第076回国会 本会議 第8号
昭和五十年十月二十日(月曜日)
   午前十時三分開議
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○議事日程 第七号
  昭和五十年十月二十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 一昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。野々山一三君。
   〔野々山一三君登壇、拍手〕
○野々山一三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この変動期における財政、経済政策に関し、三木総理大臣初め関係大臣に対し若干の質問を行います。
 まず最初に、政府の経済運営失敗の責任と景気対策について質問をいたします。
 いま日本経済には、インフレと不景気、つまりスタグフレーションという双頭の怪物が横行しています。しかも、双頭の怪物は、財政の赤字と国際収支の危機というきわめて重大な危険なしっぽがついているのであります。この双頭の怪物の頭の一つ、インフレをつくり出したのが田中前総理大臣であります。不況をつくり出したのは、ほかでもない三木現首相、あなたなのであります。そして危険なしっぽは、経済通と言われる福田副総理と大平大蔵大臣であると言えるでありましょう。
 昭和四十九年度のわが国経済は、戦後初めてのマイナス成長に陥ったわけですが、政府は五十年、五十一年の両年度を安定成長の年と位置づけ、本年一月の閣議決定では五十年度実質経済成長率を四・三%と見込み、前国会で福田経済企画庁長官は、春先から景気はつま先上がりによくなると公約したのであります。ところが、わが国経済は、生産が回復し始めたといっても、依然として水面以下でありへ物価は落ちついたといっても一〇%台という高い上昇率を示しており、個人消費は伸び悩み、設備投資は鎮静を続け、輸出も不振という状態で、景気はよくなるどころか、二カ年にわたってどろ沼の低迷状態が続いているのであります。こうした中で、企業倒産はますますふえ、失業は増大し、国民生活は非常な苦境に追い込まれているのであります。
 政府は、今回、実質経済成長率を当初計画の半分の二・二%を初め、全項目について書きかえを余儀なくされ、政府が国会や国民に公約した経済見通しは単なるペーパープランで、それと幾ら乖離した経済動向になっても、政府は、見通しの数字さえ改定すればその責任を免れると考えているのかどうか。私は、今回の長期にわたる深刻な不況は明らかに政府の経済政策の失敗に原因があると思うのであります。まず、総需要抑制策を二年以上の長期にわたって続け、政策転換のテンポをおくらせたこと、個人消費は景気の下支え要因であるにもかかわらず、ことしの春闘において、個人消費をふやす賃上げに対し、政府が物価対策を理由に賃上げ率を低く抑える側に回ったことなどなどが指摘できるのであります。
 三木首相は、みずからの失政を省みず、さきのわが党代表の質問に対し、経済運営が当初見通しと乖離した原因はすべて対外要因にあるかのごとき無責任な発言がありましたが、これは明らかにみずからの責任を放棄する以外の何物でもないと思うのであります。対外要因と対内要因を調整し、国民経済を安定することこそ政府の責任だと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、経済政策に対する基本的姿勢を伺いたいのであります。
 政府は、五十年度上半期の経済運営の失敗によってもたらされた政策不況を、年度後半で回復への手を打たないと自民党政治そのものが危機を招くことになったために、上期中の三次にわたるお題目的な景気対策から、第四次不況対策では公共投資重点に事業規模で二兆円の景気対策が打ち出されましたが、こうした急激なブレーキとアクセルの踏みかえは従来のゴー・アンド・ストップの景気政策と何ら変わることがなく、高度成長政策との訣別を宣言し、安定成長への移行を掲げ、一両年を調整の年といった三木内閣の経済運営は、言葉だけが踊って中身はなく、はなはだ心配なのであります。
 一体、三木内閣は、どのような政策と手順で国民生活の安定と経済の安定成長を実現するつもりなのでありましょうか。
 また、下期の成長率に関してでありますが、上期の異常な景気停滞を放置した三木内閣が、改定経済見通しでは、下期の経済成長スピードを非常に高めることにしておるのであります。実質経済成長率は上期の〇・九%が、下期は何と三・一%と見込んでおり、上期の三・四倍の成長スピードをもくろんでいるのであります。
 そうした急激なスピードアップが建設資材を中心に、物価上昇を招くおそれはないかということは重大な心配なのであります。
 他方では、全く逆の、政府の今回の景気浮揚策が公共投資中心でありながら、苦しい地方財政救済対策がなお不十分なために、国の直轄事業の分担金支払い拒否に見られるように、政府がねらうほどの景気浮揚効果が上がらないのではないかという危惧の念が持たれるのであります。政府はどう考えておられるのか。また、もし政府の改定経済見通しと五十年度経済の実績の間に乖離が生じた場合の責任をどうするか、御答弁を願いたいのであります。
 第三に、政府は公約に違反して首切り、レイオフ等、働く大衆への犠牲と中小企業者の大量倒産という血も涙もない深刻な不況対策を強引に実施する中で、やっとのことで物価だけは一けた台の上昇率への目途をつけつつある、こんなふうに言ったらいいんでありましょう。しかし、昨年度は毎月二〇%ないし三〇%も物価が上昇した後だけに、この二カ年を通じる異常な物価上昇は、国民生活を大きくむしばんでいるのでありまして、決して物価が安定したなどと手柄話をなさるなんということはできないと思うのであります。
 三木首相は、自由主義経済の信奉者だ、こんなふうに聞いておるのであります。自由主義経済下であるならば、不況期になれば物価が下がらなければおかしい。今日、なぜこんなに物価が上がったのか、その本質を伺いたいのであります。
 昨今、通産省は、鉄鋼、石油、セメント、ガラスなど大企業製品の値上げについて行政指導を行っているのでありますが、通産大臣はその値上げ幅をどのぐらいにするつもりなのか、また、そうした権限は通産大臣にあるのでしょうか。明確に通産大臣、お答えを願いたいのであります。
 これら大企業製品の値上げに加えて、公共料金の値上げが行われつつあることを考えれば、年度後半の物価安定は、前半に比べ容易でないと思われますが、政府は、改定見通しで公約いたしております年度内物価上昇率九・九%はどんなことがあっても、実現するとお約束なさるでしょうか、お答えをいただきたいのであります。
 第四に、中小企業向け不況対策についてであります。
 中小企業が一番困っているのは、仕事がないということであります。金融よりも仕事が欲しい、中小零細企業のこうした切なる願いでありますが、政府は、こうした中小零細企業の仕事をふやす不況対策をどのようにとろうとしていらっしゃるのでありましょうか。
 また、不況の深刻化の中で、下請企業に対する下請単価の切り下げ、下請代金支払いの遅延など、親企業のしわ寄せが強まり、下請企業からはせめて労賃部分は現金で支払ってほしいというような強い要望があります。
 さらに、不況の中で中小企業の事業分野に大企業が進出する例が、たとえば豆腐業界、軽印刷業界、クリーニング業界など零細企業の分野に目立ち始めているのでおります。経営基盤の強い中小企業がいかに本来持っている技術、サービスなどを生かして経営をしよう、こう考えても、大企業が資本力やダンピングで進出を図るならば、とても対抗できるものではありません。中小企業対策として、この際、下請関係法の見直しと同時に、中小企業事業分野を確保する法律の立法化、これを図るべきだと考えるのでありますが、政府の明確な御答弁をいただきたいのであります。
 第五に、政府の雇用対策についてお尋ねをいたします。
 いま一番深刻な社会問題化しているのは雇用対策であります。いまは中高年齢層の首切り、中小企業経営の悪化、倒産の増大などに見られるように、中高年齢層の再就職の機会は全くとまっていると言わなければなりません。三木さん、あなたはさきにライフサイクルと耳ざわりのいい選挙向けの生涯設計を発表したのでありますけれども、中高年齢者にとっては本当に遠い先の話と言ったらいいでありましょう。こうした、いまの現実に家族を養うための就業の機会を求めており、それが保障されない限り、三木さん、あなたの言う高負担、高福祉のライフサイクル、生涯設計なんというのは全く絵にかいたものじゃありませんか。(拍手)
 また雇用の機会を奪われているのは身障者であります。資本主義社会における犠牲は常に弱い者にしわ寄せされるものであります。ただでさえ雇用の機会の少ない身障者が、政府の経済政策の失敗によりさらに厳しい雇用の差別に見舞われないようにどのような政策がなされているでありましょうか。中高年齢者の雇用対策とともに政府の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、昨年まで百万人とも百五十万人とも言われていた農村出かせぎの労働者の雇用は、ことしの就労期を迎えて、全くいまはめどが立っていないと言ってもいいほどじゃありませんか。いま全国五百万農家のうち、何と、専業で生活している農家はわずか一.三%にしかすぎません。残りの八七%は出かせぎなどで兼業収入で賄われている現状であり、しかも、ことしの農産物価格は、いわゆる一五%ガイドラインによって米価は一四・四%、乳価は一四・七%、豚肉は九・七%、てん菜、芋類など畑作物は九・三%の低価格に抑えられ、いやでも出かせぎしなければ生活できない、こういった農畜産物の新価格体系に組み入れられてしまっているのでありますが、ところがことしは出かせぎに出たくとも就労先は皆無と言ってもよく、このままでは農家生活が破壊されちゃうというばかりじゃなく、三木内閣の言う食糧自給攻めの農政も大きく後退するんじゃありませんか。政府は出かせぎ農民の雇用対策をどう考えているのか明らかにするとともに、就労を希望しながら就労できない者に対して失業手当など何らかの救済措置をとるべきであると考えるが、政府の考え方を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、財政問題の質疑に移ります。
 三木内閣の経済運営の失敗は、五十年度のわが国財政を破綻させるという二重の失政を引き起こしているのであります。
 当初予算の編成では、財政法四条公債を対前年度千六百億円減額し、公債依存率を九・四%にしたことを大々的に評価し、将来の国債漸減方針を打ち出した大平大蔵大臣のもとで、年度の半ば、今度の補正で四条国債一兆一千九百億円、特例公債二兆二千九百億円が増発され、国債依存率は四十年度以降最高の二六・三%、一般会計予算の四分の一以上を国債で賄わなければならない、まさに国債にのまれちゃった財政というものに急変したのではありませんか。
 政府の失政によって、一億の日本国民はこの補正によって一人当たり何と三万四千八百円の借金証書のツケを、そしてまた借金の利払い六百三十円の負担を強いられ、さらに当初計上の四条国債分を加えると、実に六万円という大変な借金の増加を押しつけられておるのであります。
 政府は、歳入不足だから借金はしょうがない、景気浮揚と財政難の両立には国債以外手の打ちようがないといった言いわけを盛んになさっておられるのでありますが、わが国財政が将来にわたって背負わされた大きな傷と日本国民の借金負担を考えるならば、政府はまずみずからの責任を明らかにしなければいけないと思うのであります。
 よく日本の経済や財政は西ドイツに十年ぐらいおくれて全くよく似た動きをする、こう言われておるのであります。一九六六年、西ドイツでは歳入見積もりを間違え、財政危機を招き、それまでの世界の奇跡と言われた西ドイツの経済復興の立て役者であるエアハルトは責任をとって内閣総辞職に追い込まれたのであります。三木さん、あなたが権力亡者じゃない、真の議会制民主主義者だと、こうわきまえておられるならば、その責任をひとつエアハルトにならって明らかにしてください。(拍手)大平さん、あなたはみずからの不明を恥じて大蔵大臣を辞任したらいかがですか。きわめて当然なことだと私は思うのであります。財政破綻の政治責任を明らかにしていただきたいのであります。
 財政破綻の原因は、完全な財政当局の歳入予算の見積もりの間違いによるのであります。五十年度財政破綻の端緒は実は四十八年度の異常な税収増加に神経が麻痺して、四十九年度の年半ばからすでに法人税、所得税などの伸び率が低下したのにちょっとも気がつかないで、前代未聞の四十九年度大型補正予算を編成し、結果は税収不足を惹起し、五十年四月の税収を前倒しにするという苦肉の策で当面を糊塗しておるのでありますが、この間違った税収見積もりを前提に五十年度歳入予算を組んだ結果が、租税印紙収入で何と三兆七千五百三十億円の過大見積もりをしておるのであります。これは当初の租税印紙収入予算十七兆三千四百億円の二二%に相当するのであります。こんな大きな歳入見積もりの間違いをしても、三木さんを初め大平さん、そしてまた財政当局もちょっとも責任はない、こんなふうにしらを切られるのでありましょうか。もしそうだとするならば、断じて許すことはできない重大な問題だと思うのであります。
 さらに付言すれば、本院予算委員会でわが党の宮之原委員は、五十年度の歳入欠陥の危険を四月二日に声を大にして指摘しました。そのときは大平さんは、文字どおり言を左右にしたんでありますけれども、予算が通過した途端、歳入欠陥対策の省議を開いて、四月九日には財政危機宣言を打ち出す。こんなやり方は全く予算審議権を無視している。非協力を決め込み、真実を語らず、ただ予算の国会通過だけを図ろうとしたもので、この態度は断じて私は許せない、こう思うのであります。そういう立場からも、大平さん、辞任は当然じゃございませんか。率直にあなたの重ねてのお気持ちを承りたいのであります。
 第二は、大量の国債増発に伴う消化とインフレの危険性を指摘しなければなりません。本補正で増発が予定されている約三兆五千億円の国債消化については、市中消化の原則が守られるかどうか大変疑問であり心配であります。新聞などが報ずるところによれば、月平均七千億円で、これは五十年度上半期の発行額が多かった月に比べても三倍程度にはね上がり、金融市場の圧迫要因になると言われておるのであります。さらに政府は、補正予算で発行を予定している国債の半分を年度内に消化する計画と言われ、十一月に一兆円、十二月に五千億円の消化をもくろんでいるようであります。公債市場が育成されておらない、従来も御用金調達の割り当て方式がまかり通ってきたことを考えると、こうした政府の国債消化計画に本当に強い反省を促さざるを得ないのであります。
 さらに市場の状況を無視した国債消化の押しつけが、結局金融引き締め率の極端な緩和、国債の日銀買い取りの再開、預金準備率の引き下げ、日銀貸し出しの増加といったように、すべて国債消化を目指しての金融政策がとられているのであります。このような人為的に事前に国債消化のための資金散布を行うようなやり方は必ず通貨の増発、インフレに道を開くことは間違いない、こう思うのであります。こうしたやり方は、表面的には市中消化のように見えても、金融市場に余剰資金がないのに無理に巨額の国債を発行する政府の誤った政策の結果で、はなはだ危険であります。金融機関の中からも、国債の競争入札制度の導入、広義の通貨供給量の適正水準を守れとの主張、さらには国債の期限短縮などなどの意見が出されておりますが、五十一年度も引き続き相当多額の国債が発行されるようにしている状況を考えますと、本補正での国債消化に当たっても従来の市中消化というだけでは不十分で、新たな歯どめが必要ではないかと考えますが、政府の見解を伺いたいのであります。
 第三に、この補正に計上の特例公債二兆二千九百億円の発行期間を出納整理期間の五十一年五月三十一日まで延期できることにしております。これは、前段で私が指摘をいたしました無理な国債消化の緩和策として、五十年度が終わった後でもなお特例国債が発行できることにしているもので、予算の単年度主義の原則を乱し、いわば国債による収入が十四カ月予算ということになるのでありまして、財政制度を紊乱に陥れる危険があり、全く是認できません。三月三十一日までの年度内に発行できないような金融市場の情勢でありますならば、それはしょせん無理難題の特例国債発行の証拠なのでありますから、取りやめるのが当然であります。この特例法を政府が修正して再提出することを改めて要求をいたします。
 第四は、国債償還についてであります。さきの総理施政方針演説に対するわが党代表の戸田菊雄君が、五十年度の特例公債が二兆円を超える巨額に達した場合、その償還は容易でないとともに、計画的でかつ実効の上がる償還財源の裏づけのある償還計画を作成して国会に提出することは、赤字国債発行を余儀なくした三木内閣の財政運営失敗の償いの意味で重要であり、了承できる償還計画が示されないと補正予算審議に重大な影響が出ると警告したのをお忘れでありましょうか。しかるに、今回提出しました特例国債の償還計画は不十分の一語に尽き、償還計画の名に値しないもので、政府の特例国債発行という事態の重要性の認識の甘さを暴露しているものであります。予算書の償還計画表を見ますと、四条国債と特例国債の差は、十年目に借りかえをするかどうかの違いの一点だけであります。大平大蔵大臣は、特例国債は早期に償還したいとか、大蔵省の方針として期限前の買い入れ償却を考えているとか、さらに毎年度の決算剰余金を全額国債償還に充てるなどの構想を新聞が伝えておる。しかし、それは特例国債発行に当たって法律上、予算上の義務とすることにはいたしておりません。われわれは、たとえば特例国債の償還財源を大企業所有の土地評価益を積み立てるとか、特例国債の十年均等償還のための予算組み入れの義務づけなど、その計画が本当に具体的で裏づけのある償還計画表が提出されない限り、特例国債の発行の根拠法の法律要件を欠いた予算書――つまり償還計画――で瑕疵あるものと断じ、この予算書の撤回と再提出を要求するのであります。(拍手)
 第五に、政府の今後の国債政策についてお伺いいたしたいのであります。
 まず、五十年度は十年ぶりに巨額の赤字国債の発行に追い込まれましたが、伝えられるところでは、五十一年度は当初予算から赤字国債の発行が避けられないというのが財政当局の見方だと言わておりますが、その点は一体いかがでしょう。
 わが国の現行財政法は健全財政主義を基本原理として組み立てられておりますので、年度当初からの赤字国債の発行というような財政運営は法の禁止しているところと解すべきが至当だと考えるのであります。特例法さえつくれば赤字国債による財政運営も許されるといった安易な当局の考え方があるとすれば、本当に大きな間違いだと思うのであります。
 次に、政府はいかなる将来展望と方策をもって困窮をきわめる赤字財政からの脱出を図ろうといたしておるのでありましょうか、具体的な方針をお示し願いたいのであります。
 五十年度補正の措置も、償還計画に端的にあらわれているごとく、将来計画の中の一こまとしての位置づけがほとんどなく、当面糊塗策としてしか思えないが、一体政府はいつ健全財政に戻そうと考えているのか。また、そのための方策はどんなものなのか。かつて国債依存率五%を目途に国債の減額に努めたが、そうした依存率はここ数年間はどの程度のパーセントで運用しようと考えているか、依存率低下策をとる計画があるのかないのか、お伺いをいたしたいのであります。
 国債問題の終わりに、政府が過去十年間発行し続けてきた建設国債のあり方を含め、国債のあり方を根本的に再検討することを要求いたします。財政法四条を曲げて解釈し、但書規定を利用して、建設国債を自然増収が巨額に出た四十年代にも毎年出し続けてきたことが、この十年間に十兆円近い国債を抱き、国債費も一兆円を超え、財政硬直化を来し、五十年度のような不況期の国債発行の制約条件をつくったことを反省し、いまこそ建設国債の抜本的な洗い直しをすべきだと思いますが、政府の見解をただしておきます。
 今回の不況対策を実効あらしめるために欠かせないのは、危機に直面している地方財政対策の充実、強化であります。インフレと不況によって、地方財政は地方交付税、地方税の大幅減収が生ずる一方、住民の生活防衛からの財政需要は増大するばかりであり、まさに戦後最悪の危機状態を迎えております。
○議長(河野謙三君) 野々山君、野々山君、簡単に願います。時間が経過しております。
○野々山一三君(続) こういうようなときに、つまり、政府側は、地方財政は借金すれば事が足りる、こんなようなぐあいで事に処するとするならば、抜本的な地方財政の確立はできないことはもちろんのこと、地方自治体そのものの特性、地位というものが破壊されるということは言うまでもございません。時間がございませんから詳細を避けますけれども、以上の立場から、政府の具体的な検討及び具体策をお示しをいただきたいと思うのであります。
 最後に、世上非常に問題になっている公務員、公共企業体などの労働者のスト権問題について、秋ごろにはスト権を付与するたてまえで対処するとの政府言明があったが、一体どのように対処する方針なのか、この際、具体的に今日の情勢に対応して政府の見解を伺いながら私の質問を終わる次第でございまして、具体的な誠意ある回答を求める次第であります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 野々山君にお答えをいたします。
