第077回国会 内閣委員会 第4号
昭和五十一年五月十三日(木曜日)
   午前十時三十八分開会
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   委員の異動
 五月十二日
    辞任        補欠選任
     河田 賢治君     小笠原貞子君
     三治 重信君     中村 利次君
 五月十三日
    辞任        補欠選任
     小笠原貞子君     河田 賢治君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         中山 太郎君
    理 事
                加藤 武徳君
                中村 太郎君
                野田  哲君
                秦   豊君
    委 員
                岡田  広君
                世耕 政隆君
                寺本 広作君
                八木 一郎君
                山本茂一郎君
                吉田  実君
                上田  哲君
                片岡 勝治君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                岩間 正男君
                小笠原貞子君
                河田 賢治君
    発議者         片岡 勝治君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
       運 輸 大 臣  木村 睦男君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       植木 光教君
   政府委員
       内閣官房内閣広
       報室長      関  忠雄君
       総理府恩給局長  菅野 弘夫君
       大蔵省主計局次
       長        松下 康雄君
       大蔵省理財局次
       長        原   徹君
       厚生政務次官   川野辺 静君
       厚生省援護局長  山高 章夫君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  杉浦 喬也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       厚生省保険局医
       療課長      三浦 大助君
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  本日の会議に付した案件
○旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係
 る恩給法の特例に関する法律案(片岡勝治君外
 一名発議)
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○昭和四十二年度以後における国家公務員共済組
 合等からの年金の額の改定に関する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○昭和四十二年度以後における公共企業体職員等
 共済組合法に規定する共済組合が支給する年金
 の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等
 共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
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○委員長(中山太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 昨十二日、三治重信君及び河田賢治君が委員を辞任され、その補欠として中村利次君及び小笠原貞子君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(中山太郎君) まず、旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係る恩給法の特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。参議院議員片岡勝治君。
○片岡勝治君 ただいま議題となりました旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係る恩給法の特例に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、去る大戦において戦時衛生勤務に服した日本赤十字社の救護看護婦は、白衣の天使として軍の強い要請に基づき戦時召集状によって動員され、激烈な戦場において軍人同様の激務に挺身されたものであり、しかも、戦後は長期間異国に抑留されたため、帰国後再就職の機会を逸した者も少なくありません。
 これら救護看護婦等は、旧日本赤十字社令に基づき、陸海軍の規律を守り、命令に服する義務を負い、その待遇は下士官もしくは兵に準ずるものとされていたのでありますが、旧軍人につきましては恩給法で処遇がなされているにかかわらず、救護看護婦等につきましては恩給公務員に相当する看護婦長等が帰国後公務員になった場合にのみその期間が恩給期間に算入されているにすぎません。旧軍人に比しはなはだしく不利になっております。
 このように今日まで十分な国家補償がなされないまま、老後の生活を余儀なくされている実情にかんがみ、この際、これらの救護看護婦等及びこれらと同様の勤務に服した旧陸海軍の看護婦について、恩給法を適用し、同法に基づく処遇を行うことが国として当然の責務であると考えまして本法律案を提出した次第であります。
 次に、その内容の主なる点を御説明申し上げます。
 第一に、戦地または事変地において勤務した旧陸軍または海軍の看護婦及び旧日本赤十字社令に基づく救護員等は、戦地及び事変地に勤務した期間及びこれに引き続く抑留期間については昭和二十一年法律第三十一号による改正前の恩給法第二十条に規定する文官として在職したものとみなし、現行恩給法を適用するものとすること。
 第二に、俸給年額については、政令で定める仮定俸給表に基づくものとすること。
 第三に、新たに恩給を支給されることとなる者またはその遺族は昭和五十一年十月一日から恩給を受ける権利または資格を取得するものとすること。
 第四に、その他所要の改正を行うこと。等であります。
 以上が、本法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(中山太郎君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案の審査は後日に譲ることといたします。
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○委員長(中山太郎君) 次に、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、その額を引き上げることとするほか、年金額算定方式の改善、廃疾給付及び遺族給付の改善、最低保障額の引き上げ、恩給公務員期間等を有するものに対する特例措置の改善、短期給付の任意継続組合員制度の改善等、所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一は、国家公務員共済組合等からの年金の額を改定することであります。すなわち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、旧国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法に基づく年金のうち、昭和五十年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給における措置にならい、昭和五十年度の国家公務員の給与の改善内容に準じ、年金額の算定の基礎となっている俸給を増額することにより、昭和五十一年七月分以後、年金額を引き上げることといたしております。
 第二に、通算退職年金等の額の算定方式中の定額部分の額を引き上げるとともに、その加算期間の上限について、三十年とされておりますのを改め、これを三十五年に延長することといたしております。
 第三に、継続療養給付等を受けている者に係る公務によらない廃疾年金支給のための廃疾認定日について、療養の給付等開始後三年を経過したときとされておりますのを改め、一年六月を経過したときとすることといたしております。
 第四に、公務によらない廃疾年金、廃疾一時金及び遺族年金の受給資格期間につきましては、組合員となって一年以上とされておりますのを改め、他の公的年金制度の加入期間と合わせて組合員期間が一年以上となるときは、受給資格期間を満たしたものとすることといたしております。
 第五に、夫の死亡に係る遺族年金を受ける妻に遺族である子がいる場合、またはその妻が六十歳以上てある場合には、遺族である子の数等に応じた加算を行うことといたしております。
 第六に、遺族年金扶養加給の額を増額することといたしております。
 第七に、通算退職年金の受給権者が死亡した場合には、その者の遺族に対して、新たに通算遺族年金として通算退職年金の額の百分の五十に相当する額を支給することといたしております。
 第八に、国家公務員共済組合法に定める退職年金等の最低保障額を引き上げることといたしております。
 第九に、恩給公務員期間等を有する者に対する特例措置の改善といたしまして、恩給における措置にならい、七十歳以上の老齢者等に対する年金額の割り増し措置の改善、公務関係年金及び長期在職した退職年金受給者等の年金の最低保障額の引き上げ等を行うことといたしております。
 第十に、短期給付の任意継続組合員制度の加入期間を一年から二年に延長するとともに、掛金の軽減等の措置を講ずることといたしております。
 以上のほか、掛金及び給付の算定の基礎となる俸給の最高限度額を三十一万円から三十四万円に引き上げることとする等、所要の措置を講ずることといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。
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○委員長(中山太郎君) 次に、昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。木村運輸大臣。
○国務大臣(木村睦男君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、公共企業体の共済組合が支給しております退職年金等につきまして、このたび別途本国会に提案されております恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて年金額を引き上げるとともに廃疾年金及び遺族年金の受給資格の緩和、遺族年金の給付水準の改善、通算遺族年金制度の創設等の措置を講ずるため、所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、公共企業体の共済組合が支給しております退職年金等のうち、昭和五十年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給等の改善措置にならい、その年金額の算定の基礎となっている俸給を昭和五十年度の国家公務員の給与の改善内容に準じて増額することにより、昭和五十一年七月分から年金額を引き上げることといたしております。
 第二に、旧国家公務員共済組合法等に基づく退職年金等の最低保障額を恩給等の改善措置に準じて引き上げるとともに、公共企業体職員等共済組合法に基づく退職年金等の最低保障額につきましても、その額の引上げ等の措置を講ずることといたしております。
 第三に、廃疾年金、遺族年金等につきまして、一の公的年金制度の加入期間を組合員期間とみなすこととした場合に、これらの長期給付の受給資格期間を満たすこととなるときは、その者またはその者の遺族にそれぞれ廃疾年金、遺族年金等を支給することとして、受給資格の緩和を図ることといたしております。
 第四に、公共企業体職員等共済組合法等に基づく遺族年金につきまして、遺族年金を受ける妻が遺族である子を有する場合または六十歳以上である場合には、遺族である子の数等に応じた加算を行うことにより、遺族年金の給付水準の改善を図ることといたしております。
 第五に、通算退職年金の受給権者が死亡したときにその者の遺族に通算遺族年金を支給する通算遺族年金制度を創設することといたしております。
 このほか、任意継続組合員について、その加入期間を一年延長して二年とするとともに、掛金の軽減を図る等の措置を講ずることといたしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(中山太郎君) 以上で両法案の趣旨説明は終わりました。
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○委員長(中山太郎君) それでは、恩給法等の一部を改正する法律案及びただいま趣旨説明を聴取いたしました共済関係二法案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○片岡勝治君 共済年金関係につきまして若干質問をいたします。
 今度の改正案については、ほぼ恩給法の内容と変わりないわけでありますけれども、しかし、恩給といわゆる共済年金とはやや発足の趣旨からすると違った意味もあるわけでありますが、しかし恩給が社会保障的なものに年次変わってきつつある、また変わらなければならないことは当然でありますが、そういう意味では、恩給と共済年金とが相互に近づいていくということが当然考えられていくと思うわけであります。そういう観点で若干具体的に質問していきたいと思います。
 第一は、共済年金の所管の問題であります。これもすでにこの委員会でも質問あるいは検討されたことがあるわけでありますが、現在国家公務員の共済組合の所管は大蔵省になっておる。この国公の共済組合は、いわば国家公務員の一つの社会保障制度であり、そういう点からすると、大蔵省が所管をしているということに、若干私どもとしては、何か腑に落ちないような感じがするわけでありまして、まあ大蔵省は国家全体のがまぐちを握っているところである。そういう点から、各省庁のそれぞれの政策決定について事前にチェックする、あるいは財政面からその行政をチェックする機能を果たしているわけであります。そういうことからすれば、公務員の共済、そうした行政については、むしろ大蔵省の外に出すべきではないのか、こういうふうに私たちは考えるわけでありまして、そういう角度からも、昨年ですか、一昨年、大臣に質問をしたことがあるわけでありますが、大臣はそれに対して、はっきりとした表現ではありませんでしたけれども、そういう考え方についてはひとつ検討してみようと、こういう答弁があったと思うんです。この点、まず最初に大臣の方から所管事項についてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) この前、本委員会でそういう御趣旨の御質問を受けて検討を約したことは事実でございます。ただ、大蔵省という役所は二つの性格を持っておりまして、一つは国庫省という立場と、所管省という立場と、二つあるわけでございます。銀行行政、保険行政あるいは証券行政というような所管行政を預かる立場もございまするけれども、いま片岡さん御指摘のように、全体的に、国庫全体の立場で予算を掌理するというような立場も持っておるわけでございます。
 で、厳密に申しますと、共済組合は所管省としての大蔵省が沿革上管轄をいたしておると承知いたしておるわけでございます。ちょうど自治省が地方の共済組合を、公企体の方の共済組合を運輸省がやっておるというようなものと、厳密には性格を一にしておると思うのであります。したがって、特にそういうものとたぐいを異にするものではないと思います。ただ、総理府の方におきまして、恩給の仕事がだんだんと今度年金の方に移ってまいりますし、恩給局の仕事がだんだん手がすいてくるというようなことになって、国全体として、まあそういう所管を一遍見直して仕事の配分を考え直したらどうかというようなことは一考に値する問題提起であろうと思いますので、そういうことにつきましては、政府で今後検討しなけりゃならぬ課題ではないかと思っております。
○片岡勝治君 なかなか、機構を改革するということはいろんな関連する現象が出てくると思いますので、そう簡単にいくとは私も思っていませんけれども、先ほど申し上げましたように、国公の共済のみを大蔵省が所管をしている、こういうことについては、むしろ外に出した方がよろしい、私たちはそういう意見を持っているわけてありまして、単に恩給局の業務が年次縮小されるからという、そういう観点ももちろん一つの要素にはなると思いますが、もっと根本的な行政のあり方としてぜひ検討をしていただきたい、このように考えるわけであります。
 さて、第二番目として、具体的にお伺いいたしますけれども、いま国家公務員共済に基づく年金受給者の最高額はどのくらいになっておりますか。
○政府委員(松下康雄君) 国家公務員の共済制度に基づきます年金額そのものは、現在のところまだ完全な形では支給に移されてございませんので、現実に支給を受けておられる方々は、実際問題としては勤務期間中に相当の年数の恩給公務員期間を持っておられまして、恩給の部分が年金額全体の中の相当の割合を占めるというようなことでございます。
 そこで、御質問にございましたように、純粋の年金制度として考えました場合に、最高額がどのくらいになるかということは、まあ一種の仮定の計算のようなことになるわけでございますけれども、現在、年金計算の基本となります俸給の最高限度は三十一万円でございます。これで勤務期間が仮に三十年ぐらいといたしますと、その場合の受給される年金の額は、若干正確を欠くかもしれませんが、二百八十万近くぐらいになるのではなかろうかと思っております。
○片岡勝治君 今度の改正案によりますと、年金額の改定については、いままでの一律方式を、まあ今度は六段階に分けて公務員のアップ率に見合う段階別の改定を行っているわけであります。これもいままで衆参両院でこの点についていろいろ指摘があり、あるいはまた附帯決議等がなされて今回改正されたわけであります。いま最高額についてのお話がありましたけれども、私どもの単純な計算によると、最高クラスの人たちは一律方式をやることによって大変有利な条件になり過ぎ――なり過ぎという言葉はあるいは語弊があるかもしれませんが、大変有利な条件になってきております。そういう点について是正をまた私どもは希望してきたわけでありますけれども、これは恩給のときにも質問いたしましたけれども、この六段階方式、必ずしも六段階が全く適切かどうか、細かく検討すればあるいは問題点があるかもしれませんが、この段階別改定というのは、今後の方針として共済年金についてもお考えになっているのかどうか。
