第073回国会 決算委員会 第5号
昭和四十九年九月十九日(木曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十八日
    辞任         補欠選任
     安武 洋子君     加藤  進君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         前川  旦君
    理 事
                鈴木 省吾君
                橋本 繁蔵君
                松岡 克由君
                小谷  守君
                田代富士男君
                橋本  敦君
    委 員
                遠藤  要君
                河本嘉久蔵君
                木内 四郎君
                二木 謙吾君
                小山 一平君
                峯山 昭範君
                加藤  進君
                野末 和彦君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       環境庁水質保全
       局水質規制課長  清滝昌三郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       後藤 達太君
       大蔵省主計局主
       計官       宮下 創平君
       大蔵省主税局長  中橋敬次郎君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      宮本 保孝君
       農林省農林経済
       局審議官     斉藤 吉郎君
       農林省構造改善
       局長       大山 一生君
       農林省農蚕園芸
       局審議官     二瓶  博君
       農林省畜産局長  澤邊  守君
       水産庁長官    内村 良英君
       会計検査院事務
       総局第四局長   桜木 拳一君
       会計検査院事務
       総局第五局長   中村 祐三君
   参考人
       農林漁業金融公
       庫総裁      武田 誠三君
       日本中央競馬会
       副理事長     酒折 武弘君
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  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七
 年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣
 提出)
○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十二回国会内閣提出)
○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十二回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十八日、安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として加藤進君が選任されました。
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○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、農林省とそれに関係する農林漁業金融公庫の決算について審査を行ないます。
 この際おはかりいたします。
 議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
○理事(小谷守君) 速記を起こして。
 それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○前川旦君 農林大臣にお伺いいたしますが、最近、これは昭和四十八年度の中間報告として農政調査委員会が農家相続実態報告書を出しておりますが、これによりましても明らかなように、最近相続税の支払いに苦しんで農地を売却する傾向が出てきている。私の出身県である香川でも農地転用許可の申請の理由の中に相続税を支払うということのために売る、そういう目的もだんだんふえてきているようです。それから均分相続という立場もありますから農地の分割という要望も出てきている。これは従来の農業政策の姿勢、基本方針からいって、農地が細分化されたり、あるいはせっかくの農地を相続税を支払うために宅地に変更して売らなければいけない、こういう傾向が出てきているということは、農政の視点から見て私はゆゆしい問題であろうと思いますが、その点について大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 最近の地価の上昇等に伴いまして、都市近郊地帯を中心にして農業の相続税負担が増加する傾向にあることは御指摘のとおりであります。そこで、中にはいまお話しのありましたように、相続税の支払いに充てるために農地を売却してしまうというようなことがあるわけでありまして、こういう傾向については私どもは非常に憂慮すべき事柄であると考えております。したがって、こういうことについてどのように対処し、私ども基本的な農政の考え方の立場から、この相続税等について特段の配慮をする必要があるんではないかということでただいま鋭意検討を続けておる最中であります。
○前川旦君 鋭意検討中ということでございますが、しかし、この農政の基本からいって規模の拡大ということを一貫して考えてこられた、またそれが成功、不成功にかかわらず、自立経営農家の育成ということもずっと基本方針としていままで長い間考えてこられた、それが農業基本法の法の趣旨でもあったわけです。そういう方向に対して暗いかげりが出てきた。これは地価の高騰というのは農家の責任ではありません、ほかの原因ですね。農家の責任ではない地価の高騰のために、農業を続けていこうとしながらもなおかつ農地を売らなければいけない、あるいはまた均分相続の要求があって細分化せざるを得ない、あるいはまたそういうことが家庭内の悲劇になって、九州では何か大きな殺人事件のようなものも起きたように聞いております。したがって、この検討は、鋭意検討中とおっしゃいましたけれども、非常に緊急を要する課題ではないだろうか。特にことしの後半、農政の大きなテーマとして非常に重点的に考えていかなければいけないテーマではないか、このように思いますが、その点についてのお考えはいかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農業サイドからわれわれが観察いたしますと、いま御指摘のとおりでありまして、全体の日本経済が今日まで終戦以来著しい伸びを示しました経済発展の過程においていろいろな状況が出てきたわけであります。その中の一つには、やはりいまのお話の地価の高騰といりものも出てまいりました。全般としての経済発展についてのよしあしの議論は別といたしまして、とにかく日本経済がここまで伸びてまいりましたことについては各国も認める一つの大きな成功である。その中において、われわれいまお話しのありましたように、これはどこまでもやはり農業が産業として成り立ち得るような経営体に仕組んでいかなければならない、つまり規模を拡大していくということが一つの必要事項であります。そういうことを考えてまいりますときに、御存じのように地価の高騰はそういうわれわれの計画をはばむ一つの大きなネックにもなっております。そういう点から考えまして、経済成長というのは一方において農政の立場から見ますというといろいろなまた障害も生じてきておる、その間の調和をどうしていくかということが大事な政治目標ではないかと思うんでありますが、主としてきょう御指摘のございました、いまのような事情のもとにおける相続財産のこと、均分相続というふうな制度は占領政策のもとに行なわれまして現在もやはりそれは継続いたしておるわけでありますが、この均分相続の弊害等もいまの農政の中に一つのあらわれとして出てきておることをいなむことはできません。これらのいろんな問題を調整することによって、所期の目的である、できるだけ規模を拡大して農業が産業として成り立つような施策を講じてまいるためには、やはりいま御指摘がありましたような農家の相続税ということについて真剣に私ども検討し、その間の調整をどうするかということについて勉強してまいらなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
○前川旦君 私は均分相続を否定するわけじゃありません。均分相続の前提に立った上で何らかの対応策を急がなきゃいけないと、その急ぐお気持ちがおありなのかどうかというのがいまの私の質問でありました。その点いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) いま一生懸命で急いで勉強しているわけであります。
○前川旦君 税制上いろいろいままで措置がとられてきたことも私は存じております。たとえばこの税制上の対応として農地等の一括生前贈与に関する持例措置、これは昭和三十九年に行なわれました。しかし、これも非常に効果的に働いている面もあります。期待されている面もあるし、現に働いている面もありますが、最近三大都市圏等については、生前に贈与したその贈与税よりも、いざ相続開始というときの相続税のほうが地価が急激に高騰していますから逆に高くなるという傾向がぼつぼつ出始めている。これはいろんな資料の中に出ております。したがって、これも一〇〇%有効な措置ではなくなりつつあるということが言えると思います。それから金融上の措置としても、これは自作農維持資金融通法による融資ですか、このいわゆる相続資金というものの貸し付けも行なわれておりますが、これも三十万円だったやつがやっとことしですか六十万円になった。六十万円ぐらいこの相続資金貸し付けを受けても全くこれは現実に役に立ちません、はっきり言って。ですから、この問題も融資額を大幅に引き上げる必要があるんではないだろうか。おそらく農林省もそのことを検討されておると思いますが、この点についてどういうふうに進んでいるのかお尋ねをいたします。
○説明員(大山一生君) いま御指摘の自作農維持資金の貸し付け限度額の引き上げの問題でございますけれども、来年度予算に関連いたしまして各種の公庫資金の貸し付け限度額の引き上げということを要求したいというふうに考えているわけでございますが、その中の一つといたしまして、相当規模の農地をもっぱら農業に専従する者が一括相続するというような場合を対象といたしまして貸し付け限度額を大幅に引き上げたいというふうにいまいろいろと折衝中でございます。
○前川旦君 折衝中でありますから、大幅というのは、ばく然とした金額じゃなくて、たとえば一千万なら一千万までにしたいと、こういう数字が出ているんだろうと思います。差しつかえなければお答えいただきたいと思います。
○説明員(大山一生君) 現在われわれの要求しておりますのは、昨年の場合の三十万を六十万に上げたというような小幅のものではなくて、先生の言われましたようなことも含んで相当大幅に上げたいということで要求しているわけでございます。
○前川旦君 これは大蔵省ですか。――大蔵省としてのお考え、いかがですか。大幅に要求出していると、考えていると。この大幅に、三十万を六十万円なんというのじゃなくて、思い切って大幅な引き上げということについてどのようにお考えですか。
○説明員(中橋敬次郎君) 私、申しわけありませんが税金の担当の局長でございますので、いまのお話はおそらくは予算の関連と思いますので、後刻でもまたお答えさせていただきたいと思います。
○前川旦君 それでは税金のほうでお尋ねしますが、課税最低限の引き上げですね、これは相続税です。現在いろいろ引き上げになりまして、たとえば法定相続人が婚姻期間十年以上の妻と子供三人という標準家庭で計算しますと、課税の最低限は千八百万円になっておると思うのです。しかし、最近の農地の価格を調べてみますと、平均価格で水田十アール、これはいわゆる一反ですが、十アールについて昭和三十五年で十九万八千円ぐらい、四十年で三十四万三千円、四十七年で百四十三万六千円、これは平均です。十二年間で七・二倍になっています。おそらく五十年には百九十万をこえるであろうと思います。こういう非常な勢いで土地の高騰が続いておりますから、とてもじゃない、課税最低限千八百万では相続税に払わなければいけない農家がいまたしか三万戸ぐらいじゃなかったかと思いますが、どんどんこれからふえていくんではないかと思います。そういう意味で課税最低限の引き上げ、あるいは税率の緩和ということを考えていらっしゃるのかどうか、その点についていかがでしょうか。
○説明員(中橋敬次郎君) いま御指摘のように、最近の相続税の課税人員は農家の方たちばかりでありませんで全般的に非常にふえております。昭和四十一年におきまして被相続人百人に対しまして相続税の課税を受けました者は、二・四人でございました。それが四十七年でございますけれども四・四人になっております。必ずしもこの率といいますのは――全体の財産価額が、所有財産の総量が上がってまいりますればふえてまいることはこれは趨勢として認めざるを得ないと思いますけれども、そのテンポが急速であるということはおっしゃるとおりであります。その中で特にやっぱり地価の高騰というのが非常に大きな原因となっております。これはもちろん土地を大きな生産手段としております農家にとって一番大きなインパクトになっておることももちろんでございますが、また同じように宅地あるいは中小企業の事業用地等についてもそのような傾向が出ております。それで、いまお話しのように昨年課税最低限の引き上げを五割行ないまして、それまでであれば一般的には千二百万円といっておりましたものが、千八百万円になったわけでございますけれども、なかなか地価の高騰というものに追いついていけない、そういう事情が課税人員の増加になってあらわれておると思います。
 これを一体どういうふうに考えていったらいいのかということでございますけれども、もちろんこれは今後、おそらく年末までに政府といたしましても税制調査会の御審議と関連いたしまして検討しなければなりませんが、幸い本年所得税について大幅な減税が行なわれました関係もありまして、財源的に許しますならば、私どもといたしますれば、相続税の問題はやっぱりその次に取り上げなければならない問題になっているのではないかというふうに考えております。その場合にもちろんやっぱり第一に考えなければなりませんのは、課税最低限をどのようにするのかというのが第一の問題でございましょうし、第二には税率の問題というのがあがってまいると思います。いずれにしましても、これは今後の検討、特に税制調査会との関連がございますので、いまここでどのようになるかということは申し上げがたいのでございますけれども、私どもといたしますれば、やっぱワ相続税についてはできるだけ早い機会に税制改正の大きな問題として取り上げたいというふうに思っております。
○前川旦君 早い機会にというのは、来年度の減税で行なうというふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(中橋敬次郎君) 税制改正はすべて年末に決定するわけでございますが、何といいましても、その際には考えなければなりませんのは自然増収の額と、それから歳出の増加の額、それからもう一つは歳入の中に占めておりますところの国債の総額というものを一体どの程度に考えていったらいいのかという問題がございます。いま非常にわが国の経済はむずかしい事態に差しかかっておりますので、この三者をいかように配分するかということが大きな来年度の予算編成の問題だと思っております。したがいまして、必ず五十年度にやるということをここで約束するかと言われますれば、もちろんそういうお約束はできないわけでございますけれども、財源でそういう三つの関係が許します限りにおきましては相続税というものを優先的に取り上げたいというふうに私どもは考えております。
○前川旦君 いまここで明確に答えることはできない――それはもっともだと思いますけれども、しかし、いまの御答弁のニュアンスを聞きますと、相続税の軽減ということを最優先にしたいと、いろんな関連した問題がありますね、いまおっしゃったとおり。それが解決すれば可能な限り最優先ですから来年はやりたいと、こういうふうな御意思のように私は受け取りますが、それでよろしゅうございますか。
○説明員(中橋敬次郎君) 私どもの気持ちは、問題として取り上げたいという気持ちでございますけれども、さっき申しましたように財政状況というのはやっぱり何といいましても第一に考えなければならない条件でございますから、その条件のもとにおいてそういうふうに御理解いただきたいと思います。
○前川旦君 それでは大蔵省としてはこの相続税をどの程度まで減免したいと……。これはいろんな条件がありますから、したいと思ってもできない場合があります。大体そのめどというか、どれくらいまでは軽減したいんだというめどがきっとおありだろうと思うんです。この際お聞かせいただきたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(中橋敬次郎君) いまのお尋ねにつきましては、実はまだ私どもとして具体的なめどを持っておるわけではございません。先ほどちょっと申しましたように、被相続人の中で一体どの程度の人が相続税の課税を受けるということによりまして相続税が意図いたしております財産の再分配機能というのを果たしていったらいいのかというのが、これがやっぱり一番大きな眼目だろうと思います。そういう観点からひとつアプローチをしなければならないということと、それからもう一つは所要財源が一体どのくらいを要するのかということから関連されると思います。それからその際に、一体許される財源の中で課税最低限の引き上げと税率等、どのようにあんばいするのかという問題がございます。これは税率に手をつけるとかなり財源を要するということもございますから、やっぱりそれは分かち得る財源の額いかんによって今後検討されねばならない問題だと思っております。
○前川旦君 ちょっとマクロな立場でお伺いしますけれども、たとえば国税総額の中に占める相続、贈与税額、この割合を調べてみますと、昭和三十五年には〇・七%、四十年には一・三%、四十五年には一・八%、四十九年は三・〇%で非常に伸びが大きいですね。それから外国と比べて相続税の国税総額に対する比率を抜き出して見ますと、日本はいま言ったように三・〇%ですが、アメリカはやや近くて二・九%、しかし、ヨーロッパではイギリスが一・七%、西ドイツが〇・三%、フランスは一・〇%、イタリアが〇・六%、非常に低うございますね。日本が非常に高いということですね、しかも年々比重がふえつつある。したがって、これはどの辺までが適正な数字とお考えになっていらっしゃるのか。たとえば国税総額に占める相続税、贈与税の比率を何%ぐらいが妥当だとか、あるいは外国と比べていろいろ実情も違いましようけれども、どこの国のどの辺までが妥当だとか、その辺のめどというのはおありですか。もしおありでしたらお考えを聞かせていただきたいと思うのです。
○説明員(中橋敬次郎君) 確かにいまお示しになりましたようなアプローチも、一つの改正のときに考えなければならない問題だと思います。ただ、税収の中で一体相続税がどの程度を占めていったらいいのかという問題は、急速にふえるという傾向を考えなければなりませんけれども、相続税は非常に延納を選択する人が多うございますので、毎年の税収そのものと毎年の課税そのものとは所得税なんかのようにぴったりと符合はいたしておりません。過去における課税が十年なら十年にわたって収入税額としてあらわれてくるわけでありますから、必ずしもいま毎年度におきますところの税収の中で相続税収入がどのくらいであるかということで一がいに断定はできませんけれども、やはりお示しのように、過去におきますところの税収の中で相続税が果たしてきた役割りというものはこれはかなり大きなウエートになると思います。しかし、私は、先ほど申しましたように被相続人の中で一体どの程度の人がこの相続税というふるいにかかって、相続税が意図しておりますところの財産の再分配をやるのが適当かというのが、何といいましても相続税を考える場合の一番大きな眼目ではないかと思っております。やっぱり財産がどの程度の数の、あるいはウエートの人に集中していくのか、その集中を相続税はやっぱり何といいましてもとめる効果を持っております。また、それがねらいでございますから、それとの関連というのが一番相続税を考える上においては大きな点だろうと思います。そういうような問題をいろいろ彼此勘案しながら総合的に判断をいたさなければなりませんので、お尋ねのように、私はいまここで、たとえば来年度あるいは再来年度の税収の中でどのくらいの相続税がいいかということは、ちょっとお答えしにくいのでございます。
○前川旦君 それはよくわかります。これは農林大臣にお伺いしますが、農林大臣は、鋭意急いで研究、検討中とお答えになりました。大蔵省のほうは事情が許せば最優先的にこの減税を取り上げたいと、かなりはっきりした答弁をいまされたと思います。そこで私はちょっとこれここで読み上げますが、「日本農業の中核的担い手の育成」ということばの中に、「農地細分化防止等の見地から農業経営を存続奨励すべき一定規模の農地等については、相続税の課税が生じないよう改正を行なう。」、つまり相続税を払わないでいいように改正を行なう。これは「参議院選挙に臨む改策 わが党の公約 自由民主党」でございます。今度の参議院選挙の公約ですね。非常にはっきり相続税の課税が生じないよう改正を行なう。こう約束をされております。したがって、この公約を期待している農家も多い。そして政党が約束したことはやはり守っていくということでないと政治全体に対する不信の念につながります。これは自民党だけの問題ではない。不信感となるとわれわれにも影響があるわけです。これをこうここまではっきりと公約されており、そして大蔵省は優先的に取り上げたいとはっきり言われたんですが、倉石農林大臣は自由民主党の役員ではないようですけれども、しかし自由民主党を代表する閣僚です。したがって、この公約に対してはやはり責任を持たざるを得ない、持つべきであると思います。ですから、非常にこれは強い約束をしておられますが、この約束について、この強い約束をどう――鋭意検討中とおっしゃいましたけれども、これからどうお進めになるのですか。その点についてのもう少し突っ込んだお考えを伺わしていただきたいと思うんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 政府部内で――いまも財政当局からいろいろお話がございました。それらの各関係筋と十分協議をいたしまして、特に私どもとしては促進できるように勉強いたしておるということを先ほどお答えいたしたわけであります。
 もう一つ大事なのは、私どもといたしましては、農政の面で、そういう立場から規模を拡大して産業として成り立つものを育成していくという考え方に立っていろいろ考慮いたしますというと、いまここでお話のございました相続税等も非常に大きな問題であると、そういうことで考えておるわけでありますから、いま鋭意、御存じのように来年度予算の編成にあたって、いま概算要求はもうすでに八月に提出をいたし、それに基づいて詰めをいたしておるところでありますので、税制調査会その他の意見も聞きながら、なるべく早く私どもの考え方をきめてまいりたい、こう思っております。
○前川旦君 税制調査会等の意見を聞いたりとおっしゃいました。いろんな各方面の意見を聞くのはけっこうなんですけれども、私が言いたいのは、この問題について農林大臣が引っぱっていく、つまり何といいますか牽引車の役割りをやっぱり果たすべきではないだろうか。特に農業政策の面から見て非常にゆゆしい問題だと思いますので、大臣のお答えを聞いておりますと、少し慎重過ぎて、何かそんなに慎重でいいんだろうかという思いがいたします。慎重であることに悪いことはないんですけれども、もうちょっと突っ込んで、もっと押せ押せでいくという、そういう姿勢がもっとあってしかるべきではないかと思うんです。その点が一番聞きたいところなんです。その点いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 目標の地点がきまっているわけでありますから、前川さん御存じのように。法律を出すならばこの次の国会なんです。それまでに脱線しないように、慎重に目的地に到達するように最善の努力をいたしておると、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○前川旦君 それではあらためて伺いますが、私はいまの農地の相続について、農地に対する評価のしかたですね。この評価のしかたがはたして正しいのかどうか、非常に疑問に実は思っているんです。たとえば普通の不動産のように、自分が働いて手に入れたものでなくても親が死ねば自分の所得になると、こういうものと、農地は――これは売れば別です。売らないで農業を継続している限り、これは生産手段ですね。生産手段であって資産とはちょっと違う。はたして農地は富だろうか、資産だろうか、私は非常に疑問を持つんです。生産手段であって資産ではない。したがって、いまの相続税の評価のように売買の実例をベースにして評価額を出してくる。こういう発想というか、農地に対する評価のしかた、これが一体正しいかどうか、非常な深い疑問を感じます。その点について、農業者の側に立った農林大臣の御意見はいかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) これはたいへんむずかしいお話だと思いますのは、私どもは、新しい都市計画をつくりましたときに線引きの問題が起きまして、至るところの農家、地方から、自分の畑も市街化区域に入れてくれという陳情がかなりありました。私はびっくりしたんでありまして、農振法という法律をつくって、そしてわが国の農業を維持強化していくつもりで農業に対処いたしておったのに、その農業をやっていらっしゃる方が、市街化区域に編入しないということで、えらい各地から陳情が参った。その人たちに、あなた方は農業をおやりになる気はないんですかと、つまり農地の財産価値が市街化区域に編入されることによってふえるというふうな、そういうことの楽しみを持っていらっしゃる方が非常に多いなあということを、そのときに私は陳情を受けながらびっくりしたんであります。で、私どもは、農政当局といたしましては、そういうことについては実はたいへん失望を感じるのでありまして、しかしながら現実の問題はやっぱりそのとおりです。いまだに線引きがごたごたしている地域もあります。
 そこで、私どもといたしましては、先ほどもちょっとお答えの中に申し上げましたが、わが国の経済成長の非常にスピードの速い最中に地価が高騰をいたしてまいったと、そういうことについて規模拡大を奨励しようといたしましても、地価の高騰のためになかなかこれができない。しかもまた小さな農地をお持ちになっていらっしゃる方に、やはり規模拡大する人に譲ってくださるなり、貸してくださるなりするようにという奨励をいたしましてもなかなかそれができない、あんまり促進されていないというふうなことを考えてみますというと、私は一がいにこれはこうだということを断定することはたいへんむずかしいと思いますが、全体として私どもの構想を申し上げますならば、やはり農地というものは、いまおっしゃるとおり確かにりっぱな生産手段である、したがって、これを確保していくためにどのような施策を講ずるべきであるかということについて、まあ先国会に提出いたしました農振法の改正案などもそういうことの考えの一つのあらわれでありまして、やはりお持ちになっておる比較的面積の狭い地主さんたちに、これを広く供用してもらうような方法を講ずることが成果をあげていくゆえんであるということで、ああいう法案を提案いたしたのでありますが、やはりそういう意味で、私どもは、いまの現実の経済情勢のもとにおいて中核農家を育成し規模を拡大していく立場から申しますならば、相続税等について農地に対しては特段の配慮をいたすということが必要なことではないだろうか、こういうふうに考えて検討をいたしておると、こういうわけでございます。
○前川旦君 かなりはっきりしてまいりましたが、いまいみじくも御発言の中に出てまいりましたが、農地というものは、本質的にこれは財産権、財産として、資産として――資産としてというのは、つまり売買によって利を得るわけで、それが前提ですけれども、そうではなくて、本来農地というのはあくまでも生産の場である、本来の農民というのは生産の場としてとらえなきゃいけない。これをいずれ売ってやろうというふうな一つの富として考えるのは農業としては邪道であるというふうな私はお考えのように聞こえました。したがって私も同感いたします。つまり農地を財産の対象として考えるのではなくて、やはり生産の場として、生産手段として考えるべきであると、これが農業政策の基本的な理念であると私は思いますが、その点についていかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 生産の場であると同時にやはり資産であるということも間違いないことであります。これはわが国の持っておりますいろんな法律でもそのような認識のもとに取り扱っている。しかし私どもは、そういう資産であるということによって、たとえばいま公益法人等に土地を売ってくださいと、小さなたんぼを持っていらっしゃる方に。そうして規模を広げていこうではないかという慫慂をいたしておりますが、そういう場合には、やはり生産の手段であると同時に土地というものは資産でありますので、それを公益法人に譲渡してもらうなり貸していただくなりして規模を広げていこうと、こういう考えでありますので、両方の価値を持っていると、こういうふうに判断しておるわけであります。
