、あまり労力も要りませんしそういうことができますので、マウスの仕事が大体実ってまいりました。
 こういうことで地元に仕事も起こす、それから患者さまのことも、できるだけそういう方向で償いの一端としてやらしていただくというふうなことを考えておりまして、水俣から撤退するというふうな考えは、これは毛頭持っておりませんから、ぜひ先生もそういうふうに御理解いただきたいと思います。
○森中守義君 通産大臣、お聞きのとおりです。ですから、まさか、あとになってごたごたが起こるとは思いませんけれども、さっきからお尋ねしている再建計画ですね、こういう策定をめぐっていろんな問題の派生が予測される。ついては、社長からいかなることがあっても撤退はしない、存続をすると、こういう言明がありましたから安心はいたしますけれども、通産大臣におかれても、後日のためにこのことをしかと確認をしていただきたいと思う。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) よく承りまして確認いたします。
○森中守義君 それから、社長、あまり時間がありませんから早目に聞きますが、きのう患者側が提示した誓約書ですね、これはどうされましたか。
○参考人(島田賢一君) 昨日患者さまとお話し合いの場を持ちました。その席で、冒頭に患者さまのほうから今後の患者さまとの接触なり補償の問題なりに当たる会社の姿勢を尋ねられましたので、それにつきまして誓約書を入れまして、今後とも水俣病の償いを誠意をもって実行するということをお約束申し上げました。そういうことでまいりたいと思います。よろしゅうございますか。
○森中守義君 そうしますと、この三月二十二日付の島田賢一の判こをつかれたこれは、社長がかわられるといえども、将来にわたって事案の解決までは有効なものであると解釈していいですね。
○参考人(島田賢一君) 会社の社長というのは、時間がたてばかわります。ですけれども、会社というのは法人格でございまして、法人格は続きます。社長は包括承継すべき筋合いのものでありますから、私がたとえだれかとかわりましても、その誓約書というものは変わるものではありません。私個人の誓約ではございません。よろしゅうございますか。
○森中守義君 それからかなり内容的には豊富なようですが、誓約書と同時に患者側が要求された項目があるようです。その項目をお述べいただきたい。
○参考人(島田賢一君) まだ、具体的な御要求項目は、本日ここへ出てまいりますまでに伺っておりません。
○森中守義君 じゃ、きょうこれからの交渉になりましょうが、それじゃ私から少し重要な項を聞いておきましょう。
 自主交渉派、和解派、新認定患者、さらに現在四百人余りの認定申請中の人がおります。これがいずれは認定されると思う。こういう人たちに対しては、当然判決による、あれを基準とも言うべきでしょうが、これに従ってお払いになりますね。
○参考人(島田賢一君) ただいま会社に出ております唯一の社会的な基礎になる補償の基準は、三月二十日に出ました判決であります。ただ、私が前々から考えておりますことは、これは四日市裁判でしたか、あるいは三井金属のイタイイタイ病裁判でしたか、判決主文に、補償というものは個個のものであるべきはずである、各人各様に事情が違う、その事情が違ったのを補償するのが、補償といいますか、賠償といいますかというものの性質であるということを裁判長が主文に善いておられました。私も賠償というものはそういう種類のものであるというふうに考えておりますので、唯一の社会的な確固たる基準は判決でありますけれども、各人患者さま皆さま方の各様の御事情に従って判決の基準を照らし合わしながら賠償金額を算定さしていただくということに相なろうかと思います。
○森中守義君 これはさみだれ式に解決されるとは思いませんけれども、大体いつごろを目途に支払うべきものは支払いになる予定ですか。
○参考人(島田賢一君) まことに見通しの立ちにくい問題でございますので、御質問に的確な御返事になるかどうかわかりませんけれども、訴訟派の患者さま方には、二十日に判決が下りまして、その当日にお払いをいたしました。あとは、前に申しました厚生省のあっせんによる、いま一任派と申しておりますけれども、和解のできた患者さまと、それからもう一つは、これは世間でも私のほうでも新認定――といいますのは、大石長官のときに認定基準をお示しになりましたので患者になられた方々ですけれども、この方々の中に、公害等調整委員会、それから自主交渉をしておられる方、こういうふうに分かれております。これらの方々との補償の落ちつきは、なるべく早い時期に、少なくともここ三、四カ月のうちには固めたい。ただ、患者さんが、先ほど申し上げましたように、どんどんいまふえているまっ最中で、二カ月に一ぺんずつ熊本県知事が認定なさるのですけれども、過去では大体四、五十名の患者さんが二カ月に一ぺんずつふえられた。ところで、これが、今回以降は八、九十人の人を審査をするということになって、スピードを上げようというおつもりらしいですけれども、あとに控えておられます未認定の患者さんが、先ほど森中先生は四百名とおっしゃられましたが、約五百名おられます。そのほかに、住民一斉検診を熊本県、鹿児島県両県でなさいまして、三次検診まで終わりましたのですが、それで申請を待っておられる方がおそらく十四、五百人おられるわけです。この方々がほんとうの水俣病という認定をお受けになるかどうかは、審査委員会にはからないとわからぬですけれども、何しろ委員の方々もそんなにひまがありませんから、どうしても二カ月に一ぺん何日間かということになりますので、八、九十人の人を認定するのがいまのところ私が見ましたところ精一ぱいであろうと思いますので、千五百人の方々を認定するということになりますと、かなり長い年月がかかるのじゃなかろうか。したがいまして、それらの人々との補償のお話し合いがつくというのはだいぶん先になってしまう。ここで私が考えておりますことは、そういうふうになっていつも問題の解決が先々になっていくのは困るから、何とか、患者さんの認定はおくれても、その前にそういうことに対する基本的なルールといいますか、レールといいますか、そういうものがしけぬものだろうかというのがいまの私の考え方であります。大体よろしゅうございますか、いまので。
○森中守義君 二時までのお約束で、あと一、二問で終わりますから。
 ちょっと、環境庁長官、公調委の調停は、もはや判決が出たことによってすでにその調停の任務が終わったと、こういうふうに私は判断をする。したがって、この調停に依存をされている申請者の皆さんには、当然チッソにこのことをまかせて補償の措置をすべきだと思うのですが、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 調整委員会は、御承知のように、総理府でやっておるわけでありますが、私も一日も早くこの調停案が出ることを望んでおるわけです。それは何かといえば、判決は出たけれども、一方において調停を依頼しておる人たちもおるわけですから、そこで基準が示されるということは全面的に損害賠償に対する問題を解決するためには必要な前提になりますからね。したがって、これは督促をいたしておる次第でございますが、独立のやはり立場を持っておりますから、まだいつということはなかなかわれわれ自身も承知していないのでございます。
○森中守義君 これは長官もおられますからあとにしまして、もう一つ島田社長に伺いたいのは、カーバイドの残渣が、大体二山ぐらい、例の百間プールに山積みされておりますね。これをせんだって私のほうで調査の結果、〇・〇〇一九PPMある。通例的には〇・〇〇〇一PPMのようです。約十九倍ある。かなり多量の水銀を持っているということになりますね。非常に危険ですよ、これは。しかも、無蓋、壁はつくっていない。豪雨等でこういうものが流出をしていけば、一段とヘドロの除去をいまどうしようかというときにこれは拍車をかけると、この処理をいつごろなさいますか。それと、こういったようにコンマ〇〇一九PPMもあるというものを調査もしないで放置された責任もこれはありますが、どういうようにお考えですか。
○参考人(島田賢一君) いま御質問のございました含有水銀のPPMですか、十倍ぐらいに変わっておりますのは、まことに申しわけがありませんけれども、どういうサンプルのとり方でどういうふうになったか、きょうここで実はお答え申し上げる資料が手元にしっかりしたのがございませんので、これは後ほどもう一回確かめさしていただいて、そして先生のところにお返事をさしていただくようにさしていただきたいと思います。
 それからこの処理は、至急にいたします。
 それからこれを放置しておきました責任は、ちょっとここでどういう処置をとるか、即答いたしかねますけれども、主として問題は、含有の水銀量の認識といいますか、それにからんでくると思いますので、いずれそれの分析がそういうふうに会社の分析と違ったところを確かめました上で、いまの責任問題につきましても、先生のお手元に御返事に上がりたいと思います。よろしゅうございますか。まことに残念ですけれども、どういう違いでそういうふうに差が出たかというのは、いま私はちょっと詳しく御説明申し上げて落ちのない知識を持っておりませんので、後ほどにさしていただきたいと思います。
○森中守義君 これは、現地における会社側の説明では、単に石灰石を焼いたものだと、こういうわけで、危険はないと、こう言っているらしい。そこで、私のほうで検出の結果、いま申し上げた水銀量がコンマ〇〇一九PPM出てきた。通例は〇・〇〇〇一PPMということのようです。そこで、これは、三木長官、それから通産大臣、両方とも、公害公害と言い、対策をやらにゃならぬと言いながら、環境庁も、あるいは工場監督の任にある通産省も、こういうような全くこれは野放しという感じがするんですね。露出していますよ。しばしば私もこれはどうかならぬものかということを何回も言ったことがある。いまあらためて提起したこの残渣の問題は、至急に指示をして、政府においてもこの問題の処理に乗り出すべきだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 至急に指示いたしまして、政府部内におきましても、いまの水銀量等について検出して調査してみます。調査して害があるようでありましたら、会社に対してそれを処理するように命じます。
○森中守義君 島田参考人は、患者の皆さんもお話を進めたいとお待ちのようですから、あと一問で終わりますが、要するに、まことにショッキングな問題なんです。しかも、患者の皆さん方も重い体を引きずって来ております。おそらくきょうこれから具体的に要求の項目も提示されるでありましょう。ついては、慎重に、真剣に、謙虚に、ひとつよく話を受けとめながら、処理できるものは早急に処理していただきたい、このことを強く要望しておきます。
 それと、いま一つ、存続の問題がはっきりいたしましたので、これに関連してちょっと申し上げておきたいと思いますことは、数年前の安定賃金を契機に大問題が発生をした。白来、まことに陰惨な状態というものが現地に渦巻いております。しかも、これは、単にチッソというカテゴリーの中にとどまらないで、全市に広がっている。まことにこういうことは遺憾である。しかも、その内容を追及していけば、どうも組合の分断を策する、そこで差別をする、こういうところに問題がある。一言でいえば、やっぱり会社の一つの方針に基づいたものになっているようです。この辺に、実は、チッソの工場が熊本の労働基準監督局から安全管理を怠ったということで両三回にわたって勧告を受けた事実があります。災害発生の事案が非常に多い。これもやっぱり有形無形に遠因があると思う。したがって、これからの労務対策等につきましては、融合統一の方向へ、そういうことをこの判決を受けとめる厳粛な事実の一つとしてお考えになったらどうか、こう思うのですが、いかがです。
○参考人(島田賢一君) 最初の御質問の、いまから患者さまといろいろとお話し合いをさしていただくわけでございますけれども、そのことにつきまして、いま先生のおっしゃいましたように、なるべく早く迅速にものごとを片づけるのが本旨でありますし、会社といたしましても、判決が出ましたあとでなおかつそういうことで時間をとっているのは好もしいことではありませんので、御趣旨に沿った処置をいたしたいと思いますけれども、ここで会社が一つひっかかりますのは、私は昨年から考えておりますことは、すべての患者さんに公平なる補償をしなければならぬ。患者さんの間に、あの人はたくさんもらった、自分は少なかったというふうなことがあってはならぬと。したがいまして、それは、公平なというのは均一なということではございません。先ほど申しましたように、補償というのは、個々の人の状態に合わしてのことなんだけれども、もらう金額は多少違っても、個々の人たちがおのおの、ある人はあれだけであっても、あれは多いけれども、まあ当然だというふうに納得していただける補償をしなければならぬ。それには、いろいろな一定の基準がありますから、基準といいましても、一番大きいものはやっぱり症状関係になるかと思いますけれども、そういうふうに公平な補償をさしていただきたい。ところで、原資が幾らでもありましたら、この補償はできます。先ほど言いましたように、あと千人になるのか千五百人になるのかわからない患者さんを控えておりまして、いまここで私のほうの範囲内でできるだけの補償をして、あっと言って、あとで出てくる患者さんに補償ができなくなったら一体どうするんだと、チッソという会社は。それでおまえは患者さんに対する補償を責任をとったということになるのかと。隆々とした会社でございましたら、このようなことは考えなくても済むわけですけれども、先ほど言いましたように、千人になるのか千五百人になるのか、人によっては三千人になるぞと、場合によったら一万人になるぞというようなことを言う人がおりまして、一万人にもなったらとてもじゃないけれども私のほうだけではやれないのはさまっておりますけれども、そうしますと、そういうことにひっかかってどうしてもそんなに即断できないことが出てまいります。これが非常に渋るという形に見えてまいりますことは残念です。まあここで私どもが払えなくなったら一体どうなるんだろうかと。そうすると、あとで出てこられる患者さんは一体だれが補償金を払うんだろうかと。それから払えなかったらあとで出てくる患者さんは泣き寝入りをするのかと、いろいろな問題がございます。ここらの問題をさばきませんと、会社としての態度は渋ったようなかっこうにならざるを得ない。早く片づけたいのですけれども、問題の大きな重点はそこにあると思います。これが一つでございます。
 それからもう一つ、労働組合の分裂しておりますことは、会社といたしましてまことに残念なことであります。まあ、いろいろと、労働組合の方方の中にも、会社が分裂さしたとか、いろいろなことが伝えられておりまして、そういうふうに考えておられる方もおありのようですけれども、これは三十七年――十年か十一年前の労働争議の際に発生したことでありますけれども、残念ながら、現在では、あまりに長い百八十何日かの大争議で、いまの新しくできた労働組合が工場の中に籠城をしまして、外へは出られずに、それこそ、私はシベリアの捕虜になっておったことがありますけれども、私がシベリアの捕虜になっていたと同じような状態で工場の中で籠城をしながらある程度の生産を続けた。そういうものがずっとしこりになっておりまして、なかなか気持ちの上で和解できない。会社としては何とかこれの和解をはかりたいわけですけれども、先生のおっしゃるとおり、私も何とか和解をしてもらったほうがいいと思いますけれども、いまの感情疎隔がございましてなかなかこれが会社の思うようにまいりませんので、まことに残念ですけれども、工場の生産が、故障も起こさず、事故も起こさず、けが人も出ず、しかも生産の効率をあげるのは、労働問題が平穏であるといいますか、非常によくいっているということでないと会社の業績もあがりませんので、私のほうもその考え方で処置したいことはもう念願しているわけですけれども、そういう問題がございますので、その点はひとつよく御承知おきをいただきたいと思います。過去に三十七年から三十八年にかけてそういう長期の大争議をやったのがよかったか悪かったかというふうなことは、これはもう過ぎ去ったことですから、そんなことをいまとやかく言ってみてもしかたがありませんので、いまから何としてこれを融和するようにしていくかというのが今後の会社の労働政策の基本であることは、先生のおっしゃるように、そういうふうな基本でもっていきたいと思います。ただ、両方に分かれた方々ですから、どうしても中庸を歩むというのが会社としてもなかなか政策的にむずかしくなるものですから、いま御指摘になりましたような状況が出ておりますことは、私も重々承知しておりますし、まことにこれは遺憾なことであるというふうに思っております。
○森中守義君 社長にはまだたくさんお聞きしたいことがあるし、将来もあります。それで、きょうが最後ということにはなりませんけれども、またあとのことはあとに譲るといたしまして、これからしばしばお招きすることになりましょうから、そのおつもりでひとつきょうはお引き取りください。
○委員長(大竹平八郎君) 委員長より一言お礼を申し上げます。
 島田参考人におかれましては、特にお忙しいところを本委員会に出席いただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。どうぞお引き取りください。
○森中守義君 一昨日ちょっとお尋ねをしながら委員長に切られてしまったヘドロ問題が一つある。運輸大臣、どういう計画ですか、ヘドロ対策は。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 運輸省の関係しておる部分についてお答えいたします。
 水俣港の堆積した汚泥の処理を早くするということが運輸省に課せられた問題でございます。こういう問題のためにかねて熊本県当局とは連絡をいたしておりますが、熊本県当局におきましては、汚泥の処理対策につきまして、御承知かと存じますが、熊本大学に委託をいたしましていろいろ検討を重ねてきておるのでありますが、最近その結果がようやく処理対策としての方向づけがなされたようでありまして、この処理を昭和四十八年度から公害防止対策事業として実施したいという意向を申し出てきておるのであります。このために、公害防止対策事業として処理対策を実施するために必要な実施計画の策定をまずしなければなりません。この実施計画の策定を早く行ないますようにという指示をしておる次第でございます。このような必要な措置が整いますれば、四十八年度に公害防止対策事業としての国庫補助の要求があれば、国におきましても予算の範囲内におきまして直ちにこれに応じるような財政措置を講じたいと考えておる次第でございます。
 なお、ついでに、この内容についてもう一言御報告しておきますが、この水俣港の汚泥処理事業をいわゆる港湾公害防止対策事業として行なう場合には、御承知の公害防止事業費事業者負担法という法律がありますが、この法律によって事業者に負担させる費用の総額をきめなければなりません。この事業者の負担総額は、費用を負担させるすべての事業者の事業活動がその公害の原因となると認められる程度に応じた額とすることになっておりまして、これをきめるのは、県が公害対策審議会の意見を聞いて、その上で施行者である県がきめることになっておる次第でありまして、つまり、総事業費から事業者の負担額を差し引きましたその残額を、これはまた別の法律がありまして、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、この法律によりまして、国が二分の一、施行者である県がその二分の一の割合で負担をすることになっておるのであります。いまのお話がありましたように、裁判もきまりまして、県が事業者に対してどのような負担割合を求めるか、これによって国と県の負担割合が自然にきまってくると、こういうことでございます。
○森中守義君 農林大臣、御承知のように、すでにもう久しく一面の海域は死滅しております。そこで、沿岸の漁業の皆さん方は、当然、漁業の転換、これに伴う船具あるいは漁具の問題等が出てくる、資金の問題が出てくる。こういう問題をどういうようにお考えでしょう。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま運輸大臣のほうからヘドロ撤去の作業のこれからの計画をお話しいただいたわけでありまするが、これに伴って種々の影響が出てくることは当然考えられます。ただ 現在のところ、具体的にこういう影響があるということがにわかに判断ができないのでございまするので、まことに抽象的な御返事でたいへん恐縮でございまするが、影響があるということは予想されますが、その影響がありましたときには、農林省が関係各省と相談いたしましてそれに応じた補償あるいはその他の措置を講じたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○森中守義君 いままで幾つか具体的な事例をあげてきましたが、あまりにも問題が多過ぎる。そこで総理、判決の直後に総理並びに環境庁長官が、厳粛に判決を受けとめる、政府は油断をしておった、まあ、こういうことなどが言われた。しかし、昭和三十二年七月六日、私が本院の社労委員会へ持ち込んだのが国会における水俣問題の始まりですよ。それから十六年、あまりにも長い歳月ですね。その経過を顧みた場合に、総理あるいは長官の言われるお話は、判決という厳粛なる事実の前に何かしら政治家としての感傷が伴っておる。過去のことには全然目を向けようとされない、されていなかった。だから私は、あのお話というものは、かかわってきた一人としては、実はその真意を疑っている。そこで、あれが事実であるとするならば、これから先、少なくとも具体的に問題を集約して、別途に全体を包括できるような体制というのか機関の設置が必要ではないか、こう思うんですが、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 一つの不幸は、有機水銀に対しての解明ですね、これが学界でもいろいろ意見が分かれて、そしてなかなか結論の出なかったということも不幸であったと思いますが、御指摘のように、振り返ってみると、行政の責任も感ぜざるを私は得ないものがある。
○森中守義君 そのとおり。
○国務大臣(三木武夫君) したがって、この問題は機関という――機関というよりかはこれを、各省に関係することが多いですから、まあ、人命に関係をしておることですから、人命尊重という一つのこれはもう政治の基本ですから、こういう上に立って、漁業の問題もあるし、あるいはまた医療の問題もあるし、あるいはまた埋め立ての問題もあるし、もういろんなものを総合的にこれをやはりすっぱり解決して、世界的な新聞なども、各世界の新聞もこの問題を大きく取り扱っておるわけですから、日本がこの公害の原点という水俣に対して、やはりこの処置というものを――いまになってきて生命も健康も取り返しはつかぬですけれども、しかし、この事態における処理というものをすっぱりやることによって、やはりこれは日本としても世界が注目しておる事件の処理をすっぱり処理することによってこの公害問題の新しい出発点にせなければならぬと強い決意を固めておる次第でございます。
○森中守義君 時間がなくなりましたから、最後に総理に、まだまだこれは尽きない議論がある。けれども、きょうは次の二、三の点を総理に私は問題提起をして、これからの議論の発展を期待したいと思う。
 まず一つは、先ほど私が指摘をしたように、当然政府もその怠慢を認めざるを得ない。よって環境庁長官を現地に派遣をして、実態把握、認識はもちろん、関係者に当然これは政府の立場からわびる必要があると思うがどうでしょう。
 それから患者の救済、地域のこの問題の処理のために特別に財政措置を講ずる必要があると思うがどうでしょう。
 それからいま一点は、さきに本院の公害特別委員会で公害対策の強化に関する決議というものをしております。これはすでに御承知のとおり。したがって、この決議をすみやかに政府におかれても検討して、これが実現のために所要の措置をおとりになる考えはないか。
 以上のことをお尋ねして私の質問を終わります。
○国務大臣(田中角榮君) 三木環境庁長官を現地に派遣するということにつきましては、国会の審議の都合を見て、許されるならばいつでも出張するということでございます。
 それから第二点、環境汚染の事後処理という問題に対しては、当然政府も地方自治体も企業も責任があるわけでございますが、これが処理に対しては十分考慮してまいりたいと、こう考えます。
 それから第三点では、これからの環境汚染の未然防止の問題、環境保全の問題についてでございますが、決議の尊重、これが実行に移さざるを得ないということはもちろんでございますが、政府は過去においても環境保全に対しては意を用いてきたつもりでありますが、しかし、この水俣の問題を見ますときに、環境保全の方法やいろいろなものに対して欠くるところがあったということはすなおに認めて、再びかかることのないように、環境の保全また公害の未然排除のためには万全の対策を講じていきたいと、こう考えます。
○委員長(大竹平八郎君) これにて森中君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(大竹平八郎君) 萩原幽香子君。(拍手)
○萩原幽香子君 先日、私はあるPTAの座談会に出席いたしました。その席上まことにショッキングな話を聞いたわけでございます。それは、小学校の一年生の子供たちが家族の話をしておりました際に一人の男の子が、ぼくにはにいちゃんも弟もあったんだよ、でもママがほしくなかったのでこうしちゃったんだよと、こう言って、小さな両手でまるでぞうきんをしぼるようなそういう手つきをして言ったというのです。聞いていた子供はもちろんそばにいた先生たちも、初めは何のことかさっぱりわからなかった。しかし、そのうちにくだんの坊やが、ぼくもほんとはほしくなかったんだけども、失敗してできたんだって、と言ったそうでございます。これには先生はまことにあ然としてしまった。
 しかし、こういう問題は決してこの子供の家庭だけではございません。現にけさの新聞にも、生まれたばかりの赤ちゃんを川に投げ捨てて殺したということが報じられておりました。このように、最近子供を殺したり捨てたりすることが平気で行なわれるようになっております。先日の東洋女子短期大学の嬰児産み捨て事件もその一例でございましょう。ところが、三月十四日のテレビの「お昼のワイドショー」にあらわれた女子大生は彼女のことを、どじな女、ちょっと足りないんじゃないかと笑っています。また、中絶は体内の老廃物を放出するのと同じだと言い切る人もあります。まことにりつ然といたします。
 総理、あなたはこうした風潮に対してどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 妊娠中絶という問題は、申し上げるまでもなく、優生保護法の見地からの問題もございますし、母体保護の問題もございますし、いろいろありますが、そういう常識を越えて人命軽視という風潮にあることは、これはもう認めざるを得ません。しかも、親が自分の子供を車の行きかう高速道路のまん中に置き去りにしたり、それから一人でもって戸外に出ることのできない子供を軟禁状態にしながら夫婦で旅行に行ったり、それからいま御指摘にあったような事例、毎日どこかで目にし、聞くのであります。これは一つ政治の欠陥でもあると私どもそうも考えます。やっぱりこういう問題に対して、必要なものは必要な措置を行なわなければいけない。これは教育が悪いならやっぱり悪い面を直さなきゃいかぬ。ほんとうに法制上悪ければ直さなきゃいかぬ。私はやはりそういうときを迎えたんだと、やっぱりこういう毎日毎日報道されることを承知をしながら拱手傍観は許されないというぐらいに非常にきびしく感じております。
○萩原幽香子君 では総理、こういうようなことになった原因についてどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、一言にしては申し上げ得ないのでございますが、やっぱり享楽主義というか、これは一つには、もう結婚すれば子供ができる、できた子供は自分の命にかえても育てなければならないというのが日本人の美徳であったはずでございます。まあ、昔も暗い事件として、農村において古い機構の中では間引きをしたり、口減らしをしたりという非常に悲しい物語がありますが、しかし、戦後のほんとうに困難な、生きられるか食えないかわからないときにはこんな風潮はなかったんです。これはほんとうに戦後の困難なときには、とにかく死ぬならともに死のうというような親子のきずながあったわけですが、このごろ非常に急速にこういう問題が起きておると、これはいままであったんだけれども表に出なかったという問題じゃありません。これは数からいっても、その性質や状態からいっても、非常に異常な状態にあるということは、これはもうひんしゅくをするというような状態ではなく、ほんとうにどこかが間違っておるんだという感じがいたします。これは長い責任の地位にあった、政治の地位にあった私たちとしましては、これはやっぱりこういうことは正さなきゃいかぬと思っておるんですが、これはやはり戦後の生命の尊重、それから個人の尊厳、いろんなことが説かれてきたわけでありますし、教えられてきたわけですが、やはり権利は主張するが義務は、というようなところにも一つの問題がないとは言えないと私は思うんです。子供を産んだら育てなさい、これはあたりまえのことだと思うんですが、私たちが親からそう要求されてきたものを私たちも自分の子供には要求しておりますが、しかし、そういう一つの風潮、そうしたてんとして恥じないという、自分がやったことに対して悪いという――まあ、さめざめと泣くというような記事が報道されないのかもしれません。しかしそうじゃなく、何かおかしいということでございまして、これは政治に責任ありとせば、その面はもうほんとうに正さなければならぬ、こう思っております。これはただその人たちにだけ私は責めを求めるわけにはいかぬと思うんです。やっぱりその子供を殺す、中絶をする、ぞうきんをしぼるような、そういうような感じを与えたその観たちはわれわれでもございますから、やっぱりわれわれの責任も全然ないんだということは言えないと思うんです。ともに負わなければならない責任であって、やはり正すべきは正さなければいかぬということだと思うんです。
