第084回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第11号
昭和五十三年四月二十六日(水曜
 日)
   午後一時三十七分開会
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   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     木島 則夫君     柳澤 錬造君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         田中寿美子君
    理 事
               久次米健太郎君
                原 文兵衛君
                矢田部 理君
                小平 芳平君
    委 員
                佐々木 満君
                菅野 儀作君
                田代由紀男君
                三善 信二君
                森下  泰君
                山内 一郎君
                粕谷 照美君
                坂倉 藤吾君
                広田 幸一君
                中野  明君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  山田 久就君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        金子 太郎君
       環境庁長官官房
       審議官      石渡 鷹雄君
       環境庁企画調整
       局長       信澤  清君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  山本 宜正君
       環境庁自然保護
       局長       出原 孝夫君
       環境庁水質保全
       局長       二瓶  博君
       通商産業大臣官
       房審議官     松村 克之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       環境庁大気保全
       局企画課長    吉原 健二君
       国土庁計画・調
       整局計画課長   星野 進保君
       通商産業省立地
       公害局鉱山課長  檜山 博昭君
       資源エネルギー
       庁長官官房鉱業
       課長       福原 元一君
       資源エネルギー
       庁石油部精製課
       長        清滝昌三郎君
       運輸省船舶局検
       査測度課長    辻  栄一君
       運輸省港湾局環
       境整備課長    須田ひろし君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (鉱山の鉱害対策に関する件)
 (水質汚濁による漁業被害に関する件)
 (石油備蓄と環境保全に関する件)
 (西表島における鳥獣保護区の設定に関する件)
 (中公審答申の指針値についての疫学データに
 関する件)
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○委員長(田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月十九日、木島則夫君が委員を辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。
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○委員長(田中寿美子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(田中寿美子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○広田幸一君 私は、全国に散在しております休廃止になっておる鉱山の鉱害対策について、どういうふうな状況になっており、どういうふうな措置がとられておるかということについて質問をいたしたいと思います。
 先般の伊豆大島の近海の地震によりまして、あそこにあります持越鉱山の鉱滓の堆積場からたくさん鉱滓が流れまして、それが大きな被害になっておるわけでございますけれども、これは操業しておる鉱山でございまして、こういうところは全国にまだたくさんあると思います。特に私たちが心配をしますのは、すでに休廃止になっております鉱山もたくさんあるわけでございまして、恐らくそういったところは日ごろ十分な監督、管理ができていないではないかと、そういうふうなことを心配するわけでありまして、もしもあのような地震等による災害があった場合には大変なことになる。こういうことで、私はこの問題についてどういうふうな対策がとられておるか、こういうことをお尋ねをするわけですが、まず環境庁に対して、いま私が申し上げたようなことで、どこまで全国的な視野で内容を調査をしておられるのか、それに対するいろんな意見もあろうと思うのでございますが、まずそれをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(二瓶博君) 休廃止鉱山に伴いまして、これのたとえば今度の持越鉱山のような事故といいますか、こういうような懸念もあるが、この辺に対する調査といいますか、環境庁の取り組み方がどうなっておるかという趣旨のお尋ねかと思います。
 それで鉱山に起因します鉱害防止という関係につきましては、これは鉱山保安法という法律がございまして、この法律が、いうなれば、水質汚濁防止法、これは水質の方の関係でございますが、この面については、全面的ではございませんけれども一部適用除外ということで、鉱山保安法の体系で指導監督等が行われる。あるいはまた廃棄物処理法という法律がございますが、これにつきましてもこの鉱山保安法というものが一応特別法的な扱いになっておるということで、通産省におきまして、この鉱山保安法に基づきまして指導監督を行っておるわけでございます。
 で、環境庁といたしましては、この鉱山保安行政というものが非常に専門的なものでもございますし、また行っております指導監督といいますか、こういう面も非常に厳しいものでございます。したがいまして、これは通産省の方の体系で御指導をいただくということで考えております。いろいろ所要の問題等が出てきますれば、これは通産省の方とは連携をとりまして、その辺の事情等も十分把握するようにはいたしておりますが、一般的な問題といたしましては、通産省の方でこの鉱山保安行政というものを担当して監督をしていただくと、こういうやり方で対処をしているわけでございます。
○広田幸一君 いまの局長の答弁によりますと、鉱山というのはその特殊性からして特別な鉱山保安法というものがあると、そういうものの方で鉱害が処理されておるので、環境庁の方としてはまあ余り関係がないというような答弁であったわけですけれども、今度の持越鉱山の場合は、かえってそういうようなことが全体の公害処理の上において問題が起きておるというようなことが当時の新聞に出ておったことを私記憶しておるわけでありますが、これはきょう通産省の方がお見えになっておりますから関連をして質問するわけでありますけれども、平素からその地域の地方自治体とか地方住民、そういった人たちとの連絡がうまくいっておれば今回のような被害もある程度防止できたではないかというようなことも言われておるわけでありますが、そういう点で今度の持越鉱山のああいった被害の経過を見て、いま私が指摘しておるような問題について何か反省をされておることはないか、今後どういうふうに対処していこうとしているのか、こういうふうな点をお聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(檜山博昭君) お答えいたします。
 地方自治体との連携の問題かと思いますが、先ほど環境庁の方からお話しありましたように、鉱山における鉱害の防止ということにつきましては、非常に特殊な問題あるいは高度な専門知識を必要とする、こういったような問題がございまして、これは通産省の地方支部分局であります鉱山保安監督局部で行っておりますけれども、御指摘のとおり、鉱害の問題というのは地元住民あるいは地方自治体に直接関係する事柄でもございますので、これまでも地方自治体との連携というのは十分とってきたつもりでございますけれども、先ほどのお話の事故の問題にかんがみまして、特に公害防止行政を担当する地方自治体と十分緊密な連携をとるよう、具体的に監督局部の方に通達を出したところでございます。今後は一層この点について留意しまして、地方自治体と密接な連携を図って、地元関係者の理解を得るように努めてまいりたいと、かように考えております。
○広田幸一君 いま初めて聞いたわけですけれども、それは通産省から局長の通達ですか、各自治体に対して出ておるのですか。知事ですか。
○説明員(檜山博昭君) お答えいたします。
 立地公害局長から鉱山保安監督局部長あてに通達を出しております。で、環境庁からは知事あてにお出しいただいておると、こういうことでございます。
○広田幸一君 出してあるわけですね。
○説明員(檜山博昭君) はい。
○広田幸一君 そういった点が反省されて、すでに処置がとられておるということは結構なことでありますが、具体的にはどういうふうになりますか。ここに数字をもらっておりますけれども、あとで全国的な数字を知りたいと思っておるわけですけれども。全国には相当な休廃止の鉱山あるいは操業中の鉱山もあると思うのですけれども、これを監督していくところの人の数というものが、私は十分あるのかどうなのかというような点を心配するわけでありますが、そこらのところはどういうふうになっておるのか。そして、いまおっしゃったように、各地方の自治体との連携をとりながら、しかも住民とのこのコミュニケーションをやりながらやっていくということでありますけれども、さて、具体的に人員の面はどうしていくのか、ここらのところを具体的に説明をいただきたいと思います。
○説明員(檜山博昭君) 監督体制の問題でございますけれども、全国八地域に鉱山保安監督局部がございます。鉱害、災害の防止について鉱山保安法に基づいて監督しておるわけでございますけれども、人員は三百八十六名ということでございまして、そのうち監督官が三百十二名、こういうふうな状況になっております。
○広田幸一君 これは一部の鉱山でございますけれども、私の承知しておりますのは、県の、鉱害課ですか、鉱山課ですか、そういうところを通して地方の局に現地を見てもらいたいということを再々要請するわけですけれども、確かに来てくれますけれども、まあ人員が少ないという関係もあるでありましょうが、ちょっと来て、見て、すぐ帰るというようなことで、もっと住民としては日常の状態というものをよく説明をしながら対策についても話をしていきたいというようなことなんでございますが、いまおっしゃったようなことになると、そういうようなこともすべて十分な人員の体制もできてやるということになるわけですけれども、いまおっしゃったような三百八十六名で、そのうちの監督の人が三百十二名、この鉱務監督官でございますか、これで果たしてうまくいくだろうかと、こういう感じがするわけでありますが、この点、人員をもっとふやしていく、あるいは別の方法を考えていくというようなことはお考えになっておりませんか。ただ通達を出しっ放しでは、私はやはりさっきから申し上げておるような心配もあるわけですから、この点もっと内容を説明してください。
○説明員(檜山博昭君) 特に堆積場の問題につきましては、現在大体二百七の稼行堆積場がございますのですが、その堆積場につきまして点検を実施中でございまして、その点検の結果によりまして、まあ鉱務監督官の増員問題あるいは配置がえ、増員じゃなくて場合によっては重点をそちらの方にというようなことも考えなきゃならないのかなと、こういうふうに考えております。
○広田幸一君 人員をふやすかどうかという問題は、いろいろありますから、すぐこうだということが言われぬと思うんですけれども、私はこういうことを聞いておるわけですわ。やっぱりそういう堆積場の状態というものは専門的な知識がないとなかなかわからない。ところが、確かにその付近の住民の人は毎日の堆積場の状態がどうなっておるかということはよく知っておるわけですけれども、あそこにちょっと穴をあけてそして水を出すと、こういうような程度のことは知っておるわけですけれども、技術的に中身の問題になると、専門でありませんからよくわからないわけですね。そういうことについて、もう地域の住民の人に平素から通産省の方が来てこれはこうなりますというような説明がある程度してありますと非常にいいと、こういうことを私聞くわけであります。ですから、私は一つの方法として、住民の人にそういった知識を教育するといいますか、教えていく。あるいは、地方自治体があるわけですからね、県もあれば市町村もあるわけですから、そこらにやっぱり依頼をしていくというような方法もあると思うんですけれども、私は流れとして、これはちょっときつい言い方になるかもしれませんけれども、鉱山というのは一つの特別の事情があると特権的な考え方を持っておって、通産省が鉱山のことについてはもう地方自治体関係ないんだと、住民は関係ないんだと、私はいままでの歴史がそういう印象を与えておる。普通の一般の公害行政になりますと、各地方自治体、県には環境保全課というものがありまして、そういうところを通してすぐ話がずっと進んでいくわけですけれども、事鉱山になりますと、県を通してといってもただほんの窓口だけでございますね。そして局の方に行くということでございますから、そういったパイプをもっとよく通るようにしたらどうかと、こういうふうに思うわけです。私は、一つの意見でございますから、人員をふやすといってもなかなかそうはいかないと思うんです。しかし、いつ災害が起きてくるかわからないということですから、私はいまのようなやり方をすれば、地方自治体だって住民だって災害を防止するという点については非常に積極的に関心を持っておるわけですから、そのような方法をやったらどうか、そのために若干の金が要れば国の方も考えていく、こういうことが具体性があるではないか、こういう、ふうに思いますが、いかがでございましょう。
○説明員(檜山博昭君) 先ほどお話し申し上げましたように、今後地方公共団体と緊密な連携をとっていくという中には、御指摘のような問題も含まれるかと思います。今後そういうふうなことを一層私どもの方としては努めていきたいと思っております。
○広田幸一君 そこで、環境庁の局長が先ほどお話しになって、鉱山の方のことは特殊性から見て大半が鉱山保安法によってやっておられると。たとえば鉱害――鉱毒から汚れる水田の汚染というようなことについては環境庁なり農林省が一緒になってやっておるわけですけれども、いわゆる鉱山の鉱害防止ということについては、環境庁はいまの法律ではこれはタッチしないといいますか、ちょっと関係がないようになっておるわけですけれども、私は、いまの通産省とのやりとり、あるいは持越鉱山のああいったことから考えまして、もっと公害行政というものは、そういう鉱山としての特殊性は認めながらも、やっぱり公害行政というものは一元化をしていく、そして関係のある、通産省であるとか建設省であるとか、そういうものとの有機的な連絡をとりながら、しかもそういった機関の独自性というものは認めていくというような、環境庁ですから、総合的な環境の整備ということはこれは環境庁に一番責任があるわけですから、私はそういうようなあり方がいいんではないか。そうなってきますと、私も専門家じゃありませんからわかりませんが、いまの鉱山保安法をある程度改正をしなければならないというようなことが、まあすぐに起こってくるかどうかわかりませんが、私は、そういうようなことが今後の問題として、この環境行政の運営の上からあるべき姿として、そういうことがいいではないかというふうな感じを持つわけでありますが、環境庁として、長官どうでございましょうか、私のこういった考え方に対して。
○国務大臣(山田久就君) 環境庁といたしましては、いい環境というものを――公害から健康を守っていくという一般的な立場にございますから、すでにお話がありましたように、いろいろの経験にかんがみて、そうして所要の意見、通知も関係方面にも出しておりますし、その後においても、これは広い意味でいま御指摘のございましたような、まあなかなかこれは人手の問題やなんかございまするけれども、きめの細かい努力、そういうことを行っていく必要があるというような立場で善処していきたいと、こう考えておる次第でございます。
○広田幸一君 私は、公害問題はこれからまだまだ出てくると思いますし、公害をセーブするための環境保全というのはやっぱり一番最高の責任は環境庁にあると思っておるわけです。ですから、鉱山という特殊性はあったとしても、大もとはやっぱり環境庁がしっかり握っていくと、こういう私はスタイルというものがいいと思うんです。ですから、いま長官もおっしゃいましたように、いまここでどうこうということは私も申し上げられませんが、そういう線に従って今後はもう少し検討してもらいたいと、そういう意味で。そのことを私は特に要望をしておきたいと思います。
 そこで次に、これは通産省にお尋ねをしますけれども、今度の持越鉱山の後の被害状況ですね、これがどうなっておるかということはそれぞれ関心が持たれておるところでありますし、それから、昭和四十五年から五ヵ年計画で全国の休廃止の鉱山の実態調査をされておると思いますけれども、それにプラスして、今度は、あのような持越鉱山の災害があったわけでありますから、これを契機に、それぞれ実態を調査をしていらっしゃると思うんでありますが、その内容をお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(檜山博昭君) 全国の鉱山の実態調査の件でございますけれども、まず第一に、稼行鉱山等義務者が存在する鉱山につきましては常時監督をしておりますので、これによって十分実態は把握しているということでございますが、休廃止鉱山につきましては、これは御指摘のとおり五カ年計画で調査を実施して、実態の把握に努めてきたところでございます。この結果、五十三年三月に金属鉱業等特別措置法に基づきまして基本方針を改定しまして、この中で義務者の存在しない全国の休廃止鉱山の鉱害防止工事費補助金の事業計画、これにつきまして期間の延長と事業量の拡大、こういうことをやってきておる次第でございます。
○広田幸一君 後で予算との関係がありますから、そのときでもいいんですけれども、私の聞きたいのは、休廃止の鉱山で、その中で危険のところがあって、特にこれは防害対策を早くやらなければならないというようなものがすでにできておって、そして、それの作業するために、たとえば何ヵ年計画でやるとか、そういうようなデータというものが――調査をするわけてすから、その調査に基づいてそういう計画というものが私はなされなければならないと思うんでありますが、そこらの関係はどうなっておりますか。
○説明員(檜山博昭君) ただいまの御質問につきまして、先ほど基本方針の改定を行ったという御説明をいたしましたのですが、この基本方針の改定につきましては、十分その辺の実態を踏まえてその上で改定をやっております。
