第084回国会 本会議 第5号
昭和五十三年一月二十六日(木曜日)
   午前十時十三分開議
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○議事日程 第五号
  昭和五十三年一月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
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○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
 以下 議事日程のとおり
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○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 この際、欠員中の裁判官弾劾裁判所裁判員一名の選挙を行います。
○遠藤要君 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
○大塚喬君 私は、ただいまの遠藤君の動議に賛成をいたします。
○議長(安井謙君) 遠藤君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に源田実君を指名いたします。
     ―――――・―――――
○議長(安井謙君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。二宮文造君。
   〔二宮文造君登壇、拍手〕
○二宮文造君 私は、公明党を代表して、さきの政府演説に対し、特に経済問題、国民生活の問題に限って、総理初め関係大臣に質問しますが、その前に、昨日の竹入委員長の、日中平和友好条約締結に関し、交渉再開の時期はいつかとの質問に対して、総理は、交渉再開の機は熟しつつある、いましばらく情勢と推移を見てほしいと慎重な答弁をされたが、本院での秋山議員の質問に対し、園田外務大臣は、機は熟した、総理から指図があればいつでも訪中できるようエンジンはかけっ放しだと答弁しています。聞きようによっては、はやる外務大臣を総理が抑えにかかっているようにも受け取れ、閣内不統一の感もあるが、いま一度総理の所信を伺っておきたい。
 総理は、さきの演説で、世界に向けて、国際社会での協調と連帯を説き、経済運営では、いまこそ思い切った景気浮揚策をとると訴えておりますが、責任回避の姿勢ばかりが目立って、説得力に乏しく、とうてい納得し得るものではありません。
 福田内閣が発足してすでに一年を経過しておりますが、わが国が直面している長期不況は依然として立ち直りを見せず、混迷の中にあります。総理はこの事態を何と弁明されるのか、以下具体的に質問いたします。
 一つには、総理は、昨年の通常国会で資源有限論を展開した後、要は、われわれの、時代の認識に徹してその対応ができるかどうかであり、その対応を誤ることがなければ、より静かで、より落ちついた社会を実現することができると信ずると国民に約束をしましたが、この一年間、総理の対応は誤っていなかったのかどうか。
 二つには、五十二年度実質六・七%経済成長がなぜ達成できなかったのか。理由を円高に押しつけ過ぎるとの批判が強いのですが、総理は、単に期待だけを国民に呼びかけたのかどうか。
 三つに、総理は、昨年五月のロンドン先進国首脳会議で、わが国の五十二年度経常収支は七億ドルの赤字になると言明しましたが、実績見込みは百億ドルを超える黒字になっています。この大きな見込み違いは政府の経済運営の失敗と考えますが、どうですか。
 また、日本の集中豪雨型の輸出や輸入制限措置、開発途上国への政府援助の出し惜しみなど、諸外国からの非難攻撃が強いのですが、総理はどのように受けとめていますか。
 四つには、結果として、この一年間、すでに論議されてきましたように、国内的には不況、円高、雇用不安、生活不安等々、より静かな落ちついた社会とは逆に、日本丸はいまや暴風圏に漂流し続けていると見なければなりません。総理のかじ取りに何が不足していたのか、謙虚な反省を込めての答弁を伺いたい。
 先ごろのストラウス特別代表を迎えての日米通商協議は、まさに日本を取り巻く国際環境の象徴とも受け取れますが、共同声明に盛り込まれた項目は、その大半が日本の一方的とも言える約束で埋まっていると評価されています。
 そこで、総理にお伺いしたい。
 まず、五十三年度の実質経済成長率七%の目標について、政府・与党では、国際公約であるとか、いや努力目標であるとか、その説明に食い違いを見せ、政治不信や国際信用失墜を招くおそれさえも出ていますが、その姿こそ政府の七%成長の自信のなさを物語るものではありませんか。
 次に、共同声明では、日本の経常収支黒字を、五十三年度には縮小化、そして五十四年度には均衡化と明記していますが、自由経済体制のもとでは、このような約束や、また約束の達成は不可能ではないかと思いますが、どうですか。
 三つとして、貿易目標の項目では、対等貿易、相互主義が明記され、関税、非関税障壁を日米同一条件のもとに置こうとの意向が盛り込まれていますが、国内産業への影響はどう考えていますか。
 四つには、特に農産物の場合、今回は牛肉一万トンのほか、オレンジ三倍、果汁四倍の輸入枠拡大が明記されましたが、これは将来の農産物輸入の完全自由化への布石とならないか、レモン、紅茶など、過去に自由化した品目は完全に国産品が一掃されています。日本の輸入制限二十七品日中二十二品目が農林水産物であることからも、自由化攻勢は強くなると思いますが、どうですか。
 さて、わが国は五十二年を長期不況と円高のあらしに振り回されながら、的確な解決策も見出せないまま五十三年を迎えました。景気回復の見通しについて、総理の「梅雨明け」「八月ごろ」「総合景気対策で決定打」といった御託宣がすべて御破算になり、いままた十五カ月予算の構想を打ち上げて、不況と円高のダブルパンチを克服したいと言っています。しかし、五十二年度予算も、その実態は、十五カ月予算でありながら、いまなお景気が停滞していることは記憶に新しいところです。
 もともと総理は、五十三年度実質経済成長率を五・八%ないし六%を目途としたと言われています。そして、ワシントン交渉を皮切りに七%成長に踏み切らざるを得なかったが、予算案に盛られた諸施策だけではまず達成不可能というのが定説となっております。
 公明党は、五十二年度の第二次補正予算及び五十三年度予算編成について、政府に対して、第一に、内需拠大を最大の目標とし、対外経済との調整を図りながら、不況克服、物価安定を実現すること、第二に、失業者の増加を食いとめ、雇用の安定を図るとともに、構造不況業種対策の充実、中小企業の安定、円高倒産の回避を図ること、第三には、減税はもちろんのこと、長期不況によって苦境に追い詰められているお年寄り、身障者、母子家庭、生活保護世帯など、社会的に弱い立場の人々の生活を守り、国民福祉向上に努めることを基本とすべきであると要求をしました。
 重ねて申し上げたい。当面の最大課題は不況克服です。そのためには、五十三年度予算案に示された公共事業のほかに、福祉の充実、減税を加えた総合的な内需喚起策がなければ効果は期待できません。また、今日、長期不況の深刻化と雇用不安、可処分所得の停滞、これまでの政府の経済至上主義政策がもたらした住宅政策の不備、教育費の増高、社会保障の立ちおくれと不備などから、国民の多くは、目減りをするとわかっていても家計を切り詰めて貯蓄せざるを得ないのが実情です。これを打開するには、五十年代前期経済計画が実質的に破綻した現在、政府は早急に財政計画及び経済計画を立て直して、一年後、二年後はこうする、五年後の生活はこうなるのだという姿を明らかにし、国民大衆に対しても、企業に対しても、将来計画が立てやすいようにすることが肝要だと思いますが、どうでしょうか。
 以下、それらの立場から質問を続けます。
 第一に、政府は、年度前半に公共事業で需要を掘り起こし、後半から個人消費、設備投資など民間需要にバトンタッチして七%成長を達成しようとの考え方から、財政拡大の最重点を公共事業費に置き、対前年度比伸び率三四・五%と、昭和三十六年以来の大盤振る舞いをしようとしています。しかも、その内容は、かつての列島改造型か高度成長型の手法と大同小異であり、長年安定成長論を唱えてきた総理のその主張にふさわしい新手法は見当たらず、余りにも場当たり的、無定見と言わざるを得ません。
 まず、公共事業の経済的波及効果が、高度成長期とは違って、とりわけ高度成長が残した不当な高水準の地価と土地需要の増大、建築資材価格の騰勢などの中で、果たして予期どおりの効果を上げられるかどうか。用地費を見ても、事業費の五〇%、六〇%、事業の種類と地域によってはそれ以上を占める場合さえもあり、したがって、財政支出の金額だけで波及効果の比例的な増大ははかれないのです。政府は投資効果を過大視してはいませんか。実態はどうですか。
 次に、需給ギャップがGNPの一割、二十兆円にも上ると言われるほど過剰設備を抱え、この程度の公共事業では新たな設備投資への呼び水にはならないとされています。また、工事を請け負う建設関係業者としては、先行き不安もあって設備の拡大はしないのではないかと考えますが、どうですか。
 さらに、高速道路、新幹線など大型プロジェクトについても、環境問題も絡んで、着工すらおぼつかない場合もあり、工事進捗にそれほど期待はできないのではないでしょうか。
 なお、資料としてお手元に差し上げてありますが、公明党では、昨年、生活関連社会資本充実の中期計画大綱を発表しました。それは、これまで高度経済成長のため積み上げてきた政策、制度を大胆に改革し、経済的、社会的不公正を是正しながら、国民の公平な負担によって国民生活の足元から経済を立て直そうとするものです。具体的には、住宅、下水道、学校、病院、保健所、福祉施設、保育所、幼稚園など、国民生活と最も不可分の関係にある国、地方の公共事業を行うこととしています。また、用地確保のため、十年償還の交付公債を発行し、購入した用地の一定率を、個人持ち家のための賃貸宅地として供給するなどとなっています。
 総理は八十一、八十二国会の二回にわたるわが党議員の提案に対し、五十年代前期経済計画があるので、いまはその考えがないと答弁しましたが、七%成長を決意している今日、また、生活関連社会資本のおくれを認識する以上、改めて検討すべきではないでしょうか。
 第二に、公共事業促進のために制約となるのは地方財政の窮迫です。補助事業を含めて実際に七割もの事業を執行する地方自治体は、四十九年以来の財源不足で、経常的収支を賄うのに精いっぱいです。五十三年度地方財政計画では、補助事業七兆円、単独事業五兆六千億円、合わせて十二兆六千億円となり、国の投資的経費七兆三千百億円を大きく上回ることになっていますが、これを消化し切れると確信しておられるのかどうか。
 まず、財政以前の問題として、地方自治体の技術者不足と住民協力の点ですが、県、市町村では、五十二年分の公共事業を消化するのに手いっぱいで、設計、工事費の積算、施工管理がそれに対応できないのではないでしょうか。さらに住民との関係で、予算はついても着工が困難な工事が少なくありません。それらの点をどのように運営しますか。
 次に、五十三年度地方債計画によれば、地方債発行額は六兆二千百九十七億円に及び、そのうち公庫資金を含めた政府資金の引受分を五三・七%で、半分近くが縁故債として民間金融機関からの借り入れに依存し、まず借入先に苦労するということです。さらに、全国市長会で調査した五十一年度実態は、縁故債の一応の目安とされている市場公募債利回り八・二六九%以内での借り入れは全体の三分の一、九%以上が四割を超えています。改善すべきだと思いますが、どうですか。
 また、自治省の試算では、五十三年度末の地方債の発行残高は三十五兆円前後、地方債だけで国民一人当たり三十数万円の借金になり、地方財政窮乏は必至です。したがって、交付税の引き上げ、地方税制の改正で地方財政の強化を図るとともに、地方債については許可制を廃止し、中央集権化された地方自治を本来の姿に引き戻すよう努めるべきだと思いますが、どうですか。
 第三に、政府は、公共事業とともに、七%成長達成の牽引車として民間住宅建設に期待を寄せ、住宅金融公庫の融資枠の拡充、貸付条件の改善、住宅ローン減税など、促進策を盛り込んでいます。しかし、依然として所得に対する先行き不安や雇用不安が重くのしかかっている今日の状況から、果たして抑え込まれている住宅の潜在需要を引き出し得るかどうか。不況対策としてはもちろんのこと、より基本的には、安らぎの場としての快適な住宅環境を供給することは政治の責任であり、公的資金による持ち家政策と公共賃貸住宅施策を整合して推進することが必要です。
 初めに、東京圏で小規模ながら庭つき一戸建て住宅を取得するためには、通勤一時間半という距離でさえ最低一千五百万円は必要です。また、潜在需要者層は、三十代の年収三百万円の人たちだと言われています。たとえば、三百万円の貯金を持ち、公庫融資五百万円、銀行借り入れ七百万円とした場合、毎月の返済額は何と八万八千九百円で、所得の三〇%を超えます。ローンを支払うために二十年間以上も働きバチのような生活が続くというのでは、とうてい手が出ません。したがって、木造個人住宅の公庫融資額を六百万円に引き上げ、また、利子を現行の五・五%から、所得に一定の条件を定めて三・五%程度に引き下げ、さらに土地購入についても、融資範囲を拡大して国民の期待にこたえるよう配慮すべきではありませんか。
 次に、既存の中古住宅購入についても、新築住宅に認められている住宅取得控除、登録免許税の軽減、不動産取得税の課税標準の特例を適用するとともに、公庫の中古住宅融資金利を引き下げるなど、中古住宅の流通促進策を講ずべきだと思いますが、どうですか。
 また、五十三年度予算で、前年度より公営住宅が一万戸、公団住宅が二万戸削減されたことは納得できません。公共住宅の位置づけについて、政府はどのように考えているのですか。
 なお、公団家賃の値上げも問題です。もともと高家賃に結びつきやすい原価主義家賃体系をとっており、三万戸を超える空き家、一千六百ヘクタールに上る遊休地、年間五千百億円の借入金の返済など、公団の殿様商法から来る赤字のツケを入居者に押しつけるものです。この際、国の一般会計からの利子補給を増加するなど、国、公団の経営失敗による負担を明確に区分した後に家賃問題を考えるべきで、どんぶり勘定の値上げは許せないと思いますが、どうですか。
 さらに、今日 土地代が住宅価格の七〇%を占め、土地対策に有効な手段がない限り住宅問題は解決しません。総理は、土地利用並びに地価抑制にどのように対処し、土地政策を展開されるのか、伺いたい。
 これに関連して、櫻内国土庁長官は、市街地の宅地供給を円滑に進めるため、個人の長期保有土地譲渡所得の税制に配慮する必要があると述べていますが、真意を明らかにしていただきたい。
 第四に、総理は、五十三年度予算を非常時予算と命名しています。確かに、ワシントン交渉を契機に二転三転したらしい経済成長率に関連をして、予算編成方針も大揺れに揺れて、結局は積極大型、国債依存率も実質三七%とはね上がっています。不況克服のため、国債を増発して財政をふくらませるという緊急避難もこの際やむを得ないものがありますが、五十三年度末の国債残高は四十四兆円、国民一人当たり約四十万円の借金を背負った勘定になり、財政再建と考えあわせて、多くの問題が残されています。
 初めに、非常時予算のため異常な国債依存率三七%と言うならば、適正な運営からどう離れているのか、また、どういう時点で正常に戻すのか、財政再建の目玉、プロセスはどうするのか、総理の具体的な説明があるべきです。政府は、過去二回財政収支見通しを国会に提出しましたが、いずれも一年でほごになりました。総理の政治生命をかけた責任ある財政計画の説明を伺います。
 次に、無秩序な国債増発の歯どめ策として、当然、償還計画財源の明確化、公債発行条件の弾力化、公社債市場の育成、個人消化等が問題になりますが、対策はどうですか。なお、銀行窓口による店頭販売に対してどう考えますか。
 また、政府税制調査会は、赤字財政の再建のため一般消費税の導入を考えねばならないと答申をしています。われわれは、個人消費の減少、物価へのはね返り、大衆負担の増大、商取引秩序の混乱を招く等の点から、一般消費税導入には反対です。今後の財源対策に当たっては、大企業・資産所得優遇の不公平税制の是正を第一義とし、少なくとも取りやすいところから取るという姿勢は避けるべきではないかと思いますが、どうですか。
 さらに、総理の、中央省庁の統廃合を中心に据えて行政改革を断行するという公約は、昨年末の閣議決定で、引き続き検討を進めると後退し、地方出先機関、特殊法人の整理など、具体案とはいいながら、今回の案は、単に体裁を整え、中身は公約の矮小化を図ったものというほかはないのですが、今後どのようなスケジュールをもって公約どおりの成果を得ようとするのか、伺います。
 不況克服を至上命題とするならば、五十三年度政府経済見通しでのGNPの五六・三%を占める個人消費の拡大を図るべきです。呼び水としての公共投資も、過剰設備を抱えている現状では、個人消費の拡大がなければ効果は期待できません。
 国鉄運賃、社会保険料、学校授業料を初め、一連の公共料金値上げのプログラムが用意され、一方、低率賃上げが予想され、国民の可処分所得の伸びが期待薄という今日です。五十三年度予算が公共投資一点豪華主義の片肺予算であるとの批判も、GNPに占める個人消費を五十二年度実績見通しとほぼ同率に置き、拡大への具体策を欠いているからです。
 第一は、言うまでもなく所得減税です。政府は、五十三年度の個人消費支出の伸び率を実質五%強に置いているようですが、所得減税が見送られた五十一年度では、実質増税効果が働いて、伸び率は三・七%にとどまっております。昨年九%のベースアップがあった年収三百万円の標準世帯のサラリーマンの場合、計算上、仮にことしのベアはゼロと試算をしますと、税金は、前年に比べ、住民税のアップによって一万一千四百八十円の増税となります。
 政府は、一つには、国民所得に対する租税負担率が先進諸国に比べてかなり低いこと、二つには、減税分が貯蓄に回り、景気刺激効果が小さいこと、三つには、所得減税の財源が赤字国債の増発につながること、四つには、財政の景気効果は公共事業の方がよい、などを理由に、所得減税はしないとしていますが、小出しで時期を失した昨年の愚を繰り返さないためにも、一兆円程度の所得減税を実施して、公共事業による景気浮揚と呼応して国民消費を喚起すべきだと思いますが、どうですか。
 第二に、五十三年度予算による実質的な所得税増税のほかに、酒税の五%ないし二五%の増税は、標準世帯年間五千八百円の支出増になります。国立大学授業料は年額十四万四千円で五〇%増、住宅公団家賃は七月から平均五千三百円増、国鉄運賃値上げは一四%、国民年金保険料は四月から月額二千七百三十円で二四%増、ボーナス保険料も支出増になります。そのほか、医療費の負担増、海上運賃、航空運賃、私鉄運賃も上がる等々、公共料金値上げラッシュとなりますが、個人消費との関連をどのように考慮しているんですか。また、消費者物価についての五十三年度見通し前年比六・八%増の線を果たして守り切れるかどうか、お伺いをしたい。
 さらに、輸入品の円高差益が輸入業者や流通過程に消えて、消費者に還元されない行政指導の不備も見逃せないことです。石油、電力、ガス業界を初め、品目ごとにその実態を定期的に公表すべきであると思いますが、どうですか。
 関連して、総理は年頭に、国際収支の堅調、物価安定、景気回復、安定成長を前提にデノミ宣言に踏み切りたいと意向を示しましたが、国民の一部には、貯金よりは物へと、一瞬、インフレ指向と受け取る向きもあり、混乱を招きかねません。先の見通しも具体的に示さず、国民に希望を与えないまま、しかも政局不安定な今日、軽々に口にした総理は、その真意をここで明らかにすべきだと思いますが、どうですか。
 第三に、生活防衛からも、個人消費拡大の面からも、社会保障の役割りは大きいと言わなければなりません。五十三年度予算案の一般会計における社会保障費の伸び率は対前年比一九・一%で、一般会計の伸び率二〇・三%を下回っています。しかも、政府・自民党は、予算編成に当たって、老齢福祉年金の所得制限強化、老人医療費有料化、小中学校の教科書貸与制の検討、児童手当の廃止など、総体的に福祉後退の立場での議論が展開されたと言われます。この際、予算編成時の議論の経緯、展望を明らかにするとともに、老齢福祉年金を二万円に引き上げるのを初め、社会保障生活者に対する給付水準を大幅に引き上げることを要求するものですが、どのように考えておられるか、伺いたい。
 さらに、各種年金の増額を織り込んだ、いわゆる食べられる年金、老後保障の確立した社会、子供が、国民大衆が安心して生活できる整合性ある国民福祉中期計画を策定をして、そのために必要な国民負担の概要、あり方を示した政府の青写真を提示すべきであると思いますが、どうですか。
 第四に、国民の貯蓄の理由に、子供の教育費のためにというのがかなりあります。昨年その実態が明らかになった医歯学系私立大学の入学寄付金問題にまつまでもなく、教育費の高騰はすでに家計負担の限界を超えようとし、それが国民の教育行政に対する不信を一層駆り立てています。
 まず、東京都学事部の調査によりますと、来る四月からの都内私立幼稚園の入園料、保育料など、入園一年目に払う父兄負担は、平均二十一万六千九百七十円で、最高は八十一万五千円もの幼稚園があるのです。一方、都内の公立幼稚園は昨年並みの平均三万九千二百円で、格差の大きさに驚かざるを得ません。しかし、私立の園児数は二十四万三千人、公立はわずかに三万四千人であり、幼児教育に対する政治のおくれを痛感する次第です。私立助成の拡充ないし公立幼稚園の増設を要求する国民の声は高いのですが、いかに対処するか、具体的方針と計画を明示をしていただきたい。
 関連して、文部省の調査によれば、五歳児十人のうち九人までが幼稚園または保育所に入っており、幼児教育に対する父母の関心の高さをうかがわせていますが、その一方で、府県によって幼稚園と保育所の整備状況に極端なばらつきがあるのです。たとえば、沖繩では五歳児の九五・六%が幼稚園、逆に、長野では六九%、高知は六七・四%を初め、十一県で保育所児が多くなっています。文部、厚生の両省にまたがる運営方式から脱皮して、いわゆる幼保一元化論を含めて再検討し、そのあり方を子供自身、父母の立場から抜本的に改革すべきではないかと考えますが、どうですか。
 次に、東京都内私立高校の初年度納入金は平均五十一万円、普通科として初めて百万円台を超える高校もあるのです。また、大学生協東京事業連合の調べでは、大学を受験し、合格し、下宿に落ちつくまでに、私立で約百万円、国立で約七十六万円かかったと報告されています。さらに、文部省の五十一年学生白書によれば、大学生の学費と生活費は、東京で下宿の場合、私立大学で一年間に九十七万円、国立大学で八十七万円かかると報告されております。義務教育費の父兄負担も、七割以上の家庭で多過ぎると訴えているデータを私は持っています。教育の不公正がこのように金に始まっている実情を政府はどのように見ていますか。政府施策の教育ローンも、当面のしのぎとしてはやむを得ないと思いますが、それ以前の問題として、教育の場における不公正の是正を緊急課題として取り上げるべきではないでしょうか。
 さらに、このような教育のひずみ、金による不公正の要因の一つに、就職についてのいわゆる指定校制があります。文部省も、昨年、経団連などにその廃止を打診したと聞きますが、経過と結果を御報告願いたい。また、あわせて、現在の公務員制度の中に、採用、昇進など、いまだに学閥云々の風評があり、改革を望まれていますが、どうですか。
 第五に、今日の雇用不安、失業問題についてです。
 すでに完全失業者は百万人を超え、最近では百十万人で、失業率は二%、さらに、仕事を失った婦人、パート、臨時工など潜在失業者を加えれば三百万人、失業率は六%となります。また、企業が抱える過剰労働力は二百五十万人と言われ、不況業種の設備廃棄が進むにつれて、政府が用意している雇用対策三法では対処し切れないほど雇用不安は一層深刻な問題を提起すると予想されます。企業の稼働率指数は、昭和四十五年を一〇〇として、去る十月には、一部の設備廃棄によって、辛うじて八八・三、それでも適正稼働から大幅に落ち込んでいるため、すでに有効求人倍率は〇・五、二人に一人しか雇用機会がなく、新規学卒者の就職問題と若年失業者の増大などは社会不安につながろうとしています。今後の雇用動向が政府予算と施策でどのように変化するか、その予測と対策を明らかにされたい。
 以上、私は、直面する経済危機に国民生活の立場から見てどう対応すべきかという観点から、五十三年度予算に関連して問題を提起し、政府に要求をしてまいりました。
 申すまでもなく、今日の日本経済が抱える問題は、一つには、年率一〇%を上回っていた高度成長から約二分の一に下方屈曲した現在の需給ギャップと設備過剰の問題二つには、エネルギー価格の急騰と不確定要素を持つ供給展望から見たエネルギー多消費産業ないし経済問題また、三つには、発展途上国、特にいわゆる中進国の産業発展によるわが国労働集約産業の経営危機という問題、四つには、国際収支の大幅黒字基調に対する国際的非難の高まりに見るわが国経済の構造がもたらす対外不均衡など、これまで指摘してきたとおりであり、日本経済のあり方そのものに及ぶものです。したがって、産業構造の転換、低成長産業へのてこ入れ等は、将来への展望を踏まえ、一刻もゆるがせにはできません。
 第一は、中小企業構造不況業種対策であります。
 深刻化する円高不況、消費不振など、経済環境は一段と厳しさを加えております。先般の民間信用調査機関の調査によれば、昨年一年間の負債額一千万円以上の企業倒産は一万八千四百七十一件、その負債総額は二兆九千八百億円に上り、前年に比べて、件数で一八%、負債額で三一%と大型傾向を示し、中小企業、不況業種企業は経営困難に陥っています。さらに、本年三月から五月にかけて大型倒産が続出するのではないかとの予測さえも出ていますが、この点について政府の見通しはどうですか。
 まず、中小企業を中心にした地場産業、福井、桐生の織物、燕の金属洋食器、神奈川のスカーフ、大阪のめがねレンズ、関の刃物等々の輸出中心業種では、円高による採算割れから大打撃を受け、休業、雇用調整など、一層深刻な事態になっています。円高により、すでに新規成約実績は、七十九産地のうち五十三産地が前年比減を示しており、四月以降軒並み倒産の危機にあると言われておりますが、政府の予測と対策はどうですか。
 また、政府は、いわゆる構造不況業種構造改善臨時措置法を制定し、債務保証基金制度を創設して、過剰設備の廃棄等を促進する意向のようですが、しかし、不況業種の大半は中小企業が占めているため、税制、融資、助成面でのきめ細かい対策が必要です。また、過剰設備廃棄に当たっては、業界内での協調が得られるか否かにかかっていますが、これらの点についてはどうですか。
 関連して、同法案は通産大臣の承認で実施できることとなっているようですが、過剰設備の廃棄は、今日の情勢から速やかに実施すべきであるとしましても、企業合併、営業譲渡につきましては、独禁法との関係をどのように措置をするか、伺いたい。
 さらに、円暴騰と国際経済社会の現状と将来を考え合わせるとき、日本経済の中長期的展望としての産業構造転換を急ぐ必要があり、それは直接に中小輸出産業あるいは構造不況業種対策とも絡んで重要な課題となってきていますが、政府の指針と具体的構想を伺いたい。
 第二に、エネルギー問題です。
 公明党は、去る一月の党全国大会で、新しい時代に対応するエネルギー政策を発表し、九項目にわたる具体的な政策を用意していますが、特に次の三点について政府の基本的態度をただしておきたいと思います。
 まず、中長期的な展望に立ったエネルギー情熱の中で、省エネルギー率をいかにして高めていくか、また、そのためにいかなる手段を講ずるのかが問題となっています。わが党は、かなり厳しい目標ですが、昭和六十年の省エネルギー率を一五%に置いて、目標数値を産業部門で一五%から二〇%、輸送部門で一八・四%、民生部門で一四・六%の節約というめどを立てています。政府は、需給情勢、特に発電所立地の制約、消費構造の変革、省エネルギー産業開発等を勘案し、省エネルギー率とその対策をどのように立て、進めようとしているのか、明確な答弁を伺いたい。
 また、原子力発電については、自主・民主・公開、さらに平和と安全の原則を踏まえながら、国民的コンセンサスの中に責任ある対応が求められておりますが、その建設については、特に安全性、放射性廃棄物の処理体制、温排水等の問題について、環境アセスメントの手法の確立が必要と思いますが、政府の対応はどうですか。
 さらに、地熱、太陽熱、潮力、波力発電など新しいエネルギー源の開発もまた重要であり、すでに技術的には可能とされているものもかなりあります。しかし、国民の目には、政府は、石油の開発、備蓄、原子力開発に集中し、この種の開発にはきわめて消極的であるとさえ映っています。新エネルギーの研究開発、実用化に、より具体策をもって対処すべきであると思いますが、どうですか。
 第三に、重化学工業中心の高度経済成長の陰に押しつぶされてきた農業は、今日また重大な危機にさらされております。特に、ことしから始まる米の新生産調整や、アメリカ、豪州、EC諸国などからの農産物輸入自由化、輸入枠拡大を求める声の高まりに、農家の不安は覆いがたいものがあり、適確な対策が必要となっています。
 初めに、政府は米の新生産調整量をこれまでの百万トン程度から一気に百七十万トンに増すこととしていますが、これは、面積にして約四十万ヘクタール、九州全体の水田面積をはるかに上回り、米作に依存してきた農家経済を著しく脅かしています。また、他の作物に転換するとしましても、米作に対応できる価格が保証できますか。さらに、他の作物に定着させることは、過去の実績に照らしてもきわめて期待薄であり、結局は休荒廃地の増大、気休めの一時的対応策にすぎなくなる等々、総じて、農政の失敗を、そのツケをまたしても農家に一方的に押しつけることになりますが、どうですか。
 また、新生産調整は今後十年間にわたって継続され、割り当て量が達成できない場合は、その分量を翌年の目標量に上乗せをする、そういう厳しいペナルティー制をとっています。それでは、十年後の農家のあるべき姿はどうなのか、農家の生活はどうなるのかというような点につきましては、政府の責任のある指標は示されておりません。お先真っ暗とはこのことです。これでどうして農家の積極的な協力が得られましょう。まずその方向を明示することが先決だと思いますが、どうですか。
 もう一点。五十一年度調査によれば、専業農家の農家所得は平均年二百七十万円、第二種兼業農家のそれは三百八十七万円となっています。専業の方が、副業で農業をやっている家庭よりも、百万円も所得が少ないのです。ここに、専業農家が全体で一〇%そこそこに激減をし、第二種兼業農家が六五%までに激増をし、転倒した日本農業の姿と経緯を知ることができます。農地の有効利用、生産性向上など空念仏に終わってしまっていますが、対策を伺いたい。
