第072回国会 予算委員会 第13号
昭和四十九年三月二十日(水曜日)
   午前十時十四分開会
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   委員の異動
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     木村 睦男君     寺下 岩蔵君
     梶木 又三君     中村 登美君
     前川  旦君     沢田 政治君
     柏原 ヤス君     小平 芳平君
     中沢伊登子君     藤井 恒男君
     春日 正一君     星野  力君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         鹿島 俊雄君
    理 事
                片山 正英君
                嶋崎  均君
                西村 尚治君
                細川 護煕君
                吉武 恵市君
                小野  明君
                加瀬  完君
                矢追 秀彦君
                木島 則夫君
    委 員
                今泉 正二君
                小笠 公韶君
                大竹平八郎君
                熊谷太三郎君
                黒住 忠行君
                小山邦太郎君
                古賀雷四郎君
                塩見 俊二君
                高橋 邦雄君
                竹内 藤男君
                玉置 和郎君
                寺下 岩蔵君
                内藤誉三郎君
                中村 禎二君
                中村 登美君
                濱田 幸雄君
                原 文兵衛君
                米田 正文君
                上田  哲君
                神沢  浄君
                沢田 政治君
                辻  一彦君
                戸叶  武君
                羽生 三七君
                宮之原貞光君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
                沢田  実君
                渋谷 邦彦君
                藤井 恒男君
                須藤 五郎君
                星野  力君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       内閣総理大臣   田中 角榮君
       国 務 大 臣  三木 武夫君
       (環境庁長官)
       法 務 大 臣  中村 梅吉君
       外 務 大 臣  大平 正芳君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   中曽根康弘君
       運 輸 大 臣  徳永 正利君
       郵 政 大 臣  原田  憲君
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
       建 設 大 臣
       国 務 大 臣
      (近畿圏整備長
       官)
      (中部圏開発整
       備長官)
      (首都圏整備委
       員会委員長)   亀岡 高夫君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
      (国家公安委員
       会委員長)
      (北海道開発庁
       長官)      町村 金五君
       国 務 大 臣
      (内閣官房長官)  二階堂 進君
       国 務 大 臣
      (総理府総務長
       官)
      (沖繩開発庁長
       官)       小坂徳三郎君
       国 務 大 臣
      (行政管理庁長
       官)       保利  茂君
       国 務 大 臣
      (防衛庁長官)   山中 貞則君
       国 務 大 臣
      (経済企画庁長
       官)       内田 常雄君
       国 務 大 臣
      (科学技術庁長
       官)       森山 欽司君
   政府委員
       内閣法制局長官  吉國 一郎君
       内閣法制局第一
       部長       角田礼次郎君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    伊藤 廣一君
       公正取引委員会
       委員長      高橋 俊英君
       行政管理庁行政
       管理局長     平井 廸郎君
       防衛庁参事官   大西誠一郎君
       防衛庁長官官房
       長        丸山  メ君
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛庁人事教育
       局長       高瀬 忠雄君
       防衛庁衛生局長  鈴木 一男君
       防衛庁経理局長  小田村四郎君
       防衛施設庁長官  田代 一正君
       防衛施設庁施設
       部長       平井 啓一君
       防衛施設庁労務
       部長       松崎鎮一郎君
       経済企画庁調整
       局長       青木 慎三君
       経済企画庁物価
       局長       小島 英敏君
       科学技術庁原子
       力局長      牟田口道夫君
       科学技術庁原子
       力局次長     伊原 義徳君
       科学技術庁原子
       力局次長     生田 豊朗君
       環境庁大気保全
       局長       春日  斉君
       沖繩開発庁総務
       局長       岡田 純夫君
       沖繩開発庁総務
       局経理課長    和田 善一君
       法務省入国管理
       局長       影井 梅夫君
       外務省アジア局
       長        高島 益郎君
       外務省アメリカ
       局長       大河原良雄君
       外務省条約局長  松永 信雄君
       外務省国際連合
       局長       鈴木 文彦君
       大蔵大臣官房審
       議官       大倉 眞隆君
       大蔵省主計局長  橋口  收君
       大蔵省関税局長  大蔵 公雄君
       大蔵省理財局長  竹内 道雄君
       大蔵省銀行局長  吉田太郎一君
       大蔵省国際金融
       局長       松川 道哉君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省薬務局長  松下 廉蔵君
       厚生省児童家庭
       局長       翁 久次郎君
       農林大臣官房長 大河原太一郎君
       農林省構造改善
       局長       大山 一生君
       農林省農蚕園芸
       局長       松元 威雄君
       農林省畜産局長  澤邊  守君
       農林省食品流通
       局長       池田 正範君
       通商産業審議官  森口 八郎君
       通商産業省貿易
       局長       濃野  滋君
       通商産業省生活
       産業局長     橋本 利一君
       資源エネルギー
       庁長官      山形 栄治君
       資源エネルギー
       庁石油部長    熊谷 善二君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    高木 俊介君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  岸田 文武君
       運輸大臣官房審
       議官       原田昇左右君
       運輸省海運局長  薗村 泰彦君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省航空局長  寺井 久美君
       郵政大臣官房電  浅見 喜作君
       気通信監理官
       郵政省貯金局長  船津  茂君
       郵政省電波監理  齋藤 義郎君
       局長
       労働省労働基準  渡邊 健二君
       局長
       労働省職業安定  佐藤 嘉一君
       局失業対策部長
       建設省道路局長  菊池 三男君
       自治大臣官房審
       議官       近藤 隆之君
       自治省財政局長  松浦  功君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        藤井松太郎君
   参考人
       日本銀行総裁   佐々木 直君
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  本日の会議に付した案件
○昭和四十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十九年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十九年度政府関係機関予算(内閣提
 出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十九年度一般会計予算
 昭和四十九年度特別会計予算
 昭和四十九年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 三案審査のため、本日、日本銀行総裁佐々木直君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(鹿島俊雄君) それでは、前回に引き続き、小野君の質疑を行ないます。
○小野明君 委員長、議事の進行について。
 あえて自席から発言をするわけでございますが、総理、われわれはけさも十時きっかりにはこの席に着いてお待ちをしておりました。十五分おくれておるわけです。さらに昨夜は私が質問に当たっておりましたが、あらかじめ理事会で、きょうは総理が、治療に最近行っておられないので、六時ごろから治療に行くので、ひとつ予算委員会のほうは六時ごろでおやめいただけないだろうかと、こういう自民党からの要請がございました。で、私どもとしましてはこれは人道問題だということで、治療に行くことまで妨害をしてはならぬだろうと、非常に好意的に解釈をいたしまして、私が質問に当たっておりましたが、あえて六時十分で終わったわけであります。で、私はその後総理の日程は、当然これは病院に行かれるかあるいは自宅かで治療なさっておるものと、このように解釈をしておりました。またわが党の各委員にも、私が質問をやめたのは総理の治療の日程だと、こういうことを説明をいたしておきました。それで了解を求めておりました。ところがけさの新聞を見ますと、昨夜は治療をやめてそうして財界との懇談会ですか、何か吉兆会とかなんとかいう会に出られておるということが出ております。完全にこれは私どもはだまされた。これはこういうことでは私どもまともに与党の理事の言うことを信用できぬ。けさほども理事会できびしく追及をいたしておったわけであります。この点について総理の釈明を願いたいと思います。
○委員長(鹿島俊雄君) 内閣総理大臣。
○国務大臣(田中角榮君) まず第一番目に、本日の遅刻に対してはおわびをいたします。商工会議所の年次総会がございまして、そこで物価問題その他に対して所感を述べたわけでございますが、私は九時半から述べるという予定であったものが、九時半には先着の中曽根通産大臣がやっておりまして、九時四十分ばかりになったわけでございます。まあそれから述べておって時間が間に合うと思ったら、交通ふくそうのためついに遅刻でございまして、これはおわびをいたします。
 第二の問題、昨日の御配慮は感謝をいたします。御配慮に対して御配慮に沿うような行動をしなかったということに対しては、事情いかんにかかわらずおわびをいたします。しかしこれは事情を申し述べておきたいと思う。私はいま顔面神経炎というのがございまして毎日神経ブロックに通っておるわけですが、神経ブロックというのは約一時間半かかるわけでございます。往復入れると二時間ちょっとかかるわけです。ですから、五時までには何とか国会の審議をひとつ終わってもらいたいということを前から述べておるのでございますが、なかなかそういうわけにまいらなかったわけでございます。これは自分のことよりも国会第一に考えなきゃいかぬわけでございます。だから、そういうわけでございますから、それはもうやむを得ざる場合には診療を中止してもいいということを考えておったわけです。まあいつも私が五時、六時になりますので、六時前でないと、八時ぐらいまで管理職だけでもってやってもらっておるというような診療の状態なわけでございます。そのために相当な人に迷惑をかけるわけでございますので、きのうまあ六時前なら、私ももう三日ばかり休んでおりますから、また、相手方の先生が出張するということでございますので、きのうはどうしてもやりたいと思っておったわけです。おったんですが、雨が降ったのと、十分か十五分でございますが、それは終わる時間になると相当違うわけです。そうするとまあ八時過ぎまで先方側を待たさなきゃいかぬということで、向こうに問い合わせをしましたら、まあ都合がありますのでできればあしたでもお願いできればということでありましたので、じゃあまあ御迷惑かけると悪いので、ということで、雨が降っておってなかなか道が込んでおるということで、片道三十分以上かかると、こういうことで向こう側と打ち合わせの結果、先方の都合もありましたので、きのうの診療は取りやめたということでございます。ですから、取りやめたときに理事を通じて小野さんにでもちゃんと御連絡を申し上げて、こういう都合で取りやめましたということを申し上げればよかったと思いますが、配慮に欠けたということはおわびいたします。きょうからもう診療など考えないで、国会十時まででも答弁いたしますから、ひとつそれで埋め合わせということでごかんべんいただきたい。
○小野明君 いや、総理ですね、われわれも無理を言っておるわけじゃないんですよ。正直に日程を言っていただければそれはわれわれも了解をするにやぶさかでない。昨日もそのとおりであったんですが、何と、そういうほかの、財界との懇談、こういうようなことが新聞に出されると、われわれも委員諸公等に対しても申しわけがないものですから、あえて忠言を申し上げたわけです。
○委員長(鹿島俊雄君) 小野明君。
○小野明君 通産大臣にお尋ねをいたしますが、八千九百四十六円に石油価格の指導価格がきめられたわけですが、これはバーレル何ドルの計算になりますか。
○政府委員(山形栄治君) 八千九百四十六円といいますのは、原油価格とそれからいわゆる経費との合成されたものでございます。これが二つに、大きく言うと分かれておるわけでございます。原油価格だけで申し上げますと、一万二千四百八十九円でございます。これはちょっと補足いたしますと、四十八年上期をわれわれはベースに置きまして、四十九年の上期、四‐九がどういうふうに動くかという前提でその差額を出した計算をいたしたわけでございます。その場合にわれわれは平均法をとっておりますので、古い油と新しい油のいわゆる平均をとりまして、四十八年上が五千三百二十八円、これは実績でございますが。これに対しまして四十九年の上が一万七千八百十七円、この差額の一万二千四百八十九円を置いたわけでございます。バーレルで申し上げますと、若干端数が計算がむずかしいわけでございますが、上の五千三百二十八円は当時の円レート等も前提にしまして、バーレルで三ドル強でございます。それから一万七千八百十七円は、バーレルで言いますと十ドルぐらいだと私は思いますが、ちょっとここにバーレル書いてございませんが、ほぼ十ドル見当のものでございます。
○小野明君 そうすると、二百九十円レートで計算をしたものはバーレル十ドル、輸入価格ですね、実勢ですが。バーレル十ドルと、十ドル多少はねるんではないですか、そこを聞きたいのです。
○政府委員(山形栄治君) もう一回申し上げますと、四十八年の上期のいわゆるC−Fの平均の実績が五千百九十二円で、これはバーレル三ドルでございます。それからやはりC−Fの四十九年上の一万九千二百八円というのはバーレルで十ドル五十三でございます。ただわれわれのほうの計算のやり方は、これを在庫評価をいたしまして、古い油と新しい油でやりましたので、この一万九千二百八円というのは一万七千八百十七円になるわけでございますが、これがこのままで二百九十円で計算しますと、古い油が入っておりますので、九ドル七十セントぐらいに相当するわけでございます。
○小野明君 通産大臣にお尋ねをいたしますが、次の問題ですが、石油業界を再編成をする、これは六日をめどに準備を進めておられると、こういうことですが、国会ではまだ何ら明らかにされておりません。その辺のことを御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 再編成するということを前提にしてものをいまは考えておりません。総合エネルギー調査会にいま今後のエネルギー対策を諮問しておりまして、その中には石油、石炭、原子力、水力、おのおのが入るわけでございます。その中で石油に関する部分でいろいろ答申が出てくると思いますが、その答申を拝見いたしまして政府としては考えていこう、こう考えておるわけで、まだ前提を持っておるわけではございません。
○小野明君 再編成とは別に、これだけ行政指導というものが入るならば、また油の重要性を考えるならば、いわゆる輸入の一元化、輸入公団というようなものを考えてしかるべきではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近の趨勢を見ますと、特に昨年来食糧と石油というものが国際政治の戦略的道具として使われてきておるようです。特にアメリカ等においては食糧がそうでございますし、ソ連においてもそうでございます。また石油自体がOAPECの石油世界戦略の道具として使われておる。そういう情勢を見ますと、従来どおりの考えで石油というものを取り扱っていいかどうかは、これは情勢の変化に応じて大いに慎重に考えなきゃならぬ要素がございまして、そういう要素も加味しながら石油政策を将来考えていくべきであると考えます。
○小野明君 私の質問にまつ正面から答えていないと思うのです。それでまあ石油戦略、メジャーとの交渉力あるいはDDオイルの増大、これら考えますと、当然国策として私が申し上げた点が必要になるのではないかと、この辺からまっ正面からひとつ答えていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油にはいま二つの要素がございまして、いまおっしゃいましたDDオイルの処理、二国間協定取引という問題の要素とメジャーズを相手にする安定的供給の面と二つございます。で、DDの部分については、かなり政治的要素がありまして、国際政治の要因が含まれておりますが、メジャーとの関係というものはコマーシャルベースで長期安定供給という面がございます。この二つの違った要素をどういうふうにコンバインしていくか、DDとかバイバックという、特にDDの部面については日本の石油業者や商社が殺到して、国際入札の場合に秩序を乱すという可能性、あるいはさらに、日本のある意味における計画的な経済協力性というような面からある程度交通整理をする必要がある情勢であると思います。そういう面からDD等の問題を中心にしては国が何らかの形で交通整理できるような形に持っていくことが適当ではないかと、そういう点からは石油公団等が活用さるべきではないかと。で、今度法律の改正をお願いいたしまして、石油公団はいままでほとんど融資しかできませんでしたけれども、民間に対する融資でございますが、今回は相手が国営石油会社である場合には、その企業に対しても石油公団が融資できると、そういうところまで前進してきております。われわれはさらに、石油公団が利権を獲得できるとかあるいは油を買うことができるというところまで実は進めたいと思っておりました。しかしこれは政府内部において必ずしも調整ができませんでしたので、いまはその辺でとどまっておるわけでございますが、私個人の考えとしては、その程度まで石油公団が伸びていって、ある意味において交通整理の一端を果たせるようにするほうが適当ではないかと考えております。
○小野明君 この点について今度の八千九百四十六円をきめるにあたっても、それぞれの業者が輸入原価を公開をしたかどうかという点に疑義が持たれるわけです。いまの通産大臣の御答弁もありますが、総理の御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 輸入原価の公開をしたくても、これは通関でもって全部政府がわかっておるわけでございます。ですから、古いオイルが幾ら入っておって、それから輸送途中のものが幾らあって、在庫が幾らあるということがわかっておりますし、新しく値上げをしたものはいつから入ってきておるということでございますので、古いものが何月何日になれば使い切ると、で、何月何日からは新しい原油に切りかわるということで、石油は非常に単純な経路でございますので、他の商品の原価計算をするのと違いまして、石油の原価計算というのは比較的に簡単にできるということでございまして、今度は新旧のものを全部合わせて数字を調整したわけでございます。でございますし、あと出しとか先出しというやり方があるということは各国でやっておるわけでございますから、これはいずれをとるかということは業界でも議論がございます。政府部内でも議論がありましたが、いずれにしても高くなることでありますから、入ってきたときからもう古い原油も全部新しい価格に切りかえて、長い間に調整をするということよりも、結局安いものを全部使い切ったときから新価格に移行すべきだと、新価格を行政指導価格として決定する場合には、先取りをしてもうけたものもありますから、そういうものも全部計算をして差し引いて、少し赤字が出ても他に政府が融資をするとかいろんな道があるわけですから、そういうことでカバーしても物価安定に寄与すべくより低い数字を押えるべきだと、こういうことで計算をしたわけでございますので、政府の計算は業界では不満があっても、国民の生活を守る、物価を抑制するという立場からは至当な計算方法であったと、このように考えております。
○小野明君 輸入の一元化についてはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) それはまあ通産大臣述べましたとおり、今度石油公団がいろいろ事業拡張するようになりましたが、これは石油開発公団に買油までやらせるかどうかという問題もいま問題になっておりますし、われわれも考えたわけですが、まあもう少したってからでないと、これは特にDDオイルというようなものに対しては買い手があるとだんだんだんだん高くなるということで、メジャーからの相当な反対もありますし、日本が石油を全部買うということになれば、政府が買ったものと、今度低い価格で押えられた民族系の石油会社というものとの間にはちゃんとした差が出てくるわけです。それでもその差は全部補てんしなきゃならぬというようないろんな問題も起きますし、いまの段階においてDDオイルを主体にしてどうしてもやっていかなきゃならないという見通しに踏み切るわけにいかないんです。これはやっぱりOAPECの会議を待ったり、アメリカとの対米禁輸は早くやめますと言ってからもう一カ月間、われわれが入手した情報よりも一カ月もおくれたわけです。なお開発途上国側から非常に輸入価格が上がるために経済計画そのものがもう一年間も全くだめになってしまう、何年ぶりかでやっと十億ドル、十二、三億ドルと思った手持ちの外貨も半年を待たずしてゼロになってしまう、そういうような問題がありまして、消費国と産油国だけではなく、言うなれば国連でもって石油問題も問題になるというような情勢でありますので、まあここで一つの方向を確定をして、そして国で石油まで買いつけるということに踏み切るということは影響が非常に大きいので慎重にやっているということでございます。しかし備蓄をしなきゃならないということになると、これは備蓄問題には当然国が参画するわけです。備蓄も国内の備蓄の問題もありますし、いわゆるロンボクの国際的な、言うなれば消費国、産油国合わせてのジョイントベンチャーによる投資ということも現に計画が進んでいるわけですから、そういうようなものとの、バランスをとりながら踏み切らないと、やっぱりどっちに踏み切るというのは時期尚早だということでございまして、もうしばらく状態を見るということでございます。
○小野明君 次の問題にいきますが、物資の価格凍結、特に五十三品目でありますが、これはいつまで行なうつもりであるか、見通しをお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 当分の間ということにいたしておりますが、私どものその心は、当分の間というものは一カ月でも二カ月でも三カ月でもございませんで、今日の物価上昇の傾向が鎮静するまでの間を当分の間と見ております。しかしそれはまた一年も二年も先になる、いつまでもとも私は考えませんので、やはり総理が言われますように、この夏ごろまでには物価は鎮静をさせる努力を内閣全員でやれと、こういうことにもなっておりますし、また客観的情勢もそういう方向へ行っておりますので、もうしいで心を言えばその辺の時期ということになるのではないかと思います。しかし、これはまたものによってもいろいろ違うものと正直のところ考えます。
○小野明君 そうすると夏ごろまでというめどだと言われるわけですね。それで長官にお尋ねしますが、いま卸が三七、消費者物価が二四ぐらいですね。当然これは三ヵ月ぐらいのタイムラグで押し上げてまいりますが、この夏までに鎮静をする見通しがあるのかどうかお尋ねします。
○国務大臣(内田常雄君) これは小野さん御承知のように、昨年から物価上昇の経緯を私どもが振り返ってみましても、物価が一番よけい上がりましたのは卸売り物価でございます。いま申されましたように、卸売り物価が三七%、この二月を昨年の二月に比べてみますと。消費者物価のほうはそれよりも低いところで二四%と、こういうようなことでございます。これは世界的にもそういう動きをいたしております。私どもが今年度、と申しますのは四十八年度でございますが、四十八年度の経済見通しを昨年の一月に立てますときには、実は卸のほうを二%ぐらいしか上がらない――これは例年そうでごさいました。消費者物価のほうがそれの倍以上の五・五%ぐらい上がるという、その当時の――これは今日から見ると、とんでもない世の中を平静に見過ぎた見通しであったと思いますが、それが一年たった今日では、両物価指数は逆になりまして、卸のほうがよけい上がっている。小売りのほうは、上がったことは上がったけれども、上がり方が少ない。こういう状況でございますが、それが、この二月で見ますると、卸のほうが鎮静をいたしてまいりまして、卸は、簡単に言うと、ほとんど実は実質的には二月は上がりませんでした。しかし、消費者物価のほうはなお若干上がっておるわけでございます。そこで、卸が上がれば当然そのあとを小売りが追うわけでありますが、卸が鎮静すれば、また小売りもそのあとを追って鎮静するということでございますし、現に今度の石油製品の値上がりの配分等におきましても、御承知のように、石油製品のナフサでありますとか、あるいは重油とか、軽油とかいうような、卸部門に影響するものはいろいろございますけれども、小売りと申しますか、消費者物価に影響しますものは、灯油とかLPGガスのほかはガソリン。灯油、LPGガスというものはそのままの価格を維持いたしますし、上がったものは消費者物価ではガソリンということでございますので、卸がここまで落ちついてまいり、私どもが消費者物価を押し上げないような政策努力をいろいろの面についてやりますので、私は、卸も消費者物価も、先ほども申し、また小野さんがお尋ねになりました夏ごろまでには、両方含めて鎮静化の方向に持っていけるのではないか、またそういう努力をぜひやりたいと、こういうことでございます。
○小野明君 総理にお尋ねしますが、この五十三品目は夏ごろまで価格凍結を行なうと、このように理解をしてよろしいんですか。
○国務大臣(田中角榮君) 物価鎮静までということでございますから、まあ夏を目途にしておるわけです。ですから、夏ごろまで物価が押えられないという御議論もございますが、私は夏ごろをめどにして、物価が正常な状態、ノーマルな状態と思われるようなところまで抑制をしたいということでありますので、それは物価の抑制がされるという時点までですから、夏ごろまでと理解していただいていいと思います。
○小野明君 そうしますと、凍結を解除したときに物価が急反騰してくる、こういう状況が、まあ、さしあたって電力等が考えられますけれども、そういう状態になって、始末のつかない大狂乱状態と、こうなるんではありませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 大狂乱状態にはいたしません。そういうおそれがあれば、いずれにしても解除いたしません。
○小野明君 五十二品目のこの物資の凍結でありますが、これは個々によってそれぞれ違うと思うんですが、事前了承制をとられた。事前了承制をとったということは、逆に値上げの公認を認めると、こういうことになるのではないかと思います、いまの物価の反騰の力から見ましてですね。すでにセメントやエチレン等四月から上げるんだと、こういうことを言っておるようです。かえってお墨つきをもらったと喜んでおる向きもある。この点は通産大臣いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは物価をできるだけ抑制しよう、そういう考えに立ちまして、まず石油関連製品、つまり石油の親類に近いもの、まずこれを押え込む。それから生活関連物資でわりあいに国民の皆さまの生活に響くもの、こういうようなものにつきましてできるだけ抑制するという意味で、もし上げる場合には、通産省あるいは主務官庁の了承を求めてください、そういうことを個別的に要請して、その了承を得て協力をいただいておる。そういうことで、われわれとしては、統制経済に移行するとか、いわゆる公定価格制度をできるだけ回避して、品物をできるだけ豊富に店頭にそろえて、市民の皆さんの不安感を起こさせない。何といっても物価問題の基本は、品物が豊富にあるという安心感にあると思うのです。そういう意味において、ぎしぎししたやり方をやりますと、必ず品物が店頭から消えていく。そういう戦時中の苦い経験にもかんがみまして、事前承認制というソフトなアプローチでやったものでございます。
○小野明君 スーパーとか、小売り段階の百四十八品目も凍結を要請しておられますね。五十三品目と合わしてこれらを選ばれた選択の基準といいますか、そういうものはいかがなものでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは石油及び石油の親類に属するような近いもの、それから、それから波及していっていわゆる庶民の生活に響くもの、そういう意味におきまして家庭用品、たとえば衣料品とか、あるいはフライパンとか、ああいうものに至るまで、家庭のすみずみまで考慮して値上げを抑制することしかるべしという考えに立ちまして、大体市民の皆さまの生活本位という意味で対象を選んだ、それが百四十八であったと思います。
○小野明君 凍結の価格指導が、商品ごとに所管官庁が独自の判断で行なうようになっております。そこでそれぞれの省と所管をする物資、その関係で統一された指導基準というか運営基準がございません。そこでかってに主務省が業界の圧力に負けてそれぞれ各個ばらばらにやってしまう、そういう判断でやる、こういうおそれが出てくるのではないですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) この点は、経済企画庁において全般的な目張りをして、各省に対する目張りをして調整していただく考え方でおります。主務庁が単独でやらないんで、経済企画庁を中心にして、やはり関係各省の関係首脳部が集まっていろいろ相談をしてから考える、そういう措置をやる予定であります。
○小野明君 そうすると、企画庁がそれらにアグレを与える際の運営の基準というようなものは、どういうものがございますか。たとえば、すでに十二月段階で春闘分あるいは油の値上がり分も含めてもう先取りしたと、こういうふうなものの判断もあると思いますが、お聞かせいただきたいと現います。
○国務大臣(内田常雄君) 先ほどお尋ねもございましたが、やむを得、ざる場合には事前の了承をもって値上げを認めるということは、お墨つきを出したというつもりは全くございません。いまのところは全部押え込む。しかし、それはその当分の間の過ぎるごろまでの間に一定のお尋ねのような基準に合うような事態が生じた場合に初めて認めることになりましょうから、いまのところ必ずしも各省がきっちりした基準は設けておりませんけれども、いま私どもが考えておる、各省と打ち合わせ中の大ざっぱな線を申しますと、お尋ねのとおり先取りなりがございまして、その間に石油製品の値上げをはさみ込んで十分余裕があるというようなものは、もちろん事前了承はいたすつもりはございません。また、企業努力等につきましても、その同種の事業等を分析いたしました結果によりまして、企業努力によって、一そうの企業努力によって吸収できるというようなものも事前了承はいたしません。さらにまた、物資の需給関係というようなものも影響がございましょうから、その際の需給の状況等、いろいろなファクターを総合的に集めました基準をつくるべく先般来事務当局がせっかく打ち合わせ中でございます。
○小野明君 いまの御説明では、柱がわからぬわけですね。どれだけ先取り値上げしたか、この点はわかりましたが、需給状況、その柱をもっと整理をしてひとつお答えいただけませんか。
○国務大臣(内田常雄君) そういうことでございまして、私がここで私の頭で考えていることなきにしもあらずでございますけれども、粗雑なお答えを申し上げますよりも、現にこれは当分の間において各省がきっちりきめてまいろうということで、せっかく検討中でございます。きのうあたりの一部の新聞にも、各省間でその辺の考え方の足並みもそろっておらないと、摩擦もあるというようなことさえも載っておったようでございますが、そういうこともないようでありまして、通産大臣も言われましたように、自分のほうはかってなことをしないと、農林大臣もかってなことをしないから経済企画庁で音頭をとってやってくれと、こういうことになっておりますので、これ、きっちりきまる時期も遠からずあると思いますので、できます事態のもとにおいては、あらためて他の委員会等で小野さんにお答えをいたし得るかとも思いますが、大ざっぱなところは先ほど申し上げたとおりでございます。
○小野明君 総理、これはまことに大ざっぱな話なんで、もうすでにセメントとかエチレンのように、三月はいいけれども四月から上げるんだと、もう公表しておるところもあるわけですね。ですから、きっちり押えるなら押えるということで、それぞれ各省との癒着、こういうようなものは許さないと、こういうことで、ひとつかっちりした方針を承りたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) とにかく、いまの行政指導価格というものは、高値安定ということではなく、いまのものをそのまま認めたというんではなく、やはり先取り値上げとかいろんなものを全部積算をして大体いまの値段に押えると、こういうことにしたわけでありまして、石油価格を低く押えたと同趣旨に出るものでございます。しかし、これからいろんな――石油が現に上がった、石油だけならまだあれですが、これから春闘もありますし、それから電力などは、これは現にいま抑制すると言っておりますが、こういう問題とか、いろんな未確定要素が固まってきて、だれが計算してもここまでは上がりますと、これはもういままでの便乗値上げその他全部吐き出してもなお赤字で倒産でございますというような数字が出てきて初めて主管官庁に申し出るわけであります。申し出ても、それは癒着なんということはありません。これは経済企画庁に物価局をつくってもらっておるわけでありますから、これはもうそういうことはございませんし、特に政府・与党の間でも、国民生活安定のための物価対策本部をつくっておるわけでありますので、これは上げることにみな反対なんです。大体原則的に反対なんです。あなたと同じことなんです。物価を押えなきゃどうにもならぬというのが、大前提のかんぬきが入っておりますから、今度はもう、もっと安定をさせ、下げさせたいと、こういうことが大前提にございますから、いまの行政指導価格を改定するときにはよほど慎重でないと、小さいものを上げてもたたかれるわけですから、それはもうほんとうに真にやむを得ないものでなければ考えないということで御理解いただく以外にないと思います。
○小野明君 それで、まあアメリカの所得政策では、見てみますと、逆に生産サボ等が行なわれた例もあります。したがいまして、この凍結によって物不足が生ずるのではないか、すでに石油業界はサボでいこうじゃないかというようなささやきもあるやに承っております。その点の危倶はありますが、通産大臣いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今度の計算の基礎には約キロリッター二百五十円の利益を見込んでやっておるわけです。それでもしかしいわゆる民族系は赤字になる。きのう申し上げましたように、過去六期の平均利潤が三百四十七円、それをさらに二百五十円まで切り込んでおる。昨年の上半期の平均五百円ぐらいの利益は二百五十円に査定して、その上半期の二百五十円は吐き出させたと、それに下半期の六百五億円も吐き出させたと、こういうわけで、石油業界はほとんど鼻血を出すというところまで払い出してきていると私は見ております。したがって、そういう意味では、原油の価格を石油業者は低くきめられたというて非常に不平であるようにわれわれも情報で聞いておりますけれども、しかし、ここはがまんしてもらうところで、やはり国民感情から見ますと、昨年あれだけみんなが苦しんでおるときに先取り値上げで便乗利益を得たということは、まだなまなましい事実でもあって、国民感情はそう簡単に消えるもんじゃありません。その人たちが国民全体が納得するような線をどうしてつくるかという点、これ、一番われわれが苦労した点であります。それと同時に、あまり低くし過ぎるというと、メジャーから原油の供給が来なくなる。損するところへ油なんか送る外国の資本はありません。それで、それがまた起きては困る、その国民感情と原油の安定供給との接線をどの辺に見込むかということで、十八日の八千九百円という判断を下したということであります。まあぎりぎりの線をいっていると思いますから、苦しいとは思いますけれども、国民の皆さんもあれだけ去年の秋からことしにかけては苦労なすったんですから、石油業者もやっぱり苦労をしてもらうべきだ、政府のほうも、鉄道運賃とかあるいは米の値段についてはともかく相当なお金を出して秋まで繰り延べて政府も苦労しておる。まあ三方一両損と申しますか、業者も苦労する、政府も苦労する、国民の皆さんも御苦労願う、ここでこの嵐を切り抜けていこう、そういうことでありますから、石油業者もいままでのような考えにそのまま漫然と乗らないで、新しい考え方に立ってスタートしてもらいたいと私たちは思っております。
○小野明君 まあ私は、この凍結によって物不足が生ずるんではないか――石油はお話のような問題があります。それは、たとえば輸出物資の扱いが抑制の対象になっておりませんですね。すでにこういうことがあるもんですから、合成ゴムあるいは鋼材、石油化学業界は、輸出にドライブをかけて、国内にはあまり出さぬ、こういう心配がすでに出ております。それから中小企業製品が多いんですね、わりあい抑制しておる中に。こういうものから逆に品不足という状態が起こるんではないか、こう心配しておるのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) この抑制が適切でない場合には、そういう危険性が確かに起こると思います。しかし、大体において便乗値上げをしだ品物もございますし、それから去年の秋からことしの正月ぐらいにかけては流通段階ではかなりもうけていると思われる面もありますし、まあしばらくの間だからそういう預金までひとつ引き出してもらってがまんしてもらうと、それで市民一般と同じようにこの際は御苦労願うと。経済というものは単に利潤追求だけじゃなくて、社会的責任とか良心というものを反映しなけりゃいかぬと思うのです。そういうような新しいスタートをやっていただくように私たちは行政指導をしたいと思いますが、著しい不均衡が出てきて品物が出なくなったというものについては、原因を究明いたしまして、その正当なる理由に対してわれわれは適切な処置をやらなきゃならぬと思います。
○小野明君 すでにそのあらわれは、鋼材の輸出が二一・七%増ということで、外に出ていくという徴候が出ているわけですね。その他石油価格等もかなり輸出で逃げていくというところがあらわれていると思うのです。これらについて、当面どういう手をお打ちになるのか、これを御説明いただきたいと思うのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) われわれは自由経済論者でありますから、輸入についても輸出についても、できるだけ規制しないように、自由無差別というのがわれわれの基本方針でございますから、ですから、輸入についてもずいぶん膨大な輸入量にあがっておりますが、輸出についてもドライブをかけるようなことも政府はいたしません。がしかし、自然に出ていくというものについては、これは企業努力でもあるから、政府は干渉するということはやりません。ただ、これが国際秩序を著しく阻害するということになると、国際関係上政府は出ていかなければならぬと思いますけれども、いまそういう問題が起きていると思いません。よく注意はしていきますけれども、自然の、自然態で動いておる形で私たちは見守っていきたいと思います。
○羽生三七君 関連して。
 一時押えをするということは、これはよくわかります。ところが、この前もちょっと関連でお尋ねしたように、一時押えをしておりましても、際限なく無制限にいつまででも押えておるわけにはいかない。やがて、電力料金から私鉄運賃から、十月になれば消費者米価から国鉄運賃から、これは値上がりすることはもう決定的であります。そうなってきた場合に、一時押えがこの経済の安定成長とどう結びつくのか。この資源不足の時代に入りますので、高価格体系に移行しつつある。しかし、それをあらゆる努力をして押えなければならぬということはわかりますが、そういう世界的な趨勢の中で、私たちはここでいろいろ言うと、そういうことを言うからよけい国民がまどうんだと言われるので、こちらも控え目に実は発言をしているのでありますが、そういう世界的な趨勢の中で、一時押えが無限に続くのか。それをこの長期安定路線に結びつけるには、結びつく可能性があるのかどうか。私たちはそこのところは非常に疑問に思うわけです。押えておれば、それで結局長い間将来を展望しても物価は一応おさまっていく、そういう見通しの上に立っての、つまり一時押えであるのか、ほんとうにやむを得ず、何が何でも参議院選挙まではとにかく押えにゃいかぬという意味の一時押えなのか、その辺の見通しは非常に私は重要だと思うので、ぜひお聞きかせをいただきたい。これは総理からお聞かせいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 参議院選挙なんか意識しておる物価対策じゃないことを、まず明らかにいたしておきます。
 昨年異常な物価高があったわけです。異常な物価高。これは昨年というよりも、四十七年の下期ぐらいからずっとあったわけですが、これはいろいろな要因がずっとつかめてまいりました。その上になお石油問題という異常な物価高があったわけですから、これをノーマルなものにやらなければいかぬと。ノーマルなものとは何ぞやということでございますが、それはまあ国際的に一番わかりやすく言えば、主要工業十カ国の中で、日本を除いた九カ国の平均といえば、ここらプラス・マイナス、みんな各国に別があっても、一つの水準にはなるでしょう。そういうことから言うと、昭和四十六年の下期ぐらいを安定的なものとして、それにずっと引き伸ばしたものと九ヵ国の平均というものを合わせれば、大体その差が、異常物価の部分が出てくるわけです。そこまでには、統制経済ではありませんから、びっしりはいけませんよ。いけませんが、おおよそのめどというものはつくじゃありませんかと、その線を、幾ばくかのカーブがあっても、そのラインに沿っておるという、そこまで引き締まれば物価は抑制されたということは間違いないわけです。