○萩原幽香子君 正すべきは正すと、こうおっしゃったんですが、総理、総理の日本列島改造論を拝見いたす限りにおきましては、それほど大切なこの列島の中に住む人間の改造ということについては私はあんまりお触れになっていらっしゃらないと思うんです。むしろ、列島改造という以前に人間改造のほうが現代は大切なんじゃないか、その点、いかがでございましょう。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、列島改造というのは、短い時間にちょこちょこっとそれ一緒にしてしまったというところに問題があったんでしょうが、ただ、これだけ成長した日本であるが、マッチ箱の積み重ねのような中に入っておる。そうして、私は建築の技術屋だったものですから、高温多湿の日本においてコンクリートの密閉式な建物というものが不適であるということは承知しておるんです。ですから、奈良のお寺を見れば、千年の木造の建物が世界に冠たるものとして残っておる。あれは日本に適合する建物だからでございます。私は、そういう意味で、雨露をしのぐに足ればいいんだというわけではない、テレビや自動車が持てればいいんだというわけではない、学校へ行ければいいということだけではないと思うんです。そうすると、やっぱり生活環境を整備しなければならない。そういうことになると、これから真の幸福という社会環境を育てていくためには、国土全体を使うということを、まず平面的に見ないで鳥瞰的、俯瞰的になって、鳥になって、飛行機になって上から見れば、緑は何もないようですが、上から見れば緑はあるんです。そういうことを私は主題にしてこの列島改造論を書いたんですが、そうではなく、これはやっぱりものの言い方であって、政治も、同じ政策でもものの言い方によって理解されるわけですから、日本人の心を取り戻すには真の日本を、日本人がこの国に生まれた喜びを感ずるには、われわれが働いた結果をすべての者が享受するには、というようなタイトルをつければもっと理解されたと思うんですが、どうもそうではなく、水も土地もと、一次産業と労働人口との調整もというようなところから入ったので、少し入り口を間違ったかなという感じはいたしますが、この目標とするところは、私たちはほんとうに「青山に対し深水に依る」がごとき境地に生まれ育ってきたわけであります。だから、私はそういう意味で、まだ日本人の生活を守ることは、これから百年や二百年、三百年守れないことは絶対にない、こういう立場で筆をとったわけでございますが、どうも経済的な面だけが評価されて、それもマイナスに評価されることは著者としてははなはだ遺憾でございます。これはどうも未熟のいたすところでございまして、いずれ第二巻でそういうことを書きたいと思います。(笑声)
○萩原幽香子君 総理、たいへんいろいろお答えくだすったんですが、まあ、やっぱり総理は列島改造論に結びつけたいような感覚でございますね。私はちょっと違います。
 じゃ、それでは文部大臣にお尋ねをいたしますけれども、あなたはこういう現代の人命軽視の世相についてどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) わが国が敗戦という苦い体験を経てまいりまして、その間に非常に不幸な経過もたどってきていると思います。そういう意味におきまして、経済的には非常に充実した社会になってまいりましたけれども、精神的には、充実という面からはほど遠い面が多分に見られると思います。個人主義を徹底することはよかったわけでございますけれども、どちらかといいますと、利己主義の弊におちいってきて社会に目を向けなくなってきている。自由を強調するのはよかったわけでございますけれども、いつの間にやら責任を忘れてきているというような面も多分に見られるわけでございます。そういうところからおっしゃいますような人間の喪失というようなことも出てまいってきているわけでございます。教育の問題――社会教育、家庭教育、学校教育――全体を通じて考えていかなければならないわけでございますけれども、特に精神的な面につきまして、私たち今後一そう努力を払っていかなければならない。教科の改定にあたりましても、そういう点について特に努力をしていきたいと、かように考えているわけでございます。
○萩原幽香子君 社会に目を向けなくなったようなとおっしゃったわけでございますが、その原因は何でございましょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、いま一例といたしまして、個人主義の徹底をはかりました、そのことが自己中心になりまして社会のことを考えない、社会連帯性が薄くなってきたと、こういう弊害もあるわけでございます。
 また、一例を申し上げますと、御承知のように、戦後、占領軍の支配を受けまして、まず第一に教育について修身、日本歴史、地理の授業の禁止を命ぜられました。日本歴史と地理は半年ないし一年で復活が許されたわけでございますけれども、修身の面については、ついに復活が許されませんでした。三十三年になりまして、初めて道徳という時間が設けられるようになったわけでございますけれども、これにつきましてもいろんな経過をたどっておりますものの、必ずしも十分の効果をあげていると言い切れない面もあろうかと、かように考えているわけでございます。これだけの問題でございませんで、人と人との交流をもっと深くするような試みを、私としてはいろんな面において強化していきたい。社会体育の面もございましょうし、社会教育の面もあろうかと思います。そうしまして、連帯性をさらに一そう涵養する努力、これはやはり今後に課せられた大きな問題点じゃなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
○萩原幽香子君 それでは、文部大臣、やっぱり修身の復活ということは大事だとお考えになるんでございますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 修身の復活が大事だと申し上げているわけじゃございませんで、道徳的情操を涵養していく、これはたいへん重要なことだと、かように考えております。
○萩原幽香子君 それでは、どういう場でそういうことをなさるおつもりでございましょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) あらゆる教科を通じましてそういう道徳情操を涵養していくという試みが大切だと、かように考えておるわけでございます。単に学校教育だけじゃなしに、社会教育、家庭教育を通じて大切だと、そういう意味では、また、たとえば「青年の家」でありますとか、「少年自然の家」でありますとかというようなものもつくったりもしているわけでございますけれども、団体活動、こういうこともやはり社会的な規律を重んずる一つの態度を養っていくことができるんじゃなかろうかと、かように考えているわけでございます。修身の復活を考えているわけじゃございませんで、道徳情操を身につける、あらゆる機会を通じてそれに努力を払っていく、これはやっぱり大切なことではなかろうかなあと、かように考えておるわけであります。
○萩原幽香子君 まあ、それを聞いて安心をいたしました。しかし大臣、私は、社会教育ということをいまおっしゃったわけでございますけれども、社会教育の予算というものはまことに微々たるものでございますね。そのことについてはどうでございましょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、やはり学校教育だけじゃなしに、生涯教育ということも今日いわれているわけでございますけれども、社会教育、家庭教育、全体を通じて努力をしていかなければ万全を期することはできない、こういう気持ちを持っているものでございます。
○萩原幽香子君 前の稻葉文部大臣が、社会教育主事の五ヵ年計画で六千人の増員とその国庫半額負担ということを打ち出されておったんですが、それが消えたのはなぜでございますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 四十七年から社会教育指導員を国の助成で設置する計画を始めたわけでございまして、四十八年におきましてもこれをかなり増員させていただいたわけでございます。そういうこともございまして、いま、おっしゃいましたような国庫の助成のもとに社会教育主事を設けるという問題を見送らざるを得なかったわけでございます。ぜひ、将来そういう方向で進ませていただきたいと考えておるものでございます。
○萩原幽香子君 総理、学校教育と社会教育は車の両輪といわれます。しかし、その予算に至りましてはまことにお話にならない。そういうことについて総理はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘の面は、確かに私もよく理解しております。これから社会教育面についての予算の拡充強化ということを十分考えてまいらなきゃいかぬと思います。これは私自身がかつて文部省に陳情したこともありますが、どうもやっぱりそういう面に対しては理解が少なかったと私は思いました。やがてやらなきゃいかぬなあとそのときにしみじみと思ったわけでございますが、これからは特にそのようなことを、そういう面の拡充に重点を置かなきゃならない、学校教育だけじゃいかぬのだということを十分感じております。
○萩原幽香子君 予算の査定をなさるひとつ責任者の大蔵大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) まだまだ不十分なところが多いと思いますけれども、私自身もかつて文部行政にも携わったことがございますから、四十八年度の文教関係の予算については特に力を入れたつもりでございます。
○萩原幽香子君 力を入れたつもりだとおっしゃいますけれども、私たちから考えますと、まことに力の入れ方が薄いと考えます。ですから、ぜひこれからそういう点、十分御配慮をいただきたいと思います。
 それではその問題に次ぎまして、法務大臣のお立場でこの人命軽視の問題、どうお考えでございましょうか。
○国務大臣(田中伊三次君) 御心痛をいただいておりますようなできごとが所々に起こってくるということは、これを思うに、父性愛、母性愛の欠除に基因するものがあるのではないかと案ぜられるのであります。田中内閣総理大臣がただいまこの席で仰せになりましたように、親が子を思う心、子が親を思う心はわが国古来からの、古いことばでありますが、純風美俗でございます。これが薄らいでいくような傾向にあることは誠に遺憾でございます。そこで、好んでやることではないのでありますが、不本意ながらやらねばならぬことでありますが、これらのできごとが法に触れる場合ありといたしますならば、これに対してやはり厳格に刑罰をもって臨む以外にない、こういう考えでございます。
○萩原幽香子君 その純風美俗が失われた理由が私は一番知りたいわけでございますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(田中伊三次君) 純風美俗の失われるに至った原因を一つのまあ考察をするわけでございますが、やはり精神関係が軽視せられておる。先ほど文部大臣からのおことばにもありましたが、モラルの観念がたいへん軽く取り扱われる傾向となってきたということ、そして、せちがらく経済関係がこれにかわってのし上がってきた。経済中心、心が従となって経済が主になってきた。これは日本の国の、また古いことばでありますけれども、古来の考え方から申しますと逆の傾向でございます。こういうものは、先ほど先生の仰せになりました社会教育の力、学校教育の力、もう一つ大事なことは、家庭教育にも責任を持ちまして、この力によってこれを訂正していかなければならぬものと、こういうふうに考えるのであります。
○萩原幽香子君 昭和四十四年十二に、厚生省は日本医師会とともに中絶指定医師の協力で中絶に対してのアンケートをおとりになりましたね。その内容を承りたいと存じます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 昭和四十四年に優生保護実態調査ということで、妊娠中絶に関する調査をいたしたわけでございますが、これは、妊娠中絶を希望して病院に来られた方々についての調べでございますが、その妊娠中絶の理由を見ますというと、健康上の理由が二五%、経済上の理由が約二〇%、それから過去、人工妊娠中絶を行なったことがある方々に、中絶はどう思うかと聞きますと、中絶はやむを得ないと、こういうふうに答えておられる方々が八〇%でございます。
 大体、以上のようなことでございます。
○萩原幽香子君 やみ堕胎を拒絶された場合に、あなたはどうするかということに対しては、どう答えておりますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) これはほんとうに情けない数字でありましたから最初、実は申し上げなかったのですが、お医者さんに断わられたらどうする、そしたら、それでもかまいません、非合法で中絶をいたしましょうというのが二二%、子供を手離すかといったふうなことになりますと四%と、こういう数字が出ておるわけでございます。
○萩原幽香子君 そういう内容をごらんになりまして、どうお考えになりましたか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど御指摘になりましたような事例を考え、こうした実態を調査いたしまして、最近における母たるの気持ちというものが非常に薄れておるということについて、私は非常に嘆かわしいと考えました。
○萩原幽香子君 その嘆かわしいとお考えになったことで、厚生省はいままでどういうことを対策としておやりになりましたか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもといたしましては、経済上の理由によってそうすることをせざるを得ない、こういう方が相当おられることを思うにつけましても、何とか、そうした子供がありましても経済的に苦しくならぬような社会福祉ということを考えていくべきであるというふうなことを考えましたし、さらにまた、世の婦人に対し、もう少し優生保護という思想を徹底さす必要があるんではなかろうかなということを私はしみじみ感じました。安易に人工妊娠中絶を行なうということではなしに、現在ある制度は優生保護でございまして、不良な子供が生まれることは何とか食いとめ、母親の健康を守って、そうして、いいおかあさんになってもらいたい、こういうことで、優生保護思想の普及徹底にいままで欠けるところがあったのではないか。こういう方面に厚生省は厚生省なりに努力をいたしてまいりましたが、先ほど来お述べになりましたような嘆かわしい風潮、私どもの力いまだ足らずということで、まことに残念に存じております。
○萩原幽香子君 そう感じましたとか、そう思いましたとかということでは、これは私の質問に対するお答えにはならないと思うのです。一体、何をやったか、どうやったか、その結果がどうかと、それを私はお聞きしているわけですから、その点のお答えをいただきたいと存じます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもは、そういう意味において、社会福祉ということの充実に今日まで努力をいたしてまいったつもりでございます。詳細の点につきまして、また、御質問がございましたらお答え申し上げます。
○萩原幽香子君 じゃ、後ほどお尋ねすることにいたしましょう。
 最近、集団就職で都会に来た少女たちが転落する例も非常に多いと聞いておりますが、労働省では、そうした集団就職で来た者についての離職者について調査をされたことがございますでしょうか。
○国務大臣(加藤常太郎君) これは追跡調査もいたしまして、よく調べております。大ぜいの方が、大体若い方ですね、中学校卒業程度ですね。そういう関係は、就職してもどうも落ちつきが悪いんであります。三年するともう半分ぐらいに減ると。これには教育の問題なり家庭の教育なりいろいろの問題がありますが、かような問題に対しましてはやはり事業主と労働省、これがよく対策を講じなくちゃならぬのであります。追跡調査の結果がもう数カ月で出ますから、出ましたらすぐにさっそくお届けいたします。これに対しては、やっぱり現場の指導する相談員というのを労働省につくっておりますが、これが職場に適応した職業を指導すると、また、事業主もやはり厚生施設なりいろいろな問題を、対策をよく改善すると、これと呼応して、御本人があまり誘惑に乗らぬようにと、ちょっと高い賃金だとすぐに行くと、こういうようなことのないように、大いに指導しておるつもりであります。
○萩原幽香子君 人間軽視の原因について、私はいろいろ承ってまいりましたが、一番私が思いますのは、人間が金に支配されている社会を生み出した悲劇ではなかろうかと考えるわけでございます。わが国の経済政策は戦後一貫して富国政策をとり続けました。それが国民の体質となり日本人の性格ともなっております。やはり金もうけのじょうずな人間が優位を占め、社会がどうあるべきかをまじめに考えるような人間は価値のないものと扱われてきたということにあると思います。そうした現状で福祉優先への道はなかなかきびしいと思うわけでございますが、総理は、その非常な困難を乗り切るお覚悟がおありでしょうか、承りたいと存じます。
○国務大臣(田中角榮君) 私も、いま御指摘になられたような問題に対して政治の理想としておりますし、政治信条としておるわけであります。私自身も困難な農家に生まれ育った者でございまして、苦難の道も歩いてまいったわけでございます。ほんとうに働く人たち、恵まれない環境の中で生まれ育たなければならない大ぜいの人たち――ほんとうに真に恵まれておるという人は少ないのであります。ですから、そういう人たちが働いていく中に、希望を持ちながら、みずから働いた結果を分かち合えるような真に社会連帯的な社会をつくろうという行き方を前提として政策を進めてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
○萩原幽香子君 その総理のお考えがあまり政策に出てないんじゃございませんか。いかがでございます。
○国務大臣(田中角榮君) これは萩原さんもよく御理解いただけると思いますが、いまの時点におきますとドルも余っておるし、たいへんよくなったような状態で立論されますと、そういうことになると思いますが、しかしほんとうに昭和四十五年、四十六年一ぱいぐらいまではたいへんな困難な状態で、戦後第一期の目標に向かってきたわけであります。これはもうとにかく餓死者を一人も出さないというのが戦後の内閣の政治課題でございました。その次には、何とかして、最も少ない負担において国民の生命と財産を守るためにはどうするか、鮮烈な政策があったわけであります。それから第三は、池田内閣時代でありますが、初任給八千円を法律できめなければならない。こういう時代があったわけでございまして、とにかく月給を倍にしようということで、衣食住のうち、食えるようになりました、減反政策を行なわなければならぬようになったわけですから。着ることも着れるようになりました。いまの問題は住宅の問題です。住宅の問題から、ほんとうに心の問題、社会に対して裨益できるような日本をつくろう、日本人をつくらなければならないという段階があったわけでありまして、三十九年の八条国への移行、四十年の不況、四十五年までの輸出増強のための努力、そして、わずか二年間で今日の状態になったわけでございますから、これから都市改造も行なおう、国土の改造も行なおう、学校も建てましょう、社会教育も充実をしましょう、そういうことになっていくのでございまして、これはやっぱり初めは完全雇用をやろうということでなけりゃならぬと思うんです。いまは若い人に対しては、求人率は五倍ぐらいになっております。こういう状態においては、これからは国民の持つエネルギーを社会福祉の面に振り向けられるようになったということでありまして、これからやらなかったら、これはたいへんでございます。これからはもう十分やってまいります。だからもう、あなたがほんとうにやるなというぐらいに、私たちも、国民のためにならない、弱いものに味方しないということを毎日毎日御質問を受けるよりも、まあよくやりますねえと言われるほうがいいにきまっておるんです。だが、政治の立場におりますと、まず、基本的にだんだんと積み重ねてこなければならないという状態、そういうことがあったわけでありまして、さっきの森中さんの発言などから言いますと、どんな困難な中にも、少なくとも、国民の生命に関係するような公害防除のためには、もっとやるべきだったということはすなおに私も認めますが、どうも社会保障全然別にしておるような、そういう考え方ではないわけでありますから、これからひとつ御叱正をいただきながら、政府だけでできるものではございません。やっぱり野党の皆さんからも理解をし、支持をし、応援をしていただくところに――究明されるだけで前進はしないのです。やっぱり協力し、叱吃激励をしていただくことによってそういう政策は前進するわけでございますから、どうぞ御協力のほどをお願いいたします。
○萩原幽香子君 総理、なかなかうまいことをおっしゃいますね。私も、ほんとうに総理よくやってくださいましたと申し上げたいんですよ。ところが、どうもそうならないところに私の悩みがございますから、どうぞひとつ立場の違いということも考えていただいてお願いしたいと思います。
 それじゃ通産大臣、ちょっとお疲れのようでございますが、ひとつお尋ねします。
 日本の企業は、一口に言って借金経営だとよくいわれるわけでございますね。多額の借金で設備投資をして、技術革新の波に乗って今日の繁栄をもたらした。今日なお多くの企業がばく大な借金を持っているために、成長が高度でなければその返済が容易でない。こういうことになりますと、政府が企業保護の立場をとり続けられる限り、いま総理が盛んにおっしゃっているんですけれども、成長型経済から福祉型経済への転換は困難じゃないかと思うんです。その点についてひとつ通産大臣、明確な御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 通産省も政策を転換いたしまして、福祉と国際協調、この二つをわれわれの指針としておるわけでございます。福祉の面におきましては、無公害社会の建設、それから消費者行政の推進、それから中小企業、零細企業のためということを力を入れてやっておりまして、今回の国会におきましても、消費者行政のための幾つかの法案を用意しております。たとえば、化学物質に対する検査であるとか、そのほか、あるいは通産省の機構自体もそういう方向に転換するために思い切った大機構改革をいま法案として提出しておるところでございます。
 それで、開銀そのほかの融資にいたしましても、最近は、財投全額の中で産業、いわゆる大企業といわれる方向に出しておるのはわずかに三・六%しかございません。十年前は約一〇%をこしておりました。それが今回は三・六%まで落ちまして、大部分は地域社会の建設であるとか、あるいは社会資本の投下であるとか、そういう方向に回っておるのが現状でございます。われわれとしては、知識集約型の産業に産業の体型を変えていこう、その方面では力を入れようと思っておりますけれども、いままでのような行政をやる考えはございません。
○萩原幽香子君 今日の経済社会基本計画を見ますというと、実質年九・四%の成長を見込んでおりますが、これでは依然高度成長を指向していると言わざるを得ないと思うんでございますね。そこで、その結果として、年金の積み立て金の減価は一体どういうふうにして埋め合わせをなさるおつもりなのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 高度成長に伴ってやはり物価も上がっていく、それじゃ、その面のデプレシェーションが積み立て金のほうへ回るでないか、こういう御質疑だと思いますのですが、これはやはり一面成長、一面成長を可能ならしむるためには経済が伸びていかなければならぬ。経済も伸びるためにはやはり所得もふえ、また所得のふえを食わない程度に物価も微騰するという形がある程度望ましいと思うのですね、やむを得ないといいますか。物価の値上がりが全くとまってしまう、あるいは物価が下がっていく経済ではやはり所得もふえていかないということになりますわけでございます。私はこう申し上げて、今日の状態を非常に肯定しているわけじゃございません。やはりいまは物価が上がり過ぎているし、成長、成長できて、環境の破壊、公害というものも出たのですから、これは大いに修正していかなければなりませんので、そういう面で、いま通産大臣からもおことばがございましたけれども、やはり住宅とか生活環境整備とか厚生福祉の施設とかあるいは文教、中小企業、農業、そういったものに対する比重を道路とか運輸、通信、地域開発、産業、貿易、経済協力、そういうものよりもふやしていく、そういうたてまえをとっておりまして、これはもう極力そうしようということで、この四十八年度の予算でも、いま申し上げた前段の部分が三三・六%増ということになっているようなわけでございます。
○萩原幽香子君 円の切り上げによる為替差損なんかの補償は大騒ぎでございますが、やっぱり一般の庶民のそうしたお金もだんだん減っていく減価については、それほど大騒ぎなさらないのじゃないですか。
 それじゃ伺いますけれども、昭和三十五年の所得倍増をおっしゃった時点の一万円は、いまどのくらいになっておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昭和三十五年に国民所得倍増計画を立てまして、あの当時は八%ぐらい経済が伸びる考えでおりましたところが、一二%ぐらい伸びてしまった。それから、中期経済計画というのを佐藤内閣になってからつくりまして、これもやはり九%ぐらい伸びるという予定でおりましたのが、やはり一二%ぐらいになった。で、まあこれはいかぬというので、途中から社会経済発展計画というのにしまして、これも同様の一けたの成長が今度二けた成長になる。これも二年ぐらいたってまた新社会経済発展計画というのを立てまして、これまた二けた成長、結局平均して一一・九%ぐらいの成長になっておりますわけでございます。今度基本計画の中においては、もう発展という字はよそう、やはり経済の基本に立ち返って、経済社会の基本を考えて五年後の姿を見ようということで、まあ大体九%台の成長ということにいたしましたわけでございます。で、そのために、昭和三十五年から今日までの貨幣価値がどうなったかという点は、これまたよく調べて、数字を正確に間違えぬようにして申し上げまするが、しかし、国民の所得もいま申し上げたように、倍増の予定がまたもっとふえるということがどんどんきたわけでございますから、一般的な所得もふえておるということでございます。
○萩原幽香子君 どうも御存じないようですから、私がお教えいたしますけれどね。あの一万円はいま五千円の値打ちしかございません。しかし、まあ給料がずんずん上がったんだからいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、やっぱりそれだけに庶民の生活は物価上昇で非常に苦しくなっている、これを考えていただかなければいけないんじゃないかと思います。
 お尋ねをいたしますけれどね、総理並びに関係大臣にちょっとこの憲法二十五条の意味、並びにその実現に取り組まれる姿勢、これを伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 社会保障を拡充していくという方針のもとに、経済社会基本計画の中には長期的な数字を出したわけでございます。この数字をもとにして、私は、これだけでも必ずしも理想的なものであるかどうかというのは、まあ、年次別に考えていかなければなりませんが、せめて出したものに対しては年次計画を作成をして、それで、少なくとも各年度の予算編成を行なう場合には年次計画を下回ることが絶対にない、計画よりも社会保障の拡充等が現実に行なわれるというような政策を進めなければならないということで、現実的な方向等を提示をいたしておるわけでございまして、これから憲法で規定しておるような、真に社会的にも、社会政策も行なわれ、また社会保障政策も拡充され、国民すべてが恩恵を受けられるような施策を進めなければならない責務を政府は有する、このように考えております。
○萩原幽香子君 憲法二十五条のその条文でございますね、総理いかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 社会保障の充実については、国民皆保健、国民皆年金の実現等、政府としては従来からその充実に努力をしてきたところでございますが、今後とも、二月に閣議決定をいたしました経済社会基本計画に示すような社会保障の充実をできるだけ一日も早く実現することによって、憲法二十五条の趣旨に沿い、社会保障の充実をはかってまいらなければならないと、こういうふうに解しております。
○萩原幽香子君 総理、私は、憲法二十五条の条文はいかがでございますかといま申し上げたんでございますよ。
○国務大臣(田中角榮君) 憲法二十五条「生存権、国の社会的使命」「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、こう書いてございますから、先ほども申し上げましたように、社会福祉、社会保障の拡充をしなければならない責務を政府は有するものと考えておりますと、こう述べておるわけでございます。
○萩原幽香子君 そうでございますとですね、私はやっぱり福祉に対する基本計画をまず先に立てて、それを実現するための経済計画を立てるべきではないかと思うんでございます。
  〔委員長退席、理事米田正文君着席〕
