第080回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第6号
昭和五十二年六月九日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大谷藤之助君
    理 事
                佐藤 信二君
                平井 卓志君
                矢田部 理君
                橋本  敦君
                三治 重信君
    委 員
                岡田  広君
                戸塚 進也君
                宮崎 正雄君
                最上  進君
                野田  哲君
                相沢 武彦君
                峯山 昭範君
                神谷信之助君
   国務大臣
       法 務 大 臣  福田  一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  三原 朝雄君
   政府委員
       国防会議事務局
       長        久保 卓也君
       警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君
       防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君
       防衛庁装備局長  江口 裕通君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
       法務省入国管理
       局長       吉田 長雄君
       外務省アジア局
       次長       大森 誠一君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       大蔵大臣官房審
       議官       徳田 博美君
       農林省農林経済
       局長       今村 宣夫君
       農林省構造改善
       局長       森  整治君
       運輸大臣官房長  山上 孝史君
       運輸省航空局長  高橋 寿夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部防犯課長   長岡  茂君
       警察庁警備局外
       事課長      城内 康光君
       外務省アジア局
       北東アジア課長  遠藤 哲也君
       大蔵省国際金融
       局企画課長    神馬 常郎君
       社会保険庁長官
       官房経理課長   加藤 陸美君
       運輸省航空局審
       議官       山地  進君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○ロッキード疑獄事件の徹底糾明に関する請願
 (第四〇号外五九件)
○ロッキード事件の徹底解明に関する請願(第八
 六号)
○「ロッキード疑獄」真相究明に関する請願(第二
 八七号外一八件)
○ロッキード汚職の徹底究明に関する請願(第三
 〇九号外一八件)
○ロッキード事件の真相の徹底的糾明に関する請
 願(第三七二号外二件)
○ロッキード事件の真相の糾明に関する請願(第
 三八三号)
○ロッキード汚職事件の真相究明に関する請願
 (第一七九七号外一八二件)
○継続調査要求に関する件
○ロッキード問題に関する調査
 (ロッキード問題に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(大谷藤之助君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。
 これより請願の審査を行います。
 第四〇号ロッキード疑獄事件の徹底糾明に関する請願外二百八十五件を一括して議題といたします。
 今国会中本委員会に付託されました請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
 理事会で協議いたしました結果、これら請願のうち第八六号外二十件は議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要しないものとし、第四〇号外二百六十四件はいずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大谷藤之助君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 ロッキード問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大谷藤之助君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○野田哲君 まず法務大臣あるいは警察庁の方に伺いますけれども、 ロッキード事件に関連をして、いま倒産で話題になっている東亜相互企業株式会社、ここの事務所を調査をされたというふうに聞いておりますが、この調査の容疑あるいは調査の結果、これについてお伺いをいたしたいと思うのです。
○政府委員(伊藤榮樹君) 検察当局といたしましては、ロッキード事件に関連してお尋ねの会社について捜索をいたしたことはございません。
○野田哲君 入管の関係にお伺いいたしますが、これは後で重ねてこの東亜相互企業については質問をいたしますが、東亜相互企業のTSK・CCCビル、このビルの中にあるクラブ、ここが日米韓、この三国にまたがる政界工作のためにかなり頻繁に使われていた、こういう情報がありますが、この件は後で伺いますが、この東亜相互企業に関連をして、最近、東亜相互企業の系列の秘苑の問題が風俗営業等の問題で強制捜査を受けているわけでありますが、ごく最近、六月二十日を予定日として韓国ソウルからキーセン十名が入国をする申請、この入国に当たっては東亜相互企業が身元引き受けの保証人になって手続がなされている、こういうふうに私は情報を得ているわけですが、これは事実かどうか、まず伺いたいと思います。
○政府委員(吉田長雄君) ソウルのわが大使館に女性十名の入国申請がございまして、外務省を通じ、目下入国管理局に外務省から協議を受けております。
○野田哲君 その件について法務省としてはどういう態度をお持ちですか。
○政府委員(吉田長雄君) 先日、新聞に問題の企業が倒産したという記事も出ましたので、目下実態を調査中でございます。
○野田哲君 実態を調査中ということでありますけれども、法務省として東亜相互企業の状態について、これを入国に当たってこの企業が身元を引き受けるということについて、倒産等の問題については調査中であるということでありますけれども、妥当性があるというふうにお考えですか。具体的に言えば、たとえば秘苑の問題についても、これも後で警察庁に伺いますけれども、風俗営業という形で強制捜査を行われているわけでありますけれども、秘苑が風俗営業の問題で強制捜査を受けるといこうとは、とりもなおさずそこに女性が不法に接客業務を行っているということがあって、風俗営業違反ということが成り立っていると思うんです。過去にそういう入国関係で不法な扱いが行われている、こういう前歴がある企業がさらに引き続いてキーセンの入国を行わせようとする、このことは調査するまでもなく適当な措置ではないと、こういう判断をすべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(吉田長雄君) お答えいたします。
 先生ただいま御指摘の秘苑は二つございまして、風俗営業違反で目下警察で取り調べ、調査しておりますのは湯島秘苑の方でございます。その湯島秘苑に関しましては、その後女性の入国を認めておりません。
 それからいま問題の御指摘の方は銀座秘苑の方でございます。これはただいま調査中と申しましたのは、保証人になり得る能力を持ち得るかどうかということを――この間ちょうど新聞に出たところでございますので、いま慎重検討中と、調査中ということでございます。
○野田哲君 これは入管局長、問題になっているのは湯島秘苑で、今度入国しようとするのは銀座秘苑だと。これは私はやはり詭弁だと指摘をしなければいけないと思うんですよ。湯島秘苑であろうが銀座秘苑であろうが、これは経営者は東亜相互企業町井久之であることは間違いのない事実なんです。
 それでは、その適格性について伺いますけれども、社会保険庁お見えになっておりますか。東亜相互企業は経営者として当然納付すべき従業員の厚生年金保険、健康保険等々のいわゆる納付義務者になっていると思うんですが、従業員から源泉徴収をした厚生年金の掛金を含めて、企業側の負担も含めて、かなりの額の滞納があるというふうに私は調査しておるわけでありますが、その状態はいかがですか。
○説明員(加藤陸美君) 御質問の事業所に係ります社会保険関係の保険料の収納の状況でございますが、本年の二月分までは収納済みでございます。その後の分、つまり三月分と四月分でございますが、三月分につきましては一部収納済みでございます。四月分は現時点では未納となっております。
○野田哲君 金額を言ってください。
○説明員(加藤陸美君) その金額は月によりまして若干異なりますが、一カ月千三百万でございます。で、三月分、四月分を合わせますと、約二千二百万程度となっております。
○野田哲君 三月、四月で二千二百万ということになれば、恐らくこれは、五月もすでに経過をしているんですが、五月についてはまだ納付期限が来ていないということで、保険庁の方ではこれはまだ滞納の扱いになっていないと思うんですが、五月の納めるべきものを含めるとどのぐらいになりますか。
○説明員(加藤陸美君) 納付期限がまだ到来しておりませんが、一カ月千三百万前後でございますので、さらに千三百万加わることになる可能性が多いと存じます。
○野田哲君 法務大臣、入管の業務を所管しておる法務大臣に伺いますが、先ほど来の入管局長とのやりとりをお聞きだと思うんですが、この東亜相互企業、すでに不渡り手形を出して倒産という状態になっているわけです。この実態は後で同僚の矢田部議員から重ねて質問があると思うんですが、そういう状態の中で、当然経営者として従業員の掛金等も含めて納付すべき社会保険関係の納付金だけでも五月まで含めると三千五百万納付していない。この状態でいけば、これは納付義務者としては、従業員から掛金を徴収をして、そして社会保険庁の方へ納めていないということであれば、これはもう明らかに、法的に言えば従業員の掛金だけは、これは単なる滞納ではなくて、横領に相当するような状態になっているわけです。そういう状態で、国に対する義務も怠っている。しかもその経営する事業の一部が風俗営業によって強制捜査を受けている。これは前歴もかつてあるわけです。再度こういう状態になっているわけです。そういう状態で、しかも重ねて韓国からキーセンの入国を行わせようとしている。私の調査したところによると、キーセンというのは表向きであって、実質的には売春行為、そうしてキーセンの中には特殊な教育を受けて、日米の接客業務を行う中で、その政治工作の手先としてKCIAの特殊教育を受けて、そういう任務を与えられている者もいる、こういうふうに私のところに情報をもたらしている事実もあるわけであります。
 しかも、この東亜相互企業の経営するところの秘苑、あるいはシルクロード、こういう場所が日米韓三国にわたる政治工作にかなりの役割りを果たしている、こういう疑惑が持たれているわけでありますが、そういう状態の中で再度、この入国手続について、いまの入管局長では、これは湯島ではない、銀座秘苑のことであるし、東亜相互企業の倒産の状態等調査中であると、こういうことで結論をあいまいにされておるわけですが、一体そういう状態で、そういう背景を持った形で、キーセンの入国を認めるということが妥当な措置であるかどうか、明確にしてもらいたいと思うんです。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 ただいまお話を承っておる状況、並びに政府委員の答弁等を聞いておりますが、政府委員がいま慎重に検討しておるということでございますから、その検討の結果を踏まえて態度を決めたいと思っております。
○野田哲君 それでは関連して警察庁に伺いますけれども、おられますか。――この前、湯島の秘苑が風俗営業違反ということで強制捜査をされたと思うんですが、これは私、予算委員会でも指摘をしたんですが、風俗営業違反ということは、風俗営業を行ってはいけない区域で女性が接待に加わっていたから風俗営業ということになったと思うんです。そうすると、そこにはべっていた女性というのは当然風俗営業違反であると同時に、これは接客業務をやっていた女性がいたということは、その女性については、これは入管法違反ということになるんではないんですか。この扱いはどうなっているんですか。
○説明員(長岡茂君) 湯島秘苑の風俗営業等取締法違反、つまり無許可営業でございますが、これについては三月中に検挙したわけでございますが、この風営法違反につきましては、これは営業者を処罰の対象といたしておりますので、そこで接客をやっておったキーセンは参考人という取り扱いになっております。
 それから出管令違反があったではないかということでございますが、これにつきましても、これと同時に警視庁において捜査をやったわけでございますが、御承知のように出管令で規定されております資格外活動の構成要件でありますところの、もっぱら資格外活動を行っていたかどうか、当該キーセンが行っていたかどうかということが明らかであるかどうかについて検討したわけでございますが、そこまでの事実認定ができなかったということで立件しなかったというふうに聞いております。
○野田哲君 これは実に意外な答えじゃないですか、そうでしょう。風俗営業で摘発をしたということは、つまり接客業務に携わっていけない女性が接客業務をやっていたから、その経営者が風営で摘発を受けたわけでしょう。そうすると、そこに接客業務に携わっている女性が存在したということは、日本への入国を許可された条件というのは、これは興業によるビザか、観光によるビザ以外には認められていないはずなんですから、そういう女性が客のそばにはべっていたということは、つまりその行為は、明らかに経営者を風俗営業違反で摘発をしたということは、つまりそこには資格外活動をやっていた女性がいたから風俗営業違反が成り立っているんではないですか。その点はどうなんですか。
○説明員(長岡茂君) 当該キーセンの入国目的が興業ということでございますけれども、それが資格外活動になるということば、もっぱら興業以外のことをやっておったと、そのもっぱらの解釈でございます、もっぱら興業以外の活動をやっておった場合に資格外活動になるというふうに私ども承知しておるわけでございます。このキーセンは興業活動もやっております。歌を歌ったり踊ったり、それから老人ホームの慰問をやったり、そういうふうな興業目的の活動もいろいろやっておりまして、もっぱらその接客をやっておったというふうな認定ができなかったということでございます。
○野田哲君 この件については、後で引き続いて同僚の矢田部議員の方で重ねて疑惑をただしてまいりたいと思います。私は別の問題に移ってみたいと思うのです。
 法務省、それから外務省のアメリカ局長、見えておりますか。――外務省なり法務省では、アメリカの下院の外交委員会、フレーザー下院議員を委員長とする国際機構小委員会、ここで韓国問題について具体的な調査を行っている、このことは御承知であろうと思いますが、この国際機構小委員会で、四月四日に韓国のアメリカにおける幾つかの政界工作の疑惑について具体的な事例を挙げて調査をして、その調査の結果について、中間的ではありますけれどもレポートが提出をされている、この事実について承知をされておりますか。
○政府委員(大森誠一君) ただいま先生御指摘の中間的な報告という点については、外務省としては承知いたしておりません。
○野田哲君 法務省の方はいかがですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) いわゆるフレーザー委員会で韓国問題を集中的に審議しておられることは承知しておりますが、ただいま御指摘の報告書はまだ拝見しておりません。
○野田哲君 私の手元に、いまここにこのいわゆるフレーザー委員会で韓国の対外的な政界工作、ロビー活動についてフレーザー委員会で調査をしたレポートがあります。これを全文を省略して要点を私が読み上げて、引き続いて幾つかの点を質問したいと思うんです。
 これは下院国際機構小委員会から一九七七年四月四日付で「米韓関係の調査について、」こういう表題で提出をされている調査結果のレポートです。
 概要を申し上げますと、「調査の対象になった容疑事実 宣誓証言及び小委員会による調査活動を通じて入手した情報による容疑事実は下記の通り 一、KCIAと文鮮明傘下の諸団体との連けい関係。二、文鮮明の側近並びに朴東宣によるアメリカの銀行(ディプロマット・ナショナル・バンク)支配の企て。三、合衆国憲法に保証された韓国系アメリカ人の基本的人権を侵害するKCIAの脅迫といやがらせ。四、韓国政府によるアメリカの報道機関及び学界に対する買収工作。五、韓国政府が在韓米軍との物資調達契約を組織的にみずましし、米国納税者に数億ドルの過重負担をかけた事実。六、文鮮明の側近でありKCIAのエージェントと目される人物が主宰する在米の某団体による募金詐欺。同団体は韓国のラジオ放送のための募金活動を韓国政府のエージェントとして推進したことは明らかであるが、集めた金をその目的に使用することには失敗した。七、韓国政府による在韓米企業からの資金強奪。八、過去六年間以上にわたり行政府の関係当局がこれらの諸活動の一部を感知していながら、その停止又は防止のための適切な措置をとらなかった事実。九、法に定められた議会への報告義務を怠り、韓国との間に秘密行政とり決めを結んでいた事実。十、PL四八〇法案による韓国向け食糧輸送をめぐる取引きに関連して明らかに違法の手数料を秘密裡に支払っていた事実。」こうなっているわけです。
 引き続いて「これらの容疑を示唆する次の証拠を入手している。一九七四年日本の首相の訪米に際してKCIA及び文鮮明主宰の団体は訪米反対デモを計画した。国務省はこの計画を探知すると同時にKCIAに対し、その中止を要求したと伝えられる。その翌朝文の団体は、デモ開始予定時刻のわずか一時間前になって突如デモをとりやめた。」
 次、「韓国政府職員が文により所有され運営されている反共訓練学校に参加している事実。」
 次、「文のアメリカ人信奉者達は韓国に対し異常な敬意を示すよう教えられ、韓国の国益擁護のため、米国議会に対しロビー活動をするよう送りこまれており文がすいせんする候補者の選挙運動に参加させられ、またソウルのKCIA本部で教育を受けてきている。」
 次、「一民間人として米国に居住している文の側近が韓国大使館の情報通信施設を常時使ってきた事実。」
 次、「文主宰の団体の会員達及び朴東宣の共同事業者達が共同してワシントンのディプロマット・ナショナル・バンクの株式の絶対過半数を所有している事実。自分達の私産を総て同団体に献納したとしようとする文の信奉君達が株式購入の資金をどこで確保したかについては不明の点が依然残されている。」、まだいろいろありますけれども、時間の関係で、そういうような具体的な事実を、証拠を入手した、こういう情報がレポートとしてこのとおり出されているわけであります。
 そこで具体的にこの問題について伺っていきたいと思うんですが、まず、「一九七四年日本の首相の訪米に際して」云々、これは恐らく一九七四年九月、田中総理が中南米からワシントン、カナダ、こういうコースで訪米をされたときのことだろうと思うんですが、そのときにKCIAと文鮮明の主宰の団体、つまり統一教会がこれに対していろいろな抗議の行動をとろうとしていた、この事実を、情報をつかんでおられますか。
○政府委員(大森誠一君) お答え申し上げます。
 田中元総理が訪米されましたのは一九七四年九月二十一日にワシントンに立ち寄られたわけですけれども、ただいまの御指摘の田中元総理の訪米といいますのはこの際の訪米のことを指すものと考えられます。この田中元総理の訪米の際に在米韓国人による反日デモがあるかもしれないとの情報につきましては、当時わが方は米側より事前に入手いたしておりました。しかし実際には、田中総理の米国立ち寄りの際には、同総理に対しますデモなどは特にございませんでした。ただ、当時は朴大統領狙撃事件で韓国国内で反日デモが盛んに行われていた時期でもございまして、米国におきましても、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス等で在米韓国人によるわが方在外公館に対する小規模なデモは発生いたしておりました。たとえばニューヨーク総領事館に対しては、その年の九月九日、十三日の二回、数名の者によって、またサンフランシスコ総領事館に対しましては、その年の九月十四日に約二十名の者により、またロサンゼルス総領事館に対しましては九月六日約四十名の者により、九月十一日約二十名の者により……
