第073回国会 商工委員会 第2号
昭和四十九年十月十五日(火曜日)
   午前十一時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         剱木 亨弘君
    理 事
                熊谷太三郎君
                竹内 藤男君
                小柳  勇君
                須藤 五郎君
    委 員
                斎藤栄三郎君
                菅野 儀作君
                福岡日出麿君
                二木 謙吾君
                吉武 恵市君
                阿具根 登君
                対馬 孝且君
                森下 昭司君
                桑名 義治君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
   国務大臣
       通商産業大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       内田 常雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       公正取引委員会
       委員長      高橋 俊英君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  後藤 英輔君
       外務省経済局国
       際経済第一課長  小宅 庸夫君
       大蔵省関税局企
       画課長      松尾 直良君
       大蔵省関税局輸
       入課長      小田 和美君
       大蔵省理財局資
       金第一課長    垣水 孝一君
       厚生政務次官   石本  茂君
       通商産業省生活
       産業局長     橋本 利一君
       資源エネルギー
       庁石油部長    左近友三郎君
       資源エネルギー
       庁石油部精製流
       通課長      松村 克之君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  大永 勇作君
       資源エネルギー
       庁公益事業部ガ
       ス事業課長    川崎  弘君
       中小企業庁長官  齋藤 太一君
       労働省労政局長  道正 邦彦君
       労働省職業安定
       局審議官     岩崎 隆造君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (当面の繊維政策に関する件)
 (中小企業の不況対策に関する件)
 (石油価格の行政指導に関する件)
 (北海道瓦斯の値上げ問題に関する件)
 (私的独占の禁止及び公正取引に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。
 まず、東北班の報告を願います。熊谷君。
○熊谷太三郎君 第二班の報告を申し上げます。
 今回の派遣の目的は、東北地方等における電源開発の実情調査であり、派遣委員は阿具根委員と私の二名で、期間は去る九月二十七日から二十九日までの三日間、視察しましたところは、栃木県の電源開発株式会社沼原発電所、宮城県の同じく電源開発株式会社鬼首地熱発電建設所及び福島県の東京電力株式会社福島第一原子力発電所でありました。
 以下、視察の概要について申し上げます。
 電源開発株式会社沼原発電所は、那須高原の那珂川の上流に建設省がつくった多目的ダムである深山ダムを下池にして、そこから標高差五百メートル余り上にある沼原湿原の近くにつくった沼原池を上池にした純揚水式水力発電所であります。
 揚水式発電所は、夜間に電力消費量が減少することを利用して、余剰になる電力で揚水を行ない、昼間の電力需要のピーク時にためた水を落として発電するもので、一台の発電機が揚水ポンプと発電機の両方の役割りをするのが特色であります。現在、水力発電は全国で約二千万キロワットといわれておりますが、そのうち約五百万キロワットが揚水式発電であり、新設の発電所の大半はこの揚水式発電になっております。これは、わが国の発電の主力となっている火力発電所の場合、需要量に応じて発電量を随時変化させることが技術的にきわめて困難であるため、揚水式発電所が一日の間の時間的な電力使用量の変動に対応した需給の調節機能を果たしていることによると考えられます。
 沼原発電所は昨年六月に運転を開始しましたが、当発電所の特色としては、第一に環境保全に万全の対策を施していることがあげられます。すなわち、上池のある沼原一帯は日光国立公園の特別保護地域内にあるため、工事にあたっては、たとえば掘さくした土砂の捨て場や、道路のために削ったところなど約百ヘクタールを対象に草の種を吹きつけ、さらにそのうち六十ヘクタールには各種の苗木を植えつけて完全にそのあとを緑化しております。また、池を除いては、発電所の施設など構築物は地下に設置するなど、自然景観の保護に最大の努力が払われておりました。
 第二に、当発電所の上池と下池の落差は五百十七メートルでありますが、落差五百メートル以上の揚水発電を可能にしたのは、当発電所が世界で最初とのことであります。
 次に、電源開発株式会社鬼首地熱発電建設所は、栗駒国定公園の東南に当たり、片山地獄といわれるわが国有数の地熱地帯の中にあります。地熱発電は太陽熱などとともに公害の伴わない、いわゆるクリーン・エネルギーとされており、特に火山国であるわが国は地熱資源に恵まれていて、そのエネルギーは発電量に換算すると二千万キロワットになるともいわれております。こうした国内未利用資源の活用という見地からも、今後その開発が期待されているといえます。
 現在、わが国ですでに稼働しております地熱発電所は、岩手県の松川、秋田県の大沼、大分県の大岳の三ヵ所がありますが、当発電所が完成すれば、全国で四番目の発電所になるわけであります。発電所の建設工事着手は昨年四月で、現在土木工事の最盛期であり、さらに機械設備関係の工事に入っておりますが、運転開始は来年四月の予定とのことであります。発電出力は三万五千キロワットで、地熱発電所としては全国で最大の規模となります。
 地熱発電所の特色は、火力発電所のボイラーがなく、天然の蒸気で発電機のタービンを回して発電するために、設備が簡単である一方、蒸気圧が火力の場合よりも十分の一程度と低いために、火力に比べて多くの蒸気を要するという点があげられますが、当発電所の特徴としては、第一に蒸気井の深さが三百メートル前後と非常に浅い井戸であること、第二に、蒸気とともに出てくる熱水は再び地中に戻していること、第三に、将来、発電を無人で行なうため、各設備の自動化をはかっていることなどがあげられます。蒸気井は十二本あり、それらが一斉に地熱蒸気を吹き上げている様子は壮観でありました。また将来、熱水を地中に戻すだけでなく、温泉への利用など、地域住民の福祉に役立たせる方法が検討されたらどうかという感じを受けました。
 最後に、東京電力株式会社福島第一原子力発電所は、福島県双葉郡大熊町及び双葉町にまたがる太平洋岸の三百二十万平方メートルに及ぶ敷地に、六基の原子炉を有する発電所であります。六基のうち、一号機と二号機はすでに完成して運転を開始しており、発電出力は、一号機が四十六万キロワット、二号機が七十八万四千キロワットでありますが、六基全部が完成した暁には、合計四百七十万キロワットの大発電所になる予定とのことであります。
 発電原子炉の型式はいずれも沸騰水型軽水炉で、燃料であります濃縮ウランの核分裂によって生ずるエネルギーにより、炉心に満たした水を蒸気にして発電するものであります。
 原子力発電は、石油を中心とする火力発電を補完するものとして将来を期待されておりますが、現在のところ、わが国で運転中の発電炉は、当発電所の二基を含めて全部で七基であり、出力は合わせて三百万キロワット程度であります。したがって、全発電量に占める原子力発電の割合はまだ三%に満たないものでありますが、現在建設中あるいは計画中のものを含めれば一千数百万キロワットに達しており、近い将来には水力を抜いて、火力に次ぐ主要電力供給源になることが予想されます。
 ところで、原子力発電所の場合、最も留意されねばならないのは、申すまでもなく、安全性の問題であります。
 当発電所においても、この点の対策として、第一に、施設の面では十分な耐震構造となっているとともに、原子炉のまわりには厳重な防壁を設けて、事故の場合でも放射能が外に漏れることのないよう配慮されており、第二に、廃棄物については、一定の処理をして安全性を確認しているとのことであります。第三に、発電所周辺の放射線量を測定するために、敷地の境界線に沿って八カ所にモニタリングポストを置くとともに、発電所から四キロメートル程度の地点三カ所にモニタリングステーションを設置しております。こうして測定された放射線量については、現在までのところ、原子炉の運転による影響は全く見られないとのことでありました。
 さらに、海水の調査あるいは動植物の調査等も実施しているとのことでありました。
 当発電所の敷地は、海面上三十メートルの台地にありますが、それを二十メートル掘り下げて発電施設を設置してあります。また、冷却用としての海水の取水のため、延長二千八百メートルに及ぶ防波堤が築かれております。さらに、海水の温排水の問題に対しましては、敷地に面した一定区域の海面の漁業権を買い上げてあるとのことであります。
 省エネルギー、省資源化といわれながら、将来ますます増大すると見られる電力需要に対応するために、今後とも電源開発を進めることは必要なことでありますが、その一方では、自然環境の保全、住民の福祉といった問題も当然発生してきますので、これらの調和を十分にはかっていくことが第一に必要なことであると感じたのであります。
 最後に、このたびの調査にあたりお世話をいただいた関係者の方々に心からお礼を申し上げまして、私の御報告を終わります。
○委員長(剱木亨弘君) 次に、沖繩班の報告を願います。小柳君。
○小柳勇君 第一班、沖繩班について申し上げます。
 今回の派遣の目的は、沖繩海洋博準備状況と伝統産業などの実情調査でありまして、派遣委員は、剱木委員長、小柳理事、須藤理事、桑名委員、藤井委員の五名で、期間は去る十月一日から四日間でありました。
 沖繩では、県知事をはじめ総合事務局、海洋博協会、経済団体、大学講師の方々から沖繩経済の概況、海洋博準備状況、伝統産業の現状などについて説明を聞き、本部の海洋博会場の建設状況を視察するとともに、伝統産業である紅型、漆器、陶器を視察。
 奄美大島では、名瀬で、福岡通産局、鹿児島県大島支庁、市、町村長会、議長会、商工会議所、大島紬協同組合、紬振興対策協議会などの関係者から、奄美大島全般の概況、奄美大島つむぎの現状などについて説明並びに要望を聴取し、その後大島染織指導所と共同どろ染め工場を視察。
 京都では、西陣織工業組合の関係者から西陣織りの現状などについて説明を受け、後、紋織り、つづれ織りなどを視察してまいりました。
 以下、視察の概要について、簡単に御報告申し上げます。
 まず、海洋博の準備状況について申し上げます。
 本部半島の会場では、出展を予定している政府、沖繩県、民間企業グループなどのパビリオンが建設途上にありまして、鉄骨の組立てなども急ピッチで進められており、また、関連公共事業の工事も進められており、開会までに間に合うであろうという印象を受けました。
 各工事にあたっては、自然保護の観点から、気をつけているようですが、海洋博のため沖繩の美しい自然がそこなわれることのないよう、なお一そう環境保全には万全を期してもらいたいものと思っております。
 海洋博の工事関係は順調に進捗しておりましたが、開会までに解決をはからなければならない問題も多いと思われます。その二、三の点について申し上げます。
 まず、観客の宿泊、輸送対策であります。
 開催期間中に、観客は四百五十万人以上と予想されておりますが、会場付近には、観客用の宿泊施設はもとより、博覧会の従業員用の宿舎も不足しており、大きな隘路ともなるおそれがありますので、それらを整備させるよう積極的に対策を講ずべきだと思います。
 また、輸送については、会場が那覇市内から遠く離れておるので、宿泊施設の整備とともに重要な課題でありますが、道路建設などはほぼ計画どおりに進んでいるように見受けられますので、バスなど大量輸送手段の確保や、交通渋滞が起こらぬよう交通規制の面で努力する必要があるのではないかと思います。また、陸上交通の不備を補うために、那覇から会場までの海上輸送もやはり確保する必要があろうと思います。
 輸送の問題に関連しますが、現在、那覇空港は、民間、米軍、自衛隊が共同使用しておるので、混雑しておりますが、海洋博の開催期間中は民間機の増便もあるので、事故防止には万全を期する必要があると思います。
 さらに、地元から強い要望も出ておりましたが、海洋博会場周辺の屎尿、ごみ処理などの施設整備事業が比較的短期間に集中的に行なわれておるため、地元の本部、名護、今帰仁、伊江の市町村では、負担が増加して財政の逼迫を招いておりますので、早急に対策を講ずる必要があると思います。
 また、海洋博が、単に開催期間中のお祭り騒ぎだけで終わることがないようにするためには、あと地利用が重要な課題でありますが、これについては県民の意向を十分参酌して、将来にわたってあと地が沖繩県民のために役立つよう有効に活用されなければならないと思うのであります。
 なお、海洋博を記念して、沖繩の伝統的な歌や舞踊を保存発展させるためにも、また、外国からの芸術家を招いての公演など文化的行事を行なうためにも、それにふさわしいホールなどのあることが望ましいことであります。現在、那覇市にある市民会館ホールは不備な点が多いが、市の財政ではなかなかむずかしいと思われるので、国費を補助してでもりっぱなホールに改装する必要があるのではないかと思います。
 海洋博は、昨年秋からの石油危機による総需要抑制策の強化という中で、当初の開会予定より四ヵ月おくれて、いよいよ明年七月二十日から開催されることになりましたが、開会までにあと一カ年足らずとなった今日、まだ多くの問題も残されておると思いますが、「海――その望ましい未来」をテーマとする世界で初めてという海洋博が、沖繩県民のコンセンサスを得て、開催され、そして成功することを期待するものであります。
 次に、伝統産業その他について申し上げます。
 沖繩には、長い歴史の中で育てられてきた手づくりの独特の味わいのある紅型、織物、漆器、陶器など多種多様の伝統産業があります。これらの伝統産業は、原材料の確保、技術者の養成、金融面などについて多くの問題をかかえておりました。
 県でも伝統工芸産業振興条例をつくるなどその振興に力を注いでおりますが、伝統産業は零細企業が多く、組織化もおくれておりますので、組織化を進めるとともに、県の指導のもとに、先般制定されました伝統的工芸品産業振興法を活用して、その振興策を一段と積極的に講ずることにより、伝統産業が沖繩県の主要産業の一つとして、また、観光資源として一そう発展していくことを期待しております。
 古くからどろ染めで知られており、伝統の手織り技術を生かした奄美大島のつむぎは、その生産高、年間二十数万反、群島の中で農水産物など他の生産物に比べてその出荷額も最も高く、奄美群島の主要産業であり、奄美の経済発展に大きな役割りを果たしてきているのであります。
 この大島つむぎも、他の繊維産業と同じように、昨今の不況ムードの中で金融の引き締め、消費者の買い控え、特に韓国産の安い商品によって市場を荒らされておりますことにより、その需要は減退し、生産は伸び悩んでいる現状であります。
 つむぎ産業の衰退は、群島の経済全般に大きな影響を与えるものでありますから、関係者は大島つむぎの振興対策として、韓国からの輸入制限または禁止と高率関税の賦課、原産地証明の厳重なチェック体制、大手商社や問屋への行政指導、その他奄美群島振興開発基金の増額などについて適切な措置を講じてくれるよう切実な要望をいたしておりました。
 これらの要望の中で、輸入禁止などの措置をとることはなかなかむずかしい問題も多いと思いますが、地元の要望を実現するため努力してもらいたいと思います。さしあたり、大島つむぎに類似する外国産の商品に対して、関税法による原産地表示や不当表示防止法の規定の適用を厳重に励行するよう、この際、強く行政庁に要請しておきます。
 なお、二十年前に復帰したにもかかわらず、奄美大島は本土に比べてあらゆる面で格差があるため、その格差是正に特段の措置を講ずる必要があると思います。
 京都の西陣では、関係者と懇談いたしましたが、その際、最近の繊維輸入の増加に関連して、絹織物、特に伝統的な和装製品の国外委託生産や無秩序な輸入を禁止してもらいたい。金融面については、金融機関からの引き締めを受けるほか、支払い代金の遅延、手形の長期化などによる流通面からも金融上の圧迫を受けているので、その対策として、減産資金貸し付け制度の充実、制度融資償還期限の延期などの措置がとられること。また、流通対策としては、生産者の多くが零細企業であるため、問屋などに対し立場が弱く、不当返品、歩引きなども不合理だとはわかっていてもそれに屈してしまうことが多いので、これらを廃止するよう行政上の指導をしてもらいたいと切望されました。また、生産者の手を離れ問屋に渡した商品が、小売り店では大体三倍ぐらいの価格で売られておるが、これは生産者から小売り店に行くまで、複雑な経路をたどっている結果であるから、流通機構の合理化をはかってもらいたいなどの要望がありました。
 なお、伝統産業の振興については、伝統的工芸品産業振興法の運用に大きな期待を寄せておりました。
 最後に、今回の視察にあたり御協力を賜わりました通産省、沖繩総合開発事務局、関係府県、市町村、並びに関係諸団体の各位に対し厚く感謝の意を表して、報告を終わります。
○委員長(剱木亨弘君) ただいまの御報告に対し質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(剱木亨弘君) 産業貿易及び経済計画等に関する件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小柳勇君 いまの報告の中の問題点で緊急の問題がありますから、これを中心にして、特に繊維産業は、全般的に政府の総需要抑制政策によって不況にあります。最近の報告によりますと、各部門とも五〇%ぐらいの受注減、注文が半分になっておる。そういうことでたいへん危機にありますので、そういうものを一括して問題をしぼって質問してまいりたいと思います。
 まず、大きな大前提として、総需要抑制政策によるこの繊維産業の現在の不況、これに伴う倒産など、こういうものを通産省としてはどう把握しておられるか、お聞きをいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近に至りまして繊維産業の苦況は特に顕著に出てきたように思われます。大体受注が非常に減ったということにも見合いまして、滞貨が非常にふえてきておる。それから毛、紡績あるいは化繊あるいは絹、織物等々におきまして、またさらに、最終製品である縫製加工等におきましても非常な滞貨が渋滞しておる情勢でありまして、われわれといたしましては緊急に金融的措置、あるいは債務の償還延期そのほかの措置をいま講じつつあるところでございます。
 具体的には、生活産業局長から詳細に御報告を申し上げます。
○説明員(橋本利一君) 七月以降、特に繊維産業につきましては不況が深刻化しておるという受けとめ方をいたしておりますが、昨今では天然繊維、化合繊、あるいはいわゆる川上、川下を問わず非常に不況が深刻化しておる。特にここ一月ほどの間に一時帰休あるいは希望退職者を募るとか、あるいは一部で転廃業が出てくるといったようなことで、直接問題が労働者、従業員の問題にも及んできておるということで、非常に事態を重視して、できる限りの対策を打っていきたいと、かように考えておるわけでございます。
○小柳勇君 基本的な問題ですから、大臣から御答弁願いたいんですが、この繊維産業の諸君は、特に中小零細企業の諸君は、いまの不況を契機にして倒れるものはこの際もう整理して、政府が手をかけないでも堂々とやっていける強い繊維産業をつくり上げる時期ではないか、一つのチャンスとして、みずからの市場競争の中で弱小企業はもう若干倒れてもしようがない、この際整理統合して、政府がめんどう見ないでも堂々と他の産業と太刀打ちできる繊維産業をつくるんだと、こういうような指導方針が通産省の中にあるのではないかという危惧があるのでありますが、繊維産業は二、三年置きに大きな波があります。それに耐えていって現在生き残っておるものが、また今度は非常な不況にある。それで倒れつつある。そしてみずからの生存競争の中で整理統合されていくんだ、その機会であるというようなことを零細中小企業の人が心配しているのでありまするが、その点については、いや、そんな心配はないんだ、いまの零細中小企業の繊維産業もちゃんと政府がめんどう見て、もちろん共同化、あるいは協業化はしていかなければならぬけれども、全部めんどう見るんだという姿勢であるのかどうか、この辺を明確に御答弁を願っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府といたしまして、この際にそういう企業整理をやろうというような考えは毛頭ございません。もちろん企業の中には、たとえばボウリングに手を出して、それがために金融がつかなくなったとか、あるいは投機的要素を持って収拾がつかなくなったとか、そういうようなものが必ずしもないとは言えませんが、そういうものまでわれわれは救おうとは思いません。しかし、まじめにやっておる中小企業や中堅企業がこの繊維不況から倒産することは阻止しなければならぬし、われわれとしては全力を尽くして、それらのまじめにやっておる企業は、企業なり生計のめどがつけるように努力していく責任があると考えて、一生懸命努力するつもりでございます。
○小柳勇君 それでは、具体的に対策をお尋ねするんですけれども、これは局長に聞きますが、一つは金融面です。長期低利の融資、特に今日までの借金返済に対する延期などですね、具体的にどのような対策を立てられるか、これが一つ。
 それから、機屋など相当職員を一時帰休をさして、一時休んで市場の模様を見たいという機屋もたくさんありますが、そういう機屋に対して具体的には一体どういう対策を立てようとするのか、二点答弁を願います。
○説明員(橋本利一君) まず、金融対策でございますが、本年の三月末のいわゆる年度末金融、あるいは四−六、七−九の金融につきましても、繊維産業に対して重点的に政府三機関を中心といたしまして資金の確保につとめてまいったわけでございます。特に対象といたしましては、減産資金あるいは在庫手当て資金等に重点を置いておるわけでございます。
 それから、これから十月−十二月にかけまして一そう環境がきびしくなってまいります。そういった事情から、特に従来以上に中小三機関を通じまして繊維産業に資金融通をはかりたいということで、現在中小企業庁を通じて関係の省庁と折衝中でございますが、私といたしましてはできるだけ早く、かつ、できるだけ多くの資金を繊維対策に充当し得るようにつとめておるところでございます。
 それから返済につきましては、すでに本年の初めからいたしまして、それぞれの企業の経営の実情に応じまして、できるだけ返済を猶予するようにということでやっておるわけでございます。ただ、一部で一律に返済猶予できないかというお話もございますが、これは先生御承知のとおり、中にはやはり返済可能のものもございますし、返済された資金が再度また新しい貸し付け財源として活用されるといったような事情にもございますので、たてまえといたしましてはあくまでケース・バイ・ケースに指導する、ただ、非常に問題のある案件につきましては、通産局あるいは本省等を通じてあっせんしてまいりたい、かように考えております。
 それから一時帰休につきましては、特に労務対策として慎重に対処する必要があるということでございますので、かねがね労働省のほうともよく連絡をとりまして、最悪の事態を避け得るように、現在のいろんな労務者対策の諸制度を活用して万全を期しておるという段階でございます。
○小柳勇君 全般的には聞きましたけれども、全国縫製組合及びニット生産者の諸君から大会決議をもって要請が参りました。通産省にもこの要請を回しておきましたけれども、受注が半減してたいへん倒産も目前に迫っておると、この危機に対して特別に資金繰りなど用意してもらいたいという要請がありましたが、この具体的な要請に対しては今後どういたしますか。
○説明員(橋本利一君) いま御指摘のありました、衣料縫製並びにニットの業界に対します年末金融につきましては、先ほど申し上げました現在関係省庁と折衝中であるところの資金手当ての中で、これは業種別に幾ら、あるいは地域別に幾らとワクを設定することは困難かと思いますが、できるだけ多くの資金をこれに充当し得るようにいたしたいと考えております。
○小柳勇君 一昨日の新聞でございますが、「中小企業へ年末融資拡大」として、通産省の方針としては、政府系の三機関から十月−十二月で八千五百億程度に要請する、そうして倒産増加に歯どめをかけるという新聞記事が出ておりますが、この八千五百億程度というものの中で何割ぐらいが繊維産業を考えておりますか。
○説明員(橋本利一君) 実は、その八千五百億というのは全体の数字かと思いますので、私からお答えしかねるわけでございますが、この中で繊維には幾らほど期待しておるかという御趣旨でございます。これも現在折衝中でございます。ただ、四−六につきまして追加融資額が一千五百億、それから七−九につきまして一千億あったわけでございますが、その中からかなりの部分を繊維産業に充当いたしておりますので、全体としてのワクがきまった中で――いまの段階ではまだ数字的には申し上げかねますが、できるだけ多くの金額を繊維産業に振り向けたい、かように思っております。
○小柳勇君 大蔵省の理財関係の点、いまの質疑応答の中で通産省、特に中小企業庁の諸君は非常に苦労しながら繊維産業の救済、その他繊維産業だけじゃありませんけれども、繊維産業にいま限って質問しておりますが、年末に相当企業倒産も予想されるから、政府系三機関に対して特別の融資拡大を要請しておるところでありますが、大蔵省の方針をお聞きしておきたいんです。
○説明員(垣水孝一君) ただいま生活産業局長からもお話ございましたように、第一四半期で千五百億、それから九月になりまして一千億の追加をいたしたわけでございますが、これはまあ第一四半期なり当面ということでございまして、年末に至りますれば、またかなりの需要があるということは十分承知していると申しますか、覚悟しているところでございまして、こういうものに、すでに第一四半期や九月に追加いたしました分のいわばしわ寄せということまでも含めまして、年末には何とか健全な中小企業が倒産に追い込まれるというようなことがないように、総需要抑制の中ではございますけれども、特段の配慮をするように中小企業庁や銀行局とも目下打ち合わせているところでございます。
○小柳勇君 いまのその健全な中小企業というのは、非常に意味深長でございますけれども、もちろんさっき大臣がおっしゃった、たとえばボウリソグなどに手を出して、赤字をうんとかかえ込んで倒れるというようなことは、これはだれが考えても健全ではないかもしれません。ただ、いろいろいままでの社会情勢で、仕事をたくさん持たないと、一つだけでは浮沈がひどいので手を出した者もありましょうけれども、少なくともまじめにやっておる繊維産業の零細中小企業が、いまの政府の政策によって、総需要抑制策というその政策の犠牲になりませんように考えてもらいたいのが一つです。
 それからもう一つは、この際に少し弱い繊維事業者はおのずから整理統合されていくんだという、そういう懸念がありますから、そういう懸念を払拭できるように各地方自治体とも連携をとっていただきまして、大蔵省もひとつ通産省などからの要請がありましたら、十分にこれに対して対策を考えてもらいたいと思うのです。
 それから次は、いま報告にもございましたけれども、発展途上国からの輸入の急増でございます。特に台湾、韓国、香港などから繊維品が逆輸入されまして日本の繊維産業を圧迫する、こういう実態について通産省としてはどのように把握しておられますか。
○説明員(橋本利一君) 昨年は、繊維産業特有の構造的な原因に加えまして、上期において需要が堅調であった、あるいは円高レートで推移したといったような特殊な事情も加わりまして、一−十二月で繊維製品の輸入は十六億七千九百万ドル、一年前に比較いたしまして三倍程度の輸入になっておるわけでございます。ただ、こういった輸入につきましても、本年に入りまして、一−六月の間におきましては約十億ドルということで、必ずしも低い数字ではございませんが、特にこの四月以降月を追いましてきわめて鎮静化の傾向を見せておる、かように見ておるわけでございまして、たとえば月別の輸入額を比較いたしますと、昨年は八月から十月にかけまして輸入が最もふえたときでございますが、当時月間二億ドル程度で輸入があったものが、最近では一億五千万ドル程度に低下いたしております。あるいは今年の一−三月と四−六月を比較いたしますと、一−三月が五億六千万ドルに対し、四−六月は四億六千万ドル。先ほど申し上げましたように、この四月以降かなり鎮静化した傾向を見せております。
 この中でも、韓国、香港、台湾等からの輸入が、昨年は非常にふえたわけでございますが、これにつきましても、世界からの総輸入額の傾向で申し上げましたような鎮静化の傾向が、この三国についても一段とこの四月以降目立ってきております。さようなところから、本年の一−三月まではまだ昨年の物資不足の当時に、長期買い付け契約をいたしましたものの通関ということがございまして、必ずしもまだ水準が低くなっておりませんが、四月以降特に昨今におきましてきわめて鎮静化の方向を示しておる、こういうふうに実態把握いたしております。
○小柳勇君 大臣にお伺いするのですが、私どももたとえば大島つむぎ、あるいは西陣などで輸入規制を要請されたときに、国際的な問題もあるので、簡単に輸入規制ということは言えないのですよと、非常に慎重に答えてはきましたが、いまのような情勢、内需は五割になった、その上に近隣諸国から逆に輸入をして、それが倉庫の中にストックされているというような現象を考えますと、この業者の陳情にも、ただ輸入規制と書かないで、秩序ある輸入の規制をお願いしたいという非常に現実的な、へりくだった要請があるのでありますが、現在の日本の繊維産業が倒壊寸前にあるときに、野放しで輸入していいのかどうか、この点について大臣の見解を聞きたいのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点につきましては、秩序ある輸入ということを実行しておりまして、まず、輸入業者等について輸入の報告を聴しております。それから、統計数字等を示しまして在庫の数量等々にかんがみまして、輸入に関して考うべき点があればそれらをわれわれは内面指導する、そういう形によってやっておるわけでございます。なお、韓国それから台湾、あるいは中国、香港等々の問題、特に生糸や絹織物等の問題につきましては、いろいろデリケートな問題もございますが、製品の問題等につきましても、同じようにわれわれはいろいろ行政指導をやっておるというのが実情でございます。
○小柳勇君 いまの大臣の答弁によりますと、報告を受けて、在庫量あるいは内需など勘案しながら現在もチェックしている、したがって、将来もこの輸入は多過ぎるのだというときは商社に対して行政指導をする、そういうようにとっていいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) けっこうでございます。
○小柳勇君 外務省からも来ていただいておるのですが、いまの輸入規制の問題で通産省の方針はわかりましたが、外務省で特に何か方針があるかどうか、お聞きします。
○説明員(小宅庸夫君) お答えいたします。
 この輸入規制の問題につきましては、従来から一般的な日本政府の立場としては自由貿易の原則に立ってやっているわけでありまして、従来のその考え方をこの機会に急速に変えるというわけには、いろんな問題がありますからいかないと思いますけれども、いろいろと国内で今後問題が起こってまいります際には、関係省とも十分相談して本件を考えてまいりたいと思います。