 不況が深刻化して経済見通しが大幅に変更になったことは政府の責任ではないかということでございます。まあ、わが国の経済ぐらい海外の影響を受ける経済はないわけで、原料を輸入して、製品を海外にこれを輸出してわが国経済の維持発展をしておるわけでございます。そういう、この世界の景気の停滞というものが予想以上なものであったということは、日本の輸出の上においても非常な減少を来し、また、需給のギャップというものが設備投資の意欲を失わしめ、また、いろいろ国民生活のパターンにも変化を来しつつありますから、個人消費の伸び悩みであるとか、こういうことで最終需要というものが伸び悩んできておるということが、わが国のこの景気の立ちおくれた大きな原因であろうと考えております。三木内閣が出発いたしましたときは異常な物価高の時期でありまして、一年間に、昨年は卸売物価が三〇%を超え、また、消費者物価でも二四・五%という異常な物価高の中に出発をしたわけでありますから、国民の声として、物価をやはり鎮静さしてもらいたい、こういうことが最大の国民の要請であったわけでございますから、政府としてもインフレの抑制、物価の安定ということに政策の重点を置くことは当然の政策選択であったと思うわけでございます。そういうことで、物価は鎮静の傾向に向かいましたから、今度第一次、第二次、第三次の不況対策に次いで第四次の景気対策をとることにいたしたわけでございます。まあ、これによって、やはり日本の景気が順調な回復――もちろん昔のような高度経済成長に返ることはありませんが、安定した適正成長の路線に日本経済を持っていきたいと考えておるわけでございます。まあ、そういうことによって、経済の動向を見守りながら物価の安定と景気の回復の両方を実現さそうということでございまして、やはり経済政策というもの、今日までとってまいりました政策が大筋において誤っておったとは私は思ってないわけでございます。
 また、今日の名目の――不況の深刻化によって一兆円の四次不況対策を打ち出したが、従来の高度経済成長期の政策をとっておる政府の経済政策は変わらぬではないかというような御批判があったと思いますが、経済政策というものはそのときどきの経済の動向を注意深く見守っていかなけりゃならぬ。今日は、野々山君も御指摘になりましたように、不況とインフレが併存するという、スタグフレーションという、いままで経験をしたことのない非常なむずかしい時代を行っておるわけでございますから、やはりその不況の谷、インフレの谷、その狭い道を経済政策というものは慎重にとっていかなければならぬわけでございますから、やはり一つ一つの政策の処置、その結果を見きわめながら次の対策を講ずるというのが当然でありまして、従来の高度経済成長期の政策をそのままとれるわけのものではございません。まあ、第四次の本格的な景気対策の効果が出てくれば、雇用情勢も次第に明るさを増すとともに、所得も増加し、物価も引き続いて落ちついてまいるものと見込まれるわけでございまして、その結果、国民生活というものは、昔の高度経済成長期には返らぬけれども、安定して向上していけることができると考えておるわけでございます。
 中小企業の問題についてお触れになりましたが、われわれもこういう経済情勢のもとで中小企業にしわ寄せがいくことのないようにしなければならぬということを常に考えておるわけでございます。そのためには、金融の面もございますが、仕事を確保しなければならぬということで、官公需の中小企業への受注機会の増大、これを五十年度の目標は三二・九%と高めたわけでございます。政府としても、まだこれは低い水準ではございますけれども、中小企業に対しての仕事の確保の一助にこれはいたしたいと思っております。第四次景気対策のうち、個人住宅貸し付けの追加金など、中小企業の仕事の増大に役立つものと思います。
 また、大企業の進出などによって中小企業が非常な困難な立場に陥ってはなりませんので、「中小企業団体の組織に関する法律」など現行の制度を活用して行政指導を行って、大企業と中小企業との調和のとれた発展を図っていきたいと考えております。
 また、現行の財政法は赤字公債の発行を禁止して健全財政主義をとっているのに、赤字財政ということは非常に問題がある、今度の補正案も撤回して再提出せよという強いお話がございました。今回の赤字国債の発行というのは、税収の大幅な落ち込みの結果、やむを得ず特別公債の発行に踏み切ることになったわけでございまして、財政の健全性を堅持することが国民生活の安定向上、経済の安定的な成長の基盤であることは言うまでもないことでございますから、できるだけ早い機会に特別公債に依存しなくてもよい状態に復帰するように努力をしたいと思います。
 そのためには、高度成長経済のもとで年々の予算が増加してきた、自然増収も多くして予算が増加してきたという惰性を反省して、予算総体の規模をこれからは適正な経済成長に見合ったような規模とすると同時に、内容についても厳しい選択が行われなければならぬと思います。これについては既定の制度や経費を洗い直すことが必要であり、また、これらのことについて既得権を持っている者から、抵抗もあろうが、あえて歳出の合理化に取り組む必要があると考えております。歳入面でも国民の負担の増加をお願いしなければいけないような場合も起こりますが、やはりわれわれとしては国民のこの点についての理解をいただいて、そして国民総がかりでこの難局の打開に当たりたいと考えておる次第でございまして、今回提出をいたしました補正予算も、これはこの困難な経済難局を切り抜けるために必要な措置であると考えておりますので、これを撤回して再提出するなどの考えはございません。
 また、地方財政の問題についてお触れになりましたが、地方財政は、国の方でも税収の不足を国債の発行で補てんせざるを得ない状態にありますので、地方税の減収や交付税の減額の補てんは資金運用部からの借り入れあるいは地方債で処置することといたしたものでございます。交付税の税率の問題などもいろいろ御意見がありますが、交付税率は国、地方を通じてそれぞれの財政状態を勘案して決めるべきであって、当面は、引き上げるということはきわめて困難であります。こういう中にあって、地方財政も国の財政と同じく合理的な財政運営をしていかなければならぬと考えております。
 最後にお触れになりましたスト権の問題については、いま御承知のごとく専門委員会で検討を進めておるわけでございまして、その結果を見届けて閣僚協議会でこの問題に対する結末をつけたいと考えております。
 お答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 野々山さんにお答えを申し上げます。
 まず第一は、政府の経済政策が失敗じゃないか、その責任をどうするのだと、こういうことであります。
 経済政策の中で、何と申しましても大事なことは、国際収支と物価であります。国際収支は、その規模の縮小という面がありまするけれども、結論的には、これは非常な改善をされておる。一昨年百三十億ドルの赤字、これが昨年度は四十四億ドルの赤字であり、ことしは三十億ドル台になろうと、こういう状態でございます。
 それから、物価につきましては、これは申し上げるまでもないのでありまするが、皆さんにずうっと申し上げてきておる大体その路線で安定化の方向を進めておる。
 ただ、御指摘の経済活動につきましては、これはもう大変その回復が立ちおくれておると、こういう実況でございます。四・三%という年初の予想、これが二・二%ぐらいになりそうだというような状態です。これはいま総理からも話がありましたが、世界経済が総落ち込みである。その世界経済の見通しについて先見性がなかったというおとがめでありますれば、甘んじてこれを受けます。しかし、そういう世界情勢、その中でもわが国の経済活動はいい方なんです。恐らく五十年度あるいは五十年、これをとってみますと、世界じゅう先進諸国のほとんど全部がマイナス成長、その中で日本だけになりますか、あるいは他にもありますか、プラス成長、そういう国はごくわずかである、そういう状態であるということもまた御了知おき願いたいのであります。
 それから総需要、特に野々山さんは、総需要抑政策、その転換が少し時期を逸したのじゃないか、そういうようなお話でございますが、これは何といっても物価をまずおさめなきゃならぬ。その物価がおさまったその上に立って景気政策をとる、これが私は健全な行き方じゃないか。先進諸国の中には、物価政策を中途半端にいたしまして景気政策をとった国があります。いま混沌たるような状態でございます。そういうことを考えましても、わが国のそういう考え方、物価の安定からまず始めて、そして景気政策に移るという考え方、これは私は妥当であったと、こういうふうに考えます。
 それから、さらに景気問題に触れまして、賃上げ抑制のためのガイドラインをつくって消費を抑制したということについての御指摘でございますが、政府は、しばしば申し上げているんですが、賃金の決定につきましては、政府はこれに介入いたしません。そういう方針を堅持してまいっておるわけであります。私は、この賃金問題が一体どうなるかということにつきまして非常に深い関心を持ってきたんです。皆さんにも申し上げたんですが、日本経済が立ち直りができるかできないか、これは賃金問題の帰趨が決めるとまで申し上げておった。とにかくそれが労使の間で自主的に決められた。その結果を見ますと、昨年は三二・九%、これがことしは一三・二%という決まりになった。私は、本当にこれでやれやれ日本経済の再建ができるかなという希望をつかみ得るような状態になりましたので、私は決してこの労使の理解と協調というものはむだではない、非常に高く評価さるべきものである、かように考えております。
 それから、もう一つはこれからの政府の施策、これはいわゆるゴー・ストップの傾向をとるんじゃないかというような御懸念でございますが、これからはそうしたくないんです。高度成長期におきましてはまあとにかくそういう様相でありました。好況が続く。それが加速化される。そうすると国際収支、物価に異変が起こってくるのであります。そこでストップをかける。そういうことで経済は沈滞する。国際収支が改善され物価も落ちついておる。そういうことでまた景気政策がとられる。そこで、一、二年の不況、二、三年の好景気、こういう循環をずうっと続けてきておる。まあ、ゴー・ストップであります。しかし、そうあってはならぬというのが私どもの考え方なんです。そのためには常に国際収支と物価、これに着目し、それに異変はないか、そういうことを厳重に注意しながら経済の成長の速度というものを決めていく。つまり安定成長政策という考え方、その基本はそこにある。その辺につきましては心してまいりたい、かように考えております。
 さらに、価格政策の今後の基本的な考え方はどうかというお話でございますが、まあ、何しろ昨年の一月、原油価格が四倍に上がった。これは全製品価格に影響を持つわけであります。そこで、民間の製品価格につきましては大方順応いたしたわけであります。しかし、このいわゆる新価格体系への移行、つまり、石油価格の高騰に対する順応が完全に済んだかというと、さにあらず、非常におくれておるものの第一が公共料金であります。これとても、物価政策の見地から抑えてきたわけでそういう結果になっておるのですが、これを抑えきりにしておくわけにはいかぬ。抑えきりにして赤字を累積するということになると、また国家の秩序を混乱させるということになりますので、逐次これが是正を図らなければならないという立場にあるわけであります。
 それから、民間の商品につきましては、大方の価格調整が私はできたと、こういうふうに見ております。しかし、調整の足らない産業なんというのも例外的にある。そういう商品の価格につきましては、これを不自然に抑制するということ、これは妥当ではない。さようなものにつきましては、しかし、まあ需給の関係等から適正な価格水準というものが出てくるでありましょうけれども、そういう際におきましても、政府といたしましては、その価格改定の幅なりあるいはそのタイミングにつきましては、切に物価政策との整合をとりながらやってもらいたいということを期待をいたしておるわけであります。
 最後に、年度内消費者物価上昇率九・九%は実現できるかというお話でございますが、非常にこれは困難な問題ではありまするけれども、万難を排してこれを実現をするということをはっきり申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(河本敏夫君) 石油の大幅な値上がりとその後の深刻な不況の影響によりまして、先ほど副総理がお述べになりましたように、若干の企業はなお大幅な赤字経営が続いております。そこで、これらの業種や企業に対する対策でありますが、その中には、今後操業率が向上する、あるいはまた金利水準が低下をする、こういうことによって赤字経営が解決される業種もあろうかと思いますが、また中には、海外の原料高が非常に大きな影響を与えておる、こういう業種につきましては、やはりある程度の値上げが必要でなかろうかと思います。こういう場合でも常に節度ある態度が望ましいわけでありますが、そういうことを含めまして、現在この価格問題につきましては、通産省におきまして鋭意検討中でございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 それから第二の御質問は、一連の中小企業対策でございますが、中小企業対策は、金融の面とそれから仕事の量を確保するという、この二つの面から進めておりますが、特にこの仕事の量を確保するということが大切でございまして、そのために官公需の中小企業向けを増加するように努力をしておりますが、政府のやっております官公需につきましては、府県と中身が違いますので、府県では七〇%ぐらいな中小企業向けの割合のところもございますけれども、なかなか中央の分はそういうふうにまいりませんけれども、しかし、今年も昨年に比べまして相当高いところに目標を置きましてそれを達成する、こういうことで進めておるところでございます。
 また、下請対策についてのいろいろ御意見がございましたが、これは法律もございますので、支払い方法につきましては常に調査をいたしますと同時に、その改善につきまして指導をしておるところでございます。
 ただ、この労賃部分を現金払いにしてこれを義務づけるように、こういうお話でございますが、これには相当問題がありますので、これを現行法の厳正な運用によりまして達成をしたいと、かように考えておる次第でございます。
 また、分野調整につきましては、先ほど総理がお述べになりましたが、これは行政指導によって解決してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
○国務大臣(長谷川峻君) 安定成長に入ってからは雇用の問題は重大でございます。従来とも、こういう問題につきましては雇用法制、すなわち雇用対策法等々によっていろいろ総合的に施策は講じてまいりましたけれども、この四月に施行されました雇用保険法によりまして、失業の防止、さらにはまた失業者の生活安定、さらにはまた雇用構造の積極的改善を行うなど、種々の施策を盛り込んでその資としたことによって雇用対策の刷新強化を図ってきたところであります。さらに今回総合的経済対策の実施によりまして、雇用需要の喚起と相まって、雇用保険法とともどもに諸施策を十分に講じ、活用しながら、十分に対処するように努力してまいりたい、こう思っております。
 中高年齢者の問題につきましては、再就職が困難な方々に対して、特に現行の雇用率制度の活用とかあるいは定年延長の推進等、事業主に対する解雇防止指導の強化を図ると同時に、やむを得ず離職した人に対しましては、高年齢者雇用奨励金その他の各種の援護措置の活用などをやります。そして、早期に再就職のあっせんに努めてまいりますが、今後日本は労働力人口が非常に高齢化しますので特にこの雇用問題が一層厳しくなりますので、適職の開発を進めるほかに、高年齢者の雇用率の設定を含めまして、現行の雇用率制度について再検討を行うなど、中高年齢者の雇用対策の一層の充実を図ってまいるつもりであります。
 身障者につきましては、こうしたときに、職場にいる方々が本当にいじらしく働いております。そこで今後の対策といたしましては、特に事業主に対する雇用義務の強化とさらにはまた雇用助成措置の拡大を内容とする法律改正、これを含めて抜本的にやろうと思っております。
 出かせぎの問題に対しましては、原則論とすれば地元に就労の機会を得ることが一番大事でございます。しかしながら、こうしたところを総合的なこのたびの景気対策によって推進を図ると同時に、労働省といたしますと、特にこの予算が冬期に間に合うように、そのことをお願いしながら万全の対策を続けていきたいと、こう思っております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 第一の問題は、責任論でございます。国債に大幅に依存せざるを得ない財政状況を招いた責任をどうするかということでございます。歳入欠陥が予想を超えた状況になったばかりでなく、歳出におきまして景気対策その他でさらに追加しなければならないような状況でございますので、この際、思い切って増税をするということも考えられるわけでございますけれども、そういうことをやり得る経済情勢ではないと判断いたしまして、国債にしばらく依存しなければならぬことを覚悟いたしたわけでございます。こういう状態を招来いたしましたことについて、当局者といたしまして厳しく責任を感じておりますが、この責任をどう遂行してまいりますか。こういう状況でございますだけに、緊張した財政運営、周到な財政処理でこの責任にこたえてまいらなければならぬと存じております。
 それから、参議院の予算御審議の最終段階におきまして、すでに財政危機が明らかになっておったにかかわらず、政府は言を左右にして成立を急いだという御指摘で、これは国会の軽視でないかという御指摘でございますが、歳入の的確な数字の把握は出納整理期限の末期にならないとわからぬわけでございますので、宮之原さんその他から御追及を受けたわけでございますけれども、的確な数字を申し上げられる段階ではなかったわけでございます。しかしながら、政府といたしまして、当時相当の歳入欠陥を来すのではないかという危惧の念は濃厚に持っておりましたことは事実でございます。しかし、経済がこのように大変落ち込んだ状況にございまするし、経済不安をつのらすようなことがあってはならぬと存じまして、衆議院を通過し参議院の成立を待つばかりになっておりまする予算は一応成立さしていただきまして、これの補正はできるだけ早く国会の御審議を願うということにいたすべきでないかと判断したわけでございまして、御了承を願いたいと思うのであります。
 次の問題は、国債政策についてでございます。まず、大量の国債の発行は市中消化しなければならぬけれども、果たしてそれができるか、それは結果において通貨の増発を招来しはしないかという御懸念でございます。私どもはこう見ております。上期の政府と民間の収支状況を見ておりますと、八千億余り散布超過になっております。下期におきまして三兆二千億ほどの公債の発行を予定いたしておりますが、それを勘定に入れましても、なお八千億ぐらいの散布超過の状況になるわけでございますので、マクロ的に見まして、たびたび申し上げておりますように、公債が消化されないような金融情勢ではないと思います。ただし、時期的に見まして、さらに金融機関別に申しますと問題がないわけではございませんので、その点は周到に施策して御懸念のないようにいたしたいと思います。日銀におかれても、通貨調節を通じまして全体として通貨の供給に過不足がないように慎重に施策していただかなければならぬと考えております。
 次に、五十年度の特例公債を出納整理期限まで発行を認めてもらいたいという法律を出しておるが、それは会計原則を破るもんでないかという御指摘でございます。これはいまお話がございましたように、金融市場で三月末までに消化ができない場合に、五月三十一日まで延ばしていただいて、その間に消化しようとするつもりではないわけでございます。そもそもこの特例公債の発行をお願いいたしますのは、歳入の欠陥の補てんでございますので、歳入欠陥がどれだけあるかということは三月の時点でははっきりしないわけでございますので、これを的確に捕捉できる段階にまで特例公債の発行を認めていただくということがこの発行の趣旨に忠実なゆえんでないかと判断したわけでございます。
 それからその次に、償還について確たるめどがないじゃないか、償還計画も六十年度までに返すということであって、年次計画がないじゃないかという御指摘でございます。仰せのとおりでございまして、いま償還計画を年次的に数字をもって示すということになりますと、正確に申しますと、この十年間の財政計画が打ち立てられなければならぬわけでございますが、野々山さんも御案内のように、ただいまの状況、大変激動期でございまして、余りにも不確定要素が多いわけでございます。したがって、責任のある数字を計画に盛り込むといたしますにはよほど精細な吟味が必要なわけでございまして、ただいま政府は国会に自信を持って財政計画を御提示申し上げる状況にはないわけでございます。そこで六十年度までに完済するということ、そしてその間に借りかえをしないということ、そして毎年度の剰余金は国債整理基金特別会計に投入するということをとりあえず決めさしていただきまして、これの計画的な償還につきましては、今後の財政運営の一番大事な点でございますので、できるだけ早く償還をするという方針で財政を運営してまいるという決意をおくみ取りいただきたいと思うのであります。