○野田哲君 もういいです。情報を知っていたということであればそれでいいんです。
○政府委員(大森誠一君) 二回ほどの陳情と申しますか、そういう動きがございました。ただその背景にKCIAその他の動きがあったという点につきましては、私どもは必ずしもはっきり承知していないわけでございます。
○野田哲君 法務大臣、法務大臣に伺いますけれども、まずこのフレーザー委員会の報告書、いま私が続み上げたような内容が出ているわけですが、このフレーザー委員会で調査をし、そして容疑事実、具体的な証拠を入手した、それに基づく報告書によると、まず第一、一貫していることは、KCIAとそれからここでは文鮮明の主宰する団体と、こうなっております。明らかにこれは統一教会並びに勝共連合を指していることは間違いない事実だと思うんです。かつてこの統一教会については福田総理――法務大臣でなくて、福田総理のことです。福田総理やあるいは現福田内閣の閣僚数名の方、石原環境庁長官、海部文部大臣等数名の現職の福田内閣の閣僚が文鮮明の主催する帝国ホテル等の会合に参加をして称賛のメッセージを送り、文鮮明の思想、信条に対して強い共鳴のあいさつをされている事実がある、そのことに対して福田総理は何回もこの予算委員会等で指摘されたことについて、文鮮明氏は私と全く考えの一致をした偉大な指導者であるというような意味のことを答弁をされている。さらにKCIAの活動については日本には存在をしないと、こういう答弁をされているわけです。
 このアメリカのフレーザー委員会で調査したこれだけの資料をもってしても、KCIAと文鮮明の主宰をする統一教会や勝共連合が全く一体の活動をしているということの具体的な事実が挙げられているし、そして彼らは在米韓国外交機関の通信施設等を自由に使ってきている、こういう事実が指摘をされている。このことは私も二月にアメリカに行って調査をしてきて具体的な事実として把握をしているわけでありますが、こういうふうにアメリカではKCIAの活動と統一教会、勝共連合の活動についてこれだけ指摘をされているにもかかわらず、日本政府としては、法務大臣としては依然として日本にはKCIAの活動は存在しない、統一教会は全くりっぱな団体で共鳴に値する、こういうふうな認識を持っていいものかどうか、法務大臣としての見解をまず伺いたいと思うんです。
○国務大臣(福田一君) 福田総理がどういうような答弁をされたかということについては、私その席におりませんでしたと思うので、はっきりお答えすることは……
○野田哲君 予算委員会です。
○国務大臣(福田一君) 予算委員会、それならばそういう、いやその内容を、私いまつぶさに覚えておらない、こうであったということを覚えておりませんからいまここでお答えすることはできませんが、いまあなたがおっしゃったフレーザー委員会、それから今度フリント委員会というものをつくったとかいうことを聞いておるのですけれども、フレーザー委員会がいろいろ調べた結果こういう容疑があるというリポートを出した、こういうことは私も新聞その他でも見ておりますし、いまあなたのおっしゃったのはそのリポートの内容であろうかと思います。そのことは知っておりますが、海外において文鮮明の一派あるいはKCIAの行動があったということについて、アメリカが公式にまだ確認をしておるかどうか、それは委員会のリポートであって、これからもまだもっと容疑を解明するためにいろいろ努力をされるのじゃないかと思っておりますが、われわれの方ではまだ外務省もいまお話しになったことについては情報を入手しておらないという状況でございますので、これについて正式にそのとおりであるというようなことはもちろん私として確認をするわけにはまいりません。
 そこでそういうような、アメリカにおいてフレーザー委員会が情報としてそういうものを収集し、そうしてそういう動きをしておるということがある、それならば日本においてもそういうことがあり得ると考えるべきである、あり得ると考えるならすぐに捜査でもしたらどうか、あるいは調査に踏み切るべきではないかというような御質問だといたしますれば、われわれとしてはまだそこまでの具体的な事実をつかんでおりませんので、まだ捜査に着手するというようなことはいたしておらないのは事実でございます。もしそういうことがはっきりいたしますれば、これは当然やらなければならないことであると私は存ずるのでありますが、アメリカでそういうことがあったからもう当然これをやれというお言葉であるとすれば、まだそこまでの確認もいたしておりませんので、われわれとしてはやはり具体的事実の把握については深い関心を持っておりますが、その事実をつかんだ上で措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○野田哲君 これは法務大臣、日本の法務省や外務省は日米韓にかかわる問題について、私はこれは驚くべき対応の意識的な鈍さだとこういうふうに言わざるを得ないと思うのです。ここで指摘をされていることでも、やはり政界工作、特に選挙活動等についても、文鮮明が推薦をする候補者の選挙運動に参加させられ、またソウルのKCIA本部で教育を受けてきている。特定の候補者に統一教会が選挙運動に参加をさせられているという事実をアメリカで指摘されていることは、日本においても昨年の総選挙において幾つかそういうあれは情報として出ているわけですよ。東京、大阪等において、特定の候補者を推薦をして募金活動を行い、選挙運動に参加をした、こういう事実があるということが報道機関でもされているのですよ。それに対していまの法務大臣のお答えは、事実は承知していないので云々ということでは全く対応の鈍さということを指摘せざるを得ないと思うのです。
 大蔵省見えておりますか。――このフレーザー委員会のレポートの中にあるワシントン・ディプロマット・ナショナル・バンク、この銀行には、これはかつて共産党の橋本議員も指摘をされたことがあるわけですが、日本における勝共連合、統一教会の代表者格と言われている久保木修巳という人が役員として参加をしている。この久保木修巳がディプロマット銀行の役員として参加をしていることについて、その役員として参加をする裏づけとなる出資、送金等の手続が久保木名義で行われている事実があるかどうか、あればどのような内容になっているか、この点を報告してもらいたいと思うんです。
○説明員(神馬常郎君) お答えいたします。
 まず、久保木なる名前の方がディプロマット・ナショナル・バンクの役員になっているかどうかという点でございますが、この点につきまして、私ども一九七六年版の全米銀行一覧というもので確認したところによりますと、少なくとも会長、頭取、取締役というところには入っておりませんので、その点実はつまびらかにしておらないわけでございます。
 それから、久保木なる名義で出資があったかどうか。外国の銀行に出資いたしますのは許可が要るわけでございますが、その許可の事実はございません。
○野田哲君 恐らくこれは正規の手続を経ないで日本から大量の送金が行われている、こういうふうに私は考えているところです。で、その具体的な事実として、日本の街頭で、花売りあるいは韓国の陶器あるいはニンジン茶等が訪問販売、街頭販売等で大量に売られています。これをやっているのは統一教会あるいは大学にある原理研究会等の信奉者がやっているわけでありますが、統一教会の活動、原理運動の活動を告発をするこの関係者の父母の会、この父母の会の指摘をするところによると、韓国の陶器やニンジン茶、花等を街頭でやっていること、あるいはまた北方領土の問題等で募金活動を街頭でやっているこの収益といいますか、水揚げが四百数十億円に達しているはずだ、こういうふうな内部からの告発資料もあるわけであります。恐らくこれがいまフレーザー委員会が指摘をしている不明な部分として挙げられているんだと思うんです。その資金ルートが不明であるというこういう点については、もっと積極的に調査をする必要があるのではないか。このことを指摘していきたいと思うんです。
 そこで、もう一つ関連をして入管あるいは外務省に伺いますけれども、統一教会と一体の組織として幸世商事という企業体があります。幸い、それから世界の世を書いた幸世商事、ここから年間大量の、社員という名目で、営業活動をやるということで出国をしている。そして、この出国をした幸世商事の社員が、外国において出国の目的である営業活動ではなくて布教活動、あるいは出国先の国外で不当な政治活動をやっているということで、この行き先等から抗議を受けたりあるいは送還をされたりした事実があるはずだと思うんですが、そういう事実についてどういうふうに把握をされておりますか。
○説明員(遠藤哲也君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、商用あるいは観光というような目的で日本から多くの人が、主としてアメリカが多いと思いますけれども、アメリカに参ります。ところが、アメリカでは実際上必ずしもそのような目的ということではなくて、街頭で花売りをしたりあるいはそういったようなことで、観光あるいは商用の場合ビザの期間というのはある程度限定されているものでございますから、その人たちがビザの切りかえ要請をアメリカの移民局にしているわけでございます。私どもが把握しておりますのは二回そのケースがございまして、一つは三年前の一九七四年の一月でございますけれども、統一教会の外国人関係者、これはアメリカにおります外国人の統一教会関係者五百八十二名がビザの切りかえ要請をしたわけでございます。このうち二百八十一名が日本人であったわけでございます。ところが、この五百八十二名のうち、いま少なくとも、日本人について申しますと二百八十一名につきましては、いずれもどうも、ビザの切りかえ、つまり商用なりあるいは観光なりから伝道修習生というふうなビザヘの切りかえでございましたけれども、その理由なしということで却下されたということを承知しております。それからもう一件、最近のケースでは去年の七月でございますが、百七十名が同様にやはりビザの切りかえ、資格変更を申請いたしまして、そのうち百六十五名が実は日本人だったわけでございますけれども、この申請につきましては目下審査中であるというふうに承知しております。
 このようにアメリカの、前者につきましてはすでに資格変更の申請が拒否されたわけでございますけれども、そうしますと、当然不法残留になるかと思いますが、それらが現実的に、実際上どういうふうに、すでにあるいは自分の意思でもって出国したのか、あるいは強制退去の処分を受けているのかという事情は、実はアメリカに照会したわけでございますけれども、アメリカ自身がやはりなかなかその実態把握がむずかしいというようなことで、いまのところまだちょっと時間をかしてくれということでございます。ちなみに、先ほど申した二百八十名ぐらいの日本人のうち、四月二日現在でございますけれども九十三名が帰国しておるということを法務省から報告を受けております。
○野田哲君 時間の関係もありますので、私のあれはきょうはこの程度にして、最後に法務大臣に警告かたがた要請をしておきたいと思うんですが、先ほど来私が読み上げたフレーザー委員会のレポート、この中では具体的には指摘をされておりませんけれども、韓国のいわゆる対米工作、この対米工作の一つとしてのアメリカの議員に対する金銭の受け渡しとかあるいは接待、韓国への招待、こういう行為が、この指摘をした東亜相互企業の港区六本木のTSK・CCC、このビルの中にあるナイトクラブが舞台として大きく利用されている、これがこのフレーザー委員会のレポートの中で背景として把握をされているわけであります。アメリカの議会においてはすでにそこまで調査が進められているわけであります。東亜相互企業は、私が指摘するまでもなく、発足の当時は児玉譽士夫が会長であったわけです。そしてかつての東声会の町井久之、韓国名鄭建永、彼がいまこの企業の代表者であります。こういう背景の中で、日本が舞台として、しかもいろいろ疑惑を持たれている東亜相互企業が、その舞台として賄賂工作に使われていたということ、そしてアメリカにおけるKCIAの活動、統一教会、勝共連合とKCIAの一体となった活動がすでにここまで調査をされているわけです。しかも、アメリカにおける工作というのは、日本における工作、これを下敷きにしてアメリカにその政治工作を輸出をした、青写真として下敷きにして輸出をしたと、こういう背景はもう疑いもない事実だというふうにアメリカの関係者の間では認識をされているんです。こういうふうな状態でありますが、それを法務省あるいは外務省、日本の政府としては全く正しい認識を持っていない。そういう形でこの問題の対処をしていったときには、再びロッキード事件に続いて、日本に対して、日本にかかわりのあることがアメリカからの外電によって直撃を受ける、こういう愚かなことを、また繰り返すことになるのではないか、私はこういう懸念を持つわけであります。もっと日本政府みずからが日本の国内におけるKCIAの活動、統一教会における活動、政界ロビー工作、こういう問題について正しい認識を持って対処されなければ、また世界に対して日本の政府は大きな恥をさらすことになるであろう、こういう点を指摘をして、私はこの問題についての質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(福田一君) ただいま御指摘をいただきましたことについては、われわれとしても十分関心を持って今後推移を見守っていかなければならないと考えております。また、われわれがそういうことに巻き込まれるということはないように今後十分戒めていかなければならないと、かように考えております。
○矢田部理君 法務省に伺いたいと思いますが、先般児玉の第一回公判で冒頭陳述が行われました。それに関連して幾つかの問題点をまず伺っておきたいと思いますが、冒陳の一つに、児玉はF104を決定するに当たっても裏側で重要な政治工作をした形跡が冒陳に出ております。もちろんそれに絡むいろんな費用が児玉に、秘密コンサルタントとしての児玉に支払われているわけでありますが、具体的にどんな行為をしたのか、その行為についてまず法務省から説明をいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) 児玉の事件は所得税法違反と外為法違反でございまして、そのうちの特に所得税法違反につきましては、その収入の主なものがロッキード社からの流入資金でございますから、その流入の理由、経緯等を明らかにする必要があるわけでございます。そういう意味で、関連する立証事項として、児玉がいつごろからどういうことからロッキード社と関係を持つに至ったかということを冒頭陳述で述べるに当たりまして、先ほど御指摘の昭和三十年代のFXの問題が発端であるということを記述しておるわけでございます。で、そこで記述しておりますように、児玉が次期戦闘機の問題についてロッキード社から依頼を受け、結果的にロッキード社から感謝をされるような状況であったということを明らかにしておるわけでございますが、その内容の具体的九工作内容等につきましては、必要があれば公判で調べた限度において明らかになるものと思いますけれども、今後冒頭陳述にのっとりまして逐次立証すべき事項の内容でございますので、この際申し上げることは御勘弁願いたいと思います。
○矢田部理君 契約書までは締結しなかったけれども、秘密コンサルタントとして活動をした、そのための運動資金が五百万円ずつ数回にわたって渡された、その結果運動をした、それが成功をして、謝礼として三百万円ずつ数回にわたりこれまたお礼が払われた、ということまで言っているわけですから、何らかの動きがあった、F104を決定するに当たって功績があったということは当然想定をされるところであります。その詳細は公判で明らかにするということならばそれはそれで結構だけれども、概要としてどんな動きをしたのか、そのお金の一部はたとえば政界筋に流れたのかどうか、あるいは児玉を介して児玉の受け取ったお金以外にもロッキード社からお金が動いたかどうか、政治家がかかわったかどうか、というようなことについては、詳細はともかくとして、調べた範囲でその概要を明らかにしてほしいと思いますが。
○政府委員(伊藤榮樹君) 何分昭和三十年代のことでありますから、今回の児玉の関係の調べにおきましては、当時の運動状況、詳細をつまびらかにするということがあるいはできていないんじゃないかというような気もいたします。で、お尋ねに対して正面からお答えするようにならないかもしれませんけれども、ちょうどF104の問題が起きましたときには、あるいは御記憶かと思いますが、当時、国会、マスコミ等でいろいろの疑惑めいたものがあるという指摘がございまして、当時、検察当局としても十分注目を払いまして、一応の内偵調査をしたことがございますけれども、結局、その時点におきましても、また今回の時点におきましても、その問題に関連して政治家に金が流れる等、犯罪の容疑を確認をするに至っておらなかったし、また今回もそういう観点では確認をしておらないわけでございます。
○矢田部理君 どんな動きをしたのか、どんな工作をしたのかということは調べてはいるんですか。それが犯罪容疑まで高まるかどうかは別として、内容の調べはしているんでしょう。
○政府委員(伊藤榮樹君) 冒頭陳述書と申しますのは、釈迦に説法でございますが、検察官が証拠によって立証できると信ずるところであり、かつ、立証が必要であると思うことを書いておるわけでございまして、冒頭陳述に書いておりますように、「児玉は、右確約後、F−一〇四型戦闘機を採用させるべく運動・尽力した。」と書いておるわけでございます。
○矢田部理君 だから、その尽力の中身を聞いておるわけです。それもまあ別にそれが犯罪になるとかならないとかというのは、これはいわば前段の冒陳の部分ですからね、そういう問題を言っているわけじゃなくて、どんな尽力をしたのか明らかにできる限度で説明できませんかと、こう言っている。
○政府委員(伊藤榮樹君) それの内容につきましては、立証段階で逐次明らかになろうかと思います。
○矢田部理君 ここで明らかにできない……。
○政府委員(伊藤榮樹君) 冒頭陳述書に記載されました事項を逐一証拠によって立証し、裁判所の心証を得ていくというのが検察官の公判維持の最大の使命でございまして、そういう意味ではなるべく公判で顕出するまでは秘匿をしてまいりたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
○矢田部理君 別に裁判との関係で全部出せと言っているわけではないんですが、そこは一回考えてほしいと思います。
 それから防衛庁長官に伺っておきたいと思いますが、この冒陳でも明らかなように、あるいはかねてF104の決定過程については多くの問題が提起をされているわけでありますが、少なくとも児玉が動いた、その動きが成功した、その結果、ロッキード社はお礼を支払っているんですね。この事実からだけ見ても、いわばF104を決定するに当たって児玉に功績があったと、別の言い方をするならば防衛等装備の重要な政策決定に当たって児玉が介在をし、その手によってゆがめられたという重大な問題を含んでいるわけです。そうでなければロッキード社が運動資金だけではなくて謝礼まで払うはずはないわけでありますから、その点防衛庁としてどう考えますか。
○国務大臣(三原朝雄君) 防衛庁といたしましては、純防衛的な立場で、性能の問題でございまするとか、費用対効果の問題等検討いたしましてF104を決定したものと信じておるわけでございまして、特に外部で児玉がどう動いたかというようなことにつきましては関知していないところでございまして、そうした事実関係については冒陳内容等で私は知り得たところでございます。
 なお、その間の詳細なF104決定に至ります具体的な問題等につきましては、御要請があれば政府委員から説明させたいと思いますが、私はいままでの経過等から見て、いま申し上げましたような受けとめ方をいたしておるところでございます。
○矢田部理君 これはもうロッキード、グラマンの空中戦とまで言われた、かつて国会で大変な論議を沸騰させたケースでもありますが、ここで明らかになった事実は児玉が動いた、そのためにお金が送られてきておった、加えてその動きが成功して成功報酬まで払われていると、この事実をどう考えるかということなんです、あなたがどう信じているか、どう考えているかじゃなくて。
○国務大臣(三原朝雄君) 防衛庁の決定につきましては、私は児玉のそうした介在によって決定されたものではない、そう信じておるところでございます。
○矢田部理君 いや、だから防衛庁長官がどう信じているかの問題じゃなくて、にもかかわらず児玉には工作資金のみならず、工作が成功したということで成功報酬が払われている事実をあなたはどう考えますか。
○国務大臣(三原朝雄君) 私は、その点につきましては私の関知しないところでございます。
○矢田部理君 わかりませんか。あなたはお金の支払いには関知していないでしょうが、冒陳では、あなたが関知したと言っているのじゃない、児玉が関知をしてロッキード社から成功報酬を払われている。重大なことでしょう。ロッキード社、なかなか金は渋いんですよ。それが成功報酬まで払っているというのは児玉の功績を認めたからにほかならないでしょう。そういう事実を検察側から指摘をされた、それについてあなたの感想はどうですか、こう言っている。
