第082回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
昭和五十二年十一月十六日(水曜日)
   午前十時二十四分開会
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   委員の異動
 十一月十二日
    辞任         補欠選任
     下条進一郎君     望月 邦夫君
 十一月十四日
    辞任         補欠選任
     中村 利次君     向井 長年君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         藤原 房雄君
    理 事
                源田  実君
                藤川 一秋君
                森下 昭司君
                塩出 啓典君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                亀井 久興君
                後藤 正夫君
                鈴木 正一君
                田代由紀男君
                玉置 和郎君
                成相 善十君
                望月 邦夫君
                赤桐  操君
                栗原 俊夫君
                松前 達郎君
                吉田 正雄君
                向井 長年君
                柿沢 弘治君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       宇野 宗佑君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        大島 友治君
       科学技術庁長官
       官房長      半澤 治雄君
       科学技術庁計画
       局長       大澤 弘之君
       科学技術庁振興
       局長       杉浦  博君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   佐藤 兼二君
       資源エネルギー
       庁次長      大永 勇作君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        武田  康君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       警察庁刑事局公
       害課長      浜田 栄次君
       科学技術庁原子
       力安全局核燃料
       規制課長     石塚  貢君
       科学技術庁原子
       力安全局保障措
       置課長      栗原 弘善君
       外務省国際連合
       局科学課長    太田  博君
       運輸省船舶局首
       席船舶検査官   赤岩 昭滋君
   参考人
       日本原子力船開
       発事業団理事長  島居辰次郎君
       日本原子力船開
       発事業団専務理
       事        倉本 昌昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
 律案(第八十回国会内閣提出、第八十二回国会
 衆議院送付)
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(第八十回国
 会内閣提出、第八十二回国会衆議院送付)
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○委員長(藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十一月十二日、下条進一郎君が、十一月十四日、中村利次君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として望月邦夫君及び向井長年君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(藤原房雄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びに核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、明十七日午後一時、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤原房雄君) 御異議ないと認めます。
 なお、参考人の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤原房雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(藤原房雄君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びに核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○吉田正雄君 私は、いま提示をされておりますこの二法案に関連をしてぜひ必要な点がありますので、先回の委員会でわが党の森下委員の方からも日米核燃料交渉について質問が出されましたし、他の委員からも出されておりますけれども、まだ不明確な点といいますか、回答内容があいまいな点がありますから、若干お聞きをしておきたいと思うんです。
 で、御承知のように、八月末から九月初め、東京における第三次交渉でこの半年に及んだ日米核燃料交渉が妥結をして、九月の十二日の午後――これ現地時間――ワシントンで宇野科学技術庁長官それからスミス核不拡散問題担当大使らとの間で、東海再処理施設の運転に関する日米共同決定、まあ詳しくは合衆国産の特殊核物質の再処理についての共同決定の署名が行われて、同時に共同声明というものが出されたわけですね。この内容についてはいろいろあると思うんですが、大体五つないしは六つの点で要約できるんではないかと思いますが、その一つ一つについて確認をしながらひとつお聞きをしていきたいと思いますけれども一。
 まず第一点として、東海村の核再処理工場でのプルトニウムの単体抽出というものはアメリカは認める、ただし、つい先般、十月十九日から二十一日まで三十一カ国が参加してINFCEの会議が開かれたわけですけれども、そのINFCEの結論が出るまでの二年間という期間制限があるわけですが、この点はよろしゅうございますか。よろしゅうございますね。
 それから第二点としては、抽出された硝酸プルトニウムの濃縮液を核燃料として使用可能な状態、つまり固体粉末の酸化プルトニウムに変える転換工場の建設については、INFCEの結論が出るまではこれは認めないというのがあるわけですね。この点も間違いございませんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) INFCEが大体二年あるであろうからということで、それを配慮しての二年間ということでございます。正確には九月の二十二日に私たちは再処理施設を運転いたしましたから、それからまる二年とお考え賜ってもよいわけでございます。ただ、そこには九十九トンという抽出量、これが書いてございます。再処理量が書いてございます。したがいまして、二年間に九十九トンは処理したいと思いますよということでございますから、九十九トンに達するまで私たちはアメリカとの間において合意があると、こういうふうにお考え賜りたいと思います。
 なおかつ、転換工場に関しましては、こちらの方から自粛して申し上げたわけでありまして、アメリカが許す許さないという問題ではないと。私たちの方から一応再処理問題等を含むINFCEが二年間あるであろうからその間は自粛しますよと、こういうことでございますので、許された許されないという関係ではない、こういうふうに御了解賜りたいと思います。
○吉田正雄君 その点は許す許されないというきわめてあいまいな、その辺抽象的なニュアンスですが、共同声明の中でも、米国は転換工場の延期が日本側に不必要なおくれをもたらさないように保証する方法を探求する用意がある、こういうふうにこの共同声明の中では言っているわけですね。ですからこれ当然いま長官が答えられたように、九月二十二日からの再処理工場の運転開始からほぼ二年間。私が言っておりますのも、二年というきちっとしたものというよりも、ほぼ二年間かけて行われるであろうINFCEの会議での結論がどう出るかは別にして、そういう結論というものを見た上で再協議をされる対象になっているのではないかということを申し上げているのですが、その点はよろしゅうございますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 当然そのときには、日米原子力協定に基づく八条C項というものがまだ動いておりますから、それに基づきまして両国で協議をするということになります。
○吉田正雄君 ところで、この転換工場については動燃事業団で総工費約三十数億円、転換能力、年間プルトニウム単体換算で一・五トンの工場というものを再処理工場に隣接して建てる計画をすでに持っており、現在では設計が完成をして原子力委員会の安全審査を受ける段階にまで至っておるということなんですが、この点間違いないわけですか。
○政府委員(山野正登君) 大体そのとおりでございます。
○吉田正雄君 そうすると、いまの日米核交渉との結果に基づいて、この取り扱いについてはどうされるつもりなのか。何か方針があったらお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(山野正登君) 日本国政府の意思といたしまして、二年間転換工場の建設は見送るということを決めたわけでございますから、従来、動燃事業団で予定しておりました転換工場の建設というのは、当然に二年間延期されるということになります。
○吉田正雄君 そうすると、その間、この二年間というものは動燃の方から安全審査のあれは出されてはこないと、そういうふうに受けとめてよろしいわけですか。
○政府委員(山野正登君) 安全審査をどの時点で出すかというのはまた別の問題でございまして、これはいま直ちに急いで出すという必要はもちろんないわけでございますが、二年間の間は全く出さないのだということでもないと思います。これは将来の方針が確認され次第、ある程度のリードタイムというものを考えて申請というものは出されると考えております。
○吉田正雄君 その点は二年後まで待つということにはならぬという答弁なんですけれども、これは私は日米核交渉の妥結内容とも絡んで、その点はそういうことになっていかないんじゃないかという感じがするんですね。つまりこの核交渉での妥結内容としては、次の点として、東海再処理工場でのプルトニウムとウラニウムの混合抽出というものについて、技術的に可能で有効ということになってくれば、これは単体でなくて混合抽出という方向に切りかえていくんだという、そういうことになるんじゃないかと思うんですね。この点はこの前、長官も触れておりましたけれども、この点が逆に言うと日米核交渉では一番最後まで調整がなかなかつかなかった点だというふうに報道もされておりますけれども、共同声明ではいわゆるイフ条項ですね、もし技術的に可能で有効な合意に達すれば混合抽出に直ちに切りかえるというふうになっておるわけですね。したがってINFCEとの関係で二年間本当に日本政府というものが核不拡散に積極的に取り組んでいくということと、この核兵器はもちろんでありますけれども、とにかく原子力の平和利用という点に積極的に取り組んでいくということになるならば、一番心配される、このプルトニウムの単体抽出でなくて混合抽出の方向に切りかえていくということなんですから、そういう点でどの程度積極的にその技術開発等にこれから取り組んでいくのか、またその取り組む義務というものを、私はこの間の日米交渉で日本政府は義務づけられたと思うんですね。そうすると二年後と言わず、いまの転換工場については、途中でも何か審査が出てくるような、いま局長の答弁だったんですけれども、それはいま言った日米核交渉の結果から見ると、ちょっとその点は認められないことなんじゃないか。どの程度混合抽出の技術開発に熱意を持って取り組んだのか、まずその結果というものを見なきゃいかぬわけですし、さらにいま言った二年後のまたINFCEの内容とも関連をするわけですので、私としては、当然いま言った転換工場については、その結論が出るまでは、審査をするとか、計画を進めていく、計画を進め、審査をして許可をしたけれども工場だけ建てないという、そういうことにはならないんじゃないかと思うんですが、この点はどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 御指摘の混合抽出法についての研究というのは、わが国の意思によりまして今後OTL等の施設を活用しまして鋭意進めてまいるわけでございますが、将来この混合抽出法が技術的に実行可能であり、かつ効果的であるということの意味と申しますのは、単に抽出部分だけが技術的にできるというだけでは、これは不十分でございまして、あくまでも混合抽出しました後、このものをさらに再転換をする、まあ従来言われております言葉で言えば、共沈法等によって今後酸化物燃料に加工していくという技術もあわせて開発されませんと効果的とは言えないわけでございますので、私どもはこの混合抽出並びに共沈法の研究開発というものを今後鋭意進めてまいるわけでございます。そうして二年後に、もしその結果並びにINFCEの結論に照らして技術的に可能であり、かつ効果的であるという判断を私どもがいたし、かつ米国と合意した場合には、そういった混合抽出法またその先はさらに共沈法といった方向に進むことになるわけでございますが、一方、その期間鋭意研究しました結果、とても実行可能ではない、この抽出並びに共沈両面の検討において、とても効果的とも言いがたいという予見が、たとえば一年なり一年半の検討の結果行われた場合には、われわれは当然来るべき新しい日米交渉においてそういう主張をし、これはあくまでも日米双方が協議をして合意しなければならないわけでございますから、日本の自主的な判断というものは当然に尊重されるわけでございますから、そういう日米交渉の先行きというものを予見しながら、ある程度予備的に審査を進めておくというふうなこともまたあろうかと思います。そういう意味で、私はたとえば一年ないし一年半たちましたら、必ず安全審査を始めますということを申し上げておるわけでは決してございませんで、場合によりましては二年たってもしないこともあるでございましょうし、場合によりましては二年を待たないで安全審査に入るという可能性もあるということを申し上げておるわけでございます。
○吉田正雄君 いまの局長の答弁ですと、本当に日本がこの原子力の平和利用に徹し切って、しかもこの核不拡散という、核兵器不拡散という、そういうものにどれだけ熱意があるのか、逆に言うならば、いま局長がおっしゃったように、まさに日本の主体的、自主的な立場からこの問題に取り組んでいくんだということになると、ますますそこに日本政府の姿勢というものが出てくるわけなんですね。そういう点でこの日本側の技術者の大方の見解としては、これは皆さん方の体制内部の技術者の見解も含めてなんですけれども、技術的に見て、プルトニウムとウラニウムの混合抽出はそれほどむずかしいものではない、要は時間と金がかかるだけだというのが多くの技術者のほぼ見解だと、そういう見通しというものが言われておるわけなんですね。
 また、日米共同決定の第三項ですね、この第三項を見てもどういうことが言われているかというと、運転方式が混合抽出法に変更された場合、合衆国は肯定的な共同決定を行う用意があるというふうに規定しているわけですね。言いかえるならば、日米原子力協定八条C項による米側の同意、つまり共同決定を得ようと思えば、日本としてはやはり混合抽出法に変えなければならないのではないか。そういう方向がますます、むしろ日本の主体性において、国際世論もあり、そういう日本の方針というものをむしろ貫く努力というものが必要なのではないか。特に日本は御承知のように、世界最初の被爆国であるわけですから、そういう歴史的な経過からしても当然そういう方向に行くべきではないかと思うんですね。たとえば、さらに共同声明の中で、日米両国はプルトニウムが重大な核拡散の危険を持ち、その早計な商業化は避けるべきだとの見解で一致すると、こういうふうに共同声明では述べているわけですね。この点間違いないわけでしょう。したがって、私はこの半年間に及んだ日米核燃料交渉や、さらには世界世論の動向、そして現実に世界で運転をされておる再処理工場の実態や今後の見通しというものを考えた場合には、私はそちらの方向に努力をするというのが当然ではないか。二年後どうなるかわからぬという、そういう姿勢の中からはいま申し上げたような努力というものが果たして行われるのかどうかという疑問が出てくるんですね。この点では長官どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) まず第一点でございますが、単体抽出だけが核不拡散の唯一の道であると、こういうふうに思い込んでしまいますと非常に問題が残るんじゃないかと、これは私は議論したんです、はっきりアメリカと議論しましてね。アメリカの言い分は単体抽出はもう核不拡散につながると、だから混合せいと、こうおっしゃるが、私は単体抽出であっても後のプルトニウムをいかに国際的に管理するか、またそれを製造した国家が責任を持って管理するか、これが大切なんだからということでございますから、したがいましてさような論戦があったということをひとつまず御了解賜っておきたいと存じます。
 二番目には、なるほど単体抽出よりも混合抽出の方が、核不拡散という第一段階に立てば、より安全だということはわれわれ了解いたしております。しかしながら、日米合同調査団が調査をいたしました。そして何項目かにわたりましてお互いが合意いたしております。アメリカが反対で日本だけがオーケーというんじゃなくして、両国が合意した調査結果がございます。その結果に基づきましても、実は混合抽出法に現在の施設を切りかえるならば、最低二億ドルは要るということが両国において了解されております。二億ドルは今日のレートから申しましてもやはり五百億円近いお金になるわけでありまして、いままでの再処理施設に投入した額と同様でございます。同時にその改造そのものによって施設が安全に動くその間のいろんな期間を計算いたしますと、やはり私たちの計画が少なくとも五年間はおくれる、こういうふうな結論が出ておるわけであります。われわれは一九九五年には高速増殖炉というものを何としても実用化したい、こういうことで進んでおりまするから、まだその混合抽出が安全にですね、たとえ二億ドルかけまして五年間おくれましても、これは国民のためにも世界のためになる技術だということが確立されておるのならば、何をかいわんやでございましょうが、現在はまだ未確立であるということは、これはまた日米の両技術陣も同意をいたしておるわけでございます。これは先般細かいことは申し上げました。もし何だったら局長からお話をいたしますが、さようなことでございますので、われわれは混合抽出に対しましてはOTLを通じまして最大の努力をします。そして世界じゅうがそうしたことに、同じくやはり不拡散のためにはこれが唯一の方法だということが確認されたならばお互いに世界のペースで進もうじゃないかと、こういうふうに申し上げておるわけでございますので、決して拒否いたしておるわけじゃございません。だから、INFCEにおきましても再処理ということが一番大切なパートであると存じましたので、このワーキンググループの共同議長国に日本が希望をし、そしてそのとおり共同議長団になったということでございますから、やはり責任を持ってこの問題を検討をしていかなければなりません。ところが、いまから先を見越しまして大丈夫なんだと、混合抽出が唯一無二の方法なんだということは技術的にはまだむずかしいと、こういうわけでございますので、努力をすると、先ほどから申し上げておるのはそういうゆえんであるということをひとつ御了解賜りたいと存じます。
○吉田正雄君 その点は一応政府の考え方といいますか、これは長官によってそういう考え方が表明されておるわけですから、ここでいい悪いという論議をやってみてもそう簡単にその考えが変えられるとも思いませんから、その問題はここで論議をこれ以上深めるつもりはないんですけれども、もう一つ再処理工場の問題について、例の商業用の第二再処理工場の問題がありますけれども、これについてはいろいろ報道もされております。たとえば千五百トン、大体三千億円くらいかけて一九九〇年ごろに運転を開始をしたいんだと、こういうふうなことも言われておりますし、さらにこの日米核燃料交渉の中で建設や運転など主要な行動というものはINFCEの結論が出るまで差し控えていると、用地取得程度のそういうものにしていきたいんだと、こういうことなんですが、しかし、その再処理工場の性格というものが、いま言ったように単体抽出を考えて計画を進めていくのか、そうではなくて混合抽出というそういう努力をするんだということになっているわけですから、そちらの方向で第二再処理工場というものを考えていこうとするのか、これによって長官答弁のように途中で変更ということになれば、確かに時間的にはおくれるということにもなるんでしょうけれども、日本工業立地センターで北海道と奄美の徳之島ですか、の調査をすでに完了して、徳之島が適地であるという結論が出されたというふうなことも聞いているんですけれども、この第二再処理工場については現在どのような計画とどのような進捗状況になっておるのか、いまの点に関連してお答え願いたいと思います。
○政府委員(山野正登君) 第二再処理工場につきましては、現行の原子力開発利用長期計画におきましても民間が主体となってこれを進めるというふうになっておりますけれども、昨年来原子力委員会の中に設けられております核燃料サイクル問題懇談会におきましても、重ねてこのことが確認されまして、先生御指摘のように、今後、第二再処理工場というものは民間が主体になりながら一九九〇年を目指して実現していくというのが現在の政府の方針でございます。
 これにこたえまして、産業界では濃縮再処理準備会というものをつくっておりまして、この会が中心になりまして各種の準備作業をいたしておりますが、現在までのところ地図によりまして図面上でいろいろな候補地の研究をしておるといったふうな段階、またあわせて今後建設を進めるにつきましてはどの程度のリードタイムが要るか、どの程度のステップが要るかといったふうな技術的な詰めをしておる段階でございます。
 それから徳之島の問題につきましては、私どもも新聞報道等で読んでおりますが、これはただいま申し上げた濃縮再処理準備会が行った調査というふうには考えておりません。
○吉田正雄君 日米核燃料交渉のことについては大体その程度でとどめて、これからの日本の原子力行政を進めていく上で、私が当初の質問の際にも申し上げましたように、この安全性の確認ということは、どれほど慎重でありどれほど経費をかけてもこれで十分だということはあり得ないわけですね。これはもう「むつ」の放射能漏れの事故を初め、今日までの原子力発電所の相次ぐ、皆さん方で言えばトラブルというんでしょうか、私どもにすれば事故と、こういうものがずいぶん、故障と事故の区別、文字、一体どこに限界があるのか、その辺もあいまいなんですけれども、いずれにしてもずっと故障続きで十分稼働もしていない、こういう状況の中で再処理工場は原子力発電所以上にまさに汚染の最たる仕事をやる場所であるわけですね。それだけに世界的にもこの再処理工場が多くの事故を起こしてすでに運転が中止をされ、再開される見込みがない状況というものが相次いでおるわけですね。もちろん軍需工場としてのプルトニウム生産工場は別ですけれども、いわゆる商業用再処理工場としてはほとんど世界各国の再処理工場というものが、何らかの事故やあるいは大きな汚染事故等を起こして操業中止のやむなきに至っておるというふうに私どもは承知をいたしておりますけれども、その点で科技庁としては世界の再処理工場の今日までの運転状況と、それが運転中止に至った一体理由というものがどういうものなのか、お聞きをしたいと思うんです。簡単でいいんです。どういう事故やどういう原因によって、たとえばアメリカの工場が現在はもう操業中止になっておるとか、いろいろあるわけですけれども、そういうことをつかんでいる範囲でちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(牧村信之君) まず米国につきまして御説明いたします。
 アメリカのニュークリア・フューエル・サービスという会社が年間処理能力三百トンの工場でございましたが、これは一九六六年から一九七二年に操業をいたしておりました。これはその後民間の再処理需要の拡大ということを見越しまして、技術的に改良することを計画したわけでございますが、新たにこの工場を拡大するということは非常に経費がかさむ、あるいは安全基準を保つためにその改造を行うということにいたしますと非常に多額の経費がかかるということで、工事を断念して中止したものでございます。
 それからアメリカのもう一件、GE社が行っております再処理工場でございますが、これはコールド試験まで実施いたしましたけれども、これはその手法として、世界的に開発されております現在の動燃の再処理工場と同じような方法をとるものではなくて、新しい技術を採用したいわゆる半乾式方式というものを採用したために、技術的に途中で行き詰まりまして計画を中止したということでございます。以上二つはいずれも事故によってやめた、あるいはトラブルがあってやめたというものではございません。
 それから英国におきましては、現在BNFL、英国の核燃料公社がウィンズケールで天然ウラン二千トンの年間処理量のものを現在も操業中でございます。それから濃縮ウランの四百トンの処理をする工場がございますが、これは先生御指摘のように汚染事故がございまして、以降運転を中止しておりますが、現在この英国におきましては千トン程度の新工場を建設するという計画になっております。
 それからフランスでございますけれども、フランスにおきましてはうアーグにフランスの核燃料公社が建設して運転しておるものが二つございます。一つが天然ウランの使用済み燃料を再処理する千トンの工場、これは一九六七年からすでに操業をしております。それから濃縮ウランの四百トンの再処理施設でございますが、これは一九七六年五月からホット試験を実施中でございます。
 以上が主な諸外国における再処理工場の運転状況でございます。
○吉田正雄君 いまの局長の答弁の中で、最初のNFS社のウエストバレー工場、これは事故がないというふうにおっしゃっておるんですが、この工場の操業中止は、このウエストバレー一帯に深刻な放射能汚染というものを引き起こして操業が中止をされたんですよ、これ。その事実を皆さんつかんでおいでになりませんか。
○説明員(石塚貢君) いま御指摘のございましたとおり、このプラントは、その中止のきっかけはやはりトラブルがあったというふうに聞いております。そのトラブルの内容につきましては、しさいにはここに資料がございませんけれども、それをきっかけに改造をするという計画をしたわけでございますが、この工場を建設いたしましたのは相当以前のことでございまして、その間安全基準が改変されており、新しい安全基準に合致した形で工場の規模を建設するのは非常に金がかかるということでその後中止になっておるというふうに聞いております。
○吉田正雄君 皆さんの方でその情報を入手されていないんですか。いまちょっと入手されていないというふうな話があったんですけれどもね。相当大きな汚染事故が生じたんですよ。ですから皆さんの方でもわからぬわけないんですよね。もう直接のきっかけはすごい汚染が出て操業中止のやむなきに至ったし、それから、その後環境保全のための技術改良と今度は拡張計画に基づいてやったんですけれども、技術的な面と経済的な面からその展望が立たないということで、最近の情報ではもうこの再処理工場というのは放棄をするという、そういう方向にいま向かっているということが言われているんです。
 私がなぜこうやってこの再処理工場の汚染や事故の問題を申し上げるかと言いますと、日本がこれから――動燃はすでにホット試験に入ったわけですけれども、処理に入ったわけですが、世界的に見ますと、このウインズケールの工場もそうですしね、非常に大きなやっぱり事故を起こして操業できないと、もう工場自体というものを放棄をする。あるいはこの間のアメリカのカーター大統領の拒否権発動ではないですけれども、あれなんかももう経済的に見て決して成り立つしろものではない、単に核不拡散だけでなくて経済性からいっても、あの工場はつくるに値しないということが、これはもう報道されているわけですね。そういう点から見ても、私は経済性の問題はとにかくとしても、いま再処理工場をめぐって、安全性の問題については、大きな疑問というよりももう決定的な一つのダメージといいますか、そういうものがいま世界的に出つつあるんじゃないかという状況なんですね。ですから、これからの私どものこの再処理工場、動燃においてもいつアメリカやイギリスで起きたようなそういう事故が起きないとは保証できないわけですね。いままで小さな、皆さんから言えば、事故になるのか故障になるのか、動燃においても幾つかのそういう事故というものが起きていることは間違いないわけですし、その動燃の工場の形態も、これらの事故が起きた工場と同じ形式の工場であるわけですから、そういう点で、私はどんなに安全性に力を入れてもこれで十分だということはあり得ない。一たん事故が起きたらどういう事故になるのかという点についても、実は有名な報告というものが行われているわけですね。そういう点で、皆さん方がどの程度事故の現状というものをつかんでおいでになるのかと思ってお聞きをしたんですが、必ずしもそれらについては情報をお持ち合わせでない。そういう不確かな情報のもとで、この東海再処理工場や今後の第二再処理工場の建設を進めていくということになると、私は非常に大きな危険を伴う、そういう点でお聞きをいたしておるわけなんですね。
 時間がありませんので、余りこの問題だけでやっておるわけにもいきませんが、この程度にやめておきます。皆さんにお聞きしても、どうも資料がないとおっしゃれば、資料のない方に聞いてみたってこれはどうにもしようがないだろうと思うんで、この程度でやめますけれども、ただ一言だけ、これはどうしても指摘をしておきたいと思いますのは、いまのウェストバレーにある工場は相当な汚染を起こして操業中止のやむなきに至ったし、その後の拡張計画も思うようにいかないで、これは廃工場になるだろうと言われておること。
 それから今度は、再処理工場が事故を起こした場合の、一体事故というのはどんな事故になるのかという点についても有名な事故評価があるわけですね。皆さんの方でも、これは御承知だろうと思うんですが、御承知だったらもうそれでいいんですが、例のバーンウェル再処理工場に関するゴフマンの事故評価ですね、それと西ドイツの原子炉安全研究所に対して、内務省が、もし重大事故が発生をした場合、一体どれだけの被害が生ずるのか、去年調査を依頼をしたわけですね。そして去年、その調査結果がまとまったんですが、余りにもすごいので、この調査結果を隠しておったわけです。それがことしの一月、その調査結果が実は明らかになって、西ドイツの国内は大騒ぎをしたということなんですが、この二つのケースについては御存じでしょうか。
○説明員(石塚貢君) ただいま御指摘の西ドイツにおける評価でございますが、本件につきましては、そういうことが新聞紙上に報道されたということはあるわけでございますけれども、この件につきましては、この委託調査を発注いたしました西ドイツの内務省の担当の部署でございますが、そこの見解では、これを発表いたしましたのは西ドイツの連邦自然保護市民連盟というところでございましたけれども、この研究、西ドイツの内務省が委託いたしました研究の報告の内容、それの内容を適宜つなぎ合わせたといいますか、そういったものを、正確な結論というものを無視した非現実的な見解であるということを内務省は指摘いたしております。さらに、本委託研究の受託いたしました原子炉安全協会――IRSと言っておりますが、ここの機関も、前記の発表は報告書の一部を適宜つなぎ合わせた非現実的なものであるということを公式に指摘しておるというふうに聞いております。
○吉田正雄君 皆さんはその報告というのは入手はされていないわけですよね。新聞報道だけでしょう。そうですね。
○説明員(石塚貢君) 入手いたしております。
○吉田正雄君 入手いたしておりますか。
○説明員(石塚貢君) はい。
○吉田正雄君 それじゃ、いま言った新聞報道によってですね、あるいはつなぎ合わせたものであるとかどうとかと、皆さん方の、それではその報告書に対する分析結果はどうなんですか。
