第078回国会 法務委員会 第5号
昭和五十一年十月二十八日(木曜日)
   午前十時五十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十八日
    辞任         補欠選任
     丸茂 重貞君     山本茂一郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         田代富士男君
    理 事
                大島 友治君
                平井 卓志君
                佐々木静子君
                原田  立君
    委員
                斎藤 十朗君
                町村 金五君
                山本茂一郎君
                橋本  敦君
                下村  泰君
   国務大臣
       法 務 大 臣  稻葉  修君
   政府委員
       法務大臣官房長  藤島  昭君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  賀集  唱君
       法務省刑事局長  安原 美穂君
       法務省矯正局長  石原 一彦君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局事務総長   寺田 治郎君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   勝見 嘉美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       法務省大臣官房
       審議官      竹村 照雄君
       法務省刑事局公
       安課長      石山  陽君
       公安調査庁調査
       第二部長     谷  藤助君
       厚生省児童家庭
       局児童手当課   小池 隆雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (総理に対する偽電話事件に関する件等)
○証人の出頭要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 本日の委員会について一言申し上げます。
 さきの委員会で、総理に対するにせ電話事件に関し、京都地方裁判所鬼頭史郎判事補の証人喚問を決定し、本日、同証人の証言を聴取することになっておりましたが、その後、都合により本日は証人喚問はできないので、理事会で協議の結果、本日の証言聴取は取りやめることになりました。
 なお、本件については理事会で引き続き検討することとなっておりますので、この点もあわせて御了承願います。
    ―――――――――――――
○委員長(田代富士男君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木静子君 それでは、まず、この法案審議に関連いたしまして、いま問題になっております京都地裁判事補の鬼頭氏のことについて、前回に引き続いて質問をさせていただきたいと思います。
 一昨日の当委員会で最高裁から事情の聴取の結果を伺ったわけですが、その後最高裁では本人に対する接触はどのようになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その後、本人との間には、出てきてもらって事情の聴取はまだいたしておりません。
○佐々木静子君 それでは、いつから最高裁当局と本人とは接触していないわけですか。一番最後に出合われたのはいつですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 二十五日の月曜日のお昼でございます。
○佐々木静子君 それは、どこで最高裁のだれが出会われたわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 二十五日に第二回目の事情聴取を午前中に行いまして、それが終わりまして彼は最高裁を出たわけでございます。その際会いましたのは、私と調べに当たりました泉調査課長と、あと矢口事務次長にあいさつをいたしました。
○佐々木静子君 そのとき、本人は体の苦痛を訴えておりましたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 特にそういうふうなことはなかったと思います。
○佐々木静子君 そうすると、人事局長が知っていられる範囲においては、全く健康上の問題、病気であるとか苦痛があるとかという話は聞いておられないわけですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 土曜日の日に第一回目の事情聴取をいたしました際は、終わりましたときに大分疲れておった様子でございましたが、中日曜日一日おいて二十五日に出てきたわけでございますので、私の印象といたしましては、特に何といいますか、病的な状態というふうな印象は受けなかったのでございます。
○佐々木静子君 印象というよりも、本人から、胃が痛いとか、そういう苦痛の訴えはあったわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ございませんでした。
○佐々木静子君 昨日でございますね、最高裁で裁判官会議が開かれたのが。最高裁の方には概略どのような報告を事務当局としたらされたわけですか、最高裁の裁判官会議に対し。前回の分は伺いましたけれども。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その後の国会における審議の様子、それからこれから私どもが調べなければいけないかどうかという問題点等につきまして申し上げまして、各裁判官からいろいろな御意見をいただいたような次第でございます。
○佐々木静子君 これは当然いろいろな問題があると思いますが、いま最高裁でつかんでいらっしゃる明白な事実ですね。つまり、最高裁での聴取というものは、直接には、司法行政上、たとえば裁判官の分限法に触れるような問題とか、そういう点で確実につかまれた事実ですね、本人が否認している分は別として。その部分を列挙――列挙といいますか、具体的に述べていただきたいと思うわけです。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私どもといたしまして確実につかんだ事実ということは、まだ正確には言えませんけれども、大体この程度のところはまずまず動かしがたいであろうという点につきましては、まず網走刑務所の件について申し上げますと、とにかく四十九年の夏、網走刑務所に行って問題の資料を写してもらったこと、それからその際に写らなかったところをまた網走刑務所に依頼して郵送してもらったこと、大体そんなところであろうかと思います。
 それからにせ電話の件につきましては、新聞報道等によりますと、ずいぶん複雑な事件だと私どもは想像いたしますが、私どもとしていわば大体このところは間違いないと――間違いないといいますか、大体こんなところだろうというふうに思われる事項は、八月中に二十二日の読売に報道された三木総理との会話の内容を録音したテープを読売の記者の方にテープを回して聞かせたというところは、あたりまえのことじゃないかとおっしゃられるかもしれませんが、私どもの方でただいまこの程度のことならまずまず間違いないのじゃないかというようなところでございます。
○佐々木静子君 その時間の確認はできておりますか、あとの部分について。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 日時、時間等についての確認はできておりません。
○佐々木静子君 いまのお話を伺っただけでも、まず確認された事柄ということだけでも、これは裁判官が全く政治の外にあって中立を尊重しなければならない立場から考えると、これは当然懲戒の問題が起こるのではないか。そういう事柄について昨日の最高裁の裁判官会議でも問題になったと思うのでございますけれども、まず伺いたいのですが、最高裁自身が国会の訴追請求を申し立てるというふうなことはいま確定しているわけですか。そういう議論は相当出ているわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほども申し上げましたように、昨日の裁判官会議におきましては、その点に関することについてはまだお決めいただく段階でないということで、いままでのいきさつ、並びに、これから先ほど申し上げました事実だけでは当然不十分でございますので、できるだけもう少し私どもにとって不明な事実を明らかにした上で最高裁判所としての基本的な結論を出したいというふうに考えておるわけでございます。
 実は、たとえば、余り重要なことでないかもしれませんが、昨日、衆議院の法務委員会で、法務省の矯正局長から、網走刑務所に行った日時につきまして、これはまず確定的と思われますが、七月の二十四日という日時が述べられたわけでございます。本人は、当初、どういうことで任地を離れたかということをいろいろ尋ねたわけですが、まあ夏休み、いわゆる夏季休暇の間であったというようなことを言っていましたが、で、さっそく当時の在勤庁であります八王子支部に照会したりいたしまして、本来、正規の手続で任地を離れたものかどうか、仮にそうでないとすれば、やはり先ほど御指摘の分限の問題、本来の裁判官としての服務の問題もございますので、そのような事実についても、周辺といいますか、まあ周辺というよりその分限に関係する事項であろうと思いますが、そういうことなどもさっそく調べているところでございます。
○佐々木静子君 任地を離れる場合は届け出をしなければならないわけですね、私用で離れるときは。それは全くその届けはなされておらないわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 実は、その点を調べましたところ、七月の二十三日に札幌に事件出張をしておりまして、その足で網走に行ったものと思われます。したがいまして、この事実は出張期間中に彼が主張しております自分のための行動でございますから、その意味ではいわば服務違反の問題もあろうかというふうに考えているわけでございます。
○佐々木静子君 勤務地を離れる場合に届け出をしなければならないというのは、最高裁規則で決まっているわけなんですか。これはどういう法律上の根拠になっているわけですか。条項もわかりましたら示してください。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 裁判官につきまして現在も法律上は官吏服務紀律が適用されるというふうに解しております。官吏服務紀律には、この第六条に「官吏ハ本属長官ノ許可ナクシテ擅ニ職務ヲ離レ及職務上居住ノ地ヲ離ル、コトヲ得ス」と、こういう条文がございますので、当然この適用を受けることとなろうかと思います。
○佐々木静子君 これはちょっと参考までに伺うのですが、その服務地というのはどの範囲を言うわけなんですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 「職務上居住ノ地」ということの範囲でございますが、まあ八王子の場合ですと、現在のように交通事情が非常に発達した場合とそうでない場合といろいろあろうかと思いますが……
○佐々木静子君 いや、現在の場合。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在の場合は、一応八王子市と考えてよろしいのではないかと思います。
○佐々木静子君 それでは、八王子の裁判官が帰りに銀座でちょっと飲んで帰るというのも裁判所に届けないといかぬのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ある一定の常識の範囲内の土地というふうに解していただければと思います。
○佐々木静子君 これは法案の審議に関連することだけれども、やはりそこはもうちょっとはっきりする必要があるのじゃないですか。これは、これから先、裁判所側から見て余り気に召さない裁判官の場合は、服務地違反ということで、その解釈はもう少しはっきりしておかないとどうにもならぬのじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 佐々木委員御指摘のとおりだと思います。私どもといたしましても裁判官の服務につきまして十分意を配っているつもりでございまして、ことしの春の長官所長会同におきましてもこの問題につきましていろいろ御意見をいただいたような次第でございます。
○佐々木静子君 いや、ちょっと答弁にならぬと思うのですが、もう少し具体的に、その範囲はどうなっているのかということを、いま努力しているということなんですか、どういうことになっているのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 明確にするように努力しております。
○佐々木静子君 まあ話のついでだから、明確にする努力をするという人事局長とすると、どのぐらいが普通の範囲だというふうに思っているわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 一応一般的に申し上げますと、いわば通勤可能範囲のようなことではなかろうかと存じます。
○佐々木静子君 新聞で拝見しますと、鬼頭判事補が、京都の自宅へはほとんど戻らずに、名古屋の自宅から京都地裁へ大体通っている。そのために開廷時刻も三十分おくれておるのが通常であると。こういうことは裁判所とするとどうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 実は、鬼頭判事補の開廷時刻につきましては、いわゆるこの事件が起こります前に報告がございまして、私どもの方から京都地裁の所長に対しまして本人に事情をただしました。いま御指摘のとおり、鬼頭判事補の法廷の開廷時刻は、ほかの方が十時なのに、鬼頭判事補は十時三十分である。その事情を聞きましたところ、十時に入っても両当事者がなかなかそろってもらえない、それで自分は十時半にしていると、しかし、登庁はほかの裁判官と同じようにちゃんとしていると、こういうような答えであったようでございます。その後、まあ今度の事件が起こりましてあれでございますが、もしそういうことで足並みをそろえた方がいいということであれば十時にするというような報告を受けていたところでございます。
○佐々木静子君 そのことよりも、名古屋から通勤しているということを伺っているわけなんです。その事柄は、裁判所とすると、これは許可していられるわけなんですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) すでに御承知かと存じますが、一応京都のいわゆる官舎の貸与を受けております。一方、子弟の教育のためということのようでございますが、名古屋に自宅を持っております。で、一週間のうちに、正確ではございませんが、どの程度名古屋の方におって、京都の宿舎をどのぐらい使っておるのか、ちょっと正確な資料はまだ得ておりませんが、いわば京都の官舎に泊まったり、名古屋のうちに帰ったりというようなことであったようでございます。京都の裁判所に対しましては、名古屋からそういう形で役所に出ることにつきまして一応許可申請が出ております。ただ、御指摘のように、名古屋と京都の間の通勤というものが果たして先ほど申し上げました通勤可能な地と考えていいかどうか、確かに問題があるところだろうと思っております。先ほどもちょっと触れましたように、最近のように交通事情が発達してまいりまして、恐らく新幹線でないと朝名古屋を出て京都の裁判所で仕事をするわけにもいかないと思いますが、新幹線を利用しておったようでございますが、果たして先ほど申し上げましたようにそのような形の通勤というものが裁判官として許されていい範囲であるかどうかというような点についても問題があろうかというふうに考えております。
○佐々木静子君 これは裁判官の報酬の問題とも関連するのですけれども、時間的には新幹線しか仕方ないと思うのですし、事実また新幹線で通勤しておったということを私も確認しておるのですけれども、新幹線で一日往復の費用はどれだけかかるのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 計算してみたことはございますが、ちょっといま正確な数字を把握しておりませんので、大体往復千五百円くらいでは――それじゃ、大変恐縮でございますが、不正確なこと申し上げては失礼でございますので、お答えは留保させていただきたいと思います。
○佐々木静子君 新幹線での往復というのは、名古屋と京都の間は一時間ぐらいでしょうが、金額にすると通勤ということになるとばかにならないと思いますね。この裁判官は、いろいろお調べになったようですけれども、預貯金などは現在どのくらいあったわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在のところ、そこまでは調べてございません。いずれ外国旅行等の問題がございますので、必要があれば当然聞かなければならない事項の一つではないかというふうに考えております。
○佐々木静子君 先日来問題になっておる海外旅行の費用の問題もありますが、これはちょっと裁判所はそういう私的な生活についてもっとスピードを上げて調べ、かつ、司法権の独立とかいうことで個人生活にはタッチしないというふうに考えていられるのかしらないですけれども、これは裁判の判断の問題じゃないのですからね。これはもう同僚の十九期の裁判官の人たちなどから聞く話でも、非常に金使いが荒いと。腕時計だけでも、一説によると、二百万円出して買ったといって同期会で見せびらかしておったと。一説によると、三百万円だったと。これは時計を二百万円とか三百万円出して、まあだれかからそれだけの値打ちのあるものを記念にもらったとでもいうならあり得ることかもわからないけれども、時計のようないわば消耗品を、二百万、三百万という現金を出して買うというようなことは、これはまあこの鬼頭判事補の言う名門か何かしらないけれども、家に資産があっても、時計を二百万、三百万で買うというのは普通じゃないですよ、よっぽどあぶく銭の入る人間じゃないと。二百万円とか三百万円の時計というものを買って、一裁判官、しかも判事補が身につけるというようなことはとうてい考えられないというそんなことを全然調べてないのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のようなことにつきましては確認いたしておりませんが、そのようなことがありますれば、確かに御指摘のとおりいわば身分不相応と申しますか、そのように考えざるを得ません。ただいま御指摘のありました金の問題等につきましても、先ほど申し上げましたように、できるだけのことを調べたいというふうに考えております。
○佐々木静子君 また、五十六万円でカメラを買った、カメラにはもう金に糸目はつけないと、これも同期会などでそういう話もしており、それからその五十六万円のカメラを十九期の同期生で見せてもらった人があると、その話も私は聞いておるわけですけれども、そういうことも私的な生活については何にも関心を人事局長は持っていられないのですか。金をどんどん使うというのは、単なる私的な問題じゃなくて、報酬のこれで見ると、後から伺いますけれども、買えるはずがないでしょう。五十六万円のカメラ、まあカメラが何よりも三度の食事よりも好きで、いままでの給料とか手当、ボーナスをためて五十六万円のカメラを何年かかかって買うということは、これはあり、得ることでしょうけれどもね。しかし、時計も買う、カメラも買う、新幹線で通勤する、海外旅行へはどんどん行くと。しかも、判事補ですね。これは私は最高裁長官の報酬でもなかなかできないのじゃないか、失礼ながら最高裁長官にしても三百万円の時計をぽんと買ったりはちょっとできないのじゃないかと思いますよ。そのあたり、これは単に金使いが荒いとかかんとかという問題じゃないですよ。裁判官がそういう金をどんどん使っているということについて、人事局長としては当然その点を調べないといけないのじゃないですか。いままで何をしていらっしゃったのですか、調べているということについて。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 鬼頭判事補の周辺の私的な事情につきましては、従来の勤務地である裁判所に対しましても、いまお示しの同期生の方々に対しましても、調査を進めたいというふうに考えておるところでございます。
○佐々木静子君 これは調査を進めたいというふうにのんきにはしていられないでしょう。本人はもうやめるということを方々で言っているのですからね。ですから、いまも最初に伺ったのは、訴追でも、訴追請求されるのかと言うと、まだこれから調べるのだと。恐らく分限裁判にしてもこれから調べるのだということだと思いますね。本人はもうやめてしまったらどうにもならぬじゃないですか。そこら辺は、どうも私ども、前回も言いましたけれども、何かかばい過ぎというか、少なくとも普通の常識でこれだけいろいろなことが出ているのに、それも伺ってみるとまだ手をつけてない、これも手をつけてないということでは、これは最高裁も大変なことはわかりますけれども、どうももう一つぴんとこないものがありますよ。
 読売新聞社に対する協力要請をされた、この間の委員会でいろいろな意味で協力してもらうということになったということですが、テープの存否についてどういうことになりましたか、また、出会った記者の名前は確認されましたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 前回申し上げましたようなことをいたしましたが、読売の方から具体的にこういう形でというお話はいまのところまだいただいておりません。
○佐々木静子君 週刊新潮に対してはいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 週刊新潮――新潮社に対しましては、早急に接触を開始したいと思っております。
○佐々木静子君 まあ相手のいることですが、前回も、読売新聞の方も、週刊新潮のことは伺わなかったけれども、したいと思うと。大体いつ、もうめどをはっきりもう少し具体的に。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 内容を伺う形でも何なりでも、とにかくきょうあすじゅうにいたしたいと思っております。
○佐々木静子君 法務大臣に伺うのでございますが、前回の委員会でも、まずこの被害者である総理からいろいろと事情をお聞きしないといけないと。前委員会に、その当該裁判官のテープを吹き込んで聞かせようと、この声かどうかということで一遍やってみるという準備もできているという話でございましたが、それはもうおやりになったのですか、どうですか。総理に聞いてもらったわけですか、どうですか。
○国務大臣(稻葉修君) 早速総理に聞きました。そうしたら、特徴のある声でなかったものだからよく覚えていないと言うのですね。それから鬼頭判事補がテレビに出てしゃべったのを見たり聞いたりされましたから、それは見もし、聞きもしました。それは聞いたが、前の電話のときの声があんまり特徴ある声だと思っていなかったのでよく覚えていないから、一致しているかどうかわからないと言っているのですね。そういう返事です。そういうことでした。
