第075回国会 決算委員会 第2号
昭和五十年一月二十一日(火曜日)
   午前十一時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月二十八日
    辞任         補欠選任
     工藤 良平君    茜ケ久保重光君
     和田 静夫君     久保  亘君
 一月十六日
    辞任         補欠選任
     橋本  敦君     神谷信之助君
 一月十七日
    辞任         補欠選任
     野末 陳平君     市川 房枝君
 一月二十日
    辞任         補欠選任
     田代富士男君     上林繁次郎君
 一月二十一日
    辞任         補欠選任
     山内 一郎君     園田 清充君
     上林繁次郎君     田代富士男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前川  旦君
    理 事
                今泉 正二君
                鈴木 省吾君
                園田 清充君
                小谷  守君
    委 員
                遠藤  要君
                河本嘉久蔵君
                木内 四郎君
                小林 国司君
                世耕 政隆君
                松岡 克由君
               茜ケ久保重光君
                案納  勝君
                久保  亘君
                小山 一平君
                二宮 文造君
                峯山 昭範君
                加藤  進君
                神谷信之助君
                市川 房枝君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
      (国家公安委員
       会委員長)
      (北海道開発庁
       長官)      福田  一君
   政府委員
       内閣官房副長官  海部 俊樹君
       警察庁長官官房
       長        下稲葉耕吉君
       警察庁警備局長  山本 鎮彦君
       行政管理庁行政
       管理局長     小田村四郎君
       北海道開発庁総
       務監理官     秋吉 良雄君
       環境庁水質保全
       局長       大場 敏彦君
       国土庁地方振興
       局長       近藤 隆之君
       厚生省公衆衛生
       局長       佐分利輝彦君
       厚生省薬務局長  宮嶋  剛君
       資源エネルギー
       府石油部長    左近友三郎君
       海上保安庁長官  寺井 久美君
       自治省行政局長  林  忠雄君
       自治省財政局長  松浦  功君
       自治省税務局長  首藤  堯君
       消防庁長官   佐々木喜久治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       警察庁交通局参
       事官       鈴木金太郎君
       環境庁自然保護
       局企画調整課長  新谷 鐵郎君
       法務大臣官房審
       議官       鈴木 義男君
       法務省人権擁護
       局総務課長    森   保君
       厚生省環境衛生
       局指導課長    河内 莊治君
       厚生省薬務局麻
       薬課長      本橋 信夫君
       食糧庁総務部企
       画課長      小野 重和君
       水産庁研究開発
       部長       佐々木輝夫君
       運輸省自動車局
       業務部長     真島  健君
       自治省行政局選
       挙部長      土屋 佳照君
       自治省財政局調
       整室長      高田 信也君
       会計検査院事務
       総局第一局長   高橋 保司君
   参考人
       北海道東北開発
       公庫総裁     吉田 信邦君
       公営企業金融公
       庫総裁      荻田  保君
       三菱石油株式会
       社取締役社長   渡邊 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七
 年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣
 提出)
○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十二回国会内閣提出)
○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十二回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十二月二十八日、工藤良平君及び和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として茜ケ久保善光君及び久保亘君が、また一月十六日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君が、一月十七日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として市川房枝君が、昨二十日、田代富士男君が委員を辞任され、その補欠として上林繁次郎君が、また本日、山内一郎君、上林繁次郎君が委員を辞任され、その補欠として園田清充君及び田代富士男君がそれぞれ選任されました。
○委員長(前川旦君) 次に、ただいま御報告のとおり、田代富士男君及び山内一郎君の委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それでは理事に、田代富士男君及び園田清充君をそれぞれ指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(前川旦君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 昭和四十七年度決算外二件の審査中、水島コンビナート重油流出事故の原因と対策に関する件について、本日、三菱石油株式会社取締役社長渡邊武夫君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、自治省及び総理府のうち警察庁、北海道開発庁とそれに関係する公営企業金融公庫並びに北海道東北開発公庫の決算について審査を行ないます。
 この際、おはかりいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記を起こして。
 それではこれより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
○前川旦君 海部官房副長官お急ぎのようですから一番先に質問さしていただきます。
 まず、事故原因の徹底調査を、これは徹底して行なってもらいたい。いま技術上の専門家が入っているようでありますが、技術的なものだけではなくて、企業なりあるいは各省庁の、あるいは地方自治体も含めて初動体制に問題がなかったかどうか、そういうことも含めて徹底的な事故原因の調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(海部俊樹君) 御指摘のとおり、連絡会議を設けたり現地の対策本部を設けてそれぞれの角度から徹底的な調査を行なっておりますし、いま御指摘のように、初動体制の問題等につきましても、今後こういった問題が起こることがないようにもちろん願っておりますが、もしかりにあったとすれば、初動体制というものがきわめて重要でありますから、それに対しては万遺漏なきようにただいま体制を整備しておる最中でございます。
○前川旦君 初動体制に欠点がなかったかどうかについての調査も含めてしていただきたいということでありますが、その点いかがですか。
○政府委員(海部俊樹君) 初動体制につきましては、全く完ぺきに行なわれておったと断言できないような状況もあるようでございますので、そういったことについても関係各省から正確な正直な報告の提出を待って検討をいたしております。
○前川旦君 次に、いま油の除去を懸命にやっておるところでありますが、この油除去ですね、この作業を中途はんぱのところでやめないで徹底的にやってもらいたい。これは地元の強い要望です。人事を尽くして天命を待つということばがありますが、人事の限界までこの油除去をやってもらいたいという強い希望がありますが、この点についての御決意はいかがですか。
○政府委員(海部俊樹君) これはもう言うを待たない御指摘でございまして、油の回収についてはもうでき得る限り、人事の尽くせる限りやろうという決意でございます。
○前川旦君 こういう事故につきましては、何といってもとっさの初動体制というのがたいへん大事になりますね。そこで今度の状況を現地で見ますと、それぞれの関係者が、自分の守備範囲といいますか、権限というものが十分に把握されてなくて、まあ立ちすくんだような状態がいろいろ見られました。
 そこで、これを契機にして、こういう事故が突発した場合に、とっさの場合ですね、企業が果たす役割り、守備範囲は一体どういうことになるのか。地方自治体あるいは港湾管理者、これは一体どういう役割りを果たせばいいのか、どこまでが権限なのか。海上保安庁の守備範囲は一体どういうところにあるのか。それから出動を要請されて出る漁業者とか自衛隊、こういったものの守備範囲は一体どうなのか。それぞれの関係省庁あるいは地方自治体等々ですね、権限と守備範囲といいますか、それをあらかじめ明らかにして、事前によく訓練をして連携、連絡を事前に十分やってないと、とっさのときに、いやあれはそっちだと、その問題はそっちだと、何かうまく動かないで立ちすくみになる可能性があると思います。この点についてどのように今後対処されますか。
○政府委員(海部俊樹君) 今回の場合もたいへん不幸なできごとが現実に起こったわけでございますので、直ちに、その油の回収についてはもちろん海上保安庁、被害補償の問題についてはこれは水産庁、環境影響調査は環境庁、事故原因の徹底的究明は消防庁と、国のほうではそれぞれの権限をきめて相互の連絡を密に行なっておりますし、また今年に入ってから地方公共団体の複数にまたがる地域に被害が拡大しつつあるということで、現地の対策本部を自治政務次官を本部長としてお願いをしていろいろしておるわけでありますが、御指摘のように不幸な状況がもし今後起こる場合には、今回の経験を十分に生かして初動体制というものが適確迅速に組まれなきゃならぬのはこれは御指摘のとおりでありますので、たとえば対策要綱といったようなものをつくって、こういった不測の事態に備えていこうというような心がまえでおる次第でございます。
○前川旦君 ただいまのは対策本部ができたあとですね、どの対策はどこがするか、どこがするか、こういうことでの御答弁であったように思いますね。私が言いたいのは、事故が起こった直後ですね、そのときにそれぞれの権限がわからないで立ちすくんでいたという実態があるんです。ですから、たとえばとっさのことですから、一つやっぱり柱が要るわけですね、命令を出したり指示したりする柱が要る、その柱がたとえば海上保安庁なら海上保安庁ということにして、たとえば自治体ですね、県も市もその指導下に入る、指示下に入るとか、あるいは消防もその指示下に入るとか、企業もその指示下に入るとか、とっさの場合のそれぞれの権限、有機的なプレー、それから縦、横じゃなくて、上下の指示関係、そういうものを適切にやらないとどうもまごまごして、まごついてしまってそのうちに手おくれになる、こういうおそれがあると思うんです。今度の場合でもそういう傾向がありました。何を一体やっていいかわからない、どうしていいかわからない、立ちすくんだような状態がありました。ですからその辺の整理をきちっとしていただいて、事前に十分徹底して、あるいは訓練もしていただいて、初動体制に立ちおくれのないようなとっさの場合の体制をとっておいてもらいたい、このように思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(海部俊樹君) おっしゃるように、たとえば事故が不幸にして起こった場合の企業からの通報義務であるとか、あるいはそれを受けた場合に地方公共団体と国とがどういう仕組みでどこが受けざらになって直ちに連絡をとるとか、いろいろな問題で当初に万全的な措置がとられなかったことは今回の率直な反省でございますので、またおっしゃるように、海上保安庁をその中心にして、そこから出すということが適当なのかどうかということは今後各省との連絡協議をしてきめていかなきゃなりませんが、いずれにしましても、一番迅速適確に手が打てるような体制はどうしたらいいかということはこれは十分検討をしてその柱を立てていきたい、いまそういう考えでございます。
○前川旦君 これはまごまごしているうちに、あしたにでもまたこういう事故が起こるかもしれませんから、できるだけ早く初動体制ができるような体制を責任を持って早く立てていただきたい、このことを強く要望しておきます。
 それから、現地の対策本部のメンバーを見ますと、厚生省がこれは入っていませんね、入ってないようですね。ところが、魚は食べるものですからね、食品衛生上非常に問題がある。出た油にどういう有毒成分があるのか、たとえば発ガン性の物質があるのかどうか、それがプランクトンにどういう影響をするのか、それが魚にどういう影響をするのか、人体にどんな関係があるのか、その辺のこともたんねんに調べていかなきゃいけませんね。自治体ではすでにそういう体制をとっているところもあります。ところがちょっとこれ抜けているように思いますが、その点についてどうお考えですか。
○政府委員(海部俊樹君) 御指摘のような事態になりまして、昨日も現地からの連絡や、あるいはわがほうでもいろいろ検討いたしまして、厚生省が現地対策本部に参加をするように手配をいたしたと、こういうことでございます。
○前川旦君 私が言いました趣旨のとおりすでに手配済みで入ることになったわけですね。――それではそれでけっこうです。
 お急ぎのようですから以上にしておきますが、どうか二度とこういうことが起こらないように徹底的な調査と徹底的な油回収と、この点だけは強く重ねて要望しておきます。
○政府委員(海部俊樹君) 御発言の趣旨、十分尊重いたしまして、対策に全力をあげていきたいと思います。
○前川旦君 けっこうです、お急ぎですから。
 それでは少しゆっくりやります。環境庁にお尋ねいたしますが、環境庁長官は一月の四日に岡山県での記者会見で、海洋汚染防止法の改正をして、刑事罰ですね、重い刑事罰を科せられるようにしたいと、こういう発言をなさっているようであります。私はこれはたいへん至当な発言だと思いますね。これほどの大きな影響を及ぼすんですから、その原因となった加害者に対して、やはり過失責任ということになりましょうが、刑事罰をかなり重いのを科せるということにならないと私は妥当性を欠くと思います。その点についてのお考えはいかがですか。
○政府委員(大場敏彦君) 今回の事故の関係する法律といたしましては、たとえば消防法がございますし、あるいはただいま御指摘になりました海洋汚染防止法もございます。あるいは水産資源保護法に基づく岡山県の漁業調整規則といった法令もありますし、これらの法規との関連につきましては、それぞれ担当の省庁でいま御研究なさっていることと推量いたしておりますが、環境庁が当面所管しておりまする法律といたしましては水質汚濁防止法――御存じのとおりでございますが、水質汚濁防止法がございます。で、これとの関係において本件が同法によりまして刑事罰を打てるかどうかと、こういった点にわれわれ非常に関心を持っていま追求している最中でございますが、水質汚濁防止法は御承知のとおり、特定施設を持っている工場あるいは事業場等から排水口を通じて排水が流れると、その排出水が排出基準に適合していない場合には罰則で打つと、こういった規定になっているわけであります。言うなれば、工場とか事業場といったものから出る排出水をティピカルな例としてつかまえておると、今回の事故みたいに突発的な、しかも排水口だけではなくて、大がかりに自然体から出てくるというような事故につきましては、必ずしもすべての人が予想しておったということに言い切れない面がございます。しかし、環境に与える影響は非常に、むしろ工場排水の場合よりも大きいわけでございますから、同法との関連につきましていま事実関係を整理、究明して、その違法性の問題につきまして関係方面と打ち合わせ中でございます。せっかくその結論を急ぎたいと思っているわけであります。
○前川旦君 私は、違法性の問題をあなたにどう検討しているかと聞いたんじゃないんです。よろしいですね。それも大事なことでしょうけれども、法の拡大解釈は好ましくありませんから、明確に過失責任を法律で明らかにやっぱりすべきである、そのための法改正が必要である、このように私は申し上げているんです。しかも環境庁長官が記者会見でそれを言っておられる。ですから将来――近い機会に法改正をして、あいまいな形ではなくて明確にするんだということをお答え願いたいんですが、その点いかがですか。長官が言っておられるんです。
○政府委員(大場敏彦君) 私も長官が水島に参りましたときにお供をしてまいりましたわけですが、その際に長官が申し上げましたことは、水質汚濁防止法あるいは海洋汚染防止法その他の法令について見直すべき点がいろいろあるだろうと、その点、どれをどういじるか、そういった問題につきましては、いろいろ専門家の意見を聞いて対処していきたいと、こう申し上げたわけで、断定的に海洋汚染防止法を改正するというぐあいに申し上げているというふうには聞いておりません。ですから、それぞれ担当の関係の法規を所掌している官庁におきまして、いまそういった今回の事件とそれぞれの法規との関連についての研究、検討をなさっている、こういった段階でございます。
○前川旦君 私が聞いているのは、いまの法改正をして――あなたのところの管轄でしょう、この法は。この法改正をして明確にすべきではありませんか、その意図はないんですか、このことを聞いているんですから、その点についてお答えをいただきたいんです。
○政府委員(大場敏彦君) 私が先ほど申し上げましたように、環境庁が直接所管しております法律は水質汚濁防止法でございます。先生がいま御指摘になっております海洋汚染防止法は、どちらかといいますれば、海上保安庁が主管官庁になっている法律でございますので、私のほうは水質濁汚防止法につきましてのいま研究をしているということを申し上げたわけであります。
○前川旦君 それなら、環境庁ですから、全体をやっぱり見なきゃいけないわけでしょう。これはあんたのところだから、私のほうは知りませんよ――私はそんな態度で環境庁として役割り果たせるのかどうかたいへん疑問だと思います。ですから、これはどうなんですか、はっきりお答えできないんですか。よその省のことだからはっきり言えないというんですか。環境庁として何らかの形でこの刑事罰を明確にするように法改正すべきであるというはっきりしたお考え出せませんか。どうなんです。
○政府委員(大場敏彦君) よその法律だから全然環境庁は関せず焉ということを申し上げているつもりはございません。環境保全上に非常に重要な影響を持つ事故でございますから、よその省に広いろいろ私どもも申し上げるところは申し上げたいし、いろいろ意見の調整はしている最中でございます。
 ただ、刑事罰の問題につきましては、水質汚濁防止法でも打てるのじゃないだろうか、こういった考え方もありますので、それにつきましてまず結論を出したいということで急いでいるわけであります。
○前川旦君 いや、あのね、明確に法改正をして刑事罰が科せられるように明らかにする方向で考えているかどうなんですか。その方向は進んでいるんですかどうなんですか。
○政府委員(大場敏彦君) 水質汚濁防止法でできるだけ刑事罰がかけられるような形でこの問題を処理したい、こう思っておりますので、現行法の規定が活用できないかどうかということをまず一義的に考えて、各方面と打ち合わせをしている、こういうことでございます。
○前川旦君 法改正によって明確にすっきりしたかっこうにするという考えはないんですか、その方向はあるんですか、どちらなんです。
○政府委員(大場敏彦君) 現行法の規定との関連を考えた上で結論を出したい、こう思っております。
○前川旦君 あなたとコンニャク問答みたいな――コンニャク問答ですね。もっとはっきりおっしゃったらどうなんです、その場限りのことばの遊びじゃないんですから。刑事罰が明確にあるんだということとあいまいだということではずいぶん違うんですよ。違う。ですから、これほど大きな加害者ですから、当然過失責任の刑事罰があってしかるべきなんです。その方向で取り組む、その姿勢があってしかるべきなんですよ。そのことを私はあなたにさっきから五分以上も聞いているんですよ。コンニャクの答えしないで、もっと責任ある答えできませんか。いかがなんです。
○政府委員(大場敏彦君) 現行法規にせよ、あるいは法律を改正する形にせよ、何らかの形で刑事罰で打てるような形を研究したい、こう思っております。
○前川旦君 どうも私はコンニャクあまり好きじゃありませんから、次の機会に長官に来ていただいてやることにして、これは保留いたします。
 それではエネルギー庁にお尋ねしますが、見えていますね。
 エネルギー庁は石油産業の直接の行政責任者であろうと思いますが、今回の事故についてどういう責任を感じておられますか。つくったとかたくわえたとかこれが任務であって、防災や消防は保安庁だ、消防庁の任務だと知らぬ顔しておるわけにいかぬと思いますね。特に今度備蓄をふやすということで、今度の予算にもその予算がつきました。したがって、備蓄をふやすということになると、特に安全確保について非常に重点を入れなきゃいけなくなると思います。したがって、エネルギー庁としてこの安全確保についてどういう指導を具体的にするつもりなのか、その具体的な方針と決意をどう持っていらっしゃるのか、まずこれについてお伺いいたします。
○政府委員(左近友三郎君) まず最初に、今回の非常な広範囲に影響を及ぼす事故が起こりましたということに関しまして、石油産業を所管しております資源エネルギー庁といたしましても、まことに申しわけないことであるということを感じております。資源エネルギー庁といたしましても、この石油産業を所管しております以上、石油産業が起こします問題、ことに安全問題について十分な指導をやっていきたいというふうに感じております。
 具体的にはいろんな消防法その他の各種の法律がございますけれども、そういうふうな法律を順守いたしましてしかもそれが完全に守られるように製油所単位で実行させるということは、われわれが指導しなけりゃいけないというふうに感じております。ことにいま先生がおっしゃいましたように、今後日本の経済の安全を保障するために九十日の備蓄を遂行していかなければいけないという段階になってまいりますと、その備蓄が安全に行なわれるということが絶対必要でございます。したがいまして、今後とも石油産業に対して生産活動をやる際に安全を十分重視するように指導してまいりたいと思っております。この事故が起こりましても、さっそく各企業に各製油所の安全対策についての全面的なチェックをさしておりまして、その報告も出てまいっておりますので、その報告を見ながらまたさらに指導してまいりますし、また消防庁その他で現在事故調査も進められておりますので、その事故調査の結果を待ってさらに安全対策を進めてまいりたいと思っております。
 なお、この九十日備蓄につきましては、来年度予算から備蓄を進めていくような計画になっておりますが、その予算の中におきましても、都道府県がその備蓄に関して安全対策の調査を行なう場合には補助をするというふうな制度も設けまして、来年度予算案に五億円の計上をしておりまして御審議を得ることになっております。
 このようないろんな対策を講じまして、今後石油の、日本経済の基礎になります石油の安定供給としかもそれが十分な安全を確保されて行なわれるということにつきまして一生懸命にやってまいりたいというふうに考えております。
○前川旦君 ことばはどうでもいきますが、どうか実行の面で実効のあがるようにわれわれもこれ追及をずっとしていきたいと思いますので、いまおっしゃったとおりを具体化していただきたいと思います。
 そこで私が特に要望をしたいのは、瀬戸内海にこれ以上の石油の基地を増設をもう認めないでほしいということなんです。むしろ私は撤去してもらいたいと思いますよ、もう順次ですね。しかし、いま当面そうはいかないでしょう。とすると、この九十日に備蓄をふやす、しかし瀬戸内海のようなところにはその備蓄の設備をもう増設を認めない、こういう強い方針を私は持っていただきたいと思う。というのは、一たん被害があればたいへんに影響が大きい、広範囲にまたがります。したがいまして、その点についてどのような考えを持っておられるのか、私はぜひこれはもうこれ以上増設はまずやめてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(左近友三郎君) 九十日備蓄の基地というもので比較的大規模な備蓄基地を設けるという計画を現在考えておりますけれども、その基地を瀬戸内に置くということについては先生おっしゃるように非常に問題があるかと思いますが、この点につきましては今度の事故を教訓といたしまして十分検討してまいりたいと思いますが、極力瀬戸内には置かないようなふうに考えてまいりたいというふうに思っております。
○前川旦君 あなた方の慣用語で極力置かないようにというその内容は一体何なのかですね。普通すなおに聞けば、できるだけ置かないようにすると、万やむを得ないもの以外は置かないようにするというふうに受け取れますが、もう一つ突っ込んで、これ以上はだめだと、これでもう限界だと、これ以上は増設を認めない――もう一つ強い姿勢が私はほしいんです。あなた方の慣用語として極力ということばを使われますが、どうかそういう責任のあるお答えを私はいただきたいと思うんですよ。もうこれ以上は置かさないと、その方針です、こう私は言っていただくとかなり前に進むと思いますが、いかがですか。
○政府委員(左近友三郎君) この石油の貯蔵につきましては、大規模なものと、あるいは小規模なその地域に配送いたしますためのたとえば灯油の基地とかいろいろございますので、その点につきまして一切の備蓄施設を置かないというわけにはいかないと思いますが、しかし、その場合でももちろん現在以上の安全対策を講ずる必要があると思います。その大規模な原油の基地というものは、これは瀬戸内に置くことはむずかしいというふうに私は考えております。
○前川旦君 大規模な――九十日にふやすんですから、ずいぶんかなりの量がふえますね、これはいままでの量に比べて。そうしますと、かなりな設備を要するわけですね、当然。しかし、大規模な――その大規模というのはどれ以上を大規模というのかちょっとわかりませんけれども、常識的に考えて、やむを得ないのは例外としても、常識的に考えて瀬戸内海にこれ以上備蓄の基地が置かれることはもうないと判断しても間違いありませんか。
○政府委員(左近友三郎君) 先生お考えのとお、と思います。
○前川旦君 水産庁にお伺いしますが、現在つかんでいらっしゃる一番新しい被害額、それから将来どれぐらいに被害額がのぼるであろうという見通し、おわかりでしたらお答えいただきたいと思います。
○説明員(佐々木輝夫君) 現在までに関係四県ら報告を受けておりますノリあるいはワカメ養殖、それからハマチ養殖、そういった被害に、一部の県につきましての漁船の休漁による被害、これを合計いたしまして百五十九億七千五百七十二万円というのが現在われわれが把握しておる最新の数字でございます。この数字の中には、一部の岡山県等の漁船の休漁によります損失がまだ計上されておりません。実態については県の漁業団体等でまだ調査中でございまして、こういった被害がさらにこれに加わってくる。それから、今後の見通しといたしまして、いつごろの時点までに漁場が回復するかということがまだ現時点では明確になっておりませんので、これをある程度かなり上回る被害額が加算されると思いますけれども、全体の見通しにつきましては、まだわれわれも把握をいたしておりません。
○前川旦君 そこで、被害調査は水産庁の担当ですね。そういうことですね。この漁業被害についての算定の基礎が自治体によっていろいろまちまちになっている面がありますね。これは水産庁として統一した算定の指導をなさるんですか。あるいは第三者機関にこれはまかせるということにするんですか。直接おやりになるんですか。いろいろばらばらになっているようですが、その点についての取り組みはどうなさいますか。
○説明員(佐々木輝夫君) いま申し上げました報告は、各県の漁業協同組合の系統機関を通じまして、取りまとめました被害報告を県が調整いたしまして水産庁に報告したものを集計したものでございます。
 で、同じノリ養殖業と申しましても、県間はもちろんのこと、同じ県内でもかなり漁業の実態の違っているところがございまして、画一的に損害額を算定するのは実態に合わない面がございます。それからまた、被害を受けている程度につきましても、一部の地区につきましては、一、二回ノリのつみ取りがあったところもございますし、つみ取り前にほとんど全部損害を受けたところもあるといったような状況で、被害程度もまちまちでございますので、私どもといたしましては、直接の被害の算定につきましては、やはり漁業協同組合の系統機関を通じまして実態を掌握いたしたい。しかし、いま先生御指摘のように、いろいろ考え方の上で県間でアンバランスがあるのは、まあ漁業の被害を正確に把握する上でも支障がございますので、別途に水産庁といたしましては、各県の被害報告を参照しながら、たとえば漁船の休漁に伴う被害をどういう考え方で算出をするか、その場合に一方でその漁船を使いまして油の回収作業等に従事をいたしておりますので、そういったものとの調整を一体どういうふうにつけたらいいか、その場合の大体漁民一人当たりのいろんなまあ日当と申しますか、一日当たりの費用をどういうふうな考え方で算定したらいいかといったような共通の基本的な問題につきまして、関係県及び漁業団体を集めまして、いままでにも二、三回打ち合わせをいたしておりますけれども、一応統一できるところはできるだけ考え方をそろえまして、それに基づいて各地の実情に合わせて適切な被害算定をやるように一応団体等を指導しておるわけでございます。なお、このほかに一応関係県の漁業団体の間で協議をいたしました結果、第三者のひとつ鑑定も参考として求めたいということで、現在日本海事検定協会のほうに各県からそれぞれいま漁業団体の責任で鑑定を依頼し、その資料を参考にしながら今後の被害額を確定してまいりたい、かようなことで取り進めておるわけでございます。
○前川旦君 水産庁は長期の漁業に関する影響、長期的な影響、これも調査をするはずになっているとは思いますが、この長期というのはどの程度に考えていらっしゃるのか。現地としてはかなり長い間にわたって徹底的にやってもらいたいという強い要望があります。それも専門家を交えてほんとうの姿をキャッチしてもらいたいという要望があります。その点について、この長期の調査についてのお考えを伺っておきたいと思います。
○説明員(佐々木輝夫君) 今回の水島の重油事故につきましては、範囲も非常に広範でございますし、影響の程度から見ましても、相当長期間に影響が及ぶことを一応想定しながら調査体制を組む必要がある、かように私どもとしても考えております。去る一月の十六日に瀬戸内海の地区に国の研究機関といたしまして、広島に南西海区水産研究所がございますが、ここに関係県四県のみならず、その周辺の県も全部含めまして担当者に集まっていただき、それから今後の流出した重油の挙動等につきましても一応調査をやる必要がございますので、そういった面の大学関係の専門家等にもお集まりをいただきましてこの問題についてどういうふうな項目につき、どういう分担体制で取り組むか、こういった協議をいたしまして、このための特別な協議会をつくりまして、中に幾つかの部会を設けて、こういった問題を総合的に検討したいということを一応取りきめて、一部現実にもう着手をしている段階でございます。この問題につきましては、環境関係との、それから生物関係とのいろいろな密接な関係がございますので、実行段階におきましては環境庁を中心にいたしまして、水産庁といたしましては、特にその中の生物関係への油の問題あるいは一部の地区で使用されました油処理剤の影響といったようなことを含めて長期的に調査研究をやってまいりたいと、かように考えて発足をしておるところでございます。
○前川旦君 ただいま油処理剤の話が出ましたが、これが今回非常に問題になりましたね。そこで、水産庁としては油処理剤の二次公害をどう見ておられるのか、大量使用について心配はないと見ておられるのか、あるいは大量使用されれば漁業に影響があるということを心配しておられるのか、この処理剤の大量使用による二次公害についてはどうお考えなのか、承りたいと思います。
○説明員(佐々木輝夫君) 油処理剤の使用につきましては、海上保安庁のほうが一応主管をされまして、一定の基準に従って使用されておるわけでございますが、水産庁といたしましても、現在の使用されております油処理剤の使用についての的確性というとちょっと語弊がございますが、この程度のものであればやむを得まいという基準を設定する際に、水産サイドの専門家も参加をいたしまして基準をきめております。かつて、ジュリアナ号で、新潟沖で問題が出ましたときにはこういった基準もございませんで、かなり魚介類等について、毒性の強いものが無秩序に使用された傾向がございますけれども、その反省に立ちまして、いま申し上げましたように、一定の基準に基づきまして、生物試験をやった上で、この程度の低毒性のものであれば、ほかに処理方法の適切な方法がない場合には使用することもやむを得まいという、こういう考え方に立って関係の漁業団体等にもその旨を指導しておるわけでございますが、いま先生から御指摘のございました大量に使用した場合に、被害があると思っているのかどうかということにつきましては、かなり改善はされておりますけれども、それ自身が魚介類について何がしかの毒性を持っていることには変わりがございませんので、かなり停滞している海域に大量にこれを集中的に使用した場合には、何らかの水産生物への影響というのが局地的にせよ出てくることは当然考えなければいけない、かように考えておるわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたように、物理的な回収等でほかに適切な方法があればなるべくそれを使用しないというのが処理剤使用についての一つの基準になっておりますし、それから、やむを得ず使用する場合にも、関連の漁業協同組合等と協議をした上で使用していただくということを指導しておるわけでございますが、今回、海上保安庁等から伺いました範囲で水島の港外、周辺地区について、ある程度の量の処理剤が使用されたということでございますので、それが現実に現場の漁業生産といいますか、水産生物にどういう影響があるかということを把握する必要があると考えまして、特別に一つの分科会を設けまして、これは水産庁の東海区の水産研究所にその面の専門家がおりますので、それが中心になって、岡山県の試験場等と共同いたしまして、処理剤についての使用後の影響調査を先ほど申し上げました全体の調査計画の一環として取り組んでまいると、こういうことにすでに決定をしておるわけでございます。
○前川旦君 じゃ、今度の調査でこの処理剤使用の結果についても調査されるといま言われましたね。これは了とします。
 私はいままでふしぎに思っていたのは、処理剤はあなたのおっしゃったように海上保安庁ですね、海上保安庁の方に言わせると、適切に使用すれば二次公害の心配はないんだと、こういう判断をしておられる。ところが、この処理剤の開発について、水産庁がどれだけタッチしておるのか、海上保安庁にまかせっきりになっておるのではないだろうか。ですから、現地でも保安庁の皆さんは処理剤をまかしてもらいたいと言う、しかし、漁業関係者は二次公害がこわいからそれはいやだと言う、意見がいろいろ食い違っているわけです。一方は安全だと言う、一方は心配している。ですから、ほんとうに二次公害のないものであればこれは使用はやっぱりすべきでしょうが、いささかでも二次公害のおそれがあるのであれば、この使用はうんと制限しなければいけませんね。ですから、この処理剤の問題については水産庁がもっと積極的にタッチすべきではないか。水産庁のタッチのしかたが消極的ではないか。このことを私は指摘をしたいと思うのです。ですから、今後新薬の開発ということもあります。さらに毒性の少ないものを開発する必要もあります。現在使われているものが二次公害があるのかないのか、これもたんねんな実験をやらなければいけませんね。そういう実験について水産庁がもっと積極的に保安庁と協力をし合って、これは環境庁にも関係ありますね、当然。ですから、一つの保安庁にまかせっきりにするのではなくて、積極的に水産庁と環境庁とがタッチして、三者共同で開発するというような姿勢が私は望ましいと思いますが、その点についてのお考え方を両者から伺いたいと思います。
○説明員(佐々木輝夫君) 先ほども申し上げましたように、現在使用を認めております油処理剤につきましても、どういった基準のものを、どういう方法でテストをして、その基準に合格したものならこういう手順を踏んで使うことはやむを得まいという使用基準の問題も含めまして、水産庁側も積極的に参加をして、意見を述べながら現在の基準をつくったものでございます。しかし先ほども申し上げましたように、現在の処理剤が全く魚介類に無害であるということは言えません。非常に毒性が低いということは言えますけれども、全く無害とは言えませんので、さらに適切な処理剤の開発ということ、これは水産サイドだけではとてもできませんけれども、科学技術庁なり通産省なり、そういう関係の省庁とも連絡をとりながら、新しい処理剤について、それが生物に一体どういう影響があるだろうか、こういった面については水産側の専門家も積極的に参加をして取り組んでいきたいと、かように考えております。
