第075回国会 商工委員会 第20号
昭和五十年六月二十六日(木曜日)
   午前十時二十一分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                熊谷太三郎君
                楠  正俊君
                小柳  勇君
                須藤 五郎君
    委 員
                岩動 道行君
                小笠 公韶君
                剱木 亨弘君
                斎藤栄三郎君
                菅野 儀作君
                福岡日出麿君
                矢野  登君
                吉武 恵市君
                鈴木  力君
                対馬 孝且君
                森下 昭司君
                桑名 義治君
                中尾 辰義君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
   国務大臣
       通商産業大臣   河本 敏夫君
   政府委員
       農林省食品流通
       局長       森  整治君
       通商産業政務次
       官        嶋崎  均君
       通商産業審議官  天谷 直弘君
       通商産業省生活
       産業局長     野口 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
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  本日の会議に付した案件
○商品取引法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
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○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 前回に引き続き商品取引所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○須藤五郎君 まず最初に、今回の法改正の目的について伺っておきたいと思います。大臣、どうぞ。
○国務大臣(河本敏夫君) 商品取引所の問題につきましては、昭和四十二年に法改正が行われまして、そのときにいろいろ衆参両院で商品取引所の今後のあり方につきましての附帯決議等がつけられたわけでございますが、その後通産省といたしましても、産構審に答申を求めて、御審議をいただいておりましたが、ようやく昨年四月にその答申をいただきまして、その答申を受けまして、商品取引所の健全なる運営ということのために今回の法改正を行ったわけでございますが、一言で言いますと、健全なる商品取引所の運営のための法改正である、かように理解をいたしております。
○須藤五郎君 健全なる運営を考えてと、こういう大臣の御答弁ですが、これまでそれでは不健全であったかということになるんですが、これまで不健全であったと言うならば、どの点が不健全であったかということをひとつ。
○国務大臣(河本敏夫君) これまでの商品取引所のあり方というものは、問題点が相当あったと思うわけであります。そういうことのためにトラブルも相当たくさん起こっておりますし、それから、必ずしも本来の機能である公正な価格の形成であるとかヘンジング、こういうことも十分行われていない、そういういろんな問題点があったと思います。必ずしも理想的にいってなかった、できるだけこれを将来直していきたいというのが今回の趣旨でございます。
○須藤五郎君 いま大臣の御答弁の中にも、トラブルとか、公正なる価格を守るためにというお話がありましたが、特にトラブルの問題ですね、これまでいろいろな問題が、紛議が起こった問題ですが、それは商品取引所制度が本来持っている欠陥なのか、それとも運用の問題なのか、どちらからそういうトラブルが起こるようになったのか。
○政府委員(天谷直弘君) 商品取引所は、当業者のビジネスに伴うところのリスクを分散あるいは回避する目的を持って設立されたものでございまして、この取引所が正常に機能いたしますためには、当業者資金のみならず、外部からの資金のある程度の流入が必要かと存じます。
 この外部から流入してまいります資金の性質でございますが、大きく言って二つに分けることが可能であろうかと存じます。
 一つは、商品取引に関する十分な知識を有しまして、有した上でこのリスクテーキングをしようという資金でございます。もう一つは、商品取引の内容をよく知らないまま何か一獲千金ができるのではなかろうかというような、そういう何と申しますか、情報不足のまま入ってくる資金でございます。
 この玄人筋の外部資金につきましては、これが取引所の正常な機能の上にしかるべき役割りを果たしており、また、それほど紛議等も生じないわけでございますけれども、他方、取引内容について知識、情報を持っていない、本当の普通の意味の一般大衆につきましては、それが素人でありますためにいろいろ誤解等を生ずる面もあり、他方また、外務員の中で質の悪い外務員が素人の無知を利用する、そういうことによりまして紛議が起こってくるわけでございます。
 したがいまして、取引所を正常に機能させますためには、こういう質の悪い外務員等をコントロールすることも必要でございますし、取引員の姿勢を正させることももちろん必要でございます。それからまた、取引所に過度の投機性の資金等が流入することにつきましては、市場管理等を行いましてそういう弊害を除去するということが必要であろうかと存じます。そういう対策を講じまして弊害を除去することができますれば、取引所が正常な社会的機能を発揮するということになろうかと存じます。
○須藤五郎君 制度の運用に当たりまして、当業者主義の立場は今度の法改正でも変わっていないと私は思うのでございますがその点はどうでございましょう。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおり変わっておりません。取引所の基本は、当業者の事業に、営業に伴うところのリスクを回避分散することに本旨がございますので、取引所の組織につきましても、そういう当業者を中心として取引所を組織し、運営していくという当業者主義は変更されていないわけでございます。
○須藤五郎君 この当業者主義の立場を守って外部資金を入れさえしなければ、いまおっしゃったような、現在起こっておるような紛議は私は起こらないと思うのでございますが、どうでございましょう。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおり、外部資金を一切入れなければ紛議の数は確かに減るというふうに考えます。あるいは皆無に近くなろうかと存じます。ただ、取引所の本質、発生の歴史、諸外国等の状況に照らしましても、当業者資金だけでは取引所のリスク分散機能、ヘッジング機能、価格の平準化機能というような、そういう本来の目的が十分達成せられないわけでございますので、やはり健全な外部資金の流入ということは、取引所が機能するために必要であろうと考えております。
○須藤五郎君 何か話を伺っていると、外部資金を入れるのは商品取引所の運営をうまくやっていくためだ、外部資金を入れなければ資金面も足りないしと、そうすると、何だか外部資金を出す人たちは、商品取引者のかもになっているような感じがするわけですね。すると、外資部金を入れる場合は、当業者に関連する範囲に限定して、家庭の主婦などいわゆる大衆投資家の参入を私は禁止すべきだというふうに考えるんです。それさえちゃんとしたら、いま起こっているような紛争は起こらない、こう私は考えるんですが、その点はどうですか。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおり、家庭の主婦と一概に言ってはよろしくないかと存じますが、家庭の主婦の中でも、商品取引のことを十分御存じの主婦の方もおいでになるかと存じますが、取引の内容、危険性その他についてほとんど知識がないまま、かつ資金力も不十分なまま、外務員等の甘言に乗せられて取引所に来る、投機をやろうと、こういうような大衆資金の参加につきましては好ましくないと考えておりますので、外務員の禁止事項といたしまして、そういう勧誘はしてはならないということになっており、そういう方向で取引員、外務員を指導しておる次第でございます。
○須藤五郎君 大衆投資家には書面を交付して説明する、こういうことになっておりますが、十分理解させることは私は困難だと思うんですね。それで知識が身につくという問題でもないと私は思っております。もうかる可能性、後で例を申しますが、あれば……。外務員の口車に乗って、つい手を出したくなる。これが私は素人だと思う、ここが人情だと私は思うんです。だから、書面の交付や外務員の研修などで防ぎきれるものではないことは、これまでの実態を見れば明らかだと私は思います。この点、政府はどう考えておられるのか、大臣どうでございましょうか、大臣の御意見は。
○国務大臣(河本敏夫君) ただ、大衆の投資は一切やらせない、当業者だけでこれをやるということにいたしますと、先ほど来政府委員が答弁いたしておりますように、トラブルはあるいは皆無になるかもわかりません。ただしかし、取引所の本来の機能である健全な価格の形成あるいはヘッジング、こういうことについて果たしてうまくいくかどうか、これは私は疑問だと思うんです。やはりある程度の大衆が参加をする、それによって初めて本来の機能が達成される、こういうふうに考えておりますので、外部からの参加を一切禁止するとか排除するとか、それは私はよくないと思います。
 これまでは外務員の非常に行き過ぎた行為が多かったわけです。でありますから、外務員が行き過ぎて甘言を弄して大衆をだます、そういうふうなことはさせてはいけませんし、それから同時に、外務員のやった行為に対する責任が明確でなかった、こういう点もトラブルの私は大きなもとだったと思うんです。でありますから、外務員に対する責任も明確にしなきゃいかぬ。やはり外務員を雇っておる者は、当業者が雇っておるわけでありますから、当業者自身が責任を持つ。さらにまた、その当業者が資力が十分であるとは言えませんから、絶えずそれを監視しなきゃなりませんし、営業方針なども見まして四年ごとにこれを更新するとか、さらに、トラブルであった場合には弁済をどうするかとか、そういういろんな補足的な対策を十分立てまして、そしてトラブルを防いでいく。しかし、大衆が参加しない取引所というものは、これは考えられないのでございますから、別の形で弊害の起こらぬように十分配慮をしながら健全な運営を図っていく、こういうふうにしたいと考えておる次第でございます。
○須藤五郎君 何か大臣は、大衆がそのためにどれほどの損害を受けてもそれはやむを得ないんだ、来る大衆が悪いんで、政府としては万全の策をとってそれを周知さしていたはずだ、その上で大衆が投資をして損をしてもしようがないじゃないか、そういう大衆の損失がなければ、商品取引所はうまく運営がしていけないんだ、こういうふうに大臣の話を聞いているとうかがえるんですが、どうなんですか、そこは。商品取引所の運営が重要なんですか、大衆の生活を守ることが重要なんですか。そこはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 一般の大衆が商品取引に参加をいたしまして不測の損害をこうむる、また、だまされるとか、そういうふうなトラブルが発生をするのをできるだけ避けなければいかぬと思います。そういう意味で、私は、大衆の参加ということを全面的に禁止したらどうかというお話でございますから、全面的に禁止するというのは、これは取引所の機能はうまく作動しませんから、それは困るけれども、運営の面でできるだけのことをやって、そうして大衆投資家にできるだけ御迷惑がかからぬように運営の面で図っていきたい、こういうことを申し上げたわけでございまして、大衆は幾ら損してもかまわないんだと、そういう趣旨で言っておるわけではございません。
○須藤五郎君 私は、自分の恥ずかしい経験を参考までに申し上げたいと思いますが、この商品取引所の問題と違う株式取引所の関係ですが、私の姉が、アメリカにクリスチャンとして、おやじが教会の牧師で、長いことアメリカで生活しました。そして亭主はアメリカで死んでしまって、戦後日本へ帰ってきたわけですね。そのときに退職金をもらい、それからアメリカのドルで恩給が入ったわけです、戦後。戦後の国内の生活と比べると、相当裕福な暮らしができる恩給が来たわけです。で、姉は小金を蓄えたわけですね。それを狙ってきたのが、いわゆる株式取引所員なんですね。それで私は、女の手で何もわからぬくせに、そんなものに手を出しちゃいけない、それよりもちゃんと来るおやじさんが残してくれた恩給でやっていったらいけるじゃないか、生活はできるじゃないか、だから、そういうことはやるべきでないということを私は説明しました。
 ところが、勧誘員にまんまと乗せられまして、私に内緒で株を買わされたわけですね。最初二、三回はちゃんと株の整理に勧誘員が金を持って来たそうです。そうして三回目ぐらいには姉をすっかり信用させて、そして、あなたの持ち株を私が全部お預かりしましょう、あなたは素人で売り買いができないから、私が預かっておいて、もうかるときに売って、そのもうけをお宅に届けるようにいたしましょうと、こういう話。姉はすっかりそれに乗せられて、それにやっちゃったわけです。株券を全部渡してしまった。ところがその後、一向に配当金も何も持ってこないというわけですね。利益も持ってこない。それで、どうしたんだろうというのでその外交員を呼んで確かめたら、いや、もうちょっと待ってください、そのうちに持って来ますと言って、ずるずると引っ張られて一年ほどたってしまったわけですね。
 それで私のところに相談に来ましたよ。その当時のまあ百万ぐらいの金でしたけれどもね。それで私は、私の言うことを聞かないでそんなばかなことをするからそういう目に遭うんだ、今日の世の中というものはそういうものなんだ、株式なんというものはそういうものなんだから絶対そういうことをしてはいかぬ。それで、できるならばこう言ってやりなさいと。私の弟には共産党の参議院議員がおります、それで弟に相談しましょうか、こう言ってやりなさいと私は言ったんですよ。そこで、その次に来たときに姉がそういうことを言ったそうです。そしたら、それだけは勘弁してもらいたい、絶対言わないでほしいと言って謝って帰ったそうです。そしてその次には、それの三分の一ほどの金をとにかく持ってきたというのです。それでこのあとはまた続けて持ってまいりますからと言って帰ったきりで、もう行方がわからなくなった。それで株式ですね、電話で調べても、そういう者はおりませんと、こういうことで全然わからなくなってしまったという。もうあなた、あきらめざるを得ない、しょうがないじゃないか、あなたがばかなことをするのだからだと言って私は姉を叱って、それで済ませました。
 しかし、そういうことは商品取引所の問題でもあり得るのですよ、今日。それをどうするかと言えば、そういうことをさせないということが私は一番完全にそういう紛糾を防ぐ方法だと思うんです。ところが、禁止をしなければ今後もそういうことは起こるのですよ。やっぱり人間には欲というものがありますから、うまく話を持ち込まれればそれについ乗っていくんです。最も弱いのは私は寡婦だと思うんです、主人のない家庭の主婦ね。主人がためた金をねらわれて、そしてそれを巻き上げられるというのがこれまでの例なんです。
 そういうことがこれまでたびたび起こったんです。だからこの点を政府はきつくしないと、今後もそういう紛糾が起こって、そして不幸な婦人ができるということを私は政府は考えてもらいたい。それをどうするかという点、私は禁止するのが一番手っ取り早いと思うんです、そういうことをなくすのには。大臣は、そういうことを禁止したら商品取引所は立ち行かない。商品取引所が立ち行く、行かないの問題よりも、そういう不幸な婦人をつくらないということの方が先決じゃないですか、大臣。どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) これはやはり、当業者だけでなかなか私は商品取引所の運営はできないと思うんです。でありますから、先ほど来言っておりますように、結局外務員の素質の問題とその責任の問題だと思うんですね。素質をよくするということが一つと、それからもう一つは、結局外務員の行った責任に対して当業者が全責任を持つ、こういう体制をしっかり確立しておくということが私は必要だと思うわけです。
 そういうことから、それに関連をいたしまして、先ほど申し上げますように、営業を四年ごとに更新するとか、外務員の責任を明確にするとか、事故が起こった場合の弁済方法をどうするかとか、そういうことについてできるだけ明確にいたしまして、そういう災害をとにかくなくしていきたい、こういう趣旨を織り込んでおるわけでございます。しかし、それじゃ完璧にその目的が達成されるかと言いますと、これはやはりなかなかそれで一〇〇%うまくいくかと言いますと、私は断言できませんけれども、できるだけ改善を図って、そしてトラブルを少なくしていきたい。しかも同時に、取引所の機能というものを十分発揮さしたいというのが今回の中心でございます。
○須藤五郎君 そこまで話がくると、結局私の考え方と大臣の考え方とは違う、基本的に違うという感じがいたします。私は、大衆の生活を守るということが第一義で、商品取引所は損得の問題じゃないというふうに考えますから、いままでそういう質問をしました。
 それでは質問を変えますが、資力があるかどうかの判断は何を基準にやられるのか。それから、その取引に対する知識があるかどうかの判断も、結局私は、これは外務員の判断ということにならざるを得ないわけだと思うのです。
 主観的な外務員の判断ですね、これによらざるを得ない、こう思いますが、このようなやり方で今後大衆投資家の紛議が本当になくなると政府は考えていらっしゃいますか、どうですか。
○政府委員(天谷直弘君) このお客が果たして資力が十分であるかどうかということは、これは、外務員がいろいろな検査をする、そういう資格は持っておらないわけでございますから、これは常識で判断するよりいたし方がないかと存じます。その人の家の構えであるとか、どこの会社に勤めておるかとか、そういう常識から資力があるかどうかということをまず判断せざるを得ない。
 それから次に、売買をするということになりますと、証拠金を積まなければならないわけでございますから、その証拠金を積む能力があるかどうかというようなこと。そういう常識的なことから判断をしていくということになろうかと存じます。
 知識につきましても同様でございまして、一体ある人が商品取引について、客観的に見て何%の能力を持っているであろうかということは、これはだれも実は判断のできない問題で、もし仮に役人に判断しろと言われましても、役人もそういう判断はできないというのが実情であろうかと存じます。
 したがいまして、そういうことを法律等で規制することは困難でございますので、現状におきましては、商品取引所連合会が外務員の禁止事項というのを定めまして、その中で資力の乏しい、あるいは知識の乏しい大衆を勧誘してはならないと、こういうことになっておりまして、その勧誘するかしないかというそれがどの程度守られているかということは、取引員あるいは取引所、あるいは商品取引所連合会等に任されておるわけでございます。
 結果的に見まして、事前にはこの人は資力があるかどうか、知識があるかどうかということはわかりませんですけれども、紛議等が生じてきて事後的に調べてみればわかるわけでございまして、そういう場合には、ある外務員が資力のない者あるいは知識のない者を勧誘した、甘言に乗せたということがわかるわけでございますから、そういうことがわかった場合には、一つはまずこの取引員に責任をとらせますが、他方では、そういう好ましくない外務員につきましては首を切るとか、あるいは再登録をしないとかというような措置をとるということになろうかと存じます。
 それからまた、もう一つの指導事項といたしましては、初めて取引をする人、ある外務員が勧誘に行きまして初めて取引をする人は、最初の取り組み額――買いなり売りなりの額は低い段階から始めるようにと、最初から大きな取引をしないように注意をしろというような指導もいたしておりまして、その取引の状況を見ながらその人の資力とか経験、知識等を判断していくというように指導をいたしておるわけでございます。
○須藤五郎君 そうすると、結論としては、この法案が出ても今後もやはり紛議は起こり得る、起こると、こういう御意見ですね。
○政府委員(天谷直弘君) いかに警察を強化いたしましても、犯罪がゼロになるということはなかなかむずかしいことでございますし、取引所につきましても、われわれとしては一生懸命法律も改正して、取り締まり体制も強化し、外務員の質等も改善をしたいと考えておるわけでございますし、その結果として紛議は相当程度減小するだろうとは思いますけれども、なくなるということはやはりそれはないと思います。
○須藤五郎君 次に、商品取引員の問題で伺いたいと思いますが、昨年の答申は、諸問題の多くは商品取引員のあり方に起因しておるので、一定期間ごとに見直しを行うことを提言しておりますね。ところが、その審査基準はどうなっておるのか。四十六の許可の際の基準と比較しながらひとつ説明をしていただきたい。この点について伺います。
○政府委員(天谷直弘君) 昭和四十六年一月に許可制に移行いたしたわけでございますけれども、その際は、財務内容及び営業姿勢に重点を置いて審査をいたしたわけでございます。当時の状況、すなわち紛議等が頻繁に起こりました状況にかんがみまして、特に営業姿勢の方に重点を置きました。その際の基準はおおむね次のとおりでございます。
 まず、財務内容でございますが、第一に、純資産額を必要純資産額以上に持っておる、かつ営業規模に見合うだけの余裕があること、また純資産資本金比率、負債倍率、流動比率が法定比率を満たしていること等財務内容が健全であることというのが第一であります。第二に、受託業務の収支見込みが良好であること。
