第075回国会 地方行政委員会 第17号
昭和五十年七月一日(火曜日)
   午前十一時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     石破 二朗君     鍋島 直紹君
 七月一日
    辞任         補欠選任
     岩男 頴一君     藤田 正明君
     夏目 忠雄君     中西 一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                金井 元彦君
                安田 隆明君
                野口 忠夫君
    委 員
                安孫子藤吉君
                井上 吉夫君
                岩男 頴一君
                大谷藤之助君
                夏目 忠雄君
                橋本 繁蔵君
                赤桐  操君
                和田 静夫君
   政府委員
       通商産業省立地
       公害局長     佐藤淳一郎君
       自治政務次官   左藤  恵君
       消防庁長官   佐々木喜久治君
       消防庁次長    森岡  敞君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       資源エネルギー
       庁公益事業部ガ
       ス保安課長    越川 文雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○石油コンビナート等災害防止法案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六月二十七日、石破二朗君が委員を辞任され、その補欠として鍋島直紹君が選任されました。
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○委員長(原文兵衛君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 石油コンビナート等災害防止法案について、災害対策特別委員会並びに公害対策及び環境保全特別委員会から連合審査会開会の申し入れを受諾することとし、また、商工委員会から申し入れがあった場合も受諾することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 石油コンビナート等災害防止法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○赤桐操君 今回提出されました石油コンビナート等災害防止法をめぐりまして、ただいまから若干の質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、この法案の作成に当たりましての基本的な構想なり、あるいはこの法案の背景となっているいろいろな経過があると思いますので、この点についての御説明を求めたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) 石油コンビナート等災害防止法案の立案に当たりましては、この法案の立案のきっかけとなりましたのが、昨年十二月の三菱石油水島製油所の重油の流出事故並びに本年の二月の四日市市における大協石油の灯油タンクの火災事故というようなものであったわけでありまして、これらの問題につきまして早急に防災体制を整えさせるというような観点から、非常に日限的な制約もあったこともございまして、この立案に当たりましては、コンビナート地域において適用されます各種の個別の立法、たとえば消防法でありますとか高圧ガス取締法あるいは労働安全衛生法といったような、個別立法との関係をどういうふうに考えるかという問題があったわけであります。
 いま申しましたように日時等の制約もございましたので、考え方といたしましては、コンビナート地域における各種危険物施設、高圧ガス施設につきましての施設個々の安全対策というものにつきましては、消防法、高圧ガス取締法等の個別立法の規定によることといたしまして、コンビナート地域全体としての防災体制をとらえていく、こういう立法の仕方をしたわけでございます。そういうことから、この法律はどちらかといいますと、いわば地域全体の面的な規制を中心にして立案をいたしておるわけでありまして、したがいまして、コンビナート地域の安全対策を講じますためには、個別立法におきます規制と、それからこの災害防止法案による規制と、この両方相まって安全対策の確立を期していこうと、こういう考え方で立案したものでございます。
○赤桐操君 点から面に志向してこの法案の作成をされたということについては、中を私も拝見してそういうように感じましたけれども、問題は、この法案で大体これからのコンビナートに対する総合的なコントロールは効くかどうか、この点について伺いたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) ただいま申し上げましたとおり、個別立法の規制ということも、この法案の立案に当たりましては十分に前提にいたしております。したがいまして、コンビナート地域におきます安全対策といたしましては、一つは、先般この国会を通過いたしました高圧ガス取締法に基づきます規制の強化、それから、いま私どもが立案を急いでおります消防法関係の法令による規制の強化と相まちまして、この法案によるいわば面的な規制というものを考えてまいりたいと思っておるわけであります。したがいまして、この個別立法の規制とこの法案による規制、この両者相まって安全対策の万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。
○赤桐操君 私は、先ほど消防庁長官も言っておられましたが、時間的な関係ということも言っておられまして、どうも総合的に見るというと欠落部分がかなりあるのではないか、こういうふうに実は感じております。したがって、ただいまからそういう問題点を中心としましていろいろとお考えを伺ってまいりたいと思います。
 私は、先般の十二月の事件が発生いたしまして、一月の地方行政委員会でも長官にお尋ねをいたしたところでありますが、この問題は、私は防災といいましてもこれはいろいろ内容的に多岐にわたっておるわけでありまして、かなりこれは大きな、全国の地域を対象とすることになると思いますが、この対象地域はどのくらいに及ぶものですか。
○政府委員(佐々木喜久治君) この法案に基づきまして、「石油コンビナート等特別防災区域」ということにして指定いたします地域は、政令でその基準を一応定めることになっておりますが、危険物にいたしまして十万キロリットル以上の貯油取扱量があります地域、高圧ガスにいたしまして処理量が二千万立方メートルというものを一応のめどにして地域指定をいたしたいというふうに考えております。したがいまして、大体いまの概算でございますと、全国約七十地域というふうに考えておりますが、これは地元地方公共団体とその区域の区割りの仕方につきましてはいろいろ御相談を申し上げるということになっておりますので、この七十地域を前後にして、若干の数字が動くかと思っております。
○赤桐操君 災害対策というものには大別して二つあると思うのです。一つは予防の問題、一つは発生後に対するいわゆる処置の問題と、こういうように分かれてくると思います。
 それで、私は特に問題点としてまず第一番に指摘したいと思いますのは、コンビナートをこれだけの内容を持つようになってつくる場合は、まず基本的に立地の条件があると思うのですね。この前の地行の委員会でも私はお尋ねしましたけれども、いわゆる日本のコンビナート地帯というものはいわゆる臨海工業地帯でありまして、外国から原料を輸入する場合における港をまず考えなければならぬということで、いずれも臨海地域につくられております。それは大体埋め立てをして、そこにコンビナート設置に必要な用地をつくり上げて設置されていくと思います。この場合に一番大きな問題になるのは、埋め立て行政といいますか、埋め立てをする土地造成のところに非常に大きな基本問題が存在しているのではないか、こういうように実は指摘をしたところであります。その理由は、水島の事件にいたしましても、その後におけるいろいろ消防庁が調べた全国の一万キロリットル以上のタンクの状況等の調査を伺いますというと、不等沈下という事実がかなり指摘されているように思います。その不等沈下というものが、私はこれから非常に大きな問題に発展するように思うのです。そういう意味で、埋め立ての中にこの不等沈下なり地盤沈下というものの問題点は含まれているわけであって、このことについてこの法案の中ではほとんど触れられておりません。これはどういうようにお考えになっておられますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 確かに、コンビナート地域の防災対策の問題につきましては、いわば予防面と、災害発生後におきましてその災害を最小限に抑えていくという、この二つの面があるということは御指摘のとおりだと思います。こういう意味で、現在のコンビナート地域に適用されます法律というものを考えます場合には、こうした予防面といいますか、保安の面というものは個別立法にゆだねられておるというふうに考えられるわけでありまして、そして災害発生をできるだけ最小限に抑えていくという面につきましては、この法案の中でそれの対処の仕方が規定されるというような形になっていると思います。
 いま御指摘のように、タンクにつきまして、その特に地盤等に関する安全対策の問題になりますと、現在消防法の関係政省令の中でタンクの設置基準というものが決められておるわけでありますが、この設置基準自体が非常に大まかな規定になっておりまして、また工事の実際を見ますというと、地盤沈下に対応する措置がほとんど講ぜられておらないという点は私どもも十分反省をする必要があり、こうしたいわばタンクの技術基準の改定を当然行うべきであるというふうに考えております。いま具体的なその根本的改正の作業を行っておりますけれども、この作業は恐らくまだ一年半ぐらいかかるのじゃないだろうかというような感じがいたしております。したがいまして、その間の暫定基準といたしまして、こうした、特に埋め立て地域におけるタンクの建設に当たっては、地盤関係について、こうした不等沈下を生ずることのないように、いわばその地盤の沈下が一応今後の不等沈下といったようなものを起こさないような地盤の安定を待って工事をするというような形での基準をつくっていきたいと、こういうことでいま作業をいたしております。そういう意味におきまして、これまでのように、たとえば水張り検査等が地盤を安定させる工法の一つであったような形での施工方法は、今後認めていかない。あくまでも地盤の安定を待って本体工事を行わせるというような形にしていきたいというふうに考えております。
