第078回国会 運輸委員会 第7号
昭和五十一年十月二十八日(木曜日)
   午前十時三十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上林繁次郎君
    理 事
                岡本  悟君
                中村 太郎君
                瀬谷 英行君
                三木 忠雄君
    委 員
                木村 睦男君
                佐藤 信二君
                橘  直治君
                永野 嚴雄君
                福井  勇君
                宮崎 正雄君
                青木 薪次君
                加瀬  完君
                杉山善太郎君
               目黒今朝次郎君
                内藤  功君
                和田 春生君
                松岡 克由君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  石田 博英君
   政府委員
       経済企画庁長官
       官房参事官    朴木  正君
       大蔵省主計局次
       長        松下 康雄君
       運輸大臣官房審
       議官       真島  健君
       運輸省鉄道監督
       局長       住田 正二君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  杉浦 喬也君
       労働大臣官房審
       議官       関  英夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       宍倉 宗夫君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    矢澤富太郎君
       運輸省航空局飛
       行場部長     梶原  清君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
       日本国有鉄道常
       務理事      田口 通夫君
       日本国有鉄道常
       務理事      高橋 浩二君
       日本国有鉄道常
       務理事      篠原  治君
       日本国有鉄道常
       務理事      馬渡 一真君
       日本国有鉄道常
       務理事      吉武 秀夫君
   参考人
       鉄道弘済会専務
       理事       豊原廉次郎君
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  本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改
 正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七
 十八回国会衆議院送付)
○派遣委員の報告に関する件
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 当委員会は、去る二十五日、北海道に委員派遣を行い、いわゆる札幌地方公聴会を開会し、現地における意見を聴取してまいりました。
 つきましては、これより派遣委員の報告を聴取いたします。岡本君。
○岡本悟君 派遣委員の報告をいたします。
 去る十月二十五日、上林委員長、中村理事、瀬谷理事、三木理事、青木委員、内藤委員、和田委員及び松岡委員と私は、目下当委員会に付託されております国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の審査に資するため、札幌市共済サロンで開催されましたいわゆる地方公聴会に出席し、学識経験者など七名から、それぞれ本案に対する意見を聴取してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。
 まず、北海道副知事樫原泰明君の意見の概要を申し上げます。
 その論点の第一は、北海道がわが国の面積の約五分の一を占め、人口密度が稀薄であり、一次産品や大量輸送貨物が多いなど、客貨とも鉄道輸送が根幹的役割を果たしており、国鉄に対する道民の期待もきわめて大きく、したがって、今後、国鉄輸送力をさらに強化していただきたいということであります。
 その第二は、国鉄財政の現状、国鉄関連企業への影響等から見て、国鉄財政の健全化を図らねばならず、そのためには国鉄運賃は国民生活と生産活動に密接なかかわりを持つので、その引き上げ幅については最小限にとどめ、国鉄に対する財政援助の強化を図るとともに、国鉄の過去債務の処理については国が責任を持つなど、さらに積極的に対処していただきたいということであります。
 その第三は、北海道新幹線鉄道及び青函トンネルの建設促進について、北海道新幹線鉄道及び青函トンネルはわが国の骨格的交通体系の一環を形成するものであり、北海道の開発はもとより、わが国の発展に大きな役割りを果たすもので、その同時完成が最も効率的であると考えられること等から北海道新幹線の着工に配慮されたいとのことであります。
 次に、滝川市長吉岡清栄君の意見の概要を申し上げます。
 第一に、国鉄は法律上独立採算制による能率的な経営が行われ、その運営経費は利用者の応益負担が原則とされておりますから、過去の累積赤字は別として、毎年度の運営経費は、特別な場合を除き原則的には運賃収入によって賄われるべきものである。今回の約五〇%の運賃改定は、国民生活に影響はあるが、改定はやむを得ないことであり、当然の措置と思うということであります。
 第二に、膨大な累積赤字は、その原因の一つとして、国鉄運賃改定が公共料金の抑制等、国の政策などによって必要時期に改定できなかったことからも、改定システムの検討が今後の重要な課題であるということであります。
 第三に、累積赤字につきましては、今後の利用者の負担に帰すべきではなく、国の適切な措置が必要なこと、地方交通線に対する交付金については一層の配慮が必要なこと、地方交通線の存続整備を図ること及び通勤、通学割引等の制度を拡充するとともに、これを国の負担によって行うこと等であります。
 その他、函館−青森間の擬制運賃制度の廃止等について要望がありました。
 次に、浜頓別町長坂下尭君の意見の概要を申し上げます。
 最初に、本法律案の国民生活に及ぼす重要性から判断して、国民の意思確認が不十分であり、この地方公聴会も遅きに失するとの意見が述べられ、続いて、
 一、地方交通線の収支係数の大小のみを基準として合理化することは、北海道民の生活を無視するものであり、過疎化を深刻にするものである。特に地元、美幸線が赤字の代表格のように言われるのは当を得ていない。
 一、輸送体系について行政的計画の強化が必要である。
 一、国鉄の赤字解消は運賃負担によるべきではなく、特に累積赤字については、国の一般会計負担で解決するのが当然である。
 一、国鉄の公共的性格から考えて、最小限、基礎施設については国費負担とすべきである。
 一、地方自治体における今日の財政状態からでは、国鉄の施設あるいは経営について全く負担できる状態ではない等の意見が表明されました。
 次に、北海道青果輸出商業協同組合顧問村川嘉一君の意見の概要を申し上げます。
 第一の点としては、国鉄財政再建の基本についてでございますが、まず、国の積極的な財政援助、すなわち、今回実施されます国の諸施策に加え、設備投資面においても道路、港湾、空港等と同様の財政援助を行うこと、第二に、国鉄みずからの徹底した経営の合理化、輸送の効率化について一層の努力をすること、第三に、以上を前提として運賃の値上げによる応分の利用者負担という三本柱を組み合わせてゆくということでございます。
 第二の点としては、労働組合のストライキ等により列車運転を取りやめるようなことは排除して安定輸送の確保を図るとともに、物流近代化のため十分な設備投資を実施し、荷主サービスの向上を図るということでございます。
 第三の点としては、貨物運賃について遠距離逓減制を拡大し、空車回送方向について特別運賃を設定すること、また、青果物の貨物運賃に特別措置を講ずるようお願いするということであります。
 第四の点としては、運賃法定制について、適時適切に改定できるよう法定制を根本的に改めるとともに、わが国経済の発展に最も効率的かつ安定的な交通体系の形成にあらゆる努力を払われるよう強く要望するとのことでございました。
 次に、北海学園大学経済学部教授森本正夫君の意見の概要を申し上げます。
 まず国鉄は、その公共性や企業性の問題について、政策上の位置づけが不明確のまま、破産させることもできず放置されていた状態であって、今回の再建対策提案が、これまでの多くの論議があった経緯からすれば遅きに失したと思うが、従来の総論的な政治的論争的性格から脱し、責任ある意欲的な対応姿勢が見られるので、国鉄の長期的な再建への一歩であると信じて、運賃改正は賛成しがたいがやむを得ないものであるとの意見が述べられ、
 また、本法律案は、国民に責任ある経営体制の確立を示すことを求めると同時に、国鉄の公共性の自覚のもとに自主性、創造性ある経営改善計画が作成されるなど、国民へのサービスの向上を期待していること、あるいは政策上の課題としては、国鉄の運輸交通体系上の位置づけを明確にし、長期的視点に立脚した交通手段と、それらの連結網の合理的配置と調整した計画を早急に作成し、国民の協力を求めるべきであること、
 さらには、地方交通線について、公共性の観点から、住民の生活向上と地域産業発展のため投資は全額、経常的経費は二分の一の政府助成のような高度な政策判断による対策の確立を望みたい等の意見が述べられました。
 次に、北海道消団連代表幹事石川一美君の意見の概要を申し上げます。
 まず第一に、列車のダイヤと増結問題について、前回の値上げの際、峰延で事故が発生し、朝の通勤時の混雑に対処するため増結を要求したが、事故後にやっと一両の増結をしてもらった。このような要望は全道各地で起こっているが、町ぐるみで要求していかなければならない実情にあること。
 第二に、国鉄運賃の値上げが家計に及ぼす影響について、今回の値上げに伴い、本州に出かけている学生、出稼ぎ者の帰省に当たっての足の確保もできず、通勤、通学費が家計全収入の一〇%以上を占めるようになる。また、修学旅行も関西をやめて東京にも行けなくなるなど、子供の夢を奪い去ることになりかねない。さらには、他の物価へのはね返り、北海道価格引き上げの要因ともなること。
 第三に、国鉄の赤字宣伝に対する意見として、国鉄赤字の原因は、国が国鉄に独立採算制を押しつけ、政府は金を出さず、借金政策をしてきたこと。また、貨物の赤字を旅客に負担させていることにある。
 以上のような観点から、真に国鉄の再建を図るためには、国民と国鉄労働者の犠牲で切り抜けようとすることは認められず、税金を適切に使い、国が負担すべきものは負担する必要があり、合理化による再建ではなく、老人、子供も喜んで乗れるよう国が助成してほしいとの意見が述べられました。
 最後に、北海道民生活安定審議会委員辰田義太郎君の意見の概要を申し上げます。
 今回の国鉄運賃の値上げは、第一に、物価の上昇を促進し、特に北海道価格の上昇を見ること。第二に、他の輸送機関の運賃値上げが追随して行われること。第三に、運賃改正がそのまま収入増につながらないこと等から、このような大幅な運賃改正は国民の犠牲だけが大きいことを意味するものである。また、国鉄財政再建を図るためには、運賃値上げで対処するには限度がある。さらに大きな問題として、今回の値上げが実施されても、なおかつ大きな赤字が生まれる等の諸点から、国鉄再建対策を実効あらしめるために、
 一、過去の長期債務を全額国が肩がわりして、国鉄が新たな意欲をもって、再建に努力する体制をつくること。
 一、地方交通線の合理化によっても不可能と見られる赤字は国が負担すること。
 一、以上の対策を実施し、かつ、今後の経営努力をもってしても収支均衡しない部分は、運賃値上げによって賄うこと。等を提案し、あわせて労使関係の改善、輸送信頼度の向上、総合輸送体系の整備などの課題に取り組み、早期に国鉄経営の健全化を切望するとの意見が述べられました。
 以上、七名の公述人の意見の概要について報告いたしましたが、意見聴取の後、各委員との間に熱心な質疑が交わされ、地方公聴会が終了したことをお伝えして私の報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(上林繁次郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 松岡克由君の本案に対する質疑の際、鉄道弘済会専務理事の豊原廉次郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、出席日時の決定等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(上林繁次郎君) これより本案の質疑を行います。御質疑のある方は御発言願います。
○和田春生君 これまで相当長時間質疑が続けられておりまして、できるだけ各委員の質問されたこととの重複を避けたいとは思いますけれども、質疑のやりとりを伺っておりまして、どうも腑に落ちないといいますか、政府の方針、また国鉄当局にも混乱があるのではないかという気がしてなりません。特に私は本会議で質問をいたしました際に、今回の提案というものは、つぶさに検討してみた場合、従来に比して多少前進した内容を認めるにやぶさかではない。しかし、どの点についても不徹底で、しかも中途半端である。これでは机の上で数字のつじつまを合わせることはできても、国鉄の財政再建はとうていおぼつかないと考えている。で、原案どおりやったとしても、日ならずして挫折をして、根本的な手直しを迫られることは必至であると、こう考えるが、そういう点についていろいろお伺いをしたいという趣旨の質問をいたしました。これに対して、確かにいろいろ問題もあるんだと、しかし、当面はこの程度しかできないので、これでともかくやってみると、そういう点を一つ含んでほしいという率直な政府答弁があれば、これから質問することの大方は不要になるわけでありますけれども、三木総理は、二年間で国鉄の収支は均衡を図るという目的は達成できると、こういうふうに言い切って、私の質問に対してほとんどまともに答えておらないわけであります。
 そこで、最初に基本的な問題を少しお伺いをいたしたいと思うのですけれども、今度の提案の基礎になっている日本国有鉄道再建対策要綱、これは五十年十二月三十一日の閣議で了解をされているわけでございますが、その冒頭に「独立採算性を指向した自立経営を行うものとする。」、こういうふうに書いてあるわけです。この点をまず運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、「独立採算性を指向した自立経営」というのは具体的にどういうことを意味しているのかということであります。これに関連して、きのうの連合審査でも福田副総理は、独立採算制でいくのはあたりまえだと、こういう趣旨のことを委員の質問に対して答えられておるわけであります。独立採算性でやるというなら、それはそれではっきりわかるわけです。「独立採算性を指向した自立経営」というのは、一体国鉄という公共企業体をどういうふうに考えておるのか、具体的にこの内容はどういうことなのかということがどうもはっきりしない。その点をまずお伺いをしたい、こういうように思います。
○国務大臣(石田博英君) まず、独立採算性を指向するということは、独立採算制で全部をやるということとは違うわけであります。しかし、独立採算性というものを目指すのでありますから、大きな前提はやっぱり利用者負担ということになると思います。それから同時に、経営の側から申しますと、経営の合理化、あるいは予算の効率的な活用、あるいは、従来まで拘束されておりました、いろいろな独立採算制を実施するために障害になるような拘束の排除、それから、元来国鉄の負担にならない、負担すべき性格のものでないものを国鉄に押しつけられてきたものがたくさんございます。これは国鉄が健全な経営を続けてきた時代はそれで負担もできたでしょうけれども、今日の状態では、そういう部分については、これはやはりそれぞれ政策実施機関、部門が責任を負ってもらう。こういうことを含め、それから赤字分について政府が負担するということも含めますると、いわゆる独立採算制そのものではない。それをやっぱり指向していくんだということになるものと、こう考えております。
○和田春生君 当面国がいろいろ手助けをして、どうにもならなくなっている国鉄を何とか立ち直れるようにしていこうと、そうして、目標としては独立採算制でやらすんだというなら、それは一つのあり方としてわれわれは理解するわけです。しかし、いまの運輸大臣の御答弁を伺っておりますと、独立採算制そのものではないとおっしゃいました。そうすると、国鉄に対していまいろいろ挙げられましたけれども、政府もテコ入れをするが、独立採算制そのものではない。むしろここで言っている独立採算性を指向するということは、利用者負担ということを一番大きな柱にして国鉄の経営をしていくんだが、国鉄という企業体そのものに独立採算、その制度をとらせるという意味ではないのだと、こういうふうに理解していいわけですか。
○国務大臣(石田博英君) 独立採算性そのものを目指すならば、企業としての成り立ち得る条件が整ってなきゃならぬ。逆に申しますと、運賃コストを割った負担を政策的な意味で強いたり、いろいろそういうことが一方にあって、独立採算制そのものの実現を図るということは、これはむずかしいことであります。したがって、そういうものを排除していく過程においては、国が負担すべきもの、あるいは他の実施官庁が負担すべきもの、そういうものはこれはそちらに負担をしてもらって、また同時に、国鉄自身もそれこそ発想を転換し経営の改善、合理化を図ると。それから、いままでの制限されておるいろんな拘束を排除するというようなことをあわせて、そして独立採算性を目指すと、こういうことであると思います。特に地方線なんかの問題、あるいは貨物輸送の問題、これをにわかに独立採算性を現在のままの制度で目指すということはむずかしい問題でございますので、そういう点について国の援助というようなものは当然期待をしていくということでございます。
○和田春生君 その点について、昭和五十年の十月十七日、閣議了解の前に、日本国有鉄道諮問委員会から「国鉄再建のための提案」というものが出されていることは御承知だと思いますが、この委員会の委員になっている方々の顔ぶれを拝見いたしますと、恐らくこれは、国鉄問題に関してこれ以上の方を集めることは、もちろんこれに漏れている人もおるにしても、無理ではなかろうかというぐらいに大変りっぱな委員会がつくられている。この提案を私も拝見をして、これはこのとおりいくかいかぬかということについてはなお検討の余地があるにせよ、大変りっぱな提案だと考えているわけですね。もしいま運輸大臣のおっしゃるように、独立採算制そのものではないんだけれども、国鉄に負わせてはならないものを国が肩がわりするとか、そういういろんな手だてを講じていくんだという形になると、この「国鉄再建のための提案」というものを私は十分に生かしてしかるべきではないかと。しかし、この閣議決定では、せっかくこれだけのものをつくって、時間をかけておりながら、余り生かされていないように思うわけです。
 時間を節約するために、それが何だというような問い方ではなくて申し上げたいと思いますけれども、これはまず、国鉄というものを建て直すというときに、採算割れの路線をたくさん抱えている。第一点としては、国鉄は一切の公共負担から解放されるべきなんだと。もしも国家の側で何らか特定の場合、国鉄をして採算割れの輸送を行わしむる必要があると認めるならば、国家は国鉄にその損失を補償しろと。これは当然のことだと思いますね。そういうふうに言っている。
 そして、採算割れの路線となると話は複雑であるけれども、大体が国鉄が有機的なシステムと認めているもの、これについてはナショナルレールウエーとして全国をネットワークしているわけだから、それは国鉄の経営として考えていったらいいと。そういういわゆる幹線と認めているもの、ローカル線と認めているものの区分というものには問題があるけれども、ローカル線の運行を今後継続するかどうかということについて、国鉄としては経済的に見てお荷物をしようというわけにいかないんだと。したがって、それらの路線を取りはずすのか、続けるのか、終局的な処理は次の問題として、ローカル線から生まれる赤字について、その全額は国家が補償をする、国鉄の側からいけば国家補償を受けるべきだ、これが第二点になっていると思うんですね。これも当然のことだと思うんです。背負わすべからざる公共負担というものを国家に補償させる、そして収支のつじつまが合うようにするというのは、これは当然のことである。
 それから、六兆円に及ぶ借入金の利子負担が非常に莫大な金額になるけれども、これは非合理な条件のもとに置かれた結果としての債務なんだと。だから、これを国鉄が引き続き負担していくことは合理性は認められない。そこで、国鉄の借入金の中の幹線区のために投資されたものがあるわけであるから、その分は分離して国鉄の負担に残すにしても、残余の部分は国家がすべて肩がわりをしなければならぬじゃないかと。この三つというのが、つまり公共負担、ローカル線、既存の債務と、これについて合理的な原則が採用されることによって国鉄は大筋として合理的な財務的基盤が与えられることになるんだと。しかも、これはいわば基礎工事であって、この基礎工事がされなければどんなことをやったってだめですよと言い切っているわけです。これは再建案そのものではないと、これを解決することが国鉄を再建する基礎的な工事なんだ、こういうふうに指摘しているわけですね。その後にスト問題と、給与問題と、運賃問題というものもありますけれども、特に運賃問題では、そういう基礎工事ができれば、あとについては受益者負担の原則に立って決定して差し支えないことになる。これもまことに当然のことを言っているわけです。
 ところが、その基礎工事の三つについて、この閣議決定並びに今度出された提案というものはまことに不徹底である。たとえば、ローカル線の赤字にいたしましても、その補助というのはわずか百七十億円程度でございまして全然問題にならない。過去の債務負担に対しても中途半端である。そして運賃の引き上げだけは非常に大幅なものが前面に出てきていると。一体、こういう諮問委員会をつくって国鉄にこれは答申をしたわけですが、その事実を知りながら――私はこれはだれが見てもきわめて合理的な、国鉄再建の基礎工事としては最も初歩なことを言っていると。それをいいころかげんに値切って、そして「独立採算性を指向した自立経営」というような、わかったようなわからぬような言葉を使っているわけだ。どうしてこれを素直に受け入れなかったのか、その提案を素直に受け入れられなかった一番大きな理由は何かということをお伺いしたいと思う。
○政府委員(住田正二君) 諮問委員会の意見の当時は大臣おられなかったわけでございますので、諮問委員会の意見をどういうふうに評価して今回の再建対策要綱になったか、その関連について御説明申し上げたいと思います。
 諮問委員会の意見は、長い問いろいろ御議論いただいた上で国鉄の方に答申が出されたものでございますが、意見の中にはもちろん参考にすべきものは多々あると考えておるわけでございますけれども、私どもといたしまして、国鉄の赤字の大きな原因は、地方ローカル線と同時に貨物にもあるんではないかという意見を持っておるわけでございますが、残念ながら諮問委員会の御提案の中では貨物をどうしたらいいかということについて全く触れてないという点に、私どもはまあ疑問といいますか、物足りないものを持ったわけでございます。
 また、いま御指摘のございました地方ローカル線の問題については、私どもといたしましても、地方ローカル線の赤字が国鉄の経営の負担になっているということで、この点についての対策がぜひ必要であるという判断をいたしておったわけでございますけれども、その点についてはやはりいろいろ問題があるわけでございます。第一に、諮問委員会の中では、国鉄の責任ではなくて国の政策上必要な路線については国がめんどうを見ろという言い方をしておられるわけでございますが、一体、国鉄がやりたくない、まあ率直に言いまして廃止をしたい路線はどの範囲かということについて、諮問委員会からも、あるいは国鉄からも特別の明確な意思表示がなかったわけでございます。そのためにどういう範囲のものを対象にしたらいいかよくつかめなかったと。また、諮問委員会の意見では全額国が持てと言っておられるわけでございますけれども、ローカル線については当然地方の公共団体、あるいは地域の住民の方も相当の利便を受けておられるわけでございまして、現在中小私鉄について私どもでやっております運営費補助と同じように、やはり地方公共団体も当然負担をしていいんではないかというように私どもは考えているわけでございまして、そういう点を含めましていろいろ検討をいたしたわけでございますけれども、最終段階では地方交通線をどうしたらいいかという方針が決まらなかったために、暫定的に運営費の一部を補助するということで、来年度予算までに地方交通線についての基本的な対策を決めて来年の予算編成に計上いたしたいということで現在運輸政策審議会にいろいろ御意見を伺っているわけでございまして、私どもといたしましても、地方交通線については何とか解決策を見出さないと、将来の国鉄の経営の負担になり圧迫になるという認識はいたしているわけでございます。
 また、国鉄の持っております長期借入金約六兆八千億あるわけでございますが、それについて全額たな上げしろという御意見があるわけでございます。しかし、その点については、これまで大臣からも御答弁申し上げているわけでございますが、国鉄の借入金というのは全部一応資産をつくるという前提で借り入れをしているわけでございます。今回私どもの考え方は、累積赤字についてこれを将来の利用者に負担させることは適当ではないのではないかということで、累積赤字にかかわる債務については国が肩がわりをいたしたわけでございますけれども、現在国鉄の資産として残っておる債務については将来の利用者に負担していただいていいんじゃないかということで、諮問委員会の全額というような御提案は受け入れることができなかったわけでございます。仮に全額債務をたな上げいたしますと、赤字を解消した上でなお約四兆円以上の資本金といいますか、債務免除益が出るわけでございまして、実際に国鉄の資本金が約五兆四、五千億という大きな資本金になるわけでございまして、国鉄の資本金を五兆円以上にしなきゃならぬというような合理的な理由も見出せなかったというようなことでございますので、先ほど来申し上げましたように累積赤字に相当する債務は国が負担する、それ以外の債務については将来の利用者に負担していただくという措置をとったわけでございます。
○和田春生君 企業経営というものを前提に置いて考えた場合に、いまの鉄監局長の御答弁は答弁になってないんですね。少なくとも独立採算制そのものではないが、この書いてあるように、都市間の旅客輸送、大都市圏の旅客輸送、中長距離・大量貨物輸送と、これで重点的に国鉄は役割りを果たすが、同時にその本来の使命から見て、これら以外の分野をも含めた全体について独立採算性を指向したと、こうなっているわけですね。そうすると、ローカル線なんかもある程度抱えさせると、それは国鉄という経営から見れば、本来採算に全然乗らない、採算割れのお荷物なんですから、そういうものを国鉄に背負わせるんならそれは全部国家が補償しろと、これを言っているわけです。当然でしょう、それは。成り立っていかないことがわかり切っているものを国鉄に押しつけるんだからその分については全額を国家が補償してしかるべきではないかと。合理性を求めればそれは当然なんで、そのお荷物を外せと、こう言っているわけです。
 それから国鉄というのは有機的なシステムなんだから、私鉄のように特定な、もうかりそうな、将来の開発利益も上がりそうなところだけを単線で経営するんじゃなくて、全国をネットワークしているから、もともとその線だけをとれば赤字になることがわかっておっても全国をネットワークする国鉄としては必要な部分、そういうものに投資されたものというのは国鉄に残しておいてもいいけれども、それ以外の初めから赤字ということがわかっておって、いろいろ政治家の圧力やら地元の何やらでもうだめなことがわかり切っているものをつくっていると、そういうようなものに対してどんどん投資をしてきて、初めからもうつじつまが合わぬことがわかり切っている投資があるじゃないか、そういうものは全部国が押しつけたんだから国が肩がわりしろと、こう言っているわけでしょう。そういう合理的なことをやらぬことには、それが再建の条件じゃなくて、再建をするための基礎的条件づくりなんで、それが行われなければ何をやってもだめなんだということを言っているんです。私はそのとおりだと思うんです。
 独立採算制ということを全然考えずに、赤字が出たら、国鉄の責任において出した赤字は別ですけれども、それは全部国家がしょうんだ、あるいは地方自治体に持たせるんだ、こういうことならまた話は別なんですが、少なくとも企業体として見ていくという形、しかも自立経営を目指すんだと、こう言っているんですから、そうなれば当然ここで指摘されていることは議論の余地のない当然のことなんだ。なぜそれを不徹底にしたのか。
 貨物のことに触れていないとおっしゃっていますけれども、そういう基礎的な条件をつくれば、後は企業体としての合理的な基盤に立つんだから独立採算制という立場に立って運賃については受益者負担の原則でやればいいじゃないかと、こう言っているわけです。高過ぎりゃお客さんが利用しないだけのことなんですね。そうして、国鉄を利用した方がプラスになると考える企業があれば、大臣も何度か言われていたけれども、取れるところから取ったらいいわけですから、それをやればいいわけですね。しかし、本来国鉄に背負わしてはいけないものを背負わしたらいかぬじゃないか。貨物だってそうだと思いますね。地域開発のために本来それは採算がとれないんだけれどもレールを敷いてその物資を輸送してやるんだ、だから、国鉄がやれと言えばこれは当然国鉄の経営という見地から見ればお荷物な公共負担になるわけだから、その点は貨物も含めてみたって当然じゃないでしょうか。
 だから、貨物のことに触れていないんじゃないんです。貨物、旅客を区別せずに、国鉄の合理的な経営基盤に乗らない公共負担というものは補償しろと、そうしなければ国鉄やっていけぬじゃないか、だれが考えてもあたりまえのことでしょう。どうしてそれを聞かなかったのかということを私は質問しているんです。あれこれ言っているわけじゃない。
○国務大臣(石田博英君) 私もこの「国鉄再建のための提案」というものを就任早々読みまして、もっともな提案だと思います。いま和田さんの御意見のように感じます。で、ただ、それが全然生かされていないかというとそうではなくて、議論の余地はございますが、二兆五千四百億の赤字分の大部分を政府が肩がわりする、それから二千億を超える赤字に対して、スズメの涙ぐらいじゃないかと言われますが、百七十二億という補助も今回初めてついたわけでございます。で、そういう意味で、この意見書の中に含まれております構想というものが、まあ程度から言えばこれは問題がありましょうけれども、私は前進を見せておる、これを土台として、足がかりとして広げていきたい、こう私どもは考えているわけであります。
 で、資産として見られる部分の、残されておる部分のものについても、いまここの中にも指摘されておるように、やっぱり二通り資産があると思うんです。それはバランスをとれるだけの収益を上げられる資産もあれば、むしろその資産をもってそれを運用するためにかえって赤字になっていく、こういうことになれば、一応は資産かもしれませんけれども、企業経営の上から言えばこれはお荷物のような資産になると、そういうようなものについて第二段階で努力をしていくべきものじゃないかと思っております。また、昨年度のわが国の財政の置かれておった事情というようなものをも勘案をいたしまして、一言に言えば、欲を言えばもっと言いたいところでございますけれども、一応の前進を見せたものだと、こう考えている次第でございます。
○和田春生君 ですから、質問の最初に申し上げたように、従来に比べて一応その前進した内容があるということは認めるにやぶさかでないと私は言っているんです。何もやっておらぬと言ってないんです。しかし、中途半端で不徹底だから、結局こういうことでは国鉄の再建はできないんじゃないか、日ならずしてこれはもう挫折をして、根本的な手直しを迫られることになると、こういうふうに私たちは考えているわけですね。しかし、二年間でやるんだとおっしゃるわけです。運輸大臣はこれを足がかりとしてやるという形になると、五十一年、五十二年度でともかく問題を解決しようというわけですから、今年度不徹底になった分は五十二年度の予算で相当大きく見ていかなくちゃいかぬことになる。すでにもう十月も終わりであります。普通ならもう予算編成が非常に大詰めといいますか、山にかかっているころではないかと。もちろん年末に最終的に決められるわけですが、じゃ、もう五十一年度は半分以上過ぎているわけですから、五十二年度予算でこの趣旨に沿ったことをおやりになるということをはっきりお約束できますか。
○国務大臣(石田博英君) 財政事情もあり、従来の行きがかりもありますので、一遍にできるということはお約束はできませんが、最善を尽くしてこの趣旨の方向へ向けて努力をしたい、こう考えております。
○和田春生君 これはまた五十二年度の予算審議その他の際に、最善を尽くされたかどうかということは判断をすることになるわけでありますけれども、しかし、それにいたしましても、いろんな面で不徹底なために運賃に不当にそのしわ寄せをしているわけでありますけれども、一体この案で本当に再建ができるのかどうか、こういうことについて今度は具体的にひとつ数字を挙げながらお伺いをいたしたいと思うんですけれども、まず、今回では運賃の値上げによる赤字補てんということが一番大幅でありまして、国鉄のパンフレットによりますと、今回の運賃を改定してもなお不足金が五千億円出るんだという、こういうパンフレットが大量にばらまかれているわけでありますが、しかも、その運賃の改定増収分としては五千三百億円を見込んでいるわけでありますから非常に大幅なんです。
 そこでお伺いしたいんですが、これは鉄監局長でよろしいですけれども、今度の再建計画の一番大きな柱は運賃の改定だ、この運賃改定が狂うと今回提案した再建計画は御破算になるんだ、そういう意味のこともいままで、そのとおりの表現ではないけれども、しばしば質疑の中でおっしゃっておったようですけれども、そう受け取ってよろしいですか。
○政府委員(住田正二君) 今回の再建では、従来とも同じでございますけれども、やはり一応国鉄の経営というものは利用者負担の原則に立つという考え方で、必要な経費の全部ではないわけでございますけれども、本年度は人件費と物件費程度を賄うということで五〇%の運賃値上げをお願いいたしておるわけでございますが、すでに五カ月余り運賃法の成立がおくれておりますのでその影響は出ておりますが、今後いろいろ工夫いたしまして、この一連のおくれについては何とか対策を講じたいと考えているわけでございます。
○和田春生君 そういうことではなくて、それはこれから順次聞いていきますよ。今度の再建計画の一番大きな柱は運賃改定なんだ、だから、この運賃の改定というものが狂うと――実施がおくれた分については後から聞きますから――これはもう御破算になる、そう受け取っていいですね。
○国務大臣(石田博英君) もう一つの柱がやっぱり累積赤字分の国庫負担、利子負担でありますから、その二つ。これが御破算になれば、両方合わせると、それこそ再建どころでない騒ぎになります。
○和田春生君 そこで、今度は運賃の問題ですが、出された資料、政府の説明によっても運賃改定は名目で五〇%アップ、実質で三七%増収、こういうふうに予算書に書かれておりますね。この名目で五〇%アップするにかかわらず三七%の実質の増収にとどまるということは、この運賃値上げによって輸送量がある程度落ち込むと、こういうことを見込んでいらっしゃるわけですね。
○政府委員(住田正二君) そのとおりでございます。
○和田春生君 その運賃弾性値はどれだけに見込んでおりますか。
○説明員(田口通夫君) 具体的に申し上げますと、改定前の旅客が、人キロで申し上げますと、もし五十一年度運賃改定がなかったとすれば五十年度からどれぐらいの姿で伸びていくであろうという想定をいたしましたのが二千二百七億人キロでございます。で、改定後、名目五〇%の値上げをいたしまして落ち込みます、落ち込んだ姿の輸送量が、平年度で申し上げますが二千十三億人キロでございます。旅客の場合は低減率は九%でございます。
 それから貨物の場合を申し上げますと、やはり五十一年度運賃値上げなかりせばどれぐらいの輸送量かということを想定いたしましたのが五百十六億トンキロでございます。それに対しまして、名目五二%の運賃値上げをいたしますと四百六十億トンキロでございまして、低減率は一〇・八%でございます。
○和田春生君 そうすると、大体旅客、貨物ともに、運賃値上げがなかったとした場合に比べて約一割落ち込む、それが前提になって実収三七%、こういうふうに言われたわけですが、そうすると、その推定輸送量に名目平均五〇%の運賃アップを掛けたというのが五十一年度の運輸収入の予算数字になっている、こう理解してよろしいですか。
○説明員(田口通夫君) 少し事務的になって申しわけございませんが、四十九年度十月から運賃改定を旅客、貨物ともいたしたわけでございますけれども、その場合の手法を用いまして――と申しますのは、そのときにもし運賃改定なかりせば、十月から以降の半年分は人キロなりトンキロはどういうふうに伸びるであろうという想定をいたしまして、実績をとりまして、そこで運賃弾性値というものをはじきまして――と申しますのは、名目改定率分の低減率というもので一定の方向を意味づけます運賃弾性値をとりまして、これを固定いたしまして、その弾性値を使いまして今度の実収率をはじき出したわけでございまして、名目改定率が多くなりますと低減率も多くなるという意味で運賃弾性値を固定さしたわけでございまして、今回の場合は所要の改定前の人キロに対しまして、旅客で例を申し上げますと、それに対して名目運賃改定率を掛けまして、それから低減率で金額を出しまして実収率を出した、こういう計算をいたしております。
○和田春生君 そのとおりだと思うんですね。そうすると、この五十一年度の予算で出している運輸収入、これは旅客、貨物を含めまして二兆三千五十六億円、この数字に間違いございませんね。
○説明員(馬渡一真君) 間違いございません。
○和田春生君 そうすると、ことしの八月、国鉄の監査報告書が出されておりますが、それによると五十年度の運輸収入は一兆五千五百六十七億となっておりますね。これは間違いございませんか。
○説明員(馬渡一真君) 間違いございません。
○和田春生君 そうすると、その一兆五千五百六十七億に対して五十一年度の予算は二兆三千五十六億円ですね。何%アップになりますか。――時間がかかるようだから、ぼくが計算したやつを申し上げますよ。四八・一%アップですよ。間違いないですね、これは。単純な計算ですから。
 さて、そこでだ。さっきからぼくが念を押しているのはそこを言っているんですけれども、あなたの言ったことと重大な食い違いがありますね。いいですか、五十年度の実績の運輸収入というのは一兆五千五百六十七億円、そうすると四八・一%それよりふえた二兆三千五十六億円の運輸収入を見込んでいるわけですから、減る余地がない。五十年度で輸送した実績と、運賃を上げても全く旅客、貨物ともにとんとんでいくという前提にならなければこの数字は出てこない、その点はどうですか。
○説明員(田口通夫君) いま御指摘のは、私よく理解できないんでございますけれども、五十年度の要するに輸送量と違いまして、私どもの出しましたのは五十年度から五十一年度に対しましてどれぐらい伸びたかという人キロとトンキロを出したわけです。そのあるべき姿の五十一年度の運賃値上げなかりせばこれぐらいのものがあると。しかし、運賃値上げをすることによってこれだけの逓減率でこれだけの実収率に落ちつくと、こういう形でございまして、五十年度そのものとは関係のない計算をいたしております。
○和田春生君 いんちき言っちゃいけませんよ。五十年度の予算に対してちょうど三七%アップになっているんだよ、運輸収入は。計算してごらんなさい、ね。だからこれを、前国会に、通常国会で出したときにはまだ五十年度の実績というものは出ていない。いいですか、だから、一応五十年度の予算というものを前提にして組み立てたと、それは当然あり得ることだと思うんです。それに対して五〇%ではなくて三七%のアップ率にして二兆三千五十六億円という数字が出ているんでしょう。計算してごらんなさい、そうなりますよ。
○説明員(馬渡一真君) 具体的な数字ちょっと計算いたしておりませんが、先生のおっしゃるような形になるわけでございます。
○説明員(高木文雄君) 要素三つあると思います。一番大きな要素は、いまおっしゃった五十一年度予算を編成するときに見込んでおった五十年度の収入見込み、これが決算をした場合に落ちました。いろんな要素がございましたけれども、一つは、昨年の十一月から運賃でなくて料金部分の改定が行われましたけれども、料金部分の改定による増収見込みが多少落ちたということもございますし、それからまあ長期のストがありまして収入が減った部分もございます。そういうことがありまして、とにかく五十一年度予算を編成するときに、五十年度は幾ら収入があるだろうかと見込んだ数字が落ちたからだという点で、いま和田委員の御指摘の点が非常に大きな要素になっております。
 そのほかにもう一つの問題は、結果的にちょうど予算と予算と比べて三十幾つというふうにいま計算したとおっしゃいますが、そういう意味から言うとマイナーなポイントになるかと思いますけれども、去年の十一月から料金改定が行われましたから、その平年度化の計算が一つ入ってくるわけでございます。五十年度の予算のときにはある程度それは見込まれておりますけれども、それは大体下期分といいますか、半年分だけでございますので、それがひとつ平年化することによって運賃改定がなくても収入がふえるという部分が一つございます。その二つの要素が主たるものでございます。ちょっと計算上いま申しわけございませんですが、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
○和田春生君 そういたしますと、五十年度の実績における運輸収入という金額はすでに確定した金額が出ているわけですね。確かに総裁の御指摘のように、急行料金その他を引き上げたと、それが平年度化してくるからその増収があるということはわかりますけれども、少なくともこの五十一年度の予算で計上されておるところの二兆三千五十六億円と、こういうものを確保するという形になれば、五十年度の運輸収入に対して四八・一%の増収でなければこの予算数字というものは達成できない。これは間違いない事実だと思うんですが、いかがですか。
○説明員(馬渡一真君) 五十年度の決算で確定いたしました収入対予算の数字、五十一年度予算の数字で言えばそのとおりでございます。
○和田春生君 で、仮にこの五十年度の実績に三七%掛けて数字をはじいて、そして二兆三千五十六億円と差額を計算をすると千七百三十億円という形になります。千七百三十億円。これは、じゃどういう構成になってこれだけふえると見ているわけですか。
○説明員(高木文雄君) いまはそれほど落ちるとは見ておりません。その理由は、いまおっしゃっておりますように、去年の実績にいきなり三七を掛けないで、去年の実績にプラス平年度化分を乗っけて掛けていただかないと、この見当が出ないわけでございます。いまのところは、大体この四月以来の様子を見ておりますと、私どもの見当では、どうも狂ってきそうだという部分が五、六百億円から千億円弱くらいの範囲内であるかなと思っていま大変心配をしている数字はその辺の数字でございます。
○和田春生君 いま国鉄総裁、実績から見てどれぐらい狂ってくるだろうかと心配していらっしゃるということでございますが、そうなると、これは五十一年、五十二年度へかけて再建をすると、その再建の前半、第一年度なんですね。この運賃収入というものが再建の柱であると。すでに五十一年度は四月から九月までの上半期分は済んでいるわけですね。それとですよ、この運賃値上げの前提となっている五十一年度の収支予算として、いまこの国会に継続審議になってかかっているものの内容と、それとどれぐらいの食い違いが前半期でありますか、この運賃の値上げのずれというものがありますけれども、その数字はどれくらいですか。