○政府委員(松下康雄君) ただいま御指摘の六段階方式につきましては、本年の年金額の改定のときから新しく採用いたしました考え方でございまして、その考え方の基本は、現職の一般の公務員の給与の上がりぐあいが、計算をいたしますると、俸給の上の方の方々の上がり率よりも俸給の低い方の方々の上がり率の方が有利になっております。この現状を目安といたしまして、現在、現実に年金をもらっておられます方々の受給額につきましても、やはりこれと同じ考え方で計算式をつくりまして、高い年金の受給者よりも低い年金の受給者の方が有利な上げ率を確保できるような算式にいたしたわけでございます。したがいまして、この算式そのものは、昨年の国家公務員の現職の公務員の給与の上がり方から導かれたものでございますから、たとえば本年について考えてみますると、公務員の給与の上がりぐあいが昨年と同じであるかどうか、それは人事院の勧告の結果を見なければわからない問題でございます。したがいまして、この計算式のつくり方でありますとか、それぞれの上がり率の相対的なぐあい等につきましては、あるいは来年度におきましては本年の給与改善の実情を見まして、それによってまた算式を新たにつくるというようなことがあるかと思いますけれども、物の考え方といたしましての公務員の俸給の上がりぐあいを年金の額の改定の内容に反映させていくという考え方につきましては、これは恩給と足並みをそろえてまいらなければなりませんけれども、私どもといたしましては、恩給の方がそういうお考えをおとりになられる限り、私どもの方もそういう考え方で改定を行ってまいりたいと思っております。
○片岡勝治君 今後の公務員の賃金改定がどういう姿になるか私どもも予測できませんけれども、少なくとも今度の年金、恩給の改定についての段階式な改定は、いわば公務員給与の現実に合った改定方式だろうと思うわけであります。したがって、こういう方式をやることによって、あるいはまた他に矛盾が出てくるということも全くないわけではないと思いますけれども、こういう方式について一層検討されて、より合理的な改定を行うことを強く希望するわけであります。
 次に、年金の算定の基礎となる給与、もちろんこれは頭打ちもありますけれども、現在では基本給だけですね。
○政府委員(松下康雄君) さようでございます。
○片岡勝治君 御承知のように、今日の給与が、民間あるいは公務員を問わず基本給的な性格と、俗に言われておる諸手当、手当の部分があるわけでありますが、最近民間の賃金等を見ましても、諸手当の要素が大分大きくなってきております。また、公務員の賃金でも、そういう傾向は、詳しく私は計算をしておりませんけれども、昔に比べてそういう要素が大きくなっているような気がするわけであります。特に、期末手当等の関係からそういう傾向があるのではないか。それで、年金あるいは恩給が、やっぱり社会保障、生活保障ということになりますれば、単に基本給だけ――現実の生活は基本給プラス諸手当、それが生活の支えになっておるわけでありますから、そういった要素も、年金のあるいは恩給の基礎に加えることがより合理的なのではないかということを私は感ずるわけであります。そういう点で、この際、それについてどういうふうにお考えになっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) ただいま御指摘のございました基本給に対する諸手当の割合が、近年だんだんと高くなっているのではないかという点につきましては、実際そのとおりでございまして、ちょっと手元の数字で申し上げますれば、昭和三十四年度におきましては、いわゆる期末勤勉手当は年間を通じまして二・八カ月分でございましたけれども、これはやはり、民間の賃金体系におきますところの、そういういわゆるボーナスの水準と合わせまして、人事院が調査をしたところによりまして勧告をいただいて改定をしてまいったわけでございますけれども、昭和五十年度におきましては、この率が五・二カ月分に達しているわけでございます。
 そこで御指摘の、これらのものも含めたところで年金支給額の基礎とすべきではないかという点でございますけれども、年金の制度につきましては二つの点からの考慮が必要ではなかろうか。
 一つは、年金の給付を受けます場合に、社会保険の制度でございますから、これに見合いましたところの各人の負担というものがその基本になっているわけでございます。したがいまして、年金の給付水準の改善を図るということは、同時に財源計算上の負担の問題にも必ず影響してまいる問題でございます。
 それからいま一つは、わが国の公的年金制度は幾つかの制度に分かれておりますけれども、いわば公務員のグループの受けております共済年金と、たとえば一般の民間企業に勤務されておられる方々の受けておられます年金と、これらのものは国全体の社会保障制度の中では、現在の幾つも分かれております沿革的な事情は前提といたしましても、なるべくバランスをとって考えていくべきものではなかろうかと思うわけでございます。現在の共済年金の給付の額は、基本給によって算定をしてございますけれども、たとえば民間の被用者の場合でございますと、それが現在の共済のように最終年度の俸給を基礎とするということでなしに、在職中の平均の報酬額を基礎とするというような計算方式の違いがございます。したがいまして、年金の水準から見まするというと、国家公務員の共済の年金の水準は、もちろんそれだけの掛金負担を行った上のことでございますけれども、民間と比較いたしまして決して不利になっておらないと存ずるわけでございます。したがいまして、これらの点から考えますると、現在の諸手当を制度の中に取り込んでいくといたしました場合に、その前提となる先ほどの二つの点につきまして、よほどの検討が必要であろうと思われますので、現在の制度で結果的に支給をされております給付の水準が、負担との絡み等を考えますと、現段階ではこれはまず適当な水準と言えるのではないかと存ずる次第でございます。
○片岡勝治君 現実にいま生活をしている公務員の収入を考えたときに、この基本給プラス諸手当、この合計額が実質的な収入になるわけでありまして、その何割が退職した場合に年金になるかということと、基本給だけの場合とは相当大きな開きがあるわけであります。いま昭和三十四年当時と五十年の比較があったわけでありますが、十年、二十年前と比較をしたときに、いわゆる総収入に対するこの年金の率、そういうものを考えてみると、率的に言えば、諸手当がふえたということは年金の支給の率が低下したということに算術的にはなりますね。ですから、そういう点から考えると、絶対量というか、金額そのものはベースアップがありますからふえておりますけれども、毎月の収入に対する、あるいは年の総収入に対して、年金の額の比率を考えたときには、相対的に低下――そんな大きなウエートとは思いませんけれども低下している、そういう傾向が出てきている。ですから、そういう点についての何がしかのカバーがあってもいいのではないか。だんだんそういう傾向が何か大きくなるような気がするわけです、諸手当の部分。これは民間賃金においてそういう傾向が最近大きくなっておりますけれども、公務員賃金が民間賃金を基準にして人事院が勧告するということでありますから、そういうウエートが大きくなってくると相対的に年金の支給率というものは低下するということになると思うわけであります。さて、それではどういう手当を入れるかということになると、これまたいろいろ問題があると思うんですが、これはまあ私の私見であって、ひとつ今後相対的な率等も勘案してぜひ検討していただきたい。このことをひとつお願いをするわけです。
 それからもう一つ、大変これも大きな、過日の恩給の場合の審議のときにも、これは各党からそれぞれ出てきていますが、遺族年金の支給の率の問題であります。恩給あるいは今回の共済年金の改正に当たっても、実質的にこれが是正になるような一部改正が行われておる。こういう点について、私どもも率直に言って評価をするわけでありますけれども、その基本的な考え方として、やっぱり根本的にこの支給の率を改定する必要があるのではないか。いま半額ですよね、五〇%ということです。これは恩給のときにも申し上げたのだけれども、年をとられて退職をして、年をとった二人が生活をしておった、不幸にして受給者が亡くなられた、二人で生活をしておって、一人になったんだから半分でいいじゃないか。そういう計算の基礎かどうかわかりませんけれども、単純に考えればそうなんですけれども、しかし、実際の生活実態を考えたときにはそうはいかない。二人で生活をしておったけれども、一人になったからといって家賃が半分になるわけじゃない。そういうことを考えれば経費というものは決して二分の一にならない。そういうことを考えれば、これはやっぱり七〇%とか八〇%というまず基礎的なものを保障していくというふうに考えていくのが私は実態に合った年金制度、社会保障制度になると思うのであります。今回の改正によっていろいろ付加的なものが加えられておりますけれども、まず基本はそこを是正した上で、なおかつ配慮するところがあれば、扶養家族によってそれにプラスしていくという考えが正しいのではないかというふうに私たちは考えている。これは各党とも皆さんそういう立場で質問されているわけですけれども、こういう点については、もちろん恩給との関係もあると思うんですけれども、単純に恩給に右へならえということでなくて、共済は共済としての考え方に立ったものをつくりなさいというようなことを、審議会等でも意見が出ておるわけでありますから、恩給との関係を離れてもそういう点を検討すべきではないか。この点ひとつ大臣どうですか、お答え願いたいと思うのですが、まずあなたから答弁していただいて、後、大臣の方から基本的な問題について。
○政府委員(松下康雄君) 制度の技術的な問題が含まれておりますので、初めに私からその点について申し上げます。
 遺族年金の給付の水準を、現在の本人生存中の年金額の五割から、六割あるいは七割に引き上げるべきではないかどうかという問題につきましては、昨年度の予算編成の折にも、厚生年金、恩給、共済等を通じまして、政府部内でもずいぶん議論をいたしましたところでございます。で、現在のわが国の年金制度は、すべて遺族の年金は本人の五割ということでそろっているわけでございますけれども、これはよく指摘されますように、たとえば外国の遺族年金であれば、その辺の率はもっと高い例が多いではないかというようなこともこれまた事実でございます。ただ、国の間のたとえば制度を比較するということになりますと、水準の問題はもとよりでございますけれども、やはり制度全体を通じて遺族がどういう給付を年金から受けているか、それの比較が必要であるということで、外国の例等と比較をいたしますと、わが国の遺族年金の場合には、たとえばどういう方々が遺族年金を受給できるかというような点につきましては、外国に比べてかなり緩やかである。むしろ外国の方に一定以上の婚姻期間がなければ年金がもらえないとか、本人が相当期間在職した後でなければ遺族の年金が渡らないというような点がございます。それから、わが国の場合、たとえば国民年金と厚生年金、国民年金と共済年金というような制度の分立がございますために、被用者の遺族の方々は、希望なさればその両方から年金を受けるということが可能なようにもなっておりまして、現在五百万ないし六百万のそういう被用者の奥さん方が国民年金に加入しておられるというようなこともございます。そういう点を考えてみますと、遺族の年金の水準を一律に引き上げるかどうかという判断をいたしますためには、むしろ遺族年金のあり方全体をさらに進んで制度的にどうまとめていくかという非常に根本的な問題に触れると思うわけでございます。
 そこで、またこの問題は財源率にも当然影響が強いところでございますが、昨年の議論の結論といたしましては、私どもも、年金というものはやはり国民の老後の生活の主要なよりどころとなるべきものでございますから、やはり遺族の方々の生活の実態には十分着目をいたしまして、本当に年金の必要性が非常に大きいという方々に対して特別の措置をいたそうということで、ただいま御指摘のございました加算制度を考えまして、たとえば二人の子供を持っておられる寡婦の場合には一律に月額五千円、年額六万円の加算をいたすというふうな制度を採用することといたしたわけでございます。この制度の採用によりまして、御指摘の、いろいろ生活実態から大変な方々がいるではないかという点につきまして、私どもとしていささかの対応をいたしたということもございますし、また定額で加算をいたしますことによりまして、年金額の低い方々が、逆算いたしまして有利な率で割り増しの金額を手に入れられることができるということもございますので、この一律の引き上げというものは将来の検討問題に残しまして、遺族の加算制度の採用に踏み切ることといたしたわけでございます。これによりまして、恐らく平均的な共済年金をもらっておられる方々の遺族で、二人の子供を持たれた寡婦の場合には、実際に手取りの年金額は、ただいまの五〇%から恐らく六四、五%ぐらいになっておるのではなかろうかと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御提起された問題は、ことしの予算編成の場合にも最大の問題の一つであったわけでございます。わが国の社会保障制度、制度としては先進国に劣らない制度になっておりまするが、まだ高齢化が進んでおりませんので、これが進んでまいりますと、制度がこのままではございましても大変な社会保障予算を必要とするように展望されるわけでございます。したがいまして、社会保障予算のつけ方につきましては、将来を考えましてむやみに気前よくやることはなかなかできないわけなんでございます。
 そこで、いま次長からもお話がありましたように、寡婦加算制度というような、遺族の生活実態から、子供さんを持った寡婦の方あるいは高齢の寡婦の方の年金額の最低をともかく保障するところまでは考えなければなるまいということを考えさしていただいたわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、社会保障予算全体といたしまして、今後高齢化社会が進むに従いまして検討を進めなきゃならぬことになっておりますし、厚生当局でも、いろんな角度からいま検討が進んでおるようでございまして、いまの片岡さん御指摘の問題につきましては、政府におきましても、今後いろんな角度から彫りの深い検討を加えて適時生活実態にできる限り即した制度、内容のものに持っていかなければならないものと考えております。
○片岡勝治君 まあ他の公的年金にもかかわる大きな問題でありますけれども、政府全体でひとつ真剣な検討をされるよう強く希望いたします。
 なお、それに関連して、この遺族年金の場合の計算の基礎になる給与というのは、現職の場合には亡くなられたときの俸給ですわね。これは何年たってもそういうことでしょう、何級何号というのはね。ですから、仮に二十五歳で不幸亡くなられて年金をもらうという場合は、そのときの俸給はずっと変わらないということになりますね、ずっと高齢になれば違うでしょうけれども。これも一つの大きな矛盾なんですよね。ですから、特に比較的若い場合の遺族年金というのは大変気の毒な状態である。これも他の公的年金とも関係がありますので、あるいはこれから審議する公務災害補償なども同じようなことですが、この点についてもひとつ抜本的にこれは改革するように希望しておきます。
 次にもう一点、短期給付の問題で、まあことしの改正によりまして、いままで退職された場合には一年間組合員になり得ると、しかしその場合の掛金は、端的に言えば自己負担分といわゆる使用者負担分というんですか、国の方の負担分を合わせた額を本人が負担しなさい、こういうことであったわけですね。今回は、実質的にはいままでの自己負担分でよろしいということになりますね、実質的には。
○政府委員(松下康雄君) 今回考えております改正は、その場合の自己負担額につきましては、去年までの、現在までの制度は退職時の自己負担プラス国の負担分でございましたのを、全組合員の平均の自己負担プラス国の負担分というところまで原則的には軽減をいたそうという考えでございます。そういたしますと、最終的な俸給に対しましてまず平均的な俸給の水準は、恐らく六割から七割の間ぐらいのところにいっておろうかと思います。したがいまして、平均的な退職される方々につきましては負担が大体六割強ぐらいのところまで下がってまいる。それは厳密に先生のおっしゃった自己負担分だけということと若干違いますけれども、なお大幅な軽減であろうかと存じます。
○片岡勝治君 従前の、いわゆる退職後の組合員単位の負担に比べると、いまの話ですと大体六割ぐらいということになるということですね、わかりました。
 この問題についても、期間的には一年延期して二年ということですから、二年後にはまた同じような問題が出てくるわけでありまして、本来この公的年金が共済年金から国民年金に移った場合に激変があること自体が制度としてはおかしいわけですよね。ですから、公務員であろうとあるいは民間の企業で働こうと、国民年金に入っておろうと、この医療負担に大きな差があるということ自体が、これはもう基本的に国として是正されなければならない。なかなか一長一短でむずかしいと思いますけれども、むしろそういうところを基本的に直すことによって、いずれの職場、どこで働こうと健康保険の負担というものは平等であるというようなことでなければこれはいけないと思います。そういう点でひとつ長期展望に立って、ぜひ是正をしていただきたい。
 この際、ひとつ私のところにぜひ訴えてもらいたいということが参りましたので、これは直接共済ということにはならぬかもしれませんけれども、いわゆるこの短期の給付の問題であります。私の親友で子供が腎臓疾患があった。腎臓は二つあるそうでありますけれども、ほとんど一つがだめになって、最近またその一つがだめになる、このままでいけばもう死んでしまう、そういう状態になったために、その私の友人、つまりその子供のお父さんは、よし、それじゃおれの、自分の腎臓を一つ取り出して子供にやろう、こういう手術をしたわけであります。しかしここに大変大きな問題は、こういった手術の問題については一切健康保険がきかない、もちろん共済組合もきかないということがあるんですね。これはちょっと調べてみると、いろいろ問題があって現在では確かにきかないということであります。しかし親御さんが子供の生命を守るために自分の腎臓を切り取って一つ植えつける、それをやらなければもう子供の生命は維持できないというようなときに、これが健保がきかないということは、私は大変大きな矛盾があると思う。病気になったときに、薬代はちゃんと、工場でつくってもその経費については健保で見る。腎臓を持っていった、売るわけじゃないんですよね、摘出するにはそれだけの大きな大手術ですから相当莫大な金がかかる、植えつけるにも相当移植する大きな金額がかかる、それが適用されないということは私は大きな矛盾があろうと思うんです。きょうは厚生省のその担当の方にお願いしておりますので、厚生省の見解を承りたいと思います。
○説明員(三浦大助君) ただいま先生から御指摘ございましたように、現在までのところ腎臓移植につきましては保険の給付になっておりません。その理由を申し上げますと、第一の理由は、治療行為としての臓器の移植、つまり受ける側の技術的な安全性の問題があるわけでございます。で、腎臓移植につきましては、生着率あるいは生存率、こういうものが他の臓器移植に比べましてかなりよくなってまいりました。しかしそうは言っても、この四、五年間の移植免疫に関します腎臓移植の成績というのは、余り見るべき成果が見られていないという医学上の問題があるわけでございます。もう一つは、今度は提供する側の立場に立ちまして、仮に健康な人の同意があっても、腎臓を取り出すことによって死亡するような事態があるような摘出が果たして許されていいかどうかという、非常にむずかしい問題が一つあるわけでございます。いろいろとまだ学会でも論議がございますが、私どもといたしまして、現在のところすでに四百五十例の国内に腎臓移植の経験があるわけでございまして、この中には長期生存例の成績もあるということから判断いたしまして、腎移植に関します治療法としては、もうそろそろ確立しつつあるんじゃないかというふうに見ているわけでございまして、この保険給付にするかどうかという問題は学会との相談もございますので、前向きの姿勢で私どもも学会と相談して、保険給付に組み入れるかどうかということを前向きの姿勢で相談してまいりたいというのが現在のところの考え方でございます。