 それから、五十一年度の国債の発行はどう考えておるかということでございます。五十一年度につきましては、ただいま歳入歳出両面にわたりまして査定を始めておるところでございまして、国会でこの検討を考えておるというところまで申し上げられる段階ではないことを御了承いただきたいと思います。
 それから、いつ健全財政に復帰するかということでございますが、これは先ほど総理大臣からもお答え申し上げましたように、できるだけ早く特例公債に依存しない財政に復帰しなければならぬ、そういう方針を堅持して今後の財政運営に当たるという決意でございます。
 最後に、建設公債についても十分検討しておかないと、建設公債だからといってイージーに流れちゃいかぬじゃないかという御指摘でございます。仰せのとおりに心得ておるわけでございまして、建設公債につきましても、乱に流れることのないよう十分戒めてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(前田佳都男君) 柳田桃太郎君。
   〔柳田桃太郎君登壇、拍手〕
○柳田桃太郎君 私は、自由民主党を代表して、当面する財政、経済の諸問題を中心として総理並びに関係閣僚に対し若干の質問を行うものでございます。
 質問に先立ちまして、このたび天皇、皇后両陛下におかれては、日米修好史上初めて御訪米され、友好親善の大任を果たされて、つつがなく御帰国になられましたことに対しお喜びを申し上げる次第であります。(拍手)
 なお、アメリカ上下両院においては、天皇御訪米中は日米友好デーとするという決議を採択されるとともに、フォード大統領を初めとし、朝野を挙げて御歓迎をいただいたことを深く感謝申し上げる次第でございます。(拍手)
 さて、質問に入りますが、まず三木総理の御訪米の成果についてお尋ねをいたします。
 去る八月、総理の御訪米により日米間は従来に増して親密な雰囲気が生まれたということは大きな成果であったと存じます。その当時の共同声明の中に「創造的な国際的対話を確立する必要がある」云々と述べておられますが、この創造的な対話というのは何を意味するのか、今後のわが外交政策の基調に変化が起きてくるのかどうか、総理にその内容をお尋ねしたいと存じます。
 次に、不況対策と物価問題について総理、副総理、大蔵大臣、通産大臣にお尋ねをいたします。
 一昨年の石油ショック後、昨年二月には対前年同期比卸売物価が三七%、消費者物価が二六%という異常な高騰を見ましたが、約二年の間に財政、金融面を通ずる厳しい総需要抑制策を実施し、五十年度末、すなわち来年の三月末には卸売物価を五・八%、消費者物価を九・九%アップ程度にとどめるとの見通しがついたと試算を発表するようになり、国際収支もやや回復の兆を見せておりますから、この点から見れば政府の財政、経済政策は成功したと言えましょう。しかしながら、一方においては、一昨年来の総需要抑制政策が浸透して経済活動の沈滞と雇用の減退を招き、わが国が久しく経験したことのない景気の停滞を来しております。
 副総理にお尋ねをいたしますが、国民の願いは、また政府の使命は、狂乱物価を安定するとともに、明るい見通しのある経済の安定成長を確保するということではないかと思います。その意味では、インフレ克服と高物価鎮静化に政策の重点が先行して、いまや経済界はオーバーキルの状態を呈しつつあるのではないでしょうか。今回の不況の原因は、石油ショック後の世界不況による貿易の縮小あるいは企業の過剰設備等による在庫の増大等にも起因しておりますので、政府の経済政策の誤りと断定することはできません。しかしながら、景気を刺激して物価の安定を乱しては元も子もないとの見地から、金融の引き締めによる総需要の強度の抑制策により景気が沈滞し、公定歩合を引き下げ、あるいは財政による有効需要の喚起をしたぐらいでは景気の回復のテンポが遅くなってきているというのがこの実情ではないでしょうか。現状のままでは個人消費も民間設備投資も大幅の伸長は望めないばかりでなく、貿易の縮小均衡の傾向を早急に回復する見通しも立ちがたいと思われます。したがって、国民は、景気回復の原動力として国と地方の財政支出の増大による有効需要の造出を待望しているとき、今回の補正予算が提出されましたことは、まことに時宜を得た措置であると思います。
 われわれ自民党は、一日も早くこの補正予算案を成立させて不況対策を実行に移し、国民の要望にこたえたいと念願しておりますが、(拍手)しかしながら、いろいろな事情で国会が空転して審議がおくれておりますことははなはだ国民に申しわけないことと存じます。(拍手)
 さて、去る十月九日政府が発表した昭和五十年度の経済見通しの改訂試案を見ますと、これは政府の第四次不況対策や補正予算の効果を踏まえて作成されておるものと思いますが、しかし、その補正予算等の財政支出による需要創出の効果は三兆円程度であり、しかも、これだけでは総需要をどれだけ喚起するか、あるいは個人消費支出、民間設備投資、貿易の拡大もおいそれとは望みがたいという状態において、政府はいま試算をしておられるように、この下期に上期を三・五倍も上回る六・二%の成長を遂げて、実質年率二・二%アップが果たして達成できるでありましょうか。また、完全失業者は下期には七%減という推定をいたしておりますけれども、八月と九月を比べてみますと、九月は八月よりも完全失業者が七万人もふえております。来年卒業の学生の就職率を見ましても、あるいは中高年層の就職、あるいは身障者の就職状態を見ましても、長谷川労働大臣は明年度にかような手を打つとおっしゃいましたけれども、本年度下期にこの雇用状態が安定して好転するというような見通しはほとんど見られないような状態でございます。副総理はこれに対して、達成できる、そういう確信を持ってお述べになることができますか。
 国民はもちろんインフレなき繁栄を望んでおります。しかし、不況の沼に転落したまま企業収益は悪化し、労働者は雇用不安におびえ、企業そのものが生死の関頭に立たされていつ沼から脱出できるか見当もつかない状態に置かれておることに不安と不満を持っておるということを政府もまたお気づきのことと存じます。今後は石油ショック以前のような高度成長はとうてい望むべくもありませんが、こんな方法で、およそこのくらいの期間に経済の望ましい安定成長水準に達成させると、景気回復の具体的なプロセスはこうだと、わかりやすく国民の前にお示しになる配慮が必要ではないでしょうか。福田副総理の御所見を承りたいと思います。
 なお、これらの景気回復は貿易の伸長なくしては期待できないのでございます。このときに当たりまして、不況打開に関係ある世界会議が二つも準備されつつあることは非常に幸いであります。
 これは総理大臣にお尋ねしますが、十一月中旬パリで開催される世界の不況打開にいどむ先進六カ国首脳会議において、わが国はどんな提案を行い、何を期待されておられますか。また、十二月中旬パリで開催される先進八カ国、産油、開発途上国側十九カ国の初の国際経済協力に関する会議にわが国はどんな成果を期待しておられるか、お尋ねをいたします。
 次に、通産大臣にお尋ねをいたしますが、自律的な生産や在庫調整が困難視され、異常在庫を抱えている商品については、独禁法の除外例としての不況カルテルの適用により不況からの反転の契機を与える等の措置が必要ではありませんか。
 次に、物価問題について副総理と通産大臣にお伺いいたします。
 石油危機後の狂乱物価をここまで抑制したという、鎮静さしたということは高く評価さるべきであります。しかし、これは公共料金の引き上げの引き延ばしや、石油製品の逆ざや価格の抑制等、政治的配慮を重ねて今日に至っておるものであります。したがって、今日の物価体系は、あるべき姿の物価体系ではなくて、暫定的に抑え込んだ物価体系になっております。西欧諸国では、石油ショック後の原油値上がりを反映した適切な新しい物価体系がつくられたと聞いておりますが、わが国では、輸入原油価格を適正に織り込んだ石油製品価格がつくられておらず、石油産業は一キロ二千円見当の逆ざやを背負ったまま今日に至り、いまや致命的な破局を迎えようとしております。このときに当たり、さらに先般OPEC参加国側から、一キロ約二千円以上の値上げ通告があったと聞いております。石油製品価格の値上げは電力、鉄鋼、石油化学、その他国民生活全般に大きな影響を及ぼすものでありますが、原油価格に見合った合理的な価格調整は世界各国でも実施していることで、わが国も避けることのできない試練ではないかと思います。通産大臣にその対策をお尋ねいたします。
 また、公共料金の値上げも財政構造を改めない限りは、大部分受益者負担の方式によらざるを得ないと思量されます。したがって、現在鎮静している物価も、石油や公共料金の値上げとともに騰勢に転じる心配はないか、これら積み残しの物価問題をどうするか、副総理にお尋ねいたします。
 次に、財政問題について大蔵大臣にお尋ねいたします。
 今回の補正予算と財投計画の実施によってどの程度の景気浮揚効果が期待されておりますか。これは副総理は三兆円ぐらいと言われておりますが、私はその金額の根拠はよくわかりません。
 次に、本年度の税収の落ち込みは歳入計上額の約二二%に当たる巨額に達しております。これは、わが国の税体系が景気の動向に比例して増減する所得税、法人税等直接税に七〇%以上依存しているので、不況時の財政運営に著しい支障を来すことを示しております。したがって、今後は付加価値税等間接税の設定についても検討すべきときではありませんか。
 次に、明年度においては減税の実施は困難なように報道されておりますが、個人消費支出増大のため、あるいは実質所得確保のため、低額所得者に対する所得税の減税については、新税構想とともに検討すべきものと考えられますが、いかがでございますか。
 公共料金等の値上げは、財政窮乏下においてやむを得ない措置であると思いますが、この点に関しての御所見を承りたいと存じます。
 今回の補正予算の公共事業費は大型プロジェクトに集中し、全国的な不況対策となる生活関連事業はわりあい少ないと批判する人がありますが、予算書を見ただけでは的確にそれを判断することはできません。大体の使途区分を大蔵大臣にお尋ねいたします。
 本年度の大蔵省証券の発行額及び一時借入金の最高額は、このたび一兆二千億円追加して二兆二千億円となりますが、国債の発行と重複する年度末においては、あるいは年末においては民間金融を圧迫したり、あるいはインフレの誘因となる心配はありませんか、あわせてお伺いいたします。
 次に、国債についてお尋ねいたします。本年度の国債発行額は総額五兆四千八百億円となり、一般会計の二六・三%にも達する大きな金額であります。明年度も、五十年度の経済見通しが仮に達成されたといたしましても、六兆円を下らない国債の発行が予想されますが、財政法第四条の特例債が慢性化することとなりはしないでしょうか。これに対し大蔵大臣は、特別公債に依存しない堅実な財政にできるだけ早く復帰するようあらゆる努力を傾注すると、抽象的な決意だけを述べておられます。しかし、これは将来の見通しにつきましての質問に対しまして本日もお答えがありましたが、余りにも不確定要素が多過ぎて長期計画は立ちがたいとおっしゃっておられますけれども、政府がその財政計画を立ててそれに向かって国の経済財政を運営していかないで、その自信を失った場合に、一体国の財政はどうなるかということを心配しない者はおりません。したがいまして、新しい経済五カ年計画ができるとともに、財政計画もお立てになって、その線に歳入歳出をはめ込み、そして健全財政をつくっていくことに努力をすることこそ大切ではないかと思います。(拍手)
 それから、国債の発行についていろいろな異論がございますけれども、本年度について見ますと、税収補てんのために巨額の国債を発行することは、これは財政の健全性を確保する見地からは適正な財政運営ではありませんけれども、深刻な不況のもとで増税をしたり歳出を削減したりいたしまして、ただ財政のバランスを確保するというだけではますます不況を深刻化しますので、本年度は万やむを得ないと私どもは存じております。しかし、国債五兆四千億円余りと地方債四兆二千億円を合計すれば九兆六千億円となり、これだけの国債、地方債を本年度出納閉鎖期まで六、七カ月の間に発行するとすればインフレ再燃のきっかけとなるおそれはありませんか。国債は市中消化が原則でありますが、すでにシンジケート団との引き受けの話し合いはついておりますか。私どもの聴取したところでは、シンジケート団の非公式の意見として、国債流通の円滑化、実勢価格による発行、マル優制度限度金額の引き上げ等を要望しており、予定発行額の市中消化はきわめてむずかしいという予想も示されております。大蔵大臣に国債発行の見通しについてお伺いをいたします。
 また、資金運用部資金の問題でありますが、も少し資金運用部が国債、地方債を多く引き受けてはどうかという意見があります。資金運用部資金の原資の状況を承りたいと思いますが、それは一般では郵便貯金関係が二十兆円、あるいは厚生年金の積立金が十兆円、その他を合わして三十五兆円ぐらいの資金があるはずだ、それで、も少し国債、地方債を消化できないかということを言う人がありますので、その実態を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、国と地方の財政が現在のごとく窮迫し、巨額の赤字国債と地方債をもって収支の均衡をとらざるを得ない状況下において、「大幅な歳出の削減や一般的な増税は行わない」、これはもちろんでありますけれども、本年度においても既定経費のうちの相当部分を削減しており、また政令で直されるものは直して税収の増加を図っておりますので、そういう点についても大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 なお、今後高度成長になれた安易な経済運営を改めて、既定経費あるいは補助金等々歳出の効率化、合理化に努め、歳入については、さきに申し上げました租税体系やあるいは公共料金のあり方を全面的に見直しをすべきときに至っておるではないかと思いますが、いかがですか。
 総理にお尋ねしますが、国と地方の財政がこのように巨額の赤字に転落し、回復のテンポもおくれることにつきまして、まだ一般的にはよく理解されておりません。本日もこの場におきまして総理はそのことを申されましたが、国民の欲求は多様化、高度化し、これに対します予算要求は非常に膨大なものになると思いますので、健全財政を確立するためには財源の重点的配分と効率的運用がぜひ必要になったということをあらゆる機会に周知させる方法をとられて、理解と協力を求められる必要があるではないかと思いますが、いかがですか。(拍手)
 次に、地方財政について自治大臣にお尋ねいたします。
 今回の補正予算において、地方団体に対する地方交付税や地方税減収補てん等につきましては、きめの細かい配慮が払われておりますことは適切なことと存じます。しかしながら、これらの財源は当初の起債計画とあわして四兆二千億円の地方債をもって充当することになっております。このうち一兆八千六百億円は民間よりの縁故借り入れすることになっております。地方団体の発行する縁故債は日銀からの資金借り入れの適格担保とならず、日銀の買いオペレーションの対象ともならず、またマル優制度の税の減免措置も受けられないということで、国債と比較して不利な条件下に置かれていると聞いております。これでは縁故地方債の市中消化も困難視され、貸し付けた地方銀行等も資金操作が不円滑となり、地元の一般金融を圧迫するおそれが生ずるのではありませんか。自治大臣は大蔵当局と折衝中と聞いておりましたが、すでにこれらの困難な条件解決について話し合いがついておるかどうかお伺いいたします。
 地方団体では今後の財政運営がどうなるか非常に心配をしております。政府においては国と地方の税源配分や事務配分の再検討、超過負担の完全解消、定年制の実施等の要望が高まっており、長期見通しのもとに、地方自治達成のための基本的な対策を立ててほしいと言っておりますので、自治大臣のお考えをお尋ねいたします。
 次に、財政難時代の対外経済援助についてでございますが、三木総理大臣のお考えをお尋ねいたします。
 三木総理は、去る八月六日のナショナル・プレスクラブにおけるスピーチで、「私は十年来、アジア、太平洋諸国の開発途上国の経済開発のため、貿易、経済援助等の面で協力し合うべきことを主張してきた」と述べておられますが、さて、過去一年間を振り返って見ますと、日本の対外経済援助額は、OECDの達成目標一%に対して〇・六五%であり、仏、西独、英、米に次いで五位で、平均の〇・七%にも及んでおりません。しかも、政府ベースの援助にいたしましては、平均が〇・三三%に対し、わが国はわずかに〇・二五%であります。今後、財政難時代を迎えて、三木総理の十年来の宿願がどうなるか憂慮にたえません。私は、開発途上国に対する経済援助は、経済的な安全保障となっている経費であると思います。平和外交を推進するわが国として欠くことのできない経費でありますから、財政難時代においても、OECDの達成目標を充足するよう努力することが必要と考えますが、三木総理のお考えをお聞きしたいと思います。(拍手)
 最後に、外交問題について二件だけお伺いをいたします。
 一つは、北方領土の問題であります。一昨年田中首相訪ソの際、第二次大戦以来残った未解決の諸問題の中に歯舞、色丹、国後、択捉の四島を含むことを二度にわたって確認して帰国したと報ぜられました。ところが、さきに平沢和重氏がアメリカのフォーリン・アフェアーズに掲載した論文の中に、「三木首相は前任者たちと違う一つの解決策に到達しつつある」と書いております。これは一評論家の書いたことでございますけれども、前述四島のうち国後、択捉の二島の問題を今世紀末まで凍結し、ソ連との平和友好条約を締結すべきと述べておりますところから見まして、これは、三木総理が四島返還について従来の政府の方針と違った解決策を考えているということと平仄が一致するように心配されますので、お伺いをいたします。年内にソ連外相も来日されるように伝えられておりますが、念のため、三木総理にこの北方領土返還に関する決意をお聞きしたいと思います。
 次に、領海十二海里の問題でございます。これはわが国の領海三海里を十二海里に広げた場合、国際海峡における諸問題の生ずることをよく承知しておりますが、わが国沿岸漁業救済の見地からは、世界の趨勢に応じ、領海十二海里宣言を必要とすると考えております。これに対する三木総理の御答弁をいただいて質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 柳田君にお答えをいたします。
 柳田君もお触れになりましたが、天皇、皇后両陛下には、二週間にわたるアメリカ訪問を終えられて、日米親善のために多大の御功績を残されて無事御帰国になられましたことは、各位とともに喜びにたえないところでございます。(拍手)また、その間、アメリカの政府あるいは民間の温かい御歓待を受けましたことに対して、アメリカ政府、アメリカ国民に対して謝意を表する次第でございます。(拍手)
 私が八月アメリカに参りまして、フォード大統領との間に首脳会談を開きましたのでございますが、これの成果はいかんということでございました。
 日本の外交は、日米の友好親善関係を維持するということが外交の重要な基調をなすわけでございます。そのためには日米の両首脳間における相互理解と相互信頼というものが何よりも大事なことでございます。そういう意味において、今回の日米首脳会談は、私とフォード大統領との間の相互理解、相互信頼を増進する上において非常に大きな収穫のあった会談であると考えておる次第でございます。われわれは、こういう首脳間の理解、信頼、これを基礎にして今後日米の協力関係を増進してまいりたいと考えております。その際の共同声明の中に、創造的な国際的対話の確立を重視するということが出ておった点について柳田君はお触れになりましたが、今日の世界は、もう力の対決によって問題の解決はできない。日本の国内においてもそうでございますが、国際的にも対話と協調ということが世界政治の大きな流れであります。そういう意味からして、この創造的な国際的対話というものは、従来の惰性にとらわれないで、あるいはまた後ろ向きでない、将来の世界の平和、繁栄に向かって国際的に話し合って、そういう平和と繁栄を促進しなければならぬ、そういう考え方のもとに、すべての国が受け入れられるべき一定の原則をこの共同声明の中にうたったわけでございまして、今後日米が協力していく上において一つの大きな原則を示したものでございます。
 またさらに、この十一月の中旬に開かれる先進主要国の首脳会議についてお触れになりましたけれども、柳田君も御承知のように、今日の世界はこの不況の問題一つ考えてみましても、日本だけでは解決ができないわけであります。これは日本のように、たとえば石油のごときもほとんどの石油を輸入して、その石油が一挙に価格が四倍になればどういう打撃を受けるかということは、われわれ身をもって体験をしておるわけでございます。したがって、もう今日ではやはり国際的な協力というものを除いてこの問題は解決できない時代になったわけでございまして、その中においても、主要な先進工業国というものの持っておる責任というものはきわめて大きいと思います。したがって、これは戦後初めてのことでありますが、主要先進工業国の首脳が寄ってお互いに相互理解、相互協力というものを促進をいたしますことは大きな私は意義があると思います。一回の会談だけで直ちに大きな変化が起こるとも思いませんが、こういう今日の世界に対して非常に大きな責任を持っておる主要な先進国の首脳が話し合うということから、そのことが今後の貿易の拡大であるとか、南北、いわゆる先進工業国と発展途上国との関係の調整であるとか、こういう問題に対して大きな方向が打ち出されるということを考え、われわれもそういう方向でこの首韓会議に臨みたいと考えておる次第でございます。