○説明員(馬渡一真君) ただいまの時点で、実はまだ精算された姿で上期がわかっておりません。速報の姿で年度を一応推定いたしますと、約三百億円ぐらいの減収になろうかというぐらいに想定をいたしております。そのうちほぼ九割ぐらいが旅客でございまして、残りが貨物というふうに見ております。年度を通しての数字でございます。
○和田春生君 三百億円程度の落ち込みだと、予算に比べてですか。ずいぶん少ないじゃないですか。それなら万々歳じゃないですか。もう心配することないや。
○説明員(馬渡一真君) ただいまのは運賃改定のおくれを抜かしまして、大変申しわけございませんが、ただいまのベースで行った場合の金額で年度を想定した数字を申し上げました。実はそのほかに、ただいま十月までの分の減収見込み額二千六百五十億円というのがございますが、それにさらに三百億ぐらいというふうにお考え願いたいと思います。ただ、月別のそれぞれの収入目標というのがなかなか的確に割り振りがたい面がございますので、いずれもおおむね推定をいたした数字でございます。
○和田春生君 そうすると、先ほど総裁がお答えになったようにだ、特急料金、その他のいわゆる料金の改定というのは、ことしの四月からはもうすでに平年度化している。いいですか、それが平年度化しているにもかかわらず、速報ですからはっきりした数字ではないけれども、運賃改定のおくれの分を除いても三百億程度減じているというわけですから、もし運賃を値上げをして、先ほど御説明になったような形で一割見当落ち込むという形になると、それはさらに大きな差額になってくるでしょう。そうは思いませんか。
○説明員(田口通夫君) それを計算いたしましたので、少し御説明を申し上げます。
 四月から八月の実績が、旅客では輸送人員、人キロで申し上げますと、五十一年度の四月から八月の実績が輸送人員が三十億五千六百万人。人キロが九百三十二億人キロ。これをそのまま、その実績を引き伸ばすといたしますと、年度末には二千百八十二億人キロという形になりまして、金額として約百六十五億ぐらいのショートを見込まれますが、台風十七号等がございまして、すでに金額的には百二十億の減収になっておりますので、合計いたしますと約二百八、九十億の旅客においては現在減収になっております。
 それに対しまして、一方貨物でございますけれども、貨物は当初、先ほど申し上げましたように、もし運賃値上げがなかりせばあったであろうという五百十六億トンキロを今年度の実績に合わしてトン数で申し上げますと、これは百五十六億トンということになりますが、その後荷主といろいろと折衝いたしまして、五二%運賃値上げをした場合にどういう姿で落ちつくであろうかという勉強をいたしました。
 その場合に、まず前提の当初予算の一億五千六百万トンを、今年度の見込みとしては一億四千五百万トンという見込みで貨物は立てまして、それからさらに、運賃値上げの分がダウンいたしますので、その分を一〇・八%といたしますと、一億四千五百トンの一〇・八%ですから千五百万トン、こういう形で、当初一億五千六百万トンに対して実際は一億三千九百万トンでございましたが、一億四千五百万トンに対して一億三千万トンという考え方をいたしております。しかしながら、先ほど申しましたように、いろいろの荷主さんと個々別々に折衝いたしまして、運賃及び料金の制度の弾力的活用をいたしますれば、落ち込み先が一億三千六百万トンに抑えられる。したがいまして、当初の予算よりは三百万トン減で抑えられるという確信を最近持つに至っておりまして、これの大体減収が三十億。先ほど申し上げました旅客の分と合わせますと大体三百億程度ぐらいになるんじゃないかという感じをいたしております。
○和田春生君 まあ、貨物も赤字の部分を構成をしているわけですけれども、金額的に言うと、国鉄の収入の大宗は旅客運賃なんですね。いまお聞きしたところでも明らかなように、先ほどの説明によれば、運賃の改定なかりせばと、そのときの輸送の見込みというものは二千二百七億人キロとおっしゃいましたね。それが五〇%アップによって二千十三億人キロと、こうなる。ところが、いまあなたの御説明によると、運賃改定がしていないにもかかわらず、このベースでいったとして二千百八十二億人キロだと、こう言っていますね。すでに落ち込んでいるわけだ。これに五〇%アップをされて九%落ち込むという形になると、予算の数字とどれだけ狂いますか。
○説明員(田口通夫君) 約五、六百億になると思います。
○和田春生君 したがって、すでにある程度希望的観測を入れてやっている状況においてもそれだけの差が出ているわけですね。
 で、私が言いたいことは、当初この再建計画を立てて五十年度実績がはっきりしないというときに、五十年度予算というもの、あるいはそれまでにわかっている実績というものを一つのめどにして予算を編成するということはあってしかるべきだと考えているわけです。しかし、継続審議とはいえ、すでにこの事態になれば五十年度実績というものが明らかになった、しかも、五十一年度も半分経過してきたと、当然それに沿って予算の数字というのは修正されてしかるべきだと思う。そのまま出しているというのは横着じゃないですか。運賃が再建の柱なんだと、これが崩れたらどうにもならぬと、そして、その運賃値上げ実施のおくれによって二千六百五十億円ほどの得べかりし収入の損失があったと、工事費で二千九十億円削るんだと、物件費、人件費で五百六十億節約するんだと、そして、この二千六百五十億は埋め合わせるんだと、その結果質疑で言われたように、本当はやらなくちゃならぬ工事をカットすると、あるいは列車も減らすと、旅客に対するサービスも落とすと、安全その他についても、もうぎりぎり以下にやっていると、そういうことが盛んに言われて、そのしわ寄せは利用者の方にいっているわけだ。しかし、それはつじつまが合わぬので、何とかして二千六百五十億を埋め合わせるためにそういうことをやっているわけなんだ。
 さらにそれに加えて、いまお話しの数字というものは、比較的希望的な観測ですが、私はそういうこまかい弾性値、ないしは実績の推移という数字を持っておりませんけれども、ざっと私の概算によると、恐らく千六百億ないし千七百億円この予算よりも減るんではないかという、そういう一応の計算をしているんです。そんな減りませんか。
○説明員(馬渡一真君) 私どもとしては、いま先生のおっしゃったようなかっこうにはならない、むしろこれからまあ年度後半、あと半年もあるわけでございまして、その間の増収努力を重ねてまいりたいということでございます。
○和田春生君 増収努力を重ねたいというのは希望的観測で、サービスが悪くなって運賃が上がればやめたといって国鉄離れができることは明らかな事実であって、弾性値もこれは一つの予測で、国鉄当局、政府当局も認めておるわけでしょう。
 そうすると、もう一遍重ねて聞きますけれども、運賃値上げ実施がおくれた分以外に、見込み違いで減る分は幾らですか。確定しておきましょう、来年の予算審議のときにはっきりわかってくるわけだから。どっちの言うことが本当か。
○説明員(馬渡一真君) 私が最初申し上げました三百億円と申しますのは、確かにこれまでの分から推定をいたしました分と、希望的な観測を含めた分という点が含まれておりますけれども、先ほど申しましたように、増収努力を重ねてまいるというつもりでもおりますので、三百億円というものを一応目標にがんばりたいということでございます。
○説明員(高木文雄君) いまの点は非常に重要な点でございますが、実は私、三月に参りましてから、大体毎旬その収入実績報告を見ておるわけでございます。それで、初め年間を通じて予想しておりました見込みに比べますと、まさに御指摘の中心である旅客について、思ったほどの収入になっておりません。それで、非常に不幸にして、どうも気のせいか知りませんが、たとえばゴールデンウィークの時期だとか、そういう時期に非常に雨が降ったり天候が悪かったりということが続きまして、またこの夏も、御存じのように七月の末ぐらいまで非常に涼しいシーズンが続きましたもんですから、毎年に比べてお客さんの乗り込みが少ないわけでございます。それをそのまま実績で伸ばしていきますと、いま常務の方から説明しました数字よりも大きい数字が出てきます。
 しかし、そう一年じゅうを通じて異常気象といいますか、そういうことで予測をするのはまた少しオーバーに下向き過ぎるという観点から言いますと、いろいろな努力も加えて三百億ぐらいにおさめることができるのじゃないかということの見方も一つございます。私が申しました先ほどの、どうもそれではなかなかおさまりにくいんじゃないかという感じも私自身は実は持っておりますので、計算とは別に私自身の直感といいますか、感じを申し上げたわけでございますけれども、そのあたりのところは率直に申しまして、改定が行われませんでも、思うほどはいま収入がないと、お客さん少ないという事態が起こってきておるわけでございまして、それは深刻に心配をいたしておるわけでございます。
○和田春生君 総裁のは大変率直な御答弁だと思うんですけれども、私が先ほど来このことを執拗に問題にしているのは、運賃の値上げがおくれたと、それで二千六百五十億円ほど穴があいたと、大変だと。工事費まで全部削減をすると言っている。ところが、それ以前に、すでにこの予算の運輸収入というものが実現する可能性というものは失われている。その差額が三百億にとどまるのか、五百億になるのか、私の言うように千五、六百億になるのか、これからのことですけれども、やはり経営の見通しとして、それならば、いま希望的観測でいけば三百億だけれども、もっとふえるかもわからぬと言うが、まずくいった場合のマキシマムの落ち込みはどれぐらいと一応見当をつけていらっしゃいますか。
○説明員(高木文雄君) まずくいきますと、やはり先生のおっしゃるようなことにはならぬと思いますけれども、非常にまずくいけば、七、八百億から千億に近い数字になる可能性を持っております。これはその原因をいろいろ調べさしておりますけれども、国鉄離れなのか、全体としての何といいますか、実質所得の落ち込みとか、そういうこととの関係で一般的にレジャー支出的なものが減っているのか、その辺のところがはっきりいたしませんので、今後の世の中の基調が変わってくれば変わってくることなのか、率直に申しまして、私はいま読み切れない状態で弱っておるわけでございます。
○和田春生君 結局、そういう形でうまくいったとしても、かなりの落ち込みですから、三百億、五百億というのは大変な金ですね。いまでさえも、もう工事費はほとんど削っちまってますから、もう削る余地は全然ないわけです。
 今度は、それじゃ支出の方で主として人件費は、いまこの運賃値上げ法案等との絡みで仲裁裁定の完全実施というのはまだ行われておりませんけれども、仲裁裁定どおり完全に実施をしたとした場合に、予算の数字と、その結果との支出におけるプラス、マイナス増減は幾らになりますか。これは常務理事で結構です。
○説明員(馬渡一真君) 予算の中にベースアップ分としては五%分一応見込まれております。で、なお定昇分が二・二%分入っておりますので、ただいまの予算の人件費から今回のベースアップを完全に実施いたしました場合の差額としては、約二百億ぐらい人件費分としては直接は不足をするかっこうになりますけれども、一方で、いままでこれは慣例でございまして、そうするという意味ではございませんが、予備費の金額が今年度四百億ございますが、これまでの予備費の使い方で申しますと、約百億が災害のために使われまして、残りがベースアップの改定に使ってまいりましたのが慣例でございます。そういう点から申しますと、四百億という予備費の金額の中に入り得る数字だというふうに思っております。
○和田春生君 いまのは重大な答弁ですよ。そうでしょう。四百億の予備費の中に二百億狂ってもはいれるから仲裁裁定は実施をすると。それは労働者の基本的な待遇の問題ですから、実施することは私は結構で、ぜひ実施してもらわなければならぬと考えておるわけです。しかし総裁、国鉄の経営という点からいけば、結局支出がそれだけ予定費よりもふえることは明らかなんです。一方では工事費まで削減をして、もう何か特急の石けんも出さない、シートの洗たくもやらない、電気も消すんだ、保線の工事なんかも差し控えるんだ、車両の間引きもやるんだと大宣伝をやっているわけですね。一体つじつまが合わないことになるんじゃないですか。二百億円予算よりもふえても予備費の中でおさまるんですと、その点はどうなんですか。
○説明員(高木文雄君) 予備費は四百億ございますけれども、いまの災害復旧費にそれを充てなければなりませんし、それからいま説明しました人件費に充てなければなりませんし、ほかに、たとえば電気料金の改定というもの、動力費の増加というようなことがございまして、ことしの場合には予備費を全部きりきりたたき出すというような結果になろうかと思っております。
○和田春生君 次にお聞きしようと思ったのですが、電力料金が改定になりますからその分がずっと、現在国鉄の動力としては電気料金が一番大幅に占めているわけですが、一体それがどれぐらいふえていくだろうか。そうしますと、事業費の中で人件費、物件費、そういうものをひっくるめまして公団借料、市町村納付金というのは大した金額でもございませんし、これはそういう影響を受けるものではありませんけれども、一体予算よりも支出全体としてどれぐらいふくらむというふうにお考えですか。これは常務理事で結構です。
○説明員(高木文雄君) 予算の中で予備費を除きまして、支出項目の決まっているものをちょっとのけまして、それでいまの大きな項目としては三項目でございます。災害と電力料金と、それから人件費でございます。それをはたき出しまして、あとは片一方、既定予算の中で五百億ほどこの春以来節約計画を立っておりますので、その分を減らして、どうにかその中で回していくと、つまり、たとえば歳出予算の改定をお願いしなくとも何とか回していくということで今日までやってきたわけでございますが、それについては、非常にいろいろのサービスダウンを伴うような節減まで織り込んでどうにかやっていくという形になっております。
○和田春生君 いままでの私たちが聞いておる節約その他については、これはもっぱら収入減、運賃実施のおくれによる二千六百五十億の対策であると、もうこれがぎりぎりであると、こういうことが強調をされてきたわけですね。それが新聞、マスコミを通じて一般国民にも広く出されて、国鉄はもう大変なんだと、こういうふうに言ってきておるわけですけれども、そのほかに、じゃ、そういう人件費のはみ出す部分、動力費のはみ出す部分、物件費等を含めて事業費が予算よりもふくれ上がる分については、節約によって他の部門に吸収する余地があると、したがって、その点には心配は要らぬのだと、こういうふうに伺っていいわけですか。
○説明員(高木文雄君) その予備費の四百億は、いまの立て方では、それが使われることを前提にしてそういう組み立てになっておりますので、その分は使われましても、いま審議をお願いしております前提の損益金額には響いてこないわけでございますが、そのほかに、先ほど来細かく御指摘がございましたように、収入の減がどうしても生ずるだろうというふうに考えられますので、その部分はやはり損益の方に響いていくということでございます。
 で、その点はいささか改定のおくれを強調し過ぎたきらいはございますけれども、実は六月、七月、八月という経過におきまして、先ほど来も申しておりますように、そのベースになる部分の見込み違いというものが、どうも夏の非常に多客期間の期待に反しましたとか、それから九月の段階で台風のために、悪いところでは十日以上列車、電車がとまりましたということで、そういった事態はごく最近になって起こってまいったわけでございます。さらにまた、何といいますか、世の中を余り騒がしてもいかぬということで、また、そこはさっきからの答弁の食い違いでお気づきのように、何とか取り戻したいという気持ちを持っているという関係もありまして、余りいままで強調して対外的には御説明していないということでございます。
○和田春生君 運輸大臣、ちょっとお伺いいたしますけれども、結局、私はいまの審議している時点に立っていろいろ伺っているわけですけれども、本会議の答弁において三木さんは、五十一年、五十二年度りっぱに達成できると言い切られた。私は、中途半端な面もあるし、これはぐあいが悪いんじゃないかということでお伺いをした。しかし、すでにこの質疑の中で明らかなように、国鉄当局自身がかなり希望的な観測、ないしは努力が実るであろうということを前提にして、なおかつ予算の数字よりも落ち込むわけでありますから、運賃収入の実施がおくれたことによる二千六百五十億にとどまらないと。まあうんとうまくいったと仮定しても、すでにその面では、収支いろいろつじつま合わせて計算をしても三千億円を超す予定収入がマイナスになる。下手をすると三千五、六百億円になるかもわからぬということが明らかになってきたわけですね。そうすると、もうそのことでこの再建計画は壊れているんじゃないでしょうか。
○政府委員(住田正二君) いま御指摘がありましたように、一応予算上では本年度五千億の赤字が出ることになっているわけでございますけれども、昨年度の実績も大幅にダウンいたしておりますし、実は本年度の赤字は五千億ではとどまらないだろうと。その上に運賃値上げのおくれが加わるわけでございまして、したがいまして、八千億程度の赤字が本年度残るというような感じでいるわけでございます。先ほど総裁から申し上げましたように、非常に痛いところを突かれているわけでございまして、余り減収があるということを言いますと、さらにいろんな対策を講じてつじつまを合わせなきゃいかぬということで、そのために隠しておったといいますか、余り公にしなかった点があるわけでございますけれども、そういう八千億を含めまして、来年度末で累積赤字がなくなるという方向で対策を講じたいと思っております。したがって、運賃値上げのおくれ、あるいはそれ以外の減収によって二年間で収支均衡をとるという方針は崩れない方向で処理いたしたいと考えているわけでございます。
○和田春生君 国鉄の予算は、国鉄がつくって、形式的に言うと政府に提出して、閣議でこれを議決することになっているわけですが、そういう前提に立って、五十二年度の予算要求原案、国鉄はすでにつくって御提出済みですか。
○説明員(馬渡一真君) ただいまの段階ではまだ概算要求の形で提出をいたしておりません。
○和田春生君 これは政府の方にお伺いしたいんですけれども、そうすると、いま鉄監局長の答弁によって、これは運輸大臣に確認したいんですが、ここですでに審議をしている中身よりも赤字が相当ふえると。しかし、それを含めて五十一年、五十二年度で解消をするという前提に立つという形になると、政府が予想されておった五十二年度の財政諸対策に、もうすでに出ることが明らかになっておる赤字の増加分を乗っけて政府はそれを措置すると確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(石田博英君) この法律案の成立のおくれによって生じたものは、節約によって処理していくわけであります。したがって、この節約分によって処理するというのは、工事費を発注すべきものをしてないわけですから……、物件費で節約したやつは響くわけですが、だから、そういうものはこれからの財政政策との関連で考えなきゃならぬと思いますけれども、そういう減収分のふえた分を含めてバランスをとろうということになりますとそれだけ多額の予算的措置が必要になると、これは当然だと思います。
○政府委員(住田正二君) 補足さしていただきますが、累積赤字の解消の方法といたしましては、もちろん財政面の助成ということも考えられますが、同時に一般の企業でやっておりますような資本金、積立金の取り崩しということも考えられるわけでございまして、今回再評価積立金の半分を累積赤字の解消に充当いたしておりますけれども、なお積立金は八千億近いものを持っております。また、資本金も四千億を超える資本金を持っておりますので、そういう面も考慮しながら累積赤字の解消策というものを考えております。
○和田春生君 その資本金の関係は後からたっぷりまた質問いたしますから、国鉄の企業のあり方として。それはそれですけれども、積立金があるから処理できるんだということは再建ということと関係ないことなんですよ。そうでしょう。それは、一時ここで赤字ができると、それはここに持っているからそれで埋め合わせをしたと、仮に。それだけ積立金は減っちまうわけだ。国鉄の財産は減るわけ。そして、しかも赤字を生じた理由というのは支出がふえる、収入が減ると、両方の理由によってふくれてきているわけですから、そのベースの上に立って考えていかにゃいかぬ。先ほど来、国鉄総裁初め当局は、台風とか、災害とか、異常気候とか言ってますけれども、わが日本国というのはそんなことはしょっちゅう起こることでございまして、ことしだけの特異現象じゃないわけ。しかも、ここに配られている資料で見てもわかりますように、国鉄の、あるいは政府の立てた長期予測、長期収支(試算)と実績の比較というのをずうっととってくると、もう毎年実績が落ち込んでいるわけであって、ことしだけの特異現象でいままでは見通しとほぼ同じにいったなんという年は一つもないんですね。そうでしょう。
 そうすると、当然これからの再建計画を考えるという場合には、それだけの開きが出れば、それを国鉄が抱えていけば累積赤字がどんどんふえていくだけですから、そして積立金の取り崩しで埋めたとすれば、それだけ国鉄の資産内容というものは弱体化をしていくわけですから、何かの形で埋め合わしてやるというか、これからの再建計画ではやっていけるようにしてやらにゃいかぬじゃないですか。だから、そうした分も含めて、五十二年度予算で政府は責任を持って処理すると、そういうふうに確認をしていいかと私は聞いているわけなんです。その前提になるのは、五十一年、五十二年度でやると言っているわけです。総理大臣が本会議で私の質問に答えたんです。五十一年、五十年度で達成できると言い切っているわけだ。
 したがって、その達成できるという三木さんの答弁というものを裏づけするためには、運輸省当局として、大蔵省からも来てもらっていますけれども、これは大蔵省にもお伺いしたいんだが、そいつは、いま出ているものについてはきちんと埋め合わせをするのであると、政府の責任で。国鉄でかせげない、見込み違いによって生じた部分である。しかも、予算のときと実績が大幅に狂ってきている。その狂ってきたというのばことしだけのことじゃないんです。ずうっと長期予定でも狂ってきているんです。だから、そいつについて政府が責任を持つということでなければ、三木総理大臣が本会議で五十一年、五十二年度で収支は均衡を図るという目的は達成できると言い切っている。これはうそだということになる、総理の答弁は。この総理の答弁を裏づけるためには、収支の均衡が達成できるということのためには政府がそれを措置しなくちゃいかぬと、これは運輸省と、それから大蔵省にもお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(石田博英君) その目的を達成するために必要な措置は、政府としてこれは当然とるべきだと思います。
○和田春生君 大蔵省来ておりますか。――そういう予算要求が出てきたとか……
○説明員(宍倉宗夫君) 収支を均衡するということは、累積的な収支を均衡するという意味ではないと思っております。収支を均衡するというのは単年度の収支を均衡する。そうすると累積的に、いまおっしゃいますようにことし最終には五千億、約四千九百五十億ですね。それに対しまして運賃改定のおくれがございます。それからいま御議論になっておりましたようにベースの落ち込みが若干ございます。よくわかりませんが、先ほどからの御議論で言いますと、大体三千億ぐらいというようなお話でございますが、三千億を乗っけますと約八千億になりますね。その八千億の、累積的にまた新しくことしできてしまうこの部分につきましては、五十二年度にその累積分を全部解消するという意味ではないわけでありますけれども、それは、その後予算のときに考えておりましたのは、五年程度ぐらいで累積的なものは解消していけるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
○和田春生君 それは大変官僚的な答弁なんですが、少なくとも三千億、あなたもおっしゃっているようにふえて八千億の赤字になる、累積赤字がつけ加わる分なんです。初めてここにゼロからそれだけ出てくるわけじゃないんですね。従来の分につけ加わるわけなんですよ。いいですか。従来の分については償還額について一部政府は補助金を出す、あるいは利子補給をすると。完全な形ではないがやっているわけですけれども、ふえた分については、またそれだけが完全に消し去られなければ国鉄の債務として残っていくわけですから、それに対する負担というものは生じてくるわけですね。だから、私が聞いているのは、そういう分について、その政府が予定しておったよりもふえていく分が国鉄の経理を圧迫せぬように、その部分を全部ひっくるめて五十二年度に処理するんだと、こういうことがなければ単年度の収支の均衡だって図れないじゃないですか。
○説明員(宍倉宗夫君) ただいまのお話のお気持ちはわかるんですが、私どもはそのように考えておりませんで、と申しますのは、これまでございました三兆一千億円の赤字につきましては五十一年度に一応けりをつけたと、これは過去の赤字でございますので将来も利用者の負担にならないようにしようということでたな上げ措置を講じているわけであります。したがいまして、五十一年度区切りがございまして、過去のものはこれで一切もうたなに上げたわけであります。で、五十二年度以降これ新しくまたことし残念ながら最終に約五千億、いまのお話で約八千億出てきてしまっておるわけでございますが、これは五十二年度以降の利用者の負担で片づけていただきたいと、こういうことで考えておるわけであります。
 したがいまして、その五十一年度以降の利用者負担で片づけていくという分につきまして、五十一年度と五十二年度の単年度のこの二年間でもって片をつけてしまうということになりますと相当、明年度の運賃の改定率につきましてはいろいろ御議論ございますけれども、それは高くならざるを得ないということになりますし、逆に、それじゃ高くなければ国家助成をふやせばいいじゃないかというお話もあろうかと思いますが、御承知のような窮迫した国家財政でございますのでその力もない、したがいまして、五十一年、五十二年度でこの八千億を片づけるということは、これはとうていむずかしい話です。最初からそのように考えております。
○和田春生君 だんだん事態が明らかになってきた、それでね。そうすると、五十一年度で仕切って過去の債務についてはけりをつけたと、大蔵省の考え方ですね。ぼくはそれは完全にけりついてないんで中途半端だと思っているんだけれども、その論争は置いといて、大蔵はとにかくけりをつけたと言っているわけです。その後に生ずるものについては利用者負担でやってもらうんだと。それは運賃値上げをするという場合に五十一年、五十二年で全部運賃にかぶせるということは無理があるから、それはある程度引き延ばすかどうかわからぬけれども、利用者負担と言えば運賃で見るということになる。そうすると、そういうことを提案をしたわけではないが、いままで衆議院における質疑の中でも言われておるように、鉄監局長も答弁をしておるわけです。ここに議事録がありますけれども、今年度において平均名目五〇%の運賃値上げだ、そして五十二年度においてほぼそれに見合う五〇%の運賃値上げだと、そういう形で一応政府の再建計画というものはバランスがとれるんだ。
 けれども、運輸大臣がおっしゃるように、五十二年度については五〇%値上げをするということを確定しているわけではないので、できればやりたくないし極力抑えたいと言っているんだが、肝心の大蔵省の方に言わせると、ここで生じてくるものについてはそっちの方で片づけろと言うんだから、言えば五〇%の予定の上にさらに乗っけぬことにはつじつまが合わぬということになってくるじゃないですか。極力抑える、抑えるんだと言っておっても、すでに現在それが出ているんです。私はさっきからずっと聞いてきたのは、そういう問題を確認するために、この数字というのは架空のものじゃないか、したがって、実際にはそういう問題が生じているんだからどうするんだ、政府がめんどう見れない、五十一年度で仕切ったんだということになれば、その分については五十二年度以降の運賃に政府が考えておったよりもさらに乗せて処理をしなければつじつまが合わぬという形になる。どうですか。
○政府委員(住田正二君) 五十一年度、本年度発生いたします赤字、当初は五千億ということであったわけでございますけれども、さらに三千億程度ふえて八千億程度になろうかと思いますけれども、その赤字の処理につきましては本年度の予算、あるいは再建対策要綱をつくりましたときに運輸省と大蔵省の間でいろいろ話はいたしておりますが、最終的に方針が決まっているわけではございませんので、今後、来年度の予算の問題といたしまして、大蔵省にいろいろ要求いたしたいと考えております。
○和田春生君 運輸省としてはそういうことでまだ概算要求という形にもなっていないということですけれども、運輸大臣、いまのその質疑でも明らかになりましたように、ここで見込み違いその他の理由によって生ずるであろう予定よりもふえる赤字というのは、私は決して五十一年度だけの特殊事情ではない、それ自体は五十二年度以降においても赤字をつくり出すと、その要因になり得る性質のものではないかと思うんです。これはもう、うんと天気がよくて、日本の景気がよくなって、消費ブームがわいて、レジャーがわんわんわんわんやってきて、思わぬそのもうけががっぽり入ったというようなことになれば別ですけれども、下手すると来年また大台風が来るかもわからぬ。絶対来てほしくないけれども、それは日本というのはそういう地理的条件にあるわけです。で、景気の回復というのもこれはなかなか思わしくない。そういうふうにやっていくと、この問題は、もしこれを政府としては過去債務の、あるいは累積赤字の処理というものは五十一年度で仕切ったんだと、それが大蔵省の見解であり政府の方針であるとすれば、その分は全部利用者負担にかかっていく、運賃を上げなければますます国鉄は赤字がふえていってにっちもさっちもいかぬことになって再建はパーになると、こういう形になるわけですよね。
 そこで、私は質問のとき前提として、これはそもそも不徹底であるから、この再建計画というものは日ならず挫折をして根本的な手直しを必要とするであろう、こういうことを伺っているわけですけれども、私はいまの質疑を通じて、私の申し上げていることがむしろ当たっているんじゃないかと思うんです。運輸大臣が一生懸命言明したように、できれば五十二年度の運賃値上げはやりたくない、やるとしてもできるだけ抑えると言うけれども、そうではなくて、予定した運賃値上げよりもさらにふくらませなければならぬという要因が存在しているのじゃないか、その点はいかがですか。
○国務大臣(石田博英君) 財政的な処理の方法、たとえば再評価積立金の残りをどうするかというような技術的な処理の方法というものは残っていると思います。思いますが、少なくともそれだけの赤字分が生じているということは事実でありますが、しかし、運賃値上げということを言ってもしても、これはもう独占企業じゃないんですから、限度があって、上げた分が増収になるとは限らないんです。したがって、そういう面からも私はなるべく上げたくないし、やむを得ないとしても低くしなきゃならぬ。ましてやそれが国民生活、特に食料品その他の輸送などに響くというようなことになりますことを考えれば、なおさらそういう方向で進みたい。そのための折衝、あるいは公共負担の問題の折衝、それはこれからの問題でございますが、全力を挙げるつもりでおります。
○和田春生君 結局それは、運輸大臣のおっしゃる気持ちは私どもはわかるわけですね。運賃を上げたからといって、それが国鉄の増収につながるわけではございませんし、かえって国鉄離れを促進するかもわからない。したがって、できるだけ上げずに何とかしたいという気持ちはわかるけれども、できるだけ上げずに何とかするんだったら、五十一年度で過去債務の問題については仕切ったんだということにはならないし、新たに生ずる赤字についても何とかしてやらにゃいかんとなると、持っていく先は政府しかない。あるいは地方自治体に持たせるといっても、それは政府の責任でやらざるを得ないことである。そういうところに帰着をすると思うんです。
 そうすると、これは函館の地方公聴会で、いみじくも指摘をされた方がおりましたけれども、政府は国鉄を何とか殺さずに置いておるのは、破産させるために国鉄を残しておるんじゃないかという皮肉たっぷりな意見が出ておりました。まさにそういう状況になるわけでありますし、独立採算性を目指した自立経営なんというのはとんでもないことだという形になる。やはりこの五十一年、五十二年度の再建策というものは抜本的対策ではなくて、当面の数字のつじつま合わせにすぎないわけです。やはり、これを根本的に手直しをして、どこへ持っていくか、これを考えなければならぬ、こういう状況にきていると思うわけです。そういう点については当然五十二年度予算に盛り込まれ、審議をされると思うわけでございますが、ここで運輸大臣に、そういう五十二年度の予算編成その他に含めて、これは国務大臣の一人として責任を持って処理するというお考えだと、こういうふうに確認していいでしょうか。
○国務大臣(石田博英君) 五十二年度予算編成に当たって、いまおっしゃった趣旨の最大限の努力をするつもりでおりますが、一方、国鉄自身の増収努力、これもぜひやってもらわなければならぬ。合理化、あるいはまた関連事業の範囲の拡大とか、日本国有鉄道法の運用再検討を含めた範囲の拡大、あるいは不用資産売却、あるいはまた資産の利用効率の悪いものの改善、そういうような努力も当然やらなければならぬことだと思います。
○和田春生君 国鉄の持っている企業体質とか、あるいは努力というような問題については、後から項を改めて御質問いたしたいと思いますが、ちょうど切りのいいところですから、ここで午前中の質問は打ち切らしていただきたい、こう思います。
○委員長(上林繁次郎君) 午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十九分開会
○委員長(上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は御発言願います。
○和田春生君 午前中は、国鉄再建の基本問題についていろいろとお伺いしたわけでございますが、さらにそれを裏づける意味で、各論についてそれぞれお伺いをいたしたいと思います。
 やはり国鉄の再建が成るか成らないかということについての一番大きな問題の一つは、過去の累積債務の重圧から逃れるということは、どの程度に見るかは別として各人の一致しているところであると思うのです。ところで、長期債務といっても、あるいは累積赤字も含めて考えてみても、これは国鉄の努力によってはどうにもならなかったという部分があると思います。
 それから、先ほども指摘しましたけれども、地方交通線、まあ国鉄ではそう呼んでおりますが、これは全国をネットワークしている国有鉄道、こういう立場で機能的に運営していくために必要な部分と、そうではなくて便宜的にいろんな理由で国鉄が引き受けている、こういう部分もあると思いますから、過去の投資額についても、国鉄として基本的に必要な分と、そうではない部分とは仕分けて考える必要があると思うんです。そこで、そういう過去のいろいろよって来った国鉄の負担というものを全部そのまま国鉄に背負わせる、こういうことは不合理でございますが、では、どの部分まで国鉄に背負わしてもいいと考えているのか、不合理でこれは国鉄に背負わしてはならぬという部分はどの部分か、そういう点についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(住田正二君) 国鉄は一つの企業体でございますので、原則として独立採算制を維持するたてまえにいたしているわけでございますが、ただ利用者負担の原則によりましてもどうしてもカバーできない部分があるわけでございます。その主なものは、公共負担と言われているものではないかと思いますけれども、公共負担の中にもいろいろな面がございます。割引――学割、通勤割引、通学割引等の割引制度、ほかにいわゆる地方交通線というものも地域住民のために国鉄として負担せざるを得ないという性質のものであるわけでございますけれども、そういう公共負担的なものについて、やはり国としてある程度の援助をいたしませんと独立採算制の維持はむずかしいのではないかと思っております。
○和田春生君 どうも抽象的ではっきりしないんですが、「公共負担額の推移」というここに表が出ているんですけれども、これを公共負担と、そういうふうにするのがいいかどうかということについては議論があるかもわかりませんが、一応提出された資料に基づいて言うと通勤通学定期の割引、学生の割引、あるいは貨物については政策等級、暫定割引、特別措置と、こういう表が出ておりまして、ずうっと見ていきますと、大体この表による公共負担額というものは、ローカル線は別にいたしまして、大体四十一年以来の十年間、特に四十一年は六百九十二億と多くなっておりますけれども、三百億から四百億円の間で推移をしているわけです。それから、貨物の方がここで言う公共負担というものを見ますと、大体百億前後で推移をしておりますね。四十一年以降過去十年間これを累積をすると、国鉄として旅客関係ではこの表によるとすれば四千四百二十五億、貨物では七百四十三億、両方合わせて大体五千一百六十八億、この程度の公共負担というものを国鉄が強いられていると、そういうふうに確認してよろしゅうございますか。
○政府委員(住田正二君) 大体そのとおりだと思いますけれども、いま挙げられました中で、たとえば学生が北海道へ旅行する場合に二割引きの制度をとっておりますけれども、そういうものまで公共負担として扱う必要があるかどうかについては問題があろうかと思いますけれども、従来の線に従いますと、いまおっしゃったようなことになります。
○和田春生君 そうすると、ともかくこれ「公共負担額の推移」という形で資料が出てきているわけですけれども、政府の方から。国鉄当局がつくったんだと思うんですが、このうち国鉄が本来負担すべきでない、無理に国鉄に背負わしておるので、鉄監局長の言う政府として何とかしなくちゃならぬという部分はどれぐらいですか。
○政府委員(住田正二君) そのうちの大きなものは「通勤通学割引」であるわけでございますけれども、通勤割引につきましては現在企業負担でやっておるのが多いわけでございますので、政府でめんどう見なきゃならないいろんなものは通学割引ではないかと思っております。
○和田春生君 それは大体どれぐらいの見当と考えておりますか。
○政府委員(住田正二君) 五十一年度で四百十六億になっておりますが、ただ、こういうものを政府の方で助成する場合に現在の制度のままでいいかどうか。御承知のように、通学割引は非常に高率の割引になっておりますので、そういうものについて検討を加えた上で、適正な割引率にした上で助成をするということになりますと数字がもう少し少なくなろうかと思います。
○和田春生君 通勤や通学の割引は私鉄の場合もやっておりますよね。
○政府委員(住田正二君) この点につきましては大臣からたびたび申し上げているわけでございますけれども、国鉄の場合にも独占力があって黒字経営の時代にはその範囲内で賄えるわけでございますけれども、現在大きな赤字を出しておりますのでそれは負担できないと、私鉄の場合には幸いといいますか、健全経営でやっておりますので、こういう公共負担も現在の収入の中で十分賄えるということではないかと思います。
○和田春生君 賄えるからとか賄えないからということで聞いているわけじゃないんですよね。国鉄に背負わせていけない公共負担というのを政府としてどの程度に考えているかということを聞いているわけです。で、この程度はそうだと言えば、それはめんどう見にゃいかぬわけでしょう、本来国鉄に押っつけちゃいけないんだから。もうかっているからやらせるとか、もうかっていないからやめたという便宜主義的な論点で聞いているわけじゃないんで、公共負担の分については何とかせにゃいかぬと言うから、じゃ、政府が何とかせにゃいかぬと考えている公共負担はどの部分で、その金額はどの見当かって伺っているわけです。
○政府委員(住田正二君) 国鉄のように全国的に公共サービスをいたしております企業体の場合には――国鉄だけではなくて電電の場合も同様だと思いますが、もうかるところと、もうからないところとがあるのが普通でございまして、それを内部補助関係でカバーしていると、そういうことでこれまでやってきたわけでございますけれども、やはり国鉄の場合には独占力を失ってしまって大きな赤字を出してきておりますので、そういう内部補助関係ではカバーできないということで、公共負担について政府がめんどうを見る必要が出てくると思います。
○国務大臣(石田博英君) 私は、原則として全部国鉄が負担すべき性質のものでないものを押しつけられていると、そう考えております。
○和田春生君 ますます抽象的になったんですがね。いや、そういうことは総合経営しておるんだから割引は一つの運賃政策、企業の一つの政策としてやるんだから国鉄に任せるというんならこれはお聞きしないわけです。しかし、その国鉄の財政を再建するために、公共負担の分については政府が何とかせにゃいかぬと、こういうことを政府側も言っているから、じゃ、何とかせにゃいかぬという公共負担の分はどれぐらいで、どれぐらいの金額なのかと、その腰だめもなければ何とかせにゃいかぬという口約束だけで実態は進まないでしょう。それをどう考えているかと聞いているわけだ。そういうことは聞きますよと言うて通知してあるはずだ。
○国務大臣(石田博英君) いや、それは現在までやってきた経緯もありますが、理論的に考えれば先ほどお答えしたとおりで、そういう筋に向かって関係省庁と協議を重ねて実現を図りたい、こう考えております。その金額は先ほどお述べになったものだと思います。それは割り引きした方がよけい収入になるとか、お客さんが多くなるとか、そういう性質のものはこれは別でありますけれどもね。
○和田春生君 さっぱりはっきりしないんですが、さっき私が言ったのは、私が計算したのではなくて、そちらから出てきた資料の「公共負担額の推移」というもので見ればそれぐらいの見当になるが、これは全部見るというふうに考えているのか、そのうちのどれぐらいか……
○国務大臣(石田博英君) 過去のやつも含め……
○和田春生君 いやいや、見るべきであったと考えているのか。これから出せということをいま言っているんじゃないですよ。何とかするというのは、それに対してのとの程度かということを――腰だめでもなけりゃ何とかします、政府がめんどう見なきゃいかぬと言いながら、結局何にも行われなくて、相変わらず国鉄がかぶっていくことになるわけでしょう。ほかいろいろあるんです、これから。ローカル線の問題もありますしね。
○国務大臣(石田博英君) したがって、いまあなたがお述べになりましたやつが、これは全部私はそれぞれ政策実施機関がやるべき性質のものだと考えておるんです。ただ、一遍にそれを実現せいと言われても従来の行きかかりもありますと、こういうことを言っている。
○和田春生君 かなり重要なことをおっしゃったわけですが、それはひとつ確認いたしておきまして、同じ公共負担といいましても、これはごく特殊な例ですが、ローカル線の問題がある。しょっちゅう地方交通線の赤字ということが問題になるんですけれども、幹線系と、それから地方交通線というふうに分けておりますが、分け方も必ずしもきちんとしているわけではなくて、最近においても、たしか四十九年からですか、一部、分類を変えておりますね。
 そこで、そういう従来の何といいますか、何となく言われてきた幹線、地方交通線という形ではなくて、これは国鉄の方にお伺いをしたいんですが、経営をしている国鉄自体の立場において、赤字とか何とかいうことではなくて全国を、何度も言っておりますけれども、国有鉄道として総合的、有機的に運営をしていくというためには、赤字であろうと必要な線があるわけですね。そういうような赤字だとか、黒字だとか、急行の走る幹線だとか、ローカル線だとかということではなくて、国鉄自体が経営的見地に立ってこれだけはやはり持っていないと国鉄としては困るんだと、そういう国鉄の営業キロ数、線、それはどこどこ、どこどこであるか、一々細かく時間の関係もありますから伺いませんけれども、そう考えた場合にそれは何キロなのか、その点を伺いたい。
○説明員(馬渡一真君) ただいまの直接のお答えにならない点がございますが、国鉄でただいま分けておりますのは、道路と鉄道とのコストの比較をいたしました上で、鉄道の方が有利であるという分野についてこれを幹線系と考え、そして、その他の線を地方交通線と考えたものでございます。
 四十五年度の時点と五十年度の時点におきまして、それぞれ四十三年度ないし四十八年度の数値をもとにして計算をし直して、結果として当初幹線系一万二百キロと言っておりましたのが一万三千キロになったわけでございます。地方交通線は一万一千二百キロと言っておりましたのが九千二百キロになったものでございます。ただいまのところ、決算の上におきまして会計上の区分としてそれぞれを分けておるものでございまして、その点国鉄が経営すべきかどうかという意味の判断はただいま持っておりません。
