第084回国会 大蔵委員会 第9号
昭和五十三年三月三十日(木曜日)
   午前十時六分開会
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   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     多田 省吾君
     佐藤 昭夫君     内藤  功君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         嶋崎  均君
    理 事
                藤田 正明君
                細川 護熙君
                福間 知之君
                塩出 啓典君
                中村 利次君
    委 員
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                戸塚 進也君
                中西 一郎君
                桧垣徳太郎君
                藤井 裕久君
                宮田  輝君
                穐山  篤君
                竹田 四郎君
                矢田部 理君
                吉田忠三郎君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                内藤  功君
                渡辺  武君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  村山 達雄君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局審議官     澤野  潤君
       経済企画庁物価
       局審議官     水田 治雄君
       大蔵政務次官   井上 吉夫君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵省主計局次
       長        山口 光秀君
       大蔵省主税局長  大倉 眞隆君
       大蔵省理財局次
       長        川崎 昭典君
       大蔵省証券局長  山内  宏君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
       大蔵省国際金融
       局長       旦  弘昌君
       国税庁次長    谷口  昇君
       国税庁直税部長  水口  昭君
       国税庁調査査察
       部長       藤仲 貞一君
       資源エネルギー
       庁公益専業部長  服部 典徳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   参考人
       日本銀行総裁   森永貞一郎君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○有価証券取引税法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
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○委員長(嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十九日、藤原勝雄君及び佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として多田省吾君及び内藤功君が選任されました。
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○委員長(嶋崎均君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税特別推置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁森永貞一郎君の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(嶋崎均君) 有価証券取引税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○多田省吾君 日銀総裁には、御多忙のところを大変ありがとうございます。
 私は、昨日の日銀総裁の記者会見の模様も新聞等で拝見いたしましたが、本日は、日銀総裁並びに大蔵大臣に当面の通貨安定策について二、三お尋ねしたいと思います。
 昨日は東京市場で一ドル二百二十一円六十銭と、四日間で八円四十銭も円高になったわけでございます。また、ニューヨーク市場においても昨日は二百二十一円ちょうど、ロンドン市場においては二百二十一円九十二銭。また、昨日の東京市場におきましては最高値が二百二十円七十銭までいったわけでございまして、とどまるところを知らない円高という姿があったわけでございます。
 私は、個々の対策については後でお尋ねいたしますが、初めに日銀総裁並びに大蔵大臣に対しまして、このような猛烈な円高というものは景気回復をおくらせ、また中小企業等が大変困難な状態に立ち至るわけでございます。そういう意味で、この二百二十円程度がもう天井感が見えているのか、あるいは一部に言われているような二百円台までいくんじゃないかとか、こういう予想さえあるわけでございます。それに対する通貨安定策に対しましてどのようにいまお考えになっているのか、まずお尋ねしたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 昨日の為替市場の状況につきましてはお示しがございましたとおりでございます。けさは寄りつき二百二十一円でございましたが、そして高値は二戸二十円七十銭までまいりましたが、現在少しドルが上がってまいりまして、十時ちょっと前の状態では二百二十一円二十五銭というところでございます。安値は二百二十一円三十銭までございました。
 いずれにいたしましても、ここ数日大変円高を見たわけでございますが、今後一体どうなるか、この辺が天井かどうかというお尋ねでございますけれども、なかなかお答えのしにくい問題でございます。
 御承知のとおりフロート制下でございますので、相場のことは市場に聞けということにならざるを得ないわけでございますし、また、為替政策の一端に携わっておるものといたしまして、将来にわたる予測を申し上げることもいろいろな意味で問題がございますので、そのお尋ねに直接お答えすることはお許しをいただきたいと存じますが、ただ、感じとして申し上げますと、昨秋来円高はかなりの急テンポで進んでまいりまして、しかもこのところ非常に急ピッチで進んでおるわけでございまして、そのことが各方面にいろいろな影響を持つことは否定しがたいところでございます。したがいまして、私どもといたしましても、為替相場がこの辺でどうにか落ちつきを取り戻してくれるようにということをひたすらこいねがっておる次第でございまして、相場観が一日も早くこの辺で出てくることを期待をいたしておるという次第でございます。
○国務大臣(村山達雄君) 現在の相場につきましては、いま日銀総裁からお述べ申し上げましたので、私からは省略さしていただきます。
 私から申し上げたいことは、やはり最近のあれは、何と申しましても経常収支の実勢が結局反映しておると言わざるを得ないことでございます。そしてまた、レートは切り上がりましても、最初の段階はなかなか数量効果が出てこない、価格効果が出てくるという点は過去の経験で言われるわけでございます。したがいまして、ことしの予算との関係について一言触れますと、私たちは最初から為替相場に直接これが効果があるとは考えていなかったのでございまして、本格的に来年度予算が施行され、そして、内需が拡大するに従いまして為替相場の数量効果等も後半に期待されるわけでございますので、われわれは着実な内需の拡大とともに、変動為替相場下におきまして円レートも次第に安定を取り戻し、そしてちょうど整合性を持ったところに落ちつくのではなかろうか。そういうことを期待いたしまして、いま着美に、この予算が成立いたしますならば着実に既定の所期の目的に向かってもろもろの施策を実施してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○多田省吾君 私は、やはりこういう円高になった背景には、アメリカのドル防衛策が非常に消極的であること。それからもう一つは、やはりいま大蔵大臣おっしゃったように、日本の経常収支の黒字が二月、三月にわたって非常に駆け込み輸出等によって過大になっていること等が考えられると思います。
 で、この前も一度はかられましたけれども、アメリカに対してドル防衛策の実施を強力に要請するために、あるいは通貨安定の前提となる経済政策の調整を速やかに行うために、政府特使というような、経済閣僚をアメリカに送るようなお考えが一時ありましたけれども、このような一ドル二百二十円あるいはそれをまた超えようというときに当たって、アメリカのこの消極的なドル防衛策に対して、強力な要請をするために政府特使の派遣というものもこの際考えた方がいいんじゃないかと思いますが、日銀総裁、また大蔵大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) アメリカみずからのドル防衛につきましては、アメリカ自身、アメリカの考えで進めているわけでございますし、私たちも機会あるごとにアメリカみずからの努力を要請しているわけでございます。問題は、その必要性の認識の一致が一番私は大事である。その合意がない限りなかなかうまくいかないだろうと思います。
 そこで、特使を派遣するかというお話でございますが、いま政府においてはそのような考えがあるとは聞いておりません。ただ、四月十日にジュネーブへ牛場大臣が参りますので、その際、アメリカのストラウスと会うことになっておりますから、その際やはり相互の協力について話し合いが行われることだと思います。
 それから、四月の十二日か十三日にアメリカのシュルツさんが参ります。ちょうどこちらの経済企画庁長官に当たる方でございますので、この機会に営澤長官とお会いして同じ会合が持たれるわけでございます。四月の末にメキシコでIMFの会議が行われます。この際は、私が何とかして行きたいと思っておるのでございますけれども、この大蔵委員会との関係があるわけでございますので、何とかひとつ行く機会をつくっていただきたいと思うのでございますが、そのとき日銀総裁と一緒に参ることができれば、私もまた同じような努力を積み重ねたいと思っているのでございます。五月三日には福田総理がカーター大統領と会うことになっております。広範な問題が論議されると思いますが、その一つの問題はやはりドル価値、基軸通貨としてのドル価値の問題、その、安定の世界から見ての必要性について、やはり話し合いが進められると、このように見通されるところでございます。
○参考人(森永貞一郎君) 政府間の問題につきましてはただいま大蔵大臣からお答えがございましたが、私ども中央銀行の会議、毎月一回ずつスイスのバーゼルで開いておりますが、その席ではいつも各国間の話し合い、為替相場政策に関する話し合いが行われておるわけでございまして、このところ、アメリカに対しましてドルの価値維持についての努力の要請が各国から異口同音の要請というようなことになっておる次第でございます。私どもも、もちろんそういう線での主張をいたしておる次第でございます。今後とも、中央銀行間におきまして極力そういう方向での話し合いを進める機会をつくり、利用してまいりたいと思っておる次第でございます。
○多田省吾君 日銀総裁にお尋ねいたしますが、いま為替安定策のために乱高下に対する介入とか、あるいはこの前は公定歩合の引き下げ、あるいは短期資金流入の規制とかいろいろやられましたけれども、なおもっと為替管理を強化すべきだとか、あるいは先物市場にも介入を検討したらどうかとか、そういったことも言われておりますが、そういうお考えございますか。
○参考人(森永貞一郎君) 先物への介入は西ドイツあるいはイギリスでもちょっと試みたことがございますけれども、なかなかうまくいかないわけでございます。先物の態様が非常にたくさんの取引の態様になるわけでございますので、もし介入するとすれば全部に介入しなければならぬと、とてもそれは技術的にできることではないわけでございまして、ちょっと試みましたけれども、両国でも先物への介入はすぐに中止いたしましたのが実情でございます。
 日本の場合でも、現物と先物との開きがディスカウントになっておりますが、大分大きいのでございまして、先物をどうするかという問題は確かにあるわけでございますが、介入で調整するということはなかなかむずかしいんじゃないかという気がいたします。
 なお、一時大変直先の開きがございましたのが、昨日ごろから少し縮小してきておるようでございまして、今後ともこの縮小傾向が続いてくれればいいがと思ってながめておるところでございます。
○多田省吾君 為替管理の強化の問題はいかがですか。
○参考人(森永貞一郎君) 為替管理につきましては、政府の御方針で原則自由、例外制限という完全自由化の方向へ大きく進んでおられることは御承知のとおりでございます。その間、為替市場の緊急事態に応じて、時に管理を強化しなければならない場合もあるわけでございまして、いまの、つい先般実施いたしました短期の債券の取得の利子であるとか、またいろいろなことがあるわけでございますが、私はこの管理の強化ということも時に応じて必要な場合もありますが、それのみに頼るというわけにもなかなかいかないわけでございまして、スイスの例などでもなかなか効果が出にくかった、ようやく最近効果が出ているようでございますが、できればやはりこの為替の需給関係そのものが改善される方向に持っていかなければならない、それにはやはり先ほど大蔵大臣もお話しがございましたように、国際収支の黒字幅が縮小に向かうということ、反面、ドルについて申しますと赤字が縮小していくこと、両国間にもそういう両方の問題があるわけでございまして、そういう面で一層努力していくということがどうしても、何といっても根本ではないかと思っておる次第でございます。