 次に、営業姿勢に関しましては、第一に、経営体制が十分なものであること。第二に、事務処理能力が十分なものであること。第三に、諸法令の遵守状況に問題のないこと。第四に、営業姿勢が社会的信用を保持するに十分なものであること。なお、いわゆるA、B、C、Dのランクづけを行ったわけでございますが、このA、B、C、Dのランクづけは営業姿勢についてのランクづけでございまして、財務内容のよしあしで区分けをしたものではございません。
 次に、今回、許可の更新制をとったわけでございますが、この更新制をとりました趣旨は、言うまでもなく、許可をしっ放しにしておいたのでは、取引員の姿勢が財務内容につきましても営業姿勢につきましても安逸に流れるといいますか、そういうおそれがありますので、適当な期間を置きまして常時チェックすることによりまして取引員ににらみをきかす、そして取引員が安逸に流れることを抑えようというのが基本的な趣旨でございます。
 更新の基準といたしましては、委託者保護に重要な財務内容及び営業姿勢の二点をチェックするということは、前回の許可移行時と同様でございます。財務内容につきましては、最低純資産額を維持していることはもちろん、その内容、営業所の規模及び数などを勘案いたしまして、長期的に安定したものであることが必要であり、また負債比率、流動比率等の財務比率が良好であることを監視いたしたいと思います。
 また、営業姿勢につきましては、紛議発生件数が非常に重要かと思いますが、紛議を起こしているかいないかということ、それから脱税、企業犯罪等、信用業務を行うにふさわしい社会的信用の失墜行為があったかどうかというようなことを監視いたしたいと思うわけでございます。
○須藤五郎君 その許可基準ができてからとできる前と、その紛糾ですね、トラブル、そういうものの起こった数はどういうふうなことになっておりますか。
○政府委員(天谷直弘君) 通産省所管の取引所に申し出のございました紛議件数は、昭和四十五年度六十四件、四十六年度、五十五件、四十七年度四十五件、四十八年度二十三件、四十九年度十四件というふうに数が次第に減少をいたしております。
○須藤五郎君 まあ数は多少は少なくなってきておるような表が出ておりますが、基本的には余りいい――そういう事態が起こっておるということは変わっていないように思われるわけですが、ある業界の専門紙によりますと、四十六年許可の際、当時の通産省能登商務第二課長は、営業姿勢に問題のある二十九社については厳しい条件をつけて許可したと、中でも問題がある七社については、営業権の譲渡などの条件をつけており、形式的には許可だが実質的には不許可と理解してほしい、半年間の猶予を設けて整理し、法人としての姿を消す、代表者が他の取引員の代表者になることは認めない旨の発表をしておりますね。
 その中で吉原商品という取引員は三分割され、現在のエ−ス交易、現在の大都通商、双葉商事に営業譲渡されました。そして、エ−ス交易の代表には吉原商品の常務である榊原秀雄氏が、大都通商の代表者には同専務の吉田正雄氏が、双葉商事の代表者には同取締役西部営業本部長の宮辺義雄氏が就任しました。双葉商事を除けば、現在も変わっていないはずでございます。しかも、業界でいう旧吉原グループ十社の中では、当時の吉原商品の社長がいまでも実質的な社長として君臨していると言われております。当局はこのような事実を知っていらっしゃいますか、どうですか。
○政府委員(天谷直弘君) 調査をすればわかるかと存じますが、いまここでは存じておりません。
○須藤五郎君 政府自身も実際にその調査をして、その結果を報告してもらいたいと思いますですね。
 ある業界専門紙の調査によりますると、四十九年一年間の売買実績を見ると、旧吉原商品グループのシェアは九%強を占めております。業界グループのトップに立っておるわけですが、このことも当局は知っていらっしゃいますか。
○政府委員(天谷直弘君) 先ほどの件もあわせまして正確な数字を調べて御報告いたしたいと思います。
○須藤五郎君 それじゃ調査のついでに、私がこの間伺ったら、それはわかりませんということを、ここの委員会の席上じゃないんですが、おっしゃっている問題が一つあるんです。それは外交員のまんまと口車に乗って、そして損をした家庭の主婦なり、主婦とは限りませんけど、そういうようなことがあると思うんですね。それで昨年度でいいです、今年度はまだはっきりわかりませんから。昨年度そういうことで損失を受けた方々がどれだけあるか、その金額はどれだけの金額を損失をしておるか。一般大衆の委託者ですね、それがどれだけ損をしたかということをひとつ調査して報を告していただきたいと思います。いいですか。
○政府委員(天谷直弘君) どの程度まで調査できるかわかりませんが、極力わかる範囲で御報告をいたしたいと思います。と申しますのは、損をしたというのがどの段階で損をしておるのかというのはかなりむずかしい問題でございます。紛議の件数が、末端ではたくさんあるんだろうと思いますが、これがたとえば外務員との話し合いで解決をしてしまったもの、それから、外務員では話がつかずに取引員と談判をして解決したもの、それから、取引員とも話し合いでは解決がつかずに、取引所に参りまして取引所で簡易調停をやったようなもの、それから、その簡易調停では済まずに紛議あっせん委員会にまで上がってきたものと、いろんな段階がございまして、われわれが応わかるのは、取引所まで上がってきた紛議につきまして損害金額が幾らであるか、件数が幾らであるか、こういうことはわかると存じますので、そういうことにつきましては御報告を申し上げたいと存じます。
○須藤五郎君 私は、政府が本当に努力するならば、いまあなたがおっしゃったようなこと、個々のことですね。それも調べられないということはないと思うのですよ、努力次第で。努力しないからそういう答弁が出てくると思うのです。こういう法案を出して私たちに説明されるときには、そこまでやっぱり調べておいて、これをこうこうだから、この法案が通ればそういう心配がなくなるんですよ、そして、一般投資家といえどもこれだけの利益を得ているんですとか、そういうふうな答弁ができるのが本当だと思うのです。だから、とにかく現在政府のできることを出してください。そしてあとの、政府でできないと思っていることは、それはまた後で調査をしていただきましょう。私はそこまではっきりさしておく必要があると思うのです。
 それでは次の質問に移ります。
 衆議院ではわが党の野間議員が、四十六年の許可の際、営業姿勢等で問題なしとして許可をした取引員が、実は問題を起こしいることを辰巳商品の例で明らかにいたしました。いま私が申し上げた問題は、営業姿勢に問題があり不許可にした取引員が、看板だけはおろして、実質的に分散して市場支配を拡大している例を指摘しているわけでございますが、これでは政府は本気で問題のある取引員を規制しようとしているのかどうか、本気で審査しているのか疑問を持たざるを得ないわけでございます。政府の姿勢を問われる問題なので、大臣の責任ある答弁を伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 辰巳商品のケースにつきましては、A、B、C、Dに区分けいたしましたときに営業姿勢をチェックいたしまして、Aというランクにいたしたわけでございます。ところが、その後財務内容が急速に悪化いたしまして、その財務内容の悪化を糊塗するために、のみ行為その他の好ましからざる行為に走りまして、さらにまた多額の高利の金を借り入れるというようなこともやりまして、雪だるま式に債務が増大し、資産内容が悪化していきまして、ついに倒産をいたしたわけでございます。その途中におきまして立入検査等もやっておるわけでございますが、きわめて巧妙に二重帳簿をつくりましたために、その検査の目が行き届かなかったわけでございまして、この点につきましては、取り締まり当局といたしまして深く反省をいたしておる次第でございます。
 それから、さきの吉原グループの件でございますが、これは財務内容等が不健全でございましたので、実質上の不許可というようなことにいたしまして、営業内容の健全なところに合併等をさせたわけでございますが、その際の役員の異動等につきましては、先ほども先生の御指摘がございましたが、正確に調べておりませんので、調査の上御報告を申し上げます。
○須藤五郎君 大臣ね、やっぱりこういうことは諸々方々で起こっておるわけですね。もっとも悪質な、いわゆるのみ行為ですね。こういうことまで、競馬ののみ行為と同じように、商品取引所においてすらも、のみ行為が行われている。これは私は、責任ある政府としてよっぽど考えていかないと大衆の損失を防ぐことはできない、大衆を守ることはできないと思うのです。余りにも政府の姿勢がまだぬるい。いわゆる、商品取引所の事業を守っていくために、大衆の損失などには責任を持たぬというような態度が私はあらわれているように思うのです。だから、政府として、もしも大衆が損失を受けるような場合には、その営業所が損失をカバーすることができないというようなときは、政府がそれを補償するというぐらいの決意があるんですか、どうですか。その点を伺っておきましよう。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来のお話で、十分な監督指導ができなかったというような御指摘があったわけでございますが、その点は深く反省をいたしております。
 なお、当業者等がつぶれた場合その支払いは一体どうなるのか、こういうような問題でございますが、今回の法改正におきまして、そういう場合の対策等についても新たに規定を設けまして、支払いができるようにいたしておる次第でございます。
○須藤五郎君 支払いのできるというのはどういう形でするんですか。
○政府委員(天谷直弘君) 現在の制度におきましては、委託証拠金のうち六〇%を受託業務保証金として取引員が取引所に預託するということになっておるわけでございますが、改正案におきましては、この積み立て率を一〇〇%にするということにいたしております。しかし、一〇〇%にいたしますと取引員の経理を圧迫いたしまして、財務内容が悪化するおそれがございますので、一応一〇〇%積み立てというのをたてまえにいたしておるわけでありますが、他方、指定弁済機関という制度をつくりまして、この指定弁済機関と取引員とが代位弁済契約を締結しておる場合には、この一〇〇%の積み立て率を五、六〇%程度に軽減するということを考えておるわけでございます。その場合には、取引員が倒産をいたした場合には、まず受託業務保証金から五、六〇%出てきまして、残りは指定弁済機関から出てくる。よって一〇〇%補償される、こういうことになる仕組みをつくろうとしているわけでございます。
○須藤五郎君 その問題はまた後でひとつ伺いましょう。
 外務員の問題でございますが、紛議の問題の多くは外務員の過当勧誘に起因しておる、私はこういうように思います。外務員の資質の向上それ自体は重要なことは、答申でもそうように答えておりますからそのとおりだと私は思うのでございますが、しかし問題は、政府の資料によりましても、外務員の報酬が歩合制になっておるものが五〇%以上あり、しかも過酷なノルマが課せられており、過当勧誘をしなければやっていけない土壌をつくっているのは、これらの外務員を使用しておるところの取引員にあるのだと思います。あり方を問われているのは、外務員よりもむしろ取引員の方が問われておると、こう考えます。政府の見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘のとおり、外務員がたとえば一〇〇%の歩合制になっておったりいたしますと、外務員が無理な商売をいたしましてノルマを上げ、歩合を上げようといたしまして、非常な弊害が起こるわけでございます。外務員の給与体系を見ますと、昭和四十六年九月末現在におきまして、固定給が三八・六%、歩合給をもらっておる者が一八・六%、それから固定、歩合給併用でもらっておる者が四二・八%と、こういう割合でございましたが、昭和五十年三月末現在におきましては、固定給者が四九%、歩合給者が一〇%、固定、歩合併用者が四一%というふうになっております。こういうふうに歩合給者の減少、固定給者の増加等、一応改善されているものと考えておるわけでございますが、さらにこれを改善していきたいというふうに考えております。
 外務員の過度の歩合制度、一〇〇%の歩合制度というようなものにつきましては、昭和四十二年の法律改正の際に、農林、通産の両局長通達によりまして、全社的完全歩合制度は速やかに廃止するように指導いたしまして、現在そういうものはないというふうに考えております。また、本年五月にも主務省通達によりまして、固定、歩合給併用制の外務員につきましても固定給割合の増額を図るように、雇用安定的な給与改定をするよう、取引員を指導いたしおる次第でございます。
○須藤五郎君 歩合制をやっていくと、いわゆる外務員、それが泣きつくように言ってくるのですね。ここでこれだけの成績をもらって帰らないと、私は解雇されるおそれがあるのです、解雇されれば私の家庭にはこれだけの家族がおります、だからその家族を路頭に迷わさなければならぬことになるのだから、どうか今回はひとつこれだけの契約をしてもらえませんかと、そういうふうなことを言うのですよ。私の姉もそれに引っかかってえらい損をしたのですが。そういうことが私はこの商品取引でもあると思うのですね。だから、そういうやり方をしておる歩合制そのものをやめてしまって、ちゃんとした本給で生活のできるような処理をするということが、そういう犯罪、そういう紛議をなくしていく一つの道だと私は思います。だから、政府はそういう方向でいくべきだと思うのですが、大臣どうですか、この歩合制というのはやっぱり残していく方針なんですか。もうやめる、本給で生活できるように保証していくという方針なんですか、どうですか、大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) これは個々の契約でございますから、政府がそれまでに介入することはできませんけれども、やはりある程度生活の保証をするということが基本だと思います。その上で若干の歩合制があるというのは、これはまあ仕事の性質上あるいは全廃することが無理かもわかりませんが、とにかく生活の保証をするというふうな給与体系ということは望ましい、こう思います。
○須藤五郎君 これは私の希望ですが、通産省け管轄外だというような、大臣の管轄外のようなお話ですけれども、やはり政府としては、そういう方向で歩合制をなくしてそれでいくような方向に私はいってほしいと思うのです。どうかそういうふうな努力を今後していっていただきたい、いいですね。
○政府委員(天谷直弘君) 先ほども申し上げましたように、歩合制を極力少なくするようにわれわれとしては努力をいたしており、今後とも努力を続けるつもりでございます。
○須藤五郎君 外務員の権能について、答申は、委託の勧誘と受託行為の限界があいまいなので商品取引員の責任が不明確になっていると、こういうふうに指摘しております。これは不正確では占いかと思いますが、たとえば東京繊維商品取引上の定款六十一条の三によりまするならば、商品取引員は、使用人の行為について、一切の責任をうことを明確に規定しております。御存じでございますね。――知っておればいいんですよ。後で、知らないなんて言われると困るから……。
○政府委員(天谷直弘君) 存じております。
○須藤五郎君 それじゃこれ、私がいままで言ったことはちゃんと御存じだということです。この規定を尊重させ、取引員の責任を追及することで問題の解決に寄与できるにもかかわらず、これを放置してきた政府の責任は私は重大だと言わなければならぬと思うのですね。知っておいて放置しておった責任。外務員に権限を持たせることは、かえって紛議を多発させる可能性もあります。この点、政府の見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 委託の勧誘と、それから受託との限界があいまいだといいますのは、顧客の側から見てあいまいなことが多いわけでございます。顧客の側から見まして、一体外務員が委託の勧誘だけしているのか、それとも外務員が受託の権限まで持っておるのか、これは素人の顧客の方からしますと、普通は外務員が相当の権限を持っておるのだというふうに誤解をする場合が多いというふうに思うわけでございます。
 ところが、従来のやり方でございますと、この東京繊維取引所のような場合には、内部の定款がございますから、損害を受けた顧客の方としましては、その定款を援用いたしまして裁判上有利な立場に立つこともできるかと思いますが、どこの取引所にもそういう定款があるわけではございませんので、通常の場合には、取引員は、あの外務員は委託の勧誘をしただけであって、あの外務員はもう受託をするような権限はないのだ、この紛議は外務員が越権行為をしたから起こった紛議であって、取引員としてはそういう紛議には責任を持ちませんというような言い逃げをいたします。そうしてまた紛議を起こした外務員は、俗な言葉で言えば、長のわらじをはかせてどっかへ逃がしてしまうというようなことをやるわけでございます。
 どうも顧客の、委託者の保護という立場に立ちますならば、外務員の権限を拡大いたしまして、外務員が代理権を持つと、取引員の代理権を持つというふうにみなした方が顧客が責任を追及する場合にはるかに責任が追及しやすくなる。それも取引所の定款というようなよくわからない内部的な取り決めではなくて、法律上外務員にみなし代理権を与えておいた方が、顧客といたしまして外務員、取引員の責任を追及することが容易にでき、顧客の立場が強化される、こういうふうに考えまして、外務員の権限を拡大しようとお願いしておるわけでございます。
○須藤五郎君 それじゃこの法律が通ったら、これまでのようなことは全然なくなるということですね。東京繊維商品取引所の定款六十一条の三、これがいわゆる委託者に非常に有利な状態になっているんですが、もしも全般的にできないような場合ならば、各取引所にこういうものをちゃんとつくる義務を政府が負わすということも一つの方法だと思う。そして、そうでなければ政府として、全国的に取引所はこういうふうな定款をつくる、それを守っていくという義務を与えていく。それが私は必要だと思うのですが、政府はそういうことをなさいますか。
○政府委員(天谷直弘君) 定款で取り決めます場合には、その取引所と会員との約束ということになるわけでございまして、定款違反が起きましても、これは内部関係ということになってしまいまして、強さが余り十分でないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回はこの定款に書いてありますことと同じようなことを法律で書きまして、一般の委託者が、外務員それから取引員の責任を容易に追及できるようにした次第でございまして、これによりまして外務員との、あるいは取引員との紛議の問題が全部とはもちろん申し上げられませんが、かなりな程度改善をされるというふうに期待をいたしておる次第でございます。
○須藤五郎君 この点非常に私は重要な点だと思うんです。ここをきちんとしていかないと、いままで申しましたようないろんな紛糾が起これば、また、一般大衆の受ける被害も非常に大きくなるということでございますから、大衆を守るという立場に立つならば、また、取引所の仕事を円滑にしていくという点に立ちましても、紛糾の起こらないようにそういうことをきちんとしていくということが私は必要なんで、その点は、政府ははっきりと留意してやってもらいたいと思うのです。
 もしも、この法案ができてなおそれができない場合は、法改正をまたしなければならぬと私は思っておりますが、それだけの決意はありますか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは法律が通りますと、法律にそれが明記してありますから、当然そのように行われるわけでございます。
○須藤五郎君 もう二点ほど伺っておきたいと思うのですが、委託者債権の保全の問題について伺いたいと思いますが、答申は、「委託者債権については、その完全な保全が第一義的に考えられるべきで」ある旨を述べております。そうして「具体的方策につき、早急に検討を行い、実施」すべきである、こういうことを提言しておりますね。このことは、商品取引員が委託者の資金と自己の資金を明確に区分することはもとより、委託者ごとの区分経理を義務づけ、同様の内容を商品取引所もつかんでおくことを義務づける必要があると思います。今回の改正でなぜこのようにしなかったのかを伺っておきたいと思うんです。
○政府委員(天谷直弘君) 理想的形態といたしましては、その答申に書いてございますような完全分離にいくということが必要であろうかと存じますけれども、現状からそこまで一足飛びにまいりますと、取引員の財務内容等の悪化を来すという問題があるわけでございます。
 と申しますのは、現在、商品取引員がやっております種々の業務があるわけでございますが、そのうち取引所に対する売買証拠金、それから受託業務保証金の預託、それから値洗い差金の支払い及び他の委託者の一時的損失の立てかえ、こういうような支出は受託業務を行うために本質的に必要な支出でございまして、そのために多額の資金を必要といたしておるわけでございます。完全分離保管ということになりますと、こういう資金についてまで取引員の自己資産を用いなければならないということになるわけでございますが、それでは取引員の資産の流動性を著しく低下させまして、かえって取引員の財務を危うくするということが懸念されるわけでございます。さらに、いま申し上げましたような三つのカテゴリーの支出は、委託者のためにする運用という一面を持っておりますので、これらの運用まで禁止するということは、必ずしも現実的でないというふうに考えた次第でございます。
 したがいまして、今回の改正におきましては、委託者資産の管理方法を定めるほか、受託業務保証金につきましては、預託率を本証拠金の一〇〇%に引き上げるというような制度の拡充を図りますとともに、商品取引員が委託者債権を弁済できないときには、当該商品取引員にかわりまして委託者に対し代位弁済する機関を設けることといたしまして、実質的に委託者資産の流用制限、委託者債権の保全という答申の目的を実現するような制度を考えておるわけでございます。
○須藤五郎君 どうもあなたの答弁を聞いていると、最初から終わりまで委託者の立場を守るという精神よりも、やはり取引所を守っていくという精神の上に立っておるように私には聞えるのです。法律の上ではいろいろ形式的に動かす面があるけれども、しかし、法律の形式よりも法律を施行していく、実行に移していく精神のあり方、それが私は一番重要なんだと思っているんです。そうじゃないと、さあというときに本当に守られませんよ、一般大衆の委託者の権利というものは。
