第084回国会 予算委員会 第23号
昭和五十三年四月三日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月一日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     大木 正吾君
     坂倉 藤吾君    目黒今朝次郎君
     松前 達郎君     赤桐  操君
     峯山 昭範君     多田 省吾君
     馬場  富君     中野  明君
     向井 長年君     井上  計君
     市川 房枝君     喜屋武眞榮君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     徳永 正利君     夏目 忠雄君
     玉置 和郎君     山本 富雄君
     広田 幸一君     藤田  進君
     中野  明君     峯山 昭範君
     下田 京子君     橋本  敦君
     喜屋武眞榮君     青島 幸男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鍋島 直紹君
    理 事
                戸塚 進也君
                内藤誉三郎君
                中村 太郎君
                宮田  輝君
                竹田 四郎君
                吉田忠三郎君
                多田 省吾君
                内藤  功君
                栗林 卓司君
   委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                石破 二朗君
                糸山英太郎君
                小澤 太郎君
                亀井 久興君
                亀長 友義君
                熊谷  弘君
                下条進一郎君
                田代由紀男君
                夏目 忠雄君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                三善 信二君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                志苫  裕君
                野田  哲君
                福間 知之君
                藤田  進君
               目黒今朝次郎君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                矢追 秀彦君
                矢原 秀男君
                橋本  敦君
                渡辺  武君
                井上  計君
                青島 幸男君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   福田 赳夫君
       法 務 大 臣  瀬戸山三男君
       外 務 大 臣  園田  直君
       大 蔵 大 臣  村山 達雄君
       文 部 大 臣  砂田 重民君
       厚 生 大 臣  小沢 辰男君
       農 林 大 臣  中川 一郎君
       通商産業大臣   河本 敏夫君
       運 輸 大 臣  福永 健司君
       郵 政 大 臣  服部 安司君
       労 働 大 臣  藤井 勝志君
       建 設 大 臣
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  櫻内 義雄君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      加藤 武徳君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       安倍晋太郎君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)      稻村左近四郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       荒舩清十郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  金丸  信君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       熊谷太三郎君
       国 務 大 臣  牛場 信彦君
   政府委員
       内閣法制局長官  真田 秀夫君
       内閣法制局第一
       部長       茂串  俊君
       国防会議事務局
       長        久保 卓也君
       内閣総理大臣官
       房同和対策室長  黒川  弘君
       総理府恩給局長  菅野 弘夫君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  長谷川 古君
       警察局刑事局保
       安部長      森永正比古君
       警察庁警備局長  三井  脩君
       防衛庁長官官房
       長        竹岡 勝美君
       防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君
       防衛庁人事教育
       局長       渡邊 伊助君
       防衛庁経理局長  原   徹君
       防衛庁装備局長  間淵 直三君
       経済企画庁調整
       局長       宮崎  勇君
       経済企画庁国民
       生活局長     井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       国土庁長官官房
       長        河野 正三君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
       法務省人擁擁護
       局長       鬼塚賢太郎君
       外務大臣官房長  山崎 敏夫君
       外務省アジア局
       長        中江 要介君
       外務省アメリカ
       局長       中島敏次郎君
       外務省経済局長  手島れい志君
       外務省経済局次
       長        溝口 道郎君
       大蔵省主計局長  長岡  實君
       大蔵省主税局長  大倉 眞隆君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
       大蔵省国際金融
       局長       旦  弘昌君
       大蔵省国際金融
       局次長      宮崎 知雄君
       文部大臣官房会
       計課長      西崎 清久君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       厚生省公衆衛生
       局長       松浦十四郎君
       厚生省医務局長  佐分利輝彦君
       厚生省薬務局長  中野 徹雄君
       厚生省保険局長  八木 哲夫君
       農林大臣官房長  松本 作衛君
       農林省農林経済
       局長       今村 宣夫君
       農林省畜産局長  杉山 克己君
       林野庁長官    藍原 義邦君
       水産庁長官    森  整治君
       水産庁次長    恩田 幸雄君
       通商産業大臣官
       房長       宮本 四郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     山口 和男君
       通商産業省通商
       政策局長     矢野俊比古君
       通商産業省貿易
       局長       西山敬次郎君
       通商産業省産業
       政策局長     濃野  滋君
       通商産業省機械
       情報産業局長   森山 信吾君
       通商産業省生活
       産業局長     藤原 一郎君
       資源エネルギー
       庁長官      橋本 利一君
       中小企業庁長官  岸田 文武君
       運輸大臣官房審
       議官       真島  健君
       運輸省海運局長  後藤 茂也君
       運輸省船舶局長  謝敷 宗登君
       運輸省船員局長  高橋 英雄君
       運輸省港湾局長  大久保喜市君
       運輸省鉄道監督
       局長       住田 正二君
       運輸省自動車局
       長        中村 四郎君
       運輸省航空局長  高橋 寿夫君
       運輸省航空局次
       長        松本  操君
       海上保安庁長官  薗村 泰彦君
       気象庁長官    有住 直介君
       労働省労働基準
       局長       桑原 敬一君
       労働省職業安定
       局長       細野  正君
       建設大臣官房長  粟屋 敏信君
       建設省計画局長  大富  宏君
       建設省道路局長  浅井新一郎君
       建設省住宅局長  救仁郷 斉君
       自治大臣官房長  石見 隆三君
       自治省行政局長  近藤 隆之君
       自治省行政局選
       挙部長      佐藤 順一君
       自治省財政局長  山本  悟君
       自治省税務局長  森岡  敞君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第五局長   東島 駿治君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
       日本国有鉄道理
       事        高橋 浩二君
   参考人
       日本銀行総裁   森永貞一郎君
       日本鉄道建設公
       団総裁      篠原 武司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十三年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十三年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和五十三年度一般会計予算
 昭和五十三年度特別会計予算
 昭和五十三年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 昭和五十三年度総予算三案審査のため、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君及び日本銀行総裁森永貞一郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) 質疑に入るに先立ち、委員長から政府側に特に申し上げておきますが、質疑者の質疑内容を的確に把握していただきまして、冗漫にならざるよう明快なる御答弁を特にお願いを申し上げます。
 それでは、これより矢追秀彦君の締めくくり総括質疑を行います。矢追君。
○矢追秀彦君 先日来、本委員会で峯山委員が指摘をいたしました、憲法の解釈をめぐる核兵器問題についての議論、これに対して政府から統一した見解を求めます。
○政府委員(真田秀夫君) それでは、核兵器の保有に関する憲法第九条の解釈についての補足説明を申し上げます。
 一 憲法上核兵器の保有が許されるか否かは、
  それが憲法第九条第二項の「戦力」を構成す
  るものであるか否かの問題に帰することは明
  らかであるが、政府が従来から憲法第九条に
  関してとっている解釈は、同条が我が国が独
  立国として固有の自衛権を有することを否定
  していないことは憲法の前文をはじめ全体の
  趣旨に照らしてみても明らかであり、その裏
  付けとしての自衛のための必要最小限度の範
  囲内の実力を保持することは同条第二項によ
  っても禁止されておらず、右の限度を超える
  ものが同項によりその保持を禁止される「戦
  力」に当たるというものである。
   そして、この解釈からすれば、個々の兵器
  の保有についても、それが同項によって禁止
  されるか否かは、それにより右の自衛のため
  の必要最小限度の範囲を超えることとなるか
  否かによって定まるべきものであって、右の
  限度の範囲内にとどまる限りは、その保有す
  る兵器がどのような兵器であるかということ
  は、同項の問うところではないと解される。
   したがって、通常兵器であっても自衛のた
  めの必要最小限度の範囲を超えることとなる
  ものは、その保有を許されないと解される一
  方、核兵器であっても仮に右の限度の範囲内
  にとどまるものがあるとすれば、憲法上その
  保有が許されることになるというのが法解釈
  論としての当然の論理的帰結であり、政府が
  従来国会において、御質問に応じ繰り返し説
  明してきた趣旨も、右の考え方によるもので
  あって、何らかの政治的考慮に基づくもので
  ないことはいうまてもない。
 二 憲法をはじめ法令の解釈は、当該法令の規
  定の文言、趣旨等に即しつつ、それが法規範
  として持つ意味内容を論理的に追求し、確定
  することであるから、それぞれの解釈者にと
  って論理的に得られる正しい結論は当然一つ
  しかなく、幾つかの結論の中からある政策に
  合致するものを選択して採用すればよいとい
  う性質のものでないことは明らかである。政
  府が核兵器の保有に関する憲法第九条の解釈
  につき、一に述べた見解をとっているのも、
  右の法解釈論の原理に従った結果であり、何
  らかの政治的考慮を加えることによりこれ以
  外の見解をとる余地はないといわざるを得な
  い。
 三 もっとも、一に述べた解釈において、核兵
  器であっても仮に自衛のための必要最小限度
  の範囲内にとどまるものがあるとすれば、憲
  法上その保有を許されるとしている意味は、
  もともと、単にその保有を禁じていないと
  いうにとどまり、その保有を義務付けている
  というものでないことは当然であるから、こ
  れを保有しないこととする政策的選択を行う
  ことは憲法上何ら否定されていないのであっ
  て、現に我が国は、そうした政策的選択の下
  に、国是ともいうべき非核三原則を堅持し、
  更に原子力基本法及び核兵器不拡散条約の規
  定により一切の核兵器を保有し得ないことと
  しているところである。
 以上でございます。
○委員長(鍋島直紹君) 関連質疑を許します。峯山君。
○峯山昭範君 これは今国会でずっと核論議をやってきたわけでございますが、その締めくくりとして最終的な政府の見解と解してよろしいですか。
○政府委員(真田秀夫君) おっしゃるとおりでございます。
○峯山昭範君 この補足説明によりますと、憲法上核兵器を持てるというのは、いわゆるここに三カ所も入っておりますが、仮定の上の論理的解釈にすぎないということが明らかになってまいりました。政府としてはこの「政策的選択」として核兵器を持たないことを明らかにしているわけでありますが、その具体例として、三項目目に条約的には核防条約、国内法的には原子力基本法、そして憲法的国是とも言うべき非核三原則、こういうふうになっているわけであります。しかし、私が前々から指摘しておりました政府がどうして核兵器を持てるという解釈をとらなければならないのかという単純な疑問、質問には全く答えていないわけであります。それでこの説明が、なぜ政府が持てるという解釈をとらなければならないのかというその疑問には答えていない。この説明がなされない限り、国民は政府が将来核兵器を持てる余地を残しておきたいからではないかという疑問、これはもう持たざるを得ないわけです。そこで私は政府の、仮定の上とは言え、核兵器も憲法上持てるという議論については、私はこの解釈を容認するわけにはいきませんが、きょうは百歩譲りまして、政府がこの解釈を変更することができないとするならば、せめて二点だけ総理にお伺いしたい。
 まず第一点としましては、非核三原則を、きょうの説明の中でも単なる政策的選択に基づく国是ともいうべきものと、こういうふうな解釈になっておりますが、こういうようなあいまいなものではなくて、憲法に匹敵するわが国の普遍の国是ともいうようなものに非核三原則を私はすべきであると、そういうふうに思いますが、この点はどうかというのがまず第一点。
 それからもう一点は、非核三原則に対しましては直接的な法律、これはもう全然――全然というよりも見当たらないわけですが、これを立法化することが国民並びに国際社会での政府に対する不信を取り除き、核兵器を否定し、平和に徹するわが国の態度を宣明することにもなると思います。そういうような意味で、政府の責任でこれを立法化するというようなふうにはできないかどうか、総理の核兵器に対する基本的な姿勢とあわせて御答弁を願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一に政策論といたしまして、政府といたしましては非核三原則を堅持し、これを国是というような認識のもとに厳守してまいりたいと、このように考えております。そのような考え方をさらに法律か何かにしたらどうかというようなお話でございますが、この非核三原則につきましては、御承知のとおりもう超党派、与野党一致をもちまして国会の決議があるわけなんです。これは私はいかなる政府ができましても遵守しなければならないところであろうと、このように考えておるのでありまして、それに上乗せして法律というような手続が要りますかどうか、私はそのような必要はないと思いまするけれども、しかし御承知のように、これは原子力基本法という法律があります。また条約といたしまして核兵器の拡散防止条約、こういうものがあるわけでありまして、御指摘の点はそういうふうになっておると、このように御理解願います。
○委員長(鍋島直紹君) 峯山君時間が来ております。
○峯山昭範君 一言。
○委員長(鍋島直紹君) 簡単に願います。
○峯山昭範君 法制局長官どうですか。
○政府委員(真田秀夫君) ただいま総理からお答えになったことで実はもう尽きているわけでございますが、先ほどの説明の中でるる申しましたように、もう非核三原則は堅持しておる。しかもそれを支えるものとして、さらに国内法もあれば条約もあると、もう将来にわたって核兵器は持たないんだというこの原則は国是ともいうべき大原則であって、国会決議もあり、御心配はないだろうと思います。
○矢追秀彦君 総理にお伺いをいたしますが、ずっと議論を聞いておりますと、さっきも峯山委員も指摘をしておりましたが、核兵器は持てるんだという解釈論をとっておられる理由というのが依然として明確にならない。政策では持たない、憲法的国是であると言いながら、解釈では持てるんですよというふうな含みを残しておる。そこまで核兵器に何か執着をする必要があるのかどうか、その点はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 別に核兵器を保有しょうと、こういうような底意があって含みを残しておるという、そういう立場じゃないんです。これはもう素直に御理解願えると思うのですが、わが国は自衛権は持っておる、自衛のためならばどういう装備をしてもいいと、こういうことになるわけなんです。理論的には核兵器におきましてもそういうことなんです。ただ実際に核兵器につきまして、そういう便利なものが考えられるかというと、いまちょっと考えにくいところでございまするけれども、理論的には少なくとも自衛のためでありますれば、これは必要最小限の装備は持ち得る。これは核兵器であるとないとを問わない、非常に明快、素直な見解じゃないか、また御理解願える問題ではないか、そのように考えております。
○矢追秀彦君 その辺が、また議論をやりますともとへ戻りまして前進をしないのでこれでやめますけれども、私は憲法の前文の精神から言いますと、日本としては核兵器を持てるという解釈論に政府は立つべきでないと、政策だけじゃなくて。そういうふうにはっきりと宣言する方が私は国民も安心をする。そうでないと矛盾になるわけですよ、結局は。総理、その点いかがですか、重ねて。
○国務大臣(福田赳夫君) たとえばそういう御議論を用いますれば、まあピストルにいたしましても小銃にいたしましても人を殺傷すると、そういうことになるんですから、そういうものは持ってはならぬということになるんじゃないか、そういうふうに思います。核兵器といえども、もしこれが具体的に考えまして自衛のための核装備ということが考え得られるならば、それは持つことが禁じられているとは思わない。わが国は自衛権を放棄したわけでもなし、自衛権はこれは国際的にも認められておると、その考え方をとる以上、その自衛のための装備といたしまして核兵器であろうが何であろうが、自衛のためでありますればこれを持つことか理論上は許されておると、このように考えるのが妥当であると、そのように考えます。
○矢追秀彦君 総理、きょうのこの補足説明はよくおわかりなんですか。これは不満ですよ、不満ですが、仮に百歩譲ってこの土俵で議論をしても、いまの総理のとは大分違っているんですよ。仮にということになって核兵器だけはちゃんと取り出して議論をされている。いまのまたピストルの話になってくると、またもとなんです。ひとつこれは、この補足説明が出ましたので、またいろんな機会にこれから議論をしてまいりますけれども、要するに総理はこの峯山委員の議論というのがまだわかっていないということで、よく御勉強をいただきたいと思うのです。核兵器というものはやっぱりきちんとたて分けて政府も考えているんですから、それなりに議論をしなきゃいけない。ピストルと同じにしちゃうこと自身に問題がある。だから拡大解釈になってくる。だから、どうしても日本政府はいざということも考えて核兵器を持てるという、一つの安全弁というか何かを法解釈論の上からでも持っておかないと困ると、そういう考えが底にあると私は考えられてならない。それは平和憲法に大変反する精神だと、こう言いたいのですが、重ねていかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私の申し上げてるところは国民には平易に理解されるところであろうと、そういうふうに確信をいたします。
○矢追秀彦君 次に、円高問題に入ります。
 けさの寄りつきは二百二十円、十時現在で二百十八円六十銭、現在日銀は様子を見ているというふうな事態でございますが、宮澤長官、この事態はどうごらんになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 円の相場というものが円とドルとの購買力の相対的な比較の反映ということと全く無関係だとは私い思いませんけれども、相場でありますから、やはり相場という要素を持っていることは否定できないと思いますので、率直に申しましたら、私は今日のような相場というものは、米国の発表されました二月の貿易収支が非常に予想外に大きかったということに対する一種の私は過剰反応、そのこと自身が驚きであったには違いないでしょうが、そのことが恐らく相場に反映するであろうということを考えた人たちが、それを頭に置いて行動をしたのではないだろうか。どうも私自身は、先般来の円相場というものはかなり日米の円とドルとの比較購買力をあらわすよりは、かなり一時的な異常な要因に影響されているのではないかということを私見でございますが、私は思っております。
○矢追秀彦君 長官は分科会における私の質問に答えて、リーズ・アンド・ラグズあるいは年度末のいろんな駆け込み、そういった点を主張されておりましたが、きょうは四月の三日でございますので年度末ということは外れたのではないか、そうすると後は残るのはリーズ・アンド・ラグズ、もう一つは私は土曜日に発表されましたアメリカの貿易収支の件ですね、これは大変な大きい要因ではないかと思いますが、依然としてまだまだこの攻勢は続くと、長官は何かこの間の質問の場合には、四月に入れば少しはおさまってくるであろうというふうな予測をお立てになりましたが、私は依然として続く、下手をすると二百円まで行くのではないか、一部の商社筋の人の話を聞きましても、二百一円ぐらいまでは覚悟をしておるということを私も聞いておりますので、下手をするとそこまで行く可能性が十分あるんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 考えてみますと、円とドルとの相場というものは、基本的には比較購買力に基づく、それと無関係ではないと思いますが、それが非常に短期間に何十円も動くというようなことは一体どういうことであろうか、現在が正しければ数週間前は正しくなかったのかというような議論にどうしてもなってまいりますので、私はこの過去一、二週間、それから今朝は今朝でございますが、やはりこれは異常である、こんなことが長く続くはずはないというふうに、がんこのようでございますが、私見としては私はそう思います。
○矢追秀彦君 実勢としてはまだ円はこんなものではない、現在の状況は異常であるという宮澤長官の判断ですが、私はこの問題についてはずっと昨年度来からいろいろ申し上げておりまして、二百四十円台ということを言ったときにも政府はそこまでいかないと、しかも二百四十円を割ってしまった、二百二十円台になったらどうするか、いやそんなことはない、またここまで来ました、依然としてとめどもないというのが現状だと思いますが、総理、これはやっぱり異常と見ておられますか、落ちつくという自信はおありですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの国際通貨情勢、これは全く異常だと思うのです。アメリカは世界第一の経済力を持っておる、その次がとにかく自由社会第二の工業力を持っているのは日本だと、アメリカが二月の一カ月で四十五億ドルの貿易赤字を出すと、第一という世界で影響力の強いアメリカがそうだ、日本がまた膨大な黒字を出しておると、こういうことでありますから、これはまさに私は異常だと思うのです。いま為替の相場のことでございますか、私はしばしばここで申し上げているんです。これは本質的に見まして円の問題というよりはドルの価値の低落の問題だ。現にきょうの東京市場の相場、これは先週末の欧米市場の相場の影響を受けておるわけでありますが、昨週末の動きはどうだったか、金曜日の相場ですね、昨週末の。木曜日に比べますと、とにかくスイスフランは一日で三・五%上昇している、それだけドルは下落をいたしておる。マルクはどうだと言いますると、一・九%もマルクの価値が上昇しドル価値がそれだけ下落をしておる。そういう影響で日本の円、これに対しましても一・一%日本の円の価値が上昇し、それだけ円に対するドル価値が下落すると、こういうことになっている。
 私は、この問題の根源というものはやはりわが国にも責任がある。つまり重要な立場にあるわが日本としてそれだけ大きな黒字を出しておるという点、これは何としても是正しなきゃならぬ。しかし、根源的には第一の大国であるアメリカがとにかく月に、それは異例なことであるにせよ四十五億ドルの赤字を出す、こういうようなこと。この辺を根本的に直しませんと私は世界の通貨情勢というものは本当には安定しないと思うのです。しかし、その間そうだからといって根本的な安定を待つ、これはなかなか時間のかかる問題でありますから、その間に一体どういうふうに対処するかというと、いろいろ技術的にも対処の仕方はあると思いますが、その辺はその辺でいろいろ手配をしなけれりゃならぬ問題でありまするけれども、本質的にはそういう問題。
 これにどういうふうに取り組むか、これはまあ七月には先進国首脳がボンにおいて会談をするという流れになっております。そこあたりでも取り上げられる問題であり、またそれを成功させるためにいろんないま動きが始まっておるわけです。わが国といたしましては、ヨーロッパに対しまして、アメリカに対しましていろいろ話をしておる。特にアメリカに対しましては、私は今月末に出発いたしまして五月二日、三日とアメリカの首脳と会談をするというようなことになっておりますが、これも世界的規模におけるこの経済、通貨の安定をどうさせるか、これの話し合いを成功させると、それにどういうふうに日米は対処するかというようなことを話し合うわけなんです。まあ根の深い問題でありまするけれども、そういう深い根であるというととを踏まえながらその抜本的な安定対策、同時に当面の対策という二つの観点からわが国としてもいまできる限りの努力をしている、こういう最中でございます。
○矢追秀彦君 総理は、昨年は私がここでも指摘しました際は、アメリカに対してもっと強い要請をやれと言ったときには、毎日連絡をとっているからそこまで言わなくてもいいと、こういうことだったですね。最近は、本年の国会に入りましてからは総理はかなり強い姿勢でアメリカの責任を言われるようにようやくなった。これは私は評価はするんですよ。評価はするんですが、大変時期的にもだんだんずれてきています。しかも、毎日連絡をとっているわりには依然としてこういう状況が続いておる。首脳会談に行かれた際にどうされるのかということについてお伺いをいたしますが、結局いままでの交渉を見ておりますと、まあアメリカが本当に反省をしてやるということは少ないように思うんです。円の切り上げがかつてあったときは別といたしまして、結局今度、恐らくカーター大統領と会談されるときだって、貿易の問題で突っ込まれて、日本の輸出を減らせ、輸入を拡大しろと、それ一本で攻められればアメリカに対してあんまり物が言えないのじゃないですか。この点をきちんとアメリカに対して襟度を持って言われますか、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま申し上げましたように問題の本質はアメリカにある。アメリカの国際収支が余りにも大きな赤字態勢であるということ、それからやっぱりアメリカが、何と言いますか、物価が上がり調子である、つまりインフレ的な傾向が出始めておると、この二つがアメリカ経済として国際社会から見ると問題であろう、こういうふうに考えておるわけでありますが、そういう点について日本としてもしばしばアメリカにも意見を申し述べております。それからその都度その都度の通貨の政策の運営につきましては話し合っておりまするけれども、根源的なそういう大きな問題になりますと、いま矢追さんが御指摘されたように、わが日本として問題を提起する、そうしますと向こうから日本の赤字はどうなんだと、こう言われる。まあ言われますと、そういう側面がないわけじゃない、これも非常に大きな問題なんです。国際社会から見まして、また対米関係から見まして大きな問題なんです。それですから、私は日本のそういう国際社会に向かっての堂々たる主張、これはどうしてもしなきゃならぬし、しておりまするけれども、それが説得力を持っためには日本自体がちゃんとした姿勢を整えなきゃならぬ。
 いま五十三年度につきましては、貿易が経常収支、黒字六十億ドルということを言っておりまするけれども、まあ六十億ドル、この収支を実現するということは、五十二年度の百四十億ドル内外の経常収支の黒字、それを六十億ドルまで圧縮するんですから容易なことじゃありませんけれども、その傾向がもう出てきておるんですよということぐらいはもう首脳会談において言えるような状態ができないものか。そういうことになれば、これは日本はまあとにかく非常に国際社会では大事な立場なんですよ、アメリカに次いで第二の工業力を持った国ですからね。そういう国といたしまして世界の経済をどうやって安定させるか、これは日本をおいて本当にそれより以上の発言をなし得る立場の国というのはそうはないと思うのです。世界政治の立場を考えますと、日本は発言をしなけりゃならぬ。しかし、発言をしてそれが響きを持ち得るような状態に早く何とかしたいと思って、いま日夜腐心をしている、こういう状態でございます。
○矢追秀彦君 そのいま、アメリカにはっきり物が言えるためのこちらの態勢の整備、だから私はもう昨年の補正予算のときから言っておるわけでして、あのときも総理は総合経済対策、第二次補正を含めて、これでもう万全だと、こういうこともはっきり言われました。輸入についても十億ドルあるいは三十億ドルまで言われました。しかし現実にはそれができていない。たとえば原油の輸入にしても伸びが鈍っておる現状ですね。だから去年の少なくも九月、十月ごろから政府がやろうとしてこられたことが、もう半年近くたってもまだできていない。これで強いことが言えますか。あと首脳会談まで一月ですね。この一月間に緊急にできること、しかもアメリカに説得力を持ってわが国の態勢はここまで来ましたと言えることは何と何と何ですか。どこまでおやりになりますか。これは経企庁長官にお願いしたいんですが。
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理が五月に日米首脳会談をされますときに、私の立場から考えますと、まず、わが国はこれだけ異常な財政措置によって七%の達成を目指しておる、その前提になります五十二年度の五・三%はまずまず大体できると総理に言っていただいても大丈夫であろうと思っていますが、その線上にあります七・七%程度ですか、これも内外いろいろ撹乱要因はありますけれども達成が可能であると考えると言っていただいても私は誤りでないとただいま考えています。
 それから経常収支の六十億ドルの黒字でございますが、これはなかなかいろいろな問題があって、やはりある程度の緊急輸入をやっていかなければならないと考えておるわけでありますし、また五十二年度には十億ドル程度のことをいたしました。もう少し五十三年度において具体的に――これはしかしアメリカの実ば協力も得ることが必要なのでございますが、両国が協力すれば、まず六十億ドル台の経常収支の黒字というところに持っていけるのではないか。この点は、繰り返して申しますが、物を買うということは、売る方が売る気にならなければ買えないわけでございますから、アメリカ自身もやはり協力をしてもらわなければ困るわけであって、そういうことも言っていただいて私は差し支えないことだと考えています。
○矢追秀彦君 いま長官はアメリカとの協力を言われましたが、具体的にアメリカとの協力、理解というのは何なのですか。特にカラーテレビの輸出問題ではアメリカが大変厳しい。これはまあ通産に対する質問かと思いますが、大臣がちょっといまおられませんので経企庁長官にお伺いをいたしますけれども、非常に不当だと私は思いますが、かなりさかのぼって言ってきていますね。こういうような片方においてアメリカが日本に対して依然として攻撃を加えておる中で、いま長官の言われたようなアメリカとの協力関係の中において日本の黒字減らしができるという見通しがおありなんですか。いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 輸出面におきましてわが国がいろいろな努力をしていわゆるオーダリーな輸出に努めておる。そのために日米間にカラーテレビにいたしましてもあるいは鉄鋼にいたしましても取り決めがありますことは御承知のとおりでありますが、私がいま申し上げましたのは、主として今度はわが国が輸入をする立場において、先般もミッションが参りましたような、いかにも物を売りなさいというミッションは異常でございますが、そういうことのほかに、日本が買いたい物がアメリカからあるとした場合に、米国政府としてもそれについてやはり協力をしてくれなければこっちがいかに買いたいと申しましても買えない物がございます。そういうこともやはり総理から言っていただくことはしかるべきことではないかという意味で申し上げたのであります。
○矢追秀彦君 アメリカはいまインフレが大変問題になっておる。総理もいま言われましたけれども、これがおさまらないとまた輸出には拍車がかかる、日本のですね。円高で値段を上げても、向こうがインフレになれば依然として伸びる可能性というのは十分あるわけでして、この辺の見通しはいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点はカーター大統領のせんだっての声明の中にも一部入っておりますが、つまりドル価値下落による輸入額の増大、これについては、カーター大統領も旅行から帰られた後、エネルギー法案はもちろんとしてインフレ対策に取り組むということを言っておられるので、それにやはり期待をするということでございますが、他方で、わが国からの輸出は、先ほど申し上げましたような主要品目についての取り決めがございますほかに、通産大臣がこの席でも言っておられますように、数量において五十二年度を超えないようにいろいろ考えているという御言明がございました。そういう行政上の指導というものは効果をあらわしていくものと考えております。
 それから何と申しましても、リーズ・アンド・ラグズが働いておりますことは矢追委員の言われましたとおりでございますけれども、しかし、現在のような円レートになりますと、それがかつてのような円レートとは何といってもわが国の輸出に対してブレーキになって働くということは、これは少し時間をかければ何人も否定できないところであって、このこと自身もやがて効果をあらわしてくると考えることは相当ではないかと考えます。
○矢追秀彦君 次に、けさの報道でございますが、大手銀行が期末の預金残高をふやすために、海外からの資金を獲得してそれを自由円預金に預けているというこういうことが報道されておりますが、大蔵大臣はこのことは御存じですか。
○国務大臣(村山達雄君) 自由円預金の問題は、これは外国からの投資家がやるわけでございます。為替銀行の方は自分のファイナンスをつなぐためにどれだけ輸入するかということでございますが、私たちが知っているのでは、いま為替銀行の外国からの借入残高は漸減しております。自由円預金は残念ながらややふえているわけでございます。先般自由円預金につきまして増加分については一〇〇%の積み増しをいたしたのでございますけれども、それにもかかわらずやはり円高のメリットという相場観がございまして自由円預金だけはふえておるわけでございます。
 ついでに申し上げますと、しかし、同時に施行しました五年一カ月以下の債券取得は禁止しておりますが、この方は非常な効果をあらわしておりまして、一ころ一日二百五十億円ぐらい債券取得が行われておりますが、いまはほとんどゼロに近い、少し流出しているような関係にございます。
○矢追秀彦君 この動きはいま大臣も残念ながらということでお認めになりましたが、これがまた円高に拍車をかけておると、こういうふうに私は思うのですが、その点はいかがですか。これは通産大臣にもお伺いしたい。
○国務大臣(村山達雄君) いま自由円預金が少しふえておるということ自体、それは多少は関係がございますけれども、全般の中から言いますともうボリュームとしては問題になりませんから、むしろそれは結果であって原因ではないと考えております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 自由円の取り込みがかなり先だって来あったということは私ども気がついておりますし、恐らく大蔵大臣もそういう事態は考えておられたわけで、これは年度末の金融機関の考え方の若干の反映ではなかったかと思いますが、それについては、私の想像ですが、金融財政当局はかなりの行政指導をしておられて、それであの程度にとどまっておるということではないかと私の想像ですけれども考えております。これはしかし年度末の問題であったので、しょっちゅう起こることではないと考えております。
○矢追秀彦君 大蔵大臣ね、行政指導をされた結果、いま長官の言われるようにここまでおさまるのであって、それをしていなかったらもっと大変だったというような私は印象を受けたのですが、どの程度の行政指導を具体的にされ、その結果ここまで来たのか、今後これはどうされるのか、その点をお伺いします。