 もう一つの見方は、そういう異常だったものが、石油価格のように、おそまきながらでもみんな吐き出させをしたり、将来も相当――通産大臣が鼻血を出すというところまでと言いましたが、そういう状態まで見通して石油価格をきめた。この石油価格と同じように、これはもう元値は上がっているわけですから、賃金が上がり、何が上がるということで、数字で計算されるものは、これは認めざるを得ないと思うのです。そこで、利益がいままでは二%でよかったものを、一二%見たら一〇%分はこれは異常利益であるということになるわけですから、だから、その超過利得を吸収しようということにもなっているわけです。そういうものが全部、いまの石油価格をきめたような状態で安定的に推移をすれば、物価は抑制されたということになると思うのです。ですから、そういうような見通しがつくまで物価は押える。いまのやつは相当荒っぽいやり方でございますが、しかし、これは荒っぽくやらなければ物価の上がり方がもう荒っぽかったわけですから、これはやはり相当荒っぼくやらなければだめだというので、国民に理解を求めてこういう体制をとっているわけです。しかし、これは小野さんも御指摘になったし、あなたも御指摘になったように、いつまでもいつまでもやっていけるわけじゃないのです、これはね。ですから、これが改定されるとしても、前、前でもって改定をするというのじゃなく、結局こういう事情でということで国民がみな理解をする、石油価格もこうなりました、賃金もこうなりました、電力もこういう、そういうような原価計算がずっとできて、コストアップの数字が全部積み重ねられていけば、その部分、そうしてその部分における利潤も据え置いて、そうして決定をすれば、それは認められる価格だと思うのです。ですから、そういういろいろな目標を持ちながら長期的な安定ということをやろう、こう考えているわけです。
 ですから、さっき小野さん、非常にポイントの発言でございますが、押えていると物が生産縮小になっちゃって、これは需給の関係がくずれてくる。それはまあ途中、中でもって抱いているものは金融の水ぶくれをとって、正常なルートで流れなければいかぬということで、まず一つの締めはやろうと考えているのです。そうすると、まあ先高にならないように消費者には必要な品物は必ず供給しますから、とにかく貯蓄をやってくださいということで、消費抑制を訴えているわけです。残るのは、まあやったってもうからないから、じゃあ生産を縮小するか、生産をしても海外に出すかということでございます。この海外に出せるような状態――国内を海外よりもうんと安い価格で押えようとする、これは無理です。いままでは、国内はいろんな税金がかかっていますし、海外へ出るものは安いわけですから、だから国内で高く売って海外に安く売るのは何事だと、これがまあ実情だったわけです。今度は、海外に売ればもうかる、そうして国内に売れば損だという場合には、普通の商売的な感覚からいえば、もうかるほうにいくというのがあたりまえだと思うのです。思うのですが、それをあまりやっていけば、今度はアメリカのように輸出禁止と、こういうことになるわけですから、これは輸出を調整するというのは相互に関連しておりますから、これは入るもいずるも制せられるということになりますが、そんなことまでしなくても、第二、第三の荒っぽいことをしなくても、十分いろんなめんどうを見ているわけですから、政府も。ですから、そこらで商売をやめちまって土地を買ったほうがいいというような、そういう商売と同じように、国民が幾ら困ろうが輸出に出そう、こういう状態は、それこそ行政権が調整をしなければならない分野である。これは十分調整をしていきます。ですから、まあもうからないのだから生産を縮小しようというのではなく、もうけが少ないし、少し赤字だけれども、政府もまあどこかで見てくれるだろう、国民生活のためにはやはり社会的な責任を果たしていこうというふうに誘導していかなければいかぬというところが政府のむずかしさだと思います。将来もうかるのだし、また過去ももうけたのだから、ここ一年や二年、とにかく政府になったと思って協力してくださいよと。ここらが行政の非常につらいところだ、こういうふうに理解していただきたい。
○小野明君 いま羽生さんも指摘されましたように、もう電力は政府も方針を何か五月以降というふうにおきめになった。公共料金もある。それから、まあ海外要因というのが五四%も日本経済に影響する。これらを考えますと、総理の言われるのは、いわゆる上昇率を鈍化させることであって、物価そのものを下げるということではないように、少なくともことしの末まで見ても、そういう感じを受けるのですが、これはいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) それは上昇率が、だれもがわかるような上昇率、どこの、九カ国平均の上昇率というようなものにおさまれば、これは物価政策は功を成したということになると思うのです。もっとしぼり出すものはしぼり出して、合理化されるものは合理化させて、ほかには、上がったけれども、コストアップの要因があったけれども物価はいまの状態でもってずっと進んでいる――いままあ三月のこの第四四半期などは、実質的には物価はもうおさまっているわけです。これはげたがあるから非常に高い数字になっておりますけれども、三月自体の数字というものは落ちついておると、こういうことです。ですから、それがずうっと続くとすれば、これはよくきいたなあということになりますし、反動がなく下がるとすれば、これはすごくきいたと、こういうことになるわけでございますから、そこらは、やっぱり画一律的に論ずることはできないと思うんです。ですから、私たちは、確かに石油は上がるんですから、便乗値上げ分よりももっと上がっておるということで、指導価格をきめただけでも多少無理があると思いますよ。無理があってもがまんしてくださいよと、こう言っているんです。そのかわり政府が、必要ならば金融も見ているし、何もやっているじゃないですかと。ですから、これは電力に対しても、それから私鉄に対しても――私鉄がとまっちゃどうにもならないんです。だから、とにかく私鉄が必要なら特融も見ましょうと。電力はどうにもとにかく動かなくなっちゃ困りますし、ここで公害投資もみんなストップになっちゃ困るから、特融も見ましょう、外債も許可しましょう、場合によれば、繰り延べ決算ができるように法律も準備しましょうと。だから、それなりの政府が行なわなければならないこと、公の責任でカバーしなければならぬものはやりますと、こう言っているわけです。ですから、そういうことは、多少ガスが上がり何が上がったといっても、実際的に原料が上がっても――国際的な要因がうんと上がれば、これは別です、入ってくるものが高くなれば。国内的なものが多少上がっても、それでもってある程度措置をしていくことができると思うんですよ。これは、月給はずっと上がっているんですもの。一〇%、一五%、二〇%と、三年間とっても上がっているけれども、電力は上げないできたんですから、その中に公害投資をやらしてきたんですから。そのかわりに、ガスに対しては特例法を認めてもらって、税制上優遇するとか、いろんな政策が加味されるわけでございますので、とにかく国内的要因によっては上げたくない、上げるとすれば国際要因であるというぐらいに一つの目標を置いて、無理を承知で物価抑制を最重点政策にしておると、こういうことでひとつ御理解いただきたい。
○小野明君 この上昇率が鈍化をしない、いわば高値安定になるということが私はお尋ねしたかった。電力については、政府がもう五月末以降、ということは、もう夏、六月には上げるという方針をおきめになったというふうに報道されておりますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まだきめているわけではございません。この石油の八千九百円ベースというものが国民経済にどういう反応をもたらすか、どういう均衡的現象が起こるか、それをよく見きわめた上で、電力の問題については、その後、通産省として取り組んでいこうと、そういう考えに立っておりまして、いま物価の情勢等を見きわめている段階であります。
○小野明君 日銀の総裁がお見えでございますから、二つお尋ねします。
 一つは、為替レートの見通し、一つは春闘による大幅賃上げで、四、五月は一時的に消費需要が伸びることがあっても、大きな伸びにはならないと、こういう見通しを御発表になっておるようですが、この辺の見通しをお伺いしたいと思います。
○参考人(佐々木直君) 第一の為替相場の問題でございますが、昨日の東京市場のドルの相場は、二百八十一円五銭でございます。けさの気配も、それより少しまた円が強くなっておるわけでございます。最近は為替市場においての外為会計の介入も全然ございませんし、一時のような円安相場は影をひそめておりまして、こういう情勢はしばらく続くのではないかと思っております。ただ、先物のほうは、やはり三カ月物で二百九十七、八円になっております。そういうことで、先についての見通しにつきましては、やはりまだいまの二百八十円そこそこという状況が続くという考えが支配的なようではございません。もう少し円が安くなる可能性があると、こういうふうに見ておるのだと思います。
 それから第二番目のお話でございますが、これはこの月曜日の朝の新聞の記事ではないかと思いますが、私、あれを見て非常に驚いたのでございまして、ああいうことを私ども発表した覚えは全然ございません。ただ、最近銀行券の伸び率が相当落ちてまいりまして、去年の十一月ぐらいから落ち始めておりましたが、ことしに入って急速に落ち方が強くなった。これは、銀行券というものの使われるのが、個人消費、個人所得と一番密接な関係があるものでございますから、そういう点で、われわれがいろいろ所得を調べてみますと、たとえばことしの一月の数字では、時間外の勤務が非常に減っておりまして、一月は十二月に比較して実労働時間が減っておるということから、十二月には実質の賃金所得が前月に比較して少し落ちておる、こういうことが消費者の消費態度を非常に消極的と申しますか、用心させておるのではないかと思います。ことにまた、生活必需物資の価格の上昇とか、この前いろいろ手当てをしたこと、そういうようなことが最近の一般の消費態度についても、用心をさせておる、そういう面がこちらのこういう銀行券の動きに反映しておるのだというふうに判断しております。しかし、今後のことにつきまして、たとえば大幅な賃上げがあっても、それが物価にほとんど影響がないとかいったようなところまでをわれわれ予想しているわけでは全然ございません。やはり今後価格の上昇という機運を頭に置いたいろいろなそういう賃上げその他コストアップが行なわれますと、それは必ず物価水準に影響するわけでございますから、そういう点については、今後もよほど用心していかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
○小野明君 暮れのボーナスの際、六兆円の行き道といいますか、使い方といいますか、それは非常に慎重であった。そうすると、個人消費にきわめて慎重であるということは、いま総裁がおっしゃったとおりになっておる。そうすると、今度の春闘によってもその傾向はやはり継続されていくと、こういうふうに見るのが至当なんではないでしょうか。
○参考人(佐々木直君) 問題は、新しい春の賃上げがどれぐらいの金額になるかということだと思います。確かに消費者は非常に用心深くなっておりますから、収入がふえたからといって、すぐそれと歩調を合わせて非常に大きく金を使うとも思えませんけれども、しかし、幅が非常に大きくなりますと、そこはまた気持ちも変わってくる可能性もあるわけでございますし、それからまた、ただいまも申し上げましたように、経営者のほうがそういう新しい賃金体系を考えた場合に、いまの情勢で物価を何とか上げて、その賃上げ分を吸収しようというふうな頭でやられますと、それは必ず物価水準に影響するわけでございますから、いまの段階で、賃上げが相当あっても、消費者の消費態度ということだけに希望を持って、楽観するといいますか、安心はなかなかできないのではないか、こういうふうに思っております。
○小野明君 公取委員長にお尋ねをいたします。
 たいへん公取委員長は従来の態度を変えられたようであります。行政指導での石油値上げは緊急避難で黙認をすると、がらり一変された御態度のようですが、その辺を御説明いただきたい。
○政府委員(高橋俊英君) ただいまのお尋ねは、何か私が従来の趣旨をまるで変えたというふうなことでございますが、私自身はそうは思ってないんです。ただ私、実はけさの新聞も見てないのですが――全部見ていません。ですから、何かいま、それらしきことが書いてあるぞということを聞かされたばかりです。緊急避難ということをどのように解するかでございますが、私も従来から、最初はもちろん原則論としては、行政指導による価格の設定はあり得ないんだ、これはおそらく政府のほうでもお認めになっておると思います。ですから、それによってつくられる価格は、事業者が自分でつくるんだ、自分で設定するんですから、その場合にしばしば、これは非常に多くの場合にカルテルに通ずる場合がある、事業者が相互に相談をしてやればそれはカルテルとみなすんだと、こういうことを言ったわけです。今度の石油の値上げに際しまして、そういうことのないよう私はくどいほど申しておりました。政府側でも――政府側といいますか、私はどうもまずいんですけれども、通産省の側でも、個別に指導されると、この趣旨は貫くと、こうおっしゃっておる。ただし、その裏に何があったかということは私は実はまだつかんでおりませんし、これだけ石油業界も各方面から注目を受けているのですから、いろいろ監視を受けているのですから、そうやすやすと従来のような安易な態度で臨まれるものとは思いませんけれども、ただ、原則論としては、行政指導でやれば結果がカルテルに通ずる場合が多いということは申し上げている。ただし、それをいま、あまり私どもが原理、原則論を非常に強く主張して、いかなる場合もいけないのだと、こう言ったら、石油の値上げはできないのだというふうな一つまり法律だと、私どものように。だから、そういう危険があるから法律によるべきじゃないか――これはなるほど、いまの標準価格をきめてある法律がほんとうの非常に強制力を伴ったものかどうか、問題はありますけれども、私どもは一応、それでも法律ならばこれはいたしかたないと、いたしかたないというか、それによっていただきたいという態度は変えていない。しかし、いわゆる緊急避難というのは、これはあまり法的な説明をしたくはありませんから、大体御了解願えると思いますが、やむを得ず一時的に、本来は法律に違反することであっても、緊急には、緊急の事態においてはそれは許されるというふうなことをさすわけです。ですから、とりあえず行政指導価格によるが、私のほうから解釈を確認して、可及的すみやかに標準価格に移行するようにつとめましょうと、こう政府の側でおっしゃったので、その原理、原則論は変えないけれども、そういうふうな意味で、従来から、もうせっぱ詰まってどうにもならないときに、私ども公正取引委員会が、それは行政指導は困るから、あくまで法律によってくださいと言って横になっておったら、この場合何も動かなくなってしまうという問題でございます。そういうことに対しては、私は、緊急避難的な意味では、これはもう譲らざるを得ない。譲るというとおかしいですけれども、緊急避難ならこれは法律の責任をのがれるわけですから、そういう、それがたとえば不当なものであっても、まあ容認できないことじゃない、しかし、できるだけ早く本則によっていただきたい、こういうことを強く要請したままになっておるわけでして、これからでもその態度を変えるわけではありません。ただ、それを妥協と書いたとか、大幅に譲ったとかという論評があることは、私は、それは認めましょう。これは、いろいろ人によってそういう見方をすることは自由でございますから。しかし、私どもは、そう安易に妥協したのだというふうには考えておらないわけで、現実に即して緊急避難としてはやむを得ないんじゃないか、しかし、早く本則に戻っていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
○小野明君 そうすると、この前この委員会で表明がありましたように、一カ月程度ならば容認されるが、二カ月、三カ月になると、これは約束が違うということで政府に要求するんだと、こういう御方針に変わりはないわけですね。
○政府委員(高橋俊英君) 結論的に申しますと、いまおっしゃられたとおりでございます。ただ、なぜじゃ法律によらないか、計算はしてあるわけでございますね。計算はなくて行政指導価格をきめたとは思わない。これは私どもも説明を受けております。ところが、この行政指導価格をたとえば一年間ぐらいは堅持したいと、こうおっしゃられますと、多少の、たとえば為替レートの変動や――為替レートの変動なんかを考えておったら、これは年がら年じゅう当てにならないことでございまして、いまも先ほど、先物相場は違うと、こうおっしゃっておるわけですから、為替相場が動かないという前提をとることはもうむずかしいんです。これは私は問題外だと思うのです。ですから、そういう重大な変更があった場合には、価格そのものを変えればいいんでありまして、一年間絶対動かさないということをおっしゃると、それならばなぜ法律にならないのですかとというふうにこっちからお尋ねしたくなりますから、その辺は、私は標準価格であっても、絶対不動の価格をきめるということは、こういう世界情勢によって左右される場合に、そういうことにこだわる必要もないのではないか。ただし、あまりイージーなきめ方をしないということだけ守っていただければいいので、そうだとすると、相当期間これを維持しようとするならば、なるべく早い機会に法律によっていただきたいというふうに考えます。
○小野明君 たとえ標準価格への移行が一カ月以内に行なわれたとしても、従来公取委員長が表明されておった、行政指導は独禁法に抵触すると、こういうことから見ますと、やっぱりこれは期間が問題ではないんではないかと、これは独禁法四十条に公務所とありますが、これは政府をさすというのが通常的な解釈であります。そうすると、一カ月であろうと、二カ月であろうと、行政指導で現に業界が、石油の場合、大手三社がプライスメーカーで決定的なカルテルの役目を果たしたと、これはもう検察の追及も受けているわけですが、やっぱり期間の長短に変わりなく、この行政指導というものが入っていくならば、これは独禁法に抵触するのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(高橋俊英君) その点、ちょっと違った点がある。行政指導がすなわちカルテルだと、こう言っているのではないのです。行政指導によってカルテルがつくられやすい、起こりやすいということを言っているのです。ですから、行政指導がありましても、それが全く関係のない業界――業界というのは業者に対しまして――通産省は、私の聞いたところでは十三万通出したとおっしゃっているそうですが、個々の事業者に対して別々に、これはこういう趣旨だから協力してくださいというだけで、横の連絡がないという前提をとれば、行政指導によってもカルテルはなかったことになります。ですから、そこはカルテルがあった場合には、これは違法になる。ですから、その点は、とかく業界相手にやるとそういう疑惑が生じますから、私どもが、政府の指導したものに対してこれはカルテルだといって指摘するのは、確かにあまり穏やかではないのです。なるべくそういうことは避けたいということで申し上げているのですが、行政指導は直ちに独禁法違反だと、こうは申しておりません。
○小野明君 おっしゃるとおりだと思います。私の言うのもそのとおりなんです。しかし、個々に指導があって、たとえば今回の石油の場合、横の連絡がないと、全然それは考えられないことですね、これは。今回の石油の場合は、上田君が指摘しておりますように、きわめて問題である。私は期間の問題ではない、こう思いますが、いかがですか。
○政府委員(高橋俊英君) まあ、お説のような見方もあるかと思いますが、私どもはこの間この委員会においてお約束したとおり、四十六条という規定ではありませんが、四十条という方法がございます。こちらに呼ぶこともできますし、資料の提出も求めることができます。そういうことによりまして、そこに書いてありますのは公務所ということばです。公務所とは、あらゆる公務員が勤務する場所であって、その公務員の中には議員を含むとまで書いてあるわけです。ですから、だれでもそういうものを公務所に対して調査ができるということになっておりますから、私どもでは、民間だけでなしに、通産省からも当然その間の事情をお聞きしておる。それはすでにやっておりますから、いずれその事実はほぼ明らかになる。私どもはなかなかこの証拠の把握は困難でございますけれども、しかし、どういう話をしたかという点については十分調査をしておるわけでございますから、その点、御了察願いたいと思います。
○小野明君 やっぱり総理、いまお話がありましたように、行政指導による価格設定、なかなか問題があると思うんです。標準価格にすみやかにこれは移行すべきであると思いますが、先回もお尋ねをいたしましたが、あらためて御見解をいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 行政指導価格というものをどこまででもこれ、引っぱっていこうというんじゃありません。これは物価抑制のために真にやむを得ない手段として考えておるわけでございます。まだ予測しがたい部分がたくさんありますので、この行政価格を守ってもらっておりながら、事態の推移、石油がどのぐらい量が確保できるのか、価格が引き下げられるのか上げられるのかというような問題、他に影響するものは一体どういうものかというようなものをずっと調査をしておる過程における一つの行政指導価格だと、これだけは最低守ってもらいたいと、こういうものであるということでありまして、法律がない場合は別でございますが、法律があるわけですから、この法律との調整、調和というものを十分考えていかなきゃならぬ問題だと、こう理解しております。
○小野明君 公取の委員長にお尋ねしますが、損害賠償ですね、独禁法二十五条に無過失損害賠償責任が規定してあります。これに基づいて第八十四条に損害額についての委員会の意見の請求というのが規定をされてございます。それで高裁は、「違反行為に因って生じた損害の額について、意見を求めなければならない。」と規定をされております。これによって損害額について意見を求めろれた例がありますかどうか、その事例をお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 私どもの調査で、ある範囲で、おそらくこれ以外にないと思いますが、二件ございます。
 昭和三十一年の六月、これは提訴をした。これはもう明らかなことでございますから、ある薬局が大正製薬を相手どって無過失損害賠償の請求をいたしております。これは結論においては三十三年の二月に和解によって解決されております。損害の請求額は、三十一年でございますが、五十六万三千円余りでございまして、これがなぜかといいますと、その大正製薬が他のチェーン店に参加する薬局を取引拒否をした、ほかのチェーン店に入っておるということで取引を拒否したというものでございまして、これは何か不公正な取引法になりますから、それを理由にしてやりました。
 それからもう一つが昭和四十六年でございまして、カラーテレビを買った者が松下電器産業を訴えておる。そのことについては、これはもう金額は非常に小さいんでございますが、とにかくこれは一人当たり七千円から六万四千円要求いたしたして、東京高裁で目下係争中でございますが、これにつきましては、いずれの場合も東京高裁は公正取引委員会にその損害の額について意見を求めなければならないと、これはもう私どもの解釈では義務規定になっています。
 それに対しまして、私ども、ついでに申し上げてしまいますが、義務規定で東京高裁からは確かにその損害の額の算定について参考資料といいますか、意見を求めておられるということでございますが、それに対応いたしまして公正取引委員会が応じ得るのは、その取り調べにあたりまして、これは独禁法違反行為を取り調べるわけでございますが、その過程において、これはもちろんいずれも違法であるとされた事件でございますから、一方は、そういう不公正な取引法、一方は、これも再販をやったということなんですね、松下電器の場合。それについての、これは私ども公正取引委員会が調査にあたりまして、調査の過程において知り得た事実から、大体こんなものかという額そのものを言うことはあまりないんです。実はそこまでほんとうの民間の訴訟に応ずるだけの損害額を取り調べする途中で算出はしておりません。しかし、その事実がどうであったかということ、これは裁判所が価格を決定する上の参考資料になりますから、われわれのなし得る範囲で意見に応ずると、こういうことにいたしております。
○小野明君 これだけ価格協定、独禁法違反事件が多いときですから、当然訴訟に訴えるという方法も今後続出をしてくると思うんです。で、言われるように義務規定になっておるんです、東京高裁から求められた場合は、被害額の算出というのは。これは勧告をした場合、あるいは審判に持ち込んだ場合でも、被害の額というのは当然その過程で出てくるはずですから、もし東京高裁から、今後この種事件で訴訟になった場合に、当然公取としては損害額についての判断の基準というものをつくらなければならぬと思うんです。その点についていかがですか。
○政府委員(高橋俊英君) 私が義務規定と申し上げましたのは、東京高裁が公正取引委員会に意見を求めなきゃならぬとなっておりまして、逆のほうの、それに対する、当然でございましょうが、それに必ず算出の根拠を示して応じなければならぬとは書いてないのです。ただ、一方的に書いてあるわけです。私どもとしては、できるだけ、そういう問題が起きたときに、それらを参考に供するように、十分検討した上で求めに応ずると、こういう態度でございますが、いまおっしゃいました画一的な基準はむずかしいと思います。違法行為が私的独占による場合、不当な取引制限による場合、不公正な取引方法を用いた場合と、この三とおりあります。もちろん最近では、不当な取引制限、つまりやみカルテルによって損害を受けたと、これは直接であると間接であるとを問いません。そうしますと、そのケース・バイ・ケースで判断しなければいけません。たいへんむずかしい問題でございます。どういう部分を損害と見るかと、もとの額をこえた分は、やみカルテルで引き上げた分は全部損害額であると、こう認定するのは簡単でございますが、そういうばかりでもございませんので非常にむずかしい。しかし、ほんとうに現実にそういう事件がふえてきた場合には、それに対応するだけの用意は持たにゃいかぬと。私どもいまのところでは、企業会計に精通した人間はきわめて少数でございますので、たいへんそれが多くなれば、いまの陣容で満足な資料を提供することはきわめて困難である。しかし、参考資料としてはお出しするということはできます。
○小野明君 だから、「損害の額」と書いてあるんですから、その被害額についての判断基準というものが公取から高裁に対して出されなければならぬと、それをつくっておく必要があるんじゃないかと、こう言うんですよ。
○政府委員(高橋俊英君) その点は確かに仰せのとおりなんです。ただ、たまたまいま申し上げたように、三十一年とか四十六年にたった二件あっただけのものですから、いままではなかったので、まあまあということだったのでしょう。しかし、これからほんとうにあの規定が動きだしますと、東京高裁にとってもこれはたいへんな問題だと思うんです。ですから、ああいう無過失損害賠償の責任規定をもしも非常に多く使われるようになったら、おそらく裁判所は万歳になっちゃうんですね。それだけでももてあましかねるということになるから、非常に……。
○小野明君 そんな心配をあなたがすることはないんだ。
○政府委員(高橋俊英君) だけども、現実にそういう問題が起きてくるならば、私どももそれに対応するだけの用意はしなぎやならぬと、額でございますから、確かにそうする。しかし、額そのものを書いて出せということじゃないんです、趣旨としては。その額を見る上に参考となるに足るものを公取は調査しておったならばそれを出せと、こういうふうに私は従来解釈していると聞いております。これからしかし、まあいまのようなことについてもっとこまかく研究しなきゃならぬようなことになるかもしれませんです。
○小野明君 額についての参考資料と、こういうふうにおっしゃって、こう多少広げておられるようですが、そうじゃないですね。損害の額について意見を求められるわけです。そのもの、ずばりで損害額についての意見を出さなきゃならぬ、このように準備をされるのがほんとうじゃないですか。
○政府委員(高橋俊英君) まあ、そうであるとしますと、従来の公正取引委員会のそういう審査部の陣容というものはあまりにもそれは少ない、そういう企業の経理に精通しておるという者はごく一部の者だけでございまして、結局、違反行為を排除するということが主たる目的で、そういうふうな額を算出するということが主たる業務にはなっていない。その点は裁判所の側もある程度了解しておられるわけです。私どものほうがそれだけの詳しい損失額そのものを算出して、算定して提出しなきゃならぬものだというふうには解しておられないから、従来の件においても、これはできますと、これはこの程度のことしかできませんということで、それでまあ了解をしていただいているのが実態でございますし、まあそういうものだというふうに当方も考えてきたわけでございます。
○小野明君 この条文は、従来もやっぱりいまおっしゃるようにあいまいに解釈をされてきた面があると思うんです。それで私は、やっぱりこういう経済の中で、総理、総需要抑制、金融の引き締め、同時に独禁法の活用というのが大きくあげられなきゃならぬと思うんですね。そうした場合に、この公取、総理にとってはなかなかいまの独禁法だけで手ごわい存在かもしれませんが、これを強化してもらわんならぬですが、公取の強化ということについて御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 公取は、政府に対してはあまりこわい存在でもないし、めんどうな存在でもないし、望ましくない存在でもないんです。これは望ましい存在でございます。これは政府も国民生活安定のために努力しなきゃならないという行政責任を負っていますし、公取は公取として私的独占禁止法の運用によって不正常な商行為が行なわれないように国民生活を守るということでございまして、またこれ、三権の中では立法府にも属するものでもなく、司法府に属するものでもなく、行政権の中のものでございまして、これはもう各省の大臣がみな各省設置法や個別の所管する法律に基づいて権限を行使しておるというのと何ら変わりないわけでございまして、これはもう全く目的を一つにして、方向も一つでございますから、これはもう公取に対して全く違和感など一つも持っていません。それはもう公取の大いに国民生活安定のために努力されることを望んでおるわけでございます。その意味で、まあこういう非常にむずかしい世の中になってまいりましたし、まま幅も広く厚みも厚い高密度社会ということの中で行なわれる私的独占禁止というものの案件が非常に多くなってくるとは思うんです。で、また捕捉しがたいものも起こってまいりますし、立証しがたいものもある。そういう意味で、公取が機構を拡大したり、また権限の問題等に対して法律の改正を行ないたいということで、いま私的な機関でございますが審議会をつくって検討しておるわけでございますから、これはもう公取の強化、それから必要なものに対しては賛成でございますし、こういう問題に対して、可能な限り、予算編成の過程において、人員は行管で取り扱っておりますし、予算は大蔵省で取り扱っておりますので、政府間の問題として十分意思の疎通をはかって、これが法律の目的が達成できるようにしなければならないと、こう考えております。
○小野明君 行管庁長官の御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) いま総理が答弁されたような方針で臨んでまいります。
○小野明君 公取委員長、四十八年度も依然としてこのやみ価格協定、カルテル等の違反事件が増大する一方です。私もここに一件持ってきておりますが、これをお調べいただきたい。
 これはブリヂストンの福岡販売、これはブリヂストンの五〇%以上メーカーが株を持っている会社だと思います。横浜タイヤの福岡会社。完全に去年の十月とことしの二月十五日、小売り価格を規定しております。このプライス表を配って小売り価格を統制しておるわけです。これをひとつお調べいただきたい。
○政府委員(高橋俊英君) まあ、本来はこういうところで報告を受けますと非常にやりにくいんですが、何か証拠をお持ちのようでございますから、有力な証拠となるべきものがおありでございましたら、私のほうはできるだけ早急に調査いたしまして、場合によっては四十六条による強制捜査を行なうこともあるということで、それは十分お約束いたします。
○小野明君 逃げも隠れもできない証拠です。
 終わります。(拍手)
○委員長(鹿島俊雄君) これにて小野君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(鹿島俊雄君) 渋谷君。(拍手)
○渋谷邦彦君 初めに放射性物質の排出についてお尋ねをしたいと思います。
 横須賀市にある日本ニュークリア・フュエル会社といういわゆる核燃料加工施設がございますが、現在、どういう事業を行なっているか。
○国務大臣(森山欽司君) 政府委員よりお答えいたさせます。
○政府委員(牟田口道夫君) お答えいたします。
 日本ニュークリア・フュエルという会社は原子力発電に必要な核燃料を製造している会社でございまして、御承知のとおり、低濃縮ウランを焼結し、被覆管への封入等を経まして燃料集合体をつくる会社でございます。現在、所在地は神奈川県の横須賀市にございまして、昭和四十三年八月に加工事の許可を得た会社でございます。
○渋谷邦彦君 最近ここを検査されましたか。
○政府委員(牟田口道夫君) いわゆる立ち入り検査というのはいたしておりません。
○渋谷邦彦君 この会社から報告された放射性物質の濃度がおそらく出ているだろうと思いますが、どのような報告が出ておりますか。
○国務大臣(森山欽司君) 昨年の十月、横須賀市の職員が科学技術庁のほうに参りまして、ただいまお話がありました会社のウラン放射能の問題について相談に参りまして、その間の事情につきまして政府委員のほうから答えさせます。
○政府委員(牟田口道夫君) 昨年の十月に横須賀市から当庁に来庁ございまして、同工場から排出されまする排水口の付近のどろから出まするウランのPPMが上がっておるということで、これはどう考えたらいいだろうかということがございました。当方といたしましては、その後、同社を呼びまして詳細事情を聴取いたしましたところ、排水口におきまする排出基準というものは、法定の基準どおりに行なわれておるということを確認いたしました。それからそのときの上がりましたPPMの度合いというものは、天然のバックグラウンドに比べまして、まだ危険なところというか、さして顕著な増加と、顕著な値と思われないということと、それからまたその排出基準は法定どおりに行なわれておるということにかんがみまして、今後も同社に対しては、法定の排出基準を守って規制を十分にやるように、それからもう一つは管理区域外のモニタリングに遺憾なきを期するようにということを指示してございます。
○渋谷邦彦君 いままで最も高かったという数値については、どういう報告がなされていますか。
○政府委員(牟田口道夫君) いわゆる平作川のウラン濃度を調べましているところでは、その横須賀市から参りましたときには三・二五PPMという数字が出ておるということでございました。
○渋谷邦彦君 この分析の状況を拝見いたしますと、いままで問題になりました日本分析研、それから岡山衛生研究所、この二つの研究所によって明らかにされているようでございます。ただ、問題になりますことは、この平作川の八号ポイント、いわゆるいま御説明がございました工場の排水口、このいわゆる川どろの中に含まれているウランの濃度が、人体には直接影響がないという割合かもしれませんけれども、この蓄積が毎年毎年ふえていっている状況であると、これはやはり将来考えますと、大きな被害をもたらすことに結びつきはしまいかということを非常に心配するわけでございます。この点についてはどのように判断をしているか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど申し上げましたように、現在の状態でございますと、いわゆる自然放射能のバックグラウンドに比べてさして高くないという状態でございますのと、もう一つは、いままでのこの会社が自分もしくはよそに頼んで調査いたしましたその調査によると、増加と申しますか、さして増加の傾向があらわれておらないということからかんがみまして、直ちに現在蓄積が顕著であるというぐあいには判断しがたいと考えております。
○渋谷邦彦君 従来は、水あるいは空気というようなものについては排出基準が定まっております。しかし、これらは言うまでもなく流れたりあるいは薄められたりというようなその外的な影響によっても変化がございます。しかし、川どろという場合にはなかなか変化しにくいと、こういうことが考えられますと、当然この規制の問題についても、もっとその辺まで包含した規制のしかたというものをすべきではないだろうか、このように考えるわけでございますが、その点はいかがですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 現在、核燃料加工事業に対する規制は、いわゆる原子炉等規制法という法律でいたしておりまするが、これは排出基準を守るように厳重に規制いたしておりまするので、またその排出基準というものは、いわゆるICRPという国際的に認められた基準をもとにいたしておりまするので、それで排出いたしておるところを厳重に規制いたしますることを守っていきまするならば、それから先ほどの実績等にもかんがみまして、管理区域から出るところをしっかり押えるということが肝要と考えております。
○渋谷邦彦君 まあ、いずれにせよ、ただいま申し上げたように、川どろの場合にはなかなか移動しにくい、むしろ蓄積されていくという可能性が十分あるわけでございます。したがいまして、従来のような水と空気に限らずに、どろまで含めた総量規制というものを行なうべきではないだろうか、こういう判断がありますし、また学者間においてもそういうような方向で臨むべきだという声も非常に強いということを伺っております。この点については、当局として今後どのような考え方に立ってこの問題に取り組むおつもりなのか。
○国務大臣(森山欽司君) ウランの濃度の問題につきましては、先ほどお話がありましたように、国際的な機関でやりました許容限度の十分の一ぐらい、まあきびしい限度で原子炉の規制法に基づくわが国の基準がきまっておるわけであります。排出口あるいは排気口、それを飲んだり吸ったりしても人体に影響ないという限度の十分の一というやかましい基準が日本でやっておるわけでございまして、今回の場合、調べてみますと、基準の限界以下ということでございます。それからたまりましたものにつきましても、国際基準より下同っておるわけでございますし、天然に存在するウランとの区別その他の問題がございますから、現在の段階においてこの基準を変える必要は私はないと思います。しかしながら、原子力は万事念には念を入れてやっていかなければならないことでございますから、総量規制の問題につきましては、将来の問題として私どもは検討してまいりたいというふうに考えておる次第であります。
○渋谷邦彦君 もう一点伺いたいのは、このウラン二三五、二三八、この半減期についてはどのような見解を持っていらっしゃるか。
○政府委員(伊原義徳君) 手元の資料がちょっと十分でございませんが、私の記憶でございますと、ウランの二三八は十の九乗年ぐらいであったと思います。至急調べまして御報告申し上げます。
○渋谷邦彦君 おおむね何年ぐらいになりますか。
○政府委員(伊原義徳君) いま資料が参りました。四・五かける十の九乗年でございます。先ほど十の九乗年と申し上げましたが、四・五という係数がかかっております。すなわち四十五億年ということでございます。
○渋谷邦彦君 非常に気の遠くなるような年限であるわけでございます。そうしますと、三・二五あるいは三・九四PPMというそれぞれの分析によって示された数値というものが、減るどころではない、これから逐年堆積されていくという可能性を十分含んでいるんではないか、このように考えられるわけでありますが、その点についてはどうですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど申し上げましたように、現在の段階では排出口における厳重なる規制と、それからどろの分析によりまして、実績といたしましては、さして蓄積という現象は見られておらない点にかんがみまして、規制方法としては、現在の法体系における規制は、加工業者に対しては厳重にこれを守らせるようにいたしたいと考えておりまするけれども、現在の規制方法を十分守ることによって万全を期したいと考えております。
○渋谷邦彦君 確かに、現状においては危険性がない、それは私ども認めております。けれども、やはりいま長官が答弁されましたように、安全というものはあらゆる角度からこれを確認していかなければならないし、また、それは将来においても継続してやらねばならないということに関連いたしますと、やはり事前の防止ということを前提にした場合に、当然このような問題についても何らかの措置あるいは何らかの対応策というものが常にとられなければならない、このようになるんではなかろうかと考えられるわけであります。長官、いかがですか。
○国務大臣(森山欽司君) 私は専門家ではございませんけれども、わが国におけるウランの濃度の限度は一・八PPMだそうであります。天然賦存量は海水中に〇・二PPM、岩石中で一・五ないし五・七PPMということでございますから、こういう数値から見ますると、今回採取されました試料に基づく数値は、これらの数値の中に広く見ると入ってまいりまして、それらの問題とあわせてやはり今度の問題も検討してみなきゃならないんじゃないかと。将来ウランの使用量もふえてまいるわけでございますから、将来問題としてはいろいろ考慮すべき点はあろうと思いますが、現在の段階において総量規制をする必要はないと、そういう考え方でございます。御了承願いたいと思います。
○渋谷邦彦君 さらに、平作川から湾内に水が流れるわけでございますね。湾内においては海藻あるいは貝類についても分析が行なわれたようであります。しかし、そうしたような現在は影響がないにいたしましても、だんだん濃度が高まっていくというものが、今度は魚介類、海藻類に吸収されていく、いわゆる移行濃度というものが著しくあらわれる時期というものも考えられていくんではないかということを心配するわけでございます。だから、そういうようなことをやはり総合的に、現在問題がないその時点から取り組むべきではないかということを申し上げたいわけです。
○国務大臣(森山欽司君) メチル水銀なんかの場合に現在やっておるやり方がございますが、メチル水銀とウランと比較いたしますと、だいぶ違うようでございますので、私もまあその点は考えにゃいかぬのじゃないかとも思って検討さしてみましたところ、技術的に見ると、その点もやはり同様に考えるわけにいかぬということでございまして、その点は政府委員のほうから説明いたさせます。
○政府委員(牟田口道夫君) 先生御指摘の海産物にも影響があるのではなかろうかということに関しましてお答えいたしますと、この会社が分析モニタリングいたしております一つにワカメをとってやっております。これは昭和四十六年以降、毎年一回ということでやっておりまするが、四十六年、四十七年、四十八年では、たとえば四十六年三月は〇・八OPPM、四十七年一月は〇・七二PPM、四十八年は〇・四七PPMとかいう数字が出ておりまして、現在のところは蓄積と、あるいは濃縮という現象があらわれておらないわけでございまして、ただ、ワカメをとって検査するということは、先生御指摘のようなこともおもんぱかって、海水と、どろと、それにワカメととってやっておるということを申し上げておきます。
○渋谷邦彦君 もう少しく、私は、常に今後のことと、起こってからでは問題がもう解決しません、なかなか。
 そこで、いまの説明でちょっと足りなかったんではないかと思うのですが、たとえば分析研ですか、三・九四PPMという結果を報告がございますね。その数値に基づいた海藻、魚介類、これは移行濃縮というものが考えられないかどうかということでございます。
○政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘の海産生物等への濃縮の問題でございますが、これは世界的にいろいろ調査が行なわれておりまして、一九七二年に米国から世界のいろいろな研究結果をまとめた報告書が出ております。ローレンス・リバモワ研究所のトンプソンほかでございます。その値で見ますと、ウランにつきましては、海水中の濃度に対して魚の場合約十倍の濃縮係数である、こういうふうになっております。先生御高承のとおり、ほかの放射性核種におきましては二けた、三けたという濃縮係数が見られるわけでございますが、ウランの場合はそれに比べると低いということのようでございます。
○渋谷邦彦君 さらに、今後の蓄積ということが私は予想されるんじゃないかということを申し上げました。全く予想されないという保証はございますか。
○政府委員(牟田口道夫君) 濃縮に関しましては、学者の間でもいろいろ検討がございますと思いますけれども、私ども実際に行政をやっておる者といたしましては、さっき申し上げましたような実際に測定いたしましたその数値をよくフォローいたしまして、実際に緊急的にその必要があるかどうかを判断いたすことによって対処いたしたいと考えておりまするけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、現在のところでは、その総量規制というよりは、排水、排気の規制でそれを十分やっていくことがまず先決であると考えております。
○渋谷邦彦君 で、私がいま問題にいたしておりますことは、水、空気ということよりも、どろを問題にしているわけですね。で、長官は、先ほどは、今後のことについては十分その点は検討したいと、まあ検討ということはそういう方向へ持っていくという場合もあるでしょうし、まあ現状維持という場合も、両方にとれるだろうと思うんです。けれども、やっぱりこうして公害がしきりに騒がれている、しかも加えて、エネルギー確保の上から原子力の問題がいま非常に焦点になっている。すると、何といったって、その安全確保ということはもう神経をすり減らすぐらいの思いでもって注意していかなきゃならぬということになれば、やはりこの総量規制というものは思い切ってやるべきではないかと、こういう印象を受けるわけです。いま局長の答弁ですと、総量規制の必要はないと、こういうことなんですが、長官、いかがですか。
○国務大臣(森山欽司君) 渋谷委員仰せのとおり、原子力の平和利用、原子力発電を進めていくというおりから原子力がクローズアップされております。したがって、私が先ほど申し上げましたように、原子力の安全性のためには念には念を入れてやる。渋谷委員のおことばを使わさしていただきますれば、ころばぬ先のつえで、そういう問題に十分気をつけるということについては全く異存ございません。しかしながら、今回の問題につきましては、直ちにもってメチル水銀等と同様に総量規制をするという段階ではないということを申し上げたわけでございまして、しかしながら、総量規制という一つの考え方は確かにあるのでございますし、また、そういうことが適当だと判断される時期があるいは将来あるかもしれません。平素からそういう問題について研究を深めておくということは必要でございますから、渋谷委員の御質問を機に、こういう問題につきましても今後検討を進めてまいりたいということで御了解を願
