第080回国会 内閣委員会 第9号
昭和五十二年五月十二日(木曜日)
   午後二時三十四分開会
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   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     井上 吉夫君     八木 一郎君
     志苫  裕君     片岡 勝治君
     加瀬  完君     大塚  喬君
     柄谷 道一君     中村 利次君
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     山本茂一郎君     塚田十一郎君
     吉田  実君     梶木 又三君
     中村 利次君     田渕 哲也君
 五月二日
    辞任         補欠選任
     上田  稔君     吉田  実君
     塚田十一郎君     山本茂一郎君
     田渕 哲也君     柄谷 道一君
 五月四日
    辞任         補欠選任
     吉田  実君     上田  稔君
 五月七日
    辞任         補欠選任
     柄谷 道一君     中村 利次君
 五月九日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     吉田  実君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     太田 淳夫君     矢追 秀彦君
     河田 賢治君     近藤 忠孝君
     中村 利次君     柄谷 道一君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     矢追 秀彦君     太田 淳夫君
     近藤 忠孝君     河田 賢治君
     柄谷 道一君     中村 利次君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     林  ゆう君     大島 友治君
     山本茂一郎君     山崎 竜男君
     八木 一郎君     福岡日出麿君
     片岡 勝治君     竹田 四郎君
     中村 利次君     柄谷 道一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         増原 恵吉君
    理 事
                上田  稔君
                岡田  広君
                野田  哲君
                秦   豊君
    委 員
                大島 友治君
                源田  実君
                世耕 政隆君
                中山 太郎君
                福岡日出麿君
                山崎 竜男君
                吉田  実君
                大塚  喬君
                竹田 四郎君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                岩間 正男君
                河田 賢治君
                柄谷 道一君
   衆議院議員
       内閣委員長代理  木野 晴夫君
   国務大臣
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  三原 朝雄君
   政府委員
       人事院事務総局
       給与局長     茨木  廣君
       行政管理庁行政
       管理局長     辻  敬一君
       防衛施設庁長官  斎藤 一郎君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     諸沢 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省社会教育
       局長       吉里 邦夫君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       文部省管理局長  犬丸  直君
       文化庁長官    安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       厚生省公衆衛生
       局地域保健課長  大谷 藤郎君
       厚生省医務局医
       事課長      古賀 章介君
       厚生省医務局歯
       科衛生課長    能美 光房君
       厚生省保険局歯
       科医療管理官   山本  治君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
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○委員長(増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十七日、志苫裕君、加瀬完君及び井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として片岡勝治君、大塚喬君及び八木一郎君がそれぞれ選任されました、また、昨十一日、柄谷道一君が委員を辞任され、その補欠として中村利次君が選任されました、また、本日、林道君が委員を辞任され、その補欠として大島友治君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(増原恵吉君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 上田稔君の委員異動に伴い、理事に欠員を生じましたので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に上田稔君を指名いたします。
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○委員長(増原恵吉君) 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。海部文部大臣。
○国務大臣(海部俊樹君) このたび、政府から提出いたしました文部省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、文部省の付属機関として国立婦人教育会館を、文化庁の付属機関として国立国際美術館をそれぞれ設置することについて必要な規定を設けるものであります。
 国立婦人教育会館は、婦人教育の一層の振興を図るための機関として構想され、昭和四十六年以来諸般の準備を進め、埼玉県比企郡嵐山町に設置を予定するものであります。
 この会館においては、婦人教育指導者その他の婦人教育関係者を対象とした実践的な研修及び婦人教育に関する専門的な調査研究を行うことといたしております。
 次に、国立国際美術館は、昭和四十五年に大阪府吹田市で開催された日本万国博覧会の趣旨を生かし、同博覧会における万国博美術館の施設を利用して、日本美術の発展と世界の美術との関連を明らかにするために必要な美術作品等を収集し、保管して公衆の観覧に供するとともに、これに関連する調査研究を行うものであります。この美術館は、わが国の芸術文化の振興に資するとともに、わが国と諸外国との相互理解及び友好親善にも寄与できるものと期待している次第であります。
 なお、国立婦人教育会館及び国立国際美術館の内部組織は、それぞれ文部省令で定めることといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(増原恵吉君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案は衆議院において修正議決されておりますので、この際、本案の衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理理事木野晴夫君。
○衆議院議員(木野晴夫君) ただいま議題となりました文部省設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府原案では、国立国際美術館の設置に関する改正規定は、昭和五十二年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院における議決の日がすでにその日を経過しておりましたので、これを公布の日から施行することに改めた次第であります。
 以上、修正の趣旨であります。
○委員長(増原恵吉君) 以上で説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大塚喬君 本日、文部省設置法の一部を改正する法律案の審議に当たって、私は学校保健法、そのうち特に児童生徒の歯科医療の問題、それから歯科医師の養成に関する問題について文部大臣並びに関係各局長に質問をいたしたいと存じます。関連する問題もございますので、厚生省にも出席を願っておりますので、若干それらの一般の歯科医療関係について厚生省関係にも質問がございますので、委員長としてよろしくお計らいをいただきますようにお願いをいたします。
 まず、順序として歯科医療全般の問題について厚生省にお尋ねをいたします。
 最近、歯の医療が大きな社会問題になっておることは皆様方もすでに御承知のことと存じます。その医療費の問題の中で、全国的に歯科医に対する不満が爆発寸前、こういう状態にあることも御承知いただいておることと思います。さきには、患者が保険でできる治療を希望したのに、帰りには莫大な差額を徴収されたり、それから、現在では、自由診療でいい治療をしたらと、こういうことを相当強く勧められて、その勧めに従って自由診療で歯の治療を受けると数十万円かかった、あるいは百数十万円かかったというような、そういう話も現に私耳にいたしておるところでございます。特に義歯については、豪華な義歯を入れたということで数百万も取られた、こういう話も耳にして厚生省関係にお尋ねをしたところが、豪華な義歯を入れた場合にはそういう事実もあるいはあるかもしれません。こういうことを聞かされたわけでございます。歯の治療で数百万円もかかる。幾ら物価高の世の中であっても、インフレであっても、これでは何ぼ何でも高過ぎはしないだろうか。これは国民の感情でございます。
 で、私どもが毎日毎日保険料はがっちり取られておるわけでありますが、一体そのお金は歯の治療にどこへ使われているのだろう、健康保険が歯の治療になじまないんだろうか、こういう素朴な疑問をいたしておるわけでございますが、初めに厚生省関係にお尋ねをいたしますが、どうして歯の治療が現行の保険制度になじまないものか、この状態が一体いつまで続くのか、いつになったら改善してもらえるのか、この点について厚生省から答弁をいただきたいと思います。
○説明員(山本治君) 歯科の問題でございますが、保険におきます歯科の問題につきましては、昨年、特に歯科の差額の問題につきましては、三月二十三日に中医協から答申をいただきまして、その答申の趣旨は尊重してこれを実施しなければならないわけでございますが、そのためにはいろいろな条件を整備しなければならないということで、昨年の八月一日に従来の差額徴収の取り扱いを廃止いたしました。そして、その歯科の差額の取り扱いにつきましては、所与の諸条件を整備した上でこれを実施いたしたい。特に歯科の差額につきましては、材料差額に限るべきであるという答申をいただいておるものですから、それの実施のためには所与の諸条件を整備した上で実施いたしたいというところで、昨年の八月から九月にかけて中医協でいろいろ御議論賜ったわけでございますが、関係者の意見が大きく隔たっているために、なかなかその一致点が見つけられないわけでございまして、現在それについて一致を得られるように最大限の努力を払って早急に解決いたしたいということで努力しているわけでございます。
○大塚喬君 急に歯が痛くなる、私もそういう経験を何度か持っております。で、しばらくはがまんをするわけですが、どうしてもがまんがならないということで歯医者に駆けつける。ところが、自由診療の歯医者さんは、もう朝六時前から十人、十五人、二十人と並んでおって、駆けつけたときにはもう込み合っておってかかれない。別なお医者さんに行くと、うちは予約制だからきょう来てもとてもかかれませんよ、二週間過ぎの幾日に来てください。歯が痛んでもうもだえておるのに、現実には歯医者にかかれない、こういう話を多くの人から私は聞かされております。保険証を持っていって歯医者にかかれない、がまんしろ、薬を飲んでがまんしなさい、こういう事態に追い込まれておる人は全国に数限りなくいると思うんです。特に、いまから数日前に聞かされた話でございますが、入れ歯、義歯が欠損をして、歯医者に駆けつけて何とか物が食べられるように、かめるようにしてもらいたい、そうお願いをしたところが、もうお客さんが満員で半年後にしてください、こう言われた人の話を私は聞かされたわけであります。現在の全国の歯医者さんのほとんど多くの治療はそういう現状になっておると私は心配をしておるわけですが、新患急患お断り、この問題は歯科医師の診療拒否、そういうことに当たるのではないかと、こう思うわけですが、この点について厚生省、歯の医療行政を担当する国の責任官庁としてどういうふうに理解をされておりますか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(能美光房君) ただいまの先生の御意見、確かにそういう点ございます。いま先生のおっしゃいました中に、ただ、患者の数と、それから歯科医師の応需体制ということがあるんじゃなかろうかと思うんですが、この件で数字の上で見ますと、日本の場合ですと人口十万単位に現在のところ三十九ぐらいでございますから、西欧の先進国の数字で見ますと大体中どころといったような数字でございまして、当面厚生省といたしましては、人口十万に大体将来は七十でございますので、当面の十年後は五十ぐらいということで、そのぐらいになるとかなり緩和されるだろう。でございますので、歯科医師の数そのものが果たして少ないのかどうかという問題が一方にあるわけですが、若干足りないような感じがいたします。そういうようなことが、いわゆる歯科診療時における患者の受け入れ、これはもうどうも満杯に現状はなっているために、診療拒否というよりは、後から後からずっと予約でぎっしりスケジュールが埋まっておりますから、そこに入ってきてもなかなか入り切れないといったようなことではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、そういったような歯科医師の数の面は、これはまた文部省さんの方にもお願いいたしまして、将来の問題として考えていくわけでございますが、もう一つの方向は、患者をふやさないという方向でいかなくてはいけないだろうということで、現在母子保健法におきましては妊産婦、乳幼児の歯科保健対策、これを一面において実施いたしまして、そうしてこれから虫歯の、特に虫歯は子供がちょうど適齢期、好発期でございますから、子供の虫歯というものを極力抑える、患者をその面から減らしていこうというようなことで一面においては母子保健対策を進めているわけでございます。
 以上でございます。
○大塚喬君 率直に言って、歯科医師の全部とは申しません。しかし大変数多くの方が、歯の治療に、治療いすに座っておる方に心を奪われて、そうして表で泣きわめいている、苦しんでいる、こういう患者さんのことは忘れている、こういう率直な現状であろうと私は考えるわけでありますが、新患、急患、そういう人たちはもうせっぱ詰まって駆けつけるわけでありますけれども、日本の――後でこれらのことに関して、特に中心に子供の問題について文部大臣にお尋ねをしたいと思うわけですが、虫歯あるいは歯槽膿漏、これらを資料を調べてみますというと、その日本の罹患率というのは九八%と、こう言われておることを私も初めて知って驚いたわけでございます。このことは、つまり日本人はほとんどだれもが歯をやられておる。もちろん、いま現在すべてのその歯の悪い人が困ったり痛んだりしているということではないだろうと思うわけですが、いつかは必ずやられる、こういう時限爆弾を抱えておる、そうして毎日の暮らしをしておることと同じだろうと考えるわけでございます。日本人はみんな虫歯と同居をしておる。で、現に健康保険法が制度化されておるのにもかかわらず、保険では歯医者にかかれない。自由診療、保険診療、こういう二つの方法がありますけれども、しかし、患者が自由に完全にその保険診療の選択が許されておらない、こういう現状を私は大変遺憾に思うわけでございます。歯医者さんが、歯医者さんのもうけは自由診療、こういう事実、そういうことで歯科医院の経営をなさっておる、こういう現実について厚生省はその事実をお認めになりますか。あるいは、そういうことは全くないんだと、こういうふうに反論をされますか。ありましたら、その具体的な根拠をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(山本治君) 保険診療におきまして、個々の診療行為の評価というのが中医協で決められてきているわけでございますが、これのそれぞれの診療行為の点数設定に当たりましては、中医協で行いました医療経済実態調査をもとにいたしまして、医療機関の経営が成り立つようにということを前提にいたしまして、物価、人件費の上昇等に対応した医療費の改定を従来から行ってきているわけでございます。したがいまして、個々の医療行為で若干のアンバランスはあるかもしれませんけれども、全体としては医療機関の経営の成り立つようにということで、保険におきます点数の配分が行われてきているというのが実態であるわけでございます。
○大塚喬君 そういうお義理一遍の答弁をいただいて不満です。現在保険でかかれない、保険で歯を守ることができない、こういう体制にあることは私は間違いない現状であろうと思います。で、この保険制度というのは、保険料を徴収して、歯の治療が相互扶助ができるようにと、こういう仕組みでつくられたものだと。いま歯の治療でできるのは、歯を抜くか、詰めるか、それだけ、そのほかのことはともかく自由診療でというのが現状であろうと思います。この義歯について、厚生省として、保険診療ということが現実に可能なのかどうか、それらの事実を具体的に調査をなさって確かめておられるのかどうか、そこのところをひとつもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(山本治君) 現在保険で給付しております診療行為につきましては、通常必要とするものは保険で給付するという前提に立って保険給付の範囲を決めているわけでございますが、遺憾ながら歯科の場合には、若干その担当規制で制限給付している部分が現在あることも事実でございます。そのほか給付外の診療等も現在あるわけでございますが、そういうものを保険で給付するかどうかということは、従来から中医協の議を得て給付するかどうかを決めているわけでございまして、御指摘のような点があるならば、今後中医協の意見を踏まえまして対処していきたいと考えておるわけでございます。
○大塚喬君 そういう現実に悩んで痛んで困っておる人がいるんですから、そういうのんびりした御答弁でなくて、ひとつ親身になって考えていただきたいと思います。
 文部大臣、これからが文部省関係の問題に主として入りたいと思いますが、その診療拒否の中で、最も心を痛めておる問題が子供の歯科の治療の問題で、現実に子供たちが歯医者へ行って、うちは子供を診ませんよ、子供は毎週私の家では月曜日を診療日に当てておりますと、こういう数々の問題が起きておることを文部大臣御承知でございましょうか、診療拒否の。ほとんどの医院では、子供の歯の治療について診療拒否を受けておる、こういう事実について御承知でございましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろな事例があることを聞いております。
○大塚喬君 現実にいまから、いただいた資料をもとにしてこれらの問題について論議をしたいと思うわけですが、これは厚生省から提出を願った資料であります。
 昭和五十年歯科疾患実態調査というのがございます。その中で、虫歯の有病者率、これが六年ごとの調査で、昭和三十二年、昭和三十八年、昭和四十四年、昭和五十年、六年ごとの調査をされておるわけでありますが、その中で五歳から十五歳未満、いわゆる小学校の児童、中学校の生徒、義務教育関係者、この罹患率は九七・二%に達しております。で、それらの年齢別の虫歯有病者率を調べてみますと、各年齢とも昭和三十二年から六年ごとの調査ごとに大幅にその虫歯が増加をいたしておるわけであります。それで、小学校一年に入る年齢が六歳ということになりますので、昭和五十年の数字を見ますと、昭和五十年で六歳の虫歯有病者率というのが九七・八%、これは乳歯の方であります。それが永久歯、もう子供がちょうど小学校へ入るころ永久歯に生え変わるわけですから、その数字を見ますと三六・〇%と、こうなっております。ところが、この数字が小学校に入って十二歳、このときに達する数字を昭和五十年度の数字で見ますと九七・二%、七歳、八歳、九歳、十歳、十一歳、十二歳と、こう年齢が進むに従って急速に虫歯がふえておるわけです。ですから、小学校、中学校の子供たちはほとんど全員虫歯にかかっておる。それも一年ごとにその数が急速に増加をしておる。しかも、先ほど申し上げたように、この虫歯の子供たちは歯科医師に行ってもかかれない、こういう現状でございます。
 私、率直にひとつ、まあ大変ぶしつけな質問で恐縮でございますが、文部大臣にもひとつ親身になって考えていただきたいものですから、お許しをいただいて、大変私的なことで恐れ入りますが、ひとつ文部大臣にちょっとこのことをお尋ねをしたいと思います。