○佐々木静子君 テレビの場合は目から入りますから、どうしても声だけ聞く場合と多少違ってくると思うのです。それで、前回の話にあった鬼頭判事補の話を週刊新潮で言っているやりとりを鬼頭にテープで吹き込ませて、それを総理に聞いてもらったら、その声は、テープへ入ると、あるいは電話を通ずると、生の声よりも多少声が変わるわけですね、普通。ですから、それを聞いてもらおうという話が前回出ていたわけですね。それはもう実行なさったかどうかということなんです。
○国務大臣(稻葉修君) それは実行しません、まだ。それは、私伺ったのは、総理によくテレビを見て電話の声と一致しているかどうか聞いてみろと、これだけだったと思っておったです。いまおっしゃったようなことはまだやっていません、したがってね。――それは失礼しました。それをやってみる必要があるかもしれませんね。また総理ともよく相談します。
○佐々木静子君 総理も大変お忙しいと思うけれども、一時間も電話で鬼頭と話をされるような時間もあるのですからね。ですから、これはやろうと思ったら何も初めから終わりまでやらぬでもいいのだから、むしろそれより少ない時間でできることですから、これは、大臣、早急になさる必要があるのじゃないですか、一番の決め手ですからね。いかがですか、総理にすぐお話しになりますか。
○国務大臣(稻葉修君) 総理に話すことはわけないのですね。そして、総理もいいよと言うに決まっていると思うのです。ただ、鬼頭判事補に、ああいう週刊誌なら週刊誌、あるいは読売新聞のあの記事を持ってきて、このとおり聞いてくれというテープを、だれがどこで吹き込ませるか、これは私の任務じゃないと思うのですね。それさえあれば、そういうことができたら、総理、あなたはそのテープを聞いて記憶を呼び起こしてもらいたいものだがどうですかということはきょうにでも申しますね。
○佐々木静子君 これは最高裁で吹き込みをとられたのじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 二十二日の読売の電話の問答の記事を読ませまして、冒頭の部分を録取してございます。
○佐々木静子君 そうすると、そのテープは最高裁にあるわけですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) そのとおりでございます。
○佐々木静子君 そうすると、それを、新聞によると、刑事局が窓口ですか、そういうことで総理の方に持っていかれることは簡単なのじゃないですか。
○国務大臣(稻葉修君) どうなんです、貸してくれるかね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) もちろんお持ちいただいてよろしくお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 人事局長は貸してくれるそうですから、早速借りて総理に聞いてもらいます。
○佐々木静子君 そうしたら、次の本人喚問の問題とか、あるいは終盤を控えてまだ委員会もあることでございますし、ともかく国会のためというよりも、早いことやらないといけないのじゃないかとわれわれは気が気じゃないし、しかも、その鬼頭判事補本人に言わせれば、にせ電話のことを知っているのは自分と総理だけだと公言しているのですから、総理から早く聞いていただく、いまの方法で。これは、ぜひ、法務大臣、やっていただきたい。また次の国会にでもその話をしていただけると私ども真相解明に近づいてきたということでこの疑問が解きほぐされると大変ありがたいということですから、ひとつお願いできますね。
○国務大臣(稻葉修君) 早速実行いたします。
○佐々木静子君 刑事局に伺いますが、鬼頭判事補の捜査にかなり動いてきていられる。これは前回の当委員会でも、検察庁は、早く、しかも外側の関係者の足固めをしていかなければならないのじゃないかという話を各委員が申し上げておったのでございますけれども、もちろん相当動いていられるとは思いますが、差し支えない範囲でどういう捜査が行われているかということを御説明いただきたいと思います。
○政府委員(安原美穂君) 本件につきましては、先日、このようなことが公然化いたしました際、早速検察当局といたしましては、これがいかなる犯罪になるかというような法律上の検討をいたしますとともに、捜査方法につきましても一般的な協議を遂げたことは事実でございますが、その後、具体的にどのような捜査をやっているか、あるいは内偵をしているかというようなことは、少し秘密にも属しますので、ただ真相の解明のために最善の努力をするという覚悟であることは承知いたしております。
○佐々木静子君 検察庁の方で、鬼頭判事補の預貯金、資産関係はある程度わかっているわけですか。
○政府委員(安原美穂君) そういうことはわかっておるという報告は受けておりません。
○佐々木静子君 三木総理も相当な電話魔ということで有名ですが、この鬼頭氏はそれをまたはるかに上回る電話魔であるということは、これは国会の喚問に関してもわれわれ直接存じているわけですけれども、鬼頭判事補の一ヵ月の電話料金、これなんかは検察庁なり裁判所の方で大体調べていられるわけですか。これはすぐわかることですけれども、名古屋の自宅と、京都の自宅と。
○政府委員(安原美穂君) これは、わかったとしても、申し上げることがどうかは別といたしまして、捜査の方法といたしましては、そのようなことが本件真相の究明に必要であれば当然調べることと思います。
○佐々木静子君 鬼頭判事補の海外渡航の問題ですね、これは裁判所でつかんでいらっしゃるのは、いつといつと何回行っているわけですか、ちょっと具体的に述べていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私どもの方で、海外渡航につきましていわば正式に許可をいたしましたのは、四十九年の十二月二十九日から五十年の一月四日まで、それから五十一年の七月二十三日から五十一年の八月九日まで、この二回でございます。
 それ以前の渡航があるかないかにつきまして、私どもの方から法務省の入管局の方に御協力をお願いいたしましたところ、承諾いただき調べていただきましたが、きょうの朝刊に載っているのと同じでございますが、三回外国に行っていることがまず明確になったと思われます。実は、私どもの事情調取の際にも、その前にも行ったのではないかということでただしたわけでございますが、どうも要領を得ませんで、果たしてどこに何をしに行ったかという点につきまして、さらに私どもの方の立場でも調査すべき事項だというふうに考えておる次第でございます。
○佐々木静子君 これは、入管の方では海外渡航の状態はわかるわけでございますか。
○説明員(竹村照雄君) 出入国記録がございますので、それによって調査できます。ただし、日本人につきましては、昭和四十五年十二月三十一日以前の分はもう廃棄されておりますので不明でございます。
○佐々木静子君 それによって調べられたことはありますか。調べられたとすると、何回行かれたか、また、後日行かれた回数やら日時を資料として出していただきたいのですが、概略何回行ったのか、そのうち裁判所に届けた分も含まれているのかどうかということもお答えいただきたいと思います。
○説明員(竹村照雄君) いま勝見局長のお答えと合わせますと、私の方の記録で把握しているのは、昭和四十七年十一月十六日羽田出国、十一月二十日羽田へ帰国、それから四十八年七月二十六日羽田出国、八月十日羽田へ帰国、四十九年四月二十九日羽田出国、五月六日羽田帰国、それから裁判所に届け出たのと概略合致するのが、昭和四十九年十二月三十一日羽田出国、五十年一月十三日羽田へ帰国、それから五十一年七月三十一日伊丹から出国、八月四日に伊丹へ帰国ということでございます。
○佐々木静子君 この海外旅行のことについて最高裁はどのぐらい調べていられるのですか。これもまたいろいろな意味で非常に意味があるわけですが、まずその足取りがつかめないと言われても、大体、海外旅行の場合、旅行社か何かというものがタッチしているのじゃないかというふうに思うのですが、そういうこともわかっておらないわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほど申し上げましたように非常に要領を得なかったわけでございますが、四十八年だったかの夏ごろベルリンの方へ観光に行ったというふうなことをちょっと言っていたわけでございます。それから四十九年のいわゆる連休を利用してアメリカの方へ親族に会うということで行ったというふうなことを言っておりました。あと、問題の最後のことしの八月でございますが、ただいま法務省の入管の方から申し上げましたとおりの約四日間ということを言っておりましたが、三十一日から八月四日、その問題の電話があったといわれている日の昼ごろに戻ったと、これはそのように述べておったわけでございます。
○佐々木静子君 私、ちょっといま勝見局長の前回の御答弁を聞き漏らしたのですが、五十一年の七月の渡航というのは、裁判所へは何日からということになって届けてあるわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 許可申請は、五十一年の七月二十三日から八月九日まででございます。
○佐々木静子君 こうした点についてもう少しお聞きしたいこともあるのですが、京都の電気器具屋さんに本人らしき人物があらわれた。そして、これは電話のテープのセットを七月の末に買いに来たと。この件については、最高裁あるいは法務省の方ではどのようにつかんでいられますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 地元の裁判所の事務局に対して、御指摘の新聞報道にあった事実について調査方を指示しているところでございます。
○佐々木静子君 法務省の方は。
○政府委員(安原美穂君) そのような捜査をしたという報告は受けておりません。
○佐々木静子君 これはかなり重大なことなのじゃないですか。しかも、日にちから逆算すると、七月の末ですね。これは、新聞で見ると、七月の末は外国へ行っておったからアリバイがあるのではないかなどというようなことは最高裁当局の話として出ているようですけれども、この裁判所へ出した渡航の申請というのは、むしろアリバイづくりじゃないのですか、七月二十三日に渡航して八月九日に帰ってきたというのは。問題は、七月二十三日から七月三十一日までの間に何をやったか、また、八月四日に日本へ帰ってきて八月四日から八月九日まで何をやったか、問題はそこが一番大事なのじゃないかと思うのですけれども、そのあたりの調査はどうなっているのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 佐々木委員御指摘のとおりであると考えます。これがアリバイ工作と見るか、逆な意味で現実当該電話のあった日に帰ってきておりますところを考えますと、わざとその日に帰ってきて、いなかったということでなくして自分でないというふうに言っているのかどうかというふうに最初思ったわけでございますが、ただいま入管の正式なお調べによりますと、そのとおりのようでございますので、この帰りの日時につきましてどう考えるべきかは、これから後どのような事実が出てまいりますか、それによろうかと思いますが、私どもの聞いたところでは、その日は昼ごろ大阪空港に着いて京都の官舎に入ったと、疲れておったのでその晩はぐっすり官舎で眠ったと、こういうようなことでございました。なお、御指摘の、その次の日からどうだったかということについては、まだはっきりさしておりません。
○佐々木静子君 これは、もう少しどんどんと、この間のわずかな限られた日数なのだし、またそれほど昔のことじゃないのだから、これは幾らでも傍証はつかめるのじゃないかと私ども思うのですけれどもね。これはその日はぐっすり寝ておったなんて裁判所で言って通ったためしがないでしょう、弁護人の立場から言ってみれば。こんなもの、いまだかつて、その日はぐっすり眼っておったなんと言って、裁判所が、ああそうですか、眠っておられたのですか、それじゃアリバイがありますねなんていうような認定をまずやってくれたことはないのですからね。おかしいですよ、ぐっすり眠っておったと言うておられますじゃ。やっぱり、私が最初から言っているように、裁判官のかばい合いというか、裁判官の言うことだから、まあ鬼頭であっても普通の一般人よりは本当のことを言うのじゃないか、信用できるのじゃないかというようなことで。普通の公判事件であってぐっすり眠っていた、はあそうですかなんて言う裁判官はおらんですよ、そんなのんきなことを言うている人は。だから、おかしいですよ、そういうことを真に受けているとは私も言わないけれども。なぜもっとそこら辺を、わずかな日時でしょう、しかも普通の公判事件だったら、五年も、ひどいときなら二十年ぐらい前のときの足取まで調べないことにはどうにもならないときがあるわけですよ。ところが、このまだ三ヵ月もたっていないような事柄を、しかもこれほど新聞にたくさん出ていれば、情報もどんどん入るし、こんな調べやすいのはないですよ。どうですか、ここら辺のところは、もうちょっと調べていられるのでしょう。私は勝見さんはそんな無能な方だとは思っておりませんからね。ですから調べた結果をもうちょっと言うていただいたらどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) このたびの鬼頭判事補の事件につきましては、事の重大なこともありまして、全く厳粛に受けとめて、私ども裁判官の仲間から本当にこういうことをやったのであればまことに申しわけないということで、事務総長からも申し上げているところでございます。決して私ども同僚の裁判官をかばい立てするというようなことで調査を進めているつもりはないのでございますが、ただいま御指摘の点につきましては、私どももできる限りのことはやるつもりでおりますが、具体的に申せば、その官舎の近隣の者にその日時の前後の事情がどうであったかどうか等につきましても、地元の事務局長、事務局に指示をいたしているところでございます。
○佐々木静子君 石原局長に伺いますが、その後、網走刑務所の方の捜査ですね、これを伺っているところでは、国家公務員法違反の疑いも相当濃厚ではないかと思うのですけれども、捜査はどうなっておりますか。
○政府委員(石原一彦君) 私どもの方は調査をいたしておりますので、捜査はいたしておりません。
○佐々木静子君 じゃその調査の結果をおっしゃっていただきたいわけです。
○政府委員(石原一彦君) 先般来調査を実施しておりますが、現在も引き続き実施中でございます。これまで、網走刑務所の前の所長の程田福松氏と、当時の庶務課長でございました南部悦郎氏、二人から事情を聴取いたしました。
 最初に申し上げておきますが、事情聴取の基本方針といたしましては、御承知のとおり、この事案の関係者は三名おるわけでございます。調査に当たりましては、いずれの者の供述に信を置くというような前提はとらずに、当方の二人の関係者につきましては、できるだけ記憶を喚起するという方向で調べました。したがいまして、二人別々に、会わせることのないように調べたのでございます。その記憶による供述をもとにした調査を一応まとめたということでございます。
 なお、後に詳しく申し上げますが、二人の供述には不一致の点がございます。これは先ほど申し上げましたような基本的な方針で調べたのでございますが、むしろこの不一致の中にこそ真実があるのではないかということでございますので、そういう点を前提といたしましてお聞き取り願いたいと思います。
 調べましたのは程田前所長でございまして、程田所長は、昭和四十九年四月一日から五十一年の三月三十一日まで網走刑務所長でございました。現在は、本年四月一日勧奨により退職いたしております。調査いたしましたのは、本月の二十一日、二十六日及び昨二十七日の三日間でございます。
 南部悦郎氏は、昭和四十八年三月十六日から五十年三月十六日まで網走刑務所の庶務課長をいたしておりまして、現在は帯広刑務所の庶務課長でございます。南部課長に対する事情聴取は、本月の二十五日二十六日、二十七日の三日間でございます。
 最初に、鬼頭判事補から依頼のあった経緯、内容について申し上げ、次に、南部課長と鬼頭判事補が応接いたしているのでありますが、その状況について申し上げたいと思います。
 最初は、程田前所長の事情聴取の結果についてであります。
 昭和四十九年七月二十三日、鬼頭判事補から、二、三日じゅうに終戦直後の政治犯収容者の書類を調査のため伺う――昨日、衆議院の法務委員会におきましては、終戦直前の政治犯収容者の書類と申し上げたのでございますが、その後、昨日調べましたところ、あるいは私の記憶違いで終戦直後であったかもしれないということでございます。事実は終戦直後ということになりますので、供述がその点は変わりました。――という電話を受けまして、程田前所長は、そういうことは法務省あるいは矯正管区あるいは裁判所からの正式の依頼が必要であるという旨を答えまして断りました。なお、その際、返事をする必要もあろうかと思いまして、電話番号を尋ねましたところ、市内電話を使っていると先方は答えまして、相手の電話番号は教えてくれなかったようであります。ところが、翌二十四日、札幌矯正管区の第二部長から、鬼頭判事補が終戦直後に執行停止した者についての調査について取り計らってくれという電話があったと。なお、この点につきましては、実は程田所長のみの供述でございまして、まだ確定をいたしておりません。先ほど申し上げましたように、正式な依頼が必要であるというふうに答えて断っておいたのだというふうに申したところ、第二部長は、そのため自分の方に照会があったのだろうということでございました。そこで、事情を聞いた上、必要が認められれば許可しょうというふうに伝えた。ところが、最初の電話では二、三日じゅうと言っておりましたのに、翌二十四日、すなわち七月二十四日でございますが、矯正管区からただいま申し上げた電話のありました後に、鬼頭判事補から、網走駅に着いたから間もなく伺う、宮本顕治氏は終戦直後出所しているはずなので、そのことで尋ねたいという電話を受けた。そこで、南部課長に鬼頭判事補の身元を確認する旨指示いたしますとともに、自分自身は、果たして宮本氏が出所したのかどうか知りませんでしたので、南部課長に聞きましたところが、当所を出所しているということでございましたので、南部に身分帳があったら用意しておくよう指示したのであります。
 その後間もなく南部課長が鬼頭を案内いたしまして所長室に参りました。名刺交換後、鬼頭判事補は、職務上の参考として研究したいので来たと言うとともに、宮本氏が当所を出所しているので、確定裁判所名、確定年月日、罪名、刑名、刑期、入所年月日、出所年月日を知りたいと言ったと。そこで、自分は、鬼頭判事補が現職の八王子支部裁判官であるということを南部課長の確認で報告を受けておりましたので、わざわざ東京から来たのは担当する事件の参考のため大事な急用で来たものだと思いまして、宮本氏の身分帳によりまして、先ほど申し上げた点について説明をした。なお、その際、宮本氏は病気のため執行停止で出所したということは述べた。すると、鬼頭判事補は、自分の話したことをメモさしてくれというふうに言いますので、同室しておりました南部課長に、庶務課に案内していま言った範囲内で説明するように指示し、南部課長は鬼頭判事補を案内して退室した。面接時間はそう長くはなかったというのが程田氏からの事情聴取の結果でございます。
 次に、南部課長の調査結果について申し上げます。
 昭和四十九年の夏ごろ、東京地裁八王子支部の鬼頭判事補と名のる者から、職務上治安維持法の研究のため宮本顕治氏について調査したいのであしたお邪魔する、これは外部に発表はしないという電話を受けた。そこで、程田所長に話して指示を受けて、鬼頭判事補の身元を確認するため、八王子支部の電話番号を調べて、折り返し電話をしました。電話に出た書記官――この書記官については尋ねたのですが、名前を聞いておかなかったということでございますが、その書記官から、鬼頭判事補は確かに自分の支部に勤務している、きょうは不在でいない、しかしあした網走刑務所に行くと言っていたという旨の回答を得たのであります。すると、翌日、網走駅から電話しているのだがいまからお邪魔するという電話がございましたので、承知したと回答をした。間もなく鬼頭判事補が参りましたので、所長室に案内し、かねてから程田所長から用意するように指示されておりました身分帳を所長に渡した。しかし、自分は、お茶の接待のために出て行ったので、程田所長と鬼頭判事補との詳しい話し合いは聞いていない。なお、鬼頭判事補が所長室にいた時間は約二十分ぐらいではなかったかという記憶でございました。
 これが前段階でございますが、これまでの点について簡単にまとめて申し上げますと、東京から及び北海道における鬼頭判事補の依頼の経緯につきまして、両者の供述にやや差違があり、一致しておりません。私どもこの点をどう判断するか検討したのでございますが、最初程田所長に電話したら断られたので、それで改めて南部課長に電話したのではないかということも考えられますので、この点はさらに調査を続行したいと考えております。
 なお、御報告の際申し上げました札幌矯正管区の第二部長につきましては、近日中に事情を聴取する予定であります。
 それから七月二十四日という日は電話書きとめ簿によって確認いたしました。これは、たまたま鬼頭判事補から電話があったと、しかも、その字が鬼頭でなくて木藤と書いてありまして、信憑性があるということで七月二十四日という日が確定されたわけでございます。
 次に、南部課長と鬼頭判事補との応接の状況について申し上げます。
 程田所長から必要なところを聞いて教えてあげなさいという趣旨のことを言われ、そのほか具体的な指示はなかったので、庶務課の応接コーナーに案内し、センターテーブルをはさみ合い、向かい合って着席して応接した。鬼頭判事補は、最初、罪名、入所日等について聞きましたので、自分は身分帳を見ながら答えておりましたところ、途中でちょっと見せてくれませんかというふうに申し出た。自分としては一瞬ちゅうちょしたのではあるけれども、前日職務上で来るという電話があった、それから身分を確認するため電話したところ、確かに八王子支部に勤務はしているし……
○佐々木静子君 ちょっと短くしてくださいませんか、私の時間がもう終わりますので。もし書類があったら出してくださいませんか、報告書があったら。
○政府委員(石原一彦君) 簡単にあと申し上げます。
 あす網走に行くというような話があったので、身分帳を渡した。その間自分は出たり入ったりしていたのだが、一、二度立って入って見たところが写真を撮られてしまった。これも気分を悪くしたのだけれども、もう見せてしまった後だし、判事補という肩書きに押されて黙っていた。なお、自分が応接した時間につきまして、昨日は十五分ぐらいと申し上げたのですが、その後やっぱり二十分ぐらいかかっていたのではなかろうかというふうに言っております。その後、鬼頭判事補から、診断書の写しをゼロックスで送ってくれと言われた。自分の方ではゼロックスがあるけれども費用がかかるので、課員に原本どおりに筆写させて、法務省名入りの用紙を使ってそれを書かせ、鬼頭判事補あてに郵送したということが大体の事実の概要でございます。
○佐々木静子君 一言だけ伺いますと、札幌矯正管区の第二部長の名前をもう一度おっしゃってくださいませんか。名前だけで結構です。
○政府委員(石原一彦君) 現在秋田の刑務所長をいたしております森律夫氏であります。この者につきましては、すでに電話で連絡したところ、記憶がないというので、近日中に呼んで調べることになっておりまして、いま静かな心境にさしておりますので、その点は十分お含みを願いたいと思います。
○佐々木静子君 これは全く特異な裁判官のことを標準にして裁判官やら検察官の報酬のことを審議するようで非常に適当でないというふうにお思いになるかもわからないですけれども、参考までにこの鬼頭判事補の報酬は月幾らなんですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在、鬼頭判事補は、判事補一号でございまして、報酬月額が二十五万円でございます。