 それは、こうこう法律でこう書いてありますから、それでやっていくと思うのですが、しかし、そこまでいくというと、どうのこうのというような、こういう意見になってくるんですね。本当に委託者の権利は一〇〇%守るならば、私がいま申しましたようにきちんとした、委託者の立場から言ったら、一〇〇%私は有利だと思っているんですよ。どうですか、それをやはりそういうふうにすると、取引所の方はどうのこうのというようなことにあなたは言葉をずっと持っていきますがね。だから取引所を守るのが本当の精神なのか、委託者を守るのが本当の法改正の精神なのか、その精神のあり方がどうも私は気に食わない。どちらにあなたは重点を置いているのですか、どこに。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記起こして。
○政府委員(天谷直弘君) 取引所、それから取引員及び顧客の関係というのは、利害が対立する面もございますけれども、他方、共通している面も非常にあろうかと存じます。ですから、取引員の利益だけを守って顧客の立場を無視しておるというようなことは、われわれ毛頭考えておりませんわけで、願客の利益をもちろん保護しなければならないわけでございますが、同時に、取引員の財務内容が悪くなる、取引員の経営が悪化するということでございますと、現在これはまた、そういう取引員と取引をしておる顧客の利益を害することにもなるわけでございます。現在の取引所制度におきまして、取引員というのは中心的な役割りを果しておりますので、その取引員の財務内容を急激に悪化させるような制度を採用するということは、それはまた顧客の利益にも反するということになると存ずる次第でございます。したがいまして、お客が委託したお金の安全性につきましては、先ほど申し上げましたような制度を考えまして、安全性は、実質的に完全分離と同じような程度まで安全性を確保するような制度を考える、しかし他方、取引員につきましては、その財務内容に急激な圧迫を加えられないように一種の保険機構を考え出しまして、その保険制度によってカバーをしていこう、こういうふうに考えた次第でございまして、取引員だけの利益を考え、顧客をないがしろにしているというふうなことは、そういう精神は毛頭持っておらないつもりでございます。
○須藤五郎君 それじゃこの答申のとおりに、答申はこうしたらどうだということを言っているわけですね。その答申の精神を尊重して、私がいま申しましたように、なぜこういうことをちゃんとしないんですか。答申の線に沿ってこういうことをちゃんとすることが、どうして取引所の財務を困難にする、取引員の財政状態を困難にするというふうにお考えになることができるんですか。私はそういうふうにすることが、取引所も取引員もちゃんと正常にいくだろうし、また、委受託者も心配はないというふうになっていくだろう、こういうふうに考えておるんですが、そのためにこういう答申を出しているんでしょう、委員会は。そうでしょう。何で答申の精神を尊重して、私がいま申しましたようなことがやっていけないんですか。そういうことをするというと、どうして取引所の財務に関係を及ぼしてくるとあなたはおっしゃっているんですか、私にはわからないですよ、そこは。
○政府委員(天谷直弘君) 顧客が売買証拠金を取引員に預託するわけでございますけれども、今度は、取引員は取引所に対しまして売買証拠金、それから受託業務保証金、これを預託しなければならないわけでございます。そのほかに値洗い差金の支払い、それから他の委託者の一時的損失の立てかえというような資金が必要なわけでございます。
 後の二つはこまかいですから略しましても、まず顧客から売買証拠金を預かりますと、それを今度はまた取引所に対しまして取引員は売買証拠金と、それから受託業務保証金を積まなきゃなりません。ところが、顧客から預かりましたところの売買証拠金を全部完全分離保管ということにしてしまいますと、今度は、取引員が取引所に積みますところの売買証拠金と受託業務保証金を捻出しなければならないということになるわけでございます。
 ところが、現在までそういうものは、顧客から預かったお金をまた取引所にパスするというふうな制度でやってきておるわけでございますから、これをいきなり凍結してしまいますと、今度は取引員の財務内容が急激に悪化するということにならざるを得ないわけでございます。要するに、それだけの資金の捻出を一体どうするのかということを考えませんと、いきなり巨額のお金を凍結してしまいましても、それはかえって取引員の財務内容を破綻させたり、したがいまして、また顧客の立場にも利益にならないというふうに考えまして、さしあたりましては完全分離保管ではなくして、一応五、六〇%を預託し、残りを指定弁済機関という保険機関をつくることによりまして補てんしようというふうに考えた次第でございます。
○須藤五郎君 その考えが間違いを起こすもとだと私は思いますよ。委託者から預かった金は、これは取引員の金じゃないでしょう。そうでしょう。これは委託者の金でしょう。だから、委託者の金と取引員の金と区別してちゃんとしておくということは、これは当然のことじゃないですか。他人から預かった金を流用することじゃないですか、自分たちの仕事に。それはよくないですよ。うまくいく間はいいけれども、一つ間違うとそういう結果いやな問題、マイナスの面が出てくるんです。これは当然の義務だと思いますよ、商売やっている人の、仕事する人の。これはもう私は異常なことだと思いますね。人の預かり金を自分の持ち金と一緒にしてしまってそれで商売していくと、しかも自分の金は持ち金が少なくて、人から預かった金で商売していくというのがこういうやり方ですね。これはいろいろな間違いのもとだと思います。そこを答申はちゃんと指摘しているんですよ。だから、その点を今度の法改正の場合には、きちんと法律としてこの中に明記しておいた方がよいと思うんですね。それを何らしてない。そこを私はなぜしないのかと言うと、そういうことをすれば取引所の財政上大きなマイナスが起こると、それもしかも、そういうふうな取引所にマイナスが起これば、委託者の損失にもつながっていきますとおためごかしのような言葉でそういうことをごまかしてくる。もってのほかですよ。そんなことをしなくても、取引所は自分の金でちゃんと仕事をしたらいいじゃないですか。それで預かった金は預かった金ではっきり区分しておいて、そうして預かった金でもうかった場合はそれを委託者に払っていく、こういう形をとっていかないと、今後もいろいろな問題が起こってきますよ。これは一つの背任行為じゃないかと、そこまで私は思うんですよ。どうですか。
○政府委員(天谷直弘君) まず、自分のお金と、それからお客から預ったお金が何と申しますか、ごちゃまぜになっておるというようなことは、現在も許されておりませんので、完全にそれは経理を区分するようになっておるわけでございます。
 それから次に、背任かどうかというような問題を御提起になったわけでございますが、お客が取引員に対しまして、たとえば買いなら買い注文をしたといたしますと、その買いに対しまして証拠金を取引員に預ける、そこで取引員は取引所へ行きまして、その買い注文を取引所に今度はパスするわけです。つなぐわけでございます。ですから、顧客のために取引所につなぐわけでございますから、その際、取引員が取引所に対しまして積むところの証拠金というのは、顧客から預かった証拠金を使うということは背任ではないというふうにわれわれは考えております。
○須藤五郎君 私も取引所の専門家ではありませんから、あなたの答弁では、私は満足しておりませんよ、決して。必ずそういうやり方をしておれば、将来問題を起こす可能性は十分にあるということをここで指摘しておきますよ。そして、政府は今回の法改正の場合に、答申の精神をくんでそこまでなぜやっておかないかということに対し年して、私は大きな不満を持っております。そのことをどうぞ頭の中に入れておいてほしいと思います。そして、今後そういう一般の投資家に対して被害の起こらないように、損害の起こらないように、十分注意をしていくことで私の懸念に報いてもらいたい、こう思っております。もしも今後そういうことが起こったら、今度は厳しく私はあなたたちを糾弾しますよ。いいですね。
 それじゃ最後に一問。
 商品取引員のファイナンスの問題でございますが、一〇〇%取引所へ保管しないことが委託者の利益のような考え方自身が、委託者債権の保全を第一義的に考えないで、商品取引員の立場に立った考え方であると言わざるを得ないと私は思うんです。これはさっきからこれまでずっと申し上げてきました。
 最後に、商品取引所は当業者主義の原則に立ち返るとともに、商品取引所の運営の公正中立の立場を確保するため政府の責任が重大であることを、私はこの際はっきりと申し上げておきたいと思います。この点での政府の答弁を伺って私の質問を終わるわけでございますが、大臣が時間の都合で退席をされましたので、ひとつ政務次官、この点をお答えしておいていただきたい。
○政府委員(天谷直弘君) 取引所の運営が公正に行われるよう取引所の運営に、たとえば大きな専業取引員であるとか、一部の当業者の意見が偏って強く反映されるというようなことは好ましくございませんので、第三者理事をふやすというような方向、あるいは役員の違法行為等に対しましては、政府が解任権を持っておりますので、役員の行為等を十分監視する等の方法で公正な運用をしていきたいと考えております。
○須藤五郎君 政務次官、いまの答弁は大臣の答弁と伺っておいていいですか。
○政府委員(嶋崎均君) いまの天谷審議官の答弁は、本当に大臣級の、大臣の責任ある答弁とお考え願って結構でございます。
○委員長(林田悠紀夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き商品取引所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○藤井恒男君 私は、この商品取引所の、ことに繊維の定期取引所の問題について、私の考えておることを含めつつ若干の質問をいたしたいと思う次第です。
 最初に、商品取引所については、公正な価格形成機能、ヘッジ機能という二つの機能を持たせておると思うわけですが、このような機能が正常に働いている場合は商品取引所が問題になることもないんですけど、近年、わが国の商品取引所についてはさまざまな問題が出ております。ことに繊維について言うならば、当業者、つまり繊維の場合は紡績、商社、機屋など取引を本来の業とするものを指すわけでございますが、これらの当業者のヘッジは売りつなぎが多い。そのため当業者間では売りと買いがかみ合わない。買い手としては一般大衆資金が導入され、その過程での仲買人の行き過ぎ、一般大衆の被害といった問題が生じておるわけです。たとえばわが国の場合、綿糸については一般大衆の投機資金が入りにくい状態にありますが、その他について言うならば、およそ八〇%ないし九〇%が投機資金と言われておる。私はそのように承知しておるわけです。
 仮に米国の例をとるならば、アメリカではこの一般大衆の投機資金というのは、大体五〇%程度と私は見ておるわけでございまして、この面から見ましても、非常に繊維の場合には異常であるということが言えると思います。一般大衆の資金導入の結果として必然的に過当投機が生まれるわけでして、そのことが相場の乱高下、上下が非常に大きい、公正な価格形成機能がこのために阻害されておるわけです。
 たとえば毛糸について、新聞紙上などでもこの投機家が非常に問題になった昭和四十九年の一年間の定期市場出来高は約七百四万枚。しかし、実の生産高は三十一万枚でございますから、倍率にしておよそ二十三倍という異常な状況になっておるわけです。このような概括的な繊維の定期取引所の問題について当局はどのように見ておられるか、この点をまずお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘のように、毛糸、スフ糸等におきましては一般大衆の比率がかなり高くなっております。四十八年度の売買状況で見ますと、毛糸につきましては、当業者の売買高が一三・五%であるのに対しまして、一般大衆の比率は六七%に達しております。またスフ糸につきましては、当業者の比率が二〇・六%に対しまして、大衆の比率が六七・六%に達しておるわけでございます。
 次に、当業者の売買の内訳を見てみますと、毛糸につきましては、ベーシス玉が三〇・八%、その他のヘッジ玉が六九・二%となっております。またスフ糸につきましては、ベーシス玉が二・二%、その他ヘッジ玉が九七・八%という状況でございます。この数字によって見ますと、当業者玉のうち毛糸につきましては、売買玉の一三・五%を当業者が利用しており、その当業者玉のうち三〇%はベーシスに利用されまして紡績商社間の売買が行われているわけであります。残りのヘッジ玉の内訳は、紡績関係は売り玉が多く、商社は手持ち商品の売りつなぎ、次にまた売り契約に対する買い手当て等がございまして、その売買はおおむね平均しているものと思われます。こういうふうな状況でございますため、商社は平均して紡績関係が売りが多いわけですから、当業者間だけでありますと売りが上回ることになるわけで、したがいまして、市場を円滑に運営するためには外部資金の導入が必要でございます。
 それでは、外部資金はどの程度であるべきかということにつきましては、非常に判断のむずかしい問題でございまして、一般投機家の売買数量が、取引を行った結果として事後的にしかわからないということもございまして、外部資金総量について事前に規制をするということはなかなかむずかしいわけでございます。
 また、この割合とかあるいは外部資金の総量につきまして、投機玉の比率というものは商品ごとに異なっておりますために、外部資金がどの程度あればいいかということにつきましては、その商品取引所の平常時の実態が参考になると考えられますので、当面、このような実態に基づいて指導をしていくということが必要であろうと存じます。
 従来、外部資金の過度の流入等が生じる場合には、価格の乱高下、出来高の増大というような事態が生じておりまして、これに対しては、丸代金の徴収を含む臨時増し証拠金の増徴、建て玉の制限によりまして新規の流入制限、あるいは既存玉の整理が行われ、全体として外部資金の過度の流入を制限することとしておるわけでございます。
 また、こうした対策を事前にかつ機動的に行うためには、その発動基準が明確になっていることが必要でございます。このため、市場における出来高や取り組み高、価格の変動状況と連動した基準を定めるように、取引所に通達を出しまして指導を行っておる次第でございます。
 他方、こうした量的な規制のほか、商品取引に知識の乏しい大衆資金が無定見に流入することは好ましくないことでございますので、特に新規の委託者につきましては、商品取引の危険性を十分説明するとともに、顧客管理の適正化を図るように指導をいたしております。
 また、取引所における当業者の割合の低さにつきましては、関係当業者が取引所をうまく利用していない面もございますので、取引所の役割り、機能等につきましてPRいたしまして、当業者の利用を高めるような方向で関係者を指導していきたいと考えております。
○藤井恒男君 野口局長お見えでございますが、いま私申したような繊維の定期取引所、これはまあ取引所全体に言えることでございますが、取引所それ自体の目的は、公正な価格形成の機能とヘッジ機能であろうと思うわけですが、いま当局、審議官もおっしゃったように、事繊維について見れば、一般の上場品目に比して非常に大衆の外部資金が過度に流入して、ために乱高下がはなはだしい、このことが産業部門をむしろ振り回しておるというような混乱した状況を露呈しておるわけでございまして、生活産業局としては、産業局の立場から見てこのような姿に対してどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(野口一郎君) 商品取引所の機能、あり方等につきましては、天谷審議官の方からいろいろお話があり、また他のお話があろうかと思うわけでございます。
 ただ、確かに現実の商品取引所の動きを見ておりますと、何といいますか、たてまえどおりにいままで動いていたのかどうかということになりますると、私どもの立場の方から見ますると、どうもいろいろ改善を要する点があるのではないかという点につきましては、関係の業界の方でいろいろ問題を指摘しているようでございますが、私どももそういうふうに考えているわけでございます。この点につきましては、通産省の繊維工業審議会、産業構造審議会繊維部会の答申が、七〇年代の繊維産業ということで一昨年答申が出ておるわけでございますが、その答申の第三部第四章「政府の講ずべき措置」ということの中で、参考と申しますか、付言という形で触れておるわけでございます。答申本文ではないわけでございますけれども、そこでは、現在の商品取引所のあり方等を見ますると、生産構造なり需要構造の変化等がいろいろある中におきまして、商品取引所のあり方がいまのままであっては問題であるという趣旨の観点から、やはり商品取引所の適正なあり方について、適当な場で検討すべきであるという趣旨のことが答申の中に触れられているわけでございます。
 ただ、じゃ一挙にやめてしまえというふうなことになるかと申しますると、これはいろいろ問題点は提起されてはおりますものの、やはりそれぞれの業界の中でそういうふうにまとまっているとも聞いておりませんし、取引所の機能も正しく動くならば必要であるということを言う意見も強うあるわけでございまして、私どもの方もその辺いろいろ考えながら、ともかく正しい機能を果たしてもらいたいというふうに考えて、産業政策局の方と一緒にいま指導には当たっておるわけでございます。
○藤井恒男君 後ほどまた個々の問題でお聞きしたいと思うわけです。
 次に私は、繊維の定期取引所の問題点として、上場商品としての適性の問題についてお伺いしたいと思うんです。
 いま申したように、繊維の定期市場における取引については、他の商品と同じようにさまざまな問題を引き起こしておるわけでございますが、特に繊維については、上場商品としての適性に私は問題があると思うんです。だから、商品取引においていろいろ問題があるというものの、並列的に私は繊維の問題を考えてはいけない。そもそも上場商品として適性であるか否か、このことを十分検討してみる必要があると思う。そこで私は、三つにしぼって問題を提起しますので、政府のお考えをお聞きしたいと思うんです。
 その一つは、まず、繊維関係の上場商品は現在綿糸、毛糸、スフ糸、人絹糸、生糸ということになっておるわけですが、これはいずれも工業生産過程を経た二次製品である。商品取引所の成立の歴史的背景をたどっても、天候の変動などによって、人為的でない原因によって価格変動を生ずる商品、それはゴムであるとか砂糖であるとか、いわゆる穀物といった天然の産品だと思っておるわけですが、これらについてリスクヘッジをすることがその主目的であると私は思っておるわけです。糸のような工業製品、たとえばことし初めの綿紡、毛紡あるいは化繊紡の不況カルテルによる操短のように、これはまさに人為的にドラスチックな供給コントロールというものを行っておるわけなんです。こういった状態にあるものを上場商品として適当であるというふうに思うかどうか、これは本質的な問題だと思うんです。
 なお、主たる繊維間における競合商品であり、価格的に相互に強い影響を持っておる合繊というものが計画生産をすることが可能である。これは石油化学製品を原料としておるわけですから、まさに計画生産である。この合成繊維というものが天然繊維製品を上回るウエートを持っておるわけです。実質的な需給調整を目的とする不況カルテルの実施期間の延長、公取がこれをやるわけだけど、これが公取の場合は、実需といま言ったような関係で必ずしもつながっていない定期市場の相場の上昇により、公取それ自体の判断材料になっておる。だから、実際の面とこの市場の問題とかなりかけ離れておるにかかわらず、たとえば公取などにおいては、市場における相場というものを一つの目安に置いて、需給調整のカルテルの延長、短縮あるいは中止というものを決める、これはまさに私はおかしな現象であるというふうに思うんです。
 アメリカなんかではもう御存じのように、上場商品には糸のような工業繊維は含まれていない。前回の委員会で審議官がお答えになったように、ウールトップのようなものは例外としてアメリカ、イギリスあるいはベルギーあたりでも上場しておるようですが、一般的に工業製品と称されるものは上場していない。こういった背景、まあ国際的な環境にあるわけですが、この辺のところをまずどう見るかということですね。この点をまず最初にお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 上場品の適格性の問題でございますが、最も理論的に見て理想的な上場商品は何であるかということを考えてみますと、あるいはどうしても上場することが必要な商品というものは何であるかということを考えてみますと、先生御指摘になりましたように、主として農産物等、人知でもってはかりがたいような天候の変動その他のリスクがございまして、それを当業者が回避することがきわめて困難である、こういうようなものが一番理想的な上場商品ではなかろうかと思います。
 上場された商品の相場が公正に形成されますためには、申すまでもなく、市場の完全性ということが重要な判断材料であろうかと存じます。御指摘のように、市場に対しまして人為的な干渉、介入が大幅に行われましたり、あるいは独占、寡占のような状態が存在しております場合には、市場の完全な機能という点から見ますと、多くの問題が生ずるだろうというふうに考えられます。
 ところで、現実には綿糸、毛糸等の工業製品が上場されており、それがいま申し上げましたような完全なる上場適格性を備えているかどうかということになりますと、これは理想と現実の間にある程度の差があるということはわれわれも認識をいたしております。長い歴史がございまして、その歴史の中で経済環境も変動いたしております。たとえば合繊などというのは、戦後になりまして急速な勢いで発達したわけでございまして、そういう合繊のあり方と上場商品のあり方とのギャップなどというような現象は歴史の過程において発生いたしましたわけで、すべての上場商品が理論どおりの、理屈どおりの適格性を備えていることは望ましいことではございますけれども、現実は必ずしもそのとおりにはいかないということはお認めをいただきたいと思います。
