第085回国会 逓信委員会 第2号
昭和五十三年十月十七日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月三日
    辞任         補欠選任
     二木 謙吾君     鈴木 省吾君
 十月十三日
    辞任         補欠選任
     前田 勲男君     町村 金五君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤桐  操君
    理 事
                小澤 太郎君
                鈴木 省吾君
                西村 尚治君
                最上  進君
                案納  勝君
    委 員
                郡  祐一君
                志村 愛子君
                新谷寅三郎君
                高橋 圭三君
                町村 金五君
                大木 正吾君
                小谷  守君
                中野  明君
                矢原 秀男君
                沓脱タケ子君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  服部 安司君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       安倍晋太郎君
   政府委員
       郵政政務次官   宮崎 茂一君
       郵政大臣官房長  林  乙也君
       郵政省電波監理
       局長       平野 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        栗生澤喜典君
   説明員
       外務省アメリカ
       局安全保障課長  丹波  実君
       文化庁文化部著
       作権課長     小山 忠男君
       会計検査院事務
       総局第五局長   東島 駿治君
   参考人
       新東京国際空港
       公団理事     角坂 仁忠君
       日本放送協会会
       長        坂本 朝一君
       日本放送協会専
       務理事      沢村 吉克君
       日本放送協会専
       務理事      山本  博君
       日本放送協会専
       務理事      川原 正人君
       日本放送協会専
       務理事      堀 四志男君
       日本放送協会専
       務理事      中塚 昌胤君
       日本放送協会専
       務理事      橋本 忠正君
       日本放送協会理
       事        武富  明君
       日本放送協会理
       事        坂倉 孝一君
       日本放送協会経
       理局長      渡辺 伸一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○日本放送協会昭和五十年度財産目録、貸借対照
 表及び損益計算書並びにこれに関する説明書
 (第八十回国会内閣提出)
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○委員長(赤桐操君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三日、二木謙吾君が委員を辞任され、その補欠として鈴木省吾君が選任されました。
 また、去る十三日、前田勲男君が委員を辞任され、その補欠として町村金五君が選任されました。
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○委員長(赤桐操君) 次に、理事の辞任及び補欠選任の件についてお諮りいたします。
 去る九月二十九日、理事西村尚治君から文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤桐操君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行います。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤桐操君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に鈴木省吾君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(赤桐操君) 次に、日本放送協会昭和五十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 まず、政府から説明を聴取いたします。服部郵政大臣。
○国務大臣(服部安司君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。
 これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。
 日本放送協会から提出された昭和五十年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十一年三月三十一日現在における資産総額は一千四百七十一億二千九百万円で、前年度に比し七十二億八千八百万円の減少となっております。これに対しまして、負債総額は七百三十一億三千八百万円で、前年度に比し百十六億一千八百万円の増加となっております。資本総額は七百三十九億九千百万円で、前年度に比し百八十九億六百万円の減少となっております。
 資産の内容を見ますと、流動資産二百二十二億四百万円、固定資産一千二百三十四億一千二百万円、特定資産十二億九千八百万円、繰り延べ勘定二億一千五百万円であり、固定資産の内容は、建物五百十八億一千百万円、土地百五十一億四千三百万円、機械三百二十三億三千六百万円、その他の固定資産二百四十一億二千二百万円となっております。
 また、負債の内容は、流動負債百七十六億二千七百万円、固定負債五百五十五億一千百万円であり、固定負債の内容は、放送債券百二十九億八千万円、長期借入金三百七十七億八千百万円、退職手当引当金四十七億五千万円となっております。
 資本の内容につきましては、資本七百五十億円、積立金百七十八億九千七百万円、当期欠損金百八十九億六百万円となっております。
 次に、損益について御説明申し上げます。
 経常事業収入は一千三百十三億七千四百万円で、前年度に比し五十五億八千八百万円の増加となっております。これに対しまして、経常事業支出は一千四百九十三億四千四百万円で、前年度に比し百九十五億一千万円の増加となっております。
 この結果、経常事業収支は百七十九億七千万円の欠損となっております。これに、特別収入五億九千三百万円及び特別支出十五億二千九百万円を含めた事業収支全体では、百八十九億六百万円の欠損となっております。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○委員長(赤桐操君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。坂本日本放送協会会長。
○参考人(坂本朝一君) ただいま郵政大臣から、日本放送協会の昭和五十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。
 まず、当年度末現在の資産総額は一千四百七十一億二千九百万円で、この内訳は、流動資産二百二十二億四百万円、固定資産一千二百三十四億一千二百万円、特定資産十二億九千八百万円、繰り延べ勘定二億一千五百万円でございまして、固定資産の内容は、建物五百十八億一千百万円、土地百五十一億四千三百万円、機械三百二十三億三千六百万円、その他の固定資産二百四十一億二千二百万円でございます。
 この資産総額を前年度末に比較いたしますと、七十二億八千八百万円の減少となっております。
 これは、主として前年度からの繰越金を当年度の事業支出に充てて使用したこと等により、流動資産が七十一億八千三百万円減少し、また、老朽施設の売却等により固定資産が六億一千八百万円減少したためでございます。
 一方、これに対します負債総額は七百三十一億三千八百万円で、この内訳は、流動負債百七十六億二千七百万円、固定負債五百五十五億一千百万円でございまして、固定負債の内容は、放送債券百二十九億八千万円、長期借入金三百七十七億八千百万円、退職手当引当金四十七億五千万円でございます。
 この負債総額を前年度末に比較いたしますと、百十六億一千八百万円の増加となっておりますが、これは放送債券、長期借入金等の増加により固定負債が百四億二千万円、受信料前受け金等の増加により流動負債が十一億九千八百万円、それぞれ増加したためでございます。
 また、資本総額は七百三十九億九千百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金百七十八億九千七百万円及び当期事業収支差金のマイナス百八十九億六百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、百八十九億六百万円の減少となっております。
 次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等の経常事業収入は一千三百十三億七千四百万円で、前年度に比較しまして五十五億八千八百万円の増加となりました。
 これは主として総合、教育両テレビジョン放送網の建設を推進いたしますとともに、放送番組内容の充実刷新及び事業の周知、受信者の維持、増加に努めました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして当年度内に百六十六万件増加し、当年度末二千二百十二万件となったためでございます。一方、普通契約は、カラー契約受信者の増加に伴い当年度内に九十七万件減少し、当年度末三百八十四万件となりました。
 次に、経常事業支出は一千四百九十三億四千四百万円で、この内訳は、給与五百八十二億七百万円、国内放送費三百五十八億三千三百万円、国際放送費八億六千五百万円、営業費百八十七億七千四百万円、調査研究費十八億三百万円、管理費百七十二億三千八百万円、減価償却費百二十九億六千五百万円、財務費三十六億五千九百万円となっております。
 これを前年度に比較いたしますと、百九十五億一千万円の増加となりましたが、これは主として放送番組内容の充実刷新、受信者の維持・増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等の増加によるものでございます。
 以上の結果、極力受信者の開発と事業運営の合理化を図りましたが、経常事業収支差金は百七十九億七千万円の赤字となりました。
 この経常事業収支差金に、固定資産の売却益等の特別収入五億九千三百万円を加え、固定資産の売却損等の特別支出十五億二千九百万円を差し引いた当期事業収支差金は百八十九億六百万円の赤字となりました。
 これをもちまして協会の昭和五十年度末における財政状態及び当年度の事業成績につきましての補足説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいりたい所存でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
○委員長(赤桐操君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。東島会計検査院第五局長。
○説明員(東島駿治君) 検査結果の御説明を申し上げます。
 日本放送協会の昭和五十年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、昭和五十一年十月二十二日、内閣から送付を受けましたが、その検査を了しまして、同年の十二月四日、内閣に回付いたしました。
 同協会の会計につきましては、書類及び実地につきまして検査をいたしましたが、検査の結果、特に不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
○委員長(赤桐操君) 以上で説明聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○大木正吾君 会計検査院の側からも、余り大きな事故その他ないという話もございますし、同時に手元にいただきました資料が、これ財産目録、貸借対照表及び損益計算書ですね、数字のことはこう書いてありますが、中身がはっきりわかりませんからね。そこまでこっちも忙しいから調べている暇もなかったんで、少し本年三月末の当委員会における新年度予算の事業計画を決めた際のこととも関連いたしまして、問題のポイントはやっぱりNHKの将来のことですから、そのことを中心にして質問さしていただきます。
 最初に、この決算の内容でございますけれども、百八十九億六百万の欠損ということでございますが、これに対する坂本会長の、それは経営努力は認めますけれども、総括的な御感想はどういうものでしょうか、一般論で結構ですから。
○参考人(坂本朝一君) 協会といたしましては極力経営努力をして、受信者の開発、収入の増加等を努力したんでございますけれども、なかなか周囲の情勢で思うような成果が上がらなかったということで、残念ながらどうしても赤字の決算にならざるを得なかったということで、この点を御理解いただきたいと思う気持ちでございます。
○大木正吾君 まあその後に料金値上げがあるんですけれども、これはちょうど五十年の決算というのは、四十八年ですか、前のNHKの建物の土地を売却したいわば食いつなぎの最後の年に当たっているわけなんですね。ですから、そういうこととの関係というふうに見ますと、私はNHKの経営というものは、この五十年を境にしまして非常に経営全体が健全な経営状態ではない、こういうふうに判断をするんですが、そう考えてよろしゅうございますか。
○参考人(坂本朝一君) 健全か不健全かということになりますといろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、当方としてはあくまでも健全財政を堅持するというたてまえで努力しなければいけないと思っておる次第でございます。したがいまして、この決算の翌年に受信料改定をお願いするというような状況になりましたので、その点はひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
○大木正吾君 その問題はその程度にしておきますが、内容に入って少しく伺っておきます。
 一つは、これは担当者で結構でございますけれども、経常事業支出の中に占める管理費、営業費。管理費百七十二億三千七百万円ですね、それから営業費百八十七億七千四百万円、この主な使途はどういうものか、使い道についてお聞かせください。
○参考人(川原正人君) この五十年度の決算で申し上げますと、管理費は総額百七十二億三千万となっておりますが、このうち主なものを申し上げますと、社会保険料等を中心といたします厚生関係の経費、これが約八十億円でございます。それから、退職手当もこの管理費の中に入りまして、この退職手当等を中心とするものが五十数億円。そのほか施設のいろいろ管理をいたします経費――固定資産税とか維持管理、こういうものが二十五億円その他となっておりまして、大体こういう社会保険等厚生関係、退職手当等が中心でございます。
○大木正吾君 営業費は。
○参考人(川原正人君) 営業費の方は、これは受信料の契約収納のための経費が大部分でございまして、そのほかに私どもとしては受信改善のための経費あるいは広報関係の経費も広い意味で視聴者との関係ということでこの営業費の中にくくってございます。
 主なものを申し上げますと、契約者が毎年増加してまいりますが、この契約者の契約の増加のための経費と、それから、その契約者から受信料をちょうだいいたしますために、全国にわたりまして私の方は委託契約者四千人、そのほか郵便局への委託も三千数百局お願いしてございますが、そういう手数料、これが一番大きな比重を占めております。この五十年度の最終的な営業費は百八十七億円余りでございますけれども、そのうちの大部分百四十八億円、およそ百五十億円はこの料金の収納あるいは契約の増加のための経費でございます。それから、先ほど申しました受信改善とか広報関係の経費も十数億使っております。
○大木正吾君 ずぶの素人なものですから、そういうことがわかるようなひとつ決算資料というものをお出しいただきたいことをお願いしておきたい。
 それから、心配のことでちょっとこれは伺っておきたいのですが、減価償却費の百二十九億六千五百万円でございますけれども、これは機械などがどんどん新しくなったり、多重放送があれしたりしていく場合、いろいろそれは多重関係、そういった新しい設備は別だとおっしゃるかもしれませんが、ちょっと私の感じでは、NHKという資産の中に機械が相当占めるような事業の場合には、少ないという感触を持つのでございますけれども、そういうことの感じはないでしょうか。
○参考人(川原正人君) この減価償却費につきましては、健全な経営をいたしますためには、当然必要な償却は続けていかなきゃならないわけでございます。私どもの場合にも相当の機械設備を持っているわけでございますが、ただ、企業の会計といたしましては、基本的にはどの企業体でも、商法とかあるいは大蔵省の方で定めております企業会計の原則、これにやはり従わなければなりませんのと、特に減価償却いたします場合には、また税法等で一定の償却率というものも基準が決められておりますが、私どもとしてもやはりそれらの諸般の規則なり基準に従ってやらなければならないわけでございます。そういう意味では、これはきちんとそういう規則等に従いまして計算してございますものですから、これをもって一応現在一番妥当な減価償却の仕方であろうと、こう考えておるわけでございます。
