第071回国会 交通安全対策特別委員会 第5号
昭和四十八年六月十五日(金曜日)
   午後一時十一分開会
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   委員の異動
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     星野  力君     小笠原貞子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         戸叶  武君
    理 事
                岡本  悟君
                二木 謙吾君
                神沢  浄君
                阿部 憲一君
    委 員
                黒住 忠行君
                中村 禎二君
                中村 登美君
                橋本 繁蔵君
                矢野  登君
                原田  立君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       運輸省海運局長  佐原  亨君
       運輸省船舶局長  田坂 鋭一君
       運輸省船員局長  丸居 幹一君
       海上保安庁長官  野村 一彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
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  本日の会議に付した案件
○交通安全対策樹立に関する調査
 (カーフェリー「せとうち」の火災による沈没
 事故に関する件)
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○委員長(戸叶武君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 星野力君が委員を辞任せられ、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。
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○委員長(戸叶武君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、カーフェリー「せとうち」の火災による沈没事故に関する件について報告を聴取いたします。
 新谷運輸大臣。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先般瀬戸内海で発生したカーフェリーの火災沈没事故について御報告いたします。
 五月十九日午後八時三十分ごろ、瀬戸内海播磨灘におきまして、四国中央フェリーボート会社所属のカーフェリー「せとうち」九百五十総トンの機関室から出火し、消火活動のかいなく、火災が船舶全体に及んで沈没いたしました。乗客三十五名及び乗り組み員二十三名は、全員救助いかだで退避し、無事救助されております。
 運輸省では、二十日政務次官が現地におもむいて実情を調査するとともに、二十一日、事故原因を早急に究明するため技術調査団を派遣して同型船を含めた調査を実施いたしましたが、その調査報告によれば、火災の発生原因は機関室内の燃料油が漏れてエンジンの高熱部分に触れたことによると推定されること、火災発見前からすでに漏油が始まっていたため、短時間に火災が機関室内に拡大した可能性が強いこと、また、機関室の出入り口のとびらなどが開放されたままであったことや、固定式あわ消火装置の操作がおくれたために、機関室外へ火災が比較的容易に拡大したものと推定されること、などの諸点が指摘されております。
 事故後の措置といたしましては、四国中央フェリーボート会社に対し立ち入り検査を実施するとともに、全国のフェリー会社に機関部の整備点検に重点を置いた発航前の点検を厳格に励行させることとし、特に機関室につきましては、中長距離フェリーについて可能な限り船舶検査官及び船員労務官立ち会いのもとに実施させるよう通達しております。また、全旅客船につきましても、この機会に設備の作動状況等の総点検を行なうとともに、防火操練、退船訓練を行なうよう指示したところであり、これらの諸措置を通じてかかる事故の再発の絶滅を期する所存であります。
○委員長(戸叶武君) それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○神沢浄君 私はいまの大臣の御報告に基づいてこれから若干の質問をいたしたいと思うのですが、最近知るところによりましても、 このカーフェリーボートというのは急激に就航がふえておるようですし、しかも、その航路などもまあたいへん長路化をしてきておるというようなこういう傾向の中で、この種の事故は安全確保上非常に大きな意味を持っておるように思いますので、そういう見地から特に事故を未然に防止をしていかなければならないというようなたてまえを考えますと、やっぱり船舶安全法との関係、特に検査の関係というような点が重要に思えますので、大体その辺に問題をしぼりましてお尋ねをしていきたいと思うのですが、具体的な問題をお尋ねする前に、ちょっと参考までに、現在のカーフェリーボートの航路数がどのくらいあるか、その中でも特に最長の航路はどれか、それからいま就航しているボートの隻数はどのくらいであるか、なお、カーフェリーボート中の最大の規模のものはどのくらいのものがあるのか、こういうような点を先にひとつ伺いたいと思うのですが。
○政府委員(佐原亨君) カーフェリーのまず航路数でございますが、非常に大きなものから小さなもの――渡し船に毛のはえたというと語弊がありますが、非常に短距離のものまで含めますと、全国で航路数は二百二十三航路ございます。そのうち航送距離が百キロ以上のものを中距離フェリーと俗に称しております。三百キロ以上のものを長距離フェリーと申しておりますが、いわゆる長いフェリーと申しますか、中距離以上のもの、中長距離フェリーということで数えてまいりますと、全国で三十三航路でございます。
 それから長さでございますが、一番長いフェリーでございますが、一番長い長距離フェリーは、航路距離が千三百三十キロ、会社名は太平洋沿海フェリーと申しまして、名古屋から仙台を経由いたしまして苫小牧まで参ります。これが一番長い長距離フェリーでございます。
 それから大きさのほうでございますが、大体五千トン以上のもの、四十五年当時から出てまいりまして、四十八年には五千トン以上のフェリーが全部で三十二隻、現在時点で一番大きなフェリーボートは約一万二千トンでございます。
 それから現在建造中のもの、詳細な調査ございませんけれども、免許をいたしまして就航準備中のものがまあ「建造中のもの」に当たろうかと思いますが、約五、六隻――ちょっと手元に詳細な資料がございませんのであとから御報告さしていただきますが、五、六隻建造中であろうかと思います。
○神沢浄君 就航隻数は。
