第073回国会 決算委員会 第14号
昭和四十九年十一月二十七日(水曜日)
   午前十一時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     上田耕一郎君     渡辺  武君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         前川  旦君
    理 事
                鈴木 省吾君
                山内 一郎君
                小谷  守君
                田代富士男君
                橋本  敦君
    委 員
                井上 吉夫君
                岩男 頴一君
                遠藤  要君
                岡田  広君
                河本嘉久蔵君
                永野 嚴雄君
                望月 邦夫君
                山本茂一郎君
                案納  勝君
                工藤 良平君
                小山 一平君
                佐々木静子君
                須原 昭二君
                和田 静夫君
                峯山 昭範君
                渡辺  武君
                田渕 哲也君
                野末 陳平君
   国務大臣
       法 務 大 臣  濱野 清吾君
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
       自 治 大 臣  福田  一君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       竹下  登君
        ―――――
       会計検査院長   白石 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   法制局側
       法制局長     杉山恵一郎君
   説明員
       内閣法制次長   真田 秀夫君
       警察庁刑事局保
       安部長      荒木 貞一君
       行政管理庁行政
       監察局長     大田 宗利君
       法務省民事局長  川島 一郎君
       法務省民事局第
       四課長      清水  湛君
       大蔵政務次官   柳田桃太郎君
       大蔵省主税局長  中橋敬次郎君
       大蔵省理財局次
       長        金光 邦夫君
       大蔵省銀行局長  高橋 英明君
       国税庁次長    磯辺 律男君
       農林省農林経済
       局長       岡安  誠君
       通商産業政務次
       官        嶋崎  均君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    高木 俊介君
       建設政務次官   中村 弘海君
       建設省計画局参
       事官       大富  宏君
       自治省行政局選
       挙部長      土屋 佳照君
       自治省税務局長  首藤  堯君
       会計検査院事務
       総局次長     鎌田 英夫君
       会計検査院事務
       総局第一局長   高橋 保司君
       会計検査院事務
       総局第五局長   中村 祐三君
   参考人
       日本銀行理事   岡田 健一君
       日本住宅公団理
       事        川口 京村君
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  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七
 年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣
 提出)
○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十二回国会内閣提出)
○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十二回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、上田耕一郎君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き大蔵省の決算について審査を続行いたします。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 質疑を始めますが、何か大蔵大臣がちょっとおくれているようでありますから、大蔵大臣が入ってきたらすぐ大蔵大臣の質疑に切りかえますので、それまでの間、順序を前後いたしますが、まず会計検査院、いろいろ再審査をされる約束をこれまでされてきたんですが、いわゆる田中金脈問題、これについて現在中間報告ができる状態ですか。
○会計検査院長(白石正雄君) 検査の経過の報告でございますので、担当局長から答弁さしていただきます。
○説明員(高橋保司君) お答え申し上げます。
 事務的なことでございますから、私からまずお話し申し上げたいと思いますが、さきの当委員会におきまして、事務総長から、関連法人としまして十五社をあげまして、それについて見直しをやっておるというような御答弁を申し上げました。その後、上司の命令によりましていろいろ調査をしておりますが、調査の内容というのは、課税関係について出てきます、計算証明によって出てきますいろんな書類でございますが、その書類は申告書なり、あるいは決議書なり、申告書に添付される財務諸表その他勘定の内訳表というごく簡単なものでございますが、それにつきまして鋭意チームを組みましてやっております。
 その内容でございますが、私たちどういう点に着目を置いてやっているか申しますと、これらのものにつきましては、すでに大部分のものにつきまして検査を済ましたものでありますが、新聞紙上並びに雑誌、それから国会におけるいろいろな論議を通じましていろんな資料が提供された形になっていますし、いろいろの考え方が提示されていることでありますので、こういうことを参考にいたしまして、まず十五の法人につきまして法人税が適正に処理されておるかどうかということが一つのねらいでございます。それから第二に、この法人と個人との取引関係がいろいろふくそうしておるわけでございますが、個人、法人とのいろんな取引関係を通じまして、個人の所得税にどういう影響があるかというような点を、まあ二つの点を着目して検討しております。
 調査の内容の詳しいことにつきましては、現在調査の続行中でございますので申し上げられませんが、たとえば資本金の動きであるとか、あるいは借り入れ金なり貸し付け金なり仮勘定の動きであるとか、あるいは損益勘定から申しますと、顧問料の動き、顧問料の大きさ、支払い先、あるいは手数料というようなものにつきまして、いろいろな疑問を摘出いたしまして検討しておる段階でございます。いずれ国税当局におきまして税務調査が完了し、税務の処理を、何らかの処理を済ませたところで、それぞれの税務署なり国税局に出向きまして奥地検査を実行し、いままで集めた諸資料とともに会計検査院としての最後の判断をいたしたい、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 いま言われたその会計検査院の田中関連企業十五社、これで建設業者の登録の大臣登録あるいは知事登録名簿に記載されているもの、いないもの、すべて類別をしてちょっと建設省報告してください。宅建業登録、さらに施工業登録と分けて。
○説明員(大富宏君) お答えいたします。
 関連十五社の中で、宅地建物取引業の免許を持っているものが六社、建設業の許可を受けている業者が二社でございます。建設業の許可を受けている二社は、いずれも大臣許可でございまして、田中土建工業と日本電建の二社でございます。その他は知事の許可も受けておりません。それから宅地建物取引業の免許を受けている業者は、田中土建工業、それから三建企業、日本電建、国際興業、新潟交通、越後交通、六社でございます。
○和田静夫君 そうしますと、確認をいたしますが、浦浜開発、房総観光、パール産業、田盛不動産、東邦企業、北海道電建、室町産業、新星企業、東京ニューハウス、これは宅建業の登録も施工業者の登録も受けていない――よろしいですか。
○説明員(大富宏君) 御指摘のとおり受けておりません。
○和田静夫君 そこで、この登録をされていない場合は、世にいうもぐり業者、または税金のがれのための会社であると一般的に指摘をされるわけですが、そう確認をしてよろしいですか。
○説明員(大富宏君) まず、宅地建物取引業関係から御説明申し上げますと、宅地建物取引業法では、免許を受けないで宅地建物取引業を行なった者には罰則があるわけでございますが、一体宅地建物取引業という解釈はどうなっているかということが問題でございます。宅地建物取引業というのは、一般の不動産業と違いまして、一つの定義を書いてございますが、一般には、不特定多数の者を相手といたしまして売買仲介等の行為を継続して、または反復して行なう行為ということでございまして、具体的には、一体相手方をどういう選定方法をとったかとか、広告の有無があるか、あるいは報酬を得ているかどうか、あるいは売買の規模がどうだったかというようなことを総合的に勘案して判断するわけでございますので、免許を受けてない、不動産の売買をやったというだけで宅地建物取引業違反というわけにはまいらないと思います。
 それから建設業法につきましても、建設業の許可をとらないで建設業を営んだ者については同じく罰則があるわけでございますが、ただ、建設業法では、建設業法の許可を受けないでも、軽微な工事につきましては、ある一定の規模については認めているわけでございまして、その範囲でございましたら建設業の許可をとらなくても適法に建設業がやれるということになっております。
○和田静夫君 建設業のほうは、三条に該当するかどうかというのはかなりこまかい部分がありますからあれですが、いま宅建業で答弁がありましたが、たとえば不特定多数を相手にしながら、継続的に室町産業が仕事をしたことがない、あるいは新星企業が仕事をしたことがない、そういうふうにあなた言われるわけですか。
○説明員(大富宏君) いまも申し上げましたように、関連十五社の中では、宅地建物取引業の免許を得ないで宅地建物取引をやっているという問題が一つあるわけでございまして、
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
その中で特に売却行為によるもの、もともと宅地建物取引業につきましては、消費者保護という観点からできた法律でございますので、売却行為ということによって消費者が迷惑をこうむる、それをなるべく取り締まろう、規制をしようというのが法律の目的でございますので、もっぱら売却行為を行なっている二社、室町産業及び新星企業にだけ現在のところしぼって宅地建物取引業違反であるかどうか調査をやっておる段階でございます。室町産業及び新星企業の責任者を呼びまして、いまのところはもっぱら陳述を主として聞いているわけでございますが、陳述の裏づけになりますところの、実際、契約がどうなっているか、まだ契約の照合の段階まで完了いたしておりませんが、そういう観点から、この二社につきましていま調査を行なっております。
○和田静夫君 その他の浦浜開発にしたって、あるいはパールにしましても、この委員会ではたびたび論議の対象になってきました。そこで、警察庁としては、いままでの答弁、昨日あったようでありますからあれですが、警察庁としては、これに対してどういう措置をおとりになりますか。
○説明員(荒木貞一君) お答えいたします。
 お話の事案につきましては、ただいまお答えがありましたとおり、関係の省において行政的な立場において詳細な調査が行なわれておるところでございまして、警察庁といたしまして、その調査結果に基づきましてお考えなり資料なりをいただいて、具体的な措置について検討を明確にしてまいりたいと思っておるところでございます。
○和田静夫君 警察庁としては、この約一ヵ月間、参議院決算委員会で世にいう田中金脈問題というのが問題になってきて、そしていま述べました、たとえば十五社に限って言えばこれらが数々指摘をされてまいりました。これに対して独自の調査などはおやりになってはいませんか。
○説明員(荒木貞一君) 警察庁といたしましても、得られる資料につきましては関心を持って検討をいたしておりますけれども、警察的な措置といたしましては、特に対人的な調査が必要になってくることが多いわけでございまして、その事案につきましては、第一に関係機関が調査をして、お呼びになって、資料もおとりになっておるということでございますので、核心に触れる問題につきましては、あくまで調査の結果に基づいていたすことが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
○和田静夫君 私はちょっと視点が違うので、いま大蔵大臣がお見えになりましたらその論議はいたしますが、税務当局からの答弁もずっとこれまで聞いてきましたけれども、税務当局そのものが実は疑われている事件です、これは。田中さん個人が疑われているだけじゃない。税務当局の行政そのものが疑われている。建設行政そのものが疑われているわけです。したがって、その疑われているところの役所が一定の見解を示さなかったならば、警察当局としては調査をすることもできないということにはならないと私は思っているんです。その点についてはどうですか。
○説明員(荒木貞一君) お話のとおり、警察は独自の立場において、その実態なり真相を見きわめていくということが大切であり、その立場であるわけでございますが、関係機関においてその真相を究明するために最善の努力が尽くされておる、そういう姿に対して敬意を表しつつ、その結果によって処置いたしたいということでございます。
○和田静夫君 くどいようですがね、守秘義務の論議もあとでもう一ぺん大蔵大臣とやりますけれども、御存じのとおりの状態なんですね。こういうような頑迷固陋な状態でもって、みずからのいわゆる行政的な立場を守るために調査が行なわれ、あるいは事実が隠蔽をされていく、こういう状態というものは、もう一言で言ってみれば、国税庁のあるいは態度であってみたりするわけですから、その調査の結果が信憑性があって、それに依拠して調査をして進めるのだということには、これはもうならないのだと思うのです。私はこの事犯というものは、政治的には早い、短時間でもって解決をすべきだと、こういう考え方を持っていましたから、十月二十五日は小委員会提案などというようなことも実はやってみたんですがね。そういう観点に立てば、もっとあなたのほうでの独自の調査というものが進められなければならぬと思うのです。そういうお考え方に立って協議をされるなり、そういう立場をおとりになるという、そういう御判断はいまありませんか。
○説明員(荒木貞一君) 警察庁といたしまして重ねて申し上げますが、近い機会にこれが正しいものという立場において結論がお出しいただけると思います。ですから、そういう立場において、それがすべて真相であるかどうかという問題については、その後において検討される必要もありますし、和田先生のようなお考えに立っての検討のしかたもあろうと思いますけれども、やはり一生懸命調査をして結論を出したい、そういうような結果について、警察の処置について要請すべきものは要請があるというそういう段階でございますので、そう長い期間ではございませんし、正しい結論が得られるというような考え方を持っておりますので、そういう立場において、警察としても、得られる資料につきましては関心を持って検討をしておる。しかし、これはあくまで人の関係が明確になりませんと、その真相が究明できませんので、いましばらくひとつそういう態度で継続中のことを御了解いただきたいと思います。
○和田静夫君 法務大臣急いでいらっしゃるようですからね、前後いたしますが、不動産登記法による錯誤の取り扱いなんですがね。これは私、昭和四十五年に、実は今日この決算委員会でも問題になっていますところの新潟県柏崎地域の原発用地問題で論議をして、登記簿などを見て非常に驚いたのですが、この柏崎の原発予定用地十五万六千坪が、当時の刈羽村の村長木村博保さん、錯誤でもって、これが室町産業に移る、そうして錯誤でもって木村さんに返る、そうして東京電力へ、こういう形のことが一連あったのです。私は、これは今日見てみますと、こういう転売のパターンというのは、田中角榮さんの関連会社土地ころがしに見る特徴的なケースなんです。で、これを一つとして取り上げた場合、一件として取り上げた場合には、錯誤という取り扱い方が不動産登記法にあるから、それは合法であるというように済まされてきたわけです。しかし全体、関連企業全部をながめてみて、同じような手法、錯誤によるところの書きかえというものが行なわれているということになってきますと、これはまず事務当局での答弁でしょうが、民間の弁護士が錯誤の取り扱いで申請をする場合には、必ずしも法務の出先ではスムーズにいきません。関係者を呼んで確かめてみるとかいうことがずっとやられながら、非常な時間をかけて錯誤というものが取り扱われている。ところが、田中さんの関連企業に対する登記上の錯誤の取り扱いというのは、いとも簡単に行なわれているんです。これは何かほかからの力が働いたと今日類推をせざるを得ませんが、そういうことはありませんか。
○説明員(川島一郎君) 今度の問題に関連いたしまして、錯誤による抹消登記というのが幾つか指摘されておりますことは私も承知いたしております。
 この錯誤による抹消登記というのは、もう先生御承知のとおり、登記が何らかの理由によって間違ってなされた場合に、その登記を消滅させてもとに戻すという登記でございまして、登記法の手続の中におきましてはそういう登記も認められておるわけでございます。で、登記の手続でございますが、これは御承知のように形式審査でございまして、書類を提出いたしますと、その書類に基づいて登記官が判断をして、そして書類が整っておればその申請にかかわる登記をするという扱いになっております。ただいま先生、錯誤による抹消の登記の場合には関係者を呼んで調べるのではないかというお話でございましたが、そういうことは一切いたしておりません。登記所はすべて形式審査――書類のみの審査によって処理をいたしております。まあそういうわけで、特にこの事件に限って特別な扱いをしたのではないかというようなことは全然ございませんので、その点は御了承を賜わりたいと思います。
○和田静夫君 そうしますと、これ大臣、先ほども申しましたように、一つ一つのいわゆる錯誤による取り扱いのケースは、いま答弁をされた形です、一つ一つは。ところが、田中系関連企業全体をまとめてみますと、同じ時期に同じような形でもって錯誤で移り変わる――手法は一つなんです。そうすると、この錯誤の取り扱いというのは作為を生んでいますよね、明確に。今日財産が形成をされてくる過程で土地ころがしが行なわれ、そしてその土地ころがしは錯誤という不動産登記法による手法によって行なわれてきた、こういう形です。これは大臣、大臣という政治家の判断からして妥当だとお思いになりますか。この辺のところはもっときびしくやるというような形での法に対する再検討というようなものが必要じゃないでしょうか。
○国務大臣(濱野清吾君) 登記事務の形式的なやり方に第一欠陥があると判断いたします。これは何とか是正していかなきゃならぬ、こう思います。さらにまたお説の土地ころがしの事実、そして何かそこに好ましからざるムードがあるんじゃないかと、こういうお説の問題につきましては、私としてはまだ明確な事実をつかんでおりませんから、この場合は積極的な意見は差し控えたいと存じます。
○和田静夫君 前段の錯誤の取り扱いの問題についての大臣答弁をそのまま受けておきたいと思います。けっこうです。
 大蔵大臣お見えになりましたから、大蔵大臣に入りますが、よろしいですね。
 限られた時間ですからあれですが、もう一ぺん私はきょう守秘義務の問題について大平大蔵大臣の見解を幾つか尋ねておきたいと思うんです。このことは本委員会でもいろいろ問題の提起がありましたし、私自身も行ないましたし、あるいは議論が重ねられてきました。相当明確になっています、これに対する税務事務を扱う国税庁の見解ですね、国税庁の再調査の結果を待って、どう国民の疑惑を晴らすか方針を考えたいとする、こういう政府の態度。これは私はなぜそんなに税務資料の提出をかたくなに拒まれるのか、実のところ理解できません。けさ新聞を読みましたが、大蔵大臣、昨日も大蔵委員会でいろいろのことを述べられています。ただ、資料の問題については、田中金脈問題に関する国民の疑惑を解消するために、この理事会等を通じて委員長として一そう努力が続けられると思いますから、議会の調査権や守秘義務に関する詳細な解釈論争をここで私は実は蒸し返そうとは思いません。戦後の議会史で守秘論争の資料を全部集めましたから、ここで蒸し返そうとは思わぬのですが、私は、今回問題になっているところの税務資料提出の可否の問題というのは、この税務事務を扱う一つの役所がその中での問題として行政サイドの論理を押し通していくならば済むという、そういう性質のものでは私はないと思うんです。で、この問題はより実は高度な国政運営の根本にかかわる問題であると私は考えます。
 そこで、大蔵大臣としての大平さんというよりも、国務大臣としての大平さんに、また、現代保守政治家、保守政党の代表的な指導者としてのその大平さんにもう一度、いま私が考え方として述べたことについて明確な見解を求めたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) これまで本委員会その他衆参両院の関係委員会におきましてこの問題が提起されたわけでございまして、大蔵省だけでなく政府全体といたしましてお答え申し上げました筋は和田委員におかれても御高承のことと思います。言いかえれば、税法上規定されておりまする守秘義務は尊重しなければならぬ、したがって、税の調定にかかわっておる者がこれを守らなければならないことはこれ当然の義務であろうと思うのであります。しかし一方、国会が広く深く御審議される、あるいはさらにそれが発展いたしまして国政調査権を御発動に相なるというような場合、行政府といたしましてどういうように対処して――これを尊重し、御協力申し上げにゃならぬ立場にある行政府としてどうすべきかという問題が別の視点からあるわけでございまして、政府の見解は、この守秘義務を守ることと国政調査権を尊重することと、両方ともいずれとも優劣をつけがたいものであるという見解でございます。したがって、問題は、個々のケースに通じて、この問題、秘密を開示することによって失う法益と守られる法益とを比較勘案いたしまして、ケース・バイ・ケースできめるべきものであるというのが、いわば守秘義務に関する政府の見解でございます。で、この見解は、田中さんの問題が起きたから変わったわけではないわけで、終始一貫政府はそういう方針をとってきておりまするし、田中さんの場合におきましても、問題が提起された段階におきましても、今日までそういう態度を終始とってきておるわけなんでございます。で、田中さんの問題が起きたから変えたというとこれはなおおかしくなるわけでございまするし、私どもそういうことはすべきじゃないと考えておるわけでございます。
 しかしながら、一面、この田中さんにまとわる疑惑を一掃しなけりゃならないじゃないかということが、一面そういう要請があるわけでございます。で、こういう法制上のたてまえになっておる中で、疑惑を解明するにはどうしたらいいかということでございまするが、私はこの委員会でも御報告申し上げましたように、今度の問題が提起されて以後、田中さん並びに関連しておると称せられる部面とにからまる課税問題につきましては再調査をいたしますということを申し上げ、いま鋭意調査を進めておるわけでございます。万々間違いはないと思いますけれども、そこに人間のやることでございますから、非違がありましたならば、これを是正しなければならないと考えておるわけでございます。それで、徴税当局を預かる私の立場といたしましては、この私どもの再調査というものに御信頼を置いていただいて、税務が田中さんの場合においても適正に執行されておるということに御信頼を賜わりたいと考えておるわけでございます。
 一方、田中さんは、政治家といたしまして、前前からいずれ自分の立場を明らかにしたいということでございましたし、昨日の退陣の声明におきましても、みずから、いずれ自分のこの問題に対する見解を明らかにするということをお約束されておるわけでございます。私は、税務当局といたしましては、やるだけのことをやるということでございまするし、田中さんは田中さんとしておやりになるべきことを御自身の判断でおやりになるということを通じて、この実相が解明されて疑惑が解けることを私は期待いたしておる次第でございます。
○和田静夫君 大臣、私先ほど大臣がお見えにならぬときもちょっと言ったんですがね、こういう考え方持っているんですよ。現在私は、田中総理大臣の個人所得なり、あるいはいわゆる田中ファミリーを構成する一連の人々が経営をする企業、それらに対する課税状況を追及するのは、一つには、田中総理自身の経済活動やその資産獲得の根源に公的地位を悪用した不公正な事実がありはしなかっただろうかという問題すなわち田中角榮さん自体の財産形成の過程を明確にしたいという意味が一つあります。もう一つは、大蔵大臣や総理大臣や、あるいは政権を担当している与党の要職を絶え間なく歴任をした人、言いかえれば、世の中でいわれる時の権力者、そういう人に対し税務当局がどのような行政を行なってきたのか、課税がはたして公正であったのかどうかという調査、そういう意味の二つの面があるんですよ。国税庁長官を私は呼んでおるんですが、何の話もなくて次長お見えになっているんだが、国税庁長官を実はお呼びしているのは、私は三光汽船問題で当時次長であった人とやりとりをした経過もあるから長官に出てきてもらわなきゃならぬのですが、すぐ呼んでもらいたいんですけれども、この二つの意味が、大臣、あるんです。
 で、このあとの場合、私が述べた後者の場合、すなわち税務行政の執行状況そのものが問題とされている場合は、国税庁と、それを監督する大蔵大臣――それはだれが大蔵大臣、大平さんで、だれであろうが、別であります、だれが大蔵大臣のいすにすわっていらっしゃるかという個人の問題ではなくて、行政機関そのものが国政の調査権の前に平たいことばで言うならば被告席に私は立たされているんだと思うんです。で、いままでの国税庁の答弁をずっと一貫して聞いていますと、その姿勢がないんですよ、実は。自分たちのやり方に国民から疑いが出てきているという意識が全然ない。しかし実際はそうなんですよ。一体税務署のやっていることはまともだったんだろうか、田中さんの申告云々よりも、一体時の権力者に対してだいじょうぶだったんだろうか、その疑いのほうが一般国民の中からは強いんですよ。その認識というものが実はない。この疑惑が晴らされなくては私は税務行政に支障が起きると思うのです。御心配になっているような答弁のような内容でもって税務行政に停滞が起きるんじゃありませんよ。で、私は税務資料を出して国民の疑惑を晴らすほうが、資料を隠して国民に疑惑を持たれるよりもいま必要なんだ。そして大平大臣は、いままで一貫して実は政府の態度は変わっていないんだと言われますが、それは違っています。それは後ほど私は全部資料を出しますが、やはりこの場合には政府の態度は変わっているんです。昨日も繰り返し国税庁は、田中氏関係の資料を出すと税務行政に差しつかえるというような言い方を言っていらっしゃいますが、それは反対なんです、私の後者の理由づけからいって。この点、私は間違ってもらっては困ると思っているのです。この種の問題は国税庁の役人の判断する問題ではもちろんありません。政治家として大蔵大臣が判断すべき問題でありましょう。法律問題ではなくて、民主政治家としての判断が私はいま問われている、そういうふうに考えます。そういう立場に立って大臣の所見を承りたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) 税務行政に地位利用その他権力に弱いところがあるんじゃないかという疑惑がぬぐい切れないものがあるという、で、それは、それを晴らすことを考えなきゃいかぬじゃないかという御指摘でございます。で、いま、たびたび私も申し上げておりますように、いまの所得税法、法人税法、御案内のように申告納税制度をとっております。したがって、申告者の協力を必要とするわけでございますし、八百万人前後の申告納税者がある、それに携わる税務職員が一万人余というように私は思いますけれども、したがって一人一人の所得を完全に把握、掌握いたしまして、ちり一つ残さないような課税ができる状況にあるかというと、物理的に不可能でございます。したがって、納税者の御申告、できるだけ誠実な御申告をお願いいたしまして、それをたよりに税の調定をすると、そしてわれわれの持っておる要員の能力の範囲内におきまして実態、実地調査もすると、そしていままでやったことに脱漏がなかったか、非違がなかったかという点を見直してやってまいっておるのが今日の税務の実際の執行でございます。