○片岡勝治君 確かにむずかしい点、私も理解できるわけでありますけれども、もしそれほど大きな問題であれば、そういうことは許されざる医療行為だろうと思うんですよね。しかし、現実にはそういうことは許されているわけですから、ですからそれにびた一文も健康保険が適用されないということになれば非常に大きな負担がかかるわけであります。現にそのことによって生命を取りとめる例があるわけでありますから。これはそんなにかぜ引きのように多く例があるわけじゃないと思います。国全体として見ればごくわずかな例。ですから、本当に温かい手を差し伸べるという意味では、こういう点についてぜひ検討していただきたい。聞くところによると、一部親の骨を取って子供のどっか骨をつなぐというのですか、そういうことも適用されていないようですね。同じような考え方だろうと思いますが、ただ、何か網膜はいいというようなことでありますけれども、目の方は。現にそういう医療行為が行われている限り、これは医療行為そのものについて、それは成功、不成功という研究途上の問題であろうと思いますけれども、現に医学上許可されているそういう医療行為がある限り、これは私は許して健康保険の適用をすべきだろうと。むしろ、小さな傷については健康保険の適用がある、そういった重大な生命にかかわるような難病について日本の医療制度は比較的冷淡ですよ。むしろ難病については、もう国全体が、社会全体がめんどうを見るというようなところにもつと重点をかけるべきだと。いまこうした難病にかかったときには、まさにもう本当に何もかも投げ出してというようなことになってしまうわけですから、そういう難病、むずかしい病気、そういうものほど温かい手を差し伸べるという、そういう方向にぜひ医療制度の転換をこの際強く訴えておきたいと思います。
○峯山昭範君 大蔵大臣にお伺いをします。
 特に、今回は共済年金を中心といたしました社会保障の基本的な問題について二、三お伺いをいたします。
 まず初めに、もうすでに大臣も御存じだと思いますが、昨年の暮れ、田中厚生大臣が札幌で記者会見をいたしまして、公的年金制度の抜本的な改革案といたしまして、基礎年金制度を設けたらどうか、そして早ければ五十二年度から創設する考えだ、こういうふうな趣旨の発言がございました。これは伝えられるところによりますと、大体三つの柱から成っておりまして、現在八つのばらばらな公的年金の基本的な部分を統合し、六十五歳以上はだれでも一定額の年金を受けられるようにする。それから二番目に、積み立て制度をやめて賦課方式とする。三番目に、給付額は当面二万円を上回る程度とし、将来は国民の最低生活を保障できる生活水準に引き上げられていく。こういうふうな内容のものであるようであります。
 そこで、この問題につきましては、大臣の諮問機関でございます財政制度審議会、こちらの方でもずいぶん議論があったそうですが、大蔵省はその財政の裏づけが非常に不明であるということでこの基礎年金の実現は非常に困難だと、こういう説明があったとも聞いております。
 そこで、きょうは特にこの財政の担当者としまして、共済組合を所管する大蔵大臣に、基礎年金構想というような、厚生大臣が発表いたしましたこういうような構想に対して大臣はどういうふうな見解をお持ちなのか、初めにお伺いをしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 田中さんが具体的にどういう構想をお持ちなのか、まだ私公に承っていないわけでございますが、公的年金制度の抜本的な検討が必要であるというような論議が両院の予算委員会を通じて問題になっておりますことは私も承知しております。これに対しまして、厚生大臣が厚生省で特別な委員会、作業グループをつくって勉強いたして検討しておるというようなことを答えておりましたことも承知しておりますけれども、財政当局者として、私の方にはまだ御相談がございませんので、何ともこの段階でお答えのいたし方がございません。
 ただ、各種の年金制度が分立いたしまして、給付と負担の間に格差があるということ、そしてこういったことはでき得べくんば検討の上是正してまいることが必要であると思われます。それにはいろいろ財政的な問題が中心の課題になってくることもわかりますし、その場合の財源方式をどのようにとってまいるかということも確かに問題の中核になってくるという予想は立つわけでございまして、いずれ厚生省から御相談がございました場合には、真剣に御相談に乗って検討するにやぶさかではございませんけれども、ただいまの段階ではまだ御相談を公式に受けておりませんので、何とも私どもの考え方を申し述べるには時期尚早であることをお許しをいただきたいと思います。
○峯山昭範君 どうも、次の総理大臣になろうという大臣が、厚生大臣から相談がないからまだ検討していないというんじゃ、どうも私納得できないのですけれどもね。これは、基礎年金構想というのは非常に私重大な問題をはらんでおると思いますし、また大蔵当局が、正式に相談はないにしても、こういう発表がありまして以来、確かに予算委員会、いろんなところで議論がされております。したがって、この問題はいま大臣が答弁の中にもおっしゃいましたように、わが国の公的年金制度は確かに八つ、大臣御存じのようにございますね。たとえば、厚生年金、国民年金、船員保険、国家公務員、地方公務員、三公社、私学共済、それから農林年金ですか、この八種類ですね。この八種類は、いま大臣おっしゃいましたように確かにそれぞれの制度の中では格差がずいぶんありますね。この格差はなかなか統一するというのはむずかしいと私は思います。むずかしいけれども、だからといって、それじゃその格差をいつまでも是正しなくていいか、その成立の経過やいろんな問題から考えてみると、ある時点では、厚生大臣が言うようにやっぱり統一する必要は私はあると思うんです。そういうふうな意味から、現在の給付水準を下げて統一する、こういうことはわれわれとしては非常に言いにくいし、そういうわけにはいかないと私は思うんです。しかし、この問題については制度そのものについてもやっぱり厚生大臣から相談がある、厚生年金を所轄している厚生大臣、そちらの方が非常に大きなファクターを占めておりますから、確かにそちらの方からの相談があるんでしょうけれども、この問題については大蔵大臣がやっぱり相当力を入れて検討していただかないと解決しない問題だと私は考えております。もう一遍この問題についての所見をお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 厚生省も検討を始めたばかりでございまして、大蔵省ばかりでなくどこにも相談を持ちかける案がまだ固まっていないわけでございますが、そのときに大蔵省の方で考えが出たりしたら、これこそ峯山さん不思議なんじゃございませんか。したがって、私は問題意識、問題の所在は、あなたがおっしゃるように大変重要な問題だと思いまするし、このままのあり方でよろしいとも思いませんし、確かにこれは検討に値する問題ではあるし、精力的にこの打開に取り組まなけりゃならぬ課題であることはおっしゃるとおりだと思うんでございまして、まず厚生省、所管省の責任にこたえてまず実のある検討をしていただいて、われわれも御相談がございますならば一緒に御相談に乗って検討に参加いたしますから、そういう用意はあるわけでございますので、政府といたしまして、こういう問題について冷たい態度でおるわけでは決してないということは御承知願いたいます。
○峯山昭範君 確かに、これはいま検討を始めたところでしょうけれども、ぜひ相談があったらやっぱり本格的に取り組んでいただきたい。
 そこで、三木内閣の発足以来の、何といいますか、スローガンといいますか、これはもう大臣も御存じのように、社会的不公正の是正というのが大きなスローガンでございました。いまでも私はこの問題は変わらないと思います。しかし、大臣がいま管轄していらっしゃる共済年金、これはやっぱり最近の新聞や、国民の声としていろんな問題が出てきております。たとえば、具体的に申し上げますと、年金の支給開始の年齢ですね、これはたとえば公務員は五十五歳、ところが民間は六十歳、こういうぐあいになっております。まあその中で特に最近は公務員の皆さんのいろんな問題が出てきておりますね、天下りの問題とかいろんな問題が出てまいりまして、民間の方との問題が非常にいま大きな問題になっておると、私そう考えます。非常に何といいますか、風当たりが強い、そういうふうに思うわけです。しかし、それもまあいろんな経過があってこういうふうな格差が出てきているんだろうと私は思います。
 そこで公務員の年金、これは将来どういうふうな方向にやっていくべきなのか、年齢というのはもう五十五歳という年齢がございますから、これからどういうふうに給付水準を維持していくのかというふうな問題を考えてみますと、非常に今後の大きな問題になってくると思います。そこで、この点についてどういうふうにまず当局考えていらっしゃるかお伺いしたい。
○政府委員(松下康雄君) 共済制度がわが国の年金制度の中でどういう位置づけであるかという御質問と存じますが、わが国の公的年金制度の中で最も根幹的なもの、国民一般が広く加入をしております代表的な制度は、やはり厚生年金制度であろうと存じます。共済制度は、一方でこの一般的な厚生年金の制度に当たりますところの年金を公務員に対しても適用するという意味で、一種の厚生年金の代行的な役割りを持っておるところでございます。ただ、共済制度は昔の恩給制度から始まりまして、公務員という一つの特別の職域の中の、職場の年金制度という色彩もまた持っているわけでございまして、この点では、たとえば民間の企業のあるものが、厚生年金のほかに、これに上積みをされるものといたしまして、それぞれの企業年金でありますとか、それぞれの福祉事業をいたしておりますが、公務員に対しましてそれらの企業年金的な役割り、あるいは一種の福祉事業的な役割りも同時に行うという性格を持っておるのではなかろうかと考える次第でございます。
 こういう職域の特殊性からまいりますところの企業年金的な要素としまして、この共済制度をそのままじかに民間の厚生年金制度と比べますならば、随所に共済制度の方が有利だと言われる点もあろうかと存じますけれども、これらは、いわば職域的な付加的な制度をあわせ営んでいるというふうに御理解をいただきたいのでございます。
 しかしながら、やはり公務員全体の年金の内容と一般国民の年金のそれとがはなはだしく乖離するとか、あるいは別の方向にそれぞれ走るということは決して望ましいことではございませんので、私どもも共済制度の改正に当たりましては、いつも民間の公的年金の制度の動向をよく注目をしながら調整をとるように努めているわけでございますけれども、なお、さらにただいま御指摘がありましたような支給年齢の問題でございますとか、各種の問題につきましては、共済制度全体を通ずる根本の問題といたしまして、共済制度審議会におきましても、四十九年以来特別の会合をしばしば開いていただきまして、この点全体の公的年金の中で共済はいかにあるべきかということを鋭意御検討いただいておるような次第でございます。私どももこの御検討に御協力すると同時に、これらの御検討とあわせまして、全体の公的年金制度の中での共済の位置づけに誤りないように努力をいたしてまいりたいと存じております。
○峯山昭範君 ですからね、大臣、三木内閣が、要するにその社会的不公正の是正ということを高くスローガンに掲げて、しかもその三木内閣のもとで大蔵大臣をやっていらっしゃるわけですからね。しかもその立場の大臣がその共済年金を所管しているわけでしょう。そうすると、自分の所管している年金のところは非常に条件がいいと、そういうことになりますと、それはいろいろいままでの経過はありますね、経過はあります。これはわかります。けれども、そうなってくると非常にまあ大臣としても立場はつらい。そういうような面から言いますと、ですから先ほども同僚議員も質問ございましたが、国家公務員のこの共済年金を大蔵省の所管にしておるということ自体がちょっとやっぱり私は問題になってくるんじゃないか。ですから、これはいろいろな、たとえば大蔵大臣という立場で財政面が非常に先走って――いろいろな面があると私は思いますけれどもね、これはやはり国家公務員とか地方公務員とか、あるいは三公社の職員とか私学とか、あるいは農林、こういうようなものを含めて、いわゆる共済グループというのがございますね、こういうようなグループを一括して、これは一つのあれですが、たとえばこれを総理府に公務員年金局とかいうふうなものをつくって、そちらの方へ移管して、そうして統一的に処理する、こういうふうなことはできないか。先ほども大臣の答弁で、恩給の仕事が年金にだんだん移っていくと、そういうような面から一考することもというような意味の答弁がございましたけれども、こういうようないろんな立場から考えてみますと、これはそういうふうにした方がベターじゃないか、そういうような考えを持っているわけですが、大臣どうです。
○国務大臣(大平正芳君) 社会的不公正を是正しなければならぬということ、とりわけ大蔵省みたような権力の中核におるものは、一番その点気をつけなければいかぬわけでございます。したがって、予算を預かっておる立場でまず大蔵省が予算を節約しなければならぬというようなことは十分心得てやっておるつもりでございますが、いま共済制度の所管問題につきましては、先ほど片岡さんにもお答え申し上げておいたわけでございますけれども、重ねて峯山さんからの御要請がございますので、政府部内でひとつ、いま提起された問題につきましては検討をしてみたいと思います。
○峯山昭範君 それではもう一点。
 三木総理がライフサイクル計画というのを提唱していらっしゃるわけですが、この計画に基づきまして生涯設計計画検討連絡会議、こういうふうなのが設置されたというふうに私たち聞いております。それでこのための調査費の問題について総理府の方から三千三百万円を要求した、大蔵の方へ。ところが一たんゼロ査定になった。ところが総理大臣の強い要望で、要求額を上回る一億円が五十一年度の予算に計上された。現実に計上されておるわけですね。これは非常に私は重要な問題ですので、大臣の見解をお伺いしておきたいのですが、今後社会保障あるいは生涯教育、こういうような問題についても種々検討をされていくと思うのですけれども、このうち特に社会保障という問題については、先ほどの田中厚生大臣が北海道で発表された、大臣は正式に聞いていないということですが、内容なり何なりは一遍検討――大臣の方から発表するというのはあれでしょうから、これは聞いていただくということはいいと思うのですが、基礎年金構想というふうなものも、やっぱりこういうふうな中に含まれていくんじゃないかとも思うわけです。
 そこで、減速経済下のいわゆる社会保障というものがどうあるべきかということは非常に私は重大な問題だと思います。そこで、今回設置された生涯設計計画検討連絡会議、ここでどういうふうな内容のものが実現され、あるいは計画されていくのか私たちは聞いていないのですが、この問題については大臣はどのような構想を持ち、あるいはどのように考えていらっしゃるのか、あるいは大蔵大臣としてのこの問題について今後どういうふうに処置をしていきたい、あるいは計画を立てていきたい、あるいは実現をしていきたいとお考えなのかお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 私が承知している限りにおきましては、このライフサイクル計画というのは、昨年の九月に、中央政策研究所の東畑博士から三木総理に私的に御提言があったのが契機になって総理が御主張をされたもののように聞いておりますが、その骨子は、国民の一人一人が人生のいずれの段階におきましても自由と生きがいを感ずることができる社会をつくるという立場から、福祉政策を総合的に見直そうという問題意識を持っておりまして、生涯教育の振興、持ち家の促進、社会保障制度の体系的な整備、老後生活の安定等を内容とするものであると承知しております。このいずれをとってみましてもこれは大問題ばかりでございます。壮大なビジョンでございます。
 そこで、いま峯山先生おっしゃったとおり、内閣に関係省庁の関係者から成る生涯設計計画検討連絡会議というようなものを設けまして、総合的な検討をお進めいただいておるところでございます。したがって、これは長期的なビジョンでございますから、必ずしもそのときどきの情勢にとらわれるべきものではございませんし、その実現につきましては、現実の経済情勢と無縁のものではないことはもちろんでございますので、経済情勢の推移、財政負担との関連等をも十分配慮いたしまして、今後鋭意検討を進めてまいる、この中から実のある成果が生産されてまいるということを私は期待いたしたいと考えております。
○峯山昭範君 これは、大臣、いま大臣おっしゃいましたように、福祉政策の見直しという問題は、私は見直しという面からいきますと、福祉がこれから充実していく、そういうふうな意味の見直しというのは非常にこれから大事だと私は思うのですね。しかし、今年度の予算を見ましても、たとえば初診料とか入院料の増額、高額医療費の自己負担制限額の引き上げ、こういうふうなものがありますから、結局、高福祉高負担、こういう感じになっていると私は思うのです。こういうふうな中で、結局これから先は人口もますます老齢化していく。そうしますと、老齢化に伴ってますます私はこの福祉という問題が重要になってくると思うのです。そういうふうな中で、いま私たちが非常に心配しておりますのは、国民のいわゆる負担増という問題だけがどんどん進行して、福祉の充実という問題がおくれていくのじゃないかということを心配しておるわけです。そこで、今後の問題として非常に重要な問題ですから、福祉切り捨て、あるいは福祉見直しという――切り捨てと言うとはっきりしていますから、見直しと言うといい方にとられるかもしれませんが、見直しという名前のもとに実際は切り捨てが行われていく、そういうふうになっては困りますので、そういうような意味で、この減速経済下における福祉充実あるいは福祉見直し、こういうような問題について大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) これはライフサイクル計画があろうとなかろうと、政府は常にみずからの政策の見直しをいたしまして、社会的不公正があるかないか、それから、現実に福祉行政に手直しをしなければならぬところがあるかないか、それは常に見直さなければならぬわけでございますが、こういう長期的なビジョンというようなものを念頭に置きまして、そういうビジョンを鏡にして現実の施策を映してみて、そして見直してみる場合、その見直し作業は、いろいろ問題を映し出す場合に非常に有効に働くのではないかという意味で、私はこういう構想は、あなたの言われる施策の見直し、福祉政策の見直しには有効に作用する契機になるのではないかと思っております。
○峯山昭範君 大臣の時間もあるそうですから、私はあと端的に二、三点お伺いします。
 まず一つは、共済年金の場合もそうですが、特に厚生年金積立金ですね、これは現在、特に財政の資金として使われているわけでございますが、厚生省の試算によりますと、五年後の積立金が二十八兆円、それから十五年後は百兆円を超えると、こういうふうに言われているわけです。こんなに巨額な資金というものは、私は確かに金融の面で言えば専門家である大蔵省に預けるというのが確かに現実的でありますし、いいのかもわかりませんが、しかし、厚生年金は厚生年金を掛けた人たち、共済年金なら共済年金を掛けた人たち、いわゆる拠出者ですね、そういう人たちの生活保護、そういうふうな立場から利用されるのが私は正当だと思うんです。そういうふうな意味で、被保険者を中心とするいわゆる積立金運用審議会、たとえばこういうふうなものを設けて、そして拠出者の意見も十分用いて運用をしていく、そうあるべきだと私は思うんです。この点については大臣どうお考えです。