○説明員(石塚貢君) この研究報告の内容をわれわれも見ておるわけでございますが、一つの事故評価の仮定といたしまして、たとえば再処理工場の使用済み燃料の貯蔵プール、こういった貯蔵プールの冷却系が故障いたしまして、その結果、水がどんどん抜けていく、それをそのまま放置いたしまして、燃料が次第に露出する、その結果、燃料の崩壊熱で燃料が溶けるという、とにかくいろんな安全機構が全部働かないという想定のもとに行った計算であるというふうにわれわれも理解いたしておりまして、そういうことはやはり非常に非現実的な仮定であろうというふうに考えております。
○吉田正雄君 非現実的な推定だろうとか仮定だろうという推定自体が、私は非常に皆さんの推定が安易であり、そう断定できるほどの確信があってのことではないでしょう。
 いまのこの報告に関連をして、これは皆さん方の方でも、裁判の記録は入手をされておると思うんですが、例のウィルの原子力発電所に関するフライブルグ行政裁判の判決、これはこの前皆さんの方からも原文の判決文、私もいただきました。この原文の判決文は、まだ全部訳してはおりませんが、その前の、口頭で言い渡された判決の記録全文というのが、日本でも報道等によって紹介をされていることは御存じだろうと思うんですけれども、この判決の中で、いまのこのIRSの事故評価について裁判所がどのような見解を持っておるかというと、こういうことが言われておるわけですね。「IRS−290報告4の結果は、確かに異論のあるところだ。しかし、この報告はリンダッカーとフランツェンのデータをむしろ悲観的に見なおす契機を与えてくれた。」というふうなことで、この報告に盛られておる内容として、原子炉の覆いの破壊等が仮に出た場合ですね、「国家的な規模の惨劇をもたらすだろう。原子炉の破壊が起れば、約15キロメートルの範囲の人間は死亡し、35キロメートルの範囲の人間はがんの危険にさらされる、ということは確かだろう。」、そしてさらにその他の部分でも、皆さん方が心配ないと言って常に引き合いに出されるラスムッセン報告については、あのラスムッセン報告は信用することができない、原発事故というのは、いつどこででも起こる可能性があるんだと、こういうこともはっきりと言っているわけですよ。
 だから、いま簡単に核燃料規制課長ですか、そんなものは大したことじゃないんだと、その経過は余り信用できないといいますかね、取るに足りないというふうな、いま趣旨の発言だったと思うんですけれども、もしそうだとするとですね、非常にこの事故に対する皆さん方の認識というものが軽い。そういう認識の中から、私は、「むつ」のこの事故というものが出てきたり、今日まで多くの原子力発電所の事故というものが出てきていると思うんですね。その点について、安全性に対する認識というものが非常に軽いんですよ。この点については一体長官どうお考えになっていますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろ、報告を私たちも詳細にわたりまして検討いたしておりますが、たとえばいま課長の言ったのも、起こり得ないことではあろうけれどもたとえば起こればこうなるということでございますから、起こらないようにいま安全上のいろんな措置が講じられているわけでございます。で、日本といたしましても「むつ」のあのような貴重な体験がございますから、これに関しましても大いに政府は反省をいたしまして、その後行政上でもいろいろと安全を期し、技術的にも安全を期し、そして国民と安全行政との間の信頼関係、これを確立しなくちゃならぬ。これに懸命の努力をいたしております。だから世界がいろんなことを想定いたしましてやっていることを決して軽く受けとめているわけではございません。そうしたことが仮にあり得ないことであっても、起これば大変だから、起こらないように、より安全に安全を重ねようというのが今日私たちが臨んでおる基本的な態度でございます。
○吉田正雄君 ここで、皆さん方の認識不足と言いますか、非常に軽い考え方だということを幾ら追及してみてもしようがないと思うんですけれども、しかし、今日までの日本の原子力行政の中で、私は、最も欠けておったものは安全性や危険性に対する認識というものが非常に私はやはり薄い、弱い、軽い、そういう点やっぱり指摘せざるを得ないと思うんですよね。そういう点で、これからの原子力行政の推進に当たっては、何て言ったってこの安全性が最大限やはり確認をされていくということが、これはもう根底になきゃいかぬわけですね。起きてしまって大被害が発生してから、こんなことは想定しておらなかったなんて言ってみたって取り返しのつかないことなんですね。事故というのは、いつ、どこで、それだけの最大事故が起きるかわからない。その可能性があるということを否定をしているところはどこにもないんですよ。その可能性を否定しているという論文はないわけですね。確率論からいろんな言い方はあるかしらぬけれども、可能性を否定している論文というものはない。常にそういう事態というものをやはり想定をして、最大限安全に対するいろんな対策というのを講ずるというのが私はその基本的な態度でなきゃいけないんじゃないかというふうに思っておるんです。
 で、その点についてはいろいろあるんですけれども、この前、長官の方からは、今後の原子力発電に関連をして再処理工場では日本の規模では追いつかない、そういうふうなこともあって、英仏両国に過去約千六百トンくらい、もうそれ契約されたのか、近く契約に至るという、ほぼ合意に達しつつあるということなのかわかりませんが、何か政府計画ですと六十年まで五千万キロワット、三千二再トンというふうなことなんですが、英仏に工場建設をするわけですね。そしてその費用と再処理役務料などで六千億円、それぞれ英仏に三千億円の費用分担と言ったらいいんでしょうか、そういうものを行うということでほぼ合意に達しておるというふうなことが報道されているんですが、この点がそうなのかどうか。
 それから十年間でこの三千二百トン処理をした場合、廃棄物については早急にガラス固化技術を開発をして、そしてそれは日本に持ち帰るんだという、こういうことが交渉の中で確認をされておると。ただこの固化技術についてはまだ開発途上であって完成を見ていないわけなんですね。しかし、そういう技術というものを開発しよう。今日処理をしているのは液体であるわけですけれども、液体の高レベル、中レベルの廃棄物を処理をするということは非常に困難を伴っているわけですね。そこからまた放射能漏れというのが出ていると思うんですけれども、そういう点で、この二点というものがイギリス、フランスとの交渉の中でほぼ合意に達しつつあるやに聞いておるんですが、その点いかがですか。
○政府委員(山野正登君) イギリス並びにフランスへの再処理委託話は、フランスに対する委託の方は、たしか九月であったと存じますが、すでに契約に調印をいたしております。それからイギリスに対する委託契約の方は、これはほぼ双方とも合意点に対しておりますが、契約の調印は来年の初めになろうかと考えております。
○吉田正雄君 一つ、東海の再処理工場のことで、安全性に関してちょっとこれだけはやっぱり聞いておいた方がいいと思いますから、先ほど落としましたので、ちょっと戻るようなことになりますが、お聞きをいたします。
 この東海再処理工場はこれはウエストバレーの再処理工場と同じピューレックス法工場ですよね。そういうことで、実は、この再処理工場の廃棄物やあるいは内部被曝線量について、非常に大きな異なる報告というか、研究結果というものが発表になっていますね。これは皆さん御存じだろうと思うんですけれども、実は、この気体廃棄物あるいは液体廃棄物の放出量がある程度発表になっておりますけれども、それはそれでいいんですが、内部被曝線量について、原子力安全協会がありますね。この原子力安全協会、これは総合部会長が三宅泰雄先生ですね。ここで、放射性廃液の海洋放出調査特別委員会というのが設けられて、五年間にわたって研究をした成果というものを発表をしているわけなんですが、ここで、人体へのこの放射能の推定結果として、胃腸管には二百四十七ミリレム・年、一年間二百四十七ミリレム。骨に対しては二十四ミリレム。全身のはここにはないんですが、これに対して、動燃事業団が安全審査で最終的にことしの三月提出をしたデータ、つまり、それに基づいて安全審査会が安全審査をやったわけですけれども、その結果を見ますというと、胃腸管の被曝が二十分の一の、たったの十二ミリレムなんですね、一年間。それから骨に対しては七、それから全身に対してはわずか〇・七と、こういうことで、この原子力安全協会の計算値との間にものすごい差があるんですよね。まさに、私は、この数値というのはいかようにでも変えることができる、そういう最もいい見本じゃないかというふうに思っておるんですけれども、皆さんは安全審査に対して独自の調査、それから審査、こういうものをやられましたか。単に、動燃の方から出されてきた資料は仮定ですね、幾つかのデータがあるわけですけれども、それぞれについては、もうその点は間違いないという前提のもとにこの数値はそうだろうという断定をされたのか。どういう審査をやられたのか。これは私は今後の、何も再処理工場だけでなくて、原子力発電所を建設する場合についても、それからこれから触れる「むつ」の問題についても、そういう点できわめて安全審査のあり方について問題があるんじゃないか。この点は皆さん方の方といいますか、例の「むつ」の放射能漏れでつくられた調査委員会ですか、あの中でも指摘をされておりますけれども、非常にやっぱり安易なんですね。この点答えてください。
○政府委員(山野正登君) 先ほど私の答弁漏れ、大変失礼申し上げましたが、ちょっと補足させていただきます。その後ただいまの安全審査の御答弁を申し上げます。
 まず、再処理委託契約は、英仏双方とも総量は千六百トンを予定いたしております。それから、この委託の対価でございますが、大体先生御指摘のとおり双方で約六千億円という感じでございます。
 廃棄物の返還につきましては、これはただいま契約いたしておりますフランス側は、再処理後、廃棄物を電力会社に返還する選択権を持っておりまして、この選択権を行使いたします際には、最低三年前の事前通告を経まして行うということになっております。さらに、この選択権の行使は安全に輸送できること、また貯蔵可能な形、おっしゃいますようなガラス固化体でございますが、それにいたしまして、スペックが双方の関係当事国の基準に合致した場合に限って行うといったふうな条件になっております。
○政府委員(牧村信之君) 再処理工場の安全審査につきまして、特に海洋に放出される放射性物質に対する環境に対する影響につきましては、先ほど先生もお話がございましたように、原子力安全研究協会というものが調査した結果がございますが、その後、国としてさらに放出される廃棄物の環境に対する安全性を確認する意味で、関係省庁あるいは動燃事業団、原子力研究所あるいは民間機関を総動員いたしまして四十四年ごろから五カ年かけまして調査を行ったわけでございます。特に廃棄物の海洋生物に対する影響、それを人間が食べたらどういうふうに影響を与えるかというようなことにつきまして、海産生物に対する調査あるいは東海地区の住民の方々の食物摂取、特に海産物の摂取の実情調査等も行いまして、できるだけその新しい知見に基づきまして調査を行い、それを安全審査に反映したものでございます。それで現在、先ほど先生もおっしゃられましたように、内部被曝につきましては、四十四年のときの安全審査におきましては十二ミリレムというものでございましたのが、新しい知見に基づき審査したもの六ミリレムというふうになったことは事実でございます。
○吉田正雄君 皆さん方の調査結果によって皆さんの計算ではそうなったということなんでしょうけれどもね、本当に数字というのはいかようにでも操作をできるんですよね。またその前提をどういうふうに立てるかによって幾らでも数字というのは違っていく。それぞれの研究団体が皆違った数字を出してくるということなんですね。ですから、私はやはりこの安全審査に当たっては厳しい数値というものを採用して、それにたえ得るそういうものでなければいけないんじゃないかというふうに思っているんで、この点は今後の安全審査会のあり方の問題とも絡めて、この後で「むつ」のところでもちょっとまたお尋ねをしたいと思っているんですが、それじゃこの問題余りやっておってもしようがないですから、もう一つだけ。
 東海再処理工場では、いわゆる働いておる人たちの健康管理という点から、レット区域では毎時五十ミリレム、アンバー区域では毎時一・二五から五十ミリレム、それからグリーン区域では毎時一・二五ミリレム以下と、そうなりますと、八時間一日働いて、仮にグリーン地域であっても三百日働くということになると年間三千ミリレム、三レムということになってくるわけですよね。この数値は通常の公衆という問題や、それらの人との比較でそう大した数字ではないとおっしゃるかしらぬけれども、しかし私は決してそれは小さな数字ではないと、むしろこれ以上のやっぱり被爆というものがあるんじゃないかというふうに思いますし、それからプルトニウムの猛毒性というのはもう私がくどく申し上げるまでもない。専門家の皆さん十分御存じですが、何といったってプルトニウムというのは半減期が非常に長いわけですし、それからプルトニウムによる一体その梅性というものがどうなるのかというものが、わずか戦後三十年の中ではその実態というものはまだ必ずしも十分に把握されてない。十分というよりもまだきわめて未熟な部分なんですね。研究分野というのがまだ非常に多く残っている問題なんです。そういう点で、特に労働者の被曝問題については厳重の上にも厳重なやっぱり管理というものが必要じゃないか。つい先般もプルトニウムの事故があって、呼吸器の中に吸い込んだということなんですが、御承知のようにプルトニウムというのは染色体とかいろんな点で非常に大きな、あるいは甲状腺に影響するとかいろんなことが言われておるわけなんですね。そういう点でひとつこれらについてもより以上この安全管理、日常の安全管理というものを皆さん方に要望したいと思うんです。何だかんだといって、細かいとは言いながら結構いろんな事故が起きておるという点で、どうも聞いておるというと大したことはない大したことはないということで全部片づけてきておる。このことが私は一番危険じゃないかというふうに思っているので、回答要りませんが、そういうことで今後は安全性についても本当に徹底をしていただきたいというふうに思うわけです。まだほかにもたくさん聞きたいことあるんですが、それはそのくらいにいたします。
 次に、法案に関連をいたしまして、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案について若干お聞きをいたしたいと思います。
 まず最初に、私は行政の責任ということについてお伺いをいたしたいんです。実は「むつ」放射線漏れ問題が起きてから調査委員会が設けられて、それぞれの分野の一流の皆さん方が集まって検討されたわけですね。この調査報告書というものを見ますというと、全般的に今日まで設計の段階あるいは事業団の体質の問題、構成の問題、そういういろんな観点から一通り批判がなされておるわけです。ただ、この報告書の中では、行政の責任についてはあるけれどもいまここでは触れないという言い方で、面接的な責任追及、責任をどうするんだという問題については触れておりませんけれども、当初にお伺いしたいのは、この法案ができてから二回にわたって期間を延長するということが今日まで行われてきておるけわですね。もともと最初からわずか九年や十年の期間で全く未開拓の分野であった舶用原子炉というものを開発をし、さらにその原子炉を積んだ場合の一体船体の安全性、それらとの連関で慎重が上にも慎重というものを期していかなきゃならない。にもかかわらず、わずか九年や十年という、出発当初はきわめて短期間の事業団として出発をしたわけです。その結果が今日のようにそれは失敗であった。この点はこの調査報告書でも指摘をしておるとおりなんですね。こんな新しい舶用原子炉というものをつくってやっていこうというのに十年程度の研究開発、そして試運転、そんなことはできるわけないという点、これが指摘をされているんですね。そういう点で当初の見通しがまず基本的に誤っておった、こういうことが言われているんですが、この点はどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 昭和三十八年に本原子力船「むつ」の開発計画をスタートさせますときにおきましては、当時としてはやはり政府並びに関係者はできるだけ内外の知見を集めてこの計画をつくったものだと考えておるわけでございまして、その時点においてすでに誤りだったとは考えておりません。しかしながら、その後、何分にもこの分野というのは日本にとって全く新しい分野でございましたこととか、あるいは大山報告書にも指摘されておりますごとく、政府並びに事業団が地元との意思の疎通を欠き、国民並びに地域住民の理解と協力を得る姿勢に欠けたといったふうなこと等も重なり、かつまた最後の段階では放射線漏れという不測のトラブルにも遭遇いたしまして、結果的に大幅に遅延してしまったということにつきましては、これは私ども深く反省いたしておるわけでございまして、この反省をできるだけ今後生かしてまいろうということで、事業団の体質の改善でございますとか、あるいは政府の行政機構の改善、拡充でございますとか、いろいろ日夜努力しておるところでございます。
○吉田正雄君 これも詳しく聞いてまいりますと、これだけでまた大変な時間がかかりますので……。
 この前、長官はしかし当初の見通しが狂ったという点はお認めになっているわけですね。で、四十二年の四月に例の原子力委員会が公表した原子力開発利用長期計画という中では、わが国においても十年後には原子力船が実用化される見込みであり、昭和五十年代には原子力高速コンテナ船を初め、原子力巨大油送船などが相当数建造されるものと考えられるというふうなきわめて楽観的な見通しを述べておったんですよね。これがきわめて楽観論であったということはお認めになるでしょう、どうですか。
○政府委員(山野正登君) ただいまのところ、今後原子力船時代はいつごろ到来するだろうかという点につきましては、五十年の五月だったと思いますが、ニューヨークで原子力船に関する国際会議というのがございまして、そのときの結論等を総合し、かつまた原子力委員会の原子力船懇談会におきます議論等を総合して考えますと、やはり一九八〇年代の後半というのが現在の判断だろうと思うんでございます。そういう点から申しますと、確かに四十二年の長計決定時に今後十年間というのは若干期間的には短過ぎた、これは別途その後不況等による海運、造船界の活動の停滞といったふうな要因はあるにしろ、見通しは若干甘かったという点は認めざるを得ないと思います。
○吉田正雄君 この「むつ」を許可した責任問題ですけどね、責任はあるんだけれども、いまその責任はここでは特に問わないと言っているんですが、責任がないとは言っていないんです。それで、いま言った報告書は一応責任の所在を指摘しているだけなんですけれども、御承知のように規制法の二十四条の許可項目の一項目の第三号のところ、この前も指摘されたように「技術的能力があること。」ということが許可条件になっているんですけれども、しかし許可をした後、ここに書いてあるようにいろんな点で炉そのものから、あるいは船そのものも船種が途中で変更になっていくというふうなことが行われて、いずれにしてもこの計画のずさんさ、あるいは継続性のなさ、あるいはこの事業団の体制の不備、まあ能力の点いろんな点が指摘をされておるわけなんですね。そういう点で総理大臣に許可の権限が与えられておる、つまり責任を負っておるわけですから、このような「むつ」放射線漏れ事故が起きていまだにむつ港に停泊したままになっている、こういう責任からすると、これは一体政府の責任というのはどういうことになるんですか。責任問題はどのようにお考えになるんですか。
○政府委員(山野正登君) 「むつ」の今後の扱いにつきましては、大山委員会で種々検討されました結果、これは技術的に見て適当な改修を行うことによって当初の開発の目的を達成し得るという評価があるわけでございますので、私どもはその評価に従いまして今後「むつ」の開発を継続して続行してまいろうということを考えておるわけでございますが、その際、大山委員会の指摘というものを十分に頭に入れながら過去における事業団の不備、また政府のこれに対する監督の不十分といったふうなことも十分に反省しながら、先ほど申し上げましたような事業団の体質の改善強化とか、あるいは行政体質の改善といったふうなことに努めておるわけでございます。
 それからまた一方、船そのものの扱いにつきましては、これは御指摘のように一日も安閑としていることは許されないわけでございますが、いろいろと地域住民との関係等もあり、政府だけでもって本件を進めるわけにまいらぬわけでございますから、できるだけ国民の理解をいただきながらしかもできるだけ早く進めるという方向で、具体的には修理港の選定作業、修理並びに安全性の総点検といったふうなことを鋭意進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○吉田正雄君 遮蔽の改修工事を行うということになるわけですから、規制法二十六条に言う原子炉設備の変更ということに該当すると思うんですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(牧村信之君) 設計が変わるということであれば、それに関しまして当然変更許可が必要でございます。
○吉田正雄君 なればじゃなくて、いま政府ではこの遮蔽部分については改修をしようということですから、そうだとするならばこれは当然変更として取り扱われるんではないか、そうだとすればこれは当然再申請というものが行われるべきではないかということを尋ねているんですよ。
○政府委員(牧村信之君) おっしゃるとおりでございますが、まだわれわれとしては、規制を担当する方としてはどういう形ではっきりしますというのは受け取っていないわけでございます。事業団その他が検討しておるのは知っております。最終的に決まりましたところで判断し、当然変更になると私どもは思っておりますけれども、そういうことでちょっと申し上げたわけでございます。
○吉田正雄君 ちょっとおかしいんで、現に放射能漏れが起きて、「むつ」は現実にはいまのところこれは実験もできない。もちろん最終的な航海実験も終わっておりませんから、その検査証ももらってない。正式にはまだ船になってない。正式に船になってないけれども、今日までの状況の中であのままではもう使えないということが明確になったんですから、そうであるならば当然この前与えた認可といいますか、許可というものは取り消すべきじゃないですか。取り消して改めてどういう計画を持っているのか再申請をさせるべきですよ。許可は取り消すのがあたりまえじゃないですか、その点どうなんですか。
○政府委員(牧村信之君) いま事業団でそういう詰めを行っておりまして、われわれとしては設置の変更が出てくるものと思っております。
○吉田正雄君 許可は、総理大臣が許可をしたんですよ。出てくるものと思っておるではないでしょう。現に、もうあのままではあの船は使えませんということがはっきりしているんですよ。はっきりして、改修しなきゃどうにもならぬということですから、皆さん方が安全審査上問題ないとして許可をしたその責任問題も当然あるわけですけれども、いまその責任問題はたな上げにしても、あれは取り消すべきですよ。あれは誤っておったわけだ、間違っておったわけですから、取り消すべきですね。安全審査のあれには合っていないわけですよ。項目に合ってない。そういう点では取り消して再申請をさせるべきではないかと、こう言うんです。
○政府委員(牧村信之君) 現在の「むつ」の状態は、建設中に放射線漏れを起こしたわけでございます。それで、それに対していまその対策を検討し、最終的に決まれば工事方法を変更しなくちゃならぬ点もあるわけでございますので、そういう点で私どもとしては変更の申請をとり、それに対して十分な安全審査をすればいいというふうに考えておるわけでございます。
○吉田正雄君 そこがおかしいんじゃないですか、大体ね。だれが考えてもおかしいでしょう。許可をした、しかし、そもそも設計の段階から基本的な中性子に関する設計が不十分であって、あれだけの中性子線漏れというのが出てくるとはわからなかったわけです。つまり、まず設計上のミスがあるし、さらには工事自体にも問題があったわけですね。そういう点で当然書類上の安全審査では合格したけれども、現実の実験段階でこれはもうその安全審査の合格基準に合致をしなくなったんですから、その許可というのは当然取り消されるべきであって、そして事業団がその改修について再申請をしてくる、それに基づいて再度審査をし直すというのが私は手順じゃないかと、こう聞いているんですよ。何か人ごとのように、事業団がそのうちに何とか言ってくるだろうという、それは主務官庁としておかしいんじゃないですか。
○政府委員(牧村信之君) 許可後、事前に予知し得なかったああいうことが起こったわけでございますけれども、それが直ちに許可が取り消されるとは私ども考えておりません。
○吉田正雄君 それではあの船は動くんですか。動きますか。
○政府委員(牧村信之君) したがいまして、災害防止上必要な措置をとらせるように当然指導するわけでございます。それが、先生先ほどおっしゃいました変更許可が出てくるということで対処したいと考えておるわけでございます。
○吉田正雄君 そういう無理な解釈をやっても、これはやっぱり通らないんですよね。まあ、それはいいですわ。
 で、次に、技術的な問題でも、皆さん方から、修理港におけるいろんな修理のやり方についての質問に対する回答も出ておりますね。回答も出ておる。これね、大分長々と書いてありますけれども、この中にもずいぶん問題があるんですよ。もう全く断定的に、単に心配がないんだとか、安全であるとか――その心配がないとか安全であるという根拠がこの中では非常に不明確です。これは少なくとも原子物理をやった方や原子炉関係である程度の知識を持っている方がこれを見たら、こんなもので納得できるわけないわけですね。これも時間がないからきょうは触れません。いずれまた機会を見て、この技術上の問題の点については触れていきたいというふうに思うんですが。
 ここでは行政の問題についてもう少し突っ込んでお聞きをいたしたいと思うんですけれども、四者協定について、まず、この合意協定書の性格というのは一体法的にはどういう位置づけになるのか、民法上になるのか、一体どういう法的な拘束力といいますか、効果といいますか、効力といいますか、この点についてはどのように理解をされておるか、お聞きをしたいと思うんです。
○政府委員(山野正登君) この合意協定は、政府が県、市並びに漁連に対しまして、この合意協定に記載してございます施策についてこれを誠意を持って実行するということを約束したものでございまして、政府は当然これを遵守すべき政治的責任を持っておると思っております。
 で、先生の御質問の、これが私法上の契約かどうかという点につきましては、特に契約といったふうなものには該当しないとは存じますが、かといって、それでは遵守する責任はないかと言うと、そうではございませんで、これはきわめて高度な政治的判断でつくられた協定でございますので、政府はあくまでも誠意を持って遵守すべき義務があると考えております。
○吉田正雄君 誠意を持って遵守をする、守りますということは、この前長官からも耳にたこができるほど聞いておるんですけれども、ほとんど実施をされていない。お金の面ではいろいろされているようですけれども、最も肝心なこの船に関しては守られていない。四十九年十一月一日から撤去の作業を開始するということがあの中に盛られておりますけれども、たとえば使用済み核燃料交換用キャスクの県外搬出であるとか、あるいは使用済み燃料貯蔵池の埋め立て作業であるとか、その他撤去の作業というものを行うということがあそこに明示をされておるわけですけれども、今日までどのようなことが行われたのか、お聞かせ願いたい。
○政府委員(山野正登君) 合意協定書を大分けにしまして、定係港に関する事項と地元対策、漁業金融対策に関する事項、さらに「むつ」の安全監視委員会の設置に関する事項、この三つに分けまして、後の地元対策、漁業金融対策並びに安全監視委員会の設置については、これは全部履行いたしておりますので、第一の定係港に関する事項について御説明申し上げますと、まず直ちに「むつ」を入港させる、これは済んでいるわけでございます。
 それから二番目の入港後六カ月以内をめどに新定係港を決定する、二年六カ月以内をめどに母港を撤去する、これはまだ実行されておりません。
 それから、三つ目の原子炉は凍結し、燃料は抜かない、これは実行いたしております。
 四つ目のキャスクを十一月中に県外に搬出する、これもすでに県外に搬出を完了いたしております。
 それから、五番のプールの埋め立て、これは使用済み燃料の貯蔵プールでございますが、プールの埋め立てを十一月から開始する、これは開始をし、かつ埋め立てを終了いたしております。
 それから、六番目のクレーンのかぎを青森県知事が保管する、これも県の方に移管いたしております。
 したがいまして、第二番目の新定係港の決定並びに母港の撤去というのがまだ履行されていないという状況でございます。
○吉田正雄君 一番肝心な大事なところが実は実施をされていない。もうすでに二年半経過をしてしまったわけですね。私は本当に尊重するということであるならば、先ほどの論議の中でもイギリス、フランスに再処理工場を建ててもらってそして委託契約でその仕事をやってもらう、そのためには六千億円もの金というものを日本は出しましょうと、こう言っているんですね。何もこの国内に新しい新定係港を求める必要はないわけですね。それこそアメリカなりイギリスなりそういうところに、そういう技術を持っている国に頼んだっていいんじゃないか、そういうことはお考えになったことはないんですか。
○政府委員(山野正登君) 原子力船の修理を外国に頼むケースと申しますのは、これはかつて関係の方々からいろいろ私どもに同じような御意見なり問い合わせがございまして、そういう関連におきまして若干の調査をいたしましたが、わが国に太平洋をはさんで一番近い米国につきましては、これは先方の原子力法によりまして事実上向こうの域内に原子力船を持ち込むということは非常に困難であるといったふうな事情もございます。それからヨーロッパ諸国に頼むという場合には、これは非常に長い船旅も必要でございますし、なかなか実現は困難じゃなかろうかというふうな結論で、そういう調査をしたことはございます。
○吉田正雄君 この報告の中の今後の提案といいますか、そこでも書いてありますように、原子炉そのもののやっぱり設計について再度検討すべきだというふうなこともここでは指摘をされているんですよね。放射線漏れについて皆さん方の場合には単に遮蔽板といいますかね、遮蔽装置だけ、そこのところだけ取りかえればいいというふうな考え方のようですけれども、原子炉そのものがもともと欠陥を持っておるんではないかということも言われておるんですね。そういう点では、この全体の計画というものを当初から見直していく必要があるんじゃないかという点から考えると、私はこの上さらに無理をしてまた新しい遮蔽改修工事をやってみたらまた事故が起きたなんていうことになったら、それこそもう私は大変な事態になると思うんですよ。そういう点で、この前からいろんな言い方もされておりますけれども、私はこの上無理に無理を重ねてやるということでなくて、炉というものを船から外して、あるいは研究炉にし、船はもっと別途何かに使うべきじゃないか。大体あの船というのは当初の計画で船体そのものというものを設計をされておったわけですね。今度新しい改修工事をやるというときに船体の安全性なりバランスなり、そういうものは一体どういうふうになるのか。その辺も余り明らかでない。そういう点で無理の上にも無理を重ねるということは、私が先ほど来るる述べておりますように、安全性が何といっても最も重視をされなきゃならぬという点からするならば、行政のメンツなどというものは捨てて根本的にやり直すと、再検討するということが私は必要ではないかというふうに思っているわけです。この点もお聞きしたいと思いますし、この問題については最後に長官に、この前むつ市長選で母港存置派の市長が勝利をしたということで、それも一つの大きな情勢だからなんとかというような話もあったと思いますが、私はこれは非常に重大な問題だと思いますのは、何も選挙はこれ一つだけを争って選挙が行われたわけではなくて、その他のいろんな公約があるわけですね。公約掲げたものが必ずしもその公約に賛成でなくても、全体として賛成だという賛成票だってあるわけですね。「むつ」の存置には反対だといっても他の公約全体として総合してこちらに投票したという方だってあるわけなんです。ですから、仮に自民党が選挙で公約を掲げたからといって、すべての公約を投票した人が全部認めたわけではないし、そのことは具体的には法的な措置によって、つまり国会の場において法制化をされて、初めてそのことが国民的な合意の上に成り立つということになるわけですから、単に公約の中にそれが入っておったからといって、あそこに賛成票を入れた方が全部「むつ」のまた母港として再存置をすることに賛成したという発想は、これは私はそうはならないんじゃないかというふうに思うわけですね。その点、何かややもするとそのことがいかにも前面に出て、あたかもあそこに置くことがもういいかのごとき印象をややもすると与えかねない長官発言でありますから、この点についてはちょっといただきかねますから、再度その点についての御答弁をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(宇野宗佑君) 母港存置を公約として掲げられたことは事実ですし、それが非常に選挙期間中は話題になったことも事実である。しかし御指摘のとおりそれだけで投票があったかどうか、これは個々の有権者のお気持ちでございましょうから、したがってそういうふうに御判断なさればそれも一つだろうと思います。ただ、いままで非常に重大であった母港に関しては私も直接間接に耳にいたしておりますが、あの下北半島の将来を考えると、何らかの方法でやはり産業を誘致するなり、また巨大なる原子力発電を行うてそれによって安い電力で産業が来るように考えるというふうなことも、やはり全般的にむつに限らず、その隣村地域におきましてもあるということも事実でございます。しかしそうしたことが一つの選挙という手段によって明らかになって当選なさったということも事実ですから、それはそれなりに私は受けとめておるということでありまして、ただそれが一市長さんによって今後の問題がすべて解決するのではなく、やはり知嘉さんの御判断なりあるいは漁連の方々の判断なり、そうしたこともわれわれは無視してはいけません。これはもうはっきり申し上げておりますので、ひとつそこは分けて御判断賜りたいと存ずる次第でございます。