○小柳勇君 わかりました。
 次は、輸入規制よりももう少し具体的に特恵関税の撤廃、あるいは特別な配慮を願いたいという要請でありますが、在庫量がたくさんあって限度額に満たないような品物もある。たとえば綿糸、綿織物、メリヤス、外衣類などそういう過剰品目については、限度額に満たないために特恵供与停止ができないわけで、これらの品目についても、国内産業保護のために、限度額に満たなくても供与を停止することはできないものであろうかという質問でありますが、大蔵省から御答弁願います。
○説明員(松尾直良君) 繊維品についての特恵の御質問でございますが、繊維品につきましては、国内に中小企業が多いということから、特恵関税を供与するにあたりまして特に慎重な配慮を従来からやってまいりまして、先生御承知のとおりでございますが、生糸、絹織物といったものについては、これは特恵を供与しない例外品目といたしております。
 それから特恵関税は、原則といたしまして、鉱工業産品につきましては特恵税率をゼロにするということでございますが、綿糸、綿織物、外衣類、こういったものにつきましてはゼロにしないで、普通の税率の半分にとどめるという制限的な特恵の供与になっておるわけでございます。それから、一般にシーリング方式をとっておりまして、一定の限度内だけしか特恵を供与しない。その中で綿糸、綿織物、それからメリヤス編みもの、メリヤスのくつ下類、こういったものにつきましては、一定のシーリングの中でさらに運用といたしまして、通産省から発給されました割り当ての証明があると、こういうものについてだけ特恵を適用する、いわゆる事前割り当てという、このワクの中でさらに制限的な運用をしておるというように、繊維産業につきましては、従来から特恵制度の中ではかなり制限的と申しますか、国内で十分配慮をしてまいったわけでございます。
 こういった特恵を、ワクに至らなくても停止をするということはできないか、こういう御質問かと存じますが、特恵関税というのは、国連貿易開発会議におきます国際的な合意によりましてできました制度でございまして、現在、この繊維品の総輸入の中に占める特恵の割合というのはかなり小さい。私ども、昨年の数字で見ますと、全体の繊維の輸入の中で特恵による輸入というのは大体四%弱というような数字になっております。開発途上国からは、特恵のワクが小さいからもっと拡大をしろ、その運用を改善をしろということを機会あるごとに言われておる状況でございまして、いま申し上げましたような国内に十分配慮をいたしておりまして、先生御指摘になりました綿糸とか綿織物といったものは事前割り当てというようなことでいたしておりますので、これをにわかに停止をするということはなかなか困難であろうかと、かように考えておる次第でございます。
○小柳勇君 にわかにはできないでしょうけれども、このような実態がこれからどのくらい続くかわかりませんけれども、深刻です、現地は。だから、いまあなたのおっしゃることはわかっていますけれども、考えることはできないかと言っているわけです、いかがですか。
○説明員(松尾直良君) 特恵関税の運用につきましては、繊維に限らず国内の中小企業というものへの配慮ということは、私ども従来から念頭に置いてやってきておりますので、特恵輸入によって国内の産業に非常な打撃があるというような重大な事態というようなことのないように、その運用には十分配慮をしていきたい、かように考えております。
○小柳勇君 次は、原産地表示の明確化の問題でありますが、私のいまの報告にもありましたように、たとえば大島つむぎ、あるいは西陣など韓国で織りましたやつを、何にも原産地表示しないでまた日本に来て、それで残った糸で織り直して、それに本場大島つむぎと書き入れるというような巧妙な逆輸入がなされている。そして値段も半分、三分の一ぐらいで市場に出てまいるというようなことで、市場が混乱をいたしておりますが、原産地表示の明確化について関係省庁から資料をとりますと、公取から商品の原産国に関する不当な表示の告示が出ている、運用基準まで出ておりますけれども、これには誤った、あるいは不正な表示はできませんぞと書いてありまするが、何にも書かないで、原産地表示を何にもしないでやったものについては云々ということはちっとも書いてないわけです。したがって、原産地をはっきり表示してもらいたい、そして税関を通してもらいたいという業者の要望に対してはどういうように政府はお答えになりますか。まず公取から聞きましょうかね。
○説明員(後藤英輔君) 原産国の表示につきましては、先生御指摘のように、ことしの五月一日からその告示が施行されまして、繊維製品等を中心といたしまして、国産品と誤認されるようなおそれのある外国産品については原産国が明示されるというようなことになっておりまして、その点につきましては、どういう形でもってその原産国の表示を判断するかという点、これは関税法との関係もございまして、大蔵省とも相談いたしまして表示の判定基準をつくって、そういうものが国内に入る場合に、原産国が韓国であるというものについてはそういう表示があるようにということをしております。ただ、先生御指摘のように、何も表示がしていないものについて、それが法律上どうかという問題でございますけれども、これはただいまの私どもの法律では、それだけでは原産国表示の問題として取り上げるわけにはまいらないというのが法律の実情でございます。
 ただ、こういう問題もございますので、私どもといたしましてはもう一つ別な観点からの行政と申しますか、国内で生産される、そういう本場あいは伝統工芸品であるというようなものがいい品物であって、消費者のほんとうに信頼を得て、消費者の選択にこたえていけるようにするための、むしろ積極的なそちらの面での表示というものを進めていく方策というものを考えるべきではなかろうかという面で、そういう点で不当景品類及び不当表示防止法の第十条で業界がルールをつくりまして、あるすぐれた品質、規格の商品をつくりました場合にはどういうふうな表示をするか、そういうルールを業界のほうで守れば、むしろ日本の本土でできましたそういうすぐれた商品が、消費者選択の場合に表示を通してはっきりわかると、そういう積極的な面でのメリットがございますので、そういう公正競争規約の制度の活用ということを、たとえば大島つむぎにつきましては鹿児島県庁と、それからそれにつきましては伝統産業振興法の関係もございますので、通産省等とも相談いたしまして、公正競争規約の活用という面で、日本のすぐれたそういう伝統産業が消費者の選択の際に容易に選択できる基準をつくるという面での行政を考えていま進めておるところでございます。
○小柳勇君 それはわかっているんですけれどもね。大蔵省の関税の方、いますか。――税関を通るときに原産地表示を全然してない織物が税関を通っていると、誤った、あるいは不正な韓国産をメード・イン・ジャパンとしておったらこれは不正表示ですけれども、何にも書いてない、それが日本に入ってくる。そして、日本に入った上でまた今度は織り込むというような、そういうことをやられているが、税関の場合は、外国産のものが何も原産地を明示せぬでも、これは関税法としては不正ではないわけですか。
○説明員(小田和美君) お答えいたします。
 関税法第七十一条の規定によりますと、御承知かと思いますが、「原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示が」あった場合には輸入を許可しないと、こういうことに実はなっておるわけでございます。したがいまして、そういう誤認を生じさせるような行為がございました場合には、税関としては、昨年の春以来何回かにわたりまして数々の規制を強化してまいった次第でございます。ただ、先生ただいま御指摘のように、何らの表示のないものにつきましては、ただいまの関税法の規定によりますると、実は誤認を生じさせる表示があったときはできないと、こうございますので、そこまで七十一条を適用することはできない、こういうふうに考えた次第でございます。
○小柳勇君 大臣、公正取引委員会でも大蔵省の税関でも、誤った不正の表示があれば取り締まりますけれども、何にも書いてないやつはどうしようもないわけですね。それは商社が悪いのですが、
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
日本の商社がこの大島つむぎを韓国でつくらせて、それを何にも書かないまま日本に持ってくるわけです。そして今度はそれを大島で織ったと、本場大島つむぎと織り込ませる、鹿児島で。そしてそれを大島つむぎとして売り出す。そういう不正な、不正も悪質な詐欺行為がなされておるんですけれども、そういうものは現在の法律では取り締まることができないのであるが、どうやってそういうような詐欺行為を禁止されようとしますか、大臣の見解を聞きましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、大体そういうことをやっていると思われるところは業界でもある程度見当がつくわけでございますから、通産局が注意をいたしまして、そういうことを行政指導によって取り締まっていくようにしていきたいと思います。
○説明員(橋本利一君) 補足して申し上げたいと思いますが、ただいまの先生の御質問の中に、無表示で入れてまいって、国内に入ってから表示をさせるというお話がございましたが、これにつきましては、先ほどの公取から御説明ございました通関段階では税関であるわけでございますが、入ってからあと虚偽表示した場合には、いわゆる景表法の四条に基づいて不公正なものとして指定されておりますので、これは法的にチェックし得るものと考えております。
 ただ、無表示のものに表示させるかどうか、いわゆる強制表示の問題があるわけでございますが、これにつきましては、御承知のガットの第九条におきまして、原産地を強制表示させることについては原則的に禁止しているわけじゃございませんが、無差別に適用するということと、輸出国に必要以上の負担をかけないようにといったような規定もございますし、かたがたこれの運用によりましてはノン・タリフ・バリアになる可能性があるということで、日本の立場といたしましては、どちらかというと、いままでずっと原産地表示を強制することについて反対の立場をとっておったといったようなこともございまして、表示のないものを表示さして通関させるということについては、いろいろ慎重に検討すべき問題があるかと思います。
 ただ一つ、先ほどもお話の出ておりました伝産法の中に、伝統的工芸品として指定された産品につきまして表示をしてよろしいという規定もございます。かたがた、予算措置を講じましてそういった伝統的工芸品につきまして展示会等を積極的に奨励いたしておりますので、消費者選択の利便といった面からいたしましても、やはり積極的に本邦製品の品質的な優秀性をPRしていくということも非常に大切なことかと考えているわけでございます。
○小柳勇君 そのあなたのあとのほうの一いまの大臣のおっしゃったことを前提としてあなたのいまあとで発言されたことを守ってください。大臣のおっしゃったことをまず前提としませんと、日本では原産地明示することはいままではあまり強要しなかったと、そういうことでは問題にならぬのです。大臣がおっしゃったように、韓国産が白紙で来て、また内地に来てからこれに本場大島つむぎと織り込むような、そういう不正をやる業者はわかっておりますから、商社もまたわかるでしょうから、行政指導でそんなものはやらせませんと、そう大臣はおっしゃった。まずそのことをあなたはがちっと腹に入れておいて業者を指導しておいて、その上でいまの国際的なことは考えておきませんとね。当面の困っていることをいま言っているわけです。私ども現地を見てきたんです。大島つむぎが韓国から送られてくる、そしてこれだけ糸が残っている、それが税関を通ってくるわけです。これはさっき大蔵省がおっしゃったように取り締まる方法がないから。鹿児島に行ったとき、今度は鹿児島で本場大島つむぎと織るわけです。韓国でつくった日本の値段の三分の一から二分の一の大島つむぎができ上がるわけでしょう。そうして、両方ともたとえば京都のデパートで大島つむぎと出ているでしょう。片一方は二十五万、片一方は九万、ちょっと見たらわかりません、よく見たらわかるやつを比べて見せてもらったらわかりますけれども。そういう不正なことでは市場も混乱するでしょう。あの伝統的工芸、織り方を見てきましたけれども、これはとても八万円か九万でできるような品物じゃないこともわかりますが、ただ、韓国は労働賃金がうんと安いからできるでしょう。その問題はあとで労働省に聞きますが、そういうものを悪用しているわけです、商社が。お互いの織物業協同組合の者は自分たちの仕事の首を締めることだからやりませんけれども、商社がそういうことをやるわけですよ。そういうものは取り締まるぞと大臣はおっしゃっていますから、取り締まってください。絶対今後ないようにしてください。その上でいまあなたが答弁したことは考えておいてください。
 それから、これは大島つむぎだけじゃありません。西陣でもありましたが、最近業者がおのおの自粛したそうです。これは久留米がすりでもありましょうし、あるいは博多織りにもありますから、十分にひとつ大臣のおっしゃった行政指導の方針はちゃんと局長が腹に入れておいてくださいよ。それで課長さんにも通産局にも言っておいてください。ほんとうは通達でも出してもらいたいと思います。でないと、五人も現地へ、国会議員が見に行って、ちゃんと陳情を受けて善処しますと言ってきておるのですから、やってもらわなければ困りますよ。
 それから、いまの不当表示も少し法が不備ですから、こういうように日本の織物業がせち辛くなりますとまた再々起こりましょうから、今度次の機会に法律改正か何かいたしまして、公正取引委員会でも税関でも法律によって取り締まれるようにしなきゃならないと思いますね。これは担当をどこにするか、あとでまた検討して、委員長に相談して理事会にもはかることにいたしましょう。
 次は、海外投資の実態について聞いておきたい。
 これはまず大臣にお聞きしたいんですけれども、いまのような総需要抑制政策で日本における需要が減ってまいる。及び日本の労働賃金が、まだ外国に及びませんけれどもだんだんよくなる。そういたしますと発展途上国のほうに日本の企業が進出して、そこで日本でつくっておったと同じような品物をつくる、それを逆に輸入する、そういう傾向はますます増大してまいります。これを経済協力の一環として考えて、企業進出を自由にまかしておいてよいのかどうか。企業道徳の問題もありますが、もうけ主義だけでは私はいかぬと思います。この海外投資の問題について、あるいは将来の方針について通産大臣はどうお考えになるのか、お聞きいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 特に近隣諸国との関係におきましてその製品が逆輸入、逆流してきて、そうして日本の中小企業を圧迫する、そういう危険性のある事態が最近心配されてきております。そういう事態に対応して、海外投資につきましては、われわれのほうでもある程度考えなくちゃならぬ要素はあるのではないか、そういう意味で、日本経済と近隣諸国経済との連携及び協業、相互融通等につきまして、あまり国内の中小企業等に摩擦が起きないような配慮を若干しつつ海外投資につきましても指導していきたい、そういうように考えております。
○小柳勇君 海外投資の問題については、これは重要な問題ですから、また予算委員会で根本的に各大臣の列席の上で質問をしていきたいと思いますが、その中でいま当面問題になっております、たとえば韓国の労働者を雇うと賃金が安い。だからちょっと見にはわからないような大島つむぎが日本では二十万から二十五万するのに、韓国産は十万円以内で売れる。もちろん原料、染料も違います。そういうようなものを、消費者の立場から言えば、見た目が同じの大島つむぎであれば、二十五万円よりも九万から十万のほうを買いたい。だからわれわれも国民の代表としていま織物業者だけを守っていいかどうかということの疑問を、問題を持っています。簡単にこの逆輸入はけしからぬということがいいかどうか。ただ、労働賃金が二分の一から三分の一であるから、日本から韓国に機械を持っていく、指導員を持っていって、そして類似の品物を、極端に悪いことばで言えば無表示のまま日本へ持ってきて、そしてこれを大島つむぎとして売る、あるいは西陣織りとして売る。そういうものを、企業がただもうけるために日本の労働者よりも韓国の労働者を使うのだと、そういうような考えでいいかどうか、こう思うわけです。
 だから、これは少し一般論として労政局長に質問したいのは、海外にたくさん日本の企業が進出しておる。そして海外で、安い労働賃金でコストを安くして日本に――日本にだけじゃありません、これは外国で売れるものもありますが、その中の一部が日本に逆輸入してくる。その場合に、日本であれば労働基準法が適用される、労働三法が適用される。そして日本の賃金水準で働かせる。外国へ行ったらそんなものは全然考えないで、野放しで企業は外国の労働者を使ってよろしいものであろうかどうか、こういう問題について労働省はどうお考えですか。
○説明員(道正邦彦君) 東南アジア諸国等におきましては、一国一国がそれぞれ労働条件は異なっております。労働の慣行も非常に違っております。また、日本から進出いたしております企業の業種、あるいは現地での従業員の年齢構成等も千差万様でございます。したがいまして、進出先の労働条件と、それから日本の労働条件とを単純に比較することは非常にむずかしい問題でございます。しかしながら、進出企業の賃金等につきましては、その国の賃金水準等をも十分考慮して、適切な水準にきめるべきことは当然と思います。
 従来、労働省でお願いをいたしまして、労使あるいは学識経験者、三者構成による実情調査団も派遣いたしていろいろ調査をいたしておりますが、一般的に申しまして、日本の進出企業の賃金が現地の水準を下回っている、それによって大きな問題を起こしているという例は、一般的にはないように承知いたしております。
 また、労働基準法のお話がございましたけれども、進出企業が現地の労働法令に従って労務管理を行なうことは当然でございます。そういう点について、現地の労働法制を無視してかってなことをするというようなことで問題を起こすことも、一般的には現在はないのではないかというふうに考えております。最初に申し上げましたように、労働省といたしましては、企業の海外進出は非常に最近ふえておりますだけに、海外進出企業をめぐる労働情勢につきましては情報の収集につとめると同時に、国内の関係者に対しましてもこれを提供をするということが必要と考えております。
 具体的には、四十八年度からはそういう趣旨で多国籍企業労働問題各省連絡懇談会というのを設けておりまして、これは大蔵省、外務省、通産省と私ども労働省とが入りまして会議を設けておるわけでございますが、そういう場で連絡を行なうと同時に、組合側におきましては、多国籍企業問題対策労組連絡会議というのをつくられております。また、経営者側におきましては、先般、日本在外企業協会というのを設置されまして、それぞれこの問題について調査あるいは対策の検討を行なっておられるわけでございますので、そういう団体とも連携を密にいたしまして、御指摘のような不当な問題あるいは不法な、法律に違反するような事態を現地で起こすというようなことはゆめないように、今後とも十分対策につとめてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○小柳勇君 海外進出企業が現地で労働者を雇いますと、企業と労働者の間に相当の紛争もあるわけですね。ここに実績もございます。労働省はこれをお調べになっておるわけですね。これについて一体どう対策を立てておられるかということと、当初に質問しましたように、日本の半分か三分の一の労働者の賃金をそのまま、これは現地の相場だからよろしいんだということで、もうけ主義の考えで労働省としてはおられるのかどうかということに対しては、いま答弁がなかったようですけれども、その点どうですか。
○説明員(道正邦彦君) わが国の賃金水準は、労働力不足というようなこともございまして、毎年着実に高まってきております。したがいまして、企業の海外進出によりまして、日本国内の賃金その他労働条件が圧迫されるというようなことはないんじゃないかというふうに考えております。ただし、在外企業がその国におきまして事業する以上、労働面についていろいろ問題を起こす可能性はあるわけでございます。私どもといたしましては、進出される企業が十二分に当該国の労働法令あるいは労働条件、労務管理の実態というものを腹におさめて、その国の経済発展に資することはもとよりでございますけれども、雇用の確保あるいは労働条件の改善等を通じまして、喜ばれる形で企業進出が行なわれるべきものというふうに考えております。
○小柳勇君 もう一問ですね、労働省。昭和五十年度のおたくの予算の要求を見ますと、「変動する国際環境に対応した多角的労働外交の展開」という項に十一億二千九百万円の予算を要求してある。そのうち「在外企業労働者の日本への理解を深めるための計画」として、これ「心の河計画」と書いてありますが、これにわずか千三百万円しか使ってないわけですね。いま局長がおっしゃいました、日本の企業が発展途上国に進出してそこの低賃金の労働者を使う、しかも、そこには完全な労働法などがあればいいが、完全な労働法――まあ完全といいましょうか、国際水準の労働法というものはおそらくない。そこで安い労働賃金で使う、そういうものが今日までの労使紛争でありましょうが、それを何とかこの際ひとつ打開しようというようなことであろうと思うけれども、こういう十一億二千九百万円の予算を使ってあります。具体的にはこれはどういうことをしようとするのか、「心の河計画」でわずか千三百万円しか使ってありませんが、ほかの十一億あまりのお金は一体何に使おうとされておるのか、お聞きしておきたいのです。
○説明員(道正邦彦君) 直接多国籍企業問題の予算といたしましては、四十九年度予算におきまして初めて、金額は少ないのでございますけれども、約三千万の予算が入っております。これによりまして、すでに七月、八月にかけまして、公益――大学の先生方が中心でございますが、労使の代表の御参加を得まして東南アジアを中心に――ブラジルにも参りましたけれども、六カ国の調査を、かなり綿密にいたし、調査は終わっております。すでに二カ国につきましては報告会もいたしております。本日もあしたと二日にわたりまして、残っている四カ国につきましても報告会を実は開催をする予定にいたしておりまして、九月に行ないました報告会におきましては、私どもの予定している参加者をはるかに越える多数の参会者があったわけでございまして、非常に関心が高まっておるというふうに思っております。
 ただ、最初に先ほども申し上げましたように、開発途上国と申しましても、一国一国によりまして非常に違うわけでございます。ある国の例をもちまして、別の国に参って同じようなビヘービアで臨みますととんでもないことになるという例が多いわけでございますので、それぞれの国につきましてきめこまかな実情把握と対策が必要でございます。そういう意味で、今後は調査をさらに続けると同時に、六カ国以外の国につきましての調査も続けなければなりませんし、そのほか技術訓練の援助等も拡充してまいりたいというふうに考えております。
 なお、質問の中でございました「心の河計画」と申しますのは、進出企業が現地で労働者を使うわけでございますけれども、その中で将来当該企業をしょって立っていってくれるような中堅職員を日本に呼びまして研修もし、日本の実情も知ってもらうというような計画でございます。要するに、一人一人の労働者がほんとうに日本の実情を知り、日本の海外進出の真意というものを理解して、喜ばれる形で企業進出が行なわれるようにするための計画でございます。そういうものに対しまして、国としてもできる限りの援助を側面からしていきたいというような予算でございます。
○小柳勇君 私の期待するような具体的な答弁ありませんが、たとえば、進出企業は労働賃金は安いけれども、現地で労働者の職業訓練をやるとか、労働者教育をやるとか、経費はやっぱりかかるんだと、そういうような労働省として積極的に進出企業に対する労働者対策というものを考えてもらいたいと思いますが、時間の都合もありますから、これはまたの機会にお話をしたいと思います。
 そこで、もう一つは一時帰休、繊維産業など一時帰休をいたします。これは繊維産業が不況になりますといつも問題になる話でありますが、一時帰休の労働者が帰ってしまいまして、保険が取れればいいけれども、取れない労働者もいましょう。先般の国会で雇用保険法は流れたが、特別に一時帰休の労働者に対しては対策を考えていますか。
○説明員(道正邦彦君) はなはだ恐縮でございますが、私、職業安定局長ではございませんので、概括的なことしかお答えできませんが、先ほど来御質問の中にもございましたように、総需要抑制政策の浸透に伴いまして、雇用面にいろいろ重大な問題が起きてきております。全体の問題として申し上げますならば、有効求人倍率というのがございますが、これは求職者に対する求人の割合を示すものでございますが、季節調整済みの指数で四十八年十一月には一・九二倍であったのでございますが、それをピークにいたしまして低下の一途をたどり、本年八月には一・二倍になっております。これは景気変動を最も端的に示す雇用指標というふうにいわれているものでございます。有効求人倍率一と申しますのは、ドル・ショックの場合、四十六年の十二月、四十七年一月に一をわずかでございますが下回ったことがございますが、そういう数字に近づいてきておるわけでございまして、先ほど通産省のほうからもお答えございましたように、私どもといたしましても、事態を重大な関心を持って注視しておるわけでございます。
 東洋紡の三千人の希望退職募集等の記事も新聞に報道されておりますが、繊維を中心にいろいろ問題が起きているわけでございます。この問題につきましては、現在労使間で話し合いが行なわれております。私どもといたしましては、こういうことになることを予想して必ずしも法案を提出したわけではございませんけれども、先般、国会でお願いいたしました雇用保険法案が通っておれば非常に大きな対策になったんだというふうに考え、返す返すも残念だというふうに思っておりますが、そうばっかり言っておれませんので、現行法のワク内におきまして、極力きめこまかい対策ができるような方途を検討しなければならないということで、労使の交渉の推移を見きわめつつ、労働省といたしましても関係省庁と連絡をしながら、きめこまかな対策を現行のワク内でも考えてまいりたいというように思っております。
○小柳勇君 最後に通産大臣にお伺いしますが、流通機構の整備の問題であります。
 この私の視察報告にもありましたように、たとえば西陣織りで、生産者から出た値段の三倍ぐらいで国民がこれを買っておる。これは流通機構が複雑で何段階もマージンを取られるからですということを生産業者が言われる。で、私はこう言いました。これだけりっぱなスタッフが生産組合の中におられるから、消費組合のほうに行って、なるべく中のマージンを少なくしておたくのほうで売るようにお互いに話し合いましょうやとなぜ言いませんかと、こう言う。ところが、生産組合としてはそこまでの力はございません、したがって、行政指導をお願いいたしますと、こう言われる。だから、流通機構整備の問題は来年の予算にも出ておりまするが、具体的にそういう織物などがもう少し市民に安く手に入るために、そしてよい品物がたくさん売れるようにするためには、流通機構をもっと簡素化して、そして生産の値段にわずかのマージンで、安い値段で国民の手に入るようにしなければならぬと思う。これは業者からの陳情が出ていることもおかしいと私は思う。業者みずからがもっと努力しなければならぬと思うのですけれども、行政指導としては早期にやらなければ、いまのこの物価狂乱も押えられぬと思うが、いかがですか、どういうふうな対策を立てますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のように、繊維のような場合はわりあいに中間段階が多うございまして、それが物価に影響しているところもあるわけでございます。しかし、これを急激に阻止するというようなことはなかなか適当ではございません。おのおのそれによって生業をし、生活のかてを得ておるわけでもあります。しかし、長期的に見まして、そこに不能率な部分とか物価騰貴の強い要因があるというような場合には、徐々にこれを解消していく必要はあるだろうと思います。それで通産省としましては、いま何段階、どういう形にあるかという実態調査を各品目についてやらしておるところです。繊維のみならず、ほかの商品についてもやらしておりまして、その実態調査を見きわめました上で、これを具体的にどういうふうに関係各位の御協力を得て合理的に改善していくかということを取り上げていきたいと思っておるわけであります。その関係業界各段階等における取引の改善の協議会も実はつくらせまして、それによっても内部的に調整もしていく、そういうことも一方においては考えております。しかし、この点につきましては、われわれの来年度の非常に大きな仕事といたしまして、流通段階における経費の節約、節減ということをかなり強く来年は取り上げて努力していきたい、こう思っております。
 繊維につきましては、新繊維法がおかげでできまして、いわゆるポスト構革という面において、流通段階まで含めた縦、横の合理化、そういう面まで法的にも整備されておりますので、ああいう新しくつくっていただきました法律も根拠にいたしまして、われわれは合理化促進に邁進していきたい、そう思っております。
○小柳勇君 これで質問終わりますが、いまの繊維だけでありません、たとえば鉄工所の社長なども、原料を取りますと、もう間に商社など二段階か三段階ある。ただこの机の上でカードを書くだけで、もう何割かのリベートを取っていく。それが下請関係になっておるわけですね、このほうの。だから支払い方法だって、手形で長期、しかも文句言うとすぐ切られるということで、この日本のいまの商業行為、特に商社のもうけ方、こういうものを通産省として根本的にやっぱり検討して、そしてこの間のマージンを少なくすると同時に、機構そのものを、たとえばもう一段か二段、生産から販売――この卸、生産から卸からあと販売、もうこの三段階なければいかぬなどという、そこのところの機構の規制も、この際やはり考えていかなければならぬのではないかと考えるわけであります。いまの西陣の場合、特に具体的に例を出して陳情がありましたものですからいま質問したわけですが、またこれは、全般的な問題もありますし、次の機会にも質問いたしますけれども、十分ひとつ御勘案願いたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○理事(熊谷太三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
○委員長(剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○対馬孝且君 家庭用灯油に関する件と、北瓦斯の値上げをめぐる公聴会の問題に関しまして二点お伺いをいたします。
 まず最初に、灯油問題に関しまして私が物価特別委員会で一回、本日の商工委員会を含めて三回の灯油に関する質問をしなければならないほど北海道の道民にとりましてはもう深刻な問題であると同時に、まさに需要期に入っておりまして、もはや九〇%の道民がストーブをつけなければ寒さに耐えられない、こういう現状になっているわけであります。したがいまして、先般の九月十八日に開かれました商工委員会におきまして、私の最後の質問に対しまして、中曽根大臣は、最終的な固めとして今週中に北海道に課長を派遣いたしまして調査を行ない、最終的な判断をきめたい、こういう答弁がなされまして、私もこれを了といたしました。したがって、現地に行ってこられました各界並びに各層の実情判断というものを精流課長はなされたと考えますが、これらの実情把握に基づいてどういう判断を今日の時点でなされているのかということにつきまして、まず、現地へ行ってまいりました精流課長から最初にお伺いをしたいと、こう思います。
○説明員(松村克之君) お答えいたします。
 先月の二十日、二十一日の両日にわたりまして、家庭用灯油の問題について所管している課長といたしまして現地に、札幌のほうに調査におもむいたわけでございます。
