第078回国会 法務委員会 第6号
昭和五十一年十一月四日(木曜日)
   午後二時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月四日
    辞任         補欠選任
     岩本 政一君     寺下 岩蔵君
     安井  謙君     藤川 一秋君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田代富士男君
    理 事
                大島 友治君
                平井 卓志君
                佐々木静子君
                原田  立君
    委 員
                梶木 又三君
                寺下 岩蔵君
                藤川 一秋君
                町村 金五君
                八木 一郎君
                山本茂一郎君
                栗原 俊夫君
                小柳  勇君
                中村 英男君
                橋本  敦君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   三木 武夫君
       法 務 大 臣  稻葉  修君
   政府委員
       法務大臣官房長  藤島  昭君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  賀集  唱君
       法務省刑事局長  安原 美穂君
       法務省矯正局長  石原 一彦君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局事務総長   寺田 治郎君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   勝見 嘉美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    鎌倉  節君
       法務省刑事局刑
       事課長      吉田 淳一君
       法務省刑事局公
       安課長      石山  陽君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○人権擁護委員の増員等に関する請願(第九七
 号)
○特別養子制度の法制化の促進に関する請願(第
 三八六号)(第三九七号)
○「犯罪被害補償法」の早期制定に関する請願
 (第六四二号)
○戸籍(除籍簿及び除かれた戸籍)の永世保存立
 法に関する請願(第二六一三号)
○戸籍の出生地死亡地登録に関する請願(第三四
 四九号)
○継続調査要求に関する件
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○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木静子君 では、総理に私からお尋ねさしていただきます。
 検察官及び裁判官の報酬に関する法律案の審議に際しまして先日来大きな問題になっております鬼頭判事補の電話の事件でございますけれども、これは電話を聞かれたといわれる総理御自身にじかに伺いたい点が若干ございますので、きょうぜひとも総理にということでこちらへお出ましいただいたわけでございますが、八月四日の日に例のにせ電話を総理が御自身でお受けになったということ、これは間違いのない事実のように他の委員会で御返事なすっていらっしゃるが、まず伺いたいのですが、私ども、総理御自身にじかにそういうにせ電話が御私邸とはいえかかってくる、またそれを総理がじかに出られる、その上一時間もおつき合いされるということに非常な驚きを、鬼頭判事補に対する驚きと同時に総理に対する大きな驚きを持っているわけでございますけれども、まず具体的に伺いますと、総理が電話に出られたその電話番号は何番だったのでございますか、結局。
○国務大臣(三木武夫君) 取り次ぎがあって――直接私は電話に出ることはないのです。布施検事総長からの電話というような意味だったと思う。それを取り次いで私が出たわけです。電話は、何も私の特別の電話というものはございませんから、普通の電話でございます。
○佐々木静子君 そうすると、電話帳に出ている電話というふうに承っていいわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりにお考えくださって結構です。
○佐々木静子君 これだけ大きな問題になっているのですから、何でもない電話だったら、まあたくさんどうせ電話があると思いますが、自分はどの電話をとったか、これはもう一々覚えていられないと思いますけれども、検事総長からこういう電話がかかってきた、しかも途中でにせ電話だとお気づきになったと、そういう状態の中で、しかもこれだけ後日――後日といって、もうその時点から本来ならば問題になるべき事柄だったのですが、それだけの問題になっていることについて、たくさんある電話のうちの何番の電話であったか、これは当然お調べになっていらっしゃると思いますが、何番だったのでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 五本ぐらいありますが、その中の一つですから、大して私も気にもとめていないのです。普通の電話の中の一本であったと思います。
○佐々木静子君 気にとめられないというのはおかしいじゃないですか。お聞きするところによると、法務大臣にこれの調査を命じていらっしゃる。それが何番の電話だったか、役所であればすぐ役所で調べるでしょうけれども、私邸ですからね。総理がそれを気にとめないと、それを御存じないと。いま初めて出てきた問題ならばともかく、これだけ大きな議題になって、もう司法、行政、立法が振り回されているような状態のこの怪電話について、あなたが一時間も出られた電話が何番の電話だったかぐらいのことをここでお答えにならないと、おかしいじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは私の幾つかの普通の電話の中の一本であったわけですが、何番であったということは、私としてもそんなに大きな問題でなしに、その中の一本、普通の私の電話番号簿にも載っておる番号の一つであったということで大してそれを問題意識として気にもとめませんでしたので、何番何番というのは調べてみなかったわけでございます。
○佐々木静子君 総理の御答弁は非常におかしいと思います。というのは、国会の終盤に大変たくさんの大きな問題も山積している、重要法案も山積しているという状態の中で、この鬼頭問題について国会の多くの時間を割かざるを得ないという情勢にあるのに、これは当事者だと思われる鬼頭判事補は否認している状態で、総理がなぜ五本ある電話のどれであったかぐらいのことをすぐ調べたらわかることをなぜお調べにならないのか、その点非常に疑惑を持ちますね、総理自身の御発言について。
○国務大臣(三木武夫君) 私の秘書官が番号を記憶しておるわけですが、四六三−八〇〇〇番ということだそうです。
○佐々木静子君 四六三−八〇〇〇番、わかりました。それで、そのときの問題のテープというのは私どももまだこれは聞くわけにいかない状態にあるわけですけれども、これを総理がお聞きになって、いろいろ説があるでしょう。すぐに法務大臣にこういうことがあったと、すぐに調査をしてくれと言われたという説もあれば、また数日たって初めてにせ電話だと総理が気がついたという説もある。あるいはその電話中にも、どこで気がついたかというような問題もいろいろ説があるわけですが、本当のところの状態は、総理がどの部分でこれはにせだと気がつかれたか。それからまた、法務大臣、あるいは法務大臣に限りませんが、このことについておかしいから調べてくれと言われたのが何月何日の何時であるか、それを御答弁いただきたいわけです。
○国務大臣(三木武夫君) 私もあのテープを聞いておるわけではないのです。いろいろ週刊誌などに出ておる、ほぼああいうふうな内容のものでなかったかと思いますけれども、記憶は、電話のことでございまして、私も記録をとっておるわけではないので、よく詳細はわかりませんが、法務大臣には、私がそのことを聞いてちょっと気にもかかったものですから、こういうことがあったのだということで、法務大臣の方としてこの問題についてひとつ、布施という名前をかたったわけですから、報告して調べてもらいたいということを申したわけでございます。どうも怪しいと。初めは本物だと思ったわけですね。しかし、本物だと思っても、不思議は不思議なんですね、私に直接かけてきたことはないのですから。いろいろ聞いておると、これはどうも私を何か陥れようとする電話であるというふうには感じまして、専門的な言葉を使うものですから、だから、どういう方面の人間なのかということも私自身として少し突きとめてやりたいという気持ちもあって、時間は時計を見たことはないのですが、三十分前後だったと思いますけれども、時計を計ってということでございませんから、そういうものでどの時点でということをいまよく覚えていないのです。
○佐々木静子君 これはテープがないから何とも言えませんけれども、私も二、三の週刊誌、新聞等でその対話のメモというものを何度も読ましてもらったのですけれども、それで受ける感じでは、ここで気がつかれたというふうな話の節の感ぜられるところがもう一つわからないのですよ。どういうところでこれはおかしいなというふうに感じられたのですか。
○国務大臣(三木武夫君) どういうところって、いまその個所はよく覚えていませんけれども、こういうことを検事総長から直接私に言ってくるということは、これはもう何か意図があるのじゃないかということを感じたことは、その個所をどこかの個所ということはちょっといま記憶しておりませんけれども、その感じがそういう感じであったことは事実でございます。
○佐々木静子君 前回この委員会で私も御提案さしていただいた、最高裁で例の鬼頭判事補の声をテープにとったものがあるということで、それを法務大臣から総理に早速聞いていただくということになったのですが、それをお聞きになりましたか。
○国務大臣(三木武夫君) 法務大臣から届けられまして、それを私聞いてみました。聞いたことは事実でございます。
○佐々木静子君 実は、私も先日鬼頭判事補の所在を確認することができたので電話で数分間か十分間ぐらい対話をしたわけですけれども、私は最初からそういうつもりでかけているからその声はよく記憶に残っているわけですけれども、あの声だったらテープを聞かれたら普通わかると思うのですけれどもね、こういう特異な場合ですから。何でもない電話の分をいま急に言われてもわからないけれども。お聞きになった感じでは、これは三木総理、いかがでしたか、鬼頭判事補の電話の声と同じ人だというふうにお思いになりましたか、いや、別人だとお思いになりましたか。
○国務大臣(三木武夫君) 私が聞きました感じというものは、そんなに私自身が――こういう感じがするということは申し上げたのですが、いま検察がこれで捜査の段階に入ったと言われておりますから、そのことはここでは差し控えさしてもらいたいと思います。
○佐々木静子君 捜査のかげんもあると思いますけれども、総理がそう言われること自身がそれほど捜査妨害になると思われないし、また、そのためにこそいろいろと法務委員会でこれだけ悶着が起こっているわけなんですから、そのくらいのことは誠意をもってお答えになっていただいたらどうなんですか、国会の場では。
○国務大臣(三木武夫君) いまああいうものが一番の重要な点ですからね、今後の捜査の点で。私の率直な感じというものを申し上げておいたわけですが、これはどうせこの問題は捜査が進んでいくでしょうから、この問題は徹底的に解明する必要が私はある問題だと、非常に複雑な内容を含んでおりますから、そういうことでやはりもうしばらく捜査当局に、まあ捜査上何も隠す必要はないのですけれども、しかし、申し上げないことが適当だと思うのです。
○佐々木静子君 そうはおっしゃいますけれども、報道にはいろいろな立場で書いていらっしゃる報道もあれば、また、いわゆるマスコミに乗らないいろいろな情報もあるわけですけれども、この電話のやりとりの中で、テープが不鮮明で聞き取れなかった、文字になっていない個所があるわけですね。そこの点が、三木総理とするとその点をつつかれると弱いので、だから三木総理ははっきりした態度を国会に示さないのだと、そういうことも相当うわさに上っているわけですけれどもね。私も不思議に思いますよ。あの電話がだれか、少なくともよく似ているか、非常によく似ているか。しかし、一億一千万のうちに声の似た人もいるでしょう。そのぐらいの答えぐらいはなされないと、何かこの中にもう一つの裏があるのじゃないか、三木総理はその点で非常に困っていられるのじゃないか、何か弱点を握られているのではないか、そういううわさも方々で出ているわけですね。その点をちゃんとなさるためには、やっぱり本当のことをここでお述べになるべきだと思いますね。
○国務大臣(三木武夫君) 私自身がこの問題に対しては政治的介入をしないと、こう申しておるわけで、その態度には何ら変化はないわけでございまして、声というものはなかなか日がたって、こうしょっちゅう話しておる佐々木君の声だったらもうすぐわかりますけれども、しかし、初めての声というものは、日がたってみると、なかなか断定しにくいわけですから、そういう私の考え方というものを率直に申し上げておいたわけですが、そういうことで私特にこの問題で何も私自身の感じを隠して言う必要はないわけですから、率直な私の感じを申し上げておいたわけでございます。
○佐々木静子君 それでは、ほかの問題に移りますが、このような裁判官が現職裁判官として日本の司法界におったと、その後ろにどういうものがあるかということは二の次といたしまして、現実にそういう裁判官がおったということについて、国民は人権の最後のとりでとしての裁判所にそういう人がおったということに驚きと不安を持っているわけですけれども、これはむろん最高裁の当局の責任でもあるわけですけれども、しかし、裁判官の任命は内閣がやっているわけですね。そういう点について総理はどのように考えていられるのですか。
○国務大臣(三木武夫君) これは日本の司法制度の上に非常に不幸な事件である。したがって、この問題というものは一体真相はどうなんだということは、これは中途半端に終わってはいけないと思いますね。徹底的にやっぱり究明されなければならぬが、これから捜査当局も捜査に入るわけでございますし、最高裁においてもこの問題の処置というものを考えられるわけですから、そういうふうな結果を待って政府としても処置は考えなければならぬと思っております。