 また、健全財政の確立について、私の決意を示し国民の理解を得るべきであるというお話、全くそのとおりでございます。今回の補正予算によって、五十年度の国公債発行額が総額五兆四千八百億円となり、公債の依存度は二六・三%に達するということになったわけでございます。これからは高度経済成長下のような多額な自然増収というものは期待することはできませんので、今後の財政運営というものはきわめて厳しいものにならざるを得ない。また、歳出についても、従来の惰性に流されず、思い切って重点的に歳出というものが図られなければならぬわけでございます。したがって、国民の十分な財政の現状に対する御理解をいただいて、一日も早く財政の健全性を堅持するためには、特別公債に依存しないでこの財政が運営できるようなことに早く復帰するようあらゆる努力を傾ける所存でございます。
 また、次に対外経済協力についてお話がございましたが、これは国際目標としてGNPの一%ということが定められておるわけでございまして、一九七三年は日本も一・四四%までいったわけですが、七四年は〇・六五という低い水準に終わったわけでございますが、どうしても私どもがアジア・太平洋における平和と安定というものを考えるときに、これら諸国における民生の向上安定ということが平和の一つの大きな基礎条件であります。貧困というものは平和と両立をしないものでございますから、われわれとしても、このアジア・太平洋の安定をこいねがうものとして、できる限りの技術的な経済的な協力を行って、そして地域の経済的発展を図ることが当然の責務であると考えるわけでございます。したがって、いろいろ財政的には困難な時代をわれわれはいっておるわけでございますが、しかし、この困難の中にあっても、できる限り海外の経済協力というものを推進することによってわが国の国際的責務を果たさなければならぬと考えておる次第でございます。
 北方領土問題について私の見解を御質問になりましたが、私は、北方の領土――歯舞、色丹、国後、択捉、この四島はわが国固有の領土であり、一貫した立場で一括返還を実現をすべきであるということを述べておるわけでございまして、ソ連との平和条約を締結するについても、一括返還ということを前提にして今後とも対ソ外交を行っていく考えでございます。
 また、領海十二海里の問題についての御質問がございましたが、この領海十二海里の拡張問題については、海洋法上その他諸問題との関連で、わが国全体の立場から総合的に判断しなければなりませんので、本件についてはいま慎重に検討する必要があると考えております。十二海里にすることによって、たとえばソ連などの漁船の日本近海進出に対しても一つのチェックができるではないかという御意見もございますが、わが国全体の立場からしてひとつ総合的に判断したい。ソ連の漁船とのいろいろな問題につきましては、政府は去る六月に日ソの漁業操業協定に署名しましたが、国会の承認を得次第、同協定を直ちに発動させて、円滑な操業の確保をすべく万全を期したいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 柳田さんから、物価の方はうまくやっているが、どうも景気の方がオーバーキル、どうもうまく行っていないんじゃないかというような御指摘でございます。確かに、今日のわが国の経済をどういうふうに評価するか、これはまあ非常にむずかしい問題かと思うんです。物価につきまして、あるいは国際収支につきまして、先ほど申し上げたとおりでありまするが、経済活動の面につきましては、ことしの三月ごろから生産は上昇に転じておるわけであります。それを受けまして、出荷はふえる、それから稼働率指数、これは三月が底でありまして、七七でありましたか、これが八月の時点では八三まで回復をされる。まことにマクロ的に見ますると、わが国の経済は文字どおりなだらかな成長過程に入っております。回復過程に入っておる。ところが、それにもかかわらず財界に非常に苦悩の色が深い。これは一体どういうわけか。わけがある。つまり望ましい操業度というものがあるわけです。稼働率指数で言うと、大体九五ないし一〇〇ぐらいの稼働率指数ということが望ましいのだという、そういう説が有力でございますが、それに対して稼働率がだんだんだんだんと上がってくる。上がってくるが、まだそこまで行かない。八月の時点についてはとにかく八三%しか行かない。そういう稼働率の不足といいますか、過剰設備を各企業が擁しておるというこの状態、これがいろんな問題を生む。これはまた世界各国の企業とわが国の企業が違う点だと思うんですが、つまり過剰設備でございますが、その過剰設備はどうやってつくったかというと、わが国におきましては、これは借入資本、つまり借金で企業はそういう設備をつくっておる。諸外国の方は主として自己資本でつくっておるんです。わが国は借金でありまするから、そういう過剰設備に対する利子負担、固定費負担というもの、これがあるわけです。これは諸外国と違う点です。それから諸外国におきましては、企業が過剰設備を擁するという状態でありますれば、そこで人員の整理を行う。しかし、わが国におきましては終身雇用体制ということで、過剰人員を多くの企業が抱えておる、そういうこと。そこで人件費負担というものが企業の経理を圧迫する。ですから、マクロから見ますると、日本の経済はいい状態にずっと推移しようとしておる。これからさらにその勢いが強まろうとしておる。それにもかかわらず、個々の企業、つまりミクロ的に見ますると、おのおの苦悩の色が非常に深いというのが現状であります。さて、それじゃそれをどういうふうに打開するかというと、これは非常に開きのある操業度不足を縮めていくほかはない。操業度の不足を縮めていく。そのためにはどうするかというと、最終需要をふやすほかはない。最終需要をふやすにはどうするかといいますれば、個人消費を急に刺激するという手はない。輸出もそう簡単にふえるというわけにもいかない。設備投資はそういう過剰の設備があるという状態ですから、これをさらに刺激するというわけにもいかぬ。そうすると、どうしたって財政活動、これを考えるほかはない。そこで今度補正予算等をお願いをいたしておる。こういう状態でございますが、そういう状態で、補正予算の早期成立をぜひひとつお願いしたいと思うのでありまするが、そうなりますれば、下半期におきましては、経済活動は上半期よりさらに三・一%、これを活動が強化されるわけであります。これは年率にいたしますと六・二%に相当する。八月の時点におきまして稼働率指数が八三%であったものが大体九〇%の程度まで行く、こういうふうに見ておるのであります。ただ、特に柳田さんにお願いしたいのは、私は一昨年の石油ショックによる打撃というものは、そう簡単なものじゃなかった、回復まで三年はかかると、こう見ておるのです。ですから、いまちょうど一年半、ちょうど三年の真ん中です。また来年の三月という時点は二年目でありますが、その時点で本当に景気に回復感というものが出てくるかというと、私はそうじゃないと思う。そういう状態には私はまだ五十一年度という年を待たなければならぬ。こういうふうに考えまするけれども、しかし、私はあと一年がまんすれば、この操業度も改善される。雇用の状態もよくなる。また経理も正常化される。そういう希望を持ち得る状態にはぜひこの下半期中にはいたしてみたい。こういうふうに考えておりますので、国民におかれましては、私は本当に自信を失ってもらっちゃ困る、自信を持ってひとつ経済活動、また各それぞれの企業の改善、合理化、そういうものに取り組んでもらいたいと切に念願をいたします。
 さらに、公共料金政策について基本的にどういうふうに考えるかと、こういうお尋ねでございますが、これは野々山さんに先ほど申し上げたとおりです。いまわが国は、世界各国と同様、新しい価格水準を形成する過程にある。大方そういうふうにできたと思うんです。しかし、それに乗りおくれたものがあるわけであります。
 その第一は、政府の介入する公共料金につきましては、物価政策の見地からずうっと抑えてきているものが多いわけです。そういうものを抑えっ放しでおくわけにいかない。逐次改善を必要とするわけでありまして、そういうことで、計画的に物価との調整を考えながら公共料金の改定という問題と取り組んでいかなけりゃならぬだろうと、こういうふうに考えておるわけであります。
 また、民間の製品価格につきましては、これはもう大体私は新価格体系へ移ったと、こういうふうに見ております。しかし、乗りおくれのものがもう絶対ないかというと、あるいは若干のものでそういうものがある。こういうものにつきましては、これはまあ調整を要することでございましょうけれども、しかし、それにいたしましても、物価政策の動向とにらみ合わせて、そのタイミングだとか幅、こういうものにつきましては各業界なり企業なりにおきまして深甚なる配慮をしてもらいたい、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 歳入の欠陥に対応いたしまして間接諸税の増税を考えないかという御質問が第一でございました。仰せのように、今度の歳入欠陥は法人税、所得税が中心でございまして、その八割以上が法人税と所得税の欠陥でございます。したがって、法人税、所得税のように景気に敏感な税目ではなくて、間接税方面をもう一度見直すべきでないかという議論はあるわけでございます。こういった問題につきましては、今後税制調査会を中心に御勉強いただきたいと考えております。
 所得税の減税を考えないかということでございます。これも将来の問題でございまして、税制調査会において御審議いただかなきゃなりませんけれども、政府といたしましては目下こういう考えは持っておりません。
 公共事業につきまして、プロジェクト――大型プロジェクトに偏するきらいはないかという御指摘でございますが、公共事業は御案内のように去年、ことしと総需要抑制策の犠牲になりまして抑えてきたわけでございまして、今回の補正予算で一一%程度これを増額いたしたわけでございますが、その中身を見ましても、生活関連施設、住宅対策、公害対策、農業基盤、水質保全その他に使っておりますので、プロジェクトに偏向いたしたつもりはないわけでございます。もとより新幹線、高速道路等につきまして、若干の補正をいたしておりまするけれども、当面の工事を最小限度継続してまいり、雇用の維持を図る必要を感じたわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 それから大蔵省証券の発行は通貨の増発を招かないかという御質疑でございますが、これは御案内のように、年度内にその年度の収入をもって完済しなければならぬことになっておりまするので、たとえ日本銀行に持っていただきましても、年度内に返済しなければなりませんので、そういう御懸念はないものと私どもは考えております。
 それから、政府といたしましても財政計画を持つべきじゃないかという御提案でございます。私ども、財政計画が持ち得るものであり、それが実効性を持つものでございますならば、これを拒む理由は少しもないわけでございますが、現実にいまの状況は、先ほど申しましましたように、大変な不確定要素が多過ぎるわけでございまして、実効的な計画が立ち得る環境かどうかという点に若干の疑問を持っておりまするし、仮に一応の計画を立てましても、わが国のように非常にバイタリティーに富んだ国民は、一応の計画を立てましても、それはミニマムとして留保しておきまして、毎年毎年それに幾ら上積みするかということを考えるわけでございまして、決して財政計画どおり遂行してまいるということは、非常に私は至難のわざではないかと考えるわけでございますが、せっかくの御提案でございまして、今後真剣に検討すべき課題であると思います。
 それから国債発行におきましてシ団の了承を得て円滑にやってまいらなければならないことについての御注意でございます。国債につきましては、もとよりまず規模が問題でございますし、条件が問題であろうと思いますし、仰せのようにシ団との間に十分の了解がなければならぬわけでございまして、この補正予算提出の前日、シ団の代表者と会見いたしまして、十分そのあたりの意思の疎通を図ってまいっておるわけでございまして、条件につきましては、ひとり国債ばかりでなく、公私の債券、預貯金等との間の金利のバランスをどうするか、目下慎重に検討いたしておるところでございまして、仰せのように市中消化が円滑にまいるように、シ団の協力が円滑に確保できますように努力してまいりたいと思います。
 資金運用部資金はいまどうなっているか、こいつをどう活用するかというお尋ねでございます。八月末仰せのように約三十五兆あるわけでございまして、長期の国債に約四兆、短期の国債に六千億、政府関係機関貸し付け二十四兆六千億、地方公共団体に対する貸し付けが五兆五千億等となっておるわけでございます。この中で当面、国債の引き受けその他にどれだけ使われるかという問題でございますが、たとえば日本銀行から売り戻し条件づきで資金運用部が買い入れておりますような国債、たとえば二兆二千億ばかりございますが、そういったものでございますとか、短期国債とか、そういったものにつきましては直ちに換金できる性質のものであろうと思うのでございまして、今度の地方財政対策、補正予算対策等につきまして、景気対策等にはそういった資金を活用する予定でおるわけでございますが、今後半年間にどのように資金運用部の資金が増加するかということにつきましても、いろいろ検討をいたしておりますけれども、最近のように雇用所得の伸びが低い段階におきましては思うような蓄積が期待できないわけでございます。大変、この資金運用部の資金の運用、ますます厳しくなってまいるのではないかと心配をいたしておるわけでございます。
 それから、国債発行の前提、あるいは増税をお願いする前提といたしましても、歳入、歳出の見直しを徹底的にやるべきじゃないかという御指摘でございました。これは仰せのとおりでございまして、歳入につきましても、大部分が国会の御審議を願わなけりゃならぬ性質のものでございますけれども、金融機関の貸し倒れ引当金につきましては、行政府でできることでございますので、先般これを引き下げることにいたしたわけでございます。歳出につきましては、五百四十億円の節減を各省庁にお願いいたしたわけでございます。今後も政府といたしまして、可能な限り歳入、歳出につきまして、厳正かつ周到な処理をいたしまして、国債発行をいたしまするにつきましても、また、今後いかなる財政措置を講ずるにいたしましても、政府としての姿勢は一々正してまいらなければならぬものと心得ております。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(河本敏夫君) まず第一番に不況カルテルについてでございますが、特にこの市況の悪化をいたしております産業につきましては、不況の深刻化に伴いまして、不況カルテルの締結をしたいと、こういう希望が出ましたときには、それに対しては積極的に支援をしていきたいと、かように考えております。
 それから、先ほど新価格体系の話が出ておりましたが、この新価格体系に乗りおくれました最大の産業は石油産業であろうと思います。そのために、現在年間数千億に達する赤字経営を続けておりまして、現状は経営の維持も困難になっておると、こういう状態でございまして、こういう状態が続きますと、今後石油の安定供給もむずかしくなる。鉄と並ぶ二大基幹産業がこういうことになりますと大変でございますので、この際、石油製品の価格問題をどういうふうに解決するか、目下結論を急いでおるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田一君) 柳田さんにお答えを申し上げます。
 縁故債が一般公債に比して非常に不利益な面が多いが、そのような段階においてことしは一兆八千億円余の縁故債を募集しなければならないことになる、それが果たして十分に消化できるのか。さらにまた、それが地方の中小企業に悪影響を及ぼさないかという御質問でございますが、まず、この縁故債の不利益な面につきましては御指摘のとおりでございまして、今後もやはり縁故債を相当募集しなければならないような状況にあることを考えてみますというと、これは大蔵、日銀の関係者に対しまして、何らかのこの改善措置を求めてまいるように協議をしてまいる所存でございます。
 なお、この一兆八千億円余の縁故債、これが中小企業に悪影響、すなわち、その地方の中小企業が資金の借り入れに困難を生ずるというようなことがあってはこれは大変な事態でございますので、そういう場合においては日銀に対しても十分協力を求めるようにいたしたいと考えております。
 次に、来年度の地方財政の見通しについての御質問でございますが、御指摘のとおり非常に苦しい状態でございまして、本年度において約二兆二千億円の歳入不足を生じておるのでございますが、来年度においてこれが大きく改善されるという見込みはいまのところないと思っております。こういうような事態においてこの地方財政を運営していくという場合においては、われわれも十分あらゆる面で努力をいたさなければなりませんが、しかし、地方自治体が自治行政が運営できないようなことになっては大変でありますから、その点は大蔵省その他関係当局と十分に連絡をとって、そのようなことがないようにいたしたいと存ずるのでございます。
 それから、こういうような非常に地方財政が困窮した事態にあるということが一般国民あるいは地方自治体の住民に徹底しておらないじゃないか、もう少しこれを徹底させる必要があるという御指摘でございますが、まことにごもっともな御意見でございまして、われわれといたしましては、今後一層その面において努力を続けてまいらしていただきたいと思う次第であります。(拍手)
○副議長(前田佳都男君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時八分開議
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。塩出啓典君。
   〔塩出啓典君登壇、拍手〕
○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、政府の財政、経済演説に対し質問を行います。
 まず最初に、三木総理の政治姿勢についてであります。政府は、今年二月を底として経済好転の兆しありと言っておりますが、国民のはだに感じる不況は、ますます深刻化しております。中小企業の倒産件数や銀行取引停止処分者件数も大幅に増加し、有効求人倍率も〇・五五付近を低迷し、失業者数も、政府の現実から遊離した統計でも百万人に達しています。不況は、常に低所得者や小規模企業等の弱い立場の人に一番大きな打撃を与えております。まず、パートタイムで働いている人たち、臨時工、老齢者、出かせぎの人たち、身体障害者の方々等が真っ先に職を失い、また、大企業は仕事が減ってくると下請企業への発注を減らすため、末端の小さい企業ほど仕事がなく深刻であります。これら小規模企業の人たちの声は、ともかく仕事が欲しい、工賃はどんなに安くてもいい、仕事さえあれば長時間残業してでも働くんだ、このように言っております。さらに、職を失わなかった人たちも賃上げは一三%以下に抑えられ、残業による収入増は極度に低下し、残業収入や妻のパートの仕事の収入を当てにして購入したささやかなマイホームのローンも返済できず、来年卒業予定の学卒者の就職難とともに大きな社会問題となっております。生活保障である生産者米価を低く抑えられた農家の人たちの生活も同様であります。総理府のデータからも、所得の一番低い第一分位と所得の一番高い第五分位の格差はますます拡大し、三木総理の言う不公平是正は言葉のみあって、現実に不公平は拡大をしております。政治はこの現実を直視し、そのような結果を招いたことに深い責任を感ずべきであります。この強い責任感から新しい道を開く英知も生まれてくると思うのであります。ところが、三木総理、あなたは政府の政策選択に誤りがなかったことを自画自賛し、先日の議院運営委員会におけるわが党黒柳議員の質問に対し、「三木内閣は、十点満点とした場合、百点である」、このように申しました。いやしくも公式の場でそういう発言をするあなたの政治感覚は、不況に悩む国民大衆の気持ちから大きく遊離していると嘆かざるを得ません。総理の判断の一つ一つに国民生活がかかっているのであります。謙虚に反省し、国民にわびる気持ちで政治に取り組んでほしい。総理の見解を求めるものであります。
 次に、不況対策と銘打って召集された本国会に、酒、たばこ、郵便の値上げ法案を真っ先に提出した姿勢であります。現在の深刻な不況の対策が緊急かつ第一の本国会の目的であったにもかかわらず、最も弱い立場の人たちに打撃を与える値上げ三法案を真っ先に提出したことは、党略としか言いようがなく、理解に苦しむところであります。しかも、値上げの内容は全く大幅であり、たとえば郵便の封書は一挙に二・五倍、山間僻地の人たちに新聞を郵送する第三種郵便は一挙に五倍であります。不況下にこのような急激な値上げは封書等の需要の減退を招き、また、山間僻地の新聞購読者の激減を招くことは必至であります。不況対策に逆行するこれらの値上げ法案を凍結し、撤回すべきであります。政府の見解を伺いたいのであります。
 次に、財政問題についてでありますが、今回の政府演説に見られるマスコミの論評は、長期展望に欠け具体性がないということであり、私も同感であります。
