第077回国会 大蔵委員会 第1号
昭和五十一年七月六日(火曜日)
   午前十一時九分開会
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   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     立木  洋君
 七月二日
    辞任         補欠選任
     立木  洋君     渡辺  武君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         岩動 道行君
    理 事
                戸塚 進也君
                中西 一郎君
                野々山一三君
                矢追 秀彦君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                河本嘉久蔵君
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                鳩山威一郎君
                桧垣徳太郎君
                福井  勇君
                藤川 一秋君
                宮田  輝君
                寺田 熊雄君
                福間 知之君
                藤田  進君
                村田 秀三君
                鈴木 一弘君
                近藤 忠孝君
                渡辺  武君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       人事院給与局次
       長        角野幸三郎君
       警察庁刑事局保
       安課長      柳館  栄君
       経済企画庁調整
       局長       青木 慎三君
       法務省民事局長  香川 保一君
       外務省アジア局
       外務参事官    枝村 純郎君
       外務省経済協力
       局外務参事官   大鷹  正君
       大蔵政務次官   細川 護煕君
       大蔵省主計局次
       長        松下 康雄君
       大蔵省銀行局長  後藤 達太君
       大蔵省国際金融
       局長       藤岡眞佐夫君
       国税庁長官    田辺 博通君
       国税庁次長    山橋敬一郎君
       国税庁間税部長  大槻 章雄君
       通商産業省貿易
       局為替金融課長  浜岡 平一君
       通商産業省産業
       政策局商務課長  鯨井こう一君
   参考人
       日本銀行総務部
       長        蔵原 千秋君
       日本輸出入銀行
       総裁       澄田  智君
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  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告に関する件
○租税及び金融等に関する調査
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 この際、先般本委員会が行いました租税及び金融等に関する実情調査のための委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。
 まず、第一班の報告をお願いいたします。戸塚君。
○戸塚進也君 団長は岩動委員長でございますので、便宜私から御報告いたします。
 第一班、名古屋、大阪班の委員派遣について、その概要を御報告いたします。
 第一班は、去る六月二十二日から二十五日の四日間にわたり、岩動委員長、矢追理事、藤田進委員、村田委員、鈴木委員及び私の六名をもって名古屋、大阪に参りました。
 調査は、各財務局、国税局を初めとする諸官衙、金融、証券機関、経済団体、納税団体、中小企業団体及び酒類団体等にわたって、それぞれ経済の現況と要望等を聴取し、意見を交換いたしました。なお、名古屋においては三菱重工業名古屋航空機製作所とトヨタ自工の工場、大阪においては資生堂大阪工場を視察し、懇談いたしてまいりました。
 以下、調査の概要について申し上げます。
 まず、経済の現況につきましては、おおむね全国と軌を一にして回復基調にございますが、ミクロ的には必ずしも先行き楽観を許さない、まだ本格的でないという声が一般的でございました。
 回復のテンポは東海地区においては全国平均を上回り、近畿地区においては全国におくれておりますが、これは自動車産業の存在の有無によるもののようであります。しかし東海地区におきましても、好調の輸出関係と対照的に工作機械、合板、綿織物、モザイク・タイル等は引き続き大幅な減産を余儀なくされ、業種間、企業間で跛行状態が見られるようであります。近畿地区においては、家電下請は好況でございますが、親企業への納入単価は厳しいと言われ、また同地区に多い繊維、鉄鋼、化学、木材等の中小市況産業は回復がおくれております。
 このような状況を背景にいたしまして、企業金融情勢もほぼ全国と同じで、後ろ向き資金需要は減少しておりますが、前向きの資金需要は依然鎮静化しており、都市部における個人住宅ローンの需要は旺盛であるものの、総じて金融は緩和傾向にあるようでございます。したがいまして、金融機関の公共債消化はこれまでのところ、圧迫感は、さほどなかったようでありますが、今後の景気回復次第で、下期にクラウディングアウト発生の懸念が述べられました。国税収納関係では、御承知のように五十年度法人税の落ち込みが目立っており、また異議申し立てにおいては名古屋、大阪とも近年サラリーマン減税関係件数が激増しているのが特徴でございます。たばこ専売につきましては、本年五月で定価改定前レベルに対する需要の回復率は近畿において九四%でありまして、東海地区においても正常化は五月以降になろうと見られております。
 なお、近畿地区は生産、出荷、輸出面においては依然として首都圏に次ぐ大経済圏でございますが、証券関係においては、近年、流通市場の東京集中が著しく、大阪取引所の売買高の全国比は、三十年代に比しほぼ半減いたしております。
 次に、各方面において表明されましたいろいろの要望の主なものを紹介しておきたいと存じます。
 第一に、どの会合においても一様に述べられましたのは、財特法の早期成立でございました。これにつきましては、野党委員より、景気上向きと税の増収見込みとの関連がただされましたが、財特法の成否いかんの国民に与える心理面の影響が大きいという民間側からの御返事がございました。つまり、期待どおりのものが流れてくるのかどうか、成立しない場合の支出抑制の不安感が大きいということでありますが、実態的にも、輸出はいいが、公共事業がおくれており、中小企業は息切れしているから、財特法成立によって景気を一般化してほしいという声もございました。
 第二に、最近激増している地方縁故債の日銀適格担保・オペレーションの対象にしてほしいとの要望であります。これについての日銀支店当局の御返事は、日銀からどんどん金が出るのはインフレにつながる、担保は日銀券の裏づけになるものだから、そのままの価値を持つ流通性のあるものでないと困る。適格にすると発行が安易に流れる、という趣旨のことが繰り返されました。これに対して、地銀側から、さしあたっては公募債の枠の拡大が要望され、また縁故債の発行条件の統一化、公募債への条件接近等を通じて将来の実現方が要望されました。地方財政については、また交付税拡大の要望がございました。
 なお、ついでながら、最近物価警戒型の金融政策へ移行したのではないか、との民間側の質問に対して、日銀当局は、これ以上マネー・サプライをふやすのを避ける、つまり、これ以上緩めないということであって、引き締めるのではないとの御返事がありました。
 第三に、三五%の建造能力削減勧告に直面している造船業、構造改善を迫られている繊維産業については、阪神を中心に広範な下請のすそ野を持っており、業界の自己努力にも限界があるので、国の側における特別の措置や地域、業種を考慮したきめの細かい金融を配慮してほしいとの要望がございました。
 第四に、租税関係では、まず所得税の減税、それも単なる免税点の引き上げでなく、中高年齢層の減税が要望されました。企業関係では景気調整的な投資減税案の創設、公害防止投資特別償却の延長、土地重課の再検討等、企業体質改善の観点から要望が述べられ、これは租税ではございませんが、資金調達の多様化、社債発行枠の拡大等が要望されました。
 中小企業関係では、一般に徴税方法の簡素化が望まれ、したがって、付加価値税の導入については、この観点からも検討してほしいとの要望がございました。そのほか、法人税、法人事業税の軽減税率適用範囲の拡大、退職給与引当金の全額損金算入、事業用資産の相続税軽減等が要望され、また富裕税の提案もございました。
 第五に、酒類関係におきましては、酒造用原料米について政府管理米の一部を特別価格をもって払い下げる等により、現行買い入れ価格を超えないよう特別措置を講ずることが要望されました。流通面においては、卸について、現行の酒税の保全及び酒類業組合に関する法律を、酒類業の助成を主たる目的とし、あわせて酒税の保全を図るよう改正の要望があり、小売りについてはスーパー、生協、農協等大型資本の免許抑制の要望がございましたが、過当競争の防止については卸、小売り一致してこれが対策の配慮方を要望されました。
 以上、簡単ながら報告を終わりますが、今回の派遣に当たって調査に御協力いただいた関係官衙、諸団体、工場の方々に対し、この席をかりて厚く御礼申し上げる次第でございます。
 以上。
○委員長(岩動道行君) 次に、第二班の御報告をお願いいたします。中西君。
○中西一郎君 第二班北海道班の委員派遣について、その概要を御報告いたします。
 派遣委員は、福井委員、宮田委員、寺田委員と、私の四名で、六月二十一日から二十五日までの五日間にわたり、北海道財務局、函館税関、札幌国税局、札幌国税不服審判所、専売公社札幌地方局のほか、函館財務部、室蘭、函館の各税務署から、管内の概況を聴取するとともに、商工会議所、青色申告会等の各納税団体、民間金融機関、酒造組合等と意見の交換を行ってまいりました。
 また、専売公社函館工場及びサッポロビール、ニッカウイスキー、新日本製鉄の各工場を視察いたしました。
 調査の概要について申し上げます。
 まず、財政金融情勢についてであります。
 北海道は、その経済を取り巻く地理的、気候的諸条件の特異性により、全国的な動向からは、かなりその様相が異なっていることを申し上げねばなりません。北海道経済は、従来から、人口、経済の規模等が全国の約五%程度を占めているところから、「五%経済」と言われておりますが、その産業構造を純生産額から見ますと、第一次産業は全国比八・六%と非常に高い反面、第二次産業は三・二%と異常に低い水準にあることが特筆されます。
 したがって、今回の景気回復の歩みについて見ましても、全国的には輸出の上昇がその支えとなっておりますが、道内の二次産業のウエートの低さから、その回復のテンポは緩慢であり、底入れの時期についても、かなりのタイムラグが見られ、公共投資の拡大等、財政面からの資本形成の促進の要請が強く打ち出されております。
 このような状況を反映して、金融面では、各種民間金融機関が積極的な融資態度をとっているものの、民間の設備投資等、道内における景気回復への前向きの、資金需要の回復はまだ見られない状態にあります。
 一方、道内の地方公共団体は、豪雪、辺地、山村、過疎の指定を受けている団体が多いという実情から、財政の窮乏度が高く、地方債発行の増加等、銀行借り入れへの依存は、従来にも増して増大しつつあり、今後増加する国債の銀行引き受けに伴う資金配分のあり方は重要な課題の一つとなっております。
 特に、資本力の脆弱な道内中小企業にとっては、公的融資制度に依存する度合いが高い現状にあることから、政策的な金融の充実が必要なように思われます。
 第二は、税務についてであります。
 北海道における昭和五十年度の国税収入は、前年度比で〇・七%の増加となっております。全国が八・一%の減少であったことを考え合わせますと、不況の影響が全国水準と比べて小さかったということであります。
 税収のウエートの大きいものについて申し上げますと、法人税収はかなりの落ち込みを見せておりますが、所得税、相続税は給与所得の伸びや、地価の根強い動きを反映して増加しております。酒税については、ウイスキー、ビール等への嗜好の移行に伴い、酒税全体の税収では六%程度の伸びとなっておりますが、清酒については、かなりの落ち込みを示しております。清酒は、販売額それ自体が減少しているばかりでなく、道外酒の割合が増加する傾向にあること、酒造用原料米のコスト上昇等々、道内酒の前途には問題が残されていると考えられます。
 税務行政面についての要望として、国税局から職員の手当についての要望がありました。すなわち、調整手当について現在乙地の扱いとなっている札幌市及び小樽市、無給地である岩見沢市の支給区分を甲地に引き上げられたいというものであります。これは、札幌市がすでに人口百二十四万人の全国第七位の大規模都市であり、現在甲地である下関市、北九州市を人口、物価水準等の面で上回っていること、小樽市、岩見沢市は札幌市の通勤圏内にあり、転勤の際、住居の移転を伴わない地域である等の理由によるものであります。
 また、青色申告会等の納税団体からは、所得税についての積雪寒冷地特別控除、減価償却資産についての割り増し償却制度を新設するほか、北海道に対する特別交付税を創設して、道民税及び市町村民税の軽減を図られたいとの要望がありました。
 第三は、北海道の開発についてであります。
 本年度は、昭和四十五年度に発足した十年間にわたる第三期北海道総合開発計画の後半に入る年でありますが、初めに申し述べました北海道のいわゆる五%経済がその水準以下に落ち込みつつある現状から、開発事業に寄せる各機関、各団体の期待は想像以上のものであることが感じられた次第であります。
 大型プロジェクトとしては、青函トンネルの建設、北海道新幹線の建設、石狩湾新港地域開発事業、苫小牧東部工業開発事業がその主たるものでありますが、特に、青函トンネル、新幹線の建設事業は、道内と本州との直結並びに道内の骨格交通体系を形成するものであるだけに、きわめて強い期待が寄せられているものであります。ここ数年の総需要抑制の影響と、出水等の難工事によって完成予定がおくれる見込みでありますが、その早期完成を図るための建設費の増加の要望が出されました。
 以上、概略を申し上げましたが、今回の派遣におきまして、調査に御協力いただきました関係行政機関、民間の各機関、団体、事業場の方々に対し、この席をかりて厚く御札申し上げます。
 終わります。
○委員長(岩動道行君) 派遣委員の報告はこれをもって終了いたしました。
 なお、ただいま御報告がございました各班から別途詳細な報告書の提出を求め、これを後日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
○委員長(岩動道行君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、本日、参考人として日本輸出入銀行総裁澄田智君及び日本銀行総務部長蔵原千秋君の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(岩動道行君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 大平大蔵大臣に質問いたしますが、プエルトリコで開かれました国際会議に御出席になられたようです。大蔵大臣は、新聞報道によりますと、最初から何かいやいや総理大臣について行ったというようなことが報道せられました。また会議の途中でも終始浮かぬ顔であったというような報道があるわけですね。また野党は、一斉にこれは主として国内向けの政治的なショーにすぎなかったというような見方もしているようでありますけれども、この際、私どもとしては、大蔵大臣がこの会議にどのような評価をしておられるか、まずもって承りたいのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 十一月にランブイエで首脳会議が開かれた当時、世界経済は不況からの脱出に急いでおったときでございました。そのために国際協力をどのように組織していくかというようなことが主題であったかと思うのでございます。その後、幸いに世界経済は不況から着実に脱出することに成功しつつあるようでございまして、今度のサンファンにおける会議におきましては、この不況から脱出した世界経済をさらに持続さしてまいりたい、こういう状況を持続さしていかなければならぬ。しかも、インフレを招くことなく持続させなければならない。そのためにはどういう国際協力が考えられなければならぬかということが主題であったと思うのでございます。そういう視角から隔意のない討議が行われて、コミュニケにうたわれたような成果が得られたわけでございまして、私は先進諸国ばかりでなく、世界経済全体の安定と発展のために評価すべき首脳会議であったと評価いたしております。
○寺田熊雄君 世界経済の発展の上で評価すべきものと評価しておるというお話でありましたが、首相声明要旨というものが、サンファンでの首脳会議終了後に三木さんから発表をされたという報道があります。その冒頭に、私は今度の会議はきわめて実りの多いものであったと考える。という一説があります。まあ国際協力が必要だというようなことは、これはわれわれの常識だと思いますが、そういうきわめて実りの多い会議であったということになりますと、やはり何か私どもは具体的な成果というものを考えますね。それじゃ、何か具体的な成果、その実りというものがあったんでしょうか。何なんでしょうか、これをちょっと承りたいんですが。
○国務大臣(大平正芳君) これからの世界経済が国際的な理解と協力をかち得まして、インフレなき拡大を記録することができますならば、文字どおりそれはこのサンファン会議のねらいが実現したことになると思うのであります。したがって、今後この会議の成果がどのように出てまいりますかは、今後の世界経済の推移を見なければわからないことでございまして、ただ、そこで実りの多い会議であったと総理が言われたという趣旨は、恐らく関係七ヵ国の首脳が一堂に会して、きわめて打ち解けた雰囲気の中で何らのリザーブなく、隔意のない意見の交換を遂げることができたと、いわば思い残すことがなかったということが会議自体の成功を実感として受けとめられたことではなかろうかと思うのでありまして、そういう意味では同席をいたしました私も同じような感想を持ったものでございます。
○寺田熊雄君 結局、集まって、ノーネクタイで話し合ったことに意義があるということのようですね、大臣のお話では。結局、その具体的な成果というものは何もなかったという結論になるんじゃないでしょうか、ね、そうでしょう。その会談の成果を伺ったんですよ。ただ、プロセスとして、集まって、ノーネクタイで話し合ったということだけが意義があったわけですか、そこから何か実りが結果的に生まれたんですか。それは生まれなかったけれども、話し合ったことだけに意義があると、こういうお話なんですね。
○国務大臣(大平正芳君) 最高首脳の会議でございまして、具体的な問題を持って具体的解決を図るというような趣旨では、本来、初めからないわけでございます。そういうことをやるフォーラムは別にあるわけでございます。最高首脳の集まりといたしましては、国際的協力の雰囲気をつくって、事が起こってあわてるのではなくて、事が起こらない前にみんな国際的協力の立場から身構えることができるような世界的な雰囲気をつくるということに主眼があったと思うのでありまして、そういったものが本来首脳会議というものの性質であろうと思うのであります。こういう問題を今度はサンファンに持ち込んで具体的解決を図るというようなことをだれも申した首脳はございません。それは寺田さんも御承知のことと思うのでありまして、首脳会議というものがそういうものであるとすれば、その会議におきましてきわめて成功的であったと申し上げてはばかることはないと私は確信します。
○寺田熊雄君 まあいいでしょう。サロン会議を開くことに大きな意義を持たれるということも、私どもとしては余り評価しませんが、そういう御意見は御意見として承ったことにしまして、たとえば前の、昨年のランブイエの会議のときには、為替に関する制度について米仏の見解の相違というものが一応妥協に達したというようなある程度の成果がありましたね。この場合には国際的な協力が必要だというようなことを確認し合ったというようなことで、余り私は現実的な成果が生まれてないと見ているんですが、もう一遍大臣、非常にしつこいようですが、たとえば国際経済の上であるとか、あるいは世界貿易の上に現実的なメリットがやっぱり生まれたものじゃないんでしょ、ただそういう雰囲気づくりに成功したと、こういうふうに伺っていいわけでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) ランブイエ会議におきまして、来るべきジャマイカの会議は成功させなければならないと、通貨問題はそこで決着をつけようじゃないかという合意がなされたわけでございまして、そして一月初旬に持たれましたジャマイカ会議におきましては、そのことが実現いたしたわけでございます。今度の場合考えてみますと、たとえば、国際収支の問題を取り上げてみましても、国際収支が先進国であれ、発展途上国であれ、特定の国が長く赤字であるというような事態は世界経済のために好ましい状態でないことは当然でございまして、もしそういうことが起こった場合は、多角的な手段でこれに対処しようじゃないかということが、コミュニケにうたわれていることは御案内のとおりでございます。で、この姿勢は、今後そういう事態が万一生じた場合、そういう態度で世界が一致して協力していくということが誓われておるわけでございます。貿易につきましても、いまジュネーブにおきまして多角的な貿易交渉、関税交渉が行われておるわけでございまして、この交渉は残念ながら遅々としてなかなか進まないわけでございまして、われわれのターゲットとしては一九七七年中にはこれを完成させなけりゃならぬということでございますが、こんなことではいけないので、これを促進して、一九七七年中にどうしても仕上げるのだ、仕上げようじゃないかということを最高首脳で合意し合ったわけでございまして、このことは今後ジュネーブ交渉というものを促進することに大変役立つのではないかと思うのでありまして、首脳会議というのは、本来そういう機能を持っておるものであると私は思うのでございまして、その会議におきまして今度のサンファン会議はそれなりの役割りをちゃんと果たしておるのではないかと思うのであります。
○寺田熊雄君 確かに大臣のおっしゃるように、七七年末までに多国間貿易交渉を終結させるという問題が論ぜられたことはわかりますが、これはすでに目標としては過去において設定されているわけですから、このときに設定されたわけではないのて、それを、余り――その目標を再確認し、東京宣言に従ってこれを達成するため適切な機関を通じてあらゆる努力をすることを約束するという宣言の文句になっていますね。だから創設的なものじゃなくて、単に確認したにすぎないので、余り大したことじゃないと思いますけれども、まあよろしいでしょう。
 最後に一つだけお伺いしたいのは、東西貿易め問題でこの宣言の中にある文言がちょっと気になるんですが、これはどういう意味なんでしょう。「われわれはこの経済関係が東西間の全般的な関係を確実に向上させるよう努力しなければならないと同時に、東西貿易のプロセスは慎重な検討を必要としているという点で合意をみた。」という文言があります。何か非常に懐疑的な感じを与える文言ですし、そういうふうに事実新聞で解説したものも見受けているんですが、これはどういうふうに理解したらいいんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 東西間にデタントの状態が続いておることは世界のために慶賀すべき事態である。これは安全保障のことを言うことでございましょうけれども、同時にそれは、東西間の貿易が順調に拡大を見ておるということで裏づけられておることが、またそのことの証左であるということになると思うんでございます。したがって、安全保障の面ばかりでなく、経済面におきましても、共存関係というものは順調に拡大していくというように配慮しようということにおきましては、各首脳の間に間然するところなく意見の一致を見たということでございます。
 ただ、最近の傾向は、東西間の信用供与の状況を見ておりますと非常に急激な拡大を見ているわけでございます。これは、それ自体望ましいことでございますけれども、それぞれの国の対外政策を施行する場合に、その国が持っておるところの技術なり労働力なりという、そういう資源を対外的に配分していく場合に、自由圏であれ社会主義圏であれ、あるいは発展途上国であれ、そういうところにバランスのとれた姿において配分して、そして世界経済が全体としてバランスのとれた姿で発展していくということが望ましいわけでございまして、自由圏に片寄り過ぎるとか、あるいは発展途上圏に片寄り過ぎる、あるいは東西関係に片寄り過ぎるというような事態は、それ自体、そのことだけをとるとそれで結構なんですけれども、全体のバランスから見て、やはりバランスを見ながら進めてまいることが望ましいのではないか、という考え方が望ましいのではないかと思うのでございまして、ここに言う慎重なプロセスという意味は、そういう意味で、世界経済全体の安定した発展を図る上におきまして、ちゃんとそれぞれの位置づけを、そのときどきの位置づけを忘れないようにやろうじゃないかという趣旨のものと私は理解をいたしております。
○寺田熊雄君 大臣としては、現在の国際経済を全体として発展させる上で東西貿易の方がやや行き過ぎである、そういう現状にあるというふうな理解をしておられるわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 東西関係は、貿易面においても投資面におきましても拡大する必要があると私は思います。しかしながら、それは漸進的にやるべきであると、急速な拡大というようなことは長続きするものでもございませんし、着実な、堅実なものではないと思いますので、そういう点はわが国に関する限りできるだけそういうことのないようには努めておるつもりでございますけれども、今後のことでございますから、その点は堅実な展開を図るように努めてまいらなければならないと考えておるし、今日までのわが国の東西関係、東西政策の展開は大変に行き過ぎておるなどという私は見解持っておりませんけれども、世界経済全体を今後順便に、発展途上国も含めまして見た場合に、バランスのとれた展開というようなものは必要だという、この思想というものはやはり尊重されなければならぬというように思います。
○寺田熊雄君 世界貿易のどの分野で行き過ぎがあるんでしょうね、どうもそういうふうな理解ができないように思うんですけどね。むしろ、まあアメリカとソ連との関係をつかまえてみても、それからEC諸国とソ連、あるいは中国、ましていわんや北朝鮮であるとか北ベトナムであるとかいうような貿易関係を見ても、全体としてのバランスが壊れているというような結論にはとうてい到達できないんですが、大臣、そういうような具体的な事例を御存じですか。
○国務大臣(大平正芳君) いままで東西関係で支払い不能に陥ったということは、若干の問題が部分的にございますけれども、概してデフォールトはないんです。でございますので、今日までのところ東西関係、経済関係の拡大は満足すべきものであったと思うんです。ただ、これが急速な拡大を見て、そしてそれがデフォールトを来すというようなことがあったなら、これは決して双方のために幸せでないわけでございますから、その点につきましては慎重にやってまいるということは当然なことと思うのでございます。で、日本に関する限りは、今日まで私どもがやってまいりましたこと、そんなに度はずれたことはあったとは思いませんし、今後も十分気をつけてやってまいることでございますので、特にこういう申し合わせがあったから、特に日本はこれから東西関係についてはこういう点を気をつけにゃならぬと思ってます、というような、特にそういうようにはいま考えておるわけじゃございません。一般的なプリンシプルとして、均衡のある世界経済の安定的な発展を図る上から申しましての思想といたしましては、まあそういう配慮はプリンシプルとして望ましいのではないかということがうたわれたものと、この解釈として申し上げておるわけです。
○寺田熊雄君 まあ大臣の御説明によりますと、日本の場合はそういう過去において懸念すべき事態もなかったし、また将来においても発展が望ましいというのでありますから、特にこれについて余りこだわる必要はないと思うんですけれども、たとえば支払い不能なんということになりますと、もっと危惧すべき状態の場合は、この参加国の中のイタリアであるとか、あるいは韓国であるとかアジアで言えば。そういう方がはるかに危惧すべき状態にあるように思うんですね。ですから、特にここで東西関係だけを何か非常に懐疑的なトーンを持っていますよね、これは。そこでお尋ねしたので、特にこれは政治的な動機から生まれたというようなことはないんでしょうね。こんな点でちょっと確認しておきたいんですが。やっぱりこういう事務当局が参加するんでしょうけれども、事務当局がこういう誤解を与えないようにやはりこんなものを起草するときには率直に意見を述べて、こんな誤解のある文言は削るべきだと、削らすべきだと、それはすでにあったからしょうがないですけれども、その政治的な動機があったかないかについて大臣、結論的に御見解を承りたいんですが。