 一般的に言いまして、工業製品は農産物等と比べますと、理想的な上場適格性という点から見ますれば若干問題があるかとは存じますが、工業製品につきましても、需要面の変動というのは多いわけでございます。供給面の変動は農産物の方が工業製品よりも大きいかと存じますが、需要面の変動ということから考えれば、工業製品にも同じような現象が認められます。
 それからまた、当業者が十分に危険負担をし得るだけの能力があるかどうかというような見地から判断をいたしましても、工業製品にとって取引所が必要な場合もあり得ると存ずる次第でございます。ですから、一般的に申しますと、工業製品の方が適格性の程度が劣るということは言えるかと存じますが、工業製品であるがゆえに不適格だということは言えないのではなかろうかと思うわけでございます。
 カルテル等につきましては、このカルテルが非常に長期にわたるカルテルであったり、市場に対する介入の度合いが著しく大きいような場合、そういう場合には取引所の存在そのものが問われるべきだと存じますが、繊維のカルテル等はきわめて短期間に暫定的に、いわば非常手段として、緊急措置として行われているという性格のものでございますので、一般的にカルテルが存在する場合、たとえば、石油などの場合とは別ではなかろうかというふうに考えられます。
 合繊との関係につきましては、先ほども申し上げましたように、歴史の過程で発生してきておるわけで、人絹糸の場合には典型的に見られますように、そういう取引実態の変化によりまして、人絹糸の取引所における取引そのものが自然的に衰滅するという状況に至っておるわけであります。
 それから、公取委員会が不況カルテルを認めるか否かの場合の一つの判断材料として、取引所の価格をとっておるのはおかしいという御指摘があったわけでございますが、これは、公取当局が判断する場合に一体何をとるかという問題でございまして、通産省としてこれについてとやかく申し上げる立場にはないかと存じます。
○藤井恒男君 いま審議官は一般的な形で答えておられる。私は冒頭に申したように、繊維品に限ってものを申しておるわけですから、工業製品なるがゆえに必ずしも上場商品として適格であるか否かということは直ちに論ぜられない、それはそうであろうと思う。私は繊維品について言っておるわけで、その辺は的確に答えてもらわないといかぬ。
 それから、公取の問題もらち外だというふうにおっしゃるわけだけど、およそ実質的な需給調整を目的とするのが不況カルテルなんだ。それが実需とつながっていない相場のいわゆる高下によって、そのカルテルというものの適不適、あるいは延長すべきか否かということを判断することは、先ほど来申してあなたも認めておるように、必ずしも繊維品に限って言うなら、実需に伴わない外部資金の過度の流入によって乱高下が激しい、実需に伴っていないということを認めるなら、二段論法じゃないけどそれはおかしいじゃないかということにならざるを得ない。その辺を私は指摘したわけです。
 もう一つ別の角度から申すなら、いま私は、主として本来的商品取引の目的である天然繊維と繊維品というものはおのずから質が違うという立場から、上場品目として適格性を欠いておるということを申したわけだけど、今度は産業構造というものが変化しておるわけですから、その面から私は同じように、繊維産業の製品が上場品目として適格であるか否かをお尋ねしてみたいと思うのです。
 まず、毛糸の問題について見てみても、定期市場における受け渡し供給品である俗に言う四八双糸ですね。四八双糸は全毛糸生産量のわずか三%を占めておるにすぎない。したがって、供給品として不適当である、特に不況時には毛紡の間で換金のため需要に結びつかない四八双糸を集中的に生産するといった弊害が現に生じておる、この状況をどう見るかですね。
 あるいは人絹糸について見ると、最近の繊維業界の動向を見てよくおわかりのように、生産がどんどん減少しておる。ことにこの一、二ヵ月の間に大手二、三社が撤退することをすでに表明しておる。こういった生産の減少により、上場商品としての意味がほとんどなくなっておる。すでに福井人絹取引所では上場も廃止しておる。
 スフ糸について見ても、これは賃紡形式での実需に結びついた販売のウエートが高く、取引量が減少しておる。したがって、上場商品としての意味が薄れている。
 綿糸についても、現在二十番手、三十番手、四十番手の三品種が格づけされておるわけですが、二十番手について見るならば、パキスタンからの輸入糸が生産の二、三割を占めておるようになっている。このために供給品のウエートが低下しておる。綿糸全体としても大手紡績から取引所に出る玉は少ない、これが綿糸の現状だと思う。
 生糸に至っては、昨年八月以来蚕糸事業団により輸入の一元化が行われて、まさに人為的な価格形成の中で取引が行われておるという異常な状態になっておる。これは具体的に私は構造面から申し上げた。これを見れば、もはやもう商品取引としてここに上げておる適格性を問うまでもないと私は思うのだけど、いかがですか。
○政府委員(天谷直弘君) まず、最初の人絹糸につきましては、御指摘のとおり、経済実態が変化いたしまして、もはやこれを上場しておく必要性は消滅したというふうに考えておりますので、早い機会に、これは政令によりまして上場を廃止するということにいたしたいと思っておるわけでございます。
 それから毛糸でございますが、毛糸につきましては、当業者筋の中で上場商品としての適格性に疑問を持つ意見が出ておりますことはわれわれも認識をいたしておるところでございます。その理由といたしましては、毛糸がどちらかと言えば多品種、少量生産であり、供用品の全生産量に占めるシェアが著しく少ない、それから大衆資金の割合が多く、過当投機の現象が見られる、こういうような理由でございます。確かに現在の毛糸取引所には、いま申し上げましたような非難が全く当たらないとは言えないわけでございますが、これは必ずしも毛糸上場の適格性を全く否定するものではなく、さまざまの改善を行うことによりまして、本来の機能を生かしていくことができるのではなかろうかというふうに考えております。たとえば供用品の問題につきましては、昭和三十九年に四十八単糸、五十二双糸及び六十双糸を供用品として追加いたしたわけでございますが、今後とも各番手の代替性を考慮しながら範囲の拡大を図っていきたいと存じております。
 過当投機の問題につきましては、適切な市場管理を行う、あるいは顧客管理を行うということが必要であろうかと存じます。
 こうした取引所運営の改善の問題につきましては、本年の五月から紡績、機屋、商社、取引所の四者からなる毛糸定期市場安定協議会というのが開催されておりますので、その場におきまして話し合いを行っていくということが必要であると思っております。
 さらに、以上のような諸点の改善が行われないといたしますれば、毛糸にかわる羊毛トップの上場についても検討をしなければならないというふうに考えておる次第でございます。
 それから次は綿糸でございますが、綿糸につきましては生産量も相当多く、かつ取引の状況から見ましても適格性があるというふうに考えております。
 昭和四十八年度の綿糸の当業者の利用の状況でございますが、総計百五十七万四千枚のうち、当業者の委託玉が五十三万枚、三三・七%という数字を占めておりまして、こういう利用状況を見ましても、当業者はヘッジ機関としての役割りを認めているというふうに思われるわけでございます。特に三品取引所の当業者の利用率は、二十番手が五六・五%、四十番手が四七・二%という高さでございます。
 それから、純綿糸の生産に対する取引所の出来高の比率を四十番手について見ますと、四十六年には二二倍、四十七年四・九倍、四十八年六・五倍、四十九年三・四倍というふうに推移しておりまして、過当投機となっているようには考えられないと存じております。
 それから次がスフ糸でございますが、スフ糸につきましては、出来高は少ないわけでありますが、四十七年から若干利用され始めており、四十八年度の売買におきましては、当業者の玉は四十六年度の一二・九%に比べまして二一%に増加をいたしております。現在スフ糸の利用度が少ないのは、スフ糸の売買単位が他の商品に比較して大きいので、小量のヘッジが行われにくいという面があることが影響しているかと思われます。また、スフ糸が一般になじみが薄いということも考えられるわけでございます。あるいはまた、先出御指摘のように、取引の実態の変化ということも大きな関係があろうかと存じます。ともかく、今後の出来高、利用状況等を考慮いたしまして、さらにその上場適格性等について検討してみたいと思っておるわけでございます。
 生糸につきましては、農林省の所管でございます。
○政府委員(森整治君) 先生御指摘のように、生糸につきましては繭糸価格の安定制度がございます。結局制度的に政策的に、ある一定の価格帯の中で生糸の価格を安定さしていこうということでございまして、蚕糸事業団がそれに基づきましていろいろな売買操作を行います。
 それから、もう一つ最近の事例で申し上げますと、中間の買い入れ価格、基準価格を改定いたしまして、そういうことによりまして、結局事業団が操作を行う、そういうことによりまして生糸の市場の価格に逆に変動の要素を与えておるということがございます。しかし、あくまでも考え方といたしましては、繭糸価格の安定帯の中へその価格を安定させていこうというのが繭糸価格の安定制度でございます。その需給関係を反映いたしまして、相場が、先物の定期の価格が幾らになるかということ、そういう材料を織り込みながら価格の形成が行われておるというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。
○藤井恒男君 人絹糸などについては、本年中に廃止ということのようでございますが、綿糸などについては、ちょっと私と審議官との間に意見の食の違いがあるわけです。たとえば二十番手などについても、先ほど数字的なお答えがあったけど、これは後ほど私申し上げますが、輸出入バランスもやっぱり見てみなければいかぬというふうに思うわけなんです。二十番手というようなものは、開発途上国からの輸入糸がかなりなウエートを占めておるわけで、年々これが増大する方向にあるとするなら、果たしてそれがわが国における供給という面とどのような関連を持ってくるのか、それが価格にどのような影響を及ぼしていくのか、これは大いに検討の余地があると思うのです。これはまた後ほど委員会などでも私、話していきたいと思います。
 次に私は、同じような意味で、適格性の問題をヘッジ機能の面から申し上げてみたいと思うのです。
 取引所相場から過当投機性を排除するためには、相場操縦の規制を行うというのが一つの方法であろう。また、一般大衆の締め出しという方法が最も的確だろう。ところが、両者はいずれをとってみてもいろいろ問題があるということは、当委員会でもしばしば論議されておるところだと私は思います。したがって、これらによっては根本的な解決ということにはならない。そういったところから、結局は取引高を拡大して、相場操縦を容易にできないようにしようという努力がいまも続けられておるのではないだろうかと私は思うのですが、この面で繊維の上場という問題に入るわけですが、何といっても合繊に押されてウエートが低下しておるという事実。それから産業構造の部門に入るわけですが、一貫加工あるいは系列販売という面での構造変化というものが進んでおる、したがって、そのために現実に取引高が私は減少しつつあるというふうに見ておるんです。
 そして、先ほどもちょっと触れたんだけど、輸入品の増大、これも繊維産業それ自体が輸出入バランスが一昨々年ですか、逆転したという例に見られるように、この輸入品の増大ということも今後の取引高を拡大させていくという方向にはならないのじゃないか。したがって、この面からするなら、まさに投機性の排除という面については、繊維に関しては容易なものじゃないというふうに想定されます。また、現在の取引所の取り組み高規模からして、わずか二十億ほどで操縦が可能であるという人もおります。
 このように、私は三つの問題を述べてまいったわけですが、現在では、繊維定期取引所における価格安定機能というものはきわめて問題が多い。そのために、ヘッジ機能というものが不完全になっておるというふうに思うわけです。繰り返しのような面も多いわけですが、この辺についてさらにどのようにお考えか、お聞きせいただきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 一般的に取引所の上場商品とそれから経済の実態との間、これは時とともに変化をしていくわけでございまして、経済実態から離れた商品が上場されておるということは、好ましくないところでございます。したがいまして、現行法におきましては、上場品目の廃止は法律によることになっております。ところが、法律によって廃止しようといたしますと、上場につきましてはこのまま上場を続けるという意見と、廃止すべしという意見が非常に複雑にからみ合っておりまし三法律でそれを決めるということは事実上きわめて合意に達するのがむずかしい問題であろうというふうに考えておりますので、今回の法改正におきましては、これを政令で指定できるようにお願いしておるわけでございます。
 したがいまして、今後とも、先生御指摘になりましたような合繊のシェアあるいは一貫加工のその他の取引実態の発展、輸入品の増大、こういうような事態の推移をよく見守りまして、商品取引所がもはやその本来の機能を果たし得ないような実態になっていると判断いたしました場合には、廃止をするということもあり得るかと存じますが、現段階におきましては、まだ綿糸、毛糸、スフ糸等につきまして上場適格性を欠いておるというような判断をすることは困難かと存じますので、市場管理その他を通じまして弊害を除去し、公正な取引所の機能が発揮されるように努力をしていきたいと考えております。
○藤井恒男君 野口局長にお尋ねしますけど、これまでずっと私述べてまいりましたように、私は、繊維の商品取引所における取引については問題があるというふうに見ておるわけですが、確かに関係業界の中には、現に定期市場で何らかの利益を得ておるところもあるわけでして、そういった面で利害というものがあるわけですから、繊維の業界全体としてきちっとまとまって、上場廃止という態度が一本化して出ていないことも事実です。しかし、私は総括的に見て、抽象的な表現かもわからないけど、とにかく現在の商品取引所については問題がある、したがって、抜本的な再検討をすべきであるということについては、最大公約数としてこれをとらえることが可能だと思っておるのです。
 まず、日本化学繊維協会が「繊維産業のビジョンと施策に対する基本的考え方」というのを出しておるわけですが、その中の加工、流通機能の近代化というところで、やはり化繊協会は、早急にあり方を再検討する必要があるというふうに述べております。したがって、これは現在上場は適格であり現在の商品取引というものが適正であるということを言っておるとは私は思いません。
 また、産構審の繊維部会で、「七〇年代の繊維産業政策のあり方について」、その中の第四章の三で取引条件の改善ということを取り上げておるわけですが、これも適正なあり方について、適切な場においてさらに検討する必要があるということを明確に述べております。このところで、先ほど野口局長がちょっと引用された「適切な場」というのはどこを指しておるのか、今後どこにそれを求めようとしているのかも二度聞かしておいてもらいたいと思う。
 それから紡績協会が、「昭和五十年代前半の紡績業の展望」というものを出して、その中に生産流通体制の改善ということを出しておるのですが、その末尾に、繊維取引所のあり方についても再検討する必要があると明確にこれは出しておる。あるいは関西経済研究センターの「繊維産業の展望」、これをことしの四月に中間報告として出しておるのですが、この中で、流通近代化を指向する繊維産業のための施策というところで明確に、定期市場のあり方自体についてこの際再検討すべきであるということをはっきりうたっております。
 紡績業においては、現に東洋紡、鐘紡がことしの二月に供用品である四八双糸の生産をやめ、取引所からの撤退を表明しておるわけです。日毛、東亜紡、ユニチカもこれに追随するということが新聞で現に報ぜられておるわけです。綿糸についても、九大紡から出ておる玉というのは少ない、これも事実です。大手紡績としては、実需につながる系列販売を進める方針を持っておるわけですから、取引所における価格形成というのはいかがなものかというふうに考えておるであろうと私は想像する。
 一方、販売力のない中小紡の場合には、ベーシス取引で取引所を利用することが多いわけですが、この場合特に目立つのは、実需が不振のときに供用品を生産して、そしてこれを集中的に生産することによって換金するという面から、この商品取引というものをある面で有用と認めておるわけだけど、これも産業の健全な発展という立場に視点を変えるなら、供用品生産の増大ということから逆に相場が下がるということになるわけですから、これは悪循環を重ねていくことなんで、要するに、場当り的にその場を逃れてという形で行っておる手段だから、この面は、長期的に見ると非常に私は問題の残るところであろうというふうに思うのです。スフ紡業界は、取引高が少ないことから上場廃止論というものを現にとっておると私は判断しております。
 織布業界、これは綿工連、毛工連ともかちっとまとまっておるものではないけど、相場変動が激しいことから上場廃止論が私は出ておるというふうに思います。糸商などについては、なるほど上場廃止には反対の態度をとっておることも私は認めておるわけですが、こうやって見てまいりますと、各業界それぞれ、かちっといついつから完全にこういう形をとってくれというものは出しておらないものの、抜本的に再検討するということを最大公約数でまとめられる。そのことはやっぱり上場そのものが適であるか不適であるかということを私は暗に秘めたものであろうというふうに思っているわけなんで、直接関連のある生活産業局として、この辺の各業界の動きに照らしてどのように考えておるか、聞かしてもらいたいと思う。
○政府委員(野口一郎君) まさに先生御指摘のとおり、繊維業界の中におきましては、取引所のいままでの動き等から見ましても、非常に問題であるという意識というのはかなり前からあったわけでございますけれども、景気の変動に際しまして、いわばうまく働かないための被害者というような意識が相当あろうかと思うのです。ただ、先生がそれをまさにおっしゃいましたように、では、業界全体としてまとまって公的な、公的なと申しますか、正式な見解になったのかというと、そこもまたいろいろニュアンスはありますけれども、いまの段階においてはなっていないというふうに私ども見ておるわけでございます。もちろん、先ほどから先生御指摘のように、業界の構造とか、何といいますか、経緯とかによりまして大分違いまして、化繊協会は先生が言っておられますように、合繊という問題がありまして、かなりまあ極端なことを言えば、無用論に近いようなことを言う人もおるわけでございます。しかしまた、綿関係になりますと、うまく働くようにすればいいではないかという意見の方が強いやに聞いておるわけでございまして、それぞれ問題があって、いまのままじゃ困るというところでは確かなんでございますけれども、一挙に社会的な制度としてこれを廃止ということを正式に言っているところはまだないわけでございまして、それぞれ今回の法案改正を契機に、内部でいろいろ検討をしているということに聞いております。
 私どもの考え方といたしましては、先ほど申しましたように、社会的な存在としての取引所のあり方ということにつきまして、理想論はともかくといたしまして、現実的な立場に立てば、過当投機の場にならないようにというような観点から、円滑に価格形成、公正なる価格形成、ヘッジ機能を営むように、ともかく現状の改善を図るということが現実的なアプローチの方法であろうというふうに考えているわけでございます。
 先ほど先生が言われました、産構審の七〇年代の繊維産業のあり方という答申の中で触れておりますところの商品取引所の適正なあり方について、適切な場においてさらに検討する必要があるというのはどこでやっておるのかということでございますが、これはおそらく私、答申の言っていることも一つの場であるというところまで言っておるわけではないと思います。産構審の場も一つの場であろうかと思いますけれども、たとえば最近になりまして一番ここでも議論になります、問題になっております毛糸の定期市場のあり方につきまして、毛関係の業界が、これは紡績、糸商、機屋、取引所及び通産省も入りまして、実は五月から毛糸定期市場対策協議会というものをつくりまして、この法改正を契機に勉強、検討を開始しておるわけでございます。これは一つの例でございますが、われわれの方もこの商品取引所のあり方につきまして、それがわれわれの方の産業行政に大きな影響を持っていることもありますので、検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○藤井恒男君 大分時間が参ったので、議論がなかなかかみ合わないのですが、大臣、安らかな眠りを覚まして悪いのですけど、よく聞いてくださいよ、大臣にこれ質問しますから。
 眠っておったからわからぬだろうけれども、いままでずっと繊維の問題について私述べてきたので、要約して大臣にお伺いしますが、いずれにしても私は、いろいろな角度から見て、工業製品である繊維品というのを上場することは、本来的な商品取引が持つ機能の面から見ても、あるいは生産をする側から見ても、適格性を欠いておるというふうに思うわけです。同時に、そこで働いておる労働者の方たちも、額に汗して工業製品として生み出される製品が、過度な投機によって、その需給に密着した形でない状態の中から相場によって乱高下が激しい、そのために企業の好不況というような、あるいは生産の大きな変動というものを呼び起こす、それが作業環境をまた著しく短期間に変化せしめる、こういうことについて非常に不満を持っておるわけです。まあ外国の例など、アメリカの例などを見ると、こういったことはやっていないので、わが国は長い歴史があると言いつつも、一体どうしたことかという素朴な疑問と反対の声を上げておるわけです。
 私は、従来、取引所一般の問題として、過当投機の防止を図るといった形での解決だけが商品取引所については見られてきておるわけですが、繊維の定期取引の問題は、まず、今後のわが国の繊維産業の構造改善の方向の中でこの問題がいかに位置づけられるかということを、まさにこの構造改善の一環として解決を図っていく必要があると思うのです。商品取引所の問題ということよりも、繊維産業の構造改善の一環としてこの商品取引所の問題、そうして商品取引所の問題というからには、現在繊維の上場品目をいかに見詰めるかということを考えなければならないというふうに思います。