 で、私は、そういう中で特殊な勢力あるいは権力、そういったものに税務署がき然として中正な立場をとって厳正に税務を執行すべきものと思います。もししかし、税務署も、税務職員も人でございまするので、あるいは特殊な勢力、特殊な権力というものに弱い面が私は全然ないということをここで公言するほどの自信はありません。ありませんけれども、もしそういうことの事実がございましたならば、御指摘をいただきまして、これを直していかないと、税務の公正な執行できないと思うんでございます。それで私は日本の税務行政は世界的に見て非常に高いモラルと技術を誇っておると思うんでございます。で、日本の税務行政というのは相当高く評価していただいて差しつかえない能力、信用を内外に私は持っておると思うんでございますが、和田さんの指摘されたような歪曲が部分的にもあるというようなことがあってはならないわけでございますので、そういうことがないようにわれわれも十分戒めてかからなければいかぬわけでございまするし、国会におかれましても御注意がございますならば、私どもにお示しをちょうだいしたいものと私は考えております。
○和田静夫君 大蔵大臣、もうちょっと時間残っておるんですが、官房長官ちょっと限られた時間ですから、官房長官の質問入れますが、この田中内閣ができた、そうしてその内閣と与党自由民主党の裏舞台を竹下さんずっとささえられてきた、そしていま官房長官になられました。きょうは私はあらゆる面にわたって実は多くのやりとりを用意をしていたんですが、どうしてもあなたの時間とれないということで、わずか五分間ということにならざるを得ませんでした。非常に残念ですが、端的に質問いたします。
 まず第一に、昨日田中総理は辞意を表明されました。あなたの代読という形で国民にその決意が表明されました。これを聞いた国民は異口同音に、ついにというような形で考え込み、そしてむなしさを味わったわけでありますが、私はこの一ヵ月間本委員会を舞台に展開された、いわゆる田中さんをめぐる金脈問題と金権政治、この中で失われた日本の政治と政治家に対する不信というものについて、お互いが真剣に考えて、その反省の上に今回のできごとを日本の民主政治の発展と国民生活の回復のために教訓として生かすことがなかったならば、あまりにも日本の政治史の上から見て、政治史的に犠牲が多かったということにしか私は後世ならないと思うんです。よって、今回の一連の中からどうしてもくみ取り、改善をし、制度化しなければならないものが選挙制度なり、あるいは政治資金など多くあると考えますが、時間がなくなっていますから、そのうちの一つだけを述べて、私は竹下官房長官という若い未来のある政治家に決意を実は促したいのであります。
 その前に二つだけ申し上げますが、第一に、これは私の基本的考え方の一つですが、田中さんの金脈問題について、田中さんに公式の場で実は釈明の機会を与えてやらなければいけない、私たちもまた国会議員として、そういう場所を国民の前に用意をすることを義務づけられていると私は一貫して思っています。大平大蔵大臣にも十月二十五日、こういう趣旨のことを申し上げました。竹下さんも、申告したものは自分で公表できる云々、財産公開の方法を模索中であると、最近まあある雑誌で述べられています。本委員会への参考人の招致問題が、実は本来なら昨日から参考人がお見えになってわれわれやりとりもしている形ですが、与党の理事のことばをかりれば、田中さんが釈明された後ということが理由の一つに実はなっているのであります。そこで第一に、釈明の時期と方法、これを官房長官としてはどうお考えになっているのですか。第二に、役人のいまの守秘義務との関係はもう少しあとで大蔵大臣と煮詰めますが、この関係において、総理の税財関係資料を秘密会で回覧するとかも方法であると官房長官は外で述べられていますが、国税庁はこれを断わり続けているわけです。これはいまあなたと基本論議をするというつもりではありません。私はやらなければならないことは高度な政治的判断の問題であると考えています。そこで、あなたは、外におけるあなたの発言に責任を持つという、そういう意味で秘密会への資料提出を支持するという意思で述べられたものであるのですかどうですか、あなたのお考え方だけをきょうはお聞きをしておきたいのであります。
 最後に、私のあなたに対する提言でありますが、今回の事態から選び出す教訓の一つとして、どうしても私はいま国民的要望と今日なっていると書ってよい国家的要職につく者の個人資産並びに関連資産形成の公表ということ、これはどうしても私は制度化すべきであると考えます。したがって、公的機関による資産調査委、この資産の調査、そういう受理義務を総理など国家的要職につく者に対して制度化するおつもりはありませんか。私はぜひおやりになるように官房長官に提言をいたします。これはもしあなたの官房長官としての立場が今日はたいへん短命なものでたとえばあったとしても、私はあなたの仕事として日本の政治制度改革の基本に残るものであると実は信じます。田中総理の今回の悲劇の中から、田中さんの強大なささえのお一人であった竹下官房長官なるがゆえに私は政治的教訓としてくみ上げてやり遂げるべきだと実は考え、全くの善意で私はその実行を促したいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) ただいまの和田委員からの見解をも含めた御質問でございます。ちょうど四十七年の国会におきましても、事柄こそ違いますが、和田委員との閥で守秘義務問題等について議論をいたした当時を想起しながら誠心誠意お答えしてみたいと思います。
 まず、最初の釈明の時期と場所ということであります。これにつきましては、今日の段階で私の口から申しますことは、いずれ時と場所を得てという表現に尽きるわけであります。一つ一つの問題につきまして、総理自身も過去にさかのぼっていろいろな調査をしておるようでございますが、これが時と場所を得て釈明するには現実まだ完全なものとなっていない。もとより時効内にあります税金問題等がおそらく、早いおそいということから言えば早くなるであろうと思いますものの、その他の問題につきましては、ちょうど人生五十六年のその半分の二十八年間を政治家として国会に御同様議席を得ておりますその長い間のできごとを記憶をも呼び戻しながら精査するには、いましばしの時間をかしていただきたい。和田委員の御質問に対しては、いついつごろという明確なお答えができないことを私も非常に苦痛に感じながら、いずれ時と所を得てという以上のことは言えないのが現状であります。
 それから第二番目の問題につきましては、昭和四十七年の外交機密文書漏洩事件の際に、いわゆる守秘義務と、一方、国政調査権との問題をどこの場所で調和をとるかということについて、私は秘密会を活用するという考え方でもってそれを検討した過去の実績があります。しかし、そのときといえども、結局は一つのサンプルのごとき秘密文書をいわば秘密会の場所で閲覧という形ではなく中身の要点を要約して朗読しながら、このようなものでございますので、公にすることは適当でないものでありますという限界にとどまったわけであります。ところが、このたびの問題はいわゆる税務執行上の守秘義務ということになりますと、私もその後いろいろ勉強いたしてみますと、やはりたとえば私自身が私の申告したものを出してもよろしいとかりに言っても、私は税務執行上当局はこれは出すことができないものである。で、さらに、私自身が申告したものはこのようなものでございますと個人として提出して、そのものは税務当局へ提出されたものと同じものであるかという先生から御確認の意味の御質問をいただいても、私は同じものであるとも答えられないというのが、いろいろ議論をしてみますと、今日私が到達した結論であります。
 で、したがって、秘密会であると公開たるとにかかわらず、公式の場で、秘密会等を――秘密会ならば資料が出せるかと言われる御質問に対しては、これは税務の執行上、秘密会たると公開たるとを問わず提出するわけにはまいりませんというお答えにならざるを得ないわけであります。で、その上さらに、その秘密会等を活用して、どういう国政調査権と守秘義務との調和をはかっていくかということについては、個々の具体的な問題については、私もいろんな場合を想定して考えておりますが、残念ながら一つの形式としてこういうものならいかがでしょうかというような結論にいまだ私自身達しておりません。したがって、これも和田委員の御質問に対してははなはだ御趣旨に沿いかねる答弁になりますが、公式に答え得るとするならば、公開たると秘密会たるとを問わず、資料の回覧というような行為をすることはできないというふうに申さざるを得ないわけであります。
 それから最後の御提言でございますが、私も、若いというおことばをお使いになりましたが、和田さんより二つぐらいたしか年が上だと思って二年前に計算してみたことがあるんでございますが、お互い一人の政治家として公の立場にある者が絶えずみずからの、私的公的たるとを問わず、引き締めて、みずからの職務に忠実であらなければならないという考え方は同意見でございますが、いわゆる財産公開、そうしてそれを受理する義務を与えるというようなことに関しましては、私なりの今日までの見解をすなおに申し述べますならば、いわばそれはどこまで限界とすべきかというような点については、非常に議論の多いところではなかろうかと思うわけでございます。しかし、御提言の趣旨そのものは、内閣官房長官竹下登ではなく、和田さんと同じゼネレーションに、今後とも政治活動を続けるであろう――まあ続けるであろうと申しますか、選挙がありますから落ちることもございますけれども、続ける希望を持っておる私といたしましては、和田さんと同じ心境で取り組まなければならないと、このようには考えております。
 はなはだ失礼な答弁になりましたことをお許しいただきたいと思います。
○和田静夫君 官房長官どうぞ。最後のところ期待をしておきますから。
 それで、何か大蔵大臣も今度は、これ委員長との約束であと一問だけの時間しかないというんでたいへん残念なことになってきましたが、一つだけ、もう少しさっきのやつをあれしますが、あとは残られた国税庁とやりますけれども、ちょっとその認識の違いがあるんです。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
私はここに参議院の先例集を持っています。で、これに基づきますとね、いまから二十三年前、この参議院の決算委員会で二重煙突事件というのがありました。これはたいへん注目を浴びましたが、時の焦点になった人は大橋武夫法務総裁であります。で、このとき税関係の資料提出が委員会として必要になりました。で、決算委員会が議長を経由して資料を要求をしました。国税庁及び税務署は所要の納税関係の資料を提出をいたしました。これはちゃんと参議院委員会先例録の昭和四十三年版一五〇ページに載ってます。すなわち、「議長を経由した報告又は記録の提出要求一覧表」という中に、この二重煙突事件に関してちゃんとあるわけです。昭和二十六年の五月二十九日国税庁長官に対して要求されて、同じく「所謂二重煙突事件に関し田中平吉の納税証明書に関する件」、これについても昭和二十六年五月二十一日足利税務署長あてに要求されて、それぞれ後日資料が提出をされています。委員会はこれらの資料をもとに審査をして、小委員長の審査報告の中にも税関係についてはっきりした結論が掲載されています。今回の田中総理の金脈問題について大蔵省が守秘義務の規定をたてに納税関係の資料提出を拒んだことは、こういう国会の先例に違反するものです、実は。一つには提出して、一つには拒否する。この理由は、大平大蔵大臣のおことばではありますが、どうも相手が田中さんなるがゆえに、総理大臣なるがゆえに、自由民主党総裁なるがゆえに――所得税法のこの守秘義務の規定というのはですね、すでに明治時代から実はあります。二十三年前と今日では法律上の取り扱いは同様であるはずであります。なぜ取り扱いを異にしたのか。総理のときは断わり、一般の大臣のときにはこの取り扱いはやった、こういうことに大蔵大臣、なるのであります。
 また、納税関係の実情についてもですね、この委員会の審査ではしばしば国税庁当局から答弁がありましたが、なぜ今回の田中事件に限って貝がふたをしたような、かたくなになったのだろうか、そこが実はわからないのであります。
 一例をあげますと、二年前、これもくしくも田中総理の問題でありましたが、問題になっている光明池の問題について、衆議院決算委員会で問題となった際に、興亜建設株式会社の滞納について委員から質問があった際に、国税庁徴収部長相原三郎君は、この「滞納上額についてお答えいたします。現在滞納額は徴収決定済みが九億九千三百万ございます。この金額は、昭和三十八年五月一日から四十年四月三十日までの事業年度についての更生決定分でございます。」、そしてこの九億の滞納は結局そのままになってしまった形勢のようでありますが、ともかく二年前には国税当局はこのような数字まで発表しているのであります。なぜ急に税関係の資料発表についてきびしくなったのか、私にはそれがわかりません。二年前ですが、二年前のことであるとしても、この相原部長の守秘義務に違反したとして罰則適用がされるということにあなた方はいまお考えなのですか。私は国会答弁がなされる場合に、所得税法等の解釈について、「漏らし又は盗用した」というのは、これは明確に個人的にこっそり秘密を伝達するというような場合、天下に公にする場合というものとは、一国の総理のいわゆる疑惑についてそれを解明をするために天下に公にする場合という意味のものをこの法文は含んでいない。私はそういうふうに実は考えます。
 そこで、大蔵大臣にたくさんの論議をいたしたかったのでありますが、時間でありますから、申し上げておきたいのは、今日の資料提出の問題というのはやっぱり国政運営の基本構造にかかる重要問題であるのであります。大臣も私の言わんとするところは十分実は御理解いただいていると思うんですが、この既定の税務行政のワクの中でしかものを見ない、あるいは税務関係者の見解や、あるいはその域を出ない答弁ではこれは問題にならぬ。で、私はこの大平大蔵大臣が戦後の国会の憲法上の地位というものを、長い政治家としての、あるいは大蔵省のこの官僚としての立場から十分に御理解になっているはずだと実は思います。また、議会政治におけるところの有力なあなたは指導者でありますから、よい慣行というものをつくらなければならない任務をあなたこそがいま私はお持ちなんだと思うんです。そして国民の目は多くあなたにいま向いているんです。私は、何が国益か、何が民主政治の健全な発達か、何が発達に役立つかというそういうことを大蔵大臣大平さんは十分に御存じだと思うがゆえに、この資料の提出の問題については大局的な立場からやはり私は処断をされるようにこの機会にあなたに希望を実はいたします。
 そこで、私は、いままさに総裁心得の一人としてと言ってもいいぐらいの大平さんに、大平さんは、先ほど私が官房長官とやりとりをした、国家的要職におつきになったときに個人資産を公表される御用意がありますか。この前段と後段二つについて御答弁を願います。
○国務大臣(大平正芳君) 国政調査権、あるいはそれに至らないまでにいたしましても、国会の御審議に当たりまして行政府はどのように御協力申し上げなけりゃならぬかということにつきまして和田委員の御見解拝聴いたしました。あなたの言われる趣旨、私理解できないわけではないわけであります。しかしながら、行政府は行政府の言い分があるわけでございまして、国会と行政府の間におきまして相互の理解と尊敬の上に立って、あなたが言われるような意味におけるよき慣行が成熟してまいること、日本の議会民主主義の発展の上から申しまして非常に望ましいことでございまするし、私どももそういう方向で努力していかなければならぬと考えます。
 それから第二段の公職につく老の財産公表の問題でございます。私は、公職につく前にお互い国民のきびしい審判を受けて政治に携わる立場になっておるわけでございます。したがって、日常坐臥私ども政治家といたしましては、この負託にこたえたモラルというものを守っていくことが大切であると思います。それは法律によって義務づけられようが義務づけられまいが、政治家として当然考えておらなけりゃならない責任であろうと考えておるわけでございます。しかし、特定の公職につく場合にこういう規制が必要じゃないかということが客観的に成熟いたしまして立法となるということはあえて私は反対ではございません。現に内閣におきましても、御案内のように入閣をいたしました者は私法人の役員になることができない。あれは官吏服務紀律から申しますと、上長官の許可を得ればいいことになっておるわけでございますけれども、しかし、そういうことがございましても総理大臣は許可しないということをあらかじめ宣告いたしまして、各人が守っておりまするし、また公益法人に、報酬を得て公益法人の仕事をするというようなこともいけないということに――そういうことの申し出があっても許さないということでございまして、すでにそういったことは永年の慣行として成熟してきておるわけでございます。したがって、そういうことは私はそれなりに意味があると思うんでございますが、繰り返して申しますように、それよりも何よりも前に、政治家としての自覚におきまして、立法、慣行があろうがなかろうが、やっぱり政治家としては厳粛にみずからのモラルというものに対して常住坐臥気をつけていなけりゃならぬものと私は考えます。
○委員長(前川旦君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記を起こして。
○和田静夫君 答弁者側でいろいろこう出入りするもんだから整理がつかなくて困っているんですが。それじゃ守秘義務の問題はもう少し最後にあれしますが、国税庁は、再調査をされている中間報告というものをいまできる状態にありますか、簡単に一言。
○説明員(磯辺律男君) まだできる状態でございません。
○和田静夫君 私は、国税庁の再調査との関連で明らかにされなければならないことで、一つ注文的なことをつけておきたいと思うんです。
 いわゆる田中総理大臣の所得と不動産購入の関係というのがやはり一つ大きな問題だと思うんです。政治資金がプライベートなことに使われているのではないだろうかという疑惑は今日蔓延をいたしています。この今日国民の間に存在をしている雑所得申告とのかね合いということが、私は再調査でやはり煮詰められなければならない問題であると思っておりますが、これらを含んで、昨日来の答弁があったように大体今月中には結論が出ると見ておいてよいんですか。
○説明員(磯辺律男君) 今月中には一応のめどを立てられると思っておりますけれども、いろいろと問題がふくそうしておりますので、それはわれわれの事務の流れとして一応の区切りをつけたい、それからさらにまた次の段階へ進んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○和田静夫君 じゃ、少し具体的な問題で二、三の問題に大蔵省との関係で入ります。
 田中金脈問題。その前提になるものの一つに、先ごろ東銀協が国民協会への十月から十二月までの三ヵ月分会費を当分の間見合わせる、こういうことをきめて東銀協から自民党へそれを発表されたときに、流れているところの選挙資金、いわゆる貸し金ですね、自民党の側からいえば借金、これが今日百億円にのぼっている。銀行は自民党に対して、選挙のつど企業からの政治献金の未納分を引き当てにつなぎ融資に応じて資金が流れたといわれています。これはどんな方法で、年利何%でやられているんですか。銀行局当局おわかりになっていますか。
○説明員(高橋英明君) 東京銀行協会に所属しております一部の都銀が自由民主党に対しまして融資が行なわれていることは事実でございます。ただ、その具体的な内容になりますると、一応私契約でございまするし、それからまだ銀行サイドあるいは融資者のほうからも公表されていることではございませんので、具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。
○和田静夫君 どうも具体的に申し上げることは差し控えたいという答弁ばかりになりそうですが、それじゃ私のほうで、時間の関係もありますから。たとえば幹事長名で単名手形が出て、そしてそれを振り出せば大体九・二五から九・五ぐらいの年利でもって出ている。一流企業並みの最優遇措置の金利で取って銀行が融資をしているところもある。こういうリスクの大きいもので、しかも無担保で応ずるという、これはおおよその大口貸し出しの場合通用することですか。
○説明員(高橋英明君) 銀行の融資に当たりまして担保を取る取らないということ、これはそのときどきによって違うことと思います。従来の取引ぶり、あるいは相手の信用度、あるいはごく短期のつなぎであるといった性格の場合に、無担保でお貸しするということは一般に行なわれているところでございます。現在都市銀行の融資を見ますと、融資の中の四〇%が無担保で行なわれております。したがいまして、間々あることであるということではないかと思います。それから大口ということでございますが、総体、グロスとしては大きくなりますが、各行別に割りますと、かなりの額ではございますが、いわめる超大口といったような額にはならないと思います。
○和田静夫君 こういうやり方で流れる資金というのは政治資金の変形であって、政治資金そのものじゃないかと思うんですが、自治省、どうですか。
○説明員(土屋佳照君) 私どもとしては、そこらの金の動きがつなぎでおやりになったのかどうか、そういった実態が全然わかりませんので、正確にそういう場合どうするということはちょっとお答え申し上げかねます。
○和田静夫君 あなたのところでは、こういう実態について調査をする能力をお持ちですか。
○説明員(土屋佳照君) 私どもは政治団体等が収支がありました場合に、報告を――この報告は真実であるという旨の文書を添えて報告をなさる、それを国民の前に公開をして批判を仰ぐ、そういう仕組みになっております。一々の団体について具体的にしていくということはいたしておりません。
○和田静夫君 融資残高、大手都銀九行で約百億円といわれますね。第一勧銀、富士、住友、三菱、三和、三井が大体十億ぐらいずつ、それから太陽神戸と大和が九億ぐらいずつ、これ、銀行局長、回収可能だと見ておりますか。
○説明員(高橋英明君) 個々の資産の評価になりますので差し控えたいと思いますが、私としては銀行の預金債務に見合う金融資産の一部でございますので、回収されることを望みたいと、こう思っております。
○和田静夫君 回収されることを望みたい、しかし、常識的にはなかなか困難だ、こういう答弁ですかね。
○説明員(高橋英明君) その後半のほうは、何とも申し上げられません。
○和田静夫君 通常、土地を担保に金融機関が融資する場合、地価の何割ぐらいが常識の線ですか。
○説明員(高橋英明君) これはケース・バイ・ケースでございますが、七掛けから一〇〇%というところまであり得ると思いますが、大体は七掛けとか八掛けとかというのが通常でございます。
○和田静夫君 山梨県南都留郡山中湖村字大久保一三六〇から六九、それから、同村字大池一四九三から一にかけての五千百坪の土地は登記上埼栄開発株式会社のものになっています。この土地は所有権移転と同じ日に三億六千万円の抵当権が設定をされて、そして、日本信託銀行川越支店から三億円が埼栄に融資されています。これの実際そのときにおけるところの取引は二億八千万円であります。これは常識的な融資じゃありませんね、先ほどの論理からいけば。
○説明員(高橋英明君) 常識的と申しますか、この場合に調べてみましたところ、担保になっておりますのがいわゆる土地と申しましても、工場敷地とか、そういったようなものではございませんで、いわゆる宅造といいますか、別荘地用に開発するといったようないわゆる商品としての土地でございます。商品としての土地の場合には、一〇〇%見ることも行なわれているようでございます。
○和田静夫君 この埼栄開発株式会社は、これは大宮市桜木町二丁目一五にあるんですが、これは埼玉県草加市瀬崎町九二一にある谷古宇甚三郎ささんを代表者とする谷古宇産業など谷古宇グループと俗にいわれる約十五社のうちの一つであります。このグループの資本金は約八千万円。これに対して日本信託銀行が二百億円も一時貸した。四十九年十一月現在でも百億円以上が残っている。これは全く常軌を逸した過剰貸し出しの典型ではないでしょうか。
○説明員(高橋英明君) 日本信託銀行がかなり不動産部門について積極的に貸しておるということは承知しております。いま先生がおっしゃいました数字が過剰であるかないかという判断は一がいにはできませんが、いずれにしましても日本信託銀行の貸し出しの中としては大口でございます。特定の会社あるいは特定の業種に集中して貸すということは好ましいことだとは思っておりません。
○和田静夫君 この日本信託銀行の一つの支店の貸し出しの限度額ですね。これは大体どんなものですか。
○説明員(高橋英明君) ただいま承知いたしておりません。
○和田静夫君 これは大体百六十億前後。そうすると川越支店が谷口宇に二世億出したということは非常に不自然なんです、これ。四十八年十一月に大蔵省銀行局が立ち入り検査をされたはずですが、その結果はどういうふうに判断されましたか。
○説明員(高橋英明君) 私どものほうで立ち入り検査をしたと申しますが、これは通常の銀行検査として行なわれたものでございます。検査に参ります場合に、大体全店を見るということはできませんので、本店とおも立った店三ヵ店ないし五ヵ店、あるいは十ヵ店といったようなところに現地に行って調査するというのが通常の検査のやり方でございます。日本信託の場合、川越支店が急激に伸びておりますので、そういう店は臨店するという対象になることがこれまた通常でございます。検査の際に川越に臨席したと、川越だけではございませんが、ほかの店とともに臨店したということは事実でございます。検査の結果どうであったかということは、検査の内容でございますので、申し上げることはお許しいただきたいと存じます。
○和田静夫君 川越に支店が四十四年に――時間がなくなりましたから私のほうで一方的に言いますが、できた。ところが、どうもこれは谷口宇グループとの関係だけが対象のような気がしてしようがないのであります。日本信託銀行はまさに銀行の常識を破って、預金者やあるいは株主に対するところの背信行為と言ってもいいような政治貸し付けのにおいのする出し方というものをこれらの事態の中でしているように感じ取られます。どう考えても資本金四千五百万円の埼栄開発に六十億近い大金を貸し付ける日本信託銀行は健全な運営ということが言えるのだろうかということを考えまして、この経営の内容を明らかにしろと言ったところで、いままさにあなたのほうは困りますという答弁になりましょうから、答弁は聞きませんが、そもそも銀行とそのダミーとしての不動産会社ですね、これが土地ブームに便乗して、あるいは土地ブームをみずから演出して太った事態というのは、この田中内閣になってから非常に大きな問題になっているんですが、今後もこういうような動きを一般的には大蔵省は放置をされますか。
○説明員(高橋英明君) 土地取得関連融資といったようなもの、そういうものにつきましてはすでに通達を出しまして、自粛しろということで、まあ一時のブームのときから見ますると、そういった関連の貸し出しは鎮静化してきております。
 それから最初のダミーというおことばでございますが、銀行が自分の店舗等々のためにややダミーと申しますか、不動産所有のための、銀行の営業に必要な不動産を所有するために会社をつくって持っておるということは許されますが、その範囲を逸脱しまして、一般の不動産業といったようなものになるものとはせつ然と分けまして、そういう店舗の管理運営をやるというようなごく限定された範囲の不動産会社は銀行が持ってもよろしいと。一方、一般的に宅造をやったり、そういう一般の不動産業者と変わりないような不動産会社の性格を帯びるようなものからは銀行は資本も引き揚げなさい、人も引き揚げなさいという指導をやっております。
○和田静夫君 もう時間がありませんからあれですが、一緒に質問しますがね、日本信託銀行の前の社長さん、現在の社長さん、これは三菱からの移入の人事ですね。日本信託銀行と三菱銀行の合併という話が巷間伝えられているんですが、これは答弁できるかどうか知りませんが、そうですか。
 それから日本信託銀行の取締役前会長大川又三郎さんというのは国際興業系列のニューエンパイヤモーターの設立時から昭和三十八年十月まで監査役をつとめられた方、これは間違いありませんね。
○説明員(高橋英明君) 日本信託銀行の社長は二度続いて三菱銀行から行ったということは事実でございます。三菱銀行と日本信託銀行が合併するかどうかということは私は承知いたしておりません。
 それから、その前の大川社長が国際興業の監査役であったかどうか私は存じません。
○和田静夫君 そういう関係にありました。
 さらにもう一つ。これは十月二十五日、私は三協物産の問題について質問をして、大蔵省は大光相互銀行の貸し出しについて調査を約束されました。その結果について報告を求めます。
 同時に、大光相互銀行に対して昭和四十八年十月に検査が行なわれておるはずです。これは間違いがないと思いますが、その検査内容、あるいは何か示達をされましたか。
○説明員(高橋英明君) 前回先生からの御指摘がございまして、三協物産に対する大光相互からの融資、これは三協物産がすでに倒産いたしておりまして、数字を申し上げても差しつかえないと思いますので申し上げますが、三協物産が倒産しました本年の六月でございますが、そのときの大光の信用供与の残高は二十三億ほどでございます。四十九年の九月、その後減りまして、現在は十九億六千四百万円になっております。
 それから大光相互につきまして検査昨年行なっておりますが、これは先ほど申し上げております一般の定例的な検査をやったわけでございます。検査をやりますると、一般的にその銀行に対しては示達というようなことはいたします。示達の内容につきましてはこの席で申し上げることはお許しいただきたいと思いますが、全般的に検査をしました感触を申し上げますと、大光相互は、これは衆議院でも御指摘を受けたんでございますが、不動産業、建設業といったようなものに対する融資のウエートが高いというようなことで、特にそれは四十六年ごろから積極的にやっておった拡大――まあ拡大主義といいますか、積極主義というのが少し行き過ぎてるんではないか、こういう印象を受けました。