○大木正吾君 これは余り長い議論をするつもりはありませんけれども、いまのお答えはわかるんだけれども、ただ、民間のたとえばコンピューター関係の会社にいたしましても、電電公社などにしましても、新しいものがどんどん入ってくるときには、結局早くそういったものを入れなければ国内的にも国際的にも競争ができないわけですね。そうすると、ここに検査院の方がおられますけれども、減価償却率そのものについて私はもうちょっと柔軟な、これはむしろ大蔵省に言うべきことかもしれませんけれども、弾力的に物を考えませんと、何かこの償却率自身がいつできたものか私は知りませんが、極端なことを言うと、昭和二十年の戦争直後ぐらいにできたものをそのまま使っているなんてばかげたことをやっておったら、とてもNHKは新しい機械の設備なんというものはできませんので、そういうことについての会長の、これは感想で結構でございますから、もっと柔軟に、あるときには少し延ばしておきたいということができるような形にした方がいいんじゃないか、私はこういう感じなんですが、どうでしょうか。
○参考人(坂本朝一君) 私どもの仕事の特質について大変温かい御指摘で、むしろ恐縮している次第でございますけれども、減価償却率とかそういうものの計算と、あわせて、建設費等の重点的な手当てというようなことをいろいろあわせ考えて、やはり先生の御指摘のような、技術革新におくれをとらないということがこういう事業の根本だろうというふうに考えておりますので、その点はひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
○大木正吾君 今度は逆の資産の内容の方なんでございますが、固定資産の中に土地が百五十一億四千三百万円ございますけれども、できましたらこの土地の、全部は要りませんから、主なものはどこの土地であって、この百五十一億四千三百万円というものは公示価格などの評価なのかどうなのか、その辺のことをわかりましたら、まあまさか粉飾決算すると私思いませんけれども、その辺教えてください。
○参考人(川原正人君) 土地の詳細な資料を、正直申しましてちょっといま手元に持っておりませんけれども、協会といたしましては、そう大きなまとまった土地をまとめて持っているということは余りございませんで、全国に放送局が数十カ所ございますし、そのほか放送所というのが、大きいのは、基幹の放送局になりますと数万坪の放送所の敷地を持っておりますが、あと山の中に小さな中継放送所をたくさん持っておりますので、そういうものの総合的な集計だというふうに御理解いただいたらいいかと思います。
 値段につきましては、これはそれぞれ取得しましたときの値段で、これも先ほどの答弁と同じようになって大変恐縮なんでございますけれども、会計上の原則といたしまして、土地につきましては取得価額をもって帳簿にちゃんと記載するように定められておりますので、取得したときの値段をもって書いてございます。もちろん、戦後二度にわたって行われました資産再評価というのがございました、昭和二十五年と二十九年。このときには、この再評価の手続にのっとりましてきちんと再評価してございます。
○大木正吾君 経営が余りよくない展望に立ちますから、私も御同情申し上げる立場ということでもないんですけれども、えてして、粉飾決算的なものにされていったんでは非常に心配でございますから、いまの形ですと、取得価額ですから、その後の、買った時期、場所、そういった点に従いまして、これよりも要するにべらぼうに価値が少ないということはなさそうに思いますから、大体その程度にしておきますが、いずれこれは、今国会、逓信委員会短いですけれども、やっぱり四十八年の内幸町の土地の買却などに絡みまして、まあ、国鉄なんかでも土地を切り売りするとかそういうことでもって食い逃げする自治体とか苦しい公共企業体等ございますから、そういった自転車操業ということにまためり込む心配があるんで、いずれこれは、今国会は結構ですから、来国会等にはぜひもう少し資料を出していただきたいことをお願いしておきます。
 続いて固定負債のことでございますけれども、五百五十五億一千一百万円の中で、長期借入金三百七十七億何がしございますが、これは借りている金融機関と金利の平均値などについて、返済の仕方ですか、そういったことを大ざっぱで結構ですから教えてください。
○参考人(川原正人君) いま御指摘の長期借入金三百七十七億は、市中銀行からの全部借り入れでございます。銀行は七つございまして、第一勧業銀行、富士、住友、三井、三菱、三和、それから長期信用銀行、この七つから借り入れをいたしております。
 金利につきましては、その借り入れました――これはずっと積み重ねでございますので、年度によって若干のあれは出てまいりますけれども、一応その時点で一番優遇された金利で借りております。一番新しいところで申しますと、プライムレートといいますか、たしか公定歩合プラス〇・二五%ぐらいのところで借りているのが実情でございます。
○大木正吾君 ちょっと重ねて伺いますが、ということは、大体四、五%ということでございますか。大ざっぱに言って四、五%ぐらいの金利ということになりますか。
○参考人(川原正人君) 一番新しいところは四%弱だったと記憶しております。
○大木正吾君 感想を述べたい点もございますけれども、時間もあれですから、この程度のことで決算に絡んでの問題はおかしていただきます。
 関係いたしまして、NHKの事業計画と収支予算などの承認をしたばかりでございますけれども、やはり問題が残りますことは、この前御資料をちょうだいいたしました中で、五十五、六年度に八百億近い赤字が出るということに関連いたしまして少し聞いてまいりますが、結局、ことしに入っての受信契約状況の計画と、現在までのいわゆる実行状態といいますか、実績についてはどういう状態でしょうか。
○参考人(中塚昌胤君) 今年度、昭和五十三年度の契約の増加の計画は、契約の総数で年間で六十万件増加させるという計画で先般国会の御承認をいただきました。その計画を遂行すべく、年度当初から努力してまいりました。四月、五月期が成績が余りよくございませんでしたけれども、八月、九月期、いわゆる第三期に非常に努力をいたしまして、現在、九月末の見込みでございますけれども、約二十七万件の増加というふうに見込みをつけております。あと二、三日で最終的な数字が出ると思っておりますが、約二十七万件増加する。そういたしますと、年間目標の約四五%を上半期で達成できるというふうな見込みでございます。
○大木正吾君 ことしの収支予算の決定をいたしましたときには、新しい番組編成という大変画期的なこともやったんですけれども、いまの四五%、相当これ骨折られてやっているとは思うんですけれども、まだ私たちが見てる目では心配が残るわけでございまして、たとえば政府の経済計画など見ていきましても、先に先に公共事業発注いたしまして、その公共事業の発注のみ見ていますと、相当程度前倒しいっていますがね。御苦労ですけれども、しかし四五%で御安心なさってはいけませんですね。
 同時に関連して伺っておきたいんですけれども、番組編成後の視聴率の状態について資料はございましょうか、最近までの問題についてですね。
○参考人(堀四志男君) 去る六月に調査いたしました文研の資料がございます。
○大木正吾君 内容をちょっと言ってください。
○参考人(堀四志男君) 内容的に申しますと、全体的に一ないし二%ずつ下がり傾向にございましたテレビ視聴率が下げどまりまして、若干上向きかかっているという情勢でございまして、テレビ全体としての視聴率低下の中で上向きの傾向を示しているということでございます。
 また、さらに内容的に申しますと、午後六時あるいは七時半の台の子供の視聴者がふえているということと、それから十時台が全般に上がってきたということ、さらに教育テレビにおける七時、八時の台が、まあ数は少のうございますが、かなり顕著に上昇しているという点が特徴でございます。下がっているのは、朝の七時から始まります時間及び夜の七時のニュースが、これは全体的な傾向でございますが、若干下がり傾向というのが内容的なものでございます。
○大木正吾君 まあ大体趨勢はわかりましたが、一つだけその中でつまんで伺いますが、夜のニュース解説、三十分たしかずらしたと思うんですがね。あの視聴率は前の状態と新しい三十分ずらした状態とではどっちが高いですか、低いですか。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 約一%前後でございますが、解説の視聴率は下がっております。ただし十時台全体として見ますと上がっております。
○大木正吾君 実は地方の老人の方から手紙をちょうだいした中に、大臣も聞いてもらいたいんですがね、自分の寝る時間を、実はニュース解説を見てから寝ることにしているんだという方から、十数人からお手紙をちょうだいしたことがあるわけですが、いまさら入れかえできないかもしれませんけれどもね、一%というと大体百万人ぐらいということになるわけでしょうから、その辺の御工夫が、先行きできるかどうかわかりませんが、高齢者の方々がああいったニュース解説を見てお休みになるということは、非常にこれ社会的にも、ある意味では政治的にも貴重な問題でございますから、その辺少し、堀さん一%とおっしゃいましたけれども、これ継続してみていただきまして、検討の余地があるかどうか。これは来国会で結構でございますけれども、そのことだけお願いを申し上げておきます。
 それから、同じく別の課題でございますけれども、NHK自身が経営問題委員会の小委員会を持たれておるはずでございますが、まあ委員の方御苦労でございますけれども、大体一年二、三カ月やられまして十二、三回の会合を重ねておるわけですが、これは三月の際にもずいぶん諸先生から御質問なりがあったわけですが、これについての資料は、きょういますぐに持ってこいと言っても持ってくることはできぬでしょうけれども、それに関しましてどういう意見が出ているか、主なところですね、その辺について少し、これは会長の方からお聞かせいただけませんでしょうか。
○参考人(坂本朝一君) 非常に御熱心に、大体月に一度というようなサイクルで会議を持ちまして、NHKの基本的な業務を中心にフリートーキングという形で、経営全般にわたりまして御発言いただいておる次第でございます。まあその中身につきましては、いま申し上げましたように経営の基本でございますから、番組の問題も当然御議論になりますし、また受信料の問題、場合によれば法制度の問題についても御発言いただいて、現在その中身を整理しているという状況でございますので、まあアトランダムな資料でございましたら御報告できるかと思いますけれども、いまのところではそういうような形で現在も取り進んでおるというふうに御理解賜ればありがたいと思う次第でございます。
○大木正吾君 まあ、これ非常にむずかしい問題ですけれども、いま伺った決算並びに本年度の経営状態等からしまして、坂本会長大変御苦労ですけれども、NHKのこの経営のあり方が黒字、収支とんとんにいくということはなかなかむずかしい問題点をはらんでいると思うんですが、そういう中で、国鉄などもずいぶんと経営問題は長い間議論したわけですね。しかし結果的に出てくるものは、たとえば地方ローカル線を切り離して自治体に預けるとか、余り特別な知恵は出てこないのが実情なんですよ。しかも運賃値上げすれば逆にまた赤字がふえてお客が減るという状態ですわね。
 ですから私、やっぱりいまの委員の方々御苦労でございますけれども、会長、もう一年二、三カ月になるわけでございますから、思い切った抜本的な意見がその中にあれば、別に私たちは立場を越えまして、たとえばNHKというものは、まあ実際電波ですからなかなかできないとは思いますけれども、この前会長の答弁では現状据え置きという話で、拡大はやめたと、こうおっしゃられた記憶がございますがね、縮小するのか分割でもするのか、あるいは値上げということを、一生懸命に経営努力してみて後は値上げよろしく頼むよと、こう言ってくるのか、あるいは服部大臣にがんばってもらって国の予算から金をいただいて、そのかわり今度は放送の番組編成まで内閣の方から手が入ってくるのかどうなのかですね、いろいろこれは問題あろうと思うんですがね、何かそういったことにちなんで、まあ企業もずいぶん減量経営やっているわけでございますけれども、出ている意見、別にだれがどう言ったということは結構ですから、どんなことが議論として出ているか、二、三参考になったものを聞かしていただけませんか。
○参考人(坂本朝一君) やはりいま先生のおっしゃるような消極的な姿勢での御発言ではございませんで、非常に条件が厳しいということは先生方も十分御認識いただいているわけでございますけれども、やはりNHKというのはわが国において国民の支持と信頼の上に存在すべきであろう、そのための経営努力ということをすべきではないだろうか、そして、まあ放送というのは当然技術革新によって前進していく部分があるわけですから、そういうものに余り憶病になっていてはいけない、やはりそういうものを前向きにとらえてそして進んでいくべきだろうというのが大方の先生方の一致した御意見かと思っております。そしてやはり何といってもNHKの自主性というものを損なうような形での法制度あるいはそういうものの改革等については、やはりそれは反対すべきではないかというようなことで、いわば勇気づけられるような形での御発言が多いというふうに御理解賜れば幸いかと思います。
○大木正吾君 いまのことは、最後にもう一遍伺いますが、これに関連します二、三個別の事項を伺わしていただきますが、モスクワ・オリンピック問題についての放送権問題は、ラジオの方はうまくいったようですが、その後テレビ放送の関係については、朝日テレビさんとの話はどうなっていますか。
○参考人(堀四志男君) ラジオの方は、御指摘のように、六月の十三日でございましたか、会長とテレビ朝日の高野会長、さらに朝日放送の原社長の三者会談が行われまして、軌道に乗って、以後九月の下旬に実施本部ができました。六月の十三日ですか、その三者会談に至るまでの間は必ずしも突然できたわけじゃございません。いろいろなこともございましたが、すべてある意味でひそかにといいますか、公にして、できるものもできなくなる危険性がございましたので、そういう危険性を避けて話し合いが行われておりました。テレビについても危険性を避けての行動が行われているということで御了承をお願いしたいと思っております。
○大木正吾君 非常に政治的な密室的なお話で、話が聞けないことは残念なんですけれども、私はそのことはあえてここでもって追及といいますか、追っかけて質問をいたしませんけども、ただ堀さん、そういうふうにおっしゃると、やはりNHKは必ずどんな僻地でも、朝日系が入ってないところでも、NHKさんがモスクワ・オリンピック、民族の祭典は見せてくださるんだなと、こういうふうに私たちは受け取っておきたいという感触がするんですがね。
 それは確かにむずかしいことはわかります。わかりますけれどもね、そういう受け取り方の反面、もしも不成功に終わったときにはこれはNHKに対する国民の信頼が失われる。営業関係の方がどんなに張り切っても、オリンピックも見れないようなテレビに受信料払うばかはいるかと、これは必ず出てきますから。そういう関係を持つので、私は会長なり大臣なり担当の方々を信頼しますけれども、これについてはまだ若干時間もありますからね。大臣、どうですか、率直に申し上げてもう与野党関係ないですよ、この話はね。私たちもずいぶんモスクワに友達いますからね。だから、もし本当にこれ与野党を含めて何としても解決をしようという気持ちがおありならば、この辺の問題についてやっぱりやらなかったら、この問題八七か九〇ぐらいまで見れても、一割の人が残っているところが都市の谷間であるか、僻地か、その辺から今度不払い運動が起きたら大問題になるんですよ。
 だから、そこのところに対するやっぱり大臣の決意なり、会長の決意なり、努力目標というものを聞かしてもらわぬと、さっきの経営問題に返ってまた後で私聞きたい点もありますが、その辺についてもう一遍、担当者の努力はわかりました、責任者の返事を少し聞かしていただきたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) オリンピック問題につきましては、しばしばこの席でも御指摘をいただき、御心配をかけて申しわけないと思っておる次第でございますけれども、私自身、その際にも申し上げましたように、決してNHKとしてメンツにこだわったり行きがかりにこだわったりすることなく、やはり何が視聴者のためになるかという、その点にしぼって解決をしたいと。ただ解決するにいたしましてもリーズナブルな形で解決したい。そのためには、私とテレビ朝日の責任者とだけがこの問題で話し合いをして結論を出すということでなしに、やはり放送界全体の形で解決するのが一番望ましいことであろうというふうに思いまして現在努力しておる次第でございますので、その点はひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
○国務大臣(服部安司君) 民族の祭典であるモスクワ・オリンピックの放送権問題については、かねがね先生方にいろいろと御心労を煩わしておりますことは十分認識いたしておりまして、私といたしましても正直ずいぶんこの問題には神経を便っていることは偽らざる心境でございます。しかし御案内のとおりに、私の立場でこの放送権問題についてはとかく言える立場でないことも御理解いただいていると思うのでありまするが、大木先生御指摘のとおりに、この民族の祭典の実況が、すべての求める国民に当然これを見る権利があるわけですから、私は前回の国会でいろいろ御指摘を受けまして、放送権の介入は断じて許されませんけれども、いろんな機会をとらえて非公式にいろいろと打診もし、また話の進みぐあいで私個人としてのいろんな意見も申し上げてきたことは数回あるわけでございます。堀総局長の言葉のようになるかもしれませんが、私もこの内容に触れられませんけれども、ただ、はっきり申されますことは、御指摘のとおりに、いかに辺境の地であってもすべての国民がこれを見られるようにせなければならないという決心はいたしておりまするし、また、その努力も最後まで払うつもりであります。
 この種の問題は放送事業者間において自主的に話し合いで解決をつけることを心から祈っておりまするが、さりとてもし関係者から私にこの仲介の労、または解決の協力をせよというお申し出があらば、喜んでその時点では私も飛び込んでまいりたい。しかし先ほど申し上げたとおりに、放送事業者間で解決を望むとともに、私は最終的にいかなる犠牲を払っても、御指摘のすべての国民がこれを視聴できるようにせねばならないという悲壮な決心をいたしておりますことを現段階で申し上げて、御理解を願いたいと存じます。
○大木正吾君 大臣のおっしゃる最後の言葉を一応信用といいますか、期待いたしておきますが、ただ、国民が見ている目というものは、やっぱりNHKの会長、郵政大臣、このお二人がなぜこういう事態になってしまったのか、そして解決の方法はないのか、そういった問題については大臣のデリケートな立場はわからぬことはないけれども、家庭の主婦あるいは一般の国民の気持ちは、どの程度努力したのか、やったのかやらぬのか、無責任じゃないか、こういう気持ちで返ってきますからね。その辺のことは重々御承知でしょうけれどもね。大変な問題が一年数カ月後に起きるし、同時に、中塚さんの方が一生懸命努力したって、とてもじゃないが大穴があく状態になったら大変なんですからね。ちょうどしかも八百億程度の赤字になる時期にこういう問題が起きるということは、篤とひとつ経営の方々は考えて努力をしてもらいたいと思います。