 新しい構造改善政策というものが現に打ち出されておるわけでして、時限立法であと四年間でこれはなくなってしまうわけですが、この構造改善政策というものは、消費者のニーズを的確に把握して、これに基いて素材から最終製品の生産まで縦に、縦系列に有機的な連携を深めて、そして実需に結びついた生産を実現するというところに意義があるわけです。いままでの割横りという繊維品についての構造改善を縦割りに置きかえた、そして実需に結びつく、消費者ニーズを的確に把握する形での産業構造に変えようというのがこれはねらいであると私は思っておるわけです。その意味では、繊維の定期取引所、取引市場自体をマーケットとする生産、あるいはそのような企業というのは、新しい構造改善の流れにはそぐわないと私は思います。
 これはもう明白な事実であろうと思う。逆に言えば、繊維の取引所上場がそのような企業を温存せしめることになる。これは新しい構造改善から見ても非常に問題のあるところであろうと思います。結果として構造改善の足を引っ張ることになるわけです。したがって、今後は構造改善政策として綿紡、あるいは毛紡の設備廃棄というものを促進し、そうして従業員、そこで働いておる人たちの問題など、これに伴う社会的、経済的摩擦を緩和しながら実需に結びついた生産、そして販売というものを行える企業を育てていかなければならない。これは産業局長だって一言の異論の余地もないところだと私は思う。
 そういった中で、くどいようだけど、繊維の取引所上場を廃止していくという政策が私は必要じゃないだろうか、新しい産業構造という立場に立ってみるとき。現在の繊維の定期取引所の諸問題が、現在の繊維産業の構造を反映している、現在のあるがままの構造を反映しているにすぎない。構造改善と別に解決策をこの繊維定期取引所問題で考えていくということは、私はそのような意味において無意味であろうというふうに思うんです。あくまでも維繊の構造改善の中から繊維産業のあるべき姿を求めて、そしてその中から定期市場の問題を位置づけていくということに視点を置きかえなければならない。この面について大臣のお考えをお聞きしたい。私は答えを誘導するわけじゃないけど、産構審でも、現にこの取引問題については適切な場において再検討すべしという提言がなされておるわけですから、早急に通産省の中に、この問題についての検討に着手する場を設置してもらいたい。上場廃止は省令で今度やれるようになるわけですから、その辺もあわせて大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 今度の改正の一つの大きな柱は、いま最後に御指摘もございましたように、法律的に決めませんで、省令で改廃できるということにしておりますが、これは、経済情勢が最近は非常に激しく変化をいたしまして、激しく動く経済の流れに沿いまして臨機応変に措置できる、こういうことのために省令で上場商品の改廃ができると、こういうふうにしたわけでございます。
 しかし、この繊維品の取引所上場をやめてしまったらどうかという御議論に対しましては、それなりに私はやはり十分な役割りを果たしておると思います。もちろん、価格が乱高下いたしまして、そのためにむしろ不健全な価格形成が生まれるということになりますと、これは困りますけれども、それはある程度今回は行政指導もできるようにいたしますので、これまでの行き過ぎの点は十分注意をいたしまして、そして健全な価格形成とヘッジング、こういう本来の趣旨を実現するという方向に指導してまいりたい、これがまた今回の法改正の趣旨でもございます。
 構造改善事業は、これまた当然、別の角度から既定方針があるわけでございますから、これはその線に沿って進めてまいる所存でございますが、全般の問題として、いろいろ御指摘になりましたが、それらの点につきましては、十分通産省におきましても、総合的に今後のあり方について取引所における動き等を見まして、よく検討してみたいと思います。
○藤井恒男君 委員長、最後に。
 大臣、皮肉を言うわけじゃないけど、目をつぶっておる場面が多かったから、会議録を後で一遍よく読んでもらいたい。もう時間がないから、私、答弁不要ですけど。それから、審議官と野口局長に審議の経過をよく聞いていただいて、そして十分な役割を果しておるという――十分な役割を果たしていないわけなんだから、この辺は審議官も野口局長も十分ではないということは認めておるわけです。しかも、今後検討はする、しなきゃならないということを認めておるわけだから、いまの答弁じゃ、これはぐわい悪いのです。もう一遍やるといったら、また一時間私はここでずっとやらなきゃいかぬから、会議録で見ていただいたら聡明な大臣はすぐおわかりになるわけですから、ひとつその辺を一遍十分見ていただいて、早急に何らかのアクションを起こしていただきたいということを要望としてつけ加えて、私は質問を終わりたいと思います。
○鈴木力君 私は、どうも商品取引所それ自体に対する知識も余り、余りというよりも全然ないと言った方が正直の私であります。でありますが、この法案を読んで見ましても、あるいはいままでの各委員の御質問に対する政府当局の答弁を伺っておりましても、どうも私もすっきりわからない点が非常に多いような気がいたしますので、若干伺いたいと思うんです。
 いま伺っておる限り、また、この法案を読んでみましても、改正点を読んでみましても、従来の商品取引所という一つの性格を一応規定をいたしますと、
  〔委員長退席。理事楠正俊君着席〕
その中でのいろいろな難点といいますか、弊害のある点等の改善を図るというこの今度の改正は、その限りにおいては一定の前進を見たものといいましょうか、一つの前進をしているという評価はできるとは思う。そういうふうには思えるのでありますが、私は、従来の商品取引所というものに対する一つの観念といいますか、それを固定的に考えて、あらわれた問題を突ついておってそれでいいのかという疑問がどうも私にはつきまとうんです。つまりなんというか、私なりに言いますというと、教科書どおりに商品取引所が機能をしておるなら、きわめて有効な処置である。しかし、きわめて教科書どおりではなしに、違った方向に機能しておるという点が余りにも多いのではないか。そうなってくる一つの背景というのは、私はそう簡単なものじゃないと思いますけれども、そういう背景をもう少しこう突っ込んで見るといいますか、そういうところから見直してみる必要があるんではないかというふうに、素人考えでそんなふうにどうも思えてならない。
 そこでまず、私が一番先にお伺いいたしますのは、日本のと言った方が正確だと思います。日本の商品取引所が、いままでにわが国の流通経済上、あるいは生産、流通と言ってもいいかもしれません。全体のそういう経済的な中において果す役割りは一体何なのか、いままで果してきた役割りもあるだろうと思う。それから、これから果たすべき役割りは一体何なのか。日本全体の流通経済の上にどれだけの重みを持っていま占めているのか、どれだけの影響力があるのか、この辺をひとつまず伺っておきたい、こう思う。
○政府委員(天谷直弘君) 非常に基本的な御質問でございますのでなかなかむずかしいんでございますが、一般に営業をいたします場合に、危険分散をどうするか、危険をどのようにして軽減するかということは基本的な問題でございます。したがいまして、たとえば生命保険であるとか、損害保険であるとか、こういうものは危険が一か所に集中したのでは仕事が成り立ちませんので、できるだけ広い範囲に危険を分散させ、平準化させようという資本主義社会の仕組みでございます。商品取引所も、基本的には、損害保険等と変わらない危険分散の組織であるというふうに考えられます。価格変動が激しい商品につきまして危険分散の手段がございませんと、それをやっておる当業者の浮沈、倒産等が頻発するということになりまして、生産の合理化も行われず、流通もまた混乱をするということになりますので、いかにしてこの危険分散を行うかというようなことから、歴史上、日本では北浜の米取引所から始まりまして商品取引所というものが発達をいたしてきたわけでございます。したがいまして、商品取引所の基本的な任務は、当業者の危険を分散し、ヘッジングを可能にすることによりまして、その商売の安定的、合理的発展を可能ならしめるということであろうかと存じます。
 さらに、商品取引所がうまく機能いたしますならば、市場の完全競争性が高められるということが指摘できるかと存じます。市場に対しまして独占、寡占、その他の人為的介入等があって市場が不完全になることを、独占禁止法等は非常にきらっているわけでございますが、
  〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
規格化された商品を大量に、時間と場所を超越して取引できるというのが取引所の機能でございますので、それによりまして市場の競争性の完全化が促進されるということが指摘できるかと存じます。その完全競争市場において形成された価格がまあ公正な価格であるということになろうかと存じます。
 さらにまた、現在のみならず将来にわたる需給を予想することによりまして、需給の時系列上の平準化が行われるということになろうかと存じます。あるいはまた、たとえば例を挙げて申しますれば、ロンドンのゴム取引所、シンガポールのゴム取引所、東京のゴム取引所というものがございますならば、その間の相場にさやがあります場合には、さや取り競争が行われることによりまして、離れた地域、隔地間の価格の平準化が行われるということも指摘できょうかと存じます。したがいまして、商品取引所が正当に機能いたしておりますならば、それは資本主義社会における私企業をベースとする営業の発展に役に立つ制度であるというふうに考えております。
○鈴木力君 そこで、いまの御答弁でもう一つ伺っておきますのは、局長は何遍も、正当に機能しているならばという仮定での御説明をなさるわけです。そこで私は、さっき日本の商品取引所ということを言いましたのは、わが国の商品取引所が正当に機能しているのかいないのか。もし正当に機能していないとするならば、この改正案では改正にはならないわけです。正当に機能しているというその枠を是認したときに、その中の欠点を改めようというのがこの改正案でありますから、これは重要なことなんでして、その点をはっきりとお伺いしておきたい、こう思うわけです。
○政府委員(天谷直弘君) この取引所が正当に機能しているかどうかということを判断する尺度というのは、何か決まった決定的な尺度がありまして、それで百点とか零点とかいうふうにつけられるものではないというふうに考えております。結果的に見まして、価格の乱高下が起こるとか、余りにも実需からかけ離れた価格が形成されるとか、あるいはまた紛議等によりまして、一般大衆が不測の損害をこうむるとか、そういう事象が頻発するということでありますならば、その取引所は健全に運営していないということになるわけでございまして、そういう不健全性を取り除くために、たとえば外務員の規制であるとか、取引員の姿勢の規制であるとか、あるいは市場管理であるとか、そういうことを今度の法律改正案によりまして強化しようというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木力君 正当に機能しているかどうかという判定をする基準がない。そういうことですと、正当に機能しているとすればという前提での局長のさっきの御答弁というのは、意味をなさなくなるわけですね。私は教科書のことを言っているのじゃない。教科書のことを言っているのじゃなしに、日本の商品取引所が結果的にでもいいですよ、結果的に正当であったのかどうかというところが、これは非常に重要なことだと思うのです。
 それは後でまた伺うとして、私がわからないのは、これは全くお笑いいただいても結構ですよ。衆議院の速記録を読んでみると多分局長さんですか、どっかに行って、国会議員には三つの種類があるということをおっしゃったという話も聞いておりますけれども、私を入れて四つの種類があるとおっしゃっても結構でありますが、どうしてもわからないのは、危険を分散をするという役割を果たす。これはそのとおりだと思うのです。それから、市場の完全競争性を何といいますか、競争性を維持していくといいましょうか、形成された価格、要するに適正な価格を形成する、そういう役割りを持つ。
 ただ、いまの日本全体の流通経済の中で、これだけの品目を商品取引所に上場しておることによって、全体のこの危険分散というものが保証されるのかどうか。いま日本内で動いておる品目というのはどれだけあるかわからぬわけでしょう。そのうちのこれだけをピックアップして、そうして危険分散をするということが、日本経済の中でどれだけの役割りを果たすのかという疑問が私にはなくならない。もしそういう目的を持つとすれば、もつと広い角度からの検討が必要なのではないか。これは市場の完全競争性ということも同じこと。
 それからもう一つ、さっきの御答弁で、たとえば、需給の平準化ということで外国の市場との関係の御説明がありました。これも確かにそういうことが言えると思う。ところが、私の乏しい知識と言っても、乏しいもうそなんで、ゼロの知識でありますからとんちんかんかもしれませんけれども、素人がいろいろと伺ってみますと、たとえば穀物なら穀物で言いますと、シカゴの市場で扱っている品目で、非常にわが国の農民生活なら農民生活に大きな影響を持っておるトウモロコシならトウモロコシというのは、シカゴ市場では扱っておるけれども、日本の取引市場ではそれを上場していない。そうすると、外国のアメリカのシカゴの穀物市場なら穀物市場で相場がいろいろと適確に形成をされているとすれば、わが国の方では大豆は必要であるが、トウモロコシはしなくても、危険の分散もなければ市場の完全競争性を維持できるという説明は、私には納得できない。そういう関係からひとつ御説明をいただきたい、こう思う。
○政府委員(天谷直弘君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、商品取引所は、あるいは商品取引なる組織は自然発生的にできたものでございまして、政府が何らかのビジョンのもとに、流通を合理化するため、かくかくの目的を持って取引所を設置しなければならないと考えてできたものではございません。あくまでも当業者が判断をいたしまして、当業者が、その危険を分散する上において取引所をつくった方がいいというふうに合意が成立し、そして政府の方では、そういう合意の上で取引所ができた場合に、そこで起こる混乱なり弊害なりを防止するという立場で取引所行政をやっておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました平準性であるとか、公正な価格の形成ということは、いわば教科書的な論理として申し上げておるわけでございまして、現実の取引所の発生は、その当業者が教科書を読んで、そこから思いついてやっておるわけではなくて、彼らの日々の取引の中からその安全を確保するため、危険を分散するために取引所をつくった方がいいと、そういうことで現実の取引所ができ、上場品目が決まってきたわけでございます。したがいまして、何百、何万とある品目のうちで、これだけの品物が取引所に上場をされておる論理的な理由は何であるかというふうな御質問は、これを論理的に答えることはむずかしいのではなかろうか、要するに歴史的な産物であるというふうに考えます。われわれとしましては、特にその流通合理化の見地から取引所を増設しなければならないとか、新しく品目を政府の考えで上場していかなきゃならないとか、そういうことは考えておらないわけでございまして、あくまでも民間主導で、当業者の発意があった場合にはそれをよくチェックしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 なお、シカゴにつきましては……
○鈴木力君 いや、いいです。それでわかりましたですよ。早くそう言っていただきますと私はわかるんだけど、いままでの政府で出した説明やなんかにいまおっしゃったようなことが余りこう表に出ていなかったんで……。私もそうだろうと思ったんです。自然発生的にできたもので、当業者が必要と認めたものを政府がこれを認めておいて、そして、それから生ずる危険を防止するために政府が指導なり監督なりをしている、こうおっしゃっていただきますと、私もなるほどとわかるんです。
 要するに、だから私がさきに申し上げたように、たとえば当業者の皆さんの方の意思でこれがずっとこうやめてくるということになれば、なけりゃなくともわが国の経済はびくともしないんだと、こういうふうに理解して結構でございますか。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおりでございます。
○鈴木力君 それでこの点は私もわかりました。
 そういたしますと、これはもう当業者といいますか、業者の意思ということでありますから、政府に伺っても困ることなんでありますけれども、私は、こういう制度を認めておってやっていく場合に、もう一つの私の疑問は、たとえば先ほどの質問にもありましたように、二次製品というのを上場しておるのはおかしいというさっきの御意見もありました。
 私は、そういうおかしいということの生産者の立場に立ちますと、非常に多くは穀物であり、あるいはシカゴではブロイラー等もやっておられるんですが、もしも日本にも業者の皆さんがブロイラーを上場しようとすれば、ブロイラーもそういう形になってくるかもしれませんが、どうも農民の生産品が主になるといいますか、主となっているみたいに考えられる。もっとも、ロンドンでは銅も上場されているといいますから、銅というものも出てくるかもしれません。一応農民という立場に立ってみますと、やはりこれももう政府としてそろそろ検討してもいい時期ではないのか。農民というのは非常に弱い立場にあって、そして常に、まあ素朴な言葉で言いますと、買う物は売る方が値段をつけるし、売る物は買う方が値段をつけるし、いつまでも農民がこういう状態で経済に振り回されておっていいのかという意識が農民の中には相当強く出てきておると思うんですね。
 だから、たとえば小豆なら小豆にいたしましても、北海道の市場にはホクレンなり、そういう農業の団体が当業者という形で会員になって参加していると思うんですけれども、しかし、その参加しているという段階から、商業取引によっての相場によって振り回されることをやめようという意識の方がだんだん強くなってくるはずだし、そういう形に農業というものを考えていかなければならないのではないか。こういう時期に商品取引所といまの日本の食糧生産に携さわっている農業という関係は、やはりちょっと検討に値するのではないか。
 これは実は、最初の商品取引所の果たす役割りは何なのかというところの役割りというのは、自然発生的だということでもう解消しましたけれども、政府側とすれば、そういう点の検討もひとつ必要なのではないか。これはいろいろの皆さんに御迷惑をかけちゃいけないと思って、取引所、この法案関係の常連の局長さん方で、特に他の局長さんを、政府委員をお呼び申し上げなかったんですが、農林省の食品流通局長さんにその関連からひとつ御説明をいただきたい、こう思うんです。
○政府委員(森整治君) 端的に申しまして、農産物の価格政策が全体の約七割程度、いろんな制度がございます。そういうことで、政府みずからが価格支持なり価格安定措置を講ずるということで、あるいは政府または関係機関、あるいはいろいろ特殊法人を使わしてやっておる場合もございますけれども、そういう価格政策の中に取り込んでいくという方向で対処してまいっておることは御指摘のとおりでございます。
 ただ、いまお話の出ましたような小豆のようなもの、これは現在でもそういう意味での価格政策の手は打っておりません。むしろ取引所を通じまして、ヘッジなりあるいは作付のための予測を行う、そういうことを取引所を利用して行っているのが現状でございまして、多少資料は古うございますけれども、北海道の農民に対しましてのアンケートにつきましては、役に立っておるというのが九二%を占めておるのが現状でございます。
 したがいまして、そういうことから申しますと、非常に零細多数の生産者から流通段階までいろんな多数の関係者がございますけれども、それらの手を経て実際の消費者に渡っておる、そういう特殊な商品につきまして、いまの制度というのが農民にも役立っておるし、買う方の当業者にもいろんな意味で貢献をしておる。ただ問題は、先ほど先生からしばしば御指摘がございましたように、商品取引に対する信用、社会的な信用なり経済的な信用、こういうもののが著しく欠けておる。それが本来の商品取引員についてまでその機能を疑わせているという問題が私どもあるのではないだろうか、こういうふうに実は思っておるわけでございます。
 立ったついでで恐縮でございますが、先ほども御指摘ございましたたとえば大豆にいたしましても、非常にシカゴで商社がヘッジをしておると承知しております。それで、それから持ってくる間にシカゴ相場が相当、国内に入って、それが製品になる過程で原料の変動は非常に激しゅうございます。倍ぐらいな値下がりをするというのがシカゴで現に行われておるわけでございます。そういうものが国内に入ってまいりまして、今度はそういうものにつきまして国内でヘッジする機関がないということが実はいま大きな問題になっておるわけでございまして、高いものを抱えたクラッシャーが、油屋さんが、現実シカゴの相場が今度下がりますと大豆のかすも下がる、油の価格も下がる。国内ではそれをそのまま評価いたしまして、買った値段とつくった値段がこんなになってしまうということで、そのコストを、その赤字をどうするか、滞貨をどうするか、こういうような問題が現実に輸出産業で起こっております。
 不況カルテルの申請をするということまでの事態が起こっておるわけでございまして、そういうものがもし制度的に確立してまいるならば、国内にもそういう制度ができるならば、非常にそういう問題の危機を回避できるというふうに、私は制度としてはそうあるべきだと思っております。ただ、現実のいまの商品取引所の信用ということから言いますと、そういう方々から、いま直ちにそれでは商品取引所をつくってやってほしいという要求が出ておりません。まあそういうふうにいまの商品取引の持っている問題というのをひとつ御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