○広田幸一君 それに関連をしまして、休廃止になっておる鉱山の鉱害対策の問題に具体的に入りたいんですけれども、いろいろと全国的に調査をされておるわけですけれども、いわゆる鉱業権者ですか、それがいないとか、あるいはいても資力がないというような関係で、鉱害対策がもうそのままになってしまっておる。そのために住民がいろいろと被害を受けておるというようなのが実は問題になるわけです。そこで私は勉強してみたんですけれども、この鉱業権を設定する場合の仕方が問題があるではないか。たとえば、いま設定する場合には、先願権でございますか、先に頼んだ者を優先をして設定するということでございますか、ここらの仕方が問題がある。もっと、たとえば将来鉱害が起きた場合にそれを十分に措置できるような人に鉱業権を設定するというようなことをやはり最初から考慮してやられないと、いまのようなことで、せっかく鉱業権を設定をしたけれども、やってみたけれども採算がとれないから、いっとはなく廃止して、そしてどこに行ったかわからないというようなこともあるやに聞いておるわけでありますが、そういうことを防止するためには、最初の鉱業権を設定するときの仕方に問題があるではないかというようなことを、私は勉強してみましてそう感ずるのでございますが、ここらの点については、通産省としてどうお感じになっておりますか。
○説明員(福原元一君) お答えいたします。
 現在の鉱業法の体系におきましては、先生御指摘のとおりに、鉱業権の設定はいわゆる先願主義という体系をとってございますが、個々の出願人の資金的な問題あるいは技術的な能力があるかないかというようなことによって許可をするという判断をしてはおらないわけでございます。しかしながら、近年鉱害問題が社会問題として非常に大きな問題となっておる状況でございますので、私どもは、その鉱業権を設定するときにあたりまして、地元の市町村の意見を反映させるとか現地調査を徹底させるというようなことによりましてその認可の審査を厳重に行うというふうに現在心がけております。
 また、事業を実施する場合の監督にあたりましても、施業案の認可のときでございますが、同じく現地調査を徹底させる、あるいは都道府県あるいは地元市町村の連絡体制を強化するというようなことで、鉱業法及び鉱山保安法の運用を強化するということで対処してまいりたいというふうに努めておるわけでございます。
 先生御指摘のように、先願主義につきましてのその妥当性につきましても、先生の御指摘のようなことがございますわけでございますが、一面、先願主義と申しますのは、国民に広く鉱業権を平等に持つ機会を与えると、あるいは鉱物資源の発見を促進させるということ、あるいは一つの企業の独占を防止するというような、いわばメリットもあるかと存じます。御指摘の点を含めまして、非常に幅広い観点からの検討が必要かと思いますので、慎重に対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。
○広田幸一君 最近鉱害が出てくるので、その鉱業権を設定するときの考慮すべき点をいま課長はおっしゃったのですけれども、この法律は二十五年にできておるわけですね。そういう運用の面でいろいろと通産省が局が心配されると、ばんを詰めていくという考え方はわかるわけですけれども、しかしながら、法律がいわゆる先願主義によって決められている以上、やはりそれ一本ではなかなかいかないではないか、相手のあることですからね。ですから、私はその点では、いまのこの二十五年にできた法律を、やはりどこかで変えていくと、いわゆる鉱害対策を考えた法律に変えていくという必要性がありはしないであろうか、こういうふうに思うわけでございますが、その点どうでしょう。
○説明員(福原元一君) 先生が御指摘のとおりでございまして、実は、昭和三十四年から三十七年にかけまして、鉱業法改正のための審議会を設けまして検討いたしまして――もちろん先願主義に関する件だけではございませんですが、検討いたしまして、その結論を踏まえまして、三十九年に鉱業法の改正案を提出したことがございますが、これは二、三年の御審議いただきまして結局廃案になった経緯がございます。先ほども申し上げましたように、鉱業法を一カ所改正いたしますにつきましても非常に幅広い影響がございますので、私どもその後もさらに慎重な検討を続けておるわけでございますが、御指摘の点を含めましてさらに検討させていただきたいと思っております。
○広田幸一君 三十九年に法改正になっておるわけですか。私が言ったような趣旨の法改正という意味ですか。
○説明員(福原元一君) いや、御提案申し上げたわけでございますが、結局、審議未了、廃案ということになっております。
○広田幸一君 廃案になったという意味ですか。わかりました。
 いま申し上げた点ですね、環境庁にお尋ねするわけですけれども、局長、さっきから言っておりますように、鉱山関係は何か別のところにある。しかしながら、鉱害が起きた場合はやはり公害のこの責任において私は環境庁にもあると思うんですね。ですから、いま課長がおっしゃったように、二十五年にそういう法律があって、三十九年に改正の提案をしたんだけれども何か廃案になったというような経過があるようでございますが、しかしながら、私が言ったような趣旨に従って通産省も鉱業権を設定するときには十分に考えていくと、こういうことであるわけですけれども、環境庁としてもこういうような法律がそのままあるということは、やっぱり関係してくるわけですからね、いろんな面で。環境庁としても、こういう法律がそのまま残っておるということについては問題があるではないかと、こういうような認識に立たぬでしょうか。そうすると、私が言っておるのは、環境庁は通産省をそういうことについてもっと突き上げていく。そして、その設定をするときにしっかりと、鉱害防止ができるような能力のある人に、先願主義であったとしても、認めていくというような配慮というものができてくると、そうなってくると、現実に休廃止の鉱山がありまして、その鉱業権者ですか、それがどこかおらぬようになるとか、後の処理はもうしないとかいうようなこともだんだんと少なくなっていくと思うんでありますが、そういうところ積極的に考えてもらうという意味で、環境庁としてはどうお考えになるかと、こういうことであります。
○政府委員(二瓶博君) 先ほども通産省の方から答弁がございましたように、鉱業権の設定につきまして、現在先願主義をとっておるということでございますが、この先願主義の運用等の具体的なやり方、そういう面についても、いろんなやり方といいますか、運用面で考慮すべき問題もあろうかと思います。で、問題は、確かにいろんな事故等が起きますれば環境を汚染するというようなことがあるわけでございますから、そういう面では環境庁といたしましても、通産省の方でやっておられるこの鉱山保安行政等々につきましては、重大な関心は持っておるわけでございます。ただ、この鉱業権の設定のやり方、こういうものにつきましては、もちろん環境保全という角度の問題もあろうかと思いますが、いろいろまた影響を及ぼす問題が非常にあろうと思います。単に環境の保全の面だけでどうするというわけにはいかないいろんな多面的な問題もあろうと思います。ただ問題は、環境庁としてはこれはやはり環境の汚染といいますか、そういうものを来さないという角度での見地からのいろんな要望等はいたしますけれども、そのことだけでこの鉱業権の設定のやり方というものをこうすべきであるというところまで踏み込んだ物の言いぶりはいかがかと、こう思っております。
 それから、先ほど大臣にお尋ねがあった際に大臣からもいろいろ答弁をいたしましたが、ちょっと補足して申し上げますと、環境庁は、これは設置法にもございますように、そもそも環境庁が総理府の外局でございまして、いわゆる総理府という立場に立っております。したがいまして、環境保全行政につきましては相当一元的にやっていくという角度のものにはなっておりますが、ただ問題は、いろんな事業的な問題もあるわけでございますね。下水道を整備するとかあるいは具体的な、こういう鉱山保安行政的な問題だとか、こういうものについてはそれぞれの建設省なり通産省等でもいろいろやっていただくと、ただ環境保全という角度から関係行政機関の行う公害行政、これについての総合調整の権能といいますか、これは設置法上付与されておるわけでございます。したがいまして、各省におかれていろいろ鉱山保安行政なりあるいは下水道の整備の行政なりやっておられると思いますが、そういう面におきましても、総合調整という角度で強くいつの場合もやるわけじゃございませんが、そういうものも裏づけにいたしまして調整もやり、連携も密にしながら、環境の汚染というものを来さないよう常々配慮しながら環境庁としては取り組んでおるということでございます。
○広田幸一君 いま局長おっしゃった、多面的ないろいろ問題があると、だから三十九年せっかく出たものが廃案になったというようなことにもなるかと思うんですけれども、時間の関係がありますけれども、大体どういうことが問題としてすぐいかなかったのかというようなことがわかっておればお知らせをいただきたいと思います。
○政府委員(二瓶博君) 三十九年の、鉱業法の改正が廃案になった経緯の関係につきましては私詳しく存じておりません。申しわけございませんが。
○広田幸一君 それから、この鉱業権を持った者がその鉱山を手放す場合は、これは登録制になっておりますから、別段通産省の方に行って許可を得るという性格のものではないようでありますが、しかし、考えてみますと、昔はそれでよかったかもしれませんけれども、さっきから言っておりますように、鉱害という問題を考えてみますと、もう要らなくなったらすぐ手放してしまうというようなことについては、何か手続上もっと、報告をさしてそのときに規制をするとか注文をつけるとかいうようなものがあってしかるべきではないかと、そういう意味でもいまのそういった法律、制度というものを改善――改善といいますか、鉱害を防止するという意味からも何か規制すべきではないかと、こういうふうに考えますが、この点どうでございましょうか。
○説明員(福原元一君) 鉱業権の消滅につきましては、先生おっしゃいましたように、不動産登記と同様な登録制度で現在行われておるわけでございますが、そのほか鉱業法によりまして、法律違反があった場合には法律によりまして鉱業権の取り消しということもできるようになっております。これによりまして、先生御指摘の点につきましても運用してまいりたいと、このように考えております。
○広田幸一君 いまの説明、ちょっとわかりにくいですよ。もっとはっきり教えてください。
○説明員(福原元一君) 鉱業法の五十五条でございますが、たとえば鉱業権者が事業を実施いたします場合に施業案を提出するわけでございますが、そのようなものに違反をした場合には鉱業権を取り消すということが、通産局長はできるということになっております。
○広田幸一君 私が言っておるのは、要するに必要なくなったと、だから、その鉱業権ですか、どういうふうに法律がなっておるかわかりませんが、結局要らなくなったからもうその山を捨てて帰ってしまうという、そのときに、これは登録ですから、出してしまえばいいということですよ。事務的な手続はそうなっておるわけですね。それでは無責任ではないかという感じがするわけですわ。ですから、そこで何かひとつ、必ずそれは通産局の方に届けをしなさいと、届け制にするようにすべきではないか。昔はいざ知らず今日ではそういうふうにした方がいいではないかと、責任を持たせるという意味においても。というふうに私言っておるわけですよ。だから、そのことがいまの法律としてそうしなければならないようになっておりますと、こういうことになればいいんですよ。
○説明員(檜山博昭君) ただいまの御質問に直接関係はないかもしれませんが、金属鉱業等鉱害対策特別措置法の中で、鉱害の防止のために積立金の制度を設けておりまして、鉱業権者が稼行している途中の段階で、将来の鉱害防止の問題に備えて積立金をすると、こういうふうな制度がございまして、鉱業権がなくなった後の問題にこれで対処しようということで、そういうふうなたてまえになっております。
○広田幸一君 そういう積立金制度があるということはいいことでしょう。そういう場合に備えるために平素から積立金をしておるという、そういう制度があるということは私もいま聞きましていいと思います。ただ、何ぼのものが積み立てられておるか。たとえば私が一つの鉱山を持っておって、もうこれは要らぬからと、登録だけしておいてよそへ行ってしまうという場合、積立金が相当の金額である場合はやはりそれにも関係してこなきゃいかぬということになるでしょうけど、いつからできた制度か知りませんが、わずかしかないという場合は、そんなはした金には目をくれずに、後から問題がないように早く山をおりてしまうと、こういうことが考えられるのじゃないでしょうかね。ですから、そういう制度があること自体は私は悪いとは言わないわけですよ。しかし、山が必要なくなって、ただ登録をして帰るというそういう制度そのものにやっぱり問題がある。もっとそこで何かチェックする、報告義務をさしていろんな事情を調べて、それからこうしてやりなさいというようなことをした方がいいではないか、これ、素人のような考え方かもしれませんが、実態としてはそういうことがあってしかるべきではないかと思うわけです。――いや、むずかしければむずかしいと言ってもらえばいいんですよ。どうすればいいかということ。
○説明員(福原元一君) 現在の制度におきましては、鉱業権というのは一つの権利として認められておりますので、その権利の放棄につきましては登録制度という形で行われておるわけでございまして、先ほどの先願主義の妥当性を含めまして非常に幅広い観点からの検討が必要であろうかと思いますので、その辺踏まえましてひとつ対処さしていただきたいと思っております。
○広田幸一君 その点、私もこれからもっと勉強してみます。
 次に、鉱山保安法の二十六条によりまして、鉱山がいわゆる廃止になってから五カ年間というものは責任を持たせるようになっておるわけでございますが、この五カ年間に区切ったという理由、五カ年間を過ぎた以上はもう責任がないのかどうなのか。これ法律的な解釈ですよ。法律的な解釈としてそういうふうになるのか。私は、この問題については、日本弁護士連合会でございますか、そこが公害対策委員会でかなり鉱害問題について研究した本をきのう見まして、いろいろ見たんですけれども、そこなんかの研究の結果としても、やはり五年間の期限をつけておるというのは、それは責任と権利との両立の面から言っても少し問題があるではないかというようなことを言っておるわけでありますが、五カ年間を設定をした理由といいますか、今後そういうことがいいのかどうなのか。これも何年か前にできた法律でありますが、この点についてひとつ御答弁を願います。
○説明員(檜山博昭君) まず第一点の、五年に限った理由でございますけれども、これは、五年の間に一体その鉱山でどういうふうな鉱害防止工事をしたらいいのかという点の見きわめがつくということで五年というふうに限っておるのでございます。
 それからもう一つ、五年たったら何もしなくていいということではございませんで、五年の間はもとの鉱業権者に対して命令することができるということでございますので、その後必要な防止工事というのをやっていただくと、こういうふうなことになっております。
○広田幸一君 これは鉱業権を設定したときにさかのぼって考えなきゃならぬ問題でございますけれども、いわゆる鉱業権という権利を与えたわけですからね。ですから、それにまつわるところの義務というものも同じように履行しなければならない、これは社会的な通念といいますか、社会的な責任であるというふうに思うわけですね。それを五カ年間で切ったということは、いまおっしゃったんですけれども、ちょっと解しかねるんですけれどもね。
 それじゃ、五カ年たった後、もしもその人が――その人というか、鉱業権者が、もう五カ年だということで責任を逃れるようなことをした場合には一体どうなるのか。いまの説明では、五カ年で切ってあるけれども、さらにまだ継続した責任というものはあるんだと、こういうことでございます。それなら、別に五カ年間に切らなくても、鉱害が出るものは永久に――永久という言い方にしましょうか、最後までその鉱業権者に責任があると、こういうことにならなければ、後の分は見ないということになれば、その地域の人たちが受ける被害というものは、何の関係もない人たちが受ける被害というものはだれが補償してくれるかということになってくるわけでありますね。ここなんかのところはどうでしょう。私の言っておるのが間違いでしょうか。
○説明員(檜山博昭君) 先ほどお話し申し上げましたように、「五年間は」「命ずることができる。」と、この五年間の間にもとの権者がしなければならない対策というものを命令して、それを実施させるというふうなことになっておりまして、したがって、その後問題が起こらないような形でもって私どもの方としては対処をしているわけですが、五年を過ぎて、そのずっと後の段階で問題がというお話ですが、その点は、法的な安定性といいますか、そういった見地からやはり限らざるを得ないんじゃないかと、こういうふうに考えております。
○坂倉藤吾君 いまの質問に関連をしますが、具体的にちょっと申し上げたいと思うんですがね。石原産業の紀州鉱業所というのが三重県の紀和町にございます。御承知のように、昨年の九月に会社が名称その他等を変更をいたしました。事業はそのまま継続をしているんですが、会社の名義変更その他法的な手続をとりまして、新しい会社で従来の仕事を継続をすることになったわけですね。その新しい会社が実は本年の四月末でもって閉山と、こういう結果になった。そうしますと、これは当然廃鉱になるわけですが、具体的に、廃鉱になった後たとえば保安要員等についてどれだけ残せば保安が可能なのか、これらについては企業と具体的に話をされておるのかどうか。さらに、新しい会社になった場合、先ほど出されておりました、たとえば積立金の関係等は前々からのものが引き継がれるのか、その辺は一体どうなっておるのか、この辺明確にひとつ御指摘いただきたい。
○説明員(檜山博昭君) ただいま御指摘の問題につきましては、名古屋の鉱山保安監督部で現在いろいろ調整をしているという段階でございますので、その調整の結果につきまして、後ほど決まりましたら先生の方に御報告したいと思います。
○坂倉藤吾君 いま申し上げましたように、四月末で閉山、もうすでに五月に入ろうとしておるんですね。そうしますと、当然これは閉山になった時点から、具体的にどれだけの人数を残すのか、その企業が言っておる人数がそれで適当なのかどうなのか、こうしたことについては行政の立場から明確に――閉山の宣告はもっと早く出ておるわけですので、当然そこまで立ち入って問題が提起をされていなければおかしいんじゃないでしょうか。
 さらにまた、具体的に積立金の問題等につきましては、そうした問題のある鉱山だけに、閉山の問題が社会的に明らかになれば当然その会社の従来の経過等についてはそれは掌握をしながら、どういうふうな取り扱いをするのかというようなことについては、当然もう回答が出ておっていいと思うんですよね。あるいは、まあ名古屋でやっておると言いますけれども、名古屋がやる方針について、具体的に本省としてそれらの方針を点検をしておくというそういう立場というのがなければいかぬのじゃないか。特に私が言っておりますのは、いま一番問題の多いいわゆる銅山、それはもう明らかに今日まで鉱害防止の立場で大変重視をされてきた経過があるんですね。したがって、これは社会的にそうした問題に対処をする姿勢の問題として、いまこれから調べて私にその結果をいただくというんじゃなくて、これはもう一つの具体例として私申し上げておるわけでしてね、したがってそれらの取り扱いについてきちんとしたものが、こうした場で共通的に説明のつけられる、私どもを説得のできる、そういう理論的なものというものがないと、私はちょっと納得ができにくいんですがね。