 次の問題に移らしてもらいますが、FMと多重放送問題なんでございますけれども、これは大臣に私の方からしつこく言うと、ちょっとややこしくなるといかぬのですけれども、ただ新聞報道や雑誌関係のことですからね、余りこれ突っ込んでもしようがないわけですけれども、ただFM問題の認可をめぐりまして、郵政省が態度を決めているのにかかわらず、自民党ですか、党派のことは一応速記録からとってもらっていいですがね、要するに、与党の通信部会の中でがちゃがちゃされて、そして特に東京、大阪等がストップになっている。十一月二十三日の日時はもう迫っていますわね。そういった関係のことを少し言える範囲で結構ですから、聞かしてくれませんか。
○国務大臣(服部安司君) FM免許問題についていろいろとこれまた御心配をかけていると思いまするが、現在は御承知のとおりNHKは全国的に実施いたしておりますが、民放は昭和四十四年以来、東京、名古屋、大阪、福岡の四地区においてのみ実施されている現状であり、したがいまして、私はかねてから一刻も早くこの魅力ある放送媒体の持つ利益を国民に還元したいという考えのもとに、純粋な気持ちで今日まで努力してまいりました。その過程において、中波放送の国際調整の帰趨がほぼ明らかになりましたので、私はできるだけ早い機会に民放FM放送をあまねく全国に普及したい。そういうわけで、現在は政府与党である自民党の通信部会に私の考え方を御説明申し上げまして、いろいろと御検討をいただいているのが現状であります。新聞、雑誌でいろいろ報道されておりまするが、私は御指摘のような感触ではございません。いろいろと御意見を聞いて、できれば円滑にこの魅力あるいわゆるFM超短波のよいものを国民に還元したいという気持ちでありまするから、関係方面の理解と協力を得て、先ほど申し上げたとおりに普及したいと考えておる次第であります。
○大木正吾君 私も余りこの話を根掘り葉掘りやるという気持ちはありませんが、ただ問題は、いまの大臣の話を聞いた中で感じますことは、結局十一月二十三日に、いわば国際的に電波、中波関係その他を含めて、午前ですか、午後ですか、九時かなんかに総切りかえがあるでしょう。そのときまでにこの問題について解決がされるんですか。そこをはっきり聞いておきたいんです。
○国務大臣(服部安司君) この問題で少し御理解を得たいことは、私は、国際調整の帰趨がほぼ明らかになった、まあ言うならば十一月二十三日、国際時間午前零時ですか、やはりそれを見越して、その時点で先ほど来申し上げているとおりに全国あまねく普及したいというわけで、まあ、そのための準備行程であるというふうに御理解をいただければ大変ありがたいというのが私の真意であります。
 とかくこの種の問題が大きく取り上げられて、いろんな、ときにはある問題が増幅されて報道される場合もありまするし、あるときにはまた当然そういう場合いろんな意見が出るわけですが、それを集約して国民に納得していただけるような形にはなかなか困難でありますが、もう一度重ねて申し上げまするが、そういったことも考えながら、もう余日わずかでございまするから、そのときにあまねく普及するためにいろいろと準備をして進めてきたんだというふうに御理解をいただければ大変ありがたいと存じます。
○大木正吾君 私どもでも調べている点も若干ございますが、きょうはこれ以上のことはやめておきますけれども、いずれにしても、それは新聞や雑誌のたぐいという程度に大臣の方でもおとりにならないで、ただやっぱり、通信部会がきわめて重大な問題であるという言葉を使わせるような状態でやったという背景とか中身とか、知らないことでもないんですけれども、それについては、これは逓信委員会のメンバーの方々は、与党の方も野党の方もわりあいにみんなおとなしいんですよ。おとなしいからあんまりぼくら物を暴露したり何なりしませんけれども、しかしこういう問題について、私たちがだんだん資料を集めている問題が表に出てきますと、そうおとなしくしてもおられませんから、そういうことも含めてぜひこれは慎重に対処していただきたいということをお願いいたしておきたいわけです。
○国務大臣(服部安司君) 私は、かつて衆参両院の委員会で多重放送、あわせてFMについても特別にお願いをいたしまして、実際に実験をやって聞いていただいたと思っております。したがって、私はどのような問題があるのか関知いたしませんが、どのような調査をされたのか、私はつまびらかではありませんが、逓信委員会というのは私も非常に親しみを持ち、また私の行政についてとかく御指導と御協力を得る場であるということも十分認識いたしておりまするから、物申すことも御理解いただきたいと思いまするが、一語に尽きることは、服部郵政大臣は、先ほど来申し上げた理由において、純粋な気持ちで、だれにもとかく言われることのない立場でこの問題に取り組んでいるということを信じていただくことができるならば大変ありがたい。また私は、長年皆様方の指導と協力を得て今日を迎えたわけでありまするが、FM問題についても、期待を裏切るような取り組み方は断じていたしておらないということを付言いたしまして、重ねて御理解を得たいと存じます。
○大木正吾君 いまのFM問題はその程度にしておきます。
 多重放送問題でございますが、これはNHK側にちょっと聞きたいのでございますけれども、民放なり、あるいは新しいテレビ多重放送をキャッチできるテレビをつくるメーカーなどは、出血してでも将来に備えて、それに見合う設備をつくる、こういう記事なども散見いたしているわけですが、NHK自身は多重放送に対応して設備なり、あるいは機械関係、そういったものにどの程度の費用がかかるわけですか。
○参考人(沢村吉克君) NHKといたしましてはこのテレビの音声多重、すでに昭和四十四年から四十八年まで――大阪で開かれました万国博覧会の時期に実験局の免許をちょうだいいたしました。四年間にわたりまして実験放送を実施いたしてまいりました。その当時に使用いたしました設備、多少手直しを必要とはいたしましたけれども、こういうものを利用いたしまして、現在のところ効率的な実用化試験局としての運用に入っておる次第でございまして、特にこのために新しい機材を要したということではございません。
○大木正吾君 四十四年ですか、五年からの、どのような工事をしたり、どのような設備をしたり、どのような機械を入れたり、その諸費用の額を聞いているわけです。費用はどれぐらいかかったのですか。
○参考人(沢村吉克君) その当時からの古い機材、手づくりの機材もございますので、その当時の金まで計算するのは非常に困難かと思いますけれども、今回再開するに当たりまして、いま申しましたその当時の機材の手直しを含めまして、設備関係といたしまして現在持っております従来の機材の老朽更新を含めまして、使いました機材関係の経費は三億ちょっとでございます。
○大木正吾君 三億程度のものであれば、受像機を買う視聴者の方は少し金がかかるのですけれども、NHKはいわばこういった音声多重放送について、とにかく奉仕的なサービスだ、こういうふうに考えて聴視料その他受信料ですか、受信料等については一切この種のものは対象なりにすることは必要ないんですか。
○参考人(坂本朝一君) 現状は、御説明申し上げましたように、実用化試験局でございますので、将来の問題は差しおきまして、いまの段階で受信料云々ということに言及するつもりはございませんので、それは御理解賜りたいと思います。
○大木正吾君 民放の場合だったら、仮に音声多重でもってスポンサーが二人つけばそのまま入ってくるわけだから、同時に機械設備もそれによって今度はNHKに負けないぐらいいいやつを朝日さんなり読売さんなりやるかもしれませんよ。だから私が言いたいことは、経営者なんですから、三億何千万程度しかないよとおっしゃるけれども、その間に要した人件費その他、そんなものじゃないという、これは自分じゃ計算できませんけれども、そういうときに、新しいサービスが入るんだから、それに要した費用というものについて、要するにその費用プラスアルファでも構いませんけれども、受信料というものについて、それを全然考えないという経営者ありますか。サービスをとにかくお客に余計にこう与えるわけですからね、いままでの値段でもって余計なものをくれたよという立場で、そのこと自身の物の考え方、ぼくらやっぱり気に食わないんですよ。新しいサービスをすれば値段が上がることは消費者は当然承知なはずなんですよ。金額が小さいから問題ないという考えだったら、NHK、これはだれが会長やったっていまの赤字はとても直りませんよ。
 ですから、新規のこういうような、要するに新しいテレビ革命ということを言っている。白黒からカラーに変わったときでしょう、一つは。同時に音声の多重化問題、これも一つの革命なんですよ。そういうときに料金が上がることは、国民はやっぱりある程度認めるわけですから、そういうタイミングを考えない経営者は私は経営者の能力がないと考えますけれども、どうですか、会長。
○参考人(坂本朝一君) 大変厳しい御指摘で恐縮でございますけれども、前提がございまして、現在の実用化試験局というスタート時において、直ちに受信料改定ということに結びつけてこの問題を提起することは適当でないんではないかと。
 ただ、受信料の問題は全然考えないというようなことでもし御理解いただいたとすれば私の説明不足ということで、将来どうあるべきか、これは音声多重のみでございませんで、やはり技術改革によりましていろいろと新しい技術革新がなされるわけでございますので、従来も、先生がおっしゃいましたように、カラー放送が開始して、そしてしばらくはカラー受信機設置の方から受信料を取るというようなことにはなりませんでしたけれども、ある時点においてそういう御理解を賜って、カラー受信機の料金を別建てにしたというような経過もございますので、そういうことに見合って、将来の問題として考えさせていただきたいということでございますので、その点はひとつ誤解のないように御理解賜りたいと思う次第でございます。
○大木正吾君 これは決して私は坂本会長にかみついているわけじゃないのでして、やっぱり自分が経営なさっている責任の会社がうまくいってないときに、新しいものをつくって競争し合っていくときには、当然よその状況も見ながら――ということは、民放は料金を取りませんけれども、やっぱりスポンサーがついてどうなるこうなるあるわけですから、そういったものと見合った中で、タイミングを失しないである程度料金改定について国民の方に御協力願いたいということは、いわば経営の一つのポイントではないかと私は思って、むしろ坂本さんに、私の発言は言葉は激しかったけれども、感謝してもらいたいぐらいの気持ちで申し上げているんですよ。
 ですから、ぜひこれは委員長にお願いしたいんでございますけれども、NHK自身の料金はこれでもって私は簡単に片づくとは思っていません。思っていませんけれども、国民が許容できる問題については余り遠慮しないで、ある程度事前のキャンペーンも必要かもしれませんし、同時にサービスもしようということでもって考えていただきたいので、難視聴対策とかたくさんございますけれども、ああいうものをずっとさらってみたって結局何のことはないと言うと申しわけないです。中塚さん私をにらめているけれども、それはもう営業担当としての仕事大変でしょうけれども、しかし結果的にあの膨大な赤字がなかなか埋まりませんよ。ですから、そういうことを考えますと、やっぱりいまのことは、会長の側としては、むしろ国民の私たちにとって、聴視者にとって当然のものと受け取れる余地がございますので、そういった御感触をお持ちになってもいいんじゃないか、こういうふうに申し上げたわけですから、ぜひそういうふうに御理解願いたいんです。
○国務大臣(服部安司君) 多重放送を実施いたしましたことについて、いろいろとNHKのあり方について大変温かい、私は温かい御意見と受けとめたわけでありまするが、NHKを維持、運営するための特殊な負担金であるというふうに御理解いただきたい。この観点から、テレビ放送の受信設備の設置に着目いたしまして、一元的に受信料を徴収しております現在の受信料制度のもとでは、多重放送を新たに受信料徴収の単位としてとらえ、受信料を徴収いたしますことは、現時点におきましては私はいかがかと考えられるわけであります。いずれにいたしましても、受信料制度の全体のあり方にかかわる問題でありますので、これは慎重にひとつ検討を進めてまいらねばならない。
 くどいようでありますが、現時点でNHK側からも三億円の出費だといういまはっきり説明がありましたが、その程度のものはやはり先ほど申し上げたとおり、維持、運営のためにひとつ特殊な出費であるというふうに御理解を願えれば大変ありがたいと思う次第でございます。
○大木正吾君 いまの質問の程度にしておきますけれども、いずれこれは八百億の赤字をどうするかという、そういう時期が来るわけですから。同時に経営問題について御審議願っている小委員会の報告などもいただくわけですから、その際にまた議論さしてもらいます。
 次に、これは大臣に伺いたいんですけれども、宇宙衛星問題でございますが、大臣の御発言といたしまして特殊法人をつくるという御発表がございましたけれども、特殊法人をつくる理由は何でしょうか。
○国務大臣(服部安司君) 衛星の問題ですか。
○大木正吾君 はい、そうです。
○国務大臣(服部安司君) 実用通信衛星及び放送衛星の利用に当たりましては、静止軌道及び周波数の有効利用、資金及び技術の集約化等の観点から、御指摘の新たに法人を設立いたしまして、この法人に衛星の設置、管理及び運用を一元的に行わせることによりまして、通信衛星及び放送衛星の利用促進を図ってまいりたい、現在そういう考え方で、御指摘の法人の所要の準備を進めているところでございます。
○大木正吾君 ここに郵政省が出した資料がございますが、設置、管理、運用という最後の方でございますけれども、宇宙通信用周波数有効利用ということが一つございますね。その次が資金及び技術の集約化ですね。三つ目に周波数の調整、円滑化などを図るため新たな法人をと、こう書いてありますね。私も大体これは昔はこういった仕事の現場にいたことも若干ありますから伺うんですが、現在郵政省には電波監理局がございますでしょう。同時に通信関係としては電電公社があるわけですね。そういったものの中で、この程度のことの調整は、内部的には仕事をこう分け合ったりくっつけたりする中でできないんでしょうか。そこをちょっと聞きたいんです。
○政府委員(平野正雄君) ただいま先生の御指摘でございますけれども、郵政省に電波監理局がございます。ただ、この電波監理行政と申しますのは、先生も御承知のように現場的なものでは実はないわけでございまして、いわゆる周波数の割り当て等を主体にいたしました国際的、国内的な事務を取り扱うという場でございます。一方電電公社あるいはNHKはそれぞれ目的を持った企業体であるわけでございます。
 それで、たとえばNHKが放送衛星を利用しようとした場合あるいは電電公社が通信衛星を利用しようとした場合、そのような場合に、先ほど先生がお読み上げになりましたように、非常に技術的にも集約する必要がございます。さらには周波数の効率的な利用という観点から一つのまとまった形態というものが必要にもなってくるわけでございます。さらには御承知のように、衛星の特に運用管制ということになりますと、きわめて専門的な人たちが必要になるわけでございます。そのような観点から、それぞれの機関で分担をしてそれぞれが小さな衛星を打ち上げるよりは、それぞれが地球上に地球局を設置するよりは、お互いに力を出し合ってまとまった法人を考えていこうというのが今回の法人構想でございます。よろしく御理解をいただきたいと思います。
○大木正吾君 現在の衛星の、結局法人をつくる前段的な仕事はどういうプロジェクなりチームでやっているんですか。監理局の中に何か先端的な、電電公社からも人が来るし、郵政からも来るし、NHKからも来る、そういう状態で法人の準備室というか、あるいはその宇宙衛星を出したときの技術的なことなり事務面なりについての何かプロジェクト的なものをつくって作業を進めているわけですか。
○政府委員(平野正雄君) 郵政省といたしましては、昭和四十年の中ごろ以降、郵政省、電電公社、NHK、国際電電集まりまして、いわゆる俗称でございますけれども、四者協議会という会合が実はあるわけでございます。宇宙開発委員会等に要望を出しますときには、その協議会の中で協議をいたしまして、そうして要望をしていくという形になっております。しかしながら、今回の法人構想につきましては、先生方の御指導によりまして、すでに電波監理局の中に宇宙通信企画課というものが設置されておりまして、宇宙通信企画課を中心にいたしまして構想をしておるわけでございます。それで、その構想の内容等につきましては、関係いたします電電公社等と常時連絡をとり合いながら予算要求その他必要な行動をいたします。さらには、必要な場合には四者協議会の方に報告をしていく、そういうふうな体制になっておるわけでございます。
○大木正吾君 この法人について賛成とか反対とかという私の所見はいま持っているわけじゃないんですけれども、新聞記事で拝見する限りは、荒舩行政庁長官が、少し整理できる休眠中の外郭団体若干整理しまして、新しいものはつくってもいいぞと、こういう話をされた、こういう記事がありますが、この場合にえてして起きますことは、たとえば通産省なり厚生省なりの外郭団体をつぶして、そして郵政省が新しい外郭団体を持つということは、私の経験では、役人のなわ張りというのはなかなかそう簡単にいかないですから、もしやるんだったら、郵政省が持っている外郭団体をつぶして、休眠中のものがあるんならつぶしてつくるのかどうなのか。つくってみたけれども、今度は何のことない、偉い人ばかりが三人ぐらいおりまして、あと職員、課長その他が二十人とか三十人とか、そういう程度のもので、私は別に将来公団つくるについてあくまでも反対なんて言っているわけじゃないわけですから、やっぱりこういう時代の趨勢というものをお考えになれば、それ相応に見合って内部でもって一つの局に昇格さして宇宙局とでもするかどうか。どうしてもそれがだめな場合に別にしなきゃならないということの理由があるのかどうなのか。
 そういう点を含めて一番の問題のポイントは、郵政省に絡む外郭団体の整理の、あるいは休眠中のものがあるかないか。でないと、大臣、これはそう簡単におっしゃるけれども、なかなか、もう他の大臣連中も次官やら局長につるし上げ食って、それはもうおれのところのなわ張りだから絶体だめだよという話になるんですから、理屈は。だから具体的な話をしておかないと、こういう話というのはなかなかなわ張り争いに終わってしまって、屋上屋になってしまってもいけませんから、そういった見通しは局長どうですか。