○多田省吾君 この前から宮澤構想、いわゆるやわらかなローザ構想ということで、大平幹事長の固定相場制復帰に対しまして宮澤経企庁長官がその構想を述べて、そしてアメリカにもいろいろその話をしているというようなことを答弁されているわけでございます。
 昨日の記者会見では、日銀総裁は時期が早いのではないかというようなお答えをしているわけでございますが、やはり為替相場のこのような著しい乱闘下を食いとめるためには、いわゆる宮澤構想、一種の管理相場制とも言えましょうけれども、一つのターゲットゾーン――目標相場圏構想というものをつくって、そして円やドル、マルクのみならずスイス・フランとかあるいはフランとかポンド、こういったものも含めて各国と協議いたしましてやわらかいローザ構想をつくり出すという努力は私は必要だと思いますし、また大蔵大臣もその必要性を認めているわけです。ですから、私たちはなお専門家の衆知を集めて日本としてのやはり通貨戦略を確立すべきではないかと、このように考えますけれども、日銀総裁のお考えはいかがでございますか。
○参考人(森永貞一郎君) 変動相場制のいいところは、為替相場の変動によりまして国際収支を調整するという点でございまして、事実、石油危機後の世界経済の混乱も何とか防ぎ得たのはこの変動相場制の効果によるところが多かったと思うわけでございます。しかしながら、他面、変動相場制のもとでは為替相場の急激な変動が避けられない場合があるわけでございまして、そういう場合には、為替相場の変動に応じた国際収支の調整がすぐに行われにくいという面もございますし、また国内的に申しますと、急激な変動が大変大きな影響を持ってくるというような、いわば変動相場制の一つの欠点があるわけでございます。
 昔、固定相場制をとっておりましたころはその辺の苦労がなかったわけでございまして、ややもすれば昔の固定相場制に対する郷愁でございますとか、あるいはそこまで至らぬにいたしましても、ローザ構想のように主要国間で変動幅を協定して共同介入をするといったような考え方も出てくるわけでございまして、将来のあるべき為替制度の姿としてはいずれも検討に値する問題であると思っておる次第でございます。
 しかしながら、いまのような各国間のインフレ率の相違並びに国際収支の状況が非常に食い違っておるというその現状では、もちろん固定相場制はこれはもう夢みたいなことでございますし、また、ローザ構想みたいな中間的な施策もなかなか実現しにくい環境にあるということは御想像がつくことと存ずる次第でございます。
 宮澤さんからは、直接具体的にどういうことだというお話は実は伺っておりませんけれども、私が察しまするに、宮澤長官はいま申し上げましたような情勢、困難な情勢を十分お踏まえになった上で、この辺でしかし各国がもう少し変動相場制の機能発揮に協調する、為替相場の変動をできるだけ少ないように安定化の努力をする、そういう趣旨の御提案だと思う次第でございまして、私どもその趣旨におきましては全く同感でございます。機会あるごとに私どもも相手の中央銀行当局に対しましてそういう要請をいたしてきておるわけでございまして、今後ともそういう方向での努力を怠ってはならないと思っております。
○多田省吾君 昨日総裁は、輸出輸入の問題につきましては、輸出規制は縮小につながるので好ましくない、輸入増を積極的に図るべきだ、こういうお話しでございましたが、政府が決めた量の輸出はそのまま横ばいにする、しかしこのような円高が進みますと、量の横ばいだけでも五十三年度中に経常収支の黒字は百億ドルを突破するだろう、こういうことでございまして、私は具体的な輸出抑制策も必要ではないかと考えます。それからまた、輸入増を強く図るためには河本通産大臣も言っているように、第二外為会計構想というものをやはり実現させる必要があるんじゃないか、このように考えますが、総裁、大蔵大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) この前の関係閣僚会議、二十五日でございましたか、輸出につきましては量を前年度並みにやりましょうということでございます。現在の為替相場はどうなるかわかりませんけれども、いずれにしても国際経常収支を六十億ドルぐらいで抑えるとすると、その場合輸入の拡大が数量的にないとなかなかむずかしいことは常識であろうと思うわけでございます。これもやはり基本的には内需の拡大によりまして除々に輸入がふえる、あるいはいままでの外に向かっておりました輸出圧力が国内に向かってくるということを通じて自然に調整されるであろうと思っておるのでございます。しかし、同時にまたこれ積極的に努力いたさなければなりませんので、先般来関係閣僚会議でやっております緊急輸入対策、こういったものもわれわれは大いに努めておるのでございます。
 ただ、いまおっしゃいました第二外為会計とかあるいは外為会計を利用する、こういう話は全然出ておりませんし、まだ、そのことは恐らく財政法の観点から申しましてどんなふうにしてやるのか、恐らく財政法と大変な絡みがありまして、それを使うということはなかなかむずかしいんじゃないか、そういう構想があるということも聞いておりません。
○参考人(森永貞一郎君) 基本はやはり内需の拡大による輸入の増加ということであるべきだと存じます。予算も間もなく成立いたしまして、その効果等によりまして所期の効果が上がるようにということをひたすら期待をいたしておる次第でございます。
 輸出の規制につきましてやや消極的な見解を申し上げましたのは、一般的な法的な規制というような意味での規制でございまして、もしそういうことになりますと、やはり縮小均衡に向かいますので、それはもう最後の最後の手段にしておいていただきまして、これはできるだけ輸入をふやすような対策に全力を挙げなければならぬのじゃないかという意見を申し上げたわけでございます。ただ昨今前年同月比、いまでも五〇%とか六〇%とか増加を続けておる品目もないわけじゃないんです。それは一時的なことで済むのならよろしいんでございますか、ずっと続くというようなことになりますとやはり問題でございますので、業種によりましてはやはり行政指導、あるいは業界の自粛等によりまして、輸出数量の自粛についての効果が期待されるということではないかと思います。その意味で政府の御決定、通産大臣の御処置等に私たちも大いに期待をいたしておる次第でございます。
○多田省吾君 日銀総裁に過剰流動性の問題でお尋ねいたしますが、マネーサプライの問題でまだインフレ懸念はないと総裁はきのうおっしゃいましたけれども、すでに株価のダウ平均が五千四百円七十七銭と過熱ぎみでございまして、東証理事長からも注意がされておるような現状でございます。三月だけの介入によるドル買いも五十億ドルとかあるいは一兆円、昨年の十月から見ますと百億ドル、二兆円とさえ言われております。すでにある不動産会社等は土地買いにもう出発したというような報道さえあるわけでございまして、やはりこの過剰流動性によるインフレというものが懸念される時期に来たんじゃないかと、このように思いますが、総裁はどう思われますか。
○参考人(森永貞一郎君) 介入の結果どのくらいの資金散布が行われたことになるのか、その辺の数字につきましては何しろ介入の規模について外的にお答えできない立場にございますので、御想像にゆだねることにいたしますが、昨今かなり外為会計の支払い超過がふえているのは御指摘のとおりでございまして、それが現実にマネーサプライにどういう影響を及ぼしておるかということになりますと、幸いにしていまのところは民間の資金需要が落ち着いておりますので、マネーサプライそのものには目に見えた影響はあらわれていないのが現状でございます。しかし、金融機関のポジションはこのところ急激によくなってきておりますので、マネーサプライがふえる先制力みたいなものはあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後のマネーサプライの動向には周到に配慮してまいらなければならないと、将来に備えていまから十分検討をしていかなければならないのではないかと思っておる次第でございます。
 御指摘のございました株式市場でございますが、いまのところは公共事業関連のものであるとか、あるいは円高による利益の増加しておる業種であるとか、そういうものが選ばれておるようでございまして、まだいやしくも株式であれば何でもといったようなインフレ的な動き、そこまではいっていないのではないかとは思っております。しかし、金融がゆるんでまいりますと、いつ何どきそういう動きに転じないともわからないわけでございますので、その辺は証券取引当局並びに大蔵省の所管官庁、所管当局におかれましてもつとに御配慮をいただきまして、時に応じて証拠金引き上げ等の措置を講じておられる次第でございます。私ども、まだこの過剰流動性のはしりとまでは現状をみなしておりませんけれども、将来の問題として考えます場合には、そういうことにならないように厳重に注意してかからなければならない。関係当局の関係者の善処に期待をいたしたいという気持ちでございます。
○多田省吾君 大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、昨日日銀総裁も、この円高差益の国民に対する還元を強力にすべきであり、当然二百六十円台からわずか半年足らずで二百二十円まで円高になったわけでございますから、その差益は莫大でございます。電力料金につきましても五十三年度は据え置きだ、また東京、大阪の電力では五十四年度も据え置きといっておりますけれども、値下げまではいってないわけですよ。やっぱり国民感情として、これほどの円高で差益を享受している以上、電力料金を引き下げるべきじゃないか、これは国民の声でございます。私は、これは通産大臣にお答えを願うべき問題ではありますけれども、大蔵大臣もやはり福田内閣の閣僚の一人として、また経済閣僚の中心者としてこれを総理や通産大臣に強く進言して、そういう方向で図るべきじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(村山達雄君) まあ円高差益の還元の問題でございますが、これ一般的に言ってそのことが望ましいことは当然でございます。ただ具体的な問題として、電力料金につきましてはこれは通産大臣の所管でございますけれども、いま電力料金を下げるというようなことよりも、電力料金というものは本来長期的な原価の上に立って料金を設定すべき筋合いの問題でございますので、今年度いっぱいは据え置くとか、あるいは場合によったら来年まで据え置きたいということで、長期的にその円高差益を還元していく方がベターである、こういうことを通産大臣は述べられておるのでございます。
 もう一つ代表的なものとして、石油産業がございますけれども、御案内のように、もう石油につきましては二千円前後のものが大体下がりつつあるわけでございます。
 それから、一般的にそれ以外の円高差益につきましては、現在の卸売物価が非常に安定し、対前年同期に対して下がっているということは、知らず知らずのうちに、それは一つは内需の拡大との相関関係ありますけれども、目に見えないうちに、やはり卸売物価の推移の中にわれわれは理屈で言うとあらわれているはずだというふうにとっているわけでございます。しかし、一般的に円高差益を還元する、円高によるメリットをはだで感じてもらうということも大事なことであるという点については多田委員と全く同感でございまして、その必要なものにつきましては、今後とも閣僚の一員といたしましてその線に沿って努力してまいりたい、かように考えております。
○多田省吾君 もう私はすでにそういう据え置きの限界を越えて引き下げを図らなければ国民が納得しない、こういう状況に来ていると思いますので、強くその点を要望しておきます。
 最後に大蔵大臣に、五野党の共同修正要求にもかかわらず七千百九十億円の減税要求が捨てられて三千億円程度の物価調整減税を政府与党はやると表明されたわけでございますけれども、私はやるんなら、やらないよりはずっといいわけですから早くやるべきだ、こういうふうに思うわけです。まあ総理府統計局の家計調査報告によりましても、全国勤労者世帯の昭和五十二年の平均消費性向を見ますと四月は九六・八%、五月が九二・九%、ところが六月は五八・二%、七月は六九・六%とがくんと平均消費性向が落ちているわけですよ。どうせ戻し税をやるんでしたら六月、七月のボーナス期なんて言わないで四月、遅くても五月に戻し税で全家庭にそれこそ平均二万五千円ずつ還元されれば、この四月、五月の消費性向に乗ってそれがすぐ個人消費につながり、また全国勤労者世帯の年齢階級別を見ましても、やはり三十歳から三十四歳とか、四十歳から四十四歳が前年に比して昨年は実質の消費支出が〇.八%とか〇・三%減っているわけですよね。そういう中年層がワイシャツを買ったり、ネクタイを買ったり、ブラウスを買ったりすれば、これは個人消費につながるわけでございますから、そういうことも考えて、私はせっかくやるんでしたら三千億円減税も四月、遅くとも五月にはこれはやるべきではないか、このように考えますけれども、大蔵大臣どうですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 政府側の立場は多田委員十分御承知のとおりでございまして、おしかりを受けるかもしれませんが、私どもとしてはにわかに賛成いたしがたいという考え方は依然として捨てておりませんけれども、関係委員会での御審議をまつということでございますので、衆議院大蔵委員会で各党間で御相談があることと思います。その際に、ただいまの多田委員の御意見も私どもからも各党の理事の方々に御紹介をしておきたいと思います。
