第084回国会 大蔵委員会 第18号
昭和五十三年四月二十七日(木曜日)
   午前十時五分開会
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   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     大塚  喬君     矢田部 理君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     市川 正一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         嶋崎  均君
    理 事
                藤田 正明君
                細川 護煕君
                福間 知之君
                塩出 啓典君
                中村 利次君
    委 員
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                戸塚 進也君
                中西 一郎君
                桧垣徳太郎君
                藤井 裕久君
                宮田  輝君
                穐山  篤君
                竹田 四郎君
                矢田部 理君
                多田 省吾君
                佐藤 昭夫君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  村山 達雄君
   政府委員
       大蔵政務次官   井上 吉夫君
       大蔵大臣官房日
       本専売会社監理
       官        大槻 章雄君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵省主計局次
       長        山口 光秀君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       中小企業庁計画
       部下請企業課長  和田 文雄君
       日本専売公社総
       裁        泉 美之松君
   参考人
       日本銀行副総裁  前川 春雄君
       全国銀行協会連
       合会会長     松沢 卓二君
       公社債引受協会
       理事       村田 宗忠君
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  本日の会議に付した案件
○昭和五十三年度における財政処理のための公債
 の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、大塚喬君が委員を辞任され、その補欠として矢田部理君が選任されました。
 また本日、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として市川正一君が選任されました。
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○委員長(嶋崎均君) 昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○穐山篤君 質問に先立ちまして、せっかくの機会ですから、特に大蔵大臣にお伺いをしたいと思いますが、大臣、今晩からメキシコ、それからアメリカに御出張のようで、大変御苦労さまです。
 この重要な時期に国際会議、IMFの理事会ですか、出席をされるということは非常に大切なことでありますが、この理事会は主としてどういうところに焦点を出てて国際通貨問題が議論をされるのか、非常に関心が深いところでありますので、一言お伺いしたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 今度の暫定委員会の主たるテーマは、現在における国際的な経済情勢、それから世界経済見通しと国際収支調整過程、この問題が一番大きな問題でございます。そのほかSDRの問題、それからIMF第七次増資、それからIMFの補完的融資制度に関する状況報告があるはずでございます。
 こういう問題をめぐりまして二十カ国の蔵相がいろいろ討議をする、こういうことでございますが、最大の問題はやはり第一のテーマであろうと、かように考えております。
○穐山篤君 非常に重要な時期でありますし、国際通貨なかなか微妙なところでありますが、ぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。
 それでは私は、この法律案の後者の部分、たばこの関係につきましてお伺いをしたいと思います。
 最初に大蔵省にお伺いするわけですが、従来この種のものは酒税と同じように値上げというのがごく慣習的に使われてきた財源確保でありますが、何ゆえ特別納付金ということにしたのか。まずその点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(大槻章雄君) お答え申し上げます。
 五十三年度予算の編成に伴います財源難にかんがみまして、この特別専売納付金の納付ということのほかに、たばこの値上げにつきましても検討を行ったわけでございますが、これは諸般の事情から見送ることにしたわけでございます。
 その理由といたしましては、五十年度定価改定に際しましての国会のいろいろな御論議というものを通じまして、値上げ額のうちで税相当分、コスト分というようなことで考えてみますと、その区分関係も必ずしもはっきりしないということから、より明確にするようにというような御質疑がございまして、そういうことを考えてみますと、この問題は現在行われている公共企業体等基本問題会議の結論を待って、それを勘案しながら検討することが適当であると判断されましたこと、それから第二に、五十年の十二月に四八%の小売定価の引き上げをしたわけでございますが、その後また日が浅いということ、第三に、性急な値上げをしますと無用な混乱を招きまして、生産、販売の両面にわたりまして周到な準備を行った上で定改に踏み切ることが適当であると判断されたこと等々から見送ったわけでございますが、しかし、国家財政が御案内のように緊急事態に直面していることから、専売公社に対しましても政府関係機関の一員として応分の協力を求めるということで、現在御提案申し上げておりますように、五十三年度限りの特別の措置として利益積立金の一部取り崩しを行うということにしたものでございます。
○穐山篤君 そうしますと、当然たばこの値上げにするかあるいは納付金にするか、議論を通して最終的に特別納付金千五百六十九億円ということになったという経緯はわかりますが、いま御答弁の中にもあったわけですが、これは慣習としてもわりあいになかった慣習でありますし、いまお話がありましたように、今回限りの、今年度限りの特別措置だということは、明年度以降からはこういう特別納付金というものは考えないと、考えたくないというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○政府委員(大槻章雄君) 今回御提案申し上げているのは、先ほど申し上げましたように五十三年度限りの措置でございまして、それ以後のことにつきましては現在のところ考えておりません。
○穐山篤君 そうしますと、次に財源確保の問題が生じた場合には、特別納付金という形でなくてそれ以外の方法、ごく単純に言えばたばこの値上げというもの想定をして、今回だけはこういう特別納付金という措置にしたというふうに受け取れるわけですが、そういう考え方でよろしゅうございますか。
○政府委員(大槻章雄君) たばこの小売定価の改定につきましては、先ほど御説明いたしましたように、諸般の事情から五十三年度は実施しないことにしたわけでございますが、しかし、たばこは御案内のように重要な財政物資でありますが、納付金制度というものをとられておるために、小売定価を据え置きますと所得、物価水準の変動に応じまして――すぐに最近のように上昇があるわけでございますが、応じまして負担率が低減し、財政に対する寄与の度合いも減少するという問題が起こってくるわけでございます。現にたばこ事業の益金率というものを見ますと、五十年の十二月に定価改定をお願いいたしまして一時増加しましたけれども、その後、製造コストの上昇等によって再び急速な低下を見ているという状況でございます。このため、五十二年十月の税制調査会における中期税制に関する答申におきましても、そこを引用させていただきますと、「今後とも、適切な負担水準を維持することができるよう随時見直しを行っていくべきである。」というふうにされておるわけでございます。
 このような事情にかんがみまして、近い将来たばこの小売定価を見直すことといたしたいと考えておるわけでございますが、定価改定の具体的な実施の時期とか幅というようなものにつきましては、たばこの消費動向とか財政事情等を考慮して決定したいというふうに考えておる次第でございます。
○穐山篤君 私、詰めるつもりはありませんけれども、益金率も下がっているというふうな状況、諸般の事情を考えて値上げという道を今回はとらなかったと。そこで、たまたま専売公社に余裕金があったから今回こういう措置ができたわけですが、その次にはどうしても同じ手は使わたいということになれば、必然的に値上げということをだれしも予想をするわけです。いま詰めるつもりありません。次は値上げをやるでしょうなというふうに言えば、はいそうですというふうに答えられてしまったんでは身もふたもありませんから、そういう詰めることはしないつもりですけれども、しかし最近のたばこの、専売公社の経営内容を考えてみますと、必ずしも値上げをしなければならないというふうな事情ではないというふうに私は思います。
 さて、この納付金千五百六十九億円を国に特別に納付をするわけですが、当然これは現金であるわけでありませんから借入をして、立てかえて国に納めるということになると、そこに必然借入金という問題が起きるわけです。現行制度の中でも公社法の四十三条ですか、これで短期の借り入れあるいは長期の借り入れ二通りあるわけですが、その上に新たにもう一つの借り入れということになってきたわけですね。
 たとえば、来年三月三十一日に金を借りて政府に納めると、借りた三月三十一日が利子がつかないとしましても、四月一日以降利子がつく。当然借りた金だから公社としては返すというのが借金の理屈だろうと思いますが、しかし千五百六十九億円仮にそのまま借りたといたしましても、利息の計算をすれば百億を超えるということになると思います。公社の経営に相当の財政的な負担をかけることは当然だというふうに考えるわけですが、せっかく国が財源確保のために専売公社から特別納付金を取るわけです。その後、借金をしたものについての利子をなおかつ公社に負担をさせるということについては問題があるというふうに言わざるを得ないと思うんです。その点について、最初に公社側の考え方をお伺いしたいし、次いで大蔵省の考え方をお伺いしたいと思います。
○説明員(泉美之松君) お話しのように、千五百六十九億円を来年の三月三十一日借り入れて国庫に納付するわけでございます。これは預金部運用資金を借り入れて納付することになっております。預金部運用資金につきましては、御存じのとおり金利がつきます。したがって、そのままであれば公社がその金利負担をしなければならないわけでございますが、国庫には国庫余裕金もございますので、年度の途中で国庫に余裕がございますれば、預金部資金の借り入れを国庫余裕金に振りかえていただきますと、この分は金利がかからないわけでございます。したがって、国庫余裕金がどの程度出て、国庫余裕金に振りかえることがどの期間どの金額までできるか、これによって公社の負担すべき利子額は変わってくるわけであります。私どもとしましては、なるべく国庫余裕金でできるだけ多くできるだけ長い期間振りかえていただきたい、そうすれば公社の金利負担は少なくて済む、こういうふうに存じておりまして、そのことを大蔵当局にお願いいたしております。大体においては御了承をいただいておる次第でございます。
○政府委員(大槻章雄君) 公社の総裁の方からも御答弁いただきましたように、この千五百六十九億を国庫に納めるに当たりましては、五十三年度末、すなわち五十四年三月三十一日に資金運用部資金を借りて納めるわけでございますが、その三月三十一日の一日分についてはこれは利息はつかないわけでございますが、先生から御指摘がありましたように、その翌年度の五十四年度はそれではどうかということになりますと、これを全部資金運用部資金で通年泳ぐということになりますと、六分五厘ということで計算いたしますと、確かに百二億程度の利息が要るということになるわけでございますが、私どもはなるべく資金運用部資金というものにお願いしないで、無利子の国庫余裕金で振りかえ使用ができるようにいたしまして、公社の負担がなるべく軽く済むようにというふうに配慮してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○穐山篤君 この問題は、いまお答えいただきましたけれども、運用上はそういう配慮をしたいという考え方はわかります。しかしたてまえの問題として、国が国の公社から特別納付金を召し上げる、召し上げると言っちゃ語弊がありますが、財源確保のためにこの道をとる場合に、借金に対する利子を本来もらうんだ、しかし運用として特別な配慮をするんだというのは、たてまえ論からいってみてこれは間違いじゃないか。制度的に、少なくともこういう納付金のような特別措置をする場合については、もう頭からその利子はつけないんだと。言いかえてみれば、利子のかからない金を専売公社に借用をさせる、そういう本来の制度をきちんとやるべきではないかと思いますが、そういうことについて御研究をされたことがおありでしょうか。
○政府委員(山口光秀君) 今回の特別納付金は、公社に格別の御協力をいただいている点で感謝申し上げる次第でございますが、国は公社から借金をするのではございませんで、もらいきりの金をいただくわけでございますから、その点で公社に利子負担が残るということは、これはやむを得ないのではないか。その場合、資金運用部が金を貸すわけでございます。つなぎの金を貸すわけでございますが、資金運用部は郵便貯金その他利子のついた金でもって、有利に、確実に運用しなければいけないたてまえになっておりますので、この利子をまけるということは制度のたてまえからいって無理ではなかろうかと思います。
○穐山篤君 考え方として私は賛成しがたいというふうに思うわけです。といいますのは、いまもお話がありましたように、国が借金するわけじゃなくて、それは取りっ放しの金である。しかし、専売公社側とすれば理屈の上では借金だけ残る。何かのうたい文句と同じように、煙が残ったという話と全く同じでありまして、専売公社はそれだけ本来的な業務を財政的に言えば圧迫することだけが残されるということになるわけです。今回は千五百六十九億円を仮に国に上げましても、なお財産的には残っていますからいいようなものですが、理屈から言うと、仮に本来の経営がうまくいかないで、あるいはたばこの売り上げがうまくいかないで、本来の、消費税は消費税でいっちまいますけれども、納付金の額が非常に小さい単位になる、あるいは計算上は数字が出ても、国に対して納付金を納めるために莫大な借金をしなければ納付金が納められないという理屈も計算の上からは出てくるわけです。しかし、財源確保の上から国は専売公社に対してその納付金あるいは今回のような特別納付金をもらわなければ国の財政確保ができないんだということになってきますと、いま私が申し上げましたように、財政的に非常に公社側に対して窮屈を与える。これは現実もそうだし、理屈の面から言ってみてもそういう問題が生ずるわけですね。ですから、運用上配慮をするということよりも、制度的に専売公社から納付金を召し上げる場合の公社の借金に対する利子というのは本来なくてよろしい、国が納付金だけをしっかりもらいたいと、こういうたてまえにならなければならぬじゃないかというふうに思いますね。理屈から言えば、百何億かの利子というものがいま行っております公社の五十一中期計画にいささか影響を与えるということもはっきりしているわけですから、もう一言その点についてさらに研究を、あるいは再検討するつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(山口光秀君) 公社がいわば利益を出しまして、それをどういうふうに結局処分するかということになるわけでございますが、普通の場合でございますとそういうことになるわけでございますが、結局国へ納付する分と、それから内部留保をいたしまして資産の増加額の金融に充てるという場合の割り振りがあるわけでございまして、通常の場合でございますれば、納付金の財源はその年の利益金でございますから、借金して納めるということはないわけでございます。今回特別納付をお願いいたしますのは、いわばさかのぼって内部留保に充てている過去の利益を、こういう財政状況でございますので、特別に御協力いただいて納付してもらうということでございます。そういう意味で、大変異例な措置でありますので、こういう措置を安易に何度もお願いするというわけにはいかないかと思いますが、いずれにいたしましても、そうして納付してもらいました以上は、公社はこれに見合いの金融につきまして利子負担が生ずるわけでございますが、その利子負担をそのまま制度的に国が肩がわりするとか、あるいは資金運用部が免除するとかいうことはできないんではなかろうか、いまの現行制度を考えてみましてもちょっと無理ではなかろうか。問題は、御指摘がありましたように、公社の業務の運営に支障があるかないかでございますから、そういう面での協力はできるんじゃないかというのを先ほど来監理官が申し上げているところでございまして、実際問題といたしましては、国庫余裕金を極力利用して公社の利子負担を軽減するやり方が実際的な解決の仕方ではないかということでそういうふうに申し上げているわけでございます。
 それからもう一つは、こういう措置でいわば過去の内部留保をいただくわけでございますので、今後公社の経営に支障が生じないように、内部留保を毎年積んでいくような場合に、そういう点を考えまして配慮していく必要があるんじゃないか。結局は公社全体の経営が堅実なものであることがいいわけでございますので、そういう点についても配慮していくというのが一つの道ではないかと、かように考えます。
○穐山篤君 この点はもう余り触れるつもりはありませんけれども、五十二年度の実績を見ましても、短期の借入金が三千百五十億円、あるいは長期の借入金が四千七百十億円、かなり大きな単位の借入を一時的にもあるいは長期的にも行うというハンディをこの専売公社の経理は本来しょっているわけですね。これは財産がキャッシュでなくて、倉庫に入っておったり、いろんな物になっているためにやむを得ない措置かもしれませんけれども、十分その点を考えていただきたいというふうに思います。
 さて大蔵大臣、私もたばこはかなり吸う方なんですけれども、大臣は一日にたばこを二つか三つぐらいお吸いになるようですが、このたばこ一本に、ごく常識的に一本おれたちがたばこを吸ってどのくらい国に奉仕をしているかと聞かれて、なかなか説明が私できないのです。大蔵大臣、どういうふうに御説明をされていますか。
○国務大臣(村山達雄君) これがそのときどきによって変わるもので、原価によって違うものでございますから、大体昔は七〇ぐらい、国の消費税を入れまして。それが六〇ぐらいに下がり、いまはどれぐらいになっておりますか、恐らく六〇から五〇の間じゃないかという感じがするわけでございます。これはもう年々の原価の上がり方いかんによってどんどん下がってくるわけでございます。
○穐山篤君 聞いている人はよくわからないんですよね。そういうふうに、この中には都道府県あるいは市町村のたばこの消費税が入っているし、それからストレートに国に対する納付金のものも含まれているし、それから流用されている金もある。非常に判断のしづらいやり方をとっているわけですね。これはたばこを買う人も、あるいはたばこをつくる人たちの立場から言ってみても、どうもすっきりしないのが現在の制度ではないかというふうに考えるわけです。
 これは専売公社側にお伺いするわけですが、生産性を上げようじゃないか、もっと販売に力を入れようじゃないか、こういうふうに部下職員を督励をされていると思いますけれども、この納付金あるいは消費税、いずれをとりましても計算をすれば結果ははっきりしてきますけれども、いま申し上げましたように、買う人もたばこを生産する人も、現在のこの消費税あるいは納付金あるいは流用する金というものについてどうもはっきりした気持ちを持っていないんですね。持てない事情にあるんじゃないかというふうに考えるわけです。最近外国たばこがどんどん入ってきているわけですが、それに負けないように新種を開発したり、あるいは販売網を確立してもっとがんばろうじゃないか、こういうふうに督励をしたとしてみても、実際つくっている人たちは、おれたちのたばこというのはどれだけ具体的に国に奉仕をしているのかということがたばこ一本の中ではっきりしない、不鮮明さを持っているわけですね。この点については、前回の五十年のたばこ値上げの際に衆参両院でかなり厳しい議論がされまして、この問題の取り扱いについて臨時制度問題対策本部と言うんでしょうか、これでできるだけ税区分の明確にしなければならない問題、あるいは定価のあり方というものについても真剣に討議しようじゃないかというふうなお話を聞いているわけです。これは当然のことなんですが、この作業の進展ぐあいというものはいかがでしょうか。
○説明員(泉美之松君) お話しのように、昭和五十年の定価改定の際に国会におきまして、現在の専売納付金制度のままでは、たばこに含まれている消費税相当分――地方消費税分はわかるけれども、国庫に入る分が明確でない、これでは国民は値上げをするときに、それが増税のための値上げなのか、コストアップをカバーするための値上げなのか、その辺がわかりにくくて困るではないかという御指摘をいただきました。
 そこで私どもは、いまお話しの臨時制度対策本部を設けまして、また総裁の諮問機関といたしましてたばこ専売事業調査会というのを設けまして、そこにおきまして、いまの専売納付金制度をどういうふうに改善したらいいか、もうお話しのように税金相当分を明確にする措置でありますけれども、その措置をするには消費税形態もございますれば、消費税ということになりますと、昭和四十三年の際に対境関係の理解を得られなくて成立することができなかった問題もございまして、消費税制度でなくて、それと同じような効果を持つ納付金制の法定法というやり方もあるではないかというようないろいろな意見がございます、それらの意見につきまして種々検討いたしております。
 もう一つは、その税金相当分を明確にするということになりますと、それはいまの専売納付金のように、公社に利益があったときに納付するというのではなくて、公社に利益がなくても売り上げの一定率を納めるということになるわけでございます。そうなりますと、公社は、納めたけれども利益は出なくて赤字になったということでは困りますので、そうなりますと、たばこの定価法につきまして、現在のようなやり方でなくて、もっと何らか弾力化することができないか。この点につきましても、それは弾力化することは望ましいだろうけれども、現在専売は独占になっておる関係から、独占下において国民の代表である国会がどの程度たばこの価格に介入することが望ましいか、どの程度までは大蔵大臣の権限に譲っていいか、そういったむつかしい問題がございます。そういった問題につきましていませっかく勉強をいたしておりまして、問題点は全部洗い上げたわけでございますが、具体的にどうするかということにつきましては、大蔵当局とも御相談いたしておるところでございます。
○穐山篤君 なかなか、税区分あるいは定価を含めまして非常にむずかしいということはよくわかります。ただ私は、この際きちんとしておいていただきたいと思いますのは、今回留保分の中から千五百六十九億円を国に特別納付する。平たい言葉で言えば、値上げをしたとは言いませんけれども、感触的にはそういうこととほぼ近い考え方になるわけですね。公社が持っております積み立て予定金の六千百八億円の中から千五百六十九億円国に納める、国が取るわけですから、かなりボリュームとしては大きい。値上げと同じとは言いませんけれども、大きな私は節目だというふうに思うわけです。したがって、いまお話がありましたように、専売調査会とか、あるいは対策本部の検討というのは、少なくとも次の値上げあるいは制度の改正、あるいはこれに準ずるような大きな出来事の際までにはそれをまとめ上げて、しかるべく統一見解を示して国会に提起をする、あるいは国民の前に出す。そうしておいて値上げをするとか、あるいはこういうふうな特別納付金を国が求めるというのがごく常識的な私は手続じゃないかというふうに思うわけですね。これはどちらかと言えば大蔵省に注文をするわけですが、せっかくそういう二つの機関が目下審議中に、まだ結論がしっかり出ていないうちに、ほぼ二千億近い金をなぜこの段階で、強制的にと言えば語弊がありますけれども、財源確保のために求めたのか。もう少し、このたばこの問題につきましては議論があるわけですから、その議論を十分に聞いた上で、改めて値上げの方法をとるかあるいは特別納付の方法をとるか、そういう慎重な配慮をしてしかるべきであったのではないかというふうに思いますけれども、その点いかがですか。