それが私は憲法二十五条の精神ではないかと思うんです。ところがどうも、いま逆になっているようでございますがね、総理。それはいかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 人間は、まず生きなければならないということでございまして、これは最低の生活は保障しておるわけでございますが、これは働けない人に対しては、何びとかが働いて、その人を、社会連帯の思想の上に、この条文の前段の生活を守ってやらなければならぬわけでございますから、やっぱり私は先ほど申し上げましたように、究極の目的を達成するためには、前段を整備しなければならないわけでございます。家を建てるんだ家を建てるんだと言っても、働き、収入をあげてこなければ家にならないわけでありますから、だから私は、戦後のですな、まず食うこと、生命を維持すること、その次にはやっぱり着ること、そうして今度家を求めて、家族団らんをしながらほんとうに世界の民族の中でほめられるような日本民族をつくっていこう、まあ、それは一番初めから、それは社会的な、社会保障の基本計画とかいろいろのものをつくっておいたほうが、働く者には確かに合理的かもしれませんが、いままではとにかく死なないように、生きるように、食うためにということで来まして、ようやくほっとするという段階にきたわけであります。これはまあ他動的要因もございますけれども、日本の持っておる外貨に対してもいろいろなことを言われるようになっております。だから私は外国人に対しても、外国に対しても協力いたします、いたしますが、日本においてもアメリカのあなた方と比べると社会資本の蓄積率は四対一なんです、ですからあなた方のように緑の中に住むわけにいかないんです、そういう意味で、日本人が働いたものを少なくとも日本の、日本人の生活向上や環境整備や社会保障の拡充という山積しておる問題を解決しながら、一面においては外国にもやりますと、そうするとまあ非常に理解を得るわけであります。ですから、まあ、ここまで来ましたら、もうこれから何年間で幾ら生産を上げて、幾ら貯蓄をしますというようなことではなく、やはり経済社会基本計画の中で一番ウエートを置かなければならぬものは社会保障関係だと思いますので、経済社会基本計画の中で、まず年次計画を立てるものは何かといったら社会保障計画を第一番目に立てますと、こう述べておるんですから、まあ、そこらのところはひとつ御理解をいただきたい。
○萩原幽香子君 まあ、いま総理そういうふうにおっしゃいますけどね。いま日本はもうすでにGNPは自由主義国では世界第二位になっておるわけでございますね。まあ、いつまでもいつまでもそんなことをおっしゃっていただいたんでは困ると思うのです。だから私は、先に福祉のことをおやんなさい、そうして、そのあとそれをやるために経済はかくあるべきと、これが順序ではございませんかと、こうお尋ねしているのです。それいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 私の、先ほど御指摘を受けた日本列島改造論も、どうもいま御指摘を受けたような方向から入ってまいりましたから御指摘を受けるのだと思います。しかし、理想とするところは、あなたがいまお述べになったようなことを実現するためにはこうであると、こう述べたつもりでございますが、これはやっぱり今日の段階においては、これから社会資本の整備を何年間でどうします、それから社会保障はどういたしますと、こういうことを国民の前に述べながら、そうして、それをやるには、こういう政策をとらざるを得ませんと、これは今度の予算が大きいという問題に対していろいろ言われますが、いままで経済が八%というときに一〇・四%、また、九%というときに一一・一%も十年間続いてきたのは、やはり自然にまかせておった、自然の経済活動にまかせておったというところにあったわけです。今日の段階でも、自然にまかしておきますと、買い占めとか売り惜しみが行なわれておるわけであります。そういう意味で、そういう面は幾らか押えながら、そうして不足をしておる社会資本の整備や社会保障の拡充ということを進めなければならない。それは財政が主体にならなければできないことであります。ですから、そういうことでもって、これは私たちが質問に対してお答えをしておるから、どうもインフレ下において大きな予算を組むというふうにおとりになられますが、社会保障の拡充や社会資本の整備という計画を出しておって、それをやるなら、金融のほうを多少押えながら、自由活動というものはインフレにならないように押えながら、しかも、財政を適確に投資をすることによってアンバランス面は是正し、このような理想的姿に何年間でやりますと、こう言えば幾らかおほめにあずかれるわけであります。おほめにあずかれなくとも理解を示していただけると、こういうことになりますから、そういう方向でひとつ検討いたします。
○萩原幽香子君 自然にまかせておいたらどうなるかというお話ですけれども、自然にまかせておくなんということは、これは政治がないということでございましょう、総理。先ほど買い占めの問題とか何とかいうお話でございましたが、いま非常な買い占めがあるということを総理御存じでございますか。いかがです。
○国務大臣(田中角榮君) 買い占めという事実が遺憾ながら存在いたしますので、暴利を取り締まろう、買い占め、売り惜しみを取り締まろうという法律を御審議いただいておるわけでございますから、この法律を提案に至らなければならなかったということは、その事実を十分認めておるからでございます。
○萩原幽香子君 経済社会基本計画の中で、長期かつ総合的、計画的な政策努力の積み重ねを必要とするとございますけれども、いまの縦割り行政の実態の中で、強力な総合行政が望めるのでございましょうか。この点について、経済企画庁長官の御所見を承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) その前に、私ちょっとおたおたしましたのですが、例のあなたのおっしゃるとおり、一万円は大体五千円でございましょう。それはCPIが五六・七が一一一・四でございますから、CPIが倍になっておる。したがって、逆に――そのままでもありませんけれども、逆に貨幣価値とすれば半分ということになるかもしれません。その間にそれじゃGNPはどのくらい伸びておるかというと、十五兆五千から九十兆五千、すなわち六倍になっておるわけでございます。ですから、お金を預けないで、その人が賃金、俸給の中の一万円ということになれば、それは六倍になっておるということになります。
 それから一万円を、それでは複利で置いておいたら、預けておいたらどうなるかというと、やはり倍以上になっておるわけでございまして、そう悪いことをしておるわけでもないというふうに思うわけでございます。
 それから経済社会基本計画が、どうも福祉のことを従にしておるというふうなお話がございましたのですが、実はこれは副題がついておりまして、経済社会基本計画と一緒に「活力ある福祉社会のために」と、わざわざ断わって、それを指向しようということを申しておりまするわけでございます。
 それから、われわれの経済社会に対する考え方といたしまして、統制経済をとらないという考えを持っております。やはり市場のメカニズムというものを中心にして経済の動きを見ていこうということが政策の基本でございますけれども、これは萩原委員のおっしゃいまするように、確かに弱肉強食と申しますか、経済力を強く持った者が買い占め等の挙に出ておる面は、これは否定できないんでございます。ただいままさにそれでございます。それを極力行政的に指導し、また行政力の及ばない範囲は立法をもってこれを律するということも考えておるわけでございます。
 さて、御質問の縦割り行政の中で、そういう市場メカニズムを中心としながら、いろいろな福祉関係の満ちた社会ができるのかどうかと、こういうことでございますが、これは、いま総理がおっしゃいましたように、われわれはまずこの中で福祉計画というものをこの中のまた各論として、一番先につくる、こういうことを言っておるのでございまして、そういうものに従いまして、たとえば予算なり財投なりというものを、そういうものを傾斜していくということによって、これは可能であるし、どうしてもそうしなきゃいけないということに考えております。それができているか、できてないかは、これに書いておりますように、毎年フォローアップをしていこう、必ず一年たったらこれを見直して、この計画のようになってない点は、いまのような財政の力によって、あるいはそれを大きく政治でカバーする努力によって、その方向へ持っていこう、こう考えておりまして、必ずそうできるというふうに確信をいたしておるわけでございます。
○萩原幽香子君 福田行管長官にお尋ねをいたします。
 この行政官庁のあり方については、いろいろいままで臨時行政調査会などからも、もっと行政機構を改革しなければならないといったような御指摘もあったかと聞いておるわけでございますが、この問題につきましての長官の御意見を承りたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) 行政機構が縦割りがいいのか横割りがいいのか、これはいろいろ議論のあるところでございます。まあしかし、実際問題としますと、縦割りに徹しますと横の連絡がつかぬ、横割りに徹しますれば縦の筋が通らぬ、こういうことがありまして、利害得失一がいには申せませんけれども、これは先進国では大体いわゆる縦割りでございまして、たとえば農林水産物資を扱う、これは農林省というような形です。あるいは工業製品につきましては産業省とか通商産業省とか、そういうような仕組みをとっておる。わが国もまた縦割りの仕組みをとっておるわけでございまするけれども、そうしますと、横の連絡を一体どうするか、そういう問題が起こってくるので、そこで意見がいろいろ出てくる、こういうことでございます。従来政府におきましては、ある問題につきまして横の連絡がどうもうまくつかぬと、こういうようなことがありますと、その問題についての閣僚協議会というようなものをつくりまして、そうして縦割り、横割り、そのおのおのいいところを活用するという仕組みをとっておったわけであります。
 いま何といっても公害の問題、これが非常に大きな問題です。そこで環境庁というものを二年前に創設をするということにする。それから、当面は物価の問題が非常に重大でございます。そこで物価の問題は農林省でも、通産省でも、まあ大蔵省でも、いろんな役所が関係しておるわけでございまするけれども、これを横に統合した見方をしなければならぬ、こういうので、経済企画庁に、今回この総合調整の権能を与えるというようなことから、物価局を新設する、こういうふうにいたした。それから国土総合開発、これは土地問題が中心になるわけです。水も重要です。しかし、そういう問題も今日この段階になりますると、これは強力に進めなければならぬ。それでは建設省だけではどうも十分でないというので、国土総合開発庁を今回つくろうという考え方を出す、そういうことで、縦と横の関係の連絡、調整、調和、そういうことにつきましては十分配意をしてまいってきておるんです。私は見ておりまして、この仕組みでいくほかはないし、またこの仕組みで、時の流れに応じましてくふうをしていきますれば、まずまずこれはやっていけるんじゃないか、そういうふうに思いまするし、臨時行政調査会では、前に答申をしてくださったんです。そのとき国土開発省というようなものの設置、それを示唆しておりますが、これにつきましては、今回国土総合開発庁がつくられる。ただ一つ、臨時行政調査会の答申、御意見で非常にむずかしい問題がある。それは総務庁、総務省とも申すべきものをつくりまして、そうして内閣の中枢に置く、人事の権限も、予算の権限も、法制の権限もここに統合したらどうだ、こういうことでございますが、これをやりますると、これはもうそれ自身が政府みたいなことになっちゃって、とても振り回し切れない、こういうふうに考えられます。そういうようなことで、私としては、臨時行政調査会の、せっかくの答申でありまするけれども、その点だけはなかなか実現はできないんじゃないか、そういうふうに考えているんです。しかし、その他の諸問題につきましては、逐次実行いたしておりまして、七割方でしょうか、八割方と申しましょうか、その辺まで実現をみておる、こういう段階でございます。
○萩原幽香子君 まあ政治は、国民にサービスするということが一番でございましょうから、やはり国の縦割りが県にいき、県のがまた市町村にくるということで、末端では、この縦割りで非常に迷惑をしているということもある。こういうこともひとつお考えをいただきまして――この問題は非常に重大な事柄でもございますから、またおりをあらためまして詳細にお教えをいただきたいと存じますので、まあまあ前向きに取り組んでいただきますことをお願い申し上げておきます。
 次いで、経済社会基本計画の中で社会保障について、五十二年度の整備目標が八・八%の振替所得と、こういうことになっておりますが、昨年、私が、当委員会で社会保障について質問いたしました際に、山田雄三参考人は、日本の社会保障は諸外国に比べて三十年のおくれがある、こういう指摘でございました。当時の水田大蔵大臣は、それに対して、十年くらいで取り返したいという御答弁でございました。しかし、これくらいの程度の振替所得で、そのおくれが十年くらいで取り返せますのかどうか。ますます格差が大きくなるのではないか。この問題についてひとつお願いいたしたいと存じます。
○理事(米田正文君) 大臣に申しますが、答弁を簡明にお願いいたします。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 委員長からの御命令でございますので、簡単にお答え申し上げますが、今度の新しい経済社会基本計画によりますと、五年後、現在六%の振替所得が八・八ということになりますと、国民所得と社会保障との比率はどのくらいになるかと申しますと、大体一〇%と見ていいと思いますが、十年後には大体一五%程度になるわけでございます。
 国際比較の例でございますが、一九六六年であったと思いますが、ILOの西欧先進諸国との社会保障給付費と国民所得の比較があるわけでございますが、その当時、イギリスなどは社会保障給付費と国民所得の比率は一四%程度であったと思います。先進諸国、おそらく一五%前後であると思いますが、この新しい計画が進んでまいりますと、五年後に社会保障給付費と国民所得との比率は一〇%、十年後に一五%と、こういうふうになりまして、大体わが国の社会保障給付費という面から見ますと、西欧先進諸国に非常に近づく、追いつくということが言えると思うのであります。ところが、そうなると西欧も進むであろう、ますますおくれるだろうと、こういう説がありますから念のために申しますと、わが国の社会保障給付費が非常に少ないということは、すなわち年金という問題について今日まで日本がおくれておったということでございます。御承知のように、現在は二万円年金、今度は物価スライド制を背景にした五万円年金ということになってまいりまして、老齢人口は――日本は老齢化社会を目がけて急ピッチでいま進んでおります。ところが、西欧先進諸国においては老齢化社会がすでにできておるんです。したがって、年金が一番その中心になるわけなんですが、西欧先進諸国においては老齢者という者は固定してくるわけでありますから、私は、十年後に、りっぱに先進諸国に追いつけるところまでいけると、こういうふうに考えておるわけでございまして、先般、御提案いたしました法律が通りますれば、間違いなくこれを中心として社会保障給付費は、国民所得に対して十年後一五%、こういうことになると確信をいたしております。
○萩原幽香子君 たいへん自信満々のお答えでございますけれども、いま年金とおっしゃいましたから、この社会保障給付のこれを見てみますと、西ドイツでは五六・二%、それに対して日本は八・六%。これ、ほんとうに十年で取り返せますかね。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 御承知のように、厚生年金、国民年金ともに物価スライド制を背景にして進んでまいるわけでございます。したがって、現在は、固定化された二万円年金、物価スライドなどは一つも考えておりません、ということになりますと、いま大体大ざっぱに申しますと、厚生年金が昭和四十八年度たしか三千億程度の給付金額でございますが、五年後になりますと一兆になります、間違いなく。十年後になりますと三兆をこすと、こういう積算になるわけでございます。物価スライド制を背景にしておるからこういうことになると、こういうことでございます。しかも老齢人口はどんどん急ピッチにふえていく、これが西欧先進諸国と違っておるところでございます。西欧はすでに老齢社会ができておる。日本は今後二十年の間に老齢化社会を出現させ、西欧先進諸国並みの老齢化社会というものに日本がなるんだ、そういう趨勢をたどっております。でございますから、私は自信を持ってお答えできるわけでございます。
○萩原幽香子君 まあ自信を持ってお答えくださったようでございますが、それでは、社会保障費の比較を外国と一ぺんちょっと考えてみてください。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、これは一九六六年のころでございますが、社会保障給付費と国民所得との比率は、日本は一九六六年当時六%でございます。イギリスは一五%、西ドイツは高くて二一・八%、低いのはアメリカの八・一%でございます。すなわち、こういうふうに比率が低い、なぜ低いか――年金なんでございます。一九六六年、年金給付が国民所得に対する比率は〇・三であります。ところがその当時すでにイギリスは四・九、スウェーデンは五・五、イタリアは六・九、西ドイツは八・八、こういうわけで、年金がそのとき一九六六年といいますと、大体これは一万円年金のときであったと思います。一万円年金。それがその後二万円年金になりまして今日に至っておる。それが今度は五万円年金、しかもこれは定額五万円でなくて物価スライドを背景に持っている、こういうことでございますので、一九六六年当時、日本は年金については、国民所得に対して〇・三%という非常に低い比率でありました。これが急激に伸びているということでございますので、間違いなく一五%というものに十年後――もちろんこれだけじゃありません、そのほかのものも含めまして一五%に十年後必ず社会保障についてはなる、かように確信をいたしている次第でございます。
○萩原幽香子君 一九六六年といいますと、ずいぶん古い資料をお出しになったようでございますね。だけど、もう少し新しいのはございませんか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 国際比較につきましては、この一九六六年ILOの作成したものきりいまのところございません。
○萩原幽香子君 年金の問題については、お尋ねする時間がございませんので、これはまた後ほど詳しくお尋ねをしてまいることにいたします。
 そこで、一般会計予算に占める社会保障費の比率でございますが、昭和四十一年度からずっと一四%台に据え置かれました理由を承りたいと存じます。
○国務大臣(愛知揆一君) 御指摘のように、伸び率は昭和四十年当時と比較いたしますと、その後の足取りはいま申し上げましょうか――ずっと伸びております。大体四十一年から四十八年度までの平均の伸びは一九・三%、四十八年度では二八・八%の伸びを示しております。ですから、いま厚生大臣からお話のありましたように、過去においては低かったわけでありますけれども、昭和四十一年に二〇%の伸び率が示されまして、自後は平均して一九・三、ことに四十七年度が二二・四十八年度に至って二八・八、こういうぐあいになっております。
 それから、いま年金のほうの関係でILO基準の比較が厚生大臣からお話がありましたが、社会保障関係費で一般会計に占める比率を外国との関係を申しますと、一般会計の中に占める比率が日本が四十八年度が一八・一%、アメリカが三五・六%、イギリスが四十七年度でありますが二二・七%、西独が二九・九%、フランスが一六・三%、こうなりますが、同時に、予算制度あるいは保険制度が違いますから、たとえばアメリカの場合におきましては、社会保険の関係は信託基金という制度がございますが、これも一般会計に含まれておりますから、それで比率が高くなるわけでございます。日本の場合においては、社会保険に例をとりますと、厚生保険、船員保険あるいは国民年金、これはそれぞれ特別会計がございますから、一般会計に計上されておりますのは国庫の負担金だけでございます。それならそういう比較をつくればいいではないかというお話も出ようかと思いますけれども、今度はイギリスで例をとりますと、医療保険はすべて国営でございまして、国営でございますが、一般会計に歳入歳出ともに出ております。そういうわけで、各国のやり方が非常に違っておりますから、全体の一般会計に占める比率から申しまして、日本の場合においては、決して今日でもそう低くはない、こういうことは、概して申し上げることができると思います。
○萩原幽香子君 前年度に対して何ぼ伸びたかということではなくて、たとえば四十八年度でも、やはり一般会計に占める比率というのは一四・八%でございましょう。ですから、新しいものは何にもできないんじゃございませんか。政策増というのは何にもできない。そして、こういうことになりますと、どこかの予算をふやしますというと、一方の中の予算を減らさなければならない。いわゆるワク内操作になりますから、それでは私はやっぱり社会保障を伸ばすということにはならないんじゃないかと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 一般会計の中に占める比率は、ただいま御指摘のとおりですが、これも近年相当に伸びております。
 それから、いまのお尋ねにこまかくお話し申し上げるべきですけれども、概略を申してみますと、たとえば四十八年度に新しい施策としてとられたものは、国民年金、厚生年金を通ずるいまのスライド制を背景にする五万円年金、それから福祉年金の額の増額というようなことが、取り上げられた新しい施策であります。それから、家族給付率の引き上げ、高額医療給付の実施、医療保険給付の改善、それから政管健保に対する国庫補助の対医療給付費一〇%定率補助への切り上げ、それからたとえば難病奇病対策、心身障害者対策、これが飛躍的に充実されました。また、生活扶助基準の引き上げが行なわれました。そしてさらに、昨年度行なわれました、そして全年度でなく――全年度というのは、一年を通じてではなくて、十月から実施とかあるいは一月一日から実施とかいうような、期間を区切って新しく実施された、たとえば老人の医療無料給付というような制度が、新たに全年度の経費として計上されることになりますから、いわゆる自然増の経費と一本に言われますけれども、実際はこれは昨年度の後半から始まった新しい制度が今年度全年度に計上されたというようなことで、そういう点も御理解をいただきたいと思う点であります。
○萩原幽香子君 五万円年金のお話が盛んに出るわけでございますけれども、あれはもうほんとうにわずかな人しかもらえないと、こういうことで、一般のこの厚生年金をもらえる人は、昭和六十六年になったって、やっぱり計算してみるともらえないというような感じがするんでございますけれどもね。
 それから、いろいろおっしゃいましたけれども、それではね、四十八年度の予算額、社会保障関係費の中で減ったものは何でございますか、前年に比較して。
○国務大臣(愛知揆一君) 社会保障関係で、四十八年度に切ったものはございません。
○萩原幽香子君 切ったものではなくて、比較して減ったものがあるんではございませんか。そういうことをお尋ねしているわけなんです。
○国務大臣(齋藤邦吉君) もちろん、予算でございますから、重点のほうが伸び率は多くなると思いますが、よその一般予算の伸び率に比較いたしまして減ったというのは私はないと考えております。
 それから、先ほどのお尋ねでございますが、厚生年金五万円なんかなかなかもらえぬだろうと、こういうお話でございますが、厚生年金はすでに歴史が古いのでございますから、八十万のうち六割は――四万二千円から四万五千円程度が六割以上、六割以上の方がそう受けますし、五万円以上、五万円、六万円もらえるというのが八十万人のうち一割、八万人は間違いなくおると、こういうわけでございます。
○萩原幽香子君 五万円年金とおっしゃいますとね、やっぱりみんなが五万円もらえるような感じを持つんでございますよ。それを、一割の人だなんておっしゃるのは、あんまりひどい言い方だと思います。これは何か、だまされたみたいな感じになるではございませんか。私が計算してみたところでは、なかなかそう五万円もらえるようにはならない。そういう計算になっている。だから私はそれを申し上げたんですが、もう時間がありませんからけっこうです。
 そこで、減ったものがないとおっしゃいますけれどもね、これを見てみますと、前年に比べて減っている費用がやっぱり出ているわけでございますよ。そういうものがあるということを認めていただきませんとね、これは、伸ばした、伸ばしたとおっしゃっても、一方で年金を伸ばせば、こっちでこれを削ると。これじゃ社会保障を充実したということにはならないんですよ。だから、私は心配をしておりますが、胸を張ってまかしてくださいとおっしゃるからもう言わないつもりだったんですけれども、いまのようなお答えではやっぱり言わないわけにはまいりませんよ。これはまた私は時間を改めて別の機会にお尋ねをいたしますから、もう少しよう研究してお答えをいただきたいと思います。
 それから、社会保障関係のILO条約の百二、百三、百二十一、百二十八、こうした各号がまだ未批准でございますがね、これはなぜ未批准なのか承りたいと存じます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) ILOの社会保障最低基準に関する条約でございますが、これはもう御承知のように、医療、疾病その他九部門に分かちまして、そのうちの三部門なり四部門批准可能であればしてよろしいと、こういうふうな条約になっております。私ども、実はこれを何とか早く、もう大体批准はできる状況に相なっておりますが、できることならばもう少し、その九部門のうち四部門というよりも、もう一部門くらい多く批准できるような段階になってやったほうがいいんじゃなかろうかなということで、今日まで少しおくれておりますが、御承知のように、ことしから社会福祉ということが非常に叫ばれるようになってまいりましたので、できるだけ早く批准するようにしたいと考えまして、私の気持ちとしては、来年度批准ということを目標にいま準備を進めさしておるような次第でございます。
○向井長年君 関連。
 厚生大臣あるいは総理、ちょっとお聞きしたいんですがね。四十八年度の一般会計予算が十四兆二千八百四十億円、前年から比較すると二四・六%増なんです。そこで社会保障費がこれが二兆一千百四十五億円、前年度から比較すると二八・八%の増。そうなりますと、自然増収から引きますと四・二%しか社会保障関係がふえていないんです。こういうことであって、それで、本年度は福祉予算だということが言えますか。公共事業におきましてもやっぱり四・何ぼふえている、こういう比率が前年から比較したら出ておるんですよ。したがって、それは、額としてはずっとふえておりますけれども、自然増収から見た場合は四・二しかない。これで福祉予算と大みえ切って言えるかどうか。これを私はお聞きしたい、関連で。
○国務大臣(齋藤邦吉君) いろいろな言い方はあろうかと思いますが、要するに、今日までの日本の社会保障でおくれておるところの年金問題に五万円年金のスタートを切るというふうな問題、それから健康保険の改善にいたしましても、高額医療制度を導入する、それから国が一〇%の負担をする、あるいは難病奇病については、昨年八十億でありましたのを、これは総理の見識高い裁断によりまして百八十億にしよう、こういうようなことで難病奇病などは八十億が百八十億になるといりわけで、国民の現在要望しておる問題がたくさんあると思いますが、みんながみんなというわけにはまいりませんが、そういう強く要望している点については最重点を置いて予算を編成したと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。もちろん、これで十分だと私も思いません。福祉の理想は高くあげるべきものでありますから、これで私も満足だ、これでもうけっこうだと、こういうわけじゃございませんが、国全体の予算の編成から見ればまあまあというところではないだろうかと御理解をいただきたいと思うのでございます。
○国務大臣(田中角榮君) これは申すまでもないことでありますが、自然増収額というものと比較をすべきではないのであって、対前年度款項目別で比較をするのがこれは当然のことであるということは、これはもう言うまでもないことであって、これは自然増収額と比べてふえた分がどうだという比較は、これはちょっと……
○向井長年君 前年度予算から、やはり福祉予算だという以上は、これはやはり……
○国務大臣(田中角榮君) これは、問題は対前年度比幾らふえておるかということと、一般会計及び特別会計、財政投融資等含めて、その中での比率が幾らふえておるかと、先ほどから萩原さん言われるように、そういう比較はそれは正しい比較でございますが、これは自然増収というものからは半分減税しなさいという議論もあるわけでありますから、そういう面もありますので、これと、四十七年対比の社会保障額の増分との比較ということはあまり意味がないと、こう考えます。
○向井長年君 前年比の社会保障額についても四%しかふえてないということでしょう、前年よりも。この問題ですよ。私は関連だからあまり言いません。委員会でまたやります。
○萩原幽香子君 とにかく、いろいろおっしゃいましたけれども、ただいま承った限りでは、社会保障に対する熱意というものを私はあんまり認められないんです。その中でも最もひどいのが重症心身障害児対策だと存じます。
 そこでお伺いをいたしますけれども、重症心身障害児対策の基本方針を承りたいと存じます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 重度心身障害児につきましては、そういう重症児の子供が生まれないようにするにはどうすればいいかという調査研究をできるだけ進めてまいりたいと思いまして、来年度もそういう予算を計上いたしておりますが、不幸にして生まれております。そういう方々につきましては、施設に全員収容しようという考えを持っておるわけでございまして、四十五年の調査によりますと、施設に収容を希望する者が一万六千人ございました。そこで、四十六年から五十年までの間の五ヵ年間に施設をつくりましてこれを収容しようということに努力をいたしておりまして、一万六千人のうち、四十八年度末になりますと大体、ことしはまだこれから計画を進めるわけですが、一応その計画を入れますと、四十八年度までに一万一千人を収容することができるように相なるはずでございます。すでに四十七年度には一万人収容いたしておりますから、多少少ないと思いますが、約一万人入っております。四十八年度に一万一千人になるわけでございまして、四十九年度、五十年度で目標どおり一万六千人を全員収容するようにいたしたいと努力をいたしておるところでございます。
○萩原幽香子君 全員収容するということでございましたが、それは建物のことでございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 建物だけでは収容できませんので、それに必要な職員の充足をはかりながら収容をいたしてまいりたいと考えております。
○萩原幽香子君 いま大かた八千床ありますが、そのうちの約一千床が空床になっているということを御存じでございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 一千人近く空床になっていることは十分承知いたしております。