○和田春生君 いまの答弁は、私は国鉄当局としてはなはだ不見識だと思うんですね。道路と比べて有利か有利でないかなんというのは、幹線であるかどうかということと違うわけでしょう。もし道路に比べて国鉄が有利であるというなら、国鉄離れなんという現象は起きないわけですから、これは後からそういう面についてお聞きしますけれども、ともかく国有鉄道として、一つの単一企業体で全国をネットワークしているわけですから、そういう立場に立って必要とすると、それは一体何キロかということを聞いているわけです。その点については、先ほど私が例に引いた日本国有鉄道諮問委員会でもその点は詰める必要があるということを提言されているわけです、去年の十月に。それを国鉄のお考えを聞いているわけです。
 単に赤字だとか、幹線系だとか、道路に比べて有利だとか、従来の惰性じゃなくて、これから国鉄が本当に再建していくときにこの部分は国鉄は迷惑なことなんだ、政策的に押っつけられているところなんで、国鉄としては経営する必要がない線なんです、これは。しかし、この部分は国鉄としては国鉄の体をなしてきて機能していくためにどうしても持たなくちゃいかぬのだということがきちんとなけゃうそじゃないですか。そうでなければ赤字負担が困るとか、どうとかということは言えないから、それは何キロかということを聞いている。
○説明員(高木文雄君) まさにおっしゃる問題があるわけなんでございますけれども、率直に申し上げまして、いま馬渡常務からお答え申し上げましたように、そこのところに詰めていってなかなか詰められないという状況で結論を出しておりません。具体的にどの線が国鉄としてはどうしても全体の経営上必要なんだ、どの線は実は国鉄から見れば手離してもいいと申しますか、なくてもいいんだというのは一つの考え方だと思うんでございますけれども、うっかりそういう表を出しますとえらい騒ぎになるわけでございまして、国鉄の方ではここまでぜひやりたい、ここからは知らないよというのは、なかなかいま現実の問題として非常にむずかしいということがございまして、そこで、余りこれが決め手とも思いませんけれども、いま言った、むしろ道路の方が能率的ではないかという意味で線が引かれましたものだけしかいま基準を持っていないわけでございます。
 おっしゃることは非常にわかりますし、私どもそれを発見することができれば一段と物事の区分が進むと思うのでございますけれども、現実に頭に浮かびますいろいろの線、これをどっちに入れるかということになりますと、ちょっといま方法がありませんし、諮問委員会だけでなくて、いろいろの方の御意見もちょっと聞いては見ますけれども、どなたもこういう基準で選んだらどうだという明確な意見がなかなか出ないわけでございます。
○和田春生君 それは、国鉄としてはめんどう見切れぬからやりっ放しにするといえば大変問題になるでしょう、従来のいきさつから見て。しかし、国鉄というものが本当にこれで再建されて、国有鉄道として役に立っていくためには、これだけの路線というものが残っていないことには有機的、機能的に国有鉄道としてはやっていけないので、赤字とか何とかは別にして、それだけ必要だという考え方があってしかるべきで、そして、それ以外のところについては、国有鉄道としては本来やらなくてもいいのだけれども、国鉄にやらす方がいいというならお引き受けいたしますが、その分についてはそれでは政府はめんどう見てくれるか、地方自治体はどうするか、こういう話にならなければ、赤字だから切っていくのだというのではこれはもう国鉄じゃなくて、民間企業にしてばらばらにしてしまったらいいわけなんです。だから、それがないかということをお伺いをしているわけです。
 ないとすれば、いつごろまでにそれをはっきりさせるかということは、これはいままでの質問でも出ておりましたけれども、ローカル線赤字特別補助金として百七十二億円が五十一年度予算で計上され、運輸大臣は、これは大体の腰だめで、今後やりますというおしるしといいますか、その程度であって、これで赤字補てんにはならないということをおっしゃっていましたね。そうだろうと思う、ほんのおしるし程度で。しかし、それは一体どこまでふやしていくのかというめどをつけるのは、それがなければいかぬわけでしょう。と、国鉄の経営で負担すべからざるものについてはひとつめんどうを見てくれ、残っている分は、仮に赤字がうんと出てもその線を外すことによって、たとえば国鉄がずたずたになってぐあいが悪いと、貨物列車もそれを通って走っていくのだという形になれば、それは全般の運賃でプールしてみなくちゃならぬわけですから、そういうものをやっぱりいつごろおつくりになるか、その作業はどの程度進んでいるかということをお伺いをしたい。
○政府委員(住田正二君) 地方交通線の問題につきましては、いま御指摘ありましたように、本来国鉄としてどこまで経営したい、どこまでは経営したくないという基準を求めていろいろ対策を講じるのが筋だというふうに思っております。実はそういうことも、私どもといたしましてはこれまで期待はいたしておったわけでございますけれども、いろいろな問題がありまして、国鉄の方からこれはいやなんだということは言えない。まあ国鉄としてはむしろ政府の方でここまでやれと、ここはやらなくてもいいということをはっきりしてもらいたいというようなことでいままできておったわけでございます。
 しかし、私どもといたしましては、とにかく地方ローカル線等は現にあるわけでございまして、また地域の住民がそれを利用しているわけでございます。したがって、再建対策要綱の中でも、地域住民の利便と国鉄経営に対する負担というものを勘案して将来の方針を決めるということをうたっているわけでございまして、まあ国鉄の方で決めるのが非常にむずかしいということを前提に、これまで委員会で申し上げましたように、運輸政策審議会にいろいろお諮りをいたしているわけでございますが、その考え方は、現にあるものをできれば残したい。しかし、残す上においてそれが国鉄の負担にならないようにするためにはどういうような措置を講じたらいいかというような観点で御意見をいただくことにいたしているわけでございます。したがって、その御意見に基づきましてあるいはやめるものもあるかもしれませんけれども、あるいはいろいろな負担を伴いまして措置するということもあろうかと思います。そういう意見が出た上で来年度の対策を決めたい、さように考えているわけでございます。
○和田春生君 来年度対策決めるってね、もう十月の終わりなんです。年末には選挙になって特別国会が召集されるわけですけれども、たちまち予算を審議しなくちゃいかぬわけ。政府は五十一年、五十二年度、両年度で再建を軌道に乗せると言っている。そして、その方法についてはいろいろあるけれども、そういう国鉄に負担さすべからざるものについてはめんどうを見にゃいかぬだろうということを言ってきたわけですね。さらに独立採算性を目指して自立経営という形になれば、ローカル線についてもこの補助が本格的になれば、そういういわゆるローカル線について、つまり便宜上、サービス上、国鉄に運営をさしているということについては特別会計を設けて、そこに政府からの補助金なり繰り入れて、その特別勘定で生じた赤字については全部これは政府が負担するか、地方自治体となるかというのはいろいろ方法はあるでしょう。そこまではいま聞きません。この段階で見るんだと。残った分については、これは国鉄の経営上の問題であるから合理的な運賃を設定するという場合にきちっと目標がつくわけだ。
 ただ赤字だとか、赤字じゃないとかいう形でやっておったらずいぶんでたらめなことになるわけ。だから、そういうものはきちんと決めにゃいかぬ。国鉄が決めにくけりゃ政府で決めてくれというならもう政府で案がなけりゃいかぬはずでしょう。来年で終わるというんだから、再建は。いろいろ検討して御相談をしているというんじゃ間に合わぬじゃないですか。だから、結局口ではきれいごとを言っているけれども、そういう国鉄の赤字の一番大きな原因になっている地方交通線に対してさえ腰だめどころか、腰だめさえないというわけじゃないですか。一体どれだけの部分について、どういう根拠に基づいてどれだけ補助するか、それがなけりゃ数字が出てこない。百七十二億円なんというようなまことにわけのわからぬ、説明しろと言えば運輸大臣立ち往生するような数字しか出てこないわけですね。それを聞いているわけです。
○政府委員(住田正二君) 国鉄の経営上大きな負担になっておりますのは、地方交通線と貨物の問題ではないかと思います。いま御指摘がございましたように、国鉄の赤字部門を明らかにするためには、そういう赤字部門を別の会計に持っていって、その中で合理化を図ったり、あるいは対策を講じたりしてきっちりした方がいいんじゃないかという意見もわれわれの部内の中にあるわけでございます。ただ法律的な問題にもなりますけれど、必ずしも特別会計をつくらなくても区分計理によりましてそういう問題点を明らかにすることも可能ではないかと考えておるわけでございますが、まだ来年の予算編成まで数カ月ございますので、その間に先ほど申し上げました運輸政策審議会の意見をいただいた上で、その意見を生かすためにはどういう方法をとったらいいかということを考えまして、場合によってはいま御提案のような特別会計という形で経理を明らかにすることもその過程で検討いたしたいと思っております。
○和田春生君 私は特別勘定と言ったんです、国鉄の中の。予算で言う特別会計じゃなくて特別勘定にしておいて。なぜそういうことを言うかというと、独立採算制そのものでなくても、国鉄という企業を合理的に運営をしていかなくちゃいかぬという場合に、いまのように累積債務の負担も、ローカル線の赤字も、公共負担も込みで赤字がふえておれば一体どこからどこまでが国鉄の責任において生じているものであるのか、どの部分は当然受益者負担、利用者負担としてかぶせていいものなのか、そういう区別がはっきりつかない。そして赤字ばっかりふえていけば、これはやる方だってやる気なくしますよ、働けど働けど目標がないんですから。
 きちんとそういうもので、この分は国鉄に便宜上経営さしているのだが、それは国鉄という企業体としては、何度も同じこと言うようだけれども、本来持たなくていいやつを持たしているのだから、これは特別勘定でその分の赤字は見るのだと、残ったところは国鉄の責任じゃないか、したがって、それについてきちんとやれと、その部分については全部プールで計算されますから、もうかるところもあればもうからぬところもある、そういう点については受益者負担でしてもらってしかるべきであるということが出てくるわけで、それがなければ再建をする。国鉄の企業の体質を改善せにゃいかぬ点はたくさんありますよ。それはこれから順次指摘しますけれども、基本的な問題の視点が一つも定まらないという形になる。極端なことを言えば、じゃ、独立採算制がやっていけるようにするということになると、出た赤字は毎年度毎年度予算で全部カバーしてやれと、そういう極端な話にもなりかねない、そういうことですね。
 そういう点で、これ以上お尋ねしておっても出てきそうにありませんが、本当に性根を入れてそういう点を検討してもらいたい。また高木総裁の方も、国鉄を預かる立場においてそういう点は政府にはっきり言うなら言うと、地域住民に向かっても言ったらいいと思うのですね。やりっ放したり打ち切るということではないのですよと、引き受けてもいいが、こういうことなんだということは言うべきじゃないか。
○国務大臣(石田博英君) 一応地方交通線として九千二百キロという数字を出し、地方交通線の二千二百五十億円という赤字はその九千二百キロを対象として考えたものと理解をしております。しかし、その九千二百キロというのが妥当であるかどうかということを含めていま運輸政策審議会で検討をいただいておる段階、こういうことでございます。
○和田春生君 そういう点は、従来の惰性ではなくてきちんとひとつ詰めていただいて、五十二年度の国鉄再建策を論議するときにはきっちりひとつ答えられるようにしておいていただきたいということを希望をいたしておきます。
 さらに、国鉄の財政を圧迫しているもう一つの問題は長期債務でございます。この過去の債務のたな上げ措置に関しまして今度は少しばかり質問をしてみたいと思うんですけれども、しばしば言われているように、私たちはいま国鉄を一たん身軽にして、本当に努力ができるという、今後出るやつについては国鉄の責任だぞと、そういうふうにするためにも、一応どうにもならぬ赤字はこの機会に全額たな上げすると、つまり会社更生法を適用して再建をするのと同じような考え方でやれと、こういう主張を持って、そういうふうにする考え方はないかとお伺いをしてきたわけです。政府は、ありませんと、こう言うわけです。一部についてやる。そうすると、過去の債務についてもいまとりあえず会社更生法を適用してやるような考え方で、全額たな上げして身軽にして再建を進めるのだという考え方じゃないと、それが不合理だからそうはいけないという形になれば、現在の国鉄の長期債務のうちどの部分が国鉄に背負わせる合理性のある部分で、どの部分は国鉄に背負わせてはならない不合理な部分かという仕分けは当然あってしかるべきだと思う。その仕分けはどういうふうにされているか、政府にお伺いしたい。
○政府委員(住田正二君) 今回の国鉄の再建に当たりましては、やはり会社更生法と同じような考え方で処理をいたしたつもりでいるわけでございます。国鉄の債務のうち、将来の経営の圧迫になるようなものについてはそれを国の方で肩がわりするという措置をとったわけでございますが、長期債務のうち、施設になっているものはその施設から今後とも収入が期待できるわけでございますので、そういう施設に見合っているものまで国が肩がわりする必要はないだろう。やはり国が肩がわりするといたしますと、累積赤字に相当するものについて国が肩がわりすれば十分であるという判断をいたしたわけでございます。ただし、累積赤字のうち再評価積立金の一部を充当いたしておりますので、肩がわりいたしました債務は二兆五千四百億円になるわけでございます。
○和田春生君 どうも私の質問していることと答弁食い違っているようなんだけれどもね。国鉄に背負わせる部分はどの部分が合理的なのか、どの部分が合理的でないか、仕分けがなければいかぬじゃないかということを言っているわけですよね。それに対して、あなたはいま的確には答えていないんで、資産に見合った部分はいいじゃないかと、こういう御答弁をされたわけですね。しかし、この国鉄の貸借対照表によれば、これは民間企業の貸借対照表と見ると大分問題はあるんですけれども、そこのところは一応ネグって見ていくと、これによればいま国鉄の施設に見合っている分と、こういうふうにおっしゃいますけれども、固定資産と建設仮勘定の額の合計というのが一応現在の国鉄の施設と考えていいわけですね。その額を長期債務の額が上回っているじゃありませんか。そうですね。
○政府委員(住田正二君) 国鉄の長期債務の中には資産に見合わない分、すなわち赤字運転資金等に見合っている分があるわけでございますので、そういうものを除きますと資産と見合っているということでございます。したがって、赤字運転資金に相当するようなものについては、政府が肩がわりをすれば、残った債務については資産に見合うということになるわけでございます。
○和田春生君 そういう勘定は一応成り立つわけですけれども、そういうふうな形で資産と見合っている分は、一応国鉄に持たしていいんだと。それは一般的に言えば投資をしたやつですから、それが有形固定資産になっていると、あるいは建設中であると、あるいは無形固定資産として保持していると、見合ってればいいというのは一般論と一して言えるわけですね。しかし、そういう一般論から見ていくとなると、国鉄の場合に減価償却しているけれども、これは減価償却をしているのは、いわば簿価を減価したというだけで相手勘定はありませんね。
○政府委員(住田正二君) 御質問の趣旨が、国鉄は減価償却を実際にしているけれども、しかし、それだけの収入というか、裏づけの資金がないから架空のものになっているという御質問かと思いますけれども、そのために赤字が発生しているということでありまして、累積赤字の中には償却前の、いわゆる赤字運転資金の分と、償却不足の分と両方あるわけでございます。
○和田春生君 帳簿価額から、減価償却のやり方の金額が適当かどうかは別として、差っ引いていわゆる純資産を計上しているわけ。そして、減価償却やってきた額に相当する相手勘定がないわけだから、架空というよりも、ここでやっていることは資産を食いつぶしていますよということのこれは財務諸表なんだ。たとえば家が一軒あると、一千万円だったと、それを減価償却やって一千万円はこちらにちゃんと残っておったら、この家がだめになったときにそれで建てかえをする資金に入るわけ。もちろん物価が上がっておったりすればそのとおりいかない面があるけれども。国鉄はそうじゃなくて、ここで国鉄が減価償却と言って
 いるのは、あなたのいま言ったようなことももちろん関係があるけれども、資産を食いつぶしていますよと。それに見合う、減価償却額に見合う相手勘定というのは置いていませんよと、そういう内容になっていますね。認めますね、それは。
○政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、確かに減価償却をいたしましてそれに見合う金が国鉄の中に保留されてないことは事実でございます。しかし、それがすなわち累積赤字になるわけだろうと思います。
○和田春生君 累積赤字なんかにならないよ。将来の赤字になる原因ですよ。新しく駅舎を建てかえなくちゃいかぬとか、やりかえなくちゃいかぬというようなときに、大きな経費が要るときに、相手勘定なければ新しくそれを投資せにゃいかぬことになるわけじゃないですか。
○政府委員(住田正二君) 国鉄が健全経営を維持しておる状態で考えますと、償却をいたしますと償却資金で借入金返済に充てるという形になるのではないかと思いますが、現在では償却いたしましてもそれの裏づけになる資金がないわけでございますので、借入金は借りかえという形で残っておるわけでございます。今回そういうものを含めまして国が肩がわりをするということで、したがって、そういう従来の償却不足に伴う借りかえ金も国が肩がわりいたしているわけでございます。
○和田春生君 大分わかってきたようなんですが、そこが実は非常に問題で、先に投資したやつを償却していって返していくと。返していないと。しかし、その貸借対照表の上では固定資産を減価しているわけですから、つまり、いまそれ食いつぶしていますよということなんですね。ぼくはそのことを言ったわけ。非常に不健全な内容であると。そして返せない分はどんどんどんどんたまってきて、その利息負担というのが圧迫をしていると、こういう形になるわけですね。そうすると、この再建をするということのためには、その償却をしてきている分も含めて、政府がめんどう見てやらぬと国鉄ではどうにもならぬと、運賃の値上げによって増収を図る分があっても、過去のそういう分についてはどうにもならぬという形になってくるんじゃないですか。
○政府委員(住田正二君) どうも私の説明が悪いかもしれませんが、過去の償却不足というのは累積赤字の形で貸借対照表に出てくるわけでございまして、その累積赤字につきましては国が肩がわりをいたしたわけでございますので、今後はいままでの償却不足が将来の利用者に負担されるということはないわけでございます。
○和田春生君 じゃ、ちょっと論点変えて質問したいと思いますけど、その累積赤字については国が肩がわりをした、肩がわりをしたと、こういうふうにおっしゃっているんですけれども、それが五十年度末の累積赤字の三兆一千八億円から固定資産再評価積立金の一兆一千二百九億円の半分を差っ引いていますね。そうして二兆五千四百四億円という数字を出しているわけです。この分については利子補給をする、償還をする分については政府が無利息で貸し付けると、なるほどたな上げのようなかっこうになっている。固定資産の再評価積立金の半分と相殺したというのはどういう意味がある。それによって国鉄の企業の経営という面から見てどういうメリットがあるんですか。
○政府委員(住田正二君) 先ほど会社更生法の話が出ましたけれど、一般の企業であれば累積赤字についてはまず積立金を充当すると、それによっても足りないときには資本金を充当し、さらに債務たな上げを行うというのが一般的な順序ではないかと思うわけです。国鉄の再評価積立金は約一兆二千億近くあるわけでございますが、これは昭和三十一年に出したものでございまして、国鉄の平均の耐用年数は約二十年くらいでございますので、当時再評価した資産の償却は大体終わっているということではないかと思います。そういう再評価いたしました資産の償却が、やはり累積赤字の一部を構成いたしているわけでございますので、今回の再建に当たりましては再評価積立金の半分だけを累積赤字の解消に充当したと。全部充当するという考え方もございますけど、一応半分だけを充当した、なお半分は残しておるという形をとったわけでございます。
○和田春生君 全部これを取り崩せという意味でぼくは質問しているんじゃないんですよ。再評価して財産ふえたわけでしょう。その再評価分に対する積立金やっているわけでしょう。国鉄の資産じゃないですか。それを取り崩してやっているというのは内部でタコ足食っているようなもんじゃないですか。本当に国鉄を身軽にしてやろうというなら、なぜこの累積赤字というものを全部についてたな上げをしてめんどう見るということをしなかったのか。結局国鉄の資産内容を悪くすると、しかも、減価償却も実際に相手勘定のない資産を減価してやっているだけで、食いつぶしていますよというこれは内容になっている。
 そういう中でとらの子のような固定資産の再評価積立金というものを内部で取り崩す操作をしてやるというのは、ここで会社が一遍店じまいして何とかやるというならいいんですよ。再建してやろうというんじゃないですか。だからこれを半分じゃなくて、全部取り消せというんじゃなくて、むしろ累積赤字そのものを全部たな上げをして、身軽にしてやるということが必要じゃないかという観点から、こういう資産状況の悪い国鉄の中身においてなぜこんなことをやっているのかと、中途半端であるということを言っているゆえんなんです。だから、これのメリットは何があるかと聞いている。こういうことをやることによって、国鉄の再建にこういうプラスが出ますということがありますかと聞いているわけです。
○政府委員(住田正二君) 累積赤字の全部を対象にするのがいいかどうかにつきましては、多ければ多いほどいいということにはなると思いますけど、先ほど申し上げましたように、一般的に申し上げまして企業の再建をする場合には、まず積立金等があればそういうものを赤字の解消に充当するというのが普通の手続であるわけでございます。
 で、再評価積立金の半分を充当いたしましても、なお国鉄の資本金、積立金は一兆二千億程度になるわけでございまして、それだけの資本金、立積金を持っておれば十分ではないかと、さように考えておるわけでございます。
○和田春生君 大怪しげなことになってきましたけれども、まあ、よろしいですわ、こればかりで時間とっているわけにいかないけれども。私は、しかしこういう、つまりこれは数字のつじつま合わせで、紙の上で印刷してあれば勘定合っているように見えるわけです。実態的には国鉄の中身を悪くしているわけですよ、再建と言いながらね。そこを問題にしているわけなんです。
 本当に再建さしてやるというのなら、なぜ赤字ができたかということの過去の責任もあるけれども、そんなことを言っておったらしょうがないじゃないかと。しかも、これだけ大きな企業なんだから、そういうものを一遍全部除いて軽くしてやって、これからは国鉄の努力でいけるだろうと、これからふやすということについて、おまえさんの方が悪いぞと、運賃も適正にしてやったぞということでなければいけないわけで、こういうような、まことに固定資産再評価積立金の一兆一千二百九億円の半分ぐらいはいいだろうと、そうすると残った六千億ぐらいあれば国鉄の資本としては十分ではないかなんという、これはちょっと聞いたらずいぶんおかしなことで、もう企業経営のイロハのイもわかっちゃいないということにぼくはなりかねないんじゃないかと。政府がそういう認識だから、これ、ぼくは再建策というのはうまくいかぬのじゃないかなと、こういう感じがするんですが、ひとつそういう点につきましても、ここでは問題として残しておきますから、五十一、二年度ですから、来年度のときにどういう形になるかということは、ひとつまた改めてお伺いをするということにいたしたいと、こういうふうに思います。
 それから、もう一つは工事費の問題なんです。今度の場合も、運賃の値上げ実施のおくれによって損をしたというわけですけれども、ふえた二千六百五十億円については、そのうち二千九十億円という膨大な額を工事費の節約で埋めておりますね。で、私も公労委の委員をやっておってよく承知しているんですけれども、賃上げをする、予算で賄えない、こういうときに、まず一番先に国鉄がこういうふうにして資金上対策を講じますと言って持ってくるのは、必ず決まって工事費の削減ですわ。ある意味でいくと、工事費というのは本当に国鉄を安全に、確実に運行していこうということのために予算が設定されておったというよりも、そういうような過去の対策を見ていると、ある程度国鉄財政のバッファスプリング――緩衝地帯においてつじつまが合わなくなると工事費を削減する、合わなくなると工事費を削減する。今度も二千六百五十億のうち二千九十億円を工事費で削減をすると、こういうふうに言っているわけですから、これはそういう役割りも持っておった、いいことであるとは思いません。いいことであると思わぬが、そうであったと。その工事費の補助策というものがここへ来て前年度から大分減額になっているのですね。その減額とした主な理由、そういう点についてお伺いしたいと思います。なぜ減らしたか、補助金。
○政府委員(住田正二君) 本年度の予算におきましても、工事費につきましては三分五厘まで利子補給をいたしているわけでございまして、制度については別に変更はないわけでございます。ただ、金額が減っておりますのは、先ほど来話が出ております長期債務を二兆五千四百億円国が肩がわりをしたということの結果、工事費助成金が減ってきたわけでございます。
○和田春生君 しかし、午前中の質疑でも明らかになったように、予備費も食いつぶしても予定よりも大分怪しげなことになりそうで、多少数字は私どもの見方と食い違いましたけれども、少なく見積もっても三百億、あるいは国鉄側にすれば一千億ぐらいそういうようなギャップが生じるんではないかと言われているんですね。ですから、再建で財政助成したというけれども、十分じゃない、不十分な面が残っている。そこへやってきて、今度はもう運賃の実施がおくれたからといって二千九十億円工事費の節約をした。しかし、これは全部がなくなるというものじゃないと思う。中身を見ると、今年度ではとりあえずそういう形で勘定を合わせるけれども、これは繰り越していかなくちゃならぬ、あるいは本当に国鉄の安全を確保するためにはそういう面で工事費を突っ込まなければいかぬ。一応現在のところは節約した形になっているが、やっぱりそれはいずれやらなくちゃいかぬ。そういうものがむしろ繰り越されていっているわけでしょう。そういう中でぼくは工事費の補助金というのを減らしたという意図がわからない。
 むしろそれは悪く勘ぐれば工事費の助成金を減らしておいて、運賃の値上げがおくれたら、その工事費をほとんど全部削減して、こんなことになったからさあ大変だというPRの材料に使うために減らしているんじゃないかとさえ感じられるわけですね。だから、工事費が前年度よりも減っているのですけれども、少なくとも前年度並みに、ないしはそれにプラスをしておればそういうような安全の確保とか、いま言われているところのいろいろ赤字節約対策としてサービスを低下するとか、どうとかこうとか、そういうような点についても、こうまでひどい形で利用者をおどかさなくても済んだんではないかと。したがって、工事費の削減というものは一体どういう意図のもとに去年よりも減らしたのか。
○政府委員(住田正二君) 工事費補助金という制度は、本年度を例にとりますと、五十年度までに行いました工事についての助成金でございます。五十一年度にやります工事については来年助成金を出すことになっておりますので、いまお話がございましたような助成金の関係で、助成金の減少と、それから二千九十億の工事費の削減とは関係ない話でございます。
○和田春生君 とんでもないことですよ。政府が出す金の裏に、お札に工事費と刷ってあるわけじゃないんですから、どんな形でも返ってきたやつは国鉄の経理に入っていくわけでしょう。だから、ぼくはさっき言ったように、たとえば仲裁裁定を実施をすると、予算が低く見積もっておったんではぐあいが悪いと、じゃ工事費を削ってやりましょうと、そういう形でやっていくわけですから、これは前年までの工事費の補助金だと言っても、補助金は金として国鉄に入って国鉄の経理の中にプラスになっていくわけでしょう。それを減らせば、それだけ国鉄に対する政府の助成がその分について言えば少なくなるわけだから、ほかの面でやったから、あなたさっき言いましたね、だからこっちの分を減らしていいんだと、こういう形になれば相殺をしていくという形になる。
 そのためにどういうことになっているかというと、これは国鉄自体の努力という問題はこれから申し上げますけれども、財政再建計画に対する財政措置でこの印刷物だけ見ると、大変やったやったと政府は言っているわけ。それを全部ですね、バランス相殺をしてみると助成金、これが工事費の補助金、財政再建債利子補給金、特別利子補給金、合理化促進交付金、これの合計で三千四百二十二億、それにローカル線の助成金百七十二億加えて一応数字では三千五百九十四億円措置いたしましたと言っておりますが、五十年度に二千六百七十九億円助成しているわけですから、鳴り物入りで大宣伝をしたことしの助成というのは五十年度に比べて九百十五億円ふえているだけなんです。九百十五億円ふえているにすぎないのです、実を言うと。そして、運賃の方は五〇%上げろと、その見込みも違ってきている。で、再建をしろと。
 政府は三本の柱でやると言って大宣伝しているけれども、運賃値上げの方の柱はこんなに大きいけれども、助成の方の柱は割りばしみたいなものを突っかえただけじゃないですか。だから看板に偽りありだ。そういうような私は感じを持つもので、工事費の問題についてもどうして減らしたのか、何か明確な理由があるのかということです。片方でふやしたからこちら減らすというのじゃ、相殺すれば全体としては縮むのがあたりまえで、去年の工事費の助成金だと言うけれども、去年助成金というふうにちゃんと裏に印刷をしておってそれ以外に使えないわけじゃないわけでしょう。とにかく国鉄は再建で金が欲しい。予算の流用をしようが何しようが、ともかく何とかやっていかなければいかぬという状況でしょう。だから、そのことについて工事費を減らしたというのはどういう意図があったのかということをお伺いしたい。
○説明員(高木文雄君) ちょっとややこしくなっておりますので御説明申し上げますが、工事費の補助金という制度は従来からあったわけでございます。この制度は今回も変わっておりません。それで昨年の工事費補助金として私どもがいただいております金額が千百三十七億でございます。
 これは五十年度までに十年間工事費を控除いたしました分について三分五厘で計算した金額でございます。一年たちますから一年ずれるわけでございまして、四十年度工事については今度は補助金がもらえなくなりまして、五十年度工事についてもらえるようになります。その差額が二百八十億ございまして、本来なら二百八十億補助金がふえるはずのところでございます。
 ところが、逆に約百六十一億結果としては減る計算になっておりますが、それはなぜかといいますと、工事費補助金の対象となったもののうち過去債務たな上げの方へ移ってしまったものがあるものですから、計算上四百四十一億だけの元金に当たる分が過去債務の方に先へ持っていかれまして、そしてその残りについて補助金をもらうことになりました結果生じたものでございまして、これはある意味から言いますと、対象基礎債務が、工事費補助金のベースになるその袋からこっちの過去債務の方の袋に行ったものですから、計算上減ったという形のものでございます。
 それから、五十一年度に工事費を値上げがおくれたからということで削ってけしからぬ――けしからぬと言っちゃいけませんが、減ったじゃないかという話については、これは私どもとしては実は減らされては困るわけでございまして、いままでのところは資金繰りの問題として、何といいますか、予算の問題というか、歳出の問題というか、そういうことではなくて、資金繰りの問題として繰り回しがつきませんので、二千億ほど工事費をとりあえず抑制するということでやっておるわけでございまして、いまやもう時間が経過しまして、もとへ戻してもらいましても、すでに経過しておりますから、そうたくさんの仕事はできませんけれども、これは私どもとしては、とりあえずつなぎ的といいますか、資金繰りの問題としていま処置してありますので、今後この問題につきましては、このまま全部返上というわけにはいかないというふうに私は考えております。
○和田春生君 総裁の御答弁はそのとおりだと思うのですね。
 私、ここに五十一年度予算について国鉄が要求をして復活要求した数字と、政府原案になった数字とを持っているわけですけれども、ちなみに読み上げますと、過去債務対策として国鉄の復活要求をしたのは二千七百六十八億であり、政府原案はこれが二千四百四十一億円に減らされた。地方交通線の対策が九百九十三億である、それが百七十二億に値切られた。工事費補助金も、国鉄の復活要求は千四百二億円、これが九百七十六億に削られた。合計して五千一百六十八億の要求に対して三千五百九十四億円に政府は値切っている。こういう数字があるわけです。
 それは値切ったことはいろいろ理由があると思います。国鉄も別に水増し要求をしたわけじゃなくて、こういう内容で何とかしたいということである。それに対して、結局計算上はこっちのやつをこっちへ持っていったから、こっちを減らしてこっちはふえたように見えているけれども、合わしてみると一つも余りふえてはいない、こういう結果になっているわけですね。その分は運賃値上げの五〇%、しかも五〇%ではまだ足りないのであって、来年度さらに伝えられるところによると五〇%程度上げると、こういう形である。そこに非常に問題がある。そうなれば、ますます国鉄離れを促進をするという形になって、国鉄の再建なんというのは画餅に帰する危険があるのではないか。そういう点で大変長期の累積赤字、あるいは過去債務に対する手当て、工事費の補助金、それらをひっくるめて、はなはだ中途半端であり、不徹底であるということは、事実上この質疑において証明をされたと私は考えているわけであります。
 こういう点は、先ほど来同じようなことをこの件についても申し上げますけれども、五十二年度で再建を軌道に乗せるわけですから、必ずこれは五十二年度にこの問題は尾を引いていくわけです。その対策をしかとひとつ考えておいていただきたい、こういうふうに考えます。
 それでは、今度は運賃の問題と国鉄の再建の努力についてでございますが、ずっとこの委員会のやりとりを聞いておって、私は政府も、大変失礼ながら高木新総裁を初め国鉄のトップの方々も、運輸サービス業における企業経営というものについて基本的な認識が少しおかしいのではないかという感じがしているわけです。ここに一九七五年「国鉄の実情を訴える」という実に分厚いりっぱなパンフレットがあります。この中でも、たとえば「省エネルギーに役立つ」、「石油がなくても電車は動く」とか、「鉄道のエネルギー効率は非常に高い」とか、「鉄道の土地使用効率は高い」とか、こういうことが宣伝してありますね。
 いままでも質問のたびに言われることは路面輸送、トラックやそういうものに比べて、レール輸送というのは非常に効率がいいんだ、有利なんだ、こういうふうにしばしば強調される。確かに駅から駅のオンレールで計算をすればそのとおりになるでしょう。それはもう鉄道の敷設という資本も投下をしているわけでありますからそうかもわからないが、利用する側の受け取りサービスというのは、駅から駅まで運んでもらうことじゃないんです。ドア・ツー・ドアなんです。そうすると、その間においてやはり国鉄だけではどうにもならないので、トラックも利用するとかいう形に対していろいろな経費がかかってきますから、そういうドア・ツー・ドアでいった場合に、国鉄というものが果たして単純な計算で有利であるというふうに言い切ることができるか。ところが、それを言い切ってこられているわけです。それは工場の中に鉄道のターミナルがあって、相手の工場に行っておって、それが専用線で行っているというなら、それは話は別ですけれども、そんなのは限られているわけですね。
 それともう一つは、輸送を受け取る側のサービスについては、たとえば商売のチャンスというものがあるわけだ。一日着荷がおくれたために莫大な損害をしたということだってしばしば起こり得るわけですから、特に品物によっては、いつ何月何日に確実に着くか着かないかということが重大な勝負になる。その保証がないとすれば、多少運賃が安くたってそんなものは利用できない、危なくて仕方がない。高いものを金をかけても確実な輸送を選ぼうと、こういう形になる。
 それともう一つは、スピードという問題があると思いますね。新幹線とそれから飛行機の競争の場合考えてみても、東京−大阪は確かに飛行機の方が非常に時間が早いが、東京駅の近くにおる人が大阪駅の近くに仕事に行くという場合には、羽田空港に行って伊丹の空港から行くのを考えてみれば、時間がほとんど変わらない。じゃ、ひとつ新幹線で行けと、こうなるわけですから、所要時間というものがその人がどういう形で利用するかというものと密接に関連をしている。そうすると、輸送のいわゆる最終的完結に要する輸送一時間、それからいつ何月何日到着をするかという確度、確実度と、そして手間、暇がかかるか、かからないかという利便性、そういうものを総合したものが輸送サービスを受ける側にとっての利益だと思うのですね。その視点が欠けているのじゃないか。
 だから何か言うと、鉄道の方が有利だ、土地の使用効率がいいと言う。なるほど鉄道だけ見れば土地の使用効率はいいでしょう。しかし、駅から工場まで、駅から店まで自動車で運ばなくちゃいかぬということになれば、その自動車で運ぶその道路も、鉄道の効率の中に含めて計算しなくちゃいけないわけです。そういう視点が欠けているところに親方日の丸とか、殿様商売とか言われる根本の理由があるのじゃないか。その点について、これは国鉄総裁、経営の立場でどういう対処策をとられようとしているのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(高木文雄君) 国鉄の経営の立場で申しますと、言うまでもなく、経費をなるべく合理的に節していくということと、収入をふやしていくということ――収入をふやしていくということは、つまりお客さんの方からサービスを評価していただけるときに初めて収入がふえるということになると思います。それで、いままでも一生懸命にやってきたんだろうとは思いますけれども、その点についてはどちらかというと、レールとトラックとの競争ということにいささか気をとられ過ぎであったんではないか。特に旅客と違いまして、貨物の場合について申しますと、二つの点が問題であったと思います。
 一つは、安全に、正確に輸送ができるかどうかという問題で、必ずしもしばしば引用されますようにストのような場合に限りませず、それ以外の場合でもどうもうまく着かなかったということがあって、そこで値段にかかわらず、国鉄が安いにかかわらず、他の輸送手段を求めざるを得なかったという事例が相当数あると思います。
 それから次の問題としては、いままさに御指摘のような戸口から戸口までというサービスをどうやっていくかということでございますけれども、その一つの方法としてコンテナによる輸送ということを十数年前から考えましたことは、それは一つの新しい発想であったと思いますし、そのおかげで他の運送が減っておりますにもかかわりませずコンテナ輸送はだんだん伸びてまいりましたし、の最近状態でも余り減っていないということでございます。あとは車扱いの荷物をどうするかということでございますが、この点につきましては万事につけて両端の輸送費というものを考えて、また輸送時間というものを考えて、そうして通運業者と密接な提携を持ってやっていく。真ん中のところだけ幾ら一生懸命やってもだめで、両側のサービスと合わせたところでやっていくということを中心に収入を図るといいますか、お客さんをまた再び鉄道に帰ってもらうような施策をぜひ相当早いスピードで進めていきたいというふうに思います。
○和田春生君 その点をしっかり踏まえてやっていただかないと、幾ら運賃を抑えても国鉄離れが進んでいきますし、上げれば上げたで、観測よりももっとはなはだしく国鉄離れになる可能性がある。たとえば旅行なんかの場合でも、東北地方に旅行する。確かに国鉄の運賃安い。ところが、駅までタクシーで行く、向こうに行って着いてまたバスを利用したりなんかをする。それならば、うちの前までバスが来てくれて、そこへみんなが集まって乗っかっていって、そして向こうで泊まって帰ってくれば、総合的にはうんと便利がいいということにもなるわけですから、そういう点でひとつオンレールで物を考えるというその考え方を根本的に変えて、ドア・ツー・ドアで国鉄を利用させることがいかにいいサービスになるのかということをぜひ考えてもらいたい。
 それからもう一つ私はお伺いしたいのは、かつては日本の国鉄は世界で一番正確であると言われた。最近は大変怪しくなってきたわけですね。私はいつも言うんですけれども、時刻表として売り出されているものは国鉄というサービスの商品の品質表示だと思うんですね。それがしばしば狂うわけです。確かに、たとえば順法闘争というようなことが行われる。やる方は、労働者の権利だと言ってやっておるかもわからない。ところが、そのことによって時刻表どおりにいかない。たまたまそのときに当たった人は、欠陥商品つかまされたことになるわけです。幾らかん詰めが一グロス入っている中で、全部品質がよくても、一つくさったやつが入っておって、それをつかんだ人は、これはだめだということになっちゃうわけです。そういうことがどれだけ国鉄に対する評判を落としているか。これは、労使ともに考えてみにゃいかぬと思う。
 やはり品質表示をしている以上、それをきちっと守ってサービスをやるということがなければ、全体で見れば大したことではないように見えても、そのこと自体は欠陥商品である、こういう形になるわけですね。そういう点でこれは労使関係の改善もしなくちゃならぬと思いますけれども、きちんとそういうことをやはり職員自体、国鉄の体質として表示した品質表示というものを守る、それが国鉄の企業としての生命線であるんだと、欠陥商品はつくらないと、これは労使問題とは別に、その基本認識が非常に必要だと思う。その点が国鉄のトップに私は欠けているんじゃないか、どうもルーズではないか、こういうふうにいままでの状況を見てきているわけです。これは労働者の基本的権利を抑えるとか、抑えないとかという問題とは別なんです。それをきちんと徹底しているかどうかということが重要です。その点について総裁のひとつお考えを聞いておきたい。
○説明員(高木文雄君) 旅客についても、まさにおっしゃるとおりでございまして、正確で安全ということがきわめて重要なことでございます。率直に申しまして、ここ数年その内容が低下していることは認めざるを得ないわけでございます。しかし、幸いにしてこれではいかぬという空気は全体に浸透しつつございますので、その空気を大いに助長といいますか、その雰囲気を広げてまいって御期待に沿わなければならぬと思っております。
○和田春生君 それから、貨物の点についてもう一つの問題点があるのは、鉄監局長も国鉄の諮問委員会、貨物の点に触れてないのが非常に不満であるとおっしゃられましたが、確かに現在貨物から赤字が出ているという数字が出ております。しかし、国鉄のトータル収入でいくと、運輸収入の八五%が旅客収入、一五%が貨物収入ですね。そうすると国鉄の施設、それの主たる目的は旅客輸送のために提供されている、それを利用して貨物を運んでいるというかっこうだと思いますね。そうすると貨物で出ている赤字という、ぼくはあの計算の所要経費に非常に一つの擬制というか、ごまかしと言っては言い過ぎでございますが、不正確なものがあるのではないかと、こういうふうに思うわけです。で、貨物によって赤字が多い、赤字が多いと言われますけれども、実はそれは貨物を全然運ばなくても、旅客輸送で生ずべき赤字が貨物で生じた赤字というふうに、数字上転嫁されている部分がかなりあるのではないか、こういうふうに思うわけですね。