○前川旦君 両方の価値を持ってるとすれば、一〇〇%これを資産として見るという見方は農業のサイドから見るとちょっと困ると、正しくないということになると思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) それはおのおのの判断の問題でございまして、いまの農地の取引の状況をごらんになればおわかりのとおりに、農業を広げていこうとする者に譲渡する場合、あるいは貸し付ける場合、これは普通の土地と同じように資産としての取引が行なわれております。そういう考えがよくないとかいいとかということの判断はそれぞれの御判断が立つでありましょうが、現在の状況としては私どもはそういうふうにいま申し上げたように判断をいたしておる。ただ願わくは、私どもは農地についてはできるだけ農業生産が営まれやすくするように取り運んでまいるということが大事なことではないかと、こう思っております。
○前川旦君 それでは角度を変えますが、昭和二十二年の八月に、第一回の国会に農業資産相続特例法案というのが提出されまして、これは審議未了になっております。で、この法案の十六条の中に、「農業資産の價額は、時價の範囲内で農業経営の収益を基準としてこれを定めなければならない。」というのが一項入っております。同じように、今度はこの同じ法案が昭和二十四年の五月に第五国会に提出されて、これは衆議院を通過して参議院で審議未了になりました。我妻教授からこれはだいぶ批判を受けた条項ではあるんです。しかし、こういうものの考え方ですね、つまり農地の価格の評価というのは生産手段としての農地価格なんだと、つまり農業収益を基準とした評価額が正しいんだという考え方がすでに農林省の考え方として終戦後、昭和二十二年、昭和二十四年と出てきてるわけです、国会に提案されているわけですね。もっともこれは相続税の問題にからんでじゃありません、これは均分相続の問題にからんでおりましたからいろんな批判がありました。しかし、こういう発想法を、この際相続の対象となる農地の評価にこういう発想法を適用してもいいんじゃないか。私は非常にこれは示唆に富んだいい発想だと思うのです、私自身は。したがって、こういう発想法が相続についての農地評価に対して適用できないかどうか。そのことを本気で真剣に前向きに研究してみるお考えがあるかどうか、その点についていかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど私がお答えいたしました考え方の中にもございますが、そういうようなことも含めて十分検討してまいりたいと、こう思っております。
○前川旦君 大蔵省は私がいま農林大臣と議論をしておりましたことをずっと聞いていらっしゃったと思うのですけどもね。大蔵省はこの税の公平ということがいつも前面に出てまいりますね。しかし、これは議論が大いにあるところだと思います。ずいぶんいままで議論を重ねられたと思います。しかし、私は先ほどから申し上げておりますように、農地のようなものは単純な財産として売買例だけで、それをベースにして評価されるということはどうしても納得できないのです。というのは、たとえば親がつくった土地、建物を相続によって急に相続人が受け取るという場合と違いまして、農地の場合はほっといたら荒れるんですね。ですから、絶えず非常な労働力なり資本を投入していかなきゃいけない。維持するだけでもずいぶんな資本と労働を投下しなきゃいけません。それから労働を投下して土地改良もやる、いろんなことやります。労働が加わることによって、資本が投下されることによって土地の生産力はますます高まっていくわけですね。そういう過程があるのです。しかもそういう労働は父親が生きておる間はむすこはちっとも手伝わないわけじゃないわけですね。相続人がやっぱり被相続人と一緒になって、もう何年も何年も一緒になって一生懸命努力しているわけですね。それを考えないで、ただ売買例をベースにした評価価格、これは非常に私は機械的で、税の公平とおっしゃるけれども、非常に機械的で逆に公平を欠いておるのじゃないかと思うことがしばしばあるのです。その点について局長はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○説明員(中橋敬次郎君) 先ほど来農地は生産手段であって財産ではないのではないかというお話がございましたけれども、私どもから見ますれば生産手段も財産でございます。もう生産手段といえども相続税を考えます場合にはその対象となる財産の中の尤たるものでございます。それがたとえ土地で非常に目に見えるものであっても、またあるいは工業施設等を株式という形で分有しておる場合にありましても、これも生産手段をそれぞれが私有しておるわけでございます。同じように財産の一種として同じレベルで考えざるを得ないのでございます。その場合に、かなり大きな財産価格を相続時に相続人が受け取ったという場合に、財産の再分配をしなければならないという命題が働くならばやっぱり相続税は課税されざるを得ないのであります。それを一体どこからかけたらいいかということは、先ほど来申しました点でいろいろ勘案しなきゃなりませんけれども、そういうレベルを越えるというときにはやっぱり相続税の課税対象になるわけでございます。
 それから先ほど冒頭に御質問がございました、その均分相続になるというお話がございましたけれども、この点に関しましては相続税は昭和三十三年にこの問題を検討いたしまして、現在の制度といたしますれば、均分あるいは相続人数人でもって相続いたします場合と、子供の中の一人が相続いたします場合とは相続税の総負担は変わらないというふうに組み立ててございます。したがいまして、相続税の側からこの均分相続を促進するということはあんまりないのではないかというふうに私どもは考えております。
 それから土地については、労働を投入しましてその価値を高めるということは確かにそうでございましょう。しかし、そのときに、たとえば相続人が被相続人と一緒になってその労働を投下しておるからこの分についてしんしゃくをすべきではないかというお話がちょっとあったようでございますけれども、これはあるいはそうかもしれません。特にいま配偶者の問題として、これは相続税としましてもかなり前から取り上げておる問題でございますけれども、配偶者という形ではかなりそれはできるんでございますけれども、子供が一体どの程度その相続財産の価値を高めるについて寄与したかということになりますと、なかなかその分を相続財産の中で、これは相続財産でない相続人自身が積み上げた分であるということを摘出することは事実上むずかしいんではないかというふうに考えております。
 それで、それではそういう財産で、私どもは財産と考えております土地の、農地の評価の問題でございますけれども、これを先ほど来お示しのような法案の考え方などによりまして、いま農地として収益をあげておるから、その分に限って相続税財産――相続税の課税財産として考えていっていいではないかということでございます。それも確かに一つのお考えでございますけれども、私は問題は、農地が農地としてずっと続いていくかどうかというところに実は最近におきますところの大きな農地の相続税の問題があるんであろうと思います。先ほども御指摘のように、農家の相続税の問題というのは確かに課税人員もふえております。全体的には、サンプル調査でございますけれども、また四十六年の実績でございますが、課税されておりました被相続人の中で農家であるというのが約三割でございます。三割ありました。しかし、その中で非常に課税が多いというのは、何といいましても市街地の周辺農地でございます。いわゆる純農地につきましてはそんなに課税は行なわれておりません。約一割ぐらいでございます。しかもその純農地を持っておるだけで課税になっておるという人は非常に少なくて、やっぱりそのほかに山林でありますとか農地以外の財産をかなり持っておる人が課税になっておるわけでございます。したがって、いろいろお話のございましたのは、むしろ市街地あるいはその周辺にある農地の相続税の問題、その評価の問題になると思います。
 そうなりますと、確かに生産手段としてこれまで農業として営まれておった土地でございますし、あるいはこれからも営むんだということでございましょうけれども、私どもは一体それがどういう評価を持っていったらいいかというと、やっぱり同種、同等、同地域の農地が一体どんな価格で最近売られておるのか、現実に売られておる売買価格というのはどんなものであるかということによらざるを得ないわけでございます。現にまたそういういわゆる高い値で売られておるんでございます。その面について、もちろんそれをそのまま相続税課税の評価のときに引っぱってくるというだけじゃございません。かなりのしんしゃく率を加えてございます。それでも現実に売買されておる価格というのは非常に高いものでございますから、幾らしんしゃく率をかけましても、おっしゃいますように高い価格になってしまう。そういうところがやっぱり農地、しかも容易に宅地に転換し得るそういう地域にある農地の評価問題というのは、一般農地のお話でなかなか律しされない独特の問題を含んでおるというふうに考えております。
○前川旦君 独特な問題をかかえておるのはよくわかりますが、ただ率直に言いまして、農業をやっていた地価が上がるのは農家の責任じゃないんですね、周辺の地価が上がっていくのは。しかも自分は農業を続けていきたい。宅地に売って初めてこれは財産に、資産であり、財産であるということは言えるかもしれない。しかし、一生懸命たんぼをやってきて、農業をやってきて、しかも最近は都市の中の農地を大事にしようという動きも定着してきました。それから農業そのものを基幹産業として見ようという考え方もこれはナショナルコンセンサスを得てきたと思います。ですから、そういう一つの自覚を持って自分は農業を続けていこうと思っているのに、かってに周囲の土地が上がって――これは農家の責任じゃないんてすね。相続のときにどすんと相続税を取られる。切り売りをしないと払えない。これは私は非常に酷だと思うんです。ですから、相続を受けて、おれは農業をやる気はない、適当に売ってそれでのんびり暮らそうというのであればこれは相続税は当然きちっと払わなければいけません。しかし、そうではなくて、一生懸命農業を継続していこう、しかもその農地は農業を継続するにふさわしい、したほうがいいというところも多々あると思います。そういう場合にまで一律に同じ評価額で相続税かけていくというのは、これは平等なようでいて、何というか農家の感情を踏みにじった結果を、矛盾をやはり出してくると思うんです。これはもちろん都市周辺のことを私は言っているんです。一般的なことを言っているんじゃありません。ですから、その点をどう妥当なように直していくのか。その辺のことを私はただ単に課税限度額の引き上げとかそういった技術的な手直しだけじゃなくて、評価そのものにドラスティックな検討を加える時期が来ているというのが実は私の言いたいところなんです。その点について私は最後に、いまの大蔵省の局長と、それから農林大臣のお考えを伺っておきたいと思うんです。
○説明員(中橋敬次郎君) 本題を市街地あるいは市街地周辺だけに限りましても、農地についてそれ独特の評価をとる方法というのはなかなか考えてみましても実はむずかしい問題でございます。かりにそれが農地として永遠に使われるということであれば、おそらく何らかの解決方法は見出せると思うのでございますけれども、現実にその周辺においてやっぱり農地というものが高い価格で売られておるという事態があります限りにおいて、その方はいまは農業をそこで継続しようというお気持ちがあるにしましても、財産価格とすればやっぱり御本人も回りの者も高い価格であるという認識を持っておるのでございますからそれをいままで農業が続いてきたということでその反映を評価の上にあらわすという方法は、なかなか私は率直に言いましてむずかしいと思っております。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農地については先ほど申し上げましたように両面の性格を持っていると思うのでありますが、いまも財政当局のお答えにもありましたように、私ども現実に見ております現状に照らしましても、農業をほんとうに継続してやっていこうとされるお方も都市近郊にもおありになります。しかし、そうでなくて、何もおつくりにならないで地価の高騰を楽しみにやっていらっしゃる者もある。そういうことはやはり課税の場合にはいろいろ考慮されるでありましょうが、私どもといたしましては、まず第一に一定面積の農地を必要とすると、それはぜひ守っていきたい、そのためにはあらゆる手段方法を講じて圃場整備もやれば構造改善もやるなりして農業を継続的にやってもらうことを念願といたしておるわけでありますので、そういうようなことの目的と一致してやっていただけるような方々についてのいまの税制等につきましては、やはり何らかの格段の措置を考えてもらうということは必要なことだろうと思っておりますが、なかなかその辺の判断、調整がむずかしいものでありますからいま一生懸命で勉強しておる、こういうわけであります。
○前川旦君 時間が参りましたので……。どうかまじめに農業を続けていこうとしている者が、もう農業に意欲を失った人と同じように扱われて、やろうという意欲までも失っていって農業の荒廃に輪をかけるというようなことがありましては、これは日本の国益に反することになります。したがいまして、技術的な面で、むずかしさがいろいろあるということはわかります。しかし、そのむずかしさを克服されて、正直でまじめな者が満足して安心して農業に従事できるように、そういうことを前向きに真剣に考えていただきたいと、そのことを私は特に強く要望いたしまして、時間が参りましたので質問を終わります。
○小山一平君 食糧問題、資源問題はただいま国際的にたいへんな関心と論議が高まっているところでございます。いま私のところに各国の一人当たり一日の動物性たん白質供給量の統計がございますが、ここ十年ほどで見てまいりますと、日本人が摂取をいたします動物性たん白質のうち魚介類の占める割合は、肉、卵、牛乳等々の合計を上回っております。そしてこれは約十六グラムということに統計が示しておりますが、フランスにおいてはこれが五・五グラム、ドイツ、アメリカ三・五グラム、日本と同じような水産国のノルウェーにおいても九・五グラム、北洋のサケ・マス・カニ漁等で常に焦点となっているソ連においてはわずか三グラム、欧米各国は日本に比べますとたいへん魚介類によるたん白質の摂取量が少ないのでございますが、その反対に肉類の摂取量におきましては日本は極度に少ないのでございます。欧米各国に比べますと極端な差異を持っているのが特徴でございます。このことは日本の水産がいかに重要な地位を占めているかということを示しております。きょうは私は水産資源を今後どのように確保をしていくかということについて、当局の御見解をいろんな立場からお尋ねをしてみたいと思うんです。
 昭和四十七年度の統計資料によりますと、海面における漁業の総漁獲量は九百四十万トンとなっています。その内訳は、遠洋漁業において三百九十万五千、沖合い漁業において三百五十八万八千、沿岸漁業において百九十万七千トンという数字になっております。そして南米チリ等の沖合い、アフリカ沿岸等の遠洋漁業ソ連等に特に深いかかわり合いを持つ北洋漁業、これらは最も重要な地位を占めておりますが、近年国際間で問題になってまいりました経済水域二百海里の設定について、カラカスの海洋法会議はこの実質討議を来年度に持ち越すようになったといわれておりますが、各国の姿勢、取り組みから見まして、この二百海里時代の到来はもはや必至であるといわれております。そして中南米諸国の経済水域の設定とあわせて入漁料の大幅な引き上げ、それが世界各国に波及しようとしていることも御承知のとおりでございまして、資源ナショナリズムはいよいよ強くなる一方でございます。これによって日本の遠洋漁業あるいは北洋漁業等は容易ならざる事態を迎えようとしておりますが、これらの点につきましてどのような御見解を持ち、将来これに対する方針等どのようにお持ちになっているか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) お尋ねの第三次海洋法会議でありますが、これはお話のように六月二十日から八月二十九日までの間、ベネズエラのカラカスで開催されましたが、領海、経済水域、それから大陸だな等すべての問題につきまして関係国の利害が対立いたしまして合意を見ることができませんで、来年三月十七日からのジュネーブの次の会議に持ち越されるということに相なった次第であります。しかしながら、わが国の水産業に関係の深い領海、経済水域の問題につきましては、領海十二海里、それから距岸二百海里を経済水域とするという基本的なワク組みにつきまして、これが今回の会議の大勢を占めておることは間違いないようであります。
 そこで、政府といたしましては、発展途上国との間で相互にこの漁業の発展をはかるという立場に立って、海外漁業協力等を通じてわが国漁場を確保することといたしたいと思っております。これはもちろんそれぞれの国によってそれぞれの希望も事情も違うのでありましょうから、こういうことにわが国としては万全の対策を講じてまいるつもりであります。また、北太平洋等先進国との間で行なわれております北洋、こういう問題については機会をとらえまして相互理解を深め、関係国との話し合いによりましてわが国の希望を満たしてまいるように引き続き努力をしていきたい、このように考えておるわけであります。
○小山一平君 それから十月にも再開されるというようにいわれております日中政府間漁業協定締結交渉ですか、これにおいて第一回の本交渉で中国側が底びき漁船の馬力制限ということを魚族保護の立場から強く主張をしてきている、こういうことを聞いておりますが、これらについての見通しはいかがですか。
○説明員(内村良英君) 日本と中国の魚業関係につきましては、国交が回復するまではいわゆる民間協定で行なわれてきたわけでございます。そこで、国交が回復いたしまして政府ベースの漁業協定を締結したいということで、御案内のように本年五月、六月と第一回の日中漁業交渉を北京で行なったわけでございます。その交渉におきましては両国はいろいろ案を出しまして話し合いをやったわけでございますが、話がつかないということで一応会議を中断いたしまして、なるべく早い機会に第二回をやろうということになっております。したがいまして、両国の話し合いで、この問題についてはまだ交渉は継続中のため、現段階ではこれを外に明らかにしないという約束をしておりますのでごかんべんを願いたいと思います。
○小山一平君 いずれにいたしましても、遠洋漁業その他外国との深いかかわり合いのある範囲におけるわが国の漁業はその依存度を低下せざるを得ない、こういう状況にあることは間違いがございません。そこで、当然日本の沿岸あるいは沖合い漁業の振興ということを積極的に進めなければならないと思うんですが、ところが、沿岸海域にとどまらず、河川、湖沼に至るまで水質の汚濁、環境の破壊による水産資源がたいへん荒廃をしていることは重要な問題でございます。
 先日、環境庁は全国の河川や海域の水銀やPCB汚染について調査の結果を発表をいたしております。新聞は公害列島がさらに深刻化しているということを一斉に報じまして国民は不安と不信の念を大きく持っているところでございます。漁獲規制が二十六カ所になりました。とるな、食べるなということは、これは当然一時しのぎの緊急措置にほかなりません。したがって、今後この海域あるいは河川、湖沼等の汚染の問題とどのように取り組んでいかれるか、その対策あるいは方針等お聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(内村良英君) 今後わが国の動物性たん白質の供給源としての水産業の役割りがますます増加するということは、先ほど先生から御指摘のあったとおりの認識を私ども持っております。その場合に、遠洋につきましては国際規制その他が非常にきびしくなってまいりますので、今後は沿岸の資源の増加をはかっていかなきゃならぬということは御指摘のとおりでございます。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
そこで、沿岸の資源の拡大につきましては、沿岸漁場整備開発法というものが先般の国会で法律になったものでございますから、それに基づきまして漁場整備ということを今後大いにやっていこうと思っておるわけでございます。ただ、そういった漁場整備を進める一方、汚染が進んでしまえば何にもならないじゃないかということになるわけでございまして、私どもといたしましても、漁場の汚染問題については水産資源を守るという立場から真剣に対処しなければならぬどいうふうに考えているわけでございます。
 そこで、具体的にはどういうことなのかということでございますけれども、沿岸海域及び内水面の汚染問題につきましては、水質汚濁防止法、海洋汚染防止法等、いわゆる公害関係の諸法規の厳正な運用によりまして、そういった面からの漁場汚染を防止すると。この面につきましてはだんだん規制が非常にきびしくなってまいりまして、私どものほうで所管しておりますたとえば水産の加工業、これは相当汚水を流すわけでございますが、そういった面についても、規制がきびしくなってまいる関係から、加工について公害施設を国が援助しなければならぬというような問題が起こっております。そういうことでかなり公害関係法規の運用がきびしくなりまして、だんだん水がきれいになるというようなことになってきておるわけでございますが、なお水産庁といたしましては、こういった公害関係法規を運用している関係の官庁と十分連携をとりながら、ますますこの面を強化していきたいと思っているわけでございます。
 そこで、水産庁自身といたしましては、PCB、水銀等による魚介類の汚染状況調査あるいは公害被害防止のための施設、諸資材の整備、さらにこれは将来大きな問題になってかなりの財政負担を要する大問題だと思いますけれども、生産性の低下した漁場のしゅんせつというようなことをやって、漁場をきれいにしていくということをやっていかなきゃならないというふうに考えているわけでございます。
○小山一平君 この問題は、水産庁がどんなにがんばっても、これは他の関係官庁との深いかかわり合いもあることでございますが、私はこのことについて環境庁からお聞きをいたしたいと思うんですが、大体海の汚染は大企業です。そして河川、湖沼の汚染はおおむね中小企業や家庭排水、さらに農薬などというのがこれが通例でございますが、最近ロンドンのテームズ川の浄化が非常に進んでいると聞いております。これは河川へ排出する汚染物質の総量規制が行なわれたからだと、こういうふうにもいわれておりますが、わが国では現在工場排水等の規制は工場の排水口での基準によっております。しかし、河川には大小があり水量にはそれぞれ大きな差異を持っておりますので、この許容量は千差万別と言わなければならないはずです。ですから、実態に応じたきめこまかい総量規制を行なうことなしに私は汚染防止は困難である、こういうふうに考えているのでございますが、この点について御見解をお聞きをいたしたいと思います。
○説明員(清滝昌三郎君) ただいま御意見のございました総量規制方式につきましては、現在の濃度規制にかわる将来の規制の方向であるということでわれわれも承知いたしておる次第でございます。したがいまして、一応総量規制というたてまえで規制すべく検討いたしておるわけでございますけれども、一口に総量規制といいましても検討すべき問題がいろいろございます。たとえば、ある水域にどの程度自浄能力があるか、自浄能力に応じてどの程度汚濁物を流し得るかといったその受けざらと申しますか、そういった自浄能力との関係からそういった総量をきめなければならないという問題が一つございます。そういった観点から、すでに四十七年度以降、瀬戸内海、東京湾、伊勢湾、その他湖沼につきましても、そういった受けざらになるべき容量をいろいろ調査してまいっておる次第でございます。
 それからもう一つ、総量をきめます場合に、どういうふうに総量をはかっていけばいいかという測定技術の問題がなお残されているわけでございます。これも現在引き続き検討しておる最中でございまして、そういった受けざらになる許容量、そういった測定技術といったものをあわせ検討いたしました上で総量規制の実施を検討するということでただいまやっておる最中でございます。
○小山一平君 実は、工場等の排水は直接大きな河川や湖沼へ排出されるわけじゃないんです。これはいずれも、あるいは下水、かんがい用水、小川、こういう小さな川ですね、そして水量の少ないところへこれが放流をされて、それが大きな川へ入り湖水へ入り、やがて海に流れ込むと、こういうことなんですけれども、小さな川、かんがい用水等を調査をいたしますと、実はこれはおそるべき重金属の蓄積が進んでいるんです。そうしてそれが雨が降ったりした場合に、だんだんだんだんと川に流れ込んでいく、こういう構造になっておりますから、ただ単に大きな川を検査をしたり調査をしたりして、そこがどうであった、こうであったとその時点でとらえても、これはたいへんとらえる実体が間違いやすい、こういうことを私はよく承知をいたしているわけなんです。そういう意味で環境庁は各市町村などのそういうこまかい部分についての調査、こういうようなことをやる必要があると思うんですが、いかがですか。
○説明員(清滝昌三郎君) 現在、各水域の調査に関しましては各都道府県に委任いたしまして、それぞれの地域に適合したたとえばサンプルをとる場所とか測点をそれぞれきめまして各都道府県で測定しておるわけでございます。したがいまして、ただいま仰せのような問題のある地点につきましては、当然そこにそういった測定計画に含まれていると思いますが、そういった重要な問題を含むところにつきましては当然測定すべきものと思いますので、十分その辺はわれわれのほうでもチェックしてまいりたいと思っております。
○小山一平君 とかく、問題が発生して、発見をされて、これはたいへんだとなってから手を打つのが今日までの公害対策でございます。これは日常的に常に監視あるいは指導ということをやっていかないと公害対策の実をあげることが非常に困難です。それには県に権限を委譲しておやりになっているということではこれができないんですよ。これはどうしても公害対策を成果をあげていくためには市町村にまで権限を下げて、そしてそれぞれの地域において日常的な監視指導の体制をつくるという方法をとっていかなければ私はならないと思うのですけれども、そういうふうな方向に進めていくお考えはございませんか。
○説明員(清滝昌三郎君) ただいまの都道府県にやらしております測定につきましては、一応測定計画につきまして実施しておるわけでございますけれども、その測定計画の作成に関しましては市町村もこれに協力してやるというたてまえでやっておりますので、測定自身は県でやりますか市でやりますか、その辺の具体的な実施そのものは別といたしましても、そういった測定計画そのものには市町村の意見が十分反映しておることでございますので、その辺の内容を十分チェックしていくということで、ただいまおっしゃった御意見のありました点は十分チェックしていけるのではないかというふうに考えております。
○小山一平君 ところが、それができないのです。というのは、それは各市町村たくさんございますが、その町村で公害に非常に熱心に取り組んでいるというようなところにおいてはある程度そういう機能を発揮することができます。ところが、財政的にも市町村段階には何らの援助措置も講ぜられない。公害対策基本法には、ちゃんと「地方公共団体が公害の防止に関する施策を講ずるために要する費用について、必要な財政上の措置」「を講ずるように努めなければならない。」と書いてあるけれども、実際には市町村段階にまではこうした財政的な措置が講じられて実はいまいないのが現状です。そういうことですから、県も広い守備範囲を、そう全地域にこまかく手を伸ばしてやるというようなことが実際問題としてはできていないのです。そこで、事前の監視指導という予防的指導的措置がおろそかになっていて、問題が発生をしてから、発生をした問題に対処するということになりがちである。これは非常に重要なことでございまして、ぜひこれは市町村段階において日常的監視指導が行き届くような方策を講ずべきである。私はこれは経験の上から申し上げていることですが、御意見を。
○説明員(清滝昌三郎君) ただいまの御意見にございますように、いわゆる水質の常時の監視測定という問題は非常に重要でございます。そういう観点から、環境庁といたしましても各都道府県に対しましてそれに必要な経費につきまして補助もしておりますし、そのほか必要な場所には機械を設置いたしまして自動的にモニターするというふうな形で、監視測定の体制をできるだけ強化するというたてまえで監視測定の体制の整備をはかっておるわけでございます。
 それから現在行なわれております規制方式、これは濃度規制方式でございますけれども、これも地域ごとにそれぞれ特徴がございまして、それに関しましては各都道府県知事がその地域に応じた形で上のせ規制をやりまして、いわばかなり規制をきびしくできるたてまえになっております。そういったこととあわせまして、きめのこまかい排水規制、水質測定監視というものを実施させているわけでございますので、今後も十分その辺のチェックをしてまいりたいと考えております。
○小山一平君 私は去年の十月まで市長をやっていたんですよ。ですから、そういう問題が、環境庁がいま考えているようなシステムで何とかうまくやっていけるというようなお考えでいる限りなかなか公害対策は徹底しない、こういうことを私はよく知っているんです。そこで、今後公害対策の権限や、そのことに対する活動が市町村段階で十分できるように配慮することが必要である、こういうことを私は申し上げているんです。ほかにまだたくさんお尋ねしなければならぬことがありますから、ここでそう時間をとっているわけにもいきません。これは私の意見として申し上げておきます。もし皆さんが徹底的にこの問題に取り組むつもりならば、そういう実態や現実について後刻よく御説明もいたしたいと思いますが、この問題は以上にしておきます。私の強い要望、意見だけを申し上げておきます。
 次に、水産資源の確保と申しましても次第次第にむずかしい問題が発生をしてきております。しかしながら、将来の夢として海洋牧場構想などという雄大な意見も提起をされておるところでございますから、そうただ悲観するばかりが能ではないと思います。積極的に取り組んでいくならばこういうむずかしい状況の中で資源確保は可能である、私はそう思います。そうして当面の問題といたしましては、何としても沿岸海域における資源の保護育成、それと内水、開水面を含めた養殖、増殖、こういう二つのことが当面考えられ、このことはかなりいま積極的に取り組まれているはずでございます。