○多田省吾君 じゃ、衆議院の大蔵委員会で、そういう四月、五月に早く戻し税をやるべきだと、一致してそういう方向に決まりましたならば、大蔵大臣はそれをやられるお考えありますか。
○政府委員(大倉眞隆君) 技術的に可能かどうかという点を含めまして、私どもの意見を求められれば申し上げます。
○国務大臣(村山達雄君) この問題は、衆参含めて関係委員会で決まりましてから、いよいよその法案ができましてから実施することになるわけでございまして、一に国会の決め方によるわけでございます。
 ただ、政府といたしましては、一体技術的に間に合うのか間に合わぬのか、的確に行われるのかどうか、その辺のことを十分検討した上で、国会側と相談いたしましてやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○多田省吾君 その点はひとつ早くやられることを強く要望します。
 最後に大蔵大臣に、やはり去年、おととしを見ましても、景気回復の手を打つのが非常に遅い。おととしはロッキードで三木おろしとか、あるいは去年は八月、九月の情勢待ちで総理が打つ手が非常におくれて、一−三月期に輸出増によってGNPの伸びがぐんと上がったというようなことを見て、四月−六月期を望洋として送ったためにまた景気回復が大変おくれたというような姿になっているわけです。今回も円高によって相当景気回復がおくれようとしております。私はこの予算が成立した後においても、やはり財投の弾力条項の範囲での活用とか、あるいは予備費の活用は当然でございますけれども、やはり臨機応変の処置とはおっしゃいますけれども、その中に補正予算を早期に、それを臨時国会でも開いてやるということを腹構えに置いて、そして生活関連の公共投資とか社会保障とか減税といったものを真剣に考えられたらどうか。そうしなければ、これはことしの経済見通しも大変なことになってしまうと、このように思いますが、最後にそのお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 政府は目下五十三年度予算の編成にありまして、この予算に盛られた諸施策を着実に推進することによりまして、七%の成長あるいは対外均衡を達成することができるといま思っておるところでございます。
 しかし、委員おっしゃるように、世界経済は時々刻々変動しているわけでございますし、それがわが国に及ぼす影響もきわめて大なるものがございますので、予算編成が済みまして成立いたしましても、常時わが国の経済をウォッチしてまいりまして、そして絶えず必要な措置は手おくれにならないように打ちたいと思っておることはもう委員と全く同感でございます。ただ、補正予算を組むかどうかということにつきましては、現在のところそのような必要はないのではないかと、かように思っておるところでございます。
○穐山篤君 最初、有価証券取引税に関係をしましてお伺いをしておきたいと思います。
 それは、今回の改正につきまして、前回も当委員会で議論があったわけですが、直接的には第一種、第二種あるいは甲乙の引き上げ率の問題、あるいは甲乙、一種、二種の格差の問題、あるいはその負担水準というものについて均衡を図っていく、これはまあ当然のことだろうと思うのです。そういう見地から衆議院におきます附帯決議というものが生まれた背景になっているのではないかというふうに思います。衆議院の附帯決議の提案を見てみますと、個人の有価証券譲渡所得非課税の措置の公平化というふうに指摘をされております。私も当然だというふうに思うわけですが、この附帯決議の精神を受けて、これから大蔵省としては具体的にどういう作業を進めて、どういう節目でこの考え方にこたえていくかという点についての態度がすでに決まっておるならば、まず第一に明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) 今回の引き上げは、株券等を譲渡いたしましたときの税率の引き上げをお願いしておりまして、公社債券の税率は据え置くということにいたしております。また、株券等の税率の引き上げ幅は五〇%ということでございますが、その考え方をごくかいつまんで申し上げますと、やはり厳しい財政事情のもとで、当面の景気対策に矛盾しないという範囲内ではできる限りの増収を図りたいということを私どもとして考えまして、この税はもともと定率税でございますから、取引価格が上がればそれなりに負担はふえるのでございますけれども、やはりこの機会にその負担の率、水準そのものを実質的に増税をお願いしたいということでございます。上げ幅は、一般の投資家が株をお売りになる場合が基準になって考えられておりますが、前回と同様〇・一五%、税率にして〇・一五%の上げ幅でございまして、上げ率が現行法の〇・三に比べますと五〇%ということになるわけでございますが、前回も上げ幅は〇・一五でございまして、しかし、それはその当時の改正前に比べますと二倍の上げ率であったわけでございますが、前回は二十年ぶりの改正で、改正前と比べまして非常に市場が大きくなっておったわけでございますけれども、今回は、前回改正後市場の大きさというものはそんなに変わっていないわけでございます。その点も考えなくてはならないと思いますし、同町に、流通税でありしかも定率税でございますから、やはりある程度限界がある。その限界がどの辺かということにつきましては国際的にもいろいろ御議論がございますが、大体〇・五%程度というのが妥当ではなかろうかと、これ正式の決定でも何でもございませんけれども、そういう意見が多いわけでございまして、今回の引き上げ後で〇・四五でございますので、おおむね妥当な水準ではないか。また、この程度の上げ率、上げ幅であれば、証券市場にそう大きな影響、深刻な影響をもたらさないで済むのではないかということをいろいろ関係方面とも十分議論をいたしました結果、このような案でお願いをしておる。公社債券につきましては、やはり従来からもそういう考え方がございましたが、今後ともその公社債市場を育成してまいりたいという考え方が依然としてございまして、この際は据え置きということでお願いをしたらいかがかと考えているわけでございます。
 第二点の個人の有価証券売買に伴うキャピタルゲインの課税につきまして衆議院で附帯決議をいただいております。私どもの方も、中期答申をごらんいただきますとおわかりのように、一挙に全面的に課税するということは非常に問題が多い。しかし、段階的に課税を強化するということが必要ではないかという答申をいただいておりますし、私どももそのように考えておりまして、しかし、実行可能なような具体的な段階的課税強化というものを考えていきたい。具体的には、現在原則非課税の中で特定の取引については課税をするという仕組みになっておりますが、特定の取引は課税をする、たとえば買い占め、事業譲渡類似あるいは公開というようなことをいろいろ書いてございますが、その中に継続的かつ大量の取引という考え方で、具体的には一人の方が年間五十回かつ二十万株以上を売った場合には、それによって所得が生ずればそれは課税する、それをもう少し課税強化の方向で改善ができないかということを現在部内で研究中でございます。なるべく早い機会に実行可能な案を探り出てたいということで、鋭意努力を続けてまいりたいと思います。
○穐山篤君 いまも問題の指摘があったわけですけれども、公共債について、去年は補正を含めて、去年はというか五十二年度中は十八兆六千六百億円、五十三年度に入りますと二十兆三千三百億円、先行きこれもどんどん拡大をする、増大をする可能性を公共債の場合には持っている。私ども党の意見あるいは個人的意見としては、必ずしも国債の発行について歓迎はしておりませんけれども、現実の趨勢としては年ごとにどんどん拡大をしていっているわけです。ですからこの公共債の消化対策というのは、いまもお話がありましたように、市場の育成を図っていく、あるいは個人消化について十分な対応をしていく、これはまあ毎回そういう見解が明らかにされているわけですけれども、さて現実の問題として、公社債市場の育成整備というのは具体的にどうやって、どういうふうに監督指導して整備をしていくか、これだけものすごい莫大なボリュームをはいていくためには、かなりの知恵と努力が必要だと思うんです。先日、シンジケート団の苦労というものがテレビで放送されていたようでありますけれども、なかなかそれぞれ銀行にしましても協会にしましても、非常に苦労されているような気がするわけです。したがって、その個人の消化対策あるいは市場の整備というものについて、抽象論でなくて、具体的にどういうふうにしていくかということをぜひ明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(山内宏君) 御指摘のとおり、公社債市場の整備については目下の急務でございますが、この点につきましては、一つは発行サイドの方からの整備と、それからもう一つは流通サイドの方の整備と、この両面の整備が必要であると考えております。
 発行面の方から申し上げますと、大ざっぱに申し上げますならば、発行条件の実勢に応じた弾力性のある決定、それからもう一つば発行条件の多様化ということが二本の柱になろうかと思います。それから流通サイドの方で申しますと、制度的あるいは実費的に存在をしておりますところの流通に関するもろもろの制約をできるだけ外していくということ、それから、たとえば店頭市場におきますところの価格形成の内容の公示を十分に行っていくこと、あるいは流通担保金融を充実していくこと、こういったことが主要な柱になろうかと思います。
 そういった点について、過去ごく最近の間、約一年あるいは一年半の間、非常に客観情勢に応じまして以上申しましたような点がかなり改善充実されてきたと私ども考えておりますが、いまの御質問によりましてある程度具体的に申し上げますと、発行市場の問題について申し上げますならば、たとえば事業債の発行条件が弾力化をされまして、過去におきましては条件改定の度数が非常に少なかったわけでございますが、いわば市場の実勢に応じての発行条件の随時弾力的な決定が、比較的そういう意味での改定の度数が少なかったわけでありますけれども、最近はその改定の度数が非常に多くなっておりますとか、あるいは国債の金利の改善が、たとえば事業債と比べて相対的に改善をされておる、これは実勢に応じてそういう形を講じてまいったわけでありますが、そういうことでありますとか、あるいは国債の発行態様の多様化、御承知のとおり五年債を発行したとか、あるいは事業債についての償還期限の多様化、これは十二年債が新たに出ておりますが、そういった問題、あるいは円建て外債の償還期限の多様化で、短いものは五年債、長いものは十五年債、その間にいろいろある、こういうようなことをやっております。
 それから流通面で申し上げますと、国債の売買市場に関しまして、取引所に集中をする義務の範囲の拡大をいたしますとか、あるいは証券金融会社の公社債担保金融の枠を増大をいたしますとか、あるいは先ほどもちょっと触れましたが、公社債の店頭市場のディスクロージャー制度を逐次改善をしてまいりまして、現在証券業協会において毎日発表するというふうな形になっておりますが、そういった種々の方策を講じてまいっておる次第でございます。
○穐山篤君 そこで、いまも金額を私は申し上げたわけですが、ことしの景気刺激、景気回復という意味で国が果たそうとしております財政の力というのは、よく意味はわかります。しかし、この間の緊急七項目の措置によりまして上半期、九月、十月ぐらいまでに七〇%ぐらいの事業を進めていって、後半は民間の設備についての力を上げていくんだというのは前回説明があったわけですが、さてそうなりますと、いまのところは政府資金、資本というものが十分に機能しておりますけれども、後半は当然民間資金というものを十分に当てにしなければならないし、またそういうことを考えなければ景気回復にはつながらないというふうに私は思うわけです。政府のといいますか、国の金だけでは十分な効果は上がらない、民間の資金というものをかなり当てにしなきゃならない時期が後半来るのではないか、また来なければ景気の回復はしないというふうに思うわけです。
 そうしますと、いま申し上げました公社債の割合と民間の資金の需要供給の割合が当然これは問題になってくることだろうというふうに思います。私は、ストレートにインフレというふうにすぐ結びつける必要はないと思いますけれども、常にそれをはらんでいるわけですね。その点について、どういう展望を持っておりながら、この資金問題についての調整といいますか、役割りについて考えられているのか、その点明らかにしてもらいたい。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、現在は企業の資金需要はかなり冷え切っているわけでございまして、日銀の窓口指導の枠などもかなり低目になっているわけでございますけれども、しかしながら、御指摘のとおり、やはり民間資金需要が今後漸次上算してくることが期待されているわけでございます。この場合に、御承知のとおりいま金融機関は大量の公共債を抱える、あるいはこれからも消化することになっているわけでございまして、その辺との資金需給の関係がどのようになるか、あるいはクラウディングアウトの問題なども出てくるわけでございますけれども、当面予測されるところの金融情勢あるいは経済全般の情勢から見ますれば、現在予想されておる程度の公共債の消化を一方に行った上で、かつ企業の資金需要にこたえていくということは、現状では見通される限りでは十分にそれは対応できるのではないかと考えております。