○説明員(檜山博昭君) ただいまの問題でございますが、原因者である石原産業に関係する鉱害対策ということにつきましては、石原産業にやらせるというようなことでやっておりますが、先ほど申しましたように、鉱害対策に潰漏のないように、現在名古屋の監督部の方で十分調査をさせておりますので、その結果を待って御説明したい、こういうふうに考えております。
○広田幸一君 私もまだ不勉強なところがございますので、時間がありませんから、その問題はこの辺で一応終わります。
 さて、休廃止の鉱山の鉱害防止が、いわゆる鉱業権者によってなされない場合は、いま、四十六年から休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度というのがあるわけでございますね。そういう制度があって、国が四分の三でございますか、現在は。あと四分の一は地元負担になっておるわけでございますが、これはここ五十一年、五十二年、五十三年と、大体どのような予算になっておりますか。五十三年度の予算は三十億七千万というふうに受け取っておりますが、ここ数年の流れとしては、上限はどういうふうになっておりますか。
○説明員(檜山博昭君) 鉱害防止工事の実績予算でございますけれども、四十八年度におきましては工事費が十二億円ということです。四十九年は二十億円、五十年は二十四億円、五十一年度は二十八億円、五十二年度は約三十一億円と、御指摘のとおりですね、そういうふうな形で工事費の伸びが図られております。
○広田幸一君 そこで、四分の三の補助率というのは一般のそれに比べますと高いように見えます。しかしながら四分の一は地元が見なきゃならぬ。その地元というのは、県が見ておるのか、市町村が見ておるのか、地元の住民が見ておるのか、そこらの調査を通産省としてはされておりますか。内容がわかっておればひとつ御説明を願いたい。
○説明員(檜山博昭君) 四分の一の裏負担といいますか、それは県かあるいは市町村ということになっておりますが、大体県が主だというふうに調べております。
○広田幸一君 私がなぜ四分の一の負担の問題を特に言うかといいますと、これは地元にとっては何も関係がないのに、鉱山を閉山をして、その被害が出てきておるわけですからね。ですから、地元がそういうものを負担をすることについてはいろいろ疑義があるわけです。こういうところを直してもらいたいというふうに言えば、じゃ地元が四分の一負担を見てくださいということになるわけですね。ところが、いまそういう予算は組んでありますけれども、地方自治体の財政事情も決してよくないわけでございまして、だんだんと窮屈になってくる。それに四分の一負担をしなければならない。しなければやっぱりこの鉱害対策がやってもらえないというようなことがあるわけでございまして、私は、これは三分の二から四分の三に少しは前進をしたというふうな言い方を通産省としてはされるかもしれませんけれども、もともと鉱害から起きてくるこういう鉱害対策の工事費というものは、全額国が見るべき性格のものであると、こういうふうに思うわけでございますけれども、財政当局との関係もあるでありましょうが、考え方として、私はこれは地元が負担をするというのは、県が出すにしましても市町村が出すにしましても、結局は回り回って地域住民が負担をしなければならないということになるわけですからね。だから四分の三、よけい出しておるんだと、こういう理屈になるでしょう。だから逆に言うとまるまる国が見るべき性格のものであると、こういうふうにも言えるわけでございましてね、ここなんかの点は財政当局との話もあるでしょうけれども、実態はどういうふうになっておるのかお聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(檜山博昭君) 先ほど、県あるいは市町村がその四分の一を負担しているというふうにお話申し上げたんですが、これにつきましては、特別交付税の問題あるいは起債等の点で一部カバーされておりますので私どもの方としては、現在の四分の三の補助率を引き上げることはちょっとむずかしいというふうに考えております。
○広田幸一君 交付税とか起債によって四分の一は処理されておるということでありますね。
○説明員(檜山博昭君) 全部ではございませんで、一部カバーされていると、こういうふうなことであります。
○広田幸一君 時間が参りましたので、最後に、実は地元の問題でございますけれども、鳥取県でございますが、私のところに石見鉱山というのがあるわけです。恐らく通産省の方は十分に御承知であろうと思うんですけれども。ここは実はいろいろ歴史がありまして、昭和十八年の地震のときにはこのダムが決壊をして、鉱滓が流出をして、埋没をして、当時六十二名の死者が出たと、こういう生々しい歴史があるわけです。そこで今度の、先ほど来申し上げております持越鉱山が地震によってあのような被害があった、そういうことが地元の人たちに非常に感染をしまして、地元のダムのまだ不備な点を直してもらいたいという陳情の運動が起こっておるわけです。私は当然であろうと思うのでありますが、この石見鉱山の歴史的な経過は、よく御承知であろうと思いますけれども、昭和三十四年でございますか、当時のいわゆる日本鉱業というのが中国鉱業に渡して、四十六年に廃鉱になって今日まであるわけですけれども、いまもってこの鉱毒の流出によるところの被害というものがだんだんあるわけでございますね。かなり国の方からの補助金も出てやっておるようでありますけれども、まだまだ住民の皆さんが感ずるところまでいっていない、こういうふうになっておるわけでありますが、先ほど来いろいろとやりとりをしておりますけれども、こういうようなところは現在全国にあると思うんですね。ですから、私はこういうようなことについて、実態はどうなっておるのかこの際お聞きしておきたいと思います。
○説明員(檜山博昭君) 石見鉱山の鉱害防止対策の問題でございますけれども、昭和四十七年度から休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金制度によりまして、鉱害防止工事を先生御指摘のように実施してきたわけでございますが、五十三年度、本年度におきましても一部安全調査を含めいろいろ工事を予定しておりまして、五十五年度には完成すると、こういうふうな計画で進めております。
○広田幸一君 そういうふうにひとつ御努力いただきたいと思うんですけれども、これは一般論として、実態がどういうふうになっているかどうかわかりませんが、いま四分の三の補助率の問題、あと四分の一については交付税とか起債によってかなり考慮してあると、まるまるでないにしても。そういうことでございますけれども、私が聞いておるのが当たっておるかどうか知りませんけれども、きょうもちょっと通産省の人にもお話しをしたんですけれども、鉱山から流れてくる水はこれはたんぼに入るわけです。そしてその付近の反収というものはやっぱり他のそれに比べて少ないわけです。これはまあ仕方がないでしょう。仕方がないというよりもそうなっておるわけですが。ただ、灌漑をするときに、その鉱山のところで水質の処理がされておるわけですけれども、これが八時間稼働しておるわけですね。ところが、灌漑は二十四時間たんぼに水が入るわけですから、二十四時間やってもらいたいとこういうふうにお願いをするわけですけれども、八時間のものをまるまる二十四時間にするということになりますと相当大きな施設をしなければならない。それを頼めばやっぱり地元の負担ということが出てくるというようなことで、市町村から県の方に要請をしておるでありましょうけれども、これは地元の農家の皆さんにとっては八時間と二十四時間とでは違うわけですからね。そういうふうな実態も、まあそれがいまどういうふうになっておるか知りませんが、確かにそういう状態だろうと思うんです。まるきり全部完璧な防害対策はできぬかもしれませんけれども、私はそういうところが全国にはだんだんあると思うんです。
 繰り返して申し上げますけれども、こういう鉱山によるところの被害というのは、全く住民には本当に何の関係もないことなんです。ですから、私は今後もそういうふうな実態を細かく調査をしてもらって、住民の皆さんの期待にこたえられるような対策をとってもらいたいし、さっきから言っておりますように、持越鉱山、ああいうような地震等の災害が起きますと大変なことになるわけです。災害が起きてから要る金とそれまでの金とはもう雲泥の差があるわけですからね。災害が起きますと人命の問題もあるわけですし、そういう点をひとつ考慮してもらって、今後早急にこの鉱害対策については十分な処置をとってもらうように特にお願いをいたしまして、私の質問は終わります。
○坂倉藤吾君 きょうは、私は水質保全にかかわる関係について質問を申し上げたいと思うんですが、水質保全の関係は、中身の問題につきましては近く提案をされる予定になっております瀬戸内海の環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案がありますから、その法案審議の中で具体的にいろいろただしていきたいというふうに考えますが、その質問に入ります前に、いまの広田委員の質疑の中でも出てまいりましたが、たびたび公害の予防を含めた対策、さらには環境保全という立場で、環境庁が行政の上でのいわゆる最高責任の官庁でないのか。したがって、それにふさわしい環境庁の姿勢を示してもらいたいということをたびたび申し上げてきているわけです。これは質問をいたします私どもの方の口か長官を初めとして、それは肯定をされたことにはなっておるわけですね、記録からいきましても。しっておるわけですね、記録からいきましても。しかし、なかなか環境庁の側から、口で実はこうなんだという話というのは、まだ私自身としては、私の耳で聞いていないわけでありまして、先ほど局長の方から、まあ総合調整というような立場を踏まえて、設置法に触れられた――設置法といいますか、組織の規定ですね、に触れられた御答弁がありましたが、再度その辺について、基本姿勢の問題として、環境庁の設置法並びにいわゆる組織規定に基づいて、環境庁のいわゆる責任と任務、さらに権限。この権限は、特に一般住民にという立場あるいは町の企業者にという立場じゃなくて、関係をする各省庁、これに対しての権限というのは一体どうなのか。この辺について少し説明を願いたいと思います。
○政府委員(二瓶博君) 環境庁は、先生御案内のとおり、四十六年の七月一日に設置を見たわけでございます。そこで、環境庁の設置法というのが当然あるわけでございますが、この設置法には、第三条の規定で任務が書いてございます。ちょっと読んでみますと、「環境庁は、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」ということで、第三条に任務が明定されております。
 第四条に、ただいま先生からもお話が出ました所掌事務なり権限、これの規定がございます。この第四条には、まず一号に「環境の保全に関する基本的な政策を企画し、立案し、及び推進すること。」という企画、立案、推進の権限があるというのがございます。それから第二号で、よその省庁との関係でございますが、「関係行政機関の環境の保全に関する事務の総合調整を行なうこと。」という総合調整の機能といいますか、これを付与されておるということでございます。それから三号で、いろんな経費の見積もり方針の調整というようなくだりの関係の規定がございます。あとはそれぞれ個別に、たとえば水質の関係でございますれば、「水質汚濁防止法の施行に関する事務を処理すること。」というようなことがこの四条の十七号にございますし、それからいずれ瀬戸内海の後継法も御審議いただきますけれども、この現在の瀬戸内海の臨時措置法、これに関する施行に関する事務というようなことも環境庁の所掌事務ということで規定をされておる、こういうような形になっているわけでございます。
 したがいまして、環境庁は、先ほどの広田先生のときにも答弁申し上げましたように、総理府の外局ということで、いわゆる総理府ということになっております。したがいまして、規制行政その他あるいは総合調整、企画、立案というものは持っております。しかし、具体的な事業でございますね、たとえば下水道を整備する、生活排水対策ということで下水道をやるとかというようなことはこれは建設省とかいうようなことで、事業的なものはそれぞれの所管省に所掌はしていただいている。ただ、いろいろ総合調整という面とかそういう関係では、やはり環境保全という角度から、連携を密にしながら、まあ注文する場合もございますし、推進を図っておると、こういうことでございます。
○坂倉藤吾君 書いてあることはまさにそのとおりでしてね、問題は、それがどう実行されるかということなんですが、たとえば、いまの答弁にありますように、事業は環境庁自体が持たないから、それぞれの各省庁が行うからと、これはこれでいいんです、そうなければ行政は進まないと思うんで。ただ、その場合に環境庁の任務というのは一体何なのか。そこでどれだけ環境庁のいわゆる付与された権限あるいは設置をされた目的というものが生かされていくのか、この観点が貫かれていくとするならば私はそれでいいと思うんですよ?しかし、事業を推進をしていくことと環境庁の任務というものが途中でとぎれているんじゃないですか、今日の状況の中で。必要があったときに調整をしていくと、こういう話にはなるんですが、具体的に皆さん担当してみえてうまくいっているというふうに認識されていますか。
○政府委員(二瓶博君) 私は水質保全の方を担当いたしておりますので、その面から申し上げますと、水質保全行政の面でも、先ほども申し上げました下水道の関係などは建設省、屎尿処理施設の関係は厚生省というようなことで、いろいろ各省にわたる問題ございますけれども、その辺の連携や何や十分うまくいっているかというお尋ねにつきましては、これはうまくいっておるというふうに実は考えておるわけでございます。
○坂倉藤吾君 それじゃ、うまくいっている前提に立ってお伺いをいたしますが、私が二月の二十二日のこの委員会の中で、これは地盤沈下の問題ですから直接じゃないと思うんですが、地盤沈下の問題で、この法案は今国会に間に合うように提案がされるのかどうか、このことについての御質問を申し上げて、長官としても、沿うような立場での回答というのはいただいておるわけですね。ただ、二瓶局長は、大変それに対してむずかしい状況が説明をされています。たとえば国土庁の関係、建設省の関係、通産省の関係、法案そのものはもうりっぱなものが早くでき上がっているんだ。でき上がっているんだけれども、それぞれの関係のところでもそれぞれが準備をしておって、その調整がむずかしいのでという御答弁がある。その上に立って、せっかく法案ができ上がっておってなぜ調整ができないのか、こういう立場を私申し上げたはずであります。ところが、いまだにこの法案について出されるものやら出されないものやらわかりません。さらにまた、先回粕谷委員の方からも環境アセスの問題について、この法案が実はどうなっているんだろうという関係についての指摘がありまして、この国会に何とか提案のできるように努力をするという、こういう回答になっておった。これらは一体、いま関係省庁との間についてうまくいっておるという前提の中でなぜおくれているんでしょう。その辺ひとつ具体的に説明してください。
○政府委員(二瓶博君) 地盤沈下の法案についてのことでございますが、これは過般に先生から御質問がありました際にも御答弁申し上げたわけでございますが、実は環境庁の方は、いわゆる地盤沈下、これは典型七公害の一つであるということに立脚いたしまして、この地盤沈下の防止というものを図る総合的な法制を整備すべきであると、こういう角度でございます。したがいまして、設置法から見ましても当然そういう主張はなし得る。ところが、国土庁は、これは国土保全と水資源の確保という面から、それは設置法上提案できると、こういうわけでございます。建設省は建設省といたしまして、これは地下水法案というものを出そうと。いま河川水はこれは河川管理その他で管理をしておる。地下水も、これも公水というような形にして、表流水と一体的に管理をしたい。したがって、これも水行政をやる建設省としては当然その任務から照らして法案を出すのはあたりまえである、こういう見地でございます。
 したがいまして、環境保全という問題、公害の一つであるという角度で、うちの環境庁が取り組むということはもちろんできるわけですが、環境保全というものの総合調整だけでございませんので、あの問題は、環境保全という側面もあるが国土保全の面もある、さらにいろんな水管理の問題もある、こういうことで、地盤沈下そのものが見方によっていろいろ見えるわけでございまして、これを環境保全の総合調整機能がある環境庁だけで、その一面だけで全部押え切れるかということになりますと、なかなかこれは問題であるというようなことで、これはいまだに――まだあきらめてはおりませんけれども、調整続行中ということです。そういうことで、なかなか成案を得ませんこと申しわけございませんけれども、そういうこれはきわめて大きな、大問題でございます。
 以上でございます。
○政府委員(信澤清君) いわゆる環境アセスメント法案の問題についてお尋ねがございましたが、先般もお答え申し上げましたように、今国会に御提案し、御審議をいただくべく努力をいたしておるわけでございますが、なお幾つかの問題で関係省庁と調整ができない問題が残っておると、こういう状況でございますが、私どもとしては、何とかその間の見通しを早くつけたいということでございます。
 何が原因かというお話でございますが、いずれにいたしましても全く新しい発想に基づく行政的な制度でございまするし、対象といたします事業も多種多様でございます。そこに画一的な、いわば統一的なと言ってよろしいかと思いますが、一つの新しい制度を組み込んでいくということになりますれば、それなりにいろいろ問題点が出てくることは御賢察いただけるのではないかと思いますが、その点あたりの調整をいたしておるわけでございます。
○坂倉藤吾君 信澤さんの回答はこの前いただいておりませんからありませんけれども、二瓶局長、あなたはこの前の答弁の中で、たとえば、私の「出身地の濃尾などは、三十四年の伊勢湾台風と同じクラスの台風が来ますれば、あの辺は全部水浸しでございます。」と言って、大変これ保証していただいておるんですよ、実際にね。そういう状況の中で、先ほども言いますように、すでにりっぱな法案が、というふうに折り紙つきの法案が以前からでき上がっちゃっている。それがなぜ提案ができないのか。しかも、いまの御説明からいきますと、それぞれの省庁はそれぞれ関係する自分のところの目的がありますから、その目的に基づいてやろうとしているから、そのことの調整ができないと言われる。目的を持たない事業推進なんて世の中にありますか。環境庁が横断的であればあるほど、そういう調整の必要でない環境庁だけで事が済ましていけるような環境保全の立場というのは何があるんですか。もしそれがあれば私は聞かしてもらいたいと思うんです。やろうとすれば全部どこかにひっかかるんじゃないんですか。そのひっかかりを環境庁の立場の中でどういうふうに説得をし、人の生活を、社会を守っていくためにやるかというのが、それが任務じゃないんですか。そこの問題をきちっとしてくださいよ。