○政府委員(山口光秀君) 御承知のような財政状況でございますので、財源確保の点につきましてはいろいろな御議論があるわけでございまして、国会におきましても、こういう際には政府関係機関の積立金等についても洗い直しをすべきでないかという御議論をいただいたわけでございまして、昨年、第一次補正予算を組みましたときには開銀、輸銀等の貸し倒れ準備金の洗い直しというかっこうで政府関係の金融機関のお金をちょうだいいたしたわけでございますが、その際にも、ほかの公社等について洗い直せという御議論もございました。私ども、五十三年度予算編成に際しまして、歳入歳出両面にわたって徹底的な洗い直しをしたわけでございますが、その一環といたしまして、公社につきましても協力が求められないかということで検討いたしたわけでございますが、専売公社につきましては、積立金はございますが、それはすでに物にかわっているという面がございますが、その内部留保を取り崩して借入金に置きかえて納付をすることについて御協力をいただけることになったわけでございまして、これはいわば五十三年度予算というものがこういう景気情勢でございますんで、臨時異例の財政措置を講じたその一つのあらわれてあるということで御理解いただきたいと思うわけでございます。
 値上げその他の問題につきましては、値上げ、それから消費税制度とか、あるいは納付金率の法定というような、そういう問題につきましてはこれは臨時異例ということでなしに、当然のことでございますけれども、時間をかけて議論をしていかなければいかぬ問題であろうかと思います。公社あるいは政府関係の審議会におきましていろいろ御議論を賜りまして結論を見出していくべき課題であろうかと思います。
○穐山篤君 時間が大分詰まっておりますので、次は一言だけで御返事をいただきたいんですが、たばこの定価の問題につきましては財政法第三条に準拠してたばこ定価法でやられているわけですね。値上げの際は大蔵委員会、国会で審議をする。年度の途中で新種が開発されましても、それは大蔵委員会には無関係に決められる。輸入のたばこについても大蔵委員会に関係なく関係省庁の間で決めて小売価格が決まる。どうもすっきりしないと思うんですね。最近新種の開発、いろんなものが出ておる。その小売価格についても、国民の間からこれはどういう基準で決めたんだろうかという質問を受けますけれどもわからない。これは輸入あるいは新種開発が年度の途中であることは十分承知をしますが、このルールについて財政法第三条の精神を十分に堅持をするという考え方をとっていただきたい。きょうは時間ありませんからそのことは指摘をしておきたいというふうに思います。
 次に、たばこの円高差益の還元の問題です。もうすでに昨年の暮れ若干の値下げを行ったわけですが、その意味では、ガスだとか石油というところはえらいかじりついて差益を国民に還元しないということを考えてみれば、非常に賢明な策だと思うんです。これからも差益の還元について、差益がどのくらいあるか、差益の還元について御研究をされていると思いますけれども、昨年の一部値下げをした分以降、値下げを含めて通称言われておりました輸入たばこの、あるいは葉たばこの円高差益というのはどのくらいだということと、もう一つは、これから出てくる差益についてどういうふうに還元をされるおつもりか、そのことをお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(大槻章雄君) 輸入外国たばこにつきましては、先生御指摘のように四月二十一日の経済対策閣僚会議におきまして、円高に伴う物価対策の一環として外国製のたばこにつきまして「公社購入原価の動向等をも勘案してその小売定価の引下げを検討する。」という決定をなしたわけでございますが、具体的な内容といたしましては、大蔵省といたしましては七月を目途にいたしまして全銘柄十円程度の値下げを行う方向で検討しておりまして、現在実はその具体的内容について専売公社と協議中でございます。
○穐山篤君 いまも指摘をしましたように、他の円高差益の問題に比較をして非常に機敏な対応をとられている、これはいいことだと思うんですが、五円、十円下げるというのも私は一つの方法だろうと思うんです。一回はそういう方法で国民に明らかに円高差益を還元をするという道はとらなければいけないと思うんです。しかし、これから円レートもこういうことになるかよくわかりませんけれども、これから仮に差益が出るにいたしましても、ストレートに還元をする方法と間接的に還元をする方法があるんじゃないかというふうに思います。たとえば一例ですけれども、最近たばこは吸わないようにとか、嫌煙権と言うんですか、あるいは身体保護というふうな立場から非常に大きな政治問題になろうとしているわけですね。今年度の予算を見ましても、人体への影響あるいは環境についての対策、調査というものについて一億数千万程度の調査費が直接あるいは間接的に委託費として使われているのも承知をしておりますが、たとえばこの円高差益というふうな原資を用いて、そういう分野に大いに活用して、間接的に国民に還元をする。一回は直接ストレートに国民に還元をしなければなりませんけれども、二度、三度ということになれば、幾つかの角度から還元の方法を考えてもいいじゃないかというふうに一例として私は申し上げたわけですか、そういう点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(大槻章雄君) 為替差益の還元ということで、ダイレクトの還元の方法ばかりではなくて他の方法も考えたらどうかという御示唆だというふうに私受けとめましたんでございますか、先ほど申し上げたのは、確かに消費者への還元ということでございました。しかし専売公社は、為替差益の有無とは関係なく、喫煙者の嗜好に合致した新製品の開発ということを行っているわけけでございますが、今後ともこの方向で努力を重ねるということをやろうと考えておるわけでございます。
○穐山篤君 最後に、それでは経営のあり方の問題についてお伺いしますか、ちまたでは、この公社制度をもっと健全なものにして育成すべきであるという意見や、あるいは資本主義の原則に基づいて、ストレートに民間にやらしたらどうかという議論が非常に多いと思いますが、総裁は幾つかの意見書を関係方面に公式に提出をされております。それも私どもお読みしておりますけれども、専売公社の考え方というのは、現在の公社制度を大いに体質改善をしながら維持をしていくんだと、こういうふうに私ども承知をしているわけですが、その考え方は変わらないでしょうか。
○説明員(泉美之松君) 専売公社の経営形態につきましては、お話しのように、公共企業体等基本問題会議におきまして目下審議が行われておりまして、近く御答申が提出されるように承っております。私どもといたしましては、昨年十一月一日に基本問題会議に対しまして公社の意見を申し上げたのであります。
 その点は、先ほどお話しのように、基本的には現在の専売制、公社制度を維持しながら、時代の推移に応じましていろいろ適当でなくなっておる点、改善すべき点等がございますので、それらにつきましては改善を図って国民の負託にこたえていくべきだと、このように考えておるのであります。その点の変わりはございません。
○穐山篤君 その点について、大蔵大臣、公社の問題について、公社の経営のこれからのあり方の問題についてはいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) いま専売公社の総裁がお答えしましたように、現存、民営の問題が公共企業体等基本問題会議で論議されておりまして、近く結論が出るように聞いております。したがいまして、その結論並びに理由、これらを十分検討いたしまして、さらにわれわれの考えを深めて最終的な結論を得たい、こういういま構えでおるところでございます。
○穐山篤君 私は、スト権と経営の問題についての議論については個人的には意見持って。しかし言うつもりはありませんが、いわゆる大蔵大臣の立場として、酒税にいたしましてもこのたばこの納付金の問題にしましても、財源確保の見地から大蔵大臣が所管をしているわけですね。そういう意味では、スト権の問題よりも、いかに経営を安定をさせるかということの方が大蔵大臣らしい立場ではないかと思うんです。ですからスト権の問題は離れて、経営的な立場からどうお考えですか、 改めてお伺いします。
○国務大臣(村山達雄君) 幾つかの問題を考えねばならぬと思うのでございます。
 一つは、さきも穐山委員も御指摘になりましたように、この中に一体税金相当分は幾ら含まれておるのか、それを明確にすることが大事ではないか。つまり言いますれば、公社の方のいわば公共料金と申しますか、そういった部分と、それから税金部分というものを明確にすることも一つの方法である。その明確の仕方の中に消費税という形でいくのもありましょうし、あるいは納付金という形でいってみても、これは恐らくやり方いかんによってどちらがいいかという比較考量の問題になると思います。しかしまあ、いずれにいたしましてもその辺がはっきりするということが必要ではないであろうか。
 それから第二番目の問題といたしまして、経営だけの話で言いますと、いま原料価格その他がずいぶん葉たばこは上がっているわけでございます。この問題はいわば外国葉たばこを輸入するのか、それとも農家の葉たばこを生産している者との関係においていま程度の葉たばこの上昇はやむを得ないのか、そこはひとつ農業問題とつながる問題であろうと思うのでございます。その問題を捨象いたしまして、公社経営の方が効率がいいのか、あるいは民営の方が効率がいいのか、一般的に言いますと、やはり公社のように、いまのようにフル回転しておりますから、当然規模の利益が私は出てきておるのではないかと思うのでございますが、民営にいたしますと、それは競争原理は働くかもしれぬけれども、そのかわりに規模の利益は失われるであろう。その辺が単なる概念的な話でなくて実際にどうであろうか、そういう幾つかの角度からアプローチしていかなければならぬのではないだろうか。
 それから最初の問題に触れますけれども、納付金であるにしろあるいは消費税であるにしろ、現在国に入っております納付金とそれから地方の消費税というものと、全く違う形に出ているわけでございます。それらを平等の立場に置くことはどんなものであろうか、そういう問題があるのではなかろうか、それらの問題を問題意識としては持ちながらいま結論が出るのを待っておると、こういう状況でございます。
○穐山篤君 いろいろお話がありましたが、私は大臣の見解というのを好意的にとりまして、どちらかといえば専売制度、公社制度の方かメリットが高いというふうにいま私は大臣の答弁を受け取っておきたいというふうに思います。
 締めくくりとして、今回限りの措置だというふうに言われたので、今年度だけだなというふうに思いますけれども、今回も法律の一部改正が特例公債と一緒になっているわけですね。前者の方はできるだけ早く特例公債から逃れたい、逃れたいという気持らは、まあ来年からやめたいということじゃないんですね、あるかもしらないけれどもできるだけ小さくしていきたい、そういうのが前にかぶっているわけですね、前にかぶっているんです。ですから今回限りというふうにおっしゃられましても、私はそう思うけれどもほかの人はそうじゃないかもしれませんよという、そういうものが残っている疑義を感ずるわけです。その点、これは本当に今回限りであって、将来こういう悪い手は使わない、こういうお気持ちであるかどうか。
 それからもう一つ、いままでの審議を通しましても、税の問題にしましてもあるいは定価の問題、あるいはその以前の問題としての葉たばこ原料の問題にしましても、数々の問題をたくさん残しているわけですね。したがって、そういう幾つかの問題を残したまんま、また新しい値上げだとかあるいは納付金というような問題が提起をされることは国会としてはなはだ迷惑な気持ちがするわけです。そういうことがないと期待をしますけれども、その点についてあわせてお考えを伺いたいと思うのです。
○国務大臣(村山達雄君) 三つ問題がありまして、今回のような特例債とそれから納付金の今度の特例措置、一緒くたに出すのはどうかというお話でございますが、おっしゃるようにニュアンスの違う問題であることはもう間違いございません。特例公債は財政法の特例でございますけれども、なお当分は継続するであろうということ。それから専売公社に対して納付金をお願いするのは、全く言ってみますれば今回限りのようなものでございまして、その意味で違いますが、いずれにしても、今年度の予算から申しますと、やはり一般会計の財源を補って、そしてできるだけ特例公債初めその他の公債を少なくする、あわせて地方財政にも資していくという点では同じ奉仕をしているわけでございますので、便宜一括形状さしていただいたわけでございます。
 それから第二点の、今度のような納付金制度はやらないのか。もうやりたくないことはお察しのとおりでございまして、できれば今後このようなことはやりたくたいと思っております。未来永劫に約束できるか、残念ながらできないのでございますが、気持ちとしてはこのようなことはいたしたくない、こういう気持ちを持っているわけでございます。
 値上げにつきましては、この問題はできますならば現在のいろいろな諸問題、これが片づいてからが望ましいのでございますけれども、現在専売納付金の納付率はどんどん下がっているわけでございます。片方原価はどんどん上がっているわけでございます。こういったことを考えますと、全部が片づいてからの方がいいに決まっておりますけれども、それが片づくまでは値上げの御審議をお願いしないとこの場で断言するほどの自信がないということを申し上げておきます。
○塩出啓典君 特例法の問題についてお尋ねをいたしますが、今年度も十兆円余の国債を発行し、国債依存度は実質では三七%と言われておるわけであります。五十年、五十一年、五十二年、五十三年とだんだん国債依存度は増加をし、構造的な歳入不足と言えると思います。そこで、福田総理大臣も本会議等で、やはり国債管理政策というものは、まず第一に国債の発行額を減らすことであると、このようにおっしゃっておるわけで、私も全くそのとおりだと思うわけであります。
 そういう点から、まず政府にお伺いしたいことは、率直に言って現在のような構造的な歳入不足の原因がどこにあるのか、一般的な話ではなしに、ことしも十兆九千八百五十億の国債を発行しておる、それだけの歳出歳入のアンバランスがあるわけでありまして、それはやはり不況対策として公共事業をふやしたということによる国債の増発もあるでしょうし、油ショックの影響もあるでしょうし、あるいはある面から言えば、企業の過剰な設備投資を欠いておるためのそういう不足もあるんじゃないかと思うのですが、そういう意味で、歳入不足というものについて大蔵省としてその原因を細かく分けて分析しているような、そういうデータはあるのかないのか、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(村山達雄君) 細かい分析はそんなにはしておりませんが、一般的に言って、今度の予算編成に当たりまして、経常経費と資本経費を分けたことによりましておのずから明らかではないであろうかと思うのでございますが、一つは、大体十兆九千八百五十億歳入不足になっているわけでございまして、三七%でございます。そのうち約六兆近くのものが四条公債であり、約五兆近くのものが特例公債であるわけでございます。
 一般公債の方は、御承知のように、これは民間の資金需要がございませんので、いわば家計における貯蓄超過になっているわけでございます。それだけ、これをそのままにしておきますと非常に不況になるわけでございますから、その資金を有効に利用し景気の拡大を図るとともに、立ちおくれておる社会資本の充実に充てると、こういうことでございます。
 私は、それはそれなりに意味があると思うのでございまして、問題は五兆円の方の特例公債でございますが、これはまさに普通歳入が不足しているということを言わざるを得ないのでございます。
 なぜそうなっているかと申しますと、歳入の方は、御承知のように、いま高度成長から低成長時代に移っており、しかも構造変化の過程にあるわけでございますから、税収の伸びが一ころのように伸びていないのでございます。弾性値計算でいたしましても、以前は一・四とか言っておりましたけれども、現在は一ぐらいであるわけでございますから、当然それは経済の実勢を反映いたしまして歳入が不足である。しかし一方歳出の方は、やはりいわば従来の流れをそのままいっておりまして、国民の国からのサービス、そういった福祉しかその他もろもろの財政需要が強いわけでございしますので、その両者におけるギャップがそのまま歳入不足としいう形にあらわれてきておるということだろう思うのでございます。
 一般的に申しますと、四十九年から五十二年度まででございますが、歳出は、国民の要望その他、あるいは景気浮揚の関係等かございまして、年率で大体二〇%伸びておりますが、普通歳入の方は一〇%ぐらいである。ここに一番大きな歳入不足、あるいは公債依存度の上昇、こういう形があらわれているのではないかと、こう思っているわけであります。
○塩出啓典君 大臣のおっしゃることはよくわかるのですが、私のお聞きしたいことにはちょっと外れているように思うのですが、それではちょっと立場を変えまして、もし経済というものが順調な状況に回復した場合、これがどういう状態を回復したと言えるのか、これはいろいろ論議があるところですけれども、いま言われていることは、高度成長の時代に逆戻りすることは恐らくないであろう。政府も予測しているように六%台のゆるやかな成長が続いていく。これがやはり政府の目指す順調な経済成長の姿じゃないかと思うのですが、そういう状態になった場合、財政の赤字はどうなるのか。こういう点のモデルを使っての試算でもいいのですが、大蔵省としてはそういう計算はやっているのかいないのか。
○政府委員(山口光秀君) 企画庁の経済審議会の企画委員会が暫定試算というのを出しておりますが、その暫定試算という経済見通しは、まさにいまおっしゃいましたように、六%強の経済成長を前提とした五十七年度の見込みを立てておるわけでございまして、私どもが財政収支試算として国会にお出しいたしました、特にケースCでございますが、ケースCはこの暫定試算を下敷きにいたしまして、そのほかのいろいろな前提を置いて試算したものでございますから、ケースCもそうでございますし、それのバリエーションとしてのたとえばケースDというようなものも似たようなかっこうであろうかと思いますが、その場合における収支ギャップ、つまり特例的公債の発行額でございますけれども、それはケースCなりケースDなりにお示ししたようなかっこうで考えていただいていいんではなかろうかと思うわけでございます。
○塩出啓典君 そうしますと、現在よく言われておるわけですが、高度成長のときのそういうぜい肉と申しますか、そういうものがあるんだと、それはいわゆる高度成長時代に将来の需要を見込んでどんどん設備投資をした、あるいはまた四十七、八、九年ごろの過剰流動性のときに地価がどんどん上がるであろうということでかなり土地を買い占めたと、ところが地価も急に下落に転じてしまったと、そういう点から、たとえば鉄鋼業界は溶鉱炉を六十もつくっても二十は遊んでおるとか、造船業界はもう三分の一でいいんだと、そういう不況産業、あるいは最近の大型倒産等も、土地を買い占めをしてその土地が結局使いものにならなくて、その金利の返済に困って大型企業の倒産も起きておるわけですね。私たちも、それは倒産が起きている企業は表に出てはおりますけれども、辛うじて銀行が支えて倒産を防いでいる企業もたくさんあると思うんですね。そういう意味での企業の経営難、それによるやはり法人の税収難、そういうものが必要以上に、構造的な税収難以上に赤字幅を拡大しておるんではないかと。したがって、いまのお話しでは財政収支試算に出されたCのケース、こういうものは当然そういうぜい肉を取った後の状態においてもこれだけ残る、こういう計算の結果である、こういうように判断していいわけですか。
 それであるならば、ぜい肉の部分というのは大体どの程度になるわけなんですか。現在の税収において、今年度の場合十兆円何ぼの公債を発行するわけですが、その中で、いま言ったような過剰な設備投資あるいは必要以上の土地の買い占め、それがもたらす企業の収益難、それがもたらすいわゆる法への税収の減というものはどの程度の金額なんですか。それは大した金額じゃないのか、あるいはかなりの金額なのか、そのあたりを知りたいんですけれども。
○政府委員(米里恕君) 先生がおっしゃっていらっしゃることは、恐らく赤字といいますか、歳入欠陥の中に二種類性格的にあって、一つはいわゆる構造的な赤字である、もう一つは景気循環に伴う循環的赤字である、その辺のことを恐らく御質問になっているやに了解させていただきますが、御承知のように、そういう議論が学者先生方の間を中心としまして非常に活発にいろいろ議論されておるということは私どもも承知しております。
 で、いわゆる完全雇用予算と申しますか、完全雇用時を想定して、その場合になお歳出歳入のアンバランスがあればそれは構造的な赤字である。全体の赤字の中でその構造的な赤字を除いた部分というものは、景気循環によって埋められるはずの循環的赤字である、こういう考え方のようにお伺いしております。
 その場合に、それではその完全雇用予算のようなものを考えまして、そのときでもなお歳出歳入のアンバランスがあるとすれば、それは現在の赤字の中でどのぐらいのウエートなんだろうか、こういうことに相なるかと思いますが、私どもも実は内々にはいろいろこの完全雇用予算という考え方につきましては関心を持っておりまして、いろいろ勉強はいたしております。勉強はいたしておりますが、これなかなか数字的に、政府が数字を出すというような性格のものにはなりませんで、幾つかの仮定を置かなければならない。そういった場合に、構造赤字を出すためには、いわば一般的に言えば完全雇用時というものを想定しなければならないわけでございますけれども、これは通常潜在GNP、つまりそのときの供給力に見合っただけ需要があるというような想定をせざるを得ないと思います。その場合に経済成長率がどのくらいになるかというのは、これはなかなか一律的に申し上げられませんし、その時点によって歳出の構造がどうなっておるのか、あるいは歳入、特にこの場合に、そういった事態における税制、税の弾性値をどのぐらいに見るかというようなことは、非常にこれまた恣意的にならざるを得ないというように考えております。
 そこで、一番、完全雇用ということではなしに、今後の成長率として考えられる、これが企画庁の先ほどお話のございました暫定試算の中に示されております、まさに名目一二%強、実質六%強の成長のもとでの計算ということに相なるわけでございますが、それを弾性値一・二、これは先ほども大臣からもお話ございましたように、高度成長時代の一・四、あるいは最近の一・〇の間というぐらいの弾性値を想定いたしまして計算しますと、現在の財政収支試算のようにケースCであれば十兆余、ケースDであれば九兆弱、ケースEであれば五兆弱というものが増税しなければならないということになるわけでございます。
 したがいまして、完全雇用予算という考え方じゃなしに、いればこういった通常考えられ得る暫定試算の上に乗った成長率を前提とした場合の構造的の赤字は、ケースCなりケースD、ケースEに示されておるようなそれぞれの数字であるというふうに私どもは考えており、それ以外のものはいわば経済がこういった六、七%成長まで行かない段階での循環的な赤字だと、まあ大まかに申し上げますと。したがいまして、財政収支試算で出ております十兆なり五兆なりという数字は、いわばそれが完全雇用時ではなくて、今後考えられる暫定試算の上に立った構造的赤字である。この分はやはり制度としての措置をとらない限りは自然には生繁れないものであるというように考えております。
○塩出啓典君 よくわかりませんけれども、また勉強させてもらいます。
 そこで、先ほど大蔵大臣が、四十九年から今日まで、五十二年まで見て、歳入は年率で一〇%ぐらいしか伸びていない。歳出の力はいわゆる高度成長時代そのままの骨格を持って二〇%伸びておる。歳出は高度成長のときのまま、歳入は現実の減速経済の状態である、こういう発言をされたわけですがね、そうしますと、これどうなんですか、当然減速経済になれば歳入の伸びというものは落ちてこざるを得ないわけですね。一時的に増税をしてふやすことはできても、制度を変えてそのときふえてもそれから後はやっぱり伸びというのは余り高度成長のときのようにふえないと思うんですね。そうしますと、当然これは歳出構造というものも減速経済に合わせなければいけないということをやはり大蔵大臣は言っておるんだと、私はそのように理解をしておるわけです。それでいいわけですか。