○和田静夫君 それでいま言われたとおり、衆議院の大蔵委員会のやりとり等から概括してみて、どうも大光相互銀行は大口化、集中化の営業傾向が強過ぎる。また、土建業や不動産業に貸し出しが片寄っている。事実、構成比三三%であるなどということがあるのですが、大光相互がふしぎなことに三協物産に対してはすべてと言ってよいほど、すべてではありませんが、すべてに近いほど二番担保であります。これは事実ですが、三協物産は八千代、平和相互、三井銀行など百億の負債を持ったまま倒産したのでありますが、そのうち二十億円という最高のこげつきが大光相互である。もちろん大光相互にも一番担保のものがあります。静岡県の山林、群馬県の山林がそれでありますが、しかし、いずれも調整区域であって開発されるかどうかは全く不明であります。で、もう一つ担保の取り方の例をあげますと、たとえば銀座のソシアルビル、これは典型でありますが、第一が平和相互の一億五千万、第二が大光の三億、第三が大光の三億、第四が大光の十億円という形であります。大光の計はかくして十六億円、こういう形になっているのです。ところが問題の三協物産は、田中角榮氏系の政治団体に七百万円の政治献金を行なっている。また、大光相互銀行そのものが越山会佐藤昭氏所有の港区赤坂の土地を担保に田中氏糸企業パール産業に一億五千万円の融資をした事実がある。こうなりますと、金融界の常識を破る片寄った、しかも政治的においての発散する貸し付けが行なわれているということになるわけであります。二十億は不良融資、こういう形のものに述べてかまわない性格のものにひとしいとこう思うのですが、大蔵省、どうお考えになってます。
○説明員(高橋英明君) 私ここで債権の断定をいたすのはちょっと差し控えたいと思いますけれども、銀行からの説明によりますると、いま先生御指摘のように、二番抵当のものが多いが一番抵当もあり、回収には自信があるという報告を受けております。
○和田静夫君 最後に、先ほど私が大平大蔵大臣に述べましたように、参議院の先例集の中には国税庁、ちゃんと発表されるものはされているわけです。したがって、田中総理なるがゆえにという形のことで守秘義務だけをたてにとるということにはなりません。私は結果的には大平さんの答弁というものを納得するわけにはいきませんが、ここで最後に述べておきたいのは、国税庁自身が、先ほども申しましたように、国民から見れば疑惑を持たれているわけです。行政機関が調査を拒否してよいという規定は一体どこにあるのだろう。行政機関が、公務員個々の守秘義務というやつはありますが、そういうものは一体どこにあるんだろう。そんな規定は日本の法律のどこにもありませんよ。ただ、議院証言法の第五条の関係があるだけであります。そこで私は税の行政、いわゆる税務行政そのものが疑いを持たれているという視点から、行政管理庁として、行政管理庁は一体この独自の調査を税務行政全体に対してされるそういうおつもりがあるのか、また、今日まで税務行政について一体行政監察をどういう形でおやりになって、そして勧告をされたことがあるのか、この二つに分けて答弁を承りたいと思います。
○説明員(大田宗利君) 行政管理庁では過去三回税務行政につきまして監察を実施しております。第一回は三十一年、徴税に関しまして実施しております。それから第二回目は昭和三十三年に消費税、酒税の間接税を中心といたしまして実施しております。それから第三回目は昭和三十九年に所得税、法人税、資産税等の直接税を中心といたしましてそれぞれ監察をいたしまして所要の勧告をいたしております。
 そこで、これから監察を実施するかどうかという御質問でございますけれども、行政管理庁では現在当面の重点施策としましては、人命の安全というものを中心といたしまして監察を実施するという方向にしております。すでに第四・四半期につきましてはそういう方針で所要の計画を現地に流しております。したがいまして、実施するということになりますと、来年度ということになると思いますけれども、この点につきましては長官とも御相談いたしまして、時期を見て検討いたしたいというふうに考えております。
○委員長(前川旦君) それでは、午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時四十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十三分開会
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 午前中に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、大蔵省の決算について審査を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○案納勝君 まず冒頭に、時間の関係もありますから、きょうお呼びをいたしている会計検査院長については、先ほど同僚議員からの質問がありましたので、短縮してまいります。
 まず冒頭に私は、残念ながら大蔵大臣がお見えになっていませんから次官にお伺いをしたいと思います。
 今日までこの決算委員会の集中審議の過程で、守秘義務等の問題もあって金脈問題については疑惑が深まるばかりで、何ら究明されずに今日、田中総理の退陣意思表明ということになりました。この金脈問題は単に田中総理個人の問題として国民から追及されているものではありません。そのことは次官もよく御存じだと思うんです。これは自民党全体の今日までの金権的体質といいますか、あるいは長期にわたる独裁的な保守党の政治によって、財界との密着あるいは官僚政治等を通じての国民不在の政治が国民から指弾をされている、こういうふうに今日言わざるを得ないと思うんです。この問題の解明がない限り、今日与党である自民党内部で次期総裁、総理の問題が論議をされているのは茶番劇としか国民の目に映りません。こういう重要な今日の段階で、私はこの決算委員会の集中審議を通じて明らかになっているのは、田中総理の金脈というよりか、まさに日本列島改造でなく、日本列島総買い占め、田中ファミリーによる、あるいは金権と結びついた政治による総買い占め、こういう状態というものが国民の前に明らかになろうとしています。そういう点についていまほど私も政治家の一人として、端くれとして国民に対する責任の重大さを痛感するんです。そういう立場から私は大蔵大臣の見解をお聞きしたいと思っておりましたが、それも自由になりませんので、次官として、大蔵政務次官としてこの問題の疑惑を究明をしていくという立場に立ちながら、今日の国民から問われている政治課題についてどのような決意、どのような考えで対処しようとしているのか、この辺についてお伺いをいたしたいと思います。
○説明員(柳田桃太郎君) 本件につきましては、田中総理がおやめになりましても一納税者としての国民の疑惑は解けるものではありませんので、本件については、税務資料の見直しをいたしておるということは再々答弁申し上げておるとおりでございます。なお、第一期的な、中間的な一つのめどを今月末までに何とか仕上げようという考えで進んでおりますけれども、この調査の結果、もし徴税漏れとかあるいは見落としとかいうようなものがありますれば、当然これはそういうような更正をするのは言うまでもないことでございますが、その場合にこの内容をどういうように公開するかということについては、さきに大蔵大臣が答弁を申し上げておりますとおりにまだはっきりどういうものをどう公表するかということの踏み切りが大蔵大臣としてはついていないわけでございます。したがいまして、これについては誠意をもって見直しておるということはお認め願いまして、あとは大蔵大臣がいまケース・バイ・ケースで処理しようということを御答弁しておられますので、その線に沿って今後ともやっていきたいと考えております。
○案納勝君 次官、私は守秘義務の問題の取り扱いについていま質問をしたんではないんです。いまの答弁は、先ほど同僚議員や今日までの同僚議員の質問の中で答弁をされてきたのと一向に変わりばえしない。私が言っているのは、単に田中ファミリー、田中金脈問題ということで私は指摘しているのじゃない。いまの時期におけるこの問題、政治家としての責任、特にあなたは与党議員であり、大蔵省の政務次官、いま問われているのは、まさに今日までの自民党の政治、いやその政治自体、日本の政治自体の信を問われているわけです。先ほど言うように、日本列島総買い占めといった今日までのやり方、産業本位の国民不在のやり方について問われている。その一環が実は金脈。そういう面で私は、今後これらの取り扱いについて次官として、政治家としてどう決意をして取り組んでいこうとしているのかということをお聞きしているのです。その点お伺いします。
○説明員(柳田桃太郎君) 政治があくまで清潔であり、そういった金脈等の疑惑が起こらないようにするのは、政治家として当然のつとめであります。これに対しまして少なくとも国民の疑惑が生じておりますことは、田中総理も「不明、不徳のいたすところ」という釈明をいたしておるようでありますが、政務次官としては当然かような疑惑が起こらないよう政治家としては今後処していくのが当然であると考えております。
○案納勝君 それでは私はいま私が申し上げました立場に立って、成田空港周辺の田中ファミリーにかかわる問題について幾つか質問をしていきたいと思います。その前に資料は回されたかな。いま委員や説明員のほうにある資料を配付をいたしておりますが、若干ミスもありますけれど、それは後ほど説明をします。これを見ながらひとつ御回答いただきたいと思います。
 まず私は、いま見直しの調査をやっているという、そういう立場に立っている国税庁、大蔵省に質問をしますが、福田組の問題についてお伺いをしたいと思います。
 福田組は御案内のとおり新潟の県では大手の一つの土建業であります。この福田組はすでに文藝春秋等でも明らかなように、田中ファミリーの有力な実は一角をなしていることは明らかにされている。今日幽霊会社として言われて問題になっております東京ニューハウス、この住所は、電話も含めて福田組にあることはすでに明らかです。また福田組は四十七年上期から四十八年上期にかけて田中系の政治団体の政治献金が常連として行なわれていることも御案内のとおりいままで指摘をされてきた。そこでこの福田組から田中系の政治団体へ政治献金が幾らされているか、この辺について自治省にお尋ねをしたいと思います。
○説明員(土屋佳照君) お尋ねの政治団体に対するお示しの会社からの寄付は、四十七年の上期でございますが、越山会に百万円、それから財政調査会に二百万円、新政経振興会に二百万円、それから政治経済調査会に二百万円ということでございまして、四十七年下期と四十八年上、下期は寄付はなされておりません。
○案納勝君 それでは重ねて。福田組には多くの小会社がありますが、小会社からの政治献金はどうなってますか。
○説明員(土屋佳照君) 御案内のとおり政治団体ごとには私どものほうには通知がまいっておりませんので、ある会社がどうなっておるかということは、その面からはちょっと直ちに拾いにくいわけでございます。
○案納勝君 そこで、この四十七年の上期というのは、御案内のように自民党の七月に総裁選挙が行なわれて、いま問題になっている巨万の札束が乱れ飛んだといわれるときであります。政治献金の時期等についても、これらと符牒を合わして他の多くの企業からの献金が集中しているのもまたこの時期であります。ところで、ここに新潟市の船江町二の一六八にある北日本集成材工業株式会社というのがあります。この北日本集成材工業株式会社から、田中角榮糸の政治団体への政治献金は幾らになっていますか。
○説明員(土屋佳照君) ただいま申し上げましたとおり、越山会そのものをいま調べれば、その越山会にどれだけ来たということはすぐわかると思いますが、ちょっと会社名でいますぐここでわかる資料を持っておりませんので、後ほど調査しまして……。
○案納勝君 これは四十七年の上期に政治献金が百万円出されていることが明らかになっています。そこでこの北日本集成材工業株式会社と福田組の関係です。この福田組の社長が北日本集成材工業株式会社の代表であり、福田組の取締が福田誠さんですか、社長であり、取締の中に現建設大臣の小沢辰男さんが取締としておられるのであります。小沢さんは御案内のとおり今日まで自民党の経理局長、そして田中さんの分身として今日まで実は自民党内での御活躍をされております。今回建設大臣になられました。しかもこの福田組――田中派のファミリーの有力な一郭である福田組との関係において、この小沢さんの建設大臣であり取締役を就任をされているこの北日本集成材工業株式会社と福田組は、その意味でさらに福田組が北日本集成材工業の大株主であり、福田組の株を北日本集成材工業は五十三万株取得、表裏一体の関係にあるわけである。先ほど申し上げた東京ニューハウスとそうして北日本集成材工業とのしかも建設大臣が取締として入っているこの関係と田中総理との関係は、まさにファミリー以上のたいへん金脈としての大きなきずなが実はこの中に隠されている。この辺について建設省の次官にお尋ねしますが、現建設大臣の小沢辰男さんは北日本集成材工業会社の取締で間違いないと思いますが、これを確認願いたい。
○説明員(中村弘海君) 確かに取締役であったことは知っておりますが、現在はやめておられます。
○案納勝君 現在はやめたというのは、いつやめたんですか。
○説明員(中村弘海君) 四十六年の十二月の二十日に就任なさいまして、四十九年十一月十一日に非常勤取締役をやめておられる次第です。
○案納勝君 まさに茶番劇といいますかね、私は大臣になって就任日にやめたと言っても、このことがね、おおい隠すことはできません。そこで、いま明らかにいたしましたように、福田組を中心にする田中総理の幽霊会社との結び、田中総理とのファミリーの関係、さらには現建設大臣である小沢さんが今日まで取締役としてそれで表裏一体の関係でこの福田組、田中角榮、田中総理の関係の中で存在しておったということは明らかになったと思うのです。
 そこでお尋ねをしたいのですが、この福田組の、これは法務省にお尋ねしますが、持ち株の関係、株の変動の関係のわかるような点をお聞きをしたいのですが、持ち株の状況はどうなっておるのか、福田組についての持ち株の状況はどうなっておるのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
○説明員(清水湛君) 御承知のとおり法務省におきましては商業登記、つまり会社の登記を通じまして会社の実態がある程度わかるということがあるわけでございますけれども、株主の持ち株数等につきましては、その種のものを登記所に提出するような法制には現在なっておりませんので、私どもといたしましてはこれを承知することができないという状態でございます。
○案納勝君 登記をする際に、授権資本と実株の資本関係については一定の許可を得なくちゃならないようになっていると思う。その際に添付書類をつけなくちゃならない、こういうのが明らかになっていると思いますが、これらについて資料として提出を願いたいと思います。
○説明員(清水湛君) 会社の設立の登記の場合などには、その株式を引き受けたということを証する書面というようなものを設立の登記の際に添付することになっておりますので、場合によってはそういうこともわかる場合もあるわけですが、そういう申請書類提出の添付書類というのは登記が済みましてから五年間保存しておりまして五年の期間が過ぎますと廃棄するということになっております。したがいまして、もし保存期間内であれば、そういう添付書類というものがある場合もあり得ますけれども、一般的には株主の数を明らかにさせるという意味でそういう書類を提出することになっておらないということでございます。
○案納勝君 それじゃ次に進みますが、ここへ図解をしたのがお手元に配付した資料と同一であります。いまから幾つか指摘をしながらお尋ねをしたいと思います。(図を示す)
 私が質問をしようというのは、千葉県の印旛沼郡の富里村に日吉倉という土地があります。この土地は成田市の周辺であって成田の駅から四百メートル、市役所から約二百メートル、五十一号線沿いの、ある意味では成田にとっては一等地と見てもいいぐらいのところである。いまこの三十万坪が買収を進められておる。そこで、お聞きをしますが、成田周辺の開発についての建設省の今日までの開発計画の進展について、あるいは開発計画について御説明をいただきたい、次官から。
○説明員(大富宏君) お尋ねの富里の地区は都市計画区域外でございまして、建設省がやっておりますところの都市計画事業その他の面的開発というものは現在計画されておりません。
○案納勝君 それじゃ、結局富里村というのは無指定地域になっているわけですね。
○説明員(大富宏君) そのとおりでございまして、いわゆる白地地域でございまして、ここでやる開発については都市計画法上の開発許可を要しないところでございます。
○案納勝君 自治省にお尋ねしますが、千葉県として、この地域における都市開発計画関係についての規制を条例で定めたというようなことについてお聞きしていませんか。
○説明員(大富宏君) ちょっと私説明が足りませんでしたが、千葉県におきましてはこの都市計画区域外のいわゆる白地地域につきまして乱開発が行なわれないように千葉県の条例がございます。宅地開発の基準に関する条例というものでございますが、この条例に基づきまして、都市計画法上の開発許可ではございませんけれども、宅地開発についての設計基準について申請をさせまして、そこで行政指導をやっている実情でございます。
○案納勝君 そういう土地の日吉倉ですが、三十万坪、この買収の必要な資金は約百億をこえるのであります。そこで、この買収、さらには当たっている主たる会社は、ここにある富士建興業という資本金五千万円の会社、この富士建興業の資本金五千万円の会社は、水光社、タウン開発、新潟コンピュータ・サービス、これが富士建興業をメイン興業としてそしてあと全部協力、そして出資関係にあるわけです。この四社は、台東区東上野二−十三−八、同一社屋に存在をしている。いま先ほど私説明をしましたが、福田組という、田中組という――田中総理とのファミリー関係は明らかになったと思いますが、この富士建興業の社長は坂本義雄さん、これは福田組の元参事、現地の不動産業界等では――出向をされて会社の設立をされた。またこれに書いてありますように、水光社の代表取締役猪股祐一郎さん、さらにはタウン開発の代表井林さん、これらの方々は各企業各会社に代表もしくは取締役あるいは監事ということで就任をされている。網の目のようにお互いにグループ企業なんです。そしてこの猪股、井林さん含めて福田組の出身者です。そしてさらに富士建開発というのが千葉にある。この富士建開発は同じようにこの坂本義雄さん、猪股祐一郎さんがそれぞれ代表及び取締役。ところが千葉にある、成田にある富士建興業に電話をすれば、富士建開発が出る、富士建開発に電話をすれば富士建興業、全く同じところなんです。ある意味では同一人が電話に出るという、よく言うパール産業、東京ニューハウスと同じような、えたいの、実態のない会社なんです。このほかにもう一つ参画をしているのが新潟コンピュータ・サービス、これは後ほどお尋ねをします。この新潟コンピュータ・サービスは新潟相互銀行の実はダミーです。この三十万坪の買収についての要するに抵当権者は新潟相互銀行になっているので、そして一部東京往生不動産株式会社、往生土地株式会社が参画をして、その根抵当権は住友生命保険相互会社、私がいまから言おうとするのは、実はこれから上(図の上部を示す)なんです。住友生命の根抵当関係でなく、これから上なんです。この三十万坪の二千筆の不動産のいまの土地の買収について、富士建興業から千葉県庁あて買収その他の資金計画が提出をされている。それによると、新潟相互銀行は、この富士建興業から提出をされた、これが中心企業でありますが、この日吉倉の土地の買収に二十五億一千六百四千万円、さらに水光社から資金が出されているのが十七億、タウン開発から出されているのが二十四億、新潟コンピュータから十二億、そして後ほどこれも質問しますが、このほかに融資として横浜南農業協同組合が十億、富士建興業の取締役の一人である丸山という人が二億五千万、野村和夫さんが五億、百七億六千六百万、約四千万円、四百万円ですか。そういう総体の資金計画があるんです。要するにこの福田組の中心にする田中ファミリー、そのファミリーによって新潟相互銀行、そして福田組からの元参事の坂本義雄さんを中心にする福田組グループ。グループ企業としてこの新潟相互銀行で約二十五億というようなダミーの資金を入れると三十七億というような、実は新潟相互銀行からの貸し付け融資が行なわれているわけです。いま申し上げましたように、私はここで建設省関係に質問したいのは、宅建法上あるいは地方自治体の施行法上の登録というのが富士建開発、富士建興業、水光社、タウン開発、新潟コンピュータというのは持っているかどうか。まずその点だけ。
○説明員(大富宏君) お答えいたします。
 富士建興業は建設大臣免許による免許を持っております。
 それからタウン開発は東京都知事の免許を持っております。それから水光社につきましても東京都知事の免許を持っております。新潟コンピュータ・サービスは新潟県知事の免許を持っておりますが、富士建開発は免許を持っておりません。
○案納勝君 さらにお尋ねをしますが、そうするとこの富士建興業、水光社、タウン開発、新潟コンピュータ、これはそれぞれ免許があるわけですね。ないのは富士建開発だけですね。そこでお尋ねするのは、法務省にお尋ねしますが、いまパール産業や東京ニューハウスや室町産業等、今日問題になったところの幽霊会社、これらの幽霊会社に対する法務省としての、どのような見解を持っておられるのか。これらについて、そしてこれらの幽霊会社等については、どういう措置を今後ともとることを考えておられるのか。法務省のほうから答弁してください。
○説明員(清水湛君) 私どもといたしましては、会社というものは株式会社法の規定に従いまして、所定の定款を作成しあるいは必要な総会を開き、登記をするということによりまして法人格が取得される。その後解散、清算というような手続がされない限り、法人としての存在するというふうに考えているわけであります。ただ、お尋ねのように会社として法人格を取得しながら、たとえば倒産等がありまして、その倒産のその事後処理もしないまま、登記簿上は会社として存在しているというような実体を欠く会社というのが、わが国にはかなりあるということが、ある程度の調査の結果でわかったわけでございます。そこで今回の、今回と申しますか、前国会で通過成立いたしました商法の改正によりまして、新たに四百六条の三という規定を設けまして、一定期間登記をしていないというような会社につきましては、登記所のほうから営業をしているかどうかというようなことを問い合わせまして、所定の期間内にそういう返答もないというような会社につきましては、法律上当然に解散したものとみなすというような規定を設けまして、本年度におきましては十月一日に法務大臣の公布をいたしまして、このような手続を現在とっておるということの次第でございます。
○案納勝君 重ねて質問しますが、いま私が説明しましたように富士建興業、水光社、タウン開発、この三社の関係者役員相互の件ですかあるいはグループ、そういう関係についてどういうふうにお考えになっていますか、グループ企業というものに対して。
○説明員(清水湛君) 私どもといたしましては、具体的な個々の会社の現在の役員がどうであったとかというようなことにつきましては、産業登記簿で知ることができるわけでありますけれども、具体的な個人的な関係というようなことについては、ちょっと承知いたしかねるということでございます。ただ会社の登記簿というものは、法務省で所管しておりますので、必要であればそのものについては資料として提出することができるかと思います。
○案納勝君 大蔵省にお尋ねしますが、まず銀行局にお尋ねします。新潟相互銀行の融資の制限といいますか、相互銀行法上の制限額は幾らになりますか。
○説明員(高橋英明君) 相互銀行は、いわゆる自己資本の二〇%までというのが大口の限界になっております。新潟相互銀行の場合は、いわゆる自己資本といいますのは百六億四千四百万円でございます。したがいまして二〇%という限界は二十一億二千九百万円でございます。
○案納勝君 それじゃいま二〇%といえば二十一億でしたね。そうすればここへ融資をしている二十五億一千六百四十万円というのは、明らかにオーバーをしていると、こういうふうに解釈されますが、そのとおりですか。
○説明員(高橋英明君) その千葉県庁に出した計画書というのがどういうものであるか私存じませんけれども、銀行から聴取いたしましたところによりますと、富士建興業あるいはタウン開発、水光社といったようなところに実際に貸し出しておりますのはいずれも十億未満でございまして、二十五億という貸し出しにはなっておりません。
○案納勝君 その場合に、債務保証の場合も含まれるわけですね。
○説明員(高橋英明君) 私ども大口融資を判定いたします場合に、債務保証額は除外して計算しております。
○案納勝君 さらにもう一点お尋ねをします。この新潟相互銀行の融資貸し出し状況の内訳はどういうふうになっておりますか。
○説明員(高橋英明君) 新潟相互の場合、業種別に申し上げますと、ことしの三月末で製造業は三〇・四、卸小売りが二五・九、個人が一二・一、サービス業は一〇・七、建設業が九・三、不動産業は六・五といったような融資構成になっております。
○案納勝君 六・五%。そして四十八年九月末の融資残高は九十二億八千六百万円というのがこの有価証券報告書総覧の中にあるのですが、間違いありませんか。
○説明員(高橋英明君) そのとおりでございます。
○案納勝君 それじゃまず先ほどの貸し出し制限額の問題別にしても、いま新潟相互銀行で九十二億八千六百万円という貸し出し融資残額、この中に二十五億という大口貸し出しが行なわれているというのは健全だと思いますか。正常だと思いますか。
○説明員(高橋英明君) 二十五億の貸し出しが行なわれておるとは思いませんけれども、一応大口融資の限界が二十一億何がしでございますので、それをこえる貸し出しがあってはならない、かように考えております。
○案納勝君 あったらどうしますか。
○説明員(高橋英明君) ありました場合には法定限度内に押えるように指導いたします。
○案納勝君 現に、まず一つは二十五億一千六百四十万円という金額はすでにこの金額で土地買収が進んでいる、そしてしかも残高証明が実はここにあるわけですがね。で、これらの中について現実に貸し出しが行なわれている、融資が行なわれているということになれば明らかに不良貸し付けであり、法律違反だということは明らかなんです。あわせてもう一点聞きたいのは、融資残高が九十二億八千六百万円しかないにかかわらず、このような融資が行なわれているという新潟相互銀行の業務自体があなたは正常と思いますかどうかと先ほど聞いているんですが、その辺どうですか。
○説明員(高橋英明君) 二十五億の貸し出しが行なわれておるかどうか、これは私どもがいままで銀行から聞いたところでは行なわれておらないわけなんですが、またこれから調査いたします。
 それから九十二億という不動産業全体の貸し出しの中でかりに一社に二十五億あったらおかしいかということでございますが、まあ業種別の範囲内である一社が大きいということはそう大きな問題ではないんではないかと私は思います。
○案納勝君 さらにダミーについてお尋ねしますが、この新潟相互銀行のダミーである新潟コンピューターサービス、代表は大森健治さん、新潟相互銀行の社長、そして大森竜太郎さん取締役、このダミーについて、こういう相互銀行が不動産売買を行なうようなそういう会社をダミーとして設立することについてどうお考えになっていますか。
○説明員(高橋英明君) 実は新潟コンピュータ株式会社と申しますのは昭和四十五年にコンピューターを入れまして銀行の計算事務というものをやるという目的で設立されたものでございます。で、まあダミーと申していいのか、関係会社であることは間違いございませんが、社長が兼務をしております。資本的には九%ほどの資本をもってほかの株主、一般の株主とでできておる会社でございます。私ども一般に金融機関が計算事務のためにコンピューター設備を主とする会社を関係会社として持つことについては別段いけないというような指導はいたしておりません。ただこの会社若干問題がございましたのは、発足当初は計算事務ということでございましたが、四十七年でございますか、定款を変更いたしまして不動産業務をやるというようなことに性格が変わったわけでございます。あわせ持ったわけでございます。そこでいま私どもとしてはむしろこれはどちらかに徹してもらいたいということで、まあ不動産業務というものを分離するか、あるいは不動産業務を相変らず続けていくならば、むしろ役員を引き揚げるとかあるいは株式の持ち分比率を減らすようにというような指導を現に行なっているところでございます。
○案納勝君 このコンピュータ・サービスで現実にこういう不動産業をやっていることについてあなたどう思いますか。
○説明員(高橋英明君) 実はこのコンピュータ・サービス会社というものは、私の直接所管する、監督する会社でなくて、一般の会社でございますので、まあ私が批判するわけにはまいらないと思いますが、銀行が関係している会社でございまして、そういう会社の場合には通常は銀行の計算業務をやるというような会社であれば当然だろうと思いますが、不動産業務をやって性格が変わってきたという場合に、銀行の関係会社であるということは好ましいとは思っておりません。
○案納勝君 これは私はもう一回調べていただきたいのです。私の手元によりますと、目的の一項から八、コンピューター関係については目的の項から削除をされ、残っているのは各不動産及び売買及びあっせん等の項目について登記が残っているように私のほうでは明らかですが、これらについては早急に資料を提出してもらいたい。
○説明員(高橋英明君) そういうふうになっておりますれば、いよいよもって銀行が関係するのはおかしいと思います。これは調べまして資料は提出いたします。
○案納勝君 もう一つお尋ねしますが、相互銀行が今日までの変遷の中で、さまざまな先ほど同僚議員からの質問でも問題になっておりますが、五千万円程度の土建会社に二十五億からの融資を行なうということがはたして正常なのか、この辺についてどうお考えになりますか。