○政府委員(大場敏彦君) 環境庁としても、ただいま水産庁から申し上げましたとおりと全く同じ考え方であります。この中和処理剤の問題につきましては、やはり低毒性といっても無害ではないということでありますし、使用の量、それから使用する環境、ことに瀬戸内海みたいな停滞性の水の交換の悪い海域におきまして、しかも今度の場合、大量に使わざるを得ない場合にはよほどの注意が、慎重さが必要であろうと、かように思っております。また同時に、重要な漁場である場合にはできるだけそういったものは使用は避けたほうがいいという考え方を環境庁として持っておりまして、それから同時に、やむを得ず使用する場合におきましても県だとかあるいは漁業者だとか、そういった方々のコンセンサスを得た上で実施すべきだ、こういうふうに思っております。
 なお、具体的なそういった中和剤等の基準あるいはその使用基準を含めて環境庁としては従来よりももっと積極的にこの問題に関与していけと、こういう御指摘がありましたが、まことにそのとおりでございますので、そういう方針で処してまいりたいと思っております。
○前川旦君 処理剤の実験――話を聞きますとアカメダカというヒメダカを使うそうですね。メダカを使ってメダカが生きていれば毒性が少ない、メダカがその毒に弱いのか強いのか私は知りませんが、現地の漁業者から見ると、メダカを使って実験をして、それで安全であるの、どうのこうの言われたって信頼できないわけなんです。現実に瀬戸内海に生きている魚を使って実験をされるのであれば幾らでも生きている魚を提供しましょう、これが漁業者の声ですね。ですからそういう面でも、予算の関係あるのかどうか知らないけれども、適切な民間の協力も得ながら、適切な実験をしていただきたいということを私は要望しておきます。
 それから、水産庁、つなぎ資金ですね、立ち直り資金。あるいは魚具とか、魚船とかの更新――新規のための資金、これは年末には越年資金をいろいろ手当てされましたが、補償等片づくまでかなりまだ日時がかかりますね。その間の資金についての手当ては具体的にどう考えていらっしゃいますか。
○説明員(佐々木輝夫君) 今回の事故に伴う漁業経営上のいろいろな資金繰り等の仕様につきましては、やはり原因者が非常に明確なわけでございますので、そちらのほうで適切な補償の内払い、その他の措置を講じていただくのが筋道であるというふうに私どもとしては考えております。具体的にはそういう考え方に立ちまして、一月十三日でしたか、関係の漁業団体あるいは関係県の担当課長等を呼びまして、いろいろ今後の方針の打ち合わせも水産庁が主宰のもとでやりましたが、その結論に基づきまして、各県の漁業団体、漁連が中心になりまして、今後、一つは漁業者が流出した油の回収作業に昨年来ずっと従事をいたしております。その回収に出動した手当の要求を、大体昨年来の分を今月の十七日までにまとめて一応出しているわけですけれども、今後も十日ごとぐらいに取りまとめをして三菱石油のほうにその支払いの要求をしたい、こういうことで現在それぞれ各漁業団体が取り進めております。
 それから漁業被害の補償につきましても、今月の大体五日ごろまでの被害をとりあえずまとめまして、この部分につきましての被害のいわば補償の内払いをできるだけ早期に支出してほしいということで、これについての交渉も大体各県の漁業団体中心にすでに始めております。
 で、今後、方針といたしましては、一月ごとぐらいに被害額を取りまとめながら責任者である三菱石油のほうと交渉をしてまいると、こういうことで漁業経営上に資金的、その他の面で不当なしわ寄せがこないようにできるだけ早期、適切な措置を進めていきたい、これが現在水産側で持っております基本的な考え方でございます。
○前川旦君 それでは、きょうはわざわざ三菱石油の渡辺社長さんに参考人として来ていただきました。お忙しいところたいへん御苦労さまでございます。
 三菱石油の渡辺参考人に伺いますが、今回の事件に対して三菱石油としてはその社会的な責任をどう感じておられますか。被害者、あるいは関係県民、あるいは瀬戸内海はもう国民のものでありますから、国民全体に対してどのような責任を感じておられますか。ここは国会という国民と対話する場所でございます。公式の場所でございますが、この際明らかにしていただきたいと思います。
○参考人(渡邊武夫君) お答えいたします。
 今回の事故によりまして被害をこうむりました方々はもちろんでございますが、お話しのように大きな社会的問題となりまして、国民の皆さまにたいへん御迷惑をおかけすることになりましてたいへん申しわけない次第と考えます。ここに国会を通じまして心からおわび申し上げたいと思います。
 なお、事故の原因につきましては、政府による調査が取り進められておるところでございますが、原因を問わず、事故の第一当事者といたしまして、善後処置には誠意を尽くして当たりたいと、かように考えております。
 第一に、一日も早く漁業者の方々が出漁できま起こさないための対策、これはどのような姿勢と、どのような具体的な考え方でお進めになりますか、どのようにいま考えていらっしゃいますか。すように防除作業に努力しております。国、地方自治体の御指導、当の被害を受けられました漁民の方々の御協力によりまして、一日も早くきれいにいたしたいと、かように努力いたしております。
 補償につきましては、これまた誠心誠意これに当たる考えでございます。先ほどお話ございました年末の一時金、それから作業費、これも逐次お支払い申し上げておりますが、この上とも補償につきましては誠意を持って補償いたす考えでございます。
 なお、もう一つ心がまえといたしまして、類似の事故を今後二度と出さないように、そういった上におきましても十分の対策をとる考えでおります。御了承いただきます。
○前川旦君 二度とこんな事故が起きたらたいへんでありますが、一番身にしみられたのはおたくであると思いますね。ですから、二度と事故を
○参考人(渡邊武夫君) 当社といたしましては防災措置、こういうことについては十分心がけてまいったっもりでございますが、現実にこういった大きな事故が起きますと、予測できないとか、不測のとか、こうした甘えは許されないと、かようにきびしく反省しております。これを機会に諸般の面で進めたいと思いますが、具体的な方策といたしまして、現在建造中の油回収船を早急に配置いたしたいと考えております。また防油堀の再点検、また製油所全体を流出からどうして守るか、こういうことにも対策を講じたいと考えております。なお、政府によります原因の結果がわかりますれば、それを踏まえまして、また一そう充実した対策をたてたいと、かように考えております。
○前川旦君 いま、消防庁の指示もあり、エネルギー庁の指示もありまして、いろいろなところで安全の点検が行なわれていると思います。そこにいつも一般論として問題になりますのは、企業秘密と立ち入り検査の問題で、はたして十分な立ち入り検査ができるかどうか、往々にして企業秘密ということで完全なことができないという場合もあるんではないかというふうに思いますが、現在行なわれております特別検査、それから今後行なわれます一般検査等々につきましても、何よりも安全第一でありますから、企業秘密ということよりも安全ということを優先して考える、この発想法を私は実は持っていただきたいと思いますし、さらにまた末端までこれは徹底してもらいたいというふうに思いますが、その点いかがですか。
○参考人(渡邊武夫君) 消防その他安全のための点検に際しまして、企業秘密というようなこそくの考え方で今日までこれに協力しなかったというようなことはございません。御趣旨のとおり、これにつきましては今後とも積極的に従っていくつもりでございます。
○前川旦君 この事件が起こってから、被害を受けた関係者への謝罪といいますか、その点について会社側には誠意がないと、こういう批判が聞かれます。現実に聞かれます。社長も地方自治体と、それから県の漁連をお回りになった程度だと思いますが、その点についてまだまだ不充分だという批判がございます。したがって、これは今後どのようにお取り組みになる御決意ですか、お伺いいたします。
○参考人(渡邊武夫君) 御指摘のとおりの批判を聞いております。この対策のための統轄の仕事に追われまして、私自身関係四県の県漁連まで出向きましてごあいさつ申し上げたところにとどまっております。私の気持ちとしましては、被害を受けられた一人一人の方々にお目にかかりまして心からおわびを申し上げたいという気持ちでございます。事故発生以来、担当常務はじめ、できる限り被害地に出向きましてごあいさつ申し上げてまいりましたですが、私自身これからもさようにとり進めたいと、かように考えております。
○前川旦君 被害はいろいろ各方面にまたがっておりますね。直接の漁業者だけではなくて、たとえば魚の行商をしている方とか、魚屋さんとか、すし屋さんとか、釣り具屋さんとか、遊覧船の業者とか、釣りの貸し船とか、旅館とか、間接被害というのはずいぶん多うございますね。直接の被害者に対する補償、これは一番大事なことですが、こういった間接の被害者に対しても捨てておくわけにはいけない事情がございます。当然のことだと思います。したがって、これらの関連の方々に対しての補償という面についてどのように考えておられますか、お伺いしたいと思います。
○参考人(渡邊武夫君) 御指摘のとおりでございます。間接被害になりますといろいろございますが、間接被害に対しましても公平かつ誠意を持ちまして対処いたしたいと、かように考えます。
○前川旦君 間接被害もいろいろありますが、たとえば零細な漁業家は沖へ行って釣りますね、大量にとれたものとか、いいものは魚市場に出すのです。そうでない、ざこのようなものは今度は奥さんがそれを持って――昔は頭にたらいで持っていったり、手押し車を引いたり、いまはリヤカーを踏んでいますが、そういうかっこうで行商しています。それで生計を立てているのですね、零細業者ですから。こういう人たちも非常に被害を受けている。ですから、こういう零細な魚の行商のような方はこれは直接の漁業者の被害と私は同じように考えていいと思いますがね。どうでしょうか、その辺のお考え方はいかがですか。
○参考人(渡邊武夫君) 御指摘のとおり、今日まで油回収措置のためにとりまぎれておりまして、間接被害の方々のお話を承る程度にとどまっておりましたですが、これから被害の実際そういった面につきましてよく御相談に応じまして、いま御指摘の直接被害に類するものにつきましてはなおさらでございますが、誠心誠意尽くしたいと、かように考えます。
○前川旦君 十二月の十八日の午後八時四十分ごろ油が漏れ出したのを発見した、パトロールが発見しておるのですね。私も、パトロールでなければ発見できない、パトロールというのはずいぶん原始的な感じだと思いますけれども、話を聞いてみると目で見るのが一番確かのようなんで、今度の油被害で目で見るのが一番確かのよう――あとで質問したいと思いますが、消防庁は点検は油が漏れているところは目で見て鼻でにおってという点検をしろと指示を流しておられる、流れた油は今度はひしゃくでくみ取る、何かえらい原始的なことばっかしがつながっているなという思いがしますが、それにしても、八時四十分ごろ漏れだした、そして水島の消防署に第一報が入ったのは九時十三分ですから、三十分以上たっています。しかもその最初の通報は、油が漏れている、火事のおそれがあるという通報ではありません。けが人が出るかもわからないから救急車を回してくれ、そこで救急車が参りますと油が出ている、これはたいへんだというので、救急車から消防署に連絡をして、消火の体制の消防車が出動したというふうに私は現地で聞きました。したがって、この間の処置ですね、どう考えても、どう見ても――現場の立場になってみないとちょっとわかりません、現場でどうだったか私はその瞬間を見ておりませんけれども、何か秘密主義のような感じがどうしてもするわけですね。それから海上保安庁へはこれは九時三十八分に通報されております。そのころ海へ流れ出た量はどれくらいだという質問に対して、約二百キロリッターだということを現地の責任者は答えておられますね。これはあまりにも実際の数字とかけ離れた数字ですね。もしこの二百キロリッターという、海へ流れた二百キロリッターだというこの判断、この判断をもとに消防なり海上保安庁なりが体制をとったとしたら、そしてそれが原因で大きな事故になったんだとしたら、非常にこの二百キロリッターというのは大事な数字に私はなると思うんですね。どうして一体こういうようなかっこうになったのか、どうしてまず通報がおくれたのか、また、どうしてこのように過小な評価がなされたのか、この辺がどうも秘密主義というか、できるだけ事故を過小に押えようとする、何か間違った会社に対する忠誠心といいますかね、そんなふうな感じがどうもしてなりませんが、その点についてどのようにお考えですか。
○参考人(渡邊武夫君) 申し上げます。
 御指摘のように、事故を発見いたしましたのは八時四十分ごろでございます。その時点の状態では、油の流出は防油堀内にとどまるものと、さように判断して措置を講じておりました。九時六分ごろになりまして大量の流出となりまして、たまたまこの油は高温でございますものですから、従業員は身の危険を感じまして避難した次第でございます。そして、この高温の油ではけが人がということが先になりまして、お話のように九時十一分ごろ消防署に連絡を申し上げたという事態でございます。また、従業員の一人は、たまたま近接いたしております会社の仮設用住居がございますものですから、そちらのほうを回りまして、火の用心など呼びかけまして、かたがた別のところに配置しております社員にも避難を呼びかけまして、千五百メーターほど現場から迂回してまいりました時点で油の流出を認めまして、携帯用の伝達機でコントローラールームに伝えまして、そこで油の流出防止措置を講じまして、同時に海上保安庁のほうへ御報告したというのが事実でございます。避難と防除というような状態ではございましたですが、もう少し早く連絡できなかったろうかと、こういう面につきましては、この経験を生かしまして反省いたしたい、かように考えております。
 また、流出油の量につきましては、事故の翌日、早朝、精油所長が流出いたしました切り込み港湾――これは水島港から入っている切り込み港湾でございますが――の残存の油並びに港内に滞留しております油の量、こういった点から判断いたしまして二百キロ程度ではないかと、かように発表した次第でございまして、決して過小に見積るというような意図はございませんでしたというように所長からも断言しておる次第でございます。いずれにいたしましても、混雑のためちぐはぐというような点があったことに対しましては、これは御批判は当然でございますし、私も弁解は申し上げませんし、この経験だけを生かして今後処置してまいりたいと、かように心底考えておる次第でございます。御了承いただきます。
○前川旦君 私も現場へすぐ参りましたけれども、夜のやみの中で、しかも思いがけない熱湯のような九十度近い油が吹き出してきた。逃げるのに精一ぱい、身を守るのに精一ぱいで、頭にはそれしがなかったという話を現場の人に私ちらっと聞きました。したがって、現場で一生懸命努力された職員の方に私はその責任を追及するのはちよつと酷ではないかというふうに実は思いますね。しかし、やはり通報がおくれた、過小に発表したというこの事実は事実として残りますね。しかし、きょう私はこれを追及するのは目的ではありません。いま一生懸命まだ油の回収をしているときに、これを追及して後からあいくちで刺すというようなことは、私はやりたくありませんから、きょうはこれはいたしませんが、いずれにせよ科学的な調査をして原因がはっきりし、さらに初動調査、企業も含めて初動調査でいろいろ検討の結果が、調査の結果出ました段階で次にこの経験が生かせるという立場でさらに議論を深めていく機会をまたつくりたいと思いますので、きょうこれはこれ以上あれしませんが。
 最後に何といってもいまの段階で幸い死者がなかった。これは非常に幸いですけれども、生活権を奪われて被害者の方もただ単に収入が減ったというだけではなくて、漁業の将来までも失望するという非常に大きな打撃も受けているわけです。したがって、重ねて被害者に対する補償等を中心に、重ねて渡辺社長の決意をお伺いをしておしまいにしたいと思います。
○参考人(渡邊武夫君) お話しのとおり、補償措置を含めまして、万般の善後措置に誠心誠意尽くし、当たりますことを重ねて申し上げ、同時にたいへん御迷惑をおかけ申し上げたことを、重ねておわび申し上げます。
○前川旦君 参考人は予定の時間だいぶ越えましたので、どうぞ……。
○理事(小谷守君) 渡辺参考人に申し上げます。
 本日はお忙しい中を本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございました。退席していただいてけっこうです。
○参考人(渡邊武夫君) ありがとうございます。
○前川旦君 海上保安庁にお伺いいたしますが、見えていますね。
 これは率直な話をいたしますと、いま海上保安庁の職員が現場で非常な苦労をしています。油回収について、年末年始を返上して、ふらふらになるまで、体力の限界までやっています。そのことについて被害者もみんな感謝しておりますので、この際お礼と感謝を申し上げておきますが、それはそれとして、この最初の初動体制にいろいろ問題が私はあったと思います。しかしこれはこの次の機会にしましよう。いま一生懸命やっている士気を阻喪さすようなことがあってはいけませんから、次の機会にしたいと思いますが、もう一つ、漁業者がみんな言うのは、油を除去するという作業、のけるという作業が、海上保安庁の主たる任務として位置づけられていなかったのではないだろうか、つまり油をのける仕事は一体保安庁の仕事なんだろうかと、首をかしげるような、自分たちの仕事なんだろうかと、こう首をかしげているのではなかろうかという場面に最初ぶつかった。最初ですね、いまそうじゃありませんが。ということを現場からよく聞いているのです。特にタンカーから漏れた油については、これは海上保安庁は当然自分の仕事としてこの防除をやりますね、陸上から油が流れるということはおそらく想定していなかったと思う。ですから陸上から出たやつまでおれたちがやるのだろうかという、ふっと首をかしげるような場面がいろいろあったのです。ですから、これはこの際せっかく御努力しておいでになるのですから、海だけじゃなくて、つまりタンカーのようなものじゃなくて、陸上から出た分も、海へ一たんきたら、これは海上保安庁の主たる任務だと、この油を除却するのは、主たる任務のうちの一つだと、こういうようにやはり明確にしていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(寺井久美君) まず先生より当方の職員の活動について御懇切なるおことばをいただきましてありがとうございました。
 油の回収問題でございますが、海上保安庁は、海上におきます人命、財産の保護を任務といたしております。今回の水島の事故のように流出油が非常に大量であり、それによる被害が広範囲に及ぶと判断されるような場合には、みずから積極的に防除活動に当たることになっております。そのために必要な器材の整備についても予算措置を講じておりますし、また官民合同の協議会をつくって日ごろ対応策を検討しておりますので、油回収にとまどいがあったとはちょっと考えられません。ただ海上からは措置できない沿岸あるいは沿岸海域での漂着油の回収につきましては、陸上からの活動によらなければならない、まあ措置できないわけでございまして、その点はやはり地方公共団体の防災活動にお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えられます。もちろんこの原因がはっきりいたしております、陸上から、先生御指摘のように、陸上からこのように大量の油が出てくるということは実は想定をしておりませんでした。私どもは大型タンカーから流れ出る油に対する防災活動、防除活動ということで、そういう構想のもとに対策を講じておったわけでございます。この点御指摘のようなとまどい、陸上から流れたから、海上保安庁はあまり関係ないというような考え方は現場にも私はなかったと信じております。
○前川旦君 いま一生懸命やっていますから、こういうことはあんまり私は追及しません。全部落ちついたときにまたじっくりと前向きの姿勢でいろいろ議論していいと思いますが……。
 で、油の回収ということが主たる任務のうちの一つに入っているわけですね。主たる任務の中に入っていますね。にもかかわらず、油回収船一隻も持ってなかったというのは、これは一体どういうことなんでしょう。
○政府委員(寺井久美君) 当庁におきましても、油回収船の必要性を認識いたしまして、予算要求をいたし、本年度予算で実はついておるわけでございますが、当庁が入手計画いたしております回収船は実はアメリカでつくっておりまして、これがそのまま輸入をいたしますと、船舶法上多少問題があるというようなことがございまして、一部改装をメーカーに命じまして、その改装に手間どったためにまだ入手できなかった。まことに残念なことでございますが、そういう実態になっております。
○前川旦君 そこで、今度の油の問題で、沖合いで油を取るんではなくて、ちょっと時間がたったら全部なぎさに吹き寄せられる、湾内に入る、浅瀬に入る。そうすると、船の喫水の関係で船はそばに寄れませんね。一番いいのは、上陸用舟艇みたいになぎさまで乗り上げていって回収できるような能力があればいいわけです。ですから、いま注文して三月までに大型回収船が入ると言われますが、今度はずいぶん大きな経験をされたと思いますよ。大型回収船、喫水の深い、まあ大型ということばが当たるかどうか知らないけれども、トン数の多いのが必ずしも性能がいいわけではない。トン数が小さくて、喫水の浅いほうがかえって回収能力があってみたり、あるいは油回収船でない、海の清掃船のようなものが逆にこの能力があってみたり、いろいろ私は経験を積まれたと思う。その経験を踏まえて、どういう回収船をどう配置するお考えなのか。たとえば、何百隻という回収船を全国から集められましたね。ところが非常に船足がおそくて、海上保安庁の巡視船で引っぱったりしてもたもたやってきましたわ、もうあとのほうになって。ですから、配置の場所も考えなければいけない、喫水の深い大型と、小型の喫水の浅いものの配分も考えなければいけない。その辺のことをこの経験を生かしてどういうふうに生かされますか。どうお考えですか。
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、回収船もいろいろ種類がございまして、性能もその油の状態、海面の状態によりましておのおの特色がございます。したがいまして、当庁が目下整備いたす計画になっております回収船のほかに、また港湾局等でも検討いたしておる回収船がございます。いろいろの回収船を有機的に今後活用しなければならないというふうに考えておりまして、当庁の回収船を中心に関係機関あるいは民間の持ちます回収船、そうしたものを配備していきたいというふうに考えております。
○前川旦君 何かいま最後のところ、よくわからなかったですよ。経験を生かして、――何とおっしゃったのですか、経験を生かして、大型とか喫水の浅いもの、いろいろ組み合わせてやるとおっしゃったのですか。民間がどうのこうのと、ちょっといまよく聞こえませんでした。
○政府委員(寺井久美君) 私が申し上げました趣旨は、海上保安庁はもちろん回収船を持ちます。それから港湾局あるいは港湾管理者も持つことになると思います。また民間でも持つという時代になると思います。で、こうしたものを有機的に活用することを考えて配備をしていきたい、こういうことでございます。
○前川旦君 そこで、これは海上保安庁、環境庁、エネルギー庁にも関係あるかもしれませんが、石油コンビナートの企業に対して、あるいは石油コンビナートのある港湾管理者に対して回収船を持つことを、行政指導ではなくて法律で義務づけるという必要があると思いますが、その点についてどのようにお考えですか。
○政府委員(寺井久美君) 私ども法律で義務づけることにつきまして目下検討いたしておりますが、法律で義務づけることの前に、やはりどの程度まで行政指導でできるかという点も見定めていきたいというふうに考えております。
○前川旦君 これは法律できちっと義務づけるように――行政指導ってやっぱり弱いです。法的な規制を強制力のある法的な措置をとられるように強く希望しますが、いかがですか。
○政府委員(寺井久美君) 先生の御意見に対しまして前向きに検討さしていただきたいと思います。
○前川旦君 時間が少なくなりましたので、自治省と消防庁に最後にお尋ねいたしますが、昭和四十五年の四月に小野田市の西部石油山口製油所の八万トンタンクで水島の事故と同じ事故がありましたね。この事故について消防庁はどう対処してこられたのか。なぜこの実例が生かされなかったのか。この点についていかがですか。同じようなタンクの亀裂。そのときは水が張ってあって、水が四十センチ、五十センチの深さであふれた。しかし、これは企業内だけでの調査で終わってこの原因も外へ出なかったと聞いております。それは事実かどうか。そう私は聞いているんですが、どうして消防庁はこの事故にま正面から対処してこの実例を生かすということにならなかったんですか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 昭和四十五年の四月に、御指摘のように西部石油におきましてタンクが破損をした事故がございました。この事故タンクは、完成検査前に渇水対策のために工業用水用の貯蔵用タンクとして使用しておりましたところ、四十五年の四月八日にタンクの底部が破損をするという事故があったわけでございます。一般的に、完成検査の際に水張り試験というものをやるわけでありますけれども、この水張り試験の実施中にタンクの底部におきまして不等沈下が起きてまいります。その際に、そうしたこの不等沈下を修正をしながらタンクを安定した状態に保つというのが通例の検査の内容でございます。当時は、この事故も特別な原因によるものではなくて、通常の水張り試験中に起きた不等沈下によって起こったものというふうに考えて処理されたわけでございます。しかしながら、現在時点に立って考えてみますというと、この件につきましてやはり根本的な調査究明というものを行なうべきが適当ではなかったかというふうに考えております。したがいまして、今回の事故原因調査委員会におきましては、この西部石油の事故原因等の関係資料も入手いたしまして、両方の事故の比較検討もあわせて行なうということにいたしております。その結果を待ちましてこうした事故に対処してまいりたいというふうに考えております。
○前川旦君 率直に言われてけっこうだと思います。
 そこでこの現場を見ますと、ラダーによって防油堤の一部がこわれているのは確かです。そこからあふれたのも確かですが、しかし現場を見ますと、たとえこわれてなくてもあふれています。というのは、破損したところ以外のところもオーバーフェンスしています。はっきり油のあとがついてオーバーフェンスしている。あれだけ油圧がどんと来ますと、こわれてなくてもオーバーしてきますよ。被害が出ていると思います。したがって、このフェンスの、たとえば強度の検討あるいはそのタンクとこの防油堀との距離の検討、距離が一番短いところから流れましたからあふれた、あるいはその高さの検討、それから容量。このキャパシティーは半分でしょう、二分の一でしょう。フランスなんか何か一〇〇%と聞きましたが。それからオーバーフェンスしたものはどこでとめるのかという、あるいはフェンスを二重にするのか、その辺のこの基準ですね、危険物の規制に関する規則というのでずいぶんこまかくなってますが、全面的な洗い直しをやらなきゃいけないと思いますが、どういう方向でこの洗い直しをおやりになりますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 今回の事故によりまして、現在の基準による防油堀というものが、破損事故の場合にやはり防油堀外に漏れる状況にあったということは御指摘のとおりでございます。確かに大量に油が流出した時点におきまして防油堀を越えて油が流れたという点は、今回の事故で非常にはっきりいたしたわけであります。ただ、この防油堀をつくります場合には、こうした油が漏れるという場合に対処する基準と、それから、この油に火がついて火災になりました場合に、この防油堀というものがどうあるべきかということになりますと、火災の場合には防油堀の面積というものが少なければ少ないほど火災の鎮圧のためには適当なわけでございます。そういう意味におきまして、防油堀には相反する両方の機能が要請されるという点におきまして、私ども非常にこれに対処する方針をいまいろいろ検討いたしておりますが、やはり安全基準といたしましては、現在の防油堀の基準は現行程度にいたしておきながら、むしろ二重防油堀方式を考えたほうがいいのではないだろうかと、こういうことでこの原因調査等も待ちながらこの安全基準につきましては、できるだけ早い時期に結論を出していきたいというふうに考えております。
○前川旦君 二重防油堀という具体的な案が出てまいりました。この二重防油堀は、防油堀をその場で二重にするというお考えもあろうと思いますが、もう一つは、工場施設全部を外から囲ってしまう。つまり一滴も工場の外へ出さないという、こういう二重構造もあると思います。どちらをどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 御指摘の考え方といたしましては、むしろ後者の考え方で、大体工場構内あるいは貯油基地全体を一つの防油堀で囲ってしまうというふうな、いわば、たとえ油が漏れましても構外には一切出ないというような方向で検討したほうがいいのではないだろうかということでいま検討を進めております。
○前川旦君 早く検討を終えて実現をしていただきたいと思いますが、排水溝を伝って海へ流れる。これは、それでは防げませんね。この点についてはまた別のことを考えますか。
○政府委員(佐々木喜久治君) 構内全体を防油堀で囲った場合に、いま御指摘の排水溝の問題が当然出てまいります。現在排水溝につきましては、ある程度油水のセパレート装置等もつけているところもございますけれども、今回の事故の場合には、排水溝に非常に問題があったということもございますので、この排水溝の取り扱い方というものは当然あわせて検討すべきであろうというふうに考えております。
○前川旦君 海中に防油堀をつくるということも検討の中に入れていただきたいと思います。
 それから、時間がもう最後になりました。私が時間を守らないのでは困りますので、時間を守ります。最後に、自治大臣と消防庁にお尋ねいたしますけどね、これ幸いにしてC重油でしたね。これがもし原油だったらどんなことになっていたでしょうか。原油が流れ出て、エンジンのかかった自動車が一台あれば引火しますね、おそらく。たばこの吸いがら、もちろん引火しますね。石油ストーブ、ガスストーブ、全部引火しますね。おそらく、原油だったら火の海になっていたろうと思いますよ。ほんとうにこれは偶然の幸いでした、C重油ということで。
 そこで、いつああいうタンクの事故が起こらないとも限らないのです。最善を尽くしていても、見えない部分からああいう事故が起こることがありますね。もし同油であったとしたら消防はお手あげでしたね。どうでしょうか。私はあの水島の消防署の能力の範囲を越えたと思いますよ、もし原油であれが火の海になっていたとしたら。で、現実に起こり得る事故が、火の海になる事故が起こったと見ていいんです。たまたまC重油というのは単なる偶然にすぎなかった。原油だったら、火の海になって、そして消防の能力を完全に越えたと思います。しかもそれは起こり得る事故であるということが証明されたと思いますね。この点について今後どう対処していかれるのか。その点お伺いしたいのと、もう一つは、自治大臣、今度の問題で自治体がたくさん目に見えない出費をしています。これは加害者に請求できない目に見えない出費がたくさんあります。私は、時間がありませんからもう具体的に言いませんが、そういうのをたんねんに見て、自治体の財政面でのこの支援をしていただきたいということと、消防とか防災等にもっと重点的に予算をつけるようにこれから配慮していただきたいと思いますが、以上のことをお伺いして、私の質問を終わりにしたいと思います。
○政府委員(佐々木喜久治君) このタンクがもしも原油あるいはナフサ等の油でありました場合に、火災危険というものは、御指摘のように当然予想されたところでございます。
 現在の倉敷市における消防能力というものは、総体的に見ますというと、大体現行消防力基準に対しまして、普通ポンプ車において八五%、化学車において一〇〇%の装備をいたしておりますので、現在の水準からいいますと、自治体の中では比較的装備としてはいいところでございます。ただ、そのほか、こうした地域におきましては、消火材の装備というものも、この水島におきましては、倉敷の消防本部並びに岡山県の県による備蓄、それから企業の備蓄という、量もある程度の水準まで達しているというふうに考えますけれども、なお、こうした火災につきましては、こうした資器材の備蓄関係というものはもっとあることが望ましい状態でございますので、さらに県なりあるいは関係企業等とも協力をいたしまして、消火薬剤等の備蓄についてはさらに拡充をしてまいりたいというふうに考えております。
 また、この倉敷の場合には、岡山市、玉野市等との応援協定というものもできておりますし、また、県による防災演習等も相当頻度を高くして実施をしているという地域でございますけれども、この火災にやや重点が置かれ過ぎておって、こうした油の流出ということについて、消防の面から見ますとやや手が及んでなかったんじゃないだろうかというような感じがいたしますので、やはりあらゆる被害を想定をしながら防災計画というものをつくっていかなきゃならないというふうに感じております。
○国務大臣(福田一君) 先ほど来の御質問によりまして、今回の問題に、また今後の対策に、われわれとして十分に努力をいたさなければならないということを深く痛感をいたしましたが、最後に御質問がございました自治体に対する一種の損害の補償の及ばない面を自治体として受けておるものがあろう、それに対してひとつ十分に考えるべきであるという御趣旨はごもっともであると思いますので、今後十分研究をさせていただきます。
 なお、この種の災害に対する防衛、防護のいわゆる諸種の施設というようなものは、御質問の趣旨を体して施政の面に反映をさせていくようにいたしたいと考えております。
○前川旦君 終わります。
○理事(小谷守君) それでは、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十五分開会
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 午前中に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、自治省及び総理府のうち警察庁、北海道開発庁とそれに関係する公営企業金融公庫並びに北海道東北開発公庫の決算について審査を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小山一平君 去る元旦早々、長野県大町市の青木湖におきまして、スキー客を満載したホテルの送迎バスが転落いたしまして、二十四名もの死傷者を出す惨事が発生いたしたことは御承知のとおりだと思います。私は、まずこの二十四名の犠牲者とその遺族に対して心から弔意を表したいと思います。
 この事故は天災ではなくて、起こるべくして起こった人災でございまして、その明らかになった原因については強い憤りを禁ずることができません。この事故は、国民にとりましても、関係行政当局にとりましても貴重な教訓を投げかけ、厳粛な反省を求めていると思います。
 これから警察庁、運輸省、自治省、環境庁などそれぞれお尋ねいたしたいわけでございますが、三木内閣の重要閣僚である自治大臣、国家公安委員長にはぜひこのことを理解をしていただきたい、そのことについてまず申し上げたいと思うんですが、この事故の背景は日本の経済の高度成長のひずみを絵にかいたように私たちは見ることができるということでございます。この事故のあった青木湖の入り口のところに青木という部落がございます。この部落はかってはわずかな水田のほかに山林収入、養蚕、湖水の漁業、これらによって平和な生活を営んでいた三十世帯の部落でございました。現在は二十八世帯に減少しておりますが、それが国土総合開発法の施行に伴いまして、長野県は県内に十八カ所の総合開発計画をスタートをさせました。その一つといたしまして、昭和電工株式会社が高瀬川の支流である鹿島川の水をトンネルでこの青木湖に送り込んで、その水をさらに遠く下流に運んで、広津、常盤の二つの発電所を建設をすることになりました。この事業は昭和三十一年に完成し、昭和電工はこれによって年間六千九百万キロワットの電力を得たのでございますが、青木湖はこの事業によって、季節によって水位が五メートルから二十メートルもの差異を生ずることになりました。そのために魚類の産卵、ふ化に重大な障害となりまして、魚族は年々減少をし、ついにこれが壊滅をしてしまいました。さらに経済の成長に伴いまして、山林収入は極度に減少を見たわけでございますが、それに加えて御承知のとおり養蚕は繭の価格暴落によっていまたいへん困っております。このような状況によって、この部落民は農漁業による生活が不可能におちいったわけでございます。若い者がどんどん転出をする、あるいは出かせぎに出る、典型的な過疎におちいることになりました。
 そこで、この部落の人たちが窮余の策として考えたのが観光開発でございます。平和島観光を誘致をいたしましてスキー場をつくることになりました。ここ十年ほどの間に驚くべき乱開発が進んでおりますが、たいていはこのような農業で食えなくなった地元の住民や地方自治体が、自然保護団体の反対を押し切って過疎対策として観光開発を一生懸命進めてきたその一例にこれはすぎないわけでございまして、まあこうして青木湖スキー場は平和島観光によって昭和四十七年に開設をされ、今日約十一万平米のゲレンデには、ホテル、レストハウス、売店、六基のリフトなどがりっぱに整いまして、昨年は年間を通じて約十七万人の客が来たといわれておりますが、部落の人たちは、このスキー場がだんだんにぎやかになってまいりましたので、ある者はわずかの土地を売り、また農協から多額の借金をして民宿、貸しスキー店、こういうような営業を営むようになりました。一たん部落を出たり出かせぎに行っていたりしていた人たちもだんだん帰ってまいりまして、民宿や貸しスキー店の仕事に従事をしたり、平和島観光の従業員として働くようになりまして、この部落にとっては一応このスキー場の開発は成功をして、開発企業と共存の道が開けたかのように見えたのでございますが、そのやさきに今回のこの大惨事の発生でございます。今日、道路は通行禁止、スキー場は一切休業でございまして、おそらく今シーズンは一人のスキー客も参りません。多額の借金をかかえ、生活資金を得るすべさえ失って、部落の人たちはいま絶望と不安に包まれて、見るもむざんなありさまでございます。