 さらに、五十一年のわが国の総輸入額に占める工業製品の割合は二一%で、先進諸外国に比べて著しく低位にあります。反面、最近のアメリカからの輸入総額の五〇%以上が農林水産物です。したがって、完全に輸出超過状態にある工業製品の貿易形態を改めない限り、貿易不均衡問題は基本的に解決しません。こうした貿易実態を無視して農産物の輸入拡大に結びつけることは余りにも短絡的過ぎると思いますが、どうですか。
 次に、最近のミカン生産の増大傾向のため、小売価格は前年に比べて三〇%も下落しており、また、果汁への仕向け量も著しく増加するところとなっています。したがって、果汁、オレンジの輸入枠拡大は一層ミカンの国内価格を低下させ、たとえ六月から九月までに輸入するとはいっても、晩柑類との競合は避けられず、しかも、温州ミカンの生産過剰から晩柑類への切りかえが進展しているときだけに、その影響は重大です。政府の毅然たる対策、ミカン生産農家への指針を伺いたい。
 また、牛肉につきましても、政府資料の「農業生産の地域指標の試案」によりますと、五十年の肉用牛百八十八万五千頭に対し、六十年には三百三十六万七千頭までの生産拡大を試算しております。ようやく近代的な多頭飼育が軌道に乗り始めたとも言えましょう。そのいまだ不安定な状況下での輸入枠拡大は、国内生産農家に対する影響が余りにも直撃的であります。「高い牛肉」との消費者の厳しい非難は、今日各方面から指摘されておりますように、複雑な流通経路にあり、この点から言えば、むしろ消費者行政を怠ってきた政府に向けられるべきものであります。畜産振興事業団、中間業者等々への行政指導を強化し、小売価格引き下げを図るべきでありますが、見通しを伺いたい。また、畜産振興の助成金については、直接生産農家に結びつくよう改善するとともに、大規模草地造成のため、国あるいは公有林を開放すべきだと思いますが、どうですか。
 次に、沖繩について三点、端的にお伺いしたい。
 第一は、読谷飛行場、嘉手納基地、伊江島基地など、戦中戦後の混乱の中で、所有権移転の物的証拠もないまま、米軍占領の継続として国有財産となっていることは、わが党議員によりたびたび指摘をされております。総理も、昨年三月十七日の衆議院予算委員会で、よく調べて国有財産台帳から消すべきものは消すと言明されています。その後の経過を御報告願いたい。
 第二は、交通方法の変更問題です。政府は、道路交通に関する条約を遵守する立場から、いよいよ本年七月末から実施することとしています。しかし、戦後、廃墟の中から、広大な米軍基地を避けながら町づくりを進めてきた沖繩では、道路も、建物も、車も、日常生活も、すべて車の右側通行に合わせて仕上がっています。しかも、三十二年間をその中で経過しています。したがって、これらの点を考慮し、万全の態勢の中で実行すること、少なくとも応急措置や未整備のまま強行しないことを確約願いたいが、どうですか。
 第三は、航空運賃の問題であります。政府は、空港整備の財源確保という理由で、九月一日から空港使用料の引き上げを予定しているようですが、これに連動して、航空運賃も二〇%以上の値上げが予想されております。これによって、昨春の団体包括旅行割引運賃制度の実施などによって、海洋博後の観光客の落ち込みからようやく立ち直りを見せ始めた沖繩が、また大きな打撃を受けようとしております。観光収入に依存する沖繩経済の立場から、政府は格段の配慮をすべきだと思いますが、どうですか。
 最後に、私は、過日の伊豆大島近海地震による被災者の方々に心からお悔やみとお見舞を申し上げますとともに、災害から国民の生命と財産を守るため、政府の格段の対策をお伺いをし、私の質問を終わりたいと思います。
 長時間ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 昨日、衆議院におきまして竹入委員長の質問に答えまして、日中平和友好条約締結につきましては、その交渉の環境が熟しつつある、ただ、いついかなる段取りで交渉するかということは、相手もあることであり、まだここで申し上げる段階に立ち至っておりませんと、このようにお答え申し上げたわけですが、本院における園田外務大臣との間に何らの考え方の違いはありませんから、これは全く同一であると、かように御理解を願います。
 さて、経済問題についてでありますが、二宮さんは、この一年間私のとってきた経済政策につきまして、あなたはより静かな、かつより落ちついた社会、これを目指すと言ったじゃないか、そのようになっておるかどうか、また、六・七%成長がついに実現できなかったが、一体それはどういう理由か、また、国際社会からいろんな批判を受けておるが、それはどういうふうに対応するか、というようなお話でございます。
 私は、いま日本経済はトンネルの中だと、こう申し上げておるわけでありますが、五十二年度もまさにトンネルの中であったわけであります。トンネルを抜け出たその先は、静かな落ちつきのある社会にしたいと、こういうことでありまして、五十二年、五十三年、そういう年次をとってみますと、これはなかなかそういう静かなというようなわけにはまいりません。
 さて、そうでありますれば、五十二年度におきまして六・七%成長が実現できず、いまの見通しでは五・三だと言うが、どういう事情だったのかと、こう言いますと、私は、昨年の九月に総合政策を打ち出した、大体あれで六・七%成長は実現できると思ったのです。しかし、私の不明のいたすところでありますが、あの円高、急激な円高というものが予想できなかった。この影響は深刻であります。その深刻な影響のもとに、ついに六・七%成長が実現できないと、こういうことになったわけですが、そういうことで、成長がそういうふうな状態でありますると、これは国際収支にも関係してくるわけです。つまり、成長の高さが予想のようにいきませんものですから、輸入の方が思ったようにいかぬというような事情もある。まあ黒字過剰という問題を起こしまして、国際社会から非常に不満がぶちつけられておるわけでありますが、しかし、私は、五十三年度におきましては、五十二年度のそういう事態を踏まえまして、そして、内は経済の安定成長路線を定着させ、それから国際社会においてはその期待にこたえていきたい、このように考えておる次第でございます。
 次に、五十三年度の七%成長の問題でありますが、日米共同声明では七%成長ということがうたわれておる。それについて国際公約であるとかないとか、そういう議論があるが、どういうことだ、こういうお話でありますが、この経済成長、その高さをどうするか、これは全く内政問題でありまして、国際問題ではございません。よその国と話し合ってこれを決めるという、そういう性格のものではなくて、内政上の見地から、このわが国――わが国ばかりじゃありません、どこの国でもそうだと思いますけれども、これは主権のたてまえで独自で判断すべき問題である。この問題は共同声明には書いてありまするけれども、日本としてはこう考えるという意図を宣明しておるだけの話でありまして、これによって何ら諸外国に対しまして責任を負うとか義務を負うとか、そういう性格のものじゃございません。しかし、この七%成長につきましては――これは正確に言うと「七%程度」でありますが、どちらでも大体そう違いはないわけでございまするけれども、この七%程度の成長につきましては、内外において非常にこれを期待しておるわけであります。私は、この七%程度の成長の実現、これに対しましては責任を持って全力を傾倒してまいりたい、このように考える次第でございます。
 それからさらに、経常収支、これは経済見通しでは、五十三年度におきましては六十億ドル程度の黒というふうに言っておりますわけでありまするけれども、これも、経常収支、国際収支を予見するということはなかなかむずかしい問題です。しかし、大体その辺をめどといたしまして経済政策を運営してまいりたい。大体そのような効果が上げ得るのではあるまいか、そのように考えておる次第でございます。
 それから、関税、非関税障壁を諸外国、特に日米同一条件とした場合に、日本の国内産業をどうするんだというお話でありますが、わが国は、自由貿易体制のもとにのみ生き延びていくことのできるわが国でございます。そういう立場といたしますと、ただいま世界政治の焦点となっておりますガットの東京ラウンド交渉、この交渉に当たりましては、わが国は積極的な役割りを演ずべきである。そして、その結果、アメリカやあるいはECや日本、この三カ国その他の世界経済国家は、大体総体としまして対等というか、均等の貿易体制をとっているというたてまえに持っていかなきゃならぬだろうと、こういうふうに思っております。しかし、その個々の具体的適用につきましては、農業を初め、わが国産業の立場、それを十分踏まえまして善処をいたしたい、かように考えております。
 それから、五十年代の前期経済計画は完全に破綻したのじゃないか、新しい経済計画、それからそれに伴いまして財政計画を立てるべきではないかという御所見でございますが、五十一年から発足しております新経済計画、いわゆる五十年代前期五カ年計画は、これは二年を経過して五十三年度から三年度目に入ろうといたしておるわけであります。それで、五十三、五十四、五十五と、三カ年度が残されておるわけでございますが、この三カ年につきましては、過去もう経過いたしました二年足らずの実績を踏まえまして、そして見直しをし、新しい試算をしてみたい、このように考えておるわけでありますが、その新しい試算を背景といたしまして、財政につきましても、これはまあ五年にしようかと、こういうふうに思っておりますが、五十七年に至る五年間の展望につきまして試算をつくってみたい、そのように考えておるのであります。
 また、二宮さんは、公共事業を大幅に拡大する、これには問題がある、まず第一に、その投資効果についてどうかというようなお話でありますが、これは、五十二年度も公共事業を御承知のとおり大いにやったんです。やったその結果はどうかといいますと、この効果は出てきておらぬおらぬというふうな見方をする人がありますが、そうじゃないのです。五十二年におきましては、五十一年に輸出がうんと伸びました、その高水準の輸出は続きましたが、輸出の伸びというものが非常に鈍化したんです。ですから、経済成長五・三%ということを申しておりますが、その中に輸出の寄与する度合いというものは非常に少ない。寄与する一番の大きな要因というのは財政なんです。財政がああいう施策をとりましたものですから、とにかく輸出が頭打ちだ、また、他の国内要因が非常に不振である、そういう中においても五・三%成長が実現されたというようなわけで、決して公共事業の投資効果というものが働かなかったというような状態じゃない。逆に、大いに働き、かつ五・三%成長を牽引をいたしておると、こういうような状況でございます。五十三年度におきましても私はそういう状態になってくるだろうと、こういうふうに思うわけであります。五十三年度を展望してみますと、輸出の成長への寄与というものはほとんどないんです、これは。だれが牽引するかと言いますと、やっぱりこれは財政です。そして個人消費、これはとにかく七%というわけにはまいりません。それから、牽引というところまではなかなか大きな役割りは尽くし得ませんが、とにかく財政が主導的な立場に立ちましてこの七%成長を実現をするというたてまえになってくるわけであります。
 そういう中におきまして、高速道路だとか新幹線、そういうようなものは、環境問題なんかがあって、なかなか実現ができないんじゃないか、そういうようなお話でございまするけれども、確かにそういう問題があります。問題がありまするけれども、それらの隘路を乗り越えまして、公共事業予算の執行、これにはひとつ万全を期してまいりたいと、かように考えておるのであります。
 なお、大規模プロジェクトもさることながら、生活関連社会投資を重視すべきじゃないかと、こういうお話でございますが、これは政府の方でも全く同感でございまして、公明党から御提案の中期計画大綱にも、住宅だとか、都市公園だとか、いろいろあります。ありますが、全体計画との整合性はどうかというようなことをよく見定めまして、なるべく公共事業も生活に関連のあるそういうものを中心として進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
 それからさらに、二宮さんは、公共事業の拡大に関連いたしまして、公共事業執行の中心になるのは地方公共団体じゃないか、その執行能力に問題がある、また、その財政にも問題があると、こういうお話でございますが、まさにお話のとおりでありまして、もう地方公共団体の協力なしには今度の景気回復予算の実を上げることはできないのであります。そこで、まず地方財政でございまするが、これは、まあとにかく中央財政、これも御承知のような状態でございます。ございますが、その中でも地方財政に対しましては特段の配慮をいたしまして、公共事業の執行に必要な交付税、地方債の所要額、それを確保する。それからまた、地方債の貧金対策といたしましての政府資金の大幅増額、また、公営公庫の機能の拡大、さようなことをやっておるわけでありまするし、また、それら財政執行の事務の簡素化、これを大いに進めていこう、それから補助金の早期交付、地方債の配分事務の促進、そういうようなことにも努力しておるわけでありまするし、また、御懸念が示されました縁故債につきましては、現在の金融状況のもとにおきまして消化ができないというようなことはないと、こういうふうに思いますが、なお今後とも配慮いたしてまいる、そのように考えておる次第でございます。
 それからさらに、景気対策と関連いたしまして、民間の住宅建設についてもっと配慮したらどうかという御所見でございます。こういう際でありますので、公共事業、それから民間の住宅、これは景気刺激と申しますか、そういう立場の非常に大きな柱でございますが、民間住宅建設は、また同時に、わが国の国づくりという見地からも重要な問題であります。そういうような見地から、民間住宅につきましては、その潜在需要を駆り立てる、そういうことを目途といたしまして施策を進めておるわけであります。考え方は二宮さんと同じでございます。
 御指摘の住宅公庫融資枠、また貸付限度、償還期限等につきましても、かなりの改善をいたしておるわけであります。この改善は、まあ深ければ深いほどいいわけでございまするけれども、財政の状況等で、そうもいきません。しかし、できる限りのことをいたしたと、こういうふうに御理解願いたいのであります。
 また、公営・公団住宅を五十二年度よりも建設戸数を落としているのはどういうわけかというお話でございますが、これは、御承知のとおり、いずれも大規模の土地が必要なんです。その土地の入手がなかなかむずかしい、そういうようなことで、予算を組みましても実績が上がらないんです。そういうことで、現実的な処理をするはかなかったんでございまするけれども、しかし、そういう隘路を打開いたしまして、また打開ができますれば、この公営・公団住宅の建設は拡大してまいりたい、このように考える次第でございます。
 さらに、土地の利用、地価抑制にどういうふうに対処するかというお話でございますが、これは、やっぱり住宅建設といいますると、良好な住宅用地の供給を確保するということが必要であります。そういう見地からは、国土利用計画法の的確な運用、これはもとよりでございますが、公的機関、民間事業者によるところの宅地の開発推進のための金融財政上の諸施策を大いに拡充する。特に、これは御承知と思いまするけれども、関連公共公益施設整備費という新しい予算をつくりまして、そして三百億円を投入するということにいたしておるのでありまして、これなんかも有効な働きをなすであろう、かように考える次第でございます。
 それから、今度の予算、これが編成の過程において二転も三転もし、やっと七%成長を背景とする予算ということにおさまったというような見方をされておるようですが、決してこの予算は編成の過程において二転も三転もしておらないんです。まあ大体秩序正しく、編成の時間等におきましても、わりあいに短くとり行われたと、こういうふうに考えております。結果といたしましては、臨時異例の大幅な積極予算と、こういうことになったわけでありますが、まあ臨時異例ということで、決していままでの、健全財政を堅持していかなきゃならぬとか、あるいは安定成長路線の経済施策を追求しなけりゃならぬとか、そういう基本的な考え方、これにいささかの変化はないわけでありますが、それらを実現する過程において、とにかく円高不況等の今日、臨時異例のこの財政措置をとらなきやならなかったという性格のものでございます。今後は、やっぱり財政の健全性、これには特に配慮をしなけりゃならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。
 財政の健全性といいますと、やっぱり公債です。公債につきましては、まあ当分の間、建設公債、つまり社会資本投資、公共投資の財源は、これはもう公債によらざるを得ないと思うのですが、経常収支、経常予算ですね、これにつきましては、これはもうなるべく早い時期に公債依存という状態を脱却しなけりゃならぬと、こういうふうに考えておるんですが、それもしかし、今日五十三年度は、実質二四%経常予算では公債に依存するんです。そういう状態を、ここ二年、三年でというわけにはなかなかいかないんじゃないか。いま大蔵省でいろいろ検討しておりますが、大体五年ぐらいかかるんじゃないかなと、こういうふうに言っておりますが、近く五カ年間にわたる財政試算を策定いたしまして御議論を願いたいと、かように考えておる次第でございます。
 それから、そういう財政状態でありますので、今後を展望いたしますと、増税問題が出てくる。これは避けて通ることはできないと思うのです。その中で、税制調査会、これにおきましては一般消費税を指摘しておるわけでございます。そういう財政の状況、また、税制調査会の動き、そういうことから見まして、一般消費税導入問題、これもいずれは日程に上ってくる問題だと、こういうふうに思います。しかし、これがいついかなる時点において日程に上すべき問題であるか、それにつきましては、その時点の景気状態、物価の状況、これを十分に見て、経済社会に混乱を起立させないということを旨として決めていかなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
 それから行政改革、こういう、つまり行政経費の節約の問題ですね。これも財政再建と非常にかかわりの大きな問題でありますが、この問題につきまして、どうもおざなりの改革案じゃないかというお話でございますが、確かに私が考えておりました中央省庁の問題、これは今回は、まあ一部、部分的には手をつけておりますけれども、総体として手をつけないままになっておるわけであります。まあしかし、先般の内閣改造によりまして、建設大臣、国土庁長官の兼任をやるとか、それから対外経済担当大臣を置くとか、工夫はいろいろしておるわけであります。しかし、その他の面におきましては、地方支分部局約一千カ所の整理でありますとか、国家公務員の定員の削減でありますとか、国家公務員に定年制を導入するとか、あるいは特殊法人の整理合理化、その役員給与の抑制、退職金の二割方削減、そういうようなことでありますとか、許認可事務千二百四十件の整理でありますとか、多年の懸案でありました地方事務官の制度の廃止に着手いたしますとか、かなり懸案をこなしておるわけなんであります。しかし、今後とも行政改革、行政経費の節約の問題、これにつきましては努力をいたしてまいりたいと、かように考えております次第でございます。
 それから今度は、逆に、二宮さんは、この際所得税減税を実施して国民消費を喚起せよと、こういうお話でございます。この点につきましては、私はしばしばここで申し上げておるわけでございますが、なおその前に、昨年末、私は予算につきまして党首会談をお願いしたんです。そのとき、各党の党首から、こぞって減税のお話がありました。私は、全部の皆さんに、この減税の考え方だけはひとつ御勘弁願いたいということを、そのときも申し上げておるわけでありますが、財政の状態がただいま申し上げたような非常に緊急な状態にあるんです。そこへもっていって減税をしようと思えば、財源が要るんです。その同じ財源を使って一体何をするかというと、景気対策じゃないかと、こういうことになりますれば、やはりこの際公共事業だと、こういうことにならざるを得ないんです。と同時に、若干の減税をして、どこへその金が行っちゃったか知れないというような、その効果ですね。それよりは、やっぱりここでまとめて、学校をつくりましょう、病院をつくりましょう、下水道を整備しましょう、そういうような、われわれの子々孫々に残るところの社会資本を充実するという方が、私は、国家的、国民的に見てその方がはるかにいい施策じゃないかと、このように考えておるわけであります。せっかくの御提案ではございまするけれども、これには賛同いたしかねます。
 それからなお、公共料金ラッシュの年、五十三年度はそうなりはしないかというような御懸念でございますが、これはそうは考えておらないんです。五十一年度という年はまさにそういう年だったんです。電電料金だ、国鉄料金だ、殺到しました。五十二年、この年はわりあいに静かな年であったわけであります。また、来年はことし同様な水準の公共料金問題の年であると、こういうふうに見ておるわけでありまして、まあ国鉄の問題はあります。それから酒というような問題、この税の問題に絡まる問題がありますが、その他大きな問題になりそうなのは電力、あるいはガス、そういうことでございまするが、これは円高の関係で一年間少なくともこれを据え置くと、こういうことにいたしておりますので、五十三年度の公共料金の値上げという問題はさして深刻な状態ではないと、こういうふうに見ておるわけであります。したがいまして、五十三年度の消費者物価の見通し、これは六・八%というふうに経済見通しではなっておりまするけれども、大体これは目標が貫徹できると、また、ぜひこれを貫徹いたしたいと、さように考えておる次第でございます。
 そういう際に、為替差益の還元の問題をどういうふうに考えるかというようなお話がありますが、為替差益は種類を二つに分けて考える必要があると思うのです。すなわち、製品輸入の場合、それから原材料輸入の場合。製品輸入の場合は、これは、輸入価格、それと市販の価格、これを比べてみれば、すぐその関係が明瞭にわかるわけでありまして、そこで円高がどういうふうに作用しているかということもはっきりするわけでございまするが、原材料につきましては、そう簡単にははっきりはしてまいりません。しかし、原材料の関係につきましては、卸売物価がとにかく昨年の水準よりは落ちておると、こういうような状態から見ますると、この円高の傾向というのがかなり響いてきておる、このように見るわけでございます。同時に、電力だとかガス、ことしはたまたまこの料金改定の時期に当たるわけでありまするけれども、改定はしない、一年少なくともこれを据え置くということにいたしておるとか、たとえば、さらに灯油の値上げ、これについて価格の指導をいたしておるとか、まあそういうメリットはあるわけでありまするが、しかし、端的に円高の影響というものが捕捉できるのは、これは製品なんです。この製品につきましては、輸入品の価格動向調査をいたしまして、そしてこの円高が市販価格に反映できるように行政指導をいたしますとか、あるいは輸入団体等流通関係団体約五十に対しまして協力を要請するとか、できる限り円高メリットが物価に還元されるように努力をいたしておるわけであります。
 それから、デノミ発言についての真意はどうなんだというお話であります。これにつきましても、しばしばお答え申し上げておりますが、ことしの一月四日、伊勢参りの際の記者会見で、新聞社の方から問われるままに、私は素直に私のデノミ問題に対する所見を申し上げたわけなんです。これはもう十二年前から私が言っていることそのままのことを言っているんです。私は十二年前大蔵大臣をしたとき、そのときから同じことを言っておるわけですが、このデノミという問題は、経済が安定したらこれはやるべきものだと、ものだが、いま経済が安定しておらぬ、いま当面急がなけりゃならぬのは経済の安定だと、こういうことを言っておるわけでありまして、そのことを申しておるわけでありまして、当面、まだそういう条件が熟していないこの際にデノミ宣言をするというようなことは、これはあり得ざることでありまして、ただいまといたしましては、不況からの脱出にすべてをかけておるという私の心境でございます。
 それから、社会保障関係の諸施策について、老齢福祉年金でありますとか、老人医療でありますとか、教科書無償制度の合理化問題なんか、これは予算編成時にいろいろ議論があったようだが、その模様はどうだったんだというようなお話でございますが、いよいよ本格的な老齢化社会が到来するわけです。そうしますと、社会保障の費用がかなり増大すると見ておかなきゃならぬ。また他面、経済は安定成長というその時期に移っていくわけで、したがって財源の確保は困難になる。そういうことで、社会保障全体といたしまして、真に社会の援助を必要とする、そういう向きに対しましては手厚く配慮が行われなきゃならぬ。しかし、所得が非常に高いというような向きに対しまして果たしてそういう高い配慮をする必要があるかどうか、そういうような問題を総体的に考え直さなきゃならぬだろうという議論が行われました。そこで、福祉年金につきましては、相当ゆとりのある世帯に扶養される老人、それよりは、二人きりで扶養してくれる力のある人がいない、こういうような老夫婦だけで生活を立てる人により厚くという考え方をとるべきじゃないか、あるいは児童手当につきましては、低所得層に重点的にこれを給付する、こういう考え方をとるべきじゃないか、というような方向が打ち出されたわけであります。しかし、これは激変緩和ということも考えなきゃなりませんので、その方向で考えることにはいたしまするけれども、さしあたり、いままでの制度を据え置くということにいたしたわけであります。教科書につきましても、いままでの措置と変わったことは考えておりません。
 それから第二に、二宮さんは、福祉年金の大幅引き上げ、これを景気対策、そういう観点からも考えろというお話でありますが、五十三年度の予算におきましては、政府におきましてもかなりのことを考えておることは御承知のとおりであります。国家財政というようなことを考えますと、そうこれを大きく引き上げるということもなかなか困難である。
 第三に、国民福祉中期計画を策定せよというお話でございます。この中期計画は、これはなかなかむずかしい問題であります。ありますけれども、将来の見通しといたしまして、いろいろ前提条件がありまするけれども、前提条件を置いて、そして何か長期的な展望というものを持つということも必要じゃあるまいかとも考えておるのです。社会保障長期計画懇談会、これに依頼いたしまして、ただいま検討をしていただいておるというところでございます。
 次は、幼稚園――私立幼稚園の助成、また、公立幼稚園の増設、そういう問題についてのお尋ねでございますが、幼稚園入園を希望するすべての幼児が就園できるように、毎年度幼稚園施設の整備の促進に努めておりますが、五十三年度の予算におきましても、公私立幼稚園整備についてかなりの予算の増額をいたしております。また、私立の幼稚園に対しましては、施設整備費のほか、経常費につきましても、都道府県の行う補助を助成するという意味の補助を、大幅にこれを増額することにいたしております。また、公私立幼稚園間における父母負担の格差を是正するための幼稚園就園奨励費補助につきましても、五十三年度はこれはかなりの増額をいたしておるということで、精いっぱいのことをやっておると、かように御了承願いたいのであります。
 また、府県によって幼稚園の整備状況に極端なばらつきがある、いわゆる保育所、幼稚園、これの一元化問題をどういうふうに考えるかというお話でありますが、これは、幼稚園、保育所発生の沿革が異なるものですから、しかし、異なるところではあるけれども、もうやっていることが――対象ですね、事業の対象が同じ幼児であるというような点で、また類似な点もあるわけでありますが、ずっと見ますと、二つの施設がその本来の目的、機能に即してそれぞれ普及充実を図ってきておると、こういうふうには見ますが、地域的には、なお両施設が偏在したり、また、混同的に運用されるというような事情もありますので、幼児教育及び児童福祉の充実振興を図るという、そういう観点から、両施設の関連につきましては、専門家の意見を十分に聞きまして調整を図ってみたいと、かように考えております。
 次に、高校、大学の教育費の実態から、教育の不公正が金に始まっている問題を緊急課題として取り上げられておるわけでありますが、やはり私は、この教育の問題、これは教育の機会均等ということが一つの眼目でなければならぬと、こういうふうに思うわけであります。それには、とにかくその意志がありその能力がある人が教育機関において教育を受けられるというふうにすべきであるというふうに考えまして、国といたしましては、私学助成の拡充、育英奨励奨学制度の充実に、これまでも取り組んできておりますけれども、五十三年度におきましては医師系、また歯科医師系学部に対する施策などを含めまして、私学の助成に特に意を用いておるのでありまするし、同時に、日本育英会の育英奨励事業につきましても配慮をいたしておる次第でございます。
 また、就職での指定校制度の廃止につきまして、財界と懇談をしたはずだがその結果はどうなっているかと、こういうお話でございますが、昨年八月、当時の海部文部大臣は経済四団体幹部と懇談をいたしまして、排他的な指定校制度の是正を要請するとともに、経済四団体の各代表を歴訪いたしまして、重ねて理解と協力を求めたのであります。経済四団体も、これにこたえまして、会員企業に対しまして排他的な指定校制をとらないことを明確にするよう通知したという次第でありまして、かなりこの問題は浸透してきておると、かように見ております。
 それから、現在の公務員制度の中には、採用、昇進など、いまだに学閥云々の風評がある、改革が望まれているがどうなっておる、こういうお話でございますが、政府職員の採用、昇任につきましては、公開平等の競争試験制度及び成績主義の原則があるわけでありまして、これに基づいて公正に行われておると、こういうふうに見ておりまするけれども、今後とも政府におきましては学閥偏重といった批判を受けないように人事管理の運営に当たってまいりたい、かように考えております。