○佐々木静子君 私どもがいま一番心配しているのは、いまもだから冒頭に伺ったのですが、最高裁が訴追請求をすぐにでもなさるおつもりがあるかどうかということ。これは国家公務員の懲戒免職に該当するものといえば、これは訴追しかないのですからね。ほかに分限法による処分というものも分限裁判というものもあるかもしらないけれども、これは非常に罰が緩いですね。ですから、万一最高裁の方でぐずぐずしていらっしゃる間に、まあ民間からも訴追請求が出ていますけれども、鬼頭がやめてしまうというようなことになれば、退職金まで出さないといけないのじゃないか。これくらい国民感情に反することはまた少ないのじゃないかということで私は躍起になって、いま石原局長も調査ですと言われたけれども、私は早く捜査にもかかってほしいと。ともかく国家公務員法違反でも何でもやはり強制捜査に入れないかというふうに思っているのですけれどもね。もしこれが依願退職というようなことになったら、いまの報酬では鬼頭判事補は幾ら退職金をもらうのか、また、いま審議している法案で給与が上がったならば幾ら退職金をもらうのか、それを具体的に述べていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 大変恐縮でございますが、いま手元に正確な計算の結果を持っておりませんので、後刻お知らせ申し上げたいと存じます。
○佐々木静子君 私の質問はまだ五分ありますから、五分の間に、ちょっと概略で結構、細かい数字じゃなくていいのですから、計算していただいて、その間に伺いますけれども、昨日国会の訴追委員会が開かれたことは御承知のとおりですけれども、これはまあいまのニュースがこの鬼頭判事補に集中しているから、鬼頭判事補のことが大きくクローズアップされておるわけでございますが、十一月二日に訴追委員会全体会議を持って、そして、鬼頭判事補の問題と、それから女性差別発言をした川嵜裁判官外三名の問題と同時に同日訴追委員会の全体会議にかかるということになったというふうに聞いておるわけなんです。いわゆる鬼頭問題で研修所の方はもううまいこと助かりましたなあというような話を毎度聞くのですけれどもね、法曹関係の人から。研修所の人たちは鬼頭問題が起こってくれたのでやれやれと思っているでしょうと。しかし、実際は国会ではそうなっておらないわけで、両方を進めるわけなのですけれども、無論比重は違います。比重というか、性質が違いますよ。
 この四人の裁判官の問題については、その後最高裁はどうしていられるのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) この事件が起きまして、研修所の差別発言問題につきまして、まあ、やれやれというようなことじゃないかと、こういうふうにおっしゃられたわけでございますが、私どもといたしましては、二人の者に対して研修所の所長から注意をいたした次第でございまして、その後、もちろん今後はそんなことのないように十分研修所ないしわれわれといたしまして自戒自粛しているつもりでございます。
 なお、冒頭にお尋ねがございましたように、この鬼頭判事補の問題について早急に結論を出すべきであるという御趣旨は、確かにそのとおりであろうかと存じますが、一応私どもなりに調査を進めまして、できる限り早く最高裁判所としての考え方をまとめなければならないと思っております。繰り返し申し上げますけれども、できる限りのことをやった上でこの件についての結論を出したいと考えておる次第でございます。
○佐々木静子君 五十一年十月十六日の近畿弁護士連合会の大会におきましてもこの問題が大きく取り上げられ、満場一致でこの司法研修所における女性差別発言というものを法曹は重視しなければならないと、公職にある者としてこの発言は看過することができないと、まあこれを読み出すともう時間がないですからやめますけれども、鬼頭問題という非常に特殊な事件をとらえて、この問題だけ片づけたからもうこれで済んだのだというふうにもし最高裁が処理されたら、これは大変なことで、鬼頭はこれはまあ変わってはおったのでしょうが、無論背後関係がいろいろあるわけですけれども、この特異な人間を裁判官として――先ほどから矯正局の話を伺っていても、刑務所においても現職の裁判官だからということでこれはもう大変な扱いをしているということがわかるわけですからね。こういう裁判官というものを養成し、かつ任命し、かつ育て上げ、いまなお現職の裁判官として認めざるを得ないのですね。いま、そういう最高裁のあり方というものに対して、これは一つの問題なわけです。このことについて、ただ反省するとかなんとかということじゃ話にならないわけです。それで、もう時間がないですから、とりあえず司法の民主化、女性差別をなくすると人事局長が言われるなら、これは多くの婦人弁護士からの要望として、まず、法曹の養成機関に、民事裁判、刑事裁判、検察、刑事弁護、民事弁護のこの研修所の五つの項目に一人以上の婦人を教官に採用してくれと、それから人事局長を婦人にかえろと、それが強い要望としていま全国の婦人弁護士から出ているわけです。私は司法の女性に対する考え方を改めるには最も適切な方法ではないかと思うのですけれども、検察などを考えてみたときに、教官となると、やっぱり一定の期、何期ぐらいの人かということも要るだろうし、そのキャリアも要るでしょうから、あるいは弁護の方は弁護士会から推薦するわけですから、そう一方的にすぐに裁判所に返事をと言ってもむずかしいと思うのですが、どうですか、研修所の教官は、大体聞いているところでは、三期から十五期ぐらいの人たちが研修所の教官になっている。そこにはもうずいぶん婦人裁判官が育っているわけですね。最低とりあえず、一遍に事務局長を婦人に入れかえるというところまではいかなくても、これはぜひそうやってもらわないと私は困るのですけれども、とりあえず婦人を裁判教官に適当な人を任命してまず司法の民主化を図り、それから日弁連から弁護教官に婦人が推薦されてきたときにはこれは採用すると、その二つ、いかがですか、人事局長と事務総長に御返事をいただきたいのです。口先ばかりでいいことを言ったってだめです、実際に示していただかないと。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 人事局長に婦人をというお話でございますが、そうなりますと……
○佐々木静子君 事務局長です、研修所の。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 事務局長でございますか。
○佐々木静子君 いま川嵜さんのポストです。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 事務局長にいたしましても、事務局長に婦人をいたしますと、今度は男性の側からまたなにが考えられないでもございませんですが、教官はまあ大ぜいおるわけでございますし、ことに裁判所、検察庁、弁護士会いろいろございますから、その中に一人ぐらい婦人がおられることもあるいは考えられることかもしれませんが、これはまた人事局の方で十分研究してもらうことにいたしたいと思います。
 ちょっと一言だけ申し上げさしていただきますと、先ほど来人事局の調査がいかにも手ぬるいようにおっしゃっておられますけれども、この事件が明るみに出ましたのは先週の木曜と金曜日なんです。土曜日一日かけて本人の言い分を聞いたわけです。これはただ本人の言い分を聞いただけでございまして、決して私どもそれを信用しているわけじゃございません。と申しますことは、鬼頭判事補の話がうそだと言っているわけでもない。いずれかわからないと考えているわけです。そのうち新聞記事と私どもの調査して鬼頭判事補の述べましたことと一致しておりますところはこれはまず疑いないであろう、一致しないところはいわば当事者間に争いのあるところであるから、これを証拠調べしなければならないというので、周辺調査と申しますか、証拠調べと申しますか、それをいたしております。それはまだわずかに火曜日と水曜日と二日だけでございます。しかも、私ども、人事局長、調査課長、いずれも連日国会で御説明申し上げておりまして、手足というものも警察のように膨大な組織を持っておるわけでございませんで、たとえば京都の裁判所の事務局とか、そういうところを使いましてやっておるわけでございまして、幾ら一生懸命やりましても二日間でこの膨大なものの傍証を固めるということは困難でございます。それをまたあわてて鬼頭本人を呼んでみましても、十分な傍証なくして聞きましたら、また彼に言い逃れをされるだけのことでございますので、この次呼びますときには、十分な私どもの手持ちの証拠を整えた上で、そうして鬼頭からそれに対する弁解を聞く、それによっていわば一連の調査は完了するものと、かように考えておるわけでございまして、決してスローモーでやっているつもりでもございませんし、また事柄をあいまいにしようというような気持ちは毛頭ございません。先回以来申し上げておりますとおりに、この事件につきましては徹底的に十分な調査をして、まあわからないところは仕方がないけれども、できる限り明らかにして、その上で公正な措置をとりたい、こういう気持ちでいっぱいでございますので、そこは先ほど来いろいろお話ございました、いろいろもっともではございますが、私どももそういう立場であるということを御了解いただきたいと思います。
○佐々木静子君 最後に、大変御苦労なことはもうよくわかっております。それで、この問題について国民が司法に寄せている信頼を裏切らないためには、この事件の処理を誤らないように十分に国民が望んでいる司法の実現ということにこたえていただきたいというふうに特にお願いを申し上げると同時に、いま、女性教官の問題、これは前向きに事務総長、取り組んでいただけますね。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 佐々木委員のお話を十分念頭に置いて今後いろいろ考えてまいりたいと考えております。
○佐々木静子君 終わります。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほどお尋ねの退職手当でございますが、現行の報酬法によりますと、自己都合ということでありますと、約百六十九万ほどでございます。それからこのたび御審議いただいている改正法案によりますと、約百八十万でございます。
○委員長(田代富士男君) 午前の審査はこの程度といたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十七分開会
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 丸茂重貞君が委員を辞任され、その補欠として山本茂一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(田代富士男君) 休憩前に引き続き、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○原田立君 裁判官及び検察官の報酬等に関する法律の一部改正案について若干質問を行います。
 当局の姿勢について心配な点がありますのでお伺いするのでありますが、初めに、身分保障あるいは待遇の適正面、あるいは現行での体制を現在どのように考えておられるのかどうか、その点についてお伺いいたします。
○政府委員(賀集唱君) まず、裁判官、検察官の身分保障及び給与面での待遇はどうなっているかという、現状といいますか、制度の点から御説明申し上げます。
 まず、裁判官の場合につきましては、憲法第七十八条におきまして、「裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。」と定められ、また、その報酬につきましても、憲法の第七十九条第六項及び第八十条第二項にきまして、「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と定められております。このように、裁判官の身分保障及び報酬の減額はないという手厚い保護は、やはり、裁判というものが、司法という重責といいますか、国の政治の中の一番重要なところを担うという裁判官の職務の重大さ、責任の重大さに起因するものと思われます。そういたしまして、こういう憲法の規定を受けて、裁判所法は、裁判官に対しまして、公の弾劾等の所定の事由がある場合を除き、その意思に反する免官、転官、転所、停職または報酬の減額をされないという保障を与えております。そして、その給与面での待遇でございますが、ただいま御審議をいただいております裁判官の報酬等に関する法律によりまして、たとえば行政官の場合と比較いたしますと、同じ経験年数の一般の行政官に比べましても相当給与水準が高いところにある、そういう優位性のある報酬を支給されることに法律上なっております。そういたしまして、その給与面からのといいますか、待遇によって実質的に身分保障を裏づけていると、こういう関係になっております。
 次に、検察官につきましても、やはり裁判に準ずると申しますか、司法権の発動を促し、その適正円滑な運営を図る上できわめて重大な職責を有し、司法官に準ずる性格を有するものである点にかんがみまして、検察庁法第二十五条におきまして、たてまえとしましては、その意思に反する失官、停職、減給を受けることができない旨定められております。いろいろ細かい規定もございますが、その点を省略させていただきますと、裁判官の場合と違うのは転所の保障がない。転所の保障がないというのは、その同意なくして転勤を命ぜられるということは裁判官の場合はないわけでありまして、そういう点だけが裁判官との違いでございます。そして、給与面での待遇につきましては、それぞれ裁判官と同じように、職責の特殊性に加えまして、原則として裁判官と同一の試験及び養成方法を経ております点から、検察官の俸給等に関する法律、これもただいま御審議をいただいておりますが、その法律によりまして裁判官に準ずる相当の待遇が与えられ、これまた行政官よりも給与水準において高いところを維持するというたてまえになっております。
○原田立君 法曹の一元化について現在の実情、問題について率直にお伺いしたいのでありますが、人事交流あるいはいろいろの面からも全く理想的なものであると思うのでありますが、一般的には余り進んでいないのではないかと、こう理解しているわけでありますが、実態は一体どのようになっているのか、また、具体的にどこに問題があると思っておいでになるのか、その点はいかがですか。
○政府委員(賀集唱君) 法曹一元に関連いたしまして、裁判官、検察官、弁護士との間の人事交流は、仰せのとおりそれほど行われておりません。本人が希望した場合に行われておるということでございまして、その数もそう数えるほどではございません。
 そこで、委員の御指摘のどういう点に問題があるかということでございますが、法曹一元をするについての基本的な前提条件というものが、かつての先年の臨時司法制度調査会でいろいろ議論されました。そのときに、その前提条件とされるものとして挙げられたのは、弁護士の地域的分布の平均化とか、弁護士に対する国民の信頼度の向上、あるいは法曹と国民生活との親近性など、法曹一元の制度のもとにおいて裁判官の給源となるべき弁護士側の努力といいますか、整備というものが必要であろうと、こういう諸条件についてなお改善といいますか、前向きにレベルアップした上で法曹一元ということが実現されるであろうと、そういうことになっております。また私どもそのように理解いたしております。
○原田立君 次に、司法修習終了後の志望先についてでありますが、近年特に多いのではないかと思うのは、司法修習が終わった人の中から裁判官あるいは検察官への志望者が少ない。ここ数年の実態は一体どうなっているのかということなんでありますが、実際はいかがですか。
○政府委員(賀集唱君) 本年度についてみますと、裁判官の場合は、七十九名が判事補または簡易裁判所判事になりました。検察官の場合は、七十四名が任官いたしております。その数は、修習生終了者全部を合わせますと五百三十七名でございますので、二八・五%に当たっております。過去十年間の司法修習生から裁判官、検察官への任官状況を平均いたしますと、裁判官に七十名程度、検察官に五十名程度でございますが、裁判官への任官者は最近三年間は八十名前後と相当多数の任官者が続いております。また、検察官につきましては、本年度は、いま言いましたように、ここ十年間平均の五十名を相当程度上回る七十四名と、こういう近来にない任官者を迎えることができております。
○原田立君 今回、鬼頭史郎判事補のようなあのような事件が起きたことを非常に残念に思うわけでありますが、この国民の信頼を裏切るような重大な不祥事件が発生したのも、司法修習の段階での教育が一般的に見て技術教育のみに偏した一方的な教育制度により人間教育を軽視している現在の法曹教育制度に根本的に要因があるのではないかと、こういうふうに指摘する声もあるわけであります。現に、司法試験制度とそれに続く法曹教育に欠陥があるとの指摘も聞かれるわけであります。この点に関して、やはり現在の教育制度を再検討し、二度とこのような不祥事を起こしてはならないし、事前に発生の芽をつまみ取る必要があると思うのであります。この問題について、最高裁並びに法務大臣は抜本的にどういうふうに対策を考えているのか、御答弁をいただきたい。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のように、このたびこのような不祥事を起こした判事補がわが裁判所部内から出たことにつきましては、まことに申しわけないといういま気持ちでいっぱいでございます。こういう裁判官を出してしまったことにつきまして、まあいろいろなことを考えなければならない。特に、いま御指摘のように、修習制度の改善というものも当然その中に入ってこようかと存じます。司法研修所における教育につきまして、法律技術的に走り過ぎるという御批判のあることは十分承知しているつもりでございますが、御指摘のような人間形成のための全く欠くべからざる基本的なことについて当然法曹として備えなければならない人格、教養の研さんに十分資するような教育を行っていくというような方向に私どもとしては考えざるを得ないし、現に司法研修所における教育につきまして十分私どもからもいろいろ御要望申し上げるつもりでおります。
○国務大臣(稻葉修君) 今回の鬼頭判事補の事件に見られるようなはなはだ遺憾な不祥事ですが、調査が開始されたばかりでありますので、その原因がいかなるところに存するや否や、それについての所見をいま直ちにここで申し上げるだけの用意はございません。いずれ原因を究明してそれをここを改善するという方策を立てなければならぬと思っております。
 法務省といたしましては、裁判官、検察官が、司法試験に合格し、二年間の修習を経た司法修習生の中から採用されるたてまえとなっておりますので、できるだけ多くの優秀な人材を確保するために司法試験制度等についても平素から検討を行っているところであります。御指摘のとおり、ただ法律学の知識があれば勤まるというものではないでしょう。今回の事件に徴して明確でありまするが、そういう点について改むべきところは改めたいと存じております。
○原田立君 裁判官並びに検察官全体が鬼頭判事補のような思想的な人だなんというようなことは私は毛頭思っておりません。ごく一部の者であったのであろうと思いますが、だけれども、それがやはりあるがゆえに全体的に不信を買うということ、不評を買うということは、非常に残念なことであります。これは非常に重要なことでありますので、最高裁並びに法務当局にも、その姿勢について、人間形成の教育等について今後この事件の再発しないように厳重に御注意願いたいと思うのであります。
 ところで、鬼頭問題をお伺いするわけでありますが、にせ電話事件究明の最大のかぎである録音テープの所在は、その後の調査から明確につかんでおられるのかどうか、また、最大の努力を払うべきであろうと思うのでありますが、その点は一体その所在はどうなっていますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) にせ電話の件につきまして、問題のテープの所在が最も重要な点であるという御指摘は、全く同感でございます。私どもも、その点につきましていろいろ考え、調べ方についても考えているところでありますが、現在のところ、テープが現存しているのかしていないのか一現存しているとすればどこにあるのかということにつきまして、まあ調査中といいましても、現にどこにあるのかいわば見当がつかないというのが正直なところでございますが、現在のところ、その意味におきまして、しているかしていないか、どこにあるかは、判明していない状態でございます。ただ、常識的に考えられますのは、鬼頭判事補が読売のどなたかに接触して、その結果こういう記事になったということでございますので、果たして読売新聞社の方にテープがまずあるのかないのか、あるとすれば協力していただけるかどうかということで読売新聞社に対する協力を御依頼申し上げましたが、どのような形で御協力をいただけるか、午前中にも申し上げましたとおり、現在のところはまだ具体的なお答えをいただいていないような状態でございます。
 なお、鬼頭判事補の述べるところによりますと、読売新聞の方にテープを聞かしたときには、相手の方はメモをとっておったというようなことでございましたので、果たして読売新聞の方に問題のテープがあるのかないのかという点についても、相当、調べといいますか、鬼頭判事補の言うとおりとすれば、読売の方にもテープがないという可能性もあり得るわけでございます。
○原田立君 この十一月六日号の週刊読売なんですけれども、これはいま七ページにわたって詳細に出ていますね。本当にこれはテープがあってちゃんとこう写したのじゃなかろうかというふうな感じがするわけなんです。まだ私も詳しくは読んではおらないわけでありますけれども、読売新聞社で確かにテープの全容を聞かしたことは間違いないだろうと思うのですね。
 ところで、調査委員会でテープにとった分、何かその冒頭の部分をテープに入れたというように勝見局長は何度も答弁しておりますけれども、それを読売の取材した記者の人に聞かしてみて、そうして、いわゆる声紋が一致するかどうか、こんなところまで一遍御協力願うようなことをやったらいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在の時点におきましては、鬼頭判事補が接触しました読売の方のお名前は鬼頭判事補は申しておりません。もちろん読売の方であるはずでございますが、その点については全然申し述べておらないところでございます。
 なお、私どもで録取したテープを差し上げて、この声が問題のテープの声と同じかどうかを読売にお願いしたらどうかという御趣旨だと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、読売に問題のテープがあるかないかということを私どもといたしましてはまだ承っていない段階でございますので、そういう前提で協力をお願いするのもいかがかと思いますが、いずれにいたしましても、読売の方からのお答えをお待ちしている段階でございます。
 なお、読売の記事を拝見いたしますと、問題のテープの声と鬼頭判事補の声が全く同一であるという記事はずっと一貫して続いているわけでございますので、読売の記事だけを拝見いたしますならば、当然、あるとすれば、問題のテープの声と鬼頭判事補の声は同一人のものであるということは読売側はおっしゃるだろうというふうに考えます。