○政府委員(原徹君) 先生御指摘のように、厚生年金その他の年金資金が資金運用部に預託をされまして、これを使うわけでございますが、その際、資金運用審議会というのがございます。資金運用審議会の委員は、中立的な専門家の方、年金のことも十分わかる方を委員として選んでおりまして、そして公正に使われるというふうに配慮しておりますし、また四十八年からは使い方につきまして国会の御決議もいただいておるわけでございます。私ども、先生おっしゃいますように、国民、拠出者の生活に寄与するような使い方をしたらいいじゃないかという御指摘だろうと思いますが、その点につきましては、一つは資金運用部の使い方につきまして、年金資金をほかの資金と区別をしまして、それが拠出者の利益になるような形で使われるように分類をして、その分類の金額が年々非常にふえているという点が一つ。それからまた、還元融資というのがございますから、その還元融資でやはりそういう拠出者の生活の利益になるような形に使われるように、そういうことで積立金の増加額の三分の一を還元融資ということで使っているわけでございます。そういう趣旨で、趣旨といたしましては先生御指摘のような趣旨で私ども運用してまいっておると、そういうふうに考えておるわけであります。
○峯山昭範君 大臣からも後で答弁いただきたい。いまの答弁だけではとても、事務的問題だけですから、やはりこの問題は重要な問題ですし、私たちがかねがねから主張している問題ですから、後ほど御答弁をいただきたい。
 最後にもう一点だけ大臣の答弁をお伺いしておきたい。
 これは、先ほど委員会の冒頭でも趣旨説明がありましたように、社会党と公明党で、今回、旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係る恩給法の特例に関する法律案というのを共同提案で提出をいたしております。大臣もその提案理由の説明を聞いておられましたので御存じだと思います。この問題については、所管は確かに総理府でございます。しかし、私たちはこの問題について特に従来からずいぶんやってまいりました。特に皆さんも御存じのとおり、いろんな処置がとられておりますけれども、さきの六十八回国会におきましても、当委員会でこの問題を相当議論をいたしました。さらには、わが党の二宮議員が質問主意書も出したり、あるいは当委員会におきましては、五党共同提案に係る附帯決議、その共同提案に係る附帯決議の中でこの問題を取り上げ、さらには請願の採決、こういうように積極的にこの問題を取り上げてまいりました。以後、今国会におきましてもこの附帯決議実現のためを目指してそれぞれ努力をいたしてまいりましたが、こういう法律は、本当は全会一致で提出しないとなかなか成立しないといういきさつもございます。そういうようなこともございますし、従軍の日赤看護婦の皆さん方の処遇という問題について、何とか恩給法を適用するよう私たちはかねがねから提案をしているわけです。しかしこれは共済組合法にも関連する問題でございます。したがって大蔵大臣としまして、これら従軍日赤看護婦等に対する処遇についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、その所見をお伺いしておきたいのと、さらに、昭和四十一年及び四十七年の法改正によりまして、共済組合法におきましても、一般の従軍日赤看護婦で戦後公務員となった者について処遇が現実に行われております。その実数についても、これは後ほど事務当局から私の方へ提出していただきたいと思います。また、今回提案した法律案が実現した場合、どの程度の者が新たに共済組合法によって処遇されることになるのか、この問題についても後ほど資料として提出をいただきたい。また、その経費についてはどういうふうになるのか。また今回提案した法律案によりましても、従軍日赤看護婦総数約三万人と言われております。その中でわずか数百名の人たちが恩給法の適用を受けまして、ほとんどの方々が受けていない、そういう実情にあるわけです。しかし、その経費はこの法律案の中にも記入をいたしておりますが、すべて含みましても五千万円前後、こういうふうに推定をされているわけです。共済組合法におきましても該当者は少なくない、こういうふうに私たちは考えております。こういうふうな実情から、これら従軍日赤看護婦に対する恩給法及び共済組合法による処遇ですね、これについて大蔵大臣の立場からぜひとも積極的に検討をしていただいて、そして速やかにこういうふうな人たちを救済できるように大蔵大臣の立場から協力をしていただきたい、このことを私はお願いしたいと思うのですが、この問題に対する大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) まず、公的年金の積立金の運用問題でございます。仰せのように、厚生年金、国民年金、巨大な積立金でございまして、このこと自体これは有利かつ確実に運用されることが、関係者ばかりでなく国民経済全体にとって大事でございますので、そういう立場をわれわれとしては貫いてまいらなけりゃならぬことは当然でございますけれども、峯山委員がおっしゃるように、この福祉還元の意味をもちまして、関係者の御意向に従って資金の流れが還元される方向に活用されるということもまた大事だと思うのでございまして、両面の目的をバランスのとれた姿において実現できますように、極力配慮してまいらなけりゃならぬと心得ております。
 それから、第二の問題でございまする日赤及び旧陸軍の従軍看護婦に対する恩給制度の適用問題でございます。この問題について関係の先生方からいろいろ御心配をいただいておることを恐縮に存じますが、私の立場で申しますと、恩給制度のたてまえから申しまして、また保険制度でございまする共済制度の立場から申しまして、もろに適用を考えるということは至難のように思うのでございまして、したがって、どの程度、どの限界まで考えられるかという点いろいろ検討はいたしておりますけれども、これは後刻事務当局から御報告させるようにいたしたいと思います。
○峯山昭範君 この問題は、私たちこれはもう実現するまでたびたびやっていかないといけないと考えておりますし、大蔵当局もぜひともこの問題については前向きで検討を願いたい。要望いたしておきます。
○委員長(中山太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
○委員長(中山太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○太田淳夫君 それでは、午前中は同僚の峯山議員から基本問題につきましてお伺いいたしましたので、私は続きまして、多少内容について質問さしていただきます。
 本年の改正は、従来同様に恩給法にならって改正されておりますけれども、まあ従来と変わっている点につきましては、恩給の改定と同じように、一律改定方式ではなくて、いわゆる上薄下厚方式を採用されて年金額を引き上げてみえます。ところが、この年金額の引き上げにつきまして、恩給ではいわゆる仮定俸給制度をとっておりますので、上薄下厚をとりましてもそれほど複雑にはなりませんけれども、共済年金の場合は、今回の法律案を見ましても、増額費用がそのままここに提示されておりますけれども、これですと受給者の側から見ますと非常に複雑になっているんじゃないかという感じがするわけです。ここでお聞きしたいことは、増額方法の説明が、もう少し単純な方法がとれなかったかどうかということをお聞きしたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) 今回の共済年金関係の改定に際しまして、既裁定年金の年金額の改定をいたすわけでございますけれども、その改定のやり方につきましては、従来までの一律引き上げ方式を改めまして、五十年度の現職の国家公務員の俸給の改善傾向に応じたいわゆる上薄下厚の方式を採用いたしたわけでございます。その計算のやり方といたしましては、現在、五十年度の国家外務員の給与の改定の内容を六つに分けまして、そのおのおのの階層に属します俸給が大体どういう形で上がっておるかと、実はこの計算はややめんどうでございまして、単純に何%ということでございませんで、何%プラス定額の何円という計算方式であらわしているわけでございます。この定率プラス定額という方式であらわしましたのは、御承知のように、上にまいりますほどそうなれば実際の改善率、引き上げ率は低くなるという趣旨でございます。それを六つに分けましたのは、まあ計算技術上の問題と申しましょうか、一つの方程式だけで、現在の国家公務員の給与の改善状況の上薄下厚ぶりがそのまま算出されるような式を見つけ出すことができますならば非常に簡易な方法でございますけれども、実際には、その引き上げの率の逓減度合いがそれほど数学的にきちっとしておるわけではございませんものですから、それをなるべく忠実に引きあらわしますためには、どうしても全体を六つに分けまして、おのおのの層につきましてそれぞれの算式をつくるという以外にはなかったわけでございます。
 で、従来の一律引き上げ方式でございますと、先ほどもお触れになりましたように、受給者にとってみますれば、ことしの年金改善で自分の年金額は幾らになるということを計算しますことが非常に容易でございますので、これにはこれで捨てがたいところがあったわけでございますけれども、ただ、全体的に判断をいたしまして、現在受給されております年金の額を改善いたしてまいります際に、やはり現職の国家公務員の場合と同じように、年金額の低い方に相対的に有利になるような姿をつくり出すということの利益と申しますか、その方が大きいという判断に基づきまして、多少の不便はそのままといたしましてこういう算式をとった次第でございます。ただ、計算の仕方は、やはりそれぞれの年金算定の基礎となりました俸給額をその算式で引き上げまして、それに年数を掛けてまいるというやり方でございますので、この算式さえ御理解いただければ御自分の年金額の改善状況を皆さんそれぞれにおはじきになるということは、そうむずかしいことではないという判断でございます。
○太田淳夫君 この上薄下厚方式をとるということは、当委員会でも附帯決議で再三やってまいりましたし、受給者の希望でありますので、多少複雑になるのはやむを得ないと思いますけれども、やはり恩給が六段階方式であって、それに沿ってこの共済でも、いま算式をおっしゃいましたけれども、こういう方法をとられたんじゃないかと思うのですけれども、国家公務員共済組合の審議会の答申の中でも、あるいは社会保障制度の審議会の答申の中でも、共済組合の立場からの吟味の跡がほとんどうかがえないと、あるいは共済組合制度の側からの吟味に欠けている点が見られると、こういうような指摘がされておりますし、まあこの辺で、恩給とは一線を画した方法で共済独自の立場で、こういう年金額のアップにいたしましても、もうそろそろ考えることはできないだろうか、もっと簡単な方式でできないかどうか、その点ちょっとお伺いしたい。
○政府委員(松下康雄君) 簡単な方式を工夫してはどうかという御指摘はまことにごもっともと存じますが、私どもも、本年につきまして何とか簡素な方式と思いましたのですけれども、いまの上薄下厚を公務員の給与改善に合わせるという事柄の必要性から、やむを得ずいまの程度の算式になったわけでございます。私どもは、この恩給と共済につきましては、いずれも同じ公務員を対象とする制度でございますし、また、現在の公務員でございましても、以前に恩給期間を持っておりまして、両方の制度にまたがった年金を受けられる方々が非常に多数ございますので、恩給の制度とまあ大きな差を置くという点はなるべく避けてまいりたいと思っているわけでございますが、この計算方式等につきましては、また、今後これを継続するといたしました場合に、内容をもっと簡素な算式にできないかどうか、また恩給局ともよく打ち合わせをいたしまして工夫をしてまいりたいと、かように思います。
○太田淳夫君 そこで、いまこの表を見ますと、定率プラス定額という方式でやってみえますけれども、一つ心配されますことは、この境目あたり等で逆転現象が起きないかどうかというような心配もありますので、その点はどのように配慮されておりますか。
○政府委員(松下康雄君) 御指摘の、この境目あたりでいままでの上下が逆になるのではないかという点は、実はこの算式を考えてまいります際に大変にむずかしい問題でございまして、ここを逆転が起こらないように算式を工夫してまいるという点で非常に努力をいたしたわけでございます。したがいまして、この年金算定の基礎となっております俸給の金額が、それぞれの引き上げの算式を適用いたしましたために、従来下であった俸給額が今回の改正後は上になるというようなことは起こっておらないと私存じております。ただ、先生の逆転の御指摘の中に、もし逆転的なことがあり得るとしますならば、それはたとえば、現在たまたま同じ年金をもらっておられますけれども、一人の方は基本の俸給は低いけれども非常に勤続年数が長かったためにその年金をいただいておる、もう一人の方は、基本の俸給が高くて、しかし勤続年数が短かったためにたまたま同じ年金額になっているといいます場合に、今回低い方の俸給の上がり率が高うございますから、計算をし直してみますと従来同じであったものがややそこに差を生ずるということは、これはあり得ることでございます。ただ、これはむしろそのような、結果的には勤続年数の関係で同じ年金額になっておりますけれども、勤続年数が長くて基本の俸給が低かった方をより優遇をしたいという制度のねらいの一つのあらわれではないか。それもそう極端な現象にはなっておらないと存じます。
○太田淳夫君 わかりました。そういうような逆転現象が起きるようなことのないように今後もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、いまお話しのように、現在の共済年金というのは、俸給と在職年数が基礎になって算出されておりますが、そうなりますと、在職中に適用されております俸給表にも格差があるとすれば、たとえば行政職の(一)表と(二)表では相当な格差があると思います。在職中もそういう格差があって、退職後の年金にも格差が生ずるようなことがあると私ども考えるわけですけれども、この共済年金というのは、先ほど次長さんのお話がありましたように、社会保障的な要素もこれは含まれていると思います。ですから、在職中の給与の格差というのは仕方ないといたしましても、退職後の年金についても在職中の格差がそのまま持ち込まれないように配慮をしなければならないんじゃないかと思います。厚生年金では、定額部分と報酬比例部分とがあってその格差の是正を図っておりますけれども、共済年金でもこの格差を少しでも是正するような方向に、厚生年金と同じような定額部分というのを導入することは考えられないかどうか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) 私どもの国家公務員共済組合制度は、国家公務員としまして相当年限忠実に勤務いたしまして退職をしました場合、あるいは公務に基づく負傷、疾病に基づきまして退職をされた場合、あるいはまた公務に基づいて死亡された場合、その退職された時点あるいは死亡された時点の生活状況でございますとか、いろいろの条件を考えまして、その後の適当な生活の維持を図っていけるようにという趣旨で基本的には設けたものでございます。したがいまして、大きく年金のやり方を勤続年数あるいは俸給のような拠出に応じて給付に差をつける方式と、それらにかかわりなく一定額の給付を行う年金と二つの種類に分けて考えますれば、これは前者の方に入っておるわけでございます。わが国の年金はすべて基本的には前者のグループになっておるわけでございます。そういうことから、年金額の算定も俸給、在職年数ということを考慮する。すなわち裏から申せば本人の拠出された額を考慮するという仕組みが基本でございますけれども、ただ先生御指摘のように、それだけで一種の社会保障的な制度である年金制度をすべて取り仕切ることはやはりやや適当ではないのではないか、そういう判断もございまして、四十九年度の改正におきまして、従来のその退職年金の算定方式のほかに、これにつけ加えまして通算退職年金の算定方式、これは御指摘ございました定額部分と報酬比例部分とから成っておるわけでございますけれども、この算式も使いまして両方で年金の計算をしてみよう、その結果として通算退職年金方式で計算した方が有利な方につきましてはこちらを支給しようということにいたしておりまして、実際問題、相当数の方々がその通算退職年金方式――定額プラス報酬比例方式の年金を受けておられるようになっているわけでございます。あるいはまた、報酬の上限の打ち切りというような制度もございまして、御指摘の社会保障の思想を加味するという点につきましては、従来からも努力をしてまいっておるわけでございますけれども、なお今後の問題といたしましては、わが国の公的年金それぞれを通じまして、どういう制度に将来持っていくことが必要かという基本問題の検討もいたしておりますので、御指摘の点も含みながらそういう基本問題の検討をさらに続けてまいりたいと存じております。
○太田淳夫君 次に、大蔵省と運輸省にお聞きしたいと思いますが、今回のこの法案の中で、通年方式とかあるいは最低保障とか、そういう厚生年金の改正に伴って改正されていく部分がかなり見受けられますが、これらはいずれも給付水準の引き上げということになりまして、その内容自体には特に問題はないと思いますけれども、しかし、この給付水準を引き上げますと、やはり国の負担なりあるいは組合員の掛金というものに当然はね返ってくるんじゃないか、こう思うわけです。
 そこで両省にお聞きするわけでございますが、この給付内容の改善に伴って組合員の掛金にはね返りはどうなっていくのか、その辺の見通しについてお聞きしたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) ただいまの現行制度におきましては、この共済の長期給付に必要な財源率は少なくとも五年ごとに将来の予想費用を見直すために再計算を行って定めるという規定がございます。で、現在の国家公務員共済におきましては、昭和四十九年十月にこの規定に基づきまして再計算を行いまして、これで保険数理上幾らの料率であれば制度が将来にわたって安定であるかという計算をいたしております。これが御承知の平準保険料率でございますけれども、現実の掛金負担――財源率はその平準保険料率の約八〇%の水準でこれを定めているわけでございます。したがいまして、四十九年の十月に再計算をいたしましてから次の再計算を行います時期までは実際の保険料率を動かすということは行わないわけでございますけれども、その間にも給付の改善がございますので、御指摘のように実際にその給付改善を織り込めば必要になる財源率というのは年々変わってまいるわけでございます。で、前回の改定時におきますところの平準保険料率は千分の百三十七・七ということでございました。その後二回の改定、昨年と本年と二回の改定を仮に計算をいたしまして保険料率をいま改算をするということにいたしますと、これは詳しく計算は実はいたしておりません。再計算期でございませんので厳密な計算ではございませんが、これが約千分の百五十程度に相なっているのではないかと存じます。その場合には、当然実際の料率を何%に決めるかという問題はございますけれども、大体その割合で次回の改定の際には財源率を引き上げてまいる必要があるというふうに考えています。