 現地におきましては、北海道庁、札幌市、札幌通商産業局及び石油についての小売りの商業組合の各関係者、それに特に各消費者団体の代表の方方と面談をいたしたわけでございます。消費者団体といたしましては、全道労協の方、消費者団体連合会の方、消費者協会あるいは主婦協議会、生活協同組合等の代表の方にお会いしたわけでございます。お会いして、いろいろと消費者の方あるいは関係自治体の方のお話を伺ったわけでございますけれども、かいつまんで申し上げますと、北海道においては、平均いたしまして一冬にドラムかんで十本、つまり二キロリッター程度の需要が、一世帯あたりその程度の消費をいたすわけでございまして、これは内地では大体において一月に石油かんで三、四かんというような消費に比べて非常に多量の消費をするということ、特に、ただ単に多量な消費をするだけではなくて、その灯油というものがなければほかに燃料として代替燃料も最近ではないわけでございますので、その灯油の供給がなければ、これは寒さのために生命、健康の問題にすらなるという点で、その灯油の確保ということについて非常に北海道の道民の方が真剣に考えておられるという点が、まず私として――もちろん東京におりましてもそういったことは伺っていたわけでございますけれども、現地に行きましてさらにそういう感を強くしたわけでございます。
 したがいまして、第二番目として、道民の方がその灯油の確保について、さらにそれだけの多量消費である場合には、その灯油が適正な価格で入手できるということの保証と申しますか、行政的な何らかの具体的な対策を打つことによって、できる限り安い価格でこの灯油を入手したいという強い御希望を持っておられたという点についても、御要望を承ったわけでございます。
 それで、現地の札幌市、北海道庁あるいは札幌通産局の方とも、それらのお話し合いのときにも同席していただいたわけでございますが、それらの方々とも十分打ち合わせをいたしまして、今後、たとえば北海道において石油かんでの販売のほかにドラムかんでの販売といったようなそういう大量の販売、ロットが大きいといいますか、そういう販売についてのディスカウントの方法等について打ち合わせをして帰ったわけでございます。
○対馬孝且君 いま、現地へ行ってまいりました精流課長から簡潔に取りまとめをされて報告をされましたが、何といってもやっぱり問題はこの価格が、いかに標準価格がきめられるか、つまり安い価格で燃料がたけるかということがポイントであります。
 それと、いま言った、大量販売の問題ということを出されましたが、最近業界の出方を見てまいりますと、共同購入をしたいというこの消費者の熱望に対しまして、業界は具体的な話し合いの席に着こうとしないという傾向が多いわけです。また、実際に共同購入の話し合いがまとまった場合でも、安い価格による供給に対しては、系列または同業者間の圧力で、灯油の供給削減または停止が行なわれる傾向が非常に多くなっている。これがやはり非常に問題ではないか。現地へ行ってこられてお聞きになったと思うのでありますが、業界では、代金の回収は危険があるので供給を手控えると称しているために、業者並びに消費者側がかりにまとまってもその公表を渋る、あるいは対外発表を避ける、あるいは、した場合には品どめをするというような強烈な圧力の手段をとる傾向が出てきておるわけであります。こういう業界の出方、圧力に対して通産省としてどういう考え方を持っておられるのかという点について、まず最初に私は、石油部長にひとつお伺いをしたいと思います。
○説明員(左近友三郎君) いまお話がありましたように、通産省といたしましても、なるべく安い灯油が消費者に渡るように、共同購入というふうな形での一括購入によるなるべく安い入手ということを推進してまいったわけでございますが、先ほど課長が申しましたような北海道の事情、その後、北海道の道庁とかそれから通産局から入ってくる情報によりますと、いま先生のおっしゃったような傾向が相当あるようでございます。しかしながら、われわれといたしましては、こういう時期になるべく早くそういう共同購入というふうな交渉がまとまりまして、それが妥当な値にきまっていくということを推進しなければいけないということは当然のことでございますので、実は先週各元売り会社に対しまして、どうも北海道の事情は値ぎめがおくれておるようである、したがいまして、価格交渉を促進するように元売り自身、それから元売りから各系列の店舗を指導するというふうなことを強硬に申し入れいたしました。また、全国石油商業組合にも成約を進めるように指導を現在行なっております。
○対馬孝且君 十月九日現在の北海道の道消費者協会の共同購入をした実態調べを、北海道で把握をいたしてまいりました。私は十一日の日に、道消費者協会、生活協同組合の主婦の皆さん方の要請がございまして行ってまいりましたが、札幌市石狩町管内、あるいは千歳、恵庭――札幌市近郊でありますけれども、すでに協同購入によりまして十八リットルが配達込みで五百七十円、これは約四百世帯実施をされております。それから同じく十八リットルで五百八十五円、配達込み、これは三百世帯、これは石狩町ですでになされているわけであります。それで、条件はどういう条件かといいますと、いわゆる代金を共同購入した団体が責任を持って銀行に払い込みをする、こういう条件になっております。しかし、答えとしましては、いま私が申し上げましたように五百七十円ないし五百八十五円という答えが実勢価格として売られているわけであります。
 そこで私は、なぜ通産省として、今日の段階ですでに共同購入価格という一つの目安が出ているにもかかわらず、いまなお標準価格がきめられないということは一体どういう点に問題があるのだ、どういう理由で標準価格を打ち出すことができないのか、これはどうしても納得することができないのです。大臣のこの前の私に対する答弁としましては、現地を把握して最終的にきめたい、こういう弁明がございましたけれども、ここらあたりについて、なぜきめられないかということについていま一度考え方を聞かしてもらいたい、こう思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 灯油の値段の実態把握ということが非常に重要でありますから、刻々とその実態把握をやっておるわけでございます。まだ北高南低――北海道や東北は高いが、九州や沖繩はかなり安い、そのばらつきが非常に目立っております。標準価格となると一応全国一率という形になりますから、悪くすると値をささえるというような逆効果を生む危険性があります。そういう意味で、もう少し全国的なばらつきがなくなるときまで待ったらどうかということが一つあります。
 もう一つは、灯油の備蓄は非常に成績が良好でございまして、昨年の九月が約五百五十万キロリットルでございましたが、ことしは九月末で六百万キロリットルに及んでおります。そのために灯油の値段はよう上がり切らぬという情勢が少し出てきております。こういう情勢を見ますと、これはだぶつかせて、そして自由競争を激しくさしたほうが値上げを阻止する力が出るのではないかという気もしております。いろいろOAPECの石油の値上げが次々に御存じのように最近来出てきておりまして、そういうものを忠実にトレースすると、一応原価計算という形でいくと、やや高い値段が出る危険性もなきにしもあらずです。消費者の利益自体を考えてみると、これだけ備蓄がたまっておるということを背景にして、競争を激しくやらしたほうがよう上がり切らぬという感じも出てきておりまして、その情勢を見きわめる必要があります。最近、消費者懇談会をやりましたところ、モニターや主婦の皆さん、あるいは団体の皆さん方から、標準価格をきめることは慎重にしなさい、いまのように自由競争で、そしてある場合によっては大量購入のネゴということでやるほうが値下げに有利であるという場面も出てきておるというお話がありまして、北海道の方にもそういう感じの発言をなさった方もおります。そういう面もありまして、いま慎重に見守っておるというのが現状であります。
○対馬孝且君 いま大臣から、なぜ標準価格を早急にきめることができないかという点での理由を聞きましたが、一般論としては、大臣が言うような傾向も私はなきにしもあらずだと思います。しかし、それでは北海道の実情を知らな過ぎるのじゃないかということを言いたいのは、きょうの朝日新聞に全国調査が載っておりますが、全国平均で六百六円、朝日新聞によりましても。この中で、はっきりすでに需要シーズンに入っている北海道地区では、実勢店頭売り価格が六百二十四円などとずばぬけて高い価格になっているということを、この朝日新聞では訴えられております。そういう点からいいますと、一般論的に、本州のように、内地のように、先ほども答弁がありましたが、ドラムかんじゃなくて石油かんの十八リットルをかかえ込んで冬を過ごせるというなら別ですよ。現実に北海道では、朝晩だけじゃなくて、先ほど言ったように九〇%もストーブをつけているわけですから。私の家自身もつけているわけです。
 現に道北あたりではどういう傾向が出てきているかといいますと、これは海岸地帯ですけれども、海からあがってくる拾いまきを拾って、それをまきストーブにかえて当面灯油の値上がりに抵抗している、こういう切実な訴えが現実に出てきているのですよ。あるいはルンペンストーブにかえて石炭に切りかえる。ところが、現にルンペンストーブのストーブがないという、今日矛盾した現況が出ているわけです。また一面、石炭がないということです。こういう抵抗まで出てきているけれども、しょせん大臣が言う、一般論的に、このままずっと自由競争したら値段が下がるだろう、あるいは横ばいないし下がっていくだろうという見方はあったにしても、北海道の道民としては、そういった時期がいつの時期まで待たれるかという問題ですよ。
 すでにあなた、いまたいているんですからね、現実の問題として。それで先ほど言ったように、共同購入をしているということはどういうことかというのは、これは消費者の自衛手段なんです。精流課長も御存じのように、自衛手段として共同購入という出方をしておるわけですよ。そうしていつまでも自由競争、自由競争といっているけれども、私が十一日に消費者協会並びに主婦団体の皆さん方から訴えられましたあれを見ますと、共同購入が全体に占めるいまの率というのは三%であります。これはモニターによって出されております。したがって、そういうことから考えますと、あとの九七%というのは結果的には小売り買いということになるわけですよ。そうすると、時間がたてばたつほど北海道道民としては結果的には、先ほどの朝日新聞にも出ましたように、全国より高値でもって買っていかなければならない。高い灯油を買わざるを得ない。背に腹はかえられない、たかざるを得ないから。こういう相矛盾した結果が出てきているという現象なんですよ。
 私はこの点をやっぱり、いま大臣が言うような一般論的な問題ではなくて、現実にきのう十四日のNHKの一〇二番組でも、物価と暮らしという課題の中で一番先に取り上げられた問題は灯油であります。これによりますと、山形農協では十八リットルが五百二十七円、配達込みで採算がとれてやっていってる。あるいは川崎市の生協では十八リットル五百八十円、これも配達込みで売られている。こういう問題を考えていった場合に、いつまでも標準価格がきめられない、あるいはただ自由競争でよろしいといったって、北海道の場合は高値安定価格の傾向にだんだんになっていくということは間違いない事実だと思うんです。これは十一日にも主婦の皆さんがそういうことをはだで感じています。結果的には、売ってくれないからやっぱり買わざるを得ない。買わなければ寒い、かぜを引く、こうなるわけですからね。これは生命上の問題まできているわけですよ。もはやもう健康管理の問題まで発展している問題です。この点では大臣、すでに十度、あるいは七度、八度というような朝晩を迎えているわけですから、ここらあたり、やっぱり消費者の立場になって考えた場合に決断をすることができないのかという点について、もう一回お伺いしたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 北海道の値段の実態もいろいろモニター等で調べさしておりますが、釧路とか留萌とか、こういうところは六百円をやや上回っているところがありますが、札幌周辺とか苫小牧とか、あの辺はまた値が少し変わってばらついております。道内におきましても、まだそういうようなばらつき状態でございまして、そういうような様相も考え、先ほど申し上げましたようなことしの冬の全般の見通しも考えながら、これは慎重にやっていきたいと考えておるわけであります。
○対馬孝且君 それで私は、いつまでも自由競争でばらつきばらつきと、こう言うんだけれども、ばらつきばらつきと言ったつて、困るのはわれわれ道民であって、道民だけが泣くだけですよ。大臣の言うようなことには絶対になっていかないんです。現、実に精流課長が現地へ行ってこられて、それじゃ、北海道の実情として現地を把握された精流課長として、下がる傾向にあるか、そういう感度で受け取ったかどうか、もう一回精流課長に質問したいんです。私はこの間十一日に皆さんに集まっていただいて、実際に主婦の皆さんから聞いた傾向としては、これは現実の問題として、いま先ほど言ったように、共同購入ですら供給を、提供を停止をする、あるいは売らないと、こういう業界の圧力が現に出ているじゃありませんか。共同購入さえ出ているものが、どうして店頭で個別のあれが安くなっていくと、あるいは自由競争で下がるだろうなんて、大体その見通し自体が誤りだと私は言いたいんですよ。まず精流課長、この判断はどうですか。
○説明員(松村克之君) 灯油の全国的な価格につきましては、昨日私のほうから新聞発表したわけでございますが、いま先生からお話のございましたように、全国平均で六百六円、それで札幌の店頭価格の平均が六百二十四円、札幌といいますか、北海道といいますか、というデータについて発表したわけでございますが、北海道の六百二十四円という価格でございますが、これは確かに全国平均に比べて二十円近いアップになっているわけでございます。その次に高いのが、たとえば配達価格のところで見ると、仙台管内が次に二番目に高いようであります。やはり大臣から御説明いたしましたように、北高西低と申しますか、そういった傾向が出ているわけでございますが、それでは東京以西が需要期に入ったならば同じように、札幌のように、北海道のように上がるであろうかという点については、まあ私としては、なかなかそこまでいかぬのじゃないかという感じがしております。これは先ほどから申し上げているような需給のバランスの点でございますが、そういったことから、なかなかまだそう昨年のような暴騰といったようなことはないんじゃないかと思うわけでございます。
 ただ、それでは札幌についてはどうかということでございますけれども、札幌につきましても、実は六月に灯油の標準価格を一応はずして、一万二千九百円の元売り仕切り価格を二万五千三百円にしたわけでございます。そのままで計算すれば、御承知のように六百三円ということになるわけでございますが、標準価格をはずしましたときに北海道でどういう動きをしたかといいますと、全国の中で北海道が一番、何といいますか、非常に異常な上昇をいたしまして、六群五十円とか、場所によっては七百円というような灯油も出たわけでございます。その後、北海道庁あるいは通産局等の行政指導がございまして、それが七月ぐらいから六百三十円程度に落ちついた。それが八月、九月ときまして、九月で、先ほど申し上げたように八百二十四円ということで、北海道としてもいまのところ本格的な需要期を迎えて、価格が特に上がっているという状況ではないわけでございます。ないわけでございますが、やはり東京以西に比べれば若干高いという事実は起こっているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしても札幌、北海道の灯油価格をなるべく引き下げたいということから、先生のいま御指摘がございましたような共同購入についての指導と申しますか、これは元売りが共同購入の直接の担当ではございませんので、系列会社を通じての指導ということになりますけれども、共同購入について差別的な待遇をすることはもちろん好ましくないことでございますし、むしろ成約を急ぐようにという指導をいたしたわけでございます。また、全石商に対しても同様な指導をしたわけでございますが、それとともに北海道地区においてその供給面からの不足が生ずるようなことがあってはいやしくもならないという見地から、元売りに対しては特に北海道、東北等の地域については出荷を促進するようにという指導を同時にいたしたわけであります。そういったことを通じまして、できる限り今後とも北海道の価格を内地並みに持っていくということをやっていきたいと考えているところでございます。
○対馬孝且君 いまの精流課長の答えをそのまま受け取りますならば、傾向として本州価格のレベルに何とか北海道価格を合わせていきたい、こういう総括になるわけですけれども、問題は、いま言ったように、本州のような、ドラムかんではなくて、十八リッターで間に合うような態勢であればそれはけっこうなんです。そういう傾向も耐え得ると思うんですよ。あなたが行って現地を見てこられましたように、ドラムかん十本もたくような現状の中で、いま私が言いたいことは、そういった長期に価格が安定をするような段階まで待っていられないということですよ、量的にもないんだから。昨年の繰り越した若干のものは各家庭で持っておったにしても、それはほとんどないですよ。それならやっぱり新しく買わざるを得ない。
 そうすると結果的には、いま言ったように共同購入といったって全体の三%しかなされていないんだから、これからふえたにしたって一割いったらぜいぜいでしょう。そうしたら、あとの九割というのは全部小売り店頭ですよ。そうなった場合には、やっぱり結果的には北海道の道民だけが高い灯油を買わざるを得ない、こういうことになっていくんじゃないか、また現実になされているではないか。それじゃ、はっきりぼつぼつ期限を切って、十月末には北海道の灯油はここまで安定しますということ言い切れますか。その言明はできないと思うんです。その点どうですか。十月になったら北海道の価格は全国水準より下げてきちっとしますというようなことは、これはできないでしょう。
 そこで私は、これはこの段階ですから、抽象的なことを言ってもあれですから、三回もこういう質問をなぜしなきゃならぬかということは、八月からですよ、私がここで質問立ったときから始まってるんですが、九月の中旬にはきめる、今度は十月に現地に行ってこられてから最終判断をする、いま大臣の答弁を聞くと、自由競争でいったほうが安定をするのじゃないかと、何か見通しというか、そういう通産省の一貫した指導方針といいますか、どうもそこらあたりが非常に信頼できないというより、つかみどころのない答えになっているんですよ。それを北海道の道民の皆さんが言っているわけです。一体通産省はほんとうにきめる気なのか、きめる気でないのか、道民のことをどう考えているんだいと、こういったことを考えるのが通産省の政治ではないのか、そのために精流課長がわざわざ来られたんじゃないのか。おそらく今月の中旬あるいは下旬にはきまるだろうとみんなは期待しているんです。いま大臣の答弁を聞きますと、自由競争でもう少し価格を競争したところでひとつきめていきたいんだということなんですが、これははっきり申し上げるのですけれども、北海道に当てはまらぬということです。大臣はやっぱりそういう点では実情を知らな過ぎる、はっきり申し上げなければなりません。
 それでここで標準価格が、私がいま聞きますとかなり遠のくという、まだきめる意思がないとすれば、これは北海道道民としては待っているわけにはいかないんですよ。そこで最終的な大臣の腹をひとつここで固めてもらいたいというのは、もうわれわれは一日たりとも暖房なくて過ごすことはできません。そこで、すぐ標準価格が出ないとすれば、北海道五百三十万道民のために北海道に関する特別行政指導価格というものを打ち出してもらいたい。北海道に関する特別指導価格というものがあっていいんじゃないか、標準価格が決定されるまで。あるいは先ほど大臣が言うように、自由競争で価格がある一定のめどがつくまで――北海道の段階では、ただいたしますではだめです、これははっきり申し上げて。何回もそれは言明しているけれども、プロパンの例が一番いいですよ。
 現実に五十円安くするといいながら、現在北海道では、いまなお千六百五十円で買わされている者が三二%いるじゃありませんか。これは道庁の調べですよ。北海道庁の調べでさえ五十円安くして千六百円だと言っているけれども、現実に千六百五十円で買っている者が三二%いるではありませんか。こういう問題を考えた場合に、北海道に関してだけひとつ北海道の特別行政指導価格というものを出してもらいたい。それはすでに価格の目安というのは、さきに私が申しましたように、札幌市の例や石狩町の例や、あるいはNHKの一〇二で行ないましたように、川崎などの例も出ておりますし、山形の例も出ておりますが、ともあれ、そういったひとつ何らかの五百三十万道民に安心感を与えてもらいたい。この冬を何とか過ごせるようになったと、この寒空を控えて何とか生き延びれると、これが私は政治だと思うのですよ。それがいつになったら安心するのかわからないような不安定的な要素ばかりどんどん持ち込まれるというようなことでは、はっきり申し上げてこれは政治じゃないんじゃないですか。この点ひとつ最終的な腹づもりとして大臣でも石油部長でもけっこうですけれども、ともあれ北海道に関する特別の行政指導価格というものをひとつ出してもらいたい。これで一時質問を打ち切ります。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 灯油は北海道にとっては、また東北地方にとりましてもたいへん大事な生活必需品でありますから、どういう形でやるかは別として、ともかく需給を安定させ、価格をできるだけ下げるように行政指導等を通じて善処していきたいと思います。
○対馬孝且君 それ、善処するということは非常にけっこうなことですけれども、いつの時点で大体行政指導が出されるのかということを、この点やっぱり私も聞いて帰らないと、現地で待っているわけですよ。目安はやっぱり、少なくとも善処するということはけっこうです。いつの時点で大体行政指導をされるかという目安ぐらいはここで言明してもらわぬと、現地の住民は安心できません。
○説明員(左近友三郎君) お答え申し上げます。
 いまの問題につきまして、現在、先ほど申しましたように元売り業者、小売りの組合とも折衝いたしておりますが、やはり北海道地区を直接指導いたします北海道庁とも相談をいたしまして極力早くきめたいと思っておりますが、本格的な需要期がもうそろそろ始まっておりますので、今月中には何とかいたしたいというふうに考えております。
○対馬孝且君 それじゃ、いま石油部長から今月中にそういう行政指導価格を出すということですから了といたします。ただ目安として、石油部長ね、先ほど私が言ったように共同購入価格目安というものは出ているわけです。これは私はやっぱり一応の目安になると思うのです、現実の問題として、何も架空な数字を私は言ってるんじゃないのですから。現実に北海道消費者協会北海道庁、出先の通産局長の段階で確認されているのが、私が先ほど申しました共同購入の例ですから、その点ではいま答弁があったことについては今月下旬に行政指導されるということですから、これは了とします。善処するという大臣の答弁ですから了とします。ただ、その目安というのは、少なくとも共同購入をされた目安価格があるということについて、そういう目安をもって努力をするということについて、最終的なひとつ回答をもらいたいと思います。
○説明員(左近友三郎君) 共同購入の促進をいたしますので共同購入の結果が出てまいると思います。ただ、共同購入につきましては、先ほどお話がありましたように、購入者のほうも料金の払い込みとか、あるいは灯油の配達について協力するとかいろんな条件がございますので、その価格自身が一般の店売りにイコールにはならないわけでございますが、そういうものを十分参考にいたしまして今後の行政指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
○対馬孝且君 いまの石油部長から言われましたように、共同購入価格はイコール一般の目安かどうかということありますけれども、一応の目安が出ておりますから、それにひとつベストを尽くすという意味で確認したいと思いますが、よろしゅうございますか。
○説明員(左近友三郎君) 十分参考にいたしまして指導をいたしたいと思います。
○対馬孝且君 参考というんじゃなくて、その努力をするということでどうですか。
○説明員(左近友三郎君) 努力をいたします。
○対馬孝且君 灯油に関する質問はそれで終わります。
 それでは次に、北海道瓦斯、通称略して北瓦斯とこう言っているわけでありますが、これが値上げ申請に伴う公聴会にまつわる件につきまして質問いたしたいと思います。
 私は九月の四日の物価特別委員会におきまして、北海道瓦斯がことしの一月の十二日に平均二七・六六%をアップいたしました。その後八ヵ月足らずして再び六二・三%の再値上げを十月一日から実施をいたしてまいりたいと、こういう値上げ申請が出されたわけであります。これにつきましては、前回私が申し上げました際も、この北瓦斯の村上副社長が記者会見をいたしまして、当時、一月十二日の値上げ申請の際に、三年間は当面値上げはしない、こういう記者会見を村上副社長が堂々と行なっておるわけであります。三年間ガス料金の値上げはしない、ところがいま申し上げましたように、八ヵ月足らずして六二%もの値上げの申請をするということで、これはもう消費者の皆さんは、この言明の舌の根もかわかないうちにまたもや値上げということで、道民は一大ショックを受けました。まさに道民を冒涜していると言わざるを得ない、このような憤りを全道民は感じているわけであります。
 こういった問題をめぐりまして、結果的にはどういうことになるかということにつきまして、この前も申し上げておりますからくどくどは申しませんが、今回の値上がりによりまして、標準世帯四人で三千四百十二円――旧料金でありますが――に対した場合に五千五百六十一円ということで、四人家族世帯で二千百四十九円の値上がりになるわけであります。相当な負担増になるということは明らかであります。こういった値上げについて、私は、かりに申請があっても、通産局が認可をするかしないかという立場に立った場合については、これを却下をしてもらいたいという強い意見を申し上げました。
 その理由としては、この北瓦斯の値上げに伴いまして、これが値上げを認められますと、旭川、帯広、室蘭、北海道の道内主要都市ガスが一斉に値上がりをすることになるわけであります。したがいまして、絶対にこれを避けていただきたい。それと同時に、今回の値上がりの問題については札幌板垣市長も――これは自民党の市長でありますけれども、まさに今回の北海道瓦斯の値上げ申請というのは市民を冒涜しておると、堂々と八月二十七日の北海道新聞で記者会見をいたしまして、今日まで札幌市と北瓦斯との間に契約をされております報償金契約を破棄してまいりたい、特に報償金のかわりといたしまして地下埋設費を取るという強靱な態度を自治体の最高責任者が打ち出しました。そのときに私は、この物価対策特別委員会で大永公益事業部長に質問をした際に、少なくともこの問題については慎重に扱うということで、慎重に対処をいたしてまいりたいという答弁を承ったところであります。
 ところが、九月の四日にこの慎重に扱うという大永部長の答弁があったにもかかわらず、九月の十四、十五日に出先の札幌通産局は公聴会を、あえて住民の反対があったにもかかわらず強行いたしました。これは労働組合員、主婦を含めて約千人、この公聴会をぜひ阻止せねばならぬということで実力行使をすることになりました。なぜ公聴会反対かという反対側の意見を聞きますと、現在の公聴会はただ官僚的に公聴会を開催すればよろしい、しかも値上げのための隠れみのになっているという今日の公聴会の内容、あり方について問題点がある。したがって、こういう公聴会の持ち方について、この反対側の労働組合員やあるいは主婦、こういう方々ともう一回話し合いの場を持ってもらいたいということが全道労協の局長から提起をされまして、出先の諸口通産局長との間に何回か話し合いをされているはずであります。
 そういう状況にあったときに、革マル系が三百ないし二百が動員をされるという情報に接しました。そこで出先の通産局としましては、機動隊を北海道警本部に要請をいたしました。この十四、十五日のきのう、きょう行なわれている公聴会に対しまして機動隊の出動を要請したというのは、私は、これは全国に例を見ない実情ではないかと申し上げなければなりません。私はこのことを憂えまして、十一日の日に川崎課長に東京まで、札幌におりましたから電話をいたしまして、今回の公聴会を強行した場合については不測の事態が必ずできるのではないか、なぜかならば、過激派学生が参加をする、それに一般の組合員、主婦が参加をする、それに機動隊を出先の局長が要請をしておるとすれば、これはやっぱり必ず不測の事態が起きる、この際何とか十四、十五日の公聴会だけは一時延期をして、通産局長が音頭をとっていただいて、何とか関係者と話し合いの場をつくった中で次の対策を考えてはどうか、こういうことを私は何回も電話で申し上げました。
 ところが、十四日の日に至りまして、結果的には、通産省としては法律に従って行ないますということで実施をされました。午前九時から開始をしまして、革マル系がゴボウ抜きをされまして、四十三名が逮捕をされるという結果になりました。このことは私は問題にはしておりません。問題は、一般の組合員、主婦約八百名がこの実力行使のために参加をしたわけでありますが、結果的に私が憂えましたように、心配しましたように、午前中の最終十二時段階に至って機動隊との間に激突をして、地区労傘下の職員である戸田利正二十六歳が機動隊の激突の中で胸を強打されて、肺が亀裂をして穴があくという重傷者一人を出し、軽傷九人を出すに至っているわけであります。
 結果的には私が心配したように不測の事態、あるいはこういう重軽傷を出した。社会的な安保の問題であるとか、あるいは軍事基地の問題ということなら、お互いに思想信条の問題、基本方針の問題の違いはあろうけれども、いまこの狂乱物価といわれている物価値上げの問題で、あえて通産局はこういう官憲まで出動さして、結果的には不測の事態まで起きた。しかも、肺に穴があくというような重軽傷を出している。こういう社会的な批判まで受けて、あえてこの公聴会を強行しなければならない通産省の政治姿勢についてまず私はお伺いをしたい。この点第一点申し上げます。
○説明員(大永勇作君) 最初に、北海道瓦斯が申請をするに至りました理由でございますが、先生御指摘のように、ことしの一月に二十数%の認可をいたしましてまだ日が浅いわけでございますけれども、実は一月に認可をいたしました際には、まだ石油の値上がりが本格化する前でございまして、北海道瓦斯の場合には、原料は八十数%がナフサでございますけれども、ナフサの価格につきましては、一万円の単価でしか計上していなかったわけでございます。それが現在御承知のように、すでに二万一千数百円しておりまして、最近、またさらに五千円以上の値上げ要請があるというふうな情勢になっておるわけでございます。
 それから労務費につきましても、一月に認可いたしました際には、一二%しか見込んでいなかったわけでございますが、実際には三〇%の春闘での値上がりを見たというふうなことがございまして、会社側が一月当時に、なるべく長期にわたりまして現在の料金を維持したいというふうに言ったことは事実でございますけれども、そういった石油の値上げへの本格化に伴いまして、会社の決算面におきましても、上期におきましてすでに繰り越し欠損、内部留保はマイナスというふうな状態になっておりますので、やむを得ず再申請に及んだというふうに聞いておるわけでございます。
 それで、先生がただいま御指摘になりましたように、公聴会を開いた場合には、いろいろ実力行使による阻止行動があるという御警告は承っておりまして、札幌の通産局のほうからも、どういうふうにするかということでわれわれのほうにも相談にまいっておったわけでございますけれども、われわれといたしましても、いろいろ検討いたしましたが、公聴会の開催については、やはり予定の陳述者もあることでございますし、また、いろいろ聞いてみますと、物理的に開催できない状態でもないというふうなことからいたしまして、すでに官報告示できめたところでございますので、予定どおり開催をした次第でございます。