○政府委員(佐原亨君) 隻数は、全国で小さいのまで入れますと四百三十八隻、中距離フェリー以上、百キロ以上のものが七十三隻ございます。これは四十八年四月現在でございます。
○神沢浄君 そこで、今回の事故も含めて、過去五ヵ年間に生じました事故件数、その中の主要な事故ですか、新聞ざたになるような規模の事故、こういうような点についてちょっとお伺いしたいんですが。
○政府委員(野村一彦君) 最近五ヵ年間のカーフェリーの事故を申し上げます。
 まず、件数を申し上げますと、四十三年が四隻、四十四年が九隻、四十五年が三隻、それから四十六年が十一隻、四十七年が十二隻、四十八年は本件を含めまして四隻と、こういうことになっております。
 それで、その事故の内容でございますが、これは、いわゆる旅客船その他一般の海難と大体似たり寄ったりでございまして、衝突とか乗り上げとか、火災、機関故障、いろいろございます。特別のもの、特に社会的に問題の大きいと思われますものにつきましての最近の事例を申し上げますと、やはり本件の「せとうち」が一番大きい事件でございますが、そのほかに、四十七年の六月二十一日でございますか、グリーンフェリーというフェリー会社の所属の「グリーンエース」という、これは約六千トンの船でございます。これが大阪の港内で接岸中、廃油焼却炉の煙突の過熱から客室の一部を焼いたということで、人身に異常はございません。そのケースと、それから四十六年の三月十三日に、日本カーフェリー株式会社の「ふえにつくす」という、これも約六千トンの船でございますが、これが川崎から九州の細島に向けて航行しております途中、下田沖で調理室の厨房機の過熱によって調理室の一部を焼いたという事故がございまして、これも人身事故はございませんが、火災といたしましては、この「せとうち」のほか、いま申し上げました二件でございます。
 あと衝突の事例を申し上げますと、これはことしの三月三十日に、四国の宇和島運輸株式会社所属のフェリー「うわじま」丸これは約九百四十トンほどの船でございますが、これが豊後水道においてリベリアの貨物船一万七千トンと衝突をして、約三十七名が負傷したという事例がございます。衝突の原因は、この日本の「うわじま」が、霧がかかっておりましたにもかかわらず、相当高速で運航しておったということが原因だと考えております。それからもう一件は、フリェー同士でございますが、四十七年の一月二十四日、神戸の港の沖におきまして入港しようとするダイヤモンドフェリーの所属の「フェリールビー」という四千六百総トンと、出港しようとした加藤汽船所属の「りつりん」というこれもフェリーでございますが、これが衝突をいたしまして、双方の乗客三名が軽い負傷をしたということでございます。この衝突の原因は、狭い水道における行き合い船の状況判断の誤り、いわゆる操船のミスと申しますか、そういうものだと思われます。こういうものが、最近におきまするフェリーの事故の中で注目に値するものであろうと、かように考えます。
○神沢浄君 いまの御説明によっても、大体大きな事故については共通して火災、今回の場合もそうであります。そこで聞くところによりますと、今回のフェリーボートは、第一種中間検査というのが終わったばかり、終了直後だったと、こういわれておるのですが、そうですか。
○政府委員(田坂鋭一君) 中間検査に準じます検査を四月二十八日に終わっております。
○神沢浄君 なお、これも新聞などによって知るところなんですが、火災の発生したのは機関部室というんですか、そして発生個所も機関部であって、何かその機関にかかわる被覆物がなかったと、こういうようなことが報道されていますけれども、そういう事実がありますか。
○政府委員(田坂鋭一君) 海難事故の詳細な、また正確な原因調査は海難審判制度にゆだねるところでございますが、私どもは、ただいま先生の仰せられたような原因等がおもなことと考えられましたので、直ちに首席船舶検査官を中心といたします調査団を派遣いたしまして、本船の乗り組み員並びに本船と同型の「いしづち」につきまして詳細な調査を行なったわけでございますが、大体、火災の原因とただいまは考えられますところは、先生の仰せのとおり、主機関から運転いたしますと排気が出ます。その排気管には防火それからやけど等を防止いたしますために防熱カバーをすることになっておりますが、そのメイン・エンジンの本体から排気管が出ます一部に防熱カバーがかかっておらなかったところが確かにあったようでございます。
○神沢浄君 そこで、私などの場合は船舶などについては全くずぶのしろうとでございまして、何ら専門的な知識はないんですけれども、常識的に考えてみて、どうしても疑問を持つのは、第一種中間検査の済んだ直後であって、それから、いま御説明がありましたように、あるべきカバーがなかった。そうすると、検査のときにはあったのかなかったのかというのが、たいへんこれは重要な点になってくるんではないかと思うわけです。なかったとすれば、それが検査がパスしておるということになると、これまた、非常に検査上重要な問題になる。検査のときにはあったけれども、その直後、ほとんどわずかな時間の日時しか経過していないにもかかわらずカバーが取り除かれておったと、この辺の事情はどんなように把握をされておられますか。
○政府委員(田坂鋭一君) 安全法におきまして船舶の検査を執行しておるわけでございますが、検査は定期的に行なわれることになっております。その中で、定期検査と中間検査がございますが、定期検査におきましては、試運転を含めます詳細な検査をすると、それから中間検査におきましては簡略な検査をするということに大体なっておりますが、定期検査が四年ごと、それから中間検査は毎年行なわれることに本船についてはなっております。そういたしまして、本船の場合は中間検査を終了した直後でございますが、この中間検査におきましては、エンジンを開放いたしまして、分解いたしまして、部品等の状態その他を検査いたしたわけでございます。中間検査におきましては、このところで検査は終了いたします。定期検査におきましては、これを完全に仕上げまして、そういたしまして試運転をして検査が終了するということでございまして、その差は、日常、手入れ、整備等でいじられるようなものは、中間検査においてはその完成まではチェックしないということでございまして、まさにこの原因と、いま現在、考えられます部分の防熱おおい、あるいはそのもとになりました燃料油管、あるいは冷却油管等の復旧のところまでは検査はいたさないということになっておるわけでございます。これらのことは担当いたします造船所並びにこれを監督いたします海運会社の工務監督等にゆだねられておるわけでございます。
○神沢浄君 さっきも申し上ましたよように、私しろうとですからつまらぬことを質問しているのかもしれませんが、そういたしますと、第一種中間検査という内容においては、防熱カバーがその際なかったとしても、そのまま通してもいいような性格の検査になっておるわけですか。
○政府委員(田坂鋭一君) 復旧いたしますれば、完全な状態になるということが明らかでないとぐあいが悪いわけでございまして、防熱カバーが十分にあるということはチェックいたすことにいたしております。
○神沢浄君 そのときの検査の記録というふうなものも調査がされておるわけでしょうか、防災おおいがあったとかなかったとかいう点についてですね。