○国務大臣(服部安司君) 御指摘の法人の設立については、確かに行管長官と郵政大臣の私とで数回話し合ったことは事実ございます。ただ、ちょっとこの点で御理解いただきたいのは、荒舩長官は、休眠状態の公団、公社をいろいろ整理するという御意見も確かに新聞に出ておりましたが、この法人は特別の法律に基づいて郵政大臣がその設立を認可するという筋合いのものであります。もちろん行政改革が大きく取り上げられているときでありまするから、わが郵政省でそういった休眠、冬眠状態の機関があれば、新しい法人をつくることは別にして、私は当然これはもう整理統合または廃止せねばならないということを基本的に持っております。残念ながら現在、私はそういったことに正直申し上げてつまびらかではございませんが、これを機に、この問題と切り離してひとつ十分検討いたしたい。
 ただ、先ほど申し上げたような、いわゆる法律に基づく郵政大臣認可法人であるということを御理解いただきたいと考えておる次第でございます。
○大木正吾君 これは質問の最後でございますけれども、NHKのこれからの経営のあり方につきまして、会長に意見的な立場でもって申し上げておきたいんでございますが、どうもやっぱり三月の中、下旬の審議などの際にもありましたし、四月などもありましたけれども、長期的に見て、NHKの料金値上げでもって経営の危機を乗り切るか、あるいは減量経営なりを相当に厳しくやるのか。いま政府が、ちょうど官房長官人ってこられたけれども、国鉄や専売などいろんな経営形態を変えようとしていますが、いずれにしても何か相当抜本的なものに手をつけないと、料金値上げをすれば受信料不払いがふえるという、こういう非常に私個人も危機感を持っている立場なんですよね。
 ですから、そういう点を含めてぜひこの委員会に出していただきたいということは、さっき申し上げた堀さんからの御資料もいただきたいわけでございますけれども、経営問題委員会の小委員会動いていますから、まとまってしまってからもらったんではどうも意見も出しにくいわけなんで、これは委員長にお願いしておきますけれども、全部の先生方集まれないかもしれませんけれども、委員の方に配ってもらって結構ですから、ぜひ中間的な現状というものについて出していただきたいし、同時に、私の方ではここでもってその中身でも、だれがどう言った、こう言ったということがいいとか悪いとか言いませんけれども、八百億円を超す赤字になってしまった。そして、官房長官がそのときに大蔵大臣かもしれない。もっと出世されてこれは総理大臣かもしれませんけれどもね。わかりませんが、そのときに非常に心配なことは、やっぱりNHKの持ってきた、言えば、わりあいに経営のあり方としますればスマートというか、報道の公正を守りながら自主財源でやってきたわけですから、そういったものが揺らぐという心配ですね。
 官房長官笑っているけれども、ちゃんとあんた、あそこで、衆議院の外務委員会か何かでもって社民連のやった、ここに新聞記事持ってきたけれども、有事立法のときに朝飯一杯弱という話がありますがね、この中にはちゃんと書いてあるんですよ、これ。そういう有事のときには、NHKとか、そういった通信、報道関係全部押さえますよと、こう書いてあるわけですからね。政府がどんどんどんどん金つぎ込んでいって、借金を会長のところへ突っ込んでいきながら、これはまさしく現行憲法下でもやれますと、こうおっしゃったんだ、福田さんは。だから、そういったところは幅広く物を考えておきませんといけませんからね。私はぜひお願いいたしたいことは、経営問題委員会の小委員会が議論されている――非常にメンバーはりっぱな先生ばっかりですよね。肩書きはりっぱだけれども、新しいアイデアを出した人は一人もいない、いままで私が見ている中で。そういったこともございますけれども、とにかく中間報告をこの逓信委員会のメンバーのところに配ってもらいたい。
 そして一月以降の、あるいは十二月以降の通常国会には、本格的にNHKの将来についてわれわれも提言をさしてもらいたいんですよ、どういう経営の仕方がいいかどうかについてね。とにかく便々と赤字をふやしていくという傾向だけは絶対にどこかでもって食いとめたいと思うし、同時に放送の中立性なり自主性なりということについてはこれは守っていきたいと、こう考えていますから、会長はそれについて約束をしてもらいたいことを最後にお願いしておきたいんです。
○参考人(坂本朝一君) 経営問題委員会においての議論と申しますか、審議のいろいろ御発言の中身その他についての経過的な御報告はできるかと思います。ただ、あした、あさってと言われましてもなかなかそうまいらないかと思いますけれども、その点はひとりお含みおきいただきたいと思います。
○大木正吾君 休会中でも結構ですからね。
○案納勝君 官房長官、どうもお忙しいところをお運びいただきまして、私は短時間ですが、官房長官に、いま国会で承認を求められていますNHKの経営委員の問題について、御見解を二、三承っておきたいと思います。人事問題ですから、これはできるだけ慎重にやっていきたいと思っておりますから、特定の名前等は差し控えさしていただきたいと思います。
 この経営委員の人選問題は、官房長官御存じのようにNHKの根幹にかかわる問題なんです。それだけに当委員会でも、五十一年度の受信料値上げ等、いまの経営問題きわめて重大な段階にあるだけに、公聴会等で多くの意見が実は出されてきた。これらの論議については、もう官房長官も御存じだと思いますが、私どもは所管大臣に、その趣旨は毎回の委員会でも申し上げてきている。十分におわかりになっていると思いますが、御案内のようにNHKは国民の受信料によって成り立っているのです。これは税金でも何でもない。事業体の負担金として国民が払う。そうすると、これは政治権力やその他から一番遠いところにあって、国民の立場に立ってNHKが運営をされている。だから、できるだけ公正なそういう国民の立場に立った人が経営委員として運営をしていく。そこで国民は受信料を払うことによってその事業体を支えていくという基盤にある。その一番中心は、言論の自由の確保であり、編集の自由であり、民主主義諸国家と言われる自由諸国家の根幹をなすあり方を実はこの中に示している。
 ところが今日まで、この経営委員の任命に当たっては、内閣任命に法律的になっています。それだけに実ははなはだ政治的中立や放送に特別な利害関係を有する者の排除を目的としているにかかわらず、実は大変これらについては疑惑、疑念を持たざるを得ない人選が今日まで行われてきたところに多くの意見があったわけです。五十二年の臨時国会でも、園田前官房長官が両院でそれぞれこの問題について……。今回内閣から、六人の補選もしくは再選についての経営委員の方の承認を求められています。いままでの経過を踏まえて官房長官は、公正だと、あるいは十分御意見を踏まえられて、今日までの経過を踏まえて御推薦をされたと思いますが、これらについて、私はそういう取り扱いがなされていないんじゃないかと思うが、どのようにお考えになって今回六人の方を新たに承認を求められているのか、この辺の見解を実は官房長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) NHKにつきましては、その公共性等からかんがみまして、経営委員の任命に当たりましては何としても慎重に公平を期さなければならないことは論をまつまでもないわけであります。そうした基本的な立場に立ちまして、政府としても国会に御承認を求める場合において、その人選につきましては、関係の役所等の意見も聞きながら公正を期して人選を行っております。もちろん放送法がございます。その放送法の定める趣旨に従って選考を行ってきたわけでありまして、今回の場合の六人の経営委員会委員の人選につきましても、そうした基本に沿って人選を行って、現在国会での御承認をお願いをいたしておる、そういうことでございます。
○案納勝君 官房長官の御配慮、慎重に検討されたという御意見はそれなりにわかりますが、たとえば放送法の中では、経営委員の任命については十三条以降にこのことが明らかになっています。で、この経営委員の任命に当たっては文化あるいは産業あるいは言論、こういう各方面にわたって広範に、各分野が公平に代表されることが考慮されなくてはならないと、こういうふうに書いてあります。
 実はすでに役員として承認を受けられておられる方、新しく承認を求められている方、全体で十二名おられます。で、今回新しく承認を求められている六人の方で、たとえばこの分野別に言いますと、「機械工業」「言論」「教育」「文化」「公益事業」「言論」と、こう六名実は分野別に提起されています。その他の委員としていまだ要するに現職におられる方は、「建設業」「科学、教育」「林業、文化」「法曹」「経済」「中小企業、科学」と、こういうふうに分けられている。これで見る限り、まあそれぞれなるほどこうよく分けてあるなと、こういうふうに考えます。これは分けようと思えば、全部この履歴を見ますと幾らでもこれは分けられる。理由はどんなにでもつけられる履歴になっています。
 端的に申し上げますが、たとえば富士重工業の専務をやっておられる方がおられる。あるいは大阪商工会議所副会頭をやっておられる方がおられる。富士重工業の場合は機械工業、大阪商工会議所の副会頭をやられておる方は、これはまだ現職でありますが、中小企業、科学、日新林業取締役をやっておられる方は林業、文化とか、この経歴見ても文化にどれだけ関係があるのかと考えさせられる経歴。それからまた経団連の専任副会長をやっておられる方、この方は経済、あるいは日経連理事、四国電力取締役、これは今回の委員、生産性本部の理事をやっておられる方が公益企業と、こういうふうに分けられていますが、経済は経団連専務副会長の方だけ、あとはまあ機械工業、さらには公益事業、中小企業と分離されていますが、これらの分離というのがきわめて無理に分離をされ、全部ひっくるめて産業出身の方ではないでしょうか。もっと広範な、公正な各方面をという配慮がもっと私はあってしかるべきではないか、この辺が第一点であります。
 いろいろ名前を申し上げることは差し控えます。婦人の方は一人おられます。文化となっています。日本の人口の中の半分は婦人であります。そして茶の間まで入っていくテレビを見ておられる方は婦人の方が大部分。そうすると、婦人の方をもっとやっぱり公正な代表、文化というよりも婦人代表でこの経営委員の人選に考えるべきではないか。
 もう一つは、各分野と言われておりますが、宮脇さんが亡くなられた後、農業代表、そう強いて言うならば、そういう点についての配慮が、あるいはもっと、たとえば三十九年の放送電波の臨時放送関係法制調査会が答申を出しました中にも、こういう分類の仕方というのは適切ではないだろう。地方から出てくる八名についてはもっと広範に、そういう産業の分野、そういうものにこだわらずに考えるべきではないかという答申なんです。
 官房長官、私は、そういう面で、今回のこの人選の中でなんかんずく指摘をしたいのは言論機関なんです。私は実はこれはこの間から当委員会で言っているんですが、この十六条に、言論関係については、「放送事業者若しくは新聞社、通信社その他ニュース若しくは情報の頒布を業とする事業者又はこれらの事業者が法人であるときはその役員若しくは職員若しくはその法人の議決権の十分の一以上を有する者」はこれは排除されていろのです。これは何かというと、放送問題でいまここで私はことさら申し上げません。マスメディアの集中排除というのはわが国の民主主義の根幹になっている、あるいは放送行政の。いままで、安倍さん御存じのように大阪の腸捻転事件以来、各民放が新聞系列化されて、マスメディアの集中排除という原則が崩れつつあるという不安を国民が持っている。四チャンネルは読売、六チャンネルは毎日、八チャンネルはサンケイですか、十チャンネルは朝日、十二チャンネルは日経と、そして全国的に地方ローカル放送との関係の系列化、こういうものが進むことをはだ身に感じている。
 そういう中で、ここで言う新聞、放送等の事業者の法人であるその役員もしくは職員まで、そういう者については排除をしてきた、この法律から言って。言論界の方々は社友という形で入っている。社友というのは、長い間言論界で大変な活躍をされておりますが、私は職員あるいはそれ以上の影響力を持っておられる方々だと思っております。これは一概に排除することもどうかと思いますが、この辺は慎重に考えていかないと、言うところの日本マスメディアの集中排除という原則に沿って日本の民主主義の根幹を守っていく、これは与野党とも同じだと思います。できるだけ政治的中立の中で、私どもを含めて政治権力からできるだけ遠いところで国民の側に立っていかないと、NHKというのは大変な事態を迎えようとしているというふうに私は危機感を持っているんです。
 御案内のように本年までは五十一年値上げをして収支はとんとんで三年。受信料の不払いといいますか、契約の不払いが五十億に上っているわけです。これは受信料の欠損償却の分、五十億に上っている。金は入ってこない。あるいは契約率から見ても受信者の八二・二%の契約率でしかない。約百万ぐらいは未払い、要するに契約も結ばないという人、あるいは一部には意識的な不払い運動というものがある。こういうのも実は受信料制度で成り立っていく国民の公共放送事業であるNHKの将来を考えていく場合に、五十三年度予算でも収支の伸び率は約三%、収支は一一・二%ですから、その差は八%ぐらいあるわけです。赤が出ていくのはあたりまえなんです。さあNHK膨大な赤になりました、国民の受信料上げますということだけでは解決しない。国民が積極的にNHKを支えていくというのはやっぱり経営委員、根幹である経営委員会が公正だという、われわれの代表だということでこれに協力をする、理解をする、そういう体制がつくられなくちゃならぬ。これは私は政治の責任だと思う。
 そこで、この放送協会の経営委員の人選について、このことについてひとつ政府、官房人事ですから、私は各関係方面の意見を十分に聞いた上で、あるいは国会は国民の代表としてこうやって予算や決算を審議している。重要な、しかも野党第一党といったら手前みそになりますが、そういうところから反対せざるを得ないような人選でなくして、各党が協力をしていけるような各方面の広範な、たとえば労働代表もこの中に、この答申の中にもそういうものも配慮をすべきだと言われている、今日の法体系の中ではそういう形ぐらいしか取るべき手段がありませんから、私は官房長官に、そういう面についての配慮をすべきではないのか、その辺について御見解をまず承りたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) NHKの経営委員の任命は政府が行うわけでございますが、その大前提は先ほどから申し上げましたように、慎重に、公平にやらなきゃならぬということでありまして、それは一つはNHKの公共性ということがあると思いますし、それから第二番目は、やはり政府の任命ではありますが、国会の承認人事であるということでございます。政府だけが独断で任命をしても国会で御承認いただけなければ、これは任命できないわけでありますから、したがって、この国会の承認人事ということについては全会一致が望ましいわけでありまして、そういう観点から人選を行っていかなきゃならぬというわけでございますので、内閣として、経営委員の任命に当たりましては、先ほどからしばしば申し上げますように非常に慎重を期しまして、そうして国会での各党派の御賛同が得られると、そういうふうな精神でこれまでずっと人選を進めて国会の承認をいただいたわけであります。
 しかし、中には先ほど御指摘のございましたように、国会の承認に当たって一部党派の承認を得られなかったという事態があったことも事実でございます。これは非常に私どもとしては残念に思っておるわけでございますが、そうした一部の反対がございまして任命をされました委員につきましても、その後の経営委員会における活動等を注意深くわれわれも見守ってまいったわけでございますけれど、非常に出席も、これはもう毎回出席ということでありますし、また経営委員としての活動についても、NHKの公共性に照らしてみて、これはもう非難されるべき点はなかったということで、私たちとしては適任ではなかったかと、こういうふうに現在判断をいたしておりまして、再度また再任についてお願いをいたしておるわけでございますが、原則はあくまでも国会での全会派の承認が得られるような、そういう精神でこれは人選を進めていくという政府の基本的な考え方は変わっておらないわけでございますし、その人選をする場合でも、これらの放送法、先ほどからお話のありました放送法の趣旨に基づきまして、この各分野の枠組み等も十分判断をいたしまして私たちとしては提案をいたしてお願いをしておる、こういうことでございます。
○案納勝君 官房長官ね、たとえば先ほど私が原則的なことを申し上げましたが、国民の公共放送事業であるだけに、権力と一番遠いところにあってその立場に立つ、それだけに経営委員は公選やったらどうかという意見も出たんです。要するに、さまざまな意見の人が広範におられるわけですから、その人たちが公選で、たとえ意見が違っていてもいいじゃないか、立場が違う人でもいいじゃないかという意見が出たんです。私はそれも一つのNHKという公共事業の経営委員会のあり方として、経営委員の選出方法としては一つの方法だと思いますけれども、そういう段階でないから、いまの現行法でいく限りは、できるだけ先ほどから申し上げたものが吸い上げられていくという、国民がそれをそのままはだ身で受けとれるということが一番大事です。
 まあ官房長官、おっしゃることはよくわかります。今日の段階で。ただそう特別に問題がなかったので再選を進めてきた、私はそのことだけをとらえているんじゃないんです。それもあります。この産業や文化、教育あるいは労働、言論という分野の代表の選出は、もっと、もう一回り考えてもらっていいんじゃないか。婦人をもっとふやすとか、あるいは労働の分野も入れるとか、そして中にはある人のように、こんなことを言っては失礼になりますが、自民党の政治献金の国民協会の一番中心をやっておられる方も入っておられる。これは果たして公正なのかどうかというのはきわめて問題なところです。私はここはこれに触れようと思いませんが、別な人であってもいいと思う。しかし、もっとやはり国民が、これはなるほど公正に経営委員会は構成されているという印象を受けられる配慮を、住宅公団とか国鉄とかと違う特殊法人ですから、その立場をもっと私はシビアに官房は考えていただきたい。