○萩原幽香子君 じゃ、その空床の理由は何でございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 看護婦、保母等の不足によるものと考えております。
○萩原幽香子君 それでは先ほど厚生大臣おっしゃったこととちょっと違うんじゃございませんか。全員収容するようにいたしますとおっしゃったんですけれども、現に千床が空床になっている。そういう状態でほんとに全員入れることが可能だとお考えでございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 空床になっておりまする施設は、私立の施設に非常に多く目立っております。国立の療養所等に併設いたしておりまする施設にはそれほどの空床は目立っておりませんが、今後は約束どおり、五十年度までに一万六千人を全員収容したいという考えを持っておりますので、四十八年度からは民間施設に委託することよりも国公立の療養所のほうに重点を置いて、そのほうが看護婦の充足がわりあいに比較的にそこは容易でございますから、国公立の療養所のほうを増設いたしまして、四十八年度以降はそれによって収容できるように努力をいたしたいといま考えておる次第でございます。
 しかしながら、いずれにいたしましても、婦の問題というのは、これはなかなか、現在、容易なことではございません。そこで、この看護婦さんを確保するということには――まあ御質問があればまたお答えもいたしますが、――今後重点を置いて努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○萩原幽香子君 それではお伺いいたしますけれども、看護婦の需給計画と養成計画を承りたいと存じます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 大体において現在三十二、三万の看護婦さんが全国の病院やその他で働いておられるわけでございまして、実はいまから二、三年前にそういう計画を立てたのでございますが、その計画が思うようにいま進んでまいっておりません。
 そこで、今後の長期計画としては、先ほどもいろいろお話のありました経済社会基本計画の中で四十八年度――五十年度間の長期計画をつくりたいと思います。その中の医療部門について看護婦さんの長期計画を立てる、こういうふうにいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○萩原幽香子君 大臣、その養成をするということをおっしゃいますけれども、養成をする教師、それはどうなっておりますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 教師のほうもなかなか容易ではございませんが、何とか努力をいたしたいと考えております。
○萩原幽香子君 「何とか努力」とおっしゃいますけれど、その「何とか」というのはどういうことでございましょう。もっと具体的におっしゃってください。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 看護婦さんの養成につきましては、教師の方々を獲得するということと同時に、施設をふやすということ、これは毎年少しずつ施設をふやしております。養成定員につきましては、毎年五千人以上養成定員をふやしております。しかしながら、こういう施設によって養成人数をふやすということもさることながら、待遇の改善というのが私は一番大事な問題だといま考えておるわけでございまして、先般も、国の療養所の看護婦さんにつきましては、夜勤問題が非常にむずかしい問題になりましたので、夜勤手当というものを一斉にするというふうなこともいたしました。しかし、これだけでは十分ではないと考えておりますので、今後、人事院とも相談しながら処遇の改善に努力をいたしてまいるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
○萩原幽香子君 厚生大臣、私の質問とお答えとはちょっとかみ合わないんですよ。私は、看護婦をたくさんつくるために――それは大事なことでございますね、――そのために、看護婦を養成する先生はどうでございますかといまお尋ねしているんですよ。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 数字等につきましては、詳細、医務局長がおりますから、医務局長から答弁いたさせます。
○政府委員(滝沢正君) 看護婦養成の教員の養成につきましては、基本的には一年コースの養成が望ましいのでございますけれども、当面、保健婦、助産婦等の、看護婦になった以上の教育者については一年コースを原則とし、その他一般看護婦の養成につきましては六カ月コースで講習会等によりましてこの養成をはかっておるところでございます。ただいま約六百名程度の養成が年間に可能でございます。で、場所といたしましては、国立関係で年二カ所で二回の延べ四回、そのほか日赤、公衆衛生院、それから県といたしましては、東京都、神奈川県等で実施しております。
 それから厚生省の委託費によりまして、北海道、福岡、愛知等におきまして、年間この講習会を実施いたしております。しかしながら、看護婦の養成計画全体を増強していくためには、先生おっしゃるとおり、教員の基本的な養成が重要でございます。したがいまして、四十八年度、看護婦の教育センターを設置する調査費を設けまして至急にこの問題に取り組みたいということでございます。
  〔理事米田正文君退席、委員長着席〕
○萩原幽香子君 それでは、文部省にも同じ看護婦をつくるという看護学校があるわけでございますね。文部大臣、その点ではいかがでございますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 看護婦の量的な不足の問題でございますとか、あるいは医学の進歩、医療技術の向上等に対応いたしまして、資質の高い看護婦さんを養成してこなきゃならないというようなことから、文部省所管の学校教育法の適用を受ける学校で看護婦を養成するということに近来力を入れてまいってきておるわけでございます。高等学校の衛生看護科の充実に対しましては国から助成をいたしております。同時に、この上に専攻科、これにも助成をいたしておるわけでございます。同時にまた、医科大学に看護学校を置いておるわけでございますけれども、この定員をふやし、同時に教育内容を充実するという意味におきまして、医療技術短期大学部に昇格さしてまいってきております。すでに三校、四十八年度ではさらに一校加えまして四校になるわけでございます。さらにまた、国立大学に看護教員養成課程、いま四大学に置いておるわけでございまして、これは高等学校の衛生看護科などの先生を養成するわけでございます。さらに、医療技術短期大学部における先生などのために看護大学をつくらなきゃいけないのじゃないだろうかというようなことで、その調査費を四十八年度で計上しているということでございます。
○萩原幽香子君 これは文部、厚生両省でこの看護婦の養成をお考えになっていらっしゃるわけでございますね。これを一元化なさるような計画はございませんか。厚生、文部両省で一元化なさるようなお気持ちはございませんか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) この問題につきましては、文部省と一元化したらどうかという意見も間違いなくございますが、現在のところ看護婦さんの養成が非常な急務になっておりますので、文部省関係のほうの施設並びに厚生省のほうの施設、両々相まっていまのところは進んでおるわけでございますが、将来の問題として十分研究さしていただきたいと、かように考えております。
○萩原幽香子君 これは十分御検討いただく価値のある問題だと思います。
 では、看護婦養成機関の卒業生の実態についてお伺いいたしたいと存じます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 数字的なことは、要求がございますれば、局長に答弁させますが、はなはだ残念ながら、養成施設に入りまして出るまでに大体一割くらい減ると、こういうふうな状況でございます。
○萩原幽香子君 そうしますと、卒業してもほかへ就職するという考え方はございませんか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 看護婦さんとして働くようになりましても、よそに働きにいくかどうか別といたしまして、結婚などいたしますと、おやめになる方がなかなか多うございまして、思うように実人員をふやすということが非常にむずかしい状況にあると、こういうふうに私は率直に申し上げることができると思います。
○萩原幽香子君 大体看護婦さんの勤務年数というのはどれくらいでございますか。
○政府委員(滝沢正君) 准看護婦で大体三・五年ぐらいで、約四年でございます。
 それから正規の看護婦と申しますか、准看護婦のぽかの看護婦、これは平均的な数字としては八年ぐらいになっております。
○萩原幽香子君 重症心身障害児、肢体不自由児などの施設へは希望者がゼロだということを聞いているわけでございますけれども、それはいかがでございますか。
○政府委員(滝沢正君) 先ほど来先生から、心身施設の看護婦不足問題について御指摘がございますが、全体の病院としての重症心身障害児の病床利用率は九二%でございまして、一般の病院というのは、男女の区別、あるいは病床回転、入退院等を踏まえまして、一般的にはわが国全体の病院の病床利用率は八〇%でございます。しかし、御指摘の看護婦が不足のために開けないというのは、特定な四月に卒業して来る看護婦をつかむのに、工事がおくれている等の関係で、年度途中に出発した国立療養所の重症障害児施設などは、一部看護婦不足のために、獲得困難なために、四十床そのままほとんどあいているというところが数ヵ所ございます。そういうものを引きまして、総体的には、運営しているところはもう定員一ぱいやっておるということでございまして、九二%でございます。
 で、看護婦の獲得の問題につきましては、実は重症障害児施設におつとめいただく看護婦には給与を五号調整というのをいたしまして、端的に申しますと、五万円の一般的な俸給でございますれば、そこにつとめる方には一万円手当を増額いたしております。
 それで、いまの看護婦さんの気持ちからいっても、長くつとめていただくことはなかなか平均的にはむずかしいようでございますけれども、障害児施設にはかなり看護婦は積極的に来てくださる実態はございます。しかしながら、これが腰痛の問題とか、労働条件とか、こういうことで、長く勤務するということの平均的――重症心身障害児施設の平均的勤務年数は、私、いま数字はございませんけれども、確かに長くつとめることは困難だという条件は、これはわれわれとしては十分認識して改善をばかる必要があると思っております。
○萩原幽香子君 つかんでおりませんということでございましたが、一・八年でございますね、平均は。
 こうした施設に就職すると、人からあんたはばかかと言われる、看護婦失格とまで思われておる。こういう社会風潮を大臣は御存じでございますか。私はこういうことが一番大事な問題になってくるんじゃないかと思うのですよ。その点いかがでございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 重症心身障害児の施設につとめておられる方々について、一部そういうことを言われておるということも承知いたしておりますが、何としてでもこれは御協力をいただいてめんどうみてあげなければならぬ子供でございますので、そういう看護婦さん方の私は御協力をいただくように今後とも努力をいたしてまいりたいと考えております。
○萩原幽香子君 先ほどから、できるだけ国立にして、私立はやめてというような意味の――私立ではなくて、国立をふやすと。それじゃ私立はどうなさるおつもりですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 施設のほうをやめるというのではなくて、今後増員する分ですね、収容増員分。現在、すなわち一万六千人のうち一万一千人ほどは建物ができております。残りの五千という病床については国公立の病床をふやすほうに比重を置きたい。民間の方々の病床をふやしていただくこともお願いいたしますが、国公立の病床をふやす、収容するベッドをふやす、そちらのほうに今後ふやすのは比重の重きを置きたい、こういうことを申し上げたわけであります。
○萩原幽香子君 ところが、厚生大臣、いま私立のこういう施設というのはほんとに困っているのです。その困っているということを十分認識していただかないと、いまのお答えはちょっと私は冷たいと思いますよ。
 では、どういうように困っていらっしゃるか、一ぺん「この深刻な現実を訴える」というようなのがございますから、私は読ませていただきたいと思います。「九月に入って、募集活動が許されたので総婦長と職員一名がそれぞれ手分けをして東北全県にわたって五日間、学院や高校を訪問した。十月には茨城、千葉、福島方面へ、さらに十月から十一月にかけて再び東北方面へ、十一月中旬には再び東北の太平洋側へ、そして今年に入ってからは九州へも、それぞれ出張訪問をくり返した。その他、都内あるいは近接県へは随時呼び声をかけてきた。
 このような結果をまとめてみると、訪問して直接募集活動をした看護学院および高校は、合わせて六十校をこしている。そして、一月末現在までに就職決定したものは何と僅かに六名に過ぎない。余りに貧弱な応募については、現地の学院でも理由がどうもつきとめられないと首をかしげている状態である。秋田さきがけ新報の如きは、三回も紙上に大きく取り上げてくれたのに今年はナシのツブテの有様。」この「社会の無反応は、いったいどういうことなのであろうか。」六十校も回ってたった六名、こういうことを一体大臣どのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうかね。いまのような御答弁はまことにいただけないと私は思うのですよ。
 そして、社会福祉的考えの希薄についてはこう訴えている。「これは大へん思いがけない新事態の発見であった。四十七年度からは、社会福祉関係のクラブ活動が、どの学校でも非常に低調になり、殆んど姿を消したといってもよい位であるという。もともと、このような活動が底辺にあって、施設就職希望が生れる筋が多いのに、土台になるべき活動が根絶えてきたことは、社会福祉ばかりでなく、日本の国として重大な問題である。学園における福祉精神の枯渇は、日本の社会のそれを反映している。高度経済成長のうらはらにある、このヒズミをどう考えたらよいのか。一施設の問題ではなく、日本としての大きな問題である。」と、こう訴えているわけでございますね。この訴えに対して、総理はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 実態を直視して、婦というようなもの、これは非常に必要なものでありますし、看護婦が確保できなければ、医師が確保できないよりももっと重要な面もあります。だから空床があるわけでございますので、やはり教育のやり方、また待遇の改善、それから、まあ聖職に近い、非常に必要なものなんだということのPR、まあいろんなことをやっていかなければならぬと思うのです。とにかく、そういう堅実な商売というものから、堅実な職業から離れていくという傾向ということがあることは、これはもう私も理解しておりますが、これはやっぱりそういう事実に対しては的確な施策を実行していかなければならないと、こう思います。
○萩原幽香子君 もう少し具体的にお聞きしたいんですけれども、いまさっそく総理もなかなか出ませんわね。ですから、今度は、文部大臣にお尋ねしましょう、さっきの問題について。
○国務大臣(奥野誠亮君) いま御指摘になっておりましたのは、中学校じゃないかと、こう思います。
○萩原幽香子君 高校です。
○国務大臣(奥野誠亮君) 高等学校への進学率が非常に高まっていますので、中学校から准看の養成にいく方々がなかなか得にくくなっているんじゃないかと、かように考えるわけでございます。高校の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、衛生看護科を充実する、そういう方向で努力をしていきたい、かように考えているわけでございます。文部省所管の看護婦養成、それの拡充をはかっていきたい、こう考えているわけでございます。
 いまおっしゃいましたように、学校の中で、社会福祉に向けられる目が薄くなっているという御指摘がございました。当初その点につきましてお話があり、また各大臣からもお答えしたようなことでございますけれども、私たちやはり教科の改定などにおきましても、社会連帯性、あるいはまた進んで公共に奉仕する態度を養成する、あるいは相互に、お互いに人間を尊重し合う、そういうような考え方をつちかっていかなければならないというような方向で、小学校、中学校と、教科の改定を行なってまいりまして、高等学校が四十八年、そういう方向で学習指導要領の改正も行なわれているわけでございます。一そうそういう方向で教育面においても改善、充実をはかっていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
○萩原幽香子君 これは学校教育だけでなくて、やはり社会の中で、社会教育の中でそういう芽を育てていただかなければならないと思いますね。その点はいかがでございますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃっていますように、全体的に、特に社会教育の面におきまして社会連帯性、お互いに助け合う、そういう気持ちをつちかっていく努力が特に大切だと思います。
○萩原幽香子君 これはもう時間がございませんからお聞きするのですけれども、聞くところによりますと、来たる五月から、韓国から研修生という名目で島田、秋津、東京小児療育病院、そういう施設へ各十名ずつ三十人が一年間の予定で来るということになっているそうでございますね。これに対して厚生大臣、労働大臣はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 韓国では、将来重度心身障害児の施設をつくりたいという非常に希望を持っていることは承知いたしておりますが、の方が介護に来るということは私はまだ聞いておりません。
○萩原幽香子君 それはぜひ聞いていただきたいですね。韓国の何を入れるのだったら、やはり施設のちゃんと整ったところ、研究のできるようなところへ迎えるということなら研修の名目があると思うのです。非常にいま足りなくて困っている、さっき読んだような状態の中へ迎えるという意味は一体何でございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほどもお答え申し上げましたように、韓国ではそういう施設をつくりたいという希望を持っていることは私十分承知いたしておりますが、そういう関係で日本に介護の研修を受けるために来たいということで来るのではないかと思いますが、これは私もきょうの現在承知しておりませんから、十分調べてみたいと思います。
○萩原幽香子君 その労働力を外国から受ける結果になるのではないかと思うのですが、労働大臣いかがでしょう。
○国務大臣(加藤常太郎君) 厚生省とよく相談いたしまして、いろいろな訓練の問題は御指示のような方向に進むように労働省ではいたしております。
○萩原幽香子君 私が承知しているようなことを厚生省が御存じないなんていうことは、ほんとうにこういう問題に対して熱意のないということを明らかに示しているんでございますよ。これは十分厚生省も、労働省も考えていただきたい。いまみたいな、半年もかかって六人しか得られないといったような状態ですと、このままいったら、十年もたったら、もう日本の国のそういう施設には人がないと考えるべきじゃないかと思うのですね。そういうことについて一体どういうふうにお考えになりますのか、私は聞きたいと思うのです。日本人が日本人の看護ができないような状態というものについて、一体どのようにお考えか、これは総理からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 社会福祉の充実、社会施設の充実をはかるならば、やはりそれを運営していくための医師、看護婦、従事員等を計画的に養成をするということを当然行なうべきであります。そういう意味では、この間から私も個人的にも医師の皆さんから意見を聞いたりしておるのですが、これは普通の医師でも、開業しておる医師、医師の免許状を持つ者で、年間十二日間、一カ月に一日ずつ奉仕をしろというような制度ができれば、進んで奉仕をする、やっぱりそういう制度の創設に対して、政府は勇気を持つべきだという、著名な学者であり、しかも、医師からそういう意思表示を受けております。それから、都市に医者が集まるけれども、山村や僻地には無医村がたくさん存在する、北海道の例を言うまでもありません。そういうものは、少ない授業料の値上げをするようなことをしないで、官立、国立というようなところでは、医師は全寮制で、全額出してもいいじゃないか、そのかわりに、十年間は勤務地を指定しなさい、そのぐらいの考え方を持っておる人でなければ医師になるべきじゃない、もっと勇気を持つべきであると、こういうことでございました。私は、そういう意味から、看護婦に対しても、国立病院や、そういう近くに、やっぱり公立とか国立のものをつくって、費用を出さなくとも勉強できるような、資格が与えられるような、そういうものを考えなけりゃいけませんし、看護婦に対して、医師に準ずるものとして、二級医師の免状を持たせるのか、これは長いこと研究されておる問題でありますが、そういうやっぱり待遇とか身分とか資格とかの問題も、専門的に掘り下げていかなきゃならない問題だと思うんです。そういうものにメスを入れないで、ただ募集をするというだけでは、私は解決できる問題とは思いませんので、政府としても十分検討いたします。
○萩原幽香子君 いまそういうところで、施設で働いている人は、まず待遇の問題、それから労働条件の問題、いろいろございますね。しかし、こういう話があるんですよ。新宿で、あるそういう施設の方が遊びにきて――遊びにといいますか、一万円飲んで食べてうさを晴らしたということなんです。ということは、お金だけの問題ではないということも考えられるわけです。そこで、識者の間では、まあいまの四倍ぐらい、大体百万ぐらいの人間を確保しなければならないんじゃないかと言っているんです。いま週休二日制がやかましく言われ、休日と日曜が重なれば、その休日は日曜のあとに、日曜は休日のあとに回すといったような状態の中で、こういうところの人たちだけが、なぜそんなに休めない状態の中に置かされているのか、これは私は人権無視だと思うのでございますね。それについて、厚生大臣、あなたどうお考えでございますか。
○委員長(大竹平八郎君) 萩原君、一応時間です。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 最近の看護婦さん、なかなかほんとうに勤務がたいへんでございまして、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、現在問題になっておりますのは、勤務条件でニッパチ制を実現するという問題が一つの問題でございます。それから、夜勤手当をどうするかという問題が一つございます。それからさらに、看護婦さんを確保するためには、保育所を何とかつくる必要があるんではないかとか、いろいろな問題がたくさんございますので、先ほども申し上げました経済社会基本計画に基づく年次別の――医療従事者の養成計画、その中で年次別の計画をつくって、過去のいろんな実績の反省の上に立ってその計画をつくって実施に移すようにいたしたいと考えております。
○萩原幽香子君 終わりますけれども、いま私は一問残しましたが、社会保障については非常に重大な問題があるということを提起しておきました。これは各大臣におかれまして十分御検討の上、私は、ほんとうに日本の国がりっぱな国になる――大臣の、総理のおっしゃいました喜んでもらえるような国に、みんなが喜ぶような国にしていただきますためにも、この問題には真剣にお取り組みいただきたいと存じます。
 終わります。
○委員長(大竹平八郎君) これにて萩原君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(大竹平八郎君) 岩間正男君。(拍手)
○岩間正男君 日本共産党を代表して、日米安保条約と在日米軍基地、特に関東計画を中心として、基地の整理統合並びに基地の移転費問題等について、政府の見解をただしたいと思います。
 まず、私のお聞きしたいことは、米軍基地の整理統合なるものの真のねらいは何であるかということです。最近の整理統合について、政府は、これが国民大多数の要求にこたえるものであるかのように宣伝し、総理の施政方針演説でも、一月の安保協議委員会の合意は、その意義はきわめて大きいと評価しています。しかし、この米軍基地の整理統合は、アメリカにとって不必要になった基地は一部返還されるにしても、沖繩をはじめ横田、横須賀、厚木、岩国、三沢など本土の主要な米軍基地は、逆に、集中によって一段と強化され、ベトナム戦争終結以後、アメリカの極東戦略の第一戦基地としての性格を持ってきていることは争えない事実であると思います。総理は、この事実をまず認めざるを得ないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 日米安全保障条約はこれを維持してまいらなければならないということは再三申し述べておるとおりでございます。そのためには、米軍に必要な基地を提供しなければならないということもまた事実でございます。しかし、基地は、戦後の都市集中等によりまして、周辺の住民の利益を守るためには、これを整理統合しなければならない。また、基地の縮小を必要としておるものがございます。そういう意味で、基地の整理統合を行なうということでございまして、あなたがいま述べたように、アメリカ軍の戦力を増大するために基地の集約化が行なわれておるというようなものでないことは言うを待ちません。
○岩間正男君 そういうことを言っていられますけれども、さきの第十四回安保協議委員会の共同コミュニケにははっきりとそう書いてあるんじゃないですか。すなわち、その第五項、この第五項を読んでみますと、ニクソンドクトリン及び地位協定に沿って、今後の施設・区域を日本において維持することが米側の意図であることを再確認し、といい、しかも、米国の義務の遂行の能力はこれによって影響を受けるものではない。と、はっきり述べています。つまり、このことは、米軍基地統合の最大のねらいは、いわゆる基地の返還や縮小にあるのではなく、アメリカの極東戦略に必要な基地はあくまでこれを維持し、その機能を弱めることなく、一そう効率的に使用していくことをアメリカ側がはっきりと言明していることにほかならないのであります。いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) いま申し上げたとおり、安全保障条約はこれを維持する、そのためには基地は提供しなければならないということでございますが、アメリカ側がどのような認識を持とうとも、少なくとも、基地の整理統合ということを国民が望ましいと考えておることは事実でございますし、関東平野において今度集約をされるということが非常に望ましい状態になっておるということは、もうこれは否定できない事実でございまして、日本政府がアメリカ側に要請をしておる基地の縮小等については、私がいま申し述べた事由によるものであることは、これはもう申すまでもないことでございます。ただ、その集約した結果、アメリカ軍の持つ機動力とか戦力とかいうものが弱まらないということであるならば、それは、日米安全保障条約でアメリカの駐留を必要としておる日本にとっては何もいなむことではないわけでございます。しかし、アメリカ側の要請によって基地の縮小をしておるのではないということは国民すべてが認めるところだと思います。
○岩間正男君 基地の返還をわれわれ共産党は心から望んでいます。しかし、はたして現実はそうなっているかどうか、これは私の質問の進行の中でわかります。アメリカの意図はどうかということが、これはいまの戦略の上から非常に重要なんです。あなたはそういうことを何でもないと言われておりますが、これはおかしい。
 さらに、一月二十四日の毎日新聞によりますと、安保協議委員会に出席したガイラー米太平洋総司令官は、ベトナム和平後もアジアに長期的な平和をもたらすために米軍は引き続き駐留する。軍事的な質の低下はない、こういうように語っています。このアメリカの意図を明確にするかどうかということが非常に重大だと思います。どうです。
○国務大臣(増原恵吉君) 基地の集約とからんでいまの御質問が出てきたわけでございまするが、ガイラー将軍の申したところは日本だけをさしたものではないと思いまするが、友好同盟の関係にある諸国に対する援助、軍事的援助を引き続き行なうという意味を申しておるわけでございまして、日本における最近のいわゆる基地集約、横田に一番象徴的にあらわれておりまするものは、やはり日本にありまするいまの米軍の基地の周辺が、事情の変化によりまして、日本のわれわれの立場において返還を要請したいということで横田に集約をする。主として住宅等の施設が集約をされて、これも返還される分よりはうんと少ないものでございまするが、そういう形で集約をされる。もとより米軍としては、日本にありまする米軍の軍事機能が縮小されないようにということを望んでおることは申しておるとおりでございます。これは強化というふうな形のものではないということでございます。
○岩間正男君 第十四回日米安保協議委員会はいつ持たれましたか。
○国務大臣(大平正芳君) 本年の一月二十三日でございます。
○岩間正男君 そのあとでのこれはことばですよ。これは横田統合のことについてはっきり言っているんで、一般論じゃありません。
 そこで私は、次に進めて、米軍基地の整理統合の実態について具体的にお聞きしたいと思います。
 まず、関東計画についてそのあらましを説明してほしいと思います。
○国務大臣(増原恵吉君) 関東計画の内容について申し上げます。