 そこで、まず一つお聞かせをいただきたいと思いますが、実は私たちが先般北海道へ調査に参りましたおりにも、北海道の漁民から北方領土の問題あるいは安全操業の問題等と関連をして、沿岸にたくさんの魚礁をつくるというようなことで、危険をおかしたりすることなしに漁業を営むことができるように積極的に取り組んでほしい、こういう要望を聞いてまいったわけでございますが、これには大型な魚礁をたくさん設置をしていくとか、いわゆる魚のアパートといったような手段を積極的に講じていくということになろうかと思いますが、これは水産庁でもすでに行なわれている事業ではございますけれども、これらの点について今後どんな計画で、あるいはどんな展望の上に立っておられるか、このことをお聞きいたしたいと思います。
○説明員(内村良英君) 私どもも沿岸漁業の振興ということは今後のわが国の水産業の最大優先すべき事項だと考えております。そこで、先ほども申し上げましたけれども、沿岸漁場整備開発法という法律ができましたので、それに基づきまして開発計画というものをつくって今後仕事を進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
 そこで、開発計画につきましては、昭和五十年度を初年度とする六カ年計画ぐらいをつくってみたい。その規模につきましては今後財政当局ともいろいろ相談してやらなければならないわけでございますが、従来やってまいりました構造改善計画よりもかなり大規模なもので進めたいと思っているわけでございます。そこで、どういうことを仕事としてやるのかということでございますが、ただいまお話のございました大型魚礁の設置事業、これは従来も第二次構造改善事業その他でやってまいりましたけれども、五十年度以降におきましてはかなりこれを拡大したいと、こう考えておるわけでございます。この大型魚礁というのは、大体自然にございます魚礁を補完するような形で魚礁をつくっているわけでございますが、それ以外に今度は人工礁というものをつくってみたい。あまり魚礁がないというようなところにおきまして、人工礁というものを非常に大きな規模でやってみたい。そこに魚を寄りつけまして、それによって資源の定着、場合によっては増加をはかるというような効果を期待したい。
 それから幼稚仔の保育場の造成事業というものをやりたい。そこで、これにつきましては幼稚仔の成育場となりますモ場とか人工の干潟、あるいは中間の育成場等の積極的な造成を進めまして、人工種苗の放流海域の環境整備、天然の幼稚仔の成育の促進等によりまして資源の増殖及び栽培漁業の振興をこれによってはかりたいと思っているわけでございます。それから類似のものといたしまして大規模増殖場開発事業、有用水産生物の発生、生育に適しました環境を大規模に造成しまして、同時に適切な漁業管理と相まって積極的な資源量の増大をはかるため、大規模増殖開発パイロット事業というものを全国の数カ所でやってみたいというふうに考えておるわけでございます。さらに漁場造成事業、これは沿岸漁場構造改善事業の一環として推進してきたわけでございますが、この事業をさらに拡大したい。それから浅海漁場の開発事業、未開発の浅海の開発及び漁場利用の高度化をはかるために、新たに浅海漁場開発事業というものをやってみたい。それからさらに、そういったことで新しい漁場をつくっていくと同時に、先ほどもお話が出ましたけれども、現在汚染をしている漁場環境というものをよくしていかなきゃならない。そういったこともあわせてやりながら、沿岸漁場の整備を行ない、これと栽培漁業とを結びつけて資源量の拡大をはかっていきたいというふうに考えているわけでございます。
○小山一平君 この沿岸海域における魚族保護、増殖の事業と相まってですね、御承知のようにわが国ではこの内水面においてウナギであるとかコイであるとかマスであるとかこれらの事業がますます盛んになっております。そしてさらにこれが海水を利用してハマチであるとかエビであるとかという養殖に成功して、これは一そう発展を見ようとしておりますし、それから水産庁の目玉事業である北海道のサケ・マスの人工ふ化、そしてこれを抵抗力がつくまで飼育をして放流するというこういう事業、これも養殖事業の一環であろうと思いますし、それから瀬戸内海を中心にしてエビであるとかその他さまざまな魚族のそうした事業が行なわれているとも聞いておりますが、こういうように非常に内水あるいは海域を問わず人工的な増殖事業というものが飛躍的な発展を遂げてまいったんでございますが、ところが、その発展とともに魚族の病気が多種多様となって蔓延をしてまいりました。公害列島に魚病列島というおまけがっくのではないかといわれるほど魚病の蔓延はたいへんな事態にいまなろうといたしまして、養殖漁業関係者の間ではこれは重大な問題となっております。
 特に、ここ四、五年の間を振り返ってみただけでも、ウナギのえらじん炎、ハマチの類結節症、ノカルディア症、フナや金魚やコイの穴あき病、ことしははからずもニジマスのIHNといったよりな壊滅的打撃を受けるような魚病が発生をしてまいりました。そしてこれがおそるべきことは天然の魚族にまで拡散する傾向を見せております。かつて日本にはなかったような病気が発生をいたしまして、病原がさっぱりわからない、しかたないから不明病だなどといわれている現状でございます。沿岸海域に多いビブリオ菌が内水面に蔓延をしたことを思いますと、今日内水面にだけある魚病が海の魚類に伝染していかないという保証はどこにもないんです。それからまた北海道のサケ・マスふ化事業がたいへんこのごろは成果をあげておりますが、あの事業にいつ壊滅的な被害を与えるようなことが発生しないとも限らない。こういう状況になっております。おそらくこんなことは大臣はよくお知りにならないと思いますけれども、これはたいへんなことなんであります。
 アメリカでは昭和四十三年、アメリカに輸入される冷凍ニジマス等について、エグトベット病及び旋回病の原因となる原虫やウイルスに汚染されていない、こういう証明をアメリカが指定した学者によってつけたものでなければ輸入を認めないという措置をとりました。防疫対策を積極的に進めてまいりました。カナダにおいても四十五年にはサケ・マス類の輸入について同様の措置を講じています。その他の国でも魚病をチェックする制度をつくっている国が多い。こういうふうにも聞いておりますし、また国際間で協定を結んでお互いに魚病の拡散防止措置を講じている国さえもある、こういうことを私は聞いております。
 ところが、日本では御承知のようにウナギの稚魚はフランスを中心にして十数カ国から輸入されているでしょう。それから数量は少ないかもしれませんが、アラスカからヒメマス、サクラマスなどの魚卵が入っております。熱帯魚に至ってはさまざまなルートから野放図に輸入をされておりますが、これには検疫の制度がないのでフリーパスですね。こんな話がある。香港から観光客がビニール袋へ熱帯魚を入れて買ってきた。その中に水草がわずかに入っていた。羽田に着いたら、その水草は植物検疫の対象になるというのでさっそく取り上げられたけれども、本体の熱帯魚はどうぞそのままという笑い話があるほどであります。これでは外国からの魚病が侵入してくるのは当然でございまして、汚染水域の増大の影響もあって魚病がふえているという一面もございますが、外国からかなりの病気が侵入している。これはある学者にいわせれば、もうほとんど日本へ侵入したではないかと嘆く学者さえもございます。これですから、免疫性や抵抗力の弱い日本の魚類が新しい魚病によって大被害を受けるということになるのは当然のことでございます。まず行政的には優先的に予防対策を講じなければならないはずなのに、今日まで日本においてだけはこの魚病に対する検疫制度をつくることを怠ってきた、これは私はたいへん無責任ではないかと思うんですが、いかがでございますか。
○説明員(内村良英君) ただいま先生からお話のございましたように、この魚病の問題というのは、今後水産行政上大きな問題になっていく問題であるという認識を私ども持っております。ただ、現在わが国でも国及び都道府県等の公的機関が輸入する場合には、病因が明らかな伝染性の疾病については輸出国の関係研究機関に対しまして無病証明の添付を求めておりますし、さらにそういった輸入した魚を池に入れる前にフランザイ等による消毒も行なっております。このことが民間では、私どもはそのように指導をしておりますけれども、十分行なわれてはいないような面があるということもまた事実だと思います。そこで、今後ますます卵あるいは稚魚の輸入等がふえてまいりますので、私どもといたしましてもなるべく早く検疫制度をつくらなければならぬというふうに考えております。
 それから先ほどもお話がございましたけれども、国際的に見た場合、現在そういった措置をやっておるのはアメリカとカナダだけでございます。これも相手国に対して無病証明を求めるということでやっておるわけでございまして、国際的にもこの問題は大きな問題になっておりまして、FAOが実はことしの四月−五月に会議を持ちまして、何らかの国際的な条約をつくりたいということでいろいろ研究しております。私どももこの会議には積極的に参加いたしておりますし、さらに第二回会議が、いつ行なわれるかはさまっておりませんけれども、行なわれるということで、国際的にもそのような動きにもなっておりますし、私どもといたしましても国内的な検疫体制の整備をやらなければならぬということでいろいろ現在研究している段階でございます。
○小山一平君 アメリカやカナダはこれは冷凍魚ですよ。日本くらい生きた魚を輸入している国はないんです。冷凍の魚よりも生きた魚のほうが魚病を持ち込む可能性が高いことはこれは明らかです。検討していると言いますがね、この問題が発生してからもう七、八年になりますよ。七、八年たって日本が魚病列島だなどといわれるようになってから、これから一生懸命で取り組むとは何ですか。これは、怠慢であったという反省なしにこの問題は早急な解決を見るはずがないと思うんですが、怠慢だったとは思いませんか。
○説明員(内村良英君) 私どもといたしましても、この問題につきましてはいろいろ予算措置等をとりまして研究をしているわけでございます。基本的にやはりこういったことになりますと、魚病の診断をできる技術者というものが必要になってくるわけでございます。そこで、そういった面もかなりおくれをとっていたということもございまして、一生懸命追いつくようにやっているわけでございます。確かに怠慢であったという、もっとたくさん予算をとってなるべく早くやるべきでなかったかという御批判はあるかもしれませんけれども、私どもとしてはそういった基礎的な整備ということに一生懸命つとめてまいってきたわけでございます。
○小山一平君 この問題についてですね、業界からまず最初に水産庁に、こうした検疫制度をつくって魚病の侵入を防ぐようにしてほしい、こういって要望書を提出したのは昭和四十五年三月ですよ。それが四十九年になってまだ、これから取り組んでいくんだ、こんなスローモーションではこういう重大な問題には対処できません。それではこの検疫制度をいつごろにはつくる、こういうめどで取り組んでおられますか。
○説明員(内村良英君) 検疫制度をつくるにつきましてはいろいろ技術的問題を詰めなければならない面があるわけでございます。それらにつきましては昭和四十九年、今年いろいろ技術的な問題を詰める検討会をやっております。そこで、これを制度化する場合にはどういう問題があるかということを五十年度に詰めて、その結果に基づいてなるべく早く検疫制度を確立するようなほうに持っていきたい。ただこれは、たとえばその病気を診断できる人がいなければやってみてもできないわけでございますから、そういった基礎的な整備をしていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。
○小山一平君 これらの問題に対応するためには、これは水産庁にも研究所があるわけでございますが、この研究部門が非常に弱体である、これは定評のあるところでございます。時間もだんだんありませんので、ごく簡単でけっこうですから、水産庁におけるこれらの研究部門の機構であるとか、研究の状況であるとか、あるいは予算であるとか、こういうことを簡単明快に時間のかからぬようにひとつお答えをお願いをいたします。
○説明員(内村良英君) 水産庁自体といたしましては、各水産研究所で約十三人の技術者がこの魚病の研究に従事しているわけでございます。それに要する経費は大体いま一千万円程度使ってやっております。それから水産庁といたしましては大学に対しまして魚病の研究の委託をしております。それは四十九年度におきましては東京水産大学に委託をしております。それから都道府県の試験場がございます。中央の水産庁の試験場以外に、都道府県の水産試験場がございますので、各主要な県の水産研究所に対しまして魚病検査費の助成という措置をとっております。四十九年度の予算はこれが約八百四十万円と、こういうことになっております。
○小山一平君 いまお答えを聞いておりましても、こういう重大な問題に対応するにはまことにお恥ずかしいような予算措置しかとっていないことがはっきりいたしておるわけでございますが、そういう現状の中でなおさらに問題になってくるのは、今日、病気に対処するために製薬会社がたいへんな薬品をつくって販売をいたしております。そして業者は、ときには思いあまって人間の使う高価な抗生物資の薬品を一日二百万円も三百万円も使ったなどという事例が珍しくありません。そうして私はこのような薬品の野放し状態は必ず近い将来に薬公害という重大な問題を起こすのではないかというふうに心配するんです。それは薬品の魚体内の残留の問題もあるでしょう。それからその薬品自体が、あるいは薬浴等たくさんやりますからね、これによって、これ自身が水質を汚染をするという問題もございます。こういう薬品というような問題が国の魚病研究あるいはその対策が不十分のために心配される、私はそう思うんですが、いかがですか。
○説明員(内村良英君) 確かに先生御指摘のように、水産の養殖漁業におきましては魚病対策のため各種の薬品を使用しております。そこで、薬事法に基づく水産用薬品としての製造承認に際しましては、その用法及び用量等について条件をつけますと同時に、私どもといたしましてはこれが残留問題を起こしてはいけないので魚の出荷前一定期間は薬品を使用してはいかぬということを指導し、そのように明記しているわけでございます。それからこのほか水産用の医薬品以外の薬品で池の消毒、寄生虫の駆除等を目的として用いられているものもありますが、これらにつきましては国及び都道府県等の試験研究機関において残留性等を目下いろいろ検討しておりますし、それに基づいていろいろ適正な使用の指導はしているところでございます。
○小山一平君 まあ、いろいろやっていらっしゃるわけでございますが、いずれにしても、現在急速に蔓延してきている魚病問題に対応するにはあまりにも体制が弱過ぎる、そういうふうに思いますが、そこで国では専門の魚病研究所であるとか、あるいは現在ある淡水研の中に特に充実した魚病研究部門を設置をする、そういう研究機関を中核にして各県の指導機関あるいは試験機関を十分指導していくという、こういう体制をとるべきだと思いますが、こういう計画はございませんか。
○説明員(内村良英君) 先ほど御答弁申し上げました技術的な問題を検討する検討会におきましては、各方面の研究者を集めまして、そこでいろいろ研究しているわけでございます。そういったことで研究をやや組織化しながら問題を検討しているわけでございますが、特定の水産試験場におきまして魚病を専門にやる機関を設けるかどうかということは将来の課題として真剣に検討してみたいと思います。
○小山一平君 これは各県の指導機関あるいは試験機関などからも多く聞くことばでございますし、それから業者などの、業界などからも多く聞くことばでございますが、水産庁にこういう重大な問題で相談に行くにしても、われわれにとってちょうどのしっかりした窓口さえもないではないかという、まさにこの問題に対する行政部門が非常に弱体である、こういう声を聞いておるわけでございますが、水産庁として、こういう緊急重要な事態に対応し、なおさらに先ほど申し上げたように水産資源を効率的に確保していくという土台をしっかりつくり上げる上からもこれを進めていくお考えはございませんか。
○説明員(内村良英君) 現在水産庁の中には、研究開発部にこの魚病問題を担当する担当官がおりましていろいろやっているわけでございますが、将来におきましては研究課の中に魚病対策官というようなものを要求して、こういった面の行政部面を充実していかなければならないというふうに考えています。
○小山一平君 これまた広く技術者や研究者の中から私の聞くことばでございますが、あるいはまた水産庁の中ではそういうことは言わぬと思いますけれども、水産庁で特にこういう問題に対する対策や、それを進めていく機構整備、財政措置等をやろうとすると、どうも大蔵省が大きな壁になっているのではないかという、たいへん何かそこに大きな壁が立ちはだかっていて、そのためにこう歯がゆいようにこれらの問題が行政的にもあるいは学問的にも不十分のまま放置されているのではないかという声を聞くんですが、そんなことはございませんか。
○説明員(宮下創平君) 特に水産関係について大蔵省がきつい査定なり、理解を示さないというふうなおことばでございますけれども、四十九年度の予算につきましても、いま先生が当初からずっと広範にわたって御質問なさった点等につきまして十分な予算措置を講じ、その伸び率等もかなり高いものになっておりますので、特に水産庁について理解がないというようなことはございません。いろいろバランスをとって予算を編成しております。
○小山一平君 当然、そういうお答えでございましようけれども、役所というのはとかくいままでの経過があって、そうしてそこへ何%伸びた、これもバランスで何%伸びたという予算づけをやりがちなものであります。私もそのことはよく知っているわけでございますが、いまお聞きのように、この問題は近年非常に深刻化してきた問題でございますから、いまの御意見のように今後積極的な御理解の上に立って配慮をしていただけるものと、こういうふうにひとつ了解をしておきたいと思います。
 それから水産大学あるいは水産学部を持つ大学が幾つもございますが、その中に魚病講座というのは一つもないと聞きますが、ほんとうですか。
○説明員(内村良英君) 現在講座が四つあるそうでございます。
○小山一平君 この問題はやはり水産庁が研究機関を一日も早く確立をし、そして学問的にも行政的にも十分なる体制をとって、しかもこれは急速にとっていただかなければならない大問題だというふうに思います。
 大臣もいまいろいろやりとりをお聞きになっておって、この養殖事業というものが内水面から海域に発展をして、そして今後の日本水産の大きな役割りを果たそうとしている段階における魚病問題、これに対する国の組織的あるいは財政的措置というものが非常におくれている、こういうことを御理解がいただけたと思います。そこで、あるいはこの検疫制度を一日も早くつくるとか、あるいは研究組織あるいは研究機関を一日も早く充実したものにつくり上げるとか、それを通じて日本水産の発展の大きな一翼をつくり上げていく、こういうことについて、大臣から、大いにやっていただきたいと思うんですが、ひとつ大臣の御意見あるいはお考えを最後にお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 始終有益なお話を承っておりまして、対策に万全を期してやってまいるつもりでございます。
○小山一平君 いろいろいまお尋ねをし、お答えをいただいたわけでございますが、まあ率直に申し上げて、それはなかなか役所のことですから、いやまずかった、おくれた、怠慢であったなどとそう簡単に言えるものでないことは私もよく承知をしております。しかし、はっきり言えることは、これは非常に後手後手である。行政というものは先取りでなければいけません。後手後手行政、手おくれ行政というのはこういうもののことを言うんです。私も今後その推移を厳重に注目をしてまいりたいと思いますので、それぞれのお答えのように、これらの問題に積極的な姿勢と、それから具体的措置をとっていただくように強く要望をいたしておきます。
○松岡克由君 参考人の方々はお見えになっておりますか。――参考人の方々、お忙しいところをどうも御苦労さまでございます。最初に質問の趣旨、これを説明申し上げておきます。
 御承知のとおり、最近国民所得が向上し、したがって大衆のレジャーが飛躍的に拡大されたわけで、競馬ファンは御承知のとおりたいへんに激増している。競馬場の入場者だけ見ても、中央、地方を通じて三千万、ダービーのようなハイライトになりますと、もうテレビの視聴者を入れると一千数百万、もっと多い人たちが見ている、興味を持っている。国民的祭典だと言ってもいいくらい繁盛しているわけで、いつでしたか、数年前にたしか参議院の――参議院たと思うんてすが、選挙とかち合って、ダービーだかなんか大きなレースがあるために参議院の投票率が下がるといけないから一時間参議院の投票をおくらせたことがあったくらい、国民の中に、一口に言えば参議院の投票よりも競馬のほうが興味があるからこういった処置をとったくらいたいへん人気がある。これは事実でございます。
 しかし、その反面、競馬は社会風教上といいますか、生活環境を破壊するという、まあ俗にいう競馬公害というものをもたらしていることも私は見のがすわけにはいかぬ。それは関係者の皆さんもおそらくそう感じていらっしゃると思うんですが、私、このようにやはり国民が求めている娯楽であると同時に公害をもたらすというこの矛盾、この競馬に焦点を当てまして、どうあるべきかということを検討していきたい、ひとつよりいい方法、ベターの方法をお互いに考えていきたい。こういうことで私は、自分といいますか、私の立場を明らかにしておきますと、競馬は弊害があります。その面のみを言って、短時期というわけにいきませんから、逐次こいつを減らして、絶滅、要するに解消すべきということでなく、といって、まあみんなが求めているという事実があるからどんどんひとつレジャーを拡大せいという、そういった自由に伸ばせという意見でもない。まあ私自身競馬はやらないんでございますけれども、公害というものを、弊害をなくしながら大衆健全娯楽として伸ばしていく、これが一番いいだろうというのが私の立場であることを一応言っておきます。
 まず、競馬とは何かということになるんですが、競馬の公的意義、これは何かと言うと、まあ一つ何かということは、わが国が何ゆえに競馬にかかわり合いを持つか、こういうことになるんですけれども、われわれざっと考えると、まあ国民に健全な娯楽を提供する。射幸心という問題があるが、やっぱりある程度射幸心を抑制するということはかえって弊害につながるのではないか。ある程度国が、または地方のひとつの行政が管理した上でそういったものを満足させたほうがいいんである。それからもう一つ、畜産振興ですね。これがうたわれております。もう一つ、財政的な寄与という、この三点だと私どもこう思っておりますが、このほかにありましたらお聞かせください。
○説明員(澤邊守君) ただいま御指摘ございました三点が現在の競馬施行の目的であるというふうにわれわれも考えております。
○松岡克由君 じゃ、あと小さいことがあっても大体この三点にしぼっていけばいいというわけですね。このうちとれにやっぱり一番重点を――もしランクづけということがあるなら、私はある程度必要だと思いますので、重点を置いているかということを聞かせてください。
○説明員(澤邊守君) どれが重点かという点でございますが、まあ最近の国民所得の伸びとともに大衆のレジャーの機会が非常に拡大しておるというようなことから考えますと、優先順位ということを申し上げていかがかとも思いますけれども、国民に健全な娯楽を提供していくという点がやっぱり一番大きな目的と言ってあるいは差しつかえないのではないか。もちろん財政の寄与とございますが、財政の寄与のためだけにやっているということではないと思いますが、その意味では最初に先生の言われました健全な娯楽を国民に提供するという点がやっぱり大きな目的であるというふうに理解いたしております。
○松岡克由君 たいへん私は明快で、すなおで、そのとおりだと思います。昔は軍馬調達なんという名目もあったということを伺いました。ところが、競馬憲章といわれております日本中央競馬会法の第一条でございますけれども、「この法律は、競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、」と、こうあるんですね。これ、すなおにとると、大衆娯楽ということが何か抜けているというか、あまり考えられない。この法律からくるとちょっと遊離しているような感じがするんですね。だから、その「馬の改良増殖」といっても何かいまの時代にそんなにはたして必要なのか。これはちょっと例が違いますけれども、大相撲なんかでも言えるような感じがするんですね。国技と言うんですから、あれはほんとうに国民が相撲というものを中心に体力向上をはかり、健全なるスポーツを受け付けていく、そのためのデモンストレーションとして国技館で相撲を取っているということが従来のあり方であり、相撲法人ということになっているんですが、実際にはただ興行のみでやっているという、非常に遊離している。これは問題が違いますけれども、たとえると私は何かそんなような感じになってくるような気がするわけですね。だから、私は何といいますか、この第一条を見てみますと、「馬の改良」云々とか、「畜産の振興」というよりも、もっともっと大衆娯楽なら娯楽とはっきりこの第一条に明記したらどうでしょうかね、いかがでございますか。
○説明員(澤邊守君) 現行の日本中央競馬会法では、確かにいま御指摘がございましたように、「競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、」というようなことが書いてございます。なお、御参考に申し上げますと、競馬法のほうには特に目的の規定が実はないわけでございます。その点、両法律間で必ずしもつり合いのとれていない面があるようにも判断されます。まあ「競馬の健全な発展を図って」ということの中に、先ほど来御指摘がございますような健全な娯楽として娯楽を国民に提供していくんだというようなことも当然のこととして含まれておるというように現段階では解釈していいのではないかというふうに考えます。
 なお、「馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与する」という点につきましては、もちろん馬産をやっておりますのは北海道地域その他生産農家が主でございますので、現在約三千五百経営体がございますし、約一万頭前後毎年生産が行なわれておる。一頭かりに三百万円という計算をしますと、三百億ぐらいの馬産が一つの産業として成り立っておる。そういう点もございますが、そのほかあるいは後ほど御質問が出るかと思いますけれども、益金の中で畜産振興に充当しておるというようなことを通じまして、馬産のみならず畜産全般に対しても貢献をしておるというようなことで、畜産振興の一環をになっているという面ももちろん大事な一つの点になっていると思います。
○松岡克由君 こういうことばにこだわるということは、やっぱり最終的に、事実大衆に対する健全娯楽であるということ、これをうたっているのと、そのことばの中で察せられるというのと、やはり後々になりましてファンにもっともっと還元せよと、娯楽としての要求の度合いを強く持っていかなきゃならない、これがある場合においては金銭的にもそれをしなきゃならない、財政面にも関知してきますのでもっとうたったほうがいいのではないか。現に地方競馬のほうにはそれがうたってありますので、どうぞひとつそういった意見を頭のどっかへまた入れておいてほしいと思います。明らかにそう解釈していいということを返事をいただけたんで私は満足です。
 さて、この十年間ぐらいでけっこうなんですけれども、競馬はたいへん飛躍しております。入場施設とか、また売り上げの馬券金額と言っていいですが、人員ですね、数、それから金額、倍率、これひとつ簡単に時間もありませんので報告してください。
○説明員(澤邊守君) それでは十年とおっしゃいましたが、ただいまちょっと手元に四十年から四十八年までを持っておりますので、それでお答えさしていただきたいと思います。
 入場人員で見ますと、中央、地方と分けまして申し上げますが、四十年には四百二十七万人、延べでございます。中央競馬の場合が入場人員が四百二十七万人、四十八年には一千四百七十六万人でございます。これは四十年を一〇〇といたしますと三四五、三倍半ということになっております。それから地方競馬について見ますと、四十年が一千百三十二万人、それに対しまして四十八年が二千四百四十七万人、これは二・二八倍ということになっております。売り上げ金額、売得金額とも言っておりますが、これで見ますと、中央競馬の場合は四十年でございますが八百六十六億、四十八年は六千六百五億、これは七・六倍でございます。それから地方競馬について見ますと、四十年に一千九十二億の売り上げがありました。それに対しまして四十八年度は五千六百六十一億、約五・二倍というような伸びを示しております。
○松岡克由君 競馬公害、代表的なものというと何なんでしょうか。
○説明員(澤邊守君) いろいろ公害ございますけれども、われわれはやはり交通混雑が最大のものだと思います。それに次いで騒音だとか、あるいは、じんあいとかということももちろんございますけれども、最大のものは交通混雑だというふうに考えております。
○松岡克由君 風教上の問題というのはありませんか。
○説明員(澤邊守君) 直接的な目に見える公害ということで申し上げましたが、もちろん御指摘ございましたような一般の風教上の問題も広い意味での公害というふうに理解すれば大きな問題だと思います。
○松岡克由君 いまいみじくも答えてくれました中の最も大きな部分を占めているという競馬場の交通渋滞といいますか、混雑といいますか、これの交通対策、これは具体的にどういうことをやっているのかというのをひとつわかりやすく説明してください。
○説明員(澤邊守君) 競馬場、あるいは場所によりましては場外発売所の周辺地区におきまして交通が混雑する、しかし、問題の大きいのはどうしても競馬場周辺地区ということでございますので、これに対しましては、周辺の道路の整備等につきまして中央競馬会の場合について申し上げますと、年間約四十億の助成をいたす。この四十億の中には、もちろん交通混雑緩和のための道路だけではございません、その他の環境整備のための経費も出しておりますが、主たるものは道路整備が中心でございます。そのほか、何と申しましてもマイカーが競馬場へ集中することによりまして交通が混雑する面が大きいわけでございますので、なるべく自動車による、マイカーによる輸送ということを少なくして、できれば大量輸送機関と申しますか、バスとか電車等で競馬場に行ってもらうというようなこと、あるいは競馬場の駅からおりて入場する場合に、立体交差することによって通常の道路とぶつからないようにするとかというようなことを主として現在やっているわけであります。
