第075回国会 決算委員会 第6号
昭和五十年二月二十六日(水曜日)
   午前十一時三分開会
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   委員の異動
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     塩出啓典君      田代富士男君
     加藤 進君      岩間 正男君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         前川  旦君
    理 事
                遠藤  要君
                園田 清充君
                小谷  守君
                峯山 昭範君
                橋本  敦君
    委 員
                青井 政美君
                河本嘉久蔵君
                世耕 政隆君
                寺下 岩蔵君
                永野 嚴雄君
                望月 邦夫君
               茜ケ久保重光君
                案納  勝君
                久保  亘君
                小山 一平君
                佐々木静子君
                田代富士男君
                田渕 哲也君
                野末 陳平君
   国務大臣
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
   政府委員
       労働大臣官房長  青木勇之助君
       労働省労政局長  道正 邦彦君
       労働省労働基準
       局長       東村金之助君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  中西 正雄君
       労働省職業安定
       局長       遠藤 政夫君
       労働省職業訓練
       局長       藤繩 正勝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       総理府統計局調
       査部長      永山 貞則君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       国松 治男君
       文部省大学局学
       生課長      十文字孝夫君
       厚生省社会局更
       生課長      井手精一郎君
       労働省労働基準
       局庶務課長    倉橋 義定君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  小粥 義朗君
       会計検査院事務
       総局第三局長   本村 善文君
       日本国有鉄道理
       事        内田 隆滋君
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  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七
 年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣
 提出)
○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十二回国会内閣提出)
○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十二回国会内閣提出)
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○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、理事の辞任及び補欠選任についてお諮りいたします。
 鈴木省吾君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に遠藤要君を指名いたします。
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○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、労働省の決算について審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木静子君 それでは、私からまず労働省に対してお伺いいたしたいと思います。
 実は、ことしは国際婦人年という記念すべき年でございます。そしてまた、婦人の権利とか地位の問題について、これは労働省が一番直接の御関係が深いのではないかと思うわけでございますので、最初に国際婦人年にちなんで、労働省とするとどのようなことを具体的に――実効のあることですね、婦人の地位の向上とか権利の拡張ということについてお考えになっていらっしゃるか。実は担当の局長さんにお伺うことも考えたのでございますが、やはり男性でもある大臣にお伺いする方が意味があるのじゃないかと思いまして、お伺いするわけでございます。具体的にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) ことしはおっしゃるとおり国際婦人年でございます。いまこの委員会に参りますまで、実は労働省で全国の婦人少年室長の会合がございまして、そこに私ごあいさつしたことでございます。何といたしましても日本の場合、御婦人が多いということ、それから日本の場合には、私個人としますというと、婦人参政権できてことしで三十周年、そういう先輩の方々が一生懸命やった権利運動、一方においては、敗戦後の日本の民主主義の中において婦人が職場によけい入って、今日私の承知しているところでは千二百万と思っております、そういう方々が、いろんな場所においての男女の権利、男女平等の権利、そういうもの、そしてまた社会的に地位が向上するようなことをもいままで行われてきておりましたが、こういう一つのクッションの場合に、世界的にも運動は行われますし、また日本もそれに乗って国際会議に出るとか、あるいはまたその機会に国内で研修会を開くとか、私は、婦人の組合諸君の会合にも出席して、労働省が音頭をとるだけじゃなくして、そういう職場の皆さん方もこれに相協力して、こういうときにしっかりやってもらいたいというふうなことで、具体的には、本年度は国際婦人年に関しての予算も獲得できましたし、さらにまた、総理大臣にこれは大号令をかけてもらわなきゃならぬと思って、御承知おきのとおり、衆議院、参議院の本会議においても所信表明に国際婦人年の話が出たり、その後、総理大臣には婦人関係の方々にお集まりいただいて婦人の方々の持っている御希望等々もお伺いしてもらったり、そういうふうな一つ一つ具体的なものでお役に立ちたいと、こう思っているわけであります。
○佐々木静子君 大臣が前向きの姿勢で取り組んでいこうとしていらっしゃるということはわかるわけでございますが、実は三木内閣総理大臣ですね、年末に婦人議員が総理大臣をお訪ねして国際婦人年のお話をしたときに、国際婦人年とは何ですかと、実は何も御存じなかったわけです。私どもは非常にがっかりしたわけです。それは実は参議院の本会議で、わが党の田中先生が国際婦人年のことについて一席ぶたれたその後の話なんですけれども、その後で国際婦人年とはということについて実は何も御存じなかったというようなことで、私ども婦人議員もうろたえたわけでございます。でございますので、やはり御担当の労働大臣がよほどそこをリードをとって内閣全体を引っ張っていっていただかないと、とても日本は婦人が多いと言われましたが、日本に限ったことじゃなくて、どこでも婦人は半分いるわけでございますけれども、特に日本の人口の半分を占める婦人の要望にこたえることはできないと思うわけです。現に本日のこの朝日新聞にも載せられているように、これはもう国際婦人年というのに労働省は何もやってくれぬということで、あっちこっちから苦情が来ております。私ども自身も国際婦人年を単なるフェスティバルにしてしまっちゃつまらないから、権利の拡張、保障とか地位を向上さすという、何か後に残るものをしっかりつくるようにということを何度も労働省婦人少年局にお願いしているわけなんですけれども、それに対して全く打てば響くというような答えが返ってこないわけでございまして、私どももいらいらしておったところ、いろんな婦人団体から、ともかく何もやってくれない、そして国際婦人年だからあんたたちは行事をやれということを言われるだけで何もやってくれないという苦情が大変多いわけです。そして、これは決算で、予算の委員会じゃございませんけれども、予算も国際婦人年に関して獲得されたと大臣はおっしゃいますけれども、額とするとわずかこれは二千二百万円でしたか、もう何せこれは非常に少ない数字ですね。むちゃくちゃに少ない数字で、こんなもので何ができるかということですね。カナダとかオーストラリアでは六億とか八億とかという予算を計上しておりますし、それから去年私もあちこち外国回ったわけです、来年の国際婦人年について個々の国はどういうことをやろうとしているか。それはアメリカでもヨーロッパでも、もっともっと後に残ることを積極的に取り組んでいるわけです。たとえば労働法の中でも、婦人の権利についてまだまだ不十分な規定がたくさんあるわけです。これは外国の話でもですけれども、この機会にこれを法制化するとか、新たにこういう立法をつくるとか、そういうことをいろいろ考えているわけですけれども、ともかく労働省は何もやっておらないと、実は私はその点非常に遺憾に思っているわけなんです。たとえば産前産後の休暇の期間などでも、これはもうまさに労働省の御所管なんですけれども、日本はおくれているわけです、ヨーロッパの国などと比べて。特に日本の職場状況とか住宅事情などから比べますと、産前産後の休暇はもっと保障しなくちゃならないというのが大体の考え方ですね。強い世論です。そういうふうなことも、同一賃金のことだけが労働法上うたわれているだけで、本当に絵にかいたモチ、全く精神面だけをうたっただけで、少しもそれが実際的な保障の規定になっておらないわけなんです。そこら辺について労働大臣は、この国際婦人年に対して、もう少し何か後に残るものをやろうとお考えになりませんか。これ、人口の半分が女性なんですから、せっかくのこの年ですから、大臣ひとつがんばって何かおやりになったらどうですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 先生がいまお読みの新聞、私はけさやっぱり見ました。私は新聞四つ五つ朝五時半から全部見ますから。そこで労働省に行ってもその話をしたことでありますし、またここで改めて婦人議員であるあなたから、御熱心なあなたからそういうお話がありましたので、労働省に戻りまして、労働省、いまたくさん高級職員がおりますけれどもね、御承知おきのとおり労働省だけが局長さんなんですよ。ですから、私は具体的には三木さんに、各役所に上級職試験を受かって十年、二十年の御婦人いらっしゃるんだから、こういう方をやっぱり具体的に課長さんに、労働省には課長さんたくさんおります、御承知のとおり。各役所でやっぱり課長ぐらいを抜てきして使うべきだと、こういうことはひとつ私はできることだと思うんです。そういうことにしまして、私はいまお話もありましたから、改めて御熱心なあなたからこういう御批判をいただいて、せっかく予算は二千数百、少ないとおっしゃるけれども、初めての予算ですからね。よその国の四億、五億の話があるけれども、これは従来何をやっていたか私よくわかりませんが、しかしこういうところの話でありますから、改めて労働省へ戻って研究もし、また御期待に沿うように。こういうときに御婦人のために私が労働大臣として何をやったかというのはこれはやっぱりいい記念にもなりますから、その際はひとつしっかり御声援のほどをお願いします。
○佐々木静子君 重ねてのことですが、これは大体は国際婦人年のことといえば、婦人少年局にやらせておけばいいんだというふうに、これ実のところ私も及ばずながら各省当たってみた感触では、婦人少年局がやるからというふうなことで、皆さんお逃げになるといいますか、本気になってやっていらっしゃらない。これは労働省だけに限りませんけれども、そういう感覚がするわけなんです。しかし、これは大臣を決して責めるわけではありませんけれども、たとえばアメリカなどでも、大統領直属の婦人の地位委員会というものがあるわけですね。これはヨーロッパでもそうで、内閣直属の機関があるわけですし、これは立法機関としても反省しないといけないんですが、これは国会にも婦人問題特別委員会というものが大抵の国はあって、常時ほかの委員会と同じように活躍しているわけなんです。これは立法機関としても大いに反省しないといけないんですが、そういう状態の中で、単に婦人少年局にやらせると、この二千二百万円という微々たる予算でやらせようと、そのこと自身が無理なわけでございますから、大臣、閣議においでになったら、このことを強く担当の大臣として、これは内閣全体が、総理みずからが率先して取り組んでいただくように。これ、おっしゃるように婦人の問題を、ここで婦人の権利というものを確保されるお仕事をなさるということは、これは日本の歴史の上にも大きな足跡を残すことでございますから、ぜひ真剣になってお取り組みいただきたいとお願い申し上げます。その点について。
○国務大臣(長谷川峻君) これは私、閣議のときにひとつ話をまとめまして、ほかの、男の大臣ばかりですから、男の大臣にしっかりとこの話を申し上げまして、何か発言をし、そしてまた具体的になるようなステップをつくりたいと、こう思っています。
○佐々木静子君 それでは次の問題に移りますが、ことしの二月八日に全国の出かせぎの組合連合会の大会が東京でございましたことは、労働者においてもよく御存じのとおりだと思います。そしてまたこの間の日曜日二十三日には、大阪でも全国出かせぎ労働組合の西日本の大会が盛大に持たれたわけでございます。御承知のとおりこのいま大変な不況の波に洗われて、高度経済成長のもとにおいては、農村では生活できない人たちが都会へ出てくれば出かせぎ者として働くことができた、そういう状態であったところが、このような厳しい情勢に置かれて、そしていろいろな労働者に対するしわ寄せが押し寄せている中で、一番弱い立場に立っている出かせぎ者に対して大変に厳しい波が押し寄せておる、特にそういうことで出かせぎ者がなかなか就労できないという状態になっているわけでございます。そういうことで、出かせぎ者の方々については、これはもう生活のかかった大変な問題でございますので、いま全国的な組織をもって出かせぎ者の権利を守ってほしい、労働者としての権利を確保してほしいということで、これは労働省の方にもいろいろと御陳情申し上げているとおりだと思うのでございますが、その件に対しまして若干お尋ねさしていただきたいと思うわけでございます。
 このことで労働省の方にも、現在日本で出かせぎ者というものが何人ぐらいいるというふうに考えていられるのか、あるいは出かせぎ者というものを労働省ではどのように定義づけて考えていらっしゃるのか、そのことをちょっと私当たったところでは、あまり正確な数字を御把握なさってないように感じたわけでございますけれども、これはいまの自民党政治の誤った農政から、農業ではやっていけないということで締め出されたいわば政治の犠牲者の万々、あるいは漁業ではやっていけない、林業ではやっていけないということで締め出されたこういう方々の数字を、やはり御担当の労働省とすると、的確につかんでいらっしゃる必要があるのではないか、そういうことから、出かせぎ者というものをどのように定義づけ、そして現在何人ぐらいの出かせぎ者が日本にいるか、そのことについて担当の局長から伺いたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 出かせぎと一般に言われておりますが、これの定義につきましてはいろいろありまして、いま先生お話のございますように、農業とか、あるいは漁業、そういう本来の業務に従事している方が、冬場農閑期あるいは夏閑期を利用して出かせぎに出られる、こういったケースが多いわけでございますが、その数字は最近この数年年々減少いたしてまいりまして、昭和四十五、六年をピークにして若干減少してまいっております。本年度四十九年の私どもの方の統計の数字を見ますると、大体五十一万二、三千というような数字が出ております。
○佐々木静子君 この出かせぎ者の定義というものについては、労働省はそれじゃどういう概念を、定義づけをしておられるわけですか。
○政府委員(遠藤政夫君) 一応私どもの方では、居住地を離れまして一カ月以上一年未満季節的に他の農業、漁業以外の産業に就労する人、こういうことでございます。
○佐々木静子君 これは出かせぎ者の連合会などの資料によりますと、大体百十万ないし二十万というふうに考えているようでございまして、相当半数ほど開きがあるわけでございますが、いまおっしゃったのは、何年、いつの資料でございますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 四十九年でございます。
○佐々木静子君 いまその人数が減ったということでございますけれども、これは出かせぎの希望者が少なくなった、あるいは農業とか漁業とかで食っていけるようになったというわけじゃないでしょう。いま私言いましたみたいに、不況の波が押し寄せて来て、普通の労働者もこれは一時帰休その他の状態で就労できなくなっている、そういうことで、まず一番先にこの首を切られる、労働の世界から締め出されるということで、その就労者の人数が減っている、私はそのように思っているわけでございますが、労働者もちろんそのように把握していらっしゃるわけでしょう、人数が減ったというのじゃなくて、就労できなくなった……。
○政府委員(遠藤政夫君) 出かせぎ労働者が減ってきておるという実情は先ほど申し上げました四十五、六年がピークでございます。四十七年、四十八年、いわゆる高度成長下で出かせぎ者の求人の多い事態の中でも減少いたしております。と申しますのは、私どもは就労口がなくなったから就職者が少なくなったということではなくて、農村人口あるいは漁家人口の中から二次産業、三次産業に転業する人が四十年台非常にふえてまいりました。転業できる人は転業してしまって、結局転業できない人が居住地にそのまま残って夏場あるいは冬場出かせぎに出るという人たちの数が減少してきた、こういうことでございまして、就職口がないから減った、希望者はふえているのじゃないかとおっしゃるのですが、実はそうじゃなくて、希望者が減ってきておる、こういうことでございます。
○佐々木静子君 これはそういうふうに農村、漁村で別の産業ができたというような人も間々あるかもしれませんけれども、そのほとんどが職場から締め出されているわけですよ。締め出されているからこそ職業を与えてくれということで全国大会まで持たれ、また各地方で大会が持たれているわけですよ。ですから、御担当の者がそのような感覚で出かせぎ問題を考えようとなさったらこれは根本的な間違いだと思います。これは出かせぎ者の方が農業、漁業で食っていけない。だから出かせぎに定期的に出ておった。そうなると農村も現金支出が多くなってきておるからもう家計の中に出かせぎによる収入というものが固定化してしまってこれをやめようといってももう家計の重要な部分を占めているからやめるにやめられない。ところが出ていってもいい働き口がないということでいま深刻な問題になっているわけなんですね。ですから、担当の局長がそういう感覚で労働行政をお考えになっていた日にはこれはとうてい出かせぎ者問題――出かせぎ者に限りませんけれども、いま不況の波で苦しんでいるという庶民の苦しみというようなものは全然わかっていらっしゃらないと思いますよ。その点大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 私も出かせぎ者の地帯なんです。でありますから、こういうときですので、せんだっても上野の職業安定所に行ってみました。いま現場で聞いてみますというと、出てきて働きたいという人は従来どこかにずっと同じ場所に、たとえばどこかの建設関係の下請に毎年来ているところ、そこがまずくなったことはある。しかし、出てきて自分は働きたいと言えば大体どこかに就職できているのですね。いままでのところはだめであるけれども、額に汗する、そういう仕事であると出かせぎ者は来て就職はできている、こういうふうに私は把握していますがね。だから一方、一般的傾向としてこういう不況のときであるから働く口は少なくなったということは一般的傾向としてありますけれども、出てきて職安を通じて働く人というものは、まだ求人の方が多い、こういうふうな傾向だと私は承知しております。
○佐々木静子君 大臣が把握していらっしゃるような状態であれば非常にけっこうなんですが、じゃ職業安定所局長、この出かせぎ者が職業を求めて都市に出てきた。これは職業安定所で責任を持って就労させていただけますね。確約していただけますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 確かに先ほど来お話にございますように昨年の秋以来一般の常用求人もかなり減ってきております。それと同じような割合で大体四〇%程度ですが、前年度に比べますと出かせぎの求人も同じように減ってきておりますす。しかし、ただいま大臣からもお話がございましたように私も先般大臣のお供をいたしまして上野の駅前にあります出かせぎ相談所に参りました。従来の同じ毎年毎年繰り返して就職しておった職場についてはなかなか思うようにいかないという事実はございますけれども、なお求職希望者の件数に対しまして出かせぎの求人のほうが上回っております。したがいまして、従来のようにえり好みはできないかもしれませんけれども、出かせぎの希望者が安定所の窓口に来られた場合には大体就職のお世話ができる。今後ともこういった希望者について就職あっせん完全にできますように最善の努力をしてまいりたい、かように考えております。
○佐々木静子君 その出かせぎの就職希望者について、安定局のほうで就職を確実に直ちに確保していただけるなら、その問題はまず解決するわけです。特に、出かせぎ労働者が期限を限って都市へ出て来て就職をするわけですが、不況の波が押し寄せて期限前に首を切られる。そこら辺に非常に問題が起こるわけで、ですからそのときには契約違反なので、だからその契約違反に基づくところの約束の期限に相当する賃金を使用者から払うように、これも労働省のほうで責任を持って解決していただきたいし、もしそれがどうしても不況でできない場合には、責任を持ってほかの職場を、これは職業安定局のほうで責任を持って確保していただける、そういう約束ができるわけですね。
○国務大臣(長谷川峻君) 私は去年の暮れも、ことしの一日二十二日も、全国の職業安定課長を労働省に全部呼びまして、こういうときにこそ、親切な、相手が喜ぶ――えり好みする時代じゃないと、来る人々に対して――職安の諸君というのは、ほんとうにお世話すれば相手が喜ぶ、やるこちらのほうも喜びを感ずる、相手が喜ぶ姿を見れば。ひとつ、そういう親切な行政をやろうじゃないか。だから私はひまがあると職安を歩いてみます。四、五日前も、衆議院の予算委員会が偶然のように午後一時に終わったから、局長と一緒に、江戸川と亀戸の職安に行って、どういうふうな模様であるか見てきた。そして、私は宿泊所――一日泊っておって三日円で済むようなそういう場所まで見て、こういうふうにほんとうにお世話しなきゃいかぬ、これは皆が一生懸命やってくれている。こういうときにこそ役所の責任があるのだということでやっておりましすので、いわんや企業責任者に対しましては、企業の責任というものは、こういうときにこそ、大企業の場合には自分のところの本職員はもちろんのこと、関連産業、下請を通じて、自分のところの職場の諸君を離さないようにすることが責任があることであるということを言いつつ、一方賃金不払い等々も――これはほんとうにお互い国会議員をしておりますと不払いが起こる場合に職安のような正式なルートを通じないとなかなか捕捉できない。ですから、私はこういうときには、正常な機関を御利用いただいて、そうすれば私のほうで元請に対してやかましくも言うし、現にそういうことで解決したものはたくさんあるのですよ。そして賃金不払いというのは、本人もさることながら待っている家族が困ることですから、そういう意味で、厳重に、ひとつこういうときにこそ監督指導してまいってて、あなたのおっしゃるような御期待に沿いたいい、かように思っております。
○佐々木静子君 前向きのいい答弁をいただきまして安心したのでございますけれども、現実に私のおります大阪などでも、地方から出てきている出かせぎ者がいっぱいいる。そしてそれがいままでのように働けないということで大変な問題になっているわけです。これは個々の議員とか何とかという力ではとうてい解決できる問題じゃないわけでございますので、これはちゃんと各職業安定所に――出かせぎのそういうふうに条件が変わって就労できなくなった人たちを、責任を持って優先的に就労させるということ。親切というのは――この人たちの生活と家族の生活とが全部かかっているわけですから、ともかく就労させるということが最大の親切なわけでございますので、その問題についてこれは労働省のほうで責任を持って引き受けていただけますね、確約していただけますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 最大限の努力をしてまいりましたし、今後ともそういう行政を進めてまいりたいと思います。
○佐々木静子君 それでは労働省の方で今後そういう問題は解決していただけると承って、次の議題に入りたいと思います。
 いま、この出かせぎ者の問題の中で、ちょうど大臣の御発言にもございましたように、建設関係に就労している人が多い、これはそのとおりでございまして、大変に建設関係で働いている人が多い。ところが不況の波を一番まともに受けているので、建設に働いている人たちの失業者がたくさん出ているわけでございますが、ただ、この働く条件ですね、これは労働災害というもの、これは労働省の災害動向調査を調べてみますと、規模三十人以上のところで、四十六年、四十七年、四十八年と、これは災害の頻度を示す度数率を見ますと、四十六年が一〇・〇三、四十七年が九・三二、四十八年、八・六九と低下しているわけです。ところが、この四十八年の死亡者が、いま申し上げたみたいに、この資料で見ますと、五千二百六十九人で、これは四十七より六・四%減っている。ところが、建設業だけは死亡者がぐんとふえているわけでございますね。これは四十八年の資料によりましても前年より丁六%増加しているし、労働災害死が全体の労働者の災害死亡数から見て三分の一を占めている。そういうふうなことでございますので、建設業で働いているところの労働者というものに対する労働条件というものが非常に悪い。そういう点で、労働基準法あるいは労働安全衛生法を無視したところの建設企業のあり方というものが非常に考えられるんでございますけれども、そのあたり、労働省の方はどのような行政指導をしていらっしゃるのか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございましたような数字でございますが、実は、度数率は全体的に下がっておるわけでございます。ただ、死亡の絶対数は御指摘のようになかなか建設業が下がらない――建設業でも度数率は下がっているのですが、絶対数は下がらない。われわれ、安全衛生を行政の最重点にしているわけでございますが、その中でも特に建設業を何とかしたいというふうに日夜心を砕いているわけでございます。全国に都道府県の労働基準局ないしは監督署がございますが、事建設現場については、あるいは建設業については、とにかく安全問題に重点的に取り組めと、こういうふうにやっている次第でございまして、その中で逐次改善を見つつあるわけでございますが、いま申し上げましたような数字が依然として高水準にございますので、さらにわれわれはこの問題について取り組んでいきたいと、基本的にはかように考えております。
○佐々木静子君 これは、いまも数字を挙げましたが、たとえば私の地元の大阪でも、一年間で建設労働者百十人が死亡しているわけでございます。非常に数を言えば多いわけです。そういうふうに、大変に労働安全というものが、いまいろいろ御努力いただいているということでございますけれども、なかなかその功を奏しておらないという現実でございますね。で、いろいろ、今後も労働安全について努力していくというお話でございますが、具体的にどのような点を監督していらっしゃるおつもりなのか。たとえば、建設労働者が住まいしている宿舎でございますね、これはいわゆる飯場と言われるところでございますけれども、これなども、これはいろいろ労働省でおつくりになった規程などもございまして、これは労働省でおつくりになった建設業附属寄宿舎規程というふうなものもございまして、この規程どおりやっておられると、これは労働者が仕事を終えて住まいするのに人間らしい生活を、人間らしい住まいができる。しかし、現実に私どもが、この日雇い労働者がどのようなところで働いておられるか。私、全部回ることはできませんが、五つ六つ回ったところでも、これはおよそこの規程とはほど遠い現状なんでございますね。それもかなりな大手の建設業者のところで働いている人であってそうなんです。こういうふうなこの宿舎の設備なんかについては、労働省はどのように現実に監督していられるのですか。そしてまた、この規程違反の宿舎に労働者を住まわせているような業者に対してどのような処分をとっておられるのか、具体的におっしゃっていただきたいわけです。
○政府委員(東村金之助君) 建設業そのものの安全問題に対してどういう具体的な手を打っているか、特に寄宿舎の問題という御指摘でございます。具体的にということになりますと、非常に細かい問題、技術的な問題がございますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、まず、規則関係といいますか、法令関係の整備をいたしまして、その法令関係にのっとりまして監督指導をやると、監督指導に対しては部内の監督官、専門官の研修制度等によってレベルアップを図るというのが内部体制の問題でございます。それから、実際に現場で働いている方々に対しては、何せいろいろの方がそこに就労するわけでございますので、教育訓練ということを特に重んずる、それから自主的管理つまり、監督官がやれやれと言うからやるんじゃなくて、自主的に安全はやらなければいけないんだという気持ちを業者みずからに起こしてもらうということを考える。さらには、これは、安全問題は非常に技術的のようでございますが、ただいま御指摘ございましたように、労働条件全般がその支えになっているわけでございます。したがいまして、労働時間の問題とか賃金の問題とか、こういう問題が不安定でございますとなかなか安全の成果は上がらないということがございますので、そういうところにも手をつける。特にいまお話がございました生活の場である寄宿舎の問題、この問題につきましてももちろんわれわれは考えているわけで、いま御指摘ございましたが、昭和四十二年に特別に建設業附属寄宿舎規程を制定いたしまして、従前に比べますると、避難の設備とか寝室基準等についてその充実を図ったところでございます。ただ、実際問題として、御指摘のように、きちっとこれが守られているか、守られていなかったらどうするんだというお話でございます。確かにいろいろあるこういう寄宿舎の中には問題があるところはかなりあると思います。われわれは、それういう場合には、法に触れる場合には、是正勧告という措置をとります。何月何日にこういう問題があるから直しなさいと、こういう措置をとるわけです。ただ、その場合でも、一片の是正勧告をやっただけではなかなか改善できない。そこで、いわば監督指導という面にもなるかもしれませんが、具体的にここはこうしなさい、ああしなさい、こういうところにはこういうモデルがあるからできるはずじゃないかというふうにに、具体的にその法令違反が排除できるような、そういう指導もあわせてやっていると、こういう次第でございます。
○佐々木静子君 これは法令を幾らつくっても指導を強力になさらなければ、この使う側は、その労働者、特にその日雇いとかで来ている人は、もう消耗品と考えているのですから、使う側は、もうそれにお金をかけるのはもったいないというようなことで頭いっぱいですから、そういうなまぬるい勧告ぐらいでは、向こうはお金を出したくないんですから、ですからこれはもっと強力な指導をなさらなければ、こういう規程を幾らつくっても、これは本当に現場で働いている労働者は守れませんですよ。