○原田立君 何かちょっとよくわからないのですけれどもね。要するに、にせテープを聞いた記者の人がいるわけですよね。それに、あなたが調査したときに、一番最初の部分、冒頭の部分をテープにとったと、それを聞かして、もし一致すれば、これは鬼頭判事補がにせ電話をかけたということになる決定的な確証になると思うのです。だから、それをなさったらどうですかと、こう聞いているのです。なさる意思があるのかないのか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その点に関しましては、恐らく、読売の方にお願い申し上げれば、当然やっていただけるかと思いますが、お答えとしましては、読売はもうとにかく同一人であるということをずっと記事に非常に強調して掲載しておられますので、読売新聞社に対してその点をお伺いするのもかえってむしろ失礼に当たるぐらいなものではないかというふうに考えておりますが……。
○原田立君 それはちっとも失礼じゃありませんよ。というのは、本人が否定しているのですから。自分は電話なんかかけたことはないと言い張って、そうしていまわれわれを、国民を困惑のどん底に落としているのですから、もう一遍きちっとお聞きになったらいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先走って読売側のお答えを想像して申し上げましたが、仰せのとおり、読売の方にこういう方法でいかがかというふうに御提案申し上げてみたいと存じます。
○原田立君 三木総理が約一時間にわたって電話したと。これはこの前も指摘したところでありますけれども、にせ電話とわかったときから、何らかの、たとえばテープにとる、逆にこっちで三木さんのところでテープをとるとか、そういうようなことはなさらなかったのかどうか、その点はいかがですか。これは法務大臣がいいかもしれないですね、お聞きになって……。
○国務大臣(稻葉修君) それは総理に聞いていませんがね。私の想像では、とっていないのじゃないでしょうかと思うのですね。しかし、聞いてみましょう。それは、とっていれば私に聞かせますね。きょうもさっき会ったのですから、聞かせますな。このことで昼前の佐々木さんのことを言いに行って、そうして、いや、それは聞いてみようと言って、いま当たってきましたから、すぐ届けますがね。ですから、そのときに向こうでテープをとってあれば、テープにとってあるから聞かせようかと言いますな。聞かないでもわかっているのじゃないでしょうか。とってないな。とってないと思います、私。念のため聞いてみることはちっとも差し支えありません。
○原田立君 念のためにお聞き願いたいと思います。
 それから先ほどの佐々木委員も指摘したテープを三木総理に聞いてもらって、それでその考えを聞くということでありましたが、その御返事はいつごろいただけるのですか。
○国務大臣(稻葉修君) いまここにあるそうですから、いまそれを公邸に届けまして、それを届けて聞いてもらって返事をもらいましょう。
○原田立君 いつごろ当委員会に報告するのですか。
○国務大臣(稻葉修君) まあそれを聞く時間があれば、総理がすぐ聞いて、同一人だとか、同一人でないとか、あるいはもう記憶が薄れてわからぬとか、何か来るでしょう、聞けばね。しかし、すぐ聞く時間があるかどうかはやってみなければわかりません。
○原田立君 なるべく早くお願いしたいと思います。
 また、謀略事件のいわゆる背後関係についてどのような認識を持ち、調査に当たっているのか。重要な点でありますので、現在までの調査結果からの御答弁をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) この事件につきまして背景があるのかないのか、あるとすればどういうグループかということにつきましては、彼の行動の一環として非常に重要なことであることはもう申すまでもないところであります。正直申し上げまして、現在の段階におきましては、どのような背景を持つものがあるのかないのかという点につきましては、残念ながら解明いたしかねているところでございます。
○原田立君 第一回の調査では、十時間とか、あるいは八時間とか、あるいは七時間とか、大変長時間にわたって調査をなさったそうでありますけれども、それはメモ程度でおとりになって調べたのか、あるいはテープにとられたのか、あるいはまた速記録等でとられたのか、院内の会議録のようなもので報告書というものがまとめられるのかどうか、そこら辺の見通しはどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 事情聴取に当たりましては、立ち会いのために事務官を入れたわけでございますが、いわゆる録音ないし速記というものを入れてございません。いわばメモ程度の、まあ調書と言えるかどうか、いわば私どもの調査の資料を残すために一応メモ程度のものを整理しているところでございます。
○原田立君 まあそれもわからないことはないけれども、やっぱり微妙な問題なんですから、テープぐらいとったらよかったのじゃないですか。これは指摘する一点なんです。とらなかったと、メモ程度だったということなので、非常にその点が不満です。
 ところで、総長、いまも聞いたように、調査報告書ですね、第一回の調査した分についての報告書、文書にまとめる、これはいつごろ公表なさいますか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 午前にも少し申し上げましたけれども、第一回と申しましてもやや二日にわたっておりますが、土曜日に大部分やりまして、月曜日にちょっと一時間ぐらい補足いたしましたいわゆる第一回の事情聴取と申しますものは、鬼頭があの朝日新聞の記事及び読売新聞の記事に対してどういうふうに述べるのか、どういう弁解をするのかということを聞くために行ったものでございます。
 これはあくまで彼の言い分を聞くということでございまして、それが直ちに私どもの認定とかそういうことではございませんので、そういう限りにおいて一応の整理をいたしておると、こういうものを公表いたしますことは、ある意味において彼の言い分だけが流れることになりまして、かえっていかがかと思うわけでございます。私どもとしては、やはり、ある程度それに基づいて私どもの自信のある結論を出したことをお目にかけた方がいいのではないか、かように考えておるわけでございます。
○原田立君 要するに、報告書は、じゃ出さないという、まとめないということですか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私どもとして現在どういうふうに認定いたしておるかという限りのものを、なんでございましたら提出することにいたします。
○原田立君 ぜひまとめたものを御提出願いたいと思います。また公表してもらいたいと思います。そうでないと、疑問が解明されないですよ、このままでは。それではならないと思いますので、その点を強く希望しておく次第であります。
 それから次に、鬼頭判事補のいままでの行動から考えると、たとえば事件当日の八月四日、香港から緊急帰国したと、そして、話によると、旅行疲れのため京都の宿舎で熟睡していたとのことだそうでありますが、これはあくまでも本人からの供述であり、鬼頭氏のいままでの言動からして信用しがたい、そういう感じをわれわれは持つわけです。それで、八月四日当日、京都宿舎以外のところにいることも十分考えられるわけでありますが、この点についてはどのような調査を行い、その後の結果からどのような裏づけ調査結果をとったのか、具体的に明確な答弁をいただきたい。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 事務総長から申し上げましたように、鬼頭判事補本人の事情を述べたもの自体は、彼の弁解の連続でございます。それで、きょう午前中冒頭に佐々木委員からのお尋ねがございまして、私どもといたしましてはまず間違いのない部分というところを申し上げましたが、その反面、それ以外のことにつきましては、私どもといたしましては、まだ真相というものが解明されていない部分であるというふうに考えている次第でございます。したがいまして、御指摘の八月四日の昼からの行動等につきましては、まだまだ解明いたさなければならない部分がありますし、決して私ども彼の述べたところをそのまま本当だというふうに思っているわけでは決してございません。
○原田立君 先ほどの報告によりますと、五十一年七月二十九日出国で八月九日帰国の申請書が出ておったと。ところが、実際には、七月三十一日出国で八月四日に帰国であると、こういうことでしたね、けさほどの答弁では。そうすると、なぜ九日までの休暇をもらっておったのが五日も早く帰国したのか、ここら辺は調査しませんでしたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 当然問題になるところでございますので大分聞いたわけでございますが、結局、先ほどから申し上げておりまするように、決して私ども信用していたわけでございませんが、一応彼の述べるところは先ほど申し上げたようなことであったという程度以上に出ていないわけでございます。この点につきましては、繰り返し申し上げますが、周囲の状況等につきましてできる限りの調査を続けたいというふうに考えている次第でございます。
○原田立君 最後の方がよくわからなかった。もう少し大きな声で答えてくださいよ。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいま御指摘の事実の周囲の状況と申しますのは、当日の彼が述べております官舎に帰った時刻以降の彼の行動が近所の人からわかるような行動であったかどうか等につきまして、官舎の周辺の方々にできるだけのことを知らしてもらうというような方法でございます。
○原田立君 それはわかっているのですよ。私がいま聞いているのは、九日まで許可をとっておったのが四日に五日も早く帰ってきたと、これは何か理由があるのでしょう、その点は調べなかったのですかという、その点を聞いているのですよ。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほど申し上げましたように、その点につきましていわゆる追及をいたしましたが、結局納得のいくような説明を得られなかった次第でございます。
○原田立君 要するに、雲がかかっていてよくわからなかったと、こういうわけですね。
 ところで、先ほど佐々木委員も指摘がありましたけれども、七月下旬京都市内で録音用器具の購入、録音機、あるいはとったテープを消去するための消磁器というのですか、それを購入していることなどが一連の報道をされているわけでありますけれども、どうもこういうようなところ、あるいはいろいろな点を総合すると、鬼頭史郎判事補なる者がいわゆる一人芝居を行っているのじゃないかと、こういう念を強くせざるを得ないのです。調査に当たられた局長も大臣も、一体そこら辺をどんなふうにお感じになっていますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) いろいろな新聞にいろいろな事実が報道されまして、私どもといたしましては、事案の解明の一助として十分見さしていただいているところでございます。ただ、この行動がいわゆる単独行動なのかグループ行動なのかという点につきまして現在どういう心証かというお尋ねだと思いますけれども、この段階で私まだ私の立場で申し上げるような段階には立ち至っていないように思われます。したがいまして、いまの心証はどうかというお問いに対しましては、ひとつお答えは遠慮さしていただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 一人で世間を騒がしておもしろがっているのか、変わった人だといいますから、そういう変わり方なのか、それとも、ほかの人を誘い込んでいろいろやっているというような変わり方なのか、いま私申し上げない方がいいと思います。差し支えがある。差し支えがあるから、もう少したってからにしてください。
○原田立君 もう少したってからならばはっきりするということでありますが、大臣も、いま、実に変わった男だというようなことを言われましたけれども、勝見人事局長は、きのうの国会答弁で、鬼頭判事補から事情聴取した際の印象として、そのお答えとして、この段階で人物評を言うのは控えたいが、初めて対面して話して確かに変わった方だとの印象を持ったと、こういうふうなことが報道されているわけでありますけれども、具体的にどういうところが変わった人なのか、あなたが感じられたということを報告になっているのですから、具体的にどういうことを指して変わった人と言うのか、こんな事件を起こすくらいのことはやりかねないという意味の印象なのかどうか、重ねてお伺いします。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 昨日、衆議院の法務委員会におきまして、ただいま御指摘のような発言をいたしました。これも御指摘のように、まず、このようないわばあり得べからざるといいますか、奇想天外といいますか、こういう事実を見ますと、こういう行動に出るような人、そのこと自体でもうすでに変わっているというふうに思いますし、事実、さしでいろいろ聞き、答えをもらいまして、非常に申し立てることが多岐にわたりまして、私どもある意味では困惑させられたのでありますが、まあ、いずれにいたしましても、ある意味では短時間のつき合いといいますか、でございますが、全体的な印象としてそういう感じを持ったということを申し上げた次第でございます。
○原田立君 先ほども言ったのでありますけれども、この十一月六日の週刊読売ですね、ここに「電話のナゾを追う」「録音テープ全内容収録」ということで七ページにわたってあるわけなんですけれども、もうお読みになったかどうかその点はよくわからないが、まあお読みになったと仮定してですよ、録音テープの全内容収録というような印象でお受け取りになっているのかどうか、この点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私自身がこの段階でただいまの御質問に対してお答えすることがこの事件の解明にそれほど重要な影響を及ぼすとは考えませんけれども、いまの点につきましてどういう心証かというお尋ねに対しましては、ひとつ答弁を遠慮さしていただきたいと思います。
○原田立君 この点に対して読売新聞社の協力を得て裏づけ調査をしているのかどうか、また、読売新聞社にテープの複製したものがあるのかどうか、確認したかどうか、この点は午前中も佐々木委員から質問があったけれども、再度またお答え願いたい。また、この内容についても、一方の関係である三木総理に確認し、はっきりさせるべきだと思うのであります。これは前回も私質問をしたわけでありますが、いつごろするのか、また確認結果を早く報告すべきであると思いますが、その点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 読売新聞社に対する協力依頼、それに対する具体的なお答えは私どもといたしましては一日も早くいただきたいところでありますが、いずれ御返事があるのではないかというふうに期待してお待ちしているところでございます。三木総理の方の関係につきましては、先ほど大臣の御高配で間もなく結論が出るということでございまして、大変ありがたく存ずる次第でございます。
○原田立君 本当にゆっくりしておりますと、国会も十一月四日までで終わりになってしまいますし、当委員会も二日の日、最終日の四日の日、これしかあとありませんしね。そうすると、そんなにゆっくりしていると、あいまいのうちにこの事件が処理されるというおそれを私は多分に抱く。そういうようなことはあいまいにしないということは責任を持って言えますか、確認しておきたい。これは総長と大臣と両方に聞きたいですな。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 午前中佐々木委員のお尋ねに対しましても申し上げましたように、私どもとしては、かような事件は、いわばまあ裁判所としては全く許されざる問題であると考えておりまして、きわめて深刻に受けとめております。そうして、この真相の究明に対しましては徹底的にいたしたいと、かように思っておるわけでございます。ただ、そういう点から申しますと、なるべく早くということもまた同時に要請されるわけではございますけれども、仮にこの国会がいまお話しのような期日に終了するといたしました場合に、あるいはそれまでに最終的な私どもの結論を御報告申し上げることができない場合もあるいはあるかもしれないと思います。しかしながら、佐々木委員からもお話がございましたとおり裁判官訴追委員会というような機構もございますし、また、参議院におかれてはずっと引き続き御在職になるわけでございますから、そういう点も含めまして、同時に、私どもとしては、そういう国会の終了とかそういうことと関係なしに徹底的に真相の究明に努力いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
○国務大臣(稻葉修君) 身分が裁判官ですから最高裁の方で調査をお進めになるわけですが、私どもの方といたしましても、もしこれが仮に背後があってわが国の政治がそんな組織みたいなもので謀略で左右されるというふうなことはゆゆしいことですからね、民主政治の将来にとって。これはもう調査をよくしていただいて、その結果、まあ私の方はこちらで調査しておりますけれどもね。にせ電話の問題は、こちらの調査と同時にこちらの方でもゆゆしく調査の進むことを見守っておって、そしてきちんとした処置をつけなければいかぬ。あと一週間ですから、四日まではですね、その間にできれば一番いいのですけれども、あんまり急いでまた変なことになってもいかぬし、これはなかなかむずかしい問題です。むずかしい調査だと思いますけれども、一生懸命にやりたいと思っております。
 さっき、何しろ変わった人ですからって、一人で撹乱するような変わり方か、グループを持ってやっているような、そういう裁判官の身でありながら民間のおかしなのと仲間になってやるような変わり方か、わかりませんと、こう申しましたが、変わっているというのは、私がそういうことを言うているのじゃない、さっきの勝見さんの言うように変わっているということですから、私がその人を変わっているなんて言えば、お前はどうだと言われると私も困りますからな。(笑声)
○原田立君 大臣はちっとも変わってはいませんよ。
 鬼頭判事補は辞任の意を強く表明しているというふうに報道されているわけでありますが、辞任の受理に関する日数等について辞任の問題について明確なお考えをお聞きしたい。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 最初の事情聴取の日に記者会見の席上で辞意のあることを記者団の前で表明いたしたようでございます。現に、その日に、私の前でも出処進退を考えているという趣旨のことを言っておりました。しかしながら、きょう現在、まだいわば辞任願が提出されたという報告に接しておりません。
 裁判官の場合に、いわば辞任の願いが出された場合にどういう手続かというようなお尋ねでございますが、所属の長から高等裁判所を通じまして最高裁判所に参るわけでございまして、最高裁判所を経由して内閣の方へお届けすると、こういう手続になっているわけでございます。
○原田立君 その手続なんか聞いているのじないですよ。辞任したいということを表明しているわけですよね。これを早く受け取ってしまえば、判事補ではなくなってしまうのですから、一般人になってしまうのですから、そうなったのでは、あなた方の手の届かないところにいってしまうのだろうし、だから、辞意の表明があったにしても、その受理については慎重を期さなければいけないのだろうとぼくは思うのです。その点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 前回の委員会のときには本人の辞意がかなり強いというような印象からいろいろ申し上げたかと思いますが、本日の時点では私ども必ずしもさように受け取ってもおりませんけれども、いま原田委員の御指摘の点は、前回の委員会でも申し上げましたが、仮に辞表が提出されるといたしますれば、その取り扱いについては慎重にいたしたいと考えておるわけでございます。
 なお、ちょっと念のためつけ加えさせていただきますが、先ほど私答弁中で訴追委員会のことを申し上げましたが、これはあくまでそういう制度があり、また現に一部の方からお申し立てがあって、訴追委員会でも御活動になっておるということを念頭に置いて申し上げたわけでございまして、私どもの方から積極的にさような手続をお願いするかどうかということについては、現在の段階では私どもといたしましては全く白紙と申しますか、ノーコメントという立場にあることを御了解いただきたいと思います。
○原田立君 慎重にということでありますが、この辞任がもし受理された場合の調査は、辞任受理の段階から最高裁の手から離れるのか、それとも、それ以前でも東京地検へ引き渡すということもあり得るのかどうか、この問題については総理から法務大臣に厳重に調査しろと、こういう指示があり、東京地検特捜部ですか、ここに調査の指示をなさったということが報道されておりますけれども、両方でやるのか、あるいは辞任受理後やるのか、その点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 鬼頭判事補が何らかの形で裁判官たる資格がなくなった場合における私どもの立場でございますが、現在におきましては、あくまでも裁判所の現職の裁判官であるという前提で、いわば人事行政の一環として調査を行っているものでございます。したがいまして、裁判官の身分がなくなった後におきまして、私ども、まあ出頭という言葉は強過ぎるかもしれませんが、出頭を指示して事情聴取という手だてはなくなるというふうに考えます。
 なお、検察庁等の関係でございますが、これは当然のことでございますが、犯罪であるというふうに思量したときは、別に裁判所だからというわけでなく、告発することになろうかと思いますが、その点につきましても十分私どもとして調査の上で、犯罪になるのかならないのかということを見きわめた上での措置でございますので、この段階でどうするということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○説明員(石山陽君) ただいま先生の御指摘の捜査の問題と調査の関係につきましては、最高裁の人事局長からお答えのありましたように、一応行政あるいは司法上の調査の問題と、刑事事件として訴追すべき容疑があって捜査権を発動する場合との関係につきましては、これは全く別建てであるというふうに考えております。
 すでに東京地検におきましては、このにせ電話事件関係につきまして、先ほど大臣からも申しましたような事情で、捜査方につき検討せよという指示の下命がございまして、それはすでに最高検を通じまして東京地検の方にも下命され、東京地検におきましては現在周辺状況等を含めまして所要の調査あるいは捜査の検討を開始したというふうに聞いております。したがいまして、この関係におきまして鬼頭判事補がもし退任をしたというような事実関係が生じたといたしましても、そのことと捜査の問題は別問題でございますから、特にそれによって捜査に非常に支障を来たすとか、あるいは特にやりやすくなるとかいうようなことについては、別に在官中であるとあるいはやめた後であると、特に差異はないものというふうに考えております。
○原田立君 鬼頭判事補の現在の居どころはどこか、明確に掌握していますか。きのう、参議院事務局では、証人喚問の出頭書の手渡しの際、かなり時間がかかったとのことでありますけれども、その点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現職の裁判官でございますので、常に自分はどこにいるということは明らかにしておかなければならないと思います。特に、いわゆるこの事件発生以来、鬼頭判事補の行動半径は非常に広うございますので、京都地裁の所長を通じまして、常にありかを連絡するようにというふうに言ってございます。ただ、ここ一、二日の客観情勢の変化もございまして、彼の身辺の、彼自体の動きも激しくなっておりますので、最高裁におきまして直接鬼頭判事補に対して常に所在をこちらの方に知らせるようにというふうに指示してございます。
