第072回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和四十九年五月十七日(金曜日)
   午後二時三十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     中村 利次君     高山 恒雄君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     高山 恒雄君     中村 利次君
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  出席者は左のとおり。
    理 事
                梶木 又三君
                平泉  渉君
                辻  一彦君
                矢追 秀彦君
    委 員
                大谷藤之助君
                大森 久司君
                剱木 亨弘君
                村田 秀三君
                中村 利次君
                加藤  進君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       森山 欽司君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      片山 石郎君
       科学技術庁原子
       力局長      牟田口道夫君
       科学技術庁原子
       力局次長     伊原 義徳君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  中西 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       行政管理庁行政
       監察局監察官   長野 正明君
       科学技術庁原子
       力局原子炉規制
       課長       中村 守孝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (放射性物質の管理に関する件等)
    ―――――――――――――
  〔理事矢追秀彦君委員長席に着く〕
○理事(矢追秀彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○辻一彦君 大臣まだちょっとお見えにならぬようですが始めていきたいと思います。
 最近の新聞の報ずるところでもおわかりのように、各地で放射線障害が非常に出ております。特に下請で働く人たちの中に非常にひどい状況が出ておる。このことは、私は、放射性物質の管理のずさんさをやはり意味しておるんでないかと思います。たとえば、これは四月の六日ごろですが、新潟県では、原子力発電所の立地を検査するために、セシウムを入れた鉛の容器が二個行くえ不明になって、一個は出てきたが一個はわからないと。これは県が管理をしておった中でこういう問題が出ていると。それから、最近になれば、もうこれは過日の国会でも、敦賀における日本原電の被曝問題、それから福島の発電所における下請労働者の被曝の問題等が次々と明るみに私は出たと思います。その中で、最近特に素手で未成年者がいわゆる核物質、放射性物質をつかんで被曝をするとか、たいへんな状況があると思います。
 これは、私は、一月に行政管理庁が科学技術庁、労働省等政府各省に対して明確に「放射線障害の防止に関する行政監察結果に基づく勧告」という形で出している。これを見てみますと、これがきちっと一月段階で行なわれておれば少なくも未然に防げる問題がたくさんあったのではないかと思われます。中身についてはこれから論議をするとしまして、まず行管当局から一月にこの監察に基づく勧告をされたそのポイントをしぼって御報告いただきたい。
○説明員(長野正明君) ただいまお話のとおり、私どもは昨年の八月に約二百六十一カ所の事業所につきまして調査いたしました結果を取りまとめまして、ことしの一月に科学技術庁、労働省、厚生省、それから運輸省に対して勧告いたしました。
 そのおもな中身でございますが、まず第一に私どもが調査いたしました段階では無許可で使用しているものが出てまいりましたり、あるいは無届けで使用しているものが出てまいりました。さらに放射線障害防止法の、あるいはそれに基づきます政令等に照らし合わせまして施設設備等が基準に合致していないというものが相当出てまいりました。そういうことを踏まえまして関係省庁はさらに一そう指導の強化をはかるとともに、さらに悪質なものにつきましては行政処分等を考慮する必要があるのだということを勧告した次第でございます。またそういう状況でございましたので、放射性同位元素を使っております企業の管理者あるいは取り扱い主任者は総点検、自己点検をするように科学技術庁は指導すべきであるというふうなことも言っております。
 さらにそれぞれの科学技術庁あるいは労働省あるいは厚生省の委任に基づきます都道府県知事につきましては立ち入り検査できるわけでございますけれども、立ち入り検査につきましては、それぞれその重点項目を定めて重点的に検査を実施し、さらにその検査の結果が確保されるような方策をとるべきであるということを勧告いたしております。
 さらにそのほかの項目といたしましては、まあ大きく申し上げますといまの三つに分かれるかと思いますが、そのほかに放射線障害予防規定の問題、あるいは放射線取り扱い主任者の問題、被曝管理、健康診断の事項についてもそれぞれ勧告をいたしております。
 簡単でございますが、以上でございます。
○辻一彦君 行管がいま報告されたようにこの一月に出された勧告の内容を見ますと、「非破壊検査業者が遠隔地に散在している作業現場で放射性同位元素を取り扱う場合には、取扱主任者が当該作業現場にいないことが多いため、放射性同位元素の管理・保管及び作業の監督等を取扱主任者の免状を所持していない者が行つていたり、作業員が多量被ばくしているなど、使用等に関する指導監督が十分でない」と、こう指摘していますね。だから科学技術庁は無届けのものは届け出の確保をはかれと指摘をしている、あるいは業者に対する指導監督を十分に行なえ、さらにまた科技庁は次の改善をしろと言って指摘していますが、健康診断をいまお話のようにやれと、それから作業従事者に手帳を出しなさい、それから被曝の記録をきちっと励行しなさいと、こういうことを去年の八月から調査をしてかなり詳しい内容がこの一月に勧告をされておる。あるいは労働省につきましては、これも各項目はありますが、各県の労働基準局を調査した結果、立ち入り検査の方針を定めている都道府県の基準局はほとんどないとか、こういうことも指摘をし、さらに科技庁、労働省、厚生省等の完全な連絡会議を設けて、各機関が重点的に立ち入る体制を整えろ、こういうように、厚生省はきょうはおきますが、具体的に問題点の指摘をずっとされておる。それが一月からこの五月、問題が出る前に具体的に労働省並びに科技庁はどういう対策を立ててまいったか、まず労働省のほうからお伺いいたしたい。
○政府委員(中西正雄君) ただいま御指摘の勧告事項として労働省が受けております内容でおもなものは立ち入り検査の適切な実施でございます。勧告の内容としましては、労働省は、労働安全衛生法第八十八条による計画の届け出を一そう励行させて、そうして届け出のあった放射線使用事業所について、早期に当該施設等の実地確認を行なうようにつとめろ。また、立ち入り検査の方針を定めて、計画的かつ適切な実施をはかること。こういう勧告を受けております。これに対しまして労働省としましてはこの労働安全衛生法の八十八条による計画の届け出を励行させることにつきましては、従来から行政の重点としていわゆる事前審査を強化するというのは、これは行政の実は重点にしているわけでございまして、この計画の届け出をより一そう励行させること及び届け出のあった事案につきましては、その放射線を使用する事業所における関係施設を含めまして適切な審査を行ない、早期に実施確認を行なうようにつとめることをすでに本年三月の八日に東京で開催いたしました全国労働基準局長会議で指示をしているところでございます。
 次に、放射線使用事業所の立ち入り検査方針としましては、昭和四十九年度は特にこの非密封の放射性物質を取り扱う事業所を有する事業場を重点対象といたしまして監督をするように指示をいたしております。実は昨年におきましても二月から三月にかけまして全国一斉に関係事業場一千百四十四につきまして監督をいたしまして、それぞれ違反については是正をさせているところでごぜいますが、先ほど申し上げましたように、すでに本年度も実施することを指示をいたしているわけでございまして、このようにすでに計画を定めまして効果的な監督をし、障害の防止につとめているところでございます。
 以上でございます。
○辻一彦君 それだけ調査をしているとすれば、この日本非破壊検査会社ですか、これはこの種の業界では中堅どころのかなりまあ規模はある会社ですがね、こういうものは当然私はいろんな調査の対象になっているはずだと思うんですが、これはなぜなっていなかったんですか。
○政府委員(中西正雄君) 事放を起こしました日本非破壊検査水島出張所につきましては、すでに監督を三回実施いたしておりまして、昭和四十七年の二月の二十四日に定期監督をいたしております。その際発見されました違反、主要な違反は四つでございますが、これらについては、勧告を指示しまして是正がはかられております。その後四十七年の六月九日に再監督をいたしまして、その是正状況を確認をいたしております。さらに昨年は先ほど申し上げました全国一斉監督とときを同じゅういたしまして四月に定期監督を実施をいたしておりまして、このときには違反としましては主要な違反は一件でございます。そのほかにいわゆる指導書を交付するという程度の違反が三件という状況で、かなり是正された結果が確認されているわけでございます。このように監督を実施し強化しているわけでございますが、今回のような事故が、まあ水島の事故は昭和四十六年の事故ではございますけれども、ああいう事故があったということはまことに遺憾だと思っております。
○辻一彦君 水島のはなるほど四十六年ですね。しかし千葉でもやはり最近の調査によると同種の傾向といいますか、事故が起きておりますね。私は何回も勧告をしたりやっておればこんなものはほんとうは防げなくちゃならないはずなんだが、なぜこの会社は何回かの勧告を受けながら、しかも千葉で同様なこういう状況を繰り返しているのか、その点労働省はどう考えておりますか。
○政府委員(中西正雄君) この点につきましては水島の事故なりあるいは大阪の場合あるいは今回の千葉の被曝線量が制限量をこえているというような事故の背景なりあるいは原因を十分きわめたいと思っておりますが、やはり一つは下請の問題が非常に大きく影響しているのではなかろうか。いろいろの形で下請が入っておりまして、その把握自体が非常に困難だというような点もあるようでございます。これらの点を十分今回の事故にかんがみまして調査をいたし、効果のある監督ができるように検討をいたしたいと考えております。
○辻一彦君 まあ国会でもこの下請労働者に対する被曝の危険性というもの、それから実態というものはかなりいろんな機会にそれぞれから指摘されて、これに対して全面的な調査をやって実態をつかむようにという声は、この決定は何回かされておるんですが、本格的な労働省としてこれに対する調査はいつ取り組む考えですか。
○政府委員(中西正雄君) 実は現在、今回事故のありました日本非破壊検査株式会社の各出張所、それから特に従来問題のありました事業場等について当面監督をいたしまして、違反がないかどうか、しかも違反があるとすればどういうところに問題点があるのかということを十分見きわめた上で、先ほど申し上げました全国一斉監督をいたしたい、その結果をまた十分検討いたしまして、さらに下請等についての効果的な監督、指導につきまして検討し、さらにその後に備えたいということを考えておるわけでございます。
○辻一彦君 まあ水島の例は四十六年の事故ですから、これはいま明らかにされて問題になっている、前にさかのぼるわけにはいきませんが、この五月十五日に労働省のほうが調査をされているのによれば、いまのお話のように千葉の中では同様のことが起きておるわけですから、年間五レムをこえる被曝というものが何人かあるということが出ておりますが、これは司直の手によって問題が明らかになった、あるいは国会によって問題が出て、そこであわてて調べて歩くと、こういうことでは私は行政の怠慢という以外にない。もっと先手先手を打ってこういうことが起こらないようにやってもらいたいと思いますが、これはあとでひとつ科技庁の問題もただした上で、全般的な各省庁を通しての対策をどうとる用意があるのか、こういう中でお伺いをいたしたいと思います。
 科学技術庁に伺いますが、行管が指摘した問題をすでに一月からこの五月までの間に、具体的にどういう対処をしてきたか、この点をお伺いしたい。
○政府委員(牟田口道夫君) お答えいたします。
 行管から御指摘を受けましたのに具体的の事業所の名前の御指摘がございましたのでそれらにつきましてまず報告の聴取をいたしまして、それに基づいてさらに立ち入り検査なり必要な措置を講じたいという考えのもとにそれらからさらに詳細な報告を求めるということを第一段階としていたしました。それから許可をとらずに使用その他をやっておりましたところにつきましては、特に直ちに使用の許可の手続をとり直させるとともに厳重注意その他の措置をとったわけでございます。さらにそれらの過程を通じましていままで行政管理庁から御指摘を受けたような点も含めて将来どうしたらいいかということにつきまして、相当、対策というか検討いたしまして、これをまとめて行政管理庁に報告いたそうかと思っておったところでございます。いまなおそういうことでそれらの報告を中心としました過程と、それから今後さらに立ち入り検査その他指導監督をしていきつつあるところでございます。
○辻一彦君 科技庁は、この十三日ですね、この問題が指摘されて日本非破壊検査会社の本社と千葉出張所をそれぞれ立ち入り検査をしておりますが、これはここまで問題が出る前に専門官庁の科技庁が、発電所にしましても下請に被曝の実態があるということは再三指摘をされておるのですから、もう少し事前に立ち入りをするとか調査をするとかして、こういう問題の実態をつかんでおくことが私は大事だし、それができれば未然にかなり押えられるはずですが、その点が非常に、原子力ということがこれだけ論議されておるにかかわらず下働きの労働者に対する被曝問題等が軽視されている。そういう私はうらみが非常に強いと思いますが、この点どう考えていますか。
○政府委員(牟田口道夫君) 御指摘の日本非破壊検査株式会社につきましては、われわれのほうが立ち入り検査をいたしましたのは四十五年の十二月でございまして、その後そのときの検査の結果にかんがみまして指摘事項を注意いたしてはおりましたけれども、先生御指摘のとおり、その後立ち入り検査等は本庁の人数の関係等もございまして、この会社にはやっておりませんでした。それからなお四十六年九月に中国X線という会社に作業員の被曝がございましたときに特に全事業所に、関係事業所に対しまして、管理体制をしっかりやると同時に、特に下請のようなものを使っているときには責任と管理体制を明確にしてちゃんとやるようにということをそのときに文書を出しておりますほか、いろいろな機会を通じまして、また関係業界の集まり等を通じましてふだんからそういうことに心がけてはおりましたわけでございますが、今回の事件は当方から発見することはできなかった状態でございます。