○政府委員(田坂鋭一君) 検査の執行が終わりましたら、その詳細、状況を検査手帳にしるしてまた次の検査の資料にするというような制度になっておりますが、このような日常の常識的なことにつきましては、検査手帳の中には記載されておりませんでした。
○神沢浄君 そこで推察しますと、おそらく専門家の手によって検査が行なわれるわけなんですから、そういう欠陥の個所というようなものが気がつかないはずもなかろうと思うんですが、その際注意が与えられたとしても、その船舶の側でもってそれをあとから履行をしなかったというような事例が一つと、それから、こういう言い方は語弊があるかもしれぬですが、検査そのものが何か形式的になってしまっていて、気がつかないままに、俗にいうめくら判式の検査になってしまっておるのではないか。われわれしろうとが常識的に考えると、何かその二つのようなことが推量できるんですが、いずれにしましても、それは重要なことでありまして、検査自体が、何といいますか、全く形式的なものになっておったんだったらば、それはもう人命をゆだねる業務の上からいって、これはもう問題だと思うんです。それから、注意をされてもあとからその履行を怠るというような船舶側のモラルの問題にもなるでしょうけれども、これまた、非常にほかのことと違って、重要な点だと思うんですけれども、そこで検査の問題ですが、おかと海のことで全然事例が違いますけれども、自動車の関係などにつきましても、いま検査が認定工場まかせみたいな実態になっている面があるわけですね。船舶の場合ははたしてどうなっておるのか、その点をちょっと御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(田坂鋭一君) まず、先生の御心配の、検査が形式的に流れるのじゃないかというようなことでございますが、私どももそういうことは絶対にあってはならないということで、日常からずいぶん注意いたしておりますし、それから船舶検査官を、機構といたしまして進めますのに、本省には首席検査官、次席検査官、地方の機構といたしましては、先任検査官を置きまして、常に検査が正常に、適正に行なわれるように十分な注意をいたしておるつもりでございます。さらに、今後ともその方向の努力は続けたいと存じます。
 それから、陸の検査と同じような認定工場制度というものはどうかという御質問でございますが、最近の船舶の検査事務量がたいへん多くなっていることは、これは確かでございますので、いろいろ合理化が必要だというふうに考えまして、品質管理体制あるいは工程管理体制等を十分にチェックいたしまして、その製造面におきましては認定工場制度を現在取り入れてやっております。ただ、現在はまだ修繕施設においては認定工場制度は取り入れておりません。今後修繕施設につきましても、十分な体制が整えられて完全な工事が行なわれるということが確認されました工場につきましては認定工場制度を取り入れまして、完成検査を十分にやるということで検査の合理化をやりたいとは考えております。
○神沢浄君 それでは、現状では認定工場に委託をするという方法はとられていないわけですね。――そうすると、これは検査官が直接責任を持って検査はしておるわけですか。
○政府委員(田坂鋭一君) そのとおりでございます。
○神沢浄君 そこで、何か聞くところによりますと、船舶の増加に対応して検査官の数が非常に不足をしておるんじゃないか、こういうような意見がありますが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(田坂鋭一君) 船舶検査官、現在総定員で二百十四名おりまして、これを全国に大体六十カ所に配置いたしまして検査をやっておるわけでございますが、先生仰せのとおりに、現状におきましては必ずしも十分な検査官の数とは言い切れないかもしれませんが、先ほどもちょっと申し上げましたように、たとえば認定工場制度のような合理化を進めまして、現在安全の面に問題がないように十分対処はいたしておるつもりでございますが、今後とも大型化や複雑化等が進むと考えられます。量的にも検査事務量はふえていくと考えられます。今日までも、ごく少ない数でございますが、この二、三年間に毎年二、三名ずつは定員を増していただいているわけでございますが、今後とも定員の増加につきましては、努力をいたしていきたいというふうに考えております。
○神沢浄君 しろうとだけにいろいろ勉強をしてきた点もあるんですけれども、大臣が何か二時半ごろは御都合でおいでにならなければならないそうですから、私だけ時間をとっちゃっても申しわけないので、次に移りますが、そこで、これも新聞の知識ですが、このカーフェリーボートというのは構造上非常に火災に弱い、浮かぶ燃料タンクだ、こういうようなことがいわれておるようです。私どもしろうと目に見ましても、確かにあれ車ごと積み込むのですから、そういう特殊な構造にならざるを得ないと思いまするし、同時に、「浮かぶ燃料タンク」の表現のとおり、船自体の燃料もあるし、積んである車もみんな燃料を持っておるしするわけなんですから、これは火災に弱いということは当然うかがわれるのですが、そこでこの検査について、何か承知するところによると、旅客船と貨物船というのはおのずから検査の基準内容も別になると、こういうのでありますが、このカーフェリーボートというのはどういう分類になるのか。それから、かりに旅客船の範疇に入るといたしましても、本来がそういう特殊な構造を持っておるということになれば、これは旅客船でもなし、貨物船でもなし、また、そういう特殊な構造上からして、やっぱり検査の基準内容というものもそういう特別のものが法規上もきめられていなければならないのじゃないかと、こういうふうに考えますが、その辺の事情はどうなんでしょうか。
○政府委員(田坂鋭一君) 先生ただいま仰せのとおりに、カーフェリーは旅客船であり、かつ、燃料タンクの中にガソリンあるいは軽油を積んだ自動車を搭載するというような観点から考えまして、特殊な基準をつくりまして規制を行なっておるわけでございます。そういたしまして、カーフェリーが出現し始めました昭和三十六年に、まず自動車渡船構造基準をつくりまして、カーフェリーの固縛、あるいは車両鋼板の強度、あるいは車両の固縛装置等の基準を制定いたしました。
 引き続きまして、カーフェリーが非常に大型化、高速化してまいりました。また火災の心配も多くなったわけでございますが、昭和四十六年に二度にわたりまして、四月と十二月に防火構造や消防設備や救命設備、そういうものにつきまして、さらに加えて基準を強化いたしたわけでございます。これらの基準が、現在におきましては私どもといたしましては整備されておると考えておるわけでございますが、これらの基準が制定されました時点に存在いたしました在来船には、基準の中の一部が適用されてない点もございます。今回の事故等を勘案いたしまして、さらに基準を強化する必要があろうかと思いますが、それらの中で在来船に遡及して行なわなければならないもの、そういうものも選び出しまして十分な規制をいたしたい。この新たな強化されるべき基準につきましては、現在の段階で大体内容の検討も終わりまして、近々のうちには基準の通達が出せるというふうな状態でございます。