○原田立君 いまもお話があったように、京都地裁の所長に連絡し初めて用が足りるということでありますけれども、これでは非常に実際問題は困るのじゃないか。聞くところによれば、判事補に対して都内を離れないよう指示しているというようなことも漏れ聞いているわけでありますけれども、都内にいる以上、やはり最高裁なり事件の調査会なりで掌握をするなりして連絡するような態勢が望ましいのではないかと思うのであります。緊急の場合など、ただいまもお話ししたように、また、あなたもいま話があったように、一々京都の地裁の所長に連絡し初めて用が足りるでは、これでは遅きに失するのではないか。都内にいるならば、やっぱり最高裁として、あるいは調査会として、居どころについては、それは公表はできないかもしれないけれども、きちっと掌握していると、こうすべきではないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほども申し上げましたように、ここ国会を中心とする客観情勢が変わってまいりましたので、彼の動きが激しくなりました。最高裁といたしましても、彼の居場所というものを御指摘のとおり常に確実に把握しておく必要があると考えまして、最高裁の方にもどこにいるかということを常に明らかにするように本人に指示してあります。
○原田立君 指示してあるということは、つかんでいるというふうに理解してよろしいわけですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 仰せのとおりでございます。
○原田立君 この事件が発生してからちょっと心配していることの一つであるわけでありますが、もし万が一にでも鬼頭判事補自身に不祥事件でも発生したということなんであります。そんな事件がないことを祈るのでありますけれども、もし心配するような事件が発生したら、大変なことであり、新たな問題を提起するようなことになると思うのであります。そんなことはないことを祈るわけでありますが、もしそのような事故が起きた場合に責任はどこでとるのか。なぜこんなことを聞くかというと、二十五日の日に名古屋駅前の派出所に本人から身柄保護の依頼があったことが報道されているわけであります。事件発生を予測して万全な対策をとるべきだと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいま御指摘のように、鬼頭判事補の身辺に何か不穏な情勢があるとすれば、私どもといたしましても、鬼頭判事補自身のためにも、ぜひ警察的な保護が必要になろうかと存じます。きょう現在のところ、鬼頭判事補からはそういうような申し出もないようでございますし、私どもの耳にはまだそういう身辺に不穏な情勢があるというような情報も来ておりませんので、現在のところ特別の措置を関係方面にお願いしてはおりません。
○原田立君 起きた場合の責任はどうするのか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) この種の事件のいわば当の本人でございますが、そういう事件が起きた場合の責任ということになりますと、私どもといたしましてはまあある種の責任があるのかもしれませんが、明確にこの席上でどういう責任があるのだというふうなお問いに対しましては、ひとつ結論は留保さしていただきたいと思います。
○原田立君 まあ、私も仮定論なんですよね。もしあったら困るわけですよ、そんなことが。だって、この法治国家の日本でも、KCIAの金大中事件なんて、ああいうふうな事件が起きる世の中ですからね。だから、また背後関係もあり、政治的な面もあり、あるいは謀略説ではないかなんて、いろいろな話があるその渦中の人物ですから、変なことがあってはならない。問題が起きてはならない。だから心配して聞いているわけなんです。答えを留保だなんて言わないで、もし起きた場合には責任は明らかにあなた方にあることになっちゃうんですよ、まごまごしていると。だから、そんなことがないような措置を講じるべきではなかろうか。その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 確かに、そのようなことになりますれば本当に遺憾なことだと思いますし、十分関係機関と相談いたしまして対策を検討さしていただきたいと思います。
○原田立君 検察権の発動は一体どういう場合にできるのか。今回の事件のような場合、一般論としてはどう判断するのか、その点はいかがですか。
○説明員(石山陽君) 一般論といたしまして、検察権の発動と申しますものにはいろいろな段階がございます。たとえば、いわゆる――先生に捜査の初歩のことを申し上げて恐縮でございますけれども、いわゆる内偵とか情報の収集とかいうような予備的な段階と、それから本格的に、たとえば本人の出頭を命じて取り調べるとか、あるいは強制捜査として逮捕するというような本格的な検察権の発動というような段階がございます。それによりまして、結局、その当時当時におきますいわゆる証拠の収集段階、そういったものを総合いたしまして分析しました上で、被疑事実が固まってきたと、これはいよいよ本人に当たるべき段階であるか、あるいは周辺捜査を先に進める段階であるかというのは、個々の事件に応じまして検察当局が具体的な捜査方針を決めてやっていくというのが普通のやり方でございます。
○原田立君 最高検は東京地検に対してこの事件に対し捜査の指示をしたと思うのでありますが、検察庁ではこの事件に対して捜査しているが、一体どの程度進んでいるのか、捜査目的は何か、訴追のためなのか、あるいは刑事訴訟の要件はいまの要素で満たされるのかどうか、その点はいかがですか。
○説明員(石山陽君) この事件に関します件では、先ほど私が御報告いたしましたように、最高検からの指示によりまして東京地検がいわゆる周辺事実等につきます調査あるいは捜査の検討ということをすでに始めてはおります。しかし、何分にも具体的事件でございますので、これにつきまして検察が現在具体的にどういうことを中心に捜査を始めようとしているか、あるいはすでに開始しているかという点につきまして明らかにするのは、この段階ではちょっと御容赦いただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、この事件は、行政調査あるいは司法調査の結果を待ちました上で、どのような容疑事実が確定できるか、それによって適用すべき罪名はどういうことになるかということからまず検討してまいりませんと、具体的な捜査その他の方針も固めにくい点がございますので、それらをあわせて検討を進めているということだけしか現段階では申し上げられないことを御了承願いたいと思います。
○原田立君 この事件の渦中の人物である鬼頭判事補を告訴できる人はいるのかどうか、また、身柄拘束のできる方法はあるのかどうか、その点はいかがですか。
○説明員(石山陽君) 告訴ということにつきましては、いわゆる犯罪によります被害者は刑事訴訟法の規定によりまして告訴することができるという大原則がまずございます。それから一般の人によりましても、犯罪ありと思量するときには告発という手段をとりまして捜査権の発動を促すという手段ももちろんございます。それからそれ以外の場合で、検察官は、告訴告発によらずしても、司法警察員より捜査を受けた事件を送致されたことによって捜査権を発動することもあれば、検察官みずからが犯罪を認知して犯罪認知の形式によって事件を起こして捜査に入るというやり方もあるわけでございます。
 ただ、すでに先生も御承知のとおり、本件につきまして一応いままで議論されておりますにせ電話関係というものが果たしていかなる被疑事実、容疑、罪名に当たるかという点で、たとえば一例を挙げまして、この事件が官名詐称という事件に当たるものといたしました場合に、これは軽犯罪法の容疑が一応成立することになるわけでございますが、軽犯罪法の法定刑の関係から、刑事訴訟法上、直ちに本人を強制捜査の対象として逮捕することは法律上できないという形にあるいはなろうかと思います。そういう点の制約をいろいろ勘案しつつ検察官はこれから捜査を具体的な処理として進めてまいるのだというふうに考えておる次第でございます。
○原田立君 現在の事情聴取の段階で判断を下すのは早計かもしれませんが、この事件の真相については一体どのような判断をしているのか。記者会見の内容、一般報道の内容から判断して、複数の人物が介入しているようにも受け取れるがどうか、その点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 午前中佐々木委員のお尋ねに対しまして私どもまずこの辺は真実であろうという部分だけを申し上げましたが、したがいまして、その残りの部分につきましては、私どもといたしましては、真相はこうではないかというような御答弁はひとつ御容赦いただきたいというふうに考えます。
○原田立君 大事なところに来るとみんな御容赦願いたいなんて言うのじゃ、何にも話がわからないじゃないですか。だけれども、いろいろな都合があるのだろうから話を先に続けますけれども、この事件の真相として、事件発生の背後関係についてはどのような判断をしておられるのか。政治的な謀略が強く働いていると、特にそういうふうなことも報道されているわけでありますけれども、法務大臣、どうですか。
○国務大臣(稻葉修君) いま、私が、はっきりこう思っているなんて言うて、そう言うと、もしこの仲間が大ぜいいるとすると、用心させるようなことにもなりますしね。その辺のところは微妙でございますな。はっきりしたことを申し上げる確信もありませんしね。なおかつ、私は勘としてそう思うなんということを申し上げるのもどうかという気がするのです。ですから、先ほどちょっと申し上げたように、もし仮にこれがそういう複数なのがあって糸を操っている背後関係があるとすれば、これはやっぱりえらい民主政治のわが国の健全なる発達を阻害することですから、ことに、ああいうにせ電話が背後関係があってやられたとすれば、それは検察の捜査にも非常なじゃまをする計略ですしね。それからさらには政治全体に対する謀略になりますわけですから、はっきり私はどう思っているということをいまここで申し上げないで、先ほどからずっと申し上げてきたことで御賢察を願いたいと思います。
○原田立君 鬼頭判事補が田中事務所と関係をしていたのではないかというようなことが新聞報道されておりますが、また、八月四日のにせ電話と同時刻のころ首相の側近筋へも電話がかかっていたとのことでありますけれども、どのような内容のものであったのか、この事実関係についてお調べになったかどうか、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) まず、田中事務所に名刺を持ってあらわれたということにつきましては、鬼頭判事補は、そういうことはないということでございました。名刺を持ってくるぐらいだから当の本人ではないかということを尋ねましたところ、まあいわば名刺ぐらいは何ぼでも刷れると、自分を陥れるためならばやれることではないかというようなことでございました。
 それから田中逮捕の朝、田中事務所に裁判所の鬼頭だがという電話をかけたことにつきましても、それはそういう電話などしたことはないということでございました。なお、その電話を受けた方が共同通信の方であったようでございますので、その方にも事情をお聞きしたいと思っております。
○原田立君 どうも、大分時間がたっているのに、週刊新潮もこれからだとか、共同の記者にもこれから会うとか、本当にマンマンデーですね、勝見局長。もう少しテンポを早くして国民の疑惑を解くように最大の努力を願いたいと思うのです。
 裁判官も思想、表現の自由はある。政治的にはだけれども厳正中立でなければならないと思うのであります。職務の性格上、裁判官の中立公正は裁判の命でもある。裁判官の中立公正に対して疑念を持たれては、その判定は説得力を失うばかりでなく、国民に対する信頼も地に落ちてしまう。裁判所法からも鬼頭裁判官の責任は追及されなければならないと思うのでありますが、最高裁として今後の方策はどういうふうに立てているのか、その点をお伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 現在鋭意事件の解明に努力いたしておりますけれども、まだ十分の納得できる内容の解明に立ち至っておりませんことはまことに残念に存じております。ただ、いずれにいたしましても、現在判明いたしております程度におきましても、現職の裁判官が政治的な活動という疑いを受けてもやむを得ないような行動をとり、裁判官の中立性、適格性について国民の皆様の疑惑を招きましたことは、まことに遺憾に存じておる次第でございます。今後事案の早急な解明に全力を傾けまして、その上で本人に対する厳正な処置を講じますとともに、このような疑惑を招きますことのないよう裁判官全員に注意を喚起し、裁判所に対する国民の信頼の回復に努めたい所存でございます。
○原田立君 仮に懲戒免職になった判事補が弁護士としてやりたいと、こういうような場合には、その登用は一体どうなるのか、日弁連の審査によって決まるのだろうと思いますが、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 罷免になりますと、弁護士適格を有しませんので、その問題は解消するわけでございます。
○原田立君 そうすると、懲戒免職になれば弁護士にはなれないと、こういうことですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) そのとおりでございます。
○原田立君 わかりました。
 鬼頭裁判官と同期の裁判官が約七十人ぐらいいるということでありますが、この人たちの再任が来春行われることになっているが、再任問題で鬼頭氏と抱き合わせで再任拒否者ができ得るのではないかとの心配が一部にあるやに聞いておりますが、この点はどのようにお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 再任の時期におきまして再任するかしないかの点につきましては、この鬼頭判事補の件とは全然関係なく、従来どおりの厳正な考え方をとっていきたいというふうに考えております。
○原田立君 事件が発生して二ヵ月半以上も経過しているにもかかわらず、何らの方策もやっていないということ。まあ何らの方策もやっていないと言うのはちょっと酷な言い方になるか、第一回、第二回の調査をやった、あるいは東京地検の特捜部の方でもあらあらやり始めたということでありますが、やっぱり根っこの方の問題として、三木首相が二十二日の国会答弁で、にせ電話とわかり直ちに法務大臣に厳重調査を指示したと答えているわけでありますが、一方、法務大臣は、余り気にしないようにと総理に言っておいたということで、当委員会でも何度もその話が出たわけでありますが、いとも簡単に問題を処理したのではないかと、このような重大問題に対して余り気にするなとの発言は事態を甘く見過ぎているのじゃないかと、この指摘は何度もしているわけでありますが、それに対して、大臣は、いまにして思えばもっとしっかり聞いておくべきだったと遅まきながら感じると、こう言っていますけれども、そんな遅まきにいつも感じられたのじゃ困るのです。先手先手でもっとしっかりとした捜査体制で捜査を進めてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 原田さんのおっしゃるとおりに思います。ただ、あの当時、私らのところへもいろいろな電話がかかってきて、つまらぬ電話をよこすなと思っておったものですから、総理から言われて、内容はどうですかということを聞かなかったのですね。また、総理も、おかしな電話がかかってきたからと言うだけで、内容を説明しない、承知しないのですね。それで、私は非常に軽く考えていました。歯牙にかけないというような態度でしたね。それがよくなかった。また、総理も、ああいう内容のものなら、もう少しこんな内容なんだからといって言えばいいのだけれども、少し恥ずかしかったのじゃないでしょうか。言わないのですよね。だから、私は、まあそうおっしゃるのだから、しかし、検事総長の名をかたったというのはそれはやっぱり一つ問題だから、刑事局長を通じて検事総長に知らしてはおきなさいよと、こういう指示はしておったのです。まことに御指摘のとおりであると、いまにして思えば残念至極であると、能が足りなかったなと、こういう気持ちでおります。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほどの懲戒免のときには弁護士資格がどうなるかというお尋ねに対しまして、弁護士にはなれないというふうに申し上げたわけでございますが、懲戒免という言葉につきまして、大変失礼でございますが、裁判官の場合には、懲戒による免職という制度がございませんで、原田委員御指摘の懲戒免というのは、弾劾裁判所の罷免の裁判というふうに置きかえていただいて、弁護士の資格はないというふうなお答えになろうかと存じますので、大変失礼でございますが、答弁を訂正さしていただきたいと思います。
○原田立君 終わります。
○橋本敦君 まず、法務大臣に、前回も伺ったことですが、改めて最初に考え方の確認をさしていただきたい。私は、現職裁判官の鬼頭史郎氏がその一端にかかわった総理に対する重大なにせ謀略電話事件が発覚したときに、これは日本版ウオーターゲート事件だ、大きな政治的謀略事件だという可能性が十分出てくる。しかも、鬼頭氏が、網走の刑務所で、だれにも門外不出である宮本委員長にかかわる身分帳、診断書を写しとったという事実がこれも明らかになった。この政治的陰謀事件というものは、一つにはロッキードを隠し、一つにはいたずらな反共宣伝、これに手をかすという重大な政治事件だ。したがって、これは、とっぴな裁判官の一とんでもない奇行だというように見るのでなく、慎重に事実を確定して、その背後関係、背景をも含めて徹底的な調査をすることがいま司法にかけられている重大な威信に対する侵害なり、政治にかかわる重大な問題として日本の今日の民主政治で大事な課題である。そういう観点で徹底的な調査を求める、こう言ったときに、法務大臣は、そういう考えで調査を進めるとたしかおっしゃったと思いますが、そのお考えにいまも変わりありませんか。
○国務大臣(稻葉修君) 先ほども原田さんにお答えしたとおりで、せっかく裁判所でいま御調査中でありますね。それから地検でも内偵を進めているところでありますね。そういう構えをごらんくだされば、おのずから私のこの問題に対処する構えというものを御賢察願えると思います。
○橋本敦君 いま大臣のおっしゃったことは、私が申し上げた趣旨も踏まえて、背景をも含めた徹底的な解明をやる必要があるということをおっしゃったものと私は理解をして議論を進めたいと思います。
 そこで、まず最高裁判所に伺いたいのですが、前回の委員会で私が鬼頭氏の海外出張をめぐる疑惑についてただしました。そして、私が法務省の入管局から資料として提出を受けた鬼頭氏の海外出張を見てみましても、四十七年十一月から四十八年七月、四十九年四月、四十九年はまた再び十二月、五十一年七月、何と四十七年から五十一年のわずか四年の間に五回も海外に出かけている。この間に、裁判所に許可を求めたということで人事局長が私に報告されたのは、四十九年、五十一年の二回だけである。最高裁は、この鬼頭事件が起こるまで、四十七年、四十八年、四十九年四月の鬼頭氏の海外渡航については全然知らなかったのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私ども前回申し上げましたのは、御指摘のとおりでございます。実は、その前に許可を得ないで行ったことはないかどうかということを尋ねまして、それで行ったことはあるというふうな答えであったわけですが、大体の日時と目的等につきまして非常にあいまいでございまして、必ずしも完全に明快にできなかった次第でございます。
  〔委員長退席、理事原田立君着席〕
それで、本人の言うところは、大体四十八年の夏ごろと、それから四十九年のいわゆるゴールデンウイークあたりを利用して出かけたというようなことは言っておりましたけれども、どうもその目的などを聞きましても的確な答えが得られませんでしたので、特にはっきりと御答弁申し上げなかった次第でございます。
○橋本敦君 私の質問に明確に答えていただきたい。この鬼頭問題が発覚して、彼自身から事情を聞くまで、四十七年、四十八年、四十九年四月、三回海外渡航をしていた事実は最高裁は知らなかったのですねという質問です。知らなかったのでしょう。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のとおりでございます。
○橋本敦君 これは何を意味するか。彼自身が現職の裁判官であり、裁判官がたとえ私的であれ海外に出るときには、これは最高裁の許可を要するということは百も知っている。百も知っていて許可を得ないで渡航している。これは明らかに服務紀律違反ではありませんか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 仰せのとおりでございます。
○橋本敦君 なぜ彼は隠して行きましたか、理由をどう言っていますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その理由につきましては、明確な答えを得られないままでおります。
○橋本敦君 明確でないというのは、どういう言い方をしていますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 結局、彼の真意が捕捉できなかったという趣旨でございます。
○橋本敦君 どういう言い方をしていますか。あなたが捕捉できなかったことを聞いているのじゃない。彼はどう言っているのか。なぜ隠して行ったのか、こう聞いたときにどう言っているのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その点につきましては、再度事情聴取をいたしたいと思いますが、確かに許可を得ないで行ったことにつきまして尋ねましたけれども、先ほど申し上げましたように、明確な答えが得られなかったということでございます。
○橋本敦君 再度聞くとは何事ですか。調査のときになぜ隠して行ったか、動機は何か、隠す必要がどこにあったか、局長はお聞きになるべきですよ。今後お聞きになるなんということでは、真剣に調査をやっているとは思われませんよ。なぜ隠してまで海外に行く必要があったか、みずから服務紀律違反であることが百も二百もわかりながら、なぜ隠して行ったのか、徹底的に調べますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のように調査いたします。
○橋本敦君 法務省の資料によれば、四十八年七月の海外渡航は、調査研究、こういう名目です。資料がお手元にありますね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ございます。
○橋本敦君 彼の調査研究とは、ほかならない治安立法の研究ですよ、反共宣伝の研究ですよ。言ってみれば戦前の暗黒裁判を志向するタカ派中のタカ派の研究ですよ。なぜ最高裁はこういうことをもっと調べないのか、重大な疑問がありますよ。