 文部大臣、大変容姿端麗、お健やかで御壮健と拝見をいたしておりますが、こちらに先ほど文部大臣に虫歯があるのだろうかと、こう聞いたところが、どうも文部大臣の口の中のことはわからないと、こんな答弁があったものですから、ぶしつけを省みず文部大臣にお尋ねをいたしますが、文部大臣、虫歯がございますか、痛んで困って苦しんだことがございましょうか。大変恐れ入る質問ですが、ひとつ率直に親身になって子供たちのことを考えてもらいたいために、私はあえてこのお尋ねをするわけですが、いかがでございましょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 私は虫歯がございませんが、ただ一本だけ、学生時代にビールの栓を口で抜いておりまして、そのとき欠かした歯が一本ございますけれども、そのほかはおかげさまで健全でございます。
○大塚喬君 大臣御当人にとっては大変御同慶の至りでございますが、実はいまからお話し申し上げること、大臣がもしそういう虫歯で痛まれた、苦しまれたと、こういう経験がおありなら親身になって聞いていただけるものかと、こう思ったわけですが、ひとつ人ごとでなしに、本気になって、親身になって、ともかく小学校、中学校の在学中のうちに子供たちがもうほとんど全員虫歯に、日本じゅうの子供たちの口の中はもう虫歯で荒れ果てておる、こういう現状ですから、文部大臣に本気になって、ひとつこれらの問題に対する取り組みをお願いしたい、こういうことを願いながら、以下のお尋ねをいたすわけであります。
 それで、厚生省関係の方にもう少しまた重ねてお尋ねをいたしますが、先ほど歯科の診療拒否、こういうことでお尋ねをいたしました際に、歯科医師の数が現在若干不足をしておる、こういうお答えがございましたが、現状大体お医者さんの数は何人、そしていま一人どのくらいの患者数を受け持って、それらの方が、九七%あるいは歯槽膿漏まで含めれば九八%を超えるというような、こういう国民の歯科医療の現状の中で、どれだけのお医者さんを確保すれば適正な歯科医師の数が確保できるのか、この点について明確にひとつお答えをいただきたいと思います。
○説明員(能美光房君) 現在のわが国におきます歯科医師の数でございますが、これは昭和五十年の年末の届け出の数、これを全国的に厚生省で集計いたしまして、それで見ますと、実数は四万一千六百八十名という数でございます。で、この数が人口十万に対してどのくらいになっているかといいますと、先ほど申し上げましたように――失礼しました。三十八・〇でございます。
 で、この数が多いか少ないかということ、また国民の歯科医療需要に対応してどの程度これを賄えば足りるのかということ、これは非常にむずかしいと思います。と申しますのは、歯科の患者と申しましても、先ほど先生が御指摘くださいましたように、子供の虫歯という問題、これをどういうふうに防ぐか、言うなれば、子供の虫歯を予防し、さらには早いうちに処置をしてしまうといったような予防的な治療、あるいは初期の治療といったような問題がございます。それと、あともう一つは、ひどくなってしまってから、先ほどのいろいろ質疑応答の中に出てまいりましたリハビリテーションと申しますか、義歯をどうするかという問題がございます。したがいまして、歯科の医療の形態というものを子供の方の医療に重点を置いた場合と、それから先ほどの義歯なんかをつくるいわゆる成人、老人歯科医療対策といったような方向に重点を置くといったようなことで、かなりこれは歯科のマンパワーをどうするかという問題が出てくると思います。たとえて申しますと、予防的な治療という場合には、必ずしも歯科医師でなくても賄える面がございます。先生御承知のように、たとえば歯科衛生士でございますね、歯科衛生士をどういうふうに活用するかといったようなことで、もしこれが予防治療の面にかなり使えるということになりますと、歯科医師の数はそれほど子供向きにはつくらなくてもいいというニュアンスが出てまいります。それからリハビリテーションの問題でございますが、義歯なんかの方を中心にして考えていった場合には、必ずしも歯科医師だけの増員じゃなくて、歯科技工士というものをどういうふうに増員していくかと、その組み合わせの問題がございます。したがいまして、わが国における歯科医療需要に対応して歯科の要員というものをどういうふうに取りそろえるか、数はどのくらいがいいのかということになると、これはいろんな前提を置きまして推計いたさないと出てこない、あるいはその推計の置き方によっていろんなまちまちな数が出てくるということで、一概には数としては申し上げられないという段階でございます。
○大塚喬君 ずいぶんおざなりなあなた答弁をなさってますね。これだけ長い間、歯科医療の問題で全国民的な問題になっておるときに、あなたは医師が足りないからと、こうおっしゃって先ほど答弁があったわけです。そうだとすれば、当然それに伴う歯科医師の数は、日本の虫歯の有病率、こういうものから比較して一日のお医者さんの担当できる範囲は何人ぐらいと、こういうふうなことで、何らかのやっぱりそういうものに対する試算があってしかるべきじゃないですか。ただここで口頭禅を、おざなりの答弁を聞くというために私はこんな質問をしておるわけではありません。もう少し本気になって、まじめにひとつ国会審議に参加をいただくように厚生省に強く要望いたします。
 で、そういうお答えがあったものですから、それじゃひとつ歯の予防の問題、これは省略しようと思ったわけですが、もう少し厚生省にお尋ねをいたします。
 そういうことのために、国で設けておる機関というのは保健所という施設があるわけです。で、保健所に勤務する歯科医師及び歯科衛生士の数についての報告を求めました。これは厚生省から提出をいただいたものでありますが、この歯科医師、歯科衛生士――歯科衛生士で間に合うんだと、あなたからそういうお答えをいただいたわけですが、この日本の保健所医療行政の中で、歯科医師あるいは歯科衛生士の配置の現状はどうなっておりますか。
○説明員(大谷藤郎君) 現在全国で八百五十二ヵ所の保健所がございますが、その中で歯科医師が五十九人、歯科衛生士が百七十一人という配置の状況でございます。
○大塚喬君 一体そういうことで、日本の人口、現在どのくらいおいでになって、そういう歯科の予防というようなことに国がどういう責任を果たしておるのか、これはもう二階から目薬なんというものじゃないでしょう。
 で、本論の文部省関係の方の質問を主にしてやりたいと思うわけですが、厚生省の方も、歯科医師の数が足りない、どれだけかということの私質問をしたわけですが、大変お義理一遍の作文だけで、具体的にそういう数字がお答えいただけなかったわけでありますが、この歯科医師養成の問題は文部省の所管事項でもありますので、この問題について少しく文部大臣にお尋ねをいたします。
 歯の治療が急を要する問題である。その歯の治療の中で国がなさなければならない仕事、これはいま問題になっております保険の問題も大変重要であろうと思います。早急にひとつこれらの問題について関係者の努力をお願いしたいと思うわけですが、たとえば保険の料金を適正なものにしたとしても、診てくれる歯医者さんがいなければこれはどうしようもないわけですね。そして、私も資料を検討したわけですが、歯医者さんの無医地区の増加というのは現在急速に全国的に拡大をいたしております。で、このいまの仕組みでは、患者さんの数が少なければ生活ができない、歯医者さんも人間ですからそういうことに必然的になっていくと思うわけですが、ではこれらの料金を適正なものにすればそれでよろしいかということになれば、それだけでも必ずしも歯科の医療が完全なものと、こういうことにならないのも事実であろうと思います。
 で、日本人の虫歯あるいは歯槽膿漏、この患者の数に対して医師の数が足りないということを医療行政の担当官庁である厚生省が認めたわけでございますが、この歯科の治療に当たる――こういう担当官庁である文部省として、文部大臣としてもこれらに対する重大な責任が私はあろうと思うわけであります。文部大臣として、先ほど小学校の子供だけでも九七・二%という有病者の罹患者率が出ておる、こういう中でこの大きな社会問題になっておる歯科医師の数、一体歯科医師一人当たりどのくらいの人口、そしてどの程度の歯科医師を養成確保できれば国民の歯の治療というものが、十分とまではいかなくても国民の大きな要望にこたえられると、こういう数字について把握をされておるのかどうか、検討されておるのかどうか、この点文部大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 現在わが国の歯医者さんの数は、五十年末現在で私どもが知っておりますのは約四万六千名、人口十万人当たり四十一人と推定されますが、いまいろいろな御議論等を通じてそれが不足の状況であるということもよく御討議の中でわかるわけであります。
 そこで、文部省といたしましては、私立大学の増設で医学部が次々に昭和四十五年度以来新設されてまいりましたし、また国立大学の歯学部においても定員増が進められておりまして、現在、昭和五十一年度国公私立大学合計で二十二大学二十四学部、入学定員は二千六百二十人となっております。これでいきますと、歯科医師数は昭和六十年を待たずに人口十万人当たり五十人を超える見込みでございますが、五十人となれば、それが十分な数かどうかという詳細なことにつきましてはここでちょっと自信を持ってお答えするわけにまいりませんけれども、なお今後こういった需要にこたえまして、昭和四十八年度、医科大学等設置調査会歯学部部会の報告もいただいておりますので、歯科医師が著しく不足していてやむを得ない地方に限っては設置をすること、その場合には、進学の機会均等などの見地から国公立での新設を考慮すること、こういうような報告をいただいておりますので、五十一年度には、歯学部のない四国地方に徳島大学歯学部を設置し、また五十二年度には、歯科医師が非常に少ない南九州地方に鹿児島大学歯学部を設置することにいたしておりまして、増員されていくように努力を重ねておるところでございます。
 何人でいいかということは、ちょっと専門的になりますので……。
 お答えといたします。
○大塚喬君 いま文部大臣から答弁いただいたんですが、全国の国公私立の歯科大学及び医学部の数というこの報告と、いまの大臣の答弁が若干違うんですが、これはどちらが本当なんでしょう。
○政府委員(佐野文一郎君) ただいま大臣からお答え申し上げましたのは、五十一年度現在における数を申し上げたわけでございます。五十二年度になりますと、いま大臣からお答えを申し上げましたように新たに国立の歯学部の設置がございますので、二十三大学三十五学部ということになるわけでございます。
○大塚喬君 いまの大臣に対する質問のお答えの相違点はわかりました。この手元の資料は五十二年四月現在とあるものですから、大臣の答弁とこの資料が食い違いがあったことについては了解いたします。
 この内容についてでございますが、国立大学八校、学部数八学部、これの募集定員は、もうすでにきょうは五月中旬ですから、国立大学の募集定員は何名、実際の入学人員は何名、それから公立学校が一校一学部あるようでありますので、これの募集定員は何名で実入学人員は何人、それから私立大学が十四大学十六学部、現実に私が耳にいたしておりますところは、私立大学は約五〇%のいわゆる水増し入学というか、そういうことをやっておるということを聞いておるわけですが、私立大学の募集定員は何人で、そして実入学人員は何人。その中で国民が歯でもう苦しんでいる、歯科医師が足りない。一体国が歯の治療をする医師の養成という一番基本的な問題に関して、文部省はどれだけの責任を果たしておるのか、歯科医師の養成の中で国立大学の歯科医師養成は一体何%責任を持って国の行政が実現に努めておるのか、その具体的な内容を明らかにしてほしい。
○政府委員(佐野文一郎君) 入学定員につきましては、国立が、五十二年度現在でございますが五百二十名、公立が百二十名、私立が二千二百二十名でございます。合計して二千八百六十名というのが入学定員でございます。で、五十二年度の入学の現員については、いま入学者が確定をした段階でございますから、恐縮でございますが五十一年現在で御報告をさしていただきますが、五十一年の場合には、国立は入学定員四百に対しまして入学現員は三百八十八でございます。それから公立大学の場合には、入学定員百三十に対して入学現員は百二十名でございます。私立の場合には、当時二千百名の入学定員に対しまして入学現員は二千五百六名、現員と定員との割合は一・一九、つまり、五割増しということではなくて一・一九倍のいわば定員超過があったわけでございます。
 なお、国立が歯科医師の養成においてどれだけのシェアを本来持つべきであるかということにつきましては、これはこれまでに歯科医師の養成というのは、この入学定員が示しますように大きく私立に依存をしておりますので、今後どの程度国立の歯学部を増設していくべきかということは非常にむずかしいことでございますし、また、それは必ずしも量の問題だけではなくて、各地域において、医師の地域的な偏在等の問題もございますので、そういった地域の事情を勘案しながら計画的に設置をしていくことが必要になるわけでございます。現在、先ほど大臣からお答え申し上げましたもののほかに、長崎と岡山の各大学につきまして歯学部の創設準備を行っておりますが、それ以降につきましてどのように計画的に設置をしていくかということについては、改めて慎重に検討をする必要があろうと思います。
 なお、現在人口十万人当たりの歯科医師数で申しますと、アメリカが五十・五人、西ドイツが同じく五十・五人、スウェーデンが八十二人というような状況がございます。人口十万人当たりの歯科医師数だけで判断はできないというのは御指摘のとおりでございますけれども、量的にはかなりのところへいくわけでございますが、今後は地域的な問題であるとか、あるいはその歯科医師の養成の質の問題であるとか、そういった点を考えながら、主として国公立で今後の歯科医師の養成には対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○大塚喬君 私が質問しているのは、現在の歯科医師が不足をしている、国が歯科医療行政の中でなさなければならない基本的な問題は、国の行政の責任で歯科医師の養成がなされなければならないはずじゃないかと。一体、国はいま現在で歯科医師の養成ということについて、どれだけの歯科医師養成をしておるのか、具体的な数字、パーセンテージ、この数字を私はお聞きしているわけです。何%の国の責任で歯科医師の養成をやっておりますか。
○政府委員(佐野文一郎君) 五十一年度の数字で申し上げることをお許しいただきますが、国立が一八・二%、公立が四・二%、私立が七七・六%、そういった関係にございます。
○大塚喬君 一人の歯医者さんを養成するのに、現状少なくとも三千万円、それから、歯医者になるためには五千万円かかるということが一般の世評であります。いま一八・二%歯医者の養成は国の行政で責任を果たしておると、こういうことですが、そうなりますと、国の責任というのは五分の一に満たない、あるいは六分の一に近い、そういう数字だけが国の責任でこの歯科医師の養成をしておる。そうすると、この歯の治療問題がこれだけ大きな問題になっておるときに、一番基本のこの歯科医師養成の問題は、一切私立大学におんぶをして、文部省はいままで長い間――急にこのような騒ぎが起きたわけでありませんので、一切おんぶをしてきて、そしていま現在でもこれらに対する対応がきわめて鈍感であると。私はもっと言葉を詰めて言えば、まあ怠慢という、大変おしかりを文部大臣には受けるかもしれませんが、率直な気持ちは、国の責任として歯科医師の養成について文部省は怠慢であったと、こう言わざるを得ない。文部大臣、これに対しての御見解いかがでございましょう。六分の一程度の歯科医師の養成で、国は責任をこれしか果たしていない。あとは私立にみんなおぶさってあなた任せの歯科医療行政を文部省がいままでとってきた。こういう現実に対して、文部大臣どうお答えをいただけますか。
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、国立の入学定員において占めるシェアが非常に少ないという点が問題としてあるわけでございます。学校の数で申しますと、国立の数と私学の数というのは、もちろん私学の方が多いわけですが、国立は私学の約半分はあるわけでございますけれども、従来国立の入学定員が、私学に比して四十名というような非常に小さな定員であったために、御指摘のような入学定員における非常な差が出ているということもございます。これについては逐年入学定員の増に努力をしてまいりまして、逐次定員が既存のものについてはふえてまいっておりますが、さらに、先ほど大臣からお答え申しましたように徳島大学、鹿児島大学に五十一年以降逐年歯学部の設置をし、さらに引き続いて岡山と長崎に歯学部を設置をすることを決めているわけでございます。
 一方では、私立の歯科大学については経常費助成におきまして、特に医学部と同様に多額の経費がかかりますので、経常費助成につきましても特別の単価を考えるというような形で、私学に対しても国として助成を考慮するということを進めてきているわけでございます。
○大塚喬君 全然やらないということでないことは私も率直に答弁から理解をいたすものでございます。しかし、これだけ大きな問題ですから、この歯科医師の養成――少なくとも医学部の方、お医者さんの養成については、国が相当の力を入れて、これは各大学の医学部の設置あるいは医科大学――いわゆる単科大学の設置状況等を見ても、国が本気になってやっているなということがわかるわけですけれども、事歯科医師の養成に関しては、現実に昭和五十一年の数字で一八%の養成率ということになれば、私はこの現状をとらえて国の責任でひとつ本気になって改善をし努力をしていただくようにお願いをいたします。歯科医療の問題で、百数十万あるいは数百万も取られる、こういうことが現実に文部大臣が、わが同僚の粕谷照美議員のいわゆる大学入試に当たっての寄付金の問題で、三千万円以上三千五百万も寄付金が取られる、こういう問題に直接つながると、やっぱりこの解決は国が十分な責任を果たさない限り、いつになっても解消はできない問題だと、こう考えるわけであります。
 それで私は、他国の歯科医療行政の中から、先ほども厚生省の方から答弁がありましたいわゆる歯科医療補助者、これは歯科衛生士あるいは技工士、助手を含みます。これらの問題について、少しくお尋ねをいたします。
 先ほど、私が保健所の現状について厚生省に質問をいたしたのですが、歯の予防ということになれば保健所に相当の役をお願いしなくちゃならないと思うわけですが、昭和五十年度で、歯科医師あるいは歯科衛生士、これの配置状況は、さっき具体的な数字でお答えをいただいたったでしょうか―― 。この歯科診療補助者の適正な数字、先ほど歯科医師についてお尋ねをいたしましたが、そういう予防やなんかは歯医者さんでなくてもできると、こういうようなお答えがあったわけですが、この保健所に配置された歯科衛生士あるいは歯科医師、こういうものでなくて、先ほど申し上げたように歯科衛生士、技工士、助手、こういうものの現状は、厚生省いかがでございましょう。
○説明員(大谷藤郎君) 先ほども申し上げましたように、保健所には現在歯科医師と歯科衛生士が配置されているわけでございまして、その他の補助者の数は非常に少のうございます。これは保健所が本来予防業務、歯科衛生業務ということを中心に行っておりますために、歯科衛生士を主として配置しようという考え方で臨んでいるためでございまして、ちょっと資料が古うございますが、四十八年度に歯科衛生士は百二十二人でございましたけれども、四十九年度では百四十五人、五十年度では百七十一人と、ぺースはややスローではございますけれども相当な増をいたしているようなわけでございます。
○大塚喬君 保健所、先ほどお答えをいただいている。今度は、国全体で一体そういう数がどのくらいかと、こういう質問です。
 それから、時間がもう大変あと詰まったものですから少し困ったと思っているんですが、本来の学校保健法の問題に入りますが、文部大臣、学校保健法の第十六条に、「学校には、学校医を置くものとする。」と、その二項に「大学以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする。」と、こう定められております。この学校歯科医と銘を打って、学校の歯医者さんですよと、こういうことでおられる方、その人の業務内容の実態は、そしてその関係の予算は現状どうなっておるんでしょう。
○政府委員(柳川覺治君) 学校歯科医が、学校保健法の規定によりまして学校に現在置かれております配置状況をまず申し上げますと、小学校九七・四%、中学校九八・〇%、高等学校九八・六%、及び幼稚園につきましては九二・九%という状態でございます。
 活動状態でございますが、学校歯科医の職務といたしましては、歯に関する健康診断、健康相談、予防措置等につきましてのお仕事に当たられるわけでございますが、年間学校への平均勤務される日数は、小学校で四・九日、中学校で三・八日、高等学校で五・一日というような状態でございます。
○大塚喬君 その予算はどういう予算の内容になっておりますか。
○政府委員(柳川覺治君) 失礼いたしました。
 学校医のまず報酬に絡む措置でございますが、これにつきましては、地方交付税におきまして学校医等の手当の裏づけを単位費用に積算してございます。学校歯科医につきましては、本年度は八万四千円の単価で単位費用に積算されるという予定になっております。現に、実際の学校医に対する報酬につきましては、各地方公共団体の条例で定められるわけでございまして、地域ごとに、また学校の規模等によりかなり差がございますが、昭和五十一年度の調査の結果を申し上げますと、全国平均の報酬額が、小学校の学校歯科医につきましては七万七千六百三十円、中学校につきましては七万一千九百十円、高等学校では八万四千三百二十円でございまして、先ほど申しました地方交付税での単位費用積算の額に必ずしもいっていない学校もあるわけでございますので、そのような市町村につきましては、十分な指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○大塚喬君 大変うまいことお答えいただきますが、現実はこうですよ。歯医者さんの活動状況というのは、年に一回予供の口をあんとあけさせて、虫歯何本、次、こういうことで、予防とか、そういう指導とかというような問題は、現実にはこれはもう全国的になされておらないというのが実情だろうと思います。