 そこで、国鉄を再建するというときには発想を転換して、政府が助成するにしても何にしても、旅客輸送というものを主体にした国鉄の再建策というものを考えていく。貨物はいわばプラスアルファだ、遊んでいる施設と言ったら悪いけれども、たまたまある施設だから、そのレールの上に乗せることによって収入を得ればプラスになっていくではないかと。たとえば船が、定期船で輸送していって、もうそれで任務は終わったのだけれども、たまたまホールドがあいだから、スポット物を拾って帰ってきてその点はプラスアルファと、そういう考え方もあるのですが、性質は違うけれども、そういう考え方で、貨物というものは国鉄の営業戦略に使っていく、その考え方になると、運賃法定主義ということはいろいろ言われておりますが、旅客の方は別に考えて、貨物については私はむしろ法定主義というものははっきり外してしまって、そして取れるところから取るという式をやれるようにして、国鉄をぜひ利用させてくれ、幾ら出すか、そしてたまたまそのときにはコストで計算すれば損かもわからないが、走らせることによって収入になるという形でやれば、うんと安くぶっつけてでも荷物を取る。民間業界をめちゃくちゃに圧迫したらそれはいけませんけれども、それは公正競争のルールは守らなくてはいかぬが、そういう意味での国鉄の一つの戦略部分として、機動的に貨物輸送というものを考えていく、そういう発想はないかどうか、それを聞きたいのです、国鉄総裁。
○説明員(高木文雄君) 数字で申し上げますが、実は四十八年度の貨物の収入が二千三百八十六億で、支出が、原価が五千五百七十億で三千百億の赤になっております。この場合に非常に困りますのは、原価の中の個別費だけ取り上げましても三千百億の経費でありまして収入が二千三百億ということでございますので、これではどうにもならぬ。いまおっしゃるようなのは直接費、原価と収入と比べて黒でございますれば、いろいろな共通費まではとても出せないけれども、とにかく少しでも貨物が走った方が国鉄経営に貢献することになるわけでございますが、どうも非常に困ったことには現状では個別費だけを収入が賄えない、こういうことになっておりますので、それではどうにもならぬという現状でございまして、しかし、それは改善の余地があるということで、例の再建要綱におきましても、貨物については五年間ではありますけれども、とにかく個別費だけは十分賄えるようにしましょうということでございまして、全体としてとても貨物をとんとんに持っていくことはいまのところほとんど不可能に近いわけでございますけれども、個別費だけであれば、そして、いまいろいろと施設の整備その他をやりまして経費の能率化を図りますればそこまでいける。そうすれば、むしろいわば旅客をメインに考えてその余力でもって少しでも収入に貢献するという形になっていくだろうというふうに思っております。
○和田春生君 確かにそのとおりで、いまの貨物に必要とする直接の経費も賄えないのは困るというのはおっしゃるとおりだと思う。しかし赤字、赤字と言われているのが本当にそういう計算でいいかどうかというのは、幾つかの仮定条件を置いて原価計算をやっておるわけですから、私はそのまま受け取るわけにはいかない。同時に国鉄を使った方が便利がいいし、使わなくてはいけない。運輸大臣もおっしゃるように、もっと取れるところがあるはずなんだ。取ったらいいじゃないですか。もっと取れるところから取っても、なおかつ国鉄を利用さしてもらいましょうというところがあればいいわけですから、それはね。そういうようなやっぱり商取引のベースに立つという形になると、貨物運賃をこんなに事細かに、しかも運輸収入の一五%の部分である貨物について法定をしていくというのは、私はどうも余り得策じゃないんで、もっと大いに弾力性を持ってやれるようにすべきではないかということで、いまのような考え方はあるのかと聞いたわけですから、その点はひとつ政府の方から。
○政府委員(住田正二君) 国鉄の貨物につきましては、先ほど総裁から答弁申し上げましたように、再建対策要綱では、法定主義につきましては、貨物はすでに独占力を失っておりますので、できるだけ自由に国鉄で運賃が決められるような方向に持っていきたいと考えております。
○和田春生君 そうすると、法律改正が必要になるわけですけれども、いつごろまでに準備されますか。
○政府委員(住田正二君) 来年の通常国会にぜひその関係の法律を出したいと思っております。
○和田春生君 旅客運賃の方ですが、この閣議了解の再建対策要綱によると、旅客運賃も含めて検討すると書いてありますね。しかし、午前中の大蔵省の答弁でもわかっておりますように、それがきちんと基礎ができて、再建がレールに乗るというかっこうにきっちりなれば、またそれはそのときだけれども、すでにこの段階でも、もう過去債務については五十一年で仕切っちゃったので、あとはひとつ運賃でという大蔵省が存在をしておるというときに、法定主義を外したら歯どめがなくなっちゃって、えらいことになる危険があるんじゃないかという感じもするんですけれども、旅客運賃も含めてもう法定主義というのは根本的に変えて、認可制か何かにしてしまおうと、こういうお考えですか。
○政府委員(住田正二君) 来年度旅客運賃を幾ら上げるかについてはまだ決めてないわけでございますけれども、この点については大臣がたびたび申し上げておりますように、旅客運賃は幾らでも上げられるというような状態ではないわけでございます。上げればそれだけ減収になるということで、旅客運賃の値上げについても限度があるというふうに考えておりますので、仮に法定主義を緩和いたしましても、むちゃくちゃに運賃を上げるというようなことはあり得ないと考えておるわけでございます。
○和田春生君 それは、まあ大臣はできれば上げたくないとおっしゃっていますけれども、ことし五〇%上げて、来年五〇%上げることにしなければ、私が指摘したような問題点について、かなり政府が財政負担をしない限りつじつまが合わなくなるわけですね。必ずこれは五十二年度には大幅の運賃値上げが数字のつじつまを合わせるために出てくる可能性がある、そういう問題というのが一つの懸念になっていると思うので、おっしゃるように競争力の面で独占的立場を失っているから、限度があるなんといって澄ましておるわけにはいかない問題もあると思いますけれども、この点については私は機動的にやるということ、何でもかんでも法律で決めるという主義には、私自身は基本的に賛成じゃないんですけれども、この国鉄の再建という重要な問題と、国有鉄道であるという面を考えたときに、旅客運賃もひっくるめて法定制度を外すかどうかというのはよほど慎重に取り組まないと、かえってそれが大変危険なことになる可能性をはらんでいる、そういう意味でひとつ十分検討していただきたいということだけを私は指摘したいと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(石田博英君) まあ国鉄の来年度の再建計画について、再建計画と運賃との関係についての御議論ですが、確かに問題点はたくさんございますし、私が幾ら運賃を上げたくないという願望を持っておりましても、それだけでは通らないことになるかもしれません。しかし、一面におきまして、和田さん御指摘のように、競争力がないのですから、これ以上上げたら逆に減収になる可能性も出てくるのです。経営という面から見ても、もう限度は明確にある。来年五〇%を上げるということを前提としてとのお話でありますが、さような引き継ぎは受けておりませんし、したがって、さようなことにどういう話し合いがあったか私はよく知りませんが、私は拘束されるつもりはございません。
 それから法定主義の問題でございますが、国鉄の赤字がこう累積してきました一つの原因は、やっぱり適時適切な時期に運賃の改定が行われなかったということも一つの原因だと思います。それが一年半もおくれると、そのおくれた分の歳入欠陥が債務になって、利子分でふくれてくる、こういうこともありますので、適時適切な時期に改定が行われる必要があると思うことが一つと、それから公共企業体のあり方について、スト権を含めて検討はされておりますが、その一つの条件として、国鉄経営者の当事者能力の問題ということとも関連をいたしてまいります。そういうことと関連をさして、そういういま申しましたような運賃法定主義を排除するという議論が出てきているわけでございますが、結論を得ているわけではありません。ただ何度も申すようでありますが、運賃だけに頼って解決するという時代は、もう今日はそういう時代ではない。これはもう民生の安定、物価の安定という面からだけではなくて、現実にそのことが期待する収入を伴わない、そういう現実の上からも考えなければならない、こう思っております。
○和田春生君 大臣として引き継ぎを受けていらっしゃらないということを再々言われるわけですけれども、確かに来年度五〇%上げるということが閣議で決定するとか、政府の方針としてがっちり固まっているという形ではないと思うのですけれども、国鉄の宣伝パンフレットを見ても、ここに衆議院の運輸委員会のやりとりの議事録がありますが、その中における政府委員の答弁を通じてみても、ことしの五〇%に引き続いて、来年さらに五〇%上げるということは、およそ既定の事実というか、暗黙の前提として論じられていることは否定できないと思うんです。同時にまた選挙が済んだ後で石田運輸大臣引き続きおやりになっているかどうかも、失礼ながらこれは不確定要素でございまして、ですから、引き継ぎがあった、なかったということになると問題なんですが、そこで、いろいろ議論されている。私はそのこととは別に、いま運賃の法定という問題について、国鉄の再建ということの絡み合いで全部それを外してしまうということがいいか悪いかということは、いろいろな意味で検討を要する点があるんではないかということを申し上げたわけですから、その点については御検討をいただきたいと思うわけでございまして、この場における御返事は要りません。
 さて、そういうような形で、大体質問時間も残り予定よりも少なくなってきたわけですけれども、本会議でこう言った、ああ言ったということは責任追及いたしませんが、私は午前、午後にわたる質問で明らかになったと思うのですけれども、印刷の上の数字ではつじつまが合っているけれども、もうこれはぼろが出ている、必ずパンクをする、そういう点について、これは政治的責任をどういうふうにとられるかというふうに聞いたことについて、本会議質問でもその点ははなはだあいまいになっておりまして、これは総理大臣がおれば総理大臣にお伺いすることですが総理おりません。運輸大臣に、これはひとつ、もしそれができなかったときに、まあ内閣が変わったとしても、これは全然野党内閣なんかになれば別ですけれども、仮に自民党内閣が続いているということになると、言ったことに対しての責任をとってもらわなければ困るわけですね。で、私はもうぼろが出ている、だめだと思うのですが、やれるとおっしゃるわけです。やれなかった場合の政治責任はどういうふうにおとりになるつもりなのか、その点を一遍運輸大臣に確かめておきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 現在の状態からいろいろな当初再建案を立てたときと違った状態が出てきていることは確かに事実であります。しかし、同時にまだまだ経営努力をする余地がたくさんあると思っております。それから、まあこれは野党の皆さんも御賛成をいただいているように思いますが、公共負担とか、あるいは地方の交通線のマイナスの欠損の補てんとか、そういうような部門についてさらに財政当局、あるいは政策実施当局と交渉を重ねていく余地が残っていると思います。そこで、来年度五十二年度以降、単年度で健全経営を維持するということを目標とする計画の変更を現在する段階ではない、そしてまた、そういう努力を重ねれば、そういう目標達成は可能だと私どもは思っている次第でございます。
 できなかった場合はどうするかという場合のことでありますが、私はこれはあくまでやるように全力を注ぐたてまえでありますし、もしも大きな障害でも起こった場合はその障害の今度は補てんに対してわれわれは努力するということが政治的責任をとるゆえんではなかろうか、かように考えます。
○和田春生君 できると思って賛否はあっても決めた、ベストを尽くしたけれどもできなかったということは人間世界にはあることだと思うんです。私が特にその点をお伺いしたのは、もうできないことがわかっているという前提に私は立っているものですから、それをできる、できるとおっしゃるから、どういうふうに責任をとるかというふうにお伺いしているわけですが、いまの大臣の御答弁をしかと承っておきたいと思います。
 運輸省と国鉄関係の質問はこれで終わりまして、最後に労働省、来ておりますね。――では質問をいたしたいと思います。
 過日の本会議で私が質問したことに対して、まことに労働大臣というのは失礼な人物で全然答えないわけですね。答弁漏れだと言って党の場内交渉係も出ようとしたんですが、最後の質問でありまして立ちかかっている議員さんもたくさんおったので、まあいいよという形でおいておいたんですけれども、全くぼくはあれは不届き千万だと思っているんです。人がきちんと聞いていることに全く答えずに、答弁漏れだと言っているのにかかわらず、にたっと笑って引き揚げるなんというのは国務大臣の資格なしと、こう言いたいわけですけれども、きょうは労働大臣おりませんので、かわりの人に来てもらうように注文をしておったわけですが、私が質問した内容を要約をして言うと、いまは公労法という特殊な法律がある、これでスト権を制限をしている、それに対してはぼくらも批判を持っているわけです。一定の条件を整備してスト権を認めるように公労法を改正しろと、こういうわれわれも主張を持っているから公労法自体に賛否の立場や適否ということの判断はあるだろう。しかし、現行の公労法体系の中でいけば強制仲裁制度というのは明らかにストライキ禁止に対する代償措置ではないか。
 私は現在の公労法をつくるときの労働法令審議委員をしているんですからずっと立法のいきさつよく知っているわけなんです。明らかにこれはスト禁止に対する代償措置なんだ。だから、民間においてはそういう制度はないんですね、御承知のように。それは両方が合意をして申請した場合に任意仲裁が行われますけれども、強制仲裁制度はないんです。わざわざ公労委をつくって強制仲裁をやって、そして予算上、資金上の問題があってもこれを実施しなさいと、これはまさにスト禁止に対する代償措置ではないかと。したがって、労働者の権利だからといってストライキをするという立場は労働運動としてあり得るとぼくは思う。しかし、それは結局ストライキもやる、強制仲裁もというのは、これはもう根本的に矛盾しているわけで、そういうことをやる場合には、強制仲裁による仲裁実施というものを今度は見捨てるということが代償措置と当然なってくるんじゃないか。これはバランスとれた問題なんです。
 したがって、仲裁裁定を実施するという場合にはあくまで法律どおりに守る、法律に従う、そういうことが前提になって初めて仲裁裁定を完全実施しろという問題が出てくるんではないか。そういうけじめというものが全然はっきりせずに、うやむやのうちに問題をやっていこうとする。そればかりではなくて、そうではないと否定はされるが、明らかにその仲裁裁定の実施ということを運賃値上げとてんびんにかけてその取引材料みたいな形で国会に出てきているわけですから、そういうやり方というのはけしからぬじゃないか。いわばそういうことを要約をして質問したわけですね。何も答えなかったわけ。ひとつ労働大臣いらっしゃいませんけれども、労働省としてその点どう考えているか聞いておきたい。
○政府委員(関英夫君) 先生おっしゃいましたように、確かに現行法の公労法におきましては、公共企業体等の職員の地位の特殊性と、それからその職務の公共性にかんがみまして、争議行為を禁止し、その代償措置として公労委による調停、仲裁の制度が設けられているわけでございます。この点はもう先生の御指摘のとおりだと考えております。ただ、現実はそういった現行法上本来ストライキは起こり得ない制度になっているにもかかわらず、しばしばストライキも起こり、まことに遺憾な事態が最近多いのは事実でございますが、そういったストライキが起こるにはそれなりに理由、あるいはその原因があろうかと思いますが、政府といたしましては、関係当事者が現行法がある限りその趣旨を十分認識していただきまして、労使紛争を平和的に解決するという立場で最大限の努力を尽くされるよう期待しているところでありますし、労働省としてもそういう方向で常々努力しているところでございます。
 現に、今回国会召集後間もなく関係の組合――公労協関係組合、あるいは全官公の関係の組合の方々と労働、運輸、郵政三大臣がお会いする機会もございましたが、そういった際に公労協関係組合員につきましては、この問題をめぐって九月末にストライキが計画されておりました。そういったものにつきましては強くその自重を政府から要望いたしたりいたしておるところでございます。ただ、ストライキの代償措置といたしましての強制仲裁によります裁定につきましても、国会の予算審議権との調和を図るということがどうしても必要な場合が出てまいります。その点が十六条の現行の予算上、資金上不可能な場合の規定だろうと思うわけでございます。そういうわけで現在国会に御判断を仰いでいるわけでございますが、政府の方針といたしましては、ストライキの代償措置としての仲裁裁定を完全実施したいと、またその方向で努力するという立場は昭和三十年以来その立場を堅持して努力をいたしてきているつもりでございます。
○和田春生君 それは、一応の説明にはなっておっても答弁になっていないと思うのですね。たとえば、ことしの仲裁裁定の問題についても、これは運輸大臣も大変御苦労なさったようですけれども、現に運賃値上げ法案が通らないと資金的にぐあいが悪い、そういう形でこれとてんびんになった形で議決案件で国会へきたわけです。そこで、一体何が起こったかというと、いままで公労法は悪法ではあるが法治国家の国民としてあくまで公労法を守っていくと、こういう立場をとってきた鉄道労働組合も、この仲裁裁定が実施されないという形になれば、われわれ仲裁裁定というものがスト禁止の代償措置であるということを前提にして法を守ろうと言ってきているのだからストライキをやらなくちゃいかぬということを言ったわけでしょう、直前。全国大会を控えて。地方の大会では決議したところもあった、ぼくらのところにも来たわけだ。そういうことになる。むしろ逆にそういうことが公労法に従ってストライキをやらないと言ってきた組合さえも、それはストライキに追い込むという寸前までいったわけ。
 幸いあそこで一つの政治的措置がとられてそれは回避された。それがけしからぬじゃないかと言っているのだ、ぼくは。そういう形で出すのが。むしろ仲裁裁定を実施しないなら、これはストライキやった組合は怒るかもわからぬよ、怒るかもわからぬが、ストライキができないという前提になっているから強制仲裁があると、その強制仲裁を資金上、予算上問題があるけれども誠実に実施するというのがその前提なんだから、ストライキやるのなら仲裁裁定実施できないと言った方がよっぽどはっきりしているわけでしょう。そうでしょう、法律のたてまえでいけば。それを運賃と引っかけて持ってくるから、ストライキをやらないという組合までストライキをやるところに追い込んで何のことかさっぱりわけがわからなくなるわけでしょう。そこのけじめを政府がきちんとしろというのだ。法律を守る第一の責任というのは政府にあるわけですから。組合の方は労働者の権利だから、公労法というのは労働関係法だけれども罰則規定がない、御承知のとおりでしょう。やろうという組合出てきたらとめようがないですよ。やることがいいか悪いかという批判はあるけれども、とめようがないのです。
 しかし、問題はそこにかかっているんで、ストライキが自由でやるんなら当然当局にも自主性を与えますから、そこへある程度。強制仲裁なんてよけいなことをする必要がないんです。民間と同じように団体交渉なりストライキを通じて解決をしなさいと。ぐあいが悪くなりゃストライキはとめますよと。緊急調整か何か知らぬけれどもそれでいいわけ。しかし、強制仲裁をやっていろいろやりくりをしてでも実施するということは、スト禁止の代償措置じゃないかと。なぜその点のけじめをはっきりさせないかとぼくは聞いているわけなんだ。運賃とてんびんにかけるからおかしなことになるんじゃないか。政府自体が間違っているというんですよ。その点、もう一遍はっきりしてくださいよ。
○政府委員(関英夫君) 先生のおっしゃっていることはよくわかるわけでございますが、やはり現行法上、国会で御審議いただいた国鉄の予算をもってしては、どうしても予算上、資金上実施不可能な場合につきまして、ストライキの代償措置としてのこの仲裁裁定との調和を図る制度として十六条がございまして、そういう意味で十六条を今回は発動せざるを得なかったわけでございます。その辺のところは、先ほど来国鉄の現在の財政問題でいろいろ御審議いただいておるわけでございますが、今回の仲裁裁定につきましては、やはり収入というものを十分確保する見通しがない以上、どうしても現在国会で議決いただきました予算では資金上、予算上実施不可能というふうに政府としては判断せざるを得なかった。そのために十六条を発動せざるを得なかったという事情をひとつ御了解いただきたいと思うわけでございます。
○和田春生君 了解できませんよ。十六条というのは予算上、資金上実施がむずかしい仲裁裁定について、あれは当然それを実施するという場合には国会の承認を求めろと書いてあるんです。いいですか、ぼくはその法律をつくった当事者の一人ですからよく知っているわけだ。承認を求めろ、承認の前提はやりますと、こういうことについて承認を求めるわけでしょう。やらないんだったら承認求める必要はないんで、銭がないからと言っておけばいいわけです。債務として残るだけだ国鉄は、それは。組合は怒るでしょう、かんかんになって、組合員はけしからぬと言って。だから、やらないつもりなら何も国会にかける必要ないんですよ。予算上、資金上むずかしいやつをやるという場合には国会の承認を求めろというのが十六条の趣旨なんでしょう、これは、明らかに。それはもう書いてあるんです、そういうふうに。
 したがって、その場合には国鉄当局としては仲裁裁定を実施しますという意思が固められる。それをやらしてくださいと、政府としてもやりくりして、それを実施いたしますと、こういう意思が前提になって、さてしかし、国会で議決された予算ではぐあいが悪いから御承認を願いたいと出すのが当然なんですよ。そういう意味で全部国会の議決案件だと。通るか通らないかによりけりだという形で政府が逃げちゃって国会にげたを預けているんです。結局したがって、形としては運賃値上げとのてんびんになってきた。そして、いまのスト禁止との代償措置である強制仲裁というものが、どこかに宙に飛んでしまったという意味で、まさに公労法の現在の法律がいいか悪いかは別にして、立法の精神と基本的なあり方を踏みにじったのは政府なんです、ぼくに言わせれば。そういう点はけしからぬじゃないか。きちんとさしておきなさいと言うんです。それがやっぱし公労法を改正する場合にも大事なことでしょう。そういう形ではなかなかうまくいかないんで、ここを改正をしてくださいという形で、初めて改正案というものがルールに乗ってくるわけですね。
 だから、そういう点で、もう予定のお約束した時間も少しオーバーしたようでございますからこれ以上は申し上げませんが、労働大臣に直接聞く機会がありますと思います。あるいはおやめになっちゃってだめになるかもわからぬですが、これは短命で、どうしようもないかもわからぬですけれども、それはまた改めて時間があればお聞きしますけれども、しかと労働大臣初め首脳部に言っておいていただきたいんです。そういう点がいろんな面で問題を悪くしている私は大きな原因の一つだというふうに思います。やはり労働行政をする場合には、そういう前提というものを押さえてしっかりやっていただきたい。このことを特に希望をいたしておきたい、こういうふうに思います。
 以上で質問を終わります。
○松岡克由君 期待を一身に背負ってこれから質問さしていただきます。
 このたびの国有鉄道運賃法、日本国有鉄道法の一部改正案、これについていろいろと論議が展開され、私なりに伺って非常に高いところから、または論理的に的確にいろいろな委員から質問があり、まだ山のように残っているような状態でございます。私のところはもちろん論理的もさることながら、庶民の代表としては非常に感覚的なところを含めて聞いていきたいと思うんです。感覚的ということが非常に私は大事でございまして、少なくも私に対する答弁に的確なものがあれば、もちろん私はマスコミを通じてみんなにこれを発表する義務がありますんで、国鉄の電車の中にビラをぶら下げて、あるときは助けてくれと言い、あるときは全くおどかしているような文章を並べるよりも、私に対する答弁を的確にした方がはるかに効果があるんではないかと、こう自負しておりますもんで。
 あの一般大衆というものは、総裁何度も言うけども、論理的な部分よりも感情の動物ですから乗れない、または態度が悪い、国鉄の職員の。それから込んでいるとか、非常にそういうところから発想するんですわね。国鉄に対するコミュニケーションといっていいか、まあ感じというものを。で、それが納得しないと、そこへマスコミというか、文化人がつけ込んできて不満を正義に転化さしてくるわけだ。それでそっちがまいっちゃうわけですよ。だから、最も大事なところを押さえるというのかな、サービス、納得するようにしていかないと、老婆心ながら私は申し上げるんですが、大変なことになるんではないか、こう思うんですけど。
 まあ私は毎日乗っているんです。きょうもちょっとおくれましたけど、電車に乗ってここへ来ているわけですけどね。私自身で感じたことはずいぶん前、昭和二十七、八年でしたか、私当時目黒にいまして、目黒から目白に師匠の小さんがいるんですがね。当時十円だったんです。それがある日突然に目黒から恵比寿までが十円になったんだね、これはぼくは非常に記憶力がいい方ですから、そういうことに対しては。こういうことがどかんと感じるんですね。
 私はいま乗っていて、非常にささいなことから聞いていきますけれども、要するに庶民として頭にくることは、車内で乗客のマナーが悪いんですわ。まあ、ほとんど若者というのは足を組んで乗っているんですわね。その乗っている態度たるや、われわれ物のない時分に育っている、戦争を幾らかでも知っている人間にとっては不愉快以外の何物もない。それに対する、次はどこへ着くんだという説明はあっても、彼らをいさめる行為みたいなものは全くないわけですわね。ああいうのをなぜ指導しないんですか。人間、指導されますと職員に対しても職員そのものがリーダーシップ持つようになるんですわ。これは非常にいい教育になるんです。どちらの係かわかりませんですが、そういうサービス面における報道をしなさい。
○説明員(吉武秀夫君) いまの先生のお話の中で車内放送の部分でございますけれども、車内放送はただいまお話がありましたように、一つは業務放送といいますか、着駅の案内とか、あるいは乗りかえの問題とか、そういうこと。それからもう一つは、いまお話のありましたように、ちょっとモラル的な、そのときそのときに応じた放送というものがあるかと思います。で、全くやってないというわけではございませんで、たとえば非常に込むときにはお子さんをひざの上に乗っけてくださいとか、あるいは雨の降る日に、かさを隣の人にさわらないようにしてくださいとか、そういうあれはやっておるわけなんですが、放送というのは一番後ろで行いますもので、実際に目についたあれじゃなくて、一般的に放送しておるというのが実態なんですが、これは管理局とか、あるいは車掌区というところで、そこで放送のテキストみたいなものを持ってまして、そのときそのときに応じてこういう放送をしたらどうかということで現実にはやっておるということになっております。
○松岡克由君 ちっちゃいことにこだわりますけれども、やってないんですよ。やっているというのは、電話をかけたけれどもいなかったというのと同じことであって、それはやっていることにならぬのだ。やはり、やるというのは効果がなきゃ何にもならぬでしょう。うるさいくらいやっても罰当たりませんよ。銭がかかるわけじゃないじゃないですか、こんなもの。一銭もかからぬです、これ。国鉄で足を組まないでください、かさは置いてくださいと、これ、どれだけ迷惑しているか、あなた方乗ったことがないからわからぬのだ。乗ったことないから車掌が一番後ろにいるなんて、そういうふてぶてしいことを堂々とここでほざくわけだな。言葉が悪かったらごめんなさいね、腹にそれほど他意はないんだから。それ言いなさいよ、言わせるようにしなさい、このぐらいしなさいよ。これによって後の質問がずっといろいろと変わってきますよ、あなた。おどかすようじゃないけれども、しなさい、これ。
○説明員(吉武秀夫君) いや、私も毎日電車で通っておりますけれども……。
○松岡克由君 会いませんな。(笑声)
○説明員(吉武秀夫君) このお客様の御意見でいろいろございまして、放送がうるさいという意見と、それから、もっとやれという御意見と、いろいろの御意見がありまして、私は何回かいまのような放送は自分で聞いたことがあるものでございますのでそういうふうに申し上げたんですが、足りないということについて、もう少しきめ細かく指導はしたいと思います。
○松岡克由君 ないんだよ。減るわけじゃないからやればいいじゃないの、そんなの。本当に迷惑感じているんだ。ぼくは乗るたんびに腹が立つのはその一点。ただ乗っているから余り文句も言えないんですけれどもね、ぼくは。その一点ですよ、私はね。それはやってないのだ。やっぱり、何度も何度もうるさいほどやらないとだめですよ。いまの右翼を見習いなさい、うるさくやってるの。あれは余り効果はないけれども。あのぐらいやっぱりやらなければいかぬです。それが、庶民に対するサービスです。それをうるさいからやめろと言われたとしても、それはあなた方のリーダーシップでとめるぐらいの度胸がなかったら、こんなもの国鉄の再建などそういうところからできやしないですよ、この程度ができないようじゃ。車中で足を組んでいるのも直せないで、何が国鉄再建ができますか、あなた。庶民はこういう発想なんです。わかりますか、ね。頼みますよ、頭下げればやってくれますか、あなた、ね。
 率直に伺いますけれども、総裁、昨年の十二月三十一日の閣議了解の、例の国鉄再建対策要綱ですか、これ見て感じたんですが、さっきも和田委員がどうやったって再建できっこないと言う。これはプロとアマチュアというかな、そのぐらい差のあるプロが言うんですから間違いないと思う。このアマチュアである、運輸委員会の非常にまだ浅い私が見ても、どう考えてもできっこないような気がするんですがね。じゃ、和田委員は納得させることが無理だったら、せいぜいこの浅い私ぐらい納得できるように、ということは庶民と言いかえてもいいです。一般大衆に納得できるようにわかりやすく、アメリカでは何か大統領が子供相手に演説するということを言いますよね、ということは非常にわかりやすくしゃべるということです。この際どうですか、国鉄として。納得するように、ひとつお願いします。
○説明員(高木文雄君) まだ私も日が浅いわけでございますので、(笑声)十分よくわからないのでございますが、やはり二つ問題がございまして、先ほど来お話ししたのは国鉄の経営といいますか、経理といいますか、そういう財政面からもつじつまが合わないじゃないかという御指摘でございますが、それはまさに非常にむずかしい問題であると、なかなか容易にできる問題ではないと思っております。しかし、それにも増して重要なのは、やはりほかの製造業などと違いまして、人の手によって行っているサービス業でございます。
 その意味におきまして、その人の、しかもそれがきわめていろいろと分業になっておりまして、駅におる者、運転に当たる者、車掌さん、信号、あるいは修理というあたりまできわめてたくさんの分業になっておる。それが非常に多くの場合に人手によって行われている。それがうまく一緒になって、毎日、先ほど御指摘を受けましたように、きちっとダイヤのとおりに動くかどうかということは、かなり現状では理想から離れておるわけでございまして、これを理想のところへ持っていくことが問題でございまして、全体の四十三万人の人間が、お互いにそこの自分たちをよく理解して、そして自分の職能を一〇〇%果たすということによって、いいサービスをするようになったなというふうに受け取っていただければ私はサービスの質が向上してまいりますから、それによってまた、いわゆる国民の足という立場でかわいがっていただける国鉄になると思うのでございますが、その面におきましても、残念ながらどうもまだ非常に理想から離れております。その両々まって一生懸命やる以外にない。できるかできないかは、やってみなければわからないわけでございますけれども、とにかくそれに向かって一生懸命邁進するほかない。何とかしていまの何かこうぎすぎすしている関係を正していきたいと思っております。
○松岡克由君 いや、その話はもう済んだんだよ。再建の問題聞いているんだよ。聞いてないのかな、困ったな。
○国務大臣(石田博英君) それでは私が聞いておりましたから……
○松岡克由君 いや、私が聞いていましたって、それはよくないですよ。
○国務大臣(石田博英君) 非常にたくさんいろいろむずかしい問題を含んでおりますから、たやすく再建計画が実施できるとは私も思っておりません。
 それから、あの程度の大ざっぱな要綱だけでできるのではなくて、やはり根本的に言えば国鉄の経営、上から下までの経営姿勢、それから法律でいろいろの拘束してある拘束を解いて、もっと資産を活用して収入を得る方法、それから元来政府が、国鉄が負担すべき性質のものでないものは、これを政策実施部門とか、あるいは政府全体で考えるというような方策を総合すれば、何とかこの単年度の経営の健全化という見通しを持つに至ることができるものだと、私はそう考えます。あの運賃の値上げだけでできるとは決して思っておりません。
○松岡克由君 過日のテレビでも、まあ売る物はないかといったぐらいだという発言なども聞いておりましたのですけれども、私は、じゃ、いろいろと国鉄側においてなるほどというような質問をこれから展開していきますので、つっつくばかりが能でないので、答えるときは、ありがたいと思ったらひとつ率直に答えてほしい。と、わりと答えないんです。過日私は、入場税のことでもって大蔵省に聞いたら、なかなか入場税撤廃できないと。撤廃せいと言ったら文化庁は喜んでくれるかと思ったら、文化庁も喜ばないんだね。文化庁は素直に喜んでくれると思ったが、そういう妙な、変な役人たちの連携みたいなのがあるんだか何だかわかりませんが、率直にひとつ、同調できるところは同調してほしいと、こう思っております。いまの抽象的な話で果たして納得できるか、できないかちょっと――私は、仮にそう聞いた話を一般大衆といいますか、ぼくらの仲間に話をしても、抽象的なものとしてのロジックは合っているけれども、なかなか感覚的にはできない。
 大臣ね、眠いといけないからちょっとおもしろい話をしてあげるからね。昭和三十年ぐらいですがね、こういう漫談をやった鈴々舎馬風という落語家がいたのです。埋まらないと、赤字がね。埋まらないから泥をしゃくってきちゃ穴へ埋める。そうすると、ここへまた大きな穴があく。そうすると、またしゃくってきてここへ埋める。穴が大きくなるだけで何にもこれは埋まらない。値上げで赤字を埋めるならだれだってできる。政治家なんざあ要らねえ。埋まらない、また上げる、埋まらない。しまいにどうなる。金だけ取って電車へ乗せないと言うんですよね。(笑声)これは笑っているけれども、本当にあり得ることね。それで、線路を切符買って歩くと言うんだね、車掌が先頭になる。これが落語家的な発想なんだけれどもね。(笑声)いまの国鉄は果たして車掌が先頭になって歩くかどうか、その精神はないと思うけれどもね。先頭になって歩いてくれるぐらいなら私はありがたいと思うんですがね。こういう笑っている感覚がそのとおりになってくるんですよ。落語家の意見を尊重せいということを言っているわけじゃないですよ。庶民の感覚というのは意外に当たっているもんだということを私は言いたいのです。
 素直に聞きますと、人間、危機になったときに――まあ、火事でも地震でもいいですわ。危ないというときに、まず逃げ出すには身一つで逃げるのが一番いいことなんです。ところが、国鉄は公共性というものをしょっていますから、そうは逃げられませんわね。その荷物は切り捨てられない。たとえば地方赤字線、または貨物の問題、さっき出ていましたが。こういろんな家財道具をしょって、逃げるに逃げられない。私は、逃げるに逃げられないというのが国鉄再建対策要綱のような気がするんですがね。何か逃げたいんじゃなくて、逃げられないというのを説明しているような気がするんですがね。どう感じますか、大臣、総裁。
○国務大臣(石田博英君) それは、赤字が出て国費の負担が多くなるものから逃げることができればなあと思わぬでもありません、正直なことを申して。しかし、逃げたらどうなるということを考えると、やっぱり何とか現状を改善しながらやらなければならないと思うのです。
 さっき私がお答えしたことを抽象的だとおっしゃいましたけれども、たとえば日本国有鉄道法という法律があって、国鉄のやるべき行為をいろいろ縛っているのですよ、あれもしちゃいかぬ、これもしちゃいかぬと。収益を得られるような仕事も。衆議院でどなたかからの質問にもありましたが、横浜へ行きますと根岸線というのがあります。根岸線は赤字です。根岸線をこさえることを条件に大きな工業の埋立地ができる。こっちにいっぱいマンションができる。こっちはもうかっているわけだ。それも初めにそういう土地の手当てをし、そういうところにマンションや住宅ができるようになれば、それは国鉄だって相当の収入を得ることができると思うのですよ。そういうことを含めて、あるいは、またこの間、ここでどなたかの御質問に対して国鉄の持っている資産のうちで未利用地は三%しかないという答えがありました。それは利用の度合いなんですよ。一例を申しますと、仙台の駅の裏に、仙台は東の方に海があるもんだからそっちへ発展したい。ところが、もう使ってもいない倉庫とかレールとかがいっぱいあって邪魔になる。しかし、これは恐らく国鉄の帳簿の中には利用地として入っているだろうと思うのですよ。だから、そういうようなものを洗い直していき、処分できるものは処分をするという方法をあわせてやれば、借金を一遍になくしてしまえということは無理ですよ。ですけれども、単年度で採算ベースに乗せることはそれほど不可能ではない。
 具体的にさらに言うなら、学割とか、その他の公共負担とか、あるいは地方の鉄道の赤字の分担方法とか、そういうようなものを具体的に処理していけば、国鉄の単年度の採算をとるということはむずかしくない。特にエネルギー経済から言えば、トラックで物を運ぶのと鉄道で運ぶのと比べてみると、一対六か一対七ぐらいになるのです。それだけエネルギーの上で、経済なり日本のようにエネルギー事情が悪いところですと、国鉄を守り、伸ばしていかなければならぬと思います。ところが、エネルギー経済の上でいいんですよということを実際に、実感として荷主さんに持ってもらうには、やっぱりトラックより安くなければだめなんで、それからもっと便利でなければ、片っ方は家の前まで運んでくれるけれども、片っ方はそうはいきませんからね。そういうようなことをあわせたいわゆる発想の転換を行えば、楽な仕事だとは思いませんけれども、再建の道を見出すことができると思う、こうお答えした次第でございます。
○松岡克由君 いまの言葉に二つちょっとひっかかることがあるんですがね。そういう未利用地を売ることができれば再建できるという言い方、これを売りますから再建できますと、こういうふうに言えないものなんですか。
○国務大臣(石田博英君) これは不動産ですね。それから、ある場所、いろいろな条件が違いますから……
○松岡克由君 基本的態度として。
○国務大臣(石田博英君) 基本的態度としてはそういう未利用地――そういう効果の上がらないものはあるいはもっと効果的に――売ることばっかりが能じゃないと思います。貸して貸し賃を取ってもいい。そういう余地はずいぶん私は残っていると思います。
○松岡克由君 基本的態度として、それはやりますから――やれない理由はいろいろあると思いますね。それはいろいろ不動産とか……。やりますからどうぞ御期待くださいというのと、これができれば何とかなるでしょうという、こういうことが非常にあいまいに感じますね。
○国務大臣(石田博英君) はい、わかりました。
○松岡克由君 わかりましたね。
○国務大臣(石田博英君) はっきり申します。私は、そういう種類のものは、思い切って処分できる物は処分し、利用する物は利用するということをやってもらいたいと思います。私は直接じゃない。直接は国鉄ですからね。
○松岡克由君 総裁、よろしゅうございますか。
○説明員(高木文雄君) ただいまのような点をしばしば大臣からもお指図を受けておりますが、私もそういうことでやらねばならぬと思っております。
○松岡克由君 それから、これは質問というよりもアドバイスします。たとえば、いま貨物のことが出まして、貨物は戸口から戸口へ行くもんじゃないと、そういうマイナス面があると。しかし、そのマイナス面は――人間というのは感情の動物ですからね。できないかもしれませんが、これはうちは幾らか高いかもしれません。高いかもしれませんが、それを皆さんがやってくれることにおいて国鉄が潤うし、値上げも少なくなるんです、税金もそれほど使わなくなるんです、助けてください、お願いしますという方法があれば、これはまた解決できないことでもないんですよ。そういう姿勢というのを持たないで、計算づくだけでやるとそういうことになってしまうんです。
 私は沖繩――沖繩の話は余りしたくないんですけれどもね、私は。(笑声)たまたま沖繩へ海洋博を見に行った人が、つまり万博と比べて落ちると、こう言うんだ。私だったら堂々と同じだという言い方をしないですよ。それは万博と比べれば設備も落ちるかもしれない。食べ物もまずいかもしれない。しかし、沖繩が仲間に入って初めての行為なんだ。お金のある人は幾らかでも沖繩に落としてやってくれと。君たちが内地よりちょっとまずいかもしれない物を食べること、不自由をすることにおいて仲間がこれだけ助かるんだという、こういう発想があれば、私はまだまだマイナス面もプラスにできることが可能なんだという、この人間の心情を信じてくださいよ、総裁。これを信じないと、すべてがだめになりますよ。
○説明員(高木文雄君) 確かにおっしゃる点はございまして、長年の間、どちらかというと、お客さんが来ればそれを運びましょうというような姿勢が見られたわけでございまして、それではいけないので、こちらから積極的にお客さんをお訪ねして、それを載せてもらうというふうにやるべくいま指導をいたしておるところでございまして、だんだん成果が上がるものと確信をいたしております。
○松岡克由君 これは別に、失礼だったらおわびしますがね、そういう意味で今回の総裁は非常に体も小柄だし、同情を国民から何か買うというと失礼ですけれども、傲慢な感じがしないんで、すごく適役ではないかと、私は期待しているんですがね。ところが、そういう内容と違うところというのは大事だということの関連なんですがね、どうぞひとつ使ってくださいという、そういう態度を忘れないようにしてほしいと思います。
 再建対策要綱でも触れていますがね、営業面で国鉄の直面している問題は、累積赤字の問題を除きまして三つあると、私はこう思う。一つは地方の赤字線ですね。もう一つが貨物の問題、もう一つが運賃の法定制度の問題です。
 この最後の運賃の法定制度のことをちょっと伺いたいんですけど、私、運賃を国会で決めるというのがどうもなじまないような気がするんです。ということは、これは議員心理として値上げしなきゃならないと、早い話が資本主義というのは値の上がっていくものであって、物価が上がるのが悪い政府で、上げなければいい政府であると思わしているとしたら、これは政府が最大の悪いところであって、物価というものは上がるもんである。ただ、自分の収入とのバランスがどうかということが問題だという、百も承知のこの意見が意外にわかっていない。これは逃げちまう政府に私は責任があるんじゃないかと思うんですけれども、まして、切り下げ経済に私は恐らくいまの国民というのは耐えられないだろうと、こう思っているんです。洗剤がなくなる、トイレットペーパーがなくなるんであれだけの騒ぎをする国民ですから、やっぱり成長経済でないと持たない。上がっていくのはしようがない。
 与党の議員でも、やっぱり値上げというのは心情的に上げなきゃしようがないと思っていても、私は選挙民にはなかなか言いづらいと思うし、また野党の方々でも上げなきゃならないと思っても、やっぱりこれはどうしても議員心理に反するんだね。(「違うぞ」と呼ぶ者あり)違いますかね。後ほどまたゆっくり先生の意見を伺いますがね、私は無所属ですから、歯に衣を着せないで言いますがね。運賃の改定という、私は経済的行為が与野党の取引の材料にもなりかねないと思う。そういうこともあり得るんじゃないかと、材料に。与野党ばかりじゃなくて、与党の内紛のとばっちりを受けることもあるんですね。