 この意味は、いま申し上げましたように、周辺地域の社会的経済的発展に伴って、従来からその合理的整理統合を望んでつとめてきたわけでございまするが、首都圏内に多くの施設が存在する実情にかんがみまして、関東平野地区に存在する空軍施設の大部分について横田飛行場に集約統合をする。そうして立川飛行場、関東村住宅地区、水戸対地射爆撃場の全部及びジョンソン飛行場住宅地区でございます。府中空軍施設、キャンプ朝霞の南部地区の大部分を返還するものであります。これについて、防衛施設庁は、昭和四十八年度を初年度とする三カ年計画で代替施設を建設し、前記施設を逐次返還させる方針で、昭和四十八年度の特特会計では所要経費約三十七億円を要求をし、御審議を願っておるところであります。なお、個々の施設の返還時期については、今後本計画の、実施細目についての米側との折衝できまることになりまするが、水戸対地射爆撃場については去る三月十五日に返還になったのでございます。
○岩間正男君 関東計画の金額、それから六カ所の返還される面積。
○政府委員(高松敬治君) 返還される面積につきましては、立川飛行場が六百二万平方メートル、それから関東村住宅地区が百二十七万平方メートル、水戸対地射爆撃場が一千百四十八万平方メートル、ジョンソン飛行場が百六十四万平方メートル、府中空軍施設が五十六万平方メートル、キャンプ朝霞南部地区が百二十三万平方メートル。合計六施設で土地が二千二百十九万平方メートル、建物の面積にいたしまして百五万八千平方メートル、これが返されるものの内容でございます。それから、移設計画の費用といたしましては、全体計画として大体二百二十億円を一応予定しております。
○岩間正男君 いま説明のあった返還六カ所のうち、府中空軍施設、キャンプ朝霞南地区、ジョンソン飛行場住宅地区、この三カ所は大部分とあるんですが、その三カ所の一部は依然として米軍が使うということですね。ことにキャンプ朝霞は全体三百十七万平方メートルと思いますが、そのうち三分の一の返還にすぎないことになっていますが、残りの三分の二を米軍が何に使うか、明らかにしてほしい。
○政府委員(高松敬治君) キャンプ朝霞南部地区の土地は百二十三万平方メートル……
○岩間正男君 全体計画。
○政府委員(高松敬治君) 全部といたしましては、あと桃手住宅地区その他が残っております。現在ここに大部分と書きましたのは、その南部の百二十三万平方メートルのうち十万平方メートル、約七%の部分、これが米軍の地区として残ります。
○岩間正男君 何に使うか。
○政府委員(高松敬治君) あすこのFENといいますか、極東放送の区域とか、それから学校とか、そういうものが一部まだ問題が未解決で残るものがございます。
○岩間正男君 あと府中空軍施設とジョンソン飛行場。
○政府委員(高松敬治君) ジョンソン飛行場は、百六十四万平方メートルのうち六万平方メートル、これは現在も住宅地区でございますけれども、住宅それから倉庫その他のものがございますが、比率にして約六%が米軍専用地区としてこれは残ります。
 それから府中は、先ほども申し上げましたように、五十六万平方メートルのうち四万平方メートル、通信施設その他でございますが、これが比率にして七%、これが残ります。
 したがいまして、全体二千二百二十万平方メートルのうち、米軍施設として残りますものが二十万平方メートル、比率にして約一%でございすす。
○岩間正男君 次に、全部といってもその大部分は自衛隊が使うんじゃないですか。
○政府委員(高松敬治君) いわゆる関東計画につきましては、これを本年度を初年度として三年度で実施することになっております。その後の土地をどうするかという問題につきましては、これは逐次、返還をその三年間に受けつつその使用方途をきめていくわけでございまして、現在それについては全く方針はきまっておりません。
○岩間正男君 立川基地はどこが使います。
○政府委員(長坂強君) お答え申し上げます。
 立川飛行場は、おおよそ三年間の間に返還にたる面積六百二万平方メートルのうち、現在共同体用でいわゆる二4(a)の形で使っておりますのが百十五万平米でございます。それで、これが六百二万平米が返還になります際に、これは大蔵省のほうに普通財産として返される部分が大部分でございますが、国有財産審議会等の審議を経まして、その後の使用というものをまたあらためて協議をすると、そういういき方をとっております。
○岩間正男君 ジョンソン基地はどうです。
○政府委員(長坂強君) ジョンソン飛行場百六十四万平米のうち、米軍が使用しております面積につきましては、先ほど施設庁長官からお答えがあったわけでございますが、自衛隊の関係といたしましては、現在やはり二4(a)の形で二十六万平米、これは、中部航空方面隊司令部の庁舎とか、あるいは警戒管制団の司令部の庁舎とかいうもので約二十六万平米、パーセントにいたしまして一六%を現在使用中でございますが、当方の希望といたしましては、これが返還になります際も、やはり現在の機能が維持できるようなふうに使わせてもらいたいという考えでおります。
 以上でございます。
○岩間正男君 キャンプ朝霞は陸上自衛隊とさらに防衛医科大学が使うと聞いておりますが、どうですか。
○政府委員(長坂強君) お答え申し上げます。
 防衛医大の関係は、すでに返還を見ました所沢の一部使用といいますか、大部分はほかにも使われるわけでございますが、そのごく一部を所沢の中で防衛医大として使わせてもらう。それから、キャンプ朝霞につきましては、百二十三万平米の返還予定の面積の中から、現在約九%、十一万平米が、朝霞駐とん地の訓練場とか、あるいはヘリポート、それから自衛隊の体育施設がございます。それは、当方の希望としましては、現在の機能は維持できるように、やはり使わしてもらいたいという希望を持っております。しかしこれも、返還になります際に、やはり国有財産審議会とか、所管であります大蔵省との御相談をいたしましてきまっていくわけでございます。
 以上でございます。
○岩間正男君 府中空軍施設は航空総隊が残るわけですね。
○政府委員(長坂強君) 府中にございます航空総隊についてのお問い合わせと存じますが、現在、航空総隊の大部分の敷地というものは、米軍の敷地とは別でございますが、この府中の中にございますいわゆる作戦指揮所等の施設がございます。これは五十六万平米の中で約一千平米という比較的小さな部分でございますけれども、この機能はやはり維持してまいりたいという希望を持っております。
○岩間正男君 航空総隊ですね。
○政府委員(長坂強君) さようでございます。
○岩間正男君 水戸射爆場はどうです。陸上自衛隊の演習場にこれがもう所管がえされる、たいへんこれは現地でも騒いでいるようですが、どうなんですか。
○政府委員(長坂強君) 先ほど政府委員のほうから御答弁がありましたように、このお問い合わせの水戸対地射爆場、これは千百四十七万平米というたいへん広いところでございますが、これを、従来から陸上自衛隊におきましては、勝田市にございます施設学校の爆破訓練場といたしまして、その千百四十七万平米の中の三百三十万平米を使用いたしております。訓練場として使用いたしておりますが、これが、先ほど御答弁がありましたように、三月十五日に水戸射爆場全体、米軍施設としては返還になりました。そこで、当方としては施設学校の爆破訓練のために、従来と同様の規模でやはり一定期間使用いたしたいというふうに希望いたしております。
○岩間正男君 田中総理にお聞きします。
 政府はこれまで、関東計画で基地の面積は減ると言ってきましたが、以上六カ所のうち、三年以内に完全に軍事基地でなくなり、住民に平和的に利用されるのはどこどこですか。――これ、総理、御存じないんですか。先ほど、そうじゃないと言ったから。
○国務大臣(大平正芳君) いま政府委員から御答弁申し上げましたとおり、二千二百余万平方メートルのうち、返還になりまして、国有財産審議会等を経まして、自衛隊にどれだけ使用が認容されるかという問題は、これからの煮詰めにかかるわけでございまして、ただいまの段階で、どれだけの面積が留保されるかということについて的確な答弁の段階では――答弁する材料を持っていないわけでございまして、これからの運び方につきましては、政府委員から御答弁申し上げたとおりでございます。
○岩間正男君 田中総理、どうですか。国民はみんな返還されると思っているんですよ、関東計画で。ところが実際には、関東村一カ所にすぎないじゃないですか。あとは全部軍の施設ですよ。しかも、まだいまのところは国民の世論が強いから、これに対して先に延ばそうとしておるけれども、もう内々は、自衛隊の使用というやつはきめられているんじゃないですか。国民は、アメリカ側の基地が返される、全面返還を心から望んでいるんです。これでは私は、先ほど国民のためと言われたけれども、全くの国民欺瞞になるんじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 岩間さんのおことばでございますが、全部そうであるなんということを政府は御答弁申し上げているつもりはないのでありまして、二千二百万平米余にわたる面積のうち、一部につきまして、自衛隊の利用という問題につきまして所用の手続を経てきめると言っているわけでございまして、あなたの御表現はややオーバーな御表現じゃないかと思います。
○岩間正男君 私は国民感情から言っておるんです。返る、これはみんな返されるんだと、こういうふうに受け取っていますよ。政府はそんなことを言っているけれども、これは国民の気持ちを知らぬから。
 ところで、私はこのたびの関東計画で、横田基地はアメリカの極東戦略上どのような機能と性格を持った基地に変わろうとしているか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(久保卓也君) 横田には住宅その他の施設が集約されるようでありますが、横田の輸送基地という点は、従前と今後とも変わるまいというふうに私は思っております。
○岩間正男君 そんな簡単な答弁でいいですか。防衛庁長官に聞きたい。そんなことはわかっている。
○国務大臣(増原恵吉君) 横田に集約しまするのは、先ほどもちょっと申し上げたと思うんですが、住宅その他の施設が、現在米軍の使用しておるものよりも大きく減りまして横田に集約されるということで、横田における米軍の軍事機能についてはさしたる変化はない、というふうに私どもは了解をいたしております。
○岩間正男君 戦略上たいした変化ないと言っているが、最も必要なことですよ。今度の集約移転の中で最も重要な課題は、横田基地がどういうふうにアメリカのアジア戦略上変わるかということで、これは国民がみな知りたいんだ。そうでしょう。ところが、これに対して、輸送基地がちょっと強化されるとかなんとかというようなほどのそんな問題じゃない。それじゃ聞きます。現在横田にはどのような任務を持った軍隊、施設がありますか。具体名をあげてください。
○政府委員(久保卓也君) 横田にありまする部隊は、第五空軍司令部の麾下にありまする第四七五航空基地団及びその関係部隊があります。それから米本国の輸送空軍の麾下にありまする第六一〇軍事空輸支援スコードロンほか関係の部隊があります。それから、そのほか沖繩の第三七六戦略ウイングの第一派遣隊ほか小さな部隊が約十数ございます。
○岩間正男君 田中総理は米軍に、この戦略がどう変わるかというようなことを確かめなかったんですか。これは国民の聞きたいことですから、総理としては非常に重要だと。この点はっきりしないで、そうして集約移転などということで、そうしていかにも基地が返るんだと、そこだけ宣伝したという形になる。これは確かめたんですか、確かめなかったんですか、どうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 確かめておりません。おりませんが、アメリカ側の要求で集約をするんじゃありません。日本側の要求で集約をするのであるということでございまして、集約を宣伝しておりません。事実を述べているにすぎないんです。しかも御質問があるから述べておるのであって、宣伝なんかしておりません。
○岩間正男君 それはすぐわかることです、いま質問進むとね。わかります、あなたの前言がいかに違っているか。それじゃお聞きしますが、先に戻って、第四七五空軍基地大隊というのは、関東地域の空軍基地、通信施設、住宅等の統轄管理をやっている部隊と思いますが、それでいいですか。
○政府委員(久保卓也君) 第四七五航空基地団は五空軍に所属いたします。これは先ほど申し上げました。そこで、基地支援部隊でありまして、関東におきまする空軍関係の諸施設の管理、それから横田基地におきまする基地業務の支援を行なっております。
○岩間正男君 それじゃ第六五及び第六一〇空輸中隊というのは――特にそのうちMACですね、このMACの任務は、これは米国防省または米本国の米軍事空輸司令部の直属部隊で直接その指揮下にあり、有事即応の体制をとり、C5Aギャラクシーなどで空中から兵員、装備、物資などを輸送し、アジアだけでなく世界のどこへでも展開できる、いわゆる安保のワクを越えたものと思いますが、いかがですか。
○政府委員(久保卓也君) 安保のワクを越えたものとは思いませんけれども、米本国にありまする輸送空軍MACの傘下にありまして、横田に飛来してくる輸送機の支援を行なっておるという点は、そのとおりであります。
○岩間正男君 次に、第三七六戦略航空団第一分遣隊、いわゆるSACですね、これはB52をその指揮下に置いて、いざというときにはいつでもB52の戦略爆撃を行なうことができる、そういうものだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(久保卓也君) これは沖繩にありまする第三七六戦略航空団の指揮下にありまするリタッチメント・ナンバーワンでありますが、この分は嘉手納にありますいまの航空団の指揮下にありまして、五空軍所属の航空機に対する空中給油をやっていると沖繩のときに御説明申し上げましたように、この戦略航空団が持っておりますものは空中輸送機であります。
○岩間正男君 いつでも戦略爆撃の中心になれる、基地になりますね。
○政府委員(久保卓也君) これは空中輸送機のみを持っておりまするので、この航空団そのものの任務としてはB52あるいは爆撃機を持つものではございません。
○岩間正男君 これは移動すればすぐできることで、かつてはそうだったんですね。朝鮮戦争時代B29のこれは非常に基地であった、さらにその後も飛んできております。さらに今度の集中統合によって、横田には在日米軍司令部と第五空軍司令部を中心に、日本全土、沖繩、韓国所在の空軍部隊の指揮、調整、支援をはじめ、アジア全域への輸送、補給、緊急出撃を任務とする極東米空軍最強の根拠地ができることになると思うんです。この点についてもう一度お伺いしますが、総理は確かめられなかったんですか、外相も確かめられなかったんですか、防衛庁長官も、この問題確かめなかったんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 総理が仰せのとおり、わが方の要請に従いまして、いわゆる基地のリロケーションというのをアメリカに求めたわけでございまして、その結果、アメリカとしてはできるだけみずからの機能をそこなわないように配慮しながら、われわれの要請をいれて今度の関東計画というものができたわけでございまして、このことはたびたび申し上げておりますように、基地の機能の強化というものを目的として措置いたしたものではございません。
○岩間正男君 ここに、最近日本原水協に寄せられた、横田基地に勤務する一米兵からの手紙があります。この点を私は要約して読んでみます。横田基地からの米兵の手紙「横田基地はアメリカの東南アジア侵略にとって、ますます重要な役割をになってきている。とくにアメリカがベトナムから地上軍を撤退し、サイゴン政権の軍隊がつくられるにしたがって、南ベトナムに巨大な戦争資材を送りこむことが必要になった」、「横田基地のこれまでの施設では、必要な設備、人的必要を十分に満すことができなかったので、いま増強作業が始まったのである。横田基地空港ターミナルは、東南アジアに兵員を輸送する目的でつくられたものである。新しい倉庫が横田基地経由の物資を保管するためにつくられた。外から燃料供給が断たれた場合を想定して、十五日間は保てるように新しい地下燃料貯蔵庫も作られた」、あとは時間の関係から略します。この中で、特に外からの航空用ジェット燃料の補給が断たれた場合を想定して十五日間も保てる新しい地下燃料貯蔵庫がつくられたとありますが、政府はこうした連絡を受けておられると思いますが、いかがですか。
○政府委員(高松敬治君) 私どもは存じておりません。
○岩間正男君 どの政府機関も受けていないんですか。外務省は。
○政府委員(大河原良雄君) その事実は承知いたしておりません。
○岩間正男君 これはつんぼさじきですね。だからたいへんだと言っているのです。
 最近、立川市砂川地区や福生市内などで古井戸に石油が浮いたり、基地内の排水路から油が流れ出すなどのことが相次いで起こり、現地では大きな問題になっているが、これと関係はないかどうか。また、この地下燃料貯蔵庫は、最近、横浜−八王子−川越間の沿線に建設が始まっている燃料パイプラインと関係があるかどうか。政府は真に国民の立場に立つなら、この事実を究明すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(高松敬治君) 調査いたしてみます。
○岩間正男君 何ですか。はっきりしなさい。
○政府委員(高松敬治君) 調査をいたします。
○岩間正男君 調査しなくちゃわからぬのか。いつまでに返答してくれますか。
○政府委員(高松敬治君) できるだけ早くいたします。
○岩間正男君 できるだけとはいつですか。この質問が終わるまでにくれるかい。電話で聞けばわる。そんなことがわかってないのか。
○政府委員(高松敬治君) そうひまはかからないと思いますが、できるだけ早く調査をいたします。
○岩間正男君 こういう答弁じゃ、委員長、困ります。できるだけなんというのは、日本の辞書では、できるだけというのはわかりません。
○委員長(大竹平八郎君) できるだけと言っているんだから、進めてください。
○岩間正男君 それじゃ、すぐに出してください。
 さらに、これにあわせて聞きますが、その関東計画によって統合される米軍の施設は、住宅二百七十五戸のほか、倉庫、病院、事務所などということになっていますが、これこそは極東最大の空軍基地の集中強化であり、機能アップの実態を示すものだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(高松敬治君) 先ほど御説明申し上げましたように、土地にして総計二千二百十九万平米になります。それから建物につきましては全部で百五万八千平米ということを申し上げましたが、現在、統合されます六つの地区にあります既存の建物の坪数と申しますか、既存の建物の面積は百五万平方メートルでございます。で、それが横田に集中いたしますが、そのうちの約十七万平方メートルに当たる部分でございます。比率にいたして約一六%が横田に建築される。で、内訳といたしましてば、住宅三十五万平方メートルが五万五千平方メートルになる。それから住宅の戸数にいたしますと、二千五百十二戸が二百七十五戸に相なります。それから住宅以外の建物は、七十万平方メートルが横田に十一万五千平方メートルと、こういうふうに圧縮された形でリロケーションが行なわれるわけでございます。そういうことで、私どもは、これが現在の状態から比べると非常に少ない数になって横田に建設される、こういうことでございまして、特にこのために横田基地として非常に大きな機能上の変化があるというふうには考えられません。
○岩間正男君 事務的判断じゃだめなんで、これは防衛庁長官に伺います。
 基地機能の集中強化、機能アップ、これにはっきりつながっておるということを聞いているんですが、どうですか。
○国務大臣(増原恵吉君) 横田基地にある部隊については資料として提出をして御承知と思いまするが、これに今度集約いたしまするところから、何というか部隊機能という形で移るものはごくわずかでございまして、この横田のいわゆる軍事機能が大きく強化されるという性格のものではございませんで、日本側の要請に基づいて、他の、なるべく米軍のさき得る基地を返してもらおうということに要点があるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○岩間正男君 あなたは安保協議委員会の構成員でしょう。ガイラー統合司令官にも会っているのでしょう。それで、こういう問題を確かめないで、いまのような答弁で、返してもらうんだからとありがたがっていたら、どういうことになりますか。これで一体防衛庁長官が任務がつとまりますか、どうなんです。いまのような答弁、国民は期待していませんよ。
○国務大臣(増原恵吉君) 御質問に対してお答えをしたのでございまして、いま申したようなことが横田集約の事実でございます。
○岩間正男君 以上あげた例から見たって、これがどんなふうに大きく前線基地として展開されつつあるかということはわかると思うのです。政府はまず基地周辺の住民の声を率直にお聞きになったらいいと思う。特に滑走路の北端にある瑞穂町、ここでは町ぐるみで横田統合反対に立ち上っております。三月十日、全町民から集めたアンケートでは、町民の八八・一九%が絶対数の反対を表明している。こういう事実を御存じですか。
○政府委員(高松敬治君) 存じております。
○岩間正男君 田中総理、どう思いますか。
○国務大臣(田中角榮君) 私はまだそのような事実を聞いておりません。
○岩間正男君 いま八八・一九%の反対で意思表示をしておると言っています。それについて総理の判断をお聞きしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 日本各地にある膨大もない基地を整理統合するというのでありますから、なくさない限り、どこかに整理統合せざるを得ないわけであります。統合される地区の周辺住民に反対をする人があれば、その事情を説明をして理解を得るようにしなければなりませんし、近隣の住民福祉のために政府がなすべきことはこれを積極的に行なうということでなければ、基地の集約はできないわけでありますから、そういうことに対しては理解を得るように努力を続けていくべきだと思います。
○岩間正男君 田中総理に重ねてお聞きします。
 一体、世界の独立国の中で首都の一角にこのような巨大な外国の軍事基地を許している国はほかにありますか。あったらお聞かせ願いたい。
○国務大臣(田中角榮君) ヨーロッパ諸国にも共同で使用する基地が存在することは私が申すまでもありませんし、他の国にもあります。
○岩間正男君 あるんですか、ないんですか。
○国務大臣(田中角榮君) ありますと言っている。
○岩間正男君 どこですか。
○政府委員(大河原良雄君) たとえば、ドイツにおきましてNATO軍という形で米軍が駐留いたしておりますけれども、兵力にして三十万、施設にして三万六千の施設を使っております。
○岩間正男君 首都の一角にこのような基地を持っている国というのはないじゃないですか。そのことを私は言っているのです。どこの国でない、首都だ。東京は首都ですよ。
 私は次に、それじゃ時間の関係から、進めてお聞きします。いま問題になっている米軍基地の集約移転費の負担問題、これでお聞きしたいと思う。
 関東計画の移転費が先ほど話があった二百二十億、これをはじめとして、那覇空港のP3移転に伴う嘉手納、普天間改修、牧港住宅地、横浜海浜住宅、これはミッドウエーの母港化にも関係があるといわれている。キャンプ淵野辺、岩国、三沢、相模原医療センターなど、今後、日本側の負担は一千億をこえるだろうと私は思うのでありますが、この概要を明らかにしてほしいと思います。
○政府委員(大河原良雄君) 先ほど来御質問いただいております関東平野計画につきまして、三カ年間で約二百二十億円、並びに関東平野計画に関連いたしましてキャンプ淵野辺の費用が約十四億円、それから三沢、岩国の兵舎の改修地区に、それから、P3の移転等に伴いまする費用が約二十五億円と見積もられておりますけれども、昭和四十八年度におきましては、そのうちの十億円を予算に計上いたしております。
 沖繩におきましては、P3の那覇空港からの嘉手納移転に伴いまする関連費用三十八億円を四十七年度から四十八年度へ繰り越ししようということをお願いいたしておりますが、このほかに、那覇周辺にございまする空軍、海軍の補助施設を嘉手納並びに牧港補給地区その他へ移転いたしまするに要する費用並びに牧港住宅地区の中の二百戸を嘉手納飛行場へ移しますに必要な費用が必要になってまいりますけれども、この費用の詳細につきましては、今後、米側と細目を詰めました上で固まってまいりますものでございまして、住宅の移転に伴いまする費用として、四十八年度におきましては調査費として三千七百万円をお願いしておるわけであります。
○岩間正男君 いまの計画は詳細でないし、今後詰めるんだということですけれども、とにかく、牧港の住宅地、それから横浜の海浜住宅、こういうところはですね、これは関東計画ぐらいの費用はどうしても要るということになるわけです、一千億をはるかにこえます。
 それから、従来の分はどうですか。地位協定発足以来のここ十数年間の移転費支出を、件数、件名、総支出額等についてこれを示してほしいと思います。
○政府委員(高松敬治君) 昭和三十五年以降米軍施設返還のための移設工事を実施いたしましたのは、八戸貯油施設等十五件、約四十三億円、これは完了いたしております。
 それから、現在移設工事を実施中のものは、厚木海軍飛行場の一部をはじめといたしまして五件、約百九十五億円でございます。
 それから、今後実施を計画しておりますものは、先ほど外務省のアメリカ局長から御説明いたしましたとおりでございまして、四十八年度における計画額は約五十二億円でございます。
○岩間正男君 いまあっさり言っておりますけれども、三十五年度以来の全部ですよ。リロケーション費用、件数そんなものですか。金額はどうですか。
○政府委員(高松敬治君) いまほど申し上げましたように、すでに完了いたしましたものが四十三億円、それから、現在実施中のものは百九十五億円。それから、今後実施を計画しているものの中では、これから先、先ほど一応の計画の説明がありましたが、四十八年度における計画額が五十二億円と、こういうことでございます。
○岩間正男君 そのほかにワシントンハイツは、これは幾らかかりました、どこの費用でやりましたか。
○政府委員(高松敬治君) ワシントンハイツの移設は、オリンピック関連工事ということで、建設省で実施したはずでございます。
○岩間正男君 建設大臣にお聞きします。総額幾らです、関東村に移駐したやつは。
○国務大臣(金丸信君) 調べてすぐ御報告をいたします。すぐ――この時間中に報告します。
○岩間正男君 これは百億をこえていると私たちは承知しております。そうすると、いま報告がありましたように、これは全部で、そういうものと今年度を加えるというと約五百億近い金が出されている。その使用状況を見ると、ここ二、三年膨大にふえているわけですね。ここ二、三年――ここが非常に問題です。これは田中総理御存じでしょうね。
○国務大臣(大平正芳君) こちらの要請が大きくなればなるほど、所要経費もしたがってまた大きくなると思うわけでございまして、リロケーションに関する経費が大きくなるということは、われわれの要請に従いましての返還の規模が大きくなるということでございまして、私は、国益上そのほうをとるべきであると思います。
○岩間正男君 移転費用は国民の血税ですよ。国民の血税が米軍の基地強化、戦略強化のために使われるのが望ましいと、たいへんな御答弁だと思うんですね。そういう形で、国民、国民と言っていますけれども、国民の考えているのとだいぶ違う、これは。
 そこで次にお聞きしますが、これらの米軍施設の集約移転に伴う膨大な国費を、日本側が支出せねばならぬ法的根拠は一体どこにあるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(大河原良雄君) 地位協定二十四条二項に基づきまして、日本側が経費を分担すべきものがございます。地位協定二十四条一項には、米側が経費を負担すべきものが規定されてございますけれども、米側が施設・区域に関連して負担いたすべきものは、提供施設・区域内において、みずから建物等を構築し、または現存の、既存の建物等を移動、変更する場合に要する経費、また、提供施設・区域及び米軍の構築した建物等について通常の維持補修を行なうことに要する経費、これが米軍が負担すべきものでございまして、二十四条二項は、日本側が経費を負担すべきものとして、施設・区域の新規の提供に要する経費、すでに提供している施設・区域において日本側が建物等を新築し、あるいはこれを施設・区域として追加提供に要する経費を負担する、こういうことになっておりまして、この規定に基づきまして費用を日本側が負担しているわけでございます。
○岩間正男君 それはおかしいじゃないですか。政府は、いつから地位協定の解釈を変えたんです。二十四条二項の解釈は、二条一項(a)によって新たに施設・区域を提供する場合に、米側に負担をかけないとしているのであって、しかも、それは提供時点で現存しているものである。その施設についてやるんだということが正しい解釈です。これはいままでのいろいろな例をあげることができる。たとえば法制局の山内一夫元第一部長ですかが「時の法令」にはっきりそういうことを書いている。あるいは山上元施設庁長官の答弁の中でも明確にこのことを言っている。しかも、国会のこれまでの答弁では、二十四条二項については、日本側の負担すべき経費は賃貸料と路線権などの補償用に限る、こういうふうに言っていたではないですか。そういうときがあります。これはどうなんですか。これを変更したんですか。
○政府委員(大河原良雄君) 地位協定第二十四条二項は、日本側が経費の負担をすべきものをあげてございまして、第二十四条の一項は「2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、」合衆国軍隊が経費を負担すると、こういうことがあるわけでございまして、まず二十四条の二項に基づきまして日本側が負担すべきものがきまってまいるわけでございます。
 それから、「現存の設備」云々ということを御指摘ございましたけれども、これは二条一項(a)の解釈としてそういうことを言及されたかと考えますけれども、地位協定二条一項(a)は、「「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。」ということでございまして、「現存の」と申しますのは、明らかに「設備、備品及び定着物」に関する修飾のことばでございます。
 さらにまた、地位協定二条二項をお読みいただきますと、「日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。」と