○鈴木力君 だから、いまの大豆なら大豆がそういう状態である。農民にとっては特にトウモロコシが、要するに飼料としてのトウモロコシがシカゴの相場に振り回されて、もっとも、大豆はアメリカが輸出禁止をしたということで非常に値上がりしたこともありますけれども、そういうものを受けて、日本の商品取引所がそれだけの力を持たしていけることができるのかどうかという疑問を実は私は持っておるのです。ああいう大きなシカゴの取引所ならシカゴの取引所と対応した力を持たしていまの日本の取引所にやらせるという可能性といいますか、やらせ得ると見ているかどうか。まあ私ですと、どうせいまのような状況だったら、特に農民にとってはきわめて重要なトウモロコシなり、あるいは大豆というのはもういろいろ形は変わっても大衆食品に参りますから。そういたしますと、他の輸出入政策の中で一緒になって価格政策の方で処置ができるはずです。これだけができなくて他のものができるということはないはずですから。そういう政策を導入するのか。取引所というところを通すというなら、それなりの力をつけるということがむしろ考えられるのではないか。
 そういう意見は、実はいま専門家に言わせれば、ばかなことをとおっしゃるかもしれませんけれども、何となしに私は考えてみますと、外国との関係から言うと、ロンドン市場なり、あるいはゴムとかその他のものはシンガポールの市場なり、それからまたシカゴの穀物市場なりという、この強さといいますか、そういうものと比較して非常に機能する力というものが何かないのではないか。ないのではないかと言うと少し当たらないかもしれないけれども、いまのままでは、信用という問題もあるかもしれませんけれども、そうしたものと合わした対策というものが考えられてしかるべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(森整治君) トウモロコシにつきましては、いういろな関税上の操作が行われておりまして、甘味資源――砂糖との関連で、トウモロシからコーンスターチがとれる。そういう関係で関税操作が行われておりまして、非常に行政的に価格形成が行われておるという問題がございます。
 トウモロコシのえさの問題につきましては、無税で入れておりますが、その乱高下が非常に問題になっております。したがいまして、トウモロコシその他マイロ等の穀類も含めまして、最近、飼料価格の安定基金制度をつくりまして、それで輸入して、要するに安いときに積み立てて、高いときにその金を吐き出す、政府がそれに少し応援をする、こういう形でえさの乱高下を防ぐという措置がごく最近とられました。そういう形でえさについては対応いたしております。
 もう一つ、いま先生の御質問の趣旨から申しますと、大豆は豆腐になりみそなり、そういう非常に零細な多数の者が使います。そういうものは、アメリカ大豆よりもむしろ中国大豆がそれに向いておるわけでございます。そういうもうを、いま現在この取引を再開するかどうかいろいろ検討いたしております。この前の大豆の問題以来いま停止をいたしておりますけれども、取引所で上場品目として扱っております。これの機能が完全に行われますと、結局そういう豆の市場の価格あるいは先物の価格、定期価格というのが公正に形成をされれば、国内の生産者がつくりました大豆はむしろそういう食品用大豆と競合し、またそういう市場で流通するわけで、中国大豆の相場の価格で国内の大豆が取引される。こういう市場形成されました市場価格に対して政府が不足払いをする、こういう仕組みになっております。で、いまの中国大豆が一つの国産の大豆の現実の相場の指標に、要するに、不足払いとして見る市場価格としてだんだん形成されていくということを私どもは想定をしておるわけでございますが、いまのところ、この前の大豆の乱高下がございまして以来、一時再開を中止しておりまして、近くそれをどういうふうな形で機能さしていくかということを、現在鋭意検討中でございます。
○鈴木力君 私は、大豆をどうこうするというような品目別の御質問を申し上げるつもりはございませんですが、たとえば大豆で申しますと、豆腐、納豆は中国産にいたしましても、昨年一年間、四十九年の日本に入っている大豆というのは、中国は二十三万一千八百九十四トンですか、それからアメリカからは二百九十二万三千五百四十一トンですね。そうすると、シカゴ相場が影響しないで、中国からの値段が全体に影響するということにはどうもならないのではないか、私の方はそう思うのですが、これはどうなんですか。
○政府委員(森整治君) 結論から申しますと、先生の御指摘のとおりでございます。中国大豆が食品用オンリーで使われる。アメリカ大豆は搾油用を中心にその他食用大豆に供用されるという側面を持っておりますから、中国の豆とアメリカの豆と当然市場間で格差はございますけれども、そういう相場で動いておるということは間違いございません。
○鈴木力君 そこで私は、いま最初に申し上げたように、一体取引所というのはどうあるべきかということを考えて、自分もわからぬので、皆さんにも伺っているのですけれども、たとえばいまの大豆なら大豆にしても、トウモロコシと同じような関税政策なり何なりということもできないわけはないわけですね。しかし、これはやるかやらないかの話だと思います。これだけわずかの限られた品目でありますと、私は、そういう価格政策で適正な価格というものをつくりえないということはあり得ない、こう考えております。
 そこで、さっき伺いましたように、結論はしかしそんな理屈ではなしに、自然発生的に業者の皆さんの、いわば経済が動いている中から生まれてきておって、まだそこに要求をされていまこういう形で動いている。そういう認識に立ちますというと、今度はもう一つ私はそういう認識に立って疑問なのは、何となしにそういう認識に立っている限り、大衆参加との関係ということがどうしても出てくるだろうと思うのです。要するに、いままで長い間歴史的に積み重ねられて、たとえば小豆の場合ですと、赤いダイヤとか何とかいったいわゆる相場の一つの大きな対象になってきた。そういう形の一つの仕組みというものが日本の経済の中に、機構の中に入り込んできて、これを一時になくするわけにもいかない。
 もちろん、説明によりますと、教科書を読んでみると、大衆資本の参加によって適正な価格が形成をされるということもありますけれども、いずれにしてもその大衆参加というものが、実際の当業者と比べると比率というものは、先ほどの局長さんの御答弁にもあったように、非常に大衆資本というのが大きくなっている。その大きくなっているものが、いまのような相場というものに働く機能が大きくなっているわけですけれども、そういう場を維持するために、しかし、それの弊害を今度の改正案のように、取り除いて前進をさせながらこれを守っていこう、これが本来の商品取引所に対する考え方ではなかろうか、突き詰めていきますと。そういうふうに思われるのですけれどもいかがですか。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおり、商品取引所が当業者にとって必要なものであり、ヘッジングの機能を果たしておるということであれば、それは存在意義があるわけでございますから、そういう取引所を守って育てていくということは、政府としてもそうすべきことであるというふうに存じております。ただ、一般大衆を巻き込む等の弊害、これにつきましては厳重にチェックすることが必要である。それからまた、時勢が変化し、経済情勢が変化いたしまして、もはや上場しておく意義がなくなってしまったにもかかわらず、ただ、ギャンブル的なおもちゃにするためにのみそういうものが存続しておるというような事態が仮にあったとすれば、そういうことは好ましくないことでございますから、これは上場を廃止するということが必要ではなかろうかと存じます。
○鈴木力君 そこで、そういう立場に立って私も、いま投機のおもちゃになってしまったと言い切る自信もございませんし、長い歴史を経てきてこういう仕組みがあるのですから、いまいきなり廃止すべきだという自信もありませんけれども、これはやっぱりそういう立場に立って考えてみますと、私は、今後の運営のさせ方に、それならばもう少し当業者というか、該当する業者との主導型に思い切って移していくということは考えられないものかどうか。たとえば上場商品を、いままではあれは法律事項だったと、もっとも、法律事項だったといっても、その他必要なものは政令で定めるという枠がありましたから、これからの必要なものは政令でふやしていけば、特に政令で定めるという法改正をしなくてもいいのじゃないかというふうにも私は思うのですけれども、もう少し思い切って、その業者が必要と認めないものはもう上場はなくなってしまう。それを政令で消していくというようなめんどうくさい手続なんかはとる必要がないのではないか。逆に言ったら大臣の許可制ぐらいにしておいて、そしてこれはもう上場がありませんから、その取引所関係の皆さんの結論としてこれはやめたいのだといったときに、しかし、それを野放しにするわけにはまいりません。大衆の参加というものは、事実として度が過ぎているか、過ぎていないかはまた別の議論ですけれども、ある限りは野放しにはできないとは思うのですけれども、許可制ぐらいにして、そして、主たる業者の主導型というところに、もう少しそこのところは信用して与えてもいいのではないかというふうにも感じられます。
 それからもう一つは、ついでですから申し上げますが、たとえば外務員の姿勢ということが、よくこれにも出ています。いろいろな紛議を未然に防止するために、外務員にいろいろな規制を加える、取引員といいますか、取引員なり外務員なりにいろいろ細かな規制がされておる。しかし、私はこれについても、規制をけしからぬと言うつもりはありません。これでいいのかという疑問はやっぱりありますですね。もし姿勢が悪い外務員がおったとすれば、たとえば九十一条の二の三項を読んでみると、こういうあれがありますね。「登録外務員は、前条第一項の営業所以外の場所で商品取引員のために商品市場における売買取引の委託を受けようとするときは、その相手方に対し、あらかじめ売買取引の受託の条件その他の主務省令で定める事項を記載した書面を交付し、その内容を説明しなければならない。」と、こうある。ところが、もし姿勢の悪い外務員がこれを読みますと、しめたと思いますよ。私がもしこれで一もうけしようと思ってやろうと思ったら、前条第一項の営業所でやれば、以外の場所でやる場合には、これこれ、これのことを示さなければいけないのだ、営業所でやる場合には示さなくていいんです、この法律は。そうすると、そういう抜け道というものをやれるわけです。だから私は、いままでの外務員の、たとえばきょうですか、大阪かどっか関西で裁判になっておりますある外務員が、お客様に、もうかるから買え買えといって買わしておいて、同じものを同じ日に自分のものは売っておったということが詐欺か詐欺でないかということで、いま大阪ですかな、裁判所できょうあたりに公判になっているのじゃないかと思いますけれども、それだけの知恵のある人が、この法律の規定ではとてもじゃないがこれは防ぎ切れないのではないか。だからそうなってきますと、やっぱり取引所を中心にした当事者といいますか、そういう関係者の人たちが中心になった、もう少し自粛運動といいますか、信用を保持するための方法を、みずからが主導的にその人たちにやらせるような方途ということを、もっと積極的に場所を保証してやるような指導の方がむしろ先にくるべきではないのかという感じがするのですけれども、いずれこれはこの法律の条文のいい悪いという意味じゃなしに、法律だけで規制をしようとしても、いまのような意図というものはなかなかなくならない。石川五衛門が言ったように、浜の真砂が尽きるともという有名な彼のあれがあるでしょう。そういう面から言うと、自然発生的に業者が、当業の人たちが必要と認めてやってきたものを、その弊害を除去するために政府がこれを見てやっているのだという立場に立つ場合に、もっと当業者の主導的な保証というものを、逆に言ったら、責任を持たせながらやっていくような方向に思い切って考えていくべきではないか、どうもそんなふうにも私は考えられるので、これは政府の御所見を伺いたいというわけです。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおり、取引所につきましては当業者主義というふうに言っておりますが、当業者が中心になり、当業者の自主性によって運営されていくべきであるというのが基本的なたてまえであり、これは今後とも変わらないというふうに存じております。したがいまして、外務員等の姿勢につきましても、取引員あるいは当業者が自分自身の長期的な利益を考えましても、目先で質の悪い外務員を使ってノルマを上げるというようなことは、みずからの首を締めるような行為でございまして、本来その長期的な利害を考えれば、そういうことはするはずがないわけでございますが、やはり目先の利害で動く者が少なくないわけでございますので、政府といたしましては、一般大衆に類が及ぶことがないように、相当程度の規制を加えておるわけでございます。
 外務員に書面による説明義務を課しておいて、営業所は一体どうなっておるのかという御指摘がございましたが、これにつきましては、営業所におけるビジネスにつきましては、取引所の定款あるいは業務規程等々、いろいろ内部的な規制もあり、営業所の商売の仕方というのはだれが見てもよくわかるわけでございますし、そうでたらめなことやりますと、たちまちそれは取り締まりの対象になるわけで、営業所における取引というのは、比較的きちんと行われておるというのが実態かと存じます。
 それからもう一つ申し上げますと、営業所に来るお客というのは、大体玄人が多いわけでございまして、家庭の主婦などは営業所には来なくて、家庭を訪問する外務員と取引をするというのが実態でございます。したがいまして、外務員の行動が従来何をやっているか、そういう常時監視することは困難でございますが、そういう外務員が軌道を外れたようなことをやるものでございますから、それを防止するための一つの手段として、書面による説明義務というものを課したわけでございます。営業所はしり抜けになっておるということはないと思う次第でございます。
 それからもう一つの御質問で、上場品目は許可制にすればよいではないかという御指摘があったかと存じますが、いろんな考え方があると思いますが、ともかく現在法律で指定されておりまして、現在法律で指定されている品目の廃止は、いまの現行法は法律に入れるほかないわけでございます。そして、これについてはいろんな御意見がございまして、法律でやるものを政令に落とすのは少し緩め過ぎでけしからぬというような御意見もあるわけでございますし、また他方、もっと当業者の立場を重んじて許可制にしろというような御意見もございますし、理論的にどれが絶対正しいということもなかなか決めにくうございますので、現状は法律でございますから、一つ一段下げて政令ベースにして、そして実情にそぐわなくなったような品物は、弾力的に機動的に廃止できるような方向に持っていきたい、こういうことでございます。
○鈴木力君 いまの、特にどうでなければというつもりはありませんけれども、私は一貫性がないじゃないかというつもりで申し上げたんです。さきに御説明があったように、たとえば取引所というものの任務として、日本の生産、流通の立場から危険の分散を図るのだ、あるいは市場の完全競争制を保持するんだ、こういう形の大きな使命で、国が必要だといって主導的にやる場合には、法律でずっとこうくるということがあり得るだろうと思う。しかし、そういういま言ったようなメリットは自然発生的にできたもので、当業者が必要と認めたものの中でこういう役割があるんだということで、非常に範囲が狭くなってきていますからね。それならば、どういうものを上場するのかどうか、あるいはやってみてやめるべきかどうかという判断は、むしろ私は当業者本位といいますか、そういうところに置いてみたということも一つ筋が通っているんじゃないかということで申し上げたわけです。
 私はもうこれであと質問をやめますが、大臣にお願いをしたいといいますか、御質問という形になると思いますけれども、いずれにしても、いま申し上げましたような取引所というものの性格というものがはっきりした。自然発生的にできたこの歴史的なもので特になければどうとか、あればどうとかいうことでなしに、弊害を除去しながらこれをしばらく守っていくんだ、維持していくんだと、こういうことがはっきりしたわけでありますから、それなりにこのまま維持していくということもありますけれども、もっとやっぱりさきに私が申し上げましたような、農民というものを今後近代的にしていくために、要するに生産価格というものと農民の発言力との関係でありますとか、これは農民だけじゃありません。生産者それ自体と価格なり流通なりというものの大きな立場からこういう仕組みといいますか、制度といいますか、こういうものがどうあるべきかというものを、もう一度大きなところからメスを入れてみる必要があるんではないかということ。どうしても私は、まだこれがはっきりとわかったと言い切れないのはそういうことなんです。
 さっき私も言いましたけれども、たとえばロンドンなりあるいは外国のそういう取引所との関係を見ますと、それなら日本が取引所でそれらを対応していくとすれば、いまのままでいいのかどうかということも私は検討に値するものではないか。だから、従来の枠の中でこの改正案という法律は、私はそれなりの一定の前進があるということはさきに申し上げました。そういう評価ができますけれども、それはそれとして、この枠を越えた検討ということがどうも必要なのではないかと思うのですけれども、これは大臣の御所見を伺いまして、質問を終わります。
○国務大臣(河本敏夫君) 取引所制度を根本的に検討し直せ、こういう御意見でございますが、今回の法改正も、審議会の方からいただきました答申の実は一部しか織り込んでおらぬわけであります。でありますから、部分的な手直しといいますか、そういう状態でございまして、まだ解決しなければならぬ問題もたくさん残っておるわけでございます。そういう改善しなければならぬ問題をどうするかということは今後検討をいたしますが、それとあわせまして、先ほど来、取引所制度の根本問題につきましていろいろ御議論がございましたが、そういう点も十分参考にいたしまして、今後取引所制度の根本的な問題等もあわせて検討するようにいたします。
○桑名義治君 最初に、大臣に基本的な問題についてお尋ねをしたいと思いますが、商品取引所法につきましては、去る四十二年にも委託者の保護を図るために商品取引員を登録制から許可制にした。また、受託業務保証金制度を設けるなどの改正が行われたわけでございますが、これらの改正にもかかわらず、取引員の営業姿勢やあるいは財務内容が十分でないために、委託者との間の紛議が起こったり、あるいはまた取引員が倒産をして委託者に損害を与えるという事例が後を絶たないわけでございます。
 今回、産業構造審議会の答申をもとに、さらに委託者保護の一層の強化を図るということで、今回の改正案が提起された、こういうような御説明をいただいているわけでございますが、改正案についての具体的な問題はまた後に譲るといたしまして、最初に、商品取引所法を現段階で改正する経済的、社会的な意義と申しますか、あるいはねらいはどこにあるのか。また、商品取引所制度は今後どうあるべきか、このことについて基本的な考え方をまず大臣にお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 前回の法改正が行われましたのは、先ほどお話しのように四十二年でございまして、そのときに参議院でも、今後検討すべき事項をお示しになりましてさらに研究を重ねるように、こういう附帯決議がついておりましたし、衆議院におきましても一同じような附帯決議がつけられまして、今後の検討の方向が明らかにされておりました。そういう御趣旨を受けまして、そうして産構審に研究をお願いをいたしまして、ようやく昨年の四月に答申をいただいたわけでございます。
 要するに、取引所の運営をもっと健全にしなきゃいかぬ。そのために一体どうすればいいか。それから同時に、いま御指摘のような委託者の保護、トラブルが余りにも多過ぎるのじゃないか、これは一体どうしたらよいか、こういうこと等につきまして検討をいたしまして、当面できることから手をつけていこうということで、今回の改正をお願いしたわけでございますが、なおしかし、先ほども申し上げましたように、残された問題も多々ございまして、産構審の答申ですら、なお数点につきましてこれを今回の法改正には盛り込んでおりません。そういうこともございますので、今度は部分的な改正でございますが、さらに残された問題等につきましては一層検討を重ねてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○桑名義治君 今回の改正点につきましては、大臣の説明でわかるわけでございますが、私がさらにもう一歩踏み込んだ中で、今後のいわゆる商品取引所制度というものにどういうふうな形で取り組んでいくかという将来に対する考え方、基本的な考え方、これをお伺いしているわけでございます。あわせてお願いをしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来、いろんな議論が続いておりましたように、商品取引所の機能というものは、公正な価格を形成をして危険の分散を図っていくということと、そのためにヘッジングを行っていくという機能がございますので、その機能が十分果たされる、その果たされる過程におきまして大衆の投資家が迷惑を受けない、こういう方向で検討していかなければならない、こういうふうに思います。