 もっと住民との話し合いをすべきでないかという点につきましては、現在までに、北瓦斯としましては、北瓦斯主催の民間との話し合いの場を三回ほど持っておりますし、それから民間団体の主催します話し合いの場を同じく三回ほど持っております。しかし、公聴会が終わりましたあとにおきましても、こういった話し合いは引き続き行なうことが適当であると考えておりますし、会社側をそのように指導してまいりたいというふうに考えております。
○対馬孝且君 いまの大永部長からありました問題につきまして、私、大臣にひとつお伺いをしたいと思います。
 公聴会の性格というのは、これは反対者が陳述をしないと公聴会の意味をなさないじゃないですか。賛成者が集まって、賛成者の意見だけありました、これで公聴会ができ上がりました、よって法律的な手続の手順は終わりました、したがって認可をいたしますと、こういうやり方が私は官僚独善的なやり方だと、これはつまり企業に手をかしたと言われてもしようがないじゃないですか。北瓦斯と通産局は完全に癒着をしているじゃないかと言われても、言いようがないじゃないですか。私は、少なくとも現地で、十三日までおりましたから申し上げますけれども、全道労協の局長が新提案をして、公聴会の持ち方についてもお互いに話し合いをしたい、何も機械的に――この事態を避けてもらえば、何とか円満に話し合いをする道をひとつ見出したい、そのために不測の事態が起きては困るから新提案にひとつ乗ってもらいたいんだということで、十三日の朝に再度現地で、諸口局長と全道労協の小笠原局長との間で話し合いがされているではありませんか。
 しかも私が言いたいのは、公聴会というのは単にやればいいと、そこが私は官僚的だと言うのですよ。反対者のなまの声を聞かないで、ただ賛成の者が集まってやったって、これは意味ないじゃないですか。そういう官僚独善的なやり方をいま通産省が行なっている。しかも官憲まで導入をされて、それで住民の意思を踏みにじっておいて、そしてしかも、先ほど言ったように重傷者一、軽傷者九を出した。こういった不測の事態まで起こして、一体通産大臣としてこれが正常な――物価問題に対して力で突かれていくんです。そういうようなやり方については絶対私は納得できません。
 こういった態度について、少なくとも私は川崎課長に何回も電話を入れたはずだ。事態は重要だから、長く延ばせとは私は言わない、とにかく十四、十五日の事態だけは避けてくれ、私も中へ入って話をしてもよろしい、そう言ったにもかかわらずあえて強行して、こういう現実に重傷者も出して、けが人九人も出たという事態に対して、全国的に例がないじゃありませんか。物価問題でそういう官憲を出動させたということだってないでしょう。大臣、この今日の事態を起こしめた結果について、私は事前に申し上げているのだから、では、これは問題でないということなのか、まことにこういう結果をもたらしたことについては遺憾であったというのか、この点をまずはっきりしてもらいたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) こういう事態になりましたことは、まことに残念でございます。ただしかし、実力行使ということは私はあまり感心しないと思うのです。やはり法と秩序を守って整然と公聴会が行なわれるということが望ましいのでありまして、これはたしか運賃の問題でもこういうことが一回か二回あったと思います。しかし、やはり法と秩序を守って手続に従ってものが行なわれる、実力行使を避ける、そういうことが私は望ましいと思うのであります。そういう実力行使というような形でこれが阻害されて陳述ができないということは、陳述する側の方にとっても遺憾ではないかと私は思います。できるだけこういう事態を避けて、そして平穏こう然として陳述が行なわれるということが望ましいと思います。
 公聴会の内容につきましては、われわれも公述人のおっしゃることをよく注目して見ておるのでありまして、たとえばナショナルミニマムというような思想を電気料金の際とったり、あるいはそのほか身体障害者や一般の弱者に対しまして特別の措置をとったというようなことは、みな公聴会の発言をわれわれは注目して考えておったところでもありまして、これが無意味であるというふうには考えておりません。
○小柳勇君 関連。
 川崎課長に質問したいのですが、ただいま非常に重大な発言を対馬君がやっておるようであります。商工委員である対馬君が現地におって、事態が非常に重要であるし急迫しておる、危険を感じて川崎課長に連絡をして、しばらく事態をおさめるから待ってくれないかというふうに連絡があったらしいが、それを上司にどういうふうに協議して強行突破をされたか、そのいきさつを御報告願いたい。
○説明員(川崎弘君) お答え申します。
 対馬先生から当日、十四日十五日に関しましては実力阻止の動きがある、したがいまして、不測の事態が起こるおそれもあるのでこれを延期したらどうか、その際、延期した場合にどういうふうな結果になるかについては、北海道労協を中心にいたしましていろいろ話し合いも考えておるというふうな御意見、御示唆がございました。私は、それにつきまして通産省内部の上司にはかりまして、これに対してどういうふうにするかという意見の調整をはかりますとともに、通産局にも連絡いたしまして通産局の意見も聞きへ事実がどうなっているかという事実調査もやりました。
 以上でございます。
○小柳勇君 通産省は、だれに連絡しましたか。
○説明員(川崎弘君) 最初は直属の上司の大永公益事業部長でございます。
○小柳勇君 事業部長は、その川崎課長からの連絡がありましてどういう判断をいたしましたか。
○説明員(大永勇作君) 先ほども簡単にお答えしたところでございますが、公聴会の開催につきましては、すでに告示で日にちをきめまして、広く一般に知らしめてありますとともに、陳述予定者も数あることでございますので、特に物理的に開催ができないとか、そういう事態でない限りは、やはり予定どおり行なったほうがよろしいというふうにわれわれとしては判断したわけでございます。
○小柳勇君 対馬君はいままでも労働運動に経験があるし、大衆を指導した指導者です。しかも商工委員です。その商工委員である議員が、危険を予想しながらこの事態をしばらく待ってくれないかと、しかもさっきの発言の中では、賛成者だけの発言がなされておったように聞いておりまするが、少なくとも役人は、役所は、担当議員が現地におって事態を判断しながら相談したら、若干の余裕を持つとか、あるいは大臣に連絡するとか、そして、それを何とか直接対馬君とも相談するぐらいの配慮がなければならぬと思う。対馬委員が何だというような、もしそういう一片の姿勢があったら、私はそれは議会軽視だと思う。あなたは大臣に相談しましたか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 北海道瓦斯の公聴会のことは、私聞いておりました。そしてきのうの夕方、対馬さんがお見えになりまして、先ほど対馬さんがおっしゃったようなことも私はお聞きいたしました。それで、夕方から夜にかけまして札幌とも連絡をとって、きのうの情勢並びにきょうの見通し、それから関係各官庁等の所見等も聞かしたわけであります。けさも役所へ出てくる前に札幌とも連絡をとりまして、情勢を聞きまして、そして私はそのまま継続としてよろしい、そういう判断を下しまして進行さしておるわけであります。
○対馬孝且君 問題は、大臣、不測の事態が起きて、そういう重軽傷を出しても問題はないというのですか。問題の本質は、値上げをした原因にあるのでしょう。年に二回も値上げを申請した北瓦斯というこの会社の道民を冒涜した政治姿勢にある。こういった問題に対して通産大臣は手をかすということですか。私はそれが納得できないのです。現実に重軽傷ができ上がって、不測の事態が起きているのでしょう。この事態に対して大臣はどう考えるのかと言ったら、いや、できるだけ公聴会はそういう実力で阻止しないような態勢をもって開かれるのが望ましいと、望ましいということは私が言っているじゃないですか。先ほども認めているじゃないですか。私は、十四、十五だけこの事態を避けてもらいたい、そうしたら、あと以降の持ち方については公聴会を持たないと言っている。持ち方について関係者との間に私が中へ入ってもよろしい、全道労協が中へ入ってもよろしい、その中で何とか正常な関係を維持するためにひとつ話し合いをしたいと、こう言って提起をしているのですよ。そういう血の雨が降っても、血を流してもかまわないのだ、何でも法にきめられているから実力でやればいいんだと、こういう政治姿勢ですか。それなら、結果的には北瓦斯の企業と癒着をしたと言われたってしようがないじゃないですか、こんなことは。通産省というのは、やっぱり企業に手をかすところだ、消費者を敵に回すところなんだ、消費者が犠牲を払おうと、あるいはけが人が出ようと、かりに犠牲者が出ようとかまわないのだと、こういった態度に私は問題があると、こう言っているのですよ。現実に不測の事態が起きたという時点についてどう考えるのですか、もう一回これの答弁を求めます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 負傷者が出たことはまことに遺憾でありまして、そういう事態が起きないようにわれわれも善処しなければならぬと思いますが、しかしやはり、実力行使というようなことによって、法できめられている公聴会が開かれないということは、民主主義の上からもあまり感心できないことであります。だから、初めから実力行使というようなことが行なわれないように、これはやはりわれわれも考え、また関係者も考えていただく、こういうふうに私は考えます。
○阿具根登君 関連。
 いまの質問、答弁を聞いておりますと、どうも私もふに落ちない。たとえば、公聴会を公示したから、物理的な何かなかったならばやめられないというような答弁が一つなされておる。それは一体何のことか、それを一つお伺いしたい。たとえばそれが反対であるし、実力行使であったならば、機動隊を出してこれをあくまでも排除すると、そういう精神なのか。たとえば公聴会を公示したによっても、そういう不測の事態が起こるかもしれない。しかも、そのためには議員が中に入ってでも、永久に延ばせというわけじゃないし、それを一日、二日延ばしてもらいたい、こういう状態も起こりますよと言っても強行するのがあなた方のやり方なのか、そこが問題なんです。そこまで、一日、二日を争わねばならないほどガスの料金を上げなければできないような状態にあるのかどうか。
 通産省は、いまどこの場合でも苦しい立場に置かれておるとは思っておるけれども、やっておることは全部企業の味方、確かに。しかも大企業の味方をやられておる。どうして一日、二日を争うように公聴会を開かなきゃならないのか。どうして、けが人までできますよ、できますよというようなことを、機動隊まで出して排除しなければならぬのか。そこまでしてガスの値上げをやらなければならない差し迫った理由は何なのか。この事態について、やはり率直に通産省は通産省としてやり過ぎならやり過ぎだ、この問題は遺憾であった、話し合いましょうというような態度がなからねば、私は今後もこういう問題が起こってくると思う。すべてを実力行使でやめようというのは私も反対です。しかし、そういう感情の中でものごとが起きらないように、しかも、短時日に話しましょうやという電話も入っておる、中にも入ってやっておるのを強行されたということは、問答無用じゃないですか。問答無用でやっていかねばならぬというような差し迫った理由があったならば、ここではっきりさしてもらいたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) このような混乱が起きましたことは、行政上からも必ずしもこれはいいことではございません。遺憾の意を表する次第でございます。なお、将来いろいろわれわれも反省をして戒むべきとこは戒めたいと思います。
 ただ、われわれは何も企業の味方をしているとは考えておりません。やはり法で定められた手続に従って進行していくものが、途中で実力行使というような形によって挫折するということは、民主的運営の上からも好ましいことではございません。できるだけ平穏裏にこれが行なわれるように、これは関係者全員が考えていただくことが望ましいと思っております。
○対馬孝且君 いま大臣から遺憾の意を表明され、今後反省をしていきたいという答弁がありましたから、それを了とします。私は何も実力行使をやることがいいと言っているのじゃないのですよ。どうしてあの事態で、やっぱり不測の事態が起きるということがわかっていながら話し合いの若干の余裕を持たないか、ここがやっぱり官僚的な機構ではないのか。この点を大臣、これからもあると思うんです。私は若干のことを言っているのだ。私は中に入ってやりますと言っているのだから、まとめましょうということまで言っていたのに、それが今日強行されたということについては全く遺憾である。今後の運営については反省をされるということですから、それなりに、時間もありませんから了とします。
 特に私は申し上げておきたいことは、現地の出先の局長の判断、あるいはその現地判断ということをこれからやっぱり重要に考えていただきたい。その判断にウエートを置いて、これからやっぱり慎重に態度をとることを強く申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
○桑名義治君 私は、独禁法の問題について少々お尋ねしておきたいと思います。高橋公取委員長も何か御予定があるそうでございますので、最初にこれを取り上げたいと思います。
 最初に通産大臣に質問をしたいわけでございますが、去る十一日に消費者代表者との懇談会の席上で、この独禁法の改正案に対しまして大臣が、新聞の報道ではございますが、きびしく批判をされているようでございます。ある新聞におきましては「公取委が考えている原価公開制や価格引き下げ命令はヤブをつついてヘビを出すようなもので、かえって経済を混乱させる」と、こういうふうにきびしく批判をしております。そしてその中でまた、こまかくはそれぞれの内容については、この具体的な内容がほんとうに消費者の味方として機能するかどうかということはわからないというようないろいろな見解を発表されているようでございますし、また他の新聞を見てみますと、「公取委はそういった実態調査を何もしていない。こちらで十六の質問を出したが何も答えられない。どうも委員長の独断の臭いが強い」とか、あるいは「産政局長と話しなさい。まだ機が熟していない。まだ青くさすぎる」というような事柄がこの新聞紙上に書かれているわけでございます。今回の公取委が出されておりますこの改正原案に対しまして、大臣の意見をあらためてここでお聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この間消費者懇談会がありましたときに、消費者の代表の方々からいろいろ御質問がありました。それに対して、私は私の考えとしてお答えをしておいたのであります。新聞に載りましたのはほぼ要旨を伝えていると思います。ただ私は、ニュアンスをわりあいやわらかく言ったところもありますけれども、エキスだけぽんぽんと出されるとああいう形で書かれるということもあると思いますが、大体要旨は伝えていると、そう思っております。
 この間、独禁当局が通産省へ参りまして、われわれのほうの事務レベルにいろいろ御説明がございました。そのときに、十六項目にわたる質問を通産当局もいろいろいたしましたが、ほとんど実体的なお答えがなかったわけです。それでどうもことばのニュアンスを見ると、事務レベルの問題よりも委員長に聞いてくれというような感じのニュアンスの返事もあった由であります。それからわれわれが、いろいろ通産省からも異議が出ておりますし、日銀からも出ていますし、法務省からも出ていますし、各省からも出ているわけです。そういうサイドのほうから漏れ承りますと、また、党でもいろいろ調査機関をつくってやっておりますが、そちらのほうからの情勢も聞いてみますと、これはまだ公取委員会がまとめてできた案、全員が賛成してできた案というレベルじゃなくして、まだ、私案というような感じで出てきておるわけです。それで委員の中にはわれわれのほうその他に、どうもわれわれの意見が聞かれなくて困るという苦情もちらちらと出てきておるのが実情であります。高橋さんはそんなことはないとおっしゃるかもしれませんが、事実はそういう情勢でもあるわけであります。
 それで、これは私案というようなものじゃなくして、官庁間の国家の行政機構へ出てくる問題というものは、やはり公取委員会が全員で一致して出してくる、権威のあるものとして出てくる。そうしてそれを正式に党なりあるいは通産省に送ってきて、それをわれわれが対象にするというならば、それはやや熟してきたとも言えると思うのです。しかし、そういう情勢でない今日の情勢でもありますから、ですから私は、正式にそういう問題について取り組むにはまだ時期が早い。消費者の方がお見えになっても、これはまだ、私案という段階なのでありますから、私が正式にお答えすべき段階でもない、そういうふうに考えて、まだ機は熟していないという考えを持っておるわけであります。
○桑名義治君 通産大臣はああいうふうな答弁をなさったわけでございますが、この批判に対して公取委員長の見解をお聞きしておきたいと思うのですが。
○説明員(高橋俊英君) 私は、こういう場所でいまとげとげしい対立のようなそういう意見を述べることはなるべくは避けたいと思うのでございます。目下、自民党の懇談会におきましても検討中の問題でございまして、それについて、途中の段階においてはよく理解されないままでいろいろ批判が生まれることもございます。
 ただ、十六項目の質問、これは新聞によって公開と書いたのがありますが、官庁間で公開質問ということは、普通私はあまり聞いたことございませんし、そういう十六項目の質問書を受け取ったことは全くございません。これは、こちらの事務当局がいままでに二回説明に通産省に伺っております。最初の説明のときにいろいろな質問があったということは聞いておりますが、その説明者が委員長に聞いてもらいたいというふうな発言をしたとは絶対に思いません。そのようなことはあり得ないことであります。それから、ただ十六項目の質問状を出したということについてこれを書かれた新聞の方々にも、それなりのそれを書くに至った言い分があると私は聞いております。全く根も葉もないことを書いたわけではないのだということでありまして、どうしてそういう間違いが起きたのか、その内部事情については私は存じません。
 なお、この公取試案というものを私の私案というようなふうにお述べになる点については、たいへん私は遺憾に存じます。公正取引委員会がこの問題に取り組んだのはきのうきょうではございません。箱根における午前、午後にわたる研究会の先生方のわれわれとの討議においても、それはもうきわめて熱心なものでございました。普通の委員会は一回が三時間でやっておりますが、おそらくこれに換算いたしまして二十数回にのぼります。しかも、少なくとも学識経験者としては相当な方々がなられておる。そういう方との討論を経たあとで金沢会長の中間報告が箱根で行なわれました。七月の下旬でございます。
 それから相当時間かかりまして公取の試案をまとめるに至りましたが、それは私個人の案でないということだけははっきり申し上げておきます。五人の合議体でございますので、五人が最初から最後まで一点の差もない、そういうようなことはあり得ません。その点は私認めます。問題ごとに多少ずつ意見の相違があったということは、それはわかりますけれども、しかし、結局は合議体としてまとめたものでありまして、ちゃんとこれには、個人の部分的な見解は別といたしまして、五人がそれに決裁をして、そうして発表を行なったものでありますから、合議体としての公取のあり方としては、おのおのがそれぞれ自分の見解を述べる自由はありますからよろしいんですが、外に向かっては、これは私、委員長個人の案でないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
○桑名義治君 公取委員長の説明を聞きますと、二十数回にわたるいろいろ学識経験者との懇談やあるいは研究会を通しながら、あるいは合議制であるためにその合議を通して今回の試案をつくったのだ、それはこうやった試案が出てくる限りにおいては、私はそうだと考えざるを得ないと思います。ところが、この試案につきまして冒頭に通産大臣に質問をいたしましたように、こういうふうな要約は、要約と言えば要約かもしれませんけれども、これはあまりにもひどいものの言い方じゃなかろうか。ただ、ものの言い方と言えばそれまででございますけれども、いわゆる今回の独禁法に対する通産大臣並びに通産省の姿勢というものがここに端的にあらわれているんではないか、こういうふうに私は指摘をしたいわけであります。もちろん、こうやった一つの法律が生まれるまでにはいろいろたくさんの方々の御意見も伺わなければならないし、それぞれの見解の相違もあると思います。しかし、冒頭からこう投げかけてきますと、これは独禁法の改正を否定をしている、こういうふうに考えざるを得ないわけでございますけれども、その点について通産大臣の御意見を再度伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は前にも委員会で、このように一九六〇年代に企業が大型化して、また、消費者の立場を考えなければならぬという趨勢のもとにおいて、独禁法を再検討することは意義あることであると思います、また、われわれはよければ賛成いたします、案の内容によって是々非々の態度をとっているので、初めから反対という態度をきめているわけじゃございません、中にはいいところもあると思います、そういうようなことを当時、個人のフィーリングとして私はお答えしたことがあると記憶しております。基本的にはそういう立場をとっておるのでありまして、われわれも独禁当局がいろいろお考えになり、勉強もなすって、労作として出てきておるところでありますから、協力すべき点については協力を申し上げる気持ちは十分ございます。
 ただ、いままで通産省に来て説明していただいたことや何かこう見ますというと、まだこれは熟してきているものでもない、私は政治的にそういう判断をしております。党におきましても、倉成君が座長になってこの問題に対する検討を始めました。始めたばかりであります。それでいろいろ委員の意見を聞く等々につきましてもなかなか問題がございました。党は非常に円満にこれを運営していこうというので、いろいろ深い思慮でやっておるようであります。われわれもそういう点についてはいろいろ協力もしておりますが、ともかく党である程度の荒ごなしをやって、そうして大体の党の検討とか認識というものが出てくる、そういうときまでいまの問題についてわれわれが進み過ぎないことが大事ではないか、そういう気持ちもあるものですから、部外者といろいろ正式の場で意見を交換したり、こちらの意思を表明するということはできるだけ慎重を期したい。国会におきまして質問を受けた場合には、これは国会の委員会でございますから、できるだけお答えするということは好ましいと思って、私どももそういう心がけでやっておりますが、国会議員でない部外者につきましては、われわれは慎重にしたほうがいいと、そういうふうに考えておるわけであります。
○桑名義治君 通産大臣のお答えの中には大きな疑問が、いわゆることばのそごがあると思います。確かにたびたびの委員会でこの問題が討議をされた、その席上、大臣が申されたのはそのとおり申されました、実際に。ところが、いまのおことばの中で、よいところもあるかもしれないということは、全体として悪いのだという印象しか私は受けなかったのです。これは確かにことばじりといえばことばじりかもしれません。そしてまた再度あとのほうでおっしゃったことばの中に、私はこの委員会においては、これは国会の場であるためにある程度のことはお話ししますけれども、それ以外のところでは慎重を期しております。ところが、この消費者懇談会のこの発言の内容を見てみると、私は慎重とは思えない。これははたして慎重な発言でしょうか。これは一般的にどなたかこの新聞の記事をお読みになっても、一番最初に大臣が言われましたように、私の話した趣旨はこれは大体述べてありますというお話でございますけれども、いわゆるこの席上におられた消費者の代表者の方々も、これは冒頭、頭から否定をした事柄だと、こういうふうに解釈をせざるを得ない発言があるわけでございます。
 こういうように、あなたのおっしゃっておる事柄と、実際にこうやった席上でしゃべっておられる事柄と、大きな差のあるということを私は感じざるを得ないわけであります。大体どちらに本心があるのか、これは非常に疑いたいわけであります。そして、機が熟していないとは言いますけれども、社会情勢から見れば、今回のこの物価の問題を鎮静をさせるためには、どうしても独占禁止法というこの法律を改正することが、最も好ましいことであるという一つの国民的合意というものがある程度形成されつつあるということは、消費者懇談会の中にさえもこの話が出てくるということでございます。私はそういう立場を踏まえながら、再度、いわゆる大臣の、もう一ぺん初心にかえって、一番最初の御発言のように、前向きにこの問題と取り組む姿勢をここで言明していただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私の正確な発言は、委員会における発言であります。国会における発言であります。まあ、消費者懇談会で話す場合にはわりあいにリラックスしてやっておるものですから、ことばがやわらかくなったり、あるいは象徴的なことばが出るということはありますが、これは私の悪い癖であるかもしれません。しかし、態度は是々非々主義という態度であります。これはここでも申し上げましたし、また、消費者懇談会においてもそういうニュアンスは出していると思います。
○桑名義治君 大臣、しつこいようでございますけれども、国会で言うことは正確だけれども、一般の消費者の場合には違うんだという、そういう発言というのは消費者をなめた発言だと思うのですよ。国会の発言も正確でなければならないし、たとえ消費者に対する発言も、また幾らリラックスをした中でも正確な発言でなければならない、これは当然の姿勢だと私は思います。ことばじりばかりとって申しわけないのですけれども、どうもそこら辺の姿勢が納得できないのですよ。だから先ほど申し上げましたように、この独禁法に対しては本気になって取り組むという、いわゆる通産大臣の気持ちをもう一ぺんここで聞いておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) さきにも申し上げましたように、この時代の趨勢のもとに独禁法を再検討するということは意義あることであると心得ております。それで、われわれのほうもその内容を検討いたしまして、是々非々の態度でこれに対処していきたいと思っております。いま党でいろいろ審議を始めたところでございますから、われわれは政党政治でもありますし、党のほうの意向、認識というものが進む度合いに応じましてわれわれも考えを次第に正式に明らかにしていきたいと思っております。
○桑名義治君 最初の中曽根大臣の発言の中に、公取の四人の委員の中でそれぞれ意見が食い違っている、高橋委員長の独走である、そういう感がある、こういう発言があったわけでございますが、この御発言に対して委員長からは否定のおことばがございました。そこで自民党では、高橋委員長のほか各委員をそれぞれ呼び出して、そしてそこでそれぞれの意見を聴取をしよう、こういう話し合いがなされていたと、その日程がたしかきょうの十五日であったというふうにお聞きしているわけでございますが、こういう問題をどのように公取委員長はお考えでございますか。
○説明員(高橋俊英君) その点は、私どもは先ほど申し上げました、五人で編成される委員会でございます。つまり合議体でございまして、特殊なものであると思います。言ってみれば、これはたとえ話でございますが、裁判所におきまして、私のほうの事件を持っていって扱う東京高裁におきましても、高裁の長官を含めた五人の裁判官で法廷を編成します。その場合どうなるかといいますと、これは事実上は多数決なんです。その点は最高裁でも同じでございます。ただし、最高裁の場合には少数意見を公表することができるという規定がございます。なぜかといいますと、最高裁は、それを発表いたしまして、そして従来の判例をくつがえした場合に、やはり国民の疑惑を解くために、そういう判例をつくったことに対して、新しい判例について、その肯定的な見解と否定的な見解とを発表して国民に納得してもらう。そのかわり、最高裁はそれについて何ら答弁の責任を有しません。国会に呼ばれること、もちろんこれはございません。何人の質問に対してもそれをもって足りるのであります。
 ところが、私どものほうの委員会は、実際上はものをきめる場合に、試案をつくることについては、厳格に言えば何もこれは審決をもってきめるわけではございませんが、しかし、当然事柄の重大さにかんがみまして、五人の評議決定によるということが当然でございます。しかし、これにつきまして、その個人個人がいかなる見解を持っておったかを公の場で公表することは私どもとしてはきわめて不適当である、そういうことは今後における合議体のこの公取の運営のあり方に重大な影響をもたらします。したがいまして、個人に対して攻撃が向けられるということだってあるわけでございまして、そうなれば皆萎縮してしまって、その合議の内容を全部公開せよというならば、いま現在公取の委員会は非公開ということになっておるわけでございまして、それを公開でやれということになるわけであります。ということは、非常に私は、過去の事例が、似たような事例がございますが、まあそれはともかくとして、非常に不適当であるということで、そのような事情を倉成座長に申し上げました。したところが、その事情をほかの方と相談の上で御了解いただきまして、少なくともそういう自民党独禁懇の場においてそれぞれの委員の見解を個々に徴するということはおとりやめになっていただいたと、これが実情でございます。
○桑名義治君 次に、公取委員長にお聞きしたいことは、今回改正案を発表をされましたけれども、この試案をめぐってたいへんに論戦が高まっておるわけでございますが、過日九月の十八日の日、三時から記者会見でこの試案を発表するということで、その前に委員会が開かれておったわけでございます。で、そういう約束があるので、どうしても発表ができないということで、私たちの独禁法に対する論議というものは予測した論議が行なわれたわけでございます。
 この独禁法を見てみますと、第四十四条の二項で、「国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見を提出することができる。」と、こうあるわけでございます。この独禁法の精神を生かすために、どうしてもこの改正をしなければならない、こういうふうな意見が公取の中にあればこそ、こうやった試案が出されたわけでございますが、どうしてこの四十四条を適用して国会の場にまず論戦を持ち込まなかったのか、それが私はどうもわからないわけでございますけれども、この規定をなぜ活用しなかったのか、こういうふうに私は考えているわけでございますが、その点についての委員長の見解をお聞きしたいと思います。
○説明員(高橋俊英君) お説ごもっともな点で、法律をそういうふうに使うということは不可能ではないんですが、私どもの公正取引委員会の立場といたしましては、これはできるだけ政府の案として取りまとめいただきたいというのが希望でございます。そして、それができなくても、何らかの形で自民党の方にも御理解いただきたい、こう考えております。
 そのようなときに、いきなり法条を使って、そして国会に論戦を持ち込むといいますか、そういうやり方は私どもとしてはとるべきでない、穏やかでないということでございますね。順序としては、やはり政府並びに自民党の十分な御理解を得るということが先決じゃないだろうか。とにかく、皆さんのほうの政党からはすでにかつて法案も出されましたし、いろいろその間の事情も了承しております。ですから、皆さんのほうにもその点は御説明申し上げますが、何はともあれ政府・自民党が十分納得していただかないと法律案にならないのでございます。そういうことも考えまして、いま申し上げたように四十四条の法条は使わないほうがよかろうと、こう考えたわけでございます。