○松岡克由君 予算を押えているわけですから、たとえばマイカーを抑制する、これはなかなかむずかしいことだと思うんですね、やっぱり自主的に呼びかけたり、または現に込んでいるからだめですよといって、向こうに納得させるわけでしょうけれども、たとえば駅から大型バスで入場者などを送り込んであげるといったような発想、または実施、そういったものは現在のところどうでしょうか。
○参考人(酒折武弘君) 現在、名古屋の場外発売所につきましてはそれをやっております。その他の場所につきましても、できればそういう方式も考えたいということで検討中でございますけれども、まだ具体的にはなっておりません。
○松岡克由君 それは予算とかいろんな面においてやればできるんでしょうね。
○参考人(酒折武弘君) 金の問題じゃなくて、場所の選定とか、お客さんの利用の関係という問題でいろいろむずかしいことがございまして、その他の場所ではまだ実現しておらないわけでございます。
○松岡克由君 でも、それをやらざるを得なくなるような状態になっていることは事実だと思うし、またそういった方面に検討しているんで、将来はそういったのが、名古屋はそれはおそらく好評なんだと思いますけれども、そういったものになってくるだろうと予想していてかまいませんね。
○参考人(酒折武弘君) その点十分積極的な検討を進めたいと思っております。
○松岡克由君 それから場外馬券発売所というのがたいへんに混雑しておりますですね。それに対する対策というのはどういうことをやっておりますか。
○参考人(酒折武弘君) まず、基本的には場外施設がいま狭隘でございまして、これを拡充するということを考えております。たとえば後楽園場外発売所あるいは浅草場外発売所というのは大幅な施設の拡充をやりました。なお、現在検討中のもので、ある程度具体化したものが二、三ございます。これを積極的に進めたいと思っております。
 それから現実に現在やっていることといたしましては、機械化を促進いたしまして、それからこれは消極的な方法だと思いますけれども、発売レースを制限するとか、発売する投票券の種類を制限するというふうなこともやっております。その他、警察と協力いたしまして、違法駐車とかあるいは交通整理とか、そういうことにも十分な手配をしているところでございます。
○松岡克由君 国がある部分責任を持っているそういった中央競馬ですから、ある程度快適にさせてくれという競馬ファンの希望をかなえるということも必要だけれども、私はそれ以前に、競馬場付近の住民たちの苦情というものも――何にでも苦情はつきものですけれども、特にひどいということを伺っております。もっと端的に言うと、わりと競馬場へ行く人というのは、本来紳士が行くんですけれども、中にはマナーの悪い方もずいぶんいらっしゃる。いらっしゃるというより、います。で、ざっくばらんに言えば立ち小便を所かまわずするんですね。たん、つばは吐く、物はほうる、投げるというこの迷惑 これのやはり金銭的な補償をはたして町村、また地区にしているのか、または補償、援助というのをどう考えているのか、これをちょっと答えてくれませんか。
○参考人(酒折武弘君) まず、直接的な方法といたしましては、競馬が終わったあとの周辺の清掃でございますか、これを競馬会の手でやっております。それからまた非常にむずかしい問題で、個々の方々のそういう行為について、一々規制するのはなかなかむずかしいんでございますけれども、先ほども畜産局長から申し上げましたように、年間約四十億程度の金を出しまして、周辺の道路の整備等を重点にやっております。あといわば宣伝とか何とかいうふうな方法でもって、各お客さんの自覚を喚起するというふうなこともやっておりますけれども、なかなかどうも効果を発揮しておらぬようでございます。
○松岡克由君 そのとおりなんですね。効果を発揮してないんですね。こっちはやっている、しかしなかなか、まあマナーの問題もあるんでしょうけれども、そのマナー云々、こっちから言ってもなかなか効果がないんで、しようがないから、とにかくしりぬぐいをしていかなきゃいけない。とにかく金がかかる、いろんなことにかかるが、しりぬぐいを、とにかく言ってもよごすんだからじゃなくて、とにかくよごしたのはあとからあとからきれいにしていって、直してやるよりほか手がないという国民性を持ってますんで、ひとつその辺を迷惑のかからないように念には念を入れ、これでもか、これでもかというぐらいにひとつ力を入れてほしいと思っております。
 また、迷惑をかけているかわりにというとちょっと変ですけれども、競馬場周辺の居住者に、開催日でないときというのはずいぶんあるわけですから、それを還元するという、たとえば遊園地にしてみるとか、馬場荒らしをされるとかいろんなあれがあるでしょうけれども、そういうことはできないのか、また考えているのか、この辺はいかがでしょう。
○参考人(酒折武弘君) その点はもう十分現在やっておりまして、たとえば競馬場の馬場の内を公園的にしまして、そして幼稚園とか小学校の生徒とかいう者がウィークデーには来ておる、あるいはまた乗場の施設をつくりまして、周辺の人たちに乗場を楽しんでいただくというふうなことで、それからまた場所によりましては、町内会の集会場に提供するというふうなことをやっております。
○松岡克由君 場外馬券場が確かに混雑しています。私も一、二度連れていかれて、それこそ自分の希望の馬券を買うのに、死にもの狂いということばがあるくらい、こうなったこと(混雑の状態を身振りする)がありましたけれどね、これはふやせという意見が当然あると思うんですけれども、どうでしょう。その意見があるか、またあると思います。ふやすのかふやさないのか、その辺の方針はどうでしょう。
○説明員(澤邊守君) 最近の競馬人口の増加に伴いまして、まあ場内もそうですけど、場外馬券も非常に混雑をしておるということは、基本的には馬券を買いたい人の数と、それからそれを発売する施設がマッチしてない、バランスがとれてないというところだろうと思いますので、必要に応じて施設の拡充等を考えていかなければいけないというふうに考えております。
 ただ、公営競技調査会の答申というのが三十六年に出ておりまして、これは競馬のみならず競輪、オートレース等も含めまして、公営競技についての調査会としての意見が答申という形で出されておるわけでございますが、その中には第五項目に、「馬券、車券等の場外売り場については、現在のものを増加しないことを原則とし、設備及び販売方法の改善に努力する。」ということで、これは原則的にはふやさないというような考えが当時出されております。しかしながら、まあ原則ということになっておりますので、特別な場合一切ふやさないということまではいっておらないというふうにも思いますので、当面現在の施設の拡充、先ほど競馬会のほうから、副理事長からお答えしましたように、最近では浅草なりあるいは後楽園も、非常にりっぱなビルにして全館窓口にするというようなやり方をしておりますけれども、そういうことをやり、あるいは今後問題になりますのは、分館制度と申しますか、発売と払い戻しと別にするとかいうようなことも、一つの検討事項だと思っております。農林大臣の私的な諮問機関といたしまして、競馬懇談会というので、種々競馬の健全化の問題等について、現在審議をしていただいておりますが、その中の議論といたしましても、場外発売所につきましては、分館方式の採用その他適地に移転するとか、既存の施設を整備する、場合によってはふやしていくということも必要であるというような意見が出されておりますので、今後十分検討して対処してまいりたいと思っております。
○松岡克由君 やっぱし競馬ファンのためにふやしていかなきゃならない。現実にあれだけの混雑を見ていると、ふやさなきゃならなくなるんですけれども、なかなかこれをその地域住民というものがよしとするところは少ないんではないかということは、もう当然予想されるんですが、いま調べてみたり聞いてみたりすると、浅草は喜んでいると、ちょっと浅草という町が斜陽になっていますから、こういったことで盛り上げるということで喜んでいるらしい。おそらくなかなかそういったものはないのではないか。たとえば、こんなところに移せるなんという可能性はあるんですか、移せるとかまたは新しくできるという可能性が、現時点において。
○参考人(酒折武弘君) 御指摘のとおり、いわゆる住民パワーでまいっておるわけでございます。したがいまして、場所の選定といたしましては、そういう問題の起こらないところということで、現在一、二あるいはうまくいくんじゃないかというところがあるわけでございます。しかし、これは軽率に公表しますと、すぐにも反対ということになりますので、いまじっくりと検討中でございます。
○松岡克由君 電話でやるやり方みたいなことを考えているということを聞いているんですが、これは実際にどういうことをやるんですか。
○参考人(酒折武弘君) 現在試験的に電話投票というのを実施中でございまして、これは関東で浅草場外と、それから関西の梅田場外にその部屋を設けまして、そこで電話で受け付ける、いま一種のモニターといたしまして、約二百人程度の方にそれに加入していただきまして、試験的に実施中でございますが、これはまだ試験中でございまして、将来の見通し、確たる見通しはございませんけれども、できればこれを拡充いたしますれば、いわばいわゆる競馬公害というものを非常に減少できますので、そういう意味で前向きに検討を進めたいと考えております。
○松岡克由君 具体的に想像がつかないんですが、どういうふうにやるんでしょうか、ちょっと……。
○参考人(酒折武弘君) 大体一人当たり限度は十万円でございまして、これを銀行預金、普通預金のかっこうで入れていただきまして、そうして土曜日曜競馬がございますけれども、そのときに電話で先ほど申しました浅草場外と梅田場外に電話で申し込んでいただく、そうすると私のほうに係員がおりまして、それが当人であることを確認いたしまして、投票券の発売を受け付けるわけでございます。それはすべて決済は銀行のその預金口座でやるというかっこうでございますので、御本人は家から電話で投票券が買えるという状態でございます。
○松岡克由君 わかりました。テレビでもテレビショッピングを電話でやっていたことがあるんですよ、これはオークションをですね、幾ら幾らという。そうすると、たとえば宝石なら宝石を五十万、百万と買うわけですね、電話でかかってきて。かかってきたから、それに落としますよというテレビでやっていて、今度現実に電話かけると、おれは知らねえなんというのがずいぶんあって、これがだめになったという事実がありますので、こういった一つの弊害というものも記憶しておいてほしいと思います。どうぞいいほうにいくと、必ずやっぱり二ついいこと世の中ないといいますけど、そのとおりで頭へひとつこれを当見えておいてほしいと思います。
 ノミ屋というのが、これはたいへんな一つの弊害、弊害というのか必要悪というんですか、弊害でしょうけども、この辺の対策どういうふうにやっているのか。なかなかこれはもう暴力団の資金源になっているくらい、資金源になるということは、それだけのやり方ができていてうまくいっている、向こうにおいてはうまくいっているということなんですからね、どうなんですかね。
○説明員(澤邊守君) いろんな理由から、のみ屋が横行するということが問題になっておるわけでございます。原因としていろいろございますけれども、まあある意味では便利であるということもございましようし、あるいは控除率がございませんので、その分有利だという面もあろうかと思います。
 もう一つの理由といたしましては、競馬場なりあるいは場外発売所が非常に混雑して、あまり快的な環境ではないということもあって、なかなかいかないという問題もあろうかと思います。
 それから反面また、先ほどちょっと御指摘がございましたように、暴力団がこれに介入してくるというようなことで横行するというような点がございますので、われわれといたしましては、それに対する、警察当局とも連絡をとりまして、取り締まりを十分強化をしていくことが必要であるというふうに思っております。
 それで現在その対策としてやっておりますことを申し上げますと、先ほど言いました種々の原因がありますが、これは取り締まり以外はないという原因もございますので、それは別といたしまして、施設が不備である、混雑する、快適な環境ではないということのために寄りつかないということもあろうかと思いますので、そういう施設の整備につきましては、競馬を楽しむというような雰囲気をつくるような、それにふさわしい施設を整備していくということも必要だと思います。
 さらに、競馬場の中においてノミ行為を防止する対策といたしまして現在やっておりますことは、まず自衛警備体制を確立をしていくとか、あるいはテレビカメラ等でノミ行為の監視をする、それらの施設を拡充をしていくとか、あるいは特別観客席、これがノミ行為の温床の場所になるというおそれがありますので、そういうものの改善をするとか、その特別観覧席の発売を暴力団に買い占められないようにするとかいうような発売方法の規制とか、あるいは一般的なノミ行為防止の広報を十分やるというようなこと、あるいはまた、特に最近始めておりますのは、諸外国の例等も参考にいたしまして、ハンドスタンプというものを手にスタンプを押しまして、特別観覧席に出入りする場合、入れかわり立ちかわり八がかわってそこに入る、同じ入場券で特別観覧席に別の人間が入れかわって入ると、それがノミ行為の一つの温床になりますので、そういうことのないようにするためにハンドスタンプを活用するとかいうようなこともやっておるわけでございます。
○松岡克由君 いろいろと手は尽くしていると思うんですけれども、私は、これはたいへんに酷な言い方かもしれませんが、変な例ですけれども、味の素がうまいということばでもって統一してしまった、すっぱいものにもうまい、甘いものにもうまい。ぼくは何か一点があるんじゃないか、一つのものすごい、これさえこういうふうにきまっていけばなくなるんじゃないかというのを、私はそういう非常に理想論みたいですけれども、さがしていかなければいけないのではないか。それはもうある場合においては全部そうなんです。それがあれば苦労はしないと言うでしょうけれども、私は何かあるような気がする、何か方法が、小さな方法でなくて大きくどかんと来る方法によって。それは要するにアイデアです。頭脳です。そういう頭脳を結集して、ああそうか、ここに気がつかなかったのかと、こういうものがあったのだというようなことを、非常に奇想天外なアイデアから生まれるかもしれないんですけれども、なかなかこれはむずかしいことなんですけれども、ひとつさがしてほしい。またそれをしなければ永久にイタチごっこで、小さなところからこう一つ一つ直しているうちに、犯罪者のほうが知恵が上ですからね、あなた方よりもっと先に考えますから、その辺でもってイタチごっこになると、どうぞひとつその辺も考えてほしい。
 それから競馬制度の改善についてちょっと伺いたいんですけれども、いろいろと伝統的なものが残っておりますことは私は想像できるんです。だから、そういった面における不正事件というのはいろいろと起きていますが、最近の不正事件というのはどんなものがあるか、代表的な例を二、三あげてほしいのと、それからどんな不正防止のために対策を講じているか、これをひとつ、時間がありませんので手短かくお願いします。
○説明員(澤邊守君) 昨年の十月でございますが、中央競馬会に所属の騎手、だけではございませんが、騎手とその関係者、競馬法違反の贈収賄の容疑で警察当局に逮捕された事実がございます。結果としてはこれは不起訴になったわけでございますが、要するに情報を提供したということで逮捕されたわけでございます。競馬運営の、健全な運営の基本的条件としてやはり公正に行なうということが絶対条件でございますので、このような事件を契機といたしましてさらにいろいろ公正確保のための指導を強化をして、中央競馬会なりあるいは地方競馬会主催先において種々のことをやっていただいておるわけですが、たとえば騎手が出走前夜から外部との接触を避けるために調整ルームというのを設けておりますが、これはかねて設けておるわけですが、それの管理がややずさんな面があったと、それを厳格にして、話をかけるのでも一々全部が全部取り次ぐわけではないというような厳正に運用するというようなことをやっております。それから競走中の監視をするためにパトロールフィルムというのを使ってずっとそれが再現できるように監視をするということ、あるいは厩舎への出入りの管理を強化していく、あるいは厩舎関係者の予想行為を禁止するとかいうようなことをいろいろ実施しておるわけでございます。
 そういう直接的なことのほかに、騎手の免許をはじめ調教師の免許とか、あるいは馬主の登録、あるいは厩舎貸し付けの方法等、厩舎制度につきましていろいろ改善をしていく必要があるというふうに考えております。さらに不正予防措置の強化とか、あるいは制裁、不正をおかした場合の制裁を強化していくというようなことも必要ではないか。さらに騎手その他関係者の、厩舎関係者の研修、教育研修といいますか、そういうものをさらに充実する、あるいは公正確保のための中央競馬会の中の機構を強化する、公正室をつくるとかいうようなことを現にやっておりますし、競馬保安協会というのがいろいろな調査機関を持っておりますので、これの人員を充実して活動を強化するというようなことが必要であるということでできるところから順次実施をしてまいりたいということで指導をいたしております。
○松岡克由君 たとえば一騎手を、ジョッキーを軟禁状態ですわね、一口に言えば、ことばはよろしくないですけれども。それをやると人道上の問題がやっぱり出てくると思うし、しかしやらなきゃならないというたいへんその苦悩は察しますけれども、一番の問題はやっぱり混雑よりも何よりも不正ですから、八百長事件、不正事件ということが最もいけないし、また最も反感を買うことでございますですね。で、馬主による不正事件というのも生まれておるのですか。どうでしょう。あるとしたらどんな例ですか。
○委員長(前川旦君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記を起こしてください。
○説明員(澤邊守君) 馬主による不正事件でございますが、これは不正を行なった場合には競馬関与の禁止、永久に競馬に従事することができないように処分するとか、あるいはそれの競馬関与の停止ということで一定期間従事できないような処分をするという、中央競馬会でそういう処分をしておるわけでございますが、それで申し上げますと、最近の五カ年間で見ますと二人、中央競馬の場合は二人でございます。二人というか、二件でございまして、それは、四十六年の八月にありましたのは馬主がノミ行為の相手方になったというケースでございます。それに対しましては罰金五万円の刑に処しましたし、競馬会はこれに対しまして五年間の関与停止処分をしておる。もう一件は、これも四十八年の十月でございますが、これも同様ノミ行為の相手方になったということで、ただいま申し上げたと同じような処分をいたしております。中央競馬につきましては最近五カ年間で十四名が処分を受けております。その内容を見ますと、ノミ行為によるもの四名、不正協定によるもの三名、馬体検査に手心を加えてもらうための贈与、贈賄五名、その他になっております。
○松岡克由君 登録制度ですけれども、共有というのを認めておりますが、この可否、どうでしょう。意見を聞きたいのですがね。いろいろと問題が出てきているのじゃないですか。一例をあげると、会社みたいなものがありまして、会社が馬を三頭でも四頭でも持って、それを不特定多数といいますか、その辺から募集してやっているこの事実、こういったものに対する可否、どうでしょう。
○説明員(澤邊守君) これは、競馬は本来馬主が自分の馬を競走に出すことによって勝ちを占める、それによって個人の名誉を重んずるスポーツだといわれておりますので、そういうようなまた歴史的な発展経過もたどっておりますので、共有馬主とか法人馬主とか最近出ておりますものにつきましては、特にその中でも企業的なものといいますか、そういうものについてはいろいろ問題があろうかと思うわけでありますが、その問題点といたしましては、一つはやはり責任が不在になる、責任が不明になる、だれか。内部の権利関係も不明確でございますが、実質的に責任者がだれなのかということがなかなか明らかでないために、種々の規制を加えたり指導する場合に困るというようなことがございます。それから名義貸しの場合も同じでございますけれども、暴力団がその中にまぎれ込むというような弊害が生ずるおそれがあるということでございますので、これは先ほど申し上げました競馬懇談会の専門委員会でもそれの改善につきまして報告が出ておりますので、それらを現在どのようにして実施に移していくかを検討しておるところでございます。
○松岡克由君 すらすらすらすら一問一答で流しておりますけれども、流しているからこれでいいということではなくて、こっちの意見を知ったりして進歩することに拍車をかけてほしいという意見でございますので、回答だけしていればいいというんだと、またこっちの質問のしかたが違ってきます。そうでなくて、自然と入っているんで、それは一つのいいほうに進めていこうということに、こう解釈しておりますので、そのための記録でございます。
 たとえば厩舎の使用ですけれども、調教師が非常に世襲的な既得権的優位な立場にあるというこの事実、騎手もやはり調教師に支配されていると。馬の購入から、またはそういったものの仲買い的なものまで含めているということに対する不平不満がたいへんに私は多いと見ているんですが、この辺農林省関係のほうの意見はどうなんでしょうか。
○説明員(澤邊守君) 調教師が非常に優越的な地位を占めておりまして、特権化しておると、そこで種々の弊害が出ておると。たとえば入厩するための権利金を取っておるとかあるいは自分があっせんした馬でなければ預託に応じないとかいうような弊害が、実態はなかなか事の性質上どの程度あるのかということは正確には把握できませんけれども、そのような事実が疑われておるわけでございます。これは基本的には現在馬の出走頭数というものはきまっておりますので、それに対して生産かやや過剰きみてあるというような――それもまた原因は種々ございますけれども、そういう需給のアンバランスといいますか、入厩希望者と厩舎数のアンバランスという問題も基本的にはあると思います。それから先ほど言われましたように、調教師というのは非常に閉鎖的な社会になっておりまして、世襲化されておるとか、あるいは老齢になっておってもいつまでもやっておるというようなことがございますので、その点につきましては現在、先ほどから申し上げておりますような懇談会のこれに対していろいろな改善意見が出ておりますので、それをどのように具体化していくかということを検討して、できるところからやっていきたいというふうに考えております。先ほどもちょっと申し上げましたように、免許制度を厳正に励行するとかあるいは調教の成績に応じてメリット・デメリット・システムをもっと強く導入をして、あまり成績のよくない人には厩舎を貸さないとか、貸す数を制限していくとかいうようなこと、あるいは調教師の研修といいますか、再教育というようなことをやっていくとか、あるいは将来の問題といたしましては定年制も実行上考えていくというような点が現在問題になっております。具体的に進めていきたいというふうに考えております。
○松岡克由君 それに対する調教師側といいますか、そっちのほうの抵抗というのはどうなんでしょう。
○参考人(酒折武弘君) 現在そういう問題につきまして調教師側と折衝中でございますが、どうもやっぱり調教師というのは世間を知らない面もございまして、それとともに、いわば競馬不遇時代にその困難を乗り越えて今日に至ったと、そのわれわれの功績は認めてくれないのかというふうな面で相当な抵抗といいますか、反発といいますか、それを示しているわけでございます。しかし、現在、そういう問題もわれわれは決して無視するわけじゃないけれども、現状においてこういう点問題じゃないかということで、もっぱら説得につとめておる状況でございます。
○松岡克由君 露骨に聞きますが、賞金制度なんですけれども、勝ち馬の取った賞金というのは総売り上げの六%、これはどんどんいま売り上げが増加している現在多いと思うんですがね。大臣いかがでしょうか。
○説明員(澤邊守君) 賞金の額の問題と体系の問題と二つあると思いますが、お尋ねの額につきましては、これまで、かつては競走馬を確保するために賞金を高くしなきゃいけないということがございまして、売り上げの六%ぐらいを賞金に使うというようなことでやってきました。最近は、先ほども申し上げましたように競走馬の生産頭数はやや過剰ぎみということもございますので、それから他国のいろいろな例を見ましても相当高い水準にきているということもございますので、単に、従来のやっておりましたような六%を賞金に支出するということで、売り上げにスライドしてだけやるということは好ましくないというふうに考えておりまして、ただ、実行上は、現在は、実質的には決算面ではもう売り上げの約四%を若干切ったところになっております。競走費という中には、賞金が主体で、その他の環境整備費といったようなものも入っておりまして六%ということになっておりますけれども、実質的には六%水準より低下しております。これを今後は、単に売り上げだけではなしに係養経費といいますか、あるいは一般め物価とかあるいは馬の需給状況とかいうような各般の要素を相互に勘案してきめていくというような方向に改善をしていくべきなんだというふうに考えて、現在、中央競馬会で種々検討しておるという段階でございます。
○松岡克由君 ということは、暗に多いということを認めておるような部分が私はあるんではないかと。七五%はファンに還元していますわね。あとの二五%のうち一〇%は国庫、一五%が運営と。そのバランスはくずれており――まあ、こっちが一二になりこっちが一三になり、ある程度はくずれてくる。まあ、いいほうに向かっていると言うんでしょうけれども、一五%のうちの六%というのは私はたいへん多い金額になって、そこに何か、多い金額が――分ける配分の問題なんてすけれども、私は、何か、近ごろ、馬が走っていりゃある程度やっていけるんじゃないかというようなところにたいへん問題があるような気がします。もっともっときびしく、やっぱり勝馬に対し、ほんとうの勝者に対しては栄光があってもいいけれども、あまりにもそうでないものに対してまで優遇していくことに対して、私は衰退するのではないかと。要するに、食えるからいいじゃないかというように人間はどうしてもなりつつある。スポーツというのはハングリーのほうがおもしろいのであって、野球は近ごろつまらなくなってきたと申しますが、そういったものもあるという意見があるくらいで、どうですか、その辺は、中央競馬会のほうとしては。
○参考人(酒折武弘君) 御指摘のとおり、われわれといたしましては、農林省の御指導もございまして、一種の勝負の世界でございますから、優勝劣敗ということについて非常に甘い考えを持つと競馬自体がおかしくなるんじゃないかということで、その点の強化ということを現在立案して、関係者、つまり馬主とか調教師とか、そういう方々と具体案を検討中でございます。
○松岡克由君 一口に言って、テラ銭の二五%は――テラ銭と言うのはあまりいいことばじゃないけれども、わかりやすく言うんですが、取り過ぎてやしませんか。
○説明員(澤邊守君) そういう御意見もございますが、先ほど来申し上げておりますように、施設の整備ということは現在相当力を入れてやっておりますし、それからさらに今後も施設の整備は積極的にやらなきゃいけないということを考えておりますので、二五%の控除費、その中で納付金と開催費になるわけでございますが、私どもといたしましては、諸外国の例から見ますとやや高いほうに属しますけれども、現段階としては、すぐには改正すべきものだとは考えておりません。
○松岡克由君 七五%は馬券を買った人に遷元していくと。その二五%のうち一〇が国庫納付金になり一五%が運営費と。この運営費なんですけれども、売り上げがふえているわりには人件費とか設備費というのは現実的にそんなにまで――露骨に言えばきたなくたって競馬場はもっと。よくないけれども、まあまあやれないことはないんだと。私はそんなになっているような感じがしないんですけれども、だから、私は、もっともっとファンに還元する、場合によってはもっともっと豪華にしたっていいと思うんですよ、豪華にしたって。ファンに還元するというのは豪華にするか設備をよくするか、あとはやっぱりテラ銭を安くするかということになってくるんじゃないですか。もっともっと安くするということをもっと強力に私は進めてもいいのじゃないかと思う。またファンに還元ができないというなら国庫の納付金、この割合を是正したらどうですか。この意見どうでしょう。つまり、もっと国庫に入れるほうをふやしたらどうだということです。
○説明員(澤邊守君) 私どもは、先ほどお答えしましたように、あまり控除率を、還元率を高めるということは現在の競馬人口をさらにふやすとかあるいは競馬の熱をあおるということで過熱化のおそれもあると思いますので、われわれは現段階ではいまの程度でいいのじゃないかというふうに考えております。その中で国庫納付金と開催費ということになるわけでございますけれども、これは先ほど言いましたように、施設の整備とか、先ほど来出ております公害問題、不正防止ということからいたしますと今後さらにそれらについて一そう強化して拡充してまいる必要があるという点からいたしますと、いま直ちに国庫納付金を高めるということはむずかしいのではないかというふうに考えております。
○松岡克由君 どうも納得いかないのです。ということは、運営費が必要ならもっともっとほんとうに豪華にしろと、もっともっとこんなに金があがっているのですからやれと、そうでなくて、ある程度できているならば、私はすなおに国庫納付金のほうに持っていくべきではないか。また、その国庫納付金の問題なんですけれども、畜産振興に七五%、社会福祉に二五%という、畜産というのも確かに大事だし、また名目の一つにもうたわれているのですけれども、現在日本においてそんなに馬が必要だとは私は思えないし、騎兵なんというのもあまり見ませんし、私は馬がどうの馬肉の需要がどうの、畜産というのは、たいへん馬の関係者にとってはおもしろくないことかもしれませんが、どうもあまりわからない。それでやっぱり社会福祉事業というとびんとくるし、わかるし、このウエートの問題なんですが、フィフティフィフティぐらいにするだけの勇気はありませんか。