 それから当面の景気情勢ですが、この三月−五月ごろにかけて大型倒産等が続出するような傾向がありやしないか、それに対してどういうふうに対処をするかというお話でございますが、わが日本の企業は、あの石油危機以来、とにかく五年目を迎える不況状態であります。そういう状態でありますので、もう大企業といえども、なかなかこれは容易な状態じゃない。まして、中小企業の困窮というものは大変なことであろうというふうに思うわけでございます。そういうところへ円高という問題が起こってきておる。その円高の影響というものが数カ月置いて出てくると、それが三、四月ごろにやってくるんだというようなことになる。また、三月は会社の決算期でもあります。そういうようなことで、この三月というものを注目しておるわけでございまするけれども、そういうことを配慮いたしながら、私は、今度の財政措置、財政が景気を引っ張るんだ、これよりほか道はない、その考え方は、四月から始まる五十三年度予算じゃもう遅い、もう一月からその問題に着手しなけりゃならぬと、こういうふうに考えまして、十五カ月予算という考え方を打ち出したわけでございます。これを中心といたしまして、早く景気を盛り上げまして雇用機会の拡大を図りたい。それからさらに、雇用対策といたしましても、雇用安定資金制度などを大いに活用いたす等の措置を講じまして、遺憾なきを期してまいりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
 なおさらに、円高の問題につきまして、輸出に携わるところの中小企業が大変困窮する、そういうことでありますので、円高緊急対策法というがごときものを今国会に御提案を申し上げて御審議を賜りたいと、かように考えております。
 なお、二宮さんから、わが国の企業は、社会環境が、また経済環境が完全に変わってきた今日で、構造的な転換が必要じゃないかと思うがどうかというようなお話でございますが、まさにそのとおりでございます。いま、わが国の経済社会を見てみますると、経済全体として沈滞しておる、そういう問題が一つあると同時に、また、その中におきまして構造不況業種というものが多数ある、つまり、恒常的に設備過剰の状態に陥っておる企業でございます。そういう企業に対する処置をしなければならぬ、こういう問題にいま迫られておるわけですが、財政を中心とする施策によりまして経済全体のかさ上げをする、そして五十三年度七%程度の成長を実現する、かたがた構造不況対策を強力に進める、そういう観点で、構造不況業種の対策についても今国会に法案を提出いたしまして御審議をお願いしたい、このように考えておるわけでありますが、そういう措置と並行いたしまして、産業構造の今後の方向につきましては、資源・エネルギーの利用効率の改善、環境保全、技術集約化、そういうことを踏まえて産業の高度化を図らなければならぬと、こういうふうに考え、新情報システムなどの先端的な技術開発を推進するとか、あるいは電子計算機産業の振興を図るとか、あるいは原子力機器産業を振興するとか、いろいろの工夫をしなければならない時期に来ておると、かように考えておるのであります。
 さらに、二宮さんは、中長期展望のもとでの省エネルギー政策についてのお尋ねがありましたが、省エネルギー対策につきましては、すでに内閣に省エネルギー省資源対策推進会議を設け、広報活動等に積極的に取り組んできたところでありまするけれども、省エネルギー対策の重要性はますます増大するものと思われますので、エネルギーの使用の効率化を促進するための所要の立法措置などをいま検討をいたしておるわけであります。省エネルギー率の目標値をというお話でございまするが、ただいま検討中でありますので、しばらくお待ちを願いたい、かように考える次第でございます。
 さらに、米の生産調整問題に言及されましたが、これは昨年からもう準備を始めている問題なんです。それで、農業協同組合でありますとか、農業団体ですね、それから地方自治団体、この各方面に理解を求めつつあるわけでありまするが、やっと締めくくりの段階に来ましたので、この施策はぜひ実行さしていただきたい、このように考えるのであります。しかし、長期にわたって、今後農家がどうあるべきかということにつきましても、これはもう十分配慮しなければならぬ、配意しなければならぬことは当然のことでありまして、水田利用再編成対策の実施につきましては、農業者の理解と協力を得て、円滑に推進することが肝要であります。このため、各般の施策の充実強化と相まち、転作奨励補助金についても、米との収益性の均衡に配慮して適正水準を確保するということにいたしたい。また、この先々の問題につきましては、昭和六十年度を目標とする農産物の需給と生産の長期的見通しを策定いたしておることは御承知のとおりでございます。
 なお、さらに日米貿易問題等農産物の輸入拡大の問題に触れられましたが、農産物の輸入につきましては、わが国農産物の需給動向を踏まえ、その他の諸要素を勘案して、わが国農業生産の健全な発展と調和のとれた形で行われなければならない。さように考え、先般の輸入拡大措置につきましても、この方針を踏まえ、総合食糧政策推進に支障を及ぼさないことを旨として対処いたしておる次第でございます。
 さらに、読谷飛行場の国有財産につきまして、総理はよく調べて国有財産台帳から消すべきものは消すと言明したが、その後どうなっているかというお尋ねでございますが、これは私もよく承知をいたしておる問題でございます。いま御指摘にもありますように、政府におきまして、旧軍用地の買収地につきまして、買収当時の事情等も調査をいたしておる最中でございます。もうようやく結果が取りまとめられるような段階になってきておりますので、結論はもうしばらくお待ち願いたい、かように存じます。
 それから、沖繩県の交通方法の変更につきましては、これは大仕事でございます。県民の三十年余りにわたる重要な生活習慣の変更でありまするので、政府といたしましては、交通安全の確保について細心の注意を払いつつ必要な施策を講じ、県民の理解と協力を得て、交通方法変更が安全かつ円滑に実施し得るように、鋭意努力してまいる所存でございます。
 それから、沖繩の航空運賃の問題についてお尋ねがありましたが、将来航空運賃改定が必要と、こういうことになった際には、お話の、利用者の利便を確保するという点、それから航空運送事業の経営の健全化、この両々にらんで調和に十分配慮しながら対処いたしたい、かように考える次第でございます。
 なお、地震対策を強化せよというお話でございますが、政府の災害対策は、中央防災会議で決定された大都市震災対策推進要綱に基づいて進めております。都市の防災化、防災体制の強化、地震予知の推進に重点を置いて、その実施に努めてきたところでありまするけれども、近時、東海大地震説を契機として地震に対する関心が高まり、今次の伊豆大島近海の地震もあり、地震対策は平生からの備えが必要であることを痛感をいたしておるわけであります。政府といたしましては、地震予知の一層の推進を図るとともに、予知に関する情報が出された場合に、万全の防災体制をとるための法律的検討を進めておるところでありまして、成案を得た段階で今国会に提案をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 自余の問題につきましては関係閣僚からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣中川一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(中川一郎君) 総理答弁以外のことについてお答え申し上げます。
 まず、農産物、今度のオレンジ、牛肉あるいは果汁が自由化につながらないかということでございますが、自由化は考えておりません。今回は、農家経済や、あるいは総合食糧政策に支障のない範囲で調整したものでありまして、むしろ、自由化になるのではないかということで不安動揺が起こらないようにお願いしたいということでございます。
 次に、専業農家が兼業農家に比べて経営が悪いではないか、収益性が少ないではないかという御指摘でございます。まさにそのような形でございますが、これは、日本農業の土地条件、あるいは気象条件等のいろいろの原因もありますけれども、今後中核的担い手として重要でございますので、第一には、規模拡大がしやすくなるように、農地の利用権を集積する、あるいは農業生産の集団化、協業化というようなことで専業農家の育成に努めてまいりたいと思う次第でございます。
 次に、ミカンについて、柑橘農家に今度の輸入枠が影響を与えないかということでございますが、今度の調整は六、七、八月に主として入れるという措置でございます。特にタンカンに影響があるではないかということでございますが、タンカンも四月、五月が最盛期でございまして、六月になりますれば柑橘類には支障がない。アメリカ側も四、五月の輸入を迫ったのでございますが、柑橘農家に十分配慮いたしまして六月以降といたした次第でございます。そのほか、生産、流通、加工、価格対策等、全般にわたる柑橘対策も講じて万全を期してまいりたいと、こう思う次第でございます。
 牛肉の輸入につきましては、国内消費の実態に対応することとしたものでありまして、しかも、その大部分は畜産振興事業団が取り扱うことになっておりまして、畜安法で価格制度とリンクしていたしますので、生産農家に支障を与えないよう、この措置によって配慮してまいりたいし、その他生産対策も肉についてはいろいろとやってまいりたいと存ずる次第でございます。
 また、牛肉の安売りについて、流通経路等について合理化をしてはと御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございます。牛肉に対する小売価格の引き下げは各方面から強い要請がありますので、各般の施策を講じておるところでございます。特に畜産事業団の運用をうまくやることが一つと、今月十九日からは、小売店の共同仕入れ、そして一割安売りということも開設いたしまして消費者対策を講じておるところであり、根本的には、部分肉市場センターの新設あるいは産地に食肉センターを大幅に整備促進する、そして生産から消費にわたる一貫した流通改善対策によって要望にこたえてまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、畜産振興の助成金は直接農家にやるように、結びつくようにとの御指摘でございますが、これはまさにそのとおりだと存じます。
 また、国有林、公有林の活用について御指摘がございましたが、これも法に従いまして御趣旨に沿いたいと思っております。特に大規模草地造成のための活用につきましては、国有林の適切な管理運営の確保ということも配慮しながら十分こたえてまいりたいと存ずる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(櫻内義雄君) 二宮議員から私には五点のお尋ねがございました。
 まず、個人住宅の公庫融資につきまして貸付金利の引き下げを御提案されましたが、現在民間金利に比べ低い水準にございまするし、引き下げは長期的な財政圧迫につながりますので適当でないと考えております。
 土地取得の融資については、従来相当限定されておりますから、御趣旨のように、五十三年度よりは開発許可を受けた宅地等についても拡大いたすことにしております。
 中古住宅について種々御提案がございました。中古住宅への融資については、新築住宅との価格バランスを考え、住宅金融公庫の金利六・五%口の融資対象といたしております。税制上の問題については、関係省庁と研究してまいりたいと思います。
 それから、公共住宅の位置づけのお尋ねでございますが、公的住宅については、国民の住宅に対する需要動向等を勘案いたしまして、自力では適正な居住水準を確保することが困難な者に対して供給することといたしております。
 それから、住宅公団の未入居住宅、長期保有土地、家賃問題について御批判をいただきました。これに対し、政府は、関連公共事業の促進、立地の改善、住宅規模の拡大、住宅価格の引き下げ等につき公団を指導いたしてまいり、国民の需要に適応した住宅の供給に努めておる次第でございます。五十三年度予算で新たに出資金百億円、補助金及び補給金五百二十億円を一般会計に計上いたし、また、関連公共事業補助金三百億円は公団も対象にいたしておる次第でありますから、御理解のほどをいただきたいと思います。
 私の、個人長期保有土地譲渡所得税についての発言についてお尋ねがありました。この現行制度は、土地の譲渡を抑制し、宅地供給促進の上で阻害要因になるのではないかとの見地から検討をいたしたいと申し述べたものであります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(村山達雄君) 総理がすでに大部分お答えになりましたので、国債管理政策についてお尋ねの点だけ、ごく簡潔に申し上げます。
 一つは、特例公債の償還計画がどうなっているかということでございますが、これは、御案内のように、現金償還で、借りかえいたしておりません。特例法を出すたびにその償還計画を明示しているところでございます。
 次は、公債発行の弾力化でございますが、これは御趣旨のとおり全く賛成でございまして、昨年四回弾力化を実施いたしたところでございます。
 公社債市場の育成はどうかと。これも全く同様でございまして、特に発行条件を流通市場の実勢に合わせていくということと、それから投資家の方が安心して投資できるように、たとえば店頭相場をディスクロージャーするなど、流通機構を整備するという二つの方向が大事だと思っております。特に個人消化を進めていく方法が今後とられなければならない、このようなことも公社債市場の育成に重要な観点だと思います。
 それから、国債の銀行の窓口販売の問題でございますが、これは銀行筋から要望あることは十分存じておりますし、また、一般に多くの議論を呼んでいるところでございますので、政府も今後とも慎重に検討を進めてまいりたいと、かように思っているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(河本敏夫君) 総理の御答弁がなかった点だけを申し上げます。
 まず第一に、円高と輸出産業の問題でありますが、最近の通産省の調査では、現在の円レートの水準では、二、三の業種を除きましては全部採算割れでございます。そういう意味から申し上げますと、現在の円レートの水準というものは、日本経済の実力以上の評価を受けておると、このように言うことができると思います。これはなぜかと言いますと、大幅な国際収支の黒字が原因になっておるわけでありますから、内需の拡大によりましてこの大幅黒字を縮小の方向に持っていくということ、そのことによりまして国際社会から円が正当な評価を受けるように努力をしたいと考えております。
 それから、次の問題は原子力発電に関連をいたしましての御質問でございますが、原子力発電に関連して一番大事なことは、安全問題と環境問題でございます。したがいまして、今後ともこの環境問題につきましては、さらに一段と努力を続けてまいりたいと考えます。
 それからなお、新エネルギーの緊急開発についてお話がございましたが、これまでの新エネルギー開発の段階は研究段階でありましたが、ようやく研究段階が終わりまして、これからは開発段階といいますか、プラント建設の段階に入りますので、資金等も今後は飛躍的に拡大するものと考えております。非常に重大な課題でございますので、一層力を入れてまいりたいと存じます。(拍手)
○議長(安井謙君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開議
○議長(安井謙君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。宮本顕治君。
   〔宮本顕治君登壇、拍手〕
○宮本顕治君 私は、日本共産党を代表して、総理及び関係大臣に質問いたします。
 昨年十二月の党首会談の際、私は、わが国経済が置かれておる深刻な事態に対処するために、わが党の見解を率直に述べました。国民の生活防衛、購買力向上と生活密着型の公共投資を二本の柱として、財政の不健全な膨張を避けつつ、五十三年度予算そのものを、わが国経済再建のゆがみを転換させる第一歩にするということでありました。
 私は、総理並びに関係大臣の演説を注意深く聞きました。しかし、残念ながら、事態の根本的打開を図るものとなっていないことを全体として指摘せざるを得ないのであります。
 総理は、施政方針演説の冒頭で、国際協調論と歴史の教訓などを論じ、特に、一九三〇年代の過去を繰り返してはならないということを述べました。確かに、偏狭な排外主義であっては、八紘一宇論などのような排外主義に陥ります。しかし、自国の独立、主権を正しく擁護するのは当然のことであります。そして、一九三〇年代の最も重要な教訓は、中国へのあの侵略戦争の経過を見れば明らかなように、他民族の独立と主権を傷つけ、侵略戦争の暴挙を開始したことにあります。しかも、反共イデオロギーによる軍国主義的国際同盟である日独伊防共協定を結成して、世界戦争への道を開きました。そして、諸国民の主権と独立を次々に踏みにじり、千数百万のアジア国民、三百万の日本人を犠牲にするという、史上最大の惨禍を招いたのであります。
 この教訓は、近くはアメリカのベトナム侵略戦争にも求めることができます。どのような政治体制、どのような社会体制を選ぼうとも、それは基本的には侵すことのできないベトナム人民の権利に属するものであります。ところが、アメリカは五十万の兵をベトナムに送り、ベトナム人民の運命に武力で干渉いたしましたが、それは結局惨めな失敗に終わりました。そうして、統一されたベトナム社会主義共和国は、いまや国連の一員として迎えられたのであります。
 この半世紀の世界政治の大きな特徴は、植民地的、半植民地的従属の状況にあったいろんな諸民族が、次々と政治的独立を達成して、これらの国がいまや国連の多数者を形成するに至っているのであります。真の国際協力と連帯とは、世界の諸民族の自決を尊重して、その上で、平和五原則に基づいて相互関係を樹立することであります。貿易について言えば、平等互恵の関係をつくり出すことです。
 そこで、総理にお聞きいたします。
 第一、一九三〇年代の重大な教訓は、わが国の政治が侵略的軍国主義に陥り、しかも、諸国家の平和共存を認めない反共第一の日独伊軍事同盟に走ったことに対する反省にあることは明らかではありませんか。
 第二、アメリカのベトナム侵略のための基地をわが国が長く提供していたことの誤りは、すでに歴史の審判を受けております。これは果たして総理が言われる国際協力ということになるのでありましょうか。それはまた、総理が言われる平和に徹する信念と、どういう関係があるのでありましようか。
 第三、最近アメリカのカーター政権は、フランス、イタリアなどの共産党が政権に参加することを許さないという態度をとっております。これは明らかに他国の政治に対する不当な干渉であり、まさにアメリカ的秩序を世界に強要する偏狭なナショナリズムではありませんか。
 第四、社会主義国に対する貿易制限であるココム品目が多数いま残っておりますが、これもまさに偏狭なナショナリズムではありませんか。
 第五、保護主義、偏狭なナショナリズム排撃ということは、経済の自主的発展のための努力、これと矛盾してはならず、わが国について見れば、アメリカ農産物の押しつけによってわが国の農業が衰退し、農民の苦悩が続くという、こういう状態を放置することであってはならないのであります。総理は、日米通商交渉に関するわが国農民のあの切実な要求を正当なものとして対処されるのか、それとも、これも偏狭なナショナリズムの一例とみなされているのか。
 以上、五点について総理の見解を求めるものであります。
 次に、総理が「世界経済」と言われている場合、今日の地球上の社会主義国の存在、すなわち三十九億の人類の中で十二億以上、地球の約三分の一の人口を占め、十数カ国に成立しているこの社会主義世界を度外視して、主として資本主義先進国の経済を意味しているようであります。石油危機以来のこれらの資本主義先進国の経済は、共通して、不況とインフレ、失業者の増大、生産の低迷などに苦しんでおります。一方、社会主義国は、全体としては、もともとおくれた経済的水準から発足したという歴史的弱点を伴っておりますが、それにしても、石油危機以来も全体としては物価が安定しており、鉱工業生産は五%から十数%程度成長している。失業者もほとんど出ておりません。
 しかし、総理、御安心ください。私は、あなたにここで社会主義をお勧めしているわけではないのであります。私の言わんとするところは、あなたの世界経済の危機なる問題は、認識は、独占資本主義国としての共通の病気であって、今日の社会主義国を含む世界経済全体のものと言えないという点であります。あなたはこれをお認めになるでありましょうか。
 第二に、今日の経済危機の性質についてお伺いいたします。
 わが国の経済危機は、単に政府の施策による若干の手違いであるとか、あるいは政府の反省が若干足りないという程度の問題ではありません。それは経済構造そのものから生まれた危機であります。
 わが国の社会と経済の構造の根本的特徴は、大企業本位であることと、同時に、対米従属的であるという、この二つの点であります。わが国では、法人企業数のわずか〇・一%、それにすぎない資本金十億円以上の千七百の会社が、資本金総額の五六%、当期利益の四三%を占めております。これらの大企業は、日本の政治、経済の動向に大きな影響を与えております。そしてまた、大企業は長年自民党への献金を続けており、今日の体制下で数々の特権を与えられております。
 たとえば特権的減免税について見ますると、資本金百億円以上の会社の法人税の実際の負担率が約二八%であるのに対して、五千万円から一億円の中小企業のそれは約三五%という不公正が長く続いております。
 また、戦後占領時代に端を発した日米安保体制のもとで、農産物やエネルギーなどの対米依存が強まり、わが国農業の自主的な発展が大いに妨げられております。穀物自給率は、実にこの十数年間で八三%から三七%へと激減しております。そして、炭鉱労働者は、この二十年間に十分の一に減っております。また、エネルギー自給率も急速に低下しております。石油ショック、円高ショックのそのたびごとに、労働者、農民、漁民とともに中小業者、老人と婦人、そして障害を持つ方々が常に泣かされてきたのであります。
 歴代の保守党政府の経済政策は、こうした経済構造を擁護しつつ、この構造と国民の生活と安全との避けがたい矛盾を目先の施策で取りつくろうということを繰り返してまいりました。
 総理、あなたが施政演説で触れられた、より健全で公正な社会を真に目指すつもりならば、以上の日本経済の構造そのものにメスを入れる必要があるのであります。これこそ国民本位の経済政策を行う大前提でなくてはなりません。あなたにその御決意があるかどうか、お尋ねいたします。
 また、大蔵大臣は、租税特別措置について整理合理化を推進すると言っておられるが、どのように進められるか、お答え願いたいのであります。
 次に、円高問題と国民各層の生活防衛について質問いたします。
 円高は、外圧としては石油備蓄などのためにアメリカ自身が莫大な赤字を出したことにあります。しかし、国内的原因は、わが国の上位五十社が輸出のほとんど五〇%を占めるに至り、しかも大企業の国際競争力が際立って強く、そこから大幅な対米黒字が生じているのであります。その競争力の重要な条件として、日本の労働者の低賃金があることはすでに有名であります。わが国の労働者の賃金は、製造業で一時間当たりアメリカの半分、西ドイツの三分の二にすぎません。大企業、特に家庭電器産業には多くの婦人労働者が働いております。これらの婦人労働者全体の賃金は男子のわずか六割程度、同一労働、同一賃金の基本原則とはほど遠い状況にあります。また、労働時間は欧米諸国より長く、労働強化も厳しいのが特徴であります。しかも、政府は、財政、税制、金融などの手厚い助成を大企業に与えて、その高水準の設備投資と利潤を支えてまいりました。
 以上明らかにした点から見て、過剰黒字の解消推進の一つの道として、鉄鋼、自動車、家庭電器など、大企業の集中豪雨的な輸出のツケを他の分野に回すのではなく、労働者の賃金、労働条件の改善や下請業者、社外工の現状を改善することに目を向けるべきであります。(拍手)それは、わが国の各分野の労働者の賃金水準の向上、中小企業の保護育成、ひいては国民の購買力強化につながるものであります。過剰黒字の背景にあるこれらの問題について総理の所見を聞きたいと思います。
 次に、国民の購買力を強める問題についてお聞きいたします。
 わが国の国民総支出における個人消費の割合は、実質で一九五五年の六四%から七六年の五三%、実に一一%低下してきているのであります。不況の構造的原因は、大企業を中心とする生産が大きく発展したのに対して、このように国民の購買力が低下したことにあるのであります。わが党の主張は、決して、公共投資か国民の購買力か、あれかこれかという立場ではありません。政府の姿勢は、すでに明らかなように、所得減税を否定する態度とともに、国民購買力の重要性について著しく軽視しているものがあります。これまで政府は、実際経営者団体とともに、春闘などの賃上げ要求に対しては、これを抑え込むことに力を入れてまいりました。総理、言うまでもなく、政治と経済の根本目的は民生安定にあります。日本国民の六五%は労働者であります。また、広い意味の勤労者は国民の圧倒的多数であります。これらの人々のふところを豊かにすることを経済成長の効果の点からだけ論じることは正しくないのであります。さらに、国民の購買力を豊かにすることは、不況対策としてもきわめて重要な課題なのであります。総理、あなたの経済論には、この点の著しい軽視が一貫していると私は考えるものであります。これは改められるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、公共投資の問題であります。
 総理は、施政方針演説の中で、わが国の産業は整備されたが、生活をめぐる環境は相対的に立ちおくれているということをみずから認めておられます。私は、先般の党首会談の席でも、生活密着型の公共投資の重要性、これを強調し、景気の波及効果においても大型プロジェクトに劣らないだけでなく、雇用効果の点ではむしろすぐれている例があるということを具体的数字に基づいて明らかにいたしました。政府が国会に提出した国鉄資料で調べましても、新幹線関係の土木建築工事の発注額の九〇%は大企業であります。わが党の調査によれば、本州−四国架橋や苫小牧東部工業港建設などの場合もほぼ同様であります。ところが、生活密着型公共投資は、一定地域に限定されるものでなく、全国的に中小企業を含めて受注の機会が非常に多いのであります。今回の公共投資において従来よりも生活密着型が比重を高めたという、この点はありますが、基本的にはまだまだ不十分であります。たとえば、高校新増設のための予算の増加率が伸びたとはいっても、絶対額はきわめてわずかなものであります。わが国の下水道のおくれは世界でも有名であります。イギリス九四%、西ドイツ七九%の普及率に対して、わが国はわずか二三%なのであります。また、政府がスポーツの振興を言うならば、スポーツ施設を求める多くの青年の声に具体的にこたえるべきであります。政府がいまアメリカから導入しようとしている軍用機P3C、F15は、総額で一兆五千億になりますが、これを使うならば、保育所の不足分と言われている一万八千カ所の建設が十分可能なのであります。
 要するに、総理みずから生活環境の整備を公約して口にし始めている以上、政府は昭和五十年代前期五カ年計画を根本的にこの見地から再検討し、生活密着型の公共投資の比重を飛躍的に高めるべきだと思いますが、総理の見解をお聞きしたいと思います。
 わが党は、資本主義の枠の中でも、可能な限り日本の経済力を国民本位に活用する道を探求しております。その結果を、わが党は「日本経済への提言」――六百ページに及ぶ五カ年計画の経済再建プランとしてすでに公表してきたのであります。これは、独占大企業の勝手な利潤至上主義を野放しにせず、適切な民主的規制を加え、計画的に経済運営を行うという、こういう方向であります。五年後には物価を二へ三%に抑え、年金など社会保障と同時に、公共住宅、保育所、学校など、こういう分野で大幅な改善、促進をかち取る、そうして経済成長率としては五、六%の水準を維持しつつ、国内市場を拡大して経済再建ができるということを数量的に全面的に論証したものであります。経済成長率を高い水準に引き上げることと、経済成長の内容が国民本位になるかどうかということは別のことであります。国民の生活防衛と経済の成長プランを統一した国民本位の総合的な中期計画がまさに必要なのであります。
 総理、政府としても、「長いトンネルも、ようやく出口が」などと言うにとどまらず、どうしたら確実に国民生活防衛と国民本位の経済再建に到達することができるかという見地から、野党のこうした提言を初め、広範な国民の総意と提言に大いに耳を傾ける態度をとったらいかがですか。総理の見解をお聞きするものであります。
 最後に、外交問題について質問いたします。
 言うまでもなく、わが党は、日本の政府が中国に対して侵略戦争を行ったり、中国敵視政策をとり続けてきたとき、こうした誤りを戦前から一貫して指摘した党であります。わが党は、日中平和友好条約が正しい基礎の上に締結されることにもちろん賛成であります。
 日中問題で、総理は、日中両国の関係は国交回復後着実かつ順調に発展していると、こう述べておられます。しかし、果たして本当にそうでありましょうか。たとえば、京都市議会の代表団の訪中が求められたとき、中国側は、日本共産党議員を排除するように求めてまいりました。また、東京−北京航空路開設の記念飛行に各党国会議員が参加したとき、衆議院の議院運営委員会が割り当てたメンバーの中に日本共産党の、議員が加わると、中国側はこれに対して入国査証の発行を拒否した事実があります。中国側が好ましい人物、これに招待を出したというならともかく、国会や地方自治体代表に対するこのような態度は、国交回復の共同声明にある「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則」、すなわち有名な平和五原則に対して断じてこういう態度は沿わないものであります。したがって、総理、外相の演説にあるような、過去五年間の日中関係を、ただ着実、順調などと言うのは、明らかに現実に反するものとあえて指摘せざるを得ないのであります。
 また、覇権条項の問題について言えば、一切の覇権主義、大国主義的干渉に反対することは、国際政治の当然の原則であります。同時に、国の外交路線を特定の方向に拘束するような形式と、また内容での定式化は妥当でないということも当然なのであります。これらの点についても、総理及び外相の率直な見解を求めるものであります。
 次に、日ソ関係でありますが、わが党はもちろん、アジアの有力な近隣国としてのソ連との友好関係の発展を心から願うものであります。だからこそ、両国民の恒久的な親善を確実な基礎の上に置くために、私自身、一九五九年及び一九七一年の訪ソのときに、領土の返還問題を提起してきたのであります。