○政府委員(杉浦喬也君) 公企体の場合も大体国共と同様な内容でございますが、若干、補足いたしますと、給付内容の改善によりまして、それの財源あるいは増加額等の観点は二つあると思いますが、一つは新法施行前の期間に対応する部分という問題がございます。これは法律によりまして、いわゆる過去勤務債務という形で追加費用としてそれぞれの公費負担をするということになっております。それから、新法施行後の期間につきましては、これは公社と組合員が負担をするということでございますが、その負担のうちでの掛金に相当する分、これは今回だけの改善につきましてその影響度合いを見ますと、掛金の部分は千分の一・七八というような率になるものと想定されます。ただ、いま大蔵省から申し上げましたように、五年間を区切りまして財政再計算を行っておりまして、公企体につきましては五十一年度から新しい財源率を適用をいたしております。国鉄につきましては千分の十財源率をふやしまして、これを掛金と負担金に分担をするという形で処理をいたしておりまして、その間、給付内容の改善に伴いまして毎年本来は影響がございますけれども、五年後にそれを精算するという形で処理をしてまいる予定でございます。
○太田淳夫君 次に承りますが、今回通算遺族年金制度というのを創設されたわけです。この点も一歩前進したものと思いますけれども、この通算をした場合、それぞれの公的年金から支給されますと、その支給の事務機構が一元化されてないように思いますけれども、その点はいかがでしょう。
○政府委員(松下康雄君) ただいまのやり方では、通算年金を支給いたしますときには、幾つかの公的年金を経てこられるわけでございますけれども、それぞれの方の年金額の裁定なり、それの支給の事務といいますものは、その過去に属しておられたそれぞれの保険制度が行ってそれぞれ給付をいたすというやり方になっております。
○太田淳夫君 たとえば、厚生年金に十年在職して、共済年金に十年在職して、二十年で退職した場合には、厚生年金が十年分、共済年金が十年分の通算退職年金が、あるいは通算遺族年金が支給されると、こういうことでございますね。そうしますと、その受給者、受ける人が、厚生年金とか共済とか両方に申請する形になるわけですか。
○政府委員(松下康雄君) さようでございます。
○太田淳夫君 そうしますと、本人ですとそれはある程度わかっておりますので複雑ではなく申請できると思いますけれども、もしも本人が死亡して、通算遺族年金をもらう。まあ遺族の方が申請される場合、非常にこれはわかりにくい面があるんじゃないかと、こう思うわけですね。ですから、最終官庁で一元的にその事務処理を申請して、そこで決定できるような仕組みができないかどうか、そこをちょっとお聞きしたいと思うんですが。
○政府委員(松下康雄君) 現在の制度が、それぞれの年金制度でその所属しておられた期間に対応する年金を算定をするということになっておりますのは、わが国の公的年金制度、八つに分かれておりますけれども、御承知のようにそれぞれ目的、沿革に差がございまして、したがいまして、年金額の受給資格でありますとか、あるいは額の計算のやり方でございますとか、そういうものが一々異なっておりますために、それぞれの制度で所属しておられた期間に応じて計算するのが一番間違いがないということから出ているわけでございます。ただ、御指摘ございましたように、受給される方々の側から見ますれば、それは何か不便ではないかという問題はあるところであろうと思いますが、これを何らか一つの制度に集約をして、そこでほかの制度の分も計算をし、あるいは支給をするという事務を引き受けるように、そういうやり方ができるかどうかということになりますというと、これはなかなか困難な問題も含まれておろうかと思います。それは各種の違ったいろいろな制度間のいわば総合調整的な問題が絡んでまいります。それから、一元的に仮に支給をした場合には、どこの機関がその仕事を引き受けたらいいのか、あるいはそのためにはどういう体制を整える必要があるのか、その辺の体制を整えてまいります場合にいろいろむずかしい問題が現実にはあろうかと思います。御指摘の点は私どもとして検討いたしますのに決してやぶさかではございませんけれども、かなり実行いたす上には、私どもが現在ちょっと予想まだできませんようないろんな問題があるかということは御了解いただきたいと思います。
○太田淳夫君 その実施につきましては非常にむずかしい問題が事務的にもあると思います。しかし、受給者の立場に立ちまして今後検討を重ねていただきたいと思います。
 次に、短期給付の関係につきましてちょっとお伺いしますが、今回の改正によりまして、任意継続組合員の期間の一年を二年に、一年延長されております。これは健康保険法に合わして改正されたと思いますけれども、昨年の当委員会でも、「長期に勤続した組合員が退職した場合、相当の期間にわたり医療給付が継続できるよう現行の任意継続制度とは別個の措置を講ずること。」、こういう附帯決議を実はつけたわけでございます。現在の任意継続組合員制度が、必ずしも長期勤続者だけに適用されるものではないと思いますが、一年を二年に延ばした理由と、長期の在職者に対して当委員会のこの附帯決議がございますが、その点について大蔵省にその実現についてどのように検討されているかお聞きしたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) 退職者の医療問題を全体として解決をいたしてまいりますために、一つの退職者医療制度というべきものをつくってはどうかという点は、当委員会でも御指摘を受けたところでもございますし、私どもも数年前から関係当局の間でいろいろと相談をいたしてまいったところでございます。ただ、この問題は、現在の公的な各種の保険制度、それぞれの違った立場に立っておりますけれども、それをどういうふうにして整理をして新しい制度に持っていくかという点で、これはもう非常にむずかしい問題がございまして、私どもは、この問題はただいま御指摘のように、今後もなお関係当局間で根本問題として検討を進めてまいるつもりでございますけれども、本年の改正の措置といたしましては、任意継続の現在の制度を、より退職者にとって利用価値の高い制度にして、これで退職者の医療に関する問題の解決を一歩進めてまいりたいということから、一年の期間を二年に延長いたしますと同時に、退職者の掛金負担につきましても軽減を行うという措置をとってまいることといたしたわけでございます。
○太田淳夫君 この問題、もう一点ちょっとお聞きしますけれども、任意継続組合員の掛金は、退職時の本俸を基準にして各省庁で決めた掛金と、それと同額の国の負担分の両方を負担しなければならない。これは現行でしたけれども、今回の改正案を見ますと、各省の共済組合の定款で、その上限を所属組合の組合員一人当たりの平均掛金と平均負担金の合計額にすることができると、こういうふうになっております。さらにまた、平均掛金の水準まで引き下げることができると、こういうことで、確かに先ほど片岡委員の質問に対するお答えの中にありましたように、掛金の軽減の道は開かれておりますけれども、この方法によって軽減されると、在職中の職員の負担においてそれは軽減されるんじゃないか、こういうように私たち心配するわけです。したがいまして、この方法も一つのやり方だと思いますけれども、国の負担を多くする、国の負担を導入することによって掛金の軽減を図る、こういう方法が必要ではないかと思うわけです。今回、この国の負担の導入によって掛金を軽減するという方法はとられずに、この法律にあるような方法がとられたわけですが、この方法をとった理由を説明していただきたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) 今回の掛金の軽減措置は、ただいま御指摘になりましたような方向で措置することに考えておりますので、その軽減された本人の掛金に対して、それに見合う国の負担を行うということにはいたしておりません。ただ、従来に比べまして本人の掛金負担が下がりました分につきましては、それが制度の全体の収支にはね返ってまいりまして、仮にそこで不足が生じます場合には、それは結果的には組合員全体と国というものが、原則によりましてこれを両方で穴埋めをしていくという形になっているわけでございます。
 国が特別の退職者に対する負担をいたすという制度をとりませんでしたことは、やはり公務員という身分から退職をされました方々につきまして、なお国費で個別の負担をいたしていくという点に問題があると考えたためでございますけれども、それが結果的には現在の組合員と国とが穴を埋めるということで、現在の組合員に、額的には大きなものではないと思いますけれども、多少の負担がかかることは、それは事実であろうと思います。ただ、この点はむしろ共済制度というものの趣旨からしまして、制度に加入しておる者が、お互い相互扶助と申しますか、皆で費用を持ち寄って皆の負担を賄っていく、それは現在在職しておられる方々の間だけでなしに、かつて在職された方、これから入ってこられる方、そういういわば世代間で順送りに負担をしてまいるという共済制度の精神と申しますか、たてまえから御理解をいただきたいと、こう存じます。
○太田淳夫君 共済組合の精神はわかるわけですが、いずれにしましても、給付内容の水準が向上してくるし、また今回のこれ、非常にいい制度だと思います。改善されてきましたので別に反対するわけではございませんが、それによって組合員の方々の負担が多くなってくるということ、また、私たち専門家じゃこざいませんもので、素人考えですが、なるべくそういった方面を少しでも軽減されて、国の負担でそういうものを行っていくという方向でひとつ進めていただきたいと、こう思うわけです。
 では次に、運輸省の方にちょっとお聞きしますけれども、今回の年金額の増額の指標というのは、お話がありましたように、昨年の人事院勧告で行政職(一)表の改善傾向の中で検討されて行われてきました。この行政職(一)表は公務員の中の基幹の職種で、全職員の五〇%近い方がこれに入ってみえますので、その改善傾向を退職公務員の年金の増額の指標に使われることはある程度理解できるわけでございますけれども、ただ、電電公社で、あるとか、あるいは国鉄であるとか、あるいは専売公社、それぞれ独自のやはり給与表というものが存在していると思います。したがいまして、その内容も、賃金の配分というのは非常な異なった面があると思うんです。そこで、行政職(一)表と同じ改善傾向で増額指標を使う場合に、多少疑問を覚えるわけでございますが、その点について運輸省のお考えをひとつお聞きしたいと思います。
○政府委員(杉浦喬也君) 御指摘のように、三公社それぞれの中での給与表といいますか、そういうものは、公務員と非常に違うものであるということはそのとおりてございます。それに対しまして、毎回の年金の改定の方向としまして国家公務員の指標を採用しているということにつきましては、理由は二つ考えられると思いますが、第一点は、先ほど大蔵省からもちょっと申し上げましたが、公企体の共済組合員制度の中には、過去の恩給期間あるいは旧国家公務員共済制度、こういうものをずっと引き続いて現在に至っておるというところでございまして、現実の退職者の組合員期間の中には、必ず恩給公務員期間あるいは旧法の期間が含まれている。新法が昭和三十一年でございますから、二十年たった五十一年度、ようやく全くその新法だけのものが本年初めて発生するという状況でございまして、いままでは旧法のしっぽが必ずついているという状況でございます。そういうことでございますので、やはり現在時点におきましては、公務員あるいは恩給というような制度に準じましてこれを考えていかなければならないという点が第一点でございます。
 それから第二点は、御指摘のように三公社それぞれにおいて俸給表が違う、またそれは公務員とも違うということで、それぞれみんな違うわけでございまして、それぞれにわたりまして算定をするということは非常に技術的にむずかしいことでございます。したがいまして、これらを十分勘案いたしまして、全体の社会情勢の変動というものも、どこにメルクマールを置いたらいいかということになりますと、総合的に考えますとやはり国家公務員の給与改善というものをメルクマールにするのが一番ではないかというような観点から現在でも公務員に準拠して実施しているところでございます。
○太田淳夫君 じゃ、時間になりました。最後に一点だけお伺いします。
 それは国鉄の共済年金の財政についてでございますが、これから毎年年金が増額されていくにつれまして、実質的価値保全のため年金が増額されていくのは仕方がないとしましても、これに伴う財政が健全でなければならないと、こう思います。なかんずく国鉄の問題、非常に大きな問題になっておりますが、国鉄の共済年金財政について、以前からこの委員会でも問題になってきました。また、国鉄自体でも収支計画策定審議会を設けていろいろ検討されているようでございますけれども、数字的な細かい点は省略することにしましても、今後の年金を増額していくについて十分こたえていくだけの見通しがあるかどうか、その点だけ最後にお聞きして質問を終わりたいと思います。
○政府委員(杉浦喬也君) 御指摘の国鉄共済年金制度の将来性につきましては、先生御指摘のように非常に多くの問題を含んでいることは事実でございます。最近やりました収支策定の計算におきましても、向こう五年間だけは追加費用なりあるいは財源率を増加することによりまして、何とか黒字で推移できるということでございますが、それから先がなかなか見通しが立たないというようなことでございまして、今回の答申は五年に限っております。将来の問題といたしまして国鉄財政との絡みもございます。また、年金の問題としましては、退職者が非常に今後多くなってくる。五年過ぎますと毎年二万人以上の退職者が出てくるであろう。要するに年金受給者がふえる。その反面、在職者、組合員の数は、今後国鉄合理化を執行しなければならぬということで、掛金を出していただく方は逆に減うてくるという両方の矛盾がございまして、財政上は非常に今後楽観てきない状況であることは事実でございます。また、国鉄自身の共済に対する負担金、これも年々増額をしてきているということでございまして、今後、国鉄財政再建問題とも関連させまして共済組合制度の財政問題につきましては十分慎重に検討してまいりたい。ただ、御心配の向きの将来の給付改善という点につきましては、やはり実質価値の保全あるいは組合員の既得権の尊重という立場で、財政は苦しゅうございますけれども、できるだけ給付改善は総体的に合わせてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(中山太郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(中山太郎君) それじゃ速記を起こして。
○小笠原貞子君 こうやって見ますと、窓から青葉若葉が大変きれいな季節になりまして、町も大変さわやかな季節になったというこのごろでございますけれども、この青葉と若葉のすばらしい輝きだと思えることが、まぶしくて、暮らしているときにつらくなるという方たちにたくさん私はお目にかかりました。その人たちは、いわゆる戦争で犠牲を受けて、しかももう人生もたそがれに近いという方たち。こういう方たちのことを思いますと、私は、戦後三十年と言われる中でいまだに大きな傷跡を持って、それはだれにもかわることができない一人の人生というものが全く犠牲にされたままでいまなお苦しんでいらっしゃる。こういうことを考えますと、どうしても私はいまの政府が本当の意味での温かい戦後の処理、そういう方たちへの手を差し伸べていただきたい。私は特にこのさわやかな季節の中でそのことを本当に考えながらきょうは質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
 植木総務長官には昨年もお目にかかりまして、本人はもちろんいろいろの人と一緒に御要請を申し上げたわけでございます。御存じのことだと思いますけれども、オロッコ族の北川源太郎氏という方の問題でございます。で、オロッコ族というのは、旧樺太、現在のサハリン南部のポロナイ河畔のオタスの森というところに居住をしていた少数民族の一種族でございます。ポロナイ川流域のツンドラ地帯で当時ずっとトナカイを追う遊牧生活が中心になっておりました。冬は山に入ってテンやクマなどをとる、春になると海岸に出てきてアザラシをとらえて、夏は川を上ってくるサケやマスを追うなどという、本当に平和なのどかな生活をしていた種族でございます。
 で、旧樺太につきましては、ポーツマス条約で明治三十八年九月に日本がいわゆる南樺太を領有をいたしまして、樺太庁が置かれ、内務省の管轄となって、その後も昭和に入るまでほとんど放置されたまんま。しかし、その反面オロッコの方たちの平和な生活というのはずっと続いてきたわけでございます。
 ところが、昭和五年、教育所――土人教育所というものが設けられて以後、日本帝国政府は、強い国民意識に目覚め、ひたすら皇土開発のために建設的な努力を続ける。そして愚民、同化、隷属、臣民教育といったような植民地政策というものが急ピッチで進められてきたわけです。これによって平和であったオロッコ族などの居住民の楽天地であった土地や森の大部分は日本人の手で奪われる。そして彼らの生活というものが日々脅かされる。そして第二次世界大戦に入ってまいりますと、旧敷香にあった特務情報部樺太支部――特務機関でございます。これが対ソ連情報収集を強化するため、オロッコ族といったこういった居住民の青年に召集令状を出し、特務機関要員として召集をした。このとき昭和十七年の八月でございます。
 当時この北川源太郎氏は十八歳の青年でございました。この人たちも召集を受けまして、そして軍事教練、遊撃戦術教育、全く軍人と同じ教育を施され、しかも戦陣訓、軍人教育、いわゆる軍人勅諭というものをたたき込まれました。そしてその間言われたことは、この戦争中南方では台湾の高砂族ががんばっている、おまえらも負けずにがんばれと、こういう上官の中野学校卒業の将校らが指導したわけですけれども、叱吃されて、そして北緯五十度、広大なツンドラ地帯で、忠実に、実に忠実に任務に従ったわけです。上官の命令で、あるときはソ連領側にいる同族らを拉致してきたり、殺害するといったようなことまでやらされておりました。この間オロッコ族はほとんどばらばらになるという目にも遭いましたし、北川さん自身もお母さんを失うというようなことになりました。
 終戦になりました。北川さんは仲間とともに日本軍人としてスパイ容疑で諜報活動していたということでソ連軍につかまって軍事裁判を受けて、そしてその結果、重労働として八年の刑を受け、シベリアに八年間抑留をされていた、こういうことでございます。そして昭和三十年、北川さんは刑を終えてやっと復員してきたわけですけれども、日本の戦犯になったということでございますので、気がひけて自分のふるさとであるオタスの森にも帰られないというわけで舞鶴に引き揚げてまいりました。そのとき北川さんに手渡されたものは毛布五枚と下着、米穀通帳の引きかえ券、当座をしのぐ一万二千五百円というお金だけでございました。これが北川さんの人生の十八歳から十三年間ふるさとを失い、貴重な青春を棒に振った代償でございました。
 網走に住むようになりましてからも、戸籍がないという北川さん、土木建設現場で臨時人夫などをして生活を立てるほかない。いつまでたっても、オロッコ族であるというようなことからも本採用にならず、オロッコだということが知れて解雇されるということがたびたびございました。そして北海道内を転々と苦しみながら生き長らえて、そしてその間結婚ということの話もありましたが、三回も破談になったというような苦しみを持っております。その後戸籍は取りましたものの、現在五十一歳でございます。独身生活で、まだ毎朝六時から日雇いの生活をしながら苦しんでいる。
 この北川さんが、差別と貧困に泣いたこの長い苦しみをはねのけて、勇気を出して、自分も日本人だ、ここで本当に生活と権利の保障を求めたいと立ち上がるためには、その地域のオロッコの文化を守る会とか、またたくさんの住民、また北海道全体のこういう方たちの守る会というような御支援があって北川さんは立ち上がったわけです。