○国務大臣(三原朝雄君) 私自身は、防衛庁としての104決定については、防衛庁は、児玉が外部でどう動いたかどうかというようなことと関連なしに、先ほど申しましたような純防衛技術的な立場なり、あるいはまた性能そして費用対効果の問題等で決定したものと思いますが、しかし、冒陳にありますように、児玉がそういう決定について外部で働いたことが、ロッキード社からそういうような取引がなされたというような事実のあることにつきましては、私は関知すべき問題ではない。それは児玉対ロッキード社の問題であろうという受けとめ方をいたしておりまするし、けしからぬことだなという私としては考え方でございます。
○矢田部理君 防衛庁が関知したかどうかを聞いているのじゃない。防衛庁が知っているか知らないかはともかくとして、そういう動きがあったこと、それが成功したということで少なくともロッキード社は児玉の動きについて評価をして、あなたの機種決定にかかわってお金が払われている、こういう重大な事実が指摘をされているわけでしょう。それを関知しませんという説明だけじゃ済まぬでしょう。そういうことは実に遺憾なことであり、とんでもない話であり、許しがたい行為だという気持ちにはならぬのですか。
○国務大臣(三原朝雄君) それが事実であるとするなら、いずれ私は裁判によって出てくると思いまするけれども、事実とするならばけしからぬ行為だなという受けとめ方をいたしておる。先ほど申したとおりでございます。
○矢田部理君 まさに事実だからこそ検察はそう書いたのじゃないでしょうか。
 そこで、このF104でありますが、この104が、これもまた冒陳の指摘でありますが、五十年の二月ごろに、韓国に売る、そのための工作をすれば、あるいはまたそれが成功をすれば児玉に何がしかの金をロッキード社は払うという契約が修正六号契約で結ばれているわけですね。日本ではもうF104というのは非常に旧式の飛行機、その後F4ファントムになり、あるいは最近ではF15とか16とかいうFXが問題になっている。にもかかわらず韓国ではF104Sとはなっておりますが、いまだ売り込む条件というのはあるのでしょうか。そのF104Sの今日的意味、それを防衛庁からちょっと説明をいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤圭一君) F4ファントムの選定の過程におきまして、防衛庁の候補機種の中にロッキードのCL一〇一〇という飛行機が一つの候補に上っておりました。その当時はその飛行機というものは現実にございませんで、104Sというのが現在の私どもの使っております104よりもエンジンのパワーアップしたものをイタリーで使っておったわけでございます。で、私どもが機種選定の際に実際に乗って調べましたのはF104Sでございまして、これはイタリーで現に使っておりますので、現有の飛行機と言えるかと思いますが、韓国ではそのF104Sというものは採用いたしておりません。
○矢田部理君 いや、F104がもう全部廃棄処分になったとか今日的役割りを失ったという意味ではなくて、ただもう104の時代から次の時代へと全体の流れはきているわけでしょう。改めて韓国に売りつける、そのための工作をするというのは、どうもロッキード社特有の中古品市場を韓国に求めた、それに児玉が役割りを果たせば多額のお礼を支払いますよという契約のようにとれているわけですが、流れからいうともう旧式になっている、これから少なくとも採用しようという飛行機ではなくなっているということではないでしょうか。
○政府委員(伊藤圭一君) これはやはり、その防空作戦をやる防衛構想に基づきまして、それぞれの国の考え方があると思います。そして、またF104Sというのは現在もうイタリーあたりでは使っている飛行機でございますので、あるいは韓国の防衛構想の中でこういったものを使えるということはこれはないことではないと思います。といいますのは、御承知のようにファントムにいたしましても、わが国が採用いたしましたときにはすでに世界的に見ますと三千機が生産された時期でございました。そして、御承知のように当時こういうファントムという飛行機は時代おくれではないかという議論のあったのも事実でございます。しかしながら、その防衛構想の立場からいたしまして、それぞれの国がいいものを選ぶということになりますので、F104そのものではなくてF104Sというパワーアップされた飛行機というものは無意味になっているというふうには考えられないと思うわけでございます。
○矢田部理君 無意味ではなく、これから採用する機種としてはどうですか。
○政府委員(伊藤圭一君) これから採用する機種といたしましても使い方は全然ないわけではないと思うわけでございます。
○矢田部理君 旧式か新式かが議論の焦点ではないわけですから次の質問に入りますが、そこで法務省というか、検察庁はそういう契約に基づいて児玉が韓国側にどんな働きかけをしたであろうか、どんな動きをしたであろうかということについては捜査の対象にしてきましたか、内容じゃなく。
○政府委員(伊藤榮樹君) 一つ一つの契約がございます場合に、その契約に基づく義務の履行としてどんな動きをしたかということは調べられる限度で調べております。
○矢田部理君 韓国に対してもやはり何らかの工作をしたのでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 具体的に児玉がどういう工作をしたかという点については御容赦をいただきたいわけですが、ただいま問題になっていますF104Sの問題につきましては、冒頭陳述書のそれに続きます契約に基づいて児玉が行った業務の内容という部分に触れるところがございません。また、現実に韓国に売れた事実もないようでございます。その辺から御推察をお願いしたいと思います。
○矢田部理君 結果としては売れてないようですが、何らかの工作をしたというふうに推察をしておきましょう。
 そこで、国内に対するP3Cをめぐる工作でありますが、冒陳によればロッキード社として分離輸入はできない、そのことをアメリカ国防省に工作をした方がいいと児玉がロ社に対して指示ないし助言をした、ロ社はその児玉の指示に従って国防総省に工作をしたかどうか、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) この冒頭陳述はもっぱらこのロッキード社が児玉をいかに徳とし、相当な額のコンサルタント料に見合うものと評価したかという観点から、それに必要な事項でかつ立証できる事項を列挙しているわけでございまして、したがいまして、ロッキード社にとっては児玉からの非常に有益な助言を得た後において、ロッキード社がどういう働きかけをしたかということまでは触れておりませんが、いずれ必要な限度で公判で立証されてくると思います。
○矢田部理君 アメリカで嘱託尋問をやっているわけでありますが、その児玉の助言に従ってどんな動きをロ社がしたかというようなことは、中身は別として、当然尋問の内容あるいは捜査の対象にはしているんでしょうね。
○政府委員(伊藤榮樹君) 貴重な助言があった、それに基づいて何らかのアクションをとったかどうかというふうなことはその助言と密接に関連する事項でございますから、捜査の努力を尽くしておると思います。
○矢田部理君 ロ社に対する指示ないし助言をしたという事実は指摘をされておるわけでありますが、児玉の国内における動き、これは犯罪容疑というまでには至らなかったということではありますが、犯罪容疑の段階にまで至らなかったとしても、しかるべき動きは同時にあったと思うんです。少なくともアメリカにそういう分離輸入はできないという工作をせいと指示するからには、そういう情報をとる活動は前提としてなければならないはずであります。そういうことを含めて児玉の国内における動きはどの程度キャッチしてきたのか、その点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のような点を含めて、関連する事項は十分捜査を遂げておると思います。
○矢田部理君 つまり、児玉は同時に国内でも情報をとることを含めて、犯罪までにはならぬけれどもいろんな動きがあったというふうに一般的に伺ってよろしゅうございますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 少なくとも先ほど来御指摘の助言の問題は、唐突として児玉の頭の中からわいてくるわけのものではないと思われますので、そういった観点から考えますと、ある程度の動きというものを検察がとらえているということを御推察いただけるのじゃないかと思います。
○矢田部理君 そこで防衛庁に伺っておきますが、防衛庁もたしか五十一年のカナダ方式、これは分離輸入ということで決められていったわけでありますが、それ以前はアメリカの分離輸入はできないんだ、機体と内部の機器とは一体のものとして売るんだという説明を額面どおり受け取っておったわけですね。それは防衛庁としてはいつごろまでそういう受け取り方をしておったんでしょう。
○政府委員(伊藤圭一君) 分離輸入といいますか、電子機器は輸入し、機体を国産するというのは、実はかなり早い時期から検討はいたしておったわけでございますが、具体的には四十九年の十二月二十八日に、国防会議の議員懇談会の了解事項を受けまして、関係各省の間で検討するということになりまして、五十年の五月ごろP3Cの海外調査を行っております。そのときにこの実際の調査できわめて印象的でありましたのは、P3Cに載せられております電子機器というものが予想以上にすぐれた性能を持っているということでございましたので、五十年の八月ごろから、こういった分離輸入というものも一つの検討の対象になるんではないかということで、部内では検討しておったわけでございます。そしてさらには五十一年になりますと、S3Aという飛行機の電子機器の方がさらにこれよりも進んでいるというような情報もございまして、そういうものを積んで機体をつくるということも可能かどうかというようなことも検討しておったわけでございまして、五十年の十一月二十五日に当時の防衛局長から、日本にございます相互防衛援助事務所長を通じまして、アメリカ側の分離リリースというものに対する態度、その可能性につきまして打診したわけでございます。
○矢田部理君 いつですか、それ。
○政府委員(伊藤圭一君) 五十年の十一月二十五日でございます。
 これに対しまして、翌年になりまして、一月の十三日でございますが、事務所長からは、国防省の意向としてアメリカは分離リリースはできないというような回答がございました。ところが、こういった事務的なやりとりと同時に、一月の二十三日、たまたま当時の久保事務次官が、事務レベルの会議というのがございまして、アメリカに参りましたときに、国防省の高官と話し合いをいたしました。そのときにこの分離リリースの可能性というものを打診いたしております。そのときの回答といたしましては、アメリカとしては基本的には一体としてリリースするのが望ましいけれども、日本側の事情で分離せざるを得ないというのであれば、ハイレベルで検討してもよろしいというような回答を持って帰ってきております。そしてこのロッキード問題が起きたわけでございますが、その後五十一年の三月一日にブラウン統参議長が日本に参りましたときに、白川当時の統幕議長に対しまして、その折衷案というものも一つの考え方としてあり得るのではないかというような感想を述べたというのが事実でございます。
○矢田部理君 いまの説明で非常に特徴的なのは、五十年の八月ごろに分離論を内部的に検討しておったという説明がありました。この段階で初めて防衛庁内部で分離論の検討を始めた。ところが、これと時期を同じくして、児玉はこの夏にロッキード社に対して分離でないようにアメリカ側を固めろと、固めるべしと、こういう助言をしている。その助言をするに当たっては、国内の動きが分離論の動きがあるということをキャッチしたからだと、こう指摘をされておるわけです。この一連の状況を見ますと、まさに防衛庁内部がオープンであったはずはないと思うんです。極秘裏に分離論の検討を始めたのを情報をキャッチしてアメリカに伝えたとしか考えられない。言うならば、防衛庁内部の検討が児玉に漏れておったと、情報が流れておったということになりはしまいかというふうに私は考えるわけですが、これはもちろん極秘でやった検討なんでしょうね。
○政府委員(伊藤圭一君) これは極秘ではございませんで、先生も御承知のように、専門家会議の答申を得まして、その後関係各省と十分打ち合わせろという御指示がございました。したがいまして、内部におきましてもいろんな形の検討というのはやっておったわけです。で、そのいわゆるPXLの考え方につきましては、当時私どものクラブの人たちもかなり深い関心を持っておりましたので、いろんな考え方としてわれわれがやっているというようなことは話をしたこともありまして、特に極秘ということではございませんでございまして、その意味では、単に児玉がひそかに知るというような内容のものではなかったわけでございます。
○矢田部理君 あのね、専門家会議でも議論がなされている。したがって、一体でなきゃならぬのか、分離も可能なのかという議論は一般的にはないわけじゃなかったでしょう。ただ、児玉はここでは分離輸入の可能性が強いという見通し、その動きについてキャッチをし、かつ彼なりに見通しを立てて向こうに工作を命じたということでありますから、単純にいろんなお話が出ておったという程度の情報をもとにしているわけではない。そういう指摘なんですよ。だからいまのあなたの説明では説明にならぬわけでありますが、まさに防衛庁内部の検討と、それが五十年八月に検討対象にしたというあなたの指摘と、この時期に児玉がアメリカに工作を命じた動きとは軌を一にするものというふうに理解せざるを得ないわけでありますが。
 それから冒陳に関連してもう一、二点伺っておきたいと思いますが、法務大臣、お金の動き、金の流れでありますが、かつて第二次中間報告を出されました。そのときに「児玉に流入した約十七億円に関しては、その留保状況及び使途関係につき、一部不明な点があるものの、相当程度の解明をしており、その内容は、」公判段階で明らかにするという報告になっているわけであります。これは冒陳で明らかにするとは必ずしも言っておらない、公判段階で明らかにするという言い方でありますから、いずれ明らかになる段階もあるのかもしれませんが、冒陳というのは今後の公判を進める上ではかなり骨格になる部分ですね。金の入りについては当然のことながら出ておりますが、出については非常に切っているといいますか、具体的に明らかにしないのがまた非常にこの冒陳の特徴でもあるわけですが、原則としては冒陳で明らかになった事実を今度は証拠で裏づけていくというのが公判の進め方になるわけです。冒陳段階でこれは具体的に金の出について、その後の流れについてほとんど触れられなかったというのは、これはどういう意味になるんでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) この児玉の所得税法違反の起訴事実をごらんいただきますとおわかり願えると思いますが、一般に脱税事件の起訴に当たりましては立証方針を二つの方法で考えるわけです。一つは損益計算法、もう一つは財産増減法でございます。本件は損益計算法によりまして脱税額を確定して起訴しております。損益計算法によりますときは、入ってきた金を一方に収入として立てまして、他方にこの収入を得るのに要した経費を立てまして、その収入から経費を差し引いたものを脱税額として押さえるわけでございます。
 そこで、この冒陳でも明らかなように、ロッキード社等から入ってきた金を全部総まくりに挙げまして、他面、コンサルタント契約等を果たすのに児玉が必要な経費として他に支出したものは経費として全部判明したもののすべてを掲げておるわけでございます。従来も申し上げましたように、児玉に入りました約十七億円の金の使途、これは一部に、ただいま御指摘のように、不明な点はあるもののその大方を解明いたしております。前にもちょっとお答えしたと思いますが、意外に留保分が多いのでございます。そこで、児玉の手元から外へ出たものについて検察としては可能な限りの捜査を尽くしまして、そのうちロッキード社との契約関係を履行するに必要な経費として他に出したというものは経費として計上したと、それ以外のものについては立証の限りでないという立場で、現在そのような冒陳になっておるわけでございます。ただ、将来の見通しといたしまして、弁護人側の反証あるいは主張等によりましては、あるいは検察としても、留保状況、それから使途の一々細かい点を立証していかなければならないような段階になるかもしれませんが、いまのところは、当面ただいま申し上げた損益計算法で立証が十分可能であると、こういうふうに考えておるわけでございます。
○矢田部理君 これ大臣に伺っておきたいんですがね、法務大臣の報告として、公判段階では、その使途ですね、これを逐次明らかにしていくと、こう言っているわけです。したがって、公判の立証として何が必要なのか、何が必要でないのかはこれは純粋に公判のレベルで考えても本来はいいわけでありますが、ただ、これは法務大臣が公判段階でやっぱり使途関係を明らかにする、こういう政治的な立場で、ロッキード疑獄の真相を幾らかでも明らかにするという立場で、ここで報告書として書かれてあるわけでありますから、純粋にこの法廷の議論として何が必要であり、何が必要でないかという議論とやっぱり違った責任をこの報告はみずから課していると思うし、また全体のロッキード疑獄の究明という観点から言えばそれが必要だというふうに考えますので、その点との関係をどういうふうに考えるのかを聞いておきたいわけです、法務大臣に。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまお答えした点に御質問に正面から答えてない面があったと思いますので、もう一回申し上げます。
 ただいま申し上げましたのは冒陳にあらわれました立証計画を申し上げたわけでございますが、具体的にロッキード社からの収入、それからそのうちの経費あるいは経費でない部分というものを振り分けをいたしまして、ほとんどが一体の証拠でございますから、公判廷にはその第二次の報告にありますように、児玉の使途関係はすべて明らかになると思います。
○矢田部理君 冒陳に書かれた部分以上に使途関係を明らかにされるということでありますから、その次の質問に入りますが、この冒陳の中の最後にフィクサー収入というのが幾つか出ておりますね。これはかねて問題になっておりましたジラインの問題とか、殖産住宅の事件とかということはそれ自体が大変問題になっておりましたから省略いたしまして、これは野村証券とか東海興業などからも相当の顧問料的なものを受け取っているわけですが、これはどういう関係なんでしょうか。多額の顧問料を払うような利益がそれらの企業に児玉の動きによってもたらされておったのか、どういう働きをした結果こういう費用が支払われたのか、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 冒陳の別表にもありますように、ただいま御指摘の、たとえば野村証券にいたしますと、毎年中元として二百万円、歳暮として三百万円をもらっておったと、こういうことのようでございまして、中元といい、歳暮ということであれば、検察当局としては、それが何らかの見返りを要するものであるとか、そういう観点は余り考慮しなくてもいいんじゃないかと。ただ、要するに金が毎年五百万円ずつ野村証券から入っておる、この事実をつかまえて雑所得として訴因の中に構成したと、こういうことでございまして、野村証券の関係者につきましてももちろん調べておりますから、野村証券がどういう考え方でお出しになったかというようなことも、一応の説明は今後立証上できると思いますけれども、ロッキード社関係のように深く追及をした調べはしていないと思います。
○矢田部理君 常識的な盆暮れの届けという額を超えている。だから、児玉の脱税という点でだけ問題を調べるべきではなく、そこにどういう関係、支払わなければならない必要性があったのかをやっぱり問いただすべきではなかったのでしょうか。とりわけ東海興業のごときは毎年二千万ずつ払っているというのでしょう。顧問料です。二千万の顧問料というのは、私どもから見れば大変な金額ですよ。それは調べているのか。調べているとすればどういう中身なのか。加えて、たとえば四十八年度には千歳の国際ゴルフ場の造成工事を請け負った謝礼として児玉に六千万払っている。これは単なる謝礼という説明だけでは説明がつきにくいのではないでしょうか。つまり、東京スポーツ新聞の児玉は代表です。加えて、東海興業も顧問です。仕事をもらったから、その代表者にお礼を出すと。それも日常考えられる社交的なもの、儀礼的なものであるということならばあり得ないことではないかもしれませんが、六千万もの謝礼というのは、どう見たって問題がないとは言えないのではないでしょうか。六千万も個人的に謝礼を受け取るのならば、もっと安く契約できたはずじゃないか。それを、自分の企業の仕事を外に回すに当たって多額のリベートを取る。あるいは逆に東海興業もそれを払うということになりますれば、これはいずれの側からも場合によっては背任その他の問題が起こらないのかどうかという議論が立つ余地があるわけだ。その点はどんなふうに調査、捜査を進めてきたのか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 御質問の中に、ちょっと事実と相違する点があったように私聞きましたので、そこだけまず訂正させていただきますが、顧問料は毎月十万円。