 それから、それらの予算というのは、いわゆる身体検査、そのときに虫歯の数を振り分けするときおいでいただいたその報酬だけでしょう。で、虫歯何本と言われた子供が歯医者へ行けば、どこの歯医者でも子供の歯はもう診てくれない。よっぽど親切な歯医者さんでない限りは子供の治療というのはやってもらえないで、薬をちょこちょこと塗っておしまいというようなのが現状なんです。それらの原因というのが、もう時間がなくなりましたから結論を急ぎますが、歯科医師の養成、それから補助者の養成、これは国の力で国民を守る、国民の健康を守る、確かに歯は痛くて苦しいけれども直接命には差しさわりはないというようなことで、文部省も厚生省もしごくのんびりとお構えになっておるように考えるわけですが、アメリカのように、この歯科医師の養成、医師を養成するための大学を国費で建てると、国費で養成を図ると。日本の現状を振り返ってみて、私は早急に大学教育の問題で、この歯科医師の養成の問題について、ひとつ緊褌一番、文部大臣新進気鋭で、もう全国民が期待をしておる海部文部大臣ですから、その問題についてひとつ思い切った改善策をとっていただきたい。子供が九七・二%虫歯なんですから、ひとつぜひこのことについてお願いをいたします。
 それから、最後の質問でございますが、子供が現実に歯医者へ行って診てもらえないんですから、歯の治療は、先ほど保健所の質問もいたしましたが、子供の歯の治療、これは国の行政の責任でやれないか、やってもらいたいと、こういう意見を交えての質問をいたすわけであります。で、前に結核あるいはトラホーム、こういうときにはもう国が全力を尽くして保健婦の養成を図り、もう学校ぐるみでこれの退治に当たって、現状これらの病気は学校の中でほとんど退治をされたというか、そういう現状にまで進んでおります。ところが虫歯だけは年々歳々子供の有病率がふえておる。日本の学校保健制度、歯科医師制度がこの学校保健法の中に設けられて約四十年になるわけであります。このお手本はドイツの学校保健法をもとにして日本でもこの学校保健法が取り入れられたと私は理解をいたしておるわけでございますが、ドイツでは現在、学校保健のいわゆるその中で児童生徒の歯の治療、これは学校でその治療まで責任を持つ。日本では虫歯の数を何本と調べるだけ、学校歯科医という堂々たる看板を背負ってやっておるお医者さんが虫歯の振り割りをするだけでおしまい。実際には予防とか指導とか治療なんということは一切行われておらないというのが実情であります。また、スウェーデンの制度を見ても、各学校に必ず学校歯科医がおって、日本の学校歯科医とは違います。児童生徒専門の歯の治療に当たっておって、授業中でも子供が順番が来ればどんどんどんどん歯医者さんのところへ行って歯の治療が受けられる。こういうことが現に行われておるわけであります。そのほかにノルウェーとか、イギリスとか、あるいはフランス、ニュージーランド、アメリカ、こういうところもスウェーデンと同じような様式をとりつつあるわけですが、日本の現状は四十年間依然として学校歯科医、その人のお仕事は遺憾ながら虫歯の数を数えるだけで学校歯科医というのがおしまいになっておる、こういうのが現状であります。こういう問題でございますので、この虫歯、歯の痛み、これはもう歴然たる病気ですから、文部大臣いいですか、病気なんですから、これから先、子供たちの歯を守る――子供たちの歯は荒れ切っておる、こういう中で文部大臣として、子供たちのこの歯科医療の問題についてどうなされるお考えか、最後に文部大臣の抱負、見解をお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろな角度から、できるだけ虫歯にかからないように考えなきゃならぬという予防の面もございますので、これはやっぱり歯をきれいにみがくという日常性を身につけてもらうような指導も一生懸命しなきゃならぬと思いますが、罹患率が御指摘のように非常に高まっており、それに伴い医師の数が少ないのではないかという御指摘も、これはきわめて重要な御指摘でございますので、ただいま創設準備を進めております国立の歯学部につきましては、これを後退させることのないように着実に前進をさせてまいりますし、また、最近特にいろいろなところで御指摘があります小学校の児童の虫歯罹患率が近年とみに高まってきたということに関して、これの原因がどこにあるのだろうか、一説によれば、砂糖の輸入量と比例しておるのではないかという御指摘すらもいただいておりますが、そういったこと等に対する専門的な研究、小児の歯科に関する教育研究等いろいろなことを考えまして、五十年度に大阪大学、五十一年度は東北大学で、それぞれ小児歯科学講座というものを設置したわけでありますが、今後新設されます国立の歯学の系統には、この小児歯科学というものも講座としてきちんと置いてもらって、そういった面の予防の研究とか、原因の調査等もきちんと進めていかなければならないというように考えておりますが、いずれにしても御質問の趣旨を十分尊重して当たっていきたいと考えます。
○大塚喬君 委員長、一言だけ要望。
 いま、文部大臣からお答えいただいた、いわゆる小児歯科専門の講座、国立大学を見ますといままで三大学、国立の大学では。このことが、その子供たちの歯の診療拒否につながっておる、そういうことも私は現実に何人かのお医者さんに聞きました。子供の歯の治療の専門的な教育を受けておらないのだ、こういうことで八大学あるうちで三大学しか小児歯科の専門講座がございません。これはひとつ速やかに全大学に小児歯科の専門講座を設けていただいて、そして子供たちの診療も、それらのある程度専門の歯科医師さんが、診療拒否をしないで子供たちの悩み、痛みを救っていただくように、このことを強く最後に要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○委員長(増原恵吉君) 暫時休憩いたします。
   午後三時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時五十九分開会
○委員長(増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、中村利次君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(増原恵吉君) 休憩前に引き続き、文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秦豊君 医師の国家試験ですね、これを中心に質問をして、文部大臣には後ほど時間があれば伺いたいことが一つ二つありますから。
 医師の国家試験の成績発表があったようなんですけれども、春の国家試験の合格率としては、近年最低であるというふうに伝えられています。最近の合格率自体はどういうふうに推移していますか。
○説明員(古賀章介君) ことしの春の国家試験の合格率でございますが、これが七七・四%でございます。昨年が八〇・四、一昨年が八二・四、その前が八二・二、その前が八八・九、過去五年間とりますとそのような状況でございます。
○秦豊君 あなたの答弁にもあるが、四十八年と四十九年でがくんと段がついている。そうなりますね。急に下がったというのは、試験を担当している厚生省としては、原因をどういうふうにとらえていらっしゃいますか。
○説明員(古賀章介君) この国家試験の合格率の上がり下がりでございますけれども、これは一応その理由としては、理論的には二つ考えられるわけでございます。一つは試験の難易の問題、それからもう一つは受験生の質の問題と、こういう二つでございますけれども、私どもは、医師国家試験と申しますのは、六年間の医学部教育を終えましたその時点において臨床医として必要な最小限度の知識技能について判定すると、こういうことでございますので、そのレベルは大体常に一定を保つように努力している。そのような観点から各試験委員の先生方にお願いをしておるという状況でございます。
○秦豊君 じゃ、ことしの出題が全般的にレベルアップした、むずかしかった、意地が悪かったというのじゃなくて、受験者の質が下がったのだということになりますか。
○説明員(古賀章介君) その問題につきましては、どちらの理由によるのかということが科学的になかなか立証、検証しにくいわけでございます。私どもは、いま申し上げましたように、試験のレベルを毎回同じような程度に保つということで努力はしておるということで御理解をいただきたいと思います。
○秦豊君 参考のためですけれども、学校によって率のばらつきが当然多い。その合格率が低いところというのは、たとえば一番低いところから並べて、俗に言うワーストファイブというふうなものを挙げてみてくれませんか。
○説明員(古賀章介君) 私どもは、上から下からというような順序をつけないのでございますが、報道機関におきましてそのような順序が報道せられておりますが、いま先生の御質問につきましてお答え申し上げますと、一番悪いのが、ことしの春でございますが、聖マリアンナ医科大学、二番目が関西医科大学、それから三番目が東京医科大学、それから四番目が帝京大学の医学部、五番目が和歌山医科大学、以上でございます。
○秦豊君 出し惜しみしないで、その合格の率と、それから公立か私立かの別も明らかにしてもらいたい。
○説明員(古賀章介君) 一番合格率の悪い順から申し上げますと、聖マリアンナ医科大学が三一・八%、関西医科大学が五八・八%、東京医科大学が五九・一%、帝京大学の医学部が六一・三%、以上が私立でございます。公立が五番目でございまして、和歌山大学医学部、これが六二・八%でございます。
 以上いずれも新卒と二回目以上受けました者すべての合計の合格率でございます。
○秦豊君 そこから文部省にかかわってくるのですけれども、いまあなたに言っていただいたワーストファイブ、これは俗に言うマスコミのネーミングですがね、ワーストファイブには私立の新設医大が多いというのが特徴じゃないかと思うのですよ。だから、文部省のサイドから見まして、合格率の全般的な低下、しかもそれかなぜか――なぜかと言うより理由がはっきりしていると思うのだけれども、新設の私立医大にそれが集中しているという現状については文部省はどんなふうにお考えなんでしょうか。
○政府委員(佐野文一郎君) いわゆる新設の医科大学で卒業生を出しまして国家試験を受けるに至ったものが五つあるわけでございます。昨年初めて北里、杏林、川崎医科の三医科大学が受けまして、このときの昨年の春の合格率が、北里が六六・四、杏林が七五・〇、川崎医科が九一・八というような状況だったわけでございます。で、これらの三医科大学は、いずれもことしの春の合格率は、北里が七〇・五、杏林が七六・七、川崎医科が九四・〇というようにむしろ合格率は上がっているわけでございます。ことし初めて卒業生を出して受験をさせました聖マリアンナと帝京大学が三一・八あるいは六一・三という非常に低い状況にあるわけでございます。もちろん合格率だけでその大学の教育の質を論ずることは必ずしも適切でない場合があるとは思いますけれども、そもそも医学部の教育をきちっと受けていれば、それで医師の国家試験は合格できるはずのものでございます。そういう意味では、やはりこれらの大学については、その教育のあり方について深刻に反省をすべき点があるというふうに考えておりますし、また各大学それぞれ今回の試験の結果を非常に深刻に受けとめまして、入学試験の方法なり、あるいは教育のあり方なり、そういった点について現在学内で検討を始めているところでございます。私どももそういった大学の自主的な努力を見守りながら、さらに医学関係の視学委員を派遣するようなことをいたしまして、これらの大学における教育の改善充実というものについて意を用いてまいりたいと思います。ただ、私ども懸念をいたしますのは、余りにその合格率のことを大学側が気にし過ぎますと、今度は逆に本来の教育ということを離れて、いわば特訓と申しますか、受験のための準備をするというふうなことに走っては、これまた事柄がきわめておもしろくないことになりますので、その辺のところについての自粛も同時に大学には求めてまいりたいと考えております。
○秦豊君 あなたの言われたとおりで、合格率だけがすべてでない、それは常識でしょう。しかしぼくが問題にしたいのは、あなた方が認可をしたこれは大学の一つですから、その点を忘れないでもらいたいのですよ、これから質問しますけれども。
 たとえば、聖マリアンナ医科大学では、四十六年の入学者が百二十四名、そのうち退学五名、留年五十二名、受験者は六十六名だった。大量の留年組が一つの特徴なんですよ、大変これはひどいんです。それから、入学者数に対する国家試験の合格者数というのをはじいてみると、そのパスをした率は実に二八・九%にすぎないのですよ。これは非常にもうひど過ぎる、惨たんたるものですね。その点の実態は、ぼくは調査済みであろうと思うのだけれども、私があなた方文部省側に言いたいのは、これは一例ですよ、一例だけれども、この聖マリアンナ医科大学など新設の私立の医大の開設、設置を急ぐ余りに、やはりいろいろな不備な点が、粗雑なままで何か突き破られたと、設置に持っていかれたという点がありはしないか。つまり、患者が不安を持つような劣悪なドクターが量産されるというふうな問題点は後で触れるけれども、やはりこれなんかは象徴的な例じゃないかと思うのです。だから聞いているのだけれども、視学官を送るのもいいでしょう。そんな一回、二回送ったってあなたこんな状態、改善できませんよ。あなたの文部省の文部行政にこれはかかわるんだから、責任の伴った問題なんだから、この大学に限ってもう一度答えてもらいたい。どういう措置をおとりになるのか、ひど過ぎはしないのか、含めて。
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、聖マリアンナ医科大学の場合には、当初入学した者に対して、今回卒業して試験を受けた者がきわめて少ないという点がございます。これは必ずしも聖マリアンナ医科大学だけでなくて、昨年度の川崎医科大学についても同じような現象が見られたわけでございます。で、聖マリアンナ医科大学の場合には、その点についての調査を大学側から事情を聞きまして行ったわけでございますが、この大学の場合には、いわゆる受験のための準備というような意味で、こういう形でしぼっていったのではなくて、毎年の進級を非常に厳格に扱っているということのためにこのような状況が出てきているわけでございます。この大学は、認可いたしましてから毎年、大学設置審議会の先生方による年次計画の履行状況調査、いわゆるアフターケアを進めできたわけでございますが、その間における聖マリアンナ医科大学の年次計画の履行状況というのは、いま御指摘の入学定員がオーバーした者が定員として入っている、その状況がやや医科大学としては大きいという点はございましたけれども、それ以外については設置審議会の判断というのは非常にこの大学はまじめにやっているというむしろ評価を得ていた大学でございますし、病院の運営についても新設の医科大学の中では評価の高いものでございます。それだけに、私どもはむしろ非常に大きなショックを受けたわけでございますが、そういう医科大学の合格率が悪いというのは、これは私どもとしては非常に遺憾なことだと思うわけでございます。幸い、大学自体は非常にまじめに対応しようとしておりますので、来週早々にも学長にもおいでをいただいて事情を伺い、御注意も申し上げるというようなことを考えておりますが、さらに視学委員と申しますのは、これは医科大学の教官あるいは学長を委嘱をしてなっていただいているものでございますが、それらの各専門分野の方々に行っていただきまして、もちろん一回で済むとは考えておりませんが、状況に応じて、そういう専門的な面にわたっての指導まで十分に行うようにいたしたいと考えております。
○秦豊君 局長ね、なかなか評価が高くてまじめな大学にしては結末が何とも矛盾だらけですね。恐らくこの聖マリアンナ大学の問題をトレースしていけば、かなりティピカルな問題に突き当たると私は思いますよ。だから調べてみてください。
 それから、関連しまして聖マリアンナ大学だけではなくて、新設医大全体についてあなた方のいわゆる設置基準ですね、施設とか教員の数とか、講座数とかその他ありますね。こういうものが完全に満たされているのかどうか、あるいは満たされていないままで放置されているのかどうか、こういう点についての実態把握は完璧でしょうね。
○政府委員(佐野文一郎君) 新設の医科大学につきましては、卒業生を出すまで、いわゆる完成年次に達するまでは毎年大学設置審議会の方でアフターケアを実施をいたします。その際に、施設設備、教官組織等につきまして綿密な調査をいたします。新設医大については、当初は教官の中に欠員があるというような問題が一、二ございましたけれども、最近は各新設医科大学とも、教員組織も整い、施設設備についてはもちろん十分に整備をされて基準を達成しているものでございます。
○秦豊君 それから、新設医大のこうした悪い制度というのは、私なりのとらえ方なんだけれども、やはり入学制度にも問題、禍根がある、禍根がね、と思います。たとえば、聖マリアンナ大学では、入学金が三十万円、授業料が年間百六十五万円だから六年間で一千二十万円ですね。それから寄付金が一千万円から二千万の幅、これは点数次第でしょう。そうすると、最低二千万円が必要になりますね、数字的に。だから、勢い子弟がどうしても開業医のジュニアだというふうになりがちです。これは一般的な趨勢でしょう。一説では一億円を要する大学もあるわけですから、二、三千万ならばはなはだエコノミカルであるという親御さんが多くなるわけなんだが、この私大の医学部、それから医大、新設医大等について、学費とか寄付金など、名目はどうでもいいですから、必要な費用については文部省がやっぱり実態把握をされたことがあるでしょう。ありませんか。あれば標準的な実例を聞きたいし、それから最高額も念のために伺っておきたい。
○政府委員(犬丸直君) 私立大学の中で特に医科系、歯学系の学校につきましては、大変経費がかかるということはおっしゃるとおりでございまして、毎年私ども私学の財政状況について一般的な調査をいたしておりますけれども、その数字によりますと、五十二年度の数字を学生一人当たりの数字で申し上げますと、経常的経費が医学部では三百五十二万九千円、そういう平均の数字になっております。一人当たりの年間の経常経費でございます。
○秦豊君 最高もついでに言ってください、寄付金等含めて。
○政府委員(犬丸直君) これは全体の平均の数字でございまして、現在個票を持っておりませんので、最高最低というのはいまちょっと数字がございませんが、それでまあ経常的経費につきましては、一部分もちろん国庫助成がございますけれども、さらに授業料等の収入で賄うわけでございますけれども、平均額で見ますると、その授業料の毎年の経常的な収入と経常的な経費との差が、やはり赤字が出てくるというような状況になっております。それで、それが部分的には寄付金の問題になってくるんではなかろうかと思っております。
 それで、寄付金につきましては、私どもの別個の調査によりますると、先般来国会に御報告申し上げてきたのでございますが、これは五十一年度の数字でございますが、医学部平均いたしまして一人当たりの金額千六百六十七万円、総額にいたしますと四百三億という数字になっております。五十一年度です。
○秦豊君 これは本質点ではないから余りしつこくはやりませんけれども、海部文部大臣、もうあなた御存じのとおりで、やや絶望的な悪循環を繰り返しているんですよね、この私立の医大問題というのは。広範に言えば、私学に対する助成全般という問題と官公立との格差になるけれども、私立医大のこういう寄付金ラッシュというか、こういうことについては、私自身は文教行政の素人だから何か絶望的にさえ見えるわけですよね。大臣として、局長クラスからだんだんこういうリポート、上申、報告をお受けになっていらっしゃるあなたとして、改善の方途なんていうのは一体お持ちになれますか、こういう状態について。
○国務大臣(海部俊樹君) 最近特に社会面をにぎわしたような問題として、入学時の多額の寄付金というのが問題になりました。それ以来、私もいろいろなところで直接私立医科大学協会の会長さんとか、歯科大学協会の会長と対談をする機会等もしばしばございました。そのたびに私が申し上げたのですが、厳しいことを言いますと、文部省に当初私立歯科大学、医科大学が開学の申請を出されて審査の対象になったときには、そういう多額の寄付金に頼らなくともやっていかれますということでいろいろ審査が行われるわけであります。しかし、その後病院経営の問題であるとか、諸物価の高騰の問題であるとか、いろいろな社会情勢の変化とかで、きょう現在に立って問題を冷静に考えてみますと、医学部、歯学部には非常にたくさんのお金が事実としてかかるということもある程度理解できるわけであります。そこで、絶望と言わずに何とかこれを改善をしたいというのが私どもの基本的な姿勢でございまして、たまたま一昨年から私学振興助成法等の処置もとられて、大学に対して、特に公私の格差是正のために私学には経常費の補助をしております。それを配分しますときも、文科系には学生一人当たり、頭割りにしますと五・六万円というのが、理工学部系では十一万円、医学部は一人当たり年間百三十万円、歯学はたしか九十五、六万円だったと思いますが、差をつけて配分をして、何とか国の補助もそういった要るところにはたくさん出すことによって、父兄に対する多額な負担からできるだけ解放していこうという方策で取り組んでおりますが、現在のところでは、まだまだ金額的にこれで十分だとは言えないことは率直に感じます。そこで私どもは、私立の歯科大学、医科大学系にもお願いをして、国民の皆さんの納得をいただくように、わが方も助成をすると申しましても、これは国民の皆さんからいただく税金をそちらへ使わしてもらうことになるわけですから、やっぱりそこには納得と大きな筋道というものも必要でございますので、学校側も経営の改善にはうんと努力をしていただく。それから、やはり選抜のときに疑いを持たれるような態度はやめて、少なくとも入学時に多額の寄付金が入学の条件とされるような、こういったことは一切慎んでもらいたい。そのかわり私どももできるだけ私学助成には努力をいたしますし、経常費の直接助成のみならず、たとえば私学振興財団の方を通じての長期低利の融資とか、あるいは奨学金の制度とか、いろいろなものを駆使してできるだけ改革されていくように努力をしていきたい。絶望にならずに何とか改善したい、こう思って積み重ねをやっておるさなかでございます。