○国務大臣(村山達雄君) その点はそのとおりだろうと思いまして、財政収支試算でその点もグローバルでありますけれどもお示ししてあるだろうと思うのでございます。幾つかの要素を言いますと、振替所得とその他の一般経費、経常経費、それから資本支出、こういう大きく三つに区分いたしまして、そして前期経済計画との整合性が保てるかどうかということを試算してあるわけでございます。ただ、経費の内訳別にどうということはやっておりませんか、経費の性質別に分けてお示ししてある、これが一つの、試算ではありますけれども、やはりそういうことにしていかないと要増税額がもっと大きくなってくる、歳入歳出にわたってやはり今後考えていかなければならぬのではないかということをお示ししたつもりであるわけでございます。
○塩出啓典君 財政収支試算で示しているといっても、これは五つの例があるわけでありまして、われわれは一体政府の意図がどこにあるのか、歳入をどうして確保するかということは、これはいろいろの方法があると思うんですけれども、歳出については、やっぱりこれはいま大蔵大臣が言われたような減速経済下の歳出のあり方という点から見ますと、これではAの場合は年率一五・八、Bは八・二、Cは一五・〇、Dは一四・二、Eは一一・六、こういうようにいろいろあるわけですけれども、大体どの程度を、やっぱりCとかDあたり、一五%ぐらいのいわゆる経常経費の支出の伸びというものを政府は目標に置いておると、こう見ていいわけですか。
○政府委員(山口光秀君) ケースCが中心的なケースでございますけれども、企画庁の企画委員会の方でつくりました暫定試算が国民経済の各需要項目について試算しておりますが、その中で政府固定資本形成でございますとか、あるいは政府財貨サービス経常購入でございますとか、それぞれ試算しておりまして、それからまた政府収支についての試算もございますので、振替支出でございますとか、あるいは政府固定資本形成からまいります公共事業のあり方とか、そういう点はおのずと暫定試算から翻訳できるわけでございます。私どもやっておりますのは国の一般会計ベースでございますから翻訳が必要なわけでございますが、そういうわけで翻訳が可能なわけでございます。
 それから、大きな費目でございます国債費、これは公債の発行状況に応じてこれも見当がつくということで、あと残りましたのは歳出の経常部門の中におきます「その他」という項目でございます。五十三年度で十五兆程度の部門でございますが、この部門につきましては、ケースCでは大体GNPの伸びにスライドして伸びるということを前提にはじいているわけでございまして、そうするといわば財政努力的なところがどういうところにあらわれているかということでございますか、これは単純に伸び率だけ比較してそれでこうだというわけにも一概には言えない面がございますが、たとえて申しますならば、たとえばケースCで申しますと、「その他」の五十二年から五十七年の伸び率は一二・二%という率になっているわけでございます。四十七年から五十二年のその前の五年間の伸び率は一六・八%になっているわけでございます。特にその中で地方交付税、これは地方交付税と申しておりますが、国税三税の三二%というふうにおとりいただいたらいいと思うんですが、そういうものがたとえばケースCでございますと一三・四%という伸び率でその「その他」の中に入っているというようなことでございますので、過去に比べてもかなり渋い感じで伸びておりますし、それから地方交付税を引いたところで考えますと、相当それが歳出についての節約、合理化努力を要求している数字になっているんではないかと思います。
○塩出啓典君 まあ余り細かい数字になってくると、そういうことを私は論議しようとは思っていないわけで、これも後よく勉強さしてもらいます。
 それで私がきょう申し上げたいことは、大蔵大臣もやっぱり財政計画は必要である、いま勉強中である、こういうように答えられておるわけで、私たちも現在のような財政の再建をしていくには短時日ではできないと思います。やはり長期的なビジョンの上に立って一歩一歩改革をしていく、そういう点から、そういう一つの長期計画がなければどうしても政治というものは圧力に流されていくという危険性もある、そういう点から必要であると思うんですが、これはいまどういう段階にあるのかですね。
 大体、どういう段階にあるのかということは結構ですから、いつまでにつくるのか、スケジュールがあるのかどうか。そういうことのプロジェクトチームのようなものができているのかできていないのか。もしできているとすれば、だれが中心でやっているのか、このあたり、いま質問した点だけで結構ですから簡単に答えてください。
○政府委員(山口光秀君) 財政計画についての作業状況のお尋ねであろうと思いますが、財政計画とは何であるかということについてもいろいろ議論があるところであろうかと思います。しかし、私ども財政再建に当たりましては中期的な財政展望を持つことは当然必要でございますので、財政制度審議会にも五十一年の秋からお諮りし、いろいろ勉強をさせていただいております。ただ、どういうものを財政計画と呼ぶかという問題は別にいたしまして、各国でやってまいりました歴史をながめてみましても、かなり準備に時間がかかるというむずかしい話でございまして、いつまでにということはちょっと見当がつきません。各国での作業状況を見ますと、数年から十年ぐらいかかっているというのが実情でございます。鋭意勉強していきたいと思いますが、まだいつというめどは立っておりません。
○塩出啓典君 プロジェクトチームなんかつくっているんですか。責任者はだれかやっているんですか。
○政府委員(山口光秀君) 先ほど申し上げましたように、財政制度審議会の中に基本問題小委員会という小委員会を設けていただきまして、そこでこの問題、財政計画と申しますか財政展望と申しますか、その問題と、それから財政の弾力化措置という両方の問題について検討していただいているわけでございます。もちろん内部的には主計局でやっております。
○塩出啓典君 内部ではどこでやっているんですか。
○政府委員(山口光秀君) 主計局の調査課で研究いたしております。
○塩出啓典君 わかりました。
 当然この財政計画ということになりますと、先ほど大蔵大臣言われたように、歳出のあり方とか、そういうような点も非常に問題になってくるんじゃないかと思うんですが、この委員会での答弁では、もうすでに大蔵省はゼロベース予算は実施しておるんだと、こういう答弁もあるわけですね。しかし私は、詳細を調べたわけではありませんし、これはわかりませんけれども、ただ、いまやっている、大蔵省の言っているゼロベース予算と、本当にアメリカでやっているゼロベース予算というのはかなり隔たりがあるんじゃないか、そういう財政再建に当たっては、もっと予算編成のあり万にしても根本的に検討するというか、そういうこともやはりやる必要があるんじゃないかと思うんですが、そういう点はもうすでにやっておるのかどうか。その点はどうですか。
○政府委員(山口光秀君) ゼロベース予算のようなものを大蔵省はもうすでにやっているということをお答え申し上げたかと思いますが、それは私ども、よく世間では日本の予算は増し分予算と申しますか、増分予算、増分査定のやり方じゃないかと言われるわけでございますが、前々からそんなことはないんで、根っこから制度なり既定経費なり洗い直して毎年検討しているという意味で、ゼロから出発して議論しているということを申し上げているわけでございますが、特に五十三年度予算につきましては、非常に大がかりに、しかも早目にそういう作業を始めまして、補助金等を中心にやったわけでございますが、根っこから既定の経費、既定の制度について洗い直しをしたわけでございます。そういう意味で、いわば精神と申しますか、ゼロベース予算の精神をくんでやっているということを申し上げたわけでございますが、アメリカでやっておりますゼロベース予算というものには、たとえばデシジョンパッケージとか、いろいろな手法がございます。かつてPPBSというような手法をアメリカが開発し、日本でも勉強したこともございますけれども、多少理論倒れみたいなところもございまして、アメリカでもやがて一部を残して消されてくるというような面もございましたので、私どもなお勉強を続けますが、直ちにそういう手法を採用するとか、そういう段階にはまだ至っていない、もっと勉強を続ける段階であろうかと思っております。
○塩出啓典君 もう時間なくなりましたので、大蔵大臣に最後に。
 そういう予算編成のあり方についても、いまの御答弁ではもうすでにやっておる、これ以上余り、前進の余地がないぐらいやっているというか、われわれはもっと抜本的にやっていかなきゃいけないんじゃないかなあという、何かそんな感じがするわけですね。これはあんまり事実を知らないからそう思っているのかもしれません。また、そういう中期計画にしても、恐らく私のいまの感じでは、財政制度審議会に任せて、財政計画とは何ぞやと、そのこと自体がいろいろ論議がある。そういうことではなかなか、五年も十年もかかって結局財政収支試算も毎年毎年変えていかなきゃいけないと、こういうことになることを非常に心配をするわけですね。その点は大蔵省としてもやはり長期的展望に立って、大蔵大臣の在任中に一つ一つのレールを敷けるように、ひとつ財政計画の作成にももっと責任を持って、大蔵省内にもプロジェクトチーム等もつくり、財政制度審議会は審議会として、大蔵省としてはどうなのか、政府としてはどうなのか。各省に関連する問題もあると思うんですね。そういう点で一つのやっぱりチームをつくってやる必要があるんじゃないか、惰性に流れておってはいけないんではないか、何かそういうように思うわけですけれども、大蔵大臣の見解を承って終わります。
○国務大臣(村山達雄君) 私も、いまの塩出委員の御意見と大体同じでございますが、容易ならぬことではございますけれども、本当に勉強さしていただきまして、少しでも前進し、何らかの手がかりをできるだけ早くつかみたい、こう思ってせっかく鋭意勉強してまいりたいと、かように考えているところでございます。
○佐藤昭夫君 それでは、私も前回に続いていま一度、国債政策に関する大臣の基本姿勢についてもう一回お尋ねをしておきたいと思います。
 前回の質問で指摘をしましたように、いわゆる列島改造の時期に、大幅の税収増がありながら国債の縮減ではなくてむしろ増発を行ってきた、そして大企業本位の放漫財政を進めてきたことが、今日時点では深刻な不況によって税収減の事態を生み、片一方、景気浮揚と称して国債の一層の増発を行わざるを得ないという、こういういわば悪循環を、国債の増発が次の時期に一層そのさらなる国債の増発を引き起こす、こういう悪循環の財政的矛盾を今日来しているということを当局もお認めになると思うんです。
 それで、すでに予算は成立はしているわけでありますけれども、その予算の法的な裏づけになっておる今回のこの法案の国会での承認というのはもちろんのこと、国民の合意をどういうふうに求めていくかという問題を考えた場合に、いわばこういう日本の財政の悪循環、将来に重大な禍根をもたらす、いわばあしき遺産をもたらす、そういう問題について国民に犠牲を転嫁をすることなく、いつどういう形でこのあしき遺産の解決を図るのかという問題についてお尋ねをしたいわけです。
 先ほどからも財政収支試算の問題出ていますけれども、これ突っ込んで聞きますと、たとえば一例ですけれども、この間も聞いたわけですけれども、特例公債はいつやめるのか。収支見通しでいくと五十七年度をもってゼロにするという、このことでいよいよやるのかと聞くと、いやなかなか大変ですということで、結局あれば計数上の試算にすぎませんと、いまたとえばこういう話が出る。しかし、少なくともこういう予算案、あるいはその裏づけになる今次法案、これについての国会の承認を求める、国民の合意を求めるという場合には、こういう悪しき遺産をいつどういう形で解決を図るのかということか当然政府の側から明示をされてしかるべきだというふうに思うんですけれども、いま一度その点をちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) この前お示しいたしました財政収支試算、それは試算という性質でございますけれども、長期的に見まするときには、やはり五十七年度までに脱却することがグローバルの見地で可能であると、しかしそれには非常な困難の問題が伴いますということがお示ししてあるわけでございます。いま佐藤委員がおっしゃいましたのは、まさに財政計画を立てろと、こういうお話なのでございます。
 もう言うまでもない話でございますけれども、毎年の財政計画、歳出あるいは歳入に関する具体的な施策というものは、そのときどきの情勢によらなければならぬことは当然でございます。したがいまして、企画庁の暫定試算というものは、もちろん世界経済のある種の伸びなり、そういったものをすべて予見として計算いたしているわけでございます。ですから、そういう意味で一応の経済計画と整合性を持っているわけでございますけれども、御案内のように、経済計画そのものがやはり世界経済との関連において変動してくるのはもう御承知のとおりでございます。
 したがいまして、そういうものは長期的なものとしながら、やはり毎年毎年の実際の財政計画というものをどういうふうに立てていくか、これはまたある意味では別個の問題と申しますと少し語弊がございますけれども、長期的視点に立ったそのラインには沿っている問題ではございますけれども、必ず試算どおりにやっていくことがベターだということにはなかなか現実的にはならないであろうということも容易に想像されるところでございます。そういう経済の話でございますから、かなり弾力性を持った経済計画、日本の中期経済計画も私はそのようなものだと思いますけれども、そういうものを絶えず見つめながら、経済計画の力も絶えずフォローアップしていく。それから、いまの財政収支試算の方もそれと整合性を持ちながら、やはりフォローアップしながら、そしてできれば早く財政計画までに持っていきたいということを念願しているわけでございます。
 各国の例を見ましても、その財政計画というものはいわゆるローリングシステムでございまして、毎年毎年やはり見直して中期的な計画を立て直しているようでございます。ですから、私たちはそういう意味で少しでも国民に御理解願い、そして現実性のある財政計画を立てたいと、こういうことでいま鋭意勉強したいと思っておるところでございます。
○佐藤昭夫君 私の制限時間きょう二十分ですので、政府側の答弁は質問のポイントに沿って簡明にやっていただきませんとちょっと時間の浪費になりますので、お願いをしたいと思います。
 たとえば、去年の秋の臨時国会の段階でも、福田首相も当時の大蔵大臣も、繰り返し、国債依存度三〇%を超えてはならぬというのは一つの私どもの哲学にしておるというような言葉もあったと思うんですけれども、にもかかわらず、今回のこういう提案が臨時異例だという言葉を何回も強調されておるということで、こういう臨時異例の提案を国会の承認、国民の合意を求めるという場合には、まさに臨時異例、したがって国債依存度三〇%、来年度はこれはもう一遍現存の三二%、三七%というこの依存度を三〇%以内に戻しますという、こういう決意が表明があってしかるべきではないかというふうに思うんですけれども、この問題だけで議論しているとまた時間が推移をしますし、私は、これからまだ何回か委員会の審議がありますが、いつごろこの法案についての採決を行うという段階がくるのか、それはまだ未定でありますけれども、少なくとも本委員会で今次法案の採決を行うまでに、臨時異例という言葉にふさわしいどういう財政上の今後の改善、改革を行うのかという、もう少し具体的な定義が政府側の方から補足説明があってしかるべきだということを強く要求をしておきたいと思います。
 それで、次の問題に移りますが、そういう収入面の角度からの改革をどうやるのかという問題と同時に、国債の増発を裏づけした予算の執行面で、今度の予算の重要な部分に景気浮揚ということを理由にした公共事業が大きな部分を占めているわけですけれども、これは二月の委員会で私が質問をして、大臣も御答弁なさったわけでありますけれども、大企業本位ではなくて、大企業中心ではなくて、たとえば公共事業、官公需、これについても中小企業向けの発注をさらに一段とひとつ前進をさせる方向で努力をするという点について、もうすでに十五カ月予算ということで公共事業の作業も始まっているわけでありますけれども、新年度どういう中小企業向けの発注を前進をさせるための具体的な方策をとっているのか、この点についてはどうですか。
○説明員(和田文雄君) お答えいたします。
 政府といたしましては、毎年度官公需法に基づきまして年々の目標数字を閣議決定いたしておるわけでございますが、今年度、五十三年度につきましては、この閣議決定が七月下旬ぐらいになろうかと思っております。七月下旬になります理由につきましては、毎年度前年度の実績を踏まえた上で高い目標数値を設定できるようにということで、いろんな調整をやるために、どうしても七月に入ってしまうというような事情があるわけでして、ただいま現在のところ、九十三年度として具体的にどういうような施策を盛り込むかについてはまだ決まっておりません。
 しかしながら、官公需対策におきましては長い歴史もございまして、閣議決定すべき重要ポイントというのは、昨年度、五十二年度にも大体網羅されておりますので、その辺を中心に新しい時代の変化を織り込んだようなかっこうで若干の変化あるいは変更等があろうかと思います。
○佐藤昭夫君 ただいまの答弁の具体的な方針確定は七月ごろになるというのは、官公需という場合に地方自治体の行う事業も含めての関係があってということかと思うんですけれども、政府の直轄事業、これについてはもっと早く具体的方向を出すことはできるんじゃないですか。
○説明員(和田文雄君) 先ほどお答えいたしました七月下旬になるというその事情でございますが、前年度実績というのは七月の会計整理期間というのを入れますと、結局、五月に入ってから各省庁の地方支分部局を中心に集計が始まって、各省庁の実績が出そろいますのが六月の下旬、遅い省庁になりますと七月に入っちゃうこともあるわけです。したがいまして、国等の、中央だけの集計で実際問題として七月下旬になってしまうというような事情があるわけです。
○佐藤昭夫君 どうもその点は私は理解できませんね。五十二年度の第二次補正、あれの理由づけが十九カ月予算だということで強調もされ、本予算についてもいっときも早く国会での可決をということを強調されてきた。こういう経緯から言って、これから行っていく新年度の公共事業について、中小企業向けの発注をどう前進をさせるかという具体的な方策がもっと早く出されてしかるべきだというふうに思うんですけれども、それはできないことなんですか。
○説明員(和田文雄君) 毎年度の国等の契約の方針が、先ほど申しましたように、どうしても実績を踏まえてつくる関係上おくれてしまうというような事情もございますので、今年度については特に三月二十五日、経済対策閣僚会議で「当面の経済対策」というのが決定されておりますけれども、その中においても、公共事業等の上期集中発注の傍ら、景気対策としての官公需増大の効果を中小企業者にも及ぼすために、中小企業者の受注機会の増大に努めるというような一項が入れられております。私ども中小企業業庁といたしましてはこの閣僚会議決定を受けまして、四月一日付で関係省庁あるいは公社公団等に対しまして、今年度は公共事業等の上期集中発注というのが行われるということもありますので、特に分割発注あるいは同一資格等級区分内の名による競争の確保、まあこれは大企業が中小企業分野に入り込まないようにという意味で各省庁がランクをつくっておりますが、そういう同一ランク内で競争をさせてできるだけ中小企業に向けるように、あるいは中小企業者の受注能力の問題があってなかなか中小企業者が受注できないというような面もございますので、その面を解消するために中小企業者が共同組合をつくり、あるいは共同受注をするというような、そういう共同受注方式の活用というようなことをはっきりと明記いたしまして、関係省庁に四月一日付で要請をいたしておるところでございます。
○佐藤昭夫君 大体理念的にはいま御答弁なさったような方向で、さらに一層どう前進させるかということで、現在鋭意作業をやっているんだということなんですね。
 それからもう一つ、公共事業に当たって大企業が下請をするというのか非常に多いわけですけれども、お尋ねをするんですけれども、下請の重層化、これがいまいろいろ問題になっているんですけれども、その実情、特にその中での下請代金の支払い形態、これは景気効果ができるだけ速やかに効果的にあらわれるようにという点で、下請の代金の支払いが非常に遅延をするということになったんではもとのもくあみだという問題もあるわけですし、それからさらに代金支払いに絡まって、四月三日の予算委員会でわが党の内藤議員が例の新幹線工事に当たっての代金のピンはね問題というのを提起をしまして、政府側としても早速調査をするということになっているんですけれども、これらのような問題も含めて、本当に有効に中小業者に仕事が回る、また遅延することなく代金が支払われていくという、こういう見地からの一つは実情と、それに対する政府としての有効な手だてをどういうふうに今日打っているのかという点について、どうでしょうか。
○説明員(和田文雄君) 下請企業に対する代金の支払い等につきましては、種々先生方からいつもいろんな御指摘を受けておりまして、私ども、たとえば下請代金支払遅延等防止法というのがございまして、これは製造業の下請を中心に取り締まる法律でございますが、こういうものの活用、あるいは建設関係でございますと、建設業法に種々の取り締まり規定あるいは指導規定がございますので、そういうものに基づいて取り締まりをやってきておるところでございます。
 しかし、最近特に問題になっておりますのは、建設工事の場合、親事業者が前払い金を受け取りながら下請事業者に余り払ってないというようなケースが非常に多くなってきている、あるいは非常に高いピンはねの問題が出てきておるわけでございますが、まず、前者の前払い金の問題につきましては、建設省を中心に建設工事の標準約款というのを昨年建設審議会ですか、答申しまして、その建設約款の普及に努めるという過程で解消していこうということでいま努力をしておるところであります。この標準約款の中には種々の規定がございまして、たとえば前払い金の問題につきましても、遅延等と同率の前払い金を払わなければならないというような規定が、一般に建設業者でありますとこの標準約款を使っておる方が多いわけですので、この普及に努めるということがまずじみちではありますが、一番大きな効果かあるんではないかということで、普及に努めておるということであります。
 それからピンはねの問題につきまして、これは私どももいろんな国会での審議を通じまして非常にひどいようなケースも指摘されておりますが、こういうピンはね問題を避けるためにも、できるだけ官公需につきましては直接中小企業者に渡すということが必要であろうと考えております。このために、先ほど申しましたように、発注官庁側といたしましてはできるだけ分離分割をして中小企業者に行くように、もう一つは、受注者側にしますと受注能力はまだまだ不十分であるために大企業に行くというような面がございますので、受注者側では共同受注をやるようにということで種々の施策を準備して、その中小企業向け比率の向上のためにわれわれとして努力していると、こういうことでございます。
○佐藤昭夫君 最後にもう一言お尋ねしますけれども、いま大臣が本部長をなさっておる公共事業の推進本部、こことしていまのいろいろ出ておりますような下請の状況についての調査を、三月から四月にかけて行っておられるというふうに新聞に報道されていますけれども、これをひとつ速やかに、中間報告でも結構ですから、実際に全体的な現状が、政府が強調されておる景気浮揚に効果的に見合う形でこれらの事業が現在進んでおるかどうかという状況を、ひとつ中間報告でも結構ですから御提出を願いたいということと、いずれにしましても、これら下請が苦しめられている実情を救済をするために、すでに昨年の五月二十日の参議院の決算委員会で、昭和四十八年度の決算にかかわっての内閣に対する指導監督を強めるべきだという決議が行われておりますれ。ひとつこういう趣旨に沿って、本部長としては、大臣として鋭意努力をしていただきたいと思うんですけれども、大臣のひとつ所信をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(山口光秀君) 前段について申し上げますが、前金払いの下請業者への浸透の状況につきましては、現在、公共事業の施行推進本部の決定に基づきまして関係各省において状況調査な四月十五日までに実施したところでございまして、その報告を受けてただいま集計中でございます。集計の結果か出ましたら、いずれ御報告を申し上げることになろうかと存じます。