○説明員(高橋英明君) 一般に宅造のためにはたいへん巨額な金が要りますので、宅造会社相手にする融資の場合、その融資額が巨額になりがちでございます。しかも相手のほうが四、五千万円あるいは数億といったことが多いことは御案内のとおりございます。まあ実際問題としては土地神話といったようなもののバックのもとに会社というようなものではなくて、その土地といったようなものの担保価値というものに引きずられて融資が行なわれたというような傾向があったことはいなめないところでございます。今日になってみれば多少行き過ぎておったなあという感じはいたします。
○案納勝君 行き過ぎだと思っておられるならばどういう措置をとるお考えですか。
○説明員(高橋英明君) 個別の融資でございますので、それに私が融資回収命令といったことはできないことでございますが、一般的に土地融資、土地取得関連融資といったようなものにつきまして乱に流れました数年前のことを反省いたしまして通達を出して、それから土地関連取得の融資は伸ばさないようにというような指導をやっておるところでございます。
○案納勝君 後ほど資料は理事会のほうへ要求しますが、まさにこの一件は銀行と土建屋がぐるになって列島改造ブームに乗って利益追求のためにはとにかく手段を選ばず、そういうふうに狂乱をしている、それがしかも田中ファミリーの有力な一角として行なわれている、こういうことが裏づけられるんじゃないですか。
 私はさらにもう一点、時間がありませんから事実関係について質問しますが、農林省にお尋ねします。農林省にお尋ねするのは横浜南農業協同組合、これが十億この会社に融資をいたしていますが、これについて農協法上からどのようにお考えになっておりますか。
○説明員(岡安誠君) 農協がこの種の会社に融資をするという場合には員外貸し付けということになるわけでございます。農協法上は、員外貸し付けにつきまして特に相手方の制限等は課しておりませんけれども、一般的にはその農協の定款で規制をするというのが通例でございます。ただ、横浜南農協の現在の定款によりますれば、員外貸し付けの相手方につきましては、これが個人であるとか、共同会社であるとか、営利を目的としない法人であるというような制限がございますが、この定款はことしの一月の末に改正をされたわけでございまして、それ以前の横浜南農協の定款におきましては、員外貸し付けの対象といたしまして、相手方の制限、また相手方の住所の制限等がないというのが現状でございます。
○案納勝君 私のところに定款がある。あなたのほうにもあると思いますが、新しく改正された定款の員外貸し付けの基本条項は五十八条だと思います。これは、この中からいま私が指摘をしているこの種の土建業者富士建興業に農業協同組合、単協が十億の融資ができるという根拠はどこにありますか。
○説明員(岡安誠君) したがいまして、かりに融資があったといたしまして、その融資がことしの二月以降に行なわれた場合には、この横浜南農協の定款上は許されないということになろうかと思います。しかし、この定款はことしの一月三十日に改正をされたわけでございまして、かりにそれ以前の融資である場合には、員外者に対します貸し付けの制限は横浜南農協につきましては定款上ないわけでございます。
○案納勝君 あなたはそういうふうに、定款上ない、こういうふうに言われますけれども、農業協同組合の貸し付け業務について農業協同組合法によって厳重に規制をされておるはずであります。定款というよりも、基本法であります。それは、組合員の利益を守って、その上で農協法に定められている目的を達成しようという、その意味での法律であるはずです。しかし、その法律から見ても、実は定款上の若干の疑問はあるにしても、明らかにこれは員外貸し付けで、こういう貸し付けはできるはずはない、こういうふうに判断します。しかも、これは横浜南農業協同組合という単協で、この単協の出資金は八億七千三百万円、こういう内容になっているんです。そういった単協のこの貸し出しが、いま言った、私が指摘をしたように、基本法である農業協同組合法から見ても、私はあなたの言われるように貸し出しについてこれは認められるというようなところにならないと思いますけれども、どうお考えになっていますか。
○説明員(岡安誠君) 御趣旨のとおり、当時の横浜南農協の定款上違反はないといたしましても、やはり農協法の趣旨その他から申しまして、農協に集まっておりました資金をこのように地区外、また目的上からも、農業その他とは直接関係のない業種の企業に金を貸すということは必ずしも適当ではないというふうに考えております。私どももこういうような定款はできるだけ早く模範定款例の方向で改正をするように指導をいたしておりますし、今後、そのような貸し付けがルーズに行なわれないように指導はいたしたいというふうに思っております。
○案納勝君 指導をいたしたいというんじゃなくて、これは直ちに指導をしなくてはならない問題ではないですか。どうですか。
○説明員(岡安誠君) 御趣旨のとおり、現在、総需要抑制の一環からも、農協の貸し出しにつきましては厳重な規制を指導いたしております。この種の融資につきましては、従来の貸し付けもできるだけ一般的に回収をするように、また、新規の貸し付けは控えるように指導いたしておりますので、この農協につきましても、近いうちに調査等をいたしまして、新事実があれば所要の是正措置を講ずるように指導いたしたい、かように考えておるわけであります。
○案納勝君 これは早急に指導をしてもらわなくちゃならぬと思いますが、いま言われたように、どのように指導をしたか、これを明らかに後ほど報告をしてもらいたい、こう思います。
 そこで、私はいままで質問をいたしましたが、時間がありませんからさらに全体の問題について申し上げておきたいと思いますが、先ほどから質問しますように、この富士建興業、水光社、タウン開発、それにえたいのない富士建開発、これはグループの会社であります。グループ企業であります。このグループ企業のあり方は田中ファミリーに常に出てくるやり方であります。おまけに、この三十万坪という膨大な土地の買い占めには土地のころがしが介在をしている。その土地のころがしが介在をしているのは、東急土地開発株式会社というのがある。本社は大阪です。会長は五島昇さん。しかし、その中に取締役として田中勇さん。これは、文春によれば東急電鉄副社長、東亜国内航空の社長、旧越山会の副会長といわれている人です。そして、四十七年上期から四十八年に田中系政治団体から二千九百八十五万七千三百五十円が支出をされているのであります。まさに田中ファミリー・越山会の、しかも最も田中総理と近いといわれている人であります。この人が取締役をやっている東急土地開発株式会社がこの三十万坪の土地の買収を、この富士建を中心とする買収の、しかも一つのころがしの役割りを果たしてきているんです。田中総理のファミリー・福田組、小沢建設大臣との関係、自民党の経理局長、福田組と東京ニューハウスの関係でも明らかなんです。そして、その系列である、しかも新潟相互銀行が、不当なと言って言い過ぎではないダミーのコンピュータ・サービスまで動員をしてこの土地の買収をやっているということは、そしてこれらの一連の問題というのはあまりにもうま過ぎる話じゃありませんか。これは、私は、今日の田中金脈の追及の中で明らかにされているように、政治献金、政治資金の問題について、国民の目にはその透明度が全くないという裏の政治資金をつくる役割りを田中ファミリーとしてつくり上げ、日本列島総買い占めの実態だと私は言っても言い過ぎではないと思います。私は、これらについてあらためて資料を理事会を通じて要求します。さらには、参考人の出席について要求をしたいと思います。これらについて、後ほど資料提出についてのこれら資料については直ちに、すみやかに資料の提出方を要請をしておきたいと思います。
 そこで、最後に建設大臣おられませんから次官にお尋ねしますが、成田空港計画とこの日吉倉団地の買い占めといいますか用地の買い占め、私はこれらの関係の中で地位利用が行なわれなかったとはどうしても言い切れない。そういう中での関係について、建設省のほう及び運輸省も含めまして明らかにしてもらいたいと思います。建設省のほうから成田空港建設計画と、これらの関係についてわかっているなら明らかに答弁をしていただきたい。
○説明員(中村弘海君) 成田空港の問題につきましては運輸省管轄でございますので、私たちはまだそういった資料を持ち合わせないわけでございます。
○委員長(前川旦君) 案納君、時間がきております。
○案納勝君 時間の関係で割愛をした部分がたくさんありますから、いま運輸省の方お見えになっていませんので引き続いてこの質問保留させていただき、続けてやらせていただきます。終わります。
○委員長(前川旦君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記を起こして。
○峯山昭範君 先日から田中総理の金脈の問題等について相当何回にもわたって議論が続けられております。先日十一月七日の当委員会でございましたか、私は特に守秘義務と国政調査権の問題につきまして質問いたしました。特に、その中におきましても私は自治省の地方税に関するいわゆる滞納者一覧表等の公開の問題とあわせて質問をいたしました。きょうはそういう点から私の質問に入ってまいりたいと思っております。
 先日の委員会でもいろいろと見解を求めましたが、そのあと自治省におきましては十一月の十九日の日に自治省税務局長の通達が先般議論された問題につきまして一応統一見解というような形で各都道府県に通知がされた、こういうように聞いておりますが、その内容についてできるだけ詳細にお伺いをしたい。
○説明員(首藤堯君) ただいま御指摘がございましたように、四十九年の十一月十九日付をもちまして、自治省税務局長名で各都道府県知事に対して守秘義務関係の通知をいたしたわけでございます。この内容は地方公務員法及び地方税法に定められておりますこの守秘義務の関係につきまして、「今後は下記のとおり取り扱うことが適当であると考えられるので、その運用にあたって慎重を期し、遺憾のないようにされたい。」といったようなことで、内容は二項目にわたってございますが、第一は、地方公務員法第三十四条第一項の「秘密」とは、一般に知られておらず、他人に知られないことについて客観的に相当の利益を有する事実で職務上知り得たものを言うものであり、地方税法第二十二条の「秘密」とは、これらのもののうち、地方税に関する調査に関する事務に関して知り得たものを言うものであるということを言いまして、したがって、一般的に、収入額とか所得額とか税額等は、地方公務員法の第三十四条の第一項、それから地方税法の第二十二条、この「秘密」のいずれにも該当いたしますが、滞納者名簿とか滞納税額の一覧等は、地方税に関する調査に関する事務に関して知り得たものではないので、地方税法第二十二条の「秘密」には該当しない。しかし、地方公務員法の第三十四条第一項の「秘密」には該当するということを第一に申し述べておるわけでございます。
 第二には、したがって、そのような滞納者名簿や滞納税額の一覧でありましても、一般的には納税者等の利益を保護し、行政の円滑な運営を確保するためには公表すべきでないことはもちろんでありますけれども、議会の審議の場等におきまして開示を求められた場合に、特に議会からたとえば地方自治法の第百条等の規定に基づきまして、――つまり調査権でございますが――その開示を求められた場合においては、議会の審議における必要性とか、納税者等の利益の保護とか、行政の円滑な運営確保の必要性等を総合的に勘案をした結果、その要請に応ずべきものと判断をしたときこれは開示をいたしますが、それ以外の場合には開示をすべきではないものであるというのを第二にいたしております。
 なお、開示をするような場合であっても、でき得れば議会に対してなるたけ秘密会等でお取り扱いをいただくよう要請をするといったような適切な配慮をすることと、大体以上の内容でございます。
○峯山昭範君 この問題につきましては、大蔵省のほうは自治省のただいまの通達についてはどういう御見解をお持ちでございますか。
○説明員(磯辺律男君) 基本的には同様な見解でございます。
○峯山昭範君 基本的には同様な見解ということは、全く同じということでございますか、どこか違うところがあるんでございますか。
○説明員(磯辺律男君) 基本的にはと申しましたのは、国家公務員法あるいは所得税法、法人税法、そういった実定法と、それから地方公務員法それから地方税法それぞれの法律の根拠が違うということが違っているけれども、基本的な考え方は同じであるということでございます。
○峯山昭範君 法律の根拠は違いますけれども、守秘義務そのものについてはこれは変わらないんでございましょう。これはどうですか。
○説明員(磯辺律男君) 守秘義務そのものについての考え方は変わりません。
○峯山昭範君 この問題について、内閣法制局のほうはどういうお考えをお持ちでございますか。
○説明員(真田秀夫君) ただいま税務局長さんのおっしゃったこと、それから国税庁のほうからおっしゃったこと、私のほうも同感でございます。
○峯山昭範君 それでは自治省のほうへお伺いいたしますが、この問題につきまして、従来地方税法の第二十二条の関係で、行政実例というのが先般から問題になっております。私はこの行政実例のほうとからみ合わせて話を進めたいと思うんですが、今回のこの守秘義務の通達をわざわざ自治省の税務局長の名前で出さなければならなかった理由というのは、これは何でございますか。
○説明員(首藤堯君) 守秘義務の問題につきましては、今回の御審議以前、実は前国会におきまして、衆議院の地方行政委員会で、守秘義務の問題につきまして御質疑がございまして、その際、従前の通達等の扱いについて、いろんな疑義を免じておるようなことがあるので、すみやかに見解を統一をしてしかるべき処置をせよと、こういう御指示もございました。そういったいきさつもございまして、三者話をいたしまして、結論を得ましたので、通達をいたしたような次第でございます。
○峯山昭範君 三者というのは、どことどこでございますか。
○説明員(首藤堯君) 法制局、それから大蔵省でございます。
○峯山昭範君 それでは、従来の「秘密漏えいの範囲について」という行政実例がございますが、従来の行政実例はどういうふうになっておったか。その詳細についてお伺いしたい。
○説明員(首藤堯君) ただいま御指摘のございました「秘密漏えいの範囲について」と申します行政実例は、昭和三十三年の六月に出された行政実例でございます。これにつきましては、問いは、個人別の滞納金額の一覧表を書類によって提出をしたり、あるいは個人別滞納金額を口頭によって、たとえば監査委員の監査であるとか、県議会の常任委員会の場であるとか、そういう場合に発表することが、まず第一に秘密漏洩に当たるのかどうかといったような問い合わせでございます。これに対しましては、三十三年の答えは、「秘密漏えいには該当しない。」というお答えをいたしておりまして、なおそのあとにつけ加えまして、「なお、徴税の政策上、個人別の滞納状況を積極的に外部に公表することを不適当とする場合においては、当該事項を取扱いの上で秘密とし、地方公務員法第三十四条の規定に係らしめることができることはいうまでもない。」、こういった内容を通知をした、これが骨子でございます。
○峯山昭範君 それでは、この行政実例に基づいてか何かわかりませんが、現在まで滞納者のリストまたは一覧を何らかの形で、いま局長がおっしやった監査委員会の監査あるいは公開の県議会あるいは常任委員会、いろいろあるでしょう、そういうようなところで何らかの形で公表した府県名についてお伺いをしたい。
○説明員(首藤堯君) いずれも過去のことでございますが、滋賀、佐賀、京都、広島、徳島、この五県が、方法はいろいろございますが、議会の場に滞納額一覧表等を提出をした事実がございます。
○峯山昭範君 これ以外にも、ABCという名前をつけて公表した県があると私は聞いておりますが、これはどうですか。
○説明員(首藤堯君) 御指摘のようにございます。ABC等の記号によりまして出しました県は六県ほどございまして、北海道、東京、神奈川、大阪、熊本、唐崎、こういった府県が、これは記号化をいたしまして提出をいたしております。
○峯山昭範君 それじゃお伺いいたしますが、いまお話のございましたそれぞれの都道府県におきましては、これは滞納者一覧表という、形はいろんな形があるにしろ、個人のいわゆる滞納の金額が公表されているわけです。これは一体どういう根拠によって公表されたのかお伺いしたい。
○説明員(首藤堯君) 先ほどの通達にも、三十三年の実例にもございますように、地方公務員法第三十四条の規定の秘密には、この滞納名簿一覧表等は該当をするのでございまして、地方税法の二十二条そのものの秘密には該当しないと、こう解しておるわけでございますが、この三十四条の規定における秘密は、御案内のように、議会の調査権等との関連におきまして、長がこれを提示をするも差しつかえがない、こういうように判断をいたしまして、これを議会に提示をいたしたものと、このように解しておるわけでございます。
○峯山昭範君 これらの府県では、いまお話がございました滋賀、徳島、佐賀、京都、広島ですね、この五つの県では少なくとも名前が、あるいは個人の企業の具体的な名前が公表されたわけであります。これは地方税法、いわゆる税法の二十二条の秘密には該当しない、いま局長おっしゃったとおりです。しかし、三十四条の秘密には該当をすると、こういうことであります。そこでいまあなたは、私はどういう法に基づいてこれを開示したのか、いわゆる公開をしたのか、こういうぐあいに質問いたしましたら、先日のこの委員会におきましても、あなたは地方議会の長の承認によっていわゆるこれを公開したのである、こういうぐあいに何回も何回も、私は何回も詰めましてもこのことをあなたはおっしゃいました。
 そこでもう一点私はお伺いしておきますが、この地方議会の長の承認がなければ、これはどういうことになりますか。もしも地方議会の長の許可がなくて、これを開示しておった場合は、これはどういうことになりますか。
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
○説明員(首藤堯君) ただいま地方議会の長と御指摘がございましたが、地方公共団体の長でございます。その長の許可を受けまして出しますならば、御案内の地方公務員法第三十四条、これにもそういった機密を出すときには許可を得なければならないという規定がございますので、それによりまして、いわゆる秘密を守る義務が免責になると申しますか、そういうかっこうになろうと思います。
 なお許可を得ずに、その職務上知り得た秘密を当該職員が全然許可を得ることなしに提示をすれば、これは三十四条に違反をすると、こういうかっこうに相なると思います。
○峯山昭範君 そうしますとあなたは、これはもうちょっと詰めておきたいことがございます、地方公共団体の長というのは、たとえばこの滋賀県で申しますと、滋賀県知事でございますか。それ以外の人におりますか。知事または副知事、これ以外に何かほかに長というのがございますか。
○説明員(首藤堯君) 地方公共団体の長は県の場合は知事でございます。
○峯山昭範君 そうしますとあなたは滋賀県の、いま滋賀県の例をあげているわけでございますが、滋賀県の知事の許可なしにもしも開示しておった場合ですね、これは地方公務員法三十四条の違反になるということでございますね。どうですか。
○説明員(首藤堯君) 御指摘のとおりでございます。
○峯山昭範君 といたしますと、私は実はこの公開した県にそれぞれ電話を全部入れました。詳細にお伺いをいたしました。まあその点は差しおいて、もう一つ詰めておきたいことがあります。これはそれぞれの、たとえば滋賀県からまいります。滋賀県の場合は、現実に私はきょうは私が取材いたしましたその人の名前は、具体的に申し上げません。これは具体的にきちっと名前も聞いて私は調査をいたしました。また知事にもそれぞれ電話をいたしました。それでこの知事の承認ということは、一体どういうことなんですか。たとえばここに決算委員会が開かれておる。その決算委員会にここに税務課長がすわっておる。それでその隣りに総務部長がすわっておる、税務課長の上です。その場合にある議員からばっと質問が出た。それで税務課長は総務部長に聞いた。総務部長はいいよということで、こう、いわゆるその答弁をした。こういう場合はこれは要するにその総務部長というのは事前に知事に認可を得ておったということですか。あるいは別にかねがねから認可を得ておったということなのか、そこら辺の解釈はどうなりますか。
○説明員(首藤堯君) なかなかむずかしい問題でございますが、通常地方団体の長は御指摘のように知事でございまして、知事がすべての行政を取り仕切るというかっこうになるわけでございますが、まあ行政実施の運営の実態といたしましては、常日ごろからお話をしておって了承を受けておるといったたぐいのものもございましょうし、また正式にその場で一々お伺いを立てて了承を得るという場合もありましょうし、その付近はその県それぞれの運営の実際のやり方によっていろんなケースが事実問題としてあり得るのではなかろうかと、このように考えておる次第でございます。
○峯山昭範君 これは個人の秘密漏洩という問題ですから非常にこれは重要な問題を含んでおりますね。これは現実に地方公務員法三十四条の秘密になるということです。具体的にこれは百人以上の人の名前もその席上で公開されておる。しかもそれだけじゃない。個人の名前でしょう、いまの百人の名前というのは。それ以外にも会社の名前も全部出ている。もちろん税額の非常に少ない分については、これは何々さん以下何名分で幾ら、こうなっておる。
 そこで、滋賀県の場合は、これはどの県も開示した五つの県はみんな同じなんですけれども、こういうふうな問題については、いわゆる滞納者一覧表を公表することは私たちは知事の認可事項じゃございませんと、こういうことについては知事に聞く必要ないと言うんです。だから知事は私はもう――新しい知事じゃないですよ、前の知事ですよ。そういうことについては一切相談を受けたこともないし、それはまた当然知事の認可とか私はしたことがございませんと。知事が認可したんじゃない。だれの認可なんだ。総務部長はどういうことになっているかというと、これは自治省のいわゆる行政実例に基づいて私たちはこれを開示いたしております、こういうことです。これはここら辺のところどうですか。五つの県については全部同じなんです。行政実例に基づいてこれを開示しているということであります。といたしますと、この行政実例、これは自治省の行政実例です。あなた方は、これは秘密でない、こう言っているわけです。これに基づいて個人の滞納者一覧がいわゆる五つの県あるいは六つの、先ほどの、全部で十一です、十一の県でいわゆる滞納の実態が明らかにされてます。ここで重大な問題になってまいります。その場合は一体これはどういうことになるのか。これは税務局長、どうですか。
○説明員(首藤堯君) この行政実例の問題でございますが、この前もお答え申し上げましたように、行政実例の出し方は、そういった滞納者名簿等を出しますのが秘密漏洩に該当するかどうかということに対して「「秘密漏えい」には該当しない」、こう言い切ってすぐそのあとで、「地方公務員法第三十四条の規定に係らしめることができる」といったような書き方をいたしておるわけでございまして、内容及び趣旨は、先ほど私が申し上げました、ないしは今回また新たに通知をいたしました趣旨と内容は大差がないのでございます。しかしながら、この前も申し上げましたように、この三十三年の通達の書き方が非常に端的に、「「秘密漏えい」には該当しない」という、その問い合わせの点だけを強烈にと申しますか、はっきり明示をして、あとの書き方が少しごちゃごちゃしておりますこと等もございまして、非常に舌足らずな面があって誤解を生んだところもあろうかと、実はこう考えておるわけでございまして、そのような問題もございまして、この取扱いについてより一そう明確に取り扱いをきめるべきだ、こういう御指示も、先ほど申し上げました先国会の当初にあったわけでございます。そのようないきさつであらためてはっきりした通達を出す、こういう段取りをとりましたのは申し上げたとおりでございまして、それをもって御了承をいただきたいと思います。
○峯山昭範君 これは私に御了承してもらいたいなんといったってしようがないですよ。これは私に関係ないのでね、私に御了承してもらいたいといったって、それはもうこれはたいへんな問題でございまして、大臣、これは、具体的にこの五つの県、六つの県、全部で十一県ですね、で、これはどっちにしても個人別の滞納の一覧表が公表された、そのことによりまして商売がやりにくくなった。現実にいるわけです。そうしますと、公務員法三十四条のいわゆる秘密漏洩に該当する、先ほど局長の答弁を聞いておりますと、これは秘密漏洩に該当するということです、はっきり。しかも現実に、私がいま言いました十一の県、局長が先ほど答弁ございましたが、それだけの県で膨大な人の名前が公表されておるわけです。大臣、これはいま局長はただ単に舌足らずだったと、通達が、こうおっしゃっています。舌足らずということは、逆に言えば、いわゆる通達の出し方が悪かったので、少なくともこの十一の県では自治省の意図どおりの解釈をしていないわけです。そのために間違いをした。ということは、この十一の県ではこれは、該当者ですね、公表をしたその本人並びにその上の人たちというのは地方公務員法のいわゆる三十四条の違反で告訴されたら一体どうなります。そういう人たちはそれは、実際裁判になりますと、私たちは行政実例に基づいてやったのだということになりますね。こうなりませんか。大臣、ここら辺のところのお考えはどうお考えですか。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 ただいま局長のほうから申し上げましたように、通達のやり方がいささか舌足らずであり、不明確であったと、そのためにそういうことが起きたのではないかと考えておりますが、自治省の本来の考えといたしましては今度出しました通達の趣旨が正しいものの考え方である、そういう考え方で処理をしていきたい、かように考えておるわけであります。
○峯山昭範君 それでは大臣、自治省の通達を間違えて解釈して公表した県の責任はどうなりますか。
○国務大臣(福田一君) 自治省の通達を、まあ間違えたといいますか、自治省のほうのが不明確な点があったので、もしこれを厳重にあれしていけば、ある意味で過失ということになりましょうかね、故意ではなかったと思うのです、もしそういうことをやったとしても。そういう意味では私はいささか懈怠の面があったと申しますか、われわれとしては遺憾な面があったと考えざるを得ないと思います。
○峯山昭範君 大臣はいささか遺憾の面があったということは、この公表した五つの県には責任はないということでございますか。これは責任は自治大臣がとるということでございますか。ここはどういうことですか。
○国務大臣(福田一君) その個々の県の事情、それからそれを発表した場所、あるいは内容、時期等々もございますから、一々それが全部これはこうであると申し上げるわけにはいきませんけれども、やはり通達の趣旨が十分に生かされておらなかったという意味に私は解釈をいたしておるわけであります。
○峯山昭範君 大臣そうおっしゃいますけれども、通達の意味が解釈されていなかったということでは済まないわけです、これは。たとえば先ほども申し上げましたように、滋賀県では現実の面から決算委員会の席上、滞納額十万円以上の人たちの名前とその滞納金額と両方明快にいわゆる公表をしているわけです。
 それから、徳島県では議会の監査委員会の席上で質問があって、そしてその席上で滞納者一覧表というのをつくりまして、そしてこれはもちろん大口分だけですけれども、一覧表にして提出をしている。
 それからさらに、これは決算認定委員会というその席上で昭和四十五年、これは法人の分について、昭和四十五年については資料にして提出をしています。それから、四十六年には大口の分について資料にして提出している。こういうぐあいに現実に提出をしているわけです。そして、そういうふうに現実に被害を受けた人がいるわけです。商売ができなくなった人がいるのです。そうしますと、そういう人たちはいわゆる地方公務員法三十四条で秘められなければいけない人たちが現実に公表されて商売ができなくなったということになってくる。現実に被害を受けた人が出てくるわけです。そうしますと、そういう人たちに対してもただ単にこれは通達がいわゆる舌足らずだったとかそんなことじゃ済まないじゃないですか。これはもう少しやっぱり本気でこういうふうな問題について取り組んでいただかないと、現実に私が電話をした人たちも、要するにこういうことについてそれが秘密だという感覚にないわけです。
 現実にこれは自治省のいまの局長の答弁にもございましたように、その問いが「次の場合において個人別滞納金額一覧表を書類により提出または、個人別滞納金額を口頭により発表すること。」、その発表する場所として四ヵ所あげている。この四ヵ所が、これは監査委員会の監査とかこれは当然県議会の常任委員会の秘密会とか、そういうようなところで現実に公開していいのかどうかという問い合わせに対して、これが秘密になるのかどうかという問い合わせですね。それに対してまず答えの一が、先ほどもありましたように、「「秘密漏えい」には該当しない。」、まずこう書いてあるわけです。ですから、まずこれだけ読んでいるわけです、県議会の人たち、県の職員の皆さん方が。私が直接電話しました税務課長さんも、これはもう行政実例に秘密に該当しないと書いてあるわけですからね、いやそのうしろのほうに書いてあるでしょうと言ったら、はあと、こう言って見るのです。現実に実際上はそういうことなんです。そうしますと、これは、こういういわゆる新しい通達が行ってこういうふうに実際公開した人たちはたいへんとまどっています。そうしますと、そういうふうな場合、ほんとうにこれはどういうぐあいに今後処置をしていったらいいのか。その責任の存在はどこにあるのか。これはやっぱりきょうのこの委員会の席上ではっきりしておきたい問題です。どこに責任があるのか。ケース・バイ・ケースなんという問題じゃございませんよ、これは。具体的に公開した場所なんてはっきりわかっているわけですから。秘密なんて思って公開したわけじゃないのですから。また、中にはマル秘という判こを押して書類を配っている。ところが、マル秘という判こを押して配っているけれども、それは要するに公務員の皆さん方が秘密として絶対外に出してはいけないというたとえば守秘義務の絶対ある人たちが見たのじゃない。いわゆる県会議員さんというのは守秘義務がない、現実の問題として。この間の委員会でさんざん私は局長におこられましたけれども。知事は守秘義務がないといってさんざんやられたわけですけれどもね。そういう点から考えてみましても、現実にそういう実態が表に出ている。これについて大臣、その責任の存在、所在ですね、これがどこにあるのか、きょうはこれをはっきりさせてもらいたいと思うのですよ。