○説明員(澤邊守君) 畜産振興という意味は、単に馬の改良とか増産とか奨励とかということだけではございませんので、馬だけならば畜産の中でウェートは小さいわけでございますが、その他酪農だとか食肉だとか鶏卵だとか、そういう畜産全般についての振興に充当するという考えでやっておるわけでございます。畜産振興の必要性につきましては、もう先生十分御承知かと思いますけれども、食生活の改善とともに畜産物の消費が非常に増大し、それに対応する国内生産を上げていくという、いわば戦後の農業の新しい分野でございますのでこれを積極的に育成する。しかも畜産物が豊富に安定して供給できるということになりますれば、全国民に歓迎されるという点もございますので、もちろん社会福祉事業も大事だと思いますけれども、そういう趣旨で現在法律で畜産振興に七五%使うということに定められておるというふうに理解しておりますが、特にいま現段階でそれを下げるというようなことはわれわれとしては考えておりません。
○松岡克由君 それは下げることはできないというそういう意見は意見として聞きますが、畜産というか、馬が大事だ大事だ。馬の必要性をいま説いていますが、私はそればかりじゃない、農業にたとえばどれだけ寄与しているかというと、私はそんなにしていると思わないですよ、いま。私はそれほどしているというような気が起きないし、またそんなもの現実的な説得性ないですよ。ありますか。ないですよ。
○説明員(澤邊守君) 国庫納付金の中で四分の三は畜産振興費に充当するということがきめられております。それはもちろん、現在の畜産関係の予算は四分の三をはるかに上回っておりますけれども、今後売り上げの増加等も考えますと、最低の畜産関係の予算を確保するというような役割りは今後も期待できるということでございますので、何もこれだけで畜産振興をやっているということではございませんけれども、馬産の振興ということだけではなしに、畜産全般の振興に納付金が充当されるということは畜産振興上必要なことであるというふうに思います。
○松岡克由君 私の聞きたいことは、いままでいろいろと意見がかみ合ってきたのはいいですけれども、そうなるとちょっと私は納得ができない。畜産振興畜産振興といって、やっているのは現に都会でやっていますからね。いなかでやっているのなら幾らでもそういった意見がまだまだ通るかもしれません、山奥でやっているなら。現に都会の住民に迷惑をかけて、迷惑――まあ、娯楽も含めたいろいろな意味での迷惑でしょうけれども、私はこれの比率というものはどう考えてもこんなもの自然じゃないんじゃないかと。大臣、いかがでしょうか、このやりとり聞いていて。
○国務大臣(倉石忠雄君) るる畜産局長お答えいたしましたのが私どもの考え方であります。
○松岡克由君 その考え方は、考え方一辺倒であって、こっちの言っていることは全くどうも、歯牙にもかけないというか、問題にもならぬと、そういう意見ですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど来承っておりますと、だいぶちゃんと意見の一致しているところが非常に多い。
○松岡克由君 この部分だけが……。
○国務大臣(倉石忠雄君) あとはいま、先ほど来お答、えいたしておりますように、懇談会にいろいろないま世間に問題もあるようであります、そういうものを付議いたしまして、十分競馬というものをやっております社会的目的が達成されるような方向でいろいろ審議をいたしてもらっておるようでありますので、その答申を待って対処いたしたい、こう思っております。
○松岡克由君 その方針の中に社会福祉、畜産振興のこのバランスの是正みたいなものをひとつ意見の対象に入れてくれるということを約束していただけませんか、どうなんですか。
○説明員(澤邊守君) 懇談会はなお継続調査をしていただいておりますので、そのような御意見があったということで御報告をして討議をしていただくようにしたいと思います。
○松岡克由君 時間があと三分半ございます。最後に、中央競馬会の理事のうち、農林省の出身者というのは割合はどのくらいですか。
○説明員(澤邊守君) 全部で理事が、理事長、副理事長を含めまして十名でございますが、現在一名欠員でございます。そこで農林省関係の出身者といたしましては四名でございます。
○松岡克由君 四名ですね。一般大衆といいますか、一般の代表ということの参加ということは考えられないわけですね。
○説明員(澤邊守君) 運営審議会という形で種々競馬会の運営の重要事項について御意見を承る組織は持っておりますが、現在は一般のファンの中とかあるいは関係者の中からというようなことにはなっておりません。
○松岡克由君 やっぱり大体半分、十名のうち四名ということですね。何かそこに私、こういった大衆娯楽というものが農林省サイド、そういったもので占められてはたしていいものなのかという疑問もちょっぴり感じるのです。いままで言った意見の中に共感できるところが当然私はあるだろうと思うし、またそれをやろうとして日夜努力しているんだけれどもなかなかうまくいかないという部分もあると思います。どうぞひとつ、こういった意見を再度の一つのプッシュと受け取っていただいて、納得いくような競馬の運営をして、こういった意見がから回りに回らないようにひとつお願いをして質問を終わりたいと思います。
○委員長(前川旦君) それでは午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたしまします。
   午後一時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十六分開会
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 午前中に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、農林省とそれに関係する農林漁業金融公庫の決算について審査を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○峯山昭範君 それでは、初めに私は農林大臣にお伺いします。
 きょうは特に、日本の農業政策の根本にかかわる問題並びに全農あるいは全漁連、そういうふうな問題について二、三質問したいと思います。
 現在までの日本経済の動向といいますか、動きは、何といいますか、鉱工業中心に現在まで成長を続けてまいりましたけれども、そういうふうな中で、特に社会福祉の立ちおくれ、あるいは社会資本の不足、加えて農業政策の低迷から、大きくその方向の転換を現在求められていると思います。こういうふうな中にありまして、政府もこのような方向を転換しようと、そういう動きが見られるわけでございますけれども、そこできょうは、大臣に初めにお伺いしておきたいのは、特に現在国際間で食糧不足という問題が大きなテーマになりつつあります。特に各国とも自給力の向上という問題については、相当力を入れ、かつ励んでいるようでございますけれども、わが国の自給状況につきましては、農業の動向に関する年次報告の中にもございますが、特に穀物につきましては、全体で四三%の自給率でございますし、この中で米を除きますと、全体で穀物が大体七%になるようでございますけれども、この農作物、特に穀物の自給向上という問題については非常に重要な問題であると思います。そこで、大臣に初めに、この自給力の向上、あるいは今後の農政という問題について大臣の所見をお伺いしておきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま国民の食糧につきまして、これはもう国際的にも食糧問題というのは非常に注目されてまいりました。当然なことであろうと思いますが、わが国といたしましては、やはり国内で生産可能なものについては、できるだけ国内生産の自給度を維持向上せしめる、同時にまた、どうしても輸入にまたなければならないようなものは、安定的な価格で、安定した方法で、輸入の安定をはかると、こういう方向でやってまいりたい。しかし、国内におきまして生産可能なものの自給度維持のためには、四十九年度予算にもそうでありますが、五十年度予算においても、できるだけ補助奨励をして増産対策をいたしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
○峯山昭範君 確かに大臣おっしゃるように、この五十年度の農林漁業関係重点施策というのがございますが、ことしの予算でもそういうふうな自給という問題について相当取り組んでいらっしゃるようでございますけれども、特に私は、この資料の中にもございますけれども、麦とか大豆ですね、こういうようなものの自給という問題は非常にこれから重要な問題になってくると私は思うんですけれども、実際問題この資料によりますと、大豆もそうですけれども、大豆、麦なんていうのは現在壊滅的な状態ですね。そういう点から考えてみまして、その壊滅的な状態から、ここには二割増産というように書いてございますけれども、とてもじゃないけれどもこの程度では追っつかないんじゃないか、私はもっと力を入れなければならないんじゃないかという感じがするんですけれども、その辺のところどうですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、たとえば麦でも毎年毎年反別が減ってまいりました。四十九年度予算で一俵当たり二千円の助成をいたすようになりましてからその減りがとまりまして、やや上向きになってきておる。やはりこれは私どもいま申し上げましたような食糧の状況でありますので、あとう限り生産を伸ばしていくことに努力をいたすことは当然だと思いますが、何しろ御承知のように長い間逓減してくるばかりでありましたものを息を吹き返すというのは時間のかかることでもございますが、全力をあげてそれをやってまいりたいと思っておるわけであります。
○峯山昭範君 確かに大臣おっしゃるように、小麦の場合を見てみましても、昭和三十五年三九%でございましたのが、二八%、二一%、そして年々減りまして四十五年には九%、そして四十七年には五%というように、ずいぶんこれはたいへんな実情にあるようでございますが、これは相当――きょうは問題の趣旨が決算委員会でございますので、特にきょうはこういうふうな自給率向上のためにも、農林省はもちろんのこと、これは農業団体の皆さん方も相当こういうふうな自給率向上あるいは日本の農業というものに本格的に取り組まなければいけないと私は思うんです。
 そこで、きょうは特に農協並びにいわゆる漁協ですね、この両方のいわゆる資金ですね、この資金というものも当然農業振興のために使われ、かつ農業振興のために生かされていくべきじゃないかと私は思うんです。ところが、実際そういうような観点から考えてみまして、最近の新聞をずっといろいろ見ておりますと、非常に不正な融資とかあるいは不良債権、あるいは十億円詐欺されたなんていう事件が相当新聞でもにぎわしております。私はそういうような観点から、きょうはそういうふうなだぶついた資金というものをどうしても国の農業にほんとうに役に立つように使わなければいけないし、そういうふうな厳格な監督指導というものをやらなければならないと、こう考えております。私の質問の趣旨はそういう点でございますので、その点に沿った御答弁を願いたいと思います。
 そこで、初めに、最近特に不良融資の問題が大きな問題となりまして警察の手入れを受けました高知県漁連の問題について初めにお伺いしたいと思います。特にこの高知県漁連の場合は、その不良融資という問題が総額では九十四億円にものぼる。しかも特定の業者にそれが融資をされておる。しかも新聞のいろいろな報道あるいは警察の資料によりましても、相当いろいろな問題がからんでおる。ただ単に、警察の取り調べは漁協法違反ということだけで取り調べているんではない、その裏の問題についてすら疑惑がずいぶんあるんでやっているんだということを私は直接お伺いしておりますが、そういうような観点から見てみましても、これは非常に私は重要な問題であると思います。
 したがって、初めに、この高知県漁連の不良融資の問題について、その概要について当局のほうから御説明をお願いしたい。
○説明員(内村良英君) お答え申し上げます。
 高知県の漁連はハマチの販売事業を円滑に行なうために従来からも養殖業者に対しまして販売仮渡し金を渡してまいりましたが、昭和四十七年産のハマチの販売がPCB、水銀問題から予定どおり出荷ができなかったこと、さらに金融引き締めの影響を受けまして業者の資金繰りが悪化したこと等から漁連の仮渡し金の需要が増大したため、漁連は業者あてに手形を振り出し、業者はこの手形を金融機関に持ち込み資金化していたものでございます。しかし、本年六月に至りまして、手形決済資金の調達に苦慮いたしまして手形が落とせないというところから問題が表面化したわけでございます。
 なお、六月以降九月末までの手形決済については手形の書きかえ等により不渡り手形は発生しない見込みでございます。
 そこで、これらのハマチの業者に対する固定化債権がどうなっているかということでございますが、七月三十一日現在の数字で申しますと受取り手形が二十億、それから仮渡し金が十三億七千四百万円、未収金が五千四百万円、一方業者に対する未払い金等もございますが、それが二億四百万円でございまして、差引の債権額は三十二億二千五百万円、こういうことになっております。
○峯山昭範君 それでは、まず一つずつ事実関係を解明してまいりたいと思いますが、まず高知県漁連に所属しておりますいわゆる業者は何業者ございますか。
○説明員(内村良英君) 仮払いを受けましたのは十一業者でございます。
○峯山昭範君 長官、私の質問をよく聞いて答弁を願いたい。
 私は高知県にこういうハマチ並びに水産業者が何業者あるのかと、こうお伺いしました。
○説明員(内村良英君) 失礼いたしました。七百業者、業者自体は七百ございます。
○峯山昭範君 七百のうち特に今回の事件に関連があり、かつ、同じように融資を受けてもいいと思われる業者はどのくらいなのか。
○説明員(内村良英君) 県漁連を通じまして業者が出荷しておるわけでございますが、県漁連出荷の大部分、九割以上はこれらの業者がやっているわけでございます。
○峯山昭範君 どうも非常に不明確なんですが、長官、私の手元にございますこれは警察庁が調べました、こういうふうな業者は大体高知県八十八業者というのが私の手元に入っていますが、この点はどうですか。
○説明員(内村良英君) 八十八という数字は私どもは聞いておりません。
○峯山昭範君 けっこうです。
 それでは、私は長官のほうの数字をとって話を進めたいと思います。それじゃ、当然七百の業者の皆さん方が本来ならばこういうふうな融資を受ける、あるいは何といいますか、今回と同じような仮渡し金を受けて仕事をやっていらっしゃるわけですね。しかし、実際今回の事件を通じて調べてみますと、先ほども長官から答弁がございましたように、十一業者に非常に集中してございますね。これはなぜかというのがまず一つ。
 それからもう一つは、この十一業者は、その十一業者の名前が言えるかどうかわかりませんが、この十一業者はどういうような経過で、たとえば私から名前を申し上げますが、私のほうに手元に届いております資料によりますと、全部で十一ございますが、その中で特に中野水産とか中野物産という会社がございます。これが年度別にどの程度の融資を受けているのか。年度別にどの程度の融資といいますか、その仮渡し金を受けているのか、この点を詳細にお伺いしたいと思います。
○説明員(内村良英君) お答え申し上げます。
 高知県の漁連は、昭和四十一年に鮮魚運搬船をつくりまして、養殖ハマチを系統を通じて販売するということを開始したわけでございます。これは主として大阪市場に出ているように聞いておりますけれども、やったわけでございます。そこでその出荷価格の変動に伴いまして、出荷量が一定しない面があるわけでございます。と申しますのは、ハマチの養殖をやっておる方が、価格がよいときには漁連に出荷するけど、価格が悪くなると浜売りをするというようなことがあって、一定量が集まらないということがあったようでございます。そこで漁連といたしましては、こうした事業の安定的な運営をはかるために、常時一定量を確保するために、販売量の非常に大きい業者の方々と話し合いまして、全量出荷を条件にするということで、そうした全量を系統を通じて出すという人には、仮渡し金の支出を行なうというふうにきめたわけでございます。
 それから先生御指摘のとおり、大手のそういった仮受け金を受けた業者といたしまして、中野物産あるいは中野権というような方がございます。そこで、この十一業者に対する年度別の仮渡し額でございますが、業者別でございますでしょうか、全体でよろしゅうございますか。
○峯山昭範君 業者別にいま二つだけ言いましたね。
○説明員(内村良英君) 業者別にちょっと申しますと、四十九年七月末で中野権には九億、約九億でございます。それから中野物産は八億二千五百十八万円、それから橘水産が四億四千七百二十二万、田中彰二億一千八百十六万、それから樽井圭助二億一千七百十万、中西重則一億三千百四十四万、久保商店二億二千七百九十六万、大黒潭七千七百八十八万、佐喜浜水産六千五百万、大黒政平五千八百十二万、高木重幸五千三百六十四万と、こういう数字になっております。そこでこれらの業者に対します年度別、これこまかい数字がございませんので年度別を申しますと、四十六年が二億八千万円、四十七年が二十七億六千万円、四十八年が五十一億四千万円、四十九年が十二億二千万円、合計九十四億一千万円と、こういう数字になっております。
○峯山昭範君 融資の総額について、もう一回お伺いしたいと思います。
○説明員(内村良英君) 九十四億二千万円でございます。一千万円と申しましたかと思いますが、二千万円の間違いでございます。
○峯山昭範君 そうしますと長官特に中野権というのは、これは私のほう、私が掌握しているところでは中野水産となっておりますが、これは中野権ですか、その点一ぺんちょっとはっきりしておきたい。中野水産という会社は、ちょっと食い違っているようでございますが、これは大月町のほうです。これはどちらが合っていますか。
 それでここのほうは融資の総額が、昭和四十六年から四十九年の七月まで、一つの会社で三十三億四千六百四十一万五千五十四円、それから中野物産が同じく二十三億九千三十一万五千五十二円、これは県の水産課から出た資料によります。これはどうですか、合っていますか。
○説明員(内村良英君) 中野水産というのは法人格を法律上は持っておりませんで、俗称だそうでございます。そこで中野権という個人の名前になるわけでございます。それから中野物産のほうはこれは株式会社になっております。
 それから全体の額でございますが、私どもの持っております数字によりますと、中野権は四十六年に四億七千五百八十万、四十七年に十二億六千三百七十万、四十八年に二十二億二千六百六十五万という数字になっておりますけれども、それから四十九年が五億六千八百二十四万、ただこの中には仮渡し金と同時に事業未収金も入っておりますので、仮渡し金だけになりますと、これより数字がもう少し小さくなるわけでございます。
○峯山昭範君 そうしますと、もう少し正確にするために私申し上げますが、いまの中野権さんのこの私が申し上げた三十三億という数字は、いま皆さんのおっしゃった分から換算しますと、いま長官がおっしゃった数字のほうがずっと多いわけです、三十三億よりずっと多いわけです。ということは、私が言いました三十三億四千六百四十一万五千五十四円というこの仮渡し金は合っているかどうか、どうですか。
○説明員(内村良英君) ただいま御答弁申し上げましたように、この数字は仮渡し金と事業未収金が一緒になっている数字でございます、私どもの数字は。したがいまして、仮渡し金だけの数字が先ほど申しましたように、四十九年七月末の未清算額はわかっておりますけれども、年度別の仮渡し金だけの支出は、数字をただいまちょっと持っておりません。
○峯山昭範君 長官この問題については前から質問するということを通告しているわけですし、しかも、この資料については県漁連から詳しく出ているわけですよ。県のほうから、もうすでに警察のほうにもきちっと詳しく印刷されて資料がきています。私それを見たんですから、現実に。その資料から私は言っているわけです。だからきょうは質問しているわけですけども、ややこしいことは省いて、問題のとこだけをきちっと答弁できるようにしてもらいたい。そうでないと時間ばっかりかかって、どうしようもないです。
 それじゃ大体私が言っている数字は合っているかどうか、これは正確でしょう、大体。どうですか。
○説明員(内村良英君) 私どものほうも事件が起こりましてから監査したわけでございます。ただその帳簿の整理のしかたが非常に複雑になっておりますので、その後県のほうで整理した数字かと思います。大体私どもといたしましては、先般検査いたしました場合に、先ほど申しました数字まで突きとめたわけでございますが、その後県で整理した数字であろうと思います。
○峯山昭範君 長官あまり言いませんけどね、よけいなことをあなたすぐ言うんでちょっとあれなんですけど、総額では先ほど長官がおっしゃったように、九十四億一千七百四十二万円であると、ということは九十四億一千七百四十二万という数字が出てくるためには、中野権さんが三十三億四千六百四十一万でないとこういう数字にならない、最低ですね。ここでは私は一つの業者が三十三億もいわゆる融資を受けておるということを、まず頭においてもらいたい。
 そこでまず次にこの高知漁連の年間の収益、これはどのくらいのものなのか、これがまず一つ。
 それから十一業者の年間の水揚げ額というのは大体どのくらいなのか。
○説明員(内村良英君) 高知漁連の事業の実施状況について申しますと、昭和四十八年度の実績が販売事業が五十七億でございます。それから購買事業が二十九億七千万円、利用事業が八千三百万円。そこで四十八年度の剰余金は千二百五十七万と、こういうことになっております。
 それからこの十一業者の生産額でございますが、これは私どものほうの調べで漁連の扱ったものを見ますと、四十六年度が十一億八千万円、四十七年度が十七億一千万円、四十八年度が二十五億二千万円、四十九年七月までが四億円、合計五十八億二千万円と、このようになっております。これは一応四十六年以降全量漁連を通じて売るということを言っておりますので、大体この数字が正しいのではないかと思います。
○峯山昭範君 それではただいまの答弁から二点を確認します。まず第一点は、高知県漁連が四十八年度の決算で年間にあげるいわゆる収益金というものは、いまの長官の答弁から千二百五十七万円であるということはこれは明確ですね。それからもう一点、十一業者、これは十一業者じゃほんとうはないわけですね。要するに高知県が高知漁連でハマチを売ったその四十六年から四十九年までの総トータルが五十八億二千万、いま長官の答弁のとおりです。五十八億二千万円というのはこれはマキシマムです。ですから、実際はほかの業者の分もありますし、またこれより少なくなるということは必定であります。この点をまず頭に入れていただいて、そこで私は、次に高知県の漁連はこれは要するにこういうふうな、いろいろありますが、いろんな前提はきょうは省いてまず言います。高知県漁連は融資とか貸し付けとかそういうふうな活動ができるのかどうか、この点どうですか。
○説明員(内村良英君) 漁業協同組合連合会は貸し付け等の業務を行なうことはできません。
○峯山昭範君 これは水産業協同組合法の八十七条によりまして、第五項にその禁止規定もあるわけですから、当然私はこの融資なり、貸し付けなり、そういう活動ができないということはこれは当然だろうと思います。したがって、そこでそれじゃなぜ九十四億というようなたいへんなお金が、先ほど長官はこのお金のことを前渡金というような話で答弁がございましたけれども、一体、前渡金というのはこれは何か。これは非常に重要な問題だと私は思います。実際私が考えますのに、これは法的に禁止されている融資活動、これをいわゆる法的には融資活動ができない、できないからいわゆる前渡金あるいは仮渡し金というような名目で融資をせざるを得なかったんじゃないか、そういうふうにとらざるを得ないと私は思うんですけれども、ここら辺の考え方はどうですか。
○説明員(内村良英君) 高知県漁連がハマチ業者に対して行ないました販売仮渡し金は、将来漁連の販売事業に乗せるべく出荷することを条件として行なったものでございます。したがいまして、漁連が経済活動をやります場合に前渡金を出すというのは商慣行としてやってやれることではないかというふうに思っております。
○峯山昭範君 まず、商慣行として当然のことだという長官の答弁ですけれども、それじゃなぜ今回のこういうふうなたいへんな手入れがあったのか。これは私は非常に重要な問題だと思います。
 そこで、二つ問題があります。一つは、私が先ほどから言っておりますように、前渡金とか仮渡し金という名目で法の網の目をくぐってこれは融資活動をやっているんだと、これは当然百二十八条の違反であると、私はこういうぐあいに思うんです。この点についてあなたはどう考えるか、これがまず第一点。
 それから、あなたは――それじゃその点はもう一歩さがって考えた場合でも、五十八億というのが昭和四十六年から四十九年にわたる、いわゆるこのハマチの全体の業者のあれですね。にもかかわらず、融資された金額というのは九十四億です。こういうふうな前渡金というのをあなた方はこれを商慣習と認めるのか。これはどうですか。
○説明員(内村良英君) 販売仮渡し金を渡します場合におきましても、それはあくまで系統の販売に乗るであろう出荷量までが限度だと思います。と申しますのは、漁連もほかの経済行為を行なっているものとまじって仕事をしているわけでございますから、前渡金を渡すこと自体は商慣行として認められると私は思います。ただし、その場合におきましても、やはり予定される出荷量までが限度でございまして、それ以上の前渡金は販売仮渡し金という形では出し得ないものと思います。
○峯山昭範君 ということは、二つの問題を一緒にやっていますから非常にややこしいですが、まず私は、少なくともこういうふうな――実はきょう質問する前に警察庁のいろいろな見解をお伺いしてきました。私は、今回の捜査は、一体漁協法の第何条の違反なんだと、また警察庁は、実は百二十八条の違反はこれは明確でございます、いわゆる漁連がお金を出す場合には信用漁協から、前渡し金にしても、どういうお金であろうと、商慣習であろうと、要するにこれは当然信用漁協を通してやるべきであると。直接やるというのは、やっぱりこれは漁協法違反というのは間違いないと私たちは考えております、というのが話でございました。その点がまず一つ。
 それからもう一つは、今回長官は出荷量までという話がございました。商慣習で前渡金として出荷量までというのも私はちょっとオーバーじゃないかと。大体普通は出荷量の三分の一とか、多くても前渡金というのは半分とか、品物の受け渡し時にあとの半分を決済するとかいうのが私は商慣習であろうと思うんですよ、一歩さがって私がこの前渡金を認めたとしてもですよ。そういう点から考えてみますと、今回のこの高知漁協がした融資というのは非常に不良融資でありますし、漁協法違反はもちろんのこと、あるいはこの間から問題になっております特定の業者に特定の膨大な融資をしたというのは、その裏にいろいろな関係があるんじゃないかということは、これは言われてもしようがないことだと私は思うんですが、この二点について長官の所信をお伺いしたい。
○説明員(内村良英君) 前渡金が、販売仮渡し金がどの辺まで出せるかという問題でございますが、先ほども申しましたように、これらのハマチ業者は高知県の漁連を通じて全量出荷するということを約束しているわけでございますから、そこまでは出しても販売仮渡し金と言えるのではないか。もちろん、通常の場合の商売上の仮渡し金は、確かに全量渡しませんで三分の一ないしせいぜい半分だと私も思います。ただこの場合は、全量出すということを約束しておりますので、そこまでは認められるのではないかというふうに解釈いたします。
 それから百二十八条の違反であるかどうかということは、これは先生御指摘のように警察も人っておりますし、司直の判断に待つべき問題だと思いますが、私どもといたしましては、商慣習としての仮渡し金ということは言えるのではないかと思います。
○峯山昭範君 それじゃ、まずその百二十八条違反であるかどうかという問題は、これは私は非常に重要な問題です。やっぱり私は、それじゃ水産庁は出荷量まではこれはいわゆる仮渡し金ということで認めざるを得ないと、そうすると、それをオーバーした分についてはどうですか。
○説明員(内村良英君) それをオーバーしている分につきましては、非常に遺憾なことを高知県漁連はやったというふうに解釈しております。
○峯山昭範君 非常に――その非常に遺憾なことというのは、一体これはどういうことですか。これはあなた、遺憾なことをやったと、たとえば前渡し金とか仮渡し金というのは、一体漁協法のどこにあるんですか、そういうようなことはどこに認められているんですか。そういう項目なんて、商慣習とかなんとか言っておりますけれども、少なくとも漁協というのは零細な組合員のお金を運用しているわけです。そのお金を、特定の、一部の業者です、七百あるとあなたはおっしゃいましたね。七百もある業者、そんな中でこんな膨大なお金を、しかもその中の何十億というお金はこげつき状態に現実になっておるわけです。こんなことが現実にあなた方許していいんですか。しかもあなたが言うようなあれを聞いておりますと、まことに遺憾であるということは、一体どういうことなんですか。まことに遺憾であるということを、たとえばこの水産業協同組合法でいうと、どこに当たるんですか。
○説明員(内村良英君) 販売仮渡し金を渡しますことは、漁協が行ないます販売事業との関連で、そうした行為は水産業協同組合法上もできるのではないかと思います。
 遺憾であるということを申しますのは、実は私どもはこの組合を検査する権限を持っております。そこで、組合を検査いたしまして、すでにこのような指摘をしているわけでございます。「貴会の主な取引先であるはまち、うなぎの養殖業者の経営不振により、これら養殖業者に支出している仮渡金及び事業未収金等について、回収上重大な懸念を生じているものがあり、このことの解決如何によっては、今後の貴会の経営に重大な影響を与えること等である。