○桑名義治君 まだまだ基本的なあり方についてということについては、私は満足しがたいわけでございますが、これは非常に先ほどから審議官の説明の中にもありましたように、歴史的な経過なり、あるいはそれを踏まえた現在の商品取引制度というものがあるわけでございまして、今後どういうふうにこれをとらえ、基本的にどういうふうな方向に持っていくという問題については、まだ多くの問題なり、あるいはまた多くの考えなければならない問題点があって、確としたいわゆる考え方がないかと思いますが、いずれにしましても、前々からいろいろと論議が重ねられておりますように、通産省関係の商品取引所における売買玉の分類、これを見てみましても、一般玉の場合で六五・四%、あるいは六八・七%と、あるいはまた農林省関係におきましても七三・七%と、一般玉が非常に多数を占めている。こうやった中でこの商品取引という問題をとらえたときに、いわゆる委託者の危険を大いに負担をしていくような方向に考えていかなければならないことは当然でございますので、この点も十二分に留意した上で、今後この問題にも取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、まず分離保管の問題でお尋ねをしたいわけでございますが、いまもちょっとお話をしましたように、一般玉の場合が大きな分野を占めているという関係で、非常に危険が多いというふうに考えられるわけでございますが、そうやった意味で、この分離保管の問題が問題になるわけでございますが、委託者が売買注文と同時に取引所に担保として出す委託証拠金が、取引員の手元にあると流用されたり、あるいは取引員が倒産した場合の危険のために、業務保証金等を通じて取引所に吸い上げられることになっているということでございますけれども、分離保管は現在何%ぐらいになっているのか。あるいは、答申は完全分離保管を提起をしておりますけれども、改正によって業務保証金は引き上げられているけれども、この分離保管は一〇〇%までにはならないものであるかどうか、この点についてお尋ねいたします。
○政府委員(天谷直弘君) 現状をまず御説明申し上げますと、かなりこれは複雑なんでございますが、まず、委託本証拠金というのを顧客が取引員に売買契約したときに出すわけでございますが、この委託本証拠金のうち、六〇%が今度は受託業務保証金として取引員から取引所に預託されるわけでございます。それから一〇%が売買証拠金として、これも取引員が取引所に積みます。したがいまして三〇%が残りますけれども、これは取引員の手元に残るわけですが、これは取引員の自己勘定とは明確に区分されまして、委託者の勘定として経理区分されなければならないわけでございます。ただこの場合に、委託者の勘定という一つのグループでございまして、山田さんとか田中さんとかいう名前になっておるわけではございません。委託者勘定として三〇%は手元に残る。そしてその三〇%が値洗い差金の決済であるとか、あるいは多数ある委託者の中で損をした委託者の一時的な損失の立てかえというようなことにその金が使われているわけでございます。
 以上が委託本証拠金について申し上げたわけでございますが、このほかに、臨時増し証拠金、それから定時増し証拠金というような証拠金がございます。これもお客がまず取引員に積むわけですが、これにつきましては、通産所管の取引所の場合には一〇〇%取引所にそれを持っていくということになっております。それから追い証拠金、過剰預託金というものがございますが、これについては取引員の手元にとどまるということになっておるわけでございます。
 以上が現在の制度でございますが、今度の改正案におきましては、委証本証拠金は六〇%ではなくて、一〇〇%受託業務保証金として取引所に積み立てなさいということを本則といたしておる次第でございます。ただ、本則でありますと、いままで三〇%手元で値洗い差金等の資金になっておったものが吸い上げられてしまいますので、取引員の資金繰り上大きな問題が生じてまいります。
 大きな問題が生じてもいいではないかという御意見もあろうかと存じますが、やはり取引員の経理的基盤が弱くなるというのは困った問題でございますので、そこのところを何かいい案がないかということでつくりましたのが、取引員が集まってつくるところの保険会社、すなわち指定弁済機関でございまして、この指定弁済機関と取引員が代位弁済契約を結んでおきますならば、一〇〇%を積まなくてもよろしい。まだこの数字をはっきり決めておりませんが、五、六%を積めばいいということにしたい。そしていざつぶれたという場合には、まず五、六〇%は受託業務保証金として取引所に積んでございますから、それを発動して弁済をし、それで弁済し切れぬ場合には、指定弁済機関がつぶれた業者にかわって代位弁済をいたしまして、委託本証拠金につきましては一〇〇%までそのお客には迷惑をかけない、こういう制度にしようという次第でございます。
○桑名義治君 次に、相場の乱高下の防止策についてお尋ねをしておきたいと思いますが、商品取引で一番問題なのは、他の委員もいろいろと御指摘があったようでございますが、素人の勧誘の規制と相場の乱高下の防止措置である、こういうふうに思うわけでございますが、ことに相場の乱高下、つまり過当投機で一番犠牲を受けるのは、先ほどの統計の上にもありますように、大衆投資家であることはもう火を見るよりも明らかであるわけでございますが、どのような具体策を考えておられるのか、との点についてさらに伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおり、過当投機の防止、それによる市場の乱高下の防止、それから一般大衆の損害あるいは紛議等の防止ということは、取引所を円滑に機能さしていくために基本的に必要なことでございます。
 今回の法改正におきましては、売買の状況を把握するため、大口の建て玉についてその状況を取引所から主務大臣に報告するということにいたしまして、常時その状況を把握できる体制をつくる。これは、基本的に現状をよく把握するということが一番大切なことであると思いますが、その上に立ちまして、買い占め、売り崩し等の過当投機が行われている場合はもちろんのこと、その恐れのある場合におきましても売買の制限を行うことができるようにいたしまして、市場管理体制を強化いたしたわけでございます。これまでの現行法によりますと、恐れがある場合はだめでありまして、現実に過当投機とか乱高下とか買い占めとかいうものが起こった場合に、事後的に介入するということになっておりましたので、それでは不十分だ、事前に恐れがある場合にやれるということに改めたという次第でございます。
 それから、市場管理につきましては、役所の監督もさることながら、まず第一番に、第一線にありますのは取引所でございますので、取引所の市場管理対策を強化する必要があるわけでございます。取引所の市場管理につきましては、これも機動的に事前に行われるように、あらかじめ出来高であるとか、価格の動向にスライドした自動的な発動基準を作成するように指導をいたしておるところでございます。
 それから次に、一般大衆の被害の問題でございますが、これを最小限に食いとめるために商品取引について知識のない者、あるいは資力、信用の乏しい者を参加させないように手当てをすることが大切でございます。現在でも家庭の主婦等経済力のない者、知識の不十分な者、こういう者への委託の勧誘は禁止しております。これは商品取引所連合会の禁止事項ということで決められておるわけでございます。また、今回の法改正におきましては、外務員がその家庭の主婦等を勧誘する――家庭の主婦は勧誘してはいけませんが、外務員が勧誘する場合に、書面による商品取引についての説明義務というものを定めまして、証拠金に関することであるとか取引のやり方であるとか、そういうものについてまず書面で説明をさせる。場合によっては禁止事項についてもよく説明をさせるというようなことを考えております。
 それから、新規の委託者、初めて取引をするというような人がこれまた紛議のもとになりやすいわけでございますが、新規委託者については、初めから大口取引は引き受けさせないというようなこと。それからまた、大口取引をする人につきましては、その信用状態について特に綿密に調べるというような指導を行っておるわけでございます。
 以上のような方法によりまして、商品取引に参加することが不適当な者を極力排除して、取引所の健全化に努めたいと考えておる次第でございます。
○桑名義治君 先ほどの統計を見てみますと、当業者玉と一般玉というものの比率というものが全体の六五・四%あるいは八・六%と非常に比率が違うわけでございますが、このような比率で売買玉が運営されているというこの事実、これをどういうふうに通産省としてはお考えになりますか。
○政府委員(天谷直弘君) 当業者玉とそれから外部資金との比率がどの程度が望ましいかということを理論的、一義的に言うということは非常にむずかしかろうと存じます。これは一般経済環境によっても違ってまいります。たとえば昭和四十八年、九年の過剰流動性が存在しておりましたような時代には、何も商品取引所の商品だけではなくて、土地、ゴルフ場の会員権、絵画、宝石、貴金属、あるいは最後にはトイレットペーパーと、こういうようなものが次から次へと買いあさられるというような事態が生じておりましたので、こういう時代には、どうしても取引所にも過剰な外部資金が流入するということになってまいります。それからまた、ある商品の将来需要につきまして、いろいろな関係で需給が著しく不均衡になるというようなことを素人でも予想できるというような事態になりますれば、これまた投機資金が流入するというようなことが考えられるわけでございます。したがいまして、一般的、一義的に何%と言うことは困難であろうかと存じますが、現実の実態、これが出発点になろうかと存じます。
 通産関係で申し上げますと、綿糸が一般玉の比率が五一・七%、それから人絹糸が二〇%、それからスフ糸が六七・六%、毛糸が六七%、ゴムが七五%、平均いたしますと六八・七%というような数字でございます。先ほど来申し上げておりますように、この取引についての素人あるいは要するにずぶの素人の一般大衆等の参加は好ましくございませんので、これを排除するように極力努めるというようなことをいたしますれば、さらにいま申し上げましたような数字が、一般玉の割合が逐次低下するということが望ましいことであるというふうに考えております。
○桑名義治君 そこで、次の問題に移りたいと思いますが、商品取引の行政の一元化という問題でございますが、現在商品取引行政というものは通産省と農林省にまたがっており、取引行政の強化のためにこの一元化が業界からも、あるいは委託者からも、あるいはまた昨年四十九年の答申の中にも要望されてきたわけでございますが、このたびの法改正にはこれは盛り込まれていない。それはどういう理由なんですか。
○政府委員(天谷直弘君) この行政組織の問題は非常にむずかしい問題で、いろいろ考え方があろうかと存じます。現在の国家行政組織の経済官庁の基本的な考え方は、物別に割りまして、物に即して生産、流通、消費の行政を行う、こういうことになっておる次第でございます。したがいまして、そういうある商品の生産、流通、消費の所管とは全く別の次元で取引所だけは一元化してしまうということは、非常にむずかしいのではなかろうかと存ずる次第でございます。両省に所管が分かれているために、取引所行政の二元化が弊害のある二元化ということでは非常に困りますので、このため従来から取引員にかかわる許可の基準、それから受託に際して遵守すべき事項等、共通重項につきましては両省間で緊密な連絡をいたしまして統一的な指導、監督を行っており、二元行政の弊害を防止するように努力をいたしておりますが、今後ともこの方針に基づきまして、遺憾なきを期してまいりたいと存じております。
○桑名義治君 そうしますと、将来にわたっても一元化はむずかしいという前提に立ってのお話でございますか。
○政府委員(天谷直弘君) やはり、この商品別縦割り行政組織というその原則とどういうふうに折り合いをつけるかという基本問題、むずかしい問題でございますので、さしあたり一元化されることはないというふうに思われます。
○桑名義治君 そこで次に、市場管理対策の迅速性についてお尋ねをしておきたいと思いますが、過当投資の投機の防止は現在の取引行政の中では最も重要なことと、こういうふうに思うわけでございますが、その防止措置を実行する際に大切なことは、いわゆる時を失せずに迅速に、機動的に行うということが大事なことだろうと思います。昭和四十八年の相場過熱のときを見ましても、一応対策は立てたけれども、結局実行のスピードに欠けたために対策が後手になった、こういう事柄があるわけでございますが、今後市場の管理対策のあり方については十二分に検討していかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、この点についての考え方があるならば示していただきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘のとおり、市場管理対策は機動的に手おくれにならないようにやるということが絶対に必要でございます。現在各取引所におきましては、定款または業務規程に基づきまして臨時増し証拠金、それから建て玉制限等の市場管理対策を講じておりますが、従来、ともすればこの対策の発動時期が、御指摘のように後手に回ることが多かったわけでございます。で、種々の市場管理対策をどの時点で発動すべきかという基準が、現在では各取引所において必ずしも明確になっていないということが一つ問題点として考えられるわけでございます。現在、取引所によっては総建て玉にスライドして臨時増し証拠金の増徴等の内規を定めている例もございますが、これをさらに適正に行うために、出来高の状況、取り組み高の状況、価格変動の状況に連動させた自動的な市場管理対策の発動基準を作成するように、各取引所を指導いたしておるところでございます。
 自動的にやるということが、果たして現実の事態に対しまして具体、妥当性があるかどうかという問題は残りますけれども、やはり個人がケース・バイ・ケースに判断をするということになりますと、なかなか勇気も必要でございますし、判断もなかなかむずかしい問題でありますし、責任の問題も生じますので、自動的に発動するということにした方が、機動的発動が期せられるのではなかろうかというふうに考えて、その方向で指導をしたいという所存でございます。
○桑名義治君 そこで、市場管理対策の発動基準についてでございますが、産構審の答申は、市場管理対策は事前的な対策として機動的にやられるべきである、こういう指摘をされておるわけですが、市場管理対策を発動する際の発動基準を明確にするということを、また提起をしておるわけでございます。この提起を受けて、今後どのような対策を講じようとされておるのか、あるいはいままでの基準というものはどういうふうな基準があったのか、この二点について伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) いまお答え申し上げましたように、取引所を指導いたしまして、各取引所におきまして、具体的な自動的発動基準を作成させまして、それによりまして機動的な市場管理が行えるようにしたいというふうに考えておるわけであります。
○桑名義治君 そうしますと、その基準というものはいつまでに立てろというふうに指示なさるわけですか。
○政府委員(天谷直弘君) 期限を切っては要請をいたしておりませんが、可及的速やかに会員のコンセンサスを得て合理的な基準をつくるようにということを、農林、通産両局長の通達で要請をいたしております。
○桑名義治君 この市場管理対策の発動基準というものは、非常に考え方によっては重要な問題だと思います。また、非常に困難性を伴うかもしれませんけれども、しかし、ただ単なる要請だけでは事はなかなか前進しないわけですよ。したがいまして、ある一定の期限というものを、まあ多少の幅を持たしても結構ですし、弾力的な幅を持たしても結構ですが、一応の一つの基準というものを、期日の期限というものを切って行政というものは推進をしないと、なかなか前進しないのではないかと思うんですが、その点どうですか。
○政府委員(天谷直弘君) 取り決めの中身が非常に複雑で、いろんな利害関係の絡んだ問題でございますから、一律の期限で押しつけるということは若干無理があろうかというふうに存じます。しかし、われわれといたしましても、じんぜん手をこまねいて過ごすわけではございませんので、通達を出しましてから常に基準作成の進行状況等を監視いたしまして、促進に努めたいと考えておりすま。
○桑名義治君 業界の中では、いまの御説明の中にもございましたように、利害損得というものが当然絡んでくると思います。そうすると、いままでのいわゆる商品取引というものの歴史的経過から考えた場合に、役所の方である一定の主導権を握りながらこれをつくっていくということは、非常にむずかしいことかもしれませんが、利害損得が、勘定というものがかかわっておるとするならば、これはもうある一定のこちらのサゼスチョン的なものを提示する方が、よりベターではなかろうかというふうに考えるわけですが、どうですか、その点。
○政府委員(天谷直弘君) この民主主義の原則と官僚統制とをどの程度で、どこで調和さすべきかということは非常にむずかしい問題でございますが、ともかく、先ほど来申し上げております当業者主義の原則もございますので、取引所におきましてまずある程度意見が固まると、その上でどうしても最後に仕上げがうまくいかないというような場合に役所が介入をし、指導をするというようなことが望ましいのではなかろうかと考えております。
○桑名義治君 次に、またこれは内部の問題になるかと思いますが、定款あるいは受託契約準則あるいは業務規程、この問題についてお尋ねしたいと思いますが、商品取引所は商品取引所法と政令、それから省令に基づいて、定款、受託契約準則、業務規程、これらを主務大臣の許可を得てつくり、商品取引所の運営を行う、こういうふうになっているわけでございますが、この定款、受託契約準則、業務規程、これの一本化というものはできないものでしょうか。
○政府委員(天谷直弘君) 定款、業務規程、受託契約準則等は、商品取引所の設立の際の許可申請書の添付書類でありまして、これらの内容を審査した上設立許可を行うということになっており、取引所は、これらによりましてその運営を行っている次第でございます。
 定款では、商品取引所の組織及び運営に関する基本的事項と会員の権利義務等を規定することになっております。業務規程は、その商品取引所に上場している商品の売買取引の締結、市場管理の方法等売買取引に必要な事項を定めております。受託契約準則では、売買取引の受託の条件、決済の方法等、委託者と商品取引員間の受託契約のよるべき基準を定めているものでございまして、これらはいずれもその制定目的及び機能が異なっておるものでございます。
 御指摘の諸規程の一本化につきましては、現存受託契約準則は昭和四十一年以来統一されております。定款につきましても、外務員の登録、紛議の調停、商品取引員の義務等、会員以外の第三者に影響がある部分につきましては、取引所間で差異がないように配慮をいたしておる次第でございます。また、業務規程につきましては、個別の商品市場固有の事項を規定しておりますために、これは統一化するのが困難な点もございますが、市場管理等共通的な要素を持つものにつきましては、極力取引所間で整合性のとれたものになるように指導をいたしております。いずれにしましても、今回の改正法の施行に伴いまして、当然これらの諸規程を改正する必要が生じますので、その際、表現等も含めまして、できるだけ取引所間でばらつきがないように注意を払って、まいりたいと存じております。
○桑名義治君 次に、専業取引員の問題でございますが、最近の傾向といたしまして、現物の取り扱いはほとんどやらずに、受託業務を専業とするいわゆる商品取引員が増加している、このように聞いていますけれども、その中で農林と通産の両省の所管の商品の九〇%を占めるまでになった、こういうふうに言われているわけですが、このような傾向をどのようにとらえられておられますか。
○政府委員(天谷直弘君) 取引員が専業化することにつきましては、他の兼業務に左右されることなく受託業業務、外務員の管理、委託者管理等に専念できるという利点もございますので、委託者紛議等の社会的問題を起こすことがなければ、受託業務の適正な遂行のためにはむしろ専門化した方が好ましい面がございます。また、受託業務の遂行のためには、立ち会いのための施設、人員等を常時確保しなければならないので専業化せざるを得ないという面もあるわけでございます。ただし、専業取引員は、受注量の多寡が経営に直接影響するため、ややもすれば過当勧誘等を惹起する場合がございますので、これらの問題につきましては、今後とも十分に監督を行っていきたいと考えております。
○桑名義治君 次に、商品取引員の広告規制の問題でございますが、商品取引員が業界紙に、うちの店は損をさせない、させません、こういう式の広告を載っけたりすることが以前よくあったわけでございますが、商品取引員の広告への規制措置はどういうふうに行われているか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 商品の公正な価格形成を行いますためには、当業者の資金のほかに外部資金が必要でございますけれども、商品の生産、流通等の実態につきまして、全く無知な大衆が参加いたしますことは基本的に好ましくないと考えております。かかる観点から、商品取引員の広告、宣伝につきましては、各商品取引所の定款により承認を要するということにいたしております。さらに、この承認基準を全国一元的に運用する必要がございますので、各取引所の委任を受けまして全国商品取引所連合会、俗称全商連。及び全国商品取引員協会連合会、俗称全協連で構成しますところの中央審査会、ここで承認事務を行っております。
 現在行われておりますところの規制の概要を申し上げます。
 第一番目に、この承認を要する広告のグループといたしまして四つほどございます。まず営業案内、ダイレクトメール。二番目にポスター、看板など。三番目にラジオ放送のコマーシャルメッセージ。四番目に新聞、雑誌等の印刷物媒体の広告などでございまして、禁止文言を用いていないことが承認の基準であります。
 次に、第二のグループといたしまして、以下に申し上げますような広告媒体は原則として使ってはならないと禁止されておるもの、これが第一に、テレビ放送の番組提供またはスポットの放送。それから二番目に新聞、雑誌の折り込み広告。三番目に駅、電車内など一般公衆の目に触れる場所での広告などでございます。
 他方、承認を要しない広告といたしましては、禁止文言を用いない広告で一定スペース以下のもの、それから名刺程度の内容のもの、こういうものは承認を要しない。
 以上が広告規制の現状でございます。
○桑名義治君 次に、商品取引員の財務内容等についてお尋ねしておきたいと思いますが、現在、商品取引員は二百二十七社あるというふうに言われておりますが、最近は上位の二十社程度で全売買高の五割を占めるほどの上位の大型取引員と、それから中小の取引員との差が非常に著しくなってきた。そこで、上位の取引員の財務状況はどういうことになっているのかということと、それから、零細取引員の財務内容がどうなっているか。また、なお委託者数及び金額はどのくらいになっているのか、この数字をお示し願いたい。