○矢田部理君 失礼しました。
○政府委員(伊藤榮樹君) 二千万円は中元と歳暮でございます。仕事を請け負った謝礼ということで受け取ったのが臨時的な六千万円でございます。
 いずれにいたしましても、特に私ども公務員にとりましては気の遠くなるような大きい額でございまして、取り調べた検事も、その辺につきましては十分関心を持って、どういうわけでそんなにたくさん出したかということは調べておると思いますので、いずれ公判段階で供述調書を提出したり、あるいは証人調べをしたりする段階で、その出した人の心の動きというものが明らかにされるのじゃないかと思います。
○矢田部理君 だから、私が申し上げているのは、脱税事件の公判にとって何が必要か、どういうことを明らかにすべきかとは別に、これだけ大きなお金が動いているわけでありますから、それ自体が何らかの意味で捜査の対象にしてもしかるべきような内容が含まれているのではないだろうか。その点について疑問や問題点はなかったのかということ、あるいはその後これについてどういう捜査をしているか、あるいはしていないのか、その点ちょっと御説明いただきたい。
○政府委員(伊藤榮樹君) まず児玉の側につきましては、申し上げるまでもなく、脱税の一部として刑罰的に評価しております。それから出した方の会社につきましては、児玉に中元、歳暮等をそれだけやるということが会社のためになるという判断があったといたしますと、背任の問題は起きてこないわけでございます。
 それから東京スポーツの問題にいたしましても、これはまた別の観点から、背任罪が成立いたしますためには、株主の利益を害することが必要でございまして、たとえば上場会社のように株式が多数に分散されております場合には、そのうちの一部しか持っていない取締役が、自分の利益を図る目的で会社に損害を与えるようなことをいたしますと、そこに背任罪が成立する余地がありますけれども、当該会社の性質等にかんがみて、そういう点の容疑はなかなか浮かびにくい会社のように思うわけでございます。結局、株主構成等しさいに検討した上で、検察当局もそれ以上の犯罪の嫌疑がないということで捜査をしていないものだと思う次第でございます。
○矢田部理君 それは同族会社的な側面があることは事実かもしれませんが、それにしても、自分で仕事を出して相手から六千万のリベートを取る。それならば、それだけ仕事を安く請け負わせるべきなんであって、少なくとも児玉以外の構成員なり、少数ではあっても株主の利益を害しているという疑いは、それなりにやっぱり出てくるので、この点を弁解的に説明するのは、私は率直に言うと納得がいかないわけです。
 それから、時間がありませんので、東亜相互企業関係についての質問に入りたいと思います。防衛庁結構です。
 東亜相互企業が多額の負債を抱え、先般銀行取引停止となり、事実上倒産をいたしました。この債権者の中に栃木農協共済事業団というのがあります。この栃木の農協共済事業団は、すでに明らかにされただけでも、元利合わせて三十億ぐらいの融資を東亜相互企業にしているわけですね。なぜこんな多額な融資をしたのか、融資をするに至った経過はどうであったのか。多くの疑惑、問題点が実はすでに一部では指摘をされているし、地元の有力政治家が絡んでいるということも具体的に問題として上がってきつつあるわけでありますが、農林省としてその点はどのようにキャッチをされておるか、まず説明をいただきたいと思います。
○政府委員(今村宣夫君) 御指摘の栃木県の福祉事業団が東亜相互企業に融資をいたしておるという件でございますが、私たち農林省としまして、共済連、信連に対する常例検査をいたしました際に、同事業団に相当の融資をしてその返済が進んでいない状況を把握をいたしたわけでございます。その際に、この両連合会に対します事業団からの返済が進まないということの理由を聴取しました中で、同事業団が東亜相互企業に融資をしまして、その返済が停滞をしておるということを知ったわけでございますが……
○矢田部理君 経過、経過、なぜ出したか。
○政府委員(今村宣夫君) その事業団からの融資の経過を連合会から聴取をいたしましたところによりますと、事業団としては、当時における過剰流動性が非常に強うございまして、その資金の運用という、そういう観点から、東亜相互からの融資の申し込みに対しまして担保評価をし、担保を徴取した上で、当該企業に対して融資を理事者としてよく相談をしてやったのだという、そういう経過を聴取をいたしておるところでございます。
○矢田部理君 まあ、金が余っておったから貸した、だぶついておったから貸したというのは、客観的状況の説明であって、見ず知らずの企業に二十億も三十億ものお金を、ただ借りに来たから、余っておったので貸したということは説明にならぬと思います。つまり、だれかの紹介があった、口ききがあったという経過がそこにもう一つ主観的な条件として介在をするはずでありますが、その点農林省はどうつかんでいますか。
○政府委員(今村宣夫君) 私たちは同連合会から、事業団を通じて融資をいたしておりますその両連合会のいろいろの方面から聴取した限りにおきましては、御指摘のような仲介者がおったということには聞いておりません。
○矢田部理君 きっちりそれは調べているのですか。
○政府委員(今村宣夫君) 信連、共済連から聴取した限りではさようなことに相なっております。
○矢田部理君 どうしてこんな金を貸したのだろうか。突っ込んだ調べをしてないのじゃありませんか。
 警察庁に伺います。
 警察庁は、この事業団の東亜相互企業等に対する融資、これが刑事上問題があるのではないかということで、すでに倒産後も、それから倒産前にも取り調べなり事情聴取をしているはずでありますが、その内容について伺っておきたいと思います。
○政府委員(鈴木貞敏君) 警察といたしましては、犯罪の具体的容疑のある場合、これは当然捜査をするという責務を有しているわけでございますが、いま御質疑の件につきまして、警察庁として犯罪の容疑ありとして問擬しているということは聞いておりません。
○矢田部理君 ちょっと、私はきのうから問題を指摘しているのですが、本当にそうですか。この六月三日、栃木県警捜査二課が宇都宮中央署に滝田社長を呼んで事情を聞いている事実はありませんか。
○政府委員(鈴木貞敏君) 御指摘の具体的な人の名前その他につきましては、警察庁としては、私として承知しておりません。
○矢田部理君 日時も、場所も、名前もはっきりしているのですよ。きのう私は、東亜相互企業に対しての警察の動きについて状況を明らかにして説明をしてほしい――少しく怠慢じゃありませんか。聞いていないのか、あるのかないのか、明確にしてください。
○政府委員(鈴木貞敏君) もとより、警察といたしましては、それぞれ報道その他のあれで、情報については重大な関心を持っているわけでございまして、そういう面で具体的な動き、調査その他しておるかもしれませんけれども、いま私段階で、そういう具体的なだれをどうこうしたということの報告を受けておらない、こういうことでございます。
○矢田部理君 だから怠慢じゃないかと言うのです。きょうの午後までに調べてその経過と内容を明らかにしてくださいよ。いいですか。
○政府委員(鈴木貞敏君) 具体的な犯罪の容疑が出てきますれば、それは警察として正規のあれでございますが……
○矢田部理君 いや、宇都宮署で調べているという情報もあるが……
○政府委員(鈴木貞敏君) 調べているかどうか、その任意のいろいろの事情を聞くということはあるでしょうが、内容について私からいまお約束して、かくかくをこうして調べたということは、ここの場ではっきり返答はできません。
○矢田部理君 いや、報告を受けていないと言うから、問い合わせをしてどうなのかを明らかにしてくださいよと言うのです。約束できませんか。そんな怠慢な話はないでしょう。
○政府委員(鈴木貞敏君) 地元県警と十分内容を聞いた上で判断をさしていただきたいと思います。その上で判断さしていただきたいと思います。いまその結果を先生にお知らせするということについては約束できない、よく内容を聞きたいと、こう思います。
○矢田部理君 何を言っているのですか。そういう事実があったかないかぐらい発表できないのですか。報告に接していません、今度は聞いてみて明らかにするかどうかもまたできない、こんな答弁ありますか。
○政府委員(鈴木貞敏君) どういう観点か具体的な強制捜査その他令状の執行、そういった段階であればまたとして、いまのこの段階で具体な……
○矢田部理君 事情聴取を聞いている事実があるかないかを問い合わして答えなさいと言っている。
○政府委員(鈴木貞敏君) 具体的に名前その他を除外いたしまして、とにかく県警の方から事情を聞いた上で判断させていただきたい。その上御連絡したいと思います。
○矢田部理君 連絡はいい、判断は……。
 この事業団は栃木の信連あるいは共済連が全額出資をしている団体です。まさにその農民のお金なんですね。その団体が貸金業をやっていいんですか。こういう問題のある企業その他に多額のお金を貸している。その企業が事実上倒産をした、こういう貸金業の是非について簡単に話してください、時間がありませんから。
○政府委員(今村宣夫君) こういう事業団がほかの事業とあわせまして貸金業をやること、そのことをもって直ちに法律的に違法であるとか何とかいう問題ではないと理解をいたしております。
○矢田部理君 このケースはどうですか。
○政府委員(今村宣夫君) 御存じのことかと思いますが、この事業団はほかのもろもろの事業をやっておるわけでございますが、四十六年に定款改正をいたしまして、貸金業ということを定款に入れまして、そしていろいろの土地取得をします場合、あるいは……
○矢田部理君 是非だけ言ってください、経過はいいです。
○政府委員(今村宣夫君) 融資をしたわけでございますが、そのことの適否はございますが、法律的に違法であるとか何とかいう問題ではないと考えております。
○矢田部理君 適否を言ってください。
○政府委員(今村宣夫君) 過剰流動性のもとにおきますいろいろな資金の運用ということの面からいきまして、将来の開発その他を目途としまして融資をすること、そのことが直ちに悪いとは言えませんが、そういう東亜相互企業に融資をしたことの適否ということを言いますれば、それは担保の問題でございますとか、あるいは相手方の企業の信用度の問題でありますとか、そういう問題について十分もっと注意を払ったらよかったんじゃないかというふうに考えております。
○矢田部理君 そんな甘いものじゃありませんでしょう。これは事業団、その前提となる共済連やその他が決めた貸付限度額も超えているし、もともと設立の趣旨を超えて貸金業が中心になっているんじゃありませんか。しかも、担保の取り方も問題ですよ。担保として白河の農地を取っておりますが、これは農地転用が可能な農地でしょうか。
○政府委員(森整治君) まだ転用が出ているわけではございませんですが、概して、第一種農地で転用基準から言いますと、転用につきましては非常に厳しく運用されると、そういう種の農地というふうに承知をいたしております。
○矢田部理君 原則としてできないということでしょう。約三十億の元利合わせて融資がある。これは東亜相互企業です。加えてそれだけではありません。東亜農公園ということで東亜相互企業が白河に設立をした牛など飼っているところです。ここにも十億からの融資がなされている。それの裏づけとして取った担保、これは担保価値ないんですよ、農民のものですから。東亜相互企業がこれは取得するわけにいきません。まして、農協がその担保価値を実行するわけにもいかない。農地転用の不可能な、原則としてできない第一種農地です。いま事業団の役員の人たちは、担保を取ってあるから大丈夫だという説明でおさめているようでありますが、その担保価値は法律上見ればとうてい実行できない、重大な問題をはらんだもの、裏づけ……裏づけじゃないんですよ。もちろん抵当権であろうはずはないし、単なる条件つきの仮登記か何かがなされているという程度だけのことである。こんなでたらめな融資を許した農林省の責任はどうなんですか。大変な迷惑を農協なり農民は受けることになります。簡単にその見通し、説明してください。
○政府委員(今村宣夫君) 担保はそれぞれ取ってございますが、農地転用の見通しということになりますと、ただいま構造改善局長がお答え申し上げたようなことでございますから、この担保価値というのは、農地として評価をすれば私は非常に低いものだと思います。そういう意味合いにおいて、担保が十分かと言われれば、現状においてはとても十分ではないと考えております。しかし、これが将来のある一定の時期に、もしそこに、開発その他の計画がございますが、それはいまの状態でいいとは申せませんけれども、あるいはそういう状況になればそれは担保価値が出てくるということでございますから、いまの状況をもって、非常な担保の減少であるということは事実でございますけれども、それのみをもって評価をすることは必ずしもできないのではないかというふうに考えております。
○矢田部理君 局長ね、事態の認識が深刻でありませんよ。農地ですよ。したがって抵当権じゃないんですよ。所有権移転請求権保全の仮登記か何かです、せいぜい。しかも農地法上許されない、農民から東亜相互企業、そして農協事業団と転々流通は農地法上許されていないんですよ。しかも構造改善局長が言ったように、農地転用ができない第一種農地なんです。農地転用を可とするような、是とするようなことを前提として土地評価をし、それを前提として回収が可能であるかのような幻想を振りまくことは農林省としては少なくとも慎むべきだと思う。もちろん、もういまの状況でこれは売れるはずはありません。この点非常に問題だということを一つ指摘をしておきたいと思います。
 それからもう一つ、この東亜相互企業が白河一帯で買った土地、これはすべてがいわくつきの団体に、あるいは企業に、売り渡されている。先般の当委員会で私は三越の問題を取り上げました。神戸製鋼についても、社長と副社長の内紛に乗じて調停役を買って出た、そのつながりの中で神戸製鋼にもこの白河の土地を買わせている。三越もそうであります。そのほか多くの企業にこの土地を買わせているわけでありますが、すべてが児玉と関連した何らかのかかわりのある企業に実はこの白河の土地を買わせているわけですよ。すでに警視庁等が捜査をした三越もある。あるいは神戸製鋼などは検察庁まで手を入れたという話も伝えられているわけでありますが、非常にこの土地の売買には問題と無理があるわけです。しかもその企業が今度はつぶれた。きょうは一つ一つたくさんの問題を指摘したかったわけでありますが、それが時間的にできませんけれども、今後検察、警察として、この土地売買等をめぐる問題についてさらに捜査をやる用意があるのかどうか。それから栃木の事業団の問題についても、かねてから背任の疑いがあるという指摘も地元ではしばしば出されておるわけです。すでに宇都宮署は事情聴取に入っている。日にちも場所も特定しているわけです。この辺の捜査をどうしようとしているのか。
 そしてまた、農林省としてはいま局長が言ったような甘い事態ではないということを認識し、農民に迷惑をかけないために今後どういう措置をとるのか。
 そしてこれは警察も農林省も同じでありますが、なぜこんなことになったのか。大蔵省の銀行局も問題になるわけであります。これは農協にお金が余っている。銀行はいろいろな関係で貸し出しを規制する。そうすると、今度は銀行が紹介をして農協に行って私が紹介しますからお金を借りなさいということで、銀行は保証料を取ったり紹介料を取ったりしている形跡がある。そのことも含めて、この融資には政治家が介在している疑いがきわめて濃い。上の方は、児玉、町井とつながるわけであります。こういう一連の背景についても、もうちょっと詰めた検討――農林省や大蔵省としては調査でしょう。そして、警察、検察は少なくとも捜査を含みとする調査といいますか、捜査を含めたやっぱり対応をしなきゃならぬ情勢に来ていると思いますが、それぞれの担当者から回答をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) 東亜相互企業の関係につきましては、先般の福島県知事との関係で事件を処理した経緯もございますし、検察としても関心を持っておると思います。ただいま御指摘のありました点を検察当局に伝えることにいたしたいと思います。
○政府委員(今村宣夫君) 私たちも基本的には全組合員の利益を損なわないように十分今後とも指導調査をしてまいりたいと考えております。
○矢田部理君 もう少し具体的に出ませんか、どういうふうにするのか。
○政府委員(今村宣夫君) 現に栃木県におきましては対策委員会をつくりまして、中央会会長が対策委員長となりまして、それぞれの連合会の責任者を挙げて今後の対策をどうするかということを検討いたしておりまして、私たちとしましてもその委員会を通じて十分指導してまいっておるわけでございますが、今後とも県及びその対策委員会、私たちも一緒になりまして今後の対策を十分取り進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘の点につきましては、今後事実関係を調べまして適正な運用を行うように指導してまいりたいと考えております。
○政府委員(鈴木貞敏君) 警察といたしましても県の違い――栃木、茨城、福島いずれにいたしましても関心を持っておるわけでございまして、犯罪の容疑が明らかであれば当然捜査をするということでございます。
○矢田部理君 警察についての報告を午後、ちょっと時間がいっぱいになりましたけれども、その点だけを聞きたいと思いますが、時間が参りましたので一応質問は終わりたいと思います。
○委員長(大谷藤之助君) 警察庁鈴木刑事局長、先ほど矢田部委員から質疑の出ておりました事情聴取に関連した件、調査の上でしかるべくひとつ当委員会で説明してもらいたい。いいですね、よろしゅうございますな。事情を聴取された上でそのまま報告される状況もありましょうし、あるいは状況によって報告できにくいこともありましょうし、しかるべくひとつその点をこの委員会で明らかにしてもらいたい。そっくりそのまま出せないことがあるかもしれませんけれども……。
○政府委員(鈴木貞敏君) はい。
○委員長(大谷藤之助君) 午後二時再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。
 ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○相沢武彦君 当委員会もきょうで第八十回国会の最終の委員会審議となるわけですが、委員会は今後も閉会中審査を行ってロッキード事件の徹底的究明の責任を果たしていくことになると思いますが、顧みましてこの国会での調査というものは、国政調査、特に証人喚問についてですが、与党自民党さんの徹底的な抵抗に会いまして、なかなか所期の国民が期待するような方向には向かなかったということは非常に残念だと思うわけでございます。きょうはこれまでの委員会審議の経過を振り返って、その中間時点での整理というような意味を含めて政府にただしてみたいと思うわけです。
 まず第一点ですけれども、衆議院のロッキード特別委員会で行われましたことしの三月十六日の質疑なんですが、ここで懸案事項となっている点について確認をしておきたいと思います。
 問題に取り上げましたのは、ロッキード事件始まって以来、まず運輸省の問題ですが、運輸省が国会で答弁してきた航空行政についての行政指導のあり方なんですが、その答弁内容、特に昨年の五月二十七日、木村運輸大臣の衆議院ロ特委員会における民間機の大型導入の経緯についての発言内容ですが、ことしの一月、全日空ルートの公判の冒頭陳述におきまして、これまでの答弁とは全く逆の事実が明らかにされております。そこで、前に発言した木村運輸大臣の御答弁内容は覆されるわけですが、ことしの三月十六日の衆議院ロッキード特別委員会においてこの点が追及されまして、田村運輸大臣は事実関係を調べ直して私どもの方でわかった範囲内においてお答えをしたいと、こういうように言われておりますが、この結果が一体どうなっているのか、まず御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(高橋寿夫君) お答え申し上げます。
 三月十六日の運輸大臣の答弁に基づきまして、私ども昨年国会におきまして当時の運輸大臣が御報告したことと、それからことしの一月の冒頭陳述の食い違いにつきまして、当時の関係者に対しまして改めてもう一度聞いてみたわけでございますが、大変残念なことでございますが、結果的には昨年木村運輸大臣が国会で御報告申し上げました事柄を覆すに足るだけの話を当時の関係者からことしに入りましても得ることができなかったわけでございまして、したがいまして、現在の段階では、昨年の五月二十七日に国会に御報告申し上げました話の大筋を変えるだけの内容を私どもは持ち合わせてないわけでございます。