○辻一彦君 さっきも出ておりましたが、ちょっと私は四項目ほど具体的に一ぺん確認したいと思いますが、一つは、検査所を、この検査機関ですね、検査会社がいろいろ分散を現場にしておりますね、こういうものについての確実な届け出というものが科技庁になされておったか、科技庁はそれをちゃんと把握をしておったのか。それから第二は、健康診断等がその下働きの下請労働者においてきちっとなされておったか。第三に、線量による記録といいますか、被曝の記録がきちんと記録をされ、保管をされておったのか。それから被曝手帳といいますかね、これは働く人が手帳をいま持っておりますが、こういう手帳をきちっと配付をして所持をしておったのか。たとえばこの四つについて具体的にどういう実態であったかお伺いしたい。
○政府委員(牟田口道夫君) 御指摘のとおり、この事業所は、日本非破壊検査株式会社は、本社のほか支店が座間にございますほかは、千葉出張所、水島出張所、広島、四日市、鹿島にございます。当方の法律でございます防止法による使用許可は、本社と座間支店で得ております。この使用許可を得ておりますときの書類の中に、その出張所の名前が当然記されてはございます。そういう意味では把握いたしておるといえます。それから、なお健康診断、記録、手帳の点につきましては、ふだんからこの会社だけでなく、そういう点についてしっかりちゃんとやるようにという指導はいたしてまいりましたが、特に行管の御指摘にもそれがございましたので、全事業所についてどういうぐあいに指導したらいいかということを系統的に考えて検討中でございましたが、この会社につきましては先ほど申し上げましたように、四十五年の十二月に検査いたしましたときにも、必ずしも十分な成績ではございませんでしたけれども、今回四十九年の先般の五月十三日に立ち入りいたしました際には、それらの点については必ずしも十分でないというところの、いま調査過程においてはそういうことになっております。
○辻一彦君 健康診断、記録の保管、手帳等はきちっとなされておったんですか、一言で言えば。
○政府委員(牟田口道夫君) この会社については十分でなかったと思います。
○辻一彦君 十分だったんですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 十分でなかったんです。
○辻一彦君 これは一つの事業所にしても私はそうだろうと思うのですが、おそらく全国にたくさんこういう事業所というか、あるいは会社があると思うのですが、その実態は大なり小なりこれと似たような状況ではないか。そういう点で法的に政令できめられた条件も満たしていない場合が非常に多いと思いますですね。そういう点でこの下請業者や、あるいはこういう放射性物質を扱う機関がきわめてずさんな管理をやっておると、こういうことはこれは一般的に言えると思いますが、そう考えていいですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 必ずしも一般的にずさんということを申し上げることは適当でないかと考えますが、十分ふだん指導いたしておりまするので、この法令の規定に基づきまする取り扱い、管理等が行なわれているところが大部分であると考えます。ただそういう末端の中小企業あるいは下請業等を使っておりまする点につきましては、詳細なふだん立ち入り検査等細密に行なっていただいておりませんところは、私どもとしては承知しておりません。
○辻一彦君 大臣お見えにならなかったんですが、大体この非破壊検査の会社の問題について二、三お伺いをしております。
 そこで大体労働省、科学技術庁の報告を通して行管が指摘をすでにしておったことについて、ある面においては指示をし、会議をもっているという実態があります。しかし、全国の会議をやっても、指示をしても、実際末端でそれが行なわれていなければあまり意味がないわけですね。そういう点でこの業者の私はずさんさもさることながら、さらにこれを行管指摘を受けてせっかく行なわれた会議や指示が有効に、ほんとうの末端のほうで行政として動いていないという私はうらみが非常に、点が多いのではないかと思います。
 そこで、こういう状況の中で、この法令に反する点もあるでしょうし、これから改善を要する点もあろうと思いますが、労働省と科学技術庁としては、まず今後こういうことが起こらないようにするために、あるいはこれを未然に押えるために、具体的にどういう対策をいま検討いたしておるのか、このことを具体的に伺いたいと思います。
○国務大臣(森山欽司君) 参議院の公害対策特別委員会がございまして、たいへん遅参いたしまして恐縮でございます。
 ただいまお話のアイソトープに関する近来の事件について、一つ一つの事柄についてなお検討すべき余地が残されておると思いますが、まあ全般といたしまして、私どもが現段階において考えておることについて申し上げたいと思います。
 まあ近来御指摘のありました事件のみならず、二、三そういう事件が各方面に起きておりますので、こういう実態を聞くにつけ、さらに御指摘のございました本年初頭における行政管理庁の勧告案の中身を見るにおいて、これは二百六十カ所くらいの調査をもとにいたしましたところ、それはおよそ七八%くらいが――これは重要なこともありますし、軽微なこともございましょうが、いずれにいたしましても、何らかの形においてアイソトープの放射線防止法に違反しているところが実に七八%だという驚くべき結果でございますから、あるいは私は全国で三千三百程度前後あるものだと思いますから、おおよそまあ一つの抽出的なものとして、現在の法律が十分守られていないのではないかという実は私は危惧の念を持っているわけです。まあ違反をしている状況は、重大な事故もあれば軽微な事故もありましょうが、いずれにしても何らかの意味においてそうだという指摘を行管に受けますことは、まことにこれは残念しごくでございまして、事の経過から申しますと、これについて実は科学技術庁のほうからも行管の勧告に対してこたえる答弁の準備をいたして、最後、まあ私がハンコをつくかどうかということになったわけでございますが、どうもはなはだ微温的であって、こういう実情についてはたしてこれでいいのかということを懸念しておりまして、最終的な決断を下しかねております際に、今回のようなできごとが報ぜられました。
 そこで、まあ何事もそうでありますが、行政もまた日々これ新たでなければならないと思いますので、この際この三千三百カ所前後にのぼるこれらの個所について自主的に調査を行なって、これをこちらの科学技術庁に知らしてもらう。こういう事件もあるから、これから特に注意してもらわなければならぬし、実情はどうなっておるか、自主点検をして知らしてほしいということで、ここ一両日中に、これについての手紙を全業者に、私の名前をもって出すことに第一番にいたした次第でございます。
 それから三千三百カ所にものぼる場所で、それに対して許可だとかあるいはまた届け出だとかいうような手続が年間六、七千件あるのではないかと思いますが、それを十数人の従来の科学技術庁の一セクションでやるにはあまりにもこれは膨大であります。これは物理的に不可能なことを従来のやり方ではやるわけでございますが、しかしながらこれをやはり職域別とか事業別、業種別に分け、また地域別に分けて、もう少し整理してやっていきますれば、まだまだ実情はつかめるはずではないかという意味で、そういうような形で、これからこれらのアイソトープの販売業者あるいは利用者、使用者の組織化をはかって対策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 これにつきましては、問題は労働者の災害というような形で紙上に報ぜられておりまして、これは労働安全法並びにそれに基づく規則、これが労働基準監督官が持っておる権限によって元来は対処すべきものでございますし、労働省ではそのことのために全国各都道府県に労働基準局を持ち、それから旧郡市別ぐらいに監督署を持っておるわけでございますから、それだけ膨大な組織を持っておるのでありますから、二重行政にならぬという意味で労働衛生関係というのはやっぱり労働省が主役で大いにやってもらわなきゃならぬと考えておりますし、と申しまして、これは科学技術庁の仕事が、責任が解除されるものでは全くございません。このアイソトープの放射線防止に対する責任官庁は科学技術庁でございますから、もちろんそういう意味で責任を解除するものでもございませんし、実情を把握することに邁進しなければなりませんが、少なくとも労働省と十分連携を密にしておく必要があることはもういまさら申し上げるまでもありません。国立病院とか大学病院とか、そういう点その他の点を考えますると、厚生省とか文部省とも連絡を密にしていく必要がある。率直に言って、いままでそういう連絡が十分であったかというと、遺憾ながら十分であったとは申しがたいと私は思っておるわけでございまして、この際その連携を密にする必要があるということで、きのうでしたか、第一回の会合をやらしていただきました。そしてそれぞれの立場において今後連携を密にする方法について現在協議を進めておるわけでございます。
 それからもう一2今後の問題として考えなければならないのは、何といったって十数人で三千三百前後の場所を、事業所を一々つかむということはなかなかこれは容易ではございません。先ほど申しましたように頭を使っていままでのように三千三百、一律に科学技術庁に直結するという形もさることながら、やはり一方において業種別、職域別、地域別に分けてやはりそういうところと連携を保っていくような方法を考えなければなりませんが、しかしそれだけでもやっぱり決して十分ではないということになりますれば、すでに昭和四十年と四十一年でありますか、二年間、いまから十年近く前に地方分権ということをすでに計画をいたしたわけでございまするが、これは予算として認めるところとなりませんでした。そして昭和四十九年、現在のこの年度におきましてもやっぱり出したのでありますが、ものにならなかったわけでございます。そこでこの際五十年度、こういう行管の報告もございますし、それからまた近来こういうような問題が起きているときでありますから、これは本格的にもう対処しなければならないと思っております。それで、どうしたらいいかということで各府県にお願いする手も一つあるなと、これは昭和四十年、四十一年、四十九年にわれわれが考えている考え方、あるいはまたいまあります水戸原子力事務所とか、辻委員の地元に福井県の調整官事務所がございますね。それは現状は必ずしも、どういう活動をしているか別にいたしまして、そういうようなところに、まあ専門家といいますか、原子力については承知しておる人たちが行っておるわけでございますから、そういう人たちにそれぞれの権限を持たしていくやり方もあるかと。それで現に水戸の原子力事務所にはアイソトープに関する本法についての権限をやらしておるというような、そこを経由して処理しているというような経過もございまするので、いずれのやり方がいいかということは、これから考えてみたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、広い意味の地方移譲をやらないと、わずか十数人で三千数百所六、七千件に余る処理をするということになりますと、もう整理だけで手一ぱいで、一体実情はどうなっているかということになって、ちょっとなかなかつかみづらいのじゃないかと、私は思うのであります。したがって、そういう措置をいま考えてまいりたい。それをしかしやるにいたしましても、労働省には労働基準局があり、労働基準監督署もございますから、そういうようなところとも連絡をしていかなければならないと、厚生省、文部省等ともこれらの問題についてもやはり十分相談をした上で、結論を出してまいりたい、そういうふうに現在は考えておるところでございます。いずれにいたしましても、まことに十年一日のごとき行政運営であったのではないかというふうに大いに反省をさせられておるわけでございまして、私もいろいろ御批判はございましょうが、いろいろな懸案解決をやらなければならないちょうど時期に、この立場に立たされたわけでございまして、それだけに責任の重かつ大であることを、重かつ大をさらに加えておることを痛感をいたしております。御期待に沿うように微力ではございますが、一生懸命やらしていただきたい、どうぞ御理解願います。
○辻一彦君 科技庁を中心にして、労働、厚生ほか関係省庁で連絡会議を設けて、ここで態勢をとる、私は大事なことだと思います。それは三千三百カ所と言われるこういう事業所とあわせてもう一つ、しばしば国会で問題になっていましたが原子力発電所の下働きをする人にやはり放射線による被曝がいろいろ出ております。これは地方へ行くと、吐きけがするとか、うちで休んでいるというそういう人の話をかなり聞きますが、こういう実態も私はこの機会に全面的に調査をして、これに対処をする。その各省庁連絡会議の中にはそのようなものも含めて取り組むお考えかどうか、この点いかがですか。
○国務大臣(森山欽司君) アイソトープによる放射線の防止の問題のみならず、原子力発電所が全国的にこれはいろいろな見方はございましょうが、各地にふえていることはもう間違いございませんから、そういう際にただいまお話がありましたような事態について、万遺漏なき体制をこれからつくっていかなきゃならぬというふうに考えておりまして、これらの問題につきましては、労働省ともよく緊密に連絡をいたしまして、たとえば私も安全衛生部長と、まだ私自身は、局長クラスで話をよくしておりますが、私はまだよくしておりませんが、たとえば地方でいろいろなことがあると、そうすると地方の労働基準局どまりになっておって、東京まできてないと――労働省の、という問題もあるわけであります。いわんや科学技術庁のほうはそういう実情についてうといというような面もございますから、これからはこの放射線に関する問題はできるだけ労働省の本省のほうで報告事項にさせておいていただいて、そして私どもにも実情がわかるようにまずしておく必要があるのではなかろうか。私どもは地方組織は十分じゃございませんけれども、まあほとんどなきに等しいわけでございまするけれども、それでも私ども耳に入りました事項はまた逆に、そういう場合、非常に少ないでございましょうが、労働省のほうにもお知らせをするというように、今後そういう意味の風通しのいいように努力をしてまいりたいと思います。そういう点について、辻委員のおっしゃるように、これはアイソトープだけの問題じゃないじゃないか、まさにそのとおりで、そのとおりにやるつもりでございます。
○辻一彦君 労働省に伺いますが、この基準局で基準に合っているかどうかという検査もたいへん大事ですが、現にこの下請の働く方が被曝をしている実態がやはりかなりあるわけですね。そういうものを労働省のほうで的確につかむような調査を本格的にこれからやる用意がありますか。
○政府委員(中西正雄君) 先生御指摘の点は最も重要な点でございまして、立ち入り検査の際には特にその点留意いたしまして、従来とも限度をこえて被曝するようなことがないように、というよりも被曝しないように、その辺のところを重点的に監督しているわけでございますが、今後とも特に御指摘のその点につきましては、見落としのないように監督を指導するように現地を指揮してまいりたいと考えます。