 いうふうに規定してございまして、二条二項によりまする新たな施設・区域の提供と申しますのは、全く新しい施設・区域の提供のほかに、追加の施設・区域の提供が当然含まれているべきものでございます。
○岩間正男君 そういうあなたたちの解釈ですが、それは今度この問題が起こってからそういう解釈をやっています。しかし、山内一夫氏の、これは「時の法令」、これは、「施設とは、土地または公有水面がこれらの運営に必要な現存の設備、備品および定着物と一体に提供された場合の観念であり」、こういうふうに言っておるんです。土地あるいは水面、これとそのほかのものは施設でしょう、建物その他の……。こうなるのですから、現存したもの以外にありませんよ、土地以外にですね。それから水上、そういうもののほかにあるものはそれらの施設じゃないですか。その施設は現存のものだということをはっきりこれはうたっている。そういう点から言いますというと、いまの解釈は非常にこれは都合のいい解釈です。今度のこのような日本側の負担というものを合理化するためにこれはつくられたとしか考えられない。
 そこで私はお聞きしたい。大体、返還された、一体地位協定上の法的根拠はどうなんです。いままで提供するほうのことだけ言ってきたけれども、返還の地位協定上におけるところの法規は一体どうなんです。何条で返還されたのです、今度は。
○政府委員(大河原良雄君) 政府は、地位協定に関します解釈を地位協定成立以来一貫して貫いているわけでございまして、協定を便宜上変えたということは毛頭ないわけでございます。また、施設及び区域の意味につきまして、先ほど論文に言及されて御指摘でございましたけれども、地位協定上の施設・区域と申しますのは、特別の定義はございませんけれども、建物、工作物等の構築物及び土地、公有水面、こういうものと解されておりまして、この施設・区域の扱いに関する運用は、昭和二十七年以来一貫してこのように解釈が一行なわれているものでございます。
 また、施設・区域の返還に関していかなる法的性格かと、こういうことでございまするけれども、施設・区域は、地位協定二条一項(a)に基づきまして合衆国軍隊に提供されるわけでございまするし、また、二条三項によりますと、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」とございまして、さらにまた地位協定四条には、返還の場合の賠償義務の免除、そういうことが規定されておるわけでございます。
○岩間正男君 そうすると、二条三項、必要のなくなったものはいつでも返還しなければならぬ、四条二項、返還の際、建物などの補償義務は一切負わない、こういうことでしょう。この条項というものを今度の返還の問題で強力にこれは主張する立場にあったんじゃないですか。これは地位協定の当然の権利でしょう。この権利を主張したんですか、しなかったんですか。提供のあれだけ言っていますけれどもね。
○政府委員(大河原良雄君) 私、地位協定二条の二項を先ほど申し上げましたけれども、一たん地位協定二条一項(a)に基づきまして提供いたしました施設二区域につきましても、その後の状況の変化その他事情があるときには、日米いずれか一方の要請に基づいてその取りきめを再検討することができるわけでございまして、再検討の結果、合衆国軍隊がその施設・区域の使用がこの協定の目的のため必要でなくなったときには返還しなければならないというのが二条三項の規定でございます。
 いずれにしましても、日本側といたしましては、基本的に施設・区域の整理統合という大きな方針のもとに施設・区域全般についての米側との折衝を重ねてまいったわけでございますけれども、米側に対しまして施設・区域の整理統合を要請いたします際に、米側といたしましては、その代替施設の提供を要請してきた事例が多々あるわけでございまして、その要請に対しまして、日本政府として地位協定の目的にかんがみ、合理的な内容のものであると判断いたします場合には代替施設を提供し、一方、米側として必要としなくなったと考えられる施設の返還を現実に要求してきていると、こういうわけでございます。
○岩間正男君 要らなくなった、そういう施設が非常に多くなったからこそ国民の世論も起こって返還することになったんでしょう。当然、これに対してなぜ二条三項というものをもっと強力に主張しなかったか。さらに、当然これは四条二項によって補償の義務はないわけです。こういう点では非常に政府の見解は、統一されておるなどと言っておりますが、実際はそうじゃないでしょう。大平外相は、現に衆議院の外務委員会でこう言っているでしょう。移転費用の日本側と米側の負担区分が地位協定上必ずしも明確でない、こう答弁しているはずです。現に当委員会でそう言っております。いまのと食い違う、明らかに。
○国務大臣(大平正芳君) 地位協定の構成でございますが、米側がここまでは負担すると、日本側がここまでは負担をするという限界が、必ずしも地位協定自体としては明確でないということを申し上げたのであります。言いかえれば、米側が負担してもいい、あるいは日本側が負担してもいいという重なった部分が地位協定上あるということでございまして、私がかってにつくったわけじゃなくて、地位協定がそうなっておるという事実を申し上げたにすぎないのでございます。
○岩間正男君 非常にあいまいなままで、しかも、もう決定だけはしてしまったと、こういうことになるんです。こういうことは許されないと思う。これはつまり、米軍基地の集約移転に伴う日本側の負担は、条約上、地位協定上に明記された義務ではない。従来の習慣上、日米間の話し合いでやっていたと、そういうことだと思うのです。さきの安保協議委員会の合意書を見ると、関東計画について「米側は、必要な移転及び建設のための日本政府の協力と援助に対して謝意を表明した。」と書いてあります。もし条約上当然の義務ならば、あらためて謝意を表明する必要はないと思うのです。この点について三月七日の衆議院予算分科会で、わが党の東中議員が追及しました。結局は、日本側の費用負担は、アメリカ側が防衛責任やその費用を分担させるという、あのニクソンドクトリンへの日本政府の協力であるということをこれは政府側も認めているじゃないですか、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) たびたび政府側から申し上げておりますように、われわれのほうから整理統合のお話を持ちかけておるわけでございまして、それに応じて日米間の協議が行なわれまして、代替施設の要請があった場合、地位協定上許されるものは、合理的なものでございますれば、それを満たした上で返還を実現するという方針を貫いているわけでございまして、私どもがかってに米側にやるべきものでないものをやっておるというようなふらちなことはやっていないわけでございます。米側が謝意を表したということは、普通人間関係においてよくあり得ることでございます。
○岩間正男君 負担分が明確でないのをなぜ日本側が出すのか。そこのところの詰めは、とてもいまのような御説明では、これは問題になりません。
 そこで、私はあらためてお聞きしたい。集約移転にしろ、日本側負担というのは、ニクソンドクトリンとアメリカのドル防衛に協力した結果ではないか、そういうふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) ニクソンドクトリンというのはアメリカの政策でございまして、アメリカが諸外国にいろいろな約束を持っておると、その約束は守ると、しかしながら、アメリカの軍事的なプレゼンスは漸次縮小していくという方針であるように承っておるわけでございまして、これはあくまで米国の政策でございます。私どもがいま追及いたしておりますのは、たいへん緊張が高まってまいりました基地のあり方につきまして、できるだけ最大限度これを整理縮小していくという日本側の政策的な要求を踏まえた上で米側と折衝いたしまして、それを可能にする条件を地位協定に即して処置してまいっておるわけでございまして、直接にニクソンドクトリンとは関係がございません。
○岩間正男君 そう言っていますが、いまここ数カ年の経過を私はたどって見ましょう。一九六九年七月、ニクソンドクトリンをグアムで発表。一九七一年八月十五日、ニクソン大統領ドル防衛政策発表。一九七一年九月十日、第八回日米貿易経済会議、これはワシントンで行なわれました。福田・ロジャーズ会談で在日米軍駐留費の日本側負担と米国の武器購入による防衛分担を提案。一九七一年九月十三日、ニクソン大統領防衛分担について日本政府とすでに交渉に入っているとデトロイトで語る。同じく九月二十五日、外務省筋の説明によると、現在、在日米軍の駐留費は年間六億五千万ドルで、米側はその全部またはその一部を日本側に分担することを希望。これに対し日本側は、在日米軍の駐留費分担は、現行地位協定により、基地の賃貸料などに限られており、六億五千万ドルはその一部経費を差し引いた金額である、このため、米側の希望に沿って防衛費を分担するためには、地位協定の改正が必要になる上、野党側の激しい抵抗が必至である――はなはだここが興味のあるところです。そうして一九七一年十二月七日、日米間で国際収支改善に大筋に合意。一九七二年一月七日から八日、サンクレメンテ会談。一九七二年一月十日、福田外相、記者会見で横田統合発表と、こうなっております。
 そこで、当時の責任者福田行管長官にお伺いします。サンクレメンテの会談では、日米間で防衛費の分担についてどういうことがきまったのか。
○国務大臣(福田赳夫君) サンクレメンテでは、防衛費の分担については一言も話が出ておりませんです。また、関東集中に必要な費用の分担につきましても一言も触れておりませんです。
○岩間正男君 金額の問題はそこでは出なかったのですか。金はだれが出すのか。
○国務大臣(福田赳夫君) いやしくも金の話は一切出ておりませんです。(笑声)
○岩間正男君 だれかがそれを笑っているでしょう。
 それじゃ、さらにお聞きします。米空軍の横田統合は、日米どちらからの要求であったのか。
○国務大臣(福田赳夫君) サンクレメンテでは、主たる話題は沖繩返還日をどうするか。それから沖繩の核をどうするか。それから第三は、沖繩の基地をどうするかと、こういう話です。その沖繩の基地をどうするかという話のとき、アメリカのほうから、かねての日本側の要請に応じて関東集中をやると、こういう話があった。そういういきさつでございます。
○岩間正男君 昨年一月十日の外務省公表文、これは外務省から出している公表文です。これによると、サンクレメンテから帰国した福田外相は、記者会見で、ロジャーズ国務長官との会談の席上、米側から、関東平野にある米空軍住宅地区の大部分を整理し、横田基地に集中するとの構想を示した、こういうふうにあるんですが、関東計画は、これで見ても、はっきり米側からの要求であることは、明らかじゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりなんですが、一言落ちております。それは、日本側のかねての要望に応じて関東集中を行なうことを決定いたしておりますと、こういうことでございまして、一言落ちておる。こういうふうに御理解願います。
○岩間正男君 これは田中総理も行っておられたんだが、どうです、いいですか、いまのとおりで。
○国務大臣(田中角榮君) 私は通産大臣でございまして、通産省以外のことには話に乗っておりません。
○岩間正男君 外務省がはっきりそう言っているのですからね。これは米側が提案したのだ、そうして、福田元外相もこれは認められた。そうすると、いままでの前言はひっくり返るわけですよ。むろん日本からの提案もあったでしょう。しかし、基本的に今度の統合の、一体、一番根本的なものは何か、こういうことを私は一番最初に提起したわけです。アメリカの戦略上の必要からなされる集中移転に、どうして日本側から費用を出さなければならないのか、私は、リロケーション費用のこのような日本負担は、法的にも不法不当であり、その犠牲を国民に転嫁するものだと思いますが、田中総理いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 岩間さん何か誤解されておるようですが、日本側は、その基地全体について、かねて返還を要求しておったのです。その一般的な要請にこたえて、米政府当局は関東集中を行なう、こういうことを計画した、こういうことでありまして、わがほうから関東集中、横田基地へ全部集中せい、こういう要請をしたのではない。これをひとつ誤解のないように御理解願います。
○岩間正男君 私は、米側の要求によったんだろうと言ったら、それはそうでございますと言われたからそう言ったのです。
 私は、これは総理にお聞きしますが、いま地価の高騰は最大の政治問題になっている。土地に対する国民の世論はまさに沸騰しています。こうした世論を巧みに逆用して、基地の返還を口実に、米軍基地の集中強化をはかっているというのが、今度の関東計画ではないかと思う。政府は、当然このようなアメリカの態度に対して、要らなくなった米軍基地を厳格に検討し、これを無償で全面返還させ、目下地価騰貴に悩んでいる国民の利用に供すべきだと思うのです。これはいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げましたが、全面返還ということを言っても、それはできないのです。日米安全保障条約は維持いたします。その必要性はあります。そうして基地は提供しております。また提供しなければなりません。これはもう国民の前に明らかにしておるわけでございますが、しかし、基地というものは非常に大きかったのでございまして、それを長いことかかって集約をしてきたわけでございます。返還を求めてきたわけでございます。そうして、もう一つは、設置の当時は郊外にあったものが、その後、都市化現象が進むにつれて、地域住民との間にいろいろなトラブルが起きたりしておりますので、地域住民の利益も守らなければならないということに対して返還を求める、返還を求めるならば、当然集約が行なわれるということでございます。
 水戸の射爆場などに対しては、もう十数年来、与野党を問わず返還要求を続けてきた事実は、あなたもお認めいただけると思うわけでございます。しかも住宅や建物に対しては、非常に大きな、百万平米もあったものを、その十分の一というようなものに縮めるというのでありますし、住宅の数からいっても、二千家族が二百家族になるというような状態でありますから、この事実はすなおに認めていただけると思うのです。
 アメリカ側が集約によって戦力を増強しようということではなく、われわれが国民のために、市民のために統合の要請をいたして、先方側がこれを了としたわけでございますし、いまも事務当局から申し述べましたが、膨大もないものが返ってくるということは事実でありまして、国民は、この事実に対しては理解を示しておると、こう思います。
○岩間正男君 少なくとも、国民は列島改造論よりは米軍の基地返還を急務だと考えていると思います。
 次に、私は、このようなリロケーション費用の不当な使用に関連して、特特会計の問題に触れたいと思います。
 昭和四十四年第六十一国会で、国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部改正案というものが成立しました。その結果、特定国有財産整備特別会計がつくられましたが、この特特会計をつくった趣旨、目的は一体何ですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 特定国有財産整備計画は、国有財産の適正で効率的な活用をはかるということを目的にいたしました。そして国の庁舎等の集約、立体化をはかり、また国の庁舎等及びこれらの敷地で、位置、環境、規模または形態等から見て、他の用途に供することが適当であると認められるものの移転、再配置を行なうものであり、あと地の処分収入をもって代替施設の取得に充てることをたてまえといたしましたことは、御承知のとおりであります。
○岩間正男君 次にお聞きします。
 四十四年以降現在までの特特会計の歳出ですね、この主要なものは何か。特にそのうち、米軍のリロケーション経費の占める額と、その比率はどれくらいになっているかお聞きします。
○国務大臣(愛知揆一君) 特特会計によりまして、米軍施設の移転費の予算ベースによる年度別の金額と、その比率を申しますと、四十四年度が九億八千百万円、二二%。昭和四十五年度が六十億七千三百万円、四六%。昭和四十六年度が七十三億円で四三%。四十七年度が六十三億七千九百万円で三九%。四十八年度では、百九億一千二百万円で二七%の予定になっております。
○委員長(大竹平八郎君) 岩間君、先ほど質問の建設省の調査ですね、いま回答がきましたから……。
○国務大臣(金丸信君) お答えいたします。
 代々木のワシントンハイツ及び現在建設省のある場所にありましたリンカーンセンター、この移転先であります関東村の建設、これを建設省の営繕が行なったわけでございますが、三十六年度に九億八千万円、三十七年度に六十七億円、三十八年度に二十二億四千万円、合計九十九億二千万円でございます。
○岩間正男君 ちょっとわれわれの数字と違いますが、まあそれはあとにしましょう。
 そこで、いま愛知大蔵大臣の説明がございましたように、四十四年から米軍の施設提供の費用が非常にこの特特会計の大きな部分を占めているのですね。四十四年の一三%、四十五年の四六%、四十六年の四三%、四十七年の三九%。ところで、特特会計法並びにその施行令などを幾ら見ても、米軍基地移転費をそこからまかなうという条文は見当たらないのですね。その根拠を明らかにしてください。
○国務大臣(愛知揆一君) 特特会計は、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法、その第五条に規定されております特定の国有財産整備計画の実施について、国有財産の取得と処分についての経理を行なうものでありますが、一般会計に属する庁舎あるいはその他の施設の用に供する国有財産のうち、公共用財産、その他政令で定める国有財産以外のものを対象とすることになっておりますが、地位協定に基づく米軍提供施設は、この特定の国有財産整備計画の対象となりますので、同法の第五条の規定に該当するものである。したがって、この特別会計から、集約移転費を支出することは妥当である。政府の解釈は、かような法令の根拠によっております。
○岩間正男君 私は法文にあるかと聞いているんです。あるんですか、ないんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 法令の根拠ということでしたから、法令の根拠を申し上げました。米軍云々は書いてございません。
○政府委員(橋口收君) ただいま大蔵大臣からお答えがあったとおりでございますが、岩間先生御承知のように特特会計は昭和三十二年にできまして、昭和四十四年に改正があったのでございます。その改正の際に、従来は特定庁舎ということで、試験所とか研究所とか、あるいは刑務所とか、非常に限定された施設のリロケーションだけを対象にしておったのでございますが、四十四年の改正の際に、庁舎一般に広げましたほか、その他の施設ということで、公務員宿舎とか、あるいはいま問題になっております提供財産等につきましても、この法律の対象にすることができると、こういう改正をいたしておりますので、それが法律的な根拠でございます。
○岩間正男君 なぜ法文にうたわなかったのです、これだけれっきとした事実を。結局は、法文にうたわないで施行令の中でこれは言っているわけでしょう。そうして、さらにその根拠を聞かれるというと、これは大蔵省の部内の資料でそれを説明している。こういう形でこの特特会計というのは行なわれているんです。こういうことが許されていいんですか。法文ではっきりうたって、明確な目的を明らかにしておくということは、絶対これはなさねばならないと思うのですが、なぜこういうことをしたんですか。
○政府委員(橋口收君) これも岩間先生よく御承知であろうかと思いますが、政令で除いたものにつきましては、特定国有財産整備計画の対象にしないということがございまして、提供財産につきましては特に除くという措置をとっておりません。それから提供財産につきましては、別に、地位協定の施行に伴う国有財産の管理に関する法律というものがございまして、普通財産を無償で米軍に提供すると、こういうことになっております。したがいまして、両者を総合して考えますと、政令で特に措置をとらないということで、提供財産が対象になるというのが法律的な根拠でございます。
○岩間正男君 そういうことを言ってますが、普通財産でしょう、提供財産は。普通財産は特特会計からこれは除くはずになっておる。それを除かないことにするということを政令でやっておる。こうして、その理由を説明するのは、大蔵省内部のこの資料ですね。「普通財産は特定の目的に供せられるものでないので、特特会計から除くが、そのうち在日米軍に提供している財産は、その性格から行政財産に準ずるものとして対象に含めた」――一ぺんこれを除くと、しかし、それをまた指定するという、指定の指定でもって結局はやっているというのがこのやり方だ。法案に明記しないで、これを施行令でその事実だけをうたって、そうして政府部内の内部資料でこの解説をやるというようなやり方で、一体ほんとうに、この財政の明確な運営がやれますか、どうなんです。
○政府委員(橋口收君) これは繰り返しになって恐縮でございますが、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の施行令というのがございまして、その第四条に、米軍に提供するものは除かないということを明定いたしております。それが政令上の根拠でございます。
○岩間正男君 理由を聞いている。そんなの独断でしょう。かってに除かないなんてきめたって、その理由は明確になってない。法令になぜ一体それを明記しないか。そんなかってな解釈で、金額から言っても特特会計の大きな部分を占める膨大な基地移転費を特特会計に入れてもいいのかどうかという問題がここで出てくる。
 しかも、先ほどから、論議でも明らかなように、米軍の基地移転費の支出というのは、安保条約上の大きな疑義がある。その疑義のある支出を、一省のかってな解釈で独断的に行なっていいのかという、この問題が、今日この会計を通じて、私は提起しているんだ。どうなんだ。
○政府委員(橋口收君) これはもうたびたび申し上げて恐縮でございますが、もう一回申し上げますと、昭和四十四年の改正の際に、従来は特定庁舎という非常に限定された範囲のものについてのみ特定国有財産整備計画の対象にすることができるとなっておりましたのを、「その他の施設」ということで広げたのでございます。そのほかに、特定庁舎だけでなくて、庁舎一般に拡大をいたしまして、そのほかに「その他の施設」ということで、公務員宿舎や、あるいは提供財産というものも対象にすることができるというのが法律の根拠でございまして、政令できめておりますのは、それのいわば政令的な仕上げでございまして、法律的な根拠は、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の第一条から出ているものでございます。
○渡辺武君 関連。
 いまの答弁非常におかしいですよ。この特特会計が審議された昭和四十四年の三月二十五日の本院の大蔵委員会で、私は、すでにこの特特会計が基地の移転その他に使われるだろうという危険性を指摘して、そうして次のように質問しております。この特別会計は米軍、自衛隊の基地、演習場の移転を大規模にやりやすくするためのものではないか、こういう趣旨の質問をしました。ところが、私の質問に対して、当時の主計局次長、現在の相澤主計局長ですけれども、次のように答弁しておられる。「特別会計を改正いたしましたのは、そういう施設の整備を一般的に促進したいということだけでございまして、特にいまお話のような特別な施設の整備を促進するというような考え方に基づくものではございません。」こう答弁している。主計局長が私にうそついたのですか。はっきり答弁してください。
○政府委員(相澤英之君) ただいまの、特別会計法の改正の際に、私が担当の次長でおりましたので、この問題の質疑で答弁をいたしたことは記憶しておりますが、ただいま先生がおあげになりました答弁は、ちょっと私、実は正確に思い出せませんが、あの法律を改正いたします際に、この提供施設の返還に関連するところの施設の整備というものも、あの特別会計でやるということを考えておりましたものですから、そのただいまおあげになったような事項は、私は実はちょっと記憶がございませんのです。
○渡辺武君 おかしい……。
○委員長(大竹平八郎君) 関連ですから簡潔に。
○渡辺武君 それはおかしいですよ。私はここに速記録ちゃんと持っている。見てごらんなさい。これ読んでください。そんなばかな話ないです。これが私の質問です。これが当時の速記録です。
○政府委員(相澤英之君) 先生の質問からちょっと読んでみますと、「そういうことを述べておられますけれども、そうしますと、この特別会計設置によって具体的に対象となるものは、あとは米軍への貸与施設、それから空港、王子野戦病院など、いずれも軍事的な性格の非常に強いものがあと残っているということになるかと思うのです。そこで、この特別会計のこういう制度をつくっていくということは一体何をねらっているのか、たとえば米軍が自衛隊の基地や演習場ですね、これを移転拡張するために、それを大規模にやりやすくするように、そのためにこういう措置をつくったのじゃないかというふうに考えられますが、その点どうですか。」と、これに対しまして、「その点、衆議院の質疑の際にも答弁申し上げましたが、特別会計を改正いたしまして、処分収入ともども施設を広く対象とすることにいたしましたのは、そういう施設の整備を一般的に促進したいということだけでございまして、特にいまお話のような特別な施設の整備を促進するというような考え方に基づくものではございません。」、多少、表現が不備な点がございますが、要するに米軍や自衛隊の基地や演習場を移転拡張するために、それを大規模にやりやすくするように、そういうためにこういうことをやっているのじゃないかという質問に対しまして、そうではございませんということを申し上げたわけでございます。(「そんなの逃げことばでもう話にならない」と呼ぶ者あり)
○委員長(大竹平八郎君) 岩間君、質問の中で続けてください。岩間君、本論に入ってください。(「進行進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)岩間君、岩間君。
○渡辺武君 委員長……。
○委員長(大竹平八郎君) 一問、一問。
○渡辺武君 当時ね、この法案に反対したのはわが党だけでした。この法案が、現在、先ほどもう発表になったように、四五%なんというような、そういう比重で基地のリロケーションに使われている。その危険性を当時から指摘して、この法案に反対したのは共産党だけです。
 しかし、いずれにしましても、あなたの答弁は、これは正規の委員会で、政府を代表した答弁なんです。それで、はっきりそういう意図がないということを言明している、いま読んだとおりに。それなのに、こういう事実がもうすでに結果としてあらわれておる。しかも答弁をしたあなた白井の責任でこういうことが行なわれておるのです。一体、国会を愚弄するのですか。大蔵大臣、この責任をどうなさいますか。重大問題です。国会でうそをついている。
○政府委員(相澤英之君) 先ほど申し上げましたとおり、そういうような米軍や自衛隊の基地や演習場ですね、これを移転拡張するために、それを大規模にやりやすくするように、そういうためにこういう措置をやったんではないかという御質問でございましたので、私は、そうではなくて、これは処分収入ともども施設を広く対象としまして、そういう施設の整備を一般的に促進したいということだけでございますと、特にいまお話しのような、特別な施設の整備を促進するというような、そういう考え方ではございません、ということを申し上げたわけでございます。
○岩間正男君 事理きわめて明白です。責任を明らかにすべきである、私は。私は進めますけれども、特特会計は、このようにアメリカの強い要請にこたえて、地位協定上違法な米軍基地の集約移転費を、国会や国民の目をかすめてその財源を捻出するためにつくられたものであり、まさに米軍基地特別会計であります。
 しかも、この会計がつくられた昭和四十四年は、アメリカのベトナム侵略戦争が重大な敗北を喫し、財政的にはドル危機が深まり、戦略的にもニクソンドクトリンに転化せざるを得なくなった時期である。国有財産の使用の効率化、配置の適正化などということを表看板にして、国の庁舎の移転統合とどんぶり勘定でつくられた特特会計が、実は、米軍基地の集約、機能の強化を目ざして、基地周辺住民に多大な苦しみを与える財政上の根拠となっている。これは即刻改廃されるべきものと思いますが、総理並びに会計検査院長の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお聞き取りいただきましたとおりでございますが、要するに、この米軍の移転費を日本政府が負担すべきでないという論拠にお立ちになっての御意見のように私は承るわけでありまして、要するに、これは政策の目的についての意見の相違というところから来ているのではないかと思います。政府としては、これは負担すべきものである、負担するとすれば最も合理的な方法がこの特特会計を経由することであると、こういう考え方でございますから、その点はあらためて御理解をいただきたいと思います。
○岩間正男君 いつでもあなたはそういうことを言うけれども、立場の違いだっていうようなことを言いますけれども、そうじゃない。共通の立場に立って論議をこれはしなければならぬ。事実を明らかにしているんです。繰り返してますよ、何回も。けれども、これは聞き苦しい。
 そこで、私は、次にグラントハイツの払い下げの問題に入りますが、日本住宅公団がグラントハイツのあと地を入手するという条件で、現在、横田基地に米軍住宅九百十戸を新築中であるが、その執行状況を説明してください。
○政府委員(高松敬治君) グラントハイツの移転につきましては、これは四カ年計画で実施する、こういう方針で進めてまいりました。第一期計画が昭和四十七年五月に完成いたしまして、第二期計画は昭和四十八年三月末に完成する見込みでございます。それから申し落しましたが、第一期計画の予算は五十億、第二期計画が七十三億。それから第三期計画は六十二億をもって目下工事を実施中でございます。第四期計画につきましては、本年度予算で五十六億を計上して、御審議をお願いしているところでございます。