○相沢武彦君 そういうことに結論がなったわけですが、私たち前に述べました冒頭陳述のときから驚きの目をもって運輸省の行政指導のあり方、この実態を知ると同時に、第七十七国会以来運輸省が橋本、佐藤らの行為をかばう余りにいかに事実を歪曲、あるいは糊塗するような答弁を繰り返してきたかということを知ることができたわけです。その上、三月十六日の衆議院ロ特委の質疑の経過を見ましても、この段階に至ってもなお運輸省の答弁態度というものは誠意が見られなかった。非常に残念なことだと思うんです。
 運輸省では、昨年八月に事務次官を長とする運輸行政総点検本部というものを設置されまして、ロッキード事件反省の意味から行政指導のあり方に検討を加える、こういうことで「事件処理体制の改善について」、これ事務次官通達ですね。あるいはこれ同じく事務次官通達ですが、「行政活動の公正さを確保するための体制の確立について」というものを決定をされておりますけれども、問題はこういうような一片の次官通達、こういう文書によって問題は解決するものじゃないと思います。ロッキード事件が発覚して以後、運輸省自体として今後の運輸省の行政指導のあり方、あるいは政策決定のあり方、こういったものをただす立場から、過去の事実についてはいかに捜査権がなくても行政監察というような独自の使命を持った立場もあるわけですから、この際徹底して問題を究明していくと、こういう運輸省全体としての決意と実行、こういうものが必要じゃないかと思うんですが、これについてのひとつ今後の運輸省の取り組む姿勢、決意についてお述べいただきたい。
○政府委員(山上孝史君) 先生ただいま御指摘のように、運輸省といたしましては昨年の八月に、ロッキード事件の発生を契機に、省内に事務次官を長として運輸行政総点検本部を設けまして、具体的に四項目について検討をしてまいりました。その結果の通達等の措置につきまして、いま先生御指摘のような通達を二回にわたり出し、その通達の内容につきましてもここでるる申し上げることはやめますけれども、すべて具体的に措置するように考えております。たとえば、行政の公正さの確保につきましては、各種の審議会を十二分に活用するとか、あるいは行政方針を決めましたらこれをできるだけ公表するとか、あるいは許認可等の行政の場合に基準がございますが、その基準を――法律には抽象的にありますが、これをできるだけ具体的な基準にするというようなことで具体的に指示をしておりまして、それをすでに逐次実行に移しております。
 それからなお、これも先生御指摘の中にありましたけれども、いわゆる行政指導につきましては、従来、許認可と違いまして決裁文書で大臣までの決裁をとるという慣行がありませんでした。したがって、そういう点でいろいろ疑惑を招く要因になったということを深く反省をいたしまして、これも具体的に行政指導につきましてもはっきりと決裁文書をもって処理をするというようなことを具体的に措置してまいっております。
 なお、現在、この総点検本部におきましては、許認可行政のあり方につきまして運輸省として安全の確保とか、公害の防止のためにやはり行政の手法として最小限度のものは必要かと存じますけれども、この際これを契機に抜本的に洗い直して、この許認可行政そのものにつきましても、その合理化の余地がさらにあるのではないかということで検討を続行しております。そのための専門委員会も週に二回のぺースでずっと続行しております。
○相沢武彦君 その総点検本部の調査事項については、定期的にやはりしかるべき場所において公表をしていただきたいと要望しておきます。
 次に、当委員会で主として論議されたPXL問題に関連しまして、防衛庁予算、特に装備品の関係予算の決定に至るまでのプロセス、調査過程、この問題点についてお尋ねをしておきたいと思うんです。
 まず、その前提として伺っておきたいんですが、児玉の冒陳において児玉が第一次FX、すなわちF104、この選定に関して運動を尽力したと、この運動資金の名目でロッキード社から数回にわたって現金各五百万円を受領している。決定後は謝礼の名目で各三百万円を受領したことが明らかにされたわけです。また、第二次FXにつきましても、ロ社のCL一〇一〇型に決定させるように佐藤首相に公開質問状を出すなど工作したと、こういう事実が明らかにされているわけなんですが、この事実は、これまでもしばしばうわさとして長年にわたって巷間伝えられてきたものです。このたび検察庁の手でこの事実が確認をされたわけですから、防衛庁としていままでこれらの事実をどの程度握っていたのか。今回のロッキード事件発生以後、防衛庁自身はPXLの選定経過につきましては調査を行ったことがあるのかどうか、これははっきりしていただきたい。
 第一次FX、第二次FXについては、この国会審議の席上たびたび指摘をされていたにもかかわらず、組織的な調査は防衛庁で行われなかったということを私ども記憶をしているのですが、いま裁判の判決はおりてないわけですけれども、防衛庁装備品の購入に関して、外国の企業からこういうような多額な不正の賄賂の流れた事実が国民の前に明らかにされた以上は、自衛隊に対する国民の信頼回復のためにも、また防衛庁自身としても、まあすでに過去のこととはいいながら、第一次FX、第二次FXに関して全般的な調査というものを断固行うべきではないかと思いますが、この点についての長官の御答弁をいただきたい。
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、午前中も矢田部先生からいまのお尋ねと同じような立場に立っての御質問がございました。お答えを申し上げましたように、防衛庁といたしましては、今日までFXについていろいろの問題がありましたので、そのときどきにおいて過去を顧みて調査をやってきたことは事実でございます。しかし、第一次、第二次のFXの機種選定におきましては、あくまでも純粋な防衛上の立場からその所望の機能でございまするとか、あるいは費用対効果等の問題について十分検討の上で防衛庁において決定をいたしてまいったのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、第一次FX、第二次FXにおきましても適切な手続を経、処置を経て決定をしたものと考えておるところでございます。改めて調査をやり直すというようなことは考えておりません。
 なお、冒頭陳述において児玉に対するいろいろな問題の提示がなされております。このことも承知をいたしておるわけでございまするが、こうした点につきましては防衛庁とは全く関係のないものでございまするし、その事実を聞いて、私どもとしては午前中もお答えをいたしましたが、それが事実といたしまするならば、実にけしからぬ行為であると、そう考えておるところでございます。
○相沢武彦君 長官、再調査はされないということを言い張るわけですけれども、依然としてそれならば国民の皆さん方の疑惑は残ることでありまして、自衛隊にとっては決してプラスにならない、残念なことだということを申し上げざるを得ないわけです。
 続いて、本題の装備品の調達に関連してですけれども、過去一年間の当委員会でさまざま質疑をされまして、この面におけるいろんな難点、それから欠陥問題、これは指摘をされてきているわけですが、この点を整理をして取り上げてみますと、一つには、装備の国産に関する政府の方針について防衛庁限りの方針、すなわち装備の生産及び開発に関する基本方針、これが防衛事務次官通達で決定をされているだけでして、いわゆる閣僚会議あるいは国防会議の議を経た国としての基本方針が何も明確にされてない、こういう点が明らかになっているわけです。
 それから二つ目には、個々の装備の、たとえば機種の決定、こういうものが国産決定については国防会議の議に付するのか、あるいは防衛庁限りにおいて決定をするのか、こういうことでさえ先例的に確立をされていない、こういう点も問題点として指摘をされているわけです。
 それからせんだっての衆議院ロ特委での中曽根証人の証言にもありますように、国防会議における実際の運営というものは、下からの各省の官僚の人たちによって積み上げられてきたものをほとんど盲判を押しているんだということを証言されましたけれども、いわゆる政治的決定と言われるものはほとんど行われていない。それからまた、こういう状態なので、各省間、特に大蔵財政当局と防衛庁の内局との調整、予算折衝が問題となる。その折衝過程における実際の動きについて私たちとしてはこれはどうかなという大変びっくりするようなことが明らかになっているわけですね、長官。
 一つ、二つその事例をこれまでの国会審議の議事録等を通じまして挙げてみますと、たとえば、財政当局である大蔵省がドル減らしの観点から防衛庁に対してFST2改の採用あるいは再検討並びにF5Eの輸入を要請したけれども、その際財政当局としてはF5E購入の際の費用算出に当たって維持、補修費、これを含めたいわゆるライフサイクルでの費用では検討していなかったという事実も明らかにされています。また、防衛庁の当時の装備局長さんですか、黒部証人の証言でも、大蔵省から対潜哨戒機の必要性はわかるんだけれども、開発費をつければ必ず成功して国産による生産を主張するようになるだろう、うまい代案はないだろうかというように言われたと、このように言われております。このように装備品の国産か、輸入かの決定について何が一体その決め手になっているのか。防衛庁と大蔵省との調整過程というものを克明に検討しましてもどうもはっきりしないという点が取り上げられるわけでございます。また、四次防の主要項目にある対潜哨戒機及び早期警戒機機能向上のための電子機器等の研究開発を行うんだという国防会議決定にありますこの事項につきましても、その解釈について防衛庁と大蔵省とで双方に、お互いに自分たちの都合のいいように解釈ができるといういわゆる玉虫色のものにでき上がっている。これについては最後に、田中総理のツルの一声によって持ち込まざるを得なかった。こういうように、官僚以外にわからないような状態、しろものになっている。そのためせっかく国会の承認を得て成立した昭和四十七年度予算に計上されたPXLの設計研究委託費そのものも施行について国会にあらかじめ報告のないまま、国会の知らないうちに取りやめの措置が行われてきている。これは大変なことだと思うんです。このようにシビリアンコントロールの確立が最も叫ばれているその防衛庁予算について、官僚の独走が行われているという事実が明らかにされてきた。こういったようなありさまですから、国会に防衛特別委員会の設置が必要だという声も上がってくるのはもう当然な声であろうかとも思われるわけです。
 まあそれはともかくとしまして、これから先PXL決定に関して防衛庁長官はいま申し上げたような事柄の関連から、ひとつどのように取り運ばれようとする心づもりなのか、お尋ねをしたいわけです。
 一項目として、機種決定について防衛庁限りで決めるのかどうか。これは前に増田長官のときに第二次FX、これは措置をされておりますね。こういうような防衛庁限りで決めるのか、それとも国防会議の議に付して決めるのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
 それから二つ目には、ロッキード社の不正行為、児玉の不法行為といったものが明らかになりまして、国民の不信を買った以上、現在口事件公判の進行とPXL決定の時期的関連についてどうお考えになっているのか。
 それから三つ目としては、現在PXLについて完全国産案、完全輸入案、折衷案、この三案が検討中だと言われているんですが、これらの機種決定について財政当局との折衝は一体どういうような方針で進めるのか、この際明らかにしていただきたい。
 それから第四点目として、決定直後PXL選定の経過、結果を国会に報告する意思がおありになるのかどうか。
 以上四点について明確に御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(三原朝雄君) いろいろ項目によりましては細部な過去の経過等もあるようでございまするから、まず数点についてのお尋ねについては政府委員から説明さした上で、私から最後に四点について御回答申し上げたいと思います。
○政府委員(伊藤圭一君) 最初に御質問の中にございました国産化の方針ということでございますが、これは最初の一次防の時期というのは、主として米国からもらった武器というものを装備するというようなことでございましたが、二次防以降やはり防衛力というものの厚みをつけるという意味で、できるものは国産化したいというのが防衛庁のみならず国防会議で御決定いただいた方針の中にあるわけでございます。しかしながら、国産化を進めるに当たっては経済的な費用対効果の問題がございます。それからまた、技術的な問題等もございます。したがいまして、国産化をした方がいいのかあるいは輸入をした方がいいのか、そういう問題につきましてはいろいろ具体的な事務的な詰めを行いましてそれぞれ大臣にも御報告いたし、また国防会議でも御判断いただくというような手続をとっているわけでございますが、先ほど先生の御質問の中にございましたFX、PXL、この機種決定につきましては従来いろんな形があったわけでございます。先生が御指摘になりましたように、ファントムの場合には、一応機種の決定は当時の長官が総理の了承を得まして防衛庁として決定いたしまして、この機数を決めますときに国防会議でお決めいただいたという経過もございます。104のときには機種並びに機数につきまして御決定いただいております。さらに最初のP2Vというものを国産するときにもこれは国防会議で御決定をいただいておるわけでございます。
 しかしながら、御承知のように、四十七年度の文民統制の問題が議論されましたときに、自後新しい装備品で主要なものを予算化するときには国防会議の決定が要るということになっておりますので、これからはFXあるいはPXLというような主要なものにつきましては、もちろんユーザーであります防衛庁の方で希望するもの、それをまた大蔵省並びに国防会議の関係各省、そういうところと事務的な折衝をすると同時に、国防会議で御審議をいただいて御決定をいただくということになっているわけでございます。
 それから、このロッキードの問題でございますが、私どもが次期対潜機の必要性を考えておりますのは、先生も御承知のように、いわゆるわが国の海上の防衛で一番重要な対潜作戦を行うに当たって、現在のP2Jという飛行機が、原子力推進を持っております潜水艦に対してはきわめて能力は低くなってきておりますので、できるだけ早く新しい型の、まあ端的に申し上げますと、P3C程度の能力を持った、すなわち新しい電子機器によって、その刻々の潜水艦の動向というものを把握し、これを捕捉し、攻撃するというような能力を持った飛行機を持ちたいと思っております。したがいまして、私どもといたしましては、事務的に結論を出したいということで努力をいたしておるわけでございます。
 なお、機数の決定等について、財政当局との折衝の問題でございますが、これは私どもが希望しております飛行機、どういう内容の飛行機を持つかということによりまして、その飛行機の性能、それからオペレーションの形態、そういうものによって私どもの希望の機数というものは当然出てくるわけでございます。しかし、これは防衛庁のユーザー側の立場でございまして、あるいは財政的な面からの検討も必要でございます。私どもといたしましては、まず国防会議の事務局を中心といたしまして、関係各省から来ております担当の参事官の中で議論を重ねていただきます。さらにまた財政的な具体的な問題につきましては、財政当局とも十分相談をいたし、そしてまあ限られた防衛予算の中でこれをどういうふうに消化していくかという一応の考え方というものを検討した上で、さらに国防会議において御検討を願うことになろうかというふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(三原朝雄君) 私から最終的に申し上げたいと思います。
 第一の国産化の問題につきましては、輸入か国産か、折衷案でいくかというようなことについては、いま防衛局長がお答えをしたとおりでございますが、二番目に、この装備の決定、特にFXなりPXL等について、これは防衛庁だけでやるのかどうかということでございまするが、自衛隊の任務上、主要項目に属せないような問題でございますれば防衛庁自体がやるわけでございまするけれども、こうした大きなプロジェクト等におきましては、当然先生御指摘のように、これは国防会議にかけるわけでございまするし、またそれを終わりますれば閣議の了承も得るわけでございまするが、その国防会議にかける前には、お互い関係省庁とも事務的に折衝した上で、そうした準備をした上で国防会議にかけ、また閣議の了承も得るというようなことになっていくわけでございます。
 三番目に、国防会議の運用の問題の御指摘がございました。これは国防会議の事務局長も参っておるのでございまするが、私もメンバーの一人として率直に申し上げまするが、いま先生御指摘のように、全く事務的に運営したというような国防会議ではございません。当然その背景を論じ、そしてどういう経過でここにきたかということを御報告申し上げて国防会議のメンバーにおいて審議をされてまいっておるわけでございます。事務的に処置するようなことでございますれば御指摘のようなことになりまするけれども、国防会議自体も、やはりその背景、そしてよって来るその経過等を見て論議がなされることは、今日までの国防会議の運用のあり方でございました。しかし、それがもっと充実した立場で国防会議の運営をやれと、あるいは組織までもう少し拡大して検討する必要がある、あるいは法制的にこれは独立した法制化が必要ではないか、そうしたいろいろな御意見があることも承知をいたしておりまするし、また中身も、国防上の問題と申しまするが、狭義、国防的な軍事問題だけでなくて、広く安全保障全体を討議するようなものに考える必要があろうというような御意見のあることは承知いたしておりまするし、いま国防会議の事務局において、まずそうした立場から検討が進められておるわけでございまして、総理自身もそういう立場で国防会議の組織、運用等について考えていけという指示をいたしておるような段階でございます。
 次に、四番目には、先ほどPXLなりFXを、そうした大きな装備の問題を決める場合には財政当局との関係はどうなんだということでございますが、当然、先ほど防衛局長が御回答申し上げましたように、十分事前に了承を得てでなければなかなかそうしたことができるわけではございません。大蔵省とは十分論議をし、そうして話し合いを詰めてまいらねばなりませんし、また予算自身は、これは長期にわたる計画等でもございまするから、長期展望に立ってのやはりお互いの詰めをいたしておかねばならぬという事態でございまするから、当然事前に財政当局と話し合いをやってまいるわけでございます。
 それから五番目に、こうした問題についてはシビリアンコントロールの立場から十分ひとつ考えておかねばいかぬぞと、特にこうした大きなプロジェクトを実施いたしまする場合には、そしてしかもロッキード事件等で国民の疑惑を招いたという事跡があるわけでございまして、こういう点については十分ひとつ国民の理解を受けていくということが大切であるぞという御指摘につきましては、全く同感でございまするし、また、こうした大きなFXなりPXの問題を決定をする場台には、国会にも報告をするかと。国民に対してそうした理解を得なければなりませんし、
  〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
したがいまして、当然国会におきましてもそうした御報告を申し上げねばならぬ、そう考えておるわけでございまして、シビリアンコントロールの実をそういう点において十分果たしてまいらねばならぬ、そう考えておるわけでございます。
○相沢武彦君 この国防会議のあり方、それから決定のあり方について、政府は検討する必要があると、また逐次指導して変更を加えていきたいと思っているんだということも委員会での御答弁にあったんですが、この国防会議の運営、あり方についての問題点として、従来から問題にされてきている具体的な改善策の一つである議事録の問題をここの席上でこの際お尋ねをしていきたいと思うんですが、国防会議における議事録について、従来は国防会議議事運営規則の第六条において、国防会議事務局長は、会議の都度、その出席者、議案及び決定内容等を録取し、これを保管することになっている、また国防会議の議事の中でどの議員がどういう発言をされたかというようなことについては、国防会議が始まった当初、申し合わせとして、そういうものは録取しない、こういうことにされているので、われわれは作成をしてないわけだと、こういうような御答弁でこれまであったわけですが、このように、議事録はあっても形ばかりの、議事内容のわからないものになっているわけでして、今回このロッキード事件が起きてから、しばしばこの国防会議における議事録の問題が取り上げられてもきたわけですけれども、国防会議当初の申し合わせ、これを改正して、今後議事内容を記録にとどめるための国防会議議事運営規則第六条、これを改正する必要があると思うんですが、この点についてはどういうようにお考えになっていますか。