 なおかつ四者協定に関しましては、だからといって四者協定が崩れたんだとか崩れないんだとかいうふうな判断は私たちはいたしておりません。四者協定は今日も厳然としてあり、四月十四日にそれが守り切れなかったことに対して私は責任を痛感いたしておりますが、今後も、四者協定は尊重しております、こういうふうに申し上げておりますので、私はきちっと分けてお答えしておると、こういうふうに存じておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
○吉田正雄君 「むつ」の問題たくさんありますが、一応きょうはこれでやめておきます。
 次に、例の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。
 これもずいぶんお聞きをしたい点があるんです。実は逐条的にやはり聞いておかないと全体とのかかわりの中で十分把握し得ないということになりますので、逐条的に聞いてまいりますが、時間がありませんので、お答えをいただく方は簡潔にひとつ答えていただきたいと思うんですが、まず六十一条の十ですね。そこの中で国際約束の内容というのがありますけれども、この国際約束の内容はどんなものなのか。それからどの機関、国家との条約、協定を指しておるのか。それは一体国内法との関係で、皆さん方はIAEAとの間にいままで事前の話し合いというものをずっと進められてきたわけですけれども、一体どの程度国内法で盛るという拘束的な約束、こういうものをされたのか、こういうことをまずお聞きをしたいと思いますし、それから「保障措置」の内容、一体「保障」というのは何を、どういう程度保障をしていくのか、その内容、それから「適切な実施」とは何か、それから「処理業務」の内容、「指定する者」の定め方などについては「政令で定めるところ」となっておりますけれども、いま皆さん方が想定をされておる内容は何か、どういう内容であり、どういう範囲のものかということですね。これが六十一条の十です。
 それから六十一条の十二。第一号について、まず「適確に遂行するに足りる技術的能力」とは、これは形式的な判断基準では困るわけですから、そこで言っている「技術的能力」とは一体どういうものを指しておるのか、それから「経理的基礎」というのは何を求めておるのか。
 それから第二号に関して、「役員又は職員の構成」というのがありますけれども、その「構成」の内容というのは、人数を言うのか、能力を指すのか、あるいはその他、一体何を指しておるのかということです。
 それから六十一条の十三第二号、「命令の規定に違反し、」のこの「規定」、それから六十一条の十六の二項、総理府令で定める業務規定の事項の内容とは一体どういうものを考えておいでになるのか。
 それから六十一条の十七第一項では、「総理大臣の認可を受けなければならない。」のに、つまり、年度事業だとか予算ですね、こういうものについてあらかじめ「総理大臣の認可を受けなければならない。」となっておるのに、第二項では、その事業報告なり決算については提出をすれば足りるとなっているわけですね。ということになると、当初の計画どおりに行われなかったというふうなことがあっても、単に提出だけで済むということになるんですが、不適当なものがあったら一体その点はどうなるのか。そこだけを単に提出すればよいということにしたその根拠といいますか、考え方ですね。
 それから六十一条の十八、ここが一番問題のところなんです。実は、担当者の方から懇切な説明も受けましたけれども、なかなか私の頭がかたいせいか、理解する能力に欠けておるのか、なかなかどうもすとんと落ちない。落ちないというよりも、むしろこの条項については、現行日本国憲法やあるいはこの法律を制定する根拠となる核兵器不拡散のこの核防条約の精神やそれに伴うIAEAとの協定、それらの精神にも実は合致をしない、むしろ合致をしない、精神に反する、そういう私はこれは条文ではないか。しかも、それに罰則規定がついてくるということになると、単純に国家公務員法百条や百九条との比較においてこれが必要だという論理は成立をしない。そういう点で秘密の範囲というのは一体何なのか。「情報処理業務に関して知ることのできた秘密」の範囲というのは一体何を指しているのか。そういう秘密が一体あるのかどうなのか。原子力基本法によって自主、民主、公開という、特にこの不拡散という、そういう方針からするならば、これらの核燃料なり、それらの情報というものは明らかにしておくことが、むしろより望ましいというふうに考えるんですね。その「秘密」の範囲。その漏れた場合の措置は簡単に一年以内の懲役あるいは三十万円以下の罰金となっておるんですけれども、この点については一体だれが告訴をし、あるいは告発をし、だれが責任を持って漏れたと判断するのか、その辺がきわめてあいまいですね。それは主務官庁である通産省なりあるいは運輸省なり科学技術庁なりそういうところが判断をしていくのか。
 それからもう一つ、これは取り締まる側としての警察庁になりますか、お聞きをしたいと思うんですけれども、こういう法律ができますと、これは単に通産、運輸、科学技術庁という直接関連する職員のみならず、これ刑事罰ですから、したがって秘密が漏れたというふうな判断というのは警察独自あるいは検察庁独自でも行い得るわけですね、こういう法律ができますと。そういう判断というものが行い得る権限を持つようになるわけなんですね。したがって、警察庁にお聞きをいたしたいと思いますのは、そういう判断は何を基準として行われるのか、関係省庁の告訴、告発をもって捜査に踏み切っていくのか、そういうものがなくても独自に状況というものを判断をして、そのような事実が発生をした、生じたと認めた場合に、その捜査に入っていくのか、そういう点を明らかにしてもらいたいと思うんです。
 まだ意見は私いろいろ意見あるんですが、この点についてはまだ後で述べることにして……。
 それから、六十一条の二十三の第三項、情報処理機関が不当に、仮に情報を捏造したり、内部告発があってその実態を調査する場合、犯罪捜査というふうな観点でその内部検査するんじゃないですよと言っておりますけれども、情報が漏れたとか、そういうことになってくるならば、当然罰則規定との関係でまず一時的には主務官庁がそれらの調査というものを行わなければならないと、こういうふうになってくるんで、犯罪捜査の性格を持つものではないと言ってみても、現実に秘密が漏れるということになれば、罰則規定に基づいて、それは一つのもう犯罪というものが構成をされることになっていくわけですね。だから、主務官庁が行政処分――刑事処分はもちろんないわけですけれども、そういう点で犯罪捜査と密接に関連をした調査というものが当然そこには出てくるわけですね、警察とはまあ別に。こういう点でその点をどういうふうに考えておいでになるのか。
 それから、六十一条の八、「国際規制物資使用者等」のこの範囲ですね。これはまあ従来からのいろいろな総理府令だとか、いろんなもので書かれてはおると思うんですが、改めてお聞きをしていきたいと思う。それから「計量管理規定」のおよその内容。
 それから――これやっておりますとあれですね、まだ大分時間がたつようですね。それから六十八条ですね。「国際原子力機関の指定する者」の範囲、第六項、「国際約束で定める範囲内」とは……。
 それで、質問だけやっておったんでは時間もありませんから、私は、特にこの法案の中で最大のやはり問題を持っておるというのは、いま申し上げました六十一条の十八の、俗にいう守秘義務、それに違反をした場合の罰則規定、この点はこれはとうてい認めることのできない内容なんですね。その理由はいろいろあります。いろいろありますけれども、まず私は、憲法との関連でまず第一に申し上げてみたいんですが、まず何よりも、日本の憲法というのは、皆さんも御承知のように、フランスの人権宣言や、あるいはアメリカの独立戦争等のいわゆるアメリカの憲法、こういうものとほぼ性格的には同じ基本的人権というものを日本国憲法はその中心に置いておるわけですね。そして国家というものは、まさに個人の生存権というものを保障していく上においてこそ国家の存立、形成というものが意味があるんであって、それが最大限尊重されなきゃならない。ところが、個人のそういう基本的人権というものを、国益やあるいは国家あるいは公共の福祉という名のもとにおいて重大な制限や制約を加え、あるいは侵害をするということになると、これはとうていわが国の憲法の立法の趣旨からして認めることができないわけですね。そういう点で、そうまでして守らなければならない守秘義務というものが、原力力基本法の精神からしても一体この秘密という中に存在するのかどうかというのがまず基本的な大きな疑問なんですね。疑問というよりも、それは許されるべきものではないということです。これを軽々に、国家公務員法の百条の秘密を守る義務などと同列に並べて論議をすること自体が、もうすでに私は基本的な誤りだと思うんですね。
 で、これは先ほども申し上げましたように、核兵器の不拡散に関する条約第三条第一項の規定にその源を持っているわけですね。したがって、この条約の目的というのは、原子力が核兵器など軍事的用途に転用されるのを防止することにあるんですよね。また、わが国は、この右条約第三条第一項に基づいて、まず、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定を締結して、国際原子力機関との間に原子力が核兵器その他の軍事目的に転用されないことを確認することのみを目的としてこの保障措置というものが協定の中に盛られているんですね。そこが一番大事なことなんですよ、これは。批准をしたその精神も、IAEAとの協定も、そこが基本になっておるわけなんですね。そうですから右協定というものを国内で実施するために本法の改正が必要となったわけですから、この改正法は右の条約及び協定の目的を遂行するために必要なものに限られるべきなんですね。
 ところが、右の秘密保護の条文というのは、右の条約及び協定の目的遂行に必要でないばかりか、逆に有害である。なぜか。条約も協定も本法も、その目的は、いま申し上げましたように、原子力の軍事的利用の防止にあるから、この条約に加盟している国にあっては、国内の核原料物質の種類や量や所在などを常に明らかにしておくとともに、それを加工したり再処理を行う事業体やその設備の状況、原子炉の設置などに関しては許可制度の採用を初めとする各般の規制を行い、その事業の状態を政府においても常に的確に把握しておかねばならない。そして政府は、それらをIAEAに通報をすればよろしいわけですね。使用済み核燃料の再処理を行う事業体についてはその必要は最も大きいわけですよ、これは。したがって、本法が核物質の計量のための記録の保持と政府に対する報告を各事業体に義務づけるとともに、その事業体に対する立入検査を含む査察を行い、職員に試料の収去の権限をも付与したのは、そうした趣旨から出ているというふうに解すのが正しいわけですね。したがって、政府がその実態を把握せんとする各事業体の設備やその所持する核原料物質ないし使用済み核燃料物質等については、その設備の所在や構造、物質の種類や量などを政府はもちろん国民の前にできるだけ明らかにしておく必要があるわけですね。これを秘密として国民に秘匿せんとすることは、かえって本法やその源である条約や協定の目的に反するものと言わなければならぬわけです。すなわち、これらすべてできるだけ国民の前に明らかにしておくことこそ核物質の軍事的転用を防止する最も効果的な手段であるわけですね。
 政府は、核物質に関する実態把握のため、原子炉の設置、運転等に関する規則――これは昭和三十二年、総理府令第八十三号であるわけですが――を初めとする一連の規則により、各事業体に命じて設備や核物質に関する一連の報告をなさしめるとともに、その届け出された書類をすべて本改正法によって設けられる指定情報処理機関に渡してコンピューターに入れ込み、これを整理解析をさせて、その結果を政府に報告をさせるということになっているわけですね。改正法は、この情報処理機関の役職員が右の業務によって知り得た秘密を漏らしてはならないとし、これに違反した場合には一年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金に処するものとしておるわけですね。しかし、前述のように、この機関の把握する各種事業体の設備の種類、構造、その所持する核物質の種類や量等については、むしろできるだけこれを明らかにしておく必要があり、これを秘密ならしめることこそ、かえって法やその淵源たる条約や協定の目的達成に有害になるだけです。
 科学技術庁当局者は、この第六十一条の十八の立法趣旨についての説明を、至るところでと申しますか、まあ関係議員に対して、私も何回か聞きましたけれども、その趣旨が転々として変わってきておる。私に対する説明、他の委員に対する説明、その同じ委員に対する説明においても、逆質問によって、その答弁というものが当初の趣旨説明から二転三転をしておるということなんですね。この点についても申し上げたいと思うんですけれども、まあ説明者の説明がどう変わったなどということをここで一々申し上げても仕方がないと思うんですが、私は、いずれにしても、基本的に、いま申し上げましたように、この国際条約との関係で、その趣旨に合う範囲、そういう範囲内においてこの法律というものが改正をされるべきであって、国際機関との約束を盾に基本的人権を侵害するような、不必要な、しかもむしろそれによって、たとえば今日までいい例としては、美浜一号炉のあの核燃料棒の大破損という、あれだけの大きな事故というものが約三年半にわたって報告がなされなかった、こういう例からもわかるように、こういう秘密を漏らしてはならぬという守秘義務を設置することによって、原子力行政というものが全く秘密のベールの中に包まれて、それこそむしろ憂慮する状況というものが発生するんではないか。仮に意図的な人がおったとして、捏造した資料、そういうものを政府に報告する、あるいは間違いがあっても、それを守秘義務の名のもとにおいて、その間違いを訂正をしない、いろんなことが私は生じてくると思うんですね。そういう点で、私はこの守秘義務並びにそれに伴う罰則については反対なんです。
 時間がそろそろ参ったんですが、これらの点については、さらに次の質問でまたわが方の委員からも、私が先ほど申し上げた点についての回答も、これは時間の関係もありますから、次の委員会までに、いまの点については簡単でいいんですが、文書にしていただきたいと思うんです。次の委員会でまたこれをるると口頭で説明されたんでは……(「守秘義務だけ」と呼ぶ者あり)それだけ聞きましょうか。守秘義務について私がいま申し上げたような点に関連して、回答をいただきたいと思います。
○政府委員(佐藤兼二君) 御案内のように、今後考えられるわが国の保障措置制度は、単に国内制度という問題だけじゃなくて、まさに核不拡散条約下の国際的なセーフガードの一環としてこれがなされることは御案内のとおりでございます。なお、その制度内容は、昭和四十五年以降五年間にわたる国際原子力機関との間における交渉の結果、御案内のような自主査察体制というものをわれわれが実施することが可能になったわけです。これはまさにユーラトムとわが国のみであって、通常言われるユーラトム並みというのはこの内容を指しているわけでございます。もちろん、こういうような結果になり得たのも、国際原子力機関がわが国に対する理解と信頼というものを持てばこそ、そういう結果になり得たんだろうと私は思います。したがいまして、今後わが国の国際保障措置の内容、制度を決めるに当たっては、これらの国際的な理解と信頼というものをよく踏まえて、これにこたえるような対応をすべきだと思います。かつまた、内容、制度につきましては、当然、事の重要性から、これが日本の国際制度として恥ずかしくないような内容にするというふうな努力は当然すべきだと思います。
 したがいまして、御指摘のような問題に関しましての守秘義務の問題に関してだけ答えますと、しからば、国際的な制度の一貫性としまして、国際的にはどういうような守秘義務に関する、秘密保持に関する理解が成り立っておるかということを御披露したいと思います。
 それは、先生御指摘のとおり、予定されておりますこの協定そのものの六条a項に、IAEAは知り得た秘密を保護するためすべての措置をとると、こういうふうに明言しているわけでございます。なお、これは単に日本とIAEAとの間というのみならず、これは国際間に共通に適用されるべきモデル協定というのがございまして、その中に明言されている事柄でございまして、すべてこの精神でやっていく、国際間のすべての問題に関しては、本件に関してはそういう制度でやっていくということになっておるわけでございます。
 なお、より具体的に申し上げますと、IAEAそれ自体は憲章がございまして、その公務上知り得た秘密に関しましては一切これを漏らしてはならないという基本的な規定がございます。
○吉田正雄君 秘密とは何だ。秘密とは……。
○政府委員(佐藤兼二君) 秘密は、具体的に申しますと、産業上の秘密または他の機関の情報に関する問題は漏らしてはならないという一般規定はございます。今回の保障措置問題に関連しましては、具体的な協定の中に、なおさらに上乗せしまして、IAEAの査察員などに関しましては産業上の秘密等は保護しなければならないというふうに個別明言をしているような状況でございます。で、私たちも、先ほど申しましたように、単なる国内措置ではないんだ、国際的な信頼の上に立つ一連の関連措置であるという認識のもとに、そういう信頼にもこたえ、また内容の信頼性を確保するために、先ほど御指摘のような委託に関する守秘条項というのを設けたのでございまして、それはきわめて必要であり、かつ妥当なものであるというふうに考えているわけでございます。
○説明員(浜田栄次君) 警察庁の方からお答えを申し上げたいと思いますが、指定情報処理機関の役職員等が秘密を漏らした場合に、警察も独自で判断いたしまして捜査をする場合に何を判断基準としてやるのか、こういう先生の御質問のように承っておるわけでございますが、一般的に申し上げますと、七十八条の二の規定におきまして「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」ということで罰則規定を課してございますので、警察といたしましてそういった守秘義務違反を認知した場合におきましては、刑事訴訟法の定める手続に従いまして必要な捜査を行って検察庁に送致をする、これが原則になろうかと思うのでございます。ただ、具体的な事案につきましてこれを捜査いたします場合には、先生御指摘のように、この犯罪構成要件でございます秘密の範囲の立証といいますのが必ずしも警察だけで判断できないという場合も多かろうと思いますが、そういう場合におきましては、科学技術庁など関係機関と十分に協議をいたしまして、その辺の立証の判断をしていくことになろうかと思います。したがいまして、この事件の捜査に当たりましては、事柄の性質上、関係機関とも十分に話し合いをいたしながら慎重に判断をいたしまして、いささかも乱用することのないように今後の運用には十分配意していきたいと、このように考えております。
○吉田正雄君 IAEAとの間にいろんな取り決めを行ったといいますけれども、国内法の中に守秘義務と罰則規定を盛り込むというふうな、そういう内容にまで立ち至ったもし話し合いを行ってきたとするならば、それはまきに国会の、立法機関というものの意向というものを事前に何ら知ることもなく、まさにそれは内政干渉と言われても仕方がない。あるいは行政府として提案権はあるでしょう、政府提案ですけれども。しかし、これらの法律については国会で審議をいたしているわけですね。そういう点で、こういうものを、拘束的な約束というものを、IAEAとの間にやること自体――やったのかどうか、まだ聞いておりませんけれども、そこまでの拘束された一体話し合いが行われてきたのかどうなのかですね。
○政府委員(佐藤兼二君) 誤解があるといけませんので、一言申し上げておきたいと思います。
 IAEAと日本政府との間の問題は、この協定に示していますように、国とIAEAとの関係がどうかということを規定しているだけでございまして、ただ一点、御指摘のように、第三条の自主査察体制との関係もありましょう。日本政府は国内体制を維持する、保障措置体制を維持する、そういうふうに規定してありまして、しからば、その国際的な履行をするための国内的な体制、制度、より具体的には法令の整備等に関しましてはどうするかということは、まさに日本の自主的な判断で決めることでございます。したがいまして、その見地に立ちまして今回関係の国内法の整備を御提案申し上げている次第でございます。決して約束するというようなことでもなければ、この協定によってそれが約束づけられておるというようなことではございません。
○吉田正雄君 時間が参ったようですので、先ほど申し上げましたように、各条文について、簡単でいいですから、私が質問したものは次の委員会までにひとつ文書にして出していただきたいと思うんです。そのことが審議をよりスムーズに進めるためにもいいんじゃないかというふうに思っておりますから、その点お願いいたしたいと思います。
○政府委員(佐藤兼二君) 承知いたしました。
○委員長(藤原房雄君) 両案についての午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十八分開会
○委員長(藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びに核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○塩出啓典君 それでは最初に、まず最近の原発における軽水炉の実績等から見て、原子力船「むつ」の原子炉についても陸上の炉と同じようにステンレスチューブの応力腐食割れが起きるのではないか、こういうような点について非常にわれわれも心配をしておるわけでありますが、そういうような点については、科学技術庁としてはどういう、その点は心配はないのか。あるいはそういう点についてはこれからさらにあらゆる面にわたって検討する方向であるのか、その点はどうでしょうか。
○政府委員(山野正登君) 今後遮蔽改修とあわせまして安全性の総点検というのをやることにいたしております。で、これは原子カプラントを中心にいたしました安全性の総点検でございまして、当然に陸上炉等で発生いたしました各種のトラブルというものは十分に参考にしながら、安全について再検討、再評価をしようということでございますので、お説のとおりやっていくつもりでおります。
○塩出啓典君 それから確かにこの「むつ」の総点検改修計画等を見ますと、そういう陸上の原発の炉で事故のあったようなところは、再度穴があいていないかどうか、ひび割れが出ないかどうか、そういう点検をするようにはなっておりますが、しかし現実のところ出力一%以下でございますので、そこで問題がなかったからいいということではないわけで、やはりいままでのいろんなトラブル、事故、故障等から見て、これは理論的にもいろいろ検討はできるんじゃないか。そういう点の検討はなされているのかどうか、これからするのかどうかですね、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(山野正登君) この安全性の総点検におきまして、いま御指摘のソフトウエアについての点検というのはすでに着手いたしております。設計についての再解析でございますとか、あるいは設計の再評価といったふうな作業にはすでに入っておりまして、これらの評価結果によりましては、将来必要な場合には改良設計等も行おうというふうなことで進めております。
○塩出啓典君 いままでの陸上で動いている十四基、あるいは試運転を含めてですね、十四基について見ても、必ず何らかの問題もあるわけですね。そういう意味で、「むつ」の炉だけが何もない、こういう保証は何もないわけで、私たちも非常に心配しておるわけですけれども、大体どういうところが一番心配であると、このようにお考えですか。
○政府委員(山野正登君) ただいま考えております原子炉プラントの設計の再検討の項目といたしましては、幾つかございますが、炉心特性の再評価、燃料特性の再評価、制御棒系の再検討、それから給水制御糸の再検討、一時冷却系、漏洩検出系の検討、それから格納容器圧力バウンダリーの改良の検討、安全施設の試験の対策、放射線モニターの配置と感度の検討といったふうなことが入っております。
○塩出啓典君 いままで冷却水がいわゆる原子炉圧力容器に入るところのノズルのところにクラックが生じたとか、あるいはその他燃料棒の破損とか曲がりとか、それからいろいろなステンレスパイプの応力腐食割れとか、あるいはそういうような各炉に共通するそういう事故が発生をしておるわけですね。そういう点を踏まえて、やはりそういう心配のない炉をつくる自信はまだないんじゃないかと、その点はどうですか。
○政府委員(山野正登君) ただいま原子炉の安全性、信頼性の向上ということにつきましては、官民挙げて努力をいたしておるところでございまして、国におきましても、昭和四十七年以降と存じますが、各段にこの安全研究というものに力を注いでおるわけでございます。年間の予算規模にいたしまして百五十億円ないし百六十億円というものを安全研究に注いでおりますが、一方民間におきましても、信頼性の向上という観点から、通産省で進めておられます改良標準化というものに歩調を合わせまして、信頼性向上のための各種研究というものは鋭意いま続けておられると思うのでございます。
  〔委員長退席、理事森下昭司君着席〕
 そこで、従来起こっております各種のトラブル等に対する対応策というものも、こういったふうなものの中で明らかにされつつございますので、今後はこういったふうなものをできるだけ改良標準化される実用炉に反映していきまして、できるだけ稼働率を上げたい、信頼性を向上したい、かように考えております。
○塩出啓典君 私は、先回の委員会で、やはりこの「むつ」というのは船でございますので、陸上の原子力発電所よりもはるかに振動、あるいは洋上であると、そういうようなより困難な条件の中にあるわけですから、したがって、陸上の炉でもなかなか稼働率が低いわけですから、そういう点で、陸上でやるべきだと、こういう意見を述べたわけでありますが、その意見は余り取り入れられなかったわけですけれどもね。それならば、私は一歩譲っても、やはりいきなり洋上で試験をすると、もし洋上で放射能が漏れて、それで機関を停止するとか、そこで台風でも来れば非常に大変でございますし、そういう点から、やはり岸壁に固定をするなりあるいはどこかの場所で、船を言うなれば陸上に上げて、そういうところでやはり試験をすべきではないか。こういう点についての科学技術庁の見解を伺っておきたいと思うんですけれどもね。
 ただ、これはまだ修理港受け入れの問題もありますし、いろいろなそれまでに至るトラブル、解決しなければならない問題があるわけで、そういうものをやはりきちっと解決した後の問題でね、私は決してそういう解決を未解決のまま強行しろという意味では決してないわけですけれどもね、私はやっぱりそこまでやるべきじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
○政府委員(山野正登君) まず第一点の「むつ」に搭載されております舶用炉を陸上に上げて実験をするか、搭載したまま実験するかという点でございますが、これはまさに先生御指摘のように、舶用炉と申しますのは陸上の軽水炉に比べまして負荷変動に対する対応力でございますとか、あるいは船舶の動揺に対する対応力といったふうなものが要求されるわけでございますので、そういう観点からもむしろ船に搭載して実験する方がより実験目的にかなうのではないかというのが私どもの考えでございまして、先日もその点をお答えを申し上げたわけでございます。
 しかしながら、確かに出力上昇試験をいたします際に、いきなり外洋に出まして出力上昇試験をするというのは、私ども適当とは考えていないわけでございまして、いま仰せのとおり、まず最初は岸壁で低出力の上昇試験をいたしまして、その後、低出力上昇試験でもって安全性、性能等が確認されました暁には、それ以上の出力試験は外洋に出て行うというふうな手順でやるべきではないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 ひとつ長官に望みたいことは、やっぱりあわてることは事をし損ずる場合が多いわけですから、私は、この原子力船「むつ」というものは将来日本の海運界に原子炉を導入することが果たしていいかどうか、こういうことを決める問題であって、これは非常に、言うなれば海運業界の将来を決める非常に大きな問題ですから、それが非常に試験を焦ったために、そういう点から変な方向に進んでしまうことを非常に恐れるわけでありまして、そういう意味で、ひとつ決して焦ることなく、少々時間は幾らかかってもいいわけですから、やはりそういう精神でひとつ慎重に対処してもらいたい。
 ちょっと御意見を承っておきます。
○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろと温かい御配慮に対しまして、私といたしましても感銘いたしております。大切な船でございますから、これによって将来の、海運国である日本が本当にメリットを得るかどうか、言うならばそれを試すための船でございますので、当然われわれといたしましても、過去の経緯にかんがみましてもやはり慎重を期していかなければならないと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 もちろん安全に関しましては、安全に安全を重ねて、十二分にその点は確認をしながら、そして将来やはり原子力船時代の一ページを十二分に担ってくれるような使命、この使命を果たしてくれるべく、われわれといたしましても決して事を急ぐことなくやっていきたいと思います。ただ、まあ一応のスケジュールがございますが、十二分にお気持ちは体しまして対処していきたいと存じます。
○塩出啓典君 そこで、原子力発電所の軽水炉の稼働率の問題でありますが、私がいろいろいただきましたデータによりまして計算をしてみますと、大体昭和四十五年以降、年々稼働率が低下をして、五十年の場合は軽水炉九基の平均では、時間稼働率では五割を大きく切り、設備稼働率では四割以下になっておるわけであります。四十五年から、四十六、四十七、四十八、四十九、五十と下がって、そして五十一年にちょっと上昇はしているわけですけれどもね、だんだんだんだん時とともに稼働率は下がっておる。本来ならば、時とともに上がっていくのがやはり技術の進歩というものがあるわけでありまして、時とともに下がっておる、こういう点についてはどう考えているのか。それで、五十二年度もどうも、五十一年度はちょっと上がりましたけど、五十二年度はまた低下するんではないか、こういうような感じがするわけですけどね、そのあたりの見通しはどうなんでしょうか。
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、数字を見てまいりますと五十年度が五割切りまして、それから五十一年度には時間稼働率で六割、設備利用率で五二%ということになったわけでございますが、五十二年度に入りましてまた低下いたしておりまして、上期平均で時間稼働率で四二・八%、設備利用率で三八・九%ということで、四割程度になっておるわけでございます。十一月現在、ただいまのところを申しますと、運転中の発電所が七百九十九万キロワットございますが、その中で四百五万キロワット稼働いたしておりますので、五〇・六%ということになりまして、今月に入りまして若干持ち直しておりますが、年度間を通しましては五割をキープするというのは若干むずかしいかなというふうな感じを持っております。