 いたいと思います。
○矢追秀彦君 関連。
 いま、科学技術庁長官のお話を聞いておりますと、この問題に対する考え方が非常に甘いと思います。まず一つは、これは営業開始は昭和四十五一年です。わずか三年で先ほど指摘をされました三・二五PPM、非常に大きな量の蓄積があったわけです。それからワカメにつきましても先ほどお話がありましたが、四十七年ですからわずか二年なんです。二年間で海藻類にあれだけのウランが蓄積をしておる。これは一応確かに、まあ私のほうでも計算をいたしましたが、水、空気のほうにかりに換算をし直しても、少しは基準よりは低いとは思います。しかしわずか三年ですよ。しかもきょうの新聞によりますと、この会社の総務部長さんのお話ですが、これはけしからぬ発言が出ているんです。「たまたま検出されたものと思う。専門家の話では、平作川を流れる天然ウランは一年に百キロもあるという。当社の流出量はその四百分の一だ。一〇〇PPMとかデカい数字が出れば大変だが、今回の値は天然のウランのかたよりといえる」。まあ一〇OPPMなんて、それは確かに出たらばたいへんです。しかし、やはり三PPMでもわずか三年間ですから。しかもそれはどんどんどんどんふえてきているわけです。しかもこういう総務部長のような考え方では、はたしてまじめにこれに取り組んでおったのかどうかは疑わざるを得ないわけです。だから、市のほうも分析化学研究所だけでは不満足であるというので岡山のほうにも出して、二つのほうからデータを出されて、先ほど科学技術庁のほうからこの数字が報告されましたね、三・二五PPMと三・九四PPM。一つは分析化学研究所のデータで、もう一つは岡山の衛研のデータですね。科学技術庁としては何もしてないのじゃないですか、これについては。ただ、市のほうから来たから適当にその話をして、まあこの会社としてはだいじょうぶだからほうっておいた。それだけじゃないです。私はこれに対する、もっと科学技術庁として、この事態を深刻に考えてもらいたい。何か、心配ないから、心配ないから、もうちょっと何か出てきたらやろうと、出てきてからやったらおそいんじゃないですか。実際魚介類なんていうのは重金属が一番入りやすい。これはもうしばしば指摘されておるとおりです。これはもっと本気になって、長官ですね、やってもらわないと困ります。昨日も燃料棒の問題で指摘がありました。一昨日は黒柳議員からあの皮膚病の問題がありました。長官のずっと答弁を聞いておりますと、ほんとうにどれだけ真剣にこの科学技術庁の行政に対して携わっておられるか、私は遺憾に思うわけです。
 その次は、その点に対して、この会社の総務部長の考え方に対して、科学技術庁としてこういう姿勢でいいと考えられておるのかどうか。もう一つは、これは市のほうからも、横須賀市のほうからもやかましく言われておりますクローズドシステムというのをとれるのかどうか。その考えはあるのかないのか。もう一つは、いま総量規制はやる気ないと、こう言われましたが、本年度は環境庁からすでに総量規制の法律が出ておるわけです。もう総量規制はやらなきゃならぬ時代に入っておるわけです。それに科学技術庁だけはこれはもうやらぬのですか。その点、環境庁長官からもお答えをいただきたい。
 以上です。
○国務大臣(森山欽司君) 矢追委員御指摘のとおり、連日にわたって原子力について格別の御関心をいただき、御質疑をいただき、御愛顧を願ってまことに恐縮に存じております。
 ただいまお話がありました日本ニュークリア会社の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、十月に横須賀の市役所の者が参りまして、こういう問題、どうしたらいいだろうという話がございましたから、科学技術庁といたしましては、当該の会社を呼んで事情を聴取いたしました。そうして、きわめて重要なことであるから、念には念を入れて今後これに対処するようにという指示をし、モニタリングその他については万遺憾なきを期するように指示をしたと聞いておる次第であります。
 先ほど渋谷委員からお話のございました技術的な問題につきましては、また、いま矢追委員からお話がございました技術的な問題につきましては政府委員のほうから答弁いたさせます。必要によりまして私が補足さしていただきます。
○政府委員(牟田口道夫君) 事務的な答弁、補足させていただきます。
 先ほど三・二五というのが、どろの中からウラン濃縮度合いとして出たと申し上げましたが、それに対しまして、御承知のように会社側及び市のほうで、第三者機関として岡山衛生研に分析をさせましたところ、それよりも若干低い数字が出ましたけれども、いずれにしても、その後、会社だけで判定するということじゃなくして第三者機関に判定させるという手続をずっととっておりますが、ちょうどこのただいま御指摘の高い数値が出ましたあとはだんだん毎年下がってきております。下がっておるからいいということを私は申し上げておるのではございませんで、それは私どもが厳重に注意いたしました後、下がったのかどうか。これはまあ蓄積の度合いというのはそういう意味で、ある程度管理区域のその規制によりまして蓄積の度合いも管理できる一つのあらわれではなかろうかと考えております。
 それからもう一つは、ワカメは先ほど御指摘のような数字でございますけれども、これは、先ほど読み上げました数字は四十六年、四十七年、四十八年、漸次――二つの地点をとっておりますけれども、第一地点のほうを読み上げましたが、下がっているようになっております。
 補足的につけ加えさしていただきます。
○国務大臣(三木武夫君) 環境の保全は、濃度規制から総量規制への方向にあるということは言えると思います。しかし、こういう原子力の汚染の関係はきわめて専門的な知識を必要とするわけでありますし、また科学技術庁としても、安全の確保ということはもう最大の行政の大きな目的でもありますので、この点は総量規制といっても、それをやるについてはいろいろな手法の研究も要るでしょうから、十分に検討されることと考えております。
○矢追秀彦君 総量規制していないという……。
○国務大臣(森山欽司君) 先ほども申し上げましたように、総量規制というのは一つのりっぱな考え方であるということは私は否定いたしません。そして将来の方向としてこういう問題を検討したいということは、先ほど来累次にわたって申し上げたとおりでございます。どうかひとつこの問題を検討を進めるということで御了承をお願いいたしたいと思います。
○渋谷邦彦君 この会社が独自に行なった分析の問題につきましても、ちょっと私理解に苦しむところがありまして、操業前と操業後においてはえらく数値が違うんですね。操業後のほうが数値が低くなっておる、操業前が高い。本来ならば操業後のほうが若干でも高くなるのが常識でございましょう。これはどういうふうに判断したらよろしいですか。
○政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘のように、操業前、これは日本原子力研究所に委託いたしまして分析をいたしました値、それに比べますと、操業後の値が減っておるようでございます。またその後一時ふえて、また減っておる。これは先ほど長官、局長からも御説明申し上げましたように、地球上の地面の上と申しますか、岩石、土壌の中には、大体平均いたしまして三ないし四PPMの天然ウランが含まれておるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘のどろの中の三・幾らというPPMというのが大体地球上の土壌の中の平均値と思われます。そういうふうなことがございまして、それがまた場所により時期によりましていろいろ変動がございます。いわゆる自然のバックグラウンドの変動でございます。その変動、それからさらには測定のサンプリングの場所と申しますか、サンプリングの対象によりましての変動、それからその分析方法そのものに不可避的に伴いますある程度の誤差、そういったものがいろいろの要素としてかみ合っておりますので、このように非常に自然のバックグラウンドに近いと申しますか、ほぼ同じぐらいの量をはかりますことは、なかなかある意味で困難でございます。したがいまして、全体の傾向として先生御指摘のような懸念があるかどうかということを今後さらに引き続き十分調査、検討いたしてまいりたいと思っております。
○渋谷邦彦君 いろいろその違いについての説明がありましたが、その中でちょっと気になる問題がございます。分析のしかたいかんによってもその違いが出てくる、こうなりますと、非常にこれはもう軽視するわけにいかない。先ごろ社会的な問題にまで発展した分析研の問題等もあります。一体科技庁としては、こういった分析を行なわせる場合、どのようにオーソライズされたそういう機構というものに対して依頼をするのか。従来はそうでした。今後はどうなのか。
○政府委員(伊原義徳君) ただいまの説明が不十分で申しわけございません。分析方法につきましてとっております方法は、比色法と固体螢光分析法と二つございまして、二つの方法によりまして多少の違いはあり得るという御説明を申し上げるべきでございました。
 それから御指摘の今後の分析につきましては、企業者としてやりますことはもちろん、第三者機関といたしまして、先ほどの岡山衛研のような機関に十分御相談をいたしまして、客観的な分析もお願いするように指導いたしたいと考えております。
○渋谷邦彦君 特に、これからも重大な政治課題でもあり、社会的な課題でもあるこの原子力の問題をめぐって、はたして今日の科学技術庁の行政体制でもって、いま申し上げているような問題を含めて万全を期していくことができるのかどうなのか。またまた同じような問題の繰り返しということになりますと、それだけでも国民の不安感というものが増大しかねない。その点については明確に今後こういう方向に向かってこうするという、少なくともこうした分析の問題を通じた安全性の確認ということを踏まえて、どのように考えていらっしゃるか。
○国務大臣(森山欽司君) わが国のエネルギー事情から考えましても、原子力発電はこれはもう当面の急務でございます。したがって、原子力発電にこれから力こぶを入れていこうということになりますれば、これは何と申しましても軍事利用から発達した原子力の平和利用であり、かつは、技術の開発の歴史は二十年足らずでございますし、しかも時代は、ただ物さえつくればいいという時代じゃなくて、それによって生ずるところのいろいろな弊害をあらかじめ見越して、渋谷委員のおことばによれば、ころばぬ先のつえをよく考えてやっていかなきゃならない時代であり、また、原子力こそはまさにその代表的なものであるというふうに考えておる次第でございますから、念には念を入れてやっていく、ただ、安全性の確保につきましては、したがってもう従前以上に政府としても、四十九年度予算においてこれに重点を注いだ予算編成もいたしたわけでございますし、これは四十九年度だけではございません。私どもはさしあたり三年間ぐらいこの問題にうんと力こぶを入れたやり方でやっていかなきゃならないというふうに考えております。政府の責任においてこの安全問題に当たる気魂を持って、まあ微力ではございますけれども一生懸命努力するつもりでございます。御支援をお願いいたします。
○渋谷邦彦君 現在、わが国における核燃料加工施設は何カ所あるのか、そして現在の監視体制がどうなっているのか、それから現在まで検査が何回行なわれたか、これについて。
○政府委員(牟田口道夫君) 現在、核燃料加工事業の許可を得ておりまするのは五社ございまして、原子燃料工業熊取製造所、三菱原子力工業研究所、日本ニュークリア・フュエル――いま御指摘の横須賀所在の工場、それから三菱原子燃料東海製作所、それから住友金属鉱山東海製造所の五社でございます。
○渋谷邦彦君 まだそのあと言っておりますよ。答弁が足りない。
○政府委員(牟田口道夫君) 申しわけございませんでした。立ち入り検査というのをいつやったかという御質問でございますか。
○渋谷邦彦君 監視体制と検査。
○政府委員(牟田口道夫君) まず検査のほうは、昭和四十五年に住友電工熊取製造所、昭和四十六年に古河電工武山研究所、それから昭和四十七年が三菱原子力工業東海製作所、それから四十八年が原子燃料工業熊取製造所をいたしております。
 監視体制という御質問でございますが、これは先ほど申し上げましたように、原子炉等規制法によりまして、排気、排水の基準を定めまして、それによる規制をいたしております。それは定期的にこちらに報告をさせるようにいたしておりまするが、本日御指摘の日本ニュークリア・フュエルにつきましては、特に横須賀市との契約によりまして、規制法以外の、管理区域以外の環境の調査につきましても、先ほど御指摘のような事柄に関しまして協定がございまして、それについて規制法以上のモニタリングを行なっているというのが現状でございます。
○委員長(鹿島俊雄君) 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、渋谷君の質疑を行ないます。渋谷君。
○渋谷邦彦君 先ほど科学技術庁からの報告をもう一ぺん整理してみますと、特に操業前、操業後におけるデータについて私は御指摘申し上げました。操業前は高い、数値は高い、操業後が低いと、それについては年々低くなっているという結論のようでございました。しかし、分析研やあるいは岡山衛生研の調査によりましても、年々減っているどころではない、年々高くなっていると、こういう状況なんでございます。そうしますと原研と動燃でもって調査をしたのはインチキではないかというふうなおそれも出てきますが、この点はいかがでございますか。
○政府委員(伊原義徳君) この調査につきましては、昭和四十四年の中ごろから調査をいたしておりますが、先生御指摘のように、当初原子力研究所で測定をいたしまして、その後ニュークリアフューエルが測定をいたし、さらに第三者機関に測定を依頼する時期がございます。四十五年に比べますと四十七年ごろは少し減ってきております。しかしながら、四十八年になりまして非常に数値が上がったという事実がまた一つございます。そこで第三者機関に分析を依頼しましたところが、事業者のみずから分析した数値よりもさらに高い数値、先ほど先生御指摘の数値になって、それが四十八年度中を通じましてほぼ毎月追跡調査をいたしましたところが、まただんだん減ってきておると、こういうふうに非常に複雑な動きをしておるということが事実のようでございます。この辺につきまして、さらに追跡調査が必要かと思われます。
○渋谷邦彦君 これは科技庁にも行っておると思うんですよね、これこれ。これはしろうとが見てもわかりますよ。ふえていますよ、ふえて。それが減っているということはおかしいじゃないですか。
○政府委員(伊原義徳君) 私どもの入手いたしました報告書の数字をトレースいたしましたものをもとにただいま御説明を申し上げましたが、あるいは先生お持ちの数字がもし私どもの数字と違っておりますれば、至急お教えいただきまして調査をいたしたいと思っております。私どもの持っております数字では、先ほど申し上げましたように、一度減って急にふえて、また減ったという傾向のようでございます。
○渋谷邦彦君 それは非常におかしいんですよね。原研だとか動燃という非常に権威のあるその機関において調査したのと、分析研あるいは――まあ問題があったとはいえ、分析研あるいは岡山衛生研で調査をしたのと全然その数値が違う。われわれはどれを信用していいのかということになるじゃありませんか。
○政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘のように、数字の間にばらつきがあるのは事実でございます。先ほど御説明申し上げましたように、このレベルの分析と申しますのは、いろいろな条件がございまして、非常にむずかしいという事実もございまして、すなわち自然のバックグラウンドとほぼ同じ程度の数値の分析と申しますのが非常にむずかしいという問題もございます。それと原子力研究所の分析あるいは岡山衛生研の分析、それぞれにまあ意味を持ったものであると思いますが、その間になぜ差があるかということにつきましては、私どもといたしましても十分調査をいたしたいと思っております。
○渋谷邦彦君 分析が非常に困難だ、そういうことも考えらるでありましょう。じゃ、困難なるがゆえにその数値がそのときどきによって違う。科学技術庁としては、ただ報告を受けっぱなしで、そのとおり、うのみにしているのか、科学技術庁は技術庁として独自の立場でさらにその報告を踏まえておやりになってこられたのか、そしてその確認を得られたのかどうなのか。
○政府委員(伊原義徳君) これらの報告の値を受けまして、かつまた、横須賀市からの御連絡もありましたので検討をいたしたわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、地球上と申しますと大げさでございますが、岩石、土壌の中に含まれておる平均的なウランの含有の数字とほぼ同程度の数字でございますので、しかも規制法上の要件を十分満たしておると考えましたので、したがいまして、もちろん周辺の方への健康、安全には全く影響はないと、十分その健康と安全を確保されておると、こういう認識でございましたので、その段階におきまして一応検討はいたしましたけれども、一応の結論といたしまして、特に非常に不都合であるということには扱わなかったと。しかしながら、先生御指摘のような点がございますので、今後先生御指摘の意を十分体しまして、厳重に本件について調査検討いたしたいと思っております。
○渋谷邦彦君 長官、いま聞いておられるとおりですね。私もよくわからないんですよ、いまの答弁は。とにかく、先ほど来から私が申し上げておりますように、操業前、操業後、その後調査した、全部数値がばらばらなんです。このばらばらだという一ある程度類似している数値ならば、それはいろんな条件がありますから、われわれとしても納得いたします。あまりばらばらだということについては、いかに権威のない分析調査が行なわれたかということになりはしまいかということをおそれるわけです。
○国務大臣(森山欽司君) 先ほど来渋谷委員のお持ちの資料と、それからその資料の読み方と、科学技術庁の持っておる資料と、その資料の読み方に相違があるようでございます。いろいろ御質疑の多い中で――こういう小さい点も大事なことではございますが、何せこういう数値のことで御心労をおかけしましてまことに恐縮に存じます。こういう先ほど来のお話もあり、それから先ほど原子力局長から話がございましたように、核燃料確保施設についての立ち入り検査でございますが、昭和四十五年、四十六年、四十七年、四十八年と、すでに毎年一カ所ずつぐらいやっておるわけでございますが、五カ所あるうちの四カ所はやりましたが、ここだけ残ってもおります。ああいう問題もございますし、それから毎年一カ所、これがはたしていいか悪いかわかりません。これ以外にいろんな関連施設が百五十カ所ぐらいあるようでございますから、これも総合的に考えて、もう少し目が届くようなシステムを考えていかなきゃならぬと思っておりますが、さしあたり、先ほど来の御質疑の御趣旨にも沿い、かつは従来の立ち入り検査の例もございますので、原子炉等規制法第六十八条第一項に基づく立ち入り検査をきょうにも行なうようにいたしまして、御疑念の解消するようにつとめたいと思います。いずれ、まとまりました節にあらためて御報告をいたすということで御了解願いたいと思います。
○渋谷邦彦君 次に、昭和四十九年度の経済見通しと予算案についての総括的な質疑をしたいと思いますが、先ほど来もこの問題については出ておりますけれども、いずれにしても昭和四十九年度の予算原案の策定に当たっては、経済見通し、そうしたものを踏まえて立てられたと思いますし、卸売り物価並びに消費者物価をどのような見通しをもって予算原案を策定されるときに見られたか、まず、それから伺っていきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 御承知のように、現年度、昭和四十八年度におきましては、物価の見通しとか、あるいは経済の名目の伸び、実質の伸びが、まるで一年間の間にとんでもない変わり方をしてしまったわけでございます。そこで、来年はどうなるかということを含めますと、これは非常に経済見通しもむずかしいわけでございますが、たとえば卸売り物価、消費者物価にいたしましても、ことしのような物価の狂乱状態が明年も続くというような想定のもとに私どもは経済見通しの予算を組むことも全くいたしませんので、できたらばもっと物価も下げる見通しを立てたいところでありますけれども、いろいろな努力を織り込むということを前提といたしながら、卸売り物価は四十九年度の平均が四十八年度の平均に対して一四・六%の上昇、それから消費者物価が同じような年度平均の比較で九・六%の上昇と、こういうこと、これはもう渋谷さん御承知のように、昨年暮れの見通しを若干石油の事情等によりまして手直しをいたしまして、それらを経済政策の基礎あるいはまた予算編成の基礎として決定をいたしてあります。
○渋谷邦彦君 いま答弁がございましたように、オイルショック等の異常事態によって、当初立てられた、おそらく十月、十一月ごろにこの経済見通しを立てられたと思うんです。それからもう大幅な変更があったと、そうすると、われわれとしても、また多くの国民にとってみても、今年一年間の経済見通しというものはどういうことになるんだろうと、何といってもやはりそのイニシアチブをとっておるのは政府でございますから、その点について、現在の時点で、十一月以降、十一、十二、一、二と、この変化した時期を踏まえつつ、今年一ぱいの経済見通しはどうなるかという数値は出ておりますか。
○国務大臣(内田常雄君) 結論的に申しますと、たとえば物価について申しますと、ただいま申し上げた物価上昇率というものが暮れから新年にかけましての再検討を経ました結論でございます。御承知のように、私が経済企画庁長官に就任をいたしましたのは十一月の二十六日、十一月末でございまして、そのときはまだ昭和四十九年度の経済見通しというものをつくっておりませんでした。大蔵省は、各省から予算概算の要求を集められて、それの分析検討作業をしておったという段階であったろうと思います。そこで、私が着手しました第一のことは、昭和四十八年度にそれまで形の上では生きておりました四十八年の経済見通しというものは十一月末の段階においてもあまりに実情にかけ離れ過ぎておると、物価にいたしましても。そこで、四十八年度の経済見通しというものを、これも私の責任で思い切って見通しを直したということから実は出発をいたしまして、十二月になりましてから大蔵省との最後の予算の詰めをいたしますときに、四十九年度の物価の情勢を含む経済見通しをつくりました。しかし、それからさらに石油の状況がシビアになりましたので、一月に入りましてから石油事情を中心とした経済見通しの再検討をいたしました。いろいろいたしましたが、終局的には、経済の伸び方というようなものを、あるいはそれのまた伸びた付加価値の資源配分というようなものは微調整で済むと、こういう結論になりました。ただし、私の記憶に残っておると申し上げますか、申し上げ得る二、三の変わった点は、国際収支を大幅に変えざるを得なかったということが一つと、それから卸売り物価を十二月当時の見通しよりも若干その上昇率を高くしなければならないということで、この二点ばかりではございませんけれども、その二点が最終調整のおもなる事項でございます。
○渋谷邦彦君 そうしますと、微調整のままで済むということは、当初立てられた経済見通しは変更なく、今年一ぱいはその方向に立って物価政策を推し進めていくと、こういうことでございますか。
○国務大臣(内田常雄君) 大ざっぱに言うと、さようでございます。
○渋谷邦彦君 しかし、いま御答弁にもございましたように、昨年のオイルショック以来、今年はまた石油の再値上げという異常事態に直面しております。当然そうした問題がからめば、政府としては行政指導あるいは価格凍結というようなことで対処しようとしておりますけれども、しかし、それは限られた品目であり、限られた範囲でもってそれを遂行しようとする。しかし、物はそれだけではございません。そうすると、何といったって油が上がるということになれば、いろいろなところに波及するわけでございますので、これは常識として考えましても、特に一月から三月ごろにかけての上昇率というのはやはり目まぐるしいものがあるだろう。そうすると、当然昨年立てられた経済見通しというものは変更せざるを得ないという、そういう立場になるんではないだろうか。したがって現在の時点においてこうした急迫な社会情勢においては何とかやはりその見通しのつく、ある程度見通しのつく、こういう経済指標というものが立てられないもんだろうかということでございますが。
○国務大臣(内田常雄君) 来月から始まる将来の一年間のことでございますから、私が大ざっぱに申せばさようでございますと言った意味は、これは昨年などはまことにとんでもないひどい狂いがあったことは申すまでもないし、これは私がつくったわけじゃないけれども、お恥ずかしい次第だということでしょうが、しかし一昨年まででも、経済見通しというものは、天気予報ほどではないですけれども、かなりの物価なんかの狂いのあったことも御承知のとおりでございますので、私がここで昭和四十九年度のあの見通しが狂えば腹を切るというようなことは申しませんが、しかし、実はかなり思い切った訂正もいたしております。いまも申しましたように、一番大きく直しましたのは国際収支でございまして、輸入の見通し、それによる貿易収支の見通しなどもかなり大きく直しました。しかし、それは直接予算の基礎には影響はないことでございまして、それで卸売り物価におきましても、十二月末に閣議の了解を得ました卸売り物価の昭和四十九年度の四十八年度に対する平均上昇率は一一・九%という上昇率をとっておりましたのを一四・六%、これは先ほど申しましたが、そういう卸売り物価が上昇するということに直しました。しかし、渋谷さんからおそらく御批判があると思いますけれども、消費者物価につきましては、十二月の末に当初につくりました年間の平均上昇率九・六%というものはそのままにしております。これはしかし、決して物価が上がらないような、いいかげんな経済見通しということではございませんで、石油を例にとりましても、原油が上がってまいる、その原油の値上がりがすべて卸売り物価のほうに反映をいたしております。その原油をさらに精製をいたしまして八種類か九種類の石油製品に直すわけでございますが、それらも大部分は卸売り物価に影響する要素でございまして、消費者物価に影響する要素は、これも御承知のように、灯油とかあるいはプロパンガス、それからガソリンでございます。灯油、プロパンガスにつきましては、これは私どもの政策といたしましても据え置きと、こういうことにいたしております。これは先に持っていくと、当分の間とか、今需要期中はとかいうようなことの御追及もあるのかもしれませんが、それはそれといたしまして、石油製品の値上がりというものは消費者物価には非常に影響が小さいというようなこと、さらに最近のいろいろの動きを見ましても、卸売り物価のほうは、たとえば、十二月の月間の値上がりが御承知のように七・一%、一月の月間の値上がりが五・五%、しかし、二月の月間の値上がりは、よく言われるげたといいますか、ずれ込みといいますか、ああいうものを含みましても、三・六%というようなことで、卸売り物価のほうは落ちつきが出てきておるわけでありますが、消費者物価も、卸売り物価が上がりますと当然何カ月かの後には消費者物価にもあらわれるでございましょうが、卸売り物価が下がってまいりますと消費者物価のほうにもそれが必ずそういう傾向を来たす。また、タイムラグもございますので、石油製品にとりましたような政策、あるいは石油関連の五十三とか、百貨店、スーパー等で扱うものばかりではなしに、通産省とも協力をいたしまして、一般の小売り商などで扱う凡百の小売り価格というようなものも押え込んでいただくような施策も検討いたしておるわけでありますが、そういう施策をタイムラグの間にとることによりまして消費者物価は変えないで済む。そこへもってきて、総需要の抑制、また国民の消費に対する態度も最近かなり変わってまいりまして、物を大切に使う、けちけちムードというようなものも出てきておりますので、いまこの際私は、四十九年度の経済見通しをこの機会にもう一ぺん変えるということはしないでいいと、正直のところ、思っております。
○渋谷邦彦君 その一面はわかります、いま御答弁のとおり。しかし、卸売り物価が鎮静化の方向へ向かいつつあるということでありまして、上昇していることはまだ間違いないわけです。したがって、いまもお話がございましたように、こうした卸売り物価の上昇というものが消費者物価に反映する時期というものが必ずまいりますね。おそらく数ヵ月後といまおっしゃいました。そうすると、その時点でやはりまた消費者物価というものの上昇というものは当然考えられていくであろうし、いまいろいろな要素がからみ合っているという複雑な経済環境の中で、先ほどの総理の答弁もございましたけれども、全く夏ごろまでの間に鎮静化するということが、非常にわれわれとしてはやはり安心できないという一面があるわけです。だから、もう一ぺんこの機会に政府として明確なとまでいかなくても、ある程度の見通しはこうなるであろうということが立てられてもいいんではないかということを申し上げているわけです。
○国務大臣(内田常雄君) 私どもは、決して物価を中心とする来年度の日本の経済のあり方を、このままいけばということで楽観をいたしておりません。非常に心配をいたしながら努力をいたすわけであります。卸売り物価が上がればそれは何カ月の間には消費者物価に影響をいたすこと、これはそれだけ申したんじゃありませんで、卸売り物価がまた下がりますと、消費者物価のほうにも影響がございますし、また海外からの物価高の影響を一番直接受けますのが、申すまでもなく、卸売り物価でございます。これは、石油にいたしましても、また、一部の飼料等の農産関係のものでもそうでございましょうが、しかし、消費者物価のほうにはそれが直接影響するまでの間にいろいろ政策的手段を講じますので、海外の物価高というものは、卸売り物価に影響するほど消費者物価には影響をしないということで、私が先ほど申しましたのは、卸売り物価のあとを追って消費者物価は夏ごろにはかえって上がってくるということではなしに、むしろ私なんかの期待といいますか、努力目標としましては、せっかく二月の段階で卸売り物価が天井をついたのでありますから、消費者物価も、ここぞとばかりに追い打ちをかけまして、国民にも理解や協力をいただきまして、そうして夏ごろまでには、卸売り物価のみならず、消費者物価も鎮静をしていくという方向をとり得る、こういう見通しでございまして、これも総理大臣がお答えになっても同じことをお答えになると思うので、私はそのことを国民にもぜひひとつ、私自身からも、こういうことでやりますから、国民の各位にも協力をしてほしい、信用をしてほしいということでやるほかないと、ほんとうに考えております。
○渋谷邦彦君 ただ、まあいまいろいろと取りざたされている中に、まあ近い将来に国鉄運賃も上がるであろう、また電気料金も上げなきゃならぬという、こういう一連の公共料金の値上げ、こうしたことを背景として考えた場合でも、いま長官が言われた卸売り物価指数あるいは消費者物価指数、これが全く変更なしでいけるということは、これは非常に魔術的な見通しじゃないだろうか。その辺はいかがなものでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) これはちょっとむずかしいことを申し上げるようで僭越に思いますが、物価の要素には、もうこれ、渋谷さんも御承知のように、コストプッシュ、コストが上がるから物価を押し上げるコストプッシュと、それからデマンドプル、需要がふえて物価を引き上げていくというデマンドプル、このデマンドプルのほうは、まあ大蔵大臣がたいへんがんこでいらっしゃって、総需要の抑制はどこまでもやると、こういうことでございますから、私も大蔵大臣のその言明にたよっておるわけでありますが、それがだんだんきいてまいりました。これはまあ日本銀行の総裁に言わせても、これも同じ見方をしていると思いますが、そういうデマンドプルが衰えてまいってきておりますほかに、もう一つ、これは私が発明したことばになるかもしれませんけれども、スペキュレーションアップという要素が去年の暮れぐらいからあったわけであります。これは先取りムードということによる値上げでありますが、そのスペキュレーションアップ、スペキュレーションムード、仮需要というものが急速に衰えてきまして、ここで総需要抑制をしていただければ、それは卸でも小売りでも、持っているものをみな吐き出すと、こういう状況が来ております。物が上がったり足りなくなるときにも、われ先にというわけで、売り惜しみ買い占め等があったことはもちろんであったと思いますが、物の値段が下向いたり、あるいは需給が緩和しますと、今度は、まあわれ先にということも、ことばのとおりいくかどうかは別といたしまして、やはり投げ出し傾向というものが出てまいります。それまでの売り手市場が買い手市場に回ると。しかも、買い手はけちけちムードで、なかなか買わない、こういうことで、先般来たびたび申しましたように、繊維製品などは、もうこのごろは、私の郷里もそうでございますが、みなが困っている。もう一週間に三回ぐらい値段を安くつけかえなきゃならぬというようなこともございますので、
  〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
これはまあ、そういう面におきましては困ったことで、これまた価格の維持をいろいろはかることも考えなきゃならぬのでしょうが、全般論といたしましては、いま英語で申しました三つの要因のうち二つがだんだん衰えてきているということを私どもは、たよりにするばかりでなしに、そこに政策を集中していくことが、特に私なんかの任務であると考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 次にお尋ねをしたいことは、いままで衆議院においても参議院の予算委員会におきましてもしばしば指摘されて糾弾されてまいりましたやみカルテル行為、実は公取委員会で、もうすでに悪質なものについては十分チェックしているにもかかわらず、依然としてその勧告に従わない、それがまかり通ってきているという実情でございます。われわれはそれを整理した、ここに一覧表があるんです。もうほとんど大手と称する企業体によって占められているわけですね。まことにけしからぬ話でございます。そうしたせっかくの勧告があるにもかかわらず、勧告後においても、少なくとも数回にわたって価格の引き上げをやってきているという実態が明らかになっておるわけであります。と、一体、公正取引委員会というのはただ勧告をして――まあもちろん、いま独禁法の改正というような問題もございます。しかし、これにはやはり強力な、たとえば価格引き下げ命令権というものを与えるというようなことを今度織り込んでいきませんと、こういう事態の解消というものは今後にわたってもまず不可能ではないだろうかというようなことにつきまして、今後の商社の正当な、正しい意味においての活動を推進する意味からも、そういうあり方というものは非常に必要ではないか。まず、その点について、いままでの公取において、せっかく苦労されて勧告をされ、業界に対して指導されてきた、それが全然踏みにじられてきているという実例がここにあるわけです。これについて一体公取委員長はどんな見解と、今後に臨むお考え方を持っていらっしゃるか。
○政府委員(高橋俊英君) せっかくお調べになったその資料を、私も先ほどいただいております。そしてその図表にしたものも見ました。特に、まあ昨年一ぱいが、おそらく全年間を通じて、物価を押し上げるといいますか、物価上昇の圧力がずっと強かったというふうに思いますが、それを制圧し切れなかったという問題。で、そういうときには、せっかくの破棄勧告をして、しかも、これは新聞に広告しまして、それから取引先に対しては、みな新たに、みずからみなそれぞれ自主的にきめるんですよということを厳重に言ってやらしているにかかわらず、物価は一向――物価の面で見ますと、効果は全く出ていない。のみならず、石油危機が起こりましたあとは急騰しておるというのが実情でございます。御調査のとおりであると思います。
 そういうことで、私どもは、一体破棄勧告とは何だと、排除命令とは何かということをずいぶん考え直したわけでございまして、何の効果も出てこないということ。つまり、本来ならばカルテルというのは共同行為であると。そうではなくて、本来あるべき競争状態に戻すというのが破棄勧告の目的なわけです。しかし、それは言っただけでございまして、その後別に、相談したかどうかは別にしまして、もうほとんど同じようなテンポで上がっておるというのが実態でございます。ですから、私どもは、まああらゆる面において公正取引委員会が物価庁的な存在になるということについては、私はそれはむしろ否定的に考えますが、少なくとも違法なカルテルを行なったものについては、一面においては競争そのものを再現させるということが大事でありますけれども、そういうことができないならば、まあ原点に戻れというか、あるいはそれが無理であっても、引き下げ命令によって、一種の経済制裁でもあり、かつ需要者にいままでカルテルによって不利益を与えた分を需要者に対して報いるというふうな意味も兼ねて、長期間は無理でございましても、三ヵ月以上数ヵ月というふうな期間ならば据え置くと、価格を。万やむを得ないその中途の段階においても、よほどのことがなければその据え置きは解除しないというぐらいの制裁的経済政策ですね、これがあってしかるべきじゃないかと私は思います。思いますが、いま専門家の間にお願いして検討していただいておりますが、かなりその中に、一部ですね、はっきり申します、独禁法というものは競争政策なんであると、物価そのものにあまりとやかくタッチすべきじゃないという、非常にオーソドックスな考えの方がおられます。これはこれで一つの見識だと思います。私的独占禁止法というものはそういうものなんだから、競争政策を維持することに徹底しろと。ただ、私は現状並びに将来を考えましても、過去の実態から考えて、ちょっと理想論じゃないかと考えます。やっぱり現実に即した排除措置でなければならぬと、排除したけれども何にも効果がないというのでは排除した意味がないわけですから、自己満足にすぎません。
 そういうことにかんがみまして、私どもの公正取引委員会としては、いまお話しのような価格引き下げ命令権を持ちたいというのですけれども、なかなか専門家の御意見を聞きますと、それに対して理論上相当抵抗があるというのが現状でございますが、なるべく私どもとしては、そういうふうに努力いたしまして、皆さんの合意を得たいと思っておりますが、そう簡単に一朝一夕にいかないということがどうもはだで感ぜられますので、これからも一そう趣旨をよくのみ込んでいただいて、立法政策論として考えられないかと。国によっては――ちょっと長くなりますけれども、小さな国でございますが、私的独占禁止を保つその独占禁止の委員会が同時に価格委員会を兼ねているという国もないではない。私はしかし、そこまではやらないほうがいいと思います。日本では、すべての価格問題をやるというふうなことになると、これはたいへんなことになりますから、しかし違法行為によって起こされたカルテル行為、それに対する排除措置としては、引き下げ命令権を与えていただいたほうが現実的ではないか、政策論的にはそう解すべきではないかと考えております。
○渋谷邦彦君 いまの問題、非常に重要でありますので、総理にも言及していただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 非常に重要なことでありますから、政府としても勉強いたします。
○渋谷邦彦君 ということは、いまの公正取引委員長の考え方に従った方向に政府も協力するというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 公取は公取で勉強しております。政府もいま勉強しているところであります。これは政府部内で結論を出す場合には十分意思疎通をはかってまいるということであります。
○渋谷邦彦君 いままでわかった範囲でも、この図表に示したとおりでございまして、わからないところまで入れると相当数にのぼるであろう。なぜ私がこれをあえて言わなければならないか。こういったことから国民生活にいろんな意味で影響を与えるということは避けられないから、それでまあ公正取引委員会も真剣になって民生安定のためにその一助として、そして今日まで企業間における不公正な取引について勧告もし監視もしてきた、こういうことであるわけですが、そこで、いま非常に問題になることは、いままでせっかくこうして苦労してきながらも、いま委員長の御答弁にありましたように、何ら効果がなかった、あるいは効果がないほうが多かったじゃないか。そうすると、いま俎上にのぼっております独禁法改正にあたりまして、やはり現実を踏まえた、しかも物価も取り扱うということを前提として、ぜひともやはりその状況に応じて価格引き下げ命令権というようなものを与えるような、そういう法律改正というものは、やはりどうしても必要になってくるんじゃないだろうか。この問題、総理はいかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) いつも申し上げておりますとおり、独占禁止法の改正につきましては、いま、私的ではございますが、研究会をつくって研究しているわけです。ですから、この成案を得るのを待って政府も対処いたします、こう述べておるわけです。これは、独禁法というものは各国でもいろんな条文を入れておるところもございます。ございますが、制度が違う場合もあるのです。ですから、まあ公取を中心にした研究会の結論に待とうということでございます。政府部内でもいろんな意見があるわけです。これ、行政権との問題がございますし、一般の行政権の一部ではございますが、私的独占禁止法という特別な法律の番人として公取がこれに当たっておるわけでありますので、不公正な取引によって国民に重大な影響を及ぼしてはならない、国民生活を乱してはならないということを目的として私的独占禁止法があるわけです。ところが、不公正な取引があった場合これを罰する、審決に持ち込むというようなところだけでございまして、いままでのように勧告を行なってもどうもあまり効果がなかった、全部が全部審決に持ち込めるかというと持ち込めるわけではない。そうすると、労多くしてどうもなかなか効果はあがらなかったじゃないか、だから、この法律の目的とする大前提を考えると、不公正な取引、私的独占を排除するということを目的としたものではあるが、しかし、その最終的な目的は国民生活の安定――国民生活の安定の中には、物価抑制、物価安定というのも含まれるわけですから、法運用の中にそういう条文が入ったほうがいいんではないかということで――まだそれだけでなく、一ぱい何カ条も検討しているようです。政府の中にも物価抑制をしなきゃならぬというのが、もう当然あるわけですから、この行政権の調整をどうするか、調和をどうするかというような問題が起こってまいります。起こってまいりますが、まあいま物価問題がたいへんなときでございますし、この私的独占禁止法の改正という問題も長いこと検討をしてきておるわけでありますから、まず公取を中心にした改正試案というようなものができたときに政府の意見も十分述べて調和をはかってまいろうということで御理解いただきたい。これはいまから、その条文も全然できないうちに……。行政権、他の省でやる行政権と同じものをここへ入れられるのかどうかという問題もありますし、しかし、公取がこの法律運用の上に効果があげられない、そのために最小限これだけの規定は入れなきゃならぬというような、いまの法律との関連において出てくる改正条文もあるわけでありますから、これは結論を待って対処してまいりたいと、こう思います。
○渋谷邦彦君 先般来の石油危機に関連いたしまして、の公取の勧告、これと通産省、特にまあ通産省でありますが、行政指導というものが連動したのかどうか、この点はいかがなものか。で、連動すべきものなのか、連動しないほうがいいものか、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 通産省あるいは農林省の方々が、わがほうの破棄勧告あるいはそれ以前の状態においてもございますが、いまおっしゃったような行政指導によって価格を引き下げるようにという措置をとられておる例がございます。そのことについて私はとやかく批判をすべき立場にありません。ありませんが、まあとにかく便乗値上げとおぼしきものが明らかに含まれているのじゃないかというふうな場合がしばしばあったわけです。これは最初の石油の段階からあったと思いますが、そういう事実を見て、その行政、監督官庁が、これはちょっと行き過ぎであるということで訂正を求める、それにまあ業界が応ずるということは、そのこと自体、私は、いまの現実を踏まえて考えれば、むしろ適切であったのじゃないかと思います。それがたとえ行政指導によるものでありましても、行き過ぎた状態をそのまま――私のほうが幾ら排除命令を出しても下がらないわけですから、ほっとけばそのまま高値のままで続いてしまうというふうな場合に、行政官庁が引き下げてはどうかということを要請されるということ自体については、私どもは、現実、いまの状態を考えた場合に、むしろ適切な措置であったのじゃないかと思いますが、しかしそういう批判については、私はあまり申し述べるのは適当でないと思いますし、それぞれ各省のお考えお考えでやられたというふうに思っておりますので、それはそのように御理解願いたいと思います。
○渋谷邦彦君 もう一点。いままでこうしてせっかくの公取の勧告が出たにかかわらず、それが無視されてきた。この実情について、まあ先般は反社会的商社というようなことでだいぶ議論があったようでございます。公取としては、これらの商社については、その評価の問題でございますけれども、悪徳と言うも、あるいは反社会的と言うも、いろんなその表現のしかたはあるだろうと思いますけれども、どういう見方をされているか。