○赤桐操君 これは長官御存じだろうと思うんですが、大体いま埋め立てられている海岸というのは、地質の専門家の意見を聞きますと、大体もうほとんどこれは二十メートルから三十メートルくらいの沖積層になっている。特に川崎の地域になりますると、その沖積層が二百メートルにも及んでおる、こういうことになっているわけなんですね。この沖積層というのは、これは地質学上から見るとまことにもろい地質であって、こういうのは、どだいそういう台地といいますか強固な地盤といいますか、その地盤を頼りにしてつくり上げられるようなこういうものには適さないということを、一部いろいろとやかましく言われておると思うんです。こういうところは、言うなれば川崎のようなところはコンニャクコンビナート地帯と、こういうように一説には言われていますけれども、こういうところも現実にはたくさんあるわけであります。それでまた沈下だけじゃなくて、隆起するところもあるわけですね。今回川崎に見られるような地域もあります。こういうところは大体非常に本来地質の層から見ていって問題のあるところであったわけなんであって、そういうところに一体この種のものを認めていくかどうか、こういうことがむしろ大前提になるのではないかと思うんです。
 しかも、この消防法の規則等を開いてみまするというと、長官は改正のためにいま努力中だとこう言われておりますが、どういう方向に具体的に進むかはまだ私にはわかりませんが、いままでの大体様子を見るというと、支柱に支えられたタンクであってはならないのであって、強固な地盤に密着したタンクでなければならない、施設でなければならない、こういう構造物建造の規定があるんですね。しかし、その強固な地盤ということになってくると、こういういわゆる沖積層の弱いところは強固な地盤とは言えないと思いまするし、ましてこの海岸には、みおとか、あるいはまた断層があるわけでありまして、そこに埋め立てがなされた後においては、同じ比率でもって沈下が行われるとすれば、浅い方と深い方では当然その沈下の結果が違うわけでありまして、そういう意味からするならば、私は埋め立てそのものの段階でチェックが行われなければならないと思うんです。こういう点について、重ねてのお尋ねになりますが、お考えを示していただきたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) 確かに御指摘のとおり、沖積層の場合に地盤が非常に問題があるということは御指摘のとおりだと思います。そういう地質の地盤の上に建っておるタンクについていろいろ問題が生じますことは、これまでの私どもの緊急点検等を通じましていろいろ私どもも経験したところでございます。いまそういう面の地質、地盤関係の専門家にもお願いをいたしまして、こういう地域には絶対的にタンクが建てられないのかどうか、あるいはこれに対応するためにはどういう工法によるべきかということについての検討をお願いしているところでございまして、いま私どもはとりあえず暫定基準的に地盤についての工事内容というものを検討をいたしているわけでありますけれども、いま申しましたように、非常に軟弱地盤の場合には、そうした地盤が造成された以後において、恐らく半年ないし一年ぐらいのいわゆるプレロード期間というものを十分とりまして、それによりまして一応その地盤の安定を持って工事をさせるという方式をとっていきたいというふうに考えておるわけであります。これまでのように造成即工事というような方式はとらさないということでとりあえずもっていきたい。しかし、専門の学術的な意味におきましての結論は、恐らく一年半ぐらい経過しないとまだ結論を得られる段階ではないというふうに考えております。
○赤桐操君 この石油コンビナートの防災体制というものについては、これはまず立地の選定から、生産数量、タンクの容量等々に見合った少なくとも消防能力がなければならないと思うわけです。いま長官が言われた全国対象七十地域と言われておりますが、この地域におきましては、本島の重油流出や大協石油のタンク火災などの大事故を十分に食いとめるだけの消防能力を持っていると判断される地域はどのくらいございますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 現在の市町村における消防能力、これを見ますと、特に火災面を考えました場合に、タンクの独立火災というものを考えますと、相当数の市町村におきましてはこれに耐えられるであろう。しかし、この割合がどのくらいになるかといいますと、その辺が非常に、そのコンビナートにおける最大タンクの大きさというものがまだ明確でございませんので、直ちには計算は出ないのでございますけれども、まだ半々ぐらいじゃないだろうかというような感じがいたしております。
 今度この法案によりまして、自衛防災組織というものを企業に義務づけていきたいというふうに考えておりますが、この場合には、相当企業の自衛防災組織におきまして、少なくともその事業所における最大タンクの独立火災ぐらいは消火できるというような能力を備えさせる自衛防災組織をいま政令の基準として検討しているところでございまして、相当企業の自衛防災組織におきましての消防能力を高めさせるということにいたしまして、さらにまた市町村につきましては、この法案に基づきまして若干の施設の追加をお願いすることにして対処していきたいというふうに考えております。
○赤桐操君 ことしの二月の二十日の新聞に出ておりますけれども、堺・泉北臨海工業地帯を持っておりまする大阪府の堺市高石市消防本部では、市街地までの距離と貯蔵物の種類からコンビナートの危険度をランクづけにして、地域ごとに危険物の貯蔵量を規制していく、こういういわゆる総量規制方式を打ち出したというように私は聞いておりますけれども、この総合的ないわゆる総量規制方式というものについてはどのように評価されておりますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) この法案におきましては、総量規制につきまして直接規定はいたしておりません。ただ、私どもがこうしたコンビナーと地域における過密の問題ということを現在検討しているわけでありますが、この過密に対応してどういうふうに総量規制をするかという点になりますと、この総量規制の基準というものをどう考えるか、いろいろ技術的なむずかしい問題があるというふうに思っております。ただ、そのコンビナート地域におけるいろんな危険物施設、ガス施設等が災害が発生いたしました場合、特に火災が発生いたしました場合に、できるだけ他のタンクヘの延焼を防ぐというような観点から、タンクにつきましての、タンク自体の高さの制限あるいはタンクとタンクとの間の保有空地の規制の問題、これらにつきましていま検討をしているところでございまして、こうしたタンク自体の高さ制限等からくるタンク一個当たりの容量制限、それから保安空地の基準の改定に伴うところの面積当たりの貯油量の減少というものを考えますと、これらの消防法の法令関係によりまして相当な規制が、量的な規制が自動的に行われるというふうに考えております。
○赤桐操君 私は、個別規制と総量規制というものをやはり考えなきゃならぬ段階に来ていると思うんです。
 それで、まずその後における経過をいろいろ考えてみまするというと、日本弁護士連合会等も「工業基地防災に関する意見書」というものを出して、この中でも指摘をいたしております。現行の石油コンビナート等に対する規制法令では、事業所単位であるために、大規模工業基地の災害に十分対応できない状況にあるということでありますけれども、特に三菱石油の例をとって申し上げるというと、三十六年の五月に操業開始時の原油処理の能力は四万バーレルであった。ところが、昭和四十九年四月には二十七万バーレルと約七倍弱に増強をされている。これが四十六万坪の敷地内に三百を超える大小のタンクを、ひしめくようにして建設をいたしておる。港湾には二十万トン級のタンカーが随時出入りをしておるわけでありますけれども、そういういわゆる石油タンクなどの施設の位置やその規模、危険物の貯蔵容量等の内容については、公害、災害防止の面から見て有効な法的な規制がとられなければならぬわけでありますけれども、きわめてこの点が不備であると、こういうようになっておるわけであります。したがいまして、必要な点は、消防能力や安全管理、環境保全、こうした面から生産数量とかタンクの容量、タンカーの運航量など総合的な規制が必要であろうと、こういうように考えるわけであります。
 ひとつお伺いしたいと思いますが、総合的な観点から見る目が一つと、個別タンクの容量といま言われましたけれども、高さの制限だけではなくて、太さの制限も出てくると思うんで丈大体タンクとタンクの間というのは一定の間隔を規制しておるようでありますけれども、タンクが大きくなった場合においては、これは私はそれだけ地盤に対する地耐力も求めてくることであろうし、しかもそれが、現状では大体十万キロリットル程度入っているもので直径九十メートルと言われておるわけでしょう。それがたった一センチぐらいの厚みの鋼板でタンクがつくられているわけでありますから、これが事故を起こさないという保証は今日もうでき得ないと思うんです。こういう意味合いからして、いま申し上げてきた日弁連等の意見、あるいは個別のそうしたタンクに対する考え方、こういうものを掘り下げてみるときに、この災害防止法案の中にこういうものが含まれていなくては、どの個別法規でこれを律することができるかという問題が出てくると思うんですけれども、こういう問題に対しての見解をひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) 確かに狭い面積のところに多量の危険物が貯蔵されているというこの過密の問題につきましては、やはり私どもも十分検討をする必要があるというふうに考えておるわけであります。ただ、このコンビナート地域が、その周辺等の状況において、その立地されております地域はそれぞれがいろいろな個別の条件があるわけでございます。一律的に総量を規制をしていくということにつきましては、非常に技術的な問題点が多いような感じがいたしております。