○国務大臣(大平正芳君) 政治的なものではございません。
○寺田熊雄君 最後に、生産者米価についてお尋ねをするわけですが、この新聞報道によりますと、今朝の閣議で米審に諮問すべき政府案というものが決定されたというふうに報道せられておるんですが、大体そう承ってよろしいんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) そうではございませんで、閣議がある前に、関係閣僚が政府の諮問価格を、諮問米価をどうすべきかについて下相談をいたしたということでございまして、まだそれは決まっておりませんで、農林大臣がきょういっぱい関係方面と協議をいたしまして政府として腹を決めていくことになろうかと思っておりまして、いまの瞬間ではまだ決まっておりません。
○寺田熊雄君 物価の関係から経済企画庁長官が当然その決定に重きをなすであろうということも想像されますし、大蔵大臣も財政的な見地から当然御相談にあずかるんでしょうけれども、そこで大蔵大臣としましては、いま全国の農協中央会が要求しております六十キロ二万百二十円の米価要求についてはどんなふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(大平正芳君) これはいまから七日、八日、九日と米審が開かれるわけでございまして、各方面の代表者が出まして御審議をされるわけでございまして、それを前にいたしまして、私から米価に対する感想を申し上げるというようなのは若干時宜に適しないのではないかと存じますので御遠慮したいと思います。
○寺田熊雄君 私がお尋ねしているのは、米審に政府が諮問すべき案をやはり持たにゃいけませんから、それには当然大蔵大臣として参加されるわけですから、その諮問米価を決定するその重要閣僚なんですから。そこでどういうお考えか、当然お持ちになっていると思うのですよ。お持ちになっていないというんだったら、それはやっぱりうそだと思いますがね。そうでしょう。それを承っているわけです。
○国務大臣(大平正芳君) 生産者米価をどういう原則で決めるかというのは法律で決まっておるわけでございまして、それにどういう数字をあてがってまいるか、肉づけしていくかということは、農林大臣を中心にいたしましていろいろいま検討をいたしておるところなんでございまして、もう毎年のことでございまして、別に目新しいことではないわけでございます。私といたしましては、農林大臣が各方面の御意向を伺われながら諮問米価をお決めになるということに別段異存はないわけです。
○寺田熊雄君 大蔵大臣のいま苦しい立場はよくわかるのですよ。だけれども、私どももやっぱりそういう御答弁で納得するわけにいかないでしょう。いまこれはかなり大きな政治の課題になっているわけですね。で、全国の農民がまなじりを決して政府に迫っているわけですからね。そのまなじりを決して政府に迫っている重要な政治課題で、私が大蔵大臣にお尋ねをしておるわけで、それで農林大臣がお決めになるんだからといってお逃げになるわけにはいかないんじゃないでしょうかね。やっぱり重要な閣僚としてまた国務大臣として、当然どうあるべきかという問題については御意見がなきゃならぬはずですから。結局、生産費所得補償方式というもう長い間――長い間といってもそう長くはないのですが、確立したこの計算の方式がありますね。それは確かにそうなんです。ただこれは一昨年でしたか、当然それによりますと一六%台に上るべきものを春闘の相場に合わすために一三%台に落としたことがあるようですね。そういうようなことを考えますと、必ずしもその方式をしゃくし定規に守っていかなければいけないというものでもないようです。それから政治加算の問題も、これは常識的に否定する人はないと思うのですね。そういう意味で、大臣としてはどんなふうにこれを見ておられるのか、これはかなりやはり大臣としての信念を述べていただくべき問題じゃないでしょうか。これは逃げて、逃げ回ってあいまいに済ますという問題じゃないと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 現在、諮問米価につきましては、農林省において私どもを初め、各関係方面と協議をいたしておる最中でございまして、成案を得ていないと申し上げたのでございますが、まだ決まっておりません。したがって、具体的な数字について何も申し上げられる段階ではございません。ただ従来と同様、法律にも示されておるとおり、生産費所得補償方式によって決定してまいらなけりゃならぬことは当然でございまして、その場合、米の需給事情等を勘案することは当然でございますけれども、米の生産費でございますとか、賃金でございますとか、物価の動向等を反映させて、適正に決定いたしてまいることはまた当然と考えております。具体的な数字にわたりましては、まだ決まっておりませんので御勘弁を願いたいと思います。
○寺田熊雄君 いや、もうすでに新聞でいろいろな数字が出てますからね、いま。それは大臣も毎日お読みになっていらっしゃるでしょう。だから、大体六%台に落ちつくと、七%台に伸びることはないというのが各報道機関の一致した推定的な数字ですからね、それは大臣としても御存じでしょう。それを是認せられるのかどうかという問題です。いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 新聞社と相談して決めるわけじゃございませんで、米審に諮りまして、米審後与党側と相談して決めなきゃならぬ筋合いになっておりますので、新聞にはいろいろ前広に観測記事が流れているようでございますが、それを一々追いかけて見解を述べるわけには私はまいらぬと思います。
○寺田熊雄君 観測記事について一々見解を述べるわけにはいかないとおっしゃるけれども、報道機関の方も全く架空の数字を述べているわけではないので、それぞれの所管に当たって、責任を持ってやはり推定してるわけですからね。だからそれに感想を述べろというんじゃないんです。それに出ている数字というものが、大臣のいま妥当だと考えておられる数字に合致しているかどうかを伺っているんですよ。
○国務大臣(大平正芳君) そんな御無理なことをおっしゃらないでください。まだ決まっていないということでございますから。農林省といま協議中でございますということでございます。考え方としては、いま申し上げたようなところでございます。もし、これ以上米価についてお聞き取りいただかれるのでございましたら、農林大臣の方にひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
○寺田熊雄君 じゃ、はなはだ不本意ですけれども、私としては。どこまでもこれは大臣と押し問答を続けたいんですけれども、やはり時間もありますから、はなはだ不本意だけれども、一応ここで打ち切っておきますけれども、基本的に、大臣、これは財政的な考慮ですね。つまり、食管会計の赤字を何とかしたいと、そのためには赤字を拡大したくないというような財政的な考慮から、あなたはこの農林大臣との協議に臨まれるのか、それとも、農民の米を生産する労働に対してそれにふさわしい対応をすべきか。つまりその労働の価値に見合う米価を決定するのが正しいと思われるか。
 それからもう一つは、農家に生産意欲を生ぜしめるような米価であるべきだと考えられるか。つまり、農業後継者をはぐくんでいくためによき刺激となるような米価でなければならないと考えるか。そういう基本的なあなたの考えをこの際お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 私の考えと申しますよりは、食糧管理法にちゃんともう明示されておるわけでございまして、それに従ってやることでございまして、それを、その米価の算定を通じまして関係農民の理解を得て農業経済の安定を図ってまいらなきゃならぬわけでございますので、私といたしましては、財政をあずかる立場からいろんな願いはございますけれども、まずこの大原則というものを踏まえてかからなければならぬことは当然の責任であると思っております。
○寺田熊雄君 この国会の質疑、答弁がとかくあいまいなものであるので困るんですがね。大臣のおっしゃるのもわからないではないんですよ。たとえば、三木さんがスト権の問題で、スト−処分、スト−処分の悪循環はこの春闘限りでもう打ちやめにいたしたいといったような文句が、われわれの受け取った意味と三木さんは正反対の答弁をしておられるようなことがあります。だから、もうちょっとやはり明確にしていただきたいんですがね。
 結局、いま私がお尋ねしたような、農家の生産意欲というようなものを十分満足せしめるような、労働にふさわしい米価を決定するという、それを主として貫かれるのか、それとも財政的な配慮というようなものを前面に打ち出すのか。いま大臣の御答弁では、一見財政的な顧慮というものは後退させるようなふうにも聞き取れたんですが、もうちょっとはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) まず、食管法で示されておる原則というものを尊重して米価を決めなけりゃならぬと思いますけれども、それを踏まえた上で、できるだけ財政といたしましてこのように食管財政のあり方、こういう状態にあることは逐次是正していかなければいけませんし、農業予算というようなものも漸次こういう後ろ向きなものから前向きのものへだんだん直していかなければなりませんし、そういうことは私も問題意識としてはいつも念頭に置いておるつもりでございます。しかし、この米価決定の大原則というものは侵すべからざることでございますので、それは財政当局といえども勝手にひん曲げるというようなことはできないと思っております。
○寺田熊雄君 どうも抽象的な文言で空回りしていますがね。
 それじゃ、端的に具体的な事例を挙げてお尋ねしますが、米一合の生産者価格ですね、これは大体五十円になるようです。ところがコーヒー一杯が二百円ではないかという比較が農民によって提示されているわけです。そういういろいろな諸物価の水準から申しまして、いままでの生産者米価というものは他の物価に比較してきわめて安いということは疑いないと思いますが、この点は大臣も肯定せられますか。
○国務大臣(大平正芳君) まあ素朴な感じといたしまして、いまの米の値段が高いという感じは別に持っておりません。
○寺田熊雄君 ちょっと大臣、語尾が不明瞭だったんで聞き取れませんでした。諸物価の水準から比較してつまり高くはない、安いと思うとおっしゃったんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 諸物価に比較いたしまして米が割り高であるというような感じは別に持っておりません。
○寺田熊雄君 大臣の灰色の答弁でとうも――灰色の高官と言ったんじゃないんですよ。灰色の答弁で非常に不満ですけれども、まあ私どもが生産者米価を農民の要求に近づけてほしいという強い意向は大臣も了解してくれたでしょう。よくそのわれわれの意図は十分そしゃくしていただきたいと、いかがですか、それだけお約束願いたいと思いますが。
○国務大臣(大平正芳君) 寺田委員と同様、私も農家のこと、農民のこと、私も百姓の小せがれでございますので、考えておるつもりでございます。
○寺田熊雄君 最後に、財政特例法の問題をお尋ねしますが、第七十七通常国会の冒頭あるいはその途中におきましては、大臣どうしてもこの国会で可決してほしいという強い意欲を見せておられました。ところが、最終的に継続審議になりましたときは、案外さばさばしておられたんですね。で、私どもとしましては、大臣がこの財政特例法をいつまでに成立させなければいけないと考えておられるのか、そのタイムリミットをどこに置いておられるのか、それを承りたいと思いますが。
○国務大臣(大平正芳君) それは、私としては予算と同時に成立させていただかなければいかぬ法律なんでございまして、もうすでに予算は成立し、執行に入っておるわけでございます。エンジンが動かない飛行機が飛んでおるわけでございます。こんな状態は一日も許せないわけでございますので、片一方のエンジンだけ動きながら、こうして飛行機が飛んでおるわけでございますから、そのあたりは私にお尋ねいただくよりは、国会の方でひとつお考えをいただきたいと思います。
○寺田熊雄君 いや、私も大臣が案外さばさばして平気でおられなければ、そう考えたいんですけれどもね、もしも大臣のおっしゃるような状態ならば、即刻臨時国会を召集してわれわれの審議の場にそれを乗せられるという対応の仕方を政府はとるべきだと思うんです。ところが悠々として臨時国会いつになるかわからぬのだと、七月末までにもないと、八月に入るだろうというようなことが言われておりますね。それから七月から九月までの間に通れば十分だというような観測をしておられるという報道もあるわけですよ。そうなると、大臣のおっしゃるのが、これはどういうことになりますかね、きわめてテクニカルな宣伝のようなふうにもとれますしね。だから本音を聞きたいんです。いつまでになければならないと本当に考えていらっしゃるのか。それがあって初めてわれわれの審議が、いつから始まっていつまでにというわれわれの日程も決まってくるわけですから、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 幾らお願いしても、この前の国会ではお聞き取りいただけなかったわけなんです、幾らお願いしても。最終日にはまだお日さんが高かったはずなんでございますけれども、大蔵委員会の方はもう店をしまわれたようでございまして、最高機関でございまして、私の手に届かぬところにあるわけでございまして、大変私としては残念に思います。私がさばさばしておったような顔をしておったということは荘然として自失しておった姿でございます。もう本音もうそもございません、正直のところそうでございます。そこで、しかしそんなことを言うておれませんので、これはなるべく早く臨時国会をお願いせにやならぬし、そして財政特例法案ばかりでなく、重要な歳入法案がほかにもございますので、これの成立をお願いしなければならぬというので、先般政府与党の首脳が集まりまして御相談いたしまして、八月いっぱいには、八月中にはこの財特法、それから鉄道、電電関係の歳入法案、これは成立を期するという意思の統一を図ったわけでございまして、それを基本にいたしまして……。
○寺田熊雄君 八月末までに。
○国務大臣(大平正芳君) 八月じゅうには。で、各党並びに両院議長の方面に自由民主党のそれぞれの方々が接触を始めていただいておるのではないかと承知いたしておるのでございまして、私といたしましては、国会の方で御理解をいただきまして、この事態一日も早く国会の力で克服をさしていただかなければならぬと考えております。
○寺田熊雄君 大臣は、財政特例法も、それから国鉄運賃の値上げなどの諸法案も八月じゅうに上げたいということで党と意思統一を図ったというふうにおっしゃったんでしょう。そうしますと、われわれに十分なやはり審議時間をお与えいただくという、そういう国会審議のこれは絶対の要請がありますから、そうしますと臨時国会の召集は当然いつごろまででいけないというような計算が出てくると思うのですよ。大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 当然御審議の時間は国会の方でお取りいただくのが当然だと思います。もし許されるならば、閉会中も私は審議に応じますから、どうぞお願いいたしたいと思います。
○寺田熊雄君 いやいや、閉会中の審議ではこれはあれでしょう、正規の、われわれとしましては委員会−まあ気合いか入りませんわ。(笑声)だからどうしてもやはり臨時国会を開いていただかなければならない、そんな変なことをおっしゃっちゃいけません。だから臨時国会を大臣いつまでに開くべきというふうに、総理にやっぱりあなたのお考えを述べられるべき立場にあられるでしょう、それを伺っているわけですよ。
○国務大臣(大平正芳君) 私といたしましてはできるだけ早く臨時国会をお願いして緊急な歳入法案成立をお願いしなけりゃならぬ立場でございます。鋭意そういう方向で努力をいたします。
○寺田熊雄君 それじゃ、これは主計局の方がおられましたら大体承りたいんですが、建設国債は八月いっぱいで使い切るのではないかと思いますが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○説明員(松下康雄君) 建設国債のただいままでの発行の実績でございますけれども、額面の総発行予定額は合計で三兆五千七百億円でございます。そのうち六月までにすでに発行をいたしました分は月別に申し上げますと四月に五千六十億、五月に一兆二千億、六月に六千億、さらに七月に六千億の発行を予定いたしておりますので、七月までの合計が二兆九千六十億になる予定でございます。そういたしますと、発行の予定額の残額は六千六百四十億でございます。
○寺田熊雄君 主計局次長にお尋ねしますけれども、いままあ大平大蔵大臣は、八月いっぱいに財特を上げてもらいたいというお話がございましたけれども、八月いっぱいに通らないと、九月の予算執行というものはどういうことになりましょうか。借入金か何かで賄うということになるんでしょうか、その点ちょっと。まああなた方はやっぱりあらゆる事態に備えて御準備になるはずですからね。その対応の仕方をちょっとおっしゃってください。
○説明員(松下康雄君) 国債の発行の実務を担当いたしておりますのは実は理財局の方でございまして、私どもの方でその技術的な詳細については申し上げられる立場でもございませんけれども、ある時点以後にこの法案の成立がおくれまして、将来の年度内の発行の見込みにつきまして十分な見通しが立たないままに時日が経過するという状態でございますと、予算の執行上におきましてもその場合に考えられるべきいろいろな事情を想定いたしまして、たとえば今後の支出につきましてどういう調節を加えていったらよろしいかということの検討を行う必要が生ずることになろうかと思っております。
○寺田熊雄君 理財局の方はおられますか。――まあ主計局次長やはり練達の方だからね、あなたも十分おわかりになるだろうから。
 結局、支出を抑制するということをおっしゃったんだが、それもわかりますよ、繰り延べるというようなものもあるでしょう。だから、どうしても支出しなきゃならぬものもありますからね。だから八月いっぱいに大体毎月六千億というのがミニマムの数字のように聞いており、ますから、これは八月中に使い切るでしょう。九月に入って繰り延べることのできない支出に対処するためにはどういう国庫金の入手の方法を講じられるわけですか。
○説明員(松下康雄君) 実は九月以後の資金繰りの問題につきましては、私ども現在の時点でまだ支出の面につきましても各省からはっきりといたしました支出計画をいただいている段階ではないのでございます。各省の支出計画につきましては、先般七月の分までは各省からの予定を伺っておりますけれども、その後の支出の見込みにつきましては、各省がそれぞれ現在算定をいたしておりまして、いずれかの時期にそれを私どもの方に持ち込まれてくることになっております。したがいまして、私どもとしましてはその各省の支出の予定を拝見をいたしまして、これに対してどういう資金繰りの方法を講ずるべきかということを相談をいたすわけでございますけれども、やはりさっき申し上げましたように、法案の成立のめどがつかない状態で支出につきましての資金繰りを考えてまいるということは、非常に困難を伴うことでございますので、私どもの立場といたしましても、特例法案が一日も早く御審議の上成立をさせていただけますように、心から切望いたしておる次第でございます。
○寺田熊雄君 あなた方のお立場よくわかるんですが、ただ臨時国会の召集がいま大臣のお話ではできるだけ早くしたいというお話がありましたけれども、どうも七月中には無理だという観測が支配的なんですよね。そうすると八月に入って臨時国会を召集するということになると審議期間がきわめて限られてくる。そうなると、やはり八月いっぱいに通らない事態も考えられないでもないわけでしょう。そうすると、支出を繰り延べていけばいわゆる税収だけで賄えるのか、あるいはもう税収だけで賄えずに一時借入金で金庫の中にはうり込むのか、そういうような大体の見通しはあなたにはつくでしょう、どうなんでしょう。
○説明員(松下康雄君) ただいまの段階で計数的にこれを、これだけの支出の予定がございますので、収入の予定と突き合わせましてその差をどうするかということを検討するところまでは全体の支出の計画が進んでおりませんことを先ほど申し上げましたが、したがいまして、私どもとしましては、支出の計画がだんだんと各省で固まってまいりますのに応じまして、それに伴う措置をどうするかということを改めて各省とも御相談の上で真剣に検討いたすようになるというふうに考えております。
○寺田熊雄君 大臣、最後のお尋ねです。前、私もお尋ねしましたが週休二日制ですね、金融機関、銀行法十八条の問題です、これその後やはり促進しておられますか。私、本会議で大臣にお尋ねしたときにちょっと申し上げて、大臣はそういうようなことを言った覚えがないというお話だったんですが、その後衆議院の大蔵委員会の速記録を見ますと、やはり一両年中にめどをつけるような大臣の御答弁がありますがね。それが五十年の大蔵委員会でしょう、そうすると一両年中というともうタイムリミット刻々と迫っておりますが、いかがでしょう、何か御努力なさっておられますか。
○説明員(後藤達太君) 大臣御答弁の前に、ちょっと経過その他を御報告させていただきます。
 たしか私記憶いたしますのでは、昨年の三月の末であったかと思いますが、衆議院の大蔵委員会で一両年をめどに研究をいたしたいという大臣の御発言がございました。その後関係閣僚の協議会が持たれまして、そこで大臣から御提案がございました、この検討をするようにという。それを受けまして、その後そのもとでの各省の連絡会をいたしまして、そこで検討を続けてまいっておる状況でございます。ただ、問題が先生御案内のように金融機関だけの問題ではございませんで、他に波及するところが大きい問題でございますので、鋭意その検討を続けていただいておるところと承知をいたしております。
○寺田熊雄君 大臣、やはりいま銀行局長がお答えになったように、あの山田耻目氏に衆議院の大蔵委員会で御答弁になったときの情熱といいますか、誠意といいますか、それはずっと持ち続けていただけるものと期待していますが、大臣の誠意ある御答弁を伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 国会にお約束いたしましたことにつきましては、そのラインに沿いまして極力努力をしてまいるつもりです。
○寺田熊雄君 大平大蔵大臣に対する質問は以上で終わりまして、法務省の民事局長、来ておられますか。――それでは民事局長にちょっとお尋ねしたいんですが。
 最近、大企業の株主総会の運営がきわめて乱暴きわまる運営のように報道せられておるのであります。田中耕太郎博士など、私もかつて講義を承ったときに、あたかも株主総会というものは株式会社制度、これは資本主義の経済活動の基本になっていますね。それの何か非常に民主的な制度、よき、美しき制度の典型のような、そういうトーンで講義をなさっておられたわけですが、現実はもうまるで正反対で、これは完全な形骸と化してしまっています。ことに、最近報道されております丸紅の株主総会、全日空の株主総会の運営なんかを見ますと、総会屋が跳梁しておる。その前には花王石鹸の株主総会もある、チッソの株主総会もある。暴力が支配している。そういうようなことを考えますと、いまの株式会社制度というものは、これは資本の横暴な支配がまかり通っておるので、民主的な制度なんというようなものは一かけらもないと、これでいいんだろうかと考えますね。なるほど会社法の規定を見ますと、株主総会の運営は民主的であるべきだというような点についての当然前提にしておるせいか、そういう配慮、それを担保する規定というようなものがうかがえないわけですね。これはやっぱり法的な措置が必要なんじゃないだろうか。法的な措置でなくて、何らか、指導とかなんとかいうものではとうていでき得ないように思うんですね。これ、民事局長としてどうお考えになりますか。
○説明員(香川保一君) お説のように、現在の株主総会のあり方につきましては、非常に問題があることは十分承知いたしておりますが、私どもの考えといたしましては、現行商法のもとにおきまして、この法律の庶幾しているような株主総会のあり方というのは、結局は会社自身の株主総会の運用について良識と勇気を持ってやっていただければ十分成果を上げ得るものというふうに考えておるわけでございますけれども、しかし、それを法律的にできるだけやりやすくすると、民主的なあるいは公正な株主総会の運用を図るためにどのような法規制を加えればいいかということはかねがね検討いたしておるわけであります。
 御承知のとおり、法務大臣の諮問機関である法制審議会の商法部会におきまして、現行会社法の根本的な改正の審議を現在やっておりまして、その中の一つの大きなテーマといたしまして、株主総会制度の改善ということが取り上げられておるわけでございまして、法制審議会の方で鋭意検討していただきまして、その答申を得次第、商法改正法案を国会に出したいと、かようなつもりで努力しておるところでございます。
○寺田熊雄君 大筋においては民事局長のお話理解できるんですが、法制審議会に諮問する際のあなた方の原案というものがあるでしょうからね。私としましては、その主管の局長である民事局長として、また民事局全体として、どうすれば株主総会の民主的な運営が確保できるのかという、その具体的なメトーデをやはり考えておられると思うんですね。それをやはり法制審議会の商法部会に提示していられると思うのです。具体的なメトーデを伺いたいと思います。
 それで、あなたもやはりモラルだけじゃだめだというふうにおっしゃったと思うんですが、警察がずいぶん暴力団まがいの総会屋と手を切れというようなことは勧告はしておるようですね、大企業に。しかし、大企業はどうしてもなかなかその勧告どおりいかない。この間、衆議院の予算委員会に証人として出頭した大庭氏ですね、全日空の元の社長。あれなどの証言を私も聞いておったんですが、社長に就任したときに児玉のところにあいさつに行ったというようなことを言っていましたね。その後、岡崎嘉平太氏に会って聞いてみると、私は行かなかったということを言っておられたんですが、かなりそういう点で企業家のモラルだけではどうしてもやはりいかないようなふうに思われる。何か具体的な方法を持っておられますか、それをちょっと伺いたい。
○説明員(香川保一君) 的確に所期の目的を達する具体的な方法というのは率直に申し上げまして模索中でございますけれども、たとえば現在の商法、会社法では解釈上認められております株主の質問権、これを強化する方法はどうだろうか、これは御承知のとおり、ドイツの会社法におきまして質問権の強化がすでにされておるわけでございますが、手続的にいろいろ問題があるのと、実際の運用の実態を見ますと、必ずしも十分な成果を上げていない。これは質問を総会でいたしました場合に、会社の方でそれに対して解説拒否というふうな言葉を使っておりますが、説明をしないような場合には、当該株主総会の決議取り消しができるというふうな制度でございますが、この実態は必ずしも十分効を奏していない。しかし、これも一つの参考にはなろうかと思うのであります。
 それから現在の商法では、株主の提案権、議案の提出権が原則的には認められていないわけでございます。少数株主の保護の関係での株主総会を招集いたしました場合を除いては提案権はないという解釈になっておるわけでございます。この提案権はやはり反対提案権とか、あるいは修正提案権というふうな形で株主に認めてはどうだろうかというふうな問題もあるわけでございます。これもドイツ等で法制化されておるんでございますけれども、ほとんど十分効果を上げていないという実情のようでございます。その辺のところはどういう理由によるのかも含めまして検討しなきゃならぬ問題だと思います。
 それから、いまお話ありましたような会社荒らしの関係につきまして、たとえば株式の強制併合というふうな形で、一株だけで総会の公正な運営を阻害するようなことをとめる方法も考えられるわけでございますが、これもなかなか、配当請求権だけにしてしまって、議決権を奪うというふうなことが現行憲法のもとで許されるのかどうかというふうなむつかしい問題も絡んでくることでございます。
 それから、単位株の制度、たとえば千株を一つの単位といたしまして、それによってのみ総会に出席しての議決権の行使を認めるというふうなことも一つの検討事項だと思いますけれども、これも同じような問題がいろいろあるというふうなことで、ただいまのところ、遺憾ながら、こういう方法をとれば株主総会の公正な運営が期待できるというふうな的確な方策というものは持ち合わしていないわけでございますが、それやこれやの問題を今後商法部会でじっくりと検討していただきたいというふうなことで、幾つかの問題点についてさような点を出しておるわけでございます。できるだけその辺のところを詰めまして、実態を踏まえて功を奏するようなひとつ法規制を考えてみたいということでございます。
