第076回国会 運輸委員会 第5号
昭和五十年十二月十一日(木曜日)
   午前十時四十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮崎 正義君
    理 事
                黒住 忠行君
                平井 卓志君
                前川  旦君
                三木 忠雄君
    委 員
                石破 二朗君
                岡本  悟君
                佐藤 信二君
                橘  直治君
                宮崎 正雄君
                山崎 竜男君
                青木 薪次君
                杉山善太郎君
                瀬谷 英行君
                戸田 菊雄君
                岩間 正男君
                和田 春生君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  木村 睦男君
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
   政府委員
       内閣官房副長官  海部 俊樹君
       内閣法制次長   真田 秀夫君
       人事院事務総局
       管理局長     長橋  進君
       内閣総理大臣官
       房広報室長    関  忠雄君
       運輸省鉄道監督
       局長       住田 正二君
       労働省労政局長  青木勇之助君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        藤井松太郎君
       日本国有鉄道常
       務理事      加賀谷徳治君
   参考人
       公共企業体等関
       係閣僚協議会専
       門委員懇談会座
       長        小野 吉郎君
       公共企業体等労
       働組合協議会代
       表幹事      富塚 三夫君
       全日本官公職労
       協議会副議長   川田 庄作君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○運輸事情等に関する調査
 (国鉄職員のスト権問題に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(宮崎正義君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認めます。
 よって、委員長は、運輸事情等に関する調査のため、公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会座長小野吉郎君、公共企業体等労働組合協議会代表幹事富塚三夫君、全日本官公職労協議会副議長川田庄作君、以上三名の方を参考人として出席を求めます。
 なお、その出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 一言ごあいさつ申し上げます。
 富塚参考人及び川田参考人には、御多忙の中にもかかわりませず、本委員会のため、貴重な時間をお割きくださり、御出席くださいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
○委員長(宮崎正義君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、順次質疑を行います。
○石破二朗君 日本国有鉄道の、いわゆるストライキ権問題を中心といたしまして、政府当局の方々並びに国有鉄道の責任者の方に若干の御質問を申し上げます。
 まず私は、さきに公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会が、内閣官房長官に提出されました意見書に賛成でありまするし、さらに、去る十二月一日の政府声明におおむね賛成するものでございますので、改めて仰々しい質問をするつもりはございませんけれども、いわゆる専門懇の意見書に必ずしも明確にされていない点、さらに、さきの政府の声明を今後どうして具体化されるかというような点につきまして、若干の質問をしますとともに、国鉄当局にも若干の御質問をいたしたいと思いますので、御了承を賜りたいと思います。
 まず第一番目には、この問題の根本にありますところの、憲法第二十八条により保障されておりますところの、いわゆる勤労者の権利につきましていろいろ解釈があるようであります。あるいは、これは人間に基本的に与えられたいわば天賦の権利であって、何者もこれを侵すことはできないというような解釈もあるようでありまするし、さらにまた、これはほかの基本的権利とは違って、いわば社会権というようなものであって、性質が違うものであるというような御意見もありまするが、自分の考えを申し上げますならば、憲法に保障されております権利は、いずれも天賦のものであるとかどうとかいうものではございませんで、お互いの社会、お互いの国家を健全に発展させ、お互いの幸せを守るために、お互いの合意によって初めて権利が設定されたものであると、かように存じまするが、これに対する政府の御見解を承りたいと思います。
○政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。
 憲法二十八条の権利、つまり「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利」、これは保障されております。いわゆる労働基本権と呼ばれておるものでございますが、この労働基本権は、結局のところ勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められているものだと考えられまして、これ自体が目的とされる絶対的なものではないと思いますので、おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約は免れない、かように考えます。このことは憲法の十二条なり十三条に照らしても明瞭であると存じます。
 で、その関係を少し最高裁判所の判例の移りかわりといいますか、それに沿ってやや詳しく申し上げますと、最高裁判所も結論的には大体同じことを言っているわけですが、当初のころは、この労働基本権も、公共の福祉のために制限を受けることはやむを得ないというふうにあっさりと言っておったわけなんです。これは昭和二十八年の、例の弘前機関区事件と称されております大法廷の判決でこのように言っております。こういう表現の判決はたくさんございます。その後、例の中郵事件と言われている有名な判決がございまして、その中では若干表現を変えまして、公共の福祉という言葉は避けまして、国民生活全体の利益の保障の見地から制約があることは免れないという言い方になっております。
 それから次に、ただいま先生がおっしゃいました、ほかの基本的人権との関連を真正面から取り上げました判決が一つございます。これは昭和四十五年の七月十六日の判決でございますが、これはちょっと読ませていただきますが……
○石破二朗君 簡単で結構でございます。
○政府委員(真田秀夫君) はい。「憲法は、勤労者に対し」「団体行動権を保障するとともに、すべての国民に対し平等権、自由権、財産権等の基本的人権を保障しているのであつて、これら諸々の基本的人権が勤労者の団体行動権の無制限な行使の前に排除されることを認めているのではなく、これら諸々の基本的人権と勤労者の権利との調和を破らない限度内の正当な団体行動権の行使を許容している」ものであるというふうにはっきり言っております。
 それから最後にといいますか、一昨年の、例の全農林の事件のときには、先ほど冒頭に私が申し上げましたように、勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れないと、こういうふうに言っております。で、いろいろ表現が変わっておりますし、説明の仕方にも若干のニュアンスの違いはありますけれども、要するに絶対無制限のものではないと、こういうふうに言っていることは、これはもう確立された判例だと言って差し支えないと思います。
○石破二朗君 次に伺いたいと思いますのは、憲法第二十八条に「勤労者」という言葉が使ってあります。この勤労者の範囲を明確に承りたいと思います。
 農業に従事しておる者は、ここに言ういわゆる勤労者でないことは確かだろうと思いますが、さらにまた、内閣総理大臣も二十八条に規定する勤労者ではなかろうと思う。それじゃ各省の事務次官はどうだ、部長はどうだ、局長はどうだ、係長はどうだ、課長補佐はどうだ、一般公務員はどうだ、その限界を二十八条により、いわゆる労働基本権を保障されておる勤労者とはだれを指すのか、具体的に明瞭にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(真田秀夫君) 憲法二十八条には、勤労者とは何かということを明確に定義しているわけではございません。ただ、これを受けました労働組合法を見ますと、労働組合法に「労働者」という定義がございまして、「「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう」という規定がございます。で、私たちも大体この観念がそのまま憲法二十八条における勤労者に該当するものだと思っております。
 ここで「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者」というのをもう少し具体的に考えてみますと、これは結局他人に使用されている、そして、その使用者との間に従属関係に立って、その指揮監督を受けて労働を提供する、そして、その対価である賃金、給料その他これに準ずる収入を得て、それによって生活している者というふうに言えるだろうと思うのです。
 そこで、いまおっしゃいました自営業者はこれに該当いたしません。それから、内閣総理大臣はどうだというお話でございますが、内閣総理大臣は、他人に従属して使用従属の関係に立つ、他人の下に立ってその指揮監督を受けるというような性格のものじゃございませんので、内閣総理大臣が勤労者に入るとは考えたことはございません。事務次官以下はどうだという非常にむずかしい問題なんですが、事務次官になりますと、これは一般の国家公務員法の適用を受けてその上司、つまり大臣の指揮監督を受けるわけでございますが、国家公務員法によりますと、国家公務員の職員団体を組織する規定がございまして、その中に、管理、監督の地位にある者と、それ以外の一般の公務員とは同じ組合はつくれないという規定がございまして、その管理、監督の地位にある者、つまり管理職員等と言っておりますが、その中には実は書いてございます。事務次官が入っておりますので、そういう規定も踏まえて言いますと、どうも事務次官以下が入らないとは言いづらいんじゃなかろうかというふうに思います。
○石破二朗君 そういたしますと、仮に三公社等の勤労者諸君にストライキ権を与えるといたしますならば、要求があれば、総理大臣はもちろん別ですけれども、各省の事務次官以下にもストライキ権を与えるということにしなければ平仄が合わないように思いますが、御見解いかがでしょうか。
○政府委員(真田秀夫君) 事務次官等が憲法二十八条による勤労者であるとした場合に、一方国鉄の職員に労働基本権を与えたならば、それとのつり合い上、事務次官等にも労働基本権を与えなければならぬじゃないかという御趣旨のように伺いましたが、私が申し上げましたのは、事務次官等も憲法に言う勤労者に当たらないとは言い切れないんじゃないかということで申し上げましただけで、二十八条に仮に該当するとしましても、二十八条に言っているいわゆる労働三権を、そのまま全部一視同仁にすべての勤労者に与えなければならぬかどうかということはまた別問題でございまして、それは立法政策として、いろいろな職務の公共性なり特殊性に応じて、それぞれ若干の差異のある労働基本権の保障ということも十分考えられるということでございます。
○石破二朗君 わかりました。そうしますると、労働基本権が与えられて、憲法上保障されておるものであっても、たとえばストライキ権をその者に与えることが、他の国民の持っておる権利にどのような影響があるか、仕事の内容、あるいは他の国民の諸権利に与える影響等を考慮して立法政策上考慮すべきものであると、かように了承いたしましたが、たとえて申しますと、例は悪うござんすけれども、たとえば、各省の課長諸君が一日ストライキして、それが国民に与えます影響と、現場の国鉄の職員、あるいは病院等の看護婦さん等が一日ストライキして国民に与える影響というものを比較してみますと、一概には言えませんと思いますけれども、一般国民に与える影響は、各省の課長クラスが一斉に一日休むというよりか、国鉄が一日とまる、病院の看護婦さんが一日ストライキするという方が、むしろ重大な影響を国民生活に与えると思うのでありますが、政府の御見解はいかがでしょうか、承りたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) ただいまの御質問でございますが、これは見る人によって違うと思いますが、したがって、私だけの見解として聞いていただきたいと思うわけでございます。やはり国民の日常生活に、交通機関というものは非常に密接な関係を持っておることは事実でございます。その交通機関の中で、国鉄の占めておる国民生活への影響度は、あらゆる交通機関の中で量的にも質的にも私は一番大きいと思うんです。そういう意味では、国鉄が一日とまるということは非常に大きな被害を国民に与える。これは政府機関の、たとえばいまお話しの、各省の課長が一日ストライキをするのに比べれば、やはり国民生活、ことに末端の人々に対する影響が非常に大きい、かように考えます。
○石破二朗君 先進諸国においては、労働者の権利としてストライキ権を与えておるのがおおむねの例だというふうに主張される方があり、あるいは事実そのようになっておるかとも思いまするが、諸外国の立法例、簡単でようござんすから、共産主義体制、社会主義体制のもとにある国家の勤労者の争議権も含めましてお知らせいただきたいと思います。なお、これら諸国において、勤労者のストライキ権が有効に機能しておるかどうか。ストライキ権を与えることによって社会の秩序が良好に保たれ、国民生活全体が向上しておるかどうか、その点もお示し願いたいと思います。
○政府委員(青木勇之助君) お答え申し上げます。
 欧米先進諸国におきまするストライキ権の取り扱いの問題につきましては、たとえばイギリスにおきましては国有鉄道……
○石破二朗君 簡単でようございます。
○政府委員(青木勇之助君) 資本主義先進諸国におきましては、それぞれの国の実情に応じまして、認めておる国、認めておらない国、それぞれまちまちでございます。なお、社会主義諸国の事情等につきましては詳細に知ることは困難でありますが、ILO事務局が作成いたしました資料によりますれば、ソ連、ハンガリー、ブルガリア、ユーゴスラビア等の社会主義諸国にありましては、これらの国々におきまして一般化しております政治、経済、社会制度の性格上、労働組合は直接行動に訴える必要がないという前提に立って、憲法も法律もストライキを承認もしていなければ禁止もしていない、こういう記述がILOの記述にございます。
○石破二朗君 有効に機能しておるかどうか、たとえばイギリスだけでも結構でございます。評価できますれば御見解を承りたいと思います。
○政府委員(青木勇之助君) 有効に機能しておるかどうかと、非常にむずかしい価値判断の問題でございます。たとえばイギリスの場合は国有鉄道、郵便事業はいずれも公営、公社経営、たばこは民営というふうに相なっておりますが、公社の場合にはかなりストライキは頻繁に起こっておりまして、たとえば、大規模なものといたしましては、郵便公社の賃上げ問題に関する一九七一年一月から三月にかけて四十七日間のストライキが行われておる、そういう結果いろんな問題が出ておりますが、何を有効と言い、非有効と言うかという点は非常に問題があると思いますが、それらの国においては、イギリスにおいてはかなりストライキが頻繁に行われておるということは事実でございます。
○石破二朗君 もう時間がありませんから簡単にお伺いしたいと思いますが、去る十二月一日の政府声明におきましては、その第二項におきまして、「専門委員懇談会の意見書の趣旨を尊重」すると、こう述べられており、その第四項におきましては、「公共企業体等労働関係法はじめ関係法規を全般的に検討し、必要な改正を行う」と、こう書いてあります。そこで伺いたいと思いますのは、専門懇の意見を尊重するとお書きにならないで、意見の趣旨を尊重するとわざわざお書きになった理由はどういうわけかということが一点と、その意見の趣旨を尊重すると言われます以上は、あれに矛盾する公労法の改正等は今後政府は行わないものと、かように理解してよろしいか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 先般政府が出しました基本方針の二項の「専門委員懇談会の意見書の趣旨を尊重し」というふうに表現されてありますのは、読んで字のとおりでございますけれども、三十回を超える専門懇の会合を開いて検討いたしました結果があの意見書にまとめ上げられておるものでございます。したがって、その意見書はきわめて貴重なものであるとわれわれは考えておりまして、その意見書の内容について十分検討に値するものがございますので、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございまして、別段、懇談会の意見を尊重するということと、懇談会の意見書の趣旨を尊重すると書いた間にそう大した差はございません。まあ懇切丁寧に表現したものだと、かように考えております。
○石破二朗君 今後公労法等を御改正になります際に、趣旨だけでも尊重さ、れると声明されました以上は、この意見書に反対の矛盾する法改正等は行わないと、こういうお考えと理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(木村睦男君) この意見書には、御承知のように、いわゆる少数意見も加えて述べてございますから、それら全体を見ましてこの意見書の趣旨を尊重するということで、四項目にございます法の改正の検討等の中には、すべてを検討の対象として入れて検討をしていくという趣旨でございます。
○石破二朗君 お答えいただきましたが、私のお願いいたしたいと思いますのは、少数意見は尊重していただきたくないとお願いをいたしておきます。
 次に、国鉄総裁にお伺いいたしたいと思いますが、この間のストライキ、大変異常なものでありました。違法なストライキであるということは、国鉄の職員諸君も十分御承知だったろうと思います。違法ということを承知の上で、なおかつあれだけの長期、大規模のストライキをやらなければならぬほど国鉄の従業員諸君の労働条件というものは悪いものなのかどうか、総裁はどのように理解なさっておるか、承りたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) お答えいたします。
 過日の長期にわたる争議行為ははなはだ遺憾で、国民におわびする次第でございますが、われわれと、働く者とには、おのずから主張の差異がございますけれども、これはいわゆる力で解決すべき問題ではないんで、これは話し合いで解決するというのが常道でございまして、及ばずながら私も先頭に立ってそういう話し合いを進めておる次第でございますが、過日のような事態を惹起したということは、はなはだ申しわけないことでございますが、今後こういうことを軽減するためにあらゆる努力をする覚悟でございます。
○石破二朗君 国鉄従業員諸君の労働条件、私も詳しく承知いたしておりませんので、あれこれを申し上げるつもりはありませんけれども、国鉄は国民全体の生活に非常な大きな影響を持っております。それだけに、国鉄従業員諸君は、国民全体のために一生懸命に働いていただかなきゃならぬと思う。そうとしまするならば、国鉄従業員諸君には、他の大手の私鉄等の従業員よりか、よりいい労働条件を与えて、一生懸命に働いていただきたいと思います。われわれも微力ながら努力するつもりでございますけれども、総裁におかれましても、国鉄の従業員諸君がストライキなどをせぬでも済むように、その労働条件の改善に、いろいろ制約があることは知っておりますが、最善の努力を払っていただきたいと思います。
 なお、最後にもう一点お伺いいたしたいと思いますが、国会の論議等を拝聴いたしておりますと、三木総理大臣は昭和二十三年ごろ公労法が改正ですか、になりました際に、国民協同党の党首であって、当時その法案審議の際に、協同党の某議員が法改正、いわゆるストライキ権剥奪の法案に本来反対であるという討論をした。三木総理大臣はその当時の責任者として、現在の態度はどうかという趣旨の御質問があり、伺っておりますと、どうも総理大臣もそれに若干でも拘束されておられるような感じを受けます。本当は総理大臣に伺うのが筋でありますけれども、俗に男子三日見なきゃ何とかということわざもありまするし、二十七年間全然考えが変わらぬとするならば、まあ一方ではこれは志操堅固であると言ってほめていいかもしれませんけれども、二十七年間何にも進歩せなかったのかと、何だと、軽べつも実はしたくなります。
 御存じの方もあろうと思いますけれども、かつて昭和七年ごろ総理大臣をやりました犬養毅という方がありましたが、この方は、前とその後と相矛盾する答弁をして何と返答したか。その後の修練による心境の変化であると、かような答弁をしたことを当時聞いた覚えがあります。総理大臣におかれましては、二十七年前の当時の考えと、きょうの考えとは変わったと言い切られて私は一向差し支えないと、かように思います。二十七年たてば、大抵の者は少しは利口になるはずであります。どうぞ御列席の政府委員におかれましては、あるいは運輸大臣におかれましては、総理大臣にも篤とこのことをお伝え願いたい、かように思います。
 以上で私の質問を終わります。
○瀬谷英行君 ことし最大の社会的出来事である公労協の長期ストは、いままでのところ私も非常にまだ十分問題の核心に触れていないような気がいたします。
 そこで、富塚参考人にまず第一にお伺いしたいと思うんですが、スト権ストの公労協組合側の主張は、剥奪をされたスト権を回復しようということであって、もともとなかったものを新たによこせというわけではないと、このように理解をいたしますが、その点いかがですか。
○参考人(富塚三夫君) 御指摘のように、終戦後労働組合結成と同時にストライキ権は存在しています。その後、マッカーサーの書簡に基づく政令二百一号で剥奪をされ、公労法ができたという経緯がありますので、われわれは、本来ストライキ権というものは労働者の固有の権利であり、憲法に保障されているという立場では、この問題は当然労働者の側に与えられてしかるべきと考えます。
○瀬谷英行君 それならば、スト権を回復しようと――もともとなかったものをよこせと言うのじゃない。剥奪されたスト権を回復しろということなんだから、端的に言うと、盗まれたものを返せ、こういうことになるんじゃないかと思うんですがね、そういう表現で間違いございませんか。
○参考人(富塚三夫君) そのとおりであります。
○瀬谷英行君 そうなりますと、盗んだ下手人が――二十七年前の話だけれども、先ほどから二十七年という話が出ておりますけれども、盗んだ下手人がマッカーサーだったとしても、それをふところに入れて返そうとしないのは政府だということになるんじゃないですか。これは運輸大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(木村睦男君) 二十七年前のことでございますので、いろいろ当時のいきさつもあったと思うわけでございますが、そして、働く人の側から言いますというと、争議権を持つべきであるということもそれなりの主張でございます。そこで、こういう問題については、やはり法治国でございますから、法律というものが制定された以上は、それに従って行動をすべきことが法治国の平和と秩序を守るわけでございます。したがって、スト権を与えることがいいとか悪いとかということは別どいたしまして、スト権のない者が法律でスト権を禁じられておるわけでございますから、それがスト権を回復するためには、やはり所定の手続によって、つまり、法律改正という手段によってその目的を達成すべきでございまして、違法の行為によって――仮に目的が正しいからと言って、違法の行為によってそれを取り返すということは、法治国では許されないことであります。かように私は考えております。
○瀬谷英行君 盗んだものを返せということは、三億円事件もこれは時効になりましたけれども、だから二十七年前のことは時効だというわけにはいかぬと思うのです。これはまだ記憶に新しいどころか、このことがだんだん毎年毎年内証をしてきて、闘争が激しくなってきた。そして、ついこの間はああいう長期のストライキが行われたわけです、現実に。
 そこで、政治家として考えなければならぬことは、このような長期のストライキが起きないようにするにはどうしたらいいかということじゃないかと思うんです。いままで衆参両院でこの問題が取り上げられましたけれども、法律論争というのは、これはすれ違いに終始している。憲法に照らして公労法はどうかというと、確かにわれわれの側から言わせれば問題がある。大体今日の公労法なんというものは、これはもうぶつ壊れた車と同じだ。ブレーキが壊れている。危なくて乗れない。権威のない法律を盾にとって、そして、違法なストはいかぬということを、何とかの一つ覚えみたいに繰り返しているということは、効き目のない薬を乱用しているのと同じことなんですよ、これは。価値のないことだと思う。
 そこで、このすれ違いの法律論争ということよりも一歩前進をして、一体どうしたらいいかということについての政府側の見解は、総理からもまだ明らかにされていない。政府としては何らその問題について答えを出していないというふうに私は思うんです。先般の政府声明は答えを出したつもりになっているのかどうか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(木村睦男君) これは、その二十七年前のいきさつはいきさつといたしまして、二十七年間公労法というものが今日まで有効に存在をしてきておるという事実を、やはりわれわれは謙虚に考えなければいけないと思うんです。法律はいつでも改正する機会はあるわけでございます。しかし、その法律が二十七年間国民の支持を得て改正されないできたということの事実についても、われわれはよく反省をすべきであると思います。今回、この問題が昨年の春から議論になりまして、そうして、この問題についてこの秋ごろまでに何らかの決着をつけたいという政府の方針に従って、御承知のような経過をとって検討してまいったわけでございますが、それほど重大な問題であり、国家の将来にも非常に影響の多い問題でありますので、今日の段階で、先般政府が方針をお示ししましたように、あのような五項目による手順、あるいは方法を経て、この問題について結論を出したい、こういう方針を示したわけでございます。
 したがって、瀬谷委員のおっしゃるように、いま、きょうここでスト権を与えるとか与えないとかいう問題について結論を出すことはできない、これらの項目の趣旨をよく尊重し、検討しながら、できるだけ早い機会にこの問題について回答を出します、そして、必要な行政手続なり、あるいは法律の改正も必要なものはやりますということがこの方針でございますので、いましばらく時間をかしてもらいたいということでございますので、この方針の趣旨をそれなりにひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○瀬谷英行君 いましばらく。いましばらくと言いますけどね、一応の期限はことしの秋までに結論を出すということになっていたんじゃないですか。そういう約束をした覚えはないのかどうか、これは富塚参考人にお伺いしたいと思うんです。ことしの秋までという一つの答えが前に出ているわけです。これは前の総理との間の約束であったとしても、そういう約束はあったと思うんです。それに対して政府声明というものは答えたというふうにとられるかどうか、その点をお伺いしたい。
○参考人(富塚三夫君) 政府は約束を守ってないと思っています。われわれは八年間の公制審の審議、それに基づく答申、前田会長も現業労働者にスト権を認めることを示唆していることをはっきり言っています。それを受けて前田中内閣とわれわれ労働側の約束、その時期がこの秋ですから、この秋に結論を出すというのが本来の公制審答申を受けての筋道であります。それが結論を出されていませんのは、これはまさに約束を守ってない、このように考えています。
○瀬谷英行君 いま富塚参考人から、政府は約束を守っていないということを指摘されました。じゃ、政府は約束を守ったつもりになっているのかどうか、やっぱり指摘されたように約束は守っていないけど勘弁してくれというのか、どっちなんですか。
○国務大臣(木村睦男君) これは昨年からのいきさつがございまして、この秋ごろまでにこの問題について政府の考え方をはっきりさせたいということは、当時、田中内閣時代から言ってきたことであることは私も承知をいたしております。しかし、この基本方針の中にも示しておりますように、専門懇等で三十回に及ぶいろんな検討をしてもらい、なおかつ、その他いろんな点を考えまして、いまここでこの問題に結論を出すということはむずかしいということで、このような手順によって、今後できるだけ速やかに、この問題についての結論を出しますと、こう言っておりますので、約束を守らないからけしからぬということだけで物事を考えられないで、こういう経過があり、こういうふうな状況のもとで、この重大な問題については慎重に、いま少しの時間を与えてもらって考えたいということですから、これはそれなりにひとつ理解をしてもらわなければいけないんじゃないかと、われわれは思っておるわけでございます。
○瀬谷英行君 しかし、約束は守らなかったということをお認めになりますか。
○国務大臣(木村睦男君) 必ずこの秋に結論を出しますという約束になっておりましたかどうか、(「そのとおり」と呼ぶ者あり)これは私が責任を持って言うほどそこはよく存じておりません。恐らくそのように努力をするというふうに当時は言っておったと私は理解をしております。
○瀬谷英行君 今度は富塚参考人にお伺いしますが、大臣の言い方によれば、そのように努力をする、自民党の外野席かちもそのような応援のやじが飛んでおります。そのように努力をするということで間違いはないのかどうか。私はそんないいかげんなもんじゃなかったという気がいたすんですが、当事者として、公労協の立場からすればどのような約束があったのか、その点をお伺いしたい。
○参考人(富塚三夫君) その後、政府交渉をわれわれが持った中でも、十一月末までに結論を出す、この秋までに結論を出す、海部官房副長官も正式にそのことを言っていますし、十二月一日に井出官房長官も正式に約束をしています。
○瀬谷英行君 海部副長官は後ほど出てくることになっているので、改めてお伺いしてもいいんですが、井出官房長官も、海部副長官も十一月末までに結論を出す、要するに秋までに結論を出すと言い切っているということなんですね。それならば、努力をするというのとは全然違うわけです。結論を出すという以上は、中身のある結論を出さないことには約束に違反したということになるんじゃないでしょうか。その点はどうですか、大臣。
○国務大臣(木村睦男君) 昨年この問題が起きましたときに、来年の秋ごろまで結論を出すように努力すると、決して確約をしたわけではないということは、私は当時の官房長官から聞いたことがありますので、その当時の事情はそれなりに理解をしておるわけでございます。それから、井出官房長官がいまのお話のような回答をしたということでございますが、これは午後官房長官が参りますので、御本人から直接聞いていただいた方が正確であると思います。
○瀬谷英行君 ことしの秋というのは、「秋」というのは大体常識的に考えて十一月までですよね。十二月、一月は秋とは言わぬでしょう。ところが、その期限切れになっても結論は出していなかった。しかも、その期限の切れた後になって政府声明というのを出しているわけです。ところが、政府声明は結論というものはないでしょう、中身はないでしょう。あの政府声明の中に具体的な中身があるとはだれも思いません。問題は、組合側の主張は、先ほども申し上げたように、盗まれたものを返せと、こういうことなんでしょう。答えは、返すか返さないかという二つに一つだと思うのです。しかも、その答えはことしの秋までにということになっている。だから、秋までに返しますという答えを出さなければいかぬ。しかし、利息をつけて返すのか、多少値切ってもらうのか、どうするかということはそれからの話じゃないかというふうにわれわれは理解するんです。とにかく、盗んだものは返しますという約束が前提になると思うんですが、その点は富塚参考人にお伺いしますが、どうですか。
○参考人(富塚三夫君) 当然われわれは回復をさせるべきである、それは返すべきであるということの立場でずうっと今日まで二十七年間、そして、幾つかの政府の関係の約束を積み重ねて今日にきているわけですから。このように考えております。
○瀬谷英行君 違法のストがけしからぬということを三木総理もしばしば言っております。しかし、ストライキに追い込んだ政府の責任についての反省というものはちっともないんじゃないでしょうか。組合がストライキをやるというのは、別に運動会や盆踊りとは違うんですよ、これは。おもしろづくでやっているわけじゃないんです。真剣勝負です、これはまさに。約束に対して、その約束を守らなかったという事実があるとすれば、当然それに対するストライキという手段が展開されたってこれは仕方がないじゃないですか。とすれば、このストライキを招いたのは、まさに政府の今日までの怠慢であるというふうに指摘されても仕方がないと思うんですが、その点はどうですか、運輸大臣。
○国務大臣(木村睦男君) 私は、このスト権問題を盗まれた、盗まれぬとか、あるいは盗まれたものを取り返せとかいうような見方はしていないわけでございまして、これは瀬谷委員の独特な言い回わし方でそういうふうにおっしゃっておると思うんですが、私はそういうふうに思っておりません。そうではなくて、今日まで三公社五現業、要するに準政府機関の組合に争議権というものを認めてこなかったと、法律によってそうされておったわけでございますから、それをこの機会にぜひ認めろと、こういうのが主張であろうかと思うわけでございますが、そういう問題は、たびたび繰り返すようでございますが、非常に大きな将来に影響する問題でもあるわけでございますので、このような政府の方針によって今後結論を出していこうということでございまして、どうもこういう方針を出しましたら、政府はもうストは絶対認めぬのだと、拒否するんだというふうに受け取られておる向きがありますけれども、そうじゃなくて、スト権を与えるか与えないかという問題がいま問題になっておるわけでございまして、したがって、与えるか与えないかという問題を、こういう方針によって今後検討して結論を出しますと、こういうことでございますので、その辺はひとつ誤解のないように、一方的にもうスト権与えないんなら、いま方針じゃなくて結論が出るわけでございますから、それらを含めて検討をするということでございますので、その結論の出る時期が延びたということはまことに遺憾でございますけれども、それにはそれなりの政府としても事情があってそういうふうにしたわけでございますから、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思います。
○瀬谷英行君 スト権を与えるか与えないかということ、与えないというふうに断定したわけじゃないんだという意味のことをおっしゃいました。しかし、結論が延びたのはまことに遺憾であるというふうにおっしゃっているわけです。これは初めから素直にそういうふうにおっしゃってもらった方がいいと思うんですよ。政府が約束したことを守らなかった。それから、盗まれたというふうには思わないとおっしゃるけれども、盗まれたという言い方がいけなければ、もう少し高級な言い回わしをすれば剥奪をされたということになるかもしれない。しかし、剥奪をされたということは間違いないでしょう、これは。労働者が返上したわけじゃないでしょう、スト権は。二十七年前に、いかにマッカーサーの後ろ盾があったとは言いながらまさしく剥奪をされた。俗な言葉で言えば盗まれたということになる。
 私自身がこの被害者の一人ですよ。この二十七年前のことをよく記憶しております。スト権の剥奪、しかも仲裁裁定の不履行、こういった一連の問題に対して、私はハンガーストライキをやったこともある。高い鉄塔の上へスローガンを持って上がったこともある。また処分を受けたこともある。豚箱に入れられたこともある。そういう経験を持っているんだから、あえて私は申し上げるんです。間違いなくこれは剥奪されている。そういう歴史的な経過というものがこの専門懇の意見書の中で落ちているというふうにしか思われない。一番肝心なことが、なぜ労使の関係がこういうふうにこじれたんだと、こういうことになったのかという肝心な問題が、この意見書の中には落ちているような気がするんですがね。その点、大臣はこの意見書の中に十分に尽くされているというふうに理解をいたしますか。
○国務大臣(木村睦男君) 二十七年前の、占領中のことについてはいろいろ御意見がございますし、私たちもいろいろ意見を持っております。ただ、占領解除されてからすでに二十三年間たっておるわけでございます。占領中は、占領中であるといういろんな事情のもとで法律ができた。法律自体は日本の国会で決めた法律でございます。問題は、それから二十三年間、占領軍に強制された、あるいは命令された法律であったにせよ、昭和二十七年以降なら、今日まで二十三年の間改正しようと思えば幾らでも改正できた、アメリカの指示も何もなしに日本独特でできたわけでございますが、にもかかわらず二十三年間この法律が依然として有効に働いたというやっぱりこの事実も、これは国民の意向が那辺にあったかということも重視すべき問題ではないかと私は思うわけでございます。