 そしてもっと広範に、たとえば所管大臣だけでありません、各政党ももちろんですよ。私はこの間IPUに参りまして、ついでにヨーロッパの各国の放送形態を調べましたけれども、なかなか国によって違いがあります。まだまだ不十分でありますが、それらの経営委員会の役割りの中で、たとえば政党代表やいろいろなものが入っています。そういう国もあります。しかし、これが必ずしも正しいかどうかは私はまだ判断をいたしません。しかし、この放送協会の経営委員の選出、この次の選出には各党が満場一致推薦できる、そういう人選を、一期やったから二期目もやはり認めざるを得ないというのじゃなくて、もっと広げた意味で、国民の広範な各層が代表できるように、官房長官、今後の取り扱い方をぜひひとつ進めていただきたい、かように思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに、御指摘がございましたように、経営委員会の人選については政府はシビアに考えてこれに臨まなきゃならぬ、これはもう当然のことだと思います。それは先ほどから申し上げましたように、やはりNHKの公共性とか、あるいは国会の承認人事であるとか、あるいは放送法の枠内で決めるとか、そういう制約というのがあるわけでございますから、当然そういうことになるわけでありますけれども、政府としてもこれまでもそういう制約の中で慎重に公平にやってきたつもりでありまして、これまでの人事はそういう点で大方の御了承といいますか、御理解を得てきておる、こういうふうに思っておるわけでございますが、今後ともさらに、今日のNHKをめぐるところの諸情勢もあるわけでございますし、NHKが当面をしておるところの問題点も御指摘のようにいろいろとあるわけでございますから、こういう点も十分われわれとしては考えて、さらにひとつ今後の任命、人選に当たりましてはえりを正してといいますか、慎重の上にも慎重にやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○委員長(赤桐操君) 午前の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時に再開することにし、暫時休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時八分開会
○委員長(赤桐操君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 日本放送協会昭和五十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○最上進君 去る六月に、宮城県沖地震の発生の直後に、私ども同僚委員とともに現地の被災状況を視察する機会をいただいたわけでございます。その際感じた点につきまして、一、二点お伺いをしておきます。
 御承知のとおり、六月十二日に東北地方を襲いました宮城県沖地震は、マグニチュード七・四、十勝沖地震に次ぐ大変大規模なものであったわけでございますけれども、その震源地に大変近い宮城県内におきましては、死者二十七名、家屋の全半壊五千八百余戸に上るという、大変大きな被害をもたらしたわけであります。
 この災害におきまして、NHK東北本部が、停電、電話回線の混乱、交通の渋滞という大変悪条件のもとで、全機能を挙げて災害関係放送を実施してくれたわけであります。とりわけ、ラジオ放送によります災害報道やあるいはまた生活関連情報の積極的な提供というものが、被災地住民の安全の確保とかあるいはまた災害の軽減に大変大きく貢献をしたとして高く評価をされているわけでございます。私どもが被災地住民の方々の生の声を聞いたわけでありましたが、災害時に的確迅速な情報の提供というものがいかに大事なものであるかということを痛感をしたわけでございます。
 また、それには電波媒体である放送がきわめて有効な手段であるという認識を新たにしたわけでございますが、とりわけNHKは、災害対策基本法によりまして指定公共機関として重要な役割りを果たされたわけであります。しかも大規模地震対策特別措置法の施行に伴う地震予知情報の伝達なども予想されるに至った今日、やはり地震とか台風などの非常災害時における報道体制につきましては万全の措置を講じられていると思うわけでありますけれども、その対策がどのようになっておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 NHKの災害時における使命は、最上先生御指摘のとおりでございまして、私たちはそれにこたえるよう準備を進めているわけでございますが、大きく分けまして、災害にもかかわらず電波が発射できる体制を整備することが一つ。それから、発生時においては全力を傾倒して放送を継続し、視聴者の要望にこたえるという点が第二の点でございますが、ことに第一の点は、主として技術の人たちにお願いしているわけですが、第二につきましては、私たち放送が中心になって責任を負わなければいけないと考えております。そして図上プランのほか、毎年二回、定期的に災害時に備えました放送の準備を行い、訓練を行っております。今回の宮城県沖地震につきましても、それに先立って、二月、宮城県で地震が起こりました際の検討を災害訓練を兼ねて行っておりましたことが非常に役立ったというふうに報告を受けております。それが第二点でございます。
 第三点といたしましては、いま御指摘になりました地震予知の問題でございます。地震予知につきましては、施行規則等の整備が今年中に終了すると伺っております。その施行規則等の整備につきましても、NHKはNHKとしての意見を求められる機会がございまして開陳いたしました。また、その諸規則が整備されました後は、私たちはそれに応じた体制で図上訓練及び実際訓練を行って、好ましくはございませんが、万一の場合に備えたいというふうに考えております。
 そのほか、NHKだけがこういう体制を整え、あるいはそれについての心構え、あるいはいろんな準備をいたしましても、結果的に、視聴者の御要望に十分おこたえできるかどうかという心配もございますので、ひとつ、できるだけ民放ともたび重なる会合をいたしまして、私たちの準備の体制及び大災害に際する地震予知問題についての体制について協議を行いまして、全放送界一致して災害の際に何らかのお役に立つように心がけているつもりでございます。
 概括以上でございます。
○最上進君 今度の地震におきまして、NHK東北本部のとられた行動というものが大変評価をされているわけでありますけれども、その背景を考えてまいりますと、東北人特有の粘り強さとか、あるいはまたまじめさ、あるいは加えて規模的に百万程度という都市規模でございまして、これが大変よい結果に結びついているわけでございますけれども、ほかの災害に今回のようなことが全面的に適用できるかどうかということに対しましては、やはり多くの議論があろうと思います。
 今回災害地へ参りまして、住民の方々から大変喜ばれておりましたことは、個人の安否等にまで関する個人情報というものを勇断をもって取り扱われたということでありますけれども、これは御承知のとおり、電波法五十二条の非常通信の枠を逸脱をしているんじゃないか、そういうようなやはり御指摘もあるわけでありますけれども、とりわけまた個人の情報というものをそのまま流していくということは、デマに踊らされたりあるいはまた混乱を引き起こす原因にもなりかねないというようなことも指摘をされております中で、今後、やはりこういう大きな災害時に対しましては、こうした点はどのような考え方で、今回と同じような取り扱いで臨まれるのか、この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 個人情報の取り扱いにつきましては、ああいう非常の場合には、これはニュース、あるいはそれがまとまれば当然公共の使命を有する放送機関として取り上げるべきものだというふうに考えております。したがいまして、今後もそういう扱いで進めたいと思っております。またしかし、個人情報をそう簡単にうのみにいたしましては御指摘のような混乱も起こしかねない情勢もございますし、また、そういうとんでもない考えをお持ちの方もなきにしもあらずと思っておりますので、あの際もそういたしましたが、私たちは個人情報についてはそのたんびに確認をいたしまして、別にこちらから電話をして確認をしてそして出しているという状況で、慎重な取り扱いと勇断というものをできるだけ兼ね備えるように努力をしたいと思っております。
○最上進君 今回の宮城県沖地震の規模というものが非常に大きかったというせいでもあると思いますが、放送施設にかなりの障害が生じたことは事実でございますし、中でも停電による停波事故が大変多く見受けられたというふうに伺っているわけであります。したがいまして、放送波中継方式がとられている今日、サテ局の電源整備が一つの課題ではないかというふうに指摘をされているわけでありますけれども、NHK当局はサテ局の予備電源の設置につきましてはどのような基準で実施をしておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○参考人(沢村吉克君) 御指摘のように、災害時に一番被害を受けますのは電源でございまして、一番の弱点でございます。そういう意味におきまして、非常用の電源、自家発あるいは電池を使います非常用電源につきまして、できるだけこれを配備するという考えで進めておりますけれども、現在の時点で申し上げますと、ラジオにつきましては、何といいましても災害のとき一番重要なのはラジオかと思いますが、ラジオにつきましては全局非常用の電源設備を配備いたしてございます。テレビにつきましては、基幹局は当然のことながら配備済みでございますが、御指摘のサテ局につきましては、対象といたします世帯数の大きいところから逐次配備をとり進めておるわけでございまして、現在ほぼ三千世帯程度に影響を及ぼすようなところが対象になっておる次第でございます。
 なお、電源事情が各地によりまして違ってまいります。比較的電源の弱い地域でございますとか、あるいは一度被害を受けますとその復旧に時間を要する離島でございますとか僻地でございますとか、そういうところにつきましては、いま申しました対象世帯数が若干少なくても例外的にそういうところも配備を考えております。また、これも現在のところそういうことで決して完全とは思っておりませんが、それを補完いたしますために、全国的な保守の拠点と申しましょうか、そういうところに若干の非常用の移動できます発電装置を持っておりまして、随時これでバックアップをするという体制にいたしてございます。
○最上進君 今回の地震災害によりまして、従来テレビ時代と言われてまいりました中で、ラジオ放送の果たす役割りというものが再認識をされたような気がするわけであります。
 NHKにおきましては、ラジオ放送はどうも受信料が取れないからだというような関係もあるんでしょうか、テレビ重点という姿勢がとられてきているというふうに見受けられるわけです。職員の間におきましても、どうもやはりラジオ部門への配転というものは、むしろ言葉は大変悪いんでありますが、左遷人事ではないかというような空気さえ流れている中で、その士気もどうもやはり沈滞しがちであるということが言われております。こうした点がラジオ番組の編成、聴取率の面にもあらわれているのではないだろうか。こういう関係筋でのささやきが現実にあるわけでありますけれども、NHK当局の音声放送に対する基本認識というものは一体どうなっているのか。また、今後の音声放送番組の刷新や聴取状態の改善対策などにどう対処していかれるのか。この辺につきましてお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 音声放送の重要さについては、最近とみに、災害時のみでなしに、一般的に音声放送を楽しんだり、あるいは音声放送によって情報を求むる人がふえてまいりました。私たちもそれなりの努力をしなければならないというふうに考えております。
 そして、さらに本年十一月二十三日をもって国際的にラジオの周波数の変更がございます。これを機会に私たちのこういう努力を聴取者にもわかっていただこうという気持ちを込めまして番組の大幅な刷新を行うつもりでございます。そして、十一月二十三日をはさんでの一週間をラジオのための週間と定めまして数々の特殊番組を組むほか、それ以降、聴取態様の変化に合わせまして番組編成を変える、一新するつもりでおります。
 特にその重点は、昼間――午前中、午後は、いわばながら聴取の方が多く、夜間、最近の現象は専一にラジオを聞くという人がふえているという状況にかんがみまして、ことに夜間に、時間帯ごとにはっきりした性格をつけまして、お聞きになりやすいように第一放送を編成し直すつもりです。七時台を情報アワー、八時台を娯楽アワー、そして九時台には連続ラジオ小説の後、教養アワー、それから十時台は一日のまとめ等にいたしまして、お聞きになりやすいように編成するつもりでございます。また、ラジオ第二は教育波でございますが、これは五十五年度の教育課程の変動等に伴いまして大幅に改正するつもりでございます。
 また、ラジオにつきましては左遷というようなことは考えておりませんが、なるべく経験豊かな人が、テレビと違いまして機械等も重くございませんので、経験を生かし得る余地があると思っておりますので、そういう意味での働きがいのある職場としたいというふうに考えております。
 さらにつけ加えますと、たとえばローカル放送の充実その他につきましても、比較的テレビに比べてラジオの方が先鞭をつけやすうございますし、さらに聴取者の反応もまた得やすいというようなことを考えて、ローカル放送充実の一助にもラジオ放送を強化したいというふうに考えている次第です。
○最上進君 いまのお答えの中にも、決してラジオへの配転は左遷ではないんだというお答えがあったわけでありますけれども、ある新聞等拝見いたしますと、「眠れるシシ NHKラジオ が目を覚ました」、「“独占”時代からの安眠むさぼり取り残された」というような、こういう見出しで記事が出るほど、どちらかと言うとテレビに熱中する余り、ラジオに大変力を置くことを忘れてきたような受けとめ方も世間ではあるわけであります。
 いま、お話にありましたように、十一月二十三日から、いよいよ昭和五十年に締結されました第一地域及び第三地域の長・中波ラジオ用周波数の使用に関する地域協定、これが発効するわけでありますけれども、この国際的周波数変更後の動向いかんというものが、これからのやはりわが国における音声放送体制のあり方というものに大変大きな影響を与えていくことだけは事実であろうというふうに考えております。中波ラジオが依然音声放送の主要な媒体としての地位を維持できるのか、あるいはまたFM放送が中波放送にとってかわるのか、あるいはまた中波、FMの併存体制時代となっていくのか、国民が大変興味を持って見ているところであります。
 そこで、わが国の中波ラジオ局の周波数というものはどのような方法で切りかえられるのか。また、各国での周波数切りかえの動向というものが一体どうなっているのか。さらに、周波数変更後の状況というものを早期にやはり把握をするため、どのような方策を考えておられるのか。これらの諸点についてひとつお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(平野正雄君) まず、周波数の切りかえ方法について御説明申し上げたいと思いますが、ただいま御指摘のように、来る十一月二十三日午前九時一分に中波放送の周波数切りかえが行われるわけでございます。これは去る昭和五十年ジュネーブで締結されました長・中波放送に関する国際協定に基づいて行われるわけでございます。
 わが国におきましては、現在日本にございます中波放送局四百九十三局のうち、その九五%に当たる四百六十七局という、非常にたくさんの局がこれに該当するわけでございますし、また、午前九時と申しますと、切りかえ時刻が非常に多くの方々によって聴取されておる時間帯であるというような、いろいろな理由が考えられるわけでございますが、通常の方法では放送の中断がどうしても避けられない。そういうことによりまして、聴取者に不満であるとか、あるいは不安を与えるおそれがあるわけでございます。このために、この切りかえの手順及び郵政省が実施をいたします変更検査につきましては、特別の配慮が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
 このため、放送事業者に対しましては、十一月二十三日以前の適当な深夜、放送休止時間に周波数切りかえの工事を行っていただきまして、短時間に確実に周波数を切りかえできるよう万全の準備をしていただくということにいたしております。また、新周波数への具体的な移行は、早朝の五時に開始をしていただく。そういたしまして、協定が定めております切りかえ時刻の九時一分までの間は、郵政省が検査の一つとして実施をすることにいたしております一般無線局に対する混信調査、たとえば海上で使用いたします五百ヘルツというような非常に重要な通信波があるわけでございますが、そういったものに対する混信等を調査をいたします。このような調査のための試験的な電波の発射として扱うことにいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、この混信調査の結果が良好であれば、変更検査は合格であるという判定をいたしたいと思っております。
 なお、ただいま申しました五時から九時までの電波発射は通常の番組によることを認めることにしておりますので、一般聴取者は早期に周波数を切りかえたことと同じになりまして不満、不安を与えることがないというふうに考えておるわけでございます。
 次に、今後の対策でございますけれども、周波数の切りかえ後におきましては、特に重点的に外国電波の発射状況について監視機能をフルに活用いたしまして監視を行うこととしておるわけでございます。もし国際協定に違反するような電波の発射が認められたというような場合におきましては、速やかに当該国に対しまして協定の遵守方について要請をいたしたい、そのように存じております。
○最上進君 民放FM局の免許問題について、ここでお伺いをしておきたいんですが、目下慎重な検討が継続をされているわけでありますけれども、大臣いま席を立っておられますが、大変積極姿勢を反映されてか、免許申請というものはかなり膨大な数に上っているというふうに伺っているわけであります。現在も日々その申請が大変相次いでいるというような状況下で、しかも既設の民放各社よりの申請というものがかなりの数に達しているというふうに聞いております。こうした免許合戦を避けるためにも、この際、郵政省が考えておられるFM局の免許方針の大綱というものを、ぜひひとつ大臣の口からお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(服部安司君) 申しわけございませんが、了解を得て不浄に行っていたので当初の質問をちょっと聞けなかったんですが、もし答弁漏れがあれば後で御指摘を受けていきたいと思います。
 既存の中波放送業者の中からFMの申請がかなり来ているというがというお問いのように理解したのでありますが、そのとおりでありますか。