 大変長々と申し上げましたけれども、こういう事実を私はぜひ知っていただきたい。ここにもう一つのあの戦争、侵略戦争の犠牲者が何の報いもなく、報いどころか放置されて苦しめられている。のどかに平和に暮らしていたオロッコ族、この人たちが四散させられて、そしていまなおその展望もないままに放置されていく。戦争に必要なときには強制的に狩り出して、そして戦争が済んだ、必要がなくなった、全く弊履のごとく捨て去去ってしまう。この北川さんの立場というものを長官はどういうふうにごらんになっていらっしゃるでしょうか。私は、質問に先立ちまして、こういった事実についての長官の御見解をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 北川源太郎さんにつきましては、私は昨年、戦争中及び戦後大変な御苦労をせられましたことを直接お聞きをいたしまして、戦時中は陸軍の特務機関要員として勤務をし、また戦後はソ連の軍法会議においてスパイ容疑によって八年の刑に処せられた。自来、昭和三十年に帰国されますまでの約十年間、数々の御苦労をなされたことは承知いたしておるのでございまして、私どもといたしましても、その御苦労には深甚なる御同情を申し上げているところでございます。
○小笠原貞子君 本当にそういう立場に立っていろいろの御検討をお願いしたい問題がございます。北川さんやそしてその支持をした北川さんを守ろうと、そのことは戦争の被害を受けた方たちを守ることだというので広範な方たちが立ち上がって守ってくだすっているわけでございますけれども、この事件につきましては、大変複雑であり、そして数々の特殊な条件というものが重なっているということは先回お目にかかったときもお話を申し上げた次第でございます。
 この中で、北川さんが現地で召集をされたと、召集令状によって召集されたということでございますけれども、これに関しましては、そのときの特務機関の旧敷香陸軍特務機関長であった元陸軍少佐である扇貞雄さんという方、現在神戸にいららっしゃるわけですけれども、この方が、七月の二十七日に三十二年ぶりで神戸からわざわざ網走までお出かけになりまして、そして北川さんに対して、私があのとき責任を持って召集をしたと、大変苦労をかけていまなお解決できない、大変申しわけなかったと、実に感激的な三十二年ぶりの対面をなすったわけでございます。
 ここで、扇さんがなぜそういうようなことを飛んで行って証言をなすってそして援助しようということをおっしゃったかということなんでございますけれども、長官もごらんになったかと思いますけれども、「ツンドラの鬼 樺太秘密戦編」というのがこの扇貞雄氏によってつくられているわけでございまして、これは防衛庁戦史室より永久保存の指定になっているということを伺いました。私も、一番その当時の責任者でいらっしゃる扇さんがお書きになり、そして保存指定にもなっているということで、これを読ませていただいたわけですけれども、この中で言っていらっしゃることは、証言していらっしゃることは、私は、当時樺太庁より戸籍業務を移管せられていた特務機関として、そのゲリラ戦の要員教育の召集令状を敷香陸軍特務機関長扇貞雄として出したことは動かすことのできない事実であると、こういうふうに証言をしていらっしゃるわけでございます。
 それからまた、同じく旧樺太敷香特務機関要員で元陸軍曹長の南部吉正という方でございます。この方は熊本にいらっしゃるのですけれども、これももう一人の大田さんという曹長さんだった方ですけれども、この方は大分から、はるばる九州の熊本、大分などから八月の十一日にはこの北川源太郎さんのいる網走まで飛んで行っております。そして、ここでもまた三十年ぶりの対面をして、そしてあのとき本当に自分たちの責任で召集して苦労をかけているということについていろいろ申しわけないということや、また証言も出していららっしゃるわけです。この南部吉正氏の証言によりましても、当時、私は敷香陸軍特務機関要員として直接本人たちに召集令状を配り、その後召集された約三十名のオロッコ、ギリヤーク青年たちに基礎的な軍事訓練及び謀報謀略活動に必要な教育を施したと。これはお手元にもいっていると思いますけれども、証言として出してくだすっているわけでございます。それからまた、大田さんという方も、これも当時の陸軍曹長でございますけれども、これも北川源太郎さんに対しての証言を同じくいたしております。
 それから、一方特務機関ではなくて、このとき樺太庁から、オロッコ族がどういうふうになっているかということを、土人指導員といいますか、旧樺太敷香支庁土人事務所指導員という方が、この運動が全道的に大きく報告をされまして、この方が名乗りを上げてくださいました。松本慶一という方で、敷香支庁土人事務所指導員という、直接指導をされ、関係されていた方でございます。この人が名乗り出てくだすったために日にちが八月の十一日だったということがはっきりいたしました。この方は、特務機関より要求されて私が書き写して提出した現住民人名簿に基づいて南部軍曹らが一人一人訪ね原住民を召集したということを知っている、ということをはっきりとここで証言をされたわけでございます。
 こういうわけでございますから、そのときの特務機関関係は樺太庁から移管されていたということで、直接自分が召集したと、こういうふうに言われる。そして本人の北川さんも、召集令状によって召集されだというふうに認識をした中で一生懸命に働いたということでございますね。こういうことについても、これは北川さんの受けている受け方が間違っていたのかどうか、この辺も一つの問題があろうかと思います。
 それから、戸籍の問題でございますけれども、時間の関係で続けて申させていただきたいと思いますけれども、オロッコ族といいますのは、先ほど言いましたように少数民族でございます。そして、樺太におりましたアイヌの方たち、この方たちは北海道の中でもいまだに旧土人保護法というようなものになっておりますけれども、このアイヌの人たちは、たとえば明治四十年にはアイヌの方やそれから後から樺太に入った日本人などは別にして、法令に関する法律というようなもので必要な事項はその都度勅令で決めるというようなことになっておりますし、それから、土人戸口届出規則というようなのがございます。これは大正十年、樺太庁令の第三十五号でございますけれども、この中では、在住民の身分変動を把握するということになっているわけです。また、樺太に施行すべき法律に関する件といたしまして、大正十三年の四月十六日に勅令第八十八号で、国籍法、戸籍法、寄留法について適用すると、ここでアイヌの人たちは含まれたわけでございますけれども、ただしオロッコ族は含まれないということで、相変らずオロッコに対してはそのまま戸籍というものがきちっとつくられていなかったということでございます。ですから、オロッコの方たちは、日本領である樺太に住み、そして広義の国籍はあるといわれても、戸籍法でこの人たちをちゃんと登録をしていなかったということのまま終戦になってきているわけですね。そして、サンフランシスコ条約が発効いたしまして、そのとき以来、他に外国籍取得等の事情のない限り広義の日本人としての地位を保有しているものであり、かつ、現在において日本民族たる日本人とひとしく戸籍法の適用を受くべきものと解すると、こういうことになっているわけなんです。
 で、旭川家裁でオロッコの方たちの就籍の問題についての裁判がございました。これは昭和四十一年に審判が出ておりますけれども、ここにおいて戸籍法の適用こそなかったけれども、オロッコの人たちはすべて広義の日本人として取り扱われていたものだと、こういうふうになっているわけですね。そういたしますと、非常にさまざまな特殊な条件の中でこういう事件が起きたと。で、この特殊な条件であったということは具体的事実として長官もお認めになると思うんですけれども、その特殊な条件であったということについて御見解はいかがでいらっしゃいますか。
○国務大臣(植木光教君) 先ほどお話になりました扇さんを初めといたします証明あるいは証言等につきましては、進達をせられます厚生省の方でいろいろ御調査をいただいておりますので、御答弁は厚生省からお願いをいたしたいと思います。
 第二段目の戸籍上の問題等についてでございますが、これはただいま小笠原委員が御指摘になりましたとおりでございます。しかしながら、アイヌ、ギリヤーク、オロッコ等の土着の方々は戦前から日本国民でございまして、戦後の樺太の領土権放棄によりましても国籍に変動はなかったわけでございます。したがいまして、恩給法上の取り扱いといたしましては、アイヌの方もギリヤークの方もオロッコの方も、国籍ないしは人種の相違というようなことは一切問題になりませんで、その御資格がありましたならば、恩給法上の対象になるということは明確でございます。
○政府委員(山高章夫君) 北川源太郎さんの兵籍の問題でございますが、昭和三十年に北川さんが舞鶴に帰ってこられたわけでございます。その際の北川さんは身上報告書というのがございますが、これで北川さんは陸軍軍属傭人として申告をいたしておるわけでございまして、実はこの点について調査したわけでございますが、この方は御本人の申告のように軍属であるということがまず確認されているわけでございます。
 なお、その扇さんのいろいろの証言について先生のお話がございましたが、これについて御本人に私どもの担当の方から確認いたしてございますが、扇さんは北川さんのことを大変御心配になっておられまして、いわば日本軍人として、召集兵に対してという言葉を使っておりますけれども、いわゆる兵役法でいう召集令状を受けて軍人として来ているのではない、軍人と同じように扱ってほしいという熱意のもとでそういうことを言ったというふうに言っておられる次第でございます。
○小笠原貞子君 それでは北川さん本人については、それはとやかく言うことでなくて、本人については扇さんが召集令状を出したということを扇さんは否定されているわけですか、兵役法上でいう召集令状ではないと。いまのお答えですと。
○政府委員(山高章夫君) 私どもの方で、北川源太郎さんは軍人ではないけれども特務機関要員として国のために働き非常に苦労したのだから、日本軍人と同様の処遇をしてほしいという趣旨でこういうことを言っておられるんですかというふうにお尋ねいたしましたところ、そのとおりであるというお話でございました。
○小笠原貞子君 だから、端的に伺いますと、扇さんは特務機関として正式に召集令状を出したということではないと否定されているわけですか。
○政府委員(山高章夫君) 特務機関の長は、兵役法に基づく召集令状を出す権限はなかったと思います。
○小笠原貞子君 なかったと思いますのではなくて、扇さんが、自分は召集令状をはっきり出したと、そして後のさっき言いました土人指導所の方々も召集令状を書いて渡したと、こういう証言が出ておりますね。それで、お手元にもいろいろ出ていると思うんですけれども、そういうことで、その方たちは扇さんによって自分はそういう意味での召集令状としては出さなかったというふうに否定されているんですか。扇さんの証言の中、またここに書かれている、これは本当だということで、絶対事実であったというようにはっきりと言っていらっしゃるわけなんですけれども、その辺のところがあいまいになりますと、いろいろ後がまたあいまいになってまいります。で、召集というものは、おたくの方としては特務機関には召集権がなかった、召集令状を出す権限がなかったというふうにおっしゃるわけですね。しかし、扇さんの方は、召集令状を出したとおっしゃる、私のいま言っているところは。で、その扇さん自身が、召集令状を正式なものとして出したのではないと、こう否定なすったわけですか。簡単にそこのところを。
○政府委員(山高章夫君) これは電話での応答でございますので、若干のニュアンスの違いはあると思いますので、その辺はお許しいただきたいと思いますが、私どもの受けた感じでは、扇さんは兵役法に基づく軍人でないということはお認めになっているように受け取っております。私どもは。
○小笠原貞子君 電話でいろいろとはっきりしたことが出てなかったということでございますけれども、いろいろこっちにも書類で出ているのもございますので、その辺はまだはっきりしないということだろうかと思います。で、扇さんがここでまた特務機関における身分について証言をしていらっしゃるんですけれども、「正式純機関要員であったことは、絶対事実であった。」と、こういうふうに文字で証言なすっています。そして「特務機関要員の中でも、「特殊工作員」の場合、名前は全部消却するのが常識で、名前が残っているとすればいわゆる「部員」「部付要員」「部勤務要員」等に限られている公然の部分で、本当の秘密戦従軍要員は一切名前を消すのが普通であった。」と、こういうふうにまたおっしゃっているわけなんですね。そうしますと、すれ違いになろうかと思います。私たちが集めまして、そして扇さん御本人からはっきりいただいてきた証言というものと、いま電話で、だと思う、というふうにおっしゃったということに、ここにまたはっきりしてないという点があろうかと思いますけれども、先ほど長官が、国籍のある人たちだから人種や何かで差別はしないと。つまり、この恩給法に乗せてほしいという要求が非常に具体的に出ているわけてすけれども、その障害になっているのは、先ほど局長が言われましたように、上陸しましたときに身上申告書というものの中で傭人と書き込まれているということが基礎になっているわけでございますね。これが基礎になって、そして道庁に残されて、そしてこの原簿によってこれは傭人だというふうにごらんになっていらっしゃるわけでございましょう。
○政府委員(山高章夫君) ただいま申し上げましたように、御本人の申告及び舞鶴で御本人の上官がそれを証明しております。それからまた、先ほど戸籍のお話がございましたが、戸籍は私ども所管しておりませんのでちょっと詳しいことはわかりませんが、昭和十八年七月三十一日に兵役法が改正になりましたが、それ以前は戸籍法の適用を受けていない者には兵役法が適用されなかったということでございますので、軍人でないことはこれは明らかじゃないかというふうに思っております。
○小笠原貞子君 そこで、いままでのことは全部、言った、言わない、それから戸籍法がなかったというようなあいまいなままでございますけれども、一つ具体的な問題として出てきているのは、その昭和三十年の引き揚げ時における本人の申告書の中に、傭人と書き込まれているというのが一番具体的な事実として、これが基本になって出てくるわけでございますよね。そうしますと、そこのところが問題なんですけれども、これは北川さん本人と私も会いましたし、そしていろいろその間の事情を伺ったわけなんです。そうしますと、長官もお聞きいただきたいと思いますけれども、北川さんたちは字が書けません、ずっと教育もない中で。それで、舞鶴に上陸するときにいろいろと手続の書類を書かなければいけない、北川さんが自分で書けないものだから、こうこうこういうわけでいままで来たんだということを話したときに、それを聞いて、援助してくだすった方が、それじゃ傭人だろうということで書き込んでくだすったという事実なんでございますね。だから、そこで上司とか責任ある方が傭人だというふうに書き込んだのではなくて、北川さん、字がわからないという事情のもとで何て書いたらいいんだろうということで傭人というふうに書き込まれたという、そこにまた特殊な事情というのがございますんですわ。ですから、もう本当に特殊特殊の問題が重なりまして、ここまで放置されてきているということになるわけなんで、その道庁に残されている原簿というものの傭人と書き入れたという事情については、私の方が本人から聞きまして、そういうこと、だということなんでございます。その辺のところは援護局長もお認めいただけますか。
○政府委員(山高章夫君) 当時復員あるいは外地から帰還した場合に、字の書けない方も中にはああったかと思います。北川さんがどちらであったかは私存じませんが、それからまた、引き揚げの方が非常に多いときとか、まあ字の書けない方が仮におられるとしたらば、すべてこれは聞き取りで書いております。聞き取りで書いて、後で読み上げて御本人に確認していただいて、それを記録として保存しているというのが現状でございます。
○小笠原貞子君 そういうような事情でございますので、時が戦時下であり、そして問題は特務機関という特殊な問題であり、そして対象となるのは北川さんというオロッコ族であったと、そしていま言ったように大事な申告を出すときに自分も書けない中で聞いた人が書き入れてくれるというような、もう本当に特殊な事情というのがここで四つも五つも重なってきているというわけなんです。それで、私はこういう特殊な中でございますので、やはりこれは特殊な問題としてお考えいただかなければ、特殊な問題だからいまの法律に乗せるとかはいろいろなことで大変困難なことだと思いますし、私どももお願いに上がりまして、大変御苦労をかけることになろうかということも重々承知しておりますけれども、困難だといってこれを放置しておいていいものだろうかと。私はやっぱり、こういう大変特殊な中で、そして向こうは召集令状を出した、受けた方は召集されたとこう考えている。それでは特務機関に召集権がないんだと言われても、本人にそのことは何の罪もないわけでございますよね。いろいろとあっても、残っているものは先ほど最初に申し上げましたように、本人が大変苦労した中で、いまだにそこに何ら報われることなく放置されているというこの事実だけは厳然と残っているわけでございます。こういうことについては、やはり特殊な問題という立場から、私は重々御配慮をいただきたいと、このことにつきましては、いろいろな文化を守る会とか、それから戦争犠牲者だから守ろうという方たちや、また網走の市議会でも昨年の七月の十八日に決議をいたしまして、市長さんもこのことを大変心配してくだすっているわけなんです。で、そうではないという証拠というものは具体的に書類としてもいまないわけなんですね。しかし、逆に北川さんに対しては召集令状を出したんだと、権限があるなしにかかわらず、そうして私たちはそれを彼に渡したんだと、そうして軍事訓練をさせたんだ、スパイをさせたんだと、そしてうんと働かせたんだという事実。私はこんなにきちっと、はるか九州からなど飛んできてくださるというようなことは、もう本当にこういう問題で珍しかろうかと思いますけれども、土人の直接指導に当たられた方、それから特務機関の陸軍少佐のさっき言いました扇さん、それから陸軍大尉の森さん、それから陸軍大尉の同じく田野さん、陸軍曹長の船津さん、陸軍曹長の大田さん、それから陸軍曹長の南部さんというような方たち、非常にたくさんの方たちがこの北川源太郎氏の問題について、大変あのころのことを考えて何とかしたいという熱意を持ってこうやって証言に立ってくださっているというようなことが具体的にこう出てきているわけなんです。
 そこで、もう時間も余りございませんので、私お願いを申し上げたいわけでございますけれども、特殊な条件の中であると、そうして、そうではないそうではないというような問題の中で、本人にとっての事実というものはここに厳然としてあるわけでございますから、だから、これいますぐというわけではございません。こういう問題について何らかの、初めに申し上げましたように温かい道と申しましょうか、この一生を棒に振った戦争の一人の犠牲者のためにどうしたらいいのだろうかということを、すぐに出せということではございません。大変複雑でございます。何らかの形で今後とも御検討をいただきたいということを、私はこの場で長官並びに援護局長にもお願いをしたいと思うわけでございますが、そういう事情を御配慮の上また御検討いただくということでお願いしたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 小笠原委員もいま御指摘になり、また十分御承知のとおり、御本人が傭人であったかどうかということが問題点でございまして、まあいま事実関係の調査をこれは援護局の方でやっていただいているわけでございますけれども、私どもの方が得ておりますいろいろな資料と申しますか、私もいろいろ調査を指示いたしましたので、出てきておりますものについては傭人であったと、傭人であったと判断されるということが私の方への報告として来ているわけでございます。したがいまして、いまございましたいろいろな事実関係の問題については、厚生省の方においてさらに御調査をいただきまして、そして恩給の請求をせられるかどうかということについての御判断をいただきたい。一応こちらにも請求書としては来ているわけでございますが、事実関係についてまだいろいろ調査しなければならない点も残っていると思いますので、その点についてもう少し時間をかけさしていただきたいと存じます。