○佐々木静子君 この事件は私ども国民も歯がゆい思いをしておった。最高裁の調査もかなり進んだようですし、しかも検察庁の捜査も始まったということで、ほぼこれで軌道に乗ったというか、ある程度の解明というものはできるのではないかとほっとした感じを持っているというのは事実ですけれども、ただ、それより先に鬼頭判事補が辞職願を出すと、そういう場合に、裁判所から辞職願が回ってきたとき総理の責任でこれを保留すると、そういうことはできますか。できるでしょう。そのあたりを日弁連その他多くの人からいま総理のところにたくさんの要望書が出ていると思うのです。こういうケースは当然弾劾裁判所で弾劾すべきではないかという国民の世論が大きく起こっているわけですけれどもね。しかし、これは最終的には閣議で決まることですけれども、総理のところでこういうケースについては訴追があるまでこれは保留しておくと、そのことはできますね。
○国務大臣(三木武夫君) それは当然にできます。
○佐々木静子君 そうすると、辞職願が出ても保留しておくということはお約束なさいますね。
○国務大臣(三木武夫君) これはいま最高裁でもいろいろ調査を進めておりますから、そういう最高裁の意見もこれから出てくるでしょうから、そういうものも踏まえて政府が善処をいたします。
○佐々木静子君 もちろん踏まえていただきたいのですけれども、総理自身としても責任を持ってこれは受理しないという約束をはっきり当委員会においてしておいていただきたいと思うわけですが。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は私も軽々には処置せないつもりです。
○佐々木静子君 そうすると、約束できないというわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 軽々に処置しないという約束をします。
○佐々木静子君 軽々に処置しないということは、当分解決するまで辞職を認めないというふうに承ってよろしいですね。
○国務大臣(三木武夫君) 調査結果を待ってですね。それだから、その調査結果はいまやっているのですから、その結果を待ってこれは処置いたしますが、その調査結果を待たないのに軽々に処置する考えはございません。
○佐々木静子君 この調査結果については後で法務大臣に伺いたいのですが、総理に対する質問時間が何せ限られておりますので、私の質問はここで一応保留いたしまして、後で質問さしていただきます。
○原田立君 佐々木委員からいろいろ質問がありまして、重要問題でありますので、重複する面もあるだろうと思いますが、誠意ある答弁をしていただきたいと思うのであります。
 まず、当委員会で法務大臣を通じて依頼しておいたテープの声の確認の件についてお聞きしたいのでありますが、総理はテープの声を聞かれてどう思ったのか、先ほどはよくわからないというような御答弁がありましたけれども、再度御質問いたします。
○国務大臣(三木武夫君) いま佐々木君の御質問にもお答えしたのですが、なかなか断定しにくいものがございます。そういうことで、そういう私の感じも含めてこれは最高裁に対しても私の印象を伝えたわけでございます。
○原田立君 総理大臣、布施検事総長とは御面識があるのかないのか、あるいはその声は御存じであったのかないのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 面識もございませんし、また、そういう者を前から何も知っておった――私、知りませんでした、そういう存在をですね。鬼頭という裁判官がおったことも知りませんし、面識もございません。
○原田立君 ちょっと納得がしがたいのでありますが、布施検事総長ですよ。
○国務大臣(三木武夫君) 布施検事総長は、私がいろいろな検察の招待をみな内閣で、検事長会同がございましたときに午さん会で私が呼んだこともございまして、むろん面識はございます。
○原田立君 面識がある云々じゃなしに、いまテープの問題で、その声が、「もしもし、私は布施ですが」と、こういうところから始まって、延々一時間にわたったわけなんです。いろいろと記録を調べてみましても、三木総理大臣は、途中で、はてな、おかしいなと気がついたと言われるけれども、週刊読売やあるいはその他の報道等を見てみますと、どうも最初から布施検事総長とまるまると信用なさって、そしてお話しなさっているように私は思えてならないのですよ。その点はいかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) いや、私は、どうも検事総長がああいうことの指揮を私に直接仰いでくるということは非常におかしいということで、これはやはり何かこう計画があってのことだということを感じたことは事実でございます。布施検事総長の電話がかかってくるわけでもございませんので、しかし、面識のときに、二言三言言葉を交わしたこともございますので、どういう声だということを的確には私の脳裏には入っておりませんが、しかし、最初はそういうふうな取り次ぎでございましたから、本人から内容をまだ聞かぬ前ですから、本人だと思ったことは事実でございます。
○原田立君 そうすると、内容についてちょっとおかしいと思ったと。布施検事総長の声というものはよくわからなかったけれども、内容においておかしいと思ったと、こういうようなふうにお聞きするわけなんでありますが、それならば、総理大臣、伝えられるところのように、延々と一時間にわたって電話をなさるというのは総理としては軽率な態度ではなかったかと、こう思うのですが、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) それはまあ時計を見ておったわけではないのでして、一時間というように書いてありますけれども、まあ三十分前後でなかったかと思っておりますが、しかし、何か専門的ないろいろ用語を使って、どういう方面の者がこういう電話をかけてくるのかということは私自身も知りたいと思ったことは事実でございますが、後で考えれば、時計を見ておったわけではないので、相当な時間であったことは事実で、なかなかこう電話の応対というものは、いろいろな理由があるにしても、それはいろいろ考えなければならぬというふうには考えております。
○原田立君 一方の当事者は総理であることは、これは間違いない。あともう一人の方が鬼頭判事補であるかどうかということがいま当委員会で問題になっているわけです。
 ところで、十一月一日読売新聞報道の鬼頭告白の電話のテープについても聞いて御確認なさるお考えはございませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 最高裁から私に届けられたのは、鬼頭裁判官の声をテープにとって、それでこの声かどうかということを問い合わせられたわけでございます。そのテープを聞いたわけではございません。直接にいま御指摘になった読売新聞のそういうふうなことを聞いたわけではございませんが、最高裁で鬼頭裁判官が吹き込んだテープを私が聞いたことは事実です。それに対して私の感じを最高裁に答えたことは事実でございます。
○原田立君 ですから、総理、新たな提案なんです。今度の十一月一日に読売新聞に報道されていますけれども、これは非常に長文なものがテープにとられているわけなんです、本人の声がですね。だから、これをもう一遍お聞きになって、前に最高裁でとったのとこう照らし合わせしながら八月の電話の主であるかどうかの確認をなさったらばいかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) それは聞いたんですよ。全部が吹き込まれたわけでないのですが、最高裁で録音したものを私が聞いて、その私の感じというものは伝えたと申しておるわけでございます。
○原田立君 ですから、新しい提案として申し上げているわけなんです。十一月一日のこのテープをお聞きになりませんかと、そしてそのお感じをお聞きしたいと。
○国務大臣(三木武夫君) 私はいまは最高裁から私に届けられたそれを聞いたわけでございまして、ほかに私の手元にそういう録音されたものがあるわけでございませんので、そのテープについたものの感じがほかのテープを聞いてもそんなに私の感じが根本から変わるというわけではないと思いますね。本人の声というものがそれに収録されておるわけですから、それを聞いてみての私の感じというものは率直に最高裁に伝えておるわけで、これ以上いろいろ聞きましても、それでといって最高裁から届けられたテープのそれを聞いた私の感じがもう根本的に変わってくるというふうには私は考えません。大体、声のなまりとかたちとかいうものはある程度の時間聞けばわかるものですからね。
○原田立君 再度、三回いま申し上げるのですけれども、だからもう一遍読売新聞社からもし提供されたならばそれをお聞きになって確かめる御意思はございませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 提供された場合はそういうこともむろんそれはやぶさかではございませんけれども、いま鬼頭裁判官自身が録音したものを相当な時間聞いたわけですから、それで私が本人かどうかというものを私が断定するという根本の認識がそれによって変化があるとは私は考えないということを申しておるわけであります。いろいろなものがあれば、それはやっぱり聞くということにやぶさかではないわけでございます。
○原田立君 どうも非常に不満足な答弁でありますけれども、時間がありませんので次に進みますが、十月二十二日の読売新聞、また十一月六日号の週刊読売に、録音テープの全内容収録ということでにせ電話事件を特集しているのがあるわけでありますけれども、総理はこの記事の内容をお読みになりましたか。
○国務大臣(三木武夫君) まあ詳細には読んでいませんけれども、週刊誌やいろいろ出ましたから、私も一通り目は通しました。
○原田立君 もし読んだとするなら、三木総理との対話内容は、十一月六日号の週刊読売の記事で全部報道されていると、こういうふうに判断してよろしいですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私も詳細にやりとりのことをいま覚えておりませんが、ああいう触れられた内容点であったことは事実ですが、細かいいろいろな点まで私自身が記憶しておりませんから、そのとおりだと断定もできませんけれども、大体ああいうふうな内容の話というものが電話の中に出たということはそのとおりだと思っています。
○原田立君 ここに週刊読売のコピーしたのを持っているのですけれども、これを私ずっと読んでみますと、最初から最後まで三木総理のそのお答えの内容は、もうやっぱりまるっきり相手が布施氏であるということを信用なさってお答えになっているように私には思えてならないのです。この点はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) いや、私はそうじゃない。そういう重大なことを直接私に指揮を仰いでくるということはおかしいことでございますから、したがって、これはやっぱり何者かが意図を持ってやった電話で、これは怪しいということはむろん考えながらであったことは事実です。
○原田立君 もう時間がありませんので最後にお伺いしますが、問題は、三木総理が政治的介入をしたのじゃないかと、この疑問の一点。あるいは指揮権発動とまではいかなくとも、政治的介入の発言があったのではないかと、この週刊読売もバッテンがついたりチョンチョンチョンチョンとなったりしているところがある。ここら辺は非常に怪しいところでこういうふうになったのじゃないか。また、そこら辺の発言は、政治的介入をなさったのじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、このロッキード事件というものに対しても、検察に対しても、もうこれに対しては徹底的に解明することが日本の民主政治のために必要だという考え方は変わらないわけでございますから、私が指揮権発動したり政治的介入するという意図はもう全然持っていないわけでございます。
○橋本敦君 総理、この謀略電話事件はあなた自身がこの事件の唯一の一方の当事者でいらっしゃる。同時に、この事件の解明をしなければならぬというこういう事態の中での責任も負っていらっしゃる立場にある。こういう重要なお立場にあなたはいまあると、こう思います。
 時間がありませんので、まず第一の立場、つまり当事者自身として率直に事実を明らかにする必要があるという点で二、三お尋ねをさしていただきたいのですが、まず第一に、この電話をお受けになりまして、この電話の声の感じですけれども、これが大体年齢で若いなという感じがしたか、それ相応の年だなという感じをお持ちになったのか、この点はいかがな御印象でしたか。
○国務大臣(三木武夫君) 何というのですか、非常に若いというか、少年のような声ではありませんでしたが、しかし、声というものはなかなかやはり年とったようでも若いこともありますしね。感じは、少年というような非常に若いというような感じは私は受けなかったわけでございます。
○橋本敦君 よくわかりませんが、つまり、少年というような若い感じは受けなかったが、これは年とって枯れ人だという感じじゃなくて、ある程度やっぱり若いという感じも残るのじゃありませんか。
○国務大臣(三木武夫君) いや、謀略電話などに若い人があるでしょう、若い人、非常に若いですよね。少年というのが当たるか当たらぬか知らぬが、非常に若い人という感じではないけれども、その声で年齢というものを推測することは私はなかなかむずかしいという感じです。
○橋本敦君 あなたはこの電話をお受けになりまして、官邸と違い私邸ですけれども、これはおかしいなと感じられたときに、これはテープをとる必要がある、あるいは逆探知をしてどこから電話をかけているかを調べさせる必要があるということをとっさにお感じになり、何らかの御処置はおとりになりましたか。
○国務大臣(三木武夫君) いや、こういう事件の経過というものは法務大臣には報告をいたしました。
○橋本敦君 処置をおとりになったかどうかです。
○国務大臣(三木武夫君) まあ処置といいましても、私自身突きとめてはいないわけです。これはてっきりこの方面の人間だろうというふうには私自身がその電話を通じて突きとめられなかったわけですから、きわめて漠然としておるわけですね、これは。そういうことでございますから、私自身はそれを報告はしましたけれども、なかなか私自身も、その後網走の問題も出てきまして、私に対するにせ電話だけではなくいろいろな問題が出てまいったわけですから、なかなかやはりこの問題は簡単な問題でないという感じを受けましたので、徹底的にこの問題というものは究明をしてもらいたい。そうして、もしこれに背景などがあるならば、背景も含めて徹底的に究明してもらいたい、こういうふうに、いろいろな問題が出てくるものですから、非常に重大に感じたわけでございます。