 もちろん、わが党は、日本の過去の軍国主義、これが侵略戦争を行ったとき、これに反対した党として、ポツダム宣言の受諾に伴い、それまでの日本の軍国主義が不当に奪った領土――台湾、樺太などを放棄したことを当然の戦後処理とみなしております。しかし、連合国の戦争目的が、千島のように平和的に交換した領土を含め、わが国の正当な領土を奪い去ることでなかった点は、まさにはっきりしているのであります。この見地から、われわれは、第二次大戦の性格に照らしても、サンフランシスコ条約で日本政府が千島列島を放棄し、それをソ連が占有した経過は、妥当ではなかったという結論に達しているのであります。いま、北海道などでも、領土返還運動の中で、こうした条約論の整備が必要だという声が上がっております。
 そこで、この問題の国民的総意を促進するという見地から質問いたしますが、政府は、当時の日本政府がサンフランシスコ条約で千島を放棄したことを今日どう思っておられるか、これをお聞きしたいのであります。もし正当だとお考えならば、その歴史的、法律的根拠を示していただきたい。改めて明確にしていただきたいのであります。それとも、降伏と米軍占領下の事態で、理屈はともかく、結局ああなってしまったんだというのが政府の態度でありましょうか。この点も答えていただきたいと思うのであります。
 領土問題は解決済みと称する近来のソ連の態度から見まして、この問題は日ソ両国関係の重要な懸案事項となっており、また今後もこの問題が続くでありましょう。したがって、わが国政府は、今日においても、少なくとも、将来のわが国のしかるべき政府が国民の総意に基づいて千島問題の全面的な解決へ進むことを妨げるような態度や措置を今日残すべきではないのであります。この点について総理の見解をお聞きしたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 宮本さんから、一九三〇年代の教訓を学ぶべきだという私の施政方針演説に対しまして、それはまず日独伊軍事同盟を反省すべきじゃないかというお話でございますが、私は、そういう一つ一つの歴史的事実を言っているんじゃないんです。戦前の世界情勢、これを見ますと、経済的に非常な全面的な貧困状態になった、しかもそれは混乱になる、さらに社会不安になってきた。そこからいろんな問題が飛び出たんですよ。私は、日独伊軍事同盟なんかも、これはそういう背景のもとにできた一つの現象であるとも見ておるわけでありますが、とにかく、いま全世界を見回してみますと――全世界です、その中でも特に自由社会の方が私は深刻だと思うのですが、不況、インフレ、そして失業、そういう問題で悩んでおる。そういうときには、えてしてナショナリズム、つまり保護貿易体制への動きということになるおそれがある。そういうことで戦前は非常な大きな失敗をしたわけですが、それをもう今度しちゃいかぬということを力説しておるんだというふうに御理解を願いたいのであります。
 また、アメリカのベトナム戦争、その基地として日本が使われたことは、これは平和に徹する信念と違うじゃないかというお話でございますが、これは、わが国は日米間に日米安定保障条約を持っておるわけであります。そして米軍といたしまして、この条約上わが国における施設区域の使用は許されておる問題であります。そういうことで、いまさらこれを云々すべき問題じゃない、さように考えておる次第でございます。
 それから、カーター政権のイタリア、フランスなどの共産党に対して述べた見解、これは内政干渉じゃないか、どう思うかという話でありますが、これは、アメリカとこれらの国との間の関係のことでありまして、それを云々することこそが内政に関与するということじゃないでしょうか。
 ココムの統制が残されておるのは国際貿易をゆがめる偏狭なナショナリズムではないかと、こういうお話でございますが、ココムは、これはだんだん適用範囲が縮小されつつあるわけであります。私は、世界の繁栄を考えるとき、自由社会をまず考えます。しかし、自由社会と同時に、社会主義社会、これと自由社会との間の交流、これもあって初めて完全な経済繁栄となっていくという考え方でありますので、ココムの整理縮小、これにつきましては今後も努力をしてまいりたい、さように考えます。
 それから、日米通商交渉の農民の要求、これを偏狭なナショナリズムと見るかと、こういうお尋ねでございますが、私は、そうは見ません。日本の農家は、われわれはこれは何としても守り抜かなけりゃならぬ農家であると、こういうふうに考えておるわけでありまして、農家がそういう政府に対しましていろいろ苦衷を訴える、これが偏狭なナショナリズムというふうには考えておりませんです。しかし、農家に限らず、とにかく国際社会があってのわが日本でありますから、そしてぎりぎりの選択を求められるということはある。その立場ということにつきましては、宮本さんにおきましてもよく御理解のほどをお願いしたいのであります。
 それからさらに、宮本さんは、世界のいまの混乱は、これは自由社会だけの問題じゃないか、こういうような御見解を述べられましたが、私も、いま世界が混乱しておりますが、しかし、どちらかといえば自由社会の方が混乱が多いと、こういうふうに思うのであります。しかし、私は、自由社会も社会主義社会も全体として世界が交流を盛んにする、こういうことで初めて世界の交流、発展につながっていくんじゃないか、そのように思うのでありまして、社会主義社会に対しまして関心を持たないわけじゃございませんけれども、より深い関心を持つのは自由社会であるというふうに申し上げたいのであります。私は、自由社会、特に自由社会の今日の経済的混乱、これをどういうふうに打開するかということにつきましては、わが国なりに最大の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
 なお、宮本さんは、わが国の経済危機は、大企業本位だから、対米従属だからと、こういうお話でございます。そして、この経済構造を抜け出さなけりゃ解決にならぬぞというお話でございますが、どうも私は、共産党の皆さんが偏狭な考え方を持っているんじゃないか、大企業敵視政策ということ、これは私は非常に偏狭だと思うのです。やっぱり大企業も中企業も小企業も、みんな肩を並べて進むというところに日本社会の発展もあるので、その中で大企業だけ敵視して、これをつぶしてしまえと、こういう考え方じゃ日本の繁栄というものは、これはかち得られません。いま、宮本さんね、日本はこんな小さな国土ですよ。また、資源という資源はほとんどありゃしない。そういう中で、自由社会第二の工業力を持ち得る、また世界に対しましてもこれだけの発言ができるというような地位になり得たのは、中小企業の支えもありまするけれども、大企業というものの貢献、これを見逃しちゃいかぬ、このように思うのでありまして、私は、大企業だけを敵視するその考え方は余りにも偏狭である、このように考えるのであります。
 また、対米従属だというふうにおっしゃいますけれども、決して対米従属じゃない。アメリカと日本の間には、これはもうわが国の貿易から見ると四分の一ですね、四分の一の貿易というものはこれはアメリカだ。そういうような深い経済関係もあるし、日米安保条約という基本的な関係もあるんです。そういうアメリカとの間に特に緊密な関係を築く、これはむしろ当然のことではあるまいか、さように思うのであります。
 それから、円高の原因論を展開されましたが、私は円高の原因は、一つはアメリカにあると思うのです。アメリカのドルの不安定、その背景には石油の膨大な輸入、もう一つは、わが日本の黒字過剰の国際収支ということ、両々相まってこのような現象になってきたというふうに思いますが、これが対策はもう決まっているんです、これは。アメリカが国際収支を改善してくれる、こういうことが一方においてとり行われなければならぬ。それから同時に、わが日本といたしまして、経常収支の黒を縮減すると、こういうことなんです。さて、それを縮減するということになれば、どうやってやるかと言えば、やっぱり内需を拡大することですよ。内需拡大政策をとることなんです。それを主軸といたしまして、国際社会に対する自由開放体制というものをさらに進めるということにあるので、政府といたしましては、その正しい軌道に乗った政策をいま打ち出しておる、このように御理解を願いたいのであります。
 しからば、内需を拡大するということについて、どういうふうな手段、方法をとるかということについて宮本さんはお触れになったわけでございまするけれども、宮本さんは、国民の購買力を政策的に引き上げろと――減税の問題等をお考えと思うのでありまするけれども、しかし、それには財政上の負担といいますか、金が要るんですよ。その同じ金を使うのならば一体どうするかという問題も考えていただきたい。やっぱり住宅を建てる、あるいは下水道を、あるいは学校、病院もと、そういう施策、こういうことを考えた方が、同じ金を使って購買力を喚起するというならば、その方がより波及力が多いのです。しかも、使った金は消えてしまわないで、われわれの国民財産として末永く残っていくんです。そういう方向へ使ったらどうでしょうかと、こういうふうにお答えせざるを得ないのであります。
 まあ宮本さんは宮本さんなりの考えで、この昭和五十年代の前期経済計画を、そのお考えの上に立って政府は見直せというお話でございますが、政府の経済計画におきましては、これは前の高度成長のときと違いまして、産業中心から生活中心ということを中心のねらいといたしましてこれを策定いたしておるわけであります。それでありますので、その考え方の基本を変えるということはいたしませんけれども、まあ五年計画の二年を経過してみたときに相当のずれが出てきておる。多少の変化も出てきておる。そういう変化とずれを踏まえまして、これから残っておる三年間の展望につきましてはこれを見直し、そうしてその見直しに従っての試算をつくって、また御批判を得たいと、かように考えておる次第でございます。
 そういう長期的、中期的な物の考え方、そういう考えの際には、宮本さんは、国民本位の経済再建という考え方でやれ、また、共産党の「日本経済への提言」などの国民の提言に耳を傾けろというお話でありますが、すでに政府におきましても、学界、産業界、労働界、消費者の代表、広範な方々にお集りを願いまして、そうして、この前期計画というものを決めておるわけなんでありまして、この考え方、これを基本的に変える必要はないというふうには考えまするけれども、御提言につきましては、共産党の御提言を含め、あらゆる御提言につきましては耳を傾けてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
 次に、私が日中関係は順調に着実に進展しておるというふうに申し上げたところ、そうじゃないじゃないかというような御反論がありました。それは、共産党の議員が訪中しようと思った、それが拒否されたなどの事例に基づいてのお話でございますが、私は大局的なことを言っておるのですが、大局的には順調で着実であります。しかし、その流れの中に、向こうというか、中国側の主権的行為として、いろいろな行動をとることがあります。しかし、それをもって日中関係が順調でないとか、着実でないとか、そういうふうには申し上げかねると、かように存ずる次第でございます。
 それから、日中問題に関連いたしまして、いわゆる反覇権は国際政治の当然の原則だが、わが国の外交路線を特定の方向に拘束するようなことは妥当じゃないというお話でございますが、これはしばしば申し上げている、わが日本は全方位平和外交方針をとっているわけです。どの国とも仲よくするという考え方でございまして、仮に日ソと条約を締結するということがありましても、他のいかなる国を敵視するものではありません。日中と条約を締結する、そういう際において、他のいかなる国をも敵視するものじゃない。全方位平和外交である、このように御理解を願いたいのであります。
 また、平和条約によりまして千島列島を放棄したわけでありますが、いまソ連が千島列島を占有していることは妥当ではない、日本政府は将来の日本政府が全千島の全面解決に臨めるように姿勢を整えておくべしと、こういう御議論でございますが、これは何回か宮本さんの党の方々と御議論を申し上げたんですが、平和条約第二条におきまして、千島列島に対する権利、権原、請求権はこれを放棄いたしておるわけなんであります。これは、当時の状況から見まして、とにかくいわゆる全面的な平和条約じゃないけれども、一部の国が取り残されましたけれども、とにかく平和条約を締結する、そしてわが国は国際社会に参加いたしまして、そしてわが国の戦後の経営にいそしむ、こういうことが当時の状態として妥当である、このように考えまして、当時平和条約は策定され、調印され、また批准をされたわけであります。以上の背景にかんがみまして、わが国は国際条約で放棄した千島列島の返還を要求するという立場にはないわけなんであります。
 しかしながら、いわゆる北方領土、これは放棄した千島列島じゃないんです。固有の領土なんです。固有の領土であるから、これは放棄したものでもなく、したがって、われわれがその返還を求めなけりゃならぬという立場にあるということを重ねて申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(村山達雄君) お答え申し上げます。
 私に対する御質問は、租税特別措置の整理合理化が五十三年度においてどのように行われたかということでございます。申すまでもございませんけれども、租税特別措置を創設するときには、政策目的と、それから課税の基本原則との調和を図りながら、いつでもやっているところでございます。しかし、政策目的というものはその時代によっておのずから変遷するものでございますから、絶えずその租税特別措置の合理性というものを見直す必要があるわけでございます。本年度は、特に期限の到来いたしましたものを中心にいたしまして、特にまた企業関係の租税特別措置について見直しを行ったのでございます。結論といたしましては、かなりの整理ができまして、企業関係全体の租税特別措置が項目で九十一項目ございますけれども、そのうち、廃止いたしましたものは公害防止準備金を初めとする十一項目、それから縮減いたしましたものが、価格変動準備金、これを大体中心にいたしまして二十六項目ある次第で、合計して三十七項目にわたりまして廃止ないし縮減をすることができたのでございます。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
○国務大臣(園田直君) 総理がお答えになりましたが、御指名でございますから、お答えをいたします。
 日本と中国の関係は、国交正常化以来順調に進展をしておりますものの、すべての面で、十分でない点がありますれば、今後とも両国で努力し、改善を重ね、日中両国の一層の発展を図りたいと考えております。
 入国許可の問題は、主権に属する問題でありますから、特定の人を認めず、または拒否したからといって、直ちに内政干渉であるという考え方には同意いたしかねます。
 次に、わが国はいかなる国とも友好関係を維持するというのがわが外交の基本路線でありまして、特定の方向に拘束されるなどということは断じてあり得ません。
 覇権の問題は、一九七二年の共同声明第七項に明らかにしてあるとおりであります。この問題を条約上どう取り扱うかは条約の中身の問題でありますから、ただいま返答いたすことはできません。
 次に、千島の問題。サンフランシスコ条約でわが国はようやく主権と国際社会の一員としての立場を得た現実を認識する必要があり、同条約二条(C)項は当時の状況にかんがみ、やむを得なかったものと考えまするが、ただし、だからといって、ソ連がこの島を占領していることは妥当ではない、こういうことは全く同意見でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(安井謙君) 向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
○向井長年君 私は、民社党を代表して、総理の施政方針等につきまして質問をいたします。
 福田総理、あなたは総理就任以来、国民の最大関心事である不況について、ただいま景気回復基調にある、先行きの暗さも徐々に明るさを取り戻すと、しばしば言われました。国民は、福田さんならと信じ、期待を持ったにもかかわらず、逆に深刻化し、それが九月以降の急激な円高によってデフレ効果が強まるや、いよいよ決定的になりました。あなたは、明治三十八歳と自称され、若さを誇示なさるのは結構なことですが、経済政策など重要国政の運営に当たっては、時期を失し、小幅な対策しか講じられず、政策の運営はことごとく失敗に終わっております。これでは若々しい判断力を持った政治責任者とは言えません。まさに、官僚機構に乗った楽観論者とも言うべきでありましょう。あなたはまた、内閣の威信をかけて行政改革を断行すると言われながら、結果は逆に、威信を落とす糊塗策に終わっているのであります。こればかりではありません。昨年、サンファン、ロンドンと二回にわたり先進国首脳会議に出席され、来年度六・七%成長を表明されたにもかかわらず、結局は年度途中で五・三%と下降修正をせざるを得なくなりました。国際収支も、経常で七億ドルの赤字見込みを百億ドルも黒字にするなど、内外の不均衡と外圧の強化を招いたのであります。
 このように政策上大きな失敗が次々と繰り返されておりますが、何ら反省することなく、すべては国際的要因であるがごとき責任回避とデノミ政策に目を向けさせようとする総理の態度は、断じて許されるものではありません。総理は、この際国民に率直に陳謝し、直面している内外の難問題解決のために国民に協力を求めるべきであると思いますが、総理の所信をお伺いいたします。
 次に、私は、今後の経済運営に関し、政府の見解、方針を逐次ただしてまいりたいと思いますが、個々の具体的な政策問題に先立って、明年度実質成長七%をめぐり統一性を欠いた閣内不一致、そして政府・与党の見解の対立を問題にしなければなりません。
 雇用の安定、対外不均衡の是正を図るためには、内需の拡大を中心として明年度の実質成長七%達成は必須であります。国民もまた、重大な関心を持ってこの達成に期待をかけているのであります。この一月中旬、すべて問題となっていた日米通商交渉に決着をつける場でわが国の七%成長達成への努力を約束していることから、国際的な公約であるや否やをめぐって閣内で対立した意見が述べられております。それが一月十九日に政府統一見解として努力目標であるとされたが、それで問題の本質が解決されたわけではありません。不況の苦しみから一日も早く脱出したいと切望している国民に対し、自民党政府自体の対応の誤りから招いたとはいえ、強い外圧など厳しい国際経済環境でわが国の課題解決のためにも、絶対七%成長を達成させるというかたい決意と責任感を全閣僚が共通して持っているかどうか、総理の指導性が問題なのであります。この立場から、国民は閣僚の言動に注目をいたしております。たとえ自国の経済成長を外国に約束すべきものではないにしても、国際公約ぐらい厳粛に考えているといった熱意を統一見解とすべきであり、そうでなければ、せっかくの国民の理解と協力は得られないと思うのであります。それなのに、あれは努力目標であると言われているが、これすなわち、目標達成が不可能な事態に備えた責任逃れ的発言を総理みずから言うことは、五十二年度の下降修正とあわせ考えれば、国民は大きな疑念を持っているのであります。総理、あなたは、この報道について、「つまらない報道がなされている」とか、「公約ではなくて公害だ」とか、軽率、無責任な態度でお茶を濁すべきではありません。私は、本議場を通じて、国民に対し、改めて政府の確固たる態度と、その実現への責任とを明確に表明をすべきであると思いますが、総理の考え方をお聞きいたします。
 次に、私は減税についてお伺いいたしますが、政府・与党の幹部諸君は、口を開けば、所得減税は民需増につながらないとして減税を拒否しておりますが、社会保険料、酒税、授業料、国鉄運賃等々の引き上げと、保育所を初め地方関係公共料金の引き上げが予定されていることを考えれば、逆に減税をしなければ実質増税になります。この意味からして、私は、今回の予算に対して、減税、年金、住宅を含め、一兆円規模の需要追加を行うべきであると考えます。その中で、所得減税については、さしあたり最低三千五百億円を急ぎ実施すべきであります。こうした最低線の減税要求さえ拒否し続けるとするならば、七%成長が出発点から不可能になることを政府みずからつくり出すことになると思うのであります。総理は、従来の消極的姿勢を改め、前向きで決断をすべきと思うが、お伺いをいたします。
 次に、経済活動と個人消費についてお伺いいたします。
 政府は、個人消費が名目で一一・九%、実質五・一%も伸びるとの見解であります。その説明は、経済活動が活発になって所得がふえ、物価が安定すれば、結果的に個人消費は伸びるという教科書的論理であります。これでは納得できるものではありません。
 そこで伺いたいのは、昨年十月の第一次補正、今回の第二次補正、そして明年度予算でも大幅な公共事業予算が組まれているのでありますが、これによって在庫調整が行われるとしても、現に七割程度で低迷している製造業設備稼働率をどこまで引き上げることができるのか、確信ある答弁をお伺いいたします。
 同時に、産業の先行き不安と、設備過剰の構造的不況産業の多い状況のもとでは、民間設備投資が、名目とはいえ、一〇%近くも伸びるとはとうてい考えられません。もちろん、電源開発投資その他若干の部門では期待できるものもありますが、明年度中に経済活動を活発化させ得るものとはならないと思うのであります。マクロ論議ではなく、経済産業の実態面を検討してまいりますならば、果たしてこれで政府が期待する消費支出名目一一・九%を実現するに足る所得の増加が可能なのでありましょうか。可能と考えるならば、それを立証する具体的な材料とともに、明快な見通しを述べていただきたいのであります。
 次に、年金についてであります。
 個人消費にこだわるようでありますけれども、何といっても最終需要に支えられた国内経済循環が重要であり、それが国民福祉向上に直結されていくことが欠かせないのでありますから、年金問題を取り上げないわけにはまいりません。
 わが国の場合は、きわめて高い貯蓄率が消費の増を抑えているのであります。それは各種の調査によって明らかなように、将来生活の不安に対処して、貯蓄に回す傾向が強いからであります。そして、現実に恵まれた制度の年金生活者がある反面、生産年齢の大部分を占める大多数国民は、その先輩である老齢福祉年金、短期国民年金や厚生年金の受給者の生活を目の当たりにして、制度格差の是正を強く要求しつつも、一向にそれが解決されないとすれば、自己防衛的な貯蓄を考えるのも無理からぬところであります。そこで、私は、早急に各種の年金制度を横断し、拠出の有無にかかわらず、少なくとも月額男子一人当たりの平均可処分所得の六〇%をナショナルミニマムとして確保するよう、制度改革を提案するものでありますが、政府はこれを検討されるかどうか、見解をお伺いいたします。
 また、その出発点として、明年度から老齢福祉年金は月額三万三千円にすべきでありますけれども、さしあたり二万円の引き上げ及び他の福祉年金、短期国民年金をこれに準じて引き上げるよう、国民の要求を受け入れるべきだと思いますが、政府はこれまで年金増額には全く応ずる意思がないことを表明しておりますけれども、しかし、それでは済むものではありません。総理は、新たな立場から決断を行い、前向きの答弁を求めるものであります。
 次に、住宅問題について質問をいたします。
 政府が明年度予算において、従来にない住宅対策を盛り込んだこと自体については一応の評価はできますが、しかし、その発想が単に当面の不況対策に終始している点では、残念ながら賛成できません。根本問題の解決なくしては、いかに財政資金を重点配分しても、住宅問題は解決しないのであります。
 そこで、私は、簡潔に当面講ずべき諸点を提案して、政府の見解を伺います。
 その一は、住宅建設の前提である土地供給を促進し、安い地価で需要者が入手できるよう、宅地開発者に地方自治体から課せられる公益公共施設整備費が総費用の五〇%に達しております、これを二五%にとどめ、超過分は地方債発行で買収することとし、国はその利子を補給する制度を設けるべきだと思います。これにより、現行地価に比べて、適正利潤を加味しても、二五%以上は安く供給ができるが、政府の見解を求めたいのであります。
 その二は、公庫金利と民間住宅ローン金利をそれぞれ三%台あるいは四%台に引き下げるよう国が利子補給を行い、西ドイツ水準まではいかなくとも、それに近い金融援助制度を行うべきと考えますが、政府はこれを検討するかどうか。
 その三は、勤労者の持ち家希望者がきわめて高いのでありますから、これに応じて、西ドイツ、フランス、英国等で行われている住宅建築割り増し金法にならい、割り増し金つき財形法を制定すべきであります。
 以上の三点は、勤労者の年収に対し住宅価格が、英国の三・二倍、西ドイツの三倍弱、保護政策の比較的少ないアメリカでさえ四・四なのであります。これに比して、わが国は六倍と、非常に高く、勤労者の住宅取得が困難なわけでありますから、これを先進国並みにする上で、きわめて緊要な施策と思うのであります。いま直ちに土地、住宅政策の抜本的な改革は無理といたしましても、最低この三点は早急に実行すべきであり、また実行し得る施策であります。政府は真剣に検討し、実行に移すよう、その努力を求めるものでありますが、お伺いいたします。
 次に、エネルギー問題についてお伺いいたします。
 エネルギー問題にとって最も緊要な課題は、石油、原子力問題であります。石油関係につきましては、時間の関係上、予算委員会や他の委員会に譲り、私は原子力開発について伺います。
 石油代替エネルギーである原子力開発を強力に推進すべきであると考えております。しかし、原子力開発は遅々として進展いたしておりません。常に計画の変更を余儀なくされております。それは国民の原子力アレルギーがあるとはいえ、政府の取り組む姿勢が消極的であり、立地対策には全く無関心と言わなければなりません。総理、あなたは現状をどう把握されておりますか。政府は、景気対策の一環として、原子力だけではなく、全般電源開発に対して五兆円を予定しておるようでありますが、現状のような立地対策ではとうてい不可能であります。通産大臣はおわかりと思うが、計画どおり安易に進むものではありません。総理、各大臣、原子力開発は、計画して完成するまで、少なくとも十年を要します。一般火力におきましても五年から七年の日時を要するのが、ただいまの実態であります。各省並びに地方公共団体と連携して立地対策を進めなければならないにもかかわらず、指導性もなく、全くばらばらであり、推進どころか、企業の努力に対して、むしろ足を引っ張っている現状であります。こうした状況を放置するならば、近い将来エネルギー危機が来ることは必至と言わざるを得ません。この際、早急に、地元産業振興と抜本的な立地対策を講ずべきであります。
 総理、あなたは、電源開発促進法に基づき、電源開発調整審議会の会長でありますよ。その他、関係大臣はそれぞれその委員でございます。そういうところから考えて、私は、具体的な推進への方針と、あわせて、核燃料再処理は緊急な課題でありますが、この核燃料サイクルに対する政府の考え方を、総理、通産大臣にお伺いをいたしたいのであります。
 また、今後安定的にエネルギーを確保するためには財源的な裏づけがなければなりません。私は、必要な政府関係資金を確保するとともに、現在個別に計上されているエネルギー予算を総合的に運営するため、新たにエネルギー特別会計を設けるべきだと考えるが、総理、通産大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、農業政策についてお伺いいたします。
 今日、国際経済の変動に対して、好むと好まざるとにかかわらず変革を迫られておるのであります。わが国農民が意欲的に取り組むことのでき得る農業近代化政策を展開することが緊要であります。このためには、国が責任を持った、財政の裏づけのある農業改革のプロセスを示すべきであると考えるが、どうか。
 なお、政府・自民党は、口を開けば総合農政の展開を主張しておりますが、その成果は全く見るべきものがありません。農業団体代表や地方農業者代表、あるいは研究者等の参加を求めて、いま申し上げた農業改革計画の樹立に真摯な取り組みをすべきであると思いますが、総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、私は、改めて、福田内閣が竜頭蛇尾に終わらせんとしている行政改革を原点に戻して再検討するよう求めたいのであります。総理がさきの通常国会で、内閣の威信をかけても断行すると公言されたにもかかわらず、各省官僚の思惑、利害関係から来る攻撃の前に、もろくも崩れ去り、国民の切実な期待を裏切る結果になったわけでありますが、これでは、官僚主体の行政はあっても政策はないことになり、内閣の威信を著しく失墜させたことになりませんか。総理、財源難の今日、いまこそ決意を新たにして、わが党の提案に従い、国民の要望にこたえるためにも、少なくとも五千億規模の補助金の削減と、行政機構の統廃合、合理化による経費節減と行政の簡素化と、思い切った改革を断行することこそ強く要求するものであります。総理、行管長官の決意をお伺いいたしたいのであります。
 以上、質問を終わるに当たりまして、福田総理に提言をいたします。総理、よく聞いていただきたい。歴代自民党政府の無策によって生じた長年の不況を克服し、国民が一日も早く期待している安定経済へのスタートの年であります。また、福田内閣の命運をかけた年とも言えるでありましょう。このときに当たり、あなたが提唱する協調と連帯の精神に基づき、私たち野党の建設的な意見には十分耳を傾け、実現に努力されるならば、わが民社党は、責任野党の立場から、広く国民的視野に立って協力を惜しまないことを付言いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、経済政策でありますとか、行政改革、デノミ論議、そういうことについていろいろ御批判を賜りましたが、御批判を率直にお受けいたしまして、ひとつ国民のため誤りなきよう精励いたしたいと、かように存じます。
 昨年の経済政策につきましては、私は、大体まあまあ世界の中ではまずまずの動きだと、こういうふうに見ておったんです。しかし、私の不明のいたすところ、あの急激なる円高、これを予見し得なかったんでありますが、あのことがなかったならば、大体六・七%成長、これは実現できたんだと思います。思いますが、とにかく昨年のことを言ってもしようがありませんから、この一年ずれた経済、景気の回復、これをことしこそはひとつ、ぜひやってのけたいという、その決意であるということを申し上げてお答えにいたします。