○桑名義治君 公取委員長の気持ちはよくわかるわけでございますが、一番今回の独禁法の改正について乗り気になっておるのは、与党よりも野党でございますので、そちらの根回しのほうが私は先じゃないかと思うのでございますが、まあいずれにしましても、こうやった重要な法案については、こうやった公式の場においてまず論戦が始まるということが、国民の合意をとりつける上においても、この法律の改正の重要性を国民に認識をさぜる上においても、私は最もそれのほうがベターな方法ではなかっただろうか、こういうふうに判断をしたものですから、きょうは公取委員長にこの問題についてお聞きをしたわけでございます。
 そこで、きょうはもう概略的な問題ばかりをお尋ねをいたしますが、次にお聞きをしたいことは、当然、今回のこの改正案がまあ通過をしたとします。多少修正があったとしても、通過をしたとします。われわれは少なくともこの原案どおりに改正をしたいというふうに願っているわけでございますけれども、しかしそうしますと、現在の公取の組織のままでは十分に対応する能力がないのではないか。結局、法律はできたけれども、それを施行する段階でいろいろな隘路が出てくるのであったならば、何のために法律を改正をしたのかわからなくなる。そうやった意味でこの公正取引委員会の拡充、あるいは予算措置、そうやったことについても法改正を当然並列的に出すべきではなかったろうか、こういうふうに私は思っているわけでございますが、その点についての御見解をお尋ねしておきたいと思います。
○説明員(高橋俊英君) 私どもにとってはたいへんありがたいお話なんでございます。で、もちろんいまの体制でこの法律改正が行なわれた後の問題処理に対しては十分であるかといえば、きわめて不十分であると申し上げざるを得ません。ただし、いろいろ人員の増加、組織の拡充というものに対してきわめてきびしい線が引かれておりまして、従来も私どもは非常に不十分であると思いながらやりくり算段してやってきました。で、今後来年度予算に関連いたしまして、もしもこの改正案が適当な時期にめどがついた場合は、追加して要求することが認められることになっておると思うのですが、これはこちらの一方的な考えでして、必ずそれが受け付けてもらえるという約束はございません。ただし、現在でも五十五名の増員要求はいたしております。
 なお、そのほかに、おそらく御指摘になった点の中には、いまわがほうでは遺憾ながら事務局長というのが局長の名前があるだけで、あとは部長でございます。で、部長どまりで終わってしまう官庁、そういう官庁は魅力がございません、はっきり申し上げて。まあ委員になればいいと思うのですけれども、これはとかく、はっきり申し上げまして他から補充されるという面が多いわけでございますから――交代の場合もそうです――部内から上がってくるのには、まだそれが簡単にいかないという事情がございます、適任者がおらないという問題もございますが。そういうことで私は、せめていまの部を局にしていただきたいということは切実に考えております。そうでなければ、職員はせっかく努力して励んでも報いられるところはきわめて少ないと思います。人数の問題だけでなしに、そういう部を局にして、なお、その課の面においても専門の課が必要でございます。当然、たとえばいろいろな課徴金の問題の計算にしても、それから原状回復命令で価格の命令にしましても、これは多少専門的でなければならないので、そういうためにはそれだけの新しい課を新設するぐらいのことは少なくとも最小限度必要ではないかと思いますので、そういう方面に向かってできるだけの努力をしてまいりたいと思います。
○桑名義治君 次の問題に移りたいと思うのですが、いろいろな情報によりますと、この独禁法の改正に対して新しく審議会を設けてはどうか、あるいはまた、経団連あたりは公取委を洗い直せということでいろいろと、内閣の指揮のもとに置かれるのがこれは当然なんだというような意見が出ているというふうに、これは報道されているわけでございますが、私たちは、行政委員会としてこういうふうな独立の権限を付与した委員会があるということについては、これは当然なことだというふうに考えているわけですし、また審議会の設置の問題については、現在すでに独占禁止法研究会あるいは懇話会というような皆さん方の諮問機関的なものがございます。あらためてここで審議会を設置する必要はないと、私たちはこういうふうに思っているわけでございますけれども、それに対する委員長の御意見を伺っておきたいと思います。
○説明員(高橋俊英君) 審議会をつくるということにつきましては、非常に慎重を期するならばそういう見方もあるでしょうけれども、私どもは、かなり独禁法というものは、いわゆる常識の範囲よりは多少専門的な範囲が多いわけですから、そういう点で、審議会をつくってぼちぼちと、月に一回とか二回というようなテンポでやっていたのでは、これはいたずらに遷延する。ですから、ただ延ばすという意味ならばそれはけっこうでございますけれども、こういうことは私どもとしてはもう希望したくありません。
 それからもう一つ、その公取のいわゆる独立したような、法律的に独立した機関でございます。しかし、人事や予算の点は内閣総理大臣の管轄にございますので、こういうものは陰に陽に実は一つは力となって働くわけでございまして、まあ、事実上目に見えた圧力を受けたということはないと申してよろしいと思いますけれども、しかしながら、もしも組織を変えろという意味が、公取の現在持っておる法律上の独立性を奪ってしまえ、それを剥奪すべきだということであるんでしたら、これは私はとんでもないことになるんじゃないかと思います。日本のようにはっきり書いてある、あっても、事実上は何か行なわれることがないとは保証しません。何らかの圧力がかかってくることもないとは言えないわけでございます。
 しかし私は、少なくともいまそんなものは相手にしませんけれども、法律の条文の上からそれを削ってしまうということは、もうどんないかなる圧力にも屈するという体制になるわけでございます。これはたいへん残念なことではないかと私ども思います。やはりいま日本のような現状では、明文をもって現在書いてある規定がそのまま生かされてなければいけないのであって、私はいまの五人の委員会制度、それが最良のものであるということをとりわけて主張するものではありませんが、しかし、現状をしいて変える必要はないのではないかというふうに思います。中心が、財界等が求めているところの問題は、公取が独立性を持って行動するのはけしからぬということであるならば、これは私どもは一種の経済事犯の裁判というふうな感じも持っておるわけでございますから、これについて何か他から幾らでも指揮命令ができるというふうな形になったんでは元も子もないということでございますので、反対するためには、攻撃の的をこうすり変えて公取を突っつくというふうなことになるのかもしれませんが、このようなことはぜひ考え直していただきたいと思っております。
○桑名義治君 独禁法の問題は、またバック資料等をそろえまして本格的論議に入りたいと思いますので、この程度で打ち切らしていただきますが、公取の委員長も御用件があるようでございますので、中小企業の問題について、あるいはまた繊維業界の問題について質問をするその中身の一端を御質問して、どうぞ御自由にしていただきたいと思います。
 日本紡績協会が去る九日、公正取引委員会に対して独占禁止法による不況カルテル結成を申請をすることをきめた、こういうふうに発表になっているわけでございますが、一応申請は十一月の上旬の予定と、こういうふうに報じられておるわけでございます。そこで、公正取引委員会に申請があった場合に、公正取引委員会としてはどのような方針で対処するつもりなのか。あるいはまた、業界としては四〇%の大幅な操短も考えている、こういうふうにいわれておりますけれども、このような内容がはたして妥当なものであるかどうかという点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。これは公取委員長だけではなくて、通産大臣の御答弁もあわせてお願いを申し上げたいと思います。
○説明員(高橋俊英君) むろんそういう報道は確かに承っております。ただし、私のほうの事務当局に最近聞きましても、まだ何にも接触はない。ですから、予備的な打診もないわけでございます。したがいまして、私どものほうとしては、何かそういうものが出てきませんと、いいも悪いも判断しようがない。
 原則的な態度だけ申し上げますれば、不況カルテルについては、従来の経緯がとかくカルテル体質を醸成するような面が、一面にあるわけです。つまり、カルテルを認めなきゃならぬ場合がありましても、これによるデメリットも無視できないということでありますから、現在の不況カルテルを定めている条文を厳格に解する。厳格に解することによって、経理状況その他を十分審査し、経理だけでございません、もちろん物の売れ行きとか、在庫とか、いろいろな点について十分念査をいたしまして、それから態度をきめたいということでございますので、ただいまの段階ではこれ以上に申し上げるわけにはまいりません。
○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維関係は、非常に深刻な不況にいま立ち至っておりまして、失業、倒産というものが出かかってきております。一番われわれが心配しているのは、中堅企業や下請企業における失業の発生という問題でありまして、そういう諸般の面を考えてみると、かなり深刻な事態に立ち至ってきている。このまま放置してよろしいかどうか。われわれは金融的にいろいろささえたり、そのほか諸般の行政的な政策はやっておりますけれども、それで持ちこたえられるものがあるか、さらにもう一段の政策を用意する必要があるかという判断をいましつつあるところでございます。
 不況カルテルにつきましては、その要件がございますが、操業度とか、あるいは失業、あるいは採算点等々いろいろございますが、そういう情勢のどの部分にいま進行しつつあるかという点も、われわれは事務当局をして精査させておるところでございます。
 具体的には生活産業局長から答弁いたします。
○説明員(橋本利一君) 紡績協会で不況カルテルを申請するということでありますが、つぶさには承知いたしておりません。新聞報道等を通じて承知しておるわけでございますが、綿糸の在庫について申し上げますと、現在時点で五万七千トン、通常在庫に対しまして少なくとも二万トン以上過剰になっておるのではなかろうかと見ておるわけでございます。
 それから相場のほうも、代表的な四十番手について取引所における相場について申し上げますと、ポンド当たり百六十円から百七十円程度、これは原綿代も十分にまかない得ない相場ではなかろうかというふうに考えておりまして、さような点から、紡績協会としても不況カルテル締結の動きを示しておるのではなかろうかと思いますが、いわゆる独禁法に規定する要件の中で、かような状況からいたしまして一番問題になるのは、事業の継続の困難性をどう判断するかという問題かと思います。たまたま前期あるいは前々期において黒字決算を出している企業も多うございますので、そういった点も勘案しながら現状をどう判断し、事業継続の困難性について公正取引委員会がどのような裁断を下されるかということがポイントになるかと思いますが、一言で申し上げますと、綿紡績業に限らず、繊維業界全般は非常な不況に呻吟しておるわけでございますので、さような点で、公取としてもよく実情を調査の上御判断いただきたいと考えております。
○桑名義治君 時間の関係で、あっちこっち質問が飛んで申しわけございませんが、経企庁の長官のほうに今度お尋ねしておきたいと思います。
 わが国の食品添加物の問題でございますが、これは非常に野放図になっている、野放しになっているというふうによく批判をされているわけでございます。で、過日消費者保護会議で決定された食品添加物の規制の内容についてまず、非常に大きな質問で申しわけございませんが、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 国会で先年御制定になりました消費者保護基本法というのがございまして、この法律の所期する観点からいたしましても、消費者の安全を守る行政を進めるべきであると、こういうふうな考え方に私どもは立つわけでございます。
 実は、桑名さん、あるいは御承知ないかも存じませんが、私はちょうど昭和四十五年から一年半ぐらいの間、厚生大臣をいたしておったことがございまして、そのときにもチクロをはじめ食品添加物についていろいろな論議がございまして、私は決して手柄話を申し上げるわけではございませんけれども、そのときにいまの消費者保護基本法のたてまえとたまたま一致するような考え方を私どもはとりまして、昭和四十五年から食品添加物、おそらく二、三百か、それ以上の品目があるはずでございますが、それらについて全般的な再検討をすべきであるということを実は私は打ち出しました。
 ところが、これは再検討いたしましても、慢性毒性とか、急性毒性とかいう両面の問題がございまして、慢性毒性の検討をいたしますためにはラットですか、モルモットですか、ある場合においてはサルとかなんとかいう大型の動物をも使わなければならないというようなこともございまして、かなり長い年限がかかるものもございまして、とうてい私の在任中に全部が再検討はできませんでしたけれども、幾つかのことについてはこれを実はやってまいってきた。その続きといたしまして、昨年の政府の消費者保護会議のときにおきましても、一時の経済企画庁長官がこの消費者保護会議の世話役として、やはり同じように食品添加物の再検討の問題を基本法の角度から取り上げられまして、たしか第二次の食品添加物再検討五カ年計画というようなものをその保護会議にはかりまして、それがいろんな決定をされたことと聞いておりますけれども、その線に沿いまして今日まで厚生省当局、特にこれは食品衛生試験所がおもだろうと思いますけれども、そういうところで再検討を続けておるわけでございます。
 しかし、最近AF2の問題でありますとか、新しい食品添加物の課題も出ておるわけでございますので、今度の生活保護会議におきましても、さらに私どもは生活保護の三つぐらいの柱の一つとして、といいますよりも、むしろ第一の柱として消費者の安全性という角度を取り上げまして、その中で昨年から始めておりまする第二次の食品添加物の再検討計画を一そう効率的に、しかも最近の科学の進歩に即して、これを指定した当時ももちろん科学が進歩しておったとは思いますけれども、その当時は最善の知識、科学のベースのもとに指定はされたと思いますけれども、最近の新しい科学の発展に照らしてこれを促進すべきである、こういうことを持ち出しております。したがいまして、これからあとの分は私は何ともお答えできませんけれども、もちろん、その会議は厚生大臣もおられたわけでございますので、その趣旨を体して着々とやっていただいておると思います。またやっていただかなければ困ると私は考えております。
○桑名義治君 厚生省にお尋ねをしたいんですが、石本厚生政務次官がいらっしゃっていますか。――厚生省はAF2を九月一日にやっと指定の取り消しをなされたようでございますが、そのAF2の使用食品の回収はどの程度終わったでしょうか。
○説明員(石本茂君) このことにつきましては、一カ月以内に回収するということであったわけでございまして、目下着々とそれは回収されているし、されたというふうに考えております。
○桑名義治君 一カ月以内ということは私も存じております。したがって、九月一日に指定が取り消しになった。もう一カ月以上たったわけです。したがって、回収は全部終わりましたでしょうかとお尋ねしているんですが。
○説明員(石本茂君) 全部で約五千トンでございますが、全部回収は終わりました。
○桑名義治君 そこで次にお尋ねしたいのは、最近特に新聞紙上でも発表になっておりましたし、あるいはまた国立遺伝学研究所からも発表になっておりますが、食品や医薬品の色づけに使用されております赤色一〇四号、これは人の胎児の培養細胞に突然変異を起こす、こういうことが国立遺伝学研究所の黒田室長より明らかになったわけでございますが、これは当然三年前から国立遺伝学研究所の変異遺伝部長からも厚生省に、使用を中止したらどうだというふうに検討依頼なり警告なりがあっておったと、こういうふうに私聞いているわけでございますが、実際にこの赤色一〇四号については世界各国どこも使用してない、日本だけが使用しているというような実情のもとに置かれておるわけでございますけれども、どうしてこういうふうな、いわゆる危険な医薬品が依然として食品に添加をされているのか。これは即刻全面使用禁止にすべきではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、まず最初に経企庁長官から、これは関連ございますので御意見を伺って、そして専門的に厚生省から御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 赤色一〇四号という物質につきましては、これは化学合成物質でございましょうけれども、私に化学知識ございませんので、桑名さんにお答えすることはできません。しかし、私も一〇四号であったか百何号であったか忘れましたが、当時、私はこういう人間でございますから、悪いことはみなやめろというほうでございまして、これはほんとうにお赤飯を赤く染めることはつまらぬじゃないか、アズキの色で赤くなったらよろしいと、それから、お祝いの紅白のもちの赤いのを染める必要はないじゃないか、だからやめろということまで、実はほんとうに言い出したことがございますが、世の中には常識のある方もいらっしゃいまして、まあまあそこまではということで終わりましたが……。
○桑名義治君 大臣、発言中申しわけないけれども、要点だけお願いします。
○国務大臣(内田常雄君) ですから、それは一〇四号でありますか何号でありますかしれないけれども、疑いがあって、それがどうも人間生活になくてはならないものでない限り、私はなるべくやめる方向で検討してもらうことがよいとほんとうに考えております。
○説明員(石本茂君) ただいまの問題でございますが、現在まで私どもの省におきましては、国立衛生研究所などを通しましていろいろと、どう言いますか、研究し、調査してきているわけでございますけれども、慢性毒性試験と、それから例の奇形を誘発するというような催奇形試験と、それから代謝試験などでは一応安全性は認められているわけでございます。しかしながら、いま先生申されましたように、この培養細胞の中に突然変異というものが出てきている。そういうことにつきまして安全性にやはり疑いを持ち始めたわけでございます。ただ、あまりこういうことを申しますとおしかりを受けるかわかりませんが、その十分なデータが今日なお出そろっておりませんために、それを早急に取りまとめまして、そうして食品衛生調査会にこれを提議し、早急に結論を出したいという考えでおりますが、しかし、いまお話のありましたように、そういうあぶない、あいまいなものは使ってはいけない、これは原則でございますので、早急に中止するということについては決してやぶさかじゃございませんで、むしろ予定をいたしておる現状でございます。
○桑名義治君 こういう国立の研究所でこのようなデータとして発表されているわけでございますし、食品衛生法の第四条の趣旨からいくならば、これはもう早急にこういうふうな食品添加物については中止をすべきである、こういうふうに私は考えるわけです。それと同時に、一〇四号のほかに一〇五号、一〇六号、こうやったいわゆる添加物も、構造式が非常に似ているというところから非常に危険視をされているふうに言われているわけでございます。先ほど冒頭に申し上げましたように、この添加物については、日本以外は使用してないということでございますし、なぜむやみやたらにあの赤色を食品につけなければならないのか、そのところが理由がわからない。実際にこういうふうな危険なデータが出ている以上は、期日をきめて早急にこれはやはり検討し、結論を導き出す、これが私は非常に大事ないわゆる行政の姿勢ではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、期日は切れませんか。
○説明員(石本茂君) ただいま申しましたように、大至急に資料を目下収集いたしておりますが、やはり調査会にかけまして禁止に踏み切るというふうに持っていかなきゃいけませんので、それ以前の措置といたしましては、至急に一応中止すると、禁止以前の、どう言いますか、措置といたしまして、そうして中止するということを目下考えておるところでございます。
○桑名義治君 この問題につきましては、もう消費者団体その他の団体から、あるいはこういう公式な国立の研究所からのデータ等も発表されておりますので、薬品会社においては、中にはまだこのまま続けて使用するという薬品会社があります。これは名前もわかっているのですけれども、もう少しはっきりして出したいと思いますが、やめるという薬品会社と、いや、まだまだ続けるのだという薬品会社と五分五分なんです。それほどまでに薬品会社ももうそろそろ危険視し始めたというような実情にあるわけです。したがって、先ほど申し上げたように、いわゆる国民の健康と生命を守るという立場で――むやみに、その添加物がなければその食品が食べられないというわけじゃありませんで、色がつくつかないの、たったこれだけの差でございますので、それよりか一日も早くこれを使用禁止すべきである、こういうふうに強く訴えたいと思うんですが、最後に再度御意見を伺いたい。
○説明員(石本茂君) この一〇四号につきましては、もうすでに先生申されましたように、生産を中止してしまったところもございますし、非常に自粛されてきているということと、使用者側がほとんど使用を取りやめてきておりますので、いま申しておられますように、また申し上げておりますように、大至急にこれは中止に踏み切る行政措置をとりたい、さらにその上で、データがそろいましたら禁止に踏み切ってまいりたい。
 以上でございます。
○桑名義治君 常に日本の行政はあと追い行政だと、こういうふうに批判をされるわけでございますが、ひとつ、直接身体に影響を及ぼすようなこうやった問題につきましては、あと追い行政ではなくて先行行政になっていただきたい、これを最後に要望してこの問題は終わります。
 次に、中小企業者の経営改善、あるいは経営指導員の処遇の問題についてちょっと質問をしたいと思います。
 不況の深刻化というものは、中小企業の経営をめぐる環境をさらに劣悪なものにし、きびしいものになっているわけでございますが、こうやった時期には、ただ単に金融の措置というものが中小企業あるいは零細企業に対する適切な措置であるとは言い切れないものがあるわけでございまして、私たちも中小企業、零細企業の方々といろいろとお話し合いをしますと、やはり経営上に大きな難点がある。経営技術の未熟さで、いわゆるこういう不況を乗り切ることができないような羽目におちいったという事例がたくさんあるわけでございます。そうやったことを考えますと、ここに適切な経営指導員が非常に大切になるわけでございますが、この点について通産省としてはどのように考えていらっしゃるか、この問題にお答えを願いたいと思います。
○説明員(齋藤太一君) 中小企業の経営の指導につきましては、府県の総合指導所等を通じまして診断、指導等を行なっておりますけれども、特に小規模の零細な中小企業者につきましては、御承知のように、商工会議所なりあるいは商工会に経営指導員を特別に配置いたしまして、これが常時巡回等いたしまして、中小企業のいろいろな経営の改善につきましての指導に当たり、また相談に当たっておるわけでございます。こういうふうに経営指導員は大きな役割りを果たしておりますが、現在四十八年度末で約五千人の経営指導員がおりましたけれども、四十九年度におきまして、これをさらに千名増員をすることにいたしまして、現在増員を実施中のところでございます。また、その資質の向上等のために研修を強化をいたしましたり、その待遇の改善につきましても種々改善をはかっておるところでございます。
○桑名義治君 商工会議所あるいは商工会に経営指導員がいることについては、私もよく存じている次第でございますけれども、これらの人々の人件費が県が二分の一、国が二分の一ということでまかなわれているようでございます。ところが、この指導員の人件費の単価が月に八万八千四百円、補助員の単価が五万一千二百円というように非常に劣悪な環境の中で指導員が働いているという、こういうことでございます。しかも、この平均値が二年続けて二〇%前後のベースアップがあって初めてこの賃金になっている、こういうふうな状態では、現在の物価高の中で生活を乗り切っていくことは非常にむずかしい、そして、真剣にこうやった重大な任務につくことは至難であるというふうに思うわけでございまして、そうやった意味から、中小企業の経営指導という重要な任務に当たっておられるこうやった指導員の立場について通産当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点をまずお伺いをしておきたいと思います。
○説明員(齋藤太一君) 経営指導員につきましては、その給与につきましては、ただいま先生お話しのように、国と県が二分の一ずつ補助をいたしましてその経費をまかなっておるところでございます。そのベースアップは大体公務員に一年おくれまして、前年度の公務員のベースアップ率をもちまして翌年度それを予算化いたしましてこの経営指導員の予算単価のベースアップを従来はかってまいりまして、四十九年度では、昨年度の公務員のベースアップ率でございます一九・三%のアップをいたしまして、ただいま御指摘のように八万八千四百円という予算単価になっております。明年度につきましては、今年度公務員が約三〇%強のベースアップがございましたので、このベースアップ率を明年度予算におきまして適用すべく、現在予算要求書を大蔵省に提出いたしておるところでございます。
○桑名義治君 大臣にお尋ねしたいんですが、これはいま長官のほうからお話がございましたが、この指導員については来年度は公務員と同じ幅のベースアップをすると、こういうふうなお話があったわけでございますが、大臣に一度確認をしておきたいと思いますけれども。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最善の努力をいたしたいと思います。
○桑名義治君 お約束ができないわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは大蔵省がいるものですから…・r。一生懸命努力はいたします。
○桑名義治君 それと、先ほどお話がございましたように、経営指導員につきましては、全体的には現在約五千人いるというお話でございます。いろいろな、会計士だとか、そういう資格と一緒に持っていらっしゃる方はわりに職があるわけでございます。ところが、こういう一つの資格だけをとった人々が宝の持ちぐされで、なかなかそうやった仕事に恵まれないという実態があるようでございます。こうやった方々を放置することは現在のような経済の混乱の時期においては非常にもったいない、宝の持ちぐされだと、こういうふうに思っているわけでございますが、この制度をまだまだ十二分に活用するために中小企業庁としてもさらに努力を払っていくべきではないか、こういうふうに思っているわけでございますが、この点について何かお考えがあればお伺いをしておきたいと思いますが。
○説明員(齋藤太一君) 現在、経営指導員は約五千名おります。今年じゅうに千名ふえるわけでございますけれども、全国の小規模企業者の数は約四百五十万ぐらいございまして、そのために一人の経営指導員が担当いたしております小規模企業の数も千企業をこえるような状況でございます。そういうことでございますので、いろいろ資質の向上のために、研修等はかりながらこの小規模企業の指導に全力をあげてもらっておるわけでございまして、身分も、現在商工会議所あるいは商工会の職員という身分でございますので、その将来の問題につきましては、退職給与引き当て金を会議所あるいは商工会に積むことができるように、明年度から若干国がその分を補助すべく予算化をはかりたい、かように考えておるところでございます。
○桑名義治君 この問題はこれで終わりたいと思います。中小企業並びに繊維の不況対策についてもお伺いをしたかったわけですが、私の持ち時間が大体参ったようでございます。しかし、せっかく御出席を願った方々に対して申しわけございませんので、もう少々時間をいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 それで、はしょって問題を提起をしておきたいと思いますが、愛知県の東海レイヨンあるいは大信紡、こうやった繊維会社が廃業をきめたと、こういうふうに聞いているわけでございます。
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
そうしますと、従業員が約六百人全員解雇、こういうことになってしまうわけでございますが、これは一つの大きな私は社会問題だと思います。そこで、この従業員に対する再就職あるいは処遇について、職業安定所関係の方々も最大の努力は払われておられるとは思いますけれども、どういうふうないま手を打たれているか、このことをまずお伺いしておきたいと思います。
○説明員(岩崎隆造君) いまのお尋ねの点につきまして、最近雇用面においてあちこちでそういった影響が出てきております。これは都道府県全般を通じまして、私どもはそういった事態についての円滑、迅速な把握ということを第一にいたしまして、第一には離職者防止ということを事業主に強く指導を都道府県を通じて求めておるわけでございますが、具体的に出てまいりました退職者につきましては、現在、現行法であります失業保険制度あるいは雇用対策法に基づきます転換給付制度、それから特に中高年齢者につきましては中高年齢者に対する就職促進措置等の現行法に定めてあります援護措置を十全に活用いたしまして、同時に、求人開拓等にも職業安定所全力をあげてつとめることによりまして再就職の促進をはかってまいりたい、こういうことで強く指示をしておるところであります。
○桑名義治君 いまの御答弁はたいへん月並みな御答弁でございまして、実態に即した御答弁を願いたいと思うのです。現実にそういういわゆる法律に基づいた救済措置をやっておるけれども、
  〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
現実はこういうように救済された、こういう隘路がいま現在起こっておるのだ、そういう実態に即したお話を願いたいと思います。
○説明員(岩崎隆造君) 具体的な措置と申しますと、現在、労使でいろいろお話し合いを進めておられる過程でございまして、現実に出てまいります離職者について、これが職業安定所の窓口にまだ現実のところ出てまいっておりません。したがいまして、現地を通じまして私ども情勢の把握は、その過程におきましていろいろっとめてまいりたいと思いますが、現時点において私どもまだ具体的な数字、離職者の数あるいは安定所に出てくる人の数、再就職者というような形での具体的な措置はまだ把握されていない段階でございます。
○桑名義治君 こういう不況の波をかぶっている社会情勢でございますので、あちらこちらに倒産が続発をしてこういうふうな非常に不安定な状態に陥っていることは、これは当然なことですが、わかることですが、特にその中でもきょうお尋ねしている問題は、先ほど申し上げましたような二社、いわゆる東海レイヨン、大信紡、こうやった六百名という大量な人が一挙に職を失ったわけでございますので、この一つの例を取り上げて、この六百人の方々ははたしてどうなっているか、このことをいまお尋ねをしているわけでございます。そして、あとはどういうふうに他の方々に対して影響が起こってくるかということも私は判断をしたい、こういうように思っているわけです。
○説明員(岩崎隆造君) ちょっといま具体的な資料を検討しております。――先生お話しでございますが、私ども十月末に廃業というふうに見込みを聞いておりますので、具体的な形として私どもつかめていないというのが現状でございます。
○桑名義治君 こういうふうに大量な人々が職を失うわけでございますので、早急にこの問題は調査をして報告していただきたいと思います。
○説明員(岩崎隆造君) いたします。