○神沢浄君 それから、今回の場合はその事故原因と直接かかわり合いがあるとは思いませんけれども、いま陸上の運送なんかでは非常に過積みの問題というのが重要な問題になってきておる。船舶の場合であっても、当然そういう情勢というものは生じておるだろうと予測ができるわけですが、このカーフェリーボートの場合は、過積みをチェックする、この規制をする方法というようなものはどんなように講ぜられておるのですか。たとえば重量上の問題にしても、あるいは定員の上の問題にしましても、制限をどこでどういうふうに行なうのかというような点をちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐原亨君) トラックの過積みの問題は道路交通法上確かに問題がございますけれども、フェリーを規制しております海上運送法の面では別に法的根拠はございません。むしろ、船自体の安全をはかるという意味では、先ほど船舶局長の答えました船舶安全法の系統で、法体系で規制しております。その面からのみ見ますると、トラック自体が過積みでございましても、満載喫水線以下でございますれば、船舶自体の安全ははかられておる。それから、車両鋼板の強度も、普通の船よりもかなり倍率高く規制しておるはずでございます。それから固縛装置につきましても、一般の船に比べますと約四倍程度の強度の固縛を義務づけておりますので、トラックの過積みが、船舶自体に対する安全という問題では、直接は出てまいりません。ただ、道路交通との関係でいろんな社会的な問題がございますので、警察その他と打ち合わせまして、将来の課題としてはいろいろ検討してまいりたい、このように思っております。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 船舶局長からいろいろ話をいたしましたが、これはいまの法規上の問題がそうなっているということで、実際に取り締まりをどうやっているかということになりますと、陸上の自動車運送につきましても、トラックの過積み問題が非常にあちらこちらでいろいろ弊害を起こしているものですから問題にしておりまして、もちろん、これは運輸省だけではできないんです。主としてこれは道路警察をやっておられる警察の関係になりますけれども、いま局長申しましたような、道交法の適用上これは相当厳重にやろうということで、先般来国会におきましてもいろいろ御指摘があったもんですから、現に逐次そういうことをやっておるんですけれども、たとえば高速道路、一般道路でもそうでございますが、重量計を置きまして、できるだけ過積みを防止しようという措置をとりつつあります。トラックを船に乗っけてからそこでまた荷物を積むということはまあまあこれはもうめったにないことで、道路を通ってくるトラックでございますから、道路の上でこれは規制しようと思えば、当然できます。そういった問題もございますので、これは来年度の予算要求に関連してくると思いますけれども、関係省と相談いたしまして、特にカーフェリーにでも乗せる場合のトラックについて、過積み等になって、船の安全だけじゃなしに、自動車自身の安全から、やはり災害を起こすおそれがあるというようなことを考えまして、全般的に過積みを防止するための具体的な措置を各省にいま相談をしているというような状況でございます。
○神沢浄君 さらにいまの大臣からの御答弁と関連しまして、トラックの場合は道路上へ検査用の機器を置いてやるという方法もあれば、警察によるところの取り締まりの方途というものもありますが、船舶の場合は乗っけてしまって出航すれば、もちろん、それは陸上の警察にかわる海上保安庁の立場というものもあるわけでしょうけれども、しかし、考えてみると、事実上、なかなか陸上でもって警察がとめて検査をするようなことにはこれはいきかねるだろうと思うんです。というのは、いつか瀬戸内海か何かでもって過積みでもってフェリーが事故を起こしたというようなことがあったように記憶をしているわけなんですが、車を積み込む、人も乗せる、これはおのずから船舶にとっては限度というものが――まあ喫水で見るのか何で見るのか、やっぱり限界というものがあるわけでしょうし、それが守られなければ、これは旅客の人命等にとったって重大なことになると思うんですが、そういうチェックをどこでどういうふうにしておるのか。出航のときにそういう規制がされるような制度になっておるのか。こういう点をあわせてお尋ねをしたかったわけであります。
○政府委員(野村一彦君) ただいま大臣、関係局長がお答えいたしましたことに関連してでございますが、船全体としては、たとえば先ほど海運局長が申し上げましたように、満載喫水線の許容限度内である、しかし、その中に乗っている個々のトラックは過積みになっておるというケースが一番問題でございます。で、先生もちょっとおっしゃいましたように、これは私の所掌ではございませんけれども、カーフェリーボートに車が乗る前に、たとえば、何といいますか、フェリー埠頭を通過するときに、看貫か何かをそこに設置して、そこで看貫にかけて合格したものを乗せるというようなことも技術的に考えられる一つの方法であろうかと思いますが、これはどういう方法が具体的にできるのか、それはどこがそういう看貫のチェックをするのか、いろいろあると思いますが、そういうようなことも一つの方法ではなかろうかと。私ども海上保安庁としては、先ほど申し上げましたように、乗ってしまった船を、これは間々ほかの目的もあって保安官が警乗するとかいうようなこともありますけれども、なかなか、その場合はもうすでに手の施しようがございませんので、車がカーフェリーに乗る前に看貫か何かにかけてチェックするというような方法を講ずべきではなかろうかと、かように考えております。
○神沢浄君 時間の関係がありますから私もこれで質問を締めくくるつもりですが、最後に、私は大臣に所見を伺いたいと思うんですが、いまこの事故の問題について、当初申し上げましたように、主として検査関係などにしぼってお聞きをしてみたわけなんですけれども、率直に言って、どうも心から信頼できるような状態にあるとは思えません。というのは、検査が行なわれた直後であったと。しかも、その事故の原因というのは、重要な機関部の被覆、おおいというようなものがなかったんだと、抜けておったんだと。これは検査のときに本来ならば当然指摘をされていなきゃならぬことでありますし、指摘をしたけれども、それが履行をされておったかどうかすらも、あるいは検査がずさんに行なわれたのであるかどうかすらも確認ができないようないまの検査の内容、こういうようなことを考えてみますと、これはやっぱり安全確保上かなり重大な意味を持っておるように思えるわけであります。それから、構造上もこれは特殊なものだということでありながら、どうもそういう特殊な構造の船舶に対するところの、したがって特別な検査の基準、方法というようなものについてもまだはっきりでき上がっているようにも思えないわけでありますし、しかも、情勢として、冒頭御説明がありましたように、隻数はどんどん増加をする、それからもちろん航路数もふえる、同時に、その航路も非常に長路化していく。私もあるデータを見たんですけれども、ここ四、五年という間に急激な上昇線をたどっておるような状況のようであります。こうなってまいりますと、もう少しやっぱり検査の問題などを軸にした安全確保の体制というものがこれはもう検討されまた用意されなきゃ、こういう事故はもう防止し切れないんじゃないかというような感じがしてならないわけでありまして、今後への対策、方針と申しますか、大臣のひとつ所見をお聞きをしてこの質問を終わりたいと、こう思うんです。