 さて、成長率五十三年度七%程度という問題について、これは国際公約かあるいは外圧による決定かと、こういうようなお話でございますが、この問題はしばしばお答えしておりますが、国際公約あるいは外圧による決定なんということ、これを考える、そういう性質のものじゃないんです、これは。これはもう、成長率ということは国の経済運営のかなめであります。そのかなめであるところの成長率を、あるいは外圧で決めるとか、あるいは海外との折衝で約束をするとか、さような性質のものじゃありませんですから、これはひとつ、そうじゃなくて、われわれの政策目標であると、このように御理解願いたい。しかしながら、この目標につきましては、これは内外において非常に高く注目をしております。したがいまして、この七%成長目標、これにつきましては政府は責任を持って全力を傾倒して、これが実現を図る、このように御理解願いたいのであります。
 なおまた、向井さんから、ロンドンにおける先進国首脳会議なんかで成長率をわが国として披露をした、それがたとえば、去年のロンドン、これでは六・七%ということを披露をしたわけです。それが五・三%に下方修正した。おしかりでございますが、これはしかし、なかなかそうきちんといくものじゃありません。あそこでとにかく披露された各国の状態はどうだったかとこう言いますと、ドイツはどうですか、あそこでは五%と言って披露をしたんです。それがいま二・四%というふうに言われておるじゃありませんか。それから、アメリカだってそうです、六%と言ったんです。いま四・九%、そこへ来ておると、こういうことで、わが国だけの問題じゃないんです。それだけ世界経済全体として揺れ動いていると、こういうことでありますことをつけ加えておきますが、とにかく、五十三年度の七%ということは内外非常な注目の数字でありますので、これは全力傾倒をいたす。
 それから、七%成長の具体的対策はどうだと、こういうお話ですが、これは施政方針演説でも申し上げましたが、いま設備過剰でありますから、各企業に設備投資を大きく求めること、これはなかなかむずかしゅうございます。しかし、設備投資といいますと、電力なんかありますから、この電力なんかは政府の施策に大いに協力をしてくれると、こういうことで、これなんかは、かなりの期待が持てるだろうと、こういうふうに思うわけであります。それから、海外要因の輸出、これはもうほとんどこれを成長要因として見るわけにはまいりません。そうなりますと、財政金融政策、これが大きな任務を担うことになりますが、財政政策といたしましては、これはどうしても公共事業、これによって需要を喚起する。それから、金融、財政双方にまたがりますが、金融手段によりまして住宅の自己建設を助成する、こういうことになりますが、そういう、輸出に期待ができない、設備投資もむずかしいとなると、やっぱりこれは財政が出動いたしまして、公共事業、それから金融政策による住宅、そういうことにならざるを得ないのでありますが、財政が非常に大幅に今度拡大いたしますので、大体実質七%程度の成長は実現し得る、また、これは内外の期待にこたえて実現しなければならぬと、このように考えておる次第でございます。
 それに関連いたしまして、向井さんが、物価調整減税程度のことはこの際やったらどうかというお話でございます。御趣旨はよくわかります。物価調整程度のことはやりたいなあとも思います。思いますが、何せ財政が非常に窮乏しておるわけでありまして、総支出の三七%を公債に依存をする。しかも、先々を見てみますると、財政の事態、善後措置は非常にむずかしい。そういう中で国民の皆さんにもがまんを願うのがこの際は妥当じゃないかなあというような感じがいたしてならないのでありますが、また、教育減税につきましても同じような感想を持つわけであります。
 さらに、老齢福祉年金を積み増しせよ、また、ナショナルミニマムとしての年金を確保し得る年金制度を確立せよと、こういうお話でございますが、お考えの大筋につきましてはそう考える次第でございまして、五十三年度の予算につきましても、福祉年金一〇%程度、これを引き上げるということをいたしておるわけでありまして、またこれ以上の引き上げということになりますと、ただいま申し上げました財政上の立場等から、なかなかこれはむずかしい問題ではないか、将来に非常に大きな負担を及ぼすわけであります。しかし、年金は今日の社会安定のために非常に重大な問題でありますので、これを先々どういうふうにするかということについては、年金制度基本構想懇談会において、ただいま検討をいたしております。
 それから住宅は、先ほど申し上げましたように、財政政策の対象でもありまするが、同時に、金融政策の対象でもあるわけでありまして、それに関連いたしまして、民間の住宅ローンへの利子補給制度を創設したらどうだろうと、また、持ち家建設に対しまして割り増し金つきの財形制度の適用をしたらどうだろうか、あるいは民間住宅ローンへの利子補給を考えたらどうだろうかと、いろいろな御提案があったわけでありますが、まず、住宅公庫の金利の引き下げの問題、これはかなりの引き下げをしておりまして、民間の金利に比べると、かなり低いところにいっておるわけでありまして、これをさらに引き下げるということは、これはそのバランスの問題としてどうだろうかという問題があるんです。また、民間住宅ローンへの利子補給問題は、これは木賃アパート居住者などとのアンバランスの問題というようなこともあるし、これもまたずいぶん金のかかる問題です。財政の今後を考えまするときに、なかなかこれもむずかしそうな問題のように思うのです。
 それから財形法の拡大、つまり割り増し金つきの財形制度の問題でありますが、何分にもこれは全く新しい制度になりますので、これは慎重に検討さしていただきたいと、かように存ずる次第でございます。
 さらに、原子力開発の問題につきまして御激励を賜りました。それで、この立地問題が非常に問題の障害をなしておるわけであります。私も陣頭に立ちまして、この立地問題の打開のために奮戦をいたしておるわけでございますが、政府を挙げていま努力をいたしております。かなりの成果を上げつつあるわけでありますが、この上ともひとつ御鞭撻、御指導のほどをお願い申し上げたいのであります。
 また、核燃料サイクル確立のための政府の努力が不十分である、原子炉等規制法改正案を今国会に提出すべしというお話でございます。ありがたいお話でございますが、政府といたしましても、さように心得ております。そして、原子炉等規制法の改正法案は今国会に提案することにいたしておりますので、何とぞ御協力のほどをお願い申し上げます。
 それから、総合エネルギー政策推進のために、石油、石炭、原子力などのエネルギー特別会計を一本化したらどうかというお話でございますが、いま、エネルギー対策の特別会計といたしまして、石炭及び石油対策特別会計、電源開発促進対策特別会計、この二つの特別会計があるんです。この二つの特別会計は、それぞれその特性、目的に従いまして機能を発揮しておるわけでありまして、いまこれを一緒にしなければならぬという特別の事情があるようには考えませんが、まあ、この両特別会計がおのおのその特性を生かしながら、機能を十分に発揮するように心がけてまいりたいと思いまするし、同時に、総合エネルギー対策の推進に当たりましては、財源対策、これはもう大変大事な問題であります。膨大な財源が要るわけでありますが、この膨大な財源をどういうふうに調えるかということは、ただいま鋭意検討をいたしておりますが、支障のないようにいたしたいと、かように考えております。
 次に、農政の問題にお触れになりましたが、まあ広く各界の意見を聞いて、農政に誤りなきを期せというお話でありますが、まことに私はごもっともだと、こういうふうに思います。この間、昨年の暮れですね、農業団体の皆さんとも懇談をしましたが、そのとき農業団体の人から提言がありまして、何か食糧の総合的な検討をする会議を官民でつくったらどうだろうというようなことでありました。これは大変結構なことでありますので、そういうような仕組みでもつくりまして、ひとつ広く各界の意見を結集いたしまして今後の農政の推進に当たっていきたいと、かように考える次第でございます。
 それから、行政改革について非常なおしかりと御鞭撻を賜ったわけでございますが、これは中央省庁の問題がほとんど手つかずというところで残りました。しかし、中央省庁もこれは大変厄介な問題なんでありまするが、運用上といいますか、昨年末の内閣改造におきましてああいう処置をとったわけでありまして、運営上かなりのことが実現をされておると、このように御理解を願いたいのであります。
 なお、中央省庁はそういう状態でございますが、地方支分部局につきましては約千カ所の整理をいたすことにしております。それから、国家公務員の定員削減、国家公務員の定年制の導入の問題、それから特殊法人の整理、合理化、役員給与の抑制、退職金の二割カット、それから許認可事務千二百四十事項の整理、合理化、それから二十数年来の懸案でありました地方事務官制度の廃止の問題、これらを決定いたしておるわけでありまして、これらに関する法律案が逐次提案されるわけでございますが、何とぞひとつ御協力のほどをお願いしたいと、かように存ずる次第でございます。
 なお、これと関連いたしまして、補助金を大いに見直せと、これはその御趣旨のとおりにやっているんで、五千億というところまでいかないんであります。近日、整理いたしました補助金によって浮いてくる金額の集計ができますが、千億円はかなり上回る、大幅に上回る額にはなると、このように御承知願いたいのであります。
 最後に、建設的な野党の提案は尊重し取り入れていく態度を示すべきだと考えるがどうかというお話でありますが、私は、協調と連帯ということが、これは行動原理であるということを申し上げておるわけであります。これは国会の運営等につきましてもそのとおりに心得ておるわけでありまして、政府・自由民主党の言うことだけがこれは神聖にして侵すべからずというような、そんなような考え方は持っておりませんです。皆さんの御意見、これが日本の国のためによろしいと、こういうことであれば、私どもは何のこだわりもなく、それを採用さしていただくという考えでございますので、何とぞひとつ御鞭撻、御協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(村山達雄君) もうすでに総理がほとんどお話しになりましたので、私は教育費控除のことについて、ちょっと追加して申し上げます。
 教育費の方は、御案内のように、私立大学に対しまして歳出の方でずいぶん計上さしていただいております。今年度の計上額によりますと、私立学校の大学、高校以上で大体一人当たり十一万円ぐらい年額補助していることになっております。ただ、税につきましては、従来からいろいろ言われておりまして、一つは、やはりこれは納税者だけに限定される点についてどういうものであろうか、あるいは義務教育だけしか受けられない者についてどんなものであろうか、こういう点が言われておりますし、また、こういう個別的事情をやるということに相なりますと、すべての項目についてやらざるを得ないことになりますので、個別的事情はやはり税にはなじまないんじゃないか、そのことはむしろ一般的に基礎控除の引き上げによって対処すべきではないか、こんなことが論議されているわけでございまして、そういう事情でございますので、教育費の減税につきましては、ことしはどうかひとつごしんぼう願いたいと、こういうことを申し上げている次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 在庫と稼働率の問題、それに設備投資、個人消費、その辺の関係をどう考えるかというお尋ねでございました。
 かなりいわゆる減量経営が続いておりますのと、昨年公共事業が続いて出ておりますので、在庫の、ことに流通の在庫は相当低くなっておるのではないかと考えております。で、今年十五カ月予算の公共事業がその上に加わるわけでございますが、そこで、多分ことしの四月ごろには、ほぼ在庫調整というものが完了をするのではないかという期待をいたしておりまして、たとえば非鉄金属とか化学などは、これはなかなかそうまいらないかと思いますが、一般的にはそういう期待ができるのではないだろうか。そこへ公共事業が出ていって波及効果を生むと、こういうふうに考えておるわけでございますが、そういたしますと、その場合の稼働率をどう考えるかという、その次のお尋ねでございますが、大体昭和五十四年の三月ごろには稼働率指数で九二ぐらいにはなるのではないだろうかと見当をつけております。稼働率にいたしますと、この九掛けぐらいになると存じますけれども。
 したがいまして、それならば稼働率がせいぜい八一、二であるから、それが設備投資に結びつくと考えるのは無理ではないかと御指摘になりましたのは、私どもも、やはりそこはそう考えざるを得ないのではないかと思っております。大筋としてはそう考えざるを得ないのではないか。したがいまして、設備投資を九・九名目で見込んでおりますけれども、製造業には実は余り大きな期待をかけておりませんで、製造業全体で名目で三%ぐらいもあろうかと、大どころは一%強ではないかと考えておりまして、非製造、個人、金融のあたりに、ことに非製造には十数%の設備投資を期待できるのではないかと思っておりますが、その中心になりますのは、やはりおっしゃいましたように、電力でございます。これは電源立地の対策を充実しますとかいうようなこともございますし、いま電力会社と一緒になりまして、政府も大いにこの立地について地元の協力を得るために努力をしておりますので、非製造ではある程度の期待ができるのではないか。しかし、製造業の方は、五十三年度単年度に関します限り、あっちこっちの設備投資を呼ぶというところまではまいりませんで、稼働率の上昇というところまでではなかろうかと考えております。
 そこで、個人消費でございますが、一一・九%という名目は高くはないかという御指摘でございましたが、五十一年度は名目で一三ございました。五十二年度は、ただいま一一・四ぐらいと推定をいたしておりますので、一一・九というのは、特に無理をして見込んだほど高いとは私ども考えておりません。来年度は恐らく一般の消費者物価情勢は五十二年度よりは落ちついたものが期待できると存じますし、稼働率が上がっていくということになりますと、現在やや遊休でおります労働力もそれだけ仕事が出てくるということでもございますから、そういう意味では、消費者の心理も多少の好転はできるのではないか。したがいまして、この程度を見込んでおるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(櫻内義雄君) 向井議員より土地対策についての御意見がございました。宅地開発の障害が公共公益施設の整備に伴う負担の増大でありますから、お話のとおりに、国の補助事業として整備を進めるとともに、立てかえ施行制度の改善強化、地方債のかさ上げ、利子補給等の措置を講じてまいりました。五十三年度には、別枠で補助を行う公共施設整備促進費を計上いたしております。これらのことによりまして土地価格の安定に役立たしめてまいりたいと思います。
 それから、公庫金利等の引き下げや持ち家建設の新しい制度についての御提言があったのでありますが、すでに総理よりお答えがございました。政府としては、住宅金融公庫の貸付戸数の増加や融資条件の緩和に努めてまいりました。さらには、住宅ローン減税の措置を講じまして、需要者の要望に沿ってまいる次第でございますので、御了承をお願いしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する御質問は、エネルギー政策の進め方でありますが、エネルギー政策は関係するところが非常に多うございますので、内閣に総合エネルギー対策閣僚会議というものがございます。これを中心といたしまして今後はエネルギー政策を強力に進めていきたいと考えております。特に電力につきましては、二、三年後に電力不足が考えられます。こういうことになりますと産業政策上大きな影響が出てまいりますので、これを回避するため、さらにまた、景気対策上も電力投資は大きな役割りを果たしますので、電力投資には特別配慮していかなければならぬと考えております。
 御参考までに申し上げますと、現在工事中の発電所は全国で六十カ所ございます。近く着工予定のところが百五十一カ所ございますが、立地問題等で難航しておるところも相当ございますので、この問題解決のために内閣を挙げて努力をしてまいりたいと考えております。
 他の問題につきましては、総理答弁によって御承知願いたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(安井謙君) 野口忠夫君。
   〔野口忠夫君登壇、拍手〕
○野口忠夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、農業、教育、公害等の国内問題を中心に、総理並びに関係大臣に質問いたしたいと思います。
 総理は、その施政方針演説で、五十三年度中に経済成長率七%達成を約し、五年越しの長い不況のトンネルに入った日本の経済の出口をはっきりすると確約されたのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 残念ながら、たびたびのこれまでの公的違約について何の反省と責任をも示すことのない総理ですので、国民の信頼を得ることはできなかったと思うのです。そのためには、今回の公約の間違いないということを政治的責任をかけるまでの決意で約束すると、もう一度確認していただきたいと思うのですが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 総理は、今回の国家資金総動員体制に至るまでの経緯について次のごとく述べております。すなわち、輸出にも設備投資にも大きな役割りを期待することの困難な情勢にあり、この環境の変化の中で景気浮揚の手段は財政に求めるほかになかったと自認されているのでありますが、今日の不況が日本経済の構造深部にその震源地を持っており、従来の経済政策の安易な繰り返しでは解決不可能であることを主張してまいりました私どもの考えと軌を一つにするところがあるのではないかと思うのです。スタグフレーションという現代資本主義の病根を生み、日本経済の二重構造という構造矛盾の上にある大企業中心の経済政策はもはや通じないのであって、社会保障の水準を高めるとか、教育水準の向上を図るとか、中小企業、農林漁業の立ちおくれを立て直すとか、上から下への政策を、底辺の、より広範な階層の消費購買力を下から上に向けてつくり出すことに努力する経済政策の思い切った転換なしに、安定した景気回復の実現は期しがたいと主張するものでありますが、総理の御所見を改めてお伺いしたいと思います。
 総理は、また、国の流れが変わった、もと来た道を再び通るのではないと何度か言われておりますけれども、国民にとって公害と地価高騰の置きみやげしかなかった列島改造ブームの思い出と今回の措置を対峙して考えることを避けることはできないのであります。それは、総理の言葉の後に続く、国民総動員的訓辞の中身であります。一般消費税を中心とする大増税政策の予知であり、受益者負担の拡大に伴う物価高騰、インフレ招来の予見がさせるものです。景気回復の道が大衆負担の増大によってのみなされていくのではないかという、そのことを知っているからであります。列島改造ブームの再来と見られるのが、前年度に比し三四・五%と大幅な伸びを示した公共事業費の使い方であります。道路、鉄道、病院、学校、上下水道、公園等の公共事業を推進し、三全総計画の定住構想を念頭に置き、豊かな地域の建設、社会資本充実計画と強調されておるのでありますが、問題は、公共事業予算に見られる公共事業の内容であります。相変わらずの道路優先で、英国の四分の一と言われる下水道事業は、道路費の数分の一にすぎません。住宅関係でも、住む家に困っても、建設資金の負担にたえ得ないで苦しんでいる庶民の苦労とは全く結ばない公庫融資枠の増大という、住宅政策不在の予算措置であり、社会資本充実の長期的展望に立った計画性のある予算ではなくて、社会資本充実という名のもとの景気対策重視に若干の三全総の味つけをした金まき予算にすぎないということであります。真に社会資本立ちおくれを取り戻すと言うなら、道路優先主義の考え方は検討され、国民の福祉の充実の立場に立って、上下水道、公園、病院、学校、社会福祉施設等、その優先順位を検討して、計画的に整備することが、生活福祉、国民本位の公共事業推進の態度と思うのでございますが、いかがですか。御見解をお伺いしたいと思うのであります。
 国家資金動員計画が列島ブームと対比されるのは、公害、物価の問題であります。三十七万平方キロと限られた国土の中で、今年度の三分の一以上の増額をされた住宅、道路の優先投資は、列島ブームの二の舞となって、土地の値上がりを誘発する政策に変わらないか。セメント資材の値上がりはないか。通産省も建設省もそれぞれ事業施行本部を設置して、公共事業消化の推進役を担っているのでありますが、国民の一番の関心は、そして懸念するのは、消化もさることながら、これに伴う公害、地価上昇等の対策の総合的管理体制の完備でありましょう。過去の経験の再度の繰り返しを避けることを確約する自信があるのかどうか、お伺いしたいのであります。
 建設省関係一般公共事業は全公共事業費の七割強を占めておりますが、このたび建設大臣が国土庁長官を兼任することとなったのでありますが、国土庁は開発の調整役で、今回の措置で、開発役と調整役が一人二役となったことであります。お役所にとっては大変都合がよいことかもしれませんけれども、地価、公害等の総合管理体制には大きなひびが入ることとなり、国民の立場では問題が残る。なぜ兼任をさせたのか。兼任された建設大臣は、この間に処して、どのような御所見を持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思うのであります。
 景気回復のための公共事業の消化は敏速を要求され、つき過ぎた地方公共団体公共事業費消化のため、自治省は全国総務部長会議を開き、財源など残す必要はない、総ざらい事業を組んで新年度予算を組んでほしいと、消化のための激励を行われまして、各地方団体も対策本部を設けているようでありますが、後年度負担となる地方借金財政の上積みの中で、その執行を急ぐ余り、本来の自治体業務の推進に計画そごは生まれないか。公共事業過重負担と見られる地方自治体の今日の状態の中での自治大臣の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
 次に、農林水産業についてお尋ねいたします。
 総理は、わが国農業の総合的自給力の向上、農林水産体質の強化に努めることを述べ、さらに自由貿易体制維持を強調する反面、農業を初めとする国内産業に不安と動揺を与えることのないよう配慮すると述べております。
 世界的食糧危機のいまだ去らない状況の中で、その国の食糧自給の維持は、その国の独立と結んで緊要な課題であろうと思います。大英帝国を誇ったイギリスの食糧自給のための苦労は、決して他山の石ではないはずであります。平地の少ないわが国の自然的条件の中で、わが国の自然にいどみ、働き続け、生産力化し、食糧では困らないわが国の今日の基礎を築き上げたわが国の農業の伝統的成果を忘れることは許されませんし、その土台の上に日本の今日のあることも忘れてはならないことであろうと思うのであります。
 しかし、わが国農林漁業の現状は、その自然的条件により、国際競争力に弱く、常に繁栄の裏側に立たされ、外国との安い食糧に対決を迫られ、自給率低下の中で働き手を失い、耕地は荒れ、荒廃の一途をたどっている現状にあります。
 昭和三十六年、農業基本法制定以来、農業発展のかけ声のみ高く、自給率では、昭和三十五年、すなわち農基法以前の総合自給率は九〇%、穀物で八〇%、農基法以後昭和四十九年には、総合自給率で七二%、穀物で四〇%と半分以下になり、今日では、麦の自給率四%、大豆は三%と、わが国輸入額の半分以上を農産物輸入で占めることになって、外国農産物依存の状態に陥っているのであります。歴代農林大臣は、この状態は、高度経済成長の過程での農地荒廃、労働力流出等が主な原因と指摘するにはばからないのであります。農山村荒廃の現状は農民の怠慢ではございません。どんなにまじめに働いても浮かび上がらないアリ塚のような、日本重化学工業偏重の政策の推進の中に埋没させられてしまう結果であります。歴代内閣の農政不在の中にその責任を強くたださなければなりませんが、総理並びに農林大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
 特に、今日、米過剰のゆえをもって、総合自給率を基本に、その一環として、農地改革以来の大改革と言われる新生産調整の行政が、水田利用裏作転作とともに、強権をもって実施されつつありますが、食管制度をなし崩しにし、減反と転作の強要で新しい農政改革となり得るのかどうかも、あわせてその御所信をお伺いしたいと思うのであります。
 わが党は、このような農漁村の現状を改めるために、農業政策の抜本的是正を提唱しておりましたが、重点的にその主要点を申し上げますと、まず、主要農産物の価格算定を生産費所得補償方式で行い、農林漁業者の所得の安定と定着を進め、総合的生産農政を展開し、食糧自給の体制を確立すること。第二に、地域ぐるみの自主的計画による地域農業の実態に即した改革を進め、その実施のための国の助成の万全を図ることとしております。その他、融資制度の十全活用、農業災害補償法の充実、林業振興国会決議の完全実施、二百海里専管水域設定に伴う対策として、沿岸漁場整備開発法の改正による周辺大型漁場再開発、離職者対策等を厚く行う等、農林水産業の抜本的改革を主張しているものでありますが、わが党の提言に耳を傾け、今日の農漁村の現状に立って所信のほどをお述べ願いたいと思うのです。
 次に、新しい農政改革として進めようとする新生産調整についてお尋ねいたします。
 米過剰を理由に、米百七十万トン、面積約四十万ヘクタールに及ぶ新生産調整と価格保証のない、生産基盤も全く不十分な水田利用転作を強要するため、一方的に各地方公共団体に生産限度買い上げ数量割り当てとともに、減反配分の通達を行い、割り当て数量未達成の場合には罰則で臨むなどの行政措置の実施により、各市町村は、農家の人々の不安と批判の声が渦巻いている現状にあります。
 私は、この農民の声を体し、第一に、米は余って困るとのみ宣伝し、一向その余り米の消費拡大に努力をしない政府の怠慢を責めたいのであります。総理も農民を愛すと言われたが、真実農民を考えるなら、そのような対策は十分にとるべきではありませんでしょうか。当然のことと思いますが、いかがでございましょう。ひたすらに食糧管理制度のためにと農民を説得し、生産縮小を押しつけ、宣伝を強化して農民犠牲を求めているだけではないのでしょうか。
 わが党は、消費需要拡大の施策として、第一に、備蓄米制度を確立して非常時対策に準備すること。第二に、一般消費拡大のため、百万トン程度の米を学校給食用並みの三五%値引きによって一般消費者に配ること。第三に、学校給食用米食奨励により、年二十万トンの増を確保すること。第四に、海外援助米として二十万トン程度の拡大を図ること。第五に、酒米について。現在酒米消費は五十五万トン程度でありますが、アルコール添加分を現在の半分にして二十万程度の拡大は十分にできると考えます。これを合計いたしますと百七十万トン、昭和五十三年度調整分はこれだけで見ても消費拡大が可能であることを、なぜ進めようとしないのだろうか。こうしたことに真剣になれないのはどういう理由があるのか、お伺いしたいと思うのであります。
 第二に、水田利用再編対策という名のもとに行われる他作物への転作の強行でありますが、過去の農業の中では、水田裏作として豊かな収入を上げた経験をわが国の農業は持っていたのであります。今日、農家からその姿を見なくなったのは、生産経費に間に合わない低廉価格のせいなのであります。わが党は、わが国総合自給率の向上の生産再開を促進するため、米価の七〇%の麦の価格を保証することを考えているのであります。われわれの計算では、百万トン生産に要する助成費は四百三十億円余と見ておるわけであります。三カ年二百万トン、対象面積二千八百五十ヘクタールの麦生産の可能性はこの中に秘められているのであります。
 第三に、水田利用の灌排水事業を含む土地改良基盤整備でありますが、わが党は、年間五万ヘクタール、通年施行で一ヘクタール七百万円としても三千五百億円、この三分の二を労賃部分と見て、約十万人の雇用拡大を図ることができると考えております。
 以上、新生産調整、水田利用再編対策のわが党の具体案を述べましたが、あすの農民再建の道としてぜひ御賛成をいただきたいのですが、その御所見を承りたいと思います。
 第四に、新生産調整は多くの問題未解決のまま見切り発車したものですが、この行政措置についてであります。
 一つは、農基法第二条第一項の要件を満たすために必要な同農基法第四条第一項に掲げる措置を講ずることなく行政的執行を強行したことは農基法違反ではなかろうかということです。
 二つ目は、食糧管理法では全量買い上げを原則として明記し、米の生産制限の条文がないと思うのでございますが、生産制限指導の法的根拠をお尋ねしたいと思います。
 三つ目は、地方自治法第二条には地方公共団体が行う事務が明示されておりますが、米の生産調整の事務は書かれてないのであります。地方自治権の侵害にならないかどうかであります。特に、この事務不履行の際は罰則条項を設けて、その事務の執行を強要するということは、果たして地方自治法の精神から妥当であるかどうかについてお聞きしたいと思うのであります。
 次に、教育の問題についてお尋ねいたします。
 最近の新聞報道に、青少年の自殺の記事を数多く見かけます。昨年正月から八月までの半年間に、若い命をみずからの手によって散らしてしまった小中高生は四百名を数えていると言われますが、進学難と学業不振を原因とする者二七・五%、将来を悲観して生きがいを失った者、原因不明を合わせて三三・二%に上ると言われます。子供に死をもって背かれた教育の復活は、真の愛の復活を考えない限り、その対策はないのではないかと思います。教育を青少年のものにするための永井前文部大臣の四本柱の教育改革も結構ですし、やらねばなりませんが、結果的には、それは教育条件の整備にすぎません。条件整備に一〇〇%の条件は存在しないのであります。真に教育が働き、生きてくるのは学校であり、教壇に立つ教師その人の人間愛の中に求めねばならないのではないでしょうか。しかし、教師もまた人であります。試験に合格せねば生きられない教え子を前にします。有名校を出なければ出世できない教え子の悩みの前に立ちます。指定校制度などということがまかり通る社会に、教師は、この選別と競争の中に子供を連れて入っていかざるを得なくなってきているのであります。それが教師の愛と教師自身が誤解することも、これまた教師の罪ばかりを責めるわけにはいかないと思うのであります。具体的に示すものが、高等学校の東大入学数の多少がその学校の成績と評価される。学校選別と受験競争に駆り立てたものは文部省の管理体制下の教育の現状ではないかと思うのであります。管理ということは力の統制であります。教育は愛の統制なのであります。教育委員任命制への切りかえ、校長、教頭の管理職強化、主任制度化の実施、教育内容の画一化、文部省中央集権の中に、ゆとりのある学校は消滅していったのだと言うても言い過ぎではないと思うのであります。(拍手)学校は管理されるものではございません。児童生徒への共同責任に立った共同の経営がたてまえではないかと思うのですが、御見解をお示し願いたい。その際の校長の監督権というものも、児童生徒への責任のための監督権であって、決して文部省に直属する管理権ではあるまいと思われますが、その御見解をお示し願いたい。