 そういう意味で、これらの問題に専門懇の意見の中で触れていないことをどう思うか、こうおっしゃいますけれども、なるほどそういうことについては触れていないようでございますが、それはそれなりに私は、そうそれほど問題にして、この結論を出す出さぬに大きく左右すべき問題ではないので恐らく触れていないんではないかと思うわけでございます。それは、先ほど申し上げましたような過去二十三年間の事実というものをやはり踏まえての上でそうではなかったんであろうか、これは私の推測でございますが、そういうふうに考えております。
○瀬谷英行君 私はこの意見書を拝見しまして、石破委員とは逆なんでありますが、この中で傾聴に値するのは少数意見だけです。多数意見というのは、これは論外です。全然歴史的な経過というものを抜きにしている。たとえばマル生の問題等についても触れていない。これは重大な問題だと思うんです。
 今日、国鉄の財政再建というのは非常に重要な課題になっている。国鉄の財政再建を行うためには労使関係の正常化ということが前提になるんじゃないかと思う。動かしているのは人間なんです。労働者なんですよ。三公社五現業だからいろいろあります。しかし、きょうは運輸委員会なので国鉄の問題にしぼりますけれども、国鉄を動かしているのはやっぱり四十何万人という労働者です。その人たちが働かなければ、だれが何と言おうとも汽車は動かないわけです。したがって、国鉄の財政再建ということを根本的に図るためにも、労使関係の正常化ということは必要じゃないか。そのためには一体何が大事なのかということですね。
 これは、今度は国鉄の総裁にお伺いしたい。国鉄総裁としても、恐らく国鉄の再建ということには心を配っておられると思うんです。しかし、いままでなかなか思うようにいかなかった、ストが頻発をする、一体何が原因なのか、どうしたらいいのかというようなこと、いろいろお考えもあるだろう。すでに総裁自身のスト権の問題に対する意見の見解はお伺いいたしましたから繰り返して述べてくれとは言いません。言いませんが、労使関係の正常化という点について、総裁の見解をお伺いしたい。
○説明員(藤井松太郎君) お答えいたします。
 かねがね申し上げておるとおり、国鉄の再建には財政の基盤を立て直すということ、財政の基盤が立ち直りましても、労使関係が健全化しないと、お説のとおり再建ができないということでございますので、財政の基盤の確立と同時に労使関係の健全化、これに歩一歩努力を続ける所存でございます。
○瀬谷英行君 財政のことにいまお触れになりましたが、国鉄の財政というのは大変な状態だということを私どもも聞いておりますが、一体この毎日払う借金の利息だけでどのくらいになるのか。それから、なぜそういうふうになったのか、その点をお伺いしたい。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 国鉄の借金の利息というお話でございますが、これ大体五十年度末で五千億弱であると、言いかえますと一日十億ぐらいであるというようなことでございまして、なぜこういう事態になったかということは、これは大分差しさわりがあるんでございますけれども、端的に申しますと、国鉄の賃率というものは一般の物価の三分の一ないし四分の一の水準である、これが最大の原因であろうと私は考えておりますが、しかし、これを解消するためには、やはり国民各位に賃率を上げていただくとか、政府の御援助を仰ぐとかするより道はございませんので、その前提として、私どもも極力血のにじむような努力を重ねていくということはもちろんでございます。
○瀬谷英行君 血のにじむような努力を払っても、一日に十億円以上も借金の利息だけで払わなければならぬということになりますと、現場の人がどんなに団体客の勧誘だとか何だとか、そういうことで走り回ったって追っつくもんじゃないですよ。第一、国鉄の仕組みそのものが穴のあいたたるみたいなもので、幾ら上から水を入れても全部漏ってしまうような仕組みになっているんじゃないですか。その仕組みをそのままにして、さらに当事者能力もない。当事者能力もないから組合との紛争というものは解決がつかないで長引くだけである、労使関係もなかなか正常化しない、こういう状態に今日あるんじゃないですか。そういう状態をほったらかしにしておいて財政の再建といったって、これはできない相談じゃないかと思うんでありますが、その点、国鉄総裁としてはどうあってほしいというふうにお考えになっておりますか。
○説明員(藤井松太郎君) 国鉄の財政のあれに対しましては、とかくのいろいろの御批判はあるということはもちろんでございますけれども、これを端的に無遠慮に申し上げますと、国鉄がやはり戦前の大体三倍ぐらいのものを運んでおると、それから安全度なとも――列車台数は過去の三倍にもなったんですが、件数それ自身は相当大きくはなっておりますけれども、その比率というか、あるいは年々これは少なくなっておるということを考えますと、どうも国鉄の機能が麻痺したとか、瀕死の状態とかいう御批判は、私どもはこれは直接には受け取りがたいと、かように考えるのでありますが、これを歩一歩改善していき、なおかつ働く者は、御指摘のように四十数万の職員諸君が働いてくれるんで、この労使関係を健やかな形にして、力を合わせて取り組むと、それ以外に方法はない、かように考える次第であります。
○瀬谷英行君 当事者能力というものがなくて、賃金の問題で団体交渉やったって、後ろで尾を引いているのは大蔵省です。国鉄当局自体はかかしみたいなもんですね、失礼な話だけれども。当事者能力がないでしょう。そういう状態では、これは幾ら団体交渉やってもらちが明かないということになるわけですね。そこで、これらの問題を考えてみて、ただ一つ国鉄がいままでやれたのは処分権だけですよ。当事者能力がないけれども、政府が悪い役を全部総裁にやらせて、処分だけをやるということが今日まで行われてまいりました。今度のストライキでも、断固として処分をしろという意見が政府側に強いように聞いております。
 そこで、富塚参考人にお伺いしますけれども、ストをやらせた責任は明らかに政府にあると思うんだけれども、しかし処分はやるんだと、こう言っておる。その処分がもし行われるということになれば、組合としてはどのようにこれに対処する覚悟がおありなのか、その点をお伺いしたい。
○参考人(富塚三夫君) 若干御説明をいたしたいのは、処分問題についても、政府側とわれわれの側の約束があるんです。それは御存じのように、七三年の春闘の際には、当時の山下官房副長官と総評大木事務局長との間にいろんなやりとり、約束がありました。そして七四年春闘のときに、当時の大村官房副長官、道正労政局長、皆川総理府人事局長と、私ども春闘共闘委を中心とする――私も交渉委員の一人でしたが、処分の問題について約束をしています。で、これはどういうことかというと、御存じのように、ILOの百三十三次勧告があった。いわゆるマル生問題に端を発してILOに提訴した事件の中から、ILO結社の自由委員会は、過酷な懲戒処分について緩和をする措置をとれ、不当労働行為の根絶をする措置をとれ、二つの筋道の勧告を出しました。そして、亡くなられたジェンクス事務総長は、ダイレクト・ディスカッションを政府とやれ、直接討議をやれと指摘されました。政府も受けました。当局も受けました。
 それはどういうことかというと、たとえば国鉄の中にある、日本国有鉄道法三十一条による処分、停職、減給、戒告など、それだけで処分の効果は達成しているのに、加えて昇給を延伸させるなどは明らかに過酷な処分であるということの指摘を受けて、政府ともその話し合いを進め、そして当局とも進めてきたのであります。その結果がことしの六月三日、あとで労働大臣お見えになるかどうかわかりませんが、長谷川労働大臣の政府の統一見解として、スト−処分の悪循環は今回限り断ち切るという問題で、約束、声明を出されているわけですね。にもかかわらず、違法ストは処分だというその原点の議論は、全くわれわれが今日までILOの勧告や、七三年春闘ないしは七四年春闘で政府側と、現に田中内閣と約束をしているんですから、その筋道の道が尊重されてないで、一方的な言い方については背信行為だと思います。この点は国民の前に明らかにして対処したいと考えています。
○瀬谷英行君 富塚参考人は、明らかに背信行為であるというふうに過去の実例を挙げて指摘をしております。運輸大臣はその点についてどのようにお考えですか。
○国務大臣(木村睦男君) 後ほど労働大臣が出まして正確な答弁があると思いますが、いままで予算委員会その他委員会で、総理あるいは労働大臣が申しておりますこと、また私もそういうことを言っておるんでございますが、違法ストをやった場合に処分をしないんだというふうな約束は政府はいたしておらないと解釈をいたしておりますし、また、そういう約束を責任のある政府がしようはずもございません。違法スト−処分−反対ストの悪循環をやめようという趣旨は、処分をなくしようというのではなくて、そういう方法で物事を解決しないで、話し合いで何とか解決をしようという趣旨であるという政府の考え方には変わりはないわけでございます。
 今回も違法ストが行われたのでございますが、やはりこれは国鉄のみならず、日本の社会秩序を守るということが何よりも大事なことでございますので、法治国家のもとにおける平和と秩序の基本原則でありますから、やはり理由や事情はいかにもせよ、違法の行為に対しては、法に基づいてそれなりの厳正な処置がとられることは私は当然である、これが崩れたらもう日本の社会は成り立たない、かように考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 その背信行為について労働大臣が、というふうに言われますけれども、これは政府は一体でなければいけないので、こういう事実について、やっぱりごまかしちゃいかぬと思うんですよ。すでにこの処分問題で背信行為を行っているということ、それから、先ほども約束は守ってないということ、そうなりますと、政府の方は約束を守らない、あるいは破る、こういうことをやっておいて、ストライキだけは違法ストだからけしからぬ、こういうのは明らかに片手落ちじゃないですか。いわんやこのスト権の問題だって、私に言わせれば、盗んだのは政府の方なんだ、盗まれたのは組合の方なんだ、それなのに、盗人の方がでかい顔をして、盗まれた方がまた処分を受けなきゃならぬ、こんな理屈に合わない話はないでしょう。こうなれば、しかもおまけに、その違法ストに対してまた処分だ、悪循環を断ち切ると言うけれども、処分をすればまた処分反対のストライキで組合は対抗をする、抗議をするという行動に出ざるを得ないというふうに私は考えるんですが、その点は組合側としてはどのようにお考えになっているのか、再度、富塚参考人にお伺いしたい。
○参考人(富塚三夫君) 今日までのそうした政府との約束問題が破られて、いま運輸大臣がおっしゃるように違法ストには断固たる処分だということは、われわれのこの種の問題に関しては全く異質なものであり、そういう経過を無視されることについては、もう断固たる決意で反撃をせざるを得ない、国民の前に明らかにして立ち上がらざるを得ないと思っています。きのう、私どもの場合でも、たとえば中央委員会の中の議論は、それなら、ストライキがだめなら順法闘争を続けたらいいじゃないか、法律を守る闘争を続けたらどうかという議論が当然出てくるんです。順法闘争は大変な迷惑をかける、それならばストライキの方がいいじゃないか、いろんな国民の中に意見のあることも承知をしています。幾つかの積み重ねの中に今日の状況を迎えているわけですから、私どもは、政府が違法ストだと言って一方的に処分をするようなことが仮にあったとすれば、これは国民の前に今日までの政府の約束の経緯を全部明らかにいたしまして、徹底的に抵抗する考え方であります。
○青木薪次君 運輸大臣に質問いたしたいと思いますけれども、五十年の六月の三日、国鉄の労使問題は徐々にではあるけれども改善に向かっているということを、長谷川労働大臣が衆議院の社会労働委員会で発言をいたしているわけであります。あなたは、いま国鉄の労使の現状について改善されていると思いますか、それとも全然なってないと、こうお思いですか。その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄の労使の間でございますが、公労法のもとで、労使一体となって国鉄の運営に当たって、国民への使命を果たしてまいってきておるわけでございますが、途中不幸にしてマル生事件というふうな事件がありまして、当局側と組合側との間に、まことに残念でございましたが、ある種の断絶があったわけでございます。その後、当局も組合もこの断絶を埋めるべく努力をしてまいってこられたわけでございまして、あの断絶が徐々に埋められて、協調の方向に向かってきておるというふうに、今日までの状況は私もそういうふうに見ておるわけでございます。
○青木薪次君 富塚参考人にお伺いしたいと思うんでありますが、あなたはいま労働組合側の責任ある立場において、労使関係は徐々にでも改善されているというこの長谷川労働大臣の先般の発言について、どうお思いですか。
○参考人(富塚三夫君) 私どもはそのように受けとめて、一生懸命国鉄の当局側と話し合いを進めています。御存じのように、マル生によりまして、いわゆる労働組合が五つもあり、小さな組合を含めますと十幾つも存在をするんです。労働組合は、それぞれの立場では、私は国労の代表ですから国労の立場を大事にしたい、動労さんは動労の立場を大事にしたい、鉄労さんは鉄労の立場を大事にしたい、つまり四十三万人がお互いに相反目し合うなどという、こんな不幸なことはない。労使関係の正常化というのは、そういう原点をどう見るかということも含めながら、とにかく紛争を最小限にして、国鉄再建問題について協力することはやぶさかでない、そういうことを明らかにして、実は当局側といろんな話し合いをしている最中であります。
○青木薪次君 総裁はそのことについてどう思っておられますか。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 先ほども申しましたように、財政の基盤はともかくとして、労使が力を合わせないと国鉄の再建はできないというようなことで、組合の諸君にも、力で対決するということじゃなくて話し合いを進めるというようなことを、及ばずながら努力を重ねてまいりまして、これは三者が批判すべきものだろうと思いますが、私自身は多少は前進したんじゃないかと、かように考えております。
○青木薪次君 運輸大臣にお伺いしたいと思いますけれども、いま国鉄には当事者能力があるとお思いですか、ないとお思いですか。
○国務大臣(木村睦男君) 国有鉄道が公共企業体であるという性格から、法律上いろんな制約があることはやむを得ないところだと思いますが、そういう面では国鉄の当時者能力というものはきわめて限られた範囲内でしか与えられていない、かように考えておりますからこそ、今回もその問題を十分検討して、少しでも強化していこうというふうに考えておるところでございます。
○青木薪次君 国鉄総裁にお伺いしたいわけでありますが、いま国鉄の関係組合との間で、公労法のもとで要員の削減を大変多くやっておられるようでありまするけれども、これはいままで公労法下において何人になりましたか、それをひとつ教えてもらいたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) 労働組合が対決しつつとか何とかという問題じゃなくして、国鉄は御承知のように非常に財政的な危機に瀕しておりますので、その生産能力、能率を上げるというのは、これは実に当然の話で、その点を組合の諸君にもよく強調し、理解してもらいまして、いわゆる数学的には何人というような表現はむつかしいのかもしれませんけれども、まず新しい線路の開業に要するその増員といったようなものも勘定に入れると、七万強のいわゆる合理化はできているんじゃないかと、かように思います。
○青木薪次君 あなた方、これを私ども各委員のところへ持ってきてあるでしょう。それが何人というあれはわからないって言うが、これに書いてあるでしょう。要員の合理化、昭和三十年以降十五万四千人減らした。そして最近昭和四十四年から五年間では四万人減らしたと書いてあるでしょう。その点についてどう思いますか。
○説明員(加賀谷徳治君) 要員の問題につきまして、国鉄は一般に労働集約産業だと言われておるわけですが、時代の進歩とともに近代化もかなりできるということでございますんで、生産性を上げてできるだけ国民の期待にこたえていくということが非常に大切な問題でございますんで、特に行政整理以後、第一次五カ年計画、それ以後何回かそういった計画を繰り返してきておりますが、それ以降要員の合理化といったようなことに努力しておる。業務量がふえるのに見合ってそれ以降十六万、いま先生申されました数字を丸めますと約十六万程度の合理化をやりまして業増にこたえてきておる。それから四十四年ころからは、さらに何といいますかいろんな投資その他も進みまして、合理化の推進ができるというような過程になってまいりましたんで、内部の合理化数としては七万幾らのあれをやりましたんですが、現実に四十四年以降五年間で四万三千人の人を減らしてきて、今日四十三万というスケールになってきておる。これはすべて労働組合とももちろん話し合いの上で、相協力してやってきておるということでございますんで、まあその面ではまだ努力が足らぬかもしれませんが、いろいろ努力しておるというふうに言えると思います。
○青木薪次君 富塚参考人にお伺いしたいわけでありますが、先ほど運輸大臣は、当事者能力は限られたものだけれどもあると、こう言いました。それから、いま総裁並びに国鉄の加賀谷常務理事は、たいへんなこの十五万四千人、またその後七万四千人、ここのところ再建計画が始まってから、仕事はふえたけれども人をふやさないで、しかも、それでもまた減らしてきたという話が実はあったわけでありますが、これは大変なことだと思うんです。そうすると、要するにこの国鉄の当事者能力というのは、当局には都合いいけれども、組合としては取るものが少ない、こういうように考えられるんでありまするけれども、その点についてはどういうように対処されておりますか。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、運輸大臣が申されましたように、全く国鉄当局は自主的な能力を持ってない、全く限られたものきり持ってないと、こう思っています。それは労働組合の立場にいたしますと、たとえば賃上げの要求をする、毎年、毎回の交渉で毎回ゼロ回答です。ようやく終わりごろに大蔵省のサゼスチョンをもらって若干の回答をする。ですから公労委に持ち込む。紛争が起きる。ストライキをやらざるを得ない。あるいは予算定員制度があります。どんなに業務量がふえても、あるいは夏季輸送、年末輸送、こういう輸送状態に備えるための要員が必要であっても、その枠の中で抑えられてどうにもならない。これでは、労働条件の問題を労使で協議して結論を出すなんといっても、有効な結論は出すことができないという状況に置かれているということなんです。ですから、給与総額制度も、予算定員制度も撤廃をしたらどうか、そして自主的な能力を国鉄当局に与えたらいいじゃないかと、各新聞を使って私どももそのことを国民の前にも訴えているのが実情であります。
○青木薪次君 運輸大臣にお伺いいたしますが、いま国鉄並びに富塚参考人からも、いまの職場の現状についていろいろお話がありました。国鉄再建問題等について非常に積極的に前向きな努力をしているわけでありますが、このことは、先ほどからの瀬谷委員の質問にもありましたように、政府がスト権を与えるということを前提として、将来はもっともっとやっぱり職員の待遇はよくなると。先ほど自民党の石破委員からもお話があったわけでありますが、全く劣悪であります。国鉄職員の労働条件は劣悪です。しかし、将来において、当事者能力との問題も含めて、待遇の改善がなされるということを全く楽しみにして実は今日まで働いてきたと思うんであります。いまのお話しのように、組合としては積極的にこの面については、職場の問題について、国鉄再建については協力をしてきた。その結果このような大きな数字が、当局側に、ある意味では非常に有利な条件がここに数字となって出ているというように考えているのでありまするけれども、こういう中にこそ、スト権の問題については与えられるべき必然性が熟しているというように考えておりますけれども、あなたはどういうようにこの点をごらんになりますか。
○国務大臣(木村睦男君) いままで国鉄職員の給与の改善につきましては、かつては予算上、資金上非常に無理な日本経済の状況下にありましたときには、それが実行できなかった何年かの経過もございます。しかし、その後はこの公労法、またそれによっての代替のいろんな手続がございまして、そこで決められたものにつきましては政府も財政上の手配をいたしてまいってきております。したがって、最近はそう問題は起きていないと私は認識をいたしております。しかし、それが十分であったかなかったかということは、これは受ける方の側、出す方の側でこれは違いますけれども、客観的に見て私はそうであると、かように考えておるわけでございまして、このよき慣行はやはり今後とも守っていくべきである。それによって労使間も十分協力体制をしくように努力をしていただきたいと思うわけでございますし、なおまた、人員その他の面におきましては、やはり企業でございますし、合理化、機械化、そういったことには常に努力をして国民の負託にこたえる公共企業体としての使命を果たしてもらいたい。私は、そのことは労使双方に望みたいと思っております。
○青木薪次君 あなた、問題をすりかえちゃいけないですよ。私はこういうように、いまあなたがお認めになったように、職場の状態は長谷川労働大臣、主管大臣が国鉄の労使関係はよくなってきたということを国会の場で責任を持って、自信を持って答弁している。そういうこととうらはらに公務員関係の組合、あるいはまた、国鉄関係の国労の富塚書記長を先頭にして、何としても国民の前に、国鉄財政の再建問題等についてはひとつ積極的に協力しようじゃないかというような機が熟している。で、当事者能力は組合には不利だけれども、当局側については、使用者側にはきわめて有利な状態で団体交渉が続けられてきた。そういう中で政府も認め、内部も非常に条件がよくなってきたという中でこそ、ここでひとつストライキ権も与える、こういうことを夢見てやってきたのじゃないかというように考えているわけでありまして、よく争議のための争議だとか、社会を革命に持っていくためだなんていうことを自民党の一部の皆さんは言うんですけれども、とんでもない話だと思うんでありますが、こういうときこそスト権が与えられるべきだというように考えているんでありますが、その点をあなたはおっしゃらないんだけれども、その点を明確におっしゃっていただきたいと、こう思います。
○国務大臣(木村睦男君) スト権を与えるか与えないかという問題につきましては、組合の方はスト権を与えるべきであるという御議論であることは当然のことだと思いますが、さりとて、いま国鉄の労使の関係が、スト権を与えていないから給与問題等で非常に不利であるというふうなことになっておるとは私は考えておりません。なぜかといいますというと、現在の制度のもとでも仲裁あるいは調停制度、そういう代替制度がつくられておるわけでございます。しかも、その代替制度によって最終的にこの問題について決着をしたときに、かつては財政上の理由から十分にこたえることができませんでしたけれども、最近はそういうことはやっておりませんので、この代替手続が円滑に効率的に行われておる限りは、私はそういうふうには考えておりません。ですから、その問題はその問題でございまして、ストライキ権の問題はこれは組合多年の要望でございますし、また労働基本権として政府も尊重いたすわけでございますから、その問題につきましては、先ほどの基本方針に従ってどうすべきであるかという政府側の結論をできるだけ早い機会に出しますと、こう申し上げておるわけでございます。
○青木薪次君 後で専門懇の小野さんが見えたらお聞きするつもりでありましたけれども、いまこの公労法下、調停、仲裁という制度がありますけれども、専門懇では、話し合いも何もやらないでただ調停へ持っていっちゃう。調停の方では調べられないから、そのまま今度は団交がまだ非常に不足だと言って返してよこす。こういうようないま労使関係にあると言っているわけです。
 それからもう一つは、力と力との対決がいまの国鉄を中心とする職場の現状だと書いてある。この点について富塚参考人にお伺いしたいと思いますが、そういう現状が本当におありなんですか。その点をおきしたいと思います。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、やはり公労法ができまして、仲裁裁定という制度があって、労使を拘束するその裁定が続いて七回も守らなかった昭和二十四年から二十九年まで、国鉄について言うと、私どもの計算では二百十七億九千七百万の仲裁裁定の不履行が現存しているんですね。日米経済閣僚会議の中で、アメリカの経済閣僚がこのことを指摘して、当時二千九百二十円ベースのときでありましたから、いまのベースに換算をすると、一万数千円以上高くなっただろうと言われるくらい問題が提起されているんです。つまり、公労法の中の調停、仲裁という機能が完全に機能していない。しかも、当局との交渉では調停、仲裁に持ち込めと逃げ込んでしまう。解決は一体どうすればいいのか。何らかの抵抗をしなければどうにもならないと、法を守らないのは、私は政府が守らないと思っているんです。公労法そのものは憲法秩序の枠をはみ出しているんで、だから私も、ここにありますが、三木さんが、当時のこの三木国民協同党のその代表が、国会の中で、公労法は暫定的であるべきだ、速やかに廃止すべきだということを言っているんです。言っているにもかかわらず依然として公労法があるから法を守らないのは違法だ、そしていま青木先生からの御指摘のように、調停、仲裁という機能は現実に十分生かされていない。一体どうすればいいのかということが私どもは今日の課題だと思っているんです。ですから当事者能力の回復、あるいはわれわれのストライキ権の回復というものは一体のものであるし、それが労使関係の正常化をつくり上げていく上の、国鉄再建の大きな柱になるべきだという認識は私どもも十分持っています。
○青木薪次君 あと一問で午後の部に移りたいと思いますからこれでやめますけれども、要するにさっき瀬谷委員の言われたようにスト権は盗まれた、私は剥奪と、もっと学のある言葉を使っているんでありますけれども、そのストライキ権が与えられれば、労使の関係というものはより一層、毎日のようにストライキやっているようになるんですか、それとも責任と自覚を持って節度ある労使慣行というものが確立されるんですか、その点、ちょっとお伺いしたいと思います。
○参考人(富塚三夫君) 私どもが国民の前に明らかにしていますのは、結局スト権を回復すれば、伝家の宝刀みたいなものはそうたびたび抜くことはしたくない、すべきじゃないと思う。だから、少なくとも春に一回、これは賃上げで春闘共闘委員会がやるなら、そのことはやらざるを得ないだろうが、あとは企業内では、できることならストライキをやらずに、もしやるにしても、年に一回ぐらいがいいところではないかと、私は個人的にもそう言っているのです。少なくともスト処分、ストの反対、そういったことの争議行動はなくなるわけですね。ですから、私どもは本来スト権を回復すれば、団体交渉重視型の運動を続けていくことにしたいと考えているし、そのようになっていくだろうというふうに考えています。これは国民の前に責任ある立場を明らかにしておいても結構であります。
○青木薪次君 以上です。
○委員長(宮崎正義君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から委員会を再開いたします。
 これにて休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
  午後一時三分開会
○委員長(宮崎正義君) 運輸委員会を再開いたします。
 一言ごあいさつを申し上げます。
 小野参考人には、御多忙の中にもかかわらず、本委員会のため、貴重な時間をお割きくださり、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。
 運輸事情等に関する調査の質疑を続行いたします。
○岡本悟君 けさほど瀬谷委員から、スト権というものは、戦後マッカーサー司令官から与えられて、それがいつの間にか盗まれた。盗んだものは取り返えさなければいかぬというふうな、まるで政府が盗人で、盗んだ政府が当然返すべきだ。(「返せよ」と呼ぶ者あり)だから返すべきだと、こういう説。ところが、考えてみると、当時は日本政府はありましたけれども、マッカーサー司令部は、言うまでもなく超国家的な存在であったわけであります。だから、マッカーサーが取り上げたというけれども、第一与えた者はだれか。これはマッカーサーなんですね。占領政策でマッカーサーが与え、また占領政策の都合で、こいつはぐあいが悪いというので取り上げたということでありますので、日本政府がまるで盗人扱いにされるのは私は当たらぬ、かように思っております。それはともかくといたしまして、私は、このスト権の問題で最大の問題は、何と申しましても労働基本権と、それから国民の生活基本権ともいうべきものでしょうかね。この調整が一番大きな争点、焦点になると考えております。
 そこで、富塚さんにお尋ねをしたいんでありますが、先般の違法ストで国民の日常生活なり、あるいは経済活動にずいぶん打撃を与えたと思うんです。ところが、実態をいろいろ分析したマスコミの報道によりますと、どうも国鉄離れと申しますか、国鉄の、特にとりわけ貨物輸送におけるシェアが最近非常に低下してきております。そういうこともあり、あるいは大都市におきましては、たとえば、首都圏におきましては地下鉄網が非常に整備されておる、こういうことから、案外国民は静かであったと思うんです。ところが、いろいろマスコミの分析の結果によると、そういうことで大企業の打撃はそう大したことはなかった。むしろ被害を受けたのは、やはり零細中小商業者であるとか、あるいは通勤のサラリーマンであるとか、そういった本当に零細な立場にある人々が非常に打撃を受けた、こういうふうに言われております。
 そこで、端的に富塚さん、この国民生活なり経済に与えた打撃はどっちが大きかったと思いますか。いわゆる大資本とあなたたちが称せられておる分野であったのか、あるいはそれとも零細企業、あなたたちがいつも言っておられる弱者救済、その弱者であったのか、どっちでありましたか。お答えをいただきたいと思います。
○参考人(富塚三夫君) 私どもはストライキを好んでやったわけではありません。十一月の二十五日までに回答してくださいと再三政府にも要請をしました。しかし、結果として三木内閣からの基本方針が示されたのは、ストライキに入って六日目なんです。十二月の一日の夕刻なんです。これは政府が決断だけしてくれるならば、あるいは十二月一日に決断をすると最初に言ってくれるならば、われわれはストライキはこの時期に構えなかったことは事実なんであります。ところが、いつ回答してくれるかということがわからない状況の中で、私どもはあのようなストライキの形になっていったのですが、いま御質問にありましたように、国民の皆さん方に大変多大の迷惑をかけたことについては深くおわびをしています。だけに、われわれは自主的な判断で闘いを途中で中断、収拾をいたしました。
 その結果、岡本先生の質問は、大企業に打撃を与えたのか、中小企業に打撃を与えたのか、どう見ておられるかと申されますけれども、私どもは国民全体の各位に御迷惑をかけたという点でおわびをするということを申し上げてあります。したがいまして、大資本がたとえば不況の中で在庫調整のためにこのストライキをうまく使ったとか、中小企業はそうでなかったとか、いろんなことが新聞紙上などでも言われておりますが、私どもはそういう立場で、大資本、中小企業、そのような区分をした立場をとろうとは考えていません。そのように見ていません。国民全体に迷惑をかけたということで、私どもはその立場を明らかにして中断、収拾をしました。政府がもっと早く決断をしてくれればストライキに入らずに済んだということは、いまもなおその確信の上に立っています。
○岡本悟君 十五分までしかないんです、私の持ち時間が。だから、端的にお答えいただければいいと思うんですが、大変失礼ですけれどもお願いしておきます。
 次に、私ども国民の代表者としての立場から考えてみますと、国民がこのスト権問題でいろいろ議論をしたわけですが、そのうちで最大の疑問点の一つは、一体このスト権を仮に条件つきで付与するとすればどういうふうなことになるであろうか、現実の事態がもっと改善されて国民の迷惑というものが少なくなるのであろうかどうかということについての確たる保証がない、見通しがないということなんですね。これが最大の不安の疑問の一つであったと思うんですが、これに対してマスコミの、どこでありましたか記憶がはっきりしておりませんが、論説の中で、やっぱり公労協側もこのスト権付与についてその後の展望をはっきりさすべきだと。で、あなたの方はストライキの最中はスト権をよこせ、それからそのために二、三年、立法措置とかその他ありますから、そういう時間がかかるのはこれはやむを得ぬだろうと、その間はこの処分を凍結しろと、こういうふうなことをおっしゃっておったんだが、そうでなくて、スト権を付与されたら一体私どもの組合運動というものはどうなるんだ、あるいはストはなくなる、少なくなるんだとか、そういう展望がないというわけですね。
 たとえば、その適用法規にしても非常に虫のいいことを言っておられる。経営形態を変えてはいかぬ。そのくせ適用法規は労働組合法、労調法を民間並みにせいと、こうおっしゃるわけだ。私どもが考えれば、この公益性の強いものについては、それに応じての規制の仕方がありますわね、いま労調法にしても。でありますから、もっと全国民的な規模に影響が及ぶわけでありますから、そういう見地から言えば、もっと強度の規制が加えられてもきわめて常識的だと、仮に経営権をそのままにしておけば。そういう感じがするんですが、そういう点についての全然展望がない。先ほど青木委員の午前中の御質問にお答えになって、それは年がら年じゅうストライキするというわけではありませんと、まあ春闘というようなことをおっしゃいましたが、年に一回か二回ぐらいはやるかもしれぬと、こういうふうなお話がありましたが、もっとそこのところの展望を、これははっきりしてもらいませんと国民は非常に不安ですね。そういうところが全然ない、それをここで聞いてみたいと思います。
○参考人(富塚三夫君) 私は、衆議院の運輸委員会の際にも申し上げたんですが、もし国民の前に公労協を代表して、スト権回復後はこのような姿にありたいということを明確にせよと言われるなら、そのことを明らかにして信頼をしていただいてもいいと思うんです。私が一札を書いて国民の前に明らかにして、そのことを認めていただけるなら、そのようにしても結構だと思います。ただ、私どもは今度のストライキの場合にも、本当にスト権が回復した後のストライキはどのような状態のもとにすべきかと、いろんな工夫をしてやりました。ですから、収拾もまさに整然と、国民にいかにして迷惑を最小限にするかという立場をとってのあのようなストライキの収拾も行ったつもりであります。また、私鉄並みスト権ということが、私どもはいまの状況ではいいんではないかということを実は国民の皆さんにも向けてお願いをしていると、そのことを訴えているという実情であります。
 したがいまして、今回もそう無理なことを言って政府に要求したんじゃないんです。もう何回も、幾つかの議論をして積み重ねてきた問題だから、スト権を与える方向だけ示唆をしてくれればいいと、そうすれば立法段階に向けてはいろんな意見を、いろんな人たちが持っているんですから、実体的には労使に携わっている関係者がどのようなことのルールをつくるかということを考えればいいんではないかと、それは二、三年かかっても結構です。その間は労使紛争を最小限にする努力をしましょう。そして、処分問題はその間たな上げにして、そして、そういった方向に向けての労使関係の改善に努力すべきではないかと、こういったことなんですから、そう無理なことを言ったつもりは全くないんであります。
 で、岡本先生が前段質問されました点は、私どもは整然と国民の前に予告をして、収拾についても整然とする。そして、なぜストライキをしなければならないか、大義名分は国民の前に明らかにして、それからするようにしたい。そのことは確約をしていいと思います。ただ、私が一札を書くことによって、自民党の先生方や政府が、そのことを認めてくれるかどうかという問題は別でありますが、そのように考えています。
○岡本悟君 どうもその点、私は非常に物足りないのです、実は。やはり率直に公労協としては、こういう展望を持っておりますということを具体的に国民に披露して、そして理解を求めないと、このスト権問題についての基本的な国民の疑念が残るということを私は言いたいのです。それを明らかにしなかったのは非常にひきょうだと、あなたがおっしゃったように、二、三年かかってそのうちにまた取りたいように取りゃいいじゃないかと、こういうふうに思っちまいますよ、ね。
 それから、いまのスケジュール闘争につきましては、私は非常に前から不愉快に思っておった。実は、あなたたちがしょっちゅう、何か事あるとジュネーブのILOへ行かれる。だから、これは何かまじないがあるんじゃないかと思って、私ども自民党でも一昨年行ってみた、ジュネーブへ。そのときに私は、ジュネーブのILO当局と論争したのはこの問題なんです。スケジュール闘争。これは、御承知のように欧米ではないです、こんなことは。スケジュール闘争というものはですね。ILO当局とも確認し合ったんだが、ILOの基本精神というもの、あるいは労働組合運動の基本精神というものは、やはりあくまで話し合い、団体交渉で物事を決めるというところに基本的な精神があるんだということを言っていますよね。このスケジュール闘争というものは、初めから話し合いなんか別だと、おれたちはおれたちで好きなようにやるんだ、こう言ってスケジュールを設定するわけです。そういうむちゃなことは、私はとうていこの世界の常識からいってもちょっと受けられぬと思うんですね。