○政府委員(高橋俊英君) いまおっしゃられた商社というのは、それはおそらく企業をさしておられると思います、一般の企業と解します。で、その企業が私どものほうの独禁法に違反した行為を行なった、しかも一回だけでもないという企業があるわけです。まあ石油の場合ですと、私のほうで把握しただけでも一年間に五回価格協定をやっておる、そのほかに数量協定をやっておるというふうなことがございます。といたしますと、それは要するに、独禁法という法律を無視したという点は、これは明らかに反社会的行為であると、こう思います。そこで、反社会的行為であるということは、はっきり申し上げられますが、反社会的企業として企業全体をいわば一種の悪の標本としてこれに制裁を加えるかどうかという点になりますと、独禁法の見地だけからきめていいかどうかという点は、私は断言できません。われわれのほうから言えば、それの行為一つ一つはみな反社会的行為であると、こう思います。その積み重ねが多いものは、やはりその反省の色も足らないし、あるいは他の業界あるいは消費者に対して悪い影響を与えたという点においても、私は、便乗値上げを含んでおる場合なぞは言えると思います。しかし、ほかに脱税問題があったとかいろいろなことがございまして、それらを総合判断して、日ごろのその事業の果たしてきた役割りというものと比較考量しても、なおかつ悪のほうが多いと、そういう場合には、私は、反社会的企業であると、こうすべきものだと思います。つまり、日ごろどのような行動を行なってきたかということもやっぱりあわせて考えざるを得ない。それとのプラスマイナスの評価のしかたによって、企業が悪であるというふうに、反社会的であるというふうに判断すべきものではないかと思いまして、この点につきましては、先般大まかな基準ではありましても、総理がおっしゃった、たとえば企業ぐるみでやったとか、反社会的であるということを百も承知の上でやったとか、及ぼす影響が非常に大きかったと、こういうふうな点は、一つの重要な、企業を反社会的であると断定するのに一つの大きな筋ではないかと考えております。
○渋谷邦彦君 次に、昨年のオイルショックに関連いたしまして、緊急供給の一環に通産省の指導による石油あっせん所というものが設けられました。その実態をわれわれはわれわれなりに調べてみたんですが、非常に不合理な点が多過ぎたんではないか。こういう問題が将来にも禍根を残さない意味におきましても、政府の見解を伺っておきたいと思うんでありますが、このあっせん所の状況を、これはもう総ワクでけっこうでございますから、どういうふうになっているのか御説明いただきたいと思います。
 それから、次にあっせん価格はどうなっているか。
○政府委員(熊谷善二君) お答え申し上げます。
 石油製品のあっせん相談所は、昨年の十二月十七日から全国各都道府県の石油商業組合の中に設置をされまして、いわば緊急避難的な臨時措置ということで、石油の取得に困窮をされておられる方々、そういった方々に石油をあっせんしようということが主たる目的で急遽つくったものでございます。
 今日までのあっせんの申請状況でございますが、十二月は六万七千件ございまして、七万二千キロのあっせんをいたしております。一月は十万件の申請がございまして、十五万キロのあっせんをいたしております。それから、二月に入りまして、需給が緩和をいたしましたことも反映をいたしまして、四千件に減っておりまして、あっせんの数量は一万一千キロリットルでございます。三月に入りましてさらに件数が減りまして、三月は四百七十件に激減いたしております。あっせん数量は千五百キロでございます。合計、今日までありました申請件数は十七万二千件、あっせんしました数量は二十三万四千キロでございます。
 それから、価格につきましては、このあっせん所は、あっせんをいたしました際の販売店とあっせんを受けた申請者の間、当事者できめていただくということをたてまえといたしておりまして、ただ、販売店につきましては、通常の取引を上回わった価格でやることは一切まかりならない、こういうことで強く指導をしてまいったけわでございます。ただ十二月、一月というときには、十万件をこえます申請もございまして、末端の段階で一部いわゆる通常の取引価格よりも上回わった価格であっせんをした例もなくはございません。指導の不徹底さをその点遺憾にも存じておるわけでございますが、私どもとしましては、そういった実態を踏まえまして、強く行政指導を今日まで続けてきたわけでございます。
 なお、最近件数も減っておりますし、処理も迅速に行なわれてきておるのではないかと、そういうふうに承知をいたしております。
○渋谷邦彦君 いま答弁にもありましたように、通常の価格を上回わってはならない、行政指導の欠陥もあって高くなったところがあると。ところが、これは全国的にほとんど高い値段で売られているんですよね。いまここに私は東京と静岡、兵庫、北海道の例を持っております。例外なく五円前後値上げしております。ということは、これはたとえ相談によってきめるとはいうものの、通産省の指導がこの価格に通じはすまいかという疑惑が出てくるわけでございます。これは通産大臣、どのように受けとめていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) あっせん所をつくったころは、非常な危機感が切迫したときでございまして、量さえあればというような気持ちが一方の中小企業や農漁業等にあって、そういうような特殊の雰囲気のもとに若干値上げした部分があったんだろうと思います。これははなはだ遺憾な事態でございます。そういうものでわかっているものは、できるだけ返させるように行政指導したいと思いますが、おそらくかなりの数にもわたっておるので、万全の措置でそういうことがやれるかどうか、なかなかむずかしい点もあると思います。しかし、ともかくそういう事態のもとに異常なことが起きたということは、はなはだ遺憾なことでございまして、今後は特に注意していきたいと思います。
○渋谷邦彦君 私の手元にありますこの計算によりますと、若干いまの報告と違うんですけれどもね、これは多少の違いはやむを得ないと思うのです。あっせん件数が十六万七千件、そしてあっせんの石油供給量が二十四万三千キロリットル、これを平均三円にいたしましても、七億円以上不当の利益をあげているという結果になっているんです。ほんとうに返せますか、これ。それは一件や二件ではございませんですよ。それと、あっせん手数料というのがあるのです。この五百円ときめた理由はどこにあるのか。この五百円という手数料を計算いたしましても八千三百万円です。しかも、あの暮れの忙しいときにどういう手続をとったか、御存じですか。これは恨みつらみ、たくさんあるんですよ。けれども、実際油はあった。油はあったけれども、将来のことを考えて、まあ若干ですね、規制をしたということにもなりましょう。けれども、その忙しいときにもうかけずり回って、やっと十リッターとか十五リッターという少量の油をもらうために、あっちに頭を下げこっちに頭を下げ、おまけに手数料を取られる。そしておまけにその価格が高い。こんなべらぼうな話が許されていいのかということなんです。
○政府委員(熊谷善二君) お答え申し上げます。
 まず手数料でございますが、御指摘のとおり、一件当たり百リッター未満につきましては百円以内、百から五百リッターまでのものは三百円以内、五百リッター以上のものは五百円以内ということで手数料を取っておるのが大部分でございます。これは先ほど申しましたように、当時の状態といたしましては、十万件前後の申請が参っておりまして、このあっせん相談所の中の実務者は非常に少数でもございまして、アルバイト要員を二、三名雇いまして、申請書の受付処理、あっせんと、こういった実務がかなりございますので、そういった点を踏まえまして、実費という考え方で徴収をされてきたものと存じます。
 今日まで私どもが承知しております十二月、一月におきます収支の状況でございますが、各相談所合計いたしますと、収入が約四千三百万円、支出が四千万円、未払い分等ございますが、残額が二百三十万円ということでございます。なお、各相談所ごとに収支の状況がかなり違っておりまして、赤字の相談所が十八件出ております。なおまた、若干今日ただいま残額があるところにつきましては、私どもは、この二月以来、申請が激減しております関係もこれあり、これからは印刷の、まあ増刷をする必要までもないであろうというようなこともございますし、サービスとしてこういった案件を処理するようにということで、減額もしくは無料にするよう、現在行政指導をいたしているところでございます。
○渋谷邦彦君 通産大臣は、先ほど不当な値上げ分については返させるように行政指導をしておると、それは確実に実行できるおつもりはございますか。実際これだけあるんですよ、証拠書類だけでも。上がったものを買ったという領収書と請求書。
○政府委員(熊谷善二君) お答え申し上げます。
 私どもは、今日まで、高い価格であっせんされた製品を買った、こういった苦情のあるものにつきましては、直ちにその差額につきまして返すように指導をいたしております。具体的なケースがございましたら私どもにお教えいただきたいと存じますが、私ども、各相談所に対しましてはそのような指導を今日まで続け、なお、これに対しまして、各地元の通産局等を通じまして指導をやってまいっております。具体的なケースがいろいろあろうとは存じますが、たまたま私どもの苦情窓口にその具体的な案件が参っていないために、あるいは先生のお手元に幾つか残っているのがかなりあるのではないかと存じますが、私どもは、わかり次第、そういったものにつきましては、冒頭申し上げましたように、返戻をさせる、こういう指導を今日までとってきてまいっております。
○渋谷邦彦君 まあ、いずれにしても、みんなが困っているときに追い打ちをかけるようにして、そしてさらにその苦しみを増大させようという、こういうまことに、何と言いますか、冷たい仕打ちといいますか、これはやはり考えなきゃならぬし、通産省としても全力をあげてやったということでございましょうけれども、しかし、実に配慮が足りなかったんじゃないか。わかった分については返すと言いますけれども、販売層なんかで、おそらく返す手だてなんか全然講じられていませんよ。だから、もうこういう一つの既成事実ができますと、もとへ返せといってもなかなかできないです、それは。通産省としては、全力をあげてそういう向きについては返すというのならば、今後もそういう問題が起きない一つのくさびとして、返すような方向で慎重な配慮をとっていただきたいと思いますが、通産大臣、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨に沿って実行いたします。
○渋谷邦彦君 次に、やはり石油製品に関連した問題として、プロパンガスの問題でございますが、これも昨年暮れから一月にかけて、いろいろな不平不満というものが、特にプロパンガス消費者から出ております。また、消費者のみならず、それからそれを取り扱う零細業者ですね、ずいぶん泣かされた話を私は地元で聞いているわけです。それで、特にプロパンガスを扱っている岩谷産業というのは、全扱い量の三〇%以上のシェアを持っているそうでございまして、日本では一番だというふうに言われております。この手口を申し上げますと、十二月に入りましてから一いままで通常の取引が行なわれていた。ところが、十二月に入りますと、保証金を積み立てろ、それから品代金については二カ月分ぐらい前払いをしてくれという強い要請があるわけです。販売所としては、そういうことを元請のほうから言われてみると、今後のこともあるんでということで、泣く泣く金をくめんしなければならない、こういうよような問題が至るところにあるんです。こういう実態について、通産省としては掌握されているかどうか。
○政府委員(熊谷善二君) お答え申し上げます。
 いま先生御指摘の、元売り業者あるいは大販売店から下の小売り店への取引につきまして、通常の商慣習で行なわれております取引の態様と違って、いわば石油危機に便乗して特別の負担をかけるとか、こういったようなケースにつきましては、まことにけしからぬ話でございまして、私どもとしましては、そういった具体的なケースがございましたら、必要な措置を講ずべく実情を調査いたしたいと考えております。今日、金融の逼迫その他、ことし――新年に入りまして以来、たとえば支払いの条件が、十日あるいは一カ月従来猶予されていた条件が短縮するとか、こういったような状況もあちこちに出ておるわけでございますが、こういった点につきましては、従来は、通常の商慣行と認められる範囲内のものと考えられるものもあるでございましょうし、また、実際問題としては、それによって非常な急激な負担を小売り店等々に及ぼすというようなこともあろうかと存じますが、そのあたりにつきましては、実情をさらに把握をいたしまして措置を講じたいと考えております。
○渋谷邦彦君 おかしいと思うんですね。実情を把握というのは、どういうことを通じておやりになるんですか。
○政府委員(熊谷善二君) 先生御指摘のLPGの元売り業者と販売業者間の問題につきましては、LPGのたとえば協会がございますし、また元売りの団体もございます。また、小売りの団体もございます。こういった団体の有識者等あたりからいろいろ実情につきましても承知をします一方におきまして、全国の問題でもございますので、各通産局を通じましても、こういった実例等につきまして調査をしてもらうということにいたしたいと考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 この問題が起こったのは去年でございますよ。もうすでに二ヵ月以上、約三ヵ月になんなんとしている。それで、その配慮ある措置がとられていない。これはまことに奇怪千万なことだと言わざるを得ない。こういう力の弱い業者というのは、御存じかどうかわかりませんけれども、元請に対して強く言えないという、そういう立場に置かれているんですよ。へたを言うと仕返しがこわい。私は、いまここに領収書とあれを持っていますよ。これは見せるわけにいかないんです。これがわかれば元請のほうで制裁措置をとられるということをこわがっているからなんですよ。これは二ヵ月分の領収書です。これは保証金の領収書ですよ。こんなのは一例です。そうして、そういう零細企業、表面的には中小零細企業の立場を守ると言いながらも、現実にはこういう問題が至るところに行なわれているわけです。通産大臣、どう思いますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油危機に乗じて、力の強い者がその立場を利用して、そういうどちらかといえば反社会的な性格を持っていることをやるということは、独禁法上からもこれは禁止されておることでありまして、まことに遺憾なことであります。非常に当時はせっぱ詰まった状態であったので、そういう心理を利用してあるいはやったのかもしれませんが、おそくても、ともかくそういう事態をできるだけ早く究明いたしまして、直すべきものは直していきたいと思います。
○渋谷邦彦君 これは町の名前を言えばまたわかるから、愛知県と言っておきましょう。私の知っている方なんですがね。保証金として百万円積めというのです。総理、聞いてくださいよ。ところが、銀行へ行っても金を貸してもらえない。やむを得ず、自分のささやかな小さな家を担保に入れて金をくめんした。しまいには、結局、その人はノイローゼになっちゃった。これはただ単に全国的に見れば数少ない例かもしれません。けれども、こういう問題を通じてそういうところまで追い込むというこのやり方、いままでもしばしば悪質な商法ということについては指摘があったとおりであります。こういう具体的な現実問題があるのです。総理、いかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 商慣習の中には証拠金として納めるものもございますし、前受け金制度もあるし、いろいろございますが、過去の長い慣習上の問題を越えて、いわゆる品不足というような状態を利用しながら、新しい保一証、前払い、また新たな担保をとって追加請求をしたような場合、これに応じなかった場合、その担保を執行することができる、前受け金の中から差額を清算することができるというようなことを行なうとしたら、それは商法の上から考えて、商法というのは商人道徳の上、モラルの上から考えても、はなはだ遺憾なことでございます。私は、そういう意味で、法に触れるものは別でございますが、法に触れないにしても妥当性のない古いものの考え方、好機逸すべからずという、この間もありましたが、そういうような考え方というものは世に指弾をさるべき行為であって、これは行政権の上で、違法行為がないということでできないということであっても、これはやっぱりある意味でそういうことが毎度行なわれるような事例があれば、ほんとうに規制も必要であろうというケースの問題だと思います。もうこの商売をしている人のモラルというものを越えた新しい形態の中でいわゆる認められるような問題ではないし、このような事態、これはまあ火事が起こったら、災害が起こったら倉庫を締めておく、倉庫から出すときには三倍でなければ売らぬというにひとしい商法であると、望ましいというよりも遺憾な行為だと思います。
○渋谷邦彦君 遺憾では済まされないこれは問題でございまして、通産大臣、もう一つ聞いてくださいよ。このほかに、「みはり」という防災器具があるんです。これはガスの検知機なんです。これを抱き合わせで売るんですよ。そしていま私が例としてあげた某店というその店、この店では二千八百五十円のものを百六十個、金額にすると四十五万六千円、これを抱き合わせで買わされているのです。買わないと、という含みがあるのですよ。いま総理も言われた、そういう許しがたいことはこれは遺憾だと、遺憾じゃ済まされないんです、これは。この実態をどう思いますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 抱き合わせのようなことも、これは公正取引に違反することでありまして、まことにそういうことはけしからぬ行為であります。もし名前を知らしていただけば厳重にそれはやり直しをやらしたいと思います。
○渋谷邦彦君 公正取引委員長、いかがですか。
○政府委員(高橋俊英君) いまおっしゃられた代金の決済方法、あるいは保証金をいままではとってないものをとると、それから繰り上げて、もうあと払いであったものを前払いにするというふうなこと、それから最後におっしゃられた抱き合わせ販売、これはいずれも不公正な取引法に該当すると私は思います。これは独禁法違反でございます。ただ、お認めになっておられるように、その名前をもし出せば、要するに今度はまた元売りから業者は制裁手段を受けると、私どものほうで、これは優越的手段の濫用という定義になります。ですから、明らかに違反なんですが、これは大商社の調査の場合にも起こった問題なんです。名前だけはぜひ言わないでくれというのですよ。そう言っているだろうと思いますよ。名前を言ったら自分の店が商売がやっていけなくなる。これが私どもで言う、そういう優越的でないようなものについて非常に取り締まりがむずかしいと、事実問題として。取り締まることはかえって被害者を苦しめる結果になるというものですから、そこで、私どもいまのお話を聞いておりまして、これは一般的に個々別の対策としてやるとそういうことになりますから、そうではなくて、元売り業者の中にそういうものを行なっているものがかなりいるんじゃないかという疑いを持ちます。あえて一店のみじゃないと、ほかにも抱き合わせ販売なんかやっている例を聞いておりますから、したがって、そういう元売りのほうに対して、優越的な地位にある者に対しては、そういう手段をやってはならぬと。また、場合によっては私どもは検査をいたしますから、サンプル調査をやって、あるいはそういう不届きな行為がそちらの面からばれてきた場合には、これは零細業者の訴えによるものじゃありませんから、それは一般的な行政指導の問題として、行政指導というのは私のほうで言う指導でありまして、これは相当法に基づいたあれでございまして、必要とあらば、ほんとうにそういう事実を把握すれば、こちらは排除命令といいますか、その排除的な措置をとります。しかし、ゼネラルな問題、一般的な問題としてそういうことを厳に慎むよう、もし言うことをきかなければ、明らかになった場合には相応の手段をとりますよということを背景にいたしまして改善を要請したいと、こう考えます。
○渋谷邦彦君 この問題は、私は、突如としてこの委員会で指摘をされてから通産省が動くのじゃ手おくれだと思うんですね。これはもう岩谷産業といえば、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、そのシェアについても日本一でございましょう。その関連する販売会社、それはもうたいへんな窮状でございますよ。特にこの愛知県下においては岩谷産業の占有率が六五%も占めている、非常に大きいわけです。ですから、いろいろなところに聞くんですけれども、先ほど来私が申し上げておりますように、言ってもらいたいのだけれども、証拠書類ということになると、それだけはかんべんしてくれと言うんです。こういう経済関係を総理はどう思いますか、一体。もう中小零細企業は泣くに泣けないという、こういう状況ですよ。
○国務大臣(田中角榮君) そういう問題は現に多数存在すると思います。これは下請代金支払遅延等防止法が制定されたのはもうすでに二十年前でございますが、この適用、運用に対してもそうなんです。これはなかなか下請というのが、もうこれで縁が切れるんだということになるとやりますが、どうもずっと続いておるんだと、一件の件数でもって争いを起こすということになると永続的な関係を断たれるということで、なかなかこの問題が、この法律の運用ということがむずかしいということで、これはもう元請に対して要請を非常に手きびしくやる。そして元請を調査をする。そして元請に対して、下請に対しては何カ月以上の手形を出してはならない、何カ月以上の手形になる場合には利息は加算をすべしというような制度にしなければ、本法があっても実際の効力をあげ得ないといったと同じことだと思うんです。これはいまの問題も公取委員長述べておりますが、景品を付して不当に廉売をすることも法律はこれを違法と認めておるわけでございますから、いろいろな手段で、それを受けなければ事実上供給が停止されるというようなかせをはめて前受け金をとる、保証金をとる、異常な契約を行なう、これはもう争えば必ず法律的には正常な契約とは認められない。返還を命じられたり、いろいろな法的な制裁も受けると思いますし、もちろん公取に届け出れば独禁法の対象として捜査を受けると思います。ですから、こういう問題、ほんとうはこういうことがないことがいいわけです。こんなことを国内でもやっているんですから、外国ででもやられたら、それはもう日本のする商売というのは、たくましいというんじゃなくて、これは悪らつだといろいろになるわけでありまして、全く排日とこういうことになるわけでしょう。ですから、そういうことは基本的な姿勢、商道徳としてこれは是正さるべき問題ですが、もうそういうものよりも、法律があるにもかかわらずまだそういう行為が、みんなは出ないだろうと、まあ出ても全部が出ない、出ることはなかろう、相手も損だから、こういうことでそういう妥当性を欠く行為、違法な行為がまかり通っておるという現状に対しては、やはりそれを目張りができるような体制、場合によっては立法というものも必要であろうと、こう思います。
○渋谷邦彦君 いずれにしても、通産当局においてはこういう事態というものをすみやかに解消するような方向に向かって善処していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 解消に向かって全力を尽くします。
○渋谷邦彦君 このプロパンに次いで、大手企業が中小零細企業に対する圧迫のもう一つの例をこれから申し上げてみたいと思うんです。
 繊維関係でありますが、日本綿糸商業組合、日本スフ商業組合と綿工連との間に取引改善の問題をめぐっていろいろなやりとりがございます。それはあまりにも不合理な取引内容によるからだというのが総括的な主張でございます。いま衆議院のほうでもこれに関する法律案が上程されているようでありますけれども、まず、この関係についてどういうふうに通産省は掌握をされておるか。
○政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘のとおり、糸商と綿工連との関係において取引条件の改善につきまして交渉を持たれておることは承知いたしております。私たちといたしましても、いろいろと過去からの商慣行等もこれあるわけでございますが、繊維関係におきましては、先生御承知のとおり、非常に流通関係が複雑ではございます。複雑ではございますが、今回新しい繊維の構造改善対策を推進するにあたりましても、この取引条件の改善ということを大きな対策、政策の柱として推進してまいりたいと考えております。
○渋谷邦彦君 この問題は、これも最近に起こった問題ではなくして、もう戦後からずっと一貫して今日まで引き続いて起こっていると、こういう状況の中で、特に機織り業者の方々はたいへん窮屈なきびしい環境の中で織物を織って、そして納品をしてくるという作業が続けられてきている。したがって、代金決済等にいたしましても、もう四苦八苦をしながらいままで行なってきている、これはもう言うまでもないことであります。そういう方々がたとえば糸を買う場合には、四十五日のしかも金利のついた手形、一方、織物業者がいろんなところへ卸したり製品を納めた場合には、まず大体百五十日以上の手形で金利なしと、まるでこれは一方通行というか、中小零細企業泣かせといいますか、そういう状況にあるわけでございますね、いかがですか。
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のとおり、糸を売る場合には一応四十五日の手形で売っておるわけでございますが、ただ、相手方の織布業者の中で資金能力の弱い者につきましては、組合員の了承を得ながら、糸商といたしましても、状況によっては六十日ないし九十日といったような手形で糸を供給していることもございます。反面、織布を買い取る場合におきましては、手形期間が長い、あるいは金利がついてないといったような問題もございます。手形期間の問題につきましても、当方で調査いたしましたところでは大体六割から七割、これは会社によって違いますが、大体六割から七割程度は四十五日の手形で仕切っておるようでございますが、中には九十日あるいは百二十日といったようなものもございます。ただいま先生が御指摘になりました百五十日というのは、実はいま初めてお伺いしたわけでございますが、特に、昨今のように金融の引き締めがきいてまいりますと、そのしわ寄せを中小機屋に及ぼすといったようなふらちなこともあり得るかと思います。実情を十分に調査をしながら、その結果において対処してまいりたいと考えております。
○渋谷邦彦君 そういう掌握のしかたでございますか。百五十日というのは、もう一つの商慣習のようになっておりますよ。愛知県においても、大阪においても、どこを回っても、われわれは何カ所か分散して全部当たったんですよ。その結果がいま百五十日以上ということになっているんですよ。いまそういうことはないような含みのある御答弁でございましたけれども、それはどうなんですか。これはあるんですよ。ぼくは証拠を持っているんですよ。
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のような事態がないと申し上げたのではございませんで、私たちの一応の調査したところでは、大体百二十日ぐらいが限界かと思っておったわけでございます。したがいまして、ただいまの御指摘にあたりまして、そういったふらちなことのないように直ちに実情の調査に入りたい、こういう趣旨でございます。
○渋谷邦彦君 私は、こうしてコピーまでとってきてあるんです。それを通産省が知らぬというばかなことはないじゃないですか。
○政府委員(橋本利一君) 私は、ただいま綿糸について申し上げ、綿織物、について申し上げたわけでございますが、合繊関係においてはさような事態があるということは承知いたしております。
○渋谷邦彦君 最初からそういうふうに明確に言わないと、こっちは誤解しますよ。私は、あくまでも織物業者、いわゆる零細企業のほうを申し上げておるのですから。それはあるというふうにいまおっしゃいましたね、百五十日。いずれにしても、こういう不合理なことが行なわれているということ自体について、通産大臣、どう考えますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 零細業者は、そういうことのために団体法に基づいてカルテルをつくりまして、共同防衛行為をやっておったと思います。それで大体四十五日ぐらいの手形で防衛をしておった、そういうふうに記憶しておりますが、それにはずれたもの、あるいはカルテルの中にあっても力の関係でそういうことになってきているのかもしれません。しかし、それはそういう法をつくった趣旨とも違いますから、よく取り調べまして、そういうことが行なわれないように指導してまいりたいと思います。
○渋谷邦彦君 中小企業団体法に基づく適用を受けております、綿糸商業協同組合は。けれども、そこに入っている組合員の実態をお調べになったことがございますか。
○政府委員(橋本利一君) 日本綿糸商業組合はメンバーが百五十五社でございまして、そのうち、いわゆる中小企業が百六社でございます。それから役員関係で申し上げますと、理事長は伊藤忠の藤田副社長でございます。
○渋谷邦彦君 私のいま手元に綿糸商業組合の名簿があります。確かに四十九社は大商社です。ところが、それ以外の中小企業の実態を調べてみますと、株屋さんまで入っているんですよ。そういうことまでやっぱりかまわないという判断のもとにこういうメンバー構成がなされたんですか。そういうまた指導をされているんですか。
○政府委員(橋本利一君) いま先生、株屋さんと御指摘になりましたわけでございますが、取引所の取引員になっておりますものは綿糸の取引、卸売りをやっておるということでメンバーになり得る資格があるわけでございます。
○渋谷邦彦君 なるほど、そのとおりかもしれません。けれども、私は、東京でも歩きました、この名簿に入っている人を抜き打ちで。調整規程のあることなんか知りませんです。まるでそれじゃこれは形をつくって実質は大企業支配によるものと何ら変わりがない、こういう判断ができるんじゃありませんか。通産大臣、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小零細企業の諸君が自分たちの共同防衛のためにつくっておるものでありますから、おそらくそういう危機にある人たちは非常な認識をしてやっておるんじゃないかと私は想像しておりましたが、そういう危機にかい人たちがあるいはそういう意識なくしてやっておるのかもしれぬ。もしそういうものをつくった趣旨に反するようなことが行なわれておりましたら、それは中小零細企業防衛のためにわれわれも乗り出して指導していきたいと思います。
○渋谷邦彦君 先ほど役員の名前を言われた。確かに理事長は伊藤忠です。そのほかに伊藤萬だとか金商又一、豊島、兼松江商、トーメン、日綿実業、森林、丸紅、こういうのは全部役員ですよ。はたして中小企業を守るための仕組みになっているかどうか、こういうことは通産省でチェックされる場合がございますか。
○政府委員(橋本利一君) ただいまお話がございました日本綿糸商業組合の役員の数は、理事長以下監事まで含めまして二十九名でございます。その二十九名の中でいわゆる大商社と称せられるものが七社、それから中小企業が九社、定義上は中小企業ではございませんが、糸を専門にいたしておりますものが十二社、その他事務局が一名ということで二十九名の構成になっております。
 先ほど大臣も申し上げましたように、本来、綿糸の商業組合あるいはそれによるカルテル行為と申しますのは、資本力、資金力の強い大商社が糸の取引秩序を乱す、あるいは中小の糸商の経営基盤を不安定にする、結果として糸の安定供給が阻害されないようにということで、団体法の規定に基づいてやっておるわけでございます。そういった意味からいたしましても、私たちといたしましては十分これを監督してまいりたい。また、かたがた議決権あるいは選挙権等につきましても平等の原則にのっとっておりますので、法制的には十分チェックし得る態様になっております。したがいまして御指摘のようなことのないように、十分今後とも大商社支配にわたらないように現実問題としても対処してまいりたいと考えております。
○渋谷邦彦君 こういうような影響があってかどうかわかりませんけれども、先ほど申し述べたように、綿工連のほうといたしましては、手形に金利がつくというのはおかしい、あくまでもその代金に金利がつくべきものであって、金利がその際に請求されるということはおかしいということを中心とした取引改善の要請がしばしばなされていて、現在まだそれが解決していない。こういう状況を考えたときに、特に機織り業者というのは申すまでもなく中小零細が非常に多うございます。その立場を擁護する意味においても、当然、政府として何らかの形において適切なる行政指導というものが行なわれてしかるべきじゃないか、いままで一体どういう手が打たれてきたのか、これを述べていただきたいと思います。
○政府委員(橋本利一君) 特に綿工連サイドからも意見を聴取いたしまして、その意を受けて指導いたしておりますが、先生もただいま御指摘のように非常に長年かかってきておる問題でございます。取引改善、いま申し上げておる手形サイトの問題、金利の問題のほかに、契約を文書形式でやるとか、あるいは返品の取り扱いをどうするかといったように、非常に複雑な、繊維の歴史が長いだけにきわめてむずかしい問題もかかえております。さようなところから、近く、繊維の取引改善協議会というものを設置いたしまして、主として学識経験者を中心に関係者の意見を徴しながら、この場で標準的なルールを策定いたしますと同時に、それをいかにして実行に移していくかといった手段、措置等についても検討いたしたいと考えております。
○渋谷邦彦君 綿商と綿工連の関係については、団体法の規制によって調整規程というものがございます。このワク内で商行為が行なわれていくわけでございますが、しかし同じような性格のもとに出発をいたしました日本綿スフ商業組合というのがございます。これは団体法の適用を受けてませんね。
○政府委員(橋本利一君) 日本スフ糸商業組合は団体法の規定に基づいて設立された組合ではございます。ただ調整規程を実施しておらない、こういうことかと思います。
○渋谷邦彦君 団体法の適用を受けてない、したがって調整規程もない。けれども実際には綿糸と全く形態的にも同じような商行為が行なわれている。これについてはどういうふうに受けとめていらっしゃるんですか。
○政府委員(橋本利一君) 日本スフ糸商業組合は団体法の規定に基づいて設立されておる組合でございますので、その意味合いにおきましては団体法の適用を受けておるわけでございますが、いわゆるカルテル行為を行なうための調整規程というものを実施しておらない、こういうことでございます。
○渋谷邦彦君 ちょっとおかしいね、さっきは受けてないと言って、いま受けているとおっしゃいましたね。
○政府委員(橋本利一君) 先ほど申し上げましたのも、このスフ糸商業組合は団体法の規定に基づいて設立されておりますが、その設立された商業組合がカルテル行為いわゆる共同行為を実施する場合には、調整規程をつくりまして主務大臣の認可を受けるという手続が必要であるわけでございます。二アクションになっておるわけでございますが、その後段のほうのカルテル行為をやるための調整規程と申しますか、認可を主務大臣から受けておらない。と申しますことは、裏返して申しますと、合法的に共同行為をなし得ない段階にある、こういう意味でございます。
○渋谷邦彦君 ところが、実際には綿糸商業組合とその構成メンバーもほとんど変わらない、やっていることも同じ。こうなると、いま言われたようにカルテル行為というものが発生するというふうに判断されますけれども、その点は公正取引委員長はどういうふうに御判断なさいますか。
○政府委員(高橋俊英君) いま説明のありましたとおり、調整規程をつくることについてちゃんと認可を受けていなければならぬわけです。その場合に初めて共同行為ができる。であるにかかわらず、手形サイトを一律に百五十日にするという申し合わせを実行していれば、これはカルテルでございます。ですから、その点では、もしこれが事実とわかれば、そのカルテル行為をやはりやみカルテルとして処断しなければならない、こういうことになります。
○渋谷邦彦君 確かに往復文書にも――ここにつづりがございますが、糸を買う場合、やはり綿糸商と同じ条件であります、全く同じ条件です。そうすると、いま委員長が指摘されましたように、これは明らかにやみカルテル行為の所業ではないか、こういう疑惑が出てまいりますが、そのとおり判断してよろしゅうございますか。
○政府委員(高橋俊英君) すでに通産省のほうでもその事実は把握しておられると思います。そういう調整規程を設定しておらないのにかかわらず、していると同じことをやっている。ですから、これは許されない行為である。事実の把握は私は容易であると思いますが、したがって、それに相応した処断をするつもりでございます。
○渋谷邦彦君 こうした実態が現実にスフ糸業界と、それから織物業界において行なわれている。非常に不合理な、われわれ直接そういう仕事をしていない者がはたから見ておりましても、これは許せないあり方ではないか。日ごろ、中小企業云云ということを政府・自民党さんも表看板にされております。けれども、実際に、現実的な問題としては、そういう政治のひずみにどれほどあえいでいるかというこの実態、通産大臣、どう一体こういう問題について――これも単なる一例かもしれません、繊維業界の。けれども、あまりにもその深刻な事態というものを放置するわけにいかない、やはり政府としても適切なる措置、思い切った措置をとるべきではないか、このように判断をしているわけでございますが、その点いかがでございますか。あわせて総理大臣にもお願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維関係はなかなかきびしい市況にいまなりつつありまして、われわれとしても金融上そのほかの万全の措置を講じなければならぬと思っております。そういうやさき、いまのような行為が法によらずしてもし万一そのようなことが行なわれるとすれば、非常に不穏当なことであり、あるいは無知に基づくものかよくわかりませんが、ともかくよく指導いたしまして、合法的に自分たちの権利あるいは自分たちの商権を守るように積極的に努力するとともに、金融その他の問題でもいろいろめんどうを見るようにいたしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 指摘するような面は多多あることは理解をいたします。これは御承知の糸とか織物業界というのは昔から非常にむずかしい、ややこしい習慣もあるんです。ですから近代的な取引というものと――これは企業形態そのものは全く賃織りの一人というところから無籍織機を動かしている者とか非常にむずかしいんです。ですから近代的なもっとだれにでもわかるようなものに、そういう状態にだんだんと直していかなければいかぬというのが近代化の一環でございます。構造改善とかいろんなものが制度的に始まりましたので、そういうものが明るみに出てまいりましたが、構造改善等を行なう場合でもそれをまた保証する場合めんどうになっているんです。これは元請の親企業が三分の一持って、それから会社が三分の一出して、あとの三分の一は実際の昔からの機屋の経営者であったおやじさんが田地田畑を担保にするというような、そうすると不況なときには田地田畑まで一緒に商社に引き揚げられるようなものもあるんです。そこから糸をもらい、今度のように糸を少ししぼっておると糸はうんと高くなる、今度は少し先安になり、どかっと出すと糸は暴落する。糸だけではなく、それでいままで高いもので織ったものまでも暴落するということ、大阪、名古屋において二分の一以下に暴落しているというような現象もあるわけです。ですから、そういう意味では非常に弱い下請体制、また中小零細企業とその中間団体と元請との間にもいろんなむずかしさがあります。
 今度、政府は、いいときは別だが、悪いときには待ったなしで回収してつぶれるのはやむを得ませんというような措置はとらせない、どこまでもめんどうを見なさい、こういうことをやらしておるわけです。これらの企業の業界内部の近代化というものもはかっていかなきゃならぬと思いますし、そういう長い慣習の中にあっても近代的な商慣習の中で正さなきゃならぬものはどんどん正していく。いま通産大臣が述べましたとおり、なるべく政府金融機関とか業界の金融機関とかというものがお互いに信用補完をやるとか、協業化をやっていくとか、いずれにしても独立をした形態のものが生きていけるように、安全性が確保できるような措置というものは積極的にとっていかなきゃならぬと思います。
○理事(吉武恵市君) これにて渋谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○理事(吉武恵市君) 藤井君。(拍手)
○藤井恒男君 総理並びに大蔵大臣に最初にお伺いいたしますが、三月十六日に大阪地裁に提訴されました庶民預金の減価損害賠償請求事件、俗にいうところの目減り訴訟、すでに提訴されておる段階でございますが、このことについて総理並びに大蔵大臣の所見をまずお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) その話はまだ裁判所から法務省のほうに訴状が届いておらないんです。そこで内容の詳しいことは承知しません。ただ新聞を通じまして大体のことは承知しております。
 感想は、大蔵大臣として、いまとにかく預金者が物価高で非常な被害をこうむる、まことに申しわけないことだ、こういうふうに思います。ですから訴訟を起こすその気持ちはよくわかります。しかし、この訴訟に政府が応じまして国家賠償をするということになりますれば、これは一波万波を呼びまして非常に重大な問題になる。政府としては、どうもせっかくの訴訟ではありまするけれども、気持ちはわかりながらもこれには応じがたい、こういう見解でございます。
○藤井恒男君 総理どう思いますか。
○国務大臣(田中角榮君) 遺憾ながら大蔵大臣の述べたとおりでございまして、これは物価をまず安定せしむる、預金者に迷惑をかけないような政策を遂行していくということ以外にないわけです。これはもう金利を補償するということになったら、今度は金を貸しておった民間の債権もみな同じような問題が起こってまいりますし、これはなかなかむずかしい問題であって、政策的には預金をすることが得だというような政策効果をあげていくということの一点に尽きるわけでございます。
○藤井恒男君 諸外国に比して、わが国の貯蓄性向が著しく高い。昭和四十七年の日銀の調査によりましても全世帯の九七%が何らかの形で預貯金をしておる。その額は一世帯当たり平均百六十四万円、これは四十七年の日銀の調査ですが、四十八年では実にこれが二百十万円に及んでおる。なお、この貯蓄性向の高さということになりますと、昭和四十五年で例をとりますと日本が二〇・四、米国が八・一、英国が八・二、西ドイツが一五・五、フランスが一二・七、イタリアが一六・八。この貯蓄性向がわが国が飛び抜けて高いということについて、大蔵大臣としてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに私も日本は貯蓄性向が高い、こういうふうに見ております。各国統計のとり方がありますが、それにしてもわが日本はずば抜けて性向高し、こういう判断をしておりますが、それはやっぱりわが日本人は勤倹貯蓄というか、そういう性向が非常に高いんじゃないか。敗戦後大衆消費社会というふうになりましたけれども、しかし、その中におきましても勤倹貯蓄という伝統の美風はすたれておらぬ。それであればこそ戦後三十年にして世界でも巨大な工業生産力を持つようになった、そういうふうにとらえております。
 それから性向が高い中で、スウェーデンとかああいう北欧の国々と比べてみた場合には、また違った面があると思うのです。あの国々では、ゆりかごから墓場までというように社会保障制度が非常に完備しておる。それだけに税が高い。税のほうに収入が吸収されちゃうわけです。可処分所得というものが非常に少ない。そういう面と、それから自分が老後に対して不時の備えをしなければならぬという、そういう必要もないというような比較もできるんじゃないか、そんな感じがいたします。
○藤井恒男君 いま大臣は、主として、わが国は勤倹貯蓄であるということをおっしゃるわけですが、日銀の貯蓄増強中央委員会の世論調査によりますと、貯蓄目的というのは、むしろそうじやなくて、病気や不時の災害に備えてというのが実に七九%、その次が子供の教育や結婚資金に備えて、その次が老後の生活のため、その次が土地家屋の購入、増改築修理のため。こうなってまいりますと、国民が別にいま大臣がおっしゃるような勤倹貯蓄型ということよりも、むしろ社会福祉の欠陥に伴って、自己防衛のために貯蓄性向が高いというふうにみなされないかどうか、私はそう思うんですが、その辺どうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) ですから、私はいま社会主義国または準社会主義国、そういうものに比べると、わが日本の貯蓄性向というものが違った面を持つことは自然である、こういうふうに考えるんです。つまり可処分所得、これが社会主義国や準社会主義国じゃ非常に少ない。しかも、いま藤井さん御指摘のように、租税を財源として社会保障施設を進める、そういうことでありますので、社会保障の完備した国におきましては、あるいは老後のこと、あるいは病気のこと、そういうものを社会保障制度の完備しない国に比べると配慮する必要が少ない、こういうこともあろうかと思います。
○藤井恒男君 郵政大臣にお伺いいたしますが、昨年十一月に郵便貯金の額が約十四兆円、昨年十一月ですよ、ことしの一月に十五兆円。本年度の物価上昇が一七、八%であろうというようなことが予測されておるときに、たった二カ月間で郵便貯金が一兆円もふえる、こういった現象について大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(原田憲君) 郵便貯金は零細な個人の貯金が多いのでございますけれども、当委員会におきましても、きょうも朝の議論の中で、日銀券の発行高が減ってきておる、六兆の金が出ておるのに金が減ってきておる、この行くえは貯蓄である、だから賃金が上がっても心配ないのではないかというような御議論も展開されておりました。また先般ここで、物価が上がるときに貯金をしておくと損をするじゃないか、どうしたらよいかということを尋ねられて、自分もいっとき戸惑った。しかし、その金でまた物を買いあさったら一体どういうことになるのかということを考えるときに、やはり一応貯金をしておいて様子を見なさいということを申したが、じくじたるものがあった、こういう御議論も展開されて、私は郵政大臣としてほんとうに胸を打たれるような気持ちがいたしておりました。