○国務大臣(福田一君) いま個々の問題も一般的にそうなんだと、こういうようなことでありますが、私はそれぞれの県において、知事なり、知事の意を受けた――意を受けているか意を体したか知りませんが、総務部長なりが何らかの発言をしておるとすれば、大体滞納なんということはあまりいいことではございませんからね、税の滞納なんということは社会的に見れば。
○峯山昭範君 いいことはない。
○国務大臣(福田一君) だから、こういうものはなるべくないほうがいいわけなんです。しかし守秘義務というのがありますから、これを公にすることはいけないことではあるけれども、道義的に見てこういうことをむやみにやっておるのを黙っているというわけにはいかぬじゃないかという、そういう大局的と言っていいのかどうか知りませんが、政治的な観点から、知事がある程度は言ってもいいじゃないかという判断をしておるものだと、こう私は考えるのであります。
 その場合において、それが出たために仕事ができなくなったというようなことがあって、それが損害賠償のあれになるかどうかということになりますと、私はやっぱりそれはそこの会社、あるいは滞納された人がどういう方で、どうして、どういうわけでそうなったかというような問題等、具体的に詰めていきませんと、一がいにここで、それはもうたいへんな責任問題になる、こういうふうにはお答えすることはできないと、こう思っております。
 私の気持ちでは、滞納などということはほんとうはしてもらいたくない。できるだけ滞納がないようにしたいということは地方の議員さんも、その他役所の者もみんな考えておるところでありますが、しかし守秘義務というのがあるから、あまり出してはどうだろうかとこう思って、そこで県会のお方でも何でも一応は課長に聞いてみる。課長からいえば、総務部長がそこに出ておった。まあ、滋賀県の場合は総務部長が出ておったというのですが、総務部長も知事の意を体して、そういうことはおもしろいことじゃないから、何かひとつそういうことによって滞納なんということがなくなることのほうが社会的に必要なんじゃないかという判断のもとに私はそういうことを認めたといいますか、発表したといいますか、そこで出したわけですね、ある特定の人に出したわけですから。そのときに、うしろにある、法の三十四条ですか、三十四条の問題とにらみ合わしてみた場合において、やはりこれはやむを得ないという感覚を持ちながら、私は処理をしたんじゃないかと、かように理解いたします。それは非常に遺憾なことで、しかしそういうことがはっきりしないということは行政をやる上においても非常に問題がありますから、今度は統一見解というものをはっきり出した。それも今度の――今度というか最近の問題ではなくて、ことしの春の国会におきましてこれが議題になりましたので、関係庁でいろいろと相談をいたしておったのでございますけれども、それを発表するのがちょっと時期がおくれておったということは私非常に遺憾だと思うんでありますけれども、ほかに他意はないつもりでございます。
○峯山昭範君 大臣、私、大臣の考えと全く同じ考えなんです。最後までその態度で押し通してもらえばいい。大臣ね、滞納なんというものは、これは非常によくない、滞納なんかしちゃいかぬ、そのとおりです。大局的判断から、そういうようなものがあった場合はやっぱり公表したほうがいい、そういうように判断をされて公表したんでしょう。だから、いま大臣がおっしゃったことをそっくりそのまま総理大臣にあてはめたらどんなになります。あなたはどう思います。あなたがいまおっしゃったことを、そっくりそのまま純理大臣にあてはめる。現実にいま疑惑が一ぱい出てきていますよ。問題になっていますね。これを守秘義務で守るなんて、あなた、大臣言うわけないでしょうね。やっぱり、これはもう出したほうがいいわけです。こういう疑いが持たれているんですから、これはもう全面的に出したほうがいいですよ、大臣。私は大臣の趣旨に賛成なんです。どう思いますか。
○国務大臣(福田一君) それはちょっとお考えと私は違っております。それはいつでも具体的な問題、その環境、その他のことをにらみ合わせながら、大臣であるとか、あるいは知事であるとかというような首長がきめるべき問題であって、いまの問題をすぐとらえて、そうして総理大臣の問題にからませて、そのとおりやるのがいいか悪いかということは、これはそれぞれの大臣の見識において行なうべきものであって、右へならえをするというような問題ではございません。
○峯山昭範君 だから、そういうことをあなたがそうおっしゃるから、私はこちらのほうをもう少し詰めておかないと困ると言っているんです。これは大臣、先ほど局長から説明がございましたように、大臣、あなたのは人情論ですよ、局長からはっきり答弁がございましたように、いわゆる滞納者一覧表を現実に公表する、長の許可がなくて公表するということは地方公務員法三十四条の違反であると、これは明解に先ほど答弁があった、これは間違いないですか、大臣。
○国務大臣(福田一君) そのとおりでございます。
○峯山昭範君 そうすると、滋賀県においても、徳島県においても、あるいは佐賀県においても、京都においても、広島においても、長の許可を受けないで公表しているんです。これは三十四条違反ですな。これはどうです。
○国務大臣(福田一君) 明瞭にその許可を得ないでやっておったと、特に故意にやっておったということになれば、もうこれは明瞭に間違いです。違法です。私は、それがいま、たとえばその人が総務部長に聞いたとか、あるいはだれに聞かれたか、副知事に聞いたとか、いろいろのケースがあると思いますけれども、その意を体してやっておったということであれば、それを違法として追及するべきかどうかということは、行政の、これは行政行為に対する判断の問題になると思います。
○峯山昭範君 私は、大臣、きょうはどうしても納得できるまでこれは詰めておきたいと思うんですが、これは大臣、要するに、滞納者一覧表を長の許可がなくて公表した場合は――もう一回、私は同じこと言っているんですよ、滞納者一覧表を長の認可がなくて公表した場合は、これは三十四条違反ですな、もう一回お伺いしますけれども。
○国務大臣(福田一君) さように承知いたしております。
○峯山昭範君 そうすると、現実に、この五つの県では、この行政実例に基づいていわゆる公表したというのは、これは長の許可になるんですか。
○国務大臣(福田一君) 何というか、この行政実例に基づいてとおっしゃいますが、これもその解釈のしかたが悪かったと、こういうふうに、私はもしそういうことであれば、ちゃんと後段に書いてあるんですから、三十四条ということが書いてあるんですから、それを読まなかったということがいけないんじゃないかと、こういうふうに考えております。
○峯山昭範君 そうすると、この自治省の行政実例は正確で正しいんだから、これを間違えて読んだ、いわゆる現実に公表した、そういう人たちは、公務員法三十四条の違反でございますな、これはどうです……。
○説明員(首藤堯君) 先ほども御指摘がございましたように、知事の許可をもらわなければ違法でございますけれども、知事の許可のもらい方でございますが、各県の行政のあり方及び実態等におきましては、いろいろ、先ほども御指摘がございましたように、総体的に了承を得ておるとか、あるいは一々個別に許可をとるとか、いろんなやり方がありまして、上司である総務部長、副知事等が知事の意向を体して、これにかわって許可をするといったようなことも実際上はあり得るのではなかろうかと、こういうふうに考えます。
○峯山昭範君 そんなことあなた言ってると――地元の人たちは、現実の問題として、この行政実例に基づいて公表したと言うとるわけです。知事の承認を受けるなんということはこれっぽちも考えてなかったと、これはどうなんですか、これは税務局長おかしいでしょう、やっぱり。この解釈上どうしてもおかしいじゃないですか。これははっきりしてください、はっきり。
○国務大臣(福田一君) こちらからの通達を読み違えておったということなんですね、いまのあなたのおっしゃることによるというと、そんなものは必要ないと思ったと、知事なんかの承諾などは必要ないと思って出したのだと、こうであれば、それは私はそういうことを言っている人は間違っていると思います。
○峯山昭範君 あのね、大臣、変に――あなたのいまの言い分聞いているとね、その人が知事の承認を得るとかそんなことじゃなくて、この行政実例で明解であると、こういうぐあいに解釈をしているということです。
○国務大臣(福田一君) この行政実例を読んで、そういうふうに解釈するほうがどうかしていると思います。
○峯山昭範君 あなた、大臣、三十四条に関して、どう書いてあるんですか、一ぺん読んでみなさい。日本語としてこれがあなた満足なものだと思っているんですか、一ぺん大臣読んでみなさい。
○国務大臣(福田一君) どういう、おっしゃること――ちょっと失礼――あなたのおっしゃるのは、答えの一の中にある「三十四条の規定に係らしめることができることはいうまでもない。」と、ここのところがおかしいとおっしゃるんですか。
○峯山昭範君 そう、そうなんです。
○国務大臣(福田一君) そうでしょう。そうすると、それは確かに、だから舌足らずであるとか、ことばが不十分であったということは、自治省としてはもうすでに何度も表明をいたしておるところでありまして、「係らしめる」ということは、三十四条を十分に読んで、そうしてそれをそのとおりやりなさいという意味がもちろん含まれているわけです、関係するということなんですから。しかし、その法律の適用のことばとしては、私はちょっと、あまりこういいことばであったとは思いません。三十四条に基づいてと、こう書いておいたほうがよかったと思うんですが、何かそこら辺に不明瞭な点があったということは認めざるを得ないと思います。
○峯山昭範君 ということは、間違えた人にも、この通達を間違えて読んだ人も、これは間違えて読んだんだからまずいけれども、自治省のこの通達もやっぱり舌足らずの点があったと、両方とも半分ずつ責任があるわけだ、これは言うたらな、これはどうですか。
○国務大臣(福田一君) おっしゃるとおりだと思います。
○峯山昭範君 そうすると、実際問題、これは私はその責任というのは、これはやっぱり三十四条違反であることには間違いないでしょう、長の――間違えて――半分ですよ、半分ですけど、これを秘密漏洩には該当しないというふうに担当者は読んで――該当しないと読んだわけです、担当者は。あとのほうはちょっと読みそこのうたわけです。責任は自治省と両方に半分ずつあるけども、間違うて読んだために、これを知事の承認をほんとうは受けて、長の許可を受けてちゃんとやらにゃいかぬのやけども、長の許可を受けるのを受けないで、現実に公表しているわけでしょう。ということは、これはやっぱり過失はなかったかもしらぬけれども、無過失かもわかんないけれども、三十四条違反であることには間違いないでしょう、どうです……。
○国務大臣(福田一君) これは法律適用の問題になってくると思うんです。先ほど滋賀県の問題を例にお出しになりましたが、その場合は、隣におった総務部長に聞いたということがございます、総務部長はあるいは知事から聞いておったかもしれぬ、それから税務課長というものが、本来そういうことについては、大体の、知事あるいは地方長官の意図をくんでおったという場合も考えられるわけであります。ただ、あなたがいまお話しになったのは、そんな必要は全然ないんだと思って、そうして適用したという、そのお役人があったというか、地方のあれがあったということになると、それは私はいけないと思います。
○峯山昭範君 大臣、ぼくの言うことをようく聞いておいてもらいたいんだよな。ぼくはもう時間――これほんまにこれもう、こんなもう、ほんとにこれもう……
○国務大臣(福田一君) どうもすいません。
○峯山昭範君 大臣、これはもう大蔵大臣来ましたからこれ以上やりませんけれども、
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
先ほども私言ったでしょう。税務課長は総務部長に聞いた、総務部長は知事に聞いたんじゃない、総務部長は知事に聞く必要はない、これは秘密じゃないんだから行政実例に基づいてやったんだと、こう本人が判断をして、そう言えば総務部長が読み間違えたんだ。半分の責任が総務部長にあるわけだ、逆に言えば。ですから、長のいわゆる許可を受けて公表したんじゃない。行政実例に基づいてと言っても半分間違って読んで公開したわけです。ということは、これは三十四条違反でしょう、はっきりしてますがね、これどうです。
○国務大臣(福田一君) 私は厳密な意味ではおっしゃるとおりだと思います、厳密な意味では。しかしそれをとがめるとかあるいは処置を何するとかということになると、そのときそのときの問題が出てくるのじゃないかということを言っておる。以心伝心でそういうことを考えていた場合もあるかもしれませんよ、これは。あの知事というのは非常にそういうことについちゃこういう考え方を持っている人だというような感じで処理をした場合もないとは言えない。そういう意味に御解釈を願いたいと思うわけでございます。
○峯山昭範君 大臣ね、こういう問題を以心伝心なんて、そんなことで解釈されてはほんとうに困るわけです。そうしますと、私はこういうふうに現実にわれわれが見る場合に、地方自治法のいわゆるそういうふうな間違えた解釈によって現実に十幾つの県で公表された事実があるわけです。そうしますと、これは大臣ですね、われわれ庶民の感情としても、庶民の税金というのは、滞納した実情というのはこれはいろいろ事情あります。どんどんというわけにはいきません。しかしながら現実に公表をされておる。そしてこの間から問題になっておる総理のこういうようなのは全然守秘義務やそういうことで公表されないということになりますと、これはやっぱり私は困ると思うのです。そういうふうな意味からも私たちは先般からいろいろな条件もつけています。秘密会ではどうだとか、これはどうだとか、ケース・バイ・ケースというからそのケース・バイ・ケースのケースというのは一体どういうことなんだと、そういうことも詰めてこの間からいろいろ議論をしておるわけです。したがってそういう点も考え合わせて一日も早く総理のいろいろな問題についても私は公表してもらいたいと思うし、出すべき点は出してもらいたい、こういうふうに考えるのです。大臣どうですか。
○国務大臣(福田一君) 私はそういうような通達の趣旨と違った措置がとられたという実例があるからといって、三十四条の解釈をここで改めなければならないとは思いません。行政行為が間違っておったということをたとえ私が全面的に認めたとしても、本来のわれわれの趣旨とは相違しておるわけです。そういうものはやはり守秘義務があるんであるということを自治省としては考えておるわけでございますから、前にそういうことがあったからといって今後もそういうことをやっていいかということになるというと、私としてはそれには賛同いたしかねます。
○峯山昭範君 この問題ですね、これは大臣、私も大臣のおっしゃっている意味はよくわかります。過去にこういう実例があったから何でも公表していいなんということは私は思いません。それぞれ事情もありましょうしね。それは具体的には、またこの問題は――きょうはあと大蔵大臣ここへすわってから私は二十五分間しか時間がないんです。したがってこの問題はまたの機会にまた詰めることにいたしまして、いずれにしましてもこの実情については大体わかってまいりました。
 そこで、きょうはまず第一点としまして、北海道炭礦汽船の問題についてこれからちょっといろいろお伺いをしたいと思います。まず北海道炭礦汽船株式会社から、先般から問題になっております田中総理以下四人の政治家に、昭和三十九年に無償で北海道琴似町宮ノ森八百六十六番地の土地を贈与されておる。無償で贈与されておるという事実がありますが、これは、国税庁にその事実についてお伺いしたい。
○説明員(磯辺律男君) そういった事実があると聞いております。
○峯山昭範君 これはどなたとどなたにどのくらいずつでございますか。
○説明員(磯辺律男君) 田中総理ほか五、六名の方に贈与があったと聞いております。
○峯山昭範君 それ以上言えませんか。もうちょっと、田中総理に何月何日、何平米とか、そのほかの方四、五人とおっしゃいましたが、どの程度贈られたのか、そういう具体的事実を、事実だけでけっこうでございます、ちょっとお伺いしたい。
○説明員(磯辺律男君) これは実は古いことでございますので、私どもとしましては一つ一つ現時点で取り出すことできませんけれども、新聞に出ておるところを申し上げますと、昭和三十九年に田中総理、当時蔵相に一区画千八十八平米を贈与した。なお同年中に佐藤榮作、岸信介、河野一郎さん等にも贈与があったというふうな関係の記事がございます。
○峯山昭範君 これは新聞等によりなんていまおっしゃいましたけれども、これは国税庁としてはこの問題については当委員会でも指摘された問題でございますが、調査は行なっていますか。
○説明員(磯辺律男君) 三十九年の九月でございますので、私どもとしましては正式の質問調査権というものはもう行使できないというふうな状態になっておりますので、正式の調査権としての調査はやっておりませんけれども、しかし国会でいろいろと議論されておりますから、できるだけ関係者の記憶を呼び戻すようにしまして、事情を任意に聞いております。
○峯山昭範君 これは具体的なその調査は、関係者から任意に聞いておると――任意に聞かぬでも国税庁なりあるいは登記所なり、そういうところを調べればすぐわかる問題でございますが、そこら辺の調査はやっておられますか。
○説明員(磯辺律男君) 具体的に質問調査権を行使しなくてできる問題につきまして、現在の資料にある限りには調査をやっております。
○峯山昭範君 それでは、まず私の手元にちょっと資料がございますので、この資料を一ぺん見ていただいて、これが合うているかどうか一ぺん確認をしていただきたいと思うのですが、これはどうですか。ちょっとこれ一ぺん見てください。(資料を手渡す)ただいまのその一覧表でございますが、これは皆さん方のもともとの登記所なり、そういうところで調査をしたものでございます。これが正確であり、間違いないかどうか、それだけ確認していただければけっこうでございますが、どうですか。
○説明員(磯辺律男君) いまこれが全部正しいかどうかということについて責任をもってお答えすることはできませんけれども、大体このとおりだと了解しております。
○峯山昭範君 責任もって答えることはできないけれども、概略間違いないということでございますな。
 そこで、まず田中さんに贈与されておりますところの土地でございますが、これは田中さんの項目だけ一ぺん見てください。これはどうですか、合うてますか、これ。
○説明員(磯辺律男君) 現在知り得る範囲内においては私たちの調査と合っておると思います。
○峯山昭範君 私たちの調査と合っているということでございますから、正しいということでございますな。そこで、これは贈与されたときにはそれぞれ税金が納められるであろうと思いますが、これは税金のほうは納められていますか、どうですか。
○説明員(磯辺律男君) 三十九年のことでございますから、当時の人の記憶等をたどって関係者の話を聞きますと、これは納められておるというふうに聞いております。
○峯山昭範君 国税庁に一ぺんちょっとお伺いしますが、こういうふうな報告というのは、これは正しい報告でなきゃいけないわけですな、法務局に届ける場合でもですね。それが虚偽の報告が出た場合はどういうことになります。
○説明員(磯辺律男君) 国税庁としましては、登記面云々の問題は関係いたしませんで、実際に売買もしくは贈与のあった事実ということに基づいて課税いたしますので、虚偽の報告というのはよくわかりませんけれども、われわれは事実というものを重視しております。
○峯山昭範君 事実を重視するということは、要するに中身に間違いがあってはいかぬということは、これは常識的に考えてもそうだと思うんですが、どうなんですか。とにかく税金さえ納めてもらえばいいということですか。
○説明員(磯辺律男君) もちろん税金さえ納めてもらえばいいということではなくて、ただ私たちの仕事としましては税金を正当に払っていただくということが中心でございますから、どうしてもそういったことを中心にすべてを判断していくということになろうかと思います。
○峯山昭範君 そうしますと、まず具体的にしてまいりますが、田中さんにこれは昭和三十九年の九月十五日、北炭観光から贈与されてますね、それで九月三十日に登記と。そして田中さんの場合は、四十一年の十二月二十五日に三井観光開発にいわゆる贈与したと、返したということになっています。そして実際上の登記は四十八年二月二十二日であります。これは一体どういうことでございますか、これ。
○説明員(磯辺律男君) これは登記と実際の移転原因の発生の関係がどうなっているかということは、私たち直接所掌しておりませんのでわかりませんけれども、往々にしてこういった不動産の所有権の移転が行なわれました場合には、その移転の日をもって直ちに登記するということではなくて、日がずれて登記したり、あるいは実際にその中間の登記省略があったりすることがございますので、実際の移転原因の発生のときと、登記受付の年月日というものはずれることが必ずしも珍しいことではないというふうに聞いております。
○峯山昭範君 私もそうだと思います。移転原因の発生と実際に登記するのと――まあ登記というのは義務づけられているわけじゃございませんので、実際問題こういうふうな問題は発生するであろうと思います。したがって、四十一年十二月二十五日というのは、要するに田中さんから三井観光に移った日でございますな、これはどうですか。
○説明員(磯辺律男君) 登記原因としてはそういうふうな理由で登記されておるということを聞いております。
○峯山昭範君 そうしますと、非常にここら辺にいろんな問題が出てくるわけであります。これはそのあと、佐藤榮作さんも八百六十六の五十一番地、千百四十四・二六平米ですね、これは三十九年の八月十五日移転原因が発生いたしまして、八月二十五日に登記がされておる、こういうふうになっておりますんですが、佐藤さんもやっぱりこれは昭和四十一年の四月五日に北炭観光に返しておられます。
 これは、こういうふうな具体的事実を調べてみますと、非常にいろいろな疑惑が出てまいります。まず第一点として出てまいります問題は、これは自治省にお伺いいたしますが、宮の森八百六十六の六十一番地、千八十八・四九平米のいわゆる税金ですな、地方税、固定資産税あるいは都市計画税等は、これは田中さんからでございますが払われておりますか。
○説明員(首藤堯君) 御指摘の土地につきましての不動産取得税及び固定資産税でございますが、問い合わせてみましたところ、適正に支払われてておると、こういう報告を受けております。
○峯山昭範君 何年から何年まで、どの程度払われておりますか。
○説明員(首藤堯君) 不動産取得税は一回限りのものでございますので、昭和四十八年にこの北炭観光でございますか、三井観光という名前になったようでございますが、そちらに所有権が移りましたときに支払われておるようでございます。
 それから固定資産税でございますが、昭和四十年度からでございますか、から四十八年度まで適正に支払われておると、このように承っております。
○峯山昭範君 これは国税庁、いまお話がございましたように、私の手元にも、昭和四十年から四十八年に至るまでずっと税金が払われております。これは、四十年が固定資産税四千二百五十円、都市計画税六百円、合計四千八百五十円。四十一年が五千五百三十円、都市計画税千百五十円というようにいたしまして、四十二年が合計で九千三百八十円、四十三年が一万三千五百二十円、四十四年が一万七千二百六十円、四十五年が二万五千百三十円、四十六年三万六千八百五十円、四十七年四万六千七百二十円、四十八年で七万一千七百八十円というように、これは毎年税金が払われております。
 ということは、これは一つは、まず田中さんは、四十一年の十二月二十五日に贈与したということになっておりますけれども、これは当時、昭和四十一年の十二月二十七日の日に佐藤内閣の黒い霧解散というのがございました。この解散の二日前の日にこの問題、いわゆるこの贈与された土地を、これはやっぱり佐藤さんと同じように問題になっては困るというので返す準備をしたんじゃないか、準備をね。こういうぐあいに勘ぐられてもしかたないと私は思うんですよ。ところが、それが今度は昭和四十七年の十月二十七日に第七十臨時国会が開かれました。当時の予算委員会でこの資産の問題が若干の質問を受けております。その後、昭和四十八年の二月二十二日、この贈与を受けた土地を三井観光に正式にいわゆる移転登記をやっておる。ということは、これはいろいろ考えてみますと、いろいろな問題があるはずです。こういうふうなことがあっていいのかどうかというのがまず第一点。
 それから、あとの問題といたしまして、これは大蔵大臣お見えになっておりますが、こういうふうな無償で贈与されるということについて大臣はどうお考えかお伺いしたい。この二点。
○説明員(磯辺律男君) こういうことがあっていいのかどうかということはちょっと私どもよくわかりませんけれども、もし技術的な問題でございましたら、実際に所有権の移転の発生原因の、移転の原因が発生したその日と、それから登記受付の年月日がズレが生じてくるというのは間々あることでございますので、事実関係を調べてみないことには、どうしてこういうふうにずれたかということはよくわからない状態であります。
○峯山昭範君 大臣、あとで、時間がございませんのでまとめて答弁をいただきます。
 さらに、私は、これは非常に問題なんですが、どうしてこの五人の政治家に無償で北炭からこういうふうな土地が贈与されたか。これは非常に私はいろいろな疑惑がある。現実の問題として、まずこの点についても理財局のほうから御答弁をいただきたい。
 札幌市の琴似町、これは宮の森の付近で、いわゆる国から北炭に対して払い下げの国有地があったのかなかったのか、この点についてお伺いしたい。
 それからさらに、きょうは銀行局のほうからも、今度は北炭観光の親会社でありますところの北海道炭礦汽船株式会社に対する昭和三十八年度の融資、これはどの程度行なわれていたのか、上期、下期合わせてお伺いしたい。
 さらに、通産省資源エネルギー庁のほうから、北海道炭礦汽船会社に対するいわゆるその融資でございますな、これが大体どの程度行なわれていたのか、昭和三十八年度がどの程度であったのか、これも具体的にお伺いをしたい。こういうふうな見返りのために、あるいは国有地の払い下げのために、こういうふうないわゆる国会議員に対する無償の贈与が行なわれたんじゃないか、こういうふうに疑惑を持たれてもしかたがないと、私はこういうふうに思うんですけれども、それぞれの答弁を聞いた後、大臣の所見をお伺いしたい。
○説明員(金光邦夫君) 国有地の払い下げでございますが、昭和三十九年六月から昭和四十年二月にかけて北炭観光開発株式会社に国有地を売り払いました例が土地三件ございまして、これは相手方の宅造地に隣接している地形狭長の土地でございまして、明治初年に公図上道路と予定された地区、これを当時国として利用できるものはございませんでしたので、隣接し、所有者である同社に売り払った例がございます。
○説明員(高橋英明君) 北炭に対しまする開銀からの三十八年度の融資は、上期六億五千万、下期七億、計十三億五千万でございます。この資金は夕張炭鉱の合理化資金として立て坑開さく工事、新鉱開発工事等に対して行なわれたものでございます。
○説明員(高木俊介君) 昭和三十八年度ごろにおきます石炭産業は、三十四年から三十八年度にかけましての千二百円引き下げ及び三十七年の十月におきます原油の自由化、それと原油価格の著しい低下によりまして、各炭鉱とも人員整理、鉱山の閉鎖等の大幅な合理化を進めざるを得なかった状況でございます。このような事態に対処するために、政府といたしましては、人員整理に必要な整備資金の貸し付け制度を拡充いたしまして、この結果石炭鉱業合理化事業団からの貸し付け実績も各社軒並みに増加したのが三十八年度でございます。石炭産業全体で、三十七年度は百億でございました整備資金を、三十八年度は百八十六億円というふうに増加いたしておりまして、北炭における先生の御調査も当時の石炭政策を反映したものと推察されるのでございます。
 で、近代化資金でございますけれども、当時貸し付けておりました資金といたしましては、近代化資金と整備資金という二つの制度がございまして、近代化資金におきましては、総資金が四十三億九千一百万でございまして……。
○委員長(前川旦君) 答弁簡単に願います。簡略に願います。
○説明員(高木俊介君) そのうち北炭に貸しましたのが三億五千三百万、それから整備資金でございますけれども、百八十五億五千万の全融資額に対しまして、北炭に貸しましたのが三十億八千七百万一合計三十四億四千万を三十八年度北炭のほうに融資いたしております。