 まず、この山村が経済成長の犠牲となって過疎におちいり、窮余の策で誘致をしたこのスキー場が今回の事故によって決定的な打撃を受ける結果となりました。今回の事故でも明らかなように、いままでの観光開発は、スキー場でもあるいは別荘地でもゴルフ場でも、観光拠点だけが先行いたしまして、もうけるための施設には巨額な投資が行なわれながら、道路や交通手段の整備は無視されて取り残されているというのが通例でございまして、青木湖と同様の危険状態というものは私は全国各地にはんらんしているはずだというふうに思います。企業の責任は当然でございますけれども、行政当局もこうした経済成長の目的追求に寛大であったり、ときには加担をして自然破壊を許したり、人命尊重の立場から適切な指導監督の責任を果たすことをおろそかにしてきた。私はこのことはたいへん重大なことだと思うんです。
 私はここで単に責任を追及しようというのではございません。いまも申し上げたような事故の要因となった問題点やその責任の所在を明確にいたしまして、反省すべき点は謙虚に反省をし、それぞれの行政責任において今後国民の生命と安全を守るために緊急な措置を講じていただきたいというのが私の願いでございます。したがって、この事故のいまも申し上げたような背景を念頭に置かれて、責任の回避やあるいは責任のなすり合いなどのないように、率直にして誠意あるお答えをお願いをいたしたいと思います。
 私は、まずこの事故について、大臣であり国家公安委員長に所見をお伺いをし、さらにこの事故は警察当局の捜査もそろそろ終了かと思いますので、現在までの捜査の経過と、そして現段階でどのような刑事責任がどんな範囲にいま追及されようとしているかという点を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 自治大臣として、また国家公安委員長として一言お答えを申し上げたいと存ずるのであります。
 ただいま小山先生が御指摘になりましたように、これはまことにわれわれとしても不幸な事件であると思いますし、その間においていろいろの問題点があったように私たちも考えておるのでありまして、今後この種の事業その他が行なわれる場合においてはこの事故を十分参考といたしまして、そのことのないように努力をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
 なお、その後の警察がどのような調べをいたしておるか等々の問題については、警察当局から答弁をいたさせます。
○説明員(鈴木金太郎君) ただいまの小山先生のお尋ねにつきまして、まず事故の概要を簡単に御報告申し上げまして、そのあと御質問の趣旨にお答え申し上げたいと思います。
 本年の一月一日でございますが、先ほど御指摘受けましたように、長野県の大町市の青木湖畔でスキー送迎用のバスが転落事故を起こしたわけでございます。発生の場所は、長野県大町市の先ほど御指摘いただきましたように青木湖のスキー場から〇・六キロメートルぐらい手前の地点でございます。
 事故の車両でございますが、これは現場の近くで御案内のとおりホテルを経営しております平和島観光株式会社が、国鉄の大糸線簗場駅からその経営にかかりますところの青木湖スキー場まで無賃で旅客を輸送するために使用しているものでございます。当日午前十一時五分ごろ、同駅からこれは定員三十八名の三菱ふそう四十二年式の大型バスでございますが、これに四十一名を乗せまして出発いたしました。途中で「中志も旅館」というのがございますが、これは簗場駅から約一キロメートルのところでございますが、そこでさらに十九名乗せました。で、合計六十名のお客を乗せまして、そして車両が満員の状態でございます。で、乗客が助手席まで一ぱいになった。で、左側にもございまするところのバックミラーなんかもよく見えないというふうな状況で運転してまいりました。
 そこで、運転してまいりまして、事故の地点でございますが、これは幅員約四メートルの地点でございました。約十度の上がり勾配でございまして、直角に左へカーブする。これは半径二十メートルぐらいの直角に左にカーブする地点。これは道路の両側に約一メートルぐらいの積雪があった状態でございますが、そこで運転者が運転を誤まりました。御案内のとおりパスが三十三メートル下の青木湖に転落したと、こういうことでございます。で、水深二十七メートルの湖底に水没したというふうなことになるわけでございまして、被害の状況などでございますが、これもすでに御案内のとおりでございますが、乗務員、これは運転手と助手でございますが、そのほかに乗客のうち三十六名が転落の際にドアや窓から飛び出しまして自力で脱出いたしまして、これが救助されたわけでございますが、残りの二十四名はたいへん遺憾でございますが脱出できずにそのまま死亡したというふうな事案でございます。で、死亡の直接原因でございますが、現在のところいずれも溺死というふうに推定されておる状況でございます。
 これにつきましての警察のとりあえずの措置でございますが、事故が発生しましたと同時に青木湖事故対策本部、これは県警に設けました。現地にはもちろん現地の公民館に事故対策本部、現地事故対策本部、これは約百九十九名ぐらいの要員をもちまして設けました。被害者の救助活動と事案の解明、それから捜査活動というふうなものを極力行なったような状況でございます。また、警察庁の本部といたしましても、午後零時直後、四分ごろでございますが、青木湖事故連絡室というものを設けまして、関係機関との調整、それから現地との連絡、こういうふうなものを極力行なったような事情でございます。なお、同日付をもちまして、とりあえずこの種の事故の再発の防止をはかりますために、全国の警察に対しまして類似事故の防止につきまして交通局長名をもって厳重に指示いたしたような次第でございます。
 次に、事案の解明の経過、捜査の状況などでございます。これにつきましては、まずもう御案内のとおり運転者につきましてでございますが、これは業務上過失致死傷、これは刑法二百十一条でございますが、これは最初一月三日に致死罪で送致いたしました。それから一月の十七日に、軽傷者十五名がございますので、これにつきまして致傷の罪名で追送してございます。それから次に安全運転義務違反、これはもう最初の一月三日に、これは道路の状況に応じましたハンドルブレーキのいわゆる操作が誤っておるというふうな事情からかんがみまして、道路交通法七十条違反ということで同時に送ってございます。それから定員外の乗車でございますが、これは御案内のとおり六十二名乗車いたしておりまして、これは道交法五十七条で一応反則告知というふうな形をとっておるわけでございます。それから運転者の遵守事項違反でございますが、これは当時路面が凍結しておりまして、いわゆるチェーンを巻くわけでございますが、これをやっておらないというふうなことで、運転者の遵守義務ということで七十一条違反という形で送致いたしておるわけでございます。
 それから次に雇用者の関係でございますが、平和島観光株式会社、これにつきましては定員外乗車でこれは両罰規定がございまして、一月の十七日に定員外乗車、道交法五十七条、同百二十三条違反で送致しておるわけでございます。それから平和島観光の専務取締役、管理課長、これにつきましては実は安全運転管理者が選任しておりません。これは六台の車を持っておりますものですから該当するわけでございますが、未選任であるということで道交法七十四条の二ということで送ってあるわけでございます。それから次は道路運送車両法の関係でございますが、これは整備管理者の未選任、これは同法律の五十条でございますが、これにつきまして、管理者を選任しておらないということで一月の十八日に同じく送致しておるわけでございます。次に、道路運送法の関係でございますが、これは無償自動車運送事業の届け出不履行ということでございまして、これは同法の四十五条の二でいま届け出しておらない、この条項に該当します届け出をしておらないということでございまして、大型バスを使用いたしまして、かつ路線を定めて定期に不特定な多数の人々を無償で送迎をしておるというふうなことでございますが、そういう意味合いにおいて届け出の不履行ということで送致しているわけでございます。
 以上でございます。
○小山一平君 この場合、運転手の星野という人が業務上過失致死傷で送検されておりますが、これは刑がきまればどんな内容の刑になりますか。
 それから会社のいまいろいろ申された道路交通法あるいは車両法、運送法等々の違反で問われようとしている幹部、会社、これらが処罰されるということになると、どういう刑を受けることになりますか。
○説明員(鈴木金太郎君) 運転者につきましては、これはいずれ先生の仰せられますとおり、たいへん重要な事案でございますし、公判という形になりまして裁判の過程でもってそれぞれきびしく判断されるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、雇用者の関係につきましては、とりあえずの罰則は大体義務違反でございまして、これは三万円程度のものであるというふうに考えております。
○小山一平君 この運転手は法律に照らしますとね、それ、どういう結論が出るかは別といたしまして、懲役何カ年以下とか禁錮どのぐらい以下とか、罰金どのぐらいとかというような条項があるはずでしょう、それを言ってくだい。――いいです、いいです、時間が貴重ですから。それじゃ私のほうから申し上げます。それは五年以下の懲役または禁錮または二十万円以下の罰金というふうに私は聞いておりますがね。こういうところを見ると、この事故の原因を探求するとさまざまな要因がございますが、運転手は五年というような懲役、禁錮という重罰を受け、にもかかわらず、この運転手の指導監督の任にある会社の経営者はたかだか三万円、その三万円もそういう刑がきまるかきまらぬかも疑問であるというふうなことがいわれておりまして、私はたいへんこれは片手落ちの感を深くするわけでございます。
 そこで、この事故の大きな原因となりましたのは、この平和島観光の送迎バスはマイカーと同様に扱われておりました。路線バスと同じような機能を果たしていながら実際はマイカーと同じように取り扱われておりまして、したがって、バスの運転手は二種の免許でなしに一種の免許である。さらにまたいまもお話があったように、当然適切な指導監督が行なわれているならば、雪の坂道をチェーンを巻かずに走るなどということがあろうはずがございません。こういうふうに観光バスが全くマイカー同様に野放しにされて運行管理の面で何らの規制も今日まで受けておらなかった、こういう実態でございます。一体このようなパスについての運行管理の所管はどこでございますか。
○説明員(鈴木金太郎君) これは無償自動車運送事業というものがございます。これは道路運送法の三条でございますが、これの届け出をいたしますると、これは運輸省所管というふうなことになるわけでございますが、私ども道路交通法でございますと、所有台数が、使用台数が五台以上の車両を持ちますると、これは安全運転管理者としての選任の義務がございまして、これはまた所轄の公安委員会に届け出なければならないということでございますので、当該この事案につきましては所有が六台ございまして、これは当然届け出義務がございましたが届け出しておらないというふうな状況で、その辺の事実についても問擬いたしたというふうな事情がございます。
 以上でございます。
○小山一平君 それではお尋ねいたしますが、これに類するような運行をしている、いわゆる無償旅客運送事業を行なっているバスというものは全国にたくさんあるはずでございます。現在全国にこのようないわゆる自家用バスと称せられ、白バスと称せられる車が何台あり、そのうち何台がこの法律に基づいて届け出をしておりますか。
○説明員(真島健君) 自家用のバスの台数でございますが、ちょっと資料が古うございますが、四十八年度末で約十二万台ございます。
 それから道路運送法四十五条の二に基づきまして、無償自動車運送事業として届け出られております数は業者数で四十七、車両数で七十六両でございます。
○小山一平君 総数に比べると、届け出の数というものは全く取るに足らないほどの数でございますが、新潟陸運局の所管の県はどの県とどの県ですか。
○説明員(真島健君) 新潟陸運局管内におきましては、事業者数二、届け出車両数が三両でございます。
○小山一平君 この新潟陸運局は、県を幾つ持っておりますか。
○説明員(真島健君) 四県でございます。
○小山一平君 私の手ではとうてい広い範囲の数字を把握することはできないんですが、実は長野県分だけ調査をいたしてみますと、去年の九月現在で三千百五十七台ございます。これが四県でございますから、少なくとも一万台はこえているはずであります。私が新潟陸運局にただしますと、この管内で届け出されている車両はたった二台、これはもうゼロにひとしいわけでございまして、一体今日までこうした車両の届け出はしなくてもよろしい、こういうことでやってまいったんじゃございませんか。
○説明員(真島健君) 無償自動車運送事業、この届け出につきましては、他人の需要に応じて所定の形の運送行為をやる場合には届け出をしなくてはならないということで、届け出をしなくてもいいというようなたてまえでやってはまいりません。
○小山一平君 それじゃ伺いますがね。新潟陸運局の例にとって、一万台もある自家用車の中で、たった二台しか届け出をしていないにもかかわらず、何年たっても届け出をするような指導を一度もしたことがない、野放しに放置をしておいて、今日に至って届け出をしなくてもいいという方針ではなかったなどということは、これは世間に通用しませんよ、はっきり言ったらどうですか。こういうバスについては届け出をするというようなことはいままで指導しておらなかった、そしてそうしなくてもいいという方針でやってきた、そういうのが私は当然のことだと思うんですが、いかがですか。
○説明員(真島健君) 先生の御指摘のように、この数年間非常に自家用バス、いわゆる白バスの台数が急増したことは事実でございまして、たまたま青木湖の事故というようなものが起こりまして、私どもも以前から問題にはしておったわけでございますが、他人の需要に応ずる云々というようなことの解釈の問題等につきまして、先生御指摘のように多少広くと申しますか、逆に申せば、他人の需要というのをやや狭く解釈しておったというようなことはあったかと思いますが、そういうようなことで、私ども自動車運送事業の届け出につきましては、青木湖の事故を契機といたしまして、一月四日に通達を出しまして、他人の需要に応ずるものはもちろんでございますが、路線を定めて反復継続してやっているようなもの、こういうようなものについての実態調査を早急に行なうとともに、届け出をきちっとさせるようなことを各陸運局に指示をした次第でございます。
○小山一平君 そんなあとのことを聞いているわけじゃないんですよ。今日まで届け出の指導等をいささかもしてこなかった、そして届け出というようなことは、指導して徹底をはかるという方針をとっておらなかった、このことはたいへん重要なことであって、この事故の一つのこれは原因をなしております。というのは、さっきも申し上げたように、運転手の星野という人は第一種の免許しか持っておりませんが、この人は三十三年に普通免許をとり、大型一種をとったのが四十七年十一月です。しかもこの星野運転手は、市の整備工場につとめておりまして、大型車両の運転を実はほとんど経験しておりません。せいぜい整備をした車を工場から検査場へ運ぶことがまれにある程度でございます。こういう経験未熟な運転手が、このような危険な条件の道路の運転手として大ぜいの旅客を乗せてやっていた。これがもし届け出の指導の徹底がはかられておりまするならば、運転手はこんな経験未熟の運転手でない、もっと経験の深い第二種の免許を持った運転手がその仕事に従事していたはずであります。そういうことになりますと、今日までこうしたいわゆる自家用バスと称し、白バスと称してその指導監督を放置をしてきた陸運当局の責任というものは、これはきわめて重大だと思うのです。
 そこで、こういう届け出をしなければならないという法律がちゃんとあるにもかかわらず、その徹底を欠いて放置をしてきたということに対して、運輸当局は率直にその非を認めてわびるべきである、言を左右にしてごまかすなどということは許されません。いかがですか。
○説明員(真島健君) 先生御指摘のとおり、従来こういうような種類の自家用を使っておるスキー場、その他ホテル等に対しまして、特に陸運局あるいは陸運事務所を通じて精密な調査なり監査なりというようなことを怠っておりましたことは事実でございまして、私ども非常に多いこういうようなものについて、今後自家用バスの実態の調査とあわせまして届け出の励行に邁進をいたしたいと、このように思います。
○小山一平君 どうも役人というものは、すなおにいま言われたような不備な点があったら、これはまずかった、そのために事故の要因となったことは全く申しわけのないことだ、どうしてそういうことばが出ないんでしょうかね。そういう姿勢に立ってこそ私は今後の措置というようなものが適切に、しかも緊急に行なわれるはずだ、こう思うんです。もう一度お願いします。
○説明員(真島健君) いま先生の言われたとおりでございまして、私どもこの届け出義務の不履行ということにつきまして従来問題があったということは率直に認めて、今回の事故の原因の一斑になったということについては非常に遺憾に存じております。今後、一月四日の通達その他実態調査を通じまして、このようなことがないように努力をしてまいりたいと思います。
○小山一平君 道路運送法の第四十五条の二、それから三条の第四項、これをすなおに読んでみますと、当然届け出の義務がありますよね。
○説明員(真島健君) この平和島観光のやっておりましたようなケースにつきましては、届け出義務があると思います。
○小山一平君 それから昭和四十六年にこの道路運送法の一部改正が行なわれたと聞いておりますが、それまではもっときびしい取り扱いをしておったんだけれども、この改正のときに自家用バスの取り扱いの規制を緩和したと聞いておりますが、そんなことありませんか。
○説明員(真島健君) いま御指摘の点は、許認可整理法によりまして、できるだけ行政事務その他の簡素化をはかるという関係で、道路運送法についていろいろな点で、許可制を届け出制にする、あるいは免許制を許可制にするというようなことの一環といたしまして、先生御指摘のような届け出制に改正をいたしたものでございます。
○小山一平君 私は、その簡素化をはかる、効率化をはかるということはけっこうだけれども、この数字を見て、一体簡素化、合理化の名においてこうしたバスの規制をゆるめるというようなことがいいのか悪いのか、たいへん問題があると思うんです。というのは、これも広範囲に私が調査することはできませんから、長野県下の実情を調べてみました。昭和四十年、営業バスの総数が二千百二十六台でございました。そのとき自家用バスの数は三百二十四台、わずか一三%にすぎなかったわけでございますが、これが四十五年になりますと、営業バスの台数は大きな変化はございませんが、三百二十四台から五年間に何と二千二十九台に激増をいたしております。それが四十九年、昨年九月の調査によると、さらに千百二十八台ふえて三千百五十七台に激増をいたしております。そしてこの自家用バスはまことに多種多様な運行形態をとっている。私は、その膨大な自家用バスというものが、運行実態というようなものの把握もなされずに野放しになってきたんですから、これはたいへん重大なことは申すまでもなく、こうして自家用バスが激増をして、そしてその運行がますます多様化し多面化しているのであるから、私は法律はむしろ規制をきびしくするという方向をとらなければ安全運行などということはとうてい期せられない、こう思うんですが、いかがですか。
○説明員(真島健君) 自家用バスの全国的な台数の伸びについて、最初に簡単に申し上げます。
 大体昭和三十九年から四十年、このころから自家用バスの伸びが非常に急激になりまして、それ以降、大体毎年七、八千台から一万台ふえておりまして、この傾向は四十年以降四十八年ぐらいまでずっと続いております。四十九年も大体同じように推移するかと思いますが、そういうようなことでございまして、私どもが許認可整理法で法律をいじりました、この施行が四十六年の十二月でございますので、先生のおっしゃるような原因もあるかとも思いますけれども、台数の伸びにつきましては大体そのようなことになってございます。
 それから現状のような形での車両の運行の安全の確保ということについて、さらに法律の改正その他によって強化すべきではないかというお話でございます。これにつきましては、私ども、車両の運行の安全ということにつきましては、一面では道路運送法におきます運行管理者の選任、その他の義務規定を置きますとともに、道路運送車両法におきまして車検、整備管理者の規定というものを置いておるわけでございます。
 道路運送車両法のほうについて申し上げますと、車検につきましては、これは自家用であろうと営業用であろうと全く同じやり方をやっておりますし、整備管理者の選任につきましても、いわゆる乗車定員十一人以上、つまりバスというような形の車については、自家用であろうと営業用であろうと、これは整備管理者の選任を使用の本拠ごとに義務づけておるわけでございまして、全く同じような安全体制をとっておるわけでございます。
 なお、運送事業でない自家用のバスの問題につきましては、これは私ども所管でございませんが、道路交通法の関係におきまして、やはり安全運転管理者というふうなものを選任するということでその安全面の強化をはかっておるわけでございまして、現在の体制を特に法律を改正して強化しなければならないかにつきましては、さらに検討をいたしたいと思います。
○小山一平君 それではお尋ねしますが、皆さんが出された通達、届け出をさせるように指導するような通達が一月四日付で出ましたね。これで、一項、二項に分けて届け出させようという内容でございますが、この範囲で十分運行管理、安全運転が指導できると思いますか。
○説明員(真島健君) この無償自動車運送事業ということで届け出をいたすことによりまして、先ほど先生の御指摘のございましたような運転者の資格、これが二種免許が必要になる、さらに運行管理者等の選任も必要になってまいるわけでございまして、安全面における相当の強化になると私どもは考えております。
○小山一平君 この二つの中に含まれないものは、これはいままでどおりということでしょう。
○説明員(真島健君) この二つに含まれませんものについては、いわゆる自家用の旅客運送という形で道路交通法関係の安全面の強化のほうに期待をいたすわけでございます。
○小山一平君 ところが、これを見ますと、「路線を定め反復継続して運行の用に供されている場合」「当該施設の会員証、利用予約書などを所持していない者の運行の用にも供されている場合」と、非常にこれは限定されます。それで私はふしぎに思うことは、反復運行をしようが、あるいは会員証を持とうが、予約書を持とうが持つまいが、同じような車に貴重な人員を乗せて運行する限りにおいては、一種であったり二種であったり差別があっていいという理屈がわからないのですよ。どうして自家用と規定をする車両ならば、未熟な第一種の運転手でも安全であって、あるいは営業、あるいはこのような届け出による車両に限っては第二種の免許を持たなければならないか。大ぜいの人員を、貴重な人命を預かって運転する車であるならば、料金を取ろうが取るまいが、会社の人間であろうが他人であろうが、どのような人が乗っていても差別なしに厳重な資格を持ち、安全を確保されるという公平な措置をとられることが当然じゃないですか。どうして皆さんはこの自家用という名においてこういう差別をして、特定の車にだけ規制を加え、同じような人命を預かる車両については寛大にするか、私はその理由がさっぱりわからないんです。自家用車ならば事故があっても自分の身内のことだから苦にならない、他人が乗っていればたいへんだから厳重にやるというんですか。
○説明員(真島健君) ただいまの問題につきましては免許証の問題に触れるところが非常に多いので、私どもというよりもむしろ警察のほうからお答え願ったらいいかと思います。
○説明員(鈴木金太郎君) 自家用、それから旅客を輸送します自動車、それ、先生の御指摘のとおり区別があってはならないということはごもっともなことだと思うわけでございます。ただ、現在のたてまえでは、またおしかりを受けるかもしれませんですが、いわゆる届け出をしました無償旅客乗用自動車につきましては二種免という形でこれを指導してまいる。それからそれ以外につきましては大型免許、大型の場合でしたら大型の免許ということでございまして、そういう形で指導してまいるというふうなことに相なるわけでございます。つきましては、あれでございますが、現在警察所管の関係でございますと、全国に五台以上の自動車に、先ほど申し上げましたが安全運転管理者を置かれるという形になっておるわけでございますが、これが全国で、事業所単位で申し上げますと十四万四千三百三十二、それから安全運転管理者の数でございますと、同じく十四万四千四百五十九人の安全運転管理者がございます。これも先生の御指摘のとおり、まことにあとからということになるわけでございますが、この際やはり私どもとして検討いたしておりますのは、さらにその周辺の穴を埋めるため、五台未満でございまして大型自動車を所管する者につきましては、安全運転管理者を選任するようにとりあえず検討しておるというふうな事情でございます。
○小山一平君 皆さんは今日いわゆる自家用バスというものが、いかに多角的に多様的に運行されているかという実態をよく知らぬのじゃないかと思うんですがね。あるいは農協であれ市町村の役場であれ、保育園から幼稚園、病院、旅館、その他もうありとあらゆる職場、施設において、この送迎用のバスというものをいま持っているんですよ。そしてこのごろでは一番憂慮されることは、旅館やホテルが非常な過当競争におちいっているということです。自家用バスを買って、そしてただ単にある一定のところいからホテル、旅館に送迎をするという以上に、その車で付近の観光地などの案内もやるという、こういうサービス競争がいまますますエスカレートいたしております。ところが、この自動車局長から出された通達の範囲では、ここからはずれて届け出しなくてもいい部分というものがもう山のように出てくるんですよ。
 そこで、届け出の範囲というものをどうしてこういうふうにきわめて狭く狭く限定をして、そしてこれを拡大をするという方向をとれないのか。人命尊重という立場に立つならば、当然これは拡大解釈をして処理をすべきものであろうと思われるのに、小さく小さくこれを押えて、野放し部分を多くしようと意図してやっているのではないかと疑いたくなるような私は姿勢に思えてなりません。陸運局のほうへ聞きますと、われわれのほうの所管は、届け出をして青ナンバーになったものである、それ以外のことは警察のほうで適当にやってくださるでしょう、こう言います。
 警察庁のほうへお尋ねしますが、この運輸省で出した通達の範囲からはずれて、いま申し上げたようなさまざまな形態で大ぜいの貴重な人員を乗せて運行されている白バス、これが届け出がないからといって、一種の免許で、警察の責任で届け出の車と同様に交通安全の指導の任に当たっていくことができる、これでけっこうだと、こういう御見解ですか。
○説明員(鈴木金太郎君) 私どもから申し上げるのはまことに恐縮なんでございますが、やはり皆さま方の御協力をいただきまして、そしていま御指摘いただきましたように、事業用旅客乗用自動車、これにつきましては、もちろん先ほど仰せられましたように運輸省所管でございますが、その周辺のいわゆる一般の安全運転管理者を置かなければならない事業、こういうものにつきましては、先生の御指摘のとおり、警察といたしましても極力これが安全運転管理の面につきまして十分強力に指導してまいらなければならないというふうに考えておりますし、先ほど申し上げましたように、その範囲の拡大、いわゆる大型につきまして一台あってもこれは問題であるということで、それにつきましての範囲の拡大についてもとりあえず急遽検討を始めたというふうな状況でございます。道交法の百八条の二に、公安委員会が安全運転管理者を講習するということの規定がございます。そういう意味合いにおきまして、この種、類似のいわゆる多くの人命を預かって輸送するような事業の安全運転管理者、もちろん運輸省所管の範囲の外の場合でございますが、そういうものにつきましては、極力これに集中的にひとつ講習その他で指導してまいらなければならないというふうなことも実は私どもとしては考えておるというふうな状況でございます。
○小山一平君 営業のバスであれ、今度この通達によって届け出されるバスであれ、そうなれば十人、二十人の小ぜいを乗せるマイクロバスでも、ちゃんと第二種の免許証を持っているでしょう。にもかかわらず、どうしてここからはずれたものは五十人、六十人乗せて歩いても第一種でいいというのはどういうわけですか。おかしいでしょう。営業の場合には十人、二十人を乗せて歩いても第二種の免許を持つべきであると、こういう規制を加えておきながら、自家用であるというならば、五十人、六十人乗せて飛んで歩いても、いやそれはもっと程度の低い第一種の免許でけっこうですと、どうしてこれを拡大して、こうしたバスというものは全面的に熟練度の高い第二種の免許証を持った運転手によって運行をさせて安全を期する、こういうことができないんですか。もし法律や規則に足らざるところがあったら、検討して改正をすればすぐできることじゃないですか。そういう考えありませんか。
○説明員(鈴木金太郎君) 先ほども申し上げましたように、自動車の運送事業、旅客の運送事業につきましては、これは届け出したものにつきましては第二種の免許というふうな形のたてまえになっておるわけでございます。たくさんの人命を預かると、そういう意味合いにおきまして、先生の御指摘まことに私ども大いに傾聴しなければならぬわけでございますけれども、やはり問題はいろいろあるかと存ずるわけでございます。それから外国の事例などもございますし、いろんな面からこの問題については検討いたしまして、特に根本はやはり私ども考えまするのに、運転者教育というものを一体どうするかという問題が根本にあるというふうに考えまして、まずそれを中心にいたしまして先生の御指摘の点なども検討いたしたいと、かように考えております。
○小山一平君 今回の事故でも明らかなように、この運転手はさっきも申し上げたように第一種の免許を持ち、十分な経験も積んでおらない、そしてあそこでああいう事故が起きた。そして事故が起きれば懲役、禁錮五年というような重刑に処せられるのに、その企業あるいは企業の幹部はたった三万円の科料だか罰金で済んでしまう。そして適当な監督指導に当たる行政は、いまのようなことできちっとした安全のための規制という方針をとらない。これでは今後この星野運転手のような弱い者が事があったときには、ひどい目にあう、そしてほかの事故の要因となったものはわれ関せず、こういうことになりますから、私は少なくも行政の責任においては、星野君のようなことにならないように、大ぜいの人命を預かる車の運行には少なくとも第二種の免許ぐらいは義務づけるべきだ。そういう方向を皆さんがさっそく検討をされるというお約束ができますか。
○説明員(鈴木金太郎君) 先生の御指摘の点につきまして、いろいろな角度から検討いたしたいと、かように考えております。
○茜ケ久保重光君 ちょっと関連。
 いま公安委員長お聞きのように、私もいわゆる自助車運転免許を持っています、第一種持っていますが、聞いていますと、やはり営業用を主体にしたのが二種になっているんですよ。自家用は一種なんだ。そこが問題になっておると思うんだな。いま小山先生おっしゃるように、営業であれ自家用であれ多数の人員を乗せて運行する場合にはこれは同じであるべきだ。そこを営業と自家用に分けたから問題があるんで、これは公安委員長ね、ひとつ今後早急にやっぱり検討しなくちゃならぬ。少なくとも多数の人員を乗せて運行するバスその他の自動車は、やはり熟練度の高い、しかも大型の二種ですかを持つ者が運転しなくちゃならぬ。また、マイクロバスは今度幾らか改正をみましたが、あれは自家用の一種でよかったですね、しかも普通車の一種でね。しかし、十数人以上乗せると、これはマイクロバスといえどもやはりぼくは大型バスとい一諾に見なくちゃいかぬと思いますから、そういう意味で、やはりそこに問題があるんだから、いまあなたの答弁はあくまでも現行の法律に依存した答弁をしておるわけだ。小山先生はそれは困るから何とかしなきゃいかぬという御質問、参事官はあるいははっきりした答弁はできないと思うんです。しかし、公安委員長おられるんだ。公安委員長おられるんだから、公安委員長はいまの質疑応答を聞いておられたから、そういう問題点があったらやはり将来早急にこれはもう一ぺん改正をして、いま言ったように営業、自家用じゃなくて、少なくとも多数の人命を預かって運行する車の運転手は当然これは第二種――第二種というのは、御承知のように熟練度の高い、しかも優秀な技術を持っていなきゃ第二種に乗れない。そういうものをやる必要があるんだから、ひとつ公安委員長、いまの質疑応答を聞いてあなたも十分わかったと思うから、これは単なる参事官じゃなくて、公安委員長は、こういう問題についてはこういう処置をすると、ひとつはっきりした御答弁を願いたい。
○国務大臣(福田一君) 御趣旨を体してひとつ研究をさしていただきたいと思います。いまいろいろ事務の面でも、お説はよくわかります。確かに人命を、特に営業関係のものについては大型バスであろうと何であろうと人命を預かって処理するというときには、これは相当な重要なやはり運転免許の意味においてもそういう点を重視して差別をつける必要があるという御趣旨はよくわかりますから、ひとつ十分検討さしていただきたいと思います。
○茜ケ久保重光君 検討もけっこうだけれども、福田さんね、すべていまそうなんだな、検討している間にいろんな問題が起こるわけだ。あなた方、検討は長いんだ、時間が。一向進まぬ、検討が。これは日常茶飯事、政府当局は。したがって、現にああいう問題を起こしているでしょう。どこでも起こっておる。それを防ぐためには、いまわかっておると、わかっておりゃ当然これを改正すべきだ。まあそう言ってもいろいろあるだろうから、そう端的には言わぬが、福田自治大臣は三木内閣の実力閣僚だから大いにひとつ推進していただきたいと思います。お願いしますよ。
○小山一平君 まあ、だいぶ時間がなくなってきましたから先に進んでいきたいと思いますが、これはついでだからちょっと類するようなことでお聞きしたいと思いますがね。いまマイカーの代行社というのがあるんです。車に乗っていったら一ぱい飲んだ、そこでこの代行社という営業をやっているところへ電話をかけると、車で来て、その車に乗して、車と人間を運んでくれる、こういう営業をやって、このごろはどこの地へ行ってもこういう営業がずいぶんございます。この実態、御承知ですか。
○説明員(鈴木金太郎君) 全部をつまびらかにしているわけではございませんですけれども、とりあえず私どものほうで調べましたのによりますれば、先ほど先生御指摘のように運転者にかわりまして車を運転する、これは運転者代行会というふうな形の名前で呼ばれるように聞いておりますが、これは昭和四十三年ころからあちこち見られたわけでございます。現在警察で把握しておりますのは、とりあえずでございますが六社ぐらいわかっておるわけでございます。そしてまあこの運転者代行会は、もう御案内のとおり会員を募集いたしまして、そして運転の依頼を受けまして当人の自動車を運転して料金を受け取るというふうな形でございます。で、現在私どものほうの聞いている範囲では、道路運送法の規定に違反しておるというふうな話は聞いておらないわけでございます。ただ、運転代行の名前のもとに依頼者以外の者、つまり旅客を輸送して料金を受けるというふうな形になりますと、もう御案内のとおり自家用車の有償運送の禁止違反ということにもなりましょうし、それからまた白タク違反という形にもなりましょう。そういう意味合いの点がございまするけれども、その点、現在のところまだ聞いておらないということでございます。
○小山一平君 私は、これは最近はやり出した営業でございますから、これをどうするかといういま法律もないのも当然だと思いますがね、これはたいへん危険だと思うんです。このほとんどは昼間工場へ行って働く、夜この代行社という会社もあれば、仲間を組んでやるとか、そしておおむね夕方の六時から朝の二時まで、これはたいていこのほかに職業を持っている人のアルバイトというのが大部分のようであります。私のほうなどでは大体二キロで六百円、一キロ増すごとにさらに百五十円、こういう料金をきめてやっておりますが、私はこれはたいへんなことだと思いますことは、この仕事は、たとえば車さえあれば、きょう免許をとった新米の運転手でも仲間を組んでその営業はできるんです。しかも昼間働いて夜は疲れている、それを夜の二時ごろまでこういうことをやる。
 さらに重要なことは、これが最近暴力団がアルバイトを集めてこういう事業をやっているという事例があることも聞いております。私はこれは当然――こういうことはいけないこととは言いません、これは酔っぱらい運転するより何ほどよいかわかりません。であるけれども、やっぱりこの労務管理、安全というようなことも配慮しなければなりませんので、これは許可営業という制度を検討をすべき時期ではないか。ただかってに広告を出して、酔っぱらっている人があったら何番へ電話をかけてください、すぐ飛んで行って運んであげますよ、こんな営業がまかり通って、しかもその中に暴力団などが介入をしてくるということになれば、これは事は重大でございますからいまのうちにこれは検討を加えて、この代行という仕事が、こういう形での営業として堂々と、しかも安全にきちっと行なわれるような処置をとるべきじゃないか、こんな気がいたします。いかがですか。