○橋本敦君 そうしますと、あなたが電話を受けたその中では、逆探知を指示するとか録音をとるとかということは一切なさらなかったと、こういうことですね。
○国務大臣(三木武夫君) 私の家は録音機もないのですよ。人の電話を録音とるというような仕掛けはございませんから、ないです。
○橋本敦君 逆にとられているわけですね。
 最初に四六三−八〇〇〇番にかかってきた電話をお取り次ぎなさった秘書官のお名前は何とおっしゃいますか。
○国務大臣(三木武夫君) 吉田という人です。
○橋本敦君 そうしますと、最初に取り次がれた吉田さんが、検察庁、最高裁から必要があって、最初に取り次がれた声の感じ、こういったものを聞きたいと言えば、もちろん協力させられるでしょうね。
○国務大臣(三木武夫君) それは本当に秘書といいましても……
○橋本敦君 協力させられるかどうか。吉田さんも協力しますね。
○国務大臣(三木武夫君) それは協力はどんな協力でもしますよ。私はこの事件は真相を解明すべきだと思いますよ。いたしますが、その人間は長い間の秘書で相当年限はたちますけれども、若い人でして、そんなに世間のことに世なれておる秘書ではないわけでございます。
○橋本敦君 総理は、この電話をお聞きになっておかしいとお感じになったときに、何か私を陥れるための電話だとお感じになりましたね。確かに、録音テープをとって、総理に対するいやがらせじゃなくて、マスコミに売り込みに行っているわけです。これは明白な意図があるわけです、公にしようと。公にする限りは、そこに総理を陥れる目的があるわけです。
 そこで、率直に伺いますが、あなたをどのように陥れる趣旨の電話だと御推測になりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、こういう布施検事総長の名前を使ってそれでいろいろなことを言質をとろうとしたわけでしょうから、そういうことで、これはどうも怪しいと思ったわけでございますから、そうなってくれば、これは陥れる以外にないわけですから……
○橋本敦君 どういうように陥れると思われました。
○国務大臣(三木武夫君) これは何もおもしろ半分にそんなかけてくるわけじゃない、相当手の込んだことで、まあ恐ろしい世の中だなあということでございます。(笑声)
○橋本敦君 なかなかかみ合わないのでして、確かに恐ろしい世の中ですね。だから、あなたを陥れるというのは、政治的にあなたの失脚をねらうという意味で陥れるというようにとらなければおかしいのじゃありませんか。一言どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) まあ結果的にはそうなりますね。
○橋本敦君 そうですね。そこで、総理ですね、これは私はいわゆるそういう政治的謀略ということで知能犯的クーデターをねらったものだと、こう思うのですよ。いわゆる暴力的クーデターじゃありませんよ、知能犯的クーデター。しかも、あのロッキード真相解明が大事なときに、しかも、あなたがおっしゃったように、一方で鬼頭裁判官は客観的事実としてこのテープを売り込んでいることがある上に、網走で宮本委員長の見てはならない記録を職権乱用して見ている。これがやっぱり政治的に反共攻撃に手を貸しているという推測がある。つまり、この鬼頭裁判官の行動は、政治的行動だと、こういうことですね。
 そこで、私は、最後に総理に質問をしたいのは、あなたはこの背景を含めて真相を徹底的に解明しなければならぬとおっしゃいますが、いま法務省は矯正局でも調査しています。捜査もやっています。最高裁も調査しています。訴追委員会の調査もあります。だがしかし、私は、総理はこの事件を日本の政治の暗い部分を残さないために、このような謀略を許さないために、このような知能犯的クーデターを許さないために、それらの調査を総合してぴしっと総理に報告をさせ、総理がこの真相を国会に報告するということをお約束願ってそのために御尽力願いたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) これはこれだけの問題を提起したのですから、私は、民主政治というものがそんなこういう暗い面を残したのでは暗黒政治になりますから、したがって、やはりこれは徹底的に究明をしてもらいたいと思いますが、これだけの問題になっているのですから、国会に対しても報告をしなければならない面が、結果はどういうことであったかということは私も報告を受けるでしょうし、また、国会としても報告しなければなりませんが、どういう形式でするかということはいまこういうふうにやりますということは申し上げませんが、それは当然に私自身に対しても、また国会に対しても報告があってしかるべきだと思います。
○橋本敦君 終わります。
○下村泰君 もちろんこの電話事件についてお伺いしたいのですけれども、こんな質問をしなきゃならないということは、大変悲しいことじゃないかと思うのです。十六、七の少年少女ならば、三十分、四十分、一時間とよく電話をすることもございますし、最近の奥さん方ではえらい長電話でもって困っている方もいらっしゃいます。公衆電話でも長々と幾らでも十円ずつ入れてやっている人もおる。しかし、一国の総理大臣が一時間も長長と電話を受けていたというその真意が私にはちょっとわかりかねるのですが、まずそこを御説明願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 一時間と世間に言われておりますが、私、時計を見なかったので、だからそういう時間になったかどうかは知りませんけれども、まあ三十分前後だったと思いますが、いずれにしても長い時間で、三十分でも長い時間であったことは事実ですが、私も、非常にこう専門的な言葉が使われておるように感じましたので、一体どういう者がこういうことを言ってくるのかということを少し自分も探りたいという気持ちもあって、つい時計を見ていないわけですから長くなったわけでございますが、まあ電話というものに対しては、なかなか便利なものでもあるけれども、一面気をつけなければならぬということを私も非常に感じておるわけでございます。
○下村泰君 そうしますと、総理の方も電話を受けながら大変興味がある、中身に。興味があったので、いわゆる専門語もいろいろ出てくるけれども、興味があったというふうな形で延々と聞いたと、こういうことになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 興味といいますか、こういうことを言って、いろいろこう意図を持っているのですよね。こういう人は一体どういう方面の者がこういうことをしてくるのかということに私自身も関心を持ったことは事実でございます。
○下村泰君 よく世間一般では電話魔と電話魔がぶつかったというような話をしていますけれども、(笑声)この中身をいろいろ活字やなんかで拝見しますと、総理のその発言の中に指揮権発動を断固拒否するといった調子が見られなかったように受けとられるのですけれども、どうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) いや、もうこれは私はしばしば国会などでも答弁してございますし、また、そういう場合にも、私は、もう政治的介入はしないと、これは検察に任すということはいつもいずれの場合においても述べておることで、私の方針が何もいつの場合において揺らぐというものではございません。
○下村泰君 常に総理は政治的道義的責任という言葉をロッキード問題の委員会におきましてもその他の委員会におきましても必ず御発言なさっていらっしゃったのですけれども、国民側の方としては総理に期待をかけたのが大分裏切られたような感じがしているわけです。いろんな言葉、いろんな発言によって方角がどんどこどんどこつづら折れみたいに変わっていくわけです。そうしますと、一体、総理御自身ですね、いわゆる自民党総裁としての総理の抱いていらっしゃる道義的政治的責任というのはどういうことなんだろうかと国民の方に疑惑があるのですけれども、これに対しては総理はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、道義的政治的責任というものは、衆議院の方でも、国会が道義的政治的責任ありとお認めになった問題については、資料を提供して、そして国会の国政調査権に対して御協力をいたし、また、国会自身がこれを判断してこれをどうするかという処置をたしかきょう決めるはずでございます。だから、政治的道義的責任ありという断定を国会が下されたものに対しては、従来ないことですからね、起訴しない者に対して資料を提供するということは。これはもう精いっぱいの協力だと思うわけでございます。ただ、下村君の言われておるのは、まあいろいろな問題を全部明らかにせよという意味だと思いますが、それでは、おのずから政府は捜査当局を持っておる、捜査当局が政府の行政の機構の中に入っておるわけですから、政府が持ってきた資料で政府自身が政治的道義的責任ありという断定を下すことは非常に弊害が伴うということで、やはり国会自身の意思として断定をされた方々に対する国政調査に対して御協力をするということでやっておることが限度だと思ってやっておるわけですが、自民党自身とすれば、政治的道義的責任というものは、自民党自身としての今後の党の規律というものを考えていく上において、われわれの党の中にも政治倫理確立の特別委員会というものをつくって自民党の国会議員というものの守るべき一つの倫理の一つの規範というものをつくりたいと努力をしておるわけでございます。
○下村泰君 委員長、時間がありませんがもう一つ聞きたいのですが、よろしいですか。
○委員長(田代富士男君) もう一問だけ、簡単に。
○下村泰君 灰色高官の公表というのが結局はうやむやになっておりますけれども、これを今度国民はまた選ばなくちゃいけない。すると、同じ人がまた出るという可能性が十分にある。国民の方にだって選ぶ権利がある、また投票する権利があるのですから、いっそのこと、党として公認をしないで、名前を出さないかわりに公認をしないで、その人たちをいままで公認していた人たちを公認しないというような方法はできるものですかできないものですか、やりますかやれませんか。それだけでお答えは結構です。それで終わります。
○国務大臣(三木武夫君) 自民党としまして、いま言ったような灰色というのは、世間では灰色というものを非常に広く解釈をされておるようですけれども、私どもは国会がいわゆる灰色といわれるのは政治的道義的責任ありと考え得る人たちのことを灰色と称しておるわけだと思いますが、とにかく、われわれといたしましては、国会がいわゆる灰色であるという断定を下した者に対しては、これに対しては資料提供等、御協力をするということであって、そして、政治献金と申しますか、これに対して全部政府が公表するという立場ではないわけですね。政治資金規正法などもございますし、また、そういうものに対してこれは公開されておるわけでございますから。しかし、いずれにしても、これからの道義的政治的責任というものに対しては、政党自身の規律としてこれは厳格に考えなければならぬことは御承知のとおりだと思いますが、しかし、灰色といわれておるその範囲の中に入らない者も全部名前をと言っても、何でそれを公表するのかという問題についての基準というものもございませんから、これ全部という意味で言われておるのか、公認を外せという問題でございますが、この問題は何も範囲もわかっていないのに、名前を公表せよと言っても、なかなかそれはできることではございませんから、この問題は自民党としても党にはそれぞれの機関がございますから、こういう問題などについては自民党自身でよく検討をしたいと思っております。
○下村泰君 終わります。
○委員長(田代富士男君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(田代富士男君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
○委員長(田代富士男君) 次に、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木静子君 それでは、法務省に伺いますが、新聞報道によりますと、先ほど来議題となっておりました鬼頭判事補に対する捜査がいよいよ開始されたということでございますが、現在国会で述べていただける限度において経過を簡単に御報告いただきたいと思います。
○説明員(石山陽君) お答えいたします。
 すでに一部の新聞報道等にも報ぜられておりますとおり、一昨日午後、東京地検特捜部の係官が京都と名古屋に分かれまして、京都の地方裁判所、それから京都伏見簡裁の近くにございます鬼頭判事補の官舎、それから名古屋市内中区にあります鬼頭判事補の自宅、これはマンションでございますが、いずれも三カ所につきまして捜索、押収を実施いたしております。
○佐々木静子君 これは鬼頭判事補自身が被疑者にはなっておらないように報道の上では拝見しておるのでございますけれども、被疑者はまだ特定しておらないのか、その点と、それから鬼頭判事補が被疑者になるということが確実であるのかどうか、近い将来に。その点の見通しを述べていただきたいと思います。
○説明員(石山陽君) ただいまおっしゃいましたとおり、現段階におきましては、東京地方検察庁は氏名不詳者による軽犯罪法違反被疑事件ということで立件したという旨の報告を受けております。将来におきまして鬼頭判事補がその氏名不詳者とあるいは同一人と見られて具体的に本人の周辺に捜査が及ぶかどうか、この辺につきましては、まだ具体的な捜査方針についての報告に接しておりませんので、現段階ではちょっと申し上げかねるわけでございますが、周辺の事情調査はかなり進めておるようでございますので、いずれ捜査方向が決定していくものではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
○佐々木静子君 最高裁に伺いたいと思いますが、これも新聞報道によりますと、最高裁の方では今週末ぐらいに訴追をする方針であるというふうな報道が出ておるわけでございますが、その点は事実なのかどうか。また、現在最高裁がどういうことを概略把握していられて、そしてどういう御方針であるのか、その点を簡単に御説明いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 新聞報道によりますと、最高裁判所が訴追の方向を決定したという趣旨の報道が出ておりますが、私ども事務当局といたしましては、先ほど御指摘のとおり、鋭意できる限りの調査を進めているところでございますが、ただいま現在、私どもとして訴追に踏み切ったということを申し上げる段階にまでは実は至っておりません。明日午後、裁判官会議をお願いいたしまして、いままでの調査結果を御報告申し上げて御意見をお伺いしたいというふうに考えている段階でございます。