○辻一彦君 被曝をしないように防止するという一のが一番大事ですね。しかしかなり被曝をしている人もあるということは事実なんですね。この実態を労働省ではあわせて調査されますか、してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(中西正雄君) その点は電離放射線障害防止規則の中に、被曝線量を測定することを事業者に義務づけております。しかもその結果を記録することになっておりますので、その記録が事業場にございます。それを必ず監督の際にチェックをするということにいたしているわけでございまして、それによって把握ができるわけでございます。なお、一斉監督等の際には、全国的なそういった実態につきまして把握をし、その後必要な対策を講ずるということを従来ともやっておりますが、今後さらに、その点特に留意して監督、指導をやっていきたいと考えます。
○辻一彦君 だから、この記録をチェックをして、そして、被曝をしていると思われれば、それの追跡までして調査をして、実態をつかむというところまで労働省はやれるのですか、どうなんですか。
○政府委員(中西正雄君) その点につきましては、現状は必ずしも機器その他について十分でない点がございます。監督機関自体の機器の保有その他の問題もございますけれども、今後機器の整備、さらに労働基準監督官あるいは労働衛生専門官のそれらの技術の向上にもつとめて、十分な監督、十分な、いま御指摘の追跡等ができるように、さらに今後つとめてまいりたいと考えます。
○辻一彦君 これは労働省まかせでなしに、科技庁同じ立場でぜひ積極的に取り組んでもらいたいと思います。まあ長官答弁のとおり願いたい。
 そこで、長官に伺いますが、法令の上において、いろいろ基準はなかなか守られていないとか、いろんな点が、立ち入り調査やいろんな調査の結果明らかになったと思いますが、法令を改正して、より体制を整えるという必要はありますか。もし、あるとすればどう考えておられますか。
○国務大臣(森山欽司君) 先ほど申し上げましたように、三千をこえる事業所に対して、いま当面の問題にからめ、行管のまた勧告の経過にかんがみて調査をいたしております、自主点検という形で。したがって、その結果を見まして検討いたしたいというふうに考えておるわけです。直ちにもってこのアイソトープの放射線防止に関する法律を改正というふうに直ちに、まだそこまではいっておりません。しかし、今後の検討事項といたしたい、調査の結果によって検討事項といたしたい、そういうふうに考えております。
○辻一彦君 長官が出されておる手紙ってさっき聞いたんですが、要請や手紙のような形で、はたして具体的な実態が的確にきちっと報告されてまいりますか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど大臣から答弁申し上げました手紙というのはいわゆる役所でいう通知か通牒でございますが、今回のは、それに付属の別添みたいなものをつけまして、そして、もしわれわれが行ったならば見るであろうような項目を書きまして、そしてそれをアンケート方式で、これは貴事業所ではちゃんとやっているのか、もしくは改善中か、そのおのおのについて回答をしなさいと、こういう形式でいたしますので、ほんとうはわれわれが直ちに全国に行って立ち入り検査をすべきところを、まず自分で自主的に点検しなさい、そういう趣旨でありまして、一定期間を限って回答をしなさい、その回答については、きのうの連絡会でも各省は所管の事業所については御協力いただける、こういうことでございますので、まずそれを督励してやらしたいと考えております。
○辻一彦君 通達に別添がついているということですが、じかに調べなければなかなかむずかしい問題のようにも思えますが、せっかくそれを出されるならば、早急にひとつ整理をしてもらって、われわれの国会のほうにも、ある程度まとめがついたら御報告をいただきたいと思います。
 そこで、私、続いて、これに関連しますが、京都大学の熊取原子力研究所ですね、この問題について二、三点お伺いいたしたいと思います。
 まず最初に、京都大学の熊取の原子力研究所というのは一体何をやっているところか、これはどうでしょうか。
○政府委員(牟田口道夫君) 原子炉利用に関する一般的な研究の関係でございます。
○辻一彦君 ちょっとこれは、私もごく急にこの問題について二、三問題があるということを聞きましたので、きのうの夕方までにこの内容について具体的に通告できなかったんですが、その点は時間的に余裕がなかったのだと、こう思っていただきたいと思います。
 その熊取の中に医療関係、治療とか、こういう設備を持っておるんですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 医療用ということではこれまでは使用をいたしてもおりませんでした。従来動物実験等を行なっておりました。
○辻一彦君 最近、五月四日の三時――これは一部、新聞にも出ておりますですね。熊取の京大の原子炉で五月四日三時に中性子照射による患者治療を行なった事実があると、こう報道されておりますが、これは新聞にも出ておりますが、一度、一応こういう事実があったのか、その内容は一体どうだったのかお伺いしたい。
○政府委員(牟田口道夫君) 京都大学から四月二十四日付をもちまして、いま先生御指摘の原子炉を医療照射に使いたいという、いわゆる使用目的の変更の申請が出てまいりました。当方といたしましては、これを原子力委員会に諮問いたしまして、四月二十七日付で、先ほど申し上げました動物実験等をも行なっておりました等の事情をも勘案し検討いたしました結果、四月二十七日付をもって医療照射の目的変更を承認いたしたものでございます。
○辻一彦君 ちょっと、それじゃ念のために伺っておきますが、四月二十五日に用途変更についての申請があって二十七日に認可をしたということですね。この場合に、原子力委員会で認可したんですか、あるいは安全専門審査会等にかけているのか、この点いかがですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 規制法に規定されておりまする安全専門審査会には正式にはかけておりませんが、この方面の学者、先生に実際上に御意見を伺いまして許可をいたしました。
○辻一彦君 その問題については、もうちょっとあとで、もう少しお伺いします。
 私が先ほど質問したのは、五月の四日三時に中性子照射による患者治療を行なっておるかどうかということです。
○政府委員(牟田口道夫君) 行なっております。
○辻一彦君 私が聞いたところでは、五月の四日の三時ごろ東京より患者を車で運び――これは中性子の照射をするためには体内に硼素化合物――ボーロンを入れなくちゃいけない、硼素化合物を入れて、それが脳腫瘍に集まると、これに中性子を照射をすることによって、この放射線が出て脳腫瘍を照射する、こういう治療法ですね、この治療を行なったと聞いていますが、これは事実ですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 脳腫瘍の手術をいたしましたこと、及び先ほど申しました五月四日に医療照射を受けたことは事実でございますが、当方といたしましては、この使用目的変更の申請に対して許可をいたしたということで、あとの医療的な措置は、関係の医師及び大学のほうでおやりになった、専門の方々による処置ということでございます。
○辻一彦君 私、ちょっと若干事実のことを聞きたいんですけど、その照射を行なって治療後、間もなく車に乗せてまた東京まで連れ帰ったというんですが、これは事実なんですか。
○政府委員(牟田口道夫君) その辺の事情は、私どもちょっとつまびらかにいたしません。
○辻一彦君 この患者は、当時の新聞では経過がいいというようなことも聞いたんですが、その後どうされたかわかってますか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど申し上げましたように、今回私どものほうの関係いたしましたのは、京都大学の炉の使用目的の変更にかかわる申請と許可でございまして、医学的処置及びその患者さんをどういうぐあいに扱われたかということにつきましては直接つまびらかにいたしておりません。
○辻一彦君 直接の科技庁が担当でないということは、それは一応わかります。しかし、私がいろいろ聞いたのでは、三時に照射を行なって、間もなく車に乗せて東京に帰る、そのときに頭にカウンターによって表面の線量をはかったときに二十ミリレムが検出をされた、こう聞いています。二十ミリレムが表面で検出されたということは、頭の中にかなりの放射線がその照射によって起こったと考えますが、こういう中ですぐ車に乗せて帰るということ、しかも熊取の研究所が、聞くと、その中には直接お医者さんもいない、周辺に病院等はないところであると聞いていますね。こういうことは私は人道的に言っても、あるいは道義的に言っても、照射を行ない、直ちに東京に連れ帰る、こういうことは非常に問題があるんじゃないかと思いますが、直接の御担当ではないとしても、認可をされた立場からこの実態についてどうお考えになりますか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど申し上げましたように、この京都大学の炉の使用目的変更に対しましては、過去の例及びこの京都大学の炉がこれまで使われておった点、及び施設を勘案して使用目的変更差しつかえないと考えたことでございまして、これを使用して医師がその患者さんをどういうぐあいにお扱いになり、どういうぐあいに治療なさるかということについては、私ども診断の内容に対する立ち入りはその立場にないと考えております。
○辻一彦君 五月十日に死亡されたと聞いておりますが、二十ミリレムこの表面にそういう放射線の検出があったときに、これを、患者を車に乗せて運ぶ、もし二十ミリレムということが事実であったとしたら、法的にいっていかがですか、これは全然問題になりませんか。
○政府委員(牟田口道夫君) 当然のことながらこの患者さんの主治医さんが終始ついて治療を受けられてその後の措置をなされたものと考えますが、その辺の、いま御指摘のような事実につきましては、当方では詳細つまびらかにいたしておりません。
○辻一彦君 二十ミリレムというものが現実に検出された場合には、これは一体どうなりますか、そういう人を医療施設も何もないところから。それはなるほど動物実験に使っておった研究所ですから、そこの中の原子炉を、研究用から医療用に切りかえたと、そこで照射をしたと、しかし周辺には医療施設なしと、こういう中で二十ミリレムが検出されたとした場合に、直ちにこれを運搬していくということは、法的には全然問題はありませんか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど来申し上げますどおり、この炉を使いまして患者さんにどういう治療をし、どういう照射をしたかということにつきましては、これを診断、治療されたお医者さまの領域であると考えまして、その間の事情をつまびらかにいたしません関係もございまして、申し上げかねる立場にございます。
○辻一彦君 私は、実態をあなたからお伺いしているのじゃなしに、こういう事実があったとすれば法的にどうかということを伺っておるんですね。だから、法的に問題があるかないか、このことだけ聞かしてもらえばいいです。
○理事(矢追秀彦君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
○理事(矢追秀彦君) 速記を起こして。
○辻一彦君 まあこの実態については、ひとつ認可をされた立場から京大の原子炉ですから調べていただきたい。で、私に御報告を願いたいと思います。
 そこで、まあいま局長の御答弁では、この認可したらもう、向こうが言ってきたから認可したのであまりあとは知らないんだと、こういうまあ大体要約すればお話ですね。しかし私伺うところでは、科学技術庁は熊取の研究原子炉を医療用にどうでもしてやれということを再三督促をしておったということを聞いておりますが、そのような事実はなかったんですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 京都大学からは毎々医療用に使いたいというような内意が、相談といいますか、あったそうでございます。こちらからぜひやりなさいと、こういうことはなかったそうでございます。
○辻一彦君 まあこれはもう少し私も実態をなお確認してからにしましょう。
 それではこの医療用にした場合に、このような、まあこれは私はおそらく専門のお医者さんがついておってやられたんでしょうから、そのお医者さんの判断の範囲内においては、おそらくいろんな対策をきちっとやっておられたと思います。しかしこれはかなり重症というか、大きないわば治療ですね、と思いますよね。そうすると、こういう用途変更を行なう原子炉を二十五日にこの申請があって、二十七日に言うならば続いてあくる日に承認をしたということですが、しかもそれは安全専門審査会にも全然はからずに認可を出しておるということですが、原子力委員会として一体どういう判断であったか、まずお伺いしたい。
○政府委員(牟田口道夫君) これは先ほど申し上げましたように、専門の学者、先生、その中には安全専門審査会の先生も入っていると思いますが、に実質的にお伺いいたしております。それからこれまでもこういうことで医療用照射に関する原子炉の使用ということでは許可いたしておりまして、一番初めに許可いたしたころは非常にその審査に時間をかけた時代はあるかと思いますけれども、大体の基準ないしは経験にかんがみまして、かつ専門の先生に見ていただきました結果、許可いたしたものでございます。
○辻一彦君 専門の先生に個人的に意見を聞くのはけっこうですが、こういう重要なる用途変更、設置変更の申請に対しては、しかるべき原子力委員会の検討とそして安全審査の対象とすべきではないんですか。個々に委員の意見を聞いて、いいだろうと、こういう判断でこれは変更ということが認められますか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど申し上げましたように、すでにこの前例といたしまして、出てまいりましたときに安全専門審査会で十分検討いたしました、その前例と同じものであるということで、先ほどのような一定の基準という許す量ができております点にかんがみまして、先ほどのような手続をとったわけでございます。
○辻一彦君 前例というのは一体どういう原子炉ですか。そしてそれでどういう検討を具体的にしていますか。
○政府委員(牟田口道夫君) 武蔵工大の原子炉でございます。
○辻一彦君 その武蔵工大の原子炉はいろいろ問題のあった炉とは違うんですか。