 これは実は私、国鉄の新幹線の保線工事の下請をしている、保線工事をやっている労働者、これも熊本県からの出かせぎ労働者の七人の人がグループで上京してきて、そうして国鉄の下請業者のところで働いている。その人から詳しくその宿舎も見せてもらい、そしてその人の一日の生活ということもつぶさに見せてもらったんですけれども、こういう状態ですよ。労働大臣、こういう現実を御存じですか。これは四十八歳の熊本県から来た方ですけれども、この人の日程は、午前の九時に職場に入る。保線作業をするわけです。そして夕方の五時まで働く。これは新幹線じゃない、在来線の国鉄路線の保線作業をする。五時から帰ってすぐにもう飯場へ駆け込んで、そしてもう体が弱っているので、もう床へ入ってまくら元にあるどんぶりだけを半分寝ながらかき込んで、そして眠る、そして次起きるのが午後の十時、だから、職場を離れてから次の職場につくまでの時間が五時間、だから往復の時間を入れて、四時間ほど、食事も入れて、眠る。そして十時には職場へ入って、そして今度は朝の四時まで働く。その間は新幹線の――新幹線は御承知のとおり、夜中しか保線工事ができないのですから朝まで働く。それで四時に職場が終わって、そしてまた飯場へ戻る。そして朝九時には在来線の保線工事にかかる。これが休日なしでぶっ続けでやっているそうですよ。そういう労働条件が、この一番近代産業と言われる日本の国鉄で、しかも花の新幹線――今度三月十日にいよいよ開業いたしますね、山陽新幹線がまた。そういう超近代産業のもとで、現場で働いている労働者、そういう方々がそういう状態に置かれているということを、大臣、御存じでございますか、いかがですか。
○国務大臣(長谷川峻君) その具体的な例については私は存じ上げません。
○佐々木静子君 それでは、労働省の万はいかがでございますか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま具体的な御指摘のあったその場所は別といたしまして、やはり建設業が、まあ先生のお話しのように、華々しくなっている陰にはそういう方々が非常に苦労されている、生活の条件なり労働の条件なども必ずしも恵まれていないということは私ども十分承知しているつもりでございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、安全衛生の問題というのは、ただ単に技術的な問題だけじゃなくて、生活全体がやはり安定したようなかっこうにぜひ持っていきたいというのが念願でございます。なかなかそういうふうな形が実現できないのが残念でございますが、及ばずながら、そういうところに重点を置いてやっていきたいというふうに考えております。
○佐々木静子君 この問題は一年ほど前にもこの委員会で取り上げさしていただいたわけです。国鉄の方にお尋ねしますと、これは国鉄の職員じゃないから、だからそこまで考える必要はないという趣旨のお話であったわけでございまして、これは国鉄の職員でない、したがって国労の人間でもない、組合員でもないからほっといたらいいんだという問題じゃ絶対ないわけです。これは国労も、国労の組合員の問題ではないけれども、下請の問題だけれども、これは全国鉄に働く人間の問題だということで、これは国労の闘争として取り組んでいるわけなんです。そういう点について国鉄当局の方、お越しでございますか――下請業者を――下請といいますか、国鉄自身が保線工事をなさるわけじゃほとんどないようで、大体業者に下請をさしているらしゅうございますが、どういう下請業者が、いま話を特定しますと新幹線ですね、いまの在来線と新幹線、どういう業者に下請をさせていらっしゃるわけですか。名前を挙げていただきたいと思います。
○説明員(内田隆滋君) 国鉄は、ただいま先生のお話がございました保線工事でございますが、これは、現在線は直轄の保守が主体でございまして、新幹線につきましては請負工事が主体で保守をしていると。これは御承知のように、列車の運転条件が、新幹線は夜六時間ぴたりととまりますので、したがって、いわゆる直轄工事でなくても、請負工事でもよろしいということでそういう保守作業をやっているわけです。しかし、在来線の方はほとんど一晩じゅうと申しますか、一日じゅう列車が走っておりますので、いわゆる請負業者では非常に保安の問題がございますので、直接保線の作業員が従事していると、ただし、特殊なものについては請負工事で保守作業をやっておるというのが実情でございます。それで、したがって国鉄は、いわゆる軌道を専門とする会社を幾つか育成をしております。これは各地域ごとに育成をしておりますので、そういう会社が現在線並びに新幹線について軌道の保守をしていると。したがって、新幹線の場合には、大体地域を決めて特定の会社が実質的には工事の保守をしておるというのが現状でございます。
○佐々木静子君 私はその大手の下請業者の名前を挙げてくださいという質問をしているんですよ。でもおたくでおっしゃらないなら私の方から申し上げますが、大体私どもで把握しているところでは、大鉄工業株式会社――ございますね、それから日本技術株式会社、大阪施設工業株式会社、日本土木株式会社、これがいわゆる下請大手四社のようでございますけれども、こういう会社にたくさん下請を出しておられますね。そのとおりですか。
○説明員(内田隆滋君) 関西地区ではそういうような業者が主体となって保守工事を行っております。
○佐々木静子君 これらの会社がさらに事業所というものをそれぞれ設ける。ただ名前は事業所となっているが、それが別法人である。実際上は下請である。法人が別なんです。そしてそこにいろんな班を置いて、そして下請をやらせている。実は私はいま挙げた例もその事業所に所属している下請の人たちの生活を言ったわけなんです。そしていま挙げたこの大手四社、この経営陣はほとんど全部――ほとんど全部というよりもオール国鉄の元職員が天下りしている。いかがですか。そして事業所の所長も全部国鉄の職員の天下り先である。その事実は肯定されますか、否定されますか。
○説明員(内田隆滋君) 全部ではないと思いますが、軌道工事というのは、これはもう国鉄の特殊な工事でございまして、先ほども御説明いたしましたように、実際に現在線につきましては直轄で工事をやっております。したがって、これは二十年ないし三十年の経験を持っておる者が多いわけでございまして、そういう者が国鉄を退職いたしまして、さらに部外の人を使って安全な保守を行うという意味におきましては、そういう人たちがいなければ逆に工事はできないということでございますので、そういう人たちが入っておることは事実だと思います。
○佐々木静子君 そうすると、ほぼ国鉄の元職員の天下り先であるという事実になると思うわけでございますが、それで私特に伺いたいと思うんですが、いま言いましたその過酷な労働条件の中でぶっ倒れるまで――出かせぎ労働者に限りませんが、その下請企業で働いている人たちはぶっ倒れるまで働いている。この賃金を調べてみると、昼間で四千円から四千五百円、夜で五千円から特に多いときで五千五百円、この事実だけでも労働法違反じゃありませんか。これは労働省の方どうお思いになりますか。同一労働者が夜と昼と続けて働いた場合の夜は何割増さなければならないことになっているんですか。
○政府委員(東村金之助君) いまのお話の労働態様、ちょっとわかりませんが、最後にお尋ねの件でございますと、普通の労働時間をこなした上で残業をやった場合には二割五分の割り増し賃金がつくと、かようになっております。いまのお話にすぐ当てはまるかどうかは別として、そういう規定でございます。
○佐々木静子君 それでは、いま申し上げましたこれは、私、一人の人から聞いているんじゃなくて、何人もの人から聞いているんですが、国鉄のこの保線工事の下請会社の労働状態を労働基準局の方で調査なすっていらっしゃるんですか。どういうふうなデータが挙がってきているんですか。こういう事実は御存じないんですか。ないとすると非常な怠慢じゃないですか。
○政府委員(東村金之助君) 私自身、いま手元にはございません、あるいは怠慢と言われるとあれでございますが、具体的な規定や何かの問題でございますと、それぞれの監督署でつかんでおると、こういう形になっておりますが、いま手元にはございません。
○佐々木静子君 これはもう少しこういう状態で下請の人が苦しんでいるということを、これはいま始まったことじゃない、私何回も申し上げているんですから、もう少し真剣に取り組んでいただきたいと思うわけですよ。
 そして、私は、これ一例を挙げますと、時間がありませんので、もう十分余りしかありませんから長々とできませんが、新幹線のまくら木ですね――新幹線に限らないと思います、在来線の分も含めて、まくら木の下にある道床更換ですね、バラスを取りかえる作業、これは国鉄からこの大手業者には一メートルについて三万円で請け負わせていると、そのようにこれは聞いているわけです。大体そういう細かいことはおわかりにならないかもしれないけれども、これは間違いのないデータです、一メートルについて三万円。そしてこれは労働者が、道床更換、これは一人で一生懸命やったときに、その業者から受け取るお金が五千円なんですね。これももう四社とも協定していて、五千円以上には絶対上げないように、いわば独禁法のようなもんです。独占しているわけですね、四社で。もう協定して五千円以上絶対に上げない。ほかの者は入っていけない。だから、ここは二万五千円というものが中間搾取で業者のふところに入っているわけですね。そしてその中間搾取をしている方々は、国鉄職員がそこへ天下っておられる。これは、国鉄がいかに国民のための国鉄、そして労働条件にはいろいろと配慮をしているとおっしゃっても、数字が明らかに物語っているわけですよ。国鉄の予算から三万円出ている。そして現地で働いている人は――夜も昼も寝ずにぶっ倒れるまで働いているその人たちが一つをやり遂げて五千円、差額二万五千円がだれのふところに入るかということを考えたときに、これは国鉄はやっぱりいいかっこうばかりは言ってられないんじゃないか、その点についてどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(内田隆滋君) いま先生のほうから御指摘がございましたけれども、例は道床更換の例だと思いますけれども、これらの問題につきましては、いわゆる一人の労働者の作業量の標準というものをきめまして、それに基づいて適正なる人工をはじき出し、そしてそれに人夫賃をかけ、あとは適正な利潤等を加えて契約の単価をきめておるわけでございまして、そういう意味ではいわゆる標準の作業員が作業を一メーターした場合にどのぐらいの人工がかかるかということが一応出ておりますので、われわれとしては適正な契約をしておると思いますし、それに従って適正な支払いがなされているというふうに考えておる次第でございます。
○佐々木静子君 これが特に違法だと、その契約は違法だと言っているわけじゃないですけれども、こういうことでこの労働者を搾取するばかりではないかということを私申し上げているわけで、労働省――労働者の権利を守らなければならない労働省とすると、そういう現実について、どういう労働行政を行っておられるのか。また、いま伺ってみると、あまり国鉄の飯場のことなどは力を入れていらっしゃらないのじゃないかという印象を受けるわけですけれども、今後どういうふうにして取り組むとお考えになりますか、大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 一つ一つのケースになりますと、私たちも把握できないこともあります。現に、そういう問題は地方地方の労働基準局が申告なりお話やらによってこういうものを調査し、あるいは是正勧告をするというふうなことになっておりますことを御理解いただきたいと思います。
○佐々木静子君 ところが、その大臣の御答弁にもございましたように、実はこの保線の作業をする人たちがこれは新幹線、御承知のとおり、今度の山陽新幹線などはもう半分以上がトンネルですけれども、そうでなくても、いますでについている新幹線でも、六甲トンネルを初めとする長いトンネルがあるわけですね。いま申し上げたみたいに保線作業というものは新幹線の場合は昼間はできないから夜中にしかできないわけですね。これ、必ず全部バラスを整理しないといけないわけですね。そうすると、その保線作業に従事する者は、これは炭鉱の中と同じような状態で、ものすごい粉じんになるわけですね。そういうことでじん肺に冒されている保線労働者が大変多いと言われておるわけです。これは京都大学とか、大阪大学の医学部の研究資料によりますと、かなりな数が冒されている。そういうことでこのじん肺法を適用していただきたいということで、労働基準局のほうに、これ各地の保線労働者で肺をやられた人、じん肺を冒された人たちが申請しているわけなんです。そして、これは前回に私も国鉄当局にも質問さしていただき、前向きな姿勢で取り組むという御答弁をいただいて、そして京都の労働基準局あるいは神戸の労働基準局ではじん肺の適用を認めたわけです。ところがその後労働省のほうで、これは簡単には各地方労働基準局へはまかせておけないというようなことで中央じん肺審議会のほうに諮らなければいけないとかというようなことで、大阪でもすでに多くの肺を冒かされた人が出ている、また滋賀県でも肺を冒された人が音羽トンネルその他の関係で出ておるわけですけれども、そういう人たちに対して全く労働省が冷たい態度をとっておられる。いまだじん肺法の適用を見ておらない、そういう人たちはもちろんじん肺で冒されて倒れているわけですから、就労することもできない、わずか生活保護法の三万五千円のお金で苦労しているわけです。これは労働省としたらどのように考えられるわけですか。
○政府委員(中西正雄君) 御指摘の長大トンネル内の保線作業の問題につきましては、労働省も前々からいろいろ検討を行っているところでございまして、現在のじん肺法の適用はございませんけれども、現在改正作業を進めているところでございまして、この保線作業のうちで特に長大トンネル内、まあ長大トンネルといいますのは必ずしも長さの問題ではございません。これは通気が悪い、中の空気が悪い、粉じんが非常に多いというトンネルを考えているわけでございますが、そういうようなトンネル内の作業につきましてはじん肺法を適用することといたしまして、現在規則の改正を進めております。
 なお、先ほど御指摘のありました京都と兵庫労働基準局では云々というお話ございましたが、これは別に現行じん肺法を京都、兵庫両局では適用し大阪は適用していないという趣旨ではないのでございまして、この両局は日本国有鉄道の新幹線大阪保線所長あてに文書をもちまして、行政指導としてこのじん肺法に準じた健康管理をするようにということを指示したのでございます。
 なお、現在この長大トンネル以外の一般新幹線の保線作業につきましても調査を進めているところでございまして、現に国鉄が三万数千名に及ぶ関係労働者の健康診断を実施をいたしております。この健康診断の結果を見まして、じん肺法の適用をすべきかどうかということをきめたいと考えておる次第でございます。
○佐々木静子君 これはじん肺法の適用がないと、これは労働省そればかり言われるんですけれども、それはおかしいじゃないですか。いま大臣自身もおっしゃったでしょう、個々の労働基準局の認定でじん肺法を適用する、個々の労働基準局の判断によって判断していけばいいことでしょう。ところがこういう問題が起こってくると非常に中央が乗り出してきて、簡単にやっちゃいかぬというような手が回ったということが、これは時間がないから私申しませんけれども、非常ないきさつがあってやっているということは、企業と、そして労働行政とが癒着して、そしてこれがもしじん肺法が適用されたならば、国鉄だけではない、私鉄労働者に対しても広く行き渡るんじゃないかというようなところからブレーキがかかっている、これは明らかなことですよ。大体このじん肺法の適用がないとおっしゃるけれども、なぜ適用がないのか、実は私このことも伺ったわけです。そうしますと、これは労働省の方の万のお話では、このじん肺法の施行規則の別表の第一の二、「土石、岩石又は鉱物を積載した車をくつがえす場所における作業」というふうになっているけれども、バラスト作業の場合は、これは覆すんじゃなくてぶっちゃけるだから、ぶっちゃけると書いてないからだめだという説明なんです。そんなたわけた説明がどこにありますか。条文にぶっちゃけるなんて条文、私は見たことないですよ。そういうふうに覆すんじゃなくてぶっちゃけるんだからこれに当たらないんだという、そういうことで労働者の権利を守れるはずがないですよ。国鉄の方は、これは国労とも約束したとおりじん肺法の適用の申請を労働省に去年出してくれてるんですよ。それに対して労働省が、肝心の労働者の権利を守らなければならない労働省が、これはぶっちゃけると書いてないからだめだと、ぶっちゃけると覆すというのは私はどう違うのか知らないけれどもしかしこの労働省安全衛生部労働衛生課編の「じん肺法の解説」を見ても「覆車する等」となってるんですよ、「等」がそこに入ってるんです、一々ぶっちゃけると書いてないけれども。そういうふうなつまらない小手先のことで大勢の労働者の命とその家族の生活を左右さすようなことがあっては、私はとんでもない労働行政だと思うわけです。しかも、ごの立法、政府提案で出た法案ですけれども、これに対して参議院の附帯決議までついておりますね。これはもう「労働衛生全般について適切なる指導を行うべきである。」という附帯決議までついているわけです。そういうふうなじん肺法を労働省が、ぶっちゃけると書いてないからだめだと、そういうたわけたことで、労働者の権利を守らないという労働行政であってみれば、これは私はとうてい国民は救われないんじゃないか。そこら辺でもう少し前向きで取り組む考えはないわけですか。法の改正は結構ですよ。しかし今度法案それ提案しておられんですか、政府案として。してないとするとまだまだ先延びるでしょう。もっといまある法律をフルに使えば幾らでも救済できるわけでしょう。どうですか、そのあたり。
○政府委員(中西正雄君) 現行のじん肺法施行規則の別表の先生御指摘の規定によりますと、それをそのまま読みますと適用できないという問題もございまして、実態から見ますと問題ありと考えまして、すでに行政指導によりましてじん肺法の規定に準じた健康管理等を行なうように行政指導しているところでございます。なお、規則改正につきましては現在作業を進めておりましてごく近くこの改正がなされるはずでございますので、御了承いただきたいと思います。
○佐々木静子君 それではいまの御答弁でじん肺法の改正はもっと幅広くなる。それはごく近い――ごく近いというのはいつですか、政府の御予定は。
○政府委員(中西正雄君) これはじん肺法そのものの改正ではございませんで、施行規則の改正、労働省令でございます。この別表の改正を近く行うという趣旨でございます。
○佐々木静子君 それじゃそんな労働省令変えるぐらいのことは別にすぐできるんじゃないですか。いつまでにされますか。
○政府委員(中西正雄君) この長大トンネルと、当面問題ありとされるトンネルの適用の範囲を実は検討しておりまして、問題は、その通気の悪い粉じんの多いトンネルを調べておりまして、現在十幾つかのトンネルを予定、大体結論出ましたので、それに時間とりましたけれども、その後は事務的な手続だけでございますので、近く改正が、作業が終了すると思います。
○佐々木静子君 それは早急にやっていただくと同時にこのじん肺法の精神に沿った労働行政の指導をしているとおっしゃいましたね。そうしますと、保線で現にじん肺に冒されて困っている人たちが、私とは見解を異にするわけですが、このぶっちゃけるだからだめだと、仮に労働省の説に従うとしても、これはぶっちゃけると覆すとは近いところだから何とか労働者のためにやってやれという指導行政はあなたが責任持ってしてくださるわけですね。
○政府委員(中西正雄君) そのとおりでございます。
○佐々木静子君 それを伺って安心しました。ぜひとも強力な行政指導をしていただきたいと思います。
 それと同時にもう時間がありませんが、出かせぎ労働者の問題に返りますが、出かせぎ労働者の方々が主として建設作業でいま申し上げたような厳しい労働条件のもとに飯場へ帰ってそして過労のためにばったり倒れて死ぬと、そういうケースが多い。秋田県だけでもこの半年間の中に出かせぎ者が百人亡くなっている。むろん明白な職場で亡くなった場合もあればふらふらになって帰ってきてぶっ倒れてそのまま亡くなった。これがいままでは単なる病死として処理されておったところが、大阪の天王寺労働基準局で、これはやはり労働災害死と認めるべきではないかという要求があって、そしていろいろ調査の結果これは災害死と認めるべきであるという認定がされたわけでございます。そしていままでしかしこれは明らかに災害死だと、業務上だと思われるようなケースがなかなか認められておらないところがまあ徐々に認められつつあるわけですが、一般的にホワイトカラーの方に対する認定と比べると、それだって何も完全の状態じゃ全然ないわけですが、特にこの労働者、日雇い労働者の方々に対する認定というものが、なかなか業務上という認定がされておらない。しかし、このいまの飯場の状態一つ申し上げても、ちょうど船員が船に乗っていて、労働して自分の船室に戻って倒れた場合は、もちろん業務上になりますね、それと非常に似通った状態である。そういうことで、この建設労働者の飯場というものが、いわゆる自宅というのと非常に異なった状態にある。そして、過労で倒れてそのまま亡くなるということが多い。そこに対して業務上の認定をもう少し強力に進めなければ、本当に気の毒な出かせぎ労働者の人たちが守られない。出かせぎに限りませんが、下請の厳しい労働条件のところで働かされている労働者。その点について労働者の側に立った労働行政を行っていただけるかどうか、この点も大臣に伺いたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) 問題が労災保険ないし法律の問題にかかわりますので、私から一応申し上げますと、労災保険では、御承知のとおり、業務と疾病との間に相当因果関係があるということが前提でございまして、そういうことになりますと業務上として所要の補償を行なうものでございます。ただ、事業主の支配下におって発生したと、そういう傷病があったというだけではなかなかむずかしいわけでございます。御指摘のような、たとえば労働者が事業主の支配下にあって――まあ支配下というのは船員であれば船室、いまのようなお話ならば寄宿舎、そういう支配下にあって、脳卒中とか心臓麻痺のような疾患を発生した場合において、業務と疾病との間に因果関係が明らかに認められる――たとえて申しますと、その疾病、倒れられたということの直前に過激な業務に従事していたと、あるいは業務に関連する強度のたとえばショックを受けたということの関連で、帰ってこられていろいろ災害というか病気になられたということになれば、これは業務上ということになると思うんです。
 いま御指摘の二月十一日に大阪の天王寺労働基準監督署管内において蜘蛛膜下出血により不幸にも亡くなられた方の問題でございますが、現在のところ労災保険給付の請求書の添付書類が若干不足しておりますので、それを出していただいて業務上外の決定をしてまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、ホワイトカラーであるとかあるいは出かせぎの労働者であるとかいうことについての取り扱い上の区別といいますか、そういうことは私どもは厳にやらないで、公正にとにかく業務上外を判定しろというふうに指示しておるし、そういうつもりでおります。
○佐々木静子君 もう時間がきましたので、最後に大臣に御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) こういう景気が後退したときには、なかなか問題がいろんなところにたくさん出てまいります。なかんずく、私はこうしたときこそ安全というものが一番大事なことじゃないか、働く諸君の命をとにかく守ってやる、そういう意味では、先ほど死亡者の話が出ましたが、これをいかにして少なくしてやるかということが大事なことだろうと思って、安全行政の監督は特に厳密にやっておりますし、さらにまたホワイトカラーとかブルーカラーの差別なしに、私の方は働く諸君というものは日本のいまの宝である、加工国日本は勤労者の汗の上に築かれている、こういう認識を持っておりますから、いろいろの点において万全の対策を整えていきたい、こう思っております。
○委員長(前川旦君) それでは、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 午前中に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、労働省の決算について審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○案納勝君 私はいまから労働省にかかわる問題について幾つか質問したいと思います。
 きょうは主として、時間の関係もありますから、雇用保険法が制定をされて、これは四月一日から施行されますが、なかんずく一月一日から施行されています雇用調整給付金制度について少しただしたい、御見解を承りたい。――その前に大臣に総括的に御見解を承りたい。
 私は、長谷川労働大臣が大臣に再度――三木内閣の閣僚に就任されて大変期待を持っています。で、本来労働省は、労働者の、あるいは勤労者の地位の向上や福祉の増進にある、こういうのが旗印です。今日きわめて重大な政治経済の段階にあります。しかし今日の段階を見るときに、たとえば春闘対策として政府の今日とっている姿勢を考えるときに、実は大変その意味では問題があり過ぎるように考えるのです。たとえば今日の不況は、私どもの見解で今日まで各委員会でも申し上げてきましたが、四十七年以降の調整インフレ政策、さらには列島改造計画、そして狂乱物価に対する政府がとられた財政投融資政策、こういうものが大企業そして銀行とが結びついた寡占下の今日の経済体制の中で、金融引き締めが、大企業にはさほど、膨大な蓄積が行われておるという中で響かないで、中小企業、下請企業にそのしわ寄せが来、それが今日の私は不況の実態だと思います。そして、そういう中で今日インフレと不況が同居をしている。私は、今日置かれている素材、原料関係の大企業の価格は上がっても下がらない。しかし中小企業、下請関係は、原料高製品安でますますしわ寄せが強められている。休業、倒産ということで、勤労者には多くの犠牲が強いられているということ。
 そういう中で、さらに賃上げ問題についても昨年の三二%という賃上げは、私は狂乱インフレ、インフレの後追いにしかすぎない、勤労者の実感としても、実態としてもそうであります。そういう中でなお御案内のとおりインフレが続いてきている。ところがいまの政府全体の姿勢から見ても、経営者側全く一致して実は一体になって一五%という、前年比消費物価の上昇について一五%に抑えて、そこでガイドラインを引いて、実はそれに春闘対策として政府みずから積極的に打って出ている、こういうふうに私は理解をせざるを得ないのであります。その中に、実は労働大臣、昨年から、問題は賃上げと物価と、賃金と物価、そして雇用の関係について問題を提起をされ、以来、本来労働省として勤労者の福祉、地位の向上を図らなくちゃならぬ立場にあるその労働大臣として、実はそういうガイドラインといいますか、ガイドポストといいますか、一五%――春闘対策の旗振りを実は労働大臣はやってはいないか、そういう感じを実は私は受けざるを得ないのです。
 たとえば、労働大臣だけではなくて、今日の不況宣伝というのは、まさに不況とインフレの同居の段階――そうは言いません。ただ政府は公式的には所得政策をとらないと言っていますけれども、たとえば十二月十八日の産労懇の中で副総理が賃金抑制について、そういった発言がされています。私は賃金交渉に直接政府は介入をしないと言いながらも、政治的効果として今日行っているやり方というのは、その意味で所得政策、その線上にあるというやり方ではないのかと。実はその辺について、今日の国民の不況の中、イルフレの中での生活の状態というものをきわめて厳しく私たちも見るがゆえに、勤労者の地位の向上、こういう面から見て私は労働大臣としてもっとやらなくてはならないことが他にあるのじゃないのか。私な先頭になって旗を振るというよりも、御案内のように時短問題、最賃問題、あるいは労働災害問題と、あるいは数多く身体障害者の雇用問題なぞ、いま積極的にそれらの問題を取り上げて、その上で国全体が勤労者の問題に目を開き合意を求めていくという姿勢がいま労働省にとって大臣、担当大臣として実はいま一番大事な問題ではないかと思うんです。単に賃上げ問題、春闘対策でガイドポスト問題を積極的に旗を振るというんじゃなくして、実は私が後段に言ったことが勤労者の合意を求め、国民全体の協力を、求めていく、私はその意味で大事なことじゃないか。その辺について私は大臣の御見解をまずお聞きをしたい。一つずつの問題についてはお答えいただかなくてもいいです。たとえばスト権問題、最賃問題あるいはその他申し上げました労働災害問題、職業病、数多くありますが、これらについては一つずつ御答弁いただかなくても結構であります。総括的に大臣の見解をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(長谷川峻君) まあ私が再任されたことに対して御期待いただきまして光栄に思います。私はその喜びよりは実は非常に厳しさを感じている。これはあなたと同じでして、いまの日本が世界と同じようにインフレと不況と雇用不安の中にあるわけです。これは世界全体がそうです。その場合に私が何か春闘の押え込みの先頭に立っておるというお話がありましたが、これ私は実は心外でして、昨年の八月の七日に私が大阪で経済団体の方々に申し上げたことは、従来の高度経済成長が完全にとまって、そして四十年代は一〇・四%のずっと成長であったが、ことしはマイナス。ゼロ成長じゃなくてマイナスだと。そうすれば、これはだれしもがやっぱりいままでの惰性というものをここで見直す必要があるんじゃないか。次の日は大阪で早速総評、同盟、中立労連の皆さん方にお目にかかって、同じデータを出して、私は国民にも同じデータを出します、こういうことで申し上げてきたわけです。
 それは何かと言いますと、世界がいま一番悩んでいるものは何かというと物価高だと思うんです。賃金を幾らもらってみても、高くもらってみてもそれを渡された奥さんが、毎日毎日消費組合なり、あるいはいろんなスーパーあたりで毎日のように値段が上がっていったんじゃ、これは話にならぬ。そこで私は、三月末の消費者物価一五%ということを政府が打ち出したものですから、これを労働省の立場において、ほかの役所は物を扱い、あるいはその許可、認可する役所であるだろうけども、私の方の労働省は働いている人間、毎日生きていく人間の顔を見る役所でございますから、一五%ぜひ実現するようにということをずっといままで実は申し上げてきた。大企業に対しては、私は大企業の責任は今日ほど大なることはないと思いますから、まず第一に言うていることは、自分の企業としての社会的責任から自分の職員はもちろんのこと、関連産業、下請を通じて首を切らないようにということが一つ。それからボーナスを四七%も出しているんだが、それをひとつ今度は自分の商品を値下げするように、こういうことに協力してもらいたいというふうに、いまの惰性をやっぱり打ち切る必要があるんじゃないか。
 そこで辛うじて実現しそうでございますが、一五%消費者物価というものはようやくここで実現しそうな結果になっている。これは春闘対策でも何でもありません。国民生活全体、月給をいただく奥さんの私は安心感が出るんじゃなかろうか、こういうふうな構えでありまして、そういうことからしますというと、私は国民のやはり賢い選択も必要だし、組合の皆さん方も総資本、総労働の対決というふうなことであっては、いままでの惰性をこれは断ち切ることにならないんじゃないかというふうな、国民の連帯感を実はお願いしておりまして、消費者物価一五%は賃金のように間違えられておりますが、これは御承知のとおり政府が労使の賃金交渉には介入しないということは原則であり、しかもいままでのパターンがそのとおりであります。
 私は自分が戦争中に統制経済に反対して牢屋に入った経験もありまして、やっぱりああいうことやりますというと生産が伸びません。そして品物を獲得する者は悪知恵のある者だけということからしますというと、どうしても私は労使の自主的交渉における賃金、こういう信念を持ち続け、それがときには総理大臣なりいろいろな方々が節度あるお互い態度をとろうじゃないかという呼びかけになっていると思うのであります。