 たとえば、いまここにいらっしゃるからちょうど伺いますがね、木村前運輸大臣が五十一年十月十六日の「世界日報」という雑誌に「三木首相への提言」という欄で書いているんです。六月当時、私が運輸省の最高責任者の立場で国鉄運賃値上げ法案を即刻成立させてもらいたいと一時間にわたって首相に談じ込んだことがある。それに対して、首相は何らの返事もせず、ただ聞き流していただけであったという、こう書いてあります。恐らく前運輸大臣がおっしゃるんだからうそでないと思います。ということはね、三木さんは三木さんで、当時椎名さんに追い落としといいますかね、三木おろしを迫られているので、早い話が退陣工作が活発になっているから、国鉄の運賃どころじゃないんですね。国事に打ち込めなかったと、こう解釈せざるを得ないんですね。
 私は、運賃というのはある枠を決めて、つまり自主的に決めるような機関にまかせたらどうかと、国会はもっと基本的な審議をした方がいいんじゃないか、こういう一つの、突拍子もないと感じるかもしれません、このアイデアを運輸大臣の立場でなくてもいいですけれども、どう感じますか。
○国務大臣(石田博英君) この運賃の法定主義、これは国鉄だけでなくて電電公社も郵政もそうでございます。これは独占的な立場にある企業であるという意味で、それから公共性、そういう意味で法定主義というものは定められたものだと思います。しかし、先ほどから長い議論でおわかりだと思います、実際を見ておわかりのとおり、国鉄はもう独占企業じゃないのです。そして、事実過度の競争関係にありますから、運賃を勝手に幾ら上げたからといって急にそれだけの増収になるものでもないので、実際上の制限がある。そういう意味で、法定主義というものを見直していいんじゃないかというあなたの議論は私は決してとっぴな議論とは思いません、ごもっともな議論であると思います。
○松岡克由君 謙遜して言ったのでとっぴと言ったのですがね、まあ肯定してくれてありがたいです。ひとつこういうものも考えなければというのは、だからこそぎりぎりになってどかあんと上げなければならないようなことが起きてくるのですね。もうちょっと、ちょびちょびちょびちょび上げている分にはさほど感じないんですが、こう追いつめ追いつめいろんなことをやったあげくどおんとくるからショックが大きいと。で、問題になってくるという部分が、そういう制度を設けることにおいてどんな困難があってもいいとなったら、それはやることがやっぱり政治家の道ですから、それがいいとなるならばそのようなことを進めるように、ひとつどうです、皆さん、いろいろと考えようじゃございませんか。
 で、貨物輸送なんですけどね、私、これはまあ再三、再四いろんな議員の方々が伺っているんで、何度聞いても同じことかもしれませんですけどね、五十五年を目標に収支の均衡を図ると言っているんですけども、具体的に一言でどうです、図れますか。
○説明員(田口通夫君) 私ども簡単に申し上げますと、やっぱりコストを下げる、徹底的に能率化するということが第一番目の大きな問題でして、これはいままでやってまいりました貨物集約――貨物駅の集約、それから貨物の操車場の統廃合、それから列車体系の体質を徹底的に簡素化する、こういう三点で、具体的な計画を現在詰めておりまして、十一月中に労使がこの問題について話し合うという予定になっております。
 それから二番目は、やはり御指摘もありましたように、運賃制度が非常に硬直化しておりますので、これを弾力的に活用いたしまして、できるだけの輸送需要を持っていきたいというふうに考えておりますし、すでに多くの荷主さんとの折衝を開始いたしまして、需要増につきましてはかなりの自信を持っております。
 最後は、やはり午前中総裁が申しましたように、できるだけトラックと競争することよりも、トラックを上手に使いまして、トラックから見た場合に動く道路としての鉄道というような形の機能を発揮したいと思っております。すでにコンテナ輸送が五十年度の実績で千二百万トンですが、それの六割に当たりますフレートライナーという特急列車を走らせておりますけれども、それの約三六%が実際のトラック業者が利用いたしておりまして、こういう実態もございますので、できるだけトラック業者を問わず国鉄を利用していただくという方向で勉強していけば、五十五年、五十六年度の初めには、国鉄再建対策要綱に書いております「固有経費で収支均衡する」ということも可能である、また自信を持ってやり遂げなくちゃならないというふうに考えております。
○松岡克由君 結構でございます。
 赤字ローカル線はどうですか。これはそうは言いにくいでしょう、正直にひとつ……。
○説明員(馬渡一真君) 昨年末に決められました再建対策要綱の中で、地方交通線問題についての答申が出ておりますが、その中で、国鉄といたしましてまず努力をいたしますことは、やはり自分でできる合理化をすることでございます。しかし、まあその点で申しますと、実は収入と支出のバランスが、それをやりましてもなお覆い得ない線区であるというふうにその面では考えておりますが、できるだけの努力をいたしましてもなおそういうかっこうになりますので、その点につきましては、先ほど運輸省からもお話しございましたように、運輸政策審議会の面で御検討いただいた形の中で私どもも努力いたすべきものは努力をいたしますし、まあ今後の取り扱い方もその点で決めてまいりたいと思っております。
○松岡克由君 いまの答弁の言葉の感じからつかむと、最初の二つ聞いたうちの貨物の方ではわりと自信がある。いまのローカルの方はまずはっきり言えば答弁の内容といいますか、そのニュアンスからは、なかなかむずかしいと。赤字ローカル線だけを言えば、切り捨てるものは切り捨て、合理化すべきものはしてでも、やはり無理であるというようなことに私はとれたんですが、こういう考えはどうですかね。国鉄が独立採算性を指向して自主経営をやるというんなら、まあこれ経営を合理化徹底するためにいまの国鉄を、大臣ね、総裁ね、三つに分けちゃうんですよ。一つが幹線旅客公社、これはどうやらやっていけると思うんだ。もう一つが貨物運輸公社、それから地方交通公社と、こうすると、もうかっているのと損しているものがはっきりわかってくるわけです。これ三つに分けると幹線旅客公社は、どうやらこれやっていけそうですわね。うなずいていますがいいですね、やっていけませんという意見はなくていいですね、通してね。貨物輸送公社も、いま何とおっしゃいましたっけ――田口さんおっしゃったように、どうやらなるだろうと、いろんなことにおいて。そうすると、非常に単純な計算であれですけれども、残るのが地方交通公社と、こうなるわけですね。公益性をしょっている、公益性というのと収益性というのは完全にこれは相反しますからね。
 ところが、もうかっているのも、もうかっていないのも一緒にしてもうかってないのというのと、こう分けちまうと、地方ローカル線だけはわかるんだな。さっきのぼくの話じゃないけど、助けてくれと言いいいんだね。そうすると、また土地の方も、この間公聴会のときは余り応援したくないと、全部金出してくれという浜頓別の村長だか町長言っていましたよね、あれは失礼な話で、全部出せというのは。場合によっちゃ、ローカル線の場合、幾らかコストが高くなってもしようがないと思うんです、私は。この辺は答弁しにくいからいいですけどね、こういう三つに分けるやり方、その上にやれ、いろんなことを考える、その考えるのも後ほど言いますけどね、こういうアイデアというのはどうでしょう、総裁。大臣でもいいですよ。
○国務大臣(石田博英君) 前の二つについては、これは一つの考え方だというような感じがします。そうでなくても、労務管理の面から見ましても、四十何万人というものを一つの団体として管理することは大変ですからね。ただ一番最後の問題は、処理をするとするなら、そういう一括したものとしてしないで、それぞれの地域にたくさんの、その地域ごとの機関で、自治体なりなんかを加わったものとしてやって、そうすると、これは鉄道でなくって自動車の方が便利なんだというところも出てくると思うんです。だから、これはやっぱり一括してやるとなると非常にむずかしい問題、たとえばね、現に国鉄に働いている人、どうやら黒字になるところへ残る人はそれはたくさんいるでしょうけど、赤字になるに決まっているところへ出かけていくという、移っていくというのはむずかしくなってくるだろうと思うし、それぞれ地方によって事情が違いますから、やはりその地方の地方住民、あるいは地方住民の代表、そういう人たちが関与したものとして、こう分離ということの方がいま伺っていながらそっちの方がいいんじゃないかなあと私は思うんです。
○松岡克由君 なお結構です。私の意見もまたその先に進めたような感じがしましてね。二人でコンビを組むといいのが何か再建できるんじゃないかと思うのですが。政務次官にどうですかと言うとひっぱたかれたりなんかして。(笑声)そういうアイデアは――アイデアというよりもここに行かないともたないんではないか、そういうやり方をすると、同じ赤字を助けてくれと、税金という形から、または運賃値上げという形から国民の協力を得る場合でも非常にやりやすい。そして、それに加えて私はもっと不動産、私はもうスーパーでも何でもどんどん、これは後でまた、きょう来ていただいている弘済会との兼ね合いなんかいろいろ伺いたいと思うんですけれども、縛られている法律があったらどんどんそれは解くものは解いて、改めるものは改めていって、私はやっていく。
 場合によっちゃ駅の上に寄席をつくってもいい、いつでも私は参加しますよ。いやいや、こういう健全な芸を残しておかなきゃいかぬですよ。ありとあらゆる、一般的には笑い話かもしれない、非常識かもしれないけれども、常識論で解決できなければ、ある意味においては非常識という――数の少ないという意味での非常識、めちゃくちゃという意味じゃないです。その私はやっぱり感覚も利用せねばいかぬし、アイデアも入れなければいけないところまで来ているんで、笑い声の上がるのを承知で私は質問しているんですけれども、これは笑わせる稼業というのがバックにあるからいいんだけれども、なかなかまじめな顔をした議員にはこういうことは言えないと思うんで、あえて犠牲的精神で申し上げているんですけれども。それほどでもないですがね。このアイデアを、いま私と大臣との一問一答を聞いておりまして総裁、どんなもんでしょう。
○説明員(高木文雄君) 今日まで地方ローカル線についてはしばしば管理局が中心になりまして、地元の方々とのお話し合いをしてきたわけでございますけれども、その場合には、やはり一つの機構としての国鉄という立場がどうしてもこちら側も出ますし、地方からもそういうふうに受け取られるわけでございまして、地方から言えば道路もあった方がいいし、鉄道もあった方がいいということになってしまうわけでございます。そこで、いま大臣からも提案されましたような形で、地方自体の問題としてどういうふうにしたらいいかということを、どちらかというと、むしろ地方の方に中心になっていただいて、いろいろ検討していただくというような仕組みができるならば、いまとは全く違った方法で解決の道が開けてくるのではないかというふうに思います。いままでは率直に申しまして、さっぱり成果が上がっていないわけでございますけれども、かなり努力は出先、出先でやってまいったわけですが、率直なところうまくいかなかったわけでございまして、いまの御提案は今後のローカル線問題の解決にとって非常に重要なポイントではないかと思います。
○松岡克由君 ちょっとこれから弘済会のことで伺いますので、大臣お眠でしたら少しぐらい時間構いませんからいいですよ。いや本当に眠いつらさ、ぼくよく知っておりますからね。居眠りしながら法律決められるとたまりませんけれども、このことはちょっと大丈夫ですから自由にしてください。
 どうもお忙しいところ弘済会御苦労さまです。この弘済会が今日まで発展した最初の目的というのは、最初のできた何といいますか、理由というか、いわれというか、床次竹二郎氏ですね、鉄道大臣の。これが昭和七年に五千円の金を出して国鉄の公傷退職者、永年勤続退職者及びその遺族並びに殉職者の遺族を救済し、鉄道の従業員の後々の憂いのないようにすること、これを目的として設立してきたと、こうありますがね。戦前はそういった救済の方法というか、機関がなかったから、実にこれはすばらしいことであり、大変ないいことをした、できたということなんですけども、いま、それは昔の産物としてならわかるんですけれども、こういういろいろと救済する制度ができた現在、本来の目的は達しているような気がするんですが、どうでしょう。
○参考人(豊原廉次郎君) お答えいたします。
 いまの先生がおっしゃいましたように、昭和七年当時は確かに国鉄の殉職者というお気の毒な方方も、多いときは一日に二人平均ぐらいで発生しておったと記憶しております。また、当時は大変な不景気でもございますし、その当時と今日の状態とは確かに変わってまいりまして、国鉄の安全対策も非常に進みまして、恐らくただいまでは、前に一日に二人であったのが一週間に一人以下になっておるのではないかと私は伺っておりますが、そこで、確かに共済組合の活動も昔に比べまして進んでまいりましたし、いろんな福祉の国としての対策も進んでおりますから変わったわけでございますけれども、私どものやっております社会福祉事業は、たとえば精神薄弱の方たちの救済とか、身体障害者の救済とか、あるいは保育所を持っておりますとか、駅に旅行中に御病気になったり、けがをなさった方々の援護を申し上げる施設とか、または義肢、義足を製作いたしまして、それの着用訓練というようなことでございまして、昔のできました当時からだんだんに発展してまいりまして、その分野が少しだんだん時代とともに変えてきておるわけでございまして、私ども微力でございまして、その目的を完全に達したとはまだ考えておりませんので、まことに微々たるものではございますけれども、社会福祉の仕事というもの並びにそれの必要な財源を得るための収益事業というものにつきましては、いまでも存在価値があると私どもは考えております。
  〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
○松岡克由君 微々たるもの、そのとおりです。微々たるものです、社会福祉に対しては。しかし、発達がし過ぎています。これは最初の床次さんが考えていたものよりも、私は福祉という名をかりた、隠れみのにして、発展することが悪いことでもない、もうけることが悪いことでもないんです。私はもっとじみな存在であるべきものだった。ところが、社会福祉という名をかりて私は発達し過ぎて、これ調べてみたら余りにも大きくなっているんです。だんだん言いますがね、一日の売り上げが四億四千万、それも現金ですからね。こうまでこうきて、ありとあらゆるところへ出している。もうそれこそやってない分野のものを探すのが少ないんじゃないか。しまいには墓石から墓地の世話までするんじゃないかと、それぐらいの勢いで広がってきている。それはもうそば屋、喫茶店、食堂の経営、結婚式場、貸しロッカー、電話センター、クリーニング業、もちろん不動産もやってますし、ビルの総合管理、警備保障、サービス業、それから料理、華道の教室、時間表、地図などの印刷販売、もうありとあらゆるものをやっている。いまや弘済会恐るべしという、面積の売り上げから言ったら三越の数倍になっているんですね。これは私はちょっと福祉というものと、もうけているものとのバランスがとれてないような気がしますがね。
○参考人(豊原廉次郎君) いま、福祉と売り上げと申しますか、収益事業との関係でございますけれども、弘済会でやっております駅の売店を主といたしまして、ただいまお話しのように、あるいはそば店もやっておりますし、喫茶店もやっておるところがございますけれども、しかし、何と申しましても、駅の売店の売り上げがもう大宗でございまして、収益事業から得ました収益をもちまして社会福祉事業をやっておりますが、社会福祉事業の規模は年間に、五十年度で申しまして三十四億ぐらいの規模でございます。それをもちろん福祉事業自体にも、先ほど申し上げましたように義肢をつくって、これを安い値段ではございますが、売っておりましたり、あるいはほかの施設でも、施設に入っておられる方から収入として使用料的なものをいただいておる場合もありますし、また、国や都道府県等から補助金、または措置費と申しますけれども、そういうお金をいただいておるのが十一億ばかりございまして、結局福祉事業の赤字二十三億というものを収益事業の収益から補てんをしておるというかっこうでございます。
 いま先生のおっしゃいましたいろんな事業は、これは関係会社をつくりまして、そういうものにやらせておるものがございますから、いろんな業種は確かにございますが、それらから配当その他を受けて社会福祉事業の赤字の補てんということで、年によっていろいろございますけれども、どうやらこうやらやっておるというような状況でございます。
○松岡克由君 昨年度の売り上げは。総売り上げの数字を……
○参考人(豊原廉次郎君) 約二千四百億でございます。売り上げでございます。
○松岡克由君 で、なぜこんなことを聞くかというとですね、一般の国民は疑問を持っておるわけですわ。本家本元の国鉄が赤字でどうにもしょうがないというときに、これだけ全盛を誇っていると。私は、不動産なんかの場合でも、国鉄の先をやっぱり買い占めている部分もあるし、まあそれは先見の明があると言ったらそれっきりですけどね。国鉄側に支払われている構内の使用料というのは、まあ売り上げの四%から、そんなものでございますよね。
 それで、これは私のげすの勘ぐりでなければいいんですけどね、まあ国鉄も余りつっつけないというところがある。なぜかと言うと、わりと天下りが多いと。一〇〇%と言ってもいいんじゃないかと思う。ところが、弘済会の心証を損ねると後がこわいというような、私はこういうことも聞いているんです。福祉だ何だと言っているうちに、それだけの売り上げがあったら本家本元の国鉄を救おうという了見にはなりませんか。
○参考人(豊原廉次郎君) お答え申し上げます。
 いま、俗に本家と申される国鉄が大変な状態にある。私どもも、もちろん国鉄の再建が一日も早く行われることを念願いたしておるわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、売り上げの約三%少し、年間にいたしまして、昨年度七十五億の構内営業料金というものを国鉄にお納めしておるわけでございます。で、確かに福祉事業の財源として収益事業を営んでおるわけでございますが、それは財源的にそういうつながりがあるのでございまして、収益事業は収益事業といたしまして、世の中の一般の小売業に劣らないように私どもは精を出しておりますが、何分にも至りませんので、いろいろ小売業としてのサービスが悪いというような御批判をいただいておることは私どもよく存じておりまして、そういうことのないように今後とも努力をいたしたいと考えます。
○松岡克由君 サービスのことはそっちが反省しているんならそれで結構です。別にぼくは聞いているわけでも何でもないんでね。昔は国鉄というのは花形だった。小学校のぼくが一、二年のときに向こうは六年、この子が国鉄――いま考えると国鉄だったんでしょうね、国鉄へ勤めてうれしくてたまらないんですね、久しぶりに帰省してくると――国鉄の方ひとつ聞いておいてください。うれしくて、ぼくら後輩ですから――そのころの子供はしっかりしていましたからね、もう小学校を出たぐらいで国鉄用語を入れながら、鉄道用語だったんでしょう、非常に目を輝かしてぼくにしゃべってくれる。ああ、この人の職場というのはよかったんだなあと子供心にあこがれた、その知らない職場に対して。事実、鉄道というのはすばらしかった。そのころの花形であり、また危険も伴った。危険が伴うと花形になるものなんです、男にとってはね。そういうところであった救済機関というのはすごくよくわかるんですけれども、私は、もういまの国民の一般感情としてはどうも受け取れない。また国鉄の方もそうだと思うんですね。
 大臣もお目覚めになったんで伺うんですけれども、こんなにもうかっているもの、大家さんとしてはたな子がばかにもうかっていますが、大家さんどういう気持ちですか、大家さん。
○国務大臣(石田博英君) 大家さんはいまいなくなっちゃった。
○松岡克由君 じゃ、大家さんの代理の差配人どうですか。
○国務大臣(石田博英君) 確かに本家が大赤字で、そして分家がそれぞれ黒字で、そこへみんな国鉄の関係者が定年になってから出ていくというような状態、それは非常におかしいことだとは思います。
 それから、いまあなたが四%と言われたが、こちらのお話を聞くと三%ぐらいだそうで、やはりちょっと安いんじゃないかという印象を私は持ちます。社会事業もやっておられるんですが、利益率がどれくらいあるか知りませんけれども、やっぱり適正なものである必要があるような気がいたしますし、といっていろいろな社会事業も現実にやっておるのですから、この存在を否定するというのもどうかと思うんですが、ただ独占的であるということがどうかという、これも考える必要があるんじゃないかと思います。
○説明員(篠原治君) 先ほどの先生の御質問の中でちょっと私から申し上げておきたいと思いますことは、収益事業でございますね、二千四百億円売り上げがありまして、そこから得ました収益事業の収益が九億円でございます。それで公益事業でございますね、先ほどの福祉事業に赤字を補てんいたしましたので、会といたしましては昨年は十四億円の赤字の決算になっているということでございます。
○松岡克由君 ぼくは余りきょうは急にやりましたので数字のことを、これ一番いけないことですけれども。しかし、もしその赤字というのを堂々と言っているとしたら、あれで赤字になるなんと言ったら頭どうかしているわ、おれに言わせりゃ。おれにやらしてくれ、本当に。あんなものが赤字になるなんてばかなことがあるもんか、そんなもの。冗談言っちゃいけない。堂々と赤字だからこれで許してくれなんて、そんな了見を疑るよ。平気な顔して言っちゃ困りますよ。どうだ、あれだけ持っていて赤字になるなんてばかなことがあるもんか、あんなもの。道楽息子だ。道楽息子だって何とかしますよ。それは小言ですよ、ぼくの。素直に言って、あんなものはもうからぬなんてだれも思やしませんよ。そんな、もうかりますよ。そういうことを言っちゃいかぬのだ、数字の上から言っているけどね。それはあなたの数字の上からは言ったらいいんですよ。だけど、それは絶対赤字としたら、赤字にしちゃいかぬ。大黒字になるはずです、そんなもの。しているはずですよ。どう数字が出ようが、そんなもの納得できっこないですよ。言ってごらんなさいあんた、笑われっから。みんなの前で、弘済会は赤字でござんす、助けてくださいと言ったら、ふざけんなと言いますよ。
○参考人(豊原廉次郎君) ただいま篠原常務からお話のございましたのは、収益事業では決して赤字は出しておりません。いま申されましたように、昨年でも九億の黒字を出しております。ただ、社会福祉事業に補てんいたしました足らず前が赤字だと、こういうことでございます。
○松岡克由君 もし間違ったら謝りますよ。それなんだね。それで、私は国鉄職員の救済機関というならまだまだ納得ができるんですけれども、それならば国鉄そのものを救済しようという発想がそこにあるからですよ。それがここ見ていると、「民間社会福祉事業のパイオニアとして、時代と社会の要請にこたえる福祉を目ざし、年来不断の努力をつづけて」というようなこういうラッパを吹かれると、思い上がるのもいいかげんにせいと。御本家が患ってる。私は、できれば、もしやらしてもらえるなら、国鉄だって一緒というか、うちの大家さんのところへたな子も入れられるものなら入れたいと恐らく思っていると思います。それこそ、いまもう、どんなところでもお金が欲しいときですからね。国鉄どうぞと言ったら、恐らくやらしてくれと言うし、またそれを言わなきゃおかしいわけなんですけれどもね。そこまでの私は――国鉄を救いなさいよ、なら。どうですか。
○参考人(豊原廉次郎君) 元来、設立いたしましたころは確かに職域の社会福祉事業ということで、国鉄の方々のためにもちろんやったわけではありますし、いまもやっておりますが、戦争が終わりました段階で、そういう一つの団体だけに対する社会福祉ではいけないという連合軍からの話もございまして、二十四年に一般の方々に対しても社会福祉事業を行うということに変わったわけでございます。それで、いま先生が御指摘になりました、たしかそれば四十八年度の事業報告の冒頭に「パイオニア」というようなことを書いたわけでございますが、その点につきましては、私どももっと謙虚に考えなければいかぬということで、その点につきましては深く反省をいたしておるわけでございます。
○松岡克由君 いろいろやってますですよね、弘済学園、それから御自慢の何といいますか、身障者に対する病院などもやっている。ところが、これはやっているけども、だれでも入れるかといえば入れやしないのだ。私も頼まれましてね、いろいろ頼んだら、何のかんの理屈こねられて結局だめなんですよ。だったらもう厚生省に任せたらどうですか、こういうことは。それでね、私は、なら、いっそのこと国鉄もこれは赤字ついでに福祉まで手を出したらどうですか、そんな気がしますよ。どうです、これ、この意見、弘済会の理事。
○参考人(豊原廉次郎君) いまお話しの精神薄弱児と薄弱者という分け方をしておりますが、これは子供と成人でございますが、その施設は確かに神奈川県にございます。しかし、そこはやはり施設の制限がございまして、大体二百十人ぐらいの方をお世話を申し上げておりますが、国の施設もなかなか不足しておりまして、お入りになりたい希望の方が非常に多いわけでございます。それで、全部の方の御希望をかなえるということは事実上困難になっておりますので、そのあきができるまでお待ちを願うとか、あるいは私どもの能力もございまして、医療施設がありませんものですから、本当の御病気という方々には、まことに気の毒でございますが、お断りしておるような例があるわけでございます。
○松岡克由君 福祉ということを否定するというのはこれは言いにくいし、福祉とか、愛とかということを否定するというのはタブーみたいなもんですわ。福祉なんぞはどうだっていいと言ったら袋だたきに遭うでしょう。しかし、そういう意味でなくて、それは福祉も結構です、だから厚生省に任せろと言っているんです。こんなもうかっている金を国鉄に納めなきゃいかぬです。国鉄はもっとこういう、もちろん法人だからそう高く取れないと言うかもしれませんけども、極端に言えば幾ら取ったって、どれだけ高く金を取ったって、一般のところの二倍も三倍も取っても、あれだけいいとこならやっていけます。つぶれやしませんよ。私は、そのぐらい優位なところにあるものを、国鉄大家としては弘済会たな子を見過ごしちゃいけない。素直に言って、やれるものならやってみたいと思うでしょう、あれ。思いませんか、総裁、経営を。
○説明員(高木文雄君) 経営をやることがいいかどうかについては、たとえばうちの方の全体の運営が非常に硬直化いたしておりますので、小売業というような仕事がなじむかどうかはいささか自信が無い面もございます。したがって、私どもの方が仮に駅の売り場等について直営にした場合に、いまのよりもさらに能率が上がるかどうかについては、率直のところ余り自信がないわけでございます。
 ただ、いまおっしゃいますように、もう少し収益を上げて、私どもの方に助けてもらいたいという気持ちは非常に強く持っておるわけでございまして、先般来、私自身も時折担当局を通じましてそういうことを言っておるわけでございますが、今日ただいまの状況は、ここ数年間国鉄の旅客収入の伸びが好ましくありませんでしたのと同様に、お客さんが少ないわけなものですから、弘済会の方も福祉事業を別にしました事業の方の成績があまり上がっていないということで、私の方も実は急にこちらへ納めてもらう額をふやすわけにいかないということで、そうかなということでおるわけでございまして、しかし、基本的にはもう少し私どもの方に上げてもらいたいというふうに考えております。
○松岡克由君 それはまあ遠慮して、そういう商売やったことないから、いきなりやられても困るというのはあるかもしれませんけれども、そんなこと言っている場合じゃないんで、できるできないはともかく、もうかるものは何でもやっぱりやっていかなきゃならない状態にもう陥っているわけですから。素朴に考えて、駅というのは昔で言う宿場ですよね。これはあれだけの人数が一日に、新宿駅見てもそうですわね。あんなすばらしいところを持っているものを活用しないべらぼうがあるかとだれでも思います。こういうものを解決しないで、それは極端に言えば、弘済会全部こっちへ入れて一緒にやって、それで余ったら福祉――福祉などあまりいきっこないですからね。ぼくが回しなさいと言うよりも、あれは厚生省に回しますとそっちの方で言うんじゃないかと思うくらい、そういうふうにしていかないと国民納得せぬですよ。
 それはおたく様には申しわけない、やっぱりお家大事だから、わかりますね、それはもう自分のね――それはもう国も大事だけれども、家族はもっと大事だから、それはわかりますよ。それはわかりますけれども、あなた方はあなた方の立場でいいです。こっち言いますから、あなた方一生懸命大事なんです、大事なんですと言ってなさい。国鉄としてね、できればやっぱり話し合ってああいうものをそのまんま放置して、幾らか売上金をもらっているの、それも低い、もらっているの、それから向こうは福祉をやっていますから勘弁してくださいので、この平行線の意見をつなげていったらそれこそ納得しないですよ。
 それこそできるできないは別ですよ。できるできないは別だけれども、事あるごとに弘済会が欲しい、弘済会があれば何とかなるというくらいのことをほえてなければ、やりたいんだやりたいんだと、あなたに聞かれる前にこれをやりたいんだと、やりたいんだけれどもというふうにほえてなくて、言われて初めて返答をするようなことでは、私はいろんな意味で、さっきも言いました国民に協力を得なければならないんだ、これは。協力というよりも、協力じゃないんだ、助けてくれだ、がまんしてくれ、助けてくれということですよ。協力という言葉はもっと簡単にできることですよ。協力なんという傲慢な言葉を使っちゃいかぬ。助けてくださいと言っているときに、言わねばならないときに、弘済会の繁盛結構です。もうけちゃいかぬとは言ってないんですよ、ぼくは。もうけなくちゃいけないです。しかし、これをいまみたいな答弁で、やってもこっちは小売をやったことがないからできないとか、また事情があるとかというような答弁をしている場合じゃないと思うがな。仰せごもっともだと、やりたいですねえという、これが私は、こうでなきゃおかしいです、国鉄は。どうですか総裁。――相談中、大臣どうですか。
○政府委員(住田正二君) 鉄道弘済会の存在意義につきましては、これまで国会でもたびたび御指摘があったわけでございます。
 問題は二点あろうかと思いますけれども、一点は、国鉄がこれだけ赤字になっているのに、国鉄におんぶして社会福祉事業を続ける必要があるんだろうかと、まあいま御指摘のように厚生省に肩がわりしてはどうかというような御意見が一つと、それからもう一つは、弘済会と国鉄との関係で、適正な対価が払われているかどうかという問題でございます。
 二番目の問題につきまして、先ほど総裁が申し上げたわけですけれども、国鉄はいろいろ関連事業収入をあげなきゃいかぬわけでございますけれども、自分でやった方がいいのか、やはりモチ屋はモチ屋に任した方がいいのかという問題はあるのではないかと思います。したがって、私どもといたしましては、できるだけ高い収入が国鉄に払われるようなことを期待いたしているわけでございまして、この点については大臣がたびたび申し上げておるわけでございますが、今後やはり関連事業収入をふやしていかなければ、国鉄としてもやっていけないという状態にありますので、そういう問題の一環として今後検討さしていただきたいと思います。
 また、第一の問題の社会福祉事業につきましては、私どももまあ公共負担と同じように国鉄が何で負担しなきゃいかぬかということについては疑問があるわけでございますけれども、やはり長い歴史と実績があるものですから、いますぐに厚生省に全部かぶってくれということはなかなか実現むずかしいと思いますけれども、御指摘のような財政状況でございますので、そういう点についても今後検討さしていただきたいと思います。
○説明員(高木文雄君) 弘済会からもう少しよけい国鉄の方に納めてもらいたいという気持ちは持っておるわけでございまして、そのためには具体的には協力金という形で売り上げの何%というのを納めてもらっているその率を上げたいというふうに考えておるわけでございますが、実はここ二年ほど弘済会の売り上げの伸びがスローダウンいたしまして、弘済会の人件費の上昇カーブと売り上げの力のカーブがうまくいっておりません、したがって、非常にこの弘済会の採算状況がここ二、三年悪くなってきておりますものですから、ある種の何といいますか、賃金水準の変化が安定的な状態になるまでちょっと無理をしない方がいいんじゃないかということで、いまのところ上げないできたわけでございますが、こちらがこういう事情でもございますし、弘済会の方の経営もだんだんある種の安定にまた戻ってきていると思いますので、そう遠からざる時期に協力金を上げて、納めてもらう金額をふやしてもらいたいということを内々検討いたしておる段階でございます。なるべく早く実現をしたいと思います。
○松岡克由君 まあ世の中景気、不景気がありますから、ダウンするのもあればアップするのもあるけれども、しかし、あんないい条件を持っているところの会社がつぶれるようだったら、世の中企業なんというものも、じゃあ、もう商人も要らない。要らないと言ったら変だけども、そんなばかなことがあったらね、努力しないですよ。あそこにあって、それがもうからないなんということはないんでね。それは幾ら、時代がそう急激に変化しているわけじゃないですから、もうかっている。もうかっているものをうちでやれたらやりたいという素朴な感情を私は当然持つだろう、こう言い切っているんです。しかし、まあそれにはいろんな理由があるでしょう、向こうも向こうの状態もあるし、モチ屋はモチ屋だという意見もあるし。ただ、言っておきますけれども、天下りをするためにあまり刺激をすると後がこわいからなんという理由でもって、そんなことだけは言ってほしくない。
 そして、適正な金額を取られちゃうんじゃなくて、助けましょうかと、つらいでしょうと、やはり恩恵をこうむっている部分があるんですからね。高木さん、つらいでしょうと、石田運輸大臣、わずかな間だけれどもつらいでしょうと、その辺から私はやっぱり進んで行くべきだと、何も取れと、いやだめだと、取れないというんじゃなくて、そうなるようなひとつ姿勢を見せてくれることが、やっぱりこれだけ努力しているんだぞと、そういうのがあると、はっきり言えば、わりと泣きの部分に弱いんです、国民というのは。いばってこれだけやったというよりも、これだけ努力しているんですというのがわかったときの――親切だけが人を説得するという文句がありますけどもね、それを進めていってくださいな、何らかの形でわかるように。それをお願いしておきます。
○参考人(豊原廉次郎君) ただいまのお話、非常によくわかりますし、私どもも国鉄のお役に立つように常々考えておりますし、今後ともそういうことに努力をいたしたいと思います。ただ、確かに先ほどお話しのように、新宿とか東京とかという駅はもうお説のとおりでございますけれども、国鉄に地方赤字線がございますように、私どもの売店にも地域によってはそういうものが相当ございますことだけ御理解をお願いいたしたいと思います。
○松岡克由君 大臣何かありますか。
○国務大臣(石田博英君) 先ほどから何度も申し上げておりますように、国鉄がいろいろな事業を直接やれないように拘束した法律があるわけです。これは拘束を解いて、そして収益事業等積極的にやるべきだと。ただ、いわゆる武士の商法というやつがあって、この人たちが直接やったからもうかるかどうかということについては、ぼくも余り信用しないんだ。結局やっぱり専門家がやって家賃をとった方が安全、確実のような気がしないでもありませんけれども、こういうことはもっともっと積極的にやらせたいと思います。
 それから、いま松岡議員がおっしゃったような弘済会に対するもう一つの不満は、独占的な形じゃないかというような不満だと思うんで、こういう点はやっぱり考慮を要するんじゃないかとも思います。
○松岡克由君 もう一問でやめますけどもね、その独占的であっても、私は国鉄を救ってくれるならそれでも構わないと思っているんですよ。それが独占的であって救わないから文句言ってるんで、これが一つと。
 それから、武士の商法だけれども、武士でいちゃいかぬのですよ、あなた方は。あきんどでも何でもならにゃいかぬんだ。場合によっちゃ助けてくれと、門づけして歩くぐらいの勇気がなきゃいかぬですよ。武士だなんていばってちゃいかぬんですよ。
○国務大臣(石田博英君) 私が言うたんで、こっちが言うたわけじゃないからなあ。(笑声)
○松岡克由君 まあいいです。そういうことです。弘済会ありがとうございました。その辺でひとつ皆さんに、言ったことをひとつ言っておいてくださいよね。
 小さいことを二つ三つ聞きます。これは専門の係の方の方で結構でございますから……。
 まず、学割のことなんですけども、恐らく議論が出ていると思いますけれども、当初の意義を失っているという部分はあると思うんです。昔は勉学のために出てきた、たまに帰省する、学生さん大変だろう、やってやる。いまは全くそうでない。五十年度の負担額が三十六億、それは微々たるもんです、国鉄の赤字から言ったら。しかし、実は学割というもとにおいて、私はレジャーを求めたりしているものとは一あっても人間というのはいろいろ役得がありますからね、役得というのを余り不正という名のもとにおいて、または過酷に合理的でないということで切り捨てちゃうのもどうかという非常に人間味があるつもりなんですけどもね。そのために乗客が迷惑をこうむっている場合があるんですね。夏休み中なんか乗れないんですわ。オール学生が観光という名のもとにおける――何でも勉強の足しになると言えば勉強の足しになりますがね。私もここでしゃべっていることが落語の足しになるかもしれませんからね。だけれども、やっぱり一般乗客に少なくもレジャーと見受けられる、そのために乗る者も乗れないという部分になってくると、私はちょっと甘やかし過ぎではないかという気がするんです。
 あのね、大臣、こういう話があるんです。林家正蔵という八十何歳の現役で一番長い落語家さんです。これは通勤定期というのを持っているんです。通勤のときにはちゃんと乗るんです、それはその定期で。それ以外のときは、これは通勤でないからと言って払うんです。これは昔の人だと一概に言えない。私はすげえ、これこそ落語家が何か武士になったんじゃないかと思うような感じがするくらい私は偉いなと思ったことがあるんです。ということは、ぼくに全くできませんからね。こういう感覚を持っている人もいる。しかし、元来それが本当なんですわね。遊びのときはやっぱり使うべきでないと。
 まして働いている人たち、学校へ行きたくても行けない、年は同じだと。条件は向こうが学校へ行けるのは親が金があるから行けるんで、自分で学校へ行っている人もいるでしょうけど、大部分はね。それが学割で乗っていて、働いて税金を納めている側にとってはそれがないという矛盾、これはもう物すごく感じるらしいですわね、その年齢において。なぜ学割がないのだと。だから両方にしてやるならともかく、その前にやっぱり赤字の現在、私は学生たちの利点を取っちまうのはかわいそうな気もしますがね、その予算は文教の方から分捕ってくるとか、または少なくも日曜祭日、土曜日の午後だけは学割は使わせないとかいう段階的なことがいろいろあると思いますが、この意見に対してどなたか返事を……。
○国務大臣(石田博英君) 実は私も、あなたといまおっしゃったと同じ感じを持って労働行政をお預かりしているときに大学へ行ける、上級の学校へ行けるのは比較的恵まれている。それから中学校や高等学校で働きに出ていく人は恵まれていない。恵まれていない方に割引がなくて、恵まれている方に割引があるのは不当じゃないかということを文部省に対して、あるいはその当時の国鉄に対してしばしば申しました。その結果として、訓練所へ通う者に対する取り扱いが改まって、逆にふえた形になっちまって赤字をふやした原因をつくったことになるかもしれませんけれども、そういう点は御指摘のとおり非常に不当だと思うんです。より恵まれない人の方の割引がない、それから、より恵まれている方の人に割引があるというのは私も不当だと思います。
○松岡克由君 それで、その対策に対して何かありますか、土、日がどうのこうのといまいろいろ言ったことに対して。
○説明員(吉武秀夫君) 実は、これは学割は学校の方で発行するものですから、現場の方でこの人が何回使ったかということの識別がなかなかできにくいものですから、そういう意味で使用制限というのが非常に実務的にむずかしいということでございます。
○松岡克由君 素直に言って総裁、学割はここまで発達というのか、利用度が多くなっているといいますか、レジャーに使われているという具体的なことを言っているわけですがね、行き過ぎとは言わないまでも甘やかし、言葉がいやだったらそれ使わなくてもいいんですが、ちょっと適切な言葉が、非常に刺激のない適切な言葉を探してなかなかありませんですけど、と思いませんか。
○説明員(高木文雄君) 率直に言って同様私も共感を覚えるわけでございます。で、最近どうしているかと申しますと、学生さんの数はふえているけれども発行枚数をふやさないという形で、やや消極的に、方向としては縮小の方向、しかし枚数を減らすということなしに、学生の数はふえるけど学割の数はふえない、こういうことできているようでございますが、この辺は当方の赤字状態が一層悪化している現状にもかんがみまして、もう一遍、より積極的にいまの御意見を国鉄に取り組んでまいりたいと思います。
○松岡克由君 その中に土、日を使わせないという、これは欧米のどっかに私はあるような気がするんですがね、日曜祭日、または半どんの学校の行き帰りと関係のない時間みたいなものはカットする……
○国務大臣(石田博英君) 通学パス……
○松岡克由君 失礼しました。それはちょっと頭の中で一緒にして、私は通学のパスのことを言っていたつもりなんですけど、ごめんなさい。それみたいなものはどうですか。
○説明員(吉武秀夫君) 実際に学校も必ず月曜日から行って土曜日に帰るということのほかに、たとえば日曜日に実習があるとか、そういうことで、これを全部どういう理由だということまで追及ができないものですから、実際には日曜日はだめだとか、土曜日はだめだとかですね。たとえば夜学の方がいる。実習ができない。あるいは出てこられて集中的に講義を受けられると。そういうものについての一つ一つのチェックが非常にむずかしいということがございます。
○松岡克由君 そうですか。全面的に廃止せよとは言いませんけれども、さっきから言ってます工員たちといいますか、まあ働いている人たちの、いろんな意味で働いている人たちがそういった恩典がなく、どちらかというと恵まれている学生たちにそういったのがある。あることはいいことなんですけれども、そのアンバランスに反発を感じさせる何かのひとつ方法を打つときに来ているような気がしますので、いろいろ言ったんです。言葉が足らなくて、ごっちゃになったところはおわびします。
 シルバーシートのことをちょっと聞きたいんですが、あれが何か役に立ってないような気がするんです。ということは、わりと徹底してないんです。徹底させるためにはもっとあすこのところをどろ臭くてもいいから真っ赤に塗っちゃうとか、いろんなことをしないと、ほとんど乗っているのは大人というか、成人の丈夫な人が乗っているような現状で、ただシルバーシートというのがあれば、国鉄は老人対策といいますか、そういった人たちの対策をやっているんだということであって、実際的な効果がないと見ましたが、どうでしょう。
○説明員(吉武秀夫君) シルバーシートにつきましては、電車――国電の区間、東京と大阪は現在やっておるわけでございますが、確かに御指摘のように、実際にシルバーシートのある位置、車両に対する表示というのはやっておるわけです。それに対して、乗客の方が席があいていればお座りになると。そこの前に立っててもなかなか座りにくいじゃないかという声も確かに聞いておりますので、これはやはり放送その他を通じまして、きめ細かくサービスをしていくということになるかと思いますんで、そういう指導をしたいと思います。
○松岡克由君 本来なら、理想的な形から言えば、あいていても――満員は別ですよ、普通だったら立っている人がいても、その部分だけはあけておかなきゃいけないというのが、これがまあ本来の姿勢だと思うんです。なかなか人間、あいていりゃ、つい座ってしまうんですけれども、やっぱり立っている人がいて、そして老人用のがあいているというのは、これは外国の人が見たら、すばらしい国だなと恐らく思うんですよ。そういうところはやっぱりふだんの放送であるとか、または宣伝のビラ――ビラは金がかかるが、放送はかからぬですからね、毎度言っているとおりね。そういうところで私は、だんだんにしていく。いろんな方法がある。たとえばテレビドラマの中にぼおんと、NHKでやるところへ、そういった部分をほうり込んでもらうとか、非常にそういうのは効果があるわけです。だからそういう宣伝を使う、そういうことの私は裏からの話し合いがあってもいいと思うんですよ。こういうシーンを入れてくれと、これはもう国民がよくなることだったら、私は可能だと思うんで、そういう美しいシーンにそれが点火して、そこに当代の人気者が出てくるようなことになると、ああ、こういうスタイルというのはいいもんだなとわかる。