○寺田熊雄君 最後に、具体的な事態に適合する法規制を考えてみたいという民事局長の御答弁がありまじたので、私も一つの提案をしたいんですがね。つまり、いまいろいろ具体的なメトーデの案をお述べになった中に、総会屋の跳梁をいかにして防ぐかという点の配慮がないように思ったんですが、私の誤解だったらこれは取り消しますが、もしそうだとすると、やっぱし暴力団まがいの、そしてそれを職業としている総会屋、それを使用して株主総会の運営を支配しようとするそういう会社、会社ということは結局理事者になりますが、取締役、社長であるとか取締役会であるとか、そういうものを処罰する。刑事罰を与えれば個人の責任を十分問い得るわけですが、株主に対する損害賠償というと、これは損害額の算定がきわめてむずかしいですから。名誉棄損、精神的な苦痛ですか、そういうようなものはあるかもしれないが、財産的な損害額の算定なんていうのはできないから、何か一定のそういう場合は額を決めて損害賠償の権利を認めるとか、あるいはもう会社の執行機関に対して罰則を認めるとか、そういう制度をつくったらどうだろうか。ことに、総会屋が跳梁するのは、それによって会社から多額の金員を得るというその対価、見返りがあるからですね。だから、会社が金銭を総会屋に与えて総会を支配しようとするその行為を食いとめる。そのためには刑事罰もあえていとわないというようなことが必要じゃないだろうか。
 それからもう一つは、いま局長がおっしゃったように、提案権を認めるとか、質問に回答しないときは決議無効の訴えを認めるとか、そういう制度も必要ですが、株主の発言をネグレクトしてしまう、あるいは不当に抑圧してしまう、そういう理事者の行為に対して何らかの制裁措置を考えるべきではないだろうかと私は考えている。いかがでしょうか、そういうものは考慮に値しないであろうか。その点ちょっと局長。
○説明員(香川保一君) 初めに申されました罰則の強化、これは私の所管でございませんので申し上げなかったのでございますけれども、現在商法の四百九十四条でいわゆる総会荒らしの罰則規定があるわけでございますが、これが一つの問題は、御承知のとおり「不正ノ請託ヲ受ケ」てということが構成要件になっておる。これがなかなか立証等がむつかしいということで問題になっておるわけでありますが、そのほかに、いまおっしゃいましたような、会社側といいますか、理事者側を罰する、――これはいま御承知のとおり総会荒らしは、会社側、経営者側に立って株主総会を短時間に終了させるという方向のものと、それから会社にいやがらせをするために総会でいろいろやるというふうな両方のあれがあるのでございますが、いずれも、そういう会社側の方が総会屋を雇ってというふうなことになりますれば、これは現在の四百九十四条の罰則規定で賄えるわけでございます。しかしこの運用がなかなかうまくいっておりませんので、恐らく法制審議会におきましても、この罰則も含めまして検討されることになっております。
 それから、損害賠償の問題でございますが、これも以前に一つのやはり問題として検討されたことがあるようでございますけれども、御説のとおり、損害賠償ということになりますれば不法行為上の損害賠償というふうな問題になってくると思うのでありまして、その場合に定額制のと申しますか、あるいは裁判所で一定限度の範囲内でその額を決めるというふうな、いわば発生した損害額に見合う損害賠償でない新しい類型をつくるということが不法行為の体系から相当むつかしい問題があるんじゃないだろうかというふうなことでございますけれども、一つの方法かと思うのであります。そういったいろいろ実態を踏まえた上で、できるだけ簡単にと申しますか、手続が余りかからないで功を奏するようなものを考えていかなければ、これは根本的には改善されない問題だということは十分承知いたしておるわけでございまして、そういう方向に沿って検討を続けてまいりたいと、かように考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 大変局長の御誠意というのはよくわかりまして満足していますが、四百九十四条の問題は、いわゆる会社荒らしというのはわれわれの常識では、あなたが前におっしゃった、会社にいわゆる不利益を与えるために私は株主総会を妨害しようとするそういう行為と受け取っておったんです。つまり理事者が、理事者の考え方からしてスムーズに総会を運営しようとして金銭を総会屋に与えると。しかし、一般の株主から見ると、会社の運営がおもしろくないから、それに対して質問を試みてその是正を図ろうとするというような場合には、いまのその四百九十四条の規定では賄えぬじゃないんでしょうか。だからやっぱり総会屋に金銭を与えて総会を支配しようとする行為それ自体を罰していかないと、条件をくっつけますとね、「不正ノ請託ヲ受ケ」とかなんとかいうようなこと、とそれは賄えないように思いますがいかがでしょうか。
○説明員(香川保一君) 罰則の関係は所管でございませんので――。ただ、おっしゃるように現在の構成要件は再検討しなければならぬということは一般に言われておることでございまして、確かに現行法のままではなかなか罰条の発動というのはむつかしいという面があることは御案内のとおりでございます。
○寺田熊雄君 民事局長の方は結構ですから。
 経済企画庁の調整局長はお見えになっていますか。――ちょっと御質問いたしますが、南ベトナムのチュー政権が崩壊しましたね。これに対して、いままで有償援助をしておられたようですが、その額をちょっとおっしゃっていただけますか。
○説明員(青木慎三君) 南ベトナムに対します政府借款でございますが、経済協力基金から出てます直接借款でございますが、カント火力発電所計画ダラット−カムラン間送電線計画、サイゴン首都圏電話拡充計画、それから第一次商品援助と四件ございまして、貸付契約を締結した額は百六十五億七千万円、それから貸し付けを実際に行いました貸付実行額は百四十二億四百万円でございます。
  〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
○寺田熊雄君 これは現実にそういう用途に使用されていたというような確認は経済企画庁ではなさっておられないんでしょうか。何か大変高官のふところに入ってしまっているというような報道もあるんですけれども、そういう点の確認はなさっておられるんですか。
○説明員(青木慎三君) これは実際に工事が完了しておりますので、少なくともカント火力発電所計画、ダラット−カムラン間送電線計画につきましては……
○寺田熊雄君 ちょっと局長、聞こえないんですが。
○説明員(青木慎三君) この四つの件のうち貸し付け完了しておりますのは三つございまして、第一はカント火力発電所計画、それからダラット−カムラン間送電線計画、それから第一次商品援助でございますが、これらにつきましては現地の工事を実際に確認しておりますので、そのとおり使われているものと思います。それから商品援助につきましては、輸入をちゃんと確認した上で金を支払っておりますので、そういうものが直接横流しになっているというようなことはないものと信じております。
○寺田熊雄君 それからチュー政権が崩壊して現在は南北を統一したベトナム社会主義共和国というのが誕生しておるのですけれども、その新しい国がチュー政権に対する援助に関する返還義務を承認していないんだという報道もありますが、その点いかがでしょうか。
○説明員(青木慎三君) 本件につきましては、外務省の方から答弁していただければ結構かと思います。
○説明員(大鷹正君) 外務省の経済協力局の参事官の大鷹でございます。
 わが国としましては、いまおっしゃいました旧南越政府の対日債務は国際法上、統一ベトナム政府が当然引き継ぐべきものだというふうに考えておりまして、今後ともそういう考え方に立って話し合いを続けていきたいと、こう思っております。いま先生がおっしゃいましたように、先方がチュー政権時代、旧南越政権時代の対日債務を引き継がないという、そういう意思表示はいまのところございません。
○寺田熊雄君 この政府援助は外務省の所管のようですが、統一ベトナムの政府、つまり社会主義共和国に対する無償援助というものは現在のところはないんでしょうか。
○説明員(枝村純郎君) アジア局参事官の枝村です。
 わが国といたしましては、ベトナム戦争の終結後には、ベトナムの復興援助のためにしかるべき措置をとるということを明らかにいたしておりまして、わが国と北ベトナムとの間に国交が樹立されました後、その線に沿いまして北ベトナム側がら援助の要請がございました。したがいまして、その後交渉いたしまして、昨年の十月の十一日に協定に署名いたしまして、総額八十五億でございますが、ベトナムの復興のための無償援助を供与しておるわけでございます。
 この協定の相手方は北ベトナムでございますけれども、当然この協定のもとにおきます権利義務というものは、統一されましたベトナム社会主業国政府に引き継がれるものと了解いたしております。
○寺田熊雄君 無償援助のことはわかりましたが、今度は有償援助の方はどうなっておるんでしょうか、北ベトナムあるいは統一ベトナムの政府に対し。
○説明員(大鷹正君) 統一ベトナムに対する有償援助は、いまのところまだ行われておりません。
○寺田熊雄君 何か承るところによりますと、その有償援助するかしないかは、チュー政権の債務の支払い義務を認めるか認めないかにかかっているようなことを言う人もあるんですが、そんなことを考えておられるんだろうか、その点いかがでしょう。
○説明員(大鷹正君) いま寺田先生がおっしゃいましたとおり、やはり旧南越政権時代の債務をどういうふうに引き継がれるかというような、そういう問題についても、先方政府と話し合いをするということがまず前提になろうかと思います。
○寺田熊雄君 北ベトナムなり統一ベトナムからいえば、チュー政権なんというものはかいらい政権で、かりそめのもの、いわゆる正当な政府と認められぬものという考え方に立っておったんだから、それを引き継げということには大分抵抗があるんじゃないかと思いますが、それを解決しなければ絶対に有償援助は認めないというんでしょうか。その点もっと弾力的な考え方ができないんだろうか、いかがでしょう。
○説明員(大鷹正君) いま先生がおっしゃいました南越政権時代の債務を相手が引き継がない云々ということは、まだ全然そういう話が出ておりません。現に先般実はジャカルタでアジ銀の総会がございまして、そのときに現在の統一する前の南越の代表が来て、それで演説したんですけれども、そのときにも旧政権時代の債務は全然引き継がないというような調子ではなかったわけでございます。
○寺田熊雄君 それから、輸銀の総裁にお尋ねしたいんですが、これは統一ベトナムなり北ベトナムに対する輸銀の使用というものは過去においてなかったんでしょうか。
○参考人(澄田智君) 旧南ベトナムに対します貸し付けはございました。現在も残高がございます。五十一年の三月末で現在十二億七千万円の残高を持っております。で、これは昭和四十五年に政府交換公文に基づきましてジーゼル発電設備を対象とする借款を行いました。それに基づくものでございます。北ベトナムに対する貸し付けは、まだ具体的な話が参っておりませんので、まだそこまで至っておりません。統一後ももちろんございません。
○寺田熊雄君 これは、通産省の関係官がいられたら伺いたいんですが、たとえば北ベトナムとか、それからキューバとか、そういう共産圏の国に対しては、やっぱりいまだにココムの制限というようなものがあるようなんだけれども、現実に輸出のライセンスというものがかなり制限されているんでしょうかね。それとも、さっき大蔵大臣にお尋ねしたように、東西間の貿易というのは日本の場合にはこれは発展さしてもしかるべきものであって、これを抑制すべきものでないという現状についての御答弁があったんだけれども、通産省としてはどう考えておられるんだろうか。
○説明員(浜岡平一君) ココム規制の問題につきましては、基本的には、東西交流を促進するという観点から、できるだけ緩和する方向で国際的な話し合いを進めております。それからなお、個別のプロジェクトでココムリストに抵触いたします場合にも、個別のプロジェクトごとに国際間で協議をいたしまして特別承認を行うというようなルートもございまして、必要に応じましてはそういうような方法を使いながら、前向きに対処しておるというのが通産省の考え方でございます。
○寺田熊雄君 いま、北朝鮮の貿易決済の問題で若干問題があるようだけれども、この方は通産省としてはどういうふうに対処していく方針なのか、ちょっと承りたいと思います。
○説明員(浜岡平一君) 私は直接の担当でございませんので、私が承知しております限りでお答えさしていただきますが、お話のとおり、相当程度の支払い遅延という状態が起きておるようでございます。それから現在国交のない相手でございますので、民間ベースで相手側との事態解決の話し合いが行われておるという状況でございまして、私どもといたしましては、その話し合いがどういうぐあいに展開をしていくか、何とかうまいぐあいに前向きの解決のルートが見出されることを期待して、事態を見守っておるという状態でございます。
○寺田熊雄君 ココムの制限があっても、ケース・バイ・ケースでできるだけ弾力的に貿易を発展させるように努力しておるというお話が、前、あったんだけれども、ライセンスの問題じゃなくて、輸出保険をやはりつけなきゃ実際問題としてできないね。その点もやっぱり、かなり積極的に認める方向でいっていますか。
○説明員(浜岡平一君) 輸出保険の運用につきましては、特定の国を特定の見地から差別するという考え方は一切持っておりませんで、すべてケース・バイ・ケースに、相手国の信用状況あるいはその取引の内容の妥当性というものに照らしながら処理をいたしております。
○寺田熊雄君 輸銀の総裁、この間もお尋ねしたんだけれども、やっぱり国交がないということで、北朝鮮の貿易に関連して、輸銀の資金の活用方法というのはどうしてもありませんかね。何か方法はないでしょうか。
○参考人(澄田智君) 北朝鮮に対しましては、従来通常の延べ払い輸出に対する金融、輸銀融資というものは行われておりまして、現在五十一年三月末で輸銀融資の貸付残高が十一億円という状態……
○寺田熊雄君 それは北朝鮮ですか。
○参考人(澄田智君) ええ、北朝鮮です。
○寺田熊雄君 北ベトナムじゃないですね。
○参考人(澄田智君) 北ベトナムではございません。北朝鮮でございます。
 この前の五月の二十四日の本委員会におきまして、寺田先生からその北朝鮮の政府あるいは政府機関、あるいは北朝鮮の政府銀行、そういったところへ直接貸すことはできないかというような御質問がございましたが、これはまあ相手側からの要請もございませんし、また国交のないところに対してそういうものを認めた例は実はないわけでございます。その点は、国交がないということが一つの問題点であると思いますが、通常の、相手方に直接貸す場合でなくて、日本側の輸出業者に融資をする延べ払い輸出につきましては、政府の輸出承認等の手続がとられており、かつ所要の頭金の入金等が行われておるというようなものに対しては、これを行うということでまいっております。
○寺田熊雄君 そこで、また通産省に伺いたいんだが、北朝鮮の場合、いま非常に貿易の決済が苦しい状態にあるけれども、やっぱり輸出のライセンスをあなた方が与えないといまの輸銀の使用ができないというお話が総裁からあったので、やっぱりこの点はあんまり厳しく扱わないように希望したいんだけれども、どうでしょうかね。
○説明員(浜岡平一君) 先ほど御指摘の支払い遅延問題が解決をいたしておりませんものですから、現実に新しい商談というものが行われておりません。その関係で、新しい輸出承認の申請というのも出ておらないわけでございまして、いまの段階でどうするかということを決めなければならないという状況では必ずしもないわけでございます。ただ、特に輸出保険の問題につきましては、まあこれは北朝鮮だけではございませんで、一般的に支払い遅延を起こしております国の新規引き受けにつきましては、どうしてもその問題の解決のめどがつくまでは慎重運転をやらざるを得ないという状況にございますのは、これは制度のたてまえ上やむを得ないということで御理解いただければと思うわけでございます。
○寺田熊雄君 では、その問題は一応それで終わりまして、時間がございませんので。
 国税庁長官いらっしゃってますか。――新任の長官でいられるものだからついうっかりしたが、児玉譽士夫の起訴済みの脱税額の徴収はその後どうなっておりましょうか。
○説明員(田辺博通君) ごく一部収納されておりますけれども、期限までに納付されなかったものがございます。
○寺田熊雄君 それから、それは大体徴収というのは、もう徴収権というものはすでに発生しているわけでしょう。何か異議手続か何かでとめるというようなことじゃないんでしょう。
○説明員(田辺博通君) 納付期限を経過いたしますれば、徴収権といいますか、納付の義務が発生するわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、一部だけ取ってないというのはどういうわけでしょう。まああなた方が緩怠しているというんじゃないだろうけれども、そこに何らか障害があるのか、その点どうなんでしょうか。
○説明員(田辺博通君) これは納付の問題でございますので、一般に納付がおくれておりますると督促をしたり、あるいはその期限も経過すると差し押さえをしたり、そういった徴税のための担保を取るわけでございます。そういう状態にあるわけでございます。
○寺田熊雄君 差し押さえはいわゆる競売に特っていくための前提手続ですからね。差し押さえしてその後の処置はどうなっていますか。
○説明員(田辺博通君) 現在、所要のものについて差し押さえ中でございます。
○寺田熊雄君 だから長官、その差し押さえしたのはわかるけれども、差し押さえからその以後の手続はどうなっているかとお尋ねしているんです。
○説明員(田辺博通君) 現在、差し押さえをしているのでございます。これを換価するというところまでまだいっておりません。
○寺田熊雄君 それはやっぱり何か換価の方法が非常に困難だからというんだろうか、何か法律的な理由によるものじゃないようだけれども、どうしてその換価手続までいかないのか、それは何か理由がありますか。
○説明員(田辺博通君) これは、後、次長に補足させますが、法律的に異議の申し立てが出されますると、これを強制処分するということはストップするわけでございまして、しないということになります。
○寺田熊雄君 そうすると、異議の申し立てがあるので、その異議の申し立てについての法律的な処分が完了するまではストップしていると、こういうことになるわけですね。そうですね。
○説明員(田辺博通君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 それから、丸紅と全日空が結局暗号領収書による金額を受け取っておったという、そういう前提でいま強制処分が警察並びに検察庁で行われているようですが、そうなると、当然脱税の問題が出てきますね。これはやはり検察庁なり警察と相互に資料を提供し合って国税当局としても調査を進め協力しているのか、その点どうなっているんでしょうか。
○説明員(田辺博通君) これは関係者を現在検察庁の方で捜査している段階でございますので、それがある程度までできましてから、金銭の授受についての情報ができまするならば、それは私どもの方にいただけると、こう期待しております。
○寺田熊雄君 そうすると、検察庁の方から資料をもらうのを待っておるという段階で、あなたの方が積極的にその点の資料の収集なり調査を行っているというんじゃないんですね。
○説明員(田辺博通君) 国税庁では、国税局では、大法人につきまして、一般的な調査といいますか、これは特に入念にやっておるわけでございまして、丸紅と全日空につきましても、ちょうどまあ一般の調査でございますが、その調査をしているところでございます。その調査にかかったところでロッキード問題に関するアメリカの報道が入ったわけでございますので、特にその点を念頭に置きながら、現在調査中でございます。
○寺田熊雄君 人事院の方、来ておられますか。
 これは新聞報道によりますと、今度の人事院勧告がきわめて渋いものになるだろうという報道がなされておりますね。それからもう一つは、その勧告を出す時期についても八月上旬に出す方針と伝えられておるんですね。これは事実でしょうか、ちょっと承りたいんですけれども。
○説明員(角野幸三郎君) 人事院の本年の給与勧告の時期というお尋ねでございますが、現在の作業の状況をお話し申し上げますと、五月の連休明けから民間給与の実態調査をやっておりまして、予定どおり、六月の十六日でございますが、調査対象にいきます期間としては、その予定どおり終了いたしております。そこで出てきました調査表を点検、記入いたしまして先月いっぱいで、六月末に全部統計局に予定どおり送り込んでございます。現在パンチとかいろんな点検をやっておりますが、いまそういう形の真っ最中でございます。それで例年のテンポで申しますと、現在のその段階は昨年とちょうど同じぐらいのテンポではかどっておりますが、私どもとしては例年よりも少なくとも遅くならないように一生懸命やっておる次第でございます。
○寺田熊雄君 その例年の時期というのが、ちょっと私の承ったところと新聞報道と違うので、その点確実なところを……。
○説明員(角野幸三郎君) 昨年の例でございますと、八月の十三日でございます。
○寺田熊雄君 八月の十三日よりおくれないように出すと、こういうことですな。そうですね。
○説明員(角野幸三郎君) 大変、事務的な作業のテンポでお答え申しておりますけれども、事務的にはおくれることがないように進めておりますし、現在そういう状態で運んでおります。
○寺田熊雄君 これはすでに民間主要企業の賃上げ相場、それから公労協の賃上げ相場を基準にしているようですが、大体、これは偶然の一致だろうか、民間主要企業の賃上げ相場が八・八%、昨年比、それから公労協の仲裁裁定も同じく八・.八%のアップということになっておりますが、だから今度の勧告もこれと同率だと見る人がありますが、どうでしょうか。
○説明員(角野幸三郎君) 私ども拝見しておりまして、まあ公労委の仲裁裁定の数字と、春闘の大手の数字がことしは本当に一致しておりますが、従来の傾向を見ておりますと、必ずしもそういうものではありませんが、大体近い数字というのがいままでの経過でございます。それで、その公労委の関係もそうでありますが、民間準拠ということで公労委もおやりになっておられますので、私どもは、もちろん民間給与の実態調査、対象、規模が違いますけれども、ですけれども、そういうものでやっておりますので、同じ民間という意味で、これは結果論でございますけれども、そう大きな違いは出ないというようなかっこうで、大きく見ますとそういう形に従来経緯いたしております。で、しかし、やや詳しく見ますと、こちらが高かったり低くなったり、まあ不況、好況、あるいはしり上がり、しり下がりというようなこともございまして、大体いまごろ、春闘も全部終わりまして支払いに入っている段階で、全部終わったところで私どもが調査しているものですから、その間のずれなどもございます。いずれにしましても、私どもいま五十万強に及ぶ大調査をやっておりまして、その結果を見たいと思っております。
○寺田熊雄君 何か、新聞報道ですが、今度中堅層に重点を置くというような報道がありますし、それからボーナスが、いままで年間五・二ヵ月だったのを減らすというような、そういう報道もあるんですが、これはそんなふうに推定できるんでしょうか。
○説明員(角野幸三郎君) 実はそういう勧告の水準自体もまだ作業中でございまして、もちろん配分もまだこれからでございます。新聞の方でまあよくお考えになってお書きになったのだと思いますが、もちろんあれは発表したわけでも何でもございません。ただ、恐らく記者の感覚、よくわかりませんが、察しますに、私ども昨年の例で申しますと、やはり物価といいますか、実質というような関係が片やございますし、それから片や、昨年からそうでございますが、初任給がお休みのような関係になってございます。したがいまして上下配分の傾向といいますと、やはり若年層からやや離れて、従来成長期には若年労働力が非常に逼迫して高くなったんでございますけれども、昨年あたりからその傾向が変わってございますので、片や実質というような関係がありますので、世帯年齢といいますか、中高年といいますか、その方に配分が行くであろうということは十分考えておるんだろうと思います。昨年もそんな感じがちょっとございました。まあそんなことであろうかと思います。
 それからもう一つ、特別給、ボーナスの関係でお尋ねでございますが、これは私どもの調査は、いわば一年ずれと申しますか、過去一年間の面積計算で、民間の臨時に支払われましたボーナスを全部足しまして、それを公務員の一年分と比べましてどうかと、こういう調査にせざるを得ないわけでございます、制度が違いますので。ですから、ことしの勧告のデータになります民間のボーナスは、昨年のところを反映するわけでございます。で、昨年の実績と申しますと、大変不況でございまして、そういう意味で、一昨年に比べまして相当落ちているところもあるというような実態が片やございます。で、これは労働省の調査でありますとか、毎勤でありますとか、いろんなデータがございますが、そういうデータが頻々と出ておりますものですから、それでやはりそういうこともお考えの上で、そういう記事になったんであろうかと思います。いずれにしてもボーナス関係の調査もいま集計の真っ最中でございます。で、私どもは、妥結相場といいますよりも、実際に払われたものの比較ということで、重みの比較をやっておりますので、その結果を見たいと思っております。
○寺田熊雄君 あなたに御質問申し上げるのは最後になりますが、この間、大蔵委員会が北海道へ経済事情の調査に参りましたときに、税務職員に、これは国税局の方からの陳情だったんですが、札幌市、それから小樽市を調整手当の面で従来乙地であったのを甲地にしてほしいと、これは他の政令都市と比べてむしろ人口が非常に多いというような事実を基礎にしたもののようです。岩見沢を、現在無給地であるが、これをやはり甲地ないし乙地にしてほしいという要望があったんですが、これをどう考えられますか。
○説明員(角野幸三郎君) 調整手当、国家公務員の給与制度の中の地域給でございますけれども、これは制度上公務員給与をめぐる諸条件、これは民間給与もありますが、物価、生計費等もございます、そういう給与をめぐる諸条件の地域差に対応する措置と、こういうことに相なっております。それで、これは四十八年以来宿題になっておりまして、調整手当問題は、そういう地域の地図の問題と、それからもう一点は、この高さ、金額、一番上が八であるとか六であるとか、そういう問題と両方ございます。そこで、私どもとしましては、まあ宿題にはなっておりますが、ちょうど四十八年、石油ショックの後、物価変動が大変激しい時期がございました。それから同時に賃金の面でも大変三〇%近いベースアップがありまして、いわば賃金構成といいますか、給与構成が非常に崩れております。そういうことで、四十八年、四十九年状況を見たいと、ちょっと地図をかき直すに適当な客観情勢になっておらないということで、持ち越しておる次第でございます。
 そこで、五十年――ことし五十一年でございますが、その状況で、いまいろいろ検討はいたしておりますが、五十年、昨年以降非常に不況でございまして、これはまた別の意味で産業別に、特に製造業、産業別あるいは地場で地域別に賃金が大変でこぼこになっておる。それで、現在の調整手当の私どものよりどころは、民間賃金ということを第一によりどころにいたしておりますが、その地場賃金が非常に不況のところはへこんだままになっておりますので、もうちょっと安定するまで模様を見たい、物価はどうも少し静かになっておりまして安定してまいりましたが、賃金がまだ非常にでこぼこになってございますので、全国的なそういう地図を策定するに、もうちょっと、適当でないんではなかろうかということで、現在一生懸命そのデータを目を離さないという状態で検討している次第でございます。
○寺田熊雄君 実は時間が来たんですが、日銀の方がわざわざ来ておられるので、一言だけお許しいただきたいと思います。
 御質問したいことは、いまのマネーサプライの増加状況というものは、インフレの問題の危険信号と目せられるおそれはないのかどうかという、またしたがって、それに即応した何らかの手をいわゆる金融政策の面で打つ必要というものはないんだろうかどうか、それが一つ。
 もう一つは、さっき戸塚委員の出張の御報告の中にもありましたんですがね、結局、地方債を日銀の担保として取ってもらわないと、いま何かいろいろ反対論を、戸塚委員の方で、日銀の反対論というのが述べられた点の御紹介がありましたけれどもね。しかしそれをやらないと、回り回って弱小の市町村が縁故債を募集する場合に、公募債なんかと比べるとどうしてもやっぱり利率の面で少しハンディを負わされる、したがって、それを一生懸命頼んで公募債と同じ利率にしてもらうことがあっても、大変な手間がかかる、弱小の市町村をいじめることになるから、もうちょっと考えることはできないかという、その二点についてお答えいただきたいと思います。
○参考人(蔵原千秋君) 日本銀行の総務部長の蔵原でございます。よろしくお願いいたします。
 第一のマネーサプライの点でございますが、マネーサプライにつきましては、私ども定期性預金も加えましたM2というものでもって通常見ておるわけでございますが、このM2の推移を見てまいりますと、昭和四十九年の九月でございますが、ボトムで、一〇・六を打ちまして、それから次第に増加に転じてきております。ことしの三月の時点で一五・七というところまで高まってまいっております。しかしその後四月に一五・二、それから五月に一五・五というふうにやや落ちついた動きを示しておりまして、私どもこの水準につきましては、現在の景気回復の状況とにらみ合わせまして、いまだこれは行き過ぎではない、インフレ的ではないというふうに実は判断をいたしております。もちろんそのマネーサプライの動きにつきましては、私ども常時注意いたしておりまして、いやしくもこれが行き過ぎまして、それが物価の面に悪い影響を及ぼすというふうなことのありませんように注意を払ってきております。特に国債とか、あるいは地方債、そういった公共債の発行を通じますところのマネーサプライの供給要因が増大しておるのが現状でございまして、そういう観点からいたしまして、私どもといたしましては、全体としてのマネーサプライが行き過ぎることのないよう、特に金融面につきましては、現状において金融機関の貸し出しが行き過ぎることのないよう常時注意をしておるというのが現状でございます。