○最上進君 FM局の免許方針の大綱、これを大臣の口からお聞かせいただきたい。
○国務大臣(服部安司君) 技術的、事務的な問題は局長から答えさせますが、私は地方文化というものを重く見たいので、できれば原則として一県一局を認めてまいりたい、かように考えている次第であります。
○政府委員(平野正雄君) ただいまの大臣の御説明に補足をさせていただきますが、先ほどお尋ねになりました超短波放送局申請状況でございますけれども、この十月十一日現在で全国から二百三十局の申請がございます。
○最上進君 これまで郵政省がFM局の免許方針として公にしておりますものを調べてまいりますと、放送局の開設の根本的基準第九条の適用方針のほかに、昭和四十四年一月に出されましたいわゆる「超短波放送に関する将来の構想について」という大臣談話が出されているにすぎないわけであります。これによりましても、中波ラジオ局または短波ラジオ局を所有する既設事業者にはFM波は割り当てないとするものであって、テレビ単営社に対してはどうかという点についてはもう全く触れておられない。特にテレビ単営社は経営の合理化とか災害対策という見地からもFM波の割り当てというものを強く希望している向きがあるわけでありますけれども、先ほど案納委員がマスメディアの集中排除についてもお触れになりましたけれども、こういう点についての郵政省の考え方というものをやはり明確に打ち出すべきだと思うんでありますけれども、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(平野正雄君) 現在、御承知のように、郵政省といたしましては周波数割り当てのための作業を鋭意急いでおるという段階でございまして、ただいま先生のお尋ねの免許方針につきましては、今後検討を詰めていくという段階ではございますけれども、御指摘になりましたマスメディアの集中排除の問題につきましては、従来からその方向でそれを原則として進めてまいっておりますので、この超短波放送の免許に当たりましても、マスメディアの集中排除の原則ということは貫くべきであろうというふうに考えておるわけであります。
○最上進君 そうした方針でしっかりひとつがんばっていただきたいんでありますが、最後に、例のモスクワ・オリンピックの放送権問題であります。先ほど大木委員からもお触れになったようでありますけれども、ラジオ放送についてはすでにテレビ朝日と折衝の結果、民放と共同で実施することに合意を見ているということでありますけれども、テレビの放映がどうなるかということに対して、大変国民も関心を持っているはずでありますので、その後の経緯と今後の見通し、これをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 先ほどと同じことになりますが、ラジオにつきましては、九月二十六日に民放四社との間の話し合いができまして、モスクワ・オリンピック・ラジオ・ジャパン・プールというものが発足いたしまして第一回の実務者会談が十月の初めに行われました。そして、これは六月の中旬に開かれましたNHK、テレビ朝日、さらに仲介に立ってくださいました朝日放送の責任者の会合でこのアウトラインが決まったわけでございます 、それに先立ちましても、その会談を準備する行動はひそかではございますが行われておりまして、それと同じようなことがテレビについても継続されているというふうに御了解をお願いしたいわけでございます。
 さらに、テレビ放送をNHKも実施しなければならない、そうしなければ国民の期待にも沿えないしNHKの将来にも暗雲が見られるという点については御指摘のとおりでございまして、われわれとしては、ぜひテレビ放送も実現できるように努力をしたいというふうに思っている次第です。
 詳細にわたりましては、相手の関係もございますので、ひとつ御容赦のほどをお願いしたいと思っております。
○中野明君 NHKの五十年の決算でございますので、一応いただいております決算書で二、三点お尋ねをしたいと思います。
 けさほど来議論が出ておりますように、NHKの将来の経営状態については大変私どもも心配をしておる一人でございますが、この五十年の決算書では、やはり百八十九億の赤字が出ております。これは翌年料金が改定されました経緯から見まして大変大きな赤字になっておりますが、五十一年にまた受信料が改定されたにもかかわりませずさらに赤字が見込まれるという現在の状況で、本年当初の予算のときにお示しをいただきました将来の見通しの資料によりますと、大変な、五十五年、五十六年までに一千五百億ですか、それぐらい大きな赤字が出るというような試算が私どものところへ資料として出されましたが、改めて、来年の予算の編成にかかっておられると思いますが、五十四年度の見通しといいますか、予算の概略というもの、おわかりになっておりましたらお示しをいただきたい。
○参考人(川原正人君) 五十四年度の予算につきましては、いま非常に外側の作業を詰めている段階でございまして、まだ数量的にこうこうということまで申し上げるに至っておりません。一番肝心な、先生御指摘の先々の見通しにつきましても、その後のいろんな経済情勢の変化、あるいは協会の財政状況の変化、これを見ながらその検討のし直しをやっておりますし、それから五十三年度の予算につきましても、ちょうど上半期を終わった段階でございますので、いまその点検をやりまして五十四年度の編成に入ろうとしているところでございます。
○中野明君 けさほど来の議論を私も聞いておりまして、NHKが健全に経営をしていかなければ、その公共放送の使命というものからして大変でありますので、非常に私どもも関心を持っております。
 そこで、この決算書でございますが、決算書の中で、大木委員も触れておられましたが、この営業費、四十九年と五十年を比べてみまして伸び率が非常に大きいんですが、この営業費の伸び率をちょっと見てみますと、四十九年が受信料の収入一千二百二十四億に対して営業費は百四十七億で一二%です。ところが、五十年になりますと、受信料収入が千二百八十三億円に対して営業費は百八十七億、四十億円の増で一四・六%と非常に大幅な伸びになっておりますが、この辺の事情を少し説明をしていただきたい。
○参考人(川原正人君) 営業費について申しますと、御指摘のように四十九年、五十年にかけましてかなりの伸びを示しております。これは幾つか事情がございますが、一番の大きな事情は、この営業費と申し上げますのは、先ほども答弁申し上げましたけれども、一番大きいのは契約者から料金を徴収するための経費でございまして、実際、これには非常にかなりの人手がかかっております。私どもが委託しております集金受託者でも約四千人、そのほか全国の山村等では郵便局三千幾つかお願いいたしまして、集金をお願いしているわけですけれども、これはやはりどうしても手数料がかかります。御承知のように四十八年から九年にかけまして、オイルショック以後のかなりの物価騰貴の中で、こうした人手にかかる経費というものはかなり大幅に伸びまして、それが一番大きな理由になりまして、この営業費全体百八十数億円の中の契約並びに収納にかかわります経費が二十三億円余り、これはどうしてもふえざるを得なかった、これが一番大きな理由でございます。
 そのほかもう一つ、この営業関係の中では、これも会計上の処理でございますが、例の欠損償却費というものもこの中に含めておりますが、これがやはり増高の傾向にありまして、この増加も七億円ほどございました。
○中野明君 いまのお話で、契約収納に要る経費が、二十九億四千三百万ですか、約三十億、これだけ余分に収納費をかけて、しかる上になお欠損償却は七億もふえている。数字の上だけで見る限りにおいて非常に効率の悪い、二十九億も余分に金をかけて、まだ前年度よりも欠損の償却は七億も多い二十五億にふえているということなんで、非常に私も理解に苦しんでおるわけなんですが、確かに収納に当たっておられる方々の苦心というものはわからぬでもございませんが、そのような数字にあらわれ、これが欠損の償却はその後も年々ふえ続けておるというこの現状ですね、結局、契約をしておらない人じゃなしに、契約をしておる人からお金が取れなくて欠損になるというお金でしょうから、これはまじめに払っている人にとっては非常に腹の立つ話でして、その辺、どうなんでしょう、この約三十億近いお金を収納費にかけられて、なおかつこれだけしか、これがもうできなかったと、こういうことに理解してよろしいんですか。
○参考人(川原正人君) 結論的に申せば確かにそういうことになりますが、契約収納の関係の経費が、私、先ほど二十三億というのは間違えまして、全部含めますと二十九億、御指摘のとおりでございます。それだけふえましたのは、先ほど申し上げましたように人手にかかりますその手数料というのはどうしてもかさんでまいりますし、これはやはりある程度世の中の物価が上がりますと、これはある程度の手数料を出しませんとやはりそれだけの仕事はさせ得られません。あるいはしていただけませんので、これはどうしてもかさまざるを得ない。それから一つは契約者自身も、毎年このあたりの年度でございますと、六十万から七十万件ぐらいふえておりましたので、これはどうしても当然増の形でふえるわけでございます。
 ただ御指摘のように、一方で契約はかなりのテンポでこの年度あたりはふやしたわけです。予算よりも実は営業費収入はふえているのでございます。この五十年度は。四十九年度から五十年度はかなり計画以上に契約者もふやしたのでございますけれども、それから収入も上がったんでございますけれども、まあ確かに契約者の数がふえるとやや並行してと言うと言い過ぎかもしれませんが、中にどうしても収納に至らないという方の数も多少じりじりとふえる傾向がございまして、それが御指摘のようにやはりふえざるを得なかったということでございます。
○中野明君 普通常識で考えますと、契約をすれば本人は金を払う意思があって契約をしているというふうに私どもも受け取るわけなんですが、それがどんどん契約の数字がふえるに従って自動的にそれもふえているというように聞こえたんですが、そうすると、契約はいい加減な契約で、当初の予算で数だけふやしているんじゃないかというような気もするんですが、その辺、誤解があったらいけませんので確認しておきます。
○参考人(川原正人君) 契約がふえますと自動的にという意味におとりいただくとこれは大変な間違いでございます。そういうつもりでは毛頭ございません。
 契約者はこの四十九年度から五十年度ごろはたしか七十万世帯ぐらいはどんどん努力でふえていったわけでございますけれども、もちろん払わない方はそんなにふえてはおりません。これは数万件だったと記憶しておりますけれども、しかしやはりふえていることは間違いございませんが、その点につきましてもできるだけ、これはいつもこの委員会で申し上げていますように、人手もかけあるいは繰り返しお訪ねするように努力はしているのでございますが、やはり最近の各都市、特に都市等におきます生活環境からいいまして、なかなかお目にかかるチャンスが少なくなってくる。いわゆる私ども不在世帯というような言葉で申しておりますけれども、日中お伺いしてもなかなかお会いできないという家庭、世帯がふえてまいりました。こちらもそれに応じて夜間にかけて集金に伺うとか、あるいは日曜、祭日等もできるだけ出かけるようにといってやってはおりますけれども、どうもその食い違いの点がじりじりとふえていることが事実としてございます。そのためにそういう不払いの方がふえているということでございます。契約がふえればひとりでにふえるというものでは決してございません。
○中野明君 そこで、この契約の実際の問題なんですが、非世帯の契約状況について資料をいただいたんですが、いわゆる非世帯というのはホテルとか旅館とか病院とか診療所とかそういう、その他官庁とか飲食店、それらが入ってのことのようですが、NHKの方としてこの非世帯の中で一番大きくはっきりしているのはホテルと旅館だろうと私も思うんですが、このホテルと旅館の実態をどのようにおつかみになっておるのか、その辺をちょっと。
○参考人(中塚昌胤君) 現在では、ホテル、旅館の全体の事業所の数、これがホテル、旅館で八万五千事業所というふうに考えております。で、その中でテレビを実際に設置している事業所、――旅館等で客室にテレビのない旅館、非常に小さな旅館もございますんで――それが約六万の事業所というふうに推定しております。それで、この約六万の事業所の全体のテレビの設置台数、これも推定でございますけれども、約三十八万というふうに推定をいたしております。それで、五十二年度末のホテル、旅館のテレビの契約数は三十二万五千ということでございます。
○中野明君 それは少しつかみ方が甘いんじゃないかというふうに、私、感想で申し上げて失礼なんですけれども、この五十二年度に出しております観光白書ですか、その中で見ますと、ホテルの客室数が十二万八千三百七十六ですか、それから旅館の客室数が九十三万七千四百八十、そのほか国民宿舎が三百三十四、これは客室は書いておりませんが、こういうふうに見ますと、ちょっと概数だけでも室数で百万を超える数字になっておるわけです。その中で、いま中塚さんおっしゃったのは、テレビの台数は約三十八万だろうと。ちょっと私、これお考えが甘いんじゃないかと、恐らくきょうこのごろで、もう僻地の小さな個人経営の旅館へ行けばいざ知らず、もう民宿だって大抵テレビは置いておりますし、ホテルはもうほとんど、テレビのないホテルというのはホテルじゃないというような時代になっております。そういう状況の中で、百万超えている客室があるのに、テレビがその中で約三十八万台程度だろうという御認識は少し甘いんじゃないだろうかなあという感じがしてなりませんが、その辺どうでしょう、もう一度。
○参考人(中塚昌胤君) まあ甘いか辛いかという話でございますけれども、私どもがその推定をいたしましたのは、五十一年の八月に事業所のテレビの設置状況調査というものをやりました。それで一応推計をしたわけでございます。ある数のサンプリング調査をやりまして、それで推定をしているということでございますので、先生御指摘のように、常識的に考えても甘過ぎるのではないかという御指摘もよくわかりますので、さらに詳細に調査をしてみたいというふうに考えております。
○中野明君 東京で、営業の方で一本でなさっているんじゃなしに、それぞれ現場があるわけですから、大体各県でも、そしてまた現場の放送局でもつかんでおられると私は思います。また、それがつかめなければ契約もできないわけですから。その数字を集められたにしては私は非常に少ないと。特に、私、これ申し上げたいのは、まじめにホテルの室数できちんと払っている人もおりますし、いろいろ雑音が入ってくるんですが、大体ホテルの室数の何掛けといいますか、六掛けというんですか、七掛けで大体手を打っているんだとか、そういう雑音が入ってくるものですから、そんなやり方では困る、本当に決まっていることなら、決まっていることをきちっとしていただかないと、まじめに払っている人が非常に迷惑をするといいますか、不信を持ちます。
 それからもう一つ、過日も当委員会で問題になっておりましたようですが、最近のビジネスホテルとかあるいは簡易保険の保養センターとか国民宿舎とか、そういうところに行きますと、百円の硬貨を入れないと見えないという、そういう設備が施してあります。私もよく外で泊まるものですから、非常におもしろくないんです。それで、夜中になって百円硬貨がなかったら、もうカウンターも閉まっている、両替もしてもらえない、テレビを見たくても見れない、こういうことにときどき出っくわして、どういうことになっているんだろうかと、しかもそれが、百円で六十分見せるところもあると思ったら百二十分のところもあるし、百八十分のところもある。そうなりますと、これは非常におもしろくない話でして、たとえて言えば、こういうふうに旅館で、各部屋にお金を入れなけりゃ映らぬような、そういう装置を施してあるところがNHKと契約も全然してないというとになったら、これは一体どういうことになるんだろうかという気もするわけです。
 そういう点、私の泊まるところばかりがそういうことになっているとお受け取りになるかもしれませんが、大体、私いままでずっと泊まった経験でいきますと、半数以上のところがお金を入れなきゃ出ぬようになっております。これは非常にNHKとしても関心を持っていただいて、そして、大体客室のどの程度にこういう装置があるか、こういうところがあるところはもうばっちり契約も取れるんじゃないかと、こういう気もするわけですが、その辺お調べになったことありますかしら、テレビにこういう装置が、大体どの程度の客室にあるのか。
○参考人(中塚昌胤君) 設置している台数の六〇%でいいとか、そういう指導は全くいたしておりません。私どもは一〇〇%契約をするという立場で各現場を指導いたしております。しかし、実際問題といたしまして、現場の担当者がホテルにお伺いをして話し合いをする場合に、自分のホテルには何台あるんだという申告をしていただく。それ以上にあると思っても、立ち入るということはなかなかいたしかねますので、その申告どおりの数で契約をしていただくという場合には、私どもは一〇〇%契約をしたというふうに考えております。ただ、時には、季節によって客の多いときと少ないときとあるんだから、五十台あっても五十台の契約はできない、四十台しか契約できないというふうに言われる場合もございます。実際問題といたしまして。そういう場合に四十台の契約になっているというケースがございますが、東京等の大ホテルでは、大体の一流ホテルは一〇〇%の契約になっております。
 それから、コインテレビ、これがどれぐらいの数があるのかということは、私どもわかっておりません。ただ、コインテレビ、いわゆるコインテレビでございましても、私どもは契約の対象にいたしておりまして、契約をしていただいているというふうに考えております。
 それから、これは一言つけ加えさせていただきますが、現在、年間六十万の総数増加ということを目標にいたしまして、それに各現場はそれぞれの自分の局所に与えられた目標計画を達成すべく努力いたしております。その場合に、多数契約、要するに非世帯のホテルとか旅館とか、そういう多数の契約を解決をするというのが一番数をこなすのにはやりいい方法でございますので、各現場がその非世帯のこういう多数契約をおろそかにしているということは、現場の活動の実態から見ましてもそういうことはないというふうに考えております。
○中野明君 それでは、先ほどお話がありましたように、もう一度客室にテレビの備えつけてある台数というものを改めて関心を持って、ちょっと三十八万台とおっしゃったのは、私もそのまま素直に納得できません。そうかといって、私調べたわけじゃございませんのでえらそうなことば言えませんが、約百十万室あるわけですから、百十万室の中で、きょうこのごろテレビはもう日常必需品になっておりますし、旅館でテレビがないといったらこれは致命的な旅館の欠陥にもなるぐらいの時代になっておりますので、三十八万台と認識をしておられるということは少し甘いんじゃないだろうか、このように思いますので、改めてまた営業の方で確認――確認といいますか、しかるべく掌握をお願いしておきたいと思います。