 まあ、それはそれとして、この前の、十一月の二十五日か二十六日に専門懇の意見書が出るということは、もう一月も前からわかっておったんだが、二十五日に出るであろうと、そうすると、その晩に政府は受け取って、すぐ決意をして、しかも前向きの意見を開陳してくれなければ、おれたちはあすからゼネストをやるんだと、こういう脅迫的な態度とも受け取られるようなやり方は私は非常に残念で、社会党の皆さん方のある方にも私は強く訴えた。どう考えてみてもこれは非常識だと思う。で、それはそれとして、このスケジュール闘争というものにつきまして、富塚さんの率直な御見解をお伺いしたい。
 特に国民が一番心配しているのは政治スト、あるいはスケジュール闘争というものはどういうふうになるだろう。仮にスト権を与えた場合。これについては私は公の席上で、あるいは新聞記者会見等で、あなたがお話しになったことをずっとトレースしてみたが、全然お触れになっておらない。スケジュール闘争は相変わらずやるのだというふうに取れる意見を述べておられるように思うんです。どうですか、それ。
○参考人(富塚三夫君) 前段に申されましたことについては、スト権問題は立法府の問題だと言っておられる、そのとおりだと思うんです。しかし、政府が公制審の答申を受けて結論を出すと約束をしたのですから、三木内閣はそのことについて立法府に提案をすべきじゃないか。その中で政労交渉を持続するなら、公労協がスト権回復後はどういう姿が望ましいのか、あるいは労働側がどういう姿に持っていくことがいいのか。いろんな所見は十分政府側、使用者側、労働側が述べ合って国民の前に明らかにしてもいいんじゃないか。そういうことが全然政府側から示されないところに、私どもは非常に不満に思っているということが第一です。
 それから政治闘争、経済闘争の概念であります。私どもは賃上げ一つ要求をしても、最低賃金制の確立一つ要求してもすべて政府の問題であり、国会の場の問題であります。そういったことの状況の中で、国鉄当局といかに団体交渉を詰めてみても解決でき得ない、いわば日本の国の仕組みが、われわれの側をして政治闘争も経済闘争も区分することのできない今日の状況に置かれておるということなんであります。ですから、その点の問題は、政治闘争はけしからぬ、それなら経済闘争はいいのか。それもけしからぬと、こうおっしゃられると、問題はどういうふうにすればいいかということに戻ってしまうんであります。
 ですから、私どもは、団体交渉を重視するという姿勢は変わっていません。しかし、それでも解決しないときは、労働者の基本的争議権に訴える以外にないではないか。国民はスト権についてわかるけれどもストライキは迷惑だとおっしゃるなら、許容される範囲の争議権というものは、ストライキというものはどういうところにあるのか、まあ十分国民の皆さんにも訴えて、いろんな御意見をいただきたいと考えていますが、そこのところはぜひひとつ政治闘争、経済闘争の今日的な概念を区分をして、実態的な場面でやるということは非常にむずかしい国の仕組み、労使側の仕組みになっていることは理解をしていただきたい。
 また、スケジュール闘争といいますけれども、私はこれは国民に対するある程度の予告の問題だと思うんであります。ですから、今度の場合でもあらかじめ予告をしないと、突発的にストをやるとけしからぬと、こうおっしゃられるわけです。ですから、こういう要求で、こういう問題があって、このように闘いを進めざるを得ないという労働者の立場を明らかにしてスケジュールを事前に示すというのは、これは当然じゃないでしょうか。その意味で政治闘争、スケジュール闘争はけしからぬとおっしゃいますが、今日の状況のもとでは、そのよって来る問題点がどこにあるかについて、十分掘り下げて考えていただきたいというふうに思うのであります。
○岡本悟君 ちょっと時間がもう参っております。もう二問ひとつお願いします。時間がありませんので、端的にひとつお願いします。
 いまの問題は、そうすると、このスケジュール闘争も、あるいは政治闘争もあり得るということを確認されたわけですけれども、これは大変な問題ですから今後の論争点として残しておくとして、当事者能力の問題が、けさからいろいろ議論されましたが、この点につきまして率直に、たとえば一番問題になっておるものの一つが当事者能力の拡大に関連しての料金法定主義の廃止ですね。これ率直に、端的におっしゃってください、いろいろひもをつけないで、賛成か反対か。
○参考人(富塚三夫君) 端的におっしゃいと言いますけれども、われわれは自主能力の解決には法定主義問題がかかわり合いのあることは承知しています。しかし、それはイコール争議権の回復という、労使の具体的な近代的関係の、相互信頼の関係の確立という観点については、われわれ労働組合の側も十分検討する用意は持っています。しかし、スト権はだめだ、法定主義を外せ、運賃値上げはするんだということだけでは、とてもとてもわれわれ側には納得することはできません。私はそのように申し上げておきます。
○岡本悟君 もう一問。それでは小野さんにお尋ねしますが、長い間一生懸命に勉強していただきましてこういう意見書を御発表になったのは、大変私ども評価しておるんですが、その意見書の中で私ども心に一番ひっかかってくるのは、経営形態の問題が相当論じられておるわけですね。そこで、確かに私どもいつもこの問題を考える際に、一体親方日の丸意識というものが何としてもこれはぬぐい切れない。とすると、このスト権がうまく――いわゆる経済的な抑制力、抑止力というものがありませんので、このことからスト権というものがうまく機能しないという一般論があるわけですけれども、そのために、できるだけこれは移せるものは民営形態に移した方がいいという御議論のようでありますが、この国鉄についてははっきりしていない。どうも民営に移すのも問題があるので、むしろ管理能力の観点から分割した方がいいんだというふうな結論が一応出ているわけですね。たしかそのように思ったんですけれども、その点はどうでしょうか。
○参考人(小野吉郎君) 私どもが、いわゆる重点に考えましたのは、当事者能力の強化でございます。経営形態の問題は、専門懇として専門にこの問題に取っ組んだわけではございません。ただ、当事者能力の強化にもいろいろ限界がございましょう。あるいはよく言われます料金法定主義の撤廃、あるいは給与総額の撤廃ないし緩和、いろいろ言われますけれども、そういうことをもっていたしましても、これで十全な経営能力が与えられるとは思いません。当事者能力があるとは言えません。当事者能力のないところに正常な労使慣行が確立されよう道理もないと思いますので、やはり問題は経営形態に関連を持ってくる。その限度におきまして経営形態に触れたわけでございますが、国鉄の関係につきましては、これはどうすべきだという具体的なずばりの結論は出しておりません。
 いろいろいまの国鉄再建の問題についても多々問題があるでございましょうけれども、この専門懇においても、そういう限りにおいて国鉄問題を審議する小委員会をつくりまして、その検討の結果はいろいろ論議の対象に、参考にいたしておるわけでございますけれども、やはり何がしか経営形態に関連を持たざるを得ない。そういった面から、これは国営で完全にどこまでも残すべきだとも言い切っておりませんし、民営にすべきだとも言っておりません。いろんな方法があるでございましょう。公社以外の公団の形式もあるでございましょうし、いろんな関係を考慮されることは政府並びに立法府の問題であろうと思うのでございまして、その辺の問題の所在を示唆したわけでございます。
○岡本悟君 委員長、どうも済みません。
○青木薪次君 海部副長官にお伺いしたいんでありますが、端的に言ってください。
 先ほど富塚参考人が――ストライキが延びたという陰には政府の引き延ばし、結論が出なかったという点が非常に大きく作用しているというように思いますし、新聞もそういうように報道をしているわけでありますが、いま見えております社会党の山崎、目黒、野田、これらの代表の皆さんが下平委員長と一緒に川島副長官――あなたじゃありません、川島副長官にお会いしたときに、十一月十三日までは専門懇の結論を絶対出す、延びても一日ぐらいのもんだ、閣僚協は十日もあればいいんだ、したがって、二十五日には間に合うということを言っておったわけでありますが、この点について、政府としてはどういうように考えておりますか。
○政府委員(海部俊樹君) 端的にお答え申し上げますが、前回も委員会でそのような御指摘ございましたので、いまの青木委員御指摘のように十三日までに絶対出す、延びても一日ぐらいだというような意味のことを、川島副長官、あんたは答えたことあるのかと、私は私の立場で聞いたんでありますが、そのようなことを申し上げるはずもないし、そのようなことは申し上げなかったと、私にはそう答えておりますので、政府としては誠心誠意努力をしたということでございます。
○青木薪次君 富塚参考人にお伺いしたいと思いますが、その間のことについては、あなたはどういうように承知をしておられますか。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、海部さんを窓口にして政府側との交渉もいたしました。また公労協として倉石座長にもお会いをしました。そして、二十五日までには回答してほしいと要請をしました。しかし、何か新聞で伝えられるところによると、専門懇も結論を出す予定であったが、小野座長さんが海外に出張されるということなどもあって結論はいつになるかわからぬということも書かれていたことも事実です。だから私どもは、専門懇そのものの運営に非常に疑問を持っておりましたので、直接的に専門懇の答申をいつまでやれという要請はいたしませんでした。しかし、まじめに専門懇をやられるなら、小野座長がその時期に海外に行かれるのはちょっと不謹慎じゃないかということは言ったつもりであります。
○青木薪次君 長谷川労働大臣にお伺いしたいと思いますが、あなたは六月三日の衆議院社会労働委員会で、国鉄の労使関係がだんだん改善されてきているということを言ったわけでありますが、このことは午前中にも運輸大臣に質問いたしました。いまあなたお見えになったからお伺いするわけでありますが、その中でそういうことを踏まえて、スト−処分−ストといったような悪循環を断つ、しかも、総理も言っておりましたけれども、この辺でひとつ処分は最後にしたいということを、心を込めて訴えられたんでありますが、いまも心境変わっておりませんか。
○国務大臣(長谷川峻君) 私も、国鉄の労使関係が漸次よくなりつつあるというふうに理解もしております。また、衆議院の社会労働委員会でストと処分の悪循環、これは断ち切りたいものだ、これは総理も本会議なり、あるいは皆さんの参議院でも申し上げておりまして、これはまた、国民的なみんなの私は願望でもある、こういうふうに考えているわけです。
○青木薪次君 もう一度労働大臣にお伺いしますが、公制審の答申に基づいて審議会を設けて、労働基本権の場合に争議権を与える方向で検討して、当事者能力を強化したいということについては、公労使賛成して取り組んできた経緯についてはお認めになりますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 公制審の答申の大まかなところは三論併記、こういうふうに私は理解しております。
○青木薪次君 小野参考人にお伺いしたいと思いますが、専門懇の意見書は、座長であるあなたの責任でお出しになったものと確認してよろしゅうございますか。
○参考人(小野吉郎君) 私が座長を務めたことは事実でございますけれども、座長といたしましては全体の意見を素直に、冷静に受けとめまして、これを集約することが任務でございます。私の私見を押しつけたり、あるいは全体の意見でないものを私がつけ加えたりする立場にはございません。私はきわめて冷静に、全体の意見を集約する座長の役目を忠実に果たしてきたということに尽きるわけでございます。
○青木薪次君 忠実に果たしてきたとおっしゃるなら、そのようにひとつあなたにお伺いしたいと思いますけれども、意見書によりますると、争議権は団体交渉を補完するものだ、補助的機能だ。一般に争議権が認められた場合には、その前提として団体交渉の機能が十分に働いているという条件が必要であろうし、そのためには、経営者側にもそれに見合う当事者能力が実質的に付与される必要があろう。その場合に、当事者能力をどこまで実質的に強化し得るかという問題は、事業の性格、言いかえれば経営形態の問題――先ほど言われたような経営形態の問題を離れて議論できないというように述べているんであります。このことは、いま公社には当事者能力がないというようにお考えになっておられるのか、その点についてお伺いしたいのと、その場合には団体交渉の機能が、補助機能としての争議権が発揮されないというようにお考えになっているんだろうか、その点をお聞きしたいんです。
○参考人(小野吉郎君) 多数の意見は、現在の三公社五現業等の現状につきましては、当事者能力が皆無とは申しませんけれども、非常に局限されたものでありまして、正常なる労使関係が樹立されるような状態にはないと、こういうように認識をいたしております。そういうことでございますので、これは私の意見ではなく、総体の意見であったわけでございます。そういうようなことのために、当事者能力強化のためには、経営形態の問題はこの専門懇の専任とする審議課題ではなかったわけでございますけれども、やはりそれとの関連づけにおいて考えないと、十分な当事者能力の強化拡大は図り得ないであろうと、こういうような論点に帰着したわけでございます。
○青木薪次君 あなたは全面的にではないけれども、相当制限されたもの、局限されたものだというような形の答弁があったわけでありますが、専門懇の意見書を見れば、強化する必要があると。で、実質的に強化するという問題は事業の性格を変えるんだと、こういうことを言っているわけです。当事者能力は経営形態の問題を離れて議論できないということと同義語なんですね。で、民営にするということは、スト権を与えるということは、これは死んだら病気が治るよということと同じじゃないですかね。その点についてどう考えますか。
○参考人(小野吉郎君) お説のとおりかもわかりません。経営形態を変えまして民営にすれば、これはおのずと問題は自然に解決されるわけでございます。そうではない場合におきましても、いろいろ当事者能力が強化され、あるいは経営形態との関連におきまして、十分な労使関係が正常に働き得るような状態になれば、これはまたそういった面についての考えも出ようかと思います。
○青木薪次君 あなたは、問題をはぐらかさないように言ってもらいたい、重大な問題の提起をしているんですからね。三公社五現業には、それが国の事業の枠内で行われている限り、当事者能力の制限は免れない、これはそのとおりでしょう。しかし、今日あなた方の言っていらっしゃるのは、当事者能力の制限は免れないということよりも、当事者能力がないから、したがって、これはいまスト権は与えられないんだというように言っていると思うんです。条件づきでスト権を与えるという議論はどうして出なかったんですか。ばかに飛躍だと思うんですがね、これ。
○参考人(小野吉郎君) 条件つき付与論は、少数意見として確かに出ております。これも意見書の中には取り入れてございます。
○青木薪次君 当事者能力があるから、いま現に団体交渉をやっているというように考えるのでありますけれども、その点、どうですか。
○参考人(小野吉郎君) 問題は、そういうことを当事者の交渉によって解決する努力は尽くすべきでございましょう。ただ、いま財政的にも非常な問題もございますし、また給与総額、予算の編成のたてまえから申しますと、財政民主主義の立場からいろいろな制約がございます。当事者間ではどうにもならないような状況もあり、これはやはり裁定の実施に際してのみ給与総額が変更できる、こういう大きな制約がございますので、当事者限りではどうにもならないのが現状ではないか、かように考えております。
○青木薪次君 当事者能力がないからスト権はやれないんだということは、これはおかしいじゃないですかと、こう言っているんです。
○参考人(小野吉郎君) 私どもは、当事者能力のないところに正常な団体交渉の帰結も得られないでございましょうし、そういったような意味合いから、あわせてこれが国のどこまでも直営でやらなければならない仕事であるかどうかに関連いたしまして、その辺のナショナルミニマムの関係とも関連をいたし、他の基本的人権との関連におきまして、そういう中でスト権が与えられることはいたずらに混乱を来すだけではないか、こういう懸念を持っておりました。
○青木薪次君 民間企業において、労働組合がストをやれば、事業収益が減少してその事業の存廃にもかかわる、こう書いてあるんですよ。この点について、民間企業まで及ぼすということはおこがましいじゃないですか。その点、どうなんですか。
○参考人(小野吉郎君) 民間の場合とは非常に違うわけでございまして、その辺を端的に表現をしてあるわけでございます。
○青木薪次君 民間企業の問題に言及されて、終止形で打ってあるわけですよ。くくってあるわけですよ。この点について専門懇としては、三公五現の問題について、民間企業の問題まで出した意図というものはどういうところにあるかと、こう聞いているんですよ。
○参考人(小野吉郎君) これはほんの参考までに出したわけでございまして、これとの関連において三公社五現業の本質問題を論じたものではございません。
○青木薪次君 民間と異なる性格を持つものとして、三公五現以外に公庫、公団、事業団があるでしょう。このことについて「事業内容とその性格および運営に要する財源等からみて、その使用者の当事者能力、賃金決定の方法、さらには労働基本権のあり方などについて、今後見直しが必要であろう」と言っているんです。これは重大な問題提起であろうと思うのでありますが、現にある団交権、スト権をも剥奪するというように言っているわけです。におわしているわけです。現実無視の恐ろしい議論で、私どもは治安維持法復活の前夜を思わせるような意見書だと、こう言っているんでありますけれども、この点について、あなたどう考えていますか。
○参考人(小野吉郎君) 公団、公庫等も引用してございますけれども、そういう点につきましては、それが国の事業でありましても、これはいまの公社形態とは違いまして、公社制度についてまつわっております、あるいは財政民主主義の厳格な枠組み、料金は法定しなければならぬ、予算総則ははっきり給与総額を決めて、これの流用は、ある限られた場合を除いてはまかりならぬと、こういうような状況は公団、公庫については非常に事情が変わっております。そういうような面で参考までに挙げたわけでございまして、別段にそういった御指摘のような、そういう意味合いの気持ちで表現したものではございません。
○青木薪次君 それならば、三公五現の基本権問題についてあなた方は諮問にあずかったようなもんなんですから、そのことについて「賃金決定の方法、さらには労働基本権のあり方などについて、今後見直しが必要であろう」、こう言っているんですよ。この点についてあなたは公庫、公団、事業団に言及したことについて、どう思うかと言っているんですよ。
○参考人(小野吉郎君) その点は、そこの表現にありますとおりでございまして、別段の他意はございません。
○青木薪次君 他意がないなら、こんな重大な問題について、あなた方がなぜこんなことまで定義しなきゃならぬかということに責任を感じませんか。
○参考人(小野吉郎君) これも一つの経営形態でございますので、一つの例として、経営形態の論議の中にはそういうようなものもあるんだということを指摘したまででございます。
○青木薪次君 この問題について、ただ参考までに指摘したものでは済まないんですよ。あなたはそう簡単に考えていらっしゃるけれども、現にスト権を与えるかどうかの三公五現の問題について議論しているときに、現に与えられて、労使慣行うまくいっている。その中で労働基本権を剥奪するようなことが書いてある。本当にそういうことになった方がいいと思うんですか、どうなんです。
○参考人(小野吉郎君) そのような意図では毛頭書いておりません。表現のどこを見ましても、現在与えられておる公団、公庫についてこれを剥奪すべきだ、こういうような意見の持ち主は一人もありませんでしたし、そういう意味で表現はどこにもないはずでございます。
○青木薪次君 「見通しが必要であろう」ということについては、これは現にあるものについてこれを修正するとか、剥奪するということを含んでいないと思うんですか。
○参考人(小野吉郎君) そういうようなことは意味しておらないと思います。
○青木薪次君 あなたもよっぽど、そういう懇談会の座長として指導をするには全く不適当な人物だということを私はここで確認しておきます。
 それから「国の事業にあっては、その事業における直接の使用者である経営者が真の使用者である国民を代表する国会の議決を無視し、自由に賃金を決定することは認められないのであって、この意味で、当局の当事者能力には本来的な制約がある」と書いてあり、「したがって、三公社五現業等の賃金決定は、争議行為を背景とした労使の団体交渉のみに基づいて最終的に行われることは妥当とはいえない」と言っている。いま実質的に団体交渉で賃金を決めていることについては違法だと思いますか。
○参考人(小野吉郎君) 現在の団体交渉において賃金を決めることは、決して違法ではございません。
○青木薪次君 賃金は、いま当事者たる労使の関係で決めることができないということを書いてあるんです。片方ではあなた違法じゃないと言っている。この点の矛盾はどうなんですか。
○参考人(小野吉郎君) 大きな制約があるであろうと、現行制度のもとにおきましては。満足な団体交渉の結論が、自主的に団体交渉だけで成果を上げ得るような結論に到達するのには非常な制約があるのではないかと、こういうことを表現しておるわけでございます。
○青木薪次君 三公五現の「賃金決定は、争議行為を背景とした労使の団体交渉のみに基づいて最終的に行われることは妥当とはいえない」と言っているんですね。したがって、当事者能力を持たないという専門懇の指摘は、国民の代表である国会が結局給与総額を決めるから、あるいはまた、事業料金等の法定主義の立場上、自主的に財政的裏づけができないからそういうことを言ったのか、どっちなんですか。
○参考人(小野吉郎君) どこまでもやはり当事者能力の問題に帰着するわけでございます。そのほかの何物でもございません。
○青木薪次君 財政法、特例法三条のこの問題をあなたは指摘しているんですか。
○参考人(小野吉郎君) 財政法の原則は、現在の形態をとります限り、これは固着した問題ではないかと認識をいたしております。
○青木薪次君 固着したと言うなら、いまの法定主義の撤廃等の問題というのは議論出ないはずです。しかし、あなた方は当事者能力というものは、これは本当に限定されたものだ、ごく微々たるものだ、賃金なんかも決定できないということを片方で言っておきながら、片方では団体交渉をやっているということについては、これは結構なことだ、こう言っている。非常に論理の矛盾があらわれているわけです。「そもそも、争議権が、先に述べたように、団体交渉を補完するものであることからすれば、労使の団体交渉が行われるという前提なしには争議権は考えられない。団体交渉が有効に行われるためには、労働者の要求に対し、使用者が回答をなしうる能力をもつことは不可欠の要件である」と、こう指摘しているんです。
 先ほどは争議権の裏づけを持った団体交渉はいけないと言いながら、ここでは「団体交渉が行われるという前提なしには争議権は考えられない」とこう言っているんです、あなたは。したがって、「使用者が回答をなし得る能力をもつことは不可欠の要件である」と言っている以上、これはどういうことを指しているのか、端的に答えてもらいたい。
○参考人(小野吉郎君) これは、どこまでも現在以上の大幅な当事者能力を持つことが必要であるということを表現しておるわけでございます。
○青木薪次君 当事者新力があれば、団体交渉や争議権の機能は期待し得る、こう思っていますか。
○参考人(小野吉郎君) それだけでは十分でないと思います。これは問題のストライキ権の本義、原点に返って考えませんと、当事者能力がありましても、いかんともしがたい場面が出てくるのではないかと、こういうことを考えております。
○青木薪次君 結論として、あなたのおっしゃりたいことは、スト権を与えたくないという議論を逆さにくっつけたというふうに議論して、解釈してよろしゅうございますか。
○参考人(小野吉郎君) そういうことではございません。私どもは憲法二十八条による労働基本権を尊重することは、意見書の冒頭に記載してございます。それにはいろんな関係の整備なり、いろんな条件があるであろう、こういうことを主題にいたしまして、あらゆる角度から検討した結果を意見書にまとめたものでございます。
○青木薪次君 スト権を与えるかどうかの議論をする専門懇が、後で申し上げますけれども、治安維持立法のようなことを要求しているんです。したがって、そこにあなたの論理の非常に矛盾が実はあらわれているわけでありますが、「現在の三公社五現業等によって、生産および供給されている財貨・サービスを」――特に運輸行政なんかサービスなんでありますが、「良質・低廉なものにする見地からは、必ずしも現状どおり公的主体による必要はなく、経営を合理的に行い、自主性を強化し、民営ないし民営に準じた経営形態に変更し、自主的な責任体制を確立することが望ましいものとも考えられ、この場合、ひいては労使関係の改善にも資することとなろう」、こう言っているのでありまするけれども、民営にすれば財貨、サービスを良質、低廉なものにできるのかどうか。
 私は独立採算を強調する余り、サービスの悪化と施設の荒廃を招くということを言ってきたんです。総理大臣も予算委員会で認めました。先般の、前回の運輸委員会で木村運輸大臣もこのことを認めているわけです。あなた方はこれと反対のことを言っているんですけれども、どう考えますか。
○参考人(小野吉郎君) 必ずしも相反することを言っておるとは思いません。やはりそういった企業能力の十分な発揮を得られるような形態になれば、それだけ財貨、サービスの向上は期せられると、素直にそのように考えております。
○青木薪次君 あなたは現実無視の空理空論を言っているからまことに始末が悪いと思うのでありますが、こんな、公制審の議論を逆立ちにするようなことを、また十数年前の労使関係に戻すようなことを言って、そうして平然としていられるあなたの、大体時代感覚を疑いたくなるわけでありますが、富塚参考人にお伺いいたしますけれども、このように民営、または準民営にした場合に、労働条件の悪化という点についてはどういうようにお考えになっておられますか。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、基本的に民営形態に国有鉄道ができるなどとは考えてみたこともありませんし、また、国民全体がそのことを容認するなんていうことはあり得ないだろうと思っています。だけに、やはり置かれているいまの条件から言うならば、いかにして現在の中で当事者能力の回復を図り、争議権の回復を図って近代的労使関係、相互信頼の労使関係をつくるかに焦点があり、そのことが専門懇の任務であったはずだと考えています。
○青木薪次君 小野さんにお伺いしますが、経営形態の問題について、民営に移管する必要をあなた方は西欧先進諸国の例から出しているわけです。そうすると、先進西欧諸国のスト権については、それじゃ一体どういうようになっているかお伺いしたいと思います。
○参考人(小野吉郎君) 諸外国には諸外国の伝統と制度がございます。私どもは日本の現状に立ち、日本の独特な状況のもとにおきましてこの問題を審議する、もちろん諸外国の例も参照はいたしましたけれども、これはいろんな参照資料で承知をいたしておりますけれども、そういった面におきまして、外国にのみならうべきではないであろう、日本は日本の国情と現状に即したような結論を得ることが一番妥当ではないか、このように考えたわけでございます。
○青木薪次君 外国にならう必要は別にありません。いいところはとった方がいいでしょう。あなた方は、経営形態の問題を先進西欧諸国の例にこれを期待し、参考にしているから私言ったんです。スト権だって西欧諸国の形態について学ぶべきところがあったら学んでいいでしょう。この点、どう思いますか。
○参考人(小野吉郎君) お説のとおりだと思います。
○青木薪次君 そうだとするならば、私は富塚参考人にお伺いしたいと思いますが、あなたは、先般西欧諸国の争議権の与えられている現状について調査に行かれたと思うんでありますが、先ほど岡本先生の言われたイギリスと、それからドイツ、この辺だけでも結構だと思うんですけれども、ちょっと端的にひとつ、スト権を与えられている現状についてお伺いをしたいと思います。
○参考人(富塚三夫君) イギリスでは別に法律上の規制はありませんが、ストライキそのものは実態として認められています。西ドイツでは法律の中で認められています。ですから、先進諸国はほとんどがスト権は認められているという実情であります。例外はごく少ないというふうに見ており
 ます。
○青木薪次君 例外は、警察官か軍隊ぐらいなもんだというように書いているわけであります。そういうように私も承知をいたしておりますが、こ
 の富塚参考人のいまの発言について小野さん、どうお考えになりますか。
○参考人(小野吉郎君) 外国の事情は、それなりにこれを拝聴いたしました。ただ、西ドイツ等につきましては、官吏にはどこまでもスト権が与えられておりません。雇員等の単純労務者にはストライキ権は与えられておりますけれども、国の公務員――官吏には与えられておらない、こういうことが実情のように承知をいたしております。
○青木薪次君 また、もう一度……。時間の関係がありますから、これは省きますけれども、一番おくれていたアメリカあたりでも、州の中にスト権を与える、こういう空気が盛り上がってきて与えられたところも現在出てきております。一番おくれたアメリカでさえそういう状態であることを、あなたにひとつ申し上げておきます。
 次に、労使関係について、紛争をすべて力と力の対決としてとらえたり、問題を直ちに第三者機関に持ち込んだり、労使間の話し合いによる解決の努力を軽視しているというのがいまの公労協の実情だと、こういうように言っているのでありまするけれども、これはそのように理解してよろしゅうございますか。
○参考人(小野吉郎君) 非常な多数の意見の中にはそういうような認識を持った人が多うございました。
○青木薪次君 富塚参考人にお伺いしたいと思いますけれども、そういう意見を持った人が多かったと、実情も調べないで私は言っていると思うんでありますが、その点について、あなたからちょっとその実情を聞かしていただきたいと思うんです。
○参考人(富塚三夫君) 先ほども申し上げましたように、公制審が八年がかりで答申を出した。それは私も労働側の委員を務めまして、前田会長が答申をするとき満場一致賛成をした一人でありますが、あの公制審の答申は三論併記であったことは事実ですが、現業労働者に対しては、争議権の回復について検討することを示唆しているんであります。過日の毎日新聞にも、前田会長はそのことを明確に言っています。
 それを受けて閣僚協及び専門懇が設置されたわけですから、現業使働者のスト権は当然考えられる結論、そこに問題の焦点が当てられるべきだったと思うんであります。ところが全然、公制審答申を受けて閣僚協及び専門懇の設置を政府が約束したにもかかわらず、それとは全く違った方向に向けて、いわば総論的に、架空の論争などの中に結論が出されたことを非常に遺憾と思っています。
○青木薪次君 小野さんにお伺いしますが、法を法とも思わないという一部組合幹部とは、一体どういう幹部なんですか。富塚さんは入りますか。
○参考人(小野吉郎君) 富塚さんは非常にりっぱな人だと思っています。(笑声)
○青木薪次君 あなたは、問題の焦点になるとすぐはぐらかす官僚型答弁にたけているようでありますけれども、そんなことでは問題の解決にならぬと思います。
 ILOの結社の自由委員会第百三十九次報告の中に、昭和四十八年十一月の百二十四項に、「委員会は、純粋の政治的性質のストライキ……は、結社の自由の原則を逸脱するものと考える」というように言っているのであります。しかし、これはあなた原文持っておられると思うんでありますけれども、そのすぐ後に「懲戒処分の適用にあたつての弾力的な態度が労使関係の調和的な発展により資するものであることを指摘しておきたい。委員会は、本項で述べた考察に注意を喚起すること並びに懲戒処分の適用に関して、特にストライキ参加者に対するそのような制裁の適用から生ずる報酬上の恒久的な不利益及び関係労働者のキヤリアに対する不利益な結果について政府に示唆したことを想起することを理事会に勧告する」とあって、こっちが大体三分の二書いてある。あなた方は、ここの、自分の都合のいいことばっかりちょっと載せておいて、そして、このことを問題にしているわけでありますが、この点についてどう考えていますか。
○参考人(小野吉郎君) いろいろ文章は長くございますけれども、事政治ストの問題につきましては、ILOのそれは、そこに引用してありますとおりに、はっきりした見解を示しておるものと受け取りました。
○青木薪次君 そうだとするならば、中心的にあるこのことは、ストライキ参加者の処分が、処分されただけでなくて、永久に墓場までという議論をしておりますけれども、そこまで持っていってしまうということに対して、問題だからということで、その問題の中心的な意見というものが出されたわけであります。あなた方の出されたことはその間の一部なんです。その点について、これを引用しなくて、自分の都合のいいことばかり引用した点について私は言っているわけです。その点、どうですか。
○参考人(小野吉郎君) これは、都合不都合で引用したわけではございませんで、政治ストを一体どうILOは考えておるかという点に着目いたしますと、いまのそこに端的に表現してございますので、その部分を引用したわけでございます。
○青木薪次君 ILOは、いま言ったように、弾力的な態度が労使関係の調和的発展に資するということを指摘しているわけでありますけれども、政府に注意を喚起している、こういう点について、長谷川労働大臣はどういうように理解しておられますか。
○国務大臣(長谷川峻君) ILOのおっしゃった文章を私もよく読んでおります。百三十九次報告。ここにはやっぱり、法律の禁止に違反した争議行為が行われたときは、法に照らして処分せざるを得ない。
 御質問の、ILOの指摘でありますけれども、各当局は、従来からそれぞれの事案の内容に応じまして適正に行うよう努めてきておりまして、違反の程度の軽微な者については訓告などにとどめていることも行われるということであります。なお、しかしILOでは、最近わが国のこうした実情については理解を深めているというふうに私たちは承知しております。
○青木薪次君 いまいろいろ意見出された問題等を中心として後段のことを考えたら、頭に入れたならば、自分の都合のいいことばっかじゃなくて、こんな反動的な意見書にならなかったではないかというように私は考えているんです。あなたはどうなんですか。
○参考人(小野吉郎君) その辺の文章も承知をいたしておりますけれども、これはそういった面で表現を部分的に引用したわけではございません。私どももこの問題を審議いたしますのには、やはり日本の民族といたしまして、悩みなくしてはこれは取り組み得なかったわけでございます。何か、初めからストライキ権を与えたくないと、こういうような頑迷固陋な気持ちを持って審議に当たったんではないかと、こういうような誤解がおありかもしれませんけれども、そういうことでは毛頭ございません。非常な悩みを抱えながら、しかもいろんな文章を読みまして、事は、やはり政治ストをどう判断するかの問題については、ILOの意見書の中に明確にその部分がございますので、その点を引用しただけでございまして、そのことゆえをもって将来永劫に、あるいはどういう条件変化があってもストライキ権を認めるべきでないと、こんな頑迷な意見書を出したわけではございません。
○青木薪次君 意見書に言っている主導的な立場にある労働組合は、階級的な闘争至上主義で、それで争議行為が著しく政治的で、しかも、主流をなす労働組合は、勤務条件の改善なんかより、まず自分の政治主張を貫く、そして革命のためにやっている、こういうように書いてあるじゃないですか。この点について、あなたはどう考えていますか。
○参考人(小野吉郎君) この面も非常な多数の意見の持ち主の認識に立った文章でございまして、私がそういうことをつけ加えたわけでもございませんし、私はただ集約をしただけでございます。ただ、その労働運動の指標等につきましては、組合にそれぞぜ闘争方針等を掲げたものがございます。そういうものを引用した部分はございますけれども、これは多数のそういう現状に対する認識をもとにして意見書に表現されたものでございます。
○青木薪次君 あなたは問題の核心になると多数、みんなそういう意見であったということで逃げる、自分の都合がいいと私の意見だとこう言う。あなたも相当な官僚型答弁にはたけていると思いますけれども、そういう人に、こういうものを書かした政府も相当なものだと思いますが、いま現実問題として、あなたの意見書について、自民党の党内の相当な人たちが、大変なやつが出たもんだと言って、その辺で廊下スズメがいろいろ話をしているわけですよ。野党の皆さんも恐らくそういう気持ちを持っておられると思うんです。ですから、そういうように、いま多数の国民は大変なものが出てきたというように思っている。その点をあなたはちゃんと胸にたたんでおいてもらいたいと、こう思います。
 それから、恐る恐る行われてきた違法争議に対して、その場限りの妥協によるスト収拾をみずからの役割りとして、断固たる処置をとらなかった政府当局に責任があると言っているけれども、「断固たる処置」とは一体何ですか。その点を聞かしてもらいたいと思います。
○参考人(小野吉郎君) これは法律に規定された処置でございます。
○青木薪次君 国鉄当局に聞きたいと思うんでありますが、大分処分をしてきたと思うんでありますけれども、首を切ったのは一体何人なのか、それとほかの、首以外の処分は何人あったのか、そのことを教えてもらいたいと思います。