○政府委員(二瓶博君) ちょっと申し上げますと、たとえば瀬戸内海の後継ぎ法などにつきましては、これは先ほどの設置法の四条に、現在の臨時措置法が、これは環境庁の所掌事務であるということにもなっております。したがいまして、後継ぎ法につきましてはこれは環境庁が当然出すべきものであるということです。ただ、中身につきましては関係各省とは非常にかかわりの深いものがございますから、環境庁が出すけれどもそのかかわりがある部分については各省庁と調整をするということで、やっと調整がついて提案の運びになったと、こういうことでございます。
 ところが、地盤沈下の法律は、環境庁も出そうとしておる、国土庁も先ほど申し上げた観点から出そうとしておる、建設省も出そうとしておるということで、要するに環境庁が出すという法律のためにかかわりがあるよそと調整するのじゃなくて、提案するのはうちが提案をしたいということの話で、なかなかそこのあれがつかないと、こういうことでございます。しかしながら、これは先ほども先生が速記録を読まれたとおり、役人がお互いにそういう角度でうちが出す、うちが出すと張り合っている間も地盤沈下は進行をしているわけでございますから、その現実というものも踏まえながら、非常にむずかしい問題ではございますが、また大事な問題でもございますし、緊急性も要する問題でございますので、ここは根強く調整に努力したいと、こういうことでございます。
○坂倉藤吾君 私がいま申し上げておりますのは、一つの例としてこの地盤沈下の問題を言っておるのでありまして、姿勢の問題は、たびたび各委員からも指摘をされていますように、私もこの委員会に所属をさしていただいて、ここへ出てくるたびに姿勢が後退していくんじゃないかというのを実感としてやっぱり持つわけなんですよ。これは私は大変なことじゃないかと思いますがね。結局、先ほど冒頭に私が尋ねました、いわゆる環境庁の任務、責任、その任務と責任の上に立った、いわゆる各省庁を調整をしていく権限の問題これが発揮をされていないのじゃないのか。
 私どもが一番不思議に思いますのは、たとえば何かの規制基準を出そうといたしましても、それが今日の産業構造の中で開発がされるかどうか、いままでの産業のいわゆる技術の中で、そこまでいくのは無理じゃないのか、これはもう人間の生活としては悪いんだということがはっきりわかっておっても、悪いけれどもそこまで基準値を引き下げていくだけの技術能力がないから、今日のところは基準はここまでですよと、こういう逃げ方に全部変わってきているのじゃないんですか。悪いものは悪いと、いまの技術がそれに到達するかどうかの問題は別として。これは考慮に入れなければならぬことは私もわかりますよ。わかりますけれども、少なくともここまでいかなきゃ本当によくならぬのですよということが、一つ水準としてぴしゃっと決められて、そこに到達をしていく努力というものが私たちにきちっとわかるようにいけばいいんです。ところが、そうじゃなくって、今日の産業の技術水準に合わせてすべての基準を持っていこうとしている。逆にこういうふうにわれわれとしては理解をせざるを得ない。こういうやりとりになっておるわけです。したがって、その辺を私はもう少し環境庁らしく、明確に、姿勢の問題としてきちっとやってもらわないと、これ論議しているのが私はもうばからしいような話にまでやっぱり考えます、正直言いますと。この辺は長官、ひとつきちっと、まあ腹のあるところはいままでの答弁で気張ってもらってはおるんですけれども、再度私はこの辺についてきちっとしてもらいたいと思うんです。
○国務大臣(山田久就君) 環境庁について大変鞭撻、激励をいただきまして感謝にたえません。
 しかしながら、お言葉を返すようでございまするけれども、公害から健康を守るこの基本的な問題についてのわれわれの責任、使命、もう繰り返し申し上げるように、この点のわれわれの任務、これは完遂していくというこの決意、行動に全く変わりがない。いまちょっと基準についてのお話がございましたけれども、われわれとしては、ただそれの決定についてはあくまでもこれは客観的じゃなきゃいかぬ、科学的でなきゃいかぬ。そういう意味において、たとえば知り得る知見というものが非常に不足しているというときにおいて、さらに充実したいろんなものがあるならば、それが上がるか下がるかは別問題として、とにかく得られたその客観的なものについて、それでわれわれはそのことをやっていこうという、そういう熱意において私はちっとも変わりがないということだけはひとつ御理解いただきたいと思うんです。
 まあこれは瀬戸内海の問題にしてもいろいろなところで各方面とそれぞれ議論を交換している点はございます。しかしながら、われわれとしては基本的に、環境問題についての根本的な方針、施策というものをみんなが守っていってもらわなきゃいけないという意味においての要請、あるいはそのことについての決定、これをわれわれは変えようと考えているわけではちっともない。ただ、先ほどわれわれの局長の方から出ておりまするのは、なるほど都市計画一つ考えてみても、たとえばよりよき環境ということであれば、一体公園をどれだけの広さのものにするんだと、青いものはどこにするんだと、それから住宅地というものとそれから今度は工場あるいはビジネスセンターというものをどういうふうに持っていくんだと、それは単にいわゆる公害というものからわれわれを守るだけじゃなくて、本当の任務というものは、より一歩進んで、快適な生活環境をつくるという面で言うならば、なるほどそれも環境の行政じゃないかということ、まさに私はそうだと思うんです。
 しかしながら、やっぱりわれわれとして遂行していかなきゃならないのは、何としても基本的な一つのポイントというものをみんなが守ってやっていってくれるかと、そのことをチェックして、知り得た情報というものについて、さらにその是正、追求というものはわれわれはそれを惜しむものじゃない、それは断固としてやっていきます。けれども、いま言ったような見地で、たとえば港湾というものを一つつくったって、それは水質ということにも関係を持ちます、あるいはそこの自然環境というものに対する意見というものもありましょう。ただ、その面に限ったことについてのわれわれの意見というものはわれわれの任務に従って言うけれども、そうかといって、それじゃその仕事というものに、それぞれがこうやっているやつにどこまで一体くちばしを出していくかということについて、さあそれをどこまで――たとえば瀬戸内海の問題でも、これはまれに見る自然環境を持った瀬戸内海というものを維持していくためにということで、課せられているものの中で、たまたまわれわれの主管になっているから相当程度言っていきますけれども、抱えておるその事業自身にぶち当たってくると、どこまでくちばしを出されるかという問題については、彼らとして、悪い意味じゃなくて、やっぱり非常に関心持ってそこまで言われちゃやり切れないと。ただ環境基準というものですね、そういうところだけに限定するなら、なるほど、そう言われればこうやってやっていきましょうということを彼らとして言うのは、これはただ単なるけんかということじゃない。おのおのその任務について言うことはこれは虚心坦懐ですよ。それが自分の意見だろうが、どこの意見だろうが、聞くべきものは聞きながら、そうしてわれわれの任務というものをやっていかなきゃいかぬけれども、その総合調整という面は、そういうような意味においておのずからやはり基本的な問題に限定されていくという点はこれはぜひ御理解いただかないと、そこら辺がなかなかわかりにくいような点もあるということもわかりますけれども、われわれの本来の任務のところでやっていくという点についての決意と行動、この点はどうかひとつ御理解をいただきたいと、こう思うんです。
 まあ地盤沈下の問題については、いろいろ言っていました。この地盤沈下というのは先ほど局長の方からいろんなそれぞれのところが持っている議論がありました。ただ、地盤沈下ということになると、一たび沈下した地盤というものはもとに返らぬという意味で、われわれにしてみると、公害的な面からこの問題を考えていかなければならない必要性というものがあればこそ、われわれもイニシアチブをとってそれをやろうということで乗り出したんです。それはまた別な角度で彼らが持っているものだから、悪いというわけじゃないけれども、さてそこでぶつかってきた。しかしながら、この総合調整ということは、われわれは違っているやつを総合調整するけれども、われわれの方で全部に命令して、おれの言うことを聞けということの権限を与えられているわけじゃないということで、まあ人柄と知恵とそれから何とかで、落ちつかれるところへ持っていかなければならぬところに非常に苦労もございますので、どうかひとつ理解をもって御支援、御鞭撻のほどお願いいたしたいと思います。
  〔委員長退席、理事矢田部理君着席〕
○坂倉藤吾君 まあこれ飛び入りの質問でございまして、余りこれに時間をかけたくはないんですけれども、いま長官のお考えが述べられました。客観的、科学的と、こういうことでありますからね、これは具体的にどこがどう後退をしておるのか、こうした点については、これはまた別の機会に、それこそ客観的に、科学的に御指摘を申し上げていきたいと思いますが、基本的に言い得ますのは、たとえば建設省だとかあるいは通産省だとかの立場からいきますと、基礎的な物の考え方というのは、たとえば通産行政なら通産行政の中で、中小企業なら中小企業、大きい工場も含めましてね、そこがその工場としての経済活動をやっていくに当たって、結局、仮に有害物質が出てくる、出てきたものがどこまで自然界に放出をされていって許容可能かという、こういう立場が私はやはり一つの底辺になっていると思うんですね。ところが、環境庁の場合は、人間の生活環境ということがやはり基礎になりますから、したがって、これ以上悪化をさせてはならないというのが一つのこれが発想ですね。そこに具体的には同じ時点で仮にこう調和ができたにしても、そこに到達をする物の考え方というのは、それはやはり、下からか上からかという論議は適当でないかもわかりませんけれども、そこに相違点というのが必ず発生をしてくるわけです。ですから、その点どちらを有利にとは言いませんけれども、少なくとも環境庁がそういう観点に立って、言うべきことは言いながら、その姿勢というものが具体的に認識をされるようになっていかないと、秋はいまの長官の説明というのは具体的に了解をしましたという話に相ならぬと思うんですね。言われている筋合いの問題はよくわかりました。ぜひともそうした観点を、これは環境庁が設置をされた社会的な経過も踏まえて、初心に返ってという言葉がありますけれども、ぜひともその感覚がさらに生かされるように、今日のところは御要望を申し上げておきたいというふうに思います。
 そこで、少し具体的にお聞きをすることになりますが、たとえば水質保全にかかわって、具体的に水の問題ということになりますと、たとえば陸の問題、空の問題も含めまして、すべてが水に還元をされる、こういう立場を、運命的なものを持っています。そういう状況からいきますと、水が汚れるということになりますれば、当然被害を受けるという具体的な一番の主体は、やはり漁師といいますかね、漁業者、ここに集中をされることになってくるわけであります。そういう意味でとらえていきましたときに、いわゆる漁業について発生をしておる今日までのいわゆる公害、したがってそういう立場を踏まえた漁場の環境という問題ですね。これは水の環境といいますか、内水面あるいは海面の関係もありますから、そういうことになりますが、それらについての保全あるいはそこで発生をしました公害の対策、あるいは公害発生に対する予防、こうしたものに対する中心的なといいますか、責任の主管庁というのは一体どこになるんでしょうか。これは水産庁になりますか、あるいは環境庁になりますか、具体的にはどこなんでしょうか。
○国務大臣(山田久就君) まあ具体的にはひとつ局長の方からお答えいたさせますが、全般の問題として、たとえばこのたび瀬戸内海の後継ぎ法を考えるときに、同時に、この水質の総量規制というものにあえて環境庁がイニシアチブをとってこれに踏み切っているんです。これについては、一番大きな問題というのは、御承知のように家庭用の雑排水ということになってまいりまするというとそれは下水道の問題であるし、下水道でカバーができないということになれば、いま野放しになっているところの各個人個人のいろいろな、家庭の上下水からどぶに入れられていっている問題についてのこれはコントロールの問題に入ってくる。
  〔理事矢田部理君退席、委員長着席〕
あるいは大きな企業以外の、いわゆる中小企業の、なかなかこういうものに対応できないようなところの問題というものに入っていかなきゃいかぬというような、実は何かの形においてこの問題に入っていくということは、これらについてはいろんなある意味においては半ば正しいいろんな見地から大変な抵抗がなきにしもあらず。しかしながら、やっぱりわれわれの置かれている立場から、いまこの改正というものをこのときにやりながら、そうして次に前進していく一つの基礎をつくると。あるいはいま御指摘になりましたような調整の問題も、この際、それはいろんな抵抗があるけれども、ここで参加していくその糸口をつくって、そうして前進していくということによってわが任務を達成していこうということの勇気と決断で、一生懸命になって、われわれも踏み切ってやっているわけでございまして、したがって本当に補足的で恐縮でございまするけれども、そういう決意でみんなそれぞれ非常に努力をして、それで理解を求めながら、協力を求めながら、とにかくこういうものに入っていっているこれは具体的な一例としましても、その努力の点についてどうかひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
 漁業の問題についてもある場合においては、それは養殖というけれども同時にそれが非常な汚染というような問題にも関係してくるということであるならば、さてそれらについてもどうするかということで、やっぱり大きな見地からわれわれも決断と行動で一生懸命になってやっておりまするので、ひとつどうかさらに御理解と御鞭撻をいただきたいと思います。
○坂倉藤吾君 ちょうど質問に関連をいたしまして、通産省を初め関係のところにも来ていただいておりますから、そういう意味で、いまのやりとりは十分に聞いていただいたと思うので、なおかつ長官いま言われましたような御努力は私はそれなりにわかりますから、ぜひともひとつふんばってもらいたいというふうに思います。
○国務大臣(山田久就君) ありがとうございます。
○坂倉藤吾君 それで、昭和五十二年度の漁業の動向に関する年次報告、これは所管のところからいただいたいわゆる白書であります。これによりますと、沿岸漁場の環境問題につきまして、「人口の都市集中」、それから「臨海工業地帯の開発」、「船舶航行のふくそう化」、この三つが具体的には挙げられまして、したがって、そういうことによって漁場の環境というものは著しく悪化をしている、こういう指摘があるわけであります。そして、現に五十一年度の水質汚濁等によるところの突発的な漁業被害について四百六十六件、うち被害額のわからないものが二百三十八件ありますが、これは大体五一%に相当すると思います。これを除いて、被害額の計算のできるもの、これだけで二百二十八件、いわゆる四九%ですが、三十五億八千八百七十万、こういう数字が報告をされておるわけであります。そのうち赤潮の関係が二十七件、これの被害額というものが三億一千二百七十万。これについて三重県関係で見ていきますと、赤潮の発生が確認をされた件数――これは被害じゃありません、赤潮の発生の確認された件数というのが、伊勢湾内で四十四件、外海で十三件、合わせまして五十七件ございます。そして油濁につきましては、これは全国で百十一件、十二億五千八十万の被害と、こう出ております。で、これまた三重県の状況で、廃油の関係をながめていきますと、廃油事故にかかわるものが十四件です。その他の油の関係というのが二十一件、合計三十五件、この油濁という形の汚染件数というものが挙がっているわけです。しかもこの油濁の関係は、原因者別に見ていきますと、船舶からのものが十五件、それから陸上の施設によるものが三件、それから土木工事によるものが四件、こういうふうな形が原因者がはっきりわかっているわけであります。まあその他が六件ありますが。そして、原因がさっぱりわからないけれどもというものも七件あるわけですね。こういう被害状況というのが現に発生をしてきているわけです。
 いま具体的に、原因者別にも申し上げましたように、その原因者の系列から見ていきますと、これはそれぞれの所管の省庁というのは全部異なるはずです。油濁そのものについて考えていきますと、総括的には運輸省ということになるんでしょう。しかし、工作物というような形、いわゆる陸上の施設というようなものになりますと、これは農業施設の場合ですと農林省の関係だとか、そのほか建設工事関係でいきますとこれは建設省の関係だとかあるいは通産省の関係だとか、こういうふうにそれぞれの状況というのがこう絡んで、やっぱり最終的に海に被害をもたらすという、こういう形態というのがあるわけですね。したがって、そういう観点からいきますと、この発生防止あるいは発生した場合の措置の仕方については、相当範囲が広いというふうに見ざるを得ません。範囲が広いだけに――先ほどの論議を蒸し返すつもりはありませんから、姿勢的にはよくわかっているんですけれども、環境庁として、この辺についてやはりえりを正してもらいたいというのが、具体的にその被害を受ける立場から言いますと明確に指摘ができると思うんですね。ですから、ぜひひとつこの課題について十分に心をしてもらいたいというふうに思います。
 それで、そういうような事情を踏まえつつ、水質保全あるいは汚濁防止、そういう意味で関係省庁が幾つか存在をするわけですが、その関係省庁を総括的にまとめ上げるという――これ、まとめ上げることについてもいろいろ問題があるんですがね。あるんですけれども、連携をした、たとえば資料交換だとか、そういう立場の公的な機構というものについてはあるんだろうかないんだろうか、よくわからないわけであります。論議をしていますと、関係のところと集まって話をしているとか、関係のところの大臣が集まって話をするとか、こういうのはあるんですが、これは公的なといいますか、そういう機構についてつくり上げるというような考え方というものはないんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(信澤清君) お話しのような、各省にわたる問題について、総合的な調整をいたすのが環境庁の役目の一つでございます。その場合に、いまお話しのように個別の問題について、たとえば赤潮の問題について赤潮研究会というようなものをつくって対応していると、こういう事例もございますが、基本的には、やはり役所の仕事と申しますのは予算が基礎になります。そこで、環境庁の仕事の大きな眼目の一つといたしまして、環境保全にかかわる各省の予算要求をいたします場合に、その予算の見積もり調整というものを、設置法の規定によって私どもの手元においてやっておるわけでございます。したがって、各省が各年度どんな事業をどういう方法でやるかということについて、具体的に予算の面でまず大蔵省、財政当局の査定を受ける前に、要求段階において調整をしていくという仕事が一つございます。それから、さらに、非常に各般にわたる問題につきましては、機構的な問題というお話がございましたが、中央公害対策審議会というものがございますことは先生ご案内のとおりでございまして、ここにいろいろな部会がございまして、環境庁長官がいろいろ御諮問するだけではなく関係大臣からも意見を聞けると、こういう仕組みになっておりますので、大きな問題はそういう審議会の意見を聞きながら決めていくと、こういうこともやっておるわけでございます。したがって、総合的なというか、一般的な対応、個別的な対応、それぞれの問題に応じて対応するようなことを従来からやっておるわけでございます。