 後段の、災害の問題とか身体障害者の問題、これはもう本当にやるものがたくさんございます。私は至るところで姿勢として申し上げますけれども、従来の高度経済成長のときは、これはパイの奪い合いがわりに簡単だった。いろいろトラブルがあってもパイの奪い合いが簡単だった。しかしながら今日になったら、私は内閣全体がやはり労働問題に関係しなきゃいかぬ。内閣全体が勤労者問題にずっと目を向けてもらいたい。これが物価問題にもつながり、あるいは身体障害者の問題についても、雇用についてはいつでも国会でお話がありますが、事業主に対してやかましく申し上げ、法定率を守るようにもしながら、それ以上雇ってもらうようにしながら、一方組合の方々が去年あたりは弱者救済でいろいろな陳情に参りますから、組合の側からもひとつ御協力願いますと言うて、一人一人の組合員に私ずっとお願いなどをし、そしていずれのときには、余り使わないような事業所の名前は公開いたしますよと、公開するというのが目的じゃありませんで、公開すると言うている間にやっぱり雇用してくれているところもあるわけです。
 そういうふうに、ことに不景気になればなるほど、午前中もありましたように、やっぱり安全の問題が大事だと思います。これは命を失ったんじゃもう大変なことですから、そういうものをやりつつですね、そんなことからしますというと、労働省は、自分の役所だからほめるわけじゃありませんけれども、こういう厳しい時代にこそ職安であれ労働基準局であれやっぱり親切をしてやればいま相手が喜ぶんだから、そういう親切行政を徹底的にやろうじゃないかと、こういうつもりでやっておりまして、本当に御期待のような形において私はいまから先も進めてまいりたいと、こう思っておるわけであります。
○案納勝君 大臣の見解を承りましたが、今次春闘の中で、昨年の春闘と絡めながらきわめて政治的にも大きな問題を抱えている公共企業体等のストライキ権、賃金問題、これらについてはいま大臣が言われたように、どうやって勤労者の生活の安定と福祉を確保していくのかという立場に立って、もっとも介入しないと言っても大変労働省は関係が深いわけですから、国の企業に。この辺は十分に御配慮をやっていただきたいと思います。
 そこで雇用調整給付金制度について何点か質問をしたいと思います。
 まず第一点は、これが一月一日からこの部分だけ施行になっておりますが、現在の労働省で掌握をしている休業実施計画件数、被保険者数、休業予定延べ日数等は申告等によってどの程度掌握をされておるのか。
 それから第二点目は、それを全体として見た場合に、それらの中に出てくる申告の件数等を判断をして、何を意味するか、どういう状態というのを物語っているのか、この辺についての分析をしているのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○説明員(小粥義朗君) ことしの一月から実施いたしております雇用調整給付金制度の手続としまして、あらかじめ休業実施計画の届け出をしていただくことになっております。で、一月末現在で安定所が受け付けました届け出の状況を取りまとめますと、内容としては一月分の休業と二月分の休業の事前の届け出と、おおむね二カ月にわたる休業として理解していただければ結構かと存じますが、一月末現在で取りまとめたものを申し上げますと、届け出事業所数が全体で三千三百九十一事業所。そのうち大企業が三百六。中小企業は三千八十五となっております。それから、その事業所に雇用されております被保険者数は全体で三十一万一千六百二十人。うち大企業が十六万三百八十一人。中小企業が十五万千二百三十九人。それから予定されております休業延べ日数、これは人日であらわしますけれども、合計で三百四十六万一千八百五延べ人数、そのうち大企業が百五十八万九千四百十二延べ人数です。中小企業が百八十七万二千三百九十三人目になっております。以上の数字から判断いたしますと、事業所数においては圧倒的に中小企業が多いわけでございますが、休業延べ数では、もちろん事業所の規模は違いますから、当然中小企業の比率はなお事業所数ほどは高くございませんが、大体、四、六で中小企業の方が多くなっている状況でございます。
○案納勝君 いま報告をされた今日までの、二月六日現在の件数を見てみると、言われるとおり、休業度合といいますか、そういうものが大企業よりも中小企業の状態が深刻であるというのが浮き彫りに出されておりますね。それだけに先ほど私が触れましたように、今次の不況というのが原料高の製品安、そしてそれらが中小下請企業に集中し、今日の不況、中小企業を中心にする不況を招いているというふうに判断をしていますが、これらの中小企業に対する対策が昨年暮れには特別融資として七千億融資をされましたね。しかし、私はこれだけでは不十分だと思います。この四・四半期の一月から三月にかけてというのは、私はきわめて深刻になってきている状態は御案内のとおり。
 そこで、もっと私は中小企業に対する対策を、たとえば大蔵、通産関係の他省にわたる問題であろうと思う。具体的に労働大臣のこれらについて積極的に実は施策を進めていくという立場がなくてはならぬと思う。たとえば一月から三月にかけて七千億にとどまらず、さらに第二次の融資を行うという対策、これは私はどこの省がやるというなわ張り問題じゃないと思います。さらには、今日中小企業の場合には総需要抑制の今日の段階で、親企業等からの工事代金等についての支払い、これがはなはだしきは二百十日も実は先に繰り延べされる。実際に中小企業の資金繰りというのはいま言うように総需要抑制下においてますます苦しくなっていく、倒産を招く、こういう悪循環が行われていますが、これらについてもっと下請あるいはこれらの中小企業に対する代金の遅延阻止をする、こういった具体的な、特別な措置が私は緊急にとられなくちゃならぬ。
 これらについて、単に労働省の長谷川大臣のところだけでは、私は解決しません、しかし大臣のところから、あるいはところでも、各省にわたるる問題でも実は緊急に手を打たなくちゃならぬ問題だと思います。また、たとえば問題になっております社内預金の問題、これはずいぶん前から、発足当時から基準審議会やその他で論議になっている。しかし今日、たとえば一定の賃金について社内預金を強制される、あるいは社内預金に実際に強制預金をされた上に、その預金が実際どうなるのかわからないというふうに、こういう状態で実は今日まで行われております。また、そういうところが多いようです、今日の中小企業は。これらについての対策をどうするのか、勤労者をどういうふうに保護していくのか、こういう面についての実は大臣の見解をお聞きしたいのです。
 また、たとえばこれは労働省の管轄というよりも大蔵省でしょうが、中小企業が下請代金等の遅延のために資金繰りに困る、そして銀行等の融資を要請をすると歩積みや両建てという問題が起こってくる。なかなかそういう面では中小企業の何といいますか融資というものがきわめて厳しい、こういう問題について、いま単に資金的選別融資をもって救済をするというよりも、総合的に私は対策を立てるべきだと思いますが、これは労働大臣として、私は率先してこの問題について当たるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 日本の全体を見ますというと、いわゆる組合のあり方を見ましても、ナショナルセンター千二百万、これは大企業が大体多いわけです。ほかの未組織というのは中小企業、これが二千数百万。私は、ですからただいま課長から御報告があったような雇用調整交付金にいたしましても、中小企業の場合が三分の二、これは労働省の姿勢でございます。
 そこで従来は中小企業庁とか通産省が中小企業の金融とかいろんなものを手当てしておりましたけれども、労働省の立場からやはりものを進めていこうと、私の方は動いている、働いている、生きている人間を相手にするところですから、そういう立場から経済対策閣僚会議などにおいても、私は年末融資もさることながら、全体の問題としてお考えいただくように実は主張もし、それがまた近いうちに第二段としてその閣僚会議において話も出るということになっているわけでありまして、いまのような気持ちにおいて、この委員会で先生がお話しされたようなことも踏まえながら、こういう要求があるんだ、こういう要請があるんだということを私はやっぱり政策として推進していくところに私たちの務めがありゃせぬかと、こう考えております。
 社内預金一つにいたしましても、段々の御議論がありますけれども、これは私の方の監督がいままでのところよろしきを得て、大したトラブルを、あるいは事件を起こさないで済んでいる、こういうふうにして、常時やはり、いま持っている機関を挙げて総動員しましてきめ細かいところの施策をやりつつ、いま頼るものがあるとするならば労働省だという感じを起こしてもらうような姿勢でやっておりまして、具体的な問題についてはまた政府委員から答弁さしていただきたいと、こう思う次第です。
○案納勝君 大臣ね、いまこの雇用調整金が発動をされていくだけでは、実はいま言うように、今日の中小企業の置かれている状態というのは救えないと思います。私は念を押すわけじゃありませんが、いま申し上げた幾つかの課題というのは、私は緊急の課題だと思います。それだけに大臣の方で、一つは先ほど言った代金の支払いの遅延を防止をしていくこと、さらには御案内のように、先ほど申し上げておりますように、これもまた労働省の所管ではないにしても、融資に伴う歩積みや両建て問題等について、中小企業が融資を受けるに当たって受けやすい資金繰りができる体制をつくってもらう、あるいは先ほども申し上げた社内預金の問題等についての労働省の、あるいは政府自身の施策を早急に要請をいたしたいと思います。
 そこで私は、その上に立って雇用調整金の問題の取り扱いについて少しく質問をしますが、雇用調整金の申請がなされた場合にその審査、決定、交付はどのようになされるんですか、これが第一点。
 第二点は、この雇用調整金を申請している企業の中で、たとえば一流の大企業、すでに申請をされている企業の――企業別にはまだ集約を労働省されていないんですが、言われているところのたとえば電気産業関係、繊維関係でたくさんあると思います。で、これらの大企業の場合は今日でも内部の蓄積、あるいはすでに依然として高配当を続けているという状態にもあるわけです。で、こういったところのあれとあわせて中小企業ではあすにも困るという状態。で、私はこの認定、決定、交付に当たって、今日大企業の中で企業の操短やあるいは休業というものが各大企業ごとに足並みをそろえて操短をやり短縮をやって、在庫の調整をやったり、あるいは価格の維持やつり上げをねらうというものないとは言い切れない。俗に言うこの雇用調整金の悪用ということは起こり得ないとは私は言い切れないと思うんです。
 先ほど冒頭、私が今日の不況を招いてきた幾つかの要因について私なりに大臣に見解を申し上げました。実はこういうことが事実として幾つか出てまいります。出ていることも指摘をされている。これらについて、交付に当たってどのように労働省としては対処しようとしているのか、あわせて御見解を伺いたい。
○政府委員(遠藤政夫君) この雇用調整給付金の申請、審査、交付の手続でございますが、これは先ほどお答えいたしましたように、事前に休業の計画の届け出を受けることになっております。その際、休業の計画につきましては、あらかじめ労使――経営者側と労働組合あるいは労働者を代表する者との間にその休業計画について事前の合意がなされた上で、その協定なり協約書をつけて事前の届け出が行われることになっております。で、それに基づきまして具体的に休業が行われた後、翌月、一カ月以内に給付金の申請が出てまいります。それによりまして交付をすると、こういう段取り、手続になっております。そこで問題は、本当に困っておる中小企業は別として、大企業の中にはその内部留保といったような比較的余裕のある企業がこういった一時休業によって給付金を受けるということがあるんじゃないかと、こういう御指摘でございます。
 この雇用調整給付金制度を実施いたしますにつきまして、中央職業安定審議会におきましても、こういった点いろいろ御議論がございまして、企業の中には不況業種であっても業績にはいろいろ格差がございます。したがって、中には高配当を続けているところもあるだろうし、あるいは内部留保を相当蓄積しているところもある。そういうところについては別途考慮してもいいんじゃないかという御議論も確かにございましたけれども、私どもはこの手続の事前手続として労使が合意して、いわゆる人員整理、合理化ということをできるだけ回避するためにこういう制度を設けたわけでございます。したがいまして、私どもは業績が低下しておるということ、それからそれによりまして雇用面に労働時間短縮でございますとか、あるいは採用の問題であるとか、そういった雇用面で一定の水準を下回っているということを条件にしてこの給付金を支給する、こういう制度になっております。さらに、それに加えてこういった企業の内容を個別的に要件として加えることについては、これは技術的にもいろいろ問題ございますし、私どもとしましてはそこまで立ち入ることについてはいかがかと、こういう御議論が審議会等におきましてもございまして、いまの二つの要件によってこの給付金制度を運用するということにいたしたわけでございます。
 したがいまして、私どもは大企業、中小企業を問わず同じような要件によりましてこの制度を運用いたしますが、ただ大臣からお答えございましたように、特に中小企業については手厚くしていこうという基本姿勢に基づきまして、適用の条件につきましても、休業希望の面におきまして大企業と中小企業は明確に差を設けておりまして、中小企業に有利になるような適用要件を定めております。また給付金の内容につきましても、大企業の場合は休業期間中の賃金の二分の一ということに対しまして中小企業の場合は三分の二を助成する、こういう制度にすることによりまして中小企業の当面のこういう帰休の切り抜けに十分活用できるようにしてまいりたいと、かように考えているわけでございます。
○案納勝君 遠藤さんに重ねてお尋ねをしますが、たとえばこれは新聞にも載ってましたがね。東洋紡あたりでは昨年の十月、二千二百名希望退職をさせる、そして三ヵ月後には解雇を撤回、再雇用した。それで他の工場では御案内のとおり雇用調整金、要するに雇用保険法の通過と――これは推定です。要するに推察の範囲を出ていませんが、これを要求して他の工場では一時帰休をと、その間に労使の関係でも何らかの合意が行われるという中で、そういった軽わざ的なことは大企業でなければできない。しかもすでに申告を出されているだろうと思いますが、今後出てくる旭化成あるいはユニチカや日立製作所、東芝あるいはソニー、その他赤井電機、こういったものもすでに申告がされる、あるいはされているか、しようとしているかという企業だと思う。しかし、これらは一体的に一割二分も高配当を依然として続けている企業が多いのであります。
 私はこの雇用調整金を利用して政府から金をもらってしばらく在庫調整のために活用するなんていうことを、あなた、そういう大企業も中小企業もできるだけそういったことが行われないという判断に立ちながら、同じように、無関係に大企業であろうと中小企業であろうと審査決定をしていくというような言い方をされましたが、私はこの辺についての審査というのをもっと厳しくやらなくちゃならないんじゃないでしょうか。狂乱物価下の今日までの経過の中でも、利潤第一主義あるいは生産第一主義の中で国民が多くの犠牲をこうむってきた事実はもう国民の前に明らかなんです。そこで三木内閣が不公平是正というのをいま旗頭に立てて、せっかくこの雇用調整金制度あるいは雇用保険法が成立した中でも大企業に先取りをされていく。しなくてはならないところが実際雇用保険法によって保険料を納める金額でも限度があるはずであります。そういう面で、もっと大企業のそういった問題と中小企業のけじめ、審査を厳しくするやり方、これはもっと私は労働省として考えるべき内容を持っているんじゃないか。その辺についてはどう考えますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 前提となります問題で東洋紡の例が御指摘ございました。確かに昨年の十月でしたか、東洋紡が二千二百名余りの人員整理、一時解雇という形で、これは労働細心と会社側の間でいわゆるこの問題について復職闘争が行われておるように聞いております。それがことしに入りまして雇用保険法の成立によってこの雇用調整給付令制度が実施されることになりました。確かに東洋紡からもこの給付令制度によります休業についての申請があるように聞いております。具体的に出ているかどうかまだ確認いたしておりません。
 そこで、問題は昨年解雇した者を千九百名、希望者については千八百数十名と聞いておりますが、復職をさして、一方では他の工場、他の従業員について一時休業してこの雇用調整給付令制度の対象にする、これはおかしいじゃないか、いわゆる給付金制度の乱用、悪用に類するものじゃないかという御指摘がございました。実は先般の日本経済新聞の私の対談の中でその具体的な事例が挙げられまして、こういう事例を悪用、乱用として規制する必要があるんじゃないかという指摘がございました。この点は実はこれを悪用、乱用という批判が一部で聞かれましたけれども、これは全くの誤解でございます。仮にこの東洋紡の場合、千数百名の復職をしなくても残った人員の中で一時休業をやれば当然給付金制圧の対象になり得るわけでございます。むしろ私どもはこの給付金制度は一人でも失業者を少なくしよう、人員整理、合理化を回避しようということがこの制度の目的でございまして、仮にこの給付金倒産がなければさらに人員整理が続いて起こるであろう、これを食いとめるということが一つでございます。仮にこの給付令制度が適用されましてもその以前に解雇された人を企業の負担において一人でも多く復職さして失業者を少なくするということであれば、これは私どもとしては大変結構なことだと、もし復職をさせなくても給付金制圧の対象になり得るし、復職をさしてこの人たちを雇用に戻すということになりますと、それだけ企業の負担はふえるわけでございます。
 したがって、この給付金制圧を適用する場合に復職させるかさせないかということは全く関係ないわけでございます。その点で、復職さしたことによって給付金制度適用を受けられるような誤解を招いておることも事実でございます。これは誤解に基づく批判でございまして、その点、事実上全く法律的にも問題がないわけでございます。その点で、私は実はそういうやり方が悪用だ、乱用だと、言われるならば、それは全く誤解でありまして、むしろ私どもとしてはそういう失業者を一人でも抱えて復職させるということを奨励したいわけで、結構なことですと、こう申し上げたのが非常に誤解をされたわけでございます。
 そこで問題は、そういった失業しておる人たちをさらに復職さして抱え込むということはそれだけ余裕があるということも一面では言えると思います。そういうふうに内部留保なり何なりで業績が比較的よくて余裕のある企業については規制すべきじゃないかという御趣旨かと思いますが、確かに配当を続けている、あるいは内部留保がかなりあると、こういった点をこの給付金制度の適用について審査の要件とすべきじゃないかという御指摘でございますけれども、そういった点の議論も確かにございました。先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、こういう方法をとりますということは時期的にも一つ問題がございます。たとえばいまそういう申請が出てきたと、その場合に一体配当はことしの九月の決算でいままでどおり配当が続くのか、あるいは内部留保がどれぐらいあるのか。これは内部留保がない企業というのは少ないだろうと思いますが、どれぐらいの内部留保があったらいいのか悪いのか、そういった基準をつくることにも問題がありますし、それが今後どういうふうに業績が動いていくのか、そういった点非常に時期的に問題がありますし、またその内容について審査することについても技術的に非常にむずかしい問題がございます。そういった関係から、私どもはむしろこういった制度が適用対象となる業種であって、労使合意の上で休業を行われる、そういうことによって人員整理が回避されるならば、この法律の目的とするところは十分達成できると、こういう趣旨で、いまお話しのような内部留保なり、配当の問題なり、こういった問題は要件からはずすことにいたしたわけでございます。したがいまして、御指摘のように大企業が非常に有利になると、中小企業にかなり酷になるというようなことには私どもはならないと、かように考えております。
○案納勝君 それじゃもう一回重ねて聞きますが、たとえばこの雇用調整給付金の業種指定の基準ですがね、これは生産量と労働量でとるといいますか、いずれにしても残業時間数や求人、求職者数、こういったものを出して、最近三カ月間に五%以上下回らぬ、あるいは最近月で一〇%以上は下回らぬと、こういったいま言われた条件の上に立って業種を設定をされますね。現在三十二業種ですか、適用されているのは。ところが今後こういった業種の中で、大手がたとえば部内の保留やその他の資金繰りで一定の健全な、ということは言えないにしても、こういった二つの条件が満たされないでまだ営業が続けられる、経営が成り立っている。きわめて多くの不況の余波を受けたにしてもそういう状態にある。こういう場合に中小企業の場合はもっとシビアに実はこれはかかってくるわけですね。
 先ほど私が言いましたように、大企業がそういった不況の余波を受けるときにまず手をつけてくるのは、中小の切り捨てや代金の支払いの遅延などがまず出てくるのです。ところがそういう状態にありながら、大手の場合は一定の経営が運営をされている。そういう状態で全体のパーセンテージを見ると、私はこの中で言う基準に達しないこういう状態の業種でも出てくると思うんですね。そうしますと、中小企業はその間にバタバタ実は休業や操短やあるいは倒産が起こっていく。大企業がいよいよ業種として資格要件に満たなくてはならないときに来たときは、もう中小はほとんどやられっぱなしでやられてしまうという状態が、業種のこの指定を考える場合、私は出てくるおそれがあると思うんです。
 その場合そういうことをいま、私が先ほど申し上げました大企業の悪用の問題というよりも――そのこともあります。ありますが、業種指定の場合におけるこれらの問題を考えたら、私は中小企業と大企業と、適用の基準の分離をもう一歩すべきではないか。遠藤さんがどこかで話をされたのを私は本か何かで読んだのですが、この雇用保険法が中小企業を中心にしていく、あるいはそういう中小企業を大事にしていくというか、その意味での法律としての精神を持っているということを言っているのを聞いたことがあるのです。だとすると、いま言う業種指定の問題についても、大企業、中小企業との適用について、いま言う基準をもう一歩進めていくという考えはないかどうか、あわせてお伺いします。
○政府委員(遠藤政夫君) 確かに案納先生からお話ございましたように、おほめいただいたんだろうと思いますけれども、雇用保険法は失業の面につきましては、中高年とか身体障害者とか、こういう就職のむずかしい人たちにきめ細かく手厚くするという方向を打ち出しております。同時に、この雇用調整給付金制度につきましても、私どもは中小企業からそういう離職者を出さないようにということに重点を置いて考えておるわけでございます。
 いま御指摘の業種指定につきましても、昨年の十二月二十五日にこの法律が成立いたしまして、その翌日、審議会を開いて御審議いただきまして、とりあえず産業分類の中分類で七業種の指定をいたしました。で、この指定につきましては中分類によることを原則としておりますが、御指摘のように、中小企業関係等につきましては、中分類によりますと非常に入りにくくなります。そこで中分類によりがたい場合は、小分類、細分類に下がって指定をする、こういうことにいたしております。追っかけて一月一日にさかのぼる分としまして三十二業種を指定いたしました。これは小分類、細分類でございます。
 で、その細分類あたりになりますと中小企業を個別に拾えるような形になりまして、小分類、細分類になりますと中小企業がほとんど大半を占めております。たとえば一つの例で申しますと、最近、鉄までが非常に不況になってまいりまして、鉄鋼一貫メーカー、いわゆる大手メーカーはこれは全然指定業種として対象になりません。しかしながら中小メーカーにつきましては、それぞれの業種を小分類、細分類に落としてまいりますと、そういう非常に不況が深刻になってきておる中小メーカーについては、先般の際、指定いたしたわけでございます。
 で、その後なおかつ、まだ五十業種を上回る各関係から、労使双方からの指定の申請が出てまいっております。で、二月に入りましてそういった申請を取りまとめまして業種指定の追加指定をいたしますことにいたしまして、現在審査をいたしております。その大部分がいわゆる中小、零細企業に属するものでございます。で、この点につきましては三月一日から追加指定をいたすことにいたしまして目下整理中でございまして、今明日中に大体最終結論に達するかというような準備を進めておるわけでございます。
 で、この際は、いま御指摘のようなほとんどが中小企業でございまして、中小企業が現下の不況で手おくれにならないように、私どもは今後とも逐次この指定については追加作業を続けてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、十分御趣旨に沿うような運営をしてまいりたいと思っております。
○案納勝君 それじゃ、細分類、小分類、あるいは今度の追加指定等の関係で中小企業を中心にして救済ができるわけですね。
 それじゃ次に時間もありませんが、進みますが、ひとつこれは労働大臣に大いに骨を折ってもらわなければいかぬと思うのですが、この雇用保険法についても、いずれにしても大企業よりも倒産が続いている中小企業の場合には、申請をして給付金が早く手元に入るというのが実は一番待ち焦がれている大事なことなんですね。ところが大企業では申請をしても、その意味では死ぬの生きるのというのは余裕があるんです、まだ。しかもエキスパートがいるし専門家がいる。十分な手続その他運営ができるといいますか、労働省その他の申請の手続等は遺漏なくやれる。ところが中小企業の場合には人材の面でも大きなハンディキャップをしょっているわけです。私は、これは労働省としてこの保険法の改正に当たってはきめの細かい運営をしなくちゃならぬと思います。ところが御案内のように今日の職安自体の仕事もふえる一方ですね。ところが、そういった中で今度の雇用調整給付金制度の創設などで職安の仕事というのは大量にふえてくるわけです。御案内のとおり大臣が一番御存じだと思いますが、ことしの予算でも増員分と減員分を入れると三十数名しか増員にならない。国家公務員第二次の減員計画等によって従来から減らされてきているわけですね。そうすると、早急に措置をしなくてはならない大企業と中小企業との格差、あるいは中小企業と大企業間の不公正、こういうものをそういう行政の中で解消をしていくということが私は大変大事だと思います。
 したがって、これに見合うそういった趣旨での職安関係の増員配置というものは、私は大変大事だと思います。この辺について特に大臣、これだけの保険法、しかも今度の改正によって三事業が実はそれぞれきわめて重大な問題を背負いながらいくわけであります。これについての大臣の努力を一段と要請しますが、御見解をちょっとお聞かせください。
○国務大臣(長谷川峻君) 全く臨時国会の短い期間に皆さん方からこの雇用保険法案を御可決いただいたことは非常に私はありがたかったと思っています。こういう雇用不安のときに、そしてまた皆さん方の御議論から、雇用保険法は四月一日から実施するものを、この雇用調整給付金の問題などもあるから一月一日からこれをすぐ施行せよというお話でありまして、私はやはり非常な場合には非常な覚悟をしなければいかぬということから、一月一日からこれは実施したわけでして、役所の者には二十五日から一月一日までは本当に休みなしでやってもらって、毎日こうして国会の廊下を歩いているときでさえも、国会議員の諸先生方からこういう中小企業をひとつ対象にしてくれという陳情などもあるわけです。
 そこで、いまお話しのように近い二、三日中に結論を出して、後四、五十種追加しようという話などもありますので、本当に私自身は御苦労なことをしてくれているなと、こう思いながら感謝しているものであります。しかし、それにはこたえることが一番大事だと思いまして、職安関係ではことし全体で百六十名ほど増員、そしてこの雇用関係の問題については五十名ほど増員というものが可能になって、まだまだ足りないかもしらぬけれども、みんなでひとつフルにこの五十名の増員でがんばってもらいたいというふうな姿勢をとっておることを御理解いただきたい、こう思います。
○案納勝君 大臣、五十名じゃ足らないんじゃないかね、これだけのことをやるには。私はよく知っているから心配するんです、労働省の内部の事情も。だから、これだけの――ある意味では大変な実は時であるし、内容的にもどう取り扱うかについて大変重要です。五十名というのは各地方の職安に落として同名ぐらい落ちることになるんですか。本当に私はいま言う中小企業、大企業の格差を詰めて、そしてその間にある不公正を行政の面からカバーをしていく、救っていくということについて私は不十分だと思う。確かに国家公務員の定員その他についてのやりくり等については、私自身もわかります。しかしながら、重点的施策についてはやはり時の情勢に応じて重点的に配置をしていくというのが必要じゃないでしょうか。窓口の民主化とあわせて私は特に労働大臣に要請をしておきたいと思います。
 時間もありませんから最後になりますが、これは基準局長にお尋ねしますが、未払い労働債権といいますか、未払い賃金の問題、これについて現在までの業種別の件数と金額、そしてなお未解決で残っている額はどのくらいになっているのか、どういうこれらについての措置を行っているのか、あわせてお聞きいたします。
○政府委員(東村金之助君) 不払い賃金の状況でございますが、これは毎年三月、九月にその集計を行っておりますが、昭和四十九年九月末現在で件数で千五百四十件、対象労働者数で一万四千十七人、金額で二十八億九千三百万円でございます。業種別につきましては、金額で見るか件数で見るか、いろいろございますが、件数等で見ますと、建設等中小零細企業に多い形が出ております。
 なお昭和四十九年四月から九月の間、つまり四十九年の四−九月で見ますと、金額で四十億程程の不払い賃金があったわけでございますが、この間に三十八億程度の解決をいたしております。つまり賃金不払いというのは、その労働者にとってみたらもちろんのこと、抱えている家族にとっても大変影響の大きい問題でございますので一早期発見、早期解決ということで地方の局署を督励して重点的に当たっているところでございます。
○案納勝君 昨年の十二月三日に行政指導の文書を出されましたね、基準局長の名前で。で、それに基づいて各地万段階でもその未払い賃金の解消問題については取り組まれていると思いますけれども、これはまさに実は倒産その他によって起こることですが、働いている勤労者にとってはまさに生活の破壊ですね。四十三年に当時の法務省の川井刑事局長が犯罪だと、こういう答弁を国会でもしております。そのとおりだと思います。私は、この賃金不払いに対しての救済制度というのを国として考えるべきではないのか、こういうふうに思いますし、労働大臣は過般、これらの賃金不払いについては五十一年度から何とか発足をして五十二年度からは全面的に発足をしたい、こういうふうに参議院の社労で去年の十二月に答弁をされております。この時期までそれでは実際に不払いの状態で生活が破壊されている勤労者はじっとがまんしておけといっても、実はなかなかいま報告を回答されましたように、まだ未解決の分野、金額にして二十八億ですかに上るような膨大な金額で、件数にして千五百四十件ほど昨年の九月現在で未解決が残っている。今後またますますこういう経済情勢の中では予測をされることであります。こういった点について、救済制度を発足をするに当たってもっとこの問題を繰り上げて、いまこそ私は大臣としてやってもらいたいと思います。その辺についての大臣の御見解を承ります。
○政府委員(東村金之助君) その前に、やや技術的なことがあるので申し上げますと、いまお答えいたしました最後のところでも触れましたように、賃金不払い、たとえば 一たとえばというよりは四十九年四−九月で四十億発生したと、しかし、その大部分をこの期間に解決しておる。未解決で残っておりますのは、従来からいろいろこう積
 み越されたようなそういう問題でございまして、件数、対象労働者数ともかなり解決を見ていると