 さらに、その次に、局長が報告をされた四十九年十二月、それから五十一年七月、これは許可申請どおりではなくて、全く許可申請と違った海外旅行を実際にやったと。間違いありませんね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 四十九年の暮れから五十年につきましては、大体は一致しておりますが、期間につきまして、仰せのとおり、完全には一致しておりません。特に五十一年の夏の渡航につきましては、ある意味では全く一致しておりません、ダブってはおりますけれども。
○橋本敦君 ある意味じゃなくて、全く事実が客観的に一致していない。偽りの許可をとって偽りの行動をやったのです。なぜですか。どう言っていますか、本人は。なぜ最高裁を偽らねばならなかったのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 特にことしの夏の海外渡航につきまして、この点につきましてずいぶん尋ねたのでありますが、結局前回御報告申し上げたような答えで、結局は事案を明確にできなかったというのが実情でございます。
○橋本敦君 いろいろ尋ねたが明確にできなかったというのですが、彼はどう言っているのですか。なぜうその許可をとった理由をどう言っているのですか。一言でも彼の言っている理由を言ってください。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 理由として私どもが聞いたわけでございますが、理由については結局は言わなかったということに相なります。
○橋本敦君 わかりました。理由を言わなかったということに疑惑があるのです。こういう事情で許可どおりのことができませんでしたというなら、それなりの事情があるでしょう。許可どおりのことができない海外へ行く事情があれば、許可の訂正を求めることができるでしょう。それをしないまま、偽りの申請をやり、事実に反する海外旅行をやって、いまだに理由を明確にしないというのは、これは重大な疑惑がありますよ。
 刑事局長に伺いますが、田中角榮の秘書の榎本氏が逮捕される前に海外へ行っていた事実が公になっていますね。いつごろどこへ行っておりましたか。
○政府委員(安原美穂君) 具体的な日時は、いま担当官を呼びましたので、そのときにお答えさせていただきます。担当官を呼んで聞いて、私自身覚えておりませんので……。
○橋本敦君 わかりました。後で確認していただきますが、田中角榮の秘書の榎本氏は、ことしの七月の終わりごろから香港へ行っていたのです。これは新聞でも報道されて明らかです。この鬼頭史郎裁判官が香港へ行ったのは五十一年七月三十一日から八月四日まで。まさに時期は相相応しているのですよ。そして、この香港というところは、ロッキード事件でどういうかかわりのあるところですか、刑事局長の御存じの範囲で述べていただきたい。
○政府委員(安原美穂君) 私の知る限りでは、たとえば先日起訴されました児玉の関係では、大刀川と共謀の上で外国の株式の取得をしてこれを保管させたり、金員を受け取ったりというようなことのあった場所でございます。
○橋本敦君 まだあります。シグ・片山が、にせ領収証、これを書くという共謀をやった場所は香港ではありませんか。
○政府委員(安原美穂君) 御指摘のとおりであります。
○橋本敦君 いま局長がおっしゃった児玉関係の幽霊会社は、ブラウンリー・エンタプライズという会社、御存じでしょうね、局長、名前は。
○政府委員(安原美穂君) そのとおりであります。
○橋本敦君 人事局長、香港で彼はこの間どういう行動をしたと言っておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 観光であるというふうに言っておりました。
○橋本敦君 だれと一緒に行ったと言っておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その点は明確にできませんでした。
○橋本敦君 一人とも言わず、数人とも言わず、明確にできないと、そういうことですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいまのお答えを訂正さしていただきます。一人と言っておりました。
○橋本敦君 この香港というのは、ロッキード事件に深くかかわる場所であり、国際的にも数々の謀略的なCIA機関がうごめいているところだと多くの人が言っている場所です。ここに現職の裁判官が最高裁を偽ってただ一人で行く。まさにロッキード事件のたけなわの中である。ここで彼が単に観光をやったのか、そうでないのか、徹底的に解明をする必要があると思いますが、局長の意見はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のとおりだと思いますので、徹底的に調査さしていただきたいと思います。
○橋本敦君 これは解明する必要がある重大な疑惑です。
 この鬼頭史郎判事補の経歴を最高裁からいただきました。彼は、昭和三十五年に法政大学大学院修士課程を終了して、同年四月から名古屋市の監査事務局に事務員として勤務しております。それ以前に厚生省の方に勤務をしておったという事実はありますかありませんか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私どもの履歴書には載っておりません。
○橋本敦君 知っていますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 承知しておりません。
○橋本敦君 問題ですよ、局長。厚生省から厚生事務官大臣官房人事課の大野氏に来てもらって、私は私どもの調査が間違いない事実を確かめました。指摘をしますから、具体的に控えてください。彼は、昭和三十年十二月、厚生省の保険局健康保険課に本採用になっています。そして、そのときの彼の直属の上司、これはだれであるかと言えば、人も知る自民党田中派の大幹部、小沢辰男氏ですよ。この事実をいままで知りませんでしたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 承知いたしておりませんでした。
○橋本敦君 正式に厚生省に勤務した事実、これを経歴書に記載しないという問題についてどう思いますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 一種の経歴詐称、まあ詐称といいますか、経歴を書かなかったということに相なるかと思います。
○橋本敦君 そのとおりでしょう。彼は最高裁に経歴書を出すときから何らかの思惑があって偽っておる。彼が厚生大臣であった草葉隆円氏の私設秘書をやっていた事実は御存じですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その点は承知しております。
○橋本敦君 それ以後、彼は、いま言ったように、大学に行きながら、異例なことですが、厚生省の方に正式に本採用になるまで勤務していたという事実があるのです。これは厚生省でも聞きましたが、このような扱いは全く異例だということです。これは私設秘書をしていた草葉隆円厚生大臣の特別な計らいがあったのかどうか、これも調べる必要がありますが、このように彼は最初から主要な政治家とのつながりを持っていた人物ということがこの事実でも一つはわかるのです。そして、当時彼の直属の課長であった小沢辰男氏、この小沢辰男氏から何かと目をかけられ、かわいがられていた人物であるということも私どもの調査では明らかですよ。この点を調べて次回の委員会に報告することを約束しますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) なるべく早目にいたしたいと存じますが、次回の委員会までになるべく間に合わせたいというふうに考えます。
○橋本敦君 私が前回指摘したように、彼は、彼自身が語っているように、自分は主要な政治家とつながりがあるのだということを同僚に言っていた事実がある。そしてまた、ここでもたびたび指摘されたように、田中派の事務所に名刺を置いていたという事実、あるいは電話をかけていたという事実も語られている。いま彼は全部これを否定しているけれども、彼の経歴自身が田中派の大幹部である小沢辰男氏とその当時から面識があり、かわいがられていた仲であるという事実は、これは明らかなんですよ。これは明らかにその後の政治家との関係は徹底的に調べねばならぬ。これはいまお約束のとおり調べるということです。彼が否認をすればそれ以上調べられないということではだめです。私どもでさえこういう事実を調査できるのですから、最高裁がこういう事実を調査できないということは、これは真実の解明の上で最高裁自身の手落ちだと言わねばなりませんよ。
 さらに、その次の問題として伺いますが、公安調査庁お越しですか。――公安調査庁に伺いますが、彼は朝日新聞記者と十月九日の未明、名古屋のホテルの一室で会いました。こう言っております。私には公安関係の仕事に携わっている知人がたくさんいる。その人たちからいろいろな話を聞いている。たとえば金大中事件、この金大中事件の名前が割れたのは一日本人がこれにかかわっていたその者の関係で指紋まで割れるというようになったのだと、こういう話を記者にしている。十月九日の話であります。そこで、公安調査庁に聞きますが、鬼頭裁判官が網走へ職務上の研究の必要があると、こういって行ったように、公安調査庁にもたびたび出入りしていたという情報を私どもは聞いておりますが、この事実について明らかにしてください。
○説明員(谷藤助君) 私どもの方では、鬼頭判事補が私どもの役所に出入りしていたというようなことはございません。
○橋本敦君 ないということをあなたはおっしゃるが、長年の間にわたって彼が来ていないということを確言をもって絶対ないと言えるかどうか。そこまでの調査をされた上でのいまの答弁ですか。彼自身がいろいろ知っておる人があると、こう言っているのですよ。調べてみるということでもう一度調べ直すべきだと私は思いますが、どうですか。
○説明員(谷藤助君) 現在まで私どもの方で承知しておる時点では鬼頭判事補が私どもの方へ出入りしておるというような事実はございませんが、御指摘の点についてさらに調査をいたしてみたいと思います。
○橋本敦君 人事局長、人事局長もこの点を調査する必要がある。彼自身が新聞記者にこう言っているのですから、この点の調査は、公安調査関係との関係、あるかないか、本人にただしましたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただしました。
○橋本敦君 どう言っていましたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 公安調査庁との出入りはないという答えでした。
○橋本敦君 その点を局長は信用されてそのままですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 予断を持っていてはいけないと思いますけれども、心証自体としてどうかというお問いに対しては、答弁は遠慮さしていただきたいと思います。
○橋本敦君 それじゃ、推測は結構です。いま私が指摘をしたこの新聞記事は、これは十月二十八日の朝日新聞ですから、まさにきょうのことですよね。だから、このような報道を知って本人に聞かれたわけではありませんね、局長。あなたが聞かれたときは。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 当然のことでございます。
○橋本敦君 それでは、あなたが鬼頭史郎氏に事情を聴取したときに公安調査庁関係との関係があるかどうかを聞いてみる必要を感じた理由は何ですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) たしか二十二日の新聞報道を前提にして聞いたわけでございますので、その一環として聞いたものでございます。
○橋本敦君 そうでしょう。彼が公安関係といろいろ関係があるということがいろいろ報ぜられた、そのために必要があると思ってお聞きになった。――わかります。しかし、きょうの新聞はもっと具体的ですね。この事実はさらに彼に究明する必要があると思いますが、改めてお調べになりますね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のとおりでございます。
○橋本敦君 局長、彼は、自分の専門的私的な研究は、治安立法、これが自分の研究だということはお調べの中で言っておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 網走刑務所の問題につきましてどういう理由で問題の資料の入手を図ったかという問いの際に、戦前の治安立法について研究しているのでということを言っております。
○橋本敦君 もう一つ聞きます。海外出張名目に調査研究となっておりますが、海外出張の際の調査研究というのは何の調査研究だと彼は言っておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その点については明確にはなし得ませんでした。
○橋本敦君 言わないのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 結局、私どもの問いに対しましては具体的な内容は言わなかったといいますか、私どもとしてどういう研究であるというふうに認定するに十分なことは言わなかったわけでございます。
○橋本敦君 最高裁に許可を求めるのに、調査研究と、こう言いながら、現職の裁判官が何の研究かと言われて明確に言えない、全くおかしな話ですが、要するに、現在まで明らかになっているところ、彼は、戦前からの治安立法の研究が自分の研究だと、こう言っておる。こうなりますと、いいですか、こうなりますと、網走で宮本委員長の身分帳を見ることだけが研究だったら大変なことですよ。そうじゃなくて治安立法一般の研究だというならば、これは公安調査庁といろいろ連携をとって、資料その他意見交換、こういったことで研究を彼自身が進めておるという可能性は客観的に濃厚ですよ。だから、いま言った公安調査庁関係を改めて私が指摘をした観点から厳重に調査をするということは約束されますね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) できるだけの調査をいたしたいと存じます。
○橋本敦君 彼は十九期ですが、彼と同期の判事補の皆さんは約七十名いらっしゃる。この皆さんが、判事になる十年目を前にして、ことしの九月の初めごろ最後の研修が行われて、その研修に彼は参加しておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 参加しております。
○橋本敦君 彼と同期の判事補は最高裁の中に何人かいらっしゃいますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ちょっと時間をいただきたいと思います。
○橋本敦君 おられますよ。私の方でも調査しておる。ロッキード事件に関連をして検察庁が裁判所を通じてコーチャンその他の嘱託尋問を要求いたしました。そして、ロスアンゼルス地裁でファーガソン判事の裁定が出ました。日本の検察庁が起訴猶予ということを公式に表明した問題について、ファーガソン裁定の趣旨がどういうものであるかということを検討するために、最高裁は最高裁の裁判官をアメリカに派遣されました。その中の一人に十九期の方がおられませんか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいまわかりました。堀籠という調査官でございます。
○橋本敦君 この裁判官判事補研修が行われ、そして同期の皆さんが集まって、会食をすることも一杯飲むことも研修の合間にあるでしょう。このときの話で次のような話が伝わっている事実を私は何人かの人から聞いている。つまり、どういうことかといいますと、この鬼頭裁判官は、公安関係、ロッキード疑獄関係に関連をしてさまざまな話、情報を持っておる。そして、そのことは、内容的に言ってアメリカのファーガソン判事に会いに行った堀籠裁判官さえ知らないような検察のトップシークレットにかかわるような話までこの鬼頭氏が出しておるということで同期の裁判官はびっくりしたという話が伝わって、多くの人がその話をして、私どもはいろいろな人たちから仲間の中で、うわさになったという事実を聞いておる。なぜ鬼頭氏がそのようなことを知り得るのか。堀籠さんさえびっくりしたのだとみんな言っているそうです。そういう話がなぜ伝わるのか。このような話を局長はお聞きになったことがありますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) いままで聞いたことはございません。
○橋本敦君 事実だとしたら、事の重大性はおわかりでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) いかなる内容かよく存じませんけれども、仰せのとおりでございましたら、十分ただいまの堀籠調査官あたりに聞いてみたいと思います。
○橋本敦君 実に重大な事実ですね、この話が本当だとしたら。堀籠さんが言っているというのじゃないですよ。堀籠さんもびっくりしたという話ですよ。びっくりした内容は、いま言ったとおりです。なぜ彼にこういうことがわかるのであるか。われわれが国会でロッキード追及をやる中でも、検察庁は、捜査の秘密、これを守って一言もおっしゃらないことがほとんどですよね。こういうことがわかる立場に彼があるという問題は、これは徹底的に究明する必要がいま私が指摘したことが事実だとすれば検察当局もあると私は思いますが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) まあ調べてみる必要はありますな。
○橋本敦君 だから、これは本当に調べてみなければならぬのです。
 ところで、次の問題に行きますけれども、彼がこのきわどい時期に香港に行って、八月四日に帰ってきて、そしてその日は疲れて休んだと、こう言っております。八月四日、彼が伊丹に着いたのは、飛行機はキャセイ、十一時半ごろに着いた、これは間違いありませんか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 香港から伊丹までジェットで飛べば三時間半、アメリカから帰ってくる十数時間に比べれば物の数の疲れではありません。だから、彼がその日は疲れて休んだというそのこと自体は信用できないと思いますが、局長、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) おっしゃるようなことも可能性としては当然あり得ると考えます。
○橋本敦君 だから、彼は真実を言っていない可能性がある。調べねばならぬ。しかし、彼は、最高裁の調査に対して言を左右にして多くのことを真実を語ろうとしないという状況は、私は、これだけ事を起こし、司法の威信を汚し、これだけの問題になっている彼の立場としては、厳しく反省させねばならぬ問題だと思いますが、それと別に国会が彼を証人として宣誓の上で喚問をして真実をこの国会においても国政調査権に応じて語らせる必要がある。こういうことで国会の証人喚問をした、これについて局長は特に異議はありませんね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私どもといたしましては、証人喚問につきまして、昨日も申し上げましたが、異議があるわけはございません。
○橋本敦君 ところが、彼はどうでしょう。事務総長に伺います。国会で彼を証人喚問するという問題を理事会その他で論議しているときに、いち早く彼はNHKに電話をかけて、出頭しないのだという通告をして、それが全国でニュースに流れました。これは国会の正式喚問をまだ受けていない段階で事前に出頭しないということをNHKに通告をして全国に流す、こういう行為は、彼自身も多くの証人を喚問して調べたでありましょうが、こういう行為は不見識きわまると私は思います。総長、どう思われますか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 仰せのとおりであると思います。
○橋本敦君 そして、彼は、きょう出頭しない理由として、診断書を昨夜遅く提出しました。この診断書はとうてい認めることができません。私どもはそう思っておりますが、事実上きょうは喚問できなかった。彼は、裁判所をも、そしてまた後で触れる宮本委員長の身分帳問題でも法務省に対して、重大な侵害行為を行いながら、今度は国会の喚問に対して挑戦をしておる。こういうことは私は断じて許せぬと思います。きょうの診断書の内容に公の席では触れませんけれども、あの診断書の内容は、絶対に国会の証人喚問に応じない正当理由となるものじゃありません。それどころか、彼は上申書を出して次のように言っております。二十七日の朝、午前九時十五分に正式の喚問状を受け取った、翌日証人喚問として出廷せよというのは、これは社会常識上も、またこれは本人の都合も考慮しない点ではなはだ妥当でない。――国会が社会常識がないと言っているのですよ、国会が社会常識がないと。そして、本人の人権を無視した、こういう言い方をしておる。社会常識を果たして国会が無視したでしょうか。彼を幾ら捜してもいない。委員部も最高裁の担当者も苦労して苦労して彼を捜し回った。彼はどこからかNHKにいち早く電話をかけて出頭しないと言っておる。自分が所在をくらましておいて、ようやく前日の朝に喚問状を受け取って、それで自分が所在をくらまし、そのような行為をやったことをたなに上げて、国会は非常識だと、こう言う。私は許せぬと思いますが、事務総長はどうです、こういう言い分は通りますか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど来御指摘の行為は、きわめて穏当を欠く行為であると思います。
○橋本敦君 穏当を欠くどころか、通りませんよ。そして、彼は、法律家らしくこう言っていますよ。この喚問は法的にも違法な呼び出しで、出頭の義務の有効な発生について疑義があると。彼はいつ国会に対する裁判官になったのですか。この出頭呼び出しが違法であって出頭義務に有効性を欠くというようなことは、彼はいつ国会に対する裁判官になったつもりですか。許せませんよ。本当に違法な呼び出しだと人事局長は思っていますか、あなたは。違法ですか、国会でやったことが。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在の私どもの立場でその点について違法かどうかということにつきましては遠慮さしていただきますが、その言い方自体が穏当でないということは私はそう言わざるを得ないと思います。
○橋本敦君 何と国会に対して非道不見識なことを言うことかということです。しかし、彼はきょう出て来なかった。
 そこで、私は最高裁に伺いたいのですが、最高裁も、参議院ロッキード委員長のところに、彼の証人喚問は最高裁の調査が終わった後でしてもらいたいと、このように申し出たいということが新聞に報ぜられた。事実間違いありませんか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいまお尋ねがございましたので、きわめて重要な問題でございますから、私からある程度経過を御説明させていただきたいと思います。