 が、やはり現在の日本の国の情勢では、総需要を抑制するということが物価の抑制の一番大きな手段であるということを御理解願って、真摯に貯金をしていただいておる、私どもはそれを呼びかけておる立場におりますが、御理解をしていただいておる。そのためにも、その預金者の立場になって政策を展開しなければならぬ、このように私は考えております。
○藤井恒男君 郵便貯金法の第一章総則の第一条(この法律の目的)「この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」、こういうふうにうたってあるわけですが、大臣は、この郵便貯金といわゆる市中銀行預金との相違を、この第一条に照らしてどういうふうにお考えか、承りたいと思います。
○国務大臣(原田憲君) いま藤井さんがお読みになりましたように一いわゆる銀行法の中には、いまお読みになったような目的というものを明記してないわけでございます。これが一つの特性であろうと思います。そのほかに、郵便貯金は、法律によりまして国が元本と利子の支払いを保証する、あるいはまた、総額の制限をいたしておりますけれども、所得税をかけないとか、こういうような法律的な特性があろうかと思います。具体的にわかりやすく言えば、一般の金融機関と違って、郵便貯金は一〇〇%個人の預金である。もっと正確に言うと九二・八%までは個人であって、あとの残りの八%は法律で許されておる労働組合であるとかあるいは共済組合であるとか、そういう方々の貯金である。これが郵便貯金の特性であろうかと思っております。
○藤井恒男君 昭和四十五年の経済白書によりますと、昭和三十五年に普通預金に入れた百万円は、十年間の利息を元本に組み入れたとしても、この間の消費者物価の平均上昇率、約五・五%ですが、を計算すると、百万円が実に七十三万円の価値にしかならないというふうにいっております。またさらに突っ込んで、家計が受ける物価上昇の被害感は数字が示すもの以上に大きいと述べておりますし、貯蓄の実質価値、これは購買力ですけれど、購買力は単に消費者物価の上昇率で割り引くだけでは適当ではないことを示唆しておるわけです。したがって、庶民の貯蓄目的、先ほど申したように土地家屋を買うためや子供の教育費、物価上昇のきわめて高いものに購買力が充てられるとするなら、貯金の減価は物価上昇率以上に大きなものである、これは経済白書が指摘しておるところです。こういうようなことになってまいり、昭和四十八年の経済白書では、さらに消費者物価上昇に伴う個人預金の元本の目減りは、利子収入を除いて昭和四十六年度で一兆三千億円、四十七年で二兆五千億円、銀行の調査では四十八年上期だけでも四兆七千億円、こういうふうにいわれておるわけです。
 この場合、郵便貯金法の第十二条(貯金の利率)、ここでは「郵便貯金には、政令で定める利率により、利子をつける。2前項の規定により政令で利率を定め、又はこれを変更する場合には、郵便貯金が簡易で確実な少額貯蓄の手段としてその経済生活の安定と福祉の増進のためにあまねく国民大衆の利用に供される制度であることに留意」しなければならない、こういうふうに書いてあるわけです。そうしますと、いま大臣自身が郵便貯金の特異性というのは先ほど申した第一条にある、市中銀行と違ってほとんど全部が個人であるということをおっしゃいましたが、いま言ったように貯金が現に減価する、目減りするということと先ほど申した第一条との問題、そして第十二条のこの利子の問題、それを総合的に勘案するときに、大臣はこの点についてどう考えておるか。私に言わせれば、この法をそのまま大臣がまじめに準拠していこうとすれば、この間何らかの手だてを大臣は打たなければならない。そういったことをやる意思があるか、また企てられたことがあるか、その辺をお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(原田憲君) 郵便貯金の利率の問題におきましては、藤井さんのおっしゃっておる十二条に確かにそのことが書いてありますが、いま第二項をお読みになったんですが、そのお読みになったあとに「あわせて一般の金融機関の預金の利率についても配意しなければならない。」こうあるわけでございまして、郵便貯金の金利といえども一般の金利とあわせて配意して考えなければならない、こうあるわけでございまして、ここに金利体系というものが存在するわけでございます。したがいまして政府といたしましては、昨年からことしになりますまでにたしかに四回、まあ十分とは言えないと思いますけれども、懸命になりまして金利を上げ、また私が在職いたしましてからも六カ月ものの定期の高い金利の制度というもので、いま先ほど言いましたように、ボーナス貯金をお願いしておる、こういうことをやっておるわけでございまして、金利を上げるということについての懸命の努力をいたしておりますが、今後とも、これらの政策につきましては大蔵大臣ともよく相談して慎重に対処してまいらなければと、こう考えております。
○藤井恒男君 大臣がことさらに第二項の末尾のことを言われるわけだけれど、法の規定というものは第一項が優先しておるわけであって、むしろ第一項に照らしていくなら、私は郵便貯金の独自性というものをやっぱり発揮すべきであろう。しかもこの郵便貯金というのは、おっしゃるようにほとんど全部が九二・何%が個人預金である、しかも零細な預金の積み増しであるということを考えると、私はむしろ市中銀行の利子体系に郵便貯金がおもねるんじゃなくて、郵便貯金が著しい相違を来たすことにはこれは問題があるかわからぬけれども、私は独自性というものを持っても一つもおかしくないというふうに思うんですが、どうです。
○国務大臣(原田憲君) 私も郵政大臣として郵便貯金というものを優先したいという気持ちは持っておりますが、郵便貯金の中でもやはり金利になりますと、いわゆる貸し出しということと関係してくるわけでございますが、私どもの郵便貯金はすべて財政投融資資金に回っておるわけでございまして、これの預託率という問題と関連してまいります。
 これを補うためには財政支出という問題がまた生じてきまして、その場合には、こういう物価の騰貴のときに一番先に何を配慮しなければならぬか、こういうことになってまいりますと、貯金ができる人よりもまず年金で生活しておるとか、あるいは社会保障制度によって生活の基盤を求めておる人らに政策の面を展開するのが先ではないかというような問題が生じてくるわけでございまして、
  〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
私どもも郵便貯金を預かる大臣といたしましては、金利問題につきましても慎重に対処してまいりたいと考えております。
○藤井恒男君 私はそう思わぬわけです。別な観点から申しますと、第一条の目的の中の「確実な貯蓄の手段」ということをすなおに解釈するなら、やっぱり預託した人たちがこれを払い出すときにその交換価値を維持せしめるということに私は文言はあると思うんですよ。そうじゃない、先ほど言ったような目減りの現象が起きておるということになり、そういった単なる貨幣の数値だけで払い戻しをするということは法の第一条に照らして私は契約不履行だというふうに思うんです。別な表現をすると、国民の勤労の結果を収奪しておるんじゃないかということにすら私はなると思うんだけど、どうですか、担当大臣として。
○国務大臣(原田憲君) これはやはり根本の問題は物価の問題と関連をしてくる問題でございますから、この問題については物価を抑制して預金金利を上回るような物価の高騰というものは厳に抑制しなければならぬということが根本であろうと思います。
 なお、いまお話のありました、もらったときに減っておるじゃないかという問題をもう少し別な観点から言いますと、きのうもそういうことで大蔵省のほうでも議論をされておるようでございますが、私どもは金利問題ということだけを取り上げて申すのではございません。預金全般、預金者の利益ということを考えますと、いま六カ月ものの話をいたしましたが、この六カ月ものがやがて期限が来るわけでございますから、その場合にこれからどうするか、やはり預金をふやしていかなければならぬということを考えますときに、これは何か具体的な方途を考えなければならないのじゃないか、こういうような考えもいま持っております。
○藤井恒男君 私が郵政大臣にあえてお伺いをしておるのは、先ほど郵政大臣もよくわかると、しかし年金者などもあるからそれが優先だということをおっしゃるんだけど、私は、担当大臣として、郵便貯金の総元締めとしてそのことに忠実であったらいいと思うのですよ。だから、廣瀬郵政大臣がかつて一般市中銀行の金利を下げるときにずいぶん抵抗されて、零細な庶民に犠牲を負わすべきじゃないといって頑強に抵抗された、そういったことがあるわけです。そうしてその結果、庶民に犠牲を負わしたらいけないということで、肩がわりといってはなんですが、小口貸し付けというものが生まれたと私は思っておる。
 そういう意味で、やはり大臣も私はいまどきほど存在価値を示すときはない。マスコミでも報じておるように、この目減り問題というのはたいへんな問題だ、しかも相手が庶民だということなんですから、全体の金利体系とか年金者、それはもちろん大切ですけど、あなたはあなたとしてこの庶民の、しかもこういう時期に二カ月間に一兆円も積み増しされる、庶民は持っていき場がないという、その心にこたえるということをなさったらいかがかというふうに思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(原田憲君) 御支援、御応援をいただきましてありがとうございます。ひとつ郵政大臣としましてできるだけ英知を出して、預金者の立場を守るためにがんばっていきたいと思います。
○藤井恒男君 それは前向きにこの問題を取り上げるということですか。
○国務大臣(原田憲君) 金利問題は、いま現在予算を審議しておる最中でございますから、いろいろな問題があると思いますが、先ほど最後に申しましたように、いろいろな問題を含んでおる、これを郵政大臣として庶民の金を預かっておるという立場に立って対処してまいりたい、このように考えます。
○藤井恒男君 大蔵大臣にお伺いしますが、英国でも三カ月の預金証書で年に二八%、西ドイツでも預金の最高三カ月で一四・四%、アメリカでも一〇%ほどの利子をつげておるわけなんだけど、それら諸外国に比して、どうでしょう、率直に申し上げて、いまの状況の中で一般的な預金者に対する金利というのは低きに失しておらぬだろうかというふうに私は思うんだけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) よくそういうことをおっしゃる人があるのですが、実際はそうじゃないのです。つまり、諸外国では大口預金、これは法人預金だろうと思いますが、大口預金は十何%というような二けたの金利をつけるのです。ところが、小口の、つまりいま藤井さんが問題にしておるような預金ですね、これはもう非常に低率でございます。なぜそういうふうにするのだろうということを伺ってみますと、大口のものは手間ひまがかからない、手数がかからないのだと、そういうことなんですね。そういう実情でありますのに反し、わが国におきましては小口のものを優遇しておる、こういうことでありまして、いまの前提となる欧米諸国の状態というものはおっしゃるような状態じゃないのです。
○藤井恒男君 後段はどうですか、全体的に日本の現在の預金金利が低きに失しておらぬかということ。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国の全体の金利水準が低きに失しておらぬか、こういうお話でございますが、これはまあ低からず高からず、まあ中位ぐらいなところじゃないかと思います。金利が低過ぎるというような感触は私は持っておりませんです。
○藤井恒男君 大蔵大臣、先ほど私郵政大臣と質疑をかわしたわけですが、いま郵政大臣は心情としてよくわかるし、できるだけ庶民の期待に沿う方向で総合的に検討すべきだという趣旨の発言をされたわけですが、大蔵大臣どうでしょう、この点について。
○国務大臣(福田赳夫君) 私もこの預金の目減り問題ということにつきましては、ほんとうに胸を痛めておると、率直にそう申していいと思うんです。そういうことを考えますと、何とかこの目減り問題に対して対策はないかと、こういうことになるわけでございますが、この対策というのがまたむずかしいんです。つまり、郵便貯金についてそういう対策をとりますれば、これがほかの一般の預貯金にも波及する、そういうことになる。そういうことになるのみならず、公社債を一体どういうふうにするのかという問題まで起こってくる。そうしますと、結局、わが国の金利水準を全体として引き上げるということになる。わが国は、申し上げるまでもございませんけれども、資源小国であり、原材料を輸入して加工して海外に売らなけりゃならぬ。その海外経済競争に臨む日本の立場というものを弱体化する。まあ、いろいろの問題がある。そういうほかに、貯金の金利を引き上げる場合にはその財源を一体どこに求めるのかという問題があるわけです。財源を金融機関に持たせるということになれば、それは、勢い、金融機関は貸し出しの金利を上げなけりゃならぬということになる。これが経済全体にどういう影響を及ぼすか。それじゃ国がそれだけ負担したらいいじゃないかと、こういう問題も提起する人もありますが、そうすると、もうたいへんな金額にのぼる、そういうものをどうするか。国としてもなかなかその財源の調達はむずかしいわけです。それのみならず、目減り補償というような見地から何か対策をとるということになると、これはそういう預貯金ばかりじゃないんです、問題は。インフレ、物価高だと、こういう社会におきましては物を持っている人は得をするけれども、金銭債権を持っている人は損をする。逆に、金銭債務を負っておる人は得をする。また、国民全体日々の生活に非常な圧迫をこうむる。ことに低額収入の人は非常に困窮する。もう国民全体が物価高の影響というものを受けるんです。そういうものに対しまして、一体どうするのだと、こういう問題に波及するわけでありまして、これはなかなか目減り対策という問題はむずかしいんです。むずかしゅうございますが、私どもは、とにかく、大蔵大臣とすれば、預貯金者に最も関係の深い立場にあるわけでありまして、そういう非常に大きな影響を及ぼさない範囲において一体何か手があるかということにつきましてはいろいろ頭を悩ましておると。去年の暮れにも六カ月定期というものをやった。さてこれから一体どうするかということにつきましてもいろいろ考えておるし、特に去年の暮れいたしました六ヵ月定期はことしの六月期限切れになるわけです。そういうことを考えますとき、その切りかえのときの対策を一体どういうふうにするか。そういうようなことにつきましてもいまからいろいろ考えておる。また、皆さんからたいへんおしかりを受けましたが割り増し金付定期、こういうものもやっておるとか、いろいろ考えておるんです。今後とも熱意を持ってそれらの問題を検討してまいりたい。
○藤井恒男君 総理にお伺いしますけど、インフレヘッジができる土地あるいは住宅などを買えない零細な人たち、それにもかかわらず、そういった人たちが損と知りつつ郵便貯金なら郵便貯金をしなきゃならない。こういった人たちに、総理として現在のこういう状況の中でどういうふうにおこたえになるか、そういった庶民の実感といいますか、実態に対して総理としてはどういうふうにおこたえになるか、そのことを一度聞いておきたいと思うんです。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、貯蓄性向が高いというのは、先ほども大蔵大臣述べましたとおり、勤勉であるということがまず第一番にあるんです。それから、十五年前――昭和三十三年までに郵便貯金はやっと一兆円だったわけです。それから十五年というと、一〇%ずつの経済成長といったら、四倍、四兆円でいいわけですが、十四兆円になっているわけですから、だから貯蓄は多いということです。それは一〇%ずつ収入が上がっているんじゃないということが背景にあるわけでございます。給与も国民所得も非常に上がっておるということは一事をもって言い得るわけでございます。十年前も貯蓄性向は二一でございました。現在も約二一であります。ですから、他国に比べて非常に高いと言えますが、これは先ほど大蔵大臣述べましたとおり、勤勉であるということと貯蓄性に強い非常に堅実な民族性ということだと思うんです。もう一つは、やっぱり、家族制度の中でお互いがみんな応分に負担しようという気持ちが貯蓄ということに結びついておると。それから、特に戦前の思想のいいところが残っておるということは、一つに、郵便貯金というものは国家、公益のために使用されると。これが学校になったり、港湾になったり、道路になったりというような、そういう国民生活に必要なものに使われるということで郵便貯金をやっているということが、すなわち、国家、社会に応分の寄与をしているんだという気持ち、そういうものがみんな前提にあるわけです。それで、一番最後には、これは、諸外国並みに社会施設や社会保障が完備すれば貯蓄性向率は落ちるだろうと、こういう――それは貯蓄する分を前に税金として払うわけですから、私がいつも申し上げておりますとおり、スウェーデンにおいては、確かに貯蓄をしないでいいというかわりに、国民所得に対する五七・六%を税金と社会保険で負担しているわけです。これは、イタリアが三七・八、フランスが四七・一、西ドイツが四五・一、イギリスが四六・三、アメリカにおいてさえ三七・三、日本は合わせて二四・一であるというところに、そうすると、貯蓄性向必ずしも高くないなあという見方も数字的には起こるわけでございます。ですから、こういう問題は、ひとつ、総合的に考えて、やっぱり、急激に社会保障費をいまのように保険の賦課方式に切りかえなさいというような調子でやると、急激に保険料負担やそういう社会保障費の負担というのは多くなると、こういうこともあり得るわけでありまして、日本の実情に合うようにやっていかなきゃならないと、こう思うわけであります。
 それで、いまあなたが言われた、零細な、しかも低所得層でありながら郵便貯金をやったり貯蓄をやっておるという人たちにどうして報いるかということは、まあ、安定的な社会保障体系の完備した国をつくるべく前進を続けるということによってこたえる以外にないと思うんです。それで、これは少し言い過ぎになるかもしれませんが、思うことをずばりと申し上げますが、ある一定水準以上の人が国家や公共の施設の中に入ろうというのは、これはちょっとおかしいんです。ある一定の収入があったら自分でもって自分のうちはつくるというのが、これは正しいことであります。そうして、最も、どう考えても働く意思があっても働けない人があるわけです。めくらの人があるんです。両手両足のない人があるんです。業病の人があるんです。難病の人があり奇病の人があると。八十、九十になれば働けないんです。それはずうっと貯蓄をして、二一%の貯蓄性向をずうっと続けてこられた人でも、六十になってから大難病をやるとか、しかし、このごろは三万円以上は全部国が持つということになりましたからいいようなものの、いままででしたら、五百万や千万円の金は一年間入院すればなくなっちゃう。そういう人たちは、とにかく、つくろうと思ったってつくれないんです。住めないんですから、そういう人に順位を付して公営住宅を提供すると。昭和二十七年に公営住宅法を議員立法しましたときに、私は議員立法者でございますが、これは時限法だった、時限法だったわけです。これは、国が恩恵を与えなければならない層にのみ適用すべきであると言って、学者もみんなそういう意見でございました。財政は特定の人の利益のために使ってはならない。これはそうだと思うんです。ですから、そういう飲まず食わずでも貯蓄をしなけりゃならないような人に、低所得者とか恵まれない人にやるべきであって、私は、貯蓄性向もあまり上げず、たとえば人の何倍も飲んでいるような人たちをどうも国民の税金をもってまかなう公営住宅にみんな入れるという議論には、立法者として反対なんです、これは。事実、この法律をつくるときには全部反対だったんですから。ですから、これは、低所得者や恵まれない人たち――めくらとかそういう人たちに私は提供すべきであって、いままあ質が悪いというような公営住宅などは、あれは低所得者とか社会保障住宅――あの公営住宅法をつくるときに、三つの法律が一緒なんです。公営住宅法と厚生者住宅法と労働者住宅法というのを三つ一緒にしてつくったわけです。それで、厚生に関する入居に関しては厚生大臣と協議をすること、労働者住宅に関しては労働大臣と条件に対しては協議することという修正文を私はのんだわけです。それで現行法ができているわけですから。あの公営住宅の公営の部分を切りましてね、労働者住宅とか厚生者住宅法に実体が転化していくべきであると、当然あなたが言われた御質問にはこたえ得る、私はそう思います。やっぱりそういう言いにくいことでもずばりと言っ七、それで解決しなければ、何もかにもみんなよくやろうといっても、そうそう、ものには順位がございますということでね、私は、この問題のときにはほんとにそう思ったです。二十年たったら厚生者住宅法であるべきだと、ほんとにそう考えておりますから、御共鳴を得れば政府は改正案を提案してもようございます。
○藤井恒男君 住宅の問題は総合福祉の問題で、首相のお考えとして承っておきたいし、またわれわれも勉強してみたいと思うわけです。
 ただ、前段でおっしゃった、依然として総理は現在の貯蓄性向を、まあ高い低いはともかくとして、貯蓄するということは、国民が勤勉なるがゆえだと。さらには、郵便貯金ならそれが財投に回って学校を建てたり道路をつくったり、非常にいいことになるからみんな喜んでやっておるのだという趣旨のお答えが前段にあったわけだけれども、これは私、違うと思うんですよ。なぜ違うかといえば、現に日銀が調査したデータによっても明確なように、個人が零細の預金をしておる目的というものは、総理がいま言うようなお考えであったら、私、たいへん間違いだと思うんです。これはやっぱり忠実にこの数字が出ているように、病気や不時の災害に備える、あるいは定年後の生活に備える、子供の教育のために備える、あるいは社宅を出たときの自分の持ち家のためにたくわえる、これが目的ですよ。自分が預託したものが学校になる、橋になるということを喜んでやっておるんじゃない。自分の防衛のためにやっておるわけですよ。その防衛のためにやっておるものが、この郵便貯金法に照らして、本来国が守ってやらなければならない価値が減価しておる。それを黙っておいていいのかと。そのときに、ことばをかえて、公営住宅が何だとかめくらの人がどうこうと。そうじゃなくて、このものずばり、このものずばりに対してどうなんだということをやっぱりはっきり言ってもらわぬと困る。
○国務大臣(田中角榮君) それは、あなたの御質問に、こうして、うちも買えない、土地も買えない人が貯蓄をしておりますが、そういう人にはどうしてこたえるんですかと、こういうことでございましたから、これは零細な人が貯蓄をしても、その方が零細な貯蓄だけでうちができるかどうかわからないということもあるでしょう。だから、私は、土地やうちに対して、現に存在する公営住宅でですね……
○藤井恒男君 その面はわかります。
○国務大臣(田中角榮君) ということを言ったわけですから……
○藤井恒男君 いま私の言ったことに答弁してください。
○国務大臣(田中角榮君) これは何も間違って答弁しているわけじゃないですよ。やっぱりそういうことを明確にしてください。
 それで、第二の問題ですがね、これはやっぱり、確かにあなたが指摘されたように、老後の保障とかいろんな自己防衛ということだと思います。ただ、その前提は日本人の勤勉性というおおうことのできない、やはり貯蓄を好む非常に堅実な国民性であるということが大前提であるということは事実なんです。それで、その上に自己防衛という手段としまして郵便貯金をやっている。郵便貯金というのは国が相手方ですから、これは利息は少なくても――もとから少ないんです、これは。銀行預金に比べては少ないんです。少ないし低いんですがね、依然として、郵便局は近くにあるし、郵便の窓口というものはやっぱり庶民が入りやすいです、どう考えてみても。だから、郵便局はあまりりっぱにすることはよくないと思っているんです、私は。ですから、やっぱり庶民が入りやすい。いまですと農協と同じように、電話かけても郵便局が持ってきてくれるというようないい風習のときがありましたよ。幾らおろしてください、五円おろしてくださいよ、と言うと、じゃ三時に郵便配達のとき寄りますから、そのときは通帳と判こだけ出しておってくださいよ、金を持っていきますからと。こういう庶民大衆となじめるという明治からの長い郵便貯金の歴史の重さというものが、その後りっぱな銀行ができても郵便貯金へ依然として行くというものもあるんです。ただ、そうだからといって、銀行よりも安い金利はいかぬじゃないかと。これは郵便貯金法に書いてあるとおり、他の金利との調和をはかりながらと。「他の金利」というと、昔の銀行は、いつつぶれるかわからない、しかし国はつぶれないというんで、安全性のあるものは安いと、こういうことだったんですが、このごろは日銀法二十五条の発動によって、もう銀行がつぶれるなんて信じている人はだれもありません。そういう意味では、銀行の資金よりも郵便貯金の資金が社会公共のために運用されておるということで、いままでの議論とは違って、私も郵政大臣時代から十五年間の持論ですが、このごろとみにそういう考えになったのは、民間の市中銀行の金利と郵便貯金の金利に差をつける必要はないなと。これはなかなか激しい発言ですよ、これは。これは明治から守られてきた銀行の連中、みんなたまげる発言ですからね。しかし、それはもうないと思うんです。銀行は日銀法二十五条の発動によって、これは絶対に安全であるということはもう確立されたわけですから。そういう意味からいうと、郵便貯金なるがゆえに一般金融機関よりも金利が低いのでなければならぬということはもうなくなったと思います。それはこれからの状態の中で是正していけばいい問題だと思います。
 あとは、最後に残るあなたの、目減りということですが、これは目減りというのはなかなかむずかしいですよ、これ。これは二回、過去も問題出ているでしょう、あなた。
○藤井恒男君 そんな単純なことはない。
○国務大臣(田中角榮君) いや、昭和二十年に郵便貯金が幾らになったというときに、たいへんな問題だったんですよ、これは。三千円積んでおけば一生食えたという退職公務員が、ただになっちゃったというんで、これをどうしてくれるんだというときに、社会公共のためには、いままで持っているもう農地解放も全部やられておるし、国家の国債を持っているものは全部ぱあになったんだと。国に対する債権は全部打ち切られたというような、そういう高度の政策があるのでという議論で、これはちゃんと国民は納得したんです。第二は今度賠償のときにあったわけですよ。第三国に対してはそんな理屈は通らぬと。だから三十五億ドルという要求が出てきたのはそれなんです。そうでしょう。ですから、それもまあ交渉によってちゃんと解決したわけです。
 今度第三の段階を迎えているわけですから、あなたも承知をしてちゃんと発言していられることは私は理解できますがね。こういう問題、もうはっきりしてやらぬと国民の間に誤解を生じちゃかないませんから、ですからこうして申し上げておるんですが、やっぱり物価の安定とか、他の問題で、郵便貯金というのはいつでも行って払い出せるとかという、今度は預金者がそのまま貸し出しを受けられるような庶民金融ができるようになりました。まあ、いろんな制度の中で救済することが望ましいことであって、金利をスライドするということは言いやすくして難いことなんです、これは。非常にむずかしいことなんです。郵便貯金だけといったらそれに限度の引きようがないもの。銀行でも何でもみんな少額貯蓄、農協だってそうですしね、系統金融でも。なかなかそれはむずかしいんでしてね。ですから、そういうもの、まあ金利のおどりとか中小企業のやっておる歩積み両建てとか、そういう問題はみんな同系列の問題として議論されながら、解決することはなかなか――歩積み両建て問題とかそういう問題は解決できても、金利のスライドというのは、これはお気持ちはわかりますがね、なかなかむずかしい。私、裁判しても裁判官といえども結論を出せないと思いますよ。それは立法事項である、国会の事項である、こういうことだと思います。
 それで、私たちはいま――あなたがおっしゃることはわかりますけれどもね。政府は郵便貯金を預っておる立場として金利をどういたしますと遺憾ながら申し上げられません。上げられませんということよりも、それは適宜是正はやってまいりましたし、やってまいりますが、スライドということに踏み切る意思はありません。こんなこと言いたくないんですが、どうも質問があるもんだからやむを得ず答えるわけですから、衷情をひとつ御理解賜わりたい。
○藤井恒男君 時間もありませんから、次に移らざるを得ないんですが、貯蓄に対する国民の信頼というものがなくなれば、私は、もしそういうことになって、入れておったって損だと、だから使っちまえということになれば、これはたいへんなことになると思うんですよ。だから、せっかくの抑制策を現在とっておられるわけだけど、そうならないためにも、また庶民の切実な願いということもよく肝に置いて――大蔵大臣は「熱烈に」とおっしゃったけど、真剣にこれは考えていただきたい。それから郵政大臣も、やはり、廣瀬郵政大臣の例をあげましたけれども、この際、もっと、大いにやって、男を上げてほしいと思うんですよ。よろしくお願いします。
 次に移ります。日銀総裁お見えでございますので、まず日銀総裁にお伺いいたしますが、現在のこの日銀法第一条、目的は、「日本銀行ハ国家経済総カノ適切ナル発揮ヲ図ル為国家ノ政策二即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成二任ズルヲ以テ目的トス」、第二条、運営の目標、「日本銀行八専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」、これが日銀法の第一条の目的と、第二条の運営の目標です。きわめて、いまのことばにもなじまないような、かたかなで書いた法律でございますが、現在の日銀を背負っておられる総裁として、この第一条、第二条との間に違和感はないかどうか、現在の日銀の任務からして、あるいは行なっておられる業務、そして責任という面からどうお考えか、まずお聞きしたいと思います。
○参考人(佐々木直君) ただいまお話がございましたように、この条文の文言は、いまの時代にそぐわないものがございます。これが制定されましたのが、昭和十七年の、戦争が始まりましたときでございましたから、そのときのものの考え方としてこういう字を使われたんだと思います。ただ、第一条にあげられております三つの目標は、いまでも中央銀行の目標として通用いたしております。したがいまして、現実の仕事の上にはこの文言で非常に支障を生ずることもございませんが、御指摘のような、いまの時代に合いません点につきましては、今後、機会を得てこの法律を改正するときに根本的に見直すことが必要だと、こう考えております。
○藤井恒男君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、いま日銀総裁がおっしゃったとおりでございます。現在のようにこの異常なインフレが起きている大きな原因の一つに、やはり通貨当局に一つの大きな責任があるというふうに思うわけですが、そのまた基本にある日銀法にも、いま総裁は、運用する面にはさして問題はないともとれるようなおことばもありましたけど、私は、やっぱりこの日銀法に問題があるというふうに思うわけです。たまたま日銀法を改正すべきだということで、金融制度調査会が昭和三十五年九月に、三年がかりで慎重審議をした結果を、日銀法改正の答申ということで行なわれておるわけですが、なぜこれを取り上げなかったのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) お話しのとおり、昭和三十五年に、金融制度調査会が、日本銀行法改正について答申をしております。そこで、政府はそれを受けまして検討したんですが、この答申が、国と日本銀行との関係というところで、統一思見ができないんです。そこで両案併記というようなことになっておった。したがって、政府における検討も手間どると。そこで、昭和三十九年の暮れごろから、意見調整をしまして、何とか日銀法改正に取りかかろうじゃないかという検討――大体締めくくり段階まできたんです。ところが、御承知のように、昭和四十年からたいへんな不況状態にわが日本経済がおちいった。その不況状態で、なかなか政府も手が回りかねると、こういうような事情で、その際の、日本銀行改正法案の提案ということは見送りになって今日に至っておると、こういうことでございます。
○藤井恒男君 いま、この主たる原因が、政府と日銀との関係が両案出たというふうにおっしゃったわけだけど、言ってみれば、この両案というのは、政府の指示権を提示するA案と、それからいま一つは、政府の議決延期権を提案するB案、この二つですね、その他はもうほとんど全部一致した形で答申がなされておる。この一事だけをもって、三年かかって出したこのものを、そのとき――そのときは直ちにそれを受け入れる余裕がなかったかもわからないけど、現在まで、もうすでにこの答申を得たあと、昭和三十五年ですから、実にもう十何年たっておるわけですよ。いま三十九年ということをちらっとおっしゃったわけだけど、これは表には出ておらないことですから、だから、現実に大臣として、いま日銀総裁もおっしゃるように、いまにはそぐわないということも現にあるわけですからね、その辺のところを、このまま放置したということについて、責任をお感じじゃないか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本銀行法は、佐々木総裁から話が出ましたように、戦時立法なんです。それでこの文言の点において、これは非常な戦時色が出ておるわけですね。第二条なんというのを見ますと、国家目的に奉仕しなけりゃならぬと、こういうようなことですね。それを受けまして、また、政府と日本銀行との関係、これ見ますと、法令に違反したとき、定款に違反したとき、これ、役員の解任という条項があるわけなんですが、そればかりじゃないんです。政府の命令に違反したときは役員の解任を行なうことができるというところまで強力な国家統制の規定があるわけなんです。それからまあ株式会社とは言いませんけれども、実際、実体が株式会社みたいなもんで、株式のかわりに出資証券というものを出しておる。これも一体そういうことでいいのか。ことに「資本金ハ一億円」とすると。一億円の日本銀行が、日本経済全体の運営をするという姿、これがはたして妥当であるか。いろいろこれは問題があります。問題がありますので、いずれは、これは日本銀行法改正ということを考えなけりゃならぬと思います。しかしながら、そういう法律にはなっておりまするものの、実害がありません。総裁の言うように、日常の日本銀行業務を行なっていく上において何らの支障がありません。そこで、まあ適当な時期といいますか――いまは適当な時期じゃないんです。いまは総需要抑制、物価の問題の解決というので政府は総力をあげている。そういう際に、中央銀行法、これを変える。これはたいへんなエネルギーを消耗することになります。それよりはもう実体の問題、つまり物価の安定ということに政府は総力をあげる。まあそういうふうにすることが適当と思いますが、いずれ、やや経済も落ちつき、もう政府もほかにエネルギーを使わぬでもいいというような適当な時期をとらえまして、日本銀行法の改正ということは考えるべき問題である、そういうふうに考えております。
○藤井恒男君 日銀総裁にお伺いしますが、この三十五年に出た答申案には、明確にこの説明書の中で言われておるんですが、第二条が――現在のですよ――第二条が「「専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営」されねばならない」、この点については、「戦時下の経済思潮を反映」したものであっていまの時代に合わない。開放経済体制下ではこれは合わぬのだと。そこで新たに目的及び運営の理念として、日本銀行は国民経済の健全な発展のため通貨価値の安定をはかることをもって運営の理念としなければならない。このことは多くの識者が一致した事項として条文にもなり説明書にも記載されておるわけです。したがって、やはり日銀法にとってやっぱり大切なのは目的と運営の理念だと思うんだけど、ここだけでも諸外国の中央銀行の法律などにも照らしてみて変える必要があるんじゃないか、早急にでも、と私は思うんだけど、いかがですか。
○参考人(佐々木直君) ただいまの御趣旨は私も全く賛成でございます。ただ、ただいま大蔵大臣からもお話がありましたように、いまこういう金融の基本法に手をつけるということになりますと、いまのような状況、環境というものが必ずしも適当ではない。ということで、ただいまの第一条に「通貨ノ調節」ということばが使ってあります。「通貨価値の安定」ということばが使ってございませんけれども、私どもはそういう通貨価値の安定ということを第一の目標といたしておりますことは、現在の法律の文言のもとでも全然昔と変わらないわけでございまして、これは中央銀行として設立されました当初からの理念であるというふうに考えておるのでございます。
○藤井恒男君 私は、文字がかたかなであるとかあるいは現代用語じゃないという点だけを問題にしておるんじゃなくて、いま総裁は「調節」ということばがあるから、それが価値をカバーできるというふうにおっしゃるけど、三十五年の答申のときには明確にそれはやっぱりそぐわないと、だめだという結論が私主体であろうと思うんです。結局ここで言っておるように「貨幣をもってゆけば前と大体同じ価格で財を買い得る」という一般的なものの考え方を通貨価値の安定ということによって補完していかなきゃならない。そうしなければ「信頼を裏切る」ことになるし「交換の中絶」が起きる。このことは経済のしくみを根本的に崩壊すると。だから目的及び運営の理念には「通貨価値の安定」というものがどうしても文言として入らなきゃだめだというかなりきびしい答申であろうと私は思っておるんです。だから、そういう面から見ても、まさに通貨価値の安定ということは喫緊の課題ですから、私は大蔵大臣、早急に、時間もこれかかるわけですから、これからやろうとしても。だから、再度諮問委員会を開いて調査をするとかいうような挙に出られるかどうか。いま物価抑制が一番大切だと言われるけど、同時に検討を始めることは可能だと私は思うんですよ。すでにもう三年がかりの答申も出たあとですから、そんなに私は大きなものではないと思うんだけど、どうですか、その辺。
○国務大臣(福田赳夫君) 現行法の第一条は、いろいろ書いてありますが、私どもはこれは「通貨の安定を目的とする」と、こういうふうに書いてあるんだというふうに読んでおるんです。そういう文字を使ってないというだけでありまして、いささかも実務上支障は感じないというんでありますから、そう差し迫って、早くここのところだけ・抜き出して改正しなきゃならぬとそういうふうには考えておりません。おりませんが、とにかくいまは物価問題たいへんな時期です。この時期に日銀法改正のために精力を使うと、これは私は避くべきだと、こういうふうに考えております。しかし、勉強は、そういう部局があるわけですから、勉強のほうはいたさせます。
○藤井恒男君 総理にお伺いしますが、昭和三十九年の三月九日ですね、参議院の予算委員会で社会党の戸叶議員の質問に対して、当時の山際日銀総裁は、日銀法はなるべく早く全面的に再検討し、開放体制を迎えた新時代にふさわしいものに改正されることを望むということを明確に答えておられるわけです。これを受けて、同席しておられた当時の田中大蔵大臣は、山際総裁の意向がはっきりし、国会でも取り上げられた以上、政府としてもできるだけ早い機会に改正に着手して成案を得たいと、積極的に答弁なさっておられるわけです。したがって私は、まあ国民がいまの日銀法までひもといて見る人はそうないと思うんだけど、ひもといて見たらびっくりすると思うんですよ。だから、そういう意味においても、すでにもう総理も大蔵大臣のとき、いま申したようなことを答弁なさっておるわけだし、私は総理がやっぱり勇断をもって総理の在任中に戦時中の日銀法を一ぺんもう変えてみると、現在に沿うようにするということに私ははっきりした態度を表明すべきだというふうに思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 日銀法の改正はいつの日にか必要であるということは、いま大蔵大臣述べたとおりですが、いますぐやれる問題ではないと、まあ、当面する重要問題もありますからと、こう答えておりますから、まあ私も大体そういうことだと思います。
 私は日銀法は相当勉強させられましてね、そうして答えただけじゃないんです。その点出しなさいということになって、もうつながっているんです。大蔵大臣在職中に、三十九年から四十年にかけて、日銀法に対しては答申をもとにして成案を得たわけです。そうして衆参両院において質疑に応じたわけです。ところが、出さないうちに、とてもこれはこの国会では通らないし、まだまだ勉強しなきゃいかぬなあということで、提案寸前に至って提案を取りやめた経緯がございます。しかし、もう提案をした後質疑をする程度の膨大の量の質疑が行なわれております。私はまだ明らかに記憶をしております。ですから、まあそれは四十七年二月に公布されたものであって、それから、二十三年からその後十二回ばかりにわたって一部改正が行なわれております。そうして今日に至っておるわけでありますが、まあ法律の条文は、そのときそのときの時の流れによって適切なる読みかえが行なわれていくということでございまして、まあいまの「国家」というのは、当然新憲法になれば「国民」と読みかえられておるわけでございますし、それから発券銀行としての重要な任務である通貨の安定ということに対しては、「通貨ノ調節」ということは「通貨の安定」と読むべきであるということは日銀総裁のいま述べられたと「おりです。私もそう答弁しているんです。ただ総動員法時代の昭和十七年の遺物であると。まあ遺物であるし、いま残っているものというと、きっと食管特別会計法、食管法、日銀法、物統令と、これだけだと思うんです。あとは全部やめたんじゃないかと思うんですが、ですから、意気盛んな文字で書いてあるということよくわかります、私。しかし、いろんな質疑の中で、明治初年の太政官布告も現に生きているんだと、刑法の上では。「当分の間」ということばが百年間続いているわけですから、なるほど、まあ法律というものはむずかしいものだなあということで、とても私の手に負えなかったわけでございます。私は日銀法は答申のとおり、答申の精神を生かして、自分も相当勉強しましてやったんです。重大な問題としては、私が郵政大臣のときに放送法の改正案を提案をして廃案になったと思います。大蔵大臣のときは今度日銀法の改正を要求されて提案をしようとして、まあそのままになって、これを大蔵大臣に引き継いだということです。総理大臣になってから、小選挙区法案も提案に至らずと、こういうものでありますから、相当むずかしいものであるということはひとつ御理解をいただきたい。やはり大本をなす法律でありまして、戦後御承知のとおり一ぱい、相互銀行法とか、信用金庫法とか、銀行法の改正とか、それから地方銀行法、信託銀行法等々、いろいろな系統金融機関ができましてね、まあ、現実的には日銀法の改正をするときには、三十五年の答申だけじゃなく、日銀が発券銀行として、中央銀行として、あらゆる金融機関に対してシェアは一〇〇%であると。いまのように三〇%割るというような、まあそれを行政措置によってだんだんだんだんと拡大していって、また五〇%にし、六〇%にするということでなく、やはり日本銀行法をほんとうに書き改めるにはそこまでぴしっとやって、発券銀行としての独立性というものをぴしっと確保する。そういうことでないと、どうも三十五年の答申というのは、少し古いような気がしてなりません、私はすなおに考えまして。ですから、重要な問題として勉強を必要とする案件であると、政府はそういう姿勢で十分の勉強を続けていくということで、きょうは御理解いただきたい。
○藤井恒男君 それじゃ、その次の問題に移ります。
 通産大臣にお伺いいたしますが、昨年の十月、ジュネーブで開始された国際貿易に関する取りきめ、いわゆる多国間協定というのが十二月二十日に妥結して、わが国においても三月十五日の閣議でこれが受諾を決定しておるわけですが、この繊維製品の国際貿易に関する取りきめの受諾の経緯、そして、これに基づいて今後二国間交渉が行なわれていくことになろうと思うんですが、ことに対米の毛、化合繊、そして綿製品。それからECの二国間協定をどのように進めていくおつもりか、この点をまずお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本としては三月十五日に参加いたしましたけれども、正式に受諾した国は、わが国をはじめ米国、カナダ、北欧、香港、韓国等、二十一カ国であります。本取りきめは、既存制限の期限付き改廃、二国間取りきめ及びセーフガード条項の改善をはかる等、多くの点でいわゆるLTA、国際綿製品長期取りきめと比して大幅な改善事項が見られ、かねてわが国が主張していた繊維貿易の秩序ある拡大という方向が取りきめの基本的骨格として取り入れられておるからであります。わが国としては、本取りきめ庁受諾して、この取りきめの運用に積極的に参加して、その基本的精神である繊維貿易の秩序ある拡大を真に実現するために貢献すべきものと考え、国内業界の支持も得て、今般、受諾を決定した次第です。この取りきめとの関連で、わが国は今後、米、EC等と二国間交渉を行なうことが必要になると予想されますが、政府としては、繊維製品の輸出環境の変化を含む貿易全体の見通し等を十分検討の上、国内関連業界の意見を勘案しつつ、わが国繊維貿易の安定的発展に資する観点より対処していきたいと思っております。
 で、交渉の時期については、現在のところ未完でありますけれども、国内検討作業の進捗状況等を踏まえつつ、相手国政府等と打ち合わせて慎重に取りきめていきたいと思っております。今回の多国間取りきめの中におきましては、たとえばセーフガードの取り扱いであるとか、あるいは既存制限条項の取り扱いであるとか、そういう諸般の点においてわが国の主張は多分に取り入れられておりますので、大いなる前進であると思っております。
○藤井恒男君 二国間交渉の問題については、また、委員会等でいろいろお伺いをしていきたいと思うわけですが、きょうは主として、繊維産業の中小企業の四−六危機説、四月から六月にかけて繊維中小企業がたいへんな状況になっておるということについて少しこまかくお伺いしたいと思うんです。
 で、まず、綿織りの主要産地、これは泉南、泉州あるいは遠州、天竜、三河、いろいろ全国に散らばっておるわけですが、六億六千五百万平方メートルという膨大な綿布輸入がなされておる。そのために異常な在庫をかかえている。それから金融事情が悪化して、国内需要が停滞しておる。このための需給バランスが完全に失調してしまった。こういったところから市況が混乱して、織布業界は深刻な打撃を受けておるわけです。これは御存じのとおりだと思います。