○説明員(加賀谷徳治君) 公労法以来今日まで解雇、免職を決めましたのは七百十七人、訓告以上の処分をいたしました数はおよそ三十八万人でございます。
○青木薪次君 七百十七人ですか、首を切った人が。それから処分した人が三十六万人ですか。
○説明員(加賀谷徳治君) 三十八万人でございます。
○青木薪次君 このことについてあなたは、「一家意識」と書いてあるんだけれども、これを一家意識と思いますか。この点について、小野さんの御見解を伺います。
○参考人(小野吉郎君) これは、どこまでも私の個人の意見ではございませんで、多数の意見を集約したものでございます。多数の認識はそういうような上に立っております。もちろん、国鉄当局もいろいろその都度法律に照らしまして処分は断行してまいっておられます。全然そういうことを怠っておられるとは私も考えませんし、また、専門懇の委員諸君も考えておらないわけでございますけれども、大体の、全体の意見といたしましては、そういう面についての指摘もあったわけでございまして、それが表現してあるまででございます。
○青木薪次君 あなたと初めてお会いしたけれども、あなたは相当政府部内でも、一番答弁をはぐらかすのがうまい人だと私は思います。大変な人です、あなたは。
 そこで、内閣調査室にお伺いしたいと思います。
 最近の国民世論は、条件つきスト権付与論者が多いと思うんだけれども、専門懇の意見書によれば、内閣広報室の本年五月の調査によれば、過半数が反対になっているんでしょう。この辺はどういう調べをしたんですか、端的に言ってください。
○政府委員(関忠雄君) 本年五月に、三公社五現業職員のスト権等につきまして国民の世論調査を実施いたしました。
○青木薪次君 いま、そんなに国民は単純なもんじゃございませんよ。無条件付与があるでしょう。条件つき付与があるでしょう。それから私鉄並みの付与。さっき富塚さんのおっしゃったとおり。そういうものがあるけれども、この賛成と反対の賛成の方は、どういうのをとったんですか。
○政府委員(関忠雄君) 現在、ストライキ権問題につきまして、仰せのようにいろいろな意見が論議されておるわけでございます。本年五月のこの調査を実施いたしました時点では、このような問題につきまして細かく分けて聞くには、国民の間に十分な知識が普及していないというふうに考えましたので、国民の一般的な意識として賛否の傾向を把握をいたすという意味で、賛成か反対かという聞き方をいたしたのでございます。
○青木薪次君 そんなに、賛成か反対かなんということでとるというところに官僚型調査があると、非常に問題があると思うんです。いまここに、つい最近の私は新聞の世論調査を持ってきました。みんな過半数がストライキ権を与えると言っているじゃありませんか。この点について、あなたはどう考えますか。
○政府委員(関忠雄君) 先ほど申しましたように、この五月の時点では、このような一般的な意識を把握をいたすということが適切であるというふうに考えて本調査を実施いたしたのでございます。まあ、本人の意識によりまして、この賛否いずれか近い方に回答をいたしたものと考えます。また、わからないというのはかなり、二十数%あるわけでございますけれども、判断に迷う人は、このわからないという回答をされたものというふうに考えます。
○青木薪次君 小野さん、いまの、これ皆過半数なんですがね、ストライキ権付与の論者は。反対論者は二〇%ですよ。この点についてあなたはどう考えますか、これに書いてあるんだけれども。
○参考人(小野吉郎君) 私どもはその調査には関与をいたしておりませんので、調査の結果は承知をいたしておりますけれども、何とも御答弁申し上げる立場にないと思います。
○青木薪次君 そういうことで、私は知らなかったと、ただ問題は、専門懇の意見書というものに明確に書いてありますと、国民はそう思うでしょう。責任を感じますか。
○参考人(小野吉郎君) そのような調査もされたわけでございますし、その調査の結果をそのまま引用したわけでございまして、別段に工作を施したものではございません。
○青木薪次君 いま、「具体的提言」で非常に問題がありますのは、違法ストをやったらと書いてあるわけでありますが、団体交渉権の一時的停止をするか、法人格を否認をすると、こう書いてある。そうすると、一時的停止によって困るのは労働組合よりもむしろ――さっきあなたもお聞きになったかどうか知りませんけれども、この数年間で四万人も減らしてきた当局の方に、使用者側に問題があると思うんでありますけれども、この点どう考えていますか。
○参考人(小野吉郎君) その辺の記述につきましては、そういう意見もあったということを記述してあるわけでございます。
○青木薪次君 法人格を否認するというのは、組合を解散しろということですか、それともアウトサイダーですか、どっちですか。
○参考人(小野吉郎君) これは少数意見の持ち主、いわゆる条件つき付与論者の中にも、条件としてそういうようなことも提言しておられましたので、それがそのまま載っておるわけでございます。
○青木薪次君 そんなに権威のないことを、政府関係者はもちろんのこと、傍聴されている方や、記者の皆さんも、ちゃんと専門懇の意見書の内容がわかったと思うのでありまするけれども、ここでさらに私が問題だと思うのは、賃金カットを確実に行って、公表して、そして、「支出削減に対応する財源の凍結を行う必要がある」ということは、一体どういうことなんですか。その点についてお聞きしたいと思います。
○参考人(小野吉郎君) これも、そのような事例があるというような意見もございました。それがそのまま記載されておるわけでございます。
○青木薪次君 いまは意見があったら何でも載せていいというようなことじゃないんですよ。権威ある専門懇の意見書なんですからね。
 それから、さっきILOの結社の自由委員会の百三十九次報告の後段は何にも言っていないといったのでありまするけれども、「実損回復措置の再検討」の中で、処分に対する昇給延伸の措置に対する実損回復を行えとILOは指摘しているんです。このことについて、使用者の厳正な措置でやめろと言っているんです。反対のことを言っているんですよ、やめろと言っている。これは、権威あるILOの勧告に背くつもりですか、どうですか。その点、お聞きしたいと思う。
○参考人(小野吉郎君) ILOの勧告に背くつもりは毛頭持っておりませんでした。
○青木薪次君 それなら、なぜこのように書いたんですか。
○参考人(小野吉郎君) そのような意見も多々ございました。
○青木薪次君 小野さんとのやりとりは、このように全く平行線であります。しかも、問題の焦点については、そういう意見があったということをただ載せたと、こう言っているんであります。それを尊重して、趣旨を実行に移すと言っている海部副長官、どういうようにあなたはお考えになりますか。いまの意見を聞いておって、これをそのまま意見として通していきますか、この権威のないものについて。
○政府委員(海部俊樹君) これは、二十人の有識者の方が長期間にわたっていろいろな問題点を提起していただいた重要な意見書だと思っておりますので、政府は、基本方針の中において、この意見書の趣旨を尊重して具現化のために検討をすると、こういう基本方針を出しておりますので、基本方針の中に書いてあることがすべてそのまま一〇〇%政府の意見になるというのではないんですが、これを十分尊重して検討さしていただくと、こう基本方針で申し述べておるわけでございます。
○青木薪次君 それは官房副長官ね、あなた、ただ文字どおり、義務的答弁だけで終わっちゃいけませんよ。ちゃんとあなたの答弁を、並みいる皆さんが聞いているんですからね。だから、こんなに小野さんとの意見の中で、権威のない、問題の多い、しかも全く一貫性のない、言っていることは処分をするのだ、処分をするのだと、ストライキをやったら治安立法でひっくくってしまえと、このことだけですよ、書いてあるのは。あと何にも書いてありませんよ。
 いままで公制審の答申なんかを私は読んでまいりましたけれども、まじめに、昭和三十九年以降一次、二次、三次と、こう積み上げてきた。これを、この間の目黒委員の質問だったと思うんでありますけれども、三木総理に聞いたら、いや、これは古いと、ついこの間出たのが、これが専門懇だから、その点でいろいろまた相談すると、こういう答弁だった、三木総理は。三木総理は、このごろ非常に自分の意見をかなぐり捨てて、何とか総理大臣になるためにきゅうきゅうとしているように新聞は書いてある。私もそう思う。ということで仕方ないと思うけれども、少なくともあなたは、内閣の大番頭として、この問題については非常に問題があるから再検討し直すと、こういうことを言えませんか。
○政府委員(海部俊樹君) 専門懇の意見書というのは、いろいろな問題がたくさん提起されておるわけでございまして、必ずしもこれを再検討するとか、やり直すとかいうようなことは私どもは考えておりません。このいただいた意見書の趣旨を尊重して、今後十分に検討さしていただこうと、こう思っておるところでございます。
○青木薪次君 富塚参考人にお聞きしたいと思うんでありますが、私と小野参考人との質疑の中で、あなたは得るものがありましたかどうか、あなたの御意見をお聞きしたいと思います。
○参考人(富塚三夫君) 現実の労使関係、すなわち三公五現の労使関係がどう改善されていくべきかという視点からは、全く専門懇の議論は外れていると、これは新聞にも書いてあるとおりであります。ですから、政府が尊重するということを言われておるんですが、一体どういうことを尊重するのか、私どもはずっと見守っているんですけれども、まさに三公社五現業の労使関係の実態、公制審の答申のその方向を外れた専門懇意見書であり、われわれ労働側はもとより、このことを問題にするという考え方は持っていないんでありますが、あくまでも三公五現の労使関係の実態の改善という視点に立ってわれわれは問題提起をこれからも進めていくつもりであります。
○青木薪次君 最後に私は、専門懇の意見書を何回も読んでみました。読めば読むほどわからなくなっちゃう。労働組合運動を治安対策として考えて、しかも、現実無視の空理空論を唱えて、実情も何も理解しない意見書であることがわかってくるからであります。しかもこの意見書は、十年前の日本に引き戻す反動的なものです。大変なものだと思うんです。国民に共感を得られぬのみか、一部の極右的立場の人に喝采を浴びて、国論をより一層分裂的方向へかき立てる導火線となることは間違いないと思います。文章もまた首尾一貫せず、言っているのは、いま言ったように、ストは違法だ、取り締まれ、現在も将来も何ら問題解決することのないこの専門懇の意見書、私はこんなのを読んだことがございません。国際的孤立化のこの意見書を、党内タカ派の意見に押されて、自分の考えも捨てて、権力欲に狂奔する三木総理は尊重すると言った。これは大変なことだと思いますけれども、いま自民党内においてさえ迷惑視する人の多いことは、この意見書が非常に問題が多いからだと思うんであります。
 どうかこのことについて、ひとつこれを破棄して、労使関係の安定を基礎に、いま非常に不況とインフレの中であえいでいる日本経済の再建のために、労使が一致してこの問題について、その関係を安定するために、ストライキ権の一括付与の意見を私は申し述べて、私の意見を終わりたいと思います。
○瀬谷英行君 専門懇の意見書について大分いろいろと論議されましたけれども、結局、この意見書を一貫している考え方というのは、取り上げたスト権は返さないと、こういう立場に立っているわけですよ、率直に言って。それと、先ほど青木委員からも指摘があったんですが、労働組合に対する不信感が露骨に出ております。で、この辺をときどき軍艦マーチを鳴らしながら右翼団体が車で走り回っているんですけれども、あの諸君の見解と、内容的には変わりはないということが言えると思います。
 そこで、時間の関係で細々と申し上げませんが、たとえば、民営にすれば問題はおのずから解決するといったようなことが、もう中に示唆されておりますが、こんなのはあたりまえの話なんですが、じゃ国鉄に対してちょっと質問したいんですが、国鉄を民営にするということができるのかどうか。仮に国鉄を民営にする、あるいは分割をするという場合に、四国なり、あるいは北海道なりを国鉄から切り離して民営にすると、一キロ当たり五円何がしかの運賃でもって引き受ける私鉄資本があるのかどうか、また、やっていけるのかどうか。あるいはまた四国なり、九州なり、あるいは北海道なりを国鉄から切り離した場合には、一体現在の運賃の何倍にしなければ採算がとれないのか、これがもしわかっていたらお答え願いたい。
○説明員(藤井松太郎君) 国鉄の民営論につきましては、私どもの見解を過日申し述べたとおりでございまして、これを繰り返して申しますと、民営にした場合にはその公共性と申しますか、企業性が優先して、御指摘のような何というか、閑散線区というか、不採算線区は軽視されやせぬかというおそれがある。第二点は、これを分断するということになれば、ネットワークが壊れて能率が悪くなる。そういった国鉄の能率と申しますか、そういう観点から現況が望ましいということを申し上げたんで、これ分断して不可能だという議論には申し上げていない。
 それから四国、北海道の御議論なさいますけれども、北海道のごときは一年間千何百億の赤字を出しているところだし、四国もやっぱり二、三百億の赤字を出している。この赤字を、それだけが独立してやるということになれば、北海道の地区なり、あるいは四国地区なりが、ほかの線区の方々よりも、運賃で負担するかどうか知りませんけれども、高率な負担になるんで、これもあえてやってできないということではないが、しかし、望ましくはないと、こういうことを申し上げたわけです。
○瀬谷英行君 私が言っているのは、たとえば北海道なり――これは例に挙げて申しわけないけれども、赤字の線ばっかりなので、これで例に挙げたんですけれども、たとえば北海道だけを国鉄から切り離して、そして独立採算制で経営するというふうにするならば、一体現行の運賃の何倍にしなければならないのかといったようなことをちょっと聞いてみたわけです。おわかりだったら……。
○説明員(加賀谷徳治君) いま北海道の例が出ましたんですが、運賃を何倍というのは非常にむずかしいあれですが、いまの北海道で上げております収入のスケールというものをどのぐらいにしなけりゃならぬかという考え方で申しますと、北海道の場合は三倍ぐらい、それから四国の場合は二・五倍、九州も同じく二・五倍程度になるんじゃなかろうかというふうに思います。
○瀬谷英行君 二・五倍ないし三倍にしなければ、国鉄から分離をし、あるいは民間経営にするという場合には、やっていけないということでしょう。そうすると現実の問題として、こんなことはやれない相談だと、できない相談だということになるわけですよ。
 それと、この意見書の中で大事な点が抜けていると思うんですがマル生、具体的提言の中にいろいろ書いてありますけれども、マル生問題が欠けているわけです。いままでの歴史の中でマル生は、いわゆる合理化問題については、非常に労使間の亀裂を大きくしていると、決定的な対決といったようなことがここから出発しているように思うんですが、富塚参考人にこの点をお伺いしたいと思うんです。
○参考人(富塚三夫君) 国鉄再建が企業内努力、あるいは運賃、そして国庫補助という三本の柱をとられてきている経緯は十分存じています。しかし、企業内努力によって人減らし合理化だけをするということには、われわれは賛成しかねるという態度をとってきました。しかし、企業内努力といっても、たとえば鉄道公安官を警察に移管をするとか、管理機構を縮少するとか、手がける問題はたくさんあると私どもも思っています。しかし、乗務員が二人乗っているのを一人に置きかえてしまうとか、あるいは省力化をすることによって必要以上に人を減らすとかという、安全運転を阻害するようなやり方には納得できない。保安上の問題でも幾つかのことを当局側に言ってきたところであります。ですから、あのマル生問題は、企業内努力を推進をするというねらいはあったんですが、実は磯崎さんが責任とってやめられたように、生産性向上運動ということに名をかりた国労、動労の組織破壊攻撃にあった、不当労働行為にあった、公労委もそれを認めたということから磯崎さんも責任をとられたと思うんです。それが荒廃を生んで今日の労使関係の反省に出てきたと、こう認めています。
○瀬谷英行君 この労使間の歴史の中できわめて大きな問題が専門懇の意見書では抜けているんです。わざと抜かしたのか、この専門懇の意見書を書いた多くの人たちが不勉強だったのか、心得てはいるけれども、とぼけて書かなかったのか、どっちなんでしょうかね。これは小野参考人、おわかりだったらお答え願いたい。
○参考人(小野吉郎君) マル生運動があったことも承知はいたしておりますけれども、これは問題の本質とは外れた問題でございますので、この問題については触れておりません。私どもはいろいろ意見書全体を通じまして、きわめて前近代的な、反動的な気持ちで書いたであろうと、こういうように評価される向きもございますけれども、私どもは決してそうではございません。長い将来向きに一つの展望を得るために審議もし、意見書をまとめたつもりでございまして、いまのマル生問題についても承知しておらないわけではございませんけれども、そういう見地からはやっぱり漸進的な、展望的な問題として取り上げるには値しないと、こういうことで触れておらないわけでございます。
○瀬谷英行君 スト権の問題は、元来労使間の問題なんですよ、明らかに。経営の問題とはまた違うんです。明らかに労使間の問題であるのに、問題の本質から外れているという認識は一体どういうことなんでしょうかね、これは。どうも理解に苦しむわけです。ということは、わざとマル生の問題を外したと、一番肝心の問題を外したとしか考えられない。そうすると、この意見書の多数意見というのはみんな、端的に言ってごますり御用学者の後ろ向きの意見書ということになっちゃうんじゃないですか。私はこういうごますりでもってつくり上げられた後ろ向きの意見書――前向きということを総理はよく言われるんですけれども、実体は後ろ向きですよ。回れ右前へ進めと言っているようなもんです。こういう後ろ向きの意見書を一体どうやって尊重するのか、これはまことにわからないことです。
 で、これは労働大臣にもお伺いしたいと思うんですが、こんなことをやっていたんじゃ問題解決しないと思うんですよ、これはね。この意見書を尊重するなんて言ったって、いま言ったように完全に後ろ向きだし、しかもごますりだ。政府がこれはリモコンで操作したのかどうかわかりませんがね。そこまではしてないと私は信じたいんですよね。
  〔委員長退席、理事前川旦君着席〕
しかし、内容的にはどうもごますりのにおいが強い。しかし、処分をすれば報復ストか抗議ストでもって組合は必ず闘うということを先ほど富塚参考人言っているんですよ。それなのに、また処分をするということになると、悪循環は断ち切ると言っておりますけれども、悪循環は断ち切れないでしょう。どろ沼の中に入って行ってしまうということになりはしないか。また、富塚参考人は先ほど、スト権を認めた形で労使の間に一定のルールを確立をすれば年に一回か二度で済むことになるんじゃないか。しかし、スト権を認めないということになると、何十日もストライキが行われるということになりかねない。これはまことに政治の手抜かり、責任ということになってしまう。どっちがいいかということは、これは政治家として選択をすべき問題ではないかと思うんですが、労働大臣はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほど海部副長官も答弁されましたように、皆さんが御議論されているこの専門懇の答申――政府の基本方針の第二項、「公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会の意見書の趣旨を尊重し、その内容の具現化につき検討を行う」、これは海部副長官が申されたことでもあり、私たちもまた政府見解として統一したことでございます。いろいろな御意見があったものを、具現化の場合にその内容について検討していくということでございます。
 それからさらに、違法ストと処分の悪循環を断ちたい。今度もまた処分が出てくるんじゃないかと、こういうお話がありますが、これは本当に皆さんもお互いも、労使ともどもに、いままで三公五現、粘り強い折衝の中から――最近私は労使関係がよくなりつつあると、こういうふうな認識を持っているときに、処分とあるいはストの悪循環、これはもうみんなが断ち切りたい、こういう気持ちはいっぱいだろうと思います。そういうことからしますというと――といって、違法なことをやった場合には、法治国家でありますから、これは見逃すわけにいきません。そういうことをどうしてか、いまから先でも、やっぱりこれ労使の粘り強い、そうしてまた、このたびの基本方針が出ましたときに、公共の福祉とこうした問題との調和を図りながら、やはりしっかりしたお互いの考え方の中に、お互いのひとつ協力の中からいいものを生むようにしなきゃならぬ、私はそう考えております。
○瀬谷英行君 違法のストがけしからぬという一点張りなんですけれども、スト権を剥奪をしたのは政府なんですよね。
  〔理事前川旦君退席、委員長着席〕
これは先ほども申し上げたんですけれども、それは、当時は剥奪をしたのはアメリカだったかもしれない。剥奪をするということは盗むということなんだからね。盗んだ下手人がマッカーサーだったとしても、それをふところに入れて返さないのは政府なんですから、それを返せという要求に対して、下手な借金の言いわけみたいに、今日まで引き延ばしばっかりやってきたわけです。この専門懇の意見書も、またまた引き延ばしの材料に、道具に使われているんだ。このまま労使間のルールというものが、新しい展開を見ないでそのまま進みますと、ストと処分の悪循環というのはまた続くんじゃないですか。これは先ほど富塚参考人もその決意を表明しておりますが、政府もこのままで、単なる抽象的な法律論争だけでやっていけば、このスト権問題については解決する糸口すらつかめないと思うんですが、それはどうですか。労働大臣としてではなく、政府としてこの問題を根本的に解決をしようという気持ちがおありになるのかどうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 近代国家というものは、労使のやはり非常な協調の中にやっていかなきゃならぬ。いわんや皆さんが御議論されるように、今日は非常に雇用のむずかしい時代でございます。そういう中から、こうした政府の基本方針が出ましたけれども、総理もおっしゃるように、労働基本権も入れながらいろんな法律の改正について考えていこうと、そして、期間を切らないということはやらないということじゃないんだと、こういうことでございますので、私の希望からしますというと、その間ぐらいはひとつ組合の皆さん方も、あるいはまた皆さん方のお力によって、国会の場でこれを取り上げて御議論いただく間ぐらいはひとつ見守っていこうと、こういうふうな姿勢などが出るならば、私は国民の理解というのか、あるいはまた、非常にお互いに対する注目というのが生まれてくるんじゃないか、こういう考え方は組合の皆さん方も出てこないんだろうかと、一方的に政府が悪い悪いということでなくて、全体のそういう空気が生まれてこないもんだろうかということを実は期待しているものであります。
○瀬谷英行君 それならば、そのイエスかノーか、盗んだものを返すか返さないかというこの問題に対して、返すという言葉を約束をすべきだと思うんです。それが行われない限りはまた処分するんだと、そんなことを言っていれば、ストと処分の悪循環は、単にどろ沼に入るだけじゃないですよ、このままいけば。専門懇のこの具体的提言なんてものは話になりません、これは。どうせ、リモコンでごますりをする専門懇というようなことで、八百長でやっているんだろうと思いますけれども、このまま続けていきますと、どろ沼に片足突っ込むどころか、肥やしだめに胸までつかるようなことになる。そうならないようにすべきだということを私は申し上げたい。その決意があるかどうかを最後にお伺いして、私の質問を終わります。
○国務大臣(長谷川峻君) 私の最終的結論は、ここで申し上げるまた機会でもありませんし、場所でもございませんが、私は、やっぱり労使の円満なる関係をどうにかして確立していきたいと、そのためには、こういう政府の基本方針が、一部皆さん方からは大変御批判もあるようでございますが、その中には、実を言いますと組合の方々、数は少ないと言われますけれども、そういう方々もお入りいただいて御議論いただいたわけです。そうしたことからしまして、私は粘り強いひとつ研究をしていただきまして、何とか将来にわたって円満なる環境を持続するために努力していきたい、こう思っております。
○戸田菊雄君 瀬谷委員の質問に関連をして、ちょっと労働大臣、あと時間がありますから、海部副長官と二人に確かめておきたい。
 これは昭和五十年の四月一日でありますが、参議院の前通常国会での予算委員会の中での質問、答弁、これはいみじくもいま質問をされておった瀬谷委員の方から、総理は新しい労使間の慣行を確立するためにストライキと処分の悪循環を断ち切りたい、こういうことを再々言われた、国会の中で。したがって、これに対して総理はどう考えるかというのに対して、総理は、悪循環を断ち切りたいという強い熱意があるというのはそのとおりでございます、こういう明確な答弁をやっているのです。
 こういう経営措置を経て、政府は今日のスト権付与に向けて鋭意専門懇や閣僚協で検討しようというのが道筋じゃなかったのですか。立法府におけるこれは責任ある内閣総理大臣の明快な答弁なんですよ。われわれは決して、国会を通してこの問題について出てこないということは一度もない、再々やってきた。それが今日に至ってあの五項目の回答以外に出てこなかったというのは一体どういうところに真意があるのか。
 だから、労働大臣はさらにそれを受け継いで、衆議院の社労で、わが党の田邊委員の質問に対して同じようなことを言っているわけです。だから、労働大臣もその真意がいまも変わっていないのかどうか。そうだとするならば、こういう五項目回答というものは、私はあり得ないのではないか。どういうことでこういうことになったのか。それは自民党の内部事情なんでしょうけれども、まことにこれ、担当大臣としても背信行為じゃないでしょうか。その辺の見解をひとつ関連して私は明らかに伺っておきたいと思いますし、富塚さんの方に、さらにこういった経過措置を踏まえて組合としても鋭意何回かの交渉をやってきたはずだと思います。そういう経過についてちょっと答弁していただきたい。
○参考人(富塚三夫君) 午前中にも申し上げましたように、私どもはこの処分問題の話し合いは、七三年春闘のときに、山下官房副長官と当時の大木総評事務局長との間にもやりとりがあります。そして七四年春闘の際には、大村官房副長官と道正さん、あるいは皆川さんを含めて処分のやりとりの文書も持っているんです。その問題は、政府はもちろん処分はやらないとは言わないけれども、紛争を少なくすることに労使で努力をしよう、そして、悪循環を断ち切ることにしようと、乗り切っていこうという話をしたんです。そのことは、当然この秋の段階にはスト権の結論が出るという想定に立って恐らく労働大臣も考えていたと思います。当時の大村さんもそのようなことを考えたと思います。田中さんもそのことを大筋考えたと思います。
 しかし、実際にはそうならなかったという状況なんですが、悪循環を断ち切るやり方について、当局側に具体的な提案があればいつでも受けて立つ用意があります。何らの提案もなしに、違法スト、悪循環はけしからぬというだけでは、これはいただけないのであります。その点について、われわれ労働側の態度は、いつまでも受けて立つ用意があります。
○政府委員(海部俊樹君) ただいま御指摘の、スト−処分−ストの悪循環を断ち切って新しい労使関係をつくり上げたいと総理大臣が考えておることは、これはいまも変わらないと思います。ただ、率直に申しまして、総理大臣はストがあっても処分をしないということを申し上げたんじゃなくて、話し合いによる新しい労使関係をつくり出していただきたい。まあストがなければ処分も絶対ないわけでございますから、どうぞそういうところで、スト−処分の悪循環を断ち切りたいという強い気持ちを持っておりますし、今度の五項目の政府基本方針にいたしましても、最初にやはり健全な労使関係の確立を期するために政府はこうしたいという気持ちを表明いたしておりますので、今日もその気持ちは変わっていないということでございます。
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、ただいま毎々の、官邸筋と組合の諸君の折衝の話が出ましたが、そのことは私タッチしておりませんからよくわかりません。しかしながら、後段の違法ストとあるいは処分の悪循環を断ちたいと、こういうことは、これは本当に政府も、あるいは皆さん方も、国民も願っていること。ただ、この時代において、違法ストでまた国民全体がやかましく迷惑がかかる、こういう姿だけは避けたい。しかしながら、今度こういう基本方針が生まれましたから、これには私たちも直接関係することでございますから、総理がお答えしたように、とにかく健全な労使関係こそがいまからの日本に大事でございますから、その作業の中において早急に結論を出すように、その一部分として私も懸命にがんばりたいと、こう思っております。
○三木忠雄君 けさほど来の論議の重複するところは避けて質問したいと思いますが、今回のストを通して、平均的な国民の感覚というものは、何が残っただろうかというのが私は国民の実情ではないかと思うんです。確かに、テレビや新聞等でいろいろ報道されておりますけれども、八日間のストを通して国民は多大な迷惑を受けたというのが私は実情だろうと思うんです。この陰にはいろんな問題点があろうと思います。私は条件付きでスト権を与えるべきであるという主張を絶えず持っております。こういう立場から論を進めたいと思いますけれども、海部副長官と富塚公労協代表幹事のテレビでのやりとりを見ておって、国民はいつ解決するだろうかという確かに素朴な疑問を持っておったと思うんです。お互いに言い合いして主張を述べ合うだけに終わって、いつ解決するだろうかという国民の素朴なこの問題の解決にはならなかった。
 ここで、端的に各大臣に一言ずつ聞いておきたいんですけれども、このストを通して何のメリットがあったのかということを、はっきりとどう認識しているか、この点について官房副長官から。
○政府委員(海部俊樹君) 何のメリットがあったかとおっしゃいましても、それはこういうメリットがあったとか、そんな角度からは評価できなかったと思います。国民に大変迷惑がかかったというデメリットが存在したことは事実だろうと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 労働省の者といたしますと、本当に健全な労使関係というものを何とか粘り強くつくるために、大変ないまから先も努力が必要だということを痛感したわけです。国民生活の上に、あるいは物価の上に、それぞれいろいろ問題がございます。それ以上に私自身がいま考えていることは、こういう中から、どろ沼に入るようなことを何とかいまから先、どうにかして皆さん方の御協力、組合の諸君、あるいは経営者の諸君、そういう方々の御努力の中から、どうにかして早くやらぬと大変なことになりゃせぬかということを感じております。
○国務大臣(木村睦男君) メリットとか、デメリットとかいう問題で考えるべきではなくて、この八日間の違法行為を通じてしみじみ感じましたことは、日本の国じゅうのすみずみまで、国民生活にこれだけ大きな影響を与えた行為はなかったと、こういうことをしみじみ感じております。
○三木忠雄君 富塚参考人。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、ストライキを好んで配置したわけではありません。先ほど申し上げましたように、スト権回復について政府は見解を明らかにしてくれ、そうすることによって、時間をかけて立法問題は議論していただきたい。その間、労使紛争を少なくするために処分問題をたな上げしてほしい、こういう要求をしたのでありますが、不幸にして迷惑をかける結果になりました。先ほども言いましたように、三木総理、三木内閣がなぜストライキに入って六日間も――基本方針出すなら最初に出してくれてもいいんではないかということを、裏を返すと考えるんであります。非常に政府の決断の遅かったことについて残念に思っています。
○三木忠雄君 ここで、官房副長官に聞きますけれどもね、私は端的に言って、皆さんは違法スト、違法ストで片づけようとしているわけです。その陰にはいろんな問題点、過去の経緯があったわけです。しかし、今日このようなどろ沼に陥れたのは、やはり政府の回答がおくれたと国民は理解しておるわけです。もう少し、一週間でも早く出しておればこのストはセットされなかったと思うんですね。こういう点についての政府の責任というものは、全然今回の反省の色が見えないじゃないか。違法ストだ、違法ストだの一点張りでただ政府は乗り切ろう、そして処分をしていこう、こういうやり方で、ますます政労間のこの衝突と言いますか、亀裂と言いますか、みぞと言いますか、これをさらに深めたという以外に何物もないと私は思うんです。なぜもう少し、一週間早くこの問題を結論づけようという設定ができなかったか。
 先ほどから小野会長の海外に行っておった問題もいろいろな指摘されておりましたが、やっぱり国民にこれだけの多大な迷惑をかけたということをあなた方が真剣になって考えているのであれば、この問題をもう少し結論を早めることができたんじゃないか。政府が早くキャッチボールを投げることができたんじゃないか。それ以後のストについては組合側に責任があると言っても私はやむを得ないと思うんです。その回答をおくらしたがために、今日のこれだけのストを長く打たなければならないような原因をつくってしまったのは政府側にあるのじゃないか。この点についてのお考え方。
○政府委員(海部俊樹君) 政府の基本方針、結論を一週間も早く出したらどうであったかと、こういうことでございますが、あのときの事実を私がちょっと経過をお知り願うために申し上げますと、口頭了解事項に従いまして、五十年秋ごろまでをめどに結論を出すように努力をするという努力目標を、政府は口頭了解で約束いたしておりました。まさにその秋ごろに結論を出すべく専門委員懇談会の作業がずうっと詰まってきておりまして、大体二十五、六日ごろには専門委員会の結論が出るであろうという見通しもきちんと立ってきたころ、たしか私の記憶に誤りなければ、十三日と十九日と二回だったと思いますが、富塚代表幹事もおいでになりまして、そのとき十三日に初めて、結論は二十五日までに出せと、こういう日時の設定がございました。二十五日までに結論が出ない場合には、これは二十六日からストライキに入るんだということでありました。
 いま鋭意努力をいたしておりますし、専門委員懇談会の意見書をいただいて、それから閣僚協議会においては検討をしなきゃならぬわけでありますから、二十五日と、いま急に日時を設定されましてもそれは無理なことではないでしょうか、一日も早く結論出すように努力いたしますから、しばらくその二十五日という日時を切ることだけはどうぞ御猶予を願いたいと、こう申し上げたんですが、十九日においでになったときも、同じ二十五日ということでございましたが、残念ながら専門懇の結論が、意見書がまとまりますのがその二十五、六日ごろということでございましたので、二十五日にはどうしても出せませんが、秋ごろまでに努力するという努力目標をまさに果たさんとして一生懸命努力しておるさなかでありますし、どうぞそれまでは見守っていただきたい、誠意を持って早く基本方針を出しますから見守ってもらいたいということをお願い申し上げたわけです。
 ところが、二十六日からああいう不幸な状況になってしまいましたが、私たちとしてはスト権問題と、スト権奪還ストの問題とは区別をいたしまして、ストが始まってからでも連日閣僚協議会を開いて、あるいは党側との意見の調整もやり、そして結論を出したのが六日目であったということでありますが、これはもう誠心誠意努力したんでありますので、二十五日までと言われたときの背景、当時の専門懇の状況、そういったもの等を御判断いただいて、何も故意に引き延ばししたものでは絶対ございませんし、誠意を持って早く結論を出すと、こういうことを何回もお願いをしておったわけで、組合側が政労交渉の窓口を中断されてからは、窓口になっていただいた方にそのことも十分お願いをし続けて努力を重ねてきた、こういう経過がございますので、御理解をいただきたいと思います。
○三木忠雄君 これは、時間があれば富塚参考人に反論してもらえば、先ほど来の意見と同じだと思うんですね。これは、いずれにしましても、二十五日までのいろんなスケジュールの言いわけはされますけれども、専門委員懇談会も約二年間にわたっていろいろ検討してきたわけです。それが十一月の予算委員会でもいろいろ議論になりました。秋の深いときとか、いろんな言いわけをしながら引き延ばしをしておったことを私は予算委員会でも感じられたんです、実はこの問題は。したがって、十二月の一日にこの回答が出たけれども、スケジュールからいけば、私は基本方針というこういう政府声明の問題は、もう少し早く出せたと思うんですね。もう少し真剣に取り組めたと思うんです。
 それが、これだけのストを打たれるという考え方が政府部内になかった。組合の方は真剣になって、この問題を二十数年来の闘いとして闘いを進めてきた。その結晶というものは、今回何としても結論を出さなければならないという、やはりやむにやまれぬその闘いからストを打ったと私は身で感じているんですよ。そういう点から考えますと、政府は今回のこのストに対する考え方、認識というものが非常に甘かったと思うんです。その結果がこれだけ引き延ばした、国民に多大な迷惑をかけた一つのストになったのではないかということを私は強く考えるんです。まあ、この点について意見は求めたくないですけれども、やはり政府の考え方が、何とか政治的な妥結で、妥協で解決するだろうという、いままでのパターンを踏襲していこうという考え方にあったのではないかという、こういう点、非常に私は疑問に思うんです。余りにもこのストに対する考え方が甘かったと、こういう問題について労働大臣、どう考えますか。