 本年度の上期、前半の金融機関の都市銀行、長期信用銀行の限界預貸率、つまり預金に対する貸し出しの比率は大体六〇%程度でございますけれども、来年度におきましては、五十三年度におきましては大体その限界預貸率が六七、八に上ることを一応想定しているわけでございまして、その意味でも貸出資金の需要に十分こたえられるということを考えているわけでございます。ただ、しかし、今後それ以上に企業の資金需要がさらに起こってまいりました場合には、日銀の量的な金融政策、オペレーションその他によりまして弾力的に対応してまいりたい、このように考えております。
○穐山篤君 これは、いまの段階ではそう決定的に見通しをつけるということは困難だと思いますけれども、いまも指摘されておりますように、クラウディングアウトの押し出し圧力の問題を十分に配慮していかなければならない、いずれまた別の機会にその点についてお伺いをしたいと思います。
 さて、先日総理大臣が見えたときに、私は税金の問題といいますか、に関連をして、総背番号のことについて省内で研究をしている、しかし、まだこれは政府の統一見解ではないというお話をいただきました。別に安心しているわけじゃありませんけれども、問題はたくさんあるわけでしょうけれども、代表的な問題としては総合課税の問題、それからマル優を含めた貯金の問題、特に貯金の問題につきましては予算委員会で竹田委員からも相当厳しくしつこく質問をされていたわけですが、この総合課税の問題についてはめどを五十五年に節目を置く、かなりむずかしい問題があるというお話を聞きました。この取り扱いいかんによってはまた新しいアンバランスを生ずる、不公正を生ずるということも技術的にはよくわかる。それと同時に、その五十五年度を節目にするならば、もう一つの代表的な問題であるこの貯金の問題についての規制といいますか調整といいますか、あるいは公平化といいますか、そういうことについて可能な限り同時に取り組む、あるいは同時期ごろこれを実行に移していくということが私は妥当ではないかというふうに思いますが、その点についてのおおむねの考え方をまずお伺いをしたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) 現在私どもが部内で勉強しておりますのは、いわゆる名寄せがどうやったら具体的にうまくいくのかという問題をまずやっているわけでございます。その名寄せは、現在のようなシステムでございますと、利子の支払いの都度一定額以上については支払調書というものが出まして、それを住所地に集めまして、それでたとえばアルバイトを使って一生懸命手で寄せてやっていくことになります。これは完全に総合課税を実施するという場合にはとてもそれでは処理し切れないということを想定しまして、電算処理がどうやったらうまくいくかということをまず考えてみなくてはいけない。電算処理をします場合には、住所氏名を打ち込んでいくというんでは大変ではなかろうかと、やはり何らかの番号がないとうまくいかないんではないかと、そういう角度から番号問題というのが出てきているわけでございまして、国民総背番号というふうな大げさなものでは実はないわけでございます。ただその番号を一体だれがつけるのかとか、銀行は一体どうやってその番号を確認できるのかとか、そういう技術的な問題がまずは私どもの部内での検討になっておる。
 ただ、当委員会でも別のときに申し上げましたように、そういうことで全面的に総合課税をするという仕組みを発足させるということになれば、やはり現在の税制のもとで一定金額までの少額預金の利子は課税しない、それは一般枠は三百万円、別途国債特別枠が三百万円、それから財形の枠がございます。そこが本当に枠が守られているか、いまでも守られていなくてはならないわけで、それなりにどういうことをやっているんだということで竹田委員からいろいろ御質問受けたわけでございますが、それが一層厳重に守られないと、やはり金融秩序に非常な混乱を招きかねないのではないか。同様に、郵便貯金も現在の法律のもとで一人三百万円以上は貯金はできないのでございますが、しかしどうも現実にはそうでないケースが出てくる。そこをやっぱりしっかりしておかないと、非常に言葉は悪いのでございますが、郵便貯金なら御安心ですみたいなことになって、大変に金融秩序を混乱するという危険もまた十分あらかじめ考えておかないといけないだろう。その意味で私どもの、いまそこまで研究進んでおりませんが、一般的な名寄せの問題を議論をしていけば、いずれは少額預金なりあるいは郵便貯金の限度をきっちり守っていただくためにどういうふうなことが現実的にできるか、また何をやらなくてはならないかという問題にどうしても突き当たるであろうということはすでに当委員会でもお答えしたわけで、ただいまの穐山委員の御趣旨が私のいま申し上げているようなこととぴったり同じかどうか私にわかりませんけれども、私どもとしましてはやはりその問題はよけて通れない。その意味で五十五年末に現行の法制の期限がまいります、そこをめどにして鋭意検討を続けてまいりたいと思いますが、しかし非常にむずかしい問題を含んでおり、それが単に技術的という以上に、場合によってはかなり政治的な問題にもなりかねないものを含んでいるということを申し上げているわけでございます。
○穐山篤君 よく意味はわかります。たとえば郵便貯金にいたしましても、日本の人口よりも預けの口座の方が多いというのは余りいいことじゃないと思いますね。それと同時に、貯金をするというのは個人が将来展望のことを考え、あるいは子供のことも考えて貯金をするという意欲と同時に、財形を含めて貯金をしなさい、貯金をしなさいといういろんな措置が法的に講ぜられているのも御案内のとおりですね。客観的に言えば、いかにして国民の金をふところの中に置くんでなくて、直接購買力に使うんでなくて、別なところに集積をする、資金運用部に集める、集めるための総合的な保護政策というものが貯蓄奨励になっていることも間違いないんですね。ですから、私は郵便貯金あるいは特マルだけのことを言うつもりはありませんけれども、この問題に手をつけるときには、他の貯金奨励のその他の措置についても当然関連をして考えていかないと反面問題を起こすという懸念があるわけですが、その点についてはもう研究はされ始めたんですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 私どもは税制の角度からの勉強をいまやっているわけでございますが、勉強やっております過程に先ほど申し上げたように少額預金あるいは郵便貯金について何らかの税の方からの改正の必要が出てくるのではないかという予感を持っているわけでございまして、まだ具体的に研究が進んでいるという段階ではございません。ただそういうことを考える過程で、税というんではなくして、それぞれの制度を所管している側なりあるいは貯蓄奨励という角度で行政をやっていくところへ、いろいろ私どもの方からの要望を一度ぶつけてみる、そちら側ではどういう問題を抱えているか、そちらの角度からすればどういうことが望ましいのかということをいずれ想見を十分交換するということは必要になってくるだろうというふうに考えております。
○穐山篤君 私の前の委員が円高の問題について指摘をされたのかもしれませんけれども、重複するかもしれませんけれども、あらかじめ御了解いただきたいと思います。
 心配をしておったように二百二十円、これは去年の九月、十月に荒っぽい計算だけれども二百二十円ぐらいになるぞと、そういう警告があったことも私ども十分に承知をしております。これはドルが安いんだというふうに言い放しているだけでは問題の解決にならないと思うんです。
 そこで、最近気になることが二つ、三つあるわけですが、その一つは、輸出業者だけとは言いませんけれども、もっと円が高くなるぞというそういう宣伝ですね。だからいまのうちに持っているドルを円にかえちゃおう、こういう投機的な動きもないわけじゃないんですね、現実の問題。
 それから証券業界、これも私は全部とは言いませんけれども、戦後最高の公定歩合引き下げなんだけれども、もう一回あるかもしらぬぞという、こういうおどかし、これがまた円を高くしている要因にもなっているわけです。私はこの一週間の動きを見て、この前の買い占めだとか売り惜しみという、そういう場面を直感的に想定をしたわけです。くどいようですけれども、やっぱり一部の者が千載一遇のチャンスだというふうな思想に立って、あんまり力もない円の値打ちを高く押し上げるということはまことに私はけしからぬことだと思うんです。これは全くこの前の狂乱物価のときの一部の業界、あるいは資本の動きと非常に似ているということをしみじみ痛感したわけです。このことについて、気がつかれているとも思いますし、当然手も打たれていると思いますが、現状どういうふうに運んでいるわけでしょう。このままでいきますと二百二十円というのは、二百十円台に上るというのは間違いないと私は素人ながら計算をしているわけです。いかがでしょう。
○政府委員(旦弘昌君) 後段におっしゃいました証券会社の件につきましては、証券局長からあるいはお答えがあろうかと思いますが、まず前段でお話しございました輸出業者の問題につきましては、輸出業者が輸出の代金がドルで入ってまいりますものを、これは実需でございますが、それが仮に三ヵ月後に入ってくるという、実際のそういう契約がございまして、それを、予測いたしまして、それの円にかえますのを三ヵ月後でなくて現在円にかえてしまうということを考えておる、そういう傾向が最近見られるということは事実でございます。これがいわゆるリーズ・アンド・ラグズということであろうかと思いますが、これは実際の実需に基づいた取引でありまして、それのドルから円の転換を繰り上げて、先物を買ってその処理をするということでございますので、これを防ぐことは必ずしもできないんではないかという感じがいたします。これをもし完全に防げということになりますと、貿易の決済を一切管理を強化いたしまして、全部政府の許可を要するというようなことにせざるを得ないので、自由主義国家におきましてこういうことをやっているところはございませんし、またやり得る問題でもないということでございます。
 それを防ぎますのは先高、先円高だということの不安を取り除くことが根本でございまして、そのためにはあらゆる施策を通じまして国際収支の黒字を減らすという方向にもっていって、それによって為替市場を安定させるということが根本ではなかろうか、かように考えております。
○政府委員(山内宏君) 証券業の中の外人を対象といたしますものといたしましては、一つは債券の問題でございます。この債券の問題につきましては、御質問にもありましたとおり、最近の円高と関連をいたしまして、ここ一、二ヵ月の間非常に巨額の外人買いがあったことは事実でございます。この点につきましては、すでに五年一ヵ月以下の債券の取得を禁止をするという形で措置が講じられております。それよりも長いサイトの期間の債券につきまして、これをまあたとえば現先のような形で、短期債的な扱いをして先ほどの規制をくぐるということがあるのかないのかということが次の問題でございますが、そもそも外人を相手にして現先契約を結ぶということはもともと禁止をされておるわけでございます。したがいまして、そういう意味ではあるわけがないわけでございますが、それをくぐってやっている者があるかどうか、これがその次の問題でございます。いわゆるやみ現先と称しております。この点につきましては、先週私どもの方において証券会社を呼び出して個々に聞き取り調査をやりましたけれども、具体的にそういう事態が行われておるということについての確認を得るには至っておりません。そういうことが行われていないんではないかというのが目下の私どもの判断でございますが、ただ、このまま放置をしておいて、将来もしそういう問題が起こってくるということになりますと、これまた一つの大きな問題でございますので、私どもといたしまして、証券業のそういった外人業務の多い各社を呼び集めまして、今後そういったことについての営業態度を慎重にするようにということの指示をいたしてございます。
 それから株の方でございますが、これはやや中期的に見てみますと、大体外人は売り越しでございます。そういう意味でいまお尋ねのような点はございませんし、ごく最近になってやや買いがふえておるようでございますけれども、これは株式市場全般のウエートとしては非常に小さいものであるというふうに考えております。
○穐山篤君 ドルを円にかえるということについて、規則の上、たてまえの上からけしからぬということは言えない、それは当然だと思うんです。しかしいま全力を挙げて、本当の円の値打ちとは思わないけれども高い円の値段になっている、そのことがいろんな産業あるいは雇用に重大な影響を与えているということでいま総合的に苦労しているときなんですね。そういう中で一部の者が、理屈には合っているかもしれませんけれどもそういう繰り上げの買い上げ、切りかえあるいはまあ投機的な情報を流すというふうなことは私は許されないというふうに思うんです。売り惜しみや買い占めのときも、 これは自由主義社会におきましては通常の商取引でございますと、余り賢い手が値段を安くするならば売らないというのは当然ですというので最初はしらばくれていた。しかし、そのうちに目に余って国民的な世論になって、謹慎するように、自重するようにという大臣の答弁も出たわけです。あるいは国民運動や消費者の運動があって鎮静をしたわけです。あれは具体的に目の前にある洗剤とか石けんだとかいう通常市民が買い求められるもの、あるいは魚にしてもそうでありますけれども、目に映ってい話ですね。
 ところが、このいま私が指摘をしました二つの話というのは、特定の場所で特定な業界で、国民が総逆立ちしてぶつかってみても、どこにどういうふうに問題持っていけばいいのかわからない、非常に微妙な複雑怪奇な話なんですね。ですから、そのことについてこれは普通の商取引だからそのままほっておきゃいいんだというふうに言われたんでは実も花もないんじゃないかというふうに思うんです。これがアメリカのドル安が、みずからの力でどんどん下がっていくというのは特別なアタックをかけなきゃなりませんけれども、日本人の中でこの際一遍にひとつ円を高くしてその差益もうけましょうという特定なグループが現実にあるわけですね。まあ電力のことについても一部はそういうことが言えるのかもしらぬ。ですから、私はごく事務的にこの問題を取り扱うということはまずいんじゃないか、政治問題としての取り組みの姿勢をきちんと示さないと、まだまだこういうことは続いていくんじゃないかと心配をします。その点について大臣のひとつ決意あるいは具体的な考え方を述べていただきたい。