○秦豊君 さっき局長の答弁の中にもあったんだけれども、いろんな新設私立医大が、医師の国家試験を目指していわゆる特訓をやっているんですね。少し調べてみると、去年はたしかワーストに入っていた岩手医大というのがあるんだが、六年制のカリキュラムを組み直した。それからことしトップだった川崎医大では、五年半で六年間のカリキュラムをもう先取りしてこなしちゃって、半年残りますね、残ったのは特訓だというふうなことをやっているんです。こういう実態を把握されていますか。
○政府委員(佐野文一郎君) 一部御指摘のような事実が報道されたこともございますので、私ども関心を持ちまして、関係の医科大学のカリキュラムを調査をしてみたわけでございますが、カリキュラムの上ではそういった状況にはなっていないわけでございます。さらに、いま突っ込んで実際にどういうようないわば特訓を行っているのか、あるいは行っていないのか、そういった点につきましても、私は各大学に照会をいたしてみたいと思っておりますが、いずれにしましても、医学部のカリキュラムというのはかなりいわば密度の濃いものでございますから、それを五年半に縮めて、そしてさらに、残りの部分についてはいわゆる補習的な教育をするということは、学生にとっても負担は過重になりますし、また教育のあり方としても決して好ましくないことでございますから、そういった点を踏まえて各大学の実情をさらに調べてみたいと思っております。
○秦豊君 それは局長、あなた方は、私大の経営者やオーナーや、理事やら教授にとっては、あなたはこわい存在の一人かもしれないけれども、照会して文書で適当なときによこせと言ったってこわくありませんよ。作文つくるのうまいからね。やっぱり実態を把握しなければだめですよ。まあ余りお待ちにならないで、というのは人命に関しますからね、一般大学よりも社会的な公共的な責任大きいのだから、だからぼくはくどく言うのだから。そういう点については通り一遍ではなくて、調べて実態把握していただいて、無理なカリキュラムは是正をするという前提でひとつやってもらいたい。その結果は当方にお知らせをいただきたい、こう思います。これは要望しておきますよ。
 それから、特訓でカリキュラムをゆがめる、縮める、こういう短縮とか変更自体、大変私は問題があると思うのだが、そういう事実がわかったらどういうことをされるのですか、あなた方文部省は。
○政府委員(佐野文一郎君) 大学に対して是正を求めるということにとどまるわけでございます。
○秦豊君 そもそも特訓と言ったってつけ焼き刃ですよね。よくオーナードライバーがその辺に行って試験を受けるときに交通法規の一夜づけ、これにやや似ている、タームは長いが。しかもそれが公共的な責任を生ずるからよけいそれが許されない。これは確かにあなた方の権能には限りがあると思います。思いますが、基本姿勢としては厳しく振る舞ってもらいたい、そう思いますが、文部大臣いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) これはおっしゃるように、医師の果たす役割りというものは人間の生命そのものに大きくかかわるのですから、やはり天を恐れる気持ちといいますか、厳しく皆が臨んでいかなければならないことは御指摘のとおりでありますし、なお学力にいたしましても、基礎的、基本的なことがしっかり身についておらなければならぬわけであって、夏休みの特訓を受けて辛うじて試験が受かったというのでは、私は厳しいことを言いますが、受かってくれない方がいいのではないかという気持ちさえいたします。そういう意味で、六年間という年限を置いてあるのも、その間にきちっと身につけてもらう、こういうことを前提にしての六年間の修業年限でありますから、特訓的なことでなくして基礎学力をきちんと身につけるように、同時に学校そのものにそういったことは厳しい気持ちで指導助言をしてまいりたい、こう考えます。
○秦豊君 それから、これは古くて新しい問題の一つだと思うのだけれども、一般に私立大学の入学金の例の先取り問題というのが、仲間もかなり追及したのだけれども、どうもはっきりしない。だから確認したいのだけれども、たとえば某君が、幸いABCという三大学を受験して全部通ってしまった。ところが実際にはC大に、アー、ベー、ツェーとあればツェー大学に入るというわけです。アーとベーにも入学金納めちゃっているわけですよ。こういうケースはいまでも断たれてはいない。昭和五十年に文部省は入学金の先取りをやめるように、たしかあれは通達と言うんでしょうね、通達をお出しになった。それから、私大連盟も自粛声明なんというふうなものを出したようなんですけれども、実態は一体どうなっているのか、まじめにやっているのかどうか。
 そこで、具体的な質問としては、去年、昭和五十一年度にこの先取りをやめた結果、日本じゅうのお父さん、お母さん、父兄のどれぐらい負担が軽くなったのか。これは社会的費用ですからね、一種の、やっぱり知っておきたいと思うんです。調査をなすったような事実があるのか、あれば額を教えてもらいたい。
○政府委員(犬丸直君) 先生御指摘の入学時納付金の先取りの問題でございますが、私ども大学局長、管理局長連名の通達を昭和五十年九月に出しまして、その通達の内容につきましては、いわゆる入学金そのものにつきましてまでそれを返還するようにというようなことではございませんが、入学時に初年度の授業料と、それから、施設設備費とかというようなものを取ってしまう、これはおかしいじゃないか。まあやはり私立学校といたしましては自分のところの入学志願者を確定する必要がございますから、入学金まで返せというのはちょっと酷だと思いますので、そうでないそのほかのものにつきましては、返すかあるいはその徴収を猶予する、余り早々と取ってしまわないと、そういう措置をとるように通達を出したわけでございます。その結果、まあ大変幸いにいたしまして多くの大学におきまして改善措置を講じております。五十一年度もそうでございましたが、ことしの結果を申し上げますと、全国で大学三百七校ございます。その中で、いまだに改善措置をとっていないところはわずかの九校、三%にとどまっております。その九校につきましても、私どもの勧奨によりまして、来年度は何か改善措置を講ずるというふうに言っております。それで改善措置の中身は、返還するというところもございますし、早々と取ってしまわないである時期まで待つという措置をとったところもございます。
 それで、そういった措置の結果、どれだけのお金が不必要に払われずに済んだかということでございます。これはまあちょっとむずかしい推計を要するわけでございますが、五十一年度の実績につきまして私ども試算をいたしてみました。そうしましたところ、もし前年どおりのやり方を踏襲しておったらば入るであろうと思われる入学時の手数料等総額が、五十一年度において推計いたしますと約百五十億円ばかりになります。ところが実際にはその取った額は約六十一億円、したがいまして、まあこれは推計でございますが、約八十七億円のものがこの改善措置の結果、むだに払われることがないようになったというふうに推計してもいいんじゃなかろうかと思っております。
○秦豊君 結局文部大臣ね、こうなるんですよね。いまの入学金等先取りケースというのは、私大経営と密接不可分ですよね。文部省がそういう通達出して一種の行政指導するならば、海部文部大臣、早稲田精神で私大の助成金をふやせと、こうなるわけなんですよね。だから、健全な状態にするといったってこれは前途遼遠であるし、結局私大への補助金政策との関連になるわけです。
 そこで、今年度の私学に対する補助金は総額どれぐらいになるのか。まあ、あなたが大臣になられてかなりアクチブになっているようなんですけれども、それは結構だと思いますけれども、助成の達成率は一体パーセンテージに表示するとどれぐらいになるのかもあわせてお示し願いたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 今年度の私立大学の経常費助成総額は千六百五億円、それが私大の経常経費に占める割合は三六・九%でございます。
○秦豊君 ところで、それはまあ私大一般なんですが、私大の医学部については、仮にこの半分助成をしたという場合には、一方助かる方、父兄の負担というのはどれぐらいになるんでしょうかね。
○政府委員(犬丸直君) とっさのことでございますので数字がすぐに出てまいりませんが、現在の状況においては、学生一人当たりの計算でいたしますと、先ほど申しましたように所要経費が三百五十二万九千円、それに対して助成金が百三十万でございますからその比率が三七%、一般が二六・九に対してこの場合には三七%ということで達成率が高くなっておる次第でございます。
○秦豊君 少しアングルを変えますけれども、乱塾というのがもうニュース用語になりましたからね、入社試験の問題になっているぐらいだから、もうあふれているわけですけれども、こうした過度の受験競争、特にこの学習塾で現職の教員がアルバイトをしていると、これはもう言われて久しい。一向に改まらない。部分的な現象を見ればもっと過熱していると、来年はもっとひどいでしょう、ことしより。こういう状態について文部省側としては、調査を含めてどういう措置を現におとりになっているのか、それに対する効果はどうなのか、鎮静するのか過熱するのか、そういう見通しを含めてちょっとお答えいただきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 塾の問題につきましては、その過熱ぶりがいろいろな面から批判を受けておりまして、文部省といたしましては、まずみずからの立場に立ってえりを正すべきは正してこれを改善していこうと、こう考えたわけでございます。そこで、全国の塾調査等も実施をいたしましたが、どういうところに塾が過熱状態になってきた原因があるのだろうかということを調査したわけでありますが、簡単にこの問題だけだという一つの答えでは実はございませんでした。いろいろなところに原因があって、それが総合して過熱状態になってきた。しかし整理をいたしまして、たとえば第一に、なぜ塾へ通っておるんですかという問いかけに対しては、子供が行きたいと言うからという答えが実は一番多かったんですけれども、その次には、学校で習うことがむずかしいので、家に帰ってきて子供に聞かれても教えられないから塾へ行かせるという親の答え、あるいは子供自身に聞いてみますと、学校はおもしろくないからとか、塾の方がおもしろくてよくわかるように教えてくれるからとかいう答えが正直に出てきておりました。これは一面、落ちこぼれとか落ちこぼしと言われるような問題、もっと言葉をかえて言いますと、現在の義務教育の課程の中で多過ぎるのではないか、教えることが。あるいはむずかし過ぎるのではないかというような批判がずいぶん前から議論がございました。たまたま昨年各界の方々の御意見を承りながら答申をいただきました教育課程審議会の答申においても「ゆとりのあるしかも充実した学校生活」をという御指摘もございましたので、ただいま学習指導要領の見直しをやっております。この面において、必要以上に分量が多かったり、むずかし過ぎるようなことは、たとえば中学校の課程に上げていくとか、いろいろな精選作業をいま行っておる最中でありまして、この面から一つの過熱状態は解消できるものと考えます。同時に、先生後段で御指摘の小学校の先生が塾の先生を兼ねられるということについて、これは明らかに望ましくないことでございますし、また教員組合の代表の方もそれは望ましくないとみずから認めるとともに、アルバイト、プレゼント、リベート、この三つのトは、三ト追放と言われてみずからやめるということも教職員組合の側も自覚を願っておるわけでありますから、これは必ず守っていただいて、そうして教育者としての高い使命を自覚して本来の学校教育に御専念いただくなれば、先ほどの学習指導要領の改定と相まって、学校における創意工夫というものもなお効果が期待できるようになる、それによって公教育の責任が果たされていく、そういうことによって乱塾時代というものも私は必ず解消していくだろうと、こう信じ、こう期待をして努力をしておるところでございます。
○秦豊君 基本的な方向は、三ト追放という点もわれわれと共感しますし、それはいいと思うんですが、国立大学の現職の大学教授であろうが、高校の先生であろうが、中学、小学校であろうが、要するに現職の先生がそういう塾でバイトをするという状態については、その学校のランクにかかわらず、そういう方針で今後ともかなり鋭い目を光らしていくということですね、それは。
○国務大臣(海部俊樹君) いま文部省が通達を出しまして教育委員会がいろいろと配慮をしておりますのは、義務教育、公立の義務教育の教職員を対象のことでございます。
○秦豊君 こういうことはないんでしょうか。つまり、国立大学の付属の一種の教育体系がありますわね、幼稚園からあるのもあるし、小中高というふうにある。これがむしろいまの受験競争の中では上位ランクに絶えず頭を出しているんです。だから、客観的にこれを見ると、そういうところが熱をあおっておるというふうにさえとれなくもないんです。しかし、国立大の付属学校というのは、小学校にせよ何にせよ一種のモデルの追求であって、高い教育水準の追求が目標でしょう。受験戦争の過熱をあおるためにつくったわけではさらさらないというのが常識的な把握でしょう。ところが実態はそうなっていないということについてはどうお考えですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のような事実が存在することはきわめて遺憾なことであると私も考えます。しかし、付属の学校のすべてが受験戦争をあおるような、そういった目立つことを全部がやっておるかというとそうではないわけでありまして、中には教育実験校と申しますか、いかにしてこういった教育には取り組んだらいいかという研究テーマをつくってやっていただいておるところ、たとえば東京大学の附属は双子の人を集めて、双子児の教育をやってくださるし、あるいはまた、たまたま社会的に問題児と言われるような人だけを集めて教育をしておるところもあるわけでございますし、また、小学校、中学校等はほとんどその選抜のときに抽せん制というものを取り入れることによって、各界各層の方々がその付属学校へ集まられるような工夫をしておるところもたくさんあるのでありますけれども、たまたま御指摘のように、全く受験専門校のような弊害の面が非常に目立っておる付属高校等もあるわけでありますから、私どもは、そういったところには付属学校としてのやっぱり本来の設置目的というものを十分思い起こしてもらって、研究テーマをきちんと決めて行うとか、あるいは少なくとも受験専門校の弊害はみずから除去していくように努力をするなり、いろいろなことを強く望んでおるところでありまして、御指摘の点はまことに遺憾だと思います。
○秦豊君 いまの問題に関連するんですけれども、これは大臣でなくても結構ですが、横浜の国立大学附属中学というのがありますね。あれの内申書問題というのがあるわけだが、それは調査済みでしょうか。
○政府委員(佐野文一郎君) 鎌倉の中学校における内申の問題の御指摘であろうと思います。昭和五十一年度の神奈川県の県立高校の入学者選抜に際しまして、鎌倉中学校が県教育委員会が求めるそれぞれの中学校単位の相対評価による調査書、それがこの中学校の実情に合わないということで、いわゆる低位の評定を行わない調査書を提出をして批判を受けたということがあるわけでございます。この点についてはすでに大学側に対してももちろん厳重に注意をいたしましたし、すでに五十二年度の内申からは、県教育委員会の指定どおりに内申は行われるように改善を見ております。
○秦豊君 私どもの党は、社会党は文教政策の中にちゃんと五段階についても選別しましてね、選別というか、五段階評価そのものにわれわれは反対をしているわけなんですけれども、私がなぜこういうことを聞いたかというと、まさに局長言われたように、横浜国大附属中学校方式をとりますと、結果的には学校間格差というものを助長するのですよ。うちの生徒はここから上だというふうに足切っちゃうのだから、それこそ、そうなるわけでしょう。そうなると学校間格差を助長する、しかもそれをみずから認めることにつながりはしないかという点で実は伺ったのです。それについての御見解はいかがでしょう。
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のとおりでございます。付属中学あるいは付属高校、小学校なり幼稚園もそれぞれ同じでございますけれども、やはり学部の教育研究に協力する、あるいは実習生を受け入れるというような非常に重要な特別の任務を持ったところでございますから、やはりそれぞれの付属学校が、自分の付属学校で大学と協力をして実施をすべき研究のテーマというものをはっきり定めて、それに見合った教育を行い、またそれに見合った入試のあり方というものを実施をする方向で教育のあり方を検討してもらわないと困るということで、現在付属学校のあり方全体について、教育大学協会の方に検討を求めているところでございます。
○秦豊君 そこで、国立大学付属の小学校、それから中学ですね、これの事務職員、そういう職種があるんですけれども、事務職員おのおの何名になっていますか、現状では。
○政府委員(佐野文一郎君) 幼稚園の場合が三十一名、小学校が二百二十二名、中学校が百五十二名、高等学校が六十五名、特殊教育諸学校が六十七名でございます。
○秦豊君 同じその分野で、公立になった場合は、それはどう変わっていきますか、数字にばらつきなどありますか。
○政府委員(佐野文一郎君) 全体の数字が手元にございませんが、付属学校の方がはるかに多数の事務職員が在職をしておるということは言えると思います。
○秦豊君 だから申し上げたいことがあるんですけれども、国立大の付属小学校、中学校というと、こういう事務職員の数をお調べになっただけでも歴然としますよ。バーンと差がついているんです。数字が非常に雄弁です、これは。だから、そうした意味でやっぱり設置の目的からかなりかけ離れて、やっぱり受験モデル校になりつつある、成り下がるという言葉は控えますけれどもね、現になっていると言わざるを得ないんですよ。だからこういう細かい数も聞いてみたんだけれども、幾ら海部大臣が乱塾規制、鋭い眼を光らせます、三ト追放、学習指導要領見直し、みんな結構ですよ。現場はやっぱり、末端というか第一線というか、下部のところではこういう受験競争が助長されるようなシステムが骨がらみに増殖しているんです。だからきれいなことがすっと通っていくような文教行政の全視野の中で見ると、なかなかさようにはまいらないということを私はあなたに申し上げなければならないと思うのです。その部分についてはどういうふうにお受けとめになりましたか。
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に申し上げましたように、いろんな角度の努力を積み重ねて、少しでも改善をし、一歩、二歩前進をさせていきたいと、こう考えておりますので、やっぱり国立大学の付属学校というものが受験校のようにならないように、本来の研究目的を持って教育の実習校としての成果を上げていくように、私はいろんな角度からやはり注目をしながら改善の努力をしていきたいと、こう考えます。
○秦豊君 文部大臣ね、がらっと変わった質問で恐縮に存じますが、なかなかあなたと向かい合えないんですよ、ぼくは防衛問題担当だからなかなかあなたと、第一、委員会が違うから設置法でもなければなかなかお会いできない。そこで、ちょっといまこちらで調べていることもあるものだから、参考のためにこれは聞かしてください。少しおいやかもしれませんがね。この間、月日は忘れましたが、予算委員会のときに短い時間、関連質問というのがありまして、福田総理に私は統一神霊協会、いわゆる世界統一神霊協会ですね、文鮮明の。あの問題をちょっと伺ったことがあるんですよ。そうしたら、福田総理非常に邪気なく答弁されたのは、文鮮明という人は協調と連帯という私の持論にぴったりの人で、あの人の説教というか法話は全く福田イズムと同じであるというふうになかなか邪気なく答えられたんです。それで、いまこれはやはりこの国会だけでは終わらずに続くわけですが、少し調べものをしていたら、一九七〇年の九月に東京と京都でWACL、世界反共大会というのがあって、そして岸信介元総理を推進委員長とするかなり大がかりな勝共連合、統一教会絡みの国際会議が開かれた。その席で、現文部大臣海部さんが、たしか日本代表として一場のスピーチをされたというような事実がおありなのかどうか。私自身は、あなたに対する世辞でも何でもなく、あなたは言ってみれば新感覚派の一人だと思っている。だから、あなたは親韓国派という印象は持っていないわけですがね。だから、このことはあなたのイメージと全く結びつかないので、こういう事実がおありになったかどうかをちょっと伺っておきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の事実は全くございません。それから、WA何とかという大会のことも私はいま初めて承りました。
○秦豊君 こういうことはもう一つだけにいたしますけれども、その国際勝共連合、それから原理運動、統一教会、みんなこれはつながっているわけだ。勝共連合の機関紙、日刊で思想新聞というのがあるんですけれども、あなたはそういうところに名刺広告をお出しになったということはないでしょうね。
○国務大臣(海部俊樹君) その思想何とかという新聞に名刺広告を出したこともございません。それからその世界統一神霊協会の大会に行ったこともございません。
○秦豊君 大変結構です。そういう事実はないだろうと私は思っていたんだが、少し調べものの中に浮かんできたものだから、こういう機会にきっぱりできて結構です。
 なお、私は若干の質問時間を残しておりますが、一応これで文部省絡みの質問は終わりたいと思います。
○太田淳夫君 それでは、私はただいま議題になっております文部省設置法の一部を改正する法律案につきまして質問さしていただきますが、最初法案の中身につきまして文部省に御質問をいたします。