 いろいろそういう手を――相談にいつでも乗りますから、いらっしゃい、また私が、そういうマスコミの方は。だから、いろんなことを考えて、発想させて、銭がなきゃ知恵をしぼると――生意気なことを言ってますけれども。ひとつ意義のあるように。つくったはいいけど、活用できないというのは、さっきの冒頭に言った足を組んでるのと同じようなことで、効果のあるような方法をやってみてください。その試行をする方法というのは、ありとあらゆるところからやることを考えてください。大臣もテレビでは皆さんの意見を、投書を欲しいなんて、それはまあいろいろ財産を探してくれというときに発言したあの十二チャンネルの発言でございましたですけれどもね。
 国鉄に直接の関係はないんですけれども、駅の中にコインロッカーというのがあるんです。あれが何か犯罪の、一番有名なのは子供をほうり込んでおいたっていうのがずいぶんありましたね。あれ、そんなに必要なのか、どうも手荷物預り所でいいんじゃないか。それがいやで一番使うのは、学生が制服とあれの着がえに使って、いつも悪いことに使うわけですな。それからシンナーを売ったりなんかしている。最も新宿の駅のコインロッカーなんていうのは、その温床になっておるんだね。あそこへ入れておいて売買をしているというのは、ぼくはこの目で見ているんだ。ぼくは買いに行ったんじゃない、見てるだけですよ。――よく知ってるって、またそういうやじを飛ばしちゃいけない。――これ、どうなんですか。もちろん必要だから置いてあるんですけれども、ちょっとこれ、何か考えないと悪の温床の手助けするようなことになるんですが、これはだれが係ですか。
○説明員(篠原治君) ただいま御指摘の問題は、実は私どもにとりましても一番頭の痛い問題でございます。ただ、先ほどのお話とちょっと別でございますけれども、利便性が高いと申しますか、非常に便利なものでございますから、非常にお客様方からの御要望が強い。実は設置いたしましてから毎年大変な勢いで設置個所がふえております。いまお話しのように、設置することの可否の問題はあるかもわかりませんが、何分にも幾ら設置いたしましても常にいっぱいになりまして、一つもあきがないというようなのが実情でございまして、現在四万口余りあるわけでありますが、特に都会ではいつでも満員でございまして、私どもといたしましても、ここ一、二年来幼児の死体が中に入りましたり、凶器が中にありましたり、爆発物がございましたり、いま御指摘のようなことがございましたので、その方面についてはできるだけの配慮を払いながら、まず何と申しますか、コインロッカーをやめるということでなくて、やりながらなるべく犯罪なり、そういう問題を防止しようということで努力してまいったわけでございまして、昔は、たとえば五日間が限度でございましたのが、最近は三日になっておりますとか、あるいは巡視員と申しまして、たとえば東京地区にいままで十人おりましたのを十五人にふやしまして、いままでは午前、午後一回ぐらい巡視いたしておりましたが、最近は二、三回、午後は五、六回。あるいは反射鏡をつけまして、陰に隠れる部分がございますものですから、だんだん台数がふえてまいりますと、どうしても二列、三列になりまして奥の方が見えにくい。それで、外から見ていまして、中の行動がわかるような反射鏡をつけるとか、その他の方法をとりまして心理的な圧迫と申しますか、抑制と申しますか、そういうことをとって犯罪なり、非行がなるべく少なくなるようにわれわれは努力はいたしておるわけでございますけれども、実のところ非常な需要と申しますが、御要請が強いものでございますので、それの設置台数を減らすということは実は考えておりません。考えずに、どうしてそういうような非行なり事故なりが起こることを防止し得るかということで実は考えておるわけです。
○松岡克由君 その姿勢があればいいと思います。なるたけ表面に出ないというのも変なんですが、事件にならないように。また表面に出ても国鉄はもみ消したりするから、この間の腹痛事件みたいな。ああいうことを――あれはとうなんですかね、事のついでに伺うんですけれども、恐らく過去ずっともみ消してきたことがあるから、今回も大丈夫だろうと恐らくやったんじゃないかとするのが、われわれストレートな物の見方、さもなきゃ、まさか初めてあれをもみ消したとは私は言わせませんですがね。また、あれが表へ出てこないと、ばれないと思っていたこともおかしいし、また矛盾するようだけれども、過去はばれなかったんですかね。
○説明員(高木文雄君) 率直に申しましていろいろな出来事があんまり、まずいことが表に出ないように済めば済ませたいというような空気が私はないと言えないと思います。全般として、まあ何か問題がなかったように処理した方が、事が荒立たないで済むというような空気がどうしてもあるように思います。しかし、それは事安全に関連いたします限り、決して美談だというようなこと言っているわけにはいかないわけでございます。いろいろな事故がありましたならば、その事故の原因を究明するということは、責任追及ととられがちでございますけれども、そうではなくて次の事故を、同種同様の事故を起こさせらいためのむしろ教材である、教訓であるという意味において、事実は事実として、あくまでも明快にしていく必要があるという精神でなければならないと思います。
 ただ、先般の場合は、無人運転の区間があったということ、これはきわめて異常なことでございまして、その前に運転士、運転担当の人がブレーキをかけないで座席を離れたということは、これはある意味から言えば基本的な問題であり、また異例なことでございまして、ああいう非常に速いスピードで走る新幹線のような形のものにつきまして、ブレーキをかけずに運転士さんが離れたという事実、そうしてその間にドアが締まったからといって車が走り出して、無人で、ある区間運転されたという事実、これは非常に異常なことではないか、それがそんなにしょっちゅうあっては大変でございまして、ですが、これほどではなくても、ちょっとした事故について、ちょっとしたトラブルについて全部が全部報告されてこないというような実態になっているんではないかという心配をいたしているわけで、これをむしろいい機会として、こういった風潮を直していきたいということで、先般も私から現場の方に注意といいますか、具体的な指図をいたしましたし、また、今週の月曜日に全国の管理局長を東京に招集いたしまして、今回の事件をむしろ貴重な教訓として安全確保、規律の行使に全力を傾注するよう指示をいたした次第でございます。
 その前に、特に大臣から私あてに警告をいただきましたわけでございますが、これは非常にまじめに受けとめて、それを二度とこういうことを起こしませんように指導に当たることといたしております。
○松岡克由君 その姿勢で結構でございます。
 不正乗車とはちょっと違うんですけれどもね、この間も町で歩いているのをいろいろ話を聞いていると、国鉄は一体どうするんだろうと、暴動の起きない程度に値上げをしておいて、後は国からもらえるだけもらって何年続くかというのが勝負じゃねえのかなんて言っていた人たちがいて、なるほどうまいことを言うものだと思う。暴動の起きない程度に値上げをして、国からもらえるだけもらってどれだけ延ばすかという。彼らが言うんだね、われわれの自衛手段はきせるあるのみだと、庶民に与えられた最小というか、最大のレジスタンスはきせるしかないと、自衛手段はね。こういうことを酒のさかなに言ってるんだけれどもね。なるほどね、酒の上とは言いながらいい会話ではない、庶民の会話ですからね。しかし、もっとものような気もしましてね、いろいろうんうんと私は話を聞いてたんですけれども、あの不正乗車――いいことではないんですけれども、この問題に関連して、駅を降りますね、降りると乗り越しを払うところがある。乗り越しを払うところは恐らく一カ所ですね、多くて二カ所、大きな駅で。有楽町あたり二カ所ぐらいですかな。
 すると、そこへ払う。小銭を持って、十円なら十円乗り越しをそこの駅員に渡して降りてきますわな。あれはもちろん向こうへ納めるんでしょうけども、本来は領収書をもらうもんですわね。大慨、百円なら百円乗り越し払うとそこで領収書を渡します。そうすると、そこは領収書ないんだね。ないって言うのは、もらえばくれるでしょうけれども。これはめんどくさくなくていいんだ。またもし、そこでもって、そこへ行ってくださいよなんて言うと、乗っている方の心理として、うるせえな、このやろう、いいじゃねえか、このやろう、文句あんのかというようなことを言うし、向こうへ持っていかなきゃならない理屈があるかというようなことを言う人もあるし、いろいろある。だから、両方わかるんだな。だから、ああいう形になっていることは自然なんだよ。おい、乗り越しだよ、ボーンって事実乗り越しだけの金を払って降りてくる。金銭的には不正はない。ただ、問題はそこで受け取っている次元において、その方が楽だけども、両方は。不正が起きる可能性があるんじゃないかということを心配する。それは払う方じゃないですよ、受け取る方がね。これ、どうでしょうね、こういう懸念は。
○説明員(吉武秀夫君) ただいまの御指摘のことは、確かにお客様は十円か二十円かお払いになれば、それは正規に言うと精算所に行って払ってくださいよと申し上げるのが筋なんですが、非常に数が多くなったり、あるいは乗り越しの場合に十円か二十円かというようなときにはそのままお払いになるというのは、このあたりは国鉄も私鉄もよくやっております。精算所が少ないということもございますので、それをやっておりますが、ただ、そのお金は正規の国鉄の受け取ったお金でございますので、それは正規のお金として現金として取り扱いをちゃんとやるわけですが、目に見えるところでどうも危ないんじゃないかというようなこともありますので、いまは現金箱といいますか、かぎかけてその中に入れるというようなことで、係員が直接手の届かないような形でやるようなことを考えまして、そういうことでやっていきたいというふうに考えております。
○松岡克由君 いいと思います、そういうことはね。ということは、目の前にあるとだれでもほしいわね、わかんなければ持っていきたいからね。だから、そんなことで国鉄棒に振っちゃっちゃばかばかしいと思うんだ、せっかく、つまらぬことで。それはなるたけできないようにしてやるのが逆に親切であるんだと思うので、どうぞひとつそういうような制度をどんどんつくってやるようにお願いします。
 羽田の方の方、お待たせしました、済みません、どうも長々とお待たせしました。
 これは、国鉄のことではないんですけれども、大臣、ちょっと聞いていただきたいんですがね、羽田の空港の診療所ですね、これは毎日午後五時までで、それ以後全く無医村になってしまう。何とおっしゃいましたか、一人でやっていらっしゃるんですね。それこそその記事を読んで見ると、もうやっぱり飛行機というもの非常に興奮するんですね、初めての旅行、初めての入国、いろんな意味において。で、いろんな形での病気が起きてくるんですね。そういうものの処置がし切れないという状態、この状態をちょっと説明してくれませんか。
○説明員(梶原清君) 現在、東京国際空港には空港ビルの嘱託医でございます菊地先生というお一人のお医者さんが空港診療所を開設していただいておりまして、日曜祭日を除く午前九時から午後五時まで空港関係者の診療のほか、一般乗降客の応急診療に当たっていただいておるわけでございます。また、このほか救急患者につきましては、空港から至近距離にございます高野病院というところに緊密な連絡をとりまして、そこで診療もお願いをするという体制をとっておるわけでございます。
○松岡克由君 これは、その菊地先生自身がある新聞に書いているところなんですけれども、とにかく私一人しかいない、あとは日航なら日航の社員のための医者はいても、乗客のための医者はいない。だから救急車だけなんですね。それで、この先生が言っている、うそでなくそのいろんな形の病人がとにかく医者を必要とする状態が数限りなくあると。中には死に至る例も幾らもあるんだと。で、それが診療所が一カ所、それが五時までというんですね。で、飛行機の発着が一番激しいのは午後五時から八時なんですけれども、このときはもう絶対必要なのに全く無医村羽田村になってしまうと。これ、私はどうしていいのか自分でもわからない。ただ、この状態ではいけないということだけわかるんですよ。どうしたらよろしいのか。またほうっておいてもいいわけじゃないしね。これはどういう考え方を持っていらっしゃるか、聞かしてください。
○説明員(梶原清君) 国際空港におきます応急医療体制につきましては、先生御指摘のとおりの状態でございまして、診療所の設備なり、診療時同等につきましてこれを整備、拡充する必要がございますことは先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在この制約条件が何かとあることはあるわけでございますが、診療所、空港ビル、その他の関係者と十分に打ち合わせをいたしまして、診療体制を整備、充実することを早急にいたしたい、かように考えて前向きで検討、努力をいたしたいと、かように考えておるわけであります。
○松岡克由君 そのとおりですよ。きょうにでもやらなくちゃいけないことですよ、ね。これは露骨な言い方をすると、関係者の親類でも、当人でもひっくり返れば幾らか身にしみるのかもしれないけれども、なかなかそうでもしないとやらないというのは非常によくないあれで、早い話がミスが、事故があっても呼ぶという状態ですからね。これ、どっちの係になるかわかりませんが、ツルの一声で何とかならないものなんですかね、これは。大臣、どうなんですか、これよくわからない、体系。ちょっと……。
○説明員(梶原清君) 先ほど申し上げましたように、現在は空港ビルの嘱託医というかっこうで診療所が設けられておるわけでございますが、場所の関係が現在非常に制約を受けております。成田空港が開設できますれば、ビルの方があいてまいりますので、ロビーのすぐ近くに診療所を設け、設備もりっぱにし、お医者さんも増員をいたしまして御期待に沿えるような状態に持っていきたいと。現在では非常に場所がないもんでございますので、フレートビルというところに、ちょっと遠いところに二階を借りてやっておるというのが実態でございます。私ども早急に打ち合わせ検討をいたしまして御期待に沿えるように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○松岡克由君 それじゃ、スペースさえできれば、そのできる理由は、成田ができれば早急にできるし、できるもんだと、こう認識していてよろしゅうございますね。――結構でございます。
 じゃ、これは国鉄と直接関係のないことです。最後にしましよう。交通博物館、あれは国鉄の範疇ではない、独立したもんだと思うんですけども、資材を提供したりしているのは国鉄だということを伺いましたんで、この際ちょっと伺っておくんですが、諸外国、特にアメリカはああいった新興の国ですから、歴史も浅いんで、非常にそういったものを世界的にしようとか、子供の夢を育てるとか、いろんな意味において博物館がりっぱだということはすばらしいことです。予算のけたも違うし、金持ちのけたも違いますから、国でやることも、個人でやることも規模の違ってくるのは、これはまあしようがないとしても、非常に楽しいところです、博物館。特に物が動いている。もう子供連れていって恐らくみんな喜ぶ、親は迷惑しているかもしれませんけどね。無邪気な親は一緒になって喜んでいますから。ああいうところから国鉄に対する信頼、夢、次代を背負う国鉄マンが生まれてくるもんだと思うんです。そういう直接なものでないけども、こういう――毎度ぼくは心情的なものをバックボーンにして生活してますから聞くんですけどね、この対策が間違ってはいないんですけども、もっともっとあっていいんじゃないか。それは、あの万世橋のとこですからあれ以上広げろというのも無理だろうけども、なろうことなら広げるところも考えたいし、たとえば、あれを本店なら支店でも、さっきじゃないけども、大家さんにたな子でも何でもこしらえるのもよし、もっともっと、小さなスプースでもいいですけども、予算をいろんな意味において応援をしてやる方法というのは可能ですか。どうでしょう、この際。
○説明員(吉武秀夫君) 交通博物館、いまの万世橋のところにある博物館でございますが、これは昭和十一年にできまして、もう四十年ぐらいたっているわけです。それで、確かに手狭でございますし、ことしもCの57という機関車を新しく入れまして、それが非常に人気を呼んだわけなんでございます。そういうことで観客もふえておりますし、何とかしなきゃいかぬという声は前からございまして、それで昭和四十七年でしたか、鉄道百周年記念ということで、それの記念事業の一環として交通博物館をもう少し拡充しようじゃないかと、そういうことで交通博物館の整備委員会というものをつくったわけです。問題は、委員会はつくったんでございますけれども、御指摘のようにあそこは非常に手狭でございますので、いろいろ議論は重ねておりまして、場所をどういうふうにするかとか、あるいはさっきちょっと御指摘がありましたけれども、博物館だけにせずに、もうちょっと全体を含めまして運営をうまくやる方法はないかということでいろいろ意見が出て、まだちょっとまとまってないような段階でございますけれども、非常に意義のある事業でございますので努力して進めたいというような感じでおります。
○松岡克由君 それは進めることは、こっちにその気持ちがあれば可能ですか。
○説明員(吉武秀夫君) 進めるようにやっております、委員会もございますので。
○松岡克由君 以上で終わります、十五分ばかり残っていますけども。
 まあ、いろいろ聞いている中に私も教えられることも多々あるし、中にはこっちのアイデアみたいなところで共通するところも出てきた。たとえば地方線、三つに分けたらどうかという、実際はどうか知らないけども、アイデアとして買うと言ってくれた大臣の意見、それから運賃の決めるのをいろんな、国会ばかりで果たしていいものかというそういう意見であるとか、それから個々に小さなことは――小さなことはほとんど何か意見が合ったような気がするので、あとは熱意と予算と、そういったものの兼ね合わせで私は成ることを期待しております。これをひとつ方々へしゃべっておきますから、成らなかったら国鉄がやらないぞっと方々へ言ってまたどなりますから、ひとつ。別におどかすんではなくて、よくするために言っているだけです。ただ、毎度言っているとおり、国鉄一般に言いたいことは、非常に心情的な面で私はまだまだ傲慢だと思われている部分があるということです。それを改めていくといろんな意味でプラスになる。同じとこへ頼むんでも、コストが高くても、人間というのはそういうものなんです。
 いい例が、これは豊中の方の団地の中にスーパーマーケットがある。その目の前に何か荷物をしょってくるおばさんがいるんです。総武線で通ってくるようなおばさんですわ。そのおばさんのとこの商売が繁盛している。なぜならば、ここに会話があるんですね。まけなさいよ、いいじゃないの――そういう会話があるんですね。非常に、買ってくださいよとか、いろんな意味での会話がある。そういう人間が生きているところから始まっている部分に非常に救いがあるということは、私は議員生活は短いけど芸人生活は長いですから、そこでかみ合っているもので、庶民が何を考えているか、何を思っているか、何を忌み、何を憂え、何を喜びを感じているかという同じサイクルで生活してないともたないんですよ、これ。そのもたないというこの一点には自負を持っている代表の議員が、たまたま大衆芸能から出てきた議員が言うんですから、心情的なことだけは自信を持って、総裁、間違いないと言えますので、その辺を加味した上での今回の再建を、なかなかむずかしいだろうけども、せいぜいまあその辺でもってカバーをすることも頭の中に大事に入れておいてほしい。
 以上で質問を終わります。一言ありましたらどうぞ。
○説明員(高木文雄君) 全体として、どうも、たとえば先般来申し上げておりますように、営業的精神が乏しいというか、商売人的気分の持ち方が足りないとかいうこともございますが、いままた御指摘のように、いろいろ客扱いその他について、何となくどうもぶっきらぼうでいかぬということでしばしば投書があったりいろいろしております。それをどういうふうにして教育といいますか、考え方を変えるような雰囲気をつくるかということは私どもの悩みでございますので、いまいろいろ挙げられました事柄は、そういう意味で私どもにとって非常に大事なことだと思います。いろいろな機会にまた後援をしていただくようお願いをいたしたいと思います。
○加瀬完君 最初に総裁に伺いますが、あなたはいままで主計局長なり次官といたしまして、予算を切る立場にいたわけでありますが、今度は国鉄総裁として国鉄財政を改めて診断をなさったわけであります。切る立場と切られる立場と、立場を異にいたしましてどういう御所見をお持ちでありますか、最初に伺います。
○説明員(高木文雄君) 私は、実は大蔵省におりました時分に、必ずしも直接運輸省、国鉄の予算、あるいは融資を担当したことはございませんでしたが、やはり中におりますといろいろなことの議論に参画をいたすわけでございます。そこで、もうすでに十年ぐらい前から一体どういうふうにしたらいいのかということは、大蔵省の内部におきましてもいろいろと議論があったわけでございますけれども、そのときの印象では、どうも国鉄というものの実態がもう一つ明快になってこないということでありまして、言ってみれば国鉄に対するやや信頼が十分なかったわけでございまして、切るとかなんとかということの前に、どうも実態がもう一つつかめないというようなことが問題の解決をおくらしてきたのではないかというふうに思っております。こちらへ参りまして見ておりましても、何となくまだ閉鎖的といいますか、自分たちだけで何かうまく処理をしようというような空気があるわけでございますけれども、これは国鉄はいわば国民の国鉄ということでございますので、もっと経営者側も、あるいは従業員の方のサイドからも、もう少しもろもろの実態をさらけ出して、そうして国民の皆さんに理解をしていただくということがまず大事なのではないかと思っております。財政当局に対する働きかけも、いままでもやってきたと思いますけれども、なお積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
○加瀬完君 私は、いろいろ原因があるかもしれませんが、最大の原因は大蔵省といいますか、政府の財政当局の国鉄に対する見方に認識不足があったと思う。これは議論になりますが、後で逐一申し上げます。
 総裁が国鉄に臨まれまして、先ほど明快になっていなかったと言いますけれども、ある程度もう在任期間も過ぎて再建計画の衝に当たったわけでありますから、相当程度財政事情というものは明らかになったと思う。そこで、いままでの大蔵省のような考え方だけが正しいという立場では国鉄の再建はできないという御認識をお持ちになったのではないかと思いますが、この点はどうですか。
○説明員(高木文雄君) 率直に申しまして、何といいますか、重病であるといいますか、きわめて再建がむずかしい、外で見ておりましたのよりも、中で見てみますと、いわば非常に病気が重いという感じがいたすわけでございまして、先般来お話がございますように、一方において利用者負担の原則はきわめて重要でございますけれども、同時にやはりいろいろな形での財政援助を求めないとなかなかやっていかれないということを痛感いたしております。
○加瀬完君 そこで、総裁に再建の骨組みについてお伺いをしたいわけでありますが、いままでの議論でも赤字原因の究明、国鉄の現有財産の分析、事業内容の検討、こういうことが十分に果たされておらないという御議論が展開されたと思うのです。これはお認めになりますか。そのほか御所見がありましたら承ります。
○説明員(高木文雄君) たとえば一例を挙げますと、赤字ローカル線の問題なんかにつきましても、初めてことし補助金がもらえるようになったわけでございますが、金額がまだきわめて少ないという現状でございますし、そういったことになっておりますもう一つの理由としては、先ほど他の委員から御指摘がございましたように、国鉄のサイドにおいて、いろいろな赤字分析等の努力は決してなおざりにはしてなかったと思いますけれども、まだ不十分であったということを言わざるを得ないわけでございまして、そういう点についてだんだんと、たとえば貨物は貨物、ローカル線はローカル線ということで、いままでよりはだんだんと実態がわかってきたとは思いますけれども、さらにそれを深めていかなければいけないというふうに思います。
○加瀬完君 国鉄当局の努力が不十分ということよりも国の、財政当局の国鉄に対する認識が不十分という面が非常に私は多いと思うのです。
 そこで、いずれにいたしましても、独立採算制といったって、独立採算ではやっていけないという、そういう構造になっておるわけですから、したがって、総裁には国鉄を賄っていく新財源の構想というものをお考えになっていると思う。どういう財源によってこの実質上の赤字がなくなるような再建計画というものをお考えですか。新財源についてのお考えはありませんか。
○説明員(高木文雄君) 私はまだ、どういう形で何か新しい財源をつくって、そしてそれを補てんしてもらったらどうだということについては、必ずしもまとまった見解を持つに至っておりません。むしろ問題は、まだ確かに財政当局の理解も不十分だったと思います。私自身の経験から言っても、正直なところそうだったと思いますが、それを何といいますか、理解を深めるためにはこちらからのアピールももっとどんどんやっていかなければならないと思うわけでございまして、お言葉ではございますけれども、財源対策も考えなければならぬことは事実でございましょうが、それはある程度財政側に任して、こちらとしてはぜひこういうものが欲しいのだということの主張をもっと強く展開してまいるのが当面の仕事ではないかと思っております。
○加瀬完君 総裁は財政の専門家でございますよね。したがって、高木さんが総裁になるからには、財政専門家としての国鉄に対する解明をしていただけるものという期待がこれは内外とも大きいと思う。
 そこで、そういう御知識もあられるあなたでありますから、独立採算制という原則が貫けないということは、これは自明の理だ。しかも、国鉄が経営努力が非常に欠けておって赤字になったとのみは言えない場面も、いままでるる述べられたように多い。そうであれば、国がある程度金を出さなければならないということに、これは大臣がお述べになるように帰結すると思う。どうして国鉄再建を十分賄うだけの金を国がいままで出せなかったのか。これは出さない側の責任者でもあった総裁でありますから、どうして一体ここまで追い詰められるまで国鉄という名の公共企業体を赤字倒産寸前に追いやったか。これは国鉄の責任だけじゃないと思う。国の財政当局も当然責任があると思う。なお閣僚協議会といったものが何回か繰り返されている。後で申し上げますが、さっぱり効果をあらわしていない。これは政府の責任ですよ。
 そこで、財政専門家としてのあなたに、どこが一体これはまずかったのだという御所見を重ねて承りたい。
○説明員(高木文雄君) 大蔵省の内部におきましても、そうでございますね、十年ぐらいの間何遍も繰り返してこの問題を議論したことは事実でございます。全く放置してあったということではないと思います。しかし、どうもこれをやれば間違いなく後は国鉄の方がきちっと引き受けるだろうという目安がなかなか立たなかったわけでございまして、金を出す方の立場から言いますと、何といいますか、最初ある種のたとえば補助金とか、援助とかという形の金を手配いたしますが、それがずるずると、ただふくらんでいくということが一番心配になるわけでございまして、際限なくどんどん援助を求められるということが非常に困るわけでございまして、そういう意味で、これだけ出せば後はちゃんとやってくれるだろうという見通しを持ち得なかったというのが一番大きな原因だと思います。
 今度、私どもの立場といたしまして、財政当局に向かってここまでは出してもらわなければ困るということについても、先ほど来他の委員から御指摘がございましたように、たとえばどこまでをローカル線と考えるのかというような例でおわかりいただけますように、こちら側にも、どうももう一つ明快な覚悟といいますか、一つの思想といいますか、そういうものがまだ不十分な点があると思うわけでございまして、私はそういうものを、皆さんから御指摘を受けておりますほとんど全部、先日来の御議論で御指摘がございましたが、そういった面を固めていくということになれば、おのずから道は開けるのではないかというふうに考えております。
○加瀬完君 大蔵省に伺いますが、出すべき理由というものはお考えになりませんか。それから出せない理由というものは一体何ですか。――大蔵省にもう一度伺います。いま高木総裁と質疑を重ねてきたわけでありますけれども、国鉄赤字再建について大蔵省は金を出すべきだという理由は考えておらないか、それから出せないという理由があるならば一体それは何か、この二点についてお答えをいただきたい。
○政府委員(松下康雄君) 国鉄の再建につきまして、私どもの考え方といたしましては、本来公共企業体としまして健全な事業の維持、発展を図ります見地からは、原則といたしましては受益者負担に基づいた独立採算の基礎の上に立ちながら、その上に立った十分な企業努力と、さらに必要に応じた場合の国による助成と、この三者を柱といたしまして再建を行うべきものであろうと考えた次第でございます。
 その考え方の基本に立ちまして、過去にすでに発生いたしました累積債務につきましては、これをそのままにしておきますというと、ただいまの原則から申しまして、仮にこれを受益者の将来の負担にゆだねるというような措置を講ずるといたしますと、非常に過大の負担を受益者に期待することになり、また公平の点からも問題があるのではないかと種々考慮いたしました結果、過去の繰越欠損の金額に見合いますところの過去債務につきまして、一部は再評価積立金の取り崩しによりますけれども、残余の大部分につきましては一般会計による当面のたな上げ措置というものを講じることにいたしまして、過去の累積いたしました欠損が将来の企業の経営の健全性を妨げるという点を断ち切ろうというのが第一の考え方でございます。
 その目的のためには、一般会計といたしましても二兆五千億に上る長期債務につきまして利子の完全補給と元本のたな上げということのために資金の支出を将来長期にわたって行うということをお決めいたしている次第でございます。で、そのほか将来の問題につきましては、ただいま申しましたような原則の上に立って経営をやっていくべきでございますけれども、鉄道事業の今日置かれましたいろいろな状況を考えますときには、完全にこの受益者負担の原則だけで事業の経営ができるかどうか、これは問題のあるところでございますので、一方におきましては投資に対する工事費の補助のやり方を継続をいたしまして投資負担の軽減を図る道を講じておる、それからまた地方交通線の問題につきましては、これは種々の角度からこの交通線対策を御検討を願いまして、その御検討の結果によりまして改めてこの措置については御相談をいたすという方針で考えた次第でございます。
○加瀬完君 その一応の方向は関係者からたびたび述べられたから、いままでから比べれば幾らか国が財政負担をするということがわかったわけですよ。しかし、その国のいま計画されている財政負担が完全に行われても、国鉄の赤字というものは解消するという解決には全然なっておらない、それが一つの私どもの疑惑です。そして、今後完全に解消するように財政支出が大蔵省で行われるかという保証もどこにもない。その根底には、出すべからざるものだが出してやるという物の考え方が大蔵省にある、意見がましくなりますが。それはあなたがさつき説明した独立採算制がたてまえだということですよ。公共企業は独立採算制というものとは両立しないんです、これ。そうでしょう。公共サービスのためには、独立採算を考えないでもやらなけりゃならない仕事そのものを含んでいるわけです。
 したがって、独立採算制がたてまえですよという物の考え方をしている限りは、大蔵省の態度というのはいずれ打ち切りの補助金ですよという形に変わってくる。公共企業というものはこういうものだから、当然これは公共負担というものを国がしなければならないという立場に立てば、それじゃその出し分というのはどういう枠でどれを対象に幾ら出さなきゃならないかという問題になってくると思う。私はそういう物の考え方をしておりますから、そういう考え方のもとに質問をいたします。
 いろいろ詰めてまいりますと大蔵省は金がないと、こう言うかもしれぬ。この財政特例法でも、結局金がないから財政特例法で金を集めるんだという方法をとっていますけれども、財源の完全な収集というものを大蔵省は怠っているんじゃないですか。問題が少し派生的なようになりますが、これから少し財源の問題で、いまの財政当局は怠慢だと思いますので、質問を進めてまいります。
 東京都のこの税関係に対する調査の作業を御存じですか。
○説明員(矢澤富太郎君) よく存じております。
○加瀬完君 東京都の、これが一〇〇%信憑性があるとまでは言いませんけれども、少なくも一つの方向として国も同様に考えてみなきゃならない問題点を含んでいると思う。これはお認めになりますね。実態調査で現行法には相当の欠落分があると、こういう指摘があります。そして、その実態調査の実質税負担率と「法人企業の実態」による実質税負担率では、欠落分の軽減税額が九千二百七十七億円と推定されると、そこでさらに「法人企業の実態」から算出した一兆六千五百六十億円と合算すると二兆五千八百三十七億円なる金額が欠落分として認めざるを得ない、こういう一つの試算をいたしております。
 同じような方向でこれ革新首長会が試算をしておりまして、これは数字は全部の、全国の市町村を計算したわけではありませんから推計をいたしますと、数字は省いて、大きな企業は現在より四割増の税負担ができると、こういう結論を出しているんです。四割増の税負担ができないにしても、少なくも担税能力のあるものがそのまま見過ごされているということはお認めになりますか。
○説明員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。
 東京都の資料では先生いま御説明のとおり、軽減税額が約二兆六千億あるという説明でございます。ただその中でいろいろ項目につきましてかなり私どもと見解の相違するものがございまして、それを差し引きますと、とても二兆六千というような大きな数字になるとは私ども考えておりません。で、一例として申し上げますと、東京都の数字では企業会計原則で明確に費用であると認められている引当金も、これは企業優遇税制であるからその分の税金が欠落しているのではないかという指摘をしております。その引当金と申しますのは、たとえば貸倒引当金だとか退職給与引当金等等でございまして、将来の損失に備えるために引き当てるものでございます。
○加瀬完君 それは、あなた方の現在の計算と、現在の法則というものを適用すればあなたのような説明になりますよ。だが、東京都は見方を変えてこういう方向から見ればこういう指摘も可能ではないかと言っているわけです。ですから、あなた方の指摘が全部間違って、あなた方と同じ方法でやっても東京都は取れる、こう言っているわけじゃない。しかし、これは国鉄財政そのものとは関係がありませんけれども、こういう国家財政の窮乏しているときに、いままでの見方だけで税金を取っていいかということですよ、いままでの見方で税金を取っていいか。担税能力のない者からも税金取ろうとしているんだから、担税能力がある者からはもう少し負担を加えていっていいじゃないか。
 たとえば東京都の法人三税の資本金階層別軽減税額率は次のとおりというふうに言っていますね。百万円未満の資本では四・五%、それが五百万円以上になりますと八・四%、それが五千万円以上になりますと八・五%、それが五十億以上になりますと三〇・一%、百億以上の資本になりますと四二・一%、これが軽減されている。それなら、こういうところからはもっと税負担というものに参加してもらったっていいじゃないか、こういう私は理屈が出ると思うんです。
 時間がありませんから先に進みますが、あなたの御指摘のように、企業優遇をいろいろやっておりますけれども、たとえば利子・配当所得の軽減税額というのがございますね。これは一体どれくらいございますか。
○説明員(矢澤富太郎君) 利子・配当の軽減税額、五十一年度の平年度減収額のベースで約千二百億余りでございます。
○加瀬完君 東京都の試算によるともっと多いですね。それはそれでも幾らか取っているからいい。株式譲渡所得課税というのは、実際はそういう税目があったって余り取っていないじゃないですか、いかがですか。
○説明員(矢澤富太郎君) 御指摘のとおりでございます。
○加瀬完君 有価証券譲渡所得税制は、高額所得者を特別優遇しているという現実は、これはお認めにならざるを得ないでしょう。いかがですか。
○説明員(矢澤富太郎君) 有価証券の譲渡益の課税につきましては、有価証券取引そのものが非常に大量かつ頻繁と行われますので、把握の体制をどう整備するかという問題がございますけれども、課税範囲を拡大する方向で検討をする必要があろうかと私どもは考えております。
○加瀬完君 これは自治省でも、大蔵省でも、税金取るときに取りづらいものは後にしようという考え方があるわけです、取るに手間のかかるものは。これは簡単なものにしよう。しかし、国民感情からすれば、取りづらいとか、めんどうくさいというのは、これは集める者の方の努力で解決できる問題で、担税能力のあるものから担税してもらおうというのは当然のことで、簡単に取れるからといって、いろいろうわさされているような大衆課税というのを加えられるということを国民は必ずしも喜んでおらない。したがいまして、少なくも私は、大蔵委員じゃありませんから余り質問ができませんでしたのでここで若干触れますと、税制整備をすれば、もっと国家財政というのは別の方から収入を上げることもできる。そして、いまこういう財特法までも適用しなければならないというときは、そういう作業を大蔵省としてやるべきときじゃないか。
 そして、ある財源というものがふくらんでくるならば、その財源の中で、国鉄の問題だってもっと幅広く処理することもできるということにもなり得るわけです。ですから、現在の財政で金がない、金がないということで、出すべき筋合いのものもちびって出さないということは許されない。そこいらがあなた方に御迷惑でもここに来ていただいた大蔵省の考え方というものを変えてもらわなければならないと私は思いますので、その点の御見解を承りたい。ちょっと消極的じゃないですか。こういう財政窮乏のときに、取れるものから取るということを積極的に考えるということをやらない。怠慢ですよ、大蔵省。どうでしょう。
○説明員(矢澤富太郎君) 今後の財政運営の指針といたしましては、たとえば企画庁から出されました五十年代の前期経済計画、あるいは大蔵省の方から国会に御提出いたしております財政収支の試算等があるわけでございますが、そこでは五十年代前半に社会福祉、社会資本の充実にこたえつつ、赤字財政から脱却するためにはある程度税負担を上げると申しますか、歳入面でがんばらなきゃいかぬという指摘があるわけでございます。私どもといたしましては、九月から税制調査会にこのことを念頭に入れて、今後の中期税制どうあるべきかということについて御審議いただいておるわけでございます。九月以来第一部会、第二部会に分かれまして毎週一回ずつ所得課税、消費課税、それから資産課税の全般にわたって慎重に御審議をお願いし、来年の秋を目途といたしまして、そういった財源対策の見直しをお願いしておるところでございます。
○加瀬完君 税制調査会では、利子・配当については総合課税が望ましいという原則的な答申はなさっているんじゃありませんか。
○説明員(矢澤富太郎君) 先生御指摘のとおりでございます。
 ただもう一つ言葉が続いておりまして、一挙に総合課税に移行する場合に把握体制が十分に整理されておりませんと新たな不公平を生ずる、そこで、把握体制の整備というととも十分に考えてほしいという言葉がついております。
○加瀬完君 一挙に総合課税方式とれば問題があるけれども、しかしその答申は、総合課税方式は無理だからとっちゃいけないという答申じゃないわけですね。総合課税方式とれない理由は何ですか。
○説明員(矢澤富太郎君) ただいま申し上げましたいわゆる把握体制の整備という問題でございまして、利子所得については、一部は一五%の源泉徴収で総合課税にいくもの、それから三〇%の分離課税でそのまま分離いたしまして総合課税としていないという二つのもの、もう一つは三百万円以下のものについてはマル優の非課税と、三つの制度があるわけでございますが、いわゆる利子所得の総合課税化という問題は、この分離課税をやめろということでございます。もし分離課税をやめましたときに、そのすべてがただいまなら一五%の源泉徴収税率を取られております総合課税の分野に移ってまいりますと、税務署で支払い調書を一々チェックして架名だとか、金額の突合とか、大変な手間がかかるわけでございまして、そういう体制がうまくできないまま総合課税に移行すれば、そこで把握漏れというまた新しい問題ができるのではないかという御指摘だと私ども理解しております。
○加瀬完君 結局税制当局としては取りづらいとか、問題が起こりそうだとかいうのはあとにしてしまうわけですね。そうではなくて、取りづらいなら取りやすい方法を考えるし、問題が起こるならその問題点を解決して、少なくも少しでもよけい取れる税制に移行しようという態度がなければならないと思うのですよ。これは税調はどうであろうとも、大蔵省当局はそういう物の考え方をしなければおかしいと思う、このときに。
 で、こういうことを私が聞きますのは、地方の住民税なんか三倍に上がりましたね、人頭割りが。一方は大衆課税といいますか、庶民課税というのはもう何倍にも上げている。ところが、担税能力のあるこういう大口は、取りづらいとか、急いでやれば問題が起こるとかいうことで引き延ばしている。これは怠慢と言わざるを得ないと私は思う。ですから、とにかくもう少し工夫して取れば財源はある。大衆課税でなくても財源はあると、こういうことをお認めになりますね。
○説明員(矢澤富太郎君) 先ほど利子所得の問題につきましては把握体制の問題もございますが、利子所得をできるだけ一歩でも総合課税に近づけなければいけないというのは私どもの悲願でございまして、たとえば昭和五十年度におきましては、従来源泉、分離選択の税率は二五%とされていたわけでございますが、これを三〇%に引き上げた次第でございます。また租税特別措置につきましては、五十一年度に税の公平の観点から見て非常に問題があるという御批判もございますところから、かなり思い切った縮減を図りまして、たとえば法人企業関係の特別措置につきましては、金額にいたしまして約三分の一の縮減を行ったところでございます。
 なお、この租税特別措置の中には、先生御承知のように、たとえば中小企業関係の措置があるとか、先ほど利子の減収額を千二百億余りと申し上げましたけれども、そのうちの約千九十億はいわゆるマル優、少額貯蓄の利子等の非課税でございますし、そのほか財形貯蓄の非課税、あるいは生命保険料控除が約一千億あるとかいうようなことでございまして、一概に高額所得者優遇、あるいは大企業優遇ということにつながらないものもございますので、その整理には限界があるということも申し上げておきたいと思います。
○加瀬完君 だからといって、大口取らないでいいという理由には一つもならないんですよ、それは。ですから、私も知っています。当然、租税特別措置法として残さなきゃならないものもある。しかし、外さなきゃならないものもたくさんある。だから、その区分けをしろと言うのです。あなたがさっき引当金、準備金言いました。引当金、準備金大体二十二兆ぐらいあるのじゃないですか。五十年で二十二兆ぐらいあるんでしょう。これが全部残しておかなければならない問題じゃないでしょう。その区分けをする作業が進んでいますというなら話はわかる。めんどうだからといって一つも区分けをしなければ、これはいつまでたったって新しい財源はできてきませんよ。
 大臣に伺いますけれども、大蔵省は取れば取れる金あるわけですから、国鉄の補助金がちびちびちびちび、あるのないのということにはならない、取らせるように閣議でも御主張をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(石田博英君) その租税がどういうぐあいにとるか私の所管ではございませんが、私の所管である国鉄再建は、やはり独立採算制を維持するということでいく以上は、公共負担とかあるいは政策負担とか、そういうようなものは原則として政策実施機関で負担をしてもらうべきものであり、またそのほかの部門につきましても、もう国鉄の経営は昔日の面影はないんですからね。これを健全にするためにできるだけの努力をいたします。
○加瀬完君 これは釈迦に説法で、総裁ははるかにわれわれとは違った専門家でありますから、少なくも国庫から相当額の国鉄が再建されるための支出は、これは将来にわたっても得られるはずだという御認識はお認めいただけるでしょうね。