 それから、けさほどから、また、いま最上委員の方からもモスクワのオリンピック放送の放映についての話が出ておりましたが、いろいろ報じられるところによりますと、ラジオも話がついて、そして大体テレビもうまくいくんじゃないか、こういうような状態。しかも堀さんでしたか、記者会見をなさって、誤解も解けたとか障害もなくなったというようなことをおっしゃておるように報道されておったことを私見たことがありますが、そうなりますと、もう時間的な問題もございますが、そういう面で、近々最終的にネックになっていることがあるとしたら、その問題の話はもうつくと、このようにお考えになっていま交渉を進めておられるんですか。余りおくれますと、これはやはり現実に、技術的に事前から対応しなきゃならぬから、時間が過ぎてしまったら何も一ならないということになりますので、その辺を改めて確認をしておきたいと思います。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。ラジオにつきましては御指摘のとおりでございますが、その段階で、テレビ朝日とモスクワのオリンピック組織委員会で交わしました文書についての誤解が解けたわけで、ある意味で障害の一つが取り除かれたわけでございます。しかしテレビについて、しからばラジオと同じように進むか、その見通しがあるかという点でございますが、これは率直に言ってかなりむずかしい状況にはございます。しかし何とか努力して、テレビ放送がNHKも実現できるようにしたいというふうに努力している最中でございまして、はっきりしたお答えはできかねるわけでございます。
 それからタイムリミットにつきましては、これは放送の仕方との関連でございまして、ラジオと同じように一つのチームを編成、混成チームも編成して取材、放送ということになりますと、時間のデッドラインというのはかなり近くにございますが、そうでない方法もあり得るということを考えますと、必ずしもデッドラインがそう近い将来にあるとは考えておりません。総括して目下実現に努力している状況というふうにお答え申し上げるわけでございます。
○中野明君 いろいろ交渉の途中であられるようですので、あんまりあれやこれや突っ込んでも、かえってそれがまた新たな障害になっては私どもも心外ですので、この辺でとめておきたいと思います。
 では次に、これまた問題になっております音声の多重放送についてお尋ねをしたいと思います。これは大木委員もおっしゃっておりましたように、テレビの三大革命と、このように華々しく宣伝をされておりますが、現在のこの音声多重を受信するのにアダプターその他で七万円程度要るというふうに聞いておりますが、郵政省、どの程度。
○政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘のアダプター等でございますけれども、実は非常に高価なものから比較的簡易なものまであるわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、せいぜい二、三万円と言うことができようかと思っております。
○中野明君 いろいろ種類はそれはあるんでしょうけれども、現在一〇%程度の放送のように私も理解をしておりますが、果たして過去のいろいろなそういう新しい機器が売り出されたときの経験から心配するのは、それぞれのメーカーによって、機種、規格、それに統一性がない場合はまた今度買いかえなきゃならぬ、こういうような心配もするわけなんですが、まず機器を安くしてもらうということと、それから規格を統一してもらう。ちょうどイヤホンでも東芝とソニーと、これは東芝のイヤホンではソニーに合わない、こういうような実例もあります。そういうことですので、テレビを買いかえたときに全然アダプターが用をなさぬ、こういうようなことになるとこれは大変な迷惑ですので、その辺の規格の統一という点は、通産省あたりとどの程度話を詰めてこの放送に入られたのかどうか、その辺ちょっと。
○政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。
 多重用の受像機につきまして、その開発及び生産体制等につきましては、ことしの初めごろから日本電子機械工業会と前もって十分打ち合わせをしながら進めてきたわけでございます。また、ただいま御指摘のございましたアダプターの規格等につきましても、これは一般の方々から見ますと、各社が統一がとれておるにこしたことはないわけでございますが、この問題につきましても、各社それぞれの立場もございますので、電子機械工業会と打ち合わせをしながら、そのような方向で協力をしてもらうことを要請しながら進めてきたわけでございますが、御指摘のように、必ずしも現在そういった点が万全にはなっていないということでございまして、昨今におきましても工業会に向けて強く要請をしておるという状況でございます。この点につきましては、通産省等とはこういった方向で検討を進めておりますよという御連絡はしてまいっておるところでございますけれども、通産省において、たとえばJIS等にそういった規格を取り込むというようなところまではまいっておらないという状況でございます。
○中野明君 これは非常に消費者といいますか、一般の受信者にとりましては大変な問題でして、その点はさらに継続してそういう方向に持っていっていただきたいと思うんです。そうしないと、せっかくの機械もむだになってしまうような経緯が出てまいりますし、その辺を非常に私心配をしておる一人でございます。
 それから、いろいろ伝え聞いておりますのに、音声の多重から今度は文字の多重、文字多重ということについて年内に答申を出してほしい、こういうような要請が郵政大臣からも出ているということを聞いておりますが、その状況についてちょっと御説明……。大臣がお考えありましたら、お聞きしたいと思います。
○政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘のございました文字放送、さらには静止画放送、ファクシミリ放送とございますが、こういった問題につきましては、郵政大臣の諮問機関でございます電波技術審議会で審議をお願いするという状況でございます。特に文字放送につきましては、今年度中に御答申がいただける方向で御検討いただくということになっておりまして、実は、現在東京及び大阪におきまして試験的にフィールドテストをやっていくという状況になっておりまして、比較的早い時期に御答申がいただけるんではないかというふうに期待しておるところでございます。
○中野明君 この文字情報の答申が出てまいりましたその後における問題点はどんなところが問題点になるでしょうか。
○政府委員(平野正雄君) すでに先生御承知のように、部外の学識経験者によりまして、この多重放送についての研究をお願いをいたしまして、去る昭和五十一年に御答申をいただいたわけでございます。その中におきまして、いわゆる補完的な利用に供する音声多重につきましては、試験的段階から始めなさいということでございましたが、それ以外の独立音声の問題等につきましては、法制的にもあるいは技術的にも十二分に検討する必要がありますよと、さらに第三者利用という問題も十分に検討しなさいと、そういうことになっておりまして、もし御答申がいただけたといたしましても、その後におきまして、このようなものをどのような制度の中に組み込んでいくかということはそれから先に検討さしていただきたい、このように考えておるわけでございます。
○中野明君 それで文字情報、ここまで来ているわけですので、これを補完的な方面だけでも早く実施する、そういうお考えはお持ちなんですか。
○国務大臣(服部安司君) 文字放送は、私の考え方からいたしますると、かなり技術的にも問題点はあるのじゃなかろうかという考えは持っております。しかし、NHKの放送技術研究所でもかなりこれに真剣に取り組んでくれておりまするし、また民放関係でも同様かなり真剣に取り組んでくれておりますので、かなり開発が進んできたと思います。
 一方、聾唖者から、やはりテレビから受ける知識というものに対してかなり意欲的で、この方々の立場からぜひこれを促進してほしいという強い要望もございまするが、いま電波局長は年内にも答申を受けられるかもしれないと申しておりまするが、これはかなり慎重に取り扱うべき筋合いのものである、私はこのように考えております。
○中野明君 業界紙なんか見てみますと、もういまにもできそうな気配で、今回の音声も、一部に音声多重も業界主導型じゃないかという声のあるぐらい、業界紙なんかではかなり近々にできるんじゃないかと、それに対する機器も製造に入るとか入らぬとか、そういうようなことをときどき目にするものですから、きょうはそういうことで、一応確認の意味でお尋ねをしておるわけであります。
 いろいろ文字情報がこれまた多重で流されるということになりますと、またそれに必要なアダプターというものも要るようになるんでしょうし、とにかく今後多重が普及してくるにつれまして、やはりこういう機器が安く手に入るように、極力そういう要請と指導をお願いをしていただかないと、金をかけて新しい内容のあるものをつくっても、それが結局一部特定の人のものになってしまっては相なりませんので、その辺は特にお願いをしておきたいと思います。
 それで、NHKにお尋ねをするわけですが、NHKは、現在音声多重は一日どの程度の時間、放送になっておりますか。
○参考人(沢村吉克君) 現在のところ、一日平均いたしましてほぼ四十分程度ということで実施をいたしております。
○中野明君 将来はこれ大体何分ぐらいまで。
○参考人(沢村吉克君) 御承知のように、音声多重につきましてはまだ始めたばかりでございまして、受信機の普及といいましても緒についたばかりかと思います。したがいまして、受信者の反響ということも十分に見きわめなきゃならない時代でございます。これに適します番組はどういうものが一番期待をされるのかというような番組の開発も心がけなきゃならないというような、御承知のような実用化試験放送の段階でございます。
 したがいまして、将来にわたりまして、いまの時点でどこまで伸ばすんだとか、あるいは地域的にもどこまでやっていくんだとか、その時期はいつだというようなことは申し上げる段階までまだ至っておりませんで、いま申しました国民の要望、反響を踏まえながら御期待に沿うように進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○中野明君 そうしますと、まだ始めたばっかりで、その点は無理かもしれませんが、現在どの程度の人がこれを受信しているといいますか、多重を聞いているというふうに推定をされているのか。現在無理とすれば、大体いつごろそういう聞いている人の推定を掌握できることになりますか、その辺わかりましたら……。
○参考人(沢村吉克君) いま御指摘のように、始まったばかりでございますので、通常の調査といたしましてどういう普及をしているかということはつかみかねるわけでございますが、業界の方の出荷台数は、現在までのところほぼ五万くらいかというようなところまでは聞いておりますが、それがすべて売れたのかどうかも実は把握いたしておりません。
○中野明君 郵政省にお尋ねしておきますが、これは全国的に多重が実施される目途、郵政省の方としてはいつごろを目途に考えておられるか。
○政府委員(平野正雄君) 郵政省といたしましては、このような非常に魅力的な放送ができるだけ早く全国的に聴視できるようにということを念願にしておるわけでございますけれども、現在、先生も御承知のように、京浜地区におきましてはNHK、日本テレビ及びフジテレビの三社でございます。また京阪神地区におきましてはNHK及び読売テレビの二社が放送しておるにすぎないという状況でございます。
 しかしながら、このほかすでに予備免許を付与いたしております京浜地区の東京放送、全国朝日放送及び東京十二チャンネルの三社、並びに現在免許申請を行っております京阪神地区の毎日放送、関西テレビの二社及び富山地区の北日本放送がそれぞれ準備を進めまして、本免許が付与された後放送を実施しようとしておりますので、多分、北日本放送を除いて年内という見通しがついてまいっておるわけでございます。これらのほかにも、現在、各社それぞれ研究、検討中という話を聞いておりますので、逐次ふえていくことが想定されるわけでございますけれども、冒頭で申しましたように、できるだけ魅力的な番組が全国津津浦々聴視できるようということを期待しておるところでございます。
○中野明君 非常にこの多重という内容の濃い話から現実の問題に移るわけですが、私どもも、放送の内容が充実し魅力のある放送ができるということについて何ら反対する理由もありませんし、結構なことだと思っておるわけですが、いかに放送の内容が充実し、りっぱな多重の時代がまいりましても、現実にテレビの見えない難視地区、これがたくさん残っているわけです。この問題になりますと、それはもうどんなにりっぱな内容の放送がされておっても、テレビが見たり聞いたりできないんですから、これはもう話の外でありまして、このテレビの難視の解消ということについては、かねがね私も当委員会でたびたび質問もさしていただいているわけですが、非常に郵政省の難視解消に取り組む姿勢というものが、私、手ぬるいんではないかという考えを持っておる一人でございますが、最初にこの難視の世帯数について、数字の上で示していただきたいと思います。
○政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。
 今年の三月末の推定でございますが、辺地におけるテレビジョン放送の難視聴の状況は、NHKにつきましては約六十四万、民放につきましては約百六十二万ということでございます。さらに、都市難視聴につきましては、これはNHKと民放と同じ数でございますけれども、同じく三月末現在で約五十三万世帯という数字が出ております。
○中野明君 この難視が現在残っているのはそれだけと、こういう報告でございますが、NHKがいままで、この難視解消のためにテレビの共同受信施設、これを毎年毎年計画的につくってこられたわけですが、これはたしか四十四年からだったと思いますが、このNHKのテレビ共同受信施設、いただいた資料によりますと、七千九百四十五施設ですか、これ民放も見えるようにしているものですね。七千九百四十五施設になっておりますが、これで大体何世帯ぐらい救済できておるんでしょうかね。
○政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘のございましたNHK、民放とも視聴できるもの七千九百四十五施設によりまして、五十八万九千九百九十四世帯が対象になるというふうに心得ております。
○中野明君 そうすると、この五十八万、約五十九万ですね。この世帯の人は結局民放も一緒に聞いていると、見ていると、こういうことになるわけですが、ここで私申し上げたいのは一もうすでに御承知だと思いますが、NHKの共聴を施設して、民放は見えませんので、住民の人たちは民放が見たいということで自分たちで民放分だけお金を払って、大体平均すると一万五千円程度だろうと思いますが、それにあと共聴組合をつくって維持費を年間二千円か三千円か、この程度負担しておるのが実情でございます。そうすると、よく考えてみますと、こういう地域の人たちは民放が見たいということで自分たちがお金を出して民放が見えるようにしているわけですので、民放の側から見たら難視解消に何ら努力をしないで、住民が肩がわりをしてくれているので見えていると、こういうことになるわけです。
 その辺、電波監理局としては、いつも数字をいただきますと、民放が見えないのは百六十二万世帯と、このように、確かにそれはそのとおりでありますが、おっしゃっておるんですが、民放はいまの五十八万世帯に限って申し上げますと、全然何ら民放としては難視解消の努力をしないで、そして見えていると、こういうことになると思うのですが、その認識で間違いないでしょうか。
○政府委員(平野正雄君) ただいま先生御指摘のように、NHKの辺地共同受信施設につきましては、五十二年の実績によりますと一世帯当たり平均のNHKの負担額は約六万円、地元の負担額は一万五千円となっておりまして、全経費の二〇%程度を地元が負担をしておる、こういう状況でございますが、この地元負担分につきましては、全部ではございませんけれども一部の施設に対しまして、県または市町村が補助を行っております。補助の割合につきましては、それぞれ自治体によりまして差異がございますので一概には申せませんけれども、全経費の二分の一程度を補助をしておる、そういう状況でございます。このような状況をバックにしながら、いま先生がおっしゃいましたようなことはあろうかと思っております。
○中野明君 一部にそういう補助をもらっているところもありますが、きょう今日の地方財政ではとてもなかなか補助は出せないという現状にもなってきております。そういう点で私は局長にいま申し上げている。大臣もこれはお聞きいただきたいんですけれども、この点は民放に対しても、郵政省の難視解消というこういう一つの指導方針の中に、とにかく数字の上で見えないところはこれだけですから、民放はあと百六十二万世帯見えないだけでございますと、それだけで済まされたんでは、私どもは地域の住民の人たちが納得しないだろう、本当は民放もやはりたくさん見えればそれだけ広告料も上がるわけですから、住民の人たちがやむにやまれず見えぬもんだから、民放がやってくれぬから自分たちでお金を出して民放を見えるようにしているわけです。これは住民の人が肩がわりしていると言っても過言じゃございません。
 そういう点で、郵政省の方としても難視解消ということについての認識、これをさらに、実情に合って、何か地方自治体が金出しているからいいじゃないかというような、そういうお話ですけれども、地方自治体だって喜んで出しているわけじゃありません。これをもらうのには大変な大騒ぎをしないともらえぬのです。そういうことを勘案していただきたい、こういうことなんです。
 それからもう一つの共聴がございます。これは地元の住民が自力で難視解消のためにやっている問題です。これはNHKの共聴ではありません。地元の住民が、四十四年以前から現在までずっとまだ、NHKとしても限られた予算の中でやっているものですから、それを待っておられぬという分もあるでしょう。それが一体どの程度あるのか、その辺をちょっと。