○桑名義治君 もう一問だけ、通告をしておきましたので質問をして、私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今回のこういう不況下におきまして災害救助法の適用をするということで、四十一条に基づき、災害救助基金の運用により、備蓄物資の購入にあたっては中小企業繊維製品を買い上げるように、この五日の日に、通産省から厚生省に依頼があり、厚生省からそれぞれ通達を出し、その厚生省の通達に基づいて通産省がさらにまた通達を出した、こういうふうな経過になっているようでございますが、具体的には、この基金というものがそれぞれの都道府県によって積み立てられているお金で、国庫からの支出はゼロだというふうに聞いているわけで、この内容について、なかなかむずかしいとは思いますけれども、現在把握していらっしゃる範囲内で、この効果がどの程度あらわれると判断をなさっているのか、まず伺っておきたいと思います。
○説明員(橋本利一君) 私のほうといたしましては、厚生省にお願いいたした立場でございますが、まずそちらの立場から申し上げたいと思います。
 私たちが承知いたしておりますのは、災害救助法に基づく基金残高が昨年時点で六十四億ぐらいある。そのうち四億は有価証券投資に向けられており、あと約四億は現在すでに物資として持っておる。したがいまして、残りの五十六億が預金されておるようでございますが、これにつきましては当然人件費等の支出、あるいは繊維以外の、たとえば食料品等の備蓄にも充てられるかと思います。したがいまして、私たちといたしましては、この五十六億のうち幾ばくが繊維に向けられるかということについては承知し得ないわけでございますが、少なくとも災害救助品目としては、毛布、タオル、綿布等につきまして適格品ではなかろうか。特に先ほどからお話がございますように、こういった三品についてかなりの在庫をかかえているということでもございますので、厚生省にこの基金の活用方をお願いいたしたと、こういう次第でございます。
○桑名義治君 厚生省のほうから……。
○説明員(石本茂君) 厚生省といたしましては、本月の七日でございます、この通知をいたしましたのは。でございますから、今後どのように具体的に活用されてまいりますのか、まだ効果のほどにつきましてはさっぱりわかっておりませんでございます。ただ、都道府県の事情によりましてほんとうに効果があがるように活用されますことをむしろ祈っておる現状でございます。
○桑名義治君 時間があれば、まだまだたくさんお聞きしたいこともございますが、与えられた時間を超過いたしましたので、これで終わらせていただきますが、いずれにいたしましても、たびたび当商工委員会におきまして、中小企業対策並びに特に繊維業界が非常な圧迫を受けているというような実情でございますので、この点をさらに考慮されまして、最大の努力の払われんことを心からお願いをいたしまして終わりたいと思います。
○須藤五郎君 先日私は、福井県内の中小企業の実態を調査してまいりましたが、特に繊維関係の窮状は深刻なものだと思いました。そこで、繊維関係中小企業のさまざまな問題をかかえている典型的な業者の実情をここに御紹介し、これに対する政府の対策を伺いたいと思っております。
 この業者は、十五台の織機を家族二、三人で動かして、タフタ、しゅす、アムンゼンなどを生産しております。
 注文の状況は、九月の初めで最盛時の半分しかなかったのに、十月に入ってからは全くなくなってしまい、残務整理みたいなことで若干機械を動かしているような状態でありまして、福井全体を見渡しても、大体半分の業者は織機を全くとめているような状況にもなっておるのであります。
 工賃のほうは、昨年三月ごろの二千六百円が、ことしの四月ごろには千二百円になってしまい、九月の初めには七百円まで下がっておりますが、最近ではスズメの涙ほどの注文でも、三百円とか二百円でないと仕事がないという、このような状況になっておるのであります。納品の際には分割納品を強要されたり、検査がことのほかきびしくなっております。これまででしたらA反で入っていたような小さな織り傷でも一匹――五十ヤードが全部はねられてしまっている。糸代の弁償を迫られたり、ひどい場合にはすでにA反として商社に納入済みの在庫品を調べあげ、ウの目タカの目できずを見つけて返品してくることまでやっておりますが、もっとひどいのは、すでに染めに出したあとできずを見つけたといって、染め代も糸代も弁償しろ、もちろん工賃は払わないと言ってきているのであります。賃織り業者は、これでは幾ら織っても赤字がふえるばかりだと嘆いておりました。
 こんな苦労をして八月の売り上げは、この業者はやっと十二万円しかありませんでした。ここから電気代四万円、消耗品代三万円――一ころの三倍ぐらいにこの消耗品代ははね上がっております。これを差し引きますと、四人家族はとても養っていけない。このほかに設備を入れるための借金の支払いがあります。国金の窓口に借り入れ金の返済猶予を頼みにいっても、二度三度と通わなければ承認してもらえず、新しく融資か受けたくても返す当てもないし、利子も払えないだろうから、借りても自分の首を締めるようなもので、全くぼう然としてしまうと、こういうふうに言っておりました。これも大商社の韓国などからの逆輸入があるからなので、ぜひともこれを禁止してほしいと、こういうふうに私たちに訴えておりました。この業者は、最近息子さんを高速道路の土方に出して、何とか切り抜けているようでございましたが、この日当とても、初めは一日四千円だったものが、こんな状況で働く人が多いために、最近は二千円に下がっていると、こういうふうに嘆いておりました。こういう状態をよく大臣たちに認識していただいて、これからの質問に答えていただきたいと思うのです。
 きょうは、私は大臣と論争する気持ちはございませんので、こういう事実の上に立って、いわゆる現地の人たちが政府の政策、対策を心待ちに待っておりますので、だから前向きの、この現地の人たちが安心のできるような答弁をここで私はしていただきたい、こう思うんです。いろいろと事情を申し上げましたが、通産省としていまの話をお聞きいただいて、繊維中小企業の困難な状況を打開する上で何が問題になるか、あるいは解決すべき問題点は何か、この私の話の中からひとつ御指摘を願いたいと思うのでございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維関係の下請等が非常に深刻な事態になり、場所によっては失業やレイオフという危険性も出てきておることは、よく承知しておるところでございます。いまのようなケースにつきましては、繊維関係はいろいろ各段階の契約関係がございますが、おそらく下請の仕事が切られてくるとか、あるいは受注が激減するとか、そういうような形が最も出てきつつあるのではないかと思います。あるいはさらに、契約関係が非常に悪化するという場合もございます。手形の時期が非常に延びてくるというようなこともございます。通産省といたしましては、そういう最も圧力を受けている末端の状態に対しては非常に大きな関心を持っておりまして、できるだけそういうものを出さないように、これは取引関係を改善する。それから、その上のほうにあるものについて力をつけてやって、失業やらあるいはいまのような事態を引き起こさないように、経営あるいは契約を維持させると、そういう点についていろいろ各系統系統を通じて努力しておるところでございます。
 詳細につきましては、生活産業局長から御答弁申し上げます。
○説明員(橋本利一君) 私たちも最近、繊維不況が一段と深刻化してきておるということを痛感しておるわけでございますが、ただいま先生からお話を伺って、一そうその感を深くしております。
 ただいまおっしゃった点につきましては、たとえば工賃の問題、検査の問題、あるいは返済猶予の問題、逆輸入の問題、いろんな問題を含んでおるわけでございまして、これを一度にお答えするということもいかがかと思いますので、その中で特に受注の減少に対してこういった中小賃機業者に対してどのような対策があるかという点にしぼってお答え申し上げたいと思います。
 本来、こういった受注の減少に対しまして何らかの手を打てないかということになりますと、非常にむずかしい問題がございます。というのは、現在、下請にかかわらず受注が減少しておるということは、やはりその大きな原因といたしまして、総需要抑制策が浸透してまいる、その過程において消費者の買い控えによりまして最終需要が停滞しておるということ。それから商社、問屋等の金融の逼迫に伴いまして、いわゆる流通需要と申しますか、中間需要が減退してきておる。こういうことに大きな原因があるかと思います。さようなところから、いわゆる繊維につきまして先物契約を可能にさせるためには、商社ないしは問屋に対する金融という問題に必然的になってくるわけでございますが、総需要抑制下においてはやはりさような措置を講ずるということは困難である。したがって、その面からの需要の喚起ということは事実上不可能かと考えるわけでございまして、さようなところから金融、特に政府三機関を通ずる金融に重点を置きましていろいろと対策の手を打っておるわけでございます。
 また半面、こういった生産の減少と申しますか、減産につきましても、おのずから一定の限界があるのではなかろうか。それは必要以上に減産してまいりますと、企業の存立自体が維持できなくなるといったような問題もございますので、いま一つ考えておりますのは、たとえば工業組合あるいは協同組合等におきまして、経済共同事業の一環といたしまして在庫管理をやる、そのための資金について御協力をすると、こういうことでございます。たとえばある程度の生産をやるが、それではなかなか需要に結びつかない、その製品を在庫処理していくと、こういうことでございまして、ただいま御指摘になりました福井地区等におきましても、組合によりましてそれぞれ具体策を現在検討いたしておりますので、その計画が固まる段階におきまして、当方といたしましても資金手当てについてお手伝いを申し上げたい、間接的ではございますが、さような手をもって極力生産の減退ということを防いでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○須藤五郎君 いま局長のお話を伺っておりましても、そういうばく然というと失礼かもわかりませんが、具体性をやや欠いておるようなそういう答弁では、やっぱり中小企業家は安心することにはならないと、こう私は考えます。
 そこで、もう少し私は具体的に個々の問題について少し質問をしていきたいと思うんですが、この繊維業者の一番切実な問題は、先ほども申し述べましたように、仕事がないということだと思うんですね。仕事のあるなしがそのまま生活できるかどうかにつながる問題だと思います。つなぎ資金を借りるにしても、仕事のめどがつかなければ借りるわけにもいかないんですね。東京や大阪などでは、災害用としまして若干の繊維製品を自治体が購入するような話を聞いておりますが、通産省としてはどんな対策をこの点考えていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。いまあるストックを、在庫品を政府が何らかの形で買い上げてくれれば在庫がなくなる。そうすればわれわれに仕事がまた戻ってくるのではないか、こういう考えも業界は持っておるわけです。それに対して政府はどういう対策を持っていらっしゃるか、まあ、大阪や東京で自治体がこういうことまでやろうかという考えを持っている段階ですから、政府としましても、何らか手を打つべき時期が来ておるんではないか、こういうように私たちは考えますので、政府の考えを述べていただきたいと思います。
○説明員(橋本利一君) 業界の方が在庫の処理についていろいろさような要請を出されるというお気持ちはわかるわけでございますが、国が直接さような在庫を買い上げるということは適当ではないんではなかろうか、かように考えるわけでございます。ただいま引例されました災害関係の問題といたしましては、いわゆる災害救助法による基金によりまして、たとえば毛布だとか綿布、タオル等の繊維製品をその基金による備蓄といたしまして買いつけてもらいたいと、かような観点から先日も厚生省に話をいたしました。厚生省から各都道府県知事に通知を出していただく、わが省からはその通知を受けまして、各関係団体にそれぞれの都道府県の所管部課におもむいて直接話し合いをするようにというような通達も出しておるわけでございまして、この点についてはどの程度の成果があがるか、まだつい先日通達を出したばかりでございますが、そうした通達を出すとともに、われわれといたしましても各都道府県によく協力方をお願いいたしたいと思っております。
○須藤五郎君 大臣、この間私はテレビを見ておりまして、大阪の繊維業界が、在庫がふえて困るということで野っ原に反物を持ち出しまして、それで火をつけて燃やしている情景を見たわけです。これは非常な私は不経済なことであり、こういうことをやってもなかなか解決はするものではない。火で燃やしてしまうようなものならば、なぜ政府が買い上げて、そしてインドなりバングラデシュという、非常に災害で困っているような人たちに、あれを日本政府がお見舞い品として贈ることも一つの手ではないかと、そういうように私はしろうと考えで考えたわけなんですが、大臣はそういう不自然なことが、不合理なことが行なわれている、それに対して一体どうしたらそれが解決できるか、それをどういうふうに大臣はお考えになっているか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私ももったいないことであると思います。そういう御趣旨もございますので、対外経済援助の中にぜひ繊維製品を入れようと思いまして、エジプトであるとか、バングラデシュであるとか、あるいは南ベトナムであるとか、そういうようなところについていまいろいろせっかく努力しておるところであります。ただ先方との関係で、こっちが押しつけがましく物々先に選別して出すというやり方は非常にまずいのでありまして、先方側からこれをほしいという中に入れてもらうように努力する、向こうからのことをこちらが受け身でやるという形のほうが望ましいわけであります。そういうようなことごとについていままでも努力しておるところであります。
○須藤五郎君 こちらから要らぬというものを押しつけるわけにはまいりませんが、やはりそういう気持ちで国際的にも、また一方、国内的にも子ういう気持ちでこの在庫品を処理するということは、とりもなおさず中小企業の困っている問題を解決していく、全体をそれで解決できるとは思いませんが、一つの私は道だと、こういうふうに考えますので、そういう姿勢でこれからもひとつ考えていっていただきたい、こう思います。
 それから、私は次の質問に入りますが、福井県の大野市に参りましたときに、ネーム織り業者に会いました。ここに、洋服の裏に名前をつける、標識。そのときのネーム織り業者の要求ですが、官公庁の制服などにつけるマークをこの際一括して発注してもらえないだろうか、マークは二年分や三年分あっても変わるものでもないので、不況対策としてやってもらえないか、こういうふうな訴えを私は受けましたが、政府としましても、この問題について検討してもらいたいと思いますが、どういうふうにお考えでございましょうか。
○説明員(橋本利一君) こういった官公需につきましては、いろいろ従来の商ルートもあるかと思いますが、また一方で、中小企業に対する官公需の確保という問題もございます。したがいまして、私のほうといたしましては、あまりこういった制服のマークといったものを使っておらない役所でございますが、現業官庁等にも協議をいたしまして、できるだけ前向きに検討してみたいと考えます。
○須藤五郎君 建築にしましても、中小企業の建築家がいま仕事がなくて非常に困難をしておるんですね。そのときに官公庁の建築に対して大企業ばかり、大建築家ばかりにそれをまかせるんじゃなしに、中小企業にも建築を回してもらいたい、仕事を回してもらいたいという声が非常に大きいです。これも私は一つの問題だと思いますが、政府がそのマークを注文するときは中小企業ではなく、もっと大きいところへ一括して回してるということだろうと思いますが、そうではなく、中小企業も非常に困っているんだから、やはり政府がそれに援助の手を差し伸べて、政府がそういうところへ注文をしていくということも、私は中小企業を救うていく一つの道だと思っております。それについて、絶対そういうことはなし得ないというんではないんでしょう。やればできるということなんでしょう。局長、どうですか。
○説明員(橋本利一君) 私といたしましては、ここでちょっと即答申し上げるにはまだ若干問題あるかと思いますが、御趣旨を体しまして、関係の省庁とも協議をしてみたいと思います。
○須藤五郎君 私たちの要望にこたえて政府はそういう方向にいって、実際いまもう食うや食わぬ、もう死ぬか生きるかというせとぎわに立って苦しんでおる中小企業の方々を助けるためにはそのぐらいの手は打っていかないと、私は政府の政治力が疑われることにもなりかねないと思いますので、どうぞそういう方向でひとつ努力をしていただきたいと思います。よろしゅうございますね。
 それじゃ、その次の質問に入りましょう。
 私たちが調査に入りました際、仕事との関係で業者から出ましたのは、労働者が首になれば失業保険があるのに、おれたちは補償がない、何とかしてほしいと、こういうことでございました。いわゆる休業補償の要求です。この要求は非常に切実なものがございました。私は、国と地方自治体と親企業の出資による安定基金制度をつくって休業補償を行なうべきであると思いますが、これに対しまして大臣のお考えをひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 深刻な事態にある者につきましては、これは社会政策的にもいろいろめんどうを見なければならぬと思います。これは主として厚生省のほうの側で弱者救済という面から諸般の手を打つことがしかるべきであるというふうに思いますが、休業補償という形はいままであまり例のないことでありまして、いま直ちにこれを行なうことは困難ではないか、そういうように思います。
○須藤五郎君 私は、中曽根さんが政府の一員であるということであなたの意見を求めたわけですが、この休業補償をしないと、これから休業を強いられる業界がたくさん出てくるわけですね、現在。これを援助して立ち直らしていく、そのためにはやはり仕事がない休業期間中でも何らかの補償をしていく必要が私はあると思うんですよ。その間無担保、無利子、無保証の形で金を貸すということも一つの方法だとは思いますが、何らかの形をもってこの人たちを援助していかなければいかぬ、こういうふうに私は思って――休業補償というのは現在はございませんけれども、政府の一員としての中曽根さんに、これを法案として、休業補償をやっていく御意思はないかというお尋ねをしたわけです。もしも休業補償をしなければ、中曽根さん、こういう状態にある方々をどうして救うていくことができるんですか。どうしてこの人たちの生活を守っていくことができるんでございましょうか。労働者は失業したとき失業対策費をもらって、その間どうやら最低生活が保障されるということもやられておるわけですが、この人たちはどうしたらいいと思いますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 休業補償という形にせよ、ともかくそれは国民の税金がそっちへ回っていくというわけで、お気の毒なことはもちろんのことであり、政府としてもできるだけの措置は講じなければならぬと思いますけれども、そういうようなものを休業補償という形でお金を出すのが適当であるか。あるいはやっぱり独立の自営者でありますから、金融その他でつないであげて、あるいは親企業との関係を一体にしてその営業を少なくとも続けられるというような体制を積極的に推進して、ともかく働く意欲を持っている人を働かせると、そういうほうがより親切なやり方でもあり、妥当なやり方でもあるんではないか、そういうふうに思います。そういうところで間に合わぬという場合には、弱者救済というようなことで手当てをするのが正しいのではないか、そう思います。
○須藤五郎君 あなたのおっしゃるとおり、働きたい意欲を持っている者を働かすというのは――この人たちはみな働きたいんですよ。働きたくても仕事がないために働くことができないという最もつらい立場に立たされておるわけなんですね。だから、何らかの形でこの人たちに仕事をつくっていくということ、そういうために私、先ほどもちょいちょい数点申し上げたわけですが、どうしても仕事がないという場合は、この人たちはどうしたらいいんですか。そういうところに今日立っておるという非常に切実な立場を私はこの目で見、この耳で聞いてきたもんですから、私は大臣にその解決策をいま伺っておるわけなんですね。実際いま、ほんとうに困っているんですよ、中曽根さん。だから、私は口をすっぱくしてこういうことをあなたに申し上げているんですが、どうしたらいいでしょうか。それならば無利子、無担保、無保証で金を貸して当座の食いつなぎを、生活をつないでいくということを政府が積極的にやってくれますか。金も貸さぬ、仕事もないというんじゃ、この人たちもうどうしようもないじゃないですか。そういうところに今日来ているということを私はあなたに申し上げているんです。どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げておりますように、まず第一は親会社と下請の関係を改善して、そうして仕事をできるだけ回させる、どうしてもやむを得ないという場合にはしばらくの間ほかに働いてもらう、いままで建設会社へ行っておったとかなんとかということもございましょう。それはそれについて労働省が担当して、そのあっせんをするなり、あるいはその期間訓練所へ入っていただくとか、そういういろんなすべはあるわけであります。そういうような形でしばらくの間はがまんをし努力もしていただく、もし通産省関係で親会社等とも話し合いがつき仕事が回ってくるようになればまた再開をする、そういういろんな方面からの手を使ってやるのが適当ではないか、そういうように思います。
○須藤五郎君 中小企業の繊維業界が不況になる、その次には大企業繊維業界も不況になって、各大どころの会社が労働者を首切ったり、または一時製造をやめるというようなことの起こっているときに、この人たちが働きたいからといって、そういうところへ行って働く場所がもう実際はないと思うんです。それで、単に繊維業界のみならず、あらゆる業界がこういう不況な事態になっておるんですから、この人たちがどこへ行って働くということもなかなかむずかしいと思うんです。それで私が先ほど申しました中には、むすこさんが高速道路の工事に行って、最初は四千円ぐらい金をもらってやっておった、ところが、そういうところへ働きに行く人がどんどんふえたために、その給与も二千円ほど切り下げられてしまったと、こういう苦しい状態がいま全国的に来ておるわけですから、そういうときに、この人たちがそう簡単に働く場所を見つけようと思ってもなかなかありませんですよ、中曽根さん。そういうむずかしい時代だから、民間や個人にまかしておいては問題の解決のできないような時代だから、ここで政府が力を出してこの問題と取り組んでいく必要がある、政府は一体どうなさるんですかと、こういうことが私の質問の骨子なんですよ、中曽根さん。それはめいめいでさがしてこいというのでは、これはひどいですよ。そういう酷なお答えでは現地の人たちは承知できないですよね。もっと考えて御答弁願いたいと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはやはり政府あるいは民間、あらゆる機関が知恵をしぼってそのケース、ケースに応じて具体的に手を差し伸べてその場を切り抜けていく、そういう手だてを講ずべきであると思います。また一面において、働こうという意思がある方であるならば、自力更生の精神もあるはずでありますから、みずからもそういう努力をしてもらわなければいけない、みんなで手を差し伸べながら、御本人の気力もまた充実さしていただいて働いていく、そういう体系が好ましいと思います。
○須藤五郎君 それは本人も大いに努力する必要があると思います。これをすべて政府にまかせっきりにするんじゃなしに、私たちも政党としてこの問題は取っ組んでいかなきゃならぬ問題だと、こういうふうに思っております。だから、私たちは全国的に中小企業の今日置かれている立場、そういうものをいろいろ調査し、その人たちの訴えを聞いて、そうして、それに対して何かいい手は打てないものか、こういうふうに私たちも考えて、党のほうでも全国的に調査団を派遣していろいろ検討をしております。私たちもやっておりますが、何といっても行政権を持っている政府、予算も握っている政府のことですから、その政府が本気になってこの人たちをどうしたら救うていくことができるか、助けていくことができるのかということを、私は本気になって考えていただきたいと思うんです。私たちも考えますよ。しかし、政府もこれまでのようなことではなく、本気になってひとつやっていただきたいと思うんですが、まあ、政府に何かいい考えがあればと思って私きょう質問したんですが、いまのところこういう手を打ちたい、こういうふうにやりたいというお考えが具体的に出ていないのは非常に残念だと思いますが、これからでもその点大いに検討をして、この人たちを困らせないようにひとつ手を打っていっていただきたい。私から特に強く要望をいたしておきたいと思いますが、大臣もこれからその点について真剣に考えていただきたいと思います。いいですね、大臣。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最善を尽くしたいと思います。
○須藤五郎君 それじゃ、次に移りましょう。
 先ほど申しました工賃の切り下げの問題でございますが、この業者の場合は、昨年の三月に比べますと、現在は八分の一以下になっておるんです。この対策について政府はどう考えていらっしゃるか、伺っておきたいと思うんです。
 家内労働法などで最低工賃をきめておるケースもあるようでございますが、実際には何といいますか、最高工賃になっておるのが現状だと思うのです。いわゆる最低が最高になっておるというのが現状だと思います。保護的にはいろいろ言いましても、実際生活できるような工賃が払われなければ私は中小企業は成り立たないと思いますので、こういう工賃の切り下げ問題に対して政府はどういうふうにお考えになっているか。また、どういうふうに手をお打ちになろうとしているか、局長さんでけっこうですから。
○説明員(橋本利一君) 工賃の引き下げに対する対策というのは非常にむずかしい面がございます。と申しますのは、一回きりであれば、こちらの行政指導に従ってということもあり得るかもしれませんが、二度目から発注をしなくなる。それに対して発注を義務づけるということは、これはまた問題があるかと思います。さような点から、こういった経済的な取引につきましては、なかなか個別問題に行政介入するということは非常に実際問題としても困難な面が多々あるかと思います。
 さようなところから私たちは、現在準備いたしておりますのは、取引改善協議会といったような機関をつくりまして、この場で実態を調査すると同時に、取引ルールをつくっていくといった、どちらかといえば間接的ではございますが、そういった方向でこういう問題に対処していかざるを得ないんではなかろうか。不況が深刻化すればするほど片方で減産の問題がありまして、したがいましてそれだけ工賃のほうの引き下げの圧力ということであらわれてくるわけでございますが、やはり本件につきましては個別介入よりは、むしろさような取引改善協議会の場で一定のルールをつくっていくということが大切かと思います。もちろんその間、内面的に一般的にそういった親機等に対しまして行政指導するということにやぶさかではございませんが、やはり取引ルールの策定、それの順守といったような方向で検討していくべき問題ではなかろうかと考えております。
○須藤五郎君 それはあなたがおっしゃるように、実際には工賃の切り下げですね、これをもとへ戻してやっていくということは困難かもわかりませんけれども、しかし、こういうふうに切り下げてどんどんと工賃を減らされていったらこの人はどうして食うのですか。どうもしようがないじゃないですか。私の聞いた人は、昨年の三月に比べると現在、私は九月に行ったんですが、去年の三月からことしの九月の間に八分の一に下がってしまっておると言うのですよ、工賃が。これではとうていやっていけないんじゃないんですか。だから私は、先ほどから大臣も言うとおり、今日この人たちの困っているのは並みたいていじゃない。私たちが想像している以上ですよ。私に話した人は、目から涙を流して私にこの話を訴えましたよ。何とかしてください、政府にそのことを要望してください、私たちの苦しんでおることを政府にあなたの口から話してくださいというのが現地の声なんです。だから私はここであなた方に訴えておるわけですが、それを、工賃の切り下げを上げることはむずかしい、もとへ戻すことはむずかしいですなんていう、そんな答弁では、この人たちはもうとうてい救われないですよ。どうですか。どうしたらいいんですか、この人たちの生活を守るために。そこを私は聞いているんですよ。
○説明員(橋本利一君) 御趣旨はわかるわけでございますが、先ほどの答弁を繰り返すようで恐縮でございますが、やはり個別の工賃について引き下げてはいかぬ、あるいは引き上げろといったような個別指導をいたすにいたしましても、現実論としてなかなか問題があるかと思います。さようなところから、総合的な不況対策の効果と申しますか、先ほど大臣からもお答えがありましたように、たとえば、親機に対しまして減産資金あるいは在庫手当て資金等をつけることによりまして、あるいは過剰在庫を海外の援助物資のほうに極力振り向けるようにするとか、さような総合的な対策を講ずることによりまして、その余裕の範囲内において工賃の切り下げを防除していくといったような、総合的な対策の一環としてこの問題には対処せざるを得ないのではなかろうかというのが、現在での私の考えでございます。
○須藤五郎君 それじゃ、いまあなたがおっしゃったような対策を、親機のほうに行政措置でやらすという行政措置をなさいますか、どうですか。それとももう措置がないとおっしゃるのですか、どうなんですか。
○説明員(橋本利一君) 本年の三月末における年度末金融、あるいは四−六、七−九の金融、さらにはこれからの十先の金融につきまして、政府三金融機関を中心といたしまして追加投資をし、そのうちの大幅な額を繊維に差し向けておる、充当しておるというのもさような観点でございまして、ただ個別の特定の親機にという意味ではございませんで、特に零細な企業に対しましては国民金融公庫という金融機関もございますが、それ以上の親機につきましては、中小公庫あるいは商工中金等に資金融通をすることによりまして、それが効果的に下請に対する工賃の切り下げを防除していく、かような形で従来も金融対策を考えておるわけでございますので、今後もやはりさような方向で、特に十先の年末金融については特段の配慮を払いたいと考えております。
○須藤五郎君 先ほどからことしの年末に千五百億とか、今度は最近千億つけたというような話も午前中の質問の中にも出ました。しかし、とうていそれぐらいの額では、こういう困難な業態を私は救済できるとも考えないのです。もっともっと金をつけると同時に、皆さんが何とかしなければならぬというこの熱意を燃やしていただかないと私は解決できないと思います。もしも金をつけるというようなお考えだったら、私たちもその考えは支持しますよ。そして、皆さんがほんとうに何とかしなければならぬというお考えを持つならば、私たちも協力いたしたいと思っておるわけなんですね。だから、大いに積極的にこの問題と取り組んで考えていただきたい。いま政府は、もうお手上げで打つ手もないと言うんですね。手をあげられるんではどうにもならない、こういうことなんで、ひとつ真剣に考えてください。そうでないと現地が困りますから。いいですね、やってくださいよ。
○説明員(橋本利一君) 特に十先の金融につきまして、御趣旨を体して配慮いたしたいと思います。
○須藤五郎君 公正取引委員会の方見えていますね。公正取引委員会に伺いたいと思いますが、いまの業者の実態を聞かれて、私がいままで述べたことに何か問題点があるかどうか、ひとつ伺っておきたい。公正取引委員会として何か問題があるかどうか。
○説明員(後藤英輔君) 下請代金支払遅延等防止法という観点でもって、繊維につきましては特に不況の波が零細な下請業者に及んでいるということをいろいろ聞きますので、私ども全体的な問題といたしまして、繊維につきまして特別な調査をことしの二月に行ないました。それからさらにまた、現在約八百ほどの事業者に対して、下請法に基づく特別調査を行なっておりまして、先ほど先生のおっしゃったような非常に低い代価の問題とか、あるいは不当返品の問題とか、そういうようなものについて実態をつかみまして、法律の範囲内において措置できるものにつきましては、できるだけきめこまかに対処してまいりたいというふうに考えてやっております。