○国務大臣(村山達雄君) 御案内のように、増加枠を五〇%から一〇〇%へ上げたわけでございますから、それ自身一つの行政指導でやっているわけでございます。一方におきまして短期の債券の取得を禁止したわけでございまして、その方の影響の方がずっと強くあらわれてございますから、全体の短期資金の流出入を見ますと、流入ははるかに減っておる、全体としてですね。ですから、私は、自由円預金がふえたということについては全体としてはそれほど大きく評価することはないと思っておるわけでございまして、短資の規制については十分効果をあらわしていると、かように考えておるのでございます。
○矢追秀彦君 今後そのままですか。
○国務大臣(村山達雄君) これはまあ様子を見ながらいくわけでございますが、まずまず本来でありますと日本は内需を拡大するということからいいますと為替は自由化するというのがもう本則でございます。緊急避難としてやっているわけでございまして、いまのところこれ以上強化する考えは持っておりません。
○矢追秀彦君 次に、円問題で、対内といいますかの対策の中でいままでやられてきたことがまだまだ十分に効果を奏していない。その一つに差益の還元ということがございますけれども、これは私もしばしば指摘もしてきましたし、本委員会でもいろいろな方がいろいろな形で言われましたけれども、何かまだ国民の側から言うと十分でない。これもきちんとされますか。たとえば洋書は三百二十円です、まだ。この辺も含めましてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 円高の還元が不十分であるということは私どもも感じておりますので、これからも追跡調査をいたしてそれを公表することのほかに、その結果について行政指導をお願いいたしたいと思っております。洋書につきましては、これはもう矢追委員御承知でいらっしゃいますのでくどく申しませんが、自然にレートが反映するということよりは、価格が本国において決まっておるものでございますから、その上におけるこちら側の手数料等々を加算するという、普通ほかで行われていないような商慣習が確立しているようでございますが、それにいたしましてもレートの変化というものはもう少し私は反映してしかるべきものだと思っておりますから、私どもの方でももう少し行政指導をやっていきたいと実は考えておる一つの項目でございます。
○矢追秀彦君 総理、どうですか、差益還元は。
○国務大臣(福田赳夫君) 還元というのが実は非常にむずかしいのは、第一次製品ですね、これが輸入の八割、完成品の輸入は二割と、こういうことです。原材料になりますと、これは輸入が価格が安くなる、それを使っていろいろ製品をつくるので、回り回って最終製品は安くなりまするが、しかし為替が動いたからそれが直に反映するという性質のものじゃない。しかし、去年一年間以来ずいぶん円為替が上がっておりまするから、その影響はかなり出ておるのだろうと思います。現に、卸売物価ですね、これはもう前年比二%も低いと、こういう水準まで卸売物価の上昇率は来ている。三角の上昇率と、こういうことになっているのは、これはまあいろいろありまするけれども、為替の動きがかなり反映されていると、こういうふうに見ております。それから完成品につきましては、これは為替相場がぴんぴんとそれにあらわれてきていいはずであります。そこで、企画庁でも、ずいぶん商品につきまして調べて、そしてその様子によりましては行政指導するとかしておるわけでありますが、そういうふうに円高の状況がなるべく的確に国内価格に反映するようにこの上とも努力をいたしてまいる所存でございます。
○矢追秀彦君 これは総理にお伺いしたいのですが、私もしばしば質問いたしました、いわゆる緩やかなローザ構想といいますか、特に宮澤長官が非常に御熱心な構想ですが、大蔵大臣も賛意を表せられましたが、総理はどうですか。なかなかアメリカも同意しないというふうな報道等が出てきておりますが、総理はこの構想には賛成ですか反対ですか。賛成ならばどうやってできる方向に持っていかれるか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、ローザ構想どころの話じゃないんです、固定相場制論者なんですからね。ローザ構想なんていうのはなまぬるいぐらいに考えておりますが、ただし、固定制にいたせ、ローザ氏の提案にいたせ、そこまでいく環境条件というものは先ほどから申し上げているように整っていないんです。固定相場を決めた、あるいはターゲットを設けて変動幅を決めるというローザ構想を決めたとなりましても、実態が整っておらぬときにそんなことをしたら、これがまた決めたそのターゲットなりあるいは固定相場、それがまた投機目標になってアタックされるということになるので意味をなさぬのです。むしろ混乱を強化する、こういうことになっちゃうわけなんです。やっぱり基本は、私は、第一の経済大国であるアメリカ、第二の工業力を持った日本、またヨーロッパ、こういうところが本当に話し合って、そういう為替制がスムーズに動くような環境づくりをするということがこれはもう本当に先決だと思うのです。それまでの過程においてどうするかということにつきましては、手放しで、そして乱高下を放置していいということじゃございませんので、考え方の筋というか、まあ技術的、具体的な方法になりますといろいろこれは議論がありましょうけれども、中間的な何物かを考えなきゃならぬなあと、こういうことにつきましては私はそのとおりだと考えます。
○矢追秀彦君 宮澤長官、いまの総理の御答弁でどうお感じになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり総理大臣の立場におかれては、現在の国際通貨情勢を安定させることが先進工業国、アメリカを含めまして各国の首脳の共同の責任であるかどうかということについて日米首脳会談あるいは先進国首脳会議において共通の合意をつくっていただきさえすれば、総理大臣はそれに努力すると言っておられるわけでございますが、そういう場で首脳の合意ができますれば、それを土台にして技術的なことは私どもがいろいろ考えられると思いますので、総理大臣にはその部分をこれは一番ハイレベルのことでございますからお願いをいたしておるところでございます。
○矢追秀彦君 総理、いま固定相場論者だというふうなお話でございますが、ある程度世界の経済が安定すれば、固定相場制というものを、世界に、またもとへ戻そうというふうなことを言われるようなお気持ちがおありですか。いまの御答弁の決意といいますか、動きから判定しますと、大変強い信念をお持ちなように私は伺いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま世界の動きは、これは固定相場制に執着しているのはどうだろうというようなことで、それで変動相場制その他の方式、これもいいじゃないか、そういうものも国際的に公的に容認されていいのじゃないかというような動きになってきて、恐らく今度月末に開かれるIMFの暫定委員会あたりではそういう点も議論されると、こういうふうに思いますが、しかし、変動相場制にしてみて、あるいはその他のいろいろな方式を考えてみて、さあ経済がうまく動くであろうかということにつきましては、変動相場制について、もうすでにこの数年間にこれだけの実績が出てきておるわけです、その反省というものも私は出てくる時期がいずれあると思うんです。結局、私は、いろんな経験を経て、そうして落ちつくところは基準相場、それを中心としての上下の変動幅、これはゆとりを持つようにするにいたしましても、やっぱり固定的な為替相場方式、それが結局いいんじゃないかなと、こういうふうに考えられる時期がやがて私はやってくる、このように思うので、私の世界経済が落ちついた後は固定相場制に復帰したいなあ、それがいいなあという考えは機会あるごとに国際社会で申し上げてみたい、このように考えています。
○矢追秀彦君 それは総理が固定相場制に復帰されるお考えをお持ちになるのは自由ですが、私きょうの総理の答弁を伺いまして、だからこの変動相場制に対する対応というのがおくれてしまうんだなと。要するに、総理はそういう考えが非常に強くある、だからこういう変動の激しい事態に対する対処がおくれているんじゃないか、だから半年かかっても何もできていない、こう私は思ったんですが、総理、頭が固定相場制のごとくかたいのかなというような気もしたんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかくいま変動相場制で事は動いておるわけでありまして、その変動相場制の現実というものに即して、その日その日の政策、そのときどきのかじの取り方、これを進めなきゃならぬ、これはもう当然のことでありますから、私が固定相場制というものを腹の底に持っておるということで今日の対策が左右される、そういう性格のものではございませんです。
○矢追秀彦君 宮澤長官にお伺いをいたしますが、きょうのドルの動きを見ましても、このような状況で、先ほど私が申し上げたように、まだ円が高くなるという私は見通しを持っています。その場合、スイスフランだって、あるいはマルクだって容易ならざる事態になると思います。そうすると、やはりアメリカだけが問題になってくると私は思いますので、やはりECとの協力関係ということが大きなかぎになるのではないか、こう思うわけですが、アメリカと西ドイツの間は、日本とアメリカほどはそう白熱をしていない、対立点はかなりありますけれども、日本とアメリカのような形にはなっていないように私は思っているんですが、その点を含めまして、EC関係、そしてアメリカにどう対処するか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカと西ドイツとの間の経常収支の関係は、ここ二、三年むしろ西ドイツの方がマイナスでありましたのが、七七年になりまして黒字になった。しかし、それは十億マルク程度のことでございますから、いまのレートで言いますと五億ドルぐらいでございまして、そういう点ではアメリカから見て西ドイツとの貿易関係はわが国とはかなり違っておる、それは事実でございます。わが国の方が黒字幅がはるかに大きい。しかも、一年度だけでなく、ここのところ大きいという時代が続いているわけであります。けれども、米国と西ドイツとの間で、先般カーター大統領とシュミット首相が電話でやりとりをしたあの辺の経緯を見たり聞いたりいたしますと、必ずしも問題が満足裏に解決されたわけではないような印象を私は持っております。
 これは西ドイツの経済をもっとリフレートしてほしいというアメリカ側の気持ち、その問題以外に、当面のとるべき政策について十分満足な合意ができたとはちょっと言いがたいのではないかという感じを、いろんなソースから私は持っておるわけでございますから、したがって先進国首脳会議のような場合になりますと、恐らくやはり西ドイツとしても国際通貨の問題は取り上げざるを得ない立場にあるのではないかと私は観測をいたしております。その点ではわが国も同じようなことを考えておるわけでございますので、共通の基盤がございますけれども、ただ、いざ具体的な問題になりますと、ECとわが国、あるいはイギリスとわが国というようなことで、また必ずしも利害は一致しないという点が御承知のようにたくさんございますので、何かこう一緒に手を組んでアメリカにひとつどうこうということは、損得からいってどうだろうかという感じを私は一つ持っておるわけです。ただ、他方で、ECとわが国との間のその問題についての利害関係すら実は根本的に壊れてしまうというようなことがありましては大きな意味でよろしくないと考えましたので、先般のECとの交渉におきましても、ああいう形でお互いがともかくまあまあ妥結をしたということでございますから、そういう意味では事を構えないようにしておくことの方が、この問題の将来に――この問題と申しますのは、国際通貨の将来の安定に向かってわが国の国益に沿うのではないか、そんな判断でございます。
○矢追秀彦君 総理はいかがですか、この問題。
○国務大臣(福田赳夫君) 通貨安定という見地につきましては、これはアメリカと話をずっとしております。それはもうわが国として当然のことでありますが、同時に、これはヨーロッパ、EC、この国々とも協調する、これも当然しなけりゃならぬことで、結局、これは米欧で話が決まっただけでも片づかない、日米で決まっただけでも片づかない、日米欧、この三極、これがもう意見統一をしませんと国際経済は安定しない、このように考えておりますので、どこまでも、日米首脳会談はありまするけれども、もう終局の目標は日米欧、つまり私はいわゆる七カ国首脳会談を成功させたい、これが当面の目標である、このように御理解願います。
○矢追秀彦君 いまの総理の御答弁だと、七月ですか、この首脳会談にかなりをかけておられるように思います。したがって、そうなりますと、この五月三日の日米首脳会談というのは、むしろ通商問題はある程度にしておいて、そのほかの問題、まあごあいさつ程度というのか、その中身をもう少し詳しくお伺いしたいと思うんです。特に通商問題についてはどの程度の話をされるのか。先ほどいろいろ言われたような問題はきちんとお出しになるのかどうか。そうすると、この次に先進国の首脳会議においては、それまでに五十三年度予算が動き出して、かなり国際公約と言われておる七%成長、六十億ドルの黒字幅に減らす、こういった点は見通しがついた上で行かれようとされておるのか、また、その自信がおありなのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 年一回の日米首脳会談でございますから、これはどの問題に集中するというような考え方はいたしておりません。また、今回の日米首脳会談におきましては、いわゆる懸案解決という、そういう必要な問題はないわけなんです。とにかく世界はいま何が問題であるかというと、通貨、貿易、そういう経済問題ですね、これが大きな問題であり、その問題を中心として七月にはサミットが開かれる。そのサミットは成功させなきやならぬ、そういうことでありまするから、これは世界の経済をどうするかという立場の話、これは相当私は日米会談でも出てくるだろう、このように思います。
 しかし、それだけに限らないアジアの政治、経済というような問題もありましょう、中東の問題もありましょう、その他各般の問題が出てくるわけであります。とにかく、わが国の世界に臨むその立場から言いまして、日米の関係というものは非常に基本的な性格のものでありまするから、年に一回ぐらいは両首脳が会談いたしまして、各般の問題について意見を交換し、意見の調整をしておくことが必要である、そういうふうに考えておる、その立場の会談でございます。
○矢追秀彦君 通産大臣、お見えになって早々恐縮ですが、先ほども質問いたしましたカラーテレビの輸出問題、七二年にさかのぼってこのダンピングについて大変な要求をしてきております。これについてどう対処されるのか、これがまず第一点。
 次に、インフレがアメリカにおいて進行しておりますので、日本が秩序ある輸出を言っても、依然としていま日本の強い輸出製品はまだまだ伸びる、その結果また円高が続くと私は見ておりますが、その点、この二点についてお考えをお伺いしたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 例のテレビの問題についてのトラブルでございますが、最近あわただしい動きが出てまいりましたので、いま日本側でいろいろ対応策を検討を進めております。先方の計算方法等に当方といたしましては納得しがたい点が多々ございますので、そういう点を詳細に詰めておるところでございます。それを待っていろいろと折衝を開始したいと考えております。
 それから、対米輸出の問題でございますが、もうすでに御案内のように、鉄とかテレビなどは若干数量が減りつつございます。問題は自動車でございますが、これも各社の輸出の計画を聞きまして、激増しないようにいま指導をしておるところでございます。御案内だと思いますが、一−三月は、昨年の一−三月が非常に少なかったものですから、ふえておりますけれども、いま対米輸出の基本的な方針は一年間を通じてほぼ昨年と横並び、五十二年度と横並びと、こういう基本方針をいま堅持をしております。でありますから、月によりまして多少のでこぼこはございましても、年度間を通じてはそういう方向で数量横並びの線で指導したいと思っております。
○矢追秀彦君 これは大蔵省と通産省、両方になるかと思いますが、昨年の十月に決められました円高対策について、まず国内の企業に対する緊急融資、国民金融公庫それから中小企業金融公庫、これの申し込み件数、融資件数、融資金額。さらに二番目としては中小企業の認定、業種認定、産地業種認定、個別認定、これの資料をお示しいただきたいと思います、現在までどのようになってきておるか。
○政府委員(徳田博美君) 円高関連の融資の実績でございますが、五十三年二月末現在におきまして、国民公庫におきましては申し込みが三千十五件、百十八億円でございまして、これに対しまして融資の実績は二千二百五十三件、七十四億円でございます。それから中小公庫は、申し込み状況は千百八十二件、百九十五億円でございまして、融資の実績は七百六十八件、百二十八億円でございます。
○政府委員(岸田文武君) 円高法に基づく認定の件でございますが、まず業種としましては、当初全国業種百八を指定をいたしましたのに対して、先般十八業種を追加をいたしました。それから産地業種につきましては、当初十七産地を指定しましたのに対して、先般八産地の追加をいたしたところでございます。これらに基づく具体的な認定の実績でございますが、三月七日現在で約三千件になっております。
○矢追秀彦君 両大臣にお伺いいたしますが、まず最初の緊急融資ですが、これも私自身のところへも来られながらも、融資条件でいろいろ折り合いができなくてなかなかスムーズにいっていない。もちろん全然だめなところに融資をするのもこれは問題があろうかと思います。私はめちゃなことを言っているのではなくて、やはりこの申し込み件数に対する融資というのはまだまだ少ないわけでして、それだけ企業は大変困っておる、こういう状況だと思います。また、現実にきょうのように二百十八円台に突入をしておりますと、これがふえてくる可能性が出てまいりますので、この条件の緩和、もっと親切に推進をしてもらいたいと思いますが、この点まずいかがですか。それから利息の問題も含めてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 昨年の十月のときは御承知のように行政措置でもって六・二%、それから四年目以降六・七にしたわけでございますが、今度法案が通りまして、それで十月にさかのぼりまして六・二%の分は五・五%、それから六・七の分は六・二%にいたしたわけでございます。しかも融資枠の限度外二千万、五百万というのは働いているわけでございますから、今度のさかのぼって金利を改定したことによりまして急速に対応できるのではないか、このように思っておるところでございます。もう少し様子を見まして、さらにどういう点で行政指導が必要であるか、その点は検討してまいりたいと思っております。
○矢追秀彦君 国民金融公庫の方が中小公庫と比べますと希望に対する融資額が少ない、件数も少ないわけです。それだけ国金を使う人の方が零細が多いわけですから、こちらの方がむしろ進んでいいと思うんです。中小公庫の方がかなり金額も大きいということは、企業の方も力があるということになるわけですから、この国金の方がもう少し進まないのかどうか、その点いかがですか。
○政府委員(徳田博美君) 先ほど御説明申し上げました申し込み件数と融資の実績のずれはもっぱら審査に要する日数の関係でございまして、大体、お申し込みに関しまして否決というのはほとんどないわけでございます。また審査日数も一般の融資の場合に比べて非常に短縮しておりまして、たとえば国民公庫の場合には、一般は三十日近くかかるわけでございますが、円高緊急融資は二十日程度で審査を終えております。中小公庫も同様でございまして、普通の融資の二分の一ぐらいの日数でやっているわけでございまして、こういう意味で緊急、なるべく早急に行うようにいま行政指導をしております。
○矢追秀彦君 いまそう言われますが、現実にはまだまだ借りられなくて困っている人もたくさんあるわけですから、大臣、これはひとつよろしくお願いしたいと思います。
 通産大臣、いまの認定の問題ですけれども、いろいろおやりにはなっておりますが、それ以上に対外攻勢、外圧が厳しい状況であると思います。ただ、もちろん認定をふやし、融資をし、やることも必要です。これはやらなきゃなりませんが、もう少し長期展望に立った積極的な対策というものにならないのかどうか、その点はいかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 今回の円高緊急対策法、一月、非常にスピーディーに御審議をいただきまして、緊急に成立をさしていただいたわけでございますので、この申し込みがありますと、できるだけ急いで結論を出すということにいたしておりますが、実は、中には、いま御指摘がございましたように、二、三おくれておるのではないかという、そういうことを御注意を受けたこともございます。それでいま、果たしてそういうことがあったのかどうか、あったとすれば一体どういう原因なのかということをいま調査をいたしまして、全体といたしましてスピードアップするように指導してまいりたいと考えております。
 それからなお、この一月に成立いたしました円高対策の緊急立法は、二百四十円という水準を背景にして決めていただいたわけでございますので、現在の水準と大分事情が違っております。そこで、いま至急に事情を全国的に調査をしておりまして、もう近々結果が出てまいりますので、その結果いかんによりましては、さらに融資の条件等につきまして関係者の間で相談をしていかなければならぬと考えております。
○矢追秀彦君 次に、財政問題に入りますが、まず、しばしば問題になりました財政収支試算、五十七年度までに赤字国債の脱却、これは結局は歳入増、これが柱となっていると思いますが、そう理解してよろしいですか。
○国務大臣(村山達雄君) 一般的な負担の増加も避けられないところであると同時に、歳出につきましてもできるだけ効率的にやっていくという両方の趣旨が含まれておるわけでございます。
○矢追秀彦君 いや、政府が目指しておるのは大体ケースCですね。そうなりますと歳入増が主体ですね。
○国務大臣(村山達雄君) 御案内のように、歳出の方もたしかあれは両年度を通じまして一三・五ぐらいじゃなかったかと思いますが、それぐらいの伸びを予定しておるわけでございますから、歳出についても相当、ことしは二〇・幾らでございますから、相当詰めておるということでございます。
○矢追秀彦君 なかなか本当のことを言われない。実際は、Cケースというのは歳入をふやして、歳出はもちろん減らしますけれども、歳入増というのが主体となっていることはこれはもう明白であるわけです。したがって、問題は、自然増と増税ということになってくるわけですが、過去の経済成長率から見まして、ことしは七%、これは臨時異例の予算ということで七%。しかし、総理の考えておられる大体六%台ということになった場合、自然増収というのはそうそうたくさん見られない。というと、残るのは増税と、こうなるわけで、いろんな議論がされてきておるわけですけれども、その前に、私はこの増税の前の問題として弾性値の問題をちょっと取り上げておきたいんですけれども、政府はこの収支試算でいきますと弾性値は一・二と踏んでおられますが、過去の弾性値の経緯、これをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) 当委員会で他の委員にもお答えいたしましたとおり、四十年代前半のいわゆる高度成長期では、平均いたしまして一・四程度でございます。最近の景気回復がばかばかしくないという状況のもとでは、おおむね一前後というのがいままでの経験でございます。
○矢追秀彦君 それを一・二とされた理由はどこですか。
○政府委員(大倉眞隆君) これは弾性値というのは年ごとに非常に振れます。高度成長期平均一・四程度と申し上げましたが、その中でも一番高いときには一・八六というような年がございますし、低いときには一・二という年もある。また最近でも〇・九という年もあるし、大体一ぐらいという年もあるということでございますので、将来を予測いたしますのは非常にむずかしゅうございますが、やはり五年間としては一応の平均値で予測する以外にない。そうしますと、いままでの経験からしまして、一・四であった時期、また最近大体一程度という時期をなで回す、両方をにらみまして、今後の予想される名目成長率が平均一二程度ということになっておりますので、いわば間をとって一・二という弾性値を用いて収支計算をいたしておるわけでございます。
○矢追秀彦君 五十一年度は〇・九四です。五十二年度はまだこれは答えが出ておりませんが、大体いままでのいろんな様子を見ますと私は〇・九四までいかないのではないかというふうな気がするんです。まあ〇・七、よくて八ぐらいじゃないかなと思いますが、その点の見通しはいかがですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 五十二年度の税収はまだやっと二月末が出たところでございまして、本日発表できると思いますが、なお三、四という二カ月を残しております。しかし、いま私どもが受けております感じから申しますと、心配いたしておりました申告所得税が、いろいろな聞き取り、速報などによりますと、ある程度順調のようでございますので、第二次補正後の税収というものは確保できると思います。若干プラスになるかもしれません。そういう状況を前提にして弾性値を計算いたしてみますと、五十二年度はこれまた国民所得統計の方のGNPも確定しないんで、両方がわからないんでございますが、それを前提にしますと、まあおおむね一・〇二という計算が一つございますから、大体一程度という年であったのではないかと思います。
○矢追秀彦君 宮澤長官はどういうふうにごらんになりますか、この問題。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはいまその方の専門家の大倉主税局長が言われましたので、私からそれにつけ加えることはございませんが、少し先のことまで考えまして一・二というぐらいが相当かどうかということでございますが、まあそのぐらいな経済運営になりませんと実際困るわけでございまして、まあ一あるいは一を割るというようなことは多分これから二、三年あるいは三、四年の経済運営の中ではそういうことではあるまいと、一以上に、一・四になるとも思えませんけれども、一以上になるというふうに主税局長が言っておられるのは、私はいいところを見ておられるのではないかと思います。
○矢追秀彦君 仮にいま主税局長の言われた五十二年度が一・〇になったとして、五十三年度が臨時異例の予算で公共事業拡大で仮に景気が少しよくなったとしても、まあ一・二ぐらいまでいくかなと私は思うんです。その後は、総理のお考えだと六%成長、ことしは臨時異例の予算を組んで、地盤が沈下しているから勢いをつけるためにうんと上げる、その後はなだらかな成長にすると言うんですから、昭和五十三年度末における税収がどうなるか。その弾性値が仮に一・二とした場合、それ以上は五十四年度、五十五年度というのは私はいかないように思うし、それいったらことしよりより高度成長になるわけですから。総理のお考えだとそうはしないわけですから。ことしは臨時異例なんでしょう。そうなりますと、私は一・二というものも大変むずかしいのではないか、こう思うのですが、その点、宮澤長官、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○政府委員(大倉眞隆君) お答えをいただきます前に、五十三年度の税収見込みでございますが、ただいま御審議を願っております予算は、いわゆる五月取り込みとそれから増税が入っておりますので、自然増収ベースで言われます弾性値で見ますと実は一を切った見通しになっておりますので、そのことだけちょっと申し上げておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、私どもの考えでは、五十三年度はいわゆるつなぎの年であって、五十四年度以降経済の自律的な多少の拡大均衡へつながる、そういうふうにしたいと思っておりますので、そうなりますと弾性値は多少はいまより上がってくると考えても恐らく間違いではない。確かに矢追委員の言われますように、しかし成長率そのものが仮に七%台から六%台に下がるではないかとおっしゃいますが、そういうふうに考えていますけれども、しかし、それは成長の内容によることでありまして、一ポイントぐらい成長率が低くなったから、したがってそれらの弾性値は低くなると即断する理由は恐らく私はないのではないかと考えますから、結論としては先ほど申し上げたようなことで、いいところを見ておられるというふうに私は主税局長の御説明をいま承っておったわけであります。
○矢追秀彦君 私はこの弾性値一・二、これもむずかしいのではないかと思っております。また、いま長官が言われたような経済成長率と必ずしも一致しない点、また、いま主税局長の言われた、五十三年度についてはその増税というのがありますから変わってきます、そういった点で一・〇ぐらいというのも承知した上で聞いておるわけですけれども、それはそれとしておいて、仮に一・二ができたとしても、この財政収支試算のケースCでは、この一・二でやっておいて、なおかつ必要税収というものをそれに見込んで五十七年度で赤字国債の脱却と、こういうことになっておるわけですから、またこれもむずかしい、よりむずかしくなると、こういうふうな私は判断を持っておるからこれを聞いておるわけですが、大蔵大臣、このケースC、これはまあ試算ですからそういうふうな措置を決めたと私は言いませんけれども、いままでの政府答弁から聞いていると、大体このケースCを目指しておるということははっきりしているわけですから、この弾性値一・二を考えて、さらにその上の必要増収額を各毎年度ずっとこう積んでおられますね、この表に見られるように。その点はいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) この試算の性質でございますけれども、何遍も繰り返して申し上げますように、中期的に現在の経済計画に一体整合性が持てるかどうかということをやっているわけでございます。財政事情から申しますと、いまの財政状況の改善をしなくちゃならぬのでございまして、特に特例公債から早く脱却したいということで、五十七年で脱却するという試算をつくりましてもなお中期的な経済政策による整合性があると、こういうことを実は試算で論証しているわけでございます。ですから、毎年毎年どうするかというのは、これはまあ別問題でございまして、われわれが言っておるのは、それはそのときそのときで現実の財政政策は違ってまいり、このとおりいくとは言いませんけれども、中期的には可能な路線であると、こういうことを言っておるわけでございますので、そういうふうに御理解願いたいのでございます。
○矢追秀彦君 来年度から一般消費税導入、私はこれは無理だと思いますし、政府もいろいろないままでの御答弁から見ますとできないような感触を受けます。ただ、いつかはやらなきゃならぬと大臣はこの前も分科会でも御答弁されておりましたので、いつかはとは思いますが、いま言われた五十七年度脱却で、各年次はこういろいろ変動がありましても、要するに五十七年までにはそれをやってしかも脱却ができる可能性というのは、私は来年がもしスタートできなかったらこれはできないと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 来年やるかやらぬかという話なんでございますが、まだ来年のことは実は経済の状況がどうなるか、それからまた一般消費税だけの問題でなくて既存の税についてどのようにやるか、それはそのときの経済情勢に応じて考えるべきことだと思っておりますので、まず来年は何にもやらぬのだということは考えていないということを申し上げておきます。
 それから仮定の問題として来年一般消費税その他負担を求めない場合にはどうなるかということになりますと、それはやはりおくれるわけでございまして、いよいよ財政の再建あるいは健全化が非常に苦しくなる、あるいは所定期間内に同じことをやろうとすれば、やはり負担増なりあるいは歳出の削減というそれが非常にきつくなってくると、こういうことを意味しているだろうと思います。
○矢追秀彦君 これは総理にお伺いしますが、大体ケースCで財政運営をやろうというお考えですが、私はこのケースCが非常にむずかしいと、こう思うのです。そうなりますと、結論的に申し上げますと、これは大変よくないことです、恐ろしいことでありますが、ケースAにならざるを得ないのではないか。要するに、ことしの五十三年度予算がどう動いてどうなるか、これで力がつけばよろしいですが、私は現在の環境からいって非常に活力のある経済状態にはなるとは考えられません。雇用の問題もあります。また、インフレが出てくる可能性も、いまの株式の動き、あるいは過剰流動性の動き、これで私はインフレを心配しております。ことしも上がってきております。そういうようなことで、いわゆる活力があって自然増収がうんとふえるようなそういう状態になっていくならばある程度のケースCへの移行も可能かと思いますが、これは私は非常にむずかしいと見ています。そうなると、残念ながらケースAにならざるを得ない。その方が政府も楽なんです。一つは財政インフレになります。そうすると、円高は、これは円が安くなるわけです。そういうプラスが一つ出てきます。それからもう一つは、インフレにしておいた方が将来赤字国債を償還する場合も十年先に楽になると、こうやっちゃならぬことですけれども、好むと好まざるにかかわらずケースAへの方向が出てくるのではないか。そういう意味では、来年度の五十四年の予算編成というのは大変むずかしい。しかも、予算編成はもうすでに夏ごろには各省から概算要求が出てきます。年末になって初めて経済見通しが立てられてそれをいろいろ調整するわけです。それはただ単にもう金額をどう上げるか下げるかというだけの話であって、いわゆる産業構造の基本をどうするか、財政運営をどうするか、総理の言われるようないわゆる軟着陸、あるいは安定成長へこのトンネルを抜けた後どうするかというようなことが五十四年度予算編成の過程で大変むずかしい。そこまでは踏み切れないと思うのです。そうなると、やっぱり五十四年度も臨時異例のままでまた進む。五十五年度、五十六年度、五十七年度、結局残念ながらケースAに行かざるを得ぬ、こういう私は見通しを持っているんです。そうしちゃならぬのですよ、ならぬのですが、このままほうっておくとそうなる。それに対して総理はどうお考えなのか、どう対処されるのか。特に来年度予算編成というのは私は正念場になると思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の経済の将来に対して大変暗いお見通しに立っての御所見ですが、私はそう暗いとは見ておりません。もちろん世界経済の中の日本経済でありますから、世界が大混乱になるというような際におきまして日本の経済がどうも混乱を避けて通るというわけにいかないかもしれませんけれども、少しぐらいの世界の混乱、そういうものは排除して工夫いたしながら日本経済の成長ということは実現することが私はできると、このように考えておるわけです。そういうことで、時間的に若干のあるいはずれが積極的にあるいは消極的に出てこないとも限りませんけれども、私は日本の置かれておる立場といたしまして世界の経済が安定するというために最大限の努力をしてみたいと思うのです。その上に立ちましてわが国の経済をながめてみますると、施策を間違いなくやっていきますれば、私は日本の経済というものは実質六%程度の成長、これが実現する、これは私は不可能なことではないと、このように考えるわけであります。多少のずれが、あるいは繰り上がるか繰り下がるか、それは多少のことはあると思いまするけれども、これから先々多少の世界の混乱がありましても、大きな混乱がなければそれを排除いたしましてわが国が六%成長を実現するということは私はそうむずかしいことじゃないと思うのです。
 いま、ケースAというふうに行くのじゃないか、またそれがいい面もあるのじゃないかというようなお話がありましたが、これは私はしばしばここで申し上げておることでありますが、財政というものは要するに国家社会を運営する上の手段であります。これは最終の目的とは考えておりませんけれども、この財政の運営を一歩誤りますると、これは国家秩序に大変な問題を投げかけるわけであります。つまり、インフレ問題とつながってくるわけであります。これを起こしたら、これはもう大変なことでありますから、それを起こすというようなことがあってはならない。いま積極財政を進めておりまするけれども、これは日本の経済がインフレ化するというようなことになれば景気のことなんか考えておるわけにいきませんよ。これはインフレをとめるということを考えなけりゃならぬ。そういうことになるので、いわゆるケースAに移行することが一面においていい面がある、いい面がありそうだなんというようなそんな考え方は絶対にいたしておりませんから、インフレは断じてこれに陥らないように日本経済を守り抜く、これは不動の決意でございます。
○矢追秀彦君 私はいい面と言ったのじゃないんですよ。誤解せぬといてくださいよ、総理。要するに政府が楽をしようと思えばAにしておけば楽だという意味で言っているだけであって、私は何もインフレがいいとか、Aになったらいいとか、Aを憂えるからです。しかし、このままいったらそうなる可能性が十分ある。いま総理は絶対やらぬとおっしゃいましたが、じゃそれをやらないための具体的な財政のあり方、これはどうお考えなんですか。ということは、Cということで増税ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ何といたしましても経済をよくするということ、これがかなめです。経済あっての財政でありまして、経済がめちゃめちゃになったその上にいい財政が成り立つはずはありません。ですから、経済をよくする。しかし、よくいたしましても、私は国民負担の増高、これを避けて通るということはできないと思うのです。ですから、国民にある程度の御理解を賜らなきゃならぬ、そして負担の増加、それに協力願わなきゃならぬというふうに存じます。しかし、同時に、政府におきましても、いままでのような財政規模の膨張、高度成長型の膨張、これに対しましてよほど思い直しをしなけりゃならぬだろうと、このように考えておりまして、歳出の膨張を抑止しながら歳入財源につきましても国民に理解を求める、その増高を求めるということを精力的にやっていきますれば、大体ケースCの線で行けるのではないかと思いまするし、それをやってのけるほかにはないのではあるまいか、そのように考えております。
○矢追秀彦君 総理、しばしば総理は、全治三年論とか、あるいは五十年代前期経済計画を立てられて軟着陸であるとか、あるいはことしについてはいまトンネルであると、トンネルを脱出して何とかして安定成長へと、いろいろなことを言われましたけれども、全部外されてきているんですね。総理の言われた大蔵大臣当時、経済企画庁長官当時、あるいは副総理当時、全部実現をしていない。総理大臣でなかったからやむを得ないというか、それをたとえ天引きしても、今度総理になられたんですから私はある程度期待をしておったのですが、ことしも臨時異例の予算ということでまた総理の本来のお考えとは違う予算ということだと私は思うのですよ。来年は少なくもすっきりした形のものが出て総理のいままで言われていたお考えが集約された形で出てこないと、総理がいままで経済の専門家、いわゆる経済総理として国民が期待をしておったのを、もういま裏切っているんですよ。だから総理の人気が落ちて二五%になっておるわけですけれども、これはますます落ちることは間違いないし、落ちるのは構いません。しかし、日本経済がおかしくなることの方は私は問題だと思うわけです。そういうことで、五十三年度が臨時異例なら、五十四年度は総理の理想とする方へ持っていかれるのか、それはこの夏ごろまでにある程度の経済の動向を見た上でやられるのか、宮澤長官はトンネルの中ですでにもう次の経済計画を考えなくちゃいけないということを発言されました、この間分科会で。総理はどうも答弁を聞いていますと、トンネルを抜け出た後考える、とにかく脱出だと、出た後考えるんだと、こうおっしゃっているわけです。その点いかがですか。来年度予算編成はきちんとしたものが出ますか。そして、いま言われたCケースへ向かっての芽といいますか、方向への転換が可能なんですか、その点いかがですか。これは長官と両方伺います。