○説明員(鈴木金太郎君) 先生の御指摘の許可ということの制度という問題になりますと、これは私ども所管の交通関係だけではなくて、関係のお役所と十分これは詰めていかなきゃならぬと、こういうふうな問題だと思うんでございます。しかしながら、先生おっしゃいましたように、これ暴力が介入するなり暴力組織と関連を持つなりそういうふうな形になりますと、まことに先生の御指摘のとおり、ゆゆしきことでございまして、これはもう許可業務とは関係なく警察は厳重にやはり対処し、処置し、これは捜査をしてまいらなきやならないというふうに考えておる次第でございます。ただいたずらに、そういう意味合いにおいて、やはり直ちにそういうふうな形のきびしい処置という形だけではございませんで、やはり事実上の問題といたしましてこれがいいほうに行なわれるように、お客さまの飲酒運転を未然に防止するような機能もある程度持っているやに聞いておりますので、そういうふうな意味合いにおきまして、これが事実上の指導という面については十分今後とも配慮していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○小山一平君 指導とか検討とか言いますけれども、こういうのがだんだんだんだん深みにはまってくるのですよ。ですから、これに対処するには、ただ単にいまの法律の中でやればこうだとかというのじゃなくて、必要があれば法律でも規則でも、法律つくることは役所は好きなんですから幾らでもできると思うのですよ。ですから、これは率直に受けとめていただいて御検討を願い、これが暴力団の関連などでこんな事業が拡大することのないようにひとつ厳重な点検を特にお願いをしておきたいと思います。
 それからこの青木湖のバス事故に伴って道路管理の責任が問われているわけでございますが、私も現地の市長にも会いましたけれども、市民の日常通る道の整備にこと欠いているにもかかわらず、山の奥へ企業が来て開発して、そこへ行く途中の道路が市道であって管理責任があるといわれても、いまの市の財政事情ではこれはどうしてみようもありませんと、こういうことを実は言っております。しかし、全国には非常な危険というものが増大をいたしておりますから、そういうような市町村の管理下にある道路が、市町村が財源がないということで管理の責任を果たせない、果たせないからしかたがないというわけには私はいかぬと思うのです。
 これは大臣、私もこれほどではないと思ったのですが、この事故を通じて調査をして実に驚いたのです。この十年間の驚くべき開発、これは長野県の例でございますが、いまから十年前には、スキー場なんというのは、志賀高原、妙高、野沢温泉、菅平、八方尾根、もう五つか六つしかなかった。それが十年の間に何と六十四カ所にスキー場ができたのです。そうしてこれは山の奥へ奥へと入っていくわけですね。しかもその開発は、最初申し上げたように、いつでも地域の過疎の住民あるいは過疎の町村などが開発の促進の役割りを果たしているわけです。そうして、驚くべきことは、別荘地が長野県に二百三十カ所開発されました、十年の間に。ゴルフ場が四十七カ所。とうとう十年の間に、長野県は青森県と同じようにリンゴの産地ですよ、リンゴ、桃、ナシ、ブドウ、この果樹園の総面積よりも十年の間に別荘とゴルフ場の面積のほうが何と四千ヘクタールも多くなっている。群馬県と並んで養蚕の盛んなのは長野県ですけれども、この長野県の桑園の総面積に比較いたしましても五千ヘクタールも別荘やゴルフ場の面積のほうが多くなっちゃった。これほど急速な開発が進んでいるということは、それに伴う環境整備、道路、こういうようなことがおくれている何よりの証拠です。とてもそんなことが並行してできるはずがないのです。
 こういう実情でございますから、私はこの際ひとつ関係各省庁で、県もあるいは町村も動員をしてこうした実態の総点検を行なって当面の危険防止の措置を講ずべきではないか、こう実は思いますが、警察でも先ほどはいろいろ危険などに対する措置を講じていると言われましたけれども、ひとつ大臣、これは全国的にたいへんなことだと思うのですよ。そこでこれを総点検をしていただきたい。いかがでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 御趣旨を体してひとつ総点検といいますか、調査をさしてみたいと思っております。
 ただ、非常に道路財源が少ないというんで、いままでもいろいろ道路税でありますとか自動車重量税などを引き上げることによって財源の拡充をはかっておりまして、大体いままでは二三%くらいでありましたけれども、最近はそういう意味では三九%くらいまでふやしておることも事実でありますが、しかし、そういうものをふやしたからといって、いまおっしゃったように桑園面積以上にそういうものが開発されるということになれば、とうていそれに追いつかないということもよくわかりますので、ひとつ勉強さしていただきたいと思います。
○小山一平君 このことは、私は企業の責任分野というようなものもきちんと規制すべきだと思います。国や県の範囲もきちんと、また関係市町村の責任範囲というようなものも明確にしまして、そしてそれぞれの協力関係によってやっていくということになれば、私はそうむずかしいことではないように思うんです。
 そこで、特にいま申し上げたような山の奥のほうをどんどん開発をしていくという場合には、それの関連道路というのはほとんどが過疎の町村道あるいは林道が多いんです。そこでこのような道路を、これは延長は長くなりますから、持っている市町村道などに対しましては、こうした都会などではとうてい考えられないような特殊なこれは道路管理の責任でございますので、こういうものに対してはやはり特別な財源措置を特に考えていただいていいんじゃないか。延長が長いんですよ。いろいろ交付税などで考慮はされていますけれども、特にこういうような危険を緊急に処理しなければならないというようなものに対しては、そのことに関しては特に財政措置を特別に講じていただきたいものだと、いかがでしょうか。
○政府委員(松浦功君) 過疎辺地にただいま御指摘をいただきましたような需要が多いことを十分承知をいたしておりますので、明年度におきましても九百七十五億円の過疎辺地債というものを用意をいたしております。全体で一千町村ぐらいが該当いたしますので、一つの町村で平均すると約一億ぐらいのものが参るかと思います。これによりましてそういった需要に対処していただきたいということを考えております。
○小山一平君 やはりその配分を、そういう特別な条件、事業を備えているところには特別に配慮をするというふうに解してよろしゅうございますか。
○政府委員(松浦功君) そういうことになりますと、全国の過疎事業全部私のほうで査定しなければならないというような形になりかねませんので、この辺のところは、過疎地域の度合いあるいは面積、そういったものを基準にして客観的に私のほうで県へ配分をいたします。県のほうで各市町村の実情を十分把握しておられると思いますので、その中で県に御配分を願いたい、このように考えております。
○小山一平君 いや、私がそういう開発などで危険な道路をたくさんかかえているようなところは特別配分してもらいたいと申し上げているのは、ここで、大臣もおっしゃるように、全国的にそういう過疎の点検をこれから進めていこう、こういうことですから、その結果がある程度把握できたならば、そのことに対して特別のことをやるというようなことは決してそうむずかしいことじゃないと思うんですが。
○政府委員(松浦功君) おっしゃられることはよくわかりますけど、過疎債、辺地債というものは、生まれが御承知のようにこの種のものばかりではございません。住民が立ち戻ってくるような、働く場所のための経費というようなものも入っております。その辺になりますと、きまったワクの各団体の奪い合いということになりましょうと思います。私どもある程度客観的な基準で県にお配りをすると、県が特殊事情をお考えいただいて御配分いただくという形をとっていただきたい、こう思っております。
○小山一平君 それは当然県が配分するのもけっこうですけれども、私は何も過疎債だとかなんとかいうものの中でそれを限定してどうこう言っているわけじゃありません。こういうような事故に反省をして、こういうことが二度と発生しないような安全対策を積極的に進めていこう、こういうお考えであるのに、そのことを実施をしていくための財源は特別なことは考えられないと言ったら、これ、何のために点検をしていくのか意味がなくなるじゃないですか。だから、どういう形であれ、そういう緊急の、しかも人命尊重というような観点に立っての事業に対しては、やっぱり何らかの財政措置というものを講じていただかないと、いまの地方財政ではどうしようもないと思うんですよ。
 そこで、それは県が配分の任に当たるのもけっこうでしょうけれども、それには県に対してそういうものを配慮をした措置があってはじめて県もできますけれども、そうでなくて、みんな日本じゅう公平にやっておいてやると言えば、これはどこかへしわ寄せがいって、今度はそんなところどころじゃない、大町の市長の言い分のように、当然市民の日常的生活道路が優先であるということになったんでは、いつになったってこの危険というようなものの防止の措置というものがおくれていくと、こういう心配があるので、特にそういう点は考慮を払うべきではないか、こういうことを申し上げておるわけです。大臣、どうですか。
○国務大臣(福田一君) 御趣旨はよくわかります。それはおっしゃるとおりわかりますけれども、しかし、そういうのをやはりこちらで調査をした上でしませんと、市町村にそれをまかしておくということにすると、みんなおれのところは危険だ危険だと言って出してこられるというところが……
○小山一平君 そこで総点検と申し上げたんです。
○国務大臣(福田一君) だから、そこを――いやいや、気持ちは同じなんですよ。だから、よく調査をいたしまして、その上で処置をいたしてまいりたいと、かように考えております。
○小山一平君 時間が来ましたが、ひとつ至急にいろいろな調査をしていただいて適切な措置を講じていただくことをお願いをしておきたいと思います。
 最後に、さっきも申し上げたように、ここ十年間の開発というものはまさに乱開発、自然の破壊と人命の危険をいよいよ深刻にしているわけですけれども、環境庁もこのごろようやく自然保護のことにいろいろと積極的に取り組まれるようになりましたけれども、この間、緑の国勢調査ですか、おやりになりました。なるほど、この事件を契機にして私がいろいろ見て回りまして、その深刻さに実はびっくりいたしたわけです。そこで、いままでのこの開発された地域の問題の処理とということもあるけれども、これ以上自然を破壊したり危険をつくり出すような開発については、環境庁はきちっと腰を据えて指導に当たるべきだと、こう思うのですが、お考えはいかがですか。
○説明員(新谷鐵郎君) 先生の御指摘がございましたような乱開発の進行の問題は、私ども自然保護の立場からたいへん問題であると思っておりますが、同時にまた、冒頭お話ございましたように自然を保護するということと、その地域に住んでおられます住民の方たちの生活の向上とか過疎対策というようなこととの関連におきましていろいろむずかしい点があるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、基本的には緑の国勢調査等実施いたしまして実態を十分把握いたしまして、ほんとうに守らなくちゃいけないところははっきりと守っていく。同時に、そこに住んでおられる方たちの生活との関係を考えなくちゃいけないような場所につきましては、やはりいろいろきびしい条件をつけまして、同時に環境整備等も行なわれるような条件もっけてこれを許可していく、そういう方向で対処してまいりたいと考えております。
○小山一平君 今度のこの青木湖スキー場も、実は県と企業との間に自然保護協定というのが結ばれております。これは最近こういう傾向が非常に多くなってたいへんけっこうですけれども、ところが、自然保護の協定を結びながら、今度のようなそれに付随する道路の整備という項は入っていない。ただ、開発の拠点の中における自然保護だけが含まれて、そしてそうした付随した環境整備というものが取り残されている。それがこの事故の一つの要因にもなり、あるいはあの道路の整備がおくれている。平和島は八億円もかけたのですよ、あのスキー場の開発に関連して。そして県の土木部に聞いてみたら、あと五千万円かければ最低限の安全は確保できますと言うのに、その五千万円を惜しむ。八億もかける金があったら五千万や六千万円は気持ちよく出して、きちっと整備をすればいいはずなのに、そういうことをやらない。どうもこれは県にしても町村にしても、あるいは誘致というような弱みもあってのこととは思いますけれども、これはひとつ環境庁という立場から、そういうような皆さんのところには弱みはないはずですから、きちっと指導をしていただいて、乱開発そしてまたそれに伴う危険の増大というようなものが総合的にきちっとしたものにすることができるような姿勢でひとつ取り組んで、これ以上とにかく信州の山なども開発なんということはやってもらいたくないというのが多くの人たちの希望でございますから、環境庁のひとつ努力を特にお願いをいたしておきたいと思います。
 以上です。
○松岡克由君 警察庁、よろしゅうございますか。
 過日の決算委員会で、私文教関係のときにもゲバ問題に触れたのですが、もはや文教関係といいますか、学校当局ではもう把握しきれない、はみ出してしまっているという事実が目の前に見えておりますのでいろいろと伺いたいと思うのですが、時間をみんな縮めておりますので、どうぞひとつ回答のほう、的を射た、的確にお願いしたいと思います。
 新聞に報道されております過激派、新左翼、中核派及び革マル派の抗争、いわゆる内ゲバでございますが、私は事件のわりには一般の人たちが寡黙している、なれてしまったのか、どういうことですか、わりと見過ごしているという傾向にあるのはたいへん遺憾なことであるのですけれども、まあ事実は事実なんでしかたがないと言えばそれっきりですがね。私は警察庁のほうからいただいた資料によりまして、昨年末までにこの抗争における死者が十五名、そして負傷者が千五百十八名。いろいろあるが、この大部分は中核派と革マル派の抗争によるものであって、その千五百十八名の中には百人以上の、要するに植物人間といういまことばがありますが、廃人同様となっている人がいるという。しかし、この事件内容はあとで述べますけれども、非常に凄惨なんですね。このルポを私読みました。そうすると、もう読んでいるだけではだえにアワを生じてくるような、なかなか小説にもこれだけのものはないんじゃないかというくらいすさまじいことを、残忍これ以上のことがあるかというくらいすさまじいことを彼らはやっている。読んでいるほうで恐怖を感じる。おまけに全然関係のない第三者が巻き添え食っている。巻き添え食っていることを彼らは誤爆と称している。あやまって爆破したというのですね。で、これを是認しているような傾向が完全にあるわけです。
 私が当局に伺いたいのは、この一連の事件をどう受けとめているか。たとえば過激派集団の内部抗争か、それとも極左集団の勢力争いか、特定のイデオロギーに基づいた党派闘争であるか、これをどういうように見ておりますか。その事件認識を伺わしてほしいのです。
○政府委員(山本鎮彦君) お答えいたします。
 最近の内ゲバの特徴を見ますと、非常に綿密な事前の調査をいたしております。そして初めから相手を殺すというねらいで事件が起きている。それからこれまで学生同士であったのが反戦労働者、これにも波及しているというのが一つの傾向でございます。
 それから事件の原因は何かということでございますが、結局彼らの革命のためには手段を選ばない、相手をせん滅しなければ革命はできないんだと。そして自分たちだけが正しいので、自分たちに反対する者はすべて正しくないんだ、こういう基本的な考え方があると思います。そして、あわせて最近大きな街頭闘争をやるような政治闘争課題というものがない。結局そういう彼らのエネルギーがお互いに向かい合って内ゲバになっている。特に勢力伯仲しております革マル派と中核派、これらが盛んに相互に内ゲバを繰り返している、こういうのが特徴だというふうに思っております。
○松岡克由君 そのとおりだと思います。もはやイデオロギーもへったくれもないんだと。最初のうちは革命をする彼らの集団が、集団同士相互に批判し合ったり、また一部の裏切りに対して、その裏切りの反省を求めたりしているうちに、やっているうちが、いまやもう完全に集団と集団の殺しっこですわね。完全に彼らは戦争、合戦というような表現もときどき使うんですが、まあ理屈はどうでもつきます。それに対するつけている理屈だけであって、完全に殺しっこである。で、私この歴史をそれなりに興味がありましたもので、読んだりまたは調べたりしていますと、最初のうちはそれでも殺人をすると反省する部分があったわけです。遺憾だと、殺人が目的ではないんだ、最終的にこうなったんだが、目的ではなかったんだという反省があったが、いまは完全にないですね。これはもう戦果として堂々と凱歌をあげているんですね。大本営発表でやっているわけですよ。これはすさまじいものです。そしていま、完全にその襲撃を目的とした特別行動隊または求殺隊、こういったものを編成して、組織的に連絡をとって、相手のすきをうかがっては相手をお互いに襲いっこをしているわけでございますね。で、もう襲撃に対しても完全にプロ化されておりまして、血しぶきがあっちこっちかかるといけないからというのでビニールかっぱを使用する。武器も最初はゲバ棒、棒でございました。これがいま鉄パイプ、そしてバール、くぎ抜き、俗にかじゃといいまして、先のとんがっているやつで後頭部を意識的につまり破壊するというふうにエスカレートしているわけですね。
 彼らの機関紙をちょっと、私は話術がうまいですから、ついでにお聞かせしますから、眠けざましに大臣ひとつ聞いていてください。すさまじいですよ。こういうことを書いているんです。これは中核派の機関紙「前進」です。「男のまえに、満を持していたわが部隊がおどり出した。足がすくんで身動きはおろか声ひとったてられない徒輩をまず大地にひきずり倒し、すかさずバールと鉄パイプの乱打をくわえた。」「だが、この程度で満足するほどわが怒りは浅くない。」「まず、両足を高々ともちあげ、両足首と左ひざを完全に打ちくだき、念入りに戦闘能力をうばい去った。つづいて、ぶざまにのびたこれに馬のりになり、やおらとりだした工業用ハンマーを全力ふりしぼって後頭部にうちおろした。」というですね。「ハンマーは反革命分子の頭蓋にドスン、ドスンと音をたててめりこみ、ついに彼は反革命分子としての『生涯』に革命的ピリオドを打たれ、びくりとも動かなくなった。わが部隊は、血まみれになった反革命の『屍』にたつぶりツバを吐きかけ、」と、これなかなか小説でもこれだけすさまじいのはないんですわ。これ堂々と発表しているんですね。
 これ中核派だけだといけませんから、じゃひとつ革マルのほうもついでに申し上げますがね――是永の頭部に一撃、続いて肩口に一撃、そして猛烈なるタックル、助けてくれの悲鳴とともに横転する是永に最後の一撃。他方では最後まで夫とともにスパイ、奇襲団の道を選んだこのおろかな妻にもそれ相当の鉄槌、夫婦は権力の走狗にふさわしい恥多き最期を迎えたのであった一というんですね。文章は拙劣ですが、すさまじいことをやっているわけですね。
 もっとひどくなると、女性の闘士がアジ演説にこんなことを言っているんです。とにかく徹底的にやれと、「頭をカチワレ、肋骨をヘシオレ、内臓をエグリダセ。」と、徹底的に残虐に、もっと残虐にと――仲間の士気を鼓舞といっていいかどうか――やっているわけですね。
 もっとすさまじいのは、革マルであれば何でもやっちゃえというんです。革マルの親、兄弟は申すまでもなく、友人が同じ学校にいれば、この飛ばっちりを受けるのもあたりまえ、顔が似ているだけでもやられてあたりまえだというんです。革マルに似ているだけでやられてあたりまえです。角丸証券なんてのはそのうちに私はやられちゃうんじゃないかと思うんですがね、これは――これ笑っているけれども、これ皆さんね、笑いごとじゃないんだ、これ堂々と宣言しているんですね。もはやこれはもう異常としか考えられない、笑いが出るというのは異常だからなんですよ、正常だった日には恐怖になりますよ、恐怖も感じますがね。
 私は、どういう方針でこの異常者たちに対して警察当局が対処しているかということですね、その根本方針、これを伺いたい。
 ことによると、たとえばやっかい者同士の争いだから、うっちゃっておけば両方つぶれちまえばそれでいいじゃないかという気がなければ幸いですが、こういううわさがあるんです。現にあの田中内閣を追いやった立花何がしというあのレポーターは、彼らが入っている警察が、彼らが出るときに、だれそれのだれだれがどこから出るぜというような耳打ちをしている、つまりあれもやったらどうだというようなアドバイスを当局はしているといううわさもあるというのを堂々と雑誌にも書いているのを私は読んで、またここへ持ってくることも可能ですけれども、私はこういうことはあり得ないと思います。絶体こういうことをほっておいてはいかぬし、両方でやっているうちにだめになるなんていってほっておくような方法をとられたら、市民から全く信用をなくすと、ひとつこちらのその対処する態度を聞かしてください。
○政府委員(山本鎮彦君) お答えいたします。
 われわれは、この内ゲバを見のがしているとか、やらせるままにさしている、こういう態度は絶対にとっておりません。徹底的にこれを検挙するという方針で臨んでおります。
 やり方としては、いまお話しのありましたように、内ゲバをする特別の部隊、こういうものを編成しておる疑いが強いものでございますから、こういうものに対して徹底した行動を確認をいたしております。それから彼らの集まるアジト、連絡のアジト、これらに対する視察の強化。それから一般国民から、そういうような内ゲバがあったときに直ちに通報してもらうような通報体制をいろいろな方法で整備をいたしております。それから大学当局等に対しても、管理措置を強化して、そういうような疑いがある場合は直ちに通報してもらうように依頼をしております。また実際にそのように行なわれている例が多いのでございますが、そういうことで警戒体制を強化して、こういう犯罪が起こらないように未然防止につとめている一方、事件が起きた場合には、直ちに緊急配備ができるように、また警戒線を設定するというようなことで、それぞれ起こりやすい地区を管轄する署は日ごろからそのような部隊を手持ちとして持っておって、すぐに行動をして、できる限り現行犯で逮捕するという方針でやっております。
 また、これまでも解明した事件は幾つかあるわけですが、その中で指名手配になっておる者がかなりおります。そういう者を一日も早く多数検挙することによってこういう事案を絶滅する、絶滅しなければならない、こういう方針でやっている次第でございます。
○松岡克由君 あのね、それはもちろんそうだろうと思うがね、それにもかかわらず、こういった事件が延々とあるわけですね。まだやってないからというならまだ言いわけも立つんですが、私たちは何にも知りませんから、これだけ出てきちゃった、やっているにもかかわらず、あとからあとから絶えないというこの事実は、これはやってもやっても切りがないということは言えないだろうし、私はこれはどうなるんだと、こうやってないっていうならわかる。やってないから、しょうがない、ふえちゃったと――やっているんだというんだ、やっているにもかかわらず――これはなめられているんです、これ完全になめているんです。それが証拠に、事件が起きると、彼らは堂々と記者会見しているんです、やったやつがですよ、仲間がですよ、記者会見を堂々とやってるんですよ。
 たとえばこの新聞にもありますけど――中核派は同夜東京都内で記者会見をし、わが革明的部隊は革マルの行動隊本部を襲撃し、最高責任者とその片腕をせん滅したというんですね、これは過去にやられたことに対する当然の報復であると堂々と記者会見をしているんです、人殺しがですよ。これはどう考えても釈然としませんわな、天下に向かって、おれが人を殺したんだと、こんな思い上がった態度を平気で許しておくというこの状態――許しておいてはいないんだろうけども、平気でやっている、この現状をこれどうしますか。私はよく別件逮捕なんかといって逮捕をしていることを聞いているにつけ、こういうものが堂々とまかり通るこの状態、どうしましょう。
○政府委員(山本鎮彦君) そういう記者会見等はそれぞれの派閥の連中が、先ほど申しましたような内ゲバの趣旨に沿った形でのスポークスマン的な者が発表をしているという事実は承知いたしておりますが、われわれとしては、どこまでもこれを犯罪としてとらえて、その証拠を整えて、その被疑者を逮捕する、検挙するということで、あらゆる方法をもって、いま申し上げましたような形で捜査を詰めて、これまでも多数の事件を検挙しておりますが、昨年一ぱいでも事件の約七割方は検挙しておる統計が出ておりますし、実際もそういうことによって彼らの力は削減されているというふうに信じておりますけれども、いま言ったような目的でひそかに行動する多数の、彼らのいういわゆる求殺隊等がおるものでございますので、その行動の把握が完全にできないということは非常に残念だと思っておるわけですが、何とかこういう困難を克服して、すべてこういうような事件の起こらないように、起こった場合は全部検挙できるようにつとめていきたいというふうに思っております。
○松岡克由君 自信はありますね。
○政府委員(山本鎮彦君) われわれそういう自身を持ってやっております。
○松岡克由君 ですから、こういうだれが考えても納得できないような現状の出てこないように、出てきたらすみやかに――思い上がっているとしか考えられない彼らを冷静――なるかならぬかわからぬけれども、させるような方法をとってほしいと思います。
 犯人の捜査状況について、ちょっと読み上げますから、その後、どうなっておるか、つかまっているのか、つかまっていないかということ。四十五年の八月四日、東京教育大海老原君、革マルです、これが殺された事件。
 以下、四十六年十月二十日、横浜国大富士見寮で美術学校生の水山君、これは革マルです、これが殺された事件。
 四十六年の十二月四日、関西大学で京大生の辻君、同志社大学の正田君、いずれも中核派、これが惨殺された事件。
 四十八年の十一月九日、早大生の川口君、これは中核派のシンパと目されていまして、これが殺された事件。
 四十九年の一月二十四日、富山君、田宮君、いずれも革マルの友人です。並びに横浜国大で矢崎君が殺された事件、矢崎君はこれはノンポリ学生がこれ三百人まわりで見ているんですね、見ているどまん中でやられているんですね。
 四十九年の五月十三日、これは法政大学で前迫君、中核です、これが殺された事件。
 四十九年の九月十日、高橋君、これは中核、これが殺された事件。これは六日後に死亡しています。
 四十九年の九月二十四日、中山久夫君、これは中核です、これが殺された事件。十二日後に死亡しています、即死ではないんですね。
 四十九年の九月二十六日、俗にいう神保町合戦で笠掛君、これが革マル、殺された事件。
 四十九年の十月三日、これは東大井で山崎君、革マル、これが殺された事件。
 四十九年の十月十五日、これは代々木駅近くで佐藤和男君、中核、これが殺された事件。
 以上ですね、この事件について、その後の捜査経過、これ早目にひとつ知らせてください。
○政府委員(山本鎮彦君) 最初の東京教育大生の殺人死体遺棄事件、これについてはこれまで二十三人を殺人罪等で検挙、送致いたしております。
 次に四十六年十月二十日の横浜国立大学の傷害致死事件、これについては一人を殺人罪で検挙、送致し、三人を指名手配して追跡捜査中でございます。
 第三の四十六年十二月四日の関西大学殺人事件については、これまで十二人を傷害致死で検挙、送致しております。
 次に四十八年十一月九日の早大生殺人事件については、これまで六人を監禁致死罪で検挙、送致し、二人を指名手配して追跡捜査中でございます。
 第五の四十九年一月二十四日の東大生殺人事件については、これまで二人を殺人帯助で検挙、送致し、さらに継続捜査中でございます。同じ日に起こりました横浜国立大学殺人事件については、これまで二人を殺人罪で検挙、送致し、八人を指名手配して追跡捜査中でございます。
 次に四十九年五月十三日の法政大学前の集団内ゲバ殺人事件については、これまで四十三人を傷害致死等で検挙、送致し、九人を指名手配して追跡捜査中でございます。
 四十九年九月十日の東尾久の殺人事件については現在鋭意捜査中でございます。
 次に大阪市立大生殺人事件、四十九年九月二十四日については二人を殺人罪で検挙、送致しております。
 それから昨年の九月二十六日の事件については、これはわれわれのほうの調べでは殺人ではなくて傷害事件ということになっておりますが、もちろんこれも現在捜査中でございます。
 それから四十九年十月三日の東大井の殺人事件については、一人を殺人罪で検挙、送致し、さらに継続捜査中でございます。
 最後の四十九年十月十五日の代々木殺人事件については現在捜査中でございます。
 以上でございます。
○松岡克由君 これは近ごろの学生というのはなかなか捜査し、つかまえても手に負えないといううわさを聞いておりますけれども、これはもう当然法のさばきできびしく私はさばいてほしいし、追及の手をゆるめないでほしいと、こう願います。
 それから、この四十七、四十八、四十九年で、無関係な一般の人が要するに誤爆されているわけですね、彼らのことばで言うと。巻き添えで負傷した数が五十六件、六十七名とこちらへきております。まあ数字の上下はこの際けっこうでございますが、おそらくこれらの人々というのは泣き寝入りをしていると思われるのですが、内情はどうなっていますか。
○政府委員(山本鎮彦君) 捜査のほうの立場からいいますと、これも同様捜査は進めておりまして、かなりの者を検挙いたしておりますが、その補償の問題でございますが、一般的にはそういう被疑者から補償を取っているというような状況ではないというふうに承知いたしております。もちろん中には話し合いがついて、われわれの把握している中には二件、まあ何といいますか示談という形で補償したのもございますが、大部分は補償されていないというのが現状だと思います。
○松岡克由君 法務省の方お見えになっておりますか。
 ちょっと伺いたいのですが、まあ内ゲバに限らず、いまはそういった甘ったれ犯罪というのが非常に多いと。過去頭の中に私ふっと浮かぶだけでも、何か横須賀線の中でむしゃくしゃしたからというのでハンマーでなぐり殺したなんという事件もあるし、例のビルに爆薬をしかけたというのは何が目的なんだか全くわからない。ぼくらにとっては甘ったれとしか判断ができないような事件が相次ぐ。こういった世相におけるその被害者、私はその被害者というのは犯人がかりにつかまったとしても返済能力がないとそれっきりになっている例というのがたいへん多いと。これいまちょっと問題になっていると思うのですけれども、私問題になって質問をした新聞記事も読んだことがあるのですが、現在、その人身傷害保険法という案がまあイギリスあたりでは実施されていると聞いておりますが、これどの程度研究されているのか。
 まあたとえ近ごろでは罪を憎んで人を憎まずというようなことがいわれ、更生の機会がその犯罪者にも与えられている。更生の機会を与えるためにかかる費用というのは税金で持っているということですから、私はどうも更生の立場から見ても片手落ちみたいな気がする。もちろん、ましてやられた家族にとってはそれこそ冗談じゃない、どうしてくれるんだと思うのが当然だと私は思います。まあこれいろいろとすぐ国が補償をするということは問題があると思いますがね。
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
補償をくれるならもっとやったらいいじゃないかというような犯罪も生まれないとも限らないし、私はいろいろなことがあるから、そういったことはともかくとしても、いろいろケースによりまして補償すべきものは補償し、就職あっせんするものはあっせんし、また医療で負担できるものは負担できると、そういったことも私は当然考え、また犯人にもかせいだ金を――刑務所の中でかせぐ金ですけれども、それをやっぱり送らせるみたいなそういった方法はとれないものなのか。そのいま言う補償法の問題と、ケース・バイ・ケースの問題というのはどうなっているのか、ひとつ法務省のほうの考え方を聞かしてほしいと思うのです。
○説明員(鈴木義男君) ただいまお話がございましたように、人を殺したりあるいは人に重大な傷害を与えたというような場合には、現在でも不法行為ということで損害賠償の請求ができることになっておるわけでございます。で、しかしながら実際を見ますと、犯人がわからないような場合もございますし、あるいはまあ犯人がわかって検挙、処罰された場合でも、犯人自身がほとんど資力を持っていないというようなこともございまして、犯人から賠償を取るということがたいへんむずかしい状況になっております。もちろんいろいろな補償制度あるいは保険制度等がありますので、若干そういうカバーはされている面もあるわけでございますが、中には被害者の方でたいへん気の毒な、たとえば一家の働き手を失ったために生活程度が著しく下がったという方や、あるいはさらに非常にまあ極貧の悲惨な状況におちいったという方もあるわけでございまして、最近、そういうような例をもとにして、まあ犯罪によって殺されたりあるいは重大な傷害を受けた場合には国が犯人にかわって補償すべきではないか、こういう意見が次第に強くなってきております。
 法務省といたしましても、外国でもここ数年そういう制度を採用するという動きもございますので、そういうものを見ながら勉強してまいったわけでございますが、最近、世論のほうも次第にそれを支持するという方向に動いてまいっておりますので、できるだけ早く検討を終えて結論を出したいというふうに考えております。
 ただいまもちょっと御指摘がございましたように、いろいろむずかしい問題もございまして、たとえば国家財政上でどういうふうに考えるか、それから現在いろいろな社会保障制度があるわけでございますが、そういうものとの関係をどう見るのか、それからいまも内ゲバのようなお話もございましたけれども、そういう何か、これは何も過激派学生だけではありませんけれども、暴力団等のなぐり合いというようなときまでこれはするということになるとまたたいへんでございますが、どういう場合に補償して、どういう場合に補償しないのかということなどについて、できるだけ早く詰めて結論を出したいというふうに考えております。
○松岡克由君 やっぱり一般の人たちの盛り上がりということがもちろん大事だということを言外にいまにおわしていましたけれども、私はそう思います。われわれもそういったものに尽力するつもりでおりますので、どうぞ、いろんなことをつくるということは困難だと思いますがね、困難を押し切ってやるところに意義があるんで、ひとつ前向きの姿勢で進んでほしいと、こう思います。
 まだ聞きたいこと山ほどあるのですがね。もう一つ、ちょっと住居問題のことをやりたいので、最後に大臣に伺いたいのですけれども、私は中核派だ、革マル派だとやっていても、しょせんこれは日本人が、日本の若者が日本のそれもどまん中でやっていることなんでございましてね、私はそれが家族の目の前で、または衆人環視の中でこういったことが起こっている。私はまだやくざのほうがかわいいというと変ですが、お上の威光からのがれているところがあるのですね。これはのがれないのですね、全くアンタッチャブルみたいな感じがするので、私はこういうことがあるということはもう許すべからざるなんという並みたいていのことばではおさまらぬし、遺憾であるという大臣のことばなんかではほんとうに処理のできる問題ではないと思います。私は、どうぞひとっこういったものをほうっておく――ほうっておいてはいないでしょうけれども、こういった結果が出ているということがやっぱり一般市民の不信ということになりますし、やっぱしそういった面を含めて、どうぞ大臣、国家公安委員長を兼ねているわけですから、この際ひとつ決意を一言聞かしてほしいと思います。
○国務大臣(福田一君) 私は、いかなる場合においても、民主主義というものからいえば暴力は断じて認めるわけにはいかない。その最もひどいのがいわゆる革マルと中核の争い、それによる殺人であるということはよく認識をいたしておりますので、あなたが非常に御心配になっておる趣旨に沿って今後もこの種のことの起きないように全力をあげて警察が対処するようにいたしたいと考えております。
○松岡克由君 一言添えたいんですがね。一般に、たとえば交通問題が起きると交通キャンペーンなんというのがある。やくざ問題が出るとやくざ頂上作戦なんといってやくざを撲滅するキャンペーンみたいなものが起きる。それ相当の盛り上がりといいますか、別な課を設ける場合もあると思うんですがね。こういった内ゲバ専門のキャンペーンとかまたは内ゲバ専門のそういったものをつくるというような用意があるかないか、またそういった意識があるかないか、それ聞かしてくれませんか、最後に。
○政府委員(山本鎮彦君) お答えいたします。
 キャンペーンといっても、われわれとしては新聞、報道機関にすぐに知らせるということによってその実態を国民に知ってもらうということは一生懸命やっております。
 それから専門の課は警視庁にもございますし、警察庁にもございますし、それから大阪のほうにもございまして、それぞれやっておりますし、課がないところも専従職員がこれに従事して努力している次第でございます。
○松岡克由君 けっこうです。どうぞひとつこんなことでまた再三再四質問のないようにひとつ努力してほしいと思います。あなた方の努力に期待します。どうぞお引き取りになってけっこうでございます。
 次に住居表示の問題について質問いたします。
 昭和三十七年に住居表示に関する法律が制定されまして、住居表示方法の合理化を目ざして全国的にその改変が実施されましたんですが、問題の確認のために伺いたいんですが、この住居表示改変の意義は何にあったのか。
 この法律の第一条を読んでみますと、第一条には「合理的な住居表示の制度及びその実施について必要な措置を定め、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と、こうあるんですねね。「公共の福祉の増進に資する」というふうにあるからには、直接的に住民全体の福祉または自治体の利益というふうに考えたいんですが、そこに意義があると、こう解釈したいんですが、その点どう解釈していますか。
○政府委員(林忠雄君) 従来、わが国の住居表示は大体町名と地番によってずうっと長いこと行なわれてまいりましたんですが、この地番というのは、本来不動産登記法によって土地を特定するためにつけた地番、それを実はそのまま住居表示に使っておったわけです。そこでこの地番が順序よくずうっと並んでおればあえて従来の町名を変えたり表示方法を変えたりするというのは必要がなかったわけでございますけど、現実には、この地番が間が飛んでおったり、それから順番が全然複雑であったり、境界が入り組んだりして、まあとにかく番地だけ読んで人をたずねるということさえもたいへんなところが多かった。そこで諸外国あたりは大体道路に沿って順番によく並んでおって、人をたずねるのが非常に便利であると、それをわが国に適した方法はどうかということで、参議院の地方行政委員会もこういう住居表示について正しい制度をつくるべきだという御決議もいただきましたし、総理府に総理大臣の諮問機関を設けまして委員会を持って答申をいただいて、それに基づいてこういう制度をつくったわけでございます。