○国務大臣(村山達雄君) まあいま変動為替相場でございまして、変動為替相場のメリットについてはすでにしばしば申し上げたとおりでございます。またデメリットがあることも御承知のとおりでございます。急激な乱高下というものがあり得るわけでございます。しかし、何と申しましても最終的には為替市場の需給、国際収支の関係で決まるというところがやはり基本でございますから、だからやがてはそれに落ちつくのでございます。ただその過程におきまして、いま投機資金のようなものをいかに抑えるか、ここが最大の問題でございまして、先ほど申しましたような実需に基づくところの輸出の受け取り代金を、将来損がないようにあらかじめ先物につなぐということを、これは投機資金というわけにはとてもまいらぬのでございます。したがって、投機資金のようなものが入ってくるやつをいかに抑えるかということにつきましては、先般自由円預金について増加額については一〇〇%吸い上げるということを実施いたしましたし、また短い五年一ヵ月以下のものについてはすべて取得を禁止したところでございます。それによりましてかなり効果は出ておるわけでございまして、それまで大体外資が一日二百五十億円程度入っておったのが、その後は五十億円ぐらいになっておるわけでございます。それでも先高感がございますと、まあ金利の点は捨てて、先で円が上がるから一〇〇%縛られてもまあ自由円預金にした方がいいというものもないわけではございません。しかし、それらの問題はすべて相場観の問題でございまして、おまえは相場観を幾らに改めろというわけにはなかなかいかないのでございます。そういう意味におきまして、私たちは投機的なものをいま抑えているわけでございます。最近の情勢を見ておりますと、まあ急には言えませんけれども、先ほど日銀総裁もちょっと触れましたように、直物と先物との間の開きが大分縮まってきておる、このことはやはりある程度のものを物語っているような気がします。これはまだほんの一日か二日しかあらわれておりませんので、この先を見ていかなければならぬのでございます。
 で、なかなか国際市場いろいろでございますから、いろんな相場観を持っている人はたくさんございまして、手を打てば手を打つほど日本政府はもっと先高を見ているんじゃないかという、そういう相場観を持つ国際資本もたくさんあるわけでございます。その辺が日本に限らず世界通貨当局の最も苦心するところなのでございます。いずれにいたしましても、趣旨におきましては穐山委員と全く同じなんでございますが、ややその方法論が、われわれはできる限りの手段を尽くしているつもりだということで、今後ともまたそのつもりで努力してまいるということで御理解をいただきたいのでございます。
○穐山篤君 次に、租特の方に移りますが、タックスヘーブン対策税制の問題です。私の調べによりますと、円が三百八円になったころから子会社、海外の子会社がふえる、あるいは特に顕著なのは御案内のとおり船舶関係ですね。今回手をつけたというのには敬意を表しますけれども、全く遅かったんじゃないか。海外の子会社にかなり蓄積をしてしまい、それが十分処分をされた後、新しい対策税制が出てきたということについては非常に残念でならないわけです。
 さて、具体的に中身の問題ですが、この法案の中にも書かれておりますけれども、無税あるいは無税に近いと、あるいは著しくというふうな言葉もあります。当然省令、政令で指定をするわけでしょうけれども、一つは国策として、総理大臣が東南アジアその他を歩きまして経済協力をしましょう、その一環で幾つか出たのもあります。そうなりますと、発展途上国なぞについては機械的に合算をして計算をする、税の対象金に挙げるということについては多少無理が出てくるのではないかというふうに思いますが、二つか三つぐらいのグループになると思いますけれども、その点についての考え方。
 それからもう一つ、一番むずかしいのはこれをどう捕捉をするかということだと思うのですね。お伺いしたところ、会計検査院が直接行くわけではないということになれば、結局本土にありますそれぞれの会社の帳簿を税務署が見てどうかというその判断一つにかかわるわけです。したがってその捕捉についての、いまから珍手を発表することはないでしょうけれども、捕捉のあり方あるいは機構というものについて、この際大切でありますのでまず第一にお伺いしておきます。
○政府委員(大倉眞隆君) 前段は私からお答えしまして、執行体制につきましては国税庁からお答えいたしたいと思いますが、私ども税制上今回御審議をお願いしているような制度がどうしても必要ではないかと考え始めたのは、実は二年ほど前です。しかし、非常にむずかしい問題をたくさん含んでおりますので、具体的に御提案するのは今回になってしまったのでございますが、今回御提案しているのも、ごらんいただきますように非常にむずかしい制度ではございます。ただ、これをつくります過程で、十分現実に海外投資をし海外活動をしている方々とは意見交換を一年かけていたしまして、特にただいまおっしゃいましたようにノーマルな海外投資、租税回避のためでない海外投資、また経済協力、そういうものが一律に網に入ってきてしまっては、これはかえってデメリットが出てきてしまうんで、そこをどうするかということが非常に大きな問題でございます。私ども、おっしゃったような趣旨で制度がうまく動くように工夫をいたしたつもりでございます。
 具体的な御質問の中で、そこにどうしても企業が来てほしいんで特別に減税をすると、あるいは一定期間免税をするというようなケースは確かにあるわけでございます。それは国または地域を指定しますときに、これは具体的に国または地域の名前を告示で指定しまして、実際に進出する企業が混乱を起こさないようにするつもりでございますが、指定の基準としましては、いわば本則税率で物を考える、特殊なタックスインセンティブというものはそこには入れてこないというふうなことを一つ考えております。したがいまして、特定の国に経済協力で来てほしい、経済協力で来るについてはたとえば二年間は免税しますというようなのは、ここで言う「著しく低い国又は地域」ということにはならないというふうにまずしております。
 それから、現実には東南アジア諸国というのは大体がかなり税率が高うございまして、今回指定いたします場合でも、東南アジアの中では香港等でございます。したがって、ASEAN諸国に現実に経済協力で出ていっている場合は今回の課税対象にはなりません。将来それらの国の税制が非常に変わればまた別でございます。
 執行面は国税庁からお答えいたします。
○政府委員(谷口昇君) 海外取引を利用しました不正所得の把握の問題、タックスヘーブンの問題とも関連をして執行体制はどのようにすべきか、あるいは現在しておるかと、こういう御質問かと承知をいたしまして御答弁申し上げるわけでありますが、この海外取引を利用いたしました不正所得の把握につきましては、従来から十分留意して調査を行っておるわけでありますが、特に海外子会社を有するような大法人に対しましては、毎年のように現在実地調査を行っております。また、一回の調査にも延べ数百日を投入をいたしまして、特に海外子会社との取引を含む海外取引関係に調査の重点を置きまして、きわめて徹底した調査を実施しております。
 こういう海外取引にかかる不正所得については、私どもも四十七年から五十一年までの実績を見ますと、少ない年でも三十億程度、多い年で百五十億程度の捜査といいますか、調査の実績を残しております。今後国税庁としてはこのような状況に対処するために、さらにわが国企業の海外事業所等の実態把握と調査のために、米国を中心に年間数組の調査官チームの派遣であるとか、あるいは租税条約に基づく情報の交換であるとか、あるいは調査官に対する外国語あるいは貿易実務あるいは海外取引調査技法の研修を行ってきておりますけれども、今後ともこれらの面で一層の充実方に努めるほか、昭和五十年度から設置をいたしましたわけでございますが、国税アタッシェ、これは現在シカゴに駐在いたしております。そういうアタッシェ制度の活用を通じまして海外での情報の収集に努めてまいりたいと、このように考えております。
 ただ、先生もう御承知だと思いますが、この海外調査と申しますのは、実は相手国政府からの同意の問題でありますとか、いわばこれは主権の問題でございますね、あるいは海外にあります本店との関係の問題であるとか、現実にはなかなかむずかしい問題がないとは申しません。しかしながら、私ども先ほど申しました姿勢でできるだけ実態把握に努め、課税の適正に努力をしてまいりたいと、このように考えております。
○穐山篤君 いまのタックスヘーブン税制対策について、私は特定な産業をやり玉に上げるつもりありませんけれども、国を調べてみればパナマだとかリベリアだとか香港とか、そういうところがどうしても地域になるわけですね。よく調べてみますと、御案内のとおり船舶関係が極端に多いわけです。十分この問題については対処されますように強く要望しておきます。
 さて最後に、先ほども前の委員が指摘をしておりましたが、自民党政府の回答としては、所得減税三千億円とその他四百八億円ということのようですね。いずれさらに審議が続けられるでしょうけれども、そこでもうすでにおわかりのとおり、最近アメリカ・カーターが発表しました一九七八年度の経済報告書を読んでみましても、アメリカも思い切って減税ということについて踏み切ったやに思うわけです。金額で言うとおおむね二百五十億ドルですか、日本の銭に換算すれば六兆円何がしに近いというふうに思います。それぞれの国のことですからこれを見習えというつもりはありませんけれども、大体総予算に対しまして五%ぐらいの減税で景気回復あるいは民間の需要を高めるということに非常に苦労をしておるわけですね。わが国も総理大臣が言っているとおり、そのことは十分認めますけれども、やや片手落ちになっているのが消費購買力、減税の問題ではないかと。たまたま機械的に計算をしますと、このアメリカの五%というのは日本の金にしますと二兆円に近い。よく野党が二兆円減税というふうに言っておったのも符合するような気がするわけです。いま大臣としてはそれだけ膨大な減税をやりますというふうには言う立場にはないでしょうけれども、私は前回も申し上げましたが、政府が考えたことを全部やったにしてみてもなおかつ問題が残ると思うときには、最後の手として野党が要求をしている大型の、大幅の減税という問題について手をつけるだけの英断が必要ではないかというふうに思います。財源のことなどについて言えばいろんな議論があります。私どもも知恵もないわけではありませんけれども、いまはどういう政治姿勢を国民の前に示すことが一番いいのかということを問われている時期だと思うのです。私は細かいことを申し上げるつもりありませんけれども、そのことについての決意ですね、あるいは考え方、自民党、福田内閣の閣議で決まったことだけに固執をしないで、もっと国民の意見に耳を傾ける、あるいは国民世論に顔を向けるということがいま一番の苦境を突破する最大の私は手ではないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 福田内閣の一員ということでなくて、個人としてでも考えを述べろというお話でございますから、私はアメリカの場合見たときには、アメリカが景気対策を起こそうとすればやっぱり減税にいくんだろうと思うのでございます。何といっても社会資本の方は非常に充実しておりますから、公共専業という方は非常に効率が薄いんじゃないか。一方、租税負担は非常に高いわけでございます。日本とちょうど逆の関係にあるわけでございますので、やはりアメリカとしてはあの手以外には恐らく政府はやる手がないのではないかと思うのでございます。日本の場合はまさにそこが逆の関係に立っているわけでございますし、一般のマクロのモデルを使うまでもなく、やはり同じ財源でどっちが内需の拡大に役立つかと言えば、当然私たちは公共事業ないしいろんな施設の拡充に使った方が効果があるという点で、別に福田内閣ということでなくても、いまの日本の財政政策としてはそっちへ向かうのが当然ではなかろうかという感じがいたしておるのでございます。いずれにいたしましてもいま予算御審議中でございまして、この予算を成立さしていただきますならば私は内外のうちの目標を達成することは可能であると思っておりますので、着実に実行して、しかし、絶えずその状況は監視してまいらなければならぬことは当然でございます。そして必要な手を打たなければならぬこともまた当然でございまして、まあその点は私たちは手おくれにならないように、責任を持って経済の推移を本当に注意深く見守りたいと、かよに思っておるところでございます。したがいまして、いまのところ年度の途中におきまして、野党の方々がおっしゃっているような大幅な減税をやるという考えは、目下のところ持っていないのでございます。
○渡辺武君 私、前回大阪の住吉税務署に納税協会のアルバイトが、重要書類の保管の書庫ですね、これに出入りをして、それで法人決議書などを持ち出して必要事項を写しているという問題について伺いましたが、その後調査はされましたでしょうか。
○政府委員(谷口昇君) 先般の当委員会におきます大阪の納税協会と税務署との関係についての御質問の際に、国税庁で調査をする旨答弁を申し上げましたが、その結果について御報告を申し上げます。
 住吉納税協会のアルバイトが、住吉税務署の法人税決議書等から納税協会のカードを作成しているのは守秘義務違反の問題であるのではないかという御質問でございましたが、早速に大阪国税局を通じて調査しましたところ、御指摘のカードといいますのは、税務署が内部資料として業種別あるいは決算別等による、いわゆる集合指導とか、あるいは個々の法人に対する個別の指導に役立てるために作成したものでありまして、これは納税協会のカードではございませんで、またそのカードを記入しておりましたのは、税務署で雇いましたアルバイトであり、納税協会のアルバイトではないと、このような報告を受けております。