 さらに、零細取引員のいわゆる統合を推進することを産構審では呼びかけているわけでございますが、この問題について業界にはどのような動きがあるのか。また、これに対して通産省としてはどのように考えているのか、この点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 大手と中小につきまして、最近の決算における収益状況を総資本収益率で見てみますと、大手五社の平均総資本が八十九億一千七百万円。それから、平均当期利益が二億四千万円、総資本収益率が二・六%。これに対しまして中小五社の平均総資本が十三億二百万円、平均当期利益率が二千二百四十万円、総資本収益率が一・七%でございまして、大手につきましては平均値も高く、収益率にもばらつきが少ないのでございますが、中小につきましては平均値も低いだけではなくて、ばらつきが目立っております。これは、大手取引員につきましては扱い商品が多いため、商品ごとの取り扱い高の変動も影響が少ないのでございますが、単品取引員につきましては、当該扱い品目の影響を受けやすいということによるのではなかろうかと推定されます。
 商品取引員は受託業務を営む者であり、このためその財務内容の充実が一つの重要な要素であると考えております。商品取引員の合併は、そのための一つの方策であり、資産の強化、ひいては委託者保護の観点から望ましいことでございますが、これは役所が強制するとか、あるいはあまり強くこれを慫慂するということではなくて、やはり基本的に当事者がその気になるということが大切ではなかろうかと存じます。いわば一種の結婚のようなものでございまして、役所が結婚を強制するということは不適当でございますが、結婚の仲介あっせんぐらいのことは、もちろんそれはやるにやぶさかでございませんけれども、まず、当事者がその気になりまして推進をしていくということが望ましいことであろうかと存じます。
 いまここで現在、それでは一体どういう結婚話が進行しているかというようなことは、手元にはいま資料持っておりませんので、いま申し上げることはできませんけれども、一般的には、そういう態度で民間の自主的統合の進展を促進したいというふうに考えております。
○桑名義治君 通産省としての考え方はこれで大体わかったわけでございますけれども、しかし、業界の動きそのものについて少し鈍感過ぎるのではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。何となれば、昭和四十九年、昨年の四月にこの答申が出されて、そしてこの答申が出されたことによって業界がどのような動きをしているか。この自主的な動きの中に、さらに後から追認をするという形で常に業界は動いているというお話を先ほどからたびたびなさっておられます。そういった意味から言いますと、委託者の保護という立場から考えても、これは好ましいというならば、じゃ業界はどのような動き、どのような反応をしているかということをいち早くキャッチしていることが、これまた一つの大きな仕事ではなかろうかと思うのですが、その点どうですか。
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのような方向で努力をしていきたいと存じます。現在のところ、残念ながら業界の中で合併が具体化しておるようみ動きはまだないというふうに承知をいたしております。
○桑名義治君 具体的なそういう合併の話ではなくて、どう受けとめているかという、その方向性について一日も早くこれは敏感に反応するような行政でなければならない、こういうふうに思うのです。
 次に、商品取引員の資格を失った場合の対策についてお伺いをしておきたいのですが、今回の法改正によって、これは四年で更新をされるというふうになっておるわけでございますが、商品取引員の更新は、法第四十四条におきましてその許可基準に照らしての厳しい審査が行われる、こういうふうに思うわけでございます。もし万一、更新されずに商品取引員の資格を失うようなことが起こった場合、これは委託者は多大な影響を受ける、こういうふうに思うわけでございますが、そうした場合の対策をどのように考えられているか、これをお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) その商品取引員は、常時財務内容の評価、それから営業姿勢を正すという努力をしなければなりませんわけで、そういう努力をしてをればもちろん更新はされるわけでございます。不幸にして更新を認められないようなケースが出てきた場合におきまして、委託者に迷惑をかけるということは、これはもってのほかのことでございますから、受託業務保証金制度及び指定弁済機関による代位弁済制度によりまして、委託者の債権の保全は図られるというふうに考えております。
○桑名義治君 それは、今後この法改正がなされた後のいわゆる手当ての問題でございますが、いままでの場合に倒産やその他の事項によって取り消された場合、どういうふうな措置をとられてきたか、それを参考までに伺っておきたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) いままで倒産が昭和四十六年に三件、四十八年一件、四十九年一件というような割合で起こっておりまして、四十六年の場合の委託者数は六百八十人、四十八年が百十四名、四十九年が二百十名。それから債権総額でございますが、四十六年は十三億七千万円、四十八年が三億一千万円、四十九年が四億三千万円というようなことになっております。
 四十六年の丸上商会という例で申し上げますと、委託者債権が九億八千万円に対しまして、返還額は六千三百万円ということになっております。それから四十九年の辰巳商品でございますが、この場合は、委託者債権額が四億三千万円でございます。なお、委託者数は二百十人で、返還額は二億四千二百万円が返還をされることになっております。目下まだ事件が進行中でございまして、決着はしておりませんが、おおむね二億四千二百万円程度、返還率は五六%くらいということでございます。ですから、四十六年のときは非常に委託者に対する迷惑の度合いが大きかったわけでございますが、四十九年の場合にはやや改善されておる。しかし、こういうことでは非常に委託者の保護が不完全でございますので、先ほど申し上げておりますような新しい制度によりまして、さらに委託者保護の万全を期したいというわけでございます。
 なお、辰巳の場合でございますが、二億円は全協連等が負担をいたしておるわけでございますが、これは業界として道義的に連帯責任があるという考え方で、この取引員が、全協連のメンバーが供出をいたしたものでございます。
○桑名義治君 次に、外務員の問題についてちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、売買の委託の勧誘のみがいままで外務員には認められていたわけでございますが、今回の改正では、取引員の法定代理人としての受託行為も行えるというふうに権限が拡大をされたわけでございます。これはひとえには、先ほどからたびたび説明がなされておりますけれども、いわゆる委託者の危険負担を会社がともにするのだ、こういう意向のもとに行われたというふうに言われておりますが、この権限の拡大とそういう危険負担を会社が見るというこの二つを合わせてお互いのメリット同志、メリット、デメリット、こういうものをてんびんにした場合、少しまだこの時期が早かったのじゃなかろうかというような気がするわけでございますが、その点どういうふうに考えられていますか。
○政府委員(天谷直弘君) 外務員の権限拡大は、これは従来のままでございますと、要するに外務員が委託の勧誘だけできるという制度でございますと、取引員が責任を回避してしまうという問題が起こりましたために、この問題を解決する手段としての改善案でございます。
 すなわち、たとえば委託の勧誘で、お客の方は確かに契約をしたと思って、うんともうかったと思って喜んでおりますと、いや、そんな契約は取引員の方じゃ知らない、それは外務員が何か勝手にやったことだろうというようなことで逃げてしまうとか、あるいは逆にお客が損をした場合ですと、今度はそれを厳重に取り立てるとかいうことで、外務員の権限、義務、責任、こういうものが不明確でございますと、取引員なり外務員なりの都合のいいように解釈されてしまう。こういうことでは顧客の立場が非常に害されますので、そういう点を改めるために権限を強化したというよりも、むしろ責任を明確にし、かつ強化したということでございますので、これに伴うメリットはございますが、デメリットというのは余りないのではないかろうかというふうに考えております。
○桑名義治君 そこでまた外務員の問題でございますが、これはもういままでの紛争の起こった問題については、大概が外務員の資質の問題にあったわけでございますが、商品取引所内の研修あるいは社内研修、講習会、こういう制度がありますけれども、依然としてこうやった不良外務員の不正が後を絶たないわけでございます。一時から見ると非常に下火になったわけでございますが、いずれにしましても研修制度の統一とか、あるいは内容を検討をする必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどのようにお考えになっていますか。
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘のとおりでございまして、外務員の質をよくするためには、いま申し上げましたような権限の拡大ということも必要でございますが、やはり研修、教育によりましてじっくりと外務員の質を向上させていくということがきわめて重要であるというふうに考えております。現在行っております研修制度でございますが、まず商品取引員が行う研修といたしまして、採用後三カ月間の社内研修がございます。それから次に、登録後三カ月間の実務研修というのがございます。それから次に、全国商品取引所連合会の行う研修といたしまして六日間の研修がございます。こういう研修制度の拡充強化、特に全商連で行っている六日間の研修というのが期間も短か過ぎますし、したがいまして内容も十分ではないということになりますので、これをさらに拡充強化するということが重要であろうかと存じます。研修期間の長期化を図るとともに、研修内容を充実するために、たとえば外部講師を多数招聘いたしまして、広く経済、流通問題等を含めるほか、外務員は二年ごとに登録の更新をやっておるのでございますが、再登録に際しましては、再研修を義務づけるというようなことも必要ではなかろうかと思って、そういう方向で指導をしてまいりたいと存じております。
○桑名義治君 いままでの研修を考えてみますと、技術的な面についての研修だけではやはり不足だと思うのです。いまから先の研修そのものに、いわゆる業界員としての一つのモラル、これを欠くと、つれを植えつけるということが一つの重要な課題になるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。その点についても御検討をさらにお願いをしておきたいと思いますし、今度の改正では、外務員は受託に当たっては、あらかじめ受託の条件等を記載した書面を交付し、その内容を説明しなければならないということになりまして、一歩前進という形だということは評価ができるわけでございますが、それと反対に、いわゆる禁止行為、これをその書面の中に記入するというような事柄も同時に行われると、さらに効果が生まれるのではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、この点どうでしょうか。
○政府委員(天谷直弘君) 書面の記載内容につきましては、省令で細かく定めるということになっております。これには売買取引の条件、それから委託証拠金に関する事項など、従来紛争の対象しなりがちな事項を記載事項として一応考えておりますが、先生から御指摘がございましたような、外務員の禁止事項を明確化する、そして書面に記載するということはきわめて有効であろうかと存じますので、そういう方向で考えたいと存じます。
○桑名義治君 あと二問で終わりたいと思いますが、紛議の処理の法制化についてでございますが、紛議の申し立てとその処理は、現在受託契約準則で決めてはございますが、より一層制度的に確固たるものにするために法制化を進めてもいいのではなかろうか、こういうように考えるわけです。確かに過去の統計からながめて見ますと、紛議は四十三年、四十四年、四十五年とここら辺をピークにしてやや下がっているようではございますけれども、こうやった紛議が迅速に、しかも公平な立場で解決がされるためには、やはり制度化をする必要があるんではなかろうかというふうに私は強く感じているわけでございますが、その点どうでしょうか。
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘のように、紛議の処理は、現在は各商品取引所の紛議調停により行われておるわけでございます。この紛議の処理を明確化するために、受託契約準則におきまして委託者が取引所に紛議調停の申し立てをすることができるという旨を定めておりますとともに、各取引所の定款において調停の具体的な手続等を規定しておるところでございます。このように定款等で紛議の調停手続等が明確に定められていること、これらの定款や受託契約準則は、主務大臣の許可または認可を受けて制定されたものであり、かつ会員に対し拘束力を有するものであること、また、取引所において紛議調停を行う現行制度のもとでは、取引所の自治規則である定款等で定めることが妥当であること等々の理由で、現在の制度でいいのではなかろうかというふうに一応考えております。なお、この紛議調停が公正に行われることは言うまでもないことでございますので、これからの紛議調停の実情等をよく見まして、どうしても法制化する必要があるというような事態が発生しましたら、その方向で考えることもあり得るかと存じますが、現段階では、いまのやり方を厳重に指導監督していくという方向でまいりたいと存じております。
○桑名義治君 次に、新しい上場商品すなわち銅の地金、合板、それから羊毛トップを現在検討している、こういうふうに聞いておりますけれども、この三つの商品を上場商品の対象として検討をされておられるのかどうか。それと、当該業界の意見はどういう意見なのか。また、可能性についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 羊毛トップにつきましては、すでに昭和四十四年以来名古屋繊維取引所を中心にいたしまして上場の検討が進められており、また、仲間取引も三十七年以来行われておりまして、当業者間における上場の機運というのは相当盛り上がっているわけでございます。
 問題は、現在上場されている毛糸との関係をどうするかということでありまして、その辺まだ当業者の意見が固まっておりませんので、当業者間の意見等も勘案いたしまして、今後検討していきたいというふうに考えております。
 それから次に銅でございますが、これはロンドンにロンドン・メタル・エクスチェンジという国際的な取引所があるのでございますが、これにヘッジすることが困難な中小問屋等を中心として上場してほしいというような動きがございます。四十九年十一月以来、週一回の仲間取引が行われておるわけでございます。しかし、産銅メーカーその他との調整の問題もあり、まだそういう当業者間における意見の調整というのはほとんど進んでいない状況でございますので、希望があることはよく承知いたしておりますが、通産省としてどうこうというほどのことにはなっていないわけでございます。
○桑名義治君 終わります。
○小柳勇君 私は、農林省、通産省に二つの問題を提起しておきました。
 一つは、取引所員及び外務員の生活の安定、資質の向上などに対する対策、それから第二の問題は、シカゴ相場、ロンドン相場によって日本の上場品が相当支配されてまいる。特に食料品など外国の市場の相場によって支配される。したがって、国際的な商品取引所の育成などについて政府はどう考えるか。この二問について質問する予定でございましたが、これは両方とももう質問は終わりました。したがって、私の質問は終わったわけであります。
 そこで、この後の附帯決議との関連がありますから、二つの問題、簡単な問題だけを質問して私の質問を終わろうと思うんです。
 一つは、昭和四十二年の改正、これは私も商工委員として審議に参加したのでありますが、その結果、商品取引員の数が五百八から二百六十二に下がった、許可制になりましたから。それから、従たる営業所の数が九百一から六百七十四に下がっている。それから、登録の外務員の数が八千三百から六千三百十三に下がった。この前の改正によりましてたとえば選考が厳しくなって、あるいは許可制になりましてそれだけ選択されたと理解しておるのですが、今回の改正によりましては、これから統計的にどういう数字が出てくるか、どういうふうに現状から改善されてまいるか。ここ三年たち、五年たちますと、いま私が申し上げたように、四十二年の改正ではこういうふうによくなりました、今回の改正によってはこれから三年、五年たちますとこういうふうによくなります、こういう問題について御説明を求めます。
○政府委員(天谷直弘君) まず、取引員の数でございますけれども、これにつきましては、現在の取引員の中で許可を更新できないというような者の数は非常に少ないと思いますので、数としては、おおむね横ばいというようなことではなかろうかと存じております。それから外務員、従たる営業所の数等につきましては微増という程度で考えております。
○小柳勇君 第二問は、産構審の答申の中の五つばかりの項目を今回の法改正ではほり上げてございません。これについては、将来にわたって検討しなきゃならぬ問題もあると思います。いますぐやるべきではなかったかなと私ども考えるのもありますが、これらの問題はいつ処理されるつもりであるか、御答弁を求めます。
○政府委員(天谷直弘君) 答申に盛り込まれてあった事項で、今回の法改正においては規定されていない事項が、第一が商品取引所の合併規定でございます。この合併の問題は、これも先ほどの取引員の合併と同様でございまして、基本的には、総論といたしましては合併強化ということは非常にけっこうなことであると存じますんですが、各論の方で、各取引所がやはり合併する意思があり、利害の調整等が行われなければうまくまいりませんので、そういう機運が盛り上がるということがやはり必要なことであろうというふうに存じております。そういう合併機運が盛り上がりまして、それから、現在の手続でも合併できないことはないんでございますが、現在の手続じゃ非常にたくさん出てくる合併に不便であるというようなことでありますならば、合併規定の立法化ということを考えたいと存じます。
 それから、委託者債権の完全分離保管及びクリアリングハウスの問題でございますが、これにつきましては、現在の、今度の改正しました案の成果といいますか、結果をよく見守った上で考えたいと存じます。
 それから、取引所の理事長及び監事の主務大臣承認制でございますけれども、これにつきましては、現行法の役員の解任規定というものを活用していけば済むことではなかろうかというふうに考えております。
 それから、商品取引所の中央機関の法制化につきましては、やはり商品取引所の自発性というものが重要であろうかと存じます。
 それから、会員資格の拡大につきましては、現在の同業者以外に、たとえば指定倉庫業者等を入れましても、余り実益はないのではなかろうかというふうに考えております。
 以上でございます。
○委員長(林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 商品取引所法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(林田悠紀夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 小柳君から発言を求められておりますので、これを許します。小柳君。
○小柳勇君 ただいま可決されました商品取引所法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同提案による附帯決議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同を願います。
 案文を朗読いたします。
   商品取引所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、商品取引所の健全な運営を図るとともに、委託者保護に万全を期するため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一、商品取引所制度の一層の改善を促進するため、従業員の生活安定に留意しつつ取引所の整理統合、商品取引所の中央機関の設置等残された問題について引き続き検討を加えること。
 二、上場商品の整理または追加に際しては、経済事情を勘案するとともに、関係者の意見も十分考慮すること。
 三、過当投機と紛議を未然に防止するため、当業者主義の原則に基づき商品取引所の機能の正常化を図り、一般大衆の参加は過度にならないように一定の制限を設けることを検討すること。
 四、商品取引所の公正中立な運営を図るため、商品取引所の役員に会員以外の第三者を選出するよう指導を強めること。
 五、外務員の権能の拡大に伴い、商品取引員及び外務員の資質の向上を図るよう指導を一層強化すること。
 六、国民に商品取引所制度の機能、役割について正しい理解を持たせるとともに、実際の商品取引及びその危険性についても広報活動を充実すること。
  右決議する。
 以上であります。
○委員長(林田悠紀夫君) ただいま小柳君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(林田悠紀夫君) 全会一致と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、河本通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通産大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) ただいま御決定になりました御決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、今後行政を進めてまいりたいと存じます。
○委員長(林田悠紀夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十七分散会