○国務大臣(新谷寅三郎君) ごもっともだと思います。先ほどもちょっと報告のときに申し上げましたが、結局、この問題はわれわれに対しても非常にいい反省の機会を与えてくれたと思います。構造上の問題については船舶局長からるる申し上げましたように、これはカーフェリーが生まれまして、それで、構造上の安全というものはどうしたらいいかということで、専門家が集まっていろいろ審議をした結果、一応の安全基準ができておるわけです。さらに、その後大型化したりあるいは高速化して非常に危険性が増すもんですから、その安全性について再検討をしまして、現在の一万トン級のカーフェリーあるいは非常にたくさんの車を積んだ場合にも安全であるという基準をつくってやっておるのでございまして、その構造の上からいって、船舶安全法及び関係規定の基準に合致しておればこういうことが構造上は起こるはずはないんですね。ところが、どうも、推定いたしますと、いまおっしゃったように検査にもいろいろ種類がございまして、いかなる部分もいかなる検査でも必ず見るかと申しますとそうはいかないのでありまして、検査官も限られた範囲で船舶安全法上要求されておる検査はしていると思いますが、しかし、本来ある状態、安全であるべき状態をいつも維持しなけりゃならぬと、これについては、やはり第一には企業家――事業をやっている人、それが絶えずそういったことには留意をいたしまして、そして、自分たちは大事な人命を預かっているんだという意識を持って、自分の船が安全基準に合致しているかどうかということを絶えず注意しなけりゃならぬということは当然だろうと思います。
 それから第二には、今度は、その状態をどうして確認するかということでございますが、企業家も全社をあげてやってもらわなけりゃなりませんが、同時に、船に乗っている船長以下、これは、いまここで御報告したように、そういう点検をやることになっているんですけれども、つい手抜きをする場合がないとは限りません、発航前の点検でございますね。これは、航海に出る前に必ず発航前の点検というものをやることを義務づけておるんですが、それも、これはだいじょうぶかと、あぶないところはさまっているんですから、それについて発航前の検査というものを励行しておりますと。検査官がいようといまいと当然やるべきなんです。それを励行してないと、フェリーは折り返し運転ですから、つい手を抜いてしまうと、思わないところに事故の原因が隠されているというようなことになりますので、私どもの限られた検査官が何千隻という全体の船について絶えず状態、現状を見て検査して回るということは実際上不可能で、だから、四年に一回とか二年に一回とか毎年とかいうふうに、法律で定められた時期に、基本的な問題については検査いたしますが、それをどうして維持していくかという問題になりますと、企業家自身も気をつけてもらわなきゃいかぬ。それから乗っておる船長以下職員も絶えず安全ということに責任感を持って配意をするということは当然でございまして、それを今度は励行させるような措置を、これはカーフェリーだけじゃございませんで、いい機会ですから、私は旅客船全部に対してカーフェリーと同じようにこの際総点検をしてもらいたい。それから、今後、そういう発航前の検査でございますとか点検でございますとかいうものについては責任を持ってやれという通達を出しまして、厳にそれを実行させつつあるわけでございます。
 なお、将来の問題につきましては、カーフェリーの効用が非常に大きいものでございますから、使用の範囲といいますか、態様ももっと非常に多様化してくると思います。それに応じましての安全の施設というものは、そういった実態に応じてさらに検討を加え、そして実態に即した改正を加えていかなきゃならぬと思っておるのであります。要するに、私のほうで言うと、船舶局もそれから海運局も船員局も、全部が一体になって今後のそういった問題に対する事故防止に協力をして全力をあげると、こういう体制にいたしておりますので、いまのところは各業者にも、船にも徹底していると思います。これがだんだんほんとうにはだにしみついて、やかましく言われぬでも、当然これはやるべきだというのでみんなが気をつけてくれますと、事故防止には非常にこれ役に立つと、こういうことを期待しておるわけでございます。なお、安全は交通機関としては一番の問題でございますから、運輸省といたしましても、ここに最大限の重点を置いて今後とも指導をしたいと思っております。
○原田立君 いま神沢委員よりいろいろと御質問がありましたので重複する点はなるべく避けたいと思いますけれども、重複したらお許しいただきたい。
 大臣も忙しいようですから一番最初に大臣にまとめて御質問したい。
 いまもいろいろとお話があったんだけれども、カーフェリーの急速な発展、あるいはそれらによりまして就航する船の増加であるとか、あるいは輸送量の伸び、カーフェリーの大型化、デラックス化あるいは競争、こういうふうなことでだんだん違ってきているんですね。カーフェリーそのものの営業にしても船の構造にしても、だんだん中身がいま変わりつつある。こういうようなときに、私言いたいのは、すなわちカーフェリーが就航したころから明らかに異なる環境になりつつある、今日。そういう面からいって、構造あるいはまた人員、あるいは管理、こういうふうな面で、以前は見落としておったようなものがまたあらためて見直されて、こういう点も直しておかなきゃいけないというような点があるんだろうと思う。それらをもうそれぞれの局のほうでは検討しているんだろうと思うが、それをいつごろまとめて発表するか、方針を出すか、それをお聞きしたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまお尋ねの中で、運輸省が責任を持ってやらなきゃならぬ問題は構造の問題です。これはあらゆる船舶が御承知のように船舶安全法及びその関係法令のもとで構造はこうしなきゃならぬということをきめておりますから、細目にわたりまして。ほんとうに安全かどうかということは、船舶安全法及びその関係法令のもとでそれに合致しているかどうかということを検査するわけですね。それについては先ほど船舶局長から御報告申し上げたように、いまおっしゃった大型化、高速化というような点に着目いたしまして、いま案を大体まとめておるわけです。初めのころとはもうだいぶ違った内容の構造規程というものを要求することになっておりますから、この点は具体的に何なら船舶局長から御説明させますが、そういうところまで進んでおります。
 それからもう一つちょっとあとの、さっき申し上げましたが、たとえば船員を何人にするとか、これは船員法にも規定がございますけれども、具体的な各船についての船員のいわゆるマンニングの問題、これは労使間の話し合いの一つの材料になりますけれども、これは企業家が、船会社が組合と相談をしてきめる問題でございます。もちろん、たとえば船長、機関長とかというようなものを置かなきゃならぬという、そういう船舶職員の規定はございますけれども、一般の船員については労使間でもって話し合ってきめていくということになるわけでございます。