 ころでございます。御承知のとおり労働基準法二十四条に違反しますから、そういう意味で犯罪でございます。で、それに対しては、従来とも労働基準法の罰則の適用という形でその解決を迫ったわけでございます。いろいろこれはやり方がございまして、たとえば親企業と中小企業との関係を一括して把握しながらやるとか、あるいは建設業等で、どうもおかしな話ですが、事業主が夜逃げしちゃったというような場合には、全国に監督署を動員いたしましてこれを追跡して払わせるというようなきめの細かいこともやっているわけでございます。しかし、探されながら実際に不払いのまま残されている労働者のこともございますので、先般労働大臣が申し上げましたように、救済制度を考えるということになったわけでございますが、何分これは司法上のもろもろの権利の競合関係等もございますし、あるいはいま雇用調整給付金等の話ございましたように、逆選択にならないようにしたらどうなんだろうかとかという研究課題がいろいろございます。予算の問題もございます。そういう意味で、いろいろ研究しながら急いでいま先生おっしゃったような時期に間に合わせようと、こういう次第でございます。
○案納勝君 大臣の答弁をもらう前に、時間がありませんので、もう少し大臣に答弁の補足をしていただく分について。
 いま私は、去年の十二月二十四日に社労で大臣から答弁された救済制度について、もう一歩進め、時期的にも繰り上げてと、こういうふうに見解を求めているのですが、あわせて私は、今日の操短あるいは休業、あるいはこの賃金不払い等について、たとえば操短等について、一時帰休等についての賃金保障は、行政指導として就業中の賃金の一〇〇%を企業は見るべきだ。あるいは見させる。ところが、現実に一〇〇%を見ているところとそうでないところがある。きわめてアンバラがあります。それを休業中の給与の場合は、この保険法の適用問題もあるのですが、相い合わせて一〇〇%は保障させるという行政指導、あるいは政府の指導による法律等によってそれらの規制を行う、保護を行うといいますか、さらに第二点は、倒産による労働債権というものは優先収得をするんだという、そのことを法律で保障する、三点目は、いま問題になっている中小下請企業等の労働者の場合の労働条件等雇用の問題については、親会社、親企業、こういったものが連帯して責任を持つという、こういった点についての立法措置、もしくはこれに伴うこれらの救済措置についていまとるべきだと私は思いますが、大臣のこれらあわせての御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(長谷川峻君) 操短の間の給与の問題は、やっぱりこの雇用保険法案が通ってからというものは、大部分、一〇〇%いっているように見受けられます。そういうことが一つ。
 もう一つは、やはりこういう国会でこうしてお話しいただくことは、非常に対社会的に影響力がありまして、私の方でも努力をして賃金不払いが大分解決していると、こう申し、答弁はしておりますものの、やはり賃金不払いが犯罪であるというふうなことがはっきりこう新聞などに出ますと、私の方がやかましく言うてもこれは効果が上がるという一つのメリットがございます。
 それからもう一つは、私は去る七十四臨時国会において社労においても御答弁申し上げましたように、賃金不払いに対する救済制度についていろいろ研究しますと、これは逃げ口実じゃありませんけれども、やはり不払いの実態とか、あるいは民法上の問題とか、新しい制度をつくる場合にはどうなるとか、いろんな問題がありますので、私はいまからの先というものは、やはり私が御答弁申し上げたように、五十一年度から一部発足させて、五十二年度には全面的に発足させると、この線のために集中的にひとつ勉強していく、そして御期待に沿うと、こういう姿勢であることも御理解をいただきながら、その間におけるまたいろいろ激励なりあるいはお知恵などをおかりできるならば幸せだと、こう思っております。
○委員長(前川旦君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、加藤進君及び塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として岩間正男君及び田代富士男君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
○峯山昭範君 きょうは私は、特に現在言われております社会的不公正の是正という問題がございますのですが、その中にありましても、特にきょうは、社会的に一番弱い立場にありますところの身体障害者の皆さんの問題について話をしたいと思っています。中でも、特に雇用の促進という問題については、すでに大臣も相当前から取り組んでいらっしゃるそうでございますので、そういうような観点からきょうはお伺いしたいと思います。
 きょう質問するに当たりまして、実は私も前もって何カ所かのそういうような設備も見学をさしていただき、また現地の皆さん方のいろんな声も聞いてまいりました。そういうような点から考えてみますと、やっぱり現在の非常に大変な社会情勢の中で、一番重要な一番社会的に弱い皆さんでございますので、私たちもこれは、こういうふうな方々を全面的にやっぱり支援をしなければならない、こういうぐあいに考えているような次第でございます。したがいまして、先般の審議会の方からの答申にもございますのですが、すべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利や労働の権利を保障した、いわゆる憲法に照らしても、心身障害者の方々に対して国が責任をもって処置しなければならない。また社会全体の協力で解決していかなければならない緊急かつ重要な問題であると、私はこういうぐあいに考えておりますのですが、まずこういうような問題についての基本的な考え方といいますか、認識を大臣から初めにお伺いをしたいと思います。
    〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
○国務大臣(長谷川峻君) 社会的不公正の是正というものが叫ばれている今日、まだ雇用機会に恵まれない心身障害者の雇用の安定を図ることは、きわめて私は重要な政治的課題だと思っているものでありまして、このようなことから事あるたびに心身障害者の雇用の問題については、事業所に対していろいろ要請もし、さらにはまた組合の皆さん方とお目にかかる機会に、私の方から組合の方もひとつ御推進願いたいと言うて強力にお願いし、いまから先、しかもこの方々が一遍就職されましたら一生懸命なんですね。ここから離れちゃいかぬというあの熱心さ。あなたもどこか恐らくごらんになったろうと思うのです。その熱心さというものは、普通の方々がここの職場から離れてよそへ行っても飯は食えるというふうな気持ちと違うあの熱心さというものに私は特に胸打たれるわけです。
 そういう意味からいたしまして、これは本当に一役所にあらず、国民全体がそういう気持ちになっていただくという私はPRといいますか、啓蒙運動というものがいまこそ大事なときではなかろうか、こういうふうな感じ方で今後とも推進してまいりたい、こう思っております。
○峯山昭範君 大臣の認識と私の認識とそう変わらないと思いますけれども、確かに私たちは身体障害者の皆さんに対する認識といいますか、こういうような点は相当やっぱり私自身も考え直さなくちゃいけないんじゃないかということを、しみじみと感じながら私は帰ってきたわけです。たとえば先般国体の身障者のスキー大会みたいなものがございまして、テレビで私も見たわけでございますが、片足で滑っておる。それで大変なことだなあと、あの人も非常に大変だなあと思って私は見ておったわけですけれども、実際はその身障者をお世話していらっしゃる皆さん方から言わせると、ああいうふうな方はあまり大変なんじゃないんだ、それよりもっと大変な人がたくさんいるんだ、要するに五体満足にそろっているからかえって大変なんだという話を、私はその点を何遍でもいいから言ってもらいたいと言われて実はきょうここへ臨んでおる次第なんですけれども、確かにそういうふうな点からは、身体障害者の問題についてはわれわれは認識を新たにしなくちゃいけないんじゃないか。最近皆さん方が努力をされまして、特に新聞報道等でも身体障害者雇用促進法を改正して雇用を義務づける、そしてもし一定の水準にまで達成しなかったならば賦課金ですか、こういうふうなものを徴収するというような構想があるというような話が新聞でも報道されておりました。これはまずこういうふうな制度については、これは事実かどうか。それでこういうふうな制度について、実は私の手元にございます資料によりますと、西ドイツでもすでにこういうふうな制度が行われているように聞いておりますんですが、実際問題としてこれ非常に重要な問題だと私は思います。何か西ドイツの資料によりますと、いわゆる未補充の、未充足の雇用義務ポストですね、一人ごとに毎月五十マルクの補償金を労働基準局の決定に基づいて中央援護事務所に納付する、こういうふうな意味の資料が届いてはおりますけれども、これはこういうことも含めまして非常に重要な問題だと思いますが、この点についてはどういうふうにお考えなのか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) この心身障害者の雇用対策につきましては、本当に最近の実態にかんがみまして、審議会からのお話などもあり、また関係各界からのいろいろ御意見もお伺いしておるわけであります。先生いま御紹介の西ドイツの例なども私たちも聞いてもおります。さてそこで課徴金の問題をどうするかとか、いろんな具体的な問題がございますが、果たしてそれがいいのかどうか、日本に合うのかどうか、法律でそうやって果たして効果が上がるのかどうか。私は去年でしたか、「車いす・ヨーロッパひとり旅」という本がありまして、それをよく読みました。日本人でヨーロッパを一人で旅する、これは言ってみますというと、外国はそういう人を全部ホテルでも何でも受け入れる施設になっているわけですね。そんなことからしますというと、日本の場合には非常におくれをとっているだけに、大きなひとつ私は国民運動といいますか、みんなの啓蒙というものを起こしていくためには、いろんな問題について別途考えながら役所でいま指示をして研究さしております。
○峯山昭範君 確かにこういうふうな問題というのは非常に重要な問題であろうと思いますので、ぜひとももっと煮詰めた議論をしていただいて、この身障者の皆さんの雇用という問題が実質上効果が上がるような方法でなければいけないと思いますので、ぜひともそうお願いしたいと思います。
 そこできょうは、前置きはこのくらいにしまして、その中身の具体的な問題についてこれからずっと話を進めてまいりたいと思います。
 初めに、これは局長で結構ですが、最近非常に社会的に不況でございますけれども、こういうふうな中でいわゆる職業安定所で身体障害者の求職の申し込みですね、こういうふうなものは一体どのくらいあるのか、それで求職のうちどの程度いわゆる就職を決定しているのか、そこら辺のところをどういうふうになっているのか、実情を二遍お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) まだ四十九年度の、今年度の実績は集計できておりませんが、四十七年、四十八年、二年度について見ますと、四十七年度のいわゆる身体障害者で求職の申し込みをした人が全数で三万九百三十四、これに対しまして就職をした人が一万八千六百十二、就職率は六〇・二%になっております。それから四十八年度は三万四千百三十七、就職した人が二万一千百三十二、就職率は六一・九%、四十六年、四十七年、四十八年、逐次就職率は上がってきております。
 で、問題は最近こういう不況のしわ寄せを受けましてこういう身体障害者の方々の就職の場が狭められておるんじゃないか、こういう御懸念をお持ちだと思いますが、私どもも先ほど来大臣から申し上げておりますように、特にこういう事態でございますだけに、こういった人たちが就職の場が狭められるということのないように第一線の安定所の職員を督励いたしまして、身体障害者の方々の就職あっせんに努力いたしております。先般大臣のお供をいたしましてたまたま下町地区の安定所に参りましたが、最近一般的に求人が少なくなり、就職件数もいままでと大体横ばい程度でございますが、身体障害者については、私ら大臣のお供をして参りました安定所では逆に就職件数が上がってきている。こういうときだけに非常に担当者も熱心でございますし、就職を希望される方も熱心でございます。そういったことで、幸いなことに就職件数として落ちない、こういう実情でございますので、今後ともそういうふうに一生懸命努力をしてまいりたい、かように考えております。
○峯山昭範君 四十七年、四十八年の実態についていま話がございましたんですが、実際問題として一般の五体満足な人とは違いまして、就職というチャンスに思まれるというのは非常にむずかしい問題だろうと思うんです。そういうような中で、やっぱりこの四十七年度、四十八年度を見ましても六〇%程度の就職率でございますね。これは非常に大変な問題だろうと私は思います。
 そこで、まずこの雇用促進法の中に出てまいりますいわゆる雇用率というやつですね、これは一体どういうぐあいにして決めているのか。これは身体障害者の雇用率が一・三%とか一・六、一・七、こういうふうにずっと決まっているわけでございますが、これは一体どういうふうな根拠に基づいてこういうふうな数字を決定していらっしゃるのか、そこらのところをまずお伺いしたいと思います。
 実は私の手元にも法律そのものはあるんです、決められた法律はあります。しかし、こういうような一・三とか一・六、一・七というようなこの一体数字の根拠ですね。私は端的に言いますと、心身障害者を採用できる職場というのは、これは確かにたとえばパーセントじゃなくて、実際問題として、雇えるところは何人も雇えるのじゃないか、それでまた雇えないところはそれこそ徹底的に雇えないんじゃないか、そういうような感じもするわけです。そういうような意味からいきますと、ただ単にパーセントだけじゃなくて、もうちょっと、たとえば雇えるようなところはもうパーセント一・六とか一・七というのじゃなくて、二%とか三%ぐらいに近づけてもいいんじゃないか。もちろんその裏の国としての、いわゆるそういうふうな雇用をした事業主なり事業所にはそれなりのいわゆる処置を国がする、そういうような意味でした方がいいんじゃないか、そういうぐあいに思うんです。
 そこで、まずその雇用率の決定ということについては一体どういうふうにお考えなのか、まずここら辺のところをちょっとお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 現在身体障害者雇用促進法におきまして身体障害者の雇用率が定められております。これは一般民間事業所におきましては一・三%、それから官公庁非現業につきましては丁七、現業部門につきましては一・六、こういう率が定められております。これは身体障害者の方々を一般の五体満足な健康な人たちと同じような形で職場に働いてもらう、こういう基本的なたてまえに立ちまして、身体障害者で就職を希望する人たちの概数、それからいまお話しのように身体障害者の方々が必ずしもどういう職場でも就職できるわけじゃございません。どうしてもいろいろな条件から就職が無理な作業内容の職場もございます。そういった雇い入れ可能な事業所の雇用見込み、そういったものから勘案して民間企業につきましては一・三%、これは法律が成立いたしますときに審議会の意見等によりまして、おおむねこんなところが妥当なところじゃなかろうか、こういうことで決められたというふうに承知いたしております。さらに官公庁につきましては、これは身体障害者の雇用促進、これは非常に大きな社会的な問題でございますだけに、官公庁率先垂範、より積極的にやるべきだと、こういうことから一・六、一・七という高い率が定められておるわけでございます。ただ現業部門につきましては、非現業に比較いたしまして、いま申し上げましたように、作業内容等から必ずしも同率に扱うことは適当でないということで、非現業部門を〇・一%高くしたと、こういういきさつだと承知いたしております。
○峯山昭範君 結局これは、いまの話をお伺いしましても、合理的な根拠というのはないのですね、局長。どうなんですか、実際問題、たとえばみんなと相談してこの程度はどうだろうかということで相談をして、審議会で一応決めたということでございますな、これ。そういうような観点からは、ここら辺もう一遍検討する必要があるのじゃないかということをしみじみと感じております。その点が一つ。
 それからもう一つ。各事業所に適用される雇用率の達成状況につきましては、実は私の手元にも資料が来ておりますのですが、非常にいろいろな問題点があるわけです。そこで、きょうはまず初めに、いわゆるいま局長おっしゃった現業部門は一・六%という話がございました。それで、一・六と一・七、非現業一・七ですね。それで特殊法人、これは資料によりますと一・一二%と、大変な数字、いわゆる一・六%という数字からしますと相当下回っておりますけれども、これは一体どういうわけでございますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 私どもは、これにつきましては、官公庁並びにいわゆる政府関係機関、こういった特殊法人につきましても、官公庁と同じように率先して身体障害者の雇用に努力をするように、関係会議等におきまして申し入れをいたしております。官公庁につきましては、御承知のように一応率は達成いたしておりますが、政府関係機関等におきましては、いま御指摘のございましたように、一・三一ということでかなり下回っ
 ております。
 そこで、どういう理由かというお尋ねでございますが、結論として言えば、こういった特殊法人等におきまして、身体障害者の雇用促進についての関心が比較的薄かったというほかはないと思います。そういう点につきまして、私どもは関係各省庁の人事担当官会議等を通じまして、それぞれの所管機関に対して身体障害者の雇い入れを強力に推進するように申し入れをいたしておるわけでございます。昨年の三月でございましたか、四十九年の三月の政務次官会議におきましても、この点特に各省庁別に督励方を申し入れておりますので、その後まだ集計いたしておりませんが、昨年の実績よりはかなり進んでいるのじゃないかと、かように推測している次第でございます。
○峯山昭範君 これは、実はこういう議論を国会でいたしますと、局長も御存じとおり、特に私は資料要求したりいたしますと、実際に雇用という問題が実質上進むであろうことを私は念願をしてわざと聞いているわけでございますけれども、これはぜひとも労働省としましても、特に特殊法人等の問題のところがいわゆる雇用率を達成していないというのは、いま局長答弁ありましたように、これはやっぱり関心が薄かったのであろうと、またPRも不足していたのであろうと、こう思います。そういうような点から考えてみましても、私はこういうような特殊法人、いわゆる公団とか公庫、あるいは事業団、日銀、NHKなんかも含むかもわかりませんが、こういうようなところは、特に私はどう考えましても身体障害者が働けない職場環境ではないと私は思います。
 そこでこういうふうな少なくとも民間並みの雇用率、これは率でいきますと、国のいわゆるいろいろな息のかかった機関ですね、こういうところがやっぱり率先して身体障害者を雇用すると、そして雇用率も高いと、そうなければ私はいけないと考えているわけです。そういうふうな意味で、ぜひともこの問題については本格的に取り組んでいただきたいと思いますし、さらに私は労働省が具体的にこういうような問題について、いわゆる次官会議とか、いまいろいろおっしゃいましたけれども、どういうふうに指導しているのか、そこら辺のところはきょう具体的に資料等がなかったら後ほど終わってからで結構でございますが、私の部屋に実は身体障害者の雇用という問題について、具体的に労働者はこういうぐあいに取り組んできたと、そうして特殊法人に対してこういうふうにいわゆる指導しておると、こういうような意味の現在までの現状及びこれからの方針についてはぜひとも資料をいただきたい、この二点いかがでございましょう。
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま御指摘の点、資料等取りそろえまして御説明に伺わしていただきたいと思います。
○峯山昭範君 それから再度まず国の機関の問題について申し上げますが、国の機関の身体障害者の雇用率という問題については、これは各省庁別に当然私は調べていらっしゃると思いますが、各省庁別には一体どういうぐあいになっていらっしゃいますか、お伺いいたします。
○政府委員(遠藤政夫君) 全体といたしましては、現業、非現業ともに法定の雇用率を一応上回っておりますが、各省庁別に個別に見ますると、一、二、部分的に法定の率を下回っている省庁がございます。申し上げますが、それとも資料として差し上げますか。
○峯山昭範君 それは私はきょうここで質問する前にその資料をいただきたかったのですけれども、資料は届きませんでしたので、後でいただきたいと思います。それで特に達成していない省庁を、一遍ここでどういうところが達成していないかお聞かせいただければ幸いでございます。
○政府委員(遠藤政夫君) 各省庁別に雇用率を達成していない機関、主なものを申し上げます。たとえば非現業の場合一・七%でございますが、一・六幾ら、一・七に若干満たないものは省略いたしますが、経済企画庁が〇・九〇で、あと四名採用すれば率に達するということでございます。それから沖繩開発庁が雇用率ゼロで、これは一名でございます。それから環境庁が〇・七三で五名の不足でございます。それから公安調査庁が〇・一〇、三十一名の不足でございます。それから資源エネルギー庁が〇・九三、これは三名でございます。それから自治省が一・〇一で二名、消防庁が〇・七一で一名、それから郵政省、これは現業部門でございますが、一・六に対して一・五一、二百三名、こういう数字でございます。そこで一応目を通して、ただいま申し上げたとおりでございますが、この中で経済企画庁とか、沖繩開発庁、あるいは公安調査庁、こういったところはいわゆる各省からの出向者がその大部分を占めております。そういった関係で、その省庁独自で新規採用あるいは補充採用という点がなかなか実際問題として行れにくい、こういう関係から、いわゆる雇用率の点で未達成という状態が出ておるように聞いております。それから郵政省につきましては確かに数は多うございますが、全体の数字が大きいわけでございますが、郵政省でも具体的な採用計画を立てていただいておりまして、年々この雇用率に近づいておりまして、恐らく近々この雇用率は達成できるのではないかと私どもは聞いておる次第でございます。
○峯山昭範君 これは大臣、民間のやつを発表するという前に、やはり何やかんや言いましても自分の、国の機関の方から、ぜひとも私は閣議なり何なりでこの実情を報告して、そうしてそれぞれの大臣に認識をしていただく。それは事情はいろいろあろうと思います。いま局長おっしゃったように、いわゆる各省庁から出向とか、いろいろあるにいたしましても、そういう理由を国が言い出しますと、そうすると今度民間の場合は、そういうことを言い出した場合はとてもじゃないけれども指導なんていうものじゃないと私はと思うのです。そういうような意味からぜひともこの問題については、それぞれ具体的に処置を講じていただきたい。私はこういうように思いますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 政務次官から、政務次官会議のときに、いま申されたような実態を踏んで発言なども願っており、またここで先生の御質問に対してお答えすることが公表の一つの手段と、こうことになったと思います。また、きょうのような御議論を中心にいたしまして、さらに各官庁に推進をしてまいりたいと、こう思っております。
○峯山昭範君 それでは、次に民間の雇用率の問題についてお伺いをいたします。
 先般、労働省が発表いたしました「身体障害者雇用率未達成事業所に対する行政措置の強化について」という労働省からの資料が私の手元にも届いてございますが、全体といたしまして雇用率一・三%、これを超えている事業所がたくさんあるわけではございますが、実際問題としまして、特に中でも三百人から四百九十九人ですね、この事業所、一・二六%、五百人以上の事業所が一・一八%、こういうふうに非常に大事業所ほどいわゆる率を達成していない。非常に私は重要な問題であろうと思います。それで、現在の会社の概念ですね。これは要するに大きな会社は、特に自分の事業場でけがをしたり、あるいは事故を起こしたりして、いわゆる身体障害者となった者以外は雇わないという傾向が見られるんじゃないか。実は私もそういうようなことを言われてきたわけです。実際問題としてですね。率はあの会社は非常にいいけれども、本当は一人もいないんですよと言うような人がいるわけですね。それではやっぱり困るわけであります。そういうふうな観点から私は、実際のことを考えてみますと、ここに七十七人から百人以下の会社が一・六五%という%がでておりますけれども、実際は小さな会社ほど非常にそういう人を雇いにくくて、大きな会社ほど仕事そのものも細分化されていますし、単純化された仕事が多いわけですから、身体障害者の仕事そのものも考えようによっては私は職場が多いんじゃないかと、そう思います。
 そういうような観点から考えてみますと、大企業のいわゆる姿勢ですね、社会に対する姿勢、これがやっぱり相当エコノミックアニマルと言われてもしょうがないみたいな感じがあるんじゃないか、こういうぐあいに思うわけです。そこで、こういう点を是正しない限りこの問題は解決しないと私は思うんですけれども、そこで、まずしょっぱなにお伺いいたしましたが、先般発表されたその内容等について二、三ちょっとお伺いしておきたいと思います。
 一つは、この発表の手段の問題ですけれども、年一回都道府県単位に新聞、テレビ等の広報機関を通じていわゆる未達成の事業所を発表すると、こういうことでございますけれども、これは一体どういうふうな形になるのかですね。これは要するに民間事業所を発表するんですから、それに応じて、たとえば民間だけじゃなくて、先ほども言いました問題とあわせて、いわゆる特殊法人とか、そういうのがございますね、国の関連機関。こういうふうなものもやっぱり民間とあわせて発表するとか、あるいは日にちをずらしても結構ですけれども発表するというようなことにしないと、民間の方は、何だ民間だけやってというようなことにどうしてもなりかねませんからね。現実にそういうことを言っている人がいるわけです。ですから、その点はやっぱり何らかの形で考えた方がいいんじゃないか。
 それからもう一つは、こういう問題については、発表の仕方について、たとえば私は官報とかそういうようなものに掲載してもいいんじゃないかという考えも持っているわけです。
 それからもう一点は、こういうふうなことを先般発表されまして、発表日にちが大体何か十月ごろとかお伺いしたんですが、第一回目の発表については実際問題としていつごろを予定していらっしゃるのかですね。
 以上、二、三申し上げましたが、とりあえず以上の点についてお伺いしておきたい。
○政府委員(遠藤政夫君) 民間企業におきまして雇用率未達成の向きがかなり多い。特に企業規模が多くなりますほど、五百人以上の大企業等になりますとかなり率を下回っている。こういうことで、前々から審議会あるいはいろいろ関係の団体、会議等におきましても御指摘がございまして、こういうものについて世に公表することによって警告を発し、雇用の促進を図るという措置をぜひとるべきだと、こういう御議論がございました。私ども、昨年一年間この点について、いろいろまあ問題もございますので検討いたしてまいりまして、そういったいろいろ厄介な問題は別として、この雇用促進のために公表制度というものに割り切ったわけでございます。
 そこで、これはただ単に公表して、けしからぬというだけの目的じゃなくて、この公表制度をとることによって一人でも多く雇ってもらいたい、雇用を促進しようというねらいでございますので、この公表措置をとるにつきましては、その事前に、それぞれの三百人以上の大企業につきましては雇用促進法によりましていわゆる雇い入れ計画を作成するように命ずることができることになっております。したがいまして、いままでは選抜いたしました特定の企業についてこの雇い入れ計画をつくらしておりましたが、今回の措置によりまして三百人以上の企業につきましては全面的にこの身体障害者の雇い入れ計画を作成するように命ずることにいたしました。それによって雇い入れを促進をしてこの新年度から約半年間ございます、その間に、九月末までにその措置をとって、なおかつ大企業で雇用率を達成していないという向きについて新聞、テレビ等を通じて公表する。そうすることによって世の注意を喚起すると同時に、当該企業に対して雇い入れについての警告を発すると、こういうことを考えておるわけでございます。したがいまして、まず第一回としては今年の十月一日ころを予定いたしているわけでございます。
 それから官公庁につきましては、実は私どもも、ただいま大臣からお答えございましたように、官公庁はこれはそれぞれの地区にあります個別の単位ではなくて、官公庁を一つの全体として考えておりますので、都道府県あるいは各出先でこの問題を処理することは不適当かと思います。私どもは各省庁別に本省でそういった措置をお願いもし、また結果も取りまとめております。この点につきましては大臣とも御相談いたしまして、いまお話のございましたような御趣旨で検討してまいりたい、かように考えております。
○峯山昭範君 そこで、もう一点確認をしておきたいのですが、この通達は、これによりますと、この二番目のところに常時使用する労働者の数が三百人以上の事業所であってと、こういうふうにございますのですが、これは事業所の考え方についてちょっとお伺いしておきたいのですけれども、たとえば東京に本店がありまして、それで千葉とか埼玉とか神奈川とか大阪とかいろいろなところに支店がある。全部三百人以下である。しかし全体を合わせれば相当ということになるわけですがね。こういうふうなものはこれは一体どういうふうに考えていらっしゃるのか。この点はやっぱりはっきりしていただかないと、全部三百人以下の事業所ばっかりで、全部こういうようなところから逃れられるということにもなりかねませんので、そこら辺を一遍当局の見解をお伺いしておきたいと思います。
 それから実際問題、これはいま局長もおっしゃいましたように、これをただ公表するというだけで、いわゆる実効が全然上がらないというのじゃ、これはやっぱり問題だと私は思います。その点から考えまして、今回のいわゆる行政措置ですね、十月一日に発表するという今回の措置によって、いわゆる身体障害者の雇用率といいますか、そういうようなものが実際問題としてどの程度解決をするという見通しなのか、そこら辺とあわせてお伺いしたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 初めのお尋ねの、事業所規模の問題でございますが、これは本社がたとえば東京にあって、数カ所地方に工場を持っておる。こういう場合についてはいわゆる事業所規模で考えておりますので、当該事業所で身体障害者の雇い入れに適しないような作業内容、そういうものについては除外されます。そういったことから、私どもはあくまでも事業所単位に考えておりますが、その場合もやはり一・三%の雇用率というのは当然これは適用されるわけでございます。
 それから今回の措置をとることによりましてどの程度の効果を見込んでおるかというお尋ねでございますが、どれくらいの効果が上がるか、これは私どももいまここで申し上げるだけの材料を持ち合わせておりませんが、ただ公表することが目的でなくて、その公表に至るまでの前提となりますこの行政措置行政指導、これに私どもは期待一をかげておると言えばそういうことになりますわけで、具体的に各事業所ごとに雇用率に達するまでの身体障害者の雇用についての雇用計画、雇い入れ計画をつくらして、それによって求人を指導し、雇い入れをさせる、紹介、あっせんをする、こういうことによってできるだけ身体障害者の雇用を確保していこう、こういう考えでございます。その結果、なおかつ未達成の場合は公表するということで、私どもの重点はその前提になる行政指導、行政措置に置かれているわけでございます。その結果、悪ければ公表する。けしからぬじゃないか、世間からも非難されるであろう。そこで雇用促進に役立つだろうという期待をしているわけでございますので、その前段の行政指導措置に十分私どもは努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○峯山昭範君 非常にこの問題は大事な問題でございますので、実は身体障害者の雇用審議会の答申が昭和四十八年の十二月でございますか、答申が出まして、それから約二年近くなるわけでございますが、四十八、四十九、二年近くですね、一年とちょっとですか、一年以上になるわけですね。それで、この答申の中身を見てみますと、この審議会で相当議論をされたであろうということが、これを読んでも非常によくわかります。それで、この身体障害者の雇用という問題が非常に重要であるということが、この中を見れば見るほど重要な問題だということの私、認識を新たにしたわけでございますが、実際問題としてここでもう一点確認をしておきたいんですけれども、たとえばどこどこの会社が雇用率が悪いということを調査をするということは、これはやっぱり労働省の皆さん方の立場からいたしますと、職務上知り得た秘密ということにもなるわけでございますがね。それを公表するということは、これは秘密を漏らすということにもなりかねないわけですが、そこらのところもやっぱり議論をした上で、これはもちろん大臣の許可があり、局長の許可があれば当然公表できるわけですから、そこら辺の問題は解決しているであろうと私は思うのですが、その点はどうなっているのかというのがまず一つ。