 この姿を最も端的に示すものが教育委員会制度でありましたが、残念ながら、任命制によってその魂は奪われてしまったのであります。最近、教育委員会無用論を国会の中などで耳にするときがございますが、徐々に成長していくのが民主化の過程なのであります。今日ただいまの現状を見て直ちに無用論を強調するのは誤りではないでしょうか。もしも戦後三十年公選制のまま保たれてきたとすれば、もうよほどの成長を教育の中で地域住民とともにつくってきたのではないかと私は考えるのでありますが(拍手)教育委員会制無用論を今日唱えるその人は、その成長の芽を摘んでしまったのが文部省であるということを考えていただかなければならぬと思うのであります。
 学校における教職員定数の問題は、教育の成否にかかわる条件整備の重要事項であります。欧米においては、すでに、三十人以上の学級をイワシのかん詰め学級と呼んでいます。わが国の教員の配置数は、小学校四十五人で一人、中学校四十五人で一人という劣悪条件にあります。青少年に楽しい学校を与え、みんながわかる授業を受けられるところにするためには、四十人に一人の定数確保は当然の措置と申さねばなりません。特に、今日、一人の教師が二学級も三学級も担任する複式学級を法制度で認めているということは、山村の子供と都市の子供の教育を受ける機会に格差をつくったことになり、子供の立場に差別をつくることになり、機会均等を保障する憲法の精神に反するものではないかと思いますので、早急にその解消を図らねばならないと思います。
 教員定数の不足から、全国教員数の約二五%を占める無免許教科担任教師を戦後三十年存置してきましたことは、文部省の怠慢ではないかと思います。義務教育一〇〇%、高校教育九〇%を超すと形のみ誇っても、免許のない教師が児童生徒の前に立つことを許す教育に誇りはないと言うべきではないかと思うのであります。無免許教科担任教師の解消に即刻対策すべきではないかと思います。
 学校教育法二十八条には、学校に養護教諭を置れかなけばならないとされて三十年間、附則の「当分の間」に頼ってまいりまして、いまもってこの必置のことをやっていないのは、人間の生命と健康を尊重することの怠慢ではないかと考えられます。
 幼時における人間形成への教育の成果は、はかり知れないものがあるにもかかわらず、幼児からの親の解放という便宜主義的考え方で、子供を預ける、預かるということで、その設立も、公立、私立、法人立、個人立、経営上も雑多な関係にあり、教職員の定数法もなく、文部省の幼稚園設置基準だけで明治以来変わらなく続いてきたということを私たちはいま見るわけでありますが、捨てられてきた幼児教育に光を与えるために、義務化を含め統一的整備を図り、保育と教育の一元的体制を検討、幼児教育の充実を国の立場から考えるべきではないかと思います。
 四月から新しい学習指導要領案の実施に伴い、再び新しい混乱を新学年早々学校の中に持ち込むこととなるのではなかろうかと私は心配いたします。教育課程審議会でも話し合ったことは一遍もなかったと委員の証言があり、中間案にも載ることなく、発表直前全く突然に書き加えられた国歌「君が代」をめぐる論争であります。申すまでもなく、今日の学習指導要領の改定の作業は、青少年学習負担軽減を目的に……
○副議長(加瀬完君) 野口君、時間が過ぎました。
○野口忠夫君(続) ゆとりある教育内容とするための改定作業であり、国歌問題とは全く関係のないもので、この中で、何のために、どんな根拠で「国歌」の二字を挿入されたのか、理解に苦しむところであります。国会でも答弁がある、多くの場所でも歌われている、つくられたアンケートの調査も七一%の賛成があるなどの理由で、この際だから入れてしまえと考えた安易なやっつけ仕事ではなかったかと思うのであります。
○副議長(加瀬完君) 野口君、時間が超過しました。
○野口忠夫君(続) 国歌問題の賛否両論の国民の対立は、そのような簡単なものではないと意をいたすべきであろうと思います。戦争を経験し、苦い思い出から抜け出したいと願う者にとって、その反対の意思は絶対の立場ではなかろうか。絶対と絶対の対立を避け、連帯と協調を主張する福田内閣にあって、文部省は国民に挑戦をしたのではないかとも考えるのでありますが、このことによって起こるであろう賛否両論の争いは、再び静かな教育現場をかき乱すことと思われますが、この騒ぎを持ち込んだ者は文部省であるととは銘記されなければならないと思います。
○副議長(加瀬完君) 野口君、時間が超過いたしました。おやめください。
○野口忠夫君(続) 以上の観点に立って文部省は対策を十分考えることを申し述べまして、もしできるなら、「国歌」の二字を削ること、それができなければ、その適用について暫時延期することを別途通牒するくらいの姿は文部省にあってもいいのではないかと思うのですが、以上の点、要望を申して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 五十三年度の経済成長目標七%程度、これは責任を持つかというお話でございますが、これは政策目標ではありますが、内外が非常にこの達成を期待いたしておるんです。でありますので、政府といたしましては責任をもって全力投球をすると、そのようにお答え申し上げます。
 それから、今日の経済状況をどう見るかというようなことにつきまして御所見を交えてのお話でございますが、やはり私は、これは世界の流れが非常に大きな変化、転換の時期におけるわが国の経済現象と、こういうふうに見なければならぬと、このように考えておるわけであります。特にこの流れが顕著になりましたのは、石油ショック、あれを契機としてでございますが、これからは世界的に、低い成長、そういう時代に入っていく、わが国もこの世界の流れに順応しなけりゃならぬ。その順応、その流れの転換の中における苦悶、これが今日の状況ではないかと、こういうふうに思うのであります。
 そこで、まあ経済全体が足かけ五年来非常に低い成長になってきておるわけで、その結果いろいろ問題が出ておりますが、特徴的なものは、やっぱりいま日本の企業がおしなべて設備過剰の状態にある。この状態を解消しなけりゃならぬという問題が一つあるわけです。それからもう一つは、設備過剰の状態が、尋常一様の手段を講じましても、これが処理し切れない業種が出てきた。つまり構造不況業種であります。それに対する対策をとること、つまり、経済全体のかさ上げをいたしまして稼働率を上げていくと同時に構造不況業種対策を進める、この二点にあろうかと、そういう認識のもとにいま施策を進めておる。
 そこで、まず第一に、稼働率をどうやって上げるか。それには需要を造成しなけりゃならぬ。需要を造成ということになりますれば、輸出はなかなかむずかしい。それから設備投資も、設備過剰の状態ですから、これも困難だ。そうすると、財政になってくるわけですね。また、次いで金融になってくると、こういうことにならざるを得ないのであります。財政金融政策で何を一体それじゃするかということになると、一番効率的なものが公共事業だと、こういうことになるわけです。
 そこで野口さんは、公共事業をやるならば、道路、鉄道、そういうものよりも生活環境中心に改めよということでございますが、これはもうそのとおりに考えておるわけでありまして、下水道のごとき、予算の額で言いますと五三・一%の増額と、こういうふうにいたしておるわけです。環境衛生関係は三七・六%、公園等につきましても三五・七%、住宅三四・一%というくらいの大幅な増額をいたしまして、この際、社会資本、特におくれた生活関連の社会資本のおくれの取り戻しをいたしたい、かように考える次第でございます。
 なお、その際、野口さんは、まあ急速に拡大した、そういう公共投資をやるんだと、そこでこの公共投資が無計画に進められる、そういうようなことで大変混乱を来すんじゃないかというようなお話でございますが、これはそうじゃないんです。政府といたしましては、五十年代前期五カ年計画というものを持っておる。そして、その間における公共事業、どういう事業にどういう施策をやると、また、金までこれは大体の額の目標を決めておるわけであります。その計画の路線の中でこれを繰り上げてやる、こういうようなことになりますので、これは秩序正しく行われるのでありまして、ばらばら投資というようなわけではございませんです。
 それから、公共投資の推進によりまして地価の高騰が懸念されるというお話でございますが、それは、これを手放しでやったらそういうことになります。もとより、公共事業用地の先行取得等の状況から見まして、今度の予算で特に新規の用地肌得量が急増するというふうには考えておりませんけれども、それにしても若干の新規土地の取得が必要になる。それに対しましては、国も地方公共団体も、その土地の取得価格の適正ということには特に注意してまいりまするし、また国土利用計画法の的確な運用、これなんかによりまして、まあ投機的取引というか、また地価の高騰というか、この防止には細心の注意を払ってまいりたいと、かように存じております。
 それから、建設大臣が国土庁長官を兼務するのはどういう意味かと、こういうお話でございますが、私は、いま社会開発、公共投資、そういう面からいいまして一番大事な問題は、やっぱり生活のよりどころであるところの住宅の問題である、このように考えておるのであります。住宅というと、これはもう、入れ物、建物ですね、それだけの問題じゃない。これは宅地の問題があるわけなんです。ところが、宅地は国土庁で所管し、上物、建物の方はこれは建設省が所管すると、こういう状態では、私は住宅行政というものが円滑に進まないんじゃないかということをかねがね思っておるわけでございますが、この際、両省庁を一つの大臣が兼摂してやるという形でこの問題を打開していきたいと、かように考えて兼摂制をとったのでありますが、これは決して支障がそれで出てくるというふうには考えませんし、むしろ住宅政策推進のためには大いにこれは結構なことじゃあるまいか、そのように考えております。
 それから、農業政策につきましていろいろ社会党の見解をお述べになりましたが、それに対する答弁は農林大臣の方からいたしますが、しかし、食糧の自給率の向上、農業の保護政策、これにつきましては、これはもう政府におきましてもそういう方向で考えておるわけでありまして、食糧の安定的供給確保ということは、これは国民生活の安全保障の問題とも考えておるくらいであります。総合的な自給力の向上を図り、また、そのため農林水産業の体質を強化する、それを旨といたしまして農林水産行政を行っていきたい、かように考えております。
 農業が非常に不振であると、その原因につきましていろいろ御所見が述べられましたが、私は、まあ高度成長時代に農業というものが大分立ちおくれを来したと思うのです。つまり、工業その他非農業の方面ですね、これを中心とする高度成長ですから、やっぱり農業が立ちおくれる、農業からの人口が流出をする、そういうようなことで、今日農業が不振であるというふうに言われるような状態になったと思いまするけれども、もうこの段階で農業人口がさらに減るというようなことはせきとめなきゃならぬ。先ほど申し上げましたような精神に立って、農業政策を強く進めなければならないと、かように考えておる次第でございます。
 また、将来一体どういうふうに農業をやっていくのかということにつきましては、これは、昭和六十年度を目標年次とする農産物の需要と生産の長期見通しは御承知のとおりでございます。これに沿いまして、農業の生産構造、価格等の各般にわたる施策を展開してまいりたいと、このように考えておりますが、そういう中で、いま米の生産過剰の問題、また転作の問題、こういう問題、この難関を突破しなければならぬと、かように考えて、いま農業団体、農家の方々の御理解と御協力を求めておるという最中でございます。
 それから、教育問題にお触れになられましたが、私は、教育という問題ですね、施政方針演説でも特に触れておいたわけでありますが、非常にこれは大事な問題です。いま当面は経済経済で、国民の関心はそっちの方にいっている、政治の関心もそこへ集中しておりますが、やっぱり長期的な視点に立ちますると、これは物の側面ばかりじゃない、日本人の心の問題、この問題に目を投じなけりゃならぬと、こういうふうに考えておりますが、今日、受験競争の過熱化とか、学習塾に通う者の増加でありますとか、あるいは児童生徒の非行問題とか、いろいろ問題が出ております。おりますが、結局、心身とも健全で人間性豊かで知識水準の高い国民の養成ということを心がけて、粘り強くこれらの問題を解決していかなけりゃならぬ、そのように考えるわけでありますが、教育問題には、五十三年度予算にもはっきり示してありますように、相当の重点を置いてやっていきたいと、かように考えております。
 それから最後に、国歌、国旗のことにお触れになりましたが、どこの国でも、国歌、国旗のない国があるんでしょうか。そんな国は私はないと思うのです。オリンピックに行って優勝すれば、どこの国でもみんな国旗が上がる、国歌が斉唱される。わが日本の場合におきましては君が代と日の丸ですよ。これは素直に国民が、これを国旗、国歌として受け入れておるのじゃないでしょうか。(拍手)私は、これに異を唱えるということはどうかと思うのでございますがね。これはぜひひとつ御理解と御協力を賜りたいとお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(櫻内義雄君) 地価の上昇について御心配をいただきましたが、先ほど総理の方から詳細お答えがございました。私も、御指摘のように、七割からの公共事業の遂行に当たるのでありまするから、この点については細心の注意を払っております。調べましたところ、五十三年に実施をいたします建設省所管の事業の大半の用地は先行取得で用意されておるのであります。それからまた、この際ぜひ用地を買ってくれという希望の向きも相当ございます。したがって、高いものを持ち込まれても、それには目もくれずにやろうと、こういう決意をいたしておるわけであります。全国の九地建におきまして連絡会議を設けて、用地の問題あるいは資材の問題などにつきまして横の連絡をとりながら、公共事業遂行に万全を尽くす考えでございます。
 それから、私の両省庁兼務につきましては、ただいま総理からお話がございました。その旨を受けて当たっておるわけでございます。国土庁における調整や立案や、あるいは災害等の仕事につきまして、私は最善の努力をいたしております。また同時に、建設省の業務執行の上に、これまた一生懸命やっておる次第でございまして、この上とも皆様の御協力、御鞭撻のほどを心からお願いをするものでございます。(拍手)
   〔国務大臣加藤武徳君登壇、拍手〕
○国務大臣(加藤武徳君) 野口議員の私への質問は二点でございましたが、その第一点は、公共事業の促進と関連いたす問題でございました。公共事業の推進は、中央と地方を通じます当面の重要な政策課題と心得まして、積極的に公共団体にも要請をいたしておるところでございます。そこで、財源として充当いたします起債につきまして格別の御心配の御発言でございました。私どもも、他の事業に支障があってはならぬし、また、後年度に負担を残してはならないのでありますから、地方財政計画等におきまして格別の配意をいたしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
 第二点は、米の生産調整と関連をいたしまして、生産調整は行政指導によって行われていると、かように判断をいたしておるのでありまして、地方自治法と直接の関連はないものと考えておるのでございます。
 ところで、当年度におきまして予定面積が未達成でありました場合に、翌年度にその量を上積みすることがあり得るような考え方の先般の閣議決定でございました。これをあるいは罰則と、かように御表現なすったのではないかと思うのでありますけれども、これは罰則と言い得る性格のものではないと、かように判断をいたしている次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣中川一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(中川一郎君) 総理より基本的な農政に取り組む姿勢についてお話がありました。
 そこで、関連をいたしまして、水田利用再編成対策等に対する質問についてお答えいたしたいと存じます。
 まず、米の消費拡大でございますが、このことについていろいろと御指摘がございましたが、政府といたしましても、最善の努力を払いまして消費拡大に努めておるところでございます。学校給食についても、やはり学校給食会等の御協力なくしてできないところでございまして、これらも最善を尽くして努力してまいります。また、米の新規用途の開発についても、先般、パンや麦に二%強制混入をするということで、消費者の皆さんから、あるいはメーカーの皆さんから反発を食ったのでございますが、私どもといたしましては、消費者やメーカーが反対するようなことについてやろうとは思っておりません。もし御納得いただける、たとえば玄米パンのような、消費者の中からもあれはいいなというようなものが出てくればやろうということではありますが、それほど最善の努力をいたしており、政府にも啓蒙宣伝費等を計上いたしまして、各般の施策を講じておるところでございます。
 そこで、昨日もお願いをしたのでありますが、やはり古来固有の伝統である米を消費者の皆さんもひとつ理解をしていただいて、少々奮発していただくならば、これは過剰米という非常な異常な事態が解消するわけでございますので、政府としても、私自身としても、米なり、また、米を原料とする酒というものを見直さなければならぬのではないか、こう思っておるところでございまして、国家的な仕事でございますので、国民消費者各位の一層の御協力をお願いする次第でございます。
 次に、麦対策でございますが、麦の裏作がなくなったことは事実でございます。そこで、麦の自給率を高める――いま非常に少のうございますので、まず五十二年産麦について、麦価を決定いたします際、生産奨励金を麦価に入れまして、かなり大幅にこれを引き上げて、そして、パリティで計算をすると、こういう仕組みにいたしましたし、それに水田裏作奨励金等足しますならば、対米価約七〇%に近いものになるのではないかと思っておりますが、さらに麦の生産対策については最善を尽くしてまいりたいと存じます。
 また、生産調整に関連をいたします通年施行でございますが、これは農業基盤がよくなるばかりじゃなくて、労務費が比率が高い、あるいは全国にこれがわたっておる、あるいはさらに中小企業の業界に恩恵が一番大きいということでございますので、これも一層の拡大を図ることとして予算も計上いたしておるところでございます。
 次に、水田利用再編対策のやり方についてでございますが、法的根拠はいかんということでございますが、これは法律よりはむしろ、団体あるいは農家の皆さん、地方公共団体等の理解と協力でやることがいいのであって、法律でこれを締めるということはいかがかと、こう思っております。なお、従来もこの方法でやってまいりましてまあまあの成果を上げておるところで、御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
 なお、農業基本法に違反するではないかというのでありますが、農業基本法第二条第一項についても「需要が減少する農産物の生産の転換」ということをうたってございますので、この考え方に従いまして、所要の財政措置を講じつつ、いま申し上げましたように、農家あるいは団体の協力を得ながら実施してまいりたいということでございます。
 なお、買い入れ制限は食管法違反ではないかということでございますが、これも第三条で、必要ある数量について国が買い入れをし、これを配給をするという仕組みになっておりますので、食管法違反とは思わないのでございます。
 なお、罰則につきまして、先ほど自治大臣からも答弁があったとおりでございます。当年できなかった分は翌年にやっていただくというのは公平を確保するための最小限度の措置でございまして、決して罰則というようなものではない、これを円滑に実施するための最小限度の措置であることを申し上げて御理解をいただき、この上とも何かと御支援をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣砂田重民君登壇、拍手〕
○国務大臣(砂田重民君) 総理の御答弁を補足して野口先生にお答えをいたします。
 学校の校長の学校管理というものは、どこまでも子供たちのための学校管理でなければならないという御指摘でございます。そのとおりでございます。私は、校長が学校の管理を円滑に機能的に進めますのは、それは文部省のためではなくて子供たちのためであるということに全く同感の意を表しておきたいと思います。
 主任等の問題につきましては、この制度化は決して学校の管理面のことを考えての制度化ではございません。この制度化によりまして教育指導面の一層の充実を図りたい、これが私どもの真意でございます。管理強化を図ることでは毛頭ありませんことを、今後も、したがってこの点の御理解をいただく努力を続けまして、この制度の円滑な定着化に指導してまいりたい、かように考えるものでございます。文部省が教育を管理支配しているというお言葉がございましたけれども、教育というものはいかなる権力といえどもこれを支配してはならないことは教育基本法で明確でございます。文部省もとよりでございます。
 教職員の定数のことについて御指摘がございました。御承知のように、昭和四十九年度を初年度といたしまして第四次の定数改善の五カ年計画が五十三年度に完了いたすことになりまして、若干おくれおくれではございましたけれども、五十三年度で完全にこれを終了いたすことに五十三年度予算で計上をいたしておりますことをお答えいたしておきます。
 教育委員の任命制あるいは公選というふうな御意見があったわけでございますけれども、地方教育行政の組織及び運営に関する法律は、教育行政の政治的中立を確保するために教育委員の任命制を採用しているのでございます。このレーメンコントロールというやり方につきまして、きわめて民主的な手続であるということを確信をいたしておるものでございます。
 幼児教育の重要性のことについて野口先生から御指摘がございましたけれども、文部省といたしましては、その重要性につきましては同じような関心を持つものでございまして、国民の強い要望にかんがみまして、昭和四十七年から幼稚園教育の振興計画を策定をいたしまして、五十七年を目指してやっておりますところでございます。幼稚園への入園を希望いたしますすべての四歳児、五歳児を就園させることを目標にいたしまして、公私立を通じて幼稚園教育の普及整備を進めてまいったところでございますけれども、この計画はきわめて順調に進んでまいりまして、当初の計画どおりに、四歳児、五歳児の就園児童がふえてまいっておりますことをお答えをいたしておきますが、これらの施策を通じまして、なお一層幼児教育の充実向上に努力をしてまいる所存でございます。
 新教育課程のことで御発言がございました。今回の改定は、学校教育の現状が知識の伝達に偏っている、児童生徒の調和のとれた発達がおろそかになっている傾向もあるという教育関係者の大方の御意見があったわけでございます。そこで、教育内容を精選をいたしまして、学校の先生方の創意工夫をそこに生かして、ゆとりのある中で、知徳・体の基礎を、そしてまた基本を確実に身につけさせるようにすることを目指しましたことが主な眼目でございます。御理解をいただきたいと思います。
 「君が代」につきましては、総理から御発言があったところでございますが、私からも御理解と御協力をお願いを申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(加瀬完君) 小山一平君。
   〔小山一平君登壇、拍手〕
○小山一平君 私は、日本社会党を代表し、ますます深刻な財政危機に陥り、国民生活や福祉に暗影を投げかけている地方財政の諸問題を初め、戦後三十年、国民の努力によって築かれてきた地方自治と政府の五十三年度予算案との関連における諸問題を中心にいたしまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 総理は、戦後三十余年、わが国は目覚ましい経済発展を遂げてきたが、その反面、物心両面にわたって社会に若干のゆがみを招いたと述べられましたが、私は、若干ではなく、数々の深刻なゆがみと困難な後遺症を残したと思います。そして、高度成長の破綻と、かつてない経済危機、社会危機の到来によりまして、旧来の価値観から脱却し、新たな価値観と政治原理の創造が求められております。経済的には、大企業中心の高度成長政策から福祉優先の低成長政策へ、社会的には、没個性、没連帯社会から個性豊かな自主的、自立的連帯による共同社会への転換が強く求められております。こうした中で、政府は、昭和四十八年度にはこの年を福祉元年と位置づけたのであります。この初心は尊重し、貫かれなければなりません。
 総理が、「広く地域住民の創造的な参加と連帯を求め、環境を保全し、地域的特性を生かしつつ、歴史と伝統文化に根差した豊かな居住圏を生み出してまいりたい」と述べられたのは、わが国が今日緊急に築き上げなければならない国の基礎としての地域社会の望ましいあり方でありまして、評価をいたします。
 政府の五十三年度予算案は、景気対策の政策目標といたしまして、公共事業最重点の超大型予算でありますが、社会福祉を停滞させております。高度成長時代の発想と政策の域を脱しておりません。生活環境整備が軽視されております。総理の言う望ましい居住圏を生み出すことを目指す内容にも欠けていると思います。総理が演説で美辞麗句を並べても、政府が自治体に対して下請機関のように考え、号令をかけましても、望ましい地域社会は実現できないのであります。それをなし得るものは、地域住民の参加と連帯に支えられた、健全にして民主的な地方自治の自発性と創造性に基づく努力以外にはないのであります。総理はよく、国と地方は車の両輪であると強調され、最近では、景気回復政策を実施するに当たりまして自治体の協力を求めておりますが、自治体が総理の期待にこたえ得るためにも、総理の描く望ましい地域社会を生み出すためにも、地方行財政に対して抜本的対策を講じ、地方自治の確立を前提にしなければならないことを認識していただかなければだめであります。
 遺憾なことは、戦後三十年の間に、地方自治の確立とは反対に、中央集権化が進んでまいりました。地方団体は国の下請機関化の傾向を深めております。中央集権ではなく、地方分権を政治原理として、これに基づく制度改革が必要であることを強調いたしたいのであります。
 憲法第九十二条「地方自治の本旨」を具体的に生かすためにシャウプ勧告が出されたのは昭和二十四年であります。これを受けて、地方行政調査委員会議が、神戸勧告とも言われている画期的な、国と地方間の事務及び財源配分などに提言をいたしております。これは、地方自治の確立と中央集権的官僚機構を民主化するための行政改革の提言でございますが、この勧告は今日まで無視され、行政改革は前進をしていないばかりか、中央集権的官僚機構はますます強大になってまいりました。すでに三十年近い歳月を経た現在もなお、この勧告の内容は新鮮さを失っておりません。その識見と先見性が高く評価をされているのも、そのためであります。私は、総理が本当に地方分権の理念に基づいて地方自治の確立と発展を考えておられるのかどうか、疑問に思います。所信をお聞かせ願いたいと思います。さらに、シャウプ勧告、神戸勧告についてどう認識しておられますか。今日改めてこの勧告を尊重して行政改革を行うことを明らかにしていただきたいのであります。
 福田内閣の誕生以来最重点課題の一つに取り上げ、五十二年八月中に結論を出すとして高らかに唱えてきた行政改革は、ようやく十二月発表にこぎつけましたが、一部評価すべき点もなしとはいたしませんが、官僚出身の福田総理の行政改革に対して、国民は大きな期待を持って注目していたのでありますが、私は、そして国民は、大山鳴動してネズミ一匹という結果に終わったと評価をいたしております。行政改革の歴史は、今日までほとんど失敗の歴史でございました。各省庁の官僚と、それを応援する与党議員の強い抵抗によって挫折を招くのが常であります。総理の熱意や荒舩行管庁長官のたくましい実行力をもっていたしましても、この強大な官僚機構の壁は破ることができないことを、はっきりと見せつけられたように思います。
 民間では、不況の長期化によって、首切り、倒産、失業など、悪戦苦闘を続けておりますが、官庁は親方日の丸、人員整理も倒産もありません。そして、赤字で困るから増税だと言うのであれば、「民間地獄」、「官庁天国」などという言葉が生まれるのもゆえなしと言えないのであります。巨大化し、ふくれ上がった行政機構や特殊法人の整理統合、補助金の整理、複雑にして非能率の許認可事務の簡素化など、税金の効率化、行政事務の能率化、むだ遣いの排除のためにみずから範を示すべき官庁が、その権限、なわ張り、特権を守るために官僚機構の総力を挙げて行政改革に抵抗するのが常であります。
 行政改革の中に、たびたび論議されてきた地方事務官の問題があります。本来地方公務員であるべき一部職員が、地方自治法附則八条の「当分の間、これを官吏とする」。という一文によって、三十年もの長い間地方事務官という変則的な身分のまま放置されてきたことは皆様も御承知のとおりであります。総理自身、かつて行政管理庁長官であったとき、地方事務官制度の処理ができないようでは行政改革などできるはずがないと言われた問題であります。昨年末発表された第二次行政改革方針によれば、運輸省所管の地方事務官については国家公務員とすることとし、他については今後の問題として残されることになったのはまことに心外であります。
 私が問題にいたしますのは、地方事務官そのもののことよりも、その処理に当たって、背後にあって抵抗する官僚機構の存在であります。