○国務大臣(福田赳夫君) この数年間経済失政だと、こういうお話ですが、私はそうは思いませんがね。例の石油ショック、あれからの立ち上がりなんかよくひとつ調べてもらいたい。これは世界でこんなすばらしい立ち上がりをしてきた国はほかにどこかありますか。そのくらい私はすばらしい立ち上がりであったと、こういうふうにも思うのです。ただ、世界が、とにかくどこの国をとらえてみたって、そうはかばかしい状態にはいっておりません。そういう中の日本の経済でありまするから、これは国内から見まするといろいろ御不満もありましょう。ありましょうが、しかし総体的、国際的の苦しい中では、私は日本の社会というものはかなりいいところを歩んでおると、このように見ておるわけであります。
 それに関連して、ことしはどうなるかと。私は言っております、トンネルの出口が見える、そういう年にぜひ本年度はしてみたい、こういうふうに思い、またそういけると思うのですがね。その過程において、トンネルを出た先のことを考えずにやっているのじゃないかというような御感触のお話でございますが、そうじゃないんです。施政方針演説でもちゃんと皆さんに申し上げている。トンネルを出た先は、われわれがかねて主張しておるところの安定社会だと。高度成長社会じゃありません。成長の速さ、高さ、これは鈍化するかもしれませんけれども、落ちついて、より静かで、つり合いのとれた社会、そういうものを目指すんだと。まあ景気政策をとっておりまするけれども、その過程においてそういうことをにらみながらいろいろ手を加えつつやっておるんだということを申し上げておるわけであります。これすなわち軟着陸と、こういうことになるわけでありますから、そのように御理解願います。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の石油危機後の対応は、いつぞやも申し上げましたが、私はかなりすぐれておったというふうに考えます。世界的にもほぼそう認められておるのではないかと思います。もちろん問題は残っておりますけれども、りっぱに対応したと言ってよろしいのではないかと考えています。
 それから少し先の中長期のことでございますが、トンネルを出てどういう景色になってくるかということがなかなかわかりにくいわけですけれども、ことし七%の成長は私ども可能だと、やりたいと思っておりますので、その途中ぐらいの段階からやはりトンネル後のことを少し考えておかなければならないというふうに思っておりますことは先般申し上げたとおりでございます。
○矢追秀彦君 総理、いまその軟着陸ができておるんだと言われますが、そうするためにも、これは今後の五十七年に特に赤字国債をなくさなきゃならない大変な命題があるわけですから、要するにいま走っている中から変えなくちゃいけないわけでしょう。変えていないじゃないですか、現実に。だから、私は、来年度予算編成できちんとしたものが出ますかと聞いているわけです。それはいろいろな施策をやることによってできてくると思いますけれどもね、きちんとした形で。そのためにも、私は、五十年代前期経済計画は変えなきゃいかぬと思います。徹底的な見直しが必要だと思うのです。そのことも含めまして、総理、いかがですか、再度。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、いま景気問題に取り組んでおりますが、その景気問題に取り組んでおる過程におきましても、先々一体どういうふうに日本の社会を誘導するんだと、こういうことにつきましては、これはもう本当に目を配ってやっておるわけであります。中長期と申しますか、御承知のようにいまこういう際でありまするけれども、新しい全国総合開発計画を立てて、そうして十カ年の展望をにらみながら国政の運営に当たっていくとか、あるいは一昨年策定いたしました五十年代前期五カ年計画、これは多少ずれが出てきておりまするけれども、あれはこれからの社会を展望してやはりああいう考え方で国づくりをやっていかなきゃならぬだろう、そういうふうに考えておりますので、あれを基軸といたしましてこの中期展望にさらにさらに厚みをつけていく、そういうふうにいたしますとか、いろいろやっておるわけであります。私どものやっておりますところをひとつ十分御検討願って御批判を願いたい、このように存じます。
○矢追秀彦君 宮澤長官のこの間分科会での答弁というのは、総理とはちょっとずれがあるように思うのですけれども、経済計画庁、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 五十年代前期計画で定めております私どもが五十年代の半ばごろまでに達成したいといういろいろな目標そのものは、私は恐らくトンネルを抜け出ましてもまずまずやはり掲げるべき目標だと思っておりますので、そこの基本を大きく動かす必要はないのではないかと見ておりますが、しかし、裏づけになりましたいろいろの計数等々は、先般の試算でも御存じのとおりかなりずれてきております。ことに、この計画は五十五年までということに一応なっておりますので、五十四年度の予算編成になりますともう一年しか先がないという感じのものになりますので、その辺のところは少しことしの経済の運営を見ながら先を考えていく必要があるかなと思っておりまして、せんだって申し上げましたのはそのような趣旨でございます。
○矢追秀彦君 最後に、簡単に消費者金融についてお伺いをいたします。昨年十月の本委員会で私が消費者保護の立場から指摘をいたしましたいろいろな問題、これにつきましてその後どのようにされておるのか、これは各省からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 消費者金融につきましては、民間の金融機関にその種のことを始めるようにいま行政指導をいたしているわけでございまして、これもいま具体的にもう二、三行始まったところでございます。進学ローンを含めますと、さらにだんだんその機運が出ているところでございます。金利は御案内のように大体九%とか一割とかいうあたりが中心でございますが、先般の三月二十五日において消費者金融の金利を引き下げる方針が関係閣僚会議で決定しておりますので、今度の公定歩合の引き下げに伴う金利の一般的な低下傾向を見ながら、さらにこれを引き下げる方向で今後指導してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○政府委員(山口和男君) 割賦販売条件につきまして昨年十月にこれを改定いたしまして、さらに金利等につきましても、手数料等につきましても、昨年九月、十月ごろに一連の引き下げが行われまして、自動車、家電等について条件の改定が行われたわけでございますが、その後の状況を見てまいりますと、十月には自動車は前年同月比で六・二%の売り上げの伸びを見せておりますが、その後は再び低迷をいたしておりまして、前年同月に比較いたしましてむしろ減少ぎみでございます。また、家電につきましても、やはり横ばいないしは減少ぎみに推移いたしております。こういった状態でございまして、この効果を見まして効果はあったものと思われますけれども、計量的には必ずしも効果を十分把握できるという状態にはなっておりません。その後公定歩合の引き下げ等もございまして、銀行貸出金利の引き下げ等もございますれば、資金コストの低下に対応いたしまして手数料の引き下げに反映させるということが望ましいと考えておりますので、そういった方向で所要の対策をいま講じつつあるところでございます。
○政府委員(橋口收君) 消費者金融の利率の表示の問題につきまして昨年御質問をいただきましてから今日まで実態調査を継続いたしておりまして、業界団体からのヒヤリングはおおむね結了いたしまして、今週から個々の事業者、特に東京地区の事業者につきまして直接実態の調査をいたしてみたいと考えております。さらに四月の中旬以降は書面調査ということで相当広範囲に事業者につきましてアンケート調査をいたしてみたいと考えております。
 この前御質問がございましたように、比較的長い長期の割賦金融につきましては金利表示の問題についての結論は出しやすいのでございますけれども、十月でも矢追先生から御指摘がございましたような比較的短い消費者金融、たとえば十回払いというような短期の金融につきまして実質的な金利表示をさせるためには一体どういう方法があるか。たとえば日歩とか月利とかいう表現もございますから、そういうものとの関連におきまして単にアドオンを実質金利に計算し直すということだけでいいのかどうかという問題も含めていま検討いたしておるところでございまして、私どもの気持ちといたしましては、不当景品類及び不当表示防止法の第四条第三号という規定がございまして、これは現在清涼飲料剤につきましての無果汁表示とかあるいは原産国表示等につきましてすでに措置をいたしておる規定がございますので、この規定に基づきましての指定を将来検討するという含みでさらに実態調査を深めてまいりたいというふうに考えております。
○矢追秀彦君 全般として、もう五カ月もたっているにもかかわらず、余り進んでおりません。金利の問題についても、公定歩合が下げられたのでこれから検討するというような状況ですから、少しは前より下がったことは認めますけれども、まだまだ消費者の納得するようなものではありません。この点を再度御答弁をいただきたい。それはまた、今後下げられる方向ですが、利息制限法との関係においてどうなのか。それ以下の金利になる可能性があるのかどうか。それからいまアドオンについてもう五カ月もかかっていまのような状況で、まだ結論が出ていない。これはもう早急に、このアドオン表示をどうするか、きちんとしていただきたい。さらに六省連絡会議、これは総理にお伺いするのが一番いいと思うのですが、六省連絡会議はいままでどれくらい開かれて、それからどのようになったのか、これはどなたか関係当局からお伺いしたいと思いますが、監督官庁がはっきりしていないところが最大の問題点です、その点をきちんと決められたのかどうか。決められなければそれは怠慢ですし、早急にやっていただきたい。その点はいかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) いま矢追さんおっしゃったことは二つあるのじゃないかと思うのです。一般の金融機関の消費者ローンの問題と、恐らく言われたのはサラ金の問題を言われておるのじゃないかと思うのでございます。先ほど私が申しましたのは、一般の金融機関の消費者ローンの話をいたしたのでございまして、その点につきましては昨年二回にわたって引き下げが行われたわけでございますし、公定歩合の引き下げに伴いまして関係閣僚会議で金利の引き下げを消費者ローンを下げるという方向について決定しておりますので、また事実公定歩合の引き下げに伴いまして貸出金利が一般的に追随してまいることは当然でございますので、われわれはその線に従いまして行政指導を加えながら妥当な線まで下げたい、このように思っておるところでございます。
 第二段のいわゆるサラ金の問題でございますが、実はいま実態調査を関係閣僚会議でまず急ごうということで、それに伴ういろいろな問題をいま鋭意検討しているところでございます。御案内のように、この問題は、一つは利息制限法の問題と出資等の制限に関する問題のあのちょうど中間がグレーゾーンになっているわけでございまして、出資法を超える場合にはいろいろな刑法上の問題がありましてやっているわけでございますが、グレーゾーンの問題につきましては、いわば自由営業の分野になっているわけでございます。しかもまた判例もあるわけでございまして、利息制限法を超えた分については元金に充当できるということになっているわけでございます。したがいまして、一方におきまして私たちがいま考えておりますのは、金融機関につきましていわゆる消費者ローンというものを拡大することによって、そしていわゆるサラ金に求める人たちの分野をだんだん縮小していくということが何といっても基本的な方向であろうと思うのでございます。しかし、同時にまた、サラ金の問題は、一種の自由営業として、あるいはそのニーズに従ってできているわけでございまして、その間、先ほど申しましたいろいろな問題を出しておりまして、場合によりますと暴力団と関係しているというような問題もあるわけでございます。したがいまして、取り締まりの問題、あるいは違反の摘発の問題、さらには暴力団の問題、こういったものを総合的に考えねばならぬ。その基本としていまの法律制度をどうするのかという問題が最後にはどうしても行き当たる問題になろうかと思うわけでございまして、そういった諸般のいろいろな問題を含んでいる問題でございますので、目下それらの問題点を関係省庁の間で何回か会合を開いて、それを洗い出しつつ、同時にまた実態調査をどういう角度から進めていくか、それを鋭意検討しているところでございます。
○矢追秀彦君 通産大臣、アドオン表示ですね、これはどういう方向でやられますか。現実はなくなっていないし、いま公取委員長が言われたとおりですが、これから短期のものはまだ渋っておられるように思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) アドオン表示の問題も含めまして、私は、消費者ローンの条件を改善するというこの大きな課題、これは個人消費の拡大という面からぜひ必要だと考えております。先般、関係閣僚会議で内需拡大問題を議論したわけでございますが、その際もこの消費者ローンの条件の改善ということを私からも強くお願いをしたわけでございますが、その一環としてアドオン表示の問題、この問題は依然として残っておるわけでございますが、関係省庁の間で至急に相談をしてその方向を明らかにしていきたいと、こう思っております。
○矢追秀彦君 総理、時間ですからこの問題はこれで終わりますけれども、五カ月たったんですよ、私が指摘してから。何にもできていないです、極端に言いますと。まず監督官庁をしっかりしてもらう。いま法改正の必要があれば法改正も含めて早急にこれは検討してもらわなきゃならぬと思う。
 それからサラ金あるいは消費者金融、信販会社等ですね、いろいろ問題はありますけれども、特に私は総理府のこの間出てまいりました貯蓄動向、そこを見ましても、やはりローンがふえてきているわけですね、現実問題として。貯蓄よりだんだん借金をする人もふえる傾向があるわけです。まあ貯蓄傾向もありますよ。ありますけれども、一面においては住宅ローンを初めふえてきている。こういう中で、非常に早くやっていただかないと、現実に問題がいっぱい起こっている。また、きょうの新聞でも、自治体でも全然業者の数の掌握すらまだできていない、こんな状況です。対応を急いでいただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者ローンにつきましては、金融機関が行っております消費者ローンにつきましては、これは大蔵省が監督をいたしておる大蔵省の所管でございます。
 それから一般にいわゆるサラ金というような形の消費者ローン、これにつきましては、これはなかなか一つの役所を決めてこれを所管するということがむずかしい性格のものでございまして、いま連絡協議会というような形でこの問題に対処しておるということでございますが、とにかく実態をよく調べよう。そして、いま所管というものは決まっておらない、そういうようなことで、警察の取り締まりだとか、そういうような一般的な方法だけでやっておるわけでございまするが、特別の施策が必要であると。そういう特別な施策が必要であるということになれば、これは所管を決めなければならぬわけでございますが、しばらく実態を、これはあれだけ自然発生的に出てきた現象で細かいものでございまするから、果たして行政能力がそれに対応が可能であるかどうか、そういう問題もあるわけであります。そういうことも含めましてよく検討いたしまして結論を出すと、このように御理解願います。
○矢追秀彦君 五カ月たっている……。
○国務大臣(福田赳夫君) これは非常にむずかしいものですから、なかなか月日を区切っていつまでにこうするということは申し上げかねます。
○矢追秀彦君 最後に、総理、また予算委員会でお会いするのは補正がもし出ればそのときぐらいになるかと思いますので、最後にまとめて政治姿勢をお伺いしたいと思いますが、四月に入りますと外交がたくさんあります。日中問題、日ソ漁業交渉、あるいは日米首脳会談――五月に入りまして日米ですから四月にいろいろあるわけです。これから予算も通過して、総理の政治、財政、経済の運営というのが国民が大変注目するところですけれども、日中、日ソあるいは日米は基本的にどのように対処をされていくのか。また、円高を中心とした経済運営を総理は政治生命をかけてやるやると言われていますが、夏ごろまでにはっきりした線が出てこなければ、これはもう総理は責任をとってもらいたい、総辞職も辞さないというぐらいの決意でこの二、三カ月間お臨みになるのかどうか、それを最後にお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) この二、三カ月間は重要な問題があるわけであります。一つは、何といっても成田空港の開港問題、これを世界に対する面目をかけて秩序正しくやってのけなければならぬと、このように考えています。
 それからもう一つは経済問題です。経済が軌道に乗る、このことは内外が期待をいたしておるわけです。この問題をどういうふうに処理するかということはやっぱり世界の中の日本経済でございまするから、やはり世界問題を何とか軌道に乗っけなければならぬだろうと、このように考えています。微力ではありまするけれども、最大の努力をこれに傾けてまいりたいと、このように考えています。
 また、外交問題といたしましては、日中、日ソの問題があります。日ソ間にはいま漁業交渉が進行中でございますが、これも日ソ間において速やかに妥結をするようにいま努力をいたしております。また、日中につきましては、懸案の平和友好条約、この交渉がいま始まらんといたしておるわけであります。交渉開始の機運が熟したということは御報告しておりまするけれども、そういう認識に立ちましていま自由民主党内の意見調整をしております。なお、野党の皆さんにも経過を御報告申し上げて政府の考え方について御理解を得たいと、このように考えています。それらの国内的な手順が済みました上は、中国政府との間にどういう段取りで交渉を進めるかを話し合った上で交渉に入りたいと、このように考えております。
 まあとにかくそういう重大な問題が積み重なっておると、こういう時期は珍しいとも思われるくらいな時期でございますが、精いっぱい努力いたしまして国民の要請にこたえてまいりたいという考えでございます。責任を持ってこれらの問題を処理いたします。
○委員長(鍋島直紹君) 以上で矢追君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手)
 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、古田君の締めくくり総括質疑を行います。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
○委員長(鍋島直紹君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十三年度総予算三案を一括して議題とし、吉田忠三郎君の締めくくり総括質疑を行います。吉田君。
○吉田忠三郎君 私は、きょうまでずうっと総理大臣初め政府の各それぞれの答弁者からお答えを聞いておりました。わが党として最後の私は総括の質問に立つわけでありますが、どうもいままでの答弁は、言葉のあやといいますか、ちょっと私は口が悪いのでお気に召さなかったら御了承いただきたいと思いますが、言葉のごまかしで、ちゃんと答えていない、そのように考えるわけですね。そこで、いま申し上げたように、端的に私は歯にきぬを着せないでお尋ねをいたしますから、それぞれお答えを私は願いたいと思うのです。
 冒頭、総理大臣に伺いますが、ただいまのニュースで御案内のとおり、ロッキード事件の法廷で伊藤宏君が証言をいたしました。問題の田中元総理大臣に対して一千万これは渡しましたと、こうはっきり言っていますね。それから橋本登美三郎さん、あるいは当時の官房長官二階堂さんについても長官公邸で本人に渡したと、こう証言している。その他福永君であるとかあるいは佐藤孝行君であるとかあるいは佐々木秀世君等々についてもすでに証言いたしておりますね。いよいよこの事件の全貌というのは、国会でいろいろ議論してまいりましたが、その全貌は明らかになったと思うのです。こういうときに、私は一国の総理・総裁であります福田さんが総理大臣になったときには、国民は非常にやはり経済の福田、財政の福田等々で期待もしておったと思う。ある意味において私も期待をしておりました。そこで、こういう問題について総理・総裁として一体どういまお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 一昨年のロッキード事件はまことに遺憾のことであります。あの事件は裁判にいまなっておるわけでありますから、その真相が一体どうであったかということは裁判の成り行きを待つほかないと思うのです。その裁判の過程におきましていろいろな人がいろいろな証言をする。これはそれなりの影響力を持つわけでございまするが、結局はあらゆる物的、人的証拠を総合いたしまして裁判官がどういう心証を持つかということであろうと、こういうふうに思うのです。ですから裁判官がどういう判定をするか、これを待つほかありませんけれども、しかしそれはそれといたしまして、政界におきましては、私はこの機会に政治のあり方というものを本当によく反省いたしまして、再びああいうことが起こらない実を上げなければならぬ、このように考えます。
 もとより私は、これは政治のモラルの問題ですから、一人一人の議員が本当に道義政治というものに徹するという考え方を持つこと、これが基本ではございまするけれども、同時に、ああいう問題が起こってくるゆえんのものは何だというと、政治に金がかかるということがあるのじゃないかと私は思うのです。なぜ金がかかるか、こういうことになりますると、これはやはり選挙、その選挙のあり方につきまして私はまず考え直してみる必要があるだろうと、このように思うのです。そういうことを考えるときに、いまの参議院全国区のあり方などというのは、これは本当にこの機会に改革しなければならないと、このように私は思うのです。いろいろ制度面において政界として考えなきゃならぬいろいろな問題があるわけでありますが、同時に私は自民党のあり方ということにつきましても、これは深く反省する必要がある、こういうふうに考えまして、自由民主党の総裁としての私の任務責任は何だと言えば、自由民主党を本当に清潔で公正な政党への生まれ変わりをやるんだということでいろいろ手を打っていることは吉田さんも御承知のとおりかと思うのでありますが、あらゆる改革をいたしまして、そして再びこのようなことが起こらないようにすること、これが私はこのロッキード事件というものを生かしていくゆえんである、そのように考えております。
○吉田忠三郎君 総理ね、いま政治に金がかかるから、こうおっしゃっていますが、本質的にはそのことと違うんじゃないですか、政治の腐敗堕落というのは。しかも、外国企業から汚い汚れた金を当時の一国の総理大臣がみずからこうして一千万を受け取ったとか、あるいは五億の金を受け取ったなどということは、いま言うその選挙制度の問題と本質的には違うわけですからね。こういう点はきちっとやはり総理大臣として、しかも自民党なんですから、ちょうだいした方々はあなたの党員ですからね。ですから、やっぱり一国の総裁としても、もうちょっと国民の納得のいくように答えなけりゃならぬと思いますね。
 同時に、けさほどの新聞等にも出ておりましたが、朴東宣何がしが日韓問題でやはりジャパンラインの社長とも会っている等々の話が出ておりますからね。依然とそういうものは残っているわけでしょう。残っておりますからね。この際、もう一回こういう問題も含めて、しかもそういう問題が出てきた場合に、直ちに国会でそういう関係者を呼んで真相を究明して、一つ一つ積み重ねの上で問題を処理するというのは総理大臣の私は使命じゃないか、任務じゃないかと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、この問題に対しましてどういうふうに対処するかということの基本的な私の考え方は、災いを転じて幸いとする、こういうことなんですよ。つまり、再びこういう事犯が起こらないようにあらゆる努力をこの際してみる、これが私はこの事件に対処するかなめである、こういうふうに考えておるわけでありまして、いま刑事事件になっている問題は、これは裁判がいま進行中です。裁判の結果、あらゆる物的、心的、人的証拠を総合いたしまして裁判官が判断をする問題である、先ほど申したとおりです。
 それから、裁判にはならぬけれども、いわゆる政治上の道義問題をどうするか。これは私は考えてみまして、結局国会の調査権、これにまつほかないであろう、このように思うわけであります。国会がひとつ調査権を発動されましていろいろ御調査願うということが妥当であろう、このように考えているわけであります。
 それから、しかしこれはまあそういう刑事的あるいは政治的責任という問題のほかに私が強調したいのは、この機会に再びああいうことが起こらないようないろいろなけじめをつけておくことである、このように考えるわけであります。そういう立場から、金のかかる政治、そういうことの一つの大きな背景をなしておるところの選挙制度の問題でありますとか、あるいは私が先ほど申し上げました自由民主党の内部の改革の問題でありますとか、そういう問題も非常に重要な問題である、このように考えております。
○吉田忠三郎君 総理大臣、いま総理大臣がお答えになっているようなことは、国民はわかりにくいと思うのですね。三木さんから福田さんにかわったときには、先ほど申し上げたようなある意味においては期待感を持っていたと思うのですよ。ところが、このロッキード問題につきましても、たとえば福永君などは、国会の調査権に応じて証人に出たいと言っている。ところが、あなたの方の自民党さんはなかなか出そうとしていないんですね。こういうことについてだって総理大臣、やっぱり考えなければいかぬじゃないですか。あなたは、そういうことが国会で決められたならばできるだけ協力すると、こう何回か約束している。こういう面から見ますとね、残念ながら私は三木さんよりはかなり後退していると、こういう印象を受けるんですが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 証人喚問の問題だろうというふうに思うのですが、この問題は、私は各党でお話し合いをされたらどうだろう、こういうふうに前々から申し上げておるわけであります。自民党がそれに対してどういうふうに対処するか、ある段階に来ますれば私に意見を求める、こういう場面も出てくると思いまするけれども、まだ私に対して意見を求めるというところまで来ないんです。それじゃ、進んで総裁として指示するかと、こう言いますと、これはそう簡単にはいかない。つまり、いま裁判が進行中なんですよ。その進行中の事案に対しまして、国会においてそれに間接であるにせよかかわりのある人を喚問をいたしまして、そして証言を求めるということがこの公判にどういう影響があるか、平たく考えてみればすぐこれは御理解を願えるところだろうと、こういうふうに思うわけでありますが、そういうことを考えると、証人に喚問する、ちょっとかっこうはいいですよ、かっこうはいいけれども、さてこの全体の事案を解明する上の公判にどういう影響を及ぼすかということを考えますと、そう簡単なものじゃないということも御理解願います。
○吉田忠三郎君 総理大臣、裁判のことにぼくは触れているわけじゃないですよ。国会の調査権を発動して、衆参それぞれロッキード委員会でも証人にこういう人々を立ってもらおうじゃないか、こういうことでしょう。しかも、先ほど名前を申し上げた方々はすべて否定しているわけでしょう。金はもらっていないと、こう言っている。だとすれば、その人々はあなたのところの党員ですよ、その人々の名誉に関することでありますから、そういう意味で、名誉上の問題もあるから、あなたは積極的に総裁として、国会に出て、もらってなければもらってないということを明らかにしなさいということを指示するのがあなたの立場じゃないですか、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 新聞で灰色で……というふうに言われる人ですね、この人は大変迷惑だろうと思うのですね。さあそういうふうに言われても、白だということを立証する機会というものはなかなかない。場合によると、一生灰色灰色で言われるかもしらぬ。ですから、個人の立場から言うといろいろの考え方が成り立つと思います。しかし、委員会というような場面になりますと、さあいま一方において公判が係属中である、それに間接にせよかかわりのある人を証人として呼ぶということになったら、公判にこれは相当影響があるんじゃないか、そういうような思慮も委員会段階では働いている、こういうふうに思うわけであります。そういうことで、吉田さんのおっしゃるように、この問題に対する判断はそう簡単なものじゃないということを申し上げているわけです。
○吉田忠三郎君 簡単なものではないんでありますけれどもね。日ごろ私は、総理は歴代内閣の重要ポストにおりまして、ある程度大蔵委員会などでもおつき合いがありますから知っていました。もっとぼくは歯切れがよかったと思っておったんですがね、当時。どうもこの問題になりますと、総理になりましてから、きわめてむずかしいとかなんとか言葉で逃げちゃう。そういう意味で、先ほど申し上げたように三木さんから見ると非常に国民は福田さんが総理大臣になってから後退したような感じを受けるんですね。これは私一人ではないと思う。だから、ここでいまこの問題を多く議論しておりますと私の質問時間がだんだんなくなりますからやめますけれども、ぜひひとつ、あなたのところの党員ですから、そうした人々の名誉回復のためにも、国会で証人においで願いたいということであれば協力すると、こう言っておったんですから、積極的にやっぱり総理大臣、総裁として指示を私はすべきだと思う。この点はどうもいままでの答弁だって私は納得しません。ぜひそういう努力を積極的にやっていただきたいということを要請いたしておきたいと思うのであります。
 それから、通産大臣にお伺いしますが、この国会でずいぶん耳が痛くなるほど私は構造不況という言葉を伺いました。この構造不況という言葉は、私ずっと考えてみて、政府と大企業が長年もたれ合ってきて、過大な、しかも無謀とも思われるような設備投資をしてきたことに起因しているんじゃないか、こう感ずるんですがね、この点は通産大臣どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) わが国の経済、まあ世界の経済もそうでございますが、オイルショックで地殻変動が起こったと思います。大きな変動を受けまして、オイルショック以前は大体バランスがとれておったわけでありますけれども、このショックによりまして、ある業種はなお設備不足が続いておるけれども、ある業種は非常に設備が余ると、こういうことになったと思うんです。その非常に設備の余った業種は、これがいわゆる構造不況業種ということで、いま緊急対策をいろいろ御検討いただいておるわけでございまして、やはり私はオイルショックによる地殻変動、これによって産業構造が変わりつつあると、ここに一番の理由があると考えております。
○吉田忠三郎君 大蔵大臣にちょっとお伺いしますが、円高円高と大変いま騒がれてますね。毎日の新聞を見ておってもそうですね。カラスの鳴かない日があったって円高の問題が書かれていない新聞はないですね。本論は後々御質問をしますけれども、この円高の問題は私こう考えるんです。このことも十年来政府が為替政策でいろいろなとってまいりました政策、これが誤っておったからこうなったんじゃないかと、一言で申し上げればそう思うのですが、どうですか、関係ございませんか。
○国務大臣(村山達雄君) やはり直接の原因はもう為替市場の需給に関することでございまして、一面におきましては日本の競争力が石油ショックの立ち直りから強いということもございますし、また国内が不景気でございますから、その圧力が外に向かっていったと。そしてまた、アメリカの方では石油を中心といたしまして赤字でございまして、貿易収支、経常収支が非常に大赤字だと、この両者の関係が今日の円高の基本的の原因であると思っているわけでございます。
○吉田忠三郎君 もう一つお伺いしますが、大蔵大臣ね、倒産企業にお金を貸したらみずからが倒産するということは、これは経済、産業の常識として当然ですね。私は、幾つか政府がこの円高の施策を施しておりますが、それやっちゃいかぬと、こういうことではないのでありますが、あたかもこの連鎖倒産などという言葉に幻惑されて、不可抗力のような印象を与えるような言葉というのは私は好まない。事柄の重大性、本質というものを正しく見て、そして対処しなければならぬと思うのですね。ところが、総理大臣もそうだし大蔵大臣もそうであります。宮澤さんもそうであるし、あるいは河本さんもそうでありますが、しばしばこの問題に触れますと何か避けて通るような答弁に、より私は感ぜられるんです。こういう点どうですか。
○国務大臣(村山達雄君) いま吉田委員のおっしゃったのは、倒産関連防止の関係だと伺いましたが、その問題につきましては……
○吉田忠三郎君 そういうことではない。あなた方の答弁は、つまり倒産企業に金を貸したら自分も倒産するということは一般経済運営の常識ではないか、そういうことですよ。あなた方のやっていることについては否定はしていませんよ。しないんだけれどもそれだけではないはずですよ。どうもそれが連鎖倒産とかなんとかいう言葉にすりかえちゃって本質を見失ってしまっているんではないですか、こういう意味のことです。
○国務大臣(村山達雄君) いまの自由経済のもとにおきましては、取引先が悪くなりますとやはり貸出金が固定化して、そしてともすればその巻き添えを食らって、そして思わざる倒産をするということは十分あり得ることでございます。それだけに、いまの自由経済のもとにおきましては相手方の信用とかそういったものについて十全の配意は必要とするわけでございますし、また取引銀行等を通じましてしょっちゅうそういう情報をそれぞれが得ているところでございますけれども、何といってもそこには限界があるわけでございます。したがいまして、いまの自由経済のよさ、あるいはまたそういったよさももちろんございますけれども、そういった不測の問題につきましては政府側も十分援助していかなくちゃいけないと、こういうことでいろんな施策を進めているところでございます。
○吉田忠三郎君 申すまでもなくわが国の経済、産業も重夫危機だと思うのですね。そこで、この問題に関する限りは与党も野党もないと思うのですよ。真剣に取り組まなきゃならぬと私は思っている一人でございますが、それだけにお互いに過去の失敗等々を率直に答えなければならぬと思うのですね。そしてその失敗を反省し、新たに施策というものを立てないで次に飛び込もうたって、また次々前の失敗を繰り返すことになると私は思うのです。そういう意味で、いままでの答弁を聞いていますと、そういう危機感というものはある程度うかがえますけれども、反省点は一つもない。総理大臣、反省点がない、こう感ずるのであるが、つまり失敗したことの反省と、もう一つは政治的に責任感というものを一つも総理大臣初め持っていないんじゃないかと、私はそう感じているのですが、どうでしょうか、総理大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 私ども政府も神様じゃありませんから失敗もありますよ。そのことは申し上げておるわけです。特に昨年の秋ごろからのあの急激な円高ですね、円高必ずしも悪い現象とばかりは言い切れませんけれども、あの急激な勢いですね、これを予見し得なかったということは不明のことであったということ、これも申し上げておるわけです。ただ、責任責任とおっしゃいますが、あの石油ショック後のわが国の経済の立ち上がり、立ち直り、これはもうあれだけのショックを受けた後でございまするから、それは国民から見ればずいぶんつらい思いもされたと思いまするけれども、世界の中ではわが国はすばらしい回復をしてきたわけでありまするから、そのことも吉田さんはひとつ十分評価を願いたいという気持ちでございます。円高なんかに対する見通し、これは誤っておったということ、これは率直にそう考えております。したがって今後こういうことに対してどういうふうに対処するか。これはいま十分考えておりまするけれども、しかし責任責任と言われまするけれども、責任問題については、そういうふうに考えているということも御理解願います。
○吉田忠三郎君 総理大臣ね、私は本会議で代表質問をいたしたのであります。そのときに総理大臣はそれぞれ私に答えていますよ。ここに皆持ってきていますが、時間がありませんから一々それを言いませんが、いまここで答えられたことが素直に一体国民にわかりますか。のみ込めますか。どうですか、あなたが日本経済なり国民生活の方向をどうかじをとるかということについて一般国民はのみ込んでいないでしょう。問題はそこの認識だと私は思うのですよ。私はずうっと約一カ月間ここでそれぞれ答弁を聞いてきました。先ほど申し上げたとおりであります。さっぱりわかりません。経済の福田のこの経済政策というのは残念ながら不透明を増すだけだというより私は感じていないので、これを素直にひとつ答えてみてくれませんか。わかりやすく答えてくれませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国はとにかく世界の中で、先進工業国の中では海外の石油に依存すること最も比率の高い国であります。その日本に対しまして、あの石油ショックというものが与える影響、これはしたがって世界第一に深刻なものがあったわけです。
 ですから、世界ではあの当時どういうふうに言ったかと言いますれば、もう高度成長の日本もこれでおしまいだ、極端に言えばざまを見ろというような、そういう見方が横溢しておったわけであります。その後四十九年、五十年、五十一年――五十一年においてはどうだと言えば、あの石油ショックでマイナス成長になったのが、とにかく五%近い成長をなし遂げる。物価の狂乱状態もこれはもう本当に落ちついてくる。国際収支はどうだというと五十一年度において四十七億ドルの経常黒字を実現をする。一時は百三十億ドルのマイナスだったわけです。世界は日本に第二の奇跡があらわれたというくらいに評価しておるわけです。とにかくわが国の経済を動かす大動脈、この海外の石油が一挙に四倍、五倍の値段に上がったんでありまするから、この国民経済に与える影響は実に重大なものであったし深刻なものであったわけでありまするが、その深刻な状態を乗り越えていまや国際収支はどうかと、逆に今度は百三、四十億ドルの黒字になる、海外からとがめを受けると、こういうような状態になる。物価はどうだ、これも先進工業国のうちで第一の水準と消費者物価の年間上昇率が四・四%、そこまで来ておるわけです。経済成長はどうだと、これも世界第一だ、昨年は五・三%成長、そういうことでございますが、ことしは七%成長を展望すると、こういうところまで来ておるわけです。もう決してわが国の経済運営が世界の中でまずくいっている、そういうような状態じゃないんですよ。神様じゃありませんからいろいろ小さい間違いはあります。ありまするけれども、大筋においてわが日本のあのショック後の処理というものは、私はまあまあいいところをやってきたと、こういうふうな認識でございます。