 最初に、この国立婦人会館設置までの経緯と目的、その必要性について説明していただきたいと思います。
○政府委員(吉里邦夫君) 御質問いただきました国立婦人教育会館の経緯あるいは必要性、目的につきましてお答えを申し上げます。
 この国立婦人教育会館を私どもが構想いたしますまでの経緯につきましては、実は青年対策あるいは少年教育という面で国立の青年の家なり、あるいは少年自然の家なりいろんな施策を講じてまいってきておりましたが、婦人の教育問題につきまして婦人教育の関係者の中で、ぜひ文部省が全国的な規模で国立の婦人教育会館――要するに、現在大変要望が高まっております婦人の学習の場をつくってくれという要請が強うございまして、私ども四十六年以来研究を進めてまいりまして、予算的にも措置を講じながら現在やっといろんな施設のめどもつきまして、今回文部省の直轄の機関といたしましてお願いをする次第になったわけでございます。
○太田淳夫君 これの開館は十月という予定だそうですが、このほかに都道府県にも婦人会館がいろいろあると思うんですね。私の住んでいる岐阜市でも婦人会館というりっぱな建物がございますが、国立で婦人会館をつくられる。それぞれ用途、目的も違い、また相違点もあると思うんですけれども、いつもこういう少年自然の家ですか、それにいたしましても、都道府県でまずたくさんつくって、その成果を見ながら国立でつくるというような、そういう姿が感じられるわけですけれども、都道府県にりっぱなやつがあるんですから、特に国立でつくる必要はないんじゃないかというような感じもするわけですけれども、その点、都道府県の婦人会館とか、あるいは国立の婦人会館、この違い、並びに両者の関係について説明していただきたいと思います。
○政府委員(吉里邦夫君) 御案内のように、全国に公私立のいわゆる婦人会館が百二ほどございます。これはそれぞれの、府県でございますと府県なり、あるいは市でございますとその市の管内の婦人教育のやはり一つの場として大変活用されておりますが、全国的な規模でやはり婦人の関係者が集まりまして、それも宿泊をともにしながら研究をし、あるいは交流をするという場が必要だということから、簡単に申し上げますと国立の婦人教育会館をぜひ一つつくってくれぬかと、こういうことで発想が出てきたわけでございます。
○太田淳夫君 そのほか教育委員会で実施したり援助しているのですが、婦人学級講座というのがありますけれども、そういった点との関係はどうですか。
○政府委員(吉里邦夫君) ただいま申し上げましたように、公私立の婦人会館のほかに、御案内のように都道府県の教育委員会が非常に力を入れておりますものに婦人学級がございます。これは約三万二千ほどの学級数を数えておりまして、参加者数は百六十三万という数に上っておりまして、大変成果を上げております。それで、この国立の婦人会館ができ上がりますと、われわれといたしましては、地方の公私立の会館にいろんな指導面でやっておるリーダーであるとか、そういう方々に集まっていただきまして、全国の経験に基づいたいろんな交流なり、研修あるいは国際的ないろんな婦人問題の知識、情報をお伝えするとかいうふうなパイプをつないでいきたい。また、婦人学級につきましても、御案内のように婦人学級の指導者というのが大変大事でございます。そこら辺の指導者の研修の実質的な場にもしたいということで、法案にも書きましたように実践的研修、こういうこと、それから、婦人教育に関する調査研究ということをこの国立の会館の大きな目的とし、また、ぜひ効果を上げていく一つの目標としたい、こう思っておるわけでございます。
○太田淳夫君 将来これは、たとえば関西とか、そういう方面につくるような計画があるんですか、ここ一ヵ所だけですか。
○政府委員(吉里邦夫君) これも御説明の中で申し上げなくちゃいけなかったと思いますが、婦人団体関係者、いろいろ集まって御相談をいただいたわけでございますが、御案内のように、確かに百二も公私立の会館がございますから、国立をつくる場合、その公私立との関係、あるいはその数という問題も議論されまして、ただいまのところ一つつくってくれということで、われわれもそれがいいんではないかと、こういうふうに現在思っている次第でございます。
○太田淳夫君 それではちょっと事業の内容につきましてお尋ねしますけれども、研修関係の事業につきましては、いま主催事業の計画立案はどの方面で行って、年何回ぐらいどのような規模で行おうとしているのか、あるいは主催事業というのは婦人団体の要望を取り込んで行うことが必要でありますが、この婦人団体の意見を反映できるような制度が考えられておるのかどうか、あるいは、国立婦人会館は婦人教育の振興を図るために設置されるものですけれども、婦人の生涯教育という観点から見ますと、婦人の労働問題ともこれは非常に密接な関係があると思うんです。そこで、主催事業につきましては、たとえば労働省の婦人少年局あたりとも協力を得た方が効果があるんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、その、他省との協力関係とか、その点について御説明していただきたいと思います。
○政府委員(吉里邦夫君) この国立の婦人教育会館で営みます仕事を大別いたしますと六つに分かれると思います。一つは指導者の研修、いま一つは、各種の団体とかグループがいろんな勉強をいたしておりますが、それの指導者に対する情報あるいはガイダンスのお世話とかいうことが一つございます。それからいま一つは、国際交流の事業をやはりこの会館を場といたしましてやりたいと思います。それから、大きく婦人教育を中心といたしましてそれに関連します、あるいは婦人運動とか、婦人に関するいろんな営みがございますが、その情報の提供ということが五つ目でございます。最後に、それあたりをやはり積み上げといたしまして、そこに調査の研究あるいは調査研究の何というか、営みがなくては、やはり地についた科学的なものになりませんので、そういうことをやりたいと思っておりますが、それらの事業は大きく分けますと、この会館自身が主催をしてやるものと、各団体がやる場合にお手伝いをする面と、この二つに分かれますが、したがいまして、主催事業の場合もいま申し上げたこの目的というか、ねらいごとに十ないし十二ぐらいの平年度主催事業を持っていきたいと思っておりますが、五十二年度は十月でございますから、相当なロードがかかりますので多少制限をせざるを得ないと思っております。
 それから後段の御質問、各省の関係でございますが、これは婦人教育を預かる役所といたしまして、私どもの責任でこの直轄機関を運営することは間違いございませんけれども、婦人団体といいましてもいろんなものがございますし、文部省がお手伝いをしているものだけではございません。そこで、たとえば労働省あるいは厚生省、農林省というようなところにも、この会館を構想する段階からいろんなお知らせをいたしまして協力をいたしてもらっております。したがいまして、この会館がオープンされた暁には、それらの各省の事業にも十分お使いいただくような下地がもうできておることを申し添えておきたいと思います。
○太田淳夫君 細かくお聞きするようですけれども、受け入れ指導事業というのは、専門職員の不足をボランティアで補うということですけれども、このボランティア、何人ぐらいで、どのような経歴の人を充てるのかちょっと説明をしていただきたいと思いますし、本来は専門職員を増員することが必要じゃないかと思うんですが、今後そういった専門職員の増員の予定があるかどうかお聞きしたいと思います。
○政府委員(吉里邦夫君) 二つに分けましてお答えをいたしますが、専門職員、御案内のように数が多い方がよろしいと思います。しかしながら、やはり非常にすぐれた人を全国的な規模から集めたいと存じておりますし、相当な資質のある方を選びたい。したがいまして、将来は、たとえばレクリエーションであるとか、いろんな分野ごとに伸ばしていきたいと思っておりますが、さしあたり五十二年度は、その指導系の専門職員としては三人を充て込んでおります。
 なおボランティアの問題でございますが、専門職員の数が少ないからという意味ではございませんので、たとえばこの会館が、まことに開かれたものになるためには、全国のボランティアもある面で協力をしてもらう、特に地元の方々には大いな協力をいただきたいと思っております。それで、予算の問題よりも、そういう意味で、ボランティアを専門職員と一緒になってこの会館を支えていただくという意味で協力を求めたいと思っておりまして、数その他は今後の問題でございます。
○太田淳夫君 次に、時間の関係もありますので、同じくこの設置法にかかっております国立国際美術館、これについてお尋ねしますけれども、この設置の経緯と目的について説明してください。また、この国際美術館が、他の美術館と比べてどういう特色を持っているのか、あるいは美術品の利用について御説明願いたいと思います。
○政府委員(安嶋彌君) 日本美術の特色は、御承知のとおり先史時代以来海外の文化から非常に大きな影響を受けておりますが、それをそしゃくしながら独自の美術様式をつくり上げてきたということにあろうかと思います。このような日本美術の成り立ち及び発展にかんがみまして、今回設置をお願いいたしておりまする国立国際美術館は、日本の美術の発展と世界の美術の発展との関連を明確にするために必要な美術作品その他の資料を収集し、保管し、観覧に供し、これに関連する調査研究を行うということを目的といたしております。
 御承知のとおり、現在国立博物館は三館、それから美術館は近代美術館が二館、西洋美術館が一館あるわけでございますが、博物館は、これは主として日本の古典美術の収集、展示を行っておりますし、それから近代美術館の二つは近代の美術を収集、展示する、西洋美術館は西洋の美術品を展示、収集するということで、いずれもその地域あるいは時代による区分が展示の前提になっておるわけでございますが、今回お願いをいたしておりまする国際美術館は、ただいま申し上げましたように、日本の美術の発展と外国の美術の発展の連関を明確にしたいというところに特色があるわけでございます。同時にそれが設立の趣旨にもなっておるわけでございます。
 次に、設置に至る経過でございますが、四十五年に日本万国博覧会が開催されたわけでございますが、その事業の一環として設置されました万国博美術館の施設のその後の利用につきましては、地元初め関係方面でいろいろ検討いたしてきたわけでございますが、四十七年に大阪府、それから万博記念協会、それから美術関係者、これは特に関西在住の美術関係者でございますが、そうした方々から国立の美術館として運営してもらいたいという要望が出されました。文化庁におきましては、こうした御要望を背景にいたしまして、この万博美術館のいわば跡施設の利用の仕方につきまして調査研究を進めてきたわけでございますが、最初に申し上げましたような目的に使用することが一番妥当であるという結論に至りまして、四十九年の四月から、設立準備室を設けて今日までその準備を進めてきたということでございます。この美術館の建物はすでにあるわけでございまして、これは万博記念協会から国に無償で譲り受けておりまして、若干の補修をいたしまして開館に備えておるということでございます。また美術品の購入等、現在その開館の準備を進めておるということでございます。
 次に、この必要性ということでございますが、先ほどこの趣旨でも申し上げたわけでございますが、万博は、御承知のとおり人類の調和と発展ということを趣旨として行われたわけでございます。そういう意味におきまして、国際的な観点の美術館をつくることがその趣旨にも合致するというふうに考えます。
 それから、わが国に美術館、国公私立合わせましてかなりな数あるわけでございますが、まだまだ質量ともに不十分であると、そういう点を考えますと、やはり国立の美術館を整備する必要があろうということでございます。同時に、大阪という場所でございますが、大阪を含めまして京阪神地区は非常に大きな人口を擁する地域でございます。大阪府には従来のところ国立の文化施設がないわけでございます。そうした西日本の非常に重要な拠点に国立の文化施設を整備するということも、全国的な文化の振興という観点から見て緊要なことであると、そう判断をいたしまして設置をお願いをいたしているような次第でございます。
○太田淳夫君 設立の趣旨とか、目的とか、非常にすばらしいものがあると思うんですが、開館は十月を予定されているということでございますけれども、現在の準備状況と、それから年次計画で、展示の事業としていろんなことを考えてみえますけれども、いま具体的にこういうものをやるんだということが決まっていればそれをお知らせしていただきたいと思いますが、また開館時において展示作品というのはどの程度確保できるのか、あるいは今後年次計画によって収蔵品の充実を図るとございますけれども、その点、逐年どの程度の作品を拡充していくお考えなのか、その点について計画があれば御説明してください。
○政府委員(安嶋彌君) 五十二年度の予算といたしましては、約二億三千万円の予算をお願いいたしておるわけでございます。これは人件費を除く事業費でございます。内容といたしましては、この施設の維持費、それから展示資料施設の作成、それから美術品の購入、特別展の実施、それから施設をさらに整備するための予算等がその内容でございます。
 一般的に申しまして、この美術館の事業は常設展示と企画展示の二つがあるわけでございます。常設展示は、これはみずからの所蔵品を展示をするいわゆる通常展でございますが、この国際美術館は新設早々のことでもございますので、みずからの所蔵品というのは、数年来心がけてはおりますが、実際申しましてきわめて貧弱でございます。したがいまして、さしあたりのところはむしろ企画展示に重点を置いてまいりたいと考えております。
 で、具体的な方法といたしましては、国内の社寺でございますとか、美術館でございますとか、その中にはもちろん国立の博物館、美術館が含まれるわけでございますが、そうしたところの全面的な協力を得まして、最初に申し上げましたような美術の国際比較という観点からの企画展示をさしあたり主にして行ってまいりたいということでございます。五十二年度におきましては、十月の中旬の開館ということを予定いたしておりますが、「日本の美−その色と形」ということを企画展示のテーマにいたしまして、それにあわせまして日本の美と外国の美、そういうものを対比しながら展示をする、そういう企画を現在進めておるわけでございます。さらに後年度になりますると、たとえば大和絵と唐絵との関連でありますとか、あるいは浮世絵と印象派の関係でありますとか、そういうところに焦点をしぼった企画展示を検討いたしておるわけでございます。
 収蔵品の整備につきましては、五千五百万円という予算を本年度も計上いたしておるわけでございますが、ほかに文化庁の買い上げ費等も注ぎ込みまして、内容の充実に努めてまいりたいというふうに考えます。しかし、御承知のとおり第一級の美術品というのは、これはそもそも絶対数も少ないことでございますし、またそれを求めるということになりますと莫大な経費を要するわけでございます。ほとんど既存の美術館、博物館に納まっておるというのが状況でございます。したがいまして、この美術館につきましては、ある程度レプリカのようなもの、あるいは模写、模造品、そういったもの、といいましても安っぽい物を考えているわけではございませんで、しかるべきそういうものをかなり織りまぜながら今後の展示計画を立てたいということを考えておる次第でございます。
○太田淳夫君 先ごろの予算委員会では、ここに見える同僚の吉田委員から、芸術作品の流出の問題についていろいろございました。美術品はやはり国の財産ですから、そういった面でいろいろと御質疑がありましたが、海部大臣もそのときにいろいろと御答弁されたと思いますけれども、やはりこういった文化政策を推進する文部大臣の一つの方針として、今回のこの国立国際美術館ができますに際しまして、ひとつ今後のそういった美術品の政策について抱負を述べていただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) やはり国の全体の遺産と申しますか、先人がつくり上げてこられた美術品というもの、これは大切に保存、継承していかなきゃなりませんし、また、現代いろいろな分野で新しく創造されていく民族独特の美術品というものもあるわけでありまして、それを国際関連でとらえて、いまお願いしておるこの国立国際美術館は、そういう国際的な関連ということをも踏まえてやっていくわけでありますが、それよりも、もっともっと広くやっぱり文化というものを国民の多くの階層に根づかせていくためには、われわれも十分配慮してこういった政策は遂行していかなければならないと、御指摘のとおりに私も考えております。
○太田淳夫君 それでは、これに関連しまして質問さしていただきますが、去る四月の二十二日に成立をしました国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案、これを見ますと、その附則で「昭和四十八年度以後に設置された国立大学並びに同年度以後に国立大学に置かれた医学部及び歯学部で次に掲げるものに恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員は、当分の間行政機関の職員の定員に関する法律第一条第一項の職員に含まないものとし、その定員は、六千四百三十三人とする。」と、こう規定されておりますが、この定員の管理の問題は、これは当委員会の所轄でございますので、そこでちょっとお尋ねしたいわけですけれども、まずこの六千四百三十三人を総定員法の枠に含めずに枠外にしたその理由及び根拠について説明していただきたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 四十四年にいわゆる総定員法が制定されまして、それ以来、行政需要の消長に応じまして定員の弾力的、機動的な再配置を行って今日に至ったわけでございます。ところが、四十八年度以降、いわゆる無医大県の解消計画によります国立の医科大学の新設が行われた、あるいはまた、新しい構想によります大学の新設が行われたということがございまして、定員需要が非常にふえてまいりまして、いわゆる総定員法の枠との関係で問題が生じてまいったわけでございます。御承知のように、定員管理法制上、地方事務官でございますとか、あるいは沖繩に勤務いたします職員でございますとか、別枠にいたしている例もあるわけでございますので、この際といたしましては、総定員法の仕組みあるいは枠はそのままにして全体として守っていく、しかし新設大学につきましては特例といたしまして枠外措置とする、そういう措置をとらしていただく方が、現在のような厳しい社会経済情勢、また困難な財政事情のもとにおきます定員管理のあり方として適当ではなかろうかと、かように判断をいたしまして、当分の間の暫定措置といたしまして、先ほど御指摘のございましたような措置をとらしていただいたわけでございます。
 この新設の国立大学だけ別枠にいたします根拠といたしましては、これが四十四年に総定員法が成立いたしました当時には予想されなかった大規模なプロジェクトであるということと、それから、医科大学の場合に一校つくりますと約千人という教職員を必要といたしまして、定員管理上も非常に特殊なものであるという二点であろうかと思うのでございます。
○太田淳夫君 総定員法の枠外とするものは、最初は総定員法制定当時の予想しなかったナショナルプロジェクトであります無医大県解消計画、その定員と、それから新構想大学の定員である、このように思うわけですが、そうすると、この法文の規定を見ますと、「四十八年度以後に設置された」云々で「医学部及び歯学部」となっていますね。具体的には鹿児島と徳島の両大学の歯学部がそれぞれ入っていると思うわけですけれども、この両大学は無医大県解消計画にも、新構想にも入っていないのじゃないかと思うのですが、そこでこの歯学部の定員を枠外にした理由というのは一体どこにあるのか、お願いしたいのです。
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、歯学部の設置は、無医大県解消計画によって実施をしているものではございませんけれども、歯学部の設置につきましては、最近の歯科医療の需要の増加傾向、あるいは医師の不足というような点による強い社会的な要請を受けまして、歯科医師の不足している地域等に限って新設を進めているものでございます。性格的にはまさに無医大県解消計画と同じようなねらいを持った、それに準ずる性質のものでございます。さらに歯学部の場合には、医学部と同様に付属病院を必要といたしますので、一学部当たり完成時において三百七十人程度の教職員定員を必要とするというかなり大きな規模のプロジェクトでもございます。そういった二つの点を考え、四十四年の総定員法制定当時には予想されなかった点でも、無医大県解消計画と同様な性格を持ちますので、医学部とあわせて、同様に国立学校設置法において規定をするということを考えたものでございます。
○太田淳夫君 その無医大県解消計画に準ずるというお話ですけれども、その無医大県解消計画とか、あるいは新構想大学の定員を別枠にするという一つの基準をつくるということは、その基準の評価というのは別としましても、一定の基準となることは理解できますけれども、歯学部の定員までそこに含めてくるということは、定員を食いそうなものについては、この際便乗して総定員法の枠外にしようという行管と文部省の、悪乗りと言っては悪いのですけれども、そういったことが感じられるわけです。
 そこで、五十三年度以降新設を予定されている歯学部の名称、定員についてお尋ねしたいと思いますが、その点。
○政府委員(佐野文一郎君) 歯学部につきましては、歯学部のない四国地方に徳島大学の歯学部を五十一年十月に設置をし、同じく歯学部がなくて、歯科医師が非常に少ない南九州地方に鹿児島大学歯学部を五十二年の十月に設置をすることといたしたものでございます。五十三年度以降におきましては、現在岡山大学と長崎大学につきましてそれぞれ歯学部を設置するための創設準備を進めているところでございます。それ以降のものにつきましては、幾つかの大学に設置の希望がございますけれども、それをどのように処理をするかということについては慎重に検討をいたしたいと考えているところでございます。
