第072回国会 地方行政委員会 第1号
昭和四十八年十二月一日(土曜日)
   午前十時五十七分開会
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  委員氏名
    委員長        久次米健太郎君
    理 事         柴立 芳文君
    理 事         占部 秀男君
    理 事         河田 賢治君
                鬼丸 勝之君
                片山 正英君
                久保田藤麿君
                斎藤 寿夫君
                新谷寅三郎君
                高橋 邦雄君
                玉置 猛夫君
                増田  盛君
                安井  謙君
                秋山 長造君
                神沢  浄君
                戸叶  武君
                和田 静夫君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
                村尾 重雄君
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   委員長の異動
 十二月一日久次米健太郎君委員長辞任につき、
 その補欠として久保田藤麿君を議院において委
 員長に選任した。
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  出席者は左のとおり。
    委員長         久保田藤麿君
    理 事
                柴立 芳文君
                占部 秀男君
                河田 賢治君
    委 員
               久次米健太郎君
                斎藤 寿夫君
                高橋 邦雄君
                増田  盛君
                秋山 長造君
                神沢  浄君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
                村尾 重雄君
   政府委員
       消防庁長官   佐々木喜久治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
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  本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○地方行政の改革に関する調査
 (熊本市大洋デパート火災に関する件)
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○委員長(久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 この際、皆さま方に一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび委員長に選任されました久保田でございます。
 委員会の運営につきましては、皆さまの御協力を賜わりまして、円滑公正に行なってまいりたい所存でございますので、よろしくお願いをいたします。
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○委員長(久保田藤麿君) 委員の異動について御報告いたします。去る十一月二十六日、原文兵衛君が委員を辞任され、その補欠として新谷寅三郎君が選任されました。
 また十一月三十日、寺本広作君が委員を辞任され、その補欠として、私、久保田藤麿が選任されました。
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○委員長(久保田藤麿君) 調査承認要求に関する件についておはかりいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても地方行政の改革に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それでは暫時休憩いたします。
   午前十時五十九分休憩
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   午後三時四十二分開会
○委員長(久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 地方行政の改革に関する調査のうち、熊本市大洋デパートの火災に関する件を議題とし、関係当局から報告を聴取いたします。佐々木消防庁長官。
○政府委員(佐々木喜久治君) 去る十一月十六日の異動によりまして消防庁長官を拝命いたしました佐々木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 これから、熊本市におきまして去る十一月二十九日発生いたしました大洋デパートの火災について御報告を申し上げる次第でございますが、ちょうど火災予防運動のさなかにこのような大災害が発生いたしまして、多数の死傷者を生じましたことにつきましては、まことに遺憾に存ずる次第でございます。その内容につきまして御報告を申し上げるとともに、この火災によって得られました教訓を、今後の火災防止のために役立てていきたいというふうに考えている次第でございます。
 まず、その概要について御報告申し上げたいと思います。
 出火場所は熊本市の下通一丁目でございまして、これはちょうど熊本市における最も繁華街の地域でございます。出火の日時は十一月二十九日の午後一時十五分ごろと推定されておりますが、消防署に知らされました時間が、そこにございますように、一一九番によりまして一時二十三分に通報が入っております。鎮火いたしました時間が夜の九時十九分、約八時間延焼したわけでございます。