○峯山昭範君 大臣、これは、もう最後でございますが、いずれにしましても、これは、こういうふうな国会議員に対して無償で土地を贈与する、こういうようなことは非常に私は疑惑を持たれるし、特に政治家の、特に重要な立場にある人たちは、そういうものを受けるのはやっぱりいかぬのじゃないか、やっぱり慎むべきじゃないかと、こういうように思うのです。しかも、その前後のいろんな実情を調べてみますと、先ほどもお話がございましたように、国有地の払い下げがある。しかも、いろんな理由はあるにしろ、その同じ会社に対して四十数億円のお金が出ておる、こういうぐあいになってまいりますと、これはその贈与そのものが、これは庶民から見てもどこから見ても、やっぱり不審を抱かれる、こういうようなことになってまいります。こういう点を考えて、やはり政治家はそういう点、清潔でなきゃならないと私は思います。そういう点、きょうは時間がございませんので、これ以上詰めることはできませんが、いずれにしましても、そういうような立場で処していかなくちゃいけないと思うんですが、大蔵大臣の所信をお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘の点につきまして、北炭観光はどういう理由で名士の方々に土地を贈与されたのか、私はよく聞いていないのでお答えいたしかねますけれども、事営利会社でございまして、ゆえなく無償で贈与するという以上は、おそらくみずからの計画によって別荘地の開発をやられて、それを分譲される場合に、まあ有名人がその地域におられるということは、それだけの宣伝効果を持つというようなことをお考えになったのかもしれませんし、もしそうだとすれば、こういう方々はたいへん迷惑であったと思うのであります。しかし、いずれにせよ、いま峯山委員仰せのとおり、公人といたしまして、こういう点につきましては、これは重々慎重に扱わなければならぬ問題だと思います。
○渡辺武君 きょう、私が質問を予定しておりますのは、田中総理大臣の政治資金にまつわる疑惑の問題であります。この質問の全容について大臣によく聞いていただいた上で御答弁をいただきたいというふうに思っておりましたけれども、大臣に対する質問のほうが先になってしまって非常に残念であります。したがって、かいつまんで質問したいと思うことの要点を申しますと、田中総理大臣が大企業家や財界からたくさんの政治資金を受け取っているわけですが、これはたとえば公共料金の値上げに関連して、いわばその値上げをのんでもらうための資金として総理大臣に出したと、あるいはまた為替差損に対する政府の対策をとってもらうと、そのとってもらった結果のお礼として出したというようなふうに考える以外に考えようがないと、いわば田中総理大臣の政治資金というのが非常に利権に関連したものが多いという点が一つであります。
 同時に、こうして政治資金を集める場合の総理大臣がつくっているいろいろな政治団体、五つばかりありましたけれども、この多くが幽霊団体じゃないかと思われる節もありますし、同時に、収支についても虚偽の報告をしている、いわば政治資金規制法の違反をやっているという疑いも非常に濃厚であります。また集めた金の使途についてもさまざまな疑惑があるわけであります。特に、これは大蔵大臣自身がよく御存じだと思いますけれども、自民党の総裁選挙、まさに金権選挙の典型だともいわれておりますし、この間の参議院選挙、これまた企業ぐるみのきたない金権選挙、これが行なわれたということが国民の指弾の的になっているところであります。こうした政治上の腐敗とも言うべき問題、日本の民主主義政治の根幹にかかわるような問題、これが政治資金に一つの大きな基礎を置いたというふうに考えられるわけでありますが、大蔵大臣は、おそらく新聞紙上などで見ておりますと、来たるべき自民党の総裁選挙にも候補者の一人となるんじゃないか、また、自動的に総理大臣の候補者の一人ともなるんじゃないかともいわれているわけでありますが、こうした田中総理大臣に一つの典型的な形としてあらわれて、しかも自民党の政治資金全体にもまつわりついているこうした問題、これを一体どういうふうに考えておられるのか。また、いままでの大企業や財界からの自民党が受け取っている政治資金、これを、こうしたやり方をもし改めるというふうにお考えならば、どの点をどういうふうに改めようといま考えていらっしゃるのか、この点をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 政治家あるいは公人としてのモラルについてのお尋ねでございます。私ども政治家といたしまして、まず多くの方の選挙によりまして政治に関与することになっているわけでございますので、政治モラルの基本にはそういう有権者の負託にふさわしいモラルを常に念頭に置いて行動しなけりゃならぬきびしい格率を持っておると思うのであります。それは法律があるからとか、ないからとかいうことと一応関係がないことでございまして、各政治化がそれぞれの良心で受けとめて、みずからの行動を律すべきものと思うのでございます。しかし、それはそれといたしまして、政治資金規正法あるいは公職選挙法というような立法を改正して、より精微な規制を加えるべきであるかどうかということにつきましての意見を求められたわけでございますが、大蔵大臣といたしまして、そういうことをお答えする立場にまずないわけでございますけれども、ただ、政治家としてのモラルを問われておるわけでございまするから、一政治家として私の感想を申し上げますと、これは与党、野党通じましての共通の土俵でございますので、私といたしましては、与野党の間で共通のルールができ上がってまいりますことはたいへん望ましいことと思っております。
○渡辺武君 国民の負託にこたえるきびしいモラルが必要だという趣旨のことを言われたわけですが、いま田中総理大臣だけではなくて、自民党が政治資金として集めているお金はほとんど大部分が大企業からの政治献金、もしくは大企業が中心となって構成している業界団体からの政治献金、これだと思うんです。ところで大企業、別のことばで言えば、これは営利を目的としている社団だと、商法の規定を引用するまでもなく、その点は明らかなことであります。そうしますと、そうした企業が――個人じゃないんです、企業が企業として、あるいは企業団体として自民党に政治資金を出す、こうなれば当然営利を目的とすることが、これが本来の仕事でありますから、その政治資金については、もちろん見返りが当然予想されるということになってくると思うのですね。これを逆な形で言えば、商法の四百八十六条に特別背任罪という規定があります。会社の役員が第三者を利し、そうして会社に財産上の損害を与えた場合は特別背任罪になるということになっているわけですが、いままでたくさんの政治献金が出されていたのにもかかわらず、この特別背任罪に問われたという例はないわけでありまして、したがって、これは逆に言えば、明らかに会社の営利行為に合致したように政治資金が使われているということになろうかと私は思います。もっと端的に言えば、利権がらみの政治資金、これが田中総理大臣を典型として、自民党の政治資金の最も本質的な内容の一つだろうというように考えざるを得ません。そうしますと国民の負託にこたえてきびしいモラルが必要だというふうに言っておられるわけでありますが、もしそのきびしいモラルを貫こうとするならば、大企業あるいは業界団体からの政治献金は、これはおやめになって、そうして政治献金は、これは個人からの献金に限るというところにお進みなさることが、これが一番ふさわしい道だというふうに考えますが、その点どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 政治献金というものは、大企業からであれ、小企業からであれ、個人からであれ、自分以外の他者から受けたものでございまして、大企業のものが悪くて小企業のものがいいとか、個人のものがよくて企業のものが悪いとか、あなたのような見解は私は持っておりません。
 それから、受けた者がどのようにこれを使うかということは、その政治家の良心の問題でございまして、私は先ほど申しましたようにみずからに課せられた政治家としてのきびしい格率の中で、この使用につきましては考えてまいるべきものと思うのでございます。また同時に、大企業であれ、小企業であれ、個人であれ、政治献金をするという権利も自由もあるわけでございまして、それを私はわざわざはばむ必要はないと思うのでありまして、問題は公明にこれを受けて、公明に使っていくということは差しつかえないと思うのであります。ただ、あなたの言われるように、そのことのために請託を受けて、その利益のために政治家が奉仕するというようなことがあってはならないわけでございまして、私は日本の大企業から自由民主党も多くの献金を受けておるわけでございますけれども、渡辺先生が御指摘のような曲った献金であるとは考えておりません。
○渡辺武君 それではもう一つ伺いたいと思いますが、これは十一月の六日のある新聞の朝刊に出されている記事でありますけれども、佐々木邦彦全国銀行協会連合会の会長が五日の理事会のあとの記者会見で次のようなことを言われたというんですね。全部読むわけにいきませんから要点だけ申しますと、いま問題になっている国民協会のいわゆる改組案なるもの、これがどうもはっきりしないし、納得もいかぬと。だから今後自民党への銀行からの貸し付けはこれはできないというような趣旨のことを言っているわけであります。そしてそれに関連をしまして、金融筋がその日に明らかにしたところによると、大手都市銀行九行が総額百億円にものぼる金をこれを自民党に貸している。しかもその貸し方はこれは自民党の幹事長の個人名の単名手形、これが出されて、そしてこれは大体期限二ヵ月というくらいの短期の手形でありますが、その手形で金融が行なわれているわけでありますが、担保も取っていない。そうして金利は年九・二五%から年九・五%が中心で、中には年九%というものがある。いまの中小企業の融資の場合の金利からすればまさに格安の金利と言って差しつかえないと思うんです。しかも担保が取ってないだけではなくして、返済の、当然のことですが、返済がいつ行なわれるかというような保証もないという実情です。その金額は、これは富士銀行が一千九十万円、あと第一勧銀、それから住友、三菱、三和、三井、これが一千八十八万円、あと東海銀行が九百三十五万円、同じく太陽神戸、それから大和、これも九百三十五万円、そのほかに第一勧銀と富士銀行はそれとは別にまた三百万円ずつの単独融資を行なっている。さきに言ったのは九行の協調融資ですが、それと別に単独融資三百万円ずつをやっている。総計しますと約百億円、九十九億三千五百万円に及ぶばく大な金が自民党幹事長名の個人名の単名手形で、担保もなしに、返済の保証もなしに、しかも低利でもって金融機関から貸し出されている、こういう状況になっているわけです。
 なお、これに関連して、東京銀行協会加盟の十六行、これは自民党にいままで月額二千万円ずつの政治献金をやってきたと。特にこの参議院選挙前には東銀協十六行は四億四千万円という巨額な臨時献金を、これを国民協会に対する会費名義で行なっていると。こういうものもしばらくストップせざるを得ないということも言っているようであります。
 私は、大蔵大臣が党人としてまた自民党の幹部として、こうした形の融資を銀行から受けて、いわば政治資金を会費名義で受け取っているだけではなくして、実質上融資という形で銀行から百億円に近い金を、いま言ったように金融上も首をかしげざるを得ないようなやり方で受け取っているということについてどう考えていらっしゃるか。これ好ましいことと考えていらっしゃるか、それともそうでないのか。党人としてと言いましたが、まず先に大蔵大臣として金融機関に対する指導上どういうふうにこれをお考えになるか、まず伺いたいと思います。
○説明員(高橋英明君) 一部の都市銀行は自民党……
○渡辺武君 時間がないから大蔵大臣から直接言ってください、時間ないんだ、いいですよ。委員長、それ取り計らってください。
○委員長(前川旦君) それじゃ大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 一部の都市銀行が自民党に対しまして貸し出しを行なっておるというように聞いておりますけれども、その内容につきましては、個々の貸し出し者と借り入れ者との間の私的な契約でございますので、大蔵大臣という立場で、この契約の内容に介入して意見を述べることは適当でないと思います。
○渡辺武君 これは、この新聞記事によりましても、最もリスクの高い単名手形の形で貸し付けを行なって、全く担保を取っていないということは破格の条件だということを金融筋が言っていると、そうして特に返済のめどがないというわけですね。自民党への献金がいずれ集まるだろうという、いわば自民党への信頼だけで行なわれていると、こういうことになっているわけですよ。そうしますと、自民党が先頭に立って単名手形で金融を受けるといえば、これは工業関係の会社などはよく行なわれているとしても、こうして担保も取らないと、返済もいつやられるかわからぬというような条件で、しかも中小企業がいま高金利で悩んでいるときに、九%ちょっとというような破格の低金利で銀行から融資を受ける、これは問題があるんじゃないでしょうか。銀行に対する指導という点からいってもどうですか。重ねて伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) たいへん銀行のことも御心配になられているようでございますけれども、自由民主党が銀行に圧力をかけて金を借りておるわけでもございません。貸す、貸さぬは銀行の御判断によることと思うわけでございまして、銀行といたしましては適正な金融取引をやっておるものと私は思います。
○渡辺武君 それでは今度は党人として、自民党幹部としての大蔵大臣の意見を伺いたいと思う。いま銀行が預金者をはじめとして国民の指弾を受けているということは御存じだと思うんです。インフレで預金が目減りする、それについては何の対策も講じない、千円以下の預金には金利をつけない、けしからぬじゃないかという指弾を受けている。そのほか、この不況のまっただ中で中小企業はばたばたつぶれているというのに、銀行はものすごいもうけをあげている。ことしの九月期の決算で、第一勧銀の経常利益は三百四十二億円、前期比六八%の伸び、富士銀行は三百八億円で四九・五%の伸び、住友銀行は三百四十四億円の利益で、四八・五%の伸びと、ものすごい利益の伸びである。まさに中小企業をはじめとして国民がこの不況とインフレで苦しんでいるまっただ中で、高金利でもってほくほくあったまっているというのがいまの銀行の姿だ。しかもいままで銀行はオーバーローンに次ぐオーバーローンで、めちゃくちゃに大企業に貸し出しをやって、今日のインフレの原因をつくっている。こういうことを自民党政府がいままで野放しにしておった。その野放しにしておった原因がどこにあるかといえば、まさにこういう形で銀行から百億円にも近い融資をめちゃくちゃなやり方でもって受けている。あるいはまた参議院選挙だけで四億円を上回る政治献金を受けているという、こういうやり方、これと密接に結びついている、こうした銀行行政というものがあらわれていると思うんです。あなたは先ほど国民の負託にこたえるような、モラルとしてはきびしいモラルをとらなければならぬと言った、その党人として一体この点どうお考えか。
○国務大臣(大平正芳君) 日本の経済界が安定し、日本の国民生活が安定するためには、日本の金融制度がしっかりしなければならぬわけでございまして、銀行業が健全な運営状況にありまして、国民の信用をかちえておりますことは基本的に大切なことと思うのであります。経済界は変動するものでございまするので、ある期間をとって見ますれば、たいへん利益が出ることもございますれば、また多くの損失をこうむる場合もあるわけでございまして、私は全体として長きにわたって銀行制度が安定した基礎の上に発展していくことをこいねがっておるわけでございます。いまの銀行のあり方について特に問題があるというように私は考えておりません。
○委員長(前川旦君) 渡辺君、時間が超過しております。
○渡辺武君 一言だけ。
 大臣の御答弁を聞いておりまして、まさにその御答弁こそ国民の負託にこたえるようなきびしいモラルを持ち合わしていらっしゃらないということをはっきり示しているということがわかりました。いま政権たらい回しについて国民がきびしい批判をしているわけでありますが、そういう方が自民党総裁もしくは総理大臣に立候補しようというようなことでは、とうてい国民はこれを許さないだろうということをはっきり申し上げる。同時に、大臣の答弁について私納得できませんので、なお次の質問までこの質問は留保さしていただくということを申し上げて、終わります。
○田渕哲也君 大臣の時間が限られておりますので、簡潔に質問をしたいと思います。
 まず第一に大平大蔵大臣にお伺いしたいことは、きのう田中総理が辞意の決意の表明をされたわけであります。この田中総理の決意表明は、今回問題になりました田中金脈問題に対する政治モラルの点で責任をとられたものだと思います。いままでこの田中内閣にあって最大の協力者であり、最大の支柱である盟友の大平大臣とされましてはどう考えられておりますか、この所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 田中さんが組閣以来、内政、外交両面にわたりまして精力的に御活躍になり、多大の成果をおさめられたことに敬意を表します。と同時に、自由民主党総裁としての任期がまだ満了しないやさき御退陣をされるということに対しては、御本人も不本意なことと思いまするが、私としてもたいへん残念なことと考えております。しかしこれは、御自分のことに関連いたしまして政治の渋滞を来たすというようなことがあってはならないという配慮からなされたものと思いますので、田中さんといたし、この不幸な事態に対しましていち早くこの事態を収拾いたしまして、政治の渋滞が起こらないようにしなければならぬと私は考えております。
○田渕哲也君 さらに、決意表明の中で、田中総理は、私個人にかかわる問題に端を発し云々、あるいは、私個人の問題でかりそめにも云々、――「私個人」という表現を再々用いておられるわけであります。これは確かに、この田中さん個人のおい立ちや性格や人生観、こういうものに由来して起こった問題である、こういう要素も多分にあろうかと思いますけれども、私は、その背景には、現在の政治、特にこの自民党の金権的体質があってこのような問題が生じたものだと思うんです。田中退陣に対するテレビニュースで報道された国民の受けとめ方を見ましても、自民党政権のたらい回しでは、金権、金脈問題はだれが総理になってもついて回る問題ではないか、こういう感想が多いわけであります。したがって私は、田中総理の退陣によってけりがついたという問題ではないと思いますけれども、この点について大臣はどう考えられますか。
○国務大臣(大平正芳君) 田中さんにつきまして提起された問題は、本委員会でもたびたび御答弁申し上げておるとおり、政府といたしまして、課税その他の行政面で遺漏がなかったかという点について再調査いたしておることは御案内のとおりでございます。また当の御本人も、退陣声明にもございますように、いつの日か自分から見解を表明することあるべしと言われておるわけでございまして、したがって、御退任でもって問題がすべて片づいたわけではないと私は承知しておるのでございまして、この問題につきましては、政府は政府として、田中さん個人は個人として、折り目をつけていくべき性質のものと考えております。
○田渕哲也君 私が申し上げておるのは、この事実の解明の問題はまだ残っております、これは当然やらなければならない問題だと思いますが、もう一つ指摘したい点は、田中さんのやった行動――中には違法行為あるいは地位利用の問題もあろうかと思います。しかし、かりにそういう問題がないとしても、モラルの点で非常に問題がある。その根源は何かというと、田中さんは、事業家としての田中さん、それから政治家としての田中さんの境界があいまいだと言われる点にあるわけであります。その場合、現在は大臣の兼業は一応禁止されておるといいますか、兼業はしないということが実行されておるわけでありますけれども、兼業はしないと言いながら、確かに他の法人の役員にはついていないけれども、実際問題、自分が経済的な行為、事業的な行為を田中さんはやってこられた、こういうところに大きな疑惑があるわけです。しかし、私はこれは単に田中個人の問題ではないという気がするわけです。というのは、現在の政治と金とが切り離せない相互作用というものがある。それなら、田中さんの場合はこういう特別なケースになったけれども、一般の場合はどうか。先ほど渡辺委員も指摘されましたけれども、政治献金によって政治が行なわれておる。政治献金そのものを頭から否定するつもりはありませんけれども、特に自民党の場合はこの企業、特に大企業を中心とする企業から多額の金を政治的な資金としてもらう、そのお返しとして今度は政治が企業に利益を与える、こういう一つの循環形式というものがあるわけです。田中さんはこれを間接的に他の企業を通じてやらずに、自分の金もうけの事業とそれから自分の持っておる政治、こういうものとを結びつけたところに問題があるわけです。これは他の第三者の企業を通じるか、あるいは自分の企業を通じるかの差ではないか、直接的か間接的かという差こそあれ、その本質は同じではないか、こういう気がするわけであります。したがって私は、この田中金脈問題、この問題については、大平大臣が田中さんの盟友であり、支柱としてやってこられただけに、その責任を感じていただきたい。そして、その責任をとる道としては、第一は、田中金脈問題に対する疑惑を責任を持って明らかにしていただきたい、おおい隠すというような役割りを果たさないでいただきたい、これが第一であります。第二番目は、この金権政治の体質にメスを入れてもらいたい。これは選挙制度あるいは政治資金規正法の改正問題、さらには政治モラルの確立、こういった制度面での抜本的な改正というものが必要だと思いますが、この以上の二点について責任を持って解明される、あるいは断行される決意があるかどうか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、この問題は田中さんの御退陣で終わったわけでございませんで、やはり政府は政府として、田中さん個人は個人として、解明につとめて、国民の疑惑を一掃するということは当然のことと考えております。
 それから、政治家のモラルにつきまして、制度面においてくふうすることはどうかという御意見でございます。私はもともと、そういう制度面で規制があればそれでいい、その中の――それを踏み越えなければいいということではなお政治道義というのは足らないんじゃないかと考えておるわけでございまして、もっと厳粛なものだと思いますが、しかし、先ほども峯山さん、渡辺さんの御質問にお答え申し上げましたように、そういう規制――立法措置がとられて、与野党共通の土俵ができるということは、私どもとしても歓迎するところでございます。
○委員長(前川旦君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記を起こして。
○国務大臣(福田一君) 先ほど峯山議員の御質問にお答えしておった答弁の中で私が、都道府県知事と申すべきことを地方長官と発言をいたしましたのは誤りでございます。訂正をさしていただきたい。
○渡辺武君 わが党は二十五日の日に、田中総理大臣に金脈問題にからまる十項目にわたる疑惑について公開質問状を出しました。私はただいまからその第二の疑惑、利権と政治献金にからむ疑惑について質問したいと思います。
 先ほども申しましたように、自民党が多額の政治資金を財界・大企業に依存しているということはもう天下周知の事実であります。ところで、この自民党の金権的体質が、田中角榮氏が総理大臣になってから異常に強まってきたと見ることができます。自治省に伺いますけれども、自民党の総収入ですね、これが前の年に比べて、四十七年、四十八年、どのくらいふえたのか、それからまた、田中総理大臣の政治団体、五団体あるはずでありますが、これがどうなったのか、同じ期間にですね、この点をまずおっしゃっていただきたいと思います。
○説明員(土屋佳照君) 自民党の四十七年の政治資金の収入が九十四億七千六百万でございました。四十八年中が百八十六億三千四百万でございます。約九十億ぐらいがその差ということになっております。それからただいま各、あるいは越山会その他のことであろうかと思いますが、にわかのお尋ねでございますのでちょっと手元に資料がございませんので、これは官報等でも全部公表いたしておりますので、一般にわかる資料ではございますが……。
○渡辺武君 いま答弁にもありましたが、四十八年の自民党の収入は四十七年に比べて二倍近いということになっておりますが、特に田中総理大臣が出現しました四十七年の下期を四十七年の上期と比べてみますと上期が十八億九千万円、ところが下期が七十五億七千万円ということで、猛烈な増加ぶりに変わってきているわけです。こうして自民党の大企業からの献金を中心とする収入が急増し始めたというだけではなくして、田中系の政治団体と見られる越山会、経済社会研究会、財政調査会、新政経振興会、政治経済調査会、この五つの団体が集めている政治資金、これが四十六年は七億三千八百万円でありましたが、四十七年、総理大臣になった年に十三億四千七百万円急増しているわけであります、まさに、田中総理大臣の出現とともにこの金脈的体質が非常に強まったということがはっきりしているわけであります。文藝春秋の例の記事を見てみますと、こうした表に出された自治省に届け出された政治資金の約十倍ぐらいが実際集めている金だろうと田中派の場合ですね、いっておりますし、それからまたこうした自治省に届けられているものの中で、たとえば越山会の場合には内容のはっきりしているものは五%から一五%程度のものだと、透明度がまことに低いという趣旨のことも言ってるわけであります。まさに隠された内容、これが非常に問題でありますけれども、私はここではまず、まさに氷山の一角にもひとしい形で表面にあらわれている、収入の内容の比較的はっきりしたもの、これについての疑いを申し上げてみたいというふうに思います。
 まず第一に、昭和四十六年の十二月の円切り上げのときに、造船業界、プラント業界などが造船・プラント為替損失補填期成同盟というものをつくって、そして大運動を起こしておりますけれども、通産省に伺いたいんですが、この団体はどういう団体なのか、運動の目的、それから運動の経過、こういうものについて伺いたいと思います。
○説明員(嶋崎均君) さきの十五日の異動で通産政務次官を仰せつかりました嶋崎でございます。今後とも同僚としてよろしくお願いいたします。
 ただいまの質問、関係者がちょっとおくれておりまして、私から答弁をさせていただきます。造船・プラント為替損失補填期成同盟会というもの、私も出てくるときにちょっと調べてきたところでは、四十六年の十二月十四日に造船及びプラントの関係企業及び関係団体により結成されたと承知をしております。同同盟は為替差損補てんに関し関係各省等に要望をし、通産省も四十六年の十三月以降同同盟から要望を受けたという実績が残っておりますけれども、そのほかの詳細は必ずしもはっきり承知をしておりません。
○渡辺武君 これは日本機械工業連合会の会長、日本造船工業会の会長、石川島播磨重工業株式会社の社長をしておる田口連三さんが会長になって、最初は十一団体、五十五社、翌年の四十七年一月十二日には十三団体七十二社というのが結集してつくった団体であります。そうして円の切り上げに伴う為替差損を政府の手で補てんしてほしいということを趣旨として大運動を起こしたわけであります。この運動の経過についてはそちらでわかりますか。
○説明員(嶋崎均君) いま御答弁申し上げたとおりでございまして、詳細については、調べてきた範囲をそのまま申し上げたところで、存じておりません。
○渡辺武君 私はここに、その造船…プラント為替損失補填期成同盟が取り扱い注意という判こを押したニュースを運動に伴って出しております、四十六年の十二月十五日号が第一号で一番最後が第七号、四十七年の一月十九日ということになって、その全冊を持っております。私、これから申し上げる経過はこのニュースに書かれてることであります。簡単に、特に私は現在の田中総理大臣について疑惑を持っているわけでありますから、当時の田中通産大臣、これに関係したところだけを申し上げておきますと十二月十四日にこの期成同盟が結成されて、十五日に実行委員会が開かれて、まず田中通産大臣、丹羽運輸大臣に陳情するというスケジュールがきまった。翌十二月十六日には永田町の砂防会館に田中通産大臣をたずねて、そうして善処方を要望するということです。その後経団連なども自民党などにいろいろ要望したようでありますけれども、特にこれらの過程の中で、十二月三十一日に閣議で田中通産大臣が為替差損の補てん措置を正式に要請したというふうにニュースではっきりと言っております。また同日田中通産大臣の指示に基づいて通産省事務当局が具体策の検討を始めたということになっております。その後も十三月二十三日に田口会長が田中通産大臣及び運輸大臣に再び要請するというようなことで、その後いろいろの動きもありましたけれども、十二月二十九日に田口会長が重ねて田中通産大臣それから丹羽運輸相、小坂自民党政調会長などに陳情をしております。ところが四十七年の一月の五日の日に、四十七年度予算の大蔵省案の内示では、この期成同盟の要望による為替差損の補てん措置が全く計上されていないということがわかって、翌六日には緊急の会長、副会長会議を開いて対策を協議して、そうして再び運動を強めることになったわけであります。一月七日の日には田口会長は通産省及び大蔵省の関係局に協力を要請する、一月の十日には経団連の植村会長、これがサンクレメンテの日米会談から帰国した田中通産大臣に善処方を要請するというような一連の動きがありました。特に一月の十一日から十二日にかけて、十一日朝から深夜にかけて、田中通産相、自民党三役に精力的な陳情を重ねたということが書かれておりまして、十一日の夜から十二日未明にかけての田中通産相のまとめで為替差損対策がきまったと、そうして十二日には閣議で為替差損対策が正式にきまったということになっているわけであります。この経過を見てみますと、期成同盟が精力的に運動を進めたその運動の焦点、これは田中通産大臣が一つ立っているわけでありまして、その田中通産大臣がこれが非常に精力的にこの財界の要望にこたえた対策を閣議決定に持ち込んだということになると思うんです。そこで伺いたいんですけれども、この閣議決定でどういうような措置がきめられたのか、またその措置によって生じた効果はどういう効果であったのか、これを伺いたいと思う。