 それから、納税協会の機関紙の編集問題がございましたが、これにつきましては、納税協会が発行しております機関紙の編集等を税務職員が行っているが、やめさせるべきではないかというこれまた御指摘でございましたが、大阪国税局を通じて調査しましたところによりますと、納税協会の機関紙は協会が独自に編集発行しており、税務職員がタッチをしておるという事実はないという報告を受けております。
 なお、納税貯蓄組合が発行いたします機関紙につきましては、税務職員がその編集等を手伝っておりますが、前回御答弁申し上げましたとおり、納税貯蓄組合は特別法により設立されたものでありまして、同組合がその設立の趣旨にのっとり、納税道義の高揚とか、あるいは税知識の普及を図るために発行する会報の編集などに税務職員が協力するといいますか、お手伝いすることはむしろ当然のことであると、このように考えております。
○渡辺武君 その辺ね、ちょっとその報告おかしいですね、大阪の国税局から来た報告というのは。と申しますのは、このアルバイトの問題ですよ。住吉税務署内の労働組合の執行部がことしの二月九日の午後四時からの団体交渉でこの問題を追及したそうです。ところが署長さん、これは仲谷幸三さんといわれる方ですね、この方が納税協会のアルバイトだということを明確に認めているんですね。そして協会に対する便宜供与は当然だというふうにも答えておられる。そういう事実がありまして、これはもうその報告とまるきり食い違った事実になっているわけですよ、その報告が事実と全く食い違っている報告ですな、いまあなたのされた報告は。その辺は改めてさらに調べてもらいたいと思うんです。現場の組合が団体交渉の席で署長に言ったら、署長は事実を認めているわけですから。ただしその後、あれは税務署のアルバイトだというようなことを総務課長さんが訂正をしたりしているそうです。しているんだけれども、当初においてはいま言ったような状態でありますので、これはどうもいまのあなたの御報告、事実と違うというふうに私ども考えざるを得ません。
 それから、そこのいま申しました労働組合の住吉分会が調査したところ、納税協会のアルバイトが二名とそれから住吉税務署のアルバイト一名というんで、それは住吉税務署のアルバイトも一名はいました。しかし、納税協会のアルバイト二名が立ち入って、そうして重要書類を書き写していたということについては、これは間違いのないことなんです。
 それからもう一点、納税貯蓄組合の連合会の問題です。それでこれはやはり自主的につくられた団体のはずですね、納税貯蓄組合というのは。
○政府委員(谷口昇君) 納税貯蓄組合法の……
○渡辺武君 でつくられたものでしょう。ですから私は、これは納税者の自主的な団体であって、税務署の下部機構でもなし税務署の一つの組織でもないものだと思うんですよ。それに税務署員が仕事中に機関紙の編集に携わるというようなことがあっていいものでしょうか、どうですか。
○政府委員(谷口昇君) 先般の御質問のときには、納税協会の機関紙というお話でございまして、私の方では納税協会の機関紙について先ほど御答弁をいたしました。その際に、御質問が先回あったときに、納税貯蓄組合が場合によってはこういうことをしているかもしれませんということを申し上げたんですが、いまの御質問は、納税貯蓄組合がそういう場合にそれではどうするんだと、機関紙についてはいいのかと、こういう御質問でございますね。
 そこで私の方は、実は先般もお答えをいたしたわけでありますが、納税貯蓄組合というのは、納税道義の高揚であるとかあるいは税知識の普及だとか、そういうことを目的にして納税貯蓄組合法でいわば定めた法人でございます。
 そこで、そういうものについてこれは私どもの組織に、まあ大蔵省設置法から始まりまして国税庁の訓令に至るまで、一連の権限とか組織に関する規定がございますが、その中に徴収部あるいは管理課という仕事をする場合に、納税貯蓄組合に関することという規定がございます。したがいまして、私どもは納税貯蓄組合については、先ほどの法律のいわば適正な施行といいますか、あるいはその法律の趣旨に沿ってそういう団体の育成といいますか普及といいますか、そういうことを任務として仕事をしていく立場にあるわけであります。
 そこで、そういう仕事の一環として、先ほど申しましたように、納税貯蓄組合の機関紙といいますか、そういう機関紙の編集だとかあるいは普及活動ですね。いういうことについて私どもの職員がこれをお世話をするということは、私どもはそれは仕事の一つだと、このように考えておるわけであります。
○渡辺武君 おっしゃるとおり、私この前問題提起したのは、納税協会の機関紙に税務署員が仕事中にやっているんだと、編集をね、ということを申し上げたんですが、あなた方が、いやそれは納税貯蓄組合のことであろうということで、いまもそういうお話だったわけですね。だから仮にあなた方のおっしゃることがそのとおりであるとしても、納税貯蓄組合というのはそれなりに法でつくられた納税者の自主的な団体であるはずだから、あなた方は指導するといっても、仕事中に編集を直接やるというようなことは行き過ぎじゃないかということを申し上げているんです。その点どうですか。
○政府委員(谷口昇君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもの仕事の中に納税貯蓄組合に関することという事務がございます。そこで、具体的にどういうことをするかということがその次に問題になるわけですが、先ほど申しましたように、納税貯蓄組合の育成あるいは円滑なる何といいますか、納税貯蓄組合の執行に対する指導とか、そういうような問題があるわけであります。あるいは納税貯蓄組合思想の普及だとか、あるいは納税道義高揚の問題だとか、こういう問題がございます。それが、納税貯蓄組合を通じてそういう仕事をしていくということが一つの私どもとして仕事になっておるものでございますので、先ほど申しましたように、納税貯蓄組合便りあるいは納税貯蓄組合の機関紙、名前はいろいろございますが、そういうものの中にそういう私どもの考え方を述べたり、あるいはそういう、場合によってはもちろん原稿に投稿しましたり、あるいはそういう納税貯蓄組合の活動に御協力申し上げるとかいうようなことは私ども仕事としてそれはあり得る、あり得るといいますか仕事であると、こんなふうに考えているわけでございます。
○渡辺武君 この問題、時間もないんで改めてやりたいと思うんですが、少なくともいまおっしゃった大阪国税庁からのアルバイトが重要書庫に立ち入って重要書類を写し取っているということについて、私が調べた事実とは反している、その報告。もう一回調べていただきたい、どうですか。
○政府委員(谷口昇君) 先ほど御答弁を申しましたように、私ども早速に大阪国税局を通じて住吉税務署の問題について調べましたわけでありますが、先ほど報告をしたとおりだと私ども思っておりますが、その報告に先生のお話ですと少し疑義があると、こういうことでございますので、私どもとしてはまことに遺憾な感じがいたしておるわけでありますが、私は間違っていないんじゃないかと、このように思っておるわけでございますが、御了察いただければ大変ありがたいと、このように考えております。
○渡辺武君 いや、私ね、あなたからこの前の答弁があった後も重ねて確かめたんです、事実を。ですから、あなた方の方も、私ここではっきり言っているわけですから、私の調べた事実と違っているんだということを。重ねてやっぱりお調べいただきたいと思う。
○政府委員(谷口昇君) 重ねての御要求でございますので、私どももさらにもう一度調査をさしていただきます。
○渡辺武君 今度の投資税制について簡単に伺いたいと思うんですが、今回の投資促進税制ですね、公害防止とか省エネルギーなどの特定機械設備とそれから中小企業の投資ですね、これに一応対象は限定されておる、期間も一年という時限立法になっておるわけですね。しかし従来の経過から考えてみますと、ほかの委員も指摘されましたけれども、財界、それから通産省などから大企業を含めての投資促進税制として非常にその制度が強く要望されていたところだと思うんです。今後そういう方向に進むんじゃないかと、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(大倉眞隆君) 時間の関係でごく簡単に申し上げたいと思いますが、答申でお読み取りいただけますように、税制調査会内部に、この局面で投資促進のためとはいえ新しい措置をつくるということにはかなり消極的な意見をお持ちの委員がかなりの数いらっしゃいまして、答申からその点はお読み取りいただけると思います。したがって、御提案申しておりますように対象は限定する、そして期間は一年限りとする、しかも現在の特別償却とはダブらせないということで御提案しておりまして、その設備投資が出てくればそれが経済を引き上げるということ、ここはどの委員の方も御異論はないわけですが、ただそれを税でどう受けとめるかということにつきましては、税制調査会はかなりある意味では難航した審議の末、今回御提案したような結論になっておりますので、これを期限、対象等につきましてさらに拡充するということについては、改めて税制調査会にお諮りをしなくちゃなりませんし、かなり同じような消極的な見解があるんではないかというように私は感じます。
 ただ、設備投資が出てくれる、そのために税でやれば何とかなるんだという強い意見のお持ちの委員ももちろんあるわけで、その意味では政府がやっていることでは足りないという御批判も現にある、あんなものじゃ効かないよということを強くおっしゃる方もあるわけです。ですから、そういう方々からは引き続きそういう意見がまた出てくるという可能性もまた否定はできないと思うんです。やはりその局面局面に応じまして、もしそういう御意見が強く出てくれば改めて税制調査会に御審議をお願いしなくてはならないと思いますけれども、私の個人的な感じとしては、いま申し上げたように税制調査会全体の雰囲気を受け取っているということでございます。
○渡辺武君 その税制調査会の五十三年度税制についての答申を見てみますと、租税特別措置の整理合理化、これとの関連で論じているようですね。ですから、現在曲がりなりにも多少ずつ進んでおる特別措置の整理合理化ですね、これとの兼ね合いで、今回のこの制度そのものの期間延長とか拡大とかいう形になるかならないか、これは別として、やはり新たにそういう論議が高まってくるという可能性は、これは欧米諸国でやられているこの税制なども考えてみますとあるんじゃないかという感じがします。
 それからもう一点、「通産ジャーナル」という本がありまして、これは通産省の出しておるものですが、これのことしの二月号に、通産省の南学産業政策局企業行動課長が「投資促進税制の創設」というのを書いておられて、そこに、一言で言えばこういうことなんですね。今回のこの税制は、「未だ、景気対策として不可欠の制度として確立したものではないにしても、景気対策として産業税制を活用するという税制の今後の在り方を示すものであり、新たな先例を拓いた意義はあろうかと考えている。」というふうに、いわば突破口だと言わぬばかりの見方しているわけですね。大体こういう状態ですから、今後やはり中小企業とかその他に対象を限るというのではなくて、大企業を含めての全体としての景気調整ということを含めた投資減税というようなものが登場してくるんじゃないかと思ってるんですが、どうですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 私承知しております限りでは、通産省事務当局としましては時限的な措置でなくて、上下対称的な投資平衡準備金のようなものがどうしても将来必要ではないかということをかなりの信念を持って主張しておりますので、恐らく南学君が書きましたのもそのような信念が裏にあって彼なりの見解を書いておるんだと思います。私は彼なりの立場からしてそういう意見を持つことをあながち否定し去るというのもまたいかがかとは思いますが、しかし具体的な税制改正の提案というのは、先ほど申し上げましたように、もし出てまいりますれば、それはそれとして十分慎重に税制調査会に御審議を願った上で政府案を決めてまいります。
○渡辺武君 残された時間を使いまして、入場税の問題についてこの際一言だけ伺っておきたいと思うんです。
 先日国会に、衆参両院に入場税撤廃の、要望という請願が出ました。これには可及的速やかに舞台芸術と、括弧して演芸、演劇、音楽、舞踊等というふうに入っておりますが、舞台芸術に課されている入場税を撤廃していただきたいという請願です。請願者は舞台入場税対策連絡会議ということで、参加団体は演劇入場税減免運動委員会、それから音楽・舞踊入場税撤廃委員会、全国こども劇場・おやこ劇場連絡会、日本演劇興行協会、日本芸能実演家団体協議会という方々です。主としていわゆる舞台で高級のなまものをやっておられるという方々が中心のものですね。衆参に出された請願の署名者の数は十七万八千二百五十人、非常に努力をしてたくさんの賛成者を得て請願が出ているわけですが、この要望について検討する用意があるかどうか、伺いたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) 請願として採択されたかどうかは、申しわけございませんが私ちょっとそこまでまだ存じませんが、そういうことになりますればもちろん私どもも検討をいたさなくてはならないと思いますけれども、五十年度の税制改正で、渡辺委員よく御承知のように非常に大幅な免税点の引き上げをいたしまして、現在演劇は三千円の免税点になっております。したがいまして、三千円を超える高額料金で鑑賞なさる方々はやはり入場税は負担していただきたいなと、率直に申し上げて私はそう考えますけれども、請願が採択されますればもちろん検討はしなくてはならないと考えております。