 五十年度のわが国財政は、十年ぶりに二兆二千九百億円の赤字国債の発行に追い込まれ、さらに建設国債一兆一千九一百億円を増発し、年度を通じて国債発行は五兆四千八百億円となり、本年度予算の四分の一以上の二六・三%が国債、すなわち、国の借金であります。このような高率の借金財政は、戦時という異常事態を除けば、外国でもいまだその例がないと言われています。その上、四十九年度末のすでに発行している国債の残高は十兆四百八十四億円で、これらを合わせると、国の借金は納税者一人当たり五十六万円であります。さらに、低成長時代を迎え、恒常的財源不足が予想される今日、これらの膨大な国債をどうやって償還するのか、来年度以降の財政計画はどうなるのか全く明らかでなく、大蔵大臣の答弁を求めます。
 さらに、今年度財政について言えば、新聞報道では四月時点で一兆五千億円と伝えられた歳入不足見込み額が、日がたつにつれて増大をし、九月にはほぼ四兆円になったのであります。膨大な官僚機構を抱え、コンピューターによってあらゆるデータ、情報を持つ政府が、わずか半年で二兆五千億円もの見込み違いを出すとは、全く理解に苦しむところであります。見通しを誤った理由は何か、どのように反省をしているのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。このように半年の見通しも立たない政府に中長期の財政計画を示せと言っても不可能かもしれませんが、それでは困るのであります。財政当局の強い反省を求めるものであります。
 次に、行財政の見直しについて質問をいたします。大蔵大臣は一昨日の答弁で、七百四十一億円の既定経費を節減すると述べましたが、四兆円近い歳入不足、十五兆円以上の国債という借金を背負う財政の責任者として、そのようなおざなりの姿勢に強く反省を求めるものであります。今年度予算の六兆八千億円に及ぶ補助金の抜本的検討、高級官僚天下りの諸外郭団体における法外な退職金、むだな人件費の節減、地方財政改善のため地方に権限を大幅に移譲し、中央集権の判こ行政を根本的に変え、二重行政を改める等々の改革を断行すべきであります。政府の決意をお聞きしたいのであります。
 また、税の不公平にメスを入れず、値上げ三法案をごり押しし、安易に負担を国民に押しつける姿勢は、不公平を増大させるばかりで許すことはできません。五千六百億円という膨大な税金をまけていると言われる租税特別措置に対し、どのような具体的なメスを入れるのか。税制調査会においても問題となっている医師の診療報酬への課税をどうするのか。国民大衆から見て納得のいかない交際費課税の強化をどうするのか。金融機関に対する貸し倒れ引当金の損金算入限度額を千分の五まで下げ、三千億円の税収確保を図るべきではないか。以上の諸点につき、政府の具体的答弁を求めるものであります。
 次に、第四次不況対策を中心に、今後の経済運営の問題について質問をいたします。申すまでもなく、わが国経済は、油ショックに端を発した深刻な不況からの立ち直りという難問とともに、高度成長から安定成長への転換という難問の二つの問題の解決が迫られているのであります。特に、高成長から低成長への移行は、西ドイツ等の例を見るまでもなく、十年、二十年の長い歳月が必要であります。しかし、自民党政権は今日まで将来への見通しもなく、野党の主張にも耳をかさず、「成長なくして福祉なし」と、ひたすら高成長路線を走り、油ショックの壁に正面衝突をしたのであります。企業も行政も、そして個人も何らの対応なく低成長路線を迎えたところに大きな困難があるのであります。福田副総理は、「わが国経済をもと来た道へ復元しようとするのではない」、このように述べております。これはまた抽象的で具体性なく、経済問題の担当をもって任ずる副総理の演説としてはまことに不満足であります。
 今後の日本経済の歩むべき方向については、各界各層からいろいろな意見が出ております。日本の石油輸入増加率を減らし、しかも経済成長率を高めるためには、経済成長率に対する石油輸入増加率の弾性値をもっと下げるべきだとの意見もあります。そのため、トラック輸送より六分の一のエネルギー、四分の一の面積で済む鉄道輸送を強化せよとか、大量輸送機関を充実して、マイカーをふやさない方向に行くべきだとの意見もあります。また、公害防止とエネルギー節約の立場から、化学肥料を有機肥料に、また合成洗剤を粉石けんにかえよとの意見も出されております。これらの方向転換には、関係業界のいろいろの反対もありましょう。しかし、日本民族が生き残るためやるべきことは選択をし、勇断をもって行うのが、いまの子供たちや子孫に対する現在の政治家の重大な責務ではないでしょうか。副総理の言う、「もと来た道」でないという政府の目指す新しい道がどういう方向なのか、具体的な説明をお願いしたいのであります。
 次に、国の経済政策は、物価の目標だけを達成したから誤りがなかったというような単純な考え方でなく、常に物価安定、適度の経済成長、福祉の充実、国際収支の改善等々の複数の目標達成を念頭に、バランスのとれた運営が必要であることはだれ人も異論のないところであります。不況による歳入不足のため、福祉がおくれてもやむを得ないというのでは、余りにも無責任と言う以外にはありません。限られた財源の中からの公共投資も常に複数の目標達成を念頭に置くべきであります。したがって、高度成長時代の産業基盤づくりのための大型プロジェクトへの投資は最小限に抑え、この際、特に住宅建設、通勤列車、生活道路の充実、農業土地基盤整備の推進、救急病院、公園、保育所、幼稚園の建設等に重点を置き、不況対策と福祉充実の両方の解決を図るべきであります。これら公共投資の配分については、十分にして慎重な配慮を望みますが、政府の見解を聞いておきたい。
 これに関連して申し上げたいことは、本州四国の架橋の問題であります。愛媛県に生まれ、広島県に住んでいる私にとって、本四架橋の早期実現を要望する関係者の声は十分承知しているのであります。しかし、低成長を迎えた現在、高度成長時代につくられたこの計画の十分なる再検討もせず、ただ不況対策のみのゆえをもって政治的判断から進めることは問題であります。加えて、本四架橋の実現は、七千余人の瀬戸内海航路で働く船員と何万の家族の生活に打撃を与えることにもなり、その救済等も明らかにされないまま進められようとしておるのであります。政府は、これらの問題を含め、環境影響事前調査のみならず、経済影響事前調査を十分に行い、再検討するべきではないかと思うのでございますが、政府の見解を聞きたいのであります。
 また、福田副総理は、今後の不況対策で、年度末稼働率指数九〇近い水準に返ると言っているわけでございますが、個々の業界をミクロ的に見る限り、現在の政府の措置では目標達成はまことに困難であると感ぜざるを得ません。たとえば造船業界、特に中小造舶業界やその下請、あるいは海運業界、なかんずく内航海運業界等の前途はまことに厳しいと言わなければなりません。稼働率指数九〇達成の根拠と、造船業、海運業界への今後の政府の施策について御答弁をお願いしたいのであります。
 最後に、三木総理に申し上げたい。日本は、いまや未曾有の困難に直面していることは異論のないところであります。しかし、かつてあの敗戦の中から立ち上がった日本民族の過去を思うとき、私は必ずやりっぱに乗り切れると確信をしているのであります。しかし、そのための第一条件は、政治に対する国民の信頼が確立されなければなりません。乏しきを憂えず等しからざるを憂うというのが日本国民の気持ちであると思います。ゆえに、政治の信頼回復には、さきに述べた税制等のあらゆる不公平に対し果断なメスを入れるべきであります。
 さらに、預貯金利子の引き下げの問題であります。高度成長時代に、庶民は物価上昇よりはるかに安い金利で預貯金に励みました。当時銀行はその金を大企業にどんどん貸し、大企業は全国の土地を買い占めて莫大な資産を持ったのであります。和光証券の調査によれば、全上場企業の持つ土地の含み資産は四十八年末で九十二兆九千六百億円、これは昨年の日本全企業百数十万社がかせいだ全法人所得七兆六千億円の十二倍以上であります。すなわち、百数十万社の全法人の十二年分の所得に該当するものであります。これらの土地を担保に金を借り、いまのような不況になって、これらの大企業の借りた金の金利を下げるため大衆の預貯金金利を下げるということは、国民の立場から見て全く不公平で納得できないことであります。常にばかをみているのが庶民であります。私は、これら法人の土地については再評価をし、再評価課税の形で応分の負担をし、莫大な過去の蓄積の一部を出すべきであります。心ある経済人は、この不況打開に企業も応分の犠牲を払うべきである、このように述べているのであります。政府の考えを聞きたいのであります。
 さらに、銀行は中小企業の倒産旋風をよそに、今年三月決算でも法人所得順位の上位に顔を並べ、全国全銀行の利益は四十八年度末一兆五千七十七億円、四十九年末一兆七千六百三十三億円となっております。銀行の経営が常に健全でなければならないことは認めるにやぶさかではありませんが、この不況下に銀行のみが多くの支店を増設し、もうけ過ぎることは、大きな不公平で、断じて許すことはできません。その上、自民党への政治献金を真っ先に再開し、一方では、健全経営のためと称し、預金金利の引き下げを強く要求していることは、国民の納得しがたいことであります。銀行を初めとする金融機関も、いまこそ経費節減に努め、貸出金利の低下に努力すべきであり、安易な預金金利の引き下げには断固反対をいたします。政府の見解を聞きたいのであります。三木総理も、金融機関に対しても厳しい姿勢で臨むことを強く要求するものであります。そして、銀行業界からの政治献金は断じて受け取るべきでないと思うが、自民党総裁としての総理の決意を伺いたいのであります。
 このような決意のできない総理では、いまの日本の難関を突破はできないと思うのであります。あなたは、総理になる前の威勢のいい発言から大幅に後退し、前国会では、財界からの献金を正当化する政治資金規正法を無理やり通過させました。今国会はさらに後退し、前国会で財界、党内の反対を押し切ってともかく国会に提出をし、衆議院通過まで持っていった独占禁止法に対し、今国会では財界の圧力に負け、何だかんだと理屈をつけ、出そうともしておりません。国民の目から見た三木さんは、もはや難関の日本を救う救世主ではなく、総理の座に安泰でいることにきゅうきゅうとしているようにしか見えないのであります。これは支持率二三%という世論調査がそれを示しております。潔く退陣し、信を国民に問うべきことを主張して質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 塩出君にお答えをいたします。
 経済政策失敗ではないか、この責任をどういうふうに考えるかというお尋ねでございましたが、塩出君も御承知のように、三木内閣が出発をいたしましたときは、異常なインフレの中に出発をしたわけでございます。卸売物価も三一・三%、消費者物価が二四・五%というその中に出発をして、もう各党も、国民も、物価の安定ということが国民的最大の要請であったわけでございます。三木内閣としては物価を安定さすということに全力を傾けてきたことは当然でございます。そして物価鎮静の方向に向かったと。そういう物価鎮静の方向を見届けて本格的な不況対策に乗り出したわけでございまして、これを物価があのような状態で推移することを中途半端においでおいで景気政策をとると言ったって、そういうものは本当の景気政策にならないわけでございますから、やはりこういうインフレと不況とが同時に存在するというような困難な時代の経済政策としては、ああいう選択をするよりほかに道がない、こういうことで、誤ってはいないと考えておる次第でございます。ただ、国際的な不況なども影響して、政府が考えておったよりも景気の回復というものの足取りが遅いと、こういうことで、今回いわゆる第四次の景気対策によって景気をやはり順調な回復の軌道に乗せようと努力をいたしておるわけでございます。
 また塩出君は、酒、たばことか郵便料金の値上げを凍結して撤回せよというお話でございましたが、やはりどの国においても国の財政的支出というものはだんだんと拡大していくと、その中において歳入の道を講じなければ財政というものは行き詰まってくるわけです。それを何によるかという問題でございますが、酒、たばこあるいは郵便料金というような公共料金について、やはり各国とも相当な税収入としてのウエートを置いておるわけでございます。酒、たばこにしても、日本よりも各国は二倍以上高いわけです。先進国の中では日本が一番安い。そういうことで、どうしてもそういう税というものはみんな喜ぶわけではないですけれども、皆がやはりそういうものに対して、税負担というものを何らかの御負担を願わなければ財政というのはやっていけるわけではない。そういう点で、酒、たばこ、郵便料金なんかの値上げを、国会において値上げ案を提出をいたしまして、衆議院では共同した附帯条件までつけて議決されたわけです。参議院でも御承知のように、もう少し時間があればこれは議決を願えるという段階まで来たわけでございまして、そういうことでございますので、今年度の予算の中にもこれはすでに計上されておるわけでございます、予算は議決になっておるわけですから。それを、予算の裏づけ法案として、この酒、たばこ、郵便料金の値上げというものが、裏づけ法案がやはりこれが議決を得ていないというわけでございますから、どうか速やかに御審議を願いまして、この財政の裏づけになる酒、たばこ、郵便料金の値上げ法案というものを、これを御審議、議決していただきたいと思うわけでございまして、これを凍結したり撤回する考え方は持っておりません。
 それから、政治資金規正法とか独禁法のお話がございましたが、政治資金規正法は、これは非常に厳しい政治資金の規制であります。これはやはりいままで政治資金規正法というものが、国会でこの改正を行おうとして実現できなかったわけです。容易ならざる問題でありますが、これが両院で議決になりまして、そしてこの金の集め方、金の出し方に対して一つの節度を求めたということは画期的な立法であると私は評価するわけでございまして、このことは日本の歴史の上においても特筆さるべき事態であったと思います。
 また、独禁法については、参議院においては一回も審議をされないで廃案になりましたので、これをもう一遍出直しをしなけりゃなりませんので、できるだけよりよい独禁法の改正にいたさなければなりませんので、いま自民党の中においてこれは再調整をいたしておるわけでございます。再調整の結果を待って、独禁法の改正というものは国会の提出も決めたいと考えておる次第でございます。だから、私の申したことは、その申したことに対して、そんなにもうそのときだけであって、それに対して責任を感じていないんではないのですよ。私の言ったことは、もう必ずこれは実行したいということで努力をしておるんですが、多少はその間、時間的なずれがあることも、これは民主政治のたてまえとしてやむを得ないけれども、私が申したことは、これはもうこの実行を途中で放棄するというようなことはいたしません。ただ、時間的な多少のずれがあることは御理解を願いたいと思うのでございます。
 また、銀行協会からの政治献金の問題にお触れになりましたが、政治献金――企業といえども、日本の政党政治の健全な発展に対して応分な寄与をするということは、これはもう当然のことであります。その場合に、その企業献金が国民に対して非常な疑惑を与えるようなことがあってはなりませんので、銀行協会に限らず、どの業界に限らず、節度のある態度が必要であると考えておるわけでございます。
 また、行財政の改革についての御要望がございましたが、やはり高度経済成長を背景として、予算は年々自然増収で大幅に増加してきたのでありますが、そのために負担も余り高めずに済んで今日まで来たわけですが、今後の場合は、高度経済成長の時代は再び来ないんですから、日本の経済成長の速度というものは、これはよほど速度が落ちてくるわけでございますから、それに適応して歳出面でも思い切って重点化していかなきゃならない、非常に厳しい選択というものが要るということでございます。
 また、国民の負担に対しても、これを見直しをする必要があります。まあ、これは決して人気のあることではございませんが、あえてこれを求めます以上は、政府としても姿勢を正し、行政経費の節減や、行政機構の定員簡素化、合理化を行う必要があると思いますので、この際は行財政についても新たに見直しをしてまいる考えでございます。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 財政計画を立てるべきであるという御主張でございます。お考え方はよく理解されるところでございますけれども、先ほども野々山さんにもお答え申し上げましたとおり、ただいま財政をめぐる環境、内外ともきわめて不安定でございまして、不確定要素が多い現在、確実な財政計画を編成できる状況でないこと、はなはだ遺憾な状況でございます。しかしながら、できるだけ財政に計画性を持たせまして、真剣な運営をやってまいらなければならぬことは、御主張のとおりでございまして、政府としてもそういうラインで努力してまいりたいと思います。
 それから、歳入欠陥の見積もりの誤りについての御質問でございました。大変大きな見積もりの誤りを犯しましたことに対しまして大変遺憾に存ずるのでございますが、私どもは、政府といたしまして決まりました経済の見通しをベースにいたしまして歳入の見積もりをいたしておるわけでございますので、今回御提案申しました歳入の見積もりが政府として責任を持てる数字でございます。一兆五千億という数字につきましては、私の関知するところではないのでございますけれども、先国会におきまして、公明党の鈴木委員が大蔵委員会で御質疑がございましたのに答えまして、補正予算の段階で七千億に余る歳入欠陥を機械的にそのまま経済の成長その他の要素を度外視して計算してみると九千億程度の減収は当然見込まれるというようなことを申し上げた記憶はございますけれども、一兆五千億ということにつきましての数字、これは私は関知いたしていないことを御了承いただきます。
 それから歳出の見直しについて厳正にやるべきでないかという御主張でございまして、仰せのとおりでございます。政府は今回五百四十億ばかりの節減を各省にお願いいたしたわけでございます。しかし、これをもって足れりとしないわけでございまして、五十一年度の予算の編成に当たりましては、徹底的な各項目にわたりました見直しを通じまして、できるだけ御期待にこたえなければならぬと存じております。
 租税特別措置の取り扱いをどうするかということでございます。この問題につきましては、かねがね、租税特別措置が慢性化することのないように、あるいは既得権化することのないように気をつけて毎年見直してまいりますと答えておるところでございます。ことしも配当・利子の選択課税率を上げましたり、法人の土地の譲渡益の特別重課等を特別措置としてとらしていただいたわけでございますけれども、この問題につきましては、なお精細に吟味いたしまして、明年度の予算編成と同時に御審議をいただかなければならぬと考えております。
 それから、社会保険診療報酬に対する課税の特例をどうするかということでございます。これは次回の社会保険診療報酬の改定が行われた段階で政府としてはその特例について是正の措置をとりたいと考えております。
 それから、金融機関の貸し倒れ引当金でございますが、この問題は御承知のように先般千分の八まで引き下げまして、行政措置によって増収の道を図ったわけでございますけれども、千分の八になりました段階でさらに千分の五を目指して努力を継続していきたいと考えておる次第でございます。
 それから預貯金利子の引き下げについてのお尋ねでございます。この問題は、総需要抑制策が金融、財政両面を通じましてとられました結果、金利を、貸し出し、預貯金とも政策的に引き上げてまいったわけでございますけれども、すでにその目的は大半達成いたしまして、むしろ経済は景気対策を必要とするような段階になってまいりましたので、金利の全体としての引き下げを図らなければならぬことが世論にもなってまいりましたし、実態的にそういう必要も出てまいったわけでございます。したがって、この前に引き上げまして以来、預貯金につきましては引き下げを、慎重に、やらないで今日に至ったわけでございますけれども、これ以上総体として金利水準を引き下げてまいるにはどうしても預貯金金利に手をつけざるを得なくなりましたので、目下所要の手続を進めているところでございますので、御理解いただきたいと思うのであります。しかしながら、金融機関がおごることなく、その社会的責任にこたえて厳しい経営、節度のある経営責任に徹しなけりゃならぬという御指摘に対しましては仰せのとおりでございまして、監督の立場にある私どもといたしましても十分気をつけてまいるつもりでございます。
 それから、土地再評価益をもって大きく歳入の補てんに充てるべきでないかという御主張でございます。衆議院段階におきましてもそういう御主張があったわけでございます。これに対しましては、私どもの立場は、土地再評価と申しますのは実現しない利益に対する課税でございますので、当然、仮にやるといたしましても、税率は低率にならざるを得ないということが一点でございまして、もしその低率な税率によって再評価いたしますならば、その後それが譲渡された場合の譲渡益は、ただいまの現行のままよりずっと低くなる。したがって、所期された目的よりも税収が少なくなるおそれがありゃしないかということを懸念いたしておりますこともたびたび申し上げておるとおりでございまして、それならばこれは長期に分割して払わすべきでないかという御議論もあるわけでございますが、そうなれば固定資産税等と同じように資産税重課の方向の問題になるわけでございますので、いずれにせよ、税制全体を通じまして慎重に検討しなければならない問題で、ただいまのところ、にわかに賛成いたしかねる考えを持っておりますことを御承知願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 塩出さんにお答え申し上げます。