○佐々木静子君 今度の事件くらい国民の司法に寄せる期待というものを大きく裏切った事件というものは先例がないのじゃないか、日本の裁判史上では。そういう事柄について最高裁がやはり本当に毅然とした態度をとっていただかないと、どうにも取り返しのつかない問題になるというふうに考え、また憂うるわけですけれども、その点について事務総長の御所信を伺いたいわけです。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 御指摘のとおり、裁判所にとってきわめて重大な事件と受けとめておりますので、私どももはっきりした姿勢でもって処置をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。ただ、それにつきましては、何と申しましても事実の解明が先決でございまして、不確かな事実に基づいて何らかの処置をとりましては、これまたある意味において最高裁判所に対する信頼を失うことにもなりますので、先ほど来人事局長が御説明申し上げましたように、十分に事実をはっきりいたしまして、そのはっきりした事実に基づいて的確な措置を裁判官会議でお決めいただきたいと、かように考えておるわけでございます。
○佐々木静子君 法務大臣に伺いますが、先ほどの三木総理に対する質問の続きになるのですが、法務大臣が現実に三木総理から御報告を受けられたのが何月何日で、どういうところでどういう報告を受けられたのか、このにせ電話について。まずそのことだけ伺いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 何月何日という記憶はございません、遺憾ながら。ただ、総理が聞かれて日にちを置いてではなかったように思います。広島へ出向かれる日の朝であるか、その前の日であるか、とにかく場所は閣議終了後の、何といいますか、閣議終了後よく総理に呼ばれて総理大臣室へ行って聞くことがありますが、総理大臣室へ呼ばれないで、閣議終了後の皆帰るときの立ち話のように記憶しておりますがね。そこで――それだけですな。
○佐々木静子君 いや、そこでとおっしゃったので何かいい話があるのかと私身を乗り出しておりましたので、せっかくそこまでおっしゃったのだから、そのときの状態をちょっと何かお話になれると思います。
○国務大臣(稻葉修君) いや、お聞きになることが、いつであるか、それからどこであるかということですから、それに対してお答えすれば……
○佐々木静子君 そのときの状態を、そしたら。恐れ入ります。
○国務大臣(稻葉修君) そのときの状態は、検事総長から電話があったと、こういうことを言われましたから、そんなことはないと、こう言ったのです。そんなことはあるわけはない。それでもって、これはもう相手にする気持ちが全然なかったです、私。そんなあるべきことではありませんからね。それから政治的介入なんということは全然あるべきことではありませんから、総理も、途中でおかしいと思ったけれどもと、こういうことをおっしゃっただけで、そんなことはおかしな電話がかかりますからそんなに神経質に気におとめになることはないですよと、こういうことでございます、様子は。
○佐々木静子君 本件は、先ほど申し上げましたように、日本の裁判史上も、裁判史上ばかりじゃない、司法、行政、立法に関しても前代未聞の問題ではないかというふうに思うわけでございますが、これは鬼頭判事補一人が非常に変わった人であったということだとしても最高裁当局の責任というものは非常に大きいわけですけれども、主として法務省にお願いしておきたいことは、この後ろについているいろいろな陰謀があったというまあいろいろな憶測がいま乱れ飛んでいるわけですけれども、この真相究明こそ日本の立法にも行政にも司法にもまたがって国民の信頼を取り戻す一番大きな問題じゃないか。法務大臣はそのことについてどういう御所信を持っていらっしゃるか、お述べいただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 総理からそういう布施検事総長の名前で電話があったということを言われたときには歯牙にかけなかったのです。けれども、今日この段階では、これはゆゆしい問題であるということはたびたび申し上げているとおりです。それで、刑事局長を通じ、背景等についても厳密に調査をするというふうに言うてあるわけで、強制捜索に踏み切ったということの報告もその時点で直ちに私のところへ報告がございました。それだけ直ちに報告するくらいですから、ああこれは一生懸命にやっているなと思って、いまのところその捜査をじっと見守っておると、こういう段階であります。
○佐々木静子君 それでは、私の質問を保留いたしまして、後で質問さしていただくようにいたします。
○委員長(田代富士男君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(田代富士男君) 速記を起こしてください。
○原田立君 読売新聞社及び週刊新潮との協力関係、及び作業の進展状況について報告されたい。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 読売新聞社に対する協力方依頼につきましては、すでに申し上げたとおりでございます。ただいま事実上読売新聞社に対しまして具体的な協力方につきましてさらに折衝といいますかお願い申し上げている段階でございまして、まだ具体的な協力につきましては確答を得ていない段階でございますが、いずれ近いうちにはいただけるものというふうに期待しているところでございます。
 なお、新潮社に対する週刊新潮の記事掲載の記事の内容につきまして、これも協力方をお願いいたしたところでございますが、それに対するお答えは、まあ検討を約されたままでございまして、いまのところ具体的な御協力をいただいていないというのが現状でございます。
○原田立君 十一月一日の告白のテープですね、これももらえるように要請等はもうしましたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御要請申し上げているはずでございますが、果たしていかなるお答えをいただけるか、いまのところ先ほど申し上げたとおりでございます。
○原田立君 いや、要請しているかどうか定かでないだなんて、あなた中心者でしょう。何ですか、その返事は。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 大変不明確で申しわけございませんでした。要請しております。ただ御返事をいただいていない現況でございます。
○原田立君 なお強く何度も誠意ある要請をなさったらばいいのじゃないかと思います。
 鬼頭裁判官の辞任の取り扱いについてお伺いしたいのでありますが、この事件が一般に大きく報道された十月二十二日ごろすでに本人から辞意の表明がなされていますが、現在京都地裁に本人から辞表の提出がなされているのかどうか、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいまこちらに参上いたす前の時点におきましてまだ辞表を受理したという報告に接しておりません。
○原田立君 この事件に対して訴追請求が出され、十一月二日訴追委員会が開かれたが、最高裁としては今回の事件に対して訴追請求をするやに新聞報道されておりますが、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほど佐々木委員からの御質問に対してお答え申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、その後の調査の経過を裁判官会議に御報告申し上げまして、さらに御指示をいただいて最終的な結論を出すべく努力しているところでございます。なお、これも先ほど申し上げましたが、明日、臨時の裁判官会議をお願いする予定にしております。
○原田立君 そこで、訴追の問題について裁判官会議で検討してもらうと、こういうことでよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私ども事務当局といたしましては、いままでの調査の経過、結果をまとめて御報告申し上げまして裁判官の御意見を伺うという段階になることでございまして、先日の衆議院の法務委員会でも申し上げたところでございますが、訴追理由ありや否やということにつきまして御審議いただくということに相なるわけでございます。
○原田立君 勝見さん、もう少し簡単に答えてくださいよね。要するに、五日の、あしたですか、裁判官会議が行われて、そこでこの訴追請求をなさるそのことを審議するようにするのですかと、こう聞いているわけです。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 明日の段階で裁判官会議で訴追するというような御意見がいただけるかどうか、あしたの結果を待たないとわかりませんが、現在、私どもといたしましては、いままでの資料をすべて申し上げまして御判断をいただくということにいたすつもりでございます。
○原田立君 弾劾裁判で罷免された人は過去二人いるわけでありますが、この二件について、訴追請求から判決までに要した期間は一体どのぐらいあったですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のとおり二件ございますが、一件は三十年の八月二十七日に訴追決定がございまして、罷免の裁判は三十一年の四月六日にございました。それからもう一件の方は、三十二年の七月十五日に訴追決定がございまして、罷免の裁判は三十二年の九月三十日でございます。
○原田立君 何年何カ月ですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 最初の案件につきましては、約八カ月余でございます。それから第二の案件につきましては、約二カ月半でございます。
○原田立君 二カ月半というような大変早い時期にこの鬼頭問題もはっきりすれば、来年の再任期までの間に十分解決できるだろうと思いますが、最初の方の一項目は八カ月かかっている。こうなりますと、来年三月末でしょう、再任期はね。そういう面からいくと、時間的に一体どうなるのか。要するに、国会での訴追委員会が訴追を決め、弾劾裁判所に罷免を要求し、裁判所が弾劾するかどうかの判決を出すまでにはかなりの時間を必要とするし、鬼頭判事補の場合、来年の三月末には判事にするかどうかの再任期が控えているのはそのとおりでありまするが、弾劾裁判の結果が出るまで任期があるかどうか、非常に微妙なところであり、過去の例から考えても任期中に弾劾裁判の判決が出るか否かむずかしいと、こう思うのでありますが、そんなことはないかどうか、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その点につきましては、国会の訴追委員会及び弾劾裁判所でお決めいただくことでございますが、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、早急に最高裁判所としての態度を決めたいというふうに考えております。
 なお、先ほどの答弁につけ加えさしていただきたいと存じますが、先ほど申し上げましたのは、訴追委員会で訴追決定があってから弾劾裁判所の罷免の裁判までの期間でございまして、いわゆる訴追委員会に申し立てた、あるいは職権で立件されたときからの期間ではございませんので、念のため申し添えさせていただきます。
○原田立君 最高裁としては、弾劾裁判の判決前に任期がなくなった場合、再任についてはどう検討対処するのか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 再任の時期に再任願が出るか出ないか、いまのところもちろん予測できないところでございますけれども、再任するかしないかについては、当然のことでございますが、従来の調査の結果並びにこれからいただくでありましょう裁判官会議の決定等を勘案して十分検討さしていただきたいというふうに考えております。
○原田立君 再任時期が来た段階でこの事件の解明がなされないというような場合には、事件解明まで条件つきという形で再任という処理もあるのかどうか。このままでいくとこの事件もうやむやのうちに片づけられてしまうことを恐れるのでありますが、また、そのようなことがあれば、ますます国民の司法に対する信頼は全くなくなってしまうと私は思うのであります。どう対処なさいますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 一般論といたしまして、裁判官の任命につきまして条件をつけるということは制度的にいかがなものかというふうに考えております。御指摘のように、鬼頭判事補の場合には任期切れという問題を含んでおりますので、現在、私どもといたしましては、一日も早く最高裁判所としての結論を出したいというふうに考えて鋭意調査、作業中でございます。
○原田立君 最高裁は、十一月一日の晩、勝見人事局長を中心に、ホテルニューオータニですか、ここに緊急訪問し、第三回の事情聴取を約四十分やったようでありますが、これはいかなる意図によるものか、具体的に報告されたい。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 十一月一日の読売の朝刊に非常にいわば衝撃的な報道がございまして、もしこの報道が真実であるとすれば、鬼頭判事補が私どもの前で電話をかけたのは自分でないというふうに主張してきておりますので、一応入院前ということでございましたが、連絡をとりまして、一日の朝の読売の記事について事情聴取をしたいという申し入れをしたわけでございます。それに対しまして、鬼頭判事補は、体の調子もあるので、もし来ていただけるなら三十分ぐらいなら事情聴取に応ずるということでございまして、委員会として、矢口次長、私、それから泉、三人が参りまして、先ほど御指摘のとおりの時間事情聴取を行った次第でございます。その結果につきましては、すでに新聞で報道されておりますが、結局はあの記事にいう私というのは自分鬼頭ではないと、これは電話をした人のことを指しているのである、中身はその人の気持ちを考えていわばその人の代弁をしたまでであるというようなことであったわけでございます。