 役職員は、これらの点を再認職され、増資による自己資本の充実を図るとともに、経営不振の養殖業者に対してはその経営内容を十分には握し、綿密な配慮を加えながら債権保全のため適切な措置を採るようにされたい。」ということを事前に言っているわけでございますが、それに対して組合からは、そういたしますという回答を寄せているわけでございます。それにもかかわらず、そのようなことをしたということで、遺憾であるというふうに申し上げているわけでございます。
○峯山昭範君 あなた、もっともらしいことを言っているけれども、あなたは――検査の問題はあとで私やりますけれども、この問題もあなた方が検査して直接わかったというんじゃない。実際四十八年の五月に、現実に地元で漁連の総会の席上で零細な業者の皆さん方から、一部の特定の業者に融資するというのはけしからぬじゃないかと、こういうことが現実に漁連の総会の席上で出ておる。そのあとあなた方が検査したのは、昭和四十八年の十一月にあなた方は検査をし、そして勧告したんじゃないですか。実際に勧告を出したのはことしじゃないですか、ことし。前々からやっているみたいなことを言っているが、ことしじゃないですか。
○説明員(内村良英君) 二月です。
○峯山昭範君 二月じゃないですか、そうでしょう。そして漁連から回答ができたのが五月でしょう。すでにこげついてどうしようもなくなってからあなたはやっているんです。これは、この問題はこれから私は詰める問題ですから――いまの問題はちょっとはぐらかしちゃいけません。要するに、あなたはいまこう言いました、漁協法上いわゆるこの販売仮渡し金というのは認められるとあなたはおっしゃいました。漁協法の第何条によって認められるんですか。
○説明員(内村良英君) 漁業協同組合連合会は、水産業協同組合法の八十七条の五号によりまして、「所属員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販売」という事業を行なうことができるということになっております。この販売事業を行なうにつきまして、まあ通常の商慣行として、大体販売の場合には販売仮渡し金を出すというような商慣行がございますので、その点から連合会は販売仮渡し金を出せるというふうに解釈しているわけでございます。
○峯山昭範君 これは長官たいへんな問題ですよ、あなた。あなたがそういうような解釈をして、それじゃ融資が幾らでもできるということになりますよ。あなた方、漁協法のいまの八十七条では、これは第一項の一号と二号で、いわゆる貸し付け業務の問題や、あるいは貯金とか、定期預金の受け入れの問題や、それが明確になっています。これはそういうふうなことを禁止するための信用漁協をつくる、それがこの第五項でなってるんじゃないですか。そういうふうな貸し付け業務、こういうこげつきが起きないように、そのために第五項でいわゆる禁止しているんじゃないですか。それを販売とい・了販売はできるんですよ、販売はできるけれども、こういう金の貸し付けをしていいなんていうことは、そういうことにはならないと私は思います。法上なんて、これがほんとうにあなたの解釈なら、これは大問題ですわ、ほんまに。しかもそれがこういうふうに限度をこえて貸し付けをしておる。それがただ遺憾だということにはあなた、ならないですよ、これはならないというよりも、遺憾だということを――オーバーした金額は遺憾で、いわゆるその出荷量まではそれじゃ貸してもいい、それ以上のお金はいけないという、そんな縦分けはできますか。実際問題、九十四億について、たとえばあなたが四十六年から四十九年までの五十八億についてはこれはいいお金だ、あと残りの四十何億っていうのはこれはまずいお金だ、遺憾なお金だ――こんな線か引けるわけないでしょう、このお金の中に。いずれにしても、こういうふうなやり方は非常にずさんであると、しかもこの問題については、やっぱりこの百二十八条違反ということでも、水産庁としても真剣にこれは検討せないかぬ、こういう立場はとれないんですか、長官。
○説明員(内村良英君) 私どもといたしまして、高知県漁連が販売事業をやっておるわけでございますから、販売仮渡し金を支出したことをもって直ちにそれが資金の貸し付けになるということは、そうは言えないのではないかと思いますが、しかし、連合会における信用事業と他の事業との兼営も禁止しているという趣旨もございますので、仮渡し金はできる限り少額にとどめるべきであると思います。そこで、われわれといたしましては、必要資金は極力そういった場合は少額にとどめるよう従来からも指導はしてきているわけでございますし、必要資金が信漁連等の金融機関を通じて融資されるということは、望ましいということは当然でございます。ただ、高知漁連の場合には、全額漁連を通じて支出するというようなことがございましたので、その辺の運用が非常にルーズになったということは、まことに遺憾だと思っておるわけでございます。
○峯山昭範君 これは非常に問題が大きいので、ただ単に、長官の言うことは納得はまだできません。ただ単に――たとえばあなた方は少額にとどめて――こういうふうな前渡金、販売仮渡し金というのは少額にとどめて融資すべきであると、出すべきであるとあなたは指導していると言いますけれども、あなたの言う少額というのは幾らぐらいまでですか、これは実際問題、こういう億単位の膨大なお金をあなたは考えてこういうことを言っているわけじゃないでしょう。また、こういうような事件が起きようと思って言っているわけじゃないと私は思う。長官のように、そういうずさんな考え方をもって、たとえばこの解釈についてもそうです、そういう考え方でこれを進めていきますと、いわゆる歯どめがもう全然なくなってしまいます。しかもそういうような生産量以上にお金が入ってくる、だからその余ったお金を土地の投資やら、あるいはモーテルの問題やら、あるいはそういうような事業以外のお金に使われたんじゃないかといううわさも現実にあるわけです。そういうことになってしまうわけです。ですから、そういう点については、少なくとも厳格な姿勢をもって私は水産庁はこれからも対処すべきではないかと思うが、長官どうですか。
○説明員(内村良英君) その点につきましては、私どもも従来そのような指導をしてきたわけでございますが、今後もなお、この事件を契機にいたしまして、なお十分そのような態度で対処したいと思っております。
○峯山昭範君 それではもう一点だけ、この問題についてもう一点詰めておきます。
 先ほど長官は、そのまことに遺憾であるというのは、私たちが勧告しているにもかかわらず、それで、今後は気をつけて行ないますという答弁があった。にもかかわらず、こういう事件がまた起こったということはまことに遺憾であると、こういう答弁がございました。これは実際問題として私は県漁連の業務についての監督指導あるいは会計監査は非常に重要な問題だと思うんです。これについては一体どうなっているんですか。
○説明員(内村良英君) 私どもは水産業協同組合に対する監督権を持っているわけでございますから、それを行使して組合の運営に遺憾ないように指導しなければならぬ義務を負っているわけでございます。そのため漁連を毎年検査することになっておりますけれども、現実問題といたしまして、人員と予算の関係で残念ながら毎年できないというかっこうになっております。したがいまして、今後なるべく毎年漁連は監査できるような体制をつくるように努力してやっていかなきゃならぬというふうに考えております。
○峯山昭範君 当然私はこの問題については、いま長官がおっしゃったように、長官は毎年監査をすべきであるというふうに考えていらっしゃるようでございますから、私は申し上げませんけれども、現実の問題として、これは大臣聞いておいてもらいたいんですがね、現実の問題としていま予算がないからとおっしゃいました。現実にこれは漁連だけじゃない。現実にこれから私がやる全農の問題も同じです。これは両方とも六法全書を見ましても常例として年一回検査をすべきであるということになっておる。ところが現実の問題としては毎年できない実情にある。現実にたとえば私が昨日おたくの担当の方からお伺いしたあれによりますと、毎年できなくて、二年に一ぺんとか三年に一ぺんとなっているのが実情である、こういうことです。これではやっぱり困るわけです。現実にこういうふうな現在の日本の経済の中で、きょうは一つのこの高知漁連の問題だけでもこんなんです。これから私がやろうとしております全農の問題にしても、たいへんな何兆円というお金を動かしているわけです。そういうような中での検査というのは非常に重大な私は検査体制というものを組まないといけない。そして厳格な姿勢で取り組んでいかないといけないと思うんですが、大臣どうですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) そのとおりでございまして、われわれもときどきそういうことを注意を喚起してはおるんでありますが、なかなか手が回らないようでありますけれども、非常に大きな世帯でありますし、重要な仕事をしているものでありますから、なおこういう点について再検討をいたしまして、監督を厳にしたいと思っております。
○峯山昭範君 そこで今度は、この農協法もそうですが、水産六法の中の魚協法も同じでございますが、この仮渡し金とか販売仮渡し金あるいは前渡金というような名目のお金というのは、これは私はもう非常に疑わしい。非常に問題が多い。そこできょうはもう一点具体的に話をしてみたいと思います。そこで、全日本農業協同組合連合会というのがございますが、これはどういう団体ですか。
○説明員(斉藤吉郎君) お答えいたします。略称いたしまして全農と申しておりますが、全農は農産物の販売事業を行ないます旧全販連、それと諸物資の購買事業を行ないますところの旧全購連、この二つの農協の全国団体がかつてあったわけでございますが、これが農協事業の総合力を発揮いたすことを目的といたしまして、四十七年の三月三十日に合併をいたしまして、全農という一つの全国団体という形をとりまして、現在活躍中の農協系統の全国機関でございます。
○峯山昭範君 年間の事業はどの程度ですか。
○説明員(斉藤吉郎君) ここの年度が七月から六月ということになっておりまして、第二年度目、つまり四十七年の七月から四十八年の六月までの間の全農の事業実績は、いろいろな活動をやっておりますが、トータルいたしまして約二兆五千億程度の規模になっております。
○峯山昭範君 二兆五千億というようなたいへんな事業を現実にやっているわけであります。この全農のいわゆる出資している会社というのが私の手元にも、この決算報告の中にもございますが、相当あります。それでまず外部出資の団体は全部で何社で、それで出資額の総額は幾らになっておるのか、この点がまず第一点。
 それから出資額五〇%以上の会社は何社あるのか、この点お伺いしたい。
○説明員(斉藤吉郎君) 全農の外部出資をいたしますのは、四十八年度、やはり六月末現在でお答えさしていただきますと、約金額にいたしまして七十三億円、百三十二法人ということになります。その内訳は、非営利法人が十四法人で、金額にいたしまして約十億円。それから営利法人が百十八法人で、金額といたしますと約六十三億円と、こういうことになっております。
 さらにお尋ねの全農がそのうちで五割以上という支配率を持っております、五〇%以上の出資しております、これを通常いわゆる共同会社とこういうぐあいに申しておりますが、これが二十八法人でございまして、出資額はトータルで約三十六億円となっております。
○峯山昭範君 そこで出資総額は七十三億、そして百三十二法人、非常に少ないように見えますけれども、きょうはその中の一つか二つだけ取り上げて、時間の関係ございますので全部取り上げることできませんが、まず一つ、佐藤造機という会社がございます。これはどういうメーカーですか。
○説明員(斉藤吉郎君) 佐藤造機はまあ現在のわが国におきますところの有力な農機具メーカーの一つでございまして、先生御案内かと思いますが、一度これは倒産をいたした会社でございまして、現在は更生法の適用を受けて更生中の会社でございます。
○峯山昭範君 まあ中身はいいんですが、佐藤造機という会社、そういう農機具のメーカーである。私は佐藤造機という会社よく知っておりますが、決して特殊な、よその会社よりすぐれた農機具をつくっているというんじゃなくて、やっぱり同じような系列の会社というのは久保田鉄工とか井関農機とかいろいろある、これは間違いありませんか。
○説明員(斉藤吉郎君) 有力なメーカーとしてただいま先生のおあげになりましたような会社があることは事実でございます。
○峯山昭範君 そうしますと、全農は佐藤造機にどの程度の出資をしていらっしゃったのか、まずお伺いしたい。
○説明員(斉藤吉郎君) 現在なお全農は出資をしているわけでございますが、現在の資本金がトータル二十四億円でございます。失礼いたしました。倒産当時の佐藤造機の中身でございますが、当時資本金二十四億円という状況のときに、全農の出資分は三千八百四十万円ということでございます。
○峯山昭範君 そうしますと、三千八百四十万円という非常に金額としては、まあわれわれから見ればたいへんな金額でございますけれども、全農の全体からいえばそうたいしたお金じゃないかもわかりません。しかしそれじゃ三千八百四十万円の投資、私の調査によるとちょっと金額が違うみたいてすけれども、この決算報告――業務報告書によりますと、昭和四十七年七月一日から四十八年六月三十日までの決算報告によりますと、佐藤造機の出資額はいまおっしったのと金額は違うようでございますね。これはこれによりますと千二百九十七万九千二百円になっていますが、これは違うんですか。
○説明員(斉藤吉郎君) ただいまことばが足りませんで失礼いたしましたが、私がお答え申し上げましたのは倒産当時の佐藤造機の状況について申し上げましたので、現在の状況は、いま先生がおっしゃいましたその四十八年六月末現在では、先生のおっしゃったほうが正しい数字でございます。
○峯山昭範君 そうしますと、それじゃ佐藤造機が倒産によっていわゆる受けました全農のいわゆる全債権は幾らですか。
○説明員(斉藤吉郎君) 先ほどちょっと申しましたように、佐藤造機が更生決定を受けておりまして、その更生計画によってその後の債権が確定したわけでございますが、更生計画によりました佐藤造機に対しますところの全農の債権の関係でございますが、更生決定の確定額が二十七億三千四百万円でございます。それからそのうち更生決定の結果、返済されることになりました債権が十三億七千三百万円。したがいまして、切り捨てと申しますか、切り捨てになりました金額が十三億六千一百万円と、こういう形になっております。
○峯山昭範君 そうしますと、全農が佐藤造機に確かに投資した額は千二百万円ですけれども、倒産当時は三千五百万とかいう話でございましたけれども、それじゃ佐藤造機が倒産したことによって生じたいわゆる全債権というものは、いま説明ございましたように、二十七億三千四百万円である。これ一体二十七億三千四百万円というこの債権はどうして生じたんですか。
○説明員(斉藤吉郎君) これはやはり佐藤造機に対しますところの前渡金がおもな――前渡金かかさみましてその結果なっている、こういう形になっております。
○峯山昭範君 二十七億もこれは主として前渡金、あなたいま主としてとおっしゃいました。主として前渡金ということは、二十七億ほとんどだろうと思うんですが、このほかに何があるんですか。どの程度あるんですか。
○説明員(斉藤吉郎君) ほとんどと申しまして大半それでございまして、あとは未払い等の時期的なずれによって起こりました若干のものが想像されるわけでございます。大半は前渡金のせいであるというぐあいに考えております。
○峯山昭範君 結局ね、ほとんどが前渡金なんですよ、そのほかのものを説明しろといったって、そんなものとてもじゃないけれども資料も出てこないし説明もしようがない。二十七億のもう大部分が前渡金として渡されておった。しかもこの前渡金は一体どうなるのか。先ほどもちょっと説明がございましたけれども、簡単に十三億六千百万円は切り捨てられる、こういう話です。確かにそれは会計法上はこれは処理はできるでしょう。しかし、ここに至る経過というのはこれは非常に私は重要な問題を含んでいる。そういうぐあいに考えます。今回のこのいわゆる十三億円の損害、先ほどの漁連の問題とあわせて、これも前渡金であります。それでは私は、ちょっとここで一ぺんお伺いしますが、全農が出資するたった千二百万ですね、千二百万円しか出資していない佐藤造機でさえ二十七億の前渡金があった。それじゃそのほかの百三十二法人、佐藤造機引きますと百三十一法人です。百三十一法人に対する全農の前渡金というのはどのくらいになるのか、計算したことありますか。
○説明員(斉藤吉郎君) 時点がいろいろ変わりますので、失礼なわけでございますけれども、先ほどの先生御指摘の四十七年から四十八年までの業務報告書、つまり全農といたしましての第二年度目の決算書に載っておりますが、四十八年六月二十日の段階では四十四億円の前渡し金ということで決算されております。
○峯山昭範君 これは審議官、私が言っている意味は、佐藤造機が二十七億という数字が出てきている。確かにこの決算書上はこれはあなたがいまおっしゃるように四十四億でしょう、これは前渡し金。そのほか仮渡し金というのがあります。これ見てみますと五百六十六億ありますね。合計ではこれは六百億円をこえる仮渡し金あるいは前渡金です。しかもこれは一時期ぱっと締め切ったやつです。で、全体の営業のやり方から考えてみますと、これはこの十倍と見ても間違いないと私は思う。十倍以上、少なくともこれは七千億や八千億のこの前渡金が現実に動いているということは、この決算書を見れば明らかである。そうしますと、これは非常に私は重要な問題をはらんでいます。ただ単に前渡金という名目で、あるいは先ほどの仮渡し金という名目で、日本国中の農協のお金がいわゆるここに出されているいろんな業者にぼんぼんぼんぼん動いている。きょうは大蔵省当局にも来ていただいていますが、現実にこういうふうなものが、幾ら総需要の抑制ということで一ぱいやっておりましても、これはしり抜けじゃないか。私は先ほどもこの水産業協同組合法のいわゆる違反じゃないかということを言いました。しかしまた、さらに今回の佐藤造機のこの問題も、これは不問に付することはできないような問題です。商売の法上はこれは動かせる、こういうことは認められているとはいいましても、これは現実の問題としてはたいへんな問題じゃないかと私は思う。そういうぐあいに考えてみますと、しかもいまの話からこの問題をもう一ぺん振り返って考えてみても、この決算書そのものを見ても、先ほども事業総額は二兆円以上の事業をやっているわけです。しかもそういうふうなお金が前渡金とか仮払いというお金でばんばんばんばん動かされていたんではこれはもうどうしようもない。ここら辺のことについては大蔵省は、お金の運用やこういう問題について一体どう考えているのか、まず大蔵省当局の所信をお伺いしたい。
○説明員(後藤達太君) 先生御指摘の全農等につきましては、私ども融資事業を行なっておらない機関でございますのでよく存じておりません。したがって私どもといたしましては、農業関係では系統金融機関につきましても、やはり総需要抑制政策の中では、全体の基調の中で総需要抑制政策に協力をしていただきたいということで、いろいろのお願いを申し上げておるところでございます。
○峯山昭範君 大蔵省銀行局も当然私は、片っ方で一生懸命総需要抑制だというのでぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう締める。そのことによって中小企業や零細企業はもうばったばったと倒産をする。そっちのほうを締めるのは確かにそれは総需要抑制という政策の面で、そのしわ寄せというのは確かに現在の実情を見てみましても、これはもう中小零細企業をはじめ商店主、これはもうたいへんです、現在の実情は。そういう点からいいましても、私は当然こういうふうなある特定のいわゆる出資団体、こういうところが行なういわゆる金融事業というのは、私は大蔵省当局としても当然、担当にはないかもしれません。しかし担当の当局と私は当然相談をして、そしてそういうところをばっちりやらなくちゃいけないんじゃないかと思うんですが、もう一回お伺いしておきたい。
○説明員(後藤達太君) いま御指摘のようなこの全農等の現実的に資金を出しておるという点につきましては、そのもとになる資金が金融機関あるいは系統金融機関あたりから出ているところは確かにあるのかと存じます。そういう面につきましては、私どもはその融資のあり方を総需要抑制政策のもとで適正に運用していただきたい、こういう角度からお願いをしておる次第でございます。
○峯山昭範君 いずれにしても、この問題については相当取り組んでもらいたいと思います。
 大臣、先ほどからいろいろ質問してまいりましたけれども、こういうふうな金融のいわゆる不良債権あるいはこの佐藤造機の問題にいたしましても、これは簡単に片づけられる問題ではないと私は思うんです。現実に水産業協同組合法あるいは農協法等の中に規制されているこの問題については、これはやはり商習慣とはいえ、それを逸脱した行為というものも現実に出てきているわけです。そういうふうな観点から、将来の日本の農業あるいは水産業という問題を考えた場合に、いいかげんなことをやっちゃいけない、やはりこういう点については本気で取り組まないといけない。
 実は私は大臣、もう一点だけお伺いしておきたいんですが、現実にこの中にアフリカ開発株式会社というのがあります。これは資料の中に現実にあるんですが、もうあまりお伺いしませんが、この会社は、時間の問題もありますから私が説明しますけれども、資料が、これは農林省から出たやつがあるんです。これによりますと、現実にアフリカ開発株式会社というのを昭和四十五年の十一月に設立をした。ところがこれは昭和四十八年の九月三十日に解散をした。三年間で解散しているわけです。しかもこれは出資は全農が五〇%、いわゆる全農が約九〇%以上の株を持っている組合貿易が一〇%、六割以上をアフリカ開発という会社の株に出資しているわけです。端的に言いますと三千万円出しているわけです。ところが、これは私は外務省にもお伺いしたんですけれども、確かにこのエチオピアというんですね。エチオピアの大使館やいろいろなところからの要請もあった。とはいえ、それで外交的な意味もあってこの会社はつくったんです。外交的な意味があってつくったと言うのですよ。ああそうかと、それは重要なことだ。ところが三年もたたぬうちにつぶしちゃった。いろいろ事情はあったと思うんです、私は。事情をお伺いしました、いろんな事情を。けれども、結論からいうと、結局はこのイニシアチブを握っておったこの中の一つの貿易会社が三千万円というお金を融資を受けて、そして三年間無利子、無担保で使った。そして最後に出資金は全額払い戻しを受けて一銭も損害はありませんというこの報告書なんだ。これは聞いていますと何でもないみたいですよ。けれども、これは現実に私いま具体的に言えといえば幾らでもこれ出てきます。現実に農協のお金というのが現在そういうくあいに、いわゆるトンネル――これはトンネル会社とは言いません、私は。トンネル会社じゃないでしょう。ちゃんとした会社かもしりません。しかし現実にそういうふうなトンネル会社をつくって、その会社に融資をしてというのが行なわれているわけです。そういうような点から考えてみても、私は農協の融資とか、こういうような問題については今後ともやっぱり厳重にやるべきであるし、先ほど予算がなくて毎年監査ができないということもございましたけれども、そういう点にもやっぱりもうちょっと配慮をして、そして厳格な姿勢で今後の農政問題あるいはこういうふうな問題にも取り組んでいただきたいと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 全農をはじめ農業団体のことにつきましていろいろ御指摘がございました。私はアフリカ開発というのはよく存じませんでしたけれども、佐藤造機の話は前に聞いております。
 そこでただいま最初にお話のございましたいわゆる総需要抑制で、農業関係の資金、これもやはり政府の方針に沿うてやってもらいたいということは、四十八年度予算編成のときに、大蔵大臣、総理大臣から特に注意がありまして、私どももごもっともなことであるというので、それぞれ通達を出しました、引き締めに協力してもらうように。しかし御存じのように単協は各県の監督下にあるものでありますから、各県にもその通知をいたしまして協力をいたしておる次第でありますし、いまも引き続いてその方針は貫いておるつもりでありますが、農業協同組合及び漁協につきましては事務当局のほうからもお答えいたしましたが、私どもも注意をいたしまして、もう少し必要があれば増員をして、これは監督をしなければ、零細な農民、漁民の出資及びそれの運営の中枢を握っている団体でありますので、十分これは社会の指弾を受けないようにしなければならないと。なお、特にきょうのお話もございますし、私どもといたしましては厳にそういうことについて部内において検討いたしまして、こういうことの再発のないように力を入れていかなければならないことだと思っております。
○橋本敦君 私は四十七年から続きまして、ミカン耕作農民にとって非常に重要な問題になっているミカンの価格の安定、あるいはことしのミカンの需給見通し、そういった問題に関連して政府のミカン対策について質問をしたいと、こんなふうに考えております。
 もうすでに大臣もよく御存じと思いますが、四十七年のミカンの問題に対しては実に惨たんたるありさまになりました。農林省の統計によっても生産費を償えない価格で終始をしたということで、耕作農民、特に専業としてミカンをつくっている農民の窮状はたいへんであります。いま思い出すまでもありませんが、四十八年二月三日の新聞でも、余ったミカンを農民が山のように海の埋め立てにこういうように捨てております。こういうような状態が再び起こらないということで、いま政府のほうはミカン対策をどう進めておられるか、これが基本問題ですが、これにつきましてことしの八月二十七日に農蚕園芸局から出された「五十年度うんしゅうみかん対策について」、こう書かれている文書を見ましても、ことしは「三百八十七万トンの収穫が予想され、価格が低落する事態も生ずるおそれがある」というように、明確に問題は一応意識しておられるわけですが、これについていま進めておられる特別の施策としては、摘果推進特別対策事業として補助額約七億円を使って進めておられるというのが中心のようになっております。
 そこで、この二割摘果を含む今日の農林省のこの施策が、今年度のミカンの需給見通しとの関係で、耕作農民の皆さんが最低せめてキロ当たり卸価格百円は維持したいというその願いにこたえられる見通しがあるのかどうか。この点について農林省の現在の見通しをまず聞かしていただきたいと思います。
○説明員(二瓶博君) 四十九年産のミカンでございますが、
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
四十九年産につきましては、温州ミカンにつきましては表年にあたる年でございます。そういうことでもございますので、この生産の調整といいますか、そういう面につきましては前々から懸念をいたしておりまして、当初四十九年度予算を編成いたします際におきましても、生産安定事業その他を通じまして総合的に需給調整というものをはかって価格の安定にも資したいということで考えておったわけでございます。その後、ただいま先生からお話がございましたように、八月一日現在の収量が三百八十七万トンという一応の作柄が出ております。こういうことも踏まえまして生産者団体等におきましては、ほうっておけば四百万トンにもなるかもしらぬということもございますので、自主的に摘果運動というものを日園連等をはじめとして起こしております。そういうこともございますので、政府といたしましても、このような摘果を斉一に行なうということの一つのてこ入れと申しますか、そういうことも踏まえて、ただいま先生からお話ございましたように、七億円の補助金等も組んで摘果推進の特別事業を展開をすることにいたしておるわけでございます。
 問題は、一体その需給の問題がどうなるかということでございますけれども、これは一つは、需要の面では非常に大きいのが何といっても生食用の需要でございます。この生食用の需要が、品質なりあるいは価格の面がございますのでどのくらいになるかというのが一つの問題でございますけれども、一応四十八年並みというようなことを考え、さらに最近はジュースの需要等も伸びてございます。そういうことも考えあわせまして需要のほうも考えますと、摘果等の面も考慮すれば大体三百六十万程度の生産になるのではないかという考え方でおるわけでございます。そういたしますると、卸売りの価格、この面につきましては四十八年の程度のものは維持できるんではないか。ちなみに四十八年の卸売り価格というのを申し上げますと、東京市場におきましてはキロ当たり八十一円、地方市場はそれより大体六円ぐらい低うございまして七十五円ぐらいの線に四十八年産の温州ミカンの場合はなっております。したがいまして、三百六十万程度であれば前年の水準は維持できるんじゃないか。ただこれは、今後の摘果のほうも、日園連等におきましては三百二十万トンというような、二割摘果というようなことも団体としては運動として展開をいたしておりますので、その辺が、ただいま申し上げました三百六十万トンというものよりさらに摘果の推進が強力に行なわれまして、生産が減ってまいりますればさらに前年水準以上、ただいま申し上げました八十一円という線以上になるのではないかと、かように一応考えておる次第でございます。
○橋本敦君 そうしますと、農林省自体としても、いまの現在の見込みでは、農民が最低限要求している卸売り価格キロ当たり百円の線はとてもむずかしいと、こういうことですね、結論的に言えば。昨年並みというのですからね。
○説明員(二瓶博君) まあ摘果の問題が一つございまして、ただいま仕上げ摘果というものを強力に各県ともやっていただいておるその最中でございます。で、この摘果につきましてもただいま申し上げましたように日園連等の団体におきましては二割摘果というような目標でやっております。ただ問題は、この摘果というものにつきましても、一体その目標と実際の実績がどこまでいくかという問題もございますし、それから作柄全体が、摘果が二割目標でやっておりましても全体が相当その後の天候等によってさらに非常にこう収穫が多いというようなことになりますれば多少その辺の数字も当然動いてまいるということもございます。したがいまして、その辺はキロ当たり百円というようなことを目標に団体もやっておられますけれども、必ずしもそうなるかどうかということにつきましては明確には申し上げかねるわけでございます。