○国務大臣(長谷川峻君) これは海部副長官も申されたように、やっぱりスト権の基本的な問題と、それから違法ストの問題とを分けてお考えいただかなければならぬ、こう思います。それと同時に、副長官も言われましたように、皆さんの前に、政府は秋までには結論を出しますと、こういうことだけは、ときには十二月の四、五日になりはせぬかとか、いろんな御議論ありましたけれども、とにかく十二月一日、おくれましたけれども秋までということを守って結論を出したということでございまして、ストライキを甘く見るなんて世の中じゃございません。いま物価の問題雇用の問題があるときに、そうした問題で日本じゅうが大騒ぎするようなことがあったら大変だと、これはひしひしと実は感じておったことであります。
○三木忠雄君 この問題だけに議論を進めていくわけにいきませんけれども、実際に迷惑を受けたのは国民の側です。じゃ、今回の専門懇の答申、あるいは政府声明によって、スト権の問題が果たして解決の方向を見出そうとしているのかどうかということになると、私は素朴な国民の感情から見ればこの専門懇の意見、あるいは政府声明のこの問題から考えて、四十八年九月のこの公務員制度審議会の答申よりずいぶん後退したものではないかと、こういうふうな国民は受け取り方をしているわけです。この問題については、政府はどのように考えていますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 公制審の経過なども踏まえながら、このたびの私は専門懇の意見も出たと、こういうふうに感じております。
○三木忠雄君 後退しただろうということを私は聞いているんです。どうですか、前向きになったですか、後退したですか、どちらですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 全体を含めて専門懇では御検討いただいたんで、そういうものも含みながらやったことで、後退しているとは考えておりません。
○三木忠雄君 これはどう考えても、この専門懇の意見自身が後退したと言わざるを得ないんですよ。専門懇の意見書を全部ざっと目を通しましても、これは小野参考人に伺いますけれども、まず第一に、この経営形態の問題、当事者能力がない、全部がないとは先ほども認めなかったですけれども。したがって争議権を与えられない、こういう論調で一部の経営形態の問題が論ぜられているわけですよ。
 それから第二部の方では、何かというと、具体的な提言の方ではもう規制処置ばかりですよ。刑事罰とか、あるいは賠償の問題であるとか、あるいはまた賃金カットの問題であるとか、いろんなそういう抑制措置ばかりが具体的な提言として出ている。これではまさしく、労使協調をやろうと、どんな問題から考えても、これは相当ほど遠い方向に動いているのではないか。この専門懇の意見が争議権を与えない。組合を敵視して強制していくという、あるいは抑制していくという、こういう専門懇の一貫した流れではないかと、私はこの専門懇の意見を見るわけでありますけれども、どう考えますか。
○参考人(小野吉郎君) 私はそのようには考えません。これは第三次公務員制度審議会の答申の線を受けまして、それの延長線上で、前途の展望的な立場に立って審議をし、まとめたものでございまして、その中にはいろいろ御異論もございましょう。また御不満の点もあろうかと思いますけれども、全面的にストライキ権は与えるべきでないというような結論はどこにもございません。どうしたら与えられるかと、こういうことによりまして一定の状態、条件を指示してあるわけでございまして、私は、そういう意味合いから申しますと、決して後退しておるものとは考えておりません。
○三木忠雄君 これを読むと、ストライキ権を与えるような示唆したことばは一つもないですね。具体的に、じゃどういう方向に、ストライキ権を与える方向に一歩踏み出した、前向きの発言どこにありますか。具体的に指摘をしてください。
○参考人(小野吉郎君) その中には経営形態の検討をも含め、当事者能力の強化を図り得る場合におきましては、これは自動的にストライキ権が与えられるんだと、こういうことを示しております。そういうものについてどういう条件、どういう状態のもとでもストライキ権を与えるべきでないと、こういう論調には毛頭なっておりません。
○三木忠雄君 先ほどからの議論を私も聞いておりましたから重複は避けますけれども、今回の、二年にわたったこのスト権問題の検討で、労働基本権を尊重するという方向から検討を始めたわけでしょう、そうじゃなかったですか、スタートは。そして、どういうふうにして与えていけば――どういう問題が国民に不利益になるか、あるいは国民の調和とまずい点が出てくるか、こういう点の論議が焦点じゃなかったんですか。スト権を与える方向をいろいろ論議して、どこに障害があるか、どこに問題点があるかということを議論をして、懇談会の意見として出すのが本来の筋じゃなかったのかと私は考えるんですけれども、どうですか。
○参考人(小野吉郎君) まさに御論旨のとおりのような立場に立脚をし、そのような点であらゆる問題を審議いたしまして、将来の方向を示唆したものがこの意見書だと私は思います。
○三木忠雄君 そういう基本点に立っているというけれども、実際に出てきた懇談会の意見書というものは、そういう方向に決して流れていない、あなたの考えている方向に流れていない。それ以前の、もとに返ってしまったと、こう言わざるを得ないわけですよ。この点については、私の意見に対して富塚参考人、いかが考えますか。
○参考人(富塚三夫君) 全く三木先生のおっしゃるとおりであります。公制審答申の筋道は尊重されていないし、三公社労使が一生懸命に労使の関係を改善することに努力していることを、どう解決しようかということを全く示唆していない。労働問題を治安問題として考えられるなら、もうわれわれは言うに及ばない。労働組合を解散させて、労働者を殺すようなことの形でこの問題を解決しようとするなら、私は何も言うに及ばないというふうに考えています。先生のおっしゃるとおりです。
○三木忠雄君 もう一つ小野参考人に伺いますが、この意見書では、経営形態と財政民主主義の見地から、経営者の当事者能力が制約されるものとしてスト権の付与は認められないと、こういうふうに言っているわけですね。この当事者能力が十分でない、スト権を付与した場合にどの点が公共の利益に反していくのだろうか、こういう点が私は非常に問題点だと思うんですね。スト権を与えたときに、どういう点が公共の福祉に反するのか、この問題点については、専門懇の座長としてどう考えますか。
○参考人(小野吉郎君) 第三次公務員制度審議会の答申の中にも、経営形態の検討をも含め、当事者能力の強化を図って本問題についての検討をすべきだと、こういうように記載されてあります。そのとおりの線に沿って検討をいたしました結果が、やはり問題は当事者能力の強化には、ただ、いまの形態のままで財政民主主義の原則をかぶりますといろんな制約があります。ここには、当事者能力の強化にも非常な限界もございますので、その限界をできるだけ広げ、当事者能力を強化できる方向に持っていくためには経営形態にも触れざるを得ない、そういうような状況で、経営形態の変更を検討し得るものについてはスト権を与えられ得るわけでございます。
 そうでないものにつきましても、これはいまの三公社五現業等の事業が歴史的、沿革的には国有、国営で成っておりますけれども、果たしてそれはそういったナショナルミニマム、こういった近代的な国家行政の中において絶対に国有でなきゃならないか、国営でなきゃならないか、そういうことを検討をされてすべてがいまの形態になっておるわけではございません。そういうような状況から、現時点における新しい角度においてそれはもう一度、どこまでも国有、国営でやらなきゃならないものかどうなのか、これを検討すべきだと、そういうことによっておのずと解決の道が開けるんではないかと、こういうことを記載してあるものでございます。
○三木忠雄君 ちょっと問題点がずれているんですけれども、国営か民営かという問題、これは先ほどから瀬谷委員からもいろいろ議論をされておりました。私は、いまの実態で国有鉄道を民営にしろと言ったって不可能だと思うんですね。ますます混乱が起こるだけだと思うんです。したがって、現時点てこの国有鉄道――私は運輸委員会ですから、国鉄にスト権を与えた場合にどういう点が公共の福祉に反するかということを、座長としてどう考えているかということを聞きたいんです。
○参考人(小野吉郎君) いまの形態で、いわゆる国有事業としてどこまでも検討の結果は残さなきゃならないと、こういうことになりますと、これはやはり国が、場合によりましては一般租税をもつぎ込んで国民のためにサービスを欠かさない、ナショナルミニマムを確保しなきゃならない事業体であろうと思います。そういう事業体で残ると思います。そういう場合には、やはり労働条件の向上については十分な配意が他面必要でありますけれども、にわかにスト権を与えることについては非常に慎重でなければならないと、こういうことを申しておるわけでございます。
○三木忠雄君 いわゆるいまの言葉が、あなたの底流に、スト権を与えるべきでないという論争の中から始まったこの懇談会の意見と私は考えるわけですね。
 富塚参考人に伺いますが、国鉄に、条件つきにしろ、いずれにしろ、スト権を与えた場合に、果たしてどういうふうな問題で公共の福祉に反すると考えますか。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、国有鉄道の労働者としてみますと、労働争議、紛争の問題で直接国民に迷惑のかからないという方法は何があるかといろいろ考えてみました。ストライキ権が奪われているから、それでは国有鉄道の部内法規による順法闘争ということを考えてみようと、これは労働者のいわゆる合法的な枠内のぎりぎりの抵抗線なんです。しかし、この順法闘争でもかなりの批判を受けているわけであります。そうすると、一体どういうことがあるのかということになれば、国民はおのずから、われわれの置かれている立場を許容する限界ですね、これが全く国有鉄道の労働者は、公共の福祉という立場から一切何もしちゃいけないんだということでは労働者は納得できません。生存権、生活権の確立のために団交重視でやっても、もし解決しないときは一定のストライキに訴える、抵抗手段に訴える、そのことまで取られてしまって公共の福祉の調和に位置づけられるのでは、労働者は納得できないということなんであります。その点が全く明確にされていない点について非常に不満に思っています。
○三木忠雄君 これは、もう一つ重ねてお伺いしたいんですけれども、国民の素朴な感じとして、先ほど岡本委員からも一部意見がありましたけれども、まあ条件づきにしろスト権を与えたならば、どういうふうなことをやるのかわからないと、これはやはり国民の素朴な疑問だと思うんですね。労働組合の人たちがそんな変な、スト権ばかりを片手に振りかざしていろんなストをやるというようなことは毛頭ないと思うんです。しかし、国民の素朴な感じ、いままでのストというものに対する国民の感情というもの、これを考えたときに、スト権が与えられた場合にはどういうふうに労働組合は対処するんだろうかと、こういう問題がやはり素朴な意見としてあると思うんですね。ここはやはり私は明確にすべきではないかと、こう思うんですけれどもね。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは今度の闘いの反省の中から、自主的に国民世論の動向に注視をして中断、収拾をしました。いま先生がおっしゃるようなことについて、国民の皆さん方はどこまでわれわれのいわゆる生存権、生活権を守る闘いについて許容してくれるのかということについて大胆に問いただしてみたいと思うんです。
 したがって、先ほども申し上げましたように、どのようにスト権回復後の状態があることが理想的なのかと、それは労働大臣が言うように、一切ストライキをやるのはまかりならぬと、話し合いだけなんだと、政府は逃げっ放しなんです。当局は逃げっ放しなんです。それで対等に労使が、憲法に保障されている、あるいは労組法に保障されている対等の原則を守られないままに、おまえら弱いのはやむを得ないという立場だけでは納得することができません。
 したがいまして、いつでも政府が、あるいは国会の場において、公労協としては、スト権回復後はどういう形にするのかということを聞いていただけるならば、私どもは統一的な考え方、見解を国民の前に明らかにする用意は十分持っています。ただ、けしからぬという不信感だけでこの問題がいつまでも解決しようとしない今日の政治に、私どもは非常に不満を持っています。
○三木忠雄君 労働大臣、どうですか、いまの意見に対して、どうお考えになりますか。
○国務大臣(長谷川峻君) それぞれの立場から、それぞれの議論が出るわけでありますが、これは、私は先ほどから申し上げたように、何といたしましても健全な労使関係を樹立することがまさに大事であって、そういう場合にはコンセンサスを執拗に、粘り強く感じてやっていかなければいかぬというふうに感じつつ、政府がいまから先、基本方針に基づいて総理初め早急にやるということでございますから、私の方も一生懸命やる、その間ぐらいは、私は先日以来、組合の諸君が懸命にやっていることも見ております。ストライキの間、私は毎朝のように、朝の姿でいろいろな地下鉄、いろいろな私鉄、そんなところをずっと見て回りました。
 また、いよいよあすからやめるというときは、労使ともどもに、いままで八日間もやったことでもあるから、労使ともどもにビラもはぐ、あるいは、あんなふらちな、横っ腹に書くようなものも削るというような話もありましたから、その話を信用しながら、次の朝ずっと国電やら私鉄に乗って歩きました。そうした一つの反省もあるようであります。また、国民全体も三公五現の姿をこの際によく見ておったと思うのです。その中に迷惑論もあるでしょう、あるいはまた、雇用の問題もあるでしょう、物価の問題から考えた人もあるでしょう。こういう全体の中に私は御行動願わなければいけないのじゃないかと、それを私たちも熱心にやっていく、これ以外に私はいまのところお答えする用意はございません。
○三木忠雄君 これは、政府側の意見として海部副長官、政府声明の基本項目の五項目に「早急に結論をまとめ」と、こうなっていますね。いずれにしたって二、三年、あるいは立法化を考えれば五、六年かかると思うんですよ。いま富塚参考人は、いつでも組合側は提示する用意があると、こう言っているわけです、今後のスケジュールについてですね。
 したがって、政府側もこの問題についてどういうふうに取り組むかというプロセス、あるいは、具体的な問題を明確に把握して組合との話し合いをすべきじゃないか。結論的にこのままいったならば、後また国民がストで迷惑を受けるとか、あるいはまた、政労間のますますのひび割れが出てくると、こういう問題になりかねないのじゃないかと思うんですね。こういう点について、具体的にどういうふうにこの問題を、いま富塚参考人の意見をかりれば、提示する用意があると言っているわけでしょう。政府側が、政治的になかなかできないというところに問題があると言っているわけです。
 これは、いろいろ立場があるという労働大臣のいまの発言もあるけれども、もっと政府が誠意を示して、やはり体当たりでこの問題はぶつかっていくべきではないかと私は思うんですけれども、ただ、基本声明を出したからもうこれで当分ほったらかしだと、また二、三年たってから結論を急いで、こうだという形でこの問題に終始するのであれば、ますます労働組合の無視された怒りというものは――今回のストの収拾の段階を見たら、非常に労働組合のこの収拾の仕方というのはみごとだったと私は思うんですよ。そういう点を考えると、やはり政府がもっと誠意を持って、この基本原則をどう周知徹底させていくかということですね、具体的にどう解決していくか、どう組合と話し合っていくか、こういう問題についての考え方を承っておきたいと思う。
○政府委員(海部俊樹君) 政府の基本方針は、先ほども申し上げましたように、健全な労使関係の確立を期したいということでありまして、そこにこの五項目があるわけです。ですから、法を守っていただくという大前提をお認め願うということ。それから、いろいろな項目が上げてありますが、最後に、「できるだけ早急に結論をまとめ」「法案の国会提出を行う」というのが基本方針でありまして、これはまた、おっしゃるように、いつまでもほっておこうとか、引き延ばそうという考えは毛頭ございません。これはできるだけ早急にそういった用意をして、国会の審議の場で御議論をいただきたい。国会の審議の場で御議論を積み重ねていただくわけでありますから、どうぞその間は法を守って、国民の皆さんに御迷惑のかかるようなストはやめておっていただきたいということをお願いしておるわけでございます。
○三木忠雄君 国会の場で議論すること、当然であります。しかし、いままだ漠然としているわけですよね。ただ基本声明が出た。これまた、来春闘でいろいろこの問題が議論に出てくるだろうと思うんです。これがことしじゅうに、あるいは、来春闘までにある程度のめどがつくのかどうかですね。恐らくこれはなかなかむずかしい問題があると思う。あるいは、どういう形でこの基本声明を、政府声明を具体的な実行に移していこうとするのか。まあ懇談会をつくるだとか、あるいはどういう形をとっていくのか、これはわれわれ全然わからぬわけですね。政府は早急に、速やかに結論を出すと言うけれども、どういう結論の過程を通るのかということが私たちは非常に疑問な問題だと思うんですね。この点についての、まあ総理がおれば一番早いんでしょうけれども、官房副長官が述べれる範囲のことを言ってもらいたいと思う。
○政府委員(海部俊樹君) これは、総理大臣も先ごろの国会答弁で申し上げておりましたように、あるいは二年とか、三年とか明示したらどうかというような意見を述べた方もございましたけれども、期限を区切ることによって、かえってそこに焦点が移っても何であるから、期限は区切らないけれども、ぐずぐずしないんである、逃げないんだ、取り組んできちんと方向づけをしていこうと思っておるということを申し上げておりますし、それから、今後具体的にどうしていくかということは、ただいまあの閣僚協議会が残っておりますから、その閣僚協議会で議論をしていただき、必要に応じて、その閣僚協議会があるいは改組されることはあるかもしれませんけれども、そこの場を通じて、当面はこの基本方針をどう生かしていくかという政府の考えをまとめていく、こういうことになっております。
○三木忠雄君 時間がないので、もう一問だけ副長官に伺いますが、国鉄総裁に本当の意見を言わせれば条件つき付与論、これはもう予算委員会でも言っているわけですね。いろいろ言いたいことはあると思うのです。政府はがんじがらめに総裁を縛っているわけですから。総裁は言いたいことをここで思い切って言った方が本当はいいと思うんですけれども、なかなか言えない立場に置かれてしまっているわけですよ。まあ、かわいそうな国鉄総裁だと私は思うんです。
 雇われるときだけ一生懸命お願いしますと頼まれて、言いたいことも言えない国鉄総裁の立場というものを察することは余りあるんですけれども、もう少しやはり、国鉄総裁がこの条件つき付与論を現場の責任者として、長年の経験の上から編み出していることを、政府も考えなければいけないと思うんですよ。まあ総理の発言で、いろんな言い逃れの答弁をしておりますけれども、やはり国鉄の再建ということを総裁は真剣になって考えているわけですよ。そうなれば、どうしなければならないか。やはり労使の協調というものを、あるいは近代化というものを真剣になって考えなきゃならない。その上に立って国鉄総裁のあの予算委員会の言明があるわけですね。こういう問題をもっと閣僚協なり、あるいは総理なりはしんしゃくし、本当に理解をし、そして、この意向というものを組み入れていかなきゃならないのではないかと思うんですね。この点についての考え方を伺って、私の質問を終わりたいと思うんです。
○政府委員(海部俊樹君) 横においでになりますので何ですが、政府は国鉄総裁を縛ったり、いろいろしたりしたことはございませんし、また、われわれから考えますと、率直なことを総裁はおっしゃったと、こう思います。予算委員会における国鉄総裁の意見というものは、やっぱり現場の直接の責任者という立場から申されたことであって、これは公の場の発言であり、総理大臣もその意見は十分参考にすると、こういうことを明確に申し上げておるわけでありますし、閣僚協議会の所属メンバーの人も、全閣僚があの予算委員会で総裁の言われた発言は聞いておるわけであります。で、総理はこの間も、総裁の意見を理解しますが、ただ、国鉄の現場の責任者としての総裁の立場と、総理大臣の立場がおのずから違いがあるので、そこの兼ね合いといいますか、どうするかということは、物事を決めるときの重要な参考意見にさせていただくと、こういう見解を表明しておりましたので、率直に申し上げておきます。
○岩間正男君 まず最初に、われわれ共産党は、公労協労働者のスト権は、憲法に保障された基本的権利であり、全面的にこれを付与すべきものである、こういう考えに立っております。
 ところで、国鉄総裁は、立場は違いますけれども、いままでの国会答弁で、いわゆるスト権を付与することはむしろ好ましいと同時、に現実的である、条件づきではありますが、こう述べておられるわけであります。
 そこで私は、木村運輸大臣にお伺いしたい。これは、国鉄総裁の言葉は、国鉄の運営に直接責任を負う当事者として、当然これは尊重されるべきものであると思います。海部副長官もいまそのことを述べた。運輸大臣はこのことに、スト権付与は現実的な解決の方策だというように考えたことについて、あなたは運輸行政の責任者としてどうお考えになりますか。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄のような、非常に国民生活に大きな影響を持っております事業について、スト権を認めるかどうかということは、将来の日本の問題として大変大きな問題だと私は考えております。それだからこそ、いままで二十年以上にわたりましてこの問題が議論されながら、この段階でさらに政府といたしましては、基本的な方針を出したその上にのっとってこの問題の検討をし、結論を出そうという態度をとっておるわけでございます。
 で、国鉄総裁が、条件つきでスト権を与えることが、現実問題としては国鉄の内部の労使のよき慣行を立てる上においても非常に必要であるという発言をされたことは、確かに重要な発言であるというふうに受けとめておるわけでございます。しかし私は、先ほど前提として申し上げましたようないろんな観点から、この問題は、政府としては政治的に判断をし、日本の将来を思って結論を出すべき問題でございますので、それだけをそのまま、すぐきょう尊重して、そういたしますという問題にしては少し重大過ぎる。十分総裁の意見も参考にしながら、全体的な視野に立って、結論を出していきたい、かように思っております。
○岩間正男君 参考にはするけれども、これに対して、実現のためには何ら閣議でも努力されなかったわけですね。むしろ国鉄総裁のこのような発言については、これはもう抑えるというような立場になられたんですか。それとも、これに対して閣議の中で、この現実を担っているそのような責任者の言葉、これは非常に重要な意味を持つものですが、それに対して一体どういう態度をとったのか。これが今日、このような専門懇の意見に従う政府の基本方針が出された、そういう中で非常にやはり問題だと思う。運輸行政の責任者として私は聞いているんです。運輸行政そのものを本当に健全に発展させる、そういう立場に立つなら、いまのような答弁では話にならぬと思う。もう一度、これに対するあなたのこれまでとってきた態度についてお話を願いたい。
○国務大臣(木村睦男君) 運輸行政の責任者でありますだけに、非常にこの問題を重要に考えて、いま御答弁申し上げたような考え方で進んでおるわけでございます。
 なお、この問題につきましては、国鉄総裁があのような意見を吐かれる以前から、政府としては専門懇、その他の機関の意見もいろいろ検討してもらって、その意見を求めておったような状況でございます。それらも踏まえて、運輸行政の責任者として、この問題について今後この方針に基づいて結論を出すことになりますが、その結論を出す過程におきましては運輸大臣の責任を十分自覚して、閣僚の一人として今後対処していきたいと思っております。
○岩間正男君 あのようなストが起こったんですから、このストをどうこれは処理するかという当面の責任者、運輸行政の立場から言えば、あなたもその責任を持っておったと思う。ところが、今度の出された政府の基本方針では、現実問題は全く片がつくどころか、かえってこれは悪化をする。これは先ほどから富塚参考人を初め、具体的に述べられているところです。スト−処分−ストの悪循環は、これはとまるどころか、これを断ち切ることはできない。かえってこれを助長するような結果になる。これは、全くこの責任というのは、これに対処した政府の責任、さらにこの専門懇の意見書、そういうものにあると思うんです。この点は、どうお考えになりますか。
○国務大臣(木村睦男君) 今回、政府としてこの方針を決め、できるだけ早い機会に結論を出しますというお約束をしておるわけでございまして、他の機会でもよく誤解を受けるわけでございますが、いかにも政府は――スト権を与えるべきである、与えるべきでない、与えるべきではあるが条件を付して与えるべきであるという、大体三様の意見がいろいろ出ておるわけでございますが、どうも政府はこういうふうな方針を決めて、スト権は与えるべきでないということは、もうこれで決めてしまった、条件づきストもどうも与えるべきでないと決まって、後はスト権を与えるべきでないというふうにもう一方的に思い込んで、これによって結論を出そうとしておるがごとき誤解のもとにいろいろ御質問を受ける場合がありますけれども、この三つの問題をあわせてこれから検討をして、そのいずれをとるか、どうするかという結論を出すんでございますから、その辺はひとつ誤解のないようにお願いをしたいと思います。いずれも、いままで出ましたいろんな意見を参考にし、なお尊重して結論を出していきたい、こういうふうに考えております。
○岩間正男君 それは、政府の基本方針では問題解決には役に立たない。かえってこれは情勢を悪化させるかもしれない。こういう問題について指摘をしたのであります。
 そこで、今後これについて検討をする、そうして法案の改正、その他の問題をやると、こういうような話でありますが、時間の関係から、私は当面する二つの問題を運輸大臣に先にお聞きをしたい。
 昨日の衆議院の運輸委員会で、わが党の梅田議員の質問に対して木村運輸大臣は、刑事罰の問題についてこう答弁されている。「刑事罰をつけるかつけないかという問題も非常に大きな問題で、議論を呼ぶ問題だと思いますが、こういう問題も、これは検討の中ではいろいろな角度からいろいろな問題を残すことなく検討していかなければなりませんから、いろいろな問題の中にはやはりそういう問題も当然検討の中には入ると私は思います」、「そういう問題」というのは、言うまでもなく刑事罰の問題です。これは速記で調べたものでありますから、いまのような答弁をされたことは間違いございませんか。
○国務大臣(木村睦男君) そのとおり答弁をいたしております。
○岩間正男君 この答弁には、いまでも変わりございませんか。
○国務大臣(木村睦男君) いまも変わりはございません。
 申し上げますのは、これからいろんな問題を検討する場合に、幅広くあらゆる問題を検討の中身に入れて検討するわけでございます。ただ、私はそのときにも申し上げたんですが、そう言うとすぐ、じゃあおまえは刑事罰をつけることに賛成だなというふうな即断をされるおそれがありますから、そういう意味で申し上げておるのではございませんということを、注釈をつけて御答弁を申し上げておる次第でございます。
○岩間正男君 確認しておきます。あなたは、とにかく刑事罰については検討すると言われたことは確かな間違いない事実。速記がはっきりこれは物語っているし、あなたもそれを追認されたわけだ。
 ところで、十二月五日の衆議院社会労働委員会で、石母田議員の質問に答えて、三木総理はこう言っている。私は労使関係、労働問題を刑事罰の強化で解決しようという論者ではない、はっきりこう言っています。これは御存じだろうと思う。刑事罰を付することについては、はっきり否定しているんです。こうなると、ただいまの運輸大臣の発言と総理の発言は、明らかにこれは矛盾をする。これでは内閣不統一じゃないですか。総理大臣のこの言葉を否定するような形で、刑事罰を検討するんだという発言は、非常に私は三木内閣の姿勢が問われている重大問題だと思っている。この点について、はっきりこれは答弁してほしいのであります。
○国務大臣(木村睦男君) 私の申し上げておりますことを少し論理的にトレースしていただければおわかり願えると思いますが、私の言っておりますことは、刑事罰でもってこの問題が解決するとは考えていないという考えとは何ら矛盾するところではございません。
○岩間正男君 矛盾しないと言ったって、あなた、明らかに言葉そのものが語っているんですよ。はっきり、そうでしょう。これを含めて検討します。「やはりそういう問題も当然検討の中には入ると私は思います」と、こう言ってあなたの、これは刑事罰の問題について検討する態度について、運輸大臣として明らかにしている。明らかに違うじゃないですか。食い違いがある。これは日本語がわかったらだれだってわかることです。この不統一の一体何を、どういうふうに言うんですか。それともあなたは、前言を取り消しますか。三木総理の言った、刑事罰を私は検討しない、刑事罰の強化で解決しようということは考えていない、そういう論者でもない、こうはっきり言っているんですから、態度をこれは声明されているわけでありますから、これについて、当然あなたの発言は抵触をするわけでありますから、あなたはあくまでこれがんばるとすれば、総理の発言、これはおかしいことになる。しかし、あなたは三木内閣の閣僚です。当然これは取り消しますか、どうなんですか。
○国務大臣(木村睦男君) 先ほど申し上げましたように、総理の発言と一向に抵触する問題ではございません。私はそういう問題も検討するということ、研究するということでございますので、これは研究するのにはいろんな問題を含めて研究して、そして、とるべきものはとる、捨てるべきものは捨てるというのが検討でございますから、一向に矛盾もしませんし、反するわけでもございません。
○岩間正男君 私は承服することできません。刑事罰をかけるべきじゃない、私はこれで解決しようとする論者でない、だから、刑事罰を適用するということは考えていない、そう言うのに、閣僚がこれを検討すると、こういうことになりますというと、明らかにこれは閣内不統一だ。私は、こういう点で、運輸大臣がこの言葉を取り消すか、そういうことでなければ議事は進行しないと思うのですが、委員長、どうですか、明らかにしてください。速記がもう明確にこれを示している。それに対していまのような、研究するんだから差し支えない――研究する必要ないじゃないですか。はっきり総理は態度を明確にしているのに対して、閣僚がその意に反してこれを検討するんですか。そういうことは許されますか。同じ内閣の意思として許されますか。委員長、この問題明らかにしてほしい。当委員会の責任でもある。これが明らかにならないで一体議事やったって、あいまいな言葉を残したってだめだ。取り消しなさい。
○国務大臣(木村睦男君) たびたび繰り返すようでございますけれども、私は刑事罰を採用して、労使問題が解決するために検討するとは申しておるわけではございません。検討というものは、とるべきものもとってはならない、結論的にとってはならないものもあるでしょう、問題がいろいろ。そういう問題を全部余すところなく対象にして検討するのが、私は検討すべき者の当然やることだと思って申し上げておるわけでございます。
○岩間正男君 検討して、やるとなったらどうなる。そういうものを、余地を残しておくということはできません。そんなでたらめな答弁で、あなた国会を瞞着しちゃだめですよ。重大な問題なんです、これは。一つの根幹を決める問題です。何を言うんですか。そんな言葉でまかり通るというのか、国会は。委員長、これは少なくとも理事会でいま問題にしてください。(「進行、進行」と呼ぶ者あり)何を言っているか。
○委員長(宮崎正義君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(宮崎正義君) 速記を起こして。
○岩間正男君 集中審議時間で、あとの時間という関係でこれは言われているんですが、実はまあそういう問題がありますけれども、こういう問題については、これは本当に明らかにしなくちゃならないんです。まあ、後で理事会でこれは当然明らかにする。で、統一見解をこれは出してほしい。明らかにこれは不統一。
 ついでに、この問題についてどうだか、長谷川労働大臣どう思うんです、あなたは刑事罰の問題について検討しますか。
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、専門懇の意見を尊重しながら、具体的な内容を検討するわけではございますが、刑事罰という名前、ここに固有名詞が出ましたが、そういうものがこの中にどういうふうに出てくるものか、私もまだわかりません、将来の問題でございますから。そういうことで御容赦を願います。
○岩間正男君 今度の専門懇の中で、一番これは焦点になる問題ですよね。労働組合に対して、刑事罰免責のこの規定が適用されているのが現状だと、これを一般の刑法や、それから事業法等の規定に照らして、刑事的な訴追を実行すべきであるというふうに、これは挑発しているんですね。「労働組合の団体交渉権の一時的停止および法人格の否認」、まさにこれは治安対策で、こういう発想のもとになされているんです。これと対決をしているんでね。こんなことで一体いいですか。いまのような答弁では、これは、はなはだ三木総理の発言とも抵触しますよ。ついでに海部官房副長官、どうです。まあいいか、同じですか、どうですか。
 それではもう一つ、これもやっぱりお聞きしたいんですね。まあ、いま違法だ、違憲だということは論議されていまするが、要するに、スト権の問題の本質的な問題は、やっぱり憲法問題であると私は思うんです。
 そこで、運輸大臣にお聞きしますが、現行憲法はアメリカから押しつけられたものと思っていられますか、どうですか。
○国務大臣(木村睦男君) 憲法論は、私の得意ではございませんが、いまの憲法が制定されたいきさつは、岩間先生同様にあの経過を存じておるわけでございます。
○岩間正男君 いや、これはどうですか。押しつけられたと思っておられますかな。
○国務大臣(木村睦男君) もちろん占領中にできた憲法でございますから、手続としてはちゃんとした手続を経て成立したのでございますが、占領中でございますので、占領軍からいろんな示唆があったことは事実でございます。
○岩間正男君 しかし、これは日本国民の、しかも、国会でこれは制定したものですね。
 ところが、あなたはきのうの発言の中で「公労法は占領中の法律でございますから、もちろん占領軍のいろいろな指示があって、最終的には国会で決まった法律でございますが、占領軍の指示があったから違法だとおっしゃれば皆さんが尊重するとおっしゃっておられるいまの憲法も同じでございますので、それは同じ議論になると思います」、こういうふうに答弁されております。違いがありませんね、いかがですか。
○国務大臣(木村睦男君) そのとおり言いました。
○岩間正男君 私は、この問題のやっぱり根幹はここにあると思うんですね。これは法律と憲法を同列においている重大な発言です。そうでしょう。憲法は国の最高法規であるということをあなたは認めるんですか、認めないんですか。
○国務大臣(木村睦男君) もちろん憲法は最高法規でございます。
○岩間正男君 そして、これを尊重しますか。
○国務大臣(木村睦男君) 尊重いたします。
○岩間正男君 これを認めて尊重するのなら、占領中憲法に違反して制定された公労法、これは明らかに憲法違反の法律ですよ。どうですか。いま尊重しますとおっしゃったその舌の根の乾かないのに、こういう発言をあなたはされているわけですけれども、これはどうなんです。
○国務大臣(木村睦男君) 私は、現在の公労法は憲法に違反しておりませんので、そう申しております。
○岩間正男君 どうして憲法に違反していないんです。明らかに憲法に違反しているじゃないですか。憲法二十八条、ちょっと読み上げてください、念のために。どういう一体、何が載っているんですか。そして公労法十七条、両方読み上げてください。矛盾しないと言うのか。これは小児でもわかる問題でしょう。これ、明らかにしてください。
○国務大臣(木村睦男君) 私が矛盾しないと申し上げておりますのは、労働基本権であります争議権につきましても、こういったものが公共の福祉との調和において認められるのであって、絶対不可侵の問題ではないという前提で申し上げておるわけでございます。
○岩間正男君 いまの発言は重大です。基本的に労働者に当然これは与えられた、何者も侵すことのできない基本的権利の一つなんです、労働者の。労働三権はそうでしょう。団結権、団体交渉権、争議権、この三者は明らかに憲法の規定するところの、何者も侵すことのできないこれは権利ですよ。これによって公労法は、これは相反するんですよ。十七条どうですか。このスト権を禁止しているんじゃないですか。これが抵触しないと言うんですか。もう一回承りたい。
○国務大臣(木村睦男君) 同時に、憲法において公共の福祉による制約は認めておりますので、反していないと申し上げておるわけでございます。
○岩間正男君 それは全くの詭弁ですね。公共の福祉の問題は、いろいろそれは調整をすればいい。基本権を先に認めている。当然のこれは基本権。これについて、公共の福祉というそういう問題を口実にして、そうしてこれを付与するという基本的なこの権利を奪っておるというのが、現在のこれはあり方じゃないですか。今日の一切のこのストの問題の根源はここにあったんじゃないか、この点は明確にされていないし、あなたは憲法を本当に尊重していないんです。口では憲法尊重を言いながら、実際は憲法を尊重してない。してないから、こういうような全く憲法に違反した公労法を認めるというような、そういうことを言っておる。しかも、むしろ憲法に優先して公労法を認めるような態度をとっているのがいまの運輸大臣の姿であり、政府の姿ではないですか。どうですか。重大問題です。まさにこの問題が解明されなければ、今日のスト権の問題というのは全く明らかにされない。この点からすべてを、この根源にはっきり戻って私はこの問題は明らかにしなければ、日本の労働者階級の、さらに国民の民主的権利は守られない、こういう観点からこれは質問しているんです。答弁願います。