○政府委員(久保卓也君) 私も大分以前から国防会議に出ておりまして、自分でメモをとったことがありますが、一々の方の御発言をメモするのは大変困難でありますし、またそれが将来公表されるような場合には責任を持った形でメモすることは非常にむずかしいと思うんです。現実問題としては、速記者なんか入れなければならないのでしょうけれども、それは国防会議の性格として適当ではありませんし、また将来公表されるような形では出席の議員方が自由な発言もできないということで、発言どおりの議事録をつくるということはやはり適当でなかろうと思います。しかし、さればといって、従来、いまおっしゃいましたような形で整理するのではやはり不適当であるというふうに私自身考えております。で、どういう形でやりますか、少なくとも議題になりました内容等について、あるいは議長の御指示でありますとか、主な論点でありますとか、簡単ではありましても何らかの形がわかるような程度には整理すべきではなかろうかということで、いま形式等について勉強いたしております。
○相沢武彦君 久保局長からの御答弁、いま承ったわけですが、三原防衛庁長官としてはどうですか、こういう経過とか内容の議事録として、ある一定の期間を置いてこれを公開に供する、そして歴史の審判に立たせるということが必要であると思うんですが、今回はそれができなかったことから今回のPXLに対する国民の疑惑を払拭し切れないという点が残されていると思うんですが、今後の問題としてどうお考えですか。
○国務大臣(三原朝雄君) いま御指摘の点等について久保国防会議事務局長がお答えをいたしましたが、私どももいま事務局長を中心にして関係省庁とも検討を加えながら鋭意勉強いたしております。その問題の整理ができてまいりました上で、私どもといたしましては最終決定をいたさねばならぬと考えておるわけでございます。
 個人の意見はどうなんだということでございまするが、ああした過去の経過等にかんがみまして、できるだけそうした一つの記録をどういう形で整理をしておくかというようなことはやはり考えておく必要がありはしないかと、そう私自身も考えておるところでございます。
○相沢武彦君 次に、国防会議の運営のあり方についてなんですけれども、昨年の八月段階の質疑では、前三木総理が国防会議の運営について、形式的でなくて実質的な討議が展開されるよう、意欲的で、文民統制の実を上げるという点に熱意を示されていたようでありますけれども、それがどうもわれわれ見ておりますと、福田内閣になってから後退しているように思われてなりません。そこで福田内閣になってから国防会議、これは開かれたことがあるのかどうか、そしてどういう議題のときに検討されたか、特に米地上軍の朝鮮撤退問題あるいはわが国のこの十二海里問題、こういったわが国防衛政策上の重要問題として討議を必要とするであろうという問題があったときに、一体国防会議はどういう役割りを果たしたのか、この辺をお願いします。
○政府委員(久保卓也君) 福田内閣になりまして、まず防衛予算に関連をして二回開いております。それから国際情勢全般につきまして、特にアジアの国際情勢につきまして一回、計三回開いているはずであります。近く軍事関係についてまたお開きいただく予定にしております。
 それから、そういった防衛庁で将来提案するであろう、たとえばFX問題以外にも、その背景となるような事案について国防会議で活発に議論しなさいというのが福田総理の御指示でありましたが、いま御指摘のような、たとえば在韓米地上軍撤退問題となりますると、議員方だけで御議論いただくよりも、むしろ関係者、専門家が集まって御議論いただいた方がよろしいということで、これは国防会議の席と別途総理のところでおやりいただいております。
 それから十二海里の問題は、いまのところ私どもとしてはそれほど――軍事的あるいは日本の防衛上の問題として、特定の問題はちょっとありますけれども、そういうものを除いてさしあたって国防会議で御議論いただくというほどのものとは考えておりません。ただし、全般的な軍事情勢とか、あるいは特定のFXの問題とかいうものだけに限らないで、やはり広く安全保障上、特に時事的に問題になるようなもの、そういうものも適宜国防会議でお取り上げいただくというのは適当であるというのは、これは事務当局の考えでありまするし、そういう問題が出てまいりましたときに、議長の方ともまた御相談申し上げて国防会議を開いていただきたいというふうに思っております。
○相沢武彦君 起訴便宜主義についてお尋ねをしておきたいと思うんですけれども、ロッキード事件の嘱託尋問に際しまして、起訴便宜主義適用によって米国在住のコーチャン、クラッター、エリオットの三名に対して、証言事項の中に仮に日本国の法規に抵触するものがあるとしても起訴しないということの保証がされましたけれども、こういった人たちがビジネス等の要件でわが国への入国を求めてきた場合、入管行政の最高責任者としての法務大臣はどういうように対処されるのか、御見解を承っておきたいと思うんです。
 と申しますのは、ロッキード汚職に加担したというよりも、アメリカ側の張本人であるこれら三人の者が、ロッキード事件に関して刑事責任を問われることがないことを理由に、今後白昼堂々と日本に入国してビジネスで駆け回られたんじゃ、日本人のわれわれとして国民感情に合わないんじゃないかと。ロッキード商法を行ったこういった関係者がまた再び同じような問題を起こさないとは限らないわけでして、そういった観点から、まあ入国を求めてきたらという仮定の問題ですけれども、この際法務大臣の明確な御見解というものをお聞きをしておきたい、こう思います。
○国務大臣(福田一君) 御指摘のように、この証言に対しては責任を問わないということにいたしておるんでありますけれども、まあこれはロッキード社からの仕事をするという意味で入国をされるということはないと思うんです。恐らくはたとえばほかの会社に就職をしてそして来るとか、あるいは単に個人の旅行の目的というような意味で来ることになると思いますけれども、やはりその取り扱いの問題については、若干国民としても割り切れない問題というか、気持ちを持っておる者もあると思われますので、私はその場合の取り扱いは慎重にいたさなければならないと思います。
 しかし、それならば絶対にやらないのかということになりますと、そのときそのときの事情、また目的、滞在日数、いろんなことをも関係ありますから、その具体的な申請があった場合に処置をとっていきたいと考えております。
○相沢武彦君 そうすると、事情によっては入国し得る可能性もあるということですか。
○国務大臣(福田一君) 私は、そのときの事情をどういう事情があるかということをいろいろ想定してみなければなりませんが、絶対に入れないというわけにはいかないと考えております。しかし、好ましくないという感じは持っております。
○相沢武彦君 ロッキード事件の捜査処理に関する法務大臣の御報告が出ましたけれども、東京地検としては、なお捜査本部を存続しておりまして、今後、ロッキード事件についての国会の国政調査等事態の推移に関心を払うことはもとより、将来、関係人の病状が回復し――これはこの間児玉も初めて出たわけですが――あるいは米国証券取引委員会の調査結果を入手するなど特段の事情の変化が認められた場合には、さらに解明のために必要な措置をとるものと考える、こう述べられておりますね。
 そこで一点は、本日現在の捜査本部の構成並びに捜査方針について説明をしていただきたいと思います。捜査本部発足の当初の構成と現在との比較、これをお願いします。
○政府委員(伊藤榮樹君) 現在東京地方検察庁におきますロッキード事件捜査本部の構成は、検事五名、検察事務官十二名、合計十七名でございます。これらの者がやっておりますことは、一面において起訴いたしました被告人に係る公訴の維持をやりながら、先ほど御指摘のありましたような諸情勢の推移を見守りながら新たな犯罪の容疑の発生いたしました暁には直ちに捜査に着手をするという体制で調査、資料の収集等をいたしております。
  〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
昨年二月二十四日に同本部が設置されました際の構成員は、検事二十八名を含む合計八十八名でございまして、ピーク時には百五名の検事、検察事務官が捜査に従事しておったのでございますが、本年一月二十一日、御承知のように児玉の追起訴、小佐野の起訴をもちまして、一応それまでに犯罪の容疑の認められた者についての処理をすべて終わりましたので、先ほどのような体制に縮小して、なお本部体制をとっておるわけでございます。
○相沢武彦君 報道によりますと、SECに対するロッキード社社外重役七人をもって構成されている特別調査委員会の報告書提出期限が、ロ社側から三月三十日に、ロ社重役会の最終報告書提出を五月十六日までに延期してもらいたいという正式要請がありましたけれども、そうなりますと内容吟味にこれが一カ月間余裕が認められるとして、結局間もなく公示を迎えている参議院選挙、これが終わる七月十日前後まで大幅にずれ込むんじゃないかと、このように思われますけれども、ロッキード社からSECに提出される資料関係の問題について確認をしておきたいんですが、ロッキード社からSECに提出されるすべての資料を日本に提供するようにアメリカに要請をしているのかどうか。また、その予定される提出時期としてはどのような見通しを持っておられるのか。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまのお尋ねに若干誤解があるといけませんから、事実関係を私どもの承知しておる範囲で申し上げておきますと、今回言われております調査報告書というのは、SECが連邦地裁に対して起こしました民事訴訟に基づく昨年四月十三日のSECとロッキード社との同意審決がございまして、それによってロッキード社において特別調査委員会をつくって調査をし、種々曲折はありましたけれども、本年五月十六日までに同委員会からロッキード社の役員会に報告書を提出し、役員会はSECに対して三十日以内にこれを提出すると、提出を受けたSECはこれを原則として公表すると、こういう段取りで進んでおりましたところ、ロッキード社の役員会におきましては、この期限の満了前であります五月二十六日にSEC及び連邦地裁に報告書を提出いたしまして、それと同時に独自の立場でこれを公表いたしました。公表いたしましたものについては即日外務省を経由いたしまして私どもも入手し、検察当局も入手をいたしておるところでございます。
 ただ、提出されましたものは、御承知と思いますが、国名、具体的な国の名前あるいは個人の名前等を隠しました、やや抽象的なものでございまして、これに対して今後どういう反応をSECが示すかということが一つ残された問題点であろうと思います。すなわち同意審決に基づくロッキード社の報告義務は一応終わったという、いま形になっております。
 そこでSECにおきましては、もしこの報告内容に不満があるといたしますと、再び連邦地裁に対してさらに詳細な資料の提供を求める命令を発することを申し立てるという順序になると思うのでございまして、アメリカ国内のことでありますから、SEC当局者の腹の中を推測することもできませんけれども、現在SECではそういう補充の命令の申し立てをするかどうかという点を含めて検討しておられるのではないかと想像しておる状況でございます。
○相沢武彦君 SEC資料公表に関連して、アメリカにおける国際汚職の氏名公表問題について伺っておきたいのですが、フォード共和党政権時代は、ロッキード社の海外贈賄をめぐって、一九七五年十二月キッシンジャー書簡、一九七七年の一月ボーイング社の秘密代理人氏名公表問題について、国務と司法両省がワシントン連邦高裁に提出した意見書に至るまで、外国政府高官を含む氏名の公表は、米国の対外関係に悪影響を及ぼすおそれがあるとしまして非公開の方針を貫いているようであります。ところが、カーター政権の発足以後、明確な方針が今日まで示されていないと思っているのですが、報道によりますと、ことしの三月十六日、上院銀行委員会の公聴会でブルメンソール米財務長官が、政府としては腐敗した対外支払いを直ちに公表することが、贈賄などの腐敗防止に対するきわめて効果的な抑止策になると考えていると、こういうふうに述べているわけです。これは一体アメリカ政府の従来の方針でもある対外関係の悪影響を懸念して、収賄のある外国人高官名を公開しない方針を変更する可能性を示唆したものではないかと、こう思うのですが、共和党と比較してカーター政権の発足以後におけるロッキード事件処理に関する方針は一体どうなっているのか、アメリカ局長にお尋ねしておきたい。
 それから、ブルメンソール証言の真意とカーター政権の方針との関連、これについて御答弁いただきたい。
 それから関連しまして、一九七六年八月三日上院へ提出した海外支払い公開法案の内容と審議経過、これについて簡単で結構ですから御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) フォード政権下におきましても、ロッキード事件等いわゆる多国籍企業の腐敗行為につきましては、厳しい追及はなされておったわけでございまして、この方針はカーター政権におきましても引き続き堅持されておりまして、両政権の間でこの問題に関する態度、方針に特別の違いはないというふうに私たちは承知いたしております。いまブルメンソール財務長官の発言について御質問がございましたが、ブルメンソール財務長官は本年の三月十六日、アメリカの議会の上院銀行委員会における証言において証言をいたしております。その中で、カーター政権は特定企業による腐敗行為、特に外国公務員に対する贈賄は道義的に許されないばかりでなく、経済的見地から見ても不要であり、その立法による強制を強力に推進する意向であるというふうに述べております。この証言からいたしましてもカーター政権の方針は非常に厳しいものであるということがわかる次第でございます。
 それから、ただいま最後にお尋ねのありました七六年八月三日上院に提出されました海外支払い公開法案の問題でございますが、これはフォード大統領によって議会に提出されたものでございます。これは企業による外国政府に関連する支払いに関する報告書及びかかる報告の公表ということを基本的枠組みといたしております。この法案は上下両院にあわせて提出されたわけでございますが、そのアメリカの議会におきましては特別のアクションをとることなく、そのまま審議未了になったと承知しております。
○相沢武彦君 時間が来ましたので……。
○橋本敦君 私は、質問の最初に金大中事件問題についてお伺いをしておきたいと思いますが、まず警察庁に伺いますが、金大中事件の捜査についてはいろいろと努力をされてはきたものの、この真相究明にまだまだ遠いという状況で、依然としてなぞに包まれた部分が多いわけです。この追及はわが国の主権にもかかわる重大な問題であるし、金大中氏の自由にかかわる大事な問題ですから、徹底的な捜査を遂げなければならないことは言うまでもありませんが、その一つのポイントとして、あのグランドホテルに畑中金次郎名義で予約した人物が一体だれであるか、これは重要な問題としてずっと今日まで捜査追及をされてきたと思うわけです。
 そこで、まず最初に伺いたいのは、この畑中金次郎という人物が何者であるか。こういう捜査線上の中でこの畑中金次郎という人間らしいと思われる人間が何人か浮かんで何人か消えたかもしれませんが、大体この点では何人の人物についてマークをして捜査をしてこられたのか、その点まず警察庁の方から明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(城内康光君) お答えいたします。
 畑中金次郎と称する人物は、金大中氏が連れ込まれましたホテル・グランドパレスの二二一〇号室を八月六日から九日まで予約していた男でありまして、犯人グループの一人であるというふうに私ども考えておるわけでございます。これまで警察は、畑中がホテルで書きました宿泊名簿の筆跡を手がかりに、事件当日の前後かなりの幅を持ちまして日本に出入国しました韓国人の出入国カードとこの筆跡と照合いたしたわけでございます。該当数は数千名ございまして、そういうものについて逐次当たりましたけれども、該当人物を発見するに至っておりません。
○橋本敦君 いまのお話ですと、筆跡鑑定ということで莫大な数の対象者を調査をされたということで、それ自体大変なことですが、具体的に一人もしくは二人、三人という、そういう人物像にしぼられるまでの材料は全くありませんでしたか。
○説明員(城内康光君) 指紋のほかに、やはり畑中金次郎が投宿する際とか、あるいはマッサージを受けたとか、いろいろ関係者がございまして、そういう参考人の方々からいろいろと畑中金次郎の人物像を聞きまして、いろいろ聞き込みとか、そういった際にそうして得た捜査資料を活用してまいっているわけでございます。
○橋本敦君 そういうものを活用されてもなおかつ特定の人物ということにしぼり得る状況にまだ至っていないという結論ですか。
○説明員(城内康光君) さようでございます。
○橋本敦君 この問題では、先ごろからピョン・シミンという人物がこの畑中金次郎ということではないかという問題も含めて金大中事件とのかかわりが問題になってまいりました。このピョン・シミンという人物について金大中事件の捜査上、関心を持って検討されたということはありますか。
○説明員(城内康光君) お答えいたします。
 辺時敏と日本字で書きますけれども、この人物は、先ほどお答えいたしました筆跡照合をする際に対象とした数千名のうちの一人でございまして、特に本人を容疑者としてしぼって捜査したというのではなくて、数ある中の一人として調査の段階でいろいろと調べたということでございます。
○橋本敦君 入管の方に伺いますが、この辺時敏氏が四十八年八月に来日し出国をした記録は、出国記録上どうなっておりますか。
○政府委員(吉田長雄君) お答えいたします。
 ただいま御質問のピョン・シミン氏は昭和四十八年八月五日に羽田に入国いたしまして、同年八月九日、羽田から出国いたしております。
○橋本敦君 もう一つ局長にお伺いいたしますが、この八月五日から九日までの在日について、わが国の出入国管理令上、在日資格はどのようになっておりますか。
○政府委員(吉田長雄君) 四一二と申しまして公用の資格でございます。
○橋本敦君 出入国管理令四条一項二号によりますと、いま局長が御答弁になりましたように「日本国政府の承認した外国政府又は国際機関の公務を帯びる者」と、こういうように明記されておりますから、このピョン・シミン氏が八月五日来日をして、金大中事件の起こった八月八日の翌日離日をする、その間公用旅券で公務で来日をしたということが記録上明らかになっておるわけです。どういう公務で来日をしたのか、どういう目的によって公用旅券が韓国政府から発行されたのか、警察庁、これはお調べになりましたか。
○説明員(城内康光君) 辺時敏氏の来日の目的は、資料収集のためであるというふうに承っております。
○橋本敦君 何の資料ですか。そして彼が来日した肩書きは何でありましたか。
○説明員(城内康光君) 収集しようとした資料の中身は存じ上げませんが、辺氏のことがこのたび新聞に報道されましたので、一応私どもが調査したところによりますれば、おおむねすでに一部新聞で報道されたとおりのことでございますが、一九六一年の四月から漢陽大学校の法政大学の教授をしていたと、そして六五年の五月から人口問題研究所長をしていたということでございますので、そういった恐らく学問研究上の資料を収集したんではないかというふうに、これまでの調査ではそのように把握しております。
○橋本敦君 したのではないかという一つの推測ですが、この現代韓国人名録によっても、いまあなたがおっしゃった程度のことは明らかですね。そして、この人口問題研究所というのは純粋の民間機関であるということは警察庁御存じですか。
○説明員(城内康光君) 報道によりまして、この人口問題研究所というものが民間機関であるということを承知しております。
○橋本敦君 民間機関である人口問題研究所長ということで、そして一定の資料収集ということで来日をするのに、わざわざ韓国政府が発行した公用旅券を持って来日をし、そしてまた、それを受けてわが国も在留資格を四条一項の二号で承認をしているという、ここに重大な問題がありますよね。そういう学者の一般的研究資料ということで来日するにとどまるならば、わざわざ政府が発行する公用旅券を持ってくる理由が一体どこにあるだろうか。とりわけ韓国政府は、旅券の発給については非常に厳しいリミテーションを持っていますよね。これがわざわざ公用旅券で日本に来た、しかも金大中事件が起こったまさにそのときに公用旅券で来ているということとあわせて考えれば、資料収集とは一体何の資料、何の目的でやってきたのか、何ゆえに韓国政府が公用旅券を出したのかについて重大な疑問がありますから、これは調べなければならぬと私は思いますが、警察庁のお考えはどうなんですか。