 したがって、まあそれが役に立つのは個人が人をたずねるときとか、郵便を配達するときとか、あるいはいろいろ荷物を配達する、こういったものがきわめてわかりやすくなるということで、一時の混乱をしのいで長い目で利益を得るようにということを考えたわけでございまして、この利益を受ける対象は個人個人でもございますし、地方団体も行政には便利でございますし、あるいは荷物を配送する、そういう業者も便利ということを目的として実施したということでございます。
○松岡克由君 もちろん、そういうことだと思います。ところが、なかなかよかれと思ってやることが裏目に出るということが人生多々あるので、こういった委員会が設けられるということもいいんじゃないかと思うんですがね、なかなか思うとおりにいかない。まあいかないことも覚悟だったでしょうが、それがあまり多くなってくるとやはり問題にせねばならぬということですね。
 昭和三十七年というと、いまから十三年前です。で、この法律が制定されて今日までのその実施状況はどうなっているかということなんですがね、これを手短に報告してほしいですね。どのくらい完了し、どのくらい進行中、どのぐらい計画中、その辺です。
○政府委員(林忠雄君) 全国の市町村数は三千二百九十九ございますんですが、この住居表示法は市街地についてやるということになって、まあ人家が稠密になっているようなところ、そこで四百九十の市町村で事業の実施の計画が持たれたわけです。そして現在そのうちの三百五十一の市区町村について実施がされております。
 その進捗率は、まず計画面積に対しては四九・五%、まあ半分まで進んだということ。それから計画人口に対しては六七・四%で、三分の二の人口はもうすでに済んでおる。それからこれを段階別に見てみますと、最もよく進んでいるのが東京都の特別区で、面積が八五%、人口は九〇%済んでおります。それから以下人口十万以上三十万未満の市、それから十万未満の市、三十万以上の市と、こういう順番で進捗率がおくれておりまして、一番おくれているのが政令指定都市、横浜とか神戸とか、この部分が一番おくれている。大体、現在の進捗率はそうでございます。
○松岡克由君 この法律が昭和三十七年に制定されたとき、その附則に、この仕事は昭和四十二年の三月三十一日までに終了すると、こうあったはずなんですが、これが期限が来たときに法改正しまして、これ「すみやかに」と一言入れているんですね。思うに「すみやかに」がそのうちにになり、私はいずれまたになるんじゃないかと心配しているんですがね。ということは、またその第五条に新しい項目をたしか加えて、住民の意向を尊重する趣旨を盛り込んだと、まあいろんなこう入れているわけなんでございますがね。
 それをとやこう言うわけじゃないんですけども、私何かこの法律に無理があったんではないかという気がするんですね。すみやかにいったほうはいいんですが、残ったほうはちょっとこれ無理な部分が残ったんではないかと、本来なら進んでいいはずが進まないということですね。それほどむずかしいものじゃ――立ちのきじゃなし、道路を買収するわけでも何でもないのが進まないというのは、もうこの辺でおあとがよろしいのではないかという気がするんですがね、どうでしょう。私はおくれの原因はそこにあるような気がしますが、いかがでしょう、この愚案は。愚案というかな、愚感だ。
○政府委員(林忠雄君) やはり先の長い利益を目的――利益といいますか、公益の増進を目的にしておりますけれども、一時的には従来の住みなれた町名が変わったり番地が変わったり、それを一々知人、親戚その他に知らせなきゃならないということで、たいへん手数がかかるわけでございます。それからまあその町名に対する従来の住民の愛着というものがございますと、これがなかなか進まない。
 まあそういうことでわりあいと順調に進んだところが早く進んでおりまして、いま大体半分でございますけれども、確かに御指摘のように住民の理解を得ることにむずかしいのが残ったということではございましょう。しかし、一たんやったところが五年、十年たちます場合は確かに非常に便利になっておりまして、郵便も迷うことが少なくなる、荷物も早く着くということで、これは拙速よりも時間をかけて住民の十分な御納得をいただいた上でやると、で最後にはやはり一応やろうと計画を立てたところは、まあ住民の間に波乱が起こらないように時間をかけてでも完了するという方向に進むということは私はけっこうだと思っております。
 ですから、法律をつくったときは、とにかくこういういいことだから三年でやろうという意気込みで出発もしましたし、その意気込みがまたたいへん意気込みがあったものですから、場合によっては少し強引に住民の不満を買いながらも無理して進めたというところもあり、それに対しての批判もありましたので、先ほど御指摘のように住民の意向を尊重するというような条文も入れまして、まあ三年たってできなかったと、しかしもう拙速でなくて、じっくりという態度に改まって、いま着々と進んでいるところは進んでいる、こう見ていいのだと思いますので、あえてこれをここでやめるという必要は私はないんじゃないかと思っております。
○松岡克由君 わりとさらさらさらっと愛着があるだろうけどもまあまあなんていう意見をしているけども、この愛着ということは並みたいていの愛着じゃございませんでね。
 私は幸いと言っていいか、戦後わりと愛着を持たないで済むような町名に住んでおりましたんでよかったのですがね、これが事江戸の由緒ある町名に住んでいる、まあやれ真砂町の先生であり、真砂町であるとか同朋町、明神下あるいは深川だとかいうところに住んでいる連中にとって、おそらく同朋町なら同朋町一つあげても、おそらく全部がいやだと言うでしょうね。おそらくこれはわかるとおり、聞いていったら、まあそれは聞いていったら切りがないと言えばそれっきりですがね、私は聞いていったら一人一人冗談じゃないとみんな言っている。ところが、ふしぎにお江戸の住民というのはお上に弱いのだ、お上がそう言うからやっているんだけども、気持ちの上においてはこれは煮えたぎっているほどという事実があるんですよ。
 だからこそ、たまたま問題になるのは私は氷山の一角なんでございまして、だから私は整地したり町名を変えることはいかぬとは言ってないんです。まして飛んでいるところだとか、わからないところは当然変えるべきであるし、どんどん進めていかなきゃいかぬという内にひそむものが、私はそこまで配慮しているのか、配慮していても目が届かない部分があるのではないかということを憂えて質問しているのですけれども、ただ一片の事例によって、あしたから、来月からまたは来年からこう町名が変わりますというようなことでは納得できない。具体的にはどういうような方法をとっているのですか、変える場合。
○政府委員(林忠雄君) つくりました当初は、いまのようにいいことだから早くやろうということでたいへん意気込みもし、多少拙速といいますか強引なところもあったケースもずいぶんあったように聞いておりますし、そういう苦情もずいぶん伺ったわけでございます。
 しかし、それにしても住民の代表が参加する審議会というのを一応つくりまして、その審議会においてできるだけ意見を出してもらうということで、住民の意向に沿うようにとしてやる配慮はすべて払ってはおりましたし、さらにいま御指摘になりました古い由緒ある地名への愛着ということで四十二年には法改正もして、十分もっと住民の意向をという手続も入れました。議会へかける前に、まず公示をして、異議ある者は署名でもって出してもらえれば、それを議会にあわせて出す、そういう形で住民の意向を取り入れて慎重にやるという方向に変わってまいりました。
 ですから、その後――ちょっと二、三数字を申し上げますと、四十六年の十一月から四十八年の十一月というのですから、わりあい最近の二年間でございます。この二年間に、この住居表示を実施するということで公示をしまして、そのうち変更請求の出たのが四十四件でございまして、町名変更請求が三十件、町区域の変更請求が二十六件、町名と町区域の両方の変更請求が二件、計五十八件、そういう請求が出ておりますが、それが議会に提出されて、そういう意見が出たにもかかわらず最終的に原案どおりにされたものが十七件、それから原案を修正したものが十三件、否決されたものが二件、それから継続審議二十件等、議会も相当その住民の意向は十分審議したという姿があらわれておると思っております。
○松岡克由君 じゃ逆に聞きますが、住民サイドから変えてくれというのはありますか。
○政府委員(林忠雄君) 御質問の趣旨は、当局が別に住居表示を実施しようとしないのに……
○松岡克由君 しない、こっちから変えてほしいのだ、この町名はいやだからという例はありますか。
○政府委員(林忠雄君) それは聞いておりませんけれども、むしろその町としてこういう住居表示をやるかどうかということを議会の議決を経てきめた場合において、住民から従来の名前を変えないでくれという意向のほうが非常に強いようです。
 ただ先生ひとつ、いまの御質問で、これをやると必ず町名が変わるというものではございませんので、従来あった町名をそのまま使うことも一向差しっかえないわけです。ただ東京都の場合は、ちょっと全都一斉にやるというために、少し原則を立て過ぎて、やたらに全部何丁目何丁目とつけるとか統一したりして、少し住民の意向に沿わなかった面があって議論もあったわけでございまして、四十二年の改正以降、それはだいぶ少なくはなってきているはずでございます。現在、特別区の区域で一〇%残っておりますが、こういうところはやはりそういうむずかしい問題をかかえて、住民との意向の調整になお手間取っているものと考えております。
○松岡克由君 もちろん、それは存じてます。ただ私の言いたいことは、それはよけいなことで、変えてほしくないところが出てきているものを問題にしているわけですから、そのことは要らんです。いずれにしてもお上のぺ−スでやっている、こっちから頼んでいるのじゃない、向こうからやっているの、だ、こういうことですね。
 ただ、それは私はうまくいきゃいいですよ、イニシアチブをどこがとろうがうまくいきゃいい。新町名に変えてくれてこんな便利なことはない、ありがたい、さすが政府だ、さすが地方自治体であり、そのくらいの自治省であるということなら私は問題ないんですけれども、たとえば私は何か町名を変えることについても、変えることにおける町のつけ方でも何でも怠惰以外何ものもないんじゃないかという気がするのですね。
 たとえば新宿区の場合、新宿駅を中心に、駅に近いのは西新宿というのですな、ちょっと北に当たるから北新宿、やれ西新宿ということになっているのですね、西口にあるから。ここは昔は角筈とか淀橋、十二社、柏木などといったところなんですね。これを変更した目的が何だか私にはよくわからないのですね。また、これを変えることによってうまくいったと思っているならこれは大笑いで、冗談言っちゃいけない。
 駅の前にあるから新宿で、西にあるから西新宿、北にあるから北新宿というけどね、これは御存じだと思いますが、江戸には北、南という観念はないのですわ。大阪だと南行ってけな、北行ってんかというようなことを言いますが、東京はないのですよ。東京で北というのは知っていますか、どこだか。にやっと笑って吉原のことなんですよね。南というと遊び場の品川のことなんです。それ以外にないのだ、東京には。だから私はここで北、南と簡単につけられると、京都や北海道の札幌と違いますので、たいへんに困る。
 台東区の場合なんかはもっとひどいのだよ。上野に東上野に北上野ですね。浅草も浅草橋、元浅草、西浅草そして浅草、東浅草というのですね。これは私は文化に対する冒涜ではないかという気がしますがなあ。池袋の場合では、豊島区池袋、東池袋、西池袋、南池袋、上池袋、池袋本町――本町というとどまん中というイメージを持っておりましたら、これが離れているのですね、はるか川越街道の板橋のほうに近いところにあるのですね。
 これはちょっと上から地図を見ると割ってやりたい気持ちもわかるのです。それだったら日本列島を縦に割っちゃえ、横に割っちゃえという意見にエスカレートしちゃうのですがね。しかし町というものは上から見てないのですね、われわれというのは。横から見ている、場合によっては下から見ているのです。だから、それほどこういうふうに上から見て、ヘリコプターの上から割らなくても私は済む場合があるのではないかという気がするのですけれどもね。
 そうして新しい町名をつくる場合も、いきな町名ができるのならまだしものこと、新宿というのはだれでも知っているが、そこへ東だ西だ南だ北だというので、マージャンの親をきめるのじゃあるまいし、そう簡単に東西南北をきめられたら私はこれによってえらい迷惑になるのです。それが証拠に私は逓信委員をやっていますからあれなんですがね、はがきが返ってくるのですよ、どんどん戻って。それはいまプロセスだといえばそれきりですけれども、返ってくるのがあまりひどいので、これはだれにミスがあるのかと思っていろいろやってみましたら、結局、東が抜けた、西が抜けた、本が抜けたということなんですね。
 これで私非常に迷惑を逆にこうむっているのではないか。そして現に町名を変えられることにおけることですね、たとえばタクシーもわからなくなれば、何々町の鈴木さんといえばわかるけれども、そういう部分も出てくるしね。どうなんですかね、私はあまり利益があがっているような気がしないのですがな。いま私の話を聞いていて、どう感じますか。
○政府委員(林忠雄君) いま例をお引きになりました新宿とか浅草とかいうところで、やたらにそういう従来有名な新宿とか浅草の名前の上に東西南北をつけたというようなやり方ですね、それはまあ先生の御指摘のような点、私も全く同感で、多分にあるのではないかと思っております。
 それで直接私のほうがこれは新宿をやったわけでもございませんので、もちろん都、それぞれの区で従来指導したような審議会を設けて町名もいろいろな候補をあげて御議論になったと思うのですが、何か新宿の場合は聞くところによりますと、比較的若い方々が新宿という町名をぜひつけろという御意見が非常に多くて、それならばひとつ北新宿にしよう、西新宿にしようとなったということも小耳にはさんだことはありますけれども、初めにやる段階でよく住民の代表の意見も聞いて、よく御議論になっていただいて、いまのように北新宿とつければ、北が一本抜ければもう郵便が届かなくなるのですから、この制度の趣旨と全く反することになるので、そういうつけ方は確かに御批判のようにまずい点があるという気はしております。
 でれすけども、それはまあやるときに慎重な配慮ということを十分やるべきでしょうし、これは一たんやってしまうと、それに基づいてまたいろんな通知が出たりしますので、引き返すのは容易じゃないわけでございますので、当初の拙速から、多少時間をかけ住民の意向を十分に取り入れてという方向に転換しておりますので、その方向に沿ってあらゆることを考えてつけていただくべきじゃなかったかと思います。
 すでにやってしまわれたような新宿とかいうようなところで、確かにこの制度の目的とは違う面のまずい点が出てきているとすれば、たいへん遺憾なことでございますけれども、これは新宿はいつできましたかちょっと私聞いておりませんが、これがもしほんとうに直さなければならないのなら早くやるべきなんで、一たん定着した以上はこれはやたらにやるべきではないと思っております。
○松岡克由君 私はその答弁で満足です、けっこうです。
 裁判になった例がありますので、一、二。
 いまも今泉さんが持ってきたのですが、弥生町のことなんか、これはもとへ戻ったのですね、文京区の。それから豊島区の目白地区の一部を西池袋二丁目と改めた。これは地図で見るとちょっとへこんでいるか出っぱっているのをもとへ戻したということなんですが、これは住民が訴訟を起こした。目黒も上目黒八丁目が大橋二丁目になるから、これは駒場にしてくれといったら、これもだめだというので訴訟を起こしたわけですね。
 ところが最高裁の判決は、町名は単なる地域特定の名称にすぎず、住民の利益として法的に保障される根拠もないし、また変更を求める権利もないと、まあ却下されているわけです、住民側が。つまり早い話が町名の変更などでわざわざ裁判所までお上の手をわずらわせるなというのがわかりやすくいうと判決なんですね。
 私はちょっとこの判決に対して疑問を感ずるのですが、自治省としてはどうですか。
○政府委員(林忠雄君) この判決の趣旨は、こういうことでわずらわせるなではなくて、権利として裁判の保護を受ける権利とは考えられないというまあ法理論だと思うんでございまして、すでに最高裁の判例が出たものについて行政当局が見解を述べるのはあまり適当でないとは思いますけれども、法律的には納得のいく判決だと存じております。
 これらが変わったのも、裁判で変わったんではなくて、こういう議論が起きたのでまた行政手続でもとへ戻したり変えたりしております。それもけっこうなことだと思います。住民の納得を得られ、行政手続でそういうことができれば、それもたいへんけっこうじゃなかろうか。
 この判決自体は、法律的には納得できると考えております。
○松岡克由君 なかなか言わないんですね、お互い同士は。この間も私はここで、余談になるんですがね、入場税を下げたらどうだと言ったらね、そうしたらなかなかむずかしいと。そしたらわきにちょうど文化庁がいた、文化庁どう思うと言ったら、いやなかなかそうは思わないと言うんだね。結局下がったんだけどね。だったら、そこ言っておきゃいいじゃないかということがあるんでね。お互い同士の思惑というのは感じるがね、私はどうもいまの非常に優等生的な答えというのはあんまり腹ではないと、こう見たいんですがな。
 まあ裁判そのものは、私は、町名変更というのは対象でないということをいうならば、それはそれで一つの見識だと思うんです。一言多いと思うんだ、これね。ということは、町名は単なる名称であり、住民の利益として保護される対象でないというなら、ならAでもBでもいいじゃないか。サンフランシスコなんかあれなんか符号で、向こうの都市はそうでしょう、あれ霧のサンフランシスコを霧の何だと符牒で歌った私はアンデイ・ウイリアムズのショーを見たことがありまけどね。私はそういうふうにいくと、利益の対象でないというが、やっぱりささいかもしれぬが、判こを変える、いま言うとおり、いろいろ手紙はがき出すたって、あんた郵便局からくるはがきはほんの十枚かそこらのものしかこないし、私はやっぱりいろいろあると思うよ、みんな個人的な負担をしておりますからね。
 それから、やっぱり町名が変わることにおける――私は特に愛着を持っているせいかね、歌舞伎なんかへ行きますとね、いわゆる紀尾井町とかやれ二本榎とかいう、そこへ住んでいる、町名に住んでいる人の文化人的なプライドをほめてくれるんですね。「待ってました、紀尾井町」と言うんですね。落語にも黒門町の師匠という、なくなった桂文楽という名人がいましたね、これは上野一丁目の師匠になっちゃうんですね。これはね、それだけの問題でないんです。やっぱり文化に対する私は冒涜――ということはね、やっぱり町に愛着心を持っているところで私は公徳心が出てき、道徳心が出、お互いの親近感――いま最も失われている、疎外感の解放があると思うんです。
 あのね、私の友人が目黒に住んでいるんですけどね、これはマンションに住んでいる、私のうちもマンション、長屋が縦になっただけですね。これへ住んでいて、私のうちはどういうわけか四、五軒コミュニケーションを持っているところがあるんですね。これを話したら、その友人が奇跡だと言うんですね。同じコンクリートの中にいてそこにコミュニケーションがある、盆暮れのつけ届けをしたり、こんなものが入りましたというのをやる、長屋のつき合いをやっているのは現代における奇跡だと言うんですね。そのぐらいこうかれてしまっている、かれ果ててしまっている現代に私は潤いを持たせる一つと言ってもいいくらいの最後のとりでを破壊してほしくないということを言いたいんですけどね。
 どうですか、大臣ね、これがほんとうに江戸っ子でなくてもいいですよ、川崎っ子でも京都っ子でもいいです、この町を変えてほしくないんだときたら、ようしわかったと、話によってわかったら変えるという、制度を再検討するという見解ですね、自治省にあるかないか。私はあってしかるべしだと思うんですが、その回答を聞きたい。
 いい例が新宿を変えちゃったでしょう、柏木を。ところが、その柏木の新宿区の出張所ですね、おたくのやっている出張所は柏木出張所になっているんですね、調べたらね。というと、やっぱり柏木のほうがいいんだな、御当地もね。こういうのを見ていると、質問の意味をわかってくれると思いますが、変更すべきところは、もとへ戻せるものは戻してやろうと、どうでしょう、大臣。
○政府委員(林忠雄君) 大臣の先にひとつ。
 この住居表示はあくまでもわかりやすいようにすることが一番なんですが、町名を変更しないで前のままの町名を使って地番だけ整理したところもずいぶんたくさんございます。ですから、ほんとうにやるときにどうするか、町名をそのままにしておいて地番だけ整理するかということから始めていただければ、実は慎重にやればいまおっしゃったような点は心配せぬで済むわけでございまして、少し拙速でやり過ぎたというところがいまの御指摘のような批判の出ることだと存じます。
 で、それもかりに戻すんならばもうほんとうに早くやらなければいけないし、ある程度定着したものはもう戻すことはかえって混乱を増すということになると思いますので、それぞれの自治体で判断していただきたいと私は思っております。
○国務大臣(福田一君) 私は、町名の変更をやる場合には、住民の意見を十分聞いてやったらいいと思うのですが、やってしまったところでも非常に残念だというようなことであれば、私はそういうことを申し出て、やれるならやって一つも差しつかえないのじゃないかと、こう考えております。
○松岡克由君 あと二点ばかり短く聞きます。
 自治省は、街区方式による住居表示の実施基準を定められているのですね。その2の1に「従来の町の名称又は当該地域における歴史・伝統・文化の上で由緒のある名称で、親しみ深く語調のよいものを選択すること。」とあるのですね。これが守られているとこんなトラブルが発生しなかったんではないか。さっき今泉さんもメモを持ってきてくれたのですが、本郷の弥生町の問題、これはまたもとに戻ったんですが、こういうこともなかったんではないか。したがって自治省の地方自治体に対する指導方針が私はあまり徹底してないのではないか。
 それから同基準の2の3に「まぎらわしい」名称を避けるとあるのですね。避けてくれれば、さっき西や東の物語りというのはなくなってくるわけなんですがね。だから自治省がどういう指導をしているか、指導が徹底してないのではないかという遺憾な面があるが、どうでしょう、その取り締まりとしては。
○政府委員(林忠雄君) 実は、いま御指摘になりました新宿、北新宿、西新宿の問題、これはいつの時期にやられたのかいま私ここで存じておりません。最近であれば、こういう指導に対して少し無感覚であったのじゃないかと思います。
 たしかこの制度を実施したときに、もう早い期間にやってしまおうという意気込みでやった、その時代にいまのような配慮が不十分であったということはあるいはあったかも存じませんので、それに対する反省は四十二年の法律改正で行なわれまして、いまの由緒ある地名とかそういうものを条文にも入れ、実施基準にも入れたわけでございまして、その後、これを守ってやっていただければいまのようなことは起きなかったのではないか。それ以後やられてなおかついまの御指摘のような西・北をつけただけというなら、いかにも芸のない話ですし、あるいは私のほうの指導――この実施基準が守られていないということについて、私のほうが責任を感じなければならないかと存じております。
○理事(小谷守君) 松岡君に申し上げます。時間が……
○松岡克由君 最後に一言。
 前のことは私どもは知らないというような皮肉なとり方もできますので、前のことは前のことだと言い切れない面が私は当然あると思いますので、そう思わないでほしいということ。
 それから、大臣いみじくも言ってくれました。直すものがあったらどんどん直そうという、もとへ戻せる希望があるならば戻してやろうといったその意見を私はしっかりと聞いておりますので、その答えを満足として質問を終わります。
○理事(小谷守君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(小谷守君) 速記を起こして。
○峯山昭範君 初めに大臣にお伺いします。
 特に、最近、地方財政の問題が大きく取り上げられております。特に大臣に超過負担という問題でございますね、摂津訴訟とかいろいろな問題、超過負担という問題が最近大きな問題になりつつありますが、大臣はこの超過負担という問題についてどうお考えですか。
○国務大臣(福田一君) 私は超過負担というものはとにかく解消をしなければならないという基本的な考えを持っております。
○峯山昭範君 超過負担というものは解消しなければならないというのが大臣の御見解でございますから、当然私はそうなければいけないと思うし、健全な地方財政を運営していく上におきましては当然必要なことだと思います。
 そこで、きょうは、地方財政の特にいま現在お荷物なんていわれておりますけれども、委任事務の問題や、そういう多少こまかい問題になるかもわかりませんが、一つずつお伺いをしてまいりたいと思います。
 初めに、きょうは行政監察局、行政管理庁からもお見えになっていただいておりますが、まず昭和四十三年に陸運行政並びに労働行政等について三大臣の申し合わせがございます。これは一体どういうぐあいになったのか、この問題について初めにお伺いをしておきます。――
 どうもまだはっきりわからぬようでございますから、もうちょっと言います。
 これはすでに昭和四十三年の十一月に、一つは陸運行政の問題につきまして、これは行政管理庁長官の当時の木村武雄さん、それから自治大臣の赤澤さん、それから運輸大臣の中曽根さんが集まりまして、全部で五項目にわたりまして改善をするという申し合わせが行なわれております。この問題は昭和四十三年の十一月の問題ではございますけれども、何回か取り上げられておりまして、昨年も衆議院の地方行政委員会のいわゆる附帯決議の中にも出てまいりました。参議院におきましても同様の決議が行なわれております。当然、私はこの問題については超過負担という問題を――超過負担という問題と直接関係はございませんけれども、これは制度の上からこういう問題については当然私はすみやかに決着をつける方向で検討を進めていらっしゃると思うんですが、実際どういうふうになっているのかお伺いをしたいと思います。
○政府委員(林忠雄君) あるいは行政管理庁のほうからお答えいただくべきものかとも存じますが、この地方事務化問題というのは、いま御指摘のような関係大臣間の覚え書きその他も締結されましたし、政府の各種調査会あるいは行政監理委員会あたりで何度もこれを解消すべきだという御指摘を受けておりまして、それに対して鋭意事務的な協議を進めておりますのですけれども、とにかく非常に長い問題で各省ともなかなか意見の一致を見ないわけでございます。
 いま昨年の地方行政委員会の御決議もいただきまして、私の省もまた鋭意緊褌一番またことしの国会に間に合うようにということで各省との話も詰めておりますが、現在、まだどうも各省の一致点がなかなか見当たらない。今後、その努力をさらに政府部内で精力的に続けてまいり、一日も早く解決したい、その方向に持っていきたいと考えておる次第でございます。
○峯山昭範君 大臣ね、これはいま行政局長さんですか、答弁ございましたが、これは大臣、超過負担をなくするというからにはこういうふうな問題もがっちりゃらないと解決しないと私は思うんです、これはね、大臣。特にこれはいまのようないわゆる答弁では私はとてもこの問題については納得できませんのでもう少しやっぱり具体的におっしゃっていただきたい、具体的に。どこにネックがあるのか、どういうふうに考えているのか。
 行政管理庁も当然私はこの問題にはタッチはいたしておりますが、これは行政管理庁そのものの問題でもありますへ行政改革という点からいいますと。しかしながらこれは陸運行政だけの問題でなくて、もう一つのほうもこれは自治大臣が当然かんでいるわけです。いずれにしてもこの二つの問題についてはこれ決着をつけない限りは、これはもう昭和四十三年から続いて、毎回毎回続いて、しかも国会の附帯決議までついて、しかもその附帯決議に対して大臣が答弁をなさっている。にもかかわらず、これ本気になって取り組んでいただかないと困ります。したがって私はこれはどういうふうなつもりでいつごろまでにやるつもりなのか、そこら辺のところもあわせてもう一回再度御答弁いただきたい。
○国務大臣(福田一君) 御趣旨はよくわかります。われわれも努力をいたしておるのですが、これはまあある意味でのセクショナリズムといいますか、これは直さにやならぬことはどんどん一刀両断でやれとおっしゃる気持ちはわかるのですけれども、なかなかそこが人と人との関係というか、やはり社会生活というものはあなたのおっしゃるように簡明直蔵に割り切れない面もあります。それを無理して割り切るとまた問題が起きますから、やはりその趣旨に沿って努力をしてまいる、かような考えでございます。
○峯山昭範君 私は非常に大臣のおっしゃることはよくわかります、そのとおりだろうと私は思います。
 したがって大臣ね、これはもう昔のことはあんまり言いません。昨年、大臣が――当時は大臣ではございませんでしたが、昭和四十九年の五月の十七日にこの問題について再度決議がなされました。先ほど局長がおっしゃったとおりです。それから現在まで具体的にどういうふうな打ち合わせをされたのか、人間的にそれは当然いろいろな問題も、セクショナリズムもあるでしょう、けれども、やっぱりそれを乗り越えてやるためには具体的に打ち合わせをするなり具体的に会合をやるなりしないとこれは解決しないわけです。何にもやらないで、セクショナリズムがありますから何がありますからといったって、これは話始まらないでしょう。具体的に何をしたのか、これをちょっとお伺いしたい。
○政府委員(林忠雄君) 附帯決議の趣旨をいただきまして、さらに重ねて各省に強く申し入れました。それから昨年の予算要求の終わった秋に各省間の打ち合わせを、ここにおられます行政管理庁の主宰のもとに開いていただきまして、そこで鋭意議論を二度三度戦わしております。
 しかし現在まだ残念でございますけれども、各省の間の見解が非常に離れておりまして、一致した結論を見出せないで今日に至っておる。なおこの国会にできれば法案提出が間に合うように、さらに鋭意努力を続ける決心でございますけれども、はなはだ一致を見るにはなお険しい道が前途に控えておるのではないかという気がいたしております。
○峯山昭範君 再度私はお伺いいたしますがね、秋に一回ということでございますけれどもね、まあしかしこれは秋に一回やって、そんなものね、大臣がおっしゃるようにセクショナリズムで各省のあれがあって、人間的な関係もあってばっさりはいけぬ、そんなもの一回で解決するわけないね、これ。そのためにはやっぱり回数も重ねないといけませんでしょうし、ネックになる問題もクローズアップさせなければいけないと私は思いますし、そういうふうな具体的な努力をしていらっしゃるのか私は重ねてお伺いしておきます。
○政府委員(林忠雄君) 行政管理庁に主宰していただきました会合は数は少のうございますけれども、私のほうから厚生省、運輸省、労働省にはそれこそ一週間とおかずに何とかしてくれという申し入れをやって、両方の、向こうの意見を聞いております。ですから決してまあ何と申しますか、不熱心ということではございませんで、これはもうできるだけ早く解決したい、長い問題であるということで、さらに熱意をかき立てて取り組んでおる次第でございます。
○峯山昭範君 行政局長は非常に御熱心にやっていらっしゃるようでございまして、大臣の意図を受けて非常にまじめに一生懸命やっていらっしゃるのだろうと私は思うのですけれどもね、ある新聞の報道によりますと林局長の談話が載っております。これはこのとおりかどうか、ちょっと違うかもわかりませんので、違うところがあったら言うてください。
 林行政局長は、これはちょっと違う問題の談話でございます、やはりこれから私が質問しようといたしておりますいわゆる委任事務の問題のときの談話の中に、「余計な仕事を一方的に負わされているという地方団体の主張は、必ずしもあたらない。新しい法律に基づいて新しい行政事務ができた場合、地方の実情をよく知る機関が、議会の批判を受けながら仕事を進めていくのが最も良い方法だと考えるからだ。しかし、地方団体の抵抗にも、もっともな根拠は多い。」これからです。「事務再配分や個々の委任事務の洗い直しが必要なことは認識しているが、いざ実施となると、関係省庁の事情がからんで簡単には運ばない。結局のところは、強力な調整機能を果たす機関をつくる以外にない」こういうふうに林局長が話をしたという談話が載っておりますが、これは合うていますか、これ。
○政府委員(林忠雄君) ことばがこのとおりで去ったかどうかは別として、大体、そういう趣旨のことを新聞記者に談話として申し上げたことはございます。
 これは実は各省の意見が相違いたしますと、そのままであれば絶対に次官会議、閣議が通りませんで、法案として上に出すことができませんので、調停に立って両方の言い分を聞いてこうだときめてもらうような機関が必要だと、そういう意味で私申し上げたのでございまして、行政管理庁というのは場合によってはそういう機能を果たしていただけるものとも考えておりますし、したがってこの地方事務官問題でも常に行政管理庁に調停をお願いしておる、ここ数年の実情はそうでございます。さらに各省の言い分を聞いた上で、もう少し全体を見渡したある意味では政治的な判断というのできめていただく決断の場というのも、ものによっては必要ではないか。ことにこの地方事務官問題あたりは、そうしない限り、なかなか各省間の意見の一致が見られないという見通しがございますわけでございます。
○峯山昭範君 行政管理庁、お見えになってますね。ただいまのような発言を自治省の局長さんがしていらっしゃるわけですが、これは私は行政管理庁というのは、いまここの中の談話のほうの最後のほうにありますね、強力な調整機能を果たすという役目は当然行政管理庁がやるべきだと私は思うんです。これはどうですか。
○政府委員(小田村四郎君) 行政管理庁は、設置法にございますように、行政制度一般に関する基本的事項の企画であるとか、行政機関――これは国家行政機関でございますが、それの機構、定員及び運営の総合調整であるとか、そういうことを所掌しておる役所でございます。
 ただいまの地方事務官制度の問題につきましては、行政局長から御答弁申し上げましたように、四十八年以来たびたび会合を開きまして、関係各省間の意思の疎通をはかるように努力しておる次第でございますけれども、総合調整と申しましても、いまの内閣制度のもとにおきましては、最終的には各省間の意見の対立は閣議において決定するということになっております。ただいままでの地方事務官についての各省間の意見はかなり大きな隔たりがございます。これはかりに私のほうで何らかの調停案を出すというような段階まで至っておらないというふうに考えておるわけでございまして、もう少し各省間において歩み寄りはできないだろうか、そういうことでいろいろ努力をしておるわけでございますが、調整機能と申しましても、一方的にこれに従うように裁決をするという権能は持っておりませんので、やはり関係両省間の間におきましていま少し問題を煮詰めて歩み寄っていただくように努力を続けてもらいたい、かように考えております。
○峯山昭範君 局長、ぼくは行政管理庁はもうちょっとしっかりしてもらいたいと思いますね、局長。
 それはあなた先ほどから答弁がございましたけれども、私はそういう中身の話をいろいろ言っているんじゃない、こういうふうな問題については、先ほどの行政局長の答弁は強力な調整機関を新たにつくる以外ない、こうおっしゃっているわけです。ということは、私はいわゆるその調整機能というのを果たすのは、これは行政改革の一環として、これは臨調以来出ているわけですよ、この問題は。あなた方が一生懸命やらないからいままでこういう状態で残っているんじゃないですか。いま急に出た問題じゃない、ずっと昔から出ておる、この問題は。行政管理庁が本気になって取り組まないからこういう問題が解決しない、そうですよ。
 あなたのいまの答弁聞いていると、大臣、こんな調整を果たすのは閣議しかないとおっしゃっていますが、どうですか、やっぱりこういうような調整をするのは閣議しかないのかどうか。
 私は現在の機構の上からいいますと、これはたとえば先ほど申し上げました、ここに三大臣の申し合わせが出ております。この二つの申し合わせに行政管理庁はかんでいる。これは当時の木村行政管理庁長官はこの問題について何回も答弁をされています。行政管理庁が調整機能を果たすんだ、そのためにやるんだということを何回も私は内閣委員会で聞いていますよ。いまの話だと、行政管理庁じゃないんだ、あれは閣議なんだ、こういう答弁です。ちょっとおかしいんじゃないですか、大臣。
○国務大臣(福田一君) 事務の関係であれすれば、そういう答弁も出てくるかと思いますが、私は実は去年国会対策の委員長をいたしておりまして、ちょうどそれでたいへんな騒ぎが起きたんですが、それでそういう事情から先ほどのような発言もしたんでありますけれども、私としてはやっぱりこれはどうしても実現をしたい。そこで今度の国会は短い国会ですから、法案はもうできるだけしぼって出さぬようにしたい、こう思っておるんですが、まだはっきりついておりませんけれども、この問題をひとつ出すように提出法案に予定しておるわけです。それは私たちがやはり何とかこれを解決する意思を持っておるという証拠と御認識を願いたい。まだ話はついておりませんよ。同時にまた松澤長官にもこの旨を伝えて、そしてひとつ努力をしてもらいたいと思っております。
○峯山昭範君 ただいまの大臣の御答弁ですね、今度の国会にぜひともこの問題を解決するための法案を提出する、そのために努力をすると、こういうことでございますから、それで私は納得をいたしておきます。
 しかし、この衆参両院における地方行政委員会における附帯決議も、その解決のめどを五十一年の三月の末にはそれを解決できるように努力をしてもらいたいと、こういう期限つきの附帯決議になっているわけですね。そういうような意味では、今度の国会でぜひとも解決をしていただかないと、これはなかなかめどがつかないということになってしまいます。どこかでやっぱりある程度決断を下してやっていただかないといけませんので、その点はあらためて申し上げておきます。
 それでは先ほども申し上げましたように、順次質問をしてまいりたいと思います。
 まず、大臣、全国の知事会が地方行財政に関する今後の措置についての報告というのを昭和四十九年の十二月四日出しておりますが、大臣、見ていただいたでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 拝見いたしております。
○峯山昭範君 それでは、きょうは、この中で特に機関の委任事務の問題――相当たくさんございます。きょうは時間の許す限り一つずつお伺いをしてまいりたいと思います。