○橋本敦君 明確に申し上げられないんじゃなくて、あなたの答弁では、摘果がうまくいって昨年実績並みというようにお答えになってますよね。昨年実績は百円よりはるかに低いですよ。で、この摘果の問題に期待をして今年のミカンの価格安定をしようという、そういう姿勢自体に問題があると思いますけれども、たとえば二日前の九月十七日の朝日新聞でも、この摘果指導について農民の側から重大な疑問が提起をされている。これはお読みになったと思いますね。で、実際上、摘果をやるということになりますと、これは実際だれの負担でやるかといいますと、七億円補助金を出しますけれども、実際は摘果推進運動を主体とした補助ですからね、農民の側には一銭もこない。だから農民の側が摘果をやるために人を雇い入れる費用も要りますし、あるいはそれの労賃も要りますし、そういった補償がありませんよね。
 それからもう一つは、摘果をいたしますとね、いま農業改善事業が行なわれた結果、ミカンの樹木はいいところは最盛期ですからね。摘果をして残したミカンが非常に大きくなると、まあミカンというのはある程度の大きさが保たれていいわけですが、これがナツミカンのように大きくなり重くなりますと、質が落ち、市場価格がかえって落ちるという、これは当然のマイナス要因になってくる。で、そういうことも含めて摘果の成果あるいは摘果の結果等を考えれば、この摘果に期待をして昨年並みの価格維持を期待をするということは、見通しとして、農林省としては少し甘過ぎやしませんか。もっと具体的な今年度ミカンの価格安定対策というものを打ち出さねばならぬのではないか、私はこう思いますが、この点は農林大臣のお考えいかがでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) こういうものの価格安定のやり方というのはなかなかむずかしいわけでありますが、私どもは、いま生産者も摘果を非常に協力していていただけますし、大体市況も安定してくるのではないかと思っておりますが、ここで一言私申し上げておきたいと思いますのは、必ずしも国会の場だけではありませんけれども、役所の者たちの価格に対する発言というのはいろいろな意味で非常に反響が多いのでありまして、まあ役人のことでありますから実直にお答えしたり、聞かれればお答えする。それはやはり定期取引なぞやっておる者には、役所がああいう方針ならばどういう程度になるかなあというふうなこと、私いま生糸の相場でつくづくそういうことを感じてるんです。相場師が――相場師と言っては失礼かもしれませんが、定期取引をやっている者どもには非常にそういうことが敏感に響くわけでありまして、したがって決して悪意はないわけでありますけれども、あまりはっきりしたことを言うことはむずかしいんじゃないかと思います。ただしかし、生産費も上がっておることでありますし、それからいろいろな状況を判断してみまして、やっぱり生産費を償うだけにいたしますためにはどうしたらいいのかということで、もっぱら摘果の協力を願うと同時に、やはりジュース工場等の増設もいたしまして、いざというときにはこういうふうにするんだというようなことも計画が立っておりますし、それから需要の喚起にもっとめるというようにいたしております。そういうことで、私は最近しばしば産地のお方々あるいは国会議員さんたちに実際にお目にかかりまして、ある程度目的を達成されるんではないかと思っておりますけれども、なお情報をつぶさに総合いたしまして、できるだけの施策を講じてまいりたいと思っております。
○橋本敦君 いま大臣もおっしゃった基本的には生産費が償える価格ですね、これをやっぱり補償していくということが基本でないとどうにもならぬと思うんですけれども、四十八年、昨年度ですね、昨年度のキロ当たりの生産費、それからキロ当たりの価格、これはどうなっているか。もう統計が出ておりますか。出ておりましたらちょっとおっしゃっていただきたいんですが。
○説明員(二瓶博君) 現在温州ミカンの一キロ当たりの生産費、これは統計情報部のほうで公表いたしておりますものは四十七年までのが出てまいっております。四十七年は三十六円の生産費でございます。四十八年のほうはまだ公式に出ておりません。
○橋本敦君 四十七年の生産費は三十六円二十銭、これは農林統計で私も知っておりますが、それに対してキロ当たり価格が三十四円十銭、これは農林統計間違いございませんね。
 ところで、昨年の統計資料がまだないということですが、昨年はミカン生産について生産費を償うだけの価格が維持できたかどうか。全般的な状況についてはどう把握されておられますか。正確な統計でなくてけっこうです。全般的な傾向についておっしゃってください、結論だけでいいですから。
○説明員(二瓶博君) まだ公式な統計が出ておりませんので明確に申し上げかねますが、一応生産担当の部局としていろいろ試算をしている面からいたしますと、生産費をやや上回った線で農家の手取り額は形成されていると、かように見ております。
○橋本敦君 正確な統計でないから私はその点これ以上追及しませんけれども、やや上回ったという平均状況の把握は甘いのではないか。たとえば、私はこの間徳島県に行ってミカン耕作地である勝浦、飯谷へ行って参りました。あるいは大阪の泉州ミカンの調査で岸和田の北新田あるいは泉州の横山地区にも行って参りました。そこでたとえば、勝浦の農業協同組合ですね、これが協同組合の共同出荷分について整理をしております資料を見てまいりますと、昨年度ミカン、組合の平均単価がキロ当たりわずかに三十二円四十六銭です。この三十二円四十六銭というのは、農林省統計の四十七年度の生産費よりも低いんですよ。したがって、ここでは当然のことながら大きな赤字を現出しておる。具体的に言いますと、この勝浦町では一戸当たりの昨年の粗収入平均が七十六万円しかなっていないという状況が出ていますね。これは向こうの勝浦の町長も議会議長もあるいは農業会長も言っていましたけれども、ほんとにこれではもう高校卒の収入になるかならないかという実態である。これは大阪の場合にも私ども具体的に調査をしてきましたけれども、昨年度の場合でも生産費を償うだけのものは出ていない。大阪の場合の生産費は、昨年度大阪府泉北農業改良普及所の公的調査によってもキロ当たり生産費三十六円二十銭になっております。これでも四十七年度の価格と比較をしましても赤字が出る計算であることは明白です。現に大阪の地帯では生ミカン早生でキロ当たり三十三円しか売れなかったという事実も調査してきております。こういたしますと、昨年ほぼ生産費を上回ったという認識は甘いのではないかということと同時に、もしことし生産費が償えない状況になるならば、耕作農民は三年連続してミカンをつくって赤字になるという事態が生じる心配が起こっているわけですね。だからこういう実態の上に立って、ことしのミカンの緊急対策として、いま大臣がおっしゃったジュース工場の設置や需要の拡大あるいはその他の需要の拡大ということも摘果とあわせて積極的に進めたいというお話でございました。具体的に農林省としてはジュース用ミカンの需要の拡大、生ミカンの需要の拡大について現在具体的にどういう処置をおとりになっていらっしゃるのか、これからとろうとされるのか、もし具体的な方策を立てておられるのであればお話を願いたいと思うのです。
○説明員(二瓶博君) 需要の拡大の問題でございますが、青果物の青果のほうの需要のほうにつきましては、四十七年の大豊作のときだいぶ青果用に向けまして、それ以来青果のほうにつきましては相当満度にきておるのではないか。もちろん今後とも需要の拡大には努力いたしますが、そういう感じでおります。一番いま需要のほうで伸びておりますのが、実はジュースの原料用のミカンでございます。この面に着目をいたしまして、ことしの秋から操業が開始できるようにということで現在ジュース工場十三工場、これは国が助成をいたしておりますが、この完成を急いでおるところでございます。この十三工場だけでも原料の処理するミカンが二十万トンほど新たにふえてまいるというふうに考えておりまして、国内需要の面におきましては特にこのジュース原料、この面について力を入れておるところでございます。
○橋本敦君 それはよろしいんですけれども、それもやってもらわなければなりませんが、ジュース用ミカンの需要の拡大だけですと、御存じのようにジュース用ミカンの価格というのは非常に低いですよ。価格保障の昨年実績を見ても、上限が二十三円程度ですからね。だから、これを拡大するだけでは価格安定の抜本的対策にならぬですよ。それよりも、根本的にこのミカン耕作の拡大ということが農業基本法あるいは果樹振興法に基づいて農業構造改善事業の根幹的な一つとして進められてきた現在の時点で言うならば、今日の実態では、四十七年があったかい気候による豊作の年であったというようなことで、言われたような状況もありますけれども、現在の時点では、このような豊作体制というのはもう常態化している実態として考えなければならぬのではないか。したがって豊作の原因を天候だけに依拠しているんじゃなくて、今日まで政府が進めてきたミカン耕作栽培の奨励、構造改善事業の結果がこれだけのミカンを量産する体制にもう恒常的になっておるんだと、こういうように原因を見なければならぬのではないかと私は思いますが、いかがですか。
○説明員(二瓶博君) 四十七年に温州ミカンの大豊作というのがあったわけでございまして、この際は四十六年産に比べまして百万トン以上単年度でふえたと、こういう非常に作がよ過ぎた年でございます。
○橋本敦君 その以後の傾向……。
○説明員(二瓶博君) その以後、四十八年、これは裏年ということでございましたが、天候その他の面もございました、その他結果樹面積がふえるとかあるいは若木がさらに生長する、したがって反収が伸びるという面もあったかと思います。裏年としては相当の生産量ということになったわけでございます。
 そこで、四十九年はさらに表年ということになったわけでございます。さらに結果樹面積もふえてまいるということもございますので、先ほど来申し上げておりますような、当初はやはり四百万トンぐらいの生産になるんではないかという相当の危機意識がございまして、団体等にいたしましても、自主的に摘果運動を展開しよう、こういうことで進めておると、こういう状況でございます。今後も結果樹面積のほうはさらにふえてまいります。あるいは若木の生長もございます。したがいまして生産のほうはやはり相当の水準になろうかと思います。したがいまして、需給バランスをとるためには、今後とも需要の面については相当力こぶを入れてその増大をはかっていくべきであろうと、かように考えております。
○橋本敦君 いまおっしゃったように、第四十九次の農林省統計によっても、四十七年度が豊作だというのが三百五十六万トン、四十八年度は裏年だといっても三百三十八万トン、ことしはこのまま摘果をしないでほっとけば四百万トンにもなろうかと、こう言われているわけですね。こういうように、ミカンの生産量は四十七年以降三百五十万トンをこえる常態化が進もうとしている。ところがそれに対して、ミカン栽培面積の伸びは、四十六年から四十八年にかけて、四十七年以後そう伸びていない。順次伸びていますね。
 だから、私が言いたいのは、いままで進めてきた農業改善事業あるいはミカン耕作の奨励ということでやってきたその成果が、常態的な豊作を生むという状態にいまはなっておるんじゃないか。この見通しは農林省としてもともと持ってたのか持ってなかったのか、したがって四十七年以降ミカンの豊作が恒常化していくという状態の中で需給見通しをどう立てていたのか、この点との関係で反省すべき点はあるのかないのか、いかがですか。
○説明員(二瓶博君) 果樹につきましては、ミカンもそうでございますが、永年性作物であるということからいたしまして、この需要と生産を長期的にバランスをとるというために果樹農業基本方針というものを農林省のほうで策定をいたしております。現在の基本方針は四十七年度に策定をいたしてございます。この基本方針に基づきまして果樹の植栽等につきまして指導をやってまいっておるわけでございますが、これが、結果を見ますと、四十二年度から四十六年度につきましてはこれはいま申し上げました四十七年の改定の前の計画の段階でございますが、その際は大体四十二年から四十六年三万ヘクタールというふうに見ておりましたものが、二割ほどオーバーいたしまして、三万七千ヘクタール程度の植栽に相なっております。
 でさらに、ただいま申し上げました四十七年以降の新計画につきましては、まだ年度途中でございますけれども、四十七年度、四十八年度、この二カ年におきましては、植栽目標五カ年間で一万五千ヘクタールというのに対しまして大体四八%ぐらいの進捗率に相なっております。年平均で見ますれば大体四割程度というところがまあいいところかと思いますが、ややオーバーした感じがございます。ただこの二カ年間を見ますと、特に四十八年度の面につきましては、相当新植等の抑制をいたしてございますので、二千五百ヘクタール程度の植栽にとどまっておるということでございます。今後ともこの基本方針の線に沿いましてより強力な植栽面の指導を従来以上に強化してまいりたいと、かように考えております。
○橋本敦君 そこに問題があるんじゃないですか。たとえば、基本方針についてはこれは相当権威を持ったものでなければならぬと私は思うんですよ。それは果樹農業振興特別措置法でも、第二条で農林大臣がこの「基本方針」「を定めなければならない。」と、こうなっているし、それが定められる内容としては「果実の需要の長期見通しに即した植栽及び」「生産の目標」と、こうなっています。法自体が、需要を飛び越えて生産だけを高めるというようなそんなばかなことをやっちゃいけないと、当然のこととしていますよね。だから、責任ある需要見通しとそれに即応した植栽及び生産目標を基本計画で定めなければならない。これはもう具体的な内容に法できめられていますよ。しかも、そういう権威のあるものとして、七条の二によってもあるいは七条でも、都道府県があるいは国が指導する場合はこの基本計画に基づいてやりなさいと、こうなっているわけですよね。
 そこで、いまあなたがおっしゃるように、今後もさらに植栽を進めていくんだということをおっしゃいますけれども、それはそれとして一生産量の見通しはいかがですか。たとえば四十二年度の基本方針では、昭和五十一年度で生産目標は三百六十四万トンに置いておられましたね、五十一年度で。ところが、五十一年が来るどころか、四十八年ですでにこの目標はもういってしまっているし、ことしははるかにこのままではオーバーするし、五十一年度になればもっとふえるということになりますね。だから、農林省がお立てになった基本方針の生産目標よりはるかに多くの生産ができている、それが恒常化しているという状態になっている。それに対して、お立てになった需要の伸びが予想どおりこの生産にスライドするように伸びていないという問題が起こっている。この問題を徹底的に考究をされないと、いまあなたがおっしゃったように、四十七年度に立てた基本方針、これに基づいてさらにやっていくとこう言っても、これはぐあい悪いんじゃありませんか。いま私が指摘した関係を厳密に再検討するという立場にお立ちになりませんか。それはいかがですか。簡単でけっこうです。
○説明員(二瓶博君) 現在立てております基本方針、四十七年度から五十六年度までの一応の計画になっております。現在、この基本方針の進行中でございます。ただ、ただいま申し上げましたように、その植栽の目標の面につきましては、四十七年度は相当の新植があったわけでございますが、四十八年度の面におきましては、その面の指導をやや強化いたしまして、先ほど申し上げましたように二千五百ヘクタールという線になっております。したがいまして、現在の基本方針では四十七年度から五十一年度まで一万五千ヘクタールという線になっておりますので、この線にはまるようにさらにこの新植の抑制の面につきまして強くやっていきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○橋本敦君 それで私が指摘したのがこの基本方針では需要に見合った生産を指導すると、こうなっている。それが狂っているんですから、この面について需要の拡大が伴わないと、新植を一万五千ヘクタールに押えるという基本方針どおりいったって同じ状態が起こるんですよ。そうでしょう。現に生産調整やっているんだから。だから、この問題について需要の拡大を厳格にもう一度方針を立て直して基本方針を見直すという再検討、これをやるべきではないかと思いますが、その点いかがですか。需要との関係、見直しは。
○説明員(二瓶博君) ただいま申し上げましたように、今度立てておりますこの基本計画の面におきましては、五十六年を最終目標に一応はいたしておるわけでございます。その際の需要というものにつきましては四百九万九千トンないし四百二十三万トンというふうに、長期的には五十六年の姿としては見ておるわけでございます。途中年次といたしまして、五十一年という面につきましては、最近の数字のほうが需要よりもオーバーしておるではないかという面につきましてはそのとおりでございます。したがいまして、今後におきまするこの需要の開拓というものは当然つとめるわけでございますけれども、この果樹農業基本方針、これにつきましては、さらに現在の考えでいきますると、五十一年が改定年次になろうかと思います。いま先生のお話はさらにそれの見直しを早くやるべきではないかという御質問かと思いますが、最近のこういう情勢もございますので、その面につきましてはさらに見直しを進める必要もあろうかと思います。まあその面はさらに検討を深めまして結論を出したいと、かように考えております。
○橋本敦君 時間がありませんので先に議論を進めますが、現にことし二割の摘果運動を進めておる状況ですね。来年どうするのか、また摘果運動をやるのか、続いてくるわけですよ。そういう問題と、もう一つは、ことしまた生産費が償えない、赤字になりますと、三年連続の赤字ということで、耕作農民の皆さんはほんとうに悲壮なんですよ。この結果、何を生み出してきたかというと、耕作農民から見れば、言ってみれば政府が農業改善事業、あるいは果樹振興法に基づいて基本方針を出してミカン耕作をどんどん奨励してきた。だから水田もやめてミカンを植える。ナシも切ってミカンを植えるというところまで出てきた。需要見通しが明るい、生産見通しが明るい、こういうことでどんどん進めてきた結果こうなっているものですから、農民の皆さんにはもう政府が言うことと反対のものを植えなきゃならぬという声も出ているぐらいですよね。だから、早く手直しをして具体的に価格安定対策としてでき上がったミカンを惜しくもつんでしまうということに下へ置くんじゃなくて、需要の拡大の積極策と需給の見通しと価格安定、これを五十一年にもう一ぺん見直しますじゃなくて、積極的にやってもらいたいということを強く期待をしておきたいと思うんですよ。
 ところで、こういう現状の中で、いままでこの需給を圧迫した要因として、グレープあるいはレモンの自由化という問題に対して、非常に多くの農民が不満を持っていますけれども、特にこのグレープについてはカリブミバエというハエの害虫の問題が生じておりますね。この点について農林大臣にお伺いをしたいのですが、農林省がアメリカに対してこの問題について書面をお出しになって検討を要請されて、九月二十日までに回答を求めるということだったようですが、きょうの日本農業新聞によりますとアメリカのほうから在日米大使館を通じて具体的な改善策を講じるという日米双方の合意ができるまでアメリカのほうで輸出を見合わすと、こういう回答が来たということが報道されておりますが、この事実は間違いございませんか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私、まだそのアメリカ側の回答が来たかどうかというのを確めておりませんが、こちらのほうからカリブミバエのことを指摘いたし、これは困るということで、先方も自重するような態度をとるようにいたしておったんでありますが、その後、きつくいろいろ当方からも先方に申し入れました。その結果につきまして、私まだ報告を受けておりませんので、審議官のほうからお答えをいたさせます。
○説明員(二瓶博君) フロリダ産のグレープフルーツ、この問題につきましてはミバエが見つかったということがございまして、非常にこれは問題でございますので、七月九日、それからさらに九月の九日、二度にわたりましてアメリカの在日の首席農務官、こちらに対しまして強く要請をいたしてございます。それで、ただいまお話がございましたんですが、米国農務省のほうからは日本向けフロリダ産グレープフルーツに対します輸出検疫証明書、これの発行の停止をいたしましたということか七月十七日付の公電でアメリカ在日大使館のほうから公電が入っております。それから、なおアメリカ側のほうでは今月の二十三日、アメリカ農務省の担当官等四名ほど、この問題で打ち合わせをするために来日をするという連絡がございます。
○橋本敦君 いま、ミカンの需要拡大が特に緊急の問題になっているときでもあり、このミバエ問題は厳重にやっぱり政府としてもやっていただきたいし、それまでの間の向こうの輸出を中止する、検疫証明を出さないという措置もけっこうですが、これは厳重にやっていただくことをお願いしておきます。
 もう一つ、農林大臣にお伺いしたいんですが、オレンジの自由化という問題が農民の不安になっております。これはミカンの需要拡大を圧迫することは目に見えております。私はこのオレンジの自由化はいまとてもじゃないがやってはならないというように考えておりますが、オレンジの自由化についての大臣の御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) オレンジの自由化はいたさない方針であります。
○橋本敦君 それでは、次に農業改善事業との関連についてお尋ねをしていきたいと思うのですが、この農業改善事業を適正に進めるということは必要ですが、特にミカンの問題については先ほど私が要請したように、需要拡大との見合いで無制限な拡大だけを目的とした改善事業は手直しをしなきゃならぬというのは当然だと思うんですが、新聞の報道によりますと、たとえば熊本天草の羊角湾総合パイロット事業で地元の市町村、農協、これが国に対して作物の転換など計画変更を強力にお願いしたけれども、九州農政局は、これは同地区はミカンの適地でもあって直ちに変更を認めるわけにいかないということで要望を退けて事業を遂行するということで手直しがなされていないようですが、こういった構造改善事業の手直しの問題、特にミカンについていま必要だと思いますが、この問題について構造改善事業の立場での御見解を簡単にいただきたいと思います。
○説明員(大山一生君) 構造改善事業といいますか、農用地開発事業と申しますか、いずれにいたしましてもそういうかっこうでミカンの新植ということも一つの事業として過去にやってきたわけでございます。でわれわれの場合にこれを行ないます場合に果振法に基づきましていわば県別にこれだけの面積は許容されるという一つのめどがございまして、そのめどということを一つの基準としながら気候条件、立地条件その他から適地であるかどうかということを判断して、そしてそういうところに対して土地改良法上の手続を経てやってまいると、こういうかっこうで行なってきたわけでございます。確かに農用地開発事業なり構造改善事業で行ないました新植が当該年度の新植面積の中で三割近くを占めたという時期もございますけれども、現在は大体一一、二%のシェア、こういうふうなことに相なっているわけでございます。ということは逆に言いますと、総新植も減っておりますし、現在農用地開発その他で行なっているのも普通温州ミカンの新植というのは非常に減っていると、こういうふうな事態にあるわけでございます。
 で今後の問題につきましては現在の需給事情にかんがみまして国営事業なり県営事業なりあるいはそういったような事業の新規調査地区の採択なり全計なりの場合におきましては新規調査においてはミカンの導入計画のないものと、それから全計ではミカンであっても他に転換したものと、それから新規着工については大部分がミカン以外に転換したというものについてしか認めないと、こういうような方向、それから現在継続中のものにつきましても極力他への転換をはかると。で、はかりますが、無理してはからせることによって農民に迷惑をかけるわけにまいりませんので、その結果かりに国営規模の要件に触れるということになってもそれに何か対処する方法を考える、こういうようなことでミカンに関する構造改善事業あるいは農用地開発事業に対処しているというのが現状でございます。
○橋本敦君 いままでミカンの問題について言うならば農業改善事業を中心に生産拡大が政府の主導型で大きく進められてきて、その結果いまの恒年的豊作状態を現出して需要供給のバランスを欠いて価格が落ちるという状態をつくり出しておるというように私どもは見ているんですが、先ほど私が指摘したように四十七年、四十八年、四十九年、こういって生産費を償い得ない価格に暴落をして、これが続きますと構造改善事業の償還ですね、あるいは利息の支払い、これが農民にとってはたいへんな負担になってきていることは目に見えておるわけです。だから勝浦でもあるいは大阪の岸和田の農民の皆さんでもミカンをつくってミカンの収益で償還するという当然のたてまえがくずれて、ミカンをつくっても償還どころか、生活できませんから、出かせぎにいってその金で償還するという事態になっている。こういう状況の中では私は当然緊急対策の一つとしてこの構造改善事業並びにその他の制度融資の償還期限を延期するあるいは国が利子補給を行なうとか、こういう抜本的な対策をいまとるべきだと考えていますが、これについてのお考えはいかがでしょうか。
○説明員(大山一生君) ミカンを目的といたします国営事業なり県営事業あるいは構造改善事業、こういうようなことで行なわれます事業の非補助融資、補助残融資ということについては、公庫資金が貸し出されているわけでございます。国庫資金のいわばそういうことに基づきます貸し付け条件の緩和という御指摘でございますが、この点につきましては、公庫の業務方法書のたしか第二の五だったと思いますけれども、あそこで災害その他の特別の事情というものに該当する場合においてはそれぞれ償還条件の緩和措置をすでに現実に講じているところがある、こういうわけでございます。しかしながらこの際たとえば補助率を改定するというようなことをミカンとの関連において行なうということは逆にまたミカンのプレッシャーがかかるというようなこともございますので、補助率を引き上げるというようなことはこの際考えておりません。
○橋本敦君 私は補助率の引き上げをいますぐやれという意味で言っているんじゃなくて、先ほどおっしゃったような災害その他特別事情、この事情があると認定された場合の条件の緩和が行なわれるということがあるわけですね。この際このミカンの緊急事情、三年続いているという事態の中で農民の皆さんが要求する償還期限の延期あるいは利子補給、この問題を災害に準じろとは言いません。特別にいま考慮する必要があるのではないか、こういう問題ですね。
○説明員(大山一生君) 先生の御指摘が一般論として条件を改定すべきじゃないか、こういう御指摘のようだと思いますけれども、やはり公庫のたてまえからいたしまして、借りている人間の個々の事情ということによって判断せざるを得ないということでございますので、これは個々の問題として対処してまいるというかっこうで各方面に対処しているわけでございます。
○橋本敦君 私はいま言ったような立場で個々の耕作農民の具体的事情、この実態に基づいて検討するという御答弁をいただきましたんで、それぞれ検討してもらいたいと思いますが、特に私は徳島市の飯谷地区における四十一年から四十三年まで実施をされた構造改善事業、この償還の問題について具体的な問題としてひとつ御意見を伺いたいんですが、この事業は飯谷地区という非常に急峻地で行なわれまして、構造改善事業の目的内容は共同防除施設、農道の造成、それからもう一つはスプリンクラーの設置ということで総額一億円をこえる金でもって予算を組んで、これは一応完成したというふうにされたんですが、ところがその後実際にスプリンクラー及び共同防除施設の配管の破裂が相次いでほとんど使えないという実態に陥ってしまった。そこで農民が困りまして、四十六年の十一月十日に農林省農業土木試験場の土地改良部の第四研究室長をしておられた椎名乾治さんという方にこの原因調査を依頼して、その報告書が上がっているわけです。これを見ますと、この地は農民が営々として急峻地を切り開いてつくったところでして、一番高いミカン畑と下との標高差が何と二百四十二メートルにも達している土地なんですね。ここで水を押し上げ、パイプを通じて共同防除、スプリンクラーをやるわけですが、水圧調整及び配管の埋設が悪くて全部ほとんど破裂して使えないという実態が起こっている。この報告書によりましてもこの欠陥の指摘については明確に標高差が二百メートルをこえ、かつ地形がきわめて複雑、急峻である、ここのところでの施設設計にはこれは多くの注意を要するのは当然だけれども、この基本的な注意を欠いていたというような実態報告がなされているわけですね、たとえば平たん地の方法で単純安易に計画されている。これがひとつ指摘されているわけです。しかも加圧機場一カ所の支配面積としては過大であり、組織上無理があった、こういうことも指摘されている。それから、さらにパイプを通す水の調整について全施設がその安全弁等の効果的な施設が全く考慮されていない、こういう状況になっている。結論として、基本的にはこの土地での施設には無理があって、農民に気の毒な状況になっているという調査結果が出ているわけです。ここで地元負担が五千万をこえております。ここの農民の皆さんは、飯谷地区に入って私も聞いたんですけれども、とても償還が返せないという実態の中で、もうきたら山を持っていってもらってもいいというぐらい困っておられる、こういう具体的な状況で、改善事業それ自体の設計施策に重大な欠陥があって期待した状況が出ていないようなこういう重大な事態が起こっている地区については、償還問題について、利子補給について特別に考慮をされるという必要があろうかと思いますが、こういう構造上の欠陥のある構造改善事業地区について特別に配慮をされるというお考えはございませんか。