 それから、第二点の地方の縁故債の担保適格の問題でございます。先ほどの戸塚先生の報告の中で述べられましたこととあるいは重複するかもしれませんが、私どもの考え方を述べさせていただきたいと思います。もともと日本銀行の担保適格と申しますのは、日本銀行券の裏づけとなりますところの日本銀行信用、この日本銀行信用の健全性と申しますか、確実性を保証するものでございまして、そういう観点から申しまして、私どもといたしましては信用力にすぐれますとともに、市場性の高いというものでなければならない、そういうものが日本銀行の担保適格としての基本的要件ではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう観点から申しますと、現在私ども地方債につきましては、公募地方債の中から適格債を選定いたす扱いにいたしておりますわけでございますけれども、公募地方債につきましては、御案内のとおり一般の発行市場におきまして国債、政保債に次ぐ優良な条件でもって、しかも不特定多数のものを相手に発行されております。しかも、流通市場におきましても上場相場あるいは気配相場というものが立っておりまして、いわば客観的に形成された相場を一般のものが了知し得るというふうな状況になっておるわけでございます。そういう観点から申しまして、公募地方債につきましては、私ども先ほど申し上げましたような担保適格としての要件を備えているんではないかというふうに判断しているわけでございます。これに対しまして縁故債でございますが、これは債券の形式をとるものが多いようではございますけれども、やはりその発行というものは個々の金融機関との相対的な交渉でもって行われておるのが実情でございまして、実態といたしましては、やはり融資の変形に近いんではないかという感じがいたしております。したがいまして、発行条件にしろ、あるいは発行方法にしろ、ばらばらでございまして、しかも流通を前提として発行されたものではございませんために、たとえば売買に際しましても償還方法その他の面でいろいろ不便な点が生じておるというのが実情でございます。そういう点から見まして私ども現時点におきまして、縁故地方債を担保適格にいたしますにつきましては、やはり先ほど申し上げましたような要件に欠けるところがあるんではないかというふうに考えておるわけでございます。私どもかねてから縁故地方債が公募債に切り変わることによって、日本銀行の担保適格になるということを期待しておるわけでございまして、そういうことで関係者の方々にも御努力をお願いしておるのが現状でございます。
 なお一言つけ加えさしていただけますれば、現在地方銀行その他の担保部分と申しますか、担保の保有状況から見まして、この縁故地方債を担保適格にいたしませんと、地方銀行などの担保部分に支障を生ずるというふうな状況にはございませんということを申し添えさせていただきたいと思います。発行者の側の立場からのあれと、それから私どもの方の立場からの見方でやや食い違いが生じたかもしれません。その点はなはだ恐縮でございますが、私どもの方の立場を述べさしていただきまして、答弁とさせていただきます。
○寺田熊雄君 終わります。
 主税局長と銀行局長にも質問あったのだが、大変申しわけなかったのですが、時間がないので、了承してほしいと思います。
○理事(中西一郎君) 午後二時まで休憩いたします。
   午後一時三十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十二分開会
  〔理事中西一郎君委員長席に着く〕
○理事(中西一郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○戸塚進也君 私は当面の財政金融一般について大臣初め関係の皆さんにお尋ねいたしますが、持ち時間が一時間しかございません。私も簡潔にいたしますので、どうぞひとつ当局におかれましても簡潔に要領を得て御答弁をお願いいたします。
 最初に、通告してはありませんが、二点についてお尋ねいたしたいと思います。
 大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、私これからお尋ねするについて、財政ということは、これは当然政策がなければいかぬ、また財政にはビジョンがなければいけないし、公平でなければならない、また人間性といいますかヒューマニズム、あるいはそれは強いて言えば愛情、国民に対する愛情がなければならない、こういうような見地から財政というものは当然考えられるべきであって、いまの大蔵大臣はそういう見地から財政を鋭意進めておられると、大蔵の行政を進めておられると、私はそういうふうに評価をいたしておりますし、そうであると確信しておりますが、大臣、そのような角度からこれからお尋ねしてよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 財政は御承知のごとく、やっぱり政策的理念で貫かれなければならぬことは仰せのとおりでございますし、また、単なる数字の羅列ではなくて、ヒューマニズムで肉づけされなければならぬことも仰せのとおりでございまして、私ども乏しいながらそういう心構えで事に当たっておるつもりでございますし、
  〔理事中西一郎君退席、理事野々山一三君着席〕今後もそういう決意で臨むつもりでございます。
○戸塚進也君 では昨日の衆議院の大蔵委員会におきまして大臣が一身上のことについて御発言された内容が新聞にいろいろな角度から取り上げられております。私は私なりに読ましていただきまして、大臣の心中お察しするものがあるような気がいたします。そこで、大臣に誤りなきようにといいますか、私は私なりにこう解釈したということで申し上げますが、それに間違いがあれば御訂正を願いたいし、改めて昨日の大蔵委員会での大臣のお気持ちを伺っておきたいのでございますが、私は、やはり現在はこのように非常に重要な時期であるので、三木内閣のもとでこの責任を課せられた面について十分大蔵大臣としての任務を果たしたい、十分努力をしていきたい、しかしまあ先ほど、午前中には、八月中には財特法とかそのほか関連の財政法案ということですから、たとえば国鉄であるとか電電であるとかということを指していると私は思いますが、そうした法案を成立を期すると、こういうことで、これは国会で審議することでございますから、これは幾ら内閣でお考になっても無理だという点もあるかもしれませんが、少なくともそういう気持ちで内閣がこぞって協力すると、まあ三木総理がその線に沿って、先頭に立って努力する、こういうことであればわかるけれども、もしそういうことがどうも考えと違っておったと、こういうときはあえて御自身の進退もかけて、重大な決意をして処したいと、こういうふうに私は新聞を読んで感じたのでございますが、それに間違いございませんか。
○国務大臣(大平正芳君) ちょっと違うんです。前段の方、三木さんも私も重要な歳入法案の成立につきまして、政治生命をかけて努力いたしております点につきましては全く一致しております。
 私が申し上げたのは、そういうことではないのでありまして、自由民主党の問題につきましては党員といたしましていつでもその時代的対応力というものの強化について、いつも努力をするという目標は失わないつもりでおるということを後段に申し上げたわけでございます。
○戸塚進也君 では新聞に伝えられるその辞任される云々というふうなことについては、別にそういう御発言があったのではないと、こういうことでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 私はいま現に大蔵大臣の席を汚しておるわけでございまして、三木さんとぼくが意見が違っておるんだったらやめてるはずですよ、やっておるんですから。やれなくなったらやめるのはあたりまえじゃありませんか。そういうことも、きわめてあたりまえのことを申し上げただけの話なんでございます。
○戸塚進也君 よくわかりました。
 それでは先般大蔵大臣もいらっしゃいました先進国の首脳会議のことにつきまして、まあごく単純な言葉で申しますと、国際収支のアンバラという問題について、日本がややアメリカを初め他の国からいろいろ指摘を受けたと、こういう記事が出ております。こういうことについては当然ながら大臣として日本側の立場を十分に首脳に説明をし、また理解を得て帰ってこられたと、こういうふうに解釈をいたしておりますが、そのときに、この国際収支の問題についてどのような点が論議され、かつ日本側として大蔵大臣を初めその問題にまあ鋭意理解をしてもらうように努力をされたか、またそれに対して各国首脳がこれに了解をしていただいたのかどうか。特に最近では貿易が輸出の方は非常に伸びているけれども、輸入の方がいま一歩といいますか、これはまあ日本の経済が非常に不振だったわけでございますからやむを得ざる点と思いますけれども、そういう点等についてかなり手厳しい批判があったと聞いておりますが、その辺は事実はどうであったかお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) そういう批判は全然なかったんです。新聞にそういうことを書いてございましたけれども、新聞記事がなぜそういうことを書かれたのか、私は理解に苦しみます。会議におきまして日本が名指しでそういうような為替政策、貿易政策が問われたことは全然ございません。
 第二に、首脳会議におきまして国際収支の問題が議論されたことはコミュニケにおいて明らかになっております。この国際収支の不均衡は是正されなければならないと、それは各国が適当な国内及び対外政策の運用を通じて一層安定的かつ永続性のある国際収支構造に向けて努力を傾ける意図を確認するものであるという点が明らかにされております点と、一時的に国際収支の赤字が生じてこれをファイナンスするための援助が必要でございますならば、そういう場合が起きたならば、かかる援助は基礎的な均衡を回復するための確固たる計画を前提とし、かつ多角的な手段を通じて提供されることが最も適当であろう、というようにうたわれておりまして、そういう一般的な対処、国際協力の姿勢が論議されて意見の一致をみてコミュニケに示されたというように御理解をいただきたいと思います。
○戸塚進也君 よくわかりました。
 そこで、実は大臣、私は先般国政調査にトヨタ自動車へ伺いまして自分の不勉強だったことを恥じたのでございます。それは、非常に自動車産業が景気がいいと、こう言うものですから、これは国内の自動車も大分売れ行きがいいのかと思っておったら大間違いでございまして、トヨタの場合を例をとりますと、去年の売れ行きの八割しか国内では売れておらないと、これは大変な落ち込みでございますね。に対して、アメリカ輸出を中心にして一五〇%伸びているということで好況であると。しかも、その伸びている理由は、ドイツのマルクが何か変動があったので、フォルクスワーゲンが全く売れ行きが六割ぐらいになってしまって、その後ヘトヨタさんとか日産が入っていって、その分のおこぼれをいただいたというので大分売れ行きが上がりましたと、こういうような話でございまして、これではどうもなかなか日本の経済も大変だなあと思ったと同時に、やっぱりアメリカとか初め先進国の将来の一、二年の景気動向というものがどうあるかということが、これからの日本の経済全体の先行きを考える場合に非常に重要だということを改めて認識したわけでございます。
 そこで、先般大臣が首脳会議にいらっしゃって各国の首脳とお会いになってみて、ここ少なくとも一、二年の間、アメリカを初め各国が、よほどのこの間の石油問題の突然のことが起こらない限りは、大体これからも上昇機運でいけると御判断になったのか、なかなか先行きはこれは安閑とはしておられぬぞとお考えになったのか、その辺の御判断を伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 経済の先行きを予想することは容易じゃございません。先行きが持続的に安定した拡大発展を見ることを希望しますけれども、そのとおりまいりますかまいらないか、これは先のことでわかりませんが、そういう持続的なインフレのない拡大を図るために、お互いに手をこまねいて待つわけにいかぬので、国際協力を進めようじゃないかというのが今度の会議の趣旨であったわけでございます。したがいまして、各国が貿易政策におきましても、為替政策におきましても、財政政策におきましても、金融政策におきましても、それぞれ節度のある、自重した対策を進めてまいり、国際協力の実を上げてまいりますならば、あなたが言われるように、持続した拡大ということが期待できるのではなかろうか、またそうしなければならぬのではないか、それはわれわれの努力にかかるんじゃないかというように私は思います。
○戸塚進也君 では首脳国の最後に、次回何か三木総理は日本で首脳会議を開催したいと、特別の要件はなくともとにかく集まることが意義があるからというようなお話があって、外電なんかの当時伝えるところによりますと、何か日本で開くことを皆さんが了解したという記事もあるし、そんなことは知らないよという人もいるし、ばらばらでございます。大臣は、次回の首脳国会議を日本で開くということが決まったと御認識になって帰ってこられたか、そういう話はみじんも出なかったのか、それとも決まらなかったのか、その辺はどんなふうに考えていらっしゃいますか。また最後に、こうした首脳会議等はやはりたびたび開くことが適当であると、こういうふうにお考えでございますか、いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 会議というのは必要がなければ開く必要ないんです。だから、必要があるかどうか、将来そういうことがまず、首脳会議を持つ必要が起こるということがまず前提になければいかぬと思うのでございます。
 それから第二に、いわば第一回はランブイエというヨーロッパで開かれたと、それから第二回はサンフアンという米州圏で開かれたと、第三回目は、もし、開く必要があるということで開こうということになった場合、アジアで開くということに関係者の間で意見が一致したら、日本としてそういう会議をホストするということをいたしても、私は日本の国民の理解が得られるんでないかと思うんです。そこで、総理大臣が言われたことは、もしこういう首脳会議を将来開く必要があった場合、そして、皆さんが一致してアジアで開いてもいいというような場合がございましたならば、日本は喜んでこのお世話をさしていただきますということを、その際、そういう意図を日本が持っておるということを皆さんにお伝えしておきますということを申し上げたのがいまの時点でございまして、皆、ほかの六ヵ国の首脳は、それは承っておきますということでございまして、決まるとか決まらぬとかいうことじゃなくて、首脳会議を開く必要があるかどうか、まだ将来のことでございますから、そんなことは全然まだ予想できないことでございます。
○戸塚進也君 では、景気動向等についてその対策を含めてお伺いいたします。
 今回の国政調査、あるいは私が地域地元へ帰ってみましてはだで感じたことでございますが、政府の統計等では、なるほど景気は上向いておると。なるほど、また数字的にはこの一月から三月を見ましても実質成長率は年率一四・七だと。きわめて高い伸びを示しているわけでございます、数字的には。ところが、現実の中小零細企業末端へまいりますと、全くそういう気持ちがない。また、中には、やや、それでもそんな感じが少しするかなあという人が最上でございまして、ますますひどいという人も中には相当いるわけでございます。また、事実、倒産などを見てみましても、相変わらずどんどんふえておりまして、千件を上回るような倒産が出ておりますし、さらにまた鉱工業生産等におきましても、この五月の速報ではマイナス一・七。またマイナスに落ち込んでいるというような現況でございます。こういう状態を見ますと、何か、政府で景気がよくなった、立ち直ったと、こう言って太鼓をたたいても、一般国民はどうもそういう感じがないなあというような、何かそこに少し感覚のずれみたいなものがあるような、率直に申し上げてそんな感じがいたしたわけでございます。そこで、一部には、中だるみといいますか、景気の中だるみというようなことも言われているようでございます、言葉のあやかもしれませんが。そうしたことも含めて現在の景気について、実態について日銀あるいは経済企画庁はどんなふうに分析されお考えになっているか、簡単にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(青木慎三君) ただいま御指摘がございました景気のことでございますが、私どもがマクロで見ます限り、わが国の経済は昨年の春ぐらいから徐々に上向いてきておりまして、ことしの一−三月、これは、数字を御指摘ございましたように、年率にいたしまして一四・七という非常に速いスピードで成長したわけでございます。こういうこの一四・七というような成長がマクロでもそのまま続くとは私ども考えておりませんで、やっぱり、もう少しスピードは落ちてくるというふうに将来は見ております。ただ、それが昨年のような景気の中だるみというようなことになるのではなくて、テンポは落ちるけれども順調に伸びて、私どもが経済見通しで述べていますような五、六%の成長は十分達成できるというふうに見ております。ただ、御指摘がございましたように、ミクロの面から見ますと、昨年の一−三月の落ち込みが非常に激しいために、現在まだ相当なスピードで上がってはおりますけれども水面以下という段階でございまして、これが個々の企業あるいは産業によりましてはなかなか回復感が出てないという原因の一つであろうかと思います。ただ、私どもがいま見通しておりますようなテンポで経済成長が進んでまいりますと、本年末ないし年度末には大半の企業において明るい感じが出てくるというふうに私どもは予測しているわけでございます。
 それから、鉱工業生産の五月の落ち込みでございますが、これは昨年の十二月から五ヵ月連続で相当なスピードで生産が上がりまして、その反動というふうに見ておりまして、通産省の方でとっております予測指数で見ますと六月また上向くということになっておりますので、これは一時的な反動現象というふうに見ておりまして、これが中だるみにつながるというふうには解釈いたしておりません。
 そういうような状況でございますので、一方、物価の方は、消費者物価は鎮静の傾向がございまして、大体前年度比一けたで推移しておりますし、若干心配になりますのは卸売物価の最近の動向がやや高いわけでございますが、これも五月にはその上がり方がやや鈍化しておりますし、そういうような景気と物価を両方にらみながら現在の状況を注意深く見守っているというのが私どもの現在の景気判断でございます。
○参考人(蔵原千秋君) ただいまの企画庁の見方と日本銀行の見方も基本的には同一でございます。
 景気の中だるみという点につきまして一言申し上げますと、確かにマクロ的に景気が上昇しておることも事実でございますが、それと同時に収益が回復してまいりました。これはレベルとしては低うございますけれども、その回復のテンポはかなり急ピッチでございまして、それに伴いまして経済界の先行きに対するコンフィデンスというものの回復もかなり顕著でございます。こういう企業の景況感といったようなものも含めましたいわゆる景気、大きな意味での景気というのを見ますと、その安定度というのはかなり高まってきているというのが現状ではないかというふうに思います。したがいまして、そういったところで今後とも内需も恐らく底がたい動きを続けるであろうと思われますし、輸出につきましても、いままでのようにめちゃくちゃに伸びるというふうなことはございませんと思いますが、やはりアメリカないし西欧の景気の回復が本格化してまいりましたので相応の水準は維持できる。まあ、内外需相まちまして底がたい動きを続けるということでございますので、昨年の十−十二月に見られましたような、生産もほとんど横ばい、あるいは企業マインドも冷えているというふうな意味での中だるみというものは今後ないんではないかというふうに考えておるわけでございます。
 マクロとミクロとの乖離の問題につきましては、御指摘のとおり、確かにその業種別あるいは企業別に見ましても跛行性がございます。これは、生産にしろ売り上げにしろ、あるいは収益の面でもそうでございまして、今回の景気回復過程の一つの特徴ではないかというふうに考えるわけでございますが、まあ一つには、やはり日本経済の環境がこれから変化してまいりますのに関連いたしまして構造問題を抱えておるところもございます。こういうところにつきましては、全体としての景気が上昇してまいりましても必ずしも問題が早急にそれで解決できるというものではございません。いわゆる構造改善ということが必要になってくるわけでございます。こういった問題につきましても、私ども金融面からそのときどきの金融調整の大枠の中でできるだけ御協力を申し上げたいというふうに考えております。
  〔理事野々山一三君退席、理事中西一郎君着
  席〕
 また、いずれにいたしましても、健全な経営をやっております企業が金融面だけで蹉跌するというふうなことがあっては毛頭ならないと思います。私どもといたしましては、かねてからそういった問題につきまして、金融界に対しましてきめ細かい配慮を要請いたしております。金融機関の方もこれに快く協力をしていただいております。したがいまして、今後とも中小企業の方々も含めまして企業といたしましては金融機関とよくよく御相談されまして、このむずかしい時期を乗り切っていただきたいと思っておりますし、また、それが、可能であるというふうに考えております。
○戸塚進也君 日銀さんに続いて伺いますけれども、いまお話も一部ありましたが、今度国政調査やってみまして、斜陽といいますか、もう体質的に、幾らこう景気がちょっとよくなったといってもどうにもならないで、ずっと底のままで沈み込んじゃっているのがずいぶんあるんですね。そこに働いている人なんか本当にボーナスは恐らくもらえぬでしょう。それほどの大変な騒ぎを、合板もそうですし、いろいろありました、指摘が。繊維もまたひどくなってきました。こういったようなものを見たとき、ひとつ体質的になかなか大変だというものはやっぱり思い切った金融措置というようなものも必要なんじゃないかと思うんですね。こういうことについて十分な配慮をしていただきたいことが一点。
 二点目は、一般金融についても、どうも景気が少しよくなってくるというと、まずすぐ引き締めだと。それから株がいま多少高いんですね。高いと、何かこれ金が余っているからみんな株買っているんだろうからなんて、だからそんな金引き揚げちまえなんて、そんな考えになられちゃ、いまの株の高いのは、必ずしも余剰資金があって高いとは私は思っていないですよ。そういうような状態を考えますと、いまのような、株がこうだからとか数字がこうだというようなことで簡単にまた引き締めなんかされたんじゃ、一般のもう零細中小企業は本当に大変ですよ。そういうことを十分考えていただいて、いませっかく景気もやや回復気味なんでございますから、さらにやっぱり金融面でも十分配慮していただきたいと思いますが、その点いかがですか。
○参考人(蔵原千秋君) 第一の点でございますが、先ほども申し上げましたとおり、まあせんだっての引き締めの過程を通じまして、私ども健全な経営を営んでおります企業が金融面から行き詰まることのないようと、くれぐれもその辺を配慮してほしいということを金融機関によくよく申し伝えまして指導をいたしてきております。先ほど申し上げましたように、金融機関といたしましても、その辺の事情を了解してくれておりまして、まあ、あるいはその投機でございますとか、あるいは放漫経営でございますとか、そういったようなとがめのあるところは別といたしまして、健全な経営を営んでおりますところが金融面の問題だけで行き詰まるというふうなことはまずないのではないかというふうに考えます。
 それから第二の点でございますが、株高ということをおっしゃいましたけれども、私ども、やはりいまの株高、これは基本的には企業の業績を反映いたしたものというふうに考えておりまして、金融が少し緩み過ぎたから株が高くなっている、したがってこのために金融を締めなくてはならぬというふうなことは考えておりません。ただ、御承知のように、物価につきましては昨年一年間はずっと非常に落ちついた動きを示しておりましたのですが、特に卸売物価につきましては昨年の暮れぐらいからややその上昇が目立ってきております。したがいまして、現在すでにこれがインフレ的な状況になっておるというふうに判断いたしておるわけではございませんけれども、今後景気が回復していくにつれましてこの物価の動きがどうなっていくかということを私ども慎重に見守っておるところでございまして、そういう意味から申しますと、やはり現時点におきます私どもの心構えといたしましては、金融の緩和が行き過ぎてそれが物価に悪影響を及ぼすということのないようにしていかなくてはならないんではないかということが一つ言えるんではないかと思います。
 もちろん、いまおっしゃいましたように、いろいろミクロの面で、景気の面でまだひ弱な面が残っておりますので、そういった面に対する配慮ということもなおざりにするわけにはまいりません。私どもといたしましては、現在引き締めもいたしませんし緩めもいたしません。いまの金融の基調をそのまま続けながら、先行きの物価の動向なりあるいは景気の動向をウオッチしていきたいというふうに考えております。
○戸塚進也君 では、ロッキード問題について二点伺います。これは特別委員会もあることでございますから、私は、特にこの委員会に一番関係の深いことで総体的なことで二点伺っておきたいと思います。
 一点は、国税庁あるいは関係の大蔵の当局に伺いたいのでございますが、最近、納税意欲という点で納税者の中に、どうも今度のロッキードの問題で、税の問題がきちんとしない限りは税金を払いたくないんだというようなことを言っている方もあるというようなことが私どもの耳にも達してくるということで、はなはだこれは残念なことであり、また遺憾なことだというふうに思います。というような一般国民、庶民、納税者の気持ちを考えるならば、これはもう本当に今度のこの問題については十分ひとつ税の公正、こういう意味から徹底的な調査をし、またしかるべき措置をとっていただかなきゃならぬ。これはもうだれも異論がある人はないと思います。
 で、先ほど来、新聞等では、児玉譽士夫氏の財産その他のことについて、あるいは今回のロッキード問題等についていろいろ言われているわけでございますが、そのほかにも、この問題にかかわってのいろいろな税問題、こういうことは非常に私どもとしては関心が深いところでございますが、国税当局としては、今度のロッキードの問題にかかわった問題についてはすべて怠りなく調査を万全にしていただいていると思うが、確認の意味でその点についてお伺いいたします。
○説明員(山橋敬一郎君) お答えいたします。
 ただいま先生のおっしゃったとおり、このロッキード問題に関連いたします税務上の問題につきましてはこの処理いかんによりましては、もう納税思想に非常に大きな影響があるということはそのとおりだと思います。目下国税当局におきましては、その実態を解明すべく鋭意調査を進めておるところでございます。児玉譽士夫につきましては、所得税法違反容疑で二月の二十四日に国税犯則取締法に基づく強制調査を行いましてその脱税の解明に全力を傾注いたしまして、その結果三月十三日、四十七年分の所得税法違反につきまして告発をいたし、検察当局が起訴をいたしますとともに、四十五年分、四十六年分、四十七年分につきましても、所要の課税処理を行ったことは先生御承知のとおりでございます。また四十八年分以降につきましても引き続き相当数の査察官を動員いたしまして、児玉をめぐる資金の流れと資産形成の全貌を明らかにすべく目下鋭意調査を行っているところでございます。
 児玉譽士夫の調査に関連いたしまして、その周辺や関係会社などにつきましても必要な範囲で調査を行っておりまして、この結果脱税の事実が明らかになりますれば厳正に処置することとしております。六月の二十九日に児玉譽士夫の周辺の人物と見られておりますところの水谷文一につきまして所得税法違反容疑で強制調査を行いまして、児玉譽士夫との関連を含めまして実態解明を急いでおるところでございます。このほか丸紅、全日空につきましては大法人として毎年実地調査を行っておりますけれども、今回も丸紅は五十一年の一月に、全日空は五十年の十一月の末に調査に着手をしております。現在は検察庁、警察当局の捜査の推移を見守りつつ、なお調査を続行中でございます。以上のように万般にわたりまして怠りなく調査を進めておる次第でございます。
○戸塚進也君 よく遺憾のないようにしてください。
 そこで警察庁いらっしゃいますか。――警察庁にお伺いいたしますが、過般これはちょっと日ははっきりいたしませんが、一ヶ月半か少し前だと思います、それぞれ三大新聞だと思いますが、余り大きくはありません、小さくでございますが、一面記事に、アメリカの司法省において、今度のロッキード事件に関連をし、これは日本だけでない、他の外国の分も含めてというような記事だと思いましたが、どうもこのお金が、全額ではないにしても、まあ幾ばくかにしましても、一度日本なら日本へ来てまたそれがアメリカに還流しているという疑いがある、さらにまた進んでの新聞では、それがアメリカ政界の工作に使われているというようなそういう疑いもある、こういうことで捜査を開始したと、こういう記事が載っておりましたが、それを警察庁は確認していらっしゃいますか。またそのことについては非常な関心を持っていらっしゃるかどうかお伺いいたします。