○委員長(宮崎正義君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(宮崎正義君) 速記を起こして。
○和田春生君 きょうのこれまで行われてまいりました質疑応答は、それなりにいろいろな点で問題点を摘出いたしておりますし、大変有意義な面もあったと思うんです。しかし、この問題をどう解決するかという論点から考えてみると、余り有益な進行方法ではなかったように感じます。
 そこで、私たちの立場からは、政府を追及をするという形ばかりで進んでいきますと二年たつ、三年たつということを言っておるわけですけれども、出てくるまでは問題の解決というものがめどが立たない。そうではなくて、国会の中で、政府ももちろん案を出すが、各党もそれぞれ提案を持ち寄って、お互いに討論をし、問題の答えを出していくということが望ましいと考えているわけです。しかしきょうは、予定された議事日程と進め方から見まして、そういう形で審議をする状況にはございませんので、最初に私の考え方を一通り申し上げて、その理解の上に立って後から行う質問にお答えを願いたいと思うんです。
 実は、先ほどからの議論をお聞きし、また、これまでのやりとりを聞いておって、私は、どうも問題の本質からずれているように思うんです。たとえば、スト権ということが言われておりますが、スト権の実体はストライキそのものです。スト権をよこせと言って公労法に違反をした形でストライキが行われているわけなんですから、言ってみれば、比喩はしばしば誤解を生みますけれども、食堂で飯をぱくつきながら、飯食う権利をよこせと言っているのと同じなんです。
 一方、政府や当局の方は、いわば公労法違反のストライキを打たれているわけですから、無法のストを受けているので、無銭飲食をされている。八日間飯を食われて、飯を食う権利を与えるか与えないかと言って議論をしている。全く私はナンセンスなことだと思うんです。公務に直接従事をする職員の場合には、その職務執行のために公権力が強制力を持つということはあり得るかもわかりませんけれども、国鉄にしろ、郵政にしろ、電電にしろ、三公社五現業はそれぞれ事業体でありますから、事業体の労働者の場合には、スト権があるからストライキが起こるとか、スト権を認めたらストライキがおさまるだろうとか、スト権を認めないことにすればストライキがとめられるだろうとか、そういう議論はおよそ観念的なものだと思います。
 ソ連や中国のようにストライキが認められていない、強制労働も行われているという国におきましても、ときどきストライキが起こっているわけですから、あるいは組織の中にストライキを起こす誘因ないしは動機というものがあればストライキというものは起こり得るわけです。そういうことを考えてみると、スト権を与えるとか与えないとかいうことは、これは議論の中心課題ではないんです。争議が起こり得るということを前提にして、争議を法律の上で認めていくという場合の立法的な条件をどう整備するかということが実は問題の本質である。そこにみんな焦点を合わして議論をすれば、こういう問題はとうの昔に解決をしておりますし、飯を食いながら飯食う権利よこせと言ったり、飯を食われながら、飯を食わせるか食わせないかと議論をしているような、冷静な頭で考えてみれば漫画みたいな状況というのは起こらないわけです。
 したがって、今後の国会審議においては、三公社五現業というような事業官庁の場合に、もちろん経営形態の問題も大切でしょう。しかし、争議が起こり得る、現に起こっている。違法であろうと何であろうと、八日間公労協のスト権ストというものが行われた。先ほども言ったように、ストライキというのは、スト権そのものの実体であるんじゃないですか。そうすれば、いまは公労法で争議が行われないというたてまえになっておりますから、何の歯どめも、何の条件もないんです。一たん違法のストライキが行われることになれば、全くストライキの無法状態が起こるということは皆さんごらんのとおりであります。
 そういうふうに考えれば、争議はあり得るという前提に立って、同じことを繰り返しますけれども、その場合の立法上の条件をどう整えていくかというところが問題の核心である。少なくともそういう点に立って今後の議論を進めていただきたい。また、その点に立って政府並びに当局は真剣に考えてもらいたいし、労働組合の方もそういうことを十分考慮しながら対処をしてもらいたい、私はこういうふうに念願をしているわけです。この問題については大いに反論や異論もあるかもわかりませんが、それはディスカッションを、場をかえた上でやっていきたいと思いますけれども、問題を具体的にとらえていくならば、そういうふうに考えない限り、観念的な議論をしておっても問題を先送りするばかりであって、解決にならない、こういうふうに思います。
 同時に、そういう立場において、いま言われている一般的な呼び方で言いますと、私どもの立場は条件つきでスト権を立法上認めるべし、こういう主張を持っております。そういう主張というものがこれからどう生かされるかは今後の問題ですが、この点から見ますと、観念的なスト権をめぐる抽象的議論よりも、今度行われたストライキの実態がどうであったかということに非常に重要な関心を向けざるを得ません。
 そこで、この点については、まず国鉄総裁にお伺いをしたいんですが、ともかく現行法においては争議は禁止されて、ストライキその他のサボタージュは行ってはいけないことになっているわけです。その公労法並びに国鉄関係の事業法に基づいて業務を執行する立場にある総裁は、あのストライキ中、国鉄の足を確保し業務を遂行する、具体的に言えば、列車を運行するということのためにどういう具体的な措置をおとりになったか、お伺いしたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) 御指摘の、争議中に列車運行を確保するために私は次のような処置を講じました。
 まず、争議に突入する前後にわたりまして、各組合に対しまして、組合責任者に書面をもってしたり、あるいは組合の責任者に直接来てもらって再三、再四、争議行為を直ちに中止するよう強く警告すると同時に、全職員に対しまして、違法の争議行為に参加することのないように訓示をいたしております。闘争対策本部長である副総裁からは、書面により、万一ストに突入した場合の列車運行の確保などにつきまして、各管理局長に対し強くこれを指導いたしております。第三に、これを受けまして各管理局におきましては、管理局長の名前で、関係組合の地方本部に対してスト中止を強く警告すると同時に、現場においてはすべての勤務予定者に対しまして、所定どおり出勤して職務の遂行をするように指示いたしました。
 しかしながら、国労、動労、全動労の諸君は、乗務員その他を中心とした全国的な拠点スト方式をとったために列車運行の確保はきわめて困難な状態となった。たとえ一部の乗務員が確保された場合におきましても、現地管理局におきましては、過去の経験に照らしまして、旅客の安全など、列車運行に必要な諸条件について総合的に判断した結果、運行不能とせざるを得ない多くの列車を出しております。そのために、遺憾ながら北陸線の通勤列車を確保した金沢局など十局の管内しか、わずかの列車も運行できなかったというのが状態でございまして、私どものその力の及ばざるところ、国民に多大の御迷惑をかけたということに強くおわびすると同時に、今後組合員の諸君の良識にも訴えて、こういうことのないように、軽減するように努力いたしたい、かように思います。
○和田春生君 ここでわびていただかなくてもいいんです。私がお伺いしているのは指示をしたとか、要請したとかいうことではなくて、列車の運行を確保するために具体的にどういう措置をおとりになったかということをお聞きしているわけです。
 なぜかと言いますと、ストライキを認められている民間の企業の場合であっても、経営者というものは、何とかして業務を遂行しようとして一生懸命になるわけです。それに対する対抗力として、労働組合がストライキをやるわけです。ところが、私の承知している実情、あるいは多くの人々から聞くところによりますと、今度の国鉄の列車がほとんど全国的に、ごく一部を除いてとまったのは、国労、動労のストライキによってとまったのではなくて、当局が運行を取りやめたから列車がとまっていると、そういう見方が非常に大きく行われているわけです。そういうような批判とか、あるいは見方をされないために、どれだけの具体的な努力をされたかということをお伺いしているんです。
○説明員(加賀谷徳治君) 本社においても闘争対策本部を設け、各地方にもそういったものを設け、毎日の連絡によって徹底していく。地方におきまして、特に現場におきまして、こういう不幸にして違法ストの態勢に入りますと、もう団体交渉とかそういうものじゃなくて、列車を動かすための乗務員の確保といったことに全力を上げるということでございまして、それが一番根本なのでございます。それによってどれだけ列車が、通常のダイヤが確保できるかどうかということをぎりぎりまで判断いたしましてやるわけでございますが、こういう乗務員を直接押さえるという戦術によりまして、特に列車は、御承知のようにドライバーと車掌と両方そろわぬといかぬわけでございますが、そういったものの両方そろわぬというようなケースが多分に出てまいりまして、残念ながら最後までのいろいろ努力をいたしましたが、運転不能に陥る。したがって、列車のダイヤがそれだけ確保できないという事態になって、とまらざるを得ないということになっているわけでございまして、私ども計画的に運行をとめるとか、そういった考えは持っておりません。最後の最後まで努力して運転不能に陥らざるを得なくなった、この点は非常に遺憾でございますが、努力の足らぬ点でございますが、そういうことでやっておるというふうに御認識願いたいと思います。
○和田春生君 国鉄には御承知のように国労、動労、鉄労、全施労、全動労と五つの組合があるわけであります。その中で、今度のスト権ストに入っておったのは国労と動労でありました。全動労は三日間やって四日目からですか、五日目からですか、一応ストライキは中止したはずでありますし、鉄道労働組合は最初からストライキに入っていないわけですから、就労の意思を持っておったわけです。
 そこで、川田さんは全官公の代表として、傘下に国鉄、あるいは郵政、林野、すべてを代表しておられるわけですが、運輸委員会ですから、国鉄についてお伺いしたいと思うんですけれども、就労の意思を持ち、列車を動かそうとしたその鉄労の立場というものが、隣に富塚さんもおって大変あるいはぐあいが悪い質問かもわかりませんが、国労や動労の実力による妨害によって就労の意思が果たせなかったのか、あるいはそれは当局の措置によって果たせなかったのか、そういう点はどうであったかということを、ごく大まかでいいですからお答えを願いたいと思います。
○参考人(川田庄作君) 私ども鉄道労働組合は、全国に七万人の職員がおるわけでありますが、私どもは条件つきでスト権を付与してほしいという前提に立ちながら、しかし、ストライキは違法な行為としてやるべきでない、したがって、全職員は就労せよという指示をいたしました。同時に当局側に対しましても、われわれの手で運転できるものは可能な限り運転をさしたいという立場で、それぞれの局を通じて、地方本部を通じて管理局に要請をいたしてまいりました。そういうことで一応金沢、あるいは新潟、仙台等におきましては、相当数の列車は運転確保ができました。しかし、一部、たとえば大阪等の場合、あるいは大分等、比較的私どもの全体の過半数を制していると考えられている地方本部におきましても、そういった列車の運転について強く要請いたしましたけれども、当局側としては立ち上がりの条件を考えたいとか、あるいは危険が伴うとかいうようなことを条件に、残念でありましたけれども、そういう意味では運転がされませんでした。
 また、実際の妨害行為というような問題につきましては、金沢等におきましてそういった列車の運行中に二十名ぐらいの人たちが、運転をしている機関車乗務員に押し寄せてきてつるし上げるというような行為も一部ございましたけれども、今回の場合はそういうことで列車の運行ができなかったというよりか、現実には運転を休止をせざるを得ないという、当局側の運行がそういうふうになったんではないか、こういうふうに私どもは考えております。
○和田春生君 いまのような説明もあったんですが、それで国鉄当局にお伺いしたいんですけれども、どういう努力をしたかというような質問ではお答えしにくかろうと思いますので、今度の八日間のいわゆるスト権ストによりまして、国鉄の運転を取りやめた列車が、本来ダイヤどおりに動くべき列車に対して何%であったか、そして、賃金カットの対象になる人数は何人か、これは実際ストライキをやった者ですね。それから、その延べ時間並びにカットさるべき予定金額はどうなるか、これを具体的にお聞きしたいと思います。
○説明員(加賀谷徳治君) 今回のストによる影響でございますが、列車の運転不能に陥りました本数は、スト期間中、旅客、貨物合わせまして十八万六千九百九十二本、旅客が十四万三千七十七本、貨物が四万三千九百十五本と、こういうことでございまして、推定ではございますが、その減収額も、旅客、貨物合わせまして三百四十八億ぐらいと推定されるというふうに言えるかと思います。これは何%かと申しますと、九〇%以上のものが運転不能になったというふうに言えるかと思います。
 また、賃金の問題でございますが、国鉄の業務の性質上、国鉄といたしましては伝統的にいつでも列車を動かすという、動かし得る態勢をとるということを伝統的に考えてきておりますので、まずとにかく就労を確保するという考えで対処してきております。したがって、就労を確かめた上で、管理者の管理下に置くという考え方できております。
 で、今回の違法ストの戦術といたしましては、先ほどもちょっと触れましたように、一番、列車を動かす大事な部門の乗務員の交代、まあしかも、これも車掌とドライバーがそろわなければならぬですが、その辺の関係もうまく利用したというようなかっこうでございまして、乗務員全体にいたしますと七万五千おるんですが、一日の出面と申しますか、乗務員が動いている数はその半分ぐらいになるんですが、車掌、ドライバーの勤務個所を交互に抑えていきますと、またその半分ぐらいというようなかっこうになります。そういったような関係もございまして、ただいま御質問の賃金カットと申しますか、そういったようなものの対象は闘争期間中、これはまだ精算はできておりませんけれども、概念的に申し上げますと約十六万というふうに推定されます。この賃金カット額は、まあ平均賃金を掛けてみますと約八億円ぐらいになるというふうに考えております。
○和田春生君 そうしますと、十六万人というのは大変多いようですけれども、これは人日で計算しているわけですね、金額と合わせますと。だから延べ人数である。
○説明員(加賀谷徳治君) はい、延べ人数です。
○和田春生君 そうですね。そういたしますと、八日間ですから、一日二万人そこそこという形になるわけなんです。列車の乗務員が七万五千人おる。私の承知しておるところによりますと、国労と動労の組合員合計が約二十八万人、そのほかに就労の意思を持って働こうとしている職員がたくさんおるわけです。ごく一部の職員の争議戦術がどうあれ、ストという行為によって国鉄列車の九〇%がストップをしたと、そして三百数十億円の赤字を出している。われわれ民間の企業について実態を知り、また多くの争議にタッチしてまいりましたけれども、そういう立場から見ると想像もできない、途方もないことなんですね。
 こういう事態が仮に――国鉄総裁も認めた方がいいとおっしゃっているし、関係組合の立場も、争議を越えてみんなやっぱりスト権は認めろと言っていると、そこで、法的にストライキを認めるような状況になっても、こういう状態というものは正当だと思いますか、続けていくおつもりですか。そうではなくて、やはりストライキの場合にはそれぞれの犠牲と負担においてやる。迷惑をかけるかもしらぬけれども責任はおれたちも持つんだと、当然そうでなければ、幾らでもこれならストライキはできるわけ、もう民間企業でこういうことができるところがあったら、労働組合にとってこんなにありがたい会社はないわけです。やがてその会社はつぶれるだろうと思うんですが、そういうことについて、条件つきにせよスト権を認めるべしという考え方をお示しになった総裁は、どうお考えになっているのか、ちょっとお伺いしたい。
○説明員(藤井松太郎君) お答えいたします。
 先ほども御説明申し上げましたように、国鉄業務の特異性と申しますか、こういう関係で、乗務員と車掌を入れて七万五千だと、この交代の半分で、しかも拠点を半分にしぼって動かすということになると、一カ所のベルトコンベヤーが切れたようなもので、いかにベルトコンベヤーが長くとも動かぬということになる。これ、まことに一般の常識からは判断できない遺憾な事態でございますので、まあこの組合の戦術が何か知りませんけれども、そういう事態が来ますれば、これは良識を持ってお互いに努力して、かような世間的に説明のつかぬような事態は、これは合法的か何か知りませんけれども、漸次防止していかなくちゃいかぬと、かように考えておる次第であります。
○和田春生君 いまの質問、時間が限られておりますから、これ以上お尋ねすることは遠慮いたしたいと思いますけれども、努力目標ではなくて、あなたはスト権を認めた方がいいとおっしゃったんだ。その国鉄の最高責任者として、こういう状態で今後もストライキを大っぴらに法的に認めていくということがいいと考えているのかいないのか、それに対する経営の責任者としてどういう対応策を持っているのかということをお伺いしたわけです。
 きょうはこれ以上お伺いいたしませんが、次回には、しかとお答え願えるように研究をしておいていただきたいと、こういうふうに思います。終わります。
○委員長(宮崎正義君) 参考人の方々に主旨お礼を申し上げたいと思います。
 小野参考人、富塚参考人及び川田参考人には午前、午後、長時間にわたりまして、貴重な御意見を述べていただき、まことにありがとうございました。お述べいただきました御意見は、今後の本委員会の審議の上に十分生かしてまいりたいと存じます。どうもありがとうございました。
 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(宮崎正義君) 速記を起こしてください。
 質疑を続行します。
○三木忠雄君 それでは、運輸大臣を中心に与えられた時間の範囲内で質問したいと思います。
 特に焦点を国鉄再建と、このスト権の問題でどう絡み合うかという問題を中心に質問を進めたいと思います。
 いままでの意見で運輸大臣が、このスト権の問題については与えるか与えないか、あるいは条件づきであるか、今後の検討にゆだねるという、こういう趣旨の発言をしておりますけれども、国鉄総裁の現場の意見として、スト権は条件づきで付与すべきであると、こういうふうに総裁の見解を述べているわけです。運輸行政に携わる、特に国鉄の監督官庁として、運輸大臣の立場として、このスト権問題はどういうふうに処理をされていこうとお考えになっているのか、この点についてお伺いいたします。
○国務大臣(木村睦男君) いままでも機会あるたびにいろいろ申し上げておりますとおりでございまして、この公共企業体等にスト権を与えるかどうかという問題は、非常に将来に大きな影響を持つ問題であるわけでございますので、私もこの問題が提起されましてからいろいろと各方面の意見を聞き、また検討を重ねておるわけでございます。その中におきまして、政府側としましても専門懇のこういうふうな意見の答申も出ておりますし、またそのほか運輸省、あるいは国鉄関係の諮問機関、あるいは協議機関というようなものがいろいろあるわけでございますが、その中でもこういう問題についていろいろ触れておられます。それから、私が現在主宰しております再建問題懇談会でも、先般この問題について委員からのいろんな御意見もちょうだいをいたしております。なおかつ、国鉄の当面の責任者である国鉄総裁は、総裁という立場から御承知のような見解も表明しております。したがって、そういう点を十分私は踏まえまして、国鉄の再建問題も片方においては十分考慮しながら、このスト権問題に対してどう対処すべきかということをさらに検討をしてまいりたいと思います。
 この問題に対して運輸大臣はどう考えるかという御質問でございますが、政府部内におきまして、関係閣僚協議会の中で至急に結論を出すべくこれから検討をするわけでございますので、私も、いま申し上げたようないろんな方面の意見も頭の中に入れながら、閣僚協議会の中で発言をし、意見を申し述べていきたいと考えておりますので、いまここで私が結論めいたことを申し上げるのは適切でないと考えております。
○三木忠雄君 この場では表明できないと私も思います。確かに閣僚協議会の中でいろいろこれから議論を進めなきゃならない問題だと思うんです。しかし、当面のこの国鉄の財政再建ですね、この問題を考えたときに、スト権の問題と私は切り離すことはできないのではないかと、こう考えるのですね。この点については運輸大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(木村睦男君) 私はこういうふうに考えておるわけでございます。国鉄の大変な財政的な危局に際しての再建問題には、もちろん財政上の経済的な再建が非常に大きなウエートを持っておることは言うまでもございませんが、同時にやはり、いま一家が没落しようとしておるときでございますので、一家の者がこぞって一家の再興のために協力をして立ち上がらなければならない。国鉄の場合を例にとりますというと当局者、組合員、全職員を含めて、一諸になって再建に努力していかなければならないと考えておるわけでございます。
 これは、片方において、いまいろいろ問題になっておりますスト権問題をどうするかということも、実際問題としては私はいろんな関係において絡んでおると思います。しかしまた一面、国鉄の再建ということは、労使が一体となり、また経済的にいろんな方途を講じて再建をするわけでございますから、それはそれなりに、それだけの問題として、一生懸命になって、労使一体となって再建に協力をしていただきたい。同時に、それと並行してこのスト権問題も、労使がより一層強力に協力体制ができ得るような方向で、どうしたらいいかということも検討をしていくべきだと思うわけでございまして、それが各所でいろいろ入りまじることは事実でございますが、基本的にはそういうふうな考え方で国鉄の再建はまず第一に再建をしなければ、これができませんというと、スト権があってもなくても国鉄自体がどうなるかわからぬということでございますので、まずこれを第一に念頭に置いて協力をしていただきたい、かような考え方を持っております。
○三木忠雄君 これは国鉄の再建のための提案で、日本国有鉄道諮問委員会から出た資料によりますと、やはりいかに国鉄当局ががんばろうとしても、まあこの言葉をかりれば、それは「労組の「違法スト」によつて遮られるようでは、どんな改革案も無意味に帰する」と、こう断言しているわけですね。したがって、仮にスト権を認めるならばといういろんな条件を加えて、やはり国鉄再建のためには、このスト権の問題は避けて通れない問題だという見解に立っているわけですね。私もそう思うんです。労使の協調なくして国鉄の再建というものは私はできないと思うんですね。この問題をやはり考えないで、いわゆる財政再建を考えようという問題は私は非常にむずかしいのではないかと思うんです。この点について国鉄総裁、もう一言御答弁願いたいと思うんです。
○説明員(藤井松太郎君) 国鉄の再建のためには、御指摘のとおり労使の間を健全化して、協力してやるということでなければ再建はできないというのは御説のとおりでございまして、それが御指摘の問題とどういうふうにかみ合うかというようなことは、これはまた別個の問題として深く検討しなくちゃいかぬと、かように思います。
○三木忠雄君 どうもはっきりしないね。別個の問題に考えられないという諮問委員会の、あんたが諮問したんでしょう、この問題はね、国鉄総裁。こういう問題に対して、やはりスト権の問題は解決していかなきゃならない。
 じゃあ、公労協の富塚さんに伺いますけれども、この財政再建のために全交運が、もし運輸大臣がこのスト権の打解のために動かなかったら再建協力をやらないと、こういう趣旨の申し入れをやっておりますね、この点についてはどう……。
○参考人(富塚三夫君) 先ほども申し上げましたように、私どもは国鉄財政再建という問題が過去五回も挫折をしてきたと、労使関係が荒廃化してきたという幾つかの反省の上に、今度は労使が協力し合うことが必要だと割り切りました。そして、一生懸命に労使関係を健全化する努力もしているつもりであります。そして国鉄総裁も、われわれに条件つきではあるがスト権付与の方向を回答してくれました。われわれはそれを非常に高く評価をして受けとめまして、そうした場合には自動的に自主能力の解決問題を含めて、もちろん運賃法定主義の問題もあるでしょう、運賃値上げの問題もあるでしょう、すべてを包括的にどうするかという観点の議論がなされなければならない。にもかかわらず、スト権の問題は先送りだ、関係がない、しかし運賃法定主義の排除だけ認めろ、運賃値上げだけ認めろ、その他の合理化も認めろという理屈は、社会的にどんなふうに考えても理解されない問題だと思っているんです。
 ですから、運輸大臣がスト権について前向きの姿勢をとらないなら、われわれは何で協力しなければならない理屈が労働者側にあるのかということを運輸大臣にも申し入れをしたんであります。運輸大臣は、ある意味の努力はしたいと言っているんですが、なお釈然としていないんです。私は国鉄の財政再建があるからこそ、労使協力し合って、幾つかの大事な問題を本委員会でも考えるべきだと思うし、自民党の先生方もここのことを抜きにして僕は再建問題はできないんじゃないかということを考えています。
○三木忠雄君 いまの富塚参考人の意見ですね、運輸大臣は申し入れを受けた立場です。私も、やはり国鉄の再建問題に関しては、労使がこういうふうな、言葉は悪いかもしれませんけれども、ひび割れというか、お互いに理解できないような状態で、果たして国鉄再建ができるだろうかという、結論的には国民にしわ寄せの運賃値上げだけが……、後は今まで何回も御破算になった再建計画になってしまうのではないかということを非常に憂うるのですね。何回国会で審議をしても、結論的には国鉄は再建できない、その陰にはやはり労使の具体的な問題が解決されてこないというところに、再建計画が完遂できない問題があるのじゃないかと思うんですね。
 この点について、やはり労働者側の言い分は確かにいろんな問題もあるかもしれません。しかし、これをどう運輸大臣として解決しなければならないか、この問題点ですね、ここをもっとしっかり踏まえていただかなければ、再建計画出してきても、これを審議しても何の意味もないじゃないかと、絵にかいたもちを論議しているんじゃないかと、こういうふうになってくると思うのですけれども、いかがお考えですか。
○国務大臣(木村睦男君) 三木委員の御心配、私も同様に非常に心配をしておるわけでございます。いま富塚さんからもお話がございましたように、先般そういうふうなお話もしたわけでございますが、私は切にお願いしたいことは、本当にお家の一大事でございますので、まず第一におやじも息子も、家族が一体になって家の再興を図ろうではないかということを、まずその気持ちで労使双方が、特に当事者側の方が、国鉄当局の方が十分組合と話をして、協力体制をしいてもらいたいと思います。
 同時に、スト権問題はそれと並行して、十分組合、あるいは総裁の意見、あるいはその他政府側のいろんなこういう委員会や懇談会の意見等も十分踏まえながら並行して検討してまいって、適切な結論を出すことにやぶさかではございません。これは大いに努力をいたしまして、できるだけ早い機会に政府として結論を出したい。ですから、これはこれとして、再建にはぜひ一家こぞって協力していただきたい、その気持ちになってもらいたいことを切に望んでおるわけでございます。
○三木忠雄君 先ほどの意見書から見ましても、やはり法定料金の撤廃問題とか、当事者能力の拡大の問題等を含めて、スト権の付与の問題の方は後退し、法定料金の方だけが前面に出てきた。それが来年の再建計画にそのままの姿が私は出てくるんじゃないかと、これを考えているわけですね。恐らく来年――いま運輸省内でも法定主義の廃止の問題等のことは議論されていると思うんですね。こういう問題が前面に出てき、そうして労働者側の要求するスト権の問題は基本方針に従ってという、まだ二、三年待たされると、あるいは五年待たされるかわからぬ、こういうふうな状態の中で運賃の法定料金だけ改廃していくと、こういうふうな方向になるのではないかと、それで果たして国鉄の再建計画が論議できるだろうかと、こういうふうに考えるんですけれども、運輸大臣の考え方を伺いたい。
○国務大臣(木村睦男君) 経済的な、財政的な再建の方法としていろいろいま考えておりますが、いま三木さんがお話しになったような、適時適切な運賃改定ができるような仕組みも、非常に一つの大きな私は再建のために必要なことであると考えて、いまその準備をやっておるわけでございますが、それがそういう他の問題との関連において御協力をいただけないということになりますと、実は非常にわれわれとしても再建の前途に危惧を感ずるわけでございます。
 したがいまして、国鉄の再建につきましては、財政上のいろんな必要な措置、これらにつきましては国会におきましても十分われわれは御説明もいたし、また御協力も要請するわけでございますので、ひとつこれはこれとして十分な御協力をお願いいたしたいと思いますし、それからスト権の問題は、たびたび申し上げるように、政府としてこのような手順で現在検討を進めておりますので、これをいますぐ結論を出せと、こうおっしゃっても、これはちょっと私は無理な御注文ではないかと思うわけでございます。ですから、この点はひとつ御了解をいただいて、この方も一生懸命やりますけれども、いずれにいたしましても国鉄の再建ということは、ただ単に国鉄だけの問題ではございません、国民全体の利害につながる大きな問題でございますので、ぜひともひとつ御協力をいただきたい、かように考えておる次第でございます。
○三木忠雄君 国鉄の再建問題については、私たちも党内でいろいろ今度は提案もしたいと思っております、あるいは意見も出したいと思っております。しかし、根本的なこの問題が解決しないんですよ、結論的に言いますと。法定主義の問題だけがぱっと出てくる。そしてスト権の問題、労働組合が納得できないような問題が押しつけられてくる。それは何とか御了解をいただきたいと言うだけで、絶えず濁されてきている。そこにやはり紛争の種を巻き起こしていると言わざるを得ないわけですね。
 じゃあ、スト権の問題が解決するまで法定主義の問題もたな上げにしていく、そのほかの問題についとは、合意をできる問題から片づけて、何とか再建のために早く解決策を見出していこうという、そういう考え方に立てるかどうかですね。法定主義の廃止の問題だけがもう先行して来年出てくる、スト権の問題はおくれるという片手落ちの形では、幾ら再建案を国会に提案されてきて、よしんばいろんな形で通ったにしても、それが具体的な再建計画につながっていくかどうか。また、いまの再建計画と同じ目を見なければならないのではないかということを私は心配するわけですね。ここらの問題を、もっとやはり具体的に運輸大臣としての見解をしっかりしてもらわなければ困ると思うんですね。全交運はもう全面的に協力しないと言っているわけでしょう。労働組合と当局との間がもうはっきりと対立関係に出てくる。それで再建計画なんか出してみたって、結論的には国民に運賃の値上げだけ、法定主義を撤廃するだけのしわ寄せがくるだけではないか、こういう感じを受けるわけですね。この点についての運輸大臣のもう一度見解を伺いたい。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄の再建は、御承知のように現状がもう七兆の累積債務があるというふうな状況で、とっくに民間企業なら倒産をいたしておるような状況でございますから、これは一日もほっておけないわけでございますので、私は先般も富塚さんにもお願いをしたわけでございますけれども、どうぞこれだけはひとつ協力をしていただきたい。で、スト権の問題は、先ほども申し上げましたようないろんな手順を経て検討していくわけですから、時間的に合わすということは現実として私はむずかしいかと思いますが、それを十分御理解の上でひとつ協力していただきたいと、重ね重ねお願いをしておるような状況でございます。
○三木忠雄君 まあ、ここでもうそれ以上詰める必要もないと思いますけれども、詰めても議論は平行するだけだと思うんです。
 富塚さん、この問題、私たちは聞いておりまして、全交運は協力しない、それから運輸大臣は何とか協力を願いたい、国鉄がこれだけの赤字を抱えているんだから何とかという、こういう意見ですね。こういう問題で、労働組合としていろいろ中央委員会等でも決定をされているそうでありますけれども、果たしてこの状態でいって国鉄の再建ができるとお考えになりますか。
○参考人(富塚三夫君) 結論的に私はできないと思います。組合の協力がなくてできると思ったら、大変なぼくは経営者なり政府側の錯覚だと思います。私どもは、もはや再建論は抽象論や精神論や観念論じゃない、具体的にどうするかという問題にぶつかっているわけで、政治の問題だと思っています。そこで、私どもの国鉄労働組合も、ない財政の中から八千万も使って九つの新聞社に国鉄再建についての提言もしているんです。そんなことはいままでやったことはないんです。それくらいまじめに、真剣に当局側といろんな話し合いをして再建問題を考えようとしているときに、なぜ所管の運輸大臣がそういう方向に向けて努力されないのかが私はわからないんです。
 ですから、運輸大臣にも過日申し上げたんですが、スト権問題についての政府の態度もあるでしょうが、しかし運輸大臣としては、国鉄当局の見解を受けてどうするのか、再建問題について、運賃法定主義問題は当然当事者能力のかかわり合いがあることも認めているんです。包括的にわれわれはどうするかを考えたいと言っているのに、スト権はだめだと、三木先生がおっしゃるように、後は法定主義排除だけ認めろ、運賃値上げだけ認めろと言っても、とても労働者は納得しません。断固たる決意でこれを粉砕する闘いを起こさざるを得ないという状況にわれわれの立場はなるんです。ですから、労働組合の側の立場もまじめに、真剣に国鉄財政再建を本当にされると運輸大臣が決意をされるならば、そういう方向で努力をしていただきたい、このように申しげておきます。
○三木忠雄君 運輸大臣、もう何回聞いても同じだと思うんですけど、これ、もう今月の二十日ごろには再建計画を出さなければならないわけでしょう、あるいは予算との問題が絡んでくる。この再建計画が、いまの状態で果たして運輸大臣として出してどうなるかという問題ですね。これは私は非常に当事者として心配だと思って考えるわけですね。こういう問題の中でこの再建計画、国民に協力しろ、どうしろと言ってみたってこれは何にもならないと思うんです。いま再建計画やってることと同じことがまた繰り返されなきゃならない、国民にしわ寄せだけが残るというこういうやり方は、もうここらで断ち切るべきじゃないかと思うんです。
 したがって、閣僚協でいろいろな問題があるでしょう。しかし、運輸大臣としてこのスト権打開の問題、労働組合が納得できるような――何も労働組合が全部が全部要求しているわけじゃないわけです。運輸大臣として閣僚協に臨む態度をどうするかということが私は問題だと思うんですよ。それさえ示せれば、後は期限の問題はいろいろあるだろうと思うのです。運輸大臣として閣僚協に臨む、このスト権の問題はどうするかという結論を、たとえば再建計画の前までに運輸大臣の意見が固まるかどうかという問題ですね、ここまで詰めると非常に出しづらい問題かもしれませんけれども、この問題がはっきりしなければ再建計画が来年の国会で出てきても、私は非常に大変な問題になるのじゃないかと、こう考えるんですけれども、この再建計画を出す前までに、運輸大臣としてのこのスト権問題に対する腹は固まるのかどうか、そして閣僚協に臨むのかどうか。まあ条件はいろいろあると思います。どういう方向でいくかということは、運輸大臣のいろいろ諮問委員会、あるいは国鉄の諮問委員会、総裁の意見等もあって、それをしんしゃくすると思いますけれども、運輸大臣はいつまでにこういう全交運の要求するようなスト権打開のために動く行動をとるのかという、この点について伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(木村睦男君) スト権の問題に結論を出すということは、国鉄再建にも非常に大きな影響力を持つであろうということは十分承知をいたしております。しかし、三公社五現業という一つの共通した準政府機関に従来スト権が認められておらなかった、そこにスト権を認めるかどうかという問題は、これは非常に私は、たびたび言うようですが、高度の政治的な判断を要するし、将来の問題にも関係することでございますので、やはりただ単に国鉄の再建のために、国鉄総裁が言うがごとく、スト権を条件つきで認めるということが必要であるからといって、すぐそれじゃそうしようというふうな、政府としては、また運輸大臣としては、すぐにそういうふうな判断に移ることは、やはり私は無責任のそしりを免れぬと思うんです。いろんな方面の検討をしながら、最終的な政府としての方針を出すまで十分研究しながら、私なりに閣僚協の中で意見を述べるつもりでございますが、いろいろこういう委員会の皆さんの御意見、あるいはその他の御意見も十分私は耳に入れておりますので、それらを十分そしゃくしながら、ひとつ今後善処をしていきたいと、かように考えております。