 それからもう一点は、私はこれだけではまだ足りないなという、こんなことで雇用率が上がるというようにはなかなか思わないわけです。これは大臣、ただ単に悪い企業を公表するとかいうことだけではなくて、現在の資料の中にもありますように、たとえば特に銀行とか保険とか金融、不動産こういうようなところは非常に率が悪いですね。一・三%のところ、〇・六九%、こういうふうな非常に低い数字が出ております。特に銀行というようなところは、私はそれぞれ事情はありましょうけれども一これは社会的に考えましても三木さんが言う社会的不公正の是正という立場から考えても、私は何らかのいわゆる処置を講じないといけないんじゃないか。そういうふうな意味ではそれぞれの業界それぞれあるわけですから、それぞれの業界に対しても具体的に指導をすべきじゃないか。こういうぐあいに思うのですが、この二点についてもう一回お伺いしたい。
○政府委員(遠藤政夫君) 第一の問題につきましては、この公表制度、こういった制度を実施いたしますにつきまして御指摘のように業務上知り得た秘密を外へ漏らしてはならない、こういう職業安定法上の規定もございます。この点が一番問題になったところでございます。そういうことで約一年間いろいろと議論が関係筋で行われまして公表制度の発足がおくれたわけでございますが、この点は身体障害者雇用促進法に雇用率というはっきり法定されております。その義務を履行していないという点で公表することも許されるということに法的に割り切ったわけでございます。そういうことによりまして今回の措置をとることにいたした次第でございます。
 先ほど大臣がお答えになりましたように、今後身体障害者雇用促進法の強化措置について現在いろいろ鋭意検討中でございますが、先ほど来御指摘になりました点も含めてそういった点を十分検討してまいりたいと考えております。
 それから銀行、金融、保険、不動産業、こういった向きにつきまして、かなり他の業種に比べまして雇用率は落ちております。こういう点は実は来月、中央雇用対策協議会を開催予定いたしておりまして、これには関係各業種団体が全部網羅されておりますので、これはほかの目的で実は開く予定にいたしておりますが、その席でこの問題についてもあわせて雇用率の達成について強力な申し出をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○峯山昭範君 ぜひ悪い業界については一遍特に特訓をして、これはやはりやっていただかないと、いわゆる何というか、役人ぺースでちょっと報告をしておけばいいという感じではやっぱり認識の仕方が足りないと思いますので、大臣なり、あるいは次官なりが話をされるときに一言強烈に要請をする、そういうようにしてもらいたいと私考えます。
 さらに職場の問題の中で、特に民間企業の中でも中小企業の達成率というのが非常によくなっております。私は中小企業、中でも零細企業――百人以下とか、そういう小さなところの達成率がいいというのは、非常に私は、そこで働く人たちが苦労をしていらっしゃると思います。たとえば身体障害者でも、人にわからないようなちょっとした身体障害者ならこれは構いませんけれども、あの人はだれが見てもすぐ身体障害者だとわかるような人がたくさんいるわけですね。そういうような立場で考えてみますと、たとえば一・三%といたしますと七十七人に一人ですから、百五十人の職場で二人しかいないわけです。もっとわかりやすく言いますと、端的に仲間が少ないわけですな、言うたら。
 そういうような意味では非常に働きにくいということになります。ですからそういうような意味では、何とか仲間がよけいいる、従業員がよけいいるところがよけい雇っていただいて、三人なり五人なりのグループで働けるような態勢というところまでいかないと、いわゆる長い間、終身働いていくわけですから、非常にむずかしい問題になるんじゃないか。また身体障害者自身が肩身の狭い思いをしなくちゃいけないんじゃないか、このことを感じるわけです。そういうような意味では、私は特にそこら辺のところの指導が非常に重要になってくると思います。
 そこで特にことしは、先ほどから雇用という問題、失業という問題、非常に重要な問題になってきているわけでございますが、先般も労働省としても各都道府県に対しまして不況のしわ寄せで最初に職場を追われがちな身障者に関して雇用の実態を緊急に調査するように、こういうふうな通達のような、実態調査の指示を労相自身で出されていらっしゃいますが、これは具体的には何か反応があり、あるいは実態調査の内容といいますか、そういうようなものが上がってきているのか、実情そこら辺のところ、どうでございますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 最近のこういう不況のしわ寄せを最も受けやすい中高年齢者あるいは身体障害者、こういった人たちが職場から離脱することのないようにという大臣からのじきじきの指示もございまして、私どもいま先生御指摘になりましたような通達を出して指導をいたしているわけでございます。先般、全国課長会議で各県の実情を聴取いたしましたところが、いまのところそういった身体障害者を真っ先に解雇するとか、中高年から真っ先に解雇するというような事態にまでは至っておりません。特に身体障害者につきましては末端の各行政機関が特に強力な行政指導をいたしております関係で、身体障害者なるがゆえに解雇されたというような事例は、いまのところ出てまいっておりません。
○峯山昭範君 できましたらここら辺のところも、これは各都道府県に対して実態調査をして、その報告をいわゆる労働省の方にするようにということになっているわけですか。報告は口頭でございますか、文書でございますか、そこら辺のところを一遍ちょっと……。
○政府委員(遠藤政夫君) 実情を報告するようにということを申しておりますので、そういう具体例が出てきたものについては報告があるはずでございます。一応口頭で各県の事情を聴取いたしましたところ、倒産等によって全員解雇というような事態の場合はこれはやむを得ませんが、個別的に身体障害者を解雇したというような例はいままでのところはないという報告を受けております。
○峯山昭範君 その問題はその程度にしまして、次にこれは参議院の社労の委員会でも昭和四十八年の六月に心身障害児の対策の問題について決議がされております。特にこの決議の中で、私はきょうは身体障害者の就職に関係のある点について、その後どうなったのか、具体的にお伺いをしてみたいと思います。特にこの決議の中の第二番目のところに、社会的自立を促進する対策について」というのがございます。この中の第六番目に「雇用が困難とされている中度ないし重度の障害者および脳性マヒを伴う障害者の適職開拓に努力を払うこと。」こういうようになっているわけでございますが、今回の私の現場の視察に当たりましても、身体障害者の大部分は脳性麻痺であると、今後は、ということが非常に重要であると、脳性麻痺という問題を解決しない限り身体障害者の問題は解決しないと私たち言われたわけでございますが、この決議の以降、この問題については労働省としてどういうぐあいに措置をしていらっしゃるのか、この点についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 身体障害者に、いわゆる精神障害者を含めまして心身障害者ということで就職の問題を扱っておるわけでございますが、いわゆる精薄、脳性麻痺等の精神障害につきましては、これが労働力として、いわゆる労働市場に出ていただけるかどうか、こういった点非常に医学的にも、あるいは労働能力の面からも問題がございます。私はこの点につきまして、一体こういった心身障害者の、いわゆる精神障害者につきまして、その判定の基準をどこに置けばいいのか、だれがそれを判定すればいいのか、そういった点についてそれぞれの関係機関において十分研究をしていただきたい。私どもの万はそれを受けまして、こういった精神障害者、重度の障害者につきましての適職の研究開発ということで現在職業研究所においてそういった研究もいたしております。
 また、そういった人の中から具体的に求職をし、就職をしたいという希望者に対しましては、全国にただいま四カ所の、心身障害者の職業センターを設置いたしております。ここでも専門の医師あるいはカウンセラー、こういった人たちを配置いたしまして、こういった人たちの具体的な職業紹介、指導、相談に当たっているわけでございます。今後ともこういった施設の拡充に努めてまいりたいと、かように考えております。
○峯山昭範君 これは局長、現在職業訓練所でどういうふうな内容の仕事を教えていらっしゃるか、ちょっと私具体的には知らないんですが、どういうのを教えていらっしゃるのかというのが一つ。それからもう一つは、一般的に洋裁とか、時計とかラジオの組み立てのようなものから始まりまして、彫刻とか、いろいろ仕事もありましょうし、そういうふうな何といいますか、従来からやっておりましたいわゆる仕事とは別に、たとえば脳性麻痺の皆さん方の仕事ですね、ここら辺のところは、私、非常に重要な問題を含んでいると思うんです。
 たとえば私が先般参りましたそういう養護学校の先生がおっしゃるんですけれども、非常に仕事がいわゆる遅いわけですね。一般の人と同じようにはいかない。たとえば名刺を注文すると、その名刺を普通ならたとえば三十分でばんと組んですっとできる、ところがその人に頼むと一カ月かかるというんですな。ですから、そういうふうにして一カ月かかってもいいからその人に頼むと、たとえば体育大会の、運動会のプログラムをつくってもらう。そういうふうに養護学校の先生たちは自分の名刺をつくらすにしても何一つするにしても、何とかそういう人たちに仕事を与えてやりたいというような努力をしていらっしゃるわけですな、そういうふうな意味の、国としてのそういうようなのを考えないといけないのじゃないか。とにかく少しでも働くことのできる人たちというのが現実にいるわけですから、そういうような意味でのいわゆる職業訓練といいますか、そういうふうな考え方というのはこれから大事になってくるのじゃないかと、こう思うのですが、ここら辺のところについてはどういうふうになっているのか、この点もちょっとあわせてお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(藤繩正勝君) 身体障害者に対する職業訓練でございますが、まあ障害の程度によりまして、一般の訓練校でできるものは一般の訓練校でできるだけ健常者と一緒に訓練をする。しかしながら、それが適当でないものはやはり特別の訓練が必要でございますので、全国に現在十四校の身体障害者職業訓練校というものを設置をいたしまして、約三十種の職種でやっております。定員は約二千人でございます。
 で、どんなことをやっておるかということでございますが、軽印刷でございますとか、洋裁、洋服、時計修理あるいは義肢装具というようなものでございます。で、最近はさらに、いま御提案のありましたような意匠図案とか機械製図、陶磁器の図案、造園、光学ガラス、そういうような新しい職種を開拓をいたしておるわけでございます。
 ただいまお話のありました精薄関係の訓練でございますが、愛知県の春日台というところに大きな施設がございまして、その中に訓練校がございます。先般労働大臣にも見ていただきましたが、そこでは、いま御指摘のような一般の科目に加えまして、たとえば陶磁器の製造であるとか、あるいは紙器、製本ですね、紙器といいますか、箱みたいなものをつくる。そんなことで非常に苦労をしていろいろやっております。で、これから、雇用保険法が成立いたしましたので、訓練期間につきましても従来よりも延ばして、障害の程度に応じた職種あるいは訓練技法、訓練期間、そういうようなものを考えていきたいというふうに思っております。
○峯山昭範君 ぜひ、この問題は重要な問題でございますので、今後も相当研究していただいて、そういうふうな方面のいわゆる訓練施設というようなものも内容の充実を図っていただきたいと私は思います。
 さらに、これは厚生省かもわかりませんが、いまの問題と絡みまして、特にこの脳性麻痺ですね、これは決議の第二の7にもあるわけでございますが、特にこの障害の等級の格づけに当たりまして、これは要するに物理的に、たとえば手足とか、そういうようなところがないとか、落としたとか、そういうような人たちの格づけというのはさまってるわけですけれども、いわゆる五体満足に全部そろっておると、そろっているがゆえに、いわゆる脳性麻痺ですね、結局、そういうような人たちが非常に困るのだというような話を、ずいぶん私、先ほどから何回も言っておりますように、聞いてまいりました。そういうような人たちのいわゆるこの基準ですね、障害のいわゆる基準を定めるときに、こういう人たちが不利にならないようにしてもらいたいという決議があったわけですけれども、ここら辺の点についてはどういうふうにお考えなのか、またどういうふうに措置をしていらっしゃるのか。これからの身体障害者というのは、私はこういう人たちがふえてくるのじゃないかということは現在感じているわけです。特に現在入ってきている小学校の一年生、二年生、三年生という人たちはこういう人たちが非常に多いですね。そういうような観点から考えてみましても、特にこういう人たちに対する措置というものはこれから重要になってくると思いますので、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○説明員(井手精一郎君) ただいま先生おっしゃいましたように、確かに身障の問題の主なる点は、私ども脳性麻痺の問題であろうと思います。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
 そこで身体障害者福祉法におきましては身体障害の等級を定めておるわけでございますが、御承知のように、何と申しますか、手足がないというような欠損部分に着目いたしましての評価ということがわかりやすいものでございますから、結果的にはそういう状況になっているということは申し上げられると思います。
 そこで参議院の決議におきましても問題になりましたので、私どもといたしまして、身障審議会の専門部会におきまして、各障害の種別に応じまして専門の分科会を設けまして、四十八年の九月から実は再検討をいたしていただいている状況でございます。現在のところは一応各障害の種別ごとには整理ができたような段階だというふうに承っておりますので、あとは横並びの整理の問題、さらには障害者の方々の意見も反映してほしいというような御意見がございますので、そこらあたりの問題も勘案をいたしまして早急に結論を出したい。その一番の問題は、いま御指摘になりましたように、手足がついておりましてもやはり脳性麻痺というような問題で、全体的に見ますと生活能力あるいは作業能力というような面から一番劣るというような面がございまして、そういう面に特に着目をいたしまして適正な評価をしてまいりたいと、まあこういうことで現在せっかく検討中でございます。なるたけ早く結論を出しまして実施に移したいということでいたしているところでございます。
○峯山昭範君 いまの再検討しているということですが、結論は大体いつごろの予定でございますか。
○説明員(井手精一郎君) 実は私どもの方といたしましては、検討に着手いたしておりましてからすでに一年以上も経過しておりますので、できれば本年内ぐらいにということで考えておるわけでございますが、できるだけ早い時期に、もう少しできれば早い時期にと、こういうつもりでおりまして、現在、関係の委員の先生方と調整中でございます。
○峯山昭範君 次に、この八番目にもある問題でございますが、先ほどから一・三、一・六、一・七というような雇用率の問題ですね。雇用率という問題については昭和四十八年の四月の十七日の参議院の社労の委員会で、当時の中原審議官が現在の実情その他の点も勘案して審議会等で検討していると、まあこういうように答弁していらっしゃいますが、これは審議会で検討しているということは、この答申がその後の答申だろうと思うのですが、この中には率のことは余り出てこないわけですね。ですから雇用促進法の中に出てまいりますいわゆる率の問題については、先ほども申し上げましたようにもうちょっと検討してもいいんじゃないかという感じもするんですが、こういうことも含めましてこれはどうでございますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 四十八年のこの決議を受けまして、審議会でもいろいろ御検討をいただくわけでございますが、先ほど来御指摘ございますように、現行の一・三の雇用率につきましても、全体としては雇用率を達成しておりますが、大企業ほど雇用率が未達成の状況でございます。で、審議会におきましてもこの点が問題になりまして、現行の法定の雇用率の中で、いわゆる未達成の事業場について強力に達成を図ることがまず急務である。そうすることによって大体いまの現状での身体障害者の就職希望者についてはおおむね就職確保できるのじゃないか、こういう御議論でございました。まずそういった点の現行法によります不備を補うこと、これを補完することが先決だ、こういう最終的な御結論でございました。いま直ちにこの一・三の雇用率を引き上げる、改定をすべきだという御意見にはならなかったように承知いたしております。
 そこで私どもは、先ほど来申し上げております、いわゆる公表制度をとることによりまして、こういった大企業の未達成事業場についての強力な指導をいたしますと同時に、今後いろいろな行政措置あるいは予算的な補助制度、こういったものを拡充いたしまして、受け入れる方の側が受け入れやすくするように、それから先ほど来御指摘のように、非常に肩身の狭い思いをして就職してもなかなか働きにくい、こういう環境を手直しをしていくと、こういう努力をいたしまして、今後の雇用促進につとめてまいりたいと、かように考えております。
○峯山昭範君 いま局長の後段の方にございました受け入れる側のいわゆる優遇措置の問題ですけれども、この決議によりますと、「障害者を一定率以上に多く雇用する企業に対して、国庫の補助および金融上の優遇措置を拡充し、公けの仕事の優先発注の措置を講ずること。なかんずく、重度障害者を雇用する企業に対しては、さらに特段の優遇措置を講ずること。」と、これは非常にもっともなあれなんですが、実際問題として具体的にこの優遇措置というのはどういうふうになっておりますのですか、現在。
○政府委員(遠藤政夫君) この御決議をいただきました後、私どもの方ではいろいろな優遇措置あるいは助成措置を講じてまいっております。まず一般身障者、重度身障者につきましては雇用奨励金制度が完全に行われまして、月額一万二千円、一年間。重度障害者につきまして一年半、こういつた奨励措置をとることによりまして企業側の受け入れをよりしやすくすると、こういう措置もとりました。
 また、税制面あるいは金融面の問題でございますが、身体障害者を多数雇用するいわゆるモデル工場につきましては、二億円を限度に、いわゆる長期低利の融資をいたしましてこういった身体障害者のためのモデル工場を設置させる、こういう措置も昨年度から実施いたしております。それから税制面では、割り増し償却措置も現実に行われております。それから不動産取得税の減免措置、こういった措置をとることによりまして、身体障害者をできるだけ多数雇った場合にはそれなりの優遇措置が講ぜられると、こういう措置をとってまいっております。今後ともこういった面の拡充を図ってまいる考えでございます。
○峯山昭範君 そこで、決議の中でもう一点だけお伺いしてこの点については終わりたいと思うのですけれども、非常に重要な問題なんですけれども、身体障害者のいわゆるできる仕事の範囲というのは、非常に私は決められていると思うんですね。そういうような意味で、身体障害者ができるんですから一般の人はもちろんできるわけです。そういうような意味では、これは何とか身体障害者ができる仕事、いわゆるそういうところは身体障害者が優先してその仕事ができるようにすると、これは非常に私は大事な問題だと思うのです。そういうような意味での、いわゆるそういうような制度を検討してもらいたいというのが決議の趣旨なんですけれども、ここらのところは一体どういうぐあいになっているのか、この点もちょっとお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 一定の職種について身体障害者以外は採っちゃいかぬというようなことになれば一番理想的かもしれませんけれども、なかなか現実の問題として非常に各般のむずかしい問題がございまして、現在のところ、いわゆる重度身障者のうちの視力障害者につきまして、はり、きゅう、あんま、マッサージ、指圧とか、こういった職種について特別の雇用率といいますか、就業上の特別の措置がとられております。今後、いろいろな作業内容について身体障害者の雇用を進めていく上で、こういった特別な雇用率といいますか、あるいは就業上の制限といいますか、そういうた措置をどの程度にどういう考え方でとれるのか、私どもの方でもいろいろな検討を行っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、適職の開発研究という段階でも、職業研究所を通じてこういった研究を行わさせている段階でございます。
○峯山昭範君 これは特に身体障害者の仕事の問題ですがね、これは非常に重要な問題ですので、さらに二つほど質問しておきたいのですが、一つは民間事業所における身体障害者のいわゆる雇用の状況によりましても、いわゆる重度の身体障害者を雇用している会社というのは、この資料によりますと一二・八%なんですね。そして中度が三〇%、軽度が三八・六%、その他が一七・六%、こういうようになっています。そうしますと、やはり重度、中度という、ここら辺のところがやっぱりこれからの重要な問題になってくるわけです。それで、幾ら率を達成したといいましても、軽度の人ばかりで重度の人が一人もいないというんじゃ、これはとてもじゃないけれども、実際この問題は解決したことにはならないんじゃないかと私、思うんです。そういうような意味で、ここら辺のところもやっぱり何らかの形でこれから研究する必要があるんじゃないかというのがまず一つです。
 それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、端的に言いますと、国の仕事、これは何らかの形で考えられないか。現在非常に不況で仕事がなくなっていると、これはもう非常に重要な問題になっているわけですけれども、そういうような中でも、やはり身体障害者をたくさん雇用している事業所とかそういうところに対しては、現実の問題として仕事の量が相当減ってきていると、こういう話を具体的にもいろいろ聞いてきました。仕事が遅いとか、いろんな問題一ぱいあるわけですね。需要にも対応しきれないという問題もありましょうし、いろんな問題があるわけです。そういうような意味で、たとえば国とか特殊法人がこの仕事を外注する場合、たとえば印刷なんかの仕事も含めまして、国がこういう人たちのいわゆる身体障害者を使っている事業所ですね、そういうところに優先的に仕事を回すと、これは、こういうふうないわゆる考え方にならないと、そういうことをたとえば一般の民間のところに幾ら言ってもなかなか解決しない問題じゃないかなということをしみじみと感じているわけです。それでそういうような意味から、先ほど私は学校のプログラムのことやあるいは学校の先生の名刺のことをちょっと申し上げましたけれども、そういうような現場の人たちはもうそうでもして何とか、たとえば一カ月に二千円なり三千円なりほんのわずかのいわゆる給料といいますか、手数料といいますか、賃金といいますか、そんなものを考えているわけですね。これはやっぱり国のレベルでちょっと考えないと解決しない、採算ベースなんということを考えているととてもじゃないけど無理だと私は思うんです。そういうような意味でこういうようなことを一遍考えていただくといいますか、検討するといいますか、何か考えたらどうかなということをしみじみと感じて私は帰ったわけなんですけれども、この点いかがでございましょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 御熱心な身障者の雇用問題についての御質問、私の万から感謝申し上げるところであります。
 私は身障者の雇用問題を考えますと、これは国会のあるいは政府、ここ数年来の問題なんですね。そしてお話しのように、ここで議論されたようなことを、かりに事業主に対していろいろ手当てを、優遇措置をするとか、それから私なども先日歩いておりましたら、身障者を製材業者が何と七、八人使っているんですよ、一人一人に会ってみますと、賃金を見ましてもほかの人と変わらない賃金を払っている。そこでとにかく十五、六人のうち七、八人使っていると大変なことだと思いまして、労働省へ戻ってまいりましてから早速ここには先ほど局長が言うた二億円の特別融資を出す、これは何十%でしょう、そういうふうにしてきめ細かくやることも必要でございます。
 それから訓練局長が話しました名古屋の重症精薄児のそういう施設の訓練を見ましても、あなたのおっしゃるように、くぎ一本方眼紙の真ん中に打たせるのに一週間ぐらいかからぬと打ち切らないわけです。それをお世話する先生の苦労というのは大変なものです。しかも、それは一人や二人じゃない、入っている者は。そこには陶器の訓練をしてみたり、あそこは瀬戸の産地ですから。私は思わず本当に涙が出るような気にもなりますし、私はやっぱりいまの日本で一番大事なことは、国会での御議論もさることながら、ボランティアの雰囲気を日本国じゅうに起こしてもらうこと、連帯の精神を起こしてもらうこと、これが一番大事じゃなかろうか。思わずそこを出るときに四十四、五のおばさんで一生懸命世話する人に私はまるで本当に神様、仏様を見るような気持ちでありがとうございましたとおじぎをしてまいったんです。近くに大きな団地があって、そういうところの奥さん方というのはいまわりにお暇だから、そういう方々のボランティアをお願いしたことがあるかと、バス一遍出して全部見学してもらいましたけれども、どなたもボランティアにはおいでになりません、こういうことなんですね。
 でありますから、問題は、私はいまあなたが一番先におっしゃったように、身障者自体はスキーでも何でも喜んでやるわけです。自分は身体のハンディキャップを持っていても本当に自信を持ってやる者があるものでございますから、世の中はただ同情とか何とかじゃなく、一方はまた甘いというものじゃなくして、やっぱり自信をつけてやるような雰囲気をつくって、その中に私たちができる施策を片っ端からやっていく。そしてそれを盛り上げて応援してくれるボランティアの気持ち、啓蒙の気持ちを日本国じゅう全体に持っていてもらわなきゃ、ただ公表するといっても公表は処罰じゃなくて、その間にまた、先ほど局長が言うたように、いろいろそちらのそういう事業所に対して話をすることによって何名かをとにかく雇用してもらうことが非常に幸せ、入った者がまた自信を持って仕事をする、こういうふうなことでございまして、いまあなたのおっしゃったような国として注文させるとか、そういう問題についても積極的にできる問題から前向きの姿勢で検討してまいりたい、こう私はお答え申し上げる次第であります。
○峯山昭範君 大臣から大体締めくくり的な御答弁ございましたので私もこれ以上やりたくはないんですけれども、もう一点だけ、実は文部省当局がお見えになっておりますので、文部省関係のことをちょっと確認をしておきたいと思うのです。
 先般も私養護学校へ参りまして、これはある養護学校ですけれども、高等部のことしの卒業生が全部で十五名いるのです。それで十五名のうち四名が一般社会に出て働く、ところがあとの十一名の方はとてもじゃないけれども就職はできない、そうすると一般社会に出て働くこともできないということになるわけです。それで、そういう人たちは、どうしたらいいのかというのが非常に重要な問題なんです。それで、そういう方々はとにかく大学へ行きたいという希望が非常に強いわけですね。そういう点から考えてみますと、私はこれはまず大学に入学するというその門戸が非常にいま閉ざされた感じなんです。それで、これは労働省にも関係がございますが、要するにこういうふうな人たちがいわゆる自分自身の身の回りの世話ができないということがあるわけですね。そういうことも含めまして、こういうような人たちを何とか希望の大学へ行けるようにしてもらいたいというのがまず一つです。
 それから続けて申し上げますと、もう一点は、養護学校のいわゆる教師の問題です。それで、これは非常に私は基本的には憲法上のいろいろな問題も、あるいは学校教育法の問題についてもいろいろ議論したいんですけれども、もう大垣から先ほど話がございましたのでこれ以上はやめますけれども、学校教育法の第七十五条あるいは二十三条ですか、に基づくそれぞれ身体障害者あるいは特殊学級の問題等もありますんです。ありますんですが、基本的に申し上げますと、要するに諸外国と同じように、できたら私はいま養護学校と一般の学校とが余りにも区別されているというのが
 一つ、何とか一体化した方がいいんじゃないかという考え方がある。この点がまず一つ。
 それからもう一点は、学校の先生になる場合、
 いわゆる身体障害者を扱いなれてないということです、一般の先生が。そのために身体障害者を見ると一遍に恐れてしまう。そのために私は考えてみますと、何とかこの身体障害者のいわゆる指導、教育ですね、これはどの先生もできると、いわゆる身体障害者の皆さんのいわゆるお世話なり指導なり教育ができると、こういうふうに現在のたとえば小中学校、高校の先生方ができるようにならなければいけないというのがもう地元の現地の先生方の熱烈な希望でございまして、当然、こういうことはいままで何回も議論されて古くて新しい問題であろうと私は思いますけれども、これはこういうふうな問題をぜひとも、たとえば先生になるためには、そういう身体障害者なり、そういうところで実際に実習を受ける、それもただ一カ月、二カ月というのじゃなくて一年なり二年なりの実習を受ける、それで初めて一人前の先生になれると、このくらいの私はあれが必要なんじゃないか。とにかくたとえば体の悪い人が一般の学級に入ってくると恐れてしまってどう処置したらいいかわからないというのじゃもう非常に困るわけです。そういうふうな意味でのいわゆる特殊学級あるいは特殊教育あるいはこういう実態を把握されて、いわゆる文部省としても隔離教育じゃなくて一体化した教育と、こういうようなのをやっていただいたらどうかなということをもう私はしみじみと感じながら帰ったわけですけれども、この点についての御所見をお伺いしておきたいと思います。
○説明員(国松治男君) 御質問のことにつきまして申し上げます。
 第一点は、障害者でありましても希望の大学に行けるようにということでございますが、で少なくとも大学の入学試験を受ける機会が十分与えられるようにというふうなことで、文部省の方から大学にも通達を出して指導しておるところでございますが、だんだんにそういうふうな大学もふえてまいりました。今後ともそういうふうな指導をしてまいりたいと望んでいるところでございます。
 それから第二点の、養護学校等に入っております子供たちと障害を持っていない子供との交流というふうな問題でございますけれども、私ども障害児の教育の場を整備いたしますときに、軽い子供は障害を持っていない子供たちと普通のクラスに入る。それから少し、これは比較の問題になりますけれども、それよりも少し重い子供は小学校、中学校の特殊学級のようなところに入る。さらに重い子供は盲学校、聾学校あるいは養護学校というようなところに入るというふうなことで指導しております。で特殊学級に入っている子供でございますと、学校の一つのクラスでございますので、たとえば音楽だとか図画、工作というふうなものはもう一緒に授業を受けているというふうな状態もあるわけでございまして、かなりその方面ができるわけでございますが、さらに養護学校というふうな形で離れておりますところにつきましては、私どもは学習指導要領の中でも特別活動等の中で普通の障害を持っていない子供たちと交流をするようにというふうなことも書いてございまして、指導いたしておるところでございまして、そういう交流が非常に重要であるというふうに私ども認識をしておるところでございます。