○国務大臣(村山達雄君) 下請業者に対する前渡金の支払い問題につきましては、予算委員会、当委員会等数々の御忠君を賜っておるところでございまして、政府といたしましても非常に重要視している問題でございます。したがいまして、公共事業の施行推進本部といたしまして、この点を一つの大きな重点といたしまして今後の公共事業の遂行に当たりましてやりたいと、かように思っておるところでございます。
○中村利次君 毎々申し上げますように、政府のおっしゃる臨時異例の予算を編成をされて、その財源措置として、ただいま審議の対象になっております本法律案を含めていろんな税収の前倒しだとか、有価証券取引税、あるいは酒税その他、五十三年度以降、あるいは五十三年度単年度の財源措置を講じられたわけでありますけれども、これは、まあ私ども民社党は国債の依存度三〇%に固執をすべきではない。これは好ましいことではあっても、景気対策あるいは将来の財政収支という点からいけば、特例債の発行なんということは当然これはいいことでないことは明らかですけれども、そういうものに固執をすべきでないということを言ってきた立場ですから、まあ五十三年度予算で三七%の依存度になったということは別に私どもとしては異を唱えるに足りない。問題はむしろ、この本年度予算によって景気が回復をするのかどうか、財政の見通しはどうかということに強いやっぱり関心を持たざるを得ないわけです。
 私どもの見通しからすれば、先ほど大臣は五十七年度に少なくとも特例債を発行しないでもいいような財政のバランスというものは可能なんだという、まあそれやるかやらないかは別にしてですね、ということをおっしゃいましたけれども、これは、もし五十七年度に特例公債を発行しないで、もいいような財政、予算をお組みになるということになると、これは大変なことにたると思う。大蔵省がお出しになったこの収支試算からすれば、この前も私が申し上げましたけれども、私どもの考えでは間違いなく経済失速をするような大増税をやる以外にほかに方法はないように思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 先ほども申しましたとおりに、経済企画庁の前期経済計画それ自身がたくさんの予見を持っての前提であるわけでございますが、それと整合性を持ちながら五十七年度に特例公債から脱却できるかどうか、その手段としてはどんなものが考えられるか、この点を試算としてお示ししたのでございます。すなわち、その手段としては、一方におきまして、歳出についてより優先度の選択を厳しくするとともに、全体の量を圧縮し、そうして一般的な負担の増加を求めざるを得ない。しかし、それによっても前期経済計画と大体整合性を保ち得るという試算をお示ししたのでございます。しかし、これはあくまでもいろんな前提のある問題でございますし、それだけに毎年の財政計画というものは、そのときどきの長期計画との関連におきまして、そのときどきのベストのやはり財政政策を組むべきであろう、かように考えているのでございます。ただ、いま委員がおっしゃいましたように、あのようなことになったらとても国は持ちはしない、そういう実は予見は持っていないのでございまして、いかにこれから経済の情勢が変わっていくか、これを十分に見守ってまいりたい。しかし、同時にまだ、中村委員がおっしゃったように、何が何でもあれで、いくのだというようなことは、これは試算でございますから、そういうことも考えていないということを申し上げたわけであります。
○中村利次君 私も不可能とは思わぬのです、確かに可能。しかしその前提が果たして達成できるかどうか、歳入にしろ歳出にしろ。歳出の場合は、よく言われる行政改革なんかが国民的な期待にこたえるようなものはできるか、私はできないと思う。これは政府・与党だけを批判しませんよ。野党だってそれじゃできるのか、それはなかなかむずかしい問題ですよ。だって、よく対象に出される医師の優遇税制だって、これほど国民世論かあって、税調の答申だってああいうきつい答申を受けてできない。これは野党川のことを言うことはないでしょうけれども、だから大変なんです。じゃ歳入面はどうかと言えば、やっぱり経済失速をするような増税はとても責任ある政府としては
 できぬでしょう。だから私は、やっぱり、これは決して自慢するわけじゃございませんけれども、私ども民社党が提唱しておりますように、現実的にしようがない、昭和六十年代の最も早い時期に
 達成する以外にはないんじゃないかと、そういう見通しを出しているわけですがね。
 そこで、やっぱり何といっても景気の立ち直りがどうなっていくのか。私どもは本当に正直言ってて政府が景気の立ち直りを達成する七%の実質成長を達成する、超党派でやりたいですよ、そういうことを。ところが、いまの政府の経済政策が国会の中で野党から、あるいは私ども含めて国民から信頼されていますか。先般の臨時会なんかでも、会期末まで六・七%の成長は達成できますと言い続けてきた。できないでしょう、かくかくしかじかじゃないかと言っても、できますと言ってきて、閉会になったら、旬日を経ずして関係省庁で五・三%にダウンすることに合意をした。あるいは本委員会でも、いま村山大蔵大臣がお座りになっているところに当時の坊大蔵大臣がお座りになって、三〇%の国債依存度を遵守するのかと言う、これは私じゃありませんかね、私なんかそんなものにあんまりこだわっていたんでは景気対策上どうも支障がありはしないかという立場ですから……、そう言われたらそうやりますと言った。これも今度の五十三年度予算編成では、これは三七%の依存度になったということになれば、やっぱりこれは政府の経済政策は、うそを言っているとは言いませんよ、何かやっぱり常にぐらぐらしていると言わざるを得ない、国会対策上やむを得ないかもしれませんけれども。
 ですから、そういう立場から、私は果たして景気の回復が本当に上向いていくのかどうか、特例債の発行と絡めて、そういう点の見通しというものが非常に心配なんです。そういう意味から、公共投資によって景気の回復を図っていくんだ、私どもは公共投資を否定はしない。これはもう社会資本のおくれというものは目立つわけでありますから、そういうものは結構であります。しかし、それだけではこの景気回復というのは大変どうも的確でなさそうだから、減税をやったらどうだと言ったら、そしたら政府のお考えは、波及効果から言って公共投資がこれこれで、減税はこれこれで、やっぱり減税はだめですと言い続けてきた。ところが企画庁の試算では、初年度、次年度、三年度、年度を追うに従って公共投資と減税の波及効果というものは逆転をするというのが発表されておるんですがね。これはやっぱり本年度は、景気対策上の補正予算を私は組まざるを得ないと思います。大蔵大臣は、いまそうだとは恐らく言われないでしょうけれども。その場合、やっぱり公共投資をやれるとお考えかどうか。これは消化能力等を含めてあるいは波及効果等を含めて、いかがでしょう。
○国務大臣(村山達雄君) 幾つかの問題があったわけでございますが、私も、試算で示すとおりやるということには非常に、特に政治的に非常な困難が伴うことはよく承知しているところでございます。ただ、六十年代になったらそんなら政治的に可能であるかというと、同じぐらい、もっと芳しくなるかもしれないと私は思うのでございます。この問題はいつやろうとしても、やはりいつでもむずかしい問題であろうと思います。そしてまた、おくれればおくれるけどやはり増税額がよけいになってくる。こういう問題あわせ考えねばななぬと思うのでございます。しかし、非常に政治的な困難を伴うであろうということはもう中村委員と同感でございます。
 ところで、今年度の問題のございますが、民間の機関その他がなかなか七%はむずかしい、あるいは国際機関もなかなかむずかしいと言って、いることはよく承知いたしているのでございます。しかし私たちは、私は少なくともこれは不可能であるというふうには現時点では考えておりません。最近のいろんな経済指標を見ておりますと、予算を編成した当時から見ますと大分好転しているように思うわけでございます。また、公共事業を中心とする内需の拡大あるいは史上最低の金利水準、これは効果があらわれてくるのはこれからだろうと思うのでございます。円高によるデメリットはよく言われましたが、メリットがあらわれてくるのは、日本の産業構造から申しまして当然コスト減になってまいるわけでございますから、これの大きなメリットの方の影響もこれから徐々に期待できるんではなかろうか。同時にまた、そういうマクロ的な対策だけではなくて、御承知のように特定不況産業、あるいは住宅投資、あるいは設備投資等につきましても、予算あるいは財投、税制等を通じまして、それぞれ手を打っているところでございますので、私たちは、少なくともまだ予算が発足したばかりでございますので、今後この施行に当たりまして着実に実行いたしまして、その成り行きを十分注視してまいりたい。私はいまいけるのではないかと考えておりますが、途中の段階で公共投資以外の補正予算を組まねばならぬとか、そういうところまではいま頭がいっていないということだけを申し上げておきます。
○中村利次君 それは大臣の立場として、こういう補正予算を組みますよということをいま言われはしないと思いますよ。しかし、いま大臣おっしゃった六十年になれば可能なのか、そうは考えない、それはそのとおりですよ。あくまでも私が言っている前提は、経済政策を誤らないという前提で、それから五十四年度以降の財政規模がどうあるのか、そういうのとの関連で申し上げているのですから、ですからあくまでも前提で、福田内閣が経済政策を、失敗と言うのはいけないなら成功しないで、そうして財政状態もますます悪化していくということになれば、これはやっぱり、はなはだお気の毒ですけれども福田さんにおやめを願って、どなたかばっちりした威力のある経済政策をやれる力がかわってでも、これは景気の回復には成功をするという前提ですから。
 ですから、そうでありませんとどうなんですか。この試算の中にある昭和五十七年に果たして公債の発行額がどれくらいになるのか。それからその当時の国債費が歳出に占める割合がどうなるのか。これはどうですか、そういうことを考えますと、ちょっとあなた、そう簡単に割り切るわけにはいかないと思うんですが、いかがですか、どれくらいになりますか。五十七年の国債費の歳出に占める割合が、遠い先でそんなものわかるかとおっしゃるなら、五十四年度でも結構ですよ。大体の見通しというか、試算はどうですか。
○政府委員(山口光秀君) 財政収支試算のケースCに則して申し上げますと、五十七年度の国債費は七兆三千億と見込まれまして、そのときの予算規模は五十八兆二千九百億でございますから、その率は一二・五%程度であろうかと思います。
○中村利次君 いやいや、発行額じゃありませんよ。いわゆる国債を償還しなきゃいかぬでしょう。国債費……。
○政府委員(山口光秀君) ただいま申し上げましたのが国債費でございまして、利払いとそれから償還財源の繰り入れと、両方でございます。一三・五%程度でございます。
○中村利次君 これは、二〇%をかなり上回る国債費というのは容易じゃありませんよね。ですから、やっぱりそういうことを連動をして考えますと、これは大臣、やっぱり容易じゃありませんよ。ですから、もう時間も、たったこれだけ言っているうちに来ちゃいましたから、あとは後日の質疑に移しますけれども、これは大臣の立場から、いま本年度景気対策としてどういう補正予算を組むか、こういうことは言えないというのは私も理解します。しかし、政府は少なくとも七%の実質成長をするためには、達成するためには、これは七%という実質成長の数字じゃないんですからね。それは廃業構造なりあるいは雇用問題なんかが六%の成長で満足されるなら六%でも結構、四%で消化できるなら四%で結構ですよ。しかし、七%の成長をしないと国際的にもあるいは国内的にもだめだというのでそういう数字を設定されているわけですから、そいつを達成できないということになれば、達成するためのあらゆる手段を尽くすとおっしゃっているわけですから、これは補正予算をお組みにならなければならないのは、そんなことは答弁としてなくたって当然なんです。その場合、先ほど引き合いに出しましたが、企画庁の試算でも、この公共投資と減税の波及効果は累年に従ってこう変化しますよと。いままで政府が、公共投資が景気対策上は最も効果ありと言ってこられたのとは違うわけですけれども、そういう点は最後にお認めにたりますかどうか、それだけ伺ってあとは次に譲りましょう。
○国務大臣(村山達雄君) いわゆるマクロ計算というのは企画庁もありますし、それからIMFもやっていますし、それからOECDもやっておりますし、また大蔵省もやっておりますし、民間もやっておりますし、各種やっております。企画庁のSP18の場合だけが三年目にやや、減税の方が三年目でございますが、やや上回るという答えが出ておることは承知しております。しかし私たちは、そういう全般のモデルを見ておるわけですけれども、やはり公共投資の方が景気浮揚について大きな効果を持つであろうということは、私はもう常識だろうと思っているのでございます、程度の差はございますけれども。それが第一点でございます。
 それから第二点といたしまして、中村委員はことし七%はだめだと、こう決めてかかって、その上での立論をされているわけでございますけれども、残念ながら前提が違いまして、私はできるのではないかと、こう申し上げているのでございますので、残念ながら補正予算についていま考えているようなことはないのでございます。御理解をいただきたい思います。
○中村利次君 まあ、これはここでやめるわけにはいかないのたけれども、しょうがないですよ。
○委員長(嶋崎均君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時七分開会
○委員長(嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案を議題といたします。
 本日は本案審査のため、日本銀行副総裁前川春雄君、全国銀行協会連合会会長松沢卓二君及び公社債引受協会理事村田宗忠君の三名の方々に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、御多忙中にもかかわりませず、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にいたしたいと存じております。
 これより参考人の方々に順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上、お一人十分程度でお述べを願い、参考人の方々の御意見の陳述が全部終わりました後に、委員の質疑にお答えいただくという方法で進めてまいりたいと存じます。
 それでは、まず前川参考人にお願いいたします。
○参考人(前川春雄君) 前川でございます。
 御指名がございましたので、一言申し述べさしていただきます。
 まず、最近の経済状況につきまして申し上げます。先週私ども日本銀行におきまして支店長会議を開催いたしました。地方の状況についての報告も求めました。そういう結果もあわせて申し上げたいと存じます。
 国内の景気動向でございまするが、生産並びに出荷の水準が徐々に高まったおりまするほか、在庫調整も順調な進展を見つつあります。そういう結果、部分的な明るさが少しずつ広がりを見せている模様でございます。また、円高にもかかわりませず、商品市況が底固い動きを示している点も昨年の秋の状況とは異なっております。ただ、これらはいずれも公共投資促進の効果が漸次浸透してきたことを大きな背景とするものでございまして、国内の民間需要の大宗をなす個人消費でございますとかあるいは設備投資の動向につきましては、いまなお際立った変化は認められません。企業マインドもなおかなり慎重であるということでございまして、全体としての景気の流れに基本的な変化が認められるところまではまだ来てないように思われます。
 一方、国際収支の動向でございまするが、輸出は円高の輸出価格への転嫁もございまして依然高水準を保っておりまする一方、輸入は国内経済の停滞を反映いたしまして不振な状態を続けております。この結果、昨年度の経常収支の黒字は百四十一億ドルという多額に上ったわけでございまするが、このような国際収支の黒字を縮小をしてまいりまするために、内需の回復を図ってまいりますることが基本ではございます。今後とも輸入対策等の面でできる限り手を尽くしてまいることが大切であると考えておりまして、私どもといたしましても、今般輸入金融面で当面の暫定措置として輸入決済手形制度の実施に踏み切ったわけでございます。
 この間、二月半ば以降再び急上界をたどってまいりました円相場は、米国のインフレ対策あるいは金売却措置の発表を契機にいたしまして、このところやや落ちつきを取り戻しております。ピークに比べまして多少円安となっておりまするが、その水準はまだ二月以前に比べまするとかなり高いところに推移しておるわけでございます。こうした円高に対しましては、徐々に対応体制を整えつつある企業がふえてきているのではございまするけれども、一方ではますます苦しさを増す企業も少なくないことは申すまでもないところでございまして、私どもといたしましても、この先とも企業経営あるいは景気全体への影響につきまして注目を怠るわけにはいかないというふうに考えております。
 現在のような情勢のもとにおきまして、景気浮揚の主導的な役割りは今後とも財政政策に託すべきものと考えておりまするが、現に政府におきましては目下大型の新年度予算の執行に全力を注がれているところでありまして、私どもといたしましても金融面からもさらにできる限りの努力を続けていくことが適当と判断いたしまして、先般三月に公定歩合の〇・七五%の引き下げを決定した次第でございます。これら財政、金融両面の施策は、これまで進められてまいりました公共事業の促進、あるいは金融緩和政策の累積的な効果をさらに強めるものでありまするので、この先経済の各部面に少なからぬよい影響を及ぼしていくものと期待をしております。
 ただいま本委員会で審議を進めておられまする、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案、いわゆる特例法につきましては、新年度予算の資金的な裏づけをなすものであり、当面財政政策が果たすべき役割りにかんがみまして、私どもの立場からもこれが速やかに成立することが必要であると考えております。
 もちろん、この法律の成立により国債の増発が一段と加速されるようなこととなるにつきましては、将来に累を及ぼさないようにするためにも、私どもといたしましてこの際あえて幾つかの点を申し上げることにしたい、こう思います。
 その第一は、現在国債の増発が必要であるからといいまして、これを契機に国債発行に対する考え方が安易に流れ、財政の歯どめが失われるようになれば、将来、物価面への悪影響は避けられないということでございます。その意味におきまして、長い目で見ました財政の健全性回復の方向だけはぜひとも見定めておいていただきたいというふうに考えます。
 第三は、国債の大量増発は将来マネーサプライのコントロールをむずかしくするおそれがあるという問題でございまして、現状では民間資金需要が停滞を続けておりまして、マネーサプライも落ちついておりまするが、先行き民間資金の需要が回復してくる局面におきましては、公共面、民間面両部門の資金需要が競合する事態が予想されます。そうした際に、これら両部門の資金需要を円滑に調整いたしまして、マネーサプライの総量を適切にコントロールしていくためには、市中貸し出しを適度に調節するということとともに、何としましても国債の発行量自体がそのときの情勢に即して妥当な範囲に調整されることが必要であるというふうに思っております。こうした観点から特に重要な点は、私は国債の発行条件が市場実勢に即して一層弾力的に定められるようになることであると思いますし、また、自然増収等がありました場合には発行量を速やかに減額するという慣行を確立していくことであろうというふうに考えております。
 以上申し上げましたとおり、今後とも厳しい情勢が続くと予想される中にありまして、政策運営には一段とむずかしさが加わってきておりまするけれども、私どもといたしましては引き続き金融政策の適切な運営に全力を挙げていくことをお約束をいたしたいと思います。
 以上でございます。
○委員長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 次に、松沢参考人にお願いいたします。
○参考人(松沢卓二君) ただいま委員長から御指名をいただきました全国銀行協会連合会の松沢でございます。
 本日は、財政特例法案に関しまして私どもの意見を述べるようにとのことでございますので、特例国債を含む国債問題一般につきまして、私の意見を、あるいは希望を概括的に申し述べさせていただきたいと存じます。
 御高承のとおり、わが国経済は石油ショックを契機といたしまして、戦後最大かつ最長の不況に陥りました。その後の景気回復も必ずしもはかばかしくなく、いまなお減速経済への調整局面の過程にあることは御存じのとおりでございます。
 経済の各部門に存在しております不均衡、すなわち財政赤字の拡大を筆頭にいたしまして、国際収支の黒字不均衡、雇用情勢の悪化、需給キャップの拡大、企業収益の低迷などが五十二年度中には解決の方向を見出し得なかったばかりでなく、むしろその度合を深めたと申すことができようかと思います。
 安定成長経済の達成がこれらの不均衡を解消することにあるといたしますならば、その達成は中期的に見ても容易なものではありません。この調整局面は今後も続くと思われるのであります。
 したがいまして、内外均衡回復のために財政金融政策に課せられました責任はきわめて大きいと言わなければならないのであります。
 かかる観点から、先ごろ当国会におきまして成立を見ました五十三年度予算が、公共事業支出を中心にいたしまして景気刺激大型予算となっておりますことは、三月から四月にかけまして、実施されました全面的な金利引き下げと相まちまして、景気浮揚や円高などに相応の効果を挙げ得るものと評価をいたしております。私どもといたしましても、でき得る限りの努力をいたしたいと存じておる次第でございます。
 さて、ただいま当委員会におきまして御審議をされております昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行等に関する法律案は、予算を財源的に裏づけるものでございますけれども、税収の伸び悩びの中にありまして、内外不均衡の解消のための景気回復が喫緊の課題であることからいたしまして、本年度特例法によりまして四兆九千三百五十億円の国債を発行することはやむを得ないものと考える次第でございます。
 しかしながら、財政法第四条に規定されております国債発行額の歯どめは、過去のわれわれの苦い経験に基づくものでありまして、今後とも節度ある財政運営につきまして十分御留意いただきたいと存じます。
 私どもといたしましては、いままで申し上げました状況を踏まえまして、国債の引き受けにも相応の努力をしてまいる所存でございますが、国債の発行につきまして、せっかくの機会でございますので、国民経済的な立場から特にインフレの問題につきまして申し上げてみたいと存じます。
 それは、国債の大量発行下でもマネーサプライのコントロールが可能かどうかという問題でございます。現在では民間資金の需要の鎮静によりまして貸し出しの伸びが低下をしておりますために、全体としてのマネーサプライは低水準で推移をいたしております。したがいまして、いまのところインフレの危険は認められないということができようかと存じます。
 しかし、今後政府が期待しておりますように景気が上昇をしてきた場合には、民間資金需要が強まってくる結果、民間部門と公共部門の資金需要が競合することが当然予想されるのであります。このような状況下におきましては、マネーサプライのコントロールが非常にむずかしくなってまいりまして、インフレを招来する危険性があるということを考えておかなければなりません。
 また一方におきまして、五十年度以来の国債の大量発行にもかかわらず、現在まで深刻なインフレーションを回避し得ました経済的要因の一つといたしまして、わが国に特徴的な商い貯蓄率を挙げることができようかと思います。高い貯蓄率に支えられました金融機関の資金力が、マネーサプライの増加を伴わずに大量の国債を円滑に消化してきたことが、何よりもインフレーションを免かれ得た一因であるということを申し上げることができようかと思います。
 しかしながら、インフレの問題は現在は心配は要らないということでございますが、今後の経済の推移いかんによりましては表面化するおそれが十分にあると存ずるのでございます。そういった事態を回避するためには、先ほども申し述べました国債発行の歯どめはもちろんでございますが、それ以上に市場原理の活用が不可欠であり、いまからそのための環境整備を進めることが肝要と考える次第でございます。
 なお最後に、私ども国債の最大の引受手といたしまして、若干のお願いを申し述べさしていただきたいと思います。