 それで、長期的な見通しでございますけれども、先生御承知のように現在出ておりますトラブルと申しますのは、蒸気発生器の問題でございますとか、あるいは配管のひび割れといったような、いわゆる工学的な原因に基づくものでございまして、逐次材質の取りかえでございますとか、水処理の変更等を行っておるわけでございます。先生御承知のように、原電のたとえば東海一号炉等につきましても、稼働いたしました当初のうちはいろいろトラブルがあったわけでございますが、順次そういった材質あるいは水処理等の工学的ないわゆる改善を重ねまして、現在では安定して動いているというふうな状態でございまして、今後トラブルの原因になりました、先ほど申し上げましたような点を改善していきますれば、先々はやはり稼働率はまた上向くであろうというふうに確信をいたしておるわけでございます。
○塩出啓典君 そうなってほしいと思うんですけどね。しかしこのデータ見ますと、私はずっといままでの炉の一年目の稼働率、二年目の稼働率、三年目の稼働率、ずっと見てみますと、大体一年目が七三%ぐらいなんですね。二年目が六四・二、それから三年目が五六・九、四年目が四七・五、それから六年目、七年目というのは、炉はもう三基しかないわけですけどね、それが二五・九、七年目が二六・四、八年目は七六・四なんです。これは敦賀のBWRが一基で七六・四となっておるわけですけれども、だんだんだんだん年数とともに、時がたつとともに稼働率がどうしても下がらざるを得ない、こういう方向はやっぱりやむを得ないんですか、データはそう示しているわけですけれども。
○政府委員(大永勇作君) 先生もいまちょっと御指摘になりましたように、敦賀は四十五年に稼働いたしましたが、五十一年度におきましては、設備利用率でもって六八%、時間稼働率で七六%、それからその前の、これはマグノックス炉でございますが、東海一号は四十一年に動きまして、五十一年度には時間稼働率が八七%、設備利用率が六九%ということで、古いものが必ずしも低いということではないわけでございます。それで先ほども申し上げましたが、たとえば配管におきますステンレスの材質の問題でございますとか、あるいは水処理のやり方がまずかったというふうないろいろな工学的なトラブルの原因というものが次第にわかってまいりまして、その辺を改良してまいっておりますので、先ほども申し上げましたが、再びまた安定いたしまして稼働率は上がっていくんじゃないかというふうに思っております。もちろん今後つくります原子力発電所につきましては、先ほども御答弁がありました、いわゆる改良標準化を進めるというふうなことをやっておりますので、さらに稼働率としてはよくなるであろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 現在軽水炉で一応営業運転をやっているのはたしか十三基で、そのうちもう七基が停止をしておるわけですね。そして私は本来であればだんだん時がたって、後からできる原子炉ほどそういう前の原子炉におけるトラブルというものの原因を究明し、その技術を積み上げていく、そしてその積み上げのもとにだんだんやっぱり後からできるものがよくなければならないのに、逆に後ほど悪くなっておるわけですね、極端に言えば。一番いいのは、いわゆる東海村の四十一年に設置いたしましたコールダーホール型ですね、これだけが軽水炉でないわけですけれども、それがずっともう八〇%とか八六%とか、かなり九〇%近い稼働率を続けておる。後になるやつほど非常に悪いと、こういう点はやっぱりいろんなそうい経験というものが積み重ねられないで、そういう技術の未確立のままにぱっぱっとどこでもつくってきた、そういう私は結果ではないか、これはどう思いますか。
○政府委員(大永勇作君) いろいろトラブルが出ておりますのは、先ほども申し上げましたが、いわゆる炉物理学的な問題といいますか、原子炉の本質的なところというよりも、いろいろ材質の問題でございますとか、あるいは水処理といった工学的な原因によるものでございますが、たとえば先生おっしゃいますように、だんだんよくなるべきでございますが、たとえば従来の穴のあけ方を変えまして、水の流れをさらによくするためにその穴のあけ方を変えたら、逆にそれが原因でぐあいが悪くなったというふうに、こういった工学的なものにつきましては、やはり経験の積み重ねというのが改良への道であると思いますので、若干の試行錯誤的な要素というのはどうしてもあるわけでございますが、やはり一定の期間そういう試行錯誤を重ねた上におきましては、だんだんそれが定着いたしまして、先ほども申し上げましたように、やはり今後の問題としては安定化、稼働率の向上の方向に傾向として向くのではないかというふうにわれわれとしては確信いたしておるわけでございます。
○塩出啓典君 そういうわけで軽水炉の場合はまだ技術が確立されていないんじゃないか、大筋においてはいいとしてもやはりそういう細かい点においてまだ技術が確立されていない。いまトライアル・アンド・エラーと申しますかね、そういう中から一つの技術が確立されていくわけですから、そういう意味で私はいまは余り原子力発電所をどんどんふやすよりも、そういう原因を究明して本当に安全性の高い、信頼性の高い、また稼働率の高い、そういう炉をつくることの方が先決じゃないか、その考えはどうですか。
○政府委員(大永勇作君) これはすべての――原子炉も一つの機械でございますが、すべての機械産業について言えることでございますけれども、その原理、原則的な点ということではなくて、いわゆる周辺的な、工学的な問題につきましては、やはりだんだんその経験を積み重ねることなくしてはよくならないものであろうと思います。したがいまして、よくなるまで待つというのではなくて、やはり早くよくなるように、順次経験を積み重ねていって、それでりっぱな原子炉を早くつぐるということではないかというふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 たとえば美浜の一号炉はもう五十年の七月一日からずっととまっておるわけでしょう。しかも、ここはいわゆる熱交換器のパイプに穴があいておったわけでしょう。いま約八千八百本のうち、もう千九百本のパイプ、これはもう穴があいておるから、両方栓をして、そしてもう使わないようにしておるわけですね。あるいは東電の福島第一発電所の二号炉にしても、五十一年の
 一月五日からずっととまっておるわけですが、ある人によると、もうこういう炉は使えないんじゃないかと、そういう意見の人も聞くわけで、確かに余りにも定検中にしても長過ぎるわけで、大体、このあたりはいつごろ再開する方向なのか、何が問題でこんなにおくれておるのか、簡単に――簡単に説明できないかもしれませんけど、素人にわかるように説明していただくとありがたいと思うんですけどね。
○政府委員(武田康君) 御指摘の美浜発電所でございますけれども、蒸気発生器の細管が約八千木ございまして、すでにそのうちの二千本程度を栓をして閉じてしまっているわけでございます。実は、そういうものの原因になりましたのに、水の中に燐酸ソーダというものを入れまして、水質を改善しようというようなことで、ずっとやってきたわけでございますが、どうもその燐酸ソーダがある部分にたまりまして、それが原因になってパイプに穴があくというところに発展してきている。で、実はその燐酸ソーダを除くというのが、微量のものを除くわけでございますが、なかなか大変なことでございまして、それに非常に手間どっていると、それが美浜発電所が非常に長くとまっている原因でございます。しかし、取り除くようなやり方はどうするんだというのは、幾つかの経験を積み重ねておりまして、見当はついております。したがいまして、そういう作業にかかるという段階までいきますと、その後はまた以前、二、三年前のように動かせるのではないかと思っているわけでございます。
 それから一方、もう一つ御指摘のございました福島第一発電所の二号炉でございますが、いまおっしゃったようにことしの一月からでございますが、ずっととまっておりまして、どうも見当といたしましては、まだ全部のチェック済んでおりませんので断定はできませんけれども、来年にかかってしまって、それもまあ一月で済むかどうか、二月にかかってしまうかなと、こんなような感じを持っているわけでございます。で、その原因は、先ほど先生もおっしゃったようなチューブ――配管に応力腐食割れがある、あるいはそのほかにたしか第二号機は制御棒駆動水の戻りノズル、そこにひびが発見されたというようなことがございまして、実はそういう手直しをするのにかなりな時間がそれぞれかかっております。で、それらを取りかえるなり、あるいは手当てをするなり、またはシステムを変えるなりというようなことが、何分放射線のある部分での作業でございますので、慎重を要しますので、時間がかかっているということで、実は一年もう越してしまいそうであると、こういうことでございます。しかし、それらの処置が全部終わりますと、これはまた先ほど次長からお答え申し上げましたように、経験を積み重ねて手当てをすれば、その後はより改善――稼働率の点でも改善する方向に行くというようなことでございまして、その後また従前のように十分運転できるし、またこんなに長いような定検を毎年繰り返さなくても済むんではないか、こう私ども思っている次第でございます。
○塩出啓典君 ここで私は長官に伺っておきたいんですけれども、よく、原子力発電所は安全だと、実際その放射能によって一人も被曝受けて事故がないじゃないかと、だから安全だと、こういうことをよく言われるわけですけどね。それはまあ確かにそうかもしれませんけれども、しかし、外部への被曝の事故がないから安全だと番うんでは、やっぱり国民の不安感はなくならないと思うんですね。やはりこのような低稼働率、もう半分以上も炉が動いていない、しかも、中にはもう二年も三年も定修が長引いておると、こういうようなことではやはり国民の信頼は得られない。速やかに安定をしたそういう稼働率というか、外部への被曝は当然のことでありますけれども、そういう技術の確立をしていかなければ国民のコンセンサスは得られないと思うんですが、その点はどうですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 幸いにして今日までは軽水炉におきましてそうした人身傷害事故がなかったということは、本当に幸せに存じますし、今後もそうしたことのないように極力安全を図っていきたいと、かように存ずる次第でございます。ただ、稼働率、やはりそうしたことにつきましては、いろいろと国民の方々のお考えもございましょうから、先ほど来局長も申しておりまするとおり、極力標準化を進めていきたいと存じます。特に、わが国の軽水炉はもうすでに御承知のとおり九〇%以上国産化が進んでおるというふうなことで、こうした面におきましてもそれぞれ確信を得ながら、安全を期しながらその改良をしておる次第でございまして、特に九州の玄海のごときは非常によい成績を上げております。これはこの間私が現地で聞きましたところでは、まあ世界においても非常に長い稼働率だというふうに、現に会社の方も喜んでおりました。まあそうしたこと等もございますから、やはりそういうふうな姿になっていくということをわれわれとしたしましても望んでいかなければなりません。御指摘の点は十分今後考えまして、極力稼働率が上がるようにいたしたいと、かように存じております。
○塩出啓典君 それで、私はやはり原子力発電あるいは原子力の平和利用というものは推進をしていかなければいけないんじゃないか。まあ確かにプルトニウムができるとか、こういうようなものもありますけれども、科学は常に両刃の剣であって、やはりそれを人類の幸福に役立てるように、人類の英知がリードをしていかなくちゃいけない。そういう意味で、やはり国民の要望も、きちっとした平和利用であれば賛成じゃないかと、そう私たちも感じているわけなんですけどね。まあしかし、いまのように非常に何かこう、電力はまあ昭和六十年にはこれだけ足りないんだと、だから三千三百万キロワットでなきゃいけないんだと、こういうことへ、もう各電力会社が競ってつくると。ところが、そのできた炉はいろいろな同じような故障が起きると。それもまあ、アメリカのGEあたりから連絡があって調べてみると、ここにも事故があった、ここにも事故があった、こういうことで、それでは結局私は、経済効力から考えても非常にマイナスじゃないかと。むしろ、いまは原子力発電所をふやすことよりも、やっぱりそういう技術の解明が大事じゃないか。したがって、いろいろ検討の結果、どうしてもここのステンレスチューブはこういう材質のパイプにかえてやった方が問題ないんじゃないかと、そういうひとつ炉をつくってみようと、こういうように、やっぱり試験的な目的のあるようなそういう炉ですね、当然それは営業運転に使ってもいいわけですけれども、常に一つ一つの炉の建設というものが何らかのやはり新しい試験をするような、そういうものに限ってやはり設置の許可をして、いま余り何となく同じような事故を繰り返すようなそういう炉をふやすことは私は長い原子力行政の上から見てもマイナスだと、ぜひそういうように改めてもらいたいと強く要望したいんですけれども、その点はどうですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 過般もCANDUの可否に関しましていろいろとアドバイスがございました。われわれといたしましても、軽水炉――加圧水、沸騰水型ともどもに今日国産を図りながらやっておるわけでございますが、やはり資源等との関係からいたしましても、たとえばこの間示唆をいただきましたCANDUに関しましては、電源開発がそれをひとつ扱ってもいいだろうかと、そういうような試案も持っておりまするから、そうした面におきましては、やはり将来の平和利用のためにはいろいろと検討することも必要であろうと、かようには存じております。
○塩出啓典君 そこで、先ほど資源エネルギー庁から、現在いろいろ軽水炉で起きているトラブルは工学的なトラブルであると、恐らく火力発電所の歴史においてもやはりそういうようなトラブルを経て今日の優れた技術が確立をされてきたことは、私認めるわけですけれども、しかし、ただその原子力発電所と火力発電所というのは本質的に違うと思うんですね。やっぱり、火力発電所だったら少々蒸気漏れがあっても問題ないわけですね、それは出しておけばいいわけですから。しかし、原子炉の場合はやはり蒸気の中に放射性物質が含まれている心配があるわけで、そういうことは厳しくされなくちゃならない。あるいは、火力発電所であれば炭素鋼を使うところがやはり炭素鋼ではさびが出ると。火力発電所の場合は少々さびができても問題はなくても、やっぱり原子力発電所の場合はさびというものが、これがまた放射性廃棄物になっていくと、そういう点でどうしてもステンレスを使わなくちゃいかぬ。ところが、ステンレスは御存じのように非常に材質が炭素鋼よりもかたいと申しますか、粘りがないわけで、そしていろいろ応力ひずみ、応力割れとか応力腐食によるひびとか熱応力によるそういうひび、そういうものがやはり発生をしておるわけですね。ところがそれを、この前質問があったように、削って、原子炉本体のステンレスの内張りのひび割れは、あれはステンレスを削って、炭素鋼のところまで二十何ミリも削って、あるいは中にはステンレスのパイプで割れができるからそれを炭素鋼に取りかえておると、こういうことがそれで果たしていいのかどうかですね。私はもうちょっとやはり、いま起きているトラブルというのは火力発電所の成長過程に起きたそういうトラブルとは本質的にやはり異なる問題であって、もっともっとやっぱり慎重にやっていかなきゃいけないんじゃないかなという、こういう点が非常に心配なんですけれども、その点はどうですか。
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、私も原子力発電所とそのほかの火力発電所等を同一視すべきであるなどということは決して思っていないわけでございます。原子力につきましては、これは安全性の問題が大前提でございますので、少なくとも放射能は外に漏れてはならないというこれは大前提があるわけでございまして、私の申し上げておりますのは、そういう大前提の中で、外には絶対に漏れないという中でやはりいまのトラブルが起こっておるわけでございますが、こういったトラブルにつきまして、先ほど申し上げましたように、その経験を積み重ねていって改良することによって、放射能が漏れないということはもちろんでございますが、さらにそのトラブルもなくなってその稼動率が上がっていくということを期待しておる、こういう意味でございます。
○塩出啓典君 いま、たとえばPWRの美浜の一号炉ですね、これの蒸気発生器の細管の損傷事故は、第二燐酸ソーダを使ったのをヒドラジンに変えたと。その後やはり高浜の一号、二号等にも蒸気発生器の細管の事故が起きているというように聞いているわけですけれども、この問題は解決はされておるわけなんですか。もう今後の炉について心配ないという、そういう技術は確立されておるんですか、まだなんですか。
○政府委員(武田康君) 美浜の細管に穴があいたということでいろいろ調べまして、その結果として水処理を変えていこうということで、先生御指摘のような変更を図ったわけでございます。ただ、高浜など美浜に引き続きまして、あるいは美浜でそういう現象がわかりまして、こうしなければいかぬという答えが出ます前にすでに燐酸ソーダの処理というようなことでスタートしました炉につきましては、これまた切りかえておりますけれども、実は、さっき申し上げましたように、非常に微量なものではございますが、それを完全に抜き取るというのになかなか手間がかかるものでございまして、そういう切りかえ作業、切りかえがまだ済まない状況で高浜でも似たようなものが起き、それでさらにヒドラジン処理に切りかえた、こういうようなことでございます。したがいまして、これから先つくりますものにつきましては、初めからそういう水処理をいたしますので、同じように燐酸ソーダを原因にする事故、あるいは細管に穴があく、こういう現象は今後は起こらない、ただ、いままで残っていたものが取り切れるまでの間そういうものは、同じ原因のものが残り得る、こういうことでございます。
○塩出啓典君 そうすると、高浜一号、二号炉等は最初第二燐酸ソーダを使っておって、それを除いたわけだから、その昔のやつが残っているからこういう事故が起こるわけで、最初からそういうものを使わなければ大体細管の穴あきについては心配はないと、いま、そういう結論になっているんですか。
○政府委員(武田康君) 燐酸ソーダを使ったものの中でも実は細管に穴があいてないというようなものもございます。しかし美浜の例で見ますように、その可能性があり、そういうふうに発展することがあり得るということがわかっておりますので、ヒドラジン処理に切りかえたわけでございます。したがいまして、初めからそういう処理をいたしておりますと燐酸ソーダに起因する事故というのは、あるいはそういう穴あきというのはこれは起こらないというふうに考えられるわけでございます。
○塩出啓典君 もちろんそれは第二燐酸ソーダを使わなければ第二燐酸ソーダに起因する穴は起こらないでしょうけどね。だから、第二燐酸ソーダを使わずにヒドラジンを使えば大体パイプに穴があくことはないという、こういうデータなり確証なりはもう確立されているわけですか。そこを聞いているんです。
○政府委員(武田康君) 現在までのところ、そういう処理をしておりますものにつきましては、細管に穴があくという現象は発生しておりません。もちろん、原子力発電所は十五年、二十年、三十年にわたって動かすものでございますから、今後未来永劫一切そういう何千本、何万本の細管に一本ですら穴があかないというようなことを申し上げることはちょっと不可能でございますけれども、私どもとしては、こういう処理をすることによりまして今後細管に穴があくようなトラブルは発生しないで済むんじゃないかと、こう思っているわけでございます。
○塩出啓典君 それから、この前いただいた資料で、東京電力福島第一原子力発電所は一号機、二号機、三号機ともにいろいろパイプが応力腐食割れを起こしておるわけですね。そしてその対策として配管の取りかえと、これは私聞いているのではステンレスパイプを炭素鋼のパイプに取りかえると。これはもともとそこにステンレスパイプがあったということは、やっぱりステンレスの方がいいからしておるわけで、それを炭素鋼に切りかえると。あるいはこの前質問のありました一号機の給水ノズルのひびをぱっと切っちゃうと、ステンレスを削ってそして炭素鋼が出てくると。これは非常に面積が少ないから心配はないというお話ですけれども、しかし、そこも炭素鋼になり、あるいはパイプの方もこれはステンレスから炭素鋼になると。私たちはそういう腐食割れが起こるようなところは恐らく温度の高いところじゃないかと。そういうところがステンレスから炭素鋼になれば、多少部分は少なくてもこれはさびが発生をして余りよくないんじゃないかと、こういうようなことを非常に心配するわけですけれどもね。これについては大体どの程度の面積で、どういう根拠でこれは影響ないということなのかですね。
 それともう一つは、こういうのはやはりこれは設計ミスなのかですね、これはやはり、ここの炉はGEの炉ですか、福島は。そういうところのやはり設計ミスというかですね、それはどうなんですか。この二点についてちょっと伺っておきたいと思うんですけれども。
○政府委員(武田康君) 炭素鋼とステンレスにつきましては、先ほど先生のお話にもございましたように、いろんな意味で利害得失がございます。たとえばさびがどうだろうという点につきましては、どちらかと言えば炭素鋼の方がマイナス要素、あるいは強度がどうだ、何がどうだということで、いろんな利害得失がございます。そういったものを総合判断して、それでどちらがいいかということになるわけでございます。
 で、一つは先ほど給水ノズルで、母材で炭素鋼が露出して、これは余分にその中から不純物が水の中から出てくるんじゃないかと。定性的には全くそういう可能性があるわけでございます。ただ勘定をいたしますと、ちょっと不正確な数字しか覚えておりませんが、たしか炭素鋼が露出する面積が炉内面積の数千分の一だか数万分の一だか、そんなオーダーでございます。それで、その分だけ少なくとも定性的には余分に不純物が水の中に入ると、しかし一方で浄化系統等もございますし、それから炉水レベルというのはあるレベルにキープしている。で、あるレベル以下であれば運転をして何ら問題ないということになっておりまして、そういう範囲内でいろいろ選択の余地があるというふうに私ども考えております。したがいまして、給水ノズルの部分で削ってステンレスの部分がなくなって、母材の炭素鋼が露出している部分が一部あるという状態は私どもがコントロールすべきレベルの範囲内であって、これはいずれのチョイスもできるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 一方、配管の方でステンレスを使ったのはどうなのかと、こういうことでございますが、配管につきましてもやはり同様にステンレス、それから炭素鋼、いろいろ利害得失がございます。その利害得失が先ほど申し上げましたような意味で炉水のレベルがどうなるか、それからそれは浄化系統とも兼ね合いますし、運転条件とも兼ね合うんでございますが、それがある許容すべき範囲内にコントロールされ得るものであればいずれも選び得るわけでございます。その観点で申し上げますと、実はこんな調子で私どもも応力腐食割れが発見されて、しかもその手直しに手間取るというふうに、やっぱりやってみなければわからなかった点でございますけれども、しかし技術的なチョイスとしてステンレスを使ったことがそもそも誤りであるというようなことではないように思っております。しかし、きょう現在の私どもの知見では、そういう応力腐食割れは材料の問題とそれから溶接のやり方の問題、あるいは水質の問題というようなものがみんな絡んでおりますが、これらを組み合わせましてきょう現在の判断としては、ある部分につきましてはそのまま取りかえるし、ある部分については炭素鋼にかえるしというような手当ての仕方をして、しかもその溶接の仕方等いろいろ工夫し、水質についても工夫していると。こうすることによりまして、今後いままで発見され、処理していたような定期検査を長引かせるような要因というものが除去されていくというふうに考えているわけでございます。
○塩出啓典君 設計ミスはどうですか、これは設計ミスではないんですか。
○政府委員(武田康君) いま配管について申し上げましたとおり、設計ミスだと断定するというぐあいにはちょっとまいらぬのじゃないかと思っております。
○塩出啓典君 けど、あるんでしょう。たとえば給水ノズルのところは、何か私説明聞いたのでは、熱いところへ冷たい水が入って、それでそこでやっぱり急激な温度変化のためにステンレスにひびが入ったわけでしょう。そういうようなことは大体何度の水が入るとか、そういうようなことで当然そういうことが設計ミスでないということは、まだそこまで技術が確立されていないと、そういうことなんですか。しかもあれでしょう、いま自動車なんかでも欠陥自動車ということが新聞に最近よく出ていますけれども、どの炉もどの炉もやっぱりそういうように同じような事故を起こすということは、当然やっぱりその部分については欠陥を持つ炉と言わざるを得ないと、私はそう思うんですけれども、だからそれは当然設計ミスと言わざるを得ないんじゃないですか。
○政府委員(武田康君) 先ほど次長の答弁の中でもあったことでございますけれども、本質的なところでそもそも機能がないとかあるいは性能がないとか、または実情として成り立たないというような部分がもしございますと、それは基本的な問題になるわけでございます。ただ、現在まで私どもが見つけ、処理している配管の問題あるいはノズルの問題等々につきましては、これは実際に手直しに手間がかかりまして、稼働率が下がり、いろいろ御心配いただいているわけで、非常に好ましいことというふうに言うわけにはまいらぬのでございますけれども、
  〔理事森下昭司君退席、委員長着席〕
やはりそういう細目的な部分につきましては進歩改良の余地がまだあるわけでございます。しかし、これはどんな機械、装置にいたしましてもやはり実用になって、それが実用になった途端に進歩が固定されて、それ以上に発展する余地がないというようなことではございませんで、あるレベルになればすでに実用品でございまして、しかし実用品でありながら、運転なり何なりの経験を積み重ねて、いろんな個所につきまして改善の余地というものを発見し、効率を上げ、信頼性を上げ、あるいは稼働率を上げていくと、こういうようなものでございまして、そういう観点から見ますと、すでに原子力発電軽水炉は実用品である、しかしいろいろ改善、改良すべき余地はたくさんあると、こういうふうに考えていいんじゃなかろうかと思うわけでございます。
○塩出啓典君 私は決して改善する余地がないということを言っているんじゃなくて、やっぱりそれは人間の英知がそれぞれ対策を立てていくわけですから、しかし、ここは都合が悪いので、ぱっとパイプを取りかえて済む問題ならいいですよ。けど、美浜の一号の蒸気のパイプの穴あけも、八千本のうち二千本も使えなくなっちゃっているわけでしょう。それだけ効率はもう下がっているわけですね。これはもうだから未来永劫にわたって、この炉が十年、二十年続く間全部それだけの損失を受けなくちゃいかぬ。あるいはいまさっき問題になりました冷却水によって本体に穴があいて削っちゃったわけでしょう。それはいまは大したことないかもしれないけれども、恐らくこの炉というのは、やっぱり三十年使うつもりだったのか知りませんけれども、寿命が縮むわけですから、そういう点考えると、いまはそれだけ問題になっているのかもしれぬが、しかし五年、十年使えば、もう一つほかの問題が出てくるかもしれないと思うんですね。そういうようなものがやっぱり確立をして、後になってこうすればよかったんだと言っても、もうすでに炉ができてしまえば、もうその都合の悪い炉でいかなくちゃいけないわけですから、そういう意味で私は原発の建設をそれほど急ぐべきではないと。むしろ急ぐべきは、そういう技術の確立こそ急ぐべきであって、試験目的を持ったような炉以外は余り新しくつくる必要ないんじゃないかと、こういう意見を先ほど申し上げたわけで、これはまあ私の意見で、皆さんは余り賛成でないようで、これはこのことを言っておると余り時間がありませんので、また別途の機会に譲りたいと思うんですが……。
 そこで、私はこの際長官に伺っておきたいと思うんですけど、長官はやはりエネルギーの危機ということから考えて、原子力発電所の建設を急がなくちゃいかぬ、こういう御趣旨の答弁だったと思うんですね。しかし私は、実際、毎年六、七%の経済成長でエネルギーの弾性値が一位としても、大体十年たてばエネルギーは倍いっちゃうわけだし、二十年たてば四倍になるし、計算どおりいけば三十年たてば八倍になるわけですから、だからそういうような将来を考えると、やはりいまは原子力発電所をつくることを急ぐんじゃなくて、むしろやはり、いまのようにどんどんどんどんエネルギーが使われていくというか、消費されていくというか、こういうようなことの方がはるかに本当の危機なんだ。石油危機というのはメジジャーによってつくられた危機じゃないかとすら言う人もいるわけですがね。私はそのあたりはよくわかりませんけれども、本当の危機というのはやっぱり長い将来を見たときには、そういう消費というものをいかに抑制していくか、エネルギーの伸びをどう抑えていくかということの方が、私は本当のこれは危機じゃないか、こういう気持ちがするんですけど、長官としてはその点はどう考えますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 仰せのとおり、現在一億キロワットの発電施設を持っておりますが、まあ大体十年、十二年たてばそれが倍の施設にならなければわが国の経済成長は順調じゃないと、こういうふうな考え方は一般に認め合うところではなかろうかと存じます。そのために新しいエネルギーも開発をしなければなりませんが、反面、やはりわが国におきましては、省エネルギーということが最大の開発である、それぐらいの気持ちで今後かからなければならないと存じます。で、そうした面に関しましては、通産省におきましてはムーンライト計画と申しましょうか、そうしたことでいろいろと今後省エネルギー問題を財政的にもあるいは法律的にも考えていくという話もございますし、またそのほかにもやはり国民の御協力を仰ぐところは仰がなければならない、こういうふうに考えております。私もそうした面では、今日非常に伸び榮えておりますわが国の文化生活、これをやはり守っていかなくちゃならぬ。これに足かせ、手かせをはめて、だめだと言うんじゃなくして、守っていかなくちゃならぬ。そういう精神で、守らんがためにはどういうところをちょっとお互いが気をつければそれが省エネルギーにつながるのであろうかということも、やはり政府としては国民との間におきまして合意を得たいものである、こう考えておるわけであります。この間も、ささいなことでありますが、計算をしていただきますと、各家庭にあるガスの湯沸かし器のあの種火を一日ストップしてもらう。それがどれだけのガソリンに相当するかというと、優にガソリン、ドラムカン六千本に相当すると、こういうことでございますから、やはりちりも積もれば山となるというようなことがございますので、そうした面におきましても、家庭の不便というものを決して来す限度ではなくして、ちょっとした心得だけで何とかそういうふうな方法が見つからないものであろうかと、こういうふうに思っておりますので、科技庁といたしましては、すでにさような意味のメニューと称しておりますが、節約メニューをつくりまして、そうしたことを政府全体として、でき得ますならば、ワンシーズンに一日だけでもいいから省力とエネルギーというふうな日を設けまして、そしてまあ国民の方々も十分理解して同意をして、ひとつ将来のために備えようというふうな運動を今後いたすことも決して無意味ではなかろう、個人的にはこう考えておりますので、近く関係閣僚が相寄りまして、いま申し上げました通産省のムーンライト計画を初め、いろんなことを考えていかなければならぬじゃないかと、かように考えております。
○塩出啓典君 私は、政府のこの省エネルギーに対する姿勢が非常に弱いんじゃないか。先般、若い二人が抱き合っている「無関心?無関係?」というポスターがありましたですね。あれにはたしかこう、その下の方に細かく「選択」云々と書いてあったと思うんですけれども、大体あのポスターはあれはどういう意図でつくったポスターであるのか、あれをひとつ説明してもらいたいと思うんですがね。
○政府委員(杉浦博君) いまの先生の御質問のポスターでございますけれども、振興局で原子力に関しましても、いわゆる広報といいますか、その仕事を担当しておりまして、御承知かと思いますけれども、十月二十六日と申しますのが、毎年「原子力の日」ということで決められております。したがいまして、ことしのその「原子力の日」というのは現在のエネルギー事情から見て、ますますその困難が加わってくるので、ひとつユニークな考え方を出すべきじゃないか、こういうのが根元にございまして、ちょうど新々気鋭の河北君というデザイナーがおりまして、いろいろ案を出してもらい、庁内でも検討いたしました。宇野大臣の御裁決を得まして、ああいう形のポスターにしたわけでございます。
 これはなぜその「無関心?」という表現が一番前に出たかと申しますと、これは昨年総理府で世論調査を行いまして、その場合に、女性の原子力に対する無関心というのが四〇%以上ございました。男性でも二〇%ある。これはやはり無関心でいるというところがまだまだ政府のエネルギー政策が十分でないということになるんじゃないか、何とかその関心を持ってもらいたいということでございまして、あすこに「無関係?無関心?」という表現が一番前に出たわけでございます。