○吉田忠三郎君 総理は大変気張って七%成長、それからいままではまあまあだと。まあまあでは済まされないいま経済危機じゃないんですかね。私はどうも福田さんの従来にないこの問題についての認識が、何か時代錯誤をしているんじゃないかというくらい――私はある意味においてはあなたを尊敬しておったんですが、そういう疑問を感ずるのですよ。たとえば、七%成長と言うけれども、この委員会でるる各委員から円高の問題が指摘されてきましたね。衆議院から参議院に予算が来たときから比べてもうすでに二十三円上がっているでしょう。一般的に、つまり円が十円上がった場合に成長率に波及的に影響するのは一%と言われます。そうすると、ぼくのような素人考えで計算をしてみたって、もう三%ぐらい影響をしているというふうに考えるわけであります。ですから多くの経済学者、識者だって、いまあなたが七%七%とここで言ってもそんなものは達成できないという見方が多いんじゃないですか、どうですか。もう根底からあなたの考えがすでに覆されているという認識に立たなきゃならぬと思うのです。どうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 七%は先ほど宮澤長官から申し上げましたように実現できる、こういうふうな見解ですが、しかしこれからのことですから、これは見方はいろいろあると思います。ですから、これはしばらくおきます。おきますが、五十二年度において五・三%成長、これは大体そこまでまあ行くんですよ。これはとにかく実現できるというふうに思われますような動きになってきておるわけでありますから。それからその前の年は一体どうだったと、あれは五・七ですか、世界第一の成長を実現しておるわけなんです。実現をしておりながら、しかも、とにかく国際収支の状況なんか非常に堅調であり、また物価も世界第一の安定水準をたどっておる、こういうことでありますから、そう日本日本と言うて卑下する必要はないんです。しかし、これだけの世界の大変動期でありまするから、国民の皆さんでもずいぶんいろいろ苦しい目に遭っている、こういうことは私は十分承知しております。そういう状態に対しまして、まあ前のような、高度成長期のようなこう華々しいわけにはまいりませんけれども、とにかく安定して事業の経営ができるような、そういう状態に早くしたいと、こういうので最大の努力をしているところでございます。
○吉田忠三郎君 宮澤長官ね、ぼくはいまざっと素人の感覚で申し上げましたが、円がこれだけ上がりましたね。それが成長率にどの程度の波及的な効果として影響が出てくるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点、先ほど吉田委員の言われましたような試算もあるわけでありますけれども、実際にはそれがどのような期間にわたってどのぐらい長期にというようなこととも関連いたしますし、私がむしろ申し上げたいことは、これだけ急激に円が上がりますということは非常な撹乱要素でございますし、また、これに対応しようという国民各層の努力というのは、まことに血のにじむようなものであって、決して軽々に考えることはできませんけれども、他方で何とかこれに対応しなきゃならないという気持ちと、また対応し得る柔軟性というのをまだわが国の経済が持っている。これは決して努力を軽く考えるわけではございませんけれども、そういう面がございますので、それでまあ五十三年度、まだこれから一年ございますから、七%程度という成長率の目標をいま変えなければならないというふうには私ども考えないというより、これは並み並みならない、文字どおり血のにじむような努力でございますので、決してそれを軽々しく考えておるわけではございませんけれども、見通しとしてはそう考えるわけでございます。
○吉田忠三郎君 総理大臣ね、あなたは総理大臣に就任したときに、わが国の経済は重大な危機だと、これを立て直すためには全治三年かかる、全力投球すると、ただいま答弁したような決意を述べられましたね。総理大臣に就任してからかなり時間がたっていますが、そういうものを背景として考えてみた場合に、一体、景気はいま言ったように決していい方向に行っていないと私ども見ていますよ。それから雇用の問題だって、当時は百十万くらいの失業者でありましたね。いまはもう百三十万を超えているんですよ。総理、こういう問題がありますね。それから物価はある程度鎮静したとこう言っていますけれども、しかしそれは、物によってはそうであろうけれども、一般国民が最も求めているような生活必需物資は高くなっているんですよ。こういう点を見てまいりますと、どうも私は福田内閣の経済政策というのは成功していない、実っていない、こういうふうに感ずるのだけれども、これはどうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 私が内閣を組織いたしましたのは一昨年の十二月でございますが、昨年一年の経済を顧みますると、まあ昨年五月に先進国首脳会談をやった。そのときにわが国は六・七%成長ということをその年の経済目標として掲げたのです。それからアメリカは六%成長、ドイツは五%成長、そういうような状態でありましたが、今日になってみますと、それがみんなうまくいってないんです。わが日本では下方修正いたしまして五・三%成長、六・七を五・三に直した。ドイツはどうかというと二・四%成長――先ほど五%と申し上げましたが、あれは四・五です。四・五を二・四ですから、これは半分ということです。アメリカはどうか、六%成長がいま五%成長を切る、こういうような状態で、それで世界全体が総沈みの中の日本とすると、私はそう五・三%というのが他国に比べて劣っておる修正である、こういうふうには思いません。
 私は昨年の秋、例の総合政策を打ち出したあの時点におきましては、とにかく世界が大変厳しい中でありまするけれども、六・七%成長、年度当初の目標が実現できるかと思ったのでありますが、その後この円高というものが急激にやってまいりまして、それが実現できない。そこでやむを得ず五・三%成長、そういうところへ修正をいたしたわけですが、私の内閣になってから一年三カ月の経済の歩みを見たって、そう諸外国に比べまして遜色のある運営である、遜色のある実績である、そういうふうに考えておりませんです。
○吉田忠三郎君 村山さんにお伺いしますが、五十三年度の予算において、その積算根拠になっている為替相場の基準価格は一ドル二百六十五円でございますね、予算編成の前提たる経済の見通し、算出基礎たる基準価格は一ドル二百四十五円になっている、今度のこの予算はそういうことでしょう。ところが、われわれはこうして予算審議をして間もなく予算は成立しますね、この過程で円高が二百三十円から二百二十八円になり、もはや二百二十円台になってきていますから、私はもう予算編成の方針は根底からその土台が覆されているんじゃないかなあと、こういうふうに一つは感ずるわけです。
 それから、これは釈迦に説法でありますが、円高問題というのはただ単に通貨問題というだけではございませんね。これは経済社会の根本にかかわる問題でありまして、一企業のみならず国民全体の不信というものが現今はかり知れないと思うのですよ。ですからこうして一大政治問題になっているんだと、そういう私は認識だ。それがゆえにわが党はこの国会で、この円高対策について重点的に今日までの質疑を展開してきたというのもここらあたりにあるわけでありますが、これに対して政府は、先ほど来申し上げておりますけれども、明確に有効な対策を示していないと私は判断するわけです。今後の見通しについても確固たる腹構え等々、ややあったとすれば宮澤構想などが途中に出てきたというこの程度じゃないかと、こういうふうに私は感ずるんですね。そうしてその理由は、ただ単にそういう内容を明らかにすれば投機的な筋に利用される、こういう心配さえたびたび村山さんが答えてきましたね。この態度というのが、余りにもこの問題は為替市場の成り行き任せ、他人任せだ、このようにしか受けとめることができないんじゃありませんか。これはいかがなものでしょうか。
○国務大臣(村山達雄君) いま二つの問題について御指摘がございまして、予算編成に当たりまして基準為替相場二百六十二円、これは実勢に反しておるのでそもそもこの予算編成そのものがいまの基準為替相場から言うと崩壊するんじゃないかというような御心配でございますが、これはそんなことはございませんので、いわば外貨建てで支払うものについてどのような一つの基準を立てておくかということでございまして、予算の中ではもうごくわずかな数字でございます。しかもこれは、いままでは三百八円で立てておりましたが、最近非常に円が変わってきましたので、ローリングシステムで予算編成直前の六カ月の平均値によるということで、機械的に二百六十二円にしたのでございます。実際の支払いのときにはそのときの相場と二百六十二円、この差額は渡すわけではございません。あるものは剰余金として残りますし、あるものは不用として残るわけでございますので、そういう非常に技術的な問題でございますので、予算の根本に関する問題ではないということを第一に申し上げておきます。
 それから第二番目の、いままでの円高に対して政府は無策ではないかと、こういう御指摘でございます。私たちしばしば申し上げておりますように、為替相場というものはやはりそれぞれの為替市場の需給によって決まるわけでございます。言うまでもなく、それは経常収支のみならず資本収支も含むわけでございます。その相互の関係を見ますと、それぞれのインフレ率であるとか、あるいは購買力平価説という言葉であらわす人もありますし、あるいは競争力もありましょうし、いろんな理由で出るのでございます。日本の場合何が基本的であるかと申しますと、やはりいままで内需の拡大がないために、競争力のついた日本の企業が外にずっと向かっていった。で、アメリカの方は逆に多くの石油輸入を中心とする貿易収支の大幅な赤字、その問題から起きていることは当然なのでございます。したがいまして、基本問題といたしましては、やはりそこの市場関係の、実需関係の均衡を図るということが何といっても中心でございますので、基本政策としまして内需の拡大を挙げておるわけでございます。それが今度の予算編成にもあらわれておりますし、またこの間の公定歩合の引き下げをやったのもそのためでございます。また緊急輸入をやらなくちゃならないといっていま輸入をやっておりますのも、やはり基本的にその方向に向かっておるのでございまして、内需の拡大それから縮小均衡を来さない、こういう基本的な姿勢で向かっておるわけでございます。
 それから第二の問題が、いまお話しになりましたそれにしても、短期的にいろいろ為替が変わることに対して一体どれぐらい変動為替相場の中で相対的安定が保てるか、これはおっしゃるように、それぞれがある程度中央銀行がそれぞれ乱高下がないようにやっておることは御承知のとおりでございまして、わが国もまたやっておるわけでございます。また緊急避難といたしまして、先般、外資の流入に対しましてかなりの措置をとりまして、それはそれなりに実効を上げておるということをこの前御報告申し上げたわけでございます。
 それから第三の問題は、この際主要国の間、特に日本、アメリカの間で原因は原因としてさらに何らかの認識の統一と、そして共同的な姿勢、心構え、そういう合意が得られる余地があるんじゃないか。特に好むと好まざるにかかわらずアメリカは基軸通貨であるわけでございますから、これがアメリカとしてはいろんな言い分がありましょうけれども、もしそれが揺らぐということになりますれば世界の通貨不安を起こすということは当然考えられ得るわけでございますし、またほかの方々の国では石油の値上がりにつながるんじゃないかという心配さえしているわけでもあるわけでございましょうし、また、いろんな経常収支だけじゃなくて投資感情から言いましてもドル離れというようなことがひとり起きてきたら、ドルが私は十分機能しているとは思いませんけれども、もしそのようなことになったらいまよりもさらに悪い状態になることは当然だろうと思うのでございます。したがって日本は日本として、先ほど申しましたような長期、短期の政策もやっておるけれども、アメリカも基本論ばかり言わないで、やはり問題は非常に心理的に影響もあるわけでございますから、アメリカはアメリカとしてこの際努めるところはあるんじゃないか。その辺のところで大体お互いに認識が深まりつつあるんじゃないかということを申し上げているわけでございまして、私たちは常時、機会あるごとにその種のことを言っているわけでございますが、この上とも進めてまいりたいと、こういう国際協調面、これが私は第三の政策であろうと思っているのでございます。
 いま吉田委員から無策であったというおしかりを受けたのでございますが、私たちはそういう基本的な考え方に立ちましてできる限りのことはいたしたつもりでございますし、今後もいたすつもりでございます。
○吉田忠三郎君 経企長官にお伺いしますが、去年の十月、円高の影響を受けるということで二兆円の大型補正をやりましたね。その後も円高が続いてまいりまして、今年度予算から大型予算で公共投資を組んでいますが、先ほど来伺っていますように、成長率に影響することも大でありますが、すでに私は、十五カ月予算を総理大臣は提唱して組みましたが、これなどももうどこかに飛んで消えたような感じがするんですが、その感触はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほどお答えしたことと同じことになると私は思うのでございますが、仮に五十三年度の財政がこれだけの、いわば臨時異例の御審議を願っておりますような努力をいたさずに普通にやっておりましたときには、この二度目の円高というのは、それは真っ向から日本の経済がそれを受けるということになったであろうという想像はできると思いますが、たまたま昨年来の公共投資の蓄積の上に十五カ月予算を執行しようといたしておりますので、累積的効果でかなり日本経済の在庫等々の整理は進みつつあって、かといって大きな積み増しがあるとか、新しい設備投資が製造業にたくさんあるとは思いませんけれども、在庫調整というのはかなり進んでおって、したがって公共投資の累積効果もあって、稼働率が少しずつ上がりつつある。本格的な公共投資ではこれからになるわけでございますので、先ほども申し上げましたけれども、この円高に対する対応はもうまことに血のにじむような国民各層の努力であると思いますが、この背景に政府の公共投資の累積的な大きな効果があるということは、いわばむずかしいところを乗り切るのに私は非常なやはり助けになる、何とかこれは日本経済は乗り切れる事態ではないかと、こういう御審議を願っております財政等々の措置がございますすので、そのように私は現在考えておるわけでございます。
○吉田忠三郎君 長官の答えから察しまして、認識といたしますればそう差がないような感じがするんですね、認識ですね。つまり、いまの経済見通しあるいはこの円高の傾向、この認識はそう差がないような感じを受ける。
 そこで、私は大蔵大臣にお伺いしますが、衆議院段階で例の三千億の戻し税のことが話されましたね。それと、この間同僚の竹田理事に答えられました四百億の問題ですね。国会で何か決めれば予算措置をしたいと、こういうお話がございましたが、さていつごろ具体的に実施するのか。三千億の減税などというのは私はもうとっくにどっか飛んでいったと思うけれども、やらないよりはましですな。これはそういう意味で聞くのですが、いつごろのお見通しですか。
○国務大臣(村山達雄君) 三千億、それから四百億がいつごろになるかという、これはいま各党間の話し合いで決まりましたように、関係委員会でこれから決めるということでございますので、そう遠からずのうちに決まるのではなかろうかとわれわれは見ているところでございます。
○吉田忠三郎君 決まるのではなかろうかという意味はわかりますよ、まだ国会がありますからね。ですけれども、せっかくそういう合意したとこですからやるわけでしょう。ですから具体的な実施はいつごろになるのかと、こう聞いているわけです。
○国務大臣(村山達雄君) 恐らく減税問題につきましては、衆議院の大蔵委員会から始まると思っているのでございますが、まだその点については連絡を受けておりません。法案がたくさんかたまっておりますけれども、しかし公党間の約束でございますから、タイムリーにやるものとわれわれは信じているところでございます。
○吉田忠三郎君 総理ね、わが党はたびたび今国会で総理に対して発想の転換、政策の転換が必要ではないかと、こう求めてきたのでありますが、総理は政策転換というものはどういうものか非常にいやがるんですな。あなたはお孫さんをあやしたり何かすると非常にやさしいようだけども、こういう問題になりますとどうも頑迷固陋、ぼくは福田さんもやっぱり年だなというような感じがするんですが、どうですか。実際問題、財政問題として従来国債依存度が三〇%、今度は三七%ですから、こういう面一つ例をとっても、やっぱり政策が変わっていっているということになるんじゃないでしょうか。だからこの際、余り政策転換という言葉をいやがらずして、とらわれずして、この際思い切って従来のような経済の運営であるとか財政のやり方ということじゃなくて、ひとつ変えてみることも私は必要でないかなというような感じがするんですが、どうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) いいお考えがありますれば私はいつでもそれに飛びつくわけでありますが、しかし、よく考えてみてこれは国のためにとるべからざる考え方だと、こういうように判断されることにつきましては、私は軽々にそれに飛びつくということはいたさない、こういうたてまえでございます。
 いま国債依存度三〇%の話がありましたが、五十三年度は実質三七%になりますが、これはもう政策転換でも何でもないんです。それを政策転換と言われることがおかしいので、財政の健全性は堅持する、社会秩序はこれは守り抜く、そういう中で経済の発展を図っていく、こういう考え方はいささかも変えておるわけじゃないんです。ただ非常に客観情勢が厳しいものですから、臨時異例の措置として公債の発行枠をふやしたというだけの話でありまして、これで政策を転換したという性格のものじゃございませんです。
○吉田忠三郎君 経企長官、変動相場制を採用されたころ、そのメリットというのは国際収支の調整でやややりやすくなるとか、それから国際的な過剰流動性も減るという利点があると、こう言われておったのですね、変動制に移行したときに。しかしその調整は投機のためとかく行き過ぎまして、国際流動性がかえって激増していると、こういう傾向だってなしとしないんじゃないでしょうかね。それから自国の通貨を買い支えるためにレート安で輸入を伸ばした国は、国内流動性をさらに増大していく、こういう傾向が出ていますね。そこで投機対象を探し回っているという短期ユーロダラーだけで今日四千億ドルもあると言われているんですね。そこで国際的に見れば金やプラチナを、換物思想といいますか、そういう物にかえていくのが横行して、金にしてもプラチナにしてもどんどんどんどん高騰していますね。わが国の場合はどうかということなんでありますが、わが国はこれらの動きが株式相場にあらわれているんじゃないかなあというような気がするんでありますが、こういう点、経企庁長官としてどう把握なさっておられるか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 変動相場の結果、各国が相場を維持しようといたしますと、それが過剰流動性につながりやすいということは御指摘のとおりでございます。ドイツの場合それを一番心配をしておるようでございますが、それより前に、まず国際的にいわゆるペトロダラーと称します大きな過剰流動性が、購買力があるわけですが、これはどうもドル以外に安定した長期的な投資方法はなさそうだというふうに産油国がまあまあ考えているようでございますので、それが大きく暴れ出すというようなことは幸いにしてどうも避けられるのではないかと、これが基本でございます。しかし他方、各国の中でいまおっしゃいましたような換物連動と申しますか、米国などでも貴金属でありますとか穀物に至りますまでそういう動きがあるように存じます。ただ、株式は米国の場合は全く反対で、いろいろな事情と思いますが、これはむしろ下落傾向にあるわけでございます。わが国の場合には幸いにしてただいまのところ過剰流動性というようなことは、統計で見ます限りM2でございますとか、そこらあたりは安定しておりまして顕在化しておりません。かつては土地の投機になったわけでございますが、これはもう前回の土地がまだ処分し切れずにおって金融的にもそこでむずかしい問題がございますので、幸いにしてそこへ大きくは動いていない。しかしどうしても金が出るので、それが株式相場に影響しているのではないかという点は、私は全くそういうことはないというふうには思っておりません。ただ現在の株式市場は、そういうこととともにわが国の経済が最悪の事態を脱しつつあるということも反映をしておるのではないかと、これは少し手前みそになるかもしれませんけれども、そういう要素もあるかと思います。
○吉田忠三郎君 為替相場あるいは円高問題等々については、まだまだたくさん問題点ございますけれども、もう時間もございませんし、いままで同僚の議員が申し上げてまいりましたから省略いたしますが、私はここで一つ皆さんに提言してみたいと思うのです。
 わが国の財政は景気浮揚対策のために大型予算を組んだ、大型公共事業をやる、こういうことですね。そのために一般会計は国債の追加発行をしなければならぬ、こういうことになっていますね。ですから財政は赤字の方向にいま進んでいっていると思うのです。それが国債発行依存度が三七%と、こうなっていると思うのですね。ところが一方、財政投融資は計画の未消化であるとかいろいろな要素がありまして逆な現象を生じている。これを反映して資金運用部の余裕資金が急にふくらんでおりますことは大蔵大臣はもう承知だと思うのです。五十二年度の財投の動きを見てまいりますと、資金吸収面では郵便貯金の伸びが計画対比で約一兆円ふえているんですね。一方、先般私どもの竹田理事からも指摘されましたが、住宅公団の建設費等々は空き室がふえたりして大幅に縮小してきた。そしてまた、開銀であるとか輸銀の融資が産投資金の需要が減退しているために低調に動いているというふうに見るのがこれは常識的でありましょう。そこで、資金運用部の分で計画に対して一兆円以上いくら下回っていると、こう見ているんですよ、私の目からはね。だからこの資金運用部、五十二年度中にこれは二兆円を超える余裕資金を出したという見方は当たっているかいないかということが一つです。
 それから、この余裕金を活用することも景気対策の一つではないかと、こう考えるんです。ちなみに申し上げますと、いままでは大蔵省もそういう指導をしたかどうかは別として、日銀はこの余裕資金をもってすでに発行した国債を買い求めているんですね。これでは経済行為に何ら寄与しないわけです。内需の造出にもなりませんね。ですから、私はこの際思い切って運用部資金で国債を引き受ける、そして一般会計を通してその金を活用すると、どこに使うかということはこれから申し上げますけれども、そういう手だてだって必要じゃないでしょうか。五十三年度のこの予算表を見る限りにおいては、従来この運用部資金で約一兆円くらいの国債を買っておったんですね、今度は買わないんです。総理大臣、こういうことはどうも景気対策全体としての総合性から見ると欠けているような気がするんです。で、福田さんは減税と言うと非常に何か苦虫をかみつぶしたような顔でいやがっていますけれども、こういう生きた金を活用すれば財源はあるのではないですか。思い切ってこの際二兆円くらい減税をして、内需拡大とあわせ個人消費を伸ばすと、こういう政策をとることが総合的な経済運営、景気回復の施策だと、私はこう思うのであります。釈迦に説法でありますけれども、国民消費を一%伸ばすことによって一兆円の経済に対する波及効果があると、こう言われている。二%ふやしたならば二兆円という、つまり景気回復に対する波及的な効果が出るということは明らかでありますから、そういう点で総理大臣どうですか、決断する意思はございませんか。
○国務大臣(村山達雄君) 詳しい数字は後から政府委員から申し上げますが、五十二年度におきまして、決算ベースでは恐らくおっしゃるところの余裕金が相当出ることはもう確かでございます。しかし、そのうちの大部分は繰り越しでございまして、事業とともに翌年度に行くわけでございます。残りの分は不用に立つわけでございますが、その不用の分はほとんど五十三年度の財投の原資に入れているのでございまして、むだ遣いは一文もないのでございます。
 それから、先ほど申しました五十二年度では財投でもって一兆国債を引き受けたじゃないかと、今度はどうして引き受けられないのかと、これはもう御案内のように、財投資金はフル活動をしておりまして、国債を引き受けるだけの余裕はございません。したがいまして、今度はあれにも出ておりますように、約一兆五千五百億を地方財政に貸すわけでございます。それだけ現在国、地方を通じまして財政が非常に緊迫しておるものでございますから、それは国債の引き受けの方は挙げて民間資金の方で引き受けていただいて、財投の方は苦しい地方財政の方に回した、こういうことでございますので、それをさらに使うという余裕は実はないのでございます。
 それから日銀の関係は、これはもう制度が違いますのでおっしゃるようなことにはならない、こういうことを申し上げておきます。
○吉田忠三郎君 たとえば財投にしても運用部資金についても、ふんだんにあるとぼくは言っていないんです。景気浮揚対策という命題で大型予算を組む、公共投資をする。地方財政も国家財政も大変だということは私は知ってますよ。だから三七%も国債に依存するわけですからね、だからふんだんにあるとは言ってない。しかし、何とかの一つ覚えのように、依然としてその対策が一辺倒である、しかも公共投資一辺倒だ。それだけではないんじゃないかと、内需拡大もこれは大いにやるべきである。しかし個々人の国民消費経済をやはり刺激しなければならぬということだってあわせ考えなきゃならぬでしょう。だからそういう総合的にやったらどうかということ、そのためには私が申し上げたとおり、産投会計の運用部資金には余裕が出てきていることは間違いないんですから、ですからそういうものを生きた金として使ったらどうか。その場合に、これから発行する国債を買ったっていいじゃないかと、なぜ五十三年度予算では、従来一兆円くらいの国債を買い付けをしておったこれをやらないのかということにまず一つ疑問があるし、そういうものを買い求めて一般会計を通したら生きた金になるでしょう。使い方は、まあ総理大臣は減税を大変いやがっていますけれども、私はやっぱり個人消費を拡大するためには、刺激するためには減税をやったらいいんじゃないかと、こう言っているんだけれどもれ。それ以外に大蔵大臣、財源は幾つもあるじゃないですか、医師の優遇税の問題を初め税制だってたくさんあるでしょう、見直さなきゃならぬのは。市街化区域内の農地も特別措置税で優遇しておるわけでしょう。これなぞだって、後々私は地価問題で触れますけれども、そういうことにも影響するんですからね。そういうものを洗いざらい総動員して、総合的な経済運営なりあるいは景気対策をやったらどうかと、こう私は提言しておるわけですよ。
○国務大臣(村山達雄君) 三つの点を申し上げたいと思うのでございます。
 一つは、去年五十二年度で一兆円運用部で国債を引き受けたのに今度は引き受けない。それはむしろどんどん引き受けさしたらいいじゃないかというお話でございますが、先ほどの繰り返しになりますが、地方財政の方の地方債の消化が問題なのでございます。それから高い金利をつけちゃいかぬわけでございますので、一兆五千五百億は運用部で引き受けまして、その利子は全部国が持っているのでございます。したがって、国債の方は今度は運用部の安い利子ではなくて民間でもって全部消化してもらうわけでございますから、これは地方財政とそれから国の財政との関係で地方を楽にさしてやりたいと、こういうことでございまして、資金はいっぱいいっぱい使っているということをまず申し上げておきます。
 それから運用部の金の使い方、公共事業一辺倒でそれはおかしいじゃないかと、こう言うのでございますが、中身を見てもらうとよくおわかりのように、住宅金融公庫あるいは中小企業三金融機関、ここに一番張りつけているわけでございますので、ひとつその点は、財投の方はもちろん事業面につきましては生活関連の事業の方によけい張りつけてございますが、全体として一番緊急な中小企業関係、それから住宅関係に一番つけてあることはもう御案内のとおりでございます。
 それから税制についてのお話でございますが、これはいろいろな物の考え方はあろうと思いますが、全般的に申しまして私たちはやはり減税よりはこの際は公共投資その他施設、仕事をふやす方がベターであると思っているところでございます。また、不公平税制についてもお触れになりましたが、医師の問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、今年度限りで廃止するということを決定しておりますので、その方向で取り組んでまいりたいと、かように思っておるところでございます。
○吉田忠三郎君 この問題については、どうも大蔵大臣と私は、せっかく新しい提言をしているんだけれどもすれ違いになる。総理大臣どうですか、先ほどあなたは答えて、いい提案なら受け入れますと、こう言った。そういう意味のことを言った。総理大臣はどう考えますか、こういう財政運営を。
○国務大臣(福田赳夫君) 財政が非常に窮乏しておりまして、五十三年度予算のごときは五十四年度の五月の税収を前食いをするということまでやっても国債の依存度は三二%にもなる、そういう窮屈な状態でありまして、吉田さんはほかを見つければ財源は幾らでもあるんじゃないかというようなお話でありますが、そういう状態ではございません。これは一つ一つ御点検願いますればよく御理解いただけると、このように思いますが、まあ仮に財源があるといたしましても、とにかく窮屈の中の財源です。その財源は大事に使わなければならぬ。いま一番大事な問題は何かというと、これは景気対策でしょう。その景気対策に使うとすれば、その乏しい大事な財源を有効に使わなければならぬ。有効に使う道はこれは私は減税じゃないと思うのです。これはやっぱり公共投資のような物財と雇用の需要を喚起する、そういうことでなければならぬ。さあちょっとばかり減税してこれで雇用がふえますか、物財の需要をそう喚起しますか、そうじゃないんです。公共投資に使えばそれがすぐ人手を使うということにはね返ってくるんです。また物の需要となって出てくるわけです。ですから、財政が余裕があって、そして先々も苦労はないというのでありますれば、吉田さんの説で結構なんです。しかし財政の状況は御承知のとおりの状態でありますので、いまその乏しいふところで有効なことをしようといったら減税のようなそういうなまやさしいこと、そういうことではなかろうと、こういうふうに思います。
○吉田忠三郎君 もう時間がありませんから、この論争は追って私は大蔵委員会でもうちょっと詰めてみたいと思います。
 次に運輸大臣、日米航空交渉について伺いますが、この航空協定交渉は暫定取り決めも結べないままに物別れになっていますね。ここに至る経過、それから問題点、これは運輸省それから外務省は詳細に報告してもらいたい。特に日米航空交渉は米国がかつて日本を占領しておったときの特権をいまだに守ろうとしているところに非常に私は問題があると思う。そういう点で、先にアメリカと英国とが交渉を結びました。ですから、私は最低限度この交渉、つまり英国とアメリカの妥結された内容以下のものではこれは重大な問題を残すような気がするんで、ぜひ、いま報告される中でどういう模様になっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(福永健司君) 詳細な御報告は事務当局からもさせますが、まず私からいまお触れになりました件についての考え方の大筋、そしてこれからいかに臨むかということ等についてお聞き取りをいただきたいと思います。
 私は日米間の航空協定の不均衡をぜひ是正したい、こういうことでこのところずっと交渉をさせております。御承知のように、三月にその交渉をやっておりましてとうとうそこでは結論を得るに至らずして終わった、こういうことでございますが、われわれの不均衡是正の中心となるものは、戦後のいろいろな事情でかなり私どもから申しますとアメリカと日本との間に均衡を失しているところがあると考えます。したがって、この点についてはどうしても是正したいというのが強い強い念願でございまして、その考え方のもとに終始させたのであります。しかしそれを貫くためにはついに結論を得るに至らなかった。
 いろいろその理由はございますけれども、たとえばわれわれの方ですと、いろいろ着陸する場所にしてもそれから以遠権等にしても過去に日本がある程度のことを聞いてあるということでございます。そういうことであるからたとえばシアトル、シカゴ等にはぜひ日本の飛行機をそこでとめさせろ、また、たとえばニューヨークまで行っているけれどもニューヨークを経由して南米までの以遠権をよこすように、こういうようなことを強く申しているのでありますが、アメリカとしてはそれは聞いてもよろしい、言葉は聞く用意があるという表現です、用意があるけれども今度成田も開港することでもこれあり、自分の方のもいろいろひとつ聞いてもらいたい。その聞いてもらいたいというものの中にいろいろ向こうもあることはあるのでございますが、向こうでの発着する便数をかなりふやしてくれ、こういう要求であります。このほかにもあちこち希望があるが、まずアメリカについては特に時間的にも早く聞いてくれぬかというような希望もうかがえるし、この量がかなりの大きゅうございます。特にまたチャーター便等について非常に大きな飛行機を相当入れてくれぬかというような話等があるわけです。
 これらのことにつきましては、率直に申しまして成田が現在のような事情でありまするし、そう早くそんな希望を聞くわけにはなかなかまいりません。将来もなかなか聞けないだろうと思うのでございますが、そういうこと等がございまして、一口に言いますとアメリカ側の主張と日本の主張がかなり隔たりがあり過ぎる、こういうことでございます。だがしかし、私どもの方は隔たりがあるないというよりも、われわれの申すことは不均衡を是正するという意味において正しいのであるからぜひ聞いてもらおう、こういうことで下がらずに最後までがんばっておった。で、三月二十七日でございましたか、それを終わって代表が帰ってきたのでありますが、その前に、行くときにもどうしようかと言ったら、話がまとまらなければそれはいいかげんなところで妥協することまかりならぬ、こういうことで、そのとおりに実はなったんでございますが、結局頭を冷やして秋にまたもう一遍やろうということになりました。頭は冷やしても熱は冷めさしちゃいかぬと私は思っているのです。私は強い決意なんです、正直申しまして、言葉だけでなく。そこで秋にまたやりますが、これまた骨が折れると思います。
 イギリスの例をお引きになりました。イギリスとアメリカの間でもとうとううまくいかなくて、あるいは決裂してしまって一年ほどたってある種の協定ができた。これは幾らかイギリスにとってよくなったものができたと言えばそれはできたのでございますけれども、それとまた、他方でチャーター機についての別の取り決めがあって、それを合計したら果たしてどうかなという批判があるわけです。私はここでイギリスのものがどうだったということはこれ以上は言いません。いずれにしても、いまのところは秋にどうしてもと思っておりますので、決裂してそこから先一年たってどうというようなことは私は申したくないのでございます。強い決意を持ってわれらの主張を通すべく今後とも粘り強く交渉をしてまいりたい。秋には特にそういう気持ちで臨みたい、こういうように考えておる次第でございます。
○吉田忠三郎君 そこで総理、これは外交課題でもあるのです。ですから五月上旬に総理は訪米する予定になっておられますね、ぜひひとつ総理は総力を挙げましてこの問題についてカーターさん、あるいはアメリカの関係の首脳と話し合っていただきたいと私は思うのですが、いかがなものでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、秋また交渉再開ということになっておるそうでございます。そこで私は、それに先立ち五月にカーター大統領と会談をするということになっておる。この会談は特別の案件について話し合うという会談ではございませんけれども、そういう経過のものでございまするから、カーター大統領の注意を喚起しておくということはいたしたいと、かように考えます。
○吉田忠三郎君 時間がなくなりましたから、ちょっと同和対策事業特別措置法の延長問題について今国会で明確に総務長官にしていただきたいと思うのです。そうでないと今後の残事業の遂行や同和行政の遂行に支障を及ぼすことになるわけでありますから、この問題をきょうまでの国会論議を踏まえて長官の認識を明らかにしていただきたい、こう思います。
○国務大臣(稻村左近四郎君) これまでたびたびお答えをしたとおりでありまして、同和対策事業特別措置法を延長し、この法律に基づいて実施する必要があるというこの見解にはいささかも変わるものではございません。
○委員長(鍋島直紹君) 関連質疑を許します。野田君。
○野田哲君 今日まで特別措置法についての一定の事業が実施されてきておるわけでありますが、なお相当の事業が残っております。この残余の事業を実施するに当たって、特別措置法の延長はなくても予算措置だけで実施可能だという議論もあるわけでありますけれども、予算措置だけで処理をしていくということでは、特別措置法を制定して今日まで事業を実施してきたこの精神が薄れてしまう、こういう懸念があると思うのですが、総務長官の認識はいかがですか。
○国務大臣(稻村左近四郎君) 昭和五十四年度以降相当の事業が残されております。いま御指摘のように、予算の措置だけで可能であるというこういう議論もあるかのように聞いておりますが、私といたしましてはこの法律がないという場合には事業実施に相当の困難が生ずると、こういう考え方を持っております。
○野田哲君 そこで、総務長官に重ねて伺いたいと思うのですが、特別措置法の延長の取り扱いについて総務長官はどう考えておられるか。特に、三月八日、本委員会の冒頭で、わが党の藤田委員の質問で、事業はまだ残っているという点、そしてこれを実行していくためには政党間の合意を踏まえて措置法の延長を行っていく必要がある、こういうやりとりの後で、政府が責任を持って提案をする以上、この国会に間に合うように、しかも成立するようにという大前提のもとにやられることが間違いないかと、こういう趣旨の質問に対して、「そういうふうに受けとめていただいても結構だと思います。」と、こういうふうに答えておられるわけでありますけれども、この考え方に変わりはないかどうか、総務長官のお答えと、あわせて、今日、政党間の合意という問題を政府はいつも言われているわけでありますけれども、各政党間の中でこの問題についての党議がまとまっていないのは与党である自由民主党だけなんです。自由民主党さえ党議がまとまれば政党間の合意は成立をする、こういう状態にあると思うのですが、これについて、総理、そして与党の総裁としての福田総理の見解をあわせて伺っておきたいと思います。
○国務大臣(稻村左近四郎君) 法案の提出に当たりましては、政党間の速やかなる合意に達する期待をいたしております。
 最後の藤田委員に対する御指摘でありますが、あのとおりに受けとめていただいても結構だと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 特別措置法が期限が来る、その後の扱いにつきましては、総務長官からるるお話を申し上げております。
 与党自由民主党の党議をどうするかということでございますが、これはいませっかく党の中で議論をしております。いろいろ率直に申し上げますと意見はあるんですが、しかし、残事業も相当あるということ、それらを踏まえまして、これは常識的な結論を得なければならぬと、こういうふうに考えておりますので、もうしばらくお待ち願いたいと、このように考えております。
○野田哲君 あと一つ。
○委員長(鍋島直紹君) 簡単に願います。時間が来ております。
○野田哲君 総理、常識的な結論を得なければならないのであとしばらくということでありますが、常識的な結論ということは延長という理解で受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま議論の過程でございまするから、私がずばりとこう申し上げますと、議論を取りまとめる上にいかがかとも思いますので、そうずばりとは申し上げませんけれども、各党でいろいろ議論が行われている、その線上でこの問題は解決したいと、このように考えております。
○吉田忠三郎君 時間がありませんから、農林大臣に簡潔にお伺いします。
 一つは輸入肉の流通機構改善の問題です。最近この問題をめぐりまして世論で批判の的になっていますね。肉の価格の問題、あるいは利権化しているというような問題ですね。中川農林大臣が就任のときにそういう問題に積極的にメスを入れると、こういう決意が述べられまして、大変国民から好感を得ておったんですが、こうしたことについての基本的な考え方。
 それからもう一つは、わが国の林業、国有林でありますが、この点についてもしばしば当委員会におきまして同僚議員が質問しておりましたが、まだはっきりしたお答えが出ていない。ですから、これからの林業行政を進める上においての基本と、それからそれに伴って人減らしであるとか、あるいは近代化、合理化等々の幾つかの施策が考えられているようでありますが、これがまたかえって関係者から不安を抱かれている。何かそういう不安をなくするために法的にできるかどうかは別としても歯どめをかけなければいかぬと私は思うのです。そういう点の考え方をお聞かせ願いたいと思うのです。