○三木忠雄君 国鉄総裁に一、二問伺いたいんですけれども、いまの状態で、国鉄総裁としてこの再建計画に取り組んでやっていかれる自信ありますか。いまの運輸大臣と富塚公労協代表幹事とのやりとり聞いておりまして、国鉄総裁として、果たしてこの再建計画をやっていかれる自信があるか。労使協調の中でやっていかれる自信があるかどうか。これは非常に私は疑問だと思うんです。率直な意見を伺いたい。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 国鉄再建の問題は、皆様も決してさように御了解願っておるわけじゃないと思いますけれども、何か破産しそうな企業を助けてくれというふうなにおいがあるのでございますが、実はそうじゃないんで、国鉄のいわゆる再建をしないと、国民各位が期待するようなサービスの提供は不可能になると、したがいまして私どもとしては、是が非でもこれを再建いたしまして、国民の期待に沿う義務があるということを申しておるんでありまして、これは富塚君の言っていることもわからぬことじゃないけれども、やはり国鉄の四十三万の職員全部が国民の期待に沿う義務があるんでござんすから、そこらを何も混同されているとは言いませんけれども、ひとつよく御認識願って、力を合わして国民の期待に沿うと、これすなわち再建であると、かように考えております。
○三木忠雄君 総裁、国鉄労使のあるべき姿ってどう考えているんですか。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 ひとり国鉄のみならず労使の関係は、これは争いを繰り返しておって生産が上がるわけはないんで、これは理由はいかにあろうとも、これは相携えて協力してその生産に励まなくちゃ能率は上がらぬ。これ、ひとり国鉄だけの議論じゃないんで、私企業においても御同様でございますけれども、とにかく力を合わしてお互いに能率を上げないと再建も何もできませんというのが心境でございます。
○三木忠雄君 そうしますと、現在の国鉄の労使間の問題を考えますと、まあ今回のスト権ストの問題等も含めまして、やはり国民側から見ればもっと円滑にいかないか、いわんや再建計画をいろいろ審議するに当たっても、この総裁がつくった諮問委員会の意見も、国鉄の再建には、このスト権問題を避けて通れないと、こう言っているわけですな。この問題を総裁として真剣になって考えなければならないと私は思うんです。したがって、条件つきのストの問題を出したのかもしれませんがね。それは労使の近代化を図るためにも、あるいはこの再建計画を本当に実施に移していくためにも、労使のこの問題というものは解決していかなきゃならない問題だと思うんですよ。どうですか、総裁。
○説明員(藤井松太郎君) いわゆる争議権の問題に関しましては、過日申し上げたとおりでございまして、やはり協力をしなくちゃいかぬということは、これは申し上げるまでもない。しかし、スト権というか、争議権をよけて協力ができるかできぬかという議論になってくると、これはお互いの国民に対する義務とか何とかいう観点から、多少それが全部イコールであるとは私は考えておりません。
○三木忠雄君 あまり時間もありませんけれども、運輸大臣にもう一点聞いておきたいんですけれども、この懇談会の意見書の中に、特に争議行為に対する抑制措置強化の中で、「労働組合の団体交渉権の一時的停止および法人格の否認」、先ほどもちょっと一部意見が出ましたけれども、「繰り返し違法行為をあえてする労働組合については、団体交渉権等労働組合としての諸権利を一時的に停止させるような措置および労働組合の法人格を否認する措置について検討すべきである」という、こういう懇談会の意見が出ているわけです。この問題に対して運輸大臣、どう考えますか。
○国務大臣(木村睦男君) この懇談会の意見の中にそういうことも出ておることは承知いたしております。また、そのほかいろんな重大な問題がたくさん出ておりますので、それらをこれから十分に私は研究してみたいと思います。なかなかむずかしい問題でございます。これが今後スト権を与えるかどうかというときに非常に大きな要因となる問題だろうと私は思っておりますので、十分検討をいたしたいと思っております。
○三木忠雄君 これは運輸大臣がつくったわけじゃないから、細かく詰めても仕方がありませんけれども、こういう懇談会の意見が出ること自体、私は非常に不思議だと思うんですよ。労働組合の法人格を認めないと、こういうふうになりますと、たとえば国鉄について、だれと交渉して合理化を進めていくのかということになるわけですね、こういう問題が法人格が否認されるようになってくれば。たとえば国労さんと話し合いをしようと、国労と話し合い……、その法人格をたとえば否認した。だれと合理化の計画を、再建計画を進めていくんですか。一人一人と話し合いをしていくのかどうかという問題になってくるわけですね。こういう実体を伴わないような問題が懇談会の意見書として出てくること自体、私は非常に不思議だと思うんですね。こういう点については運輸大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(木村睦男君) 私もその意見書を二、三遍よく読みました。いろんな問題がございます。そして、その意見をつくった人々は、それぞれみんな学識あり、経験のある方の意見でございますので、そういう人の間からそういった意見がいろいろ出ておるというふうなことの背景も、やはりわれわれとしては十分考えてみなきゃいかぬではないかというふうな感じを持ちながら読んだわけでございます。一つ一ついまここでどうするというところまで私も考えは及んでおりませんけれども、よくさらに詳細に見まして、そういう意見の出た背景その他も十分検討していってみたいと思っております。
○三木忠雄君 この問題に対して、富塚参考人ね、この労働組合の団体交渉権の一時的停止という、こういう問題になってきますと、じゃあ国鉄当局との話し合い、あるいは合理化の問題具体的に進められますか、この意見がたとえば通るとすれば。具体的な活動面に相当、あるいは国鉄の運営面において非常にそごを来すのではないかということを私は非常に考えるわけですね。この点についてはいかが考えますか。
○参考人(富塚三夫君) 団体交渉権まで否定をされるということになったら、もう何をかいわんやであって、たとえば国鉄労働組合二十四万人、動労五万人だけでも二十九万人いるわけです。四十三万のうちに管理者は五万人程度いるわけですね。この大多数の組合を相手に団体交渉もしないというなら、企業内の合理化問題とか、労働条件問題一切否定されるなら、これはもう完全に労働組合否定の論理に立つことになるんで、われわれはそうなった場合には、まさに重大なる決意に立たざるを得ないというふうに思うんです。ですから、私どもはスト権回復をしても、ストライキを打つこと、そのこと自体を何も目的にしているんじゃないんです、団体交渉を一生懸命に積み重ねて、もしだめなときには伝家の宝刀を抜かざるを得ませんということを言っているんです。
 ですから、仮に公労法ができたときに、仲裁裁定をあのようにじゅうりんしていなかったならば、違う組合が国鉄の中にもあったんじゃないでしょうか。残念ながらマル生の中では、組合を幾つもつくることを当局なり、政府はやったんです。その結果が、全く国鉄労働者はみじめな今日の姿になっているんです。ですから、それを一本にしていこうじゃないか、一つの企業には一つの組合にして、労使関係を正常化しようじゃないか、私どもはそう訴えているんです。そういう方向をとっていくことを、一回にはできないでしょうけれども、時間をかけて正常化をしていくというか、近代的な労使関係をつくることに努力をしていくべき時期に団交権否認みたいなことを言われたのでは、もうわれわればとうてい納得ができない。
 重ねて申し上げますけれども、せっかく一生懸命に再建問題に協力しようというふうに考えているときに、なぜそれをけ飛ばすようなことを運輸大臣は言わなくちゃいけないのか、そういう方向をとろうとしなければならないのかということについて納得がいかないんです。
○三木忠雄君 一つだけ。もう時間が来ましたので。最後に運輸大臣ですね、こういう多難な中で再建計画を出さなきゃならない、国鉄を何とかしなきゃならないというのは、私は運輸委員のみならず、全議員の問題だと思うんですね。国民はこれほどこの国鉄の問題に関心を持っている。特にストになれば国鉄、こういう形になるわけです。国鉄労働組合も非常につらい立場にあると私は思うんですよ。ほかの労働組合よりも、やはり現業機関として列車を動かしているという立場で、あらゆる犠牲になっているのは国鉄労働組合だと私は思うんですね。そういう立場からも、やはり国鉄のこの再建という問題は、だれもが真剣になって考えなきゃならぬ問題だと思うんです。こういう観点に立って、運輸大臣はこの国鉄再建をどういうふうにしていこうというのか、その決意を最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) たびたび申し上げますように、財政上の再建と精神上の再建と、私は二つ分けて大まかに考えておるわけでございますが、財政上の再建につきましては、いままでたびたび、私の主宰しております懇談会、あるいは政府・与党、また衆参両院の分科会、小委員会等でいろいろな御意見を聞いておりますので、それらを十分に参考にいたしまして、近く再建案の骨子をつくって、たちまち来年度の予算編成に間に合わさなければなりませんので、その努力をいまいたしておるわけでございます。
 同時に国鉄の精神的な再建という問題は、私はしばしば総裁にも申し上げておるんでございますが、やっぱり国鉄自体が一体となって、真剣にひとつ取り組んでやっていただきたい、そういうことで常にお願いをしておるわけでございます。本当に私は、国鉄の現在の内情を見れば見るほど大変な仕事である、本当に再建できるだろうかというほど憂慮をいたしておりますが、しかし、再建しなければならない使命もあり、責任もあるわけでございますので、私といたしましては、一生懸命になって再建に当たりたいと思っておるわけでございますが、どうぞ、国鉄の全職員も一体となって、自分の家の再興だということで努力をしていただきたいと、そういう気持ちでいっぱいでございます。
○岩間正男君 国鉄総裁に伺いますが、スト権の条件つき付与をすべきだということを、しばしばこれは述べてこられたわけですが、いまもお変わりございませんか。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 いまもさよう心得ております。
○岩間正男君 今度のストの問題の中で、スト権がないのに今度のこのようなストが行われた、スト権が与えられたらもっと大変になるだろう、こういう意見が、悪意でなくても、国民の中にはずいぶんこういう考えを持っている人があったと思うのですね。政府は盛んにまたこの問題を取り上げて逆宣伝しました。そうして、いかにもストが悪いもんだ悪いもんだというふうにこれは追い込んだわけです。
 しかし、私もまあかつて、三十年近く前でありますが、労働運動に携わった者として、だれも好んでストをやる人はないだろうと思うのです。これは私の歌ですが、「ゼネストをわれにやめよというものあり何をか好みわれら行う」、そこに追い込まれて、やむにやまれない――権利を守り、生活を守るために、これはやむにやまれないストを構えなきゃならない。ところが、ストに追い込んでいる原因については、これは明らかにされていないというのが、やはり依然としていまの政府の態度だというふうに思うんです。
 私はそういう意味で、先ほども話しましたが、富塚参考人にお伺いしたいんですが、スト権が与えられれば、むしろ現状は改善されていくんじゃないか、健全な労使の関係ということが言われておりますが、これを打ち立てるためには、むしろそれがなくちゃできないし、その結果は非常に私はこれは好転するんじゃないかというふうに考えておるんですが、この点についてどうお考えでしょうか。
○参考人(富塚三夫君) 先生のおっしゃるように、スト権が回復をすれば、労使関係は健全化に向いていくことは間違いありません。これは御存じのように、団体交渉を重視をして問題解決を図ることを第一とします。そして、どうにもならないときには国民の皆さんに、なぜストライキをしなければならぬかを明確にして、予告をして、そして闘いに立ち上がる、ストライキに入るというふうなことになり、当然迷惑は最小限にとどめるという方向に向けて、真剣に労働組合の側も考え、責任を持つことになると思います。間違いなくそのようになると思います。
○岩間正男君 歴史的な経験の中からも、私ははっきりこのことを、私自身の体験を振り返って言うことができると思う。それは国鉄の問題ですが、昭和二十一年の九月に、当局は終戦後の合理化を目指して九万人の首切りを発表したことがございます。これに対して、当時の国鉄労働組合は全面的に立ち上がった。そして、むしろ国鉄の真の再建のためにはこの首切りはだめだ、あくまでこの首切り撤回のために闘う、そして、これはストライキも考えました。しかし、その前に団体交渉を精力的に行ったわけですね。その結果、結局これはストは回避されたんです。こういう事実があります。これはなぜかと言うと、いまの団体交渉権とは違って、背後にスト権という基本的な労働者の権利がはっきり控えておる、この団体交渉の実体というものは、非常に私は違ってきていると思う。
 ところが、いままでもしばしば話がありましたように、スト権を認めないところの団体交渉権というのは、憲法二十八条の労働三権の中で全部関連をしておる問題でありますから、これは非常に威力がない。当然労働者の権利は守られないで、先ほどから話がありますように、大変なこれは犠牲にさらされているのが現状だというふうに思うわけです。ストはやらないが首切りは撤回できた、スト権があったからだ。これが終戦後三年続いた。しかし、昭和二十三年に、御承知のようにマッカーサーの書簡、さらにまたこれが御承知のように政令二百一号になり、さらに公労法として労働者の権利にこれは覆いかぶさってきた。これが現実に、いまだに依然として変わりがないというのが現状だと思う。
 私は、本当に労働問題というものを真剣に考えたらはっきり、いまのスト権というのは何を目指しているのか、労働者階級は何を目指しているのか、この点が明確にされない限り、この国会の論議も、先ほど妙な議論が隣でやられましたけれども、これこそ不毛の議論になるだろうと、私ははっきり申し上げたい。この点について、この歴史的教訓から学ぶべきだと思うんですが、富塚参考人、いかがでございましょうか。
○参考人(富塚三夫君) 御指摘のように、今日までの歴史的な経過というものは、いろんなわれわれの側にしますと経験を持っている、と申しますのは、相手側からの合理化の攻撃なり、あるいは低賃金、労働強化、こういった攻撃がかけられてきています。これは労働者が、労働組合がそういう認識に立って、労働条件の向上、首切りを防ぐ、それは当然なことだと思います。先生方が労働組合の幹部に置きかえられるならば、そのことはやっぱり考えなければならない当然のことだと思うんです。
 そのために、私どもはいままでの多くの経験の中の反省というのは、結局労働者に協力を求めないで国鉄の健全な経営などはできないじゃないか、企業内努力と運賃値上げ、そして国庫補助という三本の柱を立てたにもかかわらず、企業内努力にだけ目を向けさせて再建をしようとしたために、五回やっても挫折したと思うんです。企業内努力はおのずと限界があると思います。ですから、人減らし合理化だけで解決をしようとするところに無理があったことの反省から、新たな再建計画の策定が考えられなければならないと思いますが、現実にいま国鉄の中に四十三万人おる要員構成の中で四十歳代以上が六〇%も占めているんです。これはなぜでしょうか。戦争が生んだ条件なんです。国鉄の責任じゃないんです。労働者の責任じゃないんです。ドライバーがもうすでに四十歳以上平均化しているんですね。老眼をかけなければ運転台につけないという人たちが多くなりつつあるんです。一体これをどう淘汰していくのかという観点が、全く政治的視点で考えられてないんです。
 昔は高等小学校出れば鉄道に入り、あとは官僚の方は大学出て入りました。いまは高校出て入ってきた人たちは、いやだというならすぐに逃げていくんです。危険な労働、屋外労働、長時間労働、そういった条件の中で国鉄労働者は精いっぱい働いていると思っています。にもかかわらず、労使の関係はだらしがないとか、けんかしているとか、労使が荒廃をしておるといって指摘をされる。再建の問題で共通の土俵をつくろうとするとなれ合いだと言う。一体労働組合のことを何と考えられているのかという原点について実は疑問を持つんです。
 私はここに、国鉄労働者の履歴カードを持ってきています。表と裏に十回以上も処分がずうっと赤で書かれているんですね。これは国鉄の電車運転士でも、車掌さんでもほとんどの労働者が、さっき加賀谷常務が言われたように三十数万人が処分を受けている、あるいは七百名以上の首切りがされている。一人一人の労働者の履歴カードは真っ赤になって染まっているという状況の中に、これで国鉄再建に協力しろと労働者を説得してもできないんです。だから、処分というものは形骸化されているし、公労法というのは実効力がないんだと、新しい視点で検討をされるべきだという、憲法に返って、憲法秩序の枠組みをはみ出している公労法をそろそろ改正する時期に来ているということを、そこのところはしっかりとらえていただきたいと思うのです。こういった積み重ねにわれわれ労働組合も一生懸命努力しているんですから、悪い点だという問題だけ指摘をされることのないように、その点は団体交渉を中心に、ストライキを何ももてあそぶなんてつもりはさらさらありません。ですから、その点については真剣に考えていただきたいと思うんであります。
○岩間正男君 よく健全な労使関係ということを言いますけれども、この中身をよく考えますというと、何よりも働く主体である労働者の権利と生活をちゃんと保障して、その上に立って労働者が喜んで労働に従事することができる、こういう体制がつくれるかつくれないか、これが最大の私は課題だと思うのであります。
 そこで、国鉄総裁に伺いますが、あなたがスト権の条件つき付与を主張されているのも、何よりもこのような現実的な国鉄の姿、これをやはり変えるためにはどうしたって労働者の主体的な力というものに依存しなきゃならないことは言うまでもない。そういうところからこれは主張しておられるんだと思うのです。そう考えてよろしいですか。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 私が見解を述べましたことは、理由はいかんにしろストを繰り返すことは、言いかえると、国民の各位に御迷惑をかけることであると、したがいまして、現在の法律がいいとか悪いとかという議論を離れまして、現在の法律ではこれを規制する力は全然ないんだと、したがって、その条件つきでスト権を与えるとか与えぬとかいうことがいい悪いじゃなくして、現在よりも、組合の諸君も社会的な責任を感じてくださるだろうし、そういう意味合いにおいて現況よりも状態はよくなるんじゃないかと、これは富塚さんが言ったとおりなんで、さような観点から申しているわけであります。
○岩間正男君 これは国鉄の労使の両者の御意見は、まさにスト権を与えれば現状よりよくなるということで、これは結論が出ているわけです。何よりも現場のこの声というものは尊重されなければなりませんよ。
  〔委員長退席、理事三木忠雄君着席〕
これからはずれて政治的に、あるいは権力支配の立場から、あるいは、治安対策というような立場からこれを処理するということは、根本的にこの問題を解決することができないものであるということを、つくづく今度のこのストをめぐっての問題の中ではっきりすることができると思うのです。
 そういう中で、私はもう一つ富塚参考人にお伺いしたいのでございますけれども、スト権問題はむろん公労協の中心問題です。しかし、これは同時に国民の民主主義の根幹に係る私は重大問題である、そうして、同時に広範な国民的課題であると思うのです。この点はどうでしょうか。
 公労協としては、したがってスト権回復を目指して、当然今後もこの闘いを続けられると思います。先ほどもそういう決意の表明がございました。もっともだと思います。しかしそのためには、この当然憲法によって保障された権利を回復するために、広範な国民の理解と協力が私は必要だと考えるのです。民主勢力が団結する、そうして本当にこれは国民の闘いとして大きくこの問題が日本の反動的な政治体制を変えていく、こういうことでなければ根本的にこの問題を解決するのはなかなか困難だ、こういうふうに考えている。これは私は、あのマッカーサーにとめられた二・一スト前夜の闘いの中で、体を張って闘った当時の責任者として、この体験を通じていままざまざとこれを思い起こして、そうしてこのことを特に先ほどから国民の理解、協力ということを、これは富塚さんもおっしゃいました。それをさらに進めて、そのような国民の大きな団結、統一、民主勢力のそのような方向にこれは変えていく。そういう中でこそ本当にこの問題は国民的な課題であり、そうして憲法に保障された基本的な権利として回復される道が開けるんじゃないかと、こう考えておるわけですが、この点についての御見解を富塚参考人からお伺いしたいと思うのであります。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、戦後二十七年たっているわけです、スト権を剥奪されてから。で、憲法二十八条に労働基本三権が保障されていることは周知のとおりであります。ですから、この労働基本権というのはわれわれは生存権、生活権の確立であり、労働者が働かない働くなどを含めた、いわゆる尊厳性の回復であり、平和と民主主義を守る上にも非常に重要な課題だと受けとめています。
 しかし同時に、終戦になって三十年です。戦後の遺物を清算をするという意味でも重要な課題ではないでしょうかということを切々と訴えています。しかも、いま唐突に要求したのではないんです。昭和二十八年から、そして三十二年、三十三年ぐらい、ILOの関係の幾つかの公労法問題にまつわる議論もありました。ドライヤーが日本に来ました。そうして、四十年にドライヤー勧告を受けて公務員制度審議会を設置をしたんです。ILO条約八十七号及び九十八号も政府は批准をしました。公制審八年かかりました。三論併記とはいうけれども、現業労働者のスト権については回復する方向を示唆することを含めて満場一致答申を決めたんです。そして、政府と約束をして今日を迎えたんです。思い詰めてあの闘いを組織したんです。
 それがいま、何かごねておって横になってストライキをやったようにとられるのは心外なんです。だから、いま日中国交回復もなし遂げられているんだし、ベトナム戦争も終ったんだし、世界は共存共栄に向かっているんだから、せめて戦後の遺物、マッカーサーなどと言ってもいまの若い人にはわかりません。その占領政策の遺物をそろそろこの辺で清算をしてもいいじゃないか、切々と訴えています。
 先生のおっしゃるように、この問題は、いわゆる家庭における一つ一つの権利の問題とも結合していると思います。そして、このことによって労働者が、あるいは勤労国民が大きくみんなで団結できる要素ができれば、非常に日本の国は幸せになっていくだろうという観点でわれわれは努力をしているつもりであります。そういう意味で、私どもは広範な国民の支持を得たいと思いますので、今度のストライキを通じては本当に勉強になりました。教訓を得ました。ですから国民の中にこういうことについて、国鉄労働者のあり方について理解をされ、許容される限界があるのか、いろんなことを謙虚に、国民の前に問いただしてみたいと思っています。それを受けてこれからのわれわれの運動のあり方を考えたいと思っていますが、いずれにいたしましても、現業労働者の争議権という限定された問題は、政府はここで見解を明確にしてもいいんじゃないかと、なぜ固執するのかということがわからないということなんであります。
○岩間正男君 運輸大臣、いま切々と訴えられた労働者の代表の声というのはどうですか、あなた、どういうふうに受けとめておられますか。労働運動、わかっているんですか、あなた一体。これを、刑事罰を検討するなどというおどかし、いわばあいくちですよ、これはね。さらにまた、処分の問題が国鉄から出ておりますが、処分をまたやる。また、政府がやらなきゃ承知できないという、そのような背後からのタカ派の圧力があることも現実。で、それをやっていく。われわれはこれは反対なんだ。大体が憲法違反の、違法ストだ、違法ストだということを言っておりながら、違憲の問題については何も言わない。そして、先ほどはっきり申し上げましたように、憲法を守れば明らかな公労法の違法的な姿というものは明白なんです。
 そういう中で解雇された人ですね、労働者の実情を、たとえば、ここに二、三の例がありますが、解雇された労働者の現状はどうか。「中学一年の女の子と小学校一年の男の子がいる。妻は内職をしている。五年前からヘルニアと肝臓に悩み体に自信はない。いま手取り十一万円。一片の解雇通知が国鉄マンとしての生活を奪い、目の前に暗さばかりが広がる」またもう一つは、「新聞には解雇者と出る。田舎だったんで近所の人の目は罪人扱いだったでしょうね。女房なんかは後ろ指をさされたのでは……。長女が電々公社の就職試験を受けた時も、面接でいわれたそうなんですが、娘のやつ、「父は父、娘は娘」と開き直ったといっていましたよ。」そのような権利まで侵害してきているんです。だれが一体これをやったんだ。マッカーサー指令であり、これを受けて出した政令二百一号であり、これに対して結局、民族の真に自主的な態度からこれに対して対決することをしなかった当時の政権も責任があります。しかし、それをもっともっと拡大してきた自民党の長い政治がここまでさしているんじゃないですか。だから根本的に狂っているんです。その上に立っての犠牲者を処分してきた。この処分は撤回さるべきであると思います。同時に今度の問題で、これは処分をまた出すなどということは、絶対に許されない問題だと思うのです。そこで、時間も参りましたから国鉄総裁、処分だけはこれはすべきじゃない。こんなもんで解決しない。かえって逆効果だ。
 さらに、刑事罰の問題について木村運輸大臣、先ほどこれは撤回を私は要求したのでありますが、研究することだっておかしいですよ、これは。そうでしょう。刑事罰というのは、労働法の精神を根本からじゅうりんすることになるのでありますから。こういう点について、両者のはっきりした答弁をお願いしたいと思います。
  〔理事三木忠雄君退席、委員長着席〕
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 いろんな御議論を拝聴いたしましたけれども、やはり法治国ですから法のけじめは守らざるを得ない。と同時に、国民にも厳しい御批判がございますので、これにもこたえなくちゃいかぬと、こういうことで、慎重にその問題には対処したいと、かように思います。
○国務大臣(木村睦男君) いろいろ、岩間委員から二回にわたって御質問がございましたが、私の基本的な考え方を言いますというと、こういう問題で議論するときに、やはり共通の場、それはやはり、今度の政府の基本方針にも掲げておりますように、法を守ることは民主主義の国家の根幹である、これだけはひとつ共通の場で、お互いに承認し合った上で、いろんな問題について議論をいたしたいと、これが外れておりましたら、もう議論はかみ合わないんではないかと思うわけでございます。
 それから、刑事罰の問題について検討もしちゃいかぬと、こうおっしゃいますけれども、検討の自由は、これはもう当然許されてしかるべきだと私は思っております。くれぐれも申し上げますけれども、岩間さんは、検討すればすぐそれを採用するかのごとく私には聞こえるんでございますけれども、私はそうは申しておらないのでございまして、検討し残した問題、いい問題にしろ悪い問題にしろ、検討し残した問題があっちゃいかぬ、すべての問題を包括して検討しよう、そういう趣旨から申し上げておりますので、誤解のないようにお願いを申し上げます。
○岩間正男君 最後に一問だけ。
 大体あなたたち、法治国、法治国と言ってますが、そんな資格ありますか。国の統治の憲法、最高法規の憲法に違反したそういうもので、そこのところは、根本は狂っておって、そうして法治国、法治国と言っておるが、何を言っているんです、一体。あなたたち少し考え直しなさいよ。憲法違反はどうするんだ、違憲の問題はどうするんだ。その問題はたな上げにしておいて、明らかに憲法に違反しているところの公労法を守れ守れと言っている。こんな矛盾した一体言い方ありますか。法治国、憲法違反の法治国、こんなものはどこにあるんだ。これは世界の物笑いですよ。私ははっきりこのことを明らかにしておいて、私の質問を終わります。
○和田春生君 大分時間がたちましたけれども、多少具体的な問題でお伺いをしたいんですが、このスト権問題は、単にスト権をどうするかという立法上の問題だけではなくて、先ほど来しばしば言われておりますように、当事者能力の問題が非常に重要な課題として浮かび上がっているわけです。確かに言われているとおり、団体交渉の延長線上にストライキという手段があるわけですから、前提である団体交渉がうまくいかなければ、問題はいつまでも残っていくと思います。そういう点で、鉄道労働組合の場合は、公労法について反対をしながらも、現行法が存在する限りストライキの禁止の法律を守って自制をしながら団体交渉に主力を置いて解決をするという立場できたわけですけれども、私も公労委の委員をいたしておりまして、大きな賃金紛争等については数年間携わった経験があるわけですが、大きな問題だけではなくて、日常のいろんな問題の団体交渉で、この当事者能力とのかかわり合いにおいて、こういう点が一番ぐあいが悪かったとか、こういう点を何とか考えてもらわなくてはいかぬとか、そういうような実際的な問題ございましたら、要点だけ幾つか例示をしていただいてけっこうでございますが、ひとつ川田さんから御説明を願いたいと思います。
○参考人(川田庄作君) ただいまのお答えをいたします前に、ちょっとだけひとつ、私、私どもの考え方を申し上げてみたいと思うんですが、実はいままでいろいろと御論議を聞いてまいりながら、私ども実はいまドライヤー委員長の勧告を一遍思い出しているんですけれども、特にドライヤー委員長勧告の中に、絶対によこせ、絶対にやらない、こういった論議ほど不毛なものはない。もう一度改めて労使が、本当に謙虚な立場に立って考えてみない限り、この問題の本質的な解決はないであろう、そういうことを強く勧告をいたしておりますけれども、そういった立場から、少なくとも――たとえばスト権が返らなければ再建計画を粉砕せざるを得ない。じゃ、スト権をやればそれが違法な行為が免れるのか、こういった論議が繰り返されていたのでは、本質的な問題の解決にならない。私どもは、やはり国民的な立場に立ち、公共企業体という立場に立ち、その中にいる職員という立場を考えてみますると、やはり私どもは国鉄の再建に対して協力をする。そのかわりそういう条件を与えるべきである。こういう思想に立たない限り、私は現実問題の、国民の世論の支持も得られないし、解決につながらないのではないか、そういう立場を私どもは常に貫いて運動をしているということを、ここに改めて私どもの気持ちだけ申し上げておきたいと思います。
 さらに、いま御質問のありました内容につきましてお答えしたいと思いますが、現実に団体交渉を私どもは重視してまいりました。現実には仲裁裁定は、三十二年以降賃金問題等では解決を見ております。しかしながら、実際に要員問題というような問題になりますと、現にいま、すでに時間短縮が労使の間で協定をされているわけでありますけれども、現実には要員が不足のためにその実施ができない。本年四月以降できることになっておる協約が、現実にはなおできないでいるわけでありまして、そういう面から考えますると、やはり予算定員というものが現実に労使関係の問題の改善を阻んでいる、こういうふうに私どもは思わざるを得ない、こういうふうに思います。その他、賃金問題にいたしましても、現実には先ほども御意見があったかと思いますけれども、団体交渉の場においては、現実に解決の糸口になるような条件が当事者能力との関係で示されない、そういうことが非常に組合員の多くの不満になっていることもまた事実でございます。さらにはまた、いろいろと私どもが要求をいたします現実の諸問題の中で、幾つか当局が大蔵省なり、その他の国鉄企業が現実に制約を受けるがために解決がなかなか困難であるという問題も、現実の合理化、近代化等を進める過程と、あるいは、そのほかの問題の諸要求の交渉の中で幾つかあることをこの機会に申し上げておきたい。
 以上であります。
○和田春生君 この点、国鉄総裁にお伺いして、また次に運輸大臣にお伺いしたいと思うんですが、確かに国有鉄道法によりまして、給与については給与総額制がございます。しかし一方、御承知のとおり、三十九条では弾力条項もあるわけです。で、いま川田さんから予算定員の問題指摘もございました。当事者能力がないと困る困るということを当局もおっしゃっているわけですが、事実上これらの法律条項が、総裁を初め国鉄の経営首脳の手足を縛って、自主的にその種の団体交渉について国鉄の立場を表明をしていくということは非常に困難――言われているごとく、一々運輸省、あるいは大蔵省のお許しを得ないと態度を表明することができない。非常にそういう点で困っている、こういう事実はございますか。
○説明員(藤井松太郎君) 労使の問題は、申し上げるまでもなく、団体交渉でこいつを解決するということが本筋でございまして、それにはやはり、労使の団体交渉の主体をなすものは労働条件であり、経済問題であるということになりますので、当事者が経済的の力がなくて、大蔵省に伺ってくるからというようなことでは、交渉はスムーズに行われぬ。したがいまして、団体交渉を有効に作動さすためには、これはもう当事者能力は不可欠のものである、かように考えます。
○和田春生君 私がお伺いしているのは、いまの法律や、そういう制度上から著しく制約をされておりますかどうかという問題をお伺いしているわけで、再建計画と関連した経済内容の問題については後からお伺いしたいと思うんです。制度的な問題をお伺いしているわけです。
○説明員(藤井松太郎君) 先ほど申しましたように、経済問題の議論をやる場合におきましても、国鉄の当事者には経済的に力がないということで、これを団体交渉をむしろ中断したようなかっこうで公労委へ持ち込むというようなことは、これは決して望ましい形じゃない、そういうことで始終苦慮していることは事実であります。
○和田春生君 運輸大臣にお伺いしたいと思うんですが、確かに国有鉄道でありますし、公社ですから、一般民間企業のように自由勝手というわけにはいかないと思うんです。しかし、すべて制度については弾力性、ないしは幅があると思うんですが、いま具体的に幾つかの事例も出ている中の、たとえば給与総額とか、予算定員とか、そういうものについて一々政府が干渉せずに、国鉄の総裁に相当の裁量権を与えているのか、あるいは現在国鉄は事際上赤字で、自力ではもう資金もないわけであるから、そういうものすべてについて、やはり政府の許可を受けてやらなくてはならぬという形で歯どめがかかっているのか、その辺はいかがなものか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) いま和田さんお話しのように、大抵の問題にある程度の弾力的な幅があるわけでございますから、細かいと言えば語弊がありますが、きわめて小範囲の問題ですと、大体国鉄当局と団体交渉で話のつくものは、処理できる問題はございますが、ただ、これが非常に経済的に大きな負担を伴う場合に、国鉄全体の経営の収支に非常に影響するというふうな場合には、やはり国鉄だけの、当局だけの判断ではどうにもならないという問題があるわけでございます。そこで、それがしからばどういう点で一番大きいネックになるかといいますと、やはり国鉄の収入の問題でございますが、やはり運賃に関係してくる。相当大きい経済的ないろんな諸要求を処理しようとすれば、やっぱり運賃というものを適時適切に改定しなければ、交通事業として健全な経営にならない、この点私は一番大きいと思います。その他の問題は、仮に国鉄当局だけの判断で処理できなくても運輸省限り、あるいは運輸省と大蔵省と相談して大体国鉄の意思に、それはいけないというような問題はあんまりなくさんはないと、かように現状を考えておるわけでございます。
○和田春生君 これは民間会社でも価格とか料金、そういうものについて法定ではないけれども許可、認可制で自分の自由にはならないというところもたくさんあるわけです。また、非常にいろんな悪い要因が重なって借金で首が回らない、銀行管理のような形になっておるというところもあるわけです。そういう場合に、私も多くの団体交渉、その他困難な問題の解決に当たった経験があるんですが、当事者能力ということの根本の問題は、自分の意思を持って、自分の考えを決めて、それが実現するように努力するということがすべての前提だと思うんです。たとえば、もう銀行からオーケーとらなければ、びた一文年末の手当も払えないというところの社長さんでも、いまの自分の会社の状況を考え、将来従業員に協力をしてもらう、この危機を突破していくためには、せめてこの程度は払わなくてはいけないんだというみずからの意思を決めて、それを実現するために駆けずり回って、そうして協調融資を求めるなり何なりの努力をするということがあるわけです。
 どうもいまの国鉄の状態というものを見ておると、親方日の丸ということが言われておりますが、いい意味と悪い意味と両方ありますけれども、そういう自主的な努力というものが経営者に足らないのではないか。また監督官庁の立場にある運輸省としてみれば、とりわけ大蔵省等の場合には、制度を盾にとって、自主的な能力がないんだからよけいなことを言うなというような形でチェックをしている、両方に不必要な自制が働いているという形で、当事者能力そのものをむしろ不当に低くしているということが、労使間の紛争を大変大きくしているゆえんではなかろうか。私自身も公労委の調停、仲裁、あっせん等を通じてそういうことを感じているわけであります。
 そこで、そういうような私の感じをつけ加えながらお伺いしたいんですが、先ほど来、これもスト権との関連ということで富塚さん等の御意見もございましたけれども、運賃法定主義をはずせ、自由裁量権を認めろ、あるいは給与総額制の枠を緩めろと、こういうことが必要だということも浮かび上がってきました。私も必要だと思います。しかし、それは常に運賃を上げる方に、給与総額の枠を突破していって、赤字になったら国が責任を持ってくれということではいけないと思うんですね。