 それであの内容ですが、これは制作者の意図もあるかと思いますし、それからまたわれわれが考えましてもいろんなふうに解釈できると思いますけれども、一応やはりあすこに男女が出ておりますが、一つの平和の象徴じゃなかろうかと、その後ろにネオンなんかありますけれども、やはりああいった国民生活を守っていく上において、あのネオンも何とかこう消さないで、いまの文化なり何かを続けていきたいという一つの願望をあすこに表現しておるんじゃないかということで、いろいろ内部で意見もありましたけれども、あえてあれを採用したと、こういうことになっております。この原子力に対し、あるいはエネルギーに対する国民の世論、これを得るむずかしさというのは、実はこの間IAEAの閣僚理事会に出席をしろという命令で行ってまいりましたけれども、各国がこもごも国民の世論を喚起するということが非常にむずかしい問題だということ、あえて日本だけじゃないなということを痛感してまいりまして、あのポスターがそういった意味で日本のエネルギー政策なり原子力に対する理解の一助になってくれるということでありましたら、われわれは一応望外の喜びである、こういうふうに考えておりまして、二万枚印刷いたしましたが、いろいろ新聞その他の協力を得たと言えるかと思いますが、大体大方の皆さんのお目にとまったんじゃないか、ポスターないしはその広報としての意義は、そこに限定して考えますと、一応よかったんじゃないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 まあ私は非常に科学技術庁がああいうアイデアのポスターを出すことは非常にいいことでもありますし、それなりの反響を呼んだことは、これはやっぱりいろいろ若い皆さんの英知の結集であって、それはいいと思うんですが、ただ私は、無関心、無関係――いまの若い人が恋をしておる、エネルギーのことには無関心、無関係だけれども、五年先、十年先は本当にエネルギー危機が来るんだ、だから原子力発電の建設にもひとつ協力しなけりゃならない、こういうふうなポスターだったわけですね。私は、むしろそれよりも、省エネルギーをして、むだを省いていかなくちゃいかぬと、こういうように、やっぱり省エネルギーの方をもっと力を入れてやってもらいたいと思うんですけれどもね。長官は、いま省エネルギーに力を入れると言うけれども、いまの内閣に省エネルギー運動本部ですか、こういうのができて、二月が省エネルギー月間となっていますけれども、これはもう形ばかりで全く進んでいないわけですね。省エネルギーというのは、本来は、決してわれわれ国民が生活のレベルを下げてエネルギーを節約するということではなしに、いろいろそういうシステムを変えて、われわれ国民の生活のレベルを下げないで、しかも、むだな消費を省いていくということですから、そのためにはやはりもっともっと政府のやるべきことがあるんじゃないかと思う。そういう点が非常に日本ははるかにおくれていると思うんですね。アメリカとか、あるいはフランス等は、そういうシステムそのものが、資源節約庁というのをつくったりしているというように聞いていますしね。そういう意味で、どうなんですか、省エネルギー法をつくるというようなことを最初華々しく打ち上げておったわけだけれども、だんだんだんだん後退をして、どうも次の国会はそこまでいかないんじゃないか、そのあたりはどうなんですか。
○政府委員(大永勇作君) いま先生御指摘の省エネルギー促進法の制定につきましては、現在エネルギー調査会の中で省エネルギー部会というのを設けておりまして、そこで御検討いただいておるわけでございまして、その結論を得ましたならば、われわれとしましては、ぜひ次期国会に提出するような段取りで考えたいということでやっておるわけでございまして、省エネルギーに対する熱意につきましては、いささかも後退はしてない、むしろだんだん強くなっているということであろうかと思っております。
○塩出啓典君 私がなぜ省エネルギーのことを申したかと申しますと、やはりそういうような省エネルギーにもっと力を入れていけば、原子力発電所の建設が多少おくれても、その間にやっぱり技術の確立をしていくことの方が大事じゃないかと、そういうことを長官に私の意見として申し上げたいと思ったんですよ。――エネルギー庁は結構でございますから、どうもありがとうございました。
 それで、この「むつ」の問題に返るわけでありますが、もう時間もございませんので要点だけお尋ねしますが、衆議院の修正によりまして、この事業団法というものは将来研究所法に改正をしていく、そういう意図のもとにこの期限が短縮になったことは皆さんも御存じのとおりなんでありますが、研究所法にする意図は、一つは、やはり恒久的なものにしなければいけない。これは先回の委員会でも問題になったように、研究者の人たちの身分の安定と使命感というものがあってこそすぐれた研究ができるわけですから、そういう意味で時限立法ではよくない、そういう点からやはり恒久的なものにしなければいけない。それともう一つは、やっぱり研究目的に限らなきゃいかぬ、そういう意味で、ここに研究所法という意図があるわけなんですね。
 それで、これはわが公明党の意見でございますが、これについて私は長官のやっぱり賛同をいただきたいと思うんですがね。たとえば、現在の原子力船事業団法というのは、原子力船の開発を行う、とあるんですね、開発をね。私は、やっぱり開発に関する研究を行うべきじゃないかと。それからまたこの事業団の仕事にしても、現在は、原子力船の設計、建造及び運航を行う、それから原子力船の乗組員の訓練、養成を行うと、こういうのが仕事の内容になっておるわけでありますが、やはり原子力船の開発に関する研究を行う、それから実験のための運航を行う、それから研究者や技術者、乗組員の養成、訓練をしていく、こういうように、現段階においては、この原子力船「むつ」というものはあくまでも研究に限る段階であって、その技術がある程度確立した段階でそれは事業団にするもよし、けれども、いまの段階ではそういう研究目的に限っていく方が私は長い原子力平和利用の発展の上にはいいんじゃないかと思うんです。だから、科学技術庁においても、そういう趣旨でぜひひとつ研究所法の法律を早急に出していただきたい、このように思うんですけれども、その点どうでしょうか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 衆議院の修正は、まさにおっしゃったような意図に基づいて修正されたと私も心得ております。したがいまして、現にある船そのもの自体に関しましても、さらに研究を重ねなくちゃなりませんし、いまおっしゃったとおり、従来の事業団の仕事プラスさらに新しい研究を加味せよという、この点も十二分に私たちといたしましては尊重いたしまして、そういう趣旨で今後やっていきたいと存じます。したがいまして、この三年の間にとりあえず修繕をさしていただきまして、その間に必ず御期待に沿うような内容を伴った法案を出さしていただきたいと、かように存じております。
○塩出啓典君 それでは次に、余り時間もございませんが、この原子炉等規制法の一部を改正する法律案でございますが、この問題は、午前中にもいろいろ質疑もあり、先回でもいろいろ意見があったわけですけれども、私は、この六十一条の十八、いわゆる守秘義務の問題ですね。この指定情報処理機関、これは民間の機関でございまして、その機関に秘密保持義務を課している理由についてという書類をいただきました。私は、こういう民間の機関が場合によってはそういう守秘義務を持つということは、これは決してすべてを否定するわけではないわけでありまして、やっぱり民間の会社においても、人事権とかプライバシーに関するような問題は、これはもう社会的な一つの通念としても、そういう秘密を守らなきゃならない義務というものはあるわけでありまして、そういう意味で、道理の通ったものであるならば秘密保持の義務を課してもいいと思うんですけれども、ただ、この核燃料あるいは核物質等の査察体制というものは、本来の趣旨から考えて、これは秘密保持の義務を与えるその秘密の内容とは一体どういうものなのか、この点について私は非常に理解に苦しむわけなんですけれどもね。一体どういうデータ、どういうものを秘密にしなければならないものであるのか、これをちょっと例を挙げて説明してもらいたいんですがね、それがよくわからないんですよ。
○政府委員(牧村信之君) 守秘義務の対象となる情報とはいかなるものかというお話でございますが、われわれが考えております保障措置の新しい体制と申しますのは、先ほども御説明をいたしましたけれども、わが国が自主的な核燃料の保障措置体制をつくり、それをIAEAが検証するという全く新しい体制でございまして、ユーラトム並みと言われるゆえんもそこにあるわけでございますけれども、この関係におきまして、IAEAとわれわれとの関係に信頼関係を持つということが最も大事なことだと思っているわけでございます。そのような事柄から、わが国にこれからつくってまいりたいと思います保障措置体制の一環として指定機関に対する守秘義務を課すということが起きたことをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
 それでは、どのような情報があるかということでございますけれども、この点につきましては、規制法に基づきまして、科学技術庁が各施設から核燃料の計量管理の報告を入手するわけでございます。この情報につきまして、この指定機関ではこれの全国的な集計をする、あるいはIAEAに対しまして報告をする計算機の変換作業を行う、あるいは査察の結果等も加えまして物質不明量の解析をする、この三つの計算機作業を請け負わせることとしておるわけでございます。したがいまして、法律に基づいて徴収したデータにつきまして、国が本来行うべき仕事を請け負わせるという趣旨でございますので、私どもとしては、その集計されたデータについて必要のものにつきましては国が公表することを考えておりますので、その指定機関の職員等が入手した個々の施設の生のデータにつきましては、公表することが望ましいというふうに考えていないということでございまして、したがいまして、個々のデータにつきまして秘密を守っていただきたい、かように考えておる次第でございます。
○塩出啓典君 そうしますと、個々のデータですね、個々のデータというのは私よくわかりませんが、恐らく一つの原子炉があり、いろいろ工場があって、まあ燃料加工工場、発電所から使用済み燃料、そういうものがいろいろ流れていくわけでしょう。そういうポイントポイントで、いろいろこれから計量管理規定というものができて、やっぱりそれに基づいて測定をしたデータでしょう。たとえば、あの発電所にはどれだけのウランが燃料として積み込まれておるか、こういうようなことは、大体だれが聞いても、あそこは何万キロ、百万キロワットなら大体どの程度ということは皆わかるわけで、それが企業秘密に触れる問題であれば、これはやむを得ないかもしれません。先回、科学技術庁長官と論議したときに、私は、企業秘密を認めるべきではないと。長官や政府の考えは、原子力基末法の公開の原則は成果の公開であって商業秘密まで公開しろということを言っているんじゃないと、私はそれに納得できないわけですけれども、あえて商業秘密あるいは個々に産業上の秘密というものを秘密にするのであれば、これはまだある程度わかるんですけれどもね。しかし、核の燃料がどう流れていくかということをチェックするということは、核兵器に利用されない、そのためにチェックするわけでありまして、しかも、原子力基本法の公開という原則も、もともとは、これは核というものは平和的利用ではなしに軍事的利用にされてはならないという趣旨から公開の原則が入っておるわけですね、いきさつから考えてね。そういう点から考えれば、いま安全局長が答えたような、こういう流れ、どのように動いているかということをなぜ秘密にしなければならないのかですね。なぜこういう秘密条項を加えなければいけないのか、その理由は何ですか。
○政府委員(牧村信之君) 先ほどやや概括的に申し上げましたが、確かに先生がおっしゃいますように、施設ごとの核物質の流れ、あるいは在庫量に関する情報、こういう各施設ごとのデータが渡されるわけでございます。これらは核物質の計量管理の前提となる核物質の取り扱い方法等につきましても情報として入っていくわけでございます。このような各施設のものにつきましては、施設によりましては、先生おっしゃいますような、ほとんど秘密でないものがあるではないかと言われておるわけでございますけれども、私どもが大事にしておりますのは、日本が自主的に査察をいたしまして、IAEAにそれを検証させるという自主査察体制をやりますときに、国内だけでなくて外国に対しても信頼をかち得ると、それから国内的には施設者が安心してそういうデータを出してもらうということがきわめて大切でございます。何もこの制度が、先生おっしゃいますように、商業機密を保護するためにあるということが主体ではございません。中にはそういうものが入りますけれども、入り込む可能性がございますけれども、それはそれを守るために私ども主体として考えておるわけではございません。そういうような各施設者が安心して当方に報告してもらい、また当方からIAEAに報告するというようなことにいたしたいがために、こういう制度を設けたわけでございます。そのためにはIAEAにも厳重な守秘義務を課しておると、われわれも中間段階で外へ出ないように、日本の保障措置の信頼性を確保するというようなバランスの上に立って設けたものでございます。
○塩出啓典君 全くわれわれには理解しがたい御答弁ですけれども、きょう午前中の吉田委員の質問に対する答弁でも、まあ先ほどでも、信頼関係のために――確かに、いま外務委員会で議題となっておりますIAEAとの協定には、第六条で、商業上あるいは産業上の秘密並びに他の秘密情報を保護するためすべての措置をとると、これはやはりIAEAが各国から来た情報の中で、そういうやはり商業上あるいは産業上の秘密を保持するということを言っておるわけで、それは当然だと思うんですよ。だからまた、日本の人たちがIAEAへ行ってIAEAのいろいろな秘密を知っても、それを漏らすことは、これはやはり信頼関係を損なうことになるわけで、いけないわけですけれども、いまずっと情報が行っておるわけですしね。だから日本の国内において、わが国は、過去のいきさつから、特に原子力基本法の自主、民主、公開、断じて核兵器は持たない、そういう国是があるわけですから、そういう点からするならば、当然そういうことはIAEAにもやはり理解をしてもらうならば、わが国の指定情報処理機関あるいは政府が核物質の流れを秘密にする必要は何もないわけで、発表したから、じゃ本当にIAEAの信頼をなくするということは私はないと思いますよね、その点どうですか。
○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃいますように、全く私どもは保障措置の結果必要なものをすべて隠すということのためにやっているわけではございません。これまでも、わが国におきましてはIAEAの査察を受けておるわけでございますが、核燃料物質の保有量につきまして年二回公表するとか、わが国の核物質の保有量については常に発表しておるところでございます。私どもがいま守りたいと申しておりますのは、そういうような集計がまだ済んでいない、法律に基づいてとりましたデータが個々の生のデータのまま、個別のまま出ていくということに対してのことを問題にしておるわけでございます。集計等がなされ、解析がなされたデータにつきまして、われわれが国として必要なものは発表していくというたてまえをとることが、やはりIAEAに対しても、それから国全体としても正しい方向であるというふうに考えておるわけでございます。決して発表をしないということではございません。
○塩出啓典君 その程度のことであれば、これはもう社会通念として、一つの企業がいろんな仕事を請け負った場合、それはそこの依頼を受けてやっておるわけですから、それを別に漏らしても問題はないことでも、そういうものを利用してほかへいろいろ宣伝するということは道徳的にもこれは反することで、そういうものは社会通念と申しますか、その程度のことなら何もわざわざここにこういう一条を設けて、そこまでやはりしなければならないのかどうか。私は、プライバシーに関する問題とか、人権を傷つけるような問題とか、そういうことはやはり厳重に守秘義務をつけなくちゃいけないですけれどもね。そういう必要はないんじゃないかなと、このように思うんですけれども、長官、どうですか。あなたも同じ考えですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) この間アメリカへ行きまして、私も一つ驚いていることがあるんですが、それは、アメリカの政府との間におきましては、日本の核燃料物資の管理なり、そのシステムに関しましては非常に理解を得て、だから今回の交渉が妥結したんですが、しかし、やはり一般の国民の間においては、多いときには六五%以上の人が将来日本は核武装するんじゃないかというふうな考え方を常に持っておるということは、われわれとしても、これは十二分に関心を高めておかなければならない問題と思います。現に今回のわが国のPPシステムに関しましても、共同調査団の中には、これでいいのかというふうな人があったぐらいで、言うならば、さようなことがアメリカをして、一部においては、日本の再処理施設においては混合抽出がよいとか、あるいは混合貯蔵がよいというふうな議論が巻き起こったこともひとつこの際私たちは銘記しておくべきだろうと思います。その点、いま塩出先生が申されたとおり、われわれとしては、日本にはもう銃砲刀剣類等所持禁止法もあるんだし、さらに非核三原則もあるし、さらにNPT体制にも参加しておるんだから、もう二重、三重にみずからをそのようなことがないように律しておる、こういうことを主張してまいったのでございますが、そうした意味で、言うならば、世界が今後核不拡散のためにお互いに盟約を結びましょうというのがNPT条約であると、こういうふうに理解いたしますと、やはりIAEAにおきましてもそのような精神があるということを私たちは忘れちゃなりません。したがいまして、いま局長がお話をいたしましたが、データは、たとえ全国的に集計いたすにいたしましても、どこそこにこのような物資があるということをやはり極力国は知っておってもいい、あるいは事業所は知っておってもいいですが、それをことさらに公表した方がいいんだとか、あるいはということになりますと、やはり私たちは、日本はここまでお互いに注意をしておるんだ、だから、そういう意味において、IAEAとの体制においてもお互いの信頼関係を打ち立てるんだと、こういう気持ちであるということになりますと、勢いそういう面に関しましては、私は、やはり民間の方にも守秘義務というものを課さざるを得ないのが今日の日本の立場ではなかろうかと、かように存じておる次第でございます。もちろん、その点に関しましては、それだったらもう国がやりゃいいじゃないかというふうな話になるかもしれませんが、しかし、行政上の問題に関しましては、やはりわれわれの大切な税金を極力これは大切に扱いたいものでございますから、まあ、一つの部面が安いから、じゃ国でやりゃいいという問題でもなかろうと、定型的な問題に関しましては極力民間の能力を利用していくということも今後の近代国家としては必要じゃなかろうかと、こういうふうに存じておりますので、いろいろ仰せのところは私はよくわかります。よくわかりますが、しかし、日本とIAEAとの関連、世界における日本の今日の立場等々、今後さらに鮮明にして核不拡散の私たちは先頭に立たなくちゃならぬ国家でありますから、さような意味合いにおきましても、今回の措置はわれわれが考えた唯一の方法だと、こういうふうにひとつ御理解を賜りたいと存じます。
○塩出啓典君 じゃ、もう時間が来ましたので、最後に私は、将来、プルトニウム等がどこそこに何ぼある、こういうようなことは、やはりテロ対策の上からもそれは公にしてはならない。それぞれ秘密にしなければならないものには、プライバシーの問題とか、公益のためとか治安のためとか、おのずからそこに筋の通ったもの、国民の大方の合意の得られるものでなければ秘密にしてはならないと思うんですね。かつての沖繩日米交渉のときに秘密電報が暴露されて、あのときに各省から秘密を出してもらったら、秘密にも上中下いろいろあって、物すごく秘密書類が多い。そういうことが国会で問題になって、できるだけ行政は秘密をなくしていかなにゃいかぬと、これが私はいまの民主政治の方向じゃないかと思うんですよ。そういう点で、私は、決して何もかも公開にせいと言うんじゃないわけですけれども、いやしくもこういう守秘義務を課するような、そういう条項を設ける以上は、その範囲と内容はどういうものか、また、その守秘義務にしなければならない根拠はどういうものであるか。そういう点でやっぱり国民の合意を得られるようなものでなければ、先ほど吉田委員から質問があったように、都合の悪いことを隠すために秘密にするんじゃないかと、こういうように勘ぐられたんではむしろ逆効果になると思いますので、そういう点を私は明確にしていただきたいと思います。時間が参りましたので、この点については、また次の機会にさらにいろいろ御説明もいただきたいと思います。まあ、そういう趣旨でございます。
 以上で終わります。
○佐藤昭夫君 私は、前回二つの法案について概論的にいろいろ質問をいたしましたが、さらに立ち入って幾つかの問題で質問いたしたいと思います。
 いま塩出委員の質問で規制法の問題が最後にあったので、ちょっと話の関連もありますから、そこらから先に質問をいたしますが、前回意見を申し述べておりましたように、わが国の国内における核物資の情報処理とか計量管理、そういう仕事をいわゆる民間機関に委託をするということは、国民の不安を解消して、厳格なそういう核物質の管理を行うという点で適切でない、どうしても私は納得しかねる点があるわけです。これは別に言葉じりをとらえるわけではありませんが、さっき局長みずからも、本来は国が責任を持って行うべきものを民間に委託をするんだという表現をたまたま使われましたけれども、私は、本来国が責任を持って行うべきものだというふうに思うんです。
 そういう点で重ねて御質問をいたしますが、大別して、この仕事というのは情報処理と計量管理、この二つがあるということを法律でも定めておるわけですけれども、前回質問をして、少しまだはっきりしないまま時間の関係で次の質問へ進行しましたので、もう一遍お尋ねをいたしますが、二つの業務のそれぞれの具体的内容はどういう内容になるのか。特に後者の計量管理の仕事はどういう内容になるのか、できるだけ詳細に説明をしてください。
○政府委員(牧村信之君) 今回計量管理規定を設けますのは、わが国が自主的な核燃料の管理システムを設け、自主査察を行う方式をとったために特に法律で特定した制度でございます。
 この計量管理規定の仕事の中身と申しますのは、まず各施設ごとに計量管理すべき規定を設けさせるということでございます。その仕事の様態をかいつまんで申し上げますと、各施設ごとに計量管理すべきエリアを設けております。そこのエリアに、区域に入る核燃料物質の量、出ていく量、これを計量するということでございます。各施設ばらばらの計量管理をさせないために、そういう計量管理方式をとろうと。それからもう一点は、いま私の申し上げたのは、ある期間ごとにそういう量をはかる。それから、年一回あるいは二回、これは施設の重要性によって異なりますが、そのエリアの中の核燃料物質の在庫を調べるということでございます。これを行うことによりまして正確にこの施設のある一定期間あるいは一定時期の核燃料の動きをつかもうということでございます。やや補助的なことといたしまして、その計量管理を行う場合の計量器はしっかりしたものであるというふうなこと、あるいはそういうようなシステムに基づきまして国に対する報告を求めること、その計量管理の仕方が不十分であれば改善命令をすることができるというようなことで、その計量管理の万全を期したいというふうに考えております。こういうような情報を規制法に基づきましてとりまして、それを日本国全体に集計いたしましてIAEAに報告するというふうなことを考えているわけでございます。
○佐藤昭夫君 もう一回お尋ねしますけれども、そうしますと、実は私も科技庁からちょっと来ていただいてお尋ねをしたときに、いささか漠とした表現でありましたが、たとえば、いまの御説明は、計量に当たっての量と質という分類をしたとしますね。これは量の問題だけなのか、たとえば核種分析、こういう問題はどうですかとお尋ねをしたら、将来やることになるでしょうという表現でのお答えがあったんですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(牧村信之君) この計量管理規定と申しますのは、施設者にこういう規定を実施することを義務づけさせまして、それを施設者から法律に基づいて科学技術庁が報告を受ける、この制度でございます。
 そこで御質問のあれでございますが、量とそれから質的にも、しっかりした計測技術を持った質的な計量管理をしていただきたいわけでございますので、その量的な質的な規制も行うわけでございます。そういうふうな両方の万全な計量管理規定を行いまして、わが国の核燃料の動きを十分入手したいという方式でございます。
○佐藤昭夫君 そういう質の面での計量分析を行うというのは、いわばいまの御説明のとおり当然のことで、たとえば一番注目を浴びるプルトニウムの流れがどうかという点から言って、そういう核種分析をやらなくちゃならぬというのは、将来の問題じゃなくて、直ちにやらなくちゃならぬ問題だと思うんですけれども、さて、そうなりますと、この仕事は全くルーチンな、単純な業務というふうに言えるかどうか。非常に厳密さを必要とする、かなり高度の技術を必要とする仕事になるんではないかというふうに私は思うんですが、その点どうですか。
○政府委員(牧村信之君) おっしゃいますように、各施設におきましては、自分のところにこれだけの燃料がこの場所において、測定点においてどのくらいあると、その核燃料がどういう組成であるかという分析をするわけでございます。放射線測定の場合もありますし、化学分析の場合もあるわけでございますが、測定をいたします。それで、私どもの立場は、今度は自主査察という観点から申し上げますと、われわれの査察員が現地に参りまして、そういうような帳簿上の員数合わせをしたり、場合によりましてはサンプルを採取して、それを分析するというようなことが自主査察の中で行われることは事実でございます。
○佐藤昭夫君 次の御質問をいたしますが、これらの大別して二つの測定業務、これをやるわけですけれども、回数については、先ほどその施設の重要度に応じて年何回行うかということを決めるということになるだろうというお話なんですが、この測定を行う個所、さっきのお話だと、核物質の流れが入ったところと出るところと、ここでやるんだというお話ですけれども、それだけですか。
○政府委員(牧村信之君) 必ずしも入ったところと出たところのみではございません。これは後々IAEAがわれわれの査察を検証するわけでございますので、IAEAとも相談するわけでございますが、できるだけわれわれとしてはそういう測定個所を少なくしようとしていることは事実でございます。全体の流れをいかに最小の労力で検知できるかと、そういうような測定個所を施設者にも指示させるわけでございます。それで、われわれは査察員としてそういうところで測定し、あるいは場合によっては試料を収去するということが行われるわけであります。
 なお、情報処理機関は何もこういう仕事をやるのではございませんで、性能等によってわれわれが入手した情報の計算機処理をわれわれ政府の委託を受けて実施するだけでございますので、その辺ちょっとお答えいたしておきます。
○佐藤昭夫君 とにかく厳格な管理をやらなくちゃならぬという、そういう点で私はお尋ねをしているんですけれども、どうもちょっと聞き逃すには重大なことを言われているんですけれども、わが国としては、できるだけ簡単にいくように、測定をする個所も少なくて済むようにという言い方をされているんですけれども、たとえば出口、入り口のその中間のところでもし放射性物質の漏れが起こったということになったらどうなるんですか。ですから、この仕事というのは、単に安上がりで、できるだけ簡単に済むようにという、そこからすべて出発するというやり方ではよくないと思うんです。私が調べておる限りでは、たとえば西ドイツなんかの場合には、かなり厳密な点検をやっているんじゃないですか。
○政府委員(牧村信之君) ちょっと、安上がりに、こうできるだけ簡単にと、測定点を少なくするというふうに私が申し上げたとすれば誤りでございまして、これは設置者はいろんな自分のところの工程で製造をしたりなんかしているわけでございますので、いろんな測定をやっておるわけでございます。その際に、査察をするという観点からの合理性を追求する意味で、一番全体の流れをつかむのに都合のいいエリアをつくって、それの出口、入り口並びに工程の中で一番そのものを検証でき得る、工程の流れを検証でき得る最小限のところでわれわれが査察をするということでございます。したがって、IAEAも必要最小限の査察、監察することで済ませようということでございまして、わざわざ国の管理なり、施設者のそういう管理を緩めようということで考えておるわけではございません。
○佐藤昭夫君 大別してこの二つの仕事、法案によれば、これを「総理府令で定める。」ということで、業務規定と管理規定をつくるんだということになっているわけですけれども、これの素案はできていますか。
○政府委員(牧村信之君) ちょっと申しわけございません。何の素案でございましょうか。
○佐藤昭夫君 業務規定と計量管理規定です。
○政府委員(牧村信之君) 計量管理規定の素案はできております。業務規定の方は指定された者がつくってこちらに出てまいるということでございます。
○佐藤昭夫君 しかし、あれじゃないですか、業務規定についても準則のようなものをつくるんでしょう。六十一条の十六第二項、「業務規定で定めるべき事項は、総理府令で定める。」と、こうなっていますね。最低こういうことを決めるべきだということを総理府令でつくるわけでしょう。その素案はできているのかと聞いておるのです。
○説明員(栗原弘善君) 業務規定で定めるべき事項でございますが、これにつきましては、たとえば情報処理機関の内部の組織体制、それからその情報処理を行います技術職員がどういうふうな配置になっているか、それから業務の具体的実施方法はどうすべきかというような、そういうことになっております。
○佐藤昭夫君 それで、準則的なものはできているわけですか。
○説明員(栗原弘善君) 総理府令で定めるということになっておりますが、総理府令の案についてはできております。
○佐藤昭夫君 いろいろお尋ねをしているんですけれども、どうも御答弁がもたもたしておるという感じがするんですけれども、それならば、一遍実際にいま準備をされておる――まあ素案の段階だと思いますけれども、業務規定並びに計量管理規定のその素案、一遍それを見て、いろいろ御答弁になっていることと、きちっとそこがかみ合っているのか、もう少しちょっと研究をしてみたいと思いますし、それを御提示いただけますか。
○政府委員(牧村信之君) まだ、私ども事務当局がこういうことにしたらばいかがかという考え方でございますので、その考え方はお話しできるかと思います。
○佐藤昭夫君 そういう内容のもので結構ですから、御提示いただけますか。
○政府委員(牧村信之君) 御提出できると思います。
○佐藤昭夫君 もう一つ、別の観点でありますが、これらの核物質等の流れについての保障措置と申しますか、情報処理あるいは計量管理、こういう仕事については、何遍も言っているんですけれども、厳格さが必要だと、そういう点で、諸外国に比べてわが国の場合、この研究が非常に立ちおくれているんじゃないかという感を私は強く持っておるんです。たとえばアメリカと対比して、こういった研究を、本当に仕事を効果的に進めていくための研究投資がアメリカと対比して金額上どういう対比になるのか、御説明していただきたい。
○説明員(栗原弘善君) この保障措置に関します研究開発でございますが、これは保障措置の中身の問題といたしましていろいろな分野があると思います。先ほど申し上げました測定というのがございますが、この測定技術に関します技術開発、それから測定技術に付帯的に、補助的なものといたしまして、保障措置の方で申します監視、封じ込めという技術がございますが、それに関する技術開発、それからさらに保障措置上知り得た報告としていただきました情報をコンピューターで処理する、そういうソフトウェアもございます。これらにつきまして、わが国といたしましても、昭和四十七年ごろより技術開発に努めていたところでございまして、これまで、たとえば昨年でございますと、保障措置の技術開発のためだけでございますが、数億円の投資をしております。そのような技術開発をやっておりまして、現在、私どもといたしましては、これはアメリカ及び、ヨーロッパの方はユーラトムが保障措置を一括してやっておりますので、ユーラトムということになりますが、そのユーラトム及びアメリカと肩を並べて全く遜色のない技術開発の程度であるというふうに考えております。ユーラトムにつきましては、ちょっといまどのくらい技術開発の費用がかかるかという情報を持ち合わせておりませんので、申しわけございませんが……。