 したがいまして、いま私どもが考えておりますのは、先ほど申しましたように、現在の消防法関係の基準について、そうした総量的な規制も含めながら、施設自体の安全というものを考えた場合にどういうものが望ましいかということで検討しているわけでありまして、いま御指摘のように、タンクにつきましても、現在ありますタンクの一番大きいものは十六万キロリッターのタンクというものもございますけれども、果たしてこれらのものが災害が発生した場合にどうなるだろうかということを考えますと、現在生産されております消防施設というものから見て非常にその対応がむずかしくなるのじゃないだろうか。こういう観点から、いま私どもの消防力あるいはまた現在開発されております消防施設というものから見て、やはり高さについては二十メーター以内にせざるを得ないであろう。そしてまた、同時にそのタンクの直径についても、これも無制限に広がっていくということも問題でございますので、この直径についての制限もせざるを得ない。そうなりますと、自動的にタンクの容量というものは制限をされてくる。それからまたタンク間の保有空地につきましては、タンク直径の三分の一というのをいまたてまえにしているわけでありますが、これがタンク火災の場合に、その輻射熱等によって延焼という問題に対応して直径の三分の一で耐え得るであろうかということになりますと、この距離は延ばさざるを得ない。こういうようなことでいま具体的な検討をいたしておるわけでありまして、恐らく事業所全体として見ますというと、自動的に相当厳しい総量規制がされるような結果になるであろうというふうに私どもは考えております。
○赤桐操君 そうしますと、総量規制と個別規制についてこれは行う、こういうように確認してよろしいわけですね。
 それでは次に、いままでは石油タンクを中心に伺っておりましたが、LNGのタンクについて少しく伺ってみたいと思います。
 昨年の七月に、総合エネルギー調査会が総合部会を開きまして、ここで中間的な取りまとめとして報告をいたしておりまする中で、一次エネルギーの供給可能量の試算が行われております。LNGが総エネルギーに占める割合は、四十八年度におきましては〇・八%である。これに対して六十年度になるというと、六・六%から八・九%と大幅に上昇をする、こういうように見込まれておるわけであります。これは大変な上昇だろうと思います。しかも、わが国向けのLNG開発プロジェクトを見てみまするというと、契約中のものを含めまして、昭和五十五年の時点で年間約千八百万トンを供給される計画になっております。これは現在輸入されている数量の約六倍に上るものとされております。今後大量にLNGを受け入れていくことになるだろうと思うのでありますが、この安全対策が果たしてできているのかどうなのか、この点について伺っておきたいと思います。
○説明員(越川文雄君) LNGにつきましては、まず第一に海上輸送の問題と、それから陸上での貯蔵の問題があろうかと思いますが、海上につきましては、海上保安庁の方で規制を十分行う体制をとっておられます。また、陸上での貯蔵問題につきましては、ガス事業法及び電気事業法の体系におきましてそれぞれ規制を行っておりまして、具体的には、まず設計段階におきまして工事認可というものをいたしますが、そこにおいてそのタンクの位置関係であるとかあるいは材料あるいは構造等についての技術基準を設けておりまして、そういったものへの適合性のチェックをいたしております。また、工事の段階におきましては、使用前検査というのがございまして、これは工程ごとにしかるべくチェックを行う。それからさらに溶接検査ということでの溶接関係のチェックもいたしております。そのほか維持運用関係につきましては、特に主任技術者というのをそれぞれ設けるということにいたしておりまして、実務経験の十分ある者にその監督に当たらせるというようなこと、そのほか定期的な点検も行わせるというようなことをいたしております。
 以上でございます。
○赤桐操君 石油タンクの神話がもうこれは覆ったわけでありまして、LNGが将来大きく伸びていくということになるというと、これはいままでかなり石油よりも厳しい規制の中で行われてきたことはわかりますが、これから大きな問題が発生しなければよいがということを非常に憂慮される点がございます。
 ことしの四月に貯蔵能力五百トン以上のタンクの点検が行われております。これは通産省から報告されておりますが、それによりますると、低圧ガスホルダー三基から、わずかではあるけれども、ガス漏れが発生していた、そういうことが発見されて、これに対する詳細な報告等がなされておるようでありますが、その原因等について御存じでございましたら伺いたいと思います。
○説明員(越川文雄君) 御質問の件は、昨年の十二月の三菱の事故の教訓を生かすべく、万全の保安体制をとるという観点から点検を私どもの方でもいたしたわけでございますが、その結果は、二月、三月にわたりましてやった結果を取りまとめたということでございます。
 それで、対象にいたしましたのは、先生御指摘のとおり貯蔵能力五百トン以上のLPGあるいはLNGの液化ガス用貯槽及び貯蔵能力が二万立米以上の普通ガスホルダーを対象にいたしておりまして、その結果、全部で九十八基でございましたけれども、特に基盤の傾きなんかの問題を重点に置いたわけでございますが、その点の問題は特になかった。そのほか漏洩につきましては、先ほど御指摘のとおり三基ほどその例が見られたわけでございますけれども、これもきわめてわずかな漏れが、しかも溶接部あるいはリベットでとめている接合部分に見られたということでございますが、これは原因として特に取り上げるほどのことはないといいますか、多少経年的なものがあったと思います。そういったようなことで、しかもこれは低圧のガスホルダーでして、内部の圧力も大気圧とほとんど変わりません。それに加えて、そのガス漏れの部分が接合部分にあるというようなことで、特にそこからさらに大きな漏れが起こるとかいうような心配もございませんので、そのまま直ちに対策を立てて安全を確認したというような状況でございます。
○赤桐操君 この貯蔵能力五百トン以上のLNGタンクというのは、いま何基ぐらいありますか。
○説明員(越川文雄君) 十九基でございます。
○赤桐操君 このタンクの材質というのはニッケル鋼を使っておるそうですね。それで建築方式も、いわゆる石油タンクとは違って地下方式もあるし、地上球形方式もあるというように分かれているようでありますが、一番問題になるのは地盤だそうであります。石油タンクに比較すると五倍の強度を求めているということが言われておりますが、その点はそういうことですか。
○説明員(越川文雄君) これは技術基準の方で総重量に耐えるというようなことを前提にいたしまして、しかも、ガス会社においてはその技術基準をかなり上回る設計でやるというようなことになっておりまして、先生御指摘のようなことになっております。
○赤桐操君 そうしますと、いままでも大体地盤の中で問題は発生していなかった、これからもこの程度の強い地耐力があるならばまずよかろう、こういうように考えておるわけですね。
 それからさらに材質の関係にいたしましても、いままでニッケル鋼を使ってやってきたようでありますが、この従来の材質でいくならばこれからも問題はない、こういうように確信できますか。
○説明員(越川文雄君) 先生御指摘のとおり、私どもとしてはそういうように考えております。
○赤桐操君 通産省の総点検の結果によりますと、いま指摘された十九基のうちで、いろいろ千葉県にもございます。そしてタンクの設置の状況なんですが、最前お話ししたように将来の需要量の増大が見込まれる中でこれからかなりタンクの増設が行われていくんじゃないかと思うのです。千葉県の場合には袖ヶ浦に四基ございますけれども、これがだんだん集中建設ということになってくるというと、これは大変な実は問題が将来起きるんじゃないか、こういうように思うのですが、仮にそのうちの一つが万一事故を起こしたような場合ですね、これはひとつ石油とは違う問題になると思うのです。こうしたいわゆる総合的な規制の問題や個々のタンクに対する管理の問題は石油タンク以上の配慮が必要だと思いますが、それについてはどういうお考えですか。
○説明員(越川文雄君) タンクの離隔距離につきましては、技術基準によりまして規制をいたしております。また、これが万一噴出するような場合がございますると、気体状になって外に出るわけでございますが、その点必ずしも石油に比べてシビアな状況になるというふうには私どもいまのところは考えておりません。ただし、その辺につきましては、さらにわれわれとしても海外の資料等、あるいはわれわれ自身でもいろいろとさらに検討はしていきたいと思っております。
○赤桐操君 私はこのコンビナート問題というのは、石油タンクももちろんそうですし、いまのLNG等のガスのタンクを含めまして、少なくともいろいろ環境全体に大きな影響を与える問題だと思っております。したがって、これは同時に都市の問題でもあるわけでありまして、今日のこのいわゆる集中集積の傾向を強めてきている中で、私はやはり都市問題としての立場から見ていっても大きな問題点だろうと思っております。
 これは二つに分かれますが、従来のものに対する規制と、これからのものに対する規制とありますけれども、総量規制、個別規制というものを考えておられるというようにさっき言われておりますけれども、これらのいわゆる一連のタンクに対する、いままでの問題点があるような地域に対する規制の問題はどういうようになさいますか。将来のことについては長官が言われたことで大体対策をとられるであろうと思いますけれども、いままでのものについてはどのような対策をおとりになるのか。たとえば間引きをするような処置をとらせるとか、あるいはまた大型のものについては半分くらいの容積にこれを切り詰めさせるとか、いろいろの方法があろうと思いますけれども、そういうことについて検討をされましたかどうか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 既設のコンビナート地域につきましては、昨年度からコンビナート地帯防災診断委員会というものを発足させまして、防災面から、いわば地域全体としての防災診断の診断基準というものの作成をいま急いでおるわけでございます。大体この診断基準につきましては、この夏ごろに一応の試案のめどがついておりますので、本年はこの試案に基づきまして各地のコンビナート地域の診断をいたしまして、具体的にこの試案の完成をさせていきたいというふうに考えておりますが、こうした防災診断の結果に基づきまして必要な防災上の措置をとらしていきたいというふうに考えております。したがいまして、消防法令等の改正によるいろいろな規則の強化の実施と相まちまして、行政上の措置として、そうした既存事業所における防災体制というものをとらしていきたいというふうに考えております。