 たとえば、出さなくてはいけないという問題については、給与総額の枠をある程度超えて国鉄経営者の自主的判断で出す。しかし、今度のように国鉄内部のスト権という問題に係っているにしても、ストライキという形で第三者の国民が飛ばっちりを食った。国鉄自身も三百数十億の損失を出した。そうすれば、その三百数十億円というものは給与総額から減じて国鉄の労使がその負担に耐えるというマイナス面においても責任を果たすという面がなければ、いつもプラスの面だけで自由にしてくれと、やれなくなったら税金でめんどう見ろじゃ、これは自主性と言っても大変ぐあい悪いと思うのです。今度は現実に給与カットという面では、組合の戦術もあったかどうかわかりませんが、およそ民間の常識から外れた状況である。現実に国鉄では三百数十億円の得べかりし利益を失っていると。その損失をどういうふうに処理をするのか。当事者能力というものを発揮して国鉄総裁はどうお考えになるか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) 損害の補償に関しましては、国民の世論も伺いながら、法務省その他とよく相談をして慎重に考慮している次第であります。得べかりし何百億の損失に関しましては、これは組合の諸君ともよく話して、よく働くことで、これはことし取り返せったって無理な話でございますけれども、そいつをお互いに心がけて、能率を上げて取り返すということ以外に方法はございません。
○和田春生君 さて、一生懸命働いて取り返すと、こういうお話だったんですけれども、実は今度の公労協のストライキが行われるという場合に、事前にはかなり大きな混乱が起きるんではないか、部分的にはパニック状況が起きるかもわからぬ、あるいは日本経済に深刻な打撃を与えるかもわからぬ、そういう懸念がストライキの始まる前、始まった当初存在しておったことは事実であります。私はそうは思っていなかったんですが、そういう懸念が非常に多かった。ところが、実際的には八日間過ぎまして、部分的にはかなり痛手をこうむって破産直前に追い込まれたというような中小零細企業もあるわけですけれども、日本経済全体として見れば損害軽微で、格別の騒ぎも起こらなかった、こういう状況があるわけです。
 これについて、ストライキというものについての理解が深まったと、こういう意見もあると思うんですが、あの後にあちらこちら歩いてまいりました。損害をこうむったところの実情も聞いてまいりました。そこで異口同音に聞いたことは、ことしの春の春闘のストライキでこりて、国鉄からトラック輸送その他の民間の輸送に切りかえたところは今度は損害を免れた。相変わらず国鉄を使っておったところはえらいダメージをこうむった。したがってこの機会に、いわゆる国鉄離れと言いますか、もう国鉄は当てにならぬ、したがって民間輸送に切りかえていこう、こういう声がかはり強いわけです。そうすると、公共事業として国民にサービスをすると言いながら、生産品ならばストックをつくっておくことができる、後で取り返すことができますけれども、輸送サービスというのはそこでだめになれば決定的なダメージを受けるわけです。それがそういう状況になって、国鉄離れというものがどんどん進行していく。国鉄は日本の動脈じゃない、言うならば死んだも同然の静脈みたいな形になっちゃうというような形になれば、幾らかせいで損害を取り戻すとか、再建に努力しようとか、運賃法定主義を外して二倍、三倍にしてもどうにもならない。お客さんがつかなければどうにもならぬという形になると思うのです。
 そういう面を国鉄の立場において総裁はやっぱし経営者の最高責任者、社長さんであります。国鉄の業務量というもの、事業範囲というもののシェアを確保し、再建にプラスをするということをやっていくためにどういう努力、どういう信用挽回をしようとされますか。これは組合がストライキをやったからいけないんだと言えば、一般論としては言えますよ。しかし、民間だってストライキが起こることがある。その結果によって被害を与えた。国鉄離れを犯したということについては、どこに責任があろうとも、経営者としては一番重要な問題だと思うのです。その点どういうお考えを持っているか承りたいと思うのですが。
○説明員(藤井松太郎君) お答えいたします。
 国鉄のシェアは、御承知のように貨物におきましては大体一三%程度のものであり、旅客輸送においては三〇%程度である。だからといって、国鉄が国民経済的に軽視されてしかるべきかどうかということになると、これは検討する余地があり、貨物積みに関しましても他の輸送機関に依存すればはなはだしく不便であったり、高くなるものを国鉄が運んでいるということであり、それから三〇%の旅客にいたしましても、これは通勤輸送であるとか何とか、原則的には余りそろばんのはじけぬような輸送が主体であるというようなことでございますので、国鉄離れがするするとおっしゃいますけれども、日本経済、国民経済全体から考えてみて、国鉄離れがしてもいいのかどうかということになると、私は遺憾ながらまだまだ国鉄の担うべき役割りは多分に残っている、これを健全に育てなくちゃいかぬ、かように考える次第であります。
 今回、八日か何かの争議行為がございましたけれども、これは、あらかじめストを予告せいなんていうのもそういう思想に出ているんでございますけれども、国民がこれは列車がとまるというんで準備工作をなさったということが大多数の原因であって、これが二十日も三十日もやればよい工作もできないので、これは非常なパニックが起きるであろうと、かように思うんでありますが、いずれにしましても国鉄のシェアは貨物一三の旅客三〇、しかも簡単に言えば、最も私企業ではやりづらいようなところばっかりが残っているというのが実態でございますので、これはやはり健全に伸ばして、能率を上げていくということが国民経済に寄与するゆえんであると、かように考えております。
○和田春生君 これはもう時間もございません。運輸大臣にお伺いをしたいと思うんですが、これは総裁も、あるいは富塚さんも、川田さんも、運輸大臣もよく考えておいていただきたいと思うのですが、国鉄を利用するかどうかを決めるのは政府でもなければ国鉄でもないし、組合でもないんです。利用者だと思うのです。今度このストライキ中に国鉄から離れたものは全部は私は戻ってこないと思う。それはもう国鉄には戻さないということをはっきり宣言をしている業者がいっぱいおるわけです。いいですか。まだまだということを総裁もおっしゃった。まだまだなんですけれども、こういう事態を続けていくと、そういう状況というものは進行していきます。そうなると、再建といっても空念仏、民間企業の採算に乗らぬところを国鉄が引き受けるんだという形になれば、その場合の国鉄は、いまのいわゆる事業体としての国鉄とは違った存在理由を持った国鉄にならざるを得ない。こういう面からも、スト権問題とは違った意味での国鉄の再検討ということが私は出てくると思う。
 そうした意味で、これは運輸省がやはり国鉄の監督官庁であり、国有鉄道であります。藤井総裁にそのことを考えろと言っても、私は無理な面がたくさんあると思う。運輸大臣、今後の国鉄の位置づけと、そういう日本の輸送サービスの面における国鉄の担う役割り、それをどういうふうに維持していくおつもりなのか、大きな問題ではあると思いますけれども、感触程度でもお伺いできれば幸いだと思います。これを最後の質問にいたしたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 和田さんの御指摘になりました心配の点は、私も全く同感でございまして、過去十年近くの実績を見ました場合に、全くそのとおりでございまして、国鉄の旅客、貨物ともに受け持つシェアはどんどん減っておりますが、なかんずく貨物は非常な減り方――一三、四%。で、こういう現実を踏まえて、これから国鉄の再建を図らなければならないわけでございますので、一番いま私たちが頭を痛めておりますのは、貨物輸送の面をどういうふうに位置づけるかということが非常に大きな問題になっております。国鉄の収支の中の赤字の半分は大体貨物輸送の赤字がこれを占めておるという実態でもございます。したがいまして、全体的には日本国内の総合交通のあり方というものを基本にして、国鉄の今後の使命というものを割り出して再建計画を立てなければならないと考えておるわけでございますが、特に今回のこういった違法ストによって外部にいろんな損害を与えると同時に、国鉄内部も得るべき運輸収入が上がらなかった、二つの問題があるわけでございます。外部の損害は、それぞれ新聞等によりますと、訴訟等で国鉄に損害賠償を請求しておるというふうな事柄もこれから起きてくるであろうと思います。これを国鉄財政上どう扱うかという問題がございます。
 もう一点は、得べかりし収入、これで恐らく八日間で数百億の赤字に、赤字といいますか、減収になっておると思いますが、これが国鉄の収支にはね返ります。これを、こういう事情でこれだけ収支に赤字が出たから国が見てくれということにはまさかならないと思いますが、これはやはり国鉄が骨身をみずから削ってこの補てんはすべきである、かように思うわけでございまして、これを国民の税金でもって国が補うということは避けるべき問題ではないかと、こういういろんな問題がありますので、苦慮いたしておりますが、今後は総合交通体系の中で再建計画の位置をはっきりしてやっていきたいと、かように考えております。
○和田春生君 終わります。
○戸田菊雄君 しんがりになりましたけれども、主として私は運輸大臣と、それから国鉄総裁と、それから国労の富塚さんのお三人に質問をしてまいりたいと思います。
 そこで、いろいろと御意見を聞いておって、非常に政府見解というものが、私は戦前のあの暗黒時代に逆戻りするような、そういう印象を受けておるわけですよ。だから、もう少し運輸大臣の答弁というものは前向きでひとつ検討をしていただきたいと思うんですね。そのことを冒頭にひとつ注文をしておきたいと思います。
 そこで、このスト権の問題は、私は何といっても今後の国鉄再建の問題と全く不離一体の関係で、重要な問題だろうと思うんであります。で、国鉄再建にかかわる問題について主として質問をしてまいりたいと思うんでありますが、教府、国鉄当局は、五十一年度予算編成を前にして、国鉄再建にかかわる委員会、これは衆参それぞれ委員会制度を設置をいたしまして、これから具体的に内容を検討しようと、こういうことですから、次期通常国会には当然本問題が最重要案件としていろいろと審議をされる運びになっていくだろうと思うんです。そういう中で、一体国鉄当局としては、これらの国鉄再建の、現在考えられておる内容というものはどういう内容を考えておられるのか、同時に国労の見解としては、富塚さんの方でどういう見解をお持ちになっておるのか、この点をまずお伺いをしたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。
 国鉄の財政再建につきましては、五十一年度の数字を検討いたしますと、運輸収入は一兆六千億ぐらいに対して、損失と申しますか、これが一兆二千億ぐらい出てくる、これ大変な教字でございます。したがいまして、この一兆二千億の穴をいかにして埋めるかということが、この財政を健全化するキーポイントになるわけでありますが、これは一方的な議論で恐縮でございますけれども、国鉄の現在の運賃体制というのは、一般の物価指数に比べて三分の一か四分の一に置かれておるんで、これを一般の物価並みに上げてくれというような要求は決していたしませんけれども、国民各位の御納得のいく範囲でこの運賃収入を上げていただくと、さらにその足らぬ分に関しましては、政府の赤字線の運営とか、あるいは金利とか、そういった面で政府の御助成をお願いいたしたいというようなことで、過去議論を練りまして、ただいまも議論を検討しておるということでございます。
 で、われわれの従来の再建計画というのは、金の足らぬのは政府がとにかく貸してやるということでございますけれども、借りた金は金利がつきますので、借りた金がだんだんふくれてきて、将来はどうもこうもならなくなるという形に、もうすでになりかかっておるということでございますので、これは一、二年でもって赤字が出ないようにというような欲の深い議論をやっているわけじゃございませんが、少なくとも、余り大きな赤が出ないように運賃収入を上げ、しからざる、足らぬ分は政府がひとつ御助成を願いたいという議論を進めている次第であります。
○参考人(富塚三夫君) 私どもは、国鉄再建について基本的には次のように考えています。いわゆる赤字負債の問題は当然国家の問題として考えるべき問題ではないか、この点についてもはや限界にきているから、政府は赤字問題、負債問題を全部責任を持って整理をすべきである。二つ目の問題は、国鉄が公共的な立場に立って運営をしている以上、採算のとれない赤字ローカル線も当然運営をしなければならない。あるいは和田先生もおっしゃったように、貨物輸送のシェアが非常に狭くなっている、これもあるかもしれません。総合的な交通政策がどういうふうに確立されるのかという政府の基本方針がなければならない。それは勢い公共的な負担についてどのようなルールを確立するかということについて企業体のあり方、そして給与総額制、予算制、定員制、そういったもののあり方についての再検討を求めるということの中で考えられていくべきだろうと、通勤、通学輸送の割引の問題、あるいは食糧、生活必需品の割引の問題、あるいは踏切道の問題、新しい車両の購入の問題、そういった公共的な負担の問題については、やはり政府がその措置を考えていくべきではないかと思っています。
 そういう観点で運賃の問題も当然議論されてくるでしょうが、運賃問題は、もちろん企業の採算をとるという視点でも大事ですが、やはり国の財政金融という置かれている状況の中でどう判断をするか、国民的な観点でどう判断をされるかということで、国民のコンセンサスを得る努力をすべきだろうというふうに思っています。そういう中で、根本的に国鉄再建の柱というものを明確にしていただかないと、利子に対する補助を幾らにふやすとか、あるいは多少の手直しをするとかなどというこそくな手段では、もはや再建問題はできないだろうというふうに考えています。そういう観点では私どもは国鉄当局側、あるいは運輸省の考え方、あるいは過日全交運では衆議院の交通部会の加藤メモですか、自民党の加藤さんの出されたメモなども検討に値するじゃないかということは、われわれの立場でもそう言っているのであります。したがいまして、その点についての基本的なあり方の問題は、やはりこの際明確に政府はしていただきたい、すべきだろうと、こう思っています。
○戸田菊雄君 そこで、運輸大臣に質問をいたしたいんでありますが、この政府の再建要旨、これは四十四年の法律二十四号、四十四年の初年度からの十カ年計画、これが主体でいま出ているわけでありますが、これからいろいろと検討をされる内容は別にいたしまして、この内容を見ますと、こういう表現になっているんですね。このためには政府の基本方針に示されているとおり、国鉄みずからの努力、国の財政助成及び利用者の協力による運賃改定の三本柱、いわゆる第一項、国鉄みずからの努力というのは合理化につながっていく、国鉄も一両損やんなさい、それから国の財政というのは国も一両損いたしましょう、あるいは利用者にも一両損していただきましょう、いわば三方一両損の、かつて国会でいろいろと論議をされたような内容で一貫してきているわけですね。
 そして、その中で一番過酷な扱いをされているのはいわゆる国鉄部内における合理化政策、これで労働者が大変な状況になっている。それからもう一つは大衆ですよ、利用する大衆です。この二つに徹底して犠牲を強要して国鉄再建をやっていこうという、政府は全くぬれ手にアワなんです。そういうことでは私は今後の、いま国鉄総裁もおっしゃられた、さしあたって一兆二千億の赤字、累積赤字が七兆円を超える、一日一億五千万の利子を払わなければいけない、これはだれがやったって、そういうものの回復措置を完全にとっていくというようなことはできません。だから、どうしても政府の、いま富塚さんも指摘されたようなそういう総合交通政策の樹立、あるいは経営改善の措置、自主能力の強化、あるいはスト権等含めて労使一体で話し合いがつくよう、そういう形をいまほど国鉄再建を通じて検討しなければいけない重要案件はないだろうと思う。
 ところが、一貫して運輸大臣の答弁を先ほどから聞いておりますると、まさに戦前の暗黒時代に逆戻りするようなこの労使関係についての答弁、これはまことに私は情けないと思うんです。そこでお伺いをいたしますが、運輸大臣もスト権の関係閣僚の大臣の一人でありまするから、これは政府一体の原則に立って、少なくとも総理等が言明をした内容については、大臣もこれには従っていかなければいけないと思います。三木総理は、これはさっき私が、わが党の瀬谷さんが予算委員会でやったことを取り上げたわけでありますが、この中で、この悪循環を断ち切って、スト権を付与する方向で鋭意検討する、こういうことを言った。加えて、この公社五現業職員の懲戒権とかそういう問題については、いわば総裁の自主能力、その範囲の問題である。ですから、そういう問題については労使相互間で話し合いで決めなさい、これが一番好ましい状況だと、こう言った。だから、こういった三木総理言明による今後の、いまあなた方が違法ストどうのこうのと言われている、こういう状態の問題についての解決策は、やはり労使双方の話し合いに私はおろすべきだと思う。
 ことに、どなたか野党の一部でも言われたようですが、この国民のいわばスト迷惑論ですね。これは全く私は日本の社会制度のおくれがそうさしておると思うんですよ。同じ資本主義国であってもフランス等においては、国鉄労組あたりが汽車をとめて賃上げをしていくということになれば、国鉄を利用して日銭かせぎでもって、行商人とかなんとかいう人がじっとがまんをすれば、その賃上げが成って、生活保障が上がって、その一定の恩典を受けられるような社会制度の仕組みになっている。ところが日本の場合はそうじゃなくて、一方でよくなっていこうと思って当然の権利を行使すると、他の国民が迷惑をこうむる、そういう仕組みになっている。こういう制度的な欠陥をそのまま放置をして、そしてストライキやったことはいけない、いけないと、こういうようなことは私は通らないと思う。ですから、そういう面について、経営の再建について、やはりあくまでも労使平和解決の方向というものがなければ私はうまくいかぬと思うから、その辺の運輸大臣としての、監督官庁の指導としてどういう考えを持っているのか、ひとつ。それから、違法ストだと言われるそういう問題に対してどういう考えを持っているのか、もう一度、ひとつ御答弁を願いたい。
○国務大臣(木村睦男君) まず、国鉄の再建問題でございますが、戸田委員も御指摘になりましたように、四十四年、それから四十八年と二回にわたって再建計画を組んだわけでございますが、その骨子は、いわゆるお話しのような三方一両損という立て方できたわけでございます。それがどうしてもそのとおりにいかなかった、で、今回はさらにそれらを反省をいたしまして、抜本的な再建の案をつくろうということでございますが、何しろ七兆円という累積債務もあり、三兆円という赤字を抱えておるわけでございますので、再建の方向といたしましては、今日までのこの膨大な債務、赤字、これをどういうふうにして処理するかということが一つの大きな問題でございます。
 これらについては、わが党の方でも一応の、一つの案が出ておりますし、また、他の方面でもいろんな意見が出ております。それと同時に、今後の毎年、毎年の経営をどういうふうにやっていくかという問題が当然出てくるわけでございます。それらの中にありまして必要なことは、経済的に一つの案ができ、財政再建のプランができ上がったといたしましても、やはり今後の国鉄を運営し、動かして、その示される、つくられる再建案の軌道に乗って再建に努力をしていくのは、やはり国鉄四十数万の職員一体の国鉄であるわけでございます。したがって、あくまでも当局者、組合との間は十分な協調体制をとっていかなければならないことは、私も十分承知をいたしておるわけでございます。
 そこで、現在問題になっておりますスト権の問題、この処理がやはり一つの焦点になっておることも私は認めておるわけでございます。ただその前に、スト権といえども団体交渉ということがまず前提になるわけでございます。団体交渉がうまく組める、また、団体交渉で決めた事柄は責任持って実行に移せ得るという、まずその土俵をつくらなければいけないと私は思っております。そういう意味で、今回の政府の方針の中にも「当時者能力の強化の方途を検討する」、こういうことで、その中身にはいろいろありますけれども、代表的なものとして経営のあり方と、料金法定制度の改正というふうなことも、団体交渉の場合の当事者能力を強化する一つの有力なてことしてこれらのことも検討する、こう言っておるわけでございまして、まず第一に、団体交渉が公平に、平等に、また責任を持ってでき得る体制をつくらなければいけない。このためにいろいろと今後検討をいたしてまいりたいと思います。ただ、政府から完全に離れるわけではございませんので、団体交渉における当事者の能力にも完全を期するということは、これは公共企業体の性格上無理な点がございます。しかし、できる限りの、幅広く権限は付与する方向でやっていきたい、これが第一義でございます。
 しかる後に、このスト権をどういうふうに処理するかという問題でございまして、これは繰り返すようでございますが、この方針の各項目を踏まえまして、できるだけ早い機会にこの結論を出すということになるわけでございます。そして、これらの問題は政府、あるいは国鉄、あるいは労働組合、それだけの場で論じられておる問題でございませんで、いまや国民全般が注目をいたしておる中でこの問題を処理しなければなりませんので、国民各階、各層からも大変な注意を持って見られておる実情でございます。しかも、いろんな機関からいろんな意見が出ておるわけでございます。専門懇の意見もその一つでございますから、それらを十分に踏まえまして、できるだけ早い機会にこの問題について結論を出し、そして国鉄の再建ができ得るように、その方向に沿った結論が出るように私としては努力をいたしたいと思っております。
○戸田菊雄君 時間がありませんので端的にお伺いしていきますが、国鉄総裁、現行のようなスト権問題の決着で、今後国鉄再建に対して組合の協力を得られると総裁は考えておられますか。
○説明員(藤井松太郎君) 国鉄の再建には、たびたび申し上げましたように、労使力を一緒にして努力していくということが不可欠の問題でございまして、先ほどもちょっと申したんでございますが、国鉄を再建するということは、何もわれわれ四十三万の国鉄人の国鉄じゃないんで、国民に対する義務を完全に果たすためには、いわゆる再建をしなくちゃいかぬということを申し上げて、皆さんの御了解もさよう得られると思うんでございますが、したがいまして、国鉄の労使が協調するという前提では、先ほど来のものが非常な問題になりますけれども、四十三万の職員がこれは国民に奉仕する共同の責めを持っておるんですから、こいつを組合の諸君ともよく話して、それとは切り離した問題だとは決して言いませんけれども、そういう共通の責任であるという意識に立って御努力を願いたいと、私は偏屈者なんで、組合が協力するとかしないとかという言葉がはなはだ気に食わぬのですね。この四十三万の協力とか、人ごとじゃないんで共通の責めじゃないかと、こいつをまずやってくれというのが私の本音でございまして、これは組合の諸君ともよく話して、組合の諸君も国民に対する義務を、スト権をよこさなけりゃしないとは決して言っていないはずなんで、よく話し合って協力体制を取りつけて再建したいと、かように思います。
○戸田菊雄君 いままで二十七年間にわたって、その間いろんな紆余曲折があってそういう歴史的経過を踏まえてきて、今日まで何とか正常化の方向に来た。今回のスト権付与についても、総裁みずからが大変な――自民党からのいろんなことがあったでしょうけれども、それを踏み切ってああいう一定の見解を示した、こういう点については、私も最大敬意を表しているんです。しかし、問題は政府のそういう、まさにこの三木総理の無能力判定によって――これは新聞でそういうことを言われている。そういう内容で、ああいう五項目の回答で何らスト権に対する決着がついておらぬ。ですから、そういう中でも条件つき付与を総裁は言っているわけですから、これはやっぱり一面は政府に対してこれらは十分配意してもらうと同時に、部内においては組合と十分そういう問題について相協議をする、こういうことが必要だろうと私は思うんです。
 そういう現況に立っておるわけでありますが、こういう問題について運輸大臣、いろいろといままでの政府のスト見解に対する問題を聞いていますと、五項目回答に含めて、これよかしとして、今後さらに押さえて持っていこうと、こういう相当期間をかけて、そう考えている節があるんですね。これは担当大臣としても、私はやっぱり国鉄総裁と相提携して政府の中で、あるいは自民党の中で最大がんばっていく必要があると思うんですが、そういう点はどう考えておられますか。
○国務大臣(木村睦男君) ちょっと最後と方……。
○戸田菊雄君 閣僚の一員でございますから、いまのスト権の五項目、閣議に出ました。これは問題にならぬですから、そういうものを打開する具体的な、スト権付与に向けての結論を早期に引き出すような努力をやっていくべきであろう。どういう努力をなされるか、その辺の見解を聞きたい。
○国務大臣(木村睦男君) この政府の方針は、たびたび繰り返すようでございますけれども、スト権を付与しないとか、あるいは条件つきスト権も付与しないとか、そういうことを前提にしての方針ではございませんので、これからそういう問題を含めて検討をしていくということでございます。私も閣僚の一人でございますので、これらの政府の方針も、十分考えなければいけませんし、また国鉄を監督しておる大臣といたしましては、今後の国鉄の再建に役立つようにこの問題を処理しなければならないということも私の責任であると、十分それは認識をいたしておりますので、そういう立場に立って、今後この問題に対する私としての態度といいますか、措置といいますか、行動をとっていくつもりでございます。
○戸田菊雄君 時間がありませんから、富塚さんに端的に二点お願いをいたしたいと思います。
 いま総裁や運輸大臣もおっしゃられましたように、国鉄の再建には財政基盤を含め、さらに労使関係の近代化、いわゆるスト権付与、こういった問題が非常に必要な内容だと私は思うわけであります。ですから、政府のそういう態度が速やかに打ち出されることを運輸大臣に要望いたしましたけれども、いまのようなことでは私は回答になっておらぬと思うんであります。ですから、そういう意味合いにおいて、富塚さんのこの面の見解をひとつお伺いしたい。
 それからもう一つは、先ほど民社党の和田さんからちょっと話が出たようですが、鉄労が汽車を動かそうと思う、こういうようなことでやったけれども、当局の妨害と、こういうことをやる。これは国鉄総裁にも関係があるのでありますが、いずれにいたしましても国鉄部内には鉄労という組合がございますね。そういう問題の中で、スト権について、当該組合等と国労が何か話をしたようなことがあるのかどうかですね。あれば、そういった見解についてひとつお聞かせを願いたいと思います。
 それから時間がありませんから一遍に言いますが、運輸大臣ね、さっき和田さんの意見を聞きますと、列車を鉄労は動かしたかったけれども、結果的に当局の妨害とか、国労の妨害とか、そういうものがあって動かすことができなかった、こういうことなんです。しかし、今回の公労協のストライキというものは、史上空前、最大のストライキですよ。まさにこれは緊迫した状況にあるわけでしょう。そういう中でわずか一本とか二本の列車を動かされていくということになると、私は社会秩序上大変な影響が出たんじゃなかろうか。いろんな情報が入っております。政府自身だって川島副長官もいろんなことを言ったとか、こういう情報がいっぱい入ってきております。そういう中で公労協の皆さんが、ことに国鉄動労が整然とああいうストライキをやった中で、そういう秩序を破壊しようという不穏分子等もあったことも事実なんですから、そういうことになれば、私はまさに国鉄当局や公労協がとった今回の措置というものは緊急避難に値する当然のことです。そういう意味合いにおいては、社会秩序の保持のために当然やむを得ざる私は措置だったと思うんです。こういう点について運輸大臣はどういう見解を示しますか、その点をひとつ。富塚さんの方から先に。
○参考人(富塚三夫君) 最初に、ストライキ戦術のことについて大変な誤解が実はあるんですね。御存じのように、国鉄労働者は徹夜勤務、三交代勤務ということになるんです。ですから、管理者五万人は日勤の勤務者であっても、ほとんどの人は三分の一、半分以上はうちで休む仕組みになっている。これはよその民間の企業とは全く異なるんです。ですからスト参加者が二万人とは少ないじゃないかと言われますが、われわれにすると二万人というのは相当大きな数字だと、こう思っているんです。しかも、収拾が整然と立ち上がりいかせるということでは、たとえば二十七ある車両工場をストライキに入れますと、あのような立ち上がりはできないんです。検修関係などは全部就労しているから、結局立ち上がりがうまくできるという結果になったんですね。そこのところ、大変何かいいかげんなストライキをやったようなことにとられていますけれども、労働組合ですから、最小の費用で最大の効果を上げる、これは原則です。しかし、基本的には乗務員区を中心にストライキ戦術を配置したということなんでありますから、その点の誤解はないようにお願いをいたしたい。第一の問題です。
 それから、鉄道労働組合の坂東委員長とは、具体的にスト権の問題で、ある新聞社の座談会を通じても話をしました。スト権を回復するということでは同じ考え方を持っています。条件つきの内容とか、あるいはそれを立法化する問題などについての意見の違いはあると思います。しかし、戦後時代の遺物を清算をすべき時期に来ていると、これは坂東さんもわれわれも全く一致をしています。国鉄の中にある各組合は全部そのことを念願をして要求をしているものと思います。
 それから、財政基盤の確立と労使近代化、これが国鉄再建計画の命題だと、こういうふうにおっしゃられていますが、先ほども申し上げましたように、私どもは国鉄再建計画があるからこそ、いま労使関係問題について真剣に考えてくれと言っているわけです。で、それは自主能力の回復であり、あるいはストライキ権の回復である。そして、そこに運賃問題とか法定主義問題が出てくる、これは包括的に考えるべき筋合いのものであって、スト権をうっちゃってしまって、葬ってしまって、そして、運賃法定主義問題だけ前に出てきて、組合は了解をせいと言われても、そういうことはできないということを、運輸大臣にも国鉄総裁にも言っているんです。そうしますと、いまスト権問題について政府が一定の見解を出されました。いろんな疑問なり不信感があることも承知しています。
 だから、先ほど三木先生の質問の際にも言ったんですが、公労協に、あるいは国鉄労働組合、動力車労働組合にスト権を回復した状況ではどのような形のものにすることがよいのかという意味で、われわれは見解をまとめて表明する用意はいつでもあります。政労交渉の窓口も残してあるんですから、政府は積極的に交渉に乗り出してもらいたいと思うんです。ただ、ここのところが財政再建を担当する運輸省なり運輸大臣が、この点の視点について積極的に乗り出すということがないと、一般的によその企業なり、よその二公五現の再建と同じように考えるようなことではわれわれは納得できない。だから、運輸大臣としては積極的にその打開策を考えてほしい、そうするならわれわれは協力をすることはやぶさかじゃないと、こう言っているんです。全く私どもは筋の通ったことを言っているつもりなんです。その点だけはわれわれの考え方として基本的な態度を申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 今度のストで、一部地方において列車を動かしたいと、にもかかわらず動かさなかったという事実のあることは私も聞いておるわけでございます。まあ当局側からもいろんな説明も聞きました。戸田さんのおっしゃるように、こういう中で一本列車を動かせば大変な騒動になって、かえって国民に迷惑をかけるというふうなことも聞きました。しかし私は、これは国民の国鉄であり、国民がいかに不便をしておるかということを真剣に国鉄当局が考えた場合には、たとえ一本の列車でも動かし得る状態にあれば、少々の混雑があろうと私は動かす努力をすべきであると、それによって死に目に会えた人がおったかもしれない、動かさなかったから死に目に会えなかった人が出たかもしれないというふうなことを考えますと、もうちょっと私は繊細な配慮をやるべきではないかと思うわけでございます。どうしてもそれが無理であるんなら、そのことを国民全体にわかるように十分なPRをすべきである。ただ、そういう状況だと思ったから、こういう要求があったけれどもやめたというふうなことでその場で済ましてしまうような行き方では、国民に向かっての国鉄であるということが言えなくなるんじゃないかという感じを私は非常に痛感をいたしております。したがって、この問題は今後大いに研究すべき問題ではないか、かように考えるわけでございます。なお、実際に列車が動かなくて、勤務に出ていながらそういう方面に動員できぬ人もあったかもしれませんし、要するにそういうことがやむを得なかったんなら、やむを得なかったということを国民一般にわかるように、事情説明が徹底できるようにする少なくとも措置をとらなければ、国鉄の信用問題に係るんではないか、かように考える次第でございます。
○戸田菊雄君 これで終わりますが、国鉄総裁や、いま富塚さんが具体的にして明快な検討内容というものを出したわけですね。当然運輸大臣としては、閣僚における当事者ですから、やはり打開策のために大いにひとつ努力をしていただきたいと思うんです。
 時間がありませんから簡単に申し上げますが、ただこういう世論調査があるんですよ、大臣。今回のスト実施について日本リサーチセンターでもって三日、世論調査をやっている。その一つは、スト権を与える、いわゆる認めるかどうかという質問に対して、認めなさいという世論が六五%、認めてはいけないというのが三三%。いいですか、それからもう一つは長期的ストの責任、これは政府か労働者側かどちらと思いますかと、こういうことに対して、政府側が三八%ですよ、労働者が三一%。
 私はこのパーセンテージが多いからどうのこうのというわけじゃないけれども、客観的な諸情勢というものも、ストライキ権については当然労働者の基本的権利として付与すべき条件である、それは憲法にも明示をされておるじゃないですか。
 それをマッカーサーが超憲法でもってこれを剥奪をした、自民党は二十七年間も今日までそれを放置をしてきた、こういうものがもう近代社会における国民の意識層としては私はそこまできていると思う。おくれているのは政府だけです、ことに三木内閣ですね。そういう点のやはり情勢を達観して、大臣は能力を持つ運輸大臣ですから、今後政府内部においてスト権付与に向けてひとつ大いに奮闘していただきたい、このことを要望しまして、時間が来ましたから私は終わりたいと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(木村睦男君) 戸田委員の、非常に貴重な御意見として十分承ります。
○青木薪次君 関連質問として。
 いま、わが党の戸田委員の質問に対して、運輸大臣もできるだけ努力したいということを言われたわけでありますが、八日間にわたるあのストライキの収拾ができたのは、きょうの参考人の富塚書記長を先頭とする公労協の代表幹事の皆さん、関係者の皆さんの私は努力だと実は思っているわけです。なお忘れてならないのは、国鉄総裁がいみじくも二日でしたか異例の、何としても職場に復帰してくれということで、組合員に告ぐということを発言をされたわけです。そのことの意思というものは、私はやはり職場末端に素直に受け取られていったと考えております。
 そこで、木村運輸大臣に要請いたしたいのは、私どもはあなたとお会いいたしましたときに、ストの終わった後でお会いいたしましたけれども、そのときに、労使の国鉄再建に対する姿勢というものについては、これは車の両輪のような形で推進しないと問題は解決しないということについて、あなたは全くそのとおりだというように言われたはずであります。しかし、今日の状態というものは必ずしも組合にだけ、スト権問題についてはもうあの五項目でいいんだ、二年か三年たったら片づくよということだけでは、幾ら富塚書記長が、富塚代表幹事が努力されても、私は職場が納得しまいと思うんです。
 そういうことから考えたときに、私は木村運輸大臣がこういうところで、きわめてきめの細かい能弁による答弁をされるということだけでなくて、やはり主管大臣として、スト権の問題等について積極的な閣内における努力というものが大衆に映らなければいけないと思うんです。そのことは、私どもはいまの世の中というものは、やはりそういう立場に立って以心伝心、あうんの呼吸というやつがあるわけでありますから、その点をぜひひとつ要望しておきたい。具体的にあなたの努力というものが実が実っていくということは、あなたのやはり私は動きの中にある、努力の中にある。それが大衆の中に知られていくということを私は要望したいと思うんですけれども、その点いかがですか。
○国務大臣(木村睦男君) 私は閣僚の一人として、三公社五現業の労働基本権の問題に対する最終的な処理の仕方は、申すまでもなく政府の方針によって閣僚協で進めてまいる考えでございますが、同時に、私は、運輸大臣として、いま当面の最大の問題でございます国鉄の再建ということに全力を挙げなければならない責務があるわけでございます。両々考えまして、この問題は私は、今後私の立場で責任持って善処をいたしてまいるつもりでおります。
○委員長(宮崎正義君) 富塚、川田両参考人には、集中審議後もさらにお残りくださいましてまことにありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。長い間本当に御苦労さまでございました。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後六時十一分散会