○坂倉藤吾君 そこで、それぞれが、まあ予算のときはわかりますがね、予算が決まってしまえば各省庁分かれていくわけでしょう。たとえば調査研究なんかが各省で相当ありますわね。そうすると、この調査研究なんかをやった場合の具体的なデータというものは、これは環境庁は全部まとめているんですか。
○政府委員(信澤清君) 研究費というものについては、おおよそ分けますと三つか四つのタイプに分かれると思います。一つは、各省庁、これは環境庁もございますが、それぞれの行政目的に応じて、しかるべき研究機関等に委託をして行う調査がございます。これにつきましては、先ほど申し上げました見積もり調整の段階で調整をいたしております。しかし、結果等については必ずしも的確に把握しておりません、率直に申し上げます。
 それから第二は、それぞれの機関が持っております試験研究機関がございます。この試験研究機関が環境保全にかかわる研究をいたします場合の予算につきましては、環境庁に一括計上されております。これを使う段階で各省に移しかえをいたしまして、そこでその金を使って研究をいたしていただいておるわけでございますが、この研究につきましては研究内容、研究方法等についてもあらかじめすべて御相談を受け、結果についても御報告をいただいております。
 最後に、いわばそういう形で予算にいろいろ計上された研究費があるわけでございますが、不測の事態と申しまするか、突発的な問題等が起きた場合に、急速調査研究をするという必要があることはこれはまた当然でございますが、そういう場合に、いわゆる調整費という名目でことしも約三億程度の予算を組んでおりますが、この予算を使いまして各省で分担御研究をいただき、あるいは統一的な御研究を一緒になってやっていただくという使い方をいたしておりますが、この状況につきましては逐一結果まで承知をいたしております。
○坂倉藤吾君 事情はよくわかりましたが、たとえば最初の予算調整のときのチェックの仕方ですがね、ことしの予算見ていきますと、たとえば運輸省の場合なんかは、相当前年と比較をして減っていますね、具体的に。たとえば海上の公害対策なんというのは昨年度一億九千万あったのが本年度は一億五千万、それから海洋汚染防除体制の強化、強化と言いながら一億三千万が九千二百万に減っているわけです。あるいは海洋汚染防止実態調査というのは、これはまあわずかですけれども、千二百六十四万が千二百十九万に減っている、これ運輸省は大方減らされているのは、成績が悪かったんでしょうかね。それからほかにもあるんですよ、ずっとあるんですが、ほとんどこれ予算減っているんですよ。別にこれは運輸省の肩を持って言っているわけではないんですがね、現実に予算をながめていくとそういうふうに減っている。しかし、先ほど言いましたように、たとえば油濁に関する被害なんというのは相当数ふえてきているし、それから白書でも指摘をしているように、船舶航行は、瀬戸内でもこれ問題になると思いますが、どんどんふえて、航路をどういうふうに整理をするとか、いろいろ対策が講じられなければならない、こういう状況にありながら、実はそういう事態が発生をしているということですね。これが一つ。
 それから、資料を把握されていないということについて、私はそこに先ほどの地盤沈下の問題なんかも具体的に出てくる課題だろうということですね。たとえばせっかく予算の段階でもそこまで注文をつけて、そして目を光らしておりながら、それぞれの調査をしてまいったデータについて、環境庁が掌握していないということになりますから、調査に着手をしたり継続をしていくのはそれぞれのもう事業主体になっちゃっている。ただ予算だけの話と、こうなっておりますね。そうしますと、それぞれがそれぞれの省の設置目的に従って調査をしてきて、そのデータはその省だけのものと。その辺の調整が、資料を収集してないからなかなか注文がつけられないという形になっている。したがって、環境庁も持っていない、ほかの省庁も持っていない、これはおれのところのデータだと、こうなっていますから、そこで見合うような、たとえば地盤対策なんかについても、おれのところで法案をつくろうと、こういう立場に進行をしていく私は一つの基本じゃないかというふうに思うんですね。くちばしを入れるか入れないかの問題は別としまして、少なくとも国が行う、それぞれの省庁の機関のいわゆる試験について、そのデータだけでも環境庁としてはやはり掌握をする。それをながめた上に立って話し合いなら話し合いをする。こういうことにならないと、私は説得の力も持たないし、調整がむずかしかろうというふうに思うんですね。ぜひこの辺はひとつ検討をいただきたいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(信澤清君) 最初のお尋ねの、運輸省関係の、私どもが見積もり調整いたしました予算でございますが、確かにお話の点のようなやや事務費的なものにつきましては、経費の節約等ございましたので、昨年より減っている場合が多かろうと思います。しかし、運輸省総体として見ますれば、昨年度五百九十六億二千八百万円でございましたものが、本年度は六百四十七億九千五百万円、約九%環境保全関係の予算はふえているという点は、これは先生御承知のとおりでございます。
 次に、資料の扱いの問題でございますが、大変、何と申しまするか、適切な御指摘であろうかと思います。そこで、私どもといたしましては、これまた設置法にございますが、国立公害研究所というものを持っております。この研究所は、通常の研究をいたしますほか公害に関する各種の情報を収集すると、そして提供すると、ほかの研究機関には恐らくこういう規定がないような、そういう任務を負わしているわけでございますので、私先ほど申し上げましたように、全く把握をしていないというわけじゃございませんで、その公害研究所の機能の強化に伴って、逐次そういうものの収集、あるいは随時必要に応じて提供できるような体制の整備と、こういうものを図っていくということで対処していきたいというふうに考えているわけでございます。
○坂倉藤吾君 皮肉な聞き方になると思うんですが、たとえばPCBの汚染の定期点検調査ですか、これ、水域を見ていきますと、前年度と比較をしまして本年度は一水域ふえますね。それから水銀の関係については前年度よりも五水域ふえるんです。この点検調査の個所が一水域、あるいは水銀の場合に五水域ふえる個所、これは環境庁としては掌握をされているんでしょうか。
○政府委員(二瓶博君) 水質の方の関係につきましては、公共用水域、これにつきまして……
○坂倉藤吾君 いや、そんなことじゃなくて、どこがふえるのかというのを知っていますかというんですよ、ふえるところ。――去年と比較して一水域ふえているんです、PCBの点検調査をするところが。それはどこがふえるんですかと言っているんです。掌握していますかというんです。掌握してなきゃしてないでいいんですよ。――わからぬですか、聞いていること。
○政府委員(二瓶博君) ちょっと、どういう御趣旨かわからないんですが。
○坂倉藤吾君 もう一遍言いますがね。PCB、それから水銀にかかわる汚染の状況を定期的に点検をして調査をする事業があるんですね。――わかりませんか。予算にもありますし、それから五十三年度のこの施策にあるんです。いいですか。そうしますと、この白書からいきますとね、昨年実施をしてきたよりも本年はさらに一水域ふやすことになっておる、PCBで。それから水銀は五水域ふやすことになっているんです。このふやす水域というのはどこを対象にしておるか、環境庁としては掌握をしていますかと、こう聞いているんです。
○政府委員(信澤清君) 環境庁の予算でございますればこれはわかっているはずでございますが、いまのお話は、いわゆる漁業白書に関連してでございますから、農林省の方の調査地点の問題でございますれば、率直に申して、私は少なくとも存じておりません。
○坂倉藤吾君 だから、私は皮肉な質問になるかもわからぬという前置きをしたわけでしてね、私は、先ほどの予算とのかかわりもありますから、少なくとも試験水域の個所をふやしていくということになって、それを予算的にもチェックしておると言うのなら、大体どこでやるのがよかろう、ここでやるのがよかろうということについても、環境庁としての一つの判断もあるだろうと思うんですよね。たとえば農林省あるいは水産庁とも協議をして、ここでやる方がいいんじゃないのかと。場所の選定等についても、これはもう水産庁に任せ切り、農林省に任せ切りというんじゃなくってね。それでなくては予算をチェックしておるということに私は本質的にもならぬと思うんですね。そういう意味合いで、私は増加をしたところ等について環境庁が当然掌握をしておって、そこから出てくるデータについて、こういう状況だから、だから総体的にどうすべきなんだという次の結論に向かって進めるようにしていかないと、役目は果たせないんじゃないのかということを申し上げておるんですが、おわかりいただけますか。
○政府委員(信澤清君) お話の御趣旨はよくわかります。
 それから、私が御答弁申し上げましたのは、私が知らないと申したわけでございまして、私は、環境庁の所管のところではその状況を知っているはずだというふうに思っております。
○坂倉藤吾君 それじゃ、知っているところで答えてください。
○政府委員(二瓶博君) 漁業公害という問題で、水産庁の方で調査をしておるPCB、水銀、それの関係のお話かと思います。で、環境庁の方は、水銀等での汚染地域の汚泥といいますか、ああいうヘドロ等の底質の調査、これをやっております。水産庁の方は、特に魚介類等を中心にして調査をやっておられるかと思います。具体的にいまこのふえたところがどこかというお尋ねについては、私自身よくわかっておりませんが、ただ担当の方では十分連絡はとっておるはずでございます。
○坂倉藤吾君 担当は知っているはずだという、そういう形ではやっぱり私はまずかろうというふうに思います。「底質の処理・処分等に関する暫定指針」等も出されておるわけですから、だから、それはそれなりに私はわかっているんですけれどもね、少なくとも全体のこの掌握ができないと、何ぼ口で、長官が腹をたたいて言われましても、各省庁との調整は、そういうところを掌握してないからむずかしいんじゃないのか、各省庁に協力を求めるにしてもそうならないんじゃないのかというふうに考えるわけですね。ですから、ぜひそういう意味で、ひとつ質問の趣旨を理解をしてもらいたいと思うんですよね。私の方から頼むような話になって、これは大変逆な感じがするんですけれどもね。
 じゃあ次に移りますけれども、たとえば港湾のしゅんせつ問題、これは運輸省が直接携わっていますね、港湾のしゅんせつの関係は。で、しゅんせつをいたしますときには、汚泥の処理というのが大変問題になっているわけです。一般的に方針として持っておりますのは、その取り除いたどろによっていわゆる海岸部の埋め立てをやるとか、そういう形になってくるわけですね。私どもの四日市港、これはこの前も少し私触れましたけれども、ここで港のしゅんせつを相当な予算をつけてやって、そして霞という地域にいま埋め立てをしているわけですがね。ところが、当初計画をしておったよりもどろを吸い上げてみたところが大変油分が多い。したがって、油分が多いがゆえに、なかなか乾燥をしないというわけですね。だから、埋め立てたところ自体が大変もうだぶだぶになっておる。そうして問題を起こし、計画を練り直し、二回ほど予算も更正をして対処していると、こういう状況等あります。ところが、問題は、そういうふうに油分だとか重金属を含んだ汚泥が取り除かれるのは結構ですが、今度は埋め立てたところの方から二次公害、これの関係の心配――これは四日市じゃありませんよ、いまのところ。四日市では余り問題にしておりませんが、厳密に調査をするとあるんです。ところが、そういう二次公害等の防止について、運輸省は環境庁と相談をしてこれらの設計あるいは事業というものは進められているのかどうか。この辺は運輸省と同時に環境庁の御答弁をいただきたいと思うんです。
○説明員(須田ひかる君) お答えいたします。
 港湾区域内で行われております港湾公害防止対策事業、先ほど先生のおっしゃいました四日市の事業もそうでございますが、これは港湾管理者が港湾における公害を防止するために行っている事業でございます。もちろん、この公害防止計画に定めるもの、あるいは公害防止対策事業として自治大臣に指定されたものでありますけれども、これにつきましては、事前に当然環境庁、自治省あるいは大蔵省という他省庁と十分協議いたしまして公害防止対策事業が決められているものでございます。
 そこで、これらの公害防止対策事業、主として汚泥のしゅんせつでございますが、この汚泥のしゅんせつの処分地の確保が通常は問題になるわけでございます。港湾区域の中におきましては、一般的には港湾管理者が港湾関係者の意見の調整を図り、策定するところの港湾計画におきます用地造成地に処分する例が多いのでございます。この場合にありましては、計画策定の段階におきまして関係者の意見の調整がなされるわけでございます。また、その処分地が海面埋め立てを伴う場合には、公有水面埋立法に基づきまして手続がとられるわけでございますが、この間において、一定規模以上のものに関しましては環境保全上の観点から環境庁長官の意見を聞いておる次第でございます。
○政府委員(信澤清君) ただいま運輸省からお答えしたとおりでございますが、公害防止計画事業でございますれば、かなり具体的に個別に御相談をいただいております。
 それから、港湾工事として行われるしゅんせつ、埋め立てでございますが、一般的には重要な港湾についてはただいま運輸省からお話しございましたように、港湾計画について御審議を港湾審議会でなさる際、その委員の立場におきましていろいろ意見を申しております。この際、私どもは庁内各局の意見を徴し、それによって対応しているわけでございます。
 それから、具体的な埋め立ての問題、いまお話しがございましたように、公有水面埋立法の規定によります埋め立てでございますると、現在のところ、約五十ヘクタール以上のものにつきましては、環境保全についての環境庁長官の意見を求められますので、それに対する意見を申し上げるという形で、その際環境保全上の細部にわたる意見を申し上げている、こういうことでございます。
○坂倉藤吾君 もう時間がございませんので、きょう私が幾つか御指摘を申し上げましたのは、少なくとも環境庁が関係の各省庁と十分に連携をとり、しかもある程度リードができるだけの準備態勢を整えてがんばってもらいたい、こういう意味合いを含めて御質問を申し上げたわけでございますので、二度と姿勢がおかしいじゃないかと言わさないように、ぜひひとつ御奮闘を期待をしておきたいというふうに思います。
 以上で終わります。
○中野明君 私は、きょう二点御質問をしたいと思います。
 まず第一点は、水質汚濁に関連をしての質問でございますが、御承知のように、水と油はこれはもう相入れないということは昔から言われているとおりでありますが、まず最初に通産省にお伺いをしたいんですが、オイルショック以来石油の蓄えが必要であると、いわゆる石油の備蓄ということについて、国の方で国策として備蓄をしなきゃならぬと、こういうことになってきておるわけですが、いま申し上げたように、水と油という関係がございますので、非常に自然環境の保全という面で心配の面があると私は考えておりますが、まず、現在のわが国の石油の備蓄量と施設の現状、これを教えていただきたい。
○説明員(清滝昌三郎君) 現在わが国で行っております石油備蓄につきましては、石油備蓄法によりまして目標を定め、それを維持するように、到達するように計画を進めておるわけでございますけれども、現在の計画では、五十四年度末内需量の九十日分を民間ベースで備蓄するということで計画が進められておりまして、現在その途上でございます。
 五十二年度末の現状では、五十二年度末の目標が八十日でございまして、それを上回る備蓄の実績を行っておるわけでございます。
 さらに、現在の備蓄につきましては、諸外国との比較におきましてはなお不十分であるというふうな問題も抱えておりまして、そういったことから五十三年度以降国によります備蓄を新たに実施するということで、計画が新たに進められるということになっておるわけでございます。
○中野明君 きょう時間が非常に限られておりますので、はしょってまいりますが、現在、新しい備蓄方式としまして海上貯油センター方式が具体化しようといたしております。こうした新開発を推進するに当たりまして、通産省は美しい海や自然環境について安全と注意を払うように配慮をする、こういう指導は行っておられると思いますが、洋上備蓄の海上貯油センター、このことについてどの程度まで話が進んでおるのか、その辺もお伺いしたい。
○説明員(清滝昌三郎君) ただいま御質問のございました洋上備蓄は、長崎県の上五島町で進められております備蓄計画でございまして、これは民間が共同して行います共同備蓄というプロジェクトでございます。で、全体といたしまして約五百八十万キロリットルの石油を備蓄する施設として、タンカーでございませんが、海洋に大きなタンクをつくりまして、それを使用するという新しい方式でございます。すでに昨年十三月には、地元におきましてこれを誘致するように決議も行われておりまして、現在それを推進いたします企業が地元の理解と協力を得るような折衝を進めておるわけでございます。
 こういった新しい備蓄方式でございますので、特に安全、防災問題が非常に重要でございまして、そういったことから過日関係省庁――運輸省、自治省、消防庁でございますが、そういったところでこれらの備蓄方式に対します安全指針というものがつくられたと、報告をされたということになっております。
○中野明君 新しい、まあ世界で初めてとも聞いておりますが、こういう海上貯油センターというものをつくるに当たって、いまのお話では、関係の運輸省とそれから自治省の消防庁あたりと話をしながら安全対策もつくってきたと、こうおっしゃっているんですが、環境庁の方とはどういうことになっておりますか。
○政府委員(二瓶博君) 石油備蓄の、特に現在の海上貯油センター方式、これにつきましては、まあそういう構想があって、通産省あるいは消防庁等におきまして安全指針の作成等に取り組んでおるということは承知いたしておりますが、まだ具体的にその辺の問題について特に強い接触はいまのところございません。今後これの具体化する過程において、今後の環境保全上の観点もございますから、いろいろ相談しながら、そういう心配のないようにこちらからも要請をしていきたいと、こう思っております。
○中野明君 どうもその辺が、先ほど坂倉委員もおっしゃっておりますように、非常に環境庁が、まあ昔なかった役所なものですから、他の省庁から忘れられているのではないかというふうに、私もよけいな心配までするわけですが、運輸省から出ておりますこの「浮遊式海洋構造物による石油備蓄システムの安全指針について」という答申、諮問があって答申が出ておるわけです。これは環境庁も恐らく御存じだろうと思いますが、この中には明快に、一項目をつくりまして、「環境保全」という項目が出ておりまして、非常にりっぱに書いてくれております。だから、これじゃ環境庁要らぬのじゃないかというぐらいに、私は残念に思うわけですが。ちょっと読んでみますと、「環境保全」のところですが、「計画調査、施工、運用開始後のそれぞれの段階において考慮すべき点は以上のとおりである。」「計画時における環境保全」「計画の策定に際しては、環境に与える影響を事前に予測、評価するとともに、広域的かつ長期的観点に立って、環境の保全を十分に配慮するものとする。調査すべき事項」といって、「大気質」、「水質」、それから「景観」、「文化財」と、ずっと書いております。こういうふうにきちんとした答申が出てきているわけです。