○須藤五郎君 私もここに独禁法を持っていまして、下請企業のところを見ました。そうすると、一度納品して、しかも染め屋さんまで回った品物の補償を親企業のほうから要求してくる。下請代金支払遅延等防止法第四条に、独禁法第十九条に違反すると私は思っておるのです。違反しますね、こういう行為は。
○説明員(後藤英輔君) 繊維の下請関係につきましては、繊維につきましては工程がよりの段階、織りの段階、それから染色整理と、非常にいろいろ複雑な工程を経ておりますので、そうした特性からして、製品になった後に欠陥等があとになって発見されるというような場合がございまして、そういうものをあとになって、こういう欠陥があったから、その修理のためにこういう費用が要るからというのを下請業者に請求するということは、一般的にはやむを得ない場合もあろうかと思います。しかし、下請法のたてまえでは、これが下請業者の責めに帰すというような場合においては、その代金を減じちゃいかぬというような規定もございますけれども、ただ、その欠陥の責任がどこにあるのか、あるいはまた、その請求する額がはたして妥当なのかというような判定、これはむずかしいところであると思いますけれども、そういう点が下請法の運用でもつてどこまでカバーできるかという問題が出るところでございます。
○須藤五郎君 公取さん、下請業者としましては、たとえ法に違反する場合でも、これからの仕事のことを考えると訴えて出るわけにいかぬ、こういう弱さがあるわけです。いわゆる、結局泣き寝入りをせざるを得ないということになるわけです。このような事例に対しまして、公取と通産省はどんな対策をとっていらっしゃるか、私は伺いたい。公正取引法の十九条には、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」とありますね。それから下請代金支払遅延等防止法関係の第四条ですね、一、二、三、四、五、六とずっとありますが、みな、何じゃないですか、「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと。」はできない、「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。」はしてはならない、「下請事業の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせること。」、「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。」こういうことは全部禁止されていることです。
 私は先ほど申しましたように、みんなこの条項に該当する問題なんです。しかし、そういうことは下請業者はわかっていながら、それを訴えると、もうこれから仕事がもらえないというようなことで泣き寝入りをしてしまっておるわけです。まことに気の毒なんです。だから、この業者の気の毒な弱いところを守っていく、それこそ公取がやるべき仕事じゃないですか、皆さん、そうでしょう。だから私はこういうことを公取の前で申し上げて、公取さんはこれに対してどういう対策を持っていらっしゃいますか、通産省はどういう対策を持っていらっしゃいますかということをいま伺っているんじゃないのですか。下請業者が安心できるような答弁をしてくださいよ、ここで。
○説明員(後藤英輔君) 下請の関係につきましては、確かにおっしゃるような規定でもって、事業者としてしてはならない規定を四条で掲げておりますけれども、具体的に、じゃこういう行為があって、これがこういうふうに触れるのじゃなかろうかと言ってくるのは、下請業者の弱い立場からして、公取に持ってくるということはよほどのことがなければ持ってこれません。というのは、おそらくそういうことによってもう取引がなくなってもやむを得ないというような場合でしかないということでございます。したがいまして、私ども今度繊維につきましては、直接下請業者に対しまして調査をいたしております。普通は親企業に対して、親企業のほうからその下請に対する取引関係の資料を出させるのでございますけれども、今度の場合は、下請業者に対して実情を出してほしいという形でもって実情を把握して、問題があれば具体的に措置してまいりたいということで、ことしの二月、それから現在も、先ほども申しましたように、約八百ほどの事業者につきまして下請業者の実態について直接聞くという調査方法をとっております。
○須藤五郎君 通産省はこれに対してどういうふうな対策をお立てでございますか。簡単に言ってください。
○説明員(橋本利一君) 独禁法なり、あるいは下請代金支払遅延等防止法による法的な措置ということになりますと、公取の権限に属するわけでございますが、状況によっては、当方としては中小企業庁長官から措置を請求することができるといったような規定もございますので、必要とある場合にはそういった方向で検討すべきかと思いますが、また、さようなことのほかに私たちといたしましても機会のあるごとに、特に不況の深刻化に伴いまして、関係企業に対しましてさような下請に対するしわ寄せを回避するように、いやしくもしわ寄せをいたさないように指導いたしておるわけでございますが、今後ともやはりその指導を強化してまいりたいと考えております。
○須藤五郎君 そういう考えを公取の方もお持ちならば、そういうことを下請業者が訴えて出た場合も、決して親企業から復讐を、報復を受けないように、弱い下請業者を守っていくということを忘れないでおいていただきたい。それを守るためには一体どうしたらいいか、そこまで考えておいていただきたいと思うんです。よろしゅうございますね。どんどん訴えてくるかわかりませんよ、そういうことになれば。その場合は、下請企業をしっかりと公取で守ってあげていただきたい。よろしゅうございますね。
○説明員(後藤英輔君) はい。
○須藤五郎君 それじゃ、そういうふうに私も承知しておきます。公取が引き受けているから心配するなと私も言ってやりますよ、いいですね。
 それから、その次あともう三問あります。
 融資の問題ですが、返済猶予はもちろんのことですが、緊急融資の問題も中小零細業者の実態に合ったものが私は必要だと思います。業者自身が切実に求めておるのは、非常事態なので無担保、無保証はもとより、無利子の特別融資制度をつくってこの急場をしのぎたいと、こう言っておりますが、政府は、この要求をかなえる必要があるとお考えになりますか、その意思がありますかどうか、伺っておきたいと思います。
○説明員(橋本利一君) 返済猶予の問題につきましては、先ほどもちょっと触れたかと思いますが、個別企業の経理の実態、経理の実情に応じて、それぞれ三機関の窓口に通知いたしまして返済猶予するという方向で指導しておるわけでございますが、零細企業の実態に即応した無担保、無保証、無利子の融資についていかんという点でございますが、実は、これは私の所管でございませんので、そういった御意見があったということを伝えておきたいと思います。
○須藤五郎君 先ほど局長が、原産地表示を義務づけることには日本は反対しておるんだ、それは法的根拠はガットの九条だと、こういうお答えでした。私もガットの九条をあれからずっと読んでみました、ここへ持ってきて。そうすると、あながち私は局長のおっしゃるようなことばかりではないと思うんです。何で局長は、好きこのんで日本に不利なようにこのガットの九条を解釈されるのか、もっと日本の業界に有利なようにこの条文を解釈できないものかと、こういうふうに私は思っておるんです。これずっと読めば、九条の第三には、「締約国は、行政上実行可能なときはいつでも、所定の原産地表示を輸入の時に附することを許可しなければならない。」ともありますし、第六には、「締約国は、他の締約国の領域の産品の特殊の地方的の又は地理的の名称でその国の法令によって保護されているものを侵害しないように、産品の真の原産地の誤認させるような方法による商号の使用を防止する目的をもって相互に協力しなければならない。」というようなことも九条の六には書いてありますが、この法律をあなた先ほどおっしゃったように、日本は原産地表示を義務づけることには反対しておるんだ、それはガットの九条によるんだという、そういう突っぱねたような答弁をされたんでは、今日日本の奄美のつむぎにしましても、西陣にしましても方々のそういう原産地の方々は、韓国や台湾、香港あたりから日本に模造品みたいなものが入ってくるのを何とかしてやめてもらいたい、禁止をしてもらいたいという希望が大きいときに、局長のように、これはガットの九条によってわれわれは原産地の表示を義務づけるのは反対だというようなことで片づけられると、現地の方々、実際に仕事をしていらっしゃる方々はなかなかおさまらないと私は考えます。この点もう少し考える余地はあるものだと思いますが、どうですか。
○説明員(橋本利一君) 午前中であったかと思いますが、輸入品の原産地の強制表示について、従来、日本は反対の立場をとっておったということを申し上げたわけでございますが、これはちょっと私ことば足らずのところがあったかと思いますが、それはガット九条の規定があるからということで申し上げたわけでございませんで、むしろ日本の立場からいたしますと、従来からやはり貿易立国と申しますか、そういった立場から自由貿易をとるのが好ましい。その場合に、こういった原産地を強制表示するような場合に、そのやり方によってはノン・タリフ・バリア、非関税障壁的な、輸入障害的な影響をもたらす。そのことが当時としては日本の貿易事情からしてマイナスであるという立場で、またそのとき申し上げたように、従来は日本はそういった形で強制表示に反対しておったと、かような意味で申し上げたわけでございまして、もちろん、いま先生御指摘のように、非常にその後事情が変化してまいっておりますしこういった問題についてはやはり慎重に検討する必要があるかと思いますが、全く不可能な問題というわけで私は申し上げているわけじゃございません。ただ、さようなガット九条の規定も、これは慎重に対処する必要があるわけでございますが、やはりより積極的と申しますか、そういった国際的に若干の問題を残すような手段に訴えるよりは、むしろこれは公正取引委員会の問題、所管にかかわる事項でございますが、やはり公正競争規約といったようなものをその業界でつくりまして、公取の認可を得た上でこの公正競争規約に従ってしっかりした表示をしていくということは、業界自身の防衛のためにもなりますし、かたがた、消費者対策にも通ずる手段かと思いますので、私といたしましては、むしろさような公正競争規約を業界としてまとめていく、それを公取の認可を得る手続を進めていく、こういった手段のほうがより積極的な効果を生み出すものではなかろうか、かように考えているわけでございます。
○須藤五郎君 公取さんは、私が直接聞いたんじゃないんですが、要するに、外国に向かって原産地表示を義務づける前に、みずからが原産地表示をすることも必要じゃないかというような御意見だったと聞いたんです。これはもちろん必要だと思うんですね。私はこの間、奄美大島に行って大島つむぎを見た。そのときの話には、原産地表示を大島ではやっていると。ところが、それと同じような表示を韓国がやってくる。しかも、日本に入ってくるときは無表示でこんなぐらいの糸、織る糸をそのままくっつけて、それで表示なしで入ってくる。表示なしで入るのはどうにもならないというのが公取の御意見でしたね。そのとおりですね。ところが、入ってきたものを、今度は日本でそれをもう一ぺん織らして、これは鹿児島で織らしているらしいんですが、そこに奄美大島つむぎと、原産地の表示と同じものを織らして、そうして売り出す。そうすると買うほうはわからないですね。そういうことが起こっておる。だから、もしも現地が原産地表示をしていないと言うならば、私は現地へ手紙を出して、必ずそれは表示をしなさいということを言いますがね。言いますが、それと同時に、そういう不公正なことが今日やられているわけですから、それに対してどういうふうにやっていったらいいですか。公取の意見をまず伺わしてください。
○説明員(後藤英輔君) 韓国から入りますときに、韓国産というような原産地表示を義務づけるということはなかなかむずかしい問題で、現にそういうところは無表示で入る、あるいはまた、そういうときには税関を通るような表示をいたしまして、通って、そうして国内でもっていかにも日本の伝統的なつむぎであるような表示をするというそういう場合には、もう明らかに原産国表示の問題というよりも、景表法四条の違反の問題としてこれは取り上げられるわけでございます。無表示で入ってきたもの、それを日本の業者の人がいかにも奄美等でできた本場のつむぎであるような表示をもしもその場で積極的にいたしますとすれば、これは不当表示ということで、違反として取り上げられるわけでございます。そういうケースについての御質問がずいぶんございました。
 しかし、なかなかそれが具体的に、じゃ、どこでどういう業者がやっているのかということにつきまして、実態をつかむことが非常にむずかしいのが現状でございます。それからまたつかんだ場合に、それを判断する場合の基準というのがなかなかむずかしいものがございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、業界でもって日本のそれぞれの組合等で一緒になって、ひとつ表示について自分たちが伝統工芸だとしてつくった、そういう製品についての表示のルールをつくって、そうして、そのルールを消費者等も納得をした形でもって公正競争規約として公取が認定いたします、それを守らせるという方法によって違反を摘発することもできるし、また、業界の自主的な力でもってほんとうの伝統品のつむぎと、それから韓国産のものとが区別できるようになるのではなかろうか。したがって、そういう後者のほうの指導というものもあわせて公取としても今後進めてまいりたい。そのために、たとえば鹿児島の県庁、あるいはまた通産省とも御相談いたしたい、そのように先ほど申し上げたわけでございます。
○須藤五郎君 公取さん、実は私たちは、その見本をこの間調査に出て行って見てきた、鹿児島の空港で。それではっきりわかっているのです。鹿児島の何という織り屋がそういうことをやっているかということはわかっている。それをはっきりあなたに言ったら、その織り屋をあなたは景表法の違反で処分なさいますか、どうですか。
○説明員(後藤英輔君) そういう具体的な事実がございますれば、公取でもって調べまして、もしもそのような加工が行なわれているということでありますれば、法律で処分できると思います。
○須藤五郎君 この問題は私だけが認めたんじゃないので、この間参りました剱木委員長はじめ小柳さん、公明党の代表の方、それから民社党の藤井さん、私たちみな空港で、福岡県の通産局の方がそれを持ってきて、実際にこういうことがやられておりますと言って私たちの前にはっきり示したわけです。しかし、それを私は名前を間違うといけませんから、もう一度名前をはっきり確かめてあなたのところに持っていきますから、それを処理してください。処理してくれますね。
○説明員(後藤英輔君) 具体的な事情がわかりますれば、さっそく調査いたしまして、しかるべき処置をいたしたいと思います。
○須藤五郎君 それじゃ最後に、通産省は七十二国会で私の質問に答えまして、国内の業者に被害が出た場合は輸入規制をすることと、こういうふうに答えていらっしゃいます。こんなに今日深刻になっておりましても輸入規制をしないのかどうか、それともまだ業者には被害が及んでいないと、こういうふうにのんきに考えていらっしゃるのかどうか、ひとつこの奄美大島つむぎなんかの実態を踏まえて通産省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、私は答えていただきたいのです。もしもそんなことを言っていないというならば、私はここにそのときの速記録を持ってきておりますから、それを読んでもよろしゅうございますが、確かに佐藤兼二さんとおっしゃる通産省の方が、私の質問にそういうふうに答えていらっしゃるのです。その通産省が言った深刻な事態が今日来ておる、こういうように私は理解しますので、重ねてこの輸入規制をやるべきだと、こういうふうに思うのです。
 それから特恵関税の問題で、いろいろこれは無理があるんだというようなことをおっしゃいますけれども、私よく調べてみますと、絹は特恵関税には関係がないということを聞いておるんですが、その点はどうなんですか。通産省の意見を最後に伺って、私の質問を終わりたいと思っております。
○説明員(橋本利一君) ただいま御指摘の輸入規制の導入ということにつきましては、まず、もちろん被害があるということも立証する必要があるかと思いますが、そういった場合におきましても、やはり国際的な関係、日本の国民経済的な立場、あるいは繊維産業の、現在、将来を含めての観点から慎重に検討をすべき問題ではなかろうかと思います。
 時間の関係もございますので、一例だけ申し上げますと、たとえば繊維につきましては、全体の輸出入の関係は入超になっております、昨年から。ただし、これは原綿、原毛といった、いわゆる原料を含めてでございますので、繊維製品だけ比較いたしますと、昨年でも十億ドルの出超になっております。で、本年に入りましてもこの一−六月で五億ドル、八月まで含めますと八億ドル、製品は輸出超過というような形になっておりまして、さような数字からいたしましても、輸出は自由だが輸入はストップということは、やはりどうしても通らない理屈、特に繊維自体にとりましても、それだけ輸出が減少していくといったような問題もございますので、この点については慎重にかまえていく必要があるんじゃないか。ただ、いろいろと行政指導はやっております。特に当方で国内に対して行政指導をやるばかりではなく、相手国の協力も必要かと思います。だから状況によりましては、相手国と政府間ベースあるいは民間ベースで情報交換と申しますか、事情をよく話し合うということも必要かと思いますので、そういった方向で対処してまいりたいと思います。
 それから二番目の、特恵の供与にあたりましては、非常に慎重に対処いたしておりまして、現在お話の絹織物につきましては、生糸とともに供与の適用除外品目になっております。
○須藤五郎君 最後に、私は中曽根さんに要望しておきたいのですが、いま一時間にわたって、いろいろ今日、日本の繊維業界が置かれている苦しい立場について、私たちが調査した実態をお話しして訴えたわけなんですが、これは決して私はオーバーなことを言っておるのではなく、実際にこういう状態だということなんですね。そういうふうに受けとめられて、これに対する対策を積極的に早く立てられることを強く私は要望いたしておきたいと存じます。どうぞそういう方向でやっていっていただきたい。
○藤井恒男君 だいぶ時間も経過しておりますので、なるべく重複する質問を避けて、若干の御質問を申し上げたいと思います。
 最初に大臣にお伺いしますが、さきに行なわれました日米の繊維交渉の経緯についてまずお聞きしたいと思います。
 申すまでもなく、四十九年一月に発効されましたガットの繊維国際貿易協定、この協定は、輸入制限が現在公式、非公式に世界の間ではびこっている繊維貿易の現状に照らして、自由貿易を原則として、自由市場の撹乱について、その基準を明確化し、セーフガード発動についても、手続規制、基準などについて明確な国際ルールを樹立するということが、私は、本年一月発効したガットの繊維国際貿易協定であろうと思うのです。今度の日米繊維交渉というものは、さきに結んでおりました、沖繩返還の代償として強要されたといわれる、どちらかといえばあまりにも米国本位な苛酷な片務協定というものを、今度の一月に発効した多国間協定に基づいて正常に戻すというところに私は大きな意義があったと思うのです。
 しかし、実態を見てみますと、これまでアメリカとの間に結んでおりました、二国間協定を結んだ当初のアメリカと日本との関係、要するに、三年間の日本とアメリカの繊維事情の違いというものをよく考えてみなければならない。三年前に日本がアメリカから強要されて片務的な協定を結んだとき、それは日米の貿易収支というものが大きく片寄っていったということも一つの事実ですね。それから、為替レートの問題もあったわけですが、日米のこの貿易の収支の問題というのは三年間に解消している。為替レートの問題も何とか現在終えんしておるわけです。調整が終わったと、むしろ現在の状態は三年前と違って、日本側がどちらかといえば国際的なインフレの荒波にさらされておる。原料が上がっておるということもそうでしょうし、例年労賃が高騰しておることも問題でしょうし、あるいは労働力不足、公害、さらには地価の高騰による新規投資というものが日本の繊維産業では停滞している。
 また一方、繊維の輸入というものが昨年初めて逆に転じて、原料も含まれるというものの七億ドルほどの入超になっておるという実情、こういったことがこの三年間に日米の繊維協定の協定ワクの達成率を見ても、明瞭にその数字が出ておると思います。同時に一面、アメリカの繊維産業を見てみますと、先ほど申したように、輸出入バランスの問題、為替の問題が解消して、アメリカでは、繊維産業はこの三年間飛躍的に増大しておると私は見ておる。笑いがとまらないような状況になっている。国際的にこの原料が上昇したのと反比例して、アメリカの場合は、むしろ合繊なんかの場合には、コストにおいてわが国と対比して著しく有利な立場に立っている。したがって、アメリカの繊維産業というのは、これまでと違って現に輸出市場へどんどん進出しているというのが私は実情だと思うのです。要するに、三年前の日本の状況とアメリカの状況は全く異なる状況になっている。そして加えて、アメリカはさらに有利な状況に立っておるし、日本は不利な状況に立っている。
  一方、ことしの一月には、先ほど申したように、多国間協定というものがガットの場で結ばれておるわけで、それに基づいて今度日米の二国間協定の見直しが行なわれたわけであるが、全くそれらの状況がこの新しい協定に反映されていない。日本は、すでにもう欧州諸国と同水準の先進工業国になっておるにかかわらず、相変わらず日本は極東における低賃金国という位置づけのもとに、やはり今度の日米繊維協定は片務協定という位置に置かれておるわけです。したがって、現在、日米の貿易というものが未達であるから、あるいは前回結んでおったトリガー方式が取り除かれたからということによって、まあまあ今度の日米交渉を評価してもらいたいということは、それは私は本質的に見て誤りであると思います。この辺のところをよく考えてもらわなければならないと思います。
 今度の問題で騒がれておる合繊糸のフィラメント糸について、これの包括規制が存続したということも、その面だけを見詰めていくならば、国際的な多国間協定、ガットの国際協定に私は違反するものであろうというふうに思います。したがって、こういった私の考え方というものも御考慮に入れていただいて、今度の日米繊維交渉というものがどういうものであるか、そして、その交渉の当事者として終始された通産省としては、それをどのように総括をしておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の日米繊維協定の交渉にあたりましては、担当者に対しまして、いま藤井先生がおっしゃられましたような心がまえを持って臨めと、私は特に指示したところでございます。彼我の立場は全く転倒してきているといっても差しつかえない。したがって、土俵に上がるときにはフィフティー・フィフティーの立場で上がらなければいけない、いささかもインフェリオリティー・コンプレックスを持つ必要はない、そういう立場で臨めと特に指示したものでございます。
 結果を見ますと、繊維の国際協定を背景にしてかなり努力をしたあとはうかがわれると思います。しかし、やはり国際間協定というようなものは、前のステップの上に積み上げられてくる性格を持っておるものであり、それから日本の輸出がかなり未消化の部分が各分野にある、それも非常に大きな空間部分があるというようなこともあったりいたしまして、必ずしも全面的にわれわれが首肯し得るような内容でなかったということは遺憾でございます。特に、いまの化合繊のなま糸の取り扱いにつきましては、御指摘の点もありまして、それらにつきましては最近の交渉において再検討する、そういう形をとっておりますが、ぜひこれは改善したいと思っておるところでございます。しかし、まあ実害はないという立場から見れば、そういうことも言えるのではないかと、そういう点においてわれわれはこの運用につきまして、非常な注意を配りながらやっていきたいと思う次第であります。
○藤井恒男君 いま大臣おっしゃったように、なま糸の問題については、大臣も率直にお認めになっておりますので、これはやはり第二年度に先立つときに見直しができることになっておるわけですから、化合繊糸、特にフィラメントの協定上の取り扱いについては、十分留意していただきたいというふうに思います。
 それから、大臣、おそらく未達であるからという点から実害はない、したがって運用に意を尽くすということでございますが、私は、繊維というものはファッション性を持っておるわけですから、トリガー方式がなくなったといっても、この三年間の実績の二〇%の複利ということが、すでにある程度基準それ自体が落ち込んでおるのですからね。だから、先のことは非常にわからない、いつラッシュするかわからぬわけですから。その辺のところは、よっぽど意を尽くして運用上の配慮が必要であろうと私は思うのです。これは局長もホノルルまで行かれて陣頭指揮に当たってこられたのだから、十分考えていただかなければいけないと思うのです。
 それからもう一つ、私は、いま短期的に見れば日本の繊維は、こういう不況ですから問題はないけれども、たとえば今度ECとの交渉をしなければならない。これへの波及ということは、これは私、直接問題が出てくると思うのですよ。担当課長が最近、ずっと欧州を歩いてこられたようだけど、その辺の感触、どういうことになっておるかもお聞かせいただきたいと思うし、また、大切なことは、今度糸をわが国が認めたということは、とりもなおさず、この極東の開発途上国の対米輸出というものを完全に規制する前例をつくったことになると私は思うのですよ。そうなってくると、アメリカが今度引き続いて、日本のこの二国間協定を前提として極東のLDC諸国に協定を結んでいった場合に、それらの国がやはり今度は日本に対して、対日市場に対して輸出ラッシュをかけてくるということにつながっていく、このことのほうが私はきわめて重要だと思う。
 わが国は繊維については、統計的に見ても輸出に関してはきわめてこまかいデータも持っているし、精緻を尽くしておるわけだけど、輸入に関しては全くの無防備ですから、何にもできないのだから、先ほど来午前中からずうっとこう論議してきたって、輸入に関しては全くお手あげなんですからね。輸出に関しては、わが国は、もうばく大な人と金を費やして検査機構までつくってぴちっと締めておるけれども、輸入に関しては統計すらないでしょう。どうしようもないわけだからね。ある日突然滞貨がたまってみて、それほど三倍も輸入しておったのかとたまげるだけであって、どうしようもない。このことを考えると、私は、一がいに今度の日米繊維交渉は、直接害はないじゃないかというふうには言えない。この辺のところを総括してひとつお聞かせいただきたい。
○説明員(橋本利一君) なま糸が対米協定の中に入ったことのECへの影響という問題からお答えいたしたいと思いますが、ECとは近くやはり新しいガットの繊維協定に基づいて交渉に入る準備をいたしておりますが、いまのところ、まだ具体的なスケジュールを固める段階まで至っておりません。ただ、ECとの交渉にあたりましては、先ほど来先生が御指摘になりました新しい協定の趣旨に即して、自主的自由化を大幅に求めていくという基本的姿勢で臨みたいと思いますし、かたがた、ECにつきましてのいわゆる化合繊の調整リーチと申しますか、フィラメントにつきましては、現在相互に規制の対象になっておりませんので、ガット規定の解釈のいかんにかかわらず、われわれとしてはなま糸をECとの関係において規制の対象に含むということは、毛頭考えておらないわけでございます。先ほどお話のありました通商課長、昨夜帰国いたしましたので、私、まだ十分打ち合わせはいたしておりませんが、各国を回ってきた状況等を踏まえて、最終的にECへの対処方針をきめてまいりたいと考えておるわけでございます。
 それから二つ目に、極東三国への影響の問題でございますが、これにつきましては、若干おことばを返すようでございますが、私の承知しておる限りにおきましては、香港、台湾等につきましては日本より先に話がついておる、韓国については現在交渉中であると、そういうように聞いております。そういったことは別といたしまして、当方といたしまして、いずれにしろ、対米輸出が極東三国についても規制されることによってわが国にラッシュしないように、終始その輸入動向等を輸入統計の整備と相まちまして注視するとともに、状況によってそれらの国々とも十分話をしたい、そういったことで問題を未然に防止したいと考えておるわけでございます。
○藤井恒男君 国際協定の大きな趣旨の一つとして、協定参加国がこもごも不公平にならないということも大切なことです。だから、この二国間協定を結ぶにあたって彼我の関係だけじゃない、三カ国全体に不公平を来たさないという精神が出ているわけです。だから、アメリカは私は不本意だけどしようがない、もうきまってしまったんだから。しかし、ECの場合は、ことになま糸問題などについては、これは国際協定に明記しておることだし、そして現にECとの間にこの問題は全然関係のないことなんだから、十分意を尽くしてやってもらいたいと思います。
 時間がありませんから先に移ります。
 不況についてですが、今朝来、この繊維に限っていろいろ論議されております。中小企業庁の長官もお見えでございますので、繊維以外の現在の中小企業の不況の概況を聞かしていただきたいと思います。
○説明員(齋藤太一君) 最近の中小企業の景気の状況でございますが、総需要抑制策、それから金融引き締め政策の浸透に伴いまして、中小企業の主要な経済指標は悪化傾向にございます。たとえば生産でございますけれども、昨年の暮れ以降低下基調が続いておりまして、特にことしの四月以後は、中小企業の生産は去年の水準を下回っておりまして、たとえば八月の中小企業生産は、去年の八月に比べまして一一%下回っております。
 その反映といたしまして、在庫はこの二月以後増加が続いておりまして、在庫率指数も二月以降上昇を続けております。六月には、ちょうどドル・ショックのございました昭和四十六年の十二月の水準が過去の最高でございましたけれども、それをさらに上回る状態になっております。八月の在庫は、去年の八月に比べまして約三三%多いという状況でございます。
 資金繰りも、こういう状況でございますので、資金繰りが悪くなったという企業が、よくなったという企業をはるかに上回っておりまして、期を追いまして悪化の傾向にございます。
 倒産も、ことしに入りまして三月が千件をこしましてピークでございましたが、四月以後も九百件台が続きまして、六月、七月八百件台に落ちましたけれども、また八月、九月と九百件台の高水準が続いております。
 業種別に見てみますと、六月ごろまでは繊維のほかに建設業等が主たる不況業種でございましたけれども、七月以後は自動車、家電等の機械関係の下請部品でございますとか、あるいは建築着工の不振に伴いまして、製材、合板、家具、タイルあるいはインテリア部門と、こういったところに不況が及んでまいりまして、最近はほぼ全般的に不況が広まってきたような状況がございまして、中小企業の事業活動は今後も当分きびしい状態が続いてまいるんではないかと、かように思います。
○藤井恒男君 いまお話ございましたとおり、現在、繊維によらず、およそ中小企業と称される部門は、ことごとくたいへんな不況の波にさらされておるわけです。すでにこのように例月九百件ぐらいの大きな倒産件数を見ておるわけだけど、十先、ことに年末を控えてどういうふうにこれが推移していくように中小企業庁としては見ておるか。私は十先はいままでよりさらに問題が深刻になるというふうに見ておるわけなんだけど、おそらくあなたもそういうふうにお考えだと思うんだけど、ただ観測しておるだけじゃいかぬのでね、どういうふうにこの問題に対して所管者として対処するお考えか。