 初めに、まずこの資料の中の第一番目に、物価統制令に基づいて現在行なわれておるところの「公衆浴場入浴料金の統制額の指定に関する事務」、こういうことで第一項目にあげられております。これはまず厚生省にお伺いいたしますが、物価統制令というのは現在どういうふうな運用をされていらっしゃるのか、そして公衆浴場の入浴料金の問題については現在どういうような事務処理がなされているのか、この点ちょっとお伺いをしておきます。
○説明員(河内莊治君) ただいまの公衆浴場の問題でございますが、公衆浴場につきましては現在かなり利用者もございますし、比較的社会的弱者の方が利用されているということからいたしまして、現在、物価統制令の適用を受けておる次第でございます。
 で現在は、各都道府県が入浴料金を決定するにあたりましては、まず実態調査を行ないまして、そしてその調査に基づきまして各都道府県において料金を算定していただいておるわけでございます。ただ、それが内容的にこまかい調査も多少関連することからしまして、地域の実情に合わした実態調査による料金算定というのが現在行なわれている状況でございます。
○峯山昭範君 これは当然本来なら国が直接行なう事務ですね、それを都道府県に委任をしてやっておる。
 それで全国の知事会としては、こういうふうな改善の内容を指摘いたしております。「物価高騰の折りから各県において処分している入浴料金については、問題が多く、統制額として指定することは、地方公共団体の財政援助を伴う原因ともなっているので、地域基準を設定し、全国的視野にたって、国において、決定するようにすべきである。」こういうふうな指摘を行なっておりますが、これに対する見解をお伺いしたい。
○説明員(河内莊治君) ただいまの御質問でございますが、これはやはり各都道府県によりまして利用者の問題を考慮いたしますと、何と申しましても低料金で近いところで多く入浴ができるというようなことで、この浴場の問題についてはいろいろと私どものほうで検討していることでございます。特に最近のデータによりますと、浴場が廃業していくというふうなことも実質的にございます。したがいまして国民の保健、福祉の観点からこの浴場をいかに確保すべきであるかというふうなことで検討はいたしております。
 で現段階におきまして、この料金を算定するにあたりましては、やはり何といいましても実態調査を実施せざるを得ません。でこの料金と申しますものは、やはり歳出並びに入浴利用者の人数等によりますところの歳入、それの見合いでもって決定されております関係上、やはりこれは地域的に料金を算定していただくというよりほかにないかと思います。まあこの点についても、全体的にこの入浴料金の問題というもののあり方等についても、今後、検討はしていかなければならないというふうに考える次第でございます。
○峯山昭範君 それじゃお伺いしますが、この法律に基づいて地方に事務を委任しているわけでございますが、これに伴う厚生省はどの程度の補助をしていらっしゃるのか、財政的な措置はどうしていらっしゃるのかお伺いしたい。
○説明員(河内莊治君) ただいまのところ、公衆浴場につきましては、融資の面で措置されているほか、現在、この入浴料金の問題を含めまして公衆浴場のあり方につきまして委員会を設定いたしまして検討をしている段階でございます。それが近いうちにまとまろうかと思いますが、それに基づきまして、しかるべき今後のいろんな対策を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○峯山昭範君 きょうは五十五項目聞かにゃいきまへんので聞いたことをちゃんと答弁してもらいたい。
 現在まで財政措置をどの程度してきたかと、こう聞いているわけです、どうですか。
○説明員(河内莊治君) 直接的には国の財政は出してございません。ただ間接的に各県に経営指導員を若干名ではございますが配置いたしまして、その指導に当たらしております。
○峯山昭範君 財政措置をしてない。あなた財政措置のあとで経営指導員を配置してあるとおっしゃいましたが、この経営指導員に対する給与かなんか払っているんですか。
○説明員(河内莊治君) これは四十九年度に四十七名新設いたしまして、それに対する手当を計上いたしておりました。これは月額五万円でございますが、来年度はさらに手当の単価をアップいたしまして七万円といたした次第でございます。
○峯山昭範君 あなた方はきょうは超過負担の問題をやるということに初めからなっておるわけです。四十七名というのは、日本には県が幾つあります、都道府県が。しかもその人一人の給与、手当、五万円で済みますか。
 しかも、この知事会で指摘しているこの財政的な負担というのは、これは当然私はこういうことだと思うのです。低料金で入浴する、当然私は大事な問題です。また浴場の経営者がどんどんどんどん廃業していくとあなたはおっしゃいました、どうして廃業していくのか。これは地方自治体としては料金を安い料金で入浴させるようにしなくちゃいけない、料金を押えるためには都道府県がその浴場に対して補助金を出さなくちゃいけない、そうすると、そういうふうな方面でも都道府県はばく大な財政支出を余儀なくされる。だから、こういうふうな問題については国で全国的な視野に立ってやってもらいたいという要望だと私は聞いておる。
 そういう点から考えてみましても、これはたいへんな私問題ですよ。このたった一つの問題を取り上げてもこうであります。この問題については少なくともこれから私は本気になって取り組んでいただきたいと思うが、どうですか。
○説明員(河内莊治君) ただいまの御指摘は全くそのとおりでございまして、ただ、この環衛業の特に浴場の指導なんかは昨年度まだスタートしたばかりでございまして、まだ緒についたといいましょうか、今後もこういった面について極力検討委員会のお答えを待ちまして積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○峯山昭範君 この問題について、大臣はどうお考えでございますか。
○国務大臣(福田一君) 私はやっぱり浴場の問題などは地方の実情に合ってやはり処理をしていかなければならない問題だと思うのです。たとえば稠密地帯と過疎地帯とではずいぶん違うと思います。したがって実情に合ってやっていかなければならないのでありますが、これは一般論になるのですけれども、知事会の言うていることもよくわからないわけではありませんけれども、やっぱり交付金というようなものも出しておるし、また地方の税制というものもちゃんと財源的に認めておるわけですから、そういうものも一々全部、どちらかでさい然と区別をしてやるのがいい場合と、まあまあその範囲内でやってもらうほうがうまくいく場合とあると思うのです。これを一律にきめるわけに私はいかない、かように考えております。
○峯山昭範君 大臣ね、私はただいまの問題は物価統制令の浴場の料金の問題で先ほどから議論をしているわけですが、大臣ですね、きょうは先ほどから申し上げておりますように、超過負担の問題についてやる、こう初めに前置きをしてやっておるわけです。
 浴場のこの問題について、大臣は交付金もやっておることでもあるしと、だいぶそのあといろいろな話が出てきました。どの程度やっているのですか、この問題について。
○政府委員(松浦功君) 大臣がお答えになられたのは地方交付税のことであろうかと思います。御承知のように現在の地方財政と国の財政との関係は、一応、補助金が出る出ないにかかわらず、全体の地方団体としての財源所要額というものを頭に置きました上できめた制度でございます。国の委任事務であれば、全部が全部各省から補助金が出る補助金が出ない、そういう形での律し方はいたしておりません。たとえば義務教育のようなものは半分だけは国が持ちます。ところが戸籍のようなものにつきましては、これは委任事務でございますけれども、全部税金なり交付税でやるのだと、そういうたてまえで仕組まれております。そのことを大臣は御指摘になられたんだというふうに思います。
○峯山昭範君 この問題は相当ほかの問題にもからんでまいりますので、大臣、もう一回私は大臣に話をしておきたいと思いますけれども、きょうは、なかなかこれは時間がかかり過ぎて六十五もやれそうにもないんですけれどもね、これは。たとえば横浜市のような場合には、大臣、児童福祉をはじめ生活保護とかそのほかいろんな国の委任事務、当然本来なら国がやるべき仕事であります、これは全部で六十五あるそうです。そして横−浜市自体のいわゆる職員は全部合わせて二万人、そのうちの七千五百人という人がいわゆるこの委任事務の施行に当たっている。しかも先ほど話がございました地方交付金というのは、国からの補助というのは約三割です、七割はこれは持ち出しになっております。こういうデータが現実に出ております。
 こういう点から考えてみましても、これは当然私は一つ一つ本気になって国がこれを考え、処理していかないといけないんじゃないか。いいかげんな考え方ではこれは解決しないと私は思う。たがって、きょうは、そのほかたくさんありますので、とりあえず幾つか処理をして、その上でまた答弁をいただきます。
 その次に食管法の問題で農林省にお伺いします。食糧管理に関する事務というのがあります。これは現在どういうふうになっておるのか、それで地方自治体にどういうふうに委任をしているのか、この点をまずお伺いをしておきたいと思います。
○説明員(小野重和君) 食管法関係ではいろいろございますが、主として配給関係の事務がございます。これは配給の実施計画なり、あるいは配給業務を実際にやっております販売業者、これの登録の問題、あるいは米飯提供業者の登録の委任事務、そういうようなもろもろの事務を都道府県にお願いしております。
○峯山昭範君 いまあなたが御答弁になりましたような、そういう実務が現実の問題として必要ですか。
○説明員(小野重和君) たとえば卸売り販売業者あるいは小売り販売業者、この登録の問題でございますが、やはり主要食糧を的確に配給する、消費者の手に入れるためには、配給計画というものをつくりまして、その実施、あるいは配給通帳――購入券でございます、こういうものもございますが、同時にその主体でございます業者、これについての指導監督、これを的確にやる必要があるということで、その一環として登録というものは必要であろう、かように存じております。
○峯山昭範君 もうすでにあなたも知事会からの要望については御存じだと思いますけれども、これは知事会からの要望によりますと「食糧管理制度は、現状と大幅に隔離し、その事務は複雑かつ膨大であるので、制度全般にわたって、検討を加え、事務の簡素化、効率化をはかるほか、当面、次の事項について検討すべきである。」
 私も、実は、この「検討すべきである。」という中身を見て初めて知ったわけでありますが、まず一番に「米飯登録業者の登録についてはすでにその意義が失われている」と、したがって廃止すべきである、こういうことです。
 それから二番目には、米穀類小売り業者、販売業者の新規登録を行なうにあたっては、申請者から、いまあなたから答弁ありました「米穀を買い受けることを希望する消費者の署名簿を提出させているが、署名の意味が薄く、又この審査の意義が乏しいので廃止すること。」私も、米屋からどこのだれだれさん、だれだれさん、だれだれさんが買うんだよということを署名捺印して、そしてそれを持っていって初めてこういう許可が行なわれると、そういうことを知ったのは今度初めてなんですがね。こういうのは実際問題もう現在のお米の販売の実情からいって必要ないんじゃないか、私こう思います。
 さらに「主要食糧の購入券交付事務、この制度が有名無実となっているので再検討すること。」
 私は少なくともこの三点については当然だろうと思うのですが、これらの問題については、いま農林省としてはどうお考えなのか。それで実際おっしゃっていることはもっともなことが私は多いと思うのですがね、この問題いかがですか。
○説明員(小野重和君) 三点の御指摘があることを伺っておりますが、一々申し上げてもよろしいのですが、たとえば三番目にございます購入券の交付事務について申し上げますと、購入券  昔配給の切符と申しておりましたが、これは現在卸売り業者、小売り業者、それから消費者、この三段階でそれぞれ購入券を交付しまして、その購入券を下のほうから上に上げてくるのでございますが、それによって配給をする、こういう仕組みになっております。ところが現実には特に消費者団体でございますが、これの意義が失われているのではないかという問題がございます。
 で私どももその実態についてはよく承知いたしておるのでございますが、ただ、この問題につきましては食糧管理全体の問題というものがございます。食糧管理の根幹ということばがあるんでございますが、これはやはり主要食糧を公平かつ適正に配給するということなんでございますが、で、いまのような配給、購入券の交付というものは、まさにその一環ということで、食糧管理法に書いてあるわけでございます。
 そこで、これを具体的にどうするかということになりますと、これは食糧管理をどうするかという大きな問題とからんでくるわけでございます。従来も食糧管理いかにあるべきかということにつきましては、いろいろな論議がなされているわけでございますが、ただ現時点において考えてみますると、数年前までは食糧事情というものは世界的に非常に緩和しておりましたけれども、最近は、これは御案内のようになかなか楽観を許さない情勢にある。こういう情勢の中で、この購入券も一つの例なんでございますが、食糧管理の根幹につながるものについて改正をするのはいかがなものであろうか、こういう問題がございます。同様に、この一ないし二につきましても、この根幹につながる、こういう制度であるというふうに私ども考えております。
○峯山昭範君 これは食管会計の根幹にかかわる問題とは言いながら、私は食管そのものについては、あなたがおっしゃるとおり確かに重要な問題であろうと思います。当然これはなかなか一朝一夕で解決する問題ではないと思います。しかしながら、ここに書いてある三点については、そんなに根幹にかかわる問題じゃないじゃないかという判断もあるわけです。
 実際問題、あなたがおっしゃるように、その実態については御存じだということでございますからもう重ねては申し上げませんが、いずれにしてもこういう無意味なことということが書いてあるわけですね。そのこともあなたは御存じだということですから、私はこういう問題については、当然地方で切実の問題として要求が出ているわけです。こういう問題についても本気になって農林省でも根幹を直そうとすると非常に時間がかかります。しかし地方のいろいろな不必要な事務ですね、そういうようなものについてはやっぱりすみやかに改めて、そうして少しでもいわゆるこういう許認可行政をスムーズに進める、あるいは庶民の生活という立員からみてもそういうふうなむだなことを少しでも省いていく、そういう考え方がなければ、これはいつまでたってもこういう問題は解決しないと私は思います。そういうような意味で、もう一歩前進して、こういう問題に私は取り組んでもらいたいと思うのですが、どうですか。
○説明員(小野重和君) 食管の根幹につながる問題であるということを申し上げましたが、それは総論的な考え方でございまして、個別に申し上げますと、たとえば二の署名簿の問題でございます。
 これは新規登録の場合でございますが、既存の登録業者といいますか、これは一年ごとに更改するわけでございますが、これにつきましては、一定の、最低のお米の取り扱い数量をきめております。それ以下になりますと登録取り消しにすることあるべしと、こういうことになっております。それとのバランス問題がございまして、新たに登録を受けようとする者につきましても、それだけの最低の扱い数量が確保される見通しであるかどうかということを判定する必要があるということで、そのためには署名簿というもので、最低取り扱い数量の倍の数、これの署名を集めて登録の申請をしていただきたいということにしておるわけでございまして、既存の登録業者とのバランス問題ではこういう制度があるということでございまして、そういう個別の理由もあるのでございますが、総論的に申し上げますと、すべてこの食管の根幹につながる問題であるということで、そういう問題になるということを申し上げた次第でございます。
○峯山昭範君 どうも非常に苦しい答弁をしているようですけれども、実際あんまり深く突っ込んで質問すると、あなた困るかもわかりませんので、これ以上あまり言いませんけれども、実際ちよっとだけ聞きますけれども、一軒の小売り店が新しいお店を始めるときに、要するにその店から何人買えばいい、署名の人数は何人なんですか、最低。これはいまから十年前、二十年前なら私は当然必要だと思うんですよ、ところが現在ではそういう必要はもう全然なくなっているのじゃないか、これはどうですか。
○説明員(小野重和君) たとえば東京都の場合を申し上げますと、一般の既存業者の登録要件、これは五百人になっておりますが、新規の場合の署名の数、これは千人と、この倍というふうにしています。
○峯山昭範君 これは千人も判こをもらうんですな、これは私は非常に大問題ですわ、ほんま、これね。現在、たとえばお米屋さんを始めるにあたって、千人も判こ――私の店から買ってくださいよと言って実際に千人も判こをもらって歩いて、実際千人買いにくるかというと、そうじゃないと私は思うんです。友人、知人やそこら辺の人全部かき集めてやらぬと千人集まりませんわ、ほんまのとこ。これは現実に沿っていませんよ、これは。その千軒の人たちが現実に実際にそのお店に買いにいっているかどうかチェックする機関なんかないでしょう、あるんですか、あなた方。できるわけもないですよね。
 そういう点から考えてみて、やっぱりこの知事会の指摘は正しいと私思うのです。そういうような意味からも、これは三つともこの制度はこの食管制度ができた当時は当然必要だったと私は思うのです。しかし現在の時点では少なくともこういうふうな制度は、これは不必要であり、また事務的な問題としてもたいへんな手間になる。そういう点から考えても、これは当然私は、きょうは課長さんの答弁としては少なくともこういう問題についても今後やっぱり検討していく必要がある、このくらいのことは言っていただかないと、これは私は納得できませんよ、この問題。どうですか。
○説明員(小野重和君) 制度の改善につきましては常に検討をする必要があるわけでございますが、ただ私どもといたしましては、そういう基本問題にもかかわっておりますので、そういう問題があるということを申し上げたいわけでございます。
○峯山昭範君 それではその次に、人権擁護委員の問題について、これは法務省にお伺いしておきたいと思います。
 これは人権擁護委員法、この法律に基づいて人権擁護委員の推薦に関する意見提出事務というのがございます。これは現在どういうぐあいになっているのか、どういうふうに運用をされていらっしゃるのか、これはどうですか。
○説明員(森保君) 現在の人権擁護委員の選任手続を申し上げますと、人権擁護委員は人格識見が高く、そして広く社会の実情に通じ、人権擁護に理解がある者を民主的な方法で選任しなければならない、こういうことになっておりますために、選任手続につきましては、人権擁護委員法におきまして市町村長がまず議会の意見を聞いた上で候補者として推薦をいたしました者について法務大臣が都道府県知事、弁護士会及び人権擁護委員連合会の意見を聞いて委嘱する、こういう順序になっているのでございます。
○峯山昭範君 けっこうです。したがって、これは市町村長さんというのは当然その市町村にそういうふうな方々が必要でございますから、身近にいらっしゃる方でございましょうし、よく調査をしていらっしゃると思いますから、その人がいまおっしゃったような方であるということはよくわかると私思うのですね。
 ところが知事会の要望は、都道府県知事のそのいわゆる意見書というのは、意見書をつけてそれで提出をする、そういうぐあいになっておる。この意見書については、都道府県知事の手元にはそういう方々一人一人のいわゆる意見提出になるべき、その根拠となるべき台帳等の資料がない、したがって、これは現実として形式化しておる。これは本人がおっしゃっているのですから、これは間違いないと私は思うのですが、そういう人たちがおっしゃっているわけですから間違いないと思うのですが、これは廃止してもらいたい、こういう要望なんです。これはどうですか。
○説明員(森保君) 御指摘の点につきまして、まず申し上げておかなければなりませんことがあるわけでございますが、人権擁護委員は各市町村の区域に置かれる、そして当該地域住民に対する人権擁護活動あるいは人権思想の普及高揚をはかるということを使命といたしておるわけでありまして、私ども人権擁護委員事務を担当いたしております者といたしましては、日夜、人権擁護委員の存在、そして人権擁護委員の活動が各地域に密着し、そこに定着をしてほしい、そういうように考えておるわけでありまして、ややもすればこういう制度が形式に流れる、形式化するということから脱して、内容に充実したものを盛るためにはどうすればよいかということが私どもの悩みの種でありますが、そういうようなことを考えてまいりますときに、この人権擁護委員のやっていただきます職務の内容は地方行政に非常に深く関係しておると思うのでありまして、さような点からいたしますと、責任者であります知事の意見を尊重いたしまして、意見を伺って、真にその地域においてその地域の輿望をになって広い意味でのそうした地方行政の一翼にお力添えをできるような、ふさわしい人権擁護委員としての適任者を広い視野から選任する必要がある、こういうふうに思いますところから、人権擁護委員の委嘱にあたりましては、特にいろいろなこまかい手続を経まして、その中に知事の意見を伺う、こういうことに相なっておるわけでございます。
○峯山昭範君 課長さんのおっしゃる訓示はよくわかるんです。そのとおり、御意見賛成なんです。そのとおりだろうと私思うんです。当然そうなくちゃいけませんしね。しかし、この職務の内容とか、そういうおっしゃることは当然そうなくちゃいけないし、そうであろうと私は思います。問題は、頼むほうは一生懸命おっしゃっておるわけですよ、頼まれるほうは形式化しておる。言うておるんです、これはね、実際問題として。ですから、この全部が必要じゃないとおっしゃっているんじゃなくて、現在形式化しているこの知事の意見書というのは要らないんじゃないかと、こうおっしゃっているわけです。やっぱりもしどうしても必要なものであるならば、これは当然そういう必要であるという方向で検討しなくちゃいけないと思うし、また、ほんとうに形式化しておるものであるならば、これはやっぱり制度の上で本格的に研究しなきゃいかぬのと違うか、こういうふうに私は思うんです。そういうような意味から、再度もう一ぺんお伺いしておきたいと思います。
○説明員(森保君) その点につきましては、いま峯山委員御指摘の意見書というお話がございましたが、いわゆる事務を簡素化するという観点からいたしまして、私ども現在、意見書という、そういう形での繁雑さは避けるように、簡単な形で知事の可否の意見を伺えばそれでよろしいことになっておるわけでございまして、人権擁護委員法に定められておりますような知事の意見を聞く方法にいたしましては、知事の側におきましても、私どものほうにおきましても、形式化しないように、内容が充実いたしてまいりますように、そういうような観点から、さらに検討は加えてまいりたいと思いますが、現在のところ、この人権擁護委員法に定められております、知事から意見を聴取する制度そのものを廃止するということは考えていないわけでございます。
○峯山昭範君 きょうは、どうも議論をやっておりますと、非常に時間がかかりますので、これはやっぱりあなた方――頼むほうは確かに一生懸命ですね。しかし、頼まれたほうは形式化しておるわけですわ、現実の問題として。ですから、やっぱり何らかの形で事務を簡素化し、そして超過負担をなくし、それで地方自治体のお荷物となっているものを解消したいという意向からこれは全面的に検討していらっしゃるわけです。そういう点から、実質的な問題として、これは法務省当局も検討してもらいたいと思います。
 さらに、まだ三つぐらいしかやっておりませんので、非常に時間がかかりますが、次に、麻薬取締法というのがあります。これは厚生省担当の方お見えになっておると思いますが、この「麻薬取扱者の免許・業務廃止等に関する報告」、これがこの「麻薬取扱者免許業務廃止報告および免許失効による麻薬譲渡報告は、月報として国へ報告すること」となっておる。それで、実際問題として、その「資料の活用状況からみて、廃止すべきである。」というのがこれは意見なんですが、これはどうですか。
○説明員(本橋信夫君) 麻薬と申しますのは、用法によりますと、単に個人の心身のみならず、社会的にも非常に大きな害悪を流すものでございまして、麻薬取締法におきまして、その生産、流通、使用に関しまして、すべて免許にかからせておるわけであります。国は、その麻薬の流れを段階別にチェックをして、厳重な規制をするということで、終始現状を把握いたしまして、そして、有効適切な手を打つという考えに基づきましてこういうことをお願いをしておるわけであります。
○峯山昭範君 きょうは私の持ち時間が非常に短いのと、さらには非常に項目が多いので、これから順番に申し上げますので、それぞれの関係者は後ほど適当な方法でけっこうですから、説明なり資料で提出をしていただきたいと思います。具体的に申し上げます。
 まず一番初めに、銃砲刀剣類所持等取締法、これに基づいて「銃砲刀剣類の登録事務」というのがございます。この問題につきましては、「登録刀剣類の所在確認を常に必要とする都道府県公安委員会が所管すべきである。」、こういうふうに意見が出ておりますが、これに対する見解をお願いしたいと思います。
 さらに二番目に、母子保健法、これに基づく「母子保健に関する事務」、この意見は、当然資料、もうすでにお持ちだと私は思いますので、詳細な説明は省かせていただきます。
 それからその次に、三番目に精神衛生法、「精神障害者に関する精神鑑定業務、措置入院患者の解除および仮退院等に関する事務」、これに関する改善の内容等が出ております。
 それから四番目に、原爆被爆者の医療等に関する法律並びに原爆被爆者に対する特別措置に関する法律、これに基づいて「被爆者の関係事務」、これの措置ですね、これは特に事務処理に要する人件費の補助の問題、さらには被爆者の健康手帳の交付の問題、こういう問題についての措置について後ほどお伺いしたいと思います。
 それから、文化財保護法に基づく「文化財の保護に関する事務」。詳細は省きますが、「事務の再配分」の問題や「責任の明確化」の問題ですね、この点についても後ほど書類で出していただきたいと思います。
 それからその次に栄養改善法、これは「集団給食施設の栄養管理事務」ですね。この問題については、当委員会でも何回か取り上げられておりますが、この知事会の改善等の内容について回答をいただきたいと思います。
 それからその次、高圧ガス取締法、「高圧ガス製造設備等に関する許可事務」というのがございます。これは特に今回の水島の事故がございましたので、非常に重要な問題であると思いますので、この「石油化学コンビナート工場に対する規制は、現在産業保安三法が分断競合しており、統一的な取締行政が行われ難いので改善をはかること。」、これは非常に重要な問題であると思いますので、この点の措置についてそれぞれの省庁の意見をお伺いしたいと思います。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
 それから国民健康保険法、「国民健康保険の療養取扱機関の申出の受理等に関する事務」。これは特に健康保険の療養機関の取り扱いがそれぞれの都道府県で分断されておりますので、これを「全国通用の取扱機関とするよう法を改正すること。」、こういう意見が出ております。われわれもぜひそういうふうにしてもらいたいと思いますし、この点についても、それぞれの関係省庁の御意見をお伺いしたいと思います。
 それから、非常にたくさんありまして、あと三点ほど申し上げますが、特にこれから私が申し上げますのは、財政措置がどうしても必要だという問題であります。これは旅行業法に基づく「旅行業者の登録等に関する事務」、それから同じく旅券法に基づく、これは外務省でございますが「旅券の発給、申請等に関する事務」、外国人登録法、外国人登録に関する事務、それから統計法に基づく「統計調査事務」、それから不当景品類及び不当表示防止法、これは公正取引委員会の管轄だと思いますが、「景品類の制限及び禁止並びに不当な表示の禁止規定の違反行為に対する都道府県知事の指示等に関する事務」、それから国民健康保険法、「国民健康保険の指導監査等に関する事務」、以上の問題はすべて財源措置にかかわる問題であります。したがって、そういうような観点からの回答をお願いしたいと思います。
 それから、あと二つ申し上げますが、これは農地法の問題です。これは「農地又は、採草放牧地の権利の設定、又は移転及び農地の転用等の許可に関する事務」、これは財政措置であります。
 それから自然公園法、「国立公園及び国定公園内の許可届出並びに一般管理事務」、これは財政措置の問題と基準の明確化の問題がございますが、この二点の見解をお伺いしたいと思います。
 以上いろいろ申し上げましたが、これらの問題についてはきょう時間の関係で質問ができませんので、後ほどあらためてそれぞれの関係省庁より御答弁をお伺いしたいと思います。
 それでは次に、自治省にお伺いしたいと思うのですが、最近特に財源措置に非常に悩んでいらっしゃる地方自治体が、特に千葉県方式というのが最近の新聞でも報道されておりましたが、現行のいわゆる利益課税方式、こういうような方式であると、これは非常に業者が赤字の場合は税金が全く入ってこない。そういうようなところから、地方税法七十二条十九ですかの特例を用いて、総売り上げに対する課税という問題が現在提起されております。この問題について自治省はどういうふうにお考えであるか、初めにお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘をいただきました、法人事業税に関します課税標準を何に求めるかという問題でございますが、ただいま御指摘をいただきましたように、千葉県におきましては特に石油関係企業を対象にいたしまして、所得に課税標準を求めることなしに、売り上げ額といったような外形標準を課税標準にして課税をしたらどうかというようなことを検討いたしておったのでございます。もともと事業税が、企業の活動に着目をいたしまして課税をいたします物税であるという思想をとっておりながら、現在大部分の業種において所得が課税標準になっておりますことは御案内のとおりでございまして、適当な措置があるならば、所得以外のものを課税標準にとることもできるという法律の規定もただいま御指摘のようにあるわけでございます。ただ、現実の問題といたしまして、所得を課税標準にするか、あるいは他の外形のものを課税標準にするかは、その場合場合によりましていろいろな大きな影響が出てくるわけでございまして、どちらを的確に把握をするのか、これにつきましては技術的にもたくさん問題があるわけでございます。
 そこで、現在のところ、千葉県におかれましてこのような新しい方式について検討を進めていただいておるということそのことにつきましては、私どもは非常に意義のあることだと、このように考えておるわけでございますが、ただ現実の問題といたしまして、千葉県一県だけがこのような措置をいますぐとるという点につきましては、売り上げ額の把握そのほかの問題につきましていろいろな問題点も生じてこようかと思っておるわけでございます。そこで、千葉県自身もおっしゃっていらっしゃるのでございますが、今後なお、石油産業等を持っております他の県の実情等も調査あしながら、共同研究といったようなかっこうで検討を進めて、何らか適当な方法があるかどうか、もう少し息長く検討してみたい、こういう御意向のように承っております。私どももこういうような観点から、なお慎重に検討を続けていきたい、こう考えておる次第でございます。
○峯山昭範君 これは大臣、私は非常に重要な問題だろうと思います。特に千葉県の場合は、出光とか丸善とか、そのほか石油企業相当あるわけですね。そういうような企業が現実の問題として法人県民税のいわゆる均等割りだけ払えばいいと、そういうふうなことになってしまうと、これは非常に私は問題が生じてくる。実際問題そこで働く人たちもたくさんおりますし、いろいろな問題があるわけですね。そういうような観点から、これは何とか、こういうような問題を検討しておるということは意義があることだと、こういうことですから、それ以上私は申し上げませんが、いずれにしても私は重要な問題だろうと思います。
 そこで、大臣にちょっとお伺いをしたいのですが、これは先般の予算委員会でも私たちの同僚議員から提起をした問題でございますが、現実の問題として、こういうようなのがもう出てきておるわけですね。出てきておるというのは、危惧が出てきておる。これは何かといいますと、御存じのとおり、こういうふうな大手の企業が要するに決算の結果非常に赤字であった。ところが、現実の問題としては、税金は非常にちょっとしか納めていない。そういうような問題とともに、先般から問題になりましたこれは政治献金の問題とからんでくる。
 こんなことがいいのか悪いのかという問題は非常に重要な問題をはらんでおりますから、大臣にお伺いする以外にないわけですが、たとえば石川島播磨重工業、これは日立造船、佐世保重工業という三企業を具体的にあげまして、先般の予算委員会でも出てまいりました問題ですが、この三企業がいずれも法人事業税は、昭和四十六年、四十七年当時ですね、特に四十七年はこれはいずれも法人事業税は一銭も払っていない。しかも法人住民税のみ年間わずか四千円であります。ところが、現実の問題として、この石川島播磨重工業は四十七年の下期に三千万円の政治献金を国民協会にやっておる。しかも日立造船は二千五百万、佐世保重工業は八百万というような政治献金をしておる。実際問題として、片一方でこういうふうな政治献金を行ない、税金は四千円しか払わない。これは全然違う問題ではありますけれども、こんなことは、少なくともわれわれ庶民の立場から考えてみると納得することはできないということにもなります。だから税金をこういうような方式にしろという理屈にはなりませんけれども、やっぱり庶民の立場から考えて納得できない問題であります。したがって私は、こういうふうな千葉県方式という問題は、今後非常にこれは重要な問題になってくると思います。そういうような意味からも、いま税務局長から答弁ございましたけれども、自治省としてもこれは頭からだめだというのでなくて、将来のことも考えて検討していただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○国務大臣(福田一君) ただいまのお話、よく理解をいたしました。今後検討はいたしますが、ただ、たてまえ論で恐縮かもしれませんけれども、そういうような大企業がやってきたという場合に、税金を納めないで、しかも、いろいろの公共のものを使ったり、いわゆる地方にある意味でいろいろな負担をかけているのじゃないかということもあります。それは事実そうでしょう。しかしまた、それが来たことによって何千人、何百人という人がいい職場が得られて、そこで働けるということも私は一つの大きな利益だと思うのです。だから、弊害の面だけを見ないで、やっぱり利益の面も見ていきませんと、これからもうそういうような仕事をやるところはどこへも出ていかない、こういうことになったのでは、日本の経済の発展というものもなければ、将来の仕事、何といいますか、経済を伸ばしていくということもできないと思う。その利害というものをよく勘案をしながらやる必要があると思うので、あなたのいまおっしゃったたてまえ論については私はあれでありますけれども、ただ一がいにもう大企業はけしからぬ、これが来て、かってに地方財政を圧迫しておるとか、地方に迷惑をかけておるという弊害の面だけ見て問題を考えていくのは少し酷ではないか、私はさように考えております。
○峯山昭範君 大臣のおっしゃるのは、私はちょっと納得できないのですがね。私は一がいにきめつけたり、一がいにどうこうしようというような気持ちは全然ない。これは私は大臣がおっしゃるように、たてまえ論を言っているのではない。実態に沿って私は具体的な問題を提起しているわけです。大臣のおっしゃっていることのほうがかえってたてまえ論であり、かつ実態に沿っていないことをおっしゃっていると、私はそう思います。やっぱりこういうような問題は、具体的にそれぞれの県も、千葉県にしたって、それぞれの企業が進出してきているところにしても、決して私は納得できないことを、だれが考えたって、税金を四千円しか払ってない、そんなところが実際問題として政治献金を三千万円も二千五百万円もぼんぼんしておるというんじゃ、これは納得できないということです、これはね。この問題とこれとは違う問題であるけれども、現実にこういうような事態が出てきた場合に、庶民は納得できないということです、実際問題としてですね。
 ですから私は、こういうふうな問題はこういう問題が出てくる前に解決すべきであり、かつ、こういうふうな方法というものも当然私は考えていくほうがいいんじゃないか。これはきょうは、いろいろ超過負担の問題についてまたあとで大臣の答弁もいただきたいんですが、時間がありません
  なかなか急いで言っておりますけれども、当然私は、この問題については画一的にばんと全部できるとは言いません。しかしながら、将来のことも考えて、こういうふうな方式も本気になって自治省もやっぱり検討し考えていくべきではないかということを私は再度言っておきたいと思います。
 さらに、もう一点お伺いしておきますが、これは高速道路の非課税の問題であります。これは自治省が昭和三十五年に自治省の見解として出しておるそうでございますが、これは私は地方自治体からとってみますと、非常に重要な問題であります。特に高速道路による都市計画の制限の問題や公害の問題、あるいは消防対策の問題等、自治体にとってはたいへんな問題であります。しかも、そういうような中で高速道路に固定資産税をかけるという問題は、大阪の吹田市でこの問題がいま提起されておりますけれども、非常に私重要な問題だと思います。