○説明員(高木文雄君) いま大臣からお答えございましたように、基本は独立採算制でなければいけないと思いますが、ローカル線等にあらわれておりますように、本来独立採算制の範疇の外に飛び出してしまっておるものもございますので、まずそういうところを順次片づけていくと申しますか、そういうものについてはしかるべき負担を国鉄外でお願いをするというようなことを通じて、こちら側が独立採算制でやっていけますように財政措置をとってもらう努力をいたしてまいりたいと思います。
○加瀬完君 揚げ足を取ろうとは毛頭思いませんが、独立採算制でいくべきだという考え方が先に出ると、それじゃ独立採算制でおやりなさいということにしっぺ返しがくるんです。現状の国鉄なり国鉄の法規によっての運営というものは独立採算ではできないんだ、こういう立場が私は前提になけりゃおかしいと思う。いままでみんなそれでやってきているんだ、独立採算制、独立採算制、何回も何回もやって独立採算制の趣旨は一つも通っていない。独立採算制ではできないんだ、現状の国鉄は。そういう私は認識を持っていただかなけりゃならないと思う。
 そこで、独立採算制というなら、先ほど来お話出ておりますように、まず国鉄の処分司儀の保有財産、こういうものは明確になっているでしょうね。これは大臣も言ったように、まず売れそうな物から売って、そこで借金を払っていく、当然なことだ、これは。それなら、その財産目録なり金額なり一切そういうものは――それから何と何は処分していいけれども、これは処分に値しない、こういったものは明確になっているでしょうな。
○説明員(高橋浩二君) 五十年度末の資料でございますけれども、ただいま現在国鉄側から見て要らない、いわゆる処分が可能という範疇に入ります土地は千二百八十万平方メートルございます。ただ、先ほどからいろいろ意見ございますように、いま私の申し上げたのはただいま現在でございまして、実際には貨物駅を集約をいたしましたり、あるいは都心にあります線路を高架化等を進めてまいりますと、それによってまた新たに余剰が発生する、あるいは本年度になりましてから私どもも売却いたしておりますので、ただいま現在は若干数字は狂ってまいりますけれども、五十年度末で千二百八十万平方メートルの処分可能であるという土地を持っております。財産価額にいたしまして、これをもし仮に全部いま直ちに売れたということになりますと、およそこれが価額にいたしますと三百億円でございます。
○加瀬完君 ですから、現在の未利用地を全部、処分可能なものを処分したとしても、希望的な見方をしても金額は三百億だと。だから、それだけでは国鉄の赤字というものは、九牛の一毛でもないけれども、どうにもならないということですね。なら、国鉄の再建計画というものは、そういうものを出して、これとこれとこれだけは国鉄の財産なり国鉄の経営努力でカバーできますけれども、これだけのものはどうしても国の財政補助を受けなければどうにもなりませんということは明確になっているでしょうな。
○説明員(高木文雄君) たとえば現状で申しますと、ローカル線とか貨物につきましては、いかに努力をいたしましても何ともならないわけでございますし、ローカル線の場合は本来的に人口の少ない地点で車を走らせなければならないという公共的使命を帯びておりますから、そうしたものについてはとても独立採算というわけにはまいらないわけでございますけれども、たとえば幹線地区につきましては、今回お願いしておりますような形での運賃の改定と並行しながら、いろいろと企業努力を払ってまいりますれば十分独立採算でやっていけると思われるわけでございまして、独立採算でやっていける部分と、それではやっていけない部分が混在をしてしまっておりますので、その仕分けをしていく必要はございますけれども、その基本的な部分といいますか、幹線部分についてはあくまで独立採算でやっていかなければならない。
 そうでございませんと、何といいますか、企業の一つの目標がはっきりしなくなってまいりまして、どんなに能率の悪い経営をしても助けてもらえるということでは、企業としてはうまくいかないわけでございまして、やはり歯を食いしばって、ここは自分でやるんだというフィールドをはっきりして、そこの分野については明確に独立採算でやっていくという精神を持たねばならぬと思うわけでございます。問題は、そのどこまでをそれでやっていくか、どこからはもうこれはとてもだめだからお助け願うかという線をどうやって引くかというのが先般来の御議論の中で御指摘を受けておる点で、大変むずかしい問題でございますけれども、方向づけをだんだんと深めてまいらねばならぬというふうに思います。
○加瀬完君 今度の再建案の中には、独立採算というものでやってカバーできるものはこれだけ、財産処分なりその他いろいろの営業の努力によってカバーできるものはこれだけ、これとこれとこれはどうしたってカバーできないのでこれは国の対策を待たなきゃならないという煮詰め方が大蔵省との間で完全にできて再建案が出てきたんですか。
○説明員(高木文雄君) いや、まだそこが明確になっていないわけでございまして、先ほど他の委員から御指摘を受けましたように、たとえばローカル線につきましても、どういうものは国鉄の経営としてどうしても必要だと考えるのか、どういうものはもうできれば勘弁してほしいというふうに考えるのかというような線引きにつきましても、まだ残念ながら私どもで明確にできないでおるわけでございます。ただ一部、たとえば貨物などにつきましては、もうちょっとしばらくお待ちいただきたい。数年、ですから大体五十五年末にはこういう方向で私どもでここまではやってまいりますという線を近く出せるというふうに考えております。でございますので、何しろいろいろな問題がありますものですから、非常に不明確で恐縮でございますが、経営全体につきまして、ここまでは私どもでこうやってできます、ここまではなかなかできませんというのが、今日ただいまの段階においてすべてのフィールドではっきりしているというところまではいっていないわけでございます。
○加瀬完君 しかし、再建案を出すからには、その詰めというのができなければ再建案に私はならないと思うのです。その詰めは、総裁のように財政通の方でなければ、その詰めの完全なものを大蔵省とやるわけにはまいりませんよ。で、いまは、伺いますとそれはできていない、これは早晩大蔵省との間に相当の詰めができて、再建計画の財源的な、財政的な裏づけが確立されると希望を持ってもよろしいですね。
○説明員(高木文雄君) 大筋においてはそのとおりでございます。ただ、いまひとつ私どもで一番悩んでおりますのは、もし仮に今回の運賃改定をお認めいただきました場合に、名目では五〇%増でございますが、実収では三七%ぐらいを見込んでおるわけでございますけれども、これは午前からの御質問で非常に追及されましたように、うまくそういうふうにいきますかどうか、そして、またそのベースになる部分にいささかの狂いが出たというような問題がございまして、率直に申しますと、今回の改定をお許しいただいた後でどういう収入軌跡をたどるかということを、本当は承知をいたしたいわけでございます。そうでありませんと、さらにどの程度の値上げをやってもお客さんに乗っていただけるかどうか見当がなかなかつかないというような問題ありまして、時間的にもここ数ヵ月の間に一〇〇%こういう方法でここまでは独立採算でいたしますと、ここから先は財政でないとだめですという線引きを、非常に早い時期に立てるというのに難渋をいたしておるというのが実情でございます。
 大変泣き言のようでございますけれども、実際問題としてなかなか競争が激しくなってまいりましたから、どういうふうにやっていけば、どこどこまでは完全に独立採算でやっていけますという確実なるめどをつけるのにいささかの時間がかかるわけでございまして、だんだんと時間の経過とともに明確にはしてまいりますが、その点は非常にいま率直なところ弱っておるというか、悩んでおるというか、そういう問題でございます。
○加瀬完君 はなはだ不満ですけれども、大蔵省に伺います。
 まあ現状の再建案にはそういう具体的な、完全なものはないけれども、将来そういうものを詰めていくということについては、大蔵省も現状の国鉄の財政状態というのは認識をして、これに協力をしてもらえるものだと考えてよろしいですか。
○政府委員(松下康雄君) 今回の再建案をつくりましたときの考え方が、国鉄につきましてこれを一回限りの措置で、一年間で再建がすっかりでき上がるものとは考えなかったわけでございます。運賃の問題につきましても、その他経営上のいろいろな問題につきましても、やはり国鉄を完全に再建の軌道に乗せて、健全な企業になっていただくためには、ある程度の時間も必要でございますし、またその時間の間に、関係当局者がよく話し合うことも必要であると考えております。したがいまして、たとえば地方線の問題一つをとりましても、これは再建案の中でこの問題については別途できるだけ早く検討するというような取り決めになってございまして、私どももこういう問題につきましては運輸省、あるいは国鉄当局のお話もよく聞きながら、国鉄経営の実態に即した健全な再建ができることを念願しつつ、この問題の処理を考えてまいりたいという気持ちでございます。
○加瀬完君 いままでの若干の認識の不十分さというのはお認めになるわけですね。
○政府委員(松下康雄君) これは認識が不十分と申しますか、私の感じでは、それぞれの公共企業体がその時点において置かれておるその環境によって考えていくべきものではなかろうかというふうに思う次第でございます。同じ公共企業体でございましても、たとえば電信電話産業のようなものと、この鉄道事業とを比較いたしました場合に、その時代的な背景におきまして、あるいは企業としての力におきまして差が生じておるということは、これは当然あることでございます。したがいまして、私どもは一方では企業体としての健全な経営を維持していただくために、独立採算制ということも申しますし、また企業努力ということもお願いをいたしておるわけでございますけれども、仮に鉄道経営につきまして、これまでの環境と環境が変わっておるという点は、そのときそのときで認識をしながら対処すべきものだと存じております。
○加瀬完君 それが認識不足ということなんですよ。ことしぽかんと国鉄が赤字が出たわけじゃない。毎年毎年、三十九年以降赤字が出て、そのたびそのたびに政府は再建案というものをつくって一回も成功しない、みんな失敗だ。失敗ということは何の失敗ということになったら、営業の失敗じゃないですよ、これは。財政対策の失敗ですよ。財政対策の失敗ということになれば、大蔵省もこれはいまになってこんなことをやっておかしいなと、もっと早く認識を確立しておけばこういうことにならなかったなと、出す金だって少なくて済んだなと、これは常識的に当然そういうことを考えられるわけだ。あなた方は、まるで国鉄が何かやり方が悪くて、突然赤字になって、大蔵省の方におんぶしているような考え方をお持ちかもしれませんが、そうじゃないんですよ。こういうように国鉄をにっちもさっちも動かないようにしたのは、国鉄に対する国の財政の対策が未熟だったからこういうことになったのです。どんなにあな方抗弁したってこれだけ赤字が出ているということはお認めになるでしょう。国鉄が。これだけ赤字が出て、動きがとれなくなっているということは御認識なんでしょうな。黒字になっているとはまさか言わないでしょう。
○政府委員(松下康雄君) 国鉄の赤字の実情については、これを十分認識をいたしまして、今回の再建案を考えた次第でございます。
○加瀬完君 その赤字の原因をつくったのは大蔵省ですよ。だから、それは認識がなかったということになるんだ。
 そこで、これは大臣と総裁に伺いますが、衆議院では幾つかの附帯決議をつけているようであります。特に財政再建関係についての附帯決議というのが何項かあります。これについての大臣と総裁のそれぞれの御所見を承ります。
○国務大臣(石田博英君) 第一の「過去債務を積極的に処置する」という意味でありますが、過去債務のうちで赤字分については皆さん御承知のとおりでございます。しかし、資産に見合う分についても、もう初めからこれは採算に合わぬものを押しつけられたという分は、これは資産ともいえない性格のものであると思いますが、それを一切を含んだという意味ですと、その点についてはやっぱり実質上資産に見合うものも相当あると考えております。しかし、これを今回の処置だけでそれで終わりだというふうには私は考えておりません。あとの部分についてはごもっともでございますので、尊重してその実現を図りたいと思います。
○加瀬完君 総裁、同じことですが、お答えいただきます。
○説明員(高木文雄君) ただいまの大臣の御答弁と同じ感覚でおります。
○加瀬完君 そうすると、附帯決議の過去債務の処置、これは部分的には問題もあるけれども、大要においてはよろしいということですね。大体においてはよろしいと了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(石田博英君) その大体とか、大要とかというのは非常に漠然としておりますが、経営の資産に、経営にプラスするものに見合う資産の分ですね、それはやっぱり受益者負担でやるべきものだと思うのです。しかし、見合わない、押しつけられてはいるが、引き受けたらこれは赤字になるに決まっていると、これは資産とはどうも純粋には申しかねるように思います。そういう部分については、やはり政策負担という形でお願いするのが筋だと、こう思っております。
 それから、前にもちょっと仙台のことでお答えをいたしましたが、先ほど売れる物は三百億とこう言う。それは現在の未利用地で、現在名目では利用しておっても、もっと有利な利用の仕方も考えられるし、たとえば従業員の人たちの社宅ですね、あれみんなほとんど平家なんですよ。しかも一等地が多い。そういうものは高層に変えれば土地は余ると。そういうようなことも十分考え、いろいろ考えられると思うんで、数字は現在までの感覚の計算ではわずかなものでありますが、これはそれこそ発想を転換すればいろいろなものが出ると思いますので、鉄監局に命じまして、そういう実態を広く国民から、あれはもう売ったらいいんじゃないかとか、あるいはこうした方がいいんじゃないかという意見も集めて、そして国鉄当局と協議をしたいと、こう思っております。
○加瀬完君 改めて確認をいただきたいと思います。この資産に見合わない過去債務の処置は了解をいたします。「地方交通線の運営費の欠損」、これも附帯決議の線も了解をいたします。公共割引の負担責任についてもどれは同様でございますと了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(石田博英君) 私、何度もお答えしたとおりでございます。そのとおり。
○加瀬完君 そうすると、私は再建計画は固まっておって、その上に運賃の改定が出たと思いましたが、そうでないと言うならば、来年度にわたって固められてまいりまする再建案の中には、この附帯決議の内容が確定していくものだと了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(石田博英君) いろいろ歴史的経過もありますので、これを全部一遍にということはむずかしいと思いますが、この附帯決議の方向に向かって努力をして実現を図りたい、こう思っております。
○加瀬完君 総裁に伺いますが、今回の再建案の中にはこの附帯決議の指摘の内容は十分盛られておらない、したがって、将来は附帯決議で指摘された点が保証をされるように再建案が固められていくと確認してよろしゅうございますね。
○説明員(高木文雄君) 私どもは運輸省にお願いをする立場でございますんですが、私どもとしては、この一の点についてはかなりの程度今回見ていただいておりますけれども、まだいささかお願いしたい点が残るのではないかなあという感じでございます。二の点につきましては、これは先ほど来御指摘のように、地方交通線というものをどう考えるか、線引きをどうするかということで、そこを詰めてまいりたいと思います。三は、従来から大臣のお答えのとおりでございます。
○加瀬完君 国鉄が当事者能力を失っておったことが、大蔵省の無理解とともに、もう一つのこれ再建を困難にしている原因ですよ。独立採算をやれという至上命令を出されておって、その当事者が当事者能力がなくてどうして一体やっていけます。当事者能力というのは、国鉄財政の再建の主張というものをもっと強力に私はやるべきだと思うんだよ、総裁以下。それができないくらいなら、さっさと、わしにはできませんからほかの者やれというくらいの、汚い言葉ですが、しりをまくった構えでやらなけりゃ再建なんかできませんよ。恐る恐るお願いしますと言っておったってね、石田さんのようになかなかいい答えをポンポンポンポン出す大臣ばっかりは来ねんだ。そのときには、いい答えを出さなけりゃあなたと差し違いだというくらいの当事者能力を発揮しなければだめですよ。そういうことで国鉄総裁におなりになったとわれわれは拍手を贈ったわけですが、これは間違いないでしょうな、お覚悟は。
○説明員(高木文雄君) あくまで何とかして再建を図らなくちゃならぬと、それが私の役目だと思っておりますので、どうしてもやっていただかなきゃならぬ点は最後までがんばってお願いをいたすつもりでございます。
○加瀬完君 国鉄だけの努力でこの財政再建はできないわけですよ。ですからね、国鉄がまず踏ん張って、もう自主的な態度を明確にして、まず運輸省を動かすと、運輸省、大臣をして政府を動かすと、こういうようにやっていただけるものと了解をいたします。
 次に、大蔵省に伺いますがね、文句ばっかり言っているわけじゃありませんが、国鉄の赤字財政ということが御了解をいただいたならば、国鉄総裁はあなた方の先輩でもありますから、しかも財政の専門家でありますから、そういう方の主張することには十分耳を傾けて、これは相談に乗るものだと考えていいですな、大蔵省の態度としては。
○政府委員(松下康雄君) 国鉄の実情も十分お聞きいたし、十分に御協議をしてまいりたいと思っております。
○加瀬完君 腑に落ちないことをひとつ聞きますけどね、先ほどから独立採算制、独立採算制と言いましてね、あなた方の出されたものにも「独立採算性を指向」と、こう言っておりますけれども、これどういうことです。どういうことですというのは、独立採算制と百万遍唱えて独立採算にはさっぱりならないし、国鉄の赤字も解消しなかったわけだ。また、念仏じゃあるまいし、もう一回独立採算性の指向とここで言ってるんだけれども、いままで言っていることと今度言っていることは内容的に違っているのかどうか。方法的に何か具体策があるのかどうか、それを伺います。国鉄理事でもだれでもいいや、わかってる者答えてくれ。
○説明員(高木文雄君) 現に過去債務のたな上げということは行われて、過去に生じた債務までを現在の利用者の方の負担に持っていくことはいたしませんと、それからローカル線のような場合については、これはもうとても自分ではやってまいれません、そういう点を明確にした上で、メーンの主要幹線等については、これは原則として利用者負担で列車、電車を走らせるようにいたしますというあたりでございますが、考え方はそういう考え方でございますが、問題は、たとえばどこからどこまでが主要幹線と考えるのか。それから赤字線につきましても、たとえばローカル線に乗って、途中で乗りかえて本線に乗っていただく方もあるわけでございますので、これはもう全部が全部、財政あるいは地方で負担をしなければならぬのかどうかというあたりにつきましては、これはまだもう少し詰めてみる必要があります。
 したがって、どこからどこまでが独立採算制でいくのかということについての限界点は、なお今後の議論を詰めてみませんとわかりませんが、独立採算制ということを捨ててしまいますと、先ほども申しましたように、企業の目標を失いますので、やはりそれは中心の柱として据えておかねばならぬというふうに考えておるわけでございます。
○加瀬完君 このいただきました文書によりますと、「国鉄の財政は、」「急速に悪化の傾向をたどってきた。」、「昭和四一年度には繰越欠損金を計上するに至り、昭和四六年度にはいわゆる償却前赤字の状態となった。」、「昭和四八年度には繰越欠損金が資本金及び資本積立金の合計額を上回り、資本合計がマイナスとなった。」と、こう報告をされておりますが、この悪化の傾向に、いままでの国鉄なり政府なりはどういう歯どめをかけてきたか、そしてまた、それがどう効果を奏したか、その経緯について伺います。
○説明員(高木文雄君) ちょっと詳しい御説明をする能力がございませんが、最近の部分につきましては、やはり何といいましても、石油ショックによりまして日本の価格体系が全体として変わったと、物件費も上がりましたし、人件費も上がりましたということで、この四十八年、四十九年、五十年の赤字は、大変そういう物価調整に対してついていけなかったと。逆に申しますと、日本の全体の物価政策に協力するために赤字になることを承知の上でがまんをしておったということでございまして、それによる影響が非常に大きいわけでございます。
 その前の再三の再建計画が途中で挫折した理由につきましては、これはいろいろ言われておりますけれども、見通しがいろんな意味で違ったということにあるんだというふうに言われておりますけれども、そこのところはまだ詳細に、その当時おりませんでしたし、細かにトレースする機会を持ちませんでしたので明確に御返事はできません。最近三年間は何といってもオイルショックに関連する価格体系についていけなかったということが一番金額的には大きな要素であるというふうに思っておるわけでございます。
○加瀬完君 オイルショックによって金額が上がったということは認めますけれども、オイルショックによって物価が上がったというのは若干私は違っていると思いますね。田中前首相の日本列島改造論のときから物価がぐんぐんぐんぐん上がっているんですよ。それにオイルショックが加わっただけで、問題はもっとさきなんですよ。ですから、これは国民の側が物価を上げたということにはならないと思う。
 そこで大蔵省に伺いますが、いまのような点が、国鉄なり運輸省なりからそのときどきにおいて国鉄財政の困難さというものが十分に報告をされておったか、あるいは御相談に上がっておったか、この点はどうです。
○説明員(高木文雄君) 実はその当時、私、大蔵省の方におりまして、たとえば四十八年の十一月に現企画庁長官が大蔵大臣になって見えましたときに、せっかく国鉄、運輸省の御努力、それから国会の御承認によって四十八年の秋に価格改定が御承認になりまして、そして四十九年の三月三十一日から上げてもよろしいという法律が通った後でございましたわけですが、そのときにやはり狂乱物価を抑えるために米の値段の改定を後へずらすと、それから運賃につきましても三月三十一日の予定であったものをもう一遍法律を出して十月一日までずらすと、それから一方において公共事業費を抑制する、あるいは二兆円減税だけは実施するというようなことを決められましたときに、私も大蔵省におりましたので、率直に申しましてある程度の価格改定についてはこれは実施をさしていただかないと後年問題が起こりますよということを当時福田大臣に申し上げたわけでございますけれども、これは政治の問題であると、それから物価というのは生き物だからこの際としては政府の手の届く範囲内においては無理をしてでも抑えにゃだめだということでそういう政策をお決めになりまして、私どもも当時それに従ったわけでございまして、そういうものも、しかし結果としては今日こういう赤字を進めるファクターになったということは否定できないと思います。
 その意味において、その場合にただ価格改定を後ろに延ばしたからということで、それに対して金融でつないだわけでございますけれども、そういうことが問題があったということを言われればそういう反省をしなきゃならぬと、私自身そういう時点におりましたから、決して今回のこういう事態に至ったことにつきましては国鉄だけの責任ではなくて、財政当局にそういう立場での責任があるということは、そういう衝におりましただけに身をもって感じております。
○加瀬完君 物価対策は、私はそれは正しかったと思いますよ。福田さんの物価対策正しかった。今度の欠陥は物価対策との関連がどこにもないということが大きな欠焔ですよ。だから、大蔵省に反省してもらわなければならないのは、物価対策上国鉄運賃を抑えるというなら歳入欠陥を生ずるわけですから、それをどういう財源で補うかということが施されておれば国鉄は赤字がいまのような状態にはならなかったということにもなるわけで、むしろそういう点を、これは出し渋ったなと、もう少し出しておけばよかったなという御反省を私どもはいただきたいと思いますよ。これは意見になりますから。
 そこで、長期負債が六兆七千七百九十三億だと言われますが、この内訳並びにここまで発展してしまった理由、いままでの国鉄財政再建計画との関係について御説明をいただきます。大蔵省、もう少しいてください。簡潔に質問しますから簡潔に答えてください。
○説明員(馬渡一真君) 債務の関係で御説明申し上げますと、ただいままでの累積の債務残高は六兆七千七百九十三億円でございますが、その中で、先ほどからお話が出ておりますように累積赤字相当分三兆千六百十億円、これの出てまいりました時点で申しますと、昭和四十一年度から発生いたしておりまして、その間、途中でございますが四十四年度、それから四十八年度、そういう形で再建計画を組んでまいったわけでございますが、その間に私どもといたしましてはこれらの赤字の発生をしないであろうという想定のもとでの計画を立てましてやってまいりましたけれども、途中の段階におきましてやはり人件費、物件費と、こういう、直接のお金で申しますればそのようなものの見込みの食い違いというようなもの、それから四十八年度以降におきましては、先ほどからお話に出ておりますように、同じく結果としては人件費、物件費でございますが、そういうものの高騰がございまして、結局ただいままでの赤字が発生をいたしております。この中で、もともとの資産を形成いたします部分につきましてやはり政府の出資をお願いをし、長い目で見れば赤字を発生させないような対策もお願いをしてまいりましたけれども、しかし、全体の金額から見て直ちに当該年度においてその分が赤字を補うというような形になりませんので、結果としてここまでまいった次第でございます。
○加瀬完君 納得できませんがね、先へ進みます。
 昭和四十四年と四十八年の財政再建基本計画の柱は何であったですか。
○政府委員(住田正二君) 四十四年、四十八年の再建計画をつくりました当時は高度成長の時代でございまして、長期的に考えれば国鉄は十分再建できるだろうという見方をいたしたわけでございまして、その一環といたしまして過去債務の負担のうち利子につきまして国がめんどうを見る。これは再建債という形でございますけれども、めんどう見ても将来黒字になったときはそれは返せるだろうという前提で再建債方式の利子の軽減を図ったわけでございます。
○加瀬完君 それ一本かい。
○政府委員(住田正二君) まあ柱ということでそれ申し上げたわけでございますけれども、四十四年から工事費について補助金を出しておりますし、また四十七年――実際には四十八年から実施されているわけでございますけれども、工事費の一部について出資をするということもいたしております。
○加瀬完君 結局ね、これ成功しましたか、失敗しましたか。失敗でしょう。失敗したこと自体は、この計画の柱の立て方に問題はなかったですか。
○政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、当時は高度成長という前提で物を考えたわけでございますので、その後経済の基調が変わったために失敗したということでございますので、そういう前提が変わったということは認めざるを得ないと思います。
○加瀬完君 高度成長のために失敗したというなら、失敗した時点でもう一回再建計画というのは立て直されるべきでしょう。それを一つもやっておかないで、高度成長のためといったら、今度も失敗した何かの理由があって何々のためと、それではいつまでたったって国鉄の再建できないじゃないですか。柱の立て方という、その柱のまだ説明されないもう一本があるでしょう。労使一体になって、いわゆる国鉄一家と言われるような経営状態でやってきたわけです。だから、労働組合にも、ともに憂いを分かって一緒に、一体になって再建をしようということではなかったでしょう。労務対策なり労務政策なりというものを強行して、それでやらせようとした結果もありますね。
 この点財政関係からだけ大蔵省に伺いますが、高度成長によって失敗したというが、高度成長によって失敗するような政策をその後どう変更し、どう改めるように大蔵省は相談を受けたか。また、どういう方針を財政当局としてはお示しになったか。
○政府委員(松下康雄君) 四十四年度の再建計画は、四十四年度から五十三年度までの十カ年にわたりますところの長期の計画であったわけでございます。この計画策定の当初におきましても国鉄当局、運輸省、財政当局それぞれ御相談をいたしながら、政府全体としてこれはつくり上げたものでございます。ただ、その後の諸事情の変化等が予想を超えておりました点がございまして、この計画につきましては、計画の中途で改定をするということで、四十七年に一回作業をいたしましたけれども、実際には四十八年度から計画途中ながら改定をしてまいったわけでございます。ただ、この計画につきましても、実際は五十七年度までの長期の計画でございましたけれども、その後の話題になっております石油ショック等の状況もございまして、このままで実施していくわけにまいらないということから今回の第三回目の再建計画になってまいったわけでございます。そのように私どもも実情をながめながら、これはつくり直さなければならない事態になってきたというときに、各省御相談をいたしまして、再建計画の練り直しをやってきたということでございます。
○加瀬完君 経過はよくわかりましたよ。いずれにしても失敗したということはこれは覆うべくもありませんよね。それで、そうして各関係省庁相談をして失敗したということになれば、これは政府の無策であったということですな。少なくとも、国鉄再建の計画については政府は全くなすすべがなかった、こう判断をせざるを得ませんね。そういう状態は、今度の再建計画なり運賃値上げについてどういう反省として生かされてきましたか。
○政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、前二回の再建計画は高度成長を前提に、長期に考えれば国鉄再建ができるという判断をいたしておったわけでございますけれども、その間にオイルショック等いろんな問題が起きまして、長期的に物を考えておってはなかなか国鉄の再建はできないという判断をいたしまして、今回の再建計画に当たりましてはできるだけ短かい期間、まあ五十一年度、五十二年度、二年間で収支均衡を図るということにいたしたわけでございます。
 また、国鉄の累積赤字は非常にふえておりまして、四十八年、四十九年、五十年、三年間だけで二兆を超えるような大きな赤字になっておるわけでございまして、こういう大きな赤字をしょったままで健全経営を維持するということは不可能であるという認識のもとに、累積赤字についてはそれ相当の債務を国が肩がわりするということで国鉄の負担を減らしたわけでございます。
○加瀬完君 それは同じことですよね、繰り返しですよね。
 で、さっき総裁が言ったように、福田企画庁長官のときに物価対策上国鉄運賃の値上げをストップをかけたわけだ。それならそのときに運輸省は当然、ストップをかけられたら再建計画は成り立ちませんと、ストップをかけて欠損が出る分は国の財政で補ってくださいという主張をなさいましたか。
○政府委員(住田正二君) 運賃値上げのおくれに伴います借入金につきましては、全額国の方で助成をいたしているわけでございます。利子分につきまして全額国が助成をするということで処置をいたしたわけでございます。
○加瀬完君 さっきの説明と違うじゃないですか。運賃値上げをストップされたことがきょうの赤字財政を生む一つの原因であったかもしれないと、あのときに運賃値上げというものをしておればこういうことにならなかったという総裁の説明でしょう。だから、運賃値上げができないならば、物価対策なんだから、物価対策上国鉄運賃を値上げしないというなら、その物価対策としての資金が当然国鉄の赤字分に回さなきゃならないという主張を運輸省はしなけりゃおかしかったと思うんですよ。まあいまの大臣にお世辞言うわけじゃありませんがね、何遍も私はこの運輸委員会で、この運賃のときには必ず出てやっておった。大臣初め運輸省が腰がすわっていませんでしたよ。運賃上げることだけ一生懸命だけれども、政府の方から金を取ってくるというような主張というのは非常に希薄だった。
 田中前総理は出しましょうと、こう言ったわけだね。大臣がたびたび、公共負担分というのはこれは国が出すべきものだから出しましょうと、こう言った。これいい機会だから、何に出させるのか、幾ら出させるのか。で、国の出す分と、運賃で受益者が負担する分というのはここで区分けをはっきりすべきではないかということを私は当時の大臣に申し上げた。しかし、運賃を通してくれということばかりで、その運輸省としての財政当局に対する努力は、総理大臣のお声がかりがあったにもかかわらず十分やらなかった。そういう怠慢がきょうの問題を生んでいると私は思うんですよ。したがいまして、今度は来年にかけて再建計画をということですけれども、私はいまの大臣のいるときにこの枠組みだけはきちんとつくっておいてもらわなけりゃ、またもとのもくあみだ。そこで、先ほどからしつこくお願いをしているわけであります。
 質問を先へ進めますがね、今回の法改正の趣旨は、日本国有鉄道の財務事情はこのままではその任務を果たし得なくなった。そして、そのことは望ましい総合交通体系の形成を困難にするので、したがって、この際抜本的な措置をとる必要があるということで法改正がなされるということですね。
○政府委員(住田正二君) そのとおりでございまして、国鉄は日本の交通体系の中で重要な役割りを果たしているわけでございますので、国鉄の財政が破綻に瀕しますと、そういう役割りは果たせない、と、そのためにも国鉄の再建を図る必要があるという趣旨でございます。
○加瀬完君 このことは昭和四十六年の閣僚協議会の決定の内容と同じですね。
○政府委員(住田正二君) 国鉄の役割りについては、四十六年当時に決められた役割りと大体同じ役割りであると考えているわけでございます。
 国鉄といいますのは、申し上げるまでもなく大量輸送、あるいは高速輸送、定時輸送という点に特色を持っているわけでございまして、そういう特色を発揮する部門というのは、都市間の旅客輸送であるとか、あるいは大都市の通勤輸送であるとか、あるいは中長距離の大量貨物輸送、そういう面で国鉄の特色が発揮される。そういう認識については変わりはないわけでございます。
○加瀬完君 昭和四十六年に決めたことをまた昭和五十一年になって新しく決め直して衣がえをして出してきたわけですので、この昭和四十六年から五十年の間一体何しておったのですか。いまと同じことを四十六年に決めて何やっておった、運輸省は。
 そこで、この四十六年から五十年の間、閣議決定をどう政府は履行したのか。特に重点は、財政再建対策の再検討ということがあったでしょう。財政再建対策の再検討ということが主題であったわけだから、このことについて政府は努力をしてきたはずですね。どう努力をしたか。努力してきてもまたこういう法案を出さなきゃならないというのはどういうわけか、これを運輸省に伺います。
○政府委員(住田正二君) 国鉄につきましては四十四年に第一回目の再建計画を作成いたしたわけでございますが、その後の情勢の変化で、途中で計画を変えざるを得ないということになったわけでございまして、その際四十六年の閣議了解の線に基づきまして第二回目の再建計画をつくった。そういう経緯がございます。
○加瀬完君 五十一年になって四十六年に戻ったというのは、四十六年から五十年までは何もやっておらなかったということだ。そうでしょう。四十六年で決まったものと同じことを今度決めている。どうしたんだと言ったら、四十六年の線に戻してことし決めたって言う。そんなら四十六年からいままでは、四十六年に決めたことは具体的に何もやっておらなかったということになるのじゃないですか。こういう怠慢が今日の問題を生んでいるわけですよ。その中でも最も怠慢は、財政再建策の基底に総合交通対策上の国鉄財政の再建と、こういう柱が組まれていたかどうかですよ。
 もう一度申しますよ。総合交通対策という土台の上に国鉄の財政再建という柱ががっちりと組まれていたかどうか、四十六年にそういうことを言っているのだよ。今度のあれも総合交通体系の形成の上に国鉄の再建計画を位置づけると、こう言っているんだ。この関係がどうなっているか。
○政府委員(住田正二君) 国鉄の主たる任務という点については、四十六年の閣議了解の線と現在の行政との間に特に変化があったわけではございませんで、先ほど申し上げましたような国鉄の特性が発揮できる分野については変わりがないという認識をいたしているわけでございます。したがって、再建対策要綱の中にも同じようなことを言っているわけでございまして、その後国鉄の任務が変わったというような情勢ではないと思います。
○加瀬完君 四十六年の閣僚協議会ではこういうことが決まっていますね。経営の合理化、これは大蔵省等からたびたび指摘されるところだ。それから公共割引の是正を含む運賃改定、財政援助措置の見直し。それならば、合理化は一応おくとしても、運賃改定しても財政再建はできなかったわけですね、四十六年以後運賃改定されているんですから。公共割引の是正というものは問題として掲げておって一つも行われていませんね。いまの大臣になってから公共割引けしからぬ、そんなものはもう国鉄では負担できないと、こう言ったの初めてでしょう。財政援助措置というものが出ている、どういう財政援助措置がきょうに至るまで政府として行ってきましたか。こういうことを閣僚協で決めておいて何にもやっていないじゃないですか。
○政府委員(住田正二君) 四十六年の閣議了解に基づきまして第二回目の再建計画をつくったわけでございまして、その計画の際には、たとえば財政援助については工事補助金の率を増額いたしておりますし、新たに出資をするという措置もとっております。また、公共負担についてはもちろん十分ではございませんけれど、貨物についての公共割引を是正するというような措置も行っております。
○加瀬完君 後で細かいことを聞きますけど、再建計画に見合うような財政措置は何にも講じられていないじゃないですか。公共負担分の措置も何にも行われていないじゃないですか。
 ですから、さらに伺いますが、それならば財政援助措置というものを考慮してくるということになるならば道路、港湾、空港、国鉄、この国の財政援助関係というのはどういうふうになっていますか、数字で言って下さい。三十九年から四十九年でもいいや、五十年でもいい。
○政府委員(真島健君) 先生のおっしゃるとおりの面ではございませんが、最近の五カ年間につきまして簡単に申し上げます。
 五十年度の分につきましては予算でございますが、一応これを確定したものということで試算をいたしております。それによりますと、道路につきましては、事業規模が四十六年から五十年まで十二兆九千四百三十二億円でございますが、これに対しまして国費は四兆八千百十億つけております。したがいまして、国費の割合は……
○加瀬完君 そんなこといい、金額だけ言ってくれればいい。
○政府委員(真島健君) はい。港湾関係につきましては、やはり同じく四十六年から五十年までの合計でございますが、事業規模が一兆六千六百九十七億、これに対しまして国費が六千五百十八億、空港につきましては五年間で四千三百十三億の事業規模に対しまして、国費といたしましては三千三十三億ということになります。
○加瀬完君 国鉄は。
○政府委員(真島健君) 国鉄につきましては、事業規模と申しますよりも、国鉄自身の工事勘定と鉄建公団の建設事業費、これを合計いたしましたものが、これも五十年度が予算額でございますので確定額ではございませんが四兆一千九百二億でございまして、これに対しまして国費が一兆一千四百三十五億、こういうことになっております。
○加瀬完君 どうして政府関係というものは都合のいいとこだけ説明して、都合の悪いところを説明しないんですか。あなた大蔵省、それとも運輸省、どっち。
○政府委員(真島健君) 運輸省の官房でございます。
○加瀬完君 運輸省がこういう寝ぼけたことを言っているからどうにもならないのですよ。三十九年から赤字が出たでしょう。三十九年から四十五年では道路に対しては二兆九千三十四億、国鉄に対しては二百七十七億でしょう。こういう実態があったということを伏せて、幾らかよくなったところだけ説明しておって、そういうような認識ですから、三十九年から四十五年程度、道路は大きな財源を与えられたのに国鉄は一つも財源を与えられておらない、こういうことが赤字の原因だという認識を持たなくて再建なんかできますか。私の言った数字、間違ってますか。質問するのいやになったよ。
○政府委員(住田正二君) 道路の方に昭和三十九年から四十五年度までどれぐらい国費が出ているか、ちょっと承知いたしていないわけでございますけれども、国鉄に関しましては、いま先生のお話のような非常に少ない額しか出てない。ただ、道路につきましては特定財源ということで、ガソリン税等の金が出ているわけでございますので、税金とはいいながら、やはり利用者負担の一環ではないかと考えております。
○加瀬完君 運輸省がそんな寝ぼけたこと言っているから、いつまでたったって国の補助というのは少ないですよ。
 これは総裁に聞きますよ、総合交通対策というものを考えて、その上に国鉄の再建を乗せるというんでしょう。総合交通対策というのが土台にあるわけですね。そうすると、道路は目的税があるから国の支出額が非常によけいだと。国鉄は目的税がないから支出しなくてもいいと、そういう論理が成り立ちますか。総合交通体系ということから考えれば、道路よりもむしろ国鉄の方が中心だ。前の総裁の磯崎さんが、中央線と、そこを並行して走る中央高速道路がある、ラッシュの一時間に高速道路で運ぶ人間は五千人から六千人、電車で運ぶ人間は十六万人。十六万人には何の補助もありません、五千人か六千人には国が補助をして、都が補助をする、こんな対策というのがありますかということを雑誌に発表した。私はここで、あなた、そう言うならばここでもう一回それ言いなさいと言ったら、そのとおりでありますとおっしゃったよ。総合交通体系と言うなら、十六万人を運ぶものに薄くて五千人を運ぶものには至れり尽くせりと、こういうばかなことは成り立たないでしょう。だから目的税があって道路には目的税を使うと言うなら、目的税がなければほかの方法で国鉄にはそれだけの財源が与えられなけりゃおかしいじゃないか。目的税があるから道路は財源がふんだんです、目的税がありませんから、私の方は金をもらえなくても仕方がありませんという理屈にはならないと思いますが、総裁、どうですか。
○説明員(高木文雄君) 目的税ということを別にしまして、とにかくガソリン税で言いますと、ガソリン税は一応ガソリンの代金を通じて利用者が負担をしておるわけでございますので、その意味では道路の予算全体を見まして、そうしてその比較をするのは余り適当でないのではないかと思います。しかし、道路は今日まで全部ガソリン税だけでやられてきたわけではないわけでございまして、その他のいわゆる一般財源からも出されておったという経過を見ますと、最近はほとんど目的税部分、ガソリン税部分だけで道路予算が組み立てられておりますけれども、それはごく最近のことでございまして、その前はかなり一般会計からのつぎ込みがあったわけでございますので、その意味では全部が磯崎前総裁言われたとおりだとは私は言えないと思いますけれども、相当部分において、一般会計からのつぎ込み方という点について、いささか道路の方が有利な立場になっておるということは否定できないと思います。
 ただ、国鉄の方も全く援助がないわけではないわけでございまして、負担が三分ないし三分五厘になるようにということでの補助金をもらっておるわけでございますから、ただ、工事のボリュームだけでは比較できませんので、その辺の議論、私ももう少し厳密に勉強してみたいということで、いま研究さしております。どの辺のところで両方の何といいますか、比較ができるのか、それをもう少し財源別に、あるいはまた、さきにガソリン税でいただいておいて後から、そのさきにいただいてしまう分と、われわれの方のように借入金をして、そうして利子を三分にして、そうして後からお客さんに払っていただく関係とどうなるか、もう一遍ちょっと、相当かなりややこしい計算になりますのでいま研究をさしております。一概に全額が、道路は国が出したし、こっちは全部お客さんの負担だとも言えませんし、その真ん中辺のところではなかろうかというふうに思っております。