○説明員(柳館栄君) 御指摘のような見方がありますことにつきましても私どもも承知いたしております。したがって、資金の流れ、全体の真相がどうであったのか、どうであるのかということについても全力を挙げた捜査をいたしてまいりたいと思っておりますので、そういう意味で御了承をお願いしたいと思います。
○戸塚進也君 これを私が伺いましたのは、今度の逮捕された方々も外為とかいろいろ大蔵省に関係したような容疑でございます。同時にこの還流問題というのは、過般の委員会でもたしか矢追委員からちょっとお話があったと記憶しておりますけれども、やはり銀行から銀行へお金が行ったり、これはどうしても大蔵省等の協力も得ながら万全の捜査をしていかなきゃいかぬ、これは大体アメリカから投げられた問題でしてね、日本の人がつかまることばっかり楽しみにしているような感じじゃ困ると思うんです。やっぱりアメリカにはアメリカの何か理由があるなら、それもやっぱり含めて、きちんとした解明をしていくべきだと、したがって、警察庁の捜査はそういう点も含めて捜査を怠りなくやっておると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○説明員(柳館栄君) 先ほど申し上げましたように、資金の流れ全体ということで解明をいたしてまいるつもりでございますので、御了承をお願い申し上げたいと思います。
○戸塚進也君 では、時間もございませんから急いで、財特法のことについての、継続審査になった、このことによっての大蔵当局のまず財政運用上の今日までの影響、これがどのようにあったか、これについてお伺いをし、二点目といたしましては、これはまあなかなかはかりがたい点でございますが、経済界が心理的に受けている影響、こういうものについて大蔵当局としてはどのような調査をなさったり、あるいは関係の方々の対策をしておられるか、その点について簡単に御答弁願います。
○説明員(松下康雄君) 御質問の財特法の成立のおくれたことに伴いまして今日までのところ財政運用にどういう支障が生じたかという点でございますけれども、今日までの財政につきましては、歳入の面におきましては一方の財政法四条に基づきますところの建設公債の発行を行っておりますので、この問題に直接関連をいたしまして今日はで歳出の面での窮屈な事態が起こったということはございません。ただ今後の問題につきましては、財特法は歳入の相当大きな部分を占める重要な法案でございますので、この成否が未定の状態でございますと、私ども財政運用を行ってまいります立場からも種々困難な事態を生ずる心配があるというふうに存じております。
○戸塚進也君 先ほど大蔵大臣も立ちかけていただきましたので、その所見も含めて大蔵大臣にお伺いいたしますが、どうも先ほどの御答弁、午前中の御答弁を伺っておりますと、八月中にもし財特法が成立しない場合は、これはややもすると片側のプロペラで動いている飛行機がこちらもとまってしまう、両方ともとまってしまう、ということはこれはまあ日本という飛行機は墜落であると、こういうふうに私は解釈している。つまり、日本の経済というものがいままでに経験したこともないような、全く予期もしないようなとんでもない事態に陥らないとも限らないというふうに私は大蔵大臣の答弁を解釈したのでございました。またそれだけ非常に重大な決意を持って大蔵大臣がこの財特法に臨んでいらっしゃる、こういうふうに考えましたが、大蔵大臣に再度その辺の、飛行機のエンジンの話も含めてお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 予算成立と同時に、重要な歳入法案でございますので、同時に成立すべき性質のものでございますが、それが不幸にして成立を見ないで五十一年度の予算の執行に当たったわけでございますから、五十一年度の予算はいわば欠陥予算でございまして、一方のエンジンが動いていないという予算でございます。で、こういう状態は、わが国の国会が黙過されるはずはないと思いますので、私はこの前の国会におきましても申し上げたところでございますけれども、財政がこういう状態で放置されるなどということは全然考えていないんです。国会が必ずちゃんとこのエンジンの始動をさしていただけるに違いないと確信していますから、そういう点は心配をいたしておりませんで、ただ国会の財特法初め歳入法案の成立をお願いする土俵である臨時国会の問題につきましては、できるだけ早くお願いするような手順を政府の方で与党と相談し、各党の御感触も伺いながら用意せにゃなりませんので、そういうあたりについていま国会対策方面にお願いをしておるところでございます。だから、それを怠りなくやってまいりますならば、各党の御了解を得られないはずはないと私は考えております。
○戸塚進也君 大臣は非常に紳士的だし謙虚だし、本当に遠慮して物を言っていらっしゃるように思うし、また国会を重視していただいて非常に尊敬するわけですが、しかし先ほど来の大臣の午前中の御答弁を伺えば、やっぱりもし八月中に通らなければ飛行機はエンジンは完全にとまる、私はそういうふうに解釈する。イコール、九月になれば、大臣としてはこれがもし国会を通らなければ非常手段でやらざるを得ない。もう本当に悲壮な決意だというふうに私は解釈したのでございますが、大臣いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 財政のつじつまを合わすことが一ヵ月とか二ヵ月とかはできない相談ではございません。それは、正直に申しまして、大蔵省証券を発行していける間は、それでつなげないはずはないわけでございますから。ただ、たびたび申し上げておりますように、大量の国債を下期に集中して発行するなんという無謀なことはできるはずはないわけでございまして、またそんなことを日本の国会が日本の政府に求めるはずはないと私は思うのでございます。したがって、私どもが手順を踏んでお願いをしてまいりますならば必ずタイムリーに国会は承知していただけるものと確信をしております。
○戸塚進也君 午前中にもありましたが、大臣、食管会計の問題についてちょっと伺います。これは大臣も農家の御出身の方というお話がございまして、大臣のきょうの御答弁を農家の人が聞けば非常に心強く思っていると思うんです。なるほど米価の問題というのは、いろんな、ただ米価だけでない、総合的な国民生活全体のことを考えなきゃならぬことでございますから、農家としては高いほどいいにこしたことはないといっても、それはそう簡単にうまくいくわけがないことは私もわかっています。しかし少なくとも、春闘の相場が八・八と。これはある意味では非常に低かったという面も言われておりますが、一方いわゆる米をつくっている農家の立場から言うなら、八・八があるじゃないかと、こういう気持ちも非常に強いわけでございます。したがって、ことしの米価問題というのはなかなかこれから先々大変なことになるというふうにも思うのでございますが、大臣の先ほどの御答弁を伺っているなら、農家の人の気持ちも十分体してということであるならば、この春闘の相場八・八というものもあるんだということも一応念頭に置いて、理解を持ってひとつ今度の米価問題に当たっていただくと。ただし私は、逆ざやの問題についてはこれはきちんとしていかなきゃいかぬと思っておりますが、ただ大臣に金だけ出してくれ出してくれというわけじゃなくて、それなりの客観情勢、いろんな経済情勢を理解していただいてこれからの最終折衝に当たっていただけるかどうか、ちょっとそれだけ伺えば結構でございます。
○国務大臣(大平正芳君) 米価というのは物の価格でございます。春闘というのは賃金でございますから、これを一緒に比較することは無理なんでございますが、米価の形成に当たりまして労賃をどのように見たかということにつきましては、政府が農家に十分な理解が得られるような解明が必要であることは当然であると思うんでございますし、また政府はそうするであろうと私は確信いたします。ただ、物の価格でございますから、その他の生産要素の変動もございましょうし、生産性をどう見るかという問題もございましょうし、そういった問題について政府の見るところが公正なものであって、農民の理解が得られるものでないと、日本の農業政策というのは成り立たぬわけでございますから、そのように持っていかなければならぬと、そういうために私どもも努力をしてまいらなければならぬと決意をいたしております。
○戸塚進也君 食管の問題については私どもも非常に食管会計に関心を持っております。もちろん、いまのような形でどんどん赤字がふえていくことがいいとは決して思わないし、これは消費者の方々には非常に私は恨まれても、やはり米は米なりに、ありがたいと、それなりのとうといものだと考えて適切な価格で買っていただくことが正しいと思っております。しかし問題は、そういうことで逆ざやというのがだんだん解消された場合に、いわゆるいままで当然赤字で、このままでいけば赤字だったというような分について、少しなりともゆとりが出てくる。問題はそのゆとりをどういうふうに使うかということでございまして、この点が私先ほど冒頭に申し上げた愛情のある、人間性のある財政というところで、これは大事なことは、この逆ざやを解消していった分については、たとえば農業基盤の整備、いまは米が余っているとかなんとか言っておりますけれども、実際は世界的には食糧危機でございますから、そういう面を考えたら、これから農業をやっていく若い人もいませんです、この五十一年度の当初予算でわずかですが担い手対策というのをいただきました。その担い手対策で、わずかの金でもどれだけ全国の若い後継者があのお金で喜んでいるかということを考えてみますと、逆ざや解消分については、農業基盤の整備とか、特に若い後継者が自信と誇りを持って農業をやっていけるんだと、食糧政策の推進に回すんだというような、そういう気持ちを大蔵大臣が持ってやっていただくと非常にありがたいんだがと私は期待しているんでございますが、大臣、その点は意見が違いますでしょうか、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私ばかりじゃございませんで歴代の大蔵大臣もそうでございまするし、歴代の自民党政府もそうでございますし、またもっと大きく言えば明治以後のわが国の政府の農業政策というようなもの、いろいろ批判がござい
 ますけれども、いまあなたが言われたように、日本の農業の特性を踏まえた助成政策をずっと路襲してきたと思うのであります。そして高い生産性を築いてきたとも思います。また、最近の様子をずっと見ておりましても、どの職域に比べましても農業の所得が相対的に低いという統計は私は見ていないつもりでございます。でございますので、いろいろな批判がございますけれども、農業を軽視しておるというようなそしりは私は返上しなければならぬと思っておるのであります。私ども、常に経済の基本でございまする農業あるいは食糧の問題につきまして気をつけなければならぬことはもとよりでございますけれども、この生産と生産にあずかっておりまする農民というものについて常に温かいヒューマニズムを持たずして政治ができるはずはない。いままでもやってまいりましたし、今後もこれを持ち続けていかなければならぬことは仰せのとおりであると私は考えております。
○戸塚進也君 酒とたばこの税の値上げ後の様子について伺いたいのでございますが、時間がございませんので、たばこはこれ出していただきましたからこれでわかりました、結構でございます。
 お酒のことにつきましては、私が申し上げている認識に間違いがなければ間違いないということで結構でございますが、総体的に見て日本酒の売り上げがますますことしに入ってからもどんどん減っておると。ウイスキー、ビール等については比較的順調のようでございますが、日本酒については全く減退しておると。こういうような状況のように認識しておりますが、いかがですか、正しいですか。
○説明員(大槻章雄君) 消費ベースによります最近のデータがございませんので、製造場からの出荷ベースで本年一月−五月の累計の対前年同期比ということで見てみますと、清酒が八三・九%、ビールが八八・三%、ウイスキーが一〇八・三%、酒類全体では八九・一%ということになっておりまして、ウイスキーを除く酒類は前年同月よりかなり落ち込んでおるわけでございますが、この原因につきまして現時点で明確にするということはむずかしいことでございますが、一応考えられることといたしましては、御案内のように、昨年暮れに酒税法の一部改正案が成立して、本年一月十日から増税が実施されたために、十二月以前に仮需要が起きて、その反動として一月以降の課税実績が落ち込んだこと、また、昨年との対比という意味におきまして、前年同月比、五月の実績につきましては、御案内のように酒税法の改正の御審議をいただいておった時期でございまして、増税が当初、五月とかあるいは七月とか、こういうようなことで予定されておりましたことから、この間にもまた仮需要というものが見られたというようなことが、相働いているのではないかと考えるわけでございます。したがいまして、清酒の場合に実需要というのは、出荷ベースほど著しくは落ち込んでいないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○戸塚進也君 大蔵大臣、そこで、これから消費者米価等あるわけでございますが、酒造米がかなり値上がりになるわけです。現在のところでもなかなか乱売も激しい。また、いまここで、じゃ、酒造米が上がったからすぐ酒を値上げ――とてもそんなことはできないとなれば、やっぱり酒造業界がしょう――現在の体質では、もうそうなったら、小さい酒造業界はばたばたと倒れざるを得ないというような、非常な危機に瀕したような状態になっていると思います。やはり、長年国の税金の大事な部分を占めてきた酒税等の確保、健全な確保等については、やはり業界のことも相当考えていただかざるを得ない重大な時期に来ていると思います。これについてもかなり真剣に御配慮願いたいし、あるいは酒の小売の業界につきましても、最近やっぱり乱売的に、過当競争的に、大きなお店との間の問題とか、もう本当に弱小な弱小な、何とかか細く家族で一生懸命やっているという酒の小売店が、何か非常な将来に不安を持っているわけでございます。時間もございません。どうか、そういう酒に関する業界について、ひとつ何とか一生懸命やれば立ち行くというような配慮を今後十分していただきたい。そのことについて、大臣に一言だけお答えをいただけば結構でございます。いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 大蔵当局として、責任を持って対処いたします。
○戸塚進也君 力強い御答弁、ありがとうございました。
 それでは次に、ネズミ講の問題についてお尋ねをいたします。最近、東京都内、もちろん全国的にてありますが――と伺っておりますが、特に東京都内で、五十万円出せば、で、子を二人持てば、三千万、こういったような、これはジャンボ的なネズミ講が流行している、こういうふうに伺っておりますが、警察庁調べていらっしゃいますか。事実でありますか。
○説明員(柳館栄君) 御指摘のようなネズミ講が東京においても、たとえて申し上げますと、第一相互経済研究所というのが熊本にございますが、あれの支所がございますので、そういうことがあり得るだろうと思っております。
○戸塚進也君 警察庁としていかがでしょう。こういうことが、保証も何にもないんですね。しかも五十万、聞くところによると、もう自分が親で、子供の百万円も出してやって、名前だけかしてくれなんというようなエキサイトした方向に来ている、こういうことになってくると、これはもし、もしですよ、そのことに本当の庶民がなけなしの金をそんなものにはたいていったら、これは私は、いまのような日本のような法治国家のこうした国で、いろんな税制やら何やらきちんとしている国で、しかも賭博行為といったって、それは公営ギャンブルでなきゃすぐ罰せられるというような国において、こういうことがどんどんはやってくることは、どうですか、警察庁、好ましくないと思いませんか。
○説明員(柳館栄君) ただいま先生が御指摘になりましたように、私どもも、何ら生産性がない、あるいは労働意欲をほとんど阻害してしまう、結果として非常に大きな被害が一般庶民、大衆にまで及ぶということで、非常に好ましくないものだと考えております。
○戸塚進也君 では、警察庁、いまの現在の法令ではそれは刑事事件的にはなりませんか。
○説明員(柳館栄君) 現在の法令でやるといたしますと、刑法における詐欺罪というのが一つ考えられます。
 それからもう一つは、出資法の二条というのがございまして、「預り金」に該当すれば、それによって取り締まりをすることができる、こういうことになっております。したがいまして、先般も沖繩におきましてネズミ講が続出したんでございますけれども、これにつきましては詐欺罪が適用可能であるということと、それから出資法の二条の適用も可能であるということで、検挙いたしました。しかしながら、それはたまたまそういうひっかかるやり方をした結果そういうことになったのであって、先ほど申し上げました熊本の第一相互経済研究所のようなやり方をされますと、そのいずれにもひっかかってまいらない、こういうことでございます。
○戸塚進也君 大蔵当局にお伺いいたします。
 このネズミ講等については大蔵省のどこで所管をしていらっしゃいますか。
 それから二番目に、このようなことがあるということは大蔵省としてこれは税法上はどのような扱いにして税金を取るんですか。これは大体五十万元を出したら三千万もくる。まあ事実かどうかは知りませんが、仮にもしそれが事実としたら、二千九百五十万というものは一体どういう考えになるんですか。
 三番目には、こういうことが公然と行われることは警察庁も好ましくないと言っています。もし現状の法令で十分取り締まりができないなら、何らかの形で庶民のけがを防ぐように、何かのこの法令的な改正なりあるいは制度、新しい法律をつくるなり、考え方はいかがですか。三点伺います。
○説明員(後藤達太君) 私は、二点お答え申し上げたいと思います。
 一つは、所管の関係でございますが、警察庁が申されましたように、出資法の二条の関係は、大蔵省の銀行局が所管をすることになっております。そういう関係で、そういう面から私ども関係をしておると申しますか、所管をしておるものでございます。
 で、今後の制度の問題につきましては、ただいまもお話が出ておりますように、これは金融問題と申しますよりは、社会秩序の問題と申しますか、あるいは公序良俗の角度からの問題と申しますか、大変幅広い角度からの検討の問題であろうと思いますので、関係各省、いろいろなところが関係されると思いますが、そういうところとよく相談をしてまいることではないかと考えております。
○説明員(山橋敬一郎君) 税務上の取り扱いについてお答え申し上げます。
 いわゆるネズミ講に関します課税につきましては、二つの側面がございまして、講の主宰者の課税の問題と講への加入者、いわゆる会員でございますが、その課税の問題がございますが、その経営等の実態を見きわめながら、適正な処理を行っておるところでございます。講の主宰者につきましては、会社の場合、個人の場合、あるいは人格のない社団の場合というふうに三種類に区分できますけれども、個人の場合には所得税、事業所得の課税を行います。会社または人格のない社団の場合につきましては、法人税の課税ということに相なろうかと思います。
 講の加入者、いわゆる会員につきましては、法人の場合と個人の場合がございますけれども、加入者が他の加入者から現金を取得した場合には、その加入者が個人であるときは所得税の雑所得の課税ということになりますし、法人でありますときは法人税の課税を行うことになっておるわけでございます。結局、われわれといたしましては、その経営の実態等を見きわめながら、適正な処理を行っていきたいと思っております。
○戸塚進也君 警察庁、どうでしょう、いま大蔵省からも十分関係当局と打ち合わせして何らかの対策を講じたいというお話がありました。警察庁でも前向きにどうでしょう。
○説明員(柳館栄君) 私どもも、これは前向きに考えてまいりたいと考えております。それで、現在経済企画庁が中心になりまして、そのことの問題についての打ち合わせといいますか、そういったことも進めておりますので、積極的に進めてまいりたいと思っております。
○戸塚進也君 それでは、日銀券の発行のことについて、まあこれは大蔵大臣それから日銀に伺います。
 日銀さんに伺いたいのは、何か千円札が今度は色がまた変わったのが出てきたと、これは何かもう番号がいっぱいになり過ぎてどうにもならないんだと、こういうような状態のようでございます。ちょっとそのいきさつを簡単にお話し願いたい。
 もう一点は、すでにこの一万円券が、これはつい先月の例でございますけれども、五月末で八〇・五%ということで、八〇%を超えた一万円券が発行されておる、こういうことでございます。本来、八割を超えたとなれば、やはりその上の高額紙幣、よく言われております五万円券であるとか、そういうものの発行なり、あるいはまた巷間言われておりますデノミ問題等について真剣に考える時期にきているのではないだろうか。一部には、日銀さんの金庫もほかの支店へ行くともう札がいっぱいになってとてもいまの金庫じゃ入れないと、こんな話も聞いているわけでございますけれども、これは雑誌等に出ておりますが、そういうことも含めて、この際八割を超えたわけでございますから、この高額紙幣なり、あるいはデノミなり今後の通貨のあり方について真剣に考えるときが来ているのではないか、こう思うが、日銀はどうお考えか。
 大蔵大臣には、ひとつそういうことについて関心を持って指導をしていただけるか、できるならば、これについては、何か特別の審議会なり何かをつくって、これからの日本の国の通貨のあり方というものについて、まあ総選挙でも終わったら少なくともそういうことぐらいはやっていただくということが、経済秩序の意味からも、将来の国民生活の安定からも必要な時期に来ているんじゃないかと思いますが、この点についての大蔵大臣の所見を伺います。
○参考人(蔵原千秋君) 第一の千円札の件でございます。千円札は御承知のとおり昭和三十八年の十一月に発行されました。一般の国民の皆さん方の日常生活上一番よく利用されております札でございまして、したがいまして、銀行券の中でも最も需要が強いわけでございます。最近数ヵ年間をとってみますと、発行されるお札のうち、枚数にいたしまして約六割が千円札というふうな状況になってきております。このために、千円札の記番号というのは、アルファベットの二ないし三文字及び数字の六けた、これを組み合わせてつくっておるわけでございますが、発行以来十三年近くたちまして、これが一巡してまいりました。したがいまして、これを従来の黒い色から青色に刷り変えたというのが実情でございます。もちろんこの場合、新しい図柄にいたしまして、新しい形の千円券を発行するということによって対処することも可能でございましたわけでございますが、いまの千円札と申しますのは、国民の皆様方に大変親しんでいただいているわけでございまして、おなじみが深いものでございますし、また技術的に見ましても、かなり高度なものを持っております。そういう観点からいたしまして、記番号の色の変更ということにとどめまして、図柄の変更はいたさなかった次第でございます。
 それから第二点の一万円券でございますが、確かに仰せのようにただいま銀行券の発行高の中に占めまする一万円券のウェートというのは、八割を超すような状況になってきております。ただ、御指摘のように、それではいますぐここで、たとえば五万円券というふうな新しい高額券を発行するかどうかという問題につきましては、基本的にそれは国民が新しい券種に対してどういう需要、どれだけそれを求めているかといったようなこと、それから高額券を発行いたしますことが、一般にどういう心理的な影響を与えるかというふうな観点、そういったもろもろの観点から総合的に検討して、慎重に判断をしなければならない問題ではないかというふうに考えます。現在、国民の皆様方の生活上、一万円券以上の高額券がないとどうしても不便であるというふうな状況にあるとは私ども考えておりませんし、またこの際、高額券を出しますことが、インフレ心理を刺激することにもなりかねないというふうなことを考えあわせまして、当面新しい高額券の発行は、私どもといたしましては考えておらないわけでございます。
 なお、デノミの問題につきましては、私からお答えいたしますよりも、大蔵大臣がおいででございますし、大蔵省の方々もおいででございますので、そちらの方のお答えにお譲りさしていただきたいと思います。
  〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(大平正芳君) デノミネーションをやるべしという議論も確かに理解できないわけではございません。しかしこれは国民に対して影響というものは相当大きいわけでございますので、国民経済が安定いたしまして、物価がきわめて落ちついた状況でないと、無用の不安を与えるおそれがあると思うのでございます。したがって、現在はデノミネーションのことを考えるよりは、経済の安定、物価の安定ということに努力するのが当面われわれの任務でございまして、言いかえれば、デノミネーションができるような事態になるべく早く経済をもっていくことの方がわれわれの課題でないかと考えます。
○戸塚進也君 時間が来たので終わります。
○矢追秀彦君 初めに、きょうもしばしば出ておりましたが、サンフアン会議についてお伺いをしたいと思います。
 最初に、ランブイエ会議と比べてどのような違いがあったのか、ランブイエと比べてどれだけ前進が見られたのか、その点の評価についてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) まず、カナダがこの前は加わらなかったけれども、今度はカナダが加わったということ。それから第二に、ほとんど全部の、カナダ以外の方は全部この前のランブイエの会議に御出席になった方々ばかりでございます。したがって、親密の度を増しておったということが雰囲気の差であったと思います。
 それから客観的な状況の差は、不況のさなかにあったわけでございますが、今回は不況からの脱出の気配が濃厚になってまいりましたので、これからインフレのない発展をどうすればできるかというような点に問題の置き方が変わったというような点が印象的でございました。
○矢追秀彦君 いま言われたそのインフレなき経済成長の持続、これが今回の特長でありますが、これについては、各国間においてかなり認識の違い、そういう足並みの乱れがあったということを聞いておりますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのようにインフレ率が非常に違うわけでございまするし、また失業の状態も違うわけでございます。したがって節度のある経済政策、財政政策をやっていく場合におきまして、比較的やりやすい国と、失業状態をさらに悪化さすというようなことになることに対する配慮から、おのずからやるべき政策について若干かげんをしなければならぬ国とがあるわけでございますから、そういう足並みの違いは仰せのように確かになかったとは言えないと思います。
○矢追秀彦君 大蔵大臣は、新聞報道によりますと、「インフレなき完全雇用は理想だが、昔から、できたためしはないし、今も、できるはずがない」と、こういうふうに発言をされたと新聞に載っておりますが、これはどういう意味で言われたんですか。
○国務大臣(大平正芳君) それはどこの発言でございましたか――各国が第一次大戦後、フィスカルポリシーとしてケインズ政策がとられてまいったことは御承知のとおりでございます。ケインズ政策というのは一つは雇用政策でございまして、完全雇用を実現するにはどうしたらいいかということでございまして、それをやっていくためにいろいろ財政金融の政策をいろいろあんばいしてみたわけでございますが、どうしても程度の差ではありますけれども、インフレ的になったことは歴史の示しているところでございます。つまり歴史的事実といたしまして、インフレを完全に回避しながら、完全雇用を達成できた国はなかったわけでございます。恐らくこれは今後もむずかしいであろう。したがって問題は、どういう程度かという程度の問題になるのじゃないかというのが私の認識でございます。
○矢追秀彦君 そうすると、この共同宣言でも、処方せんとしてはいま大臣も言われた財政の健全化、あるいは節度ある財政金融政策をやらなければならぬということになっているわけですけれども、この会議を踏まえた上で、いま程度の問題だとおっしゃいましたけれども、じゃどれくらいのインフレ率といいますか、物価上昇率といいますか、程度で完全雇用が達成されるのが理想か、また完全雇用を達成させるためには、ここら辺まではしんぼうしなきゃいかぬと、その辺はいかがですか、どうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) われわれの議論の中で完全雇用ということはなかったのであります。各国がいま相当高い失業率を、失業状態を持っておるわけでございまして、できるだけそれをモダートなものにしなけりゃならぬということが当面の問題として取り上げられたわけでございまして、完全雇用状態を目標といたしましてこういう国際協力をしようじゃないかと、そういうことが議題になったわけではございません。