 まず第一に、国債大量発行時代にふさわしい国債管理政策を確立して、そのビジョンを国民の前に明示していただきたいということであります。その意味では、ここ一年間現行の借りかえ方式の見直し、資金運用部国債の競争入札による売却、発行条件の弾力化など、それなりに前進を見たことは十分に評価いたしたいと存じます。この動きを今後さらに前進させることが必要と考えるのでございますが、一つは国債発行条件の弾力化をさらに促進させ、市場の実勢を的確に反映した適正な発行条件とすることであり、具体的には競争入札の方法などによりまして、金利機能を活用した発行制度を導入することが何よりも大事であると思うのであります。
 第三には流通市場の整備であります。国債の大量発行が続き、市中の国債残高が累増してまいりますと、何より市場で取引価格か資金需給の実勢を正しく反映したものであることが必要となるのであります。そのためには、金融機関の保存国債の流動化を一層促進いたしまして、市場の拡大と安定を図ることがぜひとも必要であります。それがまた大量の国債の円滑な消化を促進する道であろうかと信ずるものでございます。
 要望の第二は、大量国債発行時代に対応をいたしました貯蓄行政ということでございます。先ほども申し述べましたように、物価の安定の中での大量の国債の消化を支えたものは高い貯蓄率でございます。今後とも続くと思われます国債の大量発行に備えまして、貯蓄手段の整備と多様化により金融機関の資金力の増加を図ることは、国債の円滑な引き受け消化にとって最も基本的な条件と思われるからでございます。
 第三は財政政策、金融政策の運営についてでございます。かねてから政府が推進しておりますところの景気振興策が所期の成果を上げて景気が回復過程に入ってまいりますと、国債大量発行下におきましては、先ほども申し上げましたように、マネーサプライの増加によるインフレーションの懸念が生ずるわけでございます。このことはいまも前川副総裁が御指摘になったとおりでございます。したがいまして、ぜひ御留意いただきたい点は、まず第一に、財政政策と金融政策とが整合性を持って一体となって政策の展開を図っていただきたいということであります。
 第一には、同一歩調をとった財政政策、金融政策が状況に応じましてタイミングよく機動的、弾力的に実施されることが必要であるという点でございます。これが満足されるとき、初めて経済政策の効果が実現されるものであり、またそれを通してのみインフレなき経済成長が期待されると信ずるからでございます。
 以上申し述べました点につきまして、今後その具体化をぜひ御指導をいただきたいと思います。
 私の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 次に、村田参考人にお願いいたします。
○参考人(村田宗忠君) ただいま委員長から御指名いただきました公社債引受協会の村田でございます。日ごろは先生方に何かと証券市場につきましての御関心、御配慮をちょうだいいたしておりまして、ありがたく存じております。
 本日は、昭和五十三年度の財政特例公債法案につきまして、証券界の立場から所見申し上げまして、御参考に供したいと、こう存じております。
 さて、私から申し上げるまでもないのでございますが、先般成立を見ました新予算は、公共事業費の大幅増額を中心に内需の拡大を図りまして、これによってわが国経済が直面しておりますところの事態に対処しようとするものと、こういうふうに理解をいたしております。したがいまして、この予算と表裏一体の関係になっておりますところの財政特例公債法案によりまして四兆九千三百五十億円の国債を発行することも、これまたやむを得ないのではないかと、かように考えておる次第でございます。いずれにいたしましても、私ども証券界は、建設国債を含めまして特例国債につきましても全力を挙げましてその消化に取り組みまして、財政の円滑な運営にいささかなりともお役に立ちたいと、かように考えておるところでございます。
 次に、私ども証券界が担当しております国債の個人消化の状況並びに国債流通市場の近況につきまして御報告を申し上げまして、委員の諸先生各位の御理解を賜りたいと、かように存じます。
 昭和五十二年度におきまして、国債の市中消化額は利付国債によるものが八兆五千七百億円でございまして、割引国債によるものが二千九百億円でございます。私ども証券界は、そのうち利付国債につきまして前年度比倍増に当たりますところの二兆六百六十億円、また割引国債につきましてはその全額を引き受けまして、そうして個人を中心とする一般消化を図ってまいっております。市中消化額に占めますシェフで申し上げますると、利付国債の二四・一%を消化し、また割引国債含めて一緒に合わせますと二六・六%と、こういうシェアと相なって、これを達成いたしておるわけでございます。
 五十二年度は総じまして良好な消化環境が続いたことに加えまして、当局におかれましても発行条件につきまして市場実勢に対して十分対処なされましたこと、また、私ども業界も挙げて国債の消化の拡大に取り組んでまいりましたこともございまして、おかげをもちまして、先ほど申し上げましたような結果をどうやらもたらすことができた次第でございます。
 私ども証券界は、このような実績を踏まえまして、さらに五十三年度におきましても前年度を上回る実績を残すべく懸命の努力をいたしておる次第でございまして、そのつもりでおります。
 しかしながら、私どもの努力はもちろんでございますが、そのためには前年度に引き続きまして、委員各位並びに発行御当局の温かい御理解とお力添えをちょうだいすることが何よりも必要でございまして、ここに重ねて何分の御支援をお願い申し上げる次第でございます。
 さらに、国債の流通市場につきまして申し上げますと、昨五十三年度の東京店頭市場におきますところの国債売買高は二十二兆円に達しました。総債券売買高か百三十三兆円でございますので、これに対するシェアも一六・三%というふうに増大してまいっております。五十一年の国債店頭売買高につきまして申し上げますと、五十一年度は三兆二千億でございまして、そのシェアも、当時は四・五%というふうなシェアでございました。これに比べますと、五十二年度におきましては飛躍的に増加を見たということが申せようかと、このように存じております。
 つい最近のことでございますが、四月前半におきましては、国債の売買高のシェアが三一・二%というふうになっておりまして、国債は流通市場におきましても、おかげさまでどうやら中核的な存在として根づきつつあるようにうかがわれるのでございます。
 以上申し上げましたように、国債の個人消化は順調な拡大を遂げつつありまして、その取引量もそれに相応しまして増大を示しております。しかし、国債の大量発行は今後当分続くことが予想されますので、国債の個人消化の推進並びにそのアフターケアという意味での流通市場の、先ほどから松沢参考人からもお話ございましたが、一層の整備につきましては、今後も市場を担当いたします私どもの責務といたしまして、なお一層の精進を続けてまいりたい、かように存じております。
 以下、この機会をおかりいたしまして、証券界の立場から若干の所存を申し上げさしていただきまして、諸先生方並びに発行御当局の格段の御理解と御配慮を賜りたい、かように存じております。
 一つは、何と申しましても国債の発行はあくまで市中消化が原則でございまして、なかんずく個人消化というものがそのかなめとならなければならない、こういうふうに考えております。私から改めて申し上げますまでもなく、安定消化という見地から個人消化の持ちます意義はきわめて大きいものだと申せると思います。この点に関しましては、従来からの国債の個人消化の拡大を図りますために、大変建設的な御論議をちょうだいしておりますが、今後とも引き続きまして、国債の魅力づくりについて積極的な施策をお願い申し上げる次第でございます。
 次に、いわゆる国債の発行条件の実勢に即した設定についてでございます。今回の息の長い金融緩和の過程におきまして、国債の発行条件は七回にわたりまして改定が行われたのでございますが、その引き下げ幅はおおむね市場実勢を尊重した妥当なものでございまして、その結果としまして、金融緩和にももちろん支援されてまいりましたが、さきに申し上げましたような個人消化の急拡大を達成することが可能であったと、かように存じます。
 最近のわが国の経済の状況から推測いたしますと、国債を含めまして、債券の需給関係は当面は比較的平穏に推移するものと、かように存じております。しかしながら、今日のわが国の公社債市場は、基本的にはかつてない公共債の大量発行下にございます。今後の景気回復の動向、資金需要の盛り上がりいかんによりましては、流通利回りが上昇するというふうな事態も十分想定しておく必要がございます。
 このような環境変化に対応いたしまして、貯蓄手段としての国情の魅了を維持し、消化を常に円滑に進めてまいりますためにも、まだ国債発行の健全性を維持するためにも、発行条件を市場実勢に即して設定されていくという慣行が継続され、また定着されるということが大変大切なことだと望まれる次第でございます。
 最後に、国債に対します国民の信頼を高めますとともに、国債を金融資産の中核として定着させてまいりますためには、国債流通市場の整備というものが必要でございます。私ども証券界といたしましては、従来にも増してこの点に真剣に取り組んでまいる所存でございますけれども、いずれにいたしましても、市場整備の基本的な方向としては、多様な投資家の需給が証券市場に統合され、その結果として国民全体が納得する公正な価格形成が行われるということが何よりも肝要であろうかと、かように存ずる次第でございます。委員各位並びに関係御当局の御理解と御配慮をお願い申し上げる次第でございます。
 以上をもちまして私の陳述を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○委員長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人各位の御意見の陳述を終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹田四郎君 どうもいろいろありがとうございました。
 まず、前川参考人にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、経済情勢の御報告の中で、経済情勢に関連してでございますけれども、数目前に発表されたアメリカの経常収支の赤字というのがかなり大幅に縮小されたと思います。それが若干円高の急進というものを防いでいる点も一つあろうかと思いますけれども、アメリカの経常収支の赤字がこういう調子で月別に縮小をしていくのかどうなのか。この辺は今後の日本の経済情勢にもかなり大きな影響を持ってくるんですが、その辺の見通しをひとつお伺いをしたいと思います。
 それから、在庫調整の話が実は出たわけでありますけれども、最近在庫調整が順調にいってるという考え方、これが実態であろうと私も思いますけれども、その後が一体どうなっていくのか。これがこれからの問題を決めていく一番大きい問題だろうというふうに思うわけでありますけれども、経企庁の発表ですと、何かこのままずうっと景気はよくなっていくというような、これは新聞発表でありますからそのとおりかどうかわかりませんけれども、何かずうっと上向きに行くんじゃないだろうか、これは確かにその方がいいんですけれども、そういうことになるということになりますと、いま各参考人からお話しのあったこの国債の流通の問題、こうした問題をかなり早急に対策を練りませんと心配の向きが出てくるわけであります。こういう面に関連して、一体、いまの在庫調整が積極的な在庫投資積み増しに結びついていくのかどうなのか、この辺の日銀の金融筋から見られたのは、一体どうなのか、その辺についてひとつお伺いをしたいと思います。
 それから各参考人とも、これはまた後ほど伺いますけれども、それぞれ歯どめ論をかなり強くおっしゃっておられるわけでありますけれども、副総裁の方からもその歯どめ論かなり強く要望されているわけでありますけれども、いままでの人為的な歯どめ論というのは、私はどうもそのときの政策によってどんどん変えられてしまう。午前中の質問の中にもあったようでありますけれども三〇%、これは哲学的な数字だというふうに言われたのですが、何か一転して変わってしまった。そうして今度の場合には経常部門のパーセンテージを一定以下に抑えていくというような形になっているんですが、やはりその歯どめのあり方が、人為的に決められるということになれば人為的にこれは動かせるわけでありますから、その辺を、私は市場原理に合わした形で、政府の恣意的な人工的な歯どめでなくて、経済の倫理の中で歯どめがぴしっとされるということが一番いいと思うんですけれども、その辺の具体的な歯どめをどうすればいいのか、この辺についてひとつ金融専門家の立場からお答えをいただきたいと思います。
 まだその他にもありますけれども、一応ここで。
○参考人(前川春雄君) お答え申し上げます。
 円高に関連いたしましたアメリカの国際収支について見通しはどうかというお尋ねがございました。
 昨日、アメリカの三月の貿易収支が発表になりまして、二十七億ドルの赤字ということが発表されました。月に二十七億ドルと申しますると年間で三百億ドルでございますので、昨年の赤字と変わらない状態であるという状況でございます。もっとも二月の貿易収支の赤字が四十五億ドルという非常に大きな赤字でございました。これは国際的にも非常な大きなショックを与えるほどの赤字でございました。季節的にこの冬はアメリカも非常に寒かったとか、あるいは石炭産業が数カ月にわたるストをやりました。そういうふうな一時的な原因があったというような説明もございましたわけですが、それほどの大きな、二月ほどの赤字が続きますとこれは非常に世界的にも大きな影響がある。ドルの価値にも影響があるということも心配されます。
 三月は、いま申し上げましたように二月ほどではございませんけれども、やはりこのままの調子でまいりますと昨年と同じような赤字になるということでございまして、アメリカの国際収支の赤字につきましては、この先とも必ずしも楽観を許さない状態ではないかというふうに思います。
 もちろんアメリカ当局はこういう事態に対しまして、こういう赤字がこのまま続くということはアメリカ自体にとっても問題でございますし、世界的にも非常に大きな影響があるということを十分理解、自覚しており、国際収支に日本が黒字の圧縮にいろいろの方策を講じて考えておりますと同様に、アメリカはアメリカで世界各国から批判の対象になっておりますので、この赤字の縮小にはいろいろな政策をとっております。ただ国際収支、ことに貿易収支の調節というのは、あれだけ大きな経済の規模でございますると、やはりそう簡単にまいりませんものでございますから、いろいろ政策手段はとっておりまするけれども、この赤字の縮減につきましては、必ずしも去年のような赤字が早急に仮に半分になるとかいうような改善はなかなか見込まれない状態ではないかというように思います。これはアメリカ当局も、いまのアメリカの貿易収支の赤字というのはそう急に縮小できるものではないというような発表もしておるわけでございます。ただ、いままでとりましたいろいろの施策が少しずつその効果を出しましてこの赤字が次第に縮小していくということは私どもも期待をいたしますし、アメリカ当局もそういう目標に向いまして非常に努力をしておる状態であるということでございます。
 第二の御質問がございました在庫の問題でございます。在庫調整が進みつつあるということは申し上げましたが、この在庫調整が進んでいった後どうなるかという御質問であったというふうに思います。この後、この在庫調整そのものがいつ完了した段階になるかというのは、これまた一つ問題がございます。私どもも在庫調整につきましては、いままで従来でもいろいろ見通しを立ててその期待もしておったわけでございますが、その在庫調整が延び延びになる、とかくおくれがちであったということは認めざるを得ないと思います。在庫調整がおくれがちでありまするのは、一方では需要がなかなか起こらないということ、最終需要がなかなか起こらないということと同様に、反面では生産面の調整が必ずしも期待したとおりにいかない。各業界とも非常にいま収益面が苦しいわけでございますので、少しでも生産をふやして収益の赤を補おうという、雇用の問題もございますし、どうしてもそういうふうな動きになりがちでございまするので、生産面の調整が期待したとおりにいかないという部面もかなりあったのではないかというふうに思います。しかし、その両面のいろいろの施策がだんだん効果を出してまいりまして、在庫調整が徐々に進捗しつつあるという現状になっておるわけでございまするが、そういう意味におきまして、この在庫調整がいつごろ完了するかという点につきましては、まだはっきりいつごろであるというように申し上げられる段階ではございません。しかし在庫調整が逐次進行しつつある、進捗しつつあるということは、これは経企庁も同様でございますし、私どももそういうふうに思っております。その後がどうなるかという点につきましては、いま申し上げましたような推移からかんがみまして、結局は最終需要がどういうふうに出てくるか、消費あるいは設備投資、そういうものがどういうふうに出てくるかということにかかると思います。現状ではそういうふうな最終需要が非常に弱いものでございまするから、政府資金、政府の支出でこれを補っておる状態でございまするが、そういうふうな政府支出を行うことによりまして、その間に最終需要が、民需が誘発されてくるということを期待しておるわけでございます。
 そういうふうな最終需要が起こってまいりますれば、いま在庫調整が完了いたしました暁には、さらに在庫の積み増しということが行われるわけでございまするが、現在のところは、いま申し上げましたように、在庫調整そのものもまだ最終段階にはきておらないと思いますし、それから最終需要、消費あるいは設備投資につきましては若干いままでとは違ったような感じもございまするけれども、よく言われておりまするように、まだら模様と申しまするか、需要が全般的に商品市況なり何なりが明るくなった状態ではございません。いい面もございますけれども、まだ悪い面も残っておるという跛行状態が続いておるわけでございます。そういうことから申しますると、最終需要が起きて在庫積み増しにまいりまする時期は、まだもう少し先ではないかというふうに考えております。しかし、方向は明るい力に向いていることだけはもう間違いございませんので、その点は申し添えさしていただきます。
 それから、第三番目の御質問にございました歯どめというのはとういうふうにこれから考えていくか、人為的な歯どめもいいけれども、それは人為的であるだけに人為的にまた取りはずせるではないか、これはもう御指摘のとおりだと思います。私も、ただいま御指摘ございました市場原理を活用していくということ以外に経済的に有効な歯どめはないというふうに思います。先ほど来、私も申しましたが、他の松沢参考人、村田参考人、それぞれお話がございましたように、条件の実勢尊重、これは、ぜひこれからもやっていただきたいというふうに思っております。先ほど村田参考人からのお話もございました、発行条件というものがかなり弾力的に市場実勢を尊重して決められるようになったというお話がございました。私もそういうふうに思います。この二、三年来の金融緩和状況、金利の低下状況に応じまして、発行条件はその都度引き下げられてまいりました。市場相場というものを基準にいたしました発行条件の改定もその都度行われておるわけでございます。しかし、これは今度金融情勢が逆の方に動きましたときには、発行条件はやはり同じように実勢を尊重して変えていかれないといけないと思います。国債枠の債務でございまするので、国債費の増高ということが予算でも大きな題目になっておりまするが、国債費を節減するということのために発行条件が人為的にゆがめられるということは、流通市場の面から言いましてもあるいは新しい国債の発行の面からいきましても非常にそれを阻害する、順調な発展を阻害するものであろうというふうに思いますので、そういう点で市場原理に即しました実勢尊重ということが、私は歯どめとしては一番有効なものではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
○竹田四郎君 結局、いまのところは金利か安くなっているから政府の方も発行条件を弾力化するのに都合がいいわけですけれども、これがいまおっしゃられたように、金利が上がってくるということになりますと、果たして発行条件が本当に弾力化するかどうか、御用金調達のように、また安いところでやっていく可能性が一つあると思うんですけれども。
 松沢参考人にお伺いしたいんですが、まあこれたけの大量発行になりますと、いままでは一年たてば日銀の方で買い上げてもらって、それによって資金を得られるということになるわけですが、先ほど皆さんのお話の中でもありましたように、マネーサプライの問題がこれからまた非常に重要な問題になってくるわけでありまして、銀行がいま恐らく預証率はどのくらいになっておりますか、その辺もひとつお伺いをしたいと思うんですが、預金の増加に対する有価証券の保有率などもおわかりになっていたら教えていただきたいと思うんですが、かなり高いんじゃないか。そういうふうになってまいりますと、いままでのように日銀で買い上げてもらうということは、これはもう非常にむずかしくなるわけですけれども、そういう点で、結局はそれが資金の需要が出てきたときには非常に銀行経営を圧迫するし、資金の供給ということについても大変苦労しなくちゃならぬということになるし、それから銀行の経営自体から見ても、いまの安い金利の国債をたくさん持たされているということになってまいりますと、これはまあかなりいろいろ経営上の圧迫というものも私は出てくるんだろうと、こういうふうに思うんですけれども、その辺はどうなんですか。大体、銀行経営の立場から見まして、全体の中でどのくらいの、国債の保有というのは一体何割ぐらいが許せるのか。まあこれが窮屈になってまいりますと、先ほどのお話の中にありました国債の銀行の売却ですね、これは大蔵省に聞くと、そんなものは禁止していないと、こうおっしゃるんですけれども、最近においても信用金庫でしたか、大阪でで幸福相互ですか、ここでも一回売ったら、それはまだ一年たってないからそんなものはいかぬというので、かなり金利のいいやっと差しかえられたというような事件がありまして、これは福間さん、予算委員会で御質問になってました。また、松沢参考人のお話の中でも、銀行のこの国債の売却をもっとひとつ自由に大幅にしてほしいというような意味のお話もあったわけですが、その辺は一体、本当に自由に売れるのかどうなのか、大蔵省としてはどういう条件をつけてるのかどうなのか、その辺のお話を承りたいと思います。
○参考人(松沢卓二君) お答え申し上げます。
 最初に、いま御質問をいただきました国債の預証率と申しますか、それをちょっと御紹介申し上げたいと思います。預貸率とも関係ございますので、預貸率と預証率を一緒に申し上げてみたいと思います。
 最近の五千二年九月末現在で、全国銀行におきまして預貸率が七九・二%でございます。それから預証率、これは同じく五十二年九月末現在で一九・八%になっております。まあこういう状況でございますが、少し前にさかのぼりますと、五十年三月末は預貸率が八四・六%でございます。それから預証率が同じく五十年三月末で一五・六%と、こういうふうになっております。だんだんこの預証率が高くなってきておることは御指摘のとおりでございます。
 御質問の中で、銀行は一体どのくらいの国債保有額が適正かというお話がございました。これはなかなか、どのくらいが適当かということは非常にむずかしいんでございますけれども、国債というものは元来、銀行にとりましては国債――政府が発行しておる国債でございますから一番信用度が高いということでございます。そして、先ほどから問題になっております流通市場というものが拡大、発達をしておりますことを前提にいたしますと、いつでも売れるということでございますから、仮に相当量の国債を保有いたしましても、いつでもこれを市場で売却ができると、つまり全国の銀行の立場から申し上げますと、支払い準備資産としてきわめて優秀な資産であるということが申し上げられようかと思います、つまり、その銀行の資金過不足を調整するのに国債を売るというような手段で行うことが可能だからでございます。
 それから、国債の売却の問題でございますが、いま幸福相互銀行のお話がございまして、現在は大蔵省におきましては、国債の売却につきましては事実上禁止はいたしておりません。ただ、できれば発行後一年間はなるべく持ってほしいと、こういうのがいまの指導方針でございまして、つまり、新しく発行されました国債をすぐ右から左へ売るということになりますと、国債の価格というものも影響を受けましょうし、またシンジケート団として安定引き受けの責任もございますし、そう右から左へ売るということは必ずしもいいことではございません。そういう観点で、大蔵省のお考えとしては、なるべく新発債については一年ぐらいは持っていてほしいと、こういう指導でございます。――よろしゅうございましょうか。