○説明員(中村守孝君) たいへん失礼いたしました。武蔵工大と申しましたのは間違いでありまして、東京原子力産業研究所のHTRという炉でございます。これについては四十三年の七月に、当時、安全審査会ではなくて検討会というものをつくりまして、その検討会で内容を検討いたしたわけでございます。当初、一回ごとに設置変更許可をするということでございましたのですけれども、その後たび重なりまして、もうこれについては経験も積まれたし、医者もそういう専門家の医者が担当するならば、一々その検討会でやって、それで設置の変更についても一々許可を行なう必要はないんじゃないかということで、その後はその医療照射をやるたびにその照射の方法等につきまして届け出をしてもらいまして、そしてやってもらっている。で、一件一件その患者についての病状等についてもあらかじめ聞いて、そういう医者の手続等がしっかりなされていることを確認してやっておるわけでございます。ただそのあとのフォローをどうしているかということでございますが、その手術後の結果につきましては、お医者さんもいろいろ医師の医療法上のこともございますようで、詳細はまた、その個人個人のプライベートの問題でもございますので、われわれ詳しい情報には接しられないという状況でございます。
○辻一彦君 いや、私の聞いているのはそういうことじゃないのですよ。一人一人の患者さんの様子を聞いて、原子炉の設置を認めるか認めないかというような問題じゃないわけですね。あなたの御答弁では、四十三年に検討会というので認めたと、だからもう同じようなものだからそれは自動的にいわば認めたんだと、こういうことなんですね。
○説明員(中村守孝君) お答えいたします。
 京都大学の炉につきましては、今回原子炉の内容、構造を変更するものでは何らないわけでございます。すでにあらかじめ生物実験用につくられた照射孔を利用しまして照射をするわけでございますので、原子炉の構造そのものは何らいじっておりません。あとは問題はよけいな被曝を患者に与えるおそれはないかということ、それから緊急事態、たとえば停電等があった場合に患者をすぐに取り出せるようにすることができるか、あとはコンクリートの遮蔽壁の中に患者を入れますから、その患者の状況が医者が監視できるテレビだとか、あとは機械的な、脈搏とかそういったものを遠方から監視できるように施設するということでございまして、本京都大学の炉につきましては、この東京原子力産業の炉に比べまして、非常にそういう意味では被曝量が患者に対して、どの部分に対する被曝量よりも少なくできるような非常にいい炉でございまして、これは医療用という意味からはすでに多くの論文が出ておりますけれども、医療用向きな中性子線、よけいなガンマ線が出ない中性子線の非常に集中的に出せるそういう炉でございます。構造上も特に変更ございませんし、したがって患者を照射させることによって原子炉の構造、あるいは操作上、何ら安全に問題はない、あとは患者の取り扱いの問題であるということになるわけでございます。患者の取り扱いにつきましては、先ほど申しましたように、そのとびらにつきましては手動であけられるようになっておりますので、停電のときに取り出せる、それからリモートで監視はできますし、あとは医者がまさに医療上の監視をするということで、特段問題はないのじゃないか。ただ、検討会の先生方にも、もちろん専門の先生方にも御意見を承りまして、こういう保健物理の先生方の御意見ももちろん承りまして、われわれだけの判断だけではございません。なお念には念を入れてお聞きしまして、放射化される、たとえばベッドなどが放射化された場合には、そういったものを、中性子線が当たりますから、かなり放射化される可能性もあるから、そういったものはちゃんとはかって調べろという御注意等はいただいております。
○辻一彦君 まあその論理でいけば、原子炉なんというのは前のが動いているんだからもう心配ないということで、全部行政判断でできることになるんですよ、それを拡大すれば。やはりなるほど原子炉の構造に私は手を触れてないというんですから、まあそうでしょうが、生物と人間ですからね、これはいろいろな点においては違うのは当然ですよ。だから、炉の中身に変更がないとしましても、前にあったからもう心配はないと、こういうものでは私はないと思うんだ。やはり安全審査専門会等において、きちっと公の場で論議をして確認をすべきものであって、行政判断を中心にして、あとは専門の先生の御意見を聞けばまあ心配はないと、こういうもので私はないと思うんですね。もし、そういう解釈が許されるならば、いま軽水炉にしてもみな同じ型がずっとあるわけでしょう。一つはもういままで動いておってそれほど問題はないとしたら、もうあとはこれは心配がないんだと、いい炉なんだと、だからあと、専門の先生の意見を聞けばいいんだと、こういう私は論理に結びかねないと思うんですが、この炉は小型の研究実験用であると思いますが、小型であっても、私は、こういう審査のやり方でいいのかどうか問題があると思いますが、これは大臣どうお思いになりますか。
○理事(矢追秀彦君) 答弁は簡略に願います。
○説明員(中村守孝君) はい。お答えします。
 ただいまの辻委員からお話がございましたが、すでにほかに軽水炉があるから、この軽水炉も審査しないでいいじゃないかという話とはちょっと違っております。
○辻一彦君 いや、いいじゃないかじゃない。なるじゃないかというのだ、私は。そういう論理でいけば。
○説明員(中村守孝君) すでに京都大学の原子炉というのは建設され、すでに現に運転されている炉でございます。すでに安全審査も受けて、安全であることを確認しておる炉でございます。ただそこから出てくる中性子、それも実験用に出ておるわけです。その中性子を患者に当てるということでございます。患者の取り扱い。それで、したがって、その周辺に医者だとか、研究者だとかしょっ中その炉室に入っておるわけです。で、そういうふだん実験やっておるところでございますから、まさに患者に対する配慮の問題だけでございますから、患者の患部以外のところに被曝が、よけいなものがかからないようにという配慮だけで、基本的に安全審査云々というような大ごとな問題ではないかと、私は考え――たとえば原子力委員等の意見も聞きまして、そういう措置をさせていただきました。
○辻一彦君 いや、だからあなたの行政判断を聞いているのではないのですよ。原子力委員の意見を聞いているんだ。この用途申請等というのは行政判断で全部できるのですか。どうなんですか。局長。
○政府委員(牟田口道夫君) 原子力委員会の意見を聞いていたします。
○辻一彦君 じゃ安全専門審査会は全然かけなくてもいいということになっておるのですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 原子力委員会が諮問の必要はないと考えたものでございます。
○辻一彦君 大臣、まあ委員長に伺いますがね。なるほどね、法的には原子力委員会が判断をするという問題ですね。私は、これはこういう問題についてもですね、この二十五日に出てですから、一日ですぐ認可がまあ出ているわけですよ。かなり慎重さを要し十分な検討を加えてやっていくのが筋ではないかと思うのですが、これはまあ行政的な意見はいろいろ私はあると思うのですが、その原子力委員会の長としての大臣の見解いかがですか。
○国務大臣(森山欽司君) 私は事の成り行きの全部を承知しているわけではございませんけれども、しかしできるだけ早く急ぐ必要があったのであろうと思いますし、日付が、願書が来てから、それから願書が、それについての許可が出るまでという、用途変更の許可が出るまで期間が非常に短いという点に御疑念をお持ちなんではないかと思いますが、おそらくそういう手続より前に実際上の検討なども加えられておって、わずか一日で全部が全部処理されたというふうには考えていない、実質上のやっぱり調査もしておったのではないかと思います。しかし、まあ形から見ますればきわめて短期間内にこうなるということでございますから、行政的には原子力局長が御答弁申し上げたとおり落ち度なくやっておると思いますが、いささか形の、中身の出ようについては、少しもっと慎重にやるべき必要があるのではないかという御質問のように私は理解をいたしますが、そういうふうに考えてよろしゅうございましょうか。
○辻一彦君 ええ。
○国務大臣(森山欽司君) そういう意味におきましては、今後そういう点につきまして十分慎重にやっていくように取りはからってまいりたいというふうに考えております。
○辻一彦君 まあ時間で、終わりますが、これはまあ行政判断はさることながら、この原子炉の問題については慎重に慎重をひとつ重ねて、十分原子力委員会で検討してやっていただきたいと思います。
 もう一つは、認可をされて、あとは、それは向こうさんがやっておるのだと、こういうことですが、やはり認可をするにはちゃんといろいろな条件を検討して、少なくもいままで生物実験をやったところで人体の実験、治療をやるということになれば、周辺に医療の設備やあるいは病院やとかそういうものがあるところにおいて私はこれは認めるとか認めないとかというのが当然じゃないか。そういう点からこの実態はきょうの答弁ではまだ実態を調べていないということで明らかではありませんが、さっき私が申し上げたような条件のもとにこのような治療がなされたとすると非常に問題があると思いますから、この点をひとつ当局のほうでぜひ調べて私に御報告いただきたい。この御答弁を聞いて終わりといたします。
○国務大臣(森山欽司君) 調査を進めたいと思います。
○中村利次君 去る四月の四日の予算委員会の分科会で参考人の方々の御足労をいただいて、岩佐さんの皮膚炎の問題について審査をしたのですけれども、私はそこでも申し上げたんですが、まあたいへん時間が短くて、とてもとてもこの事実を究明するに非常に十分でなかった。そこで私は、そのときの会議録をよくまた読み返してみました。いろいろな問題点がなお新たに出てきたわけです。そこで、冒頭私はこれは委員長にもぜひまた同じような参考人の方々をこの科技特に呼んでいただいて、やっぱりお互いにこれは科学者にしてもあるいは当事者にしても私ども国会にしても事実を明確にするということが一番これは大事なことだと思いますので、そういう機会をぜひおつくりいただきますことを私は強く要望をしたいと思います。
 そこで、そういう立場に立ってまず最初にお尋ねしたいと思いますことは、これはそういうまあ予算委員会での審議が原因になったことでありましょうけれども、政府として、この調査委員会等をおつくりになって事実を明確にされると、こういうことでありましたが、その後調査がどれぐらい進んでおるのか。結論をすでにお出しになっておるのかどうか、最初にお伺いをしたいと思い一まず。
○政府委員(牟田口道夫君) 先生御指摘のとおり医学の方面の専門家と原子炉工学的な方面の専門家の先生方お集まりいただきまして原電敦賀発電所被曝問題調査委員会というのを大臣名で委嘱いたしましてこの第一回会合を四月の二十二日に行ないました。その際はこれまでの問題点、概況の御説明を申し上げましたあと、五月の七日にその先生方の中の一部の方が現地に調査に参りまして、作業状況、被曝管理等の当時の状況及び現在の状況を調査いたしました。なおそのほかにも事情聴取等によりまして調査を進めておりまするけれども、今月末にまた第二回目の調査委員会を開くことに相なっております。その内容につきましては目下調査中でございまするので、御報告申し上げる段階でございません。
○中村利次君 どうも私はやっぱりこういう問題はいつも申し上げますように、やはり国民の皆さんにとってはこれはたいへん重大な問題でありますから、事実をできるだけ早く明らかにさせるということが大事だと思うんですね。そういう点ではこれは要望にしておきますけれども、事実関係をひとつあとう限りすみやかに明らかにされることを要望しておきたいと思うんです。
 そこでこれは私も慎重に会議録等を読み返してみてますます疑問がつのったことが何点もあるんです。ですからこれは科技庁に、大臣あるいは政府委員に質問するのが当を得ているのかどうかわかりませんが、とにかく本委員会の担当庁ですから、したがってそういう意味で私はぜひお答えをいただきたいと思うんですが、まず最初に参考人の方の御意見いろいろお述べになったわけでありますけれども、久米参考人、田代参考人ともに敦賀原子力発電所でベータ線だけが単独で存在をしたということはないという意味の御口述があるわけですね。これは十二ページに、会議録をお持ちならごらんいただきたいと思うんですけれども、原子力局次長が久米参考人に対して、ベータ線だけしかないというような非常識なことを言っていると、こう次長言っているけれども、そういうことは全然申しておりません、こういうことをお述べになっておるわけであります。ガンマ線、ベータ線ほぼ同数という立場をおとりになっておると、こういうことですね。その上に立って一メートルで一ミリレムがポケット線量計によって計測をされるのだったら、ゼロメートルではこれは一万ミリレムになるのだと、こういうことをお述べになっております。そこでこれは久米参考人もお述べになりましたように、ポケット線量計はやはりどこにつけたほうが一番効率的であるかという立場からこれはここにつけるわけですね。それから田代氏の診断によるあるいはこれは何ですか写真も見せていただきましたけれども患部は右ひざであると。するとこれは身長によっていろいろ違いましょうけれども、かりに一メーター七十センチ前後の身長の方が、このポケット線量計と右ひざとの距離、これが幾らあるか。とても一メーターなんてあるもんじゃありません。直立をした場合が一番これは遠距離になるわけでありますからね。そしてその久米参考人の御口述によりますと、四十センチのパイプにもたれかかって足でぐっと力を入れて穴をあける作業を三時間やったと。これはほかのいろいろな調査でもこの四十センチのパイプに穴あけ作業をやったということは事実でありますから、したがってそういう姿勢をとった場合ですね、ポケット線量計とひざの距離がはたして幾らになるのか、これはそういうことをお調べになっておるかどうかですね。大体これはわかりますよ。そうなりますと私は一メーターという距離はないと思う。五十センチで、はたしてポケット線量計にこれはベータ線、ガマン線が大体同数程度出る核種という久米参考人の立場をとって考えてみた場合ですね、ポケット線量計に一ミリレム出ると。これはゼロメートルになると一万ミリレムである。五十センチで幾らか、七十センチで幾らか、三十センチで幾らか、そいつをお伺いしたい。
○説明員(中村守孝君) ちょっと数字的にはいま用意してございませんが、一点から出ます放射能の強さですから結局いわゆる点から球面状に広がるわけでございますので、いわゆる距離の自乗に比例してくるんだと、それからそれがたまたま一点にそういう何か汚染物が、汚染物と申しますか、アイソトープのようなものがあったときの点線源からのものでございまして、このような現地のようにいわゆる空間線量の場合にそういうようなことは当てはまらないんだと思います。
○中村利次君 どうもやっぱり失礼ですけど、御勉強が足りません。これは空間の線量の話を私はしているんじゃない。結局久米参考人がお述べになった、そいつを私はもしそういう状況であったと、これは仮定ですけれども、仮定した場合、はたしてポケット線量計にどれほど出てくるのかという、これは科学的なことをお伺いをしてるんでしてね。私は調べてますよ、そりゃ。しかしね、これは責任のある科技庁がそういう御答弁ではこれは納得できません。問題にならないんですよ、これは。問題にならない。
 それで、もう一つたいへんこれは私は疑問に思うのは一メーターでとにかくまあ一ミリレムというんなら一万ミリレム、ゼロメーターになればですね。これが五十センチ、三十センチになりますと、いまちょっと数式はお答えになりましたけれども、とにかく問題にならないぐらい小さい数値になるんです。