 まず、塩出さんから、私が一昨日の演説で、日本経済はもと来た道には戻さない、こういうことを申したのに対しまして、それは具体的にはどういうことかと、こういうことであります。私が、「もと来た道」と申しましたのは、これは言うまでもなく高度成長路線ということであります。その路線に日本経済は今後戻すべきではないということを力説したわけなんです。申し上げるまでもございませんけれども、高度成長路線を支えた条件、これはもう全部消滅しております。つまり、資源――豊富低廉の資源がどんどんどんどん金さえ積めば入ってきた、こういう時代は終わりまして資源有限時代に入ってきておる。これは非常な変化であります。それから、もう世界は一体だ、わが国ひとり行くというような態度は許されない。世界的協調の時代に入ってきておる。それからさらに、私どもははだ身をもって痛感したんですが、経済政策の運営には、公害の問題あるいは自然環境の問題、さらには物価、国際収支というような問題、それと並立できるような成長ということを考えなけりゃならぬ。こういうことでこれも大きく変化さるべき問題だろうと、こういうふうに思います。そういう高度成長路線を支えた条件の消滅ということを考えますと、どうしてもこれからのわが国の成長の速度、これに一大改革を加えなければならない。つまり、安定成長速度、そこへ持っていかなければならぬだろうと、こういうふうに考えるのであります。また、この成長の速度がそうであるばかりでなくて、その成長の内容につきましてもここで改革を要する。つまり、経済が成長する。いままではその成長の成果の多くを次の成長へつぎ込んだわけです。これからも成長政策はとるわけでございます。安定成長といえども成長政策。ですから、成長の成果を全然次の成長につぎ込まないというわけにはいかない。しかし、その主力は、成長の成果のその重要部分は、これを生活中心の方向に注ぎ込まなければならない、こういうふうに思うのであります。それらのことを踏まえまして、昭和五十一年度から五カ年間にわたる中期の経済運営をどうするかということにつきましては、いま衆知を集めて検討をいたしておるところなんです。年末までにはその概略案を作成したい、かように考えております。そういうその考え方をこの間、一昨日申し上げておるわけでございますが、そういう際に、そうすると成長の速度が非常に低くなる、いうところの福祉が実現されないのじゃないかというような御心配をされる人もある。ありまするけれども、わが国はいまとにかくアメリカに次いで世界第二位の工業大国になっておるわけであります。そのわが日本の経済が、低い成長といえども、そんな諸外国より、より低いという成長を考えているわけじゃないんです。諸外国の先端を行くくらいな成長を考えてみたいと、こういうふうに思うのですが、そういう成長発展をする大きな経済から生まれ出るその成長の成果というものは非常に大きいです。私は、望ましいわれわれの生活並びに生活関連の整えというものは十分にでき得ると、こういうふうに考えております。
 また、雇用の問題に問題が出てくるのじゃないかという憂いを持つ人がありまするが、雇用の今後の趨勢というものも十分注視しなければならぬ。そうして雇用に摩擦の生じない程度の成長ということ、これも成長の高さを判定する上におきまして重要な要素になるであろう、かように考えております。
 それから、私がことしの下半期の経済を見通しまして、来年の三月、すなわち本年度末におきましてはいわゆる稼働率指数、これは操業度そのものを示す指数じゃございませんけれども、操業度を測定する有力な資料でございます。これが年度末には九〇の水準に近づくということを申し上げたのですが、それができるかどうか、こういうお尋ねでございます。この操業度を私は非常に重要視しておる。つまり、マクロ的に見る日本経済はもう世界の中で非常に先端を行っておると思います。この五十年度あるいは五十年という年を展望してみますと、先進諸国の中でプラス成長になる国というのはほとんどない。私は日本以外にはないんじゃないかと思っておる。わが日本はとにかく二・二%成長をする、そういう目標を持っておるわけであります。そういう中ではありまするけれども、わが国はそういうマクロ的に見た経済の伸びに対しまして、いわゆるミクロ的に問題があるというふうに言われる。なぜかというと、御指摘の操業度の問題なんです。操業度、これが望ましい水準に達しないものですから、そこで過剰人員を抱える。過剰設備を抱える。その資本費の負担あるいは人件費の負担、そういうものが大きく、したがって企業の収益が悪化するという状態があるのでありまして、私は何とかしてこの操業度の改善というものをやらなければならぬ、そこに着目をいたしておるわけなんですが、その操業度を示す有力なる指標である稼働率指数、これがことしの三月が底でありまして、これが七七%です。八月までしかまだいま統計がございませんけれども、八月がこれがだんだんと回復いたしまして八三まで来ておる。これを年度末、つまり来年の三月末には九〇の水準まで持っていきたい。そのことを考えながら、一兆六千億の財政支出をする。それによる景気浮揚効果三兆円を期待する。それが年度末には六割程度、一兆八千億程度は実現するであろう。そうなりますと、経済は実質六%程度の年率成長と、こういうことになるのでありまして、そうなりますれば自動的に稼働率指数というものは九〇に接近をする。望ましい稼働率指数というのは九五から一〇〇ぐらいというふうに言われておるんです。ですから、まだ本当に景気が回復したという感じをお持ちになるというわけにはまいりません。まいりませんけれども、もうさらに一年をかければ、それが望ましい水準に達するという展望のできる時期に、年度末には到達するであろう、こういうふうに考えまして、この稼働率指数がどうなるかということにつきましては、ぜひこれを九〇の水準に近づけたい。まあ、これを凝視しながら経済運営をやってまいりたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣仮谷忠男君登壇、拍手〕
○国務大臣(仮谷忠男君) お答えをいたします。
 本四連絡橋問題は、四国の四百万島民の多年の悲願でもありますし、かつ、本土側の岡山、広島、神戸、大阪等を含めますと、関係住民は二千万人にも及んでおるのでありまして、二十年近く超党派で推進をいたしてまいりましたことは塩出先生も御承知のとおりであります。四十八年十二月に、着工直前に凍結になりまして現在に至っておるのでありますが、今回、三ルートだめならせめて一ルートでも早期にという強い関係住民の要望等もありまして、それにこたえようといたしておるのであります。もとより御指摘のような経済情勢でもありますし、かつ、漁業補償や内航海運の問題あるいは環境の問題等もありますが、私はそうしたことも十分に配慮をしながら現実的解決に努めてまいりたいと思っております。御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣木村睦男君登壇、拍手〕
○国務大臣(木村睦男君) 御質問は、わが国の海運、特に内航海運の不況対策、もう一つは造船業に対する不況対策でございますが、まず第一の海運業の不況対策でございますが、この不況の中で海運の輸送量がだんだんと減ってまいっております。前年度に比しまして四十九年では一三・四%、ことしは大体一〇%以内におさまる見込みでございます。したがって、対策といたしましては、船腹の需給バランスを維持するということが非常に重要なことでございまして、これにつきましては、日本内航海運組合総連合会が自主的な船腹調整に努力をいたしておりますので、政府といたしましては、この自主的な調整ができ得るように適切な指導を与えなければならないと思っております。そのためには、必要な資金の借り入れあるいはあっせんが必要でございますので、本年三月、内航海運業を中小企業信用保険法に基づく倒産関連中小企業に指定をいたしまして、資金借り入れの債務保証対策を講じておりまして、現在まで約十億の融資をいたしております。また、本年度に入りましてから、中小企業救済特別融資制度を適用いたしまして資金あっせんに努めておりまして、現在まで約八億円のあっせんをいたしております。
 なお、海運の運賃につきましては、海運組合と荷主関係団体との間で鉄鋼あるいは石炭等につきまして基本的な話し合いの慣行が確立いたしておりますので、これまでのような不況時の大幅な運賃市況の低迷を招くというふうなことは避けられ得ると考えております。
 次に造船業でございますが、最近の状況で、新規受注の激減あるいはキャンセル等、工事量が今後大きく減少する憂えがあるわけでございます。一般的に言いますというと、五十一年度いっぱいまでは従来どおりの工事量がほぼ確保されておりますが、五十二年度からは逐次減っていくということが心配されるわけでございます。しかし、現在でも、特に漁船建造の中小造船業、あるいは大手造船業に付随する下請企業、造船関連工業等では工事量の減少がすでにあらわれてきておるわけでございます。そこで、海運の場合と同様に、中小企業信用保険法に基づきます倒産関連中小企業の指定、中小企業救済特別融資制度による特別融資枠の確保等々に努力をいたしておりまして、ただいままで四十五億の枠を確保いたしておるような状況でございます。また、中小向け政府金融機関による融資のあっせんをいたしまして、六月までに十一億の措置を講じております。
 また、雇用の面では、雇用保険法による雇用調整交付金制度の適用措置を講じてまいりまして、下請で延べ三万人、関連工業では延べ八十万人がその適用を受けるようにいたしておるのでございます。
 なお、中小造船業、造船下請中小企業の体質強化のため、中小企業近代化促進法によりまして構造改善事業、それから下請中小企業振興法によります振興事業を実施をいたしております。
 以上は当面とっております対策でございますが、これから先安定した低成長に向かってやや長期に対策を講じなければなりません。この点につきましては、目下造船合理化審議会に諮問をいたしておりまして、せっかくそこで検討審議をしてもらっておりますので、その答申を受けまして、その趣旨に従って今後のやや長期的な対策は講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河野謙三君) 塚田大願君
   〔塚田大願君登壇、拍手〕
○塚田大願君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 いま国民がこの臨時国会に求めているものがインフレと不況の克服であることは、最近の世論調査で三木内閣を支持しないということの最大の理由がインフレと不況にあることを見ただけでも明白であります。ところが総理、あなたがこの臨時国会で真っ先におやりになったことは、先国会で本院において廃案となった酒、たばこ、郵便料金値上げ法案の再提出とその強行採決の連続でありました。このやり方は、まさにパンを求める者に対して石を与うるがごとき残酷なやり方だと言わなければなりません。あなたはこれに何の反省も感じないのでしょうか。この際、国民の要求にこたえてこの値上げ法案を撤回すべきだと思うが、どうですか、答弁をしてください。しかも、不況対策と銘打ってやっと提出された補正予算案もまた国民の要望を真っ向から踏みにじるものであります。いま国民の要望にこたえるためには、何よりもインフレと不況を同時に解決することであります。
 ところが、この補正予算案は、やはりインフレ悪化、物価値上げの予算案でしかありません。政府は、この補正予算で、二兆二千九百億円にも及ぶ史上最大の赤字国債を含む莫大な国債の追加発行を予定し、本年度の国債発行額を五兆五千億円という法外なものにしようとしています。この莫大な国債の発行が、現在政府主導のもとに進められている酒、たばこ、郵便料金、国鉄料金、私鉄運賃、公団家賃などの値上げ、さらには石油、鉄鋼、セメント、アルミなど大企業製品の独占価格引き上げと相まって今日のインフレを一層激化させているものであることは明白であります。
 政府は、原油値上がりで起こったインフレを抑制したので不況になったなどと述べ、不況対策とインフレ対策は二律背反であるかのように述べております。しかし、原油値上がりを千載一遇の好機とした大企業の買い占め売り惜しみなどによる世界に類のない悪性インフレ、現在なお一〇%、一昨年に比べれば実に三〇%に近い物価値上がりによる国民の消費の減退がわが国の不況を世界で最も深刻なものとし、また不況の克服を困難にしていることこそ真相ではありませんか。この国民消費を一層圧迫する物価値上げの補正予算が不況の正常な克服を困難にすることは、議論の余地がありません。
 総理は、九月二十日の本会議で、物価の安定、引下げこそ最も適切な不況克服の道であるというわが党の主張に賛成であると答弁されました。それならば、物価の安定、引下げを第一とした不況対策をこそ講ずべきであります。何よりも酒、たばこ、郵便料金値上げはもとより、国鉄料金、私鉄運賃、公団家賃など公共料金の値上げをやめるべきであります。また、大企業製品の値上げを抑え、これを引き下げる指導をすべきであります。総理は、公共料金を無理に抑制することは不適当だなどと述べていますが、みずからの無責任ぶりを示す、このような開き直った態度こそ、物価問題の解決を妨げる最大の障害であると考えるのであります。総理並びに関係大臣の真剣な答弁を求めます。
 特に、政府が主として財政赤字の穴埋めのために膨大な国債発行を強行することはきわめて重大だと言わなければなりません。財政法第四条は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と政府に義務づけております。この規定が何よりも、大量の公債発行を原因としたインフレ高進を防ぐいわゆる健全財政主義の原則に基づくものであることは、歴史の教訓の示すところでございます。
 昭和四十年、現在の福田副総理が大蔵大臣の当時、特例法によって戦後初めて赤字公債の発行を強行したのを露払いとして、歴代自民党政府がいわゆる建設公債の大量発行を重ね、大企業の高度成長のために国家財政を湯水のようにつぎ込んできたこと、そしていま三木内閣が、まさにこの高度成長政策の結果として生まれた国家財政の深刻な破綻を穴埋めするために再び大量の公債発行を強行しようとすることは、財政法第四条の精神を根本的に踏みにじり、インフレを激化させるものと言わなければなりません。総理の見解を求めるものであります。
 福田経企庁長官は、デフレギャップが二十兆円もあるから物価上昇のおそれはないなどと述べています。しかし、大量の公債発行が、不況期には潜在するインフレを景気回復とともに顕在化させ激化させることは、過去の経験が示しているところであります。明確な答弁を求めるものであります。
 また、公債の大量発行が元利支払いのための新たな公債発行を必要とし、膨大な公債を累積させることになることは、財政制度審議会の中間報告が、五年後の公債残高は実に六十一兆円にも及ぶと算定していることを見ても明らかであります。これはとめどもない財政破綻の道であり、重税とインフレの道であります。政府は、少なくとも特例法による赤字公債の発行をやめるべきであります。(拍手)また、大量の公債発行が市中消化で行われても、やがては日本銀行に持ち込まれて、新たな通貨増発とインフレの要因となることに対してどのように歯どめをつけるのか、答弁を願いたいのであります。
 また、国民の要望にこたえるためには国民生活安定第一の不況対策でなければなりません。ところが、この予算案は、大企業中心の景気対策をもう一つの重点とするものであります。政府は、景気対策のための支出の重点を高速道路、新幹線、ダムなどの追加に置き、さらに本四架橋も三橋同時着工を目指して五百二十五億円の凍結を解除しようとしています。こうした大型工事が鉄鋼、セメントその他の大企業の製品に膨大な需要を与えることは、すでに建設省が第四次不況対策によって鋼材百五十万トン、セメント二百万トン等の新要需要が生まれると試算していることを見ても明らかであります。しかも政府は、いま鉄鋼、セメントなどの大幅値上げを積極的に進めさせ、国家資金による工事からたっぷり甘い汁を吸わせようとしているではありませんか。その上、これらの工事そのものも、たとえば新幹線では九九・五%が、道路公団では九四・二%が大企業に発注されているというありさまであります。福田経企長官は、いまも同じ答弁をされましたが、企業の操業度を高めることが政府の景気対策の重点であるように強調されています。その意味するところが、まず大企業の大もうけを保障して、国民にはなおしばらくのしんぼうを強要するものであることは、以上の事実が証明しているのであります。総理並びに経企長官は、政府の景気対策が依然として大企業本位、高度成長型のものであることを認めるべきだと思いますが、見解を伺います。
 国民の求めているものはそのような景気対策ではありません。国民生活基盤を根本的に改善する方向での景気対策であります。総理も、わが国の上下水道普及率や一人当たりの公園面積など生活関連社会資本がイギリスの五分の一、フランスの三分の一にすぎず、いまなお住宅困窮世帯一千万、小中学校の不足教室九千、保育を希望しながら入園できない幼児二百万人という深刻な状態であることを御存じないはずはありません。政府は、大企業の産業基盤への支出は大幅に削って、住宅、上下水道、学校、保育所の建設などに対する余りにも少ない経費を大幅に増額をして、政府資金を地方財政に思い切って充当し、その工事を中小企業などに発注すべきであると考えます。総理並びに関係大臣の御答弁を求めます。
 次に、中小企業がこの不況の最大の犠牲者として、いまや死活の経営危機に見舞われていることは多言を要しません。ところが、政府はこの補正予算で、もともと一般会計の〇・六%にすぎない中小企業対策費からさらに二億八千八百七十四万円を減額し、さらには、まだ困窮状態にある二十一の中小企業業種を通産大臣の指定した不況業種から解除さえしているのであります。まさに中小企業見殺し政策と言わなければなりません。
 そこで私は、さしあたり緊急に次の措置をとることを求めます。
 第一に、すでに担保を出し尽くし、通常の金融措置では何の効果もないほど追い詰められている多くの中小業者に対し、無担保、無保証人、無利子の特別融資制度と、労働者の失業保険制度のように、休業期間中の中小企業者の生活を保障する休業補償制度の確立を早急に行うべきであると考えます。
 第二に、新潟県の燕市の洋食器業のように、なお経営困難が深刻であるにもかかわらず、不況業種指定を解除された業種について、直ちに再指定を行い、さらに指定の拡充を行うべきであります。
 第三に、韓国、台湾などからの競合商品の輸入により壊滅的打撃を受けている大島つむぎ、その他多くの伝統産業と中小企業性業種を保護するために、緊急に輸入規制立法の制定を図ることであります。総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 次に、今日の不況は農村にも深刻な影響を与えています。ことしの出かせぎ求人数は昨年に比べて七割から九割も激減しており、農村に進出した工場も続々と閉鎖、操短を余儀なくされています。いまや農民の現金収入への道は断たれたと言っても言い過ぎではありません。私は、少なくとも政府が次の緊急対策を講ずることを強く求めるものであります。
 第一は、出かせぎを希望する農民に安心して働ける条件を整備することであります。地方自治体が実施している求職活動を援助し、出かせぎ者の旅費の融通などの措置を講ずべきであると考えます。
 第二は、当面の生活苦を救う緊急措置として、国の責任で低利の生活営農資金の制度をつくることであります。この制度は、石川県下の一部自治体ではすでに実施しているものであります。政府にやる気さえあれば、すでにでも実現可能なものであります。
 第三に、積雪地帯にあっては、冬季交通の確保、子供の通学、住居の雪おろし、一人暮らしの老人の問題など、問題は山積しております。これらを解決する方法として、現在新潟県など一部自治体で実施予定の雪害保安要員制度を国の責任で実施し、地元の農民を公務員並みの賃金で雇用することであります。
 第四は、地元で農民に働き口を保障する公共事業を国の費用を中心として広く起こすことであります。
 第五に、今日のわが国農業が穀物自給率わずか四一%という欧米諸国にも類を見ない危機的な状態にあることは議論の余地のないところであります。にもかかわらず、一体政府はどのような農政を志向しておりますか。先日、秋田県や新潟県で起きましたあの青田刈りの問題 一体、農民が汗と血で育てた稲を青刈りしろなどという、こういう強制はこれはもってのほかであり、私はこれはいわば亡国農政と言っても差し支えないと考えるのであります。(拍手)
 今日、日本農業を根本的に振興させ、危機状態にある食糧の自給率を高めることは、日本民族の将来を保障するためにも急務であります。政府は、食糧自給率向上のための基本政策を示すとともに、この補正予算では、必要最小限の措置として、少なくとも農林漁業関係一般公共事業費の追加を、農林省の当初要求を満たす二千三百億円程度に引き上げるべきであると考えます。総理並びに農林大臣の答弁を求めます。