○太田淳夫君 次に、無医大県解消計画についてお尋ねしますけれども、この計画は四十八年度から発足したものですけれども、現在までにすでに設置されている大学名、学部及び定員を明らかにしていただきたいことと、今後この計画に基づいて設置される予定の大学名、学部名及び予想される定員について説明していただきたいと思います。
○政府委員(佐野文一郎君) 無医大県解消計画は、御指摘のように四十八年度から進めてまいったわけでございますが、これまでに十二の医科大学あるいは医学部をつくったわけでございます。旭川医科大学、山形大学医学部、愛媛大学医学部、筑波大学の医学専門学部、それから浜松医科大学、宮崎医科大学、滋賀医科大学、富山医科大学、島根医科大学、それから高知医科大学、佐賀医科大学、大分医科大学、ここまでを創設を終わっているわけでございます。高知、佐賀、大分につきましては、学生の受け入れは五十三年四月からということでございます。残りますのが福井の医科大学と山梨の医科大学と香川の医科大学、それと沖縄の琉球大学医学部、この四つを残しているわけでございます。これらはいずれも現在創設準備中でございます。創設準備の進捗状況を見まして、明年度以降創設に入ってまいりたいと考えているわけでございます。
 定員につきましては、医科大学の場合が約千名を必要とするわけでございます。医学部の場合にはそれよりも若干数は少なくなりますが、それにいたしましても九百五十名から九百八十名くらいの数になるかと思います。
○太田淳夫君 新構想大学についてはいかがですか。今後予定されています大学名、定員等をあわせてお答え願いたいと思います。
○政府委員(佐野文一郎君) いわゆる新しい構想に基づく大学として現在創設準備等を取り進めているものの中に、まず教員大学院大学がございます。これは初等教育教員の需要に対応いたしまして必要数を確保するということと、現職教員の大学院レベルにおける再教育のやはり研修の機会を設けるということを趣旨とするものでございます。今年度兵庫県の社町と上越市に設置を予定しております二校について創設準備を進めておりますが、そのほかに鳴門市、鹿屋市に設置を予定をいたしておりますものについて、設置準備あるいは創設準備調査ということを行っているわけでございます。これらの創設準備を行っております二校の開設時期につきましては、創設準備の進捗状況を十分に勘案をいたしまして決定をするわけでございますし、それ以外のものにつきましても、準備調査等の状況を見て今後の取り扱いを検討してまいりたいと考えているわけでございます。
 教員大学院大学の場合には、地域の状況等によりまして、必ずしも一様の規模ではなく計画が進行していくことに相なろうかと存じますけれども、一応現段階では一大学当たり六百人程度、付属学校の教官、事務職員を含みますが、六百人程度の数を見込んでいるわけでございます。
 それから、これはすでに創設を終わっておりますけれども、五十一年度に長岡と豊橋に二つの技術科学大学を設置をいたしております。これも主として高等専門学校の卒業生を受け入れます実践的な技術に主眼を置いた新しい工学系の大学でございますが、五十三年の四月に学生を受け入れるわけでございます。教職員定員につきましては、これまた一応一大学当たり現在四百二十名程度を見込んでおります。
 それ以外に、現在図書館短大というものがございますけれども、これを筑波に移転をいたしまして、図書館学、情報学の研究を推進するための大学を設置をいたしたい、いわゆる図書館大学の設置計画がございます。今年度に創設準備に入っているわけでございますが、この教職員定員は百五十名程度でございます。ただ、この図書館大学をどのように定員上処理をするかというふうなことにつきましては、もちろん図書館大学を創設する時点で関係省庁とも御相談をし、また国会の御審議をいただくということになるわけでございます。
○太田淳夫君 そうしますと、無医大県解消計画、そして新構想大学、そしてこの歯学部、全部の定員を総定員法の枠外にするということになりますと、これらが完成した時点では一体どの程度の定員というものが総定員法の枠外になってくるのか、その点御答弁してください。
○政府委員(佐野文一郎君) 五十二年度末の定員は、法律をもってお願いをいたしました六千四百三十三名でございますが、五十二年度にすでに四十八年度以降設置をされております法律に掲げた大学が、学年進行で教官等を充実をいたしておりますが、それらの五十二年度以降に必要となってまいります定員が一万二百人程度と考えられます。それから、五十三年度以降に設置予定の医科大学と歯学部に係る定員が三千六百人程度、あわせまして二万三百人程度が一応かなり確定的な数字としてあるわけでございます。それ以外に、いま申し上げました教員大学院大学、図書館大学の関係が、先ほど申しましたような数字で積算をいたしますと二千五百人程度でございます。それらを全部入れますと二万二千八百人程度ということになりますが、この数は必ずしも確定をしているわけではございません。
○太田淳夫君 いずれにしましても、二万人にも及ぶ定員が総定員法の枠外になるわけですけれども、そうなりますと、もう総定員法による定員管理はもはや破綻を来していると一緒じゃないかと思うのです。
 もとに戻りますけれども、無医大県解消計画も新構想大学も、これはいまに始まったことではなくて、これらの定員は五十一年度末でも二千百三十名あって、そっくり総定員法の定員の枠内に納まったものもあるわけですね。ところが五十二年度末では六千四百三十三人にふくれ上がってきた。これが総定員法の枠内に納まらないものだから勢い別枠にするというのでは、どう考えても総定員法による定員管理はもう限界だと私たちは思うわけです。別枠とするなら、何でもナショナルプロジェクトのお墨つきがあればできるというようなことになれば、これはしり抜け状態になってくるのではないかと思いますが、その点の行管及び文部大臣の御意見をお伺いをしたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 今回四十八年度以降の新設国立大学を別枠でお願いいたしましたゆえんのものは、先ほど御説明申し上げましたように、総定員法制定当時予想されなかった事態でございますし、非常に多数の教職員を必要といたします関係上、定員管理上も非常に特殊なものであるという点に着目をいたしたわけでございます。先ほどお答え申し上げましたように、そういう特殊なものにつきまして別枠にさしていただくわけでございますが、その他一般の職員につきましては、従来どおり現行の総定員法の枠内において厳正に管理をしてまいるつもりでございます。
 なお、こういうきわめて特殊なプロジェクトというものは当面ほかにないと考えておりますし、私どもも、当面は総定員法の現在の枠内で、その他の職員、一般の非現業の職員についての管理ワークを行うことは十分に可能である、かように判断をいたしておるわけでございます。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、総定員法の枠を確かに超えるものでございますけれども、総定員法ができましたときにおいては予想していなかった事態の、たとえば新構想大学にしても無医大県解消計画にしても、それぞれ強い社会的な要請もあり、どうしてもこれだけはやりたいという決意をしたわけでございまして、したがいまして、これはどうしても総定員法の枠を超える部分につきましては国立学校設置法にその旨を記して国会の御審議を受けて御理解を賜わりたいと、こういう基本的な姿勢でございますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○峯山昭範君 ちょっと関連で。
 大臣、それね、いま大臣がおっしゃっているようなことは本当はわれわれが言っていたわけなんですよ。といいますのは、総定員法のときには、要するに、いま大臣の答弁だと、あの総定員法のとき予想しなかったようなことが現在出てきたと、だから総定員法の枠外にこれだけのたくさんの人数を入れてほしい、こういま言っているわけですね。だからわれわれは、各省の定員とというのは総定員法でくくるんではなくて、各省の設置法でくくっていたわけですよ、当時は。だから、総定員法でくくるべきではないというのがわれわれの主張だったわけですよ。それを、要するにいろんな事態が出てくるからというので総定員法の枠から外すということをすれば、これは総定員法をなし崩しにするということになりますよ。結局いま大臣が答弁しているその主張そのものは、かねがねわれわれがあの審議の際に主張していたことなんですよ。ですから、この定員の問題についてはそういう答弁では本当は納得できない。これはやはりもうちょっと、一歩前進したしかるべき理由がないと総定員法の枠から外すということはいけないわけです。そういうような意味では、総定員法という法律そのものが現在あるわけですから、これはやむを得ませんけれども、本来からいけば総定員法そのものに問題があるわけです。各省の設置法で人員をきちっと規定して審議をすべきである、こういう主張なんです、われわれの主張は。それをいま大臣が言うように、いや、新しい事情が、あのときと違う事情が出てきたといっても、そのことはわれわれがそういうことがあるということは前からもう指摘して、そういうようなことが出てくることがあるから総定員法でくくるなんということはいけないと、こう言っていたんです。ところが、いやそういうわけにはいかないと、国家公務員の数をふやすわけにはいかないんだから全体でくくった方がいいということで、大臣の言っていること自身が、現在の時点から考えると当時の答弁とまるっきし逆のことを言っているわけです。これはやっぱりちょっとおかしいと思うんですが、どうです。
○政府委員(辻敬一君) 機構と定員の管理の仕方につきましていろいろ御意見がございますことは十分承知いたしておりますし、また、ただいま御指摘がございましたように、機構と定員とを各省設置法で規定いたしておりました時代もあったわけでございます。定員管理法制もその意味でいろいろな変遷を経てきているわけでございます。おっしゃいますように、機構と定員とが密接な関連がございますことは申すまでもないわけでございますけれども、しかし、管理の態様と申しますか、あり方につきましてはやや違う面があるのではないかというふうに考えております。機構につきましては、より恒久的と申しますか、永続的な面が強いのではないか、また定員につきましては、より弾力的、機動的な管理になじむ面があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そこで、ただいまの管理法制といたしましては、機構については各省設置法、定員につきましては総定員法でお願いをいたしておるわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、今回とらしていただきました措置は、この基本的な仕組みを変えるわけではないわけでございます。きわめて特殊な部分だけ特例扱いにさしていただきますけれども、その他の部分につきましては、相変わらず総定員法の枠内におきまして厳正に管理をいたしまして、行政需要の消長に応じて弾力的、機動的に定員の再配置を進めてまいりたい、こういう考え方でございます。
○峯山昭範君 いや、それはそんなことをしていると特例ばっかりになりますよ、そんなことをやっていると。当然私たちが前から主張しておりましたように、結局機構と定員は一体のものなんですよ。新しい機構ができれば当然そこには定員が必要なんです。だから、あなた方が総定員法の主張を初めやったように、全体のいわゆる定員削減とか、あるいは合理化とか、そういうようなところから、全体の総定員法で国家公務員全体をくくれば、要するに人員の合理化とかいろんな問題ができると、そういう人たちの動かし方もできるとあなた方言っていたじゃないですか。それならそれで総定員法があるんですから、総定員法に基づいて現在のいわゆる需要に対応していくと、そういう姿勢でないと、現在の法のもとではおかしいのじゃないですか。新しい事情が出てきたと言いましても、これは決して予想できないことじゃないです。これは人数が多いから私は新しい事情だなんということは絶対言えないと思うんですよ。こういう事態はこれからも予想されます。これからもどんどん出てきますよ。だから、その都度、これは特殊事情だと言うと特殊事情ばっかりになってしまいます。ですから、そういう観点からいきますと、いま局長が答弁されたその答弁は本当の答弁になっていない。私はこの問題この内閣委員会で総定員法を審議したあのときを振り返ってみて考えてみますと、この総定員法の枠を外してしまう、枠外をつくるということ自体は重大な問題です。これは私は簡単にこの問題を納得するわけにはいかない、こういうふうに思いますがね、もう一遍答弁いただきたい。
○政府委員(辻敬一君) 現在の定員管理法制のもとにおきましても、峯山委員十分御承知のように全然例外がないわけではないわけでございまして、非現業の職員のすべてを総定員法の枠で管理をいたしているわけではないわけでございます。地方事務官でございますとか、沖繩にございます国の行政機関に勤務いたしております職員、そういう職員につきましては、それぞれの理由に基づきまして総定員法の別枠で管理をいたしているわけでございます。したがいまして、今回の措置もそういうような定員管理の基本的な仕組みをそう大きく変更するというものではないんではないかと考えておる点が第一点でございます。
 それから第二点は、先ほどお答え申し上げたわけでございますが、この四十八年度以降の新設の国立大学の問題、これは定員管理上非常に特殊な問題でございまして、当面ほかに同様のケースが起きてくるというのはちょっと予想されない事態でございます。
 それから三点といたしまして、総定員法のもとにおきまして、四十四年以来現在まで、行政需要の消長に応じた定員の再配置を行ってきたわけでございまして、五十二年度までに十一万七千人の定員削減を行ってまいったわけでございます。もちろんその間増員もございます。必要な部局には増員をいたしているわけでございまして、その増員十万三千八百四十人余りを引きましても約一万三千人の減員ということを実行してきたわけでございまして、その限りで総定員法は有効な仕組みとして機能を発揮してきたと、かように考えているわけでございます。したがって、今回の措置は、法制的に見ましても、機能的に見ましても、従来のたてまえを大きく変えるものではないと思っているわけでございます。
○峯山昭範君 あなたそんなことを言うと、私はますますこの問題は納得できない、地方事務官なんかの話を出してくると。要するにいまは例外は全くないと、いや、ないんじゃなくて地方事務官やいっぱいあると、それは地方事務官の問題自体は、これは当内閣委員会でも別問題として相当時間をとって議論しなくてはいけない問題ですね。そんな問題を、あなたがこれから新しくつくろうとしているこの枠外の定員の問題と一緒に論ずることはできない。私は全く別な問題と考えております。したがって、私は総定員法の枠外をつくるということはいかぬと言うんですよ、要するに。これはどうしても定員が必要なら総定員法の改正を出したらどうなんですか、ここで議論したらどうですか、総定員法そのものを出して。そんなことを枠外なんてすると、特例とか、そんな変なことがいっぱい出てきますよ。これは総定員法を出してここで議論すること自体が、またあなた方は大変な問題と思っているから枠外なんというのをつくるんでしょうけれども、私は行政需要上どうしても必要で、合理化はもうこれ以上できない、定員削減もこれ以上できない、やっぱりふん詰まりの状態になったとすれば、ここでどうしても、ただ単に便宜的に枠外なんというのをつくるんじゃなくて、これは当然総定員法の審議を通じて――総定員法そのものが有効に機能しておったとあなたはおっしゃっていますけれども、それはそういうふうな見方もあるでしょう、一面では。しかしながら、有効に機能していないという見方もあるわけです。これはいろんな見方があるわけですから、それはそれで新しい法律として出してその場で議論すると、これは当然そうあるべきだと私は思うんですよ。そうでないと、ただ単に枠外ということについてはあなたのいまの答弁だけでは納得できない。もう一遍答弁いただきたい。
○政府委員(辻敬一君) 私どもは今回の措置をとらしていただきましたことにつきまして、国会の御審議を逃れようというような考え方は毛頭ございません。現に、国立学校設置法という形で国会の御審議をいただいたわけでございますし、その中で総定員法につきましても、所要の改正措置をとらしていただいたわけでございます。
 それから、先ほど御指摘のございましたように、地方事務官でございますとか、沖繩の行政機関に勤務する職員でございますとか、それはそれぞれ別枠にする理由があるわけでございまして、その理由自体が、今回の国立大学を別枠にしていただきます理由と実質的に同じだというようなことを申し上げているわけではございませんけれども、法制上はそういう例もあるということを申し上げたわけでございます。
 それから、総定員法の限度を引き上げるべきではないかという御指摘、これも確かにあるわけでございます。そこで各省を通じまして、文部省も現在の総定員法の枠では賄えなくなる、あるいはほかの何々省もふえる、別の省もふえると、全般的に増員需要が多くて総定員法の枠を守れないような事態になった場合、これは御指摘を待つまでもなく総定員法の限度を引き上げることが素直であろうと考えるわけでございますけれども、先ほど来御答弁申し上げておりますように、きわめて特殊な事態によりまして、総定員法の枠の関係で問題の生じたような場合にはそれを特別扱いにさしていただく、そうして、全体といたしましては総定員法の枠を守って厳正に管理していく、そういうやり方もまた一つの考え方ではなかろうか、このように思っているわけでございます。
○峯山昭範君 これは私はどうしてもその問題は納得できません。これはきょうは太田先生の関連で私やっていますから、あと十分ほどしか時間ないそうですから、簡単に終わりますけれども、この問題は、私はかねがねから主張しておりますように、先ほど大臣が答弁ありましたように、要するに、一つの行政需要に応じて定員はどうしてもふやさなくちゃならない、そういうような意味では、それぞれの行政需要の中身、あるいはそれが本当に必要であるのかどうか、本当に機能しているかどうか、この審議というのは、当然私は当内閣委員会でやるべきだと思うのですよ。総定員法ができたためにその審議が全くできなくなった。これは私は、あなたは審議権の侵害ではないと先ほどおっしゃいましたけれども、現実にそうなっているわけですよ、事実はね。ですから、そういうような意味で私はまことに遺憾である、こういうふうに思っています。これはきょうは時間がございませんのでその程度でおいて、次回の機会にやりたいと思います。
 そこで、もう一点だけ文部省当局にちょっとお伺いしておきたいのですけれども、今回のこの法案の内容の中に、国立婦人教育会館の設置が含まれておりますけれども、これはいろいろな資料の中にあるわけですけれども、同会館の設置の動機の一つに、文部省の社会教育局長の諮問機関である婦人教育会館調査研究協力者会議ですか、こういうふうなものの報告があったと、こういうふうに聞いておりますけれども、これはこのとおりですか。
○政府委員(吉里邦夫君) 結論から申し上げますと、その協力者会議でこの国立婦人教育会館のあるべき姿、あるいは必要性等々について議論をしていただく。というのは、婦人教育の関係者から大変な御熱望がございまして、社会教育局長といたしましても、詰めを十分しなきゃいかぬというような場合に、大変学識あるいは経験のある方々がいらっしゃいますので、その方々の御意見も聞いてみると、こういう形で御意見を聞いたわけでございます。
○峯山昭範君 この会議というのは、社会教育局長のいわゆる私的な諮問機関ですね、そうですね。
○政府委員(吉里邦夫君) そのとおりでございます。
○峯山昭範君 これは私的な諮問機関というのは当内閣委員会で何回も問題になっているわけですけれども、大臣の私的諮問機関というのが、国家行政組織法第八条ときわめて関係が深いわけですね。そういうような関係からいきまして、私は大臣以外の方の、いわゆる局長クラスの方の私的な諮問機関でも、これはやはり私は第八条の精神から言えばいろいろな問題があると、こう思っているわけです。そこで、実際問題、この問題について文部省ではどういうふうにお考えなんですかね。要するに、私的諮問機関、これはまあ時間がございませんから簡単に言いますけれども、この第八条というのは、民間人にこういう問題を依頼して、そうして依頼したその問題――依頼するんですからもちろん交通費を出したり、謝金を出したりしますね、そうしてそういう人たちの意見が行政に反映すると、そういう場合は、これは法律によるべきだと、法律に基づいてそういうことはすべきであるというのが法のたてまえであり精神なんです。これはもうすでに御存じだと思いますけれども、そうなっているわけです。そういうような面からいきますと、これは現実に、最近の防衛庁設置法の第五十五条とか、あるいは今回の沖繩位置境界明確化審議会というのが今回の法案の中に出てくるわけですけれども、これもやっぱり総合事務局の付属機関と、こういうように、最近では法律に具体的に、あるいは具体的に行政に反映をすると、そういうような場合に、そういうようなものはみんな法文化してしまう、その法律に基づいてそういう審議会を置き、あるいはそういう答申を受け、それで行政にそういうような意見を反映していくと、そういうような方向にあるわけですね。そういうような意味から、私はこういう問題は、少なくとも組織とか、こういうようなものをきちっとして、法律に基づいてこういうような問題を処理していくべきであると、こういうように考えているわけです。これは当然行管が担当だと私は思うのですけれども、こういうような問題については行政管理庁はどうお考えなんですか。