 それから、養護学校の先生の資質の向上でございますが、おっしゃいますとおり、養護学校の整備を一生懸命やっておりますけれども、その中で御活躍いただきます先生方の資質の向上、これは私どもまだまだやらなければならないことがあるというふうに考えております。で特に最近は養護学校へ入ってまいります障害児がその障害の程度がかなり重い、あるいは障害が重複しているというふうな子供が多くなっている傾向にございますので、先生方の特に現職教育あるいは研修、講習というふうなものを幅広くやっていきたいというふうに考えておりまして、一番核になっておりますのは神奈川県の横須賀市久里浜につくっていただきました国立特殊教育総合研究所というのがございますが、そこには宿泊施設等を持った研修部門がございまして、先生方に宿泊をしていただきながら三カ月あるいは一年間の研修コースを組んで研修をいたしておるわけでございます。今後ともそういうものに力をつけていきたいというふうに考えておるところでございます。ただ、国でやりましてもその人数はなかなか全国の養護学校のすべての先生というわけにまいりませんで、その中央のそういう特殊教育総合研究所の研修を受けられました先生方が地方にお帰りになりまして、その地方にお帰りになったあと、さらにその先生を中心にしていろいろ研究会等が持たれるというふうなことも期待し、そのように指導しておるところでございます。
○峯山昭範君 私は現在養護学校の先生をやっていらっしゃる方々の資質が悪いとか、そんなことを言っているのじゃないのです。それはいいんですよ、要するにね。そういう人たちが熱烈に望んでいることは、一般の学校の先生ですね、そういう人たちに養護学校の指導なり教育なり訓練なり取り扱いなりを――いわゆる学校の先生になるためには、養護学校なりそういう身体障害者のお世話をやっぱり一年なり二年なりどうしてもしないと先生になれないのだという認識を持たせるということが大事だということを言っているわけです。ですから、現在の養護学校の先生がどうのこうのという意味じゃないわけです。その点についてはぜひとも御検討を願いたいと思います。
 私の質問はこれで終わりますが、ぜひとも現在社会的不公正の是正ということが三木内閣のスローガンにもなっておりますし、また社会的にも非常に大きな声として盛り上がりつつあります。そういうような観点から、ぜひともこの社会的に一番弱い立場にいらっしゃる身体障害者、こういうふうな方々が本当に安心して生涯を送れるような、そして希望を持って送れるような社会にするために、ぜひとも労働省もそういう立場でがんばっていただきたいと思います。
 以上をもちまして私の質問は終わります。
○国務大臣(長谷川峻君) だんだんの御質問でいろいろ勉強させられるところがあったことを御礼申し上げます。
 私はよくこういうものを見学に参りますが、特に将来は結婚の問題、こういうことに熱心な地方の方々を見ますというと、やはり地方でそういうことを御熱心にいろんなことで世話してくれている方々を力づけ、そういう人が一人でもよけい出るようなことがいろいろな問題の推進になるのじゃなかろうかということも感じておりますことも御報告申し上げまして、私の答弁といたします。
○委員長(前川旦君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記を起こして。
○橋本敦君 私は、きょうは、いま問題になって重大化しております失業の増大の問題と、それから労働基準局の安全衛生監督行政、この二つの問題について質問をしたいと思います。
 まず第一は、最近の失業の問題ですが、本年の二月十八日に総理府統計局は最近の労働力調査報告を発表されました。これによりますと、結果の概要として、まず第一には、四十八年十月の石油危機を境とした景気下降の局面の中で、従来とはかなり異なった結果を示したとして、現在の完全失業者の数が四十八年末から増勢に転じて、昨年の暮れにはその傾向をさらに強め、そして十二月に入るや八十三万人、失業率一・六%になったという報告をされているわけです。まずこの点について、失業率一・六%、そして十二月現在における八十三万という完全失業者の数、これが最近数年の趨勢に比較してどれくらい比率的に大きいかという問題についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま御指摘がございましたように、完全失業者につきましては昨年の十二月が、総理府の労働力調査によりまして八十三万、一・六%という数字が出ております。ここ数年の同じく十二月との比較でどうかというお尋ねでございますが、四十八年の十二月は五十四万で一%でございます。それから四十六年の十二月が六十四万で一・三%、こういう数字が出ております。確かに昨年の秋以来不況の浸透に伴いまして雇用失業情勢は厳しさを増してきておりますが、完全失業者の面でもあらわれてきております。失業保険受給者の受給率も高くなってきております。
 ただ、先ほど来、御質問のときにお答え申し上げておりますように、昨年暮れの臨時国会におきまして成立いたしました雇用保険法によります雇用調整給付金制度、これが大企業、中小企業を問わず活用されまして、いわゆるこの不況に伴う人員整理、合理化が行なわれようとします寸前でこれを相当程度食いとめることができた。対象人員にいたしましても労働者数で三十万くらいが対象になっております。もしこの制度なかりせば人員整理という羽目に立ち至るであろうものが一時休業という形で失業を出さずに済んでいる、こういう状態が十二月の後半から一月にかけて行われておりまして、そのために今後一−三月が底の時期じゃないかと考えておりますが、こういうことで失業を防止することが相当程度可能であろう、かように考えております。
○橋本敦君 ところで、不況要因ということで、完全失業者の増大は、これは主として中小企業の相次ぐ倒産の増大あるいは人員整理、こういった要因が社会的には主要な要因となっていると思いますが、その点の認識は私と同じですか、いかがでしょうか。
○政府委員(遠藤政夫君) これは完全失業者の内容の分析になるかと思いますが、いろいろな要因が重なってきておりますが、今回の八十三万に対比いたしますと、昨年の一、二、三月の数字、御承知だと思いますが、一月が七十三万で一・四%、二月が八十三万で同じく一・六、三月には九十万、一・七という数字が出ておりまして、昨年の一−三月の場合は、これはまだいわゆる石油ショックが起こりまして、そう不況という深刻な事態になっておりません。そういう事態の中でなおかつこういう数字が出ておりまして、昨年十二月の八十三万という数字は私どもは昨年の夏以来おおよそ予測しておりました数字でございます。必ずしも、これがいまお説のような中小企業の倒産とかそういうことに直接的につながるものとも私どもは考えておりません。
○橋本敦君 そうすると、あなたは、中小企業の倒産が非常に深刻化している、倒産になれば当然に失業者が増大するという社会的事情が現存するわけです、これが現在失業者の増大にさほど影響を与えていないという考え方のようですが、実際それは調査か何かによって明確なんですか。そうはっきり断定できるものではないでしょう。
○政府委員(遠藤政夫君) 私はそう申し上げているわけではございませんで、これがふえた分が直接的にそれだけだということになるわけではないだろうと、こういうふうに申し上げているわけです。
○橋本敦君 ところで、統計局に伺いますが、ここでいう完全失業者というのは、どういう範囲の労働者をとらえて完全失業者ということで統計にあらわしておられますか。
○説明員(永山貞則君) 労働力統計調査の定義によりますと、現在仕事をしていなくて職を探している者、これが完全失業者でございます。
○橋本敦君 したがって、文字どおり職についていないという人たちということになるわけですが、それ以外社会的には一週間通して働きたくても仕事が継続的になくて、週一日とか三日とか、あるいはパートでしか働けないという人たちがいると思われますが、そういう人たちの就職要求というのは統計的にはどのようにあらわされますか。
○説明員(永山貞則君) 完全失業者以外の半失業的な状態というのは大変統計的につかまえるのはむつかしいわけでございます。一つのあれとして、ただいま先生のおっしゃいました短時間就業していて、そしてほかに職を探しているという者は、調査の上では、短時間就業の転職希望者という形でとらえております。それは十二月現在で二十万人でございます。
○橋本敦君 したがって、いまの二十万人を全部加えるかはともかくとして、ほとんど失業に近い状態の人たちがその二十万の中に含まれているということも考慮いたしますと、十二月だけで八十三万人、それを足しますと百万近い人たちが完全失業もしくは失業的状態にあるということが統計的に言えると思うわけですね。だから、したがって問題はかなり深刻である。
 ところで、この状態が五十年に入りまして、一月から三月の間にどのように推移するかという推計ですが、統計局はこの推計をお出しになったと聞いていますが、一月、二月、三月のいわゆる完全失業者の推計数、これを明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(永山貞則君) 一月、二月、三月、あるいは四月の完全失業の数というのは、統計局が公式に発表したものではございません。私たち研究的には推計をしておりますが、公式的には出しておりませんが、ただ、発表の際に大臣が参考までに言及された数字でございます。
 その数字は簡単に推計方法を申し上げますと、先ほど職業安定局長からのお話にもありましたように、昨年もあるいは一昨年も、例年一月、二月、三月はかなり増加をする、季節的にふえる、そういう要するに失業者の数は月々によってかなり変動いたします。そのパターンが大体きまっておりますので、翌年の一月、二月、三月の季節的な増加と、それから最近数カ月の趨勢的な増勢、これは大体月三万人ぐらいだと思いますが、それを加えて出したという、結果的にはそういう形になるわけです。それによりますと一月百六万、二月が百十六万、三月が百二十七万。しかし、また四月には百八万に戻るという形になります。
○橋本敦君 いまの推計は、御説明によりますと、最近の傾向の指数、それから一月から四月にかけての毎年の季節変動指数、大体これを基準にしてお出しになったという数字であることがわかったんですが、いまおっしゃった推計の基礎となった季節変動指数は、これは例年の暦年の平均的数字をお取りになっておるということですから、現在の不況状況が深化をするという要因を考えますと、暦年の季節変動指数を掛けて加えた数よりもさらに失業者が増大をするという見込み、この見込みを考えた上で対策を立てる必要が私はあると思うのですが、そういう点については統計局の方では現在の不況要因を加味すればどうなるかという判断はしておられませんか。
○説明員(永山貞則君) この現在の不況要因がさらに強くなるとか、そういう加味はしておりません。また一方、先ほど労働省の説明にもございましたいろいろな雇用保険法ですか、そういう対策等も考慮してございません。統計的な推定でございます。
○橋本敦君 統計局がこのような推計をなさったのは異例のことだというように聞いておりますが、これは労働大臣か総理大臣かどこかからの御依頼なり指示によって推計をされたということですか。
○説明員(永山貞則君) 別に指示はございません。
○橋本敦君 で、いまの推計は内閣に対して報告はされておられるわけですね。
○説明員(永山貞則君) 参考までにその数字を言及したという程度でございます。
○橋本敦君 いや、報告はしておるわけですね。
○説明員(永山貞則君) はい。
○橋本敦君 そこで、労働大臣にお伺いをしたいのですが、、いま統計局が発表した数字でも、暦年の季節変動指数を最近の傾向に掛けただけで、三月には百三十万近い完全失業者が出るという、こういう傾向が出されているわけですね。
 そこで、雇用保険法の適用等により一部失業を防ぐという方法もこれからどう進めるかという課題がありますが、また逆に現在不況状態がさらに深まるという傾向もある。したがって、見通しを立てるのは数字的にはむつかしいわけですが、少なくとも今年三月期の暦年ピーク時には百万を超える、推計的には百三十万。そして私の考え方によれば昨年十二月の不況深化による三十万、暦年超えている数字をこれに加算を仮にするとすれば百六十万近い完全失業者が出るかもしれない。まあ、こういうわけで今日の失業問題というのはかなり深刻な問題ではないかというように私どもは認識をしているのですが、その点についての大臣の御認識はいかがなものでしょうか。
○政府委員(遠藤政夫君) いま総理府統計局から一−三月について百六万、百十六万、百二十七万という推計予想値のお話がございましたが、私どもは昨年の秋以来のこういう不況情勢を反映いたしまして、当然、雇用失業面にもそれ相当の影響が出るであろう、従来からのいわゆる求人求職のバランス、実勢、それから失業保険の受給状況、こういった点から勘案いたしまして季節要因も当然加わることでございます。ことしの一−三月、当時、昨年夏でございますけれども、私は来年の一−三月には完全失業者は百万を超えるという事態も当然予想されるであろう、こういうことを申し上げてまいりました。昨年の十二月、八十三万という数字が出ておりますので、当然、私は一月には百万という大台に乗ることも予想し得ると思います。三月で果たして百二十七万になるかどうか、これは私は別といたしまして、百万を超えることはほぼ確実であろうと思います。
 その反面、いま先生が御指摘の、いわゆるこういう不況が深刻化してきておるから、さらにそれに上乗せをしてという御指摘がございましたけれども、私は逆に雇用保険法によりまして、当然人員整理等が行われるであろうそういうものが雇用調整給付金制度によって歯どめが効いてまいっております。失業保険の受給状況を見ましても、十一月、十二月とかなり初回受給者がふえておりましたのが一月には下がってきております。また十二月、一月の離職率もぐっと低下してきております。これはもう明らかに雇用保険法によります制度の効果が実質的にあらわれてきている、こう見て差し支えないのじゃないかと思います。
 そこで、この失業保険の受給者の数字がある程度ほぼ完全失業者に反映してまいります。そういたしますと、例年のことでございますけれども、十二月、一月にかけましていわゆる季節出かせぎ受給者の関係が大体三十数万ございます。約三十万程度と見て差し支えないと思いますが、それが八十三万にそのまま上乗せになると百十万近くになる、大体二十万程度は上乗せになると思います。そういうことでございますので、一万では失業の歯どめが効いている、片一方ではそういった季節的な受給者がいわゆる完全失業者という形でこの数字が出てまいりますので百万は超えることにはなりますけれども、そういった意味でこれ以上深刻化するということについては私は相当な歯どめの効果があらわれてきまして、御説のように百三十万にさらに上乗せになるというようなことにならない、こういうふうに考えております。
○橋本敦君 これは将来の展望を議論しても仕方ないのですが、私はそういう期待だけで現在の問題について、失業問題について十分な認識と対策を立てられるかどうかということから問題を提起しているわけですね。たとえば雇用保険法の適用とおっしゃるが、現在すでに約三十万近いという数が出ている。その適用がたとえば最もいまの不況現象で経営困難に陥る中小企業に全面的に適用になるかというと、いまそこまでいっていない。だから、これからその問題は解決しなきゃならないということもありますから、いま局長がおっしゃったように、全面的に雇用保険法で失業増大がカバーできるとだけ安心して見るわけにもいかないだろうと私は思うのですよ、実際問題として。
 そこで私は労働大臣に聞きたいのですが、完全失業者だけで百万を超えるという展望を立てざるを得ないときに、不完全失業者、失業状態の労働者を入れるとかなりになりますが、少なくとも平均四人家族として、働く意思と能力がある人たちが家族も含めて四百万近くが雇用不安に陥っているというこの問題は、百万超えるか超えないかというだけの問題じゃなくて、きわめて深刻な問題であるというように私は考えているわけです。こういう認識の上に労働大臣はお立ちになって、当面、三月という最もピークに達するこの時期を目前にして、いまどのような処置を失業対策あるいは失業をこれ以上出させない対策としておとりになろうとしておられるか、この点を伺いたいと思うのです。
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるとおり失業というのは大変なことでございます。私は自分の経験からしましてもやっぱり失業というものは人生で悲しいことだと、こう思っておりますので、いろんな推移を注目をし、それだけにまた昨年の国会においても雇用保険法を御審議をお願いして、不幸にして一時はだめになりましたが、先日の国会で御通過願った。私はそういうふうなときに、失業を心配した姿においての御提案であった、それをまた皆さん方が御審議いただいて、そしてこれが十二月の二十五日に参議院を通過した、途端に皆さん方からこういう雇用不安の大事なときであるから、これを一月一日から実施したらどうだと、私は非常な際には非常な決意が必要だと、こう思っております。
 そこで皆さんのおっしゃるとおりに一月一日から雇用調整給付金の分だけは実施いたしまして、それがおっしゃるとおり、大企業と中小企業の事業数にすれば中小企業は十倍ほどやって、そしてこれがいま歓迎され、国会の廊下を歩いても諸先生方から、こういう企業をひとつ業種として指定してもらいたい、これがまさに局長がおっしゃったように歯どめが効いているというふうに私は感じるのです。諸外国のようにすぐに失業者として・街頭に出さないで済んでいる、日本の従来の終身雇用の制度の中にこういう手厚いものが私は生まれているところに非常に大きなメリットがあったのじゃないか、こういうふうに感じておりまして、いまから先、中小企業の中に、あるいはもっと個別的にひとつ業種指定をしてくれというふうなことがありますから、こういうときにはひとつありとあらゆる知恵と力を出してやろうじゃないかということでいま作業を進め、失業者というものを本当に街頭に出さない工夫をいまからもしてまいりたい、こう思っております。
○橋本敦君 問題はいま大臣のおっしゃった、どうしてもやっぱり一番ピークが予想される三月を目前にして、いまどう対策をとるかという、いま細かい対策とおっしゃったが、それを私は聞きたいわけですね。
 たとえば雇用保険法の適用をおっしゃるけれども、いま私が指摘したように中小企業が一番つらい、えらい目に遭って倒産、失業の可能性が大きいという問題をとらえれば、この雇用保険法の適用業種は、これは思い切って中小企業の危機的状態を訴えた場合、時期を失せず全面的に適用するというぐらいの気持ちで当面三月まで取り組まねばならぬのではないか、こういう姿勢が要るのではないかと思いますが、雇用保険法をおっしゃる限りはそうならなければならないと私は思います。思い切ってそのように適用を拡大するという方向でお行きになりますかなりませんか。これまず一点、大臣のお考えを伺わしていただけますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 雇用保険の雇用調整給付金制度の適用につきましては、ことしの一月一日から産業中分類によりまして七業種、それから小分類、細分類で三十二業種追加いたしました。あとの追加いたしました小分類、細分類は中小企業の業種がほとんどでございます。と同時に、ごく最近二月に入りまして中小企業関係から主として業種指定の申請がたくさん出てまいっております。いま作業を進めておりまして、今明日中に最終的に詰める予定にいたしておりますが、大体五十業種ぐらいの申請が出ております。このうちの相当部分を追加指定いたす予定でおりますが、これはほとんどが中小企業でございます。そういう意味では製造業関係の七割近くになります。先生御指摘の、御心配になるような中小企業、零細企業については、大半がこの対象になり得ると考えております。
○橋本敦君 大半とおっしゃいましたけれども、実際上、申請をした中小企業は積極的にこれの適用によって三月を目前にした失業増大を食いとめる、こういう姿勢で取り組んでいかれると、こう聞いていいわけですね。
○政府委員(遠藤政夫君) はい。
○橋本敦君 そこで、もう一つの問題は、きめ細かいことの一つになりますが、かねて労働大臣はいわゆる採用内定の取り消しという問題を重視をされまして、これは調査をし、そしてまた厳重に指導もする、こうおっしゃっておられるわけですが、現在、数字をお伺いしたいのですが、労働者がつかんでおられる採用内定取り消しをやった企業の数と取り消された人数ですね、それがどのぐらいと労働省としては把握していらっしゃいますか。これは関係局長でも結構ですが、お教え願いたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 先般、新聞紙上におきまして、私立大学連盟から大学卒業者の新規採用の内定取り消しの報道がございました。その時点で、労働大臣から関係業界に対して厳重な警告を発していただいたわけでございます。
 その後、実は、これは私どもの職業安定機関で扱っておりませんで、大学当局が職業安定機関にかわりまして就職あっせんをするというたてまえになっております。したがいまして、国立大学協会、公立大学協会、私立大学連盟その他私立大学関係の各八団体を通じまして、各大学卒業生の就職内定取り消しの実数を調査していただきました。その結果、取りまとめによりますと、二月二十日現在で、全体で採用取り消しになりました者が二百六十九名でございます。これは大学の調べでございますので、企業件数は私どものほうに届いておりません。学生数で二百六十九名です。それから四月一日の、採用時期を若干繰り下げたというものが千二百十八名でございます。
○橋本敦君 千二百十八。
○政府委員(遠藤政夫君) はい。ただ、そこで私どもお答え申し上げれることは、先般の私立大学連盟の約百名の採用取り消しの新聞発表がございましたが、その時点で労働大臣から警告を発していただきましたことによりまして、相当数取り消しが出るんではないかと各方面で予想されておりましたのが、その約倍近い数字でほとんど軽微にとどまっております。で中には取り消しをしたものをさらに取り消しをして、既定方針どおり採用をするということに踏み切ったものも数件ございました。労働大臣の警告が各業界に反響を起こしまして、非常に結果は良好な方向に進んでいるんではないかと、かように考えております。
○橋本敦君 ところが、私はいまの回答では、労働省の姿勢としてはまだ足りないと思うんです。
 と言いますのは、大学に調査を一応任したかっこうになっている。それから大臣が企業に警告を発せられたとおっしゃるが、いま局長の御答弁でも労働省自体がどういう企業、何社が採用内定取り消しをやったということは正確に把握しておられないわけですね。いまの発表でも人数は発表されました。だから、したがって私は大臣が警告を発せられたというのはごく一部の直接労働大臣が把握された企業であろうと思うんです。全部ではなかろうと思うんです。それが一応各企業に影響を与えて歯どめになったということは、私は全部否定しませんが、全部に警告を発せられたということではないと思うんです。何社に対していま局長がおっしゃった警告を発せられたか、その企業の名前を言っていただけませんか。
○政府委員(遠藤政夫君) これは職業紹介のたてまえを申し上げませんとおわかりにならないかと思いますが、職業安定法上、大学卒業生については大学当局が職業安定機関ということになっております。したがいまして私どもは職業安定所を通じて調査をするのと同じ形で大学当局に調査をさせているわけでございます。
 そこで、大臣の警告は、これは特定の企業ではございませんで、中央雇用対策協議会に加盟しております全業種団体に対して、と同時に各都道府県知事に対してこの警告を発しております。したがいまして全企業にこの大臣の警告が行き渡っているわけでございます。
○橋本敦君 だから、したがって、いまの全企業という意味は、いまおっしゃったような趣旨で文字どおり全企業ですから、それもいいんです。だが、個別的に警告を発するということではないということがわかったんですね、いま私の質問で。
 そこで、大臣は、衆議院の委員会におけるわが党の石母田議員の質問に対しても、採用内定を取り消した企業を公表するという断固たる処置、あるいは職業紹介を職安を通じてしないという処置をとってでも、これはやっぱりやめさせるという決意を表明されたんですが、これを公表するということを本当にお考えになっていらっしゃるとすれば、いまここでどういう企業が採用内定取り消しをしたということをおっしゃっていただいてもよろしかろうと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 私が採用内定取り消しということは非常にけしからぬことだと、こういうふうに申し上げたのは、大学学生なり高等学校、中学校の生徒がいよいよ学校を出て就職戦線に入って試験を受けて、そしてどういう通知であろうがいただいたと。そうすれば人生のスタートがそこで切られるという期待、これを踏みにじるようなことはけしからぬと。仮に自分が人事部長であって自分の子供がよそを受けた場合に、そういう扱いを受けたら一体どうなるか。そういう意味から私は思わず申し上げたことでありまして、ただ局長の話のように中学校、高等学校の場合には職安、私の方の直接機関である職安がタッチいたしますから、よくわかります。しかし、御承知のように八百五十もある日本の大学、これは大学がそれぞれ学生の就職を個人で行って受けるわけですから、どこの企業にどこの大学から何名受けたかということはなかなか捕捉できないわけです。採用内定を取り消された者、私の郷里の者で私のところに来た者もあります、これはよその方に試験を受けさせました。
 そういうことをして厳重に社会に警告を発したそのことが効果を生じ、あるいはまた私立大学連盟がおんなじように大いに憤ったことが効果を発して、一部私たちのいまだんだん話を聞きますというと、県知事も、地方長官もこんなことじゃだめだと言って動いたところもあったりして、さらにそういうことなどが採用内定取り消しを撤回した、こういう問題が出ておることは非常に私は効果があったと思います。
 なおかつ、そういう方策を推し進めることが一番大事なことでして、企業の、会社の名前を発表して処罰的なことをすることも必要でしょうけれども、これは一番最後のことじゃなかろうか。しかし、全体の問題がわかった場合には、そういうこともやらざるを得ないことがありはせぬかと、こういうふうに考えておるわけです。
○橋本敦君 そういたしますと、企業に警告的な意味で問題を前進的に解決するプロモートとしておっしゃったという趣旨はわかりますが、しかし、いまの局長の答弁でも、現に二百六十九名がわかっている範囲で取り消されている、それで千二百十八名が四月の採用が延期になっている、この問題はやっぱり一つまだ残るわけですね。
 そこで、大臣がいまおっしゃった大臣の期待に反して、この採用内定者二百六十九名が四月から無事社会人として勤務できればよろしいが、そうならないことがあり得るということも考えれば、いまおっしゃったあなたの指導の方針に従わない企業の名前は公表するということは、これはやっぱり最後の手段としてやるという決意は変わらないわけですか。これは変わらないわけですね、それは間違いありませんか。――はい。
 そこで、仮にあなたのそのような決意と公表にかかわらず、採用取り消されたままの状態で改善されなかったとして、来年は景気がよくなれば当該会社は新しくまた四月に大学卒業者を雇用するということがありますね。私は、この場合は、内定を取り消された人がその会社に依然として就職することを希望するならば、わが国には先任権制度はありませんけれども、先任雇用というたてまえで、これはやっぱり採用させると。で一年間のブランクは給与回復はともかくとして、四月の来年採用時には一年間勤務したと同じ昇給率の初任給をやると。こういった程度のことは、あわせて労働者の利益のために指導すべきではないかという考えがするんですが、こういう処置をどうしても聞かない企業に、せめてこのような指導をするというお考えはありますかありませんか、いかがでしょう。
○国務大臣(長谷川峻君) 一つの御意見として拝聴しておきます。
○橋本敦君 それから、いま、この失業の増大を食いとめる根本的な施策は、これは経済政策全般にいろいろありますが、何としても解雇を制限、制約するということがもう一歩踏み込んだ形で政府の指導でできないだろうかという問題がありますね。
 いまの労働基準法では一カ月前の予告、これが辛うじてあるだけですし、一ヵ月の予定手当を支払えば解雇してもよろしいという規定になっている。労働協約で縛られない限りはそれができるわけですね。だから雇用保険法の適用という問題もさることながら、解雇の制限ということを、法的にもう少し制限をし得るような、こういうたてまえが私は必要ではないかと思いますが、そのような面について大臣は何かお考えがございませんでしょうか。
○政府委員(遠藤政夫君) しばしば国会におきましても解雇制限的な措置について御議論のあるところでございますけれども、端的に申し上げまして、仮にそういう法制措置ができたとしても、企業に支払い能力がなければ抱えていても、実際上、首切りと同じことになってしまいます。そういうことですから、私どもはむしろそうならないようにいろいろな援助措置をとることによって人員整理、解雇を防ぎたいと、これが雇用保険法によります雇用調整給付金制度の趣旨でございます。私どもは、全面的にこれが活用されることによってこういう危急存亡のときに企業ができるだけ人員整理を出さないようにしてもらいたい、こういうことで指導しておるわけでございます。
○橋本敦君 それは一つのあなたの政府の立場の現在のお考えと思いますが、しかし、いまおっしゃった企業の支払い能力云々ということもこれはありますよ、だけど、しかし、実際に不況に便乗して人員整理を行うということがあってはいけないわけですね、これを食いとめなきゃならないという趣旨なんです、私が言うのは。だから、そういうことを食いとめるためには解雇をする必要があると主張する会社はその一カ月前に都道府県知事なり労働委員会なりに届け出て、そして労働委員会が解雇を必要とせざるを得ない状況にあるかどうかの調査をし、労使の話し合いを煮詰めて、そしてその上で解雇するというような手続でもあれば、これは一つの考え方だと私は思うんですがね。そういうような考え方をとって検討されるという意向はありますかありませんか、いかですか。
○政府委員(遠藤政夫君) まあこれは自由経済のたてまえからいきますと経営権の発動に基づく解雇の自由という一方の権利があり、それに対して労働者の権利が守られる、それは基準法によって解雇が制限されている、こういうたてまえの中で、いまお話しのはこういう事態の中でできるだけ解雇を防ぎたいと、私どもはそういう範囲内で行政指導もし、法制上あるいは行政上の指導もしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○橋本敦君 その程度では、いま大臣のこの際これだけの失業問題がある非常事態として非常処置をとらねばならないという御認識と、いまの答弁とは私は若干ずれがあると思うんですよ。私は非常事態の緊急処置としてこのような緊急立法も提起するということも必要ではないかという問題意識で提起をしているわけなんですね。この点についてはあなたの御意見と私の意見とは全く食い違っていますけれども、もう少し積極的に労働者に対して不当な便乗解雇その他がなされてはならないというたてまえを厳しく貫く方向で労働省の御検討をお願いして、時間がありませんから第二の質問に移りたいと思います。
 第二は、私は労働基準局の安全衛生管理と監督行政についてお伺いをしたいと思います。
 統計局のほうは結構でございます。
○委員長(前川旦君) 総理府の統計局、退席して結構です。
○橋本敦君 まず第一に、労働安全衛生規則その他で各企業の労働者保護の安全衛生規則が非常に細かく決められているわけですが、実際、これがそのとおり守られているかどうかということを厳密に労働基準監督署は監督行政としてやる責任があると思うんですが、そのためにはその規則が守られているかどうかを厳密に判断し得る設備なり器械なり施設というものが当然要ると思うんですね。たとえば照明度の問題にいたしましても、職場の明るさというものは精密な作業では三百ルクス以上と決められている。この明るさを現場立ち入り調査あるいは労働者の要求によって監督署が行う場合に、どういう方法でこれは行うのですか、まずこの点お伺いしたいと思います。簡単に方法だけで結構です。