 その場合、もう一つおっしゃったことは、これはガンマ線の被曝という立場をとってお述べになっておる。これはこの会議録六ページのところにありますけれどもね。先ほど申し上げましたように、四十センチのパイプにもたれかかって、足でぐっと力を入れて穴をあける作業を三時間やっておる。その場合ずっとベータ線にさらされているわけだという、これは断定かどうか知らぬが、そういう立場をおとりになって、ひざで一時間に数千レム、いわゆる数百万ミリレムですね、のベータ線の被曝があってもポケット線量計というようなものでは、そういうもので見ておったならば、それはわずか一ミリレムしか出ないという、こういうことは放射線のイロハだということをお述べになっておる。これは私に言わせると、私は専門家じゃありませんけれどもね、放射能のイロハではないと私は認識をしているんですね。かりに前者のガンマ線、ベータ線が大体同数程度出ていたとするならば、これは数百万ミリレムの汚染物に五十センチ離れたらこれはポケット線量計には、数千ミリレムが出なきゃならない計算になるんです。一メーター離れていても百ミリレムのこの数値が出なければならない計算になるんですよ。かりにベータ線であるというもう一つの立場をとる場合はですよ、もう一つの立場をとる場合にはこの皮膚の吸収性、これは別のことばで言えば透過性、田代医師は透過性ということばをお使いになっておりますけれども、これはどっちでも同じだと思いますね。透過性がガンマ線はベータ線の百倍である、皮膚の場合。そういうことをお述べになっています。したがって一メーター離れていた場合に一ミリレムの計測ができれば、ゼロメーターになった場合にはこれは百万倍になる、こういう計算をされたんです。ところが、そいつを事実とするならば、ベータ線単独で百万ミリレムのこの汚染核種があったのかどうか、汚染をする核種があったのかどうか。これは先ほど申し上げた六ページの口述と全く矛盾し、相反するんですね。こういう点お調べになっておるかどうかお伺いをしたいと思うんです。そんなのがいいかげんじゃ話になりませんよ、これは。早くやってくださいよ時間が私は少ないんですから。
○政府委員(牟田口道夫君) いま御指摘の点につきましては、先ほど申し上げました専門委員会でも、これはこの資料等詳細に検討していただくことに相なっておりまして、私どもはやらないということではもちろんございませんけれども、いまここにまいっておりますものにつきましては、この点の、ただいま先生御指摘の点についての分析は、十分お答えする段階にはなっておりません。
○中村利次君 全く困りますね、それはほんとうに。大事なことですよ。ポケット線量計に一ミリレム、これはもう科学的に根拠があるんですからこれは否定できない。そうするとそれはガンマ線の場合に一メートル離れると一万ミリレムになるんだと、これはいいんです。これは正しいと思います。ところがそれがベータ線であった場合には透過性、皮膚の吸収性からいって百倍になるんだと、こういう口述をされているんですよ。そうなれば十二ページでお述べになったものと全く矛盾するんです。原子力の局の次長がそこでしかられている。ベータ線だけしかないというようなそんな非常識なことを私は言った覚えはないとこうおっしゃっているのです。そんなことは全然申しておりません。ガンマ線とベータ線ほぼ同数、読んでごらんなさいそう書いてあるんだから、そうお述べになっているんですからね。そうなると同数だとすると、百万ミリレムの汚染がこのパイプにあった場合は、一メーター離れたところで百ミリレムという、ポケット線量計にそういう数が出なきゃいけないんです、そうなんです。
 それからもう一つ、これはお述べになっておるのは皮膚だけです。私が当時質問をしましたように作業服を着てそれから下着を着ていらっしゃる。そうなるとこれはどうなりますか、あなた。放射線皮膚炎は確かに田代医師は四十万ミリレムから百万ミリレム、一般にいわれるのは二百万ミリレム以上。それから二十五万ミリの放射能を浴びれば、人体に何らかの影響を及ぼすかもしれないというのが、これが国際的な専門家の常識だとされておるそうですから、したがって百万ミリレムあれば放射線皮膚炎の可能性があるということになる。ところが被服を通し、作業衣を、それから下着を通し、それから皮膚、それの吸収性、透過性、そういう計算をもう少しこれはあなた慎重におやりになってごらんなさい。それがガンマ線、ベータ線が大体同数出ておるとするならば、そういう計算をやれば少なくともポケット線量計には数百から数千ミリレム出なきゃならない計算になるんですよ。それが私はこの放射能のイロハだと思うんですけれども、間違っていますか間違っていないか、お伺いをしたい。
○政府委員(伊原義徳君) 公害特別委員会に出席しておりましておくれてまいりましたので、あるいは中村先生の御論旨、十分理解しておらないおそれがあるかもしれませんが、私がただいまお伺いしておりまして先生の御指摘でございますと、問題は一メートル離れると一万分の一になるというのはいいけれども、ガンマ線とベータ線との効果が一対百であるということに多少問題があるのではなかろうかと、こういう御指摘が一つあるかと存じます。
 それからいま一つ、ベ−タ線とガンマ線と半々にあるという前提で考えていいということであるとすれば、線源から出てくるガンマ線によってポケット線量計が一ミリレントゲン以上に当然ふえるべきではなかろうかと、そこに疑問があると、こういう御指摘であると思います。
○中村利次君 そのとおりです。
○政府委員(伊原義徳君) その点につきまして私の記憶で申し上げますと、宮永参考人の御説といたしまして、ポケット線量計の問題よりもむしろハンド・フット・モニターの検出能力が非常に高いので、ポケット線量計については検出できるかできないかの議論が多少限界的になるかもしれないけれども、ハンド・フット・モニターでは当然千倍以上の検出能力があるので、当然そこで検知されるはずであると。それが全然検知されていないということからして、汚染の事実は考えられないというふうな御意見があったように記憶いたしております。したがいまして、先生御指摘のようにポケット線量計の指示からしてもかなり疑わしいし、ハンド・フット・モニターの記録からいくと、まずなかなか考えにくいと、こういうことであろうかと考えております。
○中村利次君 これは私は一つ一つ疑問点を明らかにしていきたいと思うのですよ。ハンド・フット・モニターはその次に質問するつもりだったんです。
○政府委員(伊原義徳君) どうも申しわけございません、おくれてまいりましたので。
○中村利次君 ポケット線量計によってしても、なおかつそういう矛盾と疑問があると。ですからそれがどうなのかということを伺いたかったんですが、これはひとつ私は、このことは国会としても事実をはっきり明確にするまでは、もうほかのことはやらないで全部これでいきますから、だからひとつよく勉強をしてくださいよ。
 そこでハンド・フット・モニターですがね、これは宮永参考人の御口述にもございました、いま次長がお答えになったようなことを宮永参考人はお答えになっているんです。ですからそうなってきますと、特にハンド・フット・モニターはベータ線も検知できると、こういうものでありますから、どうもやっぱり私はたいへん、ますます疑問が強くなったんです、そういう点いかがですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先ほど申し上げました専門の先生方の調査委員会の冒頭、いままでの概略の御説明を申し上げました際も、先生御指摘のように、いろいろの点でわからない点があるということで、調べてみようという御意見が多かったということは、お答えになるかどうかわかりませんけれども、申し上げておきます。
○中村利次君 どうも何だか歯切れが悪くて私はさっぱりどうも……。はっきりおっしゃいよ、ほんとうに。これは逃げも隠れもできるもんじゃないんですよ、会議録というのは。間違いは私は人間ですからあっていいと思う。しかし、まず第一に指摘をしなければならないのは――ですから私はやっぱり久米参考人、田代参考人、それから宮永参考人、それから熊取説明員なんかをもう一回――もう一回でも二回でもけっこうですよ、呼んで、十分な時間をかけて、一方通行じゃなくて、みんな一堂に会して事実をきわめると、こういうことを要望しておるんですけれども、とにかくやっぱり矛盾があるんですよ。ベータ線とガンマ線を大体同数ぐらいに見ているんだという御口述があるかと思うと、ベータ線にさらされていたわけだと、こういうことも同じやっぱり口述の中にあるわけでありますから、こういう点を、さっぱり何だかあいまいもこにしたままで、どうも質問に応じようという姿勢は、私はほんとうにきわめて遺憾だと思うんですよ。そういう点をはっきりけじめをつけて、質問に全部答える姿勢を出してくださいよ。もうこんなことを言っているうちに時間もなくなっちゃって、全くいつまでいったって、一年ぐらいかかってこれは質問しなければならないんですけれども、それからいろんなあれがありますけれども、現在岩佐さんを原告として、それから原子力発電が被告として裁判にかけられておるんです。私の承知したところでは、これは田代参考人の御口述の中にあるわけでありますけれども、昭和四十六年の六月の上旬に、山口医院に行って診断を求められた。これは原子力で作業をしてから、約一週間程度たってから、右ひざに異常を認めたので、山口医院の診断を受けたと。これがやっぱり一つの根拠になっておるんだという御意見でございました。ところが私の承知するところでは、その後も三つの医院で診断をお受けになっておるというぐあいに私は承知しておる。そうして一番初めの山口医院で受診をされたときには、そのときの皮膚炎というのは、右ひざではなくて右ひじである、ひざではなくてひじである。こういうぐあいに承知をしておるんですが、その事実関係はいかがですか。
○政府委員(牟田口道夫君) 先生御指摘のいまの病院等につきましては、先ほどの調査委員会に関係官庁としてとっておりまする厚生省の協力も得て、カルテ等を参考にするべく手配中でございますけれども、いまの御指摘の右ひざか、右ひじかにつきましても、事実を確かめ中でございますけれども、冒頭申し上げましたように、調査中でございますので、ちょっといま申し上げる段階にございませんので、その点……。
○中村利次君 全くこれどうなっているんですか、ほんとうに。もういろんなところで確認していますよ、それは。私が確認をするぐらいですから、いろんなところで確認していますけれども、そんなのはいまから調査中であって、そして原子力の安全性については、科学技術庁の長官も田中総理も、政府が責任持つとおっしゃっておる。いまその安全性について、あの診断書が正しかったかどうかという、そういうあなた議論をこれはやっているんですよ。そうして国民の皆さんに正しい御認識をしていただいて、原子力問題、原子力の平和利用については、やっぱりこれは国民全部が正しい認識の上に立って取捨選択をしよう。そういうときに、責任をとるとおっしゃるけれども、政府の窓口の責任あるところで、調査中でございましてなんというのは、私は納得できません、それは。
○国務大臣(森山欽司君) 中村委員の御質疑傾聴しておりました。私どもは先般の問題については、まことに解しかねることではございましたが、しかし、真相を明らかにしたいということで、当該人物を東京に呼んだことを聞いておりますし、また当該人物を東京近郊において、しかるべき専門家によって診断をするように努力をいたしたわけでございまするが、御本人がついにその途中に、がえんぜられないで、帰って訴訟の手続をとられた。これについては、先般この席に参りました久米氏、それから田代医師も御関係があるようなことでございましたが、私はまことに遺憾に存じておるわけです。私どもは御本人等のためのみならず、国民がこの種問題について、はっきりした確信を持っていただくようにということで、できるだけ公正に当時措置したことが、こういうような取り扱いになっていることは、もう残念しごくでございます。しかし、さきに国会でも申し上げましたとおり、科学技術庁といたしましても、また科学技術庁長官といたしましても、また予算委員会の審議等を通じまして、田中総理もこの問題についての真相究明をすべしという強い御要望でありますので、先ほど原子力局長からお話がありましたように、拱手傍観しているわけではございません。動きが鈍くて、はなはだ困るではないかという御指摘はありましょうが、それにいたしましても、いままで一回と現地調査一回ということでございます。こういうものはやっぱりぐずぐずしているのはよくありませんから、きょう中村委員からも御指摘がございましたから、できるだけ早く当面の結論を出すように、私どもも努力をいたしたいと思います。
 ただここで一つ考えなきゃいけませんのは、訴訟の対象にもうなっておるものでございますから、その点で訴訟対策上慎重を期する面もいろいろあるわけでございますが、本日、中村委員が御指摘ありました事項につきまして、ごく近い時期に私どもの見解をまとめ、できるならば、この問題について関係方面の専門家を集めて御相談中で、先ほど申しましたようなことでございますから、この国会でまたいろいろこの問題を論議する機会がございまするならば、あるいは休会中でもどういうことになりますか、次の機会ぐらいに当面の中間報告をさせていただくようにさしていただきたい。できるだけ早く結論を出す。それから先ほど御質疑の問題については、少なくも中間報告を次回にはっきり出すようにいたしたいと思います。
 いずれにいたしましても、うやむやにこの問題を処理することは断じて許されないわけでありますから、その点につきましては、決意を新たにして臨むつもりでございますので、どうかひとつ御了察をお願いしたいと思います。
○中村利次君 時間がまいりましたから、これで最後にしますけれども、やはりいろんな、私は四月四日の、参考人に御足労願って、お述べになった御意見をよく読み直してみた結果、いろんなやっぱり問題点が新たに出てきたんです。まだほかにも相当あります。たとえば、この一次冷却水としてとらえていらっしゃいますけど、作業をしたそのパイプを――これは一次――水ですよね、熱交換器がその中にあって、そして二次があって、これも水、また熱交換器があって、今度は海水ですからね、そいつが作業の対象になっているんですから、特に水圧の関係からいって、水と海水、これは一次の冷却水がその作業をされたパイプに入ってくる、浸入してくるなんてことは、これは科学的にあり得ないんです。それがやっぱり一次として、きわめてそこには高い放射能があったんではないかという、そういう立場の御口述があるわけですから、私はそういう点は、やっぱり一方的ではなくて、参考人の御足労をまた願って、そしていずれがほんとうか――真実というのがあるはずですから、私はぜひこれはきわめなければならぬと思うんですが、そういうことも、これは参考人としていらっしゃらないときには、科技庁にお伺いをする以外にはないんですが、そんなのはどうもよくわかりません、検討中でありますと言うんでは、これは私は科技庁の役割りを果たしていらっしゃるというぐあいには考えられませんので、ぜひひとつそういうものも含めて、問題点は問題点としてとらえて、そして事実関係は事実関係として明確にする姿勢をとっていただくことを、特に私はこれは強く要望しまして、きょうの質問は終わります。
○国務大臣(森山欽司君) 御趣旨に沿って、全力を尽くしたいと思います。
  〔理事矢追秀彦君退席、 理事梶木又三君着席〕