 これは、将来何年か先にその道が無料になるというのがはっきりしておれば、これ、実際問題何らかのあれもできるんですけれども、名神高速道路みたいに、初めの予定は三十五年目ですか、何年目かには無料になる予定だったけれども、だんだん延びていくにしたがってなかなか無料にはならないというようなことになってくると、やっぱり吹田市の言っていることも私よくわかる。そういうような意味からも、やっぱりこういうような問題については検討しないといけないんじゃないか、自治省としてもいろんな角度から検討し、そして今後こういうような問題に対処していかなくちゃいけないんじゃないかと思うんですが、そこら辺の見解をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘がございましたように、現在、地方税法上では公共の用に供する道路、これに対しましては固定資産税を課さないということになっておるわけでございまして、現在、お尋ねの日本道路公団の有料道路でございますが、これは、道路の建設費をペイをしました暁には無料に開放するという原則になっておる。その料金もいわゆる利潤というようなものを含んでいないと、こういうことでスタートをいたしておりますので、道路公団の道路はここにいう公共の道路だと、こういう解釈で現在固定資産税を課税をしないという立場をとっておるわけでございます。
 ただ、ただいま先生御指摘がございましたように、最近こういった道路の新設に伴いまして、救急医療業務でありますとか、そのほかの財政需要が増高しておること、それからもう一つは、料金にプール制が採用されて、ただいま御指摘がありましたように、無料公開になることがなかなかおくれるんじゃないかと、こういったようなことから、固定資産税を課してはどうかという意見が出ておりますのも私どもよく承知をしておるところでございます。
 そこで、これは将来の問題に相なりまするが、この料金のプール制のあり方等が道路の公共的な性格を変更するほどの事情変更、そういうものになるのかどうか、こういうことも十分こまかく詳細に検討しながら検討を進めていくべき問題であろうと、こういうように考えておる次第でございます。
○峯山昭範君 いずれにしましても大臣、こういうふうな、これは各地方自治体がいろんな方法を考えて財源措置をしたいと、当然私は、地方自治体としては非常に苦しい財源の中からこういうふうな国の委任事務というようなものに真剣にいま取り組んでいるわけですね、委任事務そのものに。これは私は、先ほどの、詳細きょう全部できませんでしたけれども、これは「整理・改善等を要する機関委任事務の事例」というのと、それからそのほかまだあるわけですね。この第二項目には、「国庫補助事業等事務手続きの簡素合理化をはかるべき事例」、これは要するに、そういうふうな具体的な事例が幾つも提起されております。やっぱりこれは知事会もこういうふうな問題に、地方財政基本問題研究会というようなものを設置してこういうようなのを調べ上げるというのは、相当手間をかけてやっていると私は思うんです。自治省も、こういうような問題について正面切ってやっぱり、何といいますか、改善の方向に取り組んでいただきたいと私は思うんです。いかがでございましょう。
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、われわれとしてはこれを十分に検討をするつもりで取り組んでおるつもりであります。
 ただ先ほど、ちょっとお断わりしますが、政治資金の問題にさっきちょっと触れられましたが、あれは全然、その問題はこれは別個の問題でございまして、そういう大企業で税金を納めないのが政治資金を出しておるのはけしからぬじゃないかという問題といささか混同してちょっと御答弁したように思いますので、その点はここで訂正をさせていただきます。
○峯山昭範君 大臣、私はもう一言言って私の質問を終わりたいと思うんですけれども、税金を納めなくて政治献金をがばっとするというのはどうも納得できないということは、もう何といいますか、国民感情としてもこれはやっぱり許さるべきことじゃないと私は思います。
 そこで、以上で私の質問を終わりますが、最後に委員長にちょっと一言申し上げて私の質問を終わりたいと思うんですが、これは来たる二十三日の日には、従来から続けてまいりました田中金脈問題について質問をするわけでございますが、私たち従来から参考人を相当要求をいたしておりましたが、多少私たち要求した分が漏れておりましたので、追加といたしまして一言申し上げておきたいと思います。
 これは室町産業の社長である入内島金一君、それから新星企業の社長であります竹沢修君、パール産業の社長であります田代信博君、それから東京ニューハウス社長の遠藤昭司君、以上四名を追加の参考人として要求をいたしておきます。
○委員長(前川旦君) いま峯山委員、新たに追加要求ですね。
○峯山昭範君 はい。
○委員長(前川旦君) わかりました。
 それでは、取り扱いにつきましては後ほど理事会で協議をいたします。
○峯山昭範君 いま委員長から新たにというお話がございましたが、新たではございませんでして、ほんとうは四十九年の一月の十七日の日に資料要求をいたしましたときに、参考人も一緒のつもりだったわけでございますが、追加をいたして要求をしておくということでございます。よろしくお取り計らいのほどお願いいたします。
○委員長(前川旦君) わかりました。後ほど理事会で協議いたします。
 峯山君、終わりですか。
○峯山昭範君 ええ。
○委員長(前川旦君) 政府側も次の質問の準備できましたか。
○神谷信之助君 最初に、自治大臣にお答えいただきたいと思います。
 御承知のように、六〇年代、政府の高度成長政策のもとで、地方財政も各種の税制あるいは財政上の仕組みを通じてこれに協力するといいますか、進めてまいりました。したがって公共投資中心、特に産業基盤に重点を置いて投資をしていくと、こういうことを地方財政の税財政面でも誘導してそれを集中をしていくという、そういう状況が今日まで進められてきたと思う、これは事実だと思うんですが。したがって、そういう誘導の手段として、一つは国庫補助事業の配分権ですね、あるいは地方債の許認可権、これを活用するやり方、あるいは第二番目には特別立法をつくる。特に各種の開発関係立法をやって、そして産業基盤投資への誘導を行なう。三つ目には、地方交付税のこれを補助金的な運用を進める。たとえば投資経費への算定を強化をするとか、あるいは事業費補正などの操作をするとか、こういったような方法が今日までやられてきた。
 ところで、この今日まで進められてきた高成長政策が、もうすでに御承知のように、インフレや物価騰貴やあるいは不況をもたらし、そして自然の破壊や公害をまき散らす、こういう事態の中で今日の三木内閣は、政府としても福祉優先の方向に経済政策全体としても転換をする、そして社会的不公正を是正するということをおっしゃっているわけです。したがって、ほんとにそういう福祉優先の政策を進めていこうとすれば、地方財政の面でもこういった今日まで進めてきたところの税制、財政上の産業優先の仕組み、これについて思い切ったメスを加える必要がある。この点転換をはかるということがどうしても必要になってきているんじゃないかと思いますが、この点についての大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(福田一君) まあ今度の予算編成におきましても、この公共事業等は非常にスローダウンをしましたし、一応今後は福祉という問題を前面に取り上げてやっていこうと、こういう姿でやっておるわけでありますが、その場合に、じゃ、いままでやってきたそういうやり方を全部やめてしまうのかということになると、やはり日本のこの経済、財政の状況というものを全然もうストップするわけじゃないんで、やはり三%とか五%とかせいぜい六、七%ぐらいまでは伸ばしたいというのは、長い目での展望になると思うのです。また、それが福祉を実現していく一つの手だてになると思いますので、いままでのようなやり方がいいとは思いませんけれども、それではいままでやってきたことは全部そこで変えてしまうのがいいのかということになると、よほど研究をする必要があるんじゃないかと私は思っております。
○神谷信之助君 これは具体的にはあとで触れますが、いままで、たとえば大企業に対する減免措置とか、あるいは交付税における減免措置についての補てんの措置とか、あるいは産業基盤整備のための地方債のかさ上げとか、あるいは利子補給の制度とか、いろいろなことをやってきているわけでしょう。これを全面的に変えるのか、どの程度変えるのかということについて検討をし、そしていままでの産業重点に資本を集中をするという、そういうやり方から福祉優先に転換をするというならば、そういう点にメスを入れて検討して改善をはかっていく、転換をするという、そういう意思はあるのかどうか、こういうことです。
○国務大臣(福田一君) 私はそれはいまここで、大企業で出てきておる、すでにいまやっておるものを、これは一応ある種の利益というか、税の減免等があるということを条件にして出ておると思うんですね、いま現在できておるものは。それを急にどの程度に改めるかということになれば、検討の余地はあると思いますけれども、それを全部やめてしまうということになれば、その仕事は非常にやりにくくなる。そうすれば、そこに失業者が出る。それがまた社会に与える影響、あるいはその地域に与える影響というものを十分考えなければなりませんから、それらの問題も頭に入れながら、今後どういうふうに処理していくかというふうに研究を進めていきたい。ただし、将来の問題としては、いまあなたのおっしゃったように、高度成長というようなものをわれわれいま考えておりませんから、将来、いま新しいものが出ていくというような場合について、これは私は相当検討を加える必要があるし、実際法律があっても、施行の段階においてある程度の規制、たとえば予算面でもありましょうし、あるいはまた金融面でもございましょう、そういう意味での規制を加えていくということは、それは私は当然考えていい問題だと思っております。
○神谷信之助君 いまの主張は、単に共産党だけの主張ではなしに、今日もう世論となってきていると思うんです。たとえば一月五日付の朝日新聞や毎日新聞の論説を見ますと、毎日新聞では、今日の日本経済の今後の成長を考えるなれば、産業構造優先の構造を変えることが必要だと、そして税制を含めて財政構造の抜本的改革が必要だということを強調しているわけですね。あるいは朝日新聞の同じ日の主張を見ましても、中央地方を通ずる行政制度とそれから財源配分の根本的な見直し、これがいま何よりも必要だと、ほんとうに福祉優先の政策を進めるならば。こういうふうに言っています。そうして末端行政まで介入する補助金行政を整理をする、さらに自治体に対して自主財源を十分に与えて、自治体が行なう施策の選択はその住民と議会にゆだねるべきだと、こういう主張をしているわけなんです。これはいままでの六〇年代の高成長の中で出てきている矛盾を、地方行財政のいまの、今日の仕組みそのものをそのままにしておいては、今日の矛盾を解決することはできないという立場から、この論説も一月五日付の「朝日」も「毎日」もちょうどいみじくも同じ日に出しております。これは具体的にひとつ六〇年代に、いわゆる開発立法による地方財政の産業基盤投資への誘導の仕組みですね、これをひとつ具体的に明らかにすることによってこの問題を追及していきたいと思うんです。そのために、ひとつ典型である新産と工特の事業について取り上げてみたいと思うんです。
 御承知のように、六〇年代の高度経済成長政策の目玉商品として、新産、工特事業というのが三十九年に新全総計画に基づいてスタートをしたわけですが、ちょうどことしがその最終年度を迎えるようになったわけです。したがって、先ほどから言っていますように、日本経済の福祉優先型安定成長への転換がいわゆる迫られている今日、この拠点開発方式、そしてそれを特にささえているところの各種の税制、財政それから金融制度上の優遇措置、これに伴うところの誘導政策、これにメスを入れるということがいま一番大事じゃないかと思うんです。
 そこで国土庁に――見えていますね一お伺いしたいと思いますが、昨年の十一月に、新産都市、工特地域の現況についてまとめて発表なさいましたが、まず第一に、この調査実施の目的は何かという点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(近藤隆之君) 新産都市の建設、工特地域の整備の政策は、いま先生お話しのとおり、発足以来約十年の歳月がたっておるわけでございます。この法律そのものは時限法ではございませんので、まだ廃止されない限り続いておるわけでございまして、それから新産、工特地区の中でも、五つばかりの地区は目標年次を昭和五十五年というふうに置いております。したがって昭和五十年度が最終年度ということではございませんが、これも先生御承知のように、財政援助措置につきましては五十年で一応期限が切れるという形になっております。
 そこで、これを今後どのようにしていくか、このまま続けるかやめるか、あるいは変えて続けるかいろいろな意見があろうかと思います。そこで、まあこの十年間、その地域には膨大な国の投資も行なわれておることでございますので、その投資の実態、あるいは現況、そういったものをこの際各地方公共団体の御協力を得て取りまとめてみたらということで取りまとめたわけでございます。そして、昨年の十二月に開かれましたところの地方産業開発審議会にその経過を報告したわけでございます。その報告が新聞紙上に載ったわけでございます。
○神谷信之助君 具体的に調査の結果の内容についてお伺いしたいと思いますが、今回の調査で一つは工業出荷額、二つ目には施設の整備事業について、三番目は人口の推移について、それぞれ当初の到達目標から見てどのような進捗状況になっておるのかという点をお伺いします。
○政府委員(近藤隆之君) 御案内のように新産地域は十五カ所、工特地域は六カ所、それぞれ施設整備の熟度等が異なっております。したがって、これを全部一括いたしましてどうこうと議論することは、実は問題があるんじゃないかということをわれわれ感じております。そしてまた、この新産、工特の計画そのものが昭和四十年ころにすべてできておりまして、その後、わが国の社会経済情勢というのが非常に変化しておりますけれども、補整というようなことが行なわれておりません。したがって、当初の目標数値そのものと現状とを比較すること自体につきましても、若干問題なしとしないわけでございますが、一応そういうような問題点はあるといたしましても、全体の合計額と目標数値との関係というものをわれわれ分析してみたわけでございます。
 そこで、第一点の工業出荷額の件でございますが、新産、工特とも全地区合計で名目上は四十八年度ですでに五十年目標を達成しております。新産地区につきましては一一六%、工特地区につきましては一一二%という数字が出ております。
 それから、地区内の施設整備関係でございますが、累積投資額で見ますと相当に進捗しております。四十八年時点で、五十年目標に対しまして新産は一〇七%、工特は九〇%というような状況でございますので、五十年度には当然名目上の目標は達成できるものと思います。
 一方、人口の件でございますけれども、この人口の面につきましては、産業の技術革新がこのところ非常に進んでおりまして、省力化されている関係、あるいは基幹産業は立地したけれども、まだ関連産業が未発達であるというようなこと、あるいは地区内の中心都市の人口はふえておりますけれども、まわりの町村の人口が減っている。あるいはあまりふえておらないというような状況でございまして、目標の数値は達成されておりません。四十五年目標の四十八年度末達成率で新産の場合九五%、工特の場合九八%ということで、三年おくれの数値でもなお目標には達しておらないというような状況でございます。ただ、この人口の点につきましては、今後産業のすそ野が広がるにつれまして地区内の人口増加がもたらされるのではないか、そのように考えております。
○神谷信之助君 その二番目の施設整備の問題ですね。これで新産、工特のうちで生産基盤、産業基盤といいますか、生産基盤整備事業とそれから生活基盤整備事業と分けて、その進捗状況というのはどうなっているか。
○政府委員(近藤隆之君) この生産関連、生活関連という分け方がいろいろ誤解を招くおそれもあろうかと思います。と申しますのは、われわれ生産関連といいます中に、道路であるとか、通信施設であるとか、国土保全であるとか、そういったものをすべて入れております関係で、これらの事業は生産関連であると同時に、たとえば道路等は生活道路というような面もあるわけでございます。ただ、計画策定当初からこういう分け方をしておりますので、便宜上現在もその分け方で一応分析したわけでございますが、それによりますと、四十八年末までの累計で見ますと、新産都市では、目標に対しまして、生産関連のほうは一一五%目標値を上回っておりますが、生活関連のほうは九九%というふうで、若干おくれております。
 なお、工特地区につきましては、生産関連は一〇六%、これに対して生活関連は七二%というようにおくれております。
○神谷信之助君 いまありましたように、工業出荷額については、冒頭前提がありますがね、金額あるいは経済情勢の変化その他がありますから、一がいには言えぬにしても、工業出荷額については一応五十年目標を四十八年度で突破をして、一定の目標に達しつつあると、全体として見た場合。個別に見ますとだいぶおくれている部分もありますがね。しかし、施設整備のほうは一応目標どおり、大体ほぼオーバーしていっていますね。それから、人口の推移のほうが三年おくれの目標にもまだ達しないという状況です。ただ問題は、その施設整備の中身で見ると、いわゆる生活基盤整備事業というのが、新産にしても、それから工特にしても、その他の資料から比べると非常に立ちおくれをしているということは数字が示しているというように思うんです。
 ところで、この新産、工特をはじめ、新全総の拠点開発方式が高々と掲げた政策課題というのは、生産産業を地方分散をして、そして地方に拠点をつくっていく。それに伴って、そのために産業基盤への先行的な公共投資を集中していくのだ。したがって、そうして拠点をつくっていくならば、その波及効果によって地元の雇用労働は拡大をするだろう。そうしてまた人口の流出は防止できるだろう、あるいは地元産業は発展をするだろう。それに伴って、同時に地方財政の拡充も進むし、そうして住宅福祉の充実も進むだろう。こういうことによって地域格差も是正されるだろうというのが、この新全総に基づく、特に新産、工特などの拠点開発方式の主たる言うなればねらいだったわけですね。それを先ほども大臣も盛んにおっしゃるのですが、しかし、こういうことで地方に産業拠点をつくっていけばその地域全体がそうやって潤っていくのだという波及効果論で、これを理由にして、それを進めるための数々の税財政、あるいは金融上の優遇措置、あるいはばく大な産業基盤整備のための先行的な公共投資、これを合理化するといいますか、理由づけてきたわけです。
 ところが、この結果を見ますと、先ほど言いましたように、工業生産では確かにわずかに生産出荷額を拡大する、一定の分散も成功した、こういうことが言えるけれども、しかし、各地方自治体が期待をしてきたところの波及効果というのがほんとうに達成できたのかどうか。この点について、近藤さん、どうお考えですか。
○政府委員(近藤隆之君) 非常にむずかしい問題でございますけれども、生産関連投資のみに全力を尽くして生活関連投資はあと回しにしたと。なるほど、工場を誘致するために、まずそのための立地基盤を整備するという意味でそちらがある程度優先になったということは事実かもしれもせんけれども、昭和三十年代から四十年にかけての日本の公共事業全体というものが、やはり生産関連のほうにウエートがあったということは事実でございまして、ここ数年来、生活関連のウェートというのが非常に上がってきております。したがって、最近の投資の実情を見てみますと、こういう新産・工特地区におきましても、生産関連よりもむしろ生活関連関係の投資のウエートがぐうっとふえてきておるという事実がございます。したがって、地域住民の生活を無視して工場誘致のみに狂奔したというのは当たらないのではないかと私は思っております。
 それから、地域の地場産業であるとか中小企業とかの関連等でございますいわゆる波及効果でございますが、そういった点につきまして、これは見方によっていろいろむずかしいし、また、先ほども申しましたように、地域によって熟度がまちまちでございますので、地域ごとに詳細な分析をしなければならないと思います。そして、現在のわれわれが持っております限られた資料から大胆に推測することもむずかしいかとも思いますが、ただ、われわれが持っております資料で分析いたしましても、現実問題といたしまして、新産・工特地区に立地しました企業の大部分というものは、数で申しますとむしろ中小企業が多いわけでございます。業種で申しましても、窯業、土石、木材、木製品、食料品、こういったような関係の企業がベストスリーを占めておるというような状況でございます。それから、重化学工業とその他の企業と分けまして目標達成率を見ますと、実は、重化学工業はその後における環境問題等もございまして、計画どおりになかなか進捗しておらない。進捗率見ましても、新産地区におきまして重化学工業は目標に対して九〇%でございます。それに対してその他工業、中小企業がウエートが高いと思いますが、一六七%というように、このその他企業におきまして非常に生産が伸びておりますので、それがカバーして目標を達成しておるという状況でございます。工特地区におきましても、重化学工業は九八%、その他工業は一五六・九%というような状況でございます。
 それから、地元がこれによってどういうふうに潤ったかということで、税財政面については自治省のほうが担当でございますけれども、たとえば中学卒業者、高等学校卒業者の地元定着率、全国的にこれは減っておる傾向の中にありまして、新産・工特地区はその減り方が少ない、最近は全国的に若干上回っておりますけれども、新産・工特地区はやはりそのウエートが全国平均以上に高まっておるというような傾向もあらわれてきておりまして、新産、工特の施策がありまして、その地域の工業等の基盤がある程度整備された、そこに大企業ももちろんまいりましたけれども、それ以上に中小企業というものも相当進出しておって、地元にあらゆる意味での潤いを与えておるということがいえるかと思います。それからまた、この大企業というのは、まず基幹産業がまいりましてそれから漸次すそ野が広がっていくということで、そのすそ野で地元がだいぶ潤うわけでございますが、現在まだその段階に至っておらないそういう地区も相当あるわけでございますので、もう少し長い目で見る必要があるのではなかろうかという気もいたします。
 以上、どうも的確なお答えにならなかったかもしれませんけれども、私はそのように考えております。
○神谷信之助君 いま新産、工特におけるそういうメリットの面をずっとおっしゃったわけだけれども、しかし、あなたがこれは一月三日・十日号ですか、あの「自治日報」に、「50年代の地域開発行政」について書かれていますね。これをずっと見てみましても、そういう点が述べられております。しかし同時に、「三十七年の計画は、都市の過大化防止と地域格差是正を重要かつ緊迫した地域的課題としてとらえ、」そして、「具体的な戦略手段としてとられたのが拠点開発方式」だ、それが「新産・工特の政策に結実した。」さらに、「四十四年の計画」では、この「拠点開発方式の一層の拡充と深化をはかろうと」した。「しかし経済の高度成長を前提とすることができなくなった現在においては、それを前提とするこれまでの一連の国づくりのビジョンは根本的に改められなければならない」ということをおっしゃっているわけですね。まさに発想の転換が要請されている。
 したがって、これまでのように国民総生産を先決して、そして、それに対応する産業のあり方を示し、その成果として生活水準、福祉水準の向上を期待するという、いわるゆる波及効果論ですね、こういう立場ではなしに、増大する人口に見合った生活水準、福祉水準の目標をまず設定をして、そして、国土、資源の有限性と望ましい環境水準の確保という、そういう条件のもとで、これらの目標達成のための必要な経済成長や産業の発展、これがどこまで可能かどうかということを考えるべきだ。だから、言うなれば、いままでの開発計画とは今日の段階では根本的に変えなきゃならぬ。これはいまあげられたメリットがあって逆にデメリットがなかったからいままでよかったわけですよ。問題は、あなたおっしゃるようなメリットもあったと、しかし、ものすごい別のデメリットが出てきて、それが今日日本の経済全体の転換を迫られていっているわけでしょう。そういうところからあなたはおっしゃっているんでしょう。この点は私はそう理解するんですが、その点はどうですか。
○政府委員(近藤隆之君) デメリットが全然なかったと申しているわけではございませんが、先生がこういうデメリットがあるではないかということに対して、こういうメリットもあるという意味で申したわけでございまして、いま先生が私の拙文を引いて意見を求められたわけでございますけれども、実は国土庁といたしましては、新しい全国総合開発計画を現在練り直しておる最中でございます。こういう高度経済成長下でというのが、現在の段階では非常にもう様相が変わってきておりますので、こういう事態に即応した新しい計画ということで五十一年の三月、明年の三月を目標に計画を練り直しておるわけでございます。その中に、当然のことでございますけれども、地方都市のビジョン等も織り込むわけでございまして、われわれ地方振興局といたしましては、これからの新しい地方都市づくりのビジョンを現在鋭意検討しておる最中でございます。
 そうした場合、この新産、工特というのは何と申しましても過去十年間、わが国における地方都市づくりの一つの成果であるわけでございまして、そのメリット、デメリットというものを客観的に分析いたしまして、メリットは取り入れ、デメリットは切り捨てるというようなことで、新しいビジョンづくりをしていきたい、そういう態度でおるわけでございます。しかし、過去十年のこの成果が全然メリットがなかったかといいますと、そうではなくて、いま私が申しましたように、その地域にとりましてはメリットもあったということを申し上げておるわけでございます。
○神谷信之助君 何にもメリットがなかったという仕事をやられたらたまったもんじゃないんで、それはそれなりの一定の寄与する面というやつは全くないということはない。問題はしかし、これからのそういう国土づくりといいますか、開発計画を進めていく場合には、いままでとは発想を変えなきゃならぬ。それはもっと生活基盤をどうやって充実をするのか、あるいは福祉なり環境条件というものをどのように整えていくのかというところを出発点にする必要がある。ここのところが私は非常に大事なことじゃないかと思うのであります。これから五十一年に向けての計画づくりを八月をめどに準備をされておるようですから、十分ひとつその点は、いままでの経験をもっと詳細に点検をしてやってもらいたいというように思うのです。
 そこで、今度、自治省のほうにひとつお伺いいたしますが、したがって、そういう国の政策全体としての六〇年代のつまり拠点開発方式といいますか、これに沿って自治省としては国と同一の歩調を地方自治体に求めるという立場に立ってこられた、このことは肯定されると思うのですが、そのため積極的に新産・工特事業を推進をしていく、この地域開発政策を誘導する、そのために各種の税財政措置というのをとってきたと私は思うのです。そこで今日、地方自治体の財政、地方財政の非常な逼迫、危機が論じられておりますし、それからまた住民福祉の向上、これに対する住民の要求も非常に多様になり、切実なものになってきています。こういったものにこたえなきやならぬ自治体の役割り、こういった角度からこの新産、工特の事業を今日の地方財政の現状と合わせてみてどのように評価をされているのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(松浦功君) 国土庁の近藤局長からお話がございましたように、新産、工特については情勢が変わりました現在において、いろいろ御批判があるのはごもっともでございますが、国の政策としてそれなりにやっぱり進んできた意味が十分あったかと私どもは考えております。したがって、私どもといたしましては、それぞれ法律に基づいて交付税で補てんをいたしましたり、起債のかさ上げをしたりいたしてきておりますが、先ほど近藤局長からお話がございましたように、この制度も五十年いっぱいで法律適用が切れるわけでございます。そのあとどのようにするかということについてはよく、国土庁の基本的な方向もあろうかと思います、そこいら十分意見を調整しながら本年度、五十年度の末にどういう処置をとるか、これをきめていかなければならないと、こう考えております。
○神谷信之助君 新産、工特の事業を促進をするためのいろんな税制、財政上の措置をやってきたことはいまもお認めになりましたが、それが実際地方財政には一体どういう影響を与えてきたのか、そのことによって地方自治体の行なう行政施策にどういう影響を与えてきたのか、この点について自治省として調査なり分析をなされたことはありますか。
○政府委員(松浦功君) 正確に計数的につかまえたことはございません。しかも、一つ一つの地域において非常に自治体の考え方が必ずしも同一ではございません、ばらつきがございます。ここで一括してお答えを申し上げることは私どもとしては自信がございません。ただ、こういう地域に指定を受けまして、あるいは先生からはおしかりを受けるかもしれませんけれども、少なくとも道路でございますとか、港湾でございますとか、こういうものは計画以上に事業は進捗しておるし、また最近におきましては、生活関連あるいは福祉重点ということで、おそらく投資のしかたも異なってまいってきておることと思いますので、今後のこの地域の発展というものはある程度私どもは期待していいのではないかという感覚でながめております。
○神谷信之助君 少し具体的にそれじゃ質問していきたいと思うんですが、新産都市建設促進法及び新産・工特地域の財政特別措置法、これによっていろいろな措置がとられています。一つは、地方債――県債ですが、これの特別かさ上げ措置が促進法の十条でやられています。それから財政特別措置法の第二条で昭和四十年から五十五年までの地方債の利子補給を行なっております。第三には、市町村建設事業の国庫補助率の特別かさ上げの措置を、これは特別措置法の第四条で行なっています。あるいは第四には、地方税ですね、固定資産税や不動産取得税の軽減措置を行なった場合の地方交付税による減収補てん措置を、これは促進法の第二十二条で行なっています。あるいは第五番目に、進出大企業の設備資金の確保、これは促進法の二十一条で行なう。そのほかにもありますが、こういうようにいろいろな形での優遇措置を設けて、そうしてそれらの地方自治体をこの法の適用に入るように誘導すると、こういう措置をとってきたんですが、こういう特別措置によって国の措置額、これはこの間の累積でそれぞれどれだけになりましたか。
○政府委員(松浦功君) 詳しい計数になりますので、所管課長に説明をさせたいと思います。
○説明員(高田信也君) お答え申し上げます。
 御質問の都道府県に対する措置でございますが、第一番目の起債上の特別の、いわゆる新産・工特債の発行でございます。昭和四十年度以来、四十八年度の決算まで出ておりますが、累積額にいたしまして新産債、工特債二百十億円でございます。これに対します利子補給は九年間の累積妬が二十七億一千二百万円でございます。市町村に対しますところの特別措置といたしまして、国庫補助負担のかさ上げに伴います特例措置でございますが、市町村につきましてはかさ上げ額の総額四十年度から四十八年度まで……失礼いたしました。先ほどの地方債のかさ上げ額の九年間の総額は一千二百九十一億円でございます。先ほど申し上げましたのは四十八年度の額でございます。利子補給の額はこれは四十九年度まではっきりしておりますが、十年間の合計額が百二十九億円でございます。それから市町村に対しますところのかさ上げ額、四十年度から四十八年までで三百六十九億でございます。それから固定資産税、不動産取得税の減免等の不均一課税等の地方交付税の措置でございますが、四十年度から四十九年度まで、県の関係が四十九億二千四百万、市町村関係が六十四億三千百万円でございます。
○神谷信之助君 国土庁の先ほどの資料ですね、これは四十八年度までですから、いまのは四十九年度を含めているわけですね。それで数字が違うわけですね。
○説明員(高田信也君) ただいま申し上げましたのは、利子補給だけが四十九年度まででございます。
○神谷信之助君 そのほかは同じですか、違うのですか、国土庁の資料とは。
○政府委員(近藤隆之君) 国土庁の資料は、昨年の夏時点におきまして、都道府県、市町村から上がってきたものを集計した額でございまして、非常に膨大なものをまとめておりますので、若干誤差があるかもしれません。したがいまして、まだ自治省――いま自治省の数字を聞いたわけでございまして、つけ合わせしておりませんけれども、たとえば地方債のかさ上げであるとか、それから利子補給額というようなものにつきましては、自治省で一括してやっておりますので、その数字が正しいと思います。なお、市町村の国庫負担のほうは、これは各省がずっとばらばらでやっておりますので、なお両方つけ合わせますが、大筋におきましては、それほどの違いはないようでございます。
○神谷信之助君 同じ政府が出している数字が違っておったのでは話にならんです。金額自身はそう違いませんけれども。これは膨大な資金援助をこういう形で新産、工特の地域自治体に対しては行なってきたわけです。そこで、特に地方税を減免した場合の交付税による減収補てん措置の問題ですが、自治省がこの措置に基づいて行なった地方交付税の措置額、これは四十年から四十九年まで総額幾らですって。
○説明員(高田信也君) 県に対しますところの措置額が四十九億円、市町村に対します措置額が六十四億円でございます。
○神谷信之助君 そうすると、合計すると百十三億ということですね。
○説明員(高田信也君) そうです。
○神谷信之助君 この誘導措置で地方自治体が実際に実施したところの進出大企業への減免措置、これは非常にばく大な金額になっておると思うのですが、その状況は一体どうですか。実際に企業に対して、府県なり市町村が減収措置をとりましたその総額というものは、一体どのくらいなんですか。
○政府委員(松浦功君) ただいま交付税で埋めると、補てんをしておりますのは、実際に減免した額のそれぞれそれに率をかけたものでございまして、県分でございますと四十九億を八割で割り直したもの、それから市町村でございましたら〇・七五で割り直したものということでございます。総額としては約百四十億強になろうかと思います。
○神谷信之助君 われわれが調べているところではもっと大きいですね。たとえば具体的に岡山県南新産、中心の倉敷の場合の減免状況を見ますと、こうなっています。三十二年に倉敷市の工場誘致条例で固定資産税の三カ年免除をきめました。これは反対運動がずっと起こりまして廃止になって、そのかわりに今度は、三十四年から県と市が進出大企業との間に協定を結びまして、県との間では事業税相当額の奨励金を出す、市とは固定資産税相当額の奨励金を出す、こういうようにして、税そのものの減免措置は反対が強くってできなくって奨励金という、そういう形で肩がわりをする。それに基づいて倉敷市が支給した奨励金、いわゆる固定資産税の免除額相当分ですが、これは四十七年度までの累積で七十四億五千七百七十三万円になっています。これが昨年の議会でも大問題になって、そうして約七十億も打ち切りにするということになったけれども、それでも四十八年以降の奨励金の支給を必要とする額は七十九億一千三百八十七万円まだ残っているということなんです。合計しますと、これだけでも百五十三億七千百六十万円になります。その倉敷の中の特に川崎製鉄だけ見ますと、昭和四十七年度までこの奨励金の累積、これが三十七億四千三百万円、さらに四十八年度以降生産設備が終わってから三年間続きますから、それらを含めますとそれは五十九億四千九百万円ですから、合計すると九十六億九千二百万円、約百億円にも達するわけです。こういう企業へのばく大な奨励金が現に倉敷では支給されているわけです。今日、御承知のように、倉敷はコンビナートによる公害も発生するし、重油の流出事故も起こっています。そして、倉敷市の財政自信もたいへん窮迫をしております。そのために、あとでも触れますが、保育所問題やその他いろんな問題が、実際は仕事が進んでいない。こういう状況が起こっているのですが、そういうところでこういう膨大な企業への奨励金が出されるという状態が起こっている。これは一体妥当なるものかどうかという点について見解を聞きたいと思うのです。
○政府委員(松浦功君) この問題につきましては、倉敷市自体が議会におはかりになっておきめになられた問題でございますので、私どもとしてはこれについてとかくの批判はいたしたくないというたてまえでございます。ただ、数年前まで非常に企業誘致条例を設けて税をまけるというような体制をおとりになる団体が多かったのでございますけれども、それが次第に姿を消して、実質的に奨励金に切りかえるとか、あるいは奨励金を打ち切るというような方向に向かいつつある現実は私どもは現実としてつかまえております。倉敷について、やっておられることについて中身も私どもよく存じませんし、批判は避けさしていただきたい、かように思います。
○神谷信之助君 それじゃ、そういう特別の税の減免措置をする、あるいは条例によらないでそういう企業との協定に基づいて奨励金を支給する、これがいまだんだんおっしゃるようになくなってきているわけですね。これは市民のほうから非常に批判が高まってきて、そして、一たんはきめた議会でもまた変えてやめる方向が出てきている。これはどうですか、自治省当局としては望ましい方向というお考えですか、望ましくないのですか、どちらでしょうか。
○政府委員(松浦功君) 地方自治体は、現在の制度の上で把握し得る財源をどのようにお使いになるか自治体がおきめになることでございます。私どもとしては、財政的に破綻が来ずに住民に納得をしていただける政策であれば、それは自治体たりにその意味があると、こういう理解をいたしております。
○神谷信之助君 具体的にいま言っているのは倉敷市ですが、倉敷市の財政状況では、続けて奨励金を出すほうがいい、好ましいとお考えですか、あるいは打ち切っていく方向のほうが望ましいというようにお考えですか。これは財政の実態を御存じだから聞くんですけれども。
○政府委員(松浦功君) ちょっと倉敷市の場合は、一般の財政と違いまして特別の収入もございますので、私どものほうではあまり倉敷市の財政については深く存じておりません。その程度でお許しをいただきたいと思います。
○神谷信之助君 公務員の給与が高いという問題のときはやいやい言うくせに、こういう問題についてはやはり慎重に発言をされたのがきわめて遺憾だと思うんです。しかし、いずれにしても私は、地方交付税を企業を誘致をするための一つの誘導手段として政策的に運用すると。こういうこと自体が正しいのかどうか、地方交付税の本来的な役割りを逸脱をしているということにならないのか。言いかえたら、いわば補助金的な役割りですね、減免したらその分は国税で見ろやろう。だから減免を奨励するわけでしょう。こうやって企業の誘致を奨励をする。交付税は自由に自治体が使える財源であるべきなんだけれども、それに使いなさいとはもちろん言わぬけれども、それに使ったらその場合はこうしますよ、プラスしてあげまずというようにやるというのは、一種の補助金的な役割りといいますか、使い方をしている。これは交付税の本来の性質からいっても間違っているというように思うんです。したがって、こういう方法、交付税の運用のしかたというのはやめるべきじゃないかと思うんですが、この点についての見解を聞きたいと思うんです。