○和田静夫君 ちょっと関連。
 いまのは、現行法に手を加えるという程度のもので済ませるということになりますか、その八月下旬ぐらいまでに一応のあれが終わった場合。あるいは特別立法をされるというようなことになりますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) この防災診断に関しましては、現在それに伴う特別立法は考えておりません。ただ、別に消防法の関係政省令の改正を行いまして、いわば規制強化を考えておるわけでありますが、それとの関連において必要な対策はとらしていきたい。したがいまして、その中には、場合によりましては周辺地域との関係においてあるいはタンクを間引きしなければならないというような地域も出るかと思いますが、またそのほかに、いろいろな消防用設備というものを周辺地域との関係において強化をして代替措置をとらせる、あるいはタンク自体につきましての消防用設備を強化をするというような措置で、その対応策をとっていくというものも出てくるかと思っております。
○赤桐操君 消防庁がことしの二月に、全国に一万キロリットル以上のタンクを対象として調査をされたわけでありますが、この結果によりまするというと、総数二千六百九十七のうち、不等沈下の著しいものだけで百九に上っておる。そのほか、本体は属物に不良個所があったものや防油堤に亀裂等があったものを含めるというと、その数は六百を超える。しかもこれは大体二三%を超えるものになるということが明らかにされておりますね。私は問題は、こういう既設のものに一体どう対処するんだということがこの法案の中に抜けているんじゃないかと思うんですけれども、いまどうも長官のお話によりますというと、まだその程度ではちょっと納得できないのですが、こういうものについてはどうなさいますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) タンクにつきまして緊急点検を行いましたものにつきましては、不等沈下の著しいものを除きまして、特に防油堤あるいは配管等につきまして問題のありました部分は直ちに補修を行わせたところでございます。不等沈下のものにつきましては、現在その開放検査ということを行わせておりまして、そして先般、その開放検査の結果についての今後の取り扱いの仕方につきましては、先月その取り扱い方針を明確にいたしまして各消防機関に指示をしたのでございますが、まだ開放検査自体が完全に終わっている状態ではございませんし、さらにまた一万キロリットル以下のタンクにつきましても、現在そうした検査を続行中でございます。
 なお、今後の危険物施設につきましては、この法案の附則におきまして消防法の一部改正を行いまして、定期点検の義務づけを行うことにいたしておるわけでありまして、さらに消防法の関係におきましては、まず一つが地盤の問題についての基準、それからタンク本体についての基準の改正、これは特に本体の側板及びいわゆるアニュラプレートと言われるものにつきましての厚さの基準というものを決めていきたいというふうに考えております。それからさらに防油堤につきましては、現在最大タンクの五〇%プラスアルファの防油堤容量につきましては、一〇〇%プラスアルファ方式というものにして防油堤の容量の改善を行いたい。それにまた、特に防油堤自体についての面積制限ということもあわせて行ってまいりたいというふうに考えております。それからまた、先ほど申しましたように、タンク自体の容量、高さ等についての制限を行うということについて検討をいたしております。それから周辺地域との関係におきましては保安距離の改正、それからタンク間のいわゆる保安空地についてのその距離の改正、これらの一連の改正をいま検討中でございまして、近くこの法案が成立いたしますれば、これの法案の施行と時期を合わせて、そうした個別の規制につきましての取り扱い方を明確にしていきたいというふうに考えております。
○赤桐操君 いま商工関係の方でもずっと論議されてきておりますが、いわゆる石油の備蓄の問題が私はこれからの大きな問題になってくるのじゃないかと思うんです。業界は余り歓迎をしていない、国の施策としてこれはひとつ九十日分に延ばしてもらいたい、こういうふうになっていますね。そうすると、私はますます業界の立場からしてみれば、国なりいわゆる日本の全体の立場からだという、産業界に関係があるということになれば、これはやはり受けて立たざるを得ないということになると思いますね。しかし、こういう場合において、タンクに対する設置の問題だとかそういうものを当然、これだけの厳しいものをもし押しつけていくということになるならば、業界としてはかなり私は問題が出てくると思うんですね。そういう業界全体の圧力も私は高まるのではないだろうか。その場合に消防庁の立場として、一体ぴしっとした姿勢でこの規定を守らしていく。あるいはまたいま答弁されたような趣旨のものをすっきりした形でつくり上げていって、いわゆるコントロールしていくことができるのかどうなのか。こういうことを非常に危惧するんですけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(佐々木喜久治君) これから石油の備蓄をいたしますためには、それに対応する相当の面積の用地が必要になってくるというふうに考えられるわけであります。したがいまして、これらの用地を取得をし、備蓄基地を建設をするということになりましても、やはりそうした立地の問題が地域住民に十分了承されるような姿で建設されなければ、備蓄問題というものは、単に立法を行いましても現実に備蓄問題というものはできないだろうというふうに考えるわけでありまして、やはり地域住民に十分納得されるだけの安全対策を講ずることによって、この備蓄基地というものができていくのではないだろうかというような感じがいたします。もちろん、こうした消防関係法令の制定なり、あるいはまたこの法案の制定によりまして、確かに企業者として見ますならば防災のための経費が相当かさばっていくということは考えられるわけでありますけれども、これにつきましては、私どもも来年度以降の問題としていま検討しているわけでありますけれども、関係省との折衝を通じまして、いろいろな財政投融資等の面からこうした防災体制というものがとり得るように措置を考えていきたいというふうに思っております。
○赤桐操君 六十日分から九十日分に増大をさせていく、そういう中で不良のタンクや何かに対する規制を行っていくということになれば、新しくタンクをつくる以外に手はなくなってくると思うんですね。したがって、従来のタンクを使えるだけ使おうという動きが出てくるだろうし、それに対する圧力が出てきますから、かなり私はこの問題はそう簡単な問題じゃないように思います。したがって、そういうことの圧力に屈しないような、ぴしりとした法によるところの体制をつくる必要があると思うんです。この点が私はこの全体を通じてもう一つ欠落した大きな問題点ではないか、こういうことを一つ指摘をいたしておきたいと思います。
 それから安全の問題の中でもう一つ問題になるのは、川崎市におきましては、石油コンビナート上空の飛行制限についてかなり厳しい態度をとっておる。これはなかなか飛行する方の側の問題もございますし、いろいろ問題があったようでありますが、結局上空を通らないということでとにかく抑えているようでありますが、しかし、この協定に違反して、今日まで一件あったそうですね。それは緊急に患者を運ぶためのヘリコプターが一つ飛んだということだそうでありますが、それほどやかましく川崎市ではこれに対する規制を行っております。
 私は千葉の出身でございまして、いま千葉県にも飛行場が間もなく開設されようとしております。これはもちろん、いまのままでいけば開設されないで終わると思いますけれども、仮に開設されたとしますると、当然、飛行機の滞空地帯とか、そういう関係から見ていくというと、千葉県の場合でも、タンクの上空に飛行機がかなり出入りするようになるであろうということが想定されるわけです。これはひとり千葉県だけの問題じゃなくて、川崎はもちろんでありますが、全国的にこういう問題が発生してくると思います。一つの飛行機がそこに落ちたとしたら、私はもうこれはどうにもならない結果になると思うんですね。現在の消防能力では手のつけようがなくなると思います。こういう問題に対する長官のお考えはいかがですか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 私どもとしましては、こうした危険物が集積されている地域というものは、そうでなくてもいろいろな災害要因の多い地域でございます。それにまた航空機の問題ということが、また一つの大きい災害の要因が加わることになるわけでありまして、やはり私どもとしましては、この辺は運輸省と十分な打ち合わせをいたしまして、そうした地域、特にコンビナート地域における飛行制限という問題につきましては対処していきたいというふうに考えておるわけであります。確かに、いまの航空機が墜落をしてタンクに当たるというような場合には、その火災面積というものは非常に大きな面積になりますので、なかなか通常の消防力では対応し切れない問題が御指摘のとおり出てくるわけでありますので、十分これにつきましては対処していきたいと考えております。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(原文兵衛君) 速記をつけて。
○赤桐操君 次に、それではひとつ消防能力の問題で若干伺いたいと思うんです。
 三菱石油水島製油所のタンク事故の原因調査の中間報告書によりまするというと、今後の保安対策への提言の一つといたしまして、検査体制の充実が挙げられております。これは、今回の事故原因の一つにタンクの点検及び検査体制が不備であったと、このことが一つ指摘されております。そういう事実にかんがみまして、タンクの安全性を確保するために消防機関による保安検査を強化する必要がある、そのためには検査に当たる消防職員の資質の充実などの対策が問題になってくると思うわけであります。現在の消防能力が検査体制の強化に応じられる状態にあるのかどうなのか、この辺のところをお伺いしたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) いま市町村で、こうした関係の予防職員というものの数が一万二千三百名おるわけでありまして、このうち危険物を担当している職員が約二千二百名ということになっております。ただ、各コンビナート地域別にこの危険物担当職員の配置状況を見ますというと、相当な水準の担当職員を、ある程度の人員数も確保しながら持っておるところもございますし、その反面、そうしたある程度の技術水準を持った職員というものがほとんどおらないというような地域もございまして、私どもとしましては、この点、こうした技術職員の確保の面、それから職員の技術水準の問題、非常に地域によってばらつきがあるという点につきましては、今後の対策としまして非常に急いでこうした面を改善をしていかなきゃならないというふうに考えておるところでございまして、今後、消防大学校における予防科職員の研修日数の延長でありますとか、あるいは各県におきます消防学校においての教育、あるいはまた別な機会を借りてのいろいろな技術研修ということを強化をしていく必要があるというふうに考えております。