 建物の構造は、鉄筋コンクリート造の地下一階、地上九階――といいましても、大部分は地上七階でございます。地上九階の建物で、敷地面積が約三千百三十平方メートル、建築面積が二千四百平方メートルでございまして、延べ面積が約二万五百平方メートルでございます。
 その各階の用途は、資料のほうに書いてございますように、それぞれの階に売り場が設けられておるわけでございますが、ちょうど出火をいたしました場所が三階の呉服・寝具売り場の部分でございます。この建物は昭和二十七年に竣工いたしました、いわば戦後の鉄筋コンクリート造の建物であるということでございまして、それから、最近、本年になりまして増築計画がございまして、現在その増築の工事中であったわけでございます。
 それから死傷者は、昨日の六時現在におきまして死者百一人ということで報告をされておりますが、先ほどまいりました報告によりますと、この死者が百人というふうに訂正をされておりますので、この資料を御訂正願いたいと思います。ただ、その内訳が、百人になりました場合に、どの階で、また男女の性別の減がどちらになるか、これがまだ確定的でございません。それから負傷者の数が九十五人でございます。そうして、死者、負傷者とも女性の被害者が多いということになっておるわけでございます。
 それから出動いたしました消防車両は、熊本市の消防局――これは常設消防でございますが、消防局と消防団の車両は、これは全車出動でございます。さらに、隣接の市町村の応援協定によりまして、各市町村から救急車その他の車両が応援をいたしております。そのほかに、熊本県の警察本部並びに自衛隊からの応援がございまして、主として救急の作業をいたしております。それから日赤の熊本支部、これもほとんどが救急の業務でございます。さらに隣県の福岡県の久留米市の消防、それから筑紫の大宰府町からの応援がございます。その人員が、総計で二千六百九十五名、出動の車両が、ポンプ車で四十六両、はしご車が三両、救急車が二十九両、その他車両が百三十九両、ヘリコプターその他の航空機が十五機というふうになっております。
 それから救出の状況は、そこに書いてございますように、消防隊による救出が百二十一人でございます。屋上に出た者あるいは窓を破って出た者は大体救出ができておるわけでございます。そのほか、この建物は増築による工事がございましたし、さらにまた現在、消防関係のいろんな設備の増強のため、他の部分におきましても工事が行なわれておりまして、その工事のための足場が組まれております。その足場を利用いたしまして相当多数の人たちが脱出をいたしております。
 火災の状況でございますが、出火の場所は、二階から三階に上がります階段の踊り場付近というふうに推定をされております。この踊り場付近からなぜ火事が出たかということでございますけれども、ちょうどこのデパートが歳末の売り出しが始まりまして、商品が階段、踊り場付近にも相当積まれておった。その積まれておったところから火災が発生をしたというふうに見られております。そうしてまた特にこの三階の踊り場付近に積まれておりました商品が、呉服、寝具でございましたために、急激に煙が発生をし、また火も出たというようなことで、避難が非常に困難になったのではないかというふうに考えられております。
 それから、二階から三階の踊り場付近から火災が発生いたしました関係で、三階以上の階は全部焼損をいたしております。
 それから、その当時の気象の条件でございますが、天候は晴天でございまして、風がかすかに吹いておるというような状況で、湿度が三八%というふうに、湿度が非常に低かったために、その日は異常乾燥注意報が発令をされておったわけでございます。
 それから、このデパートの消防設備の状況でございますが、さきに御説明申し上げましたように、昭和二十七年の古い建物でございましただけに、消防設備の設置が非常に不備でございましたために、幾度か消防署からの改善命令が出されておったわけでありまして、ちょうどこの増築を機会に、いろいろな設備につきまして工事中であったわけでございます。それで、この日までに設備が終わりましたものは、そこに書いてございますように、消火器、それから屋内消火栓、それから連結送水管、放送設備、この部分までは一応工事は完了し、設置済みでございます。ただし、この火災の当日はこの設備は動いておりません。それから五番目からの、自動火災報知設備あるいは煙感知器、スプリンクラーの設備、避難器具、これが設置工事の最中であった。大体来年の一月末工事完了を目標にして工事が進められておったということでございます。
 それから、防火管理の状況でございますけれども、防火管理者は届け出をされておったのでありますけれども、消防局が指示いたしましたにもかかわらず、消防計画というものは作成をされておらなかったというのが現状だったわけであります。
 こうした火災の状況からいたしまして、私どもが問題点として考えましたのは、まず、第一が出火点の階段部分に衣類、寝具等の商品、いわば可燃物が多量に集積されておった。そのために火災が急激に延焼拡大をしていったと。それからまた、縦穴区画がまだなされておらない。したがって、この三階が呉服、寝具であり、それから四階が婦人服の売り場でありますために、この火災の延焼拡大をする条件が非常によく整っておったということが言えるだろうと思います。そのために、上の階にまで急速に拡大をしていったということが言えるようであります。
 それから二番目といたしましては、従業員による避難誘導というものが必ずしも適切ではなかったようであります。従業員の中にも、報告を聞きますと、相当数の従業員は、数人ないし十数人のお客をまとめて誘導しているという姿が下のほうから見受けられたそうでありますけれども、やはり従業員としましては、全体的にはその避難誘導必ずしも適切ではなかったようでございます。
 それから、このデパートは窓が相当あったわけでありますけれども、窓の部分にはほとんどの窓に商品だなが設けられてございまして、まず、窓のない建物とほぼ同じような状況であったわけです。そのために、窓からの救出活動がほとんどできなかった。そしてまた、この商品だなの部分というものは相当がんじょうにできておりましたために、被害者が外へ出るにしても、相当これは力のある者でないというと、窓を破って出ることができない状況にあったというふうに考えられます。
 それから、スプリンクラーの設備や、自動火災報知機の設備は、いま申しましたように、現在工事中でございまして、設置されておらなかった。そして初期の消火に失敗をし、しかも火災の報知がなされておらないというようなことが確認をされるわけであります。