 それからさっきお答えいたしましたが管理の問題、これは企業経営の問題と非常に密着するかと思うんです。これについては先ほども申し上げましたように、カーフェリーが非常にいま過当競争です、場合によりまして。だから、そのためにもう出たと思ったらお客さんおろして、車おろしてすぐまた出て行くというような状態が多いんじゃないかと思いますが、そのために、さっき申し上げたような発航前の検査なんというのはなかなかできにくいという点がございます。これは管理の問題ですが、この点は海運局長も申しましたように、船会社に対しましてとにかく安全が第一であるということで相当厳重な注意を喚起しております。管理の問題についても、だんだん安全本位の管理体制が各船会社でも考えられておりまして、この点もこれから十分海運業法の精神にのっとりまして指導をしていくということになるわけでございます。
○原田立君 先ほど大臣の言われた中でちょっと気になる点があるんですよ。それは一つは、何もあげ足取りで言うんじゃないんですよ。検査官も限られた人数でやっていると、それで、きめられた規定のものは点検をすると、こう言っているわけです。だから、ぼくが言いたいのは、検査官も限られた人数で、その限られた人数というのは、以前はこれでよかっただろうけれども、いまこう大型化してきた場合にはもっとこれを太らかす必要があるというような、何か手を打たれていかなきゃいけないと思うんですよ。これは専門の話だから、たとえば四百トン、六百トン、千トン、五千トン以上と、こういうふうな船等については、現行はこれだけの検査官が必要だと、だけれども、いままではこれだけだったけれども、今後は新体制に従ってこれだけの検査官を置かなきゃいけないというようなことがあるのかどうか。
○政府委員(田坂鋭一君) 船舶の安全につきましては、第一義的には船舶の施設、構造、そういうものだと思いますけれども、それにあわせまして、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、企業の側の問題、それから船員側の問題、これらがあろうかと思います。それぞれにつきまして、それぞれ海上運送法や船舶職員法や、そういうものと安全法と三つの体系で船舶の安全につきましてはこれを確保していくというふうな体系になっておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、基本的には現在の安全法、並びにこれによりまして検査を行なう検査機構、これで十分にその企業の側、それから乗り組み員の側、そういうものが十分な機能を発揮すれば現在の体制で十分だと考えておるわけでございますが、先生の仰せのとおり、複雑化あるいは大型化、高速化、こういうものがございます。これらに対処いたしますためには、私どもは数も確かに嬉しいわけでございますが、非常に困難な面もございます。毎年、数年来からずっと続けて定員の増加につきましては努力しておるわけでございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、ごく微々たる増加しか期待できません。そこで、今後はそういうものをカバーいたしますために、立ち入り臨検や――これは安全法でできることに制定されておりますし、そういう乗り組み員の側に対します操作マニュアルといいますか、つきました施設を、設備されております施設を十分に活用できるようなマニュアル、これは船舶の複雑化に対処いたしますために、そういうマニュアルを早急に整備いたしたい、こういうもので今後は対処していく考えでございます。
○原田立君 私が言ったんじゃなくて大臣が言ったんだからね、そのことを言っているんですから。それで大臣、私、六月の六日の日に川崎ターミナルへ行ってきまして、そうして「ぶうげんびあ」という約六千トンの船、あれ、見てきました。機関室まで、ずっと中まで入っていきましてね、たいへんりっぱな装置でしたよ。これならば、気をゆるめなければ、船の構造においては事故は起きまいと、こう感じてきました。そして、今度の「せとうち」は約九百トンでしょう。小さい船ですよね。大きな船ばかり見てもしょうがないから小さい船を見ようというので、木更津へ行くのと、それからどこでしたかな、もう一カ所――木更津へ行くのと市原行く船は小さい船ですから、それを見てきました。機関室へ入るのはこんな狭い穴なんだけれども、入り込んでいって機関室まで見てきたんですけどもね、「せとうち」の場合、熱の排気する管のカバーがなかったそれが爆発する原因だったんだろうということだったので、そこのところだけ特に注意して見てきたんだけど、あそこの船はちゃんと巻いてありましたよ。外の上からたたいてさわってみたら非常に熱い。まあ、あのぐらいの船ならばあんな程度の装置なんだろうかなと、こう思いながら見てきたんだけれども、何となく、ちゃちだなと、非常に軽便にできているんだなと、こう感じながら見てきたんですよ。これは、よっぽどしっかり気を引き締めてやらないと事故が多発するんじゃないか、こんな感じを持ちながら見てきました。それで、聞くところによると、今度の「せとうち」は四十六年に出た新基準、これ以前の船でしょう。旧型船ですよね。新型のほうは心配ないような構造になっているというんだけど、現在あるカーフェリーの全体の数の約八割か九割ぐらいは旧型になっているわけでしょう。だから、これを設備しなければいけない、装置をし直さなければいけないと思うんだが、そのときに、何も業者から聞いたわけじゃないけれども、資金量不足によって設備するのに資金が足りなくてできないなんというようなもし場合があったならば、これはちょっと政治の手落ちになるおそれがある。だから、旧型から新型のほうに条件がきちんとそろうような船に設備するための資金ですね、これの融資とか何か、あるいは利子補給とかなんとかしてやったら、古いほうの型の船もどんどんどんどんこう新しい装備ができて、事故など防げるんじゃなかろうかなと、こんなことを思い思い帰ってきたんですけれども、その点のお考えは何かないですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) お話しのとおりだと思います。古い船でもやはり安全施設を整備する必要がありますので、お話しのように、四十六年の新しい基準にできるだけ、これは船の構造上できないのはしようがありませんが、できるだけ安全設備は整備するようにということで、これは船舶局におき、ましてそういう指導方針をもって各フェリー会社を指導をして、これはすぐにとはいきませんが――航海しておりますから、その検査のときとか、何かの訓練のときとか、そういうときをつかまえまして、いまおっしゃったように、安全施設をさらに強化しよう、させようと、こういう計画を立てておるわけです。そのときに、おっしゃるように若干資金が要ります。全体のフェリーで三十億ぐらい金がかかるそうです。これについては、いま関係の会社の実情も聞いておりますけれども、もちろん、これは運輸省で、いまおっしゃったように、この辺で、何といいますか、計画造船のように利子補給してまでというわけにはいかないかもしれません、これは法律が要るかもしれません。しかし、そういう資金を出してやって、それでそういう安全施設の整備に差しつかえないような措置は当然とってやるべきだと思っております。これは、具体的な集計がまとまり、そしてそれをやるということに業者も決心をすれば、その世話は運輸省でするつもりでわれわれのほうも準備をしております。どの程度できるか、これはわれわれも最大限にそれの要望にはこたえるつもりで、努力するつもりでおります。その点はひとつ、またわれわれの大蔵当局との話し合いが中心でございますから、御協力をいただきたいと思います。