○赤桐操君 問題は、同時にその内容の問題になってくるわけですけれども、消防職員、団員の教育訓練というものを国の消防大学校や地方公共団体の消防学校において行われておるというわけでありますけれども、四十九年の消防白書によりまするというと、いわゆる組合消防等による常備化の急速な増加のために、各消防学校ではその需要に応じ切れない、ここ数年来新規採用者の四分の一は初任教育を受けられない状態にあるということが言われております。また反面、こうした初任教育の拡充の結果、現在の消防職員、団員に対する専科教育、幹部教育が非常に手薄になっておる、全般的な質的な向上の面が立ちおくれておるということが明らかにされています。これではコンビナートなどの災害防止等に対して、とうていこれは役に立つようにはならないんじゃないか。
 いまお伺いするというと、この種の専門的な教育を受けている者は二千二百人だと。ところが、先ほどお伺いいたしまするというと、対象地域は七十カ所に及んでいる。それでは、いままでの蓄積が全然ないとはこれは申し上げませんが、大した状況にはなかったと思いますね。ほとんどゼロに近い状態であった。そうなってくると、七十カ所で二千二百人を割ってみますと、たった三十人ですよ。川崎市の場合には、これは私がお伺いした数字でありますが、大体専門のいわゆる理工系の大学、安全工学の履修をしたいわゆる本当の専門家と称する者が何人おりますかと、こういうふうに伺いましたら、大体八十人余りでございますと、こういう答えでございました。この川崎市でも八十人の人間が必要なんです。ところが、いまのお話によりますと二千二百人ですよ。これで七十カ所に分けてみると三十人しかいかなくなる。これでは私は問題にならないのではないだろうか。しかも、その二千二百人に与えている教育内容というのはどういうものであるか。本当の基礎教育程度のものであるのか、実践に臨んだ場合の訓練までしているのかどうなのか、こういうことに私はなると思うんですけれども、こういう点についてはいかがですか。
○政府委員(佐々木喜久治君) ただいま申し上げました危険物担当職員というものは、いわば安全点検というものをいたしております職員でございます。したがいまして、主としてこのコンビナート地域におきましても予防関係を担当しているわけでありまして、実践の場合にはまたそれに対応する警防職員というものがあるわけでございますが、これにつきましても、コンビナート地域、特にタンク火災等につきましては、それに対応する消防施設というものが必要になってまいります。こういたしますと、確かにこうした施設の面、それから職員の面というものにつきましては非常に地域差がございまして、私どももこれに対応する教育訓練というものにつきましては、十分対処していかなければならないというふうに考えているわけであります。
 最近の常備化の傾向というものが、大体昭和四十八年度をピークにいたしまして、四十九年から次第にこの常備化の傾向は一定の段階までまいりましたので、その常備化傾向は非常に鈍化してまいりました。そういう意味におきまして、新規採用職員数というものは急速に減ってきておるというような状況でございまして、大体消防学校も本来の初任教養に、さらに専科の教育ができるような余裕が、今年度あたりから取り戻すことができるような状態になっているというふうに考えております。今後、これらのいわば専科教育というものに相当重点を置いた教育内容にしていきたいというふうに思っているわけであります。
○赤桐操君 教育問題について長官が恐らく将来に一つの展望を描いておられると思いますけれども、こういう技能者ですね、まあ川崎の例を、これが完璧であるとは言えないと思いますけれども、一応この周辺では川崎が一番進んでおると思いますので、川崎の例で申し上げたいと思うんですが、川崎程度のレベルまで全国にきちっとした配置をする必要があると私は思うんです。長官もこれは否定されないと思うんですが、いかがですか、その点は。
○政府委員(佐々木喜久治君) 現在の状況から言いますと、確かに川崎あたりが市町村消防の最高の水準にあるということは言えるだろうと思います。実はこうした予防関係の職員の充足ということにつきましては、交付税の算定に当たりましても、その消防職員数の増加の中に予防職員の増員というものを見込んでおるわけでありまして、さらにまた先般改正されました「消防力の基準」の中におきましても、予防職員の強化ということに相当重点を置いて基準の改定を行ったつもりであります。そういうことで、できる限り技術系の職員の採用ということを私どもも期待をいたしておりますし、また各市町村におきましてもそういうことを考えておるわけでありますけれども、やはり地域的に、採用したくてもなかなか適当な職員が来ないというような地域もございますので、さらに私どもは来年度以降におきまして、こうした技術系職員のプール機関的な、そしてまた市町村の点検業務、検査業務というものを代行し得るような、いわば公的な第三者機関というものの設置を同時に考えていきたいというふうに思っているわけでありまして、これらによりまして、この予防関係というものの業務をできるだけ急速に充実さしていきたいというふうに考えております。
○赤桐操君 いろいろの保安についてはほかでも例があると思うんですね、鉱山関係の保安官なんかがあるわけでありまして、いろんなそういう例はあるわけでありますから、一定の技術者を配置して、一まず体制をつくり上げるまでの間の暫定措置というものを考える、そういうような方法だって私はあると思うんですね。そういういわゆる単に消防機関だけに任せるというだけでなくて、いわゆる保安官なら保安官、監督官なら監督官というものをきちっと組み上げて、民間のいわゆる管理体制に対しても監督ができるような状態ですね、速やかに処置をする必要があると思うんですが、そういう点について何か考えておりますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 実はそういう内容の、いわばある程度の公的な権限を持った検査機関というようなものについて、来年度消防法の改正を通じましてお願いをいたしたいというふうに、ただいま検討中でございます。これは予算もある程度伴うということにもなりますので、予算編成並びに消防法の改正を通じまして、そうした機関の設置をできる限り来年度実現をしたい、こういう方向でいま作業を進めているところでございます。
○赤桐操君 まあ大体私は、要するにこれは川崎の例なんか見ましても、これは大変な今日まで金をかけてきたと思うんです。これだけの消防体制をつくり、保安体制をつくり、防災体制をつくるということは容易ならないものであったと思いますね。それに対する問題はやはり金の裏づけが必要だと思うんですよ。財政措置がやはり最も大きな私は問題点になってくると思います。こういう点について、自治省としてこれに対する別な総合的な対策を持たれる考え方があるかどうか、この点についてひとつ伺っておきたいと思うんですがね。
○政府委員(佐々木喜久治君) 現在、消防の事務は御承知のとおり市町村の固有事務として形成をされ、さらにまた危険物につきましては、国の機関委任事務としてその事務が構成されておるわけであります。これに対応する財源措置といたしましては、主として地方交付税の基準財政需要額を通じての手当てになるわけでありますが、現在この基準財政需要額と市町村の実際の一般財源、決算額というものを対比してみますというと、これは地域的にある程度のばらつきはございますけれども、平均的に見ますというと、地方交付税における財源措置の方がやや決算額を上回っておるというのが現状でございます。また人員にいたしましても、これも若干の地域的な差がございますけれども、やや交付税の単位費用計算の基礎にいたしました人数から見ますと、これまたやや少ないというのが現状でございまして、私どもとしましてはでき得る限りこの交付税措置というもので見込んでおる程度の消防費の財源、消防費に対する財源配分をしてもらいたいということをお願いをしているところでございます。もちろん、コンビナート地域におきましては、そのコンビナート地域に対応するだけの消防力を備えるという意味におきまして、若干他の市町村に比べるというと、財政需要がやや高くなっているということは現状でありますけれども、現在の段階におきましては、交付税措置というものが大体カバーし切れておるというふうに見ておるところであります。今後の追加財政需要の状況を見ながら、必要な措置は講じてまいりたいというふうに考えております。
○赤桐操君 長官、大分ぐあいのいい状態で進んでいるようなことを言っておられますけれども、実際には私は金がないからできないと思うんですよ。そういう点について、やはり消防庁の立場から、これだけのコンビナート法をつくって、ともかく全体に網をかぶせてコントロールしていくということになるならば、やはりそれに相当する裏づけを考えるということでなければ、私はこれは単なる条文をつくって一応この場を乗り切るというだけのものにすぎないということにしか評価できなくなると思うんです。こういう意味で、法案と同時にその裏づけについて本格的にひとつ考える必要があるだろうと、こう思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) この法案の附則におきまして消防施設強化促進法の規定の一部を改正いたしておりますが、この法案の成立に伴いまして、コンビナート地域の市町村には若干のコンビナート用の消防施設の追加設置をお願いするつもりでございます。これに対応する補助率の特例措置というものを講じたところでございます。なお、コンビナート地域におきましては、その市町村に、この法案の成立に伴いましてある程度財政需要が他の市町村より出てまいります。それに対応する措置は十分考えていきたいというふうに思っております。