 それから、いまひとつ染色整理業ですね。染色整理業はまさにオイルショックをもろにかぶっておる。染色という職種は、染料と重油、そうして人件費、この三つが明確にコストとして浮かび上がる業種です。染料は石油製品だ、重油そのものということで昨年から完全に赤字に転落しておるのが現状です。このために私も現に参ったわけですが、先染めの産地の西脇それから浜松、こういつたところでは一−三に引き続いて四−六も、三〇%ないし五〇%の操短を余儀なくされる、こういうような状況になっております。
 それから、いま一つは、第二次のメーカー、いわゆる川中と称する二次メーカー、これは代表的なものとしてメリヤス、ワイシャツなどがあるわけですが、これもオイルショック以来の副資材が急騰しておる。たとえば糸である、ボタンである、あるいはカッターシャツ等を包むための台紙、ひもあるいはビニール、こういったものが大体三倍くらいになっております。副資材が三倍くらいになっております。そうして製品それ自体の値上げは約二割増ですね、二〇%増です。しかも、この第二次メーカーは上代加工賃がストップされておる。そうして下代は今度のように何といいますか、製品の価格が凍結されており、サンドイッチの状態になって、上からも下からもはさまれてしまって動きがとれない、こういう状況に置かれているわけです。いま、繊維のおもだった三つの業種について、四−六危機説といわれる状況を簡単に説明したわけですけれども、これについて、どういうふうに見ておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のとおり、綿織物業及び染色業をはじめとして、繊維産業全般においては、今年に入りましてから景況は非常に悪化しつつあり、四−六の見通しについても、不安感を訴えておる産地が多い実情であります。たとえば綿織物の主要産地である播州産地では、四−六月期の受注は例年の五〇ないし六〇%程度と伝えられており、知多、泉州等の産地においても減産が強く見通されております。
 染色業の需給状況も、繊維産業全体の不況感を反映して一−三月期に引き続き減少しており、減産状態もまた続いておる見通しであります。
 その他の繊維業種においてもほぼ同様の状況によりまして、四−六は一−三以上の受注低下、減産に追い込まれる状況が強くなっております。この原因は、消費者の買い控えによる末端需要の不振、金融引き締めの侵透による仮需要の停滞あるいは需要の減退等によるものと思われますが、さきに、本年度末に、中小企業向け緊急金融対策として政府関係中小企業金融機関から五百五億円の貸し出しワクの追加を行なうことをきめましたが、この貸し出しにあたりましても、繊維業界の需要はきわめて減退しておる実情にかんがみまして、特に原材料、資材、価格の高騰等の影響を受けておる業種であります点で、大いにこの点を配慮して、いろいろ配当も考えていきたいと思っております。
 なお、今後産地ごとにその動向をきわめてこまかく実情を把握することにつとめるとともに、信用補完の措置等の強化も講じてまいりたいと思います。また、かかる施策の展開により、企業の安定をはかることとともに、倒産等の不幸な事態により、労働者への影響が生ずることを極力回避するために金融当局や労働当局と密接な連絡をとって万全を期する次第であります。
○藤井恒男君 いまおっしゃった、三月五日の閣議決定の五百五億のうち、繊維に振り向けられたのが約百五十億ということでございますが、この百五十億は年度末緊急融資という性質のもので、この四−六に対して、いま大臣も読まれたその状況でございますが、倒産あるいは一時帰休その他いろんな問題が出てくると思うんだけど、これらに対してどういうふうな手当てをしていくお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 各通産局を動員いたしまして、各産地ごとに実情を正確に把握いたしまして、適切な処置をやりたいと思います。
 金融のワクにつきましても、四−六の事態もある程度考慮しつつ、大蔵当局ともワクの増配についてはいろいろ話し合いを進めておりまして、緊急の事態に対応できるようにあらかじめいろいろ手を打っておきたいと考えております。
○藤井恒男君 この三月五日の五百五億を決定したときに通産大臣から出ております書状、この中に、既存の融資の繰り延べについて、返済について、緊急の場合にはいささか配慮しろというようなことが書かれておったと思うんだけど、現在、繊維産業が持っている負債というのは、すべて合算しますと八千百五十億ほどある。この繰り延べということについてもう少し積極的に考えられないかどうかですね。と申しますのは、これは私お願いしたいんですが、この五百五億の緊急融資のときにも、金利が、中小公庫で八・九%、それから国民公庫で八・九%、商工中金で九・二五%ないし九・七%、これはドル対のときは六・二あるいは六・五、一次、二次ですね、こういう状況であったんですが、このことを考えると、四−六に対してかなりな手当てをしていこうというわけだけど、利子を一ぺん考えてもらわなきゃならない。同時に、既存融資の繰り延べということをもっと積極的にやるべきじゃないだろうかという気がするんですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの八・数%の利子をきめるときも、大蔵当局とはいろいろ交渉いたしまして、中小企業、特に繊維関係については、それでも割り安に特にしてもらっておるわけであります。一般のものとの並行的連動を避けまして特別な配慮をしてもらっておる。現在の高金利時代の状態からして高くはなっておりますけれども、それでも配慮はしてもらっておるわけであります。四−六の事態につきましては、そういうような実情を把握した上で、いろいろないまの繰り延べの問題を含めまして適切な処理を講じていきたいと思っております。
○藤井恒男君 労働大臣にお伺いしますが、この四−六の状況を、これは繊維に限らず、一般的な中小企業の状況をよく見てみますと、かなり倒産も出る可能性がある。そして幸いにして倒産に至らなくても、例の操短に伴う一時帰休というのが私はかなり出るであろうと。現に五割操短ということになると、これは月のうち半分ですから、だから、一時帰休というのを当然余儀なくする中小企業というのが出てくると思うんだけど、私はこの場合、一〇〇%の賃金補償という形の休業手当というものを国庫負担として措置すべきであろうというふうに思うんです。この辺についての労働大臣のお考えをお聞きします。
○国務大臣(長谷川峻君) 繊維関係の問題は、私のほうとしますれば離職者を出さないこと、こういうことからしでいろんな問題を、すぐそういう地方がありますと安定所を通じて全部追っかけているわけであります。市況対策、資金難等々で苦しんでいる中に、わずかにいま救いがあるとしますというと、時間短縮、求人手控え等々でありまして、一時帰休のところがありますが、そういう事業所に対して、一部では一〇〇%補償しているようなところもありますが、三、四年前に繊維対策でやったそういうものなど用意しまして、さらには、この国会で御審議願おうとしておる雇用保険制度、こういうものなどによりまして万全の対策をやっていきたい。わずかにいまは求人関係がまだ一・七まで逼迫しているところに救いがあると。いずれにいたしましても、そういう働く諸君の離職のないことを願いながら、事業主を指導しながら、一般対策をやっていきたい、こう思っております。
○藤井恒男君 通産大臣にお伺いしますが、繊維産業と言えば輸出産業ということになっておったんだけど、昨年はこれは逆転いたしまして、輸出が三十一億九千八百万ドル、輸入が三十八億六千六百万ドル、この逆転した理由はどこにあるか。先ほど綿布輸入が非常に多いということを申し上げましたが、なお、今後の繊維貿易に関する輸出入というものはどういうふうに進展していくと見ておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一つは、原料輸入においても、羊毛価格の急騰による輸入金額増のほか、製品輸入においても、織物、二次製品等の大幅な輸入増加が原因であると思われます。そのほか一般的な開発途上国の追い上げ、それから国内市況の好況が輸入意欲を高潮させたこと、それから変動相場制に移行したために、円高基調で輸入が有利になってきたというようなこと、それから国際的に供給不足が顕在化してインフレ傾向が進行したために相当の価格上昇が見られたこと等であります。本年の見通しについては、石油問題通貨問題等、不確定要因も多いですが、輸入については、金融引き締めの浸透等により、国内景況が急激に冷えてきておりますことと、昨年の思惑輸入に対する反省の動きが強く見られているということから、昨年水準を上回ることは見込まれず、輸出については逆に輸出意欲が高まってきておりますので、これは強含みに推移すると思われます。もっとも昨年の輸入がふえたといいましても、製品に関しましては、二十七億ドルの製品の輸出に対して輸入が十七億ドルで、たしか十億ドルぐらい製品に関しては多いと。原料の輸入が多くなっておると、そういうことであると思っております。
○藤井恒男君 あと先しますが、大蔵大臣お見えになったんで、不況対策の一つとしてお伺いするんですが、繊維の産地ごとに不況対策のための積み立て金というものを積んでおきたいという意向が強いんです。いまでありますと益金でこれいくわけだけど、何かその辺、こういった不況のときに、たとえば一時帰休を余儀なくすると、そういった操業資金、運転資金をたくわえておきたいということについて、税法上の特典などは考えられるかどうかですね、ちょっと聞いておきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 現在、特別措置として退職資金積み立て金、そういう制度がありますが、それ以外に新しく不況産業について考えるかと、こういう問題ですが、そうなりますと、まあ繊維だけじゃないですね。いろいろほかにも、むしろ繊維より激しい不況状態のものもあるわけでありますので、これは一般的な制度として考えなけりゃならぬ、そういう性格のものかと思います。まあ、そういうものをいま不況対策として積み立てをいたしましてきき目があるのかどうかですね。先への、積み立てておいて四、五年先の不況に備えるというなら積み立ての額もたまりましょうが、しかし、まあいま現にそういう状態があるのにいま積み立てるということは、つまり、利益をあげなきゃだめなんで、なかなかむずかしいんじゃないでしょうか。なお、考えてみますけれども、ちょっとまあこの緊急の事態には間に合いかねる、そういう考え方じゃあるまいか、そんな感じがいたします。
○藤井恒男君 時間がないから意を尽くして私申し上げておらぬですが、先々のことで、また、別な機会にこれはお願いしたいと思います。
 繊維でもう一つ通産大臣にお伺いしますが、関税問題ですね、ことにメリヤスの被服、それから布帛衣類、これが日本の関税とアメリカ、ECの関税との間に非常に開きがある。これはやっぱり関税というものは、国内産業の保護に第一義的な目的があるわけですから、この辺のところ、日本の関税を上げろとは言わないが、アメリカあたりのべらぼうに高い関税に対して何か考えておるかどうかですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関税につきましては、日本とECとはほぼ平準しておりますが、アメリカの場合は、繊維製品の一部にかなり高い関税率を設けておるものがあるのは御指摘のとおりであります。
 昨年、わが国において繊維品の輸入が急増しましたが、これは輸入意欲を高揚さしたことと、円平価の実質的切り上げ等の事情によるものが多いので、必ずしもこれは関税率が低いからふえたというようなものではないとわれわれは考えております。
 それで、各国の関税率の比較については、特定の部門だけではなく、国内産業の競争力との関係も含めて全体的に考える必要があると思われます。
 わが国としては、自由貿易を推進するという基本的立場から、国内産業の保護にもまた十分配慮しつつ、積極的に関税を将来とも引き下げる方向に努力すると同時に、他国に対しても高関税を引き下げるように要求していきたいと思っておりますが、現在進行中のガットの新国際ラウンドにおいても、各国の関税障壁を低減するように積極的に努力していきたいと考えております。
○藤井恒男君 アメリカに対してやるわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん、アメリカに対してもやるつもりでおります。
○藤井恒男君 時間が来ましたので、最後にまとめて外務大臣と運輸大臣にお伺いいたします。
 一括して申し上げますが、中国との航空協定がどういうふうに進行しておるか。それに関連して、台湾の問題はどうなっておるか。私がお伺いしたいのは、台湾には現在日航が雇っておる百七十二名の従業員がおります、台湾人の。男子百十四名、女子五十八名です。この人たちの中から、年齢も平均が三〇・六歳ということでございますが、自分たちの処遇は一体どうなるのだ、労働条件は継承されるのか、労使慣行というのは一体どうなるのだということについて、かなり不安を持っておるようなんです。だから、そういった意味において、いま交渉はどうなっておるか、そして日台路線はどういうふうに確保されていくのか、それを外務大臣にお伺いしたいし、あわせて運輸大臣に、いま言った現地人の労働者の処遇ですね、これは国際的な問題にもなりかねないことですから、どういうふうに考えていらっしゃるか、その辺のところをお伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 日中航空協定交渉でございますが、過去、若干の予備交渉をやった経緯がございますけれども、その間、約一年近くとんざをいたしておったのでございますが、明日、日本側の係官を北京に派遣いたしまして本交渉に取り組むつもりでございます。どういう成り行きになりますか、まだこれは相手のあることでございますので、この段階で展望を明らかにすることはできませんけれども、本交渉をできるだけ早く妥結に持ち込みたい、持ち込むため最善の努力を払うつもりでございます。
 台湾との航空往来の維持につきましては、民間協定という姿において維持してまいりたいという基本の考え方を持っておりまして、本年に入りまして、二回にわたって、交流協会の理事長を通じまして先方にわがほうの考え方を提示いたしております。先方におきましてはこれを検討しようということでございまして、まだ御返答をいただくまでにはなっておりません。しかし、仰せの、台北に就航する企業の従業員の問題、それからその安全運航の問題等につきましては、運輸省と相はかりまして最善の配慮をしなければならぬと考えておる次第でございます。
 私どもといたしましては、日中間の政府間の航空協定、日台間の民間の航空取りきめというものを何としても早くでかしたいと考えて努力中でございます。
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、現在台北に百七十名の日航の派遣職員並びに現地雇いの職員がおります。いま外務大臣からのお答えがございましたように、民間の取りきめができましたならば、どういう企業がこれに就航するか、まだ決定しておりませんけれども、その企業に移籍するとか等の方法によりまして、現地の皆さまに生活の保障を確保するように指導してまいりたいと思います。
○藤井恒男君 終わります。
○委員長(鹿島俊雄君) これにて藤井君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(鹿島俊雄君) 星野君。(拍手)
○星野力君 まず、緊急の問題についてお尋ねしたいと思います。
 四月二日に開催を予定されております第二回アジア卓球選手権大会が、カンボジアと南ベトナムの選手団の入国問題をめぐって開催さえ危ぶまれておる事態に立ち至っております。アジア卓連憲章や世界卓連規則からしましても、両選手団がそれぞれの政府の発行した旅券で参加を要求するのは当然であります。第二回大会を成功させるためにも、政府はすみやかにそのような措置をとるべきだと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(中村梅吉君) ただいま御指摘の点につきましては、本来未承認国からの入国は認められない原則でありますが、問題が国際的なスポーツ交流でもありますから、チームの呼称等は、いろいろな角度から目下検討中でございまして、ことに滞在期間、あるいは滞在中の行動、あるいは入国の呼称等、そういうような点につきまして、いま法務省の入管局が外務省とも連絡をとり、また、大会主催者側とも連絡をとりまして、いろいろ相談をしておる最中でございます。
○星野力君 この問題にはひとつ積極的な態度で取り組んでいただきたいと思います。
 昨年九月二十一日にベトナム民主共和国と国交を樹立してからちょうど六ヵ月になりますが、いまだに大使館設置のめどがつかないようでありますが、どうしたことでありましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 外交関係を設定いたしまして以来、政令をもちましてハノイに実館を設置する手はずを進めておりまして、ただいま二名の館員を発令いたしまして、ビエンチャンの大使館に待機させておるわけでございます。いまだにハノイに実館が設置されるに至っていないことはたいへん残念でございますが、その理由は、主として先方の受け入れ態勢の問題であると承知いたしております。
○星野力君 日本共産党は、ベトナム民主共和国との国交正常化を進めるためには、ベトナム民主共和国の基本的な主張であるところのパリ協定の尊重、かつての日本の戦争責任の処理、南ベトナム共和臨時革命政府の承認、これらの道理のある主張に対して日本政府が誠意ある態度をもって臨む必要があることをしばしば警告し、要求もしてまいりました。日本政府はその点を非常に甘く見ておったように思われます。南ベトナム臨時革命政府の存在をさえ認めまいとする態度をとってこられた。今度の南の選手団の入国問題とも関連しますが、日本政府は、厳然として存在しておる南ベトナム共和臨時革命政府を認めるべきであると思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまの御主張はたびたび国会を通じても拝聴いたしておるところでございますが、残念ながら政府として同調いたしかねるわけでございます。一つの国に二つの政府がある場合に、二つとも認めるということはできない相談でございまして、わが国といたしましては、南ベトナムのサイゴン政府を承認いたしております以上、南ベトナムの臨時革命政府を認める立場にはないのであります。ただ、星野さんがおっしゃるように、パリ協定の当事者たる地位を南ベトナム臨時革命政府が持っておることは私どもも承知いたしておるわけでございます。しかし、それだからといって、直ちにそれが外交関係を持たなけりゃならぬということにつながるとはわれわれは考えておりませんし、パリ協定の九項自体もそのことを保証いたしておるわけでございまして、日本政府のとっておる態度は間違いであるとは私は考えておりません。
○星野力君 昨年から一歩も前進しておらないわけでありますが、きょうはこの問題は一応ここで切りまして、先へ進むことにいたしましょう。
 安保問題や核の問題につきましては、私たちは総理から直接聞く機会がほとんどなかったんであります。きょうはそれらの問題について、主として総理にお聞きしたいと思います。
 総理は、昨年十一月十九日発行のアメリカの雑誌USニューズ・アンド・ワールド・レポートに掲載されました会見記事で、アメリカ第七艦隊の存在は全アジアの安全にとって基本的なものであると、こう述べておられますが、これはどういう意味か、お述べ願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) アメリカのアジアにおける活動、その中には第七艦隊も含むわけでございますが、これらのアメリカのアジアにおける地位は、アジアの現状を固定をしながらだんだんと平和な状態に推し進めていくための上から見て重要な存在であると。引き続きアメリカがアジアの地域で協定をし、またアジアの地域に存在をする態勢ということは、アジアの平和維持のために必要なことだという私見を述べたわけでございます。
○星野力君 日本政府は第七艦隊の前進拠点としまして横須賀を提供したんでありますが、これはアジアの安全保障のため、言いかえますと、アメリカのアジア戦略のために提供しておるものでははないかと思いますが、そう理解してよろしいか。
○国務大臣(田中角榮君) 第七艦隊に国の基地を一部提供しておることは、アジアの平和のためではなく、日本とアメリカとの間に結ばれておる日米安全保障条約のために提供いたしておるのでございます。その結果がひいてはアジアの平和と安定に寄与しておるということもまたいなめない事実だとは思いますが、本来の目的、日本が基地を提供しておるゆえんのものは、日米安全保障条約の結果である。明らかにいたしておきます。
○星野力君 事実はもっと深刻なものを物語っておると思うのであります。パリ協定によりましてアメリカはベトナムから撤退しましたが、その一方で、日本、タイなどインドシナ周辺の軍事基地を強化し、適用範囲を拡大された日米安保条約のもとで、日本を全アジア戦略のかなめにしてしまっております。
 安保条約のもとで第七艦隊はインド洋にまで常時展開し、昨年秋の中東戦争の際には、空母機動部隊が紅海にまで出動してアラブ諸国を脅迫しております。横須賀を拠点とするアメリカ第七艦隊の存在と行動がアジアの緊張の原因になっておる、この現実、この事態をどういうふうにお考えになるか。
○国務大臣(田中角榮君) アジアにも御承知のとおり平和がよみがえりつつある、こういうことはもう事実でございます。長い長い歴史の連続の上にあったベトナム戦争も終結の状態でございますし、ハリ協定も締結をせられました。不完全ではございますが、日本とベトナム民主共和国との間にも国交がとにかく開始をせられました。そういう意味で、平和は来たりつつある、こういうことは事実でございまして、これは否定することのできないことだと思うのです。これには、それなりの理由も歴史もあってのことだと思います。ですから、過去のワク組みというものの前提に立ってヨーロッパの話し合い機運が行なわれたり、ベトナムの話し合い機運が行なわれたり、また平和の道を歩きつつあるということでございますから、アメリカの極東におけるアメリカ軍の存在が、平和を阻害するもの、アジアの平和を阻害するものがあるとは全く考えておりません。
○星野力君 インド洋にジエゴガルシアという小さな島がありますが、アメリカがここにいま強大な戦略基地の建設に着手しておることは、去る三日、アメリカの議会に送られましたシュレジンジャー国防長官の国防報告にも述べられておるところであります。この基地に対しては、すでにインド、バングラデシュ、スリランカ、マレーシア、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、その他アフリカの沿岸国やソ連中国を含めまして、多くの国が反対や抗議を表明しておりますが、日本政府としてもアメリカ政府に反対の意思を表明すべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) わが国といたしましても、インド洋が平和で安全な海であることをこいねがっておることに変わりはございません。しかし、いま御指摘の、アメリカの基地の強化の問題、これはアメリカとイギリスの相談でやっておることでございまして、この問題につきまして沿岸諸国がもろもろの見解を表明いたしておることも承知いたしておりまするし、インド洋に軍事的な超大国の利害がいろいろ錯綜いたしておることも十分承知いたしておりまするけれども、特にこの問題を取り上げて、日本政府がアメリカ政府に対してコメントをするというつもりはありません。
○星野力君 アメリカのムーラー統合参謀本部議長が三月十二日に上院の軍事委員会の中でやった証言の中で、この基地の建設は中東と日本などアメリカの同盟国間を結ぶ燃料補給線を保護するため必要である、こう述べておりますが、その点について事前にアメリカ政府と話し合ったことがございますか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうことは承知いたしておりません。
○星野力君 これは遠いインド洋の問題ではないんであります。たとえば私どもが入手しましたところのアメリカ空軍、MAC――空輸軍団でございますか、この内部文書を見ましても、軍需物資、人員の輸送はC5Aギャラクシー、それからC141スターリフター、こういうような大型の飛行機によってわが国の横田基地、嘉手納基地を経由して、タイのウタパオ、ウタパオからさらにこのジエゴガルシアへ送るということが既定の事実になっております。ジエゴガルシアの基地強化は横田、嘉手納基地と密接な関係にある。わが国の安全にとってもこれは重大な問題ではないかと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど総理も仰せられたとおり、わが国とアメリカとの間に安全保障条約がございまして、私どもそれを忠実に運営いたしておるわけでございます。この安保条約におきましては、駐留するアメリカ軍に日本が基地を提供いたしておるわけでございますが、そのアメリカ軍の一つ一つの行動範囲にまで規制を加えた規定は全然ないわけでございまして、わが国の安全と極東の安全に寄与しておるという限りにおきまして、わが国の基地を使用する権利をアメリカが持っておるわけでございまして、その管理にあやまちがないように私どもは考えておるわけでございまして、その範囲を越えましてどういうことが世界で行なわれておるかというところまで手が届きません。
○星野力君 昨年一月九日、第二十七回国連総会の決議としてインド洋平和地帯宣言を採択いたしましたが、それに対して日本政府はどういう態度をとられたか。
○政府委員(鈴木文彦君) 二十七回国連総会におきますインド洋平和地帯宣言決議にわが国は賛成いたしております。
○星野力君 その前の第二十六回国連総会で採択されましたインド洋平和地帯宣言、この審議にあたって日本代表はどういう発言をしましたか。また、決議の採択にどういう態度をとられましたか。
○政府委員(鈴木文彦君) 二十六回国連総会、初めてこの総会においてスリランカ代表が、インド洋平和地帯宣言の決議案を他の数ヵ国と一緒に共同提案いたしたわけでありますが、日本代表はこの決議に賛成いたしました。賛成の際に、その賛成の理由といいますか、考え方の背景を日本政府代表が発言いたしましたんですが、この中で、特にインド洋は国際的な交通路として非常に重要であると、したがいまして、この地域の平和を確保することが非常に重要であるという観点から、関係国が協議して、できるだけそれを実効あるものにするようにひとつ協力すべきではないかという趣旨の発言をいたしております。
○星野力君 時間がないからやめますけれども、もっと積極的な言い方をここにはしておる、これ、読んでもらうつもりだったんだけれども。とにかくこれに賛成しておる。インド洋の平和をだれよりも希求しておる、こう日本代表は演説したわけです。そのような態度と今度のジエゴガルシアの基地に反対も抗議もしない態度とは、矛盾するとは思わぬですか。
○国務大臣(大平正芳君) 平和は座してもたらされるものでなくて、やはり軍事力の均衡の中から、ようやくにして維持できるものであると思うのでありまして、既存の条約のワク組みというものも、そういう意味において平和の基礎をつくり上げることに大きく寄与しているという判断をわれわれは持っておるわけでございます。インド洋におけるアメリカの基地の補強という問題は、インド洋に新たな緊張をもたらし、危険をもたらすと、直ちに短絡的に考えるべきものかどうかということにつきましては、私どもにわかに賛成できないのでありまして、武力の武という字はほこをとめると書いてあるわけでございまして、基地があればそこに戦争が起こるというような見方は私はあまりにも直線的な見方であろうと思うのでありまして、こういう施設がインド洋の均衡ある平和の維持のために寄与されることを私どもは期待するわけでございます。私どもが平和を希求することと、この施設の補強につきましてコメントしない立場と、私決して矛盾しているものとは考えておりません。
○星野力君 それでは全くニクソンの力の立場、力の政策と同じだと思うのであります。アメリカの多くの同盟国がこれに反対しておる。先ほどイギリス政府のことを言われましたけれども、イギリスの労働党内閣は、前内閣のこの方針に対して再検討を加えておるということも言われておりますし、日本だけがアメリカに対しては何にも言えないということでは、アジア外交などといっても、将来決していい影響はないと私は思います。
 論点を変えて質問したいんですが、横須賀を母港としておる八隻のアメリカの第七艦隊の艦艇、これらはすべて核装備をしているか、核装備可能であると、こう言われておるが、どうでございましょうか。
○政府委員(大河原良雄君) 第七艦隊の船の中で、たとえば旗艦のオクラホマシティ、これが横須賀に随時寄港いたしておりますし、また空母ミッドウェーも横須賀にその乗り組み員の家族を置いて随時寄港いたしておることは御承知のとおりでございます。これらの船が核装備をしているかということでございますが、たとえば空母ミッドウェーにつきましては、かねて国会でも御指摘ございますように、たとえばジェーン年鑑に核兵器の搭載用に改装されているということは記載があるわけでございますから、機能的には核兵器の搭載は可能であるというふうに承知するところでございます。しかしながら、核兵器のわが国への持ち込みにつきましては、日本の政策に反した措置は米国はとらないということを厳粛にかねて約束しているわけでございますから、そういう意味におきまして、核兵器を日本に持ち込むということはないというふうに政府はずっと考えているわけでございます。
○星野力君 それらの艦艇や搭載の飛行機は、核装備はできるけれども、日本へ来るときは核装備しておらないと、こういうふうな御答弁だと思うのです。
 アメリカ海軍の攻撃型の原潜二十一隻、この数字は太平洋方面に配備されておる攻撃型原潜のほとんど全部でありますが、それが日本の港――横須賀、佐世保、施政権返還後のホワイトビーチにそれぞれ数回ずつ入港しております。入港回数から見ますと、パーミット級、スタージョン級の原潜が圧倒的に多いのですが、これら二つのクラスの原潜は、核弾頭専用爆雷サブロックを四ないし六個装備しておるといわれておりますが、どうでしょうか。
○政府委員(大河原良雄君) 核の持ち込みにつきましては、先ほど御答弁申しましたような厳粛な了解があるわけでございまして、米国政府が日本政府の意に反して核の持ち込みを行なうことはあり得ないというのが大前提でございます。また、ただいま御指摘ございましたサブロックにつきましては、核魚雷というふうに考えられておりますけれども、米国の原子力潜水艦が日本に寄港いたします際には、先ほど来御答弁申し上げております核に関する厳粛な約束のもとに寄港しているということを申し上げたいと存ずるわけであります。
○星野力君 横須賀、佐世保、ホワイトビーチなど日本の軍港に入港するアメリカ海軍の主要な艦艇というのは核装備しておるわけです。核をつけられるわけです。通常、核を装備して活動しておるわけであります。これは非常におそろしいことであります。核兵器が持ち込まれていないと、そういう政府の御答弁にもかかわらず、核兵器が持ち込まれておらないという保証は全くないと思うんですが、総理、これはいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) いまの答弁のように、核装備ができるということと、持ち込んでおらないということとは、これは全く区別して考えていただかなければいかぬわけでございます。これはいまの新しい兵器といわれるようなものは大体核装備ができるようにという、いろいろな状態に対応できるように性能が非常に高いものになっておるということは事実でございます。しかし、日本には核の三原則がございます。持たず、つくらず、持ち込ませずということでございまして、日米安全保障条約の運営の過程におきましても、日本には持ち込んでもらっては困りますと、絶対に持ち込みませんと、こういう了解があるわけでございますから、だから、また持ち込むというような事態ありとせば、このときには協議事項になるわけでございまして、日本は当然これにノーということを言うわけでございます。ノーと言われることを知っておって持ち込むわけはない、こういうことでございますし、まあしかし、相手が持ち込んでおるのかおらぬのかわからぬじゃないかという議論が間々ございましたが、それはもうお互いが平和のために安全保障条約を結んでおる、相手が信用しない者とお互いにそういう国の命運をかけるような協定が結べるはずがない、これはもう全く信頼である、こういうことでアメリカの申す考え方を信頼することを前提といたしておるわけでございます。日本には核装備は持ち込んでおりません。
○星野力君 そうしますと、アメリカの言うことを信用する、アメリカ政府を信頼すると。では、入港するときにそれらの戦闘用の艦艇や飛行機は領海外で核兵器を積みおろしてから入ってくると、こういうことにしかならぬと思うんですが、そう理解すべきかどうか。
○政府委員(大河原良雄君) ただいま総理御答弁ございましたように、核兵器の持ち込みにつきましては事前協議の対象となるということが昭和三十五年以来日米間で了解されておりますし、米国政府はそのとき以来日本政府の意に反した措置に出ることはないということを厳粛に約束しているところでございます。そこで、サブロックということを具体的に御指摘でございましたけれども、サブロックそのもの、原潜に搭載されております魚雷は、その通常の魚雷の弾頭としてサブロックと称せられる核魚雷を搭載し、これを使用することは機能的に可能であるわけでございますが、原子力潜水艦がその任務を果たす上におきまして常にサブロックを搭載しておるというふうには考えないところでございまして、あくまでも核兵器の持ち込みにつきまして米国政府は日本に対する約束を守っていると、こういうふうに政府としては理解しているところでございます。
○星野力君 核装備をはずして、核弾頭をはずして入港してくるというようなことが軍事常識として考えられることかどうか、どなたか専門家の方にお聞きしたいと思います。専門家おられなかったら、防衛庁長官からお聞きしたいと思います。
○政府委員(大河原良雄君) アメリカが使っております、現用の原子力潜水艦の中で、パーミット型等三種の原子力潜水艦にはサブロックを発射するために必要な装備が加えられていることは米側も公表しておるところでございます。しかしながら、これらの原潜が任務についております際に必ずサブロックを搭載しているということはないわけでございまして、サブロックを搭載しているかどうかということは、そのときの任務のいかんによるというふうに私ども承知いたしておるところでございます。かねて、この問題につきましては国会でもたびたび御議論いただいておりまして、私ども米側に対しまして念には念を入れてこの点を確認いたしておりますけれども、事前協議の対象となるべき措置を日本政府の意に反して行なうことはないということを確言しておるところでございます。
○星野力君 ここにハワイのアメリカ太平洋空軍司令部が傘下の関係部隊にあてて毎月一回出しておりますところの内部資料、これは現物ですが、ミュニションズ・ブリティン、かりに「弾薬公報」と訳しておきますが、これの昨年九月号がございます。この「弾薬公報」は韓国に駐留するアメリカ空軍が韓国に戦術核爆弾を持ち込んでいるということをはっきり証明いたしております。また、当時台湾にいたアメリカ空軍の空輸飛行隊が核兵器の運搬を任務の一つにしていることもこの中で実証されております。それだけではありません。この「弾薬公報」によりますと、韓国、台湾、ハワイ以外のどこかの国、国の名を隠さなければならない某基地――サイトアルファとなっておりますが、にも核があることを示しております。ここのところはたいへん意味が重大だと思います。この資料によりますと、まず韓国では群山に駐留するアメリカ空軍第三戦術戦闘航空団がB57戦術核爆弾を貯蔵していることがわかるのであります。この二ページにニュークリア――核という見出しが出ておりまして、ずっと書いてありますが、五ぺ−ジの上から七行目、そこへ資料をその分おあげしてありますが、韓国の米空軍が五百ポンド級の核爆弾B57を扱っていることがはっきり書かれております。韓国に核が持ち込まれていることは、これまでもたびたび言われてまいりましたが、この資料はそれをはっきり証明しておると思うのであります。韓国のことで日本のことではないと言われるかもしれませんが、しかし重視すべきことは、この韓国駐留の第三戦術戦闘航空団が府中に司令部を置くアメリカ第五空軍の傘下の部隊であるということであります。わが党は前年の国会におきまして、府中の第五空軍が核に関する指揮管理機構を持っておることをアメリカ軍の資料で明らかにしたことがございますが、この米軍資料によって府中の核管理機構が韓国の第三戦術戦闘航空団と核兵器の関係でも密接につながっていることが明らかになっております。日本と韓国の安全を一体のものとみなしておる日本政府の立場からしましても、韓国への核兵器持ち込みの事実と、府中の第五空軍司令部がその指揮所となっている事実を放置するわけにはいかないと思うが、いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) あなたがいみじくも言われましたように、それは米韓の間のことでございまして、私どもがとやかく言うべき性質のものでないと思います。
○星野力君 少なくとも府中にある第五空軍の核の指揮管理機構など、こんなものは撤去することをアメリカに申し入れるぐらいの方針はとらなければいけないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 事前協議によらずして核の持ち込みは認めないと、そういう要請がありましても明らかにノーと言うという立場を堅持いたしておることで、必要で十分であると考えております。
○星野力君 沖繩の嘉手納基地に、御承知のように空中給油機のKC135がおります。ことし一月の嘉手納基地駐留の第三百七十六戦略航空団、この飛行スケジュール表というのを見ますと、嘉手納基地を飛び立ったKC価が空中で、群山基地所属の、いま申しましたあの核を装備しておる第三戦術戦闘航空団の飛行機に空中給油をすることが記録されております。ここにその資料を持っておりますが、核装備機に対する在沖繩KC135の給油行為というものは、日米安保条約上どのように考えたらよろしいのかお答え願いたいと思います。
○政府委員(大河原良雄君) まず、事実関係からお答えさしていただきたいと思います。
 韓国にあります第三百十四航空師団、烏山に駐在いたしております三百十四航空師団は、第五空軍の指揮下にあることは御指摘のとおりでございまして、第五空軍は府中にその指令部を持っております。
 ただ、韓国並びに台湾に米軍が核兵器を貯蔵しているという御指摘でございましたが、アジア地域のどこに核兵器を米軍は配置しているのか配置してないのかということについて、一切公表されていないところであるというふうに私ども承知いたしております。したがいまして、韓国におりまする航空部隊が核兵器を装備しているのかしてないのかということについては、これは米側は一切この事実関係を確認する立場にないというふうに承知しております。したがいまして、ただいま御指摘の、韓国に駐在いたします米軍の航空機が、嘉手納に駐留いたしますKC135という給油機を使っての給油を行なっているかどうかのその事実を承知しておりませんと同時に、またその事実がかりにあるとして、これが核装備をしている航空機に対する給油であるかどうかということについても事実関係を明らかにしておらないところでございます。
○星野力君 核装備しておる軍用航空機に対するところの給油であったらどうでありましょうか。
○政府委員(大河原良雄君) その事実関係を承知いたしておりませんので、その御質問にはお答えできません。
○星野力君 アメリカが核の所在を公表しておらぬから、台湾や韓国にあるかどうかわからぬとおっしゃいますが、物が目の前にあれば見えるわけですよ。私、資料を一部差し上げましたけれども、ここにちゃんと書いてある。よく調べていただくとわかると思うのだ、そのことは。あれは部分的な資だと言うなら、これ、全体の写しを上げてもいいですから、お調べになりますかどうですか、韓国にあるということを。
○政府委員(大河原良雄君) 米軍が在外にあります核兵器の所在を明らかにいたしておりますのはヨーロッパだけでございまして、アジア地域にあるかないかということについては一切従来公表いたしておりません。したがいまして、韓国なり台湾に米軍が核兵器を貯蔵しているかどうかということにつきましては、確認の手段を持ち合わせておらないところでございます。ただ、ただいま御指摘のございました資料は後ほどゆっくり検討さしていただきたいと思います。なお、アメリカと対抗します、超核大国でありますソ連といえども、当然核配置をどこに置いているかということについては明らかにしてないところでございまして、核保有国は、いずれも核の所在を明らかにしないということによる抑止力効果をねらっておるというのが一般的に見られているところでございます。
○星野力君 本人は明らかにする気はなくても、あればあるのですから、存在するということでありますよ。じゃ、ひとつ調査してください。資料を心配しましよう。
 この「弾薬公報」には、さらに重大なことが書かれております。これによりますと、昨年九月当時、台湾の清泉崗――チンチュアンカンとなっておりますが、清泉崗基地に駐留をしておったC130輸送機からなるアメリカ空軍第三百七十四戦術空輸航空団、飛行団ですか、これが核兵器の輸送に関係した事実が明らかであります。ここに資料がございます。このように核兵器運搬任務を持っております第三百七十四戦術空輸飛行団のうち、一中隊、C130輸送機二十機近くが昨年十一月台湾の清泉崗基地から嘉手納基地に移駐してきております。嘉手納基地に移駐してきた第三百七十四戦術空輸飛行団の第三百四十五空輸中隊は核兵器運搬の任務を持っている疑いがきわめて濃厚でありますが、政府はこれについてどのように状況を把握しておられますか。
○政府委員(大河原良雄君) 台湾の清泉山岡を基地としておりました航空米軍の輸送部隊は、昨年の夏以来逐次よそへ移駐いたしておりまして、一部は本国へ、一部はフィリピンヘ、一部は昨年の十二月に嘉手納へ移駐してまいったわけでございますけれども、これらの部隊は通常の輸送を担当した部隊であるというふうに承知しておりますし、嘉手納へ移駐してまいりましたC130という輸送機がもっぱら核兵器の輸送に従事していると、あるいは、しておったという事実については承知いたしておりません。また、そのために嘉手納が核兵器の貯蔵の場所になるということはあり得ないことであるというふうに確信いたしております。
○星野力君 核兵器を運搬することを任務としておった飛行機部隊が日本にやってきているのでありますから、疑いがきわめて濃厚なんです。当然これははっきり調査すべきことなんですが、政府は調査しておられない。重大な問題でありますが、これからでも調査なさるお考えはないかどうか、調査してもらいたいと思います。
○政府委員(大河原良雄君) 台湾に駐留しておりましたC130の輸送機部隊は、ベトナム戦争中、主としてベトナム関係の輸送に従事しておったというふうに承知しております。したがいまして、昨年の夏以来、状況の変化によりまして米軍が部隊の移動を行なったわけでございまして、そういう性質を、あるいは任務を持っておりました輸送部隊が核兵器の輸送に従事しておったということは考えられないところでございます。
○星野力君 まあ、以上のようなことから、先ほど総理は非核三原則ということを言われましたけれども、そういうことを口にはするけれども、実際にはアメリカのアジアでの核戦力の展開に日本が深くかかわっている、その現実を認めてきている、そう言われても私はしかたがないのじゃないかと思います。この「弾薬公報」の一番終わりのページでございますが、ここにこの公報の配付先が書かれております。符号、番号になっておりますけれども、調べて見ますと、この号は発行部数が二百二十三部、その配付先で一番多いのが太平洋空軍司令部のありますハワイでありますが、その次が沖繩の知花弾薬庫を含む嘉手納基地、ここに三十一部配付されております。それから第五空軍司令部を含む横田基地に八部、もちろんこの号には核以外の弾薬のことも若干はしるされているのでありますが、嘉手納に、横田にこのように、こういう資料が配付されているという事実は、われわれにとってきわめて不気味なものを感じさせるのですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(大河原良雄君) その資料を後ほど検討させていただきたいと存じますけれども、もしそのとおりであるといたしますならば、考えられるところは、沖繩に米軍は大きな弾薬庫を持っておりますし、また横田には大きな空軍の施設を持っているという関係で、関係の部隊に関係の資料を配付したということはあり得るのかなというふうには考えますけれども、資料を後ほど検討さしていただきたいと思います。