○原田立君 どうしてこんなに夜遅く行ったのか、午後にでも行けばよかったのではないかというような実は疑問があったわけなんです。ちょうどそのころ、わが法務委員会理事会で佐々木委員からこのホテルニューオータニにいるような話が報告がございまして、それで、後で聞いてみたらばそれが大体六時ごろだったですかね。あなた方が行ったのは、新聞報道によると七時四十分ごろですね。何かバタバタ追っかけられて鬼頭隠しをやりに行ったのじゃないかなんという感じを持ったのですよ。そういうことはないですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私どもといたしましては、決して鬼頭隠しと言われるようなことでやっているつもりはございません。確かに、ホテルに参りましたのは七時四十五分から、帰りましたのが八時二十五分でございますので、やや夜分にかかって、そのようなおしかりといいますか、御批判を受ける結果と相なったわけでございますが、朝の報道で、総長がここに来ておりますけれども、総長の御決裁をいただいたりいたしまして、私どもといたしましてもやや時刻が遅れたことにつきましては、もう少し早い方がよかったのではないかというふうに考えておるところでございますが、決して鬼頭隠しというようなことで時間を遅らしたようなことはございませんので、ひとつ御了承いただきたいと存じます。
○原田立君 別な面から言いますと、第一回の調査については、七時間とか、あるいは八時間とか、十時間とか、長い間調査したことが報道されておりますが、二回目、三回目、これは両方とも約四十分程度であるわけなんですね。第二回目のときなどは、勝見局長、あなたが行くのじゃなくて、課長さんを代理か何かで行かしたという、ちょっとそこいら辺なんかも考えてみると、もっと態勢を整えて調査に当たるべきなのではないかと、余りにも軽々しい調査の仕方ではないかと。で、ただいまも申し上げるような、最高裁が鬼頭を隠しているのじゃないかというような、そういうような批判もあるわけでありますけれども、第一回目は非常に長時間やり、二回目、三回目は非常に短時間のうちに終ったと。なぜですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 第二回目と申しますのは十月の二十五日の午前中でございますが、この際は一時間ちょっと事情聴取をいたした次第でございます。このときは、二十五日の朝の毎日の朝刊の記事、それから二十三日の朝の読売の記事、この二つの点について聞いたわけでございます。
 それから先ほど申し上げました第三回目の、ホテルに出向いて事情聴取いたしました理由は先ほど申し上げたとおりでございますが、いわゆる検査のための入院前でもございますので、私どもといたしましては、十一月一日の読売の報道をいわば全面的に認めるのか、あるいは従来どおり否認する姿勢をとるのか、基本的な鬼頭判事補の考え方を聞きたいということが主要な点でございまして、参りまして聞きましたところ、先ほど申し上げたようなことでございましたので、これ以上、まあ入院の前の日でもございましたので、これ以上聞くのをやめまして、やはり鬼頭判事補は電話をかけたのは自分でないという従来の基本的な姿勢を変えなかったということで帰ってきたわけでございます。
○原田立君 十一月一日に第三回目の事情聴取を行ったわけでありますが、矢口さん、それから勝美さん、それからあとどなたか二、三人行っていますね。そのときに会って鬼頭判事補の病状についてどのように判断なさいましたか。本人は国会への証人として出頭は無理だと、こう言っていたわけでありますけれども、勝見局長はその段階でどういう感触をお持ちになりましたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 申し上げるまでもございませんが、私ども専門家でございませんので、医学的にどうこうということについては当然遠慮さしていただかなければならないと思いますが、私どもホテルの部屋に入りまして会った感触では、少なくとも大分疲れているという感触は得た次第でございます。病気の有無等につきましては、現在国会の方で証人として決定されていることでもございますし、私どもといたしましては、いわば出頭可能かどうかという点についての判断といいますか、考えは、ひとつ遠慮さしていただきたいというふうに考えます。
○原田立君 一番大事なところを遠慮しちゃ困っちゃうのですよ。というのは、東京警察病院の担当の右田内科部長は、三日の日のきのうの新聞によりますと、これまでの検査では異常を認められないと、だから五日には退院させると言っていると、こういうことなんですね。「これまでの検査では異常を認められず、五日には検査を終了、退院してもらうことになろう」と、こういうふうな報道がされているわけでありますが、そうなると、鬼頭氏の言動は、国会を無視するというか、愚弄するというか、全くそういう行為と言わざるを得ないのです。いま、あなたは、医者じゃないから、専門家じゃないから、その点は何とも言えないというふうに言ったけれども、いま私が見せたのは十一月三日の毎日の新聞でありますけれども、専門家がはっきりと言っているわけなんです。一日と三日だから、もうそこまで二日間休暇をとったからもう五日は大丈夫なんだと、そんなことは子供だましな話でね、言えないことです。だから、一日の段階でも、仮病を使えば幾らだって人をだますことはできますからな。だけれども、まさか国会答弁なさる勝見局長までこの証人喚問に応じられないような判断をしたなんてもし仮に言われるならば、これはあなた自身が国会の冒涜になる、愚弄することになる。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) もしそのようなことがございましたら、確かにおっしゃるとおりであろうと思いますが、私どもといたしましては、国会に出て証言できるかどうかにつきましては、ひとつ国会の方でお決めいただいて、私どもといたしまして、そのことについて出られる様子であったとか、あるいは出られないというふうな結論は、ここで私から申し上げることはむしろ出過ぎたことではないかというふうに考えまして、先ほどそのようにお答え申し上げた次第でございます。
○原田立君 第一回調査を行い、その後二、三回と調査したわけでありますが、第一回のときに私が質問したときに、中間報告的なものをしたいということを勝見局長は言っておられたわけでありますが、先ほどこれをいただいたけれども、十時間の調査にしては余りにもペラペラで簡単過ぎるという感じを持って私は拝見している。まだ時間がなかったから中身をよく読んでおりませんけれども、これが中間報告ですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 正式な中間報告という形のものではないことはもうごらんいただいておわかりいただけると思いますが、先ほどお手元に差し上げましたのは、鬼頭判事補の第一回目の供述のいわば骨子といいますが、それを書き出したものでございます。いわば中間報告的なものといたしましては、前々回でしたか申し上げました裁判官会議で、私ども事情聴取の結果、大体このような事実ではなかろうかというふうにいわば確定的な事実として裁判官会議に報告いたしたわけではございませんで、御指摘の中間報告ないし中間報告的なものは正確な形でまとめ上げては現在いないわけでございますが、先ほど申し上げました明日の裁判官会議には、やはりある程度の、まあ確定した事実と言うと、確定という言葉は強過ぎますが、私どもで認定できる事実について申し上げて御意見を伺わなければならないというふうに考えている段階でございます。
○原田立君 明日の裁判官会議に出す資料ですね、これよりかもう少しは詳細になるのだろうと思いますけれども、それはいただけますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 実は、そのお諮りいたします資料としてお出しします二通が、果たして詳しいところまで認定できるかどうかという点については、必ずしもそうも申し上げられないような状況ではないかと私は考えております。なお、裁判官会議にどういう形で資料を出しますか、きょう帰りましてまた部内で相談いたすところでございます。したがいまして、裁判官会議の資料をそのまま差し上げられるかどうかにつきましては、ひとつ検討さしていただきたいというふうに存じます。
○原田立君 何かこれも情報として聞いているのですが、鬼頭判事補にはもうすでに第一回の事情聴取したことの整理したメモが、まあどのぐらいのメモか知らぬけれども、整理したものが本人の手に渡してあるというようなことを聞いたのですけれども、その点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 仰せのとおりでございます。鬼頭判事補の供述の要旨を整理したものを本人に渡してございます。
○原田立君 そうすると、総長、ちょっと見解を聞きたいのですけれども、例の第一回目の証人喚問として要求したと、そのときに三項目の上申書をつけて出頭をしなかったということなのだけれども、これで全くあの上申書の三つは全部終わったと、こう認識してよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま原田委員からお話のございました三項目の上申書というのを私は必ずしも正確に存じておりませんけれども、ただ、先ほど来、いわゆる鬼頭隠しとか、そういう点でいろいろお話が出ておりますので、この際、はっきりと私どもの態度を申し上げておきたいと思うわけでございます。
 私どもとしては、鬼頭判事補が国会で証人として喚問を受けるということにつきまして、裁判官会議の了承も得まして、これはどうぞおやりいただくにふさわしい案件である、そういう意味で、鬼頭本人に対しましても、いわば誠意をもって国会のおやりになることに対して、協力と申しますか、誠意をもって対処すべきであると、こういう趣旨でいわば助言はいたしておるわけでございます。ただ、健康というようなことになりますと、私どもの口を差しはさむ枠を越えますし、また、本人が出ないものを私どもとして無理やりに連れてくることもできませんけれども、かくまで疑惑を受けました問題につきまして、しかも私どもの事情調査に対しまして十分納得のできる答弁をいたしておりません現段階において、国会で証人として御喚問になることは、これは国会のお立場として当然のことかと考えておりまして、そういう基本的立場におるわけでございます。
○原田立君 勝見局長、どうですか。先ほど、総長は、上申書の内容について必ずしもつまびらかにしていないと、こう言われておりますけれども。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 写しにつきまして委員部を通しまして入手さしていただきましたが、あるいは逐一総長に申し上げていなかったかと存じます。
○原田立君 要するに、第一項目は、たしか病気だから出られないということ、それから第二項目は、きょう決めて明日呼ぶということはおかしいじゃないかと、こういうこと。それから第三番目が、第一回目の事情聴取のまだ資料ももらってないし、精査してないと、こういう三つのことを理由にして出頭をしなかったのです。だけれども、現段階においては、この三つは全部整ったと、だから鬼頭氏はもう出頭はもし喚問を決めれば十分可能であると、こう理解なさいますかと、こう聞いているのです。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いまお話しのものでございますれば、私当時目を通したかと思いますが、ただこのうち第一項の心身の疲労はなはだしく云々という点は、私意見を申し述べる立場にございません。それから出頭請求から出頭までの期間が非常に短いことが問題だというこれについても国会と鬼頭本人との関係でございまして、私意見を述べる立場にございません。三番目の点が先ほど来問題になっております最高裁の調査が続行中であると、そうして既往の分についてもどういうふうに最高裁が受け取っておるか詳しくわからないということのようでございまして、私どもとしても、当初、最高裁の調査続行中は、あるいは国会の方はしばらくお待ちいただいてはという気持ちを抱いたこともございましたが、その点は私どもとしては調査中でもどうぞおやりいただいて特に私どもとして異存を差しはさむ筋ではないとかねがね申しておりますし、また、第一回の事情聴取のときに彼がどういうことを述べたかということについて私どもの受けとめたところは彼に十分伝えてありますので、この第三項に関しましては条件がすでに整っておると、かように理解するわけでございます。
○原田立君 では、第三項目目のは整ったということで了解しました。
 それから第二項目の点については、もうもはや大分時日を経過しているわけでありますから、急な要求でもないし、これも整ったと理解していいと私は思うのであります。
 それから第一項の問題については、先ほども右田内科部長の所見のとおりに、異常を認められない、五日には退院できるであろうと、こういうふうに言っている。となれば、上申書の内容が全部満たされたと、こう私は思うのであります。これは意見だけ申し上げておくことにいたしましょう。
 では、次に、東京地検特捜部では異例の捜索を行ったわけでありますが、その捜索の意図、経過についてお伺いしたい。
○説明員(石山陽君) 東京地検特捜部におきましては、本件に関しまして、総理大臣に対しにせ電話をかけた、それから新聞報道等に伝えられておりまするように、これが政治的謀略の意図があったやにうかがわれるという点につきまして、事態を重視いたしましたために、検察官の検事認知という形で本件を立件いたしまして、周辺内偵調査等を進めました結果、氏名不詳者ではあるが一応関係があるという疑いの濃いとりあえず鬼頭判事補の自宅あるいはそのほかの点につきまして、先ほど佐々木委員御指摘の際も御答弁にも申し上げましたように、三カ所の強制捜索を実施した、こういう運びになっております。
○原田立君 捜査結果の中間報告的なことをなさいますか。公表なさいますか。
○説明員(石山陽君) ロッキードの際にも、捜査結果について段階的に明らかにせよということで、国会に対しては大変申しわけないお言葉に終始したわけでございますが、何しろ具体的事件の捜査の段階でございますので、おのずから報告を私ども受け取りましてそれを公表することに限界が恐らくあるのじゃないかという点で一般論でございますけれども御了承いただきたいと思います。
○原田立君 三カ所の家宅捜索を行ったと。これは鬼頭判事補ではないかと濃い容疑を持ったということで家宅捜索をしたと、こういうふうに理解していいのですか。
○説明員(石山陽君) 少なくとも現在までに報告を受けております段階におきましては、本件のいわゆる謀略にせ電話事件が、鬼頭さん本人のしわざであるかどうかという点につきまして、東京地方検察庁として確信を得たという報告は接しておりませんが、いずれにせよ重大な関係があるものと、そういう点の疑いがあったからこそその三カ所について捜索を実施したものというふうに私どもとしては受けとめておる次第でございます。
○原田立君 十一月一日までの地検の動きは最高裁の調査結果を見ながらということであったが、二日に実質的な行動を地検が開始したが、これは最高裁から地検に実質的移行をしたと、こういうことなんでしょうか、その点はいかがですか。