○国務大臣(中川一郎君) 第一番目の肉の問題でございますが、国際的に見てもわが国の肉が非常に高いということでございますので、何とか生産対策を講じ、またしかるべき輸入調整を行って少しでも高くない牛肉について努力をしたい。もう一つは流通が非常に複雑であり、生産者も消費者も納得ができないという声もありますので、流通について、食肉センターあるいは部分肉センターあるいは産地直入の仕組みあるいは朝市というようなものを開設いたしましてこれにこたえたい。もう一つ御批判のありましたのは、畜産振興事業団の肉が正常なルートでないのではないかというような御指摘もありましたので、ただすべきはただし、今後間違いを犯さないように十分指導して全きを期したい、こう思っておるわけでございます。
 林業につきましても、わが国林業が最近の木材の需要の変化あるいは外材等の影響を受けまして価格が低迷をする、そうしたことから森林生産業者あるいは加工業者等に多くの混乱がありますので、何とかしっかりした林業政策、こう思って造林、林道あるいは森林組合法の改正等々、今国会は林野国会と言われるぐらいお願いをいたしております。その中に国有林の改善というものも当然含まれてまいります。御承知のように財政が非常に国有林は苦しくなっておりますので、一般会計からも資金を導入しなきゃならぬ、こういう際でございますので、営林局の合理化、特に北海道においては他の行政機関が一つしかないのに営林局だけ五つも同じような営林局がある。これは林野行政のみならず、北海道の行政からいっても横との関係で問題があるのではないかというので、この際、改正の一環として四局を一局に統合する。そうしてその四局は支局としてりっぱな仕事ができるようにするという改正をお願いしてございます。一部の方々からこれははしりであって、本物はこれからで、まだまだどんどんとやるのではないかという御議論もございます。私どもといたしましては現段階においてそのようなことは考えておらないのでございまして、いまいろいろとお話がありましたが、国会でまだ審議もされておりませんので、審議の段階を通じてそういったことのないような歯どめについては研究をいたしてみたい、こう思っておる次第でございます。
○吉田忠三郎君 あと大蔵省とかあるいは土地問題で国土庁長官に聞きたいが、時間がございませんから、最後に私は運輸大臣に伺います。
 この成田事件の問題ですね、これは事件そのものはいままでいろんな紆余曲折した事情があったと思うのです。しかし、私はこう思っているんです。過去に農民の訴えにだれも耳をかさなかったためにこうした問題が起きてきたんじゃないか、こう私は思うのです。そこで、いろいろ政府の方としては対策を立てておられるようでありますけれども、今後このようなテロ事件が再び起きてまいりまするならば、私はもはや未来も過去もない、そこでこういう問題はみんなで真剣に考ねばならぬことではないか。しかも過般来、運輸大臣の答弁を伺っておりますと、二期工事等についてもその構想、計画を捨てていないようであります。したがって、私はこれから政府が新たな展望を求めるかぎというのは、何としても農民の内部にある過去と現在、未来を深く見詰めていく必要があろうと、こう思う。そういう時期に来ていると私は思うのですね。したがって、いままで農民の方も十二分に、いいことではございませんけれども血を流してきたし、また政府の方も時間と大変な人手を使って多くの犠牲を払ってきたと私は思うのですよ。ですから、先ほど申し上げたような構想等々があるとすれば、これからお互いに譲り合っていくという勇気がなければ私はならぬと思うのですね。そういう意味で、私はそう信じているものですから、でき得れば政府は農民と十分話し合っていくと、語り合っていくと、そうして将来の成田空港というものをどうしたらいいかということをやらなければならぬと思うので、あえてここで提言をいたしたわけでありますが、いかがなものでしょう。
○国務大臣(福永健司君) ただいま農民各位とさらに話をしてはどうかというお話でございます。その前提として、いままで耳をかさなかったというお話でございますが、どこから話せばいいのかわかりませんが、ずいぶん前からということになるとあるいはそういう御批判を受けるような節もあったかとも思いますが、私は徹頭徹尾そうであったとは決して思いません。私にいたしましても、最近なったほやほやでございますけれども、いまお話しのようなことは重々心得て対処してきておるつもりでございます。そこで、農民の皆さんのお話を聞くということについては私は決してやぶさかではございません。ただ、農民のような顔をしていて、ないしこれと一緒に行動しているようなふりをしていて、極端な過激派ないし過激派的な行動をしている者があるのに対しては、そういうのを一緒くたにしたのでは農民各位にも申しわけないと私は思っております。そういう意味で、いまの御注意はまじめな農民の皆さんの話を聞けという意味でおっしゃっていただいておると思うのです。私は、そのお話につきましては、私みずからの責任においてできるだけ御趣旨に沿うようなことにいたしたい、そして願わくは何とかうまくいくようにいたしたいと。本日も、実は、その農民という中に入るかどうか、その点は必ずしも御指摘の人々と一致しているとも申しませんが、地元の市長や市会議員やその他の関係者が多数何名かお見えになりまして、いろいろお話を伺いました。たとえば一つ例をとりますと、成田の市議会においては全員協議会を開いて、二十九人のうち二十八人は、どうぞしっかり早くやってくれと、こういうお話でございます。早くやるについては心得てやらなきゃならないことがいろいろございましょう。誠心誠意今後に私は対処していきたいと存ずる次第でございます。
○吉田忠三郎君 もう一問。
○委員長(鍋島直紹君) 簡単に願います。
○吉田忠三郎君 総理大臣、聞いたとおりです。そこで、私は暴力集団と話し合えということを言っているんじゃない。過去をずっと振り返ってみて、いろいろやったであろうけれども、まだ農民の本当の心をいやすようなことはだれもやっぱりやらなかったし、耳を傾けていなかった。これは私も含めて反省しているわけですよ。ですから、この際、これは大きな国際の問題でしょう。ここまで国際的な問題になり、国際信用も低下した、残念ながら。そういうやっぱり信用回復等々もあるし、二期工事を予定しているわけでしょう。ですから私は本当にまじめな農民とこの際やっぱり国は真剣に取り組んでいくということであるならば、話し合う時期に来ているんじゃないのかなと、こういう感じがするものですから、ぜひひとつ総理、関係大臣並びに関係政府の職員諸君を叱咤激励いたしましてこれは実現するように努力してもらいたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの御所見につきましては、私も全くそのように考えておりますから、そのような方向で努力いたします。
○吉田忠三郎君 終わります。(拍手)
○委員長(鍋島直紹君) 以上で吉田君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) 次に、内藤功君の締めくくり総括質疑を行います。内藤君。
○内藤功君 まず、成田空港問題について、総理並びに関係大臣にお伺いしたいと思います。
 成田空港のいわゆるやり直し開港の時期についてのお考えと、それに対する安全確保のお見通し、これを伺いたい。
○国務大臣(福永健司君) はなはだ残念なことに、ああした暴力事件が起こりまして、そのために予定のごとく開港することができませんでしたことは残念でございますし、私も申しわけないとしみじみ思っているところでございます。
 そこで、お話しの改めて後どうするかということにつきましては、すでにいろいろの観点から鋭意検討をいたしまして、現在までのところでは開港は五月中旬、そしてその日取りにつきましては、できれば明日あたり決めたい、こういうように考えておる次第でございますが、いまお話がございました安全等につきましては、これはもう徹頭徹尾これから国民各位のみならず、世界各国に御迷惑をかけることのないように対処していかなければならない。そういう意味で、機材等の修復等につきましては、そんなに長くかかるわけでなくて、もう少しやればというか、やっておりますが、早く済むわけではございますけれども、それ以上にさらに念には念を入れて万全を期していかなければならない、こういうこともございますので、まだ発表する時期には至っておりませんが、いろいろ御注意等をいただいておりますことを頭に置きまして、誠心誠意、しかも速やかにという気持ちで対処したいと考えております。
○内藤功君 三月二十六日のいわゆる管制塔襲撃事件について公安委員会と警察に伺いますが、報道によれば、暴力集団が管制室に到着、突入する前に、警察官の一隊が管制室の反対側の外側に到着しておったことが写真入りで報道されております。これらの警官は何の目的で上がったのか、上で何をしたのか、何でおりたのか、また、このことを警察はなぜ発表していなかったのか、この点を伺いたいと思うんです。
○政府委員(三井脩君) 事実関係でございますので私からお答え申し上げますが、警察官の犯人を追跡していった行動と犯人を捕捉できずについに管制室に入られた、こういう関係でございますが、あの管制室には結局六名入ったわけでございますけれども、この一団は十五名で管制塔一階に入ってまいりましたので、一階エレベーター前で五名を逮捕いたしました。あとの十名はエレベーターで上に上がりましたので、警察官はエレベーターがありませんので駆け足で走って上に上がって参りました。この十名の犯人の行方でございますが、エレベーターを乗り継いだものと思われますけれども、結局十六階の管制室の入り口ドア、これは物理的には十五階から上がるようになっておりますから、十五階から十六階に行く階段の踊り場みたいなところが十六階管制室の入り口ドアになるわけでございます。これはかねて十分措置しておりまして、電子ロックしてありますので、犯人がこれをけ飛ばしたりたたいたりいたしましたけれども、一向にあかないということで――それによって管制官は犯人が来たということはわかったようでありますが、犯人一行はそこをあきらめまして、次に下におりたわけです。下におりますと十四階がマイクロ通信室ということになりますので、ここは四方に出口がありますけれども、そのうちの一方があいておりましたので、そこから十四階のベランダに出た。
 ベランダに出てから、十六階の管制室まで上がるまで時間がありますので、時間的にはどっちが先かわかりませんけれども、十四階のマイクロ通信室の機器を荒らしたわけでございます。荒らした時間――荒らしてからベランタの外に出たのか、ベランダの外に出てまた入ってやってまた出たのか、この辺の時間的前後は定かでありませんけれども、十人が十四階のベランダに出ました。そのうちの四人は終始そこにとどまりました。で六人が、十四階にパラボラアンテナがございまして、その支柱及びアンテナ修理用の足場といいますか、階段、はしごみたいなものがありますから、その支柱を伝わりまして上へ上りますとパラボラアンテナの一番上が十六階の、デッキと称しておりますが、それに取りつける、こういう状態で、結局は取りつき、ガラスを割って中に入った、こういうのが犯人の足取りでございます。
 警察官は、一階で五名をつかまえて、あと十名を走って十六階まで追いかけた。十六階は一番心臓部でございますから、十六階に着きましたところ、具体的には十五階にあります電子ロックされたとびらでありますが、ここに着きましたところ、ここはロックされておりまして、あきません。で合図をしましたけれども、中から応答なしということでありますから、管制官の安否もありますけれども、少なくとも犯人は入っておらないということを確認いたしましたので、それではさらに下の方に重要なところがありますので、ここに入っておるかもしれないということで下におりていったわけであります。で、その途中で下から駆けつけてきた機動隊員等と合流いたしまして、一方では下におりて一階まで検索していく、一方は応援に駆けつけた機動隊員とともにさらに上を見ようということで、十六階にいないことはわかっておりますから、十四階は壊されておりますので、中を見ましたけれども、ドアが締まっておって、ベランダをのぞきましたけれども、あくところをのぞきましたけれども、犯人は出た後自分が出たベランダのドアはロックしていきましたのでそれはわからないということで、それではというので、今度は犯人が出たのとは逆の十四階のドアをけ破りまして十四階のベランダに出、今度はまたこちら側にも犯人が上ったパラボラアンテナと対称なアンテナがありますので、その足場を上って十六階のデッキに取りついたわけであります。
 その時間がいまから考えますと犯人たちと約五分違っておりまして、警察官の方が約五分早く十六階のデッキに上った、で中を見ますとからであり、管制官はいませんけれども、だれもいない、ガラスも破れていない、破壊もされておらない。これでは犯人はやはり十六階にはいないということで、この警察官もまた下におりていって、七階の心臓部その他を検索に当たったということであります。その後連絡があり、犯人が管制室に入っておるというのを発見してさらにまた行く、こういうような経過をたどりまして、ちょうどあの写真等に出ております警察官が十六階管制室のガラスのあるデッキに上がっておったときは犯人は十四階におりまして、その五分後に犯人が十六階に取りついた、こういうことになりまして、五分間早く、その段階では早く着き過ぎた、こういうことになるわけでございます。
○内藤功君 これは納得できないですね。その時間にこの写真にありますようにすぐ下にいるわけですね。なぜいわゆるベランダ沿いにずっと回って一回りして見ないのか、あるいはもうここには暴徒が来ないと、暴力集団が来ないというんじゃなくて、暴力集団が来るかもしれぬというので、そこで見張っているなり待つなりしないのか。これはもうこの写真に出た以上、警察の失態ば明らかだと思うんですね。
○政府委員(三井脩君) いまのそのデッキは簡単に申しますと、技術的にこれを一周するのはきわめて困難という状況でありまして、地上五十八メートルのところにあり、かつ八十センチであり、その上に管制塔のガラスが七十五度の角度でこう出ております。したがいまして重装備をしております警察官としてはこれを周囲をずっと回るということはほとんど不可能でございます。後にレンジャー部隊を呼びまして、軽装のレンジャー隊員がこれを一周するということはできましたけれども、駆けつけた重装の機動隊員並びに署の警備隊員はそれを回ることができませんでしたので、かつまた見たところ、犯人が立ち入ったということは事実その段階ではありませんし、これ十六階も大事なところでありますけれども、それ以外にもっともっと大事といいますか、それに準ずるような大事なところを荒らされておってはならないということで、検索のために走りおりたということでございます。
○内藤功君 レンジャー部隊が駆けつけたのは何分後ですか。
○政府委員(三井脩君) かなり後でございます。時間的にはまだ詰め切っておりませんけれども、かなり後で犯人が中に入っておるという報告を聞いて、またそこへ駆けつけたわけでありますけれども、その際も最初はあそこの電子ロックのドアをエンジンカッター等で破ろうとしたわけでありますけれども、それができませんでしたので、結局、犯人が上がった十四階のパラボラアンテナの支柱を上りまして、犯人が破った管制室のガラスの破れ口、これから中に入るという方法をとったわけでございます。
○内藤功君 こういうときに役に立たなければ、これはいかに新しい立法をつくったって何の役にも立ちません。私は、ですから、こういう事実を見るたびに、これは泳がせているという批評も本当に胸を打つんですよ。
 さて、私は、次に統一協会と国際勝共連合、それからKCIAの謀略工作について御質問したいと思うんであります。
 去る三月十五日に、米国議会フレーザー委員会におきまして「米韓関係の調査」と題する報告書が公表された。その中で統一協会はKCIAが政治活動の目的のために組織したものだ、こういう米CIA資料を公開しております。さらにフレーザー委員長は冒頭声明の中で、韓国政府・KCIAの対米工作会議、いわゆる青瓦台会議には朴大統領自身が出席し、計画実行責任者の一人として朴普熙韓国文化自由財団理事長、統一協会のアメリカにおける責任者が入っていたということを明らかにしております。統一協会・勝共連合の活動は、言うまでもなく、アメリカ以上に日本において活発に公然と展開をされております。したがって、総理、このアメリカ議会での調査に関しては当然重大な御関心をお持ちと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) ただいま御指摘の件は、米国下院国際関係委員会の国際機構小委員会、いわゆるフレーザー委員会が米韓関係に関する調査との関連で先月開催した一連の公聴会の冒頭、韓国中央情報部長であった金鍾泌氏が統一協会を設立した旨の米政府部内資料が公開されたということは承知しており、すでにその資料の写しを取り寄せ済みでございます。ただ、同資料がどのような裏づけを持ってやられたものか等を含め、同資料の性格はまだ判明しておりません。
 なお、この公聴会では、後日、二十二日だと思いますが、公聴会で統一関係者が右資料の趣旨を否定する証言を行った旨、これまた報道で承知しております。そこで、政府としては、この否定をした証言の速記録を駐米大使館を通じてただいま取り寄せておるところでございます。
 いずれにいたしましても、政府としては、そもそも韓国における統一協会の設立過程に関する具体的事実関係はただいまのところはわかりませんので、見解を申し述べる立場ではありませんが、漸次取り寄せる証言等によって検討したいと考えております。
○内藤功君 歯切れの悪い答弁ですが、KCIAと統一協会・勝共連合の関係については、ほかならぬ統一協会自身が「成約週報」というその機関誌でこう言っているんですね。「いま中央情報部」これはKCIAですが、「中央情報部でも非常に関心が深く、遠からず韓国政府自らこの原理を受け入れ、全国家的活躍に進展するものと確信して」いるということを言っております。まさにこのKCIA公認の反共工作部隊、謀略部隊であることが明白なんです、自分で言っている。
 外務省に伺いますが、KCIAとこの統一協会・勝共連合との関係についていままで調査されたことがありますか。
○政府委員(中江要介君) 政府といたしましては、日本におけるいずれの国のいかような団体でありましょうとも、日本の法に触れるようなことがない限り、積極的に調査するということはいたさないものと承知しておりますし、外務省といたしまして、外国にある団体について調査権があるというわけにはまいらないことは御承知のとおりでございます。
○内藤功君 国の主権に関するこのような問題を調査していない、はなはだ怠慢だと私は思うんです。
 三月の二十二日には、フレーザー委員会で統一協会の朴普煕が、一九七七年KCIAから朴普煕自身が三千ドルを受け取って、統一協会の日本人女性会員に渡したという証言をしておる。密接な関係を幹部自身が認めておるんですね。一国の主権にかかわる問題でありますし、日本としても米政府及び議会に対してこの関係の全資料の提供を当然要請するのがあたりまえだと私は思いますが、大臣いかがです。
○政府委員(中江要介君) ただいま御指摘の証言の部分については私どもも関心がないわけでございませんし、いままでいろいろ御意見も承っておりますので、できるだけ早く公式の議事録ができましたなら、速記録ができましたならば、それを入手すべく努力しておるところでございます。
○内藤功君 速やかにこの正式の資料、さらにあらゆる情報を集めることがまず必要だと思うんです。
 さらに、統一協会・勝共連合の会長である久保木修己氏は一九七〇年八月に訪韓して朴大統領と会って、反共指導者である朴大統領閣下の御指導を要請したいとか、奮闘努力し朴大統領閣下の御期待に報いたいということを述べております。これは勝共連合の機関紙に明らかに書いてある。勝共連合と朴政権の結びつきはこれでもう明白、自認しているわけです。しかも日本の勝共連合・統一協会はいまアメリカに対する工作活動の根拠地になっているという疑いがあります。まず岸元総理大臣は統一協会の本部で、勝共連合の人たちが数百人、数千人、数万人アメリカに渡っていろんな努力をしているということについて激励をしている演説が、これもこの団体の機関紙にはっきり載っているわけです。元総理という総理を務めた有力な日本の政治家がこのような言動をとることについて、総理としての福田さんはどういうふうにお考えになるかという点を私は伺ってみたいと思うんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も勝共連合というのは承知しておりますが、この共産主義反対という点ですね、これなんかにつきましては私どもと同じような考え方を持っておる。そういう意味合いにおきましては、私は自由民主党の長老であろうが中堅であろうが若手であろうが、どなたであろうとも、それはその思いを同じゅうするという、そういう点について意見を述べるということについては、私は別に何のことはないと思います。
○橋本敦君 関連。
○委員長(鍋島直紹君) 関連質疑を許します。橋本敦君。
○橋本敦君 いま問題の日韓問題あるいはロッキードの徹底究明というのは依然として重要な政治課題だと私は思うんですが、まず初めに聞きたいのは、きょうも伊藤専務が東京地裁でいわゆるロッキードの三十ユニットについて具体的な証言をいたしました。橋本登美三郎五百万、田中角榮一千万、二階堂氏に五百万渡したと、こういう証言をした。
 ところで、総理並びに法務大臣に伺いたいのですが、橋本登美三郎の全快祝いに現職の法務大臣が、まさにロッキード徹底究明をやる最高の責任者でありながら、出席をしておられる。これで検察の威信が保たれるか、これで第一線で徹底究明に立っている検察官の士気が鼓舞激励できるか、私は一つの重大な政治姿勢にかかわる福田内閣の問題だと思いますが、法務大臣並びに総理の見解を伺いたい。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私が橋本登美三郎君のいわゆる全快祝い、それに出ましたことについて御批判を仰ぐのは、これは自由でありますが、私としては三十年来の本当の友人でございます。これが暴漢に襲われて相当重い負傷をした、長らく病院等に静養してようやく元気を取り戻した、そのお祝いをするという案内がありましたから、喜んで行ったわけでございます。いわゆるロッキード事件の関係があると、これとは全然私は事を別にして考えておるわけでございます。といいますのは、人間お互いその人がどういう罪を犯そうと、人間としてはお互いに愛情を持つことが、これは私の人生観でございますが、それがやはり人間の道である、かように考えておりまして、事件は事件として法に触れる者は断じて許さない、かような立場でおるわけでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 法務大臣のお答えで十分御理解できたと思います。
○橋本敦君 全く法務大臣というその責任の重さを私は十分自覚なさっていないというようにしか思えない。総理もまた、ロッキード徹底究明をするという中での現職閣僚、法務大臣というその責任の重さを全く痛感していただかなきゃならぬのではないか、私はそう思わざるを得ませんね。
 さて、その次ですが、私の訪米調査でこの統一協会問題、勝共連合を調査いたしました。総理は反共という姿勢で勝共連合とは意を同じゅうするとおっしゃいましたが、いまここで問題になっているのは、思想を同じゅうするということにとどまらない。この勝共連合・統一協会がまさにKCIAの手先である政治謀略部隊、その一環を担っているという、この事実が明らかにされてきている問題なんです。
 そういう点で言いますならば、あなたはかって統一協会の文鮮明氏を激励し、アジアにおける偉大な指導者だとたたえられて、そして協調と連帯の精神に合致する、こうおっしゃいましたが、いまこの問題ではなく、この統一協会・勝共連合、これがKCIAと深い関係がある団体だということがはっきりしたならば、あなたは依然として協調と連帯ということでこれからも関係を続けられますか。これが第一に総理に伺いたい要点であります。
 第二の問題として、私は、この勝共連合・統一協会、これとさきにわが党不破書記局長が記者会見で明らかにしましたが、いわゆる集会に出席する、名刺広告を出す、自民党百七十一人の議員の皆さん、現職閣僚で十六人の閣僚が何らかの形で関係をしていらっしゃる。私は、アメリカで多くの人から日本の政府は日本国内におけるKCIAの活動を事実上擁護しているのではないか、だから日本ではこの問題が暴露されず、KCIA天国だと言われるのではないかという批判も聞いてきた。私は、これまでこういうKCIAと関係のある勝共連合・統一協会、これが政府・与党である自民党と深い関係を持ち、そして支持、激励されてきたという、このことに対する政府・与党の責任というものは重大ではないか。私は、この問題についてKCIAと深い関係のある団体だということが明らかにざれつつあるいま、総理並びに自民党総裁としてその責任をどう感じられるか、伺いたいのです。
○委員長(鍋島直紹君) 橋本君、時間が来ました。
○国務大臣(福田赳夫君) 勝共連合が反共を旗印にしておる、そういう点に着目いたしまして自由民主党と勝共連合が協力的側面を持っておったということは、これは御理解願えると思うんです。ただ、その勝共連合が悪いことを別にしておったということであれば、これはその問題として私どもは反省しなけりゃなりませんけれども、KCIA云々のことにつきましては、私は少なくとも承知しておりませんです。
 また、文鮮明氏は、私、何年前になりますか、大蔵大臣をしておったときだと思いますが、文鮮明氏を囲むパーティーをやりまして、そこへ出ていったことはあります。同僚の自民党の議員の案内でありましたが、大変りっぱな人だというので、出ていって、そのあいさつ、演説を聞いてみますると、大変いいことで、私のかねて強調しておる協調と連帯そのもののことを演説しておるわけでして、ああいいことを言ってくれるなと、こういうふうに存じまして、私はそれに相応ずるがごときごあいさつをしたことを記憶しておりますが、それだけの話でありまして、その文鮮明氏が他にどういうことをしておるのか、そのことについてはいささかも承知しておりません。
○内藤功君 文鮮明氏はこれはもうKCIAだということは、訪米調査団でアメリカへ行かれた同僚橋本議員その他がもう耳にたこができるほど向こうで聞いてきている事実なんですね。私はそういう総理の感覚ではいかぬ。
 これは一九七四年五月の文鮮明の希望の日晩さん会に出席したのは、福田首相以外に、ほかにもこの閣僚の中におられるはずですが、どなたがおられますか。外務大臣どうですか。
○国務大臣(園田直君) わかりません。
○内藤功君 園田外務大臣、小沢厚生大臣、中川農林大臣、現職でこの三人がこの文鮮明の希望の日晩さん会に出席しておられるはずです。この三人の方は統一協会・勝共連合とどういう御関係にあるか。また、この会合に出席した理由、この点を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(園田直君) 何とかの晩さん会に出席した事実は全くございません。
○国務大臣(中川一郎君) たしか総理が大蔵大臣のときに行かれた会だったろうと思います。非常に反共思想のいい会合だと喜んで出席をいたしました。
○国務大臣(小沢辰男君) 私は大臣在職中にそういう会合には出ておりませんが、何年のことかちょっといま聞き漏らしましたけれども……
○内藤功君 一九七四年。
○国務大臣(小沢辰男君) 七四年の帝国ホテルでありましたときだと思います。これは、私、党におりましたので出ております。
○内藤功君 出られた理由と御関係はどうですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 案内がありましたし、大変りっぱなキリスト教の何か教会の布教をやっておられるという、正しい思想、啓蒙、普及ということで、これを党の方へ案内が来ましたので、私が出たわけでございます。
○内藤功君 よくこの団体の性格を見きわめていただきたいと思うんです。
 まず勝共連合と統一協会が事実上一心同体だと、この点をまず自治省に聞きたいんですが、昭和四十八年の上期以降、現在まで統一協会から勝共連合への政治献金、貸付金はどんなふうになっていますか。
○政府委員(佐藤順一君) 自治省が政治団体の収支を公表しております官報、それから手元にあります収支報告書によりますと、梶栗玄太郎氏が代表者でありますところの国際勝共連合に対する昭和四十七年から昭和五十一年までの世界キリスト教統一神霊協会からの寄付金額は次のとおりであります。
 昭和四十七年はゼロであります。昭和四十八年は上期下期を合わせまして二十二件四千七百八十万円、四十九年は上期下期を合わせまして三十一件四千六百十八万円、五十年は上期下期を合わせまして五十九件四千五百十九万円、五十一年は一件百万円、合計百十三件一億四千十七万円となっております。また借入金につきましては、昭和五十一年分についてのみその明細が明らかであるわけでありますが、世界キリスト教統一神霊協会からの借入金は一千六百七十二万五千円となっております。
○内藤功君 日本では金大中事件、アメリカでは対韓援助に関する議員の買収事件というものに象徴的に見られるこれは内政干渉の団体であります。アメリカでの統一協会・勝共連合のこういう活動には日本が基地になっていたという大きなわれわれは疑惑を持っている。資金面でも日本が対米工作活動の重要な一翼を担っている、こういう疑いがあります。
 すなわち、わが党の訪米調査団の調査によりますと、文鮮明統一協会・勝共連合の工作資金の銀行と言われているのがディプロマート・ナショナル・バンクだ、こう言われておる。ここに私は株主名簿を持っておりますけれども、ここの中に統一協会・勝共連合の会長である久保木修己ら五人の日本人が株主になっておるんです。このアメリカで問題になっている資金のもとになっている銀行ですね、これを政府は御存じかどうか。
○政府委員(中江要介君) いま御指摘のような事実は政府としては承知しておりません。
 それからもう一つ、先ほど来勝共連合・統一協会と同一の団体としての御認識のもとでの御発言を伺っているますが、先ほど本質疑の冒頭で御引用になりましたフレーザー委員会の調査報告書によりましても、統一協会にはいろいろ触れておりますけれども、勝共連合には今回は触れるところがないというふうに私ども承知しております。他方、また勝共連合につきましては、先ほど私が申し上げましたように、いままで私どもが承知しております限り、日本の法に触れるようなことがあったという事実は承知しておらないわけでございます。
○内藤功君 両者が同じものだということは後で引用する裁判所の判決にはっきり書いてある。
 ところで、このまず株主の問題ですが、大蔵省にお聞きしますが、外国銀行の株式を取得する場合に、外為法によって大蔵大臣の認可を必要とすると思うんです。もし認可を受けないとすれば、これは外為法違反ということになると思いますが、この点はどうですか。
○国務大臣(村山達雄君) いまの点は後ですぐ調査をいたしてお答えいたします。
○内藤功君 大蔵大臣、あわせてこの統一協会の会長久保木修己ら五人がこの株主になっているという点もお調べ願いたい。
 ちょっとこれをごらんください。私は、ここに神戸地方裁判所が五十二年一月二十一日に宣告した勝共連合・統一協会の幹部についての判決文を持ってきております。
 この中で、統一協会と勝共連合というのは、これは団体としては別個だけれども、思想的に、さらに同じ人が会長になっているという人脈の点で、それからさらに資金は全国でニンジン茶を売ったり、花を売ったり、資金カンパしたりして集めてきたものをある人のところに集めて、その管理のもとに勝共連合の資金や統一協会の資金に使ってきた。こういう資金面の連関を非常に詳しく証拠に基づいて認定しているわけであります。これでもうはっきりしていると思うんですね。私はこれが別だというさっきの言い方は全く当たらない。
 それから、統一教会に信者と勝共連合の会員が、四十二年から五十年にかけて、合計百四十万ドル近くの金額を韓国へ渡る費用として持ち出して、残った金額を韓国の統一協会に献金してきたという事実もこの裁判所の判決ではっきり書いてある。
 もう一つは、日韓の両方の統一協会・勝共連合の間には、思想の面では韓国が指導的立場をとり、そして資金の面では日本側が支援の立場に立つということを、これもこの判決で証拠から認定しているわけです。
 私は、こういう点から見ると、外国為替法違反だとか、あるいはベトナムの難民救済だとか、身障者の救済だとかいう名前で募金をして、それを勝共連合の活動資金に使う。一種の私は詐欺を構成するような問題もあると思うんです。総理、さっきから勝共連合は結構だと言っておられますが、こういう事実は御存じですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 余り勝共連合の中身につきましては承知しませんけれども、共産主義反対と、こういうたてまえについて私どもは共感を覚えておる、こういうことを申し上げております。
○内藤功君 外務大臣どうですか。
○国務大臣(園田直君) そういう事実はわかりません。
○内藤功君 農林大臣どうですか。
○国務大臣(中川一郎君) 私も中身は全く知りません。反共であるというところでおつき合いをしておっただけでございます。
○内藤功君 厚生大臣どうですか。
○国務大臣(小沢辰男君) 中身は全く知りません。総理のおっしゃったとおりでございます。
○内藤功君 お聞きのように、共産主義反対なら中身が何でも……。政府として、よくおわかりにならないと正直に言われたんだから、勝共連合・統一協会の活動について、いま私の言ったような違法、不当な行為をこの際徹底的に調べるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 統一教会というのは私は知りませんけれども、勝共連合というのは、自由民主党といろいろ反共という点で共通する点があるんです。そういうことで私は承知しておりますが、違法のことをしておるというようなことにつきましては、全然そういうことを感ずるようなことはいままでとにかくなかったわけです。ひとつどういう動きをするか、これは別に、いま反社会運動をやっておるというようなことで御指摘でもありますれば、その点につきましては調査しますけれども、私ども考えまして、そう悪いことを一般的にしておるというような認識でございませんので、一般的に調査するということは考えません。
○内藤功君 これは日本の裁判所の判決ですから、後でお入り用な向きは、私の調べたものを見せてあげますから、よくお調べ願いたい。徹底的に調べてもらいたいと思う。
 この勝共連合・統一協会はKCIAと非常に深い関係がある。さっき私の言ったいろいろな資料自身で、彼ら自身の資料で認めているわけです。しかも、裁判所の判決でも認定された以上は、わが国の主権、つまり外国の政治勢力によって自主独立が侵されないという意味のわが国の主権を守る、それにかかわる重大な問題として調査をするとともに、この際、こういう疑いを持たれる勝共連合・統一協会と一切手を切るということを宣明した方が、私は、総理大臣、自由民主党のためにもあなたのためにもいいんじゃないか。私は、はっきりここで、勝共連合・統一協会という、そういうような外国の内政に干渉したり、アメリカの議員を買収したり、イタリアでは総選挙で介入してイタリアに共産党が出てこないように、非常に何百人の人が入って運動しているようなことですね、こういう外国へまで行って政治に干渉するこういう団体と手を切るということを、自由民主党総裁としてのあなたは、ここで言えますか言えませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは申し上げられません。
○内藤功君 申し上げられないということは、手を切るのか切らないのか、どっちなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 手を切るということをここで言えというようなお話ですが、それは申し上げられませんと、こういうことを申し上げているんです。
○内藤功君 そうすると、手を切る気持ちはないということですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私が勝共連合についていままで持っておる認識、それに立ちますると、何も別に手を切るとかなんとか、そういうような問題は起こり得ざることであると、こういうことでございます。
○内藤功君 いま私が指摘した判決、あるいはアメリカのフレーザー委員会における証言、こういうものを見ても、なおそういう気持ちはないと、こうおっしゃるわけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことをいろいろ伺ってみなければわかりません。わかりませんが、ただいままで私が持ってきた勝共連合の認識、それからいたしますると、これと別に深い関係はありませんけれども、これと縁を絶てというようなお話でありますが、そういうことをここでは申し上げかねると、こういうことでございます。
○内藤功君 この一連の質問を通しまして、共産主義反対で一致すれば、その中身がどうであろうと、調べようと調べまいと、これとは関係を持つということだけは明らかになった。これが質問のただ一つの成果だったかと思います、私は。これは引き続きほかの機会でも追及しますよ。
 次に移ります。次は公共投資の問題に関して。
 大規模プロジェクト中心の公共投資による景気刺激策、これは私はもう成功してないと思うんですね。政府は、このようなやり方で景気浮揚が効果を上げるということを、いまもなお考えていらっしゃるかどうか、これは総理並びに関係大臣に伺いたい。
○国務大臣(村山達雄君) しばしば申し上げておりますように、いまの日本の経済の局面において、限られた財源で何が一番景気対策上効果を上げるかということを考えますと、やはり施設を含む公共投資に振り向けることが、減税等の場合に比べて、相当効果が大きいということは間違いなかろうと思うわけでございます。
 公共投資のうち、どの方が一番いいかという問題は、一方において景気対策の問題と同時に、社会資本としてどれぐらい立ちおくれておるか、この問題も十分考えなければなりません。そういう意味で、いま進行中の大型プロジェクトにも手をつけておるわけでございます。むしろ、どちらかと言えば、立ちおくれております生活関連の施設の方に重点を置いたということはしばしば申し上げたとおりでございます。
○内藤功君 その点、経企庁長官のお考えを伺いたいと思う。
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済振興のためにいろいろな政策を考えまして、できるだけいろいろやりたいと思っておるわけでございまして、大規模の公共投資もその一つであると考えております。
○内藤功君 ところで、中小企業に対する政府関係の官公需の発注目標はどうなっているか。それから、本年度の目標は達成できると考えているのか。それから、来年度の拡大見通しについてはどう考えているか、この点を伺いたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) 今年度の官公需における中小企業向けの発注につきましては、目標としまして、政府及び政府関係機関三五・二%という目標で措置をいたしておるところでございます。実施状況につきましては、各所管管庁におきまして、このような目標を頭に置いて一生懸命努力をしていただいておるところでございます。
○内藤功君 経済企画庁にお伺いいたしますが、三月二十五日の経済閣僚会議で決められた当面の経済対策について、この中で公共事業の施行促進についてはどのように決めてありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 公共事業につきましては、できるだけ早く施工促進をいたしたい。そのための資材、労務の面での支障を生じないよう、その上で上半期における契約済み額の割合がおおむね七〇%となることを目途とする。それから、第一・四半期においてもできるだけ多くの契約ができるよう努力を払う、こういうことを決めてあります。
○内藤功君 さらに企画庁長官に伺いますが、中小企業への官公需の確保についてはどのような方針を定めておりますか。
○政府委員(宮崎勇君) お答えいたします。
 景気対策としての官公需増大の効果を中小企業に浸透させるため、官公需の中小企業の受注機会の一層の拡大に努めるということを言っております。
○内藤功君 中小企業への官公需の確保、非常にいま大事な問題でありますが、政府の中小企業官公需の目標決定は例年七月でありますけれども、この第一・四半期でできるだけの契約をするということであれば、七月の時期をうんと早めるべきだと私は思うんですが、この点いかがですか。