○説明員(大山一生君) 先生御指摘の徳島市の飯谷地区、これは四十一年から四十三年、いわば第一次構造改善事業で実施されたわけでございまして、いま先生が一緒に言われましたけれども、中身は三つに分かれております。一つは農道でございます。一つは共同防除施設でございます。それから畑かん施設でございます。三つございまして、いま先生がいわゆる設計に無理があるとこう言われた椎名室長が徳島市からの個人的依頼でやった部分というのはそのうちの共同防除施設に関する部分だけでございまして、共同防除施設に関する部分もこれは両者の間で口外しないという約束になったそうでございますので、あまり具体的なことを私言いたくございませんが、私の調べた範囲では確かに機能の改善すべき点はあるという御指摘があった。それに対しまして一方工事を行ないました経済連のほうではそれに異論を唱えている、こういうふうな過去の経緯はあったようでございますが、いずれにいたしましても約九百万円で手直し工事をやって現在は機能している、こういうふうな状態でございます。
 それから畑かん施設のほうでございますが、これは四十三年――最初四十一年に移動式でやりまして、それを四十三年固定式のスプリンクラーに変えている、こういうわけで四十三、四十四と両方行ないまして、そのときに非常に農民に喜ばれたという事態があるわけです。その後四十五年からいわば雨が少ないということと、一つは私基本電気料金の問題があったというふうに聞いておりますが、そういうことでとめておった。それで四十八年に至って干ばつがきたということで急速動かしたというようなことから、順調に動かなかったという事態があるようでございます。したがって、そのかんがい排水施設に関しましては確かに二百メートルの高さまで上げるという技術的な問題そのためにたとえば継ぎ手の部分を、いまのような技術が新しい技術になっていない昔において熱処理したというようなことは、当時の技術としては私は工事上のミスはないというふうに考えます。ただ、高く上げた圧を減圧する段階におきまして、いわゆる継ぎ手の部分における操作上の問題が非常にいまの技術からいうならばむずかしい農民に納得しがたい工法であったというふうな点はあると思います。しかし、畑かん事業として行なった部分については、いまのところ工事上のミスがあったということは言えないんじゃないかというふうに理解しております。しかしながら、そういっててもあれでございますので、県に聞き合わせましたところが県及び市におきましては、理由のいかんを問わず手直し工事をしたいというような方向でいま対策を検討しているというふうに聞いております。
 それで、それに関連いたしまして、農道は機能しておりますのでこれは別。それから共同防除も機能している、そうするとあと畑かんの問題というようなことになると思いますけれども、そういった問題についての公庫からの借り入れ金、これにつきましては、私のほうできよう県に確かめたわけでございますけれども、借り入れ者の中の経営状態等を判断いたしまして、償還期間の延長措置を講ずる方向で県及び農協等において公庫といろいろと協議している、こういうふうな状態であるという報告をいただいております。
○橋本敦君 いま言った問題は、さらにそういう農民を守る立場で積極的に指導していただくということでお願いしておきます。
 時間もありませんので、最後に農林大臣に御所見を伺いたいんですが、いまミカン耕作農民の皆さんの中で一番強い要求は、政府が積極的に事業開拓をしてもらうということ、自分がつくったミカンを自分の手で切り捨てるという生産調整、これはいつまでも続くものじゃありません。それと同時に、政府の果樹振興基本方針に基づいて現にまだ植栽計画もあるし、これからも進められる事業ですから、支持価格制度あるいは価格補償制度の確立、これが最も農民の皆さんの基本的な要求にいまなっているわけですね。ミカン専業農家だけで全国で三十万戸をこす状態になっております。こういう問題について、価格補償制度、価格支持制度、これの確立をして、生産費を償う価格を補償して、安心して農民がミカンをつくれる体制をつくる、こういう強い農民の皆さんの願望について、大臣、今後どのようにお考えか最後に伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) ミカンにつきましては先ほど来種々応答がございまして、私どもとしては計画を立て、それの指導をいたして今日に至っておるわけでありますが、やはりだんだん樹木も成長してまいりますし、当初の考え方よりも表年にはたくさんなるときもありましょう。しかし、御存じのように、摘果というのは調整をするばかりじゃありませんで、枝に残っておるくだものの品質をよくし、充実させることにも効果があるのでございまして、それらのことにつきましては、ふだんそういう園芸をやっておられる者を十分に指導をいたしまして、そして味がよければ販路もふえるわけでありますから、政府といたしましてはそういう販路を拡大したり、同時にまた需要を喚起するためには、先ほど申し上げましたように、いまジュースはかなり売れ行きが活発でありまして、そういうことで指導をいたしてまいるということがまず何よりも必要ではないかということで、毎年予算にはそういう計上をいたしまして対処いたしております。
 そこで、ミカンに限りまして、指導価格というふうなことは口には言えますけれどもなかなかむずかしい問題でございまして、いま私が申し上げましたような方針で、果樹振興法でも申しておりますようなやり方で充実した指導をいたしてまいる、こういうつもりでございます。
○橋本敦君 いま私が言った価格補償制度の確立について、積極的に御検討の気持ちがあるのかどうか……
○国務大臣(倉石忠雄君) いまの価格補償というのは言うべくしてなかなか困難なことであると思いますので、私どもはただいまはそういう方法については考えておりません。
○橋本敦君 じゃ最後にひとつ。
 そういうお考えのようですが、主要農産物について価格補償制度の確立が、これは農民の一般的な要求から順次できているわけで、ミカンができないという理由も私はなかろうと思うのです。ことし政府が御指導なさった方向でミカン耕作農民の価格暴落による窮状がことし現出をされると、政府の指導がうまくいかなかったという事態が起こったもとでは、積極的に価格補償制度の確立を政府としても御検討していただきたい。そのことがいま農民の当面切実な要求であるということを重ねてお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
○野末和彦君 先ほども競馬の話題が出ましたけれども、私もあえて、この競馬のことはいま非常に重要な場面にきていると思いますので、まあ大臣にはわずらわしいところがあるかもしれませんが、質問したいと思います。大臣にはもちろん最後のほうにちょっと御所見をお伺いすることにしまして、それまでどうかごしんぼう願います。
 競馬人口が急にふえてきまして、それとともにファンの不満とか、それから混雑の問題とかいろいろあると思いますけれども、ノミ屋が非常に激増しているということなんですね。警察庁に聞いてみましても、いわゆるノミ屋の検挙、送致状況というのはウナギ登りである。そして、しかも全国的にのみ屋が広がっているというようなことです。それで、農林大臣の例の競馬懇談会の報告書によりましても、「地方の中小都市における競馬ファンの増加に伴ってノミ屋が全国的に横行していることが強い批判の対象となって」いると、こう書いてありますが、競馬会としてはこの地方の中小都市におけるノミ屋の横行の実態をどの程度つかんでおられるか、その辺をまずお伺いします。
○参考人(酒折武弘君) これは、実は予想紙の売れゆき状況という面から調査するのが一番はっきりするんじゃないかということでいろいろ調べておるわけでございますけれども、これはやはり何といいますか、営業上の秘密といいますか、個々には相当売れているよと、大体中央競馬と同じぐらい売れている、本来の競馬をやっている場所一東京とか大阪とかいうところで売れると同じ程度のものぐらいが売れているよというような抽象的なお話がございますけれども、具体的に何部程度が売れたということはどうも営業上の秘密もありまして、はっきり確認できないわけでございます。しかし、一般的想像としては、どうもいまの中央競馬の売り上げと同ワク程度が売れているのじゃないかという、これはちょっとオーバーではないかとも思いますけれども、というような言い方もございます。
○野末和彦君 ぼくは、売り上げのこともさりながら、地方にノミ屋がふえている、その実態についてお聞きしているわけなんで、まあだれでも言うことですが、暴力団の資金源になっているというところも当然あるわけです、もちろん都市によっては。しかし、ぼくの知るところでは、最近お客の要求でいわゆるプロでない、プロでないというのは暴力団の関係でない、普通のすし屋でも喫茶店でも、そういうところまでがノミ屋をやらざるを得ないような状況になっているんですが、これはもちろん御存じだと思うんですが、また想像もされていると思いますが、こういう事態について、つまりいままではプロの暴力団だけだったんですが、そうじゃなくて、今度はしろうとの水商売関係までが暴力団とは関係なくノミ屋をやらざるを得ないところまできている、この辺についてどう思われますか。
○参考人(酒折武弘君) 実を申しますと、中央競馬会といたしましては、一般的なノミ屋に対してどういう対策を講ずるかということについては、いわば権限もないわけでございまして、もっぱら現在のところは競馬場内あたりでノミ行為をやっているもの、これはいわばわれわれの地域内の問題でございまして、それについては警察で協力いたしまして、取り締まり摘発をやっておるわけでございますけれども、一般的にはちょっと直接関与はしていないというのか現状でございます。
○野末和彦君 ですから、ノミ屋を取り締まれとか、ノミ屋対策はどうだということではなくて、この調子でノミ屋がどんどんふえていく、この原因をさぐっていけばやはり地方において、テレビ中継はあるし、ラジオもやっている、ファンはどんどんふえているけれども、買いたくても全然買えないと、いわゆる供給のほうが全く追いついていないというところに原因がある。これを放置しておいていいのかということになりますね。で、東京でも現実に、まあ競馬会としてはいろいろ努力をされているようですが、全レース買えるわけではありませんし、かなりの制限があるからこそいまの設備で何とかもっていると、あるいは二百円の券などは思うように買えっこないですね。そんなことからして、やはり先ほども出ましたが、需要に供給が全く追いついていけないと、少しばかりの改善の努力ではとうていここ数年で何とかなろうなんということは見通しつかないと思うのですがね。既設の設備の改善拡充はわかっていますから、私の言うような地方の、あるいはこの報告書に出ているような地方の都市においての供給対策というのを今後どういうふうに考えておられるか。この場合、地方の大都市、中都市というのは、たとえば新幹線のとまる駅でもいいですし、それから県庁所在地でもいいですから、地方のファンに対する供給対策、これをいまどう検討されているか。
○説明員(澤邊守君) 競馬人口が大都市だけではなしに全国的に非常にふえておって、ある意味では娯楽として非常に定着してきておるということが言えると思うわけでございますが、反面先ほど御指摘のようなノミ屋が全国的に横行するというような傾向が見られるわけであります。
 そこでただいまのお尋ねの件でございますが、御承知のように昭和三十六年に公営競技調査会の答申というのが出ておりまして、その基本的な考え方は「現行公営企業の存続を認め、少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度」とするというような基本的な考え方に基づきまして種々答申を、数項目にわたって答申をしておるわけでございますが、その中に「馬券、車券等の場外売り場については、現在のものを増加しないことを原則とし、設備及び販売方法の改善に努力する。」というような項目が一項目入っておるわけでございます。先ほどのような基本的な考えに立ちますと、そういうこと、場外売り場についてもこういうような表現になっておるわけでございますが、われわれといたしましては「原則とし」ということばが入っておる点からいきまして、全面的に一切まかりならぬということではないというように理解をいたしております。三十六年からその後一般の社会観念も変わってきておる面もございますので、基本的にはこういう考えでやっておりますけれども、必要に応じて場外売り場の施設の拡充と設置ということはやっていきたいというように考えております。その際、まあ移転をするとか、あるいは拡充をするとか大型化するとか、いろいろございますけれども、現在競馬公害問題として、既設の場外売り場におきまして交通の混雑の問題、あるいはじんあいの問題、騒音の問題等でいろいろございますので、当面のところは重点といたしましては既設の大都市における場外売り場の施設の整備ということに重点を置いておりますけれども、今後地方における整備ということについても慎重に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○野末和彦君 いまのたまたま出ました公営競技調査会の答申の五番目のことですけれども、競馬会としてもこれは、「現在のものを増加しないことを原則とし」と、この部分ですが、競馬会としても、いま畜産局長のお答えのようにこれは一切だめなんじゃないのだということで解釈をされているわけですね。
○参考人(酒折武弘君) 競馬会といたしましては、現実にもう場外施設が非常に混雑しておりますので、とにかく現状を何とか打開しなきゃならないということで現に現存施設の拡充はもちろん新しい地域、土地について検討を進めております。ただ、御存じのとおりこれは地元のいわゆる住民パワーという問題がございまして、非常に実現はむずかしい、見通しの立たない問題でございますので、とにかく可能性のありそうなところについては検討交渉を進めまして、そして話がまとまった段階においてそれは一体、いわゆる箇所数の問題についてどう扱うかというようなことは農林省とよく御相談してやりたいと思っておりますけれども、現在のところは残念ながらまだ具体的にこの土地にできるというふうな話にまでは至っておらないわけでございます。
○野末和彦君 お二人のお答えを聞いていますと、要するにこの答申は、昭和三十六年の答申にはこだわっていないで、これは場外馬券売り場を増加させることについても全面的に禁止しているのではなくて、例外として増加も必要とあらば考えられないでもないというふうにとれるわけですね。事実競馬会のいろいろ地元の反対まで出てくる以上は相当具体的になっているのだろうと思いますが、実際に新設というか増加についての検討とこちらは受け取ってよろしいのですか。
○参考人(酒折武弘君) 先ほど申しましたように、結果的に増加になるのかあるいは移転になるのか、それにつきましては話がまとまった段階において処理をよく農林省と御相談をしてきめたい、そう考えております。
○野末和彦君 わかりました。ということは、よく競馬ファンが言う、調査会の答申があって、これに、場外馬券売り場を増加させてはいけないということになっているから、これにこだわって、あるいはこれがおもしになって動きがとれないという事実はないと判断していいですね。そちらとしては、これにこだわらずにかなり積極的にいろいろと運動なさっている、こう思っていいわけですね、いまのお答えは。
○参考人(酒折武弘君) まあ、そこはわれわれとしての立場上はできるだけ弾力的にお役所に考えていただきたいという期待を持っております。
○野末和彦君 そうしますと、先ほどちょっと話が出たのですけれども、何か心当たりのある場所がありまして、はっきりは具体的には名前は出せないとおっしゃっていましたが、あれは移転拡張の話ですか、それとも新規増設になるのですか。場所は要りません。もちろん地元の反対なぞがずいぶんあるというか、そんなことまで心配なさっているのですから相当具体的な話が進んでいると思います。ですから、具体的に聞くのではなくて、新規増設なのか移転拡張なのか、どっちですか。
○参考人(酒折武弘君) その点につきましては、先ほど申しましたようにほんとうに話がまとまってここにものができるという段階におきまして移転のかっこうでやるのかあるいは新規でやるのか、それはよく農林省とも御相談をいたしましてきめたいと考えております。
○野末和彦君 はっきりしないんでちょっとわかりませんが、ちょっと角度を変えてお聞きしますよ。
 電話モニター、電話による投票が先ほども出ましたけれども、あれは特に地方のファンを対象にしたというものではなく、一般的なものですか。その辺ちょっとお聞きしたいのですが。地方においてあの電話サービスで買っている人間がどのくらいいるのか。あるいはそのモニターというのはどんな方法で選んだのかをごく簡単に説明してください。
○参考人(酒折武弘君) 現在は試験的な段階でございまして、関東、関西、合計約二百人でございます。この選び方は、試験段階でありますので、特に競馬関係者の推薦のある信用の置ける人を選んだわけでございます。その地域でございますけれども、これは現在関東、関西、東京と大阪でやっておるわけでございまして、そこで、東京都あるいは大阪市ないしその周辺の地域の人に限って御依頼、御指定しておるわけでございます。
 将来の問題といたしましては、おっしゃるように、これはむしろ地方の人が非常に便利な制度ではないかと考えておりますけれども、とにかく現在はまだ試験段階でございますので、今後検討を進めた上でそういう問題も処理したいと考えております。
○野末和彦君 さっきも出ました積み立てを銀行に十万円でしたか、十万円まで買っていいのでしたね、馬券を。銀行にもお金を積み立てている。そして、そのほかに保証金も取っているという話を聞きましたけれども、保証金というのは幾ら取って、いま全体で競馬会はどのくらい預かっているわけですか。約二百人いるわけでしょう、その対象者が。保証金のこと、これも簡単に説明してください。
○参考人(酒折武弘君) 保証金は結局馬券の買い得る限度を五万円ないし十万円ということで選んでいただいておりまして、それに対応する同額を保証金として入れていただいております。合計が約一千五百万円前後になっております。
 なお、この保証金を入れていただく理由は、銀行に預けておりますお金、十万円ないし五万円の限度において預けておりますお金の残高の確認が金曜日に行なわれるわけでございます。そうしますと、その土曜日にひょっとすると引き出されるかもしれないわけでございます。で、ゼロになっちゃうという可能性もあるわけでございます。そのために、もしも足りなかったときにはその保証金をもって振り当てるという意味で保証金をちょうだいしているわけでございます。
○野末和彦君 しかし、いわゆる危険負担準備金というか、損害補てんというか、そういう用意は当然だと思いますかちわかりますが、二重に取っているような気がするわけですね。銀行に積み立て金はちゃんとある。そのほかにも競馬会に別に保証金を出している。それでなければ買えないということになりますと、しろうと考えでどうも二重に保証金を納めているような気もしないでもないんで、こういう形で保証金を集めることに問題はないのかどうかを大蔵省のほうからもちょっと御説明いただきたい。
○説明員(宮本保孝君) 御指摘の、中央競馬会が電話によります勝ち馬投票券の発売に際しまして、その利用者から受け入れております保証金につきましては、まず第一に、電話投票利用者としての権利の取得を約束するという効果があろうかと思います。第二には、勝ち馬投票によります指定口座の引き落とし不能額を担保するという二つの意味を持っているものだと思います。したがいまして、これは通常の保証金に類するものと考えられるわけでございます。また、利用者は、保証金の預け入れによりまして預貯金等と同様の利子をもらうとか、そういうふうな経済的な便益を受けることもございません。したがいまして、いわゆる出資法にいいますところの預かり金と同様の性質を有するものと解することはできないのではないか、こういうふうに考えております。
 なお、中央競馬会と利用者との契約によりますと、利用者が口座振替資金に不足を生じました場合には、その不足資金がその保証金から差し引かれることとなっておりますけれども、このような事態が生じました場合には、差し引かれました保証金残高を利用者に返還いたしまして、そして契約を解除してしまうということにいたしておりまして、預かり金として利用する道は閉ざされておるわけでございまして、出資法上、違法ではない、こういうふうに考えております。
○野末和彦君 そうしますと、この対象者がもっとふえて、集めた合計がかりに一億ぐらいになったとしても問題は全然ないということでいいんですね、そう解釈して。
○説明員(宮本保孝君) 非常に多数になって――いま試行的にやっておりますので、いまのところ不特定多数というふうな感じではないかもしれません、これがもし一般化いたしますと、先生御指摘のようなことで問題が出てまいろうかと思いますけれども、その場合には、先ほど競馬会のほうからお話もございましたように、通報制度とかそういうようなことで改善していかなければいけないのかもしれません。いまのところはまだそういうようになっていないということでございます。
○野末和彦君 わかりました。そうすると、競馬会としては、じゃ、いまのところ、実験段階においてこの千五百万円近くのお金をどういうように運用しているわけですか。
○参考人(酒折武弘君) 一般資金に繰り入れておりますので、この金自体がどういうふうに運用されているかということはいわば不明で、一般資金と一緒になりまして全体的に運用されているわけでございます。
○野末和彦君 そうなると、出した人にもちろん利息を払う必要はありませんけれども、競馬会の責任でその程度の金は有効に使っているということでいいわけですね。そう解釈していいわけですね。
○参考人(酒折武弘君) さようてございます。御存じのとおり、現在競馬関係の施設拡充ということが非常に要望されておりまして、そういう面に使われておると御輿解いただいていいんじゃないかと思います。
○野末和彦君 そこで、この問題はあまりやっていてもしかたがないんですが、ぼくの考えを言いますと、要するに信頼の置ける人を推薦とかコネで集めているわけでしょう、いま実験の段階ですから。そうすると、その人たちから何も保証金をそんな集めることはないだろうと、こう思うわけですよ。そして、いいですか、実験ですから、ごく平均的な競馬ファンが集まることが望ましいんで、やはり公募にしてせいぜい一万円か二万円を土曜日曜で買ってもいいというような形で保証金もとらないでという程度のことで、ぼくはこの電話による勝ち馬投票のテストケースはいいと思うんですよ。だから、これをあとどのくらい続けられるかわかりませんが、もっと続けて、実験としての意味をいろいろ検討なさるならば、やはり保証金はやめるとかあるいは公募、一般の人を入れる、あるいは地方の人をもっとふやすとか、もう少し有効な実験をするほうがいいんじゃないか、こう思っているんですが、どうですか。
○参考人(酒折武弘君) まず、その保証金の問題でございますけれども、これは御当人の悪意によらなくて――なかなかああいう預金口座は御自分自身が幾ら残っているかよく御存じないというふうなことも往々あるわけでございまして、そういう意味で、やはりこれは現在のやり方では避けられないんではないかと考えております。まあまるまる十万円に対して十万円の保証金をとるべきかどうかという問題になりますといろいろ考慮の余地もあるかと思いますけれども、ある程度の保証金はいただいておかぬと、御存じない間に何か別の用途に引き出されておって足りなかったというふうな問題はやはり起こり得ると思っております。
 それから、試験段階でございますが、現在二百人程度と申し上げましたけれども、これは漸次拡大していく考えでございます。ただその場合に、地方の人をどの程度入れていくかということについては、まだはっきりとした考え方を持っておりません。しかし、先ほど申しましたように、地方の人ほどこれは有効、便利なものでございますので、その点は十分考えていきたいと考えております。
○野末和彦君 そうしてもらいたいと思いますがね。
 そこで、その地方の人たちも含めて、さっきから出ております場外馬券売り場をどうするか、増加させるのかどうかという話に戻るんですが、たとえば横浜の競馬場は遊んでいるわけでしょう、いま。横浜には、事実、場外馬券売り場がありますけれども、お行きになればわかりますとおり、大したものじゃないし、蒸しぶろみたいなところで、あれ、何か起こったらおそらく大事件ですね。しかも、しょっちゅうトラブルが起きていますね、あそこでは。ことしで言えばダービーのときですけれども。要するに、たとえば横浜の場合に、あれを横浜競馬場に移転するというような構想がないかどうか。この報告書にも横浜競馬場の再開について検討すべしと書いてありますけれども、別にレースを再開しなくても、とりあえず馬券売り場としてあの程度活用すれば、川崎、横浜あたりの混雑はかなり避けられるというか、ファンに対してもサービスができるんだろうと思うんですが、この横浜競馬場の問題についてはどの程度まで検討が進んでいますか。
○参考人(酒折武弘君) 実は、あの横浜競馬場あと地の問題につきましては、横浜市と非常に深い関係がございまして、結局、大部分は現在もう横浜市が公園にするということで、そのうちのほんの一部の七千坪程度を私たちのほうで競馬記念館的なものをつくろうという考えで進めておるわけでございまして、そこで、あそこを利用して場外をつくってはどうかという御意見につきましては、これはおそらく横浜市が賛成しないだろう――賛成しないというよりも、絶対反対ということは明言して差しつかえないんじゃないかと思っております。
○野末和彦君 しかし、記念館をつくるのが先か、既設の横浜の場外馬券売り場の危険というか、トラブルを未然に防止することが先かということもありますし、それから、地元が反対するからだめだと言われればこれは非常にむずかしくなりますが、もう少し、トラブルというか、事件が起きる前に積極的に手を打っておかないと、どうもあとで心配するような事態がずいぶん起こるんじゃないかという不安のほうが先に立つんですよ。ですから、もしや横浜がだめならば、それはそれでかまいません。先ほど言っておりますとおり、この問題は、これ答申なんですね。で、さっきから歯切れの悪いところで、ぼくのほうももう一つ、一体どういうふうに読んでいるのか、わかるようでわからないんで、大臣にお伺いしたいんですが、大臣、この公営競技調査会の答申は、これは非常に権威のあるもので、尊重すべきだろうとは思います。しかし、時代によって読み方も当然変わらなければいかぬと。どうも畜産局あるいは競馬会は非常に弾力的に読んでいるようで、絶対的にふやすなということではないという点では何となく一致しているように思うんです。そこで、大臣はどうこれを受け取られているかをもう一度確認したいのですが、場外馬券売り場を「現在のものを増加しないことを原則とし」と書いてありますが、これは全面的な増加の禁止ではなくて、例外として必要とあらば増加もあり得るという、そういう含みに読んでよろしいですか、大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私は、公営競技調査会の答申というのは尊重すべきであると思っております。
 そこで、この答申の中に「場外売り場については、現在のものを増加しないことを原則」とするものとしておるわけであります。これをそのまますなおに読みますというと、われわれの常識ではこの文句の上から明らかなように、事情によっては場外売り場の増設もあり得るものであると、このように判断するのが尊重した考え方ではないかと理解しておるわけでありますが、ただし、具体的にどういう場合に増設をはかり得るか。それぞれの公営競技に対する社会一般の認識、それから個々の場外売り場についての設置等の可能性等に即しまして、個別的に具体的に判断してまいるほかはないと考えております。
 そこで、この競馬につきましては、現在、東京、大阪等の大都市周辺地域の場外売り場の混雑が著しいのでありまして、ファンもかなりふえておるようでございますし、また場所によってはそのためにたいへん近隣に迷惑をかけておるようなところもございます。そこで、当面、これらの地域の施設の能力を高めることを重点に整備をはかってまいる必要があるんではないか。先ほど競馬会のほうの方から、それぞれの状況に応じて、近隣の方々の御意向を十分尊重して、というおことばがありましたけれども、それはけっこうなことだと思っています。したがって、いま私が申し上げました公営競馬調査会の答申を尊重いたしても、状況に応じては増設し得るものではないかと。しかし、どこまでもやっぱり近隣の状況、環境等を考慮してやってもらいたいと、このように思っているわけであります。
○野末和彦君 それでけっこうだと思います。そういう解釈を大臣がなさっているとは考えておりませんでして、要するに増設もあり得るということでけっこうだと思うんです。ただ、具体的な問題は、これはもちろんこれからだと思いますから……。しかし、やはりいままでのような競馬会のあるいは畜産局の消極的な改善では、いまふえていくファンなり、あるいは、まあ売り上げがふえているんだから一番わかると思うんですが、対応できないんですよね。対応できないということは、遠からず何かトラブルが起こると。小さなトラブルはしょっちゅうですが、これが大きなことになった場合、これは結局設備の不備による、あるいは狭さによることが原因だということになるのは目に見えているわけです。ですから、健全な娯楽とかあるいは競馬の健全な発展とかって口では言うんですけれども、消極的な改善ではこれもから念仏であるというふうに考えておりますので、ひとつ大臣がいまの答申を、増設もあり得るという姿勢を打ち出されたのを機会に、農林省のほうも、それから競馬会のほうも、もう少し積極的にスピーディーにファンサービスといいますか対応策を考えるべきだと思うのですよ。既設のものを改善改善って、それは確かに改善はしていますが、どうも改善したところでしょせん焼け石に水みたいなところありますからね。特に私の言うのは、地方の大都市、中小都市の問題、そして、それから東京、大阪などの混雑の緩和の問題、この辺をひとつ積極的にもっとスピードを出して、あまり世間の非難を考えないでやるのがぼくはあたりまえだと思います。何か事件が起きたときに非難されるほうがよほど困った事態なんです。私はこの点でひとつ積極的な対策を進められることをお願いして質問を終わります。
○委員長(前川旦君) 他に御発言もないようですから、農林省とそれに関係する農林漁業金融公庫の決算につきましてはこの程度といたします。
 次回の委員会は明二十日午前十時三十分から、文部省関係を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十一分散会
     ―――――・―――――