○矢追秀彦君 そうじゃなくて、日本として、やっぱりこれを目指していかなくちゃいかぬわけでしょう、失業者をなくすということ。私、完全雇用というのをちょっと誤解――誤解されてないと思いますけれども、超完全雇用、完全雇用、この二つ分けていいと思うんですよ。完全雇用というのは少しは、失業がある程度あってもいいわけですけれども、そういった点で、私は議題の問題ではなくて、日本として大臣のお話の中からどういう状態をじゃ目標に進めばいいかと、どの辺までならインフレなき完全雇用になるのか、そういうことです。
○国務大臣(大平正芳君) 私の趣味で申し上げるわけにいかないので、政府は御案内のように、八%というものを五十一年度の目標に掲げておるわけでございます。で、成長率は五・六%、そういうところを目安といたしまして経済の運営をやろうということでございます。そういうところでいますべての経済政策が運営されておるわけでございますから、もし政府はどう考えているかということをお尋ねいただけますならば、五十一年度に設定いたしました、そうしていままだ改定はしてないわけでございますから、そういうことを目標にしてやってまいるわけでございますとお答えせざるを得ないと思います。
○矢追秀彦君 いま政府のその五十一年度の目標、経済見通しの数字が出ましたので、これは後で聞こうと思っておったんですけれど、ついでだから聞きますけれども、いま数字はいじらないでいくならとおっしゃいましたけれども、これはやっぱり改定になる見込みはあるわけですか、というのは、かなり景気回復の数字ではわりあい予想以上のものが出ておりますね、現状いままでは。その点でやはり改定されるお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) まだ年度が改まりまして四、五、六と、一・四半期しか経過していないわけでございますので、一年間の目標を改定することを考えるには時期尚早だと、もう少し事態経過してみないといけない。例年の例によりますと、大体秋深くなりまして、一体ことし経済計画を変えるかどうか、補正予算が必要かどうかというようなことを見るのは秋深くなってからのことでございまして、ことしはまだ夏に入ったばかりでございますから、まだそれどころじゃございません。
○矢追秀彦君 次に、通貨についてお伺いをいたします。この通貨問題は、いろいろその次御質問をしたい貿易の問題とも絡みますけれども、円の相場の上昇が続いてきておるわけですけれども、これについていろいろ会議に入る前は、かなりいろいろ心配な面もいわれておりましたが、案外そうアメリカの方からも攻撃はなかったというふうな見方もありますけれども、この点について、大蔵大臣の感触をお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) けさほどもお答え申し上げましたように、この会議ではそういう日本に対しての批判は何もなかったわけでございます。通貨問題というのは、この前の会議で、そうしてそれに続くジャマイカ会議で大きな荒療治ができておりますので、今度は特に問題が、比較的なかったと思うのでありまして、国際収支の問題が若干、先ほど御報告申し上げたように若干出た程度でございます。日本の場合は、どちらから見ましても批判を受けるような状況ではなかったということはたびたび申し上げておるとおりでございます。
○矢追秀彦君 現在一ドル三百円を割りつつあるわけですけれども、大蔵大臣はどの辺までであれば大丈夫と思われますか。要するに現在御承知のように、輸出がどんどん伸びているわけですけれども、それによって円高基調が出てきた場合、どの辺までであれば心配ない、たとえば二百九十六円を割れば警戒しなきゃならぬとか、その辺の目安はどうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) いま為替はフロートいたしておりますので、市場でどういう値段が形成されますかわかりません。需給関係が主になりまして相場が立つわけでございます。で、私ども願いはどれだけであると危険ラインを超すとかなんとかいうようなことは考えていないのでして、できるだけ大きな乱高下がないように、比較的安定した姿において推移することが望ましいと考えるわけでございまして、非常に大きな相場の乱高下があるような場合には、残念ながら介入せざるを得ないと思いますけれども、そうでない限りは、市場に形成される相場によって為替取引が行われるということでよろしいのではないかと思っております。現に百五十四億ドル程度の外貨を持っておりまするし、変に応ずるだけの用意はいたしておるわけでございますので、為替政策慎重に対処してまいりますならば、憂える心配は当面ないと考えております。
○矢追秀彦君 現在輸出が好調で、まあ景気回復がなっておりますけるども、それも大体がアメリカに対する輸出が多くて、その中味は自動車と家電であるわけですね。そういうことで景気回復がされてきておりますけれども、その反面、輸出が伸びた割りには輸入の方の伸びは鈍いわけです。そういったことで、今度の会議でも、やはり日本に対して直接そういう、先ほど言われたような圧力というふうなものはなかったにせよ、やはりフォード大統領の発言を見ましても、日本政府と日銀は円の為替レートを故意に安く維持して輸出拡大を図っていると、そういうふうなこともありますし、結局、もう少し輸入をやれというふうなことも私はかなりアメリカには強い意思があると思うわけです。その場合、結局、いままでであれば輸出が伸びて、それが導火線になって在庫、それから次いで設備投資と、そういうようなことで投資がふえて内需が上がってきたわけですけれども、まだ現在は輸出の伸びでそこまでいくふうにはなっていないんじゃないか、こう思うわけですね。その反面、結局輸入もへたをすると、これはまたインフレになる可能性も出てまいりますし、その辺は非常にむずかしいと思うわけですけれども、輸入に対してかなり、アメリカがそうだと思いますが、日本に対するかなりの要望というのは、新聞等に伝えられておる以外に、大臣直接出られたわけですから何かございましたか。
 それからもう一つは、いま申し上げた輸入の面について、これから拡大をしなきゃならぬと思いますけれども、その場合に、輸出が伸びれば伸びるほど輸入もしなくちゃいかぬのですが、それに対する対応策として、国内でまだまだやらなきゃならぬことがいっぱいあると思いますね。輸入必ずしもやろうとしてもいろいろ、特に食糧品等については農業との関係もありますし、あるいは漁業との関係もありますし、その他繊維に見られるようなこととか、まあいろいろありますので、その辺の対応策をきちんとしてからやらないと大変なことになるわけですけれども、この輸入の問題ですが、アメリカ側の意向と、それからそれに対する対応策、この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げておりますように、アメリカ側からのそんなお話は全然ないわけです。一部の新聞にそういうことを伝えておりますけれども、全然私は理解に苦しむわけです。何でそんな記事が出たのか全く理解に苦しみます。もし事実あったとすれば、隠す必要は別にないのでございますので、全然ないことでございますので、何ともお答えはないわけです。アメリカだって去年は百二十億ドルの黒字を記録したわけでございますが、ことしは赤字の状況でございまして、日本は一昨年は四十数億経常収支で赤字で、去年も七億ばかり赤字でございまして、ことしに入ってようやく経常収支が三億ドルほど黒字を記録したというところでございます。けれども、あなたがおっしゃるように、経済が拡大してまいりますと輸入がふえていくことを考えておかなければいけませんので、これとてもいつ赤字に転ずるかわからぬという状況でございますから、日本は長期にわたって黒字をエンジョイしておる国でないのですから、どこからそんなこと言われる筋合いのものがあるんでしょうか。荒唐無稽なことを、記事に出たらすぐそれで得たり賢しと大きな活字に載せて日本の名誉に私はならぬと思うんですけれどもね、また、国会や政府がそんな記事に驚いておったのではこれは話にならぬと思いますので、お互いにそんなことに対しては気をつけていきたいと思います。
 それから、輸入はしかし、いままでのところ落ちついております。月に四十二、三億ドルのところのオーダーで、若干微増の傾向にありますけれども、なかなか予想するようにはふえておりません。しかし、いつふえるかもわからないということは先ほど申しましたとおりでございます。しかし、これが将来どういう推移をたどりますか、いまの段階でことしの輸入について確たる予想を立てるというようなことは私はとてもできる相談ではないと思うのであります。ただ、先ほど申しましたように、若干の赤字が仮に出たとしても、日本の為替のポジションというものには支障を来さないだけの用意は日本としてはしておるということで御安心いただきたいと思います。経済の運営に支障のないようにはしていきたいと、またそれはやっていけるのではないかと考えております。
○矢追秀彦君 通貨の問題にまた返りますけれども、前の国会の最後にも私ちょっと質問しましたSDRの問題ですけれども、この体制への移行については余り議題の中には出てこなかったわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 全然出ますんでした。
○矢追秀彦君 それから次に、この一九七七年までの新国際ラウンドを設定する。これについてお伺いをいたしますけれども、けさも少しお話をされておりましたが、これに対するわが国の対応策、これはどのように大臣お考えになりますか。もちろん日本の場合はあくまでも自由貿易ということを貫いていかなければならぬ立場だと思いますけれども、アメリカのどうも考え方といいますか、まあフォード大統領のいろんな言葉から推測するんですけれども、もちろんアメリカも、自由貿易を言いながらも、その裏ではやはりそれを守るためにある程度の輸入制限等をやっていくとか、何らかの、何といいますか、対策、方策を考えているような気がしてならぬわけです。その場合、日本のような貿易立国のような場合はマイナスになってくるわけですから、やはり対応策としては相当練っていかないとならぬと思うのですけれども、その点について、この新国際ラウンドに対する特にアメリカの考え方、その裏に輸入制限とか、そういうようなものをにおわせるようなものはあったのかどうか。それと、わが国の対応策、この二つをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカは、一番大胆に貿易政策を保護主義的に傾斜しないように、自由な拡大に持っていこうと、それから関税水準をできるだけ思い切って下げていこうということで、非常に大胆な方針を持っておるようにうかがえます。その点につきましてはむしろEC、もう一つの有力交渉者であるEC側はやや保守的であるように思います。わが国の場合は何としても、貿易国でございまするし、できるだけガットの精神に沿って自由な拡大を図ると、保護主義的に傾斜しないような方向で、しかも、関税率から申しましてもできるだけ低い方向で妥結を見るような努力をしていくべきであると思うのでありますが、これは問題はギブ・アンド・テークでございまして、今度交渉になりますと、非常に厄介な交渉になると思うわけでございますけれども、この交渉は、先ほどもお答え申し上げましたように、一九七七年、来年の末までには何としても終えなけりゃならぬと、いま停とんしがちでございますけれども、首脳会議で申し合わせまして、ひとつ来年の終わりまでにはぜひとも完成しようじゃないかということで、ジュネーブの交渉にハッパをかけろということにいたしたわけでございます。これはなるほどこれからなかなか難航するだろうと思いますけれども、アメリカの政策は、お尋ねでございますが、一番開放的な方向にいっておるように私は印象を受けました。
○矢追秀彦君 次に、南北問題についてお伺いをいたしますが、いわゆるキッシンジャー長官の国際資源銀行構想というのが敗れて、そして共通基金の問題が出てきている、ナイロビでもそういうようなことになったと、この間のサンファンで三木総理が対案を出すべきだというお話をされたと、実際これが果たしてアメリカの思惑と、それからいわゆる発展途上国の主張、そして日本が対案を出す、まあ日本が調停役を買って出ようとされておると思うのですがね、三木総理は。果たしてこういうことが日本の立場でできるのかどうか、その辺の見通しはどう思われますか。
○国務大臣(大平正芳君) UNCTADの第四回の会合の一つの成果は、この南北問題は対決によっては片づかぬものであると、やっぱり南北は、いろんな議論はあるけれども、結局は協力しないといけないんだということが確認されたことだと思うんです。しかしながら、具体的にそれじゃ第一次産品問題とか、主たる問題になりました累積債務の問題等がそこできちんと片づいたわけではなくて、これからその協調の精神で検討を始めようということになって、来年の三月までに第一次産品問題につきましてはひとつ相談を始めようということを合意されておるのがいまの段階でございます。今度の首脳会議におきまして、この相談につきましては皆お互いに国際協力の精神で協力し合おうじゃないかと、ただし、プライスメカニズムと申しますか、市場機構と申しますか、そういうものを壊すというようなことにはならぬようにしようじゃないかということを気をつけながらやろうじゃないかというように合意を見たわけでございます。具体的にどういう国に対してとか、あるいはどういう、すずならすず、ゴムならゴム、ココアならココアについてこうするああするというようなことではなくて、そういう相談をともかく来年の三月までに始めることにUNCTADの会議で決まっておる。その相談を促進しようじゃないかと、その促進するに当たりましては、市場のメカニズムは壊さぬようにみんなで気をつけようじゃないかという、いわばコンセンサスができたというのが今度の私は首脳会議の成果であろうと思っております。したがって、一つの案が出されて、それに対して対案を出すとか、助け舟を出すとかいうようなところへいっているわけじゃ決してまだないわけでございます。
○矢追秀彦君 そうすると、いま私の申し上げた、じゃ、総理の発言というのは、これはどういうことになるんですか。代案を検討する段階にきていると、そういう発言はなかったんですか。
○国務大臣(大平正芳君) キッシンジャーの提案の世界資源銀行案はわずかの差で敗れたわけですね。二、三票の差で敗れたことでございます。で、ございますから、お互いの中にいま案があるわけじゃないわけです。で、来年の三月までには皆寄ってひとつどうするか相談しようじゃないかということになっているだけでございますので、それに対していままでいろいろな案が出たと、けれども、日の目を見なかった。したがって、来年の三月までにはそれぞれの国がそれぞれ案を持って行かなけりゃこれは話にならぬわけでございまして、日本としてもやっぱり方々でアクセプタブルな案を考えて持っていかなければなるまいというお気持ちで三木さんはおられると私は思います。
○矢追秀彦君 一次産品の共通基金についてはアメリカ、西ドイツは反対、フランスは賛成という意向と聞いておるわけですけれども、日本はどちらの立場でいかれるつもりですか。やはり共通基金が本命と考えてますか。
○国務大臣(大平正芳君) 共通基金の構想については、先ほど申しましたように市場機構を損ねるというような意味で日本は必ずしも賛成をしていないわけです。
○矢追秀彦君 それでは次に、時間もありませんので、ちょっと景気の問題についてお伺いしたいんですけども、先ほどもちょっと触れましたが、景気回復がかなり順調にきておる。しかし輸出のために伸びたんであって、まだまだ企業間の格差もひどいわけでありますし、手放しでは喜べない状況だと思います。特にこれから電力の値上げを初めとした公共料金等が上がってまいった場合、いまこの伸びかけておる景気の上昇がまた水をさされることになりはしないかと、こう考えるわけです。そういうふうな中で今後の財政運営についてでありますけれども、補正予算は一応組まないという方針と伺っておりますが、それは事実ですか。
○国務大臣(大平正芳君) できたら組みたくないと考えております。
○矢追秀彦君 どういう要素ができれば組まなきゃならないけれども、それ以外であれば少々のことでは組まないと、いままでは大体食管と、それからベースアップと、それから災害です。この三つが大体基本で、補正予算が組まれてきたわけでありますが、今回はということは、食管についても、ベースアップについてもいまの総予算の中でいけると、災害さえなければ組まないと、こういう考えと見てよろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) ともかく財源が、今度組むとなれば、特例公債を追加発行することをお願いしなけりゃならぬようなことにはしたくないんです。国会でもお約束をいたしましたように、五十一年度はもうこんなことをお願いするつもりはありませんということを私も両院でお約束しましたしね。だから、これはもういよいよ背水の陣をしいているわけでして、とても赤字公債をふやすようなことをやっちゃいかぬ。何といっても、これ少なくともその線は守らなけりゃならぬと思っております。したがって、この当初予算で何とかこれ切り盛りしたいものだと、またできないはずはないじゃないかということでございます。
○矢追秀彦君 税収の面では、いままでの税収では予想したよりも多かったとお考えですか。したがって、そのために、いまの状況であれば、いま大臣言われたような特例公債を出さなくてもよいということになるのかどうか。その辺の見通しはいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 五十一年度の税収でございますが、五月末現在、二兆九百七十五億円入っております。予算が十五兆五千百九十億でございますから進捗割合、言うところの進捗割合一三・五%でございます。前年同期の対決算進捗割合が三・八でございますから〇・三ポイント下回っております。だから、いままでのところおおむね予算どおりに推移しておる。しかし何分にも、これ滑り出したばかりでございますので、一年間を通していま確たる見通しを申し上げられる段階ではございません。ただ景気の回復に伴いまして法人収益力というのは増大するだろうと思いますけれども、これは相当もう見積もってございまするので、さらにそれよりふえるかどうか。それから経済の動きと税収の間には御承知のように相当タイムラグがございますので、今年度の税収としては多くを期待できるものではございません。
 もう一つここで考えておかなきゃいかぬのは、昨年度の税収で源泉所得税は補正後の予算額に比しまして二千三百五十億円落ち込んでおります。だから、この補正後の予算額をベースにしてことしの源泉所得税の税収見積もりを立てておりますので、今年度の春闘相場も見込みを下回ったような状況でございますから、源泉所得税の面ではとても楽観ができない状況でございます。法人税収にある程度の期待は持てるけれども、源泉徴収では楽観を許さないというのがいまの見通しでございますので、いずれにせよ確たる見通しを現在の段階で立てることはできないけれども、まずまず予算で見積もった税収見積もりというものを確保できるかできないか、そのあたりがいま一応われわれが考えておる、そこらあたり確保できるんではなかろうかという、そんな感じをいたしておるというのがいまの心境でございます。
○矢追秀彦君 まあ組まなければそれにこしたことはないんですけれども、もし、いま組まなきゃならぬ、税収の伸びが予算で決めたとおりいかない場合、先ほど言われた赤字国債をふやす方向での、ふやすということを主体とした補正予算なのか、あるいは減額補正という形で歳出を切り詰めるという形をおとりになるのか、どちらですか。
○国務大臣(大平正芳君) しかし、ここで申し上げたいことは、いずれにいたしましても、その特例債を増発をお願いするような補正はともかく考えていないと、少なくともそれだけのことを、それはもうかたく避けたいというのが私の決心でございます。
○矢追秀彦君 もう時間ですから、最後に、輸銀の総裁お見えですから、ちょっとお伺いしたいんですけれども、六月三十日のサンケイ新聞の朝刊にトップ記事で「全日空、輸銀幹部を供応」と、こういう記事が出ておりますが、この点については、輸銀としてはこれはどうなんですか。
○参考人(澄田智君) あの記事を拝見いたしまして、覚えのないことではございましたが、なお私を含めます役員及び職員につきまして四十七年から調査をいたしておりまして、あの記事に該当するような事実は全くございません。
○矢追秀彦君 で、輸銀の幹部が、いままで輸銀法とこのロッキードとの関係は再三委員会でも議論されてきたわけでありますけれども、捜査当局に事情聴取等で呼ばれたり、あるいはそういうふうな方は輸銀の中に現在まではあるのかどうか、その点いかがですか。
○参考人(澄田智君) そういうことはいままでのところございません。
○近藤忠孝君 大臣、サンファン会議へせっかく御出席ですので、私も冒頭に若干この問題について質問したいと思います。
 先ほど来、外国から日本が名指しで批判や非難がされていないと、こういう答弁でありました。しかし共同宣言によりますと、こういう言葉ありますね。「貿易に重大なかく乱をもたらし、保護主義の復活に通ずるような意図的な為替レート政策を避けることも重要である。」と、こういう条項があります。これは暗に日本を指しているというような節はないんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 日本の為替政策は、そういう表現とはおよそもう縁のないものです。
○近藤忠孝君 実際に貿易の面見てみますと、これは御承知のとおり、本年に入って輸出は伸びております。二月が八%増、三月、一八・八%増、五月になりますと、これはもう例年とは全く逆に二一・七%増という、こういう状況なわけですが、逆にアメリカの対日貿易はずうっと赤字である。そして一方、円ドル相場が三月から五月とほぼこれは二百九十九円台を維持しているわけですね。そういたしますと、これ実勢から見ると、もっと円高になってしかるべきじゃないか、それが二百九十九円であるというのは、やはり指摘されているような日銀の市場介入があったか、またそれがあることを意味しているんじゃないか、こういった見方もあるんですが、この点いかがですか。
○説明員(藤岡眞佐夫君) まず数字の点を申し上げたいと思いますが、昨年十一月のランブイエの首脳会議から今日、先般の首脳会議までの七月二日までをとってみますと、ドルに対しまして円は一・七四%上がっております。これについてマルクは〇・二三%上がっております。ほかの通貨は、フランスフランは七%の減、ポンドは一四%の減、イタリアじゃ二三%の減ということでございまして、円が決して対ドル安くなったということは事実に即して違うわけでございます。なお、日本の為替市場の運営は市場の実勢に任せて、乱高下があった場合に介入するという方針で従来からきておりますが、ことしの一月から四月ぐらいの間におきまして欧州の通貨不安を反映して若干短資の流入がございました。そういうときには介入したわけでございますが、これまたランブイエで合意しましたような為替相場の乱高下を防ぐという申し合わせに沿ったものでございます。
○近藤忠孝君 しかし、いずれにしましてもドル安円高でありますし、また今後もこれはこういう状況で推移するということは明らかだと思いますね。そうなりますと、やっぱり輸出にブレーキがかかることはあると思います。今日の景気回復についてはいままでの輸出によるところが大きかったわけですが、しかし、実際いよいよ輸出によって中小企業段階にその影響が出てくる、そういう状況になったときに、そこで輸出にブレーキがかかりますと、実際その影響は大きいわけですね。現に私も昨日確認してみたのですが、全国中小貿易企業連盟の専務から話を聞きましたが、実際輸出見込みは全体として明るい面がないし減少するというふうに見ておりますね。そうなりますと、この段階で特に中小企業の輸出産業に対して一定のこれは対策を持って臨む必要があるのじゃないか、こういうぐあいに考えますが、どのように対処するお考えでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) わが国の輸出、わが国の貿易政策でございますが、特にいま輸出にドライブをかけたり輸入を特にチェックしたりするようなことのないように心がけにやならぬことで運営いたしておるわけでございます。もし輸出にドライブをかける、あるいは輸出に助成をするとか、あるいは輸出を促すために為替を細工するとかいうようなことをやりますと、確かにこれは先ほど近藤さんが前半に言われたようなことになりまして、諸外国から指弾を受けても文句は言いようがないわけでございます。日本としてはそんなことをやる気持ちは毛頭ないわけでございます。したがって、問題は中小企業対策でございますが、こういう貿易政策、為替政策の中におきまして、中小企業の経営をどのようにして安定さしてまいるか、厳しい輸出環境に対しましてどのように対応力を養うかということが問題でございまして、そういう点につきまして、大蔵当局といたしましても考えなければならぬことにつきましては十分考えてまいるつもりでございます。政府といたしましても、中小企業庁を中心にいろいろ考えておることでございますので、もし具体的な御提示が、御提案がございますならばお申し出をいただきたいと思うのであります。
○近藤忠孝君 きょうは時間がありませんので、この問題については今後具体的に提起していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そこで次に、輸銀法の問題について質問したいと思うのですが、四十七年十一月の輸銀法の改正について、いままで多くの疑惑が集中して、これは衆参両院でずいぶん質問ありました。で、大蔵大臣といたしましても、これは疑惑がないという観点からずいぶん同じようなことを答えてまいったわけですね。まとめてみますと、疑惑がないという理由として、これはアメリカの金融にいままで頼っておったのを、これを国内の金融に切りかえただけなのだということが第一だと思います。それから二番目に、したがって、アメリカが金融をしなくなったために航空会社が輸入できなくなった、そのために輸銀法の改正をして航空機の輸入金融の道を開いたのではないという、これがもう一つの問題で、三番目に、したがって、アメリカからは引き続き金融を受けることは可能だと、こういった点を盛んに強調されてきたと思います。だから疑惑がない、こういったことだと思いますが、現在の段階でもそのとおり間違いないかどうか、これらの点について現在の段階で訂正するところはないかどうか、この点について御答弁いただきたいと思います。
○説明員(後藤達太君) 四十七年の輸銀法の改正経緯につきましては、従来から御説明申し上げておりますとおり、現在の段階で訂正する点はないと思います。
○近藤忠孝君 そういたしますと、もしアメリカの輸銀が航空機について融資しないという事情がその当時発生しておったとなれば、当然日本の航空機会社困るわけですね、航空会社困ります。そこで困った日本の航空会社のために便宜を図る目的の輸銀法改正であったという疑惑が出てしかるべきだと思うのです。そういうぐあいに見てよろしいでしょうか、これは論理の問題です。
○説明員(後藤達太君) 私どもは、先ほど先生も御指摘のございましたように、当時の外貨事情の黒字累積という角度から、これに対する対応策としていろいろ考えた中の一環でございます。特に航空会社のためにとか、そういうことが動機であったわけではございません。
○近藤忠孝君 ですから、要するに純粋にドルの対策の問題だけだったと、こういうぐあいになりますから、もしそうでないという事情が、いままでの大蔵省の答弁とはうらはらに、あったとすれば、一挙に疑惑が高まってまいりますね。そのことをこれからお聞きしたいと思います。
 いまの答弁のとおり、日本で黒字がたまったので、アメリカの輸銀と同じ条件で日本のドルを使うのだと、こういうことで対策を立てたというわけですね。それで、このことは日本の側から言い出したことですか、要するに余っているドルを使うというのは。それともアメリカ側から言われてきたことでしょうか、どちらでしょうか。
○説明員(後藤達太君) どちらが口火を切ったというようなことではなかったかと私記憶いたしております。つまり、日本のサイドといたしましては、日本の外貨事情の問題、これに対する対策を考えなければいけないということであります。当時また米国側では、米国の国際収支の問題があったように記憶いたしております。したがいまして、そういう過程から、私どもの政策の一環として考えが出てきたものであると思います。
○近藤忠孝君 いまの答弁よくわからないんですが、しかしニュアンスとすると、日本側から言い出したニュアンスが強いですね。もっともあなたは最近銀行局長になったばかりだからよくわからないのかもしれませんが――そこでどうですか輸銀の総裁、いまの点はどうですか。
○参考人(澄田智君) 私も、その当時の、アメリカからの緊急輸入、対米黒字対策としての緊急輸入が決まりますときには輸銀におりませんでした。そういうようなこともございますし、大蔵省はやめておりましたし、直接お答えする立場ではございませんが、当時は、この黒字問題が最大の問題でございます。特に対米黒字は大きな問題でございます。そういうことで、アメリカ側との最高首脳同士の会談、あるいはさらに事務的なレベルの会談において、日本側はアメリカから、黒字を減らす対策として緊急輸入をする、こういうことを提案し、アメリカ側としても、それは非常に結構なことだと言って歓迎をして両者一致をしたと、こういうような会談のコミュニケ等にはなっているかと思います。これは、私はなはだその点記憶だけでお答えしております。