○説明員(石山陽君) 最高裁側の御連絡等につきましては、あるいは最高裁からお答えがあるかもしれませんが、一応最高裁判所がいまおやりになっております御調査は、裁判所としての司法行政上の御調査であろうかと思います。東京地方検察庁が行っております捜査は、一応刑事被疑事件として、氏名不詳者でありますが、捜査というたてまえでございますので、これは必ずしも調査が終わらなければ直ちに捜査にならないという性質のものではありません。もちろん、捜査を進めます上におきましては、具体的な被疑事実を定め、あるいは適用法条を考えるという上におきまして、あらゆる公表されました資料を集めてやるという点におきましては、検察も当然そのような考え方をとってやるものと思いますが、一応これはどちらかが先行しなければならないという性格のものでは必ずしもなかろうというふうに理解いたしております。
○原田立君 最高裁の調査は今後どの程度までやるのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) まず鬼頭判事補本人についてでございますが、先ほど御指摘がございましたように、警察病院におけるまず診断の内容が問題でございますので、きょう午前中私どもの立場で警察病院に連絡いたしましてそれを聞こうといたしたのでございますが、当の医師が不在でございまして、今後早急に医師の御意見をお伺いいたしまして、いわば第四回目と申しますか、本人の事情聴取はぜひ行わなければならないと思っておりますし、早急に実施いたしたいというふうに考えております。
 なお、第一のいわゆる網走刑務所の問題につきましては、法務省の矯正局の方におかれて調査を進めておられるようでございますし、その点の結果をいただくなりお知らせいただきたいと思っております。なお、問題の書類の処分先につきましては、まだ鬼頭判事補からいわゆる流れたということの資料は得ておりませんが、できるだけのことはいたしたいと思っております。
 第二のにせ電話事件につきましては、先ほどから御質問がございましたように、読売新聞社の協力が非常に重要な点になると思いますので、先ほど原田委員御指摘のように、誠意を尽くして御協力のほどをお願い申し上げている次第でございます。
○原田立君 今後の最高裁並びに東京地検との両者の協力関係、これはどうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほど石山課長からお話がございましたように、捜査と私どものいたしております調査というのは全然目的が違いますので、いわゆる協力という言葉でいいのかどうか存じませんけれども、いずれ捜査の観点からある協力を求められた場合に、私ども原則的にどういう形で応ぜられるかどうかという点については、これから十分検討さしていただきたいというふうに存じます。なお、私どもの方から捜査当局に対して、ある程度の情報を知らしていただけるのかどうか、この点も十分検討さしていただいた上で、お願い申し上げることができるならばお願い申し上げるというふうにいたしたいというふうに考えております。
○説明員(石山陽君) ただいまのところ、東京地方検察庁から、その点に関しまして、今後どういうふうに進むかというふうな捜査方針関係につきましては、具体的事件でありますので、先方も報告してまいっておりませんし、私どももそれは確かめておりませんが、基本的にはただいま勝見人事局長がおっしゃったような線に遠くないものだというふうに私ども考えております。
○原田立君 検察庁の方にお伺いするのですけれども、地検が捜査を開始したと。当然閉会中にも鬼頭判事補の証人喚問、これは行うことになるであろうと思うのであります。その辺についてあなたの方ではどういうふうに受けとめられておりますか。
○説明員(石山陽君) ただいまそこまでの事態をちょっと私予想しておりませんが、私の個人的な印象で申し上げて大変恐縮でございますが、恐らく東京地方検察庁は、国会において閉会中に行いますその種の喚問がございますれば、その喚問結果等をも十分参考にさしていただきながら捜査を継続してまいるものだというふうに考えております。
○原田立君 証人喚問することについては、その内容については捜査の参考にしたいと、こういうことであって、証人喚問することについては別に捜査のあなた方の立場上支障はないと、こういう理解でいいですね。
○説明員(石山陽君) 先ほど来申し上げましたように、国会におきます証人喚問は、国会のいわゆる国政調査権の必要上国会が独自のお立場でお決めになることでございますので、それに対しまして捜査上特に支障があってこの段階で何か困るという特別な事情がありますれば、その方法なりあるいは程度等について御配慮を特にお願いしたいということがありますれば、私どもそれを取り次ぎましてお願いに及ぶことはあるかもしれませんが、ただいまのところそのような事態を予想しておりませんでしたので、まだそのような話はまいっておらないという段階でございます。
○原田立君 では、鬼頭問題についてはこのぐらいにして、法案の問題について若干お伺いしたいと思います。
 改正案における裁判官及び検察官の報酬、給与のアップ率が平均で裁判官が八・三%、検察官が八・〇%となっているわけでありますが、これは一般行政官のアップ率と比較して非常に高くなっている。その理由はいかがですか。
○政府委員(賀集唱君) 裁判官、検察官の今回の給与改定によりますアップ率は、仰せのとおりの数字でございます。それから一般職の場合は、私どもが集めました資料によりますと、七・〇%になっておりまして、八・三、八・〇に比べますと一般職の方が低くなっております。その理由と申しますのは、今回の給与改定は、例年同じでございますが、一般職、特別職の給与改定がございますと、それに準じて私どもの裁判官、検察官の給与改定を行うと、こういう法律上のたてまえになっております。そして、一般職、特別職の方では、一般職の中の指定職それから特別職、そこのところのアップ率が、昨年度に比較いたしますと、ことしのアップ率はそれ以外の方よりも多少高くなっている。ところが、その指定職、特別職に裁判官、検察官の上位の方々が見合うわけでございますが、そういう結果、裁判官、検察官のアップ率が一般職の方より高くなっている、指定職、特別職に見合うところの上位の方が裁判官、検察官の中にはかなり多いと、そういうことが原因だと思います。
○原田立君 資料によりますと、ことしは、特に、いまもお話がありましたように、上に厚く下に薄い増額となっているわけでありますが、私は以前からこの点に対して疑問を持っているのであります。むしろ、下位の人たちの日常生活の安定、士気の高揚などを十分考慮して、いわゆる上に薄く、下に厚いという血の通った措置をとることこそ必要ではなかったのかと、そうしてもっと気を配るべきだと、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
○政府委員(賀集唱君) その点も、例年お願いしております給与改定は、一般職、特別職の方が改善がありますと、それに準じてといいますか、それに見合う形で裁判官、検察官も改善しておりますので、今回は昨年に比べて一般職、特別職の方では上の方が厚くなっている。したがって、裁判官、検察官も厚くなったと、こういうことになりまして、それでは一般職と特別職の方でどういうわけで上の方が厚くなったのかといいますと、はなはだ申しわけありませんが、それを担当しております総理府人事局系統の方がお答えするのが適切かと思われます。ただ、私どもが調べました資料によりますと、昨年度、これは民間では御承知のように役職の方が手当をカットしたり、非常に厳しい情勢でございました。それに見合って、指定職の方も上げ幅は三万円どまり、それから特別職の方は総理大臣は全然上げなかったと、こういうわけで、昨年に比べますと、お手元に差し上げた数字のように上げ幅が上の方が厚いということになっていますけれども、そういうファクターを除外いたしますと、上の方といいますか、上の方も下の方も同じ上げ幅だというように私どもの調査ではなっております。
 それからそれとは別に、裁判官、検察官の給与で御指摘のような配慮ができないのかといいますと、これは国家公務員全部の給与体系を考えながら裁判官、検察官の給与をどうするかという大問題でございまして、御指摘の点も十分考慮に入れまして、何といいますか、体系的な、別体系で独自の体系で給与をつくるかという大問題に慎重に立ち向かっていきたいと、このように思っております。
○原田立君 昇給の運用方法でありますけれども、実態はどのようになっているのか。半年に一遍、あるいは八カ月に一遍、一年に一遍というふうなぐあいに進んでいくのか、その点はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 裁判官について私から申し上げます。
 裁判官につきましては、特に昇給基準といったような明文のものはございませんが、結論的に申し上げますと、判事四号までは大体足並みそろえてと申しますかまいりまして、判事三号以上は若干のセレクトをさしていただいております。なお、判事補について申し上げますと、御承知のとおり判事補の号俸の刻みが十二号までございます。これが十年間で十二号消化する、まあ消化するというのは表現がはなはだいけませんが、十年で十二号を昇給いたしますので、十二号から一号まで昇給いたしますので、大体九カ月から一年間ぐらいの刻みで昇給いたしているような状況でございます。もっとも、その間に病気である程度期間休まれるような方につきましては、特別の事情としてちょっと昇給をおくらしてもらっている。しかし、それ以外は、先ほど冒頭に申し上げましたように、大体一律になされているというのが現状でございます。
○政府委員(藤島昭君) 検察官につきましては、検察官の俸給等に関する法律の第三条で、「法務大臣は、初任給、昇給その他検察官の給与に関する事項について必要な準則を定め、これに従って各検察官の受くべき俸給の号等を定める。前項に規定する準則は法務大臣が内閣総理大臣と協議して、これを定める。」と、こうなっておりまして、私どもにはこの規定に従いまして昇給に関する準則がございます。しかし、この準則は部内の検察官にも全く秘扱いといたしておりますので、ひとつ公開のこの委員会でその詳細を申し上げることはお許しいただきたいと思いますが、私どもの検事の号俸は一号から二十号まで通しとなっておるわけでございまして、初任給は言うまでもなく二十号でございまして、十年を経過いたしますと検事の八号という、改正案で三十三万円のところへ行くわけです。それから後十年経過しまして大体二十年になりますと、検事の号俸で申しますと、大体検事の四号、改正案で五十一万二千円、このあたりに大体行くのが普通の形となっておるわけでございます。
○原田立君 四十六年四月一日から新設された初任給調整手当は、どのような場合に支給されるのか、また、その額についても今回は据え置きとなっており、まあ言ってみるならば新設以来五年間一度も増額されていない。これは一体どういう理由なんですか。
○政府委員(藤島昭君) 初任給調整手当は四十六年の四月一日から実施されたわけでございまして、この理由は、その前の四十五年の四月の任官でございますが、裁判官が六十一人、検事が三十八人ということで非常に少ない数でございまして、全体の二〇%を割ってしまったわけです。そこで、その際、その原因をいろいろ検討いたしましたが、その原因の一つとして弁護士と判検事の給与の較差がございましたので、それを埋める意味で、財政当局に折衝いたしました結果、二万三千円の初任給調整手当が認められて、四十六年四月一日から実施された。この二万三千円は七年間にわたって支給されていくわけでございますが、その後今日まで初任給調整手当の増額がない理由は、毎年私どもは初任の弁護士と初任の判事補、検事の給与を比較しておるわけでございますが、毎年比較した結果は、その後は初任の弁護士と判検事との間に給与上の較差が認められないということなのでございまして、ことしもいろいろ調査いたしました結果、今度の給与の改正案では、検事の初任給は二十号で十二万一千二百円でございます。そこへ二万三千円の初任給調整手当が入りまして、いろいろ計算いたしますと、十六万五千円ぐらいになるわけです。ところが、一方、大都市の初任の弁護士の給与をずっと調べてまいりまして、各都市によって若干の差はございますが、平均いたしますと、やはりこれは十六万五千円ということに計算上なるわけです。そうすると、同じ金額になりまして、むしろ判検事の方はわりあいに安い金で公務員宿舎へ入れますが、弁護士の場合は民間の方へ入らなければならないということで、これも数字の上で比較したところではむしろ判検事の方がそういうものを全部総合すると初任においてはいいと、こういう結論が出ておりますので、私どもは増額要求したいのでございますけれども、こういうことになっておりますので、ここずっと要求をしていないと、こういうことでございます。
○原田立君 人事院勧告がなされて〇・二カ月分の減額という事態が発生するようになっているやに聞いているわけでありますが、裁判官は、憲法第七十九条六項、八十条二項で、最高裁判所、下級裁判所の裁判官はすべて定期に相当額の報酬を受ける、この報酬は在任中これを減額することができない、かように決められているわけでありますが、今回の手当〇・二カ月分の減額は、憲法の規定から考えた場合、一体どのような判断をなさっておられるのか。
○政府委員(賀集唱君) ただいま御指摘の期末手当、勤勉手当の減額という点でございますが、これは減額という考え方よりも、支給率の支給割合の減率と言う方が考え方としては正しいのではないかと思います。
 そこで、先ほどの憲法問題でございますが、ただいま仰せのとおり、憲法は、裁判官の報酬につきましては、ただ定期に相当額の報酬を受け在任中は減額されないことを保障するのみでございます。そして、相当額の報酬とは何かということにつきましては何らの具体的基準を示しておりませんから、結局、それの具体化は、裁判官の報酬に関する立法、国会の御判断にゆだねたものと解釈されるのでございます。そういたしますと、ただいま御審議いただいております裁判官の報酬等に関する法律、ここにその第二条が報酬というものを具体化して別表の形で載せておりますが、それが憲法で言う報酬なのだと、それを減ずるということは憲法の問題になりますけれども、憲法でいう報酬というのは、それを具体化した形でといいますか、裁判官報酬法第二条に書かれている。それで、ただいま持ってきました宮澤先生の書物にも、同じように、「裁判官の報酬等に関する法律がその内容を定める。」と、このようになっておりますので、今回の勧告に従ってといいますか、〇・二カ月分の、それぞれ〇・一カ月分でございますが、減率がございましても憲法問題は起こらないと、このように考えております。
○原田立君 結構です。