○政府委員(辻敬一君) いわゆる私的懇談会の問題につきましては、峯山委員から再三御指摘を受けたところでございます。私どもといたしましては、先般来いわゆる私的懇談会の見直しを行いますとともに、法律上の審議会とのけじめをはっきりつけるという作業をいたしてきたわけでございます。しかし、御指摘もございましたけれども、法律上の審議会等と紛らわしいものは、各省庁のレベルの私的懇談会、いわば大臣決裁に基づいて置かれる私的懇談会であるわけでございますので、まずそのところを整理をいたしたわけでございます。しかし、事務次官以下の同様なものにつきましても、これに準じまして措置をとりますように各省庁に対しまして連絡をいたした次第でございます。ただ局長レベルという問題になりますと、これは意見交換の場という性格が非常に強いと思うわけでございまして、法律上の審議会につきましては、申すまでもなく独立の機関意思を決定するというところに一つの基準があるわけでございますので、局長レベルのものは単なる意見交換の場であるというケースが多いと考えております。
○峯山昭範君 もうこれで終わりますけれども、これは実際問題、あなたそういうように独立の機関意思を決定するというふうに言っていますけれども、実際問題、その審議会やそういうようなものが、行政に意見を反映するというのは、やはり具体的にその法律の枠というのは、現実の問題として先ほども具体的に例を挙げましたように、防衛庁の防衛施設地方審議会とか、あるいは沖繩位置境界明確化審議会とか、こういうふうに局長クラスのいわゆる付属機関であっても、これは法制化する方向にあるわけですね。そういうような意味で、私は当然必要なことだと思うんです。たとえば文部省でも、私の手元にある資料によりましてもこれは相当あります。教育研究開発協力者会議とか、特殊教育に関する研究調査会、高等教育懇談会、大学院問題懇談会、大学入学者選抜方法の改善に関する会議、あるいは文化行政長期総合計画懇談会、これが全部行政に反映しないなんていうことはないですよ、これね。反映させるために現実にこういうようなのを置いてあるわけですね。それで、しかもこういうような会議には、それぞれ予算が全部ついているわけです。予算がゼロというのも二つぐらいありますけれども、大体予算がついています。そうしますと、こういうようなものは国家行政組織法という問題からいけば、やはり多少問題が出てくるんじゃないか。この問題については、大臣も前の官房副長官か何かのときに答弁においでいただいたことがありますけれども、こういうような問題は、やっぱり行政管理庁としてはまだここまで整理が行き届いていないのかもしれませんけれども、やはり私はこういうふうな問題はきちっとした方がいいと、こういうふうに考えておりますが、そういう点もあわせて大臣並びに行政管理局長の答弁をいただいて、とりあえず関連質問、これで私終わらせていただきます。
○政府委員(井内慶次郎君) ただいま御指摘ございましたように、文部省、昭和五十一年で八つ私的懇談会ございまして、五十二年度六つになりましたが、その中の一つの具体例で申しますと、高等教育懇談会というのが、五十一年度約六百二十万円の予算でやっておりました。で、これは高等教育の計画的配置の問題を懇談会でやっておったのでございますが、事柄から申しまして、やはり非常に重要な内容にわたりますので、五十二年からこれは整理しまして、既設の法律に基づきまする審議会の仕事として、そちらの方へ移しかえるという措置を五十二年度から本件はとらしていただいたのでございますが、個々具体の、行政運営上のある意味では必要に応じまして私的な懇談会が設けられておるのでございますが、やはり事柄が、その懇談会として意見を取りまとめてもらった意見が非常に意味を持ってくるもの等につきましては、逐次やはり私どもとしましても、ただいまの御意見にも沿いまして整理もしてまいらなければならないと、文部省としてはかように考えております。
○政府委員(辻敬一君) 法律上の審議会等と紛らわしいという御指摘を受けますのは、先ほどおっしゃられましたように、何と申しましても省庁レベルのいわゆる私的懇談会、大臣決裁に基づきます私的懇談会であろうと考えまして、これにつきましては見直しを行い、さらに、いろいろな参集の形式でございますとか、名称でございますとか、運営方法でございますとか、その他につきまして、注意事項を各省に達しまして、法律上の審議会と紛らわしいところがないように措置をいたしたわけでございます。確かに、それ以下の私的懇談会に類似したようなものがあるわけでございますが、法律上の審議会と必ずしも紛らわしいと言えるかどうかという問題もございますので、そういうものにつきましては、ただいま申し上げました措置に準じまして、各省において適宜措置を講じていただくように連絡をしているところでございます。
○岩間正男君 三時間の質問を一時間にこれは縮めてやるんだから、簡にして要を得た答弁をしてほしいと思います。三時間これはかかるんだ。
 第一に文教政策の基本的な問題について、二、三文部大臣にお伺いしたいと思う。
 学力低下、青少年の非行の低年化、入試地獄の問題、それから乱塾問題など、いま山積みの教育の問題を抱えて、その危機が叫ばれているときに、ときあたかもことしは教育基本法施行三十周年に当たるわけであります。このときに当たって、文部大臣はどんな決意を持って事に当たられようとしているか、まずその決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、現在いろいろな角度から教育に対する問題が指摘されておりますが、私はこれを最も身近なところからながめまして、第一は、義務教育段階においては公教育が責任を持って本来の使命を確実に果たしていこう、そうすることによって、ただいま御指摘になりました学力低下の問題とか、あるいは乱塾時代というような言葉まで生んだ塾の過熱状態に対する批判というものに、これはこたえていかなければならない。それから、入学試験の制度に関しましても、大学入試については入試戦争とか入試地獄とかいろいろな表現がされるような問題点が出てまいりました。私は大学の入学試験というものは、これはどう考えても極楽にはなりませんけれども、少なくとも、戦争とか地獄とか言われるような不公正な場面だけは除去していきたい、こう考えております。それに関しましては、やはり関連する大学における学校間格差の是正の問題とか、あるいは社会に出てからも学歴が必要以上に幅をきかしてはいけないという学歴偏重の風潮の打破の問題もございますが、文教行政というところにテーマをしぼって考えますと、私はとりあえず義務教育段階における学力の低下を防ぐこと、乱塾時代の過熱を避けること、そのためには公教育が本来の責任をきちんと果たしていかなければならない。この問題をまず取り組んで解決していこうと、こう思っております。
○岩間正男君 一応の当面する問題についてのお話があったわけですが、教育基本法の精神をどのようにこの中で実践していくかという問題が重要なんです。
 そこで、教育基本法は、戦前、戦時中のわが国の教育が天皇制暗黒政治と侵略戦争の道具にされた、その結果数百万の青少年の命を犠牲にしたことの悔恨と深い反省に立って、前年制定を見ました平和憲法の個人の尊厳、真理と正義、平和と民主主義を基調として制定されましたが、その精神を守り抜く立場に立つのかどうか、この点が非常に重要であります。私は現在の文教政策は、必ずしも民主的な道を歩んでいない、反動文教政策の問題が大きな問題としていま論議されている中でありますから、こういう中でどういう立場に立たれるのか、教育基本法のこの精神をどこまで踏まえ実践されるか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ考えて進めております文教施策の根底に教育基本法の精神があることは私は間違いないと信じておりますし、いまいろいろ戦前のという御指摘がございましたが、そういったことは毛頭考えたこともございません。
○岩間正男君 教育権のあり方の問題などについて、これは論議をやると非常に時間がかかりますから、この点省いておきますが、具体的にお聞きしますが、ことしは三十周年ですね。施行三十周年だ。この教育基本法をどのように文部省は守ろうとして、たとえば記念行事とか、あるいは今度の文部省のこの行事、国家行事の中にも生かすと、こういう点はいかがですか、何かやりましたか。
○国務大臣(海部俊樹君) 特に三十周年を記念しての行事ということは計画いたしませんでしたが、毎日毎日やっております施策の中で、この教育基本法三十周年目に当たる年であるということは感じてやっております。
○岩間正男君 当委員会で、この前、憲法施行三十周年にことしは当たる、去年は制定三十周年、去年はやったけれどもことしはやらなかったというので大論議になって、これはまだ懸案になっているわけですね。そういう中で、文部省は本当に教育基本法の精神に立つなら、これはこの上に立っての私は当然施策があっていいと思う。記念行事なんかあってよかったかと思うんですが、具体的には精神、生かしておりますと、同じことは総務長官も言いましたよ。これではやっぱり私は、本当に教育基本法を尊重しているのかどうかということを実践の面から検討してみれば、いまのような御答弁では満足できないと思うんです。
 この論議を繰り返していくことはやめますが、そこで大臣にお聞きしますが、私は戦後の教育改革にいわば率先して従ってきた当時の責任者であります。そういう立場からお聞きしたいと思うんですが、大体戦後の教育改革について最も基本的な問題、こういう問題を原点に立ち返り、戻って考えてみたら、どういうものだというふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 第一は、戦後の教育改革によって、それまで六年であった義務教育が六・三制の発足とともに九年になり、広く国民の間に、日本国民として必要なやっぱり基礎的、基本的なものをきちんと身につけていただく教育の機会均等がさらに普及され充実されていった。そして、そのことが私は戦後の教育改革では非常に大きい成果である、こう考えます。
 それから、後期中等教育の方も行き届いてまいりまして、現在では進学率はたしか九二・三%、そこまで充実をしてきた。そうして、やはり能力のあるすべての人々に高等学校へ進学することができるという道が開かれてきた、これも私は大きな成果であったと思います。
 それから、大学――高等教育機関というものが、いま同世代年齢の三九%を超えるまでに普及してまいりまして、大学の使命というものも、やはり開かれた大学を目指して広く国民の中に教育研究の場として浸透しつつある。こういったことは、戦後の教育改革が国民に与えた一番大きな影響ではなかったか、いい面ではなかったか、私はこう考えます。
○岩間正男君 いろいろの施行された制度面についてのお話がありましたが、私は戦後の教育実践を通じて感じていた二つの基本的な問題がある。この問題について触れたいと思いますが、一つは学級定数の問題です。これは教育の最も基本的な問題なんです。土台なんです。この問題が本当に解決されなければ、日本の教育は真に民主化の道を歩み得ないことは明らかなんですね。もう一つは、教育費の全額国庫負担、憲法二十六条を具体的にどう実践するか、これは同時に教育の機会均等、貧富の差によらず子供の持っている能力というものを本当にこれは均等に育てていく、平等に育てていく、そういう基本的な問題ですね。この二つというものは、非常に私は日本の戦後の教育改革に横たわっている基本的な問題だと思う。この二つは、現在果たされているとお考えになっておりますか、どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 戦後私どもが教育を受けておりますころに、学級定数の問題では確かにすし詰め教室というような表現がございました。当時は私の記憶に誤りなければ六十名前後であったと思います。それを逐次計画を立てまして、今日徐々に解消をし、学級定数は四十五名まで相なりました。四十名にしろという附帯決議がなされておることもよく承知しておりますが、ただいま進行中の五ヵ年計画においては、複式学級の解消とか、特殊学級の充実に力を入れておりまして、往年のすし詰め教室時代から顧みれば、戦後の学制改革の中でこの定数の問題についても努力の跡はお認めいただきたいと思いますし、現在なお計画をつくってその進行中でございます。
 それから、後半の御指摘の問題につきましては、これはやはり、特に国立、公立及び私学との間の格差の是正というものに十分に目を向けなければならぬわけでありまして、義務教育段階においては、教科書の無償配付がすでに行われるようになってきたことが戦後の大きな特色でございますが、私立学校に関しましては、一昨年私学振興助成法が制定せられ、その精神に基づいて年々経常費の助成、あるいは私立学校振興財団を通じての融資、あるいは奨学金の増額等いろいろな努力を積み重ねながら、親の教育費負担を、国公私立間における幅が余りにも大きいということは不公正であるので、これを狭めていくような努力をしようと、毎年政策努力を積み重ねているところでございます。
○岩間正男君 六・三・三制が発足したときは文部大臣はまだ十代でございますね、失礼ですけれども、ことし四十六歳と承っております。そうすると、三十二年前になりますからちょうど十四歳ですな。そういう中で私たちは戦後の教育改革に携わってきたものですね。そういう中で、たとえばこの二つの問題についていまお話がありましたが、私は基本的に達成されていないんじゃないか、たとえば四十五人の話が出ました、小中学校。この四十五人というものは戦後いち早く決定されたものです。この闘いの実践の中で初めてできたのは二十一年の三月です、東京都です。これは千三百人の首切り問題が起こった。統廃合の問題があって、戦後大分戦災校があって統合した。千三百人教員が余った。そのとき東京都は五十人で全体の数を算術的に割ったわけです。そういう中から千三百人余るからこれはやめてもらう。それで五十歳以上の男子教員と、四十五歳の有夫の女の先生をやめさせる、こういう案を発表した。そのとき、これはもうはなはだけしからぬじゃないか、戦中は非常に戦争協力で犠牲になった、しかも戦後そういうひどい目に遭いながら、しかも今度は必要がないということになるとすぐに馘首だ、これじゃ話にならぬというのでこれに対する首切り反対の運動が起こったんですね。そういう中で、実はそのときの私は責任者でありますが、三ヵ月闘ったのであります。そのときの相手は東京都の宇佐美教育局長、現在の宮内庁の長官だ。それを相手に闘って、結局四十五人以内を認めさせたわけですね。そうして千三百人の首切りはこれは撤回された。四十五人が確立された。日本の教育、戦後の教育史の最もこれは一つの記念塔になるわけです。ところがこの四十五人、どうですか、本当にいまお話がありましたが、これ完全にいま実施されていますか。教員の定数の問題これは後でお伺いしますけれども、その点から考えたら、これは五ヵ年計画はいまだに実施されていないんじゃないですか。だから、これは世界のレベルの三十人、こういうものからはとても話にならぬと考えるんです。それから教育費の問題だってどうですか。最近のこのオイルショック後の父兄の負担というものは倍加しているでしょう。これは大変なことになっています。そういう中で、最近の入学金あるいは寄付の問題、こういうものがいつでも予算委員会、当委員会、文教委員会、こういうところで論議されているわけですが、これはますます父兄の生活が苦しくなっている、そういう中で教育費の負担というものは、これは国民の家計を大変圧迫し始めている。ここにやはり教育の機会均等が破れる。もう非常にそういう点で経済的な基礎から破れてくる、そういう面が出てきた。私はこの点で、一応いまお話がありまして御努力もわからないわけではありませんけれども、もっとやはりこれを基本的に解決する点で努力を集中することが、教育基本法を具体的に教育の実践を通じて本当に地に足をおろす、こういうことになると思うんです。問題は教育予算の問題ですね、この予算がやはり現状で十分だとは言い切れない、そういうことがいまの定数の問題あるいは教育費の父兄負担の問題に大きくはね返っているんだという現実をはっきりこれは考えておられるのかどうか。これに対してどのような決意を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 予算の問題につきましては、もうでき得る限り、われわれの考えております文教政策を進めていくためにできる限りの配慮をしていただいておると考えますが、しかしながら、他の政策との整合性の問題もあり、文教予算そのものに割り振られた今年度予算において、必ずしも一〇〇%十分だとは言い切れない面もあろうかと思いますが、与えられた枠内で全力を挙げて取り組んでいきたい、こう考えますし、また来年度予算の編成期に当たりましては、いろいろな計画や、いろいろな必要性を十分主張をしてまた努力をいたしたい、こう思います。
○岩間正男君 まあ教育予算の問題で、いつでもこれは予算の性格が問題になるわけでありますが、何といいましてもその根源に、大企業本位の高度経済成長政策、さらに列島改造論、そういうようなものが非常に教育予算の貧困の原因になっている。また安保体制下の軍事費の増大の問題も、これははっきり原因になっておると思うんです。そういう中で学級定数問題一つをとってみても、ここ十数年に人口急増地帯における児童生徒数の急激な膨張のために、地価の値上がりと相まって教室の建設を著しく困難にしている。文部当局はその対策に追われて、そういう結果、逆に過疎地帯において盛んに小中学校の統廃合が行われ、結局、高度経済成長政策によって引き起こされたその結果が、実は過疎地帯における統廃合という形であらわれているという、この一連の関連の現象というものについてはどうお考えになっておりますか。
○政府委員(諸沢正道君) これは単なる教育的な問題だけではないわけでございますが、御指摘のように、過密九県と言われる東京、大阪、愛知を中心とした九県の人口の急増に伴って、児童生徒も今後約五、六年の間に百五十万ぐらいふえそうだという見通しでございます。一方過疎県におきましては、人口の減少を来しておるということからいたしまして、この学校教育のある程度の規模を持った学校において充実した教育を行うという見地から、相当統合が進められておるところもあるのも事実でございます。ただ、文部省といたしましては、そういう統合に際しましても、いたずらに合理化という名前だけで子供のあらゆる就学条件というものを無視することのないよういろいろな配慮をしながら、従来の経緯等も考えて統合を行う際にはやるようにと、こういう指導をしてまいっておるわけでございます。
○岩間正男君 そこで、一学級の定数問題に戻って、主にこの問題についてただしたいと思うんですが、大体四十五人という、こういう体制で本当にいまの民主教育を確立することができますか、どうお考えになっていますか。
○政府委員(諸沢正道君) 児童生徒のまとまりとして、四十五人という標準が適当かどうかということにつきましては、いろいろと議論のあるところであり、また学者の見解等もいろいろあるように私どもも承知いたしております。また、現実の教育の場におきましても、教師の教え方その他によって、またいろいろ効果が違ってまいるわけでございますので、われわれとしましては、四十五人をもってこれでいいんだという立場には立っていないのでありまして、引き続きどのぐらいの規模をもって適当とするかということを検討しながら将来に向かって諸般の条件の改善を考えてまいりたい、かように思うわけでございます。
○岩間正男君 何人だったらいいと考えているんです。そういうふうな抽象的な話でなくて、具体的に、教育科学的に考えたら何人でなければ本当は民主教育は可能でないと考えているんですか。
○政府委員(諸沢正道君) われわれは、現在の段階で何人以下でなければ本当の教育はできないんだというふうな断定はできないだろうというふうに思っておるわけでありまして、従来からに引き続いて、ただいま申しましたように、どのぐらいの学級規模にするかということは研究の課題である、こういうふうに思っておるわけでございます。
○岩間正男君 だからいやらしい答弁だということですよ、もっとはっきり言いなさいよ。そんなことはもう科学的に出ているんだ。第一に三十人でなければならぬ。私は三十人の経験がある。成城学園というところで三十人の子供を教えた、戦前からです。そういうところだったらこれは民主教育の名に値するんです。ところが四十五人というやつは、もうこれはやっぱり大変ですよ。これが今日の学力低下の一つの原因にもなっている。それだけじゃない。やはり大量生産教育というやつは、これは日本の戦前の教育、こういうものにやっぱりつながっているんです。この点をやっぱり明確にするということが、この教育の中に胚胎しているそういう禍根というものを本当に一掃することになるんだ。これをやっていないところに日本の教育改革の本当に不十分な点があるんだという点は認識する必要があると思うんです。これをやってない。
 これは私がある雑誌に書いた問題ですが、質問のかわりにこれを読んでみます。教員闘争の初期に何を一体われわれは目指して闘ったか。
 馘首反対闘争ですね、これは一九四六年の二月、東京都は戦災校の整理統合を口実に、千三百人の教員の首切り案を発表しました。四十五歳以上の共かせぎの女教員、五十歳以上の男教員などをやり玉に挙げたのです。戦争協力でこき使われ、心身をすり減らした結果がこの報いだったのです。東京都教員組合は怒りを込めて立ち上がりました。
 このとき教組側が対案として強く主張したのは、一学級の生徒数を三十名にせよという要求だったのです。戦前、戦時中のそれは六十名、中には八十名というのもありました。
 ところで、学級の生徒定数が多過ぎるということは、侵略戦争と切り離しがたくつながっていたのです。六十名では教師の能力にも限度があって、一人一人の個性を大切にし、その才能を十分に伸ばすことはできない。勢い大量的な詰め込み教育、修身科や歴史科が中心となり、「木口小平は死んでも口からラッパを離しませんでした」というあの軍国主義鼓吹で、大量生産、粗製乱造の肉弾が鋳型にはめられてつくられたのです。
 一人一人の命が大切にされる教育では、赤紙徴兵はやれなかったでしょう。幸いに、「命を鴻毛の軽きに比す」という大量的な人的資源があったればこそ、アメリカの膨大な物量に対する消粍戦が可能であり、こうして幾多のわだつみの悲劇が繰り返されたのです。
 このように一学級三十名の要求は、馘首反対から発展して、終戦直後の日本の教育組織の中にまだ温存されていた戦争の根っこを鋭くえぐり出し、その根絶を目指すという基本的な闘いにまで発展していったのです。
 対都交渉は難航を重ねましたが、三カ月にわたる粘り強い闘いの後、四十五名以内を認めさせ、千三百人の首切りを撤回させました。
 これがその経過です。これは質問でやっていますと時間が非常にかかりますから、いま一つの私の手記からこれは選んだわけです。