 政府機関である臨時行政調査会の三十九年の答申、四十年の地方制度調査会答申、四十一年の行政監理委員会答申などにおいて、地方事務官制度を廃止し、地方公務員とするということが再三にわたって勧告されているではありませんか。全国知事会も再三同様の要望を出しております。さらに、四十九年五月には、衆参両院の地方行政委員会が全会一致をもって「五十一年三月三十一日を目途に地方公務員とするよう努める。」との附帯決議を行い、政府もこの決議を尊重して努力することを約束しておる経過を忘れてはなりません。政府機関である各種調査会の答申は、都合のよいときは隠れみのとしてこれを利用し、地方事務官問題のように省庁の権限の移譲、縮小にかかわれば、政府機関の答申も、国会決議も眼中に置くことなく、既得権限の温存、なわ張り防衛に狂奔し、力で押し通す横暴ぶりは、民主主義を否定するファッショ的行為と言えると思います。わが国の官僚が行政能力や政策立案能力を持ち、有能であることは定評がございます。私も高く評価をいたしております。しかし、機構と権限が強大になり過ぎ、驚くほどの影響力を持って、無法も横暴もまかり通すという現状は尋常ではありません。昨年、わが党の調査によって問題となった、建設省を初めとする会計検査院に対する過剰接待も、決して偶発事件ではないのであります。日常お互いに手厚い接待を受けていることが習慣化している体質に由来するものでありまして、彼らが罪の意識などあろうはずはなく、したがって、責任問題をいいかげんにして処理をするということになるのであります。
 官僚機構の思い上がり、そして行き過ぎは、公社、公団、特殊法人など天下り機関を乱造し、高給と巨額な退職金をむさぼり、行政改革ともなれば霞が関総抵抗で権益を死守する。これでは、国民にとってがまんのならないことであって、政治不信はつのるばかりであります。これをチェックすべき政権政党が、強大化した官僚勢力と癒着をいたしまして、支配されるに至ったことが今日的状況を許す一因でもあると思うのであります。私は、福田総理を初め、有能な人たちが官界から政界に入って国家のために活躍されていることは結構なことだと思います。しかし、官僚機構と癒着をして、政党の任務がゆがめられ、官僚の行き過ぎを許すことの弊害を指摘をいたしたいのであります。
 われわれは、強大になった軍閥が政治まで支配して国を誤った苦い経験を持っております。私は、官僚機構がさらにますます強大になってまいりますと、わが国の将来に災いをもたらすおそれさえあると考えるのであります。これらの問題をどう考えておられますか。また、行政改革に対するあの激しい官僚の抵抗をどのように受けとめていらっしゃいますか、地方事務官問題及び行政改革の結果についてどのような見解をお持ちですか、総理及び行政管理庁長官から率直な御所見を承りたいと思います。次に、昭和五十三年度地方財政対策及び公共事業にかかわる問題についてお尋ねいたします。
 五十年度以来、地方財政は毎年度二兆円以上の財源不足に陥っているにもかかわらず、地方交付税制度を初め、財政制度の改革は一切行われることなく、自主財源、一般財源の配慮がないまま、すべて借金政策によって糊塗されてまいりました。このような地方財政対策の結果、地方財政はいまや国家地方予算とも言うべき実態であります。この借金政策によって破産寸前の地方財政を支えてきたことは確かでありますが、地方財政は自主性と弾力性を全く失うに至りました。
 政府の五十三年度予算は、景気回復、七%成長を政策目標とした超大型予算であり、特に公共事業を最重点として、自治体に対して洪水のような補助金をつけ、裏負担には高率の地方債を認め、予算の完全消化、事業の完全実施を督励いたしておりますが、公共事業の七割をも受け持たなければならない自治体が、果たして財政的に十分対応できるとお考えでありますか。いま自治体は、この問題について戸惑いとともに冷ややかに受けとめているようであります。
 その原因は、第一に、地方財政がこの公共事業に対応できる見通しが立たないこと、第二に、事業が自発性を欠いて天下りであること、第三に、技術者など執行態勢に不安があること、第四に、倒産寸前の中小企業や作付調整に直面する農業を抱え、勤労者の雇用、賃上げなどの見通しの暗さに加え、福祉政策の停滞など厳しい環境下にありまして、一部建設業者が公共事業で潤うことがあっても、地方から見て、景気回復が期待できないと、はだで感じているからであります。
 そうは言っても、地方自治体も国の景気政策に協力しなければならないのでありますから、国は、地方に対する十分な財源対策を講ずるとともに、地方の自発性を喚起することができるよう努力する必要があると考えられます。
 公共事業も、高度成長、列島改造時代には産業基盤整備重点でありました。いまや国民生活環境の整備充実に重点を置くよう強く求められておりますが、私は、政府の政策にこのように転換がなされたとは考えられないのであります。自治体や住民が最も熱望をしている学校、病院、上下水道、福祉施設などを優先すべきであります。これらの事業は市町村にかかわるものが多いのでありますが、政府はこれらの事業を今後優先する考えがありますか。
 自治体がこれら事業を進める上で困難な条件をたくさん抱えております。
 まず、これら事業にはいずれも超過負担と関連単独事業を伴うのが通例でありますから、地方財政が弾力性を欠いた現状では、完全な超過負担の解消と、関連単独事業に対する財政措置が必要なのであります。
 また、上下水道事業などに問題があります。特に下水道は普及率わずかに二〇%でありまして、全国都市の中で下水道事業に全く手のつかない都市が大部分を占めているのが現状であります。したがって、ぜひ下水道事業を実施したいと考えているのでありますが、この事業実施は容易ではないのであります。ことしは、継続事業は別といたしまして、新規に事業を起こすとなれば、事業計画の樹立、設計に長期間を要しますので、ことし計画して、ことし間に合う事業ではありません。年次別実行計画など中期的見通しを示して事業計画を指導することが急務であり、さらに、この事業に多い関連単独事業、そのための財政負担、この問題があります。政府が本当に地域住民が最も希望する生活環境の整備充実に重点を置かれるとおっしゃるならば、ただいま申し上げたような問題については直ちに対処すべきでありましょう。
 私は、この際、次のことを提起をしたいのであります。それは、本年を全国の中小学校の老朽校舎解消の年として、あり余る公共事業予算を老朽校舎改築に集中することであります。全国いずれの市町村にも小中学校がございます。いずれの市町村にも老朽校舎があって困り抜いております。老朽校舎の改築は、市町村にとっても住民にとっても年来の宿願となっております。これには、第一、土地買収の必要がありません。政府が私の提案を受け入れて、全国で、あの市もこの町も村もと一斉に懸案の老朽校舎改築工事が始まれば、全国民は拍手をもって歓迎し、善政ここにありと感謝されるでありましょう。しかも、この事業は、新幹線、高速道路、本四架橋などのように特定地域や特定業者に偏ることなく、日本全国に事業の配分ができ、景気対策として最高の効果があることは間違いがないのであります。(拍手)予算の構成がそうなっていないから困難だとおっしゃるかもしれませんが、私は英断をもって実行できる方策を樹立すべきだと思います。そういたしますと、人気が余り芳しくない福田総理の人気が俄然高まることは間違いないのであります。(拍手)文部大臣も名大臣として後世に名を残すことになるほどの事業であります。総理及び文部大臣の所見をお聞かせ願いたいのであります。
 次に、巨額の公共事業を実施するに当たって予想される問題点についてお伺いいたします。
 土地買収、物件補償を伴う事業もかなりあると思いますが、ことし公共事業を遂行をするために無理して進めなければならない事業もあると思いますが、不当な土地価格、不当な物件補償にもやむなく応じることを余儀なくされることはないでありましょうか。
 技術者、労働者の確保はもとより、セメント、木材、骨材などの資材の確保、値上がりなどの心配がないとおっしゃいますが、私はあると思います。地域によっては、すでに骨材の不足が顕著になっているところもあります。これらの対策はどう講じられておりますか。
 また、住宅金融公庫の融資枠を五十五万戸に拡大し、貸付限度額を増額する等の措置がとられることになりましたが、いま住宅を建てる最大の悩みは、土地が高いことであります。入手がきわめて困難であることであります。さらに、一般勤労者は、住宅は建てたいが、その借金返済のため長年にわたって最低の貧乏生活を覚悟しなければならず、この不況の長期化の中で決断することは並み並みならないことなのであります。計画倒れに終わることはありませんか。どのような見通しを持っておられますか。
 土地税制の緩和は、土地投機に失敗をし、利用できない土地と借金を抱え込んだ法人企業の救済ではないかという批判がございます。土地税制の緩和によって、私は、逆に土地価格が値上がりをしたり、再び土地成金ができたり、宅地のスプロール化を生むのではないかと心配をいたします。宅地のスプロール化は、地方団体が環境整備のために迷惑をこうむり、頭を痛める問題であります。これらの問題点に対して、どのような対策をもって臨むのでありますか。自民党政府は、今日まで基本的な土地政策を怠ってまいりました。野放しにしてまいりました。その結果、経済的にも社会的にも土地問題は怪物的存在となっています。いまや抜本的土地政策が必要だと思いますが、これに対する御見解を承りたいと思います。
 次に、五十三年度地方財政の財源不足の算定の根拠、地方交付税制度、地方税制、公営企業金融公庫などの問題についてお伺いいたします。
 政府は、五十三年度地方財政の財源不足額を三兆五百億といたしましたが、この三兆五百億円はどのような根拠によって算定されたのでありますか。地方財政は、人口規模、立地条件、産業構造など、すべて異なる全国三千三百余の自治体で成り立っております。また、地方行政は住民の日常生活に深くかかわっておりますために、景気の動向によって財政支出を操作することはきわめて困難であり、国の景気対策と足並みをそろえることが困難な構造となっております。したがって、個々の自治体が算定する不足額と政府の算定する不足額との間には大きな乖離があるのであります。大蔵、自治両省の取引によって不足額が決定され、それによって自治省の手で地方財政計画が策定されるのでありますから、外から見て不透明であるのは当然であります。政府は、この財源不足額算定の根拠を明らかにするとともに、今後は、国、都道府県、市町村の共同作業によって地方財政計画の策定に当たるという民主的協力関係を打ち立てることが有益と考えますが、政府の見解はいかがであります。
 次に、地方交付税制度と国債発行下の臨時地方財政調整制度の創設について聞きたいのであります。
 三兆五百億円の地方財源不足額補てんに当たりまして、政府は、交付税特別会計に一兆五千五百億円の借り入れを行い、五十年、五十一年度の借り入れを含め、五十三年度以降の償還額の二分の一を負担することを法定化して、地方交付税法の規定にかなう措置がとられたと考えているようでありますが、私は、地方交付税法の規定に従いまして地方交付税率の引き上げを行うべきが至当と考えます。今回の措置は、国、自治体間の最も基本的な財政制度である地方交付税制度を空洞化するものであります。自治省は、五十三年度には交付税率を引き上げるべきだと考えていたのではなかったんですか。今回のような手段によって、基本的な法律と制度の趣旨を逸脱し、またまた「当分の間」などという文言によってその場をしのぎ、これを固定化するという悪例は私たちは経験済みでありますから、この措置は、将来まで災いの種になることを憂慮するのでありますが、自治省はその心配は全くないと断言することができますか、自治大臣の責任ある答弁を求めたいのであります。
 政府は、多額な国債に依存する国家財政の異常な現状のもとでは、地方交付税率の引き上げはできないと強調されております。しかし、十一兆円もの国債を発行し、公共事業の大盤振る舞いを図り、地方財政に巨額の支出を余儀なくさせ、景気回復政策に協力を求めることも、これも異常な状況ではないですか。
 建設国債の一定額を交付税の算定基礎となっている三税に加えるべきだという意見はかねてからありました。一部では理のある意見と評価をされてまいりました。私は、自治体が固有の事業を犠牲にして国の景気政策に協力するのでありますから、特別の財政措置を講ずるのは国の責任であると思うのであります。この際、建設国債の一定額に相当する額を、臨時地方財政調整交付金として交付する制度を創設すべきだと考えます。
 次には、公営企業金融公庫の改組の問題であります。
 地方団体金融公庫に改組して、激増する地方債の円滑な消化と、低金利、良質な資金を確保できるようにしてほしいというのは、自治体年来の要望でございます。政府は、臨時地方道整備事業、臨時河川等整備事業、臨時高等学校整備事業を新たな融資対象とすることによって実質的な改組がなされたと強弁いたしております。そもそも、地方道、河川、高等学校などの整備事業は自治体固有の基本的事業であり、これら事業を臨時とする法的根拠を示していただきたいのであります。自治体の悲願とも言うべき公営企業金融公庫の改組問題をごまかしてはいけません。地方団体金融公庫として抜本的に改組し、その運営についても自治体代表が参加できるような民主的な措置を講ずべきだと思います。自治省は、かねてから、地方団体金融公庫に改組することに賛成のはずであったのではないですか。その実現に努力する姿勢を明らかにしていただきたいのであります。
 次は、企業課税と財政自主権問題についてであります。
 全国知事会が具体案をもって強く要望をしている法人事業税に対する外形標準課税の採用について、政府は、一般消費税の創設問題と絡ませてこれを見送り、わずかばかりの法人均等割の引き上げによってお茶を濁そうとしております。今日、地方税制の改革に強く求められていることは、低成長経済に対応した企業税制の確立であります。具体的には、自治体の行政サービスに対応した企業の応益課税の強化でありまして、法人事業税に対する外形標準課税の導入はその第一歩であります。
○副議長(加瀬完君) 小山君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
○小山一平君(続) はい。外形標準課税を見送った政府の態度は、地方税収入の安定確保よりも、まず企業収益を優先した結果だと言わざるを得ません。自治省はこの導入に積極的に取り組むべきだと思います。
 以上、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) まず、地方自治の理念について基本的な考え方を述べよ、こういうお話でございますが、地方自治は憲法に基づく民主政治の基盤であり、また、国と地方公共団体は車の両輪として国民の福祉の向上に努める必要があると、このような観点に立ちまして、地方公共団体が自主的で責任ある行政を執行することができるように十分に配慮してまいる、これが私の地方自治に対する基本的な考え方でございます。
 なお、シャウプ勧告後の地方行政調査委員会議勧告、俗に神戸勧告と言われますが、それをどういうふうに認識しておるかと、こういうお話でございます。シャウプ勧告並びにこれに基づく地方行政調査委員会議の行政事務再配分に関する勧告、これでは、行政事務配分について行政責任を明確化せよ、能率ある行政を行え、地方公共団体の任務を優先せしめよ、こういうこと、この三原則が示されておるのでございますが、戦後のわが国の地方行財政の指針となったものであって、今日においても高く評価されておるわけであります。ただ、さて現実がこの三原則のように動いておるかというと、現実とこの三原則、まだかなりの開きがある、さように思いますが、精力的にこの三原則をにらんで努力していくべき問題であると、かように考えております。
 また、中央の行政改革につきまして大変御不満が述べられました。私も、この今回の行政改革、これは中央省庁以外はかなりのことをやっておるんです。地方支分部局約一千カ所の整理をやるわけです。国家公務員の定員削減、国家公務員の定年制の導入、それから特殊法人の整理合理化、それから特殊法人の役員の給与の抑制、それから退職金、つまり渡り鳥問題、この退職金の二割カット、それから許認可事務千二百四十件の整理、それから、いまお話がありましたが、地方事務官問題ですね、これも二十数年来の懸案でございますが、今度初めてとにかく手をつける。一挙に全部というわけにはまいりませんけれども、今国会には運輸省関係の部分を御提案申し上げる、あとの部分は二年をかけて整理をすると、こういうふうに方針を決めておりますので、かなりの改革となるものと思います。そして、これらの実行に要する法律案は逐次提案をいたしたいと、こういうふうに考えておりますが、ぜひとも協力のほどをお願い申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
 中央省庁につきましては、その改革の考え方がまだ決まらぬ前にいろいろ新聞社なんかの報道をされたことがあるんです。それを受けまして、官庁間でかなりの動揺というか、またそれを阻止するための動きというか、そういうことがあったわけでございます。これはどういうふうに中央官庁問題をするかということは、私もずいぶん考えてみたんです。しかし、時あたかも、いま政府は全力を挙げて景気問題に取り組んでおる、そういうときに、やや長きにわたって不安動揺というものが起こるということもいかがであろうかと、こういうふうに考えまして、今回は、中央官庁につきまして、その統合等について大規模な改革というものを見送りにいたしたわけでありますが、これで、中央官庁の整理統合問題、これをやめにしたというわけじゃないんです。しばしば申し上げておるとおり、行政改革の問題は、これは中央ばかりじゃありません。その他の部面も含めまして粘り強く取り組んでいくと、こういう考え方でございます。
 それから、景気対策の円滑な実施のために地方団体が重要な役割りを演ずる、そのための財源、財政対策に万全を期せと、こういうお話でございますが、それはもう、もちろんでございます。地方団体の協力なしに今回の景気対策はやってのけることはできません。そこで、地方財政につきましては、公共事業等円滑実施の可能なように、交付税、地方債の必要額を、これを確保する、また、地方債資金対策といたしましての政府資金の大幅な増額、さらに公営公庫の機能を拡充するというようなことをいたしております。地方当局におきましても、かなりこのとられた措置につきましては評価をいたしておるということを申し添えておきます。
 なお、超過負担の問題があるわけでありますが、これにつきましては、国庫補助負担金の単価の改善をいたします。また、面積基準等の補助基準の改善をいたす、そういうことで対処いたしてまいるわけであります。
 また、景気対策の一環といたしまして、地方単独事業、これを地方に期待をいたしておるわけでありますが、そのための地方債の大幅な増額となるわけでありますが、これも必要に応じて政府におきましても助成というか、あっせん等をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
 また、公共投資につきましては、産業基盤中心でなく、生活関連中心というお話、強調されましたが、これはもうしばしば申し上げておるとおり、そのとおりにいたしておるわけでありまして、ことに中小学校の危険校舎改築ですね、こういうものはこの際一掃した方がいいんです、これは。そこで、文部省でもずいぶん努力をいたしまして、その候補者探しにずいぶん努めたわけでございますが、とにかく、今回、予算といたしましてはいままでの額の八一%も増額すると、こういうことで老朽校舎の全面解消、これに大きく一歩を踏み出したと、こういうことを申し上げることができると、かように存ずる次第でございます。
 他の問題につきましては関係大臣からお答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣荒舩清十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(荒舩清十郎君) 小山さんにお答えいたします。
 御質問の趣旨、全くそのとおりであります。現下の厳しい社会情勢におきましては、行政改革を断行する、福田内閣の一つの重要柱であると、そういう認識を持ちまして、昨年の暮れの閣議で思い切った構造を改革をすると、こういうことに決めたわけでございます。
 総理から詳しい説明がございましたが、そこで、中央におきまして五十一の課を廃止すると、こういうことから始めまして、地方の出先で約千カ所を整理をいたします。なお、国家公務員につきましても四年間、ですから、今後三年間において二万八千人の削減をすることに決定をいたしました。
 なおまた、定年制の導入、これはまあ中央ばかしでなく、地方の市町村でも非常にこの定年制の問題は大変なことでございまして、過去において三回法律案を出しましたが、なかなか通過できなかったわけでございますが、中央でまあひとつ範を、中央で、右へならえというようなかっこうで、ひとつやってみたいと考えております。
 なお、特殊法人は国家公務員より人員が多いのでありまして、九十三万八千人もおります。したがいまして、特殊法人の整理合理化というような問題は大変な問題でございます。そこで、二十一法人を対象にいたしまして目下合理化を進めております。すでに三法人は廃止と決定をいたしましたが、なおひとつ、この特殊法人に対しましては思い切った処置をとることを考えております。
 なお、特殊法人の役員の給与の問題、これも非常に高いものがございますので、思い切った処置をいたすことに決めました。総理からも御報告のあったとおりでございますが、なお、退職金の二割を削減するということに決定をいたしました。
 なお、審議会ですが、まあ審議会の合理化を図るというようなことも大変なことでございまして、目下四十八審議会を整理統合することに決定をしております。
 なお、補助金、総理からも報告がありましたが、五十三年度、ことしにおきまして、これは大蔵省所管でございますけれども、千億円以上の節約ができることになりました。
 なお、認可、許可というような問題の統合整理をいたします。千二百四十、これを廃止等することに決定をいたしました。
 なお、地方事務官の問題ですが、運輸省の陸運事務所を、これを、地方事務官制度の廃止をすることにいたしまして、約二千五百人を運輸省直轄といたします。
 こういうような問題がございますが、なお、中央省庁の統合につきましては、これからひとつ一生懸命、鋭意努力をいたしまして、合理的な案を立てていきたいと思いますが、どうぞ御協力を願いたいと思うわけでございます。
 行政改革というのは、まあ総論でありますと、みんなやれやれということで賛成でございます。これは国会議員の先生方全部そうでございます。なおまた役人も、総論では賛成ですが、なかなか各論にいたしますと、これを切っちゃいけない、これをやめちゃいけない、これをやっちゃいけないと、こういうことになる。これはなかなか大変なことで、これはもう非常な、ここに苦心がございます。しかし、やらなければならないことでございますから、鋭意努力を、思い切ったことをやりたいと考えておりますので、どうぞ御協力をお願い申し上げるわけでございます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣加藤武徳君登壇、拍手〕
○国務大臣(加藤武徳君) 小山議員の私への質問は八項目にわたっており、簡単な答弁でお許しをいただきたいのでございます。
 まず第一点は、地方財源不足額の算定根拠についてでございました。昭和五十三年度の地方財政計画を策定するに当たりまして、その収支の見通しを立てたのでございますけれども、御承知のように、歳入といたしましては地方税収や交付税交付金等がございますし、また、歳出面で大きなものは人件費やあるいは投資的な経費でございますが、さような収支を突き合わせてみまして、その結果といたしまして、三兆五百億円の不足が生ずると、かような算定であったのでございます。
 なお、地方財政計画の策定に当たりまして地方団体と共同作業を行ったらどうかと、かような御趣旨でございます。近い機会に五十三年度の地方財政計画を策定いたさなければならぬのでありますけれども、策定に当たりましては地方財政審議会の議を経て決定をいたすと、かような運びでございます。そして、この審議会には、地方公共団体から推薦をされた方が御一緒のこの会でございますから、直接三千数百の団体が関与いたす形ではないのでありますけれども、実質的には地方団体と一体となって策定をいたすと、かような実を上げ得ているものと、かように判断をいたしているのでございます。
 三番目は、交付税率の引き上げについてでございました。交付税率の三二%を引き上げますことは、オーソドックスな措置といたしまして当然私ども願望いたすところでございましたが、結果といたしましては、きわめて流動的な昨今の財政状況や、また国の財政事情も御承知のとおりでございまして、残念ながら断念せざるを得なかったのでございます。が、しかし、これにかわる措置といたしまして、先ほど具体的なお話がございましたように、交付税特会におきまして一兆五千五百億円の借り入れを行う、そして、この借り入れは五十年度にさかのぼりまして、その半額に相当いたしますものを国が補てんをいたす、かような処置がとられたことは御承知のとおりでございますし、なお一千五百億円の政府からの金と、さらに一兆三千五百億円の起債による充当、かようなことで三兆五百億円の形をつくったのでございます。
 そこで、かような制度は地方財政の基本を空洞化するものではないか、また、この変則が固定化す心配はないか、かような御指摘でございます。私どもは法律改正をお願いいたしたいのでございますけれども、しかし、当分の間かような措置をとってまいりたい、かようなことでございまして、恒久化の考え方はないのでございます。また、これが固定化してはならぬのでありまして、いつの時期にかは財政の好転があるでございましょう。また、行財政制度の根本的な改正ももくろんでいかなければならぬのでございますから、さようなことを頭に描きながら、当分の間はかような措置でいかざるを得ない、かように考えておる次第でございます。
 また、建設国債が発行されるに当たりまして、その一部を臨時財政調整交付金の制度を設けて、ここに一定割合を入れて地方に交付したらどうか、かような御提案でございました。なるほど考えられる一個の方法ではございましょうけれども、ただいま交付税特会がございますし、これによりまする処置の方が私どもベターだと、かように考えておるのでございます。
 それから、公営企業金融公庫を改組いたしまして、そして臨時三事業を普通会計債の対象にいたそうとしておりますことは御承知のとおりでございます。そこで、「臨時」がついておりますために、あたかも臨時の事業であるがごとき印象を与えがちなのでありますけれども、自治省といたしましては、地方財政計画の中に事業区分をいたしておりまして、積極的に当面行わなければならぬ事業を臨時事業と、かようにいたしておりまして、そして今回は河川と道路と高等学校と、この三者が対象になったのでございますから、まさに私どもの意を得たと、かような感を深ういたしておるところでございます。
 ところが、公庫の名称はよう変えなかったではないか、かような御提案でございました。現状におきましては、なおかつ公営企業が相当の比重を占めておりますために、理想といたしましては地方団体金融公庫と、かようにいたしたかったのでありますけれども、さような形は取り得なかったことは私ども心を残しておるところでございます。
 最後の御質問は、外形標準課税の導入でございました。私どもも早い機会に外形標準課税の導入をいたしたい、かような願望を持っておるのでありますけれども、五十三年度の税制改正には間に合わなかったのでございます。昨年十月に税調が中間答申を行っておるのでありますが、その中には、国税で予想される一般消費税との関連のことなども書いてあったようなことでございますけれども、私どもは、できるだけ早い機会に外形標準課税の導入をいたしたい、かような努力をいたしてまいるつもりでございます。
 以上をもってお答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣砂田重民君登壇、拍手〕
○国務大臣(砂田重民君) 道路がきれいに整備をされましたそばで、子供たちの学校、危険校舎が残っているようなことは許されるべきものではありません。そこで、小中学校の危険建物の改築に積極的に取り組んでまいりました。改築補助対象基準を大幅に緩和をいたしましたことと、さらに、従来多額の費用を市町村に負担をさせて調査をした上でなければ採択をいたしませんでした鉄筋の危険校舎も、五十年たちましたものは全面的にこれを採択をすることに改めまして、その結果、五十二年度末におきまして現存すると推定されます改築対象校で、設置者であります市町村が当面改築計画を有するもの、これをすべて昭和五十二年度第二次補正予算及び昭和五十三年度予算で解消することといたしました。面積にいたしますと二百三十五万平米になりまして、これは五十二年度当初予算に比べましてちょうど二倍の事業量になるわけでございます。これによりまして、老朽校舎の全面解消に大きく一歩を踏み出すことができました。従来、文部省は危険校舎を五年ごとに見直してまいりましたけれども、三カ年で一応の解消がやれる、そういう確信を持つことのできる補正予算であり、五十三年度予算を計上することができたわけでございます。
 ただ、これだけ事業量をふやすことでございますから、また市町村に超過負担の迷惑をかけるわけには絶対まいりません。そこで、地域の建築単価の実情を反映した補助単価を設定をいたしまして、単価面での超過負担が生ずるようなことのないように配慮をいたしますと同時に、建築面積につきましても、補助基準面積をおおむね一六%増加をいたしまして、実情に即した補助面積とこれでなるように措置ができたわけでございます。
 以上お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(櫻内義雄君) まず最初に、下水道について年次別の実行計画を立ててやるようにというお話でございました。これは、御承知のように、下水道整備五カ年計画がございまして、この計画を策定する折に地方公共団体ごとに事業計画を立てておりまするので、お話の実行計画を遂行するには支障がないと、こう思います。
 それから、大型予算に伴う用地あるいは資材についての御心配をちょうだいしたわけでございまするが、先ほどからお答え申し上げておりますように、建設省に対策本部を設け、地方ブロックに連絡会議を設けて、さような事態の起こらないように相努めておるのであります。御承知であろうと思いますが、昨年暮れまで資材関係はもうほとんどが全部不況カルテルを結んでおったのであります。そこへ、今度は公共事業が大幅にふえたんだということで、ここで価格を高騰させる、そういう不心得な者はないと信じておる次第でございます。