○説明員(齋藤太一君) 現在、先ほど申しましたように、たいへんな在庫がございます。したがいまして、その在庫調整のために減産が続いておるわけでございますが、なかなかこの在庫調整もはかばかしくございませんので、生産も、去年に比べまして落ち込んでいる状態はなお当分続くのじゃないかと、かように考えております。
 年末に向かいまして、いろいろ決算資金でございますとか、あるいは年末のボーナス資金とか、その他資金需要も企業のほうもいろいろふえてまいります。したがいまして、健全経営をやっておりながら、金詰まりのためにいろいろ倒産その他の不幸な事態に立ち至るということが一件でも出ないように、私どもといたしましては金融面で極力つなぎをつけると、こういうふうに考えまして、先般来中小企業三金融機関の融資を動員をいたしまして融資を行ない、さらに四−六月には千五百億、去る九月に千億の追加をいたしたわけでございますけれども、さらに年末にはなるべく早目に、この三機関の年度当初に考えました計画に対しまして相当大幅の融資ワクの追加をいたしたい、かように考えておるところでございます。
○藤井恒男君 いまの問題、いまのあなたの問題意識からすれば、何か金融の形において問題処理に当たりたいということですから、それも私は一つの大きな問題であろうと思います。
 ただ、年末を控えての思惑が走るわけです。だから、年末金融についてのなるべく早い時期における手当て、これを立てていただかぬと、それぞれの地域において思惑が先走って、関連倒産その他が起きてくるということを十分御配慮いただきたいと思うのです。
 それで私は、いまお話ございました各部門についての不況の深刻さというのはよくわかりましたが、その中の繊維について二、三お聞きしたいと思います。
 私の調べたところでは、四十六年の二月――これは四十六年、四十七年と不況があったわけですけど、この四十六年二月のいわゆる前回の不況のときのデータをちょっと申し上げますと、四十六年二月の前年同月比の在庫増加率が三〇%、これは在庫増加率としては前回の不況で最もピークした時期だと思うのですけど、本年六月のそれはすでに四三%に達しておる。したがって、在庫から見て、前回の不況よりはるかに高い。それから出荷指数を見ても、四十六、七年の不況のとぎには、前年同月に比して四十六年の十二月が一%減、前月比一%減というのを除いて、すべての月が少しでもやっぱりプラスであった。ところが今回の不況は、ことし一月以降対前月比でプラスになった月は一つもない。この数字を見ても、いかに不況であるかということがわかると思うのです。ことに六月などは一二%減ということだから、その時点におけるわが国の繊維産業の出荷額というのは、四十五年の出荷額に逆戻りしておるというふうに見られると思います。
 昨日私、全繊同盟に行きまして、これは繊維産業の六十万名ほどで組織している労働組合ですが、現在の不況の状況を聞いてまいりました。現在全繊同盟の本部の手元にあります、何らかの形で雇用者に問題を及ぼしている合理化問題は、二十七企業、三十三事業場に及んでおります。これは全繊本部ですでに手がけている問題です。それから、全繊がまだ本部で手がけてはおらないけど、申請があった人員問題を含む合理化問題、これは七十件あります。それ以外に全国の支部が受け取って本部に通達していないものが三十件。したがって、人員問題――これには倒産もありますし、廃業もありますし、それから一時帰休もあるし、希望退職もある。要するに、人員問題に関連する合理化というものが現に百三十件に及んでおるのが実態です。
 いま、こういう中で不況対策ということが進められていくわけだけど、先ほど申したように、融資ということ、これは四−六で繊維だけを見ると二千二百億、銀行を入れると、三百億入れて二千五百億ですね。七−九が二千億ということでございますが、やはり一つの問題点として、現在のこの金融というものが、本来目的とする滞貨を動かすことにつながっていない。だから、せっかく国として中小零細企業に対して規制緩和を行なうとか、あるいは金融をするという形をとってみても、それを受ける中小零細企業は、受けた金が滞貨を動かすことに使われずに生活費で終わってしまう、ここに私は、いつまでたっても問題の本筋を解決することにつながっていない大きな問題点があると思うんです。借りられることはありがたい、しかし、そのことが本質的に現在の繊維不況を解決することにはつながりませんよということなんです。これを考えてもらわなければいかぬのじゃないか。この辺をどう考えておるのか、まず聞きたい。
 ついでにもう一つ金融関係でお聞きしたいんだけど、現にコンバーター機能を果たしている産元商社、いま商社は悪なりというふうなことになっておるわけだけど、産元商社というのは、産地におけるコンバーター機能を持っておるわけなんです。ところが、これは政府系三行の対象にはならない。窓口規制の対象になるわけですね。四−六で窓口規制で三百億何とかということになったわけだけど、これら産元商社あるいは製造問屋というのが繊維産業の持つ特性として産地性、地域性を持っておるがゆえに特定銀行にラッシュする結果になるんですね、たとえば、知多とかあるいは一宮ということになれば東海銀行ということになる。あるいは福井ということになれば北陸銀行ということになる、メインバンクがですね。この一行にそれら大きな産地がラッシュする結果になるわけですよ。そいつを大蔵省がどれほど理解しておるか。これを解決しなければ有効な金融ということはできない。そして、現在の不況をなくす最もいい手だて、それが組めないということになるんじゃないかと私は思うんです。
 従来、戦後四回ほど不況を繰り返してきたわけだけど、すべて繊維産業は不況になると、自主的かあるいは不況カルテルかということによって減産をまずやる。そして滞貨の一定期間の凍結、あるいは買い上げということをやって何とかしのぐ。この間低利の金融をやる。そして次に、少し立ち直ってくると輸出ドライブをかける。この組み合わせが繊維不況乗り切りのパターンなんです。過去四回全部それしかない。それ以外の方法ってないわけですね。まあ何とかそれでしのいできた。今度それでしのごうとしておるわけだけど、輸出はそう簡単にドライブはかからない。あるいは在庫についても、いま言ったように、総需要引き締めという状況の中で、あるいは産元商社というようなコンバーターの関係でなかなか的確に金がおりていないし、おりた金が現在の不況打開に使われていない。これを解明しなければ、口で金は出しますとかどうこう言ったところで、本質的な繊維不況の打開にはなりませんよ。その辺のところをどう考えておるか、聞かしてもらいたいと思うんです。
○説明員(橋本利一君) ただいま、せっかく金融が出ておるが、それは滞貨減らしに役立たずに、現実には生活費に使われているという御指摘があったわけでございますが、私たちとしては三機関を通じて金融をする場合、減産資金あるいは在庫手当て資金ということで資金融通をはかっておるわけでございますが、御指摘のような現実も事実ではなかろうかと思います。
 ただ、一つ大きな問題は、先ほど先生も御指摘になりましたように、前回の不況時と違いまして、国民経済全体ベースで総需要抑制策は進行中であるというところにいわゆる中間需要が出てこない、したがって、在庫も減少いたさないといったような因果関係があるかと思うわけでございますが、今回の不況における特殊な事情ではなかろうかと思います。さようなところから私たちのほうで指導いたしまして、たとえば広幅綿布産地である知多、あるいは大阪の南部泉州等におきまして、組合の経済共同事業という形で在庫管理をしようということで、現実に準備が進められておるという段階でございますので、そういった面から事実上の滞貨処理というものが進むのではなかろうかと考えております。
 それからいま一つの問題といたしまして、産元商社に対する対策はどうかという点でございますが、これにつきましては、私たちかねがね非常に心配しているところでございまして、中小三機関の対象になるものにつきましては、いままでるる御説明申し上げておりますように、中小三機関を通じて資金融通をはかっておるわけでございますが、いわゆる非中小企業と申しますか、資本金あるいは従業員の規模から中小三機関の対象にならないもの、これは中堅企業というには言い過ぎかもしれません、非中小企業といったような表現のほうがむしろ実態に合うのじゃなかろうかと思いますが、そういったものといたしましては、ひとり産元商社に限らず、たとえば梳毛紡、綿紡あるいは染色等におきましても、資本金ベースで平均的に申し上げますと一億から五億くらいのところ、これが非常に資金的に困惑しておる。特に産地形成をいたしておりますので、これも御指摘のように、特定の銀行に資金負担が集中してくるといったような実情もございます。
 さようなところから、私のほうといたしましても、かねがね大蔵省あるいは日銀の当局に出向きまして、特にそういった面についての資金手当てについて協力をお願いしておるわけでございます。そういった非中小企業に対して資金融通をつけるということは、また反面からいたしますと、中小三機関を通じて中小企業対策として出しておる資金を生かしていくと、そういったグループが倒産するようなことになりますと、産地的に、あるいは業種的に波及倒産の可能性も出てくるということでもございますので、やはり中小三機関の融資をある意味では補完するという意味におきましても、産元商社含みまして、非中小企業グループに対する民間金融機関による資金手当てというのは非常に大切であるということもるる述べまして、日銀当局といたしましては、ワクを設定するというわけにはまいらないが、個別にその企業の実態に応じて対処していきたい、かような協力を約束してくれておるというのが現状でございます。
○藤井恒男君 そういった意味で、相次いで各業界においては不況カルテルを結んでいかなければならないということになってきておるわけです。不況カルテルということになると、この所管は公取ということになる。で、公取としては、それは現実に不況カルテルとして申請され、それを受理しなければ、そうして審査しなければこれはわかりませんというのがおそらくお答えだと思うんだけど、しかし問題は、いまずっとお話ししてきたように、繊維産業というものが地域性、産地性を持っておるというのが日本における特色である。それから全部が連鎖しておるということ、したがって、一つの企業が倒産すれば連鎖倒産を起こす、こういう問題がある。それから、そういった形になると、産地という地域性から失業不安が招来する。そのことは経済問題じゃなくて社会問題に発展する、こういうパターンですね。
 したがって、俗に、名前をあげて悪いけれども、かりに鉄鋼なら鉄鋼が不況カルテルを結ぶということと、繊維における産地が不況カルテルを結ばなければならないバックグラウンド、それは過去二期連続黒字であったからどうこうというような審査基準じゃない。このことを公取は理解すべきだと私は思うのですよ。普通の産業と違うぞと、しかもこれは九九・六%が中小企業ですよ。法でいう中小零細企業です。それが全部連鎖しておる。だから、一社ごとに自主的に操短をする力もなければ、またかりにそれをやったって効果も何もない。全部が一緒になってやらぬことには効果がないんだという特性を公取としては考えておるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(後藤英輔君) 私、担当ではございませんけれども、繊維の不況カルテルにつきましては過去にも申請がございまして、その実態につきましては、担当のほうとしては十分承知していると思います。ただ、今度の場合の不況は従来の不況の場合と違うといういろいろな事情もございますが、それらの点は十分実態を調べまして、しかるべく対処するのではなかろうかと、そう思います。
○藤井恒男君 通産大臣所管のこの団体法による生産制限もあるわけで、すでに綿工連あたりはそういった動きを示しておるんだけど、これはどういうことになりますか。
○説明員(橋本利一君) 中小企業団体法による調整事業につきましては、通産大臣認可、公取協議というたてまえになっておるわけでございまして、一応通産大臣の権限に属されておるわけでございます。現実に申請が出たところで、実情に即して十分判断いたしたいと思いますが、一応平均的に申し上げまして、特に団体法の対象になるような部門につきましては、かなり要件を充足するような現情にあるのではなかろうか、かように考えております。
○藤井恒男君 そのような形で減産ということが、これから一そう強化されていくと思うんだけど、減産してもどんどん製品輸入があれば、これはしり抜けであって、これまた本質的な解明にならぬ。そして、わが国は輸入に対しては、先ほどもちょっと触れたように無防備ですから、どんどんこれは入ってくれば、全く何をしておるかわからないということになるわけです。かといって、先ほど来政府御当局が、日本は貿易立国であるから輸入規制はできないということを言っておられるんだけど、二国間の取りきめということを、たとえば台湾は、これはガットに入っておりませんから別として、韓国に対してできないとするなら、ガットの繊維取りきめの第三条のセーフガードを発動するということは、私はできると思うんですよ。
 で、アメリカがコンスタントに大体繊維の需要に占める輸入品は七、八%台を続けておると思うのだけど、わが国の場合にはすでに、どうですか、一五%ぐらいになっておるのじゃないですか。その三割は韓国から入ってきておる。局長は先ほど、この一−六ないし八月あたりの輸入は、一ときの狂乱のときと比べてやや減少しておると言われるけど、問題は、その輸入の金額が前のときと比べて減りぎみであるというだけのことであって、需要に占める輸入品の割合、すでに滞貨として持っておるわけです。だから前回、すでに十八億ドルの製品輸入が昨年一年間にあったわけなんだから、これは滞貨としてあるわけです。それにさらに輸入が入ってきておる。だから、国内の需要に占める輸入品の割合ということになれば、アメリカが日本に二国間協定を市場撹乱という名のもとにやってきておるわけです。アメリカの総需要に占める輸入品は八%、日本では倍以上占めておる。韓国だけでもその三割を占めておるとしたら、韓国に対して二国間協定とまでいかなくても、何らかの措置を講ずることは一つもおかしくないと思う。この辺についてどうですか、大臣。
○説明員(橋本利一君) ただいまガットの繊維協定の第三条、セーフガード条項の発動についての御質問であったわけでございますが、さらに要件を見ますと、輸入急増による被害のあることが前提ではございますが、輸入急増あるいは価格低落と、こういった要件は一応要件としては充足しておるかと思います。ただ問題は、ガット繊維協定の第三条によりますと、そういったセーフガード条項を発動する場合に、利用し得る統計の過去一年間につきまして、その実績を保証するということになっておるわけでございまして、現実論として考えますと、昨年一年間に非常に輸入が急増した時点での水準を保証するということになるわけでございまして、そういった意味合いからしますと、要件は充足しておっても、これを発動すればむしろ多くのものを保証するということになる。そういった点もございますので、これは直ちに発動するということはむしろ問題があるんではなかろうか。われわれの立場といたしましては、やはり輸入動向を十分チェックし得るように、つまり輸入統計を整備するとか、あるいはガット機能を活用いたしまして、近隣諸国における繊維産業の実情、あるいは輸出余力等を調査する、そういったことを前提といたしまして、従前以上に関係商社の指導をいたしますとともに、あわせて関係国と情報交換の場を持つということがむしろ実質的な対策になるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○藤井恒男君 いまおっしゃったように、過去一年間の輸入実績をカバーしなければならない。で、このカバーしなければならない方法というものを考えれば私はいいんじゃないかと思うのですがね。必ずしもそれは製品として輸入しなければならないものであるかいなか、これは話し合いの余地のあるところで、必ずしもしゃくし定木に過去一年間の製品を輸入すると、そんなら輸入がさらにふえるじゃないかというような論理ではないと思う。それはまさに交渉だというふうに私は思うわけです。これはまた日をあらためてそういった点について私も勉強したいし、私の考えも申し上げてみたいと思います。しかし、いずれにしてもしり抜けであってはいけない。したがって、政府としていまお考えになっておるのは、かの地とも話し合いをしてみたいし、それからわが国の輸入業者とも話し合いしてみたいということですが、問題は、この統計にしても成約段階での話し合いがなければどうしようもない。
 たとえば、通産省が繊維業界に対して行政指導するという場合でも、その先行指標が全然ないところに行政指導の方法はないでしょう。たとえば、来年春のわが国における繊維の需給関係といったって、少なくとも全然あと追いなんだから、輸入については。だから、どういうふうに成約がされていっておるのかという形をつかむべきじゃないでしょうか。そいつを何か機構化する、単に善意の寄り集まりで、人を集めて輸入業者と話し合うというのじゃなくて、機構的にそいつを確立するというような方法は考えられないのかどうかですね。
○説明員(橋本利一君) まさに御指摘のように、先行指標と申しますか、成約統計をとる必要は十分私たちも考えておりまして、現に予算を要求しておる、あるいはことしからでも実施いたしたいということで大蔵省と折衝いたしておるわけでございますが、その間、まあ事実上間があくということも困りますので、輸入組合等に協力を要請いたしまして、できるだけそういった先行指標としての成約事情を把握したいということで努力いたしておる段階でございます。
○藤井恒男君 大臣、新聞報道の域を出ないわけだけど、たとえば特恵の一時中断も一度研究してみようということを大臣もお答えになっておるし、先ほど来局長は、近隣諸国と繊維問題について話し合う必要があるというふうに言っておられるわけだけど、具体的に政府として韓国あるいは台湾、香港、その他の東南アジア等に対して繊維問題で話し合うというアクションを起こす用意があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまのところまだそういう考えはございません。しかし、事態の成り行きを深刻に見つめながら、いろいろ考えていきたいと思います。
○藤井恒男君 これは事態の推移を見ながらということだけど、事態はきわめて急テンポに悪いほうへ進展しておるわけですから、そういうお考えが腹の底にあるなら、大胆に私は行動を起こしてもらいたいというふうに思います。油の問題があったときには、大臣は、私は自分の身をいとわぬ、喜んで中近東に行くという態度をとられたわけなんだけど、いままさにわが国の繊維産業が壊滅的な打撃を受けておるときなんですし、そういった点について行動を起こしてもらいたいというふうに私はお願いしておきたいと思います。
 次に参りますが、雇用対策についてですが、労働省お見えになっておりますので……。先ほど申したように、すでに繊維の問題は滞貨――荷動きがないというような状況だけじゃなくて、失業者を生みつつあるわけです。端的にお伺いしますが、四十六、七年の日米繊維の不況のときには軒並み倒産になるぞということで、きわめて慎重な雇用不安に対する対策を立てました。現在、それ以上に私は不況の様相が濃いと思うんだけど、どういう対策を持っておられるか。
○説明員(岩崎隆造君) お尋ねの件でございますが、四十六、七年の日米繊維協定の締結の際は、過剰設備の買い上げという国の具体的な政策が行なわれたわけでありますが、それの直接の影響を受けて発生する離職者に対する特例の措置ということで、これは立法をもって対策が行なわれました。ただ、今回の繊維産業の不況というのは、そういうような具体的な政府間協定というようなものに基づくものでございませんので、現行制度に基づく失業保険制度、雇用対策法その他の就職援護措置というものを十分に活用して臨んでいきたいというのが、現在私どもの考え方でございます。
○藤井恒男君 私は、雇用保険法が先国会にかかったとき、これが早期成立すべきであるという立場に終始したわけでございますが、遺憾ながらこれは成案を得なかった。臨時国会には、できたらこれを出して成立さすべきだと私は思っております。また、産地もそれを強く望んでおる、このことをお伝えしておきたいと思います。それに対する考えを後ほどあわせて聞きたいわけであります。
 それを待つひまがないと、いまの段階は。一時帰休をした場合に失業保険が当たらないのはなぜか。たとえば、一時帰休者は失業者じゃないのかどうか。一時帰休者といえどもこれは失職しておるわけだ。失職とは何だ。失職者、要するに、失業保険手当をもらえる者と、一時帰休者はだめだというのがいままで労働省の定まった考え方ですから、それとの差はどこにあるのかということをお聞きしたいと思います。
○説明員(岩崎隆造君) いま先生のおっしゃいます一時帰休の問題なんでございますが、いまの失業保険制度は、実際に雇用が断たれまして、それで失業状態にある者に対する失業保険金の給付ということになっているわけなんであります。一時帰休と巷間いろいろ言われます中には、一時休業ということの場合がございます。それから一週間に一日とか、あるいは一月間に二日、三日というような形での休業と申しますか、これも一時帰休というふうに新聞などでは報道されておりますが、これは私ども、失職ではございませんで雇用継続がされておりますわけですから、これを失業保険の対象にするわけにはいかぬ、こういうことを申し上げているわけであります。ただ名前を一時帰休というようなことにされましても、現実にそれが解雇であり、解雇手続が行なわれており、それから失業保険のみならず、そのほかの健康保険とか厚生年金保険というような社会保険につきましても離職扱いをされているというような状態ならば、これは別だと思います。
○藤井恒男君 要するに、退職金を支払うかいなかという問題、それは法の問題じゃないですわね。それは企業における契約の問題です。再雇用つき解雇といえども、それも契約の問題であって法の関知するところじゃないと私は思う。したがって、現にその人間が工場から離れて、あるいは社宅から出て、寄宿舎から出て郷里に帰る、それがかりに一ヵ月であろうともこれは失職と見ていいわけですね。
○説明員(岩崎隆造君) 失業の認定の問題になるわけですが、いまのお話の場合に、実際に職業安定所に出てまいりまして、それで、仕事をしたいんだけれども仕事がないということの認定を受けて、初めて失業保険の支給ということになるわけでございますが、その場合に、いや、もう一カ月のうちにはもとの会社に帰れるんだから、私はそういう就職のあっせんには応じませんということでがんばられますと、そこにその失業保険法でいう失業保険の受給資格である失業という認定がしにくいという場合が出てまいるわけです。そこのところがボーダーラインだということになると思います。
○藤井恒男君 そうであれば、かりに一ヵ月が二カ月として、二カ月先には、かりにもとのところに就職すると、しかし、その間失職しておるのだから、その間は仕事をするのだということであれば問題はないわけですね。要するに、そのことは法の関知するところじゃないでしょう。たとえば、いま失職しておる人でも、一ヵ月後には就職口が現にあって失業しておる人もおるわけですね、言う言わぬは別だけど。そうでしょう、どうですか。
○説明員(岩崎隆造君) いま申し上げたようなことで、先生とちょっと認識が違うかと思いますけれども、私どもが職業安定所の窓口で就職をあっせんをいたします。その際に、求人があるわけですから、現実にその就職あっせんに応じて、その求人者と紹介に応じて面接をするというような手続が、やはり御本人が失業の認定を受けるためには必要だということでございます。
○藤井恒男君 これはまた社労の問題だから、社労に行って一ぺんゆっくり論議しなきゃいかぬと思うのだけど、雇用保険法についてはどうですか。
○説明員(岩崎隆造君) いま先生も仰せのとおり、雇用保険法案は、実は私どもは、現在見られますような雇用、失業情勢、また今後の長い目で見ました経済社会の変化に即応した雇用政策を展開する上でのキーポイントになるのだというつもりで御提案申し上げたわけですが、残念ながら廃案ということになったわけでございまして、今後の扱いにつきましては、現在このような情勢でありますので、非常に雇用保険法の成立を望む声があちこちで強まっております。私どもはそういうことを踏まえまして、十分に検討はしてまいりたいと思っておりますけれども、現在の段階で、今後の臨時国会のあり方というような問題もございますので、いまここでどうということを明確に申し上げることができないというのが現実でございます。
○藤井恒男君 だいぶ時間が来たので、意を尽くせませんが、先ほど申したように、もう一ぺんその点は論議さしていただきたいと思います。
 次に流通問題についてですが、せんだって私たち、先ほど須藤さんもおっしゃったように、皆さんと一緒に産地を訪問してみました。大島に行くと、大島つむぎが、たとえば現地で十二万円ぐらいで買えるものが、デパートに行ったら二十万円というような状況です。かりにいまデパートでイージーオーダーのせびろが大体五万二、三千円から五万七、八千円で出ておると思うのだけど、生地が三ヤール使うとして、一ヤールの生地代が機屋から出るのが大体三千円から四千円、だから一着分の生地代は、三ヤールとして、四千円としても一万二千円、これが安くて五万二、三千円でイージーオーダーで出ておる。その場合、デパートは幾らマージンを取っておるかといえば、一万八千円取っておる。これが実態です。繊維の流通経路がきわめて、何といいますか、入り組んでおるし、そのために、せっかく繊維の卸段階では値が下がっておるのに、末端市場に行けば繊維製品は一向に下がらない、このことが消費者から非常に非難を受けておるわけです。この流通経路を短絡しなければ繊維産業はもう成り立たないと極言する人すらおる。今後原料代が上がっていくわけですから、そいつを吸収する余地もここにずいぶんあるわけなんです。
 しかし一面、これは公取にもあとでお聞きしたいわけだけど、日本の流通経路が先ほども同僚議員が種々御質問申し上げておったように、きわめて非近代的な契約のもとに繊維流通というのは流れておるわけだけど、だれが首に鈴をつけるかということで、支払遅延防止法などもありながら実際効力を持たないし、そして返品あるいは押しつけ、さらには歩引き、派遣店員という制度がいまだに横行しておるわけですね。これは明らかに公取にかかる問題であると、私は公取にも何べんも質問しておるわけだけど、ずいぶん調査しております、百貨店からも改正のデータが出ておりますという答えが返ってくるだけで、いまだにそれは直っていない。こういう点を、せっかく今度産構審の中に取引改善委員会というものができたわけだから、どのようにこの改善委員会を活用しておるのか。十日町の繊維が非常に困惑して危急存亡のときにある。何が原因かというと、全部返品だと、こういうようなことになっているわけですから、公取も含めて私は考え方を聞かしてもらいたいと思います。
 時間がないから、あわせて質問しますが、もう一つ中小企業庁の長官並びに公取にもお聞きしたいのだけど、たとえば一つの建物を建築する場合に、役所でも入札制度によって受け付けするわけですね。かなり大手の企業がこれを落札する。そうすると、その中の付帯工事はほとんど全部といっていいほど下請、孫請におろしていくわけです。その場合に、下請、孫請は俗に渡り金というものを出さなければいけない。それは請負った金額、要するに、電気工事なら電気工事として手にすべき金額の何%というふうに頭から渡り金というのを取られておる。これはもう常識です。別ないいことばで言えば足場損料であるとか、あるいは現場を組み立てるわけだから現場の共通管理費というようなことになっておるのだけど、そういうシステムの中ですでに中小零細企業は泣かされておるわけですね。こういったことは一体どうなるのか。どこが所管して、どういうふうに指導していくのか。
 先ほど私は繊維の流通の問題を一つ申し上げた。そうじゃなくて、今度は全体の中小企業、零細企業が持つ、あるいは泣いているこの元請に対しての宿命ですね。これはどこが所管してどうするのか、あるいはそういったことは許されるのかどうか。商習慣として放置できるものかどうか、これをあわせて担当者からお聞きします。
○説明員(橋本利一君) 初めに繊維の流通機構の問題、それから歩引き、返品といった非近代的な取引慣行の問題につきましては、これに対処するために現在、取引改善協議会というものの設置の準備を進めておる、具体的な人選を進めておる段階でございます。
 現在時点の考え方では、取引改善協議会なるものは、学識経験者と官庁の職員で構成いたしまして、問題となっている取引慣行についての調整のルールといったようなものをつくっていきたい。その下部機構といたしまして調査部会をつくりまして、この調査部会では、取引条件のガイドラインの作成、あるいは取引慣行の実態調査、こういった仕事をやるべく考えておりまして、これには学識経験者のほかに、業界団体関係者も参加していただく必要があるのじゃなかろうかということでございまして、現在、この協議会と調査部会にお願いする人選を進めておる、こういう段階でございます。
○説明員(齋藤太一君) 下請の関係のお話が出たわけでございますが、建設工事関係の具体的な契約等につきましては、建設省が監督されまして御指導いただくわけでございますけれども、私どもとしましては、極力こういった下請業者の弱い立場を助けまして、それが不当にいじめられることのないようにいたしたいと考えておりまして、たとえば官公需につきましては、官公需の契約方針を閣議で決定をしていただくことになっております。その際に、ことしにつきましては、この七月に閣議決定をしていただいたのでありますけれども、たとえば極力分割発注を進めまして、分割可能なものは、その契約内容を幾つかに分けまして、直接、下請と申しますか、中小企業が受注をできますように、契約そのものをなるべく分割して発注するようにというのがその閣議決定の一つの内容でございます。
 それから建設業者等の場合に、発注する工事の規模によりまして、大きな大手の建設業者が受注する場合と中小でもいい場合とがございますけれども、これは規模によりまして、なるべく発注する規模に応じたランクと申しますか、そういうランクの建設業者をたとえば指名入札にするとかいうことにいたしまして、大きい建設業者と小さい建設業者を込みにして入札をするというふうなことを極力避けまして、同じ規模のもので競争をさせるというふうな入札方法をとるようにというのも、官公需の場合の方針の一つになっております。そういうふうにいたしまして、極力中小企業の入札の機会を拡大するように努力いたしますとともに、その結果につきましても、工事を発注される各省から御報告を私どものほうへいただいておるところでございます。
 なお、不公正取引等にわたるような下請事業があります場合には、独禁法の運用で将来は措置してまいるということになろうかと思います。
○説明員(後藤英輔君) 契約企業者が非常に優越した、力の強い取引上の地位を乱用して相手方、ことに下請業者に対して不当に不利益な取引をしいるような場合、これは独占禁止法の不公正な取引方法として、違反の一つの態様として取り上げられておりまして、したがいまして、具体的な問題として、優越した地位の乱用かどうかという問題として取り上げられるケースもございます。この考え方が具体化いたしましたのが下請代金支払遅延等防止法でございます。これは親企業と下請の関係を、ある限られた面でございますけれども、取り上げておりまして、ここでもって下請の保護をはかっている。それから百貨店の手伝い店員というような問題につきましても、やはりこの不公正取引方法の規制の考えから、百貨店業界における不公正取引方法として手伝い店員というものを規制するということになってございまして、この点につきましては、先生も御指摘のありましたような、なかなか改善されないということで、現在、一応五十二年末をめどにして、現在の法律でもって認められるもの以外の手伝い店員はなくするようにということで、各百貨店から具体的な年度計画を出させて、それを具体的に実施させるように指導しております。
○藤井恒男君 あと二、三問あるけれども、時間になりましたので、次回に譲りたいと思います。
○委員長(剱木亨弘君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時四十八分散会