○説明員(城内康光君) 先ほどお答えいたしましたように、辺時敏氏の筆跡は、畑中の残しました、遺留しました筆跡とは違うわけでございます。それからまた、人相、風体等も違っておるわけでございます。そうしたことから、警察といたしましては、両者は別人であるという判断をしておるわけでございます。ただいま先生御指摘の諸点につきましては、今後私どもの行いますいろいろな基礎調査の中でこなしてまいりたいと思います。
○橋本敦君 今後の基礎調査で検討するという、調査の対象にのせるということは、それ自体いいわけですが、この辺時敏氏がKCIAと何らかの関係があったかなかったかについて、これも重大な問題としてこれを調べねばならぬと私は思うんです。この公用旅券が出されたということもその一つのかかわりとして考えるべきなんですが、この辺時敏氏が、新聞報道によっても、KCIAの初代長官に就任した金鍾泌氏に起用されて分析専門家としてKCIAに籍を置いていたことがあるという報道がある。この報道の真偽について確かめられましたか。
○説明員(城内康光君) お答えいたします。
 新聞の伝えますように、辺時敏氏が韓国中央情報部の部員であったかどうかについては、私どもはわからないのであります。
○橋本敦君 わからないというのは、調べてもわからないのか、調べようがないのか、どっちかだと思いますが、要するに、重大な事実が報道されておる。現に、この辺時敏氏が来日をして、そして彼の親戚のところへ行ったという事実までは警察庁つかんでおられますね。これはどうですか。
○説明員(城内康光君) 新聞には八月三日からの辺氏の行動などが出ておりますが、先ほど入管局の方からお答えしましたように、当人は八月五日から入国して九日に出ているわけでございまして、その入る前の三日、四日とかいった行動はよくわからないわけでございます。それで、今回親戚のところへも行ったということで報ぜられましたので、いろいろと事情を――いわゆる聞き込みでございまして、捜査というんではなくて、いわゆる何か参考になることがあればということで、警視庁の係官がその親戚の住所地に赴いております。
○橋本敦君 私は、私どもの調査の中で、まさにこの辺時敏氏の親戚という方が辺時敏氏に会ったその直接の人に私も調査をして聞いておるんですが、この辺時敏氏が来日をしたのは公用旅券で来たと、費用はKCIA情報部の委託による公用の費用で来たということをはっきり言っている事実を私は聞いておるんですよ。そういう事実は承知しておりませんか。
○説明員(城内康光君) 先ほど申し上げましたように、係官がいわゆる一般的な聞き込みということで住所地に参ったわけでございますが、家人が不在でございまして、会うことができなかったわけでございます。ただいま先生が御質問されましたような点については私どもは全く知りません。
○橋本敦君 せっかく行ったけど調査は全然できてないということはわかりました。まさにKCIAということとの関係があるから、民間の人口問題研究所の所長であるにかかわらず公用旅券が出、しかも公的な費用が出、それでその金大中事件とどのようなかかわりがあったかはこれから調べて見にゃわからぬにしても、この時期にKCIA筋の公用ということで来たという状況があるとすれば、これは徹底的に調べねばならぬと私は思いますね。こういう観点で、この点については、基礎調査の一環としてもKCIAとの関係を含めて、特に公用旅券で来たということ、その目的、内容、理由、在日間の行動、こういう調査をするということはお約束をされますか。
○説明員(城内康光君) お答えいたします。
 直ちに捜査の対象とするというようなことになりますと、ある程度の具体的な容疑というものがなければならないわけでございます。先ほど申し上げましたように、この辺時敏氏というのは、筆跡あるいは人相、風体などから、いわゆる一部報道で報ぜられるような畑中ではないということについては、私どもそういうふうな考えを持っているわけでございます。ただしかし、私どもといたしましては、やはり事件の解決のために必要なことであれば、いろいろな風評のたぐいでもよく耳を澄ませて聞かなければならない、基礎資料を十分集めなければならないと、そういう意味で今後の基礎調査の中でこなしてまいりたいと、そういうふうにお答えしたわけでございます。
○橋本敦君 私は、この公用旅券で来たという問題についてKCIA筋の疑いがあるということを提起したんです。まさにこの問題については、何ゆえにこの時期に彼が公用旅券で何の目的で来たかということは、もっと徹底して追跡をする中で、金大中事件の真相の一端に迫るか迫らないか、これはぜひやってもらいたいと思うんですよね。この問題はこれでおきますが、この畑中金次郎という人物がいかなる人物であるかということさえわからないという日本国内の状況であるときに、アメリカ側の報道ではしきりに、この金大中事件はまさにKCIAの犯行だということの情報が相次いで出てきておる。最近も、金炯旭氏がフレーザー委員会のモージー氏その他に秘密の上でこの事実を供述をしたという報道も日本に流れてきていることは警察庁御存じですね。そこで私は、この事件の真相をきわめる上では一いまアメリカに金在権がいるという問題が提起をされた。私も調査の中でその事実をフォローしてまいりましたけれども、さらに金炯旭氏がいると、そして彼がいろいろとフレーザー委員会に報道しているという問題がある。そしてフレーザー委員会自身は私に、この金大中事件はKCIAの犯行であることは断言してはばからないとまで、ベイチャー氏もモージー氏も言いましたよね。こうなりますと、この真相を本当にきわめようとすれば、警察庁はずいぶんと大変な苦労をしてきているわけだけれども、このアメリカ側の情報を、新聞報道ではなく、公的に正確に入手をして分析、検討をするという必要が現実に出てきておるんではないかと私は思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
○説明員(城内康光君) 国際間の問題でございますので、私がお答えするのは適当でないと思いますので……
○橋本敦君 捜査上の必要として。
○説明員(城内康光君) 私は新聞を読みまして、その中身というものは、本年二月十二日付ワシントン発共同電で報ぜられた内容と同様、捜査に役立つ資料というよりは、事件の全貌的なものについての、いわゆる電文であったわけでございます。私どもといたしましては、捜査に役立つ資料であれば、これはぜひともほしいという基本的な考えを持っているわけでございます。
○橋本敦君 捜査の現場の担当者として、それは当然ですね。そこで、このアメリカ側にある資料が捜査に役立つかどうかという問題も含めて、この検討が私は必要になってきておるという状況の中で法務大臣に伺いたいんですが、ロッキードについては日米司法取り決めが行われました。これはそれ自体一定の成果をそれによって上げられたということが、捜査上前進面で出てまいりましたでしょう。私はアメリカへ行ったときに、米司法省でキーニー刑事局長補佐官と会いまして、韓国問題、金大中問題も含めて捜査協力ということが日本側から提起されるという場合にどうかという質問をいたしましたら、日本政府の方からそういう問題が提起をされれば、ロッキードの究明のために日米司法取り決めをやったという先例も経験もあるので、早速アメリカ司法省としては協議に応ずることにやぶさかでないと、こう言明されております。こういう点からして、私は、いま捜査は警察庁がやっておられることであるけれども、同じ日本の政府機関として、福田総理も、総理の責任でこの問題の今後のあり方いかんによっては政治決着のつけ直しも必要だとまで予算委員会で答弁された重大な事件ですから、警察庁とよく討議をした上で、アメリカ側に、金大中事件に関する、フレーザー委員会、米司法省内が保有している証言、証拠その他の資料について、新たにロッキードにならって日米司法取り決めを行い、金大中事件の徹底的な捜査に役立てるというようにしていくべきだと私は思いますが、そういうお考えが法務大臣におありかどうか、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 御案内のように、ロッキードの問題につきましては、捜査当局においてもある程度の具体的な事実をつかんだ上で、その事実を明らかにする必要上、米司法当局に対して協力を求めたわけでございますが、ただいまわれわれの了知しておりますところでは、金大中事件についてのまだ具体的な事実というものが明らかになっておりません。したがいまして、何かそういう非常な事実関係ではっきりしたものがあるということになった場合にわれわれとしてとるべき態度を真剣に考えていけばいいのではないかというのが、私のいまの考えであります。
○橋本敦君 法務大臣、せっかくの御答弁ですが、まさに金東雲氏の指紋まで出されたということで、金東雲氏に対しては逮捕状の請求はそれ自体できる段階までいっているわけですよね。そして横浜領事館の劉永福領事の車が犯行に使われたという方向まで捜査上具体的に出てきておる。人間も数人が金大中氏を拉致したということまで出てきておる。まさに日本に起こった具体的事件として具体的に捜査は進行しているわけです。これをやっぱり大所高所から全貌を、しかもその真相を、具体的な人物名を、これはやっぱり特定していく必要性がいま現に起こっている、そういう捜査状況に来ていると私は見ているのですよ。だから、いま法務大臣がおっしゃったように、まだ具体性がないということで済まされるという問題は、私はこれは金大中事件真相究明ということを本当にやり抜く立場から妥当かどうかについて疑問を持ちます。
 重ねて問いますが、きょうは警備局長お越しになっておりませんから、外交問題に関する問題として答弁は非常に遠慮をされましたが、警察庁と積極的な討議をして、警察庁自身が具体的捜査の必要からアメリカ側にある資料の必要性を捜査上要求される、要請されるという事態であれば、前向きに法務大臣も検討される必要があるのではないか、警察庁と積極的な、その点についての協議をお遂げいただきたいと私は思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田一君) 警察庁においてそういうような一つの事実をつかみ、そしてそういう必要があるということで、いわゆるわれわれの方に協議があった場合におきましては、これはもちろん考えていかなければなりません。私といたしましては、いまの段階においてはそういう事実もないのでありますから、先ほど申し上げたようなことをここで申し上げるより方法はないと私は考えております。
○橋本敦君 わかりました。
 この捜査の今後の進みぐあいについて、警察庁が積極的にそういう姿勢をとるならば検討の余地ありという御答弁のように私は伺っておりますので、警察庁についても今後御研究願いたいということをお願いしておきます。
 警察庁、これで終わります。
 次に、私は法務省にお尋ねをしたいんですが、昨今の児玉公判における冒頭陳述によりまして非常に重要な多くのことが出てまいりました。その中の一つは、ニクソン・田中会談をめぐるハワイの問題とロッキードのかかわり、児玉のかかわり、小佐野のかかわりであります。
 で、まずこの問題から聞いてまいりたいと思うんですが、丸紅の檜山が八月二十三日に田中角榮を訪れる、八月二十八日のレセプションにおいて田中角榮当時総理に対して、イギリスのヒース首相の来日に当たって、ロールスロイスのエンジンをロッキードトライスターは使っていることもあって、これを採用すれば一石二鳥だといったような話をした、しかも、その田中に対する面会なり話はコーチャンとの打ち合わせのもとで行われているという事実が明らかになりましたが、この八月二十三日、二十八日に檜山が田中にこういった話をしたということは、これは事柄の当然ですが、ハワイにおけるニクソン・田中会談でエアバス導入の話が出るということを、これをあらかじめにらんでの話であったということは、これは事実間違いないですね。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまのお尋ねのハワイ会談前の状況の点でございますが、必ずしも事実とも言えないんじゃないかと思っています。
○橋本敦君 冒陳を読むと、コーチャンは、コーチャンも檜山もハワイ会談でトライスターの話が出るというように考えていたのでと、明確に記載しています。見てください。必ずしもじゃなくて、冒陳自身ではっきり書いている。本人たちはそう考えていたのでと書いてある。
○政府委員(伊藤榮樹君) 冒陳でそのように述べておることは間違いございません。
○橋本敦君 だから、したがって、この二人が田中工作を八月にやったということは、この二人がハワイ会談でエアバスの話がニクソンからか田中からか出るということを考えてのことであったことははっきりしている。で、しかも、コーチャンはもうすでに明らかなように、八月二十日からずっと長期最後の滞在をするわけですが、その前、七月三十一日に日本を離れるに当たって日本経済新聞とのインタビューでは、もうそのときからすでに田中・ニクソン両会談でこの問題が出ることを期待して、その成果に期待しているとまで言明をしている。こういう点が明らかである。
 そこで伊藤刑事局長にお伺いしますが、この児玉冒陳で重要な点として私が注目いたしますのは、コーチャンが九月に入って国際興業本社で児玉同席の上小佐野に会った際に、ハワイでニクソンからロッキードを頼むという話が出ているはずだからそれを確認してもらいたい旨の話を、これを小佐野にやっている事実が明らかですね。この事実があるということは、すなわちコーチャンが七月三十一日アメリカに帰り、八月二十日ハワイ会談直前に日本に来る、その間か、もしくはそれより前かもわかりませんが、ニクソンに、田中元総理にトライスターの話をよろしくという話を彼はやっていた、自分がその話をしていたから、ハワイ会談で出てるはずだからそのことを確かめてくれと、こう言ったという事実関係につながると私は思うんです。この点について、私の言ってるような見方について、どうお考えですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 冒頭陳述で明らかにしました事実関係をつなぎ合わせることによりまして、ただいまのような推測も不可能ではないと思います。
○橋本敦君 そこで、その私が申し上げたような推測をするのは、これは客観的にだれしもができる推測だという意味で申し上げたし、そういう御答弁があったわけですが、こうなりますと、事実、まさにハワイにおける田中・ニクソン会談で、公式の場か非公式の場か晩さんの場か知りませんが、このトライスターをよろしくという話がニクソンから田中氏になされたという事実が間違いのない事実ではないかという問題がますます濃厚になってくるわけであります。この点は、ニクソンがそういう話をする可能性があったかというと、可能性は十分あった。その前年にロッキードが経済危機に陥ったときに、ニクソンは議会の猛反対を押し切って二億五千万ドルの緊急政府融資を異例なことに決めている。ニクソンの選挙の本拠地カリフォルニアは、文字どおりロッキードの本社のあるカリフォルニアであり、長いつながりがあるとアメリカではだれしもが知っている。そうなれば、ニクソンとしては、まさにロッキードの経済危機を救い、政府借款、これに対する返済可能性を具体性ならしめるためにも、ロッキードのためにも、そして、当時貿易不均衡で三億二千万ドルの緊急輸入を日本が決めるという状況の公的話の中で、このトライスターを頼むとニクソンがハワイで言ったという事実はますます信憑性が高くなってくる。実際にハワイでニクソンが田中にロッキード・トライスターを頼むと言ったという事実は、私はもはや疑いないと思っておりますが、この事実について捜査は突き詰められておりますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 冒頭陳述に検察官が記載します事項は、立証が可能であり、かつ、必要であることを記載しておるわけでございます。当面立証でき、かつ、立証が必要だと思っていることは、先ほど来御指摘の客観的事実でございまして、ニクソン・田中会談の内容については必ずしも記載がなされておらないということから御推察をいただきたいと思います。
○橋本敦君 この問題については、ますますいま私が言った問題が浮かび上がってきているわけですが、いま局長が答弁されたように、この冒陳の論理の必然的帰結として、コーチャンがニクソンに頼んだ事実も推測されるし、実際に話が出た事実も、現に話が出たということを田中は小佐野に言ったと、若狭にも言ったと、こういうことですね。
 そこで、逆に推理しますと、このトライスターを全日空に売り込むについて、田中角榮はニクソンに頼まれたと言わなければ小佐野にも若狭にも働きかけができなかっただろうか、ニクソンに頼まれたと言わなければ働きかけができなかったと見られる状況がありますか。田中が頼まれないのに、ことさら頼まれたと言わなければならぬ状況があったでしょうか。私はないと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) まあ私どもの立場といたしましては、客観的な事実は申し上げられますけれども、それに基づく推理あるいは推論というようなことは御勘弁いただきたいと思います。
○橋本敦君 慎重な御答弁ということでは、そうでありましょう。だがしかし、常識的に言えば、私が指摘したようになるわけです。
 アメリカ局長お越しですから伺いますが、このハワイ・ニクソン会談について、外務省の公式答弁によりますと、ホノルルの首脳会談で航空機購入問題が話し合われた事実はないと承知しているという答弁を国会に対してなされておる。この児玉に対する冒陳という新たな事実を外務省が検討した場合に、この答弁のままでいいのか、調査の必要があるのか、どうお考えですか。
○政府委員(山崎敏夫君) 昭和四十七年八月三十一日及び九月一日のハワイ会談におきましては、御承知のとおり、大体中国問題を初めといたしますアジア情勢の意見交換が中心でありまして、また、経済問題に関しては、一般的な形で討議が行われたわけでございます。航空機の問題は、御承知のとおり、鶴見外務審議官とインガソール大使との間で、当時問題になっておりました貿易収支の不均衡の是正の問題について事務レベルの話し合いが重ねられておって、その結果がいわゆる鶴見・インガソール会談についての発表として発表されたにとどまるわけでございます。したがいまして、その航空機の機種といった具体的な問題はハワイでは話し合われなかったと承知しているわけでございます。この点に関しましては、かねていろいろの御質問がございまして、本年の二月二十三日の予算委員会におきまして鳩山大臣が、当時会談に常時出席しておりました牛場大使に尋ねた結果について報告しておられます。それによりましても、「牛場大使が出席した田中元総理とニクソン元大統領のハワイにおける会談におきまして、米側より、日本が導入する飛行機はロッキード社のトライスターにしてもらうとありがたいといったような話は一切出なかった」というふうに言っておられるわけでございます。
○橋本敦君 文字どおり公式的な答弁ではそういうことですが、そういう答弁で済まない状況が冒頭陳述等についてあらわれた、検察官のこの捜査の過程で出てきておるではないかという指摘をいまの段階で私はしているんですよ。ニクソン・田中会談でトライスターの話が出たという話の真実性がますます濃厚になっている現在、もっともっと調査を私はすべきだと思う。牛場さんに聞くだけではだめですよ。本当にこんなの一言で言える話ですから、公式の会議で出た、そんなことに限らないで、散歩の席か、晩さん会の隣り合わせの席か、どこで出たかにしろ、出た可能性があるという問題が、これが真実性を持って出てきているわけですから、もっともっと調査をすべきですよ。
 外務省に伺いますが、このときの総理訪米日程並びに訪問団一行名簿はいただいておりますが、終始通訳をなさったのはどなたでしたか。
○政府委員(山崎敏夫君) 外務省員が主たる通訳をいたしましたが、この点は複数の者でございます。
○橋本敦君 アメリカ側も日本語がよくわかる人がかなりいる可能性は十分ありますが、そういうアメリカ側で日本語がわかる人がニクソン・田中会談についてアメリカ側の通訳として出ておったはずでありますが、それは何人ぐらいあるんですか。
○政府委員(山崎敏夫君) アメリカ側におきましても日本語の通訳を提供しておったわけでございますが、この点の通訳に当たったのは一人であったと記憶しております。
○橋本敦君 公的に牛場さんに聞くだけでなく、そういう通訳の方にも全部聞いた上で鳩山さんがあのような答弁されたのならともかく、いまでは牛場さんの話だけで納得できない状況になっていますよ。この問題について、通訳をなさった方をも含めて徹底的にこの問題について外務省としての調査を改めてやることを私は要求しておきます。局長いかがですか。
○政府委員(山崎敏夫君) 通訳の任務というものは、これはそういう会談の内容を正確に文字どおり通訳することでございまして、その会談の内容を記憶したり、あるいは記録をとったり、そういうことは求められておりません。通訳はそういうわけでございますので、そういう任務から見ましても、会談の内容を責任を持って述べる立場にはございませんので、こういう通訳からその当時の事情を聴取するということは、われわれとしては適当でないと考えておる次第でございます。