○政府委員(岸田文武君) 毎年、閣議決定によって中小企業向けの発注目標を定めますのがこのところ大体七月になっております。これは毎年会計年度が終わりまして、四月中に各省において会計整理をし、五月中にその結果を集計をいたしまして、六月に中小企業庁の方へ御報告がある。それをもとに関係各省と調整をしまして七月に発表をする、こういう形になっておるところでございます。目標だけ決定をすればよいというような形では処理せずに、一つ一つ各省ごとの事情を伺いまして、少しでもこれがふやせないかということで調整をするためにそのようなタイミングになっておるところでございます。
 ただ、御指摘ございましたように、本年度におきましては官公需を少しでも上期に集中をしていこうということが方針として決定されておりますので、今年度におきましては、四月一日付をもちまして、中小企業庁から各省庁の官公需担当官に対しまして、先ほど御引用になりました閣議決定の趣旨を踏まえまして、極力、中小企業向けの発注を確保していただくようにお願いをしたところでございます。
○内藤功君 その時期を早めるというお考えはないかどうか、早めるべきじゃないかと思うのです。
○政府委員(岸田文武君) 数年前までは大体八月に決定をいたしておりましたのを、ここ三年、七月に決定をするというところまでこぎつけたわけでございます。私どもも趣旨としまして、一日も早くということはそのとおりかと思っておりますが、先ほど申し上げましたような経緯で七月になっておる。一日でも早くするように私どもも心がけていきたいと思っておるところでございます。
○内藤功君 この点、総理いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 官公需の中での中小企業のシェアにつきましては、もう毎年毎年その引き上げに努力をしてきておるわけです。五十三年度におきましても目標を設定いたしまして、そうして、さらに引き上げ方について努力をいたしたい、さような考えでございます。
○内藤功君 目標の決定時期を早めると、七月より前に。この点です。
○国務大臣(福田赳夫君) それはなお検討してみます。
○内藤功君 さて、そこで具体的な話ですが、東北、上越新幹線工事のことなんですが、中小企業に対して、この新幹線工事について現在発注率はどのくらいで、どんな種類の工事を発注しておりますか。
○国務大臣(福永健司君) パーセンテージ等につきましては事務当局からお答えさせます。
 われわれは考え方の大筋から申しますと、中小企業に重点を置いてと言っておりますが、なかなか実績は余りいい数字ではございません。とにかく、まず数字から申し上げます。
○政府委員(住田正二君) 五十一年度の実績でございますが、東北新幹線で七%、上越新幹線で七%、それぞれ七%でございます。
○内藤功君 どんな種類の工事を中小企業に発注しているか。
○説明員(高木文雄君) 私も詳細は存じておりませんが、現在はトンネル、それから長い橋というようなもののウェートが高まっておるわけでございまして、そうしたものは、残念ながら相当技術力を持ったところにお願いをしなければならないので、大部分が中小企業にはお願いできない環境になっております。
○内藤功君 どういう種類の工事を発注しているかという質問はどうです。わからないかな。
○説明員(高橋浩二君) ただいままでは、いま総裁から申し上げましたように、路盤工事と申しましてトンネル、橋梁、高架橋等が主でございまして、全体のうちのそういうものについては七割から八割の延長区間の発注をいたしておりまして、軌道関係、電気関係あるいは駅舎の建物等がこれから発注されていく主なる工事種類でございます。
○内藤功君 たとえば仙台、盛岡の駅舎の給排水工事、これはどうです。
○説明員(高橋浩二君) 仙台駅につきましては早くから工事を進めてまいりました。なお、新幹線自体が在来線と非常に密接な関係がございますので、非常に急いで工事を進めておりますが、ただいまのところ、そういう本体工事と建物関係、給排水設備についてもすでに発注をいたしております。
○内藤功君 東北新幹線の高架の排水設備の工事について伺いますが、この進捗状況はどうですか。
○説明員(高橋浩二君) 高架橋につきましては、高架橋の上に降りました雨、これを高架橋の上にたまらないように地上の方に導く排水管を取りつける工事がございますが、私どもは、これは給排水設備という種類ではございませんで、高架橋に降った雨を地上に導いていく排水管、家で申し上げればといのようなものをつけておるというのがただいま進めている工事でございます。
 これの進捗状況というのは、高架橋の進捗とあわせまして一緒に進めておりますので、これ自体の進捗はわかりませんが、高架橋のできたところからこのといが完成をしてまいるという手順でございます。
○内藤功君 雨どいのようなものだという、雨どいというのは普通丸ですね。細かい話を一つだけ聞きますが、この国鉄新幹線のは丸ですか。
○説明員(高橋浩二君) 断面が丸いものもございますし、四角いものもございます。ただいま東北新幹線等で主に使っておりますのは、四角い断面のものを高架橋に取りつけております。
○内藤功君 四角い雨どいは余りお目にかかりませんが、この材料のメーカーはどこなんですか。
○説明員(高橋浩二君) 東北新幹線で使われておりますメーカーは、一つは積水化学の製作したもの、それからもう一つは久保田鉄工の製作したもの、もう一つございまして、三菱樹脂の製作したものがただいま使われておるようでございます。
○内藤功君 実際の取りつけ作業は、私の調べたところでは、いわゆる配管工事設備業者であって、その多くが孫請でやっている、これはいかがですか。
○説明員(高橋浩二君) 先ほども申し上げましたように、いわゆる給排水設備でございませんで、高架橋に降りました雨を地上に導くものでございまして、高架橋工事と足場等を共通で施工するのが一番よろしかろうということで、高架橋を施工される業者と同じ方が主として施工をいたしております。したがいまして部分的なものについては下請等で施工されていると思います。
○内藤功君 下請というよりも第二次孫請が多いんですね。
 それで、われわれのいまここに入手した資料を示したい。一つはメーカー側からの資料であります。これはいま言った久保田鉄工が作成した資料であります。これは新幹線の排水設備材料単価表、この資料には材料の値段がA、B、C三段階書いてあります。ちょっと国鉄当局にこれを示します。
 一つの材料の値段にA、B、Cと三つ書いてありますが、何だと思いますか、何を示すものだと判断しますか。
○説明員(高橋浩二君) これを拝見しただけではちょっと理解いたしかねますけれども、管の径とかあるいは厚みだとか、そういうものもいろいろ種類がございますので、それらを含めたものではないかというふうに考えられます。
○内藤功君 では、おわかりにならぬようだから、私が説明いたします。
 まず、わかりやすいようにここに図を書いてきた。お調べ願います。これは材料費のピンはねについての計画書なんですよ。それでAというのは、これは元請契約における材料費単価であります。Bというのは、今度は第一次の下請契約における単価であります。そしてCというのは、第二次下請契約いわゆる孫請契約の単価なんです。そしてこのAとBの差額が元請のピンはね額であります。そしてBとCの差額がこれもピンはね額であります。ピンはねという言葉を使わしていただきます、ちょっと品が悪いですけれども。ピンはね率は、元請が二三%、下請が一七%に上ります。なお、ここで言う下請というのは、実はメーカーの久保田の特約代理店が下請にちゃっかり入ってきているのであります、したがって、このBは何も作業をしないわけです。実際に作業をするのは、ここで言う孫請が作業をするのであります。そしてその孫請は四〇%のピンはねをされておるのであります。そしていまお見せした資料は、そういうやり方をメーカーが計画している、取り決めたその書類が、そのいまあなたがよくわからないと言ったものであります。よろしいですか。
 一方、私は、孫請の方も調べました。孫請の方では、東北新幹線排水設備工事を施工したある業者のところでこういう資料をもらってきた。この材料積算表によると、この業者は実に四三%、あれより三%多くピンはねをされておる。大体久保田のつくったピンはねの目論見と一致しているわけですね、一致している。
 私はここで政府にお伺いしたいんですが、現在のこの国と国鉄の財政状態のもとで、国鉄新幹線工事という大型プロジェクトの工事に関して、しかも四三%にも上る、そうして元請はもうけが保証されている上に材料費からこういう大きなピンはねをする、しかもメーカーがそのピンはねや価格操作をやっているという実態は、これは重大なことだと思うんです。これは許されることでしょうか、どうでしょうか、これを伺いたい。運輸大臣どうですか、こういうピンはねは許されますか、いまのこういう財政状態のもとで。
○国務大臣(福永健司君) いまいろいろ伺いましたが、これは相当よく調べないと的確にお答えするのが無理だろうと思います。第一、係の役人がA、B、Cがわからぬ、私にはなおわからぬ、こういうような話でございますので、よく調べたいと思います。ただし、いずれにしてもばかにピンはねが多いような話は、私は先ほどから伺っておって、それはけしからぬという気持ちでございます。
○内藤功君 国鉄総裁どうですか。
○説明員(高木文雄君) よく実情を調べてみたいと存じます。
○内藤功君 建設大臣に伺いますが、建設省ではこういうことのないように指導しておりますか、建設省の場合。
○国務大臣(櫻内義雄君) 私、就任以来、そういう事実を聞いておりません。
○内藤功君 これはやっぱり実態をよく調べなきゃいかぬ。私ここに持ってきたのは集水升、一つの部品であります。これは私が自分で東北新幹線沿線をずっと見て調べてきた写真でありますが、こういう集水升がある。これは元請契約、つまりAでは七千百五十円、ところが実際の契約では四千三百二円なんですね、これでやっている。これはひどいもんです、三千円の差があります。
 さらに、私がお会いして調べた新幹線をやったある業者はこういうふうに言っておるんですね。会社は三社でもって全部材料を使っておる、材料は久保田、三菱、積水三社以外は国鉄で承認されていない、また特別な工事のため一般で市販されていない、メーカーは代理店以外には販売しないという事情があって、材料は消耗品まで全部官給支給だと、こういうことを言っておる。私はこれははなはだ遺憾なことだと思う。積水、三菱についても同様なことがありますから、運輸大臣、あわせてこれはよく調べていただきたいと思います。どうですか。
○国務大臣(福永健司君) この種のことはよく調査しないと間々大きな疑惑を呼ぶものでありますから、私はこれは精細に、詳細に調べさしたいと存じております。必ずやります。
○内藤功君 鉄建公団に伺いますが、上越新幹線は鉄建公団ですが、メーカーはどこでありましょうか、同じでしょうか。
○参考人(篠原武司君) 国鉄と同じで、ただいまのお話は積水化学工業、久保田鉄工、三菱樹脂ということになっております。
○内藤功君 総裁、上越新幹線の工事についても、いま運輸大臣の言われたような調査をやってください。
○参考人(篠原武司君) 上越新幹線は非常に大きな工事をやっておりまして、大体中小企業に受注の機会を与えるように努力しておりますけれども、なかなかこの問題は、先ほどお話がありましたように、三五・二%というような大きなパーセンテージを占めるようにはなりませんで、全体をなるべく大きく切って仕事に出しておりまして、これは人手の関係、その他信用度とか、いろいろな問題を含めまして総括的に工事を出しておるわけでございます。
○内藤功君 その調査をしてくださいよ、大臣が言ったように上越新幹線について。
○参考人(篠原武司君) はい、わかりました。
○内藤功君 さて、これはどのくらいの規模なのかということです。われわれも試算をいろいろやってみましたが、少な目に見積もって、上越、東北、さらに山陽を入れますと百五十七億になります、これは。そしてピンはね率四〇%として試算をしますと、六十二億八千万円がピンはねされているという計算になります。国費の乱費であり、重大な国損だと私は思うのです。会計検査院、この点を調査していただきたいと思いますが、どうですか。
○説明員(東島駿治君) ただいまの御質問は初めて承りましたので、今後注意してよく調査してみたいと思います。
○内藤功君 会計検査院、いろいろ問題があったんで聞くわけじゃないのですけれども、調査の期限、いつまでに調べますか、期限を示していただけますか。
○説明員(東島駿治君) 私ども新年度の検査計画では、四月、五月に東北新幹線関係をやるつもりでおりますので、その際十分調査したい、このように考えております。
○内藤功君 次に建設省に聞きますが、建設省は中小企業官公需の確保のためにいままでどのような指導、通達を出されているか。これは大臣でなくてもいいですよ。
○政府委員(粟屋敏信君) 建設省といたしましては、毎年度予算の執行に当たりまして関係機関に通達を発しておりますが、その際に、地元建設業者等中小建設業者の受注機会の確保について特段の配慮をするように通達をいたしております。
 具体的な中身といたしましては、御承知のように、工事規模に相応して相応の業者を受注させるという意味の発注標準というものを設けておりますが、発注標準の遵守をすること、さらにできる限り分割発注を推進すること、さらに中小建設業者の能力向上のためにジョイントベンチャーの活用を図ること等を通達をいたしまして、通達に従いまして各機関とも趣旨に沿った実績を上げておるところでございます。
○内藤功君 重層下請について。
○政府委員(粟屋敏信君) 重層下請につきましても注意を喚起いたしまして、特に下請関係につきましては、適正な条件による下請契約を結ぶこと並びに不必要な重層下請はないようにすることということにつきましても通達をいたしております。
○内藤功君 中小企業庁に伺いますが、いまの分離分割発注についてどんな積極的な努力をあなたの方はしていますか。
○政府委員(岸田文武君) 分割発注の推進は、閣議決定における方針の中にもうたわれていることでございまして、閣議決定後、関係各省が相談をいたしますときにも、特にこの点は強調してお願いをしておるところでございます。実施状況についてもそれぞれの各省から御報告がございますが、幾つかの前進を見ておるというふうに承知をいたしております。
○内藤功君 これは排水設備というのはこういうものであります。ちょっとこれは運輸大臣見てください。排水設備というのは、これはまさに中小工事業者に一番ふさわしいのですね。これはちょっと器用な人ならできるのだ、足場がしっかりしていれば。これこそ分離発注すべき一番いい仕事だとぼくは思うのですよ、国鉄にとって。不当なピンはねもなくなるし、国損も防げるし、業者に聞きましたら、こういうのは大いにやれると、やらしていただきたいということをみんな言っております。ぜひこれは――総裁、運輸大臣、国鉄の場合は非常に敷居が高いと言われるから、検討してもらいたい、分離発注。
○国務大臣(福永健司君) いまお示しのものはそんなような気もいたします。ただ、これは少し研究しませんと、専門家から言うとまた違う意見があるのかもしれませんが、写真を拝見したところでは、素人目にはそう見えるわけでございますが、早速そういう観点から検討するようにいたします。また、いまお話を伺いつつ、そういうものがほかにもあるかもしれませんので、その点等も検討させたいと存じます。
○説明員(高木文雄君) きょう、こういうお尋ねがあるということて、私もいろいろ専門家の方に聞いてみましたのですが、高架橋をつくりまして、そこからパイプで引っ張るわけでございますので、橋をかけるときの足場を使って上がっていかないといけないということだそうでございまして、そうしますと、足場をせっかく高架橋をかけるためにつくっておりますから、一括の方が安いんじゃないかというようなことを――まあ急な話でございますので、精査したことではございませんが、そう言っております。総体として、少しでも私どもは安くできませんといけません。しかし、分離発注も大事な問題でございますから、いろいろと比較検討をさしていただきたい。一つの問題提起をいただきましたので勉強いたします。
○内藤功君 最後に、総理に伺いますが、総理は、公共投資の大きいのをやればすぐにも雇用はよくなる、中小企業は潤ってくると、あなたの決まり文句で、いつも拝聴しておるのだけれども、これはやっぱりこういう実態を――総理は経済のいろいろな数字を追い求めることはよくおやりになるし敬意を表しますが、こういう庶民の実態を見て、それに即した経済でなければ、これは生きた経済にならぬと私は思うのですね。一連の問答を聞かれまして、あなたのもっと実態に即したお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく大変な額の公共事業を行うわけでありますから、それが有効に使われるように特に心しなければならない、このように思います。末端まで十分この費用が効率的に使われるように特段の努力をいたします。
○内藤功君 最後に防衛庁、国防会議などにお伺いしたいと思うのですが、まず国防会議事務局長と防衛局長に伺いたいのです。
 今度の米韓合同チーム・スピリット演習は、従来の同種の演習と比べてどのような特徴があるというふうに判断をなさるか、この点を伺いたい。
○政府委員(伊藤圭一君) チーム・スピリットの演習は一昨年も昨年もやっております。今回のチーム・スピリットの演習の特徴として私ども考えておりますのは、いままでのチーム・スピリット演習に比べましてきわめて規模が大きいという点が一つございます。これは米軍の参加が約三万人、それから報道等によりますと韓国軍の参加が六万人とも言われております。したがいまして九万人程度の規模の演習であったということでございます。それからもう一点は、ランスの部隊を戦略展開いたしまして今度の演習に参加させたという点が特徴だと考えております。
○政府委員(久保卓也君) 従来の米韓合同演習の場合には、比較的軍事技術的な面に重点があったろうと思います。しかし、今回の合同演習というのは、在韓米地上軍の撤退という問題を控えて、やはり韓国及びアジアの一部の諸国では、米国のコミットメントあるいはアジア離れということについての懸念が絶えないように米側は見ていたと思います。したがいまして、そういう意味で軍事的なメリットも当然入りまするけれども、韓国及びアジアの一部の諸国に対する政治的な面、それからアメリカが韓国の防衛に対してはコミツトメントを絶対に守るという姿勢を北側にデモンストレートするという政治的な要素というものが非常に強かったろうと思います。
○内藤功君 お二人にもう一問お伺いしたいんですが、演習の性格はその国の軍隊の作戦を最も典型的に証明するものだ、演習というのは必らずこれは最も現実的な想定でやる、これは確か園田さんが上田議員にそう言ったと思うんですがね。そういうわけで、今度の演習の想定で北の共和国の方に進攻するという想定、それからもう一つは、演習の区域がソウル以北を使ったという点、これが特徴じゃないんでしょうか。
○政府委員(伊藤圭一君) 韓国がどういう観点からやっていたかという、その特徴というようなのははっきりはわかりませんけれども、演習というものはやはりその国の脅威にどう対処するかという観点からやるということがその演習の目的を果たすものであるということは当然でございます。
 それから、ソウルの以北でやったというのは、前回あるいは前々回がソウル以北を全然使わなかったということも聞いておりませんけれども、今回のはソウル以北を中心に行われたということは事実でございます。
○政府委員(久保卓也君) 今回の合同演習が北の方に進攻する姿勢を持っておったとおっしゃいましたが、私はその点は存じません。
 それから、韓国の防衛ということは、即ソウルを流れております漢江以北の防衛ということは言えると思います。したがいまして合同演習にはいろんな段階のものがありましょうが、最も重要なものは漢江以北の防衛であり、そういった点について演練するのが韓国防衛のために最も重要なものであろう、そういう認識だと考えます。
○内藤功君 久保さんに伺いますが、演習最終日に、韓国軍の説明の幹部が春川を指してここが開城だと、われわれの目標は開城であるということを言ったという報道がされていますが、これをどう御判断なさいますか、御判断を聞きたい。
○政府委員(久保卓也君) 私は韓国の戦略、戦術から言ってもアメリカの戦略、戦術から言っても三十八度線を越えることは絶対にあり得ないというふうに思います。
○内藤功君 伊藤さんに同様のことを伺いますが、最終日にそういう説明をしたということを防衛庁はどう判断なさいますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 私どもはそういう説明を最後の日にしたということは聞いておらないところでございます。
○内藤功君 そういう報道をどう判断なさいますか。
○政府委員(伊藤圭一君) これは、その報道がどういう内容かつまびらかにしませんので、私どもとしては特に考えたことはないわけでございます。
○内藤功君 次に、日米防衛協力小委員会において日米両部隊の作戦、指揮の調整については、現在どこまで論議が到達しておりますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 日米防衛協力小委員会につきましては、ご承知のように三つの部会を設けまして、ただいまその部会で技術的な面の研究をいたしております。その中の作戦部会で指揮及び調整、作戦準備、陸上作戦、海上作戦、航空作戦、通信電子、そういった内容について調整をし、研究をいたしているわけでございますが、指揮及び調整の問題につきましては、御承知のように米軍と、それから自衛隊が別個の指揮系統のもとで共同対処するということでございますので、その間のどういつた調整が必要かというようなことを専門家のところでいま検討しているわけでございます。その際に、その調整するための機関が必要であるのかないのか、そういった問題について研究をしているところでございます。
○内藤功君 その場合に、日米両部隊の作戦調整機関というものについては論議されていますか。
○政府委員(伊藤圭一君) その必要性につきましても研究をいたしております。
○内藤功君 さらに、日米両部隊の軍事協定といいますか、作戦協力の協定、それから合同演習、こういった点については論議されておりますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 実は、その協定等につきましてはまだやっておりません。具体的ないわゆる作戦の場面というものを専門家が研究している段階でございます。
○内藤功君 防衛庁長官に伺いますが、そういういま非常に重大な国の運命をいわばかけるような協議が日米間の制服を含めて行われている。これに臨む日本側の態度はこうせよと、どういうふうにあなたはこの防衛庁に対して指導しておられるのか、大きな方針を示しているのか。
○国務大臣(金丸信君) 私は、この小委員会につきましては、日米安全保障条約というものを円滑な運用をするためにはあらゆる話し合いをすべきである。なお、そういう中で、この会合を通じながら両国の信頼性というものを強めるべきだ、こういう考え方を持っております。
○内藤功君 総理に伺います。総理は孫子をお読みになったそうであります。孫子の冒頭には何と書いてありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 冒頭に何と書いてあるか忘れました。
○内藤功君 失礼ながら申します。「兵は国の大事なり」と書いてある。「兵は国の大事なり」、いかがですか、そうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) これはもう大事であります。
○内藤功君 大変失礼いたしました。兵は国の大事であり、戦争というのは国のもう一番大事なことなんだということが書いてある。ですから、日米が戦争の相談をしているわけです、いま防衛協力小委員会で。日米安保の円滑な運用だけじゃない、日本がどのようにしてアメリカの戦争に巻き込まれないか、アメリカのやる戦争に日本は巻き込まれないようにするというこの努力について、総理なり防衛庁長官は、防衛庁のそこに出る小委員に対して、こうせよと、ここは絶対に譲っちゃいかぬぞと、ここは堅持せよという方針が私は国の指導者としてあってしかるべきだと思う。そういうものはないんですか。
○国務大臣(金丸信君) 憲法で、日本の国がアメリカに巻き込まれるというようなことは絶対考え得られません。私はそういう意味でその御心配は無用だと、こう考えております。
○国務大臣(福田赳夫君) 防衛庁長官同様でございます。
○内藤功君 これではだめであります。
 次に進みます。F15戦闘機の問題、伊藤局長にちょっと伺います。
 これはブルッキングス研究所で発行したアメリカの戦略空軍の戦術空軍力という本ですが、これをごらんになったことがありますか。
○政府委員(伊藤圭一君) それを全部読んだわけではございませんが、要点につきましては……
○内藤功君 七十二ページ。
○政府委員(伊藤圭一君) はい。F15が浸透能力を持っているというくだりだろうと思いますが、その辺は読みました。
○内藤功君 ここに私は現物を持っているのですが、1111からF4、そうして来るべきF15というのは非常に深く浸透する、敵地の奥深く浸透する戦闘機であって、そうしてこれはアメリカから見れば戦略兵器制限交渉SALTの対象にはならないけれども、ソ連から見ればこれは戦略兵器と見られても仕方がないという、こういう趣旨のことがありますね。これについて防衛庁はこのような戦闘機を取得するということについてどう御判断になりますか。
○政府委員(伊藤圭一君) まず、この論文は一九七四年度の論文でございます。したがいまして、その時点におきまして、F15というのはまだ実際に配備もされておりませんし、でき上がってもいなかったわけでございます。したがいまして、そこに書いてございますのは、ヨーロッパ戦線におきます浸透力というような形で説明されておるわけでございます。
 で、このF4あるいはF1111と決定的に違います点は二つあると思います。
 一つは、F15は核兵器を搭載することができません。そしてまた空対地の誘導弾を搭載することができないわけでございます。その点がまずF4等と全く違っている点でございます。それからもう一点は、いわゆる対地高度計というのを持っていないわけでございます。御承知のように、ファントムは対地高度計を持っておりますし、F1111というのは、さらに進みました地上追随装置というものを持っておりまして、低空で長く飛んでこれを浸透するということは可能でございます。F15はそれらの計器を持っておりませんので、きわめて局限された戦闘場面におきましては低空からの進入ということも可能でございますが、いわゆる気圧高度計によりまして低高度を長く飛び続けるということはパイロットとしては不可能でございます。
 そういった点から見ましても、これはいわゆる空中戦闘というものを重視した飛行機として出現し、そして現在そういった目的に使われている飛行機だというふうに考えているわけでございます。
○内藤功君 そこなんですね。そこで、どこでの空中戦闘か、これはこう書いてあるんです。米国のあらゆる地上発進の深部進行機は、西ヨーロッパの基地を使って、ヨーロッパ、ロシア数百マイル内部にキロトン級の戦術核弾頭を投下させることが可能であると。ヨーロッパと言うけれども、これはアジアでも数百キロは同じことですね、こういう戦闘機です。
 ですから、これは攻撃用の戦闘機だということを非常に否定されるけれども、敵地の奥深く入って、そこで空中戦闘をやる戦闘機だ、このように判断できませんか。
○政府委員(伊藤圭一君) ただいまも御説明しましたように、まず核装備というのができないということは、非常にこれはファントムその他の飛行機と違う点でございます。でアメリカのいわゆる戦術戦闘機で核戦闘ができないということは、いわゆる攻撃面におきましてはきわめて能力的に低いわけでございます。
 それから浸透と言いますのも、いま私が御説明しましたように、ある限られた距離におきましては、浸透するためには低高度を飛んでいくということがいまもうほとんど絶対の条件になっております。したがいまして、そういったための対地高度計あるいは地上追随装置、そういったものを持っているということが浸透のためには非常に重要な条件になってまいります。そういったものを持っていないということになりますので、その目的のために開発されたものでないということは当然でございます。しかしながら、F15という飛行機は、あらゆる面におきましてきわめてすぐれた能力を持っておりますから、限られた戦場におきまして、そういった浸透ということは可能だというふうに考えておるわけでございます。
○内藤功君 同じく、局長に聞きますが、F4、F15、P3Cこういうふうに、アメリカと同じ機種を、多少の改造はしても持つというその理由は何ですか。
○委員長(鍋島直紹君) 内藤君、時間が参りました。
○内藤功君 はい。もう二問だけお願いします。
○政府委員(伊藤圭一君) これは私どもが新しい装備品を決定いたしますときにはいろいろな角度から候補機なるものを調査いたします。そうして、その中でわが国の防衛に最もふさわしい、そして性能の高いものを選ぶというのが従来のやり方でございます。したがいましてF15を選ぶ場合にも、御承知のように、七機種につきまして詳細に研究をいたしました。そして最後にアメリカの飛行機の中から選ばれたわけでございます。P3Cにつきましても、御承知のように、開発をしようとしたこともございます。それからヨーロッパの機種を調査したこともございます。しかしながら、あらゆる点で性能的にすぐれているということで国防会議で御決定をいただいたわけでございまして、最初からアメリカの飛行機を選ぶという目的でやったわけではございません。しかしながら、結果的に、性能のすぐれたアメリカの装備品というものは、日米安保体制の上から言ってもこれは好ましいことだったというふうに考えているわけでございます。
○内藤功君 もう一問だけ。
 ところが、ここに「自衛隊戦わば」という本があります。これは元陸海空幕僚長の座談会である。かなり遠慮して話しているのですが、その中の九十四ページにこう書いてある。石川という空幕長の方ですね、「もし米軍がファントムを提供してくれれば、自衛隊のパイロットがこれに乗って戦うことだってある。」アメリカが飛行機を提供して日本は人を提供する。「日米ファントム隊の共同作戦があるのは当然です。その意味でFX(次期主力戦闘機)は、日米間で機種をそろえておくことに意味があるわけです。」、「その意味で」と書いてある。これは重大です。P3Cについても問題がありますが、時間がないので、この点だけ。この本は制服組が勝手にしゃべったんじゃなくて、序文には当時の防衛庁長官坂田道太さんの、この本は大変いい本だ、大いに防衛論議の充実と発展のために役立たしたいという「推薦の言葉」があるんですね。当時の防衛庁長官ですよ、当時の防衛庁長官が現職として推薦している本にそう書いてある。これを防衛庁はどう御判断になりますか、ずばりこれが本当じゃないですか。
○政府委員(伊藤圭一君) それは、先ほども御説明いたしましたように、やはり性能というものが問題でございます。いかにアメリカのものでも性能が劣っていた場合に、わが国の防衛力として役立たないというものを選ぶはずはないわけでございます。しかし、同時に、日米安保体制というものを結んでおりまして、運用面あるいは整備、そういった面からいきますと、結果的にアメリカの兵器というものを、いいものを選んだということはいいことだというふうに考えているわけでございます。
○内藤功君 最後に一つだけ、済みません。
○委員長(鍋島直紹君) 簡単に願います。
○内藤功君 はい、簡単にやります。
 大蔵大臣にお伺いしますが、いま国連では非常な軍縮の努力が行われている。世界の大勢は軍備増大、軍事同盟ではないんですね。やっぱり軍縮ということが真剣な問題になっている。ワルトハイム事務総長は軍拡競争の非常な負担というものを報告しております。こういうことに陥らないためには、まだまだ軍備がそれほど大きくならないときによく抑えていかなきゃならぬ。財政当局の最高責任者として、そこらあたりのお考えはどういうふうに持っているか、一遍お聞きしたいと思っていたので、どうぞひとつお願いいたします。
○国務大臣(村山達雄君) 御承知のとおりに、わが国の防衛力は、国防会議におきまして国防に関する基本方針あるいは大綱等によって基本が決められるわけでございます。そして昨年の十一月でございましたか、当面、GNPの一%を超えないことをめどにやるというわけでございますから、世界の中で最も低位にあるわけでございます。われわれもこの方針に従ってやっていきたい、かように思っているところでございます。
○委員長(鍋島直紹君) 内藤君の質問中、大蔵省の答弁を求めましたが、留保しておりました。旦国際金融局長から答弁させます。
○政府委員(旦弘昌君) 先ほど御質問ございました統一協会日本支部から米国に対する送金の件でございますが、それに許可を要するのか、また、どのような場合に許可をしているのかという御質問に対してお答えいたします。
 まず、居住者がその非居住者に対しまして寄付贈与する目的で外国に送金をすることにつきましては、その金額が現在では三百万円相当額を超える場合には許可を要することになっております。それで日本銀行がこのような許可をいたします場合には、その送金の目的、使途、送金先等を審査いたしまして、その送金の目的が資本逃避等の目的を有しない、それからまた学術団体、宗教法人等非営利団体に対するもの、あるいは災害援助等の目的を有することが明らかな場合には、送金を許可することにいたしております。そして統一協会のニューヨーク本部に対する寄付につきましては、このような観点から審査を行いました上、許可をいたしております。ただ、その申請の許可の時期、あるいは具体的金額等個別の案件につきましては、個別の案件でございますので、答弁を控えさせていただきたいと思います。
 それから第二に、ディプロマート・ナショナル・バンクの古田武士という人物に対しまして、その人が投資の許可を得ているかという御質問であったと承っておりますけれども、外国の企業に対しまして経営参加的な意思を持って株式を取得する場合には許可を要します。ただ、この件につきまして調べてみましたところ、そのような方に許可をいたしました実績は見当たっておりません。ただ、われわれといたしましては、この方が非居住者であるのか、居住者であるのか明らかでございませんが、もし非居住者でございますれば、外為替管理法の適用外でございますので、当然そのようなことは必要はないわけでございまして、その辺は私どもは確認する能力を持っておりません。
○委員長(鍋島直紹君) 以上で内藤君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(鍋島直紹君) 次に、太田淳夫君の締めくくり総括質疑を行います。太田君。
○太田淳夫君 日銀総裁、どうも御苦労さまでございます。
 それでは、最初に日銀総裁に若干お尋ねしたいと思いますが、東京市場の引け値が二百十八円二十銭ということでございますが、朝から非常に荒れているような感じがいたしますが、この点に関しまして総裁の御所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 金曜日の東京市場は御承知のようにドルがやや盛り返しまして二百二十三円をつけましたのでございましたが、その日にアメリカで、時差の関係がございますので東京市場閉鎖後でございますが、国際収支の二月分の発表がございまして、四十五億ドルという貿易赤字、非常に大きな赤字であることが発表されましたので、それがロンドンあるいはニューヨーク市場にはね返りまして、円だけではございません、ドイツマルク、スイスフラン等も一様に高騰いたしまして、円も二百二十円そこそこまで上がったわけでございます。その動きが東京に移ってまいりまして、きょうの動きは主として輸出予約と輸入予約とのアンバランスということが基本的な背景でございますが、寄りつきは二百二十円でございましたけれども、引け値は二百十八円二十銭というような大変急テンポの上昇に終わったわけでございます。
 今回のこの動きが、円高と申しますよりも、ドル安の一段の進行ということのように見受けられるのでございまして、東京市場閉鎖後、シンガポールにおけるマルクなどの動きを見ましても、ついに二マルクを割りまして、一マルク九十八とか七とかいうようなところまで落ち込んでおりますこともその間の事情を説明しておるようでございます。ひとえにドル安によるものと理解をいたしております。
○太田淳夫君 次にお伺いしますけれども、最近の国際通貨の動きを見ますと、スミソニアンレートと比較した場合、円は約四〇%、あるいは西独マルクは約六〇%、スイスフランは一〇五%と、こういうような実質的な切り上げとなっているように私は思うわけですが、そこで日銀当局とされましてはマルク及びスイスフランの切り上げ率に対する現在の円の相場をどのようにごらんになってみえますでしょうか。
○参考人(森永貞一郎君) 御指摘のように、スミソニアンレートに対しまして、ドイツマルクは六〇%、スイスフランは一〇六%の値上がりを示しております。日本円は、本日の二百十八円何がしをもって計算いたしますと約四〇%というようなことになっておるわけでございます。巷間、ドイツマルクが六〇ぐらいまで上がっておるのだから日本円ももう少し上がるのは当然ではないかというような議論も聞かれるのでございますが、私はそういう議論にはくみしたくございません。為替相場の基準を、数字的にある一定の基準あるいは基準比をもって論じますことは、数字的には可能でございますけれども、その国の経済力の実情もいろいろと違っておるわけでございますので、単に数字だけで律するわけにはいかない問題ではないか。もし数字だけで割り切れる問題でございましたならば、何もいまのような変動相場制に持っていく必要もなかったわけでございますので、主要国がいずれも変動相場制をとっておりますゆえんも、単なる数字だけでは律し切れないという理由があるからだと思っておる次第でございます。
 いまの為替相場、特に円の地位をどう考えるかという問題でございますが、変動相場制下でございますので、あくまでも市場の実勢にゆだねるのが原則でございますから、市場の実勢以外の基準価格あるいは理想的な価格というようなものを議論するのは私どもの立場としては避けなければならないと思っておりますが、何分にも昨年来約半年にわたりまして急激な円高が続いてきたわけでございますし、特に最近においてその感を深くしておるわけでございますので、願わくはもうこれ以上余り円高にならないように落ちついた情勢を取り戻してほしいという希望を抱いてはおりますが、これもひとえにドルの問題が支配的な要素でございますので、日本だけではどうにもならないという要素が多分にあることを率直に感じておる次第でございます。
○太田淳夫君 いまお話をいただいたわけですが、そろそろ落ちついていただきたいという希望を述べられましたけれども、この半年間の急激な円高から判断しましても、そろそろ円の天井感が市場に出てきてもいいのじゃないかといういまのお話ですが、そういう御意見と、あるいはドル安とか日本の経常収支の黒字から見てもこれは二百一円ぐらいまで下がるのじゃないかと、いろいろな意見があるわけでございますが、その点、日銀総裁と経企庁長官にお伺いしたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 先ほども申し上げましたように、円の将来の相場の予測ということはなかなかむずかしいことでございまして、特に私どもみたいに為替政策の一端に携わっております者といたしましては、予測にわたるような発言をいたしますことがかえっていろいろな弊害を招くと思いますので、大変申しわけございませんが、ただいまの質問に具体的にお答えいたしますことは御容赦いただきたいと存じます。私どもも、もうそろそろこの円の市場感が落ちついていいのじゃないかという気持ちは人後に劣らず持っておりますけれども、具体的にいまの御質問にお答えすることは、ただいま申し上げましたような事情もございますので、どうか御容赦いただきたいと存じます。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま総裁はもうそろそろ落ちついてほしいというふうに考えているというところまで言われましたわけですが、私もそう考えておりまして、円自身の事情から言えば、そういうことはわれわれが期待できる段階になりつつあるのではないかと思っております。