○渡辺武君 免税点引き上げはそのとおりなんですよ。私ども大分努力しまして実現したんで、そのときは非常に喜んだんです。しかし、同町にその当時考えたことがあるんです。それは昭和四十三年の七月の税制調査会の長期答申の中で、免税点を引き上げると、そうするといわば高級な芸術鑑賞ですね、これが課税対象として残るんだという趣旨のことを書いてある。まさにその矛盾が今回はっきりあらわれてきた。物価上昇とともに入場料は向くならざるを得ないんです。資料がついていますがね、この請願には。入場料が高くなってきた。いままでは免税点以下だったものが免税点を越えてきているというのがたくさん出ているんですね。ですから、まさにその高級のなまものの舞台関係の芸術、これだけが課税対象になるということになってきて、非常にこれは文化活動そのものに対するいわば課税だと言っても差し支えのないようなもので、いまの日本の文化国家だと自称している状態からすれば非常にこれは恥ずかしい問題だというふうに思うんです。
 それからなお、時間がないので全部言ってしまいますが、五十一年度のこの入場税の税収の額の内容を見てみますと、こうした高級の演芸、演劇、音楽ですね、こういうものからくる税収とギャンブルの税収がほぼ近いですね。そういうことで、ギャンブル並みに課税をしていると。これは芸術に対する政府の扱いとしては余りにひどい見方じゃないかと思うんですね。この税制が戦時立法としてつくられた等々のことはきょうは議論する時間ありませんけれども、そういうこともありますので、この要請にこたえる方向で、ぜひ検討していただきたいと思うんです。どうですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 私どもの立場から申しますと、やはり入場税というものは税体系の中で存在してほしいと考えているわけでございまして、その点はかなり渡辺委員と見解が違うのであろうと思いますが、現実の税収の額がおっしゃったようなことになっておるという点は、これは実は競輪、競馬等の入場料金が非常にいま低いものでございますから、非常に大勢の人数の方が行かれても税収としてそんなもの、大きなものにならないということであると思うんでございます。やはり、さっきの繰り返しになって恐縮でございますが、三千円を越えるような料金を払って見に行っておられる方々はそれなりにその一〇%の入場税という負担はしていただけないものだろうかと、私としてはそう考えますが、しかし、先ほども申し上げましたように、なまものについてはそもそも入場税をかけない方がいいという御意見が採択されますれば、それはそれとして検討は続けてまいりたいと考えます。
○中村利次君 やっぱり円高問題ですけれども、これはまたまた異常な状態になっておりますけれども、先ほどから大臣のお答えも伺いました。牛場大臣、あるいは宮沢経企庁長官、あるいは大蔵大臣みずから、あるいは五月初めの総理とカーター大統領との会談という政治日程等々――。これはいつも申し上げておりますように、円高の問題はこれはもう日本の景気浮揚に直接の影響があることですし、また政府が臨時異例の五十三年度予算を組んでも、その効果が、全くこれはこういう異常なまでの円高によって減殺どころか決定的打撃を受けることもあるわけでありますから、したがって、確かにこれは非常にむずかしいことだとは思いますが、やっぱり政府の対応以外にはほかにないわけです。一つには、もう申し上げるまでもなくアメリカのドル対策ですね。これはどうもアメリカに防衛の意思があるのかないのか私どもは大変に疑わしい。ドルの価値が下がってもアメリカはそれほど影響を受けないんじゃないかという気がしますよ。ですから、アメリカにドルを防衛しなさいと言うことが、日本もあるいはヨーロッパもそういうことをひざ詰め談判して効果があるのかどうか、何か決め手があるのかどうか。どうですか大臣、これは。
○国務大臣(村山達雄君) おっしゃるように、アメリカは日本と違いまして輸出入に依存する度合いはもうほとんどわずか、五%あるかなしでございますし、しかもほとんど世界各国がドル建てで貿易をやっておるわけでございますから、アメリカの国民の為替相場に対する関内心というものは非常に少ないであろうということは容易に想像されるわけでございます。むしろ国内の雇用問題だとかそういう問題が強くくるわけでございましょうから、経常収支の関係をやかましく言うというあたりは、まさにアメリカの国内の事情をよくあらわしているわけだろうと思うのでございます。しかし、漸次アメリカも、やはり好むと好まざるとにかかわらず基軸通貨になっておるということ、それからまた原油価格が現在ドル建てになっておるということ等々考える、特に政策筋はそういうことを十分知っているわけでございますから、だんだんそういう意味の認識は深まりつつあるとわれわれは見ているわけでございます。しかし、まあ固定為替相場なんていうのはこれはとてもできる相談でもございませんし、また、ローザ構想のようなものもまたこれいまのところ全く条件の違う中でやることはできないであろうということは、アメリカのみならず世界のすべての通貨当局のほぼ認めておるところでございますから、要するにアメリカ自身が、やはり、ドルを防衛するということはアメリカ自身にとってもそれから国際社会にとっても必要だと、この認識が一番大事だと思うわけでございまして、その種の問題について今後ともさっき申しましたようなスケジュールでさらにそういう認識を深めていただきたいと、こう思っておるわけでございます。すでに、かつてはスワップなんというものはいやだと、こう言っておったのが、ドイツと結んだということもやはりその一つのあらわれだと思っておるわけでございます。
 それで、やはりこの相場の問題は、さっきも繰り返して恐縮でございますけれども、何と申しましても為替の需給関係で決まるわけでございまして、投機筋が入ってくるといっても、下手をすればこれは大やけどをすることはもう間違いないわけでございますから、投機筋といえどもそれはもうおっかなびっくりで入ってくることはもう間違いないのでございます。したがいまして、それはやはり実勢を着実に、早く実体経済をその方に向けていくということが、遅まきのようでございますけれども最も早道であると。
 それから、われわれは乱高下に対しましては、まあどこの通貨当局もそうでございますけれども、それぞれ苦心をしてやっているところでございます。先般も短期資金の流入に対しましてかなりきつい措置をとりましてそれなりに効果上がっておるわけでございます。ちなみにいま入りましたところによりますと、前場の終わり値ができましてやや円安になっております。二百二十二円でございます。ですから、為替相場というものはなかなか非常にいろんな相場観を持ってくる人間が入っておるのでございますが、私は実勢をなるべくそこへ持っていくように努力することが最も大半であり、それから緊急避難的な措置としてどの辺が有効であるのか、それから下手に介入しますとやはり日本政府みずからが高い相場観を持っているなという心理的影響を与えるものでございますから、その辺が一番むずかしいところであろうと思います。しかし、この安定について努力しなければならぬというただいまの中村委員の御意見に対しましては、全く同感でございます。
○中村利次君 確かに、おっしゃるようになかなかこれはいずれにしても決め手はむずかしいと思いますがね。私はやっぱりアメリカにとってはドルの価格が下落していって、アメリカ自身そういう点での脅威は感じないかもしれないけれども、もしそのことによって何か最近報じられたように産油国あたりが原油の価格を上げるということになると、これはアメリカは決定的な打撃を受けるわけですから、そこら辺の絡みがどうなるのか、これはまあ通貨問題の見通しとその対策として日本の政府がどういう見通しと対策を持っておるかということが一つ。
 時間がありませんから一緒に聞いちゃいますけれども、それからこれはアメリカに対して求めるもの、それからみずからやるものありますよね、これはいままでくどいぐらい言われてきましたけれども そういう点、これをあわして見通しなり対策というものをお伺いをして私の質問を終わります。
○国務大臣(村山達雄君) まあアメリカ自身の問題としては、原油の問題もありますし、それから輸入物価を通じてインフレが高進するという問題は当然あるわけでございます。最近われわれの得た情報によりますと、やはり輸入物価の高騰を通ずるインフレの問題というやつは、もうそろそろ問題になっているそうでございます。ですから、アメリカ自身もだんだんそういうことは気がついてくるだろうと思いまして、問題は認識の一致にあるということで、われわれは今後その問題を大いに強調してまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、国内においてとるべき措置につきましては、われわれもできるだけの措置をとっているわけでございますし、今後といえどもまた適宜とってまいりたい、絶えず相場をウォッチしているところでございます。いま円安になりましたし、それからきのうあたりから先物との間のスプレッドがずっと縮まってまいりました。このことは非常に先行き感についていい徴候があらわれていると思いますが、今後とも努力してまいることを申し上げます。
○委員長(嶋崎均君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより有価証券取引税法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 有価証券取引税法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(嶋崎均君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、細川君から発言を求められておりますのでこれを許します。細川護熙君。
○細川護熙君 私は、ただいま可決されました有価証券取引税法の一部を改正する法律案に対し、各派共同による附帯決議案を、提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 有価証券取引税法の一部を改正、する法律案に対
 する附帯決議(案)
  政府は、個人の有価証券譲渡益非課税の措置が税の不公平をもたらしている実情に顧み、有価証券取引の十分な把握体制を含めた有価証券譲渡益課税強化の検討を早急に行うべきである。
  右決議する。
 以上であります。
○委員長(嶋崎均君) ただいま細川君から提案されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(嶋崎均君) 全会一致と認めます。よって、細川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、村山大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。村山大蔵大臣。
○国務大臣(村山達雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。
○委員長(嶋崎均君) 次に、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○福間知之君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行うものであります。
 わが国経済は、政府の経済、財政運営の失敗により重大な危機に直面していると言わねばなりません。特に最近の急激な円高、ドル流入に対し、公定歩合の引き下げ、緊急輸入対策の推進などにより歯どめをかけようとしている政府の意図は奏功するに至っておりません。むしろ、日を追って円の高騰が続いているのであります。一方四月中旬には銀行などの各種預貯金金利が引き下げられ、物価上昇率を下回る金利水準となり、大口の債務者利得を助長する反面、わずかばかりの可処分所得を貯蓄に振り向けた経済的弱者の保有資産を減価させ、社会的不公正を一層拡大することになるのであります。また、利子・配当所得及びキャピタルゲインの総合課税への移行について何らの前進も見られないのは、政府の意識的怠慢と断ぜざるを得ません。少なくとも、今回源泉分離課税の税率を現行三五%から四〇%以上に引き上げるべきが妥当であります。
 政府は、企業優遇税制を極力縮減したと申しておりますが、たとえば、高い担税力を持つ電力会社には渇水準備金や原子力発電工事償却準備金などを温存させ、無税の内部留保を増長させているのであります。また、現行法人税法の規定にある退職給与引当金などは負債性引当金として認められているとはいえ、これを積み立てる余裕のある企業のみの恩典であることなど、再考すべき時期を迎えたと考えます。
 次に、土地譲渡益重課制度の緩和については、過日の本院本会議でも私は主張しましたとおり、これで良質安価な土地の提供が得られるとは考えられず、容認しがたいのであります。また、住宅取得控除についても、新築住宅取得者と並んで、やむを得ず中古住宅を購入した者への配慮があってこそ税負担のアンバランスを解消することともなり、住宅政策の充実と勤労者への財産形成に資することになるのであります。
 社会保険診療報酬の課税の特例に関する是正でありますが、本委員会での審議過程や会計検査院の報告でも明らかなように、その不公正な実態の速やかな是正を不可決のものとして指摘しているにもかかわらず、またまた据え置きとなっていることはまことに納得できないところであります。これを速やかに是正することなくして、今日増税論が台頭する中で勤労者大衆へのいかなる増税もあり得ないということを表明しておくものであります。
 投資促進税制に関しても、現下の経済情勢にかんがみ、その効果は期待し得るところは少なく、賛成するわけにはまいりません。