○原田立君 カーフェリーがだんだん大型化していって一万トン――いま六千トンぐらいが一番大きいのですか――何か一万トンぐらいのものができるというふうな話を聞いておりますけれども、この今後の考え方なんですけれども、カーフェリーを、八トンとか十トンとかそういうトラックとそれから人間と、それから乗用車と、こういうのがあんまり混載しているのはよくないんじゃないのかという感じを持つんだが、これは専門的なことですから大臣に言ってもちょっと無理だろうと思うんだけれども、何か検討してあるんならお答え願いたいと思うんですけれども。
○政府委員(佐原亨君) 社会的な需要に応じまして、カーフェリーはモータリゼーションとともに非常に発展してまいりましたが、そういった流通の手段としての発展のほかに、最近のレジャーブームを反映いたしまして、旅客――パッセンジャー本位の機能も合わせ持つというところが非常に社会の要請にマッチした形で伸びてきておるわけでございます。ただ、安全だけの観点から申しますと、確かに人間と貨物、トラックはこれを分けまして、トラック専用のフェリーというものがあっておかしくはないかとも思いますが、この辺、いろいろ船の採算面、経営面ともからみますので、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。将来はそういったトラック専用のフェリーというものもかなりできてくるような可能性はあろうかと思っておりますが、いまのところ、まだ確たる方針が出ておる段階ではございません。
○原田立君 川崎で私見てたら、木更津へ行く船なんですけれども、約四十台ぐらい乗っていましたよ、車が。そのうち、上から見ておったんですけれども、おそらく六トンか七トンくらいあるんじゃないでしょうかね、そのくらいの車が約五台ばかり乗っていましたよ。それも乗用車の間にあっちこっちに散らばって乗っかっているわけですよね。ちょっと見て、あんまり、これはなかなか経営面の問題もあるだろうとは思うけれども、安全性という問題からいくとちょっと問題じゃないかなと、こう思いながら見てきたわけです。まあ、将来の検討として考えるということだから、大いに考えてもらいたいと思います。
 それと、これはあと大臣じゃなくてけっこうなんですけれども、今度の「せとうち」の場合も含めてですが、これは新聞記事によることなんだが、非常訓練の義務化というんでしょうかね、この非常訓練を義務化していくその中身、これとこれとこれをやれという規定の中身ですね、これが非常に甘いんじゃないか、だから、あんな事故が起きたんじゃないかと、こう言われておるわけです。その点のところはどんなふうにお考えでしょうか。
○政府委員(丸居幹一君) 船員が非常の場合に対する訓練をするときの規定でございますけれども、これは船員法で規定してございまして、それの具体的なことを運輸省令で規定しておるわけでございますが、先生おっしゃるとおりに、大まかな規定ではなかなか徹底がいたしませんし、訓練がおざなりになるおそれがあるというふうに感じまして、本年一月でございますが、「旅客船における非常配置操練の手引き」という、こういうパンフレットを配りまして、これに基づいてかなり具体的にこういう操練をやりなさい、こういう訓練をやりなさいというふうに指導をいたしております。これはかなりくわしくできておりますので、このとおりにやっていただければ、私はかなり徹底した操練ができるものというふうに考えております。
○原田立君 まあ、それは中身を一つ一つ聞いていたらたいへんだから聞きませんけども、新聞で得た情報だけなんですけども、こういうことを書いてある。「こんどの事故で運輸省は佐藤運輸政務次官、内田船舶首席検査官らを現地に派遣し事故を調査していたが、その結果」「出火の際、中古船には備えつけの義務がなかったアワ消火器が機関室にありながら、船員が操作になれていなかったため、使いきれなかった」。それは、だから操作することが義務づけられているかどうか、これが一つ。
 それから二つ目には、「二人の機関員が機関から脱出する際、機関室のトビラをしめ忘れ、またエンジンルームに空気を送り込む送風機を止め忘れたため、火の広がりがはやかった」、これらはちゃんと規定の中に、こういう事故の際きちんとやっていくんだぞというのが入っているのかどうか。
 「全員三隻のゴムボートに避難できたが、ボートと本船をつないでいる綱を切るナイフの所在がわからず、乗客の果物ナイフなどを使って切った」、そういう刃物なんかどこに置いてあるか、点検等もその基準の中にきちんと入っているのかどうか。
 「またボートのオールの格納場所も知らなかった、など非常の除の船員の訓練不足が目立った」と、こう書いてあるんですけれども、いまあなたの言われた、そうやればこういうことは全然起きうですか。
○政府委員(丸居幹一君) 先生のおっしゃる中で、最後の膨張式救命いかだの操練につきましては、全部この中に書いてありまして、その操練をやらなければならぬことになっております。ただ、あわ消火器が出なかったということでございますが、これは非常に火の回りが早かったようでございまして、消火に当たることができなくて、操機長は消火ができなくてほうほうのていで逃げて出たとういことでありますし、操機手は、ばりばりとガラスが破けてきたので、それで口にウエスをくわえて壁にひっつくようにして出てきたというふうな報告を受けておりますので、あるいはそういう操作ができなかったんではないかというふうに思うんでございますが、その辺の訓練はやることになっております。ただ、ドアを締めないでおったというふうなことは報告を受けておりますんですが、これらはやはり多少操練不足ではなかったかというふうに思います。この船も、調べてみますと、月に一回はちゃんと操練をやっておったようであります。けれども、それは、そういう最初と末端とが少し欠けておったんじゃないか。まん中の大事な、水を出したりなんかするような操練ばかりやっておった。まあ、どっちかといいますと操練が多少おざなりになっておったんじゃないかというふうに思います。
 それから、先生最後に御指摘の、膨張式救命いかだに実はオールもナイフもついておるわけでございます。ところが、それのあり場所がわからなかった。特に夜だったもんですから、それは海の上へぷかっとひもについて浮かぶようになっているわけでございますけれども、それがよくわからなかったようでございます。このことは、確かに膨張式救命いかだを開いて、最後のところまで訓練しなかった私は欠点だと思います。これも、実はこれにはここに一つ注を書いておりまして、膨張式救命いかだというのは、一ぺん開きますと、これをもう一ぺんたたみ直すのに専門家でないとす。そこで、これを随時、訓練をいたしますと、訓練した直後はもう航海ができない。数が少なくなりますから航海ができないというふうなことがありまして、これは入渠したときとかなんかに実際にふくらまして船員の訓練をやりなさいというふうな書き方に実はしておるわけでございます。