○太田淳夫君 それでは、総裁にまたお伺いしますけれども、去る三月二十九日の記者会見で、わが国の経済が円高に対処できるように変えるべき局面に来ていると、こういう意味の御発言をされておりますけれども、具体的にどのような内容の円高に対処した経済にすべきであるとお考えでしょうか。
○参考人(森永貞一郎君) 昨年の十月か十一月ごろまでにかけましては、一体この円がどう落ちつくのだろうかということで企業家の間に大変な不安感がございましたのが、その後、年末から一月、二月半ばにかけまして四十円台で落ちついておりましたことに伴いまして安堵感が幾らか出てまいったようでございまして、一ころのような危機感、焦燥感ばおさまってまいったようでございます。その後、今度のようなまた円高が起こってきたわけでございますが、今度の場合は、この前の十月、十一月ごろのような危機感は、もちろん業種によりましてはいろいろ危機的な様相を呈しておられるところもあろうかと思いますけれども、一般的に申しますと、業界全体としては少し落ちついた受け取り方で臨まれておるような感じがいたすわけでございます。けさの新聞等によりましても、円高に対する覚悟ができてきたと申しますか、対処の仕方について少し落ちつきが見られるというような記事もございましたが、私どももそういう感じをほのかながらいたしておる次第でございます。
 一たん円高になりましたものはいずれまた円安ということもあり得るわけでございますけれども、当面はこの円高に耐えていかなければならないわけでございますので、効率の高い企業ではドル建ての価格を引き上げるとか、それの困難なところはできるだけコストの低減を図って合理化によって何とか切り抜けていくとか、あるいはどうにももう輸出ができないようなものにつきましては内需向きに転換するとか、いろいろと各業態によってお考えになれることもあるのではないかと思いまして、やっぱりこの円高にいまの事態では耐えていく努力をみんなでしていかなければならぬのじゃないかというのが一つでございます。
 もう一つは、円高のデメリットがとかく強調されがちでございますけれども、やはりメリットの方も見直してみるべき段階が来ておるのではないか。メリットの最大なものは輸入価格が目に見えて下がるということでございますので、それが企業のコストの低落につながっていき、また消費者価格の安定につながっていき、国民生活の安定につながっていく、そういうメリットをやはり最大限に確保していく努力が必要なわけでございまして、デメリットに耐え、メリットを活用するという方向で腰を据えてどう対処していくかという問題をこの辺で真剣にみんなで考えなければならぬのじゃないか、そういう意味の発言をいたしましたのが、いま御指摘の新聞記事になったわけでございます。
○太田淳夫君 昨年の十月からの円の値上がりに対しまして、今日まで日銀は約百億ドル近いドル買いを行った、このようなことを聞いております。これは日銀総裁としては非常に言いにくい問題であると思いますけれども、また、ことしになってから買った額でもこれは約五十億ドル近い額である、このように聞いておりますが、ほぼこのような額になるとは思うのですけれども、私は、日銀総裁としてはこれはやむを得なかった処置ではないかと思いますけれども、若干このドル買いが将来に負担となるとは総裁としてお感じになってみえませんでしょうか。
○参考人(森永貞一郎君) 二月半ば以後、若干ドルの買い介入額が増加いたしましたのは事実でございまして、金額が幾らということは申し上げませんが、そのことが外為特別会計の支払い超過になっておりますことは事実でございます。現に、金融機関の資金繰り、いわゆるポジションなどもこの三月にはかなりよくなったというような事実もあるわけでございますが、しかし、現状ではそれが直ちにマネーサプライの増加、いわゆる過剰流動性の造出に結びついておるということはないと確信しておる次第でございまして、いまのところ通貨供給量が多過ぎるという面での御心配は御無用かと信じております。
 ただし、何分にも国債が増発されることでございますし、いまのような外為会計の問題等もございますし、今後もし景気がよくなってまいりました場合に、民間資金需要がふえてくるわけですが、その場合に、その辺の調節がうまくつくかどうか、いわゆるマネーサプライをうまくコントロールできるかどうかという問題はこれはあるわけでございまして、いまのところ心配は要らないと思いますが、これからの問題といたしましては、常にこのマネーサプライの適量を維持するという面の配慮が必要になってくるのではないかと思っておる次第でございます。その面も十分に配慮しながら今後の金融政策の運営に誤りなきを期したいと思っておる次第でございます。
○太田淳夫君 記者会見でも、マネーサプライに悪い影響を及ぼし、過剰流動性が発生している事態ではないと、こういう御見解を述べられてみえました。しかし、潜在的にはマネーサプライの増加の要因と認めている発言になってみえますが、いまのお話の点がその点じゃないかと思いますが、再度ちょっとお答え願えますか。
○参考人(森永貞一郎君) あのとき申し上げましたのは、支払い超過がそれだけ金融機関の手元を楽にしておるわけでございまして、特に都市銀行について申しますと、この三月のポジションがかなりよくなっておるわけでございます。それ自身ではまだ過剰流動性が起こっておるということではございませんが、貸し出しの増加に充て得る状態が生じておるわけでございますので、今後の成り行きいかんによってはそれが流動性化するおそれもないではないという意味のことを申し上げたわけでございます。
○太田淳夫君 いま日銀総裁から将来にそういう不安があるというお話がございましたが、やはりこの日銀の多量のドル買いというのが一つの要因になってくるのじゃないかと思いますが、インフレという点から見ますと、最近の巨額な国債の発行による財政インフレの危険、これも今後ないとは言い切れないと思うのです。そうなりますと、下手な経済運営をいたしてまいりますと、もうダブルパンチインフレというか、相当な悪性なインフレが発生する可能性がないとは考えられないと思うのですが、その点、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(村山達雄君) いま日銀総裁が申されましたように、インフレというのは、需要インフレ、コストインフレ、あるいは過剰流動性の問題でございます。いまのところ需要インフレはまあむしろデフレギャップでございますし、それからコストインフレもないわけでございます。過剰流動性も、いまのところM2の状況は大体一〇%ぐらいでございますから、恐らく大丈夫だろうと思うのでございますが、先ほど申しましたように、日銀総裁からも言ったように、企業の手元流動性なりあるいは銀行のポジションがよくなっているということ、そのことはわれわれが十分注意しなくちゃならぬわけでございますから、今後民間資金需要が盛り上がってきたときにどのようにその点をコントロールするかということはいまからよく考えておく必要があるということを総裁は述べたわけでございまして、その点は財政当局としても同感でございまして、万般やはり万一のことを考えてあらゆる用意をしておく、かようなことであろうと思います。
○太田淳夫君 次に、総理と日銀総裁にお尋ねしますけれども、一昨日報道されましたカーター米大統領の特別声明と申しますか、米国二月の貿易収支が記録的な赤字になったことについての、黒字国に黒字減らし策をとる必要のあることを喚起していると、そういう特別声明につきまして、どのように受けとめてみえますか。
○国務大臣(福田赳夫君) カーター大統領の発言は、アメリカも国際収支を直さなきゃいかぬ、同時にアメリカのインフレ、これについても注意しなければならない、同時に黒字国においてもひとつ注意してもらいたい、こういう発言で、私としてはアメリカの大統領といたしましては常識的な発言をしておると、このように見ております。
○参考人(森永貞一郎君) 国際会議でもしばしばこの責任の問題が起こるのでございますけれども、これは黒字国も赤字国もやはり両方とも責任があるわけでございまして、両方ともが努力して国際収支の調整を図っていかなければならないということだと思います。カーター大統領の言明も、赤字国に責任なしという議論ではもちろんない、両方がやはり精いっぱい努力していかなければならぬという真意であったのではないかと私は察しておる次第でございます。
○太田淳夫君 先ほどの総裁のお答えの中にも、ドル安がいま大きなウエートを占めているというお話でございましたが、今日のように各国の通貨に対してドルの全面安の状態になっているこういう局面では、世界的なレベルで通貨安定に関する話し合いをやはり考えていくべきじゃないかと思いますが、その点、総理と総裁にお尋ねします。
○国務大臣(福田赳夫君) 今日の通貨不安は、これは本当に根が深いと思うのです。先ほども申し上げましたが、アメリカの経済動向、これはもう世界の経済動向に非常に大きく影響する。つまり、世界第一の経済大国はアメリカであります。そのアメリカが大変な国際収支上の赤字を出しておる。そこへもっていって、第二の経済力というか工業力を持った国はわが日本である。その日本がアメリカとは逆に大変な黒字を出しておると、こういうことでありますから、私はもうこれは大変問題だろうと思うのです。この奇形的な形がどうして出てきたのかと、こう見てまいりますと、やっぱり石油ショックですね、あれが生んだ一つの副産物であると、このように見ておりますが、やはり世界通貨を安定させるためには、アメリカの国際収支、これは数字的にすぐ安定させよと言ったってそれは簡単にはできません。できませんが、アメリカはこうなるんだと、こういう傾向が出てくるということが必要であると、このように思います。同時に、わが日本などの黒字国、これの動向、これも黒字が是正される、数字的にどんどんそれが出てくるということはむずかしい。むずかしいが、これも傾向といたしましてこういう傾向になるであろうという判断ができる、こういう段階になる、これが私はどうしても必要だと思うんですよ。まあ日本、アメリカばかりじゃありません。ヨーロッパもまた世界の経済に大きな影響がありますので、その辺の世界経済をどういうふうにするかについて日米欧の間で相当腹を割った話し合いができ、そして経済のかじ取りについての認識の統一、これがこれから為替を安定させる上においてどうしても必要である。このように考えまして、ちょうど七月には主要工業国首脳会談が開かれる、この機会あたりにこの問題をかなり大きく前進させなきゃならぬ、この会議をどうしても成功させなきゃならぬと、そのように考え、日本は日本なりにいろいろいま努力をしているという最中でございます。
○参考人(森永貞一郎君) ただいま総理からお答えがございましたとおりだと存ずる次第でございまして、政府におかれましても機会あるごとに御努力を願っておるわけでございますが、私どもといたしましても、中央銀行の会議が毎月バーゼルでございますが、その会議の席ではいつもその問題を取り上げておるわけでございます。今後もあるいは個別的な折衝等の機会も利用いたしまして極力努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○太田淳夫君 最近「ニューズウイーク」誌にブルメンソール米財務長官見解が載っておりまして、それと関連してちょっとお聞きしたいと思うのですが、この見解によりますと、アメリカとしてはドル防衛という考えは全くないようだ。米国においては経常収支の赤字と並んで資本流出も問題になっているが、これに対しても資本流失のコントロール、利子平衡税の適用、外国通貨建ての米国債の発行などもとらないと断言しています。また、米国は、円・ドルレートの相互防衛に加わるべきだという日本の要求にも、現行の取り決め以上のことはしないと、このように語っているわけですけれども、政府としてこのブルメンソールの見解をどのように見てみえるか、お尋ねします。
○国務大臣(村山達雄君) アメリカの一般的なドル安に対する見解は、前々から申し述べておりますように、やはり基本論が強いことは事実でございます。
  〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
ただ、注意深く見ておりますと、それが徐々に変わりつつあるように見受けられるわけでございまして、最初は雇用の問題中心でやってきたわけでございますけれども、最近におきましては、やはりアメリカの基軸通貨としての立場から、インフレの問題にむしろ注意を向けなければならぬというような声もだんだん上がっているわけでございます。まあ言ってみますれば、アメリカの国内というものは貿易に依存する割合は非常に少ないし、自国の通貨であるわけでございますから、一般の国民が為替レートに非常に敏感でないことはもう当然ございまして、むしろ雇用問題の方が中心になっておるわけでございますから、保護主義的な高まりが非常に高くなるおそれのある国柄だと思っているわけでございます。特に、一般の国民の方々、産業界、あるいは議会筋はそうであろうと思いますし、それを強く反映する政治部面でもやはりそっちの方にどうしても引きずられがちである。
 しかし、このようにドル安の傾向がだんだん続いてまいりますと、世界各国からいろいろな問題が起きるわけでございますので、したがって、やはりドル価値の安定というものについてもだんだん関心を持ち始めつつある。そういうことのあらわれが、西独との間のスワップの拡大につながりましたり、最近ではわれわれが聞いているだけでもアメリカの有力者の方々がいまのような態度を少し改めにやならぬというような方々に論文がもう出始めておるわけでございますので、それはやはり敏感に連銀筋を中心とし、あるいは財務省を中心といたしまして、いわば国際中心の国際派の考え方、基軸通貨としての立場をこの際何らかとることが必要ではないか、それが同時にまたアメリカ自身の利益にもつながるのではないかという議論が台頭しつつあるわけでございます。だから、その点がいまちょうど体制が徐々に変更されつつある状況でございますので、先ほどから申し上げておりますように、いまの円高の問題は一面ドル安の問題であるんだから、ここにやはり共通の認識を得る一つの基盤ができたと、かように考えていると申し上げているところでございます。
○太田淳夫君 いまドル安という共通の認識の場ができたというお話ですが、それでは日本政府としても積極的にこの際通貨安定のために通貨外交を展開すべきじゃないかと思うのです。総理が米国へ行かれる前にアメリカへ特使を派遣する用意をすべきじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 特使の派遣というようなことはいま考えておりませんけれども、あらゆるルートを通じましてアメリカとは緊密な話をいたしております。
○太田淳夫君 また、日本としてもここで通貨の外交戦略というものはやっぱり確立する必要があるのじゃないかと思うのです。そういった意味で、専門家の衆知を集めて日本としても通貨体制はどうあるべきかということをこれはもう検討を始めるべきじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 検討を始めるという段階ではありません。もうずいぶんこの問題はすでに検討いたしておるところでございます。
○太田淳夫君 検討しても手はないということですか。
 次に、米国の景気は先行きの見通しがよくなくて、五十三年の一月から六月までのわが国の対米貿易の黒字が縮小しない場合には議員立法で輸入制限を決めるかもしれないという声があるらしいのですけれども、米国の景気動向あるいはその輸入制限の動きについてどのようにごらんになってみえますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 米国の景気は昨年かなりよかったわけでございまして、この一九七八年も昨年ほどではないけれどもかなりの成長が見込まれるというのが基本的な米国政府の判断でございます。しかし、他方で先ほどからいろいろお話のございましたようなインフレ気構えが出てまいっておりますために、カーター大統領も、先ほどお触れになりましたその声明の中で、帰国後にはエネルギー及びインフレについての対策を協議して立てたいということを述べておられるようであります。そういう意味では、ただそこで一つ論争がありますのは、それならばインフレが第一のトップの優先位の問題であるかどうかということについて、雇用とどちらであろうかという議論がまだ米国政府内で決着がついていないように存じますが、いずれにしてもしかしインフレに対処する方法を考えなければならないということはかなり出てきたように見ております。
 それからわが国との関係は、テレビにいたしましても鉄鋼にいたしましても大筋の話し合いができておるわけでございますが、自動車につきましては先ほど通産大臣がお答えになりましたようなわが国側の考え方もあるわけでございます。ここから急にしたがって保護立法的なことをアメリカに考えられるような筋合いはわれわれとしてはないと思いますし、米国の政府の指導者もそれはわかっていることであろうと思います。
 ただ、一つの問題は、ことしが中間選挙の年でございますから、そういうことはわれわれとしても十分注意をしてまいらなければならないと思っておりますけれども、大統領を初め政府当局は何とかしてそのようなことにしないために先ほど申し上げたようないろいろな努力もしておる。また、恐らく福田総理とカーター大統領の会談におきましても、当然福田総理から日本政府の考え方をお話しになる。先方としては世界が保護主義にならないような、ならないためにはお互い何をすべきかという観点からお二人の話し合いがあるものというふうに考えております。
○太田淳夫君 報道によりますと、牛場対外経済相は、記者会見で、わが国が宮澤構想などを対外的に主張する前に、実際に黒字減らしをすることが先決であると、こういう話をされておるようですが、私はこれは両方とも必要ではないかと思うのです。しかし、そうなりますと、五月、七月と開催されますところの各国の首脳会談、これまでにやはり黒字減らしの実績を上げなければ、通貨問題に対する日本の発言というのは諸外国から相手にされないのじゃないか、このように心配するわけですけれども、その点の対策はどのように立てられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もともと五十三年度の経常収支の黒字幅六十億ドルというものは、この年の後半になってそういう傾向がかなりはっきりしてくるというふうに、私どもそういうふうに考えております。それは、政府の対策がやはり効果を発揮しますのに多少の時間がかかりますので。そう思ってはおりますけれども、先ほどから総理も言われますように、それらの主要な会談、五月あるいは七月等々が、何かそういう政府の努力が多少傾向として出てきたというようなこと、あるいは政府の努力そのものが広く各国によく理解をされるというような背景でございませんと、なかなか日本の言うことも十分に説得力がないであろうという考え方はもう私もそう思いますので、いろいろな方法でそういう努力をいたしていかなければならないと思っております。
○太田淳夫君 去る二十四日に発表されました日本とECの共同声明、これでEC側がわが国の五十三年度の経常収支黒字は六十億ドルと、このように明記することを強く主張したと聞いておりますけれども、それを五十二年度に比べて三分の一程度縮小すると、このように変更していますけれども、その点の意味はどういう意味でしょうか。
○国務大臣(牛場信彦君) 経常収支の黒字の幅につきましては、実数を申すことはわれわれは困るということで話をいたしまして、結局、今年度の経常収支の大体三分の一減らすということを申したわけでございます。これは昨年十二月に予算の基礎として経済見通しを作成いたしましたときの見通しが今年度が大体黒字百億ドル、それを三分の一減らすということで大体六十億ドルということになったわけでございまして、その点は変わっておらないわけでございます。その点はECもよく了解しておるところでございます。
○太田淳夫君 これは五十三年度の収支見通しというのは百四十億ドルになっておりますけれども、これから三分の一減というと五十三年度約九十億ドルということになりませんか。
○国務大臣(牛場信彦君) 政府といたしましては、公式に経済見通しはまだ変えておらないわけでございまして、したがいまして、あの共同声明に載っております三分の一減らすという意味は、これは昨年十二月から変わっておらないわけでございます。その後のことは、これははっきりした見通しはなかなか立ちにくいわけでございますけれども、政府の公式的な態度というものは依然として変わっておらない。この点はEC側にもよく申してあることでございます。
○太田淳夫君 宮澤経企庁長官にお聞きしますけれども、四十億ドルの黒字減らし、これは具体的にどのようなことが構想に入っておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 五十三年度のいわゆる四十億ドル程度の黒字減らしと申し上げましたのは、実はもう少し大きければ大きい方が先ほどからお話しのような経緯もあっていいとは思いますものの、相手のあることでございますし、また、国自身が直接に物を買うということはそう多くないわけでございますので、可能な範囲でということも考えましてせんだって竹田委員にそのようなお答えをいたしたわけでございます。
 私どもとしましては、すでに発表いたしました原油の備蓄でありますとか、あるいはその他の方法、それからこれからもまだあれこれ考えてまいらなければならないと思っております幾つかの措置がございまして、これはまだ未決定でございますけれども、そういったようなものでその程度のものをひとつ緊急輸入等々のことをいたしたい。ただ、これは相手のあるものも幾つかございますので、そういう国との話し合いもしながら、大まかな見込みとしてそれぐらいのものをやっていきたいと思っている段階でございます。
  〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
○太田淳夫君 それでは、せんだっての委員会でもこの黒字減らし対策につきまして御質問いたしましたけれども、その点に関連しまして、もう少し具体的にちょっと聞いてみたいと思うのですが、まず運輸大臣にお聞きします。
 航空三社から航空機の購入計画が運輸省に提出されたそうですけれども、その機種とかあるいは路線権の決定というのは、これは大変に困難な問題じゃないかと思うのですね。このような複雑な政策を決定する基本というものはどういうものでしょうか。
○国務大臣(福永健司君) 航空機は相当金額がかさむ品目でございますから、そういう意味における注目を受けているわけでございますが、政府で買うということでございますと簡単にまいりますけれども、民間航空会社がこれを買うということでございますから、やはりそれぞれの会社はそれぞれのいろいろの政策なり思惑なりというものがありますので、そういうことを尊重しつつ――私いつかも申し上げましたが、どの飛行機を買えというようなことで非難をされるようなことはしたくもありませんし、民間航空会社の考え方を尊重しつつ対処するということで各社の大体の考え方を徴したのでありますが、各社から報告書が提出されたその内容は、三社計で昭和五十三年度発注予定が二十四ないし二十六機、五十四年度発注予定が十七ないし十八機で、購入金額の合計は約十六ないし十八億ドル、こういうことでございます。これに対しまして、運輸省としましては、今後の航空需要の動向、空港整備の状況等を勘案しつつ、その購入の必要性に応じまして検討し、必要なものにつきましては円滑な輸入が図れるよう諸般の措置を講じてまいりたい、こういう考え方でございます。
○太田淳夫君 私たち考えただけでも、成田開港に伴う路線の問題及び日米航空交渉などいろいろな事情がありますので、これは航空政策の抜本的な洗い直しがいま必要な段階じゃないかと思うのですね。しかし、このエアバスの購入という点を考えただけでも、やはり航空政策の確立が必要だ、このように思います。そこで、いろいろな点から長期的な視野に立った航空政策というものが確立されなければ航空機の購入計画をあわてて決定すべきじゃない、このように私は思うわけです。航空行政というのは、ロッキード事件の例から見ましても慎重かつ公平に行われるべきものだ、このように思いますし、そういう点から考えますと、航空機を緊急輸入品目に入れるということは、これは単なる思いつきじゃなかったのか、このように思うわけですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(福永健司君) これは思いつきでも何でもないんで、もういずれにいたしましても購入する時期に来ている事情等もありますし、御承知のように、航空機は注文してもすぐウイスキーやバターを買うようなわけにはいかないんで、何年かかかりますので、やっぱりそういう意味においてもいま太田さんお話しのような長期的展望に立った施策が必要でございますが、それにいたしましても会社によりましてちゅうちょしていたようなのがこういう際にドル減らしにもなるしというようなことで幾らか早目に注文するとか、しかし、先ほどあなたがおっしゃったように、早く注文して早く着くとするならば、それが日本に着いたら役に立つような方途が裏づけれてなきゃならぬというようなこと等もございます。そこで先ほども申し上げましたように、こういうような買い方をしてもいいという報告を徴しまして、それならそれで買ったけれども余り用がないというようなことにならないように、まさに御指摘のような諸般の航空政策等と合致したことになるように、またそれなりの便宜も図るように、こういうことで臨んでおる次第でございます。
○太田淳夫君 この前答弁いただいた航空機の国際リース会社、この設立の構想はどうなりましたか。
○国務大臣(福永健司君) これはまあ構想としてはなかなかおもしろい構想なんでございますが、私の立場からいたしますと、構想がおもしろいからというのでこれをやみくもにやると日本の航空機会社を圧迫すること等にもなりますので、よくそれらのかみ合いのぐあいを検討してかからなければならぬ。そういう意味で、私はこの構想に対しては大いに興味は持っておりまするけれども、いま申し上げるようなことと無関係にこれが推進ということは必ずしも考えておりません。といって、ブレーキをかけるつもりじゃございません。そういうことで、関係省庁とよく打ち合わせをしてそのあたりに間違いのないようにというように考えております。
○太田淳夫君 いつごろまででございますか。
○国務大臣(福永健司君) これはいつまでというのがなかなかむずかしいのでございまして、さしあたりすぐということにはなかなかまいらぬ、私は少なくともそう思っております。
○太田淳夫君 次に、やはり黒字減らしの一つとして、原油の洋上備蓄ということもせんだって閣僚会議で挙げられておりますけれども、これはタンカー備蓄とあわせて行っていくんですか。
○国務大臣(福永健司君) これはあちこちに関係いたしますが、まず私どもといたしますと深い関心を持ち、関係がございますので、申し上げます。
 タンカー備蓄につきましては大体二十万トン級のタンカー二十隻ぐらい、これが必要だとされております。これだけ使いますと、どうせタンカーはあいておりますので、まことに都合のいいことがいろいろございます。ただし、それについては問題がございますので、この点についてはいろいろ打ち合わせをしていかなければなりません。
 なお、洋上構築物による洋上備蓄につきましては、これまたかなり大きな計画がいま考えられておるわけでございます。これについても安全等の問題がございますので、これはこれで鋭意いま協議をいたしておるわけでございます。いろいろそれらの点についてよろしかろうということになればぜひ推進されることが望ましいと私どもは考えております。
○太田淳夫君 そうすると、その原油の洋上備蓄につきましてはある程度の具体的な構想はもうまとまっているわけですね。この規模とか場所とか時期というのは具体的にわかるわけですか。あるいは安全基準というのはいつごろまでにつくるか。
○国務大臣(福永健司君) もう規模は六百万キロリッターくらいなことが考えられております。これは世界的に見ても非常に大きな規模ということになると思いますが、場所は、確かにそこでどうだという話の場所もございますし、現地等では、たとえば上五島なんかでは、関係者が非常に賛成してくれている向きもあるし、また自重しているところもございます。そういうことで、完全に話がついたというところではございませんが、かなり有望といいますか、何とかなりそうだというような気もいたします。しかし、それについては解決すべき若干の問題がございまして、これらの解決をいま急いでいるところでございます。
○太田淳夫君 先ほどタンカー備蓄については問題点が多いというお話でしたけれども、問題点に用船の問題もあると思うのですね。これは業界からもいろいろな希望が出ていると思いますが、その点はやはり公平に行っていくんでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(福永健司君) 問題が多いとは申し上げたのでございません。問題がございますと、こういうように申し上げたのでございますが、多くて話にならぬというようなことではないように私は了承しております。
 多少具体的なことにつきましては局長から答えさせることにいたします、せっかく来ておりますから。
○政府委員(後藤茂也君) 御説明いたします。
 タンカーの備蓄につきましては、やはりいずれにいたしましても場所をはっきりいたしませんと話になりません。それから場所もさることながら、原油を満載して洋上に置くわけでございますから、その安全管理体制というものについてしっかりした体制というものもいたさなければなりませんし、万一の場合の補償といったようなことにつきましてもはっきりしたことを決めておかなければなりません。そういったようなことをただいま通産省と私どもとの間で現在相談をしているという段階でございます。
○太田淳夫君 いろいろな点から見てもなかなかこれはむずかしい問題があり、黒字減らしに緊急的に役立つものとは思えませんけれども、しっかり対策を立ててやっていかなければならない問題だと思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 原油の備蓄ということは、これから石油の価格がどうなるか等あります。そういう際に私は大いに考慮していい問題じゃないか、そのように考えましてこれを強力にいま推進しているんです。かなり期待が持てると、このように考えております。
○太田淳夫君 次に、宮澤長官は最近七%成長のネックは個人消費にあると、こういうふうに発言されておりますけれども、この個人消費のネックを解消するためにはどのようなことを考えてみえますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) GNPの半分以上が個人消費によって占められるわけでございますので、この動向というものは成長を左右する一番大きな要素であるということを申し上げておるわけですが、私は、一つは、一つはと申しますか、消費者の将来に対する不安をできるだけ解消していくということだと思います。その一つは、物価の安定ということではないであろうか。この点は、幸いにしてかなりいいところへ来ておりますことは、御承知のとおりでございます。もう一つは、雇用の将来に対する不安が少なくなっていくということ。これはやはり経済が最悪の事態をもう脱したなあということが消費者にわかってもらえますと成就できるのではないかと思いまして、そういう二つのことを努力いたしたいと思っております。
○太田淳夫君 私は、宮澤長官がおっしゃりたいことは、もう一歩進めますと、減税とか、あるいは賃上げとか、社会保障関係の給付の引き上げとか、あるいは失業手当の増額など、そういったものによって国民の不安を解消して個人消費をふやしていく方が必要だと、こういうことを言いたいのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもが七%成長を見込みましたのは、決して余りむずかしい、欲張りの条件を考えておったわけではございませんので、現在の与えられましたいろいろな枠の中で私どもが考えている程度の消費の伸びというものは、まあまあ物価が安定し、雇用に対する不安が解消すればできるのではないかと考えておりまして、現在政府が御提案を申し上げておりますようなそれを越えてさらに追加措置がなければむずかしいぞということを申しておるわけではございません。
○太田淳夫君 次に、従軍看護婦に対する補償処置についてお伺いしたいと思います。これは第七十七国会におきましても私が社会党の片岡さんと一緒に立法の提案者になってこの問題について提案をしてまいりましたので非常に関心を持っておりましたけれども、稻村総務長官はこの点について積極的な発言をしてみえますけれども、現状としてどのようになっておりましょうか。
○国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。
 日赤看護婦の方々の問題でございますが、口にあらわすことのできない御苦労をされてまいられました。特に、私は、声なき声と申しましょうか、任務、行動その他におきましても女性兵士と何ら変わるところがないという、こういう見識に立っております。しかしながら、現在の恩給制度のあり方からいきましてこれに恩給制度としての問題はなかなかむずかしいとは思いますが、何らかの方法で今国会中に各省等と連絡をとりながら決着をつけてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○太田淳夫君 その補償処置の具体的な内容についてはどのようになっていますか。
○国務大臣(稻村左近四郎君) 具体的な問題につきましては、総務副長官を協議会の責任者として個々に一つずつ現在詰めておるところであります。
○太田淳夫君 報道によると、相当具体的な内容について出ておりますが、この点はどうなっておりますか。
○国務大臣(稻村左近四郎君) まだ具体的にこういう方法がいいとかこういう形でいくとかという具体的な詰めはありませんが、しかしながら、先ほど来申し上げましたように、行動、任務その他において何ら兵士と変わりなし、女性兵士としての任務を遂行されておる、こういうような関係から、恩給制度の適用はないにいたしましても、何らかの形で解決をする、こういうことを申し上げておきたい、こういうふうに思います。
○太田淳夫君 それでは、必ず約束されたというようにやっていただきたいと思います。
 次に移りますけれども、去る三月二十五日に、ビルマ国営航空機の墜落事故によって、建設省の国広部長を団長とする一行六名が全員死亡されたと聞いております。ここで謹んで哀悼の意を表する次第でございますけれども、昨年の暮れにはラオスで外務省の二等書記官の杉江御夫婦の事故がございました。このように、最近公務員の方の海外で公務死される事件が多くなってきたわけでございますけれども、この方々の補償はどのようになっておりましょうか。
○政府委員(山崎敏夫君) 昨年十二月に亡くなりました杉江書記官の場合は、すでに公務上の死亡であるとの認定がおりまして、国家公務員災害補償法に基づきまして遺族補償金等の支払いのための手続を進めております。
 次に、三月二十五日に起こりましたビルマに対する技術協力調査団の方々の死亡につきましても、これは明らかに公務上の死亡でございますので、一行中の国家公務員であります外務省の一名、それから建設省の三名につきましては、国家公務員災害補償法によって、また、国際協力事業団及び首都高速道路公団の職員各一名につきましては、労災保険法によりまして遺族補償年金等が支払われることとなると思います。手続は、詳細な事故報告を待って早急に開始する予定でございます。
○太田淳夫君 災害補償制度には、一般の公務員が公務死した場合と、警察官等の方々が生命を賭して犯罪の捜査等で公務死された場合と、二通りありますね。警察官の場合には一般の補償額の五割増しになっておりますが、今回の場合はどうでしょうか。
○委員長(鍋島直紹君) 太田君、時間が参りました。
○太田淳夫君 わかりました。もうちょっとです。
○政府委員(山崎敏夫君) 公務災害補償の五割加算措置という制度があることは事実でございますが、これの要件は三つございます。一つは、戦争、事変、内乱その他の異常事態の発生時であること、第二に、生命または身体に対する高度の危険が予想される状況のもとにあること、三番目に、外交、領事事務に従事し、そのために公務上の災害を受けたということになっておりまして、われわれとしましては、杉江事務官の場合、それに該当するのではないかということで人事院とも種々協議いたしましたが、当時のラオスの悪い治安の状況を前提としていろいろ検討したわけでございますが、以上の三つの要件を満たしたと認定することはなかなかむずかしい次第でございまして、人事院ともさらに協議はいたしておりますが、最終的な結論は得ておりません。
 ビルマの場合については、この五割加算は無理なようでございます。
○委員長(鍋島直紹君) 太田君、簡単に願います。
○太田淳夫君 最近、こういう海外へ進出されるナショナル・プロジェクト・チームというのが非常に多くなってまいりました。いまちょっとお話しのように、在外公館の職員には若干の上積みをすることもあるらしいのですが、杉江さんの場合は、これは非常にむずかしいという例でございますが、総理も外遊されていたときがあると思いますけれども、あるいはいまの規則にしましても、そのときにつくられた状況といまの状況は大分変わっているのじゃないかと思うのですね。そういう点からしまして、こういうナショナル・プロジェクトで海外に派遣されて行かれる方々、あるいは海外の公館にでも勤務されている方々の場合につきましては、これは公務死をされた場合には五割増しの措置がとられるようにすべきじゃないかと思うのです。そういった点で、きょう人事院総裁は見えていませんけれども、総理大臣からの前向きの御答弁をいただきたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘の問題は、いろいろ問題があってなかなかむずかしいという傾向だそうでございます。しかし、なお相談してみることにいたします。
○委員長(鍋島直紹君) 簡単に願います。
○太田淳夫君 総理大臣から実現をするようにしっかりとプッシュしていただけますね。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう補償とかというような問題は、横並びの問題とかいろいろたくさんある制度の中の一つの問題ですから、その問題だけを取り上げて結論を出すというわけにはなかなかいきません。そういうことで、いろいろ問題がある由に聞いておるのですが、なお全体をレビューしてみるということを督促してみたいと思います。
○太田淳夫君 終わります。(拍手)
○委員長(鍋島直紹君) 以上で太田君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) 次に、栗林卓司君の締めくくり総括質疑を行います。栗林君。
○栗林卓司君 まず、総理にお尋ねします。
 昨今の円高の問題も、突き詰めてまいりますと、七%成長ということにまずは帰着すると思うのですが、この七%成長も国際的に見て大変重い話になっておりますけれども、その要素を抜きにしても、ということは国内的な立場で考えても、七%成長目標の意味というのは大変重い、私はそう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 七%成長は、内外が関心を持っておる、そういう問題であるというふうに考えております。
○栗林卓司君 関心ということだけではなくて、雇用を考えますと、七%成長を達成したとしても失業率が二をちょっと欠けるか欠けないか。あるいは求められているいまの産業構造改善をどうするかというと、ミクロの経営の問題になりますけども、去年一年間はアメリカと日本でおおむね五%前後の成長だった。ではアメリカのミクロの経営はどうかというと、五%の成長で収益率の上がりというのは一二%ある。わが日本は五%の成長率で経常損益が五%のダウンであります。ミクロの経済回復をさせながら産業構造の改善も進めたい、雇用問題も解決をしたいということになると、七%成長というのは、単に関心が高いだけではなくて、何としてでもやり抜いていかなければいけない目標に相なったのではないかと、こう思いますが、重ねて伺います。
○国務大臣(福田赳夫君) 成長目標七%程度をこれは内外が関心を持ち、期待をしている、そういうことでありますので、私どもといたしましては何といたしましてもこれを実現をしたいと、このような考えであります。