 こういう事実というやつを本当に認識しておられますか。四十五人をどうするかという課題の中にはこのような問題を含んでいる。一人一人の能力を、才能を、個性を、そうして本当にこれを育てることができるかどうか、そういう組織を真にこの教育の基本組織の上に確立することができるかどうかという課題とこれははっきり結んでいる。そういう点については、これは文部大臣どうですか、はっきり意識をしておられますか。だから、四十五人の問題などというのは軽々しい問題じゃない。単に教員定数だけの問題だと考えたらこれはとんでもないことだ。日本の根本的な民主教育をどうするかという、そういう課題と深くこれは結びついている課題だ。どうお考えになりますか。
○政府委員(諸沢正道君) この問題につきましては、少しく現状を御説明さしていただきまして問題点も申し上げたいと思うわけでございます。
 確かに学級編制の標準としては四十五名でございますが、昭和五十一年度におきまして、それならば現実の小中学校の一学級の児童生徒の平均数がどのぐらいになっておるかということでございますが、全国平均で見ますと、小学校は三十二・九人、中学校は三十六・八人ということでございまして、これはこの標準法ができました昭和三十三年当時、小中学校がそれぞれ平均四十四・三人という時代に比べますとかなり改善されておるわけでございます。そして、それは現実の各学校の規模を見ますと、したがいまして一学級の児童生徒が四十人以下という学級が、小中学校を通じまして三十万三千で、全学級の六八・二%、つまり七割の学校は四十人以下でございまして、残りが四十一人から四十五人の編制になると、こういうことでございます。
 そこで、先生御指摘の点は、その四十一人の学級以上に特に向けられることかと思うわけでございますが、ところでこのような四十一人以上の学級というのは、先ほど申しましたように、東京、大阪、愛知等を中心とする過密九県にほとんど集中しておるわけでございます。したがいまして、今後五、六年の間に百五十万からの児童生徒がふえますと、さらにその子供たちは過密九県に集中する。そのことはどういうことかといいますならば、仮に学級編制を四十五人から四十人にするということにいたしますと、それらの地区の学校では直ちにそれを入れるに必要な教室を増設する。増設できなければ、既存の特別教室だとか、体育館だとか、そういうものを間仕切りして使う。さらに校庭自身が非常に狭いというような問題がございます。
 そこで、そういう児童生徒の教育条件という場合に、もちろん先生の数というのも非常に大切でございますけれども、同時にまた、その物的条件としての校地、校舎のありよう、あるいは先生の数だけでなしにその質というようなこともあるわけでございますから、そういう点を総合的に考えました場合に、いま御指摘のような問題につきましては、一番問題な過密九県の状態を中心として今後どういうふうに考えていくか、いろいろの条件を総合的に考えながら、よりよくしていくためにはどうするかというかなりむずかしい問題がございますので、御指摘のような四十五人からさらに下げるという問題も確かに一つの御見解かとは思いますけれども、そのような方向に改善するとしましても、いろいろの条件を総合的に考えなければならないという点を御理解いただきたいと思うわけでございます。
○岩間正男君 まあ現状は説明されましたが、あなたにはこれをどうするかという、そういう点のはっきりした説明が、むろんこれはありません。これは局長ですから、それは要求しても無理かもしらぬけれども、第一にどうですか、過密地帯の非常な現在のこの校舎の不足、それから土地の値上がりでこれらの解消ができないでいる、ここに集中するというような、これは明らかにやっぱり高度経済成長政策の落とし子なんです。だから、この点でははっきりやはり政治的に予算の中身に迫って、具体的にこういうような問題に対して対策を求めなくちゃならない。そうでしょう。これができていない。そして、一般の教育予算の中から全部そこのところへ集中して、ここのところが重点だと、この前の海部文部大臣の予算委員会の答弁を私聞いていてもそう思うのです。そうすると、このしわがどこへいっているかというと、これは過疎地帯にいっておる。そうして一方では統廃合が、反対にもかかわらずどんどんどんどんやられてきている。こういうような形になってきているんで、こういう問題を私はさせないために、何をやらなくちゃならないかと言えば、やはり高度経済成長政策のいままでの過ちというものを償ってもらわなきゃならぬ。それは財政的にもそういう点についてはっきりやはり確立させるだけの政治的努力が要るんです。これは一局長のなし得るところじゃないだろうと私は思う。したがって、これはどうしても文部大臣がそういうととろに目をつけなきゃならぬと思うんです。
 それから、全体を割って四十人以下が何ぼだとかなんとか言いましたけれども、やはりこれは四十五人以下に抑えていて大体そういうことになります。これは三十人以下になれば、もっと二十人とか、二十五人というようなところもあるわけなんですが、三十人ならばどうやらやれるんですよ。これは私は実際やったんだから、自分で経験した体験から言っておる。ところがもう四十人、四十五人、過密地帯になったら五十人というところもあるでしょう。そういうところではこれはやれないんです、実際は。結局は大量生産の教育になる。粗製乱造、何が早いかといったら詰め込みです。そうでしょう。一人一人の持っている個性を伸ばす、伸びるのは子供です。これに対して太陽や水の役割りをする、それは教師の力であり、教育環境の力なんです。それが非常に重要であり、教育基本法の第十条の中では特にそれがうたわれている。ところが、この十条のところが非常に衰えてきている。実際は、本当に基本法の十条が実施、実践されているかどうかということが論議されておりますけれども、教育は、いかにも国家に教育権がある、教育権を握る、そして命令はする、金は出さない。金は年々相対的に文部省予算は少なくなっている。そういうところに教育の逆立ちが始まってきておるんだという、そういう現実をはっきりやはり数字的な面から、国家財政の面から検討して明らかにする必要があるんですよ。そうでしょう。だから、その点についての御努力を文部大臣なされるのかどうか、これからこれは御検討していただきたい。
 私の言ったのは、非常に時間の短いところで本当に大筋だけしかお話を申し上げておりませんけれども、しかし、こういう点で本当にこれは検討されて、そして高度経済成長政策の落とし子、これについて本当に別な財政的な措置をして、そして一般に累を及ぼさない。全体の水準は上げていく。それから四十五人ということでありますけれども、この四十五人が実際はいまだにやはり教員定数の面から実現されていない。そういうことのためにいろいろな不十分さが起こっているわけですから、この四十五人を四十人にしようという、そういう決議が出されているわけでしょう。この決議が出ておるんだけれども、これは実践されないわけですね。これはやる気があるんですか、ないんですか。さらに、これは三十五人に迫り三十人にするような、そういう少なくとも世界の国々でやっている水準まで持っていく努力をされるのかどうか、その点いかがですか。
○政府委員(諸沢正道君) 学級編制の基準は、御承知のように標準法という法律によりまして、五ヵ年を一区切りとしてその期間内に一定の改善目標を立てて実施をしていくということでやってまいりまして、現在は昭和四十九年度から始まりました五ヵ年計画の本年が第四次になるわけでございまして、したがいまして、五十三年度までこの四十五人という標準をもって運営されるわけであり、五十四年度から、われわれといたしましては新しい五年計画を策定して、その計画にのっとって、いま学級編制の基準も含めて各般の条件の改善について検討してまいりたいというふうに考えておりますので、繰り返して申しますけれども、いまの問題も第六次の五ヵ年計画の際に検討の課題の一つとしてやってまいりたい、かように思うわけでございます。
○岩間正男君 これは五十三年までに達成したいと言っておられますが、なぜ一年繰り延べになったんですか、この原因は何ですか。
○政府委員(諸沢正道君) 四十九年からでございますから、五十三年までがちょうど五ヵ年の一区切りになるのでありまして、一年延長しているというようなことはございません。
○岩間正男君 一年これは何でないんですか、足踏みやったんじゃないですか。
○政府委員(諸沢正道君) それは足踏みではなくて、四十九、五十、五十一、五十二、五十三、五ヵ年の計画でございまして、その間に自然増、改善増を合わせますと約八万ほどの教員増を見込む。そこで、毎年大体均等にその改善増を予算上計上してまいったわけでございますが、五十一年と五十二年度につきましては、その改善増の部分につきまして、財政事情その他諸般の状況を勘案いたしまして若干の人数を五十三年度まで繰り延べることとした、こういうことでございまして、計画の年数それ自体を繰り延べたということではないのでございます。
○岩間正男君 その手段がこういうことですね、これは言っていること、現状の中にあるわけですけれどね。
 それでお聞きしますが、一学級四十五名以内の編制で、これは学級数をお聞きしますが、小学校幾らですか、それから中学校は。
○政府委員(諸沢正道君) ちょっと手元に小中別々のがございませんで恐縮でございますけれども、五十一年五月一日現在で小中の総学級数が四十四万四千四百十となっております。
○岩間正男君 それじゃお聞きしますが、教員の数は幾らですか。
    ―――――――――――――
○委員長(増原恵吉君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、片岡勝治君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
○政府委員(諸沢正道君) 五十二年度の国が負担金として用意します予算上の定数を申し上げますと、小学校、中学校、盲聾学校の小中学部、養護学校合わせまして六十九万二千七百九十九名でございます。
○岩間正男君 小中で専科教員を配置している、こういう実情をつかんでおられますか。音楽、図工、体育、理科、家庭科、これは小学校でこういうところはありますか。中学校では具体的にどういうふうなことになっておりますか。こういう実情をつかんでおられますか。
○政府委員(諸沢正道君) 小学校でも学級数と一般教員の数が全く同数ということはないわけでございまして、たとえば学級数五の学校でありますと、教員が七名、七の学級でありますと八・二名というような基準になっておりますので、各教科を担任する教員のほかに、音楽とか体育とかいうものをもっぱら担当するいわゆる専科教員も、そういう学級規模等に応じて若干ずつ小学校におることになっておるわけでございます。
○岩間正男君 これは全く若干ですね。実際これはやっぱり、小学校の教育の質を高めるという点から言えば一人でもういろんな教科を受け持てない。もっとも一人の人格で子供に接するという長所もあります。しかし、私は成城学園にいたんですが、成城の経験なんかから言えば、これは皆もう専科持っていますよ、小学校は。小学校は一年からもう図工とか、それから体育、音楽、それから演劇、そういうものを皆持っていますね。それはやっぱり豊かになりますよ。そういう点から考えれば、そういう方向をやる余裕はないのかもしれませんけれども、この点についての検討をする必要があると思うんです。
 それから授業を受け持つ時間ですね、これは小学校は二十六時間ですか、中学校は二十四時間ですか、高校は十八時間ですか、こういうふうなことになっておりますか、いかがでしょう。
○政府委員(諸沢正道君) 小学校が二十六、中学校が二十四、高等学校が十八というのが一応の目安になっておるわけでございますが、実際には、われわれが四十九年の十月に調査いたしました結果によりますと、小学校が二十三時間、中学校が十八・三時間、高等学校が十五・二時間、こういうことになっております。
○岩間正男君 いまの後で発表されたその数字でも、これはどうですか、本当に教育の質が、内容が充実するというふうに考えておられますか。
○政府委員(諸沢正道君) 小学校の子供の毎週の授業時数というのは、御承知のように一年生で二十五時間、六年生で二十三時間ぐらいであったかと思いますが、そういう実態を踏まえますと、やはり小学校の先生としてはできるだけ子供に多く接して、自分の受け持ちの学級の子供の教育を担当していただくということが一方で必要であり、一方でまた適正な負担ということで、十分研究の余地も持っていていただくということも必要だろうと思います。そういう両方から考えましても、私どもはいまの程度の授業をしていただくというのはやはり適当なんではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
○岩間正男君 時間の関係で簡単にやりますけれども、これは授業時間だけでははかれないんですね。ほかにクラブ活動、それからいろいろな雑務がある。それから十分な教材研究をやる。こういうことになるというと、二十三時間とか言っていますが、二十六時間もあるわけですね。これは非常にオーバーワークになる。その結果が子供に響くんです。こういうことについて、何かこれをもっと質的に高めるというようなことを考えておられますか、どうですか。
○政府委員(諸沢正道君) もちろん負担の問題というのも一つの検討の課題でございますけれども、同時に教師という職業に対する適正な給与という面からもいろいろ検討し、御承知のようにその処遇の改善を図ってまいりましたし、また各般の研修等を実施して、その資質の向上を図るというようなこともやってまいっておるわけでございますので、それらを総合して、今後も教員の処遇の充実を図ってまいりたい、かように思っております。
○岩間正男君 時間ないから簡単に聞きますが、七十二国会で、標準定数法審議の際に附帯決議をつけて四十人を要望したんですね、学級定数を四十人。これで試算をされましたか。四十人にすればどれぐらいのこれは教員増が必要なのか、それから人件費はどれほどの増になるのか。それから教室ですね、これが何教室必要になるのか、その建築費がどれほどになるのか、こういう点についてのこれは試算がございますか。
○政府委員(諸沢正道君) これは試算をいたしますと、一学級を四十五人から四十人にした場合に学級の増が約三万四千、それから増加教員数が四万三千、そしてそれに要します人件費が年間千七百八十一億六千四百万、それから校舎の建設に要する経費、これが機械的に学級の増分を計算してそれに必要な経費を掛けたという金額でございますが、五千二十三億、こういうふうになっておるわけでございます。
○岩間正男君 こういう問題で文部省はPRをしたことがありますか、国民に向かって。
○政府委員(諸沢正道君) 先ほども申し上げましたように、これはそういうふうにした場合にこれだけの金がかかるという一種の試算でございますが、現実には個々の学校について考えました場合に、単に校舎だけではない、あるいは校地の問題もありましょうし、いろいろな条件がございますので、われわれとしてはこれを一つのめどとして検討の課題にはいたしておりますけれども、これを一般にPRをするというようなことはいたしていないわけでございます。
○岩間正男君 そこが本当にこれは国民に訴えて、国民との連帯で教育をつくっていくという民主教育の確立の一番基本的な課題については、ほとんどこれはなおざりにされているのが現在の文部行政ではないかというふうに思うんですね。これはどうでしょうね、文部大臣、こういう問題について四十人にしたらこうだと、これを三十五人にしたらどうだと、これぐらいの試算をやって、大まかでいいんですけれども、これについてやはり教育の質の向上のために実際はこの定数問題というものと本当に取り組んで、そうして本当にこの基礎を確立するということは、先ほど申し上げましたような戦前の禍根、さらにはその後における高度経済成長政策の中における、何といいますかな、低廉な労働力と従順な労働力、そういう生産の、これは中教審方針の中にそういうものは出てくるわけでしょう。そういうものじゃなくて、本当にやはり一番基礎からそういうものを鍛えていく、それを父兄に本当にアピールして、父兄との連帯でそういうものをつくり上げていくという、そういう努力なしには何年たってもこれはじり貧になっていくのじゃないか、相対的には。こういうふうに思うんです。だから、これは学力低下にはっきりやっぱりつながっていくし、非行問題の一つの根源にもこれはなっている。だから、その点が非常に重大だと私は思うんであえてきょう質問したわけですが、やはり一番基礎の問題です。基本的な問題です。この問題というものは、戦後もう三十二年になります。私が申し上げましたように、日本の戦後における教育改革の中の歴史の中で、四十五人以内というものを闘い取ったのは二十一年の三月ですから、それからすでに三十数年暮れるが問題は解決していないというこの現実というものは、何ともごまかすことのできない冷厳な事実なんですね。私から考えると、非常にこれは遺憾なんだ。だから、いろいろこの効果について、教育行政についてあなたたちPRされますけれども、基本的に考えてみたらとてもそういうことになっていない。これは大衆負担の問題についても、非常にまた最近、まあ一時油ぶくれの中で、一応これは教育の費用については大衆負担も可能なことがあったけれども、非常に困難になってきている。どうしても憲法二十六条というものは文字どおり生かされなければならぬです。単に、教科書をやったからこれであの二十六条が実施されているんだなどというこっけいきわまる、こういうような、もう本当に何といいますか、文部省一流の弁解みたいなのは許されないです。どう思いますか。この点をやはり本当に腹を据えて考え直さなくちゃならない。基礎から考え直さなければならぬ。三十年暮れて依然として解決していないというこの現実は、何ともこれはごまかすことはできないでしょう。どうでしょうか。この点を私は問いたい。私は国会を間もなく去るんだから、去るに当たってこのことを特にこれは文部行政の中にぜひ検討課題として残していきたい。どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在の教育の抱える問題点、改善しなければならない問題点は、制度の問題と、携わる人の問題と、それから教材の問題、いろいろあろうと思います。先生御指摘のこの問題も、確かにその一面であり、また私どももこれを放置しておるわけではなくて、少しでもこれを改善していかなければならぬという努力の積み重ねをしておるところでございますが、一〇〇%完璧に到達できるという目標を置いて、それに向かって一歩一歩努力を重ねていくところでありまして、御指摘の問題も確かに重要な問題でありますから、私どもが考えております他の人の問題、教材の問題、いろいろありますが、教育改革を行うためにすべてにやはり取り組んで一歩一歩前進をしていきたいと、こう考え、また努力も積み重ねてまいりますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○岩間正男君 時間もないですから、最後二、三の問題だけお聞きしておきます。
 これは文部省に、教員定数改善五ヵ年計画の年度別遂行状況について、教員定数の自然増の問題ですね、これは生徒の増加による自然増、それから計画に基づく改善による増、こういうものですね、これを区別してつかんで資料として出してほしい、こういう要求をしたのですが、これははっきりつかんでいないので出されないということですけれども、こういうものはもう少しやっぱり、それぞれの中で本気になって努力する必要があるんじゃないか、そうでないと、どんなにきれいなことを言っても、それを本当に定着させることはできないだろうと思う。まず調査から始めなくちゃならない。これはどうですか、こういう努力されますか。
○政府委員(諸沢正道君) 実績につきましては、各県非常に細かい数字になりますので多少の誤差はあろうかと思いますけれども、大筋の数字はつかんでおるわけでございますので、もし御要望でございますればここで申し上げさしていただきたいと思います。
○岩間正男君 不完全でもいいから出して、それをまだ未定稿でもいいから出して、そういうものを、やっぱりいろいろ意見を聞いてはっきりまとめていく努力をされる必要があると思う。とかく資料要求に対しては、いろいろな壁があって出されないということが多いですから、そういうことのないようにしなければまずいと思う。
 最後に、これは大急ぎで読むような形でお聞きしますが、大学の教務職員に関する質問をしたいと思います。大学に教務職員を置いていますが、学校教育法では、学長、教授、助教授、助手についての職務は規定されているが、教務職員については、職名も職務も規定されていない。教務職員について、これらの法的根拠はどこにあるのか、これは文部省にお聞きしたい。簡単に答えてください。
○政府委員(井内慶次郎君) 国立学校設置法第十条で「各国立学校に置かれる職の種類は、文部省令で定める。」とされ、これを受けまして、国立学校設置法の施行規則第一条第一項で教務職員の設置根拠を置き、第五項でその職務内容といたしまして、「教務職員は、教授研究の補助その他教務に関する職務に従事する。」と、かような規定を根拠といたしております。
○岩間正男君 それじゃ私の質問これで終わります。
○委員長(増原恵吉君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 文部省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(増原恵吉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後九時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後十一時五十五分開会
○委員長(増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 本日の会議はこれにて延会し、零時十分より再開をいたします。(「前例にないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)零時十分から趣旨説明を聞くことといたします。
   午後十一時五十六分散会
     ―――――・―――――