○星野力君 日本におる、あるいは日本の領土を通過するアメリカの艦艇、航空機の核装備については先ほども述べたんでありますが、状況からしますと、日本国内に核兵器が持ち込まれておる可能性は大いにあると思うのであります。それに対して、政府は、アメリカの善意に信頼する、アメリカの言うことを信じるだけであります、核のあるなしを現実に調べる御意思はないとしますと、客観的には、核が持ち込まれているかどうかはわからないということになると思うのであります。それでは国民の不安はどうなりますか。国民は、政府のあなた方のように、アメリカに対して信心深くはないんですよ。特に核問題では、アメリカをほとんどだれも信じていないと言っていいだろうと思うのであります。核持ち込みは事前協議になっておると言われますけれども、実際には調べも何もしないのですから、この事前協議なんかあってもなくっても同じことであります。それだけではありません。わが国の非核三原則、これも全く意味のないものになるんじゃないかと思いますが、総理、もう一ぺんその点を言っていただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 日米両国は真の友好国でございます。そして安全を保障するために日米安全保障条約を締結し、これを忠実に履行しておるのでございます。日本は唯一の被爆国でもございますし、核兵器に対しては、つくらず、持たず、持ち込ませずという原則を守っておりますことは、国会で間々申し上げておるとおりでございます。この国会で政府が述べておるようなことに対して、アメリカがそれに違反をするようなことはしないということは、これはもう国会でも間々述べておるところでございます。ですから、お互いが、その国の運命をかけるような安全保障の問題に対して、お互いに条約をもって真の友好国として存在をしておるというときに、これを疑っておるような状態で私はほんとうに安全保障の実があがるとは考えておりません。だから、アメリカが困ることは日本もしない、日本が困ることはアメリカもしない、それだからこそ日米安全保障条約が結んでおれるわけでございます。これを日本の国民の大多数は、アメリカを信用しておらぬという、これは独断だと思いますが、そんなことはありません。これはもうアメリカを信用しておるんです。過去何回も選挙のときに、もっともっと激しいアメリカ非難の実情ございまして、そういうテーマにして選挙をやったんですが、依然として国民はちゃんと自民党を支持してくださっておるのであって、そんなことをあなた方が御自分の立場と判断だけで、国民は一人も信用しておらぬじゃないかと、そんなことはありません。それはもうありません。私は、国際的にはやはり信頼をするということでなければ、お互いに独立と民族の安全というものを保障するような条約の相手国たり得ない。これはどうして一体、じゃ、あらゆる持ち込むものを全部点検して解体をして、どうするのですか。そんなことができるわけがないんです。これはもうお互いが信頼をする、そういうことが大前提でなければ安全保障条約など締結できない。これはもう世界の原則であると、私はとう思います。私は、政府の考えていることが誤りない、国民もこれを十分理解しておる、こう考えます。
○星野力君 国民は、あなた方のようにアメリカを信心はいたしておりません。私は日米のこの軍事共同の問題に関連して質問したいと思っておったんですが、時間が来てしまいましたので、そのことに関連しまして一つのことをお聞きしたいと思います。
 自衛隊の退職者が相当数米軍に勤務しておるんでありますが、一体その数はどのくらいになるものか、おおよそでよろしいから、ひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 私どものほうは、自衛隊を退官した者がどのような職業につくかについて、自衛隊法の離職者審査会の対象になる登録会社に対して一定の年限はいけないという審査はいたしますが、そのほか、どのような職業に人生の第二の道を見出すかについては、チェックもする意思はありませんし、またそれを追跡する手段もありません。
○星野力君 的確な数はわからぬでも、かつての自衛官、しかも幹部ということになると、大体の見当はつくと思いますが、退職して米軍に勤務した者がおおよそ、たとえば千人以上おったとか、千人まではいかないとか、そういう見当はつきませんか。
○国務大臣(山中貞則君) 申し上げますとおり、私どもは、退職後自衛官がどこにつとめたかは、自衛隊法の定めによる離職者対策審査会を経た者以外についてはチェックいたしておりません。
○星野力君 私、この問題で早くから防衛庁のほうに資料をお願いしておったんですが、待て、待て、待てということで、きょうまでとうとうほとんど出てこなかった。一体なぜ出てこないのか。もっとも一つだけ出してくださった。これはこちらの要求とは違って、現在自衛隊で一佐以上の職についておる人でかつてアメリカ軍に勤務していたという者が何人おるかと、こういう資料であります。将四人、将補が十人、一佐が七十六人、合計九十人、こういう高級幹部がかつてアメリカ軍に勤務しておったという資料でありまして、これはこれでなかなか重大でありますが、なぜ私たちが求めたのを出せないのか。たとえば民間の営利企業への就職なんかには審議会にかけてやっておいでになる、おわかりになっているんでしょうが。米軍への勤務者、米軍への天下り――天上がりかもしれません――これはおわかりにならないんですか。
○国務大臣(山中貞則君) 私たちと在日米軍との間には、人を交流して何か緊密な作戦を練らなければならないような関係は法的にも実態的にも全くありません。でありますから、いまおっしゃいました、かつて米軍に勤務したことがあるといっても、それは終戦直後のパージにかかった旧職業軍人の諸君が、行く先がなくて、なかなかつぶしもききませんから――表現はおかしいかもしれませんが、だから衛士とか、あるいは現場監督とか、運転手とか、通訳とか、そういうような職を私も見ました。ばらばらであって、パージ中にたまたま自分たちが旧軍人であったことによって、米軍がそれを就職をさしてやろうといった人々がおったというだけでありまして、その後自衛隊等の発足等によって、彼らは彼らなりにそれらの試験を受けて自衛官の道を志したものであって、何らその間の、米軍と私たちのつながりとは関係のないものであります。
○星野力君 おかしいぞ。自衛隊退職者の就職についてチェックする制度があるんでありますか。
○国務大臣(山中貞則君) それは昨年、三年がかりであなた方の御審査を得て成立いたしました防衛二法において、それまでは長官決裁だけで内部で済ましていましたものを、しかし、それもいろいろ批判がありまして、総理府の人事局長と人事院の人事課長、局長等三者構成の若干の――わがほうの教育局長との間の若干の協議機関を持っておったのですが、法的に昨年の国会において通過しました防衛二法の中で改正されて、それは離職者審査会の議を経て決議をもって長官が承認すると、こういうことに変わったことは御承知のとおりであります。
○星野力君 それはどういうことですか。私、不案内なんでありますが、一定の種類の就職先については、そういう審査会にかけて、また長官の承認が要ると、こういうことでございますか。
○国務大臣(山中貞則君) 国会をお通しくださった法律を不案内と言われるのもおかしいんですけれども、しかし、内閣委員会にたしか先生はおられなかったのでやむを得ないと思いますが、しかしながら、それは法律に書いてございますとおりに、離職者審査会の対象は、離職後、離隊後二年以内は営利企業、すなわち自衛隊の場合においては防衛庁の登録会社というものの役員もしくはそれに匹敵する地位に行くことについては審査会の議を経て長官が決裁したものでなければいけないということになっておるわけであります。
○星野力君 法律は法律でありますけれども、日本の自衛隊に勤務しておった、しかも長年勤務して最高のランクの幹部であると、こういう人が外国の軍隊に勤務するということについて何もチェックはしないんですか。
○国務大臣(山中貞則君) 私たちは、自衛官であった者の再就職、子供たちはまだ大学入学とかなんとかいう年齢でやめていきますから非常に苦労をいたしております。しかし、産軍癒着等の心配等もありますから、そこらを厳重にチェックをいたしますが、その後の第二の人生を歩くことについて、御隠居して盆栽いじりをしようと、あるいはまた自分が米軍のほうの――これはたぶんそういうものがあるとすれば、私どもが直接そういうあっせんをする意思もありませんし、したこともありませんから、防衛施設庁長官の権限を知事に委任してございます権限中の渉外労務連絡事務所というところを通じて、自分の就職希望を申し出て入ったものであろうと考えます。
○星野力君 資料をお出しくださらぬので、私たちのほうで知っているうちから何人かの人々、自衛隊を退職された後米軍に勤務した、あるいは、しておる五人の将官と、六人の一佐の氏名をお渡ししたんでありますが、この人々が米軍に勤務したと、あるいは、しておるということは御確認なされますか。
○国務大臣(山中貞則君) これは先生の党からそういう名前をはっきりと書いて、こういう者を調べろということでございましたので、もちろん私のほうでは調べましたが、それは公にされております自衛隊の離職者の行く先の名簿があります。これはみんなが懇親のためにいろいろと、やめたあともどこにつとめて、住所はどこかというようなことをやっておりますから、その名簿がありますが、それにも載っておりまして、現在はたしかリストを示された中では二名でございますが、その他の人々は死亡もしくは退職等をされて関係がなくなっております。
○星野力君 いま申されましたが、そういう名簿があって勤務先がわかるということなら、私のほうの要求した米軍に勤務したことのある人、勤務しておる人という者は見当がつくわけでございますね。それをなぜお答えくださらなかったんでしょう。
○国務大臣(山中貞則君) 私どものほうは、そういう一般的にだれもが持っておる、自衛隊を去った者は、いまはどこにつとめておるかという同窓会名簿みたいなものですね、そういうもの等ありますから、したがって、そういうものについてはわかるものもありますが、しかし、的確にいまどこにいるかわかりません。したがって、あなた方の党のほうから、先生の名前で、だれとだれとだれについて、これを示せとおっしゃった中で、いま申し上げたとおりの結果であったということであります。
○星野力君 それはね、最後に私たち、名前をこちらから出したんですよ。その前にお願いしたら、それは幾日までに調べますということで、それから後には、あまりたくさんでもって調べ切れませんし、というお話だった。だから、調べられるだけ、わかっただけでよろしいと言ったけれども、お出しにならなかった。いま長官の言われることと違うじゃないですか。
○国務大臣(山中貞則君) 私どもは、一々自衛隊をやめた者がどこに行くかをチェックしておりませんし、フォローしておりません、法律の範囲外の者については。しかしながら、たまたま先生のお示しになった氏名の中で、そういう隊員の行き先が現在明らかにされていた名簿がございましたので、その中で、現在二名がおりますということを申し上げただけであります。
○星野力君 私たちは、何も一々の名前まであげてくださらぬでもよろしい、AでもBでも符号でもよろしいと、こういうことまで申し上げたんですが、いま大臣の答弁はだいぶ私たちの要求とも違っておるし、質問もはぐらかしておいでになるように思うのでありますが、ともかく運転手とか通訳とかということじゃございませんですよね。陸将補の運転手とかなんとかということじゃないのです。やっぱりそれ相当の部隊にりとめ、機関につとめておるんです。こういう人々の身分は基地の労務者とは違っておるだろうと思いますが、これは直接雇用ということになるのでございますか。
○国務大臣(山中貞則君) 運転手とか衛士とか申しましたのは、かつて米軍に勤務したことのある者で自衛隊に入った者というお話のときに私はそういう答弁をしたわけです。したがって、一佐とか二佐とか、そういう者がやめましたあと、まさか守衛をしておるとは私も思っちゃいませんで、おそらく事務職か何かの仕事をしておるんだろうとは思います。
○星野力君 これ、いまは軍とは言わないのです。軍の根幹にかかわる重大な問題と昔だったら言ったんだろうと思いますが、とにかく重大な問題ですよ。十一人のほとんど、五人の将官と六人の一佐、このほとんどがアメリカ軍の情報機関と海上輸送部隊に勤務しておるのであります。自衛隊の高級幹部がその専門能力と、自衛隊在職中に蓄積した経験、知識を携えて外国軍隊に勤務すること、これは総理みずからも軍隊の御経験おありのはずでありますが、こういうことは好もしきこととお考えになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) この際、明確にいたしておきますが、先ほど防衛庁長官が述べましたとおり、防衛庁に現に入った人の職歴は、履歴書がちゃんとあるわけです。履歴書で選考をずっとするわけでございますから、現に防衛庁の職にある人の中で米軍関係につとめた人は、履歴書をずっと集計すれば何人でございますということでもって、まず申し上げたわけです。今度、あなたの質問は、自衛隊の高級幹部であった者が現に米軍に再就職をしておる者はどうかということでございます。いままで問題になっているのは、自衛隊を離職した人の再就職ということでございますが、あなたはきょう米軍に対して再就職ということでございます。これはいままで問題になってないわけです。前のは産軍癒着というような問題で、防衛庁に登録してある業者に天下りすることはけしからぬといういろいろな議論がございまして、それは審議会をつくって、審議会でもって人事院規則と同じように精査をし、認可を受けたものに対して、結論を得たものに対して防衛庁長官が承認を与えて再就職をきめるということでありますから、所定の手続を経ておりますので、何人どこの会社に就職いたしております、氏名はかくかくでございますと、こう述べられる。
 あなたは第三の問題を新しく提起されたのです、これは。アメリカ軍につとめておる者はどうかということですから、それは離職者に対しては、全然再就職の先は追跡調査をいたしておりませんし、ということでございます。しかし、それはあなたが、旧軍であればと。旧軍なら、それはもう在郷軍人会名簿もございますし、予備役とかちゃんとした制度もございましたから、それは職業もちゃんとわかったと思いますが、いまはそういうことがないので、米軍に再就職することを禁じてもおりませんし、追跡調査もしておりませんと、あなたが指定された中で、幸い住所録等でわかったもの等に対しては、二人おりますと、こう述べているんですから、あまりこれは問題ないわけです。
 ただ、あなたが一番最後に提起されたように、日本の防衛の重責にある人が、よその国の軍に再就職しているのはどうかと、こういう新しい提起でございますから、ここらはひとつまたいろいろ勉強しなきゃならぬことだろうと思います。しかし、これは米軍というのは日米間、ほんとうにお互いに安全保障条約で一体になって日本を守ろうという、そういうところでございまして、現に日本人でもたくさん米軍の労務者にもなっておりますし、直接雇用の道はあるわけです。禁じておらぬわけです。日本で旧軍人でも予備役のまま満州軍とかいろんなところへ行ったこともございますから、これはほんとうに一体だったということだろうと思います。ただ、国の防衛の機密を知っておる人たち、その経験者、部隊配置等あらゆる意味で専門家が外国軍隊に雇用されるということが一体どうなのかという問題は、これは新しい提起でございます。こういう問題に対しては非常に防衛任務の重要性ということをあなたも御認識の上御提起をされたわけでございますから、せっかくの御提起ですから、ひとつその件に対しては勉強してまいりたい、こう思います。
○星野力君 アメリカとは同盟国、同盟軍だと、こういう意味のことをおっしゃったんですが、同盟国、同盟軍というのは未来永劫にそうだということじゃないんですよ。また、あなたは満州国軍ということを言われたが、アメリカ軍と日本の自衛隊はかつての帝国軍隊と満州国軍の関係だと、こう言われたんでは私ないだろうとは思いますが、大体国民の常識からすると、自衛隊の高級幹部経験者がアメリカ軍に再就職するなんというのは考えられないことじゃないかと思うんですが、どうですか、その点は。
○国務大臣(田中角榮君) 私は大正だし、あなたは明治ですか大正ですか、いずれかと思いますが、そういう人たちの感覚から見ると、やっぱりこれはおかしいですよ。そういうすなおな気持ちはわかるんです。ところが、自衛隊法ではそういうことを規定しておらぬわけであります。自衛隊法におきましては、いわゆる旧軍というような厳密な、旧軍組織のような厳密なものを規定しておりません。
 そういう意味で、いわゆる防衛機密とかいろいろな問題があると思います。あると思いますが、そういうもので法制を整備しなければいかぬのじゃないかということは、いろいろわれわれはわれわれなりに研究もしてきたわけでございます。そうではなくて、いままで皆さんのように防衛庁は違憲だとか防衛の必要はないとか、そういう議論ばかりが先行しておって、そういう本質的な議論、ほんとうに議論しなければならないようなものに入れなかったという過去の経緯もございます。しかし、日本の防衛の任にある自衛隊というものが機密保持にどうするか、それから身分を保障するためにどうしなければならぬか、それから再就職等禁止する場合は、禁止するだけではなく、それだけの待遇をしなければならぬし、保障しなければいけません。そういう問題に対して全く完ぺきであるとは申し上げられません。だから、そういう問題に対しては、せっかくの御提言でございますからこれはひとつ十分勉強してまいりたいと思います。ただ、いまの法体系の中では、他の国に、国といってもアメリカ軍に再就職をすることを法律では禁止をしておりません。妥当性とか、より合理的な道はないかという御提案に対しましては、これは自衛隊のほんとうに必要性、重要性ということをせっかく認めていただいたということで、またそう理解をして大いにひとっこれは勉強いたします。
○星野力君 私は自衛隊を何も重要性を認めたという立場でやっているわけじゃないですよ。こんな日本の自衛隊がまるでアメリカの何かお添えみたいのことになっておったんじゃ、そういう思想でもってやられたら困るということですよ。これは日本の安全、日本の独立にもかかわる重大な問題ではないか、そういう思想でもってやられることは。
 それからまた現在の法体系ということも言われましたけれども、職業選択の自由とか、なるほどあります。しかし、一方では思想、信条の自由もあるし、結社、団結の自由もある。自衛隊に対してはなかなかそうはその点では認めておらない。ただ、職業選択の自由だけは大いに強調されるというようなそういう考え方もどうかと思いますが、もう一つ大事な点は、ちゃんとした部隊、ちゃんとした米軍の機関に専門の知識を持っておるかつての自衛隊の高級幹部がつとめておる、この米軍勤務者が、米軍の作戦に参加したり、巻き込まれたりする可能性もあるんです。そうなったら、日本人が外国軍隊に外人部隊として勤務するようなもので、憲法上もこれは許されない、その点どう思いますか。
○国務大臣(山中貞則君) どうも何も知らない方が聞いておられますと、日本の自衛隊をやめた者がアメリカの何か軍の中に入って、たとえばアメリカの少将とかなんとかという、准将とか、そういうものになっているようにお考えかもしれませんが、あなたのお示しになった人を調べてみると、そういうわけじゃないんで、また日本の自衛隊の官歴があったからといって、向こうで軍そのものの機構の中に階級を与えているわけではありません。したがって、そういうものと私どもの自衛隊の間には何にも関係がないわけであります。
○委員長(鹿島俊雄君) もう一問で……。
○星野力君 そういうことを言われますけれども、たとえば調査学校におった人が在日米軍のSIRA、これは戦略情報調査分析の部隊、こういうところにつとめておる、あるいは防衛研修所におられた陸将補が米軍の調査部につとめておられる、こんなことがそんなたやすいことでありますか。総理、お答えがないんでありますか。日本人が外国軍隊に外人部隊として勤務するような、憲法上ゆゆしい問題を含んでおる、こういうことをやめる御意思はないか。
○国務大臣(田中角榮君) これは外人部隊として働けるような身分にないということだけは、これは明確に申し上げられると思います。これはいやしくも自衛隊に勤務した経験者がそういうことをやるということはもう全く考えられません。これをだからあなたが先ほど提言をされたように、これは自衛隊の機密保持――自衛隊というものが現に国の安全と独立のために重要な任務を帯びておるんだということは事実でございますから、その意味で、これはやっぱり再就職をするにしても相当な制限をする必要があるということであれば、そういう考え方には理解が示せる部分もございます。これは外国の人はやめてしまえばアフリカ行きの外人部隊でも何でも行けることになっておりますが、日本はそうじゃないんです。日本はもう全くいまの自衛隊のように、最小限憲法の許す範囲内で自衛の任務を行なうということでございまして、日本はいかなる場合でも戦闘に参加しないということでございますので、国も参加しないというだけではなく、やはり日本人もということを考えれば、そういう考え方は十分尊重すべき、また勉強の価値ある問題であるということはよく理解いたします。いたしますが、現状の法体系の中では自衛隊をやめられた方々の再就職に対しては遺憾ながら制限がない、しかも米軍に勤務をしても、法律的にこれを閉ざすような道はないということを赤裸々に申し上げておるわけでございます。もちろん就職をした人間は軍人として行動しておるのではなく、あなたの調査資料に基づいてもわかるとおり、全く文官がやるような仕事、調査とか顧問とか、そういうような仕事に従事しておるということは事実でございまして、外人部隊として戦闘の第一線に立つ、こういうことはもう全然考えられないことでございます。
○委員長(鹿島俊雄君) 時間ですから……。
○星野力君 時間がもうなくなりましたから、一問だけひとつ言わしてもらいたいと思います。
 私は、自衛隊の退職者がアメリカ軍に勤務することをやめればそれでいいんだと、こう言っておるわけじゃないですから。そんなことはやめなければならぬということを言っておるんであります。大体このアメリカ軍の補完部隊のような自衛隊では国の安全の保障にはならないんであります。その点、アメリカが日本の自衛隊をアメリカの動かし得る総合戦力の一環に組み入れて、アジア戦略を考えておるということは、前のレアードあるいはリチャードソン、現在のシュレジンジャー、こういう歴代国防長官のしばしばの公式発言によっても明らかであります。ハロウェイ海軍大将というのは第七艦隊の司令長官、その在任中の昨年四月十八日、防衛庁の防衛研修所で講義をやっておる。その中で、ニクソン戦略の基本的理念の一つであるトータルフォース、総合戦力構想について語りながら、この理念は、米国の兵力と同盟国の兵力との連合行動をはかる戦略計画を含んでいると言い、さらに七艦隊は、はっきり言って日本海上自衛隊の力の向上によって補われておる、こう述べておるんですよ。海上自衛隊を第七艦隊の補完部隊に位置づけておる。総理はこういう日本自衛隊の位置づけをどういうふうにお考えになっておるか、これを聞きたい。
○国務大臣(田中角榮君) 日本人は世界の人類の平和に貢献したいという崇高な気持ちを持っておることは事実でございます。また、日本の自衛隊の諸君といえども、日本国民の一人として、真の平和の招来のためにという基本的な考え方に立っていることは事実でございます。しかし、自衛隊そのものは、アメリカがどう考えようとこれは自由でございますが、日本は日本をまず守ること、日本の独立と、日本人の生命財産と、日本の平和を守るということで設置をせられたものでございます。そういう意味で、相手がどう言おうと、相手に巻き込まれて共同作戦をとろうとか、そういうことでは全くない。それは小なりと言わなくても、そこまで私は卑下することはないと思うのですよ。日本人には日本人のやっぱり特性もあるし、日本人の気概もあるし、日本人が守らなければならないそれはもう基本的な姿勢があります。これはやはり国民はすべて日本人みずからを信頼すべきだと思います。日本人はその意味で憲法に背反したり、指弾されるような、本務を間違えて行動するようなことは絶対にないということを明確にしておきたいと思います。
○星野力君 委員長。
○委員長(鹿島俊雄君) 時間が経過ですから、さっき一問というお約束でありますので、御発言はこの程度にお願いをいたします。
 これにて星野君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(鹿島俊雄君) 喜屋武君。(拍手)
○喜屋武眞榮君 私は、沖繩が復帰して本土の立場に近い状態にあるならば、いつまでも沖繩問題に執着せずにこの席におきましても論陣を展開したい気持ちも一ぱいあります。復帰後の沖繩があまりにも問題が多過ぎまして素通りするわけにまいりませんので、今回も沖繩問題にしぼって質疑をいたしたいと思います。
 まず、総理にお伺いしますが、沖繩県は戦後処理もなされないままに復帰して三年目を迎えました。そして事件があまりにも多発して、県民は生活の不安と生命の危険にさらされておるのが率直に申し上げて現状であるのであります。
 そこで、お尋ねしたいことは、沖繩の戦後処理について総理はどのような見解を持っておられるかお尋ねしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 戦後は足かけ三十年を迎えるわけでございますが、ほんとうにその中で心の痛むものは、沖繩県民が長いこと異民族統治下に坤吟をせられたという苦労に対してほんとうに御苦労さまでございますという心からなる考え方を持っておるわけでございます。また、戦後の高い日本の経済成長、繁栄の陰には、恵まれなかった沖繩県民百万に近い方々の大きな犠牲というものがあるということを国民は忘れてはならないと、こういうことを私も深く感じておるわけでございます。まあ祖国復帰後日もまだ浅いのでございまして、私は必ずしも沖繩県民の労苦に報いるに完ぺきである、一〇〇%である、パーフェクトであるというふうには考えておりません。おりませんので、これからやはり全国民の理解をもととしながら、沖繩県のこの長い労苦には報いなきゃならないだろうと、こういうことが基本であろうと思います。
 まあ、沖繩には、それなりに沖繩開発法を制定いたしましたり、沖繩開発庁をつくりましたり、また海洋博覧会を誘致いたしましたり、まあ誘致をするということだけではなく、それをもって沖繩県民の労苦を少しでもいやしたい。同時に、全国民が沖繩に足を運び、ひめゆりの塔にほんとうにお参りをするということでも、沖繩県民の労苦に報いることであろうと、また沖繩の海洋博を実施する過程において、未整備である道路や交通網その他を整備をしたり、また海洋博のあと地や、また残施設というものが沖繩県発達のために資することができますように、そのような立場で沖繩海洋博も考えなきゃならないと、こういうことでございまして、まあ三十年に近い、四半世紀以上にわたる沖繩県民の労苦に完ぺきにこたえるということは一朝一夕にはできないと思います。思いますが、これからも引き続いて沖繩県の振興のために、県民の労苦にほんとうにこたえるという気持ちを前提とした施策が繰り広げられていくべきであろうと、また政府はその責めを負うものであると、こう考えております。
○喜屋武眞榮君 もう一つお聞きしたいことは、総理は七十二回国会の施政方針演説の中で、沖繩については、国民福祉の向上のため、本土との間に格差の見られる医療体制、社会資本等の整備充実を積極的に進めていく。また、開催期日を延期することにした沖繩国際海洋博覧会については、その振興開発上の重要性や国際的意義にかんがみ、これを成功するよう努力を重ねていく、こう強調されました。もう一ぺんその所信に対する御見解と、そして関係大臣のそれに対するお取り組みをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(田中角榮君) 沖繩の実情というものを私も多少承知をいたしておるつもりでございます。で、沖繩県の状態を考えますと、人口は百万でございますが、まだ全国的平均で計算をされております一次産業、二次産業、三次産業の比率を見ますと、一次産業比率本土は一四%台というものに対して倍以上、まだ三十数%、四〇%という高さにあるわけでございます。しかもそのような人口の中で見る一次産業比率が非常に高いにもかかわらず、県民の総所得に寄与しておる一次産業の寄与率は非常に小さいわけでございます。ですから、沖繩県民の所得というものは、生活そのものは本土の平均よりも非常に苦しく置かれておるということは事実だと思います。ですから、沖繩県民も日本の四十六都道府県平均以上に一日も早くするような施策を進めなければならないということでございます。ただ、それが本土がたどったように、一次産業比率が二次産業に移行し、二次が三次に移行するということだけでは済まぬわけでございます。それはアルミ工場をつくろうという計画もございますが、これは現地ではなかなか反対もございます。まあ公害問題もございますし、あの白砂青松という沖繩の海を守りたいという長いその歴史の上に立った県民の感情もございます。ですから、やはり押しつけるものじゃだめだと思うのです。沖繩県民が将来の沖繩県はどうあるべきかという姿をみずからやっぱり描いてもらわなければならないんです。そのためには、本土も、政府も、いろんな案を、こう、テーブルに上げることのお手伝いはできる。そうすると、やっぱり沖繩県が将来の姿をみずから描いて、それに対して政府はどうしようということが一番合理的である。そうでないと、本土から行って、もう全くただのようだったものを買ってくれたと思ったら、いつの間にやら本土資本でもってほとんどみな牛耳られてしまった。まあ、その投下された金が全部地場資本の拡大になったんじゃないかと。そうすると、地場では、その金をまた本土へ持ってきて投資をするというようなことなら、これは一体沖繩に何が残るのか、あの工事をやったために、沖繩では、いままで非常に安くできた公共施設も全部、労賃も何も上がってしまった、資材や物価が上がったことだけ考えてもたいへんなことである、その上、公害を持ち込まれてはたまらぬ、こういうことでございます。ですから、この間のようにサトウキビの値を上げなきゃならぬ。せめてそのぐらいなものは、これはもうどんな無理があってもやるべきだということで、愛知前大蔵大臣最後の仕事になりましたわけですが、まあこれ、一万円というものをきめたわけです。しかし、そんなことで沖繩の農民というものがよくなるはずはないわけです。
 ですから、これからどうするんだと、これはまあ共同牧場にしよう、国有地をどうしようとか、いろんな案がありますが、押しつけられるものではだめだと思うのです。異民族統治のもとに泣いてきただけに、沖繩県の盛り上がりということをやっぱり前提とすべきだ。そのためには多少時間はかかりますよ。そこはあんたが非常によくわかると思うんですよ。多少時間をかけて――あんまり時間をかけるんじゃなくて、そこらをうまく調整するというのが沖繩に対する政策の基本でなきゃならぬと、こう思っております。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 沖繩と本土の格差、特に私ども厚生省において非常に重視いたしておりますのは、医療供給体制の問題が一番実は頭を悩ましておる問題でございます。医師の数で申しますと、本土でございますと十万対百十六人でございますが、沖繩では四十一人という状況でございます。そういうふうなことから、御承知のような介輔制度というものを特例的に認めておりますが、いずれにせよ、沖繩と本土の格差というものはあるわけでございまして、これを私どもはできるだけ縮めるようにしなければならぬと、こういうことで努力をいたしておるわけでございます。
 そこで、医療供給体制の施設のほうから申しますと、御承知のように、国立の沖繩病院を設立しようというふうなことで、昨年度から着工いたしまして、金武村にありまする結核の施設を宜野湾市に移しまして、結核のほうの三百五十と一般病床二百五十、こういうものを加えた医療機関の建設を進めるようにしようということで、前年度に引き続いて努力をいたしております。さらにまた、らい療養所等の関係におきましても、愛楽園、南静園等の施設の整備、県立病院については宮古病院あるいは名護病院の整備、こういうものに努力をいたし、医療従事者につきましても、県の要請に応じ、県立病院に本土から医師を派遣する、あるいは僻地の診療所への医師の派遣、こういうふうなことにできるだけ努力をいたしておるわけでございます。
 そこで私どもは、冒頭に申し述べましたように、総理のあいさつにありますように、格差のない医療福祉の確保、これを最大の努力目標として、まだ十分なところまではいっておりませんが、そういう目標に向かって年々できるだけの予算を注入し、努力をいたしておるような次第でございます。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 総理のおっしゃられたとおり、格差是正ということが一番重大なことでありまして、その方向に向かって努力をいたしております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 物価の問題及び沖繩海洋博の問題等につきましては、総理の指示に基づきまして全力を尽くして沖繩県民の福祉のために努力するつもりでおります。
○国務大臣(亀岡高夫君) 総理から申し上げましたような線に沿いまして、建設省といたしましても、総需要抑制ということで、道路予算等について例を申し上げますならば、全国段階では前年度予算の九九%ということで押えられたわけでございます。しかし、沖繩に関しましては一三%の伸びを見て、沖繩県から要求のありました面につきましては、全面的にこれを受け入れて、もうこれ以上予算をつけてもらっても工事能力がないと言われるほど充当しておるつもりでございます。住宅につきましても、公営住宅等につきましては、公庫のワクを特に要求どおりつけてあるわけでありますが、まあ消化し切れないという事情でございますが、四十九年度におきましても一応要求のある線でこれを見ておる次第でございます。ただ、こういうふうに努力はいたしておるわけでございますけれども、何と申しましても、おくれをできるだけ短い年限で取り返したいと、そうして道路行政の面においても本土並みにしたいということで、建設省としても努力をいたしておるわけでございます。沖繩には国道約二百七十キロメートル、県道が約八百六十キロメートル、それから市町村道が三千二百六十キロメートルがあるわけでございまして、これらに対して道路五カ年計画の中において、昭和五十二年度までには本土並み以上に持っていきたいということで、計画的に進めておることを御理解賜わりたいと思うわけであります。
○国務大臣(徳永正利君) 総合交通体系等につきましては、沖繩開発庁が中心になりまして沖繩振興開発計画というものの原案ができておりますが、これを中心にしまして各省庁間で御相談し、また沖繩県当局とも御相談いたしまして、それぞれの個々の問題について対策を進めていっております。
○喜屋武眞榮君 総理の御答弁の中で共鳴をいたしますことは、いろんなプランがあったとしても、あくまでも現地側の県民の意思を尊重し、その自主性を尊重するという、このことを私は共鳴いたすものであります。あくまでも、沖繩県民がよくなるということと沖繩がよくなるということとは必ずしも一致しない、このことを沖繩県民は非常に警戒をし、また、そのことを非常に慎重に−考えておる次第であります。
 では次に、これは主管がどこになるか、ちょっとあいまいでありますが、戦後における本土の不発弾の回収と処理状況について承りたい。
○政府委員(久保卓也君) 本土におきましては、昭和四十年度から四十七年度までで年間平均いたしまして約二千百件、約百トンであります。で、四十八年度では処理実績は、十二月末でありますが、千六百二十五件、合計五十三トンになっております。
○喜屋武眞榮君 戦後二十九年にもなるといいますのに、去る三月二日に那覇市の小禄で起こった不発弾の爆発事故、死者が四名、重傷者が四名、軽傷三十名、計死傷者三十八名という、まことに悲惨な事件が起こっておりますが、その不発弾の爆発事故の原因をどうとらえておられるか、これをお聞きしたい。
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。
 今度の爆発事故は非常に残念なことで、われわれといたしましては何よりもまず二度とああいうことを起こしたくないというつもりでおります。同時に、この原因の調査を、現在沖繩開発庁並びに県当局と、また防衛庁三位一体でいま調査をいたしておりますが、この爆発物の所在そのものについてはまだ十分なる調査の結果があがってきておりません。しかし、私らといたしましては、こうしたものが何であれ、戦後今日までたって開発計画もいろいろな形で進み、海洋博もやろうというこの時点の中で、なお非常な重大な事故が起こったということで、非常に沖繩問題をもう一回ここで根本的に見直さなければならないという、開発庁としては考えでおります。同時にまた、こうした調査につきましても、開発庁中心で防衛庁の御協力を得て、また県当局並びに警察等と協力いたしまして調査を進めますが、今度は県民全体に呼びかけまして、実は本日から一週間にわたって新聞にキャンペーンをいたします。県民の各位が爆弾の埋まっておるところや、あるいは不発弾がありそうなところを、ひとつ自発的にどんどんと県当局並びにわれわれの出先機関に教えていただきたいと。それに基づいて徹底的な調査をいたしたいというつもりでおるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 いままでの間にこの事故処理にどのような対策を立てられたか、具体的に。そして調査団を派遣されたか。その結果は一体どうなっておるのであるか。それを将来の問題としてじゃなく、いまその調査がどう運んでおるのか、その対策はどう立てられたのか、そのことをお聞きしたい。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 何よりまず、現地における被害状況の調査をいたしまして、先ほどもお示しいただきましたような死者と負傷者並びに現在わかっていますところでは、自動車の五十数台のものと、また家屋の倒壊等々でございまして、われわれといたしましては、そうした被害状況についてさっそく西銘政務次官に現地に行っていただきまして情勢を把握すると同時に、県当局と、それからまたわれわれの出先機関とも十分連絡をとって活動をいたしたわけでございます。その結果、総理も非常にこの点について心配をされまして、死者に対して百万円、重傷者に対しても二十万円のお見舞い金、弔慰金、これを至急に出して、ともかく今度の事故のあと処理については時間があんまりかかってはいけないということを示されまして、われわれも非常にこの総理の御配慮を喜んで、先週末にまた西銘次官にお金を持って現地に行ってもらってお渡しをして受け取っていただいたわけであります。
 その他、この問題に関連しての調査でございますけれども、なお地元にどれぐらいの不発弾が入っているかわからぬ。まあこれをまず調べるということから始めなくちゃならぬということで、体制を組んで、いま市民の協力をいただき、県の協力をいただきながら、調査に万全を期していくということからスタートすることにいたしております。
 なお、発見されましたらすぐこれは防衛庁長官とも事前にお話をしてございますが、直ちに施設部隊が出てそれを解体していくと、警察にももちろん協力してもらうということで体制は組んであるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 応急処置としての死者一人百万円、四名、負傷者七名の二十万円ということになっておりますが、これはその一回きりのものであるか、今後将来どうなるのであるか、これが一つ。
 次に物件補償、住宅その他、この物件に対するこの補償はどう考えておられるのか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) この爆発事故そのものの原因がいわゆる過失あるいは善良なる管理を怠ったというようなことで起こったものであるかどうかの認定につきましては、種々議論があるところだと思います。しかし、その問題については一応法務省にもお願いをして、国家賠償法を適用するかどうかという問題については、すでにいろいろと調査をしていただいておりますが、まだ結論が出ません。しかし、私ら考えますが、そうした議論を繰り返しておっても、なかなか現実に被害を受けられた方々なんかに対しても、また国といたしましても、これは全然われわれ知らぬことだといって突っぱることもできないものがありますので、昨日も衆議院の沖特においてもお話し合いをいたしたわけでございますが、とりあえず総理の配慮によるお見舞いを差し上げて、さらにそうしたことの上に、先ほど申し上げたような自動車の損害であるとか、あるいは家屋の損害であるとか、あるいは負傷者の方々に対する措置をなるべくひとつ早い時期にやっていただきたいという考えでおります。
○喜屋武眞榮君 このような悲惨な事故は、掘り下げて考えてみますと、すべて戦争行為によるこれは不発弾であり、そして事故である。これを思いますときに、この補償及び今後のこの不発弾処理についての一切の責任は国が行なうべきである、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 発生の状態その他をよく調べなくちゃわかりません。また、これが国のいわゆる過失によるものであるかどうかということも十分議論をしてみなければわかりません。私は、やはりそうしたことと一緒に、そういう理屈を幾ら言ってもしかたがないんであって、戦争は現実だったんだし、また、事実沖繩にはものすごくたくさんたまが入っていることも事実なんだし、われわれやはりこうした問題を厳粛な事実として認めて、万全を期したいという気持ちでおるわけで、その責任の所在があくまで国であるか、あるいはどこであるかというような問題を追求することにまって時間をいたずらに空費することは、沖繩の開発のためにも、また沖繩の県民の方方にもたいへんに私はまずいことではないかと考えて、できるだけの処置を、できるだけ早くわれわれの良識に基づいて、ひとつ行動したいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 このことにつきましては、単なる見舞い金でなく、国家賠償法に基づく賠償を行なうべきであるというこの見解は、沖繩の弁護士会からも見解が出ておるし、また自治省の鎌田事務次官の見解が出ておるわけですが^これが政府の統一見解として結論を出すべきであると、こう私は思いますが自治大臣いかがでしょう。
○国務大臣(町村金五君) 先般沖繩の関係の方々がお見えになりましたときに、私のほうの事務次官が、これはやっぱり国家の責任において処理すべき事柄であるから、当然国家賠償法は適用されてしかるべきであろうと、こういう趣旨のことを述べたということをあとで私も報告を聞いたんでありますが、この問題は、ただいま総務長官が言われましたようなことで、政府としては早急に今後の方針をきめてこれらの問題に対処すべきものだろうと、かように存じます。
○喜屋武眞榮君 じゃ、法務大臣にお聞きしますが、法務省の法的御見解、これはいつ出されるつもりでありますか。
○国務大臣(中村梅吉君) この爆発事故につきましては総理府もたいへん心配されておりまして、数回総理府で主催をして会合を持ち、同時に、法務省側も関係当局が出席いたしましていろいろ意見の交換をしたようでございますが、どうもいまの国家賠償法ということ、なかなかその適用はむずかしいようでございます。しかし、さりとて、いま総理府総務長官がおっしゃいましたように、できるだけ良識的に早急に解決をしたい、どうもそういう線でこれは結論を出すように努力する以外には方法ないんではないかというように考えております。
○喜屋武眞榮君 次に、最近まだ沖繩にはたくさんの不発弾があるということ、そのとおりでありまして、沖繩における不発弾状況を調査しておられるかどうか、おられたらその結果を示してもらいたい。
○国務大臣(小坂徳三郎君) どこにどれくらいあるかということについては、今日まで約四万三千発ぐらいの不発弾は発見されておるわけですが、これはみな処理が済んだ数字だと記憶しておりますが、それ以上に、たとえば今度のように小禄のような地下四メーターくらいのところにある爆発物とか、あるいは中南部の各原野にある不発弾であるとか、そうしたものはまだ決定的な調査はしておらないわけでありまして、むしろこれから本格的に調査をしたいというつもりでございます。
○喜屋武眞榮君 私の持っておる資料とだいぶ食い違いがありますが、
  〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
今日までの合計数は三十三万七千二百四十三ですよ、処理済みのものが。ところで、いま十一個の爆弾が野ざらしになって危険きわまりない状態にあるわけなんです。これを早急に処理してもらわないというとたいへんなことになりますが、このことについてお聞きでしょうか。また、対策を持っておられますか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) その十一個のものは私も聞いております。そうして、これを早急に現在の処理場に運んで早急に解体するなり、また信管を抜いて海中に深く沈めるか、いずれかの措置を非常に急いでやってもらうことにしております。
○喜屋武眞榮君 事はどうあろうと、結論はぜひひとつ国の責任において、そうして国家賠償法を適用してもらうことを強く望みます。そうしてなお米軍資料によりますと、沖繩戦の鉄量は坪当たり五千発、そうしてその二割は不発弾の確率になっておると報じております。そうすると、なお地下に二十万発を埋蔵しておるという、こういう報道もされておるのであります。あの事故以来これが沖繩開発の振興に非常に支障を来たしまして、現に那覇市では公共事業を中止せざるを得ない状態にあるのであります。毎日が戦々恐々であります。こういう状態でありますので、一日も早くひとつその探査とその処理を急いでもらいたい、そして補償すべきものは国の責任において賠償法を適用してもらいたいということを強く要求するものでありますが、いかがですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり、いま申し上げましたように、爆弾がどこにあるかよくわからぬということが非常に残念なことなんでございまして、やはり県民の方々の一〇〇%のひとつ御協力をいただいて調査を進めるという御協力を、ぜひあなたからも県民の方々によくお話しいただきたいと思います。
 それからもう一つは、異例なことでございますが、損害を受けられた方々に対する補償を何らかの形でやるということをぜひ私も進めてまいりたいと考えております。しかし、先ほどの国家賠償法を適用するかどうかという問題につきましては、なお議論が政府部内でも非常に分かれておりまして、そうした面も、あなたにもよく一応理解をしておいていただきたいと思います。
 それからもう一つは、この爆発物処理について、いま米軍の資料によると三十三万発もまだもぐっておるんじゃないかというようなことでありますが、もしも、県民各位の協力によって調べる爆弾の散布の状態が非常に大きなものである場合には、これはまだ開発庁だけの考えでございますが、この爆発物処理のための一つの組織を明確につくって、そして県民が安心して生活できる方途を早く実現したいというふうにも考えております。
○喜屋武眞榮君 この不発弾処理についてもう一ぺん確認いたしたいんですが、この窓口は今後とも開発庁になるわけなんでしょうね。
○国務大臣(小坂徳三郎君) さしあたり、沖繩開発庁が窓口になります。
○喜屋武眞榮君 さしあたりですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) そうです。