○政府委員(東村金之助君) 具体的な問題でございますが、安全衛生規則というのはおっしゃるとおり非常に膨大でございます。で、労働基準監督官がその現場へ行きまして、現場でいろいろの観点から問題を探求するわけでございますが、ただいま御指摘のような場合にはただ単に勘でやるわけにはいかない、それに対応する機器等を持って監督指導に臨む、こういうことでございます。
○橋本敦君 その器械の名前をおっしゃっていただきたい、明るさの場合。
○政府委員(中西正雄君) 照度につきましては、照度計をもってはかる、そんなことも必要です。
○橋本敦君 私は一つ照度計を借りてきたんですが、こういう器械ですね。これでもって明るさをテストする。ところが、この照度計がどれくらい第一線の基準監督署に備えつけられているであろうかという問題なんですよ。
 たとえば労働省からいただきました労働基準局の大阪の関係の資料によりますと、この簡易照度計が局全部で八つあります。そのうち局に三つあって、第一線の監督署には、十四監督署のうち、わずか四カ所にしか備わっていないわけですね。これでは明るさをはかるという、器械さえあればできる最も明確で簡単な監督行政さえできないのではないかということが数字上歴然なんですが、これは大阪という中小企業、大企業さまざま多種多様な産業、工場を控えた地域で十四監督署中、これを備えているのは第一線ではたった四監督署にすぎないという事実、これでいかがでしょうか、十分照度検査はできますか。
○政府委員(中西正雄君) 先生御指摘のように労働災害防止のためにいろいろ測定器が必要でございまして、ただいまの照度の測定につきましても照度計が必要でございます。特に御指摘のありました大阪労働基準局並びにその管下の各監督署におけるそれらの測定器の整備につきましては、管内の実情を考慮しましてできるだけ速やかに整備されるように努力をしているところでございますが、いま御指摘ありましたように、現状では必ずしも十分ではないと存じております。今後とも行政上の必要を考えまして一層その整備に努めてまいりたいと考えております。
○橋本敦君 この照度計が一つ幾らするか、局長御存じですか、値段。
○政府委員(中西正雄君) 照度計一個二万五千円程度で買えます。
○橋本敦君 だから、したがって大阪で十四監督署に全部備えても大した費用にならないですね。だから、いまごろこれはこれから整備するというのでは大変遅いのではないかというのが一つ。
 それからもう一つ、最近はいわゆるガスの問題、つまりいろいろな化学化合物が製品その他から製造中に排出をされますから、そういう意味でガスの検知というのは、これは非常に重要な問題になってくると思うんですね。労働大臣、私の手元にこういうものがありますが、これは何か御存じでしょうか。職安へはよく行かれたようですが。
○国務大臣(長谷川峻君) ガイガー計数器みたいなものでしょう。
○橋本敦君 ガス検知器、これをこういうふうにして、これだけでは吸い込むだけですから、この先に検知管というのをここへつけまして、それでその職場における有毒ガスを検出する、こういうことなんですね。私が調べてみますと、このガス検知器はこれはないのが十四のうちに三監督署で、その他備えられているわけです。ところが問題は、これだけあっても検査にならない、まさにこの検知管が備えられていなきゃならない、こういうことです。
 ところが、私が守口監督署の実例で調べたのによりますと、この検知管でどういう種類のガスの検出が可能かといいますと、たった二種類のガス検出可能の検知管しかないんですよ。硫化水素と塩素ガスですね、たった二種類しかないんです。これは局長いかがでしょうか、この事実御存じですか。
○政府委員(東村金之助君) 実は、私、五、六年前に大阪におったことがございまして、基準局に奉職しておりました。そのころから大阪の特殊性といいますか、いろいろ有害物、有害ガス等の問題で私自身悩んだことがございます。
 御指摘の守口の例でございますが、感知管の話だと思いますが、感知管には有効期間がございまして、各種の感知管を取りそろえまして長期保存することはできにくい状況にございますので、大阪の局の方で一括購入してその需要に応ずると、こういうことを考えております。
○橋本敦君 そういたしますとこれは問題ですよ。いま有毒ガスの検出の検知管がどれくらいあるかといいますと、これは光明理化学工業株式会社が出しているリストだけで五十種類ぐらいあるんですね、最近はいろいろな化学加合物ができますから。これを検査しなければならぬ。これだけ種類が多くて、この検知管は有効期間がありますから、一定期間を過ぎるともう機能しませんから、絶えず取りかえていかなくちゃならないということで局に備えるというんですが、たとえば大阪の場合で、言うと、守口にしろ、岸和田にしろ、東大阪にしろ、いま何か有毒ガスが発生しそうだ、あるいはある労働者がガスの影響か何かで失神状態になった、すぐ検出してほしいという要求があったときに、わざわざ大阪市内の局まで行って持っていってやらなければならぬということになるんですよ、いまおっしゃったようなことなら。そういう体制をおとりになっているなら。これはこういう方針ですか。それでいいんですか。
○政府委員(中西正雄君) いま局長から説明ございましたように、検知管については、普通の検知管ですと大体製造してから三カ月ぐらいしか有効期間がございませんので、やはり局で総合的に計画的に検知管を署に配るという必要がございます。そのためには、一般的には監督指導計画を一月前に立てまして、その計画に基づいて検知管を各署に配置するようにしているわけでございますが、先生が御指摘のような場合、急に必要になるというような場合もやっぱりございますので、そういう点につきましては、やはりその監督署も、産業構造でどういう検知管が必要かということをよくわかっているわけでございますから、そういう場合のことも考慮して、今後やはり検知管をすぐ使えるような状態にすることを考えていかなければならぬと考えております。
○橋本敦君 つまりそれも今後いま私が指摘したような問題から各署で整備をしなければならぬということになるわけですね。
 それからまだ一つありますが、じん肺問題が非常に大きな問題、あるいは鉛中毒。このじん肺、これをやっぱり適正に規制し、発見するにはどうしても要る器械があるはずですね。これは言うまでもなく目で見たってわかりませんから、そういう意味ではデジタル粉じん計というのはこれは非常に大事な器械であると思うんですが、何とこのデジタル粉じん計が大阪全管内で七つしかない。しかも局に三つあって、これを備えている監督署は、府下十四監督署のうちわずか四監督署ですよ。特に東大阪というところなどは鉄工団地ができ、零細中小企業が金属鉄鋼関係で密集し、あるいは寝屋川あたりもそうなんですが、そういうところに配置されていないですよ。局長いかがですか、このじん肺対策は労働者としても非常に力を入れるというお約束の問題ですが、こういう設備でいいのかどうか、はっきり答えてください。
○政府委員(東村金之助君) ただいまの粉じん作業の職場の測定の問題でございますが、御指摘のデジタル粉じん計を使用するわけでございますが、御指摘のように、局に三、署に四という形になっております。これは局に専門官がおりまして、この専門官が各署を広域的に測定して歩くというたてまえが一つございますので、局の方にこういう機器がキープしてあると、こういうことでございます。
○橋本敦君 それで十分ですか。
○政府委員(東村金之助君) いやそれは、粉じん職場そのものもさらにふえる可能性もございますし、それから話がちょっと横道にそれますが、粉じん問題についてはいろいろ現在検討中でございますので、そういう問題を考えまするならば、こういうものはもっと整備しなければいかぬとは考えております。
○橋本敦君 大臣も、いまのような労働情勢の中で働いている労働者の安全、生命を守ることは、これはきわめて大事なことであるということを繰り返し指摘されているのですね。ところが、大臣、監督署へも職安ばかりでなくて行ってもらわなきやならぬですね。大阪だけでこういう実態なんですね。たとえば、各監督署に全部備わっているものは何か、私は調べてみました。そうすると、一つはカメラです。これはいいです。ところが、現に爆発事故がある、あるいは労災事故がある。そういうところで、爆発事故のところに行ってカメラで写真を撮りますと、暗い職場の中で現場検証で写真を撮りますためにフラッシュをたきます。ガスが充満している可能性がありますから、普通のフラッシュでは、爆発して、監督官自体が生命が危ない。だから光爆ストロボ、つまり爆発しないストロボが要るわけですが、こういうようなストロボが全部備わっているかどうか、これはひとつ点検してもらわなければならぬ。大阪にはそれさえない。もう一つ、どこでもあるのはハンマーです。ハンマー。このテストハンマーは大阪局の中で、一つずつですけれども、備えていない監督署はない。このハンマーというものは何のために備えているか、大臣、御存じでしょうか、何にするものか。
○国務大臣(長谷川峻君) 知りません。
○橋本敦君 御存じないでしょう。私はもっと下情に通じてほしいと思うんですよ。これは何をするかと言いますと、ボイラー検査なんです。だからボイラーを外から金でたたく。ボイラーの中にもぐって、監督官が重油を抜いたボイラーの中に入って、たたいて、それでそのボイラーが、鉄が薄くなったり欠損をしたりして、爆発するおそれがないかどうかということで責任を持って判断するわけですね。これは、非常に原始的だし、監督官に大変な負担を与えますよ。ハンマーが全部にあるのはそのためなんです。一つ勘が狂ったら、よろしい、操業してよろしいと言って、勘が狂って爆発したら大変な災害になるんです。これは、私は改善しなければならない非常な大問題だと思うんですね。これを科学的に検討する、つまりハンマーというふうな勘じゃなくて、科学的に検討する器械というものがあるわけなんですね。局長、御存じでしょう。何という器械か、大阪で何台備わっているか、答えてみてください。――簡単でいいです、時間ありませんから。器械の名前と大阪にあるかどうか。
○政府委員(中西正雄君) 器械の名前は、たとえば超音波測定装置、それから磁気探傷装置というようなものがございます。
○橋本敦君 そうですね。大阪に何台ありますか。
○政府委員(中西正雄君) 大阪にも配置してございますけれども、いま数字を手元に持っておりません。――失礼しました。磁気探傷器は局に二台置いてあります。
○橋本敦君 そうですね。適用対象事業と労働者人口から言えば大変なことですが、大臣、たった二台しかないですよ、科学的に安全を確かめる器械が。驚くべきことですね。いま私は、監督官、労働者がボイラーの中に入ってたたいて検査をすると言いましたが、これは、全部脱いでパンツー枚になりまして、管内服を着て、それでたたくんですが、それでも、重油、粉じん、すすがからだに入りまして、パンツは使えないですよ。使えない。それだけ苦労しているのですね。それを一回やって労働者は幾らの危険手当がつくか、大臣、これは御存じないでしょう。――たった百七十円なんですよ、いままでパンツ一枚買ったら幾らするか、大臣、これは御存じないでしょう。私もよく知らないけれども、売店で聞いてみたら二百五十円しますよ。監督官がどれだけ犠牲を払って苦労してやっているか。これは、大臣、見てもらわなければいかぬですよ。この器械を備えなければならないですよ。
 ところで、時間がありませんので、一つ一つの器械をやれば大変なんですけれども、局長、こういった器械、災害防止のための測定機器、これの予算が四十七年度で幾らですか、六千四百九十三万ですか、昨年度で九千三百十八万、こういう程度と私は聞いておりますが、大体そのとおりで間違いございませんか。
○政府委員(東村金之助君) いまおっしゃるとおりでございますが六千四百万、それから七千五百万、九千三百万、最初に申し上げたのは四十七それから四十八、四十九の順でございます。
○橋本敦君 そこで私は言いたいのですが、まずこれだけの少ない設備予算でいま前向きに進めるとこうおっしゃったけれども、これ果たしてできるか。あくまで第一線の監督官、全労働者の犠牲によってやっているではないか、同時に十分できないではないか、五十年度予算ではこれがどれくらいになりますか。局長いかがですか、、昨年が九千三百万です。
○政府委員(東村金之助君) 五十年度予算案においては一億三千万でございます。
○橋本敦君 ごくわずかしかふえないわけですね。これは大臣いかがでしょう。いま私がお話した実態はおわかりいただいたでしょう。大臣も御存じなかった。これは安全衛生の上から見て大変だ。抜本的にせめて器械さえ備えねば話にならぬというように思われたと思うんですが、今後どのような方針で御検討なさいますか。
○政府委員(東村金之助君) ただいまいろいろお話ございました中で、私も大阪におったということは申し上げたわけですが、機器を整備する場合にそれをどう使うか、あるいはどういうふうに専門的な技能者がそれを利用するかという……
○橋本敦君 使い方は後でいいが、整備しなきゃ話にならぬじゃないですか。
○政府委員(東村金之助君) 問題もございますので、そういう問題もあわせながらおっしゃるように機器整備に関する予算少ないのでございましてまだまだ充実していかなければいかぬ、そういうふうに考えております。
○橋本敦君 それでは人員の方はどうかといいますと、時間がありませんから一つだけ指摘をいたしますけれども、大阪の守口労働基準監督署は監督官たった七名、そのうち署長が一名、一課長、二課長、実働は四名ないし五名ですよ。これでもって守口署管内の適用は寝屋川市を含めて何と事業総数一万九千三百六十三、これはまさに労働基準監督局の調査です。労働者はこれは全部一巡にテストし監視するには十年かかるという言ってますよ。ところで、この基準監督官の定員をもっと増大しなければこれまたいけないということが課題ですが、この点について定員削減という総定員削減の枠の中で、削減しようという政府の意向があることに対して、労働大臣はどうなさいますか。大臣答えてほしいんでくけれどもね。
○政府委員(東村金之助君) ただいまお話ございましたように、いまの守口でございますか等につきましては、特に監督官の配置の問題と事業場の増大している問題が非常にアンバランスになっている。したがいまして、そういう問題が集中的に出てくるわけでございまして、これは何も守口に限らない問題だと思います。そういう問題がございますので、まあせめて現状をどうするかということで、問題を重点的にとらえて集中的にやるとかいろいろ監督技法ございますが、ただ、さはさりながらやはり増員という問題が必要になるということは御指摘のとおりでございます。私ども人間の問題、増員の問題非常に問題のあります中で五十年度におきましても定員削減というものが一方にございますが、労働基準監督官三十名、地方労働衛生専門官二十九名、地方産業安全専門官二十九名等々の増員に努めたところでございます。
○橋本敦君 全国的に見ると、それだけではとても足らないということは明白ですよね。
 それからもう一つ問題なのが、この監督官の給与支払いは労働省一般事計から出ていますか。それとも労災特別勘定から出ていますか。
○政府委員(東村金之助君) それは両方から出ているわけでございます。一般と特会と両方から出ている姿でございます。
○橋本敦君 どっちが多いですか、率は。労災勘定がはるかに多いでしょう。
 もう時間がありませんからどっちが多いかだけ言ってください。
○説明員(倉橋義定君) 監督官だけの計数を持っておりませんが、基準関係の職員につきましては、一般会計と特別会計とがほぼ半々になっています。
○橋本敦君 私は直接安全衛生の監督を担当する監督官について聞いておるんですよ。わかりませんか。監督官
○説明員(倉橋義定君) 労働基準監督署の一般会計職員につきましては、千四百九十九名が一般会計支弁でございまして、特会につきましては六百五十六名ということになっております。
○橋本敦君 要するにこういうことなんですよ。労災保険の基金がかなりありますから、労働省の労働基準監督安全衛生対策はその基金を特別勘定として使用するということが認められている。それはいいですよ。したがって、労働基準監督官というのは国の一般会計予算から定員と人員ときめて、それで制約するということに必ずしもなっていないんですよ。いいですか。だから、したがって国の総定員法に基づく国家の一般財政のそれぞれの一般会計の人件費削減ということと趣旨が違ってくるから、労災勘定があるんですからいわゆる総定員法の削減だけで削減するというのは筋が通らぬということです。この点大臣ははっきり踏まえて増員をやってほしい。
 そういうことで最後に一言伺いますが、こういう問題を踏まえまして、大阪の労働基準審議会から昨年長谷川労働大臣あてに、こういった監督官の人員削減をしないように、化学産業、鉱工業の多様化に伴う安全衛生対策として設備その他をぜひ充実してほしいという意見書が提出されておりますが、これはお読みいただいたと思いますが、今後どうなされるか、最後に一言大臣の御所見を承って私の質問を終わります。
○国務大臣(長谷川峻君) 前段に労働省のいろんな行政、細部にわたっていろいろ精査していただいてありがとうございます。
 いまお読みいただいた大阪の労働基博審議会よりの私あての要望書は、私拝見しております。その他の地方からもそういう要望書がありましたので、定員削減に当たりましても、私はいまの労働行政は雇用調査交付金の問題を初め雇用不安定のときであるから、第一線行政が非常に私の方は厳しいものがある。そういうことからして、ほかの役所と違って定員削減はやらないでくれということを終始主張し、それらの多少のあらわれが、先ほど局長が御答弁したように三十五名もふえたというふうなかっこうでありますが、なおさらに機器の問題等々大事なことですから、前向きにひとつ考えてみたい、こう思っております。
○橋本敦君 じゃ終わります。
○田渕哲也君 私は社内預金の問題について少し質問をしたいと思います。
 労働省は、一月二十二日に九百六十五事業場を対象に行った社内預金の実態調査結果について発表しております。その調査による社内預金の状況及び監督指導結果について、まず簡単に説明していただきたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) その前提となりまする社内預金の現状をちょっと触れさせていただきますが、昭和四十九年三月末現在預金管理実施をしております事業場は約四万五千でございます。それから預金の総額は約二兆一千三百億でございます。
 こういう預金をしている際にいろいろ問題が起こりますので、私どもとしてはそれを保全する意味におきましていろいろの指導をしております。その指導の内容をかいつまんで申し上げますと、金融機関による保証と、それから質権を設定する。預金者を受益者とする信託契約を結ぶようにする。それから労使の代表で構成する保全機関をつくらせる。かように相考えているわけでございます。
 先般監督指導を実施いたしましたが、それはこういう景況の中で万が一社内預金の問題が問題になるといけないからというので、いわば先取り的に監督指導を実施した次第でございます。その結果労働基準法十八条という法律に社内預金の問題が規定されておりますが、これに対する違反並びにいまちょっと申し上げましたいろいろの指導をしておりますが、その指導指針に対する違反等々が把握された次第でございます。
○田渕哲也君 この調査結果によりますと、この社内預金の状況の中で、昭和四十九年度の夏期賞与一時金から社内預金への承け入れを特に勧奨したものが、四八・二%、同じく年末賞与一時金から予定するものが四九・六%、このようになっておるわけです。ところがこの年末の実態は、いわゆる不況あるいは資金難にかんがみまして、企業が従業員に対して半ば強制的に預け入れをさせる、あるいは中には数ヵ月引き出しを凍結する、このようなケースも見られたわけでありますけれどもこの年末の状況について、労働省はどのように把握しておられますか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございました四十九年夏の問題と、四十九年は冬の賞与の予定でございます。で、その予定が実際にどう実施されたか、そこまでは現在のところフォローしておりません。
○田渕哲也君 社内預金は、先ほど報告されましたように昭和四十九年の三月末現在で四万五千二百四十七事業場で実施しております。さらに、五百八十万人の労働者が預金をしておる。そして領金総額が、先ほどの報告のように二兆一千三百億円、非常に巨額に達しておるわけです。そしてこれは、この指導基準である基本通達が出された昭和四十一年に比べますと、実に二・五倍というふうに膨張しておるわけです。特にこの最近の伸び率というものが非常に大幅になっておる。これは一面によれば、資金繰り上企業が安易にこの社内預金に依存しておるという傾向があるのではないかと思いますが、最近のこの伸びの状況についてどう考えておられますか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) 実はこの社内預金の問題につきましては、いろいろの角度から問題になって取り上げられているわけでございますが、私どもの方の審議会等におきましても、その問題が提起されました。
 確かにおっしゃるように、資金繰りを補充するといいますか、それをゆるめるといいますか、そういうことを考えることもあるでしょうし、あるいはやはり労働者の福祉、労働者の利便ということを考えて社内預金をやるというところもあると思いますが、いずれにいたしましても、これは労使が協定をするという前提と、労働者個人個人の意思によってやるという縛りがございますので、その限りにおいてはやはり労働者にとっては弊害の起こらないような仕組みにはなっております。
 ただ、先ほど勧奨の問題等ございまして、こういう時期には特に経営者の方から何か強制的なムードのものがあるんではないだろうかというお話がございましたが、そういうことが出るとそれは大変でございますので、私どももただいま申し上げました二つの原則が守られるように監督指導していくと、こういう立場でございます。
○田渕哲也君 ところが先ほどの調査結果では、労働基準法に違反しておるものが実に二九・一%、さらに指導基準に違反しておるものが五四・六%、きわめてその管理がずさんであるという結果が明らかになったわけです。しかも、この調査の対象はわずか九百六十五事業場、全体のたった二%について調査したわけですね。それだけでこれだけの結果が出ておるわけですけれども、こういう面から考えて、労働者の保護あるいは預金保全の面から、この指導基準の強化あるいはそれを完全に守らせるように、もっと指導監督の強化が必要だと思いますけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございましたように、労働基準法十八条の違反をしているのが二九・一%、指導基準を違反しているのが五四・六%、御指摘のとおりでございますが、その内容をごらんいただきますると、いわば形式的なものまで含めまして、違反をしているということが挙げられて、その結果がいま申し上げたような数字でございます。しかし、形式的なことといいましても、それはひいては問題が発生するので、われわれはこれは断固、監督指導というものを強化していかなければいけませんが、そういう数字であるということをひとつお断りしたいと思います。
 それから通達に違背するような問題について指導通達を変える方がいいのか、それとも指導をさらに強化して守らせるようにするのがいいのか、御指摘ございましたが、この姿をごらんになっておわかりになりますように、指導通達自身を守れない、守っていないという数字がこのように多いわけでございますので、われわれとしては指導通達を変えるというのではなくて、指導通達そのものをもう少し徹底的に守らせるという方向で進んでいきたい、かように考えております。
○田渕哲也君 ところが、調査結果がこのように労働基準法並びに指導通達に違反しているものがきわめて多いということは、いままでの指導監督が不十分であった、こういうことになろうかと思いますが、この点はどうなんですか。
○政府委員(東村金之助君) いま申し上げたことを別の観点から申し上げるような形になりますが、労働基準法十八条といいますのは、いろいろ書いてございますが、要するに労働者が引き出したいときには引き出せるようにというのが本来の趣旨でございまして、それ自身に非常に多くの違反があるというわけではございません。
 それから指導通達はあくまでも指導通達でございますので、強権をもってこれを改善するというのはなかなか困難でございます。しかしながら、賃金不払い等の例もございまするので、先手先手と手を打ちながらやっていかなければいかぬ、そういうふうに考えたがゆえに、今回このような調査をいたしまして、その結果に基づきまして事前に全国の局並びに署に指示をしたと、こういうことでございます。
○田渕哲也君 確かにこの調査の結果では、たとえば、貯蓄を強制しておるものはきわめて低いパーセンテジになっております、合計一・二%。ところが実際には社内預金の中には、明らかに強制しておるとは言えないまでも、ある程度精神的に強制されておる部分が非常に多いと思うんです。たとえば、一時金を払う場合でも、それは社内預金に全部一応一時入れさせる、そしてその引き出しについては何となく引き出しにくい、特に管理職についてはかなり会社が半強制的にやるという事例もあるわけです。したがって、形式的に調査した結果が強制がパーセンテージが少ないからというので、私は安心すべきじゃないと思います。こういう点まで考えた場合、私はそれだけにこの預金の保全という面で、これはきわめてルーズな結果があらわれておるわけでありますけれども、特に最近不況のため企業倒産がふえておるわけです。昨年一年間で負債総額一千万円以上の倒産企業が、一万一千六百八十一件もあるわけです。そしてこれらの企業にそれぞれの社内預金がかなり存在しておったと思いますけれども、これらが一体どう扱われたのか、あるいはこの保全措置はどうであったか、その実態について調べておられますか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘のございました負債一千万円以上の倒産企業、そういう倒産企業の中でどの程度社内預金が行われていたかという資料は、率直のところございません。ただ、倒産時において社内預金が返還できるとかできないとか、いろいろ問題になった主な例といたしましては日本熱学、阪本紡績などがございます。これは日本熱学の例でいいますと貯蓄金管理協定届け、つまりこれは労働基準法十八条の問題でございますが、そういう届け出をせずに、社内預金制度を実施していたと、それから阪本紡績の方は保全措置の一つとして考えております質権を設定するという問題がございますが、その協定はできておりましたが、実際に質権の設定等の保全措置がなされていなかったというものでございます。いずれにいたしましても、そういう例をひっくるめまして私どもは倒産時等については特に神経を鋭敏にいたしまして、不払いの問題、社内預金の問題等々を監督指導をしておりまして、昨年九月末現在の返還ができなかったという事件は、件数で六件、金額で約三百万円、こういうことになっております。
○田渕哲也君 それは昨年一年間の数字ですか。
○政府委員(東村金之助君) 昨年九月末現在でございます。
○田渕哲也君 現実にその社内預金の保全が行われない事例も起こってきておるわけです。したがって私はこの保全の方法についても、これは調査結果をきわめて満足すべきものではないと思うんですよね。今後これについてどういう具体的措置をとられるのか。ただ単に抽象的に指導強化をするというだけでは非常に抽象的だと思いますけれども、具体的にどういう措置をとられるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(東村金之助君) 指導基準そのものの内容はいろいろございますが、これは疑いの余地のないようなはっきりしたものでございます。そこで具体的にこういういわばずさんの姿が出てきたという御指摘でございますが、これをどう直していくかと、一つにはやはり監督官が実際に監督するために事業場へ行った際にこの問題を指摘し、指導をしてくると、一つにはこういう問題が起こりがちな業界等を集合いたしまして、それに対して監督指導を行うと、さらには協定届け等が監督署の窓口に出される際に、その辺のいろいろのこういう問題が出ていることをよく周知徹底させる等々によって自治体の監督、実際の指導基準が守られるようにしていきたいと、かように考えておるわけです。
○田渕哲也君 それから、私は社内預金のもう一つの問題点があろうと思うんです。それは先ほどよく言われる預金の目減りの問題ですね。一般預金についてもこの目減りの問題が非常に大きな課題となっておるわけでありまして、しかもこれはやはり社会的不公正の一つだというふうに言われているわけですが、この社内預金の場合もこれは労働者がかせいだ賃金の中の一部を会社に預ける、
 そしてこのようにインフレがどんどん進むようなときには預金の目減りでその損害は労働者が受ける。それで企業はどうしておるかというと、その資金を運転資金にしたりあるいは、銀行から借金の担保などにして運用しておる。言うならば企業が、このインフレによる目減り分の逆の意味でメリットが出てくると、これに対して私は何も手をこまねいて放置しておるというのはおかしいと思うんですよ。この点いかかですか。
○政府委員(東村金之助君) 御指摘の貯金の目減り問題でございますが、これはもちろん労働者の生活あるいは社内預金者の生活にとって大きな問題でございますので、重大な関心を持っておるわけでございますが、これは何といたしましても物価そのものを抑制していくという大前提がないと、目減りをどうする、あるいは技術的にこうするという問題だけでは片づきませんし、まして社内預金制度そのものだけ取り出してというわけにもいきませんので、私どもは何とかして物価上昇がとまるようにと、目減り問題がなくなるような前提ができるようにということを考えておるわけでございます。御質問にストレートのお答えにはなりませんが、さような考えでございます。
○田渕哲也君 一般の利率の問題ですと、利率体系あるいは金融体系の問題ですから簡単に手を触れられない。それから利害関係者も非常に複雑だということになるわけですけれども、企業内預金の場合は、預けておる方がその企業に働いている労働者である。借りておる方はその企業である。きわめて簡単なんですね。だからこういう場合に特定して、私は比較的預金の目減りに対する保障と言いますか、そういうものは考えやすいのではないかと思いますが、この点いかがですか。
○政府委員(東村金之助君) その点につきましては、確かに個々の企業の中における労使の問題であると言えばそういうことでございましょうが、やはりこれが一般の金利体系との関係が起こってくると思うんです。現に私どもの法律では最低を年六%に抑えるという規定もございますし、上限についても一応の基準を示してそれを指導しているわけでございます。つまり一般の金利体系とのやはり問題があると同時にあまり高い金利を個々の企業ないしは労使間に任せておくと、いざというときに問題が起こるというのが私どもの観点でまあ心配性かもしれませんが、限界的は企業のことを考えるとそういう配慮が必要じゃないかと、こういうことでございます。
○田渕哲也君 私がいま申し上げておるのは、一般的に金利を引き上げろという意味じゃなくて、こういうインフレのひどいときには預金の目減りに対する何らかの措置を社内預金に限ってとれないものか、例外的にですよ、これは。いつもこんな物価が上がったら困るわけです。そういう点でお伺いしているわけです。
○政府委員(東村金之助君) この金利の問題、実は私どもがどうしようこうしようと、こうせよという問題ではございませんで、最低を年六%と法律では抑えているだけでございまして、上の方につきましては、さっき申し上げました指導基準的なことで指導をしているという姿でございますから、それを上げるとか、これでは足らないとか言う立場にはございません。で、なぜそういう指導的なもので上限を考えているかと言いますと、やはり労働者がいざというときに社内預金が引き出せなくなっちゃった、非常に膨大になっちゃって引き出せなくなっちゃったということを心配するがゆえにやはり上限についても指導をする必要がある。これはやはりこういうインフレのときでも、あるいは考えようによっては企業倒産というものがかなり問題になっているときはますますそういう配慮が必要ではないかと、これは一方の立場、一つの側面ではございますが、そのように考えております。
○田渕哲也君 金利の上限が、指導基準によりまして、「最高が貸付信託(五年もの)の年利七分三厘七毛であることに留意の上、高利率の排除に努めること。」こういう文言があるわけです。そして去年の六月に一年間の暫定措置として上限利率を八・五二%に引き上げております。この根拠は何ですか。