○竹田四郎君 村田参考人と松沢参考人にお伺いしたいんですが、おっしゃられるように、なるべく国債によるインフレを防いでいくためにはやはり個人消化というものが、これがまあ一番私はいい、理想的な方法だろうと思います。また、銀行預金だけじゃなくてこういう金融資産を持つということもこれからの国民の資産の持ち方としては私は必要だろうと思うし、そういう意味では個人消化ということをやらなくちゃならぬと思うんですが、なかなかその個人消化が進まないわけですが、換金性という問題も一つあるだろうと思うんですが、もう少しその換金性というものをうまくできないんだろうかというふうに思うんですけれども、ほとんど国債にしても他の公社債、地方債なんかにいたしましても、自分が買ったところの証券会社へ行かないとどうもほかじゃ勝手にできないというのが現状だろうと思うんですけれども、そういう意味でもう少し個人消化を容易にする。これには一つは銀行の窓販の問題も私はそこへ出てくるんだろうと思うんですけれども、銀行の窓版についてはなかなか銀行側と証券会社側と、いろいろかきね論争といいますか何といいますか、ありますけれども、これは一体どうなんでしょうかね。ある面ではやっぱり銀行の窓販を通じて広く国民に消化しやすいような形をとるのかいいとも思いますけれども、しかし銀行がやりますと歩積み両建てのような形で、ある意味では金を貸してやるからこれだけ持てと言って、かえって金融秩序というかそういうものを壊していく可能性も私はあると思うんですけれども、ほかの問題はともかくとして、銀行窓販についての御両者のひとつ考え方をはっきりと聞いておきたい。これ個人消化の問題に私連なると思いますから、その辺の・メリット・デメリット、これひとつ御両人からお伺いしたいと思うんです。
○参考人(松沢卓二君) お答えいたします。
 いま先生の御指摘がございました問題は、国債の多様化という問題とも関連があるんではないかと思います。つまり、個人消化の場合にはなるべく個人が持ちやすいような国債を発行すると、こういうことにもなる問題でございますし、私どもこの窓販につきまして実はこういう見解を持っております。
 この窓販は元来個人消化を広範にわたってやるためには非常に有効な手段であろうと、こういうふうに考えております。ただ、証券と銀行との関係はむしろ相協力して国債の消化を図ると、こういう関係に実際あるわけでございまして、銀行と証券がかきね論争を非常にやっているというふうにマスコミでは書いてございますけれども、この窓販につきましてはまず政府の方針が固まっておりません。しかも、窓販につきましては証券取引審議会におきまして関係者が十分に慎重に議論をされまして、その審議の結論を待ってどうするかと、こういうことになっております。ただ、銀行界といたしましては、このように十一兆円というように年間で発行額が非常に大きくなってまいりまして、発行者である政府の方から少しでも多く個人層に国債をはめ込んでいきたいという御要請があれば、シ団としては当然これは協力するというふうに思うんでございます。
 その場合の銀行といたしましての問題は二つございまして、窓販によりまして国債を購入した方々が急に換金をしたいと、こういう場合に一体どういうふうにしたらいいだろうかと。一つの考え方は、国債を担保にして金融をつけるということでございます。それからもう一つの方法は、仮に窓販が行われておるということが前提でございますが、銀行へぜひこれ買い取ってくれと、つまり国債を担保にして借りるか、あるいは国債の玉そのものを銀行で買い取ってくれと、この二つがあるわけでございまして、担保金融の場合には問題がないと思いますが、窓口で銀行がこれを買い取るということになりますと、まさに銀行が証券業務をやるということになるわけでございます。これにつきましていろいろ証券取引法上の解釈、あるいは銀行法の付随業務の中にそういう有価証券業務というものが入るのかどうか、こういう法律上の問題ございますけれども、この法律解釈は行政当局の解釈に任せたらいいというのが私どもの考え方でございまして、それが適法であるならば、また発行者である政府がより多く消化層を拡大したいということならば、証券界と十分に話し合いまして窓販をやったらいいんではないか、こういうふうに存じておるわけでございます。よろしゅうございましょうか。
○参考人(村田宗忠君) どうも弱りました。しかし、大変私どもにとりまして切実な問題につきまして御質問賜りました。
 私ども証券業界といたしましては、何と申しますか、市場を担当する者といたしまして責任を持って、またその自覚を持ちまして取っ組んでまいっておりますわけでございます。窓販の問題につきまして、業界といたしましては、これは業界それぞれの、銀行さんにいたしましても証券業界にいたしましても、一業界の利害の立場から論議すべき問題では、主張すべき問題ではないんじゃないか。むしろ国民経済的な観点から、あるいは発行、流通市場、これは大変大量発行下におきましては、発行市場と流通市場が健全に保たれるということが何より大切な、至上命令と言ってもいいほどの問題であろうかと思っております。これを健全に保つのにはどうしたらいいかというふうな観点から論ぜられるべき、検討さるべき問題であろうと、このように存じております。
 もちろん業界の中にも、正直申し上げまして一つの心情論と申しますか、四十一年以来商品性の全くない国債、これはその後大量化いたしてまいりますとともに、御出局におかれましても従来の低位固定の条件を弾力化、実勢に即応させていかれまして、またいろいろの御配慮をいただきまして順調に推移するようになってまいりました。また証券界におきましても、ずいぶんと四十一年以来苦労をしてまいっております。いろんな工夫もいたしておりましてようやくここに至った。ここに至ったならば窓販ということに、情緒論といたしましてはいろいろ切実なものがあるようでございます。あるようでございますか、私はここではそうした情緒論は差し控えさしていただきたいと思うのでございます。
 窓口販売というと何か一見、まあ売るだけがあればいいじゃないかというふうな感じもちょっと伴うのでございますけれども、私ども実務を担当しております者から見ますと、事有価証券であります限りにおきましては単なる販売というものはあり得ない。本質的に販売というのは同時に売買でございます。これが有価証券の本質だと、このように存じております。
 そういうことからいたしまして、私のちょっと恐れますのは、業態の違いと申しますか、売買業務と貸借業務と申しますか、仮に投資家の方々が銀行さんの窓口に見えまして、あるいは錯覚を生ずるおそれがあるんではなかろうか。松沢さんもさっきお触れになりましたけれども、何か元本そのままで返ってくるというふうな、あるいは理論価格で買っていただけるというふうな錯覚がもし投資家のサイドに生じますと、これはちょっと困った事態に相なる。銀行さんにおかれましても、先ほどのお話のようにお困りであろうと思いますし、それからまた、もしそれが違った価格で、われわれかが市場で売買いたしております価格と違った価格で売買されるというふうなことになりますと、これは市場のプライスメカニズムをすっかり壊してしまいます。これは非常に致命的な市場に対する打撃に相なるんではないかと、これを非常に恐れておるわけでございます。
 それから、いろいろございますけれども、国債の個人消化が、これが私、先ほどもかなめであるというふうに申し上げさしていただきましたけれども、この個人消化が幸いにしていろいろ御協力も賜りまして、また私ども努力いたしまして、比較的順調に推移してまいっております。むしろ、実は私、二年ほど前にやはり当委員会におきまして、一体個人消化というけれどもどのくらい伸びるのだというお尋ねをちょうだいいたしまして、当時が消化比率が一〇%前後でございました。それから、国民金融資産に占める比率も〇・五%か〇・六%でございました。そのときには私、国民金融資産に占める比率は外国並みにせめて二%以上には持っていきたいと思いますが、それには数年かかると存じますというふうにお答え申し上げたかと思うのでございます。それが現在では二・数%までまいっておりまして、これは国際水準から言ってまあまあ劣らないところにきておるわけでございまして、個人消化の比率から申しますと、先ほども御報告申し上げましたように二六%に相なっております。そういうところから、非常に何と申しますか、いつの間にかわりあいに楽にいけるんじゃないかと、個人消化というものは、というふうなフィーリングがおのずから生じるんじゃないかというふうにも思いますのですが、これ実態を、この間実は私の所属しております会社で調べてみましたんでございます。店頭にお見えになるお客様で店頭でできております国債の出来高が、消化額が全体の一七%でございます。その一七%の中におきまして、お客様の方から、投資家の方から国債を買いたいといって、国債を志向してお見えになる方は四%でございます、そういたしますと、全体の一%に満たないということになるわけです。残念ながらまだ国債がそこまではいっておりませんので。そういたしますとわれわれとしては非常に努力をいたし、店頭にお見えになる方にいたしましても、一七%から四%引きます十三%というものは、店頭に配置しております営業社員、習熟した営業社員が相当な努力をいたしましてお客様の、投資家のニーズに合った形で国債をお持ち願うというふうにして進めてまいっておるわけでございまして、また、店頭はともかくといたしまして、証券界全体で四、五千人おりますかと思います婦人の証券貯蓄係という方々がおりまして、これは女子で、御婦人でいらっしゃいますけれども、証取法に基づく試験を受けまして、証取法に基づきまして登録を受けまして、外務員登録を受けました人員が、まあほかのものもやりますけれども、国債の募集に主として従事いたしておるというわけでございまして、なかなかお客様の方からどんどんと国債を買いにお見えになるというふうな状況ではございません。この点はよく御考慮の中に入れておいていただいた方がいいんではないか、このように信じております。
 それから、まあ窓口が広がって投資家との接点が大きくなるのは結構なことじゃないかと、これは結構なことなんでございますけれども、現在証券会社で全国に約二千店舗がございまして、わりあいに一カ所に集中することなく、わりに津々浦々にばらまかれております。おおむねその店舗でカバーされておりますし、それからまた、これは私ども実務をやっておるものにはよくわかるのでございますけれども、問題は店舗というよりもむしろ投資家に接しますところの営業を担当する者の、そういった者の習熟している、つまり有価証券業務の中で初めてうまく消化が行われていくのではあるまいか、このように存じます。
 それからまた、あるいは銀行さん、金融機関さんによって売買が行われることによってかえって市場が大きくなっていいんじゃないか、こういうような御議論も、御意見の方も窓販をおっしゃる方の中にあるかと思いますのですけれども、これはなかなか問題がございまして、証券業を中心といたします市場とそれからあるいは銀行さんを中心としますところの市場と、二つの市場ができてしまうおそれがありはしないか、こうなりますとこれは大変なことに相なります。そういうふうなことを憂慮いたすものでございします。
 まあ申し上げればいろいろとございますけれども、余り時間をちょうだいいたしましてもあれでございますので、この辺にとどめさせていただきたいと存じます。
○竹田四郎君 もう時間がありませんから、あと前川参考人に二問ひとつお願いをしたいと思いますが、一つは、日本の国内の問題だけじゃなくて、最近は円貨建て債ですね、こういうものがかなり発行が多くなってきております。これがさらに、今後やはりいまのような状態が続くということになりますと、私は多いだろうと思うんですね。そういたしますと、外国の金利体系のあり方と日本の金利体系のあり方というのがかなり違っているわけですね。こういう問題で、やはり一つは、日本の金利体系がいいかどうかというと、どうも私は非常に硬直的な金利体系になっているような気がするんですけれども、もう少しこれをやはり国際的な金利体系に近づけていく、こういう努力というものが非常に必要ではないだろうかという感じがいたしますけれども、この辺の考え方をひとつお聞かせをいただきたいのが一点。
 それからもう一つは、去年だったですかことしの初めだったですか、日銀が資金運用部の国債を委託を受けてというんですか、お買いになってというのか、その辺、私余り詳しく存じ上げませんけれども、一応公募方式、入札方人、これにやられたわけですけれども、これのメリット・デメリットですね、そして今後もこういうものを私は続けられた方がいいんではないだろうかというふうに思うんですけれども、もっと積極的に大量にわたって回数もふやして、そういう方式をおやりになった方がいいんではないかという気がいたしますけれども、その辺について日銀はどんなふうにお考えになっているか。その二問だけお尋ねいたしまして終わりたいと思います。
○参考人(前川春雄君) お答え申し上げます。
 日本の金利体系が硬直的ではないかというお尋ねがございまして、私も硬直的であるというふうに思います。これは長いいろいろな歴史あるいは金融機関の構造、いろいろな問題が絡んでおりますので、一刀両断にはなかなかまいらないわけでございますが、よく言われております金利の自由化、これは一つの政策方向としては、どうしてもこれを目標としていろいろな努力をしてまいらなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
 海外の先進国の金利体系と非常に違うじゃないかというお話ございました。違います一番の基本は、自由化が行われておるかどうかということであろうというふうに思います。そういう意味におきまして、金利体系、金利の自由化ということが、また体系そのものも合理的な体系になるゆえんだというふうに思っておりますので、この自由化につきましては、私どもも鋭意これからも努力してまいりたいというふうに思います。
 ただ、この自由化がなかなか一挙にまいりませんものでございますから、まず弾力的に動かそうじゃないかというところを、これは日本銀行だけではございません、市中銀行あるいは政府筋、皆さんの御努力によりまして、先ほど来申し上げておりますような長期債の金利につきましては、もちろん先生御指摘のとおり、金利が安くなる段階ではやりいいので、これが逆になったらどうなるかわからないじゃないかという御指摘がございましたが、今後ともそういう面につきましての弾力化ということは進めてまいりたいというふうに考えております。
 長期債ばかりでございません。短期の面でも、銀行の貸出金利につきましても、いまいろいろ体系的に、何といいますか、順位がございまして決まっておる面がございますが、漸次これは弾力化してまいりたいと思っております。ただ、一番そこで問題が出てまいりますのは、短期の金利ではやはり預金金利というものの弾力化、自由化には限界がございます。そういう面で、そういう限界とどういうふうに調和してまいりまするか、その辺のところを、これはもちろん一挙にはまいりませんけれども、ぜひ自由化の方向に向かってわれわれも今後も努力してまいりたいというふうに考えております。
 第二の問題でございますが、資金運刑部の国債の売却でございますが、お話がございましたように、ことしの一月からすでに実行いたしましたのは二回でございます。五月の初めにも三回目をいたします。合計、額面で八千億円ぐらいになります。これを資金運用部の依頼に基づきまして、日本銀行が市中の売却をしておるわけでございます。
 これをやりまする場合に、売却の価格につきましてはいわゆる公募方式、入札方式で、市中がほしい価格で提示していただきまして、それで割り当てていくということをやっておるわけでございますが、これもいま申し上げました金利の弾力化の一環でございまして、それぞれの応募される方の御希望の値段を言っていただくということが、金利は硬直的でなく、自由にそのときの情勢に応じ、またその金融機関の資金状態に応じていろいろ応募価格か変わってくるということは、金利の弾力化の一環として今後とも進めるべき方向であろうというふうに思います。
 回数をどんどんふやして大いにやったらいいじゃないかというお話がございましたが、運用部の売却は財投資金の確保のためにするわけのものでございます。財投の原資を確保するということから運用部は売却をしておるわけでございまして、財投資金の確保に必要がなくなりますとこれはやる必要がないことになりますので、価格の弾力化ということだけのために回数をふやすということもいかがかというふうに思います。これは資金運用部の方の御都合でございまするが、金利につきましてあるいは応募価格につきまして、金利弾力化、自由化を、将来の展望をしました弾力化ということをだんだんしてまいりたいという考え方は変わっておりません。機会をとらえてそういうふうにしていきたいというふうに考えております。
○竹田四郎君 ありがとうございました。
○塩出啓典君 参考人の皆さん、きょうはお忙しいところどうもありがとうございました。
 それでは二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、まず、日本銀行の副総裁にお尋ねいたします。
 第一点は、今後の景気の見通しにつきまして、個人、設備投資等は変化はないと、しかし在庫調整あるいは生産水準等はかなり、多少業界別に跛行性はあるけれども非常に明るいと、こういうようなお話でございますが、政府は非常に七%の成長に対して明るい希望を持っているような、そういうように承っておるのですけれども、やはり何といっても個人消費というものが伸びていかなければいけない。しかし現実には、今回の春闘等のベースが予想外に厳しいと。そういう点から、今後の内需拡大というのは非常に厳しいんではないかなと、その点を私たちも非常に心配をしておるわけでございますが、そういう点についての御見解を承りたいと思います。
 それからもう一点は、将来のインフレの懸念という点で、先ほども、非常に金融が引き締まってきたときにマネーサプライのコントロールが困難になる心配がある、こういうような御意見でございますが、先般もある新聞に、将来国債の価格を買い支えるために介入する政府機関をつくるような、こういうような記事が載っておったわけでありますが、これは別といたしましても、やはり日銀の賢いオペというものが非常に無制限に行われていくならば、これは非常にいけないんじゃないかと。そういう点で、何かアメリカでは連銀の国債の保有高にある程度法律で限界を設けておると、こういうようなお話も聞いておるわけですけれども、日銀としてそういう歯どめと申しますか、そういうものがあるのかどうか、インフレ対策という点からどう考えておるのか、その点をお伺いいたします。
○参考人(前川春雄君) お答え申し上げます。
 最初の景気の見通し、一体どういうふうに考えるか、判断しておるかという、政府の経済目標でございます七%成長という見通しとも関連いたしまして、どういうふうに考えておるかということのお尋ねであるかというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、現在の景気状況は明るい面が若干出てきておりまするけれども、総体的に明るくなってきておるわけではございませんので、今後こういうふうな景気の回復が続きまするかどうか、これはもちろん新しい予算の執行にも関係いたしまするけれども、究極的には最終需要である消費あるいは設備というものが行われる、計画どおりに行われていくということがこの七%成長を達成できるかどうかということにも非常に大きな要素になるということは御指摘のとおりでございます。
 春闘が非常に厳しい条件で妥結しつつあるということにも関連して、消費は余りこれからも起こらないのではないかという御指摘であろうというふうに思います。個人消費はもちろん個人の所得、可処分所得によって影響をされるわけでございまするが、もう一つはやはり物価が安定するかどうかということ、あるいは雇用に対する将来の不安、そういうものが非常にこれに影響いたすわけでございます。
 物価につきましては、最近もちろん景気が余り回復がはかばかしくないということが基本にはございまするけれども、卸売物価は前年に比べてマイナスになっておる、消費者物価も前年に比べて四%余りの上昇にとどまっているということで、一時期に比べますとかなり安定的になってきておるというふうに思います。まだまだ私ども物価につきましてもっと安定させる必要があるということは考えておりますけれども、物価の状況につきまして、これが一時オイルショックがございました後のような状況ではなくなりつつありまするので、こういう点は消費につきましても少なくとも悪い方向に進んでおるというふうには考えません。
 雇用の不安という問題、これはなかなか、先ほどから申し上げておりまするようにいい企業もございまするけれども非常に悪い業種もございまして、まだら模様ということでございますが、悪い方の企業におきましては雇用問題は非常に深刻であろうというふうに思います。そういう事実を私ども否定するつもりは毛頭ございません。ただ全体として、経済はマクロでとらえまするのとミクロでとらえまするのとは違いますけれども、経済成長というふうにマクロ的に考え、その中で個人消費がどういうふうに動くかということを見てまいります上におきましては、ただいま申し上げましたような経済活動全体が活発になるということが、全体としてある面の雇用情勢にもだんだんと落ち着きをもたらすものであろうというふうに考えております。決して楽観しておるわけではございません。これから七%成長達成のために政府、民間ともどもそれぞれの分野で努力をしてもらわなければ、なかなか七%成長達成も容易なものではないというふうに思いますけれども、個人消費につきましても、ただ悲観ばかりもしておらないというのがいま私どもの判断でございます。
 それから、将来のインフレ懸念に対して、こういうふうな国債がこれだけ出て、公共債がこれだけ発行された結果、マネーサプライのコントロールというのはだんだんむずかしくなるのではないかと。そういう事実についても、私、冒頭に申し上げましたように、十分そういう事態にこれからいかに対処していくか、私どもの覚悟あるいはそれに対する対応する姿勢につきましても、これからも十分に考えてまいらなければいけないことであろうというふうに考えております。
 国債の、将来民間需要が、資金需要が起きてまいりましたときに いまの国債についていろいろむすかしい問題が起こりますることは先ほど来皆様方からお話のあるところでございます。日本銀行がそういうときに国債を無制限に買いオペするようなことがあっても困るではないかという御指摘がございました。私ども国債の買い入れオペレーションをときどき、時に実施しておりまするが、これはそのときどきの金融調節の一つの手段としてしておるわけでございます。決して国債の価格を下支えすると、支持するという意味から国債の買いオペレーションをやったことは一度もございません。国債の買いオペレーションは、数字がございまするが、発行された金額のほんの一部でございまするが、基本的に国債買いオペレーションをいたしまする私どもの考え方は、いわゆる成長通貨と申しまするか、経済が拡大してまいりますると日本銀行券というものは毎年一〇%見当でございまするがふえていくわけでございます。流通量がそれだけふえてまいりまするのは、日本銀行としましては日本銀行券は日本銀行の債務でございまするので、この銀行券がふえますのにただやるわけにいかない、何か資産を買ってそのかわり金として銀行券を払うということになるわけであります。そのときに、あるいは貸し出しをしてもよろしゅうございますし、手形を買いオペレーションしてもいいわけでございまするが、貸し出しにいたしますると銀行券がふえまするので、その貸し出しがいつまででも残っているわけであります。それは一時非常に非難されましたいわゆるオーバーローンになるんじゃないか、日本銀行の貸し出しはいつまでたっても落ちないじゃないかというような非難もございます。そういう意味から、日本銀行のいまの金融調節方式は、根になる資金は貸し出しでなしに債券なら債券を買ってそのかわり金を払うという、その債券買い入れのオペレーションによって供給しようというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、銀行券の発行が毎年一〇%ぐらいと申しましたが、それにほとんど見合うぐらいのものを国債の買い入れオペレーションとしてやっておるわけでございまして、それ以上は金融調節上も必要ないわけでございまするのでそれ以上のものはしておりません。そういう意味で、昨年じゅうも日本銀行が買いオペレーションをいたしましたのは一兆を割っておったと思います。ちょっと数字につきましてはあれでございまするが、一兆を割っておったと思いますが、一兆二百四十四億、国債は御承知のように昨年は発行は十兆ぐらいございまするので、そのうち金融調節に必要であるという分だけをしたわけでございまして、無制限に買いオベをするというようなことはしておりません。