○橋本敦君 あれこれ言って、調査をやっぱり本当にやらないという政府の姿勢がはっきりしていますよ。
 時間がありませんから次に移りますが、冒陳でもう一つ重大なのは、児玉がP3Cの売り込みに関してロ社に情報を提供したという事実があったということですね。そしてこれで重大なのは、この児玉の情報が実に正確だということですね。これは矢田部委員に対する答弁でも防衛局長がお話しになりましたが、PXLに関する防衛庁の報告書概要をずっと通覧をいたしましても、通産省が国産化を強く主張して、第十七回専門家会議で意見を述べている。さらに通産省はそれだけでなくて、その後においても国産化を強く主張する、こういう傾向が一方にあり、そしてまた防衛庁としても調査団を派遣をして、おっしゃったようにP3Cのコンピューターシステムの優秀さについて非常に大きく心証を持って帰られて、このソフトウェア部分について輸入ということがぜひ要求ということで出てくると、まあこういう経過の中で、午前中もおっしゃったように、丸山防衛局長がMDAOに分離輸入論の可能性を打診される。それに対してMDAOから五十一年一月に分離輸入はだめだという回答が来る。これはまさに児玉の情報の正確さを裏づけている事実であります。こうなりますと、児玉が一体どこから情報を入手したのか。この作業は極秘ではないと局長はおっしゃったが、極秘ではないにしても、一般に、私どもさえ容易に知り得るような状況でやられたのではない。やはり児玉ならではの情報入手経路を持っていたからだとだれしも考えるのは当然であります。その情報入手経路が防衛庁に通じていたのではないかという疑惑が新たに出てきたのが今度の冒陳であると思う。その点について、その疑惑は一切ないと否定し切れますでしょうか。防衛局長いかがですか。
○政府委員(伊藤圭一君) ただいま先生からきわめて正確な情報を児玉が得て、それを伝えているというふうなお話でございますが、私ども当時事務的に検討しておりました段階におきましては、児玉がレコメンドした内容そのものが必ずしも正確でないという印象を持っているわけでございます。といいますのは、当時私どもは分離輸入というものを促進するという意味で検討しておったわけではございませんで、いろいろな選択の一つとして考えておったわけでございますので、防衛庁が分離輸入に傾いたということを言ったこと自体がむしろ必ずしも正確ではなかったんだというふうな考えを持っておるわけでございます。
○橋本敦君 局長、冒陳をお読みになりましたか。そんなことは書いてないですよ。「分離輸入に動く動向に対して」と、こうあるだけですよ。そういう動向があるのでそれに対処するためとあるだけですよ。防衛庁が完全に傾いたのでと冒陳には書いてないですよ。そういう動向がある事実として分離輸入の照会もなさっているわけですから、ある意味で正確ですよ。こういう正確性についてそんな気楽なことをおっしゃるようでは、冒陳についての検討は私は防衛庁足らぬと思いますよ。
 こういうことで、児玉が防衛庁サイドの情報入手にあれこれ工作をしたという状況は、これはいずれ立証段階その他で明らかになってくる可能性があるでしょう。私はいまそのことを問いません。防衛庁の姿勢として、このような児玉の工作、情報収集の手が防衛庁のどこかに伸びていたのではないかという疑惑があるとすれば、これは防衛庁として調査をする必要がある。この調査をやる意図があるかどうかと、私の質問はここなんです。たとえば、簡単な話ですが、慶応で入試問題が問題になって、学内で査問委員会を大学教授が設けて自主的な調査をやってますね。そしてまた、このような自主的な調査は、ロッキード事件についても、ロッキード社が社外重役を置いて、同意審決ではあるけれども、やってますね。防衛庁は、この児玉とのP3Cロッキードの関係の疑惑は一切晴らす努力をする、その上で納得のいく採用をやると、かねがね長官はおっしゃってきた。だとすれば、私はこの際、防衛庁内部にこの点についての調査委員会を設置をして、そして検察庁と連絡をとり、すぐ国会に報告せよ、明らかにせよとは申しません、防衛庁自身の姿勢として一切疑感がないということを国民に報告できるような体制をとるべきではないか、これは私の考えですが、長官はいかがお考えですか。
○国務大臣(三原朝雄君) 再三申し上げておりますように、このプロジェクトはきわめて大きなプロジェクトでございまするし、特にロッキード事件等の経過から見て、国民に疑惑を残してはならぬという方針は堅持してまいりたいと思うのでございまするが、しかし、今日まで私もいろいろロッキード事件、そして今度児玉の冒陳などがあったわけでございまするが、そういう点につきましても、それに関係した諸君と意見も聴取をいたしてまいっておるのでございまするけれども、防衛庁に関する限り、外部の児玉等と関連を持ったという事実は絶対ないという関係職員の意見を聞いて、私はそれに信頼をいたしておるのでございまして、改めてここに再度そうした児玉との関係と、あるいは冒頭陳述等でここに新しく防衛庁に調査の一つの何と申しまするか、グループをつくってやるというようなことはいま考えておりません。
○橋本敦君 調査を徹底的に機構的に完備をした制度でみずからやり抜いて、そして一切関係がないとおっしゃる答弁をなさるならば納得できますが、いままでのそのような関係で一切ないというだけで御答弁なさっても、私どもは国民の立場で納得できない事情があるのですね。この点は意見の相違にかかわりますが、私は、児玉が直接防衛庁のだれかれに工作して情報を入手したという単純なこととは思いません。防衛庁の情報がある政治家に、あるいは外局の、あるいは業界のいろんなところへ入り、そこから児玉が手に入れた可能性もある。実に児玉というのは、あのフィクサーの問題一つ見ても、広範に手を伸ばす黒幕そのものですよ。単純に防衛庁にストレートに道をつけたと、それはなかったというだけで済むものではない。防衛庁があくまでそういう姿勢ならば、私は伊藤刑事局長に再度お願いしますが、児玉がこのP3Cの情報入手についてどのような画策、どのような方向でこの情報を入手したということになっているのか、この点の捜査は遂げられておりますか。遂げられておるとすれば、防衛庁はあのようにおっしゃっているんです。国民の立場でこれをいま明らかにしていただきたい。
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど御指摘のような分離云々の動きがあるということを助言をしておるわけでありますから、そういう動きがあることは、まあ児玉が頭の中で考え出したことではないと思われるわけでございまして、そういう意味において、冒頭陳述と関連する限りにおいて必要に応じ捜査を尽くしていると思います。
○橋本敦君 いま明らかにしてもらえないわけですか、捜査を遂げられた範囲で。
○政府委員(伊藤榮樹君) それらの点につきましては逐次公判で明らかにすべきことであろうと思いますので、いまは御容赦いただきたいと思います。
○橋本敦君 どちらをつついてもロッキード究明が至難であるということがいやほどわかるわけですね。
 時間がありませんので次の話題に変えて、私は日韓航空協定問題について急いでお尋ねいたします。防衛庁長官、ありがとうございました。法務大臣も結構でございますので、お引き取り願って結構です。
 運輸省に聞きますが、昭和四十二年の八月に日韓航空協定が締結をされ、この協定による航空指定業者は、韓国側は趙重勲が社長であるKAL、日本側は日航である、この点は間違いないと思いますが、まず、いかがですか。
○説明員(山地進君) 韓国側は大韓航空、日本側は日本航空で間違いございません。
○橋本敦君 この航空協定が締結されて以来今日まで、以遠権の問題については、四十二年五月、四十五年六月、同年七月、そして四十七年四月と航空協定附表の修正が行われてきておりますが、どういう経過でどういうように変わってきたか、時間がありませんので簡単にお話しいただきたい。
○説明員(山地進君) 当初は、東京−ソウル、大阪−ソウル、福岡−釜山、東京−釜山、それから太平洋線はシアトル、東南アジア線がバンコクまででございまして、その後六九年十二月に、以遠地点といたしまして日本側は済州島を得ております。そのときには、日本側としては五地点を獲得しております。
 それから七〇年に至りまして、シアトル地点というのを向こう側は放棄いたしまして、ホノルル―ロサンゼルス地点というものを新設し、そのときに日本側は以遠地点として六地点を明記してございます。
○橋本敦君 日本側が取得したという六地点の以遠地点は、現在全然実行便は一便も飛んでいない、これは間違いないですね。
○説明員(山地進君) 日本側としては一地点も実行しておりません。
○橋本敦君 この航空協定が最初に結ばれたときに、すでにこの問題が問題になって、たとえば四十二年七月十九日、参議院外務委員会でも実にこの問題が議論をされた。そのときに政府側はどう答弁しているかと言いますと、日本は以遠地点については実際は何にも具体的な路線はない。ところが、KALの側はシアトル線をとった、こういうような意味で、「日本のほうは不特定の、今後あり得べき地点としての三点でございますので、御指摘のとおりのアンバランス、われわれも正直に認めるつもりでございます。」と答弁をしていた、具体的な地点がないのですからね。そのときに、シアトル線は採算が合わない路線だから、このシアトル線をKALに渡しても、そして日本側が具体的に以遠権を持たなくても経済的不利益性のアンバランスは生じないとまで答弁をしていた。現在一体どうなっているか。現在この不採算のシアトル路線をKALは放棄をし、早々と放棄をし、そのかわりにドル箱路線と言われる東京−ホノルル−ロス、これを手に入れ、そして東南アジアヘは東京−大阪−台北−香港−サイゴン−バンコク、これを手に入れている。こうして見ますと、四十二年五月、四十五年六月、七月、四十七年四月、いずれも交換公文の形で以遠権が拡張され、着々とKALの路線が南へ、そしてアメリカへと延びましたが、日本は一つもどこも行っていない。ますます不均衡と不平等性が拡大されてきている現状にあることは率直にお認めになりますか。
○説明員(山地進君) 四十二年、四十五年ころにおきます大韓航空の状態というのは、人キロという、人とそれから距離を掛け合わした人キロというのが普通航空会社の大きさをはかる尺度でございますけれども、四十五年ごろのKAL、大韓航空の大きさというのは、日本航空の十分の一にも満たない会社でございまして、協定締結のときには恐らく何十分の一の小さな会社でございましたので、そのときには日本航空といたしましては、以遠権等についてはアンバランスがあっても影響はないだろうという判断だったと思います。かつ、台湾、それからシンガポール、タイ、フィリピン等に米国を与えていた関係上、大韓航空にもこれを供与せざるを得なかったという事情でございますが、その後現在におきましては、大韓航空は日本航空の人キロにおきましても、やがて四分の一ぐらいの大きな会社になりまして、そのような状態における日航と大韓航空の状況を比較した場合にはインバランスが発生しているというふうに考えざるを得ない、このように思います。
○橋本敦君 まさに現在不均衡が発生をしておる。しかし、航空協定それ自身では、第七条で機会均等の原則をうたい、第八条で相手国航空企業の利益の考慮ということも原則としてうたわれている。まさにこの条約に、基本原則に反する状態にまでいまなってきた。いまなってきたきっかけは、まさにこの以遠権をどんどん付与していくという、そのことにほかならぬわけですね。現実にKALの営業報告書を私は手に入れておりますが、この営業報告書を見ても、KALの路線を見ますと、まさに韓日線、これはアメリカへ延び、東南アジアへ延びていくわけですが、ここで何と一九七五年には四十五億四千四百万ウォンの黒字を上げていますよ。その他、KALが独自にソウルから南へ飛ばす東南ア路線なんというのは赤字になっている。KALは国内線では十二億五千九百万ウォンの赤字ですよ、韓国内部では。ところが、国際線では二十九億一千二百万ウォンの黒字である。KALはまさに日本にたびたび改定を要求した以遠権を利用してこの国際線で大もうけにも一うけているということになっている。
 そこで、この問題がなぜこのように一方的にKALの利益で起こってきたのかという問題で二つの質問をしたい。
 一つは、日本が六地点獲得しているという以遠権の問題です。この以遠権については、日本側は韓国のソウルあるいは韓国内の地点を起点として社会主義国へしか延ばせないということを秘密合意議事録で決められているのではないかという情報、疑いがあるんです。この点についてはいかがですか。アメリカとの不平等協定についても秘密合意録があったということが最近暴露をされて、改定交渉に乗り出さざるを得ないという状況ですが、この日韓の航空協定についても、日本の以遠権についてはそこまで縛っている秘密合意があるんじゃないですか。
○説明員(山地進君) 韓国政府との交渉の際に、韓国と外交関係のない国に日本航空が以遠権を使って行く場合には相談をしてくれという約束がございます。
○橋本敦君 韓国と外交関係がない国に対して行く場合、そうして外交関係がある国に対しては日本の権利でどこへでも設定されるという意味でおっしゃったんですか、いまのは。意味がちょっとわからない。
○説明員(山地進君) 正確に読んで御説明いたします。
 「日本国の指定航空企業が大韓民国政府と外交関係を有しない国又は地域へ飛行を行なう場合には、両国政府間の事前の了解を必要とする。」、したがって、韓国政府が関係のない国、そこへ日本航空が行く、こういうことでございます。
○橋本敦君 そうしますと、はっきりしてきました。日本航空が韓国へ飛ぶ、そこから韓国のお客さんを乗せて今度飛ぶ場合に、韓国と外交関係のない、つまり社会主義諸国、全部ありません。こういうところへ飛ぶには韓国の了解が要る。事前協議が要る。韓国は御存じのように、すごい反共政策をとっている国ですから、自国の国民をピョンヤンへ絶対やりません。中国へやりません。ソビエトヘやりません。つまり、そういう協約を結ばされたということは、日本が社会主義圏を含めて以遠権を形の上で持ったとしても、合意がとうていあり得ないところに問題が一つあるし、たとえ合意ができても、ソウルからだれ一人お客さんが乗ってくれないという問題がありますよ。そういうところで日航は以遠権の実行便が一つもつくれないまま、KALの以遠権の便がどんどん伸びてきたと、こういうことです。
 もう一つ私がこれで注目したいのは、四十五年の六月、七月に、韓国はシアトル線を放棄をして、香港−サイゴン−バンコクへ伸ばし、東京−ホノルル−ロスへ伸ばしていくんですが、この四十五年以後どうなっていくか。これは小佐野が、あの有名なハワイにおいてどんどんホテルを買収していく時期に照応していく。そして四十九年には、趙重勲自身がワイキキのリゾートホテルを買収するということになっている。まさに日本に以遠権を強要し、ハワイへ進出をし、そうして小佐野が日航の重役であると同時に、KALの重役としてハワイで大もうけをすることに、趙重勲と手を組んで不平等な航空協定の状況を拡大しながら大もうけをしていったという疑惑が出てくる。
 そこで私は運輸省に尋ねますが、小佐野がKALの株式を、異例なことにただ一人の外国人として一〇%の株式を、韓国政府の了解を得て取得したのは何年か、御存じですか。
○説明員(山地進君) 現在のところ、私どもは承知しておりませんが、調査すればすぐわかります。
○橋本敦君 四十七年ですよ。まさに以遠権獲得後の二年後だ。そこで、小佐野がこのKALの株を取得したということについては、私はこれは異例なこのような状況で小佐野がKALの株を取得したことについては、KALが四十五年以後ホノルル、ハワイへ向けて以遠権を拡張し取得していったということに対して、小佐野がこれに対して助言、工作あるいは協力をしたことのKALの側の謝礼であったという疑いをいま持っているんですよ。これは調べにゃならぬですよ。そういう疑いを私は持っている。
 それからさらにもう一つ重大なことは、この交換公文附表で以遠権が改定されたこの四十五年六月は、まず、さっき言ったように、台北−香港−サイゴン−バンコクと、南へ遊びに行くドル箱路線を取った。たったその一カ月後の今度は七月に、また附表の修正をやって、今度はアメリカへのドル箱路線、東京−ホノルル−ロスを獲得するんですよ、KALは。この四十五年、四十六年当時の運輸大臣はだれですか。――そんなもの考えなくてもわかっているでしょう。橋本登美三郎さんですよ。運輸省、そんなもの知らぬですか。(「総理大臣田中」と呼ぶ者あり)田中さんは通産大臣。
 委員長、時間が来ましたが、私はまだまだ細かく聞きたいことがあるんです。こういうKALの、この日韓基本協定に違反してまで、不均等、不利益を事実上生み出しながらホノルル、ハワイ、そこへ進出していく以遠権獲得の最大の山になったこの四十五年の改定に、運輸大臣が橋本登美三郎氏であり、そして小佐野氏が趙重勲と深い仲であり、日航の特別重役として日航のクレームは抑えられる、こういう日韓のうごめきがあるということについて、まさに日韓の疑惑が、ソウルの地下鉄じゃありませんが、地下だけじゃなくて空にもまたがって動いていたという疑惑がありますよ。運輸省に、この点について徹底的な調査をすることをとりあえずきょうは要求をして、私の質問を終わります。
○委員長(大谷藤之助君) この際、午前中の矢田部委員の質疑に対する警察庁からの答弁を求めます。鈴木刑事局長。
○政府委員(鈴木貞敏君) 矢田部先生からお尋ねございました栃木県の農協共済福祉事業団の件についてでございますが、東亜相互企業の倒産に関しまして各種の報道がなされておる。大変多額の三十余億円というものが焦げついたと、こういうふうな報道でございまして、これによりまして、栃木県警察としては、六月三日、その実情がどうであるかという点につきまして、栃木県農協共済福祉事業団の滝田社長等からそれぞれ事情をお伺いし、さらにまたその他の方も含めまして事情を聞いておると、こういうふうな報告でございます。その点、ひとつよろしく御了承を願いたいと思います。
○矢田部理君 一問だけちょっと関連して質問します。
 この事業団は、全額が農協四団体の中の信連と共済連の出資で、人的構成、役員構成も実は重なり合っているわけです。加えて、組合員外貸付あるいは目的外貸付等々についてはいろんな規制がある、その上に農林省あるいは農林省と大蔵省の連名で、土地関連融資については抑制のための具体的通達が出されている。そういうものに実は違反して大量に貸し付けられたんです。本来、この事業団は保養所などをつくる、あるいは農協の建物管理とか建物をつくるための土地取得とかということが主たる目的として設立されたにもかかわらず、その後、貸金業というのをつけ加えて、ほとんど全部の金がその貸金業に回されている。信連と共済連から回ったお金の総額は百億ちょっとでありますが、そのうちこの東亜相互に元利を含めて三十億、東亜相互が白河につくった東亜農公園に十億、そして埼玉の土建業者にこれまた四十億、膨大な貸し付け、金融を実はやったわけですね。これは埼玉のやつも危ないと言われておる、まして東亜相互企業や農公園についてもどうにもならない。担保の裏打ちも、さっき言ったように本格的な抵当権じゃないわけです。いまだに農民の名義の土地を東亜相互企業が、いわば仮登記でしょう、恐らく。知事の許可はありません。第一種農地ですから、許可の出る見込みもありません。それを今度は農協がさら仮登記で取って、あの事業団が取っていると思われるわけですが、いわば担保の実行のしようがない、農地の値段ではとてもじゃないが、あの辺はせいぜい反三十万か五十万です。ところが、評価額は、許可が出、開発許可がおり、しかもそれが売買されることを前提として評価額を組んでいる。最近、農林省等が指導して評価替えをさせたところ、もちろんその半分ぐらいになっているわけでありますが、その農林省の評価すらも、実はそういう許可がおりて売買できることを前提とした評価であります。農地の評価としては、もう実に微々たるものでしかないわけです。こういうでたらめな貸し付けをやった。
 これは農民や農協の本来の利益を損なっているだけではなくて、あるいは単に人がよかったから貸したという、あるいは資金がだぶついているから貸したということでは説明がつかない。背後関係、貸すことに至った事情、これはいろんな人が絡んでいることを私たちも知らないわけではありません。その経過や背後関係はやっぱり徹底的に追及して、農民の利益が損なわれないような最善の措置をとるべきだ。もちろん、その第一次的な責任は農林省にあります。しかし同時に、この背任その他の問題点も、貸付審査の際の審査などがきわめてルーズにやられてきている経過もありますし、単なる事情聴取というのは捜査の一つの手始めではありますけれども、十分にやっぱりその点を詰めていくような形で事情聴取なり調査なり、さらには捜査なりに進めていただきたいということを特に要望しておきたいと思います。
○政府委員(鈴木貞敏君) いま仰せの各種の点につきましては、栃木県警の方にも十分連絡をいたしましてまいりたいと思います。
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十分散会
     ―――――・―――――