 十月の二十五日月曜日の四時半ごろに、ロッキード委員会の大谷委員長の代理の方から、私どもの方へ、鬼頭を証人に呼び出すという話が出ておるが、それに対して最高裁として何か意見があるかというお尋ねでございました。この鬼頭そのものの問題はともかくといたしまして、一般的に裁判官を国会へ証人にお呼びになるということは、いまだかつて例のなかったことでございます。そういう意味で、私どもとしては、相当重大な問題と考えまして、できることならば裁判官会議の御了承を得た上で正式の御返事をしたいと思ったのでございますが、ロッキード委員会の方の御意向では、その翌日にも理事会の御決定になるということで大変お急ぎになっておるような様子でございましたし、たまたまこの鬼頭の案件につきましては恐らくは裁判官会議においてもこれを証人として国会がお呼びになることについて特に御異議もないであろうというふうに事務的に判断いたしまして、事務総局限りの意見として、その日の六時半ごろに、私どもの方の事務次長が大谷委員長のところへ参りまして私どもの方の意見を申し上げたわけでございます。その意見の内容は、本件につきましては、事案の性質上、これは裁判所の裁判官の職務に関係することでもございませんし、むしろ非常に政治的な性質を持ったものであるので、国会でまさに証人としてお取り上げになるのに適すると申しますか、そういう案件であると考えまして、裁判所において異議を差しはさむ筋合いのものではないと考えると。ただ、現在最高裁において調査中であるから、調査終了後にしていただいてはいかがかという一応の希望意見を持っておりますけれども、しかし、これまた性質上国会において諸般の事情を御勘案の上で御決定になるとすれば、私どもとしてもとより何らそれ以上申し上げる筋合いのものではないと、こういう趣旨のことを大谷委員長に申し上げたわけでございます。それに対しまして、委員長の方は、国会は会期末も迫っておるし、これ以上延ばすわけにはいかないという御意見のようでございましたし、また、私どもの方としてその調査をいつまでに完了できるか、特にこの国会の閉幕までに完了できるというはっきりした見通しもございませんので、そういう調査終了後というようなことを申し上げることは行き過ぎであると考えまして、その御意見でおやりいただくことについて何ら申し上げずに引き下がったわけでございます。当日は二十九日というお話でございましたが、その後二十八日に変わったと、こういうふうに伺っております。
○橋本敦君 いま総長おっしゃるとおり、最高裁としては調査が済んでから後にしてもらいたいということを一応申し出たけれども、しかしそれは国会がお決めになることだから、それには特段の異議を申し出る理由はないと、こういうことですね。しかし、一応申し出られた。特段の異議はない、国会が自主的に決めることだけれども、一応申し出られたわけです。しかも、いま総長がおっしゃるように、この短い国会で早く真相究明をしなければならないために急いで国会が呼んでいるときに、この国会会期中に最高裁の調査が結了するとさえわからない。そういうときに、希望意見としてでもあれ、最高裁の調査が済んでから国会で呼んでくれということは、国権の最高機関である国会のやることについて、希望意見とは言うけれども、具体的には正当の理由のないことをおっしゃったということになりませんか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま橋本委員のようにおっしゃるのを伺っていますと、確かにあるいはそういうことは申し上げずもがなのことであったかとも思います。ただ、私どもとしては、これは今回限りの問題でもございませんし、いわば一般的に私どもが調査いたしておりますときには、私どもの方も御尊重いただくということも一つの考え方かと思って、いわばそういう趣旨でお話し合いと申しますか、ひとつ申し上げてみたというようなことでございまして、あるいはそういうことは申し上げなかった方がよかったかといまでは考えております。
○橋本敦君 私はこの点でこれ以上最高裁の姿勢を批判するつもりはないのです。彼はきょう来なかったということは重大な問題だから指摘をしているわけです。どうしても早期に呼んで真相解明しなければならぬのです。
 そこで、彼がきょう出て来ないということの背景について疑いがあるのですよ。自民党の海部国対委員長は、この鬼頭裁判官の国会の証人喚問について、彼は新聞記者の皆さんにどう言っているかといいますと、呼ぶとしても最高裁の調査が済んでからだなということを言っているのです。そして、鬼頭自身は、早くからNHKにおれは行かないということを宣言しているのです。最高裁は調査が済んでからにしてほしいと、こう言っているのです。それが直接鬼頭とつながっているとは言いませんが、彼が正当でない理由を述べてきょう出頭しないということは、きょう私が指摘したように、数々の敏感な情報網を持っており、電話魔とさえ言われておる彼が、そのような自民党の動きを察知しないいわれはない。そうなると、彼がきょう出頭しないということを背後で事実上助けているような動きに最高裁も手を乗せられているのではないかということを私は心配して指摘しているのです。こういうことは絶対ないと、最高裁自身は国会が国会としてこの真相を究明するために彼を早期に証人喚問することについては何らの異議はないと、もう一度ここではっきり総長の見解を聞きたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほども申し上げましたとおり、私どもの方の国会関係の連絡の責任者であります事務次長――総務局長の事務取扱をいたしておりますが、これが大谷委員長のところへ参りまして、いわばまあお話し合いというような席でそういうことを申し上げたわけでございまして、すぐその場で御説明に納得して帰ってまいったというような次第でございます。でございますから、私どもとしていま調査終了までお待ちいただきたいというようなことを国会に申し上げる気持ちはございません。
○橋本敦君 捜査の点も進めろといういろいろな要求があります。また、やってもらわねばなりません。刑事局長に一言伺いますが、ロッキード関係では調査、捜査が行われている段階で支障があるので、ロッキード関係の証人の喚問は差し控えてほしいと総理もあなたもおっしゃった。この問題について、早期に鬼頭史郎氏を国会が喚問することについて、当面捜査上の必要があって困るというようなことはお申し出にならぬでしょうね。
○政府委員(安原美穂君) 捜査当局とも協議いたしましたが、当面証人喚問として鬼頭史郎氏が国会に出頭して尋問に応ずることによって捜査に支障があるということは聞いておりません。
○橋本敦君 話は局面を変えまして、矯正局長に若干のお伺いをさしていただきたいと思いますが、私は矯正局長の報告なさったお話を伺いまして幾つかの疑問点があります。
 そのまず第一は、新聞で報ぜられている報告を見ますと、やっぱりそのときに、面接をした庶務課長、刑務所長が、現職の判事だと、職務上の研究のために資料を知りたい見たいとこう言えば、相手が現職の裁判官だということで、気持ちの上でも態度の上でもずいぶん遠慮があったということを私はあなたの報告から仄聞的に状況として理解をするのですが、そういう状況は局長も調査の中で感じられておりますか。
○政府委員(石原一彦君) 先般来の私どもの御報告は、外形的事実をできるだけ客観的に申し上げたのでございますが、ただいま御指摘のほかにも事情聴取をいたしました二人からは切々として訴えられているのでありますが、そのうちの一点は現職判事ということであり、自分も電話をかけて確かめたのだ、そしてさらに持ってきた名刺もそうだったからということは言っておりますし、また、私自身もさような点についてはしんしゃくすべき事情ではないかというふうには思っております。
○橋本敦君 私はそのことが大事だと思うのです。しんしゃくしてあげるのは結構です。真実を解明し規律に照らすべきは照らしても、そのしんしゃくすべき事情というのはあり得るでしょう。これはまさに鬼頭史郎判事補が、自分が現職裁判官であるということを刑務所の所長やまた庶務課長、こういった人たちに見せびらかしている。そして自分の権勢を誇って強引にやったということなんですよ。羽田空港で、おれは現職裁判官だ、ボディチェックをやるとは何ということだといって紛争を起こした彼の態度と発想がここにもあらわれているのです。そして、これが彼の職務上の研究というように認められますか認められませんか。局長、いかがですか。
○政府委員(石原一彦君) この点につきましては、最高裁の人事局長の事情聴取の際に鬼頭判事補が申し述べたところとは違っておりますが、私どもが二人から事情聴取したところによりますれば、職務上の参考のための研究と言われたので率直に申しますれば油断があったと、そういう点がなければかようなことはしなかったということをこれまた切々としてわれわれに訴えているのでございます。
○橋本敦君 そのとおりですね。彼は職務上の必要のある研究だと、こう言って行ったのです。どうですか、局長、彼自身はそのことを認めていますか、職務上の研究。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 職務上とは言っていないというふうに申しておりました。
○橋本敦君 こういう場合に、彼がそういう事実を否定をする。しかし、刑務所長それから庶務課長は職務上ということを強調されたということで、被害者の方がそう言っていることは信用できますよ。実際、客観的に見て、職務上の研究だということは言えないことは明白ですが、局長どうですか。人事局長、職務上の研究とは言えないでしょう。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) この場合に、実際にどういう考えで言ったのかどうか。私どもの前では、申し上げましたように、戦前の治安立法について研究しているという場合に、いわゆる職務上を公務と置きかえますならば、公務ではなかったろうと思います。
○橋本敦君 そのとおりです。職務上いろいろな事柄を研修するというのは、裁判官の職務上の研修として小説を読むこともいいですよ。だけれども、彼が担当している裁判に具体的に関連をする公務上の必要があってという意味の職務上では絶対ないです。そんなことで彼がこんなところへ行ったのじゃないのです。これは明らかです。いま局長がおっしゃったとおりです。
 そうすると、安原刑事局長、私はあなたに聞きたいのですが、彼はまさしく相手の弱味、地位につけ込み、職務上の権限を利用し乱用し、そして相手の庶務課長、所長、これに義務のないことを行わしめたと、刑法百九十三条の公務員職権濫用罪に該当する行為をやったという状況が生まれてくる、私はそう思いますが、この刑法百九十三条公務員職権濫用罪がいまの問題の事実の解明の中で鬼頭史郎氏に対する容疑の一つとして浮かんでくると私は思いますが、局長のお考えはどうですか。
○政府委員(安原美穂君) 先ほど来御説明がございますように、ただいまその秘密とされている事柄の開示があったということについての事情の調査が進行中でございますので、具体的な事案に即して申し上げることはいまの段階では差し控えたいと思いまするけれども、御指摘のような職権濫用に当たるのではないかということも、具体的事実が判明すれば検討すべき一つの問題点であろうというふうには思います。
○橋本敦君 そうですね。この点は重要ですよ。単なる彼が官名詐称の軽犯罪法違反で科料に処せられる程度ではなくて、国公法百条の秘密漏洩ということに加えて、現職裁判官として職権乱用したという刑法百九十三条の公務員職権濫用罪、これに該当する疑いがいま出てきておるのです。重大な犯罪を現職裁判官でやったのですよ。しかも、稻葉法務大臣がこの間おっしゃったように、それを通じてわが党の宮本委員長の名誉を著しく棄損するという状況をつくり出しておる。絶対に許されませんよ、これは。これはその観点で検察庁も捜査を遂げるということですから、私が指摘した職権濫用罪の成否をも含めて今後事実関係を検討し調査をするということを強く局長にお願いしておきたいと思います。
 ところで、矯正局長に伺いますが、鬼頭史郎裁判官が網走刑務所へ身分帳を見に行ったということが本省に最初に報告があったのは昭和五十年一月ではないかと私は見ておるのですが、実際どうなんですか。
○政府委員(石原一彦君) 私、矯正局長になりましたのは五十年の十二月でございますが、当時のこの事件に関する経緯については、四十九年の七月以降綿密に調べておりますが、ただいま御指摘のような事実は把握しておりません。私はなかったものと思っております。
○橋本敦君 いつごろ報告があったという御理解ですか。
○政府委員(石原一彦君) この事実につきましてお名前を挙げて差し支えなければ、橋本委員と同じ党の方でございますのでお名前を出さしていただきますが、ことしの三月ではなかったかと思いますが、諫山議員が網走刑務所を御調査になりまして、そういう事実がなかったかということを聞かれたようであります。そのときには、網走刑務所の関係官は知らない。で、南部庶務課長がそのころ帯広にかわっていたものでございますが、帯広に行かれまして、Kという裁判官が来て見たのではないかということがございました。そのことは私どもに報告がございまして、私どもといたしましては、職員録でございましたか司法大鑑でございましたか忘れましたが、か・き・く・け・このつく裁判官を調べたのですが、たしか四百人余りおられまして、とても調べられなかったわけです。今回のことが新聞に出ましてから、四十九年の夏ごろであるということで時期もしぼられたのでございます。それでだんだん私の方でも調べやすくなり、本人たちの記憶もよみがえってきたのでございますが、裁判官という方で見に行った者があるじゃないかといういまから考えますときわめて概括的なことにつきましては、本年の三月ごろ知りました。しかし、当時の私どもといたしましては、今度の事件が出ますと、鬼頭判事補はいろいろな新聞報道によれば奇妙な行為ということになるのでございますが、それは私は例外だと思っておりまして、現在の大半以上の、九〇%以上の裁判官はやはり公平中正な方だろうと思っております。現実も私信じているわけでございますが、当時その話がありましたときに、まさかという気持ちの方が強いものですから、とても厳重に徹底的に調べるというところまでの気持ちにはならなかったのは事実でございます。いまから考えますと、諫山議員に具体的な名前をもっと聞けばよかったなという気持ちはしておりますが、当時そういう概括的な話を聞いていたことは事実でございます。
○橋本敦君 わかりました。
 文藝春秋で立花氏が共産党研究ということを論文で出しまして、宮本委員長の執行停止あるいは診断書問題、これが出てくるわけですが、これは大きく全国を風靡して、局長も読んでおられる。それを読んで、この診断書問題、文献資料をどう思われましたか。
○政府委員(石原一彦君) 当時、出ましたのが昨年であったかことしであったか、定かな記憶はございませんが、新聞報道あるいは人から指摘を受けまして私も見ました。そのときには、それほど感じはございませんでしたが、やはり宮本氏の釈放の件について何らかの問題があるなという感じはいたしておりまして……
○橋本敦君 資料関係。
○政府委員(石原一彦君) おりましたが、最初のうちには資料関係の点は出ていなかったのではないでしょうか。資料関係が出ましたのは、ことしに入ってもう少し後であったという私の記憶でございます。
○橋本敦君 私どもの党の方で調査をして新たな重大な事実が発覚をして、きょうの赤旗にも書いておるのですが、この鬼頭裁判官が網走へ行って身分帳を閲覧した後、時期は四十九年の九月ごろにかけてのことでありますが、神田のあるコピー店に彼自身が宮本委員長に関するいろいろな原稿を持ち込んで多数のコピーをさしたことがしばしばあった。これが、京都のいわゆる電気店で鬼頭判事補が消音器、録音器を買ったということが店員がテレビを見てびっくりして発覚して、ここの店員も、しばしばテレビに出る鬼頭史郎氏の顔を見て、あの人が来たということを知って驚いた、こういう事実がある。この事実は、局長ももちろんいままで御存じなかった事実でしょうね。
○政府委員(石原一彦君) けさの赤旗を拝見いたしまして初めて知った次第でございます。
○橋本敦君 人事局長もきょう初めてお知りになったことでしょうね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 電気店のことについては、朝日新聞であったと思いますが、それで初めてもちろん拝見して知りました。
○橋本敦君 私が言う事実は。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいま御指摘の事実につきましては、初めて知りました。
○橋本敦君 これは調べていただかなければならぬ重大な問題なんです。彼自身は、身分帳を見た、しかし外部には自分は一切漏らしていないと、こう言っておりますね、人事局長。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 仰せのとおりでございます。
○橋本敦君 しかし、彼は、この時期に、いろいろな反共的原稿を書き、網走から帰ってこれを多数コピーをさせ、どこかへ持っていって、原稿を渡すか、共同研究、そういったことをするか、何をやったのか、これは明らかにしなければならぬ。だから、宮本委員長の診断書がいまは公然と松本明重氏の著書に出てくる、あるいは立花論文、あるいは国会で民社党春日委員長が問題にしてくるということの中で、だれがこの秘密を漏らしたかは、これまた重大な問題になってきている。そういう中で、彼が反共文献をつくって多数のコピーをとったという事実は、これは重要ですね。局長、徹底的に調査をしてくれますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいまコピーの話を初めて伺いましたが、その関係でできる限りのことをいたしたいと存じます。
○橋本敦君 そこで、もう一つですが、彼が写真を写し損なって、後で庶務課長に手書きの診断書を送ってもらった、この事実は彼も認めておると思いますが、人事局長、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その際、診断書といういわば文書の標目については言えないということでございまして、二、三点後から手書きの写しを送ってもらったと、こういう供述でございました。
○橋本敦君 その二、三点の中に診断書があるということは、彼の供述いかんにかかわらず、石原局長の答弁、調査をされた事実が明らかになっている現在、もはや明白だと思いますが、局長はどう思いますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 法務省の石原局長の御報告をお伺いいたしまして、この段階で心証はどうかと、まあ問われるまでもないかと存じますが、本人はどのような書類を写したかということは、結局、研究用としてもらったのだから、それを言うことは公表することになるので、それで言えないと、こういうような弁解をしておりました。
○橋本敦君 その弁解は成り立ちますか。裁判所であなたの調査に対して、公然と行われる調査じゃありませんね、それに対してそういうことを言うというのは、弁解になりますか。あなたはそれを認められたのですか。認められたのなら重大ですよ。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 認めたという趣旨ではございません。彼がそう言っていたということでございます。
○橋本敦君 それでは、法務省関係の調査の結果からでも、あなたがおっしゃったように、彼が診断書を筆写さして法務省の罫紙で郵送させたという事実は明白ですから、彼がいま持っているはずです。これの提出を命ずるということで積極的に調査を進めなければならぬ。やっていただけますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) そのように措置したいと思います。
○橋本敦君 法務大臣、時間が参りましたので最後に伺いますけれども、私は、この間、法務省と最高裁の調査の協力関係、これを綿密にやっていかなければ、いまお話しのとおり、石原局長が調査をした結果、客観的事実は間違いないと国会へ報告される、それを最高裁の調査では本人は認めない、こういう状況が続けば、調査は遅延し難航します。だから、したがって、私は、この際思い切って最高裁と法務省とが綿密な協力関係を組織的にもつくり、調査の協力関係を打ち立てて早急に調査を遂げるということを大臣自身の方針として明確になさる必要があると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 昨日、大臣室へ関係者首脳を呼んでそのことを申し渡しました。これからの問題ですね。いままでは、とにかく国会に皆来ておりますから、総合的にやれないのですね。これからですよ。
○橋本敦君 大臣と話していると笑いたくなってくるのですね。(笑声)まあこれからとおっしゃると、われわれ一生懸命こうやって証人喚問を決めて真剣に日本の司法と政治のために真相究明をやっているのですから。まあいいです、これから本当に積極的な協力で一日も早く真相解明をやると約束していただけたということで質問を終わります。
○国務大臣(稻葉修君) きのう集めて、ああいう質問もあるのだから、そうしていかにも遅々としているという感じを与えちゃいかぬから、あしたからでもやれと、こう言ったのだけれども、けさからここへ呼び出されたからね。(笑声)
○政府委員(安原美穂君) 先ほど橋本委員からお尋ねの田中前総理秘書官榎本氏の海外渡航の関係でございますが、調査いたしましたら、榎本元秘書官は七月の九日に羽田を出て香港に行き、七月二十一日香港から羽田に帰っております。目的は観光でございます。
○橋本敦君 わかりました。終わります。
○理事(原田立君) ちょっと大臣、先ほどお願いしておいたテープの声を総理に確認してもらって当委員会にすぐ御報告願いたいと、こういうふうにお願いしておいたのですが、その件についての御報告を願いたい。
○国務大臣(稻葉修君) 総理の方の時間がありませんで、まだ総理は聞いていないそうです。なるべく早く聞いてもらって返事をします。委員長に返事をすればいいですかな、どうでしょう。これはまだ聞いていないのですな、総理は。時間がなくて聞いていない。――なに、届けていない。届けていなけりゃ聞くわけがないじゃないか。(笑声)だめだ、それは。私の言ったことを秘書官が実行しないでは困っちゃうな。弱ったね。それじゃ早速届けて、なるべく早く御要望に応ずるは大ようにいたします。済みませんでした。秘書官の手落ちは大臣の手落ちであります。謝罪をいたします。
    ―――――――――――――
○理事(原田立君) 本案に対する審査はこの程度とし、次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
○佐々木静子君 矯正局と調査部長は結構でございますから。
 いま橋本議員からも裁判所に御質問があったから続けてちょっと伺うわけですけれども、これは先ほど来の法案に関する審議のときにもお答えになったように、鬼頭判事補の現住地というか、おるところ、これは最高裁に無断であるいは地裁所長に無断であっちこち動くことはできないわけですね、いまでも。これははっきり場所は確認できているわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) できておるつもりでおります。
○佐々木静子君 新聞記事によると、京都へ帰ったと思っていたら東京にいてたのでびっくりしたとかというような当局の発言がありますけれども、そういうことはないわけですね。身柄は、身柄というとなんですが、判事補の所在ははっきりしているわけですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在ははっきりしておるはずでございます。
○佐々木静子君 これはこういうことでいまその所属する京都地裁で裁判はやっていないわけですけれども、これはやはり公法上の義務があると思うのですが、本日病気ということで診断書が出ている。これは裁判所としてこの病状を確かめるということはされないのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在、公務の方は、まあこういう渦中の人でありますので、一応仕事は外してあるはずでございますが、もちろん京都地方裁判所の決定でやっておると思いますが、このたびの診断書につきまして、私どもいただいているわけではございませんが、私どもの方でこの診断書の内容をあれこれ論議することは、いまのところいかがかと存じますが……。