○政府委員(山高章夫君) 事実関係につきましては、先ほど来から申し上げました事実と、当時の制度から見まして、どうもこれは軍属と断定せざるを得ないのじゃないかというふうに思いますが、先生のお手元にも何か資料がおありでございますように承っておりますので、そういうものも見せていただいて検討いたしたいと思います。
○小笠原貞子君 はい、わかりました。じゃ、大体そういうふうに、早急に結論を出さないで、いろいろと私も伺いたいし、また調査もしなければならないと思いますので。そういう方たちを何としてでも温かく救っていただきたいという気持ちの上で、今後とも私も連絡させていたださますので、よろしく御配慮をお願いして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○岩間正男君 いまの問題ですね。総務長官、結局戦争犠牲者を一人もなくすと、そういう点では政府の政治姿勢が問われている問題です。しかもこれは人道上の問題ですから、これについて十二分に検討される、そうして本人の権利を守り抜く、こういうことを特に要望したいと思います。
 そこで、この前、昨年十一月に施行されました例の一時恩給の問題についていろいろ質問を申し上げた。そういう中で、結局該当者は大体政府の推定でも数十万あるいは五十万、そうして、しかもその後進達の様子を見ていますというと、五十年度は二万、それから五十一年度になって予定されているのは七万、こういうことになりますというと、非常にこの処理が時間をとる。場合によってはもう十年近くもかかる、そういうようなことになると思う。これでは法の精神に反する。とにかく法が施行されて、それができるだけ早く、可及的速やかにその法の精神が実現できるためには、これはいまいろいろな隘路があるので、一つは何よりも処理能力が非常に弱っている。これをどうしてもやはり改善する必要がある。もう一つは、あくまでもこの法の趣旨というものを周知徹底させるためにあらゆる努力をする。これについて厚生省とそれから総理府との間に意思統一をして、そして具体的にこの問題を推進する、そのような対策を考えてほしい。したがって、厚生大臣と総務長官は話し合いを進められたと思うわけです。どういうような結論に達したのか。とにかく、最後の結論に達したかどうかわかりませんが、その中間でもいいですけれどもね、どのような話になったか、それからお伺いしたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 御承知のように、一時恩給につきましては五十年度に改正をいたしましたが、これは十一月七日に施行されるというふうに時期的に大変おくれたということは御承知のとおりでございまして、したがって、厚生省からは後ほど援護局長の方からお答えいただけると思いますが、非常に施行に伴う請求が二月、三月から急増をしているという状況のようでございます。したがって、各都道府県における処理状況等については、いま厚生省の方で鋭意指導と努力をしてくださっているということでございます。この点についてはこの間も申し上げましたが、私どもといたしましては、何年もかかってということではなしに、できるだけ早期に支給をいたしたいという考え方でございますから、したがって、いろいろな面でPRもいたしますとともに、関係機関に対して御協力をお願いを申していきたいというふうに考えております。
○岩間正男君 これは厚生次官どうですか。
○政府委員(山高章夫君) ただいまの先生の御質問でございますが、そういうふうに恩給局から御連絡を受けていまして、特に問題は都道府県に滞留するのがふえていくんじゃないかという点にあると存じますが、これの解消に鋭意努めるように努力いたしております。
○政府委員(川野辺静君) いま総理府総務長官からも申されましたように、このことにつきましては、御承知のように全国主管課長会議などもございまして、いろいろとこの問題ができるだけスムーズに進みますように努力をしておりますし、また厚生省といたしましても、各都道府県の皆様と十分に話し合い、またお願いも申し上げまして、できるだけこれがスムーズにまいりますように鋭意努力をさしていただきたいと思っております。
○岩間正男君 私は、話し合って、話を詰めてここに出してほしいということをこの前要請しているのです。したがって、厚生大臣とこれは総務長官、お話をされましたか。そして、具体的に問題は人員が足りないこと、それから予算も足りない。しかもいまのままでいけば四年から十年かかる。とてもこれじゃ法の精神も実行できない。法はつくったって全然魂が入らない、血の通わないものになる。これじゃ困るんだ。これがこの前の委委員会で問題になって、これを詰める、そういうことできようお約束したはずなんですね。したがって、これは厚生大臣とお会いになったか、どんな話をして何を一体お決めになったか、ここの二日間における御努力をお伺いしたい。端的でいいですよ、そういう話でなければ、時間も余りありませんからね、だから端的に言ってください。
○国務大臣(植木光教君) 厚生大臣に対しましては、私から、この一時恩給の処理状況について、早急に支給ができるように御協力をいただきたいということで問題点についてお話をいたしましたが、事務的な問題の詰めというのは、これは恩給局長と援護局長との間で行われたのでございます。その点につきましては両局長から御答弁をしていただきます。
○岩間正男君 これは厚生大臣から話がありましたか、局長。そして、それについて改善工夫をされたか。端的でいいです。
○政府委員(山高章夫君) 総務長官の御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもは命令を受けて、恩給請求事務の処理に当たる職員の増を図るべく、ただいまプランを練っておるところでございます。
○岩間正男君 これはいつごろできますか。まあ事務能力を図るといっても、とにかく四千六百万で、一県当たり百万円、そして現在の処理能力を見ますというと、一つの県て多くて二人、ことに一時恩給に専門にかかわっている人というのは一人半とか、そんな形でありますね。これじゃとにかく大変なことになる。しかも、そういうふうな事務能力をもとにして実際は処理を考えている。その具体的な例は、今年度七万件、そういう予算しか組んでいない。五十万あるのに七万件ということになれば、大体これは算術計算でも七年かかる。七年後にもらう人はこれはどういうふうになるか。こんなインフレの中で、本当にこれは形だけの非常に少ない額であります。少ない額でありますけれども、とにかく法によってこれは決められたものです。これをとにかく一〇〇%実施するという努力をするかしないかということが政治の姿勢が問われているわけでありますね。だから、その点については、いま考えているとか何とかということでこの法案が通ってしまう、こういうことじゃまずいのでありますから、だからどういうふうに考えているか。とにかく予算について、これはほかに予備費を使うとか何とか方法があるのか。人員については、とにかく現在の数倍の人員を賄うというやり方を具体的に打ち出さなければこれは実際やっていけないんじゃないかと思うんです。こういう点についてはどう一体検討されておりますか。
○政府委員(山高章夫君) 先生の御関心の深い人員の問題でございますが、これは都道府県別の三月末の手持ち数を見ますと、大体、当然のことだと先生からおっしゃられればそのとおりでございますが、この事務に携わっている職員の少ないところにどうしても滞留数が多くなっています。それから、職員が少なくても滞留数が少ないところがございますが、これは恐らく、恩給事務はかなり練達の士を必要とするわけでございますが、そういう方が専任で当たっておられるのではないかというふうに考えられるわけでございます。そういう点を勘案いたしまして、これは地方公共団体に、都道府県に仕事をお願いしているわけでございますので、都道府県の主管課長会議も近々開催する予定にしておりますが、その際、やはりそういった個々の県の具体的な事情を考えながらそれぞれの県に定員の増をお願いするということで、大体目標をつくって、どのくらいその定員を振り向けてもらえれば処理ができるかとか、そういった県ごとの――画一的にはこれはちょっと指導できにくい問題であろうと思いますので、個々の県の事情を見ながら県にお願いしていくようにしたいと思っております。
○岩間正男君 県にお願いしてと、県の赤字財政のところにそういう委託事務をどんどんふやすというような、そういうことでは、非常にこれはいま地方財政上も問題になっている。したがって、事務処理費というのは、もう少しこれは増額する必要があるのではないか。四千六百万というような金じゃ、とてもこれだけの五十万の人たちの福祉の問題を扱う、そういう体制にはなっていないと思うんですね。したがって、これは今後検討されるということでありますけれども、少なくとも何倍かにふやさなくちゃいけない。事務費とか、いろいろな備品費とか、通信費とか、こういうものだけ賄う、そういうことで果たしてこれはやれるのかどうか。アルバイトももっと雇って人員をふやさなければならないでしょうけれども、そういうような人件費などというものは、これは少しもないんです。これでは実際、いまの地方財政の非常に赤字の中で苦しんでいる、そういうところには、これは向かないということになるのですから。したがって、恩給法に本当に目玉を入れ血を通わせる、こういう立場に立って本気になってやるのかどうか。
 さらにまたもう一つは、受給者の立場から言えば、当然これは権利なんですよ。決して恩恵的に、いままでの恩給という名前のように、施してやるんだと、こんなものじゃない。しかも額は非常に少ない。インフレはどんどん高進している。十年後にもらったらいまの三万円というのは一万円になるかもしらぬ。そういう態勢の中で、少なくとも私は、これはもっと短期間――短期間といっても四年とか五年じゃ話にならぬ、まあ一年、どんなに長くたって二年ぐらいでこの問題を取り上げて全部とにかくやるんだと、この決意なしにはこの法案というのは全く宣伝だけのものになってしまう。こういうふうに考えるのですから、この点について話し合いをやっていただきたい。
 厚生次官もおいでになっていますけれども、何といっても法を立案され、そして執行の責任はこれは総務長官にある。それの実際の事務を厚生省で行っておられるわけだ。そこのところで話し合いをやって、そして、とにかく予備費の支出とかなんとかの方法があるだろうし、とにかく応急にこういう問題を解決する方向に御努力を願いたいというのが、この前の私の質問の主意でございます。これはまたやらなきゃならないことだと思うんですね。これは厚生次官いかがでしょう。厚生次官――ちょっと政治的な問題だがいいですか、あんた代弁できますか。
○政府委員(山高章夫君) はい。
 恩給事務は、やはり何と申しましても一つには人の問題がございます。先生のおっしゃるとおりでございます。人の問題にまず重点を置いてこの対策を考えなければならないと思っておるわけでございます。そういう点で、特に先生の御関心の深い人の問題について御答弁申し上げたわけでございます。
 予算の点につきましては、一応予定件数を消化するだけの経費を積み込んでございます。昭和五十一年度は六千四百三十八万八千円という予算を計上いたして、これで本年度は施行してまいりたいというふうに思っております。
○岩間正男君 事務処理費ですか、いま言ったのは。幾らですって、もう一回。
○政府委員(山高章夫君) 五十一年度六千四百三十八万円でございます。
○岩間正男君 とてもあんた、何ですか、この前四千六百万ね、これが御承知のように五十年度ですよ。そうすると今度わずかに五〇%、五割方ふやしているが、百五十万だ、一県当たり。とてもそれは話にならぬのですね。だからこの点について、やはり特段の方策を講じなけりゃならぬと、こういうことを言っているので、これは総務長官もこの問題についてもっと協議をいただかなけりゃ、結局裏づけのない答弁になってしまう。何倍かふやさなければだめですよ、これは少なくとも。これがまた少なくとも私は、現在のこの法案を本当に実施する、そういう立場からはこれは必要だというふうに考えている。この検討は、これはいつ出されます。
○政府委員(山高章夫君) 人の問題につきましては、次期の、日にちはまだ確定しておりませんが、全国課長会議の際に十分……
○岩間正男君 いつです、それは。
○政府委員(山高章夫君) 日にちはまだ決定しておりませんが、六月中にはいたします。
 それから、予算の点でございますが、これは先ほど御答弁申し上げましたように、予定件数を消化できるということで計上してございます。予算は、最近新しく年度に入ったばかりでございまして、これは実績を見ながら翌年度の予算の際にいろいろまた検討することになろうかと存ずる次第でございます。
○岩間正男君 だから、まるで逆なんですよ。そうでしょう。あんたたちの処理能力というものをもとにしてこれだけで消化できると、こう言っている。それではだめだと言うんだ。十年かかると言うんだ。そんなことじゃ全然この法は空洞化されるんだ。そうじゃなくて、逆にこの法を、これは完全にしかも可及的速やかに実現するんだ、こういう立場に立ってくれば、まるでそこのところは、体制、処理能力の問題、人員もこれは何倍かにふやさなけりゃならぬ。したがってその裏づけとしての予算をふやさなけりゃならぬ、こういうことがもう政治的に要求されている。だから私は総務長官に、こういう点について政治的な立場からこの問題を明確にしなけりゃならぬということを言っている。ようございますね。この点について、大づかみにしかいま話ができないのか、どうなんですか。
○国務大臣(植木光教君) 恩給法が改正されますと、それぞれの支給額が改定されるわけでございますけれども、従来受けておられます受給者の方々の書類というものは恩給局にあるわけでございますから、したがって職権改定ができるわけでございます。したがって、その点につきましては都道府県をわずらわしたりなどするということはない状況でございますが、この一時恩給につきましては、全然名簿も何もないというのが恩給局内での状況でございます。したがって都道府県の御労苦を、厚生省とともに煩わしていると、こういう状況なんでございます。
 私は、先般も申し上げましたように、第一年度は二万人、第二年度は七万人というふうに申しましたのは、従来いろいろこの種のものにつきましての申請というものの割合を、ずっと見ますとこういう姿になりますのでこういう数字を出したわけでございますけれども、この間申し上げたように、これ以上に出てまいりましても、私どもはこれを処理をしてまいります、支給をしてまいりますという発言をしているのでございまして、今後とも、私どもとしましては、速やかにこれらの一恩が支給できますように厚生省と十分連絡をとりながら努力をしてまいります。
○岩間正男君 それじゃ、七万件を超える、そのような事態もあり得る、それに即応すると。
 そこで、お聞きしたいんですが、この総理府の予算というのはほとんど恩給局関係の予算じゃないですか。八千幾らですか、いまここで覚えていませんが、この八千億の九七%というのは恩給関係ですな、総理府の本庁の。そういう中でこのような事務の処理費は出ないんですか。恩給局は出ないですか。総理府から私はもっとこの問題についてバックアップすべきだと思います。厚生省に頼んでいる、厚生省の予算からわずかにこれは一億足らずの金が出ているというような形では、この問題はやはり本当に処理できないんですよ。この点はどうです。時間もありませんが端的に答えてください、端的に。
○政府委員(菅野弘夫君) ただいま御指摘がございますけれども、約九千億の恩給費がございますけれども、そのうち恩給費の事務費はごく些少でございまして、大部分が恩給費でございまして恩給事務費が少ないのでございますが、端的に申しまして、恩給局はもちろん裁定庁として高いところにとまっていろというつもりはございませんで、いろんな意味のPRなり、それから都道府県に対する御連絡なりをいたしておりますけれども、厚生省と恩給局の事務の分担は、やはり法制度の上でも明らかになっているわけでございまして、軍人さんに関しましては都道府県、それから厚生省というのが進達庁あるいは所属庁ということでございますので、ただいまの点につきましては恩給局の予算の中から回すということはこれは事実上不可能でございます。
○岩間正男君 どうも一昨日からこの委員会での質疑をやっていて、役所のなわ張り根性というのですかな、とにかく総理府恩給局、それから厚生省援護局、こういうかっこうになっているんだ。なかなかそこのところが、本当にこの法案を施行するために協力してそういう問題を打開していくというような、つまり本当に行政の民主化の体制ができていないんだ。やっぱり旧態依然としたそういう機構の中で動いているというところに、一つの大きなこれはガンがあるということを私は指摘しておきたいですね。
 いまの問題だって、もっとこれは政治的に考える、そして受給者の立場に立ってとにかく権利を守ると、そういう立場に立てば、いまのような答弁ではまかり通ることはできないと思う。あなたたちが決めた官僚の一つの仕組みの中で、その中から少しも出ようとしない、そういう話し合いでありますから、とてもこれは要求にはなかなかぴったりしないということになる。この点について、これはもっとやっぱり十分に考える必要がある。
 もう一つ、最後にお聞きしたいのは広報の問題です。広報費について、これは資料もらいました。この広報費は、全体、まあテレビから、それから新聞、これを合わせて四百八十万だと、この一時恩給についてのいままでやった広報費は。ところが総理府の広報費というのは総額幾らです。
○政府委員(関忠雄君) 総理府広報室の予算は、五十年度におきましては当初において八十億二千二百万円が計上されております。
○岩間正男君 総理府全体の広報費、そんなものですか。
○政府委員(関忠雄君) なお、五十年度につきましては補正後七十一億七千二百万円になっております。
○岩間正男君 それじゃこれはどこから出している、四百八十万、恩給関係のこの広報費というのは何ですか、厚生省が出したんですか、どこから出したんです。総理府で出したんじゃないですか。
○政府委員(関忠雄君) 広報室の広報費の中で実施をいたしたのでございます。
○岩間正男君 総額幾ら、総理府の広報費。
○政府委員(関忠雄君) 広報室の予算でございますけれども、五十年度当初におきましては八十億二千二百万円、それが五十一年度におきましては九十三億一千五百万円でございます。
○岩間正男君 恩給関係の広報費は何%、全体の。
○政府委員(関忠雄君) この中で特に恩給関係が幾らということが決まっておるわけではございません。