○近藤忠孝君 今度は一致説が出てきましたけれども、どうもお二人ともはっきりしないようですね。そこで、この点についてはいままですでに大蔵大臣答弁されておるんですよ。恐らく原稿を見て答弁したんだと思いますが、五月十三日の大塚委員の質問に対してこう答えています。「当時の、外貨がたまってきたのを、これを活用するということの方便として政府が考えたことでございまして、」政府というのは、この場合には日本政府という意味だから、日本から言い出したということでしょうね。「考えたことでございまして、航空機の輸入の促進とかいうようなことではないので、」「航空機はそういうことによらなくてもアメリカの融資で必要にして十分な資金は得られて」いる。「またアメリカがそれを断ったんであればまだしも」「アメリカはいままでどおりまた融資してようございますという態度であった」。ですから、いままでの答弁から見ますと、これは日本の政府から言い出したことになるわけですね。大分局長の答弁は違ってきましたけれども、どうです大平さん、思い出しましたかこの辺の状況。これは何度も何度も大平さん答えているんですが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は自分で答えたとおりと思っております。
○近藤忠孝君 そこで、これは六月二十三日の衆議院のロッキード特別委員会において前運輸事務次官であった内村信行氏が証人に出てまいりましてこういう証言をしておるんです。「日本にドルが多くなりアメリカはドルが少なくなるということで、そのEXIM」これはアメリカ輸銀ですね。「EXIM借款を切ろうという動きが大分前からございました。」と、こう証言をしております。こういった事実はあったでしょうか。これは局長でも輸銀総裁でも結構です。
○参考人(澄田智君) 先ほど申し上げましたように、私の記憶――そのときその局にございませんでしたが、記憶だけで申し上げますと、輸入を促進するために方法はいろいろと議論をされておったかと存じます。
○説明員(後藤達太君) 私どもの調べましたところでは、当時そういう事情があったとは聞いておりません。アメリカ側にそういう事情があったとは聞いておりません。
○近藤忠孝君 昨日私は内村氏に会って直接確認してまいりましたが、もうすでにこのEXIM借款を切ろうと、こういう動きはこれは四十五年のころからあったわけです。そして四十六年のドルショック以後これが強く言われてきたと、こう言われておりますけれども、その点は御存じないですか。
○説明員(後藤達太君) そういう事情は私ども存じておりません。
○近藤忠孝君 この場合の問題は航空機に関してであるということ。というのは、内村氏は航空関係ですから、当時航空局長ですからそれ以外のことは頭にないのです。この内村氏にさらに聞いてみますと、そのEXIM借款を打ち切れと言ったのはアメリカの政府だと。アメリカの輸銀とアメリカ政府ありますが、輸銀じゃなくてアメリカ政府だと言うのですね。いま次官やめたわけですが、昨日は運輸省の事務次官応接室でちゃんと職員の立ち会いで会ってまいりましたから、これは運輸省の見解だと思うんです。そういたしますと、アメリカでは、いままで融資までつけて輸出をしておった航空機ですね。これは日本の航空会社は買いますね、今度はアメリカの航空会社と競争するわけです。そうすると、融資までつけてそんなに売る必要ないじゃないか、だから、もうこのEXIM借款は打ち切ろうという、こういう動きが底流としてあったわけです。そこヘドルショックですから、これはもう当然打ち切れと、こういう意見が強くなったのは当然ですね。ですから、これはいままでの大蔵省の答弁とは逆に、アメリカ輸銀の融資は受けられない可能性が現実に出ておったと、こういった事実があったんじゃないでしょうか。
○説明員(後藤達太君) アメリカ側でどういう考え方をしておりましたか私よく存じませんけれども、しかし、こういう問題につきましては、先生のおっしゃいましたような角度の意見もあり得ることだと思いますし、また、一方ではそういうこともして輸出を伸ばそうという意見もあり得たことではなかろうかと存じます。私どもはそういうアメリカ側の議論がどういうことであったかということを承知をいたしておりません。
○近藤忠孝君 知らないというのは後藤現銀行局長が知らないのか、いままでの歴代銀行局長が知らないのか、どちらですか。
○説明員(後藤達太君) 私、個人的と申しますよりは、銀行局の中で調べました結果でお答え申し上げておるわけでございます。
○近藤忠孝君 片や運輸省の当時の航空局長は、これはアメリカの政府が言っておったということですね。そのことを日本の大蔵省が知らぬというのはこれはおかしいと思うんですが、絶対そういうことはなかったですか。
○説明員(後藤達太君) ございませんでした。
○近藤忠孝君 それは調べることにして、一応答弁を聞いておきますけれども、少なくとも運輸省も日本の政府ですからね、その側から見ますと、アメリカの輸銀の融資を受けられない可能性が出てきたということを知った日本の航空会社、これは全日空だけじゃなくて日航もあったと思いますが、これらの航空会社が不安になってきたと思うんですね。間もなく四十九年のエアバス導入――四十八年から買わなきゃいかぬですから、そこで、不安になってきて、アメリカ輸銀にかわる資金手当ての要請をすることになった。そしてやはり運輸省に働きかけたんでしょう。こういった事情は本当に全然ないんでしょうか。
○説明員(後藤達太君) 航空会社の方からいろいろな方法で私どもに働きをかけられたという事実は聞いておりません。
○近藤忠孝君 しかし、運輸省にそういう話があり、かつ、運輸省がそういった立場からやはり一定の動きをしたと、これは否定できないでしょう。
○説明員(後藤達太君) 当時、その国際収支に対する対策の問題につきましては各省一緒に幅広く御相談をしておったところでございます、政府部内におきまして。したがいまして、あるいは運輸省からそういうお話があった――お話と申しますか、対策の一つの御提案としてそういうことがあったことはあったのかも存じませんけれども、しかし、航空会社のためとか、そういう角度からのお話があったとは私ども伺っておりません。
○近藤忠孝君 いまの、具体的に、たとえば、どことどこの航空会社のためということはないにしましても、しかし、アメリカの輸銀が使えなくなるから日本としても考えてくれと、こういった要請があったという、そういった可能性は否定できないでしょう。どうですか。
○説明員(後藤達太君) 当時、円対策ということでいろいろ御相談をしておりまして、その中で輸銀の融資につきまして輸入投資金融ということを重視していこうと、こういう御相談をしておったわけでございます。そして、したがいまして、具体的にそこで直ちにこのエアバスの話とか、そういう話があったことではないと、こういうふうに承知をいたしております。
○近藤忠孝君 しかし、内村さんは明らかに航空機問題の、輸入ということを頭に置いて考えていらっしゃった。現に、これは同じく六月二十三日の証言として――証人としてしゃべっておりますけれども、EXIMが切られた場合にも、国内金融でも外貨貸しでも何でも結構ですから、ともかく、融資条件が前と同じように、というのは、これはアメリカの輸銀と同じようにしていただきたいと、こういうぐあいな要請をしたと、こう言っておるんです。ですから、それは私はずうっと述べてきた、もうアメリカ側の事情で、アメリカ輸銀が切られるという、そういう状況を背景にしての行動だと。これは間違いないと思います。
 そこで、そうなりますと、いままで大蔵省が一貫して説明してきた、全く国内の事情であって、アメリカ側の方は依然として貸すと言っておった、だから疑惑がないんだと、この説は崩れてくるんですよ。大蔵大臣ちょっとお疲れのようですけれども、しかしここのところは大平さんも何度も何度も繰り返し、アメリカ側からの輸入は、もう融資は可能だという、それを単に日本のドルの事情のためにこれを切りかえただけなんだから疑惑がないと言う。この一番のところはですね、いまの話でずっと根本的に崩れていくんです。この点どうお考えになりますか。
○参考人(澄田智君) 大臣のお答えの前にちょっと私から申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、当時私は、初めの方は部外者でございましたが、その後の関係から私が承知をいたしておりますところでは、アメリカの財務省は、日本の黒字、アメリカの赤字を――対日赤字を減らすことは非常に重視をしておりまして、その意味においてどういう手段でそれをやるかというようなことは、アメリカの財務省は財務省として検討をいたしておったと思います。ただし、財務省なり、アメリカの政府なりから、日本側に対してアメリカの輸銀の融資を打ち切るということを公式にも非公式にも通告してきたことは一度もなかったと思います。
 さらにアメリカの輸銀は、日本は優良債権者――優良な貸し手であるものですから、日本の航空会社に対する融資を非常に希望をしておりました。米輸銀は非常に積極的でございました。そういうふうにアメリカ側の内部と申しますか、政府と輸銀あるいは財務省の一部と輸銀というようなところにいろいろ食い違い等がございました。で、ただ、たとえばヨーロッパのドイツのルフトハンザ等は、もっと前の段階で米輸銀から借りるということをやめまして、これはドイツの金融に切りかえておったというようなこともございまして、日本側においても、先ほどお話のありますように、運輸省その他で将来米輸銀の融資ということが中止になる、そういう可能性はあるというようなことを検討をしておったということはあるかと存じます。
○近藤忠孝君 いまの総裁の答弁ですと、アメリカの輸銀の融資が打ち切られる可能性があるということは、これはもう明らかだったわけですね、そうでしょう。そうですか、可能性の問題ですよ。
○参考人(澄田智君) ただそういう場合には、あくまでアメリカとしても、やはり航空機の輸出というアメリカの立場としても大きな問題でございますので、十分……
○近藤忠孝君 イエスかノーかでいいんですよ。
○参考人(澄田智君) 十分相手の政府と、相手側と打ち合わせの上ということに当然なると思います。
○近藤忠孝君 ですから、仮にいろんな条件、打ち合わせの上その他つきましても、しかしアメリカ側としては打ち切りたいと、また打ち切る可能性があると、こういった条件があったことは事実なんでしょう。それイエスかノーかで答えてください。
○参考人(澄田智君) 先ほど申しましたように、打ち切りたいということを公式にも非公式にも言ってきたことはございません。
○近藤忠孝君 公式、非公式はいいんだ、可能性だけでいい。
○参考人(澄田智君) 可能性としてはそれは考えられる、こういうことじゃないかと思います。
○近藤忠孝君 そういたしますと、これは大蔵大臣聞いてください。正式に打ち切りますと、正式の決定が出、かつ文書も来た場合ですね、あるいは文書が来なくても正式に通知があった場合、そうでなければ問題がないのかという問題、これはもう正式にそういう決定来ちゃったらもうおしまいなんですから。そして日本の方でそれにかわる融資条件がなければ日本の航空会社は輸入もできない。そして大体政治的なそういう問題の疑惑は、正式決定があった、あるいは法律ができてしまった、それから金持って回って動いたって遅いでしょう。そういう可能性があるところで動いている。この場合アメリカ輸銀から切られてしまってから、仮に航空会社が金持って動いて回った、あるいはロッキードが動いて回った、それじゃ実際遅いし、それじゃ成功しなかったと思うんです。その可能性の段階で動き始めたんです。だから疑惑があると言うんです。しかもこれは、いままでも大蔵大臣何度も答弁しておったですね、アメリカはいままでどおり融資をしてようございますと言っておったという、この大平さんの答弁は、いまの輸銀総裁の打ち切る可能性があったというこの答弁によって完全にひっくり返ったんです。いままでの大蔵省の答弁ですね、これは完全に訂正してもらわなければいかぬ。と同時に、冒頭に申し上げたとおり、やはりアメリカの方の打ち切りの可能性が出てきたんだから、やはり疑惑はこれは一挙に出てきた、こう見なければいかぬと思うのです。大臣の御見解をお聞きしたいし、また答弁を訂正するのであればどうぞ訂正してください。
○参考人(澄田智君) いまのその御質問の前提が私の発言、いまの答弁でございますので、もう一度繰り返させていただきますが、アメリカ側から打ち切られる、打ち切るということを打診というようなことも全然ございませんし、むしろアメリカの輸銀は貸す用意があると、こういうことを言い続けておったわけでございます。そういう段階でございますので、私が申し上げました可能性というのは、アメリカの財務省等の検討の一つの課題である、一つの問題であるという程度のことでございまして、それには私の申し上げたニュアンスが先ほどちょっと先生に誤解をされたかと思いましてつけ加えさしていただきます。
○近藤忠孝君 私はひとつも誤解しておりません。私は言ったでしょう、輸銀はそうでないんだと、アメリカの政府がこれは打ち切ろうと言っておったと、言い始めたと、こういうことですから、少なくともアメリカ政府はそう言い出した以上は可能性はもう十分出てきたのです。それを前提としてひとつ大臣御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 私はいままで御答弁申し上げたとおり心得ております。
○近藤忠孝君 疑惑が、いままでの答弁ががらっと変わったわけですから、これは大きく出てきたと、こう言わざるを得ません。
 そこでさらにお伺いしますが、航空機の輸入に国内のこういう政府関係金融機関の融資をつけると、こういう立法措置をとったのは、この四十七年十一月の輸銀法改正外にはないのでしょうか、ほかにもあるのでしょうか。
○説明員(後藤達太君) 航空機の輸入が、輸銀の融資対象になると、こういう改正をいたしましたのはこの十一月のときだけでございます。
○近藤忠孝君 四十七年度に限ってもいいのですが、ほかにはそういう立法措置は全然ありませんか。
○説明員(後藤達太君) あるいは四十七年のあの廃案になりました法案の御提案申し上げた分のことを指していらっしゃるのかと存じますが、これは……
○近藤忠孝君 成立した法案ということです。
○説明員(後藤達太君) 成立した法案では、もちろん四十七年の十一月のこの改正でございます。「設備」の中へ航空機を含むということになり、十八条の四号で「設備を含む。」ということに相なりました。この改正が初めてでございます。
○近藤忠孝君 あるいは誤解されているかもしれませんが、輸銀以外のものも含めてそういった立法は一切ないかという、これが私の質問ですが、いかがですか。
○説明員(後藤達太君) 日本開発銀行法によりますと、開発銀行の設備という中には、航空機を含むという規定がございます。
○近藤忠孝君 それはいつの改正で入ったものでしょうか。
○説明員(後藤達太君) 開発銀行は当初から含まれておりました。
○近藤忠孝君 その答弁はこれは訂正してもらわなければいけませんね。開発銀行法十八条、ここに二つありますが、四十七年改正前のものと、この改正後のもの、ちょっと見てください。どこが違いますか。
○説明員(後藤達太君) どうも私不勉強で申しわけございません。法案の改正といたしましては、先生御指摘のように、四十七年の改正のときに航空機を含むということを明示をいたしました。ただ、従来の開銀法の解釈といたしましては、航空機も設備に含むものと運用をされておりました。それをここで明らかにするという改正を行ったものでございますから、私、当初から実行してきたものと勘違いをいたしまして御答弁申し上げました。
○近藤忠孝君 いまの後の方の答弁、後でまた訂正するようなことはないでしょうね。それはいいですが……。
 それで、少なくとも四十七年五月の改正で航空機がひょこっと入ったと、しかもやり方は、十一月の輸銀法改正と同じように、一つは借り入れの額をいままでの資本金の六倍から二十倍にふやすというのですね。そういう面とあわせて業務の範囲をふやして航空機を入れたわけですね。ですから、全くやり方は輸銀法の改正と同じなんです。
 そこでお伺いしますが、大蔵省としますと、もうこの時期、ですからこの法案、恐らく提起したのは四十七年の一月か二月でしょうね。その時期から航空機については国内の融資をつけようと、アメリカの融資はやめて国内の融資をつけようと、こういった考えがすでにあったのかどうか、この点、いかがですか。
○説明員(後藤達太君) 四十七年の初めごろからそういうつもりではなかったかということでございますが、そういう意図はございませんでした。
○近藤忠孝君 その答弁もあるいは後で訂正してもらうようになるかもしれませんね。航空機がひょこっと入ったんですよ。しかもこのときの趣旨説明では、航空機の「こ」の字もないのです。そしてさっと入れちゃったわけですね。そういった点では、これまた輸銀法の改正と大変よく似ているんです。
 そこで、これはその当時すでに航空会社の方は、あるいは運輸省側は、そのことを十分に考えておったと、その可能性があるんです。これも内村前運輸事務次官の六月二十三日の衆議院ロッキード特別委員会でのこれは証言ですが、「私どもといたしましてはEXIMと同じ条件で融資してもらえばいいので、それが輸銀からであろうと開銀からであろうと一向差し支えなかったのでございます。」。そしてすでに二月の段階で開銀法のこの改正によって、航空機に日本の開銀の融資をつける可能性ができたと、こうなりますと、これはあなたの答弁とは全く逆に、もうこの段階でその可能性を考えておった――どうでしょうか。
○説明員(後藤達太君) 開発銀行におきましては、その以前から航空機に対する融資はいたしておりました。特に、この時点で新たにいまおっしゃいましたような航空機のための道を開くという意図があったわけではございません。これは輸銀法につきましても同様でございます。
○近藤忠孝君 これもやっぱり内村氏と私の会談の中での話ですが、開銀が航空機の輸入に開銀融資を使ったらどうかと、こういった話が逆にあったというんですね、開銀の方から。そうなりますと、これはかなり具体的に話が進んでおると見ざるを得ない。ですから、そこでこの機会に航空機という条項を入れてはっきりさせたと、こういう疑いが、私は大変これはもう強く出てこざるを得ないと思うんです。そこで、この場合に、結局金利が折り合わないで――開銀の方が金利高いですから、結局使わなかったわけです。しかし、私はその過程の中でもまたいろいろ疑惑があるんじゃないかと思うのです。たとえば、仮にこの開銀の金利をもっと下げてくれと、もっといい条件にしてくれというようなことでいろいろ航空機会社との間の話があったのじゃないか。そこで、その当時の開銀の理事を見てみますと、沢雄次という人がいますね。これは運輸省航空局長、海運局長を経て、そして四十五年、開銀理事になっております。その後、今度四十八年に全日空に入社してこの間逮捕された。この辺にどうもひとつ疑いがあるんじゃないか。こういった面から見てみる必要はないんでしょうか。大蔵省として調査してみる必要はないんでしょうか。
○説明員(後藤達太君) 先生の御指摘でございますので、要すれば当時の事情をさらに私、勉強してみたいとは存じますけれども、ただいままで承知しておりますところでは、御指摘のような、そういう事実はございません。
○近藤忠孝君 そこでお伺いしますが、開銀法改正の担当局長と申しますか、当時の銀行局長はだれですか。――時間がないから、こちらで言いましょう。近藤道生さんですね。これは調べているから間違いないですよ。現にこの人は、この法案は九月の十八日に参議院大蔵委員会でも審議されましたが、この開銀法の一部改正する法律案の趣旨説明も補足説明もやっておりますから、ちゃんと記録に残っております。
 そこでお伺いしますが、この近藤道生氏の現在の職業は御存じですか。
○説明員(後藤達太君) 近藤道生先輩はただいま博報堂の社長をしておられます。
○近藤忠孝君 この博報堂と、いままさに疑惑の焦点である児玉譽士夫あるいはロッキードとの関係については大蔵省は御存じでしょうか。
○説明員(後藤達太君) 私ども全然承知いたしておりません。
○近藤忠孝君 じゃ、こちらから指摘いたします。博報堂の子会社に博報堂コンサルタンツ、それから同じく子会社にインター・リパブリック・博報堂というのがあって、前の商号はマッキャン・エリクソン・博報堂というわけですが、これはちゃんと登記簿謄本取って調べてまいりましたけれども、この近藤道生氏がインター・リパブリック・博報堂の取締役に就任する少し前、児玉の筆頭秘書で、最近また逮捕されました大刀川恒夫が博報堂コンサルタンツの取締役に就任しておるんです。こういった事実は御存じないでしょうね、恐らくね。そこでさらにこの近藤道生氏が取締役に就任したインター・リパブリック・博報堂は四十七年七月、トライスターのデモ・フライトがあったときに、トライスターは最も静かなジェット旅客機ですという、こんな宣伝ビラを大阪の空港、東京空港周辺に大量に配ったのですよ。このことは新聞記事で明らかになっております。
 それからさらにもっと指摘しますと、インター・リパブリック・博報堂、すなわち前の名前はマッキャン・エリクソン・博報堂の姉妹会社にマッキャン・ロスアンゼルス社というのがあるんです。これはロッキードの広告代理店なんです。ですからドライスターの騒音はないという、こんな広告を大量にまく、そういったことは十分に考えられるわけです。となりますと、先ほど申し上げた開銀法の改正のいわば一番の責任者であった近藤道生氏が、これほども深くロッキードあるいは児玉とつながっておるんです。現に、この近藤氏がほかの大蔵官僚とはちょっとはだが違って、ほかへ行かないでいわばこの博報堂に行ったということは、これは当時東京新聞ですが、大々的にそのことが異色人事だということで大問題に幾つかの新聞にも大きく出ています。となりますと、これは大変疑惑がますます高まってくる。単に輸銀法の改正だけじゃなくて、開銀法の改正につきましても、そこで航空機の国内輸入に、融資に大きく道を開いている。そこにロッキードの暗躍があった、児玉の暗躍があった。そのことがこの後の近藤氏の就職先を見て、これは十分に推測つくんです。この点どうお考えですか、これは大臣についても見解を伺いたいと思います。
○説明員(後藤達太君) ただいま先生のお挙げになりましたような事実は、私は全く存じておりません。ただ、それでどう思うかと、こうおっしゃられますと、私はこの近藤先輩に直接お仕えしたことは何度もございますけれども、大変公正に仕事をされる方でございました。いまおっしゃいましたようなことがあったとしましても、仕事上は公正に仕事をされたものと私は信じております。
○近藤忠孝君 あなたがいかに信じようとも、客観的事実は、このようにまさに疑惑の中心部に結合している、こういった面からもう一度開銀法の改正問題、そしてさらには輸銀法の改正問題、これを十分に見直す必要があると思うんです。時間が参りましたので、私はきょうはこの疑惑だけを指摘して終わらざるを得ませんけれども、まさにいままで大蔵省が言っておったこととは違ってきた、きょうの答弁でね。そしてまたさらに開銀法の改正という新たな起惑が出てくる。しかもそれがロッキードに直結しているということになれば、これはひとつ大臣、それこそ腰を入れてこの問題を大蔵省自身としても解明しなければならぬと思うんです。そういう解明をしていく意思がおありでしょうか。
○説明員(後藤達太君) ちょっと大臣の御答弁の前に一言補足さしていただきます。先ほど開銀につきましての御指摘がございましたんですが、御答弁申し上げましたように、開発銀行は四十七年度の改正前から解釈として可能だという解釈をとっておりましたので、四十五年ごろからすでに航空機につきまして融資をいたしております。で、四十七年の改正はそれを明文をもって誤解のないように明らかにすると、こういう改正だったわけでございます。
○国務大臣(大平正芳君) ずいぶん近藤さんの想像力たくましいストーリーを聞かしていただきましたが、大蔵省といたしましては、輸銀の融資問題がそういう背景を持ったものとは考えておりません。あなたの方でいろいろ事実を挙げられて解明を求められる場合におきましては、私どもとしてもお答えいたしますけれども、こちらから進んで調査するというような必要は感じておりません。
○近藤忠孝君 いままでの、前の委員会の質問でも、いつも大蔵大臣は、質問者に対してあなたの勝手な想像だと、こういう切りかえしをしてまいったわけです。ところが、その当時言っておったんですね、アメリカの輸銀の方はむしろ融資してもらいたいと言っておったという、その事実が前提にして言っておったんですが、その前提崩れました。また、きょう私は新たにロッキードの方に直結する、児玉に直結する一つの事実も提起したわけです。にもかかわらず、それは大蔵省として調べる気はないというのであれば、大蔵省も一緒にかばっていないかと、こう言わざるを得ませんけれども、そのことを指摘して質問を終わりたいと思います。
○栗林卓司君 いささか各論にわたりますけれども、リース産業の問題について伺いたいと思います。取り上げて伺う理由は以下申し上げてまいりますけれども、以前、リース産業があらわれる前、設備を入手して生産、販売をする場合にはやりくり算段をして何とか設備を買って自分の物にして生産、販売をすると、こういうことだったわけですけれども、リース会社というものができてから、一つの道として、その設備の物件はリース会社の物、それを借りて使用料を払う、そして生産、販売を行う、こういう新しいやり方ができてきたわけであります。所有から使用への価値観の転換というキャッチフレーズで生まれましたことは御承知のとおりです。で、こういう変化をひとつ幾つかの面から見て伺いたいと思うんですけれども、一つ税の面で考えてまいりますと、自分が銀行から借金をして設備を購入して自分の物にする、そうしますと、その設備の購入資金のうちで損金に落とせるのは、御承知のように法定耐用年数に見合った減価償却費であるわけです。で、仮にたとえば一千万円の設備を耐用年数十年として考えてみますと、最初五年間にどれぐらい損金に落とせるかといいますと六百八十四万五千円、おおむね七百万近く損金に落とせる。ここで最初五年間と言いましたのは、普通リース契約の場合に五年が通常だということから五年間と申しました。で、この一千万の設備をリース契約で借りた場合、ところが五年間に一千万を全部使用料で回収してしまいますから、毎年の使用料は五分の一で二百万円として五年間たちますと一千万円がまるまる損金に落ちる。その一千万の機械を入手して、それで生産、販売している実態は変わりません。自分が買ってくるのか、リースをするのかによって損金計上額が三百万ぐらい違う。ということは、実はリースをした場合にはおおむね百七十万円ぐらい――一千万円の場合ですよ、百七十万円ぐらい税金を払わなくて済む、この実態を税の公平な負担という角度から見て、大蔵省はどうお考えになりますか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。
 先生の御指摘のとおり、現在のリースの契約におきましては、リース期間が、リースの物件の耐用年数に比べまして短い、かつ、リース期間の経過後に著しく低いリース料で再リースをする、こういうケースがまま見受けられるわけでございます。このような場合には御指摘のとおり、ユーザーにおきましてそのリース料を直ちに損金として認めるということになりますと、自己の負担において資産を取得して、法定耐用年数に応じて減価償却を行った人に比べまして負担が軽くなるという税務上の実は問題がございます。したがいまして、国税庁におきましても、リース期間がリース物件の法定耐用年数に比べまして極端に低いと、極端に短いというふうなものにつきましては、いわゆる実質課税の原則にのっとりまして、リース契約を否認をいたしまして、実質は割賦購入をされたものであるというふうな取り扱いをし、あるいはリース料の一部を前払い使用料として否認をするなど、その実態に即した課税処理を行っているところでございます。しかしながら、このリース一般につきましては、先生御指摘のような問題がございますので、いわゆる固定資産の早期償却というものにつながる場合も考えられますので、現在、全体的な取り扱いにつきまして、諸外国のいろいろな事例も参考にいたしまして検討しているところでございます。
○栗林卓司君 リース契約期間が耐用年数に比べて極端に違う場合はいまの御説明ですけれども、通常はいま私が申し上げたとおりで、税金が節約になるということでやってきているわけですね。で、すでにリース産業ができてから十数年経過している。諸外国のことを比べて云々ということも、御勉強も結構でありますけれども、この現象をいいと思うんですか、悪いと思うんですかという点をまずお伺いをしたい。
○説明員(山橋敬一郎君) 私たち税務当局といたしましては、このような重大な課税の公平という点からいって、必ずしも好ましいものではないというふうに考えております。
○栗林卓司君 そういうお答えだろうと思います。ところが、このリース契約は、制度リースというものは資金運用部の資金をつけて奨励をしているわけです。また、リース契約の安全性については国営の保険がついている。片方では、いま徴税当局ではどちらかと言われれば好ましくない。一つの政府として考えますと、ずいぶんちぐはぐじゃないか。この点については大蔵省としてどうお考えになりますか。
○説明員(後藤達太君) ちょっといま先生の御指摘の両点は、私の担当の範囲を越えておるところでございますが、リース産業というのが新しい金融の形として登場いたしてまいりました。私どもその金融のサイドから物事をとらえておるわけでございますが、これが今後どういう姿をとりますか、これから注目していく段階であろうと思っておりますので、その成長の段階に応じた考え方をしてまいりたいと思っておる次第でございますが、具体的にいまの御指摘の運用部その他の点につきましては、私、担当でございませんので、的確な御答弁ができかねて恐縮でございます。