○政府委員(東村金之助君) それは昨年六月十五日暫定的に金利を調整する措置を講じまして、最高利率を八・五二%にしたということを御指摘だと思いますが、貸付信託五年ものの金利水準を一応考慮したわけでございます。
○田渕哲也君 そうすると、現在の貸付信託の五年ものの金利は九・〇二%というふうになっておるわけです。そうするとこの八・五二をさらに九・〇二まで上げる必要があると思うんですが、この点はどうですか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘がございましたが、八・五二%を暫定的に一年間を限って指導基準として認めるということでございまして、それが、その基準が九・〇二%に上がったと、したがって指導基準をそこへスライドさせてはどうかという御指摘だと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、われわれとしてはマイルドな、何と言いますか、適正なやはり利率というものが問題であって、最低はもちろん必要ですが、上をどんどんどん上げるということについては、やはり労働者がいざというときに困らないようにと、そういう、倒産をするような企業等においてそういうことで利子を高くしてどんどん預金を集めていざというときに不払いだというようなことがないようにということをもっぱら念じているわけで、そういう観点からやはりいま申し上げましたように暫定的にいまのような八・五二%を指導基準として採用したと、したがってそれ以上スライドさせるということは現在のところ考えておりません。
○田渕哲也君 しかし、一応貸付信託の五年ものの金利が基準になっているわけでしょう。そうすると、こっちの方がどんどん上がっている、一般金利が上がっているわけです。それに社内預金の金利だけ八・五二で押えるというのは私は不自然だと思うんですがね。
○政府委員(東村金之助君) 繰り返しになって恐縮でございますが、そういう利率同士の比較ではそういうことになるかとも思いますが、そういう利率でどうしても労働者がそこに貯金したければいかぬという義務があれば、まあそういうこともあるでしょうが、そうでございませんので、自由でございますから、高い金利が必要ならばそちらへいくと、便利でしかも安全であるというような観点からの判断があれば社内預金へいくというふうにならざるを得ないと思いますが……。
○田渕哲也君 最後に労働大臣にお伺いしたいわけですけれども、この社内預金というものはいわゆるさまざまな問題を含んでおるわけです。今後の社内預金に対する基本的な考え方をお伺いしたいんです。こういうものをふやしていくのが望ましいのか望ましくないのか。
○国務大臣(長谷川峻君) 私は社内預金は労使で話し合ってやってもらっているということ、やはり、日本は特に御承知のように企業別労働組合でございますから、そういう意味で自分の会社の経営に自分もある意味では参加もし、そして一緒にやっていく姿がこういうものが生まれてきたと。そこでやはり先ほどから言われたように、保全措置に対して私たちのほうは監督指導をしていく。去年ですか、日本熱学が倒産しましたね、大阪の労働基準局がいち早く発動しまして、まず賃金を全部払わせるように一あれだけの膨大な破産でございます――その次には社内預金を全部返還させたと、こういうふうな素早い措置というものは非常によかった。それ以来というものは私は社内預金の問題については注目しているわけです。ただいま阪本紡績の話が出ましたが、そういうときでもやっぱり払わせると、こんな措置をとれるということ。そして同時に、いま報告のありましたように昨年の九月まででございますけれども、三百万ぐらいで済んでいるということからしますと、私たちはまず第一に保全措置を考えていく、労使の問題であるということ。それから一番大事なことは、何といっても私は物価をちゃんと一定の水準に、今年なら三月末消費者物価一五%以内といったものを実現させることが、ある場合には目減りを将来に不安をなくすゆえんじゃなかろうか。こんなことで、いまから先も守られるような形において行政指導してまいりたいと、こう思っております。
○田渕哲也君 時間もありませんので、最後に一つだけお伺いしますが、基本的にはこれは労使できめるべきものだと思います。そうすると、目減り補償についてこれもやっぱり労使で話し合って合意すれば、それは構わないということですか。
○政府委員(東村金之助君) 目減り補償をどういう形でするか、これは問題だと思いますが、私どもといたしましては、やはり上の基準をこういうふうにするんですという指導基準をつくっておりまして、これは審議会等でもいろいろお諮り、御検討願った結果として地方に指示しておりますので、指導基準であって法的規制ではないと言われればそれまででごがいますが、できるだけその線に従ってもらいたいということを申し上げる以外にはちょっと申し上げることはございません。
○田渕哲也君 私はそこでちょっと矛盾があると思うんですがね。基本的には労使で話し合って合意すればいい。現実にはインフレで労働者側が目減りで損をしておる。その分企業が丸々もうかっているかどうかわかりませんけれども、ある程度メリットを得ている。労使で話し合って目減り補償で特別に金利を上げると、そういうのが行われてこそ私は社会的公正ということになると思いますが、いかがですか。
○政府委員(東村金之助君) 先ほど申し上げましたように、目減り補償の仕方でございますが、利子そのものを上げるのか、別の観点から補償するのか、その辺ちょっとわかりませんのでいま申し上げたようなことを申し上げたわけで、利子そのものはやはり長期に続くものでございますので、そういうものについては指導基準を守ってほしいと、こういうことでございます。
○田渕哲也君 別の観点というのはたとえばどうういうものですか。
○政府委員(東村金之助君) 利子以外で何かお考えがあるならばこれはまた――具体的によくわかりませんけれども、それは別であって、いまここで問題にしているのは、社内預金の金利の問題あるいは社内預金の手続の問題、保全の問題でございますから、それは法律ないしは指導基準を守っていただきたいと、こういうことでございます。
○田渕哲也君 利子以外のものというのはよくわからないんですが、やっぱり社内預金にかかわって損得が出ておるわけですね。だから、利子以外のもので、たとえば一時金を出すとか、そういうものとはちょっと性格が違うんじゃないかと思うんです。だから、この目減りの問題について労使で話し合って、社内預金の問題についてこうしようじゃないかということが自主的にきまれば、それは認めるべきだと思いますが、どうですか。
○政府委員(東村金之助君) 同じことを繰り返して恐縮でございますが、指導基準でございまするので認めるとか認めないとかいうのではございません。そういう指導をわれわれはいたしまするので、一般論でございますが、その指導基準に従うようにということを指導していると、こういうことでございます。
○田渕哲也君 それは労使で合意すればやっても差し支えないという意味ですね。
○政府委員(東村金之助君) またこれ繰り返しで、私どものほうは法に違反しているかどうかということが、いわゆる監督の、まあ強権を持ってやる仕事でございまして、それ以上は指導の問題でございます。指導の問題とは別に、労使がその指導基準を上回るようなものをやったという場合、その指導に従ってくださいと言う以外にはこれは手はないわけでございまして、それを認めるとか認めないとかじゃございません。繰り返すようでございますが、指導基準に従ってもらいたいということを申し上げる以外にはないと思います。
○田渕哲也君 私が、言おうとしていることは、そういうときに、預金の目減りについて労使が話し合って相互にそれを補償しようというのに、労働省が指導基準に従ってやってくださいと言うことは、それはいけませんということです。守る守らないは自由にしても、それはいけませんということですよ。その姿勢がおかしいんじゃないかということを言っているわけです。
○政府委員(東村金之助君) そういうお話になりますと、繰り返しになって恐縮でございますが、やはり、全体的に見て金利水準はそう高くないほうが結局のところ個々の労働者にとってよろしいんだという基本的な問題がございますので、そういう問題を前提にしておやりになるということを、労働省がそこへ入っていってどうこう言うつもりはございませんが、いま言ったような基本線がこの指導基準の前提にあるということを御承知おき願いたいと思うんです。
○田渕哲也君 いま言われるのは一般論でありまして、一般的に、その金利があまり高くなるとやっぱり私企業のほうは困るし、それがはね返って労働者が困る。一般論です。いま異常なインフレ下にあるわけで、その中で特別の措置として預金の目減り措置を講ずことがいいのか悪いのかはっきり言ってほしいと思うんです。大臣、いかがですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 金融の問題はあまり得手じゃないものですから、ひとつ局長のほうにお願いします。
○政府委員(東村金之助君) いまのお話の具体的な姿はわかりませんのであれですが、社内預金の中にもいろいろな利率をとっているものがございます。その利率のとり方等については労使がやるわけでございますが、その労使がやったものをわれわれが指導基準に合っているかどうかということを考えて指導するわけでございいます。労使がこれは全く問題がないというのを、しかも暫定的であるというのを、わざわざわれわれが行ってこれはやめろやめろと言うつもりはございませんし、私どもは基本的なことを、一般的なことを申し上げているわけでございます。そういうわけでございます。
○田渕哲也君 わかりました。
 終わります。
○野末陳平君 まず文部省に聞きますが、最近、大学卒業見込み者の採用の内定取り消しあるいは自宅待機、そういうのなどが新聞にも出ております。そういうとばっちりをどのくらいの大学生が受けているかという、この実態ですが、私大連が先ごろ発表しておりますが、それとは別に、文部当局はもっと幅広くつかんでおられると、そう思うんです。ですから、これまでどのくらいの企業が内定取り消しあるいは自宅待機などをやったか、そしてその飛ばっちりを受けている大学生はどのくらいの数いるか。これはごく大ざっぱでけっこうですが、学校別でなく、大ざっぱなところを文部省にまず……。
○説明員(十文字孝夫君) 私どもが、大学関係団体八つございます、私大連盟のほかに国立大学協会とか私立大学協会とかいろいろございますが、全部で八つの大学団体がございまして、そこを通じまして調査を依頼しまして、その結果をまとめましたところによりますれば、二月の二十五日現在で六十六の大学で二百二十二名、それから三十六の短期大学で五十七名。合わせまして百二の大学、短期大学におきまして二百七十九名の学生が採用内定の取り消しを受けております。
 それから、自宅待機といいますか、企業からしばらく待ってくれというふうに通知を受けております、自宅待機の措置の通知を受けております学生は大学、短大合わせまして百七十七校でございまして、これは千五百三名ということでございます。
○野末陳平君 企業名、企業数はわかりませんか。
○説明員(十文字孝夫君) ちょっと私のほうではは……。
○野末陳平君 労働省のほうではどんなものでしょうか。これについては独自の調査なりあるいはデータが集まっておりますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、私どものほうは職業安定法上も大学卒業生については大学当局が職業安定機関を代行することになっております。したがいまして、文部省同様、大学当局からの結果報告以外に独自の調査は持ち合わせておりません。
○野末陳平君 そこで、自宅待機の場合はまずおきまして、取り消しというケースなんですが、非非常に補償とかそのやり方、取り消しの通知の仕方が非常にまちまちなんです。ですからここでいわゆる採用内定ということを言われた人間の身分というものをはっきりさせなければいけない、こう思うわけです。何しろ青田刈りでもって七月ぐらいにはまあ大体内定する。そして今度取り消されたのは大体十二月ごろ、これじゃ身の振り方も考えられませんし、ですからここで内定ということは労働省の見解でここで雇用契約が成立しているかどうか、その辺のことをちょっと説明していただきたい。
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生がおっしゃいましたように、採用内定のパターンというものが決まっているわけではございません。いろいろな形で採用内定がやられております。したがって、労働契約が成立しているかどうかという問題は個々具体的に判断しなければいけないわけでございまして、その採用内定通知書を受け取った学生と発した会社の中でどういう採用内定の通知をしたときに労働契約が成立するかというのは裁判例とか何かいろいろございます。たとえば学生の方で念書を出したり、保証人を立てたり、ほかのところへ行きませんという誓約書をつくったり、あるいは指定日が採用内定書に書かれたり、そうなりますと大体労働契約が成立するというのに近くなると思うのです。もしそうではなくて非常に一般的に、非常に抽象的でございますと労働契約が成立するというところまではまだ熟していかないという問題が出てくるわけでございます。いずれにいたしましても、それは具体的に判断しなければいけませんが、もしそういうふうに具体的に判断をいたしまして労働契約が成立しているというふうになりますると、その限りにおいてこれは労働契約による労働者になりますので、それを取り消すということになりますと、まあ言葉が悪いわけですが、法律用語で言えば解雇になるわけです。解雇になりますと労働基準法の上では解雇予告手当ないしは解雇の予告ということが必要になってまいります。
 それからもう一つは、労働基準法上の問題ではございません。裁判上の問題でございますが、このごろよく裁判所で出るものに解雇権の乱用の法理という、解雇権を乱用してはいけない、乱用の法理という観点からその採用の内定の取り消し、つまり解雇は無効であるというような場合も出てまいるかとも思います。いろいろ前提がございますが、以上でございます。
○野末陳平君 そうしますと、とにかく内定したからということでいまの解雇権を乱用したという見方は成り立たないということになりますね。それはまあ、労働契約の成立について非常に微妙だと思います。
 そこで、それならば、この間の衆議院のほうでは法制局の見解で例の期待権ということが出てきましたけれども、労働基準法とは別に、この期待権の侵害という点から見て、労働省はこれをどういうふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございましたように、法制局のほうでお話がありましたとおり、採用内定者が内定の取り消しによって不法行為制度上の保護、つまり民法で規定しております不法行為制度上の保護に値するような利益、これを仮に期待権と呼んだのだと思うわけですが、それを侵害されたと認められる場合には損害賠償の責任が問題となる余地はございます。ただ、これは具体的には裁判所等における問題になるかとも思います。
○野末陳平君 そうしますと、一般に内定取り消しといわれても非常に個々のケースによって判断も違うし、労働省の枠から出るという場合もあるようですから一概に結論めいたことは出ないんだろうと思いますが、ただ具体的な学生の立場になって今度考えてきますと、たとえば私の知っているところでも見舞い金をもらっている例があるんですが、わずかなものです。
 で、文部省についでにお聞きしますが、全国的にも迷惑料とか見舞い金と称して、これで終わりにされたというような例が大分私大連などでも出ていました。文部当局でこの迷惑料、見舞い金についてはどのような金額あるいは件教をつかんでおられるか、それを説明してください。
○説明員(十文字孝夫君) 私どもも全体にわたりまして実態を把握できているわけではございません。ただ、私立大学連盟とか私立短期大学協会とかそういうところでお聞きしているところでは大体十万円ないし二十万円ぐらいの迷惑料を払っているケースもあるというふうに聞いております。
○野末陳平君 それは少ない方ですか。少ないですか、件数は。
○説明員(十文字孝夫君) 比較的、これは全体を調べたわけではございませんのでわかりませんですが、一応具体的に聞いております件数としては十件ぐらいのものでございます。
○野末陳平君 全国でね。
○説明員(十文字孝夫君) はい。
○野末陳平君 そこで労働省にお伺いしますが、迷惑料ないしは見舞い金と称されているこの十万円か二十万円の金の性格といいますか、これはどういうふうに労働省は考えておられますか。
○政府委員(東村金之助君) 先ほど申し上げましたように、これが私申し上げました不法行為制度上保護に値する利益、つまり期待権を侵害したと認められて支払われた損害賠償の一環である見舞い金かあるいは迷惑料かということでございますが、これは非常に具体的なケースになると思いますので何とも申し上げられませんが、ただ、こういう一つの論理、ロジック、損害賠償責任が生ずる余地があるという考え方が出てまいりましたので、あるいは迷惑料、見舞い金という形でこういうお金を払っているんではないだろうか。性格はちょっとはっきりいたしませんが、そのように考えております。
○野末陳平君 そうしますと、企業が内定取り消しを通告して見舞い金ないしは迷惑料を払うということは、これは好ましいことですか。それともこれはやはりちょっと問題があるので、いま期待権の侵害という点について払ったんだという見解のようでしたが、労働省側としては、さっき言ったように雇用契約が成立しているか成立していないか微妙なわけですが、どうでしょうか、企業がこれで済ませてしまうということは、私のほうもら考えますと非常に一方的な取り消しを正当化することになりまして、このぐらいの金を積めば済んでしまうんだという、これで企業責任は終わりだということで、何か悪い慣例になるような気がしまして、労働省がこれを黙認するといいますか、あるいはやむを得ないだろうというような形で受け取るのはちょっと好ましくないように思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(東村金之助君) 基本的には、冒頭先生おっしゃいましたように、採用内定ということがあったならば、やはり採用する方向で問題を処理するというのが本筋だと思います。こういう損害賠償の責任が生ずるかどうかという、限界的な御質問があった場合には、それは限界的にはこういうふうになるんだというふうに答弁がなされ、法律の筋としてはそうだということでございまして、だから、これが大いに奨励すべきもんだというふうには私どもは考えないわけです。
○野末陳平君 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、やはりいろんなケースがあるから、こうせい、ああせいと言うことはできないかもしれませんが、少なくもこの採用内定者というものが、いまのところ法的にどんな保護を受けるのか、身分保護のルールというものが全然ないわけですね、ですから迷惑料で、これでいいのか、あるいはそんなこともなしに取り消されるのもある。いずれにしても、この内定者に対して労働契約が成立していないとしても、やはり身分保護という点で、何らかのルールを労働省が早く打ち立てないと、これはまあこれからの問題もありますが、目先どうしたらいいかと、さっきも――かなりの人数になります、これからもふえていくと思うんですが、どうでしょうか、大臣、この身分保護について、何らかの見解……。
○国務大臣(長谷川峻君) 私は、その見舞い料の話は初めて聞きましたが、これは非常に大事な問題だと思っているんですよ。とにかく四年間なり、何年間なり、高等学校出たり、中学校出たり、大学を出まして、そして七月ぐらいに入社試験受けて、あなたのおっしゃるとおり、いよいよ四月からでもその会社に初めて入ると、自分の学問と自分の体を、その会社で一生懸命ぶつかっていこうと、こう思っているときに、それを簡単に内定取り消しなどと、これは人生に対する私は非常な打撃になるだろうとこう思いますから、私はその採用内定取り消しを撤回してもうら運動をしているんです、撤回してもらう。そこで国会で、あるいは新聞にそんな話が出るもんですから、労働省の姿勢が出、ある場合には経営者の団体も私と一緒になってそういう声明などを出しておりますから、撤回したところもあるんです、それから知事さんが今度は一生懸命になりまして、県知事などにも私の方から指令出しておりますから、県知事が一生懸命になって、ある地方では全部その撤回をしてもらったところがある。そういう意味で、私はいまから先も、いろんな――一つ一つの企業がわからないのは、大学の学生というのは、自分で試験を受けに行って労働省の職安の機関を通じていませんからわからないです。しかしながら、わかったところ、そういうにおいのあるところは、気のついたところには、私の万からそういう申し入れなどをして、ぜひ、ひとつ採用してもらいたいということを申し上げて、そんなことがいま効果を発揮して、その間に、雇用関係の契約というのは、それぞれそのときの入社試験のときの書式の問題とか、いろんな面談のときの話し合いの問題で、なかなか雇用契約がはっきりしてないという血があるだけに、行政的に指導をして、それの身分の保全を図っていくと、こういう姿でございます。
○野末陳平君 いま、非常に、その内定取り消された学生にとっては非常にありがたいことばだと思うんですが、ちょっと、十分理解できなかったところがあるんです。この撤回ですね、取り消しを撤回するようにというのは、労働省の行政指導として各企業にこう通達されているものか、大臣個人の努力ないしはコネのある範囲でそれをやられているのか、それ、どちらなんでしょうか。
○政府委員(遠藤政夫君) いま大臣からお答えございましたように、中卒、高卒と大学卒業では若干事情が違いまして、中卒、高卒につきましては、これはもう御承知のように、いわゆる金の卵と、言われているほど求人がはるかに上回っておりますので、こういう取り消しがありましても、それを上回るような条件の企業に就職ということが十分可能でございます。したがいまして、そういう指導によりまして、これはほとんど問題が起こっておりません。大学卒につきましては、これは個別に、職業安定機関を通ずることは事実上不可能でございますので、私どもは各業種団体に呼びかけると同時に、各都道府県知事にそういう指令をいたしまして、そういう指導によって、ないしは新聞等による大臣の警告によって、採用取り消しが行われたのを、さらにもう一遍取り消して採用してもらうようにという呼びかけをいたしておりますし、具体的な、それぞれの地域でそういった運動を起こしまして、具体的にそういう事例が出てきておる、こういうことでございます。
○野末陳平君 それでわかりました。そちらからいろいろ、二、三のいただいた書類がありますけれども、たとえば採用内定取り消しの法律上の問題について、云々とか、いろいろありました、そのことですね、大臣。そうしますと、やっぱり大学生のその採用内定取り消しを撤回させるところまで、企業に強い指導が行き渡っているというところではないように思いますね、現実には。それで企業のほうですがね、いま当然求められているのは、結局、企業が採用内定したものはやはり就職させろということだと思うんです、端的に言えばば。ところが、その企業のやり方が、その取り消しあるいは自宅待機に至るプロセスすら非常にいいかげんなんですね、もうそもそも人事計画がいいかげんでこういうことも起きたんでしょう。しかし、今度は、取り消すか、自宅待機にするか、これもまたいいかげんでして、実例を、占いますと、これは慶応の卒業見込み者ですが、Pという会社ですが、これは四十九年の七月に内定してまして、今度十一月の時点で、新聞に全員自宅待機という報道が出ているのを、新聞で知るんですよ。本人はそれであわてて、会社から何にも連絡がないんで、本人があわてて会社に問い合わせますと、そうすると、あなたは大丈夫なんだと、四月から出社してもうらと、なぜならば、あなたは技術系だから大丈夫だと、こういうふうに、言っているわけですね、で、結果的にまた、この人もまたそのあとですぐひっくり返されるんですが。この段階で、技術系は大丈夫で、友達の事務系はだめで、それから私立よりも国立が優先で、あるいは公立が優先で、それからコネがないよりコネがあるほうが優先でとか、第一の段階でやはりその内定者の中でまた差別をしているんですね。ほかにもあるんですよ、こういう例が。私大連の報告にも事実あるんですよ。そんなことで、内定者と一概に言いますが、この中でまた企業がこうやって差別をしていくということは、ちょっとぼくは何かあまりにも学生の基本的人権をおもちゃにしているような感じがしまして、これで労働省どうでしょうか、こういう差別の問題は……。
○国務大臣(長谷川峻君) たとえば、私大連盟が非常に怒っている、その中においても、私大と言ってもたくさんあります。そうすると、評判のいいような大学はわりに少ないというふうな問題もあります。しかし、いまのように慶応の問題もあります。私のところには早稲田の政経学部出た者が、やっぱり内定取り消されて来ました、これはよそのほうを受けさせましたがね。一方、そういうふうに、やっぱりいままでの各企業というものは、人事管理が非常にラフだったですね、ですから私はその会社の、たとえば人事部長が、自分の子供がよその会社を受けてそういうふうになったら一体どうなんだと。ですから私はやはり計画して内定したことであるから、とにかく採るように、ひとつしっかりしてくれと言うているわけです。これはしかし命令権がありませんから、やっぱり企業の社会的責任というものを、みんなでうたってもらわなきゃいかぬのじゃないかと、こういうふうな感じ方を持っております。
○野末陳平君 実際、企業の責任というものも、当然ここで追及されなきゃならぬと思いますが、いまのその学生の話は、最初は、ですから自分としてはまあうれしかったんでしょうね、差別といいますが、自分は選ばれたと思っていたわけです。それで今度はことしになりまして、四月は大丈夫だと、あなたは自宅待機のほうに入っていないということだったんですが、二月十九日ですから最近ですけども、今度は会社から呼び出しがあるんですよ、それであなたもやっぱり自宅待機だと、それで八カ月待機だと、ただし、この場合は給料の何割かを保証するから、それまで待ってくれと、こうなったわけですね。ところが、ここで、この待ったあとどうなるかが、すべて口約束で、大丈夫だと言うだけなんですね、そうするとと、待ったら絶対採用してもらえるかという不安がまた出てくるわけです。しかし、この場合は、少なくも給料何割かもらえば、もうこれは社員として認められるわけですから、この口約束が守られないときには完全に労働基準法の適用を受けるわけですね。それはどうなんでしょうか。
○政府委員(東村金之助君) いまの問題の前提になる問題、まあ法律問題ばかりで恐縮でございますが、その採用の内定者が就労の時期、つまり四月一日なら四月一日が参りましたと、そうすると、今度は労働契約上の身分が具体的にその会社の労働者としての身分になってくるわけです。その際に、四月一日以降、企業の都合によって自宅待機をするということになりますと、労働基準法二十六条という条文によりまして、普通の通常の賃金の六割の保障をするという義務が法律上発生してきます。まあもっともそれは会社がどういう理由でそれやったかにかかわりますが、一般論としてはそういうふうになります。したがって、もうそうなればりっぱな労働者でございますので、一般の労働者に対する保護は全面的に適用されると、こういう関係でございます。
○野末陳平君 まあしかし、本人にとってみれば、保護は適用されて金もらって、じゃあ今度別のところへ行くというわけにもいかぬと思うので、やはりこれは取り消しとか、自宅待機とかいうことを、もうちょっとはっきりしたルールでもって決めとかないとだめだと思うのです。
 まあ細かい具体的なことばかりお話ししていても時間ありませんから、ここで大臣にお伺いしたいと思うのです。先ほどもやはりこれは企業の責任というものも非常に重要なことだというお話でしたけれども、これをどういうふうにしたらいいかと思うのですが、まずやはり第一の段階として、採用内定取り消しをした、あるいは自宅待機も含まれるかどうかわかりませんが、やはり一回企業名を――私大連はもう発表している、だけれども、労働省としてもこれは企業名を一応発表して、そしてこの企業の社会的責任を問うというような形で内定取り消しを撤回させるという方向がいいんではないかと。これですべて済むとは思っていませんが、第一段階として労働省の企業公表、これはどうなんでしょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 私の方で企業名のわかったところは労働基準局長なり職安局長が、あるいはその係がそれぞれ実は下交渉をしております、なるべく撤回してもらうように。その結果三、四の企業が撤回をしている。また、私のほうではこういうことはやりませんというてわざわざ来るところもあります。そういうところに一つの効果を見せまして、そしていよいよになったら、私はやっぱり企業というものの名前を公表しょうと思う。そして将来は、そういう会社を受ける諸君は、この会社は去年こういうことをやりましたから用心しなさいと、こういうふうな姿勢をとってやろうと、こう思います。
○野末陳平君 まあそこまでなったらば、かなり企業側にとってはやりにくいことだと思うのです。そうしますと、下交渉をして撤回したものはこれでよろしい。しかいろいろ言っても、言うことを聞かないのは、これは社会的責任を公表する形で問うと、こういうことですね。――そこでそういう労働省の努力が実れば一番これはいいと思いますが、そのほかに、先ほどから、言いましたけれども、この目先そういう形で少しずつ救ってはいく。しかし今後の問題としてやはりこの内定者の身分を保護するために、その法的な問題よりも、募集のやり方、それから内定の仕方、そんなものにもここで一回再検討を加えて何かしなきゃいかぬと思うのですよ。それについては何かお考えありますか。
○国務大臣(長谷川峻君) まあ私が申し上げた後また詳しいことは局長からも答えさせますが、私はやはり七月ぐらいに入社試験するのは一体どういうことだろうかという感じを持つのですよ。こういうときですからね、やっぱり少しゆっくり試験して、変化が非常に大きいときですから。だからこの試験の日を、一採用試験の日を協議会にかけて、これには経営者も入ります、それから文部省も入ります、私の方も入ります。そうして、そういうやっぱり時期を少し考える必要があるんじゃないか。それからいまあなたのおっしゃったようなことなども、経営者も皆入ることですから、改めて相談をする必要があるんじゃないだろうか、こう思って、内々役所の内部では検討している、こういうことです。
○野末陳平君 時間来ましたけれども、要するにこういう、まあ企業の一方的な考え方がまかり通るということはもうおかしいと思うんです。しかしそれがまた今度はいろいろなむずかしい問題があって、政治の力でも救えないなんということになりますと、やはりこれは若い人たちに対してもう政治不信をあおりますし、また社会問題として政治がどうにもならなかったというみっともないことになると思うんです。ですから、これはその企業名を公表して責任を問うとかいうことは、次の問題ではありますけれども、労働省としてこれを何とかこういう社会問題化しつつあるこの採用内定取り消しないしは自宅待機をいままでの、なんですか、雇用者に対するのとは別の再度からいろいろな配慮を加えていただきたいと、まあこれは理想を、言えば一人もこういう飛ばっちりを受けた被害者がないように、そういう大学生がないように願いたいと思うんです。ですから、今後大臣にひとつお願いしておきますから、いろいろな調査を、各大学の調査あるいは学生の苦情などを目を通していただいて、適切な配慮をお願いしたいと、そういうふうに思います。
○国務大臣(長谷川峻君) いまお話のありましたことをよく体しながらやろうと思います。またそれほどまでにいまの日本の経済状態は厳しいんだ、そういう中にお互いが職を求め、そうして働くんだ、こういうことをもやはりあわせ考えながら、相手の企業者に対するところの社会的責任を大いにひとつお願いしながらやっていきたいと、こう思っております。
○委員長(前川旦君) 以上をもちまして労働省関係の質疑は終了いたしました。諸般の事情により、審査は一応保留といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
 午後五時二十七分散会
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