 アメリカにつきましても、新規の引き受けにつきまして限度があるようでございます。オペレーションについては限度がないそうでございます。日本銀行は、御承知のように新規の国債の引き受けを財政法上禁止されております。新しい国債か十兆円出ますのに日本銀行が引き受けることは禁止されております、引き受けません。そのかわり、いま申し上げましたような成長通貨を供給するのに必要な限度において金融調節として買いオペをいたしまするが、それは発行高に対しましては非常に、十分の一ぐらいのものであろうというふうな状態でございます。
○塩出啓典君 そうすると、今後国債の価格を買い支えるための買いオペ等はしないと、そういう方向、そうでいいわけですね。
○参考人(前川春雄君) そうでございます。
○塩出啓典君 それから次に、先ほどから銀行協会長さんあるいは公社債引受協会の村田さんからもお話がありまして、窓販の問題はこれは単なるかきね論争という立場ではなく、国民経済的立場から論じていかなければいけないと、こういう非常にわれわれも安心する発言があったわけでありますが、しかし、銀行にしても証券業界にしてもやっぱり経営も維持していかなければならない、たてまえと本音はあると思うんですが、そういう点から、一つは、先ほど村田さんの方から二つの市場ができるおそれがあると、そういうお話があったわけてあります。たしか証券取引審議会の基本問題委員会の答申の中にも、やはり公社債の価格形成というものはいわゆる市場への集中が望ましいと、こういうことが書いてあるわけですね。しかし私の聞いている範囲では、実施にこの公社債等の価格形成というものは、東京証券市場等で売買されるものはほんのごく一部で、むしろ店頭の価格の方がより実勢に近いんではないかという意見もあるわけなんですけれども、私たちも二つの価格体系ができるということは非常に好ましくないわけですけれども、その点についての松沢さんと村田さんの御意見を承りたいと思います。
 それから松沢さんに対してはもう一点、先ほどから国債の多様化ということで、現存の五年よりもさらに短い二年、三年というようなことが言われておるわけでありますが、これは銀行界においてはかなり定期預金、定期その他と競合するために非常に困るんじゃないかと、そういう点についての銀行協力の御意見を承りたいと思います。時間もございませんので簡潔にお願いしたいと思うんですが。
○参考人(松沢卓二君) お答え申し上げます。
 先ほど村田参考人からお話がございました二つの市場につきまして、私の見解を申し述べさせていただきます。
 銀行が仮に窓販をやるといたしまして、仮に銀行の窓口で国債を買った方がどうしても換金の必要があってぜひ買ってくれという場合には、当然国債の市場における価格を基準にして売買が行われるはずでございます。これはまだ実際にやっておりませんので何とも申し上げられないんでございますけれども、仮にそういう窓販が行われるといたしまして、銀行が窓口で国債を顧客から買うときには、これは当然そのときの市場の実勢価格で買い取ると、こういうことになると思います。これは理論価格で、買うとかいうことでなしに、やはり買う以上はそのときのいわゆる相場で買うと。したがいまして、これはお話がそれますけれども、銀行が国債を窓口で売りますときには、やはりこれは相場によって動く商品であるということだけははっきり訴えてお客様に売りませんと、銀行の預金と同じように元本が全然傷がつかないというようなおつもりで買われますと、何年か後でその国債をぜひ資金化してほしいというときに価格が下がっておるということもございますから、この辺はやはり十分にそういうことをPRして売らなければいけないと、こういうふうに思っております。したがいまして、私の見解では市場が二つになるということはまずないというふうに思います。
 それから中期債と申しますか、これは実はまだシンジケート団に提示がございませんもんでございまして、いわば伝えられるという点で申し上げるんでございますが、現在は発行者である国が、やはり国債の多様化をやらなければいけないと、こういう観点からいろいろ検討をしておられるやに承っております。私は一番最初に申し上げましたように、これだけの巨額の国債発行時代を迎えておるんでございますから、政府が一貫した国債管理政策の中で、現在の十年物の国債というものは今後どういうふうにやっていくのか、あるいはすでに発行されております五年物割引国債につきましても同様でございます。そしてさらに伝えられる中期国債というものを発行されるんなら、それはやはり管理政策の中でどういうふうに位置づけて発行していくのか、そういうことを非常に、一定の一貫した方針のもとで扱っていただきたいということを申し上げているわけでございます。したがいまして、これは新聞紙上で伝えられております、二年、三年、四年というふうに言っております。これは先生が御指摘のように、二年をやりますとまさに銀行の二年定期というものに関連が出てまいります。それから仮に四年物を扱うということになりますと、これは貸付信託の五年物に非常に近い商品になりますので、そういう問題も出てまいろうかと思います。いずれにいたしましても、二年、三年、四年というものはいろいろ銀行にとりまして競合する商品になりがちであるということは、先生が御指摘されたとおりてございます。
 そこで、私どもは国債発行の多様化という方針は是認いたしますけれども、その中期国債の発行の仕方についてはシンジケート団の意向と十分に協議してやっていただきたい、こういうことを言っております。
 それからさらに、もし今度中期国債を発行されるんなら、それは全部競争入札で扱ってほしい、こういうふうに思うんでございます。これはこれからの問題でございますからまだわかりません、どういうふうになるかわかりませんけれども、これだけ国債というものが大きくなりまして、しかもいろいろ問題があるわけでございますから、もし中期国債を発行されるんならぜひ競争入札、公募入札という形でやってほしいと。これがもし行われますならば、先ほど前川副総裁からお話がありましたように、これが金利弾力化、自由化の一つの突破口にもなり得ると、こういうふうに考えまして、もし政府が多様化の一環として中期国債をお考えになるのならば、全体の国債管理政策の一環として位置づけをしていただきながら、公募入札の方法等をひとつ採用して新しい国債を発行していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 それでは、村田さんには先ほどの質問をまとめて、あとちょっとお尋ねしたいことがありますので……。
 もう一つは、非常に先ほどお話がありましたように証券会社の御努力によりまして個人消化というものが二六%と、これは二六%と申しましても全体が非常にふえておりますので、非常に何倍もの、十倍もそれ以上も急激に伸びてきておるわけでありますが、これは先ほどからお話がありましたように、金融環境の問題あるいは条件の単純化の問題、こういう点と証券会社の御努力、そういうものが相まったと思うのでありますが、今後さらに国債の発行は続くわけでありまして、しかも今後は金利も大体これ以上は余り下がることはないのではないか、こういう環境の中で個人消化という体制がどうなのかという、そういう心配があるわけでありますが、その点は心配ないのかどうか。
 それからもう一つは、非常に証券会社としても貯蓄国債、そのための外交員等をたくさんつくってそして消化に努力されておる、しかし現実には非常にコスト割れである、こういうようなお話も当初あったわけなんですね。しかし、最近の決算を見ておりますと非常に証券会社はいいわけなんですけれども、これはあるいはほかの面でいいのかもしれませんしね。そういう点はコスト割れだったのか、いま大体コスト割れではないのか、このあたりの感触をお伺いしたいと思います。
○参考人(村田宗忠君) 今後の個人消化の問題についてまずお答えいたします。
 何と申しましても、一番肝心なことは発行条件が市場実勢に即応してまいるということが何といってもこれ基本かと存じます。この基本が守られている限りにおいては、その限りにおいては私は個人消化の面で心配はないと思います。しかし、何分にも大量発行でございますから、先生御懸念のように、諸外国ではいろいろな国債の優遇策を、アメリカにいたしましても西独にいたしましてもフランスにいたしましてもやっておりますでございます。やはりそういう面での投資家への、国債保有者への配慮というものはこれから必要なことではないだろうかと、このように存じております。
 それからコスト割れかどうか、もうかっておるじゃないかというお話でございますけれども、この点は非常にむずかしいところなんでございまして、直接的に見ますと、恐らく国債の手数料とコストと比較いたしますとあるいは割れておるであろうと思いますが、ただ、これは有価証券業務の中で一環としてやっておるわけでございまして、国債の消化によりまして新しいお客様ができれば、その新しいお客様は同時にほかの有価証券の投資家でもあり得るわけでございまして、そういうふうな意味合いにおきまして、全体を総合いたしてみますと、まあ直接コストということから離れますけれども、これはやはりやっていくべきであるし、またやっていける、合理性は十分に備えておると、このように存じております。よろしくお願いします。
○佐藤昭夫君 どうも皆さん方御苦労様でございます。
 まず、日銀の前川さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、一番最初の御発言あった後段部分で、今日のようなこういう国債の大量発行にかかわって、今後懸念される問題というか、留意すべき点というか、そういう点で幾つか御発言があったと思いますが、今日時点で日銀の副総裁として、この国債大量発行にかかわる問題について何か積極的な、今後こういうふうにすべきだというような御提言のようなものがあるのか、あればその点をお尋ねをしたいということが一つです。
 それからもう一つは、その問題とも関係をしまして先ほどの議論で、将来に向けてのインフレ的傾向を歯どめをする一つの問題として買いオペの規制の問題、さっき御説明になっておりましたけれども、さらに加えて通貨の総量規制ですね、これを日銀としては、そういうインフレ的傾向を食いとめる見地から、通貨の総量規制についてどういう基準を考えておられるのかという問題です。
 それから三つ目には、最近大企業が手元資金を運用をして公社債を大量に買うとか、あるいは外国の投資家が買うという形で、いわゆる投機的なそういう買いが目立つという傾向が出ていると思うのですけれども、もしもそういう場合に、その投機的な動きに対しての売買の停止あるいは投機買いの規制、そういう問題について事態が重大化した場合にはそれのための対策をどういうふうに考えておられるのかという三つ、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
○参考人(前川春雄君) お答え申し上げます。
 国債の大量発行は今後まず当分続くことをわれわれ覚悟しなければならないわけでございますが、そういう事態に対応して日本銀行として何か提言することはないのかというお尋ねであったと思います。
 私ども国債の大量発行がどうしてもマネーサプライ、いわゆるマネーサプライと申しますが、金融機関の預金を含めました通貨総量でございまするが、そういうものをふやしていく傾向を持つことは否定できないわけでございます。現在のところは、そういう通貨総量がふえますけれども、民間資金需要は余り強くございませんので、そのマネーサプライ、通貨総量がいま現に少しずつふえつつあるわけでございまするけれども、まだインフレの懸念があるというような心配はしておりません。しかし、これは過去にも経験のあることでございまするので、私どもそういうふうなマネーサプライの増加状況というものに対しましては、これからもそれに対応する方策は常に考えておらなければいけないことであろうというふうに思います。そういう観点から、この国債大量発行時代に対応して日本銀行としてそういう事態にどういうふうに考えるのかということでございます。民間資金需要が非常に旺盛になる時期と申しまするのは民間活動、景気がよくなるときでございまするので、一方、財政面からもあるいは税収がふえてくるという事態でもあろうというふうに思います。そういう事態になりますれば、国債の発行はそれだけ必要がなくなる筋合いでございまするので、そういう事態に対応いたしまして情勢に応じて国債発行につきましても弾力的に考えていただくということがまず第一に必要なことではないかというふうに思います。先ほどお話がございました、財政と金融がやなり同じ方向に向いて動いてくれないと困る、整合性がなければ困るという話が松沢参考人の話としてございました。私どもそういう点で、財政政策あるいは予算というものに対する考え方につきましても、そのときどきの状況に応じました弾力性のある施策をぜひとっていただきたいというふうに思います。
 もう一つは、先ほど来私も申し絵上げましたけれども、他の参考人の方々からも繰り返しお話がございました、発行条件というものを市場実勢に応じた発行条件にしていただく、これもぜひこれから政府当局にはお願いしていかなければならないことであろうというふうに思います。金融情勢が緩和の方向に進んでおるだけでございまして、まだ逆転しておるわけでございませんので、そういう経験が、まだ事態が起きておりませんけれども、将来そういう事態が起きましたときには、それぞれその発行条件につきましては弾力的に、そのときどきの市場実勢を尊重して決めていくということが、今後の国債発行に対するある種の歯どめをかけるという意味からも必要なことではないかというふうに思います。
 第二の御質問の買いオペにつきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、買いオペは、私ども金融調節の必要に基づきましてその手段として、その金額につきましても、発行された国債のほんの一〇%にも満たないものを成長通貨、大きく言えば成長通貨に見合うものとして買いオペをしておるわけでございまして、決して国債の価格支持のために買いオペをするという考えは今後もございません。
 通貨の総量に対する規制をしたらどうかというお尋ねがございました。この通貨、銀行券だけでなしに銀行預金を含めましたいわゆるマネーサプライ、これはいつでも引き出して購買力になるわけでございまするので、今後インフレに対する対策として考えてまいりまする場合には、この通貨総量、マネーサプライが余り急激にふえないようにする必要があるということが必要であろうというふうに思います。
 マネーサプライの現状はまだそれほど心配する情勢ではございません。数字を申し上げて恐縮でございますが、マネーサプライでも金融機関の当座性の預金、それから定期性の預金、そういうものも含めました通常M2という名前で呼んでおりまするが、それの前年比の増加率は現在一一%でございます。昭和四十六、七年当時にはこれが二〇%を超えたわけでございます。何%がよいかということにつきましてはいろいろこれまた議論があるわけでございますか、ただいまのお尋ねは、このマネーサプライについて目標値というようなものを決めたらどうかというお考えではないかというふうに思います。先進国の中には、このマネーサプライの目標値を大体見当はこのくらいだというふうに決める考え方がこのごろ各国で行われつつございます。私どももそういう問題について、これは実証的にあるいは理論的にいろいろな問題を検討を続けておるわけでございまするが、通貨の総量と実体経済との関係というのは、なかなかこれ数字的にまだ解明されておりません。同じ通貨の総量が出ましても、回転が早いというときにはそれだけ物価を上げる力を持ちまするので、そういうことから実体経済との関係がどういうふうになっておるのかということは、これは私どもの銀行といたしましては非常に大事な問題でございますので、鋭意検討を続けておるわけでございまするが、現在までのところ、この目標値を決めてそれを機械的に守っていくというのはやや考え方として機械的過ぎる。そのときどきの情勢に応じて、必ずしも適切な場合ばかりではないというふうに考えておりまするので、目標値を決定するところまではまだ私どもの考え方はいっておりません。しかし、先ほど申しましたように通貨総量、M2が非常に急激にふえますることは、必ずや将来物価面においても悪い影響が出ることが過去の例から申しましても実証されておりまするので、そういう事態が起きませぬように、私どもの金融政策の面ではその点について十分の注意を払ってまいりたいというふうに考えております。
 第三の御質問で、企業の手元資金がだんだんふえてきておる、債券投資というものもふえておるし、海外からの債券投資というものもふえてきている状態で、投機的な動きもある場合もあるじゃないか、そういう場合には売買停止等の措置を講ずる必要がないのかというお話がございました。実は、昨年の秋以来の御承知の円高の状況の中で、そういうふうなやや投機的と思われる海外からの日本の債券を買う動きがございました。そういう事態に対しまして、ことしの三月十七日でございましたか、公定歩合を下げましたときに合わせて、そういう投機的なと思われる海外からの債券投資に対して規制をいたしまして、償還期限が五年一カ月未満のものは非居住者の債券投資を禁止いたしました。短期のものは、買っておいて円高になったらそれでまた売って海外へ帰ればそこでもうかるではないかということから、短期のものに対しましてやや投機的な動きか出ておったというふうに判断されまして、私どもそれを禁止したわけでございます。禁止いたしました後、そういうふうな海外からの債券投資の金額は激減したわけでございます。そういう意味でその措置は効果があったというふうに私どもも考えております。今後もそういう事態が起こりました場合には、それぞれ投機的な動きはぜひともこれは防止しなければいけませんので、必要な措置はとってまいりたいと
 いうふうに考えております。
○佐藤昭夫君 余り時間ありませんので問題をしぼってお尋ねしますけれども、松沢さんにお尋ねをいたしますが、地方銀行の場合、国債だけじゃなくてかなりの部分の地方債も引き受けているわけでありますけれども、それが昨今かなり金利も高いものも出てきておるということでいろいろ問題になっているんですが、そうした問題について、国が一定の金利負担をしてくれないかというのが各関係団体からも要望が出だしているわけですけれども、こうした問題について何か御所見があればひとつお尋ねをしたいと思うのです。
 それから、村田さんにお尋ねをいたしますが、るる話が出ていますように、国債の大量発行という異常な事態のもとで、今日までの業界の体制ではいろいろ業務上も大変なことになっているんじゃないかというふうに思うんですが、こういった事態に効果的に対応していくために、協会の方として、一つは、最近国債発行の手数料引き上げというような措置なんかもとられてきていますけれども、国が国債発行に関係をして行ってきている措置についての、それをさらに改善をさせるための何か御意見があれば……。それから協会といいますか、業界の体制上の改善強化の問題についてお考えになっておることがあればお尋ねをしたいと思います。
 それからあわせてもう一つ、いまの業界の体制の問題とも関係をしますが、とにかく大量の国債を個人消化を促進をさせるということで、かなり証券の労働者の皆さん方の労働強化が今日起こっているということがこの国会でも議論になってきた経過もあるわけですね。深夜労働とか休日勤務、さらにはいろんなマスコミにも出ましたけれども、自殺や放火事件も起こると、ノルマ強要によってそういうことも起こるということになってきておりますけれども、そういう業界の中での労働者の皆さん方の労働条件改善の問題とあわせて、体制強化策についてどういうふうに考えておられるかということをあわせてお聞きしたい。
○参考人(松沢卓二君) お答え申し上げます。
 現在、地方債の発行額をちょっと御参考のために申し上げますと、五十二年度におきまして、これは公募債でございますが、五千五百六十九億円に上っております。これは年度間の発行でございます。五十年度が三千百十一億円でございましたから、やはりこれも国債と同様相当の急ピッチで地方債が激増しておることを物語っております。それからまた、現在の地方公募債の額は一兆七千六百二十八億と、五十三年二月末現在でなっております。
 そこで、いま御質問いただきました地方銀行が実は地域におきます有力な金融機関といたしまして、その地域におきます自治体の発行いたします地方債を大量に引き受けております。これが地方銀行全体の経営に相当大きな影響を持っていることは御指摘のとおりでございます。ただ問題は、この地方債が、これは国債と全く同じでございまして、市場原理が尊重されて発行がなされておれば、これにさらに利子補給ということは私はきわめて困難であろうかと存じます。それからまた、地方銀行におきましては、この公募地方債などのほかに縁故債というものが相当多額に発行されておりまして、縁故債の数字は実は私ども全然どのくらいになっておるのかわからないのでございます、それは公表もされておりませんので。それで、恐らく地方債の中で公募債、縁故債を合計いたしますと相当巨額の金額になっておるんではないかと思います。私ども地方銀行含めまして都市銀行も相当、東京都とかあるいは大阪市とか神戸市、名古屋市、こういうところで相当大きな地方債というものを都市銀行も地方銀行同様引き受けております。これはやはり全く国債と同じ原理で発行されることが望ましいし、そういうことを特に私の方からも申し上げておきたいと思います。
 いまの先生の御意向は、非常に全体の運用として地方債が比較的金利が低いから、地方銀行が苦しいから利子補給をせよということでございましょうか、それとも自治体が非常に金利負担が多いので、政府が自治体に補給……
○佐藤昭夫君 そっちの方なんです。
○参考人(松沢卓二君) これは政府と自治体の関係でございますから、自治体自身がやはり市場原理にのっとって発行いたしますと、自治体の中には、この地方債の金利負担で非常に困っている自治体があるというふうに私聞いております。だから、その意味ではこれは政府の施策としてどういうふうにお考えになったらいいか、この利子補給については私自身考え方がはっきりまとまっておりませんので、これはむしろ政府の考え次第ではないかと思います。よろしゅうございますか。
○参考人(村田宗忠君) ただいまの佐藤先生の御質問で、大量発行を実はしてまいることが労働強化というふうな面と関連して業界の体制をどういうふうに考えるかという御質問だったかと思います。
 確かに大量発行でございますので、仕事の量がふえないと申し上げたらこれはうそになるわけでございます。ただそのふえる仕事量をどういうふうなやり方で対処していくかということに相なろうかと思うのでございますけれども、大体私どもの考え方といたしましては、決してわれわれの仕事というものは労働の強化あるいは労働時間の延長というふうなことで片がつくもんでないわけでございます。たとえばこういうふうな方向でやっておりますのでございます。
 なるべく仕組みというものの中で国債の消化を図っていくというのを大体の基本的な考え方にいたしておりまして、それがどういうふうなことにあらわれておるかと申し上げますと、たとえばいろいろ有価証券投資がございますけれども、その有価証券投資から生じますところの利息とか配当とか、そういうふうな果実でございますが、その果実を再投資していただきますお約束を投資家といたしまして、そうしてその再投資分を、国債貯蓄というのがございますんですけれども、この国債貯蓄に充てていただくというふうな、一種の果実を再投資に向けるというふうな仕組みをいたしますと、そういうふうな国債貯蓄そのものが継続投資でございまして、一種の月掛け的に国債に投資していただくという仕組みでございまして、それが自動的に複利で計算されていく、それを全部、三百何十万コードになりますか、これを全部機械に入れまして、コンピューターから自動的に投資家の方に計算書をお送りするというふうな方法によりまして、かなり機械化によって仕事量の増加を吸収するというふうな方向でやっております。まま先生が御指摘のような事態が時に、まれにないとも申せませんでございます。大体のところにおきましてはそういうふうな方向で、またバックステージの方におきましては、こういった国債の大量消化におきましては非常にペーパークライシスと申しますか、国債の債券の券面の処理というものに相当な本来なら労働力を食うわけでございます。これの処理につきましてはシステム化いたしまして、これも機会あれば委員会の諸先生方にごらんいただくと払いいと思うのでございます。たとえば金庫の中に――大量のものでございます、これをそれぞれパッケージしてございまして、それを機械の操作によって取り出すというふうな相当な合理化をいたしまして、それで残業などのないようにいたしております、町に残業がないということもございませんけれども、ただ業界といたしまして少なくとも週に一回は全然残業のない日というものをこしらえまして、その特定した日には一切残業させないというふうな施策も講じておりまして、その面についてはあとう限りの配慮はいたしておるつもりでございますし、またこれからもいたしてまいりたい、かように存じております。