○橋本敦君 最高裁にまずお伺いしますが、鬼頭裁判官と元裁判官飯守重任氏との関係がいろいろと取りざたされていますね。公にされた飯守氏の発言を見ても、鬼頭君は国家を憂うる士であると、あるいは反共の闘士であると、きわめてほめそやした言葉があり、また、かねがね鬼頭裁判官も飯守氏を師と仰いでいるということも言っている。この関係が、今度の身分帳の閲覧事件、あるいは電話事件等に関して、実際にどういう関係にあったのかなかったのか、きわめる必要があると思いますが、この関係の調査はどうなっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 飯守元裁判官の問題につきましては数回御質疑をいただいているところでございますが、飯守さんの新聞に対するいろいろな機会における御発言等を私ども新聞を通しまして見ておるところでございます。鬼頭判事補本人も、飯守さんとのいわば交際といいますか、つき合いにつきましても若干述べているところでございます。私どもといたしましては、特に鬼頭判事補のいわば人柄といいますか、考え方等につきまして、機会を見つけまして飯守さんにいろいろお伺いしたいというふうに考えておりまして、まだいわば調査未了の段階でございます。
○橋本敦君 今後もその点についても最高裁は調査を進めていきたいということだと承ってよろしいですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) お聞きする方法とか等につきましては十分検討いたしましてそういう機会を得たいと考えております。
○橋本敦君 これはぜひ調査をお願いしなければならぬのですが、飯守氏は、私ども法曹であった者の立場で言えば、タカ派中のタカ派の裁判官と言われた人です。今度この飯守氏が文化の日を契機に叙勲を受けている。多年法曹界に貢献があったということで叙勲を受けた。この鬼頭裁判官事件とかかわりがあるかないかはこれからの調査ですが、こういう時期に、しかも在官中はタカ派中のタカ派と言われて、法曹の中でも全面的な賛意があるわけでもなし、現に最高裁自身も注意処分を与えられたようなことまであったこの人が叙勲を受けるということは、これは納得できないことですが、こういう問題について、最高裁は推薦もしくは上申をしたというようなことがあるのですかないのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 一般論としてまず申し上げますが、秋の叙勲につきましては、下級裁からの上申を得まして大体七月上旬に内閣の方にいわば上申をいたしております。普通の事務的なペースによりますと、十月初めに内定、内示がございまして、大体上旬に御本人に内示をいたします。このようなペースで進んでいる手続でございます。
 なお、これも一般論として申し上げますが、裁判官に対する分限あるいは御指摘の注意等を受けた裁判官につきまして、従来も、特にいわば除外事由がない限りといいますか、積極的な除外事由がない限り、叙勲の上申をいたしまして、現実に叙勲を受けておる元裁判官が大分ございます。
 このたびの飯守元裁判官の叙勲につきましては、私どもといたしまして、この鬼頭判事補のいわば事件につきましていろいろいわば風評がございますけれども、私どもといたしましては、積極的にこの際むしろ外すこと自体に問題もあるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○橋本敦君 重大な問題ですよ。最高裁が推薦をしたということはいま答弁からわかりますよ。むしろ外すことの方が問題だと。何がどう問題なんですか。叙勲をなぜこういう問題がある中ですべきだと考えるのですか。最高裁の姿勢の問題として私はこれは重大だと思う。言ってください。なぜこんな者を叙勲から外すのがおかしいのですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現在の段階で御本人があるいは辞退というようなことがありますればともかく、私どもといたしまして、積極的にいわば辞退勧告といいますか、そのような手段をとること自体は、むしろそちらの方にも問題があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○橋本敦君 本人が辞退をしてくれればそれはよいけれども、こちらから積極的に辞退勧告までは問題があると、こういう意味ですね、いまおっしゃった意味は。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 実は、私ども……
○橋本敦君 簡単に頼みますよ、時間が少ないから。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 大体、平均的にごく少数の方でございますが、叙勲について辞退を申し出る方がございます。先ほど申し上げましたのはむしろ一般論として申し上げたわけでございますが、現在の段階で飯守元判事に対しましてそのようなことが現にないわけでございますので、現状のままで叙勲を受けていただくということに考えているわけでございます。
○橋本敦君 要領を得ない答弁ですが、最高裁のこのような姿勢自体が今後の調査を本当にやるかどうかを疑わしめることにも通じると私は思うのですよ。断固としてこの事件を真相解明をするなら、最高裁内部の推薦ということで出ている問題なら、辞退ということも含めて本人に言っていいですよ。私はこういう事件の中で飯守氏が叙勲されるということはとうてい納得できない。
 さて、この問題ばかり言っておるわけにいきませんが、読売新聞に出された鬼頭裁判官のいわゆる告白文ですが、これについて聞かれたという。ところが、本人は、電話をかけたその人の気持ちを代弁したのだと言う。その人の気持ちを代弁するにしては余りにも具体性、生々しさ、理路整然性、容易ならざるものがある。仮にこれだけの代弁ができるとすれば、まさに一心同体とも言うべきほど親しい人でなければ代弁なんてできるものじゃない、私はこう思いますが、いかがお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 常識的に申し上げますならば、ただいま御指摘のとおりだと思います。
○橋本敦君 さらば、最高裁は、一体その人とはだれか、厳重に本人に聞く必要がある。この点については本人は依然としてその人の名は言えないというままですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 仰せのとおりでございます。
○橋本敦君 今回までの調査でたびたび本人は名は言えないと言いますが、名を言えない理由は結局どういう理由で言えないと言っておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 必ずしも明確ではございません。
○橋本敦君 結局のところ、どう理解していますか、最高裁は。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) この段階で、なぜ言えないのかということについてどういうふうな理解ということについては、具体的に申し上げることはひとつ差し控えさしていただきます。
○橋本敦君 そうすると、何らかの理由は言っている、しかしここでは差し控えるという意味に聞こえますが、そういう意味ですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) そういう趣旨ではございませんで、私どもが言わない理由をどう理解しているかというお尋ねと考えましたので、先ほどそのように申し上げた次第でございます。
○橋本敦君 結局、最高裁も、なぜ本人が言わないのか、理由はわからないということですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 本人が申すことについて私どもは理解できないという趣旨でございます。
○橋本敦君 どう言っておりますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) いや、言えないという趣旨でございます。
○橋本敦君 言えないというだけで、理由は言わないのですか、本人は。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 本人は重大なことを隠している。
 そうしますと、公安課長に聞きますが、仮に本人が自分で電話をかけたのでないとしましょう。電話をかけた人はまさに自分と一心同体のごとくによく知っている事実はいまも認められた。そうすると、いま氏名不詳ということで捜査をされておられますが、これを隠して言わないで、つまり電話をかけた人を知っていると、こうしましょう。しかし、それは理由なく言わないとなれば、これは証拠隠滅ではありませんか。
○説明員(石山陽君) 仮定の御議論でございますから、私も一般論で申し上げるより仕方がございませんが、自分が刑事事件に関しまして他人の証拠を隠滅するという意識があってまさにそれに関する証拠を隠滅すれば、先生御指摘のような証拠隠滅罪は成立すると思います。ただ、その場合に、自分自身が共犯者であるということであるかどうかによって、そのただいまの一般論が妥当するかどうかと、そこに差異が出るものと考えます。
○橋本敦君 そのとおりだと思います。だから、したがって、彼が共犯者であって、そしてその名を言わない場合は、証拠隠滅という新たな犯罪行為を彼は犯していることになる。そして、彼が単独でやったのか共犯でやったのか。いままでの彼の言い方を見るならば、ある人がテープを持ってきた、テープをかけた人も知っている、持ってきた人も知っている、そしてその意図をくんで自分が新聞社へ持ち込んだ、これはまさに明らかに共謀共同の関係にあることは客観的に見て明らかである。だから、したがって、私は、彼自身がこの真相を明らかにしないことは証拠隠滅罪を犯しつつあるという新たな容疑が出ているということを指摘せざるを得ない。
 その点について、今後の捜査にも関係しますが、もう一つ私は公安課長に聞きたいのは、網走刑務所から身分帳を彼が写し出した。この身分帳を写し出したその行為が、仮に松本明重氏のところへ行っているか、民社党の春日委員長のところへ行っているか、あるいは文春の立花氏のところへ行っているかということでこのルートがはっきりして、彼自身がそれを漏らすという意図を持ってやったということになれば、国公法百条の職務上知り得た秘密を漏らしたという罪に該当すると思いますが、どうですか。
○説明員(石山陽君) 本件につきましては、その網走問題は現在なお矯正局あるいは最高裁事務総局の御調査中の段階でございますので、検察が具体的にまだ捜査という段階に達しておりませんから、ちょっと多くはお答えいたしかねると思いますが、一般論で申し上げますれば、国家公務員に対する秘密漏泄のあるいはそそのかし罪が成立するという要件につきましては、先生の御指摘のとおりだと思います。すなわち、秘密を秘密と知って漏示するという行為、あるいは秘密を秘密と知って漏示させようとするそそのかし、これがなければ構成要件上成り立たないというふうに考えます。
○橋本敦君 さらに加えて、この前安原刑事局長が私の質問に答弁されたように、彼が職務上の職権を乱用してあえて義務なきことを担当刑務所長あるいは課長に行わしめたのであれば、刑法百九十三条の職権濫用罪も成立する。だから、したがって、今後捜査の進展、調査の状況によっては、軽犯罪法だけではなくて、証拠隠滅罪、国公法違反、さらには職権濫用罪、こういった方向に捜査を遂げる必要性があり得る事件だと私は思いますが、どう思われますか。
○説明員(石山陽君) 具体的な捜査の方向でございますので一概に申し上げかねますが、たとえば職権乱用の場合は、通常一般論で申し上げますれば、自己の職権に属しておる、その属している権限を乱用するということが必要でございます。ですから、端的に申しますというと、網走でそういうものを見せてくれということを言うている行為が権限を乱用したに当たるかどうか、それに尽きると思います。それからその他につきましては、私、先ほど一般論で申し上げたことでございますが、具体的な捜査の問題でございますので、まあその程度に、具体的な適用問題についてはお答えいたしかねるということでお許し願いたいと思います。
○橋本敦君 現在の適用ではなくして、これを調査していくならばそういう方向の捜査も必要になってくる可能性のある事件だということは、これは客観的に明らかではありませんか、それを聞いているのです。
○説明員(石山陽君) 東京地方検察庁等におきまして捜査を遂げました末にそのような犯罪の容疑が固まったということであれば、当然そういう方向に向かっても捜査は進むものと考えております。
○橋本敦君 ところで、別の側面でお伺いしますが、宮本委員長の診断書等がどこへ漏れたかというルートについて、矯正局長は、一つは松本明重氏、一つは民社党春日委員長、一つは文春の立花氏、こういった方面も調査の対象として調べる必要があるということは衆議院の答弁でもお認めになったかと思いますが、この点の調査はどう今後進められる予定か、また、進められる方法についてお伺いしたい。
○政府委員(石原一彦君) 御指摘のような明確な形で御答弁申し上げたかどうか、ちょっと記憶にございませんが、私どもといたしましては、大臣から真相を徹底的に究明せよという御命令を受けまして、ただいま御指摘の点も十分な関心を持って調査いたしております。しかしながら、現在までのところは、御承知のとおり、本人はどこにも出していないと言いますし、出した先の点につきましてはわが方の及ぶところではございませんので、将来の調査の方針の一環といたしまして慎重に考慮していきたいと考えております。
○橋本敦君 最高裁に伺いますが、この鬼頭裁判官が松本明重氏と交友、交際、あるいは何らかの連絡関係があったかどうかについて調査されましたか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 第一回目の事情聴取の際、その点も聞きましたが、全然松本氏とは関係がないというふうなことであったわけでございます。
○橋本敦君 単に本人の一片の否定的言明だけで調査を終わってはならない。彼は真実を隠して、真相を明らかにしていない供述を調査に際してやっていることは、これはもう明白なんですね。
 そこで、この松本明重氏ですが、この方は京都において、そうして最高裁も御存じかと思いますが、右翼の日本民主同志会、これの代表、委員長をしている人である。そういうことは知っていますか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 著書を拝見した限りの方であることを存じております。