○矢追秀彦君 時間がありませんのでひとつ明解に御答弁をいただきたいと思います。
 三月十三日の原研で起こりましたプルトニウム研究室の第一棟のプルトニウム汚染事故を、簡単に説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(牟田口道夫君) 原研の東海研究所にございますプルトニウム研究第一棟、ここに二つ部屋がございまして、百六号と百七号というのがございますが、御承知のように、原研のプルトニウム研究所は、大洗に移転中でございまして、百七号のほうは、いま人が作業いたしておりませんで、グロブボックスが残っているだけでございます。百六号のほうに人が作業いたしておりますが、この百六号の汚染を調べましたところ、十三日の午前に、隣の百七号との部屋の境目のところに、法定値の二百分の一程度の汚染が検出されましたので、隣の部屋である百七号との間を密閉いたしまして、そして、その汚染の除去に目下つとめているということでございます。
○矢追秀彦君 その後、また二カ月後にも起こったわけでありますが、これはどういう理由ですか、その概要を説明してください。
○政府委員(牟田口道夫君) ただいま申し上げました、なぜそこのところが汚染したかにつきましては、いま原因を調査中でございますけれども、先ほど申し上げましたように、百七号という部屋は、目下人がおらないで、いずれそのグロブボックスを撤去するという段階にございますが、そのためにふだん測定を行なっておりまして、あるいはその排気を強くするという過程において、一部空気の流れが変わって、そのどこかにたまっておったものが、隣りのほうに流れていったということもあるいは考えられるかと、いずれにしても目下原因は調査中でございます。
○矢追秀彦君 これはいつごろまでにこの原因の究明を終わられるつもりですか。
○政府委員(牟田口道夫君) ちょっと見通しはいま申し上げられない段階でございます。
○矢追秀彦君 三月に起こって、またこの間起こって、いまのような、移転するんだから何かいいような、そういうふうな考え方では困ると思うんです。
 このグロブボックスでは、どういう研究をしておりますか。
○政府委員(伊原義徳君) 原研の研究は多方面にわたっておりますが、この部屋で従来行なっておりましたものは、プルトニウム炭化物の製造の実験でございまして、粉末状のプルトニウムを少量取り扱っておったと承知しております。
○矢追秀彦君 ここで使われておる。プルトニウムは、どういう形のものが使われておりますか。
○政府委員(伊原義徳君) 炭素とプルトニウムの化合物でございまして、大体粉末状であると承知しております。
○矢追秀彦君 このプルトニウムというものの性質ですね、どういうふうな放射性物質として、どれぐらいの危険があるのか、あるいは重金属としても危険であるわけですが、この点はどういうふうな認識をされておりますか。
○政府委員(伊原義徳君) 放射性物質といたしましては、アルファ線を放出するという観点からいたしまして、体内にこれがとり入れられますと、放射線障害を起こすということでございますので、体内摂取を、体内に取り入れることを厳重に注意しなければいけない。
 いま一つの観点は、先生御指摘ございましたように、重金属といたしましての毒物障害、これもあわせて存在すると言われております。
 そういうことからいたしまして、プルトニウムの扱いは厳重に行なわれなければいけない。かつまた、そういう観点を含めまして、許容濃度は非常に国際的にも低く定められておりまして、それの取り扱い、廃棄等につきましては、万全の措置がとられておるわけでございます。
○矢追秀彦君 いま重金属としては毒性が一番強いということが言われましたが、また危険度のほうも、分類としては第一類に入っているわけですね。したがいまして、この使用あるいは処理については万全を期さなければならぬと、こう言っておられますけれども、現実にこの原研におきましては、非常に問題があると思います。まあこの事故が起こった、その汚染度についてはそう高いものではないと、こういうふうに言われておりますけれども、このプルトニウムの、特に廃棄物の処理について、私はちょっと伺いたいと思いますが、まずこのプルトニウムの廃棄物の種類、どういうふうな種類の廃棄物が、どういうふうな形で処理をされておるのか、いままではどういうふうにされてきたのか、これをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(牟田口道夫君) 原研のほうのプルトニウム廃棄物につきましては、気体はフィルターを通して廃棄いたしますが、液体につきましてはグロブボックスの中で廃棄容器に入れて、それを密封した状態で、処理場でコンクリートで固化するという形をとっております。固体につきましては、現場でビニールの袋の中に入れまして、カートンボックスの中に入れて、さらにその外をビニールで密閉いたしまして、なお、プルトニウムによって汚染されている可能性のあるものにつきましては、ドラムかんに入れて、貯蔵庫に貯蔵するというかっこうになっております。
○矢追秀彦君 いまカートンボックスのことを言われましたが、この紙バケツに入れて、そしていま汚染のあるものについてはドラムかんに入れておる、こう言われておりますが、これはいつからドラムかんに入れられるようになったのですか。以前は入ってなかったのです。
○政府委員(牟田口道夫君) 四十七年まではカートンボックスは屋根つきではございましたが、カートンボックスをバスケットに入れないでただ積んでいた時期がございまして、それから四十七年十月に新しい格納庫に移し、バスケットに入れるというぐあいにいたしたわけでございます。
○矢追秀彦君 この廃棄物は過去いつごろから出ているわけですか、ここでは。
○政府委員(伊原義徳君) プルトニウム研究所のグロブボックスは昭和三十四年に購入されましたものでございまして、そのころからごく微量のプルトニウムは扱っておりましたが、相当量を扱うようになりましたのはここ数年のことでございます。したがいまして、廃棄物の量といたしましてもここ数年の間の量がかなり多い、これは比較論でございますけれども、前に比べればある程度多くなっておる、こう承知しております。
○矢追秀彦君 大体昭和三十八年から非常にプルトニウム研究一棟及び再処理特別研究棟から廃棄物が搬出をされておりますから、大体十年たっておるわけです。四十九年一月ではカートンボックスはどれくらいになっておりますか。
○政府委員(伊原義徳君) カートンボックスの数にいたしまして約六千個でございます。
○矢追秀彦君 これは、格納庫の面積の中での占める占有率は、六千個の場合どれくらいになりますか。
○政府委員(伊原義徳君) カートンボックスは、大体十個ごとにバスケットに入れて整理して貯蔵しておると承知しております。全体の容積として百七十立米ぐらいであると承知いたしております。全体の貯蔵庫に占める率につきましては、ちょっとただいま手元に資料ございませんので、後刻調査の上御報告申し上げたいと思います。
○矢追秀彦君 私の承知しておるのは、占有率が約八〇%であります。したがいまして、過去十年間でプルトニウムの廃棄物は相当数格納庫にうずたかく積まれておるわけです。しかも、先ほど言われましたように、一、二年前までは全然ドラムかんに入れてきちんとした処理がされておらなかったわけです。したがって、カートンボックスそのままで置いてあったわけです。したがって、空気汚染をする可能性が十分この中でもあるわけでありますし、しかも、プルトニウムの量もかなりふえてきておるわけです。現在どれくらいと推定をしておられますか、グラム数。
○政府委員(伊原義徳君) カートンボックスのままでの貯蔵の場合でございましても、先生先ほど御指摘のように、プルトニウムはアルファ線を放出する核種でございますので、ビニールで包んでおります限りにおきましては、外への汚染ということはないと考えてよろしいかと存じます。事実私どもの調査いたしました範囲では、廃棄物処理場におけるプルトニウムの汚染ということはないと承知いたしております。
 なお、処理量と申しますか、原子力研究所でどの程度のプルトニウムを現在使用しておるかということにつきましては、臨界実験装置で約二百八十キログラム、これは相当大量でございますけれども、燃料の板になっておりますのでこれは汚染という問題はございません。ほかに研究用として五・三キログラム程度を使用しておりますが、これも一度に使用するわけではございませんで、たとえば一つのグロブボックスでは多くても二百グラム程度と、こういうふうに少量ずつ使用をいたしておるわけでございます。このプルトニウム関係の固体の廃棄物として出てまいりますのは、この二百グラム程度を扱っておりますグロブボックスで出てくる廃棄物でございます。
○矢追秀彦君 かなり現在多量のプルトニウムが格納庫に保管をされておるわけですね。いまビニールで包んであるから心配ないと、こう言われておりますけれども、実はこの「プルトニウム燃料グロブボックス廃棄委員会」というのがございまして、それが「四十九年一月九日付け49東燃工第5号をもって諮問のあった標記事項」すなわち、「プルトニウム燃料グロブボックス除染廃棄作業に関する基本方針について」答申が出ているわけです。その中に、決して安全ではないという点が指摘をされておるわけです。特に、これ時間がありませんので詳しくは読みませんが、一つは、そのカートンボックスが大体二段、三段と積み上げられて貯蔵されておるものですから、紙バケツが曲がったりあるいはゆがんだりしているのが現実です。実際もういまゆがんだりしているわけです。お調べになればわかります。したがって、プルトニウムの粉末状のものが大気中に浮遊してしまう、こういう可能性が十分あるわけです。したがって、その汚染雰囲気というものが収容容器内のボックスから漏れてくる、こういうおそれが十分ある、こういう点が指摘をされておるわけですね。いま心配ない、心配ないと言われておりますが、現実にこの百七号室でも事故があったわけでありますし、これだけ多量に保管をされておる、しかもいままではドラムかんに入れられてなかった。最近ようやく入れられるようになった。こういう現状の中で、このまま放置しておいては非常にあぶないのだと、こういう点がほかでも、ほかの問題にもありますが、指摘をされておるわけです。しかも、カートンボックスではなくて、もう一つのいわゆるグロブボックス等の大型廃棄物、これについても軟鋼製容器に収容されておりますが、この耐用年数も大体十年ぐらいだ。したがって、一番最初から計算すると、もう十年たっておるわけですから、ぼつぼつこれが腐食をしたり、あるいは熱の効果等を考えると、このままほうっておくとあぶないのだと、したがってこれももっとステンレスのきちんとしたものに取りかえるべきである、こういうふうな指摘がされておるわけでありますが、いまの政府の答弁を聞いておりますと、何かだいじょうぶだ、だいじょうぶだというふうなことでこられておりますが、現場において働いていらっしゃる方から、こういう具体的な形で指摘がされておるわけです。これについていままでどういうふうに把握をしてこられたのか、これからこれをどうされていくのか、その点を明快にお答えいただきたいと思うのです。
○政府委員(伊原義徳君) 先ほどのお答えにちょっと補足さしていただきますが、廃棄物処理場に大量のプルトニウムが廃棄されておるのではございませんで、取り扱っておりますプルトニウムが五キログラム程度であり、そのうち廃棄物処理場に、これは廃棄物としてそちらへ回っておりますものはごく微量、なかなか測定もしにくいぐらいの微量のものである、こう考えられます。なお、それは二つございまして、明らかにプルトニウムで多少でも汚染されておるものはドラムかんに入れておる、それからたぶんプルトニウムで汚染されていないであろうというものをカートンボックスに入れ、かつ、最近はこれは鋼製のバスケットに入れて二段積みにするということでつぶれないようにしておるということで、廃棄そのものの改善をはかっております。先生御指摘のその専門家グループによる検討、私はその内容を存じておるわけではございませんけれども、一般的に申しまして専門家の検討でこうこうこういうことがあるから早いうちに手当てをして万全を期すと、こういう意味で具体的な提案がそこで行なわれておる、こういうふうに承知いたします。したがいまして、何もしないでほうっておけばあぶないかもしれないからいまのうちに万全の手を打つべきであると、こういう結論ではなかろうかと存ずるわけでございます。したがいまして、そういう観点から常にその汚染が外に広がらないように万全の措置を講じておる、かつまた、測定を常時――測定と申しますか定期的に監視もいたしておりまして、廃棄物処理場からプルトニウムが外に漏れるようなことがあれば直ちにそれが検出できるようになっておりますし、いままでそういう事実も幸いにしてないわけでございます。今後ともプルトニウムの廃棄物の扱いについては万全の措置をとってまいりたいと思っております。
○矢追秀彦君 いまこの答申知らないと言われましたが、事故が二回も起こっておるわけですよ。場所は違うかもしれませんよ、しかし同じところですよね、研究所としては。それにこれだけのものがことしの二月に出されておりながら、いま五月も半ば過ぎておるわけですよ。これは怠慢じゃないですか。長官どうですか。
○政府委員(伊原義徳君) ちょっと補足さしていただきますが、先生事故とおっしゃいましたけれども、軽微な汚染を検出いたしまして、いずれも法定値よりかなり低いところでございます。そういうことではございますが、念には念を入れてこれをさらに除染作業を万全を期して進める、こういうことでございます。そういうことでございますので、事故である、あるいはだれか作業員が被曝したとかそういうことではございませんので、この点ちょっとつけ加えさしていただきます。
○矢追秀彦君 いま事故でないと言われましたけれどもね、それならどういうのですか、これは。たとえ許容量以下であってもこれは漏れることはいいのですか。じゃ科学技術庁の見解であれば、どの原発であろうがどこであろうが、いわゆる許容量以上でなければかまわないと、こういうふうな姿勢ととらざるを得ません、いまの答弁だと。この辺大臣どうですかな、科学技術庁は皆さんそういうお考えですか、たいしたことなければいいんだと。実際これ、問題なんですよ。しかも指摘をされているわけですよ。しかも廃棄物のほうは、こことは違いますよ、これは研究室ですからね、違いますけれども、そういう政府の姿勢じゃ私はこれからそれこそ原子炉の安全性の審査の問題にしても、それは一〇〇%というものは機械にないですよ、それは。一〇〇%安全性が保証されるというものはいまの科学技術でゼロに近いでしょう。だからといって制限以下ならかまわぬと、そういうふうな非常に非科学的な科学技術庁では私は困ると思うのですよ。その点大臣どうですか。時間がありませんからあまりこれでひっかかりたくないんです、まだちょっとやりたいのです。
○国務大臣(森山欽司君) こういう事故がないにこしたことはないと私は思っております。ただしかし、結果が法定値の二倍程度の空気汚染が検出されて床汚染は法定値の二十分の一程度だと、人身の被曝はない、外部環境への漏洩はなかったと、まあ不幸中の幸いであったと、こういうふうに考えております。だからこういうのがこれからもあっていいとは思っておりません。できるだけないように努力をいたします。