 それから、それだけではまだ不足でございますので、ミニラフトによるものをやりなさいというふうに書いてあるわけでございますが、これがこの船につきましては実はまだ行なわれていなかったことは確かでございまして、そういうことにかんがみまして、今度は特別操練につきましては、全部それを開かした操練を一ぺんやらすということをこの間指示したところでございます。
○原田立君 そこを言うんです、そこを。書いてある。書いてあったって、いまあなたも言うたけれども、これも新聞にも書いてあるんだよ。「運輸省で調べたところ、毎月一度の訓練は法規通りやっていたが、放水訓練などの簡単な訓練しかせず、肝心の消火器の使い方や救命ボートの扱い方なと実質的な訓練はしていなかった」――これじゃ何にもならないじゃないですか。そこでぼくは聞いているわけです。
 それから、大臣、もうあなた行かれるんだろうと思うけども、ちょっとさっきの話で聞き漏らしているんですが、この五月二十五日の新聞の報道によりますと、運輸省は四十六年の安全基準改正前につくられた中古の中長距離フェリーにも新造船並みの安全基準を適用させるよう至急法改正すると、こういうふうに新聞に出ているんですけれども、これはやるんですか。
○政府委員(田坂鋭一君) 消防施設あるいは脱出施設、救命施設等、今回の経験を加味いたしまして在来船にも遡及して行なうように考えております。
○原田立君 大臣、先ほどの話とちょっとまた繰り返しになるんですけどね、利子補給まではいかぬけれども、融資は何とかしましょうと、そのぐらいのことは、何か三十億くらいだからやりたいというようなお話がちょっとあったけどね、ほんとうに三十億ぐらいで旧型の船を新造船並みの安全基準ですか、それ三十億ぐらいの金できちっとできますか。ぼくはおそらくできなかろうと思う。三十億では足りないのじゃなかろうかなという気がするんです。だけど、これは三年も四年もかけてさあ整備しましょうなんという性格のものではなくて、いまかりに、いま約四百そうばかりあるんでしょう、カーフェリーが。それをどかんと早く整備しなければいけない、というためにも、もっと資金量が多く要るんじゃないだろうか。それから、この際大きな事故が起きる前にとっととっとやらしちゃう。そのためにも、みんな船会社は低利で運営しているんでしょうから、少しは交通安全というような立場からいっても、どんどん仕事がしやすいように利子補給ぐらいは考えてやったらいいんじゃないか。それぐらいやることが英断じゃないだろうか、こう思うんだけど、どうでしょう。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 利子補給の問題になりますと、これはなかなかかってにはできないわけです。予算を組み、それから、たぶんこれは法律事項だと思いますからね、急には間に合わないだろうと思います。これは実情を見た上でさらに考えましょう。ただ、三十億で足りないかどうかという問題ですね、それは私のほうの専門家が具体的に当たっておりますから、三十億あればやれるという見込みです。これは構造自身を、根本的に船の構造を変えようというわけではないんです。さっき船舶局長言いましたように、たとえば消火設備とか、今度のはエンジン・ルームを中心としての問題ですから、エンジン・ルームがかりに何かあった場合でも、それに対応できるような設備を整えようということですから、私は三十億でいけると思います。それから、これは非常に急いでやらなければなりませんけれども、一ぺんに四百隻とめて、日本じゅうの。それでドックへ入れるったって、これはドックがないですね。ですから、これはやっぱりさっき申し上げましたように、順次、たとえば検査の時期になったとか、何か修繕をしなきゃならぬという時期になったということで、なるべく最短期間をつかまえまして、そこで、これはやっぱり何日間かかかりますから、そこで最短期間にそういうチャンスをつかまえてそういう設備をさせようということでございます。あるいは今年度から来年度初めぐらいにかかるかもしれません。しかし、御安心いただきたいのは、いまの安全法関係の規則で絶対にあぶないんだということではないんです。さらに安全度を高めるためにはこうしたほうがいいということで、念には念を入れて安全設備の強化をするわけでございますから、現在の安全施設でも、先ほど保安庁長官から、こういう事故がありましたということを申しましたが、これがみんな設備の上、あるいは構造の上から出たものだけではございませんで、あなたの御指摘になったように、操練が、訓練が足りなかったとか、あるいは十分いろんな設備があってもそれを使いこなせなかったとかいうようなことでございますから、先ほど申し上げましたように、船会社もそれに対し責任を負う、それから船員にも船長がもっと訓練を徹底させるというようなことによりまして、このしばらくの間を、そういう設備ができますまでの間は、それで十分つないでいける。要するに、こういったものは人間の問題でしてね、動かしている人間の問題です。みんなが注意をしてやればそういうことにはならないだろうということで、われわれのほうも大いに努力はしますけれども、この「せとうち」の事件があったために、いままでの在来船、四十六年前のものがみな非常に安全の上で欠陥があるんだというふうに断定をされるには至らないものだと私は思っておるわけです。
○原田立君 ちょっと最後の大臣の話はそれはいただけませんよ。去年の、つくった安全基準から見れば欠陥船なんだということは報道されているし、たしか去年、行管でも欠陥船が動いているぞ、何とかしなければいけないぞと言っているんですからね。だから、必ずしも欠陥じゃないだなんというのは、ちょっとそれはことばを訂正してもらったほうがいいと思うんです。要するに、去年つくった安全基準から見れば欠陥、欠点があるんだと、その船は何とか早くしろと、こう言ってるんですからね。これはやっぱり欠陥があるんですよ。
○国務大臣(新谷寅三郎君) そういう意味なら、あなたの御質問のような、いま最後にお述べになったような意味に御解釈いだたいてけっこうです。それには私も反対ないのです。ただ、いまの、そういった四十六年前の分が、考え直してみて、非常にこれは安全上欠陥があるからそれで直すんだということでなしに、安全性は一応保たれております。しかし、さらに安全性を高める意味で、念には念を入れてこういう設備をさせるんですと、こういうことを申し上げておるわけですから。
○原田立君 最後にしますが、これはどこでやるんですか……、四十六年の、出した新基準ですね、これにのっとっての装備を完了するのは大体いつごろなんですか、それをお聞きして終わりにします。
○政府委員(田坂鋭一君) ただいま大臣から御答弁のございました安全基準の強化でございますが、問現在これを改造工事を行なう造船所の施設の題やら、またこのために必要な資材、設備、装備の供給の問題やらございます。そこで、大体私ども現在考えておりますのは、今年の十月以降一年間くらいでならばやれるんじゃなかろうかというふうに考えております。
○原田立君 十月以降一年……。
○政府委員(田坂鋭一君) はい、一年ぐらい。
○委員長(戸叶武君) 他に発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十五分散会