 返還につきましては、このような進捗状況に伴いまして、第一次返還地区約三十万平方メートルが四十七年七月に返還され、第二次返還地区約四十八万平方メートルは、近く第二期の工事が本年三月末に完成見込みでございますが、これらが完成されれば近く返還されると、こういう予定になっております。なお第三次以降の返還につきましては、当該計画完成後順次返還される、こういう進捗状況でございます。
○岩間正男君 会計検査院長の答弁先ほど漏らしましたが、これやってください。
 それからもう一つは、これは昭和四十五年にすでに二百五十六戸出ているわけですね。これについて基地に立ち入り検査を会計検査院としてしているかどうか、あわせて答弁を願いたい。
○会計検査院長(白木康進君) お答えいたします。
 最初にお断わりいたしておきますが、私どもでは、国会において議決されました特特会計の歳入歳出予算の執行という立場で検査を実施しております。それについて、今度のリロケーションの問題の支出その他に関しましては、当然その根拠となります法令等についても当局の御見解を伺っておりますが、先刻来、特特会計法、それから庁舎等の法律の名前をあれしましたが、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法並びにその施行令、こういった法律の根拠、それから経費負担についての地位協定の第二十四条でございますか、これについては、やはり先刻来当局から御説明がございましたような説明を受けておりまして、会計検査院としてもその点についてはこれを了承しております。
 それから、基地内に提供施設を建設しております関係につきましても、もちろん検査を執行しております。これは基地内の検査は当然にやっておるというわけではございませんで、防衛施設局に対する検査の延長として、施設局とともに米軍当局の了解のもとに検査をやっておるわけでございますが、関連して申し上げますと、従来まで、基地内の検査で私どもが必要と認めたものにつきまして検査を拒否されたとか、そういった不都合は現在までは聞いておりません。
○岩間正男君 住宅公団の総裁、どういうふうな進捗状況ですか。
○参考人(南部哲也君) 先ほど防衛庁のほうから説明がありましたとおりの進捗状況でございます。
○岩間正男君 この執行に関して、大蔵省、防衛施設庁並びに公団の三者によって取りかわされた契約書があるはずです。また、防衛施設庁と公団が取りかわした業務契約というのがあるはずですが、この二つを資料として提出してもらいたい。これは公団からでもいいし、大蔵省からでもいいし、施設庁からでもいい。
○委員長(大竹平八郎君) 岩間君、これは理事会で協議いたします。提案を認めます。
○岩間正男君 いまの聞いてください、出せるか出せないか。
○委員長(大竹平八郎君) 政府当局、即答できますか。――岩間君。
○岩間正男君 はかってほしいのですが、実は、私はこの問題を要求したらなかなか出せないと言うのです。しかし政府機関と公団の間の契約書がなぜ出せないのか。これは国会の審議のために、非常にこれは国会無視のやり方なので、これはいま委員長からの要求がありましたので、これにて請求していただきたい。
 そこで、住宅公団の総裁にお聞きしますが、日本住宅公団法第一条というのは、これは何を書いておりますか、どういうことですか、ちょっと読んでください、時間の関係から。
○参考人(南部哲也君) 日本住宅公団は、住宅の不足の著しい地区において、住宅不足に悩む勤労者のために耐火性能を有する集団住宅を建てる。また大規模な宅地を供給するということが第一条に書いてございます。
○岩間正男君 第一条の目的を不十分ながらおっしゃったわけですが、この目的に照らして、公団が米軍の宿舎建設を請け負っているというこは正しいと、これは考えますか。
○参考人(南部哲也君) 住宅を建設するためには土地が必要でございます。私どものほうで、できるだけ国有地の払い下げをいただきたいということで、いろいろ従来も国有地の援助をいただいております。今回のグラントハイツの敷地につきましては、これは建築交換の制度でこのように、先ほどからお話がありましたような施設についての建築交換でやってもらいたいというのが国の要請でございましたので、私どもはそれに従っただけでございまして、公団法の目的にはいささかも違背していない、土地を入手するための手段である、このように考えている次第でございます。
○岩間正男君 住宅法のどこに書いてありますか、米軍の基地を建設すると。違背しないなどと言っていますが、どこに書いてありますか。
○参考人(南部哲也君) 土地を入手するための手段といたしまして、私どもは、たとえば大学の校舎を建設することもございます、公務員宿舎を建設することもございます、いろいろこれは土地を入手するための手段としての一方法でございまして、公団法自体には米軍の宿舎を建てるとかいうようなことはございませんですけれども、それが対価として金銭で払われるか、建築交換で行なわれるかということは、そのときそのときの私どもが土地を入手するための条件として与えられたものに従って土地を入手していく、かように考えておる次第でございます。
○岩間正男君 大学と米軍基地を一緒にされてはたまらないです。
 業務契約によると、米軍宿舎建設の一切の業務は竣工検査を含めて防衛施設庁に委任することになっているといいますが、これは単なる名義貸しではないか。こんなことに公団が利用されることが正しいとは絶対に言えないと思う。どうですか。土地をもらえば何でもやるのですか。
○政府委員(高松敬治君) 私のほうで委任を受けて工事を実施いたしております。それは防衛施設に関する工事につきましては、やはり防衛施設という性格上、防衛施設庁には建設部という部が特に設けられてございます。それで本工事につきましても、そういう関係でその工事は他の工事と異なりますし、また提供施設内の工事でもありますし、米側と工事を実施するにあたってのいろんな連絡調整も必要であることが非常に多い、こういうふうな点からいたしまして、私どものほうで住宅公団からさらに委託を受けてその工事に当たっている、こういうことになっているわけでございます。
○岩間正男君 委託を受ければ何でもやってもいいということになるのですか。
 それでは次に聞きますが、国会でもすでに問題になっていますが、住宅公団の昭和四十八年度計画はたしか八万八千の住宅を建てると。それが実際にはどのくらい建っていますか。住宅公団総裁、いかが。
○参考人(南部哲也君) 四十八年度は八万戸の予定で、ただいま……
○岩間正男君 四十七年。
○参考人(南部哲也君) 四十七年度八万八千戸でございますが……
○岩間正男君 達成率は。
○参考人(南部哲也君) ただいま毎日のように入札しておりますが、大体五〇%までできるかどうかということでございます。
○岩間正男君 四八%でしょう。現にグラントハイツのあと地にはまだ一戸の住宅も建っていない。ところが横田の米軍基地は四十五年には二百五十六、四十六年には三百五十四、そして残りの全部は本年八月までに完成することになっている。これでいいとこれは考えられますか。
○委員長(大竹平八郎君) 岩間君、時間が参りました。
○岩間正男君 いま聞いている。
○委員長(大竹平八郎君) 時間が参りましたから……。
○岩間正男君 それじゃ最後に田中総裁に伺います。
○委員長(大竹平八郎君) 総理です。
○岩間正男君 これでは国民生活優先、福祉優先どころか、米軍優先、安保優先、対米従属のむき出しの正体を明らかにしています。米側の要求には、国民多数の反対を押し切って、かってに取り結んだ安保条約、地位協定をさえ無視し、国内法をかってにじゅうりんして多額の血税を支出して省みない。しかもリロケーション費用の日本側負担は事実上の基地買い取りであります。この買い取られた基地はかつて国民の大きな犠牲によってアメリカに提供した基地であります。この基地をいままた金を出して買い取る、こんなことが一体許されていいのかどうか。しかも国民はアメリカの基地があることによって何らかの一体利益を得たことがあるか、何の利益も得なかったじゃないか。
○委員長(大竹平八郎君) 岩間君、時間……。
○岩間正男君 この一切の根源は安保条約にあると思います。いまこそ安保条約を廃棄して、その根源を断ち切る、この責任ある総理の答弁を最後に私は求めたい。
○国務大臣(田中角榮君) 間々申し上げておりますとおり、日米安全保障条約はこれを維持してまいりたいということは依然として申し上げるわけでございます。しかもそのためには基地を提供するということもまた事実でございますが、基地の縮小合理化を行なって国民の要望にこたえてまいりたい、こう考えております。
○委員長(大竹平八郎君) これにて岩間君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(大竹平八郎君) 青島幸男君。
○青島幸男君 私は、まず選挙制度の改正の問題と、それから恩赦の問題、政治資金規正法等につきましていろいろお伺いをしたい、こう思うわけです。
 まず、選挙法の改正の問題でございますけれども、私いろいろお伺いしようと思いましたところ、先日の横川委員の質問に答えられましたお答えを私拝聴しておりまして、たいへん明確になりました。お答えはどういうかっこうでやられようとしているか――第七次選挙制度審議会の答申――答申という形じゃございませんですね、報告という形で一応まとまっているものを基礎にすると、あるいはどういう形で進めていくかということはいまのところきめておらない。ただ、いずれの場合にも資料が提出できるように整理しておるところであって、その作業は各党それぞれの選挙制度の考え方があるだろうから、皆さん方の考え方をなるべく重視して、だれにとっても矛盾のないようにしていきたいというふうに考えて進めているんだと、こういうお答えをいただきました。たいへん私は明確になりました。まさにそのとおりであるべきだと思うんですよ。
 ところが、一般にそういうことを考えませんで、他方では、最近どうも自民党は不人気だ、今度の参議院の選挙でも与野党の数がひっくり返るのではなかろうか、このままでいってはどうしようもないから、選挙制度を無理やり改正するようにしても自民党の過半数を維持せにゃならぬと、そのことで幸い第七次の報告もあるから、これにはわりあいわが党にとって有利なことがある、これにのっとって法案を提出して、中で訂正すると。それで、もうこれはある種の至上命令、緊急手段みたいなものだから、もう強行採決でも何でもやって通してしまえと、それが自民党の議席数を保持することの唯一の手段であるというふうに考えてやりゃしないだろうかという懸念が一部にあるということもお認めいただけると思うんですけれども、そういう――しかし、これが杞憂であればけっこうですよ。しかし、私は、ただ単にこれが杞憂であるというふうに、いままでのことを考えますと、佐藤内閣以来の強行採決のあり方、あれをずっと考えてまいりますと、こういう意見についても、これは全く否定するというわけにいかないのではなかろうか。
 そこで、総理、お尋ねいたしますけれども、そんなばかばかしいことはないというようなことをはっきりとお答えいただいておいて、後々の参考に、私、したいと思いますので、その辺お答えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 党利党略をもって選挙法の改正を行なうようなことは絶対ありません。御心配ございません。これはずっといままで何回か何回か答申を受けておりますから、それらの答申をいま全部読んでおるわけであります。七次だけではなく、前のやつもみんな読んでおるわけです。そうして最も合理的な案をつくらなけりゃならないと、こう考えておるわけです。
○青島幸男君 そのお考えをもちまして公明正大にひとつはかっていただきたいということをお願いいたしておきます。
 まあどういう形でこれが進められているかわかりません。各党それぞれ違った見解をお持ちでしょう。しかし、自民党の党内の選挙制度調査会の考え方では、参議院の全国区に比例代表制を用いるのがいいのではなかろうかというような意見も出ているということも伺っておりますけれども、これは衆議院の小選挙区制と同じに、たいへん議論を呼ぶところだと思うんです。で、まあ定数の是正の問題は、終戦後の資料に基づきまして配分してあるということから考えれば、非常に矛盾が多い。しかし、いまあるものを減らしてということはたいへんむずかしい、だから少なくともたいへんアンバランスの生じているところだけ足そうというのは、私は現実的な手だてだと思うんですけれども、特に、そのうち全国区について比例代表制を採用しようとなさるようなお考えは、これは二院制のたてまえからいって、たいへん危険なんではなかろうかと、こう思うわけですけれども、総理、現在衆議院と参議院と、こういうふうにありまして、いまこう審議しておりますように、二院制をとっておりますね、わが国は。この二院制をとっておりますというたてまえと、それから衆参両院の性格の差というものをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、それから、これを大事にしていこうというお考えを持っていらっしゃるか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 憲法改正当時、一院制がいいか二院制がいいかという議論がされたことは御承知のとおりでございますが、二院制が採用されてもうすでにこの二院制は四半世紀以上の年月を経ておるわけでございますし、やっぱり一院制よりも二院制がいいということは、先議院である衆議院の行き過ぎを是正できるということでありますから、私は、いまの二院制を守っていくという基本的な考えでございます。
○青島幸男君 それと、いまお答えが出ましたけれども、二つ違った性格のものがあって、それが相互にチェックするというようなかっこうでいったほうがいいではないかと。そうすると、違った性格のものはやはり違った選挙のあり方からしか出てこないと思うわけですね。そのために衆参両院はいろいろ制度が違っておりますね。全国区がある、それから半数ずつ参議院はかわる、衆議院は総選挙があるというふうに。そういうものは何のためにあるかといえば、二つの性格の相違を残しておきたいということからだと思うのですけれども、そうしますと、全国区に比例代表制を用いるということは、参議院をたいへん政党化してしまうことに力をかすことになるんですね。ですから、もしそういうことをお考えになるんだったら、私は大きく間違うんではなかろうかという感じ。
 それで、自民党の議員さんの中にも、野党の方もそうですけれども、政党に所属しておいでになっても、参議院の性格からいって、本来ならば党派に拘束されないような立場のほうがいいんだとお考えの方がずいぶんおいでになると思います。まさにそういう考え方が参議院の改革案みたいな形になりまして、河野さんがお出になるという形で具体的になったわけですけれども、ただ、いまの選挙制度のあり方では選挙に出ることはたいへんむずかしい、だからやむを得ず政党に入るんだというようなお考えを持っている人も数々おいでになると思います。そういう考え方の方を大事にしていかなきゃいけないんじゃないか。
 で、私も無所属に、二院クラブのメンバーとしておりますけれども、参議院が政党化してしまっては、これはどうにもならなくなるだろう、そういう意味合いで、私もここにおりますのは、その政党化を排除するために毛筋ほどの役にも立ちたいというかっこうで出ております。事実、参議院の全国区に比例代表制というようなものを用いますと、まさに私どもは出にくくなるわけですよ。ですから申し上げているのではなくて、二院制がきちんと行なわれるということが国民の皆さん方にとってたいへん望ましいことであろうということを、これはもうきまり切った話ですから、そういうふうにしていこうという考え方なんです。その辺はお含みおきいただきたいと思います。
 それで比例代表制の問題ですけれども、自民党の選挙制度調査会の中に、西ドイツ方式の、西ドイツで使われていると言われておりますドント式を採用しようという案がかなり有力だと伺っております。そういう事実はありますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 比例代表制の問題は、第七次選挙制度審議会のいわゆる報告、まあ答申ということばを使ってもいいわけですが、御承知のように、協議中に衆議院の解散が行なわれまして、議員出身の委員がやめたという経緯からまあ報告と言っておりまするが、答申とみなしていい程度の苦心の作だと思います。六回総会、九十九回の小委員会、しかもその間、協議日数は二カ年近い日時を要しておるわけですから、まあ相当な協議の末できた案である。その案に、全国区の場合は比例代表制を加味することが望ましい。で、これはドント方式という形で、非拘束名簿型、要するに一、二、三、四でこう割っていく形ですね。もう時間がありませんから簡単にいたしますが、そういう形でやることが望ましいと、こういう案が出ておるわけなんです。それから比例代表制が望ましいというのは、ただに参議院だけではなくて、衆議院の場合も、小選挙区を用い、そして県単位の比例代表制が望ましいという報告が出ておることは御承知のとおりであります。その報告をめぐって現在議論をされておるということでありまして、自局党もまだ目下検討中と、こういうことでございます。
○青島幸男君 まさにお説ごもっともなんですけれども、しかし、かなり権威のある報告だというふうなお認め方をしていらっしゃるようですけれども、私どもは必ずしもそうではないんではなかろうかと。内容を伺ってみますと、やっぱり参議院の全国区については比例代表制は向かないというような意見もかなり有力にあることも私は承知しております。それから、そのドント式を採用する場合、政党の事情と国情がかなり西ドイツの場合とは違っておりまして、西ドイツは政党法というようなものもできておりますし、それから、いまの日本のようなかっこうで政党自体があるわけではないので、全く国情の違うところから都合のいいところだけとってきて、竹に木をつぐように無理に継ぎ合わせてしまうんでは、これはとても話にならないというような考え方も私持っているわけで、その辺をひとつ御考慮いただきたいというふうに感じるんですけれども、少なくとも参議院を形骸化させていくということが、これは国民の皆さん方にとっても政治不信のもとをつくっておりますし、その辺のところを十分にお含みおいてお考えいただきたいと思うわけです。現行の選挙制度を直すためにいろいろ各党に案もありますし、私ども第七次選挙制度審議会に私どもの案としまして出したものもあるんですよ。それはやっぱり、全国区は非常に大きいから、太平洋でメダカすくうようだというお話もありますしね。だからといって、それを取り除いてしまう、あるいはその制度を阻害するようなことをすることは民主主義を根底から破壊することになりはしなかろうかということを趣旨といたしまして、テレビの活用だとか、あるいは期間をもっと長くしたらどうだろうかとか、あるいは選挙の公営部分が非常に拡大していったらどうだろうかとか、いずれにしましても候補者の考え方が全国に周知徹底するということと、金がかからないようにそれが行なわれるというようなことを考えていくことが一番いい方向ではなかろうかというような趣旨のことを、書類がありますからそれもひとつ御参考にしていただきまして、その線で進めていただきたい、こういうふうに思いますけれども、その辺いかがお考えになりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 選挙に金がかからないようにすること、これはもうもとより私どもも大賛成でございます。それから全国区の場合は、あの報告にある方向というものは、御承知かと思いまするが、実際選ぶ側、いわゆる有権者側から見まというと、ほんとうにどの人が適格者であるかということがなかなか選びにくい、職能代表のような形も一面にはありまするが、非常に不備がある、それからまた運動をする側からいうと、これもまた広い全国を回るということが事実上なかなか骨が折れるというようなことで、まあ、ああいう比例代表制などを加味して妥当な候補者選びを推進してはどうかという報告になっておるわけであります。いまあなたのおっしゃいました点などについても、これはよく承っておきます。
○青島幸男君 いずれにしましても、選挙がたいへんに民主主義の重要な根幹をなすものだということは皆さま方お認めになりますし、これを否定する方は私はないと思うんです。明正な選挙を国民は望んでおるわけですけれども、回を追いまして選挙ごとに悪質な選挙違反というものが出てまいりました。それが恩赦というような形で救われてるということに国民はたいへん疑念を持っておると思うんですけれども、まあ、そういう違反者を持っている、かかえた候補というものに厳罰をもって臨んだらどうだろうということを言っております。買収、供応等の悪質な選挙違反者をおそらく的確に把握していらっしゃろうと思うので、買収、供応等の悪質選挙違反をかかえる政党別、議員別の資料を、もしできればお出しいただきたい。どの党がどのくらいかかえておるかということです。
○国務大臣(江崎真澄君) これは国家公安委員会の委員長ということになりましょうか。ちょうど選挙期日後三十日、これは一月九日現在における集計によりますると、選挙違反総数で八千百五件、一万四千八百二名を検挙しております。罪種別にそのおもなものを申し上げまするというと、買収事犯が七千百七十二件、一万三千三百五十四名、文書違反が四百九十件、七百六十二名、戸別訪問が二百九十八件で四百九十一名、自由妨害、これが四十一件で五十一名、その他が百四件で百四十四名。党派別とか、候補者別の統計はいたしておりません。
○青島幸男君 私は、前もってこれを通告しておいたんで出てくると思ってはおりました。しかし、そういうことになってくると、審議の進めがいがないような気も私いたしまするので……。
 沖繩恩赦で復権した者が衆議院選挙で逮捕されたというような件数はわかりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 恩赦の問題は、先ほどもちょっとお触れになりましたが、正しく明るい選挙を推進する会というのがございまして、その会等においても、恩赦によって選挙違反者が復権するということは決して望ましいことではないと、口頭で前総理の佐藤さんに申し出があったことも私よく聞き及んでおります。で、ただ問題は、この恩赦の問題というのは、これは国の刑事法律の面から検討されなければならぬ問題でありまして、選挙違反だから、もっと違ったそういう政治的なものでない、破廉恥罪のようなものにまで及ぶ、これは国の祝典によって、同じ国の一つの恩情といいまするか、情けにあずからせる、そして二度と再び罪を犯さないといったような意味も根底には思想として大きく存在しておるわけです。したがいまして、この恩赦をどうするかという問題は、これは私どもよりもむしろ法務省側の見解にまたなければならぬと思います。
 それから、さっきの衆議院選挙で違反を犯した者は沖繩恩赦によってどれだけ軽減されたか、あるいは復権したかということにつきましては、私どものほうには統計がございません。もし詳しくとおっしゃるならば、これはやはり法務省のほうにお尋ねを願いたいと思います。
○青島幸男君 沖繩恩赦で復権された者が衆議院選挙で捕まっているというケースがあるんですよ。ですから、何回も何回も入っちゃ出ちゃ入っちゃ出ちゃというようなことで、大体いまのお話を聞いておりますと、選挙違反というのはやっぱり政治犯の一つである、これは破廉恥罪とは違うのだというような認識をお持ちのように伺いましたけれども、総理、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。破廉恥罪であるか、あるいは政治犯というふうな特別の犯罪と考えられていらっしゃるか、どうでしょうね。
○国務大臣(江崎真澄君) これは政治犯というものではないと思います。やはり選挙違反の個々のケースによってこれはきわめて破廉恥的なものもないわけではないと思いまするが、一般破廉恥罪とは区別されるべきものだというふうに思います。
○青島幸男君 それが一番国民の見解と違うところじゃないかと思うのですよ。一般の国民は、やっぱり破廉恥罪の一つであろう、民主主義を根底から破壊するのだというかっこうから考えれば、やっぱり破廉恥罪であるに違いないのだ。しかも、物をやっといて違反に問われるというふうなことが――取って罪に問われるのならしかたがないけれども、やったんだからいいじゃないかという考え方があるわけなんですよ。そういう考え方が実は一番いけないのじゃないか。国家に対する反逆罪みたいなものだ。政治犯というのは、みずからに利するところなく、何か信条を持って事を行なう、それが政治的な見解であれば政治犯ということになるでしょうけれども、いずれにいたしましても、みずから利するところを考えて行なうわけですから、どろぼうや窃盗と同じように考えていかなければならないのじゃないかという見解を持つわけです。恩赦を見ましても、ですから、そういうことを言われるわけで、明治百年恩赦の場合十二万八千幾らというのは総数でして、そのうち六万七千が選挙違反である。六万七千というと半分じゃないかとお考えでしょうけれども、あとの半分は軽微な交通違反みたいなものですね。だから、主要目的としてはやっぱり選挙違反を救済するために明治百年恩赦が行なわれたんだと考えるべきで、これも政令恩赦のほうじゃなくて個別のほうにまいりますと、七六%近くが選挙違反を救済するというかっこうになっておるわけで、国民がどうしても納得いかないのは、たとえば明治百年……、よくまあ明治百年なんというものを記念して恩赦をしたもんだと、恩赦をするために明治百年というものをでっち上げたんじゃないかと、かつて私は佐藤さんにかみついたことがありますけども、当時総理は、青島君と私とは年代が違うから考え方が違うんだろうということで一蹴されましたけれどもね。どこのだれが明治百年を祝って恩赦までするほどのことをするんだという考え方を私は持つと思うんですけれどもね、だれに話しても。で、まあ国民の怒りというものはこういうもので、何回違反をやっても恩赦で出てくるんだと、そういう感覚になりますと、どうしても政治不信という念をますます高くするに違いないんで……。
 それから、その恩赦が、大体内閣の考え方でできるわけですね。これがちょっとおかしいじゃないかということですね。恩赦法というものが、そもそも選挙違反を恩赦の対象ときめるか、きめないかというのも、選挙によって選ばれた議員によって構成された内閣に一任されているということは、どろぼうに裁判官をさせるのと同じことになりはしないかというような――言い方は悪いかもしれませんが、そういう見解から、やっぱり第三者がまじった審議会みたいなものをつくってそこに検討させる、それを国民的な規模で意見を集めて、結果、国の慶事において恩赦が行なわれるというふうにするようなことが妥当なんではなかろうか、そういう意味合いの実は恩赦法一部改正する法律案というのを提出しました。で、これは二院クラブを含めました野党全員の提案になるものですけれども、大体こういう方向で私はいくべきではなかろうか、恩赦に関しては。という認識を持っておりますが、総理どういう御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 恩赦というのは、行政権にまかされておる大きな一つの権限でございます。ところが、恩赦というのは国民のために利益を与えるわけでございます。これは減刑をしたり、復権を行なったり、公訴の棄却を行なったり、そういうことを行なうわけでございまして、この恩赦をどうするかということに対しては、専門家である法務省が中心になってやっておるわけでありまして、最終的には閣議の決定をもって行なっておるわけでございます。これはもう憲法によって三権が認められて、三権という制度が確立をされておるわけでございまして、この恩赦が行なわれた後の世論その他も、十分行政権の中ではしんしゃくされるわけでございますので、特別な機関をつくらなければならないとか、恩赦法を改正して別な制度をつくらなければならないというようなものには理解をしておりません。
○青島幸男君 またおやりになるという可能性もあるわけで、それはけっこうなことだと思うんですよ。選挙法改正に含めましてね、たとえば恩赦で出てきた者が……。こういうケースがありました。選挙違反の罪に問われましてね、容疑者として追及されておったわけですけれども、恩赦が近づいたというんで、上告をしないですみやかに刑に服して、恩赦で出てきたほうがいいんじゃないかというので、恩赦という話し合いが出たときに、即座に罪に服しまして、恩赦で出てきて、立候補して――名前はあげませんけれども――当選なさった方もおいでになるわけですよ。こういう方を見ておりますとね、国民は、選ぶほうもまあ問題があるかもしれませんけれどもね、公報の経歴の欄などにやっぱりこれをうたう必要があるんじゃないかという気がするんですけれどもね。これは大かた反対の方がおいでになるかもしれませんけどね。履歴審などというのを出しますと、まあ出身校から賞罰がありますね。賞罰までも明らかにします。それをもってその人の人格を一応判断するわけですよ、書類審査のときには。経歴放送のときにも、おれば一回そういう容疑を受けたことがあるとか、恩赦に服して出たことがあるんだというようなことは明示したほうが、本人の人柄を国民の上に周知徹底せしめて、それを世に問うという上からは、実に公明正大だと思うわけですよ。ですから、違反をなさった方はそういうふうにしなきゃならぬぞというふうに、あわせて選挙法改正のおりに組み込んでいただくというようなお考えはございませんか。
○国務大臣(江崎真澄君) 選挙違反を憎むという気持ちは、私もあなたに劣るもんじゃございません。選挙違反などというものはなくしなけりゃなりません。しかし、あの選挙公報は経歴、そして政見、これを候補者が最も自由に、あれは自分で番いたとおりに発表するという、自由な選挙運動というところにたいへんな値打ちがあるわけですね。しかも、御指摘になる選挙違反については、悪質なものについては相当な厳罰があるわけです。その当時もう罰則を加えておるわけですね。したがいまして、この民主主義の時代に、選挙公報に選挙違反何回、買収事犯何件なんというようなことを一体書いて、あの自由で濶達な、しかも唯一の、選挙運動中全戸に配布するというあの選挙公報の値打ちをゆがめる必要があるだろうか、これは別な見地での議論だと思います。
○青島幸男君 そういうお考えもあろうかと思いますが、謙虚に拝聴しておきます。