○政府委員(松浦功君) 御承知のように、地方交付税の需要額の算入のしかたというのはなかなかむずかしいわけでございまして、全国一律に客観的な要素をつかまえて配りますと、実態とうんとかけ離れてしまうと、こういうような事態も起こります。したがって、ある程度起債の償還額を交付税に見込む、こういうことは現在でも避け得ない方法であろうかと思っております。ただ、目的を工場誘致、そういったところに置いてこういう政策をとるということについては、これはさらに国全体の問題であろうかと思いますが、目標の定め方を考えるべき時点には来ていると思います。五十年度で切れまする制度でございますので、十分検討をさしていただきたいと、こう思います。
○神谷信之助君 私は、いまもお認めになったように、新産都市の建設促進法のようにそういう個別立法とか、それから交付税の運用措置、これを特別に行なうことによって、そして地方交付税を補助金的に運用していくという、そういう点がどんどん拡大されてきたのがこの六〇年代の地方財政の一つの重要な特徴ではないかというように思うのです。したがって、いま局長のほうも、来年度へ向けてさらに検討していくということですが、この際、思い切ってこの点にメスを入れるべきだと思うのです。これは目的は明示はしていないし、直接介入をしているという状況ではないけれども、とにかくそこへ行けば、そのワクへ入れば交付税はプラスされるということになっているんですから、これは実際上は交付税による地方自治への介入であり、自治権の侵害といわれてもしようがない。本来の目的から逸脱するというように思うので、この点はひとつ十分改めてもらう必要があるというように思います。
 そこで、こういったことで誘導された地方自治体が、新産・工特地域に投じた先行的公共投資、これがそれぞれの地方自治体にどんな影響を与えているかという問題であります。いまの国土庁の資料によりますと、自治体なり国が行なった基盤整備の公共投資総額は、三十九年から四十八年の十年間で総額四兆九千八百七十九億円ということになっています。この投資総額四兆九千八百七十九億円に占める地方自治体の投資額、それは一体どれだけの割合になりますか。あるいはまた投資総額を生産基盤整備、生活基盤整備に区分した場合、それぞれの割合はどうなっているのか。この点は国土庁の資料ではちょっとはっきりしていませんので、自治省のほうでつかんでおられたら聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(松浦功君) 国土庁の地方振興局はもともと自治省でございます。そちらから分かれていった役所でございます。向こうにない資料はこちらにもないということでございます。
○神谷信之助君 しかし、これはいわゆる新産、工特の事業を十年間進めてきて、そしていま、今後の地方財政制度の仕組みをどうしていくかという問題を検討する上では重要な調査分析の対象になる内容だと思うのです。私は、これはひとつ自治省は調査を分析する必要があるというように思うのです。
 そこで、そういうばく大な公共投資を行なって企業が進出をしてきた。その進出してきた企業からの税収、これは一体どうなのか。この関係は一体どうなっているのかという点です。この点は岡山大学の坂本忠次先生が計算をしておりますが、それを見ますと、六十年から六十九年度の累積額で市町村は企業からの税収入が百四十億円、それに対して新産都――岡山県南の新産都ですが、これが市町村の純市町村負担分のみでの公共投資総額は三百七十九億円です。税収の二・七倍の言うならば投資をしている。県のほうはどうかというと、税収のほうは八十四億円で、純県費負担のみで補助金を除いた分で四百八十四億円、税収の五・八倍の投資をこの十年間に行なったということになります。
 それに対して国のほうは一体どうなのかといいますと、法人関係税のみで千二百三十一億円税収が入っておる。これに関税やら揮発油税その他の間接税を加えますと二千三十三億円の税収になりますね。それに対して公共投資の費用は、直轄事業及び補助事業費を含めまして五百八億円、これは一つの数字です。私は、実際にどれだけの国、県、市町村がこの間に公共投資をし、それによって税収がどのように変化を生んできたのかというような点は、先ほども言いましたように、自治省としては当然調査をし、分析をして、そして、それに伴って今後の地方財政制度というものがどうあるべきかというのを考えなきゃならない。この坂本教授のやっておる資料がもし正しいとするならば、これは自治体財政は潤うどころか全く破綻に追い込む、そういう事業であったと言わざるを得ないのです。
 そこでさらに倉敷の場合、そういう国のいろいろな財政の特別の措置を行なって新産都市の建設を進めていったわけですが、三十九年には御承知のように、財政再建の準用団体の指定を受ける。そして三十九年以降きびしい節減、機構統廃合、事業の下請――屎尿くみ取りなんか全部下請にしてしまうというような合理化、住民サービスの低下、これを行なってなお解消しない。四十二年に三市合併を強行して、四十三年にようやく黒字にこぎつける。ギャンブル収入を含めましていろんなやつが入ってきますからね。そういった何というか、操作によって赤字から黒字に転化をする、こういう状況でしょう。あるいは茨城県でも、鹿島の拠点開発でばく大な公共投資のために県の財政が破綻に瀕しているという状況も生まれている。したがって、こういうように見てみますと、地方財政上から見ただけですが、この拠点開発方式なる地域開発というのが過大な産業基盤公共投資によって財政の破綻が避けられなかった。すなわち、波及効果論は地方財政の側面からも破綻をしたと言えるというように思うんですが、この点は自治省はどうお考えですか。
○政府委員(松浦功君) いろいろ数字を御指摘をいただいたわけでございますが、いろいろ考え方もあるわけでございます。学者先生がお調べになられた場合に、固定資産税だけを取り上げておられるのか、あるいは、そこに張りついた工場に働く方の住民税の計算をどうしておられるかとか、あるいは法人税とか所得税で取られましたものは、三二%は地方交付税というかっこうではね返ってまいる、そこいらの計算をどうしておられるかわかりませんけれども、私どもは私どもなりにまた検討もしなければいかぬかと思いますが、要は、すべて新産、工特で地域に指定されたから、地方財政上全部損をしたということにもなっておらないんではなかろうか。やっぱり団体ごとによって、やり方によってもだいぶ要素が違っておるようでございます。その辺のところは十分御理解をいただかなければならないかと思いますが、倉敷のように、準用団体になるというような過程を経た団体については、一時的にはそういう現象があったということを否定するわけにはいかないのではないかと思います。
○神谷信之助君 もう時間がありませんので――いまの問題についても詳しく議論をする必要があると思うんですけれども、しかし、いずれにしても、自治省のほうではそういう点についての財政上の影響なり何なりを調査、分析されていないんだから、これはひとつてやって、そうしてはっきりさしてもらいたいと思うんです。
 同時にこれは、岡山の県南新産都市に対する累積投資額の中身ですけれども、これで見ますと、国の直轄事業が百六十六億余りで六・七%、県の事業が四百八十四億九千万円、一九・六%、それから市町村の事業が四百八十八億五千万円で一九・七%です。公社、公団による事業が千三百三十六億九千七百万円、五四%を占めておりますね。で、実際に岡山県内の市町村の設置の公社が十二、県設置の公社というのは九ありますし、御承知のように、倉敷に設立をした都市開発期成会ですね、昭和三十六年にできた、あれは、やみ起債を行なって、そして、自治省の三十九年の行政監査で廃止の勧告を受けるというような問題まで引き起こしているわけです。
 こういうことを考えますと、投資額の五四%が公団、公社、これでやられる。これは御承知のように、議会で審議をすることが必要でないわけですね。報告を――一部の債務負担行為の議決と、あとは決算報告などですね。だから地方議会がコントロールできない。そういう公社、公団で事業の半分以上はどんどんやる。だから、住民のほうからこれに対してコントロール、地方議会もコントロールできない。しかし、それが失敗をした責任の負担というのは自治体と住民にかかってくるわけです。こういった点でも、こういう公社、公団をどんどん乱発をして、そうして事業を議会のコントロール抜きに進めていくというのが六〇年代の開発方式ではどんどんと広がりました。これはまさに私は自治権の破壊であり侵害になってくる、非民主化のあらわれでもある、こういうことだというように思うんです。こういった点を――まだいろいろ事業費補正の問題もきょうはやりたかったんですが、時間がありませんが、こういつた点、数あげれば幾つもあるのです。
 私は、これは自治大臣にひとつ最後に御答弁をいただきたいと思いますが、こういったやつをいま聞いていると、やっぱり具体的にそういう政策が地方財政にどういう影響を与え、そして行政サービス――きょうはちょっと触れませんでしたが、保育所の数にしても、民間依存は全国一のグループでしょう。あるいは水島の汚水処理場がもう運転がいよいよ今度はできるんですけれども、下水管があらへんから、まだ数年先でも使えないい、そんな状態が起こっている。すなわち、生活基盤整備というのはどんどんあとに取り残されている。そして現実に重油は流出をして、たいへんな事故も起こる。公害患者はどんどんふえている。こういう状況になっている。こういう問題全部を総合して、そして、いまの今日までとってきた行財政の仕組みに改善をすべき点はないのかどうか、どの点に根本的にメスを入れなければいかぬのか、こういう点を私は検討する必要の段階にいまきておるのではないかと、この点についての大臣の見解をお聞きをして終わりたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 倉敷の問題についての御質問でございますが、私は、現段階におけるいまお話があったような問題も含めて、十分数字的にも詰めて、今後どういうふうに処理していくがいいかということを考えていくべきじゃないかと思っております。
○市川房枝君 政治資金規正法の運用と、暮れに自治省に設置されましたきれいな選挙国民運動推進本部について数点、自治大臣に伺いたいと思います。政治資金の問題は、最近政府、財界をはじめ各方面で取り上げられて、国民も非常に関心を持ってまいっておりますが、自治省ではこの問題を専門に扱っておいでになる事務官は一人もいらっしゃらないと、必要なときにみんなかり集めてなさるみたいなふうに伺っているんですけれども、そうなんですか。そんなことで一体いいのかどうか伺いたい。
○説明員(土屋佳照君) 数は少ないわけでございますけれども、政治資金の問題きわめて大切な問題でございます。大体五人の定員でいま仕事をいたしております。
○市川房枝君 五人の定員って、それだけじゃないでしょう。ほかのことをやっていらっしゃる方がそれも兼ねているわけですね、そういうふうに聞いてるんですけれども、常時五人、このためにやっていらっしゃるんですか。
○説明員(土屋佳照君) ただいま申し上げました職員は、主として、もうほとんど政治資金に専任としてかかっておるわけでございます。
○市川房枝君 それなら、あまり遠慮しないでいろいろ自治省にこれから調査のことなんか伺いたいと思っております。
 政党及び政治団体の届け出の収支報告書は、一応公開の法の趣旨によって官報で発表しておられますが、非常にわかりにくい。それから全部じゃありませんね。四、五年来は新聞社には謄写刷りの集計表を出しておいでになりますけれども、一般の希望者には手に入らない。収支報告書も、一部だけでなくて、閲覧に供する収支報告書ですね、もう少し二、三部ぐらいリコピーして備えつけておいていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それからなお、保存期間は法で三年ということになっておりますので、三年過ぎれば全部廃棄をなすっておいでになるようですが、リコピーでもしたものを国会図書館にでも保存させて、研究者の希望に応ずるようなことはできませんか。そういうふうなことをお考えになったことはありませんか。
○説明員(土屋佳照君) ただいま御指摘のとおり、政治資金の収支の公表というものは、官報なり、あるいは中央の場合は公報をもって公表しておるわけでございますが、まあできるだけ多くの方にそれを見てもらうという意味では、官報等のほかにもう少しこれを広く国民に知ってもらうという意味で、知ってもらう方法というのは新聞が一番私どもはいいということでございます。そういったことで非常に膨大な中身を整理をいたしまして、新聞でわかりやすく発表していただくということで、ただいまとっておるような方法をとっておるわけでございまして、まあそういうことで原本を見ていただければ詳細はわかるわけでございますけれども、一般の方にはいまのような方法で新聞発表によって見ていただくことが一番いいだろうというふうに考えておるわけでございます。
 それから、収支報告書は法律でこれも御指摘のように三年間保存ということになっております。これは御承知のように、きわめて膨大な資料でございますので、三年たつとそう私どもとしても収容しきれない状況でございますので、いま処分をしておる形になっておりますが、お尋ねのように、どこか国立国会図書館といったようなところで保管をしておいて、もう少し閲覧に供したらどうだろうかというような御提案でございますけれども、いま申しましたように、非常に膨大な資料でございます。そういうことで、はたして図書館あたりで保管をしていくということも適当であるのかどうか、いろいろ問題あろうと思います。ただ、御趣旨の点はいろいろ私どもとしても研究はしてみたいと思いますが、なかなか容易ではないように考えております。
○市川房枝君 まあ私、自治省関係で正式にいままで幾らか調べてきました経験から言いますと、自治省はなるべく政治資金のことは知らさないようにといいますか、むしろ隠すというような態度を、私そういう感じを受けているんですけれどもそれはとんでもない話なんであって、まあいままではいままでとして、今日の状態においては、これをもっと国民に知らせる、あるいはこれを研究しょうとしている人がだいぶ出てきておるんですけれども、資料がないんですよ、国会図書館には全然ないんです。だから、そういう点を私はもう少し自治省としては考えていただいて、十分これを知りたいと思う人たちには知らせる、新聞に発表はなるほど出ていますけれども、あれだけじゃわかりませんよ。まあちょっと出たということだけですね。だからその点をお願いしておきます。
 この政治資金規正法の運用の問題については、なおいろいろ伺いたいことがありますから、それは別の機会に譲りまして、この問題はこれだけにして……。
 次は、自治省では十二月二十五日の衆議院の「選挙の明正に関する決議」十二月二十七日の「選挙の明正に関する政府声明」を受けて、同日、「選挙をきれいにする国民運動推進本部」をおつくりになったようですね。この予算も、いままでは約六億円前後であったものが、今度は三木総理のお声がかりで十一億に増加したと伝えられておりますが、今度はきれいな選挙と、その名称が変わっていますけれども、きれいなとはどういう意味なのか。前にはまあ公明選挙、あるいは明るく正しい選挙、いや明るい選挙というふうに名前を変えておいでになっておりますが、その意味を。
 それから、今後この運動については全部この名称をお使いになるかどうか、伺いたいと思います。
○説明員(土屋佳照君) 御指摘のように、選挙を明るくするということで、従来明るく正しい選挙という言い方をしておりましたが、明るいということ自体がそもそもそういった正しいという意味も含んでおるというようなことで、最近では明るい選挙と言っておったわけでございます。しかし、要は実態をどうしていくかということで、実態がいま申しましたようないろんな意味で、明るく正しく、あるいはきれいに行なわれると、これが大事なことだと思うわけでございまして、そういった意味で今回の、一つの国民運動として持っていく場合には、明るいということのかわりに選挙をきれいにするというような言い方を申し上げたわけでございますが、本質的に特に変わっておるわけではございませんで、一つのそういった団体をつくるという際に、取り上げ方としてきれいな選挙ということで取りかえたわけでございます。したがって、今後この「選挙をきれいにする国民運動推進本部」というものは継続的に、従来の選挙前に臨時的につくる明るい選挙推進本部とは違って、ある程度継続的に国民運動を展開していこうと、そういうものでございますから、この名称はこの本部に関しては今後もずっと使っていきたいというふうに考えております。
○市川房枝君 明るい選挙ということばを最近まで使っておいでになったというか、いまも使っておいでになるんですが、これには正しいという意味が含まれていると皆さんはそうおっしゃるんだけれども、一般の国民から言えば正しいという意味はちょっとその中に認められない――いや、きれいな選挙というと、それはまた明るいよりはもうちょっときびしいみたいなふうに受け取ると、こういうふうに思うんですけれども、自治省は同じだとおっしゃるんですけど、これからなさる運動の内容によってそれは拝見をするわけですが、今度はいまおっしゃったように、国民運動をということばをおつけになりましたね。それだのに、自治大臣は本部長なんでしょう。それから本部員として団体は幾つかあがっておりますけれども、これは前から参加しておる団体で、ちっとも変わっていないんで、同じなんだ。いわゆる民間の団体というか、国民運動にふさわしいような団体は一つも入っていないんです。それで一体国民運動と言えますか。やっぱり官製運動というふうに受け取れますけれども、いかがですか。
○説明員(土屋佳照君) この選挙をきれいにする国民運動推進本部というのは、ただいまお話のございましたように、従来と本部員というものはそうは変わっておりません。ただ御承知のように、新聞協会なり放送協会なりあるいは民放連とか、あるいは選挙管理機関とか、あるいは関係各省、文部省その他含めまして幅広く入れておるわけでございまして、こういった本部が活動いたします場合に、今後の進め方といたしまして、地方における組織というものが必ずしも従来十分でなかったように考えるわけでございまして、したがって、地方でもこういった形で本部というものをつくってもらって、もう少し末端におきます組織というものを組織化し強化していきたいと、そういった意味ではただいまおっしゃいましたのはこういうたことか思いますが、婦人団体にしろ青年団体にしろ、いろいろと実際の国民の中で活動をしておるような団体があるということでございますが、そういうものも含めて、末端の組織というものをもう少し国民運動にふさわしい形に盛り込んでいきたい。いま中央ではあまりたくさんになってもどうかという点もございまして、ある程度基本的な方針なり何なりをきめる際は従来からのものできておるわけでございますけれども、活動はもう少し私どもは幅を広げていきたいというふうにいま考えておるわけでございます。
○市川房枝君 いまお話を伺っても、前とちっとも変わっていないという印象を受けるんですが、ただ、今度その推進本部の声明書の中に、政治に携わる者はえりを正し、選挙のルールを守るよう強く訴えるということばがあるんですが、これは政党なり候補者に対しても運動を展開するということになりますか。これはその具体的な内容といいますか、ただことばとしておあげになっただけですか。
○説明員(土屋佳照君) まあ御承知のように国会等でも決議が行なわれたということでございますので、これは当然のことでございますが、私どもとしても事実活動の面においてそういった点を強く訴えていきたいと、実際やっていきたいというふうに考えております。
○市川房枝君 いままでいわゆる明るい正しい選挙といいますか、いつでもそれは国民――有権者に向かって、それであなたたちが悪いんだというか、もっときれいにしろというふうな運動だったんですね。それが国民の側とすると、非常に不満といいますか、責任は自分たちにはないんだ、むしろ政党なり候補者にあるんだ、こういうふうな考えが相当あって、したがって、それこそ政府の呼びかけにも応じないと、こういう点があったんですが、その点からいって、いまこの文句が実際にそちらのほうも向いて展開されると、まあそれはどういうことか、これからお考えいただいてもかまいませんけれども、それは多少いままでと違うように思われるところです。
 ところで、これは自治大臣からお返事をいただきたいんですが、自治大臣は何度も選挙をしておいでになりますが、今度きれいな選挙国民運動推進本部長とはっきりおなりになれば、いかがですか、あなたの選挙はいままできれいにやっておいでになった自信がおありなんですか。本部長がもしもきたない選挙をやってらしたら、この運動は一体どうなりますか。
○国務大臣(福田一君) お答えしにくいことでありますが、私は比較論から言えば、きれいな選挙をやってきておると思っております。
○市川房枝君 それはあとで、一ぺん大臣の選挙のやり方を選挙区で少し聞いてみたいと思っておりますが……。
 次には、過去十年間の常時啓発費、それから衆参両院議員の選挙の際の臨時啓発費の一覧表を自治省からいただいたんですが、常時啓発費は毎年五億から六億、それから臨時啓発費はそのたびに四億なり五億と支出されておりますが、それでいて一体選挙は少しよくなったかどうかと、むしろ選挙は金がますます要るようになり、選挙違反は買収、供応と悪質犯がふえているという実情であることをお認めになりますか。そうするとこの運動はあまり役に立たなかったと、こういうことになるんですけれども、いかがですか、これは大臣から答弁していただきたい。
○国務大臣(福田一君) 選挙を明るいとか、正しいとか、きれいにするとか、いろいろなことばがありますが、知識人は非常にそういうことはわかっておるんです。ところが、一般の国民の場合は、まだそれまでのレベルにきてないのが今日の実情であると私は思っておるわけです。したがって、今度の運動は国民は憤慨するというけれども、国民が憤慨されようが、どうしようが、間違ったことをしている以上は直してもらわにゃいけないんだから、なるべく下のほうへその運動を展開をして、そして何か頭の上のほうで、いやあ、きれいにやれとか何かというようなことよりは、もっと実際面に触れてそういうことをしないように努力するという運動の展開のしかたをしたいというのが私のいまの考え方です。したがって、いままでのとはちょっと私は考え方が違うと思うのです。私もずいぶん選挙で苦労しておりますから、それで選挙民がどういうものであるかということもよく知っております。私は――――――――――ある意味では。むしろ国民にひとつ考えてもらいたいと、われわれももちろん考えにゃいかぬと、こういう考え方で臨んでいきたいと、こういう気持ちです。
○市川房枝君 大臣、そうおっしゃっていいですか。私はむしろ、国民が悪いと、わかってないのだとおっしゃるけれども、それを誘惑するといいましょうかね。候補者といいますか、運動員といいますか、そちらのほうにも責任があるのでね。だから、国民が悪い悪いと言われると、国民はそれは幾ら下の人でも、やっぱり黙ってそうですかとは私は言わないと思うんですが、ことに大臣の選挙区の人たち、それで納得しますか。かし大臣が今度のきれいな選挙の運動はいままでとは少し変えよう、こうおっしゃっておりますので、それは私もぜひ変えてもらいたいのですよ。発想のしかた、あるいは組織ですね。いままでだと私は金を倍使ったって同じことだと思うのですよ。だから、そこはちょうどいい機会だし、それから総理が非常に熱心なんだし、そういう意味で自治省はといいますか、本部はといいますか、大臣はひとつ今度はある程度効果があがったんだということが具体的に示されるようにしていただきたいと思うわけです。明るい、正しい選挙、あるいはきれいな選挙を実現するためには、ほんとうは私はもっと選挙管理委員会についても改組をする必要があるし、全体の機構をいま自治省の選挙部がやっておいでになり、地方では選挙管理委員会がおやりになっているわけですけれども、やはりそういう組織もこの際ほんとうは考えていただきたいんですけれども、たとえば明るい、きれいな選挙の運動にしても、私はまあ地方の選挙管理委員会の方々にしばしばお目にかかる機会があるんですけれども、そういう場合に、やっぱりいまの選挙管理委員というのはその議会で選挙されているわけですね。それは政党別で選挙されている。したがって、その選挙管理委員会というのは、選挙の事務を執行なさることが主な目的なんですけれども、そこに常時啓発の任務もつけ加えられているんですけれども、ただ、必ずしも常時啓発の資格――資格といいましょうか、できるような組織といいますか、人員の配賦にはなっていないんだというか、あるいは選挙管理委員会の人たちが一生懸命きれいにしようと思ってもというか、あるいは選挙管理委員会の事務局の人たち、そういう人たちの中には私は非常に熱心にどうしたらきれいにできるかということを考えている人たちが相当においでになるということを知っているのですが、ただ、その場合に、やっぱりいま申し上げた選挙管理委員会と、各政党から出ておいでになる管理委員の方々、そういう方々の考えに反するようなことをやってはいかぬというか、ある意味ではあんまりきれいになったら三バンがきかなくなるといいましょうか、あまり有権者がりこうになっちゃ困るんだというような気分もある程度あると、だからやはり議会からの選挙ということでないほうがいいんじゃないかという意見も相当直接聞いております。だから私は、そういう点も含めてこの際再検討していただいて、そしてほんとうに今度の選挙が、まあ今度の本部は継続するとさっきおっしゃっていましたが、いつまで継続なさいますか、永久的なものですか、そこのところは伺っていませんけれども、それだけにいままでのような――マンネリズムにおちいっていますし、人も前と同じような方々、だからそれをもっと変えるんだ、組織も変えるということにでかなけりゃ結局同じことになっちゃうんだということを心配をして申し上げるわけでございます。
 自治大臣から最後におっしゃっていただいて私の質問を終わります。
○国務大臣(福田一君) まず、最初に市川さんから非常に好意的に、あんたそんなことを言っていいのかと、国民云々ということを言われましたけれども、それは政党だってみんな悪いですよ。いまの私は、現政党が非常にみんな正しいと私は思っているわけではございません。私は自民党自体にも非常な不満を持っております。だけれども、私は自由主義がいいと思っているから自民党に入っているわけです、私は。だから私の選挙区あたりでは、私が――まあそんなことを言っては失礼だが、ほかの政党に行っても私に投票してくれる人がずいぶんいるだろうと思っていますよ。だから、何もいまの私も含めてですね、だからさっき申し上げたように、比較的いいだろうと思っていると言ったのであって、私は絶対正しいなんて、そういううそを言うのは私はきらいなんです。またおもねることもきらいです。実態を把握して、そしてやっぱり国の選挙、これを正しくしていくということが必要だから、今度こういうことで私も本部長をやらしてもらうことになった。したがって、いままでのやり方をそのままでとってやろうなんて考えてはいませんよ。何とかひとつ新機い軸を出したいといま苦心をしているところなんす。おまえどういうふうにするんだと言われると、私もちょっといますぐには言えませんが、しかしできるだけもっと地についた運動にしたいと思っておるんです。まあ頭のいい人だとか、そこの有力者とかが、何かひとつ今度は選挙をきれいにしようやとかなんとかいうこと言ったってそれはだめなんです、実際は。私はそんなことは効果ないと思っている。こういうことばが当てはまるかどうか、またそれがいいか悪いかという問題はいろいろあるでしょう。いろいろあるでしょうが、私はいまの日本の政治、また政治家というものは、もう一ぺんそこらでえりを正して、ほんとうに自分の悪いところをひとつ考え直してみる必要があるんだというのが私の気持ちなんです。だから、もしそういうことで私が言ったことで、選挙民が私を批判して、おまえみたいなものは出ないで、もっといいやつを出せと言ったら、私はその方に出てもらうほうがはるかに国のためになると思っておるわけですから、ひとつ御親切はありがとうございます。そう言っていただいた御親切はありがたいけれども、私の気持ちはわかっていただきたい。と同時に、決して政治家がみんな正しくて、国民がみんな悪いんだと言ってない。全体に悪いんですよ、いまのところ大体において。いいところもあるかもしれません。おれのところは間違いないなんておっしゃる人ももちろんあることを私は認めます。そういう方もおありになるでしょう。しかし、私は全体として見るとあんまりよくないと思っておる。それが私の気持ちであるから、今度はきたない選挙というようなことを非常に言われましたね、金権選挙とか。だから、今度はきたないんじゃなくてきれいな選挙にするんだと、こういう意味できれいなということばを私はつけたつもりなんでありまして、その気持ちだけは、どれぐらい効果があがるかは別にして、私の考え方だけは理解をしていただきたいと、かように考えておるわけです。
○市川房枝君 いま自治大臣のお考え、そういうことでお進みいただければ前よりはよくなるだろうと思うんですけれども、ただ私、そうおっしゃったのだけれども、自治省でお出しになりました「選挙をきれいにする国民運動推進本部設置要綱」というものを拝見すると、これは前と同じなんですよ。いままでの運動と同じであって、だからそれを変えていこうとおっしゃるのだったら、これは何らか――これはこれでいいでしょうけれども、このほかにもう少しいろんな人たちの意見を聞くとか、少し新しみを、あるいは青年たちもそこへ参加させるとか、何かくふうがないといけないから、これを拝見した限りじゃどうも私これじゃしょうがないという感じを持っています。しかし、大臣がいまそうおっしゃいましたから、ひとつどんなふうにやっていただけるか、また拝見してからいろいろ申し上げたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 実は、私は新しく何か新機軸でやりたいと思ったんです。それを考えたんですが、しかしいままで選挙をこういう意味で運動をしてきていただいた方はやっぱりまじめにやっていただいておると思うんです。その効果の問題は別ですよ。そうすると、いまそういうことをやるときに、そういういままでやった人はもうそっちへ行きなさい、われわれはここで行きますというと、そこに対立が起きてしまう。私は全国民運動としてこの問題をやりたいという気持ちであるから、いままでの人も入れて、そしてまた新しい機軸も入れて、一つの統一したいわゆるきれいな選挙運動にしたいと思ったから、そういうふうに一応はいままでの人も入れた形をとった。分裂しちゃいけないというのが私の考えなんです。うん、何だと、こう言いますと、全然新しいものをつくりますと、いままでおれたちがやっていたのはどういうことなんだと言われちゃ困る。それは意味がない。やっぱりそういう人も一生懸命やっていただいておるのですから、その人たちも含めて、しかも新しい方向へ持っていきたい、こういう理想で考えておるわけです。まあどの程度にできるか、自分も一生懸命やりはしますが、ひとつ御協力が願いたい。これは皆さんに御協力願いたい。もうこんなものは政党政派を越えた問題で、御協力を願いたいというのが私の気持ちです。だからみんなを入れておくと、こういうことなんです。
○小谷守君 市川先生の御質問に対する自治大臣の御答弁、一問一答を拝聴しておったわけでありますが、大臣、ずいぶん乱暴な内容の御答弁があったように承りました。国民はばかなんだ、国民が悪いんだと、聞きようによっては主権者に対する重大な侮辱の御発言ではなかろうか、非常に私はおそろしい気持ちがいたしました。先ほどの、特に市川先生御質問の前段にかかわる御答弁について御訂正のお考えはありませんか。
○国務大臣(福田一君) 私の申し上げたのは、それは国民の全体としてほとうに正しい選挙をするような空気があるか、買収とか酒を飲ましたとか、いろんないままでに悪い例がございます、これは事実であります。そういう面もありますから、全部が悪いとは言っていませんけれども、それならば、もしほんとうによくなっているんなら、選挙をきれいにするとか明るくするとかなんという運動は必要ないと思うんです。私はそれがそういう意味できれいでない、あるいはいままでいろんな問題があるからそれを直さにゃいかぬという運動が必要になってくるのだと思うんであります。皆さん方からよく金権政治はいかぬとか、いろいろな御批判を受けているのもそういうことだと私は思うのでありまして、そういう意味で謙虚に政治家が判断をする、そして行動をしていくということが必要であって、全部の国民が悪いという意味で申し上げたのじゃない、下にも上にもです。だから、したがって政党はいいのかというお話があるから、政党にも私は批判すべきものがあるでありましょうと、こういうことを申し上げたわけでありまして、国、国民全体としてもう一ぺん考え直して、そして選挙をきれいにすべきではないか、こういう考え方を申し上げたわけです。
○峯山昭範君 大臣、私たちも先ほどから聞いておりまして、大臣のただいまの答弁を聞いておりましても、まことに納得できない。といいますのは、まず選挙そのものについては少なくとも議員であり、政党に責任があると私は思います。しかも市川先生先ほどから質問していらっしゃって、私は市川先生のように国民を尊敬していない、こういうふうな発言があった。国民を尊敬していないなんということは、いかなる場合であろうと大臣としてはやっぱり不適当な発言だろうと思います。さらに会議録を詳細に調べないとわかりませんけれども、いずれにしてもそういうふうな趣旨の発言があったことは事実であります。そういうふうな考え方で処理していっては、これはどうしようもないと私は思うのです。いずれにしましても、こういうような問題はいま国民の注視の的であります。先ほどから大臣お話ありましたけれども、企業ぐるみ選挙にいたしましても、あるいは今回の金権政治にいたしましても、国民が注目しているわけです。国民が悪いのじゃなくて、やっぱりその一部の人たちが悪いわけです。それはやっぱりわれわれ政治家に大きな責任があるということも確かです。そういうような観点から、少なくとも私たちはこの選挙をきれいにするためには謙虚に反省をし、国民を少しでもやっぱり軽んずるような発言というものは、少なくとも公の立場にある大臣は立場としては、これはやっぱりまずいのじゃないか。そういうような観点から、この問題は、大臣のいまの弁明がましいことじゃなくて、そういうことは一ぺん取り消していただいたほうが私は適当ではないかと思います。そうでない限り、この問題については、やっぱり理事会を開いて、詳細に検討をして、問題をさらに深めて、再度自治省の問題については委員会を別途開いて検討する、こういうふうにしないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田一君) たいへん御親切な御注意をいただいてありがたいのでありますが、もし私の申し上げておることが、前段の段階において、いささか不謹慎というか、不穏当な点があれば、これは取り消さしていただいてけっこうでございます。速記を見て取り消しをさしていただきたいと思いますが、考え方として、私は、やっぱりみんなでこの際は、政党もまた国民も全部でひとつこの際選挙をきれいにする問題に取り組んでいくべきであると、こう私は考えておるわけでございまして、そういう意味での発言をさしていただいたつもりでおるわけでございます。
○加藤進君 私も非常に大臣の発言については遺憾の気持ちで聞きました。これはもう今度の三木内閣が清潔ということを旗じるしにしてこれからやろうという、その自治大臣ともあろうものがいかにも国民は愚かであるなどというような内容の発言をされる、こういうことは、これは私は大臣としての資格を疑わざるを得ないくらいに重要な問題です。そういう点では、単にことばを修正するとかどうかという問題の前に、もう少し大臣として、清潔な政治、清潔な選挙をやるためにしっかりした心がまえを持って事に臨むと、私がこのとおりに率先してやりますというくらいのやっぱり決意を持っていただかないと、国民は愚かである、国民に教えるというような立場での清潔運動、清潔選挙運動なんていうのは、これはもう運動としての失格になる、私はそのように考えますので、その点については大臣に強く警告したいと思います。
○国務大臣(福田一君) まあ先ほども申し上げましたように、私の発言のうちに不穏当な面があるかもしれませんが、あると思いますが、国民の一部にやっぱり選挙というものに対する認識が欠けておる面があるという意味を、表現が少し行き過ぎたと思う意味で私は取り消しをさしていただきたい、かように考えておるわけでありまして、清潔な選挙きれいな政治、こういうものを実現するという、この三木総理の意思を受けて、そうしてこういう運動をやるということにいたしたわけでございまして、ことばがいささか過ぎたことはおわびをいたしますけれども、しかし、どうしてもこの機会にきれいな選挙、きれいな政治が行なわれるように努力をいたしたい、こういう気持ちでございます。
○委員長(前川旦君) 私からお尋ねしますけれども、速記録を調べてみなければわかりませんけれども、先ほどの自治大臣の御発言は、私は市川先生ほど国民を尊敬しておりませんという御発言があったというふうに思います。私は、このことばが不穏当だということをみんなが言っているんです。ですから、選挙をきれいにするというのは、国民も政治家も政党もみんなが一致してやらなければいけないことであるということはわかるんです。しかし、先ほどのそのことばが不穏当であるというんですから、具体的にそのことばをお取り消しになるかどうか、あらためて伺いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) そのことばを取り消さしていただきます。
○委員長(前川旦君) 他に御発言もないようですから、自治省及び総理府のうち、警察庁、北海道開発庁と、それに関係する公営企業金融公庫並びに北海道東北開発公庫の決算につきましては、この程度といたします。次回の委員会は明後二十一日午前十時から大蔵省関係を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時五十七分散会
     ―――――・―――――