○佐藤昭夫君 どうも遜色がないという点だけを強調されるんですけれども、これは衆議院の科学技術特別委員会の方で明らかになっておる数字ですから、この数字が違うというんだったら違うということで指摘をしてください。衆議院の科技特で出ています数字としては、アメリカは一九七〇年五百十九万ドル、十八億円。七一年が六百二十二万ドル、二十二億円。こういった仕事の効果的前進のために金を投じておると、ところがわが国の場合、昭和五十一年まで大体年千五百万前後、ことしから五十二年度三億二千万という予算投入になってきていると、こうなっておるんですが、これに間違いないでしょう。
○政府委員(牧村信之君) 日本の場合は間違いございません。
○説明員(栗原弘善君) 補足させていただきます。
 日本の場合でございますが、保障措置のための研究開発経費といたしまして、先ほど申し上げましたように、昭和五十二年、本年度におきましては三億二千二百万円計上してございます。その前の年でございますが、昭和四十八年から昭和五十一年まで、ほぼ一億円台強。具体的に申し上げますと、昭和四十八年度で……
○佐藤昭夫君 これは一けた違うんですか。
○説明員(栗原弘善君) はい、けたが一つ。一億三千八百万円、昭和五十一年度にまいりますと一億五千五百万円ということでございます。
○佐藤昭夫君 しかし、いずれにしましても、アメリカの場合の予算の投じ方と約十倍の開きが大体あるというのがこの数字で見てもはっきりしていると思うんです。そういう点で、なるほどここ一、二年、日本の場合いよいよこの国内保障措置もつくらんならんと、こういう事態になってきて、かなり予算もそれ以前と比べれば増強をして力を入れてきておるという、そのこと自体は否定をいたしませんけれども、しかし、私は、やはりこの国内保障措置の研究について、技術上の問題も含めての研究について、諸外国に比べて立ちおくれているということをよく念頭に置いて考えていきませんと、いや、もう遜色ないんだという、ここから出発をして、余りやいのやいのと言いなさんなと、こういう態度では、さあ何か事が起こったという場合に大変ということになろうかと思うんです。そういう点で、きょうも前段でお尋ねをしましたように、決してこの仕事、この測定業務というのは、ルーチンな仕事だからということで単純に片づけてはならない非常に厳格さを必要とする、その仕事の内容についてはかなり高度の技術力を必要とする問題ではないかと。また同時に、わが国の場合そういう研究投資が立ちおくれておる、こういう上に立って、果たして民間機関に委託をするということで不安はないのかという疑念が私はどうしてもぬぐえないわけです。前回も申し上げたわけですけれども、例の分析化研のあの事件の教訓であります。本当に国が責任を持ってそういう国民の不安を来さないよう監視監督を貫いていく、こういう点で果たしてこの民間機関に委託をするというやり方で大丈夫なのか。しかも、前回御質問をしましたら、仮にこれを国立の機関とした場合の経費というのは数千万円ぐらいだろうと。片や原子力予算全体で見ればもう何十億という予算が投じられながら数千万という予算、それでもし取り返しのつかないようなことが起こった場合、数千万のこの安上がりということが先行をして、民間機関に委託をするというやり方で果たして大丈夫かという、この私は疑念がどうしても晴れないわけです。この数千万ぐらいで、何でこれを国立の機関にして責任を持っていくという措置がとれないのか、長官にお尋ねしたいんです。
○国務大臣(宇野宗佑君) これは非常に保障措置並びにPP問題は大切でございますから、私も就任以来、そのことが果たして世界的に考えた場合、どういうふうなレベルにあるのであろうかということに対しましては異常なる関心を持って臨んでまいりました。特に日米原子力交渉におきましても、やはりそのことが一つの話題になったわけでございます。結論を申し上げますと、IAEAの査察官は、今日三週間に一回来ております。これは広く大学研究施設並びに各電力会社、そうしたところに対しまして査察をやっておるわけでありまするが、そのIAEAの査察官に私は直接出会いました。すると、日本は非常に優秀なる模範の国である、こういうふうな評価を私みずからが聞いたのであります。なお一層、仰せのとおりに、この問題に関しましては真剣に取り組まなくちゃならないわけでございまするが、現在といたしましては、決して日本のそういう体制は他国に劣っておらない体制であるということで、私も安心をいたした次第であります。そうしたことが日米原子力交渉におきましても、やはり相手のジェラード・スミスさんを初め、多くの専門家も、最終的にはそのことを了承いたしまして、したがいまして、混合貯蔵、混合抽出というふうな問題に関しましても、われわれの主張が通った。なお、これはINFCEにおきましても、この問題は今後十二分に議論をし、また検討される問題でございますから、今後ますますもっと完全な姿にする努力をしていかなければならないことは当然のことでございますから、その点は御意見どおり、私たちも謙虚に、今日で大丈夫だとは決して申しておりません。
 第二番目には、わずかな予算で済むことならば、むしろ政府が責任を持ってそのような計量をしてはどうか、こういうふうなお話でございます。確かにそういうふうなことが言い得るかもしれませんが、私は、先ほど塩出先生にもお答え申し上げたわけでありますが、予算からながめればわずかなものであるかもしれません。しかし、査察は政府の職員が責任を持ってやるわけであります。先ほどから答弁をいたしております栗原課長も、実はかつてはIAEAの査察官として、各国の核燃料物質の査察もした体験を持っておるわけであります。こういう人たちが今日いるわけでございますから、したがいまして、それは責任を持ってやります。ただ、それをエリアとして集計をする、そうしてそれを一々政府が目を通す、こういう問題に関しましては、コンピューターの操作でございますから、それだけの能力を有するものあらば、極力民間の能力をわれわれも尊重をすることが必要でございます。ただ、かつて分析化研の話がございました。これにはひとつ、われわれといたしましても、そういう苦々しい体験がございますから、二度とそういうことのないように心得ていきたい、かように存じておる次第でございます。
 政府といたしましては、やはり民間の技能も尊重していくことが必要ですし、一個所におきましては数千万円、数億の予算で済むかもしれませんが、あれもいいわ、これもいいわと言っておりますと、それが重なると、やはり国民負担、ひいては政府のぜい肉になっていくわけでありますから、われわれといたしましては、やはりチープガバメントということも念頭に置きながら、民間を決して軽べつするんじゃなくして尊重する、そういうたてまえで、今後はやはり民間電力会社が中心となってこのエネルギー問題に取り組んで、われわれに貴重なエネルギーを提供するわけでございますので、さような意味合いにおきましても、今回私たちはそうした気持ちでこの法案をつくって御審議をお願いしておるというものでございますので、ひとつ御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
○佐藤昭夫君 いろいろ長官が御説明なさったわけですけれども、アメリカからお墨つきをもろうておるという、そういう話はもう論外として、もちろん、実際の国内査察、これはIAEAのそういう経験を踏んできた方々もやられると、立ち入ってやるんだということは当然のことだと思うんですけれども、いまの問題の情報処理機関の仕事が、私、さっきからるる言っていますように、単なる集計、計算のそういうルーチンな業務だけで足り得るのかと、かなり複雑な仕事が出てくるんじゃないかと思う。高度の技術力を必要とするんじゃないか、こういう点でいろいろ申し上げているわけで、そういう意味で、まだ依然としていまの長官の御説明では納得ができませんが、もう一つお尋ねをしておきますが、吉田委員、塩出委員から守秘義務の問題でいろいろ御質問が出ていましたが、この守秘義務の範囲はどの範囲なのかという角度でのいろんな質問も出ていましたが、私は、裏返して聞きます。こういう問題は守秘義務になるのかということでお聞きしますけれども、この業務に従事をする人がその仕事を通して知り得た知識をもとにして、たとえば、今後の日本の国内の保障措置のもっと効果的なあり方についてはこういうふうにすべきだということとか、あるいは、本当の核拡散防止、こういう見地から見て、もっとこういう点が補強改善が加えられる必要があるとか、あるいは、現在の原子力関係の諸施設の、そういう業務をやっていれば、たとえば何かの放射性物質の漏れが起こったらわかるわけですから、どこどこのところには安全上重大な問題がある、正式報告は出てないけれども安全上重大な問題がありますといったようなことを、みずからの仕事を通して知り得た知識を研究発表するというようなことなんかは、守秘義務になるのかどうか。この点どうですか。
○政府委員(牧村信之君) こういうような情報処理のお仕事をしている方が、わが国の核燃料管理のあり方について御研究をなさるということは、その仕事を離れてそういうことをされることは十分できることでございます。ただ、その研究発表に使いますのに、私どもが先ほども申し上げました、個々のデータをそれにお使いになるということであると一つ問題が起きようかと思いますが、全体をにらんで、こういうふうにあるべきだというようなことで、管理制度あるいは計算機コードを新たに開発するというようなことは何ら守秘義務の範囲に入るということではないと思います。
 また、最後におっしゃっておられた、この施設にこういう放射線漏れがあるということを見つけたからという仮定のお話でございますけれども、本来、この指定機関の職員は何ら原子力施設に入って計量管理のデータをとってくるとか、そういうことを一切いたしませんので、そういうことが起ころうとは私ども考えておりません。
○佐藤昭夫君 個々のデータから離れた研究であればということですけれども、データをもとにして研究するわけですからね。ただ、それは、どこの原子力発電所にプルトニウムが何ぼありますとかという問題は、それを公式の文書にしてどこかの雑誌に載せるとか、そういう問題は、当然学者、研究者としても、また社会人としても常識の問題ですわね、発表の形式については。しかし、データをもとにしてこそ研究が成り立っていくわけですから。
 いずれにしても、この問題は、この問題ばかりやっておるわけにはいきませんので、ほかの委員の方々からも質問が出ていますけれども、一遍次回までに、守秘義務の内容、範囲、こういうことについての政府側の見解を具体的に出してほしいんです。そのことを要望しておきます。
 次の問題に移りますが、原子力船事業団法の改正案にかかる問題ですけれども、前回の私の質問で、長官は、一方で四者協定は守るということを繰り返し言明をされながら、前回私も毎日新聞青森版も引用をしながら、長官が記者発表された、河野市長の公約を実現できるよう協力をしていくんだというふうに新聞報道されておるその事実ももとにしながら、たてまえと本音と、いわば違うんと違うかと。たてまえは四者協定を守る守ると繰り返しながら、本番は、あわよくば、むつが受け入れてくれぬか、むつに居座りたいというのが本音と違うかということを聞いておったんですけれども、なかなかそこは本音を長官はお見せにならぬわけです。そういう角度で、もう少しいろいろ尋ねてみたいと思います。
 四者協定を守るというふうに言っておられますが、遅くともいつまでに「むつ」を撤去するんですか。もうすでに期限は切れていますけれども、この種の作業というのはいついつまでにという時期目標を持ってやるというのが当然のことだと思いますので、遅くともいつまでに撤去をするか。
○国務大臣(宇野宗佑君) これは、何度も申し上げておりますとおり、出口入口の問題でございまして、長崎が、そのまま修繕せよ、構わないよと言ってくれておりましたならば、もうとうの昔にむつを離れまして、したがって母港撤去、そうしたこともなし得たと思うんでございますが、まだ入り口の問題で、修繕港はひとつ佐世保にお願いしたいと言っておきながら、県の方で燃料体を抜いてこいという条件がついています。まだ、これに対しましてもわれわれといたしましては判断をしかねております。党には特別委員会がございますから、どうするか。もし仮に抜くとすればどこだということになりますから、そういうふうな点におきましても、われわれといたしましては早く判断をして事を処していきたい、こう思っておる次第であります。ただ、私は現在、抜くとも決めておりませんし、抜かないとも決めておらない。はなはだ皆さんから見ていただくと無責任な態度であるかもしれませんが、しかしながら、非常に人心の絡んだいろいろ複雑な問題もございますので、しかも、地方地方の方々の御意思も尊重しなくちゃなりませんから、私は、さようなことで、極力早くそういう作業をしたい、こういうふうに申しておるのでございます。だから、いつ幾日までだと言明せよとおっしゃいましても、やはりお互いの地方の方々の御意見も尊重しなくちゃならぬということになりますと、なかなかそれが今日はっきり申し上げられなく、政府としては、もう極力早い機会にと言うばかりでございます。もちろん、四者協定はさような意味合いにおきまして今日ありますから、私はそれは尊重していく、こういうことを申し上げておるわけであります。
○佐藤昭夫君 それならば、逆に聞きますが、修理港ですね、現在政府は佐世保を最も有力地ということで候補で考えられておるというようなことだと思いますけれども、佐世保市側の意見と長崎側の意見とが違うということで、住民の意見も当然その中に含めながら、佐世保市も含めて、長崎県、この間での協議の結論をいつまでに出してくださいということで政府としては要請しているんですか。だめならだめということも含めて、いつまでに出してくださいということを要請しているんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) これは、県と市の意見が違うことは御承知のとおりですが、県と市にその意見をまとめよということに関しては、まだ私はそういう気持ちはないわけなんです。したがいまして、むしろ政府がどうするかという立場であって、意見が違うから県がまとめてこいと、そういうふうな態度では決してないわけであって、果たしてどちらの意見に従うべきかということに関しましては、現在いろいろと党も検討していてくれる、したがいまして、できたならばこれは佐世保に持っていきたいのです。そのときには、抜いていくという県の立場を尊重するならば抜かなくちゃなりませんが、どこで抜くかと。抜くことについては、もう安藤委員会が再度にわたって審査をして、大丈夫だ、ついておっても大丈夫だ、こういうふうに言っておりますから、あるいは県に対しまして、そのままでもう一回お願いできないだろうかというふうなことをあるいは党は考えるかもしれません。これとても仮想でございますから、決して、ここで私が言ったからそうなるだろうということではありません。したがいまして、決して、県と市で意見を調整せよ、そういうことではなくして、そういう問題を含めまして、もっともっとわれわれが努力しよう、簡単に言うならば、われわれも汗をかかなくちゃならぬ、そういうような気持ちで臨みたい、こういうわけであります。
○佐藤昭夫君 私の言い方がちょっと悪かったとすれば訂正をしますけれども、私が言っているのは、長崎県側に対して、いつまでに結論を出してくださいと。だめならだめという結論もあるわけですから。それとも逆に、政府は、佐世保は必ずしも有力候補地ではありません、まだほかにあるんです修理港は、というのだったら別の話ですけれども、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 長崎県としては、結論がもうすでに出たわけなんです、長崎県としては。その結論というのは、知事の諮問機関の委員会におきまして、そのままでも大丈夫だろうけれども抜いてきた方がよりベターだと、こういうふうな結論が出ています。それを知事が県に諮られて、県会としてはそのとおりだと、こういうふうに言われたんで、長崎県としては意見が出ておるんです。ただ、そういう意見が条件がついてくるということは、こちらの方も予期だにしておらなかったものですから、その問題に関しましても、ひとつ政府は政府としてもう一度検討しようということで安藤委員会を七、八とやってもらいまして、九月の初旬ですか、その結論を得たわけですが、長崎の結論に対して政府がどうこたえるか、また佐世保の結論に対してどうこたえるかということは残っておるわけでございまして、それがまだ残念ながら、出口入り口の問題だから、なかなか早くやりたいと思うけれども慎重を期しておるんだと、こういうふうにお答え申し上げておるので、長崎の意見は一応出たわけであります。
○佐藤昭夫君 余りちょっと三百代言みたいな言い方を繰り返されることはやめていただきたいと思う。このむつ、青森に対してはもうすでに約束をした期限を過ぎている、一日も早くその約束を果たさなくちゃならぬと思っていますということを片一方で言われる。しかし、約束を果たすための条件として入り口が片づいていませんので、その約束が果たせませんのだと。で、この入り口はどうするのかというここの結論について、別に何にも佐世保と長崎で相談をして結論出してくださいと頼んでいません、かかって政府の判断ですと。なら結局、政府の責任で四者協定を守る、むつを撤去するというのがおくれておるということじゃないですか。どこにもほかに責任ないじゃないですか。その点はどうですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) そのとおり言うておるわけです。何も私は三百代言的なことは一言も言っておりませんですよ。率直な話を私は……
○佐藤昭夫君 それなら、出口入り口は関係ないじゃないですか。出口入り口は関係ないじゃない。
○国務大臣(宇野宗佑君) 関係の方々の方に申し上げておるわけで、やはりそれは大いに関係ございますよ。政府としては長崎に修繕港を頼むと、こういうふうにお願いして、佐世保はオーケーと言っておるんですから。したがいまして、オーケーだが、佐世保のとおりならばもうとっくの昔に行っていましょうけれども、抜いてきてほしいという長崎県のそういう決定に対しては、それをどういうふうに扱うべきかと、抜くとすればどこだろうかと、こういうふうな問題になってまいりまするから、そこにおきましていろいろ党も一番腐心をしているところでございますので、だから、その入り口の問題が現在まださような状態であるから、出口の問題も片づいておらない、したがって、四者協定がまだ完全に守り切れておらないのは政府の責任を痛感しておりますと、私はこういうふうに本会議でも、また各委員の質問に対しても申し上げておるわけでございますから、決して私は三百代言的なことは申しておらない、率直に、非常にむずかしい問題、非常にむずかしい問題でございますから私は言っておるんです。佐藤さんも、じゃ、どこかで抜くように協力してやるから早く抜いて、そして佐世保へ回してやりなさいと言ってくだされば結構でございましょうけれども、それについてもやはりいろいろ問題があるわけですから、それを、いかにしてこの問題を各位の御了解を得ようかと、こうやってがんばっておる最中でございますから、まあそこら辺はひとつ御了解を賜りたいと存じます。
○佐藤昭夫君 片一方では、このむつの四者協定が守られていないことは申しわけありませんと、責任を痛感しておりますと、こういう言い方で、そこはいかにも本当に反省の意を示されるような、そういう表現を使われながら、そのことを果たすためにどういう手を打っていくかという、ここについて、それはあれやこれや思案中ですという、こういう話が繰り返されているだけだと思うんですよ。だから、そういう意味で、そういう言い方というのは、これは片一方では反省の意思を示すかのごとき表現を使いながら、ちっとも反省をしていない。「むつ」問題があれだけこじれてきた、とにかくその場限りのことを言って、ずるずるとこのことを引っ張り、ときには約束をしたことをひっくり返したり、ここが全く反省をされていないではないかということを申し上げておるわけです。だからいわんや、そのことで佐藤さん協力をしてくださいって、そんなことは余分なことで、あれでありますが、それなら別にお尋ねしますけれども、新母港ですね、この新母港について、この席でも長官は複数の自治体が名のりを上げているというふうに発言をされておるわけですが、それはどこですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) まだ正式に私のところまで名のりを上げてきたというところはどこにもございません。ただ、その町において、議会において決議をされたというところが一カ所ございます。で、そのほかは、その地元の代議士諸公から、おれのところもひとつ母港が複数ならば考えてみたいものだというふうな打診が私にあるというところはちょいちょいあるわけでございます。したがいまして、私は国会でも申し上げましたとおり、将来の原子力船時代をおもんばかりまして、母港が本来ならば四者協定どおりにもうすでに決まっておらなくちゃならない問題でございますが、この点も私は責任を痛感しておると申し上げておるわけですが、さような意味で、母港は、「むつ」が幸いに修理に入りましたならば、その三年の間にひとつ新母港を決定したいと、こういうふうに従来から申し上げておるわけでございまして、まだ正式に私の手元まで、われわれが立候補したという意思表示は来ておりません。
○佐藤昭夫君 正式には来ていないということですが、多少こう、非公式なり、その他の情報としてもお耳に入っておるという意味だろうと思うんですけれども、それで、そのいわゆる幾つかの複数の自治体が名のりを上げている、それは本当に新母港としての可能性ありというふうに政府としては判断されておるのか、具体的には。絶えずどこの場所でも問題になる住民との合意ができているのかどうかということを含めて、そこらはどういうふうに分析をされているのか。いずれにしましても、この新母港の問題について、これも先ほどと同じような問いの形式になるんですが、遅くともいつまでにこれを確定をするという時期目標を持っておられるのか、その点どうですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 本来ならば、こちらからお願いもし、また打診だけではなくして調査もいたしたいとは思いますが、いまたとえば、この肝心の「むつ」が修繕港にさえ行けないという状態のときにそうした問題をやりますと、やはりいろいろ、賛否両論は世の中の常でございますから、かえってこの問題をエスカレートするだけである、かように存じておりますので、母権問題、私は複数だと言うだけで、いま申し上げたとおりに、「むつ」が修理に入ったならば直ちにわれわれといたしましても調査すべきところは調査する、そういうことで臨んでいきたい、かように存じております。
○佐藤昭夫君 前回森下委員も指摘をされましたけれども、修理港だけを先行させるのじゃなくて、本来新母港の確定をこそもっと政府は急いで努力をする必要があるのじゃないかという御意見が出ておったと思いますけれども、私いろいろお尋ねをして、四者協定の約束との関係からの、「むつ」を撤去する、遅くともいつまでに撤去をするかという、そういうような問題についても、修理港の確定の問題についても、新母港の確定の問題についても、私こういうやりとりで率直に感じますのは、今回こういう事業団法の延長法案を政府から提出をしております、早く「むつ」の修理にかかりたいんです、原子力船の開発はこの「むつ」を土台にして――事故を起こしたわけですから必要な改修等も加えながら「むつ」を土台にして当初の方針どおり原子力船の開発を進めていきたいと思っているんですということを非常に一生懸命言うていられるんですけれども、それは一体本気なんだろうかという気がするんです。修理港を確定する問題、新母港を確定する問題、この問題に本当に精魂傾けてやっているんだろうか、住民の人たちによく納得をしてもらおうということを土台にしてですよ、という、本気になって、一つは四者協定を本当に守っていこうということになっているのかどうか。それから、仮にその「むつ」開発を進めるなら進めるとして、それが本気なのかどうかという疑念さえどうも持たざるを得ないんですけれども。
 別の角度からお尋ねしますけれども、「むつ」を撤去をすることの内容ですが、すでに明らかにされていますように、使用済み燃料の貯蔵池の埋め立てとか、あるいはキャスクの撤去とか、こういうのは完了している。あとまだ手のついていない「むつ」関係の諸施設、これはどうなっているんですか。
○政府委員(山野正登君) ただいま定係港におきます陸上付帯施設の現状でございますが、使用済み燃料の交換キャスクは県外に搬出済みでございまして、現在原研に保管いたしております。それから使用済み燃料の貯蔵プールは埋め立てを完了いたしております。さらにクレーンのかぎは青森県知事が保管いたしております。また、放射線の管理施設につきましては、引き続き環境モニタリングを実施中でございます。さらに、放射性廃棄物の廃棄施設につきましては、引き続き維持管理に努めておると、こういった現状でございます。
○佐藤昭夫君 一番最後に言われた放射性廃棄物の測定施設ですね、それは現在は「むつ」が係留されているわけですから、ですから、いろいろ住民の不安にもこたえて、必要な測定をやることも必要上残しておるということかと思うんですけれども、その前に言われたクレーンとか二つですね、これはなぜ早く撤去しないんですか。
○政府委員(山野正登君) 私どもは、現定係港の撤去と申しますのは、一つは、現在停泊いたしております原子力船「むつ」がまずむつ港を離れるということ、それと同時に、陸上付帯施設の機能を永久に停止しまして、そして、もし新定係港等に活用できるものは再利用するといったふうなことも含めてその最終処分を決めるということであろうかと存じます。そういう意味で、まだ残念ながら、その時点に立ち至ってないということでございますので、できるだけ早く修理港問題を解決しまして、いま申し上げたような措置をとりたいというふうに考えております。
○佐藤昭夫君 それは、そうすると、修理港が確定をしないと撤去できないという意味ですか。そういうことができない何か技術的理由があるんですか。
○政府委員(山野正登君) いまの先生の御質問は、陸上付帯施設の機能停止あるいは撤去ということに関連してだと思いますが、特に技術上そうでなければならないという理由はございませんが、私どもは、手順としまして、「むつ」の現定係港の出航というタイミングに合わせてそういったふうな措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
○佐藤昭夫君 私はいろんな角度からお聞きをしたんですけれども、結局、四者協定は守るんですという、そういう言い方の裏で、青森に「むつ」が居座るんじゃないか、あるいは一たん出て行って新定係港としてまたこの青森が指定されるんじゃないか、こういう住民不安があり、いまのような修理港なり新母港の確定作業のおくれ、あるいはいろんな「むつ」の付帯施設すべてを完全にあそこから撤去をしていくという作業が完全には進行していないという現実、
  〔委員長退席、理事森下昭司君着席〕
こういう状況の中から住民不安が依然として強く今日つのっておるということだと思うんです。
 改めて聞きますけれども、「むつ」があの青森に居座るということ、あるいは一たん出て行くけれども、またもう一遍あそこを新母港にしてあそこに来ると、こういうことは断じてないというふうにここで明言できますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 私は、現在そういうふうな先の先まで見通す段階でも何でもないわけですから、そうしたことを言うこと自体が、私が答えること自体が、あらぬまた憶測を呼んで、いろいろとかえって、せっかく解決し得べき問題もまた混沌に陥れるというふうなことが仮にあったら、これはまた大変でございますから、したがいまして、私は、現在としては四者協定は尊重したいと、こういうふうに申しておりますので、その点でひとつ御理解を賜りたいと存じます。
○佐藤昭夫君 しかし、その点を明言できないということが、さっき私が言うたような住民不安を依然として残しておる要因になっているのじゃないですか。
 お尋ねしますけれども、政府の構想では、佐世保が修理港として一番有力だという、こういう構想になっておるわけですけれども、一方、そこで長崎県側が燃料棒を抜くという、こういう条件を主張している。で、仮にそうする場合に、どこで抜くんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 仮にそういうふうな決意をしたときには、どこかで抜かなくちゃなりませんが、まだその決意をしておらぬというわけです。ということは、そう簡単に抜く場所があるだろうかという問題にも一つはかかってくるわけであります。したがいまして、私たちとしては、この問題は、長崎の知事さんは知事さんとして自分の委員会をおつくりになって委員会で結論を得られたわけですから、そういう予期せぬ条件に対して、政府としてももう一度第三者の意見を聞こうというので、専門家の会議を開いていただいて意見を聞いた。その意見は、洋上以外ならどこで抜いても大丈夫ですよという意見になっております。また、もともと抜かなくったっていいんだと、冷態停止状態だから、手でさわってもいいと私言っておるんですから、抜かなくたって大丈夫なんだと、こういうふうな意見にもなっております。
 したがいまして、この意見を政府が聞いたわけでございますので、その答申を政府・与党がどういうふうに今後解釈をするかという問題が残されておるわけであります。だから、たとえばどこかにおいて、あすこまで安藤委員会が言うておるんだったら、おれのところで抜いてもいいよとおっしゃっていただくところがあれば、抜いて、長崎県どおりの意見で入ることができましょうし、あるいは長崎県が、そこまで安藤委員会が言うんだったら、おれたちもやはり早計だったかもしれぬから、安藤委員会のままでいいよとおっしゃればそのまま入るかもしれませんし、こういうふうな問題は、まだまだ私たちといたしましては分析をしながらやはり最終的な決断をして、そうしてお願いするべきところにはお願いしなくちゃならぬ、そういう作業は残っておる。その作業に関しましては、決してわれわれは拱手傍観しておるんじゃございません。本当に汗かいておるのです。あすこで一々こうやりました、ああやりました、演説します、そんなことで解決する問題じゃございませんので、本当に毎日毎日額を寄せて、いろんな情報も集めて、いろんな方々の御意見も聞いておるということでございますので、ひとつ、さあどこで抜くんですかとおっしゃっていただきましても、これはむずかしい問題であるとしかお答えができません。
○佐藤昭夫君 どうも話が、答弁が歯切れが悪いんですけれどもね。長崎県側と佐世保側との意見が違っていますと、で、県側は燃料棒を抜くという、こういう条件を提示していると、大体それに沿っていろいろ検討しているのかと聞けば、いや必ずしもそうでもありません、燃料棒をつけたままという、どっちか言うと、こっちに重みがかかっておるような、そういう答弁が出るわけですけれども、しからば、これはもう長崎県の意思がそういう意思ですから、新たに修理港の候補地を探すか、それとも本格的に新母港の設定の作業を、速度を速めて進めるか、こういう方向以外にないと思うんですけれども、しかし、大体修理港佐世保という、これがまず第一作業として絶えずその話が出てくるということで、私は聞けば聞くほど、本気になって一体事態の打開をどうしようと思っているのか、そこがもうまことに合点がいかぬわけです。
 もう一つ聞きますけれども、これまさかということで聞きますけれども、むつ埋め立てをやりましたね、貯蔵プール。あれをまた掘り返して、そしてあそこで抜くというようなことを、まさか考えているわけじゃないでしょうね。聞くまでもないことですが。
○国務大臣(宇野宗佑君) 四者協定を守るがゆえに今日までそういう作業も進めてきたわけです。だから四者協定に残るところは、一日も速やかに母港を設け、そして「むつ」の母港を撤去するということが現在の四者協定に残されたやつですから、それはそのまま私は尊重すると言っているわけでございますので、そこだけ聞いていただければすべてわかると存じます。
○佐藤昭夫君 当然のこととしてお尋ねをするわけですけれども、新母港の備えるべき条件といいますか、必要な諸施設、それはどういうものを考えておられますか。
○政府委員(山野正登君) 一般的に申しまして、原子力船の母港としましては、当然のことながら、出入港及び係留に十分な水深があるということ並びにそのための海面が確保されるということが第一条件でございます。これに加えまして、陸上付帯施設等を設置するに足る敷地面積が十分確保できるということ、また、海象、気象という観点からも適当な自然であるということ。さらに、これに加えまして、交通の便とか、あるいは水力、電気の便といったふうなことが判断材料になろうかと存じます。
○佐藤昭夫君 いま言われましたようなさまざまな条件というのは、まあいわば自然的条件のようなことを中心に言われたと思うんですけれども、一つお尋ねするんですけれども、これももう聞くまでもがなのことですけれども、いま言われていることに照らしても、青森が一定時期「むつ」の新母港になるということは、なり得ないというふうにいままでのずっと一連の経過の中からそういう結論が出ると思うんですけれども、そのことはそういうことですかということと、それから、私が主として新母権が備えるべき条件ということでお尋ねしているのは、新母港が備えるべき必要な母港としての諸施設ですね、それはどういうものが要るというふうにお考えになっているのか。