○赤桐操君 最後に、油の流出に対する罰則の問題で若干ひとつ具体的な事実を伺っておきたいと思うのでありますが、消防法の一部を改正する法律案によりますというと、「危険物を漏出させ、流出させ、放出させ、又は飛散させて火災の危険を生じさせた者」についての処罰について定めておりますが、昨年の十二月に起きた三菱石油水島製油所の流出事件のような場合は、この対象になるかどうか、この点ひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) この消防法の改正規定による罰則が水島の場合に適用になるであろうかどうかという点になりますと、これは裁判所における事実判断の問題になるかと思いますが、通常、油の種類によりまして火災危険には非常に差がございます。引火点の非常に低い油であります原油でありますとか、ナフサ、ガソリンというようなものは相当低い温度でも火災になりますので、こういうものが海域に出ました場合におきましてもやはり火災危険ということは当然考えられるわけでありますけれども、重油等の場合には引火点が非常に高いために、直ちに火災の危険が発生するかどうかという点は、非常にその実態に応じて異なるのではないだろうかというような感じがいたします。ただ、水島のように、あのような大量の油が相当な厚さで海に出ておるというような状態は、場合によっては火災危険というものも感じさせるということにはなるかと思いますが、重油の場合には非常に場合が局限をされてくるであろうというふうに考えております。
○赤桐操君 新潟においてタンカーが座礁した事件がございましたね。あの海岸では立っていられなかったそうですよ。呼吸が困難になるそうです。私は十二月という寒いときの事件とやっぱり夏の事件とは違うと思いますね。それだけにまた気象条件によって、また地理的な条件等にもよると思いますが、いま長官が言われたようなことは、結果的にそれはいろいろの形が出るだけのことであって、しかし、その要因をつくったということは間違いないわけでありますから、そういう事実の上に立って処罰というものはなされていくべきだと思いますね。そうでなければこの処罰規定が私は意味をなさなくなると思うのです。そういう意味で、この問題についてはひとつ十分な検討を願いたいと思います。
 要するに、私は、この法案については水島の問題を一つの契機として、それが背景となって長官御説明のとおり出されたものでありまするけれども、しかし内容全体を見てみまするというと、私は、私どもがあるいはまた国民の皆さんが期待をしていたようなしっかりとした建物ではなかった、こういうように言わざるを得ないと思うんです。まあ端的に申し上げまするというと、いままで建ててあった建物が、幾つかその上にほろがや程度のものをかぶせたような感じのものでありまして、きっちりとした鉄筋コンクリートの建物を建てて、その中に各部屋をつくって管理をしていくというような、そういう法体系ではないように思います。かなりの欠落部分や不十分な面が、実は全体を通じて感ぜられております。私は余り長くなりますので、この辺で一応とどめたいと思いまするけれども、なおこの法案をめぐりまして、これからの過程の中で強化をしていくところがたくさんあると思いますので、そのことをひとつ考え方として申し述べて、私の質問を終わりたいと思います。
○和田静夫君 いまの部分で、この海からの汚染なり危険というものに対応する部分というのはやっぱり薄いと思うのですよ。これは何とかやっぱり強化されなければいかぬと思うのですが、ここはちょっと見解を承っておきたいのですが、努力をされるでしょうけれども。それが一つ。
 二つ目にはこの法律案の中、全部都道府県知事になっているんですがね、指定都市ということは、やっぱり読みかえるようなお気持ちというものは全然ないですか。指定都市の場合は独自で非常な努力をしておりますね、それらの関連が二点目です。
 それから三つ目は、この特別防災区域協議会、これが努力規定になっているわけですが、これはやっぱり真剣にやっているところは自発的につくっているわけですから、義務化する必要があるんじゃないだろうか。
 それから最後に、水島などの報告のときの一般調査案件のとき私質問いたしましたが、アメリカ軍のタンクですね、これがやっぱり抜けているままであります。この辺を一体どうされるのか。
○政府委員(佐々木喜久治君) まず第一点の問題でございますが、御指摘のとおり、この法案の内容は「コンビナート等特別防災区域」というふうに書いてございますように、やはり陸の部分というものを主体にして規定をいたしております。そして陸の上から海に災害が及んでいくというような場合に対処するというような形で、どうしても陸が主体になっておるわけでありまして、この点は、海の防災の面というものにつきましてはほとんど触れておらないということは御指摘のとおりでございます。
 この点につきまして、海上についての防災という問題になりますと、これは一つは、この防災を担当する機関というものはどうしても地方公共団体ではやれない、そういう意味で海上保安庁の方が担当せざるを得ない。これはたとえば東京湾で起きました第十雄洋丸の火災事故の場合におきましても、あの地域が一体地方公共団体のどこに属するかということになりますと、境界線がないわけでありまして、こうした地域につきましては、国がこれに対処するということにならざるを得ないだろう。そういう意味におきましては、この海の問題は国の機関がまず担当してもらわなきやならぬ。それからもう一つは、海上防災は主として海上交通の面の規制から始めていかなけりゃならないというようなことになりますと、海の問題はどうしても別個の法体系と、これを担当する機関というものが地方公共団体から分かれて考えていかなきゃならない、こういうことがございまして、実は運輸省の方におきまして、現在海上防災法といったようなものの立案をいま検討中でございます。その間におきまして、特に港湾の部分につきましては、この法案といろいろオーバーラップしてくる部面があるであろうというふうに考えますので、こうした海上防災法的な法律の立法の過程におきまして、この接点の部分につきましては十分調整をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから第二の問題の指定都市の問題でございますが、私どもも現在の消防機関の力等から見まして、指定都市が、この法案の関係におきましていろいろな仕事を府県知事にかわってできる体制にあるというふうに私どもは考えておりますが、ただ、現在の個別立法の中で、高圧ガス取締法の関係がやはり都道府県知事という形で指定都市の場合にも残っている。これらの調整の問題がございますので、この指定都市問題につきましては、将来問題として関係省とも十分検討をしていきたいというふうに考えております。
 それから特別防災区域協議会の設置の問題につきましては、これは私どももそうした連絡機関、いろんな自主的な研究の機関というものを設置することが非常に望ましいというふうに考えております。これは各府県の防災計画の立案の過程におきまして、共同防災組織の問題も含めまして、これを置くことが適当である特別防災区域につきましては必ず設置をさせるという方向で指導してまいりたいというふうに考えております。
 それから第四点の米軍タンクの問題につきましては、地位協定等の関係から、消防機関が施設内に入って立入検査をするということはできないのでありますけれども、実際面におきましては、佐世保等におきまして、石油タンクについての事故の問題がございますので、ただいま外務省の方と打ち合わせをいたしまして、私どもが行っております点検程度のものは必ず実施をしてもらうというような方向で、米軍に申し入れをしてもらうようにお願いをしているところでございます。
○井上吉夫君 私は、まず法案の条文についてどうもわかりにくい表現がたくさんありますので、まず第二条の二「石油コンビナート等特別防災区域」は「次のいずれかに該当する区域であって」云々、これをわかりやすいようにひとつ説明してくれませんか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 第二号の「石油コンビナート等特別防災区域」の定義でございますが、このイの方は、石油とガスが混在をしている地域の規定でございます。そしてその場合も、政令によりまして、先ほど申し上げましたように石油で十万キロリットル、ガスで処理量が二千万立米というふうに考えておりますけれども、両方を持っております場合の換算規定を書いてございますので若干条文が長くなっておりますけれども、このイの場合は、そういう意味で両方の事業所が混在している場合の規定であります。
 それからロの規定は、石油かガスか大量に持っておる事業所が、一つある場合でもこの特別防災区域に該当するという趣旨で規定をしているわけであります。
 それからハの規定は、新しいコンビナート地域が形成される区域というものを規定したものでございます。
○井上吉夫君 概略わかりましたけれども、そのイもロも、「一体として防災体制を確立することが緊要であると認められるもの」としてありますので、いま言われたような数値かれこれは適合しても、皮肉に解釈しますと、この一体としての防災体制を確立することが緊要であると認めない場合は指定しないということもあり得るという、そういう解釈ができるんじゃないかと思うんですが、きちっといま長官が言われたような、十万キロリッターとかそういうものに該当したものはすべて指定するという方針ですか。
○政府委員(佐々木喜久治君) このイの地域は事業所が複数ある地域でございまして、その区域の切り方につきましては、一体として防災体制を確立することが緊要であるというような地域を指定をするという趣旨でございまして、ロの場合には石油かガスか単独の事業所があります場合の区域を考えております。たとえばロに該当いたしますのは、鹿児島県の喜入の貯油基地といったような、事業所が一つございましても、その備蓄数量が非常に膨大なものというものについてこのロの規定が適用になるわけであります。
 ただ、この規定を適用いたします場合に、特にこのロのような場合には、単独の事業所が一つあって、それが数量ぎりぎりであって、果たして指定した方がいいかどうかというような場合には、やっぱり地元の判断の問題もあるかと思いますし、この辺は十分地方公共団体と相談をしながら指定をしていきたいというふうに考えております。
○井上吉夫君 第二条の四、五に第一種事業所、第二種事業所について書いてありますけれども、その後に、第一種事業所については新設あるいは変更等の届出云々、かなり綿密に適用条件がありますが、第二種事業所というのは、この特別防災区域の中にあって第一種に該当しないものというぐあいにあるわけですが、下限的なものも決めるという予定ですか。同時に、第二種事業所についてのもろもろの規制要件というのはどうなっていますか、全体として。私が一読した範囲の中では、余り第二種事業所については規制かれこれがそう大きくかぶさらぬのではないかという印象を受けたわけですけれども、第一種と第二種に対するこの規制の扱いの大まかな内容の仕分けをお伺いいたします。