○説明員(嶋崎均君) ただいまのお話でありますけれども、昭和四十六年の十二月十八日の、皆さん御承知のとおり、国際通貨調整措置によりまして円に対する相場は御承知のように三百八円ということでいわゆるスミソニアンの体制できまったわけでございますが、この結果わが国の輸出産業が持っておる長期の債権、ほとんど外貨建てで持っておったわけでございますが、それが巨額な為替損失をこうむるであろうということは、当然みんなが理解できることであります。やはりそういう急激な為替変動の結果そういう大きな金額が出てくる。まあたいへんな問題だ、業界としてそれに関心を持たれるというのは当然でございますし、そのための何らかの救急策を業界の立場で陳情されるということは私当然なことだと思うのであります。いずれにしましても、御質問の政府の一月の十二日の閣議決定、原文ちょっと持ち合わせておりませんけれども、私の承知するところでは、日本輸出入銀行は現行法令の範囲内で同行に対する償還金の返済を猶予し、及び同行の融資額の決定に際していろいろと個別の事情を考慮して判断をしてみましょう、この二項目が主たる措置だというふうに承知をしております。
 償還猶予につきましては、昭和四十六年の八月の二十七日、すなわちフロートの移行の日でございますが、それ以前に融資承諾をした案件で差損が生じたものについて差損相当額をとりあえず六年間償還猶予をするという具体的な内容がきまって、あとからきまったようでございます。
 それから二番目に、新規融資をする場合の配慮の問題でございますが、昭和四十六年の八月二十七日、すなわちフロートの移行のとき以前に成約済みの外貨建ての輸出契約にかかる融資額については融資の算定について差損という問題について特に配慮すると、こういうことになっております。その特に配慮するということの中身につきましては、従来、融資をする場合、融資の限度額をドル建て債権の一割引きというのですか、そういう感じでやっている。それを、限度額をドル建て債権全体に見ようというような配慮がなされておるというふうに聞いております。
 以上の二つが閣議決定のおもな内容でございます。
○渡辺武君 この十二日の閣議に付属、参考資料として出された資料によりますと、予想される為替損出額は船舶の業界が二千五百億円、プラント業界が千四百億円、資源関係が二百億円、合計四千百億円、それで政府の措置によって予想される補てん額は二千七百十億円、六六・一%に及ぶと、こういうことになっております。その内容は損金算入による減税効果千六百五十億円、税制上の特別措置、これは繰り延べ措置四百三十億円、輸銀融資の返済猶予五百二十億円、それから融資の査定百十億円、合計二千七百十億円と、これが大体予想される効果ということになっております。大体それに近い効果があったというふうに判断してよろしゅうございますか。
○説明員(嶋崎均君) 非常にたくさんの項目にわたる御質問でございますが、さきに決定しました、このときに決定しました内容は先ほど申しました二つの項目でございます。そのほかに実際差損が生じて、それが損金に算入された、これまで何というか、恩典だというと、まあ恩典と言えるのかどうか、その辺のところはなかなか疑問のあるところだろうと思うんです。私たちこの償還猶予の金額、先ほど申しましたように長期債権全体の差損額は御指摘の数字、私の手元で聞いているのと、ごく端数程度は違いますけれども、ほぼそういうことであろうと思うんです。しかしこの償還猶予をしたということは御承知のように急激な為替の変動に伴っていろんな面で資金繰りに困難になってくる。したがって、償還を猶予するということで、これはもうまけて補助金をやるというような性格のものではありません。猶予をするということと、その金融措置をどうするかということのかね合いの問題、輸銀の利子と市中金利との差額の問題、そういう問題として理解をされなければならない性格のものでありまして、この金額全部が何らか特別の恩典措置として何かくれてやったり、補てんをしたりといったような性格のものではないように私は思うわけでございます。
 それから新規の融資額の算定のところでございますが、これらの点も差額について補てんというような問題がいろいろあるところを、融資をする範囲、企業が非常に困難な事情にありますから、融資限度額の幅を広げてやるというような措置でございますから、非常にそういう意味では中間的な、微温的な措置のように私は思います。したがって、当時、私の記憶によるならば、この大蔵内示あるいはその後いろいろな決定に至るまでの経緯について非常に長くこの問題について業界のほうで不安が残り……
○渡辺武君 答弁は簡単にやってください。
○説明員(嶋崎均君) 予定以後もいろいろと問題に取り上げておったという経緯を間接的ながら承知をしておる次第でございます。
○渡辺武君 主税局長が見えていると思いますが、減税措置による損金算入額、これおっしゃっていただきたいと思います。
○説明員(中橋敬次郎君) 先ほどおっしゃいましたその千六百五十億円といいますのは、おそらくそれまでに基準外国為替相場は三百六十円で換算をしておりました長期の外貨建ての債権というものを、そのときに改定せられました三百八円で換算をいたしましての差損額に対応するものであると思います。それは先ほど嶋崎政務次官がおっしゃいましたように、それはもう当然三百六十円と思っておりましたものが三百八円になったものでございますから、損として落ちるわけでございまして、その損を減税額というふうに考えるのはいささか当を得ていないと思っております。
○渡辺武君 その損金算入額を聞いている。
○説明員(中橋敬次郎君) 損金算入額とおっしゃいますのは、おそらくその後に税制改正でもって租税特別措置法第六十八条の二で、そのときの長期の外貨建て債権につきまして企業のほうでその六十八条の二を適用いたしまして、損といたした金額ということをおっしゃっておるものと思います。
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
それは当時非常に予測が困難でございましたけれども、一応私どものほうで予算を積算いたしましたときの段階では七百五十億円、この措置によって損金に入るだろうという計算をいたしておりました。
○渡辺武君 あなたのほうからいただいた資料ですと、主要造船会社十八社における租税特別措置法第六十八条の二の規定による損金算入額、これは八百七十二億円だということになっていますが、いまの数字と食い違うですね。
○説明員(中橋敬次郎君) 私は七百五十億円と申しましたのは、そのときの見積りでございます。それで、先ほどおっしゃいましたその八百七十二億円というのは、確かにその後の実態調査でもって主要造船会社が、先ほど申しました租税特別措置法第六十八条の二を適用いたしまして、損金にいたしたものが八百七十二億円という計数になったということでございます。その中のその差はなぜ起こったかということをいまから考えてみますと、当時七百五十億円を見積りましたときには……
○渡辺武君 まあそれはいいです、簡単に。答弁簡単でいいですよ。
○説明員(中橋敬次郎君) 臨時巨額というものを一応除外して考えていましたから、七百五十億と見積っておったものが実際としては八百七十二億円に大体なったんだと思っております。
○渡辺武君 いろいろと説明をつけて時間がたってしようがないんですがね。――まあ通産政務次官も特別な恩典じゃないというような趣旨のことを盛んに強調されておったけれども、とにかく租税特別措置でいろいろ複雑な計算がありますけれども、しかし損金算入を認めることの措置をやると。それからまた輸銀融資の場合には金利上の考慮も払ってやるし、返済猶予等々も払ってやって、そうして閣議決定のときの資料では、さっきも申しましたように、六十何%という――六六・一%ですか、という補てん率だというような措置を閣議できめておるわけですよね。これが大企業にとってどれほど有利なものであったかという一、二の例を示しますけれども、たとえば商社の丸紅、四十六年の九月期の決算では二十八億円の経常利益を上げていたけれども、この措置によって二億八千万円の税金を還付されておるというような状況でありますし、石川島播磨重工の場合には、四十八年九月の決算で当期利益四十一億円、株式の配当一二%の配当をやっておるにもかかわらず申告所得はゼロ。国税、地方税とも、地方税の場合は法人割りでありますが、全然払っていない。ただ法人住民税の均等割りを払っているにすぎない。総額大体年間にして一万七千円の均等割りを払っておるにすぎないというような状況です。もうけを上げても法人税は払わなくてもいいというような状況が出てくるのは、この閣議決定の措置及びそれに引き続いてとられた優遇措置によることはこれは明らかだというふうに見なければならないと思う。
 時間がないので先を急ぎますけれども、こうした措置をとったそのあとですね、一体これら関連企業からどれだけの政治献金がどこに行っているのかと、これは自治省に届け出られたものでありますけれども、たとえば、造船関係でいえば、石川島播磨重工、それまでは、昭和四十五年の下期にも六年中にも、この七年の上期にも政治献金はなかったんですけれども、このときに、昭和四十七年の下期に、にわかに三千万円の政治献金が国民協会に入っておる。日立造船の場合には国民協会に二千五百万円。それから御丁寧に田中総理大臣の政治資金団体といわれる経済社会研究会にも三百万円の献金が行なわれる。佐世保重工これも国民協会に八百万円。三井造船はちょっとおくれて、選挙との関連もあったと思いますが、四十八年の上期に二千三百七十万円の政治献金が行なわれておる。三菱重工業は四十七年下期に四千七百八十万円の政治献金。名村造船が百七十万円。函館ドックが四百七十万円の政治献金。いままであまり出したことのない企業がにわかにこの時期に出してくるということは、やはりこうした閣議決定及びその後の措置によって非常に大きな利益を受けた、そのお返しとして行なわれたという疑いが非常に強いわけであります。
 また日本電機工業会、これが昭和四十六年の下期一億三千万円の献金を国民協会に行なわれた。日本電気が同じ時期に新政経振興会、これは田中総理大臣の政泊団体ですが、二百万円。それから日立製作所が経済社会研究会、これまた田中総理大臣の政治団体ですが、百万円。それから沖電気も同じく経済社会研究会に百万円と、こういうことなんです。それから日本産業機械工業会に所属する日本精工これが四十七年の下期には二百二十五万円、国民協会。光洋精工も二百二十五万円。住友重機が九百七十万円、これが国民協会というような形になっておる。日本産業機械工業会はこれはやはり選挙との関係だと思いますが、四十八年の上期に、以前よりもはるかに多い千六百五十九万円の政治献金を国民協会に出しておる。こういう状況です。
 自治省の方、私はこれはあなた方に届けられたこの資料で計算して出したのです。この点間違いありませんか。
○説明員(土屋佳照君) 非常に多くの団体でございますのでにわかにお答えできませんが、官報では大体正確に公表いたしておりますのでそのとおりだろうと存じます。
○渡辺武君 お認めになったことと思ってですね、なお次に進みます。
 こうして利権がらみの政治献金が行なわれていると、その疑いが非常に濃厚ですけれども、これはこのケースだけじゃない。私どもは近くその全貌を発表したいと思っておりますけれども、ここにですね、不動産業界の政治献金、それから電力業界、それから私鉄、それからガス、石油、国内航空、これらが――不動産業界の場合には地価公示価格の大幅引き上げ、これと関連したとしか思われない形で多額の政治献金をやっている。しかもその前後田中総理大臣が業界の代表とひんぱんに会う。その間にはさまって小沢経理局長――自民党の政治資金の金庫番ともいわれる方が、田中総理大臣とひんぱんに会っているというような関係が一目りょう然であります。
 で、不動産業界の場合を申しますと、昭和四十七年に自民党が全体として受けた政治献金は千三百五十五万円、そのうちで田中総理大臣が自由にできる国民協会及び田中派閥の各団体の受け取っている政治資金の割合は、これは九六・七%に及ぶ。四十八年には全体として七千四百十万円の政治献金が不動産業界から出されて、その中で国民協会及び田中派閥の受け取ったものが八九・九%、非常に金額が急増している。その間四十八年の四月一日には、地価公示価格、全国平均で前の年に比べて三〇・九%引き上げられた形できまっている。それからまた、四十九年の五月一日には、四十九年の地価公示価格、全国平均で前の年に比べて三一・四%引き上げた水準できまっている、こういう状況。
 電力業界の場合でも同じことであります。電力業界の場合でも、四十八年ごろから値上げの申請が出されて、御承知のように二回にわたって、ついにはことしに入って九電力一斉に大幅な電力料金の引き上げが行なわれたわけでありますが、その間田中総理大臣と財界の社長さん、会長さん連中とひんぱんに会っております。たとえば、値上げ前後に会長、社長などと四十九年に入ってからだけで田中総理大臣は十二回も自分の目白の私邸や、あるいは料亭その他で会っている。その間に、先ほども申しましたように、経理局長とひんぱんに会っている。そうして値上げの申請や認可が、東京都議選とか、あるいは参議院選挙とかいう重要な選挙に前後して出されておって、そうして特に参議院選挙の場合でいいますと、電力料金の引き上げは公示の二週間前に認可になる。大手私鉄十四社、東京ガスそれから国内航空三社、これは参議院選挙の直後に値上げが認可になったけれども、選挙前に大体内諾されていたということがいわれているわけであります。こうして、たとえば電力業界の場合には、四十七年に自民党に電力業界から出された政治献金は六百六十万円、それから四十八年にはこれが急増して四億七百十五万円にはね上がる、こういう状況であります。この中で、国民協会及び田中系の団体が受け取った金は九八・六%を占めている。こういう状況。
 私鉄の場合でも同じことでありまして、昭和四十七年には、私鉄業界が一億六百五十五万円の政治献金、ところが四十八年には二千三百十二万円の政治献金。若干下がっておりますけれども、やはり国民協会及び田中系の政治団体の受け取ったものがその中の七一・九%を占める、こういう状況であります。このときにも同じように田中総理大臣と私鉄業界とのひんぱんな会合と、そうしてまたその中間にはさんで自民党の経理局長との会合、これが行なわれている。明らかにこれは値上げにからんで田中総理大臣が業界の代表と会い、自民党の政治資金の担当者と会って、そうしてそれらの関連の中で政治資金が行なわれているということを裏づけるものであります。これは先ほど申しましたように、時間がないのではしょりますけれども、東京ガスの値上げについても、あるいは昭和四十七年から四十八年、九年にかけて石油業界が御承知のようなやみカルテルを結んで、年間五回にわたって石油価格を大幅に引き上げてそうしてあの物価狂乱の原因をつくり、たいへんなもうけをあげた。その過程の中でも、あるいは国内航空の料金値上げの場合でも言えることであります。
 一体、自治大臣は、こうした利権がらみの政治献金が行なわれているということについてどうお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田一君) だんだんと御説明がございましたが、私としては、そういう利権にからんで政治献金が行なわれておるとは考えておりません。
○渡辺武君 いま私は時間があまりないので概略のことだけ申し上げた。しかし申し上げた点は概略だけれども、私どもも綿密に調査をしてそうしてしっかりした資料もこうして持っている。ですから、思われませんというようなことでは答弁にならぬ。思われないという根拠をはっきりさせてもらいたい。
○国務大臣(福田一君) それでは、まことに失礼な申し分かもしれませんが、それが因果関係があるという証明はどういうところでなさっておられるでしょうか。
○渡辺武君 いま申し上げたことでおわかりでしょう。値上げの認可及び値上げの承認、この前後に、特に値上げが問題になっている企業及び業界の責任者と田中総理大臣がひんぱんに会合をする。そうした状況の中で自民党の経理局長とやはり織り込んで、つまり業界の責任者と会う前後にはたいがい会合が行なわれている。しかも、そういうことが行なわれた年こそ業界からの政治献金が非常に急増している。中でもその中心になっている田中総理大臣、これに関係する政治団体と、田中総理大臣と幹事長とそうして経理局長の三人しか自由にできないといわれている国民協会の資金、これが急増している。これらのことは常識で考えてみればはっきりした関連があるということを示しているじゃないですか。
○国務大臣(福田一君) いま渡辺さんが、それは非常にもうそういうことだけで、自分の説明だけでも十分それは因果関係があるんだと、こうおっしゃいますけれども、私としては、それだけの御説明では直接の因果関係というものがそこにあるという証明にはならないんじゃないかと、こういうふうに理解しています。
○理事(小谷守君) 渡辺君に申し上げます。割り当て時間が超過いたしておりますので、簡潔にお願いします。
○渡辺武君 大臣はそういうふうにお答えになるだろうと思いました。これはもう時間も来ちゃったからやめざるを得ませんが、この問題は国民の疑惑の的になっている。これが一つの大きな資金の太い流れになっている。そうして総裁選挙におけるあの世論の指弾を受けた買収選挙が行なわれる。まさに金脈的な体質、これこそが今日総理大臣を辞任に追い込んだ一つの大きな原因になっている。あなたがそういうことは考えられないなどということはとうていできないような状態が、いまあなた方の目の前に迫っているわけですよ。しかしこれは国民の前にはっきりさせる必要がある、あくまでも。
 私は、越山会の資金のほうの担当者をしておった佐藤昭さん、これはどうしてもこの委員会に参考人として喚問してもらわなきやならぬと思う。この点ははっきりまたこの委員会で要求しておきます。それから、田中総理大臣にこうした疑惑があるんだから、政治資金の収入、支出について正確な資料を公表すべきだと私は思います。この点も自治大臣からも田中総理大臣にその点要求してほしいと思う。委員会としてもその点ぜひ要求していただきたいと思う。
 それから最後にまとめて一言だけ申しますけれども、田中総理大臣の資金集めの団体が五つあるといわれておりますが、いまは三つになっておりますが、この中で越山会を除いては責任者の数もほとんどあるかなし、そうして事務所の所在も非常にあいまい、幽霊団体じゃないかという疑惑が非常に強い。しかも私どもの公開質問状の中にもはっきり述べておりますから、自治大臣それをひとつ読んでほしいと思いますが、資金の届け出、これが虚偽報告を行なっているという疑いが非常に強いんです。政治資金規正法では二十五条の一項で虚偽報告が行なわれた場合の罰則がはっきりと規定されている。その点について自治省として当然これは調査すべきだと思うが、調査するおつもりがあるかどうか。またいま言った田中総理大臣に対してあなたのほうからもはっきりとその点を要望するおつもりがあるかどうか、この点を伺って質問を終わります。
○国務大臣(福田一君) 具体的な問題につきまして虚偽の報告をしておると、あるいは虚偽の事実があるということをその個人から申し出がありましたときには自治省としてはこれは調べて、そしてもし間違いがございますればこれは訂正をさせるなり何なりいたさなければならないと考えておりますけれども、いまの政治資金規制法の精神というものから見てみますと、いまあなたがおっしゃったということだけでこれを調査したり、あるいは措置をとるというようなことは差し控えさしていただくのが政治資金規正法の本来の目的にかなうんじゃないか、こう私は理解しております。
○渡辺武君 総理大臣に言いますか。
○国務大臣(福田一君) したがって、ただいま渡辺さんから総理大臣に言えと、こういうお話がございますが、私としてはあなたからそういうお話があったからといって総理大臣に申し上げることはいたしかねると思います。
○理事(小谷守君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(小谷守君) 速記を起こして。
○田渕哲也君 本来なら大蔵大臣にすべき質問でありますが、大臣がおられませんので、次官にお願いしたいと思います。
 田中総理は、決意表明の中で、「私個人の問題で、かりそめにも世間の誤解を招いた」、こういうことばを言っておられるわけです。現在起こっておる田中金脈に関する疑惑が、はたして総理が言われるように誤解かどうか、これは非常に疑問だと思うんです。十一月の十一日の記者会見において総理は、違法行為や地位利用は絶対にない、もしそのようなことがあれば、総理はおろか代議士もやめるということを明言されております。しかしその後、国会においても各野党の調査によりまして、違法行為の疑いのある事実が数々明らかにされております。もっとも、この問題についてはいずれ総理の解明、あるいは参考人、証人を呼んでの委員会の審議、さらには関係各省の調査などにより明らかにされるべきことでありますので、本日は、これが違法行為があるかどうかということは別にしても、田中総理のやったことは道義上、また、良識から見ても望ましくないことが多いわけでありますから、こういう点について触れてみたいと思います。
 いままで起こっておる数々のことを総合的に見ますと、まず第一が、その目的が脱税かあるいは不動産のころがしによる利益獲得、こういう目的だと思いますが、いわゆる幽霊会社をつくって、あるいはそれに自分が関係してきた、これは新星企業とか東京ニューハウス、室町産業、パール産業、こういう例が事実あがっているわけであります。
 第二点としては、自分と関係の深い個人あるいは法人に公有地を払い下げたり、あるいは公有地として買い上げたりしております。これは光明池の問題、市ヶ谷土地の問題、虎の門事件、これも数々あげられております。
 第三点は、公共の開発計画と自分が関係する企業との結びつきの問題であります。鳥屋野潟の問題、信濃川河川敷の問題、柏崎の原発用地の問題、こういう事例があげられております。
 第四点は、地位利用あるいは職権乱用の問題、サンウェーブ社長自宅の買い取り事件等にそれがあらわれております。もちろん、こういう事件の中には明らかに違法行為も含まれておると思いますけれども、もしこれ調査の結果、かりに直接全部法に触れないとしても、だからいいんだということにはならないではないかと思います。この点はどう考えられますか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(柳田桃太郎君) 違法があり、あるいは脱税がありますれば、法に照らして処分されるのは当然でありますが、モラルの点につきましては、御当人自身がその措置をされるということになると思います。そうしてわれわれの側といたしましては、かりにそれがモラルでありましても、社会的にそういうことが一般的に行なわれることが望ましくないという問題につきましては、今後の大蔵省の税務行政運営上、あるいは土地払い下げの上においても十分注意をしていきたいものと考えております。
○田渕哲也君 私は、これもしモラルの問題だけとなった場合でも、田中さんは退陣したことによって政治的なモラルの問題を責任をとったと、それで事が終われりという問題じゃないと思うんです。なぜかと言うと、この田中さんのやったことは、われわれあるいは国民の推測によりましても、氷山の一角にすぎないのではなかろうか、あるいは、ほかにも似たようなことをやっておる政治家がいるんじゃなかろうか、こういう疑惑をやはり生んでおると思うんです。そこで私は、これからの政治のあり方の提案として、大蔵大臣もこのモラルということを強調されておりますけれども、単にこれは自主的な精神面のモラルを強調するだけで事が済む問題ではない、私はもう少しこの政治家のあり方というものの規制を強化すべきではないか、このように考えるわけです。
 したがって、今後そういう方向についての提案として、まず第一は、政治活動と経済活動というものの切り離しを明確にする。つまり、政治権力を持って自分の利益確保のために動くというようなことを禁止をする。第二番目は、公職者、特に大臣には財産公開等を義務づける。第三は、守秘義務と国政調査権の関係がいろいろ論議されてきたわけでありますけれども、この関係をもう少し明確化する必要があるのではないか。第四点としましては、この政治資金法の改正、こういった具体的な措置をお願いをしたいと思うわけであります。
 まず、この第一の点についてでありますけれども、少なくとも大臣については、次の点を義務づけるべきではなかろうか。これはアメリカでは、大統領が長官を任命した場合に、アメリカの上院で審査を行ない、承認をとらなければなりません。この場合には、その長官となる候補の財産、思想、経歴等について審査が行なわれるわけであります。したがって私は、特にこの田中さんの場合のような怪しげな会社との関係を持たない、あるいはそういうことを自分でやらない、こういう点についての調査というものがやはり必要になるのではなかろうか。
 それから第二点は、公有財産の売買等について、自分と関係の深い者が当事者となる場合についてはこの経緯を公開する、あるいは何らかの機関でそれが公開できるという制度をつくるべきではないか。
 第三は、自分の職権と利害関係にある者、そういう者からは政治献金を受けない、少なくともこういうルールというか、規則というものをつくるべきではないかと思いますが、この点について意見をお伺いしたいと思います。
○説明員(柳田桃太郎君) これらの点につきましては、大蔵省の管轄を越える問題であり、政治家の一人としての私の所見で申し上げますならば、そういったルールが確立いたしまして、公職につく者の資格審査が行なわれるということは先進国では行なわれておりますので、わが国も、そういったものが行なわれることが私も望ましいと思います。
 それから、公有財産の売却につきましては、これはもう原則として公開入札をすべきものでありまして、もし、特定の者に随意契約をする場合には、それだけの理由がなければならないものでございますから、これは御説のとおりであります。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
 それから、職権の伴う政治資金につきましては、これはやはりその人の道義に訴えて、モラルとして十分にこれは考えていかなければならぬ問題でございまして、いま御説の問題は、私は政治家の一人として同感の点はもちろんございますけれども、大蔵省の側の政策としてこれをどう生かすかということにつきましては、私からいまここでお答えをするわけにはまいりませんので、お許し願いたいと思います。
○田渕哲也君 大臣がおられないのでしかたがないと思いますが、次の質問に移ります。
 この財産公開の義務の問題でありますけれども、アメリカでは御承知のように、一九六五年のジョンソン大統領時代の大統領行政命令によって義務づけられているわけです。これは行政職員、大統領を含んで全員に対していわゆるシビル・サービス・コミッションの委員長あてに報告書を出すということになっているわけであります。また、議会においても上院議員、あるいは下院は議員を含め職員全部、この議院規則によってこれが義務づけられている。司法府においても同様である、こういうことでありますけれども、私は、わが国においても何らかの形で、少なくとも大胆については財産の公開を義務づけるべきだ、このように思うわけでありますけれども、この点はいかがですか。
○説明員(柳田桃太郎君) 本件につきましては、私も政治家の一人として、政治家の姿勢としてはそうあるべきだと思います。しかし、これは大蔵省のその職域においてきめるべき問題ではございませんので、また御質問の場を改めて政府の見解としてただしていただくようにお願いしたいと思います。
○田渕哲也君 それではまた次に進みまして、第三点の守秘義務と国政調査権の関係について質問したいと思います。
 今回の審議を通じて、田中総理大臣の金脈疑惑問題の究明が、委員会の審議においては、いわゆる守秘義務の壁にはばまれて進展を阻害されておる。私はこれはきわめて遺憾だと思うわけであります。考えてみたら、これは本末転倒もはなはだしい論議がされておるのではないか、こういう気がするわけです。国政調査権というものが公務員の守秘義務に優越するのはケース・バイ・ケースだ、こういうような答弁をされておるわけでありますけれども、こういう解釈が行なわれ、また、実際の運営がこういう解釈に従って行なわれるとするならば、憲法で定めた国権の最高機関であり、唯一の立法権を行使する国会の機能を完全に果たすことはできないと思うんです。この点について法制局長官の意見をお伺いしたいと思います。
○法制局長(杉山恵一郎君) 国政調査権が非常に重要な権限であるということは申すまでもございませんので、したがって、守秘義務があるというふうなことで断わるというふうなことは、これは前々から申しますように、適当ではないというふうに前から申し上げておるところでございます。
 ただ、百四条の規定としましては、提出さるべき義務に関して何らの制限が書いてございませんけれども、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律、これもやはり国政調査権を強力に行使するための規定として、百四条と同じような趣旨のものでございますので、百四条の場合でも、やはり、議院における宣誓及び証言等に関する法律にあるある程度の制限というものは存在すると考えなければならないであろうというふうに考えております。
○説明員(真田秀夫君) 公務員の守秘義務と国政調査権との関係については、前々私のほうからお答えをしておりますが、あらためてもう一回整理をしてみますと、国政調査権は、いまの憲法の六十二条から出てくるものであって、民主国家としての国会の運営につきましてまことに大事な権能でありまして、十分に尊重しなければいけない。これはもうもちろんでございます。
 ただ一方、公務員は行政の執行にあたりましていろいろな秘密を知る機会がございます。その公員が職務上知った秘密をやたらに漏らしていいというようなことにはもちろんならないわけでございまして、その秘密と申しますのには、それは個人の秘密もございますし、国の秘密もございますし、また、個人の秘密を漏らすことによって、将来の行政の円滑な運営の阻害されるという弊害が出るということもございます。そういう観点から見まして、公務員は厳重に法律で秘密は守れと、職務上知った秘密は守れというふうにいっているわけでございまして、これを守ることはやはり大事な公益だろうと思います。