○加瀬完君 大蔵省に伺いますが、先ほども申し上げましたとおり、三十九年から四十五年まででは、国の補助金は道路に対しては二兆九千億、国鉄に対しては二百七十七億、これが結局国鉄負担のもとになって赤字の原因をつくっていると私どもは指摘をしたい。同じ総合交通対策という視点から考えましたならば、国鉄に対して道路は優遇され過ぎているというか、道路に対して国鉄は余りに軽視されているのじゃないかと思いますが、この点どうでしょう。それから運輸省の方が、四十六年から五十年やりましたから、それじゃ四十六年以降を申し上げますと、道路と国鉄の比は、四兆八千九百二十一億に対して九千六百八億ですよ。ずいぶん補助金が多くなったようなときでもまだ道路は国鉄の五倍です。こういう状態が総合交通対策として、財政的に均衡がとられているとお認めになりますか。
 それから、ガソリン税を道路だけに使わなければならないというのはいまの法律だ。総合交通体系というものから考えれば、ガソリン税というものを国鉄の方に振り向けるということも法律改正で可能ですよ。もっと、ある程度完備した道路に対して、非常に欠陥があり、施設も悪い国鉄にガソリン税の一部を回して使わせるという構想は全然とり得ないものかどうか、この二点をまず伺います。
○政府委員(松下康雄君) 国鉄と道路に対します国の負担の差額についてでございますけれども、まあ恐らくこの三十年代を通じまして、一方道路の方は、当時世銀の借款団が日本に参りまして、日本国には道路予定地はあるけれども、道路というべき道路はまだ全然ないという批判をいたしたころでございます。当時国鉄につきましては、償却後も何とか黒字を維持した企業でございましたので、そういう実態の違いが、国の国鉄と道路に対するあるいは姿勢の違いとしてあらわれていたのかと考える次第でございます。
 最近五年につきましても、計数的には恐らく御指摘のように道路投資の割合が多いことは事実であろうと思いますけれども、これは道路整備全体の事業の必要量と鉄道におきますところの資金の所要額、これは投資の場合と損益の勘定と両方ございますので、道路と比較することは容易ではございませんけれども、その両方につきまして、どうも実情から見て国鉄の方に対する国の助成を行うことが相当重要なことになってきたと、二回にわたる再建計画を立てたというような事態を背景としまして、御指摘のように国鉄に対する助成の割合がやや増加をしてまいったかと思います。
 ガソリン税の問題につきましては、私も税制の専門家でございませんのでお答えしにくいところでございますけれども、一般に目的税を起こしますときには、その目的税を課税するその負担と、この税の収入によりますところの受益との間に相当緊密な関係があるということを一般の人々が御理解になる点が大事なところであるというふうに聞いておりますので、そういうことから、従来このガソリン税につきまして、これは道路にとって財源というようなことでまいってきておるのであると思います。
○加瀬完君 それはわかりますよね。じゃ、どこから国鉄の財源を与えればいいかという問題ですよ、ね。じゃ、ガソリン税は確かに目的税でしょう。目的税がないのに、港湾に対しては六千五百十八億財政措置を政府がしているでしょう、これは参事官の報告だ。空港に対しては三千三十三億してるんですよ。空港は、仮に国際空港であっても政府の飛行機だけが使うわけじゃないですよ、これは。みんな民間ですよ。国鉄で新駅つくります、地元負担でなけりゃ新駅許可しませんよ。なぜ空港に、あるいは港湾にだけこれだけの補助を与えるわけですか。国民の一番の足である国鉄が、財政再建にっちもさっちも動かないというのに、それには財源を与えるということにちゅうちょするんですか。私は、あなたがさっき、このごろふえてきましたと、御指摘のとおりですと私のことを言ったけれども、私はふえたことを指摘しているのじゃない。ふえてもまだ五倍、道路の方がよけい財政措置をしてもらっていると。これは不合理じゃないかということを言っているわけです。こういう状況ではまだまだ国鉄の再建については国が財政措置をしなけりゃならない私は義務というのが大幅にあると思う。
 これ運輸省に聞きますよ、こういう実態をあなた方は毎年毎年見せられてきたのだ。それでもっと国鉄に金をくれという主張がどうしてしてないのか。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)それから、国鉄も金もないくせに御無理ごもっともでガソリンのない車走らせるようなかっこうをしておって、どうしてガソリンがなければ走りませんよという要求を堂々としなかったのか。私は歯がゆくてしょうがない、いままでの国鉄当局。今度は総裁がかわったから違うでしょうけれども。国鉄は一体経営努力をしているかどうかと言う前に、経営能力があるかどうかと疑いたくなる。運輸省と、それから国鉄と、それから大蔵省と、三人答えてください。
○国務大臣(石田博英君) 空も海も、それから自動車も私の方の所管でございますから、いま加瀬先生御指摘の点は、私、就任して一番最初に感じたことでございまして、したがって、各それぞれの道路、港湾、鉄道、空港に対する国庫の支出の状況というものをすぐに出してもらったわけであります。で、正直に申しまして、三十九年に赤字が出た、そのときは、石油が安くって大量で、そして、モータリーゼーションに破れたわけでありますが、そういう情勢の大きな変化、それからそういうものの先の先まで見通せというのはなかなか無理な話でございますが、しかし、そういう変化によって生じたものに対する対応の仕方、これはやっぱり私はりっぱなものであったとはとても言えません。
 それから、要求すべき点を要求しなかった。たとえば、先ほど御指摘の運賃の値上げを物価政策上半年おくらせると、そのこと自体は、いい悪いは別といたしまして、そのかわりこれは借金で利子を負担してもらうのじゃない、これは返さなくてもいい金で見てもらわないと、後で返せという話はやっぱり筋が通らなかったように思います。したがって、御指摘もあり、われわれが主張すべき論点も明確でございます。そこで、特に過去三年間非常に赤字がふえてこういう処置をお願いするわけでございますが、その明確になった論点に基づきまして、国鉄再建のための所要措置というものをできるだけ全力を挙げて努めてまいりたいと思っております。
○説明員(高木文雄君) その総合交通という観点からの投資のあり方がどうもおかしいということは、私も就任当初から感じておるわけでございます。したがって、それをどういうふうに組み立てればいいか、これはいささか私もガソリン税だの、従量税だのに主税局で関係もいたしましたので考えてみなければならぬと思っておりますが、先ほどもだれかが答弁しておりましたように、どうもこの自動車を使っていらっしゃる方の負担であるガソリン税をほかへ回すということは、私がガソリン税その他の税金について国会その他で議論を願いましたときの過程から申しますと、経験から申しますと、非常にむずかしいことではないかというふうに思います。
 やはりそうなりますと、時間をかけてそういう点にだんだん踏み込んでいかなければなりません。これは納税者といいますか、広く皆さんの御理解が得られないとなかなかそこへ踏み込んでいけませんので時間をかけて御理解を得なければならないと思いますが、そうなりますと当面、さっきから加瀬先生が御心配になっておりますように、何とか金をもらってこいと、こういうことでございますけれども、また出す方から言えば、加瀬委員がお触れになっておりますように、何か財源も探してこいということになってくるわけでございまして、そこで、私はいまはその投資のためのお金と、それから当面差し迫っておりますいろいろな赤字処理のためのお金と、どっちをより優先して、あれもこれもということができればよろしいわけでございますけれども、そういう意味から言いますと、やはり今度の過去債務のたな上げであるとか、ローカル線の赤字とかいう、いまもすぐしりから火がついた問題をもう少し何とかしてもらうということをまずやることが先決ではないかと思うわけでございまして、ただし、やや時間をかけて投資についてのバランスの問題も、これもこのまま放置しておいてはいかぬと思いますけれども、いまはどっちかというと、急務なのは当面の赤字の方をもうちょっと何とかしないとなかなかやっていかれないということじゃないかと思っております。
○政府委員(松下康雄君) 投資のバランスにつきましては、それぞれの事業官庁におきましても長期計画を、たとえば作成をいたしまして、この事業の事業量について算定をし、いろいろそれを全国的な、また総合計画にもまとめてバランスをおとりになっておられますので、財政当局としましてもそういうものを尊重しながら、それぞれの事業の種類ごとに助成の内容がどうあるべきかは、また御要求官庁との協議を重ねながら、従来から決めてまいったところでございます。したがいまして、これからも、来年以後もこの投資の問題を含めまして国鉄に対する助成の額、あるいは港湾事業、空港事業等に対する国の補助額ということのバランスがいかにあればよいのかという点につきましては、予算編成の過程を通じて、関係省との御相談をしながら私どもも検討してまいりたいと思っております。
○加瀬完君 そこが認識不足なんですよ。関係閣僚協議会では総合交通対策の中心に国鉄再建を置くと、こういう規定をしているわけですよ。したがって、その国鉄の正常な運営のためには合理化と、公共割引の是正を含む運賃の改定と、財政援助措置の見直しをしなきゃならないと決めているわけですよ。したがって、この四十六年の閣僚協議会の後では、少なくも道路は十分に財政措置が講ぜられているのに、国鉄の財政援助措置というのは希薄ではないか、これをもっと上げなきゃならないじゃないか、こういう議論が当然行われなきゃならないわけだ。
 それから公共割引の是正というものが一つの柱になっているんなら、公共割引の是正というものが十二分に議論されなきゃならないわけだ。そういうことが一つもされないで、相変わらず道路が圧倒的、そして港湾にはさっき申し上げましたように六千五百十八億、空港には三千三十三億――幾つ空港があります。これは閣僚協議会が決めた基本線に違っているんじゃないか。違っているのに対して運輸省も国鉄も大して、この閣僚協の決定を主張する熱意に欠けていたんじゃないか。しかも、大蔵省もこういう閣議決定があるのを、それをひとつも考えない答弁をしている。そこが問題だと、こう申し上げているわけですよ。少なくもそういう決定があって、それを引き継いで今度はまた再建計画を進められるというわけでありますから、ひとつそれらのつり合いを十分考えていただきますように、これは要望をいたします。
 そこで、次に移りますが、この過去債務のうち総裁、二兆五千四百億に相当する債務については対策を立てるということでありますが、二兆五千四百億に相当する債務について対策を立てれば赤字対策は万全だという理由は何ですか。それから、残りの赤字分は今後どう処理するのか。この二点について。
  〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
○説明員(高木文雄君) この現行の法案でお願いしております二兆五千億というものをたな上げをして、あと五千億余を再評価した資本金を崩してやるというところまでは一つの考え方であると思います。で、問題は残りの三兆六千百億の問題でございますけれども、この分についての問題はむしろどちらかといいますと、現在利子補給をもらっておるわけでございますが、その利子補給でうまく処理できるかどうか。三分ないし三分五厘の負担をしておるわけでございますが、そこまでは利子補給補助金をもらって軽減してもらっているわけでございますが、それをさらに、それでいけるのかどうかということは、これは先ほど来詰めて議論いただいております五十二年度の立て方をどうするかということとの関連において大いに議論をしてまいりたいと思っておるわけでございます。この考え方できておりますから、私もこのレールの上に乗りながら、さてこれをボリュームの問題として、あるいは補助の仕方の問題としてどういうふうに考えたらいいか、そしてそれが、経理全体にどういうふうな響きになってくるかということを詰めまして、それを五十二年度の予算要求といいますか、予算編成といいますか、再建の二年目の問題の処理として詰めていかなければならないというふうに考えます。
○加瀬完君 そうすると、二兆五千四百億はわかりました。あとの残った分については運賃改定の一部でこれを賄うというようなことには絶対ならないという保証はしてよろしゅうございますか。もう一度申し上げましょうか。二兆五千四百億は御説明のとおりわかりましたけれども、それでも残る赤字は来年の計画の中に入ると思いますが、その赤字分の処理は運賃の値上げによって賄うと、こういうことになると、いまの再建計画で一応公共負担分なり赤字分なりというのはたな上げするということと変わってくるわけだ。そういう心配は絶対にないと考えてよろしいですか。
○政府委員(住田正二君) 先ほど総裁が申し上げましたように、五十年度末に存在いたします三兆一千億の累積赤字は一応解消する予定になっております。したがって、新しい赤字といいますのは五十一年度に発生する赤字になろうかと思います。五十一年度に発生する赤字は、けさほど和田委員にも申し上げたわけでございますけれども、当初予定いたしております五千億の赤字と、運賃の値上げ、あるいは需要の伸びが当初の予想より下回るというようなことによって生ずる減収であると思いますけれども、大体七千五百億から八千億ぐらいの赤字が本年度に発生することになると思います。その処置でございますけれども、今後、来年度の再建対策の方針を決めます際にその一環として処理いたしたいと思いますが、現在なお再評価積立金等も七千億以上のものを持っておりますので、そういうものを使いながら五十一年度末には赤字が残らないような形に持っていきたいと、さような方向で努力いたしたいと考えているわけでございます。
  〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
○加瀬完君 赤字の起こらないような方向に持っていくことはそれは当然ですけれども、赤字は赤字として起こりますよ。また、残りますよ。その場合の措置を聞いているんです。しかし、これは来年同じことは繰り返されないと思いますので先へ進みますが、そこで、赤字ローカル線等の再建のために百七十二億を今年度お出しいただいたと。ところが、赤字ローカル線の一体財政再建のための金額というのは総計で幾らになるか、年次計画としてどういうふうにこれを返済していくか、これは呼び水の穴があいただけで将来のことはまだわかっておらないですけれども、一応運輸省として、あるいは国鉄としては、将来の計画というのも、見積もりというのは立っていると思う。これはどうなっていますか。
○政府委員(住田正二君) 昭和五十年度の地方交通線九千二百キロの赤字は二千二百五十億でございます。これにつきましては、来年すぐということにはまいらないと思いますけれども、一定の期間をかけまして赤字が生じないような方向に持っていきたいと思っております。その方法といたしましては国、あるいは地方の負担、あるいは国鉄の合理化等があるわけでございますけれども、ただいま運輸省の運輸政策審議会にいろいろ御意見を伺っておりますので、その御意見を参考にしながら最終的な方針を来年度の再建対策に織り込みたいと考えております。
○加瀬完君 ことしの一番の骨組みの一つがこの地方赤字ローカル線の赤字の解消ということでしょう。ですから、ことし、今回一回で解決するということでなくても、将来の見通しというのは、枠組みがきちんとここで決められなければならないわけですね。ですから、いまお答えいただいたかどうか、もう一度確認をしたいと思いますのは、百七十二億はわかった。一応政府が推定する、解決しなければならないと思う赤字ローカル線の赤字総金額は幾らだ。それから百七十二億引いたあとの残りはどういうように解決をしていくのか、このアウトラインぐらいははっきりしていなければならないわけだから、それを聞いている。
○政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、五十年度の九千二百キロの赤字が二千二百五十億でございますが、今回の運賃値上げ等によりまして若干減少すると思いますけれども、昭和五十五年度程度を予想いたしまして、九千二百キロでやはり二千億程度の赤字が生ずるのではないかと見ております。その赤字の解消につきまして、先ほど申し上げましたように国、あるいは地方公共団体の負担、あるいは国鉄の合理化、そのほかいろいろな方法が考えられると思いますけれども、そういういろいろな意見を参考にいたしまして、その二千億の負担が国鉄にかからないような措置を講じていきたいと、さように考えているわけでございます。
○加瀬完君 これが国鉄に残らないように解決をしていくということですけれども、あなたの御説明の中で腑に落ちない点が幾つかあります。
 第一、国と地方と言うけれども、地方はこういう財政負担するような財政余裕はありませんよ。しかも、これは過疎地域が多くて、財政力の貧困な市町村です。それに財政負担をしろと言ったって、財政負担なんというのは無理ですよ。国がどうしたって主力になってこの問題の解決をしなければならない。その具体的なものが何にもないじゃないか。運輸審議会にかけると言うが、運輸審議会にかけて運輸審議会が明快な解決策を出せるというお見込みですか。それを出せるくらいなら、再建策なんというのはとっくに運輸審議会が答申しているはずだよ。
 これはどうしたって運輸審議会じゃなくて、運輸省自身がやっぱり計画し、立案をしなければならないものだと思いますよ。何も細かいことを言えと言っているわけではない。大臣がおっしゃるように、百七十二億というのは、一つの穴のあかないところへ穴をあけたのだからそれで来ますよ。来ますけれども、それだけじゃ飲み水に足りないわけだから、後の、たっぷりとは言わないけれども、どうやらのどを潤すだけの水をどうして引いてくるか。その水源はどこなんだ、それで水の量はどのくらいだ、そういうことのアウトラインを伺いたい。
○国務大臣(石田博英君) 運輸政策審議会がそのものずばりの答申を早い機会に出してくれるということは、なかなかむずかしいとは私は思います。それから地方交通線の問題というものを一般的にかけたらなおむずかしくなる。そこで、運輸省として考えられる幾つかの考えをやっぱりたたき台として出す必要はあると思います。しかし、そのたたき台を出してもなお、そのものずばりの返事がなかなか返ってこないし、返ってきても、今度はなかなか実施上の問題点が幾つかあるように思います。
 で、百七十二億というのは、それはもう、もちろん金額的には問題になりませんが、しかし、地方交通線というものは、奥地開発とか先行投資とか、そういうような国全体の政策的な意図を背景として生まれてきているものであるから、国費がそれを負担しなければならないというたてまえは、これはもう認められたことになるわけであります。で、そういうことを広げる努力を努めてやっていかなければならぬと思っておるのであります。
 それから、それらの路線が敷設されたときの交通状況と現在との間に大きな変化がございます。したがって、その土地の人々と話し合えば処理されるところもまた出てくるだろうと、こういうふうに私どもは考えておる次第であります。
○加瀬完君 そうすると、いまの大臣のお答えは、こう受け取ってよろしいですか。国鉄財政の圧迫要因のうち、国鉄の責任外と推定されるいま問題になりましたような項目については、政府が責任を持って解決していくんだと、そう了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(石田博英君) まだ関係各省庁との間に十分な連絡もしておりませんから。同時に長い歴史が背景にございます。したがって、一遍にこれが処理されるというお約束はできませんけれども、しかし、そういう方向へ向けて努力をしていくつもりでありますし、いくのが当然ですし、それから、私どものそういう要求はきわめて正当性を持っておるものだと、私はそう考えております。
○加瀬完君 これは国鉄総裁も同じようなお考えだと了承してよろしゅうございますね。
○説明員(高木文雄君) 結構でございます。
○加瀬完君 繰り返しのようになりますが、何回か結局再建計画が失敗しましたのは過去債務の未解決、それから地方交通線等の欠損の解決、公共負担分の処理、こういう点だと思いますが、これらの点は、いま大臣も、総裁もお答えになられましたように、これからの再建計画に十分盛られていくものだと了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(石田博英君) そのほかに、やっぱり私は産業構造と申しますか、輸送構造の変化、産業の立地条件の変化に応じていけなかった。その応じ方が間違っておった。それから経営姿勢の中にやっぱり甘えと申しましょうか、よく言われる、通俗の言葉で言えば親方日の丸というような意識が潜在しておったというようなこと、それから運賃の値上げがやっぱり的確に行われなかったというようなことも原因の中に入るものだと思いますので、そういう点についても、国鉄の経営当局の姿勢の改善というものを強くもうすでに何度も求めているところであります。
○加瀬完君 そこで、さっきのこの公共負担の問題でございますが、運賃の改定というものを幾らやったって、その他の赤字原因というものを除去しなければどうにもなりませんので、くどいようですが、もう一回伺いますが、各種公共負担の累積額は幾らと現在はじいていますか。
○政府委員(住田正二君) 昭和二十四年から昭和五十一年までの総計は一兆三千九百七十三億円でございます。四十年から五十一年とりますと七千億でございます。ただ、先ほども申し上げたわけでございますが、これは全部いわゆる公共負担に該当するかどうかについてはなお検討の余地があろうかと思いますけれども、そういう検討をいたしましても公共負担という範囲から除かれるものはそう多くはないと思います。
○加瀬完君 それから公共負担分と、いまの赤字路線分ですね。さっき五十五年になれば二千億と言いましたけれども、五十年現在では幾らですか、赤字分は。五十年でも四十九年でも一番近いところでいいんです。
○政府委員(住田正二君) 昭和三十九年から五十年度までの累計は一兆二千八百四十八億でございます。
○加瀬完君 この「区分損益計算書」、「公共負担分」、こういうものを十分分析の上に債務のたな上げ分が決定されたことになりましょうか。
○政府委員(住田正二君) 国鉄の累積赤字は五十年度末で三兆一千億でございますけれども、その中身は、いまお話しのような地方交通線の赤字もあれば、あるいは貨物の赤字もあるわけでございまして、三兆一千億のうち貨物の分が幾らである、あるいは地方交通線の分が幾らである、あるいは公共負担の分が幾らであるということはなかなか計算しにくいわけでございます。
○加瀬完君 この明確な分析をしてまいりませんと赤字額が動くんですね。予想しないふくらみをすると、結局計画がまたずさんな計画で赤字のもとをつくるということにもなりかねませんので、大蔵省に折衝するにしても、運輸省はもう少し明確な数字をもって折衝しなければならないと思うんですよ。その明確な数字がつかめておらないように私には疑われてならないんですが、それ大丈夫ですか。どうも当て推量の部分が多いようですけれども、きちんとはじいて間違いなくこれだけだという推定をしているんですか。
○政府委員(住田正二君) いま御指摘の点は、赤字原因である公共負担、地方交通線、貨物、それぞれについてどれぐらいな赤字になっているかという御質問ではないかと思いますが、そういう点については十分把握いたしているつもりでございます。
○加瀬完君 この先ほどの方の御質問にもあったわけですけれどもね。完全に解消するつもりなら、赤字分を。完全に解決する年次計画というものがなけりゃならないと思うんですよ。これは来年の再建計画で年次計画が出るということですか。ことしは出ていませんね。これはどうですか。
○政府委員(住田正二君) 今回の再建計画の基本的な考え方は、五十一年、五十二年度で収支均衡を図るということと、五十年度末の累積赤字は解消するというのが基本的な方針になっているわけでございます。先ほど来問題になっております貨物、あるいは地方交通線の将来計画でございますけれども、これについては今後五年間かかって、まあ五年になるか、もっと長くなるかわかりませんけれども、長期的にどうやって赤字を解消していくかいう計画をこれからつくっていくわけでございまして、そういう赤字があるために五十二年度末に赤字が残るということではなくて、五十二年度末にそういうものを含めてできるだけ収支均衡に持っていきたいと考えているわけでございます。
○加瀬完君 経済企画庁に伺いますがね。いらしておりますか。――この公共料金が主として政府や自治体の管理下に置かれている理由は何ですか。
○政府委員(朴木正君) 公共料金は概して地域独占がございますので、その地域独占のために不当な価格にならないように原価をチェックして国ないし地方自治体が価格の査定を行うのが理由かと思います。
○加瀬完君 物価に占める公共料金の比重はどの程度ですか。
○政府委員(朴木正君) 一割強かと思います。
○加瀬完君 この前に十七%という数字をおたくの方で出しているんですけれども、これは間違いですか。
○政府委員(朴木正君) 米とか麦を入れますと一七%になりますが、そうしたものを除きますと一二%でございます。
○加瀬完君 国鉄運賃は公共料金として見ることに変わりはないですか、企画庁は。
○政府委員(朴木正君) そのとおりでございます。
○加瀬完君 公共性に伴う制約はどういうことですか。公共料金と国鉄運賃を見るならば、その公共性に伴う当然の制約があるはずだと思いますが、それはどういうことをお考えですか。
○政府委員(朴木正君) 現在の運輸手段におきましては、私鉄でございますれば一地方の運輸を独占して運んでおります。まあタクシー等別にございますけれども、そういうことで運んでおりますが、国鉄は全国のネットワークを形成して貨物、人を輸送しております関係で、公共性が非常に高いというぐあいに考えております。
○加瀬完君 消費者物価が上がれば付随して運賃や料金は当然上がるべきだと、こういう考え方が公共料金に許されますか。
○政府委員(朴木正君) 公共料金は、先ほど御指摘がございましたように、狂乱物価のときには物価の抑制の観点から非常に抑えてまいりましたわけでございますが、狂乱物価の状態も一応鎮静化いたしましたので、公共料金を、サービスを提供しております企業体の収支の悪化を招くのを防ぐために、そうした観点からコストの計算をいたしまして、必要な値上げを、適正な値上げを認めざるを得ないかと思います。
○加瀬完君 いや、適正な値上げを認めるか認めないか議論しているわけじゃない。公共料金というものは物価が上がれば必然的に上がるものだという前提に立ってよろしいかどうか。そうではなくて物価の安定という一つの基盤を置いて、それの兼ね合いというものも考えなきゃならないのだろうと私どもは思いますが、違いますか。
○政府委員(朴木正君) 公共料金の決定に当たりましては、当然そのコストが非常に大きな問題になるわけでございまして、物価が上がりますと当然人件費その他物件費の高騰がございますので、その公共企業体のサービスの提供に必要なコストの上昇は当然あろうかと思います。ただ、そのコストだけの理由を、全くすべてそれに帰するわけではございませんで、物価との観点等を見まして、たとえば狂乱物価のときのように若干抑制をするというような政策的な配慮も当然払ってまいったわけでございます。
○加瀬完君 ある国で物価対策上公共料金を一〇%下げた、こういう実例がありますね。公共料金を下げることによって物価を下げるという方策をとったわけです。公共料金というものは物価の上下には非常に関係があるわけですから、ある場合には、あなたも説明されたけれども、公共料金を抑えなきゃならない場合がある。三木内閣は物価の安定ということを組閣のときの公約にしたわけです。物価の安定というのが内閣の公約であるならば、公共料金を上げないで済む方法というのは一番考えられなければならないわけですよ。いままでの公共料金なり運賃の値上げの場合、企画庁はいつでも無条件な公共料金の値上げというものには賛成しかねるという態度をとってきたわけです。今度は、経営内容というのがバランスとれなければ、公共料金幾らか上げてもいいだろう。そうすると、いまの政府というのは、あるいは企画庁というのは、物価政策というものは全然考えておらない、こういうことですか。いま物価は公共料金上げても安定しているという状態ですか。そういう数字があなた方の方にお持ちなんですか。
○政府委員(朴木正君) 狂乱物価のときには消費者物価は一年間に二十数%上がったこともございますが、その後一四%台、一けた台と、狂乱物価の状況は解消されてきております。しかし、現在でも一けた台になりましたと申しましても、まだ八%ないし九%という非常に高い水準でございますので、物価はそういう意味では安定したとは言えませんけれども、まあ安定基調にある、そして、さらにできれば定期預金金利以下に持っていきたいというぐあいに考えております。
○加瀬完君 いいかげんなことを言っては困りますよ。経済企画庁の一体消費者物価指数というのはどこに置いたんです、何%に置いたんです、昭和五十一年度の計画は。
○政府委員(朴木正君) 八%程度でございます。
○加瀬完君 そうじゃないでしょう。実際の経済計画ではもっと下へおろしたんです。八%と抑えたって、八%は高物価ですよ、これは。金利よりもはるかに上ならこれはインフレですよ。明らかな高物価。物価政策というものが八%だの一〇%だのと、そんなところを抑えて平然としているならこれは物価政策ありませんよ。一応希望としては四%抑えたんじゃないですか、経済計画は。少なくも四%程度に抑えなければ金利を下回るというわけにまいりませんよ。狂乱物価というのは異常な状態でしょう。あすこには物価政策ありませんよ、狂乱物価には。仮に八%と抑えても八%にはとどまりませんね、公共料金軒並みに上がっていくわけだから。
 企画庁の長官は、物価安定した安定したって、安定していませんよ、一つも。あなた方は専門家的にはじいて物価が安定したと。八%におさまると思いますか、これ。それと、公共料金を国鉄運賃だけ問題にしているんじゃない。電気、ガス、水道、米、みんな上がっているんですよ。あなた方の方は、たとえば電気料金でもこれは一家庭平均三百七十三円しか上がらない、物価に対する影響は〇・二六%だと。しかし、一部の学者では、電気だけ見れば三百七十三円だけれども、電気が上がればガス、水道が上がる、もろもろの電気関係の逓信も上がるということで、四千四百円これは影響することになる。卸売物価にして〇・九九%だと、こういう数字も出しているんですよ。国鉄運賃に私はブレーキをかけるわけではありませんよ。しかし、物価政策の立場から一体こういうふうに野方図に公共料金というのをみんな上げることを許容するというのはインフレ内閣だということになりますね。物価安定を基本にするといった政策はどこにもなくなりますよ。企画庁はどうしてもっと物価が一〇%にも一二%にもなりそうだということに警戒をしないんですか。そういう立場で公共料金というものをもっと考えないのはなぜですか。
○政府委員(朴木正君) 狂乱物価のときには卸売物価、消費者物価は非常に高い高騰を示して……
○加瀬完君 狂乱物価は物価じゃありませんよ、あれは。
○政府委員(朴木正君) それを安定させるのが一つの物価政策の大きな目標としてあったわけでございます。一挙に非常に低い水準まで持ってまいるわけにもまいりませんので、福田副総理が絶えず国会で答弁されておりますように、三カ年間をもって調整をしていくということで四十九年度は一五%の目標を掲げまして一応一四%台におさまったわけでございます。五十年度は一けたの目標を掲げまして八・八%におさまった。五十一年度は一応八%を目標掲げましてそれに向かっていま一生懸命努力をしておる。そして、昭和五十年代の前期の経済計画におきましては、最終年度の五十五年度におきましては六%以下におさめたい、こういうことで物価の目標を掲げておる次第でございます。
○加瀬完君 そうなりますか。
 で、国鉄運賃なり電気なり、いろいろなものが上がって、一体どれだけの影響があると見ているんですか、政府は。消費者物価に。
○政府委員(朴木正君) 二%強でございます。
○加瀬完君 そうすると、結局八%に抑えたものが幾らになるということですか。二%上がっても八%におさまるということですか。
○政府委員(朴木正君) 現在公共料金は国鉄、電信電話を除きましてかなり一巡をいたしております。今後考えられますのは、国鉄と電信電話でございますが、そうしたものを見込みますと二%強、そして、年度末の目標は八%程度でございますが、現在のところでは八%程度になんとかおさめ得るんじゃないか、そういう方向で一生懸命努力をしたいということでございます。
○加瀬完君 一生懸命努力をしたいということは認めます。努力をしたいということはそうなるということと違いますからね。卸売物価が十四カ月も続けて上がっているんでしょう。それで公共料金が上がる。卸売物価も安定する、公共料金も上がらないというときに八%というのを抑えたでしょう。八%を考えるとき、国鉄運賃は上がります、卸売物価は十四、五カ月続いて上がりますということを予定して八%に抑えたんじゃないでしょう。希望は希望としてもそういうふうになりませんよね。だから、これはもっと企画庁がしっかりして、物価を抑えるためには、公共料金というもののためにはもっとブレーキをかけなければ。ブレーキをかける役所は企画庁しかないでしょう。しかも、国鉄赤字というものを解消するためにはどうするかといったら運賃をなるべく下げて、その欠落分というものを政府が財政負担をするという形でなければ物価はおさまらない、そういう点で伺ったわけです。これは担当でもない大臣に聞くわけにまいりませんから、希望ですね、おさまるという約束はできませんね、八%に。希望、努力ですな、努力目標だな。
○政府委員(朴木正君) 八%におさまるように最大の努力を払いますれば可能であろうかと思います。
○加瀬完君 公共料金上げたり、卸売物価野放しにしたりして、努力していると言われないでしょう。――まあこれでいいや、時間が大分たちましたので。
 それからね、これは大臣と総裁に伺いますが、受益者負担ということをよく言いますがね。国鉄の受益者負担というのは、厳密に皆さんは解釈しているでしょうか。たとえばですよ、まあ例が適切じゃありませんが、飛騨の高山線が赤字路線だと仮定します。だから、東京近郷の電車の通勤者が、受益者負担だから、おまえらあの赤字分を受益者として上げろという理屈は成り立たないと思う、私は。
 もう一つ、受益者といえば、国が交通政策上赤字路線というものを引いて、また運行を国鉄にさせているわけですから、一番利益している者は国家じゃないですか。政府じゃないですか。受益者という観念の中に政府という考え方はいままでの解釈では一つも入っていなかった。政府が受益をしているんですから、公共サービスを、政府のやるべきものを国鉄がやっているんですから、公共負担分というのは政府が受益をしているという考え方も私はこじつけじゃないと思う。受益者負担といって、汽車や電車に乗る者を全部受益者だ――受益者かもしれませんけれども、赤字路線を負担しなきゃならない関係はありませんよ。こういう考え方、違っていますか。
○国務大臣(石田博英君) 国鉄は総合的な、全国にわたっている機関でありますから、どこからどこまでが赤字、どこからどこまでが黒字というのはなかなかむずかしい面もあると思います。まあ、たとえば横須賀線が赤字線だと言いますけれども、大船から向こう側だけとって計算しているんですから赤字になるのあたりまえの話で。しかしながら、いわゆる地方交通線というのは政府の奥地開発、その他の政策的な意図から建設されているものでありますから、受益者という言葉は適当であるかどうかわかりませんが、そういう意味の考え方で地方交通線を考えるのは間違いだと、やはり政策的なものだと考えます。
○加瀬完君 それならよくわかります。受益者ということで、いままでの運賃値上げのときの主張は、赤字が出ればこれは受益者負担ということで、利用者の全部にかけてくるということを定石としていましたけど、これは私はもっと考えを、観点を変えて、いま大臣のおっしゃるような考え方というものをもっと盛り込まなければ、赤字路線を国に負担させるという考え方出てこないと思う。
 そこで、先ほども運賃料金の問題で、運賃の法定主義が問題になりましたけれども、国鉄と私鉄の運賃料金の比較をわれわれはたびたびこの運賃改定のたびごとにいたしました。そうするとね、私鉄が安くて国鉄が高いという傾向が非常に顕著になってまいりました。そうなりますと、一応の並行路線のところでは、これだけ上げればこれだけ収益が上がるだろうという計算どおりにならない。国鉄に乗る者が私鉄に乗りかえる。定期を買うのにも、国鉄の定期を買わないで私鉄の定期を買うということも考えられる。そういう細かい計算というもので、これだけ上げればこれだけの収益ということに計算したんでしょうか。いわゆる歩減りというものを十分差し引いた上での計算で運賃改定の増額分というものが出て来たんでしょうか。
○説明員(高木文雄君) 五〇%強運賃を上げさせていただきますと、たとえば六百キロまでのところでは五円十銭から七円九十銭にいたしますと、その場合に五〇%だけ収入がふえるわけではなくて、三七%ぐらいに実収としてはなりましょうという計算をいたしておるわけでございますが、その計算は非常にグローバルに全体としてやっているわけでございまして、個別にどこの路線でどうなるというのを積み上げたわけではないわけでございます。
 そこで、ただいま御指摘の都市近郊の競争私鉄との関係は大変心配なわけでございまして、その場合に、それは場合によりますと、五〇対三七という関係でなくて、もう少し下手をすると落ちるかもしれないという心配もありますし、また一方から申しますと、やはり何と申しましてもその方の住宅の所在地と勤め先の所在地の関係で、国鉄の方が高くなりましてもそう急激にほかのところになだれ現象が起こるという心配はまずないのではないかという見通しを立てております。そこらは率直に申しまして、過去の経験から先ほど和田委員の御質問に対して事務方から説明いたしましたような数値で出ているわけでございますが、確かにご指摘のように心配はありますけれども、それを含めて何とか三七%のところでとまるだろうということでやっておるわけでございます。
○加瀬完君 少し急ぎますが、料金法定主義というものがどうして決められたと運輸省はお考えですか。
○国務大臣(石田博英君) いま法定主義になっているのは郵便と電信電話、それから国鉄でございますが、それぞれこれはその当時においては独占的な、公共性とともに独占的な仕事であると、そういうことが基礎になって決められたものと考えております。
○加瀬完君 独占的ということもあるかもしれませんけれどもね、公共性というのも私は一つのウエートだと思う。公共料金というのはですね、公共サービスというものも勘案して決められるということで、これが法定主義に私はなったのではないかと思う。具体的に一つの例を挙げますと、これは水道ですけれども、ある県の水道料金で、同一市内で四十円と百円と、その経営者によりまして。それから同一県内で古くつくられたところは五十円、これからつくるところは三百五十円という単価が出てくるわけです。公共料金として、同じ県内で施行者が違うといっても五十円と三百五十円という違いは、公共料金としてこれは認めるわけにはいかないということになると思うんですよ。なぜならば、公共料金ですからね。公共性というものを無考えに独立採算制で三百五十円かかってんだからお前のところは三百五十円で、お前のところは大分もう、もうけているから四十円でいいというわけにはいかないと思う。こういう性格が私は公共料金というものにはあると思う。
 ですから、国鉄運賃にしても独立採算制、独立採算制ということだけがたてまえで決められるべきものではないと思いますが、これは総裁、いかがでしょう。独立採算制が全部破棄されてもいいとは言いませんけれども、独立採算制のみで、損をするからこれだけもらわなきゃならないという決め方は、国鉄運賃の場合はそれオンリーではまかり通すわけにはいかないというのが公共料金の性格だと思いますが、間違いでしょうか。
○説明員(高木文雄君) 公共料金の決め方についていろいろな形のものがあるわけでございまして、私どものように国会でお決めいただくという方式が一番何といいますか、制約の強い方式でございます。そのほかに、たとえばいろいろ各省大臣に任せられておって、各企業が勝手に動かすことができないというものもありますし、また、その過程においていろいろ審議会その他を通じて広く意見を聞いた上でないと決められないというようなことで、手続で決められているものもあるわけでございまして、これは必ずしもうまく統一がとれてないわけでございますが、なぜ現実に国鉄と郵便と電電公社について一番強いといいますか、慎重な手続を予定しているかといえば、やはりそこはいま大臣から御指摘がありましたように、昭和二十四、五年に公共企業体制度ができましたときに、大変国土全体が荒廃をしておったわけでございまして、そういう郵便とか、電話とか、国鉄のような通信、交通の基本的サービスというものについての重要性と、国土再建のためにそういう基本的なものは強い制約下に置かなければならぬだろうという考え方から出てきたのではないかというふうにひそかに考えているわけでございまして、現在のような状態の場合に、一体どうしても法定主義でなければならぬかどうかということについては、私も個人的にはいささか疑問を持っておるわけでございます。
○加瀬完君 時間がだいぶたちましたからこれで終わります。
 これはあまり聞きたくなかったのですけれども、国鉄の幹部の皆様方の踏ん張りがなければなかなか赤字解消、再建計画というのが進みませんのであえて申し上げますが、日本国有鉄道から関連会社に役員として入社した過去三年間の方は四十六人いると思います。そこで、この方々は国鉄の赤字の解消にどう寄与いたしましたか、また寄与しつつありますか、伺います。
○説明員(高木文雄君) ちょっといまその四十六人という数字を伺いましたときに、一人一人のお顔をこう思い出せませんのではっきり申し上げられませんが、私としましては、何分しろうとが飛び込んだわけでございますので、皆様方にときどきいろいろ意見を承って御指導を仰ぎながらやっておるわけでございますが、少なくとも精神的な問題としては非常に私どもに対しまして強いサポートを向けていただいておるわけでございます。ただ私も、どうも現在の状況におきまして、一体国鉄の経験者が何らかの意味において関連のありますところにいささか集団的になってしまっているということについては疑問を持っておるわけでございまして、もう少しその問題は、この再建法のようなむずかしい問題が片づきました暁におきまして、いろいろと考えなければいけない問題だというふうに考えております。大変抽象的で恐縮でございますけれども。
○加瀬完君 再就職をされることは結構なことですから、これに文句をつける気持ちはありませんけれども、結局私の心配するのは、げすの勘ぐりかもしれませんが、国鉄の新旧幹部は国鉄の赤字の解消にかかわりなく次のポストが決まっているということでは、自己責任というものの感じ方が少ないんじゃないか、そういう心配を持つわけであります。国鉄の赤字にかかわりなく、幹部だけは退職後の生活が安定するということでは、いまの職場に踏ん張るという気持ちも果たして十分かどうかという疑いを持つわけであります。これは政府の人事であり、あるいはそれぞれの会社の人事であり、国鉄の人事であるかもしれませんけれどね。もう少し、従業員がどうだのこうだのと言う前に、国鉄の幹部自身がまず、赤字を解消できないならばもうわが責任を果たせじという気概を持ってもらわなけりゃ困ると思う。世界的に見ても、いろいろあっても国鉄の職員くらい私は正確に仕事をしている階層というのは少ないと思うんです、職種は。国鉄が一分おくれたら大騒ぎでしょう。何秒の間に列車が来るんでしょう。それをとにかくまんべんなくやっているわけですよ。私はこの問題を聞く前に当局の方に聞きました。昭和十二年ごろ、十六年ごろ、十九年ごろ、二十年ごろ、二十三年ごろ、そのころの一体国鉄の状態というのはどうでしたかと。これはもう二十三年以前というのは全然ダイヤも何も計画できなくてどうにもなりませんでした。それと四十五年なり五十年、いまの状態というのはどうですかと。比較にならないほど完全に仕事が進められておりますと。それならば、こういう者を何人やめろと言ってみたり、こういう者のしりをひっぱたいてもっと能率を上げろと言ったって限度がある。
 そうではなくて、もっと、いわゆる国鉄一家という一体感で、まずそれには幹部の人がみずから、次のポストが決まっているからいままあ安心だと、ベンチの選手みたいだ。ゲームに出ないですから過失はありませんよね。しかし得点も重ねないと。こういう気持ちでやられておっては、どんなに政府が金を注いでもどうにもならない。そこで、賢明な総裁のもとにひとつ幹部から踏ん張っていただきたい。これは勝手でありますが、希望を申し上げまして質問を終わります。
○説明員(高木文雄君) いまの点は十分心得て運用に当たってまいります。
○委員長(上林繁次郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後七時三十三分散会