○喜屋武眞榮君 総理、今後はどうなります。さしあたり、この窓口、開発庁とおっしゃるのですが……。
○国務大臣(小坂徳三郎君) さしあたりと申し上げたのは、現在緊急の場合の時点でございますが、将来、やはりもっと本格的に――非常にたくさんあるということになれば、当然それは開発庁の責任事項ではないかと思います。それはまだ決定されておりませんので申し上げなかったわけです。
○喜屋武眞榮君 沖繩の場合、これは将来長きにわたってこの不安があるわけですので、どうか一時的なさしあたりではなく、恒久化してその窓口をきめてもらいたいということを強く要望いたします。
 次に、本国会において一貫して論議されております狂乱物価、本土のこの狂乱物価をもろに浴びたのが沖繩であると言っても過言ではありません。狂える日本、病める沖繩、満身創痍の沖繩だと、こういうことも強調いたしておるのであります。たとえば前月比、十二月と一月の比が、全国平均が四・三%に対して沖繩平均が五・七%、前年度同月比で全国平均が二三・一%、沖繩平均が二三・八%、こういう比率を持っておるのであります。わけても主食の大幅値上がりがはなはだしいのであります。この物価高を、経済企画庁長官は原因がどこにあると思っておられますか、お聞きしたい。
○国務大臣(内田常雄君) 喜屋武さんがいまおっしゃられましたように、日本全体に狂奔する物価上昇がございまして、それの対策といたしまして、いわゆる総需要の抑制でありますとか、個別物価対策等々、やっておりますが、私は、沖繩については、なおそれに加えて、違った二、三の事情を考えなければならないと思います。
 その一つは、沖繩では所要物資の大半を内地から移入をしておるという事情がございます上に、明年の海洋博の準備の関係もございまして、いろいろの多くの資材を必要とし、それの輸送、需給というような問題が加わっておりますので、それだけ物価の事情が加重していると私は考えます。喜屋武さんがおっしゃったように、最近の本土と申しますか、本州の全体の物価指数の上昇率と、それから沖繩県単独の物価上昇率がかなり近寄ってきております。かなり近寄ってきてはおりますが、まだやはり沖繩のほうが若干高いということは、いま私が述べましたような、そういう事情もあることと思いますので、そういうことを頭に置きまして、本州とは違った、それに加えた個別の対策を物価についてもとるべきだと考えます。
○喜屋武眞榮君 さらに、沖繩の特殊事情から、ドル切りかえの際の便乗値上げ、今度の石油危機に端を発した値上がり、これは全国共通でしょう。それから海洋博に向けて、需要供給のアンバランスからのますますインフレ傾向が強くなった。八〇%本土移入にたよっておる、この本土の卸売り物価、メーカーの重大な影響がある。それから流通機構、輸送コストの問題が、ほとんど物価高の要因をなしておるという、こういう、いわば沖繩は全体が離島であり孤島である。きのうも宮之原委員から、離島の物価対策についての質問がありましたが、私、特に沖繩の物価対策に対して関係大臣の具体的な策をここでお聞きしたい。総務長官、経済企画庁長官、自治大臣、運輸大臣。
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。
 特に、最近の物価、那覇の物価が、全国平均よりも非常に高いという、この原因でありますが、特段に全国平均より高いのは設備修繕費、これがほとんど全国平均に比べて倍近いほどの値上がりになっております。それから生鮮魚介、これはいま御指摘の問題点だと思います。それから干もの、野菜、こうしたものが非常に高いわけでございまして、沖繩の物価問題をやはり根本的に解決する方向としては、この設備修繕等についてはこれはいろいろ手もあると思いますが、問題は生鮮魚介及び食糧、野菜、そうしたものの対策をやるべきだというふうに考えます。現実にそうした問題をやっておるわけでありますが、しかし、これは、お米の値段などはむしろ本土が現在千五百九十円でございますが、沖繩はいま八百四十円で十キロ当たり売っているわけですね。それから小麦なども、トン当たり本土は四万五千七百六十円でございますが、沖繩では二万九千九百十円で非常に安く配慮をしておる。でございますから、主食については非常に、本土よりもむしろ沖繩のほうに格差が大きくあるわけでございますが、いかんせん、やはり地理的な条件等もあるんだと思いますが、現在の物価高というものは、これは容易ならぬ状態でございまして、開発庁を担当しております私といたしまして、この物価問題を何とか早く平静にしたい、これを非常に強く期待もし、努力もいたしておりますが、なかなか所期の効果があがりません。やはりこれは全般の、日本全体の現在の物価情勢の鎮静を待つということしかない。そうなりますると、その谷間に入る沖繩の方方の生活も非常に苦しいということで、それで何らかの方策を打たなくてはならぬというので、四十九年度には、今日までいろいろな施策が打たれましたが、たとえば緊急対策補助金というようなものを含めて、輸送費の負担軽減あるいはまた流通システムの改善等々についての予算額も計上しておるわけでございます。
○国務大臣(内田常雄君) 私から一括して、沖繩についての特別の物価対策と考えられるものを申し上げますと、まず海洋博に関連する本土から沖繩への物資の輸送について、必要がありますときには、先般も関係官庁で打ち合わせをいたしましたが、船の優先配船、それから荷役の確保などについて、特別の協力的措置をいたすということが第一。
 それから、これは農林省関係になりますが、野菜生産団地の育成というようなことを、沖繩については特に心配をすることにいたしております。また、野菜の流通施設の整備につきましても、沖繩に即した特別の対策を行なう。
 また、中小企業の近代化が非常におくれておるので、これの格差をなくなすための近代化の推進を通産省関係にやっていただく。
 それから、商品の流通システムが本土とは違う面がありまして、必ずしも合理的でない。それが物価上昇の原因でもあるということから、商品の流通システムの調査改善を実施するというようなこと。
 それから、これは内地についてもそうでございますが、消費者への物価及び物資の需給に関する情報を、特に沖繩については、その方法等について新しいくふうをいたすということ。
 それから、個別物資対策につきまして、石油需給適正化法でありますとか、あるいはそれに関連する、今度の石油の値上げをいたしましても末端は上げないというようなことの措置、もちろん沖繩についても適用いたしますが、その他の標準価格の問題、あるいは売り惜しみ買い占め防止の法律の適用等につきまして、沖繩の事態に即した措置を講ずる。そのためには、沖繩においては、国の出先機関、県の出先機関、それに消費者団体をも加えまして、沖繩県生活安定緊急対策協議会というものを、二月の九日に設置することになりまして、こうした関係者の積極的な御活動やら、新しい措置の導入ということにつとめることになりました。
 なおまた、これは御承知でありましょうけれども、海洋博に関しましては、海洋博推進対策本部の中に一特に物価対策本部というものを、沖繩県の部長さん等も加え、また中央政府の関係官も加えまして設けまして、いま私が申し述べましたようなことについての具体的な措置をも取り入れた活動を開始をいたしております。
○国務大臣(徳永正利君) 海上輸送の問題でございますが、先生御承知のように、本土と沖繩間は九社による貨物船二十二隻と、それから貨客船十隻、それから先島航路につきましては、先島航路運賃同盟に加入しております四社、このうち貨物船が六隻、それから貨客船が六隻でございますか、貨客船三隻でございますか、これによって運賃の協定がなされているわけでございます。きのうも宮之原先生にお答えいたしましたように、この運賃制というのは協定による届け出制でございまして、しかしながら、これを低位に押えるということは、私どもも全くそのようになければならぬということで、いろいろ御相談をして、低位に押えるように努力をしている最中でございます。
 なお、鉄道小荷物につきましては、国鉄の鹿児島駅と琉球海運との間に、本土復帰と同時に連絡輸送協定を結びまして、本土と同じような輸送形態をとっておる次第でございます。
 なお、生活必需物資の緊急輸送等につきましては、先ほど沖繩開発庁長官がお答えになりましたように、特別の配慮をいまからしようということでございます。
○国務大臣(町村金五君) 私に対するお尋ね、ちょっと私は聞き漏らしたんでございますが、ただ、自治省としては、御承知のとおり直接物価行政というものにはあまり関与するところがございませんけれども、申し上げるまでもなく、沖繩の各地方自治体、比較的財政的には弱体であるというようなことから、物価行政等を行ないますのに、たいへん、そういった財政力に乏しいというような事情のあることは私ども承知をいたしておりまするので、先般も交付税の配付等については十分配慮をいたしたというつもりでございます。
○喜屋武眞榮君 いま四長官、大臣から承りましたが、結論的に申し上げますと、当面の物価問題は、特に離島の場合に、運賃コストに非常に重大な影響があるわけなんです。それで恒久目標としては、国鉄貨物船の就航、これを目標としながら当面の策として民間貨物船を指定して、生活関連物資の輸送――民間貨物船を国の予算措置で生活物資輸送船に指定する、こういう措置がとられるならば、物価安定が非常にスムーズにいくんじゃないかと、こう思いますが、農林大臣、通産大臣、そのお考えはないでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(徳永正利君) 貨物輸送につきましては先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
 なお、離島問題につきましては、御存じのようにたくさんの離島があるわけでございまして、その航路の一路線について一つの会社が運航しているというような場合には、これはもう相当の犠牲を払ってやらなければならないような事情でもございますので、運賃の補助制度を設けておるわけでございますが、複数の会社によって運航されている場合には、そういう制度がないわけでございます。したがいまして、先ほど総務長官がお答えになりましたような手段でもって、緊急輸送をするような場合には何とかほかに手だてを考えようじゃないかというようなことでございます。
○喜屋武眞榮君 もう一つお聞きしたいのですが、海洋博推進本部物価部会では、これ、去年五月に発足したと聞いておりますが、沖繩への物資輸送について優先的配船や荷役の確保をあげておりますが、具体的にはどのように実施されておるかお聞きしたい。
○国務大臣(徳永正利君) 輸送全般につきましては、観客あるいは貨物輸送のための基地施設、空港の整備、いろいろまたがっておるわけでございますが、さしあたり海上輸送につきましては、新規免許による輸送力の増強に加えまして、さらに海洋博のときには、運航回数の増加とか、あるいは不定期船の投入等によりまして、輸送能力の増強をはかることといたしております。
○喜屋武眞榮君 特に、総理府調査、復帰一年後の県民の意識調査の結果にもあらわれておりますとおり、行政に対する要望、そして物価対策が最も強調されておるのであります。特に生活面に力を入れてもらいたい、こういった生活につながる条件の克服、これを強く要望しておるというデータが出ておることも御承知だと思いますが、どうかひとつ、特に戦後のいろいろのひずみをもろに浴びた上に、沖繩全体が離島であり孤島であるという、さらにまた行政の、異民族支配のもとでのそういった悪要因が積もり積もって、このような結果になっておりますので、その点、特に御配慮願って、この問題解決を一日も早くしていただいて、生活安定、物価安定を招来していただきたい、こういうことを強く要望するものでありますが、総理いかがでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 国全体としても、いま物価の抑制は当面最大のものでございます。物価を抑制し、真に安定的な国民生活の確保をはかってまいりたいと考えておるわけでございますが、沖繩は特に御指摘のような事情もございますし、また沖繩博という特殊な事業遂行の過程におけるもろもろの問題もございますので、具体的に十分配慮をしてまいりたいと、こう考えます。
○喜屋武眞榮君 次に、先ほども話が出ておりましたが、沖繩振興開発計画は四十七年にスタートして五十六年までの十カ年計画となっております。すでに二カ年になるわけですが、その計画実施は順調に進んでいると見ていいかどうか、開発庁長官いかがですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 振興計画は、私は今度の海洋博等をめぐりましても順調に進んでいきつつあると喜んでおりましたところが、第二次部門の拡充計画がいろいろな面で県民の拒否にあったり何かして、少しそこに落ち込みが出ているように思います。私はこうしたことは、しかし、十年計画でございますので、やはり県民所得がこのプログラムにあるように、一人当たり九十六万円ぐらいの所得になることはぜひしなくちゃならないことなんでありますが、多少のでこぼこはやむを得ないといたしましても、振興計画は十年以内にはぜひ達成するような方向で進んだらいいのではないかと現在考えております。
○喜屋武眞榮君 私がなぜそう申すかといいますと、そもそも、この問題の過程におきまして、この計画は当初から県の原案と政府決定計画の間にズレがあったことはいなめない事実であります。すなわち、国は工業開発優先をめぐって現地とのかみ合いがなかった。それは、同計画のフレームにも組み込まれておった。ところが、その後情勢の変化――先ほど総理も、あくまでも現地の意見を、県民の意思を尊重し、そして喜ばれる、こういうことでなければいけないと強調されましたが、ところが、その後の情勢の変化は、アルミ産業はじめ今回のCTSが県民の反対にあっておることは御承知だと思います。そういうわけで、拙速な工業化を地元は非常に警戒しておる。公害あるいは沖繩の自然破壊、そして本土企業の進出、土地の買い占め、もろもろの要因がますます県民の警戒心を高めておることも事実であります。一方では、海洋博事業による第一次産業の農業破壊、この農業破壊が日増しに進んでおる。こういう実情からして、当然順調にいくものとは思われない。またいっていないことが事実である。そこで、振興開発計画の中心が第二次産業に置かれていたこともいなめない事実であるが、このアルミ産業、CTS等の地元拒否によって、当然、この計画の総合的洗い直しが必要であると思いますが、開発庁長官、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 現在県でも計画をつくっておられるのを聞いております。で、私は、先ほども総理が言われたように、県のもっと自主的な意思が入ったほうがいいと。もちろん当然のことでありますが、私は、いま実は県のほうから上がってくるのを待っているわけでして、県でいろいろとこの十年計画の、振興開発計画の中にあるいろいろな問題点を洗い出して、それを修正するという御意見が出れば、われわれも十分それを検討してまいりたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 全体的には、何と申しましてもこの第一次産業を重点に組み直すべき必要がある、こう思われます。
 それについて、最近政府部内においても、当面、第一次産業振興に力を入れる方針であるとお聞きしておりますが、その計画の変更を意味するものであるか、開発計画の変更を前提としての第一次産業振興に力を入れるという、この部内の空気であるのか。また、開発庁では、政府の振興開発審議会の中に農業専門委員会を設置する計画であるともお聞きしておりますが、これはいかがでしょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 特に農業部門の振興をしないと、やはり野菜の問題であるとか、あるいは食糧の問題であるとかいうことについては、沖繩はやはり非常に弱い立場にあると思います。ですから、それは当然のことでありますし、振興計画におきましても、第一次産業が二百三十億円、基準年度でございますが、それを五百十億円にまで約二倍にふやすという計画なんでありまして、いまわれわれが特に農産物の自給力を高め、あるいはあそこの害虫をもっと駆除して、亜熱帯の農業というものと本土をつなぐということは私の夢なんですけれども、そうしたようなことをやっていくということ、あるいは水を、もっとかんがい用水を確保するというようなこと、こうした一連の事業に大いにこれから力を入れたいと私は思っておりますが、それであっても現在で五百十億の基準年度に比べて二倍の農産物の増産を上げるということは容易なことではないと思うので、そうした面から申しますと、五百十億程度の、あるいはこれが五百三十億になりますか五百四十億になりますか知りませんが、少なくとも第一次産業部門がこの程度のことであるという場合には、どうしてもバランス上、第二次の工業生産もやはり捨てないで、これは県民の理解をよく求めながら、捨てないでやっぱりやっていかないと、所得面の増強ということもむずかしいというふうに考えるわけです。
 ですから、洗い直しと申しましても、県の出す計画を十分見ますが、基本的にはやはり県民一人一人の所得が百万円ぐらいになるということを目ざさないといけないという考えには変わりはございません。
○喜屋武眞榮君 もう一つお尋ねしますが、先ほど申し上げました農業専門委員会の設立はいつなさるか。そして、その構成と任務は何なのか、まずお伺いいたしたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) このごろの沖繩は観光のような、そういう事業が盛んになっているようでありますが、基本的にはやっぱり、お話のように第一次産業が大事な部門でございます。で、台風常襲地帯でございますので、長年の間沖繩自身も研究してこられましたけれども、だいじょうぶだと思われるものはサトウキビとパイナップル、あとのものはあんまりいままで成功しておりませんでしたけれども、このごろは喜屋武さん御承知のように、北部の、名護から北のほうではりっぱな農場ができております。それからまた二、三年前まではウナギなどというものは、聞いてみると飛行機で内地から取り寄せておったという話でありますが、いまやその稚魚を発育させまして、けっこう御地のほうでウナギの養殖に成功している漁場もぼつぼつ出ております。そういうことでありますので、沖繩の基幹産業であります大事な地位を占めておるものでありますが、しかし、御存じのように、この経営規模は、沖繩本島では一戸当たり大体六十アールぐらいなものであります。これは内地より零細であります。しかし、宮古が百四十アール、それから八重山は二百四十と、これはかなり大きな二月当たりの面積を持っておりますが、しかし、いまお話しのありましたように水不足、それから土地基盤の整備、機械化のおくれ、それから悪い病害虫がおりまして、私ども、まだ占領中でありましたけれども、ここで畜産を奨励いたしましたけれども、これもこういう病害虫のためになかなかうまくまいりませんでした。それから、これは駆除することに努力さえすればいいことでありますが、そういうことで、農林省は先年、先島のほうに熱帯農業研究所支所をつくりまして、御地の一次産業、それから南方の人々がそこへ勉強に来られるようにしてあるわけでありますが、大体地力の低下、技術が低水準でありますほか、地域によりましては遠隔の、離島もたくさんございますので、立地上の不利、台風災害などいろいろございますが、こういう問題を克服いたす必要がございますので、沖繩農業の振興につきましては、四十七年度に策定されました沖繩振興開発計画、これ十カ年計画の一環といたしまして、その基本的方向が定められておりますけれども、沖繩の農業は、戦後長く施政権が分離されておりましたし、それからまた、基地経済というようなことで、農業よりも、御存じのように他の、基地等で働いて現金所得を得られるようなこともありまして、もう喜屋武さんよく御存じのように、サトウキビなぞの畑を見ましても、台湾と比較いたしますと格段の相違であります。私どもといたしましてはああいう、ことに基盤整備、あるいは構造改善等で全力をあげてあげますから、大いにひとつ復帰後はこういう点に力を入れてもらいたいということを、農業協同組合の山城会長その他にずいぶんいろいろお願いしておるわけであります。で、いま申し上げましたように、沖繩農業検討懇談会、これは学識経験者によってございます。沖繩農業振興上特に留意すべき技術上の諸問題、こういうことに対して検討を委嘱いたしまして、その答申を得まして、今後の施策推進に資してまいりたいと思っておるんでありますが、そのほかに、さっき食管の米の話がありました。これは復帰当時は日本内地の半額でありました。したがって、復帰の当時の値段でいまもまだ差し上げておりますし、それからまた砂糖の消費税も、沖繩島内においてはこれは減免されておるという話でございます。
 そういうふうにいたしまして、私どもは、ぜひ御指摘のような、この第一次産業を振興する必要があるということで、四十九年度予算でもそうでございますが、予算書をごらんいただけばわかりますように、農業基盤整備、これ二十八億円、農業構造の改善に七億五千九百万円、農業技術の開発普及等に四億、農業生産の振興に十七億、それから、特にいま申しました甘味資源対策、これはいろいろ技術的な指導もやることにしておりますが、こういうものを含めて、含みつ糖対策も合わせて十七億円、農業団体の整備強化に一億八百万円、農地利用調整等に三千一百万円で、四十九年度予算では合計九十七億一千三百万円、これは農林省関係だけの予算でやつおりますので、私どもといたしましては、地元の農業団体等と連携をいたしまして、いま申し上げましたような趣旨に沿うて努力をいたしておるわけであります。
○喜屋武眞榮君 もう一つ聞きますが、この農業専門委員会は、開発庁が中心になって結成されるのですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 一応いまの計画はそういうことにしておりますが、必ずしも専門委員会というものにするか、まだちょっと性格が十分――農林省ともよく打ち合わせをしてから、また県とも打ち合わせをしてからと考えておりますが、そうしたものをつくることは事実でございます。
○喜屋武眞榮君 その場合に一つ要望がございますが、ぜひ構成委員に地元側からも委員を入れていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 十分配慮をいたします。
○喜屋武眞榮君 それじゃ通産大臣にお尋ねします。
 大臣は金武湾におけるCTS問題について七十国会、はっきり申し上げますと、四十七年十一月十三日の予算委員会で、私の質問に対し、三月までには――去年の三月であります、調査結果を報告するとの御答弁がなされております。さらに、七十一国会の予算分科会で、これははっきり申し上げると四十八年の四月九日、私の質問に対して根岸石油業務課長は、そのことは六月までに――去年の六月であります、通産省調査結果を発表するとのことでありますが、いまだに具体的な発表聞いておりません。それが一体どうなっておるのか、これを明らかにしていただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 沖繩におけるCTSの問題につきましては、政府としては石油危機のおりから、石油備蓄の重要性が再認識されておるところでもあり、地元の関係者の意向が調整されて円満に解決されることを期待しております。御存じのように、この問題についてはいろいろいきさつがございまして、屋良主席は琉球政府の主席時代に金武湾地区を公害の少ないCTS基地とすることを決定をいたしました。しかし、その後いろいろないきさつがありまして、政府も備蓄増強政策を進めるために財政援助により建設を促進してきたところであります。一方において、現在沖繩ターミナルが百二十万キロのCTSを有しておりますが、これに隣接する地域に沖繩石油基地が第一次計画として二百二十五万キロリットルの計画のもとに土地の埋め立て、シーバース、付帯施設の工事をやっておるところでございます。しかし、屋良知事は昨年七月、五百万キロリットルを許容基準とすると発表しましたが、最近にわかにその意向を変えて、基地建設反対の意向を表明されてきたわけでございます。こういう状況のために、政府としては地元の調整がつかない限りこれを進行させることは無理であると考えまして、地元の調整を見ておるというのが現実の状態でございます。
○喜屋武眞榮君 そうしますと、地元の調整を配慮してまだ結論を出しておられぬと、こういうことなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけ早く地元が調整されるように待っておりまして、結論は出しておりません。
○喜屋武眞榮君 まあ地元の意思を尊重されるというこの大前提がありますので安心もいたしておりますが、どうかこれは村民、あるいは県民、議会、あらゆる組織団体の世論の声を十分反映させつつあることは御承知だと思いますので、ひとつ慎重を期していただきたいことを強く要望いたしておきます。
 次に、この沖繩の振興開発を前提にする場合に、何としても基地の返還を素通りしては、これは絵にかいた餅にしかなりません。ところで、きょうは基地のこの整理縮小、返還計画については問いませんが、後日に譲りますが、ここで防衛庁長官にお聞きしたいことは、今回発表された中で、一月三十日付であります、返還施設の実際の解放は一体いつなのか。そしてそれに関連する地籍調査はあくまで国の責任でなければいけないが、どのように進めておられるか、このことについてお聞きしたい。
○国務大臣(山中貞則君) 先般合意をみました日米安保協議委員会の返還の中で、移設を要しない全部または一部返還にかかる部分の大部分は本年度中に地主に返るということになると思います。予算措置を要するもの等、若干のもの等はすでに予算措置もいたしておりますが、代替施設を伴うことを前提として、それが条件が折り合ったときに返すという問題について一番大きなものは、たとえば那覇軍港等でありますが、これは来年度予算にもまだ措置もいたしておりませんし、もちろんその前に沖繩の地元において、県、関係市において代替港をつくるとすればどこにするかという問題が最優先しなければなりませんので、そういう要素を差し引いて考えなければなりません。
 なお、返還された土地が、本土においては返還になりますと三カ月間いままでの賃借料に相応する管理費としての見舞い金を出しておりますが、沖繩の場合は、言われるまでもなく地形、形状その他が全部変質いたしておりますし、公簿、公図等の個人の所有に帰するための最終的な地籍の確定はいたしておりません。でありますから、これは国のほうで、私どものほうで予算は全部見まして、そしてそれに対して返還された地域内の地籍が、最終的には県や町村、部落、関係住民の地主の方々の御協力を得て、これは最終的に関係者の立ち会い、確認、合意、そして登記という手段をもって終わるわけでありますから、要するに個人財産として返ったと、それは売ろうと自分が家を建てようと、商売を始めようと、農業をしようと、自分の自由な状態になったというときに初めて本人の所有に実質上帰したものと考えますので、沖繩については私どものほうで復元補償その他をやりながら地籍確定をやりまして、そうしてその本人の最終的な自由に利用できる私有財産に返ったとき、そのときまでは賃借料に見合う管理費を差し上げるつもりで予算措置もしてあるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 なお釈然としない点が二点ありますが、私がお聞きしたい一つは、一月三十日付で発表されたわけだが、
  〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
それが完全に解放される時期は、もっとはっきり申し上げますと、何月何日付でそれがはっきり解放されるのであるか、そういうめどはまだ立っていないのであるか。
 第二点は、地籍調査はいま具体的にどのように進められつつあるのか。この二つをもっと明確にお聞きしたいということなんです。
○国務大臣(山中貞則君) 無条件返還にかかる全部または一部の地域の大部分は本年中に、しかも一部については二、三カ月後には返せると思っておりますが、手続が合意できると思っておりますが、それを何月何日ごろというのには、ちょっとやっぱりアメリカ側との話し合いを外務省も含めて事務レベルでいたしておりますので、これは詰まり次第なるべく急いで逐次発表してまいるつもりであります。
 それからあとの地籍調査の件は、先ほどお答えいたしましたとおり、具体的に予算措置もしてございますから、これはもう今回の合意されましたものについては四十九年度予算において、予算案が通過いたしましたならば、その地籍調査費が組んでございますので、その地籍調査を実行していくということになります。
○喜屋武眞榮君 まだ具体的には手をつけられていないということですね。
○委員長(鹿島俊雄君) ちょっと、不規則発言でなく、正規に御発言を願います。
○国務大臣(山中貞則君) ことしになりましてから合意した分については、現在地籍調査に着手しているところはありませんで、どことどこをすぐに返してもらえるかという相談のほうを優先しております。
○喜屋武眞榮君 繰り返し聞くようでありますが、解放されたということも、これは県民の根強い要望によるあらわれで、非常に喜んでおる。ところが喜びもつかの間いつになるかそれはわからぬといったような、この前実は北谷村長に会いましたら、一応は喜んでおるけれども、ところがそれがいつ、どのように解放されて、地籍をどう調査すればいいか、全く皆目不明といったような、こういう状態なんですね。で、こういう状態でぬか喜びをしたんじゃこれは沖繩の開発には一歩もつながってこない、こういったあせりが県民には一ぱいある。だからきまったことは、めどがきまれば即刻手を打ってもらって、そしてどうだと、このようにひとつ地主あるいは県民にこたえてもらわないというと、いつまでももたもたしたんじゃいけない、こう思って強く要望いたす次第であります。
 次に、沖繩開発金融公庫は沖繩の復興に、開発に役立てるという意図を持っておるわけですが、この開発金融公庫の現時点まで、今月までの四十七、四十八年度の貸し出しの状況の資料を要求いたします。開発庁長官よろしゅうございますか。
○政府委員(岡田純夫君) 貸し出し実績の状況を御説明申し上げます。
○喜屋武眞榮君 いや、資料がほしいわけです。
○政府委員(岡田純夫君) このところ、まだ四十八年度分につきましては経過中でございますので、ある時点でのものでございます。どんどん動いておりますので、そういうことをお含みの上でいままでの……。
○喜屋武眞榮君 いや、だからいま提供という意味じゃなくして、新しい時点の資料を出してもらいたいと、これを要望するわけです。
○政府委員(岡田純夫君) はい、二月現在までのものなら出せます。
○喜屋武眞榮君 それはいつまでに御提出願えますか。
○政府委員(岡田純夫君) すぐ出せると考えております。すぐ出せます。
○喜屋武眞榮君 すぐとおっしゃるのはいつまでこ……。
○政府委員(岡田純夫君) まあ資料を整えますので、なるべく近いうちに提出できます。
○喜屋武眞榮君 じゃあ、きょうじゅう、あした……。
○政府委員(岡田純夫君) 帰りましていろいろ調整いたしまして、単価その他も……
○喜屋武眞榮君 いや、きょうじゅうでなくても、あしたでもいいですよ。
○政府委員(岡田純夫君) 端数がございますから、なるべく近い機会に出せます。
○委員長(鹿島俊雄君) もっと的確に答弁してください。
○政府委員(岡田純夫君) できるだけ急いで提出いたします。
○喜屋武眞榮君 そうおっしゃらぬでいいです。何曜日までに出せるということを……。
○政府委員(岡田純夫君) では来週提出いたします。
○喜屋武眞榮君 次に、沖繩の鉄道敷設問題について、運輸大臣、建設大臣に御意見を求めます。
 まず第一に、沖繩県の道路率はどうなっておりますか。これは建設大臣。
○国務大臣(亀岡高夫君) 道路率でございますね。道路の密度につきましては、沖繩は本土の比較的道路の整備のおくれている地帯に比較いたしましても、まだずっとおくれております。一・三七。本土の香川県が三・六〇、鳥取県が一・三八、まあそんな状態でございます。
○喜屋武眞榮君 具体的に道路率がどうなっておるか、数字があるでしょう。
○国務大臣(亀岡高夫君) 道路率だけ実は申し上げたわけでありますが、改良率につきましては、沖繩も国道が昨年できましたので、国道につきましては、四十八年の三月末で沖繩が九三・八%、大体本土よりもよくなるわけであります。これは一般国道でございます。県道につきましては、本土は五一・六%、沖繩につきましては四二・五%で、府県道は本土よりもおくれておると、先ほど申し上げたとおりでございます。それから町村道は、本土が非常におくれておるわけです。これはもう延長が九十万キロも本土にはございます。沖繩は非常に力を入れておりますので、町村道につきましては、現在ある道路の改良率が沖繩は三三・八と、こういうふうになるわけでございます。
 舗装率を申し上げますと、一般国道につきましては、四十八年の三月末におきましては、内地が九三・一%、沖繩が九〇・九%。都道府県道におきましては、本土が六三・五%、沖繩については三二・五%。それから市町村道につきましては、舗装率がこれは本土よりもずっとおくれております。改良は進んでおりますが、沖繩の舗装率は、本土が一六・六%に対して沖繩は一一・八%ということで、一番最初に御答弁申し上げましたように、こういう現状にあわせて四十九年度の予算配分をいたしておるわけであります。
○喜屋武眞榮君 まあいまいろいろ述べていただきましたが、私が求めたい結論は、昭和四十八年の建設省道路総計画によると、〇・六%、こういう数字が出ておりますね。これが全国最下位になっておる、国道の道路率が。ところが沖繩の自動車一台当たりの舗装延長はたった二・三メートル。そうするといま沖繩の自動車が二十二万台といわれておりますが、この舗装道路で一列に並べると車がはみ出すという、こういうアンバランスの状況なんですね。ということは、この沖繩の大衆輸送機関はバスとタクシーだけである。国鉄の恩恵が全然ない。特に近年交通及び道路事情の悪化によってバス輸送ももう限界に来ております。さらに狭い県道を効率的に活用し、沖繩経済に活力を与えるためにもどうしても鉄道敷設が早急に具体化されねばならないと、こう思っておるわけなんですが、これに対する政府の御見解、あるいは計画があるかどうか、お聞きしたい。
○国務大臣(徳永正利君) 鉄道を沖繩に敷設したらどうかという御提案でございますが、総合交通体系の中には、沖繩は先ほど御指摘のございましたように、沖繩振興開発計画に基づいていろいろな施策を、これを基本にしてやっているわけでございます。特に中南部地域における交通体系の整備にいては、道路の整備、それからモノレール等によって新しい交通システムを導入してひとつやったらどうだという提案がなされているわけでございます。また、それを受けまして関係省庁及び県及び関係の市町村におきまして構成しているいわゆる那覇都市圏の交通問題連絡会議というものがございます。御承知のとおりでございますが、その準則をもって発足いたしましたのが去年の十月一日からでございますが、いろんなそれによって御意見が出されておりますけれども、鉄道の問題につきましては――モノレールの問題についてはもう調査費も組まれまして、いろいろ那覇市内の調査もやっておるわけでございますが、鉄道につきましてはまだどこの時点でも敷設の話が出ておりません。国といたしましてもただいまのところ、鉄道を敷設するという考えは、いまの時点ではございません。
○喜屋武眞榮君 いま政府の目標、四十九年、五十年、五十一年の三年計画の目標を見ますと、四十九年が沖繩本島中南部の交通体系の基礎調査、五十年に将来の交通需要を予測した交通整備計画を策定、五十一年に計画を実施に移すと、こういう三年計画がありますが、この中にはモノレールは入っているが鉄道は入っておらないというお答えなんですね。
○国務大臣(小坂徳三郎君) これはモノレールだけがいま一応の検討の対象になっておるんでありまして、鉄道は入っておりません。
○喜屋武眞榮君 これはいま地元からの要望も何か弱いような受けとめ方でありますが、そうではないんです。この鉄道敷設に関する地元の要請については、政府側は建設費、運営費の問題から、実現に難色を示しておられるということは、たびたびの私のこれまでの質問の中でもうかがわれたわけでありますが、ところがその難色とする理由は一体何なのか、これをまずひとつお聞きしたい。
○国務大臣(徳永正利君) 鉄道敷設の問題につきましては、まだ私ども検討の段階に入っておりません。したがいまして、難色もまたその他の色も一切これに対して出したことがないわけでございます。したがいまして、いままでの交通問題といたしましては、道路の整備を急ぎ、それによってバスの企業の集約化とか、あるいはまた一元化等に力を注いでまいっておるのが現状でございます。
○喜屋武眞榮君 これにつきましては、御承知かと思いますが、一橋大学の都留重人教授を中心とする研究グループからもたびたび提言されております。そして都留博士の案によりますと、糸満、那覇、石川、名護、これを貫くこの距離で費用にして五百四十億円を計算されて出されております。こういう案もありますし、また県でも、機が熟していないとおっしゃるが、そうでありません。県でも調査費を計上しております、六百万円。こういう情勢から、どうしても先ほど申し上げました理由からいたしましても、沖繩永遠の発展のためにも、ぜひひとつ鉄道を敷設していただきたいことを、前向きで検討をしていただきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) たいへん熱心な御要望でございますので、もちろんよく承りますが、私らといたしましては、まず四十九年度にどんな交通量をどこに確保するかと、特に那覇を中心にしたところの交通網の実際の需要、それから交通量、そうしたものの計算がどの辺までできるか、四十九年度見て、それから五十年にはそれをどんな形で運ぶかということで、五十年のときに、いわゆるあなたのおっしゃるような鉄道がいいのか、モノレールがいいのか、私はいろいろ形態論が出てくるのではないかと思います。しかし、問題はやはり沖繩へ行ってみればだれでもわかりますが、とても自動車ではあぶなくて旅行もできないくらいひどいということはよくわかるので、これは一日も早く道路を直すか、何か他の輸送機関を早くつくるか、これはもう絶対的な要請だと私は理解いたしております。
○喜屋武眞榮君 繰り返し念を押すようでありますが、いま開発庁長官の御答弁もありましたが、国鉄につながるということになると、これは運輸大臣のぜひ御所見も承りたいと、こう思うんです。
○国務大臣(徳永正利君) 先ほどもお答え申し上げましたように、振興開発計画に基づいて運輸体系のいろんな計画を進めておるわけでございます。その間の連絡会議等において関係各省庁あるいは関係県、市町村等の連絡会議も持たれているわけでございますから、そういうところで十分交通体系というものを検討していただきまして、その一環として鉄道の問題等が出てまいりますれば、またしかるべき関係機関と十分連絡なり、あるいはまた協議いたしまして調査を進めてまいりたいと、かように考えております。
○喜屋武眞榮君 この問題は狭い沖繩における効率的な土地の利用計画、あるいは都市の再開発、あるいは交通事情の緩和、過疎過密の解消、こういうもろもろの立場からもどうしてもこのことはひとつ取り上げていただきたい。こういうことを重ねて強く要望いたしまして、この問題を結びたいと思います。よろしくお願いします。
 さて最後に、基地周辺、沖繩の基地、日本全国の基地の中で五四%を占めておる沖繩の基地であります。その基地周辺と先島地域におけるNHKの受信料との関連において質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、NHK放送受信料の免除基準の中で、基地周辺受信者の免除はどのように指定されているのであるか、そのことをひとつお聞きしたい。
○国務大臣(原田憲君) お答え申し上げます。
 お尋ねの基地周辺の受信料の免除基準はNHKが定めておりまして、これは半額免除ということになるのでございますが、この飛行場の周辺の一定の範囲を基準といたしまして、飛行場の場合は大体長方形になると思いますが、それに音響の強度、それから周辺の地形、集落の状況等を勘案してその範囲をきめることといたしております。
○喜屋武眞榮君 具体的にお聞きしますが、沖繩においてこれが適用されておる地域名、件数、どこでどの範囲それが適用されておるか、具体的にお聞きしたいんです。
○政府委員(齋藤義郎君) 沖繩におきまする受信料の免除基準の適用地域でございますけれども、これは嘉手納基地周辺でございます。
○喜屋武眞榮君 何件ですか。
○政府委員(齋藤義郎君) 四千六百九十七件でございます。
○喜屋武眞榮君 嘉手納だけですか。
○政府委員(齋藤義郎君) さようでございます。
○喜屋武眞榮君 いや、私が聞くところによるとまだあると聞いている。伊江島は、それ適用外ですか。
○政府委員(齋藤義郎君) 沖繩では嘉手納基地だけだと存じます。
○喜屋武眞榮君 それはおかしいですね。嘉手納だけじゃないと思いますよ。間違いありませんか。
○政府委員(齋藤義郎君) 飛行場ではございませんけれども、射爆場で伊江島というのがございまして、この免除の件数は八百十六件、それから先ほどちょっと数字を間違いましたけれども嘉手納基地、これが三千百四十一件でございます。失礼いたしました。
○喜屋武眞榮君 そこでいま基地周辺の受信者として嘉手納村三千百四十一件、それから伊江島の射爆場周辺として八百十六といま述べられたわけですが、私が申し上げたいのは、嘉手納基地周辺では嘉手納村だけがこの爆音、騒音の被害者ではありません。五十歩百歩で、その隣り合わせのコザ市、それから北谷村、美里村、読谷村、それから那覇空港の小禄、これは嘉手納とほとんど同様な被害地域、現に私コザに住まっておりますが、全くこの被害状況は嘉手納と変わらない状態にあるわけなんです。電波障害で被害をこうむっておる。現行の基準ではいま申されたとおりでありますが、実際にその障害にあって現実に不利益を受けておるこの住民の不利益を解消すべきである。ということは免除基準を拡大する、こういうことについてどうお考えですか。
○国務大臣(原田憲君) この基準を全部変えるということはすぐにできるということじゃございませんけれども、いま、先ほど言いましたように線を引っ張りましても、いまお話しのように、地形によってでこぼこ等がありますから、弾力的にこれをきめる。これはNHKがきめますので、NHKのほうによく調査して検討させたいと思います。
○喜屋武眞榮君 具体的なこの免除基準の作成はNHKだとおっしゃいますが、しかし、その政策判断はこれは政府でありますので、ぜひひとつその線に沿うて事実をひとつ確認の上に拡大をしていただきたい、こう強く要望いたします。
 次に宮古、八重山、この離島であります。ここのテレビが、いまフィルムを送ってニュースが半日か一日おくれ、普通番組が一週間おくれて放送されておるのが事実であります。だからたいへんおかしなことに、朝のニュースにこんばんはと出たり、晩のニュースにおはようございますと出たり、全くチンプンカンプンな実情なんです。(笑声)これが事実なんです。笑い話じゃありません、ほんとうなんです。こういう状況でありますので、宮古、八重山の地元民が非常に、こういう状態の中で料金を取るのはけしからぬじゃないかと、こういう強い要望があるわけでありますが、まことにこの不利益に対してはお気の毒なんですが、どうしても受信料の同額負担は納得がいかない、こういうことなんです。このことについてぜひ御配慮を願いたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(原田憲君) いまお話しのように、沖繩県におけるNHKの受信料につきましては、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律によりまして、いま沖繩では、沖繩県だけが他の県よりも安くしておるわけでございますけれども、その中でもいまのお話しのように先島では線がございませんので運んでおると、こういう状況でございます。これは白黒は五十年の夏ごろまでに完成をして、あとカラーが、同軸ケーブルができましたら、五十一年でございましたかには見ていただけると、こういう予定を立てておりますけれども、いまお話しのように、それまでの間おかしいじゃないかというお話し、これはまあ同感でございますので、これもNHKのほうに検討させたいと存じます。
○喜屋武眞榮君 ひとつ実現しますように御検討をお願いいたします。
 さらに、カラーテレビはどうしてもマイクロ回線が完成せぬとだめでしょうが、聞くところによりますと白黒テレビの場合、五十一年のマイクロ回線を待たなくても見通し外通信方式という――私よくその専門的なことを知りませんが、見通し外通信方式によっては同時放映が可能であると、こういうことをお聞きしておりますが、その工事はすぐいまからでも進められないのだろうかどうか、お聞きしたい。
○国務大臣(原田憲君) 白黒テレビは四十九年度予算と債務負担行為によりまして五十年の夏ごろに完成をする、こういう見込みでございます。
○委員長(鹿島俊雄君) 喜屋武君に申し上げます。時間ですから、一問、結論をひとつ……。
○喜屋武眞榮君 それじゃ最後に。
 このまあ先島の、離島のまた離島、一週間もおくれてのと、こういう、まことに気の毒にたえません。そこで、まあいま御検討くださるということなんですが、ぜひこれは実らしていただきたいが、一種の難視聴地域にひとしい――受信料を軽減するという立場から、お聞きしますと、何かNHKの事業計画に難視聴対策資金が毎年計上されておるようでありますが、その資金をその完全実現するまでこの地域に活用してもらうように、これは政府からもひとつぜひ呼びかけていただきたいんですが、ということを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)
○国務大臣(原田憲君) 難視聴問題は、これは全国的な問題でございますので、その金をまあ先島だけに投入するということはちょっと問題があるかと思いますが、いまのお話の趣旨に沿うような、何らかの措置を検討するようにNHKに話してみたいと存じます。
○委員長(鹿島俊雄君) これにて喜屋武君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして総括質疑は全部終了いたしました。
 明後二十二日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時三十一分散会