○栗林卓司君 担当でないというんじゃ、大蔵省全部並べて伺わないとわからないことになるんですけれども、ただ、いまの徴税当局では決して望ましいことではないと言われたわけですけれども、いまリース会社というのは、御承知のように銀行系のものがたくさんできているわけでございます。で、徴税当局の方はこれから勉強しますと。あなたがおっしゃるのは、リース産業の今後の推移を見ながら判断をしたい。そのときに、銀行系がたくさんつくっているリース会社、その周辺業務について大蔵省は積極的に考えるんですか、中立ですか、抑制的ですか。
○説明員(後藤達太君) こういう新しい金融の形といいますのは、やはり社会的なニーズに応じてできたものであろうと存じます。従来でも動産信託でございますとか、不動産信託とか、これに類似する機能を果たしているものがないわけではございませんでしたけれども、やはり担保関係その他の角度からしまして、やはりこういう需要がある社会的には存在するものではなかろうかと思っております。そういう角度から見ておりますが、銀行の出資先の会社がリース産業を営むと、こういうことにつきましては、リースのそういうファイナンスという機能に着目をいたしますれば、銀行のその業務のいわば周辺にある業務と考えてよろしいかと私どもは存じております。したがいまして、その銀行の出資会社がこれを営むということは、一つの新しい金融の道として認めていいんではないかと、こういうふうに考えています。ただ、銀行としましては、銀行法あるいは特別銀行法のそれぞれ制約を受けておるわけでございまして、そこで銀行は本来業務に専念しなければいけないという兼業禁止規定が明文をもって示されておるわけでございます。したがいまして、そういう法制上の問題、あるいは銀行の出資先であるということから、その業界内の問題として、まあいわば余り過大なことをやるというようなことはすべきことではないと、こういうふうに思いますので、そういう設立という、あるいはその仕事をすることはこれは当然だろうと思いますが、その仕事のやり方につきましては適正な、健全な業務の運営をしてほしいと、こういうふうに考えておる次第でございます。したがいまして、銀行のそのリース会社に対する支配力の及ぼし方等の面では厳しいと申しますか、節度を持つように指導いたしておる次第でございます。
○栗林卓司君 銀行のファイナンスの一つの道である、ニーズがあればそれはそれで仕方がないという御判断は別として、銀行がファイナンスの道であるからそっちの方に広がっていくのは結構であるということと、それが結果して税の面から見ますと、負担の不公平を広げていくことになるわけです。そのことについては、では一体大蔵省はどこが問題意識を持つんでしょうか。銀行局がそれでないとすると、大臣に伺わなければいけません。
○説明員(後藤達太君) ただいま税金の問題につきましては、国税庁当局からより公正を期するようなことを検討中というふうな話がございました。ただ、私の現在の感じを率直に申し上げますれば、やはりわが国におきますリース産業、リース会社がたくさん出てまいりましたのはごく最近数年のことでございます。それから、やはりそのリースを利用するサイドから見まして、やはり動産機械とかそういう動産というようなものは担保関係等でやはりそういう必要があるんではないかと思います。したがいまして、そういう必要があり、かつ新しい業態でございますから、やはりもう少しその成長の過程を見届けたいと思っておる次第でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、銀行がその子会社と申しますか、出資先の法人がそれを営むにつきましては節度を保つように、その指導は厳にとってまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 節度の問題は後で伺いますけれども、通産省が来られておると思うので伺いますが、税負担の不公平まことに不当であると、実は言い切ったわけですけれども、この問題を含めていま銀行局では将来の姿を見守っていきたいと、こういうことなんですが、通産省としてこの問題をどうお考えになるのか、伺いたいと思います。
○説明員(鯨井こう一君) リース産業につきましては、通産省といたしましても、新しいニーズに応じて発展してまいりました産業でございますので、その健全な発展が行われますように十分注意をし、またいろいろ指導もしていきたいというふうに考えておるわけでございます。で、確かに先生おっしゃいますように、リース産業の発展してきた一つの理由が、先ほどおっしゃいました税の問題にございますことは事実でございますけれども、まあ私ども考えますには、リース産業の存在意義は必ずしもそればかりではございませんで、先ほどおっしゃられましたように、所有から使用への価値の転換という基本的な方向に沿って出てきたものであり、またそのユーザーにとりまして自己資金の有効な利用でございますとか、あるいは所有に伴いますいろいろな煩雑な業務の省略でございますとか、そういったメリットもございますので、税の問題は税の問題といたしまして公平な扱いが行われますよう税務当局がお考えになると思いますけれども、通産省といたしましては、やはりリースの健全な発展は大いに望ましいことだというふうに考えております。
○栗林卓司君 もう少し重ねて伺いますと、実は私、前提なしに、よく言われるファイナンスリースだけを抜き出していま質問しておりました。本当はそれだけがリースじゃなくて、機械の整備もいたします、あるいはいろんなノーハウも与えます、それやこれやで中小企業の発展に知識集約型の新しい産業形態として参加してまいりますというのがリース会社の本当の姿だと思う。今後もその方向で発展していくんだろうと思いますけれども、そこの中のファイナンス部分だけを取り上げると、いまの税金の負担の不公平、業界が言う節税問題というのが出てきてしまうわけです。で、重ねて通産に伺いますけれども、ファイナンスリースということに過度に偏重していくということは、日本のリース産業の発展にとって望ましいんだと、この点はいかがですか。
○説明員(鯨井こう一君) 確かに、おっしゃられましたように、現在のリース産業はファイナンスリースに非常に偏重しているということは事実でございます。私どもといたしましては、これは必ずしも好ましいものであるというふうには考えておりません。リースにはもちろんファイナンスの機能があるということは当然のことでございますけれども、やはりそれ以上にわたりまして、いわゆるサービスリースといったような方面につきましてももっと力を入れていくべきではないかというのが通産省の基本的な考え方でございます。
○栗林卓司君 銀行局に伺いますけれども、いまの通産省のリース産業に対する展望、見方については御同感でございますか。
○説明員(後藤達太君) 私の方では、いまおっしゃいましたメンテナンスリースと申しますか、そういう関係のリースにつきましては、これは通産省で育成の道をいま考えていらっしゃるということでございまして、私ども直接関係いたしておりませんので、どうも確たる意見を申し上げられないわけでございます。
○栗林卓司君 それじゃ困るんでして、銀行の周辺業務としてリース業を認めていますね。その認めているリース業というのは、ファイナンスリースしか認めていないんですよ。メンテナンスリースはやっちゃいかぬというわけです。ところが、通産の方は、あえて通産と、こう並べ立てて言っているわけじゃないけれども、だれが考えてもリース産業の将来というのは、ファイナンスリース偏重ですと、節税だからいらっしゃいというキャンペーンにしかならないんですよ。そうは言ってもそういうニーズがあるから、所有から使用へ新しい産業形態として進めていく中では、ファイナンスリース偏重にしていくと、日本のリース産業というものは非常にゆがんだ姿になってくると思うんですがね。そうなってくると、サービスリース、メンテナンスリースにも広げていかないと、そのリース業というのは育ってこない。まず、そういうお考えですかということと、銀行が出資をしているリース会社に対してはファイナンスリースしかやっちゃいかぬと銀行局は言っているわけで、ということは、健全な発展をみずから阻害するんですから、それは通産省とは言えないはずだよ、少なくも銀行の周辺業務についてはあなたのところで指導したんだから。どうお考えですか。
○説明員(後藤達太君) いまおっしゃいました通産省の方針に異論を唱えているわけでは決してございません。ただ、銀行の出資する先の会社がいたすにつきましては、銀行というものが元来ほかの業務をやってはいけないと、こういうたてまえに現在なっておるわけでございます。そこで、いろいろの制限をつけたにいたしましても、その銀行の出資会社が銀行業務に関係のないことをやるようになる、あるいはたとえば直接の物品の貸与業というようなことをやっていくというようなことになるということは、現在の銀行制度のたてまえから申しまして、これは大変問題ではないかと存じます。したがいまして銀行の関連をいたしますリース会社につきましてはファイナンスというような銀行の周辺業務と見られるような業務の範囲に限りましてそれをやるべきではないか、こういう指導をいたしておるわけでございまして、その方が大事だとか、そういうことで申し上げているわけでは決してございません。
○栗林卓司君 そうすると、正確に理解しますと、銀行が周辺業務とはいえ、リース業の方へ出ていくことに対して、大蔵省とすると、実は銀行の本体の健全経営ということもありますから、余り積極的ではないというように私は理解をしたんですが、間違いございませんかということが一つ。
 もう一つ、時間がないので続いて聞きます。
 じゃ、銀行の出資会社、関連企業の判断というのは、いま形式的な基準がありますけれども、ねらいは私は銀行局は銀行の健全経営ということだと思うんです。そう考えていくと、片方のリース会社というのは、これは求められているのは商社能力と金融能力と二つに立っている。金融機関との密接な関連がなかったら、実はこのリース会社の運営というのはなかなかできない。いろんな形での金融機関とのかかわり合い方というのがある。そう考えていくと、関連会社に入るか入らないかというのは、形式的な基準を離れて、出発点は銀行の健全経営ということなんですから、実態に即してきめ細かに判断するとお考えになりますか。
 二点でございます。
○説明員(後藤達太君) 銀行の健全経営という角度は、私ども最も重要な一つのポイントだと存じております。ただそれ以外にもう一つやはり最近銀行の仕事のしぶりに対しましていろいろ御批判をいただいておりますが、その一つといたしまして銀行の関連会社が別な業界の中でいろいろのことをやると。そこにはしばしば行き過ぎが起こりがちである、こういう御批判に対してもわれわれは謙虚に自粛をすべきものではないかと考えております。したがいまして、このリース会社の問題につきましては、先ほど申し上げましたようなことで指導をいたしておるのでございまして、大変重複して恐縮でございますけれども、ファイナンスリースを特に育てたいとか、そういうことではございません。やはりそういう社会的なファイナンスの需要があるということにこたえるにはそれしかないとすれば、やはりその道は開いた方がいいんではないかと、こういうことで考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 二番目の質問。
 関連会社の判定は形式的な基準で決めて、割り切ってしまうということではなくて、実態に即してきめ細かに御判断して指導されますかという二番目の質問。
○説明員(後藤達太君) 大変失礼いたしました。
 私ども俗に関連会社と称しておりますが、これは気持ちといたしましては実質的に銀行が過大なる支配力を及ぼすということは避けるべきであると、こういう気持ちでございます。ただ具体的な指導するに当たりましては、たとえば出資の割合がどの程度までであるとか、あるいは役職員の派遣、出向というようなことについては節度を設けるべきであるとか、やはりある程度形式的な基準を導入せざるを得ない。したがいましてある形式的な基準を設けております。設けて指導いたしております。
 さらに個々の指導に当たりましては、実質的に銀行がどの程度の支配力を及ぼしておるかという角度から判断をしてまいっておる次第でございます。
○栗林卓司君 いまのお答えですとよくわかるんですが、従来形式的な基準で割り切りまして、その網からはずれたら、あれは別という議論が余り多過ぎたように思うんです。きょうはもう時間がありませんから、次回にこの問題譲りますけれども、実質的な銀行の支配力、それといま育ちつつある、まだ未熟児でございますけれども、このリース産業の将来、これをどうしていくかということを、そう複雑な業界でもないわけですから、丹念に御検討しておいていただきたい。あと続けて別な機会に伺いたいと思います。
○野末陳平君 銀行行政に関する諸問題のうち、きょうは住宅ローンに関することを二、三質問したいと思います。大蔵大臣お疲れでしょうが、最後になりましたので、ひとつ大臣の理解あるお答えをいただきたいと思うのです。
 住宅ローンは借りるまでがものすごくむずかしい、それはまたそれで問題なんですけれども、今度は借りたとき融資に当たって実に負担が厳しいと思うのですね。たとえば保証保険を払う、火災保険を払う、それから団体信用生命保険――これは個人契約じゃない団体信用ですけれども、一応生命保険、保険だけでもこの三つを払わなければならないわけですね。金額にしてかなりのものになるので、そこで一つ一つこれを、果たしてこれまでして銀行は住宅ローンを融資する場合に利用者に負担させるべきかどうか、その辺をお聞きしたいと思うのです。
 で、保証保険ですけれども、この保証保険というのは、保証人にかわるものとして銀行が設定しているのだと思いますが、たとえば一千万融資の場合には、これを二十年間で返済するとすると約二十万円の保証保険を払う、しかも、銀行側の指定した保険会社ですね。そうすると、この金は果たして利用者が払わなければいかぬのかどうかということから、まず保証保険の性格と、なぜこれが必要なのかということを一般的に、原則論として銀行局から説明してください。
○説明員(後藤達太君) 個人が銀行から住宅ローンをお借りになることにつきましては、物的担保あるいは保証人というようなことを通常やっておるわけでございますが、ただ保証人が立てられないというような場合もございます。したがいまして融資機関の方では、保険会社の銀行融資に対する保険を掛けるところが先生いま御指摘のところかと思います。ただ、この保証の仕方いろいろあるわけでございまして、私どもはそれが必要にして十分なところだけでやってもらいたい、こういうことの考えを申しておる次第でございます。つまり過重な担保は必要ないわけでございます。これは負担が過重になるわけでございますから。そういうことにはならないようにということを申しております。銀行によりましてはいろいろ保証のつけ方が違っているかと存じますが、基本的にはそういう趣旨で指導いたしておるような次第でございます。
○野末陳平君 いまのは基本的でしょう、担保が過重にならないようにというのですが、ぼくが思うには、物件を担保にとって、そのほかに火災保険があれば、まあそのくらいでいいのじゃないかと思うくらいなんですね。で、保証人つけろと言いますけれども、保証人て、いまなかなかなってくれる人もいませんしね。それから銀行側が要求する保証人の条件は大変厳しいんですよ。結果的に保証保険にならざるを得ないというので、局長の言われた過重な負担に現実になっていると思うのですよ。
 で、具体的なことをこれからお聞きしていきますが、ただ一つ、果たして住宅ローンを、いままで銀行側は焦げつきが多かったり、あるいは非常にこれが危険だ、ここまで二重三重の危険負担をしなければならないほど住宅ローンというものは返済が悪いのかどうか。その辺の過去のデータと、それと、これは仮に不幸にして去年も自殺者などが出た例が一、二あったようですが、銀行側としては貸倒引当金の充当対象にもなるわけで、どう考えても過重な負担になっているとまず思いますがね。どうですか、いままでやはりここまで危険負担をしなければ住宅ローンについて銀行は融資はできないのでしょうかね。
○説明員(後藤達太君) まず一点。住宅ローンのこれまでの貸し倒れ等の危険はどの程度であったか、こういう御質問でございますが、御承知のように住宅ローンの件数、金額がふくれましたのはごく最近のことでございますので、これから先の動向はわかりませんが、従来までのところは焦げつきというような事故等総数として調査が実はできていないわけでございますけれども、小さいものでございます。これはやはりこういう住宅ローンを借りるというような方がその目的が大体自分の住居でございますから大変まじめに返済をしていらっしゃる、こういうふうに考えております。
○野末陳平君 ちょっと中途半端なところ……いいや、そのあとやります。
 そこで私最初に言いましたように、物件担保をとっていればこれで十分だと思うのですけれども、日本の場合そうもいかないかもしれませんが、都銀十三行ありますね、都銀十三行あって、何行がこの保証保険をとっているのかどうか、非提携ローンの場合ですよ。
○説明員(後藤達太君) 保証保険の方はほとんど全行が利用していると存じます。
○野末陳平君 何……。
○説明員(後藤達太君) 保証保険の方です。
○野末陳平君 いや、これはまいったな、ちょっと、保証保険、都銀十三行全部があれですか、利用者に負担させているという意味ですか。
○説明員(後藤達太君) 失礼しました。その保険をつけておるという意味で申し上げました。
○野末陳平君 わかってるのかな。
○説明員(後藤達太君) 全部の契約につけておると申し上げたわけではございませんで、十三行がそれぞれ利用しておるということで申し上げたわけです。つまり全部のそのローンに保険がついているということではございません。保証人があるとかというようなことにつけてるわけではございませんで、それのないときにつけるというのは、それは各行ともやっておるという意味で申し上げたわけです。
○野末陳平君 つまり保証人もしくは保証保険ということですね。じゃ保証人がつかない場合には、保証保険をつけていると。実は違いますよ、そこできょうの質問なんですよ。都銀十三行のうちで保証保険を全く取っていない、保証人も取っていないところもありますが、これ、理由を聞いたら担保を取っていればそれで十分なんだと、これ以上に保証保険を取るというのは、たとえば一千万の融資で二十年返済で二十万円の保険を取るというのは、これは少し取り過ぎなんで、だから取らないというところも都銀の中であるんです。ところがしかし、反面保証人がつけられない場合は保証保険を負担してくれとはっきり打ち出しているところもあるんです。ばらばらなんです。
 そこで、銀行局、大蔵省としては、これどっちに統一するか、どっちを勧めるのか、その辺が聞きたいんですよ。担保取っていればもうそれで十分だと現に説明している銀行があるんだから。片方ではだめなんだと、保証人つけられなきゃ保証保険取るんだ、担保も取るんだと言ってるんで、まずそこが聞きたい。
○説明員(後藤達太君) その個々の融資の取り扱いでございますから、各行それぞれ融資先あるいはその方針によりまして、ニュアンスの差が出てくることはやむを得ないかと存じます。物的担保があれば、すべてほかのものはいいではないか、こういう考え方もあり得るだろうと思います。ただ、他方、物的担保がございましても、その担保は居住しておる住宅でございますから、それを担保処分というようなことは、まずすぐは考えられないことでございまして、そういうところに至る前に保険をつけるとか、あるいは生命保険、いまの保証保険をつけるとか、あるいは保証会社の保証つけるとか、こういう別な、流動的な担保をつけるということもそれはあり得ることだと思います。私ども目下、機械的にこれを一本に統一しようということは考えておりません。ただ、気持ちとして過重なことはやらないようにさせたい、こう思っておる次第でございます。
○野末陳平君 そうしたら、保証保険つけてもいいと、過重でなければと言うけれども、ぼくの説明した範囲で過重でないと、こう感じているみたいね。それは受け取り方よ、金たくさんある人は過重じゃないと言うかもしれないから、それはいいんですが、ぼくはやはり保証保険は取り過ぎだと思うんです。現実に十三行のうちでまあ半分以下ですから、半分以上は取ってないから、でもいいや、融資のやり方いろいろあるんですが、一つお聞きしたい。
 去年の暮れに大蔵省はこの保証保険について行政指導したらしいんだ、それを聞きたいんですが、どんな趣旨で、どういう内容の指導をどこに対してしたのか、それ説明してください。
○説明員(後藤達太君) 昨年私どもで指導いたしましたのは保証保険の方ではございませんで、住宅ローンの保証会社、これが銀行の関連会社としてつくられておりまして、これが保証業務をやっておるわけでございますが、その保証会社が保証いたします場合に、その保証料とかあるいは金利とかいうのを総合いたしまして過重にならないようにと。つまり、たとえばそこで保証料を取ります場合には、保証会社が担保の管理その他をやるわけでございますから、そのために保証料を取るならば、貸し出す方の金利は少し下げてもいいんではないかと。つまり総合してその負担が高くならないようにということを保証会社の保証につきまして指導いたした次第でございます。
○野末陳平君 つまり直接銀行に対してじゃなくて、保証会社の方に指導したということ。
○説明員(後藤達太君) いえ、保証会社は銀行の関連会社でございますから、私どもの指導は銀行を通じてやったわけでございます。つまり銀行に対して指導いたしたわけでございます。
○野末陳平君 だから、どういう内容、じゃついでにどういう内容で指導したか具体的にね、それで、結果どうなっているか、ちょっと。
○説明員(後藤達太君) 具体的に指導いたしましたのは、保証会社は信用保証を行うにつきまして物的担保以外に人的担保は取らないこと、つまりいまの保証で保証はできておるわけでございます。
 それから、その自分の関連会社の保証を強制するようなことはしないようにしてもらいたい。
 それから、その保証をつけました住宅ローンの金利につきましては、通常の金利に比較をいたしまして低くすべきであると。
 その低くする仕方でございますが、住宅ローンにつきまして通常見込まれる貸し倒れに伴う損失、これは微々たるものであろうかと存じますが、貸し付けた保証が付されていることによりまして軽減が見込まれる、担保管理、処分その他の事務的コストの軽減がございます。そういう部分。それから信用調査、貸し出し審査等が簡略化されますので、そういう事務的負担も軽減されるわけでございますから、そういう部分。そういうものにつきましては金利を通常のものよりも低くするようにと、こういう指導をいたしたわけでございます。
○野末陳平君 どのくらい低くするという指導ですか。
○説明員(後藤達太君) 具体的に何ポイントとかということは指示をいたしておりません。ただ、現実にこれを受けまして、銀行によりまして少し違いがございますけれども、〇・一ポイントとか〇・一二ポイントとか引き下げているところはございます。
○野末陳平君 その指導を直接した銀行、どこ。
○説明員(後藤達太君) これは全銀行でございます。
○野末陳平君 そこで、きょう朝方、午前中だ、もう一回全部確かめてみたら、そうもなっていないんだけれども、そちらはその後これが絶対にいま言ったように強制はしないということと、それから金利は低くしろということはね、これ保険つけたらね、それ、守られていると見ている……。
○説明員(後藤達太君) 守ってもらっているものと存じております。
○野末陳平君 じゃ、もう一回調べてくれます。あくまで大蔵省が言って答えるのと違って、ぼくたちは自分が借りるという立場で言われてくるんだから、こっちの方がまあまともだと思うんですけれどもね。現実には、まあ銀行の名前はそちらも出さないから、ぼくも出しませんけれども、強制はしないというのは、これ、ちょっとニュアンスが違うから。銀行は強制してないと言ったって現実に貸してくれないんだから、これをつけなければ。これはまあしょうがない。この保険つけた上は金利を低くしろという、ここが問題なんだね。答え方はこうなんです、私どもの言うこれこれの銀行ですよ、また別の銀行です、これを利用すれば多少金利は安くなることもありますがと、こういう説明しかしてないわけです。ということは、大蔵省の指導は全然これは守られてないとしか思えないんだけれども、この程度でもう十分……。
○説明員(後藤達太君) 先生の御指摘のようなことがございますれば私どもとしては大変残念なことでございます。昨年の十二月にそういう指導をいたしておりますが、あるいはおっしゃるように不十分な点はあろうかと思いますので、何らかの方法でまた実施状況を私ども勉強してみたいと存じます。
○野末陳平君 そこで大蔵大臣、まあいままでのは具体的に金額あるいは銀行名を出さないのでちょっとわかりにくいかと思うんですが、その住宅ローンは借りにくくて、やっと借りられた場合、最初にいわゆる強制的に取られる金がちょっときつ過ぎるんじゃないかというのがぼくの受け取り方なんです。
 そこで初めに戻りますが、いま非提携ローン、つまり銀行から直接住宅ローンを借りる場合ですが、都銀十三行ありまして、まあ半分、約半分と見ていいですね。半分は保証保険というものを取らないんです、いいですか。それは理由は担保を取っているんだからと。その担保の設定を慎重にやっているんだから取る必要はないという説明は一応きれいごとで説明していましたけれども、ところがあとの半分は、保証人もしくは保証保険どっちかを必要だと、保証人の条件はさっき言ったように非常に厳しいんで、保証保険の方が楽ですから、結果的には払ってしまうんですがね。この保証保険の必要が果たしてあるのかどうかということなんですね。いかにもこれは銀行の自己防衛の目的が強過ぎて、なぜここまで利用者に負担させなきゃならないかという根本的な疑問があるわけで、いままでの局長の答えでもどうもぼくは釈然としないんだけれども、大臣、やっぱりこれは必要なものでしょうか一どうしても。
○国務大臣(大平正芳君) 事柄は信用問題でございますので、ぞんざいに考えちゃいかぬと思いますが、しかし、信用が大事だと言いましても、保証とか担保とかいうようなものが過剰になるとか煩瑣になるとかというようなことになりますということはいけないことでございますので、そのあたりにつきましては気をつけていかなければならないのではないかと思います。
○野末陳平君 具体的に、いいですか。火災保険、これは一括で取られる。これについてもいろいろあるでしょうが、まあ、これはやむを得ないとしますね。それから団体信用生命保険というのがある。これは言ってみれば一種の生命保険、個人契約ではないけれども、生命保険、それでこれも銀行側は自分とこが負担していると言っているけれども、金利に含まれている。だからこれも銀行側が負担していると言えるかどうか。でもまあこの二つまではいいとして、これだけあればあと担保取っているんでしょう、大臣。だからこの辺で十分でないんでしょうか、融資する銀行の側としては。この上に一番金額の多い保証保険というのはぼくは取り過ぎだと、こう思うんです。しかもそれが強制的ですから。だから、これは余りにも銀行側がちょっと行き過ぎじゃないか、保証保険はぼくはやめさせるべきだと。そんなの取らなくてやっていける銀行があるなら、都銀十三行、それにならうのがあたりまえじゃないかと思うんです。そのいわゆる、いま言っているのは非提携ローン。提携ローンの場合は不動産会社入ったりして、信託銀行なんか完全に保証保険堂々とつけていますけれども、少なくも都銀十三行の非提携ローンで、保証保険を強制的に取るというのは疑問で、大臣の決断でこれはやめさせる方向に行くべきでないか。少なくもA銀行は取らない、B銀行は取ります。こんなことを大蔵省はやむを得ないし事情があると言って済ましていいかどうか、こう思うんですが大臣どうですか。
○説明員(後藤達太君) ちょっと大臣の御答弁の前に補足させていただきたいと思います。
 それぞれいま先生お挙げになりました担保の仕方につきましては物的な担保の場合、火災保険に質権を設定する場合あるいは生命保険で同様のことをする場合あるいはローンの保険をつける場合等といろいろの手段がございます。それぞれ担保される角度が違っておるわけでございますが、ひっきょうはローンの回収の確実性を担保するという目的でございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、それが重複、過重になることは避けなければならないと存じますが、しかしまあ銀行の考え方によりまして、そのどの方法を必ず選ぶべきであると、どの方法は決して選んではいかぬということはいかがかと私は考えております。まあ、融資先の状況あるいは銀行の状況によりまして、それぞれやり方あるいは違ってくるのはやむを得ない、あわせまして過重にはならないように、そして必要な十分な担保が得られるように、こういうことで考えるべきものではないかと思います。御指摘のように、保証保険は全部いかぬというのはやはり実際的ではないんではなかろうかというふうに考える次第でございます。ただ、そういう先生の御指摘でございます御趣旨は、やはりローン借り入れ人の負担という角度からの御指摘だと存じますので、そういう角度からはなお一層私ども勉強いたしまして、どういう方法が最もいいかということを考えてまいりたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) いろいろ御指摘いただきましたが、ローンを受ける側の事情も考えながらなおよく検討してみます。
○委員長(岩動道行君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会