 以上、私は、国民本位の不況、インフレ同時解決策の幾つかを具体的に提起いたしました。そこで、このために必要な財源措置についても最後に具体的に提案したいと思います。
 その第一は、戦車、航空機、艦船など自衛隊の主要装備の未契約分を大幅に削減し、また、電算機振興対策費、YX開発費、外航船舶建造利子補給金など、大企業への補助金の未執行分、さらに対韓援助費など不急不要の経費を大幅に削減することであります。また来年度予算においても自衛隊の定員を大幅に削減すべきであります。
 第二に、資本金十億円以上の大企業に対する法人税の還付を停止し、また大企業、大商社などの貸し倒れ引当金の繰入率を現行の二分の一に引き下げ、利子・配当の源泉徴収税率を五〇%引き上げるなど、大企業、大資本家優遇の税制を改めることであります。
 第三に、大企業がこの五年間に積み立てた税金逃れの莫大な内部留保と特別償却費に対し、一五%以上の臨時の課税制度を設けることであります。
 以上の措置をとるならば、赤字公債も出さず、値上げ法案を撤回しても十分な財源を賄うことができると確信いたします。インフレと不況を同時に克服する道が開けるのであります。政府にこれを実行する意思があるかどうか、一つ一つについて責任ある答弁を求めまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 塚田君の御質問にお答えをいたします。
 最初に、不況対策こそ優先すべきで、酒、たばこ、郵便料金の値上げ三法案はこれを撤回せよというお話でした。やはり酒、たばこ、郵便料金にしても、そういう公共料金というものは、まあ低いにこしたことはないんですけれども、しかし、そういって公共料金がいつも低い水準に抑えられるということは、そういう事業自体にも非常にやっぱり弊害が起こってきますし、また酒、たばこの場合は、国の財源としてどこの国においても相当な財源の、これを対象にしておるわけでございます。それはなぜかといえば、まあ、酒やたばこをのまれる人々に、それをのまない人よりも少しよけい税を負担してもらうことによって財政上の歳入といたしておるのが各国の例であります。むしろ日本の場合は、各国よりもずっと酒やたばこの消費税は、まあおそらく半分以下と言ってもいいぐらい低いわけでございます。そういうことでありますので、政府としても歳出面でいろいろと政府自体が事業をいたさなければならぬわけでありますから、どうしてもある程度の財源を持たなければならぬ。ことに財政的に非常に今日困難な時代でもありますので、酒、たばこ、郵便料金――酒、たばこのごときも七年間据え置いてきたわけでございますから、この際にひとつ値上げの御承認を願いたいということで、まあ今国会に値上げ法案を提出したわけで、前国会、衆議院では議決をされて、参議院でももうしばらくの時間があれば、この法案は可決になっておったと思われるわけでございますので、十分な御審議を願っておるわけでございます。そういうことで、参議院においても衆議院においても、この問題については国家財政の非常に困難な時代であるということに思いをいたされまして、ひとつこの御審議に協力をしていただきたいと思うわけでございまして、これを撤回する意思は持っておりません。
 また、膨大な赤字国債の発行は財政法四条の健全財政主義の精神に反するということでございましたが、景気が停滞をいたしまして税収の非常なやっぱり巨額な落ち込みがあったと、そうしてこれに対して一方においてはいろいろと緊急な処置を要する問題が、景気対策の上からいっても緊急な処置をしなければならぬ追加の財政需要があったと、行政経費もできるだけ切り詰めてこれに対して節約をしたと、また建設公債も発行したと、それでもどうしても財源として賄うに足るだけの財源を確保することができないということで、やむを得ずこういう特例公債によらざるを得なくなったわけでございまして、特例公債というものが財政の本来あるべき姿でないことは言われるとおりでございますが、緊急な財政事情に応ずるためにやむを得ずこういう公債を発行するわけでございますから、一日も早く堅実な財政に復帰をするように努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
 それから、今回の不況対策が大企業本位というような御批判でございますが、これは当たらないわけでございまして、内容としては水資源対策であるとか、国土保全あるいは農業基盤整備、生活環境施設の整備等、こういうものを推進してまいることに重点を置いたわけでございまして、あるいは高速道路とか新幹線もその予算の中には含まれておりますけれども、これは国土の均衡ある発展、国民生活の向上に資することが大きな目的であって、地域の経済に及ぼす効果も大きいのであって、これに対して適度な追加を行ったので、大企業本位の不況対策という御非難は当たらないと思うわけでございます。
 また、わが国の国民生活基盤の整備がよその国に比べて非常におくれておる。そのとおり、塚田君の言われるとおりでございます。したがって、われわれは今後上下水道とか、公園、生活関連施設あるいはまた文教施設、社会福祉施設などについて、五十年度の当初予算においても公共投資というものを抑制しながらも、こういう方面の生活関連に資する環境の整備についてはできるだけの予算を計上したわけで、今回の補正の追加に対しても配慮を加えたわけでございまして、われわれもその立ちおくれを認めて、今後はこういう方面に力を入れてまいる所存でございます。
 それから、中小企業については通産大臣からお答えをいたします。
 農業の基盤整備費は七百三億円にすぎないではないかと。食糧の自給率を向上させなければならぬことは御指摘のとおりでございまして、そのためにはどうしても農業の基盤整備ということがこれはもう基本の問題でございますから、今年度の予算においてもこれは相当に予算の上において考慮をいたしたわけでございますが、今後においても、この点については、農業の基盤整備というものには力を入れてまいりたいと思っております。また、今回においても御承知のように、こういう中においても相当な予算、今年度の予算には配慮した上に七百三億円の追加をいたしたのもそういう意味からでございます。
 さらに、自衛隊の定員を削減せよという最後にお話がございましたが、わが国の防衛力は、アメリカとの安全保障体制を基調としてわが国みずからの国力に応じた自衛のための必要な限度で防衛力を漸進的に整備していくというのが方針でございますから、現状において自衛官の定員を削減することは適当ではないと考えておる次第でございます。
 他は各省大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 塚田さんから物価の安定が非常に大事だということを力説され、それに徹せよというお話でございますが、物価の安定が非常に大事な問題であるということにつきましては私ももう同感でございます。しかし私は景気を犠牲にしても構わぬ、幾ら不況になっても構わぬ、もう物価第一主義だと、そこまでは考えておりません。また、財政の方は一体どうなっても構わぬ、だから物価の安定、公共料金を引き上げては相ならぬと、そういうふうなかたくなな考え方は私は持っておりません。私の考え方は物価も景気も、また経済も財政もと、こういうことであることを御承知願いたいと思います。(拍手)
 それから、塚田さんから今度多額の公債発行になるが、これインフレの危険はないか、こういうお話でありますが、これは私は非常に重要な問題だと考えます。つまり基本的に言いますると、公債が発行されましても、その公債発行によって経済のバランス、通貨のバランスが崩れないという限りにおいては、それはインフレになる危険性というものはないんです。公債が発行されれば一体どうなるか。そうなると、公債を発行しない場合に比べまして財政支出が多くなる。したがって、いわゆる財政による財貨サービス、それの需要が多くなるわけであります。その多くなった状態が国民消費、あるいは設備投資、あるいは輸出需要、そういうものとの総合的な関係の中で均衡がとれておるという限りにおきましてはインフレは起こらない、そういうふうに見ております。ただ、多額の公債でありますので、その消化ということにつきましては、これはもう完全消化、これを実現しなけりゃならぬというふうに思います。つまり、これが消化されない、あるいは消化されないものが残るというような状態になりますると、これはいわゆる過剰流動性を造成するという結果になり、それがまた思惑需要を呼び起こすということにもなり、経済全体のバランスを失するというようなことになりますので、公債を発行する以上、その完全消化に特段の配慮をしなければならぬと、かように考えております。
 それから、景気対策が大企業中心だとの御批判でありましたが、これはいま総理大臣からはっきり申し上げましたとおり、そういう性質のものじゃございません。これは生活中心の企業対策、景気対策である。これはよくごらんおきを願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業につきまして幾つかのお話がございましたが、まずその第一に、大島つむぎの輸入問題でありますが、この大島つむぎの輸入につきましては、韓国側と数回にわたりまして話し合いをいたしまして、現在は秩序のある形で貿易が行われるようになっております。
 なお、わが国は貿易自由ということを原則にしてやっておりますので、今後もあくまでこの基本原則のもとに進めていくつもりでおりますが、紛争が発生いたしました場合には輸入制限とか輸入禁止とか、そういうことではなくして、相手方と十分話し合いをいたしまして問題を処理していくと、そういう方針で進めていきたいと思います。
 それから次に、中小企業信用保険法によります不況業種の指定問題でありますが、この不況業種に指定されましたものが一たん解除されました後でも、再び要件を満たします場合には再指定をすると、そういうことも当然考慮をいたします。
 なお、この中小企業に対する官公需の問題につきましては、これをできるだけ増加させるということは政府の基本方針でもございますので、ことしも三三%ということを目標にいたしておりますが、今後もあらゆる努力を続けてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
 なお、この中小企業対策といたしましては、金融面と仕事の量を確保するというこの二つがございますが、金融面につきまして一定の量を確保するように努力いたしておりますが、同時にあわせまして無保証、無担保と、こういう制度も現在ございます。ただしかし、無利子ということは、これは無理だと思います。それから返済猶予等につきましても積極的に検討することにいたしております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 特例公債の発行を取りやめるべきでないかという御意見でございますが、ただいま大きな増税を考えられる時期でないことは先ほども申し上げたとおりでございます。また、一方歳出面におきまして中央、地方を通じまして、こういう時期に行財政の水準を落とすということはできない相談でございまするので、大変残念でございますけれども、特例公債の発行に踏み切らざるを得ないことになりましたことは御理解をいただきたいと思うのでございます。
 それから第二の問題でございますが、公共事業の事業費の補正におきまして、生活基盤の整備が弱いという御指摘でございます。先ほど柳田さんの御質問にもお答え申し上げたとおり、今度公共事業プロパーにおきまして若干の増額を図っておるわけでございますけれども、これは、過去二年間総需要抑制の犠牲を浴びまして、公共事業を伸ばすことができなかったわけでございます。総需要抑制策を緩和してまいるという時期でございまするので、公共事業プロパーを増額いたしますに当たりまして、御指摘の住宅でございますとか、上下水道でございますとか、学校、農業基盤その他につきましても相当の増額を見積もったわけでございますので、政府の意のあるところは御理解を賜りたいと思います。
 それから、財源対策といたしまして非常に大胆な御提案が幾つかございました。
 自衛隊につきましては、いま総理からお答えがございましたから省略をいたします。
 大企業に対する補助金として、YXに対する補助金でございますとか、外航船舶に対する利子補給でございますとか、そういったものはやめるべきであるという御意見でございます。われわれは技術開発をやってまいらなければなりませんので、これはひとり大企業助成というような意味ではないわけでございまして、YXの技術開発に対する助成をいま取りやめるつもりはありません。外航船舶の利子補給につきましては、五十年度、三月三十一日までの既契約の分を見ることにいたしておるわけでございまして、これはすでに法律によって義務づけられた政府の責任でもございまして、これを取りやめるつもりはございません。
 それからさらに、法人税の繰り戻し還付制度をやめてはどうかということでございますが、(「停止だよ、停止」と呼ぶ者あり)停止でございますか、これは停止するつもりはないのであります。と申しますのは、これは法人税収の時期的な調整をやっておるにすぎないわけでございまして、仮に停止いたしましても、次年度の税収が減るだけのことになるわけでございまして、あなたが期待されるような効果は上がらぬと思うのでございます。
 それから金融機関の引当金のことにつきましては、先ほど柳田さんにお答え申し上げたとおりでございます。
 それから利子・配当の源泉選択税率を五〇%に引き上げたらどうかという御提案でございます。今度の先国会におきまして三〇%に引き上げることについて国会の御決議をいただいたわけでございまして、これを鋭意これまで引き上げてまいりましたわけでございまして、さらにこれをこの際五〇%にするということはただいま考えておりません。
 それから、企業の内部留保につきまして一五%ないしは二〇%の課税を考えたらいいじゃないかということでございます。内部留保につきましてはたくさんの事柄がございまして、商法あるいは会計原則の上から申しまして当然認められておるものを税法がどのように処理するかという問題でございまして、毎年洗うべきものは洗ってきておるわけでございます。今後もわれわれはこの洗い直しはやってまいるつもりでございますが、一概に一五%ないし二〇%をこの際課税していくということは目下のところ考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 塚田さんの御質問は、農民の出かせぎ対策、就労対策についての三点から成っておるわけでありますが、農林省におきましては、出かせぎを希望しておられる農民のために、従来から農業就業近代化対策事業等におきまして、出かせぎ農民の安全かつ安定した就労のための指導あるいは相談活動並びに就労先との緊密な連絡等の対策を重点的に実施するように指導してきておるわけでありますが、今後とも農民の地元における雇用機会の増大を含めて求職活動の円滑化のためにさらに努力をしてまいりたいと考えております。
 第二点は、出かせぎ農民のための生活営農資金制度をつくるべきであるという御主張でございますが、御存じのように、農業者が必要とする資金につきましては、農林漁業金融公庫資金であるとか、あるいは農業近代化資金であるとか、さらにまた天災資金といったような融資制度におきまして、それぞれの地域の特殊性、農業経営の態様等に応じた資金あるいは資金種類等を設けまして、きめ細かく対応をしてまいりまして、年々これは拡充強化をしておるわけでございますが、今後ともさらに農業経営の動向、実態に応じてこの農業金融制度の充実に努め、農民の期待にこたえてまいりたいと思っております。
 第三番目に、新潟県で雪害保安要員制度というものを新潟県独自で運用しておるが、これを全国的規模において実現をすべきであるという御意見でございますが、との点につきましては、やはりこれを全国的にわたりまして一定の条件で一律に実施するということが国の補助事業ということで可能性があるかどうかということになりますと、非常に私は問題があるのではないかと思うわけでございます。困難であると思いますが、研究はしてみたいと考えておるわけであります。農林省としましては、地元における雇用機会の増大を図るため、従来から各般の施策を講じてきたところでありますが、今年度から御案内のように、新たに出かせぎ地域において就業改善施設や生産基盤の整備等を行うことを内容とするための出かせぎ地域農業者就業改善対策実験事業をつくりまして、これを実施をしておるわけであります。これらを通じまして、今後とも出かせぎ対策には最大の努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
 なお、自給率の向上はわが国農政の最大の課題でございます。いまも総理からお述べになりましたように、基盤整備等を重点的に行って、六十年目標である七五%食糧自給率の達成をぜひとも図りたいと、こういうふうに考えておるわけであります。(拍手)
○議長(河野謙三君) 塚田大願君。
   〔塚田大願君登壇、拍手〕
○塚田大願君 お許しをいただきまして、二分間時間が残っておりますから再質問させていただきます。
 ただいま総理並びに各大臣から答弁をお聞きいたしましたが、やはりその答弁が非常に具体性のない抽象的な答弁でございまして、私は満足することができません。つい数日前、議運委員会で仮谷建設大臣の問題が論議されました。仮谷大臣が、いいかげんな答弁、国会答弁のようないいかげんなものと言ったこの問題があれだけの大きな問題になった。その直後のこの本会議でございますから、私はもっと政府は真剣な答弁をすべきだと思うのであります。たとえば農業自給率の問題にいたしましても、総理も農林大臣もいろいろ言っておられますけれども、基盤整備をやるというこの事業は、政府自身のあの長期土地改良計画を見ましても、十カ年で十数兆円の計画が出ておる。少なくとも一年間に一兆円ぐらいずつつぎ込まなければならない。ところが、五十年度の予算では、今度の補正を入れましてもわずか四千億ぐらいのところでございます。政府自身が決めた計画の半分もいってないと、こういう実情であります。これでどうして基盤整備ができるのか、どうして食糧の自給率ができるのか、こういう問題についてはっきり私はお聞きしたいのであります。
 あるいは、時間がございませんから、あれもこれも申し上げられませんけれども、たとえば今度の不況、インフレ克服にいたしましても、大企業本位ではないということを口では言っておられる。しかしながら、具体的に私が提起しましたように、新幹線にしても、道路にしても、あの本四架橋にしても、もう大企業がほとんど仕事を受けている。こんな形では不況の克服はできない。やはり国民の購買力、消費力、これをどう上げるか、こうしてこそ初めてインフレと不況を同時に克服できるという提案を私はしているわけでありますから、その点ではっきりしたお答えがなければ私は満足することができないのでありまして、若干その点についてひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 自給率、食糧の自給率を高めるためには土地整備、農業の基盤整備というものがその基本になると申したわけですが、これは農林省でもこの点を一番重視しまして、今年度は公共事業というものは皆抑えた中に、まあ大きな伸び率ではございませんけれども、土地の基盤整備の予算というものは増額をいたしたわけでございます。(「それが少ないと言っているんだ」と呼ぶ者あり)まあ、金額の多い少ないというところは御批判があるでしょうけれども、今後とも農業の基盤整備というものには、政府は重点を置く考えであることを申し上げておるわけでございます。
 また、不況対策は大企業中心だと言われるんですけれども、大企業、中小企業を問わず、ことに中小企業には特別な配慮をしておるわけですが、企業全体のやはり景気が回復しなければ、雇用問題一つをとらえても、塚田君は非常に大企業というものを敵視されますけれども、しかし、大きなやっぱり雇用を抱えておるものは大企業と言われるものが雇用を抱えているんですから、これをもう大企業を抑えてというだけでは雇用問題は解決をしないわけですから、自民党としては、企業を、大企業はけしからぬと、あるいは中小企業だけを尊重しなきゃならぬという、企業に対して区別をつけて敵視する政策はとらないんであります。全体のやはり景気を回復して、大企業も中小企業もやはり操業率を高めて、安定した経営ができて、その上にやっぱり雇用というものも不安定にしないようにするというのが自民党の経済政策であって、何かこう企業というものを階級的に考えて、この企業はけしからぬと、この企業を育てなければならぬという塚田君の思想には同調することはできません。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河野謙三君) 三治重信君。
   〔三治重信君登壇、拍手〕
○三治重信君 私は、民社党を代表して、政府の財政、経済演説に関する若干の質問を行わんとするものであります。
 まずもって私の伺いたいことは、自民党歴代内閣の閣僚の中から、反憲法的な発言や議会を軽視する等の発言をされる方があり、三木内閣になってからもすでに二件に達しました。自民党の長期政権保持からくる独善意識がひそまれているからこそ、こうした発言が安易に行われるのではないかと思わざるを得ないのであります。いまや三木内閣の体質は総理の指導の及ばざるところのものとなっているのではないかと、国民の大半が持っている疑問でございます。今後どう対処されるのか、三木総理の見解と方針を承りたいのであります。