○政府委員(山野正登君) 新母港の備えるべき条件としまして、自然条件だけではなくて、交通の便とか、あるいは電力、水力といったふうなもの、そういう人工的なものの便というものも当然に必要なわけでございます。
 それからどういった施設が要るかということは、現在の「むつ」の現定係港における設備というものが大体モデルになるわけでございますが、核燃料物質の取り扱い設備、クレーン等の取り扱い設備、それから核燃料物質の貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設、さらに放射線の管理施設といったふうなものが中心であろうかと存じます。それ以外に、当然船の係留等の岸壁等が必要なことは申すまでもございません。
○佐藤昭夫君 「むつ」の事業団ないしは政府の計画によりますと、「むつ」の修理点検の後出力上昇試験を行う、こういうスケジュールになっておるわけですけれども、先ほど塩出委員の質問の中でも少し触れられておりましたが、その出力上昇試験は、岸壁に係留をするなり、あるいはドックに入れて行うなり、それが最も今日技術的に見ても至当だというふうに判断できると思うのですけれども、その点についてどうかということと、それから、出力上昇試験の内容は、もしいよいよこれから本当にやろうという段階で、「むつ」の経験に照らして、どういうことが必要と考えておられるか。
○政府委員(山野正登君) 今後行います出力上昇試験と申しますのは、これはこの手順等も今後改めて決めるわけではございますが、前回の出力上昇試験の際の手順というものを参考にしながら決めていく。恐らく、これは私の推測でございますが、結果的には大体前回の上昇試験の手順にならって決められていくことになるんじゃないかと思います。最終的には安藤委員会で十分検討を経まして、これを実施に移すということでございます。で、この段階を追ってやっていく。つまり、当初は低い出力で上昇試験をやり、性能を確認した後だんだん出力を上げていくということでございますけれども、恐らく二〇%程度の出力上昇試験までは岸壁に係留した形でやり、それ以上の出力上昇試験は外洋に出て行うというふうなことになろうかと存じますが、技術的に詳しい点は事業団の方に御確認願いたいと存じます。
○佐藤昭夫君 事業団、何か説明あるんですか。――いいです。
 大分時間が経過しておりますが、私はさらにいろいろお尋ねをしたい点があるわけですけれども、とにかく新母権の確定はもちろんのこと、修理港についても確定をしていない。そういう段階で事業団法の延長、「むつ」の修理作業、これを急ぐという、これにだけ焦点を合わせたそういう提起というのは私は当を得ていないと思うのです。この修理に入って、船ですから、まさに出口、入口が要るわけですから、入口も確定をしてないままそういう計画自身というのが一体成り立ち得るのか。むしろ、政府としては鋭意、修理港、本来であれば新母港、これの確定を早く行って、しかる上「むつ」の必要な修理も含めて総点検を始めると、こういうことにすべきではないか、考え方の転換を図るべきではないかというふうに思うのですが、その点をちょっと長官にお尋ねいたします。
○国務大臣(宇野宗佑君) そういう説もあるかもしれませんが、やはり現実は、事業団と船そのものは密接不離なる関係にございます。だからむしろ、その事業団法がやはり正規にもう一度延長されて、言うならば生命を与えられて、そのもとに「むつ」があるという条件が望ましいことであって、やはり出口入口におきましても、常に関係者が私たちに照会をされますのは、法律はいつ通りますか、早く法律を通してください、法律が通ったならばわれわれの考え方はもっと進むでございましょう、理解も深まるでありましょう、こういう声が実は偽らざる出口入口の声でございます。したがいまして、われわれといたしましても、衆議院におきましては幸いにも修正ではございますが、ああやって三年間の生命を与えられたわけでございますから、そうした修正のもとに速やかにこの法案をひとつ御審議を終了していただきまして、そうして事業団に新しい衣がえをするための生命を与えてやってほしい。しからば、当然「むつ」の問題に関しましても、今後事業団といたしましては鋭意その修繕に努め、なおかつ院の修正の趣旨に沿った活躍ができると、こういうふうに考えておる次第であります。
○佐藤昭夫君 それでは、いわゆる「むつ」の総点検にかかわる問題について幾つか質問をしたいと思いますが、話の皮切りとして、いわゆる「むつ」の太平洋上での放射線漏れ、これがわずか出力一・四%のそういう出力の状況であったにもかかわらずそういう漏れが起こった、その内容が、高速中性子が漏れておったということが判明をしたわけですけれども、圧力容器の個々の段階でそういう漏れが完全に食いとめ得るということが本来の姿、百歩譲っても圧力容器で漏れても格納器の底の段階で食いとめられるといういろんな科技庁も原子力委員会もそういう二重の安全性という言葉も使いながら起こってきた問題が、はしなくも非常に低い出力の段階でこういう事態が露呈をしたということなんですけれども、この問題についてその後いわば企業側の炉の製作においていろんな手抜きとか、工事上のミスも含めての企業側の責任ということも判明をしてきておるわけですけれども、問題は、こういう欠陥炉を安全と審査をした監督官庁の側において、これを安全ということで見過ごしてしまったそこの弱点は一体どこにあったのか、その点をお尋ねします。
○政府委員(牧村信之君) ただいまのお話の御指摘でございますが、この問題を、放射線漏れ問題を調査いたしました大山委員会でも種々の御指摘を受けたところでございます。それで、この安全審査におきましては、先生御承知のように基本設計の審査を原子炉安全審査会は行っておるわけでございます。それを受けまして、その設計方針を受けまして、詳細設計につきまして運輸省の方で設計工事の必要な段階における認可を行っておるわけでございます。そういうような点に関しまして大山委員会の御指摘にもございましたように、安全審査が終了し、それが詳細設計に入り工事に入るという間において若干の間隙を生んだというようなことが非常にこの問題の責任体制等にも関連いたしまして一番大きな御指摘として受けたわけでございます。したがいまして、その御指摘等を受け、われわれといたしましては安全審査の方の立場から申し上げますと、安全審査会の活動につきまして基本設計の審査というのみに限らないで、重要なものにつきましては詳細設計工事に当たりましての問題点を指摘し、その問題について十分注意をする、あるいは設計工事を行います方に報告をさせるというような制度を設けるというようなことでの安全審査に対します反省をいたしております。そのほか体制的な問題につきましては、その後、安全局をつくり、推進側の原子力局と分けて安全規制体制を強化するというようなことを図る、あるいは法制面におきましては、ただいま衆議院の方にお願いしております、安全委員会の設置あるいは規制体制の一貫化というようなことをお願いしておるところでございまして、この問題を契機に安全規制に対します体制を一段と強化しようというようなことで反省をプラス面に向けようといろいろ努力しておるところでございます。
○佐藤昭夫君 いずれにしても企業の側の工事上の手抜き、ミス、それからまた原子力委員会の側における安全審査体制の不備、しかし双方共通して言い得ることは、陸上炉の経験主義から船舶炉の場合の新たなる審査の厳密さを必要とする問題について、そういう未経験からくる非常に大きな弱点があったという問題だろうと思うのですけれども、もう一つお尋ねをしますけれども、きょうの新聞に一斉に、昨日の通産省の発表による原子力発電所の定期検査、この結果六基のうち三基またもや故障が発見をされておるということになっておるのですけれども、当然この相次ぐ原子力発電所の事故なり故障なりの問題というのはもう会のたびに出る話で、今後指導の徹底を期しますというふうにそのたびに言明をされてきた問題なんですが、こういう問題は事前に原子力局の方では多少なりとも――もちろん監督上の主管庁は通産省でしょうけれども、原子力局の方では何かつかんでいたことですか。突然発表が出て、いまさらのようにびっくりしておるということですか。
○政府委員(牧村信之君) ただいま先生のおっしゃられたのは、十五日でございますが、エネルギー庁から発表されたものでございまして、この発表に当たりましては、科学技術庁の方にも連絡が事前に参りまして、こういう発表をするという連絡を受けております。それで、発表の中身でございますが、いずれも定期検査中に発見したひび割れ等でございます。
○佐藤昭夫君 これは十一月の六日の幾つかの新聞に出たと思いますけれども、今度は「むつ」の原子炉もいわゆる軽水炉型ということで、かねがねこの軽水炉型についてはいろいろな点から考えてみて多々問題があるということは各界からも指摘をされてきた問題であるということはこの場でも出ておる問題であるわけですけれども、十一月六日の幾つかの新聞に出ましたが、アメリカの原子力規制委員会――NRCの行ってきた実験記録、これを長い間発表されないままふたをされておったわけですけれども、これを「憂慮する科学者連合(UCS)」、ここが最近発表したということで、いわゆる原子炉に装備をされておる電線、これが火災の場合に破損をする可能性が非常に強い、そういう点で原子炉の主冷却装置が故障しても予備安全装置が作動しない可能性が大きいということで、いわゆる軽水炉型発電所の危険性について改めて警鐘乱打をするという、こういう発表が出ているわけですけれども、安全局の規制課長の談話ということで――私見ていますのは京都新聞です。ここに、詳細な内容はまだつかんでいないけれども、至急に連絡をとってその内容も確かめ、わが国の今後の原子力開発に適用されるべき点は検討もしたいという談話が出ているのですけれども、この問題で何か正式な報告が入手できたのかどうか、それから今後どうする考えなのか、その点どうですか。
  〔理事森下昭司君退席、委員長着席〕
○政府委員(牧村信之君) 現在までのところは、新聞発表で知り得た段階でございます。現在、役所の方からアメリカのNRCに、この新聞に出ておりました実験がいかなるものであったのかどうか、その結果がどういうものであるのかを詳細問い合わせ中でございます。その結果がまだ届いてきておりませんが、ただ、この憂慮する民間団体がこういう要望をいたしましたことに対しまして、地元のNRCの担当官がこれに対してのコメントを発表されたようでございますが、その情報だけはつかんでおりますが、それによりますと、この憂慮する会がおっしゃっておられるような、運転中の原子炉を停止し、建設活動をとめるようにしてほしいという要請をしておるその理由として挙げておる事柄につきまして、この実験結果の安全性の意味を取り違えているのではないかというふうなコメントをNRCの職員が発言しておると。それから、このような行為は、したがいまして建設中のものを中止する、あるいは運転中の原子炉を停止するというような行為は必要ないというコメントを発表しておるようでございますが、そういう情報のみ現在入手しておるわけでございます。それで、NRCから近々この実験結果につきまして正式に報告をいただけるものとわれわれは期待しておりますので、その結果を専門の先生方等にもお願いして御判断をいただくということになろうかと思いますが、ただ、補足して御説明さしていただきたいと思いますが、すでにこの実験が行われた理由、原因になったのは、多分アメリカで、ブラウンズフェリーという発電所で定期検査中に、施設の漏洩試験をやっておるときに、ろうそくを使っておりまして、そのろうそくの炎が過ってケーブルに引火したという事故があったのがございます。この事故を想定していろいろな実験をやったのではなかろうかという新聞の記事が出ておりましたけれども、そのような事故があったことは事実でございますので、わが国におきましては、火災によるケーブル等の損傷につきましては、その事故以降非常に厳しい措置をとるようにいたしておりまして、安全審査面におきましても、こういう配線の被覆管は難燃性の材料を使わなくてはいけない、あるいは切り離したような配線で、相互分離するというようなことで安全性を確保する、あるいは消火設備を置く等の措置をとるように安全審査の面でも措置しております。また、建設を監督しております通産省の方におきましても、電気事業法によります関連の技術基準を定める省令を改正いたしまして、火災に対する措置を厳重に行っており、また、既存の原子炉についても、改善するところは改善させておるというふうに聞いております。
○佐藤昭夫君 どうも当局側の御答弁は、いわば安全だという大丈夫論だけをいつも強調される、そういう感じがしてならぬわけですけれども、いずれにしましても、早くその報告書を正式にひとつ政府として取り寄せていただいて、いわばそういう一つの前提から出発するのでなくて、本当に科学技術的に見てどうなのかということを広く、いろんな広範な学者の方々にも検討をひとつ要請をするということでやっていただきたいと思います。
 運輸省にお尋ねをいたしますが、例の長崎からの「むつ」安全性に関する質問事項に対する政府の回答書という科技庁と運輸省で出しておりますあの部厚い説明書、あの中に出てきますが、いわゆる衝突事故ですね、船体の事故、これについて、かなりの計算を行って、したがって確率は少ないと、こういう結論を出されておるわけです。お尋ねするのですけれども、あの計算の基礎になっておる世界の商船隊の大きさ、それから速さ、それから、そういった数値を挙げた、平均値の出てきた年度ですね、これは何が大きくこの基準にされているかという点はどうですか。
○説明員(赤岩昭滋君) 「むつ」の衝突の確率につきまして検討いたしました場合に使いました衝突の確率のデータは、アメリカのサバンナ号のときに検討されたときの数値を使ったかと思います。それで、衝突の確率の中には衝突事故の発生率とか、衝突船のスピードの迷い、危険度の高い船の割合と比率というものが大きな要素になっておるわけでございますが、衝突事故の発生率につきましては、当時アメリカのサルベージ会社の調査に基づく数字が使われておったかと思います。
 それから……
○佐藤昭夫君 ちょっと時間が迫っておりますので端的にお答えをいただきたいのですけれども、基礎になっておる船のノット数、それからトン数、それからその基準となっている年度。
○説明員(赤岩昭滋君) 基準となっていますのはT2タンカーと申しまして、一応排水量で二万三千トンちょっとの船、スピードが航海速力十五ノットの船が船体に真横にぶつかるということを想定して考えております。その船の速力とか排水量というものが衝突のときにいろいろな影響を及ぼしますし、それから船の船首形状等にもよりまして、必ずしも大きいからといっても、大きな影響を及ぼすことはならないものもあるものですから、そういう計算式が、ミノルスキー法という理論的な計算式がございまして、それに基づいて船の大きさを……
○佐藤昭夫君 その計算法はいいです。
○説明員(赤岩昭滋君) それから危険船の比率というものを出しましたのは、ロイド統計で千九百何年か、ちょっと……
○佐藤昭夫君 よろしいわ。
 そこで、当時のそういう計算をやられた時期からかなりの年数が今日経過をしてきておると思うのです。現状はもう申し上げるまでもなく高速コンテナ船がどんどん増大をしておるということで、たとえば平均して六万トン、二十数ノット、こういう大型化してきている時期にきていると思うのですけれども、こういう船の現状のもとでの衝突なども含む船体事故の危険度について新たに計算をされたことありますか。
○説明員(赤岩昭滋君) 「むつ」を取り巻く環境は、御説のとおり、設計当時から見ますと船が大型化する、高速化するというような形で、船腹の構成も変わっております。それから船腹量も非常にふえている、それから航路がふくそう化している、それから航海技術とか航海設備というものもかなり進歩しておりますし、日本船の場合ですと乗組員の質の向上と、いろいろ複雑に変化しているわけでございます。衝突に対する安全性を評価いたします場合に、先ほど申し上げましたように、環境条件の中で衝突事故の発生率ということと、それから危険船の割合、比率というものの二つのデータが大きな要素になっているかと思います。それで、これらの二つのファクターをその後の船舶の大型化等々から考えてみますと、「むつ」の設計当時と現在と比べまして、高速コンテナ船等の船が絶対数でふえているということは事実かと思いますが、それと同時に一般の船舶の数もかなりふえておるということでございます。したがいまして、そういった危険船と考えられる船の総船腹に占める割合というものはそう大きく変わっているのではない、余り変わっていないというふうにわれわれは考えております。
 それから衝突事故の発生率につきまして、これは日本の近海の衝突の発生状況を見ますと、昭和四十年ころから現在の間、件数の絶対数においてほとんど横ばいである、千トン以上の船でございますと、年間三十隻前後、五十年は二十五隻ぐらいに減っております。そういうことで発生率が減っておるということで、これを掛け合わせました危険船に衝突する確率というものは設計当時と現在とではそう大きく変わっていないんじゃないかというふうにわれわれは考えているわけでございます。ただ、これにつきまして、事業団の方で昨年の九月に五十年の日本船の状況から事故の発生、危険船に衝突する確率の計算をいたしましたところ、設計当時とほとんどその確率が変わってないというような結果が出ていると聞いております。
○佐藤昭夫君 何もそんなに長い説明してくださいと言っていないので、端的に答えていただいたらいいんですけれども、その最後の結論の、そういう新しいデータ上の条件に基づいて計算をやっているというんですね。それなら出してください。
○説明員(赤岩昭滋君) 事業団の方でまだ船が最終的に改修計画が決まっておりませんと排水量等についての最終的な数字が出ませんけれども、昨年の九月の段階で計算したものは事業団の方で計算をしておる……
○佐藤昭夫君 ですから、すぐ出ますね。
○説明員(赤岩昭滋君) 事業団の方から……
○佐藤昭夫君 あしたにでも出ますね。
○説明員(赤岩昭滋君) はい。
○佐藤昭夫君 あるんですね。
 ちょっともう時間、最後の一問だけお許しをいただきたいと思いますけれども、大山委員会や安藤委員会の報告でも、言葉としては総点検ということがいろいろ言われておるわけですけれども、しかし、基本的に言って現在の「むつ」型、これは基本的に維持しつつ、まず遮蔽の改修から始めて、後必要な点検をやる、こういう考え方になっていると思うんです。実は私、ずっといろいろ何か外側からのような質問をしたんですけれども、たとえばこの軽水炉の、本当にこれ自体安全かどうかということについてもいろいろの吟味を踏まえなくちゃならぬ。と言う間もその材料が今日いろいろ続出をしていると思うんですけれども、そういう点で、たとえば燃料交換のためのクレーン、これは西ドイツの場合には船上でやる、これがより安全だという方向をとっているんですけれども、こういうことも検討をしようということになっているかどうか。あるいは遮蔽構造を分厚くするという方向が何といいますか、報告というか、答申で出ておるわけです。で、政府、事業団としてもその考え方のようですけれども、しかし、原子炉の炉心の直径を大きくする、どっちが一体本当に安全なのかという比較対照の検討をやっているかどうか。あるいは燃料体の被覆の材ですね、これは今日各地の原発では半ば常識化してきておると思うんですけれども、腐蝕を防ぐ等々のことのためにもステンレスじゃなくてジルカロイにかえる、こういう問題についてもひとつ検討を加えるということになっているか。そうなってこそ総点検というその名にふさわしい点検になるわけですけれども、そこらについてどうなっているのか。きょうここで簡単に言えぬということであれば総点検の具体的な内容を文書でも提示していただきたいと思うんですが、簡単に言えるんでしたら言ってください。
○参考人(倉本昌昭君) この総点検の考え方でございますが、私どもといたしましてはまず基本的に現在の「むつ」の原子炉プラントを構成しております各機器、各部品等につきましてこれが健全であるかどうかということの点検、これはまあハードの点検と言っております。これが第一でございます。それから第二に、この「むつ」の原子炉プラントの設計の再検討と言っております。これは「むつ」が設計をされました当時から時間も相当たっておりますので、この設計につきましてのコード等の技術も進歩をいたしておりますので、こういった新しいものを使っての設計の再検討というものをやる、これが第二点でございます。それから第三点は、この「むつ」ができました以降、陸上のプラント等におきましていろいろと問題が出てきております。ECCSの問題、あるいは蒸気発生器の細管の問題等がございます。この「むつ」がつくられました以降、陸上の発電炉等におきましてのそういう問題のありました点、またこれと別に原子炉に対します安全基準というものが「むつ」の当時よりも非常にシビアになってきております。こういった観点から、この「むつ」の原子炉につきまして陸上の方でやっておりますような最近のあれでいわゆる事故解析の見直しというものを一応やるという、大きく分けますとこの三つのカテゴリーについて総点検を行うということにいたしております。
○向井長年君 長官ね、この国会で原子力三法が提案されましたね。そして、そういう中で基本法はまだ衆議院段階で審議途中である。参議院に回付された二法案は言うなれば大骨を抜かれたというか半舷上陸のような形で国会で修正がされて送られてきておる、こう私は思うんです。そういう立場から私は、政府の原子力行政について言うならば若干欠陥があるのではないか、こういう感じがいたします。まあ宇野長官は相当熱意を持って原子力開発その他科学技術庁として取り組んでおることはわかりますけれども、先般も私はこの委員会で申し上げましたけれども、これからのわが国のエネルギー問題、これは船も含めまして非常に重大な時期を迎えつつあるのではないか。まあ世界の石油の言うならば含有量あるいは消費が三十数年だと言われておる、これは正確な数字じゃございませんけれども、こういう中でいよいよエネルギーをいかにわが国が開発し確保するか、非常に重大な問題だと思うんですね。これは国家的見地、国民的視野に立ってやらなきゃならない。先ほどから各野党の皆さんも質問しておりますけれども、これはやはりその立場から私はやっておると解釈したいんですが、しかし、しからば今日、これが国民のコンセンサスが得られておるかと言えば、必ずしもそうではない。そういう中に、今日の「むつ」問題も出てきておると思う。あるいはまたあらゆる開発が促進されないという問題、ここにあると思うんです。したがって、これは科学技術庁だけじゃございませんけれども、政府全般、言うならば各省も含めて、やはりエネルギー問題に取り組む姿勢というものが、私はまず熱意があるようでないのではないか、こういう感じがいたします。たとえば、先ほどから安全性の問題、なるほど安全性はあくまでも厳格に追求しなきゃならぬと思います。そういう中で、たとえば先ほど事故件数の問題なり、あるいは定期検査の問題が出ておりますけれども、なるほどこれは、そういう問題に対してシビアに解決をしなきゃならぬ。しかし、私も電力出身でございますから、長年よく知ってるんですよ、いいですか。火力、水力、各機械を使う場合、いろんな事故というものはあるんです、いいですか。しかし、水力や火力においては、そういうものあっても、これは簡単に修理もし、あるいはまたそれに対してあらゆる手を講じることができる。原子力の場合においては、やはり報告義務がある、あるいは検査義務の中で厳格にやらなきゃならぬという形で、これが生まれてきている。軽微な問題もあるんですよ。こんなのは問題ないというやつもあるんですよ。そういう問題を仰々しく、言うならば国民は未知でございますから、アレルギー的にとらえるんですよね。それが原子力開発に対するおくれをなしている、こう言わなければならぬと私は思いますが、その点について長官、どうなんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 安全性と開発は仰せのとおりでございますが、特に安全性に関しましては、もう政府は常にやるだけやってまいりました。私は、よく一般の方に申すんですが、二百キロで走っている新幹線が脱線することはないであろうけれども、しかし、脱線したらどうなるんだということまで考えてやっておるのが原子力の安全行政である。したがいまして、さような意味においては、トラブル、あるいはまた故障と事故、そうしたものを厳格にひとつ国民にも報道しなければならぬ。最近は、特にマスコミの方々も、この点に関しましては十分御配意賜りまして、私から申し上げますと、きちっとした報告をしていただいておるのではなかろうかと、この点は非常に私といたしましても感謝いたしておる点でございます。したがいまして、今後安全性に関しましては、やはり事業者そのものが赤裸々に、これは故障なんだと、これはトラブルなんだということを速やかにわれわれに報告もしていただき、そして言うならば、そうした意味で大事に至らないようにしていただくことが大切じゃないだろうか、こういうふうに考えております。
○向井長年君 そのとおりだと思うんですよ。それは私はそうあるべきだと思います。しかし、一方において、そういう中から国民は、やはりエネルギーとして、この問題に対して理解し、そして協力できる態勢が一方に生まれてくるか、これに対して政府みずからが手を打たなきゃならぬのではないか。これは片手落ちではないですか。確かに安全性の問題、報道機関を含めてね、厳格にやらなきゃならぬ、これは当然のことです。ところが、しかし、安全性の問題確保すると同時に、原子力開発を進めなきゃならぬ。この立場に立って政府みずからが――これは科学技術庁だけじゃありませんよ、通産その他を含めまして、国民に対して、やはりその重要性というものをなぜ説かないのかと。これは過去から私はたびたび言ったこと。しかしこれは、役所は役所並みにやっておる、それは業界が勝手にやりなさい、いわゆる事業者がやりなさいというような形で今日まで置き去りにしておるがために、いま御承知のような形で、この船の問題一つ見ましても、なかなか問題点を抱えておるし、あるいはまた電力開発にしてもしかりだと思うんですよ。皆さん、いま円高の不況の中で各産業が非常に不況である、電力は金が余ってるんだというようなこと、先般来、報道されていますね。余ってるんじゃないんですよ、いいですか。開発計画を持っておるんだね。どこどこの地点、これは電調審でも通った、あるいはまた政府の開発計画に基づいて、あらゆる地点を求めて、いつから着工しようではないか、こういう形でその準備予算を組んでおる。それが進まないんですよ。進まないから金がそのままじっとしておるだけなんだ。福田総理がね、不況克服のために、言うならば政府も財政、いわゆる設備投資を大いにやる、先般七〇%以上をやった、いまの国会もこの不況投資でやる、民間にも協力してもらうんだ、たとえば電力だと、こう言っておるんですね。しからば電力においてこれができ得るかと言えば、しようとしてもやれない。やれないというのは、やはり国民のコンセンサスがその地点で立地問題としてできないからですよ。それに対して私は、ただ事業者の問題じゃなくて、国家的見地から――これ、五年たったらどうなりますか。あと五年たてば恐らくや電力不足が非常にたけなわになり、産業もこれとめなきゃならぬ。船はもちろんのことでしょう、進まないでしょう。そういう状態をいまから憂えて進めなきゃならぬというのが今日の段階ではなかろうかと、こう私は見てるわけだ。それに対して、特に先ほど申しました国民に対するコンセンサスを得る努力というものが一方においてはないのではないか。これは特に長官も、エネ庁も来てますね、これに対してどういう態度を今日までとってきたか、お伺いいたしたい。
○国務大臣(宇野宗佑君) 仰せのとおりであったと存じます。したがいまして、いままではたとえば立地問題、これは単に市町村長の問題だ、県の問題だ、会社の問題だというふうなことが余りにも多過ぎたんではなかろうか。非常に市町村長は苦労なさったわけであります。政府以上に、この原子力の賛否に関して自分の命をかけた選挙をしたという方々も非常に多いわけであります。そうしたことに対しまして、言うならばあるいは政府は水臭い立場であったかもしれません。で、これであってはならぬと、私もこういうふうに決意いたしまして、本年初頭から、通常国会終わりましてから、エネルギー遊説なるものを試みまして、四国以外は大体回ったつもりでございます。そういたしますと、現在の電調審の許可が終わりました二十九基以外の地点もございますが、やはりそういう地点におきましてもみずから乗り出してお願いもし、そしていろいろとそういう解説もいたしますと、非常に理解度が深まって、まあ今後政府はそういう態度で出てきてほしいということを強く市町村長からも言われたという経緯がございます。
 二番目には、やはり一般の方々に対してももっとわかりやすい原子力政策を私は進めなくちゃならぬ。で、いままでのは余りにも文語体ではなかっただろうかと、だから、もっと口語体にせいと、学者や技師だけがわかっておるような文言ではだめであるから、口語体でもっとわかりやすくしようではないか、こういうふうないま運動を進め、なおかつ、いろんなパンフレット類におきましてもそれをやっております。
 その次もやはり、協力を願っている地域に対しては、いま以上に私はもっと政府は、当然それに対して政府もそれだけの言うならばお報いをしなくちゃならぬと、こういうふうに考えるわけであります。こうした問題に関しましても当然エネルギー庁と十二分に連絡をいたしまして、自治省とも連絡をいたしております。また、閣僚協議会におきましても、この問題をそれぞれが提案をいたしまして、いま、そうした問題の拡大あるいは充実、それに関しましても近く結論を出すようにお互いに努力しようと。まあできる限りの努力をいたしておりまして、確かに先生御指摘のとおり、いままでは余りにも政府がそうした面においてもっともっと出るべきところが出なかったんじゃないかと、こう思っておりますので、その反省の上でやってまいります。
○政府委員(武田康君) いまの長官のお話のとおりで、それで全部尽きていると思いますけれども、私どもといたしましては、エネルギーの確保、そのうちで原子力の開発というのはきわめて重要な位置を占めているということを、いろいろな角度で国民全般の方々に理解していただかなければならない。それから一方で、先ほどお話のございました安全環境の確保、それから地元――比較的原子力を設置します地元の場所はまあいわば人口がふえない場所というような感じでもございますが、地元の福祉の向上という対策を図らないといけない。さらに、現在エネルギー関係閣僚会議のもとで個別の立地につきましてもいろいろ御検討いただいてるわけでございますが、その御指導のもとで事務ベースでも、たとえば電源立地企画官というような制度を設け、それから都道府県なり市町村との間で個別地点ごとの連絡会議、これは当該地元の実情に応じましていろんな形態ございますが、そういうような集まり等を設けまして個別地点ごとにきめ細かい対応をすると。実は個別地点ごとにそれぞれ問題点異なっておりますので、そういうような体制をつくりましてこれらを全部ひっくるめて、それで立地の促進を図っていくと、こういうようなことをいろいろやっているところでございます。で、何分にもエネルギーの将来、これは石油のみに頼るというのは不安を増す、不安定要素を増すばかりでございまして、しかし一方国民生活も向上するとかあるいは雇用の確保を図るとか、いろんな見地から経済成長、つまりエネルギーの増加供給が必要でございます。増加供給の面では原子力のほかにもLNGを輸入するとか石炭を輸入するとか地熱を開発する、水力を開発する、いろいろございますが、やはり一番大きなウエートを持つのは原子力の開発でございます。同時に消費の節約も必要でございますが、そういった意味で原子力の開発というのができるかできないかで将来のエネルギー供給の安定さの度合いといいますか、不安定さの度合いといいますか、これが決まってまいります。したがいまして、原子力の開発というのは最大限促進すべきもの、しかしその前提に国民的な合意が必要でございますので、いろんな実情も知っていただきながら、先ほど申し上げたようなこと、対策をひっくるめて前進させていきたいということで鋭意努力しておるところでございます。
○向井長年君 エネ庁ね、あなたたちうまいこと言っているけれども、実際はもう少し十分私は検討してもらわなければならぬと思う。たとえばいま私はそういう問題をとらえて言いましたが、事業者というのは経営者ですね、そうじゃなくて、そこで従事をし日常働いておる、たとえば原子力発電所において働いておる諸君がやはりそういう使命を持って、そして今日やはり原子力開発というものは必要である、国民の前にも提言する、あるいはまた政府にも提言しておる、いいですか、たびたび提言しておる、通産省にもね。そういうことを、たとえば電力の組合の諸君が常に熱心に使命感に燃えてやっているんですよ、いいですか。そういう諸君を、たとえば電気事業法にあるいわゆる審議会ですか、こういうメンバーの中に加えない、いまだにそれが任命されていないという状態に対しては、一日も早くこれは反省されなきゃいかぬと思いますよ。ここで私は言うつもりはなかったけれども、あなたつらつらと余りやっているというふうなことを言うから、何を言っているんだという気持ちで私は言っているんだ。これは長官にも言ってください、いいですか、これはまた後で言いますが。