○橋本敦君 この松本明重氏が主宰する民主同志会は、数々の政治家と深いつながりがある。たとえば、この団体は志道という雑誌を発行しております。これは全部国立図書館にそろっておりますから、ごらんいただいたらわかりますが、たとえば四十八年のことですが、暑中見舞では、灰色高官と言われる加藤六月氏を初め、民社党、自民党の数々の国会議員が広告を出しておられる。これは単なる広告です。相沢英之氏の広告もある。ところで、この松本氏が、ことしの九月二十日、帝国ホテルで、彼があらわした志道花心録という本の出版記念会を盛大にやりました。このときに、三木総理のメッセージが贈られる。そのほかに、この出版記念会には、前尾繁三郎衆議院議長、これが出席をする。福田一自治大臣が出席をしてお祝いのあいさつを述べる。「わたくしの盟友であり、もっとも尊敬を致しておりますところの、松本先生が立派な本」云々と福田自治大臣はあいさつをされる。そしてまた、総務長官植木光教氏もあいさつをされる。そして、これと並んで、民社党委員長春日一幸氏は、あいさつの中でこう言っておる。「わたくしは、ここ数年来、松本先生の言動に深く共鳴をいたしてご眤懇にさせていただいております最大の理由は、松本先生のあの不屈の反共魂であります。」と、こう言っております。この不屈の反共主義に基づいて彼は日共リンチ事件という分厚い本を出し、国会議員に配り、その中に診断書が登載されておる。この日本民主同志会はこのようにして重要な政治家グループとつき合いがある団体だということは、この志道という雑誌の後ろに日民同本部活動日誌というのがあって、この中を読むだけでもきわめて明らかである。たとえば、八月二十六日、木村武千代氏が来訪しているとか、あるいは福田自治大臣が松本氏が東京出張の際ホテルオークラで出会った。民社党向井長年氏も来室。中には、京都府警本部森警部補、これも松本明重氏と会っている。いろいろな重要な活動日誌がある。この右翼の団体は、多くの政治家あるいは警察の公安ともつき合いがある。そして、これ読んでみると、韓国の重要な人物とも交際があることがわかる。それだけではありません。私が注目するのは、この活動日誌を読んでみますと、この民主同志会の中に法律家グループと思われるようなグループが存在をしている。たとえば、五十年五月三十一日には弁護士合同会議というのが開かれている。そしてまた、それだけではなく、ある弁護士がたびたびと来訪して活動をしている。私はこの民主同盟の反共的な動きの中に法律家グループが動いているということをこの活動日誌で十分推測し、ここに鬼頭氏が関係を持っていたかいなかったかは、これは厳重に調査をしてもらわねばならぬ。人事局長、いかがですか、この関係について調査をする必要があると私は思いますが、松本明重氏との関係について、本人の一片の否定にかかわらず、今後調査を遂げてもらいたい。いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいまお示しの資料等につきましては十分調べさしていただきたいと思います。
 なお、先ほど矯正局長からの御答弁がございましたが、いわゆる流れた先と報道されている点につきまして、私どものできるだけの方法で調査中でございますが、なお、御指摘のような資料もあるようでございますので、なお調べさしていただきたいと思います。
○橋本敦君 厳重に調査をしてほしい。同時に、鬼頭氏は、職務外に匿名を使ってあれこれの雑誌に寄稿している。この志道にも寄稿した事実はあるのかないのか、これも含めて調査をお願いしたいと思います。
 時間がありません。最後に、今国会はきょうで終わるか延長になるか、私はわかりませんが、事務総長に一言お聞きしたい。
 これだけわが国の司法に対する重大な信頼を傷つけたこの行為について、どうやれば国民からの信頼が回復できるか、この事件をどのように契機にして司法の信頼を取り戻そうと決意していらっしゃるか、最後に一言伺って、質問を終わります。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 二千数百名の裁判官の中のただ一人でありましょうとも、かような問題を起こしましては国民の裁判所なり裁判官に対する信頼が著しく傷つけられることになると考えまして、私ども深刻に受けとめておる次第でございます。まず、何よりも事態の真相を徹底的に究明する調査というものが前提であろうと考えております。現在までのところ、かなりの程度にわかっておりますけれども、まだまだ本人の言うことはとうてい納得できない部分がございますし、今後一層の調査を進めて事実を究明しなければならないと思います。その上で本人に対しては厳正な処置を講じたいと考えております。そうして、さらに進みまして、今後かような事件を絶対に起こさないように裁判官に対して厳重に注意を促しますとともに、私ども行政の立場においてもそれなりの対策を考えてまいらなければならないと、かように考える次第でございます。
○橋本敦君 終わります。
○下村泰君 急な質問をさせていただくことになりましたので、あるいは御迷惑をかけるかもわかりません。十月の二十六日の夜十時ごろなんですが、川崎市の高津区子母口というところにたちばな湯という公衆浴場があるんですが、ここで重度の心身障害児者に対する暴行事件が起きたのは御存じでしょうか。
○説明員(吉田淳一君) 新聞報道で存じております。
○下村泰君 こういうことが起きた場合に、警察の方はこの被害者が届け出ない限り、これを捜査するというようなことはないのですか。
○説明員(吉田淳一君) この事件についてどういうふうに警察で取り扱っておりますか、実はただいま至急検察庁を通じまして調べさせておりまして、間もなく回答が来ると思っておるのでございますが、いま現在は検察庁としては刑事事件としてまだ受理はしておりません。警察がこういう事件で情報を得れば、刑事事件として立件する必要がある、あるいは捜査する必要があるということで捜査することは十分考えられると思いますが、その事情をいま経緯がどうなっておるか至急調べさせておるのでございますが、まだちょっと回答が来ておりませんので、具体的なこの事件についての取り扱いを御報告できないでおるわけでございます。
○下村泰君 私ども急に質問させていただきましたので、おたく様の方でもお答えの用意がないのは万々承知しておりますけれども、この事件の経緯を申し上げますと、これは本当に同じ日本人でどうしてこんな状態が起きるのかと思うくらいなんですがね。日本脳性マヒ者協会青い芝の会というのがこの川崎市高津区の子母口というところに事務局が置いてあるのですね。そこで役員会がありまして、その役員の方々ももちろん重度の身体障害児者なんですが、その方たちとそれから介助者といいますか、助ける方々と御一緒にそのたちばな湯というおふろ屋へ出かけて行ったわけです。七、八人で行ったわけですけれども、その中に、山口勝夫さん三十七歳、これは同会の事務局長をやっていらっしゃるのですが、この方は車いすなんですね。車いすでそのおふろ屋さんへ行った。ところが、そのおふろ屋さんの経営者とはときどき何か口論があったらしいのですね、いままでも。来た以上はおふろに入りたい、これはあたりまえのことで、この山口さんという方が車いすからおりて、お体が不自由ですからいわゆる脱衣場に体を横たえながら着ているものを脱いだ。ところが、その後、ふろから上がってきた肩に入れ墨のある若い男が、おめえらの来るところじゃないと、その寝ている山口さんの背中をけったんですね。動けないんですよ。動けない身体障害者の背中をけるなんて、もうこれだけだってどうにもならない。その山口さんという人がけられた。それはくやしさがありましょう、両方のきく手でもってそのけった人の足にしがみついたそうです。そうしたら、なおこれを足げにして、しかも殴りつけた。こういう方たちに対する温かい思いやりというのがいまもう日本じゅうに欠如している。そのために、この間も申し上げましたように、秩父市の郊外にベーチェット病患者のリハビリテーションの厚生施設をつくるということに対して、秩父の観光都市を盲にするなとか、盲で市を埋めるなとか、こういうような運動が起きてくる。まあ私も外国の方へしばしば出かけていったわけじゃございませんけれども、ハワイのワイキキ海岸あたりを見ますと、車いすが並んでいるわけです。世界の観光地と言われるハワイのあのワイキキの海岸に車いすが並んでいるということは、世界じゅうから重症度の身体障害者の方々があそこへ観光に来ても、どうぞいらっしゃいという姿勢があそこにあらわれているのじゃないかと思うのですね。ほかのこういう専門家の方々に伺いますと、ヨーロッパあたりでは、自分たちの住んでいる町の中にこういう施設があっても何ら感じない。むしろそういう人たちを温かい目で迎えているというような心がなぜ日本人には生まれてこないのだろうかというような気がしばしばするのですけれどもね。
 こういう事件が起きて、これをそのままもし警察がほっておいたとなると、これは私はゆゆしき問題だと思うのですけれども、こういう問題が起きたということ、それからこういうことに対して警察がどういう姿勢をとるのか、ちょっと聞かしてください。
○説明員(吉田淳一君) お尋ねは一々ごもっともの点が多いと思いますが、警察といたしましては、こういう違法な事件、不法な事件が起きれば、当然警察といたしましても厳正な措置をするものと私は考えております。まあ新聞報道上だけでは事実の関係について私どもどういう事実関係にあったのか十分承知しておりませんので、私どもの立場からはまだ事実の内容が全くわかりませんので、しかとはっきりしたことは申し上げられませんけれども、それがたとえば傷害事件という刑事事件であるということであれば、検察庁としましては、警察がそのような事件として送致をしてくれば厳正な措置をとる、こういうふうに私どもは考えております。
○下村泰君 もちろんこの公衆浴場の経営者も福祉のことに関しては関心は持っていると。けれども、一人や二人なら許せるけれども、こう何人も入ってこられたんじゃ、ほかの方に迷惑がかかる。第一ほかのお客さんが気持ち悪がって来ないというような発言をしているわけであります。しかし、まあ私らもあゆみの箱という社会事業の法人を持っておりまして運動はしておりますけれども、同じ公衆浴場の経営者の中にもいわゆる重症度の心身障害者のために開放している浴場主もいるんです。必ずしもこういう方々ばかりではないのですけれども、こういう事件が起きるというところに、何かいま日本人の心の中に大きな不安がある。そういうのが、やはりロッキード事件でありますとか、今後の鬼頭判事補の事件でございますとか、こういうものが出てくる。また、その問題が完全に処理されないのを国民のサイドから見ていると、すべてのものに信用がなくなってくるんですね。偶然かどうかわかりませんが、ロッキードの告発がされたのが二月の四日でしたか六日でしたか、あの事件が新聞紙上に出されてから約三月の間にばらばら事件と殺人事件が重なったんですね。何件かありました。まあこれは偶然といえば偶然かもわかりません。日本人、国民の心が全部そういうふうな退廃的な気持ちになってくるという責任は、当然これはもう国会が負わなければならないものだと思うのです。
 人権擁護の立場から法務大臣に伺いますが、あらゆる法を駆使して、こういう事件が起きた場合にどう処理するか、それから国民意識というものをどういうふうに高めるか、法務大臣の口から御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 下村委員から、新聞の報道によってこういう事件をおまえはどう思うかと、こういう御質問ですが、この新聞報道のとおりだとすると、まことに情けないことがあるものだなあと、人権擁護の立場にある者として、先ほど刑事課長からも答弁いたしましたが、検察庁から警察に問い合わせて、もしそういう入れ墨何とかとおっしゃったそういう者は厳重に処分することは当然ですけれどもね。
 それから重度心身障害者をもっとみんないたわってやったらいいじゃないかなと、こう思いますと同時に、重度心身障害者が公衆浴場へ行く。私どもの考えから言うと、見るに気の毒であるという感じを持つのも当然ですな、これは。ですから、そういう見る人の気の毒だというような、見るに忍びないというような感情を持つのもやっぱり人の自然ですから、余り目につくようなやり方も、そちらの方も慎むというあれがあってもいいし、また、それをしかし来た以上は、入りに来た以上は、もっと温かく手を貸してやるくらいの人情があってしかるべきだと、こう思いますな。まことに、ああ日本人も思いやりのない情けないものだなあという感じを深くいたします。
○説明員(鎌倉節君) 去る十月二十六日の午後十時ごろ、川崎市の公衆浴場たちばな湯で起こりました事件につきましては、当日ふろ屋の主人からの電話によりまして警察が認知しまして、すぐ警察官が現場に急行いたしましたが、犯人は見当たりませんで、主人等から事情を聞いたわけでございます。ところが、被害者など関係者は警察の事情聴取には応じませんで、翌日、介添え人でございます川崎市脳性麻痺者協会の会長さん等から事情を聞いたわけでございますが、この方の主張によりますと、届け出をする意思はない、新聞等に報道されたことで十分目的を達しておる、調書作成には応じられないというようなことで、現在まで調書作成等には応じていただいておりませんが、事案が事案でございますので、関係者等を説得いたしまして現在捜査中でございます。
○下村泰君 どうもありがとうございました。
○佐々木静子君 法案についてさらに御質問を申し上げようと思っておったのでございますけれども、他の委員の先ほど来の御質問で十分に質問が尽くされたのじゃないかというふうに思いますから、私の残りの質問は放棄さしていただきます。
○委員長(田代富士男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(田代富士男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(田代富士男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後四時四十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時十二分開会
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 これより請願の審査を行います。
 第九七号 人権擁護委員の増員等に関する請願外五件を議題といたします。
 今期国会中、本委員会に付託されました請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおり、六件でございます。
 理事会で協議の結果、請願第九七号外一件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、請願第三八六号外三件は、保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(田代富士男君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本件に関する証人喚問については、今期国会閉会後も理事会で協議し、日時を決定いたしたいと存じます。
 また、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十五分散会
     ―――――・―――――