 こういうような状況、問題点ということから、今後の対策といたしまして、私どもが早急に検討を要するものとして考えておりますものは、特にこれは建設省等とも協議をしてその対策を定めていかなけりゃならない問題でありますけれども、まず、百貨店等に対する措置としては、第一点が、可燃物の制限ということが一つ考えられるのであります。この階の面積に対して可燃物の量をどの程度までに制限をするかということは、技術的になかなかその限界を判定することがむずかしい問題でありますけれども、ある程度この可燃物の制限ということはやる必要があるのではないだろうかということを考えております。
 それから二番目が、売り場部分の通路というものをもう少しとっておく必要がある。そしてしかも、この通路を整理をして、この通路を利用した、たとえばワゴンセールといったような形で、通路に物を置いてまた売り場にしていくというような方式は、これは厳重に避けなけりゃならないというふうに考えておるわけでございます。
 それから三番目といたしまして、特に百貨店等について有効であるというふうに考えられておりますスプリンクラーの設備でございますが、これは実は新しい建物につきましては、その設置は義務づけられておるわけでありますが、既存の建物に対してこれは強制されておらないという点に問題があるような感じがいたします。そういう意味で、既存の建物についてもこの設備を義務づけるという点について、法令の改正が必要であろうというふうに考えております。
 それから四番目としましては、従業員の避難誘導というものについて、これをもっと強化をしていかなければならないだろうというふうに考えております。
 それから五番目としましては、排煙設備の基準というものを強化する必要がある。特にデパートの場合には可燃物が相当多いわけでございますので、避難上あるいは消防上、開口部というものについて、ある程度これは、最近の建物の傾向はこの逆の方向でございますけれども、やはり有効な開口部というものを確保する必要があるのではないかというふうに考えております。
 それから二番目には、建設省、特に建築基準法の改正の問題として、私どもの立場から要望しておきたいというふうに考えておりますのは、現在の建物を見ますというと、エスカレーターの部分なりあるいは階段部分というものが、火災のためのいわば誘導路になったり、あるいはまた煙が拡散するための通路になったりしている。こういうことで、この縦穴区画というものを、もう少し既存建物につきましても遡及適用させる必要があるのではないか。
 それからまた、いわば建物の空間を確保するというようなことで、ベランダあるいはバルコニーというものを、こういう多数人が集合する建物の場合には、これの設置を義務づける必要があるのではないかということでございます。
 それから三番目には、今回の火災でも問題だったと思いますけれども、非常階段というものを建物の内部に設置するのではなしに、外部に非常階段を設置をする、これをやはり既存の建物についても強制をするということを考える必要があるのではないかというふうに思っております。
 それから、消防体制の問題といたしまして、はしご車、排煙車、救助工作車等を増加をする必要がある、いわば装備の近代化をはかる必要があるというふうに考えております。今回の火災の場合には、建物の修理のための足場が組まれておりましたために、この足場を利用して大部分の人が脱出をすることができたということで、ちょうどはしご車が二台ありましたために、これによって老人あるいは子供を救助するということができたわけでありますが、それによって、まず外へ出た人はすべて救助したということで、救助能力には余裕があったわけでありますが、足場が、工事用の足場がなければ、おそらく現有のはしご車等の能力ではなかなか全員の救助は困難だったのではないだろうかというような感じがいたします。
 それから、救助技術につきましても、さらに一段の向上をはかる必要があるというふうに考えております。
 それから次の問題は、こうした法令等の改正を行ないますまでに当面とります指導といたしましては、ちょうど歳末の大売り出しを控えておりますために、いま百貨店の売り場におきましては相当な商品が出されておるわけでありまして、廊下なり階段なりの避難通路というものについては商品を置かないように指導していく。ざらに、防火管理体制の徹底をはかるというための予防査察というものを、年末を控えて強化をしていく必要があるというふうに考えております。
 さらに、百貨店以外の、たとえばスーパーでありますとかあるいは地下街というものにつきましても、同様に、防火管理体制の徹底をはかりますための予防査察というものを行なってまいりたいというふうに思っております。そうしたまた予防査察の結果改善すべき事項については、すみやかに是正措置を講ずるという必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。こうした是正措置に対する措置命令というものにつきましても、強く措置をとる必要があるだろうというふうに考えておるわけであります。この措置につきましては、今明日中にでも、各地方団体あてに通達を出すつもりでございます。
 以上のとおりでございますが、最後に、参考の表でございますが、この建物の平面図を次に掲げてございます。図面の右側の部分が増築部分でございます。そして、出火をいたしました場所は、この増築部分の反対側でございます。反対側のほうから出火をいたしております。そして、この増築部分の工事が、ちょうど五階のところまでコンクリートが打たれておりましたために、五階におった人たちは、この増築部分に脱出をした人と、それから旧館と書いてありますのが――上のほらに旧館とありますのがこれは事務棟でございますが、この事務棟に渡り廊下があったために、この二つを利用して五階の人は避難することができた、そのために五階には死傷者がほとんどなかったというような状況でございますので、これらも、ひとつ今後の防火対策上の参考にする必要があるだろうというふうに考えております。
 なお、デパートの断面図をまた次のほうに掲げてございます。これは一応参考でございます。
 以上、簡単でございますが、御報告申し上げる次第でございます。
○委員長(久保田藤麿君) 御質問はありませんですか。――特に御質問がございませんなら、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会