○政府委員(佐々木喜久治君) コンビナート地域につきましては、一応この法律の規定では第一種事業所と第二種事業所の規定がございますが、その特別防災区域の区切りの仕方によりましては、いわば第三種事業所的なものも含まれる場合があり得るというふうに考えております。第一種、第二種、この両方に該当しない事業所もあり得るわけでありますけれども、これについてはこの法案のいろいろな規制が適用されないという事業所でございます。
 それで、第一種事業所は、石油とかあるいは高圧ガスというものを比較的多量に持っております事業所でございまして、典型的なものは石油精製工場等がこの第一種事業所に該当するわけでありますけれども、大きな事業所で、相当の燃料でありますとか、原料で石油あるいは高圧ガスを貯蔵している事業所を第一種事業所ということにいたしております。そして大体この基準量のめどといたしましては、石油で申しますと大体一万キロリットル、ガスで申しますと百万立方メートルというものを一応めどにして、いまその内容を検討いたしております。
 第二種事業所は、この油の量から見ますというと、第一種事業所の十分の一ぐらいの基準を一応めどにいたしておるわけでございます。したがいまして、この第二種事業所は、通常の場合には石油関係以外の通常の工場であって、油類を若干持っておるというような事業所が第二種事業所でございます。そしてこの規制の非常にかかりますのは第一種事業所でございまして、第二種事業所はどちらかといいますと、地域の防災体制を組みます場合に、ある程度の責任を負わせるというような形でこの法律は規定をいたしているわけでございます。
○井上吉夫君 水島なり、喜入でも事故が起こったりしましたけれども、その際に非常に大きく議論の対象になったことの一つに、防災体制の一元化の問題、さらに海に流れてから海上保安庁、通告を受けてからの出動かれこれについては、わりあい短い時間に態勢をとったというようなことを説明を受けてまいったわけですけれども、現地における感じ方としては、若干のおくれと、その後の回収かれこれの作業を含めて考える場合はきわめてたくさんの問題があるという印象を受けており、さらに海上保安庁本来が海難等の事故を主たる任務といたしますので、いわば余り訓練も行われてないし、機材も装備もいろんな点で十分でない。したがって、回収については、海上保安庁そのものがみずから回収した量よりも、漁船なりいろんなものに頼った量というのが非常に大きいということは、もう結果で明らかでありますが、そういう点を含めて考えますというと、できるものなら今度の法律の中に、こういう一元化の体制はこれはもちろん海上保安庁だけではなくて、施設のいろんな石油の精製の工程の中でもろもろの保安というものがからみ合ってまいりますので、これは通産の所管に属する部分もありますけれども、可能な限りこういうことを一本化、一元化するということが求められていたと思うんですが、そういう点についてはほとんど防災行政の一元化ということについての大きな前進という感じがしないわけです。
 先ほどの御質問、御意見の中にも若干ありましたように、できるだけ陸上でとめるということのために、構造なりあるいは空間なりいろんなことをやる必要がありますけれども、それでも不幸にして海に流れた場合どうするかということについては、場合によっては別個の法律が必要かもしれません。少なくとも海上防災ということについてはまだまだきわめて不十分だという印象がぬぐえないわけですけれども、このことについて、一元化の体制についてどう考えていくか、あるいは海上防災体制について、どう考えていくか、簡単にひとつお答えを願いたい。
○政府委員(佐々木喜久治君) 確かに私どもねらいにしました一元化というものは、私どもの期待したとおりにはなかなかならなかったのでありますけれども、でき得る限り一元化していくという方向で、企業における自衛防災組織にいたしましても、地方公共団体側のそれに対応する体制にいたしましても、一元化したつもりでございます。
 ただ、これまで消防法の規定におきまして自衛消防組織というものが義務づけられておったのでございますけれども、この法律の規定はどうしても陸の上の自衛消防組織ということになりまして、海上の面におけるオイルフェンスの設置義務でありますとか、あるいは油回収船の設置というものが義務づけられなかった。そのために、水島の事故におきましても、火災に対応するいろいろな消防資機材というものは持っておったわけでありますけれども、海の面が非常に不足をしておったというような観点から、この法律では海に対する備えとして、一つは二次防油堤の設置を義務づけて、できるだけ海に流さないという方式をとりましたことと、それから自衛防災組織、共同防災組織を通じまして、海上に対する資機材の義務づけを行うっもりであります。それはオイルフェンス、あるいはオイルフェンス展張船、油回収船といったものを義務づけますと同時に、また海上保安庁の関係者を県の防災本部の構成員とし、また、こうした共同防災組織が海上で働きます場合には、海上保安庁の指揮下に入ってその指揮のもとに海上の防災の作業を行うというような規定を設けまして、できる限りこの陸から海に災害を及ぼさない、また水際でこれを抑さえていくという措置をとったわけでありますけれども、将来の問題といたしましては、運輸省で予定をいたしております海上防災法というような法律の立案の過程におきまして、港湾地域におけるこの防災の接点の面におきましての調整というものは十分考えていく必要があるというふうに思っております。
○井上吉夫君 これらの問題について、さらにずいぶんと考えなきゃならぬ必要がある、欠落がきわめて多いということは赤桐委員からも御指摘がありました。その必要性は消防庁長官も十分認められてお答えになったわけですから、早急にこういう体制が整うように御努力をいただきたいと思いますが、次に、今回の法律の中にあります自衛組織と共同防災組織のことに関連してお伺いをいたします。
 十六条に、自衛防災組織についてはこうこうやらなきゃならぬという形でございますし、共同組織については「できる」という表現の差がございますが、この法案の中身で見る限りにおいては、本体として自衛防災組織の方をぴしっとやらせるということに受け取れるわけですけれども、このとおり二つを並べた場合に、この自衛の防災組織というのに重点を置く。副次的に共同防災組織というぐあいに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 私どもといたしましては、むしろ事業所が複数あります地域におきましては、共同防災組織というものを相当強化した姿で置いてもらいたいというような気持ちでございます。そういう意味におきましては、各県でつくります防災計画の中で、当然この共同防災組織については、その置くべきところには必ず置いてもらうというような形で防災計画を作成してもらいたいというふうに考えておりますが、この共同防災組織を一応形式的には任意設置の方式をとりましたのは、これを義務設置にした場合にいろいろな問題点があるわけでありまして、この共同防災組織のいわば組織、これをどういう法人に組織をするのか、あるいは単に事業所のいわば人員、資機材の持ち寄りの形での組織にするのか、その場合の従業員の災害の場合の補償措置等はどうするのか、いろいろな問題点があったわけでありまして、これを画一的に法律で義務設置をして組織を強制をする、一定の組織を法律で決めてしまうということにつきましては、地域によって余りにも実態の差がある。そしてまたこれに対応する意見もいろいろございまして、やはりその地域地域の実態に応じてこの共同防災組織は設置してもらった方がいいではないか、こういうことで法律上は形式上任意設置という形をとったわけでございますが、私どもとしましては、この共同防災組織は必要な地域はぜひ設置をしてもらいたいというつもりでございます。
○井上吉夫君 法律の形では共同防災組織は任意設置という形にしているけれども、実際はもう可能な限りこういう組織を設置させたいということに承りました。法律の形がこうなっておりますから任意設置なんだということで動いていきますというと、いま長官が言われたようなねらいというものの達成がなかなか容易でないと思うんです。本来ならば、いま御説明のありましたような諸種の問題があることを了解いたしますが、指定という行為の中でかなりな検討をされて、そしてその過程において地方公共団体その他との協議なりいろんな経過を経るわけですから、私はむしろこれも義務づけるということの方がいいのではないかと考えますけれども、いま直ちにそのことを細かく議論いたしましても、さらに検討された立案の立場からの、いろんな問題を配慮をされてだと思います。そこで本日の場合は、いま言われたようなことが本当に的確に履行できるような、運営の面での積極的な対応というものを強く望んでおきたいと思います。
 なおこの法案の中に、防災本部と現地防災本部という項がございます。防災本部というのは、常置しながら知事を長としてやっていかれるわけですけれども、実際に現地に災害が発生した場合、速やかに動くのはやっぱり現地防災本部という形になろうかと思うんです。で、仕組みが分かれますというと、その間における指揮命令なり連絡通報なり、その場合の責任の主体がどこにあるなり、あるいはいろいろ分かれてまいりますから、陸上だけでなくてさっき申し上げた海上との関連ということになりますと、縦の系列の指揮命令は動くけれども、全体として動くということが弱いのが通例であります。したがって、これらにおきます指揮命令の、災害発生の時点あるいはそういうもろもろの場合における命令系統のきちんとした適用というものが、この法律で実現できるとお考えかどうか。あるいはこういう配慮をして臨むということがございましたら、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) 現地防災本部と県の防災本部との関係の問題につきましては、これは防災計画の中で、どの地域の災害については現地本部長はだれをもって充てるかというようなことは防災計画で決めておいていただければいいというふうに考えております。現地本部の場合におきましては、やはりそのコンビナートがあります市町村のいわば実動部隊となるものがこの現地防災本部を構成をしていくということになるだろうと思いますから、通常の場合におきましては、当該市町村長というものが現地本部長になって、実際の現地の実動部隊の指揮に当たるというような形になるだろうというふうに私どもは考えております。