○中村利次君 深刻な不況のもとで、特例債を含む大量の公債を発行しながら財政主導型の景気対策をやらなければならないという意味では、何といっても基本は景気が回復する以外にはないわけであります。ところが、これは非常に何というんでしょうか多様多岐、アメリカの赤字がすごくって、ドルが弱くなれば日本の円が強くなって円高関係でダブルパンチを食うという、いろんな関連性を持っておるわけでありますけれども、日銀は、この景気の回復に大変に大きな影響を持つ円の問題について、いままででも外為市場に介入をされてきたわけでありますけれども、これは円がどういう動きをするのか、これは非常に単純ではないと思いますよね、このドルが今後とうなるのかということも相関的にあるわけでありますから。来月早々には日米の首脳会談が開かれる。これは大変にむずかしいことではありますけれども、もしそういう意味で、前川参考人が日銀の副総裁として市場介入の方針、これは景気回復のために円をどういう位置づけにすればいいかという点での方針をもしお聞かせ願えればお聞かせいただきたいと思います。これは非常にむずかしいようでしたら、そう無理にお伺いをしようとは思いません。
 それからついでに、時間がございませんからお三方に一点ずつお伺いをしたいと思いますのでお願いをいたしますが、松沢参考人は先ほど大量の国債の消化、これをインフレを伴わないで消化できたのは貯金率の高さというものがかなり効果的である、私もお説のとおりそういう意味ではこれは好条件であろうと思う。しかし景気回復のための国内需要の喚起、その前提としての個人需要をどう起こすかという点については、これは経済政策との相関性がありますね。経済政策に国民の信頼を得られれば貯蓄性向もほどほどのところでございましょうが、いま倒産、それから雇用不安もおさまらない中で所得が必ずしもふえてない、そういう中での貯金率が高いということは、そういう個人消費、国内需要の喚起という面からすれば必ずしもこれは好ましいものではないという見方もできるわけでありますが、銀行はきわめてすぐれた調査機能をお持ちでございますから、そういう意味でのこの五十三年度あたりの貯金率等の動向、見通し等をもしお持ちでごさいましたらお聞かせいただきたいと思うんです。
 それから村田参考人には、大量の公債、国債が発行されて、これは確かに個人消化が望ましい。しかしこれをどう消化をするか、私も政策的に優遇策をどうとるかということを十分に考えなければならないことだと思いますし、また発行条件等についても、中期債等の検討を含めて、先ほど松沢参考人や村田参考人からの御意見も伺いました。ところが、承るところによりますと、特例債が十年、これはばっちり十年ですね。四条債は実質六十年というので、むしろ特例債の方が歓迎されるというまことに珍妙なムードすらあるということも承るわけでありますが、中期債の発行、そういうもろもろの発行条件等を含めて、好ましい消化のための発行条件についての御意見をもっと伺わしていただければ伺いたいと存じます。よろしくお願いします。
○参考人(前川春雄君) お答え申し上げます。
 円問題非常にむずかしい問題でございまして、なかなか一言で申し上げられないわけでございますが、円の問題であると同時にドルの問題でもあるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、日本の国際収支、昨年度、三月に終わりました五十二年度経常勘定で百四十億ドルの黒になってしまった。一方アメリカは、これは暦年でございますめけれども、経常勘定も二百億近い赤になるということでございます。したがいまして、円の相場というのはドルが弱くなりますると円の方が強くなるという半面がございまするので、日本だけの国際収支が直ればそれで円の相場が安定するかどうか、これも必ずしもそうも言えない面がございます。私ども、円相場がどこかで安定してもらうことが国内の景気の回復に非常に重要な要素があるというふうに思いまするので、かねがねそういうことをこいねがってきておるわけでございまするが、なかなかこれは介入だけではとめられない。どうしても基調そのものが変わりませんと相場の安定ということはできないということを強く感じております。
 介入の基本的な原則は、いまの変動相場制のもとにおきましては、やはり国際収支全体の、これは経常勘定に限りません、資本勘定も合わせまして、それが為替市場に需給として出てまいりまするので、国債収支全体、総合収支で均衡いたしまするようにあらゆる手段を講じて努力しておるわけでございます。
 経常勘定の黒字に対しまして、先ほど来円建て外債の話が出ておりまするけれども、資本を海外へなるたけ輸出しようという考え方をいまとってそれを実行しておりまするが、それは資本を輸出しますと、その円でドルを買えますからドルに対する需要がふえる。国際収支全体では経常の黒字をそれだけ減らす効果を持ちまするので、そういうふうな方策も講じておるわけでございます。しかし、そういうふうないろいろな総合施策を講じましても、国際収支全体、総合収支がやはりある程度の黒が出ますと、それが為替市場では円に対する需要の方が強いということになりまするので、とかく円高になる傾きを持つわけでございます。そういうふうな基調がもしそうでございますると、それになかなか介入では逆らえない。基調には逆らえませんが、毎日非常に大きく変動いたしまするとすれば、商取引に非常に大きな悪影響がございまするので、大きな変動だけは、不規則な変動だけはならしていこうというのが介入の基本的な考え方でございます。
 現在、去年の十月からいろんな経験をいたしまして、一時昨年の十一月の末からことしの二月まではほぼ二百四十円ぐらいのところで安定させることができました。しかし、それは介入だけの力ではございませんで、市場全体の関係者、円の相場はこのくらいだなあというふうな相場観がそこへ結集されませんとそれは維持できないわけです。そのいい例は、二月のちょうど半ばから今度はやはり円は割り安じゃないかということを、日本の国内ばかりでなしに、海外の関係者もそういうふうに思い始めまして、新たな円買いが二月の十七日から始まりました。三月いっぱい、ついに二百四十円が二百二十円を割るような状態にまで、円高になったわけでございます。そういうふうに、基調的には国際収支の黒がその間も続いておりましたし、資本輸出等々でいろいろ黒を減らすような努力をいたしましたけれども、なかなか十分にはできなかったということと、市場関係者、これは国内だけでなしに海外の関係者も円の相場に対する相場観がやはり割り安だなというふうに思いますとああいうふうなことになります。その間、介入でなるたけ大きな変動がないように努力はいたしましたけれども、なかなか実勢に逆らうことができなかったというのが状態でございます。
 四月になりましてからはほとんど介入をしておりません。それはやはり市場の関係者の相場観が大体この辺でいいところじゃないかというふうな感じになったからであろうというふうに思っております。
 これから先どういうふうになりますか、なかなか私ども、特に私どものような立場におります者が相場の先行きに対しまして何か申し上げますと、非常にこれ影響がございまするので、御容赦願いたいわけでございまするが、介入につきましてはそういうふうな考え方を持っております。
○参考人(松沢卓二君) お答え申し上げます。
 いま先生が御指摘になりました貯蓄率でございますが、この貯蓄率は自由世界でも日本が一番高いと言われております。最近では大体年率で二四、五%だと思いますが、西独の一四%あるいはフランスの一三%等に比べますと、非常に高い貯蓄率だと思います。
 これにはいろいろ原因がございまして、たとえば将来に対しまする不安、先行き不安と申しますか、それから経済の問題も非常に関係が深いかと存じます。それから、やはり社会保障と申しますか、これが何と申しましてもまだ必ずしも十分ではないということも一つあずかって力があるかと思います。それから最近非常に企業の業績が悪いということもやはりいろいろ関連していると思います。
 いずれにいたしましても、貯蓄率の見通しの御質問がごさいましたが、ここにある数字は五十一年までしか発表されておりません。五十二年度は実はまだわかってないわけでございますが、五十年が実は二五%台でございましたが、五十一年が二四というふうに若干減っております。私どもの感じでは、恐らく五十二年度、五十三年度、微減しているような感じを持っております。
 それからなお、個人消費のお話がございまして、この個人消費につきましては、何と申しましてもわが国のGNPの半分以上の力を持っているわけでございますが、これは実は景気と個人消費の関係でございますけれども、むしろ個人消費は景気の従属変数だという学説もございます。つまり景気がよくならなければ個人消費は上回らないと。つまり個人消費がよくなって景気がよくなるということでなくして、景気がよくなって初めて個人消費が頭をもたげてくると、こういう、要するに従属変数だという説がございます。
 いずれにいたしましても、卵と鶏みたいな関係でございますけれども、最近は非常に個人消費の伸びか、高度成長時代に比べますと低位でずっと続いております。これと貯蓄率というのは、やはり何と申しましても不可分の関係がございまして、最近では個人消費不振ということが裏にございますと同時に、先行き不安、特に私どもの銀行で一遍アンケート調査をいたしますと、ほとんどが教育費、それから住宅費、こういうものが一般の大衆の方々の頭に非常に深く入っておりまして、そして非常に貯蓄率が高い。欧米の場合には、わりあいに住宅の環境は日本より非常によろしゅうございますし、それから教育費なんかも日本ほどはかかっておりません。そんなことで、あるいは貯蓄率とそういう相関関係があるのではないかというような感じをいたしております。
 いずれにいたしましても、若干ずつ貯蓄率は、まだわずかでございますが、多少下降線をたどりつつあるというふうに承知いたしております。
○参考人(村田宗忠君) ただいま御質問の建設国債と特例国債で、建設国債の方は借りかえ勧奨によりまして六十年になるじゃないか、それと期限で償還される特例国債との間は、ほんとは値段が違わなきゃうそじゃないかという御質問だったと思いますが、全くおっしゃるとおりだと思うんです、一般論として申し上げますと。
 ただ、まあ金融機関さんに対しては、借りかえ勧奨が従来――今後はどうか知りませんが、借りかえ勧奨が行われていたということになりますれば、そのとおりでございまして、ただ個人の面から申しますと、個人につきましては借りかえ勧奨は現在も行われておりませんから、その点は建設国債も特例国債もまあ区別なしに個人の面では事実上推移してまいるんではないかと、このように存じておりますわけですけれども、そこに何かちょっと一つ、はてなというような割り切れないものは感じないわけではございません、正直申し上げまして。
 それから、中期国債にも関連いたしまして、今後好ましい金利は、条件はどうかというお話でございますけれども、好ましい発行条件というのは、先ほど申し上げましたように、究極で申し上げれば実勢即応ということに尽きるわけではございますけれども、中期国債の場合に、これは私は非常に歓迎すべきことだと思うんでございます、多様化という面から申し上げまして。御承知のように、日本には市場に、比較的発行市場におきましても、したがって流通市場におきましても中期、短期のものが非常に少ないんです。流通市場が発展いたしますと申しますか活発になりますためには、外国の市場もそうでございますが、大体半分ぐらいは五年以下のものが中心になって流通市場が形成されてまいるというふうに相なっております。
 そういう意味合いにおいても望ましいんでございますが、伝えられるところで、一つの入札制ということが中期国債に絡みまして云々されておるようでございますが、入札制も一つの実勢価格を体現するという点においては非常にいいんでございますけれども、ただまあ一つその場合に御配慮をいただきたいと思いますことは、入札方式によりますと非常に価格がまちまちになるわけでございます、落札価格が皆違いますから。そういたしますと個人消化の面では、既発債ならよろしいんでございます。たとえば運用部の先般の放出されました国債の入札、これはよろしいんでございます。新規発行分になりますと、ちょっとそこに、ある人は安いものを買った、ある人は高いものを買ったということでは、個人消化は非常に困難になるだろうと思います。
 また、多様化の恩典といいますか特典は、メリットは、やはり国債消化の中軸をなしております個人に均てんされなければならない筋合いだと、このように存じます。その場合に、十分個人というものを、個人消化というものを御配慮の中に入れていただいた方策をお考えをいただきたい、このように存じております。
 それから委員長、先ほど塩出先生のお答えをちょっと漏らしたことがあるんですが、よろしゅうございましょうか。
○委員長(嶋崎均君) 結構です。どうぞ。
○参考人(村田宗忠君) それじゃちょっと、先ほど御質問の中でお答えし漏れたことがございます。
 それは、いわゆる窓販に関連しての流通市場でのプライスの問題でございますけれども、これは実は個人の場合に、恐らく窓口におきまして個人の消化というものは比較的少量であろう、これはまあおか目八目の推測で、やってみなきゃわからぬわけでございますけれども、そういたしますと、事業会社に対する消化というものが窓販の場合に恐らく主軸を占めてくるんじゃあるまいかという懸念を実は持っておるわけでございます。そうなりますと、いろいろの市場外要因的なものが出てまいりまして、事業会社は余裕資金をもちまして国債を銀行さんからお買いになるというふうな場合に、本当に投資動機に基づいて購入されるというケースでありませば結構なんでございますけれども、投資動機に基づかないでそのほかの、歩積み両建てというわけじゃございませんけれども、何らかの、おっしゃられたからひとつ、義理と言ったらちょっと語弊ございますけれども、投資動機に裏づけられない、あるいは運用動機に裏づけられない国債の購入というふうなことに相なってまいりますと、これが非常に多くなってまいりますと、これ実はお買いになった購入者は明くる日に売ってもいいわけです、投資動機に裏づけられておりませんし、運用動機に裏づけられておりませんから、それ以外の要因で購入されておりますので。投げてもいいわけなんです、購入者の方から言えば。そういたしますと、ちょっとそこに価格の乱れを生ずる原因が伏在しはせぬだろうかということを非常に恐れるわけでございます。これは、かつて加入者電電債というのがございまして、電話に加入した方は債券買わにゃいかぬというのがございました、これは実は非常に安かったんです。それはもっともな話で、これと同一にはもちろん論じられませんですけれども、加入者は電話ついた、そうすればもう買った電話債券を売ってもいいというのですぐ売られるというふうなことで、非常に価格形成が低い価格形成になったことが実はかってございました。そういうふうな面で価格体系の乱れを生ずるんではあるまいか、潮の流れが、何か二つの潮の流れが出てきはせぬだろうかというふうなことを懸念いたしてのことでございます。それを先ほどちょっとお答えを漏らしましたのでここで申し上げさしていただきます。
○野末陳平君 松沢参考人にまずお聞きします。
 先ほど鉄行の窓販について証券界から不安といいますか、デメリットの面がいろいろと説明ありましたけれども、その中で特にプライスメカニズムを壊すという点ですね、市場の流れを混乱させるんではないかということに対する銀行側のお考えをお聞きしたいと思います。
 それから村田参考人に対しましては、証券取引法の六十五条ですか、あれに対して法律上銀行の方では公共債は例外だがこれは扱えるというようなことを考えていらっしゃるように、新聞でこれは拝見したわけですが、ひとつ法律上の解釈を証券界はどういうふうに持っておられるか、その点について。同時に、今後証券界が国債の引き受けシェアのアップをもっと可能であるかどうかということですね、これもついでに御説明いただきたいと思います。
 それから前川参考人に対しましては、先ほどもちょっと出ましたけれども、円高の問題ですが、円高はこれで天井を打ったというような見方が一部にあるやに聞くんですが、それに対しまして日銀筋の方ではどういう見方をとられておるか、むずかしいのかもしれませんがそれについてお答えいただきたいと思います。
 以上三点です。
○参考人(松沢卓二君) お答え申し上げます。
 窓販の結果といたしまして、国債の価格が市場を無視した形でプライスメカニズムを乱すようなことはないかというふうな御質問だったかと思います。
 窓販は実は戦後と申しますか、全然実績としてございません。もしやるとすればこれからが初めていうことでございますから仮定の問題でございますけれども、しかし私の考えるところによりますと、銀行で売られました国債が窓口で再び資金化の要求がお客様から出てきた場合には、銀行は市場の価格を基準にして必ず買い取るんではないか、こういうふうに思います。しかし、あるいはこれはいまもお話がございましたように、そういうことはまだはっきり決まっておりませんからよくわかりませんけれども、もう一つの方法は、お客様に対して、先ほど申し上げましたけれども、国債を担保にして、制度金融的に国債を銀行に持ち込めば必ずそれを担保にして金融が必ずつく、その状況で銀行が断ったりなんかするということでなくして、窓口で国債を買い求めた方は銀行に来れば必ずそれを担保金融が得られるというふうに制度金融的にすることも資金化の一つではないかというふうに存じております。
○野末陳平君 さっきお義理で大量にというような話ちょっとありましたけれども、あれについてはどうですか。
○参考人(松沢卓二君) 国債の販売につきましては、無理した販売をするということは結局後でいろんな後遺症、ひずみを残しますから、窓販をやる以上は、本当に投資家として買いたいという方が窓口でお買い求めになるんではないか。それからもう一つ、これも実際やってみなきゃわかりませんけれども、私は、一般の事業者もそういう金融資産を多様化したいという御要求が強いようですから、そういう方もお買い求めがあろうかと思いますけれども、やはり一般個人の十万円とか五十万円とか百万円とかいう零細な国債の窓口販売が行われる可能性がある、こういうふうに考えているわけでございまして、無理した販売をいたしますと結局困るのは銀行であり、また無理して買ったために、先ほどお話しのように、きょう窓口で買ってあしたそれをすぐ売ってしまう、そういうようなことは私は余り起こらないというふうに考えております。
○参考人(村田宗忠君) ただいま野末先生から、六十五条に関連しまして法律上の証券界としての見解を御質問いただきましたんですが、私はこの法律はどうも得手が思うございまして、ただ、こういうふうに私どもとしては理解いたしておりますのでございます。
 六十五条におきまして確かに窓口、これこそ窓口があけてありまして、二項で適用除外をいたしておるわけでございます。しかしそれは、まあ素人考えと言えば素人考えでございますけれども、それは証取法の立場で六十五条の二項で適用除外しているだけの話でございまして、銀行法上あるいは銀行経営上やっていいとかやってよくないとか、こういう趣旨ではないように理解をいたしております。まあこれも素人の常識でございますけれども、従来銀行法上は他業兼営というものを排除する方向でこれまでずっと長年推移してきているんではないかと存じております。また常識的に申し上げますと、銀行法の付随業務ということで、私ども法律のことはよくわかりませんし、これは挙げて行政の方で権限解釈という問題もございましょうし、私どもが言うべきことではないかもしれませんけれども、常識論的に申しますと業務の本質というものが余りに違い過ぎる。つまり貸借業務の本質というものと売買業務の本質というものとは業務の性質が本質的に余りに違い過ぎる。それさえも付随業務ということの範疇に入るといたしますと、それはその付随業務というのは何をやってもいいじゃないかというふうな付随業務になってしまいはせぬだろうかというふうな感じがいたします。
 それはさておきまして、従来の経過を見ますと、現在証券会社の中で四社、それぞれ銀行から分離されてまいっております。これまでの歴史は、銀行から証券業務を分離するという方向において推移してまいっております。一番最初は、これは大正何年でございますか、ちょっと年次を記憶いたしておりませんけれども、日興證券さんが日本興業銀行から証券業務を離されまして、それが今日の日興證券さんになっておるわけでございます。それから山一證券さんが小池銀行から証券業務を分離されまして、専業化いたしまして今日の山一證券さんになっておるわけでございます。それから藤本ビルブローカー銀行を廃止して現在の大和證券さんになりまして、また野村證券は大正十四年大阪野村銀行から証券業務を分離いたしまして野村證券ということに相なっておりまして、ずっと歴史は証券業の銀行からの分離という線で一貫して今日に至っておるわけでございまして、そういう線から見ましても、それぞれの専業化の方向ということが、それが何らかの、私は当時の昔の歴史をつまびらかにいたしておりませんけれども、それなりの必然性と理由があって銀行業から証券業というものが分離されてまいって今日に至っておると、このように理解いたします。それが法的にどういうことかということは、私もちょっとよく野末先生、わからないんでございますけれども、かつての国会における答弁などで、自己保有の物の売買はよろしい、付随業務である、自己保有の物の売買は付随業務である、しかしながら、業務として証券業のように売買をするということはそうではないんだ、違うんだというふうな答弁がなされたというふうなことも、つまびらかではございませんが、伝え聞いております。そういうふうな線から見まして、大体、詳しい法律上の何はわかりませんけれども、そういうふうに、法律も恐らく常識から離れた法律というものは私はないだろうと思いますので、そのように理解をいたしております。
 それから引受シェアの御質問でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、ただいまでは二六%に相なっておりますけれども、決してこれで満足をいたしておりません。年々急速に引受シェアを大きく拡大してまいっておりますけれども、五十三年度におきましてはさらに三〇%ぐらいを目標に引き受けのシェアを拡大してまいりたい。これは一つは、私は銀行さんの国債保有は、先ほどからいろいろお話が出ましたけれども、預証率のお話あるいは預国率のお話もございましたが、やはり過大になってはいけないだろう、それにはやはりわれわれはわれわれの職域において個人消化というものを進めてまいるべきである、こういうふうに考えておりまして、恐らくそのくらいは可能なのではあるまいか、また、それにつきましてはいろいろと御支援、御協力を賜りたいと、このように存じております。
○参考人(前川春雄君) お答え申し上げます。
 円高が天井を打ったというふうな観測もあるけれども果たしてそう思うかという御質問であったというふうに思います。先ほども申し上げましたように、私どもも、国内経済の景気のいまの回復を一刻も早く進めたいということから、円相場が相対的に安定するということが望ましいと思っておることは前に申し上げたとおりでございます。
 ただ、果たしてこれで円相場の方で天井を打ったのかどうかという点につきましては、円相場を左右いたします要素は、国内の、日本の国際収支の基調がこれからどういうふうになるかということ、それから仮にそれにつきましてある程度の判断が出ましても、一方アメリカ側にドルに対する何らかの大きな変化、政治的あるいは経済的な変化がありますれば、ドルの価値に対しましてもいろいろの評価がそこでまた新しく出てくるわけでございまするので、そういうものが総合されました円相場が果たして天井を打ったのかどうかということは、どうも私ともの判断から申しましても軽々には申し上げられないことであろうかというふうに思います。いまの相場制度が、相場は市場の需給の実勢で決まるんだということになっておりまするので、その市場に及ぼす影響は、いま申し上げましたもろもろのことがございます。そういう意味で、なかなかこの相場の水準というものに対する判断はしにくいわけでございます。また、私の立場におりまする者がそういうことを仮に申しますると、円高がこの辺で天井を打ったということになりますと、あるいはもう少し円高になりましたときに日本銀行はあくまで介入するのであろうというふうな判断をあるいは市場に与えましても、これも非常にぐあいが悪いことでございまするので、その点につきましては御容赦を願いたいと思います。
○委員長(嶋崎均君) 参考人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。重ねて厚く御礼を申し上げます。
 本日はどうも御苦労さまでございました。
 次回は五月九日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会