 国税収納金問題でありますが、税収の前倒し収納はわが国財政の実態を不明瞭に糊塗するものであります。すなわち、この措置を実行するには、現下の経済状況から判断して、むしろ最も好ましからざる時期であると考えます。先行き不透明な、しかも景気反応に敏感な法人税の先取りは予算全体の枠組みを不確定なものとすることとなり、同時に前倒し税収の二兆円余は、その分赤字国債発行として国債依存度三七・八%の姿として明確にすべきものであります。
 最後に、今回三千億円の戻し税方式による所得税減税が与野党合意で行われることになったのでありますが、標準世帯で一万五千円程度では、景気の下支え程度の効果しか発揮せず、政府の目指す景気対策も生産財の高騰、公共事業の完全消化の困難性などが当然視される中で前途多難と思わざるを得ません。少なくとも、私どもが求めた一兆円以上の所得税減税を断行し、もって個人消費の喚起による内需拡大を図ることが景気の底がたい浮揚の決め手となることを申し添え、反対討論を終わります。
○細川護熙君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対し、賛成の意向を表明するものであります。
 現下のわが国財政は、歳入の三割以上を公債金収入に依存しなければならないきわめて異常な事態に立ち至っております。中期的な財政の姿を展望した財政収支試算にも示されておりますように、財政の破滅的状況を回避し、なるべく近い将来において財政の健全性を取り戻すためには、国民に相当の負担増を求めなければならないという容易ならざる状況に置かれているのが実情であります。
 このような財政事情下にあって、租税特別措置が持つ税負担の不公平という側面についてはこれを是正し、一方で可能な限りの財源捻出について努力することが、今後の財政運営において不可欠の要件であると言わなければなりません。
 しかしながら、租税特別措置についてはその本来の目的と役割り、すなわち、税制面からインセンティブを与えることにより特定の政策目的を実現するという使命を持っている点を改めて見直して見る必要があります。その意味において、今回五十一、五十二年度に引き続き企業関係の準備金等にかかわる特例措置について相当な縮減合理化を行う一方、景気振興のための住宅取得控除制度の拡充、投資促進税制の導入など、税負担公平の要請との調和を図りながら積極的に租税特別措置を活用しようとしていることは、それなりに評価さるべきことであります。
 また、旧税収納金整理資金法の改正は、税収の所属年度区分について発生主義を明確にしたものであり、大幅な税収不足を一般的な増税で補うことについてのコンセンサスが確立していない現在においては、やむを得ないというか、時宜に適した措置であると考えるものであります。
 以上申し上げました理由により、本法律案に賛成の意を表明して討論を終わります。
○塩出啓典君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について反対の態度を表明し、討論を行うものであります。
 昭和五十三年度税制改正については、わが国の当面する厳しい経済、財政情勢から勘案して、景気の着実な回復を図ることを主目的としながら、一方では財政の健全化にも展望を開くことが課題とされていたのであります。
 しかるに、来年度の税制改正は住宅ローン減税、円高で被害を受けた中小企業への繰り戻し還付の特例、法人関係の租税特別措置の整理合理化などの措置だけであって、これでは直面する経済、財政情勢や国民生活の実情から見てもはなはだ不十分であり、多くの問題があります。
 第一は、不公平税制の是正に対する取り組みであります。
 不公平税制の是正については、われわれも租税特別措置である利子・配当所得の分離課税の廃止、交際費課税の強化、価格変動準備金の縮小などを初め、法人税の各種引当金の縮小、法人の受取配当益金不算入及び支払い配当軽課税率などの廃止を要求してまいりましたが、それらについて来年度の改正においては一切取り上げられず、有価証券税制においても抜本的なキャピタルゲイン課税に取り組むことなく、有価証券取引税率をわずかばかり引き上げるだけで糊塗しようとしているのであります。
 こうした不公平税制を温存させることは、財政の健全化をますますおくらせるとともに、一方では所得税の見送りによる実質増税という大衆課税の強化につながり、さらに不公平を拡大するものであります。
 以上のように、政府の不公平税制の改正に対する取り組みははなはだ積極性に乏しく、国民に失望を与えるものであります。
 第二は、今回の改正で新たに措置されたものが景気対策に偏り、福祉とか公平さに欠けていることであります。
 たとえば、住宅ローン減税は昭和五十三年一月以降に取得した新築住宅に限定しており、その控除方法は多額な借金ができる者にしか利用できないような仕組みになっております。したがって、こうした制度を設けるからには、すでに住宅ローンを利用している者や中古住宅の取得者、増築をする人等もその対象に加えるべきであります。また、住宅を取得できない階層については、家賃控除による減税を行うことが、税の公平や福祉の面から見ても必要であります。
 また、今回の改正で宅地供給ということから土地重課課税を緩和しておりますが、これは土地を多く抱えた企業を救済する以外にその意味はなく、理解しがたいのであります。住宅や機械を取得し得る階層にのみ減税を行うのではなく、むしろ最近の教育費の高騰から考えて教育費の減税を考えるべきであります。このように福祉とか公平さを、配慮しない税制改正は認めがたいのであります。
 第三は、国税収納金整理資金に関する改正によって財政民主主義が形骸化されることであります。
 政府の財政運営の著しい失敗から、予算編成に際し重要視してきた国債依存度三〇%の維持が不可能となり、さらに五十三年度は五十二年度第二次補正後の国債依存度三四%よりも低い水準に見せかけるための措置であることは明らかであります。このような場当たり的な財政処理のみに終始してきた政府の態度こそが、今日の財政危機をもたらした最大の要因であることを強く指摘するとともに、中期的な財政見通しとこれに対処する抜本的かつ具体的な構想を国民に明示し、これに取り組む姿勢がない限り、今後国民の負担増を伴う財政再建はなし得ないことを警告して、本改正案に対する反対討論といたします。
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法及び国税収納金整理資金法の一部改正案について反対の討論をいたします。
 反対の理由の第一は、本改正案が国民の強い批判のもとで租税特別措置のわずかな改廃を行う反面で、景気対策を口実にして大企業救済の不公平税制を新たに拡大していることであります。
 その一つは、法人の土地譲渡益重課の緩和措置であります。政府は宅地供給の促進を口実として、従来の適正利潤率の要件を国土利用計画法に基づく適正価格要件に改正いたしました。この適正価格は地価公示価格にリンクされたものであり、大手不動産会社を中心とする大企業の地価引き上げに追随するものであることは、この地価公示価格そのものが昭和四十八、九年には年三〇%以上もの暴騰を示したことを見ても明らかであります。政府の今回の措置は、大量の土地を買い占めて地価を暴騰させ、庶民の住宅建設の夢を踏みにじり、現在まさにこのためにこそ適正利潤率をはるかに上回る金利負担に悩む大企業と大銀行を救済しようとするものであり、すでに動き始めた地価上昇に拍車をかけるものと言わなければなりません。いま重要なことは重課税の緩和にあるのではなく、大企業の買い占め地を放出させ、地価安定と生活用地確保を行うことであります。
 その二つは、投資促進税制の新設であります。政府は今回、この制度を公害防止、省エネルギー及び中小企業の投資に限定し、期限も一年に限っております。しかし、元来投資減税制度は大企業が強く要望していたものであり、現に産業界は一斉にこの制度の拡大、延長を強く求めているのであります。戦後の企業優遇税制の生成発展の経緯から見ても、また税制調査会の中期答申が景気調整税制を検討することを述べていることから見ても、この制度が大企業の投資にまで拡大されるおそれがきわめて大きいものであることは明らかなことであります。
 反対の理由の第二は、大企業、大資産家優遇税制の是正が不徹底であるばかりか、実際には特定の政策目的に対する優遇措置が拡充されていることであります。今回行われた企業関係の特別措置の整理合理化なるものは、初年度十億円の増収をもたらす程度のものであり、わが党が強く要求してきた不公平の根本である各種引当金、配当関係軽課、高額所得者への利子・配当課税の総合化、給与所得控除の青天井廃止、有価証券譲渡益課税等の適正課税には全く手が加えられておらず、今後についても政府の態度はきわめて消極的であります。しかも改廃の見返り措置として、海外投資等損失準備金に電力会社の核燃料再処理の海外委託債権を拡大したこと、電算機業界へ重要複合機械システムに初年度四分の一の特別償却を新設したこと、初年度三分の一の特別償却の公害防止用設備に大気一汚染防止のNOX対策施設等が拡充されるなど、大企業のための不公平税制の温存は明らかであります。
 次に、国税収納金整理資金法の一部改正について申し述べます。
 この制度は、本来次の年度の歳入となるべき税収をその年度の歳入としようとするものであり、すでに制度化された決算調整資金制度と相まって、政府の放漫財産とそれによる財政危機を一層激しくするものであり、予算の単年度主義の原則にもそむくものであり、絶対に賛成することのできないものであります。
 政府の厳しい反省を求めて、私の反対討論を終わります。
○中村利次君 租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対して民社党は反対をし、そのための討論をいたします。
 ここ二、三年、政府が租税特別措置法の見直し、改善をやっていることについては、それなりの意義があると思います。しかしながら、五十三年度の予算は、政府の証言を措りましても臨時異例のものであって、五十四年度以降中期的にわが国の財政を見通しましても、歳出のむだをどう抑えて、歳入、なかんずく税収の増加をどう図っていくかということが、これはもう決定的な政治課題、財政上の政治課題だと思うんです。ところが、私は個々に一々具体的なものに対する討論を避けますけれども、少なくとも政府の税調がかなりきつい表現を用いて、国民の政治不信をつのらせるようなことになるぞという警告を発したことすら手がつかない。その他の問題についても政治的な配慮と申しましょうか、きわめてぬるま湯的な、異常な事態下におけるぬるま湯的な租税特別措置法の一部改正については、国民の立場に立ってもとうていこれは納得、賛成をするわけにはいかないのであります。
 私は、この際国民の期待にこたえた当面、将来を見越した税の不公平是正のためにも、すっきりした租税特別措置法の改正が抜本的に行われることを強く期待をして、私の討論を終わります。
○委員長(嶋崎均君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(嶋崎均君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間知之君。
○福間知之君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブ及び新自由クラブの各派共同による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
  租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、左記事項の維進に努めるべきである。
一 各種準備金、特別償却等の租税特別措置については、その政策目的、政策効果等の実態に即して整理合理化すること。
一 法人の受取配当益金不算入制度及び支払配当軽課制度等を含め、法人課税の基本的あり方について、今後さらに検討すること。
一 利子・配当課税については、その総合課税への移行を検討すること。
一 現行の社会保険診療報酬課税の特例については、社会保険診療報酬のあり方との関連を考慮しつつ、五十四年より適正化すること。
一 交際費に対する課税強化措置についてさらに検討することとし、その社会に与える影響について配意すること。
一 住宅税制については、住宅政策との関連において、その対象範囲の拡大等効果的な税制のあり方について今後さらに検討すること。
一 土地譲渡益重課制度の適用除外要件の改正に伴い、地価の騰貴を生ぜしめないよう諸制度の適正な運用により遺憾なきを期すること。
一 所得・物価水準の推移等に即応し、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減合理化に努めるとともに、税負担の一層の公平化を図ること。
一 医療費控除、雑損控除については、実情に即し適切に配慮すること。
一 通勤手当の非課税限度額については、通勤の実情に即応して、再検討すること。
一 深夜労働に伴う割増賃金及び寒冷地手当については、税の軽減について検討すること。
一 変動する納税環境の下において、複雑、困難で、かつ高度の専門的知識を要する職務に従事している国税職員について、職員構成の特殊性等従来の経緯及び今後の財政確保の緊急かつ重要性にかんがみ、今後ともその処遇の改善、定員の増加等に一層配慮すること。
 右決議する。
 以上であります。
○委員長(嶋崎均君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(嶋崎均君) 全会一致と認めます。よって、福間者提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、村山大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。村山大蔵大臣。
○国務大臣(村山達雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。
○委員長(嶋崎均君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後、零時三十八分散会