 私は、初めて日本の国でこういうことをし、まあ局長も恐らく水島の現地へも行かれたことがあると思いますが、昔の水島を知っている者にとっては、いまの水島というのはこれはもう本当に想像を絶するような汚れ方です。もう海なり環境が一度破壊されると、もとに戻らないというのがこれが現状であります。こういうことから考えますと、こういう新しい初めての事業が行われるときに当たって、やはり最初から環境庁も一緒になって、環境を守るという上からやるべきじゃないだろうかという気がしてならぬわけです。運輸省とそれから通産とそして火災が起こったときのことも考えたんでしょう、消防庁というような役所だけで相談をして、環境庁は全然相談にあずかってない。そのうちにこんなりっぱな――りっぱなと言えば語弊がありますが、きちんとしたものができている。一切あなた任せというようなことで、それから事故が起こった、初めて環境庁があわててこれは大変だというんでは、環境庁の存在の意義というのは私は非常に薄いものになってしまうんじゃないかと、こう心配をして申し上げているわけです。
 こういう点について、これそういう巨大なものをつくってやる以上、やはり万が一ということも考えなきゃなりませんし、船はしょっちゅう出入りするでしょうし、しかも先ほどちょっと話がありましたように、この場所は西海国立公園、これのもうすぐ隣接ですね。ものの何百メートルも離れていない地域なんです。だから、恐らく国立公園の中であったら第一番に環境庁に相談があったろうと思いますけれども、まあどういうねらいがあったのか、まあ何メートルか何百メートルか、ちょっと離れたところへいいところを探してこられたんじゃないかと思うんですが、そういうことを考えますと、やはり国立公園のすぐそばですから、そこにタンカーも出入りするでしょうし、こういう点について、環境庁として重大な関心を、もちろん持ってはおられるんでしょうけれども、やはり意見を言うというんですか、それこそ先ほどの長官の話じゃないけれども、各省庁間にまたがっている問題ですから、イニシアをとるなりして、環境保全のことについて、やはり私は当初から加わっておいてもらうのが環境庁として大切なことじゃないんだろうか、こう思うんですが、いま一度御答弁をお願いしたい。
○政府委員(出原孝夫君) 上五島町の洋上石油備蓄基地の開発の計画につきましては、その計画があることは環境庁の自然公園を担当しております私どもの方も概要は承知をいたしております。具体的な内容については承知をしておりませんが、この計画の候補地が西海国立公園の地域の近くに――地域外でございますが、計画されておるということは御指摘のとおりのようでございます。私どももその意味におきまして関心を持っておるものでございますが、景観上の問題から申し上げまして、国立公園の地域を定めます場合に、常にその境目の問題があるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして私ども関心は持っておりますけれども、この辺のところは割り切りの問題がございます。で、その事業の公益性との調整を図るということも考える必要がございますし、もし国立公園の中であるというような場合が考えられますと、これは特別地域であるかそうでないかといったようなことによって重要度が変わってまいると思いますので、そういった意味におきまして、私どもも関心を持っておる問題ではございますが、国立公園外のところで計画されておるようでございますので、その辺につきましては相当程度の割り切りも必要であろうかというふうに考えております。
○中野明君 あっさり割り切っておられるようなんですが、しかし、つくられる方としては、環境保全ということについては、いまちょっと私述べましたように、環境庁以上にりっぱなものをつくって出しておるわけです。
 で、運輸省にお伺いしますが、この貯油センターというのはどういう性格になるんですか。これは船になるんですか、それとも海中構築物という形になるんですか。その辺。
○説明員(辻栄一君) 現在長崎県の上五島町におきまして計画されておりますタンク貯油システムにつきましては、これは大量の原油をバラ積みして貯蔵する船舶であるということで、船舶安全法上の危険物ばら積船――危険物ばら積船というのは航行する船舶のようにエンジンはつけておりませんものにつきましても適用をしているわけでございますけれども、そういうことで、船舶安全法の適用を受けるということで考えております。
 運輸省といたしましては、洋上貯油センターに対しまして、この船舶安全法のほかに港湾法、これはタンカーが出入りするわけですから当然港湾ということになってまいります。それから海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律などの諸法令を総合的に適用する、そういう考えをもちまして、洋上貯油センターの保安防災対策に万全を期そうという構えでおる次第でございます。
○中野明君 それで、こういうものが初めてできるということになります。それについて、過日来当委員会でも問題になっております、やはりアセスメント法というのがないから、もう環境庁としては積極的になかなか打って出られないというものもあるんじゃないかという面は考えられるわけですが、いずれにしましても、こういうものができる、そして水質汚濁の心配はもう皆無というわけにまいりません。これについて、この水質汚濁防止法のいわゆる「特定施設」、こういうものに指定をしてでも環境保全の一つのチェックをするべきじゃないかという考え方を私持っているんですが、この辺はどうでしょう。
○政府委員(二瓶博君) この海上貯油センター方式のやり方で、中を見ますというと、一つは油水処理施設、これが一つの付属の施設になりますが、これは陸上に設置される予定といいますか、そういう考え方でおるようでございます。したがいまして、陸上に設置されます油水処理施設、これにつきましては、現在水質汚濁防止法によります「特定施設」として「廃油処理施設」というのが書いてございますが、それに該当するというふうに考えております。
 以上でございます。
○中野明君 それから、先ほど通産省から、備蓄のことで大体目標どおりいっているというお話でございましたが、国土庁においでいただいていると思いますが、三全総に関係してお尋ねしたいんですが、三全総の中で、九州地域とそして四国地域、この方面にやはり新たな原油基地というんですか、そういうものが必要だという意味のことが書いてあります。今回この上五島でこういう大きな計画ができるということになりますと、瀬戸内海は全然使えないと、こういう状況でありますので、あとは四国の太平洋岸という話がまた出てくるわけですが、西日本地域の新たな立地候補地点というものが必要であると明記されております。この点について、どの程度までいま話を考えておられるのか。国土庁の方から。
○説明員(星野進保君) 先生御指摘のように、三全総の中では、一つは四国西南地域あるいは南九州につきまして、特別に人口流出が激しいとかそういうことである意味ではハンディキャップを持った地域であるから、そういう地域について、農林業であるとかあるいは地場産業その他の工業を導入して、地域の人口の定住といいますか、そういうことを図らなければならないということを一方で言っておりまして、片一方、全体のエネルギーの確保という観点からいたしますと、これも先生御指摘ありましたように、瀬戸内海それから東京湾といったような閉鎖性内湾での立地というのはもうすでに限界にきておりますから、その他の地域で立地をお願いしたいと、こういうふうに書いてあります。そのとおりでございます。
 そこで、最後の御指摘の点でありますが、私ども、あくまでも地元のいわゆる合意と申しますか、地元で一体その地域をどういうふうに発展させていくか、あるいはそれをどうやっていくかということが先決だということも三全総の中で明記しておることでありまして、現在私ども具体的にまだ話は聞いておりませんが、地元でいろいろ御検討いただいているんではないかと思っております。
○中野明君 そうすると、瀬戸内海以外のその地域で、地元で検討いただいているというようなお返事なんですが、地元で検討してくれと、こういう要請は出されているんですか。
○説明員(星野進保君) 私どもの方から積極的には出しておりません。
○中野明君 そうしますと、これは昨年の十一月でしたか、当委員会で、私環境庁長官に、当時は石原長官のときでありましたが、前に問題になっておりますいわゆる「日本列島改造論」ということから端を発しまして、高知県の宿毛湾というところ、そこが非常に原油基地として最適のように、四国で言えば橘湾と宿毛湾ということを、地名まで明記して挙げているわけです。ところが、御承知のように、この宿毛湾を中心にしましてあの領域、これはもう四国の中でも有名な景勝地でありまして、国立公園にも指定を受け、しかもその国立公園は海中公園と、こういうことになっておるわけです。で、長官に私そのことを前回ただしましたときには、適、不適ということを環境庁長官の立場で言えば、それはもう不適当な地域でございますと、このように環境庁長官としての考えを述べられたわけですが、その考え方は山田長官も同じでございますか。この機会にお尋ねをしておきます。
○国務大臣(山田久就君) かけがえのない自然の保全、これはわれわれ環境庁の重要な任務であるという点は先ほど申し上げたとおりで、その意味において、私の考え方も前長官と変わりはございません。今後においても、この基本的な考え方は行政の柱として生かしていきたいと、こういうふうに考えております。
○中野明君 先ほど私、長崎県の上五島の問題を出しましたが、非常にそういう点では環境庁としてもこれ重大な関心を払っていただきたいわけです。これはまあ直接物を言える立場でないとおっしゃるかもしれませんけれども、環境保全ということについては、もう各省ともやはり今日では神経を使っておるわけです。そしてこういう安全対策も、きちんとした「環境保全」という一項目をつくって計画まで立てるような時代になってきておるわけですので、このときに、環境庁に相談もなしに――まあ全然環境庁と相談もしないという通産、運輸、この辺の考え方も私どうかと思いますが、初めてこういうことをする以上は、環境庁にも話があってしかるべきだと思うし、やはり環境庁の方も環境保全の面から相談を受けるように働きかけていってもらわないと、ますますこれ環境保全という面について私は、過日来いろいろ言われておるように、環境庁の姿勢が最近後退しているんじゃないかという心配をする向きがだんだんあるわけですので、そういう点も積極的に物を言ってもらいたい。そして、環境庁も最初から相談にあずかって万全を期していると、やはりこういう姿勢が住民の納得も得るんじゃないだろうかと、こういうように思うわけですが、もう一度。
○政府委員(二瓶博君) 環境保全の面、自然環境の保全という角度では先ほど自然保護局長から答弁しましたけれども、そういうこと以外にも、環境庁といたしましては、やはり海洋の汚染、こういうものは防止をしていくと、環境を保全していくという任務もございます。そういう観点からしまして、こういう方式の備蓄をやるとすれば、その安全性といいますか、この辺は十分やはり考えてもらわなくちゃならぬ。しかも、そういう安全性ということを考えた上で、なおかつ事故等によりまして万々一の場合、タンクから油が排出されるということになりますると、やはりこれは相当の海洋の汚染というものを来すわけでございますから、こういう面につきましては、非常に大事なことでございますから、こちらからも関係省に積極的に働きかけますし、またそういう角度からいろいろ意見等も申し上げたいと、こういうことでございます。
○中野明君 なぜ私こういうことを言うかといいますと、台風の常襲地でしょう、九州、そして四国。この辺にこういうものをつくるというので、心配はもう山ほどあるわけです。そういう点について、恐らく環境庁長官もこの計画は御存じだろうと思います。だから、計画があった段階で、まず立地、それからその後の環境保全ということについては、やはりそれだけの関心を示していただいて積極的に働いていただきたいと、このようにきょうは要望をさしてもらっておきます。
 では、時間がございませんので、次の問題に移りたいと思います。それは、過日当委員会で粕谷委員からもお話が出ておりました、沖繩のイリオモテヤマネコの件でございます。まずこのイリオモテヤマネコの学術的な意義といいますか、それと現在の生息数、これを御説明いただきたい。
○政府委員(出原孝夫君) イリオモテヤマネコの学術的な重要性でございますが、このヤマネコは昭和四十年の三月に西表島で初めて発見されましたもので、三百万年前から生息しておる原始的なヤマネコであるということで、発見当時、動物学史上二十世紀最大の発見だというように言われて、国際的な珍獣として世界の注目を集めた野生のネコでございます。このヤマネコは、イエネコとほぼ同じ大きさでございますけれども、耳介、耳たぶが丸いというのが特徴のようでございます。このように世界的に貴重な種の保存を図ることは、私どもきわめて重要であるというように思っております。
 その生息数でございますが、環境庁が国立科学博物館の今泉先生に調査をお願いしました結果では、三十頭から四十頭いるであろうというように推定されております。
○中野明君 非常にそういう大事な意義があるようですが、ことしの一月十八日に石垣市で鳥獣保護区設定のための公聴会を開かれたのですが、公述人は何人で、そして公述人のうちで西表島在住の人は何人だったのですか。
○政府委員(出原孝夫君) 公述人の数は、竹富町長あるいは地元の地区代表等十五名でございます。で、西表島の地元の地区代表は五名であるということでございます。
○中野明君 そのときに、大体賛成のような方向だったのが、一転して、住民の皆さんが決起集会を開いて反対の決議がなされたということで大変な騒ぎになったわけですが、これを環境庁としてはどう受けとめておられるのですか。
○政府委員(出原孝夫君) 公聴会を行いました場所が、これはこういった種類の公聴会を行う場合に間々あることでございますが、西表島の属します竹富町の町役場がございます、石垣島にございます石垣市の中で公聴会を開いたわけでございます。地元の方の御意見も伺いましたが、そういう場合に、公聴会には地元の人たちも傍聴に来て発言ができるようになっておりますけれども、そういった機会をお与えしていなかったというような――結果的にそうなったわけでございますが、そういったことが、こういった問題に関する、土地に住んでおられる方の微妙な御意見を私どもは十分くみ取り得なかった部分もあったんではなかろうかというように反省をいたしております。また当時、その後に出ました話で、環境庁はイリオモテヤマネコを人間の生活よりも大事に考えているというようなことが――これは誤解でございますが、一たび広がってまいりますと、その誤解を解くということがなかなかむずかしゅうございまして、私どもとしましても、この誤解を持ったままで指定をするということは適当でないと判断いたしましたので、こちらの自然環境保全審議会にお諮りするのを急速取りやめにしたという状況でございます。
○中野明君 いま、場所の選定を誤ったからという反省の言葉が出たわけですが、それも恐らく私一つだろうと思いますが、やはりこういうことをするときには、もういつの場合でも同じでございますが、地域住民の理解がなかったら、これ動物の保護も完璧なわけにまいりません。そういう意味で、何か公聴会を開けということになっているのでまあ形だけでも開いておけばよろしいというような、そういう上から押しつけていくような環境庁の姿勢があったんじゃないんだろうかと心配するわけです。余りにもこれ現地の実情を知らなさ過ぎると思います。いまお話が出ておりますように、竹富町というのはたしか島が十三ぐらいで一つの町になっている。それで、石垣島の石垣市から全部連絡船が出ているという関係で、万やむを得ずこの石垣市の中に町役場がある、農協もある、こういう特殊の地域です。
 じゃあ、石垣から西表へ行くのにどれくらい時間かかると思われますか。
○政府委員(出原孝夫君) 先般、私どもの方の参事官を現地に差し向けましたので、そのときの報告では、何か二時間か二時間半程度のようでございます。
○中野明君 高速艇に乗ってもそれぐらいの時間がかかるんです。そういう場所で、しかも、実際に問題のヤマネコがおるのは西表島でしょう。どうしてその現場で公聴会をお開きにならなかったのかなということを、私はいまに理解ができないわけです。
 それから、もう一つは、西表島の人たちの生活状態、島民の感情というもの、この把握もやはり必要じゃないかと思います。昨年七月でしたか台風がありまして、西表、石垣はもう大変な被害を受けた。現地へ私行ったんですがね。そのときに本当に驚いたんですが、この台風で家が吹き飛んでしまって、もう全壊ですね。家が全壊になってしまった。さて、それでは制度資金でお金が借れるということで、皆申し込みに来た。ところが、家は全壊になって、借れる資格はあるんですけれども、今度条件の中で、ずっと見ていくと、月収ですね、月の収入が十四万以上ないと借れぬのですね。ところが、五十戸全壊の中でその条件に当てはまる人は三軒しかない。ということは、あとの四十七軒というのは月収十四万以下なんですね。そういうまことに厳しい生活環境。しかも、これ横道にそれるみたいですが、「星の砂」という歌がはやりましてね、御存じかもしれませんが。それでこの星の砂というのが西表島にあるんですよ。これを見に行きたいというか、取りに行きたいというので、東京、大阪方面から若い、いわゆる青年が大挙して行っているわけです。ちょうど台風でやられて、後片づけをしている。家も屋根が全部飛んでしまって、上にテントを張っている。そのテントの下で民宿。電気も全然ついていない。そういう状態の中で、まあ普通われわれの常識で言えば、それぐらい台風にやられて、皆真っ青になって困って、後の片づけ、復旧をやっているときに、観光客がどっと押しかけているんです。それを地元の人たちはかえって歓迎している。それで生きなきゃ生きられぬという。片方ではもう一生懸命になって後片づけをしている、片方ではテントの中で、ろうそくで観光客を呼んでいる。で、私どもは、行っている人はそれで果たしてどんな気持ちだろうかと思っておりましたが、地元の人たちがそれを歓迎しているわけですから。行った若い人たちもこういう生活もよろしいと言って、ろうそくつけて非常に楽しんでおったようですけれども。それほど島民の人たちの生活というのは困窮状態です。
 やはりこういう実情というものを知らないで、とにかくいきなりばっとこう網をかぶせようとすると、こういうことが一遍起こりますと、先ほど御答弁があったように、もう感情的にネコが大事か人間が大事かと、そこまで言わしてしもうたら、これはちょっと、なかなかそのしこりは取れぬと思います。特に地元で感情を刺激しているのは、西ドイツのライハウゼン博士ですか、この人がこの島へも行かれたことがあるらしいんですが、この島の実情と題して動物の実情を報告されていますね。その中には、もう観光客は一切いかぬと、そしてこの島の人間もこれ以上ふえたらだめだとか、開発は一切いかぬとかいうようなことを、厳しいことを九項目にわたって発表しています。そういうことが現地住民の皆さん方の感情を逆なでしている、これも事実ですね。その上にイノシシがまたたくさんおるんです。これが農産物を荒らして始末が悪いんで、これをとらないと生活できないということで、かなり、年間千か千五百頭ぐらいとっているんでしょう。それも一切だめになっちゃうとか、いろいろ話がだんだんだんだんもう敷衍してまいります。