○栗林卓司君 それで、では七%程度の達成ができるかという話になりますと、一生懸命がんばるというお答えが返ってくるわけですけども、そうすると、聞いておりますわれわれ国民の側とすると、去年をとってみても、当初は六・七%だった、年度中に五・三%に政府みずから下方修正したじゃないか、去年あったことがことしないとは言えないのだろうかという危惧をどうしても持つわけですが、昨年度六・七%が五・三に下がった理由というのをもう少しわかるように教えていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 九月末からの急激な円高・ドル安、これがなければ大体私は六・七%成長へ行ったと思うのです。ああいう不測の事態が起きてきた。これで下方修正をせざるを得なかったと、こういうことだと私は考えています。諸外国、特にアメリカ、これだって六%成長ということを言っておったんですよ。それが五%成長を切ると、こういうことです。ドイツだって五%成長と言ったのが二・四%成長だと、こういう状態で、これは日本だけが世界の趨勢とかけ離れてびとり泳ぎをするわけにはいきません。そういうことも御理解願いたいんですが、とにかく私は非常に困難な世界情勢の中でありまするけれども、何というか非常に急激に来ました円高・あれがなければ六・七%成長程度のものはいったと、このように見ております。
○栗林卓司君 隣が病気になったからわしのところも病気になるんだというお話は実はいただけないのでありまして、日本としてどうかということなんですけれどもね。
 ある経企庁の幹部の方がほかの場所で私はこう思うという話の方がよほどわかるものですから、かわって申し上げますと、三つどうも原因があるらしい。一つは何かというと、去年は九月に二兆円の事業規模の追加需要創出を行ったわけですけれども、そのときにGNPの速報値をベトスに使った。ところが、いざ本当の確報値を見てみたら、速報値と確報値が違っちゃった。その関係で〇・五%下方修正せざるを得なかった。もう一つの理由は、いまおっしゃった円高の影響、これは大体〇・四から〇・六%の下方修正の影響である。まだ全部ではありません。もう一つは何かというと、景気判断の甘さを率直に認めざるを得ない。昨年の七月から九月期、実質経済成長率が〇・五%、これほど落ちるとは見通せなかった。以上三つが六・七から五・三に下方修正した理由だと思うとある経企庁の幹部の方が言われました。私はこの話の方がよほどわかると思うのですが、重ねてお尋ねします。
○国務大臣(福田赳夫君) それは、九月に総合経済対策をとったんです。それで大体六・七%成長はいけるという目算だったんです。それが九月の末になって突如あの急激な円高になったというんで、私の言っている方がよほど説得力があると、このように考えております。
○栗林卓司君 経企庁長官、何かおっしゃりたいことがありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 結構です、別に。
○栗林卓司君 物事というのは当たり外れがありまして、いま言った三つの理由は、間違ったからけしからぬということを私は申し上げているのじゃないんです。ただ、いま言いたいのは、速報値と確報値が違うことはある、ことしだってある。円高はどうかといいますと、二百二十円を上回ったこの円高の影響はこれから出てくる。では、景気の見通しが当たるか当たらないか、これだってたってみなければわからない。同じように、ことしだって、目標は別として、見通しはと言われたら、率直に言ってわからないというのが本当のところではないのだろうか。いま私は内閣に一番求めたいのは率直さだと思います。三月の二十四日に西ドイツの総理大臣が何を言っているかというと、これだけマルクが高くなると三・五%の成長は困難になるかもしらぬと。したがって、わが日本だって七%はこんな状態では無理かもしらぬ。だから何をやるという話は別でして、無理かもしらぬということをまず率直にお認めになった上で、じゃどうしようかと、こうならないと、前に行かないのじゃないでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 予算を編成したときに比べますと円が高くなっていますから、それだけ景気には水を差すと、こういうことになる。しかし、同時に時が進行していますから、昨年の秋ごろから急激に起こった円高、この打撃、これは相当解消されつつあると、こういうこともあるわけであります。でありまするから、円高が予算編成後に厳しくなった、だから七%成長がこれはむずかしいと、そう割り切るわけにはいきません。
 しかし、景気動向に若干影響があるということは、これはそれだけ輸出がむずかしくなるのですから否めないところでありますが、しかし、御承知のようにこれだけの円高というものがあるにかかわらず、輸出が二月も三月も相当の伸びを示しておるということも考えると、さあ円高になったから、円高が予算編成後厳しくなったから、景気が相当ダウンするかというと、そういうふうに短絡するわけにもいかない、こういうふうに見ておりますが、いずれにいたしましても、景気は生き物でございまするから、これからどういうふうに動いていくかわからぬ。よく情勢の推移を見て、その時点時点において適切な対策をとって、そうして内外の期待する七%成長を実現をする、これ以外に道はない、このように考えています。
○栗林卓司君 重要な点ですから重ねて伺うのですけれども、円高はあったけれども輸出が伸びた、伸びたおかげで下げどまった、それもあるんだというお話は、やっぱり輸出に寄りすがりながらということなんでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 五十三年度の経済運営といたしましては、輸出に寄りすがって成長を伸ばす、そういう考え方は全然持っておりません。
○栗林卓司君 いや、昨年度の話を申し上げているんで、そんなに、経済は生き物だとおっしゃったんですから、一日変わった途端にがらっと変わるわけにいかないんで、五十二年度をたとえばこの一−三月を見ますと、思ったより伸びてきたと言うんだけれども、それを支えたのは、公共事業もあるけれども輸出の伸びですからね。日本経済の体力はどうかと言ったら、輸出部分はどけといて――だって減るんですから。また、減らさなければいかぬわけでしょう。もとのところがどれだけの伸びる力を持っているかという判断をしながら、さて、それと七%とどうであろうかと、こういう議論でないといけないのじゃないでしょうか。いまわれわれの手元にある数字を見ると、七%の成長目標に対して必ずしも好意的なというか好ましい数字が並んでいないことは事実だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 五十三年度はもう三日前から始まっているわけでありまして、その動向が一体どうなるか、これを測定する時期じゃまだないと、こういうふうに見ております。これからの景気動向の推移、これをあらゆる方面から注視いたしまして、その時点時点において必要な対策はとっていく、これが私は道筋であろうと、こういうふうに考えております。
○栗林卓司君 そうしますと、必要な対策というのは、具体的に何を頭にいま置いておいでになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) それはその時点時点で何が必要になるか考える問題でありまして、いまここで四月には何だ、五月には何だ、六月には何だ、そんなような考え方は立ち得るはずがありませんです。
○栗林卓司君 私は毎月カレンダーみたいに出せと言うのじゃなくて、どっちみち足らなきゃ追加をするわけですから、どういう手段をお持ちですかと聞いているんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 私が五十三年度で大きな目標にいたしておりますのは、経常収支を何といたしましても大幅に縮減する。六十億ドルの黒ということを言っておりまするけれども、何とかしてその辺まで縮減をいたしたいという、これが一つ。それから物価の安定を維持しながら七%程度の成長を実現をしたいと、こういうことなんです。その二つを実現するために必要な手をその時点その時点において打っていくと、こういうことなんです。あるいは緊急輸入というような手段もありましょう。あるいは輸出の調整というようなことも考えられる。また、国際社会に対しまして開放体制、とにかく東京ラウンド、ああいうことを中心とした開放体制政策、これをとっていくということも非常に大事な問題になってくるだろうと思う。同時に、国内的には、それとも深い関係があるわけではありまするけれども、内需の振興ですね、これを情勢に応じまして財政、金融あらゆる面におきまして必要な手を打っていくと、こういうことでありまして、いまそのうちのどの手段をどの時点においてとっていくかということは、これはちょっとお考え願いますればいま予見するということが不可能であるということは御理解いただけると、かように存じます。
○栗林卓司君 私、この問題はそう慎重にならない方が総理の気持ちも国民に浸透するし、効果も上がると思うのですけれどもね。いつかというのは聞いていないのですが、いまおっしゃった財政が必要があればと。その財政が必要があったらどういう手段があるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これもその時点でいろいろの知恵がわいてくると思うんですよ。思いますが、とにかくどうも過熱の状態が出てきたということになれば支出を抑えるという手段もある。あるいはどうも成長が足らぬというおそれがあるといえば支出を繰り上げるという手もある。あるいはいま予算におきましては予備費なんというようなものもありまするけれども、予備費の活用というようなこともあるとか、いろいろの手が考えられるわけでありますが、その時点にならなければそれはどういう手段をとっていいかということはいまここで申し上げるというわけにはいかぬ。
○栗林卓司君 今年度が終わってもトンネルを出たか出ないかだと政府みずからおっしゃるわけですから、過熱の心配をいまここで余りしても仕方がないんで、後段の部分ですけれども、いまのお答えの中で耳に入ったのは公共事業、予備費だけ、繰り上げはもうやっちゃって進行済み、というと、あの二千億だけおっしゃるわけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そう短絡的におとりにならぬでいいのじゃないでしょうか。政策の大筋をごらんになって、そしてどういう手があるかというお考えでいいのじゃないかというふうに思いますが、その時点時点におきまして私は適切な対策はとると、このような方針でございます。
○栗林卓司君 お金だけは天から降ってこないのでありまして、そのときどきで知恵をしぼると言ったって、じゃどこから金をつくってくるかという話に必ずなるんです。いま伺った二千億はわかりました。予算に入っています。足りなかった場合はどう知恵をしぼるんですか。そのときになって言われたって困るんです。これまでどの年度だって補正を組まない年度が一遍でもありましたか。それも含めて考えるという方と、とにかくそのときになって知恵をしぼるわいというのと、どっちの方が聞いている方がわかるのか、どう思いますか。
○国務大臣(福田赳夫君) その辺を言わせたいという腹でおっしゃっているのだろうと思いますが、その辺も含めてあの手この手あらゆる手段をとるという考えなんですよ。その辺は聞かぬでも御理解のほどを願います。
○栗林卓司君 ではこういうお尋ね方をしたいのですけれども、経常収支の黒字を何とか減らしたいというお話でした。そこで、経常海外余剰を見ますと、一貫してふえているんです。五十年の七−九月と五十二年七−九月を比べますと、実質季節調整済みでほぼ倍になっている。一貫して経常海外余剰がふえている。こういう姿を総理はどうごらんになりますか。ほかの御担当でも結構です。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の経済もずいぶん強くなったなあという感を深くするのみであります。
○栗林卓司君 その答えはないのでありまして、結局いま私が伺っているのは貯蓄投資のバランスの問題なんです。成長率が大きく屈折をしますと、もう釈迦に説法ですから詳しく申し上げませんけれども、貯蓄投資のバランスが壊れてくる。そのときにあいたものをどうやって埋めるかというと、これまでは政府支出と輸出で埋めてきた。その結果が経常海外余剰になってどんどんふくらんできた。それを減らしたいというんですから、ということは、国の固定資本形成と経常購入を思い切ってふやすしかない。ところが、過去を見ると、どんどん経常海外余剰がふえてきた。政府がちびった結果がこうなったのじゃないのかと伺っているんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、石油ショック後の政府の財政経済措置、これは諸外国に比べるとかなり順調にいったと思うのです。その結果が、今日のような、物価は安定しておる、しかも輸出力が非常に強いというところになって出てきておるのじゃないか、そのような感じがしてならないんです。これはまあいろいろ複雑な要素がありましょうからいろいろな見方があると思いまするけれども、私は少なくとも世界が非常に混乱している、その中でわりあいに早くわが国の経済が軌道に乗ったということがこの趨勢に出てきておると、こういうふうに見ております。
○栗林卓司君 そうしますと、今回御提案の五十三年度予算ですけれども、貯蓄投資バランスを正常化していくには十分の規模であると御判断になっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 何ですか、何を……。
○栗林卓司君 いまの貯蓄投資バランスを正常化するのに五十三年度予算というのは十分な規模であるという御判断でございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 貯蓄率が妥当かどうかというお尋ねでありますれば、まあまあこの時点ではこの辺が妥当なところであろうと、そういうふうに考えています。と申しますのは、国債をこれだけ発行するんですよ。これが消化されなければ大変なことになります。この公債はどうやって消化されるのかと言えば、これは貯蓄率が消化するほかはない。また、同時に、わが国はこれから成長政策を進めるわけです。その成長政策を進めるためには相当の民間の投資がなきやならぬ、設備投資が。その設備投資はどうやって行われるのかと言いますれば、これは貯蓄がそれを支えていくわけですからね。それなくしてわが国の経済、わが国の社会の秩序、これを維持していくわけにはまいりません。そういう見地から見て、二〇%ないし二五%ぐらいの貯蓄率、これはもうぜひ必要だと、そういうふうに考えております。
○栗林卓司君 貯蓄率の問題は別として、それをどう使うかという質問をしているんでしてね。二五%貯蓄があったらそれでいいとして、それをどう使うのかと。設備投資がなかなか出てこない。しかも政府の方はというと、そんなに公債を出していいのかという話になるものだからこれもちびってくる。勢い吐け口を輸出に求める。それを直そうというのですから、この際財政が目をつぶってでも貯蓄投資のアンバランスを消すだけの相当思い切った公共事業を含めた財政支出の増加をさしていかなければいかぬ。そうではないですかと伺っているんです。これまで振り返りますと、とにかく内需が低迷した、それで吐け口が輸出にいって国際収支の黒字幅がふえた、ふえて円高だ、それがデフレ圧力になった、そしてまた内需が低迷だ、まるで縮小均衡的な悪循環じゃないか、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 貯蓄と投資の問題でございますけれども、これはもう御承知のようにいままでは家計で貯蓄をした分を企業が大体使っておったわけでございます。企業の投資意欲はございませんので、その分をいま公共部門でやっているところでございます。増税でもってその部分を吸い上げるのか、貯蓄をですね、あるいは借金でやるのかというところで、いま借金でやっておるわけでございます。
 それから投資と貯蓄のバランスは、まさにこの前お話し申し上げましたようにぎりぎりいっぱいのところでございまして、公債の消化がうまくいくだろうという見通しを持っておりますけれども、なかなか大変な金融機関の情勢にあることもお話し申し上げました。したがいまして、遊んでいる金というのはないわけでございます。おっしゃるところの輸出がうんと出ておるかどうかという問題は、どちらかと言えば生産と消費との関係でございまして、それは過剰設備を持っているところがやはり従来どおりやっておるわけでございますから、それに対して国内消費がどうしても不足だ。その問題がデフレギャップの問題にあらわれているわけでございますので、その問題はまた別の問題でございまして、それは内需拡大でやっておる、こういうことでやっておるわけでございます。
○栗林卓司君 では、縮小均衡的悪循環であるとおっしゃった人に御意見を伺いたいと思いますが、日銀総裁にお尋ねします。これはあなたの新年のごあいさつの中から私は引いたんです。
 そこで、七%は、これは海外要因だけじゃなくて、本当に何とか達成したいと私は思っているんです。だけれども、七%達成ということの面から見て、昨今の通貨供給量の伸びというのは低過ぎないか、その点はどう御判断になりますか。
○参考人(森永貞一郎君) 七%の目標策定に際しましては、政府部内で十分検討を遂げられたことと存ずる次第でございまして、七%の内訳、寄与率なども私は委細承知いたしております。私どもといたしましても、この程度の成長はぜひとも達成してほしいと念願しておる次第でございまして、その手段として本年度予算あるいは十五カ月予算等が登場し、また私どもも公定歩合を先般引き下げました。まあ公定歩合の成長率に及ぼす影響は微々たるものではございますが、財政、金融両面相まってこの程度の成長はぜひとも達成してほしいとひたすら念願をいたしておるのが私どもの立場でございます。
○栗林卓司君 いま私が伺ったのは、そういうお気持ちに全く同感なんですが、それから見ていまの通貨供給量の伸び、マネーサプライの伸びはいいんだろうかと伺ったんです。
 そこで、もう少し申し上げますと、何が一番うまい通貨供給量の指標かということはなかなか議論があります。議論があるけれども、一般に言われているのは、実質経済成長率に物価上昇率を加えたぐらいがまあまあ目安ではあるまいか、これは余り御異論ないと思います。そこで、七%は達成をしたいと、物価上昇率をGNPのデフレーターでとりますと大体六%強だ、そうすると七と六ですから一三%強のマネーサプライの伸びがないと、金融から見たって七%いかないのじゃないか、こう伺っているんです。
○参考人(森永貞一郎君) マネーサプライはいままでのところM2を公表しておることは御承知のとおりでございます。十二月、一月、二月と一〇・五とか六ぐらいの数字で比較的落ちついておりましたのは事実でございますが、二月はややまあ〇・一ぐらいでございますけれども上昇に転じたようでございまして、季節調整済みの前月比をとりますと、一・五%ないし六%というような数字でございまして、またその数字ではちょっと大き過ぎるような感じもいたします。これからまる一年あるわけでございますので、その間に経済情勢がどういう推移をたどりますか、いまから的確に予測もできません。したがいまして、マネーサプライの方の数字につきましても、今後の一年間を占う材料はいまのところないのでございますが、必ずしもマネーサプライが低過ぎるという数字にもなっていないような感じがいたします。特に三月はこれはまだ現金だけしかわかっておりませんが、現金の平残の増加率が前二カ月に比べて若干増加したというようなこともございまして、その辺に今後の経済情勢の推移を占う一つの材料があるのかもしれませんが、的確には予想がつきかねておる次第でございます。
○栗林卓司君 重ねてお尋ねしていきますけれども、普通通貨供給量をふやす要因として言われていますのは対民間信用、これが一つですね。それからもう一つは対政府信用、もう一つは対外資産、この三つで供給されてくる、こういう話ですけれども、いまいろいろとお答えですが、やっぱりだれが見ても、あのマネーサプライの伸びは低いやと感じているわけです。で、対民間信用がふえるかというと、この不況のどん底でありますから、結局一〇なり一一なりというところに低迷してきた理由というのは対政府信用がちびったからじゃないか。結局そこで穴があいたんじゃないかという気がするんですが、どうですか。
○参考人(森永貞一郎君) マネーサプライのこの増加を要因別に分析しますと、国債の発行に伴う要素、要するに財政面の要素が昨今はかなり大きいことは事実でございますが、量的にとりますと、やはり民間信用の増加分の方が金額としては大きいわけでございます。それに加うるに、昨今は外国からの対外関係の要因が加わっておるわけでございますが、いまのところは傾向としてはこの民間資金需要が落ちついておるということは確かに事実でございまして、そのために国債の消化の方も円滑にまいっておるわけでございますが、量的に比較しますと民間資金の貸し出しの量はかなりやはり大きな分量を占めておるということだと思います。
○栗林卓司君 なかなかはっきりしたお答えがいただけないので、大変大ざっぱな質問で恐縮ですけれどもお尋ねします。仮に補正予算を組むということになりまして、やっぱり公債を出さなきゃいかぬ。額はわかりませんけれども三兆なり四兆なりをめどに置いたとして、それぐらいが追加発行をされてもいまの日本の金融市場では十分消化できる、そう考えてよろしいですか。
○参考人(森永貞一郎君) 国債発行はどの程度が適正化という問題はそのときどきの経済情勢、金融情勢に即して総合的に結論が出てくる次第であろうと考えておる次第でございまして、量的にどのくらいが限度だというような金額を明示することはなかなかむずかしいんじゃないかと思っております。いまのところは民間資金需要が落ちついておりますのでさしたる問題がなく推移しておりますが、そのときの経済情勢がどうなっているか、あるいはこの民間資金の需要と国債発行とが競合してマネーサプライに変化が起こるかどうか、起こります場合にはそれをうまく調整しなくちゃならぬわけでございまして、たとえば金融面の調節であるとかという方も考えなくちゃならぬと思いますし、また国債発行量もそのときの民間資金の需要等を勘案して適正に御決定いただきたいということになろうかと思うわけでございまして、私どもといたしましては、そのときのマネーサプライのどのくらいが適当であるかということが国債発行額を考えるについての一つのチェックの指標にはなると思いますが、具体的にどうこうということはなかなかむずかしいんじゃないかと思っております。
○栗林卓司君 では大蔵大臣にお尋ねしますけれども、いま私が公債を出してと言ったからといって、財政はどうでもいいということを申し上げているわけではないんですけれども、ではいまの財政の赤字どうするかというときに、先ほど増税だとおっしゃった。これもいつ始まることやらわけがわからないで大増税という前宣伝ばかりあるものですから一つだけお尋ねしたいのですけれども、とにかく経常海外余剰がどんどんふえているからなかなか減らない。貯蓄投資のアンバランスは依然として続いているという状態で一般的増税というのは私は政策になじまない。裏返して言いますと、経常収支の黒字が続いている限り、これは今度外から見た目を含めましても一般的増税というのは私は政策としてなじまない。いつの日か財政再建に取り組むとしてもそれは平たい目安で言うと経常収支の黒字が大きく減りかけてきた時期、私はそう踏んで間違いないと思いますけれども、その点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(村山達雄君) この前の財政収支試算でお示ししたところでございまして、あれは大体暫定委員会が見通しております六%強の成長を達成しながらある種の負担増加を求めてもそれは可能であるという数字をお示ししたわけでございます。しかし、これはあくまでも一つの中期的な試算でございまして、そのときどきいかにすべきかという問題は、おっしゃるようにそのときどきの経済情勢によってやらざるを得ないわけでございます。ただ、いまお話しのような経常収支の黒字があったらやれないかどうか、これはまだずいぶんいろいろな条件がございますから、私は直ちにはそういうふうには考えていないのでございますが、まあどっちかと言いますと、経常収支の黒字が出ているということは、競争力のみならずやはりデフレギャップがあるときだと、私はそういうふうに思っているのでございます。だからその前にデフレギャップを埋めにゃならぬということはおっしゃるとおりであろうかと思うのでございますが、それとは別に財政というものと成長というものをどういうふうにかみ合わしていくかというのは、またそれにはストレートには関係しない別個の問題でもあるかもしれません。だからそれらの問題を総合的に考えまして、そのときどきの財政とそれから他の経済政策との調和を図っていくべきではなかろうかと、かように思っておるところでございます。
○栗林卓司君 それこそ先ほどの総理のお言葉じゃありませんけれども、そのときどきに知恵をしぼってという話になるんでしょうが、いま言われたデフレギャップがあるうちはということは、貯蓄と投資のアンバランスを俗にデフレギャップと呼んでいるわけでありますし、それは裏返していくと経常収支の黒字ということになる。短絡して言うつもりありませんけれども、そう整理していくと、よほど間違ったことをいま私は申し上げているわけではなくて、とにもかくにもデフレギャップを国内で減らすこと、裏返してみると経常収支の黒字を減らすこと、それがまず増税論議の前提にくる、こう考えてそれは間違いないでしょう。
○国務大臣(村山達雄君) 繰り返しになりますけれども、私は論理的には直ちにはつながってこないような気がするのでございます。
○栗林卓司君 時間がありませんから、ドル安の問題で一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
 これは総理にお尋ねします。現在ドル安問題の背景にあるものはアメリカの雇用問題だと私は思います、という点でどういう御認識をお持ちでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) ドル安の背景が雇用問題というのは、ずいぶん間接の間接の間接というような感じがしますがね。やっぱり直接的にずばり言いますれば国際収支、それからインフレの傾向、この二つのように考えます。
○栗林卓司君 インフレをとるか雇用をとるか、これはカーターさんだって悩んでいると思います。ただ黒人のティーンエージャーの四割が失業をしているアメリカの雇用実態というのはそう冗談事じゃない。そういった意味では、どっちをとるかと聞かれたらやはり雇用にウエートをかけながら政策運営をしていかざるを得ないのがカーター政権だと思います。よく為替レートの問題になりますと物価上昇率格差といいますか、インフレ格差が中期的に見て効いてくるというのですけれども、わが日本の場合は、総理も雇用問題は無視しておられませんけれども、どちらかというと物価にウエートをかけて過去四年間政策運営をなさってこられた。カーターは雇用にかける、総理は物価にかける。日本の物価は安定しますしアメリカのインフレはなかなかおさまらない。これは中期的に見てわれわれはのべつ円高にさらされている。それを覚悟した方がいいんではなかろうかとさえ思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本では物価にすべてをかけたようなお話ですが、そうじゃないんですよ。日本では成長も物価もと、こういう二つの目を両立させると、こういう目標でやってきておるわけでありまして、決して一方に偏っておると、そういうわけではございません。アメリカの方は最近の情勢から言いますとどうもインフレというような傾向が出てきた、それが大変いま問題になりつつあるというふうに考えますが、インフレが出てきたゆえんは何だと、こう言いますると、一つはお話しのように雇用政策、これに非常に重点を置いた政策がとられた、こういうことは私は御指摘のとおりであろうと、こういうふうに思います。しかし雇用政策が直ちにドル安問題と直結していると、こういうふうにはとらないんです。ドル安問題は国際収支の問題、それからインフレ問題、そういう問題が背景にありまするけれども、すべてというか中心的な背景というものが雇用そのものだけにあると、こういうふうには見ておりません。
○栗林卓司君 一口に縮めて言いますと、アメリカのインフレ対策と言うのですけれども、これはなかなか言っても実現はむずかしいと、人様の国のことでありますけれどもね。五月においでになるんでしょうが、アメリカのインフレ対策を求めてもなかなかにそれはむずかしいということも一つは胸の中にわれわれ踏まえておかなきゃいかぬ、そういうことでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) アメリカがインフレ対策というか、インフレ防止対策をとるということになると、どういう政策をとるかわかりませんけれども、成長政策、それにブレーキをかけるということが考えらるわけです。そういうことになればそれは国際収支にはいい影響はある。あるけれども、世界の景気全体に対しまして沈滞だと、そういう影響を与えるわけでありますから、なかなかアメリカもどういう政策をとるかむずかしいところであろうと思いまするし、また同時に、アメリカ以外の国がアメリカのその政策動向というものをどう評価するかということもこれはなかなかむずかしいところだろうと思います。しかし、極端な政策でなくて、やはりこの方面に行き過ぎが出てきたということになればそれを是正するというほどほどの政策じゃないでしょうか。私はそう徹底的な政策がとられるというふうには見ておりませんし、また徹底的な方策が出るということになれば、これは世界全体の経済に相当深刻な影響もありましょうし、まあアメリカがとるところは常識的なほどほどのところじゃないかというような、まあ観測でございますがね。
○栗林卓司君 私もそういう気がするんです。そういう各国間の経済政策の調整というのはフロート下ではなかなかとれない。で、先ほどは、私は固定平価が好きでとおっしゃったのでしょうけれども、お気持ちはわかりますが、現在踏まえていくと、相当長いことフロートの中でわれわれは暮らすことを覚悟をせざるを得ないということを一つ確認したくて伺ったのと、それからアメリカのインフレ対策ということになりますと、エネルギー法案が通るか通らないかというのが関心事でありますけれども、仮にエネルギー法案が通ったとしても、あるいはしびれを切らして五月に課徴金をつけたとしても、アメリカの原油輸入、石油製品輸入というのはそう急速に減るとは期待できない。その点の御判断は、これはどなたでも結構ですが、わかればお教えいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) カーター大統領は、七八年は七七年よりも少し減るんだということを言っておられるようですが、まあそんな大きな減りがあるというふうには少なくとも思えません。
○栗林卓司君 これは先のことですから見通しはなかなか立ちづらいのだけれども、ある報道によりますと、アメリカのエネルギー省の国際協力局長をなさっているフランセンという人が、昭和六十年には一日当たり千三百万から千四百万バレルの石油を輸入することになるであろうという見通しを立てているようでありますし、そうは言ったって、節約がと言っても、アメリカの十億バレル戦略備蓄が本当に始まるのはことしからのようであります。そうすると、努力は努力としながら相当アメリカの原油輸入はふえていく。しかも国際通貨とするとフロートを覚悟をせざるを得ない。
 そこで、私がお尋ねしたいのはその次なんですけれども、一日当たり千三百万バレルから千四百万バレルというと、いまのサウジアラビアが八百五十万バレル前後ですから相当の量になる。それだけの原油輸入に対して見返りがドル紙幣だということに産油国はがまんができるのだろうか。その点についてはどう御判断になりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大まかにはいまのような計算でありますけれども、しかし、そのほかにメキシコがありますし北海がございますしアラスカがございますから、そういう供給源の供給増の要素も考えていいのではないかと思います。それで、少なくともいまの時点で判断いたします限り、産油国もいろいろ考えましたけれども、結局比較的安定的な資産の運用はドルしかないということに一応結論づけられているように思います。そのことの半面は、一つは産油国がアメリカから航空機等のかなり高価なものを購入するということとも関係をしておるのではないかと思います。そういう関係はいいか悪いかはともかく当分続くと思いますので、私はいろいろ不満はありながらも、どうもそれ以外に安全な資産の運用の仕方はなさそうだというのが産油国側のただいまの大体の考え方の落ちつきではないかと思っておるわけです。
○栗林卓司君 私が心配していますのは、本当にこれから先々そうなんだろうか。というのは、相当な量の原油を出しながら見返りはドル債権が返ってくる。それはどうかというと、総理もおっしゃったように、世界経済が伸びていくためには流動性を供給しなきゃいかぬ。よってもってわがアメリカはがんばっているんだと、こう言われますと、ドル資産価値はどんどん下がっていく、しかも片方の産油国からすると、いずれ掘ればなくなってしまう国内の原油の見返りとしてもらった資産ですから、これが長期的に減価するのは耐えられないだろう。そのときに何らかの手段でそのドル資産価値を保証するという動きになってこないか。その過程で金が再び復権することはないだろうか。この点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私は金が復権したといたしましても、その話の解決はつかないのではないかと思います。現に産油国でも、たとえばイランを例にとりましたら、これはもう国内建設に実は金が足りない現状になっているわけでございますから、主として考えられるのはやはりサウジでございます、クウェートは多少考えられますけれども。しかし、そのサウジ自身が相当大きな額の航空機等を輸入したがっておる、これはいろいろ国内的に理由があるんだと思います。そういうことがございますので、まあこういう状態、不満ながらもどうもこれ以上いい方法はないという結論になっていくのではないか。金を復権させましても、私はどうも問題の解決にならないように思うのでございます。
○栗林卓司君 金が果たしていまのSDRにかわるような新しい国際準備通貨として機能し得るかということは別であります。ただ、金の価値でドル資産を担保するというかっこうである特定な取引が保証されているという道を歩かないだろうか。IMFの新協定が発足をして、いま金の売買自由であります。アメリカは去年の十二月に金保証約款ですか、つけて、取引には金で価値を保証することをやってもよろしいという法律まで議会で通した。考えていくと、だれが考えたって紙ぺらのドル資産じゃしょうがないとなっていくと、これまで金というのはSDRの陰に隠れて、あれはもう死んでしまったんだということが表づらの議論だったけれども、これから一部に金が復権してこないだろうか。この点日銀総裁はどうごらんになりますか。
○参考人(森永貞一郎君) 四月一日に発効いたしましたIMFの新協定におきましては、何カ点かにわたりまして、この金廃貨の方向を非常に強く打ち出しておるわけでございます。たとえば金の公定価格の廃止でございますとか、あるいはIMFに増資などの資金を払い込みますのに、従来は四分の一は金でなくちゃならぬと言っておりましたのを今後はその必要がなくなるとか、あるいは中央銀行間の金の公定価格がなくなるわけでございますので、自由な価格による取引を認めるようなことにもなるわけでございまして、いわば言ってみれば金廃貨の方向ということだと思います。その金廃貨の方向は私は今後も大きく進められていくと思いますけれども、現実にこの金が国際決済にどう使われるかという問題になりますと、これはまた別の問題でございまして、その辺が一体どうなるかということは今日の情勢では私ども的確に将来をまだ予測することができないのが現状でございます。
○栗林卓司君 将来予測ができないだけに、金をこの際思い切って買ったらどうなんだろうか、買って損する話じゃないじゃないかと思いますし、ある意味では、将来もしかしてそうなったときに日本のバーゲニングパワーを高めるんじゃないか。これまではアメリカに遠慮して金は買ってまいりませんでしたけれども、これからはちょっと遠慮なしに、といって高値をつかむ必要はありませんけれども、金をふやしたらどうかと思いますが、この点総理はいかがでございますか。
○国務大臣(村山達雄君) 新協定におきまして金廃貨の方向が進んでいるということは、いま日銀総裁がお話しになったとおりでございます。金の相場も見ておりますと、高値は百九十五ドル、いまは多分百八十一ドルぐらい、ついこの間は一オンス百一ドルでございました。ですから倍半分ぐらい動いているわけでございますので、必ずしも金が安定しているとは言いがたいと思います。のみならず、わが国がこの金廃貨のときに、これだけの大きな経済力を持っているのはどうするかという問題は非常に慎重でなければならぬと思っておりますので、その辺は十分慎重な態度をとっていくべきでございまして、いまここでどうこうするということを申し上げるわけにはまいらぬと思っております。
○栗林卓司君 時間がなくなりましたので、最後に一つ。
 これは大蔵大臣と日銀総裁にお尋ねしたいのですけれども、ここの議論はいろいろあっても、結局補正予算をお出しになるだろうと思います。出して悪いとは言いません、なしでやってきた年度はないんですから。そのときに余りけちをしないで思い切ってやっていただきたいと思います。ただ、そのときにいま以上の大量国債時代を迎えることになる。で、来年どうかというと、見通しは別でありますけれども、いつまでもこんな状態が続いては仕方がないので、真剣にインフレの心配をわれわれはする時期が来ると思うのです。そのときに大量の国債を抱えて、いまの金融制度はこれでいいのだろうか、流通市場はこれでいいのか、金利の弾力化はこのままでいいのだろうか一かねての議論でありました。ただ言えることは、一般金融市場から隔離された形で国債流通市場がある。隔離されたかっこうで、特殊に。この形は、もうそれは金融の国際化という面から考えてもこれは温存できない。しかも新しいインフレの問題を含めてどうわれわれが対応するかというとなかなか時間がありそうでない。これまでは長長の御議論でありましたけれども、これからは時期を決めてそれまでに結論を出しますと、こうやって引っ張っていかないとだめじゃないか。その時期の問題も含めてこれはぜひおっしゃっていただきたいと思いますし、あわせて御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) おっしゃるように、まあ幾つかの問題があると思いますが、その問題につきましては、国債管理政策をより深めていくということ、それから、それがやはり普通の流通市場に流動化をしていくこと、あるいは個人の消化層をふやすこと、いろいろなこれからの管理政策を進めるのが一方必要であろうと思います。
 それから第二点は、やはりいまのお話は、民間資金需要が出てきたときのお話をされていると思うわけでございますので、その点のマネーサプライが適正でなければならぬわけでございますし、同時にまた国債の発行も適正でなければならない。恐らく同時決定であろうと思うわけでございまして、一方的に決めるわけにはいかないだろうと思います。そのときには当然金利問題がまた出てくるわけでございますから、価格維持がどうなるかという問題があわせて出てくるだろうと思うのでございます。それら万般のことをいまから考えて十分準備していくと、かようなつもりでございます。
○栗林卓司君 いつをめどに結論をお出しになるんですか。
○国務大臣(村山達雄君) これはもう絶えず考えているわけでございます。
○参考人(森永貞一郎君) 大蔵大臣からお答えがございましたことに私も全く同感でございます。私どもの直接担当いたします分野としては金利の問題があるわけでございますが、多額の国債の消化を可能ならしめるためには、円滑にいたしますためには、やはり国債発行条件の一層の弾力化が必要であると思いますし、それと関連いたしまして金利全般の弾力化、自由化という問題にやはり取り組んでいく必要があろうかと思います。それによりまして金利機能の一層の発揮を期するということが今後の経済運営上特に重要な問題になってくるのではないかと思っておる次第でございます。
○委員長(鍋島直紹君) 以上で栗林君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十六分散会