 本年度予算が成立した去る四月二日から月余を経ずして、歳入に大きな欠陥の生ずることが指摘されました。それが日とともに現実のものとなり、いまや四兆円の莫大な額となり、わが財政史上かつてない巨額の赤字公債発行に依存せざるを得ないという、経済、財政運営の見通しを誤った政治責任を一体だれが、どんな形で、いつとるのかという問題でございます。さきの総理の所信表明演説においても、また今回の財政、経済の両演説においても、この点が何ら明確にされておりません。思うに、こうした重大問題で時の内閣が何らの責任もとらないとなれば、議会政治体制の根幹を揺るがすことになり、ひいては政治不信をつのらせることになるのであります。「議会の子」と自他ともに認められます三木総理の明確な答弁を得たいのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 さて、本臨時国会の意義は、いかに不況対策を講ずるか、そのための財政をどう組むかであります。国民もまた切実な思いでそれを期待していたのであります。今回の補正予算案は、当初予算額に対し四千五百億円もの減額補正が行われております。当初予算は、四十九年度予算に対比して二四・五%増ものインフレ予算でした。増加の主な点は人件費や単価増という当然増経費で、総理は、新政策が織り込めない硬直化予算であると嘆かれたのであります。補正後の予算は、前年度の補正後予算に比してわずか八・五%の増加に減少しております。また、昭和五十年度経済見通しの改定試算によると、GNPは当初百五十八兆五千億円、対前年比一五・九%増であったものが、百四十九兆五千五百億円、一〇%増と減少しております。すなわち、財政は五十年度当初予算二四・五%の増が補正後八・五%増、GNPは一五・九%増が一〇%増に改定されました。したがって、補正後の予算の伸びはGNPの伸びに対して一・五%のマイナスであります。いまだかつて予算がGNPの伸びより低かったことがあるのでありましょうか。不況の中の補正予算の景気対策効果は全くないのではないかと考えるのでありますが、政府の所見はいかがでありましょうか。
 今回の三兆四千八百億円余に上る公債発行は、当初予算の歳入欠陥による穴埋め国債がほとんどであります。景気対策のための公共事業費の追加は三千億円、公債追加発行額の一割にも及びません。それ以外は失業対策費の雇用保険国庫負担増四百三十八億円のみであります。このことは、これ以上公債を発行することができないぎりぎりの限度額まで見積もったということだと思うが、どうでありましょうか。いまや歳入歳出両面における財政硬直化はその極に達したと言うのも過言ではないと思います。これを要するに、政府はひどい不況による税の減収をカバーするに精いっぱいでありまして、財政をもって景気回復を期待することはもはや不可能と申し述べねばなりません。財政制度審議会の意見では、公債依存度は五%以内にとどめるべしとされ、政府もこれを守る旨の方針が示されております。この財政危機を打破するには、公債依存度五%以内におさめる決意と方法を持たなければならないと思うが、どうでありましょうか。
 景気対策はもっぱら財政投融資に依存した姿となっております。すなわち、九、十月の分をも全部合わせての一兆四千億円の資金でこの深刻な不況に対処する景気対策と言えるのかどうか。政府は、景気対策による需要創出効果は三兆円程度、本年度下期は年率六%の成長といううれしいことを御託宣されておりますが、公共投資の事業規模一兆六千億円は果たして年度内に工事を完了し支払いを済ますことができるでしょうか。中小企業向け融資、雇用安定対策、企業金融の円滑化と金利水準の引き下げ等の施策について、具体的かつ総合的なその中身を説明してください。果たして仕事不足によって困っている製造業の企業の窮状を救うことができますか。いまや財政ばかりでなく、現状を打破する方途は経済社会政策の一大転換が必要だと考えます。
 福田副総理は経済演説で、「日本経済を立て直し、新しい安定した軌道に乗せるため、今後の経済運営と国土の総合利用の指針として、五十一年度を初年度とする新たな長期計画を策定することとし」と申されており、この新五カ年計画の中で、立て直しの骨格に何を考えているのか、また、どれほど明年度予算の編成や経済政策に織り込む決意であるかお伺いをいたします。
 海外に目を転じますと、米国はまだしも、EC、西ヨローッパ諸国の不況が深刻になろうとしております。いまやわが国は、米国、西独とともに並んで国際的景気対策を積極的に採用するよう期待されております。来る十一月の六カ国経済会議には、国際貿易の拡大施策を提案し、資源保有国等との経済協力による貿易の拡大、さらには先進国、発展途上国とのそれぞれの安定的輸出及び輸入協定等について協力ができるよう努力すべきだと思うが、政府の見解はいかがでありましょうか。
 毎日新聞が九月に行った世論調査は、三木内閣のよくない点として、第一に物価対策、第二に公共料金の値上げ、第三に不況対策であると発表されております。二カ年の長期に及ぶ金融引き締めで、需要超過によるインフレ、物価高は鎮静化いたしました。今日では不況による操業短縮や販売不振等のコストプッシュが物価高の原因となってきたと考えます。物価対策はコストプッシュ対策ではないかと思われます。もちろん、コスト上昇の原因の中には、海外からのエネルギー等、原材料の価格上昇分もありますが、物価は不況にかかわらず上昇傾向をやめておりません。一けたに抑えるのが精いっぱいの努力ではないでしょうか。このような国内及び国外要因によるコストプッシュ・インフレの物価高は金融引き締めでは解決できないと思います。特に公共料金は昨年十一月ごろから絶え間なく引き上げられてきておりますが、政府は酒、たばこを初め、国鉄、郵便等の料金の引き上げを意図するし、地方公共団体は水道、交通、病院の三大公営企業の赤字経営に対処し、財政危機対策の一環としても、東京都を初めとして多くの料金引き上げが意図されております。庶民大衆の最も強く希望しておる物価高及び公共料金抑制対策はいかなる方策をもって臨むのか。民間企業はこの仕事の不足の中、合理化を徹底的に追求するとともに、よき労使関係の維持に努力をしております。
 政府及び地方公共団体は、みずからの企業の赤字対策に、合理化と労使関係の改善に根本的対策を早急にかつ本格的にとる必要があると考えるが、長官及び自治大臣の決意のほどを伺いたいのであります。
 最も重要な雇用失業対策について質問をいたします。
 完全雇用政策は、第二次世界大戦の原因を今後なくする知恵といたしまして、一九四五年アメリカのフィラデルフィアで連合国が宣言し、国連成立後、国連の宣言として採用された金字塔であります。戦後三十年間、先進国は完全雇用政策を国家目標の最高政策として実施してきました。経済成長による繁栄と生活水準の向上が実現してきたのであります。経済成長は二面公害問題を起こすとともに、また国際間に南北問題を生じさせています。しかし、平和が維持されてきた根本要因は完全雇用の実現であったと考えます。政府は完全雇用政策を堅持すべきだと思うがどうか。
 いまや上場会社三社に一社は赤字経営だと言われておりますごとく、昨年の繊維産業のパニックから始まって、投資財産業を中心に、重化学工業関連企業が操業短縮と赤字に悩んでいることは、二兆二千億円余の法人税の減収が雄弁に物語っております。操業短縮等のため、本年一月から十月まで、雇用調整対象の指定業種は百四十四業種、適用事業所数は三百二万四千の事業所、その労働者数は八百万人の多きに及んでおります。この四月から八月までの一カ月の平均で、一時帰休による休業労働者は月平均実人員で三十四万五千人となっております。これに加うるに、失業保険受給者が本年初めは百万人、最近では九十万近くに及んでおります。対前年同月比では六五・六%の多きに達しております。このように不況業種は製造業のほとんどを包含しております。仕事がなくて困っておるのです。特に年末年始にかけて倒産、解雇等大量の整理が起こらなければと祈っておる次第であります。この現状に対し、政府は失業対策に万全を期すべきであります。このような危機を突破する覚悟のほどはどうでしょうか。
 最後に、具体的なケースを問題といたします。
 不況の長期化に伴い、倒産や人員整理などによって雇用調整給付金の給付対象者も失業の憂き目に遭う現象があらわれてきております。驚いたことには、一時帰休による休業手当を受けた労働者が失業した場合、賃金日額の計算に休業手当が含まれているため、休業手当を受けていない場合に比べて失業保険金が減額されているという事実であります。雇用調整に基づく休業手当を病気や事故などに基づく休業手当と同一視して取り扱っていることに原因しております。したがって、一時帰休労働者が失業したときは休業手当を賃金日額の計算に含めず、通常の賃金を基礎として失業保険金給付を行うよう配慮していただきたいと思います。労働大臣の率直な御意見をお伺いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 三治君にお答えをいたします。
 閣僚のいろいろな発言などをとらえて、長期政権保持からくる独善意識が原因ではないかというお話。自民党が長期の政権を維持したために日本の発展に寄与した点は大きいと思うんですが、一面において弊害も、これは弊害面についてもわれわれは絶えず戒めていかなければならぬわけでございまして、ことに憲法の尊重、国権の最高機関としての国会の尊重ということは、これは当然にわれわれとしてこの精神というものは堅持せなければならぬわけでございまして、いろいろそういう点において御非難を受けるような場合もございましたけれども、以後、私みずからは当然のことでありますとともに、三木内閣としても戒めて、そういうふうな疑いを持たれることのないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
 それから、財政史上かつてない巨額の赤字公債を発行せざるを得ないようになった経済財政運営の見通しの誤りということに対して御指摘になりました。今日のこの経済的ないろんな困難というものは、一つには石油危機を契機として激しいインフレが世界的に起こった。そのインフレを抑制するために総需要抑制政策をとったと、各国とも大体こういう政策をとったわけです。そのために物価は鎮静してきたけれども、一方わが国の経済がかつてないような長期の景気の停滞に遭遇することになった。その結果、財政面では三兆九千億円にも上る巨額の歳入欠陥、それは二兆一千億円という法人税の不足から生まれたと、この経済の見通しというものがまあ違ってきたのは、予想以上にこの世界経済というものが停滞をしている。アメリカのごときも、この本年度の第一・四半期はもう一〇%を超えるマイナス成長ですから、一九二九年のあの世界的パニックから、まあこれはほとんど例のないことですから、マイナスが一〇%を超えるマイナス成長、こういうことでございますから、日本の場合は、日本の経済成長を支えておるものの一つの大きなものは輸出ということでございますが、その輸出というものがまあ非常に不振である。こういうことも非常に大きく日本経済を停滞させることに、大きな原因に私はなったと思う。また、需給のギャップといいますか、いま稼働率指数が八三%という程度ですから、これは稼働率指数ですから、実際のこの操業率からいったら相当、もう少し低いところにある。そういう需給のギャップというものがやっぱり設備投資をする意欲というものを企業に余り持たさない。また、国民生活の面からいってもいままでのような大量消費といいますか、使い捨てのような経済というのはこれからもう改めていかなけりゃならぬという国民の生活の一つのパターンというものに変化が起こりつつある。だから輸出は伸びないし、設備投資は起こらないし、個人の消費は停滞するというわけですから、いずれからとってもやっぱり景気というものは非常なこの不況というものをもたらすような結果になったわけです。だから、もうここではやっぱり財政によって景気浮揚を図るよりほかにはないということで、まあ今回巨額の赤字公債を発行してでも景気対策にも資したいということになったわけでございまして、それは政府が見通しておったよりもずっとやっぱり条件は悪くなった。もう世界のどこもかしこもこの歳入欠陥のために悩んでない国はないわけですから。世界がそうだからといってわれわれの責任を回避するわけではございませんが、なかなか、日本のように原料は買わなきゃならぬ、製品は売らなきゃならぬということになってくると、全然世界の経済というものを無視しては日本の経済というものの予測はつかないところに経済の見通しのむずかしい点があるんだということも御理解願いたい。そのために十一月には、主要六カ国になりますか、先進工業国の首脳者の会談をしようという、まあ歴史上かつてないことでございますが、私も国会の御承認を得てぜひ出席をいたしたいと思っておりますが、これはどうしてもこういう会議を開いて、世界の貿易なども縮小均衡のような形をとってきておるわけですから、これをもう少し拡大して、やはり景気の浮揚を図らなければいかないし、また先進国だけが栄えただけでは景気がよくならない。いわゆる発展途上国というものの購買力というものをどうしてつけるかという南北問題もございますし、どうしたところで、どうしてもやはり世界がもう一遍――この世界的な不況、インフレの中にあって、世界経済に対して最も責任を感じなけりゃならぬ先進諸国の首脳部が寄って話し合うということはどうしても必要なんです。日本の場合だって、一国だけでこのいまの困難な局面は打開できませんから、そういう意味において、この首脳会談というものについては、私は大きな期待を寄せておるものでございます。
 その他のことについては関係大臣からお答えをいたすことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 本年度補正後予算で見ますと、GNPの伸び以下であって、財政は景気効果を生んでおらないのじゃないか、そんな感じがするがどうかと、こういうお話です。まことに一見そのような感じがするわけです。これは多分には技術的といいますか、そういう側面があるわけで、つまり国税三税の落ち込みに伴いまして交付税の減額を行った。その結果、一般会計の予算面が不況対策を講ずるにもかかわらず相当のまあ減額になったと、こういうことです。しかし、問題は予算の規模、そこにあるわけじゃないんです。一般会計ばかりじゃありません。中央、地方を通じ、また政府諸機関等も通じまして、そのすべての予算から流れ出る財貨サービス、その需要が一体どういうふうになるかと、こういう問題でありまして、その需要を御検討を願いますれば、これはもう今度の下半期におきまする景気上昇につきましては、これは財政、これが主導的役割りをするということが非常にはっきりしてくるわけであります。その辺の御検討をお願いしたいと、かように存じます。
 それから第二は、新五カ年計画策定作業はどのように進展しているか、またその考え方はどうかと、こういうことでございますが、考え方といたしましては、しばしば申し上げているとおり、まあわが国経済を取り巻く環境が非常に変わってきたので、その環境に順応して大きな経済のかじ取りの変革を行わなければならぬと、こういうことです。まあ何といっても、第一は成長の速度、これをいままでの高度成長のその速度と違って適正なものにしなければならぬ、こういう点であります。また経済政策の内容につきまして、いままではまあ成長の成果を次のまた成長につぎ込むというような状態でございましたが、成長中心。今度は生活中心という、そういう内容のものにしなければならぬだろうと、こういうふうに考えております。また国、地方公共団体やあるいは企業あるいは家庭におきましても、省資源、省エネルギー、こういうものに徹してもらいたいというようなことどもを中心にいたしまして、新しい計画を策定したい。その策定の作業は目下経済審議会を中心といたしまして進捗をいたしております。五十一年度を初年度といたしまする五カ年のものといたす。この新五カ年計画につきましては、その概略案を年内に作成いたしまして、昭和五十一年度予算の策定の重要なる指針といたしたいと、かように考えておる次第でございます。
 それからさらに、コストプッシュで企業は赤字に悩まされておる、これに対し新しい具体的政策目標が必要ではないかと、こういうお話です。これは、私はそのとおりに思うんです。その問題の中心は、わが国の経済はマクロ的に見ると上昇過程にずうっと乗っておるわけでございまするけれども、企業一つ一つをとってみると、非常にその経理が苦しい状態にあるわけであります。それはなぜかと申しますれば、やっぱり操業率がよくない。操業度がよくない。そこで、これが資本費の負担あるいは過剰人員のための人件費の負担、これはコストとしてその企業に非常に重くのしかかると、こういうところにあるわけでありまして、私はそこに着目をいたしまして、これからの景気対策、それはとにかく企業の操業度の水準を上げることだと、こういうふうに考え、そのための最終需要の喚起政策、これをとっていくと、こういうふうに考えておるわけであります。まあ適正というか、これは非常にむずかしいんでありますが、大体操業度、その操業度の傾向を示す統計といたしまして稼働率指数というのがあるんです。それが九五ないし一〇〇という水準に達するというと、これは大体まあ適正なところだろうというふうに言われますが、いまそこへ急に持っていくわけにはまいりません。昭和五十年度末、つまり来年の三月、これを九〇のところまで持っていきたいという目標を設定いたしまして、ぜひこれを実現をいたしたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 今度の補正予算によりまして予算増が八・五%、GNPが一〇%であるにかかわらず八・五%にすぎない。景気回復効果がどうかという疑問が投げられて、いま副総理からもお話がございました。そこで、交付税交付金は、従来一般会計から交付税特会に渡しまして交付しておったものでございますが、これが資金運用部からの借り入れに変わりましたので、それを控除して計算いたしますと、補正で実質上予算が約六千五百億円ふえております。したがって、パーセンテージにしますと一四・三%になるということを御了承いただきたいと思います。
 第二の御質問は、公債依存財政の立て直しをどう考えているかということであったと思います。で、漫然、公債に依存することは慎まなければならぬことは仰せのとおりでございます。とりわけ公債費が年々ふえてまいりまするし、また人口の老齢化が進行していくということを考えますと、容易ならぬ事態だと思うのでございます。したがって、歳入歳出両面にわたりまして彫りの深い見直しをしなければならぬことになりまするし、さらに既存の制度、慣行をもう一度根本的に見直していくことが必要であろうと思っておるのでありまして、政府といたしましては、財政制度審議会に御審議をいただくと並行いたしまして、そういった点に鋭意検討を進めておるわけでございまして、成案を得次第、御審議をいただかなければならぬと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田一君) 三治さんから、地方公営企業の経営が非常に困難に陥っておるがどう処理するかという御質問でありますが、元来公営企業というのは独立採算制というのが考え方でございますので、やはり経営の合理化を図っていただくとか、適時適切な料金の改定というようなものも行っていただきたいと考えておりますけれども、同時に、国といたしましては、やはり補助制度の充実であるとか、あるいはまた良質な企業債資金の確保というような点についても十分考慮をいたしまして、問題の解決に当たらしていただきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
○国務大臣(長谷川峻君) 完全雇用をどう考えるかというお話でございますが、近代国家は完全雇用の達成と維持がその基本的原理だと思っております。わが国におきましても、これはそういう理念で経済社会政策の運営がされておることでありまして、このたび雇用の安定を図るために総合的な景気対策を決定したのも、こういう観念を深く含んでいるということを御理解いただきたいと思います。
 雇用保険の給付金の問題につきましては非常な御評価をいただきましたけれども、これは御案内のように、不況業種、雇用の安定のために一時休業を必要とするものに指定していることは御案内のとおりです。しかし、それらの業種の生産動向というものには非常に注目しておりまして、今度の総合景気対策の実施によって次第に回復するものと期待しております。しかし、構造的な欠陥によってなかなか、一部の業種を除いては、一時帰休の長期化や、あるいは解雇の不安というものも非常に心配されますので、労働省としては雇用問題の見地から、各大臣からもお話がありましたように、各省緊密な連絡をとってそういう事態を回避したい、こういうふうに考えております。
 最後に、三治さんから具体的な例といたしまして、給付金をもらっている間に失業をすると失業保険が少ないじゃないか、こういうお話がありましたが、これも大体は離職者を防ぐために給付金を出しているのでありますが、その支給を受けた事業所は、極力、だから解雇をしない、そういうことに指導しているわけです。解雇をしないために給付金を出しております。しかしながら、不幸にして先生がおっしゃるような事態が生じますと新しい問題で、御指摘もありますので、法の趣旨に照らしまして慎重にひとつ検討してまいりたい、こう思っております。(拍手)
○副議長(前田佳都男君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十四分散会