 で、このライハウゼン博士が、英国のエジンバラ公ですか、その人に直訴のような形をして、その人から日本の皇太子へ手紙が来て、何とか保護してやってくれと、福田総理もそれを努力しましょうということになっているということが報じられておるんですが、これは環境庁には、長官には総理から何かそういう話はありましたか。
○国務大臣(山田久就君) いまのお話じゃありませんけれども、話から話へとこう増幅していって、非常に住民の中に不安というものを起こした一つの不幸な例じゃないかとこう思うんです。確かに、石垣島で公聴会を行ったと、いろいろな心遣いをしてみればというただいまの御指摘の点、そういう点はいろいろあろうかと思います。だけれども、そもそもこの公聴会をやるときの考え方というのは、やっぱり現地住民のそういう気持ちをよくお聞きして、その協力なくしてやるわけにはいかぬ。これは先ほど局長から申し上げましたように、西表島はこのイリオモテヤマネコばかりじゃなくて、あるいはカンムリワシそれからまたカラスバトというような貴重な鳥獣がいるところでありまするので、したがってそういう意味ではやはりここに保護区の設定ということをして、そういうことを考えていかなきゃならぬという場所であろうとは思いますし、またその点について住民自身も特に反対しているわけじゃない、やっぱりそれは大事だとは考えておられるんだと思います。
 ただ、しかしながら、お話がございましたように、やっぱり生きていかなきゃいけないんだという、この切実な要求は、それはもう確かにそのとおりでございます。そこへもってきて、いまお話のように、ライハウゼン博士からフィリング殿下に手紙が行って、それがこういうようなことだといって皇太子殿下のところへ来た。これは来たということだけで、それが福田総理のところへ行って、福田総理から考えてやれなんていうような話は、それは何かの話であって、そういうことは全くございません。われわれとしては、これはやっぱりいろんな要求――いまイノシシの話もございましたけれども、あそこの食糧という上からいってもいろんな点からいってイノシシというものを捕獲しなきゃいかぬけれども、さて保護区などというものができたらもう何もできなくなっちゃうんじゃないかというような心配が出てくるのも、これはまあやむを得ないということだったんでしょう。公聴会を開いた後にいろいろ皆さん方のお考えも聞き、それからわれわれとしても自然環境保全審議会にもかけて、いろんな実情というものもお聞きして、その上でどういうふうにしたらいいかということを考えたいと、こう思っておったところであったわけですけれども、しかし、保全審議会にかけることも、実はいまのライハウゼン博士の話やなんかと絡んでいろんなことが起こったものですから、かけること自体でやっぱり無用な人心にいろいろ誤解を与えちゃいかぬと、こういうことでわれわれとしては、実は政務次官なんかもごくプライベートな資格で、そこへ行って皆さんのお話をいろいろお聞きをしたり、それから後にわれわれの方の人間をそこへ派遣したり、そして本当によく気持ちをとらえながら、何がいい方法かということを考えてやろうという努力はいろいろいたしております。
 こういうような場所の保護ということについては、結局そこの住民が、これは自然公園にされる、何にするという非常にいい半面はありますけれども、同時に、生きていくための開発、いろんなことについての問題がまた制約を受けてくるというような問題もあるものですから、それはそれなりの角度で、やっぱりここだけの問題ばかりじゃなくていろいろ考えていかなきゃならぬ点があろうかと思います。そんなことも考えながらと思ってやっているようなわけでございまして、その点ひとつ御理解をいただきたいと考えておる次第です。
○中野明君 まあ、地元が怒り出してからあわてて現地へ行くと、その辺に問題があると思うのですね。
 だから、こういうことをやる場合は、やはり西表島というのはもうそれこそ沖繩の中でも開発のおくれている、ただいま申し上げたような生活環境なんですね。だから、そういう状況で公聴会も五人だけ、それもかなりの生活をしている人では本当の気持ちはわからぬわけです。いま申し上げたように、五十軒家が全部倒れてしまって、その中でお金を借る条件、収入の条件に合う人がたった三人ですよ。だから、家全壊してしまっても借れぬのです。借りたくても。それ非常に問題になりました、現地でも。私も驚きましたね、月収十四万以下ですから。そういう状況を全然無視して、いきなりから石垣島でばっと公聴会をして賛成得たからやろうという、そういうところに問題があったように私は思います。その辺を、今後改めて時間をかけて説得をされると思いますけれども、こういう非常に貴重な動物のようですから保護はやはり必要なんでしょう。それなりに地元の住民を納得させて、そしてこれによって被害が出ればやはり国が補償するとか、そういうことも公聴会でちゃんと話ができなければうそだと思うんですけれども、何か公聴会では全員がもう賛成みたいな形――それは賛成みたいな形になりますよ、かなり上流の、生活にゆとりのある人ならば。直接の実感はないんですから。だから、先ほど私ちょっと説明しましたように、普通は災害でやられて、もう後始末で汗だくになっているところを、観光客が泊ってぶらぶらしておって、果たしてそれが――本土だったらとてもそんなことは批判を受けてどうもならぬことを、向こうは歓迎している。来てくれなきゃ私ら困るのですと言って、片方では民宿をさして、停電の中を一生懸命に災害復旧に汗を流している、こういう状況なんです。こういうことをちゃんと事前に知っておられれば怒らく石垣島で公聴会なんか開かれなかったろうと私は残念でなりません。
 まあ済んだこと言っても始まりませんので、今後このことについて、よほど時間をかけて住民の皆さん方の理解と納得が得られるように最大の関心を払っていただいて、円満に解決するように努力をしていただきたいと、このように思うわけですが、最後にもう一度環境庁長官からお答えを聞いて、きょうは私、これで終わらしていただきます。
○国務大臣(山田久就君) 先ほど御答弁申し上げましたように、ときあたかも、ちょうど先ほどの問題の新聞がばっと出たりなんかしまして、いろんなことが絡み合ったんだと思っておりまするけれども、方針として、先ほど申し上げたように、われわれはよく住民の理解を得てと、それもその理解というのは、同時に、生きるすべというようなものをどんなふうに本気になって考えていくかということは、やはりこの種のことを考えていく政府の立場としてよほど考えていかなくちゃいけないのだろうと思います。まあ最初の案では、たとえば保護区といっても、ヤマネコということを考えてみるというと、本当はよほど広い地域というものを考えていかなきゃならないというようなことにもなりそうですけれども、またそういうようなことをやってはあれだろうから、狭い地域、少なくとも保護地区というそれをやりながらというような気持ちを当初は持っていたようですけれども、本当の意味でもっともっと高い立場、広い立場で、本当に地域住民のことを考えながら、真の理解を得つつ、そして本来の目的も達するよう、われわれといたしましても、乏しい力でございまするけれども、まあしかしながらできるだけのことをやりたいと思っておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、端的にお聞きをしていきたいと思っております。
 きょうは、三月二十二日に中公審から答申をされましたNO2の指針値についてお聞きをしたいと思っています。
 三月二十二日に中公審答申が出て、NO2について、「短期暴露については、一時間暴露として〇・一−〇・二PPm」、それから、「長期暴露については、」「年平均値として〇・〇二−〇・〇三PPm」というのが答申をされました。それにつきましては三月二十九日の本委員会で、私、一定の批判と意見を付した質問を行ったわけでございます。さらに、四月の十八日に、これは公害弁連と全国公害患者の会連絡会から、あの指針値については健康を守っていく上で疑問ありとしての御意見が付されて要請を受けました。環境庁へも申し入れをされたはずでございます。環境庁はあの答申を受けて、公害基本法第九条三項によって、環境基準についての行政措置をとるというために告示の検討をされておるというのが先日の委員会でも明らかになっております。一方、国民の側では、大気汚染被害の公害患者というのはどんどんやはりふえているというのが実情でございます。具体的には、千葉の川鉄の第二次訴訟というのが四月の十七日に提訴をされました。四月二十日には大阪西淀川でもやはり提訴に踏み切られました。そういう点では、国民の側から言えば、非常にがまんがならないということで裁判も起こっているという中で、環境基準の検討をし行政的に告示を検討されるという段階でございます。
 一方、かねがね問題になっておりました財界筋の動きというのはどうかというと、これはもう数年前から、NO2の環境基準については科学的根拠が乏しいと称して、見直し等についての強い御見解というのが国会内外で出ておるのは御承知のとおりです。で、昨年の十二月には通産省の産業構造審議会の答申が出まして、仮想環境濃度として日平均値〇・〇五PPm、こういうものが答申をされて、ちょうど昨年の十二月でございますから、中公審の判定条件の検討の最中にこれが打ち上げられた。で、中公審の答申が三月二十二日に出て以後の財界筋の動きで顕著なのは、四月の十一日に経団連から、「二酸化窒素(NO2)の環境基準見直しに関する要望」というのが出ておるのは御承知のとおりでございます。しかもその中では、年平均値〇・〇五PPmで健康の保護はできるんだと、それから環境基準の設定については、通産省を含めて、閣内のコンセンサスを得て行われたいという強い御要望が出されているようです。こういうことで、先日来私がたびたび申し上げているように、まさに財界が言っておる環境庁をめぐる空中戦の真っ最中という状況でございます。
 それで、きょう私は、三月の二十九日に批判的意見、また見解というようなものを述べておったわけでございますが、その後、公害弁連とか全国患者組織の要請を正式に受けましたので、従来私ども疑問を持っておりましたので、さらにこれを検討をしてみたわけでございます。ところが、そういう中で数々の疑問が出てまいりました。そこで私は、今後委員会での検討を進めていく上でも必要があるというふうに考えますので、その数点の疑問についてただしていきたい、そう思っているわけでございます。
 この発表されました指針値の年平均値〇・〇二ないし〇・〇三PPmの根拠の問題というのですか、これについて、専門委員会の報告をしさいに拝見をいたしましたが、二カ所のところで非常にそれらしいことが明確に出ているわけです。その一つは、この報告書の第三章、三の二十八ページ――これは企画課長ちょっとごらんになっていてください――その中に、「以上の慢性呼吸器症状有症率調査のうち、吉田、常俊、岡山県または坪田の報告で示されている持続性せき・たんの有症率と、二酸化窒素濃度のみを対比してみると、二酸化窒素濃度〇・〇二−〇・〇三PPm以上の地区での有症率は、二酸化窒素濃度との関連でそれ以下の地域の有症率よりも高率であり、二酸化窒素濃度との間に関連があることが観察された。このことは環境庁複合大気汚染健康影響調査で報告されている結果と一致するものである。」という点が一カ所ですね。さらにもう一カ所は、第三章の、三の四十四ページです。これはあとで検討してもらわなければいかぬから、きちんと出しておいてくださいよ。最初は三の二十八ページ、それから二つ目は三の四十四ページ。そこの下三段ほどです。「大気汚染のほとんどない都市の有症率である三−四%を参考に、これ以下の有症率では濃度と有症率との関連が見い出されないであろうと考えた。こうした条件から各地域の疫学的調査の結果を綜合的に考察すると、有症率三−四%に対応する大気汚染の指標としての二酸化窒素濃度は年平均値〇・〇二−〇・〇三PPmであった。」と、こういうふうに記載されているんです。
 でこういう結論的な表現の中から幾つかの問題点というか疑問点が含まれていると思いますので、その点について私ども検討をしてみたわけです。――これは長官、ちょっと細かい数字のことになりますから、そこは聞き流していってください。企画課長はあんじょう聞いとってください一その一つは、年平均値〇・〇二ないし〇・〇三PPm以下なら有症率の増加は見られないのというのが、いま申し上げた二カ所の表現には出ているんですね。本当に有症率の増加が見られないのかどうかという検討をやってみたんです。一つは。
 もう一つは、非汚染地域の有症率、つまり報告書では自然有症率というふうに言っておられるようですが、この非汚染地域の有症率の三ないし四%に対応する窒素酸化物汚染濃度は〇・〇二ないし〇・〇三PPmであると、こういうふうに述べておられる。こういう対応関係が疫学データで読み取れると、こう書いてあるんですね。それで、これは本当に読み取れるかということで、これも検討してみた。
 三つ目は、いわゆる非汚染地域の有症率三ないし四%を自然有症率とみなしているが――これみなしているんですね、この報告書では。この根拠というのは一体どうなんだろうかという点で、報告書が引用いたしましたデータを用いて検討してみたんですが、これもちょっと疑問があるのでこれをひとつ聞きたいということ。これ三つ目ですね。
 四つ目は、環境大気中の二酸化窒素濃度のどのレベルに対応して有症率が増加するかは十分解析できないと、こういうふうに書かれているんですね。本当に解析できないのかどうか。お使いになっているデータから見ても見られるんではないかという疑問を感じているわけです。
 この四つの疑問点なんですが、若干専門的にわたりますが、私どもが検討してみた結果を、資料を差し上げますから、資料をちょっとごらんになっていただきたいんですが――委員長いいですか。(資料配付)
 まず、第一に申し上げた点ですね、年平均値〇・〇二ないし〇・〇三PPm以下なら有症率の増加は見られないと、こういうふうに言われておるんですが、本当にそうかなということで検討をしてみたわけです。専門委員会では大気汚染による正常な健康状態からの偏りは見出されない水準であってと、この数値はね。しかも、病人が病状を悪化させない水準だと、こういうふうに述べておられるんですね。ですから、この指針値の範囲あるいはそれ以下ならなおさらのこと病状の増悪あるいは新しい病人というのは、有症率の増加というのは確認されない数値だと、こういうふうに言っておられる。さらにこれについて、きょうは御欠席でございますが、橋本大気保全局長は、三月二十二日の衆議院の公環特ではこう言っているんですね。「この範囲にあれば、もちろんそれ以下は問題はございませんが、この範囲にあれば健康からの隔たりがなくして大丈夫ですよという形になっております。」という御答弁をなさっている。だから、そういう限りでは〇・〇二ないし〇・〇三ということは、その水準が有症率の増加は確認されてはならない水準なんだということをおっしゃっているわけです。
 ところが、それじゃそうなのかということで、これは私ども確認の意味も含めて検討をしてみたんですが、専門委員会がこの指針値を提案するに当たって根拠として使用された疫学データですね、これ報告書に出ております。これを調べてみたんです。で、お手元に差し上げている資料なんですが、最初に大きな紙の一ページ目を開いていただきます。それから第4図と書いてあるところを開いていただきたいと思うんです。で、私ども検討してみたのは、この専門委員会が疫学データとして採用されたという四つのデータ、「岡山県または坪田信孝らの報告」それから「千葉県または吉田亮らの報告」それから「大阪府・兵庫県または常俊義三らの報告」それから「三府県六都市調査または環境庁「複合大気汚染健康影響調査」」、いま申し上げたのはこの大きい紙になった第一ページです。それを検討してみたわけです。
 最初に、いま4図をごらんいただきたいということを申し上げましたね。4図を見ていただきますと、この岡山県の報告というのは、調査対象地区が十二地区、調査人員は一地区当たり百七十三人ないし四百三十五名、それから四十歳から五十九歳の男女合計、それから性、年齢、喫煙量訂正有症率、こういうデータでございますが、これを解析をいたしますと、指針値である〇・〇二PPmと〇・〇三PPmの間に、有症率が四・三六五%の増加を示すわけです。これは4図をごらんいただきますと、真ん中の下に、〇・〇二と〇・〇三と書いてありますが、それぞれそれを左に引きまして、有症率のところに線を引いております。その差は四・三六五%になっているわけです。
 それから第5図は千葉県の分なんですが、これを同じようにやってみますと、〇・〇二PPmと〇・〇三PPmの差というのは二・八二一%の増加。ですから二%以上の有症率増加があるということなんですね。
 それから三番目は、次の図表は第6図ですね。第6図は、「大阪府・兵庫県または常俊義三らの報告」という分なんですが、これを見ますと、これは一番差が少なくてその差は〇・五二七%。それで、これ二本線を引いていますが、これは二つのデータが出ておりまして、下は慢性気管支炎のデータであり、上の実線がいわゆるいままでのデータと同じく持続性たん・せきという同じ症状別のデータなんです。ですから他のものとの比較の関係から上のデータをとりますが、それによりますと〇・五二七%。これは一番有症率の増加率が少ないですね。
 それから最後の第7図が、これは環境庁がおやりになった複合大気汚染健康影響調査ですね。これは昨年の二月来問題になっておる分ですね。これは三十歳以上の女子だけなんですね。で、訂正有症率ではありませんけれども、この中で、NO2濃度を六千五百時間以上測定したというその十一カ所をチェックをいたしまして、これで有症率の解析をやってみた。そうしますと、7図でごらんいただきますように、〇・〇二と〇・〇三の間の開きは一・九一%の増なんですね。
 つまり、こういうふうに解析をしてみますと、これは大阪府、兵庫県の〇・五%の増という以外は全部、四%あるいは二・八%、あるいは一・九という約二%近く、そういう有症率の増加が見られるというのが、実際にこれは全く何の作為なしに、解析結果から見ますとそういうことになるわけでございます。
 さらに、先日私どもも要請を受けましたが、公害弁連が解析をなさっておりましたデータがあります。そのデータに関連をいたしまして、私どももさらにそういった組み合わせの形で検討をしてみました。そうしますと、これは1、2、3のところなんです。公害弁連からいただいた資料というのは、その中の3なんですね。で、そういうデータをいただいたので、それぞれの形で組み合わせて、いまの四つのデータをそれぞれ組み合わせまして――これは大きい資料(2)というところです。で、図表で言えば1、2、3の一番初めです、小さい図表。――長官、有症率の差は図表を見ていただいた方がよくわかります。公害弁連の資料というのは、そのうちの3と書いてある資料ですね。これは先ほど申し上げた千葉のデータ、岡山のデータ、それから環境庁の六都市のデータ、それから兵庫、大阪のデータと、この四つを同時にプロットした場合の解析図なんですね。それによりますと、確かに〇・〇二と〇・〇三の有症率の増加というのは一・〇八%の増加になります。だから公害弁連や全国患者の会連絡会からは、これでは有症率が上がるから、とてもじゃないけれども健康が守れないから何とか考えてくれという要請が出たのはそういうことなんですね。さらに、それが四つ一遍に組み合わしておりますが、このデータをしさいに見てみますと、千葉と岡山のデータというのは男女の合計であり、それから、性、年齢、喫煙量の訂正有症率を使っているという点で、同じ条件の調査になっておりますから、この二つを組み合わしてみたわけです。そうしますと、この解析の結果からいきますと――図1です、小さい図の。〇・〇二PPmと〇・〇三PPmに該当する有症率の差というのは二・八一%、約三%の増になる。それから図2を見ていただきます。それは、いまの二つのデータにさらに環境庁がおやりになった六都市のデータを同時にプロットしてみたんです。で、ちょっと条件が違うんですね。環境庁の六都市というのは、これは三十歳以上の女子だけが対象になっている。しかし、まあお使いになったデータだから、それを一緒に解析をしてみました。そうしますと、これやはり〇・〇二ないし〇・〇三の有症率の増加は、二・三二%の増加になります。ということになりまして、この四つのデータをいろんな組み合わせ方、それぞれのデータに基づいての解析、それをやってまいりますと、指針値の〇・〇二と〇・〇三の間で有症率の変化がないどころではなくて、有症率の増加を認められないどころではなくて、二%ないし大きいのは四%の増加が見られる。わずかに大阪、兵庫のデータが〇・五%の増加にとどまっているというだけなんですね。