 そういうことで私は総括的にそういう問題を長官にも質問いたしましたが、先ほど言ったように半舷上陸といった問題は、たとえば原子力船が十年延長をあなたたち出してきたんでしょう。十年間必要だと、いわゆる事業団が。その中で研究開発するんだということでやってきたところが、これが四年八カ月に短縮されたんですから、四年八カ月の中でも日がたってしまっているからあと三年しかない。こういう中で、事実上これは後は研究機関に移行するんだと、こう言っておりますけれども、これはどういうことなの。国会で修正されるから仕方ないという感じでそれをとらえておるのか、四年八カ月でこれがいわゆるある程度の実りを持たすということの自信があるのか、その後は研究機関に任すんだと、こういうことであるのか、私はその解釈に苦しむんだ。幾ら国会で修正といっても、どうせその法律案出すためには政府自民党は政調にかけて出してきたんでしょう。自民党は、これは了解しておるわけですね、野党からいろいろな意見が出ましても。そういう点についてえらい簡単に十年というやつを、言うなら三年にしちゃったんだな。そして原子力事業団はもうなくなるんだと、そして開発機関という別個の問題に肩がわりするんだと、こういう形に変わってますね。これはどうなんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) この点に関しましては、政府も与党も十分に連絡をしたつもりでございますし、また与党だけではなくして、野党のあなた方にも十分連絡いたしまして、そして衆議院の修正がなされました。われわれといたしましては当初どおりの原案でいきたいというのが本音でございますが、しかしながら御意見の中には、事業団が果たして限時法の事業団でいいんだろうかと、やはり将来のことを考えた場合には恒久法になすべきではないかと、そういうふうな御意見もあったわけでございます。この点に関しましては、私個人としてはそうであろうと、こう思っておりますが、いままではいろんな事情におきまして限時法ということで出ておりましたから、そうした面において将来研究所ならば、さような意味で限時法ではなくして、ひとつ将来に備えてはどうかというふうなお考え方がありとせば、やはりこれはわれわれといたしましてもかたじけないお話でございます。しかしながら、原子力船「むつ」はあくまでも実験船でございますから、じゃ、「むつ」だけ終わったらどうなるんだという問題に相なってまいりますると、やはり長い目で見た場合の原子力船そのものの研究開発、このためには事業団ではなくして、いままでの「むつ」に関する設計建造、さらには運航、それプラス基本的な研究をさらにやれと、さらに船舶の研究もやったらどうだと、こういうふうな御意見ということに相なっておりますると、私はこの御意見に対しまして、やはりそれはだめですというわけにはまいりませんし、むしろそれは将来において大きな基盤をなしていただくのではなかろうかと、こういうふうな考えもいたした次第でございます。したがいまして、当初からのスケジュールでは一応三年間で修繕を終えたいと、かように存じておりまするから、当然その間にはまず遮蔽並びに安全性の総点検、これをやりまして、そしてその間に国会の御意見を十分尊重しながらわれわれといたしましては衣がえをしようと、こういうふうに思っておりますので、私自身といたしましては大きく変わったような感じもいたしますが、考えようによりましては、これはむしろ羽ばたく一つの礎をつくっていただいて、新しく政府としても過去を反省し、将来に備えるために非常に大きな修正をしていただいたのではなかろうかと、こういうふうに存じておりますので、今日は修正の趣旨を体して今後やっていきたいと、かように思っております。
○向井長年君 まあ、幾らどう言おうと国会で修正されたんだから、その趣旨に従わざるを得ぬということでしょうが、これそうすると、この法律案が通れば、今後「むつ」のこの問題について計画スケジュールはどうこれに対処していくのか、あるいはこれに対する計画と予算化の問題もありましょうが、その構想はいま持っておられるのですか、まだそれはつくってないんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) いままでの計画は、御承知のとおりに、あるわけでございますが、しかしやはり研究所への衣がえということになりますと、それをも加味いたしまして国会のやはり御意思というものをわれわれとしても十二分に尊重したいと、こういうことでございますから、したがいまして、衆議院の修正、それの可否に関しまして参議院のお答えが出ましたならば、早速具体的な問題に取りかかりたいと思っておる次第であります。
○向井長年君 事業団の方どうなんですか、四年八カ月ということですが。
○参考人(島居辰次郎君) もう大きいこと、それから細かいこと、大体宇野長官からお話しになったとおりでございますが、事業団といたしましても、修正されますと、まあ御存じのドイツのGKSSのようになるのじゃないかと思いますが、しかし、それまで――われわれといたしましてはいままでやってきました遮蔽に関しましては改修の基本設計を終えまして、そして国の安全審査を受けて改修工事をこれからやっていきたいと思いますし、また安全性の総点検につきましては現在まで進めております点検の結果をいろいろ検討いたしまして、そして改造等を行う必要があるものはこれまた改造をいたしまして今後やっていきたいと思っております。
○向井長年君 ひとつそういう形でその問題は促進を私はすべきだと、こういう感じを持っておりますが、続いて規制法問題で、このNPTの問題について、長官でも原子力局長でも結構ですが、ユーラトムとの違いは何ですか。一緒ですか、違いはどうですか。
○政府委員(佐藤兼二君) 御案内のように、たてまえが自主査察体制というもとで実施するということで、全く同一でございます。
○向井長年君 これはそういう形で先ほどから衆議院の問題いろいろ言われているが、これは私は時間がございませんから触れませんが、何はともあれこの法律案がいわゆる核サイクル、再処理問題と切り離してやられたということになっておりますが、これ、いま御承知のごとく七百万キロワットですか、大体それぐらいですね、今後開発計画も持っておりましょうが、それで東海においては大体九十九トン、二年間という形で、とうていこれでは追っつかぬというので、フランスなり外国に委託せざるを得ないと、こういう形になっておりますが、これは今後科学技術庁としては、この民間機関の再処理という問題については真剣にやはり考えてこなきゃならぬと思いますが、それともこれは別な考え方を持っておるか。この点どうなんですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) われわれといたしましては、今回これが衆議院における審議時間不足ということと、もう一つはNPTの協定批准、これの時間切れ、こうしたことで、残念でございましたけれども積み残しになったというような経緯でございますが、しかしいまお尋ねのとおりに、やはり核燃料サイクルを確立いたしまして、そして将来に備うるということ、第二番目には、現在のすでに各電力会社のいろいろと使われた使用済み燃料、こうしたことを考えますと、どういたしましても、その需給安定のためにも第二次再処理施設は必要なわけでございます。特にアメリカとの交渉におきましてもこの点はいろいろ問題になりましたが、しかし私たちは極力この建設のことを訴えまして、ただ現在としてはすぐにコンクリートを打ってつくるという問題でもないからそのスケジュールそのものには狂いはないけれども、しかしやはり国会にすでにわれわれとしては法案を出しておる、この法案が通ればわれわれとしては直ちにサイトを選定し取得する、そのためには法人を設立する、こういうふうな手続は私たちは当然やっていかなくちゃならぬからというので、このことに関しましてもアメリカの十分な了解をとっておるというわけでございます。したがいまして、アメリカとの間は御承知のとおり二年間でございますから、この二年の間にやはりこれが院におきまして御承認を賜りまして、そうしていま申し上げましたそうした手続だけは私はとっておかなければならない。そうでなければ、二年先にまたアメリカと一応八条C項の協定があるものであるという想定を立てるならば、一体全体政府何しておったんだということに相なります。そのこと自体は政府の責任よりもむしろ将来のやはり国民のエネルギーに大きな重大な影響を与えますので、われわれといたしましては、もうそうした意味合いからも、できるだけ近い機会に第二次再処理施設に関しまする法案は速やかに御審議を賜る機会を得たいと、こういうふうに考えておる次第であります。
○向井長年君 いろいろございますが私はもう終わりますが、最後に、動燃事業団がいま手がけておる高速増殖炉とか新型転換炉、これはどういうところまで進み、どういう現在の実態であるのか、また今後これに対してどれくらいにこの問題については政府は取り組もうとしておるのか、この点ちょっとお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(山野正登君) まず高速増殖炉でございますが、これは実験炉の「常陽」と申しますものがことしの四月に臨界に達しまして、現在機能試験をいたしておる段階でございます。それからいま一つATR――新型転換炉でございますが、これは明春臨界に達する予定でございまして、これも現在のところ順調に建設が進んでおります。
 今後の考え方でございますが、現在の軽水炉路線から将来は高速炉につなげていくべきであるというのが現在の原子力委員会並びに政府の考え方でございますが、この高速炉につなげます場合に、高速炉出現の時期の早い遅いによりましては新型転換炉を実用炉として活用する必要性というのもまた浮かび上がってまいるわけでございますので、その事態も想定いたしまして、新型転換炉が明春臨界に達しましたらその各種試験を続行しますとともに、実証炉の概念設計には着手したい、こういうふうに考えております。
○柿沢弘治君 それでは、先日、事業団法についてはお伺いをいたしましたので、事業団の方は結構でございます。
 原子炉等規制法案について若干お伺いをしたいと思いますが、まずNPT協定との関係をお伺いしたいと思ったのですが、まだ外務省お見えになっておりませんので、国内体制の方から若干の御質問をしたいと思います。
 いまでもわが国の場合には平和利用という観点から自主的もしくは二国間協定に基づく保障措置があるわけでございますが、今度の法律改正はNPT受諾に伴う保障措置だというふうに説明をされておりますけれども、現在でも保障措置があると思うわけですけれども、その点はどういう体制になっているのか、その辺をお願いいたします。
○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃいますように、わが国は原子力基本法によって平和目的に限ってその研究開発利用を進めておるわけでございます。したがいまして、現体制におきましても原子炉等規制法によりましてそれの担保をするための規定があるわけでございます。
 具体的に若干申し上げますと、核物質の計量管理記録の備えつけとか計量管理報告を徴収するということ、あるいは検査官の立入検査、こういうものの――これは査察と似たようなものでございます、こういう規定を持っておるわけでございます。それから国際的にはIAEAが査察を行っておりますが、これは二国間協定、アメリカ・日本とか日本・イギリスとか、そういうような協定の実施上保障措置がIAEAに移管されまして、その査察を受けてきたわけでございます。これはいままでの体制の査察は、IAEA側から見ますといつでもどこでも日本の施設に来て査察をすることができるような、非常に厳重な規定になっておったわけでございます。で、NPT下の査察による変更と申しますと、NPT条約に入りますとIAEAと日本との間で協定を特別に結びまして、その協定に基づいてわが国は国際的な査察を受けるということになったわけでございます。その際に、かねてからわれわれとしてはユーラトム並みの保障措置の取り扱いを受けたいということで、IAEAとかねがね折衝を続けてきたわけでございます。その結果、先ほども御説明いたしましたが、わが国にさらに完璧な自主保障措置体制を完成して、その上でその保障措置体制に対してIAEAが監察するというふうなユーラトム並みの保障措置体制の約束ができたわけでございます。そのために必要な国内法の整備をただいまお願いし、御審議をお願いしておるところでございます。
○柿沢弘治君 そうしますと、従来でも現行法体制による計量管理記録、それから立入検査ということで、これから新しいIAEAの査察ができたときと同じ程度の、何といいますか実情把握というものは政府としては行っていたわけでしょうか、それとも今後さらに厳重になるということになるわけでしょうか。
○政府委員(牧村信之君) 国内的には計量管理規定の認可制を創設して、施設ごとに国内の核燃料物質の動きを的確にとらまえられるようなシステムをつくりたいと、この新たな創設は従来の報告徴収とは若干違った形態でございます。従来の受け払いのものは同様でございますけれども、それに動きを的確にとらまえるような管理施設の計量管理区域を設定するとか設定点を設けるとか、いろんな新しい試みをやっております。そういうものにつきましては、若干国内的には管理のための強化が行われたというふうに御理解賜ったらばいかがかと思います。また、日本の政府の職員が査察をいたしますときに、従来は立ち入りだけの権限でございますけれども、必要によっては試料を収去するというような権限も新たにつけ加える等等いろんな改善を行っておるわけでございます。
○柿沢弘治君 そうすると、逆に言いますと、従来は平和利用という観点から見ると、もし、核物質等が軍事目的に国内で使われないにしても、何らかの形で、その拡散するおそれはあった、今後はそうしないためにこの改正が必要だということになるわけですね。そうすると、いささか平和利用をたてまえとしたいままでの国内体制の中に不備があったんじゃないかということになるかと思いますけれども、その点についてはどうでしょうか。
○政府委員(牧村信之君) そういうことを考えてこの制度を新設したのとは全く違う――現状においても十分国内的に、わが国は原子力基本法によりまして平和利用に徹するという国是を持って、またそれに必要な規制を行っておるわけでございますが、ただいま私が申し上げたのは、国際的にIAEAの査察を受けるようになるわけでございます、新しい協定に基づく。そのときにわが国の企業機密の分散等も防ぐという意味も含めまして、いろいろなIAEAの査察の合理化を図るというために国内的な計量管理制度の規定等を十分にしたというふうに御理解賜りたいと思います。
○柿沢弘治君 その辺はただ計量管理規定その他、システムを整えたというだけでなくて、いまのようにその収集する情報の量をふやしたとかいろいろ多面化しているという意味から考えますと、いままでの情報収集体制もしくは立入検査はできるけれども、それ以上のことはできないというようなものが、やや平和利用という面から見て危惧される点があったというような気がしてならないわけですけれども、これは今後改正されるということですから、いままでそうした問題がなかったということを期待したいわけですけれども、その場合、そうしますと、保障――これからの情報収集というのは政府自身がやらないで、特定の機関に任せるということになるわけでございますね。
○政府委員(牧村信之君) 施設の査察あるいは原子力施設者から報告を徴収するのは、すべて日本の政府が、科学技術庁が行うことでございます。御指摘の指定機関をつくろうとしておりますのは、国が規制法によりまして集めましたデータにつきまして、これは単にそのデータをコンピューターで処理していただくという下請の業務を委託する機関でございまして、その指定機関の者が原子力施設に参って情報を集めてくるとかそういうことは一切いたしません。すべて政府がやることでございます。
○柿沢弘治君 そうすると、報告義務も政府に対して全部資料も送られてくるということになるわけですか。
○政府委員(牧村信之君) おっしゃるとおりでございます。施設者からすべて政府に提出されるものでございます。
○柿沢弘治君 すると、そのための科学技術庁の中の体制整備というのはできているわけでございますか。
○政府委員(牧村信之君) おかげさまでこの整備につきましてはかねて逐次増強しているところでございますが、本年度保障措置課の新設、あるいは査察官の増強等を行っておりまして、着々と整備を図っておるところでございます。
○柿沢弘治君 あとユーラトム並みということになっているようですけれども、そのユーラトムの保障措置というものとそれから本来NPTが規定しているその保障措置というものの間の違いといいますか、どれだけユーラトム並みということで日本が有利になったのかという点は、これは外務省でしょうか、それとも……。
○政府委員(佐藤兼二君) 二つ要ると思います。まずたてまえのベースから申しますと、一口に申しまして国内の査察体制というものを活用される、つまりその国内の体制に対して信頼感を国際原子力機関は持つ、そういう国内体制の活用、これがいわゆる自主査察体制ということを言っているわけだと思いますが、これが第一点。
 それから、なお実質的な面での具体的なメリットの問題に限って言いますと、従来は、自主査察体制以前のものは、むしろIAEAがこれを行う、しかも行い方が、いかなる場所、いかなる時期においてもこれを行うと、こういう一方的な体制なわけです。それがいわば相互に協議し合いながら、特定の場所、特定の時期に限ってこれを実施すると、こういうふうに大きく変わるわけでございます。
 なお、こういうような考え方の基礎は、保障措置の実施というものは、平和利用への活用を阻害することなく、その軍事転用を防止すると、こういうたてまえなわけでございますから、協定上もそれを体しまして、その実施上の配慮といたしましては、平和利用に対しては不当に干渉しないと、それから情報の保護は万全を期すと、それからできるだけ査察の実施に関しましては効果的な実施を行うと、早い話が、できるだけ手数のかからない、しかしその目的は達すると、そういう配慮をするというような一連の考え方があるわけでございます。そういう意味の合理化ということを実施しながらその実質を確保すると、こういうのがいわゆるユーラトム並み、あるいはわが方が今後行うでありましょう保障措置の実施に関する基本的な考え方はそこにあるわけでございます。
○柿沢弘治君 そうすると、いま御説明のあったようなユーラトム並みの保障措置というものと、それから現在すでに二国間協定で結ばれているいろいろな査察といいますか、保障措置があるわけでございますが、現在の二国間協定の保障措置というものとユーラトム並みの保障措置というものとはどちらが厳重なのか、その間の重複をこれからどうやって排除していこうとしているのか、それぞれの協定ごとにいろいろ態様が違うというふうに聞いておりますけれども、その辺はどうなっておりますか。
○政府委員(牧村信之君) この保障措置協定が結ばれますと、現在ございます二国間協定は、手続の違いはございますけれども、すべて一時停止いたしまして、新しい協定に基づく保障措置がわが国にかかってくるということに相なります。したがいまして、この協定が発効いたしまして、効力を発生いたしまして、いろいろな打ち合わせが、細かい取り決め等が、細目取り決め等が結ばれますと、それ以降はすべてこの新しい保障措置体制下の査察を受けるということでございます。
○柿沢弘治君 その二国間協定での保障措置とそれから今度の保障措置との濃淡の差、これは簡略化されるのか、それとも厳重になるのか。
○政府委員(牧村信之君) われわれは非常に簡略化されると判断しております。
○柿沢弘治君 外務省の方おいでいただきましたので、これはもう外務委員会等で議論された問題かもしれませんけれども、基本的な問題ですのでお伺いをしておきたいと思うんですが、そのNPT協定、私の感じではこれくらい国際的に不平等な条約はないというような感じがするわけです。つまり、日本のような非核保有国に対してさまざまな規制を課しながら、核保有国に対しては何らの規制措置、義務的な措置を伴っていない、その点について、一体外務省としてこれに調印をし批准をしていったその過程でどういう基本的な考え方を持っていたのか、またその不平等性というものを修正するためにどんな努力をされたのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のとおり、核防条約が核兵器国とそれから日本のような非核兵器国との間で厳然たる差別が設けられている、これは疑いもない事実でございまして、この点、わが国の核防条約の国会での審議の過程におきましてもいろいろ議論が出た点でございます。ただ、政府といたしましては、確かにそういう差別性があることは明らかでございますけれども、核の拡散を現実的に少しでも防止していくためにとるべき措置として、理想から言えば非常に不満足ではございますけれども、現実的な措置としては、世界に核兵器国があるという事実を踏まえた上で何らかの措置をとらなければならないとすれば、この差別というのはやはり現実として認めざるを得ない、そういう点からそういう差別を内包しております核防条約、これを結ぶことが核拡散の防止のために大変意義があるという点を評価したわけでございます。
 ただし、この差別というのは決して好ましいことではないので、できるだけこの差別を少しでも減らすための努力を核兵器国にもしてもらわなければならないし、わが国としても行うべきであるという認識に立ちまして、わが国といたしましては、まず核兵器国に少しでも核の軍縮、これを進めてくれるように呼びかけてまいりました。この点、実はなかなかわが国が、あるいは世界が満足するような進捗、これは見られておりませんけれども、これが核防条約の不平等性をなくす最大の道でございますので、今後ともわが国としても、核兵器国の核軍縮の推進を大いに呼びかけていきたいと考えております。
 それからもう一つは、原子力の平和利用の面でございますけれども、これは先生も御承知のように、原子力の技術というのは非常にセンシティブなものではございますけれども、平和利用に関しては核兵器国と非核兵器国の間で差別があってはならないという観点から、機会あるごとにそういう主張をしてまいっております。
○柿沢弘治君 不平等性というのは、一つは核兵器国の軍縮の問題、軍縮を促進するという面で努力をされているというお話でございますけれども、もう一つ別の問題があると思うんです。というのは、いまこの核防条約に入ってない、NPT協定に入っていない国々、現在潜在的に核兵器を保有しようとしている国、そして南アフリカとかイスラエルとか――インドは持ったことになるんですか、それから中近東諸国とかいろいろな懸念が持たれておりますけれども、その辺の諸国はこの条約に入っているわけですか。
○説明員(太田博君) 現在世界では核防――核拡散の防止の観点から問題とされている、あるいは潜在的に核兵器を製造ないし所有する可能性のある国、こういう国のうちの幾つかが核防条約の当事国でないということは事実でございまして、ただいま御指摘の、たとえば南アフリカでございますとかイスラエル、インド、こういうのはいずれも核防条約の当事国ではございませんし、そのほかにもたとえばブラジル、パキスタン、エジプト、こういうような国は核防条約には参加をいたしておりません。
○柿沢弘治君 いま核兵器の問題で考えますと、日本や西ドイツのような国が核兵器を持つかどうかという点よりも、いま御指摘のような、紛争地域になるおそれのある地域の国々が核を保有するということの方が、国際的な平和とか核兵器の使用という面から見ると非常に大きな問題だろうと思うんです。その諸国が核防条約から抜けているという以上、現在のNPT協定というのは核不拡散の意味から見るとごくわずかの効果しか持っていないという気がしております。その場合、いまの不平等性という意味で考えると、それらの諸国に対して核兵器保有国もしくは核技術についての先進国が平和利用という名のもとで技術供与なり協力なりコマーシャルベースにおける核利用技術の供与というものを一切しない、ある意味でこのNPT協定に入らないものに関しては完全な核モラトリアムをしくというようなことを核技術の保有国に対して強制するようなものでなければいけないのじゃないだろうか。日本がこの協定に入るときに、もうこれに入れば平和利用として平和的な核の技術が日本に導入しやすくなるという御説明があったわけですけれども、これは逆に考えれば、そうした国々には入りにくいという事実がなければいけない。ところが、事実においては必ずしもそうなっていないで、そうしたところにも核の技術がどんどんと売られているというふうに聞いているわけですけれども、その辺について、何らかの形で日本としても核の先進国に抗議をするとか、その辺の申し入れをするとか、具体的な対策をとる必要があるのではないかと思うわけですけれども、その辺はどうです。
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のとおり、核防条約に幾つかの重要な国が入っていないということは、世界の核防体制にとってやはり大きなマイナスでございまして、ただいま申されましたように、これらの国国が核防条約に加盟をするような措置というのが必要なわけでございます。それで二つの面から考えられるべきかと思いますが、一つは核防条約に入ることが得になるという点でございまして、これはただいま先生が御指摘のように、たとえば原子力の平和利用の推進の上から、核防条約に入ればこれが大いに推進されるということであることが必要ではないか。この観点から、実は先般の宇野大臣が行われました日米交渉におきましても、アメリカの政策に対して宇野大臣から強く核防条約上のわが国の平和利用の権利ということを主張されたことはもう御承知と思います。
 それから第二は、ただいま御指摘のように、核防条約に入らないものを少しでも不利にするという点でございまして、実はこの点につきましてもいろいろ議論が行われておりまして、そのうちの一つは、ロンドンで核物質資材等の主要な輸出国が集まりまして、核拡散防止の見地から核防条約を補完する意味でどういう措置をとったらいいかということをここ一、二年来検討してまいりましたけれども、最近に至りまして、ただいま御指摘のように、やはり核防条約に入っていない国にどんどん原子力物質なり資材が輸出されるのは非常に遺憾であるということで、核防条約に入っていることをその輸出の条件としようではないかという観点から議論が行われております。ただ、核防条約自体は政治的にも非常に各国の微妙な立場もございますので、具体的には核防条約に入っているか、あるいは政治的な理由から、もしどうしても核防条約に入らないということであるならば、あたかも核防条約の当事国であるかのごとく、その国のすべての原子力の平和利用の施設に国際原子力機関の査察を受け入れると、こういうことを承諾した国にのみ原子力の資材を輸出することにしようではないかと、そういう検討がなされておりまして、わが国もこういう考え方を支持しております。ただ、このロンドンの原子力供給国会議ではいろいろな国が参加しておりますし、まだそれが具体的な措置として採用されるには至っておりませんけれども、そういうような努力が行われております。
 それから、一つだけつけ加えさしていただきますと、先ほどインドとか、こういう国がたくさん入っていないので、核の拡散防止の観点から核防条約というのは余り意味がないんではないかという御趣旨の御発言であったかと思いますけれども、こういう国が入ってないということは、確かに核防体制にとって大きなマイナスではございますけれども、やはりそのほかで世界で百以上の国が核防条約に参加しているということの政治的な意義は非常に大きいのではないかと、完全ではございませんけれども、その点の意義もやはり評価すべきではないかというふうに考えております。
○柿沢弘治君 いま科学技術庁長官も、日米交渉でそうした問題についていろいろと御発言をされたというふうに伺いましたが、いまの核防条約外の国に対する原子力技術の供与というものに対して、何らかの縛りをかけてほしいというような話はされたんでしょうか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 非常にデリケートな問題でございますから、日米間の私が主張した点を簡単に申し上げるとすれば、まず、現在核防条約を、せっかくわれわれも入ったんだから、これを空洞化するようなことがあっちゃいけない、本来ならば米ソがまずやめて、核を廃絶して、それから平和利用が危ないからやめろというんだったら話はわかるが、逆じゃないかと、これが第一点であります。
 空洞化しちゃいけませんから、今後はもっともっと早くたくさんの国に入ってもらおうじゃないか。現在世界には国家が百五十六あると思います。したがいまして、そのうちの百二だけが入っておるわけですから、まだまだ入ってもらおうじやないかということが第二点。これは、私として力説をいたしました。
 第三番目の問題といたしましては、現在一番危ながっているのが、はっきり申し上げますと、先ほど御質問でありました第三世界と言われるところでございます。これがもしも核を持ったらどうなるんだというのがカーターさんの心配ではなかろうかと存じます。したがいまして、すでに軽水炉を持っている国、さらに、計画をしている国が四十四カ国ございますから、ここらが軽水炉をお持ちになると当然使用済み燃料が出てまいります。あるいはまた、軽水炉においてプルトニウムそのものを使うことも方途がいろいろ考えられているわけでございますので、そうしたことをおもんばかりまして日本はそれをいたしません。しばらく、二年間いたしませんと、こういうふうに申したゆえんはそこにあったわけでございます。今後は、私はやはりいまの問題が非常に大切だと思いますが、まず私考えますと、INFCE――INFCEPと最初言っておりましたが、Pを取りましてINFCEというふうに直りましたので、私たちもINFCEというふうに言わしてもらっておりますが、そのINFCEに、幸いにもいろいろ問題じゃなかろうかと言われておる地域の国国も現在入っておられます。インド、イスラエル、ブラジル、エジプトも全部入って、そして一緒になって将来のやはり核不拡散と平和利用の道を探求しようじゃないか、こういう会議が行われていますので、私は、その意味では、今後日本も、やはりそういうINFCE等々の場におきまして、平和利用と核不拡散は両立できると、この日本の初めて言い切りました哲学と申しましょうか、哲理といいましょうか、そうしたものをかざしながら今後はひとつうまく世界じゅうがやっていけるようにいたしたいと。日本から、余り危なくて――あの国は大丈夫だというようなことは私たちは今日言いたくはございません。ただ、アメリカがそういうような懸念を持っていることは事実であろうと、こういうことは私たちもそこはかとなく考えておりますが、全部がINFCEに参加したというところに私は今回意義があるのではなかろうかと、こういうふうに思っております。確かに御質問のポイントは非常に大切なところでございますので、今後日本といたしましても原子力の世界会議におきましては、私がよく申しますとおり、単に乗客ではなくして、ハンドルを持つというぐらいの意気込みでやろうではないかというところもそこにあるわけであります。
○柿沢弘治君 NPTに入り、そうしてこうした保障措置を新しくつくるということも、これによって日本の核の平和利用、外国からの技術導入がしやすくなるという点がメリットとして主張をされてきたわけですが、どうもその後の傾向を見ておりますと、核防条約に入っていないところでも比較的自由に技術を手に入れているというような状況を考えますと、どうも手足を縛られるだけで必ずしもメリットがないというような感じが出てきていると思うんです。国民の中にも、そういう意味で、ただ手足を縛られるだけの条約、しかも査察等の負担を伴うような条約であるならばかなり意味がないじゃないかという批判も出てまいりますので、そうならないように、もうすでに成立してしまっている条約の不平等性を改めるということはなかなか容易なことではないと思いますけれども、あくまでも日本の原子力政策、平和利用に限定していくんだという立場を貫き、それをできるだけ広く世界にも行き渡らせるためにも、その点、NPTに入っていないところに対して安易に核の技術を供与するという姿勢を何とかして抑えていかなければいけないと思いますし、その点、今後とも政府としていろいろな機会に発言をしていただく必要があるんじゃないだろうかという気がいたします。それをお願いを申し上げまして、もし何かコメントがありましたらいただきますが、なければ終わりにしたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) 重大な指摘でございますから、われわれといたしましてもやはりNPT体制、これを拡大していくという方針で進んでまいりたいと、かように存じております。
○委員長(藤原房雄君) ほかに御発言もなければ、両案についての本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時四十九分散会