○岩間正男君 使ったのは幾らと聞いているんですよ。使ったのは何%。八十億二千万とすれば、そのうちの四百八十万といったらこれはごく微々たるものですね。ところがこの問題、もっともっとこれはやらぬと徹底しないわけですよ。五十万人の該当者がいる、そしてその人たちはもう年が老いている、受給の資格もこれは失いがちになっている。そこへもってきて十年先というようなことになったなら全くもうこの効果がなくなるわけです。インフレはこのように物すごい高進の中だ。そういう中で全くいわばスズメの涙ほどでしょう、三万、二万というような一時恩給なんていうものは。しかし、それをしもとにかくやろうという、それは一応その限度内でこれは評価できます。むろんこれはわれわれは大きく、多くしなければならぬし、この兵の最も犠牲を受けた人たちに対して国家の扱いは非常に手薄いと見ているんです。こういうところに本当にもっと充足するための努力をすべきだと思う。しかしこれを本当に呼び起こすことができない。一つは何かといったら処理能力がないからです。あんまりこれは宣伝してどんどんどんどん申し込まれると、いまでさえも大変なところに、もうとてもこれは逆立ちしても間に合わないということになる。したがって、これはあんまり広報したくない、しかし広報しなければいかぬじゃないかということでこれは御承知のように広報をやった。ラジオ、それから新聞、中央の新聞もこれは朝日その他一、二やった。しかし非常に少ない、小さい、地方新聞でもやっているが徹底しない、これじゃだめだと。だからこの前総務長官に、ラジオ、テレビ、こういうものを使って、視聴率の多い――そうして本当にこれを見た人がその気になって、そうして進達のできる、そういう方法をとるべきだということを言って、これは長官も同意をされたわけですね。だから、もっとやっぱりこの点について努力をするということが私は必要だと思う。
 今年度の計画について、これはお聞きしたけれども資料はお出しになれないわけです。しかし、少なくともこれはもう早い機会に――きょうでこの法案の処理はされると思いますけれども、しかし、われわれは見守っているわけです。処理能力をどうしているか、援護局のやり方、そうして府県の実態をつかんで私たちは見守っていますからね。だから一カ月後の実態、これはどうなっているか、これは本当にもう報告もいただきたいと思う。
 それから、広報については今年度の計画はどうするのか。これを具体的に、長官が答弁されたようにテレビ、ラジオを使う、こういうような問題についてもう少しやっぱり努力を――もう少しならず十二分に努力を払って、そうしてどんどんやっぱりこれを周知徹底させる。同時にこの処理が万全にできるような、そのような事務体制を本当に確立する。そのためには、地方だけに任しておったんでは地方の負担は大変なことになるから、どうしてもやはり、国家的な仕事でありますから、元来が、これは地方に便宜上、戸籍、兵籍とか、そういうものが地方にあるからそういうことをやっているが、しかし、これは国家的な仕事なんです。その国家的な仕事を国家がその責任において、当然予算も出す、人員についても配慮をする、そういう体制をとらなければ、本当にこの法の精神を貫くということには私はならないと思うのです。どうなんです。これは私が無理ですか、こういうことを言うのは。本当にこれは福祉行政の一環として見ている。本当に恩恵的にくれてやるのだという恩給のこういう概念というものは、もうはっきり前近代的なものでありますから、これはやめなければならぬ。あれだけの戦争で大きな犠牲を受けた、そうして最もそのしわが寄せられているのはこの兵の人たちです。この兵の人たちに対するもっと血の通った行政をやるべきだ、こういうふうに考えるのでありますけれども、この点について最後に総務長官の決意をまとめて表明していただきたいと思います。
○委員長(中山太郎君) ちょっとその前に岩間先生に申し上げますが、所定の時間がすでに七分超過しております。これで答弁をもって質疑は終了していただきたい。
○岩間正男君 はい。
○国務大臣(植木光教君) 政府の広報は、あらゆる分野につきまして国民の生活に直結をいたします問題について取り扱っているのでございまして、したがいまして、恩給につきましても、国が都道府県とともに周知徹底させることによりまして、受給者にあまねく恩恵を早期に及ぼすということがなければならないというふうに存じます。
 一時恩給につきましては、先ほども申し上げましたように、昨年の暮れに成立をいたしまして、その後いろいろ広報媒体も使いましたし、都道府県にも御協力をいただきまして、二月、三月から急速に申請が出てきているという状況でございます。
 さらに、この一時恩給の問題のみならず、今回提案をいたしております恩給法改正案が成立をいたしましたならば、全般につきまして広報を行い、受給者に喜んでいただきたいということを私ども強い決意として持っております。
○委員長(中山太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
○委員長(中山太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として河田賢治君が選任されました。
○委員長(中山太郎君) 恩給法等の一部を改正する法律案に対し、岩間君から委員長の手元に修正案が提出されております。
 修正案の内容はお手元に配付のとおりてございます。
 この際、本修正案を議題といたします。
 岩間君から修正案の趣旨説明を願います。岩間君。
○岩間正男君 従軍看護婦に恩給を支給する、このような恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 旧日赤などの従軍看護婦等は、太平洋戦争の中で赤紙一枚で強制的に召集され、行く先も知らされずに戦地に送られ、砲弾の飛び交う中で傷病者の看病に従事させられました。さらに敗戦後も多数の従軍看護婦等が外地に抑留され、昭和二十八年から三十年にかけてようやく帰国したのであります。このため結婚の機会を奪われた人も少なくありません。これらの従軍看護婦等は高齢化していくとともに将来の生活不安に脅かされているのが実情であります。旧軍人と全く同様の扱いを受け、苦難の道を歩んだ旧従軍看護婦等への恩給支給は国の当然の義務であります。
 現行恩給法は「公務員及其ノ遺族ハ」「恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス」(第一条)と定めていますが、旧日赤看護婦等は戦地勤務をしていても公務員ではないとされ、また旧陸海軍病院の看護婦も婦長クラス以上の者を除けば恩給相当の公務員ではない単なる雇い人とされていたため、それぞれ恩給が支給されていません。しかし、旧日本赤十字社などの従軍看護婦等は、法制的にも旧日本赤十字社令(明治四十三年五月十九日、勅令二百二十八号)で「待遇は兵に準ずる」「陸海軍の紀律を守り、命令に服する義務を負う」とされていたのであります。
 これらの事実から見れば、旧日赤及び旧陸軍病院の従軍看護婦等を公務員ではないといって恩給支給の対象から除外するのは不公平であり、道理に反すると言わなければなりません。本修正案は、ただいま議題となっている恩給法改正案提出を機会に、これら従軍看護婦等に恩給支給の道を開くためのものであります。
 なお、この問題については、昨年当委員会で「戦地勤務に服した日本赤十字社の救護看護婦の処遇については、旧軍人、軍属に比して不利となっているものがあるので、その救済措置を図るよう検討する」という附帯決議があります。本修正案は当委員会のこのような決議に沿った内容の実現を目指すものですが、あわせて、これに準ずる旧陸海軍の従軍看護婦等についても恩給法適用の道を考慮したものであります。
 以下、本修正案の内容について申し述べます。
 第一 戦地又は事変地において勤務した旧日本
  赤十字社令(明治四十三年勅令第二二八号)
  にもとづく救護員及び戦地又は事変地に勤務
  した旧陸海軍病院の看護婦等は、戦地又は事
  変地に勤務した期間及びこれに引き続く抑留
  期間については旧恩給法(大正十二年法律第
  二八号)第二〇条に規定する文官として在職
  していたものとみなし、現行恩給法が適用さ
  れるものとする。
 第二 戦地又は事変地の区域及びその区域が事
  変地又は戦地であった期間は政令で定める。
 第三 俸給年額については、政令で定める仮定
  俸給表にもとづくものとする。
 第四 新たに恩給を支給されることとなる者又
  はその遺族は昭和五十一年七月一日から恩給
  を受ける権利又は資格を取得するものとする。
 第五 戦後公務員又は公共企業体職員となった
  者の年金額算定については、第一で定める期
  間を在職年数に加えるものとする。
 等であります。
 なお、これに要する費用は初年度においては二千三百万円、平年度においては四千六百万円の見込みであります。
 以上が、本修正案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、各会派の皆さん、御審議の上、速やかに御賛成くださいますよう特にお願い申し上げまして、私の提案理由を終わります。
○委員長(中山太郎君) ただいまの岩間君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。植木総務長官。
○国務大臣(植木光教君) 本修正案につきましては、制度のたてまえに照らし、遺憾ながら政府としては反対でございます
○委員長(中山太郎君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。
 討論は、三案及び修正案を一括して行います。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。野田君。
○野田哲君 私は日本社会党を代表して、政府提出の三案賛成、修正案反対の意思を表明するものであります。
 政府提出の三案につきましても、内容的にはさらに改善を求めなければならない点が多々あるところであり、これらの点につきましては、質疑を通じて私どもの意図するところを明らかにし、なおさらに、後刻附帯決議案によって政府に善処方を求めてまいりたいと考えているところであります。
 共産党提案に係る恩給法の修正案につきましては、その内容についてはわが党としてもかねがね主張しているところであり、その救済措置の実現のために努力してきたところであります。内容的には同一の立場に立つものであり、その立場からすでにわが党といたしましては特例法案を本日提出をして審議を願っているものであります。わが党が同一の立場に立ちながら、修正案ではなく特例法案として提出をいたしましたのは、今期も残り旬日を残すのみとなって、この段階で政府案を修正をするということになったならば再度衆議院の審議を行わなければならないことになり、衆参両院あわせて内閣委員会の開催の日程が、会期内では残りは二回程度しかないという現段階でこれを修正をすることは、政府の提出の原案をも含めて日程的に成立が危ぶまれるとの危惧を持つものであります。このことは、もしそのような形で原案の成立が危ぶまれるということになった場合には、恩給年金の改正の実現を一日千秋の思いで待ち望んでいる恩給受給者の期待を裏切る結果を招く懸念を持っており、そのために内容的には同一でありますけれども、別の形で特例法として審議をお願いするという立場に立ったものであります。したがって、内容的には私どもも実現を図るべき賛意を表すべき内容でありますけれども、現段階の日程上の都合から、手続上この修正案には賛成いたしかねる、こういう立場をとるものであります。
 以上をもって討論を終わります。
○峯山昭範君 私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております恩給法等の一部を改正する法律案政府三案について、修正案に反対し、原案に賛成をいたすものであります。
 ただいま修正案が出たわけでございますが、この修正案の内容は、従軍日赤看護婦等の恩給法適用に関する問題、この問題でございまして、この問題は長期間にわたりまして懸案事項となっている問題でございます。すでに昭和三十八年九月には、日赤本社がこれらの者について恩給法の適用を行うよう文書をもって関係当局に要望を行っておりますし、四十一年の法改正におきましては、看護婦長以上の者で戦後公務員となった者について、一定の条件のもとに従軍日赤期間を公務員期間に通算する措置がとられております。その後、昭和四十七年の法改正におきまして通算条件の緩和等が行われておりますし、以後、当委員会で質疑が行われ、かつ、附帯決議、請願の採択、あるいは質問主意書等の提出も行われております。しかし、現実としましては、何ら改善の措置が講ぜられていないというのが現状でございます。
 わが党といたしましては、さきの国会における当委員会の決議にもかんがみまして、早急に改善を図る必要があると思いまして、かねてからその具体的内容及びその取り扱いについて検討を重ねてきたわけでございます。その結果、本問題につきましては、ただいま社会党の方からも話がございましたように、その性格の特殊上、恩給法の特例として立法措置するのが一番いいんじゃないか、そういうようなところから、本日法案を日本社会党と共同にて提出したわけでございます。旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係る恩給法の特例に関する法律案、先ほど趣旨があったとおりでございます。
 わが党といたしましては、以上の経緯によりまして、本法案を、ただいま議題となっております恩給法改正案の修正として行うということは、その内容等につきましては、わが党及び社会党とともに提出いたしました法案と全く同じでございますが、遺憾ながら本修正案には反対せざるを得ないのであります。
 以上反対の理由を申し上げまして私の討論を終わります。
○委員長(中山太郎君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 まず恩給法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 まず、岩間君提出の修正案を問題に供します。岩間君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(中山太郎君) 少数と認めます。よって、岩間君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(中山太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、中村太郎君から発言を求められておりますので、これを許します。中村太郎君。
○中村太郎君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、各党共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 まず、附帯決議案を朗読いたします。
   恩給法等の一部を改正する法律案に対する
   附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに検討の上
 善処すべきである。
 一、恩給の最低保障額については、引き続きそ
  の引上げを図ること。
 一、扶助料の給付水準については、さらにその
  改善を行うこと。
 一、旧軍人と一般文官との間の仮定俸給年額の
  格付是正を行うこと。
 一、加算年の金額計算への算入及び加算減算率
  について改善を図ること。
 一、恩給の改定時期については、年度当初から
  の実施を目途とすること。
 一、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制
  限を撤廃すること。
  右決議する。
 附帯決議案の趣旨は、案文及び審査の過程で明らかでありますので説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
○委員長(中山太郎君) ただいま中村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(中山太郎君) 全会一致と認めます。よって、中村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の両案全部を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(中山太郎君) 全会一致と認めます。よって、両案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、野田君から発言を求められておりますので、これを許します。野田君。
○野田哲君 私は、ただいま可決されました共済関係二法案に対し、各党共同提案に係る附帯決議案を提出をいたします。
 まず、附帯決議案を朗読をいたします。
   「昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案」及び「昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)
  政府は、共済組合制度の充実を図るため、次の諸点につき速やかに検討の上善処すべきである。
 一、国家公務員共済組合等及び公共企業体職員等共済組合からの既裁定年金については、実質的価値保全のための具体的対策を早急に進めること。
 一、共済組合の給付に要する費用の負担及びその給付内容の改善については、負担区分のあり方を含め、他の公的年金制度との均衡等を考慮しつつ、適切な措置を講ずるよう検討すること。
 一、旧令、旧法による年金額の改善については、引き続き一層努力すること。
 一、共済年金の改定時期については、年度当初からの実施を目途とすること。
 一、国家公務員共済組合及び公共企業体職員等共済組合両制度間の差異について、早急に是正するよう検討するとともに、国家公務員等退職手当法第五条の二に規定する公共企業体職員の退職手当についてすみやかに改善措置を講ずるよう検討すること。
 一、家族療養費の給付については、他の医療保険制度との均衡を考慮し、引き続きその改善に努めること。
 一、共済組合の運営が一層自主的、民主的に行われるため、運営審議会において組合員の意向がさらに反映されるよう努めること。
 一、公共企業体職員等共済組合に関する制度について、学識経験者等により調査審議する機関の設置について検討すること。
  右決議する。
 附帯決議案の趣旨は案文及び審査の過程で明らかでありますので、説明は省略させていただきます。
 以上であります。
○委員長(中山太郎君) ただいま野田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(中山太郎君) 全会一致と認めます。よって、野田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、ただいまの決議に対し政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。植木総理府総務長官。
○国務大臣(植木光教君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、御趣旨を体し十分検討してまいりたいと存じます。
○委員会(中山太郎君) 大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしまして御趣旨を体しまして十分検討いたしたいと思います。
○委員会(中山太郎君) 木村運輸大臣。
○国務大臣(木村睦男君) ただいま附帯決議のありました事項につきましては、政府といたしまして御趣旨を体し十分検討いたしたいと思います。
○委員会(中山太郎君) なお、ただいま可決されました三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中山太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後三時三十分散会
     ―――――・―――――