○井上吉夫君 形の上の仕組みは大体理解できますけれども、さっきも申し上げましたように、実際に動くという場合になりましたら、海の場合は海上保安庁の系列という形になる。消防はいいとして、警察の動きなりいろんなものが本当にうまく動いていくかということについては、やっぱりかなり実際問題としてはたくさんの問題があると思います。そういうものがきわめて機能的に動くような実際の運用を含めての御指導をお願いを申し上げておきたいと思います。
 なお、私は公害対策委員会で参考人に来ていただいて検討いたしました際に、アメリカやヨーロッパでインスペクターという、公認検査士という制度でいろんな検査等をやっているという事例を聞きました。先ほど来お話がありましたように、さて消防なり保安の検査、点検、監督、そういう点についてかなりな専門的な知識を必要とするということに関連をいたしまして、こういう第三者による公認検査士というような仕組み、そういうのを考えられたことはないか、お伺いをいたします。
○政府委員(佐々木喜久治君) この問題につきましては、実は水島の事故調査委員会の中間報告におきましても、いろいろな点検、検査を消防機関が一々行うということになりましても、これは非常に大変な事務量にもなりますし、人手の問題あるいは技術の問題もございます。むしろ第三者的公的な検査機関というようなものを設置いたしまして、大部分の仕事をこうした公的な第三者機関に行わせるということが望ましいのではないかという御指摘もございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、来年度消防法の改正を通じまして、そうしたいわばある程度公の権限を持った検査機関というものの設置ということを何とか実現をしたいというふうに考えております。
○井上吉夫君 時間も少なくなってまいりましたので、最後に緑地関係についてお伺いをいたしたいと思います。
 三十三条以下に緑地等の設置の条文があります。で、三十四条では、「当該緑地等の設置に要する費用で政令で定めるものの額の三分の一に相当する額」を負担をさせるというぐあいになっておりますし、第二項では、「当該第一種事業所における災害の周辺地域への影響の程度その他の政令で定める条件を勘案して、負担総額を配分した額とする。」というぐあいにありますが、第三十四条の1、2の解釈はどういうぐあいになりますか。さらに、この三分の一というぐあいに事業所の負担額を決められた考え方の根拠とでも申し上げますか、そういうことについてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) この緑地等は、都市計画法上の公園緑地として設置をしたいと、こういう考え方でございます。この場合におきましては、別に公害関係の法律の適用を受けますいわゆる公害緑地を設置することのできる地域、いわゆる公害防止計画によりまして遮断緑地を設置いたします地域は除きまして、その他の地域についてこの緑地を設置しようと、こういう考え方でございます。そしてこの緑地は、実は各事業所はそれぞれその事業所内におきまして一定の安全のための保安距離、保安空地という規制を受けているわけでありますが、それのいわば第二次的な安全対策としての遮断緑地を設置をしたい、こういう考え方でこの規定を設けたものであります。
 したがいまして、この緑地は、そういう意味での防災のための施設でありますから、その部分は考え方としては企業者が全部負担をするというのがたてまえであるというふうに考えたわけであります。しかし、実際にこの緑地は都市計画上の公園緑地として設置をするということにいたしておりますのは、この防災緑地を現実に防災のために役立てるというのは、いわば何年かに一遍役立つというような形のものでございます。通常の平常時におきましては、市民の憩いの場としての公園緑地として利用をされるというものでありますので、いわばそういう意味の公共施設としての役割りも相当高いわけであります。そういうことで、いわば防災のだめの企業負担というものを三分の一、そして公共施設としての負担の割合を三分の二というふうに決めたものでございまして、この負担の分け方は、現在の公害遮断緑地の規定に準じましてこの規定を設けたのでありますが、公害の緑地につきましては、企業負担を四分の一ないし二分の一というふうに規定しておりますけれども、これは防災という見地からこの率を同じ一定の率にするということにしたわけであります。そしてこれは第一種事業所の大きさといいますか、その石油、高圧ガスの貯蔵量というものを一応めどにしながら、その事業所のコンビナート地域内における位置の問題、あるいはその事業所の形態、たとえば石油精製業であるか、その他の通常の事業であって第一種事業に該当するかといったようなことでこの負担総額は配分をしていきたいというふうに考えておるわけであります。
○井上吉夫君 三十三条の後の方ですが、「関係地方公共団体の長の意見を聴いて、緑地等の設置に関する計画を作成し、主務大臣の承認を受けるものとする。」というぐあいにあります。これは地方公共団体がかなり大規模な、いま言われたような第二次的な緑地ですね、直接工場が通常考えられる必要な程度の緑地はとっておくその先の区域の中で、通常は公園的な機能を果たしながらやっていく、そういうことがあるので、全額企業負担ということでなしに、三分の二は公共団体で負担をする、公的な負担によるということでありますが、この計画の規模等については、大体どの程度の規模、幅なり、面積よりも幅で考えた方がかえって一つの基準として考えやすいと思うんですが、そういうものについては、無制限に地元が希望すればかなり大規模な計画を考えていいと、そういう扱いとして考えているのか、やはり一つの基準というものを考えて計画づけるか、その辺についての御見解をお伺いをいたします。
○政府委員(佐々木喜久治君) この緑地は事業主体が府県知事になるか、あるいは市町村長になるか、これはその地方公共団体の中でのいろいろな相談で決めていただければいいだろうと思います。この場合に、緑地の規模につきましては、やはりコンビナート特別防災区域の周辺にこれは設置をするというような形になるわけでありますから、特に防災のための緑地ということになりますと、その第一種事業所の危険物等が置かれている場所からの距離というものによって、この緑地の幅は相当地域によって差が出てくるだろうというふうに考えております。特に、これは周辺に及ぶといいますのは、油火災等によってその輻射熱によって火災が周辺に及ぶというものを遮断していこう、こういうことになるわけでありますから、地域によってこの緑地の幅は違ってくるのではないか。したがって、関係の市町村長と建設大臣との相談によって決めてもらえばいいのではないかというふうに考えております。
○井上吉夫君 緑地に関連をいたしまして、三十六条の「財政上の特別措置」がございます。これによりますと、「国は、予算の範囲内で、その二分の一を補助することができる。」というぐあいにあります。先ほどの前の条文との絡みで考えてみますというと、三分の一は企業が負担する、そして残った三分の二について国が二分の一助成をするわけですから、地方公共団体の実質負担は三分の一になって、国が三分の一と。三分の一、三分の一、三分の一というぐあいに考えられるわけですが、そのとおりであるかどうか。さらに三十六条では、しかしながら「国は、予算の範囲内で、」という前書きがついておりますので、この実質上の扱いというのが完全に三分の一、三分の一、三分の一となるのか。「予算の範囲内で」ということが頭にあるので、これが実質運用の中では三分の一を割る。三分の二のうちの半分は国が見るということが、若干実際の適用の中ではそれを下回ることがあるのかどうか。これは従来からあります数多くの超過負担の問題等のことと絡んで、やっぱりきちんと解釈をしておかなければならぬ。そしてまた地方における財政計画もありますので、こういうものをやる場合は、幾らは補助金であり、幾らは企業負担であり、これだけを地方公共団体で見ればいいという、そういうものがはっきり区分けをされないというと、時と場合によって変更するということでは非常に困るので、その辺がどうなるかをお伺いをいたします。
○政府委員(佐々木喜久治君) 第三十六条のこの規定は、これまでの国の補助制度をつくります場合の例文でございます。ここに明確に規定しておりますように、二分の一を補助するということにいたしておりますので、この条文の趣旨は、いわば都市計画事業の補助金というものが総額として建設省予算に計上されるわけでありますけれども、この予算の執行につきましては、主務大臣が緑地の設置計画を承認をいたしておるわけでありまして、これは年次割りも含めまして承認をいたしておるわけでありますから、当然に建設大臣としましては、その計画に基づいて補助金を支出するという形になると思います。ただ、その場合におきましても、国全体のそうした都市計画事業の補助予算というものにある程度は拘束をされるということになりますけれども、事業の執行に当たりましては、いわば非常に優先的に施行すべき事業でございますので、ここの主務大臣の承認した計画に基づいて事業が完全に執行できますように、これは建設省の方と十分打ち合わせしたいと思います。これによって国の負担分を値切るというようなことは絶対に行わないように措置していきたいと考えております。
○井上吉夫君 これで終わりたいと思いますが、幾つかの問題をお伺いをいたしましたけれども、さきの質問者の御意見ではありませんけれども、まだまだやっぱりたくさんの問題があるということは明らかだと思います。もちろん一回で完璧を期すということは容易ではないと思いますけれども、いま申し上げましたような新しく環境緑地あたりを整備する、大変結構なことだと思うんですが、長官がおっしゃいましたように、現実の適用に当たっては、これが予算に拘束をされて大きく圧縮をされるとかいうようなことが絶対ないように考えていただくと同時に、予定しております法律の、成立しましたならば適用に当たって考えなきゃならぬことがたくさんある。さらに、法律の中でどうにもその枠を越えるということについては、先ほど来の質疑応答の中で、消防法の改正なりあるいは海上対策についてのこともあわせ検討中であるということでございますから、そういうものの早急整備と同時に、この法の運用を可能な限り有効に運用するという御配慮を願いたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○委員長(原文兵衛君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後一時九分散会
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