○佐々木静子君 それでは、裁判所の場合、監督権の範囲ですね、これは国会へ出たわけです、このいま問題になっている診断書は。しかし、裁判所にこれはもうどこにおるかわかっているということですけれども、やはり恐らく国会から喚問があるからということできょうは本来の仕事をしないということになっているのだろうと思いますけれども、それじゃその病気のぐあいはどうなのだということを裁判所としても司法の行政の監督者として確認する必要があるのじゃないですか。病気だということを聞いているけれども、診断書も何も裁判所へ出していないとすれば。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 終局的には、先ほど申し上げましたように、京都の裁判所が直接のいわば監督者でございます。御承知のような客観的な情勢でございまして、とうてい本人が、まあ病気だけでという趣旨ではございませんで、こういう客観的な情勢の中にいる鬼頭判事補を具体的に法廷で審理に立ち会わせることは、これはむしろ裁判所としても国民一般としてもいかがかという判断でいわば職務から一時外すというふうにいたしているわけでございまして、このたびこちらに提出いたしました診断書についてあれこれやはり申し上げることは、この際、控えた方がいいのじゃないかというふうにただいまのところ私自身は考えております。
○佐々木静子君 いままで鬼頭氏がやった裁判についても、判決を受けた人は大分いろいろと文句を言っておりますよ、私の聞いているところでも。いま裁判所へ戻って裁判をいまからやるなどというようなことになれば、これは大変なことになると思いますけれどもね。いまのところそれを法律的にとめる方法はないということじゃないかと思うのですが、しかし、公務から完全に解放されているというわけじゃないのでしょう。そういうわけでもないのですか。解放されて何の義務も持っていないのですか、いま。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 事件の審理についていわば解放といいますか、一応法廷に立たないで済むような措置にしてあるはずでございます。
○佐々木静子君 いわゆる事件の処理をやっていないことはわかりますけれども、そうすると、公法上何の義務も負っていないわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) もちろん現職の裁判官の地位を保有しているわけでございますので、たとえばいま問題になっております所在とか、いわば身の行動一般につきまして、裁判官としての義務といいますか、これは当然に負っているというふうに考えております。
○佐々木静子君 これはあなたの方もいま司法行政上の監督者としていろいろ調べていらっしゃる。健康状態ですね、裁判所としてもこれは当然調べるのが常識じゃないですか。おとついまでのところはどこも体は悪くないと言っておったわけですね。何もそういう話は出ていなかったわけでしょう、特に病気だというような話は。ところが、これはきょうの国会の審議でもおわかりのように、きょうは国会へも喚問に応ぜられないという健康状態だという趣旨の診断書を、診断書にはそう書いてないですけれどもね、喚問に応じられないという健康状態だとは。ともかく診断書を出して、事実上出てこない。向こうに言わせれば、恐らくこの診断書で病気だから出てこないということなんだろうと思うのでけれどもね。これはいま現に最高裁が当該裁判官を調べている以上、健康状態というものは当然調べるのがあたりまえじゃないですか。国会でこれだけ鬼頭判事補の健康状態が問題になっているのに、裁判所に出た診断書でないからということで横を向いていられるのは非常におかしいじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほど申し上げましたとおり、国会の方で御決定がありまして、国会の方に対する診断書、それに関連いたしまして、ただいま御指摘の鬼頭判事補の健康状態を私どもでも把握すべきでないかと、こういう御指摘かと存じますが、喚問に応じないことの一つの理由として、まさに身体の状況も一つに理由としていることでございますので、この際、私どもの方で何か積極的に鬼頭判事補の身体の状況についてまたこちらで調べる、結局は医師の診断を待つほかないと思いますけれども、重ねてやることにつきましては、ここで私やりますというような結論を出すことについては、ちょっとちゅうちょいたしますが、検討さしていただきたいと思います。
○佐々木静子君 いま橋本議員が指摘された本日の朝日新聞のこの中に、本人が記者会見で、金大中事件で金東雲の名前が割れたのは指紋からではないのだと、自分は公安関係の仕事をしている人をよく知っているので、これはある日本人があの事件に介在しておって金大中を車で関西へ運ぶのを手伝った。そして、その男が公安にたれ込んだために金東雲の名前が出たのだと、そしてこの男は免責になっているのだというようなことを言っているのですけれども、そういうことについて何かお調べになったことがありますか。無論ないでしょうね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ございません。
○佐々木静子君 これはちょうど本日の朝刊で海の向こうのアメリカで韓国のKCIAが今度はアメリカの政府高官あるいは議員に多額の金員を流しているなぞの韓国の実業家の問題、この後にはKCIA関係によって多数の政治家が買収されているらしいというふうなうわさがいま流れておりますね。この問題についてお尋ねしたいのですけれども、これは先日の当委員会で韓国のKCIAと日本の政界と特に金大中事件をめぐって汚い金が流れたのではないかということで審議があったわけですが、いま獄中にいる金大中氏の病状が悪化して、その成り行きが非常に憂慮されているわけでございますけれども、この状態のまま置くと、現在言い渡されている八年の実刑が事実上死刑ということになるのではないかということで大変案ぜられておるわけでございますが、これは前回も申し上げたわけですが、金大中氏が拉致されたその後の韓国の政界との間で相当いろいろないきさつがあったのではないかということでいろいろとマスコミをにぎわしているわけです。金大中氏が拉致されて三ヵ月ぶりに一応軟禁が解かれて、そして記者会見に顔を見せたのが、昭和四十八年の十月二十六日、ソウルで記者会見に顔を出してきたわけですけれども、この間に韓国の財界、政界とつながりのある人間と日本の政治家との日韓の往復というものが非常に多かったというふうに取りざたされているわけです。これはただいま入管の方から調べていただくと、大韓航空の社長の趙重勲、彼が昭和四十八年の十月の二十一日に来日し、そして十月の二十六日に韓国へ帰っている。この十月二十六日の日にちょうど金大中氏の記者会見というものが三ヵ月ぶりで初めて行われたわけでございますけれども、この資料をですね、入管局に伺いたいのですが、入管局からいただいている外国人の出入国の出入国歴ですね、この資料は大体羽田とか伊丹とか書いてありますけれども、これは飛行機で来た分しかわからないわけですか。
○説明員(竹村照雄君) いや、飛行機のみならず、船で来た分でも出入国手続を経ている者は全部わかっております。
○佐々木静子君 そうすると、昭和四十四年以降の趙重勲の来日、離日のこの状態の一覧表で羽田、伊丹というふうに来日した場所が書いてありますが、それ以外のものがないということは、羽田から入った場合と伊丹から入った場合としかない、つまり、船で来ておらぬということなんですね。
○説明員(竹村照雄君) そのとおりでございます。
○佐々木静子君 大韓航空の社長の趙重勲、これは国会での議題に上ってからもかなり日時がたつのですけれども、この趙重勲の動きについて公安当局で何か御調査なさっていることがあるでしょうか。特に昭和四十八年前後ですね、八、九年において。
  〔理事原田立君退席、理事大島友治君着席〕
○説明員(石山陽君) ただいま委員御指摘の趙重勲という者の動静等につきまして調査をしたという報告には現在のところ接しておりません。
○佐々木静子君 この大韓航空の社長、韓国ではもう随一の折り紙つきの実業家と言われるわけですけれども、彼を四十八年の八月、箱根のホテルで見かけた人間がおるという話はもう方々で取りざたされていることですけれども、これは公安当局としたらおつかみになっていらっしゃるでしょうね。
○説明員(石山陽君) 正式の報告でなくて、私個人の認識では、そういうことがあったやに記憶はいたしておりますが、何分にもこの事件につきましてまだ東京地検から正式の捜査状況等についての報告がございませんので、申しわけございませんが、詳細は承知いたしておりません。
○佐々木静子君 これは、きょうは調査事件だし、余りゆっくり時間もないわけですけれども、ぜひ調査していただきたいと思うわけです。といいますのは、八月の二十三日だと思うのですけれども、箱根のホテルで例の田中角榮、小佐野、それから丸紅の檜山、そして趙重勲の四人が会談したということが、これがいろいろなところから、しかも目撃者もいる、私の知っているところではそれを見かけた者もいるわけなんです、あれは趙重勲に間違いないと。しかも、これはかねてからうわさをしてあったところ、捜査の結果、田中あるいは檜山がその時期に――八月の二十三日という日にちは多少前後しているかもわからないけれども、少なくとも八月の中旬以降に田中と檜山が、そして外二人の人間と小佐野とそれからもう一人の男とが会談したということは、これはうわさどおり、恐らく田中の捜査記録を調べていただいたら出てきているはずなんです。田中が四十八年の八月の二十三日前後箱根のホテルで檜山と出会った、それはいまおたくの方ではわかりませんか、刑事局では。
  〔理事大島友治退席、理事原田立君着席〕
○説明員(石山陽君) 残念ながらその点は詳細は私わかりません。
○佐々木静子君 これは例の金の受け渡しのあったしばらく後なんですね。金大中氏が拉致された日がちょうど路上での金の受け渡しのあった日だというふうに私は思っているわけなんですが、それから少し後で、多分八月の二十三日、田中と檜山と小佐野とそして趙重勲がここで会談しているはずなんですね。その事実を一度確かめていただいて、これは田中の捜査記録あるいは檜山の捜査記録、いずれかから出てきているはずでございます。一番大事な金の受け渡しの直後ですからね。ですから、それを一度刑事局の方で調べていただきたいと思うわけです。よろしゅうございますか。
○説明員(石山陽君) ただいま委員御指摘の点につきましては、東京地検でどのようにいま捜査進捗しているかわかりませんが、早速申し伝えまして、差し支えない範囲でまた後刻報告させていただきたいと思います。
○佐々木静子君 これはその部分だけですから捜査の邪魔ということにもならぬと思いますので、しかももう起訴になっている件でもありますので、ぜひこの点ははっきりしていただきたいと思うわけです。
 これはなぜ私が重視しておるかといいますと、この趙重勲が、四十四年から現在に至るまでの間の日本と韓国との間の往来というものが非常に頻繁であるわけですね。これは行ったり来たりしていない月というものがないくらい非常に頻繁なんですけれども、昭和四十八年の六月十六日を最後に十月の二十一日まで飛んでいるわけですよ。もしこの資料が、もしじゃない、これが趙重勲の日本国内で把握していらっしゃる正式の出入国の状態であるとするならば、趙重勲がその時期に箱根で田中と会っていたということが実に解せない問題なんですね。正規の手続で日本へ入って来ていなかったということになるわけです。この点、ぜひとも、この部分で結構です、捜査当局にひとつお調べいただきたいと思うわけなんです。
 重ねて申しますが、金大中がつかまったのが四十八年の八月で、そしてそれから数日後に密出国されているわけなんです。私どもは当委員会でも何年間かにわたってその間の背後関係、真相はどうであったのかということをいろいろと審議してきておるわけでございますけれども、この不可思議な事実に突き当たっている。しかも、これは一人どころじゃない、何人もの人が日本でこの時期に趙重勲を見ているわけなんですね。ですから、私は入管局長からいただいた場合に、この資料は飛行機で往復した部分だけであって、フェリーで往復した部分などは載らないのかというふうに解釈しておったのですけれども、いま伺うと、これですべての出入国だということになると、これは趙重勲がその時期に密出入国をしておったということがはっきりするわけですね。ですから、その点をぜひお調べいただきたいと思います。
 大臣にこの金大中事件のことについて一言お願いしたいわけですが、金大中が日本に合法的に入国し、しかも不法に連れ去られて、そして現在事実上死刑に相当するような、このままではもう命がいよいよ危ないのではないかという状態になっている。そして、こういうふうなきわめて解せない、不思議な、日本で主権侵害が行われておりながら、うやむやのうちに金大中問題が金大中氏の死亡というようなことで終わってしまうということになると、これは日本の国際信用の上からも大変に大きな問題だと思うわけです。大臣、ひとつこれは日本の主権ということからも、これはまあ外交上の問題になるかもしれませんが、日本に合法的に滞在しておった外国人の人権を守るという立場からも、ひとつこの事件についての真相究明のために御尽力いただけるかどうか、その点を一言伺いたいと思うわけです。
○国務大臣(稻葉修君) 検察庁の方へ事件の送致はまだないのですけれども、これは内閣全体としてやらなければならぬことでございますね。そして、人権保護ということについて主管庁である私の方としては、当然重大な関心を持ってこの真相を究明しなければ国際信用にもかかわるということについての御意見は、そのとおりだと私は思っております。したがって、根強くあきらめないでやらなければいかぬということを始終言うておるわけです。警察、外務、法務、検察、なお一層事態の決着をつけるために捜査を継続していくように、せっかくの御指摘ですから、また改めてそれぞれの大臣によく頼んでおきます。
○佐々木静子君 またゆっくり時間をかけて伺いたいと思いますが、その点ぜひともよろしく前向きでお取り組みいただきたい、お願い申したいと思います。
 それから実はこの秋の近畿弁護士連合会の大会におきまして、在日韓国朝鮮人の人権問題について決議がなされたわけでございますけれども、全会一致の決議をされた内容は、韓国人、朝鮮人の安定した在留権の保障と、かつ社会保障についても日本国民と可能な限り平等に扱う責務が日本にあるのではないかということなんです。そして、国がこの責務に照らし、在日韓国朝鮮人に対して速やかに社会保障について幅広く日本国民と平等に適用すべく法制を確立整備すべきであるという決議がなされているわけでございますが、厚生省に伺いたいのです。厚生省、いらっしゃいますか。――厚生省の方でいろいろと在日朝鮮韓国人の権利について私どももかねて要求してきていることがたくさんあるわけでございますが、いままでいろいろと皆さん方のお骨折りによりまして、外国人に対する国の施策として昭和二十五年に生活保護法、あるいは二十三年には児童福祉法、その後老人福祉法、老人の医療費公費負担制度、あるいは心身障害者施設措置、あるいは更生医療の給付、補装具の給付などというものは日本人と同じように実現されているのですけれども、あとまだ適用を受けておらない重要な問題に児童手当というものがあるわけです。これが非常にここで行き詰まっているというのが実情なんですけれども、厚生省は一体この児童手当の問題、ほかにも問題はありますけれども、さしあたり一番の問題が児童手当なんですが、そのことについて厚生当局とするとどのように考えていられますか。
○説明員(小池隆雄君) お答えいたします。
 受給資格の国籍要件の問題につきましては、社会保障制度全体の中で判断されるべきものと考えられますが、福祉年金、児童扶養手当、特別児童扶養手当などの福祉策では日本国民であることをその支給要件としておりまして、児童手当制度もこれらの制度と同様の考え方に立っております。
 そこで、御質問の外国人に対して児童手当を適用するかどうかという問題につきましては、国民年金、児童扶養手当、特別児童扶養手当、これら他の制度とも絡む社会保障制度全体の問題として慎重に検討したいと、現在かように考えております。
○佐々木静子君 これは、現実の問題とすると、行政の面では、地方自治体では、あなたは外国人だから出さないというわけに実際上はいかぬわけなんですよ。ですから、結局、たとえば大阪を例にとると、現実に大阪府の地方自治体は全部出しているわけなんですよ。これはやはり本来なら国が出さなければならないものを、これは現実に、あなたは日本人、あなたはだめというふうに、これはずっと日本で生まれて日本で育っているのですから、実際はそういう区別は行政の面でできない。そうなってくると、地方自治体の財政が非常に苦しいときに、当然国が負担されなければならないと思える負担というものが、そこの法改正一つできないためにみんな地方自治体にかぶってきているわけです。そういうふうな問題がありますので、特に在日外国人をたくさん抱えた府県とわずかな府県とのギャップというのも地方自治体の財政の苦しさの中に非常に出てくるわけです。全国の統計もとってみたのですけれども、府県によりますと、在日外国人がきわめて少ない府県もありますけれども、たとえば、橋本先生もそうですが、大阪府内の場合は、在日外国人の居住率は二・三%なんです。児童手当を地方自治体が負担しなければならない費用というものが非常な額に上っている。たとえば大阪市だけを取り上げても、六億三千六百万と、そうなってくると、衛星都市などにおける、しかも在日外国人をたくさん抱えた衛星都市は、これはもう非常に苦しい状態に置かれているわけですから、その点を、まあいろいろな手当、たとえば国民年金法とか、児童扶養手当法とか、母子福祉資金の問題などもありますけれども、どれもこれもと言っても国の財政も大変でしょうから、とりあえず現実に子供がいるのに金を上げないわけにいかないわけですから、児童手当法の改正ということをひとつあなたが中心になってよく取り組んでいただきたいというふうに思うわけなんですけれど、いかがでございますか。
○説明員(小池隆雄君) ただいま先生のお話しくださいました地方公共団体の現状につきましては、私も実際に県市の方からお聞きしております。しかしながら、これは児童手当だけということはきわめてむずかしいと考えられますので、先ほど申し上げましたとおり、他の制度と関連して、全体の問題として慎重に検討していきたいというぐあいに考えております。
○佐々木静子君 これはむろん一緒に全部やってほしいのですよ。だからこそいまたくさん言ったわけで、これは全部実現してほしいけど、一遍に言うたって無理だと思うから、とりあえず一番困っているところだけ言っているわけで、これは地方自治体は実際困っているわけです、この問題で。ですから、そこを十分厚生当局として考えていただきたいと思うわけなんです。
 いま申し上げましたような在日韓国朝鮮人の人権問題、社会保障の問題について、いま申し上げましたような決議もされ、あるいは大阪市会その他近畿における、これは全国的な問題だと思いますが、衛星都市などにおいてもいろいろな市議会の決議などもなされておるわけでございますけれども、これは入管御当局に伺いたいのですけれども、この事柄について今後どのように取り組んでいただけるのかということをお話しいただきたいと思うわけです。
○説明員(竹村照雄君) 近畿弁護士連合会の決議につきましては、私ども新聞の報道で承知しておりますが、私ども入国管理局の所管事項といたしましては、要するに在日韓国朝鮮人に対して速やかに安定した在留権を保障する立法措置を講ずべきであるという点に係るわけでございます。結局、ここで言っているところは、戦前から引き続きわが国に在留しておる朝鮮半島の出身者及び台湾の出身者、これは法律第百二十六号によって在留資格なくして日本におることができるというふうになっておりますけれども、それは一つの暫定的な地位だということになっております。
 問題なのは、この法律第百二十六号の二の六そのものの人たちは、在留資格のみならず、在住期間の定めもありませんけれども、それの子供、これは十六の二として在留期間三年で期間更新をしている。ただし、手数料は免除である。ところが、その孫につきましては、十六の二の子になりますけれども、それは十六の三ということで在留期間三年で更新があるという意味では、この親と子、孫の在留の実態が、片一方は期間の定めがないのに片一方は期間の定めがある。日本における定着性が深まっておるのにかかわらず、三年ごとの在留期間を行うのはいかがなものかという意見がございます。私どもは、そういった点も踏まえまして、これを安定した方向に持っていこうということで目下検討しております。ただ、法律第百二十六号のまあ言うならば親の最終的な処遇の問題につきましては、国際的な関係も絡まる。というのは、中国の立場を推察しますと、あそこは二つの中国論反対ということから、台湾の出身者と大陸の出身者が別々の処遇を受け、一方が他方よりもすぐれた地位を獲得することは反対であると。しかもまた、覇権主義反対という基本原則から言いますと、他国で特権を求めずという考え方もある。特権を求めずということは、言うならば一般定住でいいという考え方なんです。そういったことがある。ところが、朝鮮半島出身者はまた別の考え方もあるということで、親である法律第百二十六号の他位を確定することにつきましては、いま国際的な関係も踏まえますと、非常にこう複雑な情勢下にある。そこで、いろいろ関係方面にも根回しをしながら検討を進めていった結果、せめて子、孫については共通の処遇ができないであろうかというふうなところまで来ております。そこで、私どもはそういった実情を踏まえまして、いま技術的にもどのようなことをやるべきかということにまで突っ込んで検討しておるというのが実情でございます。
○佐々木静子君 入管行政もなかなか大変だと思いますが、ひとつ前向きでよろしくお願いしたいと思います。
 こういう強い要望も出ておりますので、在日外国人、特に朝鮮人、台湾人の人権保障というようなことについて、大臣のお考えを最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 在日朝鮮人に対し速やかに安定した在留権を保障する立法措置を講ずべきであるという御指摘の近畿弁護士会連合会の決議のことは承知しております。戦前から引き続きわが国に居住する朝鮮半島出身者及び台湾出身者並びにこれらの者の子孫の法的地位が確定するに至っていないことは、法務大臣といたしましてもまことに気にかかることでございます。これら外国人がすでにわが国に定着している実態にかんがみ、そのような実態に即した処遇方針を確立すべく、その具体策について目下鋭意検討中であります。
 なお、社会保障の面につきましても、御指摘のような問題のあることを念頭に置いて検討を進めてまいりたい所存でございます。
○理事(原田立君) 本日の質疑はこの程度とし、暫時休憩いたします。
   午後四時十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時十一分開会
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 証人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査に関し、京都地方裁判所判事補鬼頭史郎君を証人として出頭を求め、その証言を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 証人の出頭日時及び出頭要求手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十二分散会