 今度この先、恩赦があるかどうかということを考えますと、まずさしあたって中国国交回復記念恩赦とか、中国との平和条約の取りきめでもできれば、これはやっぱり喜ばしいことだというんで恩赦をなさる。それはできるんじゃないかという気がするんですけどね、すれば。そういうお心づもりがいまおありになるかどうか、それをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 特定な問題に対しては検討いたしておりません。おりませんが、いま御指摘になったような事象が起こった場合は、過去の例等に徴して考えらるべき問題であって、いま予測をしておりませんし、個々の問題に対しても全く考えておりません。
○青島幸男君 次に、政治資金規正法のお話に移りますけれども、総理御就任の施政方針演説以来、政治資金規正法の問題については、あんまり明確に気持ちをあらわされたことはないように私は見ておりますけれども、政治資金規正法改正のために、あらためて第八次選挙制度審議会というようなものを発足さして、それに問うてみようというようなお心づもりはおありですか。
○国務大臣(田中角榮君) まだ具体的に第八次選挙制度調査会を発足するということは考えておりません。考えておりませんが、政治資金規正法に対してはもう煮詰められている段階だと思います。私はこの政治資金規正法は、当時のメモランダムケースのものでございまして、日本にはなじみにくいものでございましたが、当時から承知をいたしておりますし、ずっとその後の論議も承知をしております。また三回も国会に提案されながら、成立ができなかった事情も承知をしております。それは何か。これは選挙制度と分離ができない、こういうことでございます。もう一つ議論になったのは、政党法との分離ができないということだったわけです、実際は。ところが政党法に対しては、これは日本の憲法と西ドイツの憲法は違いますから、西ドイツは御承知のとおり戦後新しい憲法をつくったわけですし、この法律制定の当時から政党法に対しては議論があったわけです。政党法をつくると、政党に属せざる人、無名の人、そういう人たちが出てこれなくなるおそれがある、こういう問題もありますし、差別をするということであって、政党法というものがつくれなくて、公職選挙法の中で政党法で規定すべきような類似のものを規定しておるわけでございます。ですから、これも審議の状態においてはいろんな議論があったことであります。政党に属しておれば政党の車がどんどん来るのに、あなたのように個人で運動される場合には、党としての活動車がないという差別があるわけでありますから、そういう意味で政党法の問題が長いこと議論されながら、今日まで結論が出ないということでありますが、政党法がなくとも、選挙制度と政治資金規正法は、これは全く分離することはできないということは、これは政党活動というものをうんと拡大をしていくことになれば、個人で出る人はやっぱり差別を受けるわけでございます。また、政党でもってやる場合には、そこで問題が起こるのは、ほんとうに政党と政党で政策で争うような選挙区制でなければというような問題も出てくるわけです。ですから、私は政治資金規正法に対しては、お互い、もう大体どういうものでなければならないかということはよくわかっておると思うのです。それは国会の原則をどこまで貫くかということだけだと思うんです。
○青島幸男君 まさに、選挙法と、あるいは政党法とくっつけて一挙にやれば、かなり理想的なものができるということはあるかもしれません。しかし、第五次選挙制度審議会の答申で、かなり野党側も、これならいいじゃないかと。かつて佐藤さんも、これでいいだろう、小骨一本抜かないよという案が出たことがありましたですね。ところが、小骨どころかという話が――もうここで繰り返すこともありません、総理のほうがよく御存じでしょうね、この経過については。それっきり、あとぐずぐずというかっこうで、まとまりつかなくなっちゃっているわけですね。だから、政治資金規制にあたって、政党法ともからめていかなきゃならないんだということもさることながら、現行の政治資金規正法すら適確に守られてないわけですね、きちんと届け出を出しているところのほうがむしろ少ないぐらいですね、調べたところによりますと。それで何ら罰則の規定もないですしね。届け出がないからといって告発することもできないというような状態で、だからといって、ないがしろにされているということは、あってなきがごときものだとはまさにそのとおりだと思うのですよ、これは。そういうことが、やっぱり国民にいろいろ不信の念を抱かせるところがあるんじゃないかという気がするんですけれども、問題は、どこからどういうかっこうでお金が政党に入っているか、あるいは政治家に入っているかということが、さだかにわからないというところに問題があると思うんです。
 ここに、田中派の政治団体だといわれております越山会とか、財政調査会、経済社会研究会、政治経済調査会、新政経振興会、こう五つの団体がありますけれども、この団体と総理の関係はどういうことになっておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 私はこの間も申し述べましたとおり、政治資金規正団体に直接関係はしておりません。これは理事及び運営委員が存在をしまして、そして運営を行なっておるのでございまして、この会則、運用の状態、政治資金規正法に基づく報告その他に対して、私自身は関知しておりません。また、ここから政治資金を受けておりません。
○青島幸男君 それはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですけどね。直接、総理がこの団体の役員とか、あるいはメンバーに名を連ねているということはないかもしれませんけれどもね。総理が直接この団体の事務を担当しておるとか、出納責任者になっておるということはないかもしれませんね。しかし、中には総理の秘書の方が関係しているというのもあるようですし、ということは、田中派の支援団体だと、あるいは後援会だというふうに考えることは差しつかえないんですか。
○国務大臣(田中角榮君) 政治資金規正法に基づいて届け出られた団体であります。しかし、これらは適法な届け出によってつくられたものでございますし、適法に運営され、適法に支出され、適法に届け出られておるということでございまして、私及び私のグループとか、親しい人とかいうような人たちが、この中の運営委員、理事等に非常に多いということも事実でありますし、そのうちの一つか二つには、私のかつて秘書をしたような人が名前を連ねておるものもございます。
○青島幸男君 ですから、私は、これが不正を行なっているとか、そういうことを申し上げているわけではなくて、総理の支援団体あるいは後援会、あるいは総理に親しい方々がつくっていらっしゃる会だというふうに考えてよろしゅうございますかと、こうお聞きしたわけです。
○国務大臣(田中角榮君) 私個人を支援する団体ではございませんが、私の親しい人たちが運営をしておるものであるということはそのとおりです。これは、運営は代議士もおりますし、学者もおりますし、それから第三者もおりますし、そういう人たちが運営をしておるということは事実であります。
○青島幸男君 その団体が四十七年度御上半期に集めましたのは、約六億六千八百万円、そのうち九千万円は出資者が明確になっておりますけれども、残りの五億七千万円については明らかになってないわけなんですよ。で、この総理の支援団体と考えられる団体が、こういうふうに明らかでないお金を集めているということが問題だと思うんで、実は、外国では選挙なんかを行なう場合に、私有財産まで公開して身のあかしを立てるというような考え方の方もおいでですよね。総理もそうなさいとは申しません。しかし、一国の総理であって、それを支援する団体が幾つかある、しかも、それは法的にもちゃんと認められておる団体で、合法的に運営が行なわれておると。だったら、はっきりとそのことを明快に出したほうがいいんじゃないかと、こういうことを考えるわけです。
○国務大臣(田中角榮君) 私の支配の及ばない団体もあるんです、ほんとうに。その中でもって私の後援団体といわれておるものは、越山会という――私、越山と号しております、僣称しておるわけでございますから、そういう意味で、越山会というのは、これはもう二十数年間存在しましたが、他の政治団体というのは、いまの砂防会館の中にあるものや、私に親しい代議士が中心になっておるものや、そういうものがありまして、私自身は、その運営やなにかには全くタッチしておりません。適法に届け出られておるものでございまして、運営そのものにタッチをしておらぬのでありますから、私が内容をつまびらかにするわけにまいりません。あなたがどうしてもと言うなら、これは届け出られた自治省でお調べいただくという以外にないわけです。
○青島幸男君 後援会を持つこと、あるいは支持団体を持つことは、私悪いと申しておりませんし、総理ばかりではなくて、福田さんにしても、大平さんにしても、確かに後援会をお持ちになっていらっしゃって、まあそこから政治活動に必要な資金の援助があるというようなことがたとえあっても、それは個人に渡されたものでなければ、これは一向に差しつかえないとは思うんですけれどもね、権力に近づくほど、その派閥の集める額が大きいわけですよ、金額が。
 で、ここに一覧表がありまして、これ、総理ごらんになるとすぐわかるんですけれどもね。福田系、田中系、佐藤派、大平というようなふうに、興味があったらごらんいただくといいんですけれどもね、グラフになって出ているわけですよ。そうすると、自治省に届け出られた分だけ調べましてもね、その方の持っていらっしゃる派閥の集める金額が多ければ多いほど、権力の座に近づいておられるわけですし、また、その一番集める可能性があるという方が、歴史的に見ましても、歴代総理になられた方は一番たくさんお金を集めていらっしゃる方が歴代なっておられるし、この四十六年の時点で、こういうかっこうになっておりましてね、総理の支援団体が集めた金額が、四十一年から四十六年にわたって急激に急成長しておるわけですよ。この時点で、私はだれが次期総理になるだろうかというようなことを雑誌なんかから問われますと、この資料に基づきまして、こんなに急成長しておるんだから、これは田中さんがなるに違いないということを、この時点で予測しましたよ、私は。それで、四十一年に田中派が一億集めておりまして、四十六年になりますと六億という急上昇ですね。一方では、ガラス張り度と申しますか、収入に占める寄付の割合、つまり、あいまいな金がたくさん出てくるという割合が非常に高くなるわけですね。で、四十一年のときには、田中さんのところの派閥は各派閥中第三位を誇っておったわけです、透明度の割合で、ガラス張り度の割合で。ところが、四十六年には八位に下落をいたしました。透明度は非常に悪くなるわけです。額が多くなればなるほど総額に占める寄付の割合が低くなるわけです。寄付というのは、どこからどういうふうに入ったかというのを自治省に届け出しなきゃなりませんから、それで透明度が高いと、どこから入ったか、出たかということが高いんだということを申し上げているわけです。それが四十一年には非常に高くて三位を誇っていらっしゃったわけですけれども、六年には八位になりまして、七年、総裁選の前にはついにベストテンからずり落ちたと、こういうことなんですよ。それで、入るほうも実にあいまいなんです、お金が。ちなみに、七年で自民党の収入は十五億から八十八億に急に成長いたしました。この七年間でラーメンが六十円から百五十円になったということから考えましても、かなり急激な成長になっているわけですけれどもね。
 それで、この支出の面でお伺いしたいんですけれども、私、自治省に参りまして、この団体の支出の面を調べてみたんですけれども、調査費、研究費、組織活動費というようなものが収入の約七割を占めるわけですね。何を調査し、何を研究なすったかということを、もし御存じでしたら、お教えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 私はそういう政治団体にはタッチしておりません。タッチしておらない者が内容を知るわけがないんです、それは。そうでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) 誤解があるといけませんから、私、ちょっとつけ加えて申し上げておきます。
 それは、政治資金規正法に従って、寄付金は明細に届け出る義務がありますね。支出は、同様です。不明朗とおっしゃるが、それは、会費としての収入――私も、実は、長い間議員をやっておりますし、いろんな速記録などを見てみますと、会費はこまかく届け出をしなくていいという論議が政治資金規正法で、与野党をひっくるめて、ずいぶん出ておるんです。それはどういうことかといいますと、たとえば自民党であるとか、社会党であるとか、何党であるとかいうわけで、その党費をそうすると一々届け出をしなければならぬのじゃないかと、会費を届け出るということならば、党費も同様に、だれがどれだけ党費を払ったかということを届け出しなければならない、そうなると、ちょうど共産党なら共産党の党費を納める共産党員名簿みたいなものが出てくる、自民党も同様出てくる、何党にかかわらず全部出てくる。だから、会費は、これは党員のいわゆる党費と同じような性格のものではないかと、だから、これは届け出はどうであろうかということで、いろんな議論や速記録が残っておるわけですね。ですから、現行法ではそういう形になっておる。ところが、これが私決して理想的なもんだとは思っておりません。したがって、アメリカでも、今度、御承知のとおり、政党が使う経費の制限、これ撤廃しました。それから国会議員の候補者が受ける寄付金の制限、これも撤廃いたしました。したがって、寄付金をどう公開するか、この閲覧制度の問題などが相当具体的に規制されたわけであります。したがって、さっき総理も言われましたように、今後の政治資金の問題は、政党本位の、もっと金のかからない選挙制度の研究と同様に、そういう面でいろいろ規制していく余地はあろうというふうに考えております。
 会費の点は、一々不明朗とおっしゃるが、それは過去のそういう経緯から現在そういうふうになっておる。この経緯だけは、誤解があっちゃいけませんから、御説明申し上げておきます。
○青島幸男君 それはけっこうでございますけれどもね、総理の支援団体に六億もの金が集まっているということは、総理、全くこの団体とは関係ないんだとおっしゃいますけれども、全然関係ない団体が六億なんという金を集めて――どういうところから集まってくるか、私ども、とても理解に苦しむのですけれども、しかも、それが田中派だというかっこうになっておるわけで、調べてまいりますと、つながっているわけですよ、やっぱり田中さんと。親しい方ということではなくて、総理を支援する団体が、総理の、失礼ですが、総理を看板にしてお金を集めて、それで総理の政治活動に協力をしているというふうに理解してよろしいわけですか。
○国務大臣(田中角榮君) 私は直接タッチしておりませんが、私の政治団体が金を集めておるという事実は絶対ありません。これはひとつお調べください。これは、会員は六万か七万おりますから、いろんな会費や寄付を仰いでおるとは思います。しかし、寄付をしてくださいというようなことで回った事実は、私の関係するような政治団体で、絶対にいままでやったことはないはずです。これは善意な拠出金によって運営せられておると、これだけは私は自信を持って申し上げられる。
○青島幸男君 現に六億集まっておりまして、総理が、私が方々じゅうへ行って寄付をしてくれと頼んだという覚えはないとおっしゃいますけれども、それはそうかもしれません。そうかもしれませんよ。しかし、総理を支援する団体が、じゃ、総理の名前を使ってかってに方々の企業から金を集めたという認識でいいわけですか。
○国務大臣(田中角榮君) かってに集めてもおりません。これは善意による拠出金である、こう理解していただきたい。
○青島幸男君 六億六千万――六億六千八百万、四十七年上半期に集めているわけですよ、総理の支援団体が総額で。これはおそらく寄付でしょうね。寄付あるいは会費、まあ浄財にしてもですね。いずれにしても、その六億六千八百万円という金が総理の支援団体に集まっていることはお認めになるでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) どうもあなたは私と結びつけたがるのですが、私のまわりには複数の人が一ぱいおるのです、一ぱい。そういう人たちがグループグループで、そういう政治資金規正団体を持っておるということはそれは事実でしょう。そうして、その中には、砂防会館に事務所を持っておるものもありますし、別な所に持っている。別の代議士の事務所がなっているものもございますし、また別な所にあるものもあります。しかし、それは総じて、私と個人的に代表者が親しいということをもって田中の派閥だと――私はあまり派閥論者じゃないのです。まして総裁になってから全く派閥――派閥というような論者でないのですが、どうも総裁になってから派閥解消論をやると、あまりにもどうもひど過ぎるようですから私は言わないのですが、しかし私は、そういう意味では、政治資金団体というものは、私、まあ好意があって皆さんやってくださっておるのだろうと思いますが、私の選挙運動費や私の政治活動費までこういうものによってまかなわれておるような――あなたの後援団体なら、あなたのそれはもう選挙運動から何からみなまかなうかもしれませんが、そういうものではないのですということだけ理解していただきたい。
○青島幸男君 ですから、総理の選挙資金までまかなわれているということを言っている覚えはないんですよ。そうじゃないでしょう、おそらく。そういうふうに総理の選挙のお金まで集めている支援団体じゃないかもしれませんよ。しかし、総理を中心にしてそれだけ集まっているということなんですよ。これの支出の面をそれでは申し上げますけれども、収入の面も非常にあいまいなので、支出の面を自治省に行ってちゃんと調べてまいりました。そこまでおっしゃるのなら申し上げますけれども、あなたの派閥の方に個人名義でお金が出ているわけですよ、その後援会から。読み上げてもいいんですけれどもね、そうおっしゃるなら。二階堂さん、四十六年上期、四十六年下期、それから四十七年上期ですね、この一年半の間に約一億、二階堂さん個人名義で出ているわけです。渡辺肇さん、高鳥修さん、久野忠治さん、金丸信さん、こういう方々にそれぞれ八千万、七千万、七千万、六千万という金が個人名義で渡っているわけですよ、この五つの団体から。これはどういうふうに解釈すればよろしゅうございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 私はそういう事実は承知をしませんが、それは団体で行動する場合でも、それから団体で共同研究する場合でも、代表者の名前で支出が行なわれるということを法律は認めておるわけであります。どこでもそういうふうになっているはずであります。だから、そういう問題に対しては公開の原則ということ――ただ、そういう支出のしかたをしておっても、事実そういう支出が代表者の手を通じて行なわれておるというなら、これは政治資金規正法制定当時から、その判断は最終的に有権者に求むべきものであって、規制をすべきではないと、こういうことだったんです。あまり規制しますと、官僚統制になってしまって、自由濶達な民主政治は育たないんです。ですから、すべてのものは最終的に投票者の判断にゆだねるべきである、そこが主権在君から在民に移ったポイントなんです。ですから、その理非は、当否は、いまの政治資金規正法はそうなっておるのです。ですから、私もそれでいいとは思いませんよ、実際において。そういうことだからあなたにこういう質問を受けるわけですから、だからこの前の政治資金規正法には全部公開をしようという案を出したんです、ちゃんと。出しているんですが、なかなか御審議もいただかなくて、三回目の案も流れてしまったという事実があるわけでありますから、これはやはりすべてを公開の原則を貫くというふうにしたいと、私は改正案を成案を得るときにはそうしたいと思っているんです。
○青島幸男君 党費は別に、自民党の党費としては、四十七年度は上期だけで二十億近くあるわけですよ。だから、総理のお考えを国民に周知徹底せしめるためにこのお金は使われたのではないだろうということを私は指摘しているわけですよ。しかも、一年半に一億からの金を、全部調査費、研究費あるいは組織活動費と、こういうことになっているわけですよ。それでは、予定にないですけれども、ちょうど金丸さんおいでになりますから、伺いますけれども、金丸さんのところに六千六百五十万円という金がこの一年半に渡っているわけですけれども、これ、どういう目的でお使いになったかを明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) これは、研究費それから仲間の集会費等に使ったわけでございます。
○青島幸男君 集会費にお使いになったわけですね。研究費とか集会費にお使いになって――六千万ですよ、一年半で。しかもそのほかには、金丸さんは金丸さんで御自身でやっぱり支援団体、あるいはそういうものを持っていらっしゃるでしょう。で、ある方、かなりの方――金丸さんのものは調べはありません。ということは、金丸さんの支援団体がどれかということがわからないからですよ。名前がいろいろついておりましてね、似たような政治何とか調査会だの何だのついておりますからわかりませんでした。しかし、わかった分を調べますと、そこにも入っているわけですよ、総理の支援団体からですね。それはちゃんと届け出がしてあります、明確にしてありました、自治省で調べましたら。その人にはその人の支援団体がまた別にありましてね、ちゃんと会計上もきちんとできてはおりましたよ。しかし、それとは別に、それぞれの方に五千万から一億のお金が一年半に渡っているのは、何にお使いになったのか。これは組織活動費ですから、総理のお考えに同調する人間に協力を求めるということが組織活動であれば、私はそれでいいと思うんですよ。そういう趣旨でお使いになったんですか、金丸さん。
○国務大臣(金丸信君) 私と志を同じうする人たちと研究をしたり、そうしてその他いろいろの関係に使ったわけでございます。
○青島幸男君 実は、このいろいろが問題でしてね。しかも、ごらんいただきたいのは、お見せしたいですよ、総理、自治省の調べを。きょう二百万、二、三日おいて一千万、四、五日おいて五百万という金が、何を調査し何を研究したかということは、私どもこれはとっても理解に苦しむんですけれどもね。国民の一般の方に理解が行き届くように御説明いただけませんか。どういう目的でお使いになったか。その他のことでよろしゅうございますか。その他のことでよろしいということになりますと、こういうふうな総理の、あるいは派閥の大将と申しますか、派閥の中心人物を中心にしたお金の高が高いほど権力に近づくということは先ほどるる申し上げましたけれども、ということは、結局派閥を維持、保持拡張するために組織活動費をお使いになったんならそれでいいわけですから、その辺のところを明快にしていただきたい。総理、いかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) わからぬと言っているでしょう。
○青島幸男君 じゃ、金丸さんにお尋ねしますが、重ねて、組織活動費でお使いになったらそれでけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) 研究その他調査等に使っているわけでございます。
○青島幸男君 ちまたで、総裁選挙が近くなると、リュックサックに札束を詰めて、あっちこっちへ運んでいるんだというようなうわさがありました。私はそう考えたくなかったです。しかし、こういうものをずっと調べてまいりますと、これはほんとうにリュックサックがなきゃ運べないだろうという金が動いているわけですよ。そうなりますと、このリュックサックに詰めて運んだ金で同調者を勧誘し、あるいは議論をし、あるいはいろいろの調査をし、そして派閥を大きくする。派閥を一番大きくした人が総裁選で勝って総理になられる。ということは、総理の座を、支援団体から集めた金で買ったことになりはしませんか、総裁の座を。そのことを私は申し上げているんですよ。それにはどうお答えになりますか、総理。
○国務大臣(田中角榮君) そんなことはありません。
○青島幸男君 そんなにまっかになっておおこりになって大声を出さなくてもいい。人間というのは、ほんとのことを言われるとおこるのですよ、総理。そうなりますと、総理は、社長さんとか田中建設事務所の社長さんなら文句はないですよ、私は。やはり金の高の多いほうが発言権も大きくなるでしょう、株もたくさん持ちますから。会社の社長さんとかあるいは政治団体の長なら私は文句を言わないのです。ただ、そういう経過をたどって派閥を伸展拡張し、やがて総裁の座を得られた。その総裁が一国の総理でもあるというところに、私は、問題があるので、国民がこの点をたいへん疑念に思っているわけです。だから、国民の納得のいくように御説明いただけませんか。違う、だめだということではなくて、納得のいくように。
○国務大臣(田中角榮君) あなたもしつこい方ですな、私は関知しておらないのです。私ではなくて、ほかの人が運営しているのです、ほかの人が。あなたの後援会でも、あなたが関係しないで、ほかの人が運営しておるものがあるでしょう。それに対してあなたが、あなたが答えよと言っても、私はみずからそういうものに関知をしておりませんと……。それを、いやしくも公の立場を金で買ったんじゃないかというがごとき、言外に、言外に含んでの発言は、あまりいい発言ではありません。
○青島幸男君 総理御自分にお気に入らないから、いい発言じゃないと言う。私はたいへん的確な発言だと思って自負をしております。どうでしょうね。しかし、それでは総理タッチしておらないとおっしゃって、タッチしておらなくてけっこうです。しかし、この五団体が、では田中総理を支援するためにかってに動いていると、かってに動いて、田中さんを中心にして派閥が大きくなるように、かってに協力をしたということですか。
○国務大臣(田中角榮君) 派閥維持のために集めている金ではありません。それは立法のためにする調査をしたり、海外に勉強に行ったり、お互いに組織活動を行なったり、あなたが自分の政治の問題だけを考えるんではなく、われわれには二十何年間の積み重ねもあるんです。しかも、お互いが協力をし合いながら、政策に対する調査や研究や国民に対するPRや、そういうことをやるということは、それは当然なことじゃありませんか。しかも、友人たちが適法に届け出られた政治資金団体をつくって、そしていろいろな政治活動をしておるということに対して異論を差しはさむ余地はありません。
○青島幸男君 ですから、申し上げているのは、自治省に届けてあるその五つの団体の支出が、七割が調査費、研究費、組織活動費、寄付と、こうなっているわけですよ、しかも四億円以上の。そのことを問題にしているわけです、私は。
○国務大臣(田中角榮君) あなたも同じことをおっしゃいますな。それは私が関知しておるものじゃありませんし、適法に届け出られたものでありますと。しかし、その結果に対して不明朗、明朗度が低いということに対しては、さっき明確に答えたじゃありませんか。今度私が政治資金規正法改正案を出すときには、全部公開の原則を貫くようなものを出したいと思いますと、こうちゃんと公に答えております。
○委員長(大竹平八郎君) 青島君、総理は重ねて答弁をやっておるんです。
○青島幸男君 重ねて御答弁いただかなくてけっこうです。
 それでは、総理、全然関係ないんです、この五つの団体とは。関係なく、この五つの団体がかってにお金を集めて、かってに総理を支援したと、そうしましょう。そうすると、やっぱりそれではその支援団体のかいらいではないですか。これも国民の納得するところじゃないと思いますけれどもね。総理の支援団体といわれているこの五つの団体が、総理の意思に反してか、あるいは総理と関係なくお金を集めて総理を支援したと、総理の派閥拡張につとめたとしますわね。総理は、それを頼んだわけでも何でもなくてもですよ、それでも黙って自然に派閥が大きくなってきて、それが総裁にまで結びついたとしたら、何にも知らないうちになるんだったら、それはかいらいでしかないじゃないですかということを申し上げているんですよ。
○国務大臣(田中角榮君) そういう発言は、民主主義自体を理解しないことであります。あなたの意思によらなくても、私はあなたを応援したかもしれませんよ。そういうものが積み重なることが真の民主主義を育成することなんですよ。善意によって政治活動を支援しようということがあまねく行なわれないで、どうして一体民主政治ができますか。
○青島幸男君 政府自民党の政策は、自民党の経費としてまた二十億の金があるわけですから、その中で宣伝費――いろいろ調べましたよ、やはり五億近くの金もありますよ。それはそれで周知徹底せしめるわけでしょう。それで、この支援団体が――支援団体、総理は関係ないとおっしゃいました。関係なくやったとしても、その七割以上が寄付で、しかも個人名義で渡っている。しかも、総裁選挙の前にやたら多額に動いているということなんですよ。その辺で国民は疑惑を持つに違いないと、こう思うわけです。私も国民の一人として、そんなことがあってはならぬと思うのです。一国の総理が金を積んで総裁の座を買ってというようなことを私も考えたくないわけですよ。そうでないんだということを明確にしていただきたいと先ほどから申し上げているわけです。
 これ以上、委員長の御注意もありましたから、あなたにお答えをいただくことは無理かもしれませんね。この話は平行線かもしれません。しかし、このことを国民はどうとらえるかということは、私は……。
○委員長(大竹平八郎君) 青島君、時間が参りました。
○青島幸男君 個人名が出ていることをお考えいただいて、これでやめますよ。やめますけれども、こういう事実を明らかにしておきたいと私は思います。このことで政治資金のあり方というものについて総理は深く反省してしかるべきだと思います。少なくとも身の潔白のあかしを立てる、そういう誤解を生まないように総理がすべきだと思います。あなたのいまの、私のいままでの質問に対するお答えですと、しつこく、くだらないことを聞くもんだと、おれのポケットの中を探るようなことをするなというようなお顔色に見えますけれどもね。それは国民がやがて判断することでしょう。
○委員長(大竹平八郎君) 青島君、時間です。
○青島幸男君 終わります。
○委員長(大竹平八郎君) これにて青島君の質疑は終わりました。
 以上をもちまして総括質疑は全部終了いたしました。
 明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時三十分散会