 こういうことになってまいりますと、〇・〇二ないし〇・〇三で有症率の増加が認められず、大気汚染の影響による正常な健康状態からの偏りも見出されないというふうにお述べになっておりますけれども、報告書では。これはお使いになった資料を、具体的にどういうふうに検討されてこういうものが出てきたのかというのは、これは私ども統計学の専門家ではありませんけれども、その水準で見ましてもちょっと理解に苦しむ。これは企画課長、おわかりだったらちょっと教えてください。
○説明員(吉原健二君) 沓脱先生御承知のとおり、大気汚染と人間の健康影響の関係は大変複雑でございます。特に、そういった問題につきましては、疫学調査の結果から判断されることになるわけでございますけれども、疫学調査の結果をどう解釈するかということがこれまた非常に議論が多いことは御承知のとおりでございます。そういったことではございますけれども、専門委員会におきましては、いまお述べになりました環境庁の六都市の調査でありますとか、あるいは岡山県、大阪府、それから千葉県、そういったいろいろな疫学調査の結果をもとにいたしまして、〇・〇二から〇・〇三PPm以上の場合に持続性のせき・たんの有症率とは関連があるというふうに判断をされたというふうに理解をいたしております。
○沓脱タケ子君 いや、それではぐあい悪いんでね。だから冒頭に申し上げたように、〇・〇二ないし〇・〇三、その水準では有症率は増加しないと、それ以下はもちろん増加があってはならないということは、これはもう大気局長もおっしゃっているわけですからね。使われたという資料を私どもなりにいろんな組み合わせをして調査をしてみたけど、明確に有症率増加するわけだから、一体どういう使い方をしたら、その同じ資料が有症率の増加は見られないというような結論が出るのか、これはわからない。これ、純粋な科学的検討ではどうしても理解できない、こういうやり方では。だから、もし出たんだったらその根拠をひとつ教えてもらわぬと納得できませんわな。そういうことです。
○説明員(吉原健二君) 専門委員会におきましては、NO2濃度と人間の健康影響、特に持続性のせき・たんの有症率との関連を検討いたしますときに、〇・〇二PPmの場合、〇・〇三PPmの場合、あるいはそれ以上の場合と、それぞれの場合についての有症率との関連が見出されるかどうかについての検討をしたわけでございますけれども、全体的にいろんな調査の結果を総合いたしました結果、〇・〇二から〇・〇三以上の濃度の場合にはっきりとした有症率との関連がある、それ以下の場合にははっきりした関連性というものは認められないということが、専門家の間で一つの結論として出されたというふうに聞いております。
○沓脱タケ子君 それね、ちょっとまだあいまいで――時間が余りないのでさらに詳しくは申し上げられませんが、ちょっと理解できないんですよ、全部有症率上がっているでしょう。長官、そのグラフの上がり方見てもらったらわかりますよね。これは何の作為もなしに解析をした数字をグラフにしたんですからね。
 もう一つは有症率の問題ですが、これがまたわからぬのですよ。ちょっと時間がないので飛ばしますけど。いま私申し上げた中で、さらに有症率に対応するNO2の年平均値が〇・〇二ないし〇・〇三PPmであるという結論が出ておるんだけどね、その解析結果から見たらどれも出ていないでしょう。該当する三ないし四%の有症率に線がいっているの、解析の図面で一つもないでしょう。わずかに兵庫、大阪のがそれに近いところにいる。他の三つのデータというのは全然いっていないでしょう。だから、そういう解析の結果がそういうふうになるのに、なぜ〇・〇二ないし〇・〇三PPmというのが有症率三ないし四%に対応するというふうな結論が出たのか、これがまたちょっとわからぬ。その根拠わかりますか。
○説明員(吉原健二君) 専門委員会の報告で、長期指針値について、〇・〇二から〇・〇三の範囲内であれば、地域の国民の健康が保護できるということを提案されておるわけでございますけれども、これは自然有症率といいますか、大気汚染のない地区における持続性せき・たんの有症率というものが三ないし四%であると、そういうことを踏まえまして、一方、〇・〇二ないし〇・〇三PPmの場合の有症率がやはり三ないし四%以下であるというようなことから、〇・〇二ないし〇・〇三以上の場合に有症率との相関というものが見出されるというふうな結論になったものと理解をいたしております。
○沓脱タケ子君 それは説明になっていない。〇・〇二−〇・〇三PPmが有症率の三ないし四と対応するというふうに書いてある。だから、その使われた資料を全部解析をしてみたけれども、そんなにならぬのですよ。そんな結論を導き出した根拠というのをこれははっきりさしてもらいたい。で、明確にできないんだったらね、専門委員会の御見解を伺って正確に報告を願いたいんです。ちょっと課長の答弁不正確ですよ。
○説明員(吉原健二君) 専門委員会の報告におきましても、その点につきましてはこういうふうに言っているわけでございます。環境庁が行いました六都市の健康影響調査の結果で、一番相関の高かったと言われる昭和四十九年の結果について判断をいたしまして、NO2が〇・〇二PPm以下では有症率は〇・九から一・三%であり、それから、NO2が〇・〇二九PPmの地区では有症率は四%である。これは先ほど御指摘のございました専門委員会報告の三の二十八ページの中ほどにもちゃんと書いてございますけれども、そういったことから、〇・〇二ないし〇・〇三までであれば大気汚染のない地区の、いわば自然有症率の範囲内にあるというふうに専門委員会は判断をしたわけでございます。
○沓脱タケ子君 あのね、疫学データを幾つかを使うという場合にね、環境庁のいわゆる六都市の複合大気汚染の調査だけでそういうふうな結論を出すというようなことは、私は専門家の先生方の集まりの中で、科学的な検討の中ではそんなことしないと、それぞれのやはり分析を総合されて判断をするのが当然であって、そんなものあんた、環境庁のやった六都市のデータにたまたまそれが出たからいうてね、それだけをそんな重大な指針値を決定するようなポイントにするということはあり得ないと思う。だから、やはり不正確だというのはそれを言っているんですよ。で、この使われた資料全体をどのように検討されてこういうものが出たかと、私は純粋に解析をしてみたら出てこないんだよ。だから聞いている。
 さらに第三点、もう一つ言いますとね、その非汚染地区の有症率の三ないし四%ぐらいだったとしているというこの問題ね、自然有症率。これもお使いになっている根拠があるわけですね。これ資料入れておきましたが、資料(3)という細かい数字が書いてあるところですわ。このデータは自然有症率を見ていくというために、非汚染地域、大気汚染のほとんどない都市の持続性せき・たんの有症率ということで、自然有症率を見ていくのに使っている資料なんですがね。この第一が外山敏夫氏らの茨城県鹿島データ。それから二番目が上田美代子らの赤穂市の七地区データ。それから三つ目が環境庁の「公害医療ハンドブック」。これを挙げているんですね。で、もう時間がないから端的に言いますよ。その茨城県のデータによりますと――この細かい字で書いてあるところですわ、これの真ん中より下の九行目に横文字で書いてありますが、パーシステント・コーフ・フレムの行をずっと右にいってもらいますとね、持続性のせき・たんの有症率は、男子は四%、女子は〇・八%です。だから、平均したら二・二%ですね、平均しますと。これは汚染率はもう非常に少ないですよね、ここは。だから、自然有症率が三ないし四%とみなすというと、この資料から見ると、男子の四だけをとったしか考えられないわけです。そんな統計の扱いというものは通常やるべきではありませんので、これはやはり理解に苦しむ。さらに次のページ、いわゆる「公害医療ハンドブック」という環境庁の資料ですね。これを見ますと、非汚染地域とされている青森、秋田、鹿島神栖町、それから松江の四地区ですね。それを見ますと、持続性せき・たんの有症率の平均値と書いてあるところを見ますと、二・二%なんですね。ただこのデータを、青森、秋田、鹿島神栖町、松江市と、この四つの中のデータを全部見てみると、秋田だけは四・一%という数字があります。だから、三ないし四%と見るためには、秋田の分だけを抜き出したとしか考えられないんですよ、私自身にしたら。大体通常データを扱うのに、学者、専門家――私なんか専門家ではないけど、通常常識的に、そんな一つだけちょっとつまみ出すということはあり得ない。だからこれもちょっとおかしい。それからもう一つの赤穂市云々というのは、これは持続性せき・たんの資料じゃありません。慢性気管支炎の有症率ですのでちょっと違います。
 そこで、いま一つずつ申し上げましたが、だから、自然有症率三ないし四%というのは、お使いになった資料を見ましてもこの論拠というのは非常に私どもは理解に苦しむわけです。だから、何を根拠にして出したかという点については、これは課長一遍聞いてもらいたいと思うんです、専門委員会の意見を。
○説明員(吉原健二君) 大気汚染のない地区の持続性せき・たんの有症率でございますけれども、この点につきましては、いま委員から御指摘のございましたように、茨城県の鹿島地区でありますとか赤穂市の七地区、それから青森市、秋田市、そういった二、三の市町村の大気汚染のない都市における有症率というものをもとにして判断をいたしているわけでございますけれども、非常に地域によって、それから御指摘のございましたように男子、女子の別によって大きな差があるわけでございます。ただ、全体的に申し上げますと、もちろん鹿島の場合女子は〇・八と出ておりますけれども、男子の場合には四%という数字が出ておりますし、赤穂市の場合には大体二・五%から三・五%の範囲内に有症率があるということが明らかになっているわけでございます。
 そういったことから、一つだけのデータをもとにして判断したんではございませんで、全体を評価いたしまして三ないし四%までが大気汚染のない地区における持続性せき・たんの有症率ではなかろうかというふうに専門委員会が判断されたんだと思います。
○沓脱タケ子君 それはあんたごまかしだよ。三つのうち二つまでは平均が二%あるいは二・二%ですよ。あんた環境庁の資料見てみなさいな。環境庁の「公害医療ハンドブック」の非汚染地区の有症率、二・二ですよ。何言ってるんですか。その前の、茨城県の鹿島データだって、男子は四%だけれども女子は〇・八%、男女平均したら――通常皆資料は平均で出ている。平均したら二・二%ですよ。そうでしょう。それからもう一つの、いま言われた赤穂市の分、これは私が言うたように、せき・たんの資料と違うんだよ。慢性気管支炎の有症率なんだ。だから症状が違うんだ。ちゃんと書いてあるんですよ。だから言うているんです。
 だからね、一つの資料で、たまたま四%というのはありますよ、秋田市だけはね。そんなもの一つだけ抜き出して資料の指標にしないだろうと、それは通常統計学的な解析をし、疫学的な結論を導いていく場合にはそういうことは通常やらないんですよね。もしそれだけ抜き出したんだったら何か根拠がなければならぬのだし、わからないから聞いておるんで、あなたの話ではわからぬのですよ、それでは。
○説明員(吉原健二君) お言葉を返すようでございますけれども、茨城県の場合の男子は四%、女子の場合は〇・八%ということになっているわけでございます。私は、これを男子、女子平均して二%というふうに考えるのはいかがかというふうに思うわけでございますし、また、赤穂市の地区の調査につきましては、これはやはり持続性せき・たんについての有症率だというふうに私は考えております。
○沓脱タケ子君 それは話にならぬですよ。たとえば岡山とか千葉のデータなんというのは男女ですよ、みんな。男女の疫学データが出ているんですよ、何を言うてるんですか。そんなふらちな答弁しちゃだめですよ。わからぬのだったらわからぬとはっきりしたらどうですか。実際おかしなこと言うなあ。
○政府委員(山本宜正君) 大変技術的な問題でございまして、まあ吉原課長から答弁させるのはなかなかむずかしい点がございます。私もいまこの先生の資料を拝見させていただいたばかりでございまして、直ちに明快なお答えができない点がありますけれども、まず一番初めに、その〇・〇二ないし〇・〇三以下ならば有症率の増加が見られないということにつきましては、私、若干古い資料でございますが、常俊先生の論文を読んだ記憶がございます。これによりますと、いわゆるある一定濃度以下の濃度では、その濃度の変化に応じての有症率の差がないと、それから、ある場合でございますと、〇・〇二あるいは〇・〇三PPmを超すというようなところにくるとそれは濃度に比例して有症率がふえていくと、こういうぐあいな解析をされたデータが過去にございまして、私、実は専門委員会の内容を聞いておりませんし、この専門委員会の報告書について細かく解説を聞いておりませんのですが、そういったようなあるところを境といたしまして、その境を超えた濃度におきましては、濃度が増加するのに比例して有症率がふえていくと、それ以下の濃度におきましては濃度の変化に応じた有症率の変化がないというようなことから、ある一定の変曲点と申しますか、そういった以下のところでは濃度に影響がない、すなわち自然有症率をそこで見ているんではないだろうかと、こういうようなことがかつて常俊先生の論文にあったわけでございます。
 それから、いまほどの、第二段目のお尋ねの、いわゆる持続性のせき及びたんの訂正有症率の場合には、これは当然のことながらたばこによる影響が除去されておりますので、男女の合計で見ても差し支えないわけでございますが、そのたばこの影響の訂正がしてないデータにつきましては必ずしも直に比較できないんじゃないかと、こういうぐあいに思うわけでございます。したがいまして、先生のお尋ねにつきまして直ちに私お答えができないのでございますが、これらの資料につきましては、一遍大気保全局の方あるいは私の方と相談いたしまして、先生の提示された資料につきまして、よく勉強いたしまして、お答えをさせていただければありがたいと思うわけでございます。
○沓脱タケ子君 それでは御検討をお願いしたいと思うんです。
 それで、いまおっしゃったように、たとえば常俊データというようなものだけをお出しになるんなら、常俊先生のデータによるとこうだというふうに導かれていたら私ども疑問を持ちません。あの論文は読んだことありますよ。ただし、そうではなくて、使った疫学データがこれこれだと、それで総合的判断に基づいてかくかくしかじかと、こういう結論の導かれ方ですからね、当然それは総合的な判断をおとりになったというふうにこれは私ども理解をするのが通常だと思うんですね。だから、何かを特別に使ったというんだったらその理由を、使ったものとその理由を明確にしてもらうということが非常にはっきりすると思うんです。
 最後に、私、時間もうありませんので、長官にちょっとお願いと御意見を申し上げておきたいと思います。時間がないからきょうはもう一つの点は飛ばします。
 それで、中公審に出された指針値について、私何でこないにがたがた言うかというと、国民の中から疑問が出てきているんですよ。だからこそ私どもそれなりに調査検討してみているわけですよ。しかし、非常に心配をしていますのはね、その中で疑問が出てきているわけですよ、いま申し上げたように。検討していただきたいと言うているでしょう。ところがね、きょうは橋本さんおられませんけれども、衆議院では、これは現段階ではベストだと、だから尊重していきたいと言っていられる。だからね、そういうふうに見てみると、現環境基準値について、これはいまこういうふうになってきているので、しかもそれが尊重されて環境基準の見直しに使われるというふうに連動していくということになればこれは大変だと思うんです。何で大変かというと、従来から環境基準についての攻撃というのは、これはもう両三年来と言いたいですけれども、数年来財界筋の攻撃というのは、科学的根拠が乏しいとか、科学的な根拠がないとかというかっこうで財界筋からの攻撃というのは集中していたでしょう。だから、今回のこの指針値についても、私どもが見てもいろんな疑問が出てきて納得のできないというところが出てくるんだから、それをベストだというままでやったら、これはまた再び財界からの攻撃にさらされることは必定ですよ。そういう点で、特に私はいま申し上げたような点については、専門委員会の先生方の御検討にもゆだねたら結構だと思いますが、少なくとも各界から出されている疑問については再検討をなさるということが必要だと思うんです。できるだけ慎重にお取り扱いになることが大事だというふうに思いますが、長官のお答えを伺っておきたい。
 これで終わります。
○国務大臣(山田久就君) われわれとしては、できるだけ科学的、客観的なデータ、それに基づいて、謙虚に、いろんな点の疑問あるいはいろんなことを土台にして慎重に考えてやっていこうという、そういう態度は一貫してとってきております。今後においてもそういう態度でやっていくつもりであります。
 これについて、いまいろいろもっともな御指摘がございました。この問題は、いまベストだというふうなことの表現があったというふうなことを言われましたけれども、しょせんはこれ非常にむずかしい、いろんな検討で今後相当長く――元来私も専門家じゃないので、よけいなことは言わない方がいいかもしれませんけれども……
○沓脱タケ子君 いや、政治的に言うてもらわな困るよ。
○国務大臣(山田久就君) 長い目で、実際NOxだけを引きずり出してできるか、あるいは総合的にやってみたら一体どうなるのかというふうなことについても、相当長い期間の、たとえば暴露、いろんなことについての経験のデータというものをやっぱり累積していかなければ、本当の意味のものは出にくいのじゃないかというようなことも考えられます。
 そういう意味では、今日まで検討し得る、とにかく知見し得るものについてどうというふうなことの言い得るかもしれないけれども、さあ、ベストということはなかなかそれは言えないだろう。こう思うだけに、いろいろな攻撃にさらされるということは、それは完全なものとは言いがたければいろんなそういう場面もあるでしょうから、そういう点については謙虚にいろいろな点の御指摘を考えながら、つまり今日の段階においてなし得る点についてのベストというふうなことで、謙虚な構えでひとつまとめていくようにいたしたいと、こう思っております。
○沓脱タケ子君 検討するんですな。
○国務大臣(山田久就君) 検討します。
○委員長(田中寿美子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二十分散会