 そこで、そういった意味の公益と、それから一方、国政調査権によって調査したい、あるいは別の例を出しますと、裁判所が司法権の行使として民事、刑事の訴訟事件において取り調べをしたい、その取り調べなり御調査の内容が公務員の職務上知った秘密に該当するという場合には、二つの公益がそこで衝突するわけでございまして、これを漏らすことによって失われる公益、言いかえれば、その守秘義務を守ることによって得られる公益と、それから国政調査権なり裁判所の事実取り調べに協力することによって得られる公益と、この二つを比較勘案いたしまして、そしてケース・バイ・ケースによって御協力申し上げることもあれば、お断わりすることもある。やはりそれはケース・バイ・ケースによって判断しなければならないことでございまして、一がいにどちらが上だ、どちらが優先するということをきめてかかるということができるものではないだろうというふうに思っております。
○田渕哲也君 私は、その表現の仕方に問題があると思うのです。実際問題としては、そのときどきで内閣が判断するということになると思うのですね、これは議院証言法第五条によってそういうことがきめられておりますから。それは、どちらが優先するというような問題ではないという表現ではまずいと思うんです。私は、その国政調査権は国政全般に及ぶものである、これが基本だと思うのですね。ただ、そのうち特に例外的なものとして議院証言法第五条にきめてある。こういう場合に限り除外されるという例外的な問題ではないかと思うのです。これはどうなんですか。
○説明員(真田秀夫君) ただいまお示しの議院証言法第五条なり、あるいは刑事訴訟法の百四十四条にも、国の重大な利益に悪影響を及ぼすというふうに書いてありますので、軽々にお断わりしていけないということはもちろんでございます。例外であるかどうか、これは表現の問題でございまして、やはり、やたらに断わっちゃいけないという精神は十分そこからくみ取れるということでございましょう。
○田渕哲也君 そうすると、そういう証言法に基づく場合でも、内閣の判断で、国の重大な利益に影響を及ぼす場合にはこれは断われるということになるわけですね、声明を出して断われる。それで、今回の場合問題になっているのは、やはり私は、大蔵大臣の判断で出すか出さないかということが最終的にきまる。本来ならこれは出すべきものであるけれども、国の重大な利益に悪影響を及ぼす場合には、大蔵大臣の判断で出さないこともあり得るということだと思うんです。そこで、先ほど私が言った点ですね。たとえば大臣の審査の問題、大臣の就任についてこういう点についての調査とか、あるいは公開の問題、あるいは財産の、アメリカでやっているような財産公開の義務の問題、こういう点について次官は、個人的にはこれは同感だということを言われたわけですけれども、こういう精神からするならば、守秘義務について、やはり総理の財産の問題について疑惑が持たれておる現状においては、私はこれは阻止されるというのはおかしいと思うんです。これはどうですか。
○説明員(柳田桃太郎君) 官吏が持っておる守秘義務については、これまでしばしば申し上げておりますとおりに、大蔵大臣が公開するということのお許しがあれば、これはもう内容を申し上げてもいいわけであります。そこで、大蔵大臣がどの程度にこれを皆さん方に御説明申し上げるかというような、まだ最終的な決定がなされておりませんので、大臣も本日そのことをはっきり申されなかったのであります。しかしながら、これはどういう方法で公開するかという、いまその方法論につきまして一つの何といいますか、示唆に富んだ御発言がありましたが、現時点におきましては、まだ総理大臣なり各大臣なりの資産内容を公開するという、そういうような特別法も定まっておりませんので、この時点においてどういうようにして疑惑を晴らすような方法を講ずるかということについては、真剣にやはり大臣としてもこれを研究し、検討をいたしております。このままでどう過ごせるというわけにもいかないわけでありますから、何らかの方法でこれをやる。その場合に、役職を限ってそういうようなものを公開するのか、あるいは内容を限定してこれを公開するのか、あるいは公開しないとすれば、内閣の責任において、最終的には声明でも出してこれをお断わりするかというような重大な問題もありますので、まだそこまで大蔵省としては議論を詰めておりません。率直に申し上げまして、まことに御答弁になりませんけれども、まあ答弁とする次第であります。
○田渕哲也君 では、時間が来ましたので、最後に一言だけお伺いしたいと思います。
 私は、単に今回の問題に限って守秘義務と国政調査権の問題について言っているわけじゃないわけです。先ほどから申し上げておりますように、この政治家のモラルを確立するための慣行をつくるために、第一番の政治権力と自分の利益、利得との関係、それから公職者の財産公開の慣行、それと並べてこの守秘義務と国政調査権の関係の明確化、こういうことを申し上げておるわけで、私はこういう観点から見た場合に、守秘義務の名において、特に大臣の資産問題について国会の国政調査権を阻止されるということはまずいんではないか、こういう一般論ですね。これについてどう考えられるか。
 それと関連して、今回の問題においても、そういう考え方からするならば、守秘義務の名において田中さんの金脈問題を伏せるということはまずいのではないか、こういう点をお伺いしておるわけです。
○説明員(柳田桃太郎君) 非常に示唆に富んだ前向きのりっぱな御意見だと思いますけれども、ここでそれを私が決定をして答弁申し上げるには、あまりにも相当大きな問題でありますので、十分に検討した上で、あらためてまた御答弁申し上げることになります。
○野末陳平君 田中角榮氏が関連している会社で東邦企業という会社がありまして、これが実は幽霊的な会社で、本店のもとの住所が品川区大崎五の一の十というところで登記してありまして、そこへ行きましたらば、そこは五階建ての建物がありまして、で新東京木材会館というのが一階、二階、まあオフィスになっておりまして、そしてその上が、五階建ての三階、四階、五階が住宅公団五反田アパートということになっておりました。
 公団にお聞きしますが、この住宅はいつごろ竣工して、どういう人を入れるような住宅か、簡単に説明してください。
○参考人(川口京村君) お答えいたします。
 この住宅が竣工いたしましたのが昭和三十五年でございます。
 で、現在、施設が一、二階になっておりまして、その三階から上が単身の住宅になっております。百八戸でございます。
○野末陳平君 そうだと思うんですが、問題は、この東邦企業という会社は、かつて存在した形跡が全くありませんでした。ですから幽霊会社なんですが、ここの単身用の公団アパートに――この写真をごらんになってわかりますが、このポストに、郵便受けに入内島という、五四三号入内島という名前がありました。
 そこで、建物はこれですけれども、この入内島という名前がありましたので、これはたぶん東邦企業の元代表取締役であって、田中ファミリーで有名な入内島氏であろうと思いまして、管理人の名簿を見せてもらいますと、管理人名簿に事実、入内島金一と、――これは小さくてちょっと見えませんけれども、入内島金一というふうにはっきり書いてありました。まぎれもなく問題の人だろうと思いまして、今度は部屋に行きますと、この五四三という部屋にはドアの外に表札がかかってない。全然これは何とも、つまり名前が全然ないわけですね。はたしてこれ、入内島金一氏がここに住んでいるのか。もし住んでいるとしたら、いつごろからここにいるのか。そういう事実関係だけをひとつ公団側にお尋ねしたい。簡単でけっこうですから。
○参考人(川口京村君) このアパートができました当初から、入内島さんがそこへ入っております。
○野末陳平君 そうしますと、単身アパートに、しかも公団に入内島金一氏が入っていると。非常にふしぎな感じがしますが、この住宅――ここですね、この環境を簡単に説明していただきたいんです。大体駅までどのくらいで、家賃は幾らぐらいで、そしてまあこの住宅とは言いませんが、一般に単身アパートというのはいまどのくらいの競争倍率になっているか。その辺のところをまたこれ簡単に説明してください。
○参考人(川口京村君) 本アパートは、山手線の五反田駅から歩いて約三分でございます。
○野末陳平君 三分。
○参考人(川口京村君) はい。
 それで家賃は、管理開始当時は三千四百円から三千八百円になっております。それから途中で、これは単身ですから入れかわりが激しいところでございまして、四十一年度以降は、あいたところから五千四百円から六千円と、そういう家賃をいただいております。
 で、なお、単身住宅の倍率でございますけれども、最近公団ではほとんどつくってございません。ただ、首都圏の地域で一番最後に募集したのが六九・七倍というふうになっております。それから、毎年四回単身住宅のあき家募集をしております。これが約十八倍とそういう倍率になっております。
○野末陳平君 ついでに広さは、ここの広さはどのくらいですか。
○参考人(川口京村君) 広さはちょうど一Kでございますんで、四畳半一間に簡単なキッチン、つまり流し台一つとガスコンロ一つ置けると、そういうふうになっておるわけです。あと押し入れがあります。
○野末陳平君 非常に狭いですけれども、駅まで三分であって、しかも家賃がばかみたいに安いですから、これは当然入りたい人が多いと思いますが、競争率もなかなか激しいようです。そこで、入居の資格があると思うんですね、公団ですから、単身アパートに。ここでけっこうです、ここに入居するにはどういう資格が必要か。
○参考人(川口京村君) これは一般の公団住宅と一緒でございまして、勤労者で日本国民であること、それから住宅に困窮しているということ、それから単身であるということ大体この三つでございます。
○野末陳平君 国税庁にお伺いしますが、それでは入内島金一氏は現在、税務資料から確認したいんですが、所得のレベルがどのくらいなのか、一応公示になっていると思うんで、簡単にそれも。
○説明員(磯辺律男君) 四十八年分、千円単位で申します。千五百二十一万六千円、四十七年分二千八十六万五千円、四十六年分千二百五十一万五千円、最近三年間の公示所得金額を申し述べますとそういった金額でございます。
○野末陳平君 もうこれは相当な高額所得者で、これは想像どおりですけれども、さて、いまの入居資格は単身者で、住宅困窮者であるということになっております。入内島金一氏は独身なのか、そして自宅がどこにあって、はたして住宅困窮なのか、ちょっと税務資料からはずれる部分もありますが、とりあえずその辺のこともわかる範囲で教えてください。
○説明員(磯辺律男君) 入内島氏の所得税の確定申告書面では、住所は茨城県稲敷郡江戸崎町大字江戸崎甲二三五四というふうに申告されております。
 それから、独身かどうかということにつきましては、これは私どもはそこまで調べておりませんけれども、上牧荘の経営者が入内島、代表者といいますか、その方が女性でありまして、その方が入内島さんの奥さんではないかと思います。
○野末陳平君 事実独身であるはずもないんで、妻帯者なんですけれども、それから自宅の件も茨城県にも家があるし、それが自宅かどうかはわかりません。それから、経営している旅館のほうも家かもしれません。それから、目白台の角榮氏のところにも表札がかかっておると、これはどう考えても住宅困窮者じゃありませんで、くどくど国税庁に説明していただきましたが、どこから見ても入内島金一氏はこのアパートに入っている資格がないという、明らかに十五年間、つまり、三十五年にこのアパートができてから現在に至ってもまだ入っているということですから、十五年間不正入居していると、これはすぐ立ちのくべきなのに、なぜ公団はほうっておくんでしょうか。
○参考人(川口京村君) 昭和三十四年ごろこの土地を借りました際に、あそこの現場は材木置き場がありまして、当時のことはよくわかりませんが、聞いたところによりますと、そこに事務所と、それから御自宅があったというふうに伺っております。それで、うちの市街地住宅をつくる場合に、現にそこに住んでおられた方については、やはり優先的に一戸与えるという制度になっておりまして、そのときに上の単身に入っていただいたという経緯でございます。その後どう変遷したかがわれわれのほうはよくわからなかったわけですけれども、ちゃんと家賃も納めていただいておりますんで、そのまま調査せずに今日まできておるということでございます。
○野末陳平君 土地を持っていたから優先でもってワクがもらえるというのはどこにもあることで、それはわかりますが、しかし、この時点でもう単身でないということがわかったら、これはもう優先権とは別に出るべき性質のものじゃないかと思うんですが、それでもまだそのままにするんですか。
○参考人(川口京村君) 単身というのは、これは一人で住んでおるという意味でございまして、結婚しているとかしてないとか、家族があるないというのとは直接関係がないわけなんです。といいますのは、現に、たとえば大阪に自宅のある人が東京へ転勤になった場合、じゃあうちの単身に入居資格がないかといいますと、これはやっぱりあるのでございます。逆の場合も、もちろん大阪の単身に、現に住宅に困窮しているという意味で単身に入っている方もございます。
 そういう点では違法とは言えないのでございますが、なおほんとうにずっとそこにお住まいなのかどうか、われわれのほうでも調査してみたい、そういうふうに考えております。それで真に適格者でないということが判明いたしましたならば、適切な処置をとりたい、そういうふうに考えております。
○野末陳平君 いや驚きましたね。十五年間住んでて、まだその辺の調査が行き届いてないというか、最近になってわかったのか、それとも初めからわかっていたけれども、まあ問題の人だから目をつぶっていたのか、その辺は知りませんが、優先ワクのことでもう少しお聞きしましょう。
 別にここに入内島氏がいて悪いと言っているわけじゃないんですけれども、なぜ入居したのか。確かにこの土地が入内島金一氏の土地であって、そしてその上に公団を建てるために優先ワクというもので入内島氏に何戸かを渡したということになりますね。これは百八戸のうちの何戸を当初渡したんでしょうか、優先ワクで。
○参考人(川口京村君) これは大体一般市街地住宅としましては二〇%くらい――必ずしもきまっておりませんが、大体そのぐらいをめどに、その下の施設の従業員のため、あるいは元の地主さんがそこに住んでおれば、その地主さんが住むところなくなりますので、そういう者のワクというものがございます、それで本件の場合は二十五戸になっております。まあ二十五部屋といいますか、そういうふうになっております。
○野末陳平君 百八戸のうちの二十五戸ですから、いまの二〇%よりも上だと思いますけれども、優先ワクというものは原則的に二〇%といいながら、その目一ぱい二〇%を優先ワクに与えている例は少ないと聞いたんです。そうしますと、この入内島金一氏の場合はほかの公団住宅の優先ワクに比べて普通以上である、少なくとも二〇%以上になっているという単純な計算ができるんですけれども、なぜ当初においてこんなにワクを、レベル以上のワクを彼は獲得できたんでしょうか。どうも何か圧力があったとか強要されたとか、まあいろいろ知りませんけれども、力関係で公団と入内島氏の場合には何かフェアでないものを感じますが、何にもなかったのですか。
○参考人(川口京村君) だいぶ前のことでございまして私よく存じませんですけれども、一般に市街地住宅については二〇%から三〇%というワクが――まあ下のその施設の従業員のために決してここのは過大とは私ども考えておりませんです。
○野末陳平君 そうしたらこの優先ワクというものの意味ですけれども、だれが住んでも要するにいいという意味なんですか。それとも単身アパートであるから、優先ワクではあるものの、やはり資格を住宅困窮でしかも単身でという資格を備えた者が住まなきゃいけない、それはどちらですか、この優先ワクという意味ですけども。
○参考人(川口京村君) これはあくまでも資格は単身でございます。それから住宅困窮者、それからさらに一般と違いましてこの下の施設の譲り受け人の従業員またはその所有者というふうに限られておるわけです、ですからワクがあったからといって、単なる知り合いとか関係のない人がそのワクの中に入るということはできない、そういうふうになっております。
○野末陳平君 そうしますと、入内島金一氏が持っている優先ワクの二十五戸は、いわゆる資格者、このアパートに住むべき資格のある人がきちっと住んで、公団本来の用を果たしているのかどうか、現状はどうでしょうか。
○参考人(川口京村君) 最近は調べておりませんが、下の施設の従業員が入っているものとわれわれは思っております。
○野末陳平君 いや、思っておるじゃ困るんで、実を言いますとですね、じゃあこちらから言いますけれども、二十五戸の入内島金一氏の持っている分であき家がすごく多いわけなんですね。それは管理人名簿、これを見ていただいてもわかりますが、あき部屋がすごく多いんです。それから単身でない人も現に、名前だけかもしれませんが、入っているわけですね。
 いずれにしても、どうも公団側の説明を聞いてますとあれですね、住宅にいまみんな入りたくて困ってて、しかもこんな便利で安いところがあいている、あるいは不適格者がいるかもしれないというのに、非常に調査が怠慢でいいかげんで非常に無責任な答えに聞こえるのですけれども、私のほうの調べでは間違いなく入内島氏も含めて不適格な人がここには住んでいるんですよ。しかもまた、あきっぱなしの部分は彼の持っている優先ワクなんですね。こういう事実をもってして、この優先ワクも本来有意義に公団としては活用していると、こう判断していままでほっといたのでしょうかね。
○参考人(川口京村君) 現在入っている人が適格者であるかどうかというのは、別途、われわれのほうで調べさしていただきたいと思います。
 なお、このあき家につきましては、実は、ここの上にのっておりますアパートは十年たったら下の施設譲り受け人に払い下げるんだという約束があるとかないとかということで、現在、係争中でございます。これはことしの初めごろ裁判がございまして係争中でございますので、公団としては、そういう係争中のアパートに入居者を入れるということは必ずしも適切でないという判断から、あき家のまま置いてあるわけです。なお、見通しがつきましたならばこれは早急に埋めたいと、そういうふうに考えております。
○野末陳平君 じゃあ、その係争中の裁判の話が出ましたから、それをちょっとあとでお伺いしますが、その前にはっきりしておきたいことは、入内島金一氏が持っている優先ワク二十五戸、自分の入っているのを一戸取りますと二十四戸ですが、それがどういうふうに使われているか、ここでは触れないことにしましょう。少なくも入内島氏の名前が出ているこの部屋は、彼が資格があるんですか、それともないんですか。ないとしたら出てもらわなきゃならない。その辺全然さっきからはっきりしないんですがね、どうなんですか。
○参考人(川口京村君) これはその入っている状態をわれわれのほうで確認してみませんと何とも言えないわけです。それで、いま申し上げましたように事実入っておりまして、そこでまあ寝泊まりといいますかしておれば、これはほかにかりに住宅がおありだとしましても、なかなかむずかしかろうと思うんです。ただ、事実上もうほとんど入ってないということであれば、これはお返し願って一般のほうへ回したい、まあそういうふうに考えておるわけです。
○野末陳平君 じゃあ、すぐ調べてください。管理人にお聞きになってもいいし、どうにもあまりいいかげんなんでちょっと驚きましたがね。使っていませんよね、使っていないし、しかも自分の持っている、まあ使ってないというより、家がたくさんあるんですから、東京にも。こんな狭い古いところにいるわけないんだから、これは幾ら公団側がそういうかばうような発言をしても常識的におかしいんですよ。
 で優先ワクについてもちょっと管理がずさんというか、ルーズ過ぎるんですね。要するに自分が優先ワクを取ったと、それをそのまま何といいますかその既得権をほしいままにして独占しているんですよ、それで遊ばせたまんまにしているんですね。これ一般の若者に貸せばこれはどんどん埋まりますよ。そういう意味で大衆の利益も考えずにこの人物がこの既得権の上にあぐらかいている。こういう態度を公団がほっとく、まだ調べる、十五年間の事実をいまになってもまだこの場でも結論が出てないなんて、そんなばかなことないと思うのですね。ぜひ調べて、ぜひじゃない直ちに調べて、私の言ったことに間違いがないですから、そのとおりすぐ少なくも立ちのいてもらって、そうして優先ワクもきちっとして一般に開放する、すぐそういうきびしい措置をとってほしいと思うのですが、やってくれますか。
○参考人(川口京村君) 私どものほうで調査したいと思います。
○野末陳平君 いやしかし、じゃあもう少し事実を言いましょうか。調査したいって、十五年間ぼくがこれ言うまで全然調査をしてなかったんですか、全然知らなかったんですか、どっちですか、これ。
○参考人(川口京村君) 怠慢と言われればそれまでなんですけれども、言いわけになりますが、現在、住宅公団で全国で五十万戸の住宅を管理しておるわけです。ですから何かそこで事件が起きたとか、投書があったとか、あるいはそういう機会に不正入居があるということがわかりませんと、われわれのほうで一つ一つ調べるというわけにはなかなかまいらぬわけです。ことにこれにつきましては、家賃がきちんと納まっている以上、なかなかそういうところまで手が回りかねるというのが実情でございます。
○野末陳平君 いやしかし驚きましたね、公団も。そんなのあたりまえじゃないですか、何のために入居者の資格があって管理人を置いているんですか。あんまりいいかげんな答えをしてもらうと非常に困るんですがね。わかりました。私が指摘して初めてこの事実に気がつかれたんだと善意に解釈しますから、直ちに措置をとってください。
 そして、いま裁判の問題が出ましたから、ついでに言いますが、これはあれですか、要するにこの公団住宅の土地は入内島金一氏のもので、それを借りて公団がアパートを建てているから、十年後に譲渡するというそういう約束が公団にありますね、これと同じで、入内島氏が十年後に譲渡せよと、私に払い下げろといってこういう係争をしているわけですね。
○参考人(川口京村君) 実は、この十年後譲渡という制度でございますが、公団としては、昭和三十一年、二年の市街地住宅については、そういう条件で土地を借りておったわけです。ただ三十三年以後の分につきましては、そういう制度はとってないわけなんですが、ただ前年度の続きで、そういう約束をしたものと、しないものというのが全国にいろいろあるわけです。それで当時のこの担当者の証言などを調べて、現在、調査中なんでございます。
 その調査がわりあいと時間をとっているもんですから、この本件アパートのほかに十数件ございますけれども、公団は確かに約束をしたんだということで訴訟が起きているんでございまして、もちろんその払い下げの値段もあわせての訴訟でございますが、公団としては、その約束があったか、なかったかということを現在調査中であるということと、それから値段についても相当異論がございますので、そういう意味で係争中ということを申し上げたわけでございます。ですから、ここを払い下げると決定しているわけでもございませんし、現在、そういうことで裁判で争っておるというのが実情でございます。
○野末陳平君 いやわかりました。要するに公団側の態度は払い下げたくないのだが、入内島氏のほうがそういう約束があったのだから払い下げろと、こういって係争中なわけですね。そうですね、そうでしょう。
○委員長(前川旦君) 川口参考人。
○野末陳平君 あなたに答えられていると肝心なことを言う時間がなくなっちゃうんですよ。だからそうでしょう、実際。
 そこで、この土地について、土地は私のほうから言いますと約五百坪ぐらいあるんでしょう。そうですね。
○参考人(川口京村君) はい。
○野末陳平君 坪でいいますと約五百坪くらいあって、これが全部入内島金一氏の所有なんです。そして以前は大蔵省が持っていた土地なんです。これはここにありますからこれも間違いないですが、物納で大蔵省の手に入った土地が群馬銀行を経て入内島氏の手に渡ったのが昭和三十四年で、渡ったと同時にこの住宅の話が出ているわけですよ。ですからそのあたりに興味のある事実がありますが、この際、古いことでもありますし、また直接いまの公団アパートとの関係がありませんので、それは省きます。
 いまあなたがお答えになりましたこの三階から上の――住宅でない下の部分ですね、施設の部分ですね、一階と二階と新東京木材会館と書いてあって事務所やなんかに使ってあるこの部分は、当然、入内島氏に建ったと同時に譲渡契約がなされているわけですね。その譲渡契約がなされるには保証人が必要だということだと思うのです。そこで、この譲渡契約の保証人はだれだったのか教えてください。
○参考人(川口京村君) これは保証人は、これ一期分と二期分に分かれておりまして、一期分の連帯保証人は田中角榮となっております。それから二期分の保証人が久保孝三それから萩野信量、この三人です。
○野末陳平君 二期分のほうはいいです。私のほうが手に入れた書類でも、事実、契約には連帯保証人衆議院議員田中角榮というふうにはっきり書いてありますから、そのお答えとこれは合致するから間違いなく角榮氏がこの話には相当なあるいは何らかの役割りを果たしていたと、こういうふうに当然考えます。少なくもこの住宅を建てる場合の公団と入内島氏の間の仲人役というか、まとめ役であったことは確かですね。そこで私のほうはこの住宅建設に関しましていろんな疑惑を感ずるわけですよ。
 たとえば入内島氏が、三十五年の住宅が非常にない時代において、公団住宅がまた少ない時代において、こんな便利なところをなぜ普通よりも多く優先ワクを持っていたかということとか、あるいはこの土地を市価よりも――市価というか、一般よりも高く公団に買わせたんじゃないかとか、あるいはこの施設部分の一階、二階の事務所の部分を安く要するに話をまとめたんじゃないかとか、いろいろな疑惑を持つわけですね。いいですか、そこで、そういう疑惑はやはり田中角榮氏がみずから保証人となっているというこの厳然たる事実から当然考えられるんですが、いまのこの裁判についてだけ触れておきたいと思うんですが、入内島金一氏が十年後には譲渡する約束だということでいま公団側に訴訟を起こしている。これはどうなんでしょうかね、やはりこのあたりにも田中角榮氏というものがかなりの役割りを果たしているんではないかと思いますが、当時の状況からしてそういう角榮氏の圧力ないしは立場からの発言、そういうものはなかったんですか、その辺をちょっと正確に答えてください。
○参考人(川口京村君) 前の話でございまして、私正直言ってその辺よくわからないんでございます。ただ現在から振り返ってみますと、市街地住宅というのは、これは公団は権利金を払わないで土地を借りている上に住宅を建てるということでございまして、なかなかそういう地主さんというのは見つけにくいという状態でございました。それと倍率が相当、いわゆるそういう市街地住宅を建てるという適地が必ずしもたくさんなかったもんで、いわゆる競争激烈の中でそういうふうにあったというふうには考えられないわけです。
 それから土地は、これは借りておるわけでございます。買ってはおりませんです。
○野末陳平君 いや、土地は言っていませんよ。土地じゃなくて、この施設の部分を安くあるいは高くということを言ったんですよ。
○参考人(川口京村君) 施設の部分は御承知のように公団は原価でお売りすることにしておりますので、建築費と利息をつけたそういうもので分譲する、そういうふうになっているわけで、特別に安くとか高くとか、そういう事実はございません。
○野末陳平君 時間もなくなりましたが、もう田中総理大臣もおやめになることになったんですから、あまりここでもっていま昔のぼろを隠さないように、いろいろとごまかさなくたっていいと思うんですよ、私のほうでわかっているんですから、ほんとうに。この土地の前の大蔵省の持っていた時点からのことだってわかっているわけですよ。ですから、そんなことは古いですから、あまりがたがた言いませんからね。それから公団ばかり責めてもしようがないんで、建設省もかなりの関係があるわけですからあまり言いません。
 だから、いまの時点で昔は言わないから、この時点で少なくもいままで何らかのまあいろんな力が陰に陽に働いて、せっかくのこういう公団アパート、古くはなったとはいっても、住宅に困っている若い者は一ぱいいるわけですよ。それがこういうようないいかげんな、ルーズな利用のされ方、それを公団のほうが全然知らない、こんなずさんな管理でしわ寄せが一般に及ぶというこの事実をもうちょっと重大に考えてほしいんですよ。
 ですから、入内島氏と角榮氏に関する疑惑は疑惑で、これは質問を保留して次の機会に譲りますから、この時点では、少なくももうちょっと公団が責任のある管理法――いま調査中なんて、そんなふざけたこと言わないで、直ちにきびしい措置をとるべきだ。単身かどうかわからないとか、自宅はあってもときどき使うとか、そんな寝ぼけたような答弁をしてもらいたくないんですよ。わかりましたか。どう考えたってもうこの入内島氏はいる資格はないでしょう。最後にそれだけはっきりしてくださいよ。それともまだ調査するのか、資格があるとおっしゃるのか、それによっては次の機会にあなたに対して、あなたは古くて知らないと言うけれども、きちっとした資料を見せますよ、全部。それだけはっきり言ってください、入内島氏のこの部屋に対する今後の措置について。
○参考人(川口京村君) 公団で調査いたしまして、不適格な部分があれば適切な措置をとりたいと、そういうふうに考えております。
○野末陳平君 それでは、あまりにもふざけたお答えをいただいたんで、実はびっくりしているんです。そんなに公団のほうはこの人物をかばったり、あるいは調査と言って逃げるほどの状態ではないはずなんです、ここはいま、裁判のことも含めて。だから、驚きましたからもう一度来てもらいます。もう一度来ていただいて、具体的に、その裁判のことから、土地を取得するその前後のことから、全部それを今度質問さしてください。
 終わります。
○委員長(前川旦君) 他に御発言もないようですが、大蔵省関係の審査につきましては、各質疑者から再び質疑保留が出されておりますので、後日、あらためて審査を続行することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時六分散会