○矢追秀彦君 時間がありませんのであまりこれひっかかると、また事故の定義についてなんてやりだすとまたむづかしくなりますからこれはやめますけれども、事故というのは何でも制限以内なら事故でないという考え方は、これはやっぱり特に科学技術に携わる人は持ってもらいたくないですよね。
 先ほど廃棄物の量のことは何か微量だと言われましたが、この答申では「四十九年一月末現在、紙バケツ換算約五千個、格納庫面積九十九・七平方メートルのうち占有率約八〇%に達している。この中にはプルトニウム廃液固化物もふくめ約百五十グラム(プルトニウム一棟分約百グラム、再処理特研分約五十グラム)のプルトニウムがふくんでいると推定される。」と、こうあるんですがね、これはお認めになりますか、先ほどの答弁とちょっと違うんですけれども。
○政府委員(伊原義徳君) 主として高レベルの液体の廃棄物という形で貯蔵されておると承知しておりますが、なお詳細については調べさしていただきたいと思います。
○矢追秀彦君 科学技術庁は何もやってないということですよね。国会で問題が出たら初めて何でも調べますとかですね、これじゃしょうがないですよ。だから事故ばかり起こるわけですよ。このところもう相当ですよ。特に森山長官は熱心だからかもしれませんが、長官になってからいろいろな問題が一挙に浮きぼりにされているわけですね。これだって前々から言われている問題ですよね、これ。ちゃんとことしの二月にこれだけ文書にして、答申として出ているわけです。これをやはり踏まえて、これがほんとうはどうなのかということくらいそう人手と時間かけなくても私はできると思うのです。そういうずさんな行政やっておられるからこれはいろいろな事故が起こるわけです。その点はひとつ長官本気になってやると、いつも委員会でも言っておられるのですよ。その姿勢は買いたいのですよ。それなりにもつときちんとやってもらわぬと困るのです。
 最後に予算の問題伺いますが、プルトニウム廃棄物処理に関する予算、これはいままでこのプルトニウム燃料研究室及び放射線科で二千二百九十万円と、こういうふうに見積もられておるわけですが、これは実際四十九年度できちんと与えてもらいたいと、こういう意向なんです。いままでの過去の例を見ますと、四十三年が二千十七万円、四十四年が二千百三十七万、四十五年が二千九百七十万、四十六年になりますと減りまして千三百六十四万、四十七年が千七百四万、四十八年が千百十二万と、こういうふうにちょっと減ってきているわけですね。ことしは二千二百九十万と見積もられておりますが、しかもこれは開発予算なんですよ、実際は。廃棄物処理の予算は全然入ってないんですよ。いまどうやっているかというと、御承知と思いますが、大洗の研究所から流用して使っているわけです。それで廃棄物処理をやっているわけです。こういうふうなことが許されるのかどうか。これが一つ。それからもう一つは、どうして廃棄物処理ということをこれできちんとしないのか。今後これ海洋投棄の問題、私、廃棄物についてはもう三年前にここで海洋投棄の問題を指摘をしたことがございますが、それについても一向にまだ結論が出ていない。これは確かにむつかしい問題と思います。だから、この答申の中にも、これで終わりますけれども、「半永久的な廃棄処分にあたるものとは考えておらず、」、要するにいま貯蔵されているのはこれは半永久的ではないと、「海洋投棄その他の永久処分、あるいは最終処分の方法が確立するまでの間のきわめて暫定的な保管でしかない」と、しかも「その保管期間としては収納容器の寿命から、前述のように十年程度とみるのが妥当であり、保管期間における収納容器の安全確保をはかるためには年一同程度のモニタリングは不可欠であり、その体制の整備を早急に行なうべきである。」と、もう十年たったわけですよね。したがって、入れものも寿命がきておるし、暫定的な廃棄物の保存はもう限界まできておると、ここで永久的な処分の体制を早く確立をしなければいかぬというのに、予算の面では全然入っていない。全然入っていないわけです。これは開発予算、しかも流用されていると、こういうふうな状態ではこの廃棄物処理に対して政府は熱心でないと、こういうことになるわけです。したがって、これは本気になって取り組まないと、いまの二十分の一だから心配ないとか、二百分の一だから心配ないと、そういうふうなことで漫然としておるのではなくて、ひとつもう期限が切れている問題ですから、ひとつ真剣にこれには取り組んでいただきたい。この予算の面についてと、最後に大臣の姿勢を伺いまして、私の質問をきょうはこの程度でやめます。
○政府委員(伊原義徳君) 予算の点についてちょっと御説明さしていただきますと、先生御指摘の数字は、研究費でございますが、廃棄物処理につきましては別建てで予算の計上がされておりますので、廃棄物処理関係で予算がないから軽視をしておるということではございません。廃棄物処理についても別途予算措置を講じまして、万全の態勢をとっておる次第でございます。
○国務大臣(森山欽司君) 先ほど来お話しのことが、原子力会議で安全性に疑念を抱かせる程度のものとは思っておりません。しかしながら、こういう問題について、特に廃棄物の問題について今後十分力点を置いていかなければならない問題点であるということについては同感でございますから、遺憾なき努力をしてまいりたいと考えております。
○矢追秀彦君 いま予算ついていると言われましたから、それでは今年度は幾らをかけてやられるんですか。それでどこまでできるんですか。それをはっきりしてください。それで終わりますから。
○政府委員(伊原義徳君) 廃棄物処理の予算は、これがプルトニウム、これが何というふうな分け方ということではなくて、各部各部でそれぞれでまとめて計上というふうなことのようでございますので、特に先生御指摘の、この部分について幾らかということにつきましては、調べました上で御報告いたしたいと思います。
○加藤進君 本日の参議院本会議におきまして、政府に対する警告文、これが全会一致で可決を見ました。その中で、特に科学技術庁に対しましては、「日本分析化学研究所に委託した化学分析検査のように、虚偽の報告、分析試料の廃棄等が行なわれ、委託費が乱脈に使用されたことはまことに遺憾である。」こういう警告がなされています。この点について、科学技術庁はどのようにこれを反省し、今後再びこのことが起こらないような姿勢を正してこの警告にこたえられるか、決意のほどをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(森山欽司君) 先般の分析研の問題はまことに遺憾しごくなことでございます。分析化学者としてのモラルの低下もさることながら、これが及ぼす影響はきわめて重大でございますし、また、これに対する監督官庁の立場にあります科学技術庁といたしましても、今後こういう事態が二度と起きないように努力をいたしたいと思っております。
○加藤進君 きわめて抽象的で、私の質問に十分答えていただけなかったわけですけれども、ともかく今後こういうことの起こらないような立場で、決意を新たにして取り組むと、こういうことで理解していいですね。
○国務大臣(森山欽司君) そのとおりであります。
○加藤進君 そこで、去る衆議院の予算委員会で、わが党の不破哲三議員が、この問題について特に初めて国会で明らかにいたしました。この原潜放射能の分析データの捏造という問題が国会で初めて明らかになったわけでございますけれども、私も引き続いて参議院の決算委員会あるいは当委員会において、引き続いてこの問題を追及いたしました。この事件は、いわば科学技術行政、原子力行政、公害行政が文字どおり信を問われる最も重要な私は事件だと考えております。その点で、わが党はこういう事態が再び発生しないような対策として、政府に対して原子力艦船の放射能調査体制の再確立、国立の総合的な分析機関の設置を含めた四項目の抜本的な提案をいたしまして、またこれに対して政府は二月二十六日にいわゆる政府見解を出したわけであります。この政府見解は、わが党の国立の総合的分析機関の設置の提案に対して、「新たな分析測定の専門機関については、国立の総合的機関設立の問題をも含めて、権威ある機関をつくるよう検討したい。」こういうふうにはっきりしております。そこで、政府は五月一日、いわゆる財団法人の日本分析センターの設立をいたしました。この日本分析センターの設立というのが政府見解で言う、国立の総合的機関設立の問題も含めて、権威ある機関の設立を検討した結果になるのかどうか、私はその点を率直にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(森山欽司君) そのとおりであります。
○加藤進君 それではこの問題の検討の結果つくられた日本分析センターでございますが、これはどのような機関で検討をされた結果つくられておるのか、あるいはどのような構成を持った委員の方たちによってこの企画が行なわれたのか、その点をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(森山欽司君) 事務的経過につきましては政府委員をしてお答えさせます。
○政府委員(牟田口道夫君) 設立準備委員会というものを設けまして、関係学識経験のある先生方にお集まりをいただきまして、この新しい分析機関はどういうものであるかを御検討の上、その設立準備委員会を数回開きましたあと、設立発起人会を四月二十六日に開きまして、その際も関係の方々、学識経験ある方々にお集まりをいただきまして開いたわけでございます。そのあと五月一日に設立許可と相なったものでございます。
○加藤進君 具体的にお尋ねしますけれども、このいま言われた日本分析センター設立準備委員会、この委員会の中心になっておられるのは浜口博氏でございましょう、この方はどういう方か、日本分析化学研究所のあの木村さんの門下生である。浅利さんは浜口さんの教え子。こういう関係だけを見ても、きわめて日本分析化学研究所の設立ないし運営に当たった方たちと関係の深い、そういう立場にある人でしょう、第一に。これが第一。第二にもう一つ問題があります。これは水俣病の問題と関係しております。チッソ水俣病でその原因は有機水銀であるということを強調をされたときに、いやそうではないという論文に対して折り紙をつけられたのがまさにこの浜口博氏でしょう。ということになると、公害行政の中で、いわば公害企業の弁護の立場に立たれた方がこの浜口さんじゃありませんか。私はそのことだけからいって、この方に対してすべての評価をするつもりはありませんけれども、少なくとも姿勢を正して、国民の前に信頼のおける権威ある機関としてつくられる、その中心になる方が、こういうことだけでもいわくつきの方であるし、いかがわしい関係があるやに疑われるような立場に立たれる、そうして、こういう経歴を持った方だということになったら、これは政府がいかにその気になって信頼してくださいといったって、われわれには信頼できませんよ、こういう状態では、どうでしょうか。それについても信頼せよというのですか。
○国務大臣(森山欽司君) 浜口先生は分析問題を建て直しをするのに最も打ってつけの人物であると私は確信をいたしております。まあいろいろ何と申しますか、個人的といいますか、そういうことについていろいろ御論議がありますが、人事のことでございますから論評は差し控えさしていただきます。
○加藤進君 もう一つ。私たちは国が責任を持って今後皆さん信頼してください、このような機関をつくりましたと言われるなら、一番適切な機関設置は私は国立であるべきだと、これがわが党の提案だと思います。ところが今度つくられた日本分析センターは、またかつての日本分析化学研究所、この研究所と同じように財団法人、そしてそこへは国が必要な原子力潜水艦の放射能の問題あるいは公害等々の問題を全部委託する。全く従来と変わらないじゃないですか、形は。これで一体どこに絶対に今後は間違いありませんという保証がありますか。どこで歯どめをつくるんですか、これは。その点をお聞きしたい。
○国務大臣(森山欽司君) 国立の機関にするということを含めて検討いたしました。しかしながら国立の場合につきましては、分析を行なう人たちの待遇、給与面などについての弾力性、一般のいまの公務員の中における研究者、技術者の待遇の面等から考えて、もう少し弾力的なやり方でやってまいりたい。それからまたお役所仕事というよりは、できるだけ自主性を発揮できるような組織にしなきゃいかぬと思う反面、また国の監督が行き届かないようなことがあると困るわけでありますから、国の管理監督が十分に行なわれるようなものにしなければならないという意味で、人事並びに運営については科学技術庁長官がこれに関与するというやり方にいたしましたし、また財団の資金の基本は、原子力関係団体、政府の原子力関係機関のほうから出させるというような形で公正を旨としておるわけでございます。まあ国立機関というものについてそういう意味でいろいろ問題があるわけでございますし、また同様なことは原子力研究所等の政府関係機関のようなやり方にしてもほぼ同様でございますから、そういうものの長所、短所を考えて、現段階におきましては財団法人で出発するということにいたしました。運営の過程において将来このために法律をつくって、いわゆる認可法人のようなやり方にするかどうかは今後の事態の推移をまってやりたいということでございます。しかし私どもは国立の機関としてやったらどうかということについては十分考えた末に今回の結論を出したわけでございますから、その点はどうか御了承願いたいと思います。
○加藤進君 納得がいきません、これは。日本分析化学研究所で引き起こしたあのような捏造事件、汚職腐敗事件、これに科学技術庁も直接関係した。こういう腐り切った関係があったためにこの問題が起こったわけで、こういう関係が今後は絶対に起こりませんと、きちっとした歯どめができておりますと、こういう保証がなければ、私たちには新しい分析センターができたからといって、これで万事事は終われり、安心できるなどというような状態ではないと、私はその点については長官とは全く見解を異にしていますよ。
 そこで第一、国民はどういう機関であったならば権威ある機関であり信頼できる機関と考えるのだろうか。少し長官やあるいは科学技術庁でも御検討されたことがありますか。国民はばかじゃありませんから、信用のできるというなら、こういう分析の問題についてともかく権威ある諸先生あるいは専門の研究機関、とりわけ総理大臣の直属機関である日本学術会議等々に何一つ相談しないで、日本学術会議なんてものはだめだ、こんな連中もだめだ。だめだだめだと言いながら自分の息のかかった、自分の都合のいい諸君をピックアップして、そしてセンターに据える。こんなことを国民は認めませんよ。
 そういう意味では、私はほんとうに権威ある機関として確立していくというなら、私はとるべき方法あるいはいままでとらるべきさまざまないい経験や教訓はあったと思うのですよ。たとえば、どうですか、科学技術庁の付属機関である放射能医学総合研究所、これはどんな過程で、どんな手順で、どんな検討を加えてつくられましたか、これは。どうですか。――わからなければ私が言いましょう、時間がかかりますから。これは、昭和三十年、日本学術会議から政府に対してその設置が申し入れられました。それを当時の科学技術行政協議会で審議されて、原子力委員会で設置計画の検討が進められたんです。それとともに学術会議にも諮問が出されて、答申を得て設置されたという、きわめて重要ないきさつがあるのです。だから、安心をしたんです。信用できるのですよ。