 それから、住宅金融公庫の五十五万戸についての土地問題を御質問でございました。これは、マンション、中古住宅、住宅改良等の戸数十九万戸を引きますと、個人住宅の建設は三十六万戸でございます。この三十六万戸を、従来の傾向から検討してまいりますると、建てかえのもの、それから土地手当て済みのものがございまして、おおよそ五万戸程度のものが用地の手配が必要なのではないか。これに対しましては、公的機関の宅地開発の推進、優良な民間宅地開発に対しましての政策金融をいたしてまいりたいと、こう思います。
 それから、土地重課税の緩和につきまして御心配をちょうだいいたしましたが、これは、あくまでも現行土地税制の枠組みはこれを守っていくのであります。どこが変わったかというと、適正利益率要件を適正価格要件に改めるという趣旨のものでございます。これは、言いかえますと、二七%以上の利益に対して重課税を課しておりますのを、国土利用計画法による公示価格制度がございますから、その公示価格制度の価格内で売るものについては緩和をしていこうと、こういう趣旨でありまするので、そう私は心配が起こるとは思っておりません。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(加瀬完君) 山田勇君。
   〔山田勇君登壇、拍手〕
○山田勇君 第二院クラブを代表いたしまして、総理の経済問題そのほか若干の質問をいたしますが、十分間という限られた時間でありますので、十分に御賢察の上、国民にわかりやすく御答弁をお願いするものであります。
 総理は、一年前、内外ともに経済の年であることを強調され、景気回復への早期てこ入れを公約されましたが、その施策は常に後手後手に回り、結果的には恐らく総理も予想もされなかった五十三年度大型予算を組まざることを得なくなったと思うのでありますが、この昨年の経済見通しの狂いを急激な円高のせいにして責任を回避することは許されません。今後国民の合意を求めたいと総理は申されていますが、誤りを誤りと認めるところから出発しなければ、国民の協力を得ることはむずかしいのではないでしょうか。
 昨年九月以降の急激な円高は果たして突発的で予想もされなかったものでしょうか。総理は、昨年五月、先進七カ国首脳会議において世界経済安定のための協力を誓い合ったのでありましょうが、どうも日本だけが約束を守らない、相変わらずワンサイドの輸出ラッシュを続け、経常収支の黒字減らしの努力を怠った、そこで各国からの非難が集中する、もちろん、アメリカが石油を備蓄するためにドルを野方図に支出し、ドル安に打つべき手を打たなかったこと、このことも大きな原因であるといたしましても、日本政府の煮え切らぬ態度がやはり急激な円高につながったのではないでしょうか。今後は、外国から反省を求められるまでもなく、積極的な改善策を適切に講ずることが世界経済の安定に役立ち、経済大国としてのわが国の責任を果たすことになると考えます。連帯と協調を国際間に求めるとすれば、これからは進んで日本の貿易立国の立場を明らかにし、世界に理解を求めるPR活動を積極的に推進しなければならないと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 ところで、経済大国とか、金持ち日本とか、諸外国から羨望の声をよく聞かされますが、一般国民にとって一体どこの国のことかと、そらぞらしい気持ちを抱く者が多いと思うのであります。不況、円高と続けば、たちまち中小企業の倒産が続出する、失業者はふえる、ベアは低額、また、マッチ箱のような住宅を手に入れるとローンの返済に生涯苦しめられる。分厚いビフテキはいまだに高級レストランの中――腹の中には入ってまいりません。ごみごみとした緑に乏しい環境、将来への生活不安、憂さ晴らしにカラオケで演歌でもうなるのが関の山。黒字黒字と世界じゅうから責められても、総理、本当に一体だれが金をもうけているのか不思議に思うのです。これが庶民の偽らぬ声ではないでしょうか。
 国民がいま一番望んでいるのは、景気が回復し、雇用が拡大して、生活が安定することです。自主的なものか、外圧によるものか、その議論は別といたしましても、とにかく七%の経済成長を目指した三十四兆二千九百五十億という大型予算であり、公共事業を大幅にふやし、内需の拡大によって景気を持ち上げようとするものです。ところが、その中身が問題であります。すでに論じ尽くされているところではありますが、道路や新幹線、本四連絡架橋など、高度成長時代の事業に重点を置いた重化学工業中心の内容であり、列島改造当時のあの乱開発を連想させるものがあります。
 この際、政府は、産業界優先の公共事業を捨てて、先進国の中で最もおくれている社会資本の充実に力点を置き、上下水道、公園、学校、病院、社会福祉施設など、地域住民に密着した事業を優先、拡充することが国民の要求に沿い、ひいては福祉の向上にも資することになると考えますが、総理の強いお考えをいただきたいと思います。
 高度成長時代においては、消費は美徳、使い捨てが要求され、石油パニックでは、地球の資源は有限、節約節約が求められ、さて現在は、不況、円高時代、ここでは国民消費の拡大が不況脱出の大きなかぎ、すなわち、もっと金を使え使えということでしょうが、国民は、実際のところ、どうしていいのか迷っています。不況で冷え切った国民の購買力は先行き不安で上向きません。ここはやはり、野党が一致して要求をいたしております所得減税、それも一兆円規模のものが速効あると考えるのですが、総理の前向きの決断を強く求めるものでありす。
 住宅建設を景気回復の大きな柱としていますが、土地対策を徹底せず、住宅金融公庫の融資枠をふやすだけで、果たして政府の目指す住宅建設は庶民の中に行き渡をものでしょうかどうか、御答弁をお願いいたします。
 また、社会保障関係の伸び率が予算の中で相対的に低いのも、近年福祉見直し論と相まって、社会的、経済的に恵まれない弱い立場の人々に大きな不安を与えています。政府が国民のためにどのような財政支出をするのか、単年度にこだわらず、中期的な展望を示すことによって理解を求めることが国民の将来に対する不安解消に役立つんではないのか。また、今年度の予算執行によって七%の成長が達成されたとき、国民にどのようなプラスの面が出てくるのか、はっきりと示してもらいたい。特に総理には具体的にこの例を挙げていただきたいと思います。
 先般、日米交渉で最後までもめていた農産物輸入枠拡大の問題も一応の決着を見ましたが、われわれ一般消費者は、安い牛肉、果物の輸入に大きな期待を寄せています。ただ、国内農業の保護、また食糧自給の関連もあり、簡単には安い牛肉が消費者の口に入りそうもありませんが、どのような方向でこの問題を処置しようと考えておられるのか。
 さて、先般総理府から「婦人の現状と施策」と題するいわゆる婦人白書が発表されましたが、これによりますと、法制上の男女平等はほぼ達成されておりますが、現実面では、まだまだ婦人の地位は低いところに抑えられております。いま雇用婦人労働者は一千二百万人を超え、雇用労働者の三人に一人は女性です。その六割以上が既婚者であり、中高年齢の職場進出が目立っています。その数の面から言えば国際水準に達していますが、平均賃金は男子の五八・三%であり、管理職的職業についている割合は五・六%と先進国の中ではかなり低く、今後は、いろんな分野への婦人の進出が差別されることなく、また、働くお母さんの保育施設についてもまだまだ質量ともに充実すべき点があることを挙げていますが、総理の御所見を伺います。
 最後にお尋ねをいたしますが、総理、あなたは政治の基本理念の第三点に、人づくりに力を尽くすと申されておりますが、私は、この人づくりについていささかの所見を述べ、また改めて総理の決意をお伺いするものであります。
 近年、教育改革の論議が盛んに行われておりますが、現実は、詰め込み主義、乱塾時代、受験地獄、学歴偏重など、まさに若者にとって息の詰まるような環境は一向に改まっていません。警官の女子大生殺し、また、昨年末東京で一日に三件も、若者が老人をなぐり倒して傷をつけ、金品を奪うという、人間の倫理からは遠く離れた事件が続発いたしました。教育の中で、いたわり、愛情といったものがどう扱われているのが考えさせられます。ある小児科の先生がこんなことを言っています。日本の母親は戦後子供を母乳で育てなくなった、ほとんどがミルクに変わってしまった、人間が一億七千万年前から続けてきたことを三十年前突然やめてしまった、赤ちゃんは母親のやさしいまなざし、やさしい声でかわいがられながらおっぱいを飲む、そこに人間としての最初の安定と満足を感じ、母親への愛着を覚え、そこから肉親、家族への愛情、さらに他人への愛といたわりと広がっていく、というんですが、確かに、乳児期における母親とのスキンシップは子供の将来の精神形成に大きな影響を与えるんではないかと思います。親と子の断絶がミルクとおっぱいの関係にまで立ち返らなければならないかどうかはわかりませんが、世の中から愛情とか思いやりの心がどんどんと失われていくのは悲しいことであります。
 教育面ばかりからではなく、政治の中に、人間を大切にする、弱い者を救ういたわりの施策がもっともっと盛り込まれてこそ、安定成長の福祉国家が生まれてくるんではないでしょうか。総理の御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、円高問題、ああいうことになって大変昨年の経済は混乱をしたが、その責任をどういうふうに感ずるかというお話でございますが、しばしば申し上げているとおり、世界の中ではわが国の経済は昨年はわりあいにうまくいった方なんです。しかし、予定のとおりはいかなかった。これは円高という問題、私ども予想をしなかったんですから。その予想せざる事態が起きてきた、そのことについては、予想をしなかった不明は、これはおわびしなきゃなりませんけれども、私どもその責任は、その不明をわびただけで尽きるものじゃありません。これによって日本経済の安定、これが一年ぐらいおくれた。そのおくれをどうしても、おくれた安定を五十三年というこの年に決着をつけなきゃならぬ、それが私は、私どもの責任である、このように考えておるわけであります。そういう立場から、ことしは何としても七%成長、これ、七%程度と言ってもいいわけですが、その成長の実現を期さなきゃなりませんが、それが達成されますと、やはり日本の経済全体としてこれが長いトンネルを抜け出るということにつながっていくわけです。そうして、わが国がこれからいわゆる安定成長社会、そこに入っていくという段階になるわけでございますが、そういう過程の七%程度の成長でございますが、これが達成できますれば、もちろんですよ、国民の所得、これは水準がそれだけ上がるわけです。また同時に、雇用も、これは大きな問題になっておりまするけれども、これも確保される、そういうような過程を経まして安定成長時代に入っていくし、同時に、このための手法として公共投資を盛んにしますものですから、われわれの生活並びにその周辺の施設がずいぶんおくれている、このおくれの取り戻しもこの際大いに進むと、こういうことになるわけであります。
 それから、公債依存度が三〇%を大幅に超えるわけでありますが、これは、これが超えたからといって、政府の基本的な経済に対する、あるいは財政に対する考え方を変えたわけじゃないんです。これはとにかく、円高という思わざる事態に臨みまして臨時異例の措置として、そういう大型公債発行という措置をとるということになったわけでありますが、山田さんから、この際一兆円所得減税をやったらどうだというお話もありますが、これについてはしばしば申し上げておるとおりであります。これはもう財政がこれを許せば、また、国民の負担が、負担というか、国民のこれからの先々の負担、つまり財政ですね、そういうものを考えるときに、どうしてもこの際、まあ減税というようなことはなかなかむずかしいんです。これはまあ、金があり、財政が許せば減税に越したことはありませんけれども、先々のことまで考えていくときには、なかなかこの際そういう踏ん切りはつきませんと、このことははっきり申し上げなけりゃならぬわけでございます。
 それから、安い農林物資の輸入、これは歓迎するが、しかし国内農業政策との調整をどうするのかと、こういうお話でございます。まあ、わが国として非常に大事な問題は、これはやっぱり農業を護持していかなけりゃならぬ、この問題であります。ただしかし、世界の自由貿易体制という角度から見まして、まあ日本の農家が忍び得るところは忍んでもらわなきゃならぬと、こういうふうに考えますが、まあとにかく、私どもは農家を維持、護持してまいる、そして、開放体制、そういうものをとっていきまするけれども、その間、農業はもとよりでございまするけれども、日本の国内の諸産業に不安動揺を与えないと、これを旨といたしまして国際社会に立ち臨んでいくという考えでございます。
 また、婦人問題に関しまして御提言がありましたが、御承知のように、国内行動計画、これが策定されておるわけでありまして、今後数年間の間には婦人問題は大いに進むと、こういうふうに思います。ことしの問題といたしましても、婦人の政策決定への参加、家庭における妻の働きの評価、そういう点でかなりの前進を見つつあるわけでございますが、国内行動計画に従いまして婦人問題は大いにこれを進めていくと、かような考えでございます。
 さらに、母親の子育てについての問題でございますが、まあ母乳育児、これで御指摘がありました。私も、これは大変大事な問題だと、こういうふうに考えます。この問題につきましては、最近の動きでございまするけれども、地方自治団体や、また関係団体の協力を得まして、母乳育児運動というのが展開されておる。政府におきましても大いにこれに協力してまいりたい、かように存ずる次第でございます。(拍手)
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○副議長(加瀬完君) 有田一寿君。
   〔有田一寿君登壇、拍手〕
○有田一寿君 私は、新自由クラブを代表し、教育問題にしぼって福田総理並びに関係各大臣にお尋ねし、同時に、二、三の提言を申し上げたいと思います。
 福田内閣は、内需の拡大と個人消費の刺激を大きな柱として不況からの脱出を図ろうとしておられます。いまや、消費は王様という風潮であります。これは先ほど山田議員も触れられましたように、これもまたわが国の経済を浮揚させるための必要な処方せんであると思っております。
 一方、物を大切にする、あるいは節約の習慣、そういうものは古くからわが国では美徳として国民生活に定着してきたものでございます。学校でもまた、そのように教えております。物質主義に流れず、国民の精神を健康に維持するためには、当然のことでありましょう。政治は、いまこそ、この一見矛盾する消費と節約とについて、丁寧に、しかしはっきりと説明をする時期が来たように判断をいたします。そうでなければ、家庭や学校で混乱が起こるようにわれわれは思うわけでございます。この点、最初に総理の御説明をいただきたいと思います。
 次に、総理は施政方針演説の中で、歴史と伝統文化に根差した豊かな居住圏を生み出していきたいと言われました。われわれ新自由クラブも一昨年来主張しているところでございまして、全くこの点同感であります。
 そこで、その具現化の一方策として一つの提案を申し上げたいと思います。
 新たに学校建築物を含む公共建築物を設置する場合には、その建築費の一%を別に加えて、芸術作品あるいは伝統文化財等を必ずそこに設置するという提案でございます。これができれば、有意義な公共投資になるだけではなく、十年、二十年たつ間には、そこに出入りする生徒、学童、父兄あるいは一般の人々の芸術的関心を高め、文化財に対する認識を深める上で大変いいのではないかと思う次第ですが、いかがでしょうか。これはフランスでも、アンドレ・マルローが文化大臣のときに法制化して、現在実行されておるわけでございます。フランスの場合も建築費の一%であります。五億の建築物ならば五百万円を別に加えるわけでありまして、わが国で年間五千億の予算ならば五十億、二%として百億円でございます。壁面あるいは天井あるいはロビーのコーナー等に伝統工芸品、絵画、彫刻、彫像等をはめ込み、あるいは設置するわけでございます。副次的利点としては、伝統工芸も脚光を浴び、後継者養成の問題にも希望が出てくるように思います。御研究の上、ぜひとも実現していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか、総理並びに文部大臣、並びに一番肝心な、文化的素養もおありの大蔵大臣のお考えを問いたいと思います。
 次に、麻薬、覚せい剤乱用から来る社会的害毒と学校教育との関連についてお伺いをいたします。
 これらの害毒は、一個人の健康上の害毒にとどまらず、社会秩序を乱したり、あるいは各種犯罪の要因ともなっているのが現状であります。特に、中学生、高校生の麻薬、覚せい剤にかかわる事件として家庭裁判所に送られました人数を調べてみますと、昭和四十七年以来毎年増加し、五十一年には、覚せい剤取締法関係だけで、中学、高校生及び十九歳未満の少年合わせて四百五十八名が送致されております。送致されない者を入れると楽に数千名に及ぶだろうとも言われております。
 覚せい剤は高価なため、少量を扱えば暴力団の資金源になるということで、不況とともにますます蔓延し始めております。また、新しい需要を開拓する必要から、若年層にその手を伸ばしておるのが現状であります。特に十九歳の少年が多いということは、大学浪人がねらわれておるということでもあります。おまえは去年落ちただろう、これを注射すれば頭がよくなるんだと言われれば、ついひっかかってしまう。一時頭がはっきりするので、物を覚えやすい、習慣性があるので、三回、四回と打つうちに薬から離れられなくなり、やがて幻覚症状を起こすようになります。これが犯罪につながるということであります。取り締まりも大切でありますけれども、学校教育の中の教科、特に保健、体育、理科で科学的にその害毒について教えておくことが必要だと思うのでございます。
 昨年の臨時国会における参議院文教委員会で、各党の御賛成のもとに決議が、これについては一応なされました。しかし、私は、この際さらに一歩を進めて、文部省、総理府、厚生省、警察庁等関係行政機関で協議機関をつくって、情報交換しながら、社会教育その他あらゆる機会を通じてこの害毒について周知徹底させ、生徒、学童を守っていくことを実行していただきたいと切に願うものであります。厚生大臣、文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
 次に、徳育の問題について総理並びに文部大臣にお尋ねをいたします。
 アメリカその他西欧諸国では、キリスト教というものがあって、この宗教倫理が家庭や社会に浸透いたしております。学校で道徳教育はやらなくても、教会や家庭がそれを行っておる。日本の場合はそれがありません。学校で道徳教育が必要なゆえんであります。
 社会主義国であれ、自由主義国であれ、人間が共同社会を形成して生きている限り、イデオロギー以前に、人間としての最小限の基本的ルール、エチケットが必要だと思うのであります。いわゆるモラルミニマムとも言うべきものであります。戦前においては縦の道徳が強調され過ぎたきらいがあります。戦後においては、反動的に、縦横のいずれの道徳もが無視されておると思います。宗教のないソ連、中国では、学校でしつけ教育を熱心に行っているのが現状であります。たとえば、ソ連の小学校の生徒守則の二、三を読んでみましても、「熱心に勉強しなさい。注意深く先生の説明を聞き、先生から与えられた課題は一生懸命一人でやり遂げ、授業中はりっぱに振る舞いましょう。」また、「年寄りに道と席を譲りましょう。父母、きょうだいの言うことを聞き、家事を手伝いましょう。友達と仲よくし、小さな子供のめんどうを見ましょう」等、九項目まであります。中国の守則も同様なことがたくさん書かれておりますけれども、一、二言えば、「校長や先生を尊敬すること。校外で校長や先生に会ったら礼をしましょう。」「友達と友愛団結し、互いに助け合うこと。」「父母を敬愛すること。自分でできることは自分でして、父母の手助けをすること」等、いずれも徳育に力を注いでいるわけでございます。徳育は、与えられた自由の大きさに比例して必要であると思うのであります。日教組がお手本にしているのではないかと言われております社会主義国でさえ真剣に徳育に取り組んでおる現在(拍手)その社会の発展のいかんは、一にかかって個人の徳性にあると言われるわが国のような自由主義社会においては、しつけに始まる徳育は絶対に必要であると思うのございます。指導要領に、なるほど道徳は盛られておりますけれども、これが十分に教えられておるとは国民はだれも思っておりません。
 そこで、道徳教育をどう考え、今後どう対処すべきか、生徒守則的なものをもし自主的につくるとすればどういうことが考えられるか等、これについての文教問題の――あるいは小さいとおっしゃらずに、福田総理並びに文部大臣の御所見を伺いたいのでございます。
 次に、高等学校の問題について一言お尋ねいたしますが、高校は、まず全入を考える、次に無償、次に義務制という順序で考えるべきだと思います。現在、学者の議論も、また教育現場の議論も、二つに分かれておるところでございます。すなわち、義務化せよという主張と、ついていけない者も三割ぐらいいるから入学者を制限すべきだという主張でございます。どちらの方針で教育政策をお進めになるのか。これは基本的な問題でございます。今後の新増設の国庫助成の問題とも関係してまいります。また、その金額にも関係してまいりますので、総理と文部大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 最後に申し上げて終わりたいと思いますが、この教育の基盤をなすものは、その国の歴史と風土と国家理想であります。
 戦後、アメリカ教育使節団の勧告によって日本の新しい教育制度が打ち立てられましたけれども、必ずしも日本の歴史と風土に根をおろしたものではなかった。そのゆえに、いまその矛盾がいろいろな面で露呈してきておる。制度、教育内容、教育財政全般にわたっています。特に、教育の平等ということが強調されてきた反面、生徒の個人差や特殊性に対する配慮は不十分でございます。平均児が理想になってまいりました。将来弱者の手を取って引き上げるべきいい意味の強者の育成について考えられていないことは、将来禍根を残すものではないかと思うわけでございます。
 ともあれ、政治と経済、伝統と風土、国民の未来への期待感等が教育の基盤を形づくっております。したがって、教育問題を論ずることは、同時に、人間、社会、歴史、政治、経済、宗教を論ずることでもあります。二十一世紀に向かって国際社会の中で尊敬と信頼をかち得る日本人の育成ということは、日本の将来を決する大命題であります。どうか、幅広い視野のもとに、福田総理も、経済と両面をにらみながら全力を傾注していただきたいと思います。教育改革の青写真をつくられて、内閣の運命をかけるぐらいの不退転の御決意で取り組んでいただきたいと強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 個人消費を刺激して内需の拡大を図る、こういう経済政策が必要であるが、しかし、物を大事にするという節約の習慣もまた大切だ、この両者はちょっと矛盾するような考え方なんだが、よく国民に説明して理解してもらわぬといかぬじゃないかと、こういう御趣旨の御提言でございます。私も、ときどきこの問題、混迷に陥ることがあるくらいのむずかしい問題でございます。しかし、よく考えますれば、物を大切にすることは、資源有限時代に入っておる今日、きわめて重要なことであり、また、これはもう物自体を大切にということばかりじゃなくて、森羅万象みんなを大事にするということにつながっていく、これは大事な人間倫理の一つであるというふうに見てもいいくらいの問題だと思うのです。しかし、そうしますと、この消費生活、消費を拡大するという景気政策とどういう関係になるか、これがむずかしい問題ですが、しかし、物を大事にするということは、これは、むだをなくし、物を有効にしようとすることであって、消費自体を切り詰めることじゃないんじゃないか、まあそういうふうな割り切り方をして国民に申し上げるほかないと思うのでありまするが、しかし、いずれにいたしましても、早く消費を拡大しなければならぬというような経済の過渡期、トンネルです。トンネルの中の問題です。早くトンネルを抜け出て、そうして物を大事にしましょうということがおおらかに言えるような時期を早く実現しなきゃならぬ、かように考えておる次第でございます。
 それから、今後新設される学校その他の公共建築物に、建築費の一%を加えまして芸術的装飾を飾ってはどうだろう、こういう御提言でございます。いま私もすぐ返答するわけにはまいりませんけれども、文化国家建設というような立場から見ますると、一つの御提案のようにも考えられます。慎重に検討さしていただきます。
 それからさらに、麻薬、覚せい剤の問題の御提起がありました。私も麻薬についてはかねてから関心を持っておりましたが、最近、覚せい剤、これが中高校生の中で非常に蔓延しておるという状況を聞き、また、目の当たりにいたしまして、大変これは心配をいたしておるわけです。警察当局でもずいぶん努力をいたしておりまするけれども、警察ばかりでなくて、御提言のように、これはもう義務教育段階から学校の方でも注意して教育してもらうということになりますると大変有効ではないか。私は、この問題、最近の大きな問題として取り上げらるべき問題だと、かように考えて憂慮しておる問題でございます。
 それから、徳育に関していろいろ御所見が述べられましたが、全く私は同感でございます。「ありがたい」という言葉、それから「気の毒だ」というような言葉、人に奉仕するという精神、非常に世の中では大事なんですが、それが、大事な風潮が、何かこう、ゆがめられてきておるというようなおそれというか、感じがしてならないのでありますが、徳育の再建、これについては政府もこれから重点を置いた教育をやっていかなきゃならぬと、かように考えております。
 最後に、高校につきまして、全入義務化の方向で考えていくのか、または入学に制限をつけていく、そのどちらかというお話でございますが、現在高校教育は非常に普及してまいりまして、ほとんどすべての者が試験を受けるようになっております。しかし、高校段階の教育を一律に義務化することには、教育的にも、また行財政的にも問題がある。そういうような段階におきまして、今日におきましては、やはり高校教育につきましては、希望者に対しまして入学者の選抜制度のたてまえを維持しつつ、適切にその機会を与えていくという、この方針でやっていくのがしかるべきかと、かように考えておる次第でございます。
 最後に御所感が述べられましたが、本当に国づくりのもとは人づくりだ、人づくりの中心をなすものは教育だと、そういうとらえ方をもって政治に立ち臨んでまいりたいと、かように存じます。(拍手)
   〔国務大臣砂田重民君登壇、拍手〕
○国務大臣(砂田重民君) 総理の御答弁と重複いたしませんようにお答えを申し上げたいと思います。
 これからの新築をいたします学校に芸術的な装飾等を加えたらどうか――大賛成でございます。有田先生は、フランスの文部省、文化庁、国防省等が行っております一%システムのことをお取り上げになったと思うのです。ただ、やはり望ましい大変魅力的な御提言ではございますけれども、当該設置者である市町村、こういうところとも意思の疎通、合意を見なければなりません。ひとつ将来の課題として検討させていただきたいと思います。
 もう一つ、工芸美術品のことがお話にございました。フランスがこの一%システムの中に伝統的工芸品を同時にあわせて保存をしていこうという目的を持っておられることを承知をいたしております。それは、一九三五年ごろかと思いますが、モザイクでありますとか、ステンドグラスでありますとか、フランス本来の伝統的な美術工芸品が、不況から大変衰退をしてきた、それを建物、学校等に使うことによって保存しようという目的もまたあったようでございます。日本本来の伝統的な美術工芸品と建築物というものがどううまく結び合っていくか、これもひとつ積極的な検討をさせていただきたい、かように考えます。
 麻薬、覚せい剤の問題、先生の御指摘のとおりでございまして、昨年の十一月一日に、参議院の文教委員会で、青少年の麻薬、覚せい剤等の乱用防止について文部省初め関係行政機関の対策の強化を図るよう御決議をいただきました。文部省では、これを受けまして、昨年の十一月の十九日、各都道府県知事、教育委員会あてに、学校教育、社会教育、それぞれの場におきましてこれらの防止並びに心身の健康に関する指導の充実強化等を図るよう通達をしたところでございますが、学校教育の中の理科その他のそういう部門でのこれが教育についてもひとつ研究させていただきたい、かように考えるものでございます。
 もう一つ、道徳の問題の御意見がございました。今回改定をいたしました教育課程の一つの私ども考えております問題点でございます。私は、倫理の問題、人間的な本来あるべき倫理の問題というものは、イデオロギーにさして関係はない、それは洋の東西、時代の古今を問わず不易のものであると考えております。絶対に変わらざるものであると考えております。しかし、そのことを青少年たちに理解をさせる、教育をしていく、その教育の手法というものは、時代時代の変化に伴ってこれは変わっていくものだと思うのです。教えるべき中身は変わらない。教えるやり方は時代に沿って変っていく。そこのところが、私は、いまもしも日本の子供たち、青年たちの倫理観が云々されるならば、そこに誤りが過去にあったのではないかと思うわけでございます。このことにつきましては、今回の教育指導要領等あるいは教育課程の変更もいたしましたので、そこに重点を置きまして、変わらない、絶対不易の倫理観というものを確立するために、学校の先生方の創意工夫もまた大事なことでございますから、学校の先生方とともに努力をしてまいりたい、かように決意をいたしますことをお答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(村山達雄君) お答え申し上げます。
 学校等の公共建築物について、芸術的な装飾費を一%ないし二%予算措置を講ずることはどうかということでございますが、まあ大蔵大臣といたしましては、いま予算措置を講ずるということは、ただいま考えておりません。ただ、しかし、公共の建築物は、画一的でなくて、それぞれ特色を持つということは私は大事だと思いますので、そういう点につきましては、関係省と十分に今後協議してまいりたいと、かように思っておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣小沢辰男君登壇、拍手〕
○国務大臣(小沢辰男君) 麻薬、覚せい剤の取り締まりの主務大臣といたしまして、有田議員の御提案の趣旨に沿いまして、今後一層努力をしてまいります。(拍手)
○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会