 もう一つ、国立防災学研究センターはどうですか。これも、日本学術会議の勧告や国会の参議院科学技術特別委員会の決議などによって契機がつくられて、そうして学界、政府関係機関、国会のもとで広く論議された上で、英知を集めて設立されたのです。こういうことがどうしてできないのですか、政府機関として、科学技術庁として。しかも、重要な警告の出されたその直後に、国民の期待にこたえてつくられなくてはならぬ機関が、何のことか前と変わらぬじゃないかというようないわば印象を当然のことながら与えるようなつくり方なんですよ。この点についてもう少し深い反省がなければ、警告文が死にますよ、これは。国会の議決はどうなりますか、これは。私は国会の議決の立場から見て、行政機関である科学技術庁がもっと直剣に厳正な態度でこのような分析センターの設立に当たらなくてはならぬし、当たるべきである、私はそのように考えますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(森山欽司君) ちゃんとした仕事をやるかどうかは、何も国立の研究所だからとか、あるいは政府機関だからとか、あるいは民間機関だからとか、私はそういうふうに官僚的な感じの考え方は持っておりませんね。これは民間機関だってりっぱに仕事をやっているところはうんとあるのですから、どうもまあ何でもがんでも国立にすればいいなんてお考えは、私はとることができません。しかし、先ほども申し上げましたように、国会での私どもの答弁をいたした経緯もございますから、真剣にこの問題に取り組んで、国立機関も含めて検討した結果、先ほど申し上げましたような形で財団法人として発足するということであり、運営並びに役員の人選等につきましては、政府が十分関与できるような寄付行為の内容を持ち、また財政的な基礎も、これは民間機関との癒着というものを避ける意味において、政府機関から内閣法制局及び大蔵省の主計局の厳密なる解釈、運営のもとに今回の支出をしたわけでございますから、まあ私はりっぱな機関を――現段階においてはこのやり方が一番いいというふうに考えております。しかし、先行きの問題で、まあいわゆる認可法人等のことも考える必要があるかなと、これは今後の成り行きを見て考えようということでございます。
 先ほど、科学技術庁関係の二機関について、かつて学術会議――二十年ぐらい前の話でございますが、その勧告によってできたというお話でございますが、自来時移り人かわって約二十年間ですね、やはり学術会議の内部には、内外にわたっていろいろ御意見があるわけでございますから、私はここでこの問題を繰り返したくはございません。どうも政治好きの二流学者の集まりだなんて、そんなことまで私は申し上げませんよ。いいですか、申し上げないんですから。はっきりひとつ……
○加藤進君 申し上げているじゃないですか。
○国務大臣(森山欽司君) しかしながらいろいろな批判があるわけでございますから、そういうことを聞かないのは全部権威ある――それがはたして権威ある機関というようなふうに私どもが受け取れるかどうかについてはどうでしょうね。そこまでおっしゃらないほうがいいんじゃないでしょうか。それらの御意見もやっぱりいろいろ御意見がありますれば、私どもは参考意見といたしまして十分考えながら処理をいたしておるわけでございます。国会の委員会におきましても、わが同僚委員――同僚委員と言うと、たいへん失礼でございますが、各派の委員の皆さま方からいろいろな御意見をいただき、そのことは私どもとしてはたいへんありがたいことだと思っておるわけでございまして、そういう御批判というものを常に身にしみて、特に今回のような問題は二度とそういうことが起きないように考えて、これ一生懸命やっておるわけでございますから、どうか新しく生まれましたこの新しいセンターをむしろ祝福をしていただきたい。どうもやっている、中心になっているのはこういう男じゃないかとか、学術会議の言うことを聞かないのははたしてどんなものだろうとかということばかりじゃなくて、まあそれは意見は違うだろう、立場は違うだろう、しかし、まあまあよくやっているじゃないかというようなおほめのことばなどいただけないものかと、実はそう思っておるわけでございまして、どうかひとつ格別の、御批判もありがたくちょうだいいたします、しかし、御支援もいただきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○加藤進君 私たちは国会の立場ですからね、国権の最高機関として、国民を代表して、行政当局に対してかくあるべきではなかろうかという御忠告を申し上げているんですよ。日本学術会議の内部問題について、それは右から見る人、左から見る人、いろいろありましょう。内部の問題をいろいろ調べてみれば、それはそれとして完ぺきなものでないであろうことも私は大体見当つきます。しかし少なくとも内閣総理大臣の直属機関ですよ。総理府が監督官庁なんです。政府の付属機関になっているのです。こういう機関において、全国の科学技術者の英知が結集されておるという点については、これは疑うべきもないことであって、これは内部問題でなくして、日本学術会議というものの権威ある存在を認めなければ、これはもう政府の責任からいっておかしいと思うんですよ。政府の立場からいって、政府機関なんですから。したがってほかのところの意見を聞くということも当然やられるなら、あるいは一部の、自分たちの思うような権威のある方を集めようと思うなら、その点についてとりあえず相談をし、意見を聞こうという機関として、私は日本学術会議をオミットするなどという態度はとるべきではない、こういうことを私は申し上げておるわけであります。しかも、この問題については、再三にわたって日本学術会議はいろいろ検討会を設けております。たとえば最近におきましては、日本学術会議の内部に環境放射能検討小委員会というものを御存じのようにつくられている。しかも、これは日本学術会議の内部だけじゃないです。外部の関係の政府研究機関の方たちも参加しておられますよ、これに。専門家の意見も徴しておられる。そうして適切なこの問題についての対処のしかたを政府に対して勧告しようと、これほどまで熱心にこの問題に取っ組んでおられるという態度を私たちは十分敬意をもって迎えなくてはならぬと思うんですね。しかも、事柄は何かというと、ああいうわれわれ国民の前から見てまことに恥ずべきような事柄を政府機関は何ら警告もしないで見過ごしてきたという問題であり、現状があります。しかも、事柄は原子力潜水艦の放射能の汚染の問題、公害の問題等々、国民の健康と安全に一番関係の深い問題を取り扱わなくてはならない分析センターなんですから、だから私たちは真剣に権威ある方たちの英知を結集して、その意見のもとに科学技術庁が責任ある立場に立って、この産婆役をつとめていただかなくてはならぬ、こういうふうに私たちは言っておるわけでございます。時間もそうございませんので、私はその点について、日本学術会議が政府に対して当然の権限として勧告をしておりますから、その勧告文を読んで、これについて科学技術庁長官はどういうふうにこの勧告についてお考えを持っておられるのか、検討されたのかどうか、この点を最後にただして質問を終わりたいと思います。
 次のようにあります。全文を読むことはできません。
  日本分析化学研究所の問題は、かねてから放射能影響問題について深い関心を払い、しばしばその件につき勧告をくり返してきた日本学術会議としては、きわめて遺憾な事件であり、これにたいしてただちに少なくとも次の諸点が正しく処理されることを強く要望するものである。
 1国民の安全を守り、環境を保全するための環境放射能の調査・評価体制を早急に確立すること、そのために政府は、その基本となる「放射能影響研究の推進についての勧告、環境放射能研究所、放射線障害研究所の新設および大学における関連講座等の増強」を、ただちに実施すべきである。
 2上記環境放射能の調査・評価体制については、国民の信頼を確保し得るような手順をふみ、従来の経緯をかえりみてふたたびあやまちをくり返さぬよう努めるべきであり、単にその形式的発足を急ぐべきでない。なお、その体制のあり方については、少なくとも次の諸点が保証されねばならない。
  イ国民の安全を守るためには、公開の原則がきびしく守られる必要がある。このために政府は、データおよび資料の公開を保障する措置を、早急に検討して国民に提示すること。
  ロ行政従属におちいることのないよう、関係各機関の自主性を尊重し、公正・中立性を確保すること。
  ハ関係する機関の要員の民主的諸権利ならびに十分な待遇を保障すること。
  ニ関係する機関の定員ならびに必要な予算を確保すること。
 3環境放射能の調査については目的を明らかにし、その目的にそうため周到な設計、サンプリング、分析・評価が一貫しておこなわれなければならない。
 上記の諸課題を正しく遂行するためには、広く科学者、技術者の意見を問うべきであり、日本学術会議としても建設的に協力する用意がある。
 こういっております。こういう貴重な警告あるいは勧告に対して政府、とりわけ科学技術庁はどういうふうにこたえられるのでしょうか、検討されたのでしょうか。
○国務大臣(森山欽司君) 読みました。で、たいへん御苦労さまであると思っております。参考のためといたしまして、よく留意してまいりたいと思います。ただ、ここにもありますように、広く科学者、技術者の意見を問うべきであるということについては全く同感でございますから、広く科学者、技術者の意見を問うつもりであります。問うてまいりましたし、これからもするつもりであります。日本学術会議所属の関係の学者であるかどうかということにかかわらず、そういうふうにやってまいりたいと考えますが、最初の原案に、日本学術会議に対しても絶えず十分な連絡をとられたいというようなことでございましたものですから、一々科学技術庁のやっていることを日本学術会議に御連絡申し上げるわけにはいかぬということを衆議院のたしか委員会で申し上げたことがございます、それほどひまではございませんから。しかし、いまのお話だと、一番最後のところ少し変わったようでございますが、どちらがほんとうなのかわかりませんが、私どものところには、日本学術会議に対しても絶えず十分の連絡をとられたい、こういうことでありますから、それはどっちがほんとうなんですか、その辺のところをよく確めまして。前々から申し上げますとおり御意見として十分承って、十分参考にしてまいるつもりでございます。しかし、これは加藤委員もどうか御理解を願いたいと思うのですが、それらの方々を、御意見の聞き方というものはいろいろあるわけでございますから、どうかひとつその意味で、教師もあれば反面教師もあるという意味で、われわれは十分考えてやっていきたいと。要は、二度とああいう事件が繰り返さないような体制をつくっていかなきゃならないということでございますから、どうか私はいま加藤委員が御熱心におっしゃられたお気持ちというものに対して敬意を表しております。が、同時にひとつ私のほうがやっていることも、加藤委員のお考えの線とは、それは違うかもしれません。しかしこういうことが二度と起きないようにという意味で、いろんなところの意見があるということを承知しながらやっておるという意味においては、意見を聞かなかったということがまた聞いたことになるのかもしれませんですね、これは。そういう意見があるということを聞かなかったということが、すなわち意見を十分留意したということになる。また意見を聞いたということが、形だけ聞いて魂が入らなきゃしようがないんでございますから、そういう意味でこういう意見についても十分留意をして取り組んでおるわけでございますから、どうか私の顔つきも見て、まあ一生懸命やってるんだと、しかしどうも路線が違うとか、考え方が違うとか、そういう点はあっても、意図するところは二度とああいう問題を起こさせないと、そういう組織をいかにしてつくるかということでございますので、どうかひとつ私の言わんとするところを御理解願って、十分おっしゃられる点は私も耳を傾けます。しかしそれはそれとして、姿勢についてどうか御理解賜わるようにお願いをいたしたい、こう思っておる次第でございます。
○加藤進君 最後に一言だけ。
 私も、あなたたちのやっておられることは全部だめだなんというつもりで質問をしておるわけじゃないんです。やられることについて、その点をぜひとも国民の立場に立っていい方向に進めてほしいと、こういうことが私たちの念願でございますし、そのために国会があるし、そのためにもまた科学者の代表機関としての日本学術会議というのがあるんですから、しかもそれが何も別のことを言っているわけじゃない。環境汚染の問題について、特に小委員会までつくって検討されておるわけですから、ひとついい意見があったら聞かせてくださいくらいの気持ちで森山長官ね、進んで相談、話し合いあるいは意見を徴するというくらいの雅量を持っていただかなければ私は科学技術行政ももう一段飛躍前進ができかねるのじゃないか、その点を忠告申し上げておるわけでございますから、最後にその点について日本学術会議と、まあこれは総理府長官は会いましょうとこう言って会っておられるわけ、会長と。だから、この会長と会われるということよりも、この小委員会の委員長とでも懇談をするとか、あるいは勧告文の内容についてひとつゆっくり聞かしてくれというくらいのやっぱり雅量がなければ、分析センターをおれはつくったんだと、おれは一生懸命なんだと、おまえたち何を言っておるなどという調子では、ほんとうにいい国民の信頼を受けるものはできない。できないと思いますよ。そしてまた再びあの日本分析化学研究所のような悲しむべき事態を繰り返さざるを得ない事態に進んでいくわけでございます。その点を私たちは国民の立場から見て心配しておるので、そういう意味でもう少し、科学技術庁長官、熱意のあることは主観的には認めます。しかし、その熱意をほんとうに行政的に生かしてもらうために、若干襟度を開いてひとつ聞くべきところは聞くという態度に出ていただきたいし、その相手は何もあらゆる人に聞けというのではない。日本学術会議がいい意見を出しておられると私は思うから、一ぺんその方たちの意見も聞きましょうくらいのところまで踏み出していただけないかというのが私のお願いでございますから、その点について最後に一言お聞きしたいと思います。
○国務大臣(森山欽司君) 私は先ほど申し上げましたように、学術会議に論評を加えたくございません。立場も違いますから。けれども、いま加藤委員のおっしゃられましたような意味におきましていろいろな御意見があるということについては十分留意して、その意見が、とるとらないは別にして、その意見の出てきた基本というものは、ああいうだらしないことを二度と繰り返さないということであろうと思います。まあそういう趣旨に沿ってやっておるわけでございますし、加藤委員にも前々から申し上げるように、私は問題にしないなんていう気持ちは何もない。御意見としては承っておきますと、こういうことでございますので、どうかひとつ御理解を賜わるようにとお願いをいたしたいと思います。また、せっかく始まるセンターでございますから、いろいろ万事不行き届きでございましょう。その際にいろいろ御意見があればひとつどうかただしていただきたいと思いますし、また御支援もその際お願いをいたしたい。どうかひとつよろしくお願いいたします。
○理事(梶木又三君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十五分散会
     ―――――・―――――