○政府委員(平野正雄君) ただいまのお答えの前に、民放の関係につきまして先ほどちょっと申し落としましたが、共聴施設の点で御質問がございましたのでそのお答えを申し上げたわけでございますけれども、NHK、民放テレビジョン放送局の設置地区の比較をいたしますと、ちょうど千五百地区ぐらい全国的にあるわけでして、これは中継局の差がまさにNHKと民放の辺地におきます難視の差になっておるという状況でございます。それで、NHK、民放、それぞれ再免許に当たりまして、今後五カ年間の建設の計画というのをお出しいただきまして、それを実行していただいております。その結果によりますと、すでに御承知のようにNHKにおきましてはもう、ミニサテ段階にいっておるわけでございますけれども、民放につきましては千五百局のほとんどすべてがいわゆる、ミニサテ以外の比較的多くの人口を抱えておるような地区になっておりますので、そこに手が参りますと相当難視解消ができる、こういう結果になるわけでございまして、民放は全然難視に背を向けているということも当たらないんではないかというふうに考えております。
 なお、ただいま御質問のございました地元の辺地共同受信施設の設置状況でございますけれども、昭和五十二年三月末現在におきまして施設数が五千四百五十四、加入世帯数が四十五万四千五百五十七世帯ということに相なっております。
○中野明君 私が質問しておりますのは、民放が全然努力してないということを言っているんじゃありません。しかし、いまの共聴に見る限り、その共聴に見る限り、その分は民放は肩がわりしてもらっているのと同じですよと、その辺を郵政省も認識をさらに深めてもらいたいから言っているのでありまして、民放は全然難視解消に努力してなかったら今日の発展はないでしょうし、これはもうわかり過ぎるぐらいわかっておるわけですが、いま申し上げたように七千九百四十五施設の共聴施設に限って言えば民放は完全におんぶされていますよ、そういう点を郵政省の方も認識をしといていただかないと、民放は一生懸命やっておりますということだけで済まされたんでは困ると、こういうことを申し上げているわけです。
 それで、いまお答えがありましたように、自力解消のためにこれまた大変な、四十万世帯ですか、四十五万世帯の人、施設は幾らになっていましたか。
○政府委員(平野正雄君) 五千四百五十四でございます。
○中野明君 はい、わかりました。それが四十八年の末では約三千施設二十万世帯やったわけです。それがわずか二年の間に三千施設から五千四百になり、二十万世帯から四十五万四千世帯にまでふえているということは、いかにこのテレビを地域住民の皆さん方が見たがっているか、こういう一つの証拠だろうと思います。今度はまたこの限りで物を考えてみますと、この地域住民の自力の難視解消ということについては、これはもうNHKの方も大して応援も恐らくなさってないでしょう、もちろん民放もしておりません。こういうような状態を見ていきますと、同じ県の中で、あるいは同じ市町村の中で、自力でテレビの放送を見ようとしている人たちの経済的負担というものはこれは非常に大きいと思います。こういう点を今後考えていかないと、これは大変な問題になってくるのじゃないかと私も心配するわけですが、これ、いま郵政省の方でつかんでおられる自力建設、自力で難視解消しておるのに一番費用がかかっているのは、どれぐらいかかっているとつかんでおられますか。
○政府委員(平野正雄君) 詳細な数字ではございませんけれども、昨年度の例で申し上げますと、一世帯当たり十五万程度の施設が約百施設あるというふうに存じております。
○中野明君 郵政大臣、一世帯十五万円ですよ。一世帯十五万円もかけて、そしてその自分たちの、大体そういうところへ行くほどやっぱり経済的にも弱いと思います。収入も少ない、そういう地域の人たちがテレビ文化におくれまい、情報も知りたい、そういうことで、多いところは一世帯平均で十五万、これだけのお金をかけてテレビを見ようとしております。そういう自力で難視解消をした人たちからもやはりNHKの方としては受信契約をしてもらって受信料を取っておると思います。これ、受信料を取るのは当然のことで、何もそれを取ったらいかぬと言っているのじゃございませんけれども、そういうことを考えますと、共聴でNHKの方で大半やってもらって、わずか一万五千円ほどそのうちで補助ももらったりしてやっているところもあれば、今度は自力で十五万円も金をかけてやっているところもある、こういう実情、これをこのままでほっておいていいもんだろうかどうか。
 私はその点で、今後ますますこういう事態が表面に出てくると思います。先ほど電監局長言われたように、民放があとちょっとやれば大きなところはずっと進んでくるだろうということですから、そうすると、いま私が申し上げているのは非常にこれ、大きな問題になってきます。ですから、この点、郵政省として、この住民負担の軽減ということについてどのようにお考えになっているか。
○国務大臣(服部安司君) 前国会を通じていろいろと、辺地難視聴問題について各先生方の貴重な御意見を拝聴いたしました。私といたしましてもしごくもっともな内容の御意見と心得て、昭和五十四年度に初めて三億四百五十三万八千円の予算要求をいたしております。これは最も住民と関係の深い自治省とも緊密な連携をとって、何とかこれを実現いたしたいと、五十四年度設置が見込まれる地方の辺地共同受信施設、まあ百十九施設でございまするが、とりあえず一世帯建設費が六万円以上かかるところについては、国が二分の一の助成をするという試みをいたしておるところでございます。三億四百五十数万円ではまことに少額でありまするが、初めての試みでありますので、逐年これを増額をいたしまして、そういったラジオ文化の享受に、恩恵に浴しがたい地域の方々の立場に立って、今後大いに進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○中野明君 その問題、また後ほどちょっと触れてみたいと思いますが、ここで一つだけ私、非常にこれも心配していることですが、これはNHKの現場に参りまして、NHKとしてこれから一番頭の痛いことは何でしょうかとお尋ねをしますと、NHKの辺地共聴施設、これが耐用年数が大体十年と言われておりますが、ちょうどことしから来年あたり、そろそろ該当する施設が大量に出てくる、そういう大体順番になってきておるようです。そうしますと、現在辺地共聴施設の耐用命数が来て、これを更改しなきゃならぬ、こうなりますと、これにまた莫大な金がかかって、新しくNHKが難視解消をしていく金がなくなるんじゃないだろうか、新規の難視解消はできなくなるんじゃないかという心配を私なりにしておるわけですが、近々二、三年でどの程度の施設が該当になって、それを更改していくと難視解消はもう全然進まなくなるんじゃないかという心配をしていますが、その計画は大体どういう程度に考えておられますか。
○参考人(沢村吉克君) 御指摘のように、非常に将来にわたって心配しなきゃいけない問題でございます。
 今年度、五十三年度の考え方、その実数を申し上げますと、新規は御承知のように九百施設を新設することに先般御承認をいただいたわけでございますけれども、更新の対象といたしまして計画をいたしておりますのが百五十施設でございます。まだ確かに老朽更新の緒についたばかりといいましょうか、入り口でございまして、現段階ではこの程度で済もうかと思います。減価償却の面からいいます耐用年数、減価償却の基礎になっておりますのは十年でございますけれども、いままでの老朽度の実態から申しますと、もう少しもちそうな印象でございます。一部の手直しをしながらもう少しもちそうだと。そうすると、十三年から十五年ごろにわたって更新が行われるんではなかろうかと思います。
 そういう点から類推をいたしますと、あと二、三年たちまして五十五年、六年ごろから急速に老朽更新の対象になる施設がふえてまいりまして、六十年代に入りますと、いま建設をいたしておりますと同程度の、つまり千施設程度は毎年更新をしなきゃならぬような時代が来るのではないかというふうに心配している次第でございます。
○中野明君 そのときに、そうしたら新規はもうぐっと減りますか。
○参考人(沢村吉克君) この老朽更新が大問題あるのと、もう一方、現在の難視解消の実態から申し上げまして、先ほどの電波監理局長からのお話にもございましたような、非常に効率の悪い地区に入ってまいります。いわゆる山間僻地あるいは離島の散在世帯を対象にせざるを得ない、そういうところが残るということでございまして、私どもそういう世帯数、非常な不効率な世帯数としまして四十数万ということを前々から申し上げておりますが、その程度の世帯数になりますと、ほぼ一世帯当たり平均十万、十五万、あるいは二十万というふうな地区に入ってまいります。これではいまの、あるいは将来の財政状態も考えますと、余りにも効率が悪過ぎやしないか。これは、置局にいたしましても同じような傾向になってまいります。また、非常な長年月をかけませんと、こういうところ、末端を次々と解消していくことも一朝一夕にはできないという事情もございます。
 そういう意味から、できるだけ早期に新規の難視解消、いま申しましたようないわゆる散在世帯の難視解消には放送衛星をもって充てたいと、この解消を抜本的にやりたいという考えでございまして、単に老朽更新の圧迫のために難視解消が進まない、地上の共聴施設が進まないということじゃなくって、いま申しましたような全体的な効率ということも考えますと、将来の難視解消は衛星によって解決を図りたいというふうに考えている次第でございます。
○中野明君 それで、先ほども話が出ておったようですが、辺地のこの共聴施設の命数が来て更改するに当たりまして、更改期に、これは郵政省の方針が根本になるでしょうけれども、ミニサテが開発されまして、ミニサテによって救済される地域というもの、適地がかなり私あるんではないかと想像をしておるわけですが、そういう地域はもう当然ミニサテに移行させる方針を持っておられるのかどうか、その点一点。
○政府委員(平野正雄君) ミニサテにつきましては、電波伝搬の特性を考慮をいたしまして、比較的閉鎖的であるような地域に限って認めることができるということにいたしております。と申しますのは、空中線電力も非常に小さい、ポイント一ワット程度のものでございますし、またこのミニサテを使用する地域が、中継、中継でまいりました場合の一番端に来る地域でございまして、そこからさらに放送波中継を考えないというような地域を設定いたしまして、他局への妨害等の心配のない地域、したがって周波数の偏差も比較的大きくてよろしい、まあそういった考慮から比較的安く準備ができる、そういうことでございます。したがいまして、御指摘がございました更改期にあります共聴施設が、このような条件に合致する地域にある限りにおきましては、共聴施設を廃止いたしましてミニサテを設置するということは、十分可能でございます。
○中野明君 そうしますと、NHKは当然そうなってくると思いますが、問題になるのは民放なんです。民放に対して、一緒にそれに乗っかってこいと、こういう指導はなさるんですね。
○政府委員(平野正雄君) 先生御承知のように、現在もNHKと民放の共建ということを強力に指導いたしておりまして、ほとんどのミニサテが共建になっております。したがいまして、このような更改期におきましても民放をそのような方向で指導してまいるということにいたしたいと思っております。
○中野明君 了解です。
 その次、テレビジョン放送難視聴対策調査会が提言をまとめておりますが、この資料、私も見せていただきましたが、五十年八月に出ております。もうそれから三年過ぎたわけです。この冊子を読ましていただきますと、郵政省ベースで可能な措置、これが幾つか提言をされておりますが、三年たったわけです。どういう措置をとられたか、これをちょっと。
○政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の報告書を受けまして、具体的施策を検討をいたしますため、郵政省の中に難視聴対策委員会を設置して、逐次実施に移してまいりました。
 その概況につきまして申し上げますと、まず辺地につきましては、ミニサテ局の実用化及びNHK、民放による共建の促進をいたしました。それから二番目といたしましては、辺地難視聴実態調査の実施をいたしました。三番目といたしましては、サテ局の低廉化の研究開発に手をつけまして、現在研究中でございます。これは先ほどのミニサテと違いまして、先ほど約千五百地域、NHKと民放との間に差があるというふうに申し上げましたが、そのミニサテと同じような方式で、十ワット前後の中継局を開発しよう、比較的低廉なものを開発しよう、こういうことでございます。
 都市につきましては、まず高層建築物による受信障害解消についての先ほど御指摘の指導要領の策定をいたしました。二番目としまして、SHF帯放送の実用化方針を定めまして、これは実は近近のうちに東京都内でも一部実施される見通しでございます。三番目といたしましては、都市受信障害実態調査を実施をいたしました。四番目といたしましては、受信障害の制度的解消に関する調査研究及び受信障害認定基準の策定のために、省内に外部の先生方によります協議機関を設立いたしまして、現在鋭意作業中でございます。
 なお、報告書にございます「民放がみずから難視聴を解消することが期待される範囲を設定すること」等の提言につきましては、先ごろ取りまとめました辺地難視聴実態調査等をも活用いたしまして、現在鋭意検討中という状況でございます。
 また明年度予算におきましては、先ほど大臣の方からも御発言ございましたように、受信者の負担を軽減し、辺地共同受信施設の設置促進を図るため、建設費の一部を国が助成する施策の予算要求、これを現在いたしておるところでございます。
○中野明君 いま提言の中からもおっしゃっておりましたが、この提言では非常に私どもももっともだということが述べられておるわけですが、読んでみますと、三十三ページ「国」のところで、「国」は、国民共有の有限な財産である電波による放送サービスを国民に広く普及させるという見地から、辺地難視聴の解消の促進を図るべき地位にあるものと考えられる」、あるいは放送局の免許を与えただけで、責任は済んだんじゃないと、こういうようなことを述べております。
 そういう意味で、いま最後に局長が言われた、NHKは放送法の趣旨にのっとって全国的に難視解消の努力を絶えずなさっているわけですが、民放が難視を解消するその方策として、いま述べられました民放の自力解消の線引きですね、これは私、非常にいい提言だと思って期待をしておるわけなんですが、この作業はどの程度進んでいるんですか。もう一度そこのところを詳しく御説明いただきたいと思います。
○政府委員(平野正雄君) 先ほど申し上げました、特に辺地の難視聴地域の実態調査、これがやっとまとまってきたところでございまして、その実態調査の結果等をただいま吟味しながら、ただいま先生の申されました線引き等について鋭意作業中であるという状況でございます。まだ何%というところまでいっておるわけではございませんで、どのような基準を設けて線引きを行っていこうかというような点について、現在鋭意検討を進めておるところでございます。
○中野明君 先ほど郵政大臣も予算要求に出しておるということなんですが、この提言が述べておりますように、一応民放が線引きをする、その線引きの外は国の責任で処置していく、こういう考え方は私は非常に当を得た考え方だと、こう思っております。
 ですから、この民放の線引きが早くできない限りそこから先の作業というものはなかなか進みません。新しい技術がどんどん開発されて、先ほどから問題になっておりますように、音声多重がそれぐらい進んでいるのに、全然テレビが見えない、同じ県に、町に住みながら、また日本の国民でありながら、それでは余りにも気の毒だということで、種々難視解消に議論が集中してくるわけですが、そういう点で思い切って、これ、地元の人たちは、この予算が通ったとしてことしからですから、いままでずいぶん苦労をして四十五万世帯の人が自力で、テレビが見えたり聞こえたりするようにしていっているわけですが、そういう人たちの今後に対して、どんどんそれをミニサテで吸収していったり、そうしてまたそれらの施設の更改期に対しても適切な手を打ってあげないといかぬのじゃないだろうか、そういう気がするわけです。
 今後、決して郵政大臣はこれで満足しておられるとは思いませんけれども、強力に大蔵省とも折衝をされて、そうして難視解消に国がどこまで力を入れるかということが今後の大きな課題になってくると思いますし、先ほどNHKの方からのお話にもありましたように、NHKとしても限界が来ているような地域もたくさんあります。そうなりますと、NHKも全然無理だ、民放はもちろん無理、こうなると、これは国が責任を持ってあげる以外ないわけでありますので、その辺、今後のあり方として、大臣から改めて難視解消、特にNHKにも民放にも手の届かない地域の人たちに対する決意をお聞きしたいわけです。
○国務大臣(服部安司君) 放送行政の中でいま一番問題が残され、また国が真に愛情を持って処さねばならないのは御指摘の難視聴問題だと私はかねがね心得ております。同じ日本の国民でありながら、住む地域によって優劣の差のあることにつても、われわれは強く意を用いねばならないことも、これまた言うをまちません。
 そこで、今日まで、どのような方策を立てれば、施策を立てれば、一番困るこの問題の解決が図れるか、いろいろと郵政省においても、関係機関とも密接な連絡をとりつつ今日まで検討を加えてまいりました。先ほど申し上げたとおりに、きわめて少額でありまするが、初めての試みでありますので、これから財政当局とも精力的に折衝を持たねばなりませんが、これを足がかりに年々増額を図りつつ解決をつけながら、また一面、衛星によるSHFの開発もかなり進んでまいりました。私も、先般、郵政省の屋上でこの試験電波の受信の状態を拝見いたしました。かなりのすぐれた画面でありました。なお一層この問題のいわゆる完全開発にも全力を注いで、両々相まって、御指摘の辺地または都市の難視聴の解消に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 これは、郵政省ががんばるのは当然な責務でありまするが、実態といたしましては、公共放送のNHK、また民間放送事業者とも緊密な連携をとることは当然なことでありまするが、今日までもいろいろな機会にこの問題を取り上げて、ともに協力一致解決に前進しているというのが実情であります。特に機会あるごとに民放に対しては、NHKが考える問題に相乗りを強く要望していることも事実でございまして、なかなかこの種の問題は長年の懸案事項であって、意のごとく進んでおらないことはこれは率直に認めまするが、今後はそういった方法で対応してまいりたい。
 あわせて、今日まで莫大な私費を投じていろいろと手を打ってこられた気の毒な国民に対してどのような考え方かという点でありまするが、いよいよ来年この予算が獲得できてこの施策を推し進めるにいたしましても、さかのぼってということはなかなか法的に問題があろうと思いますが、更改の時期には特に優先的に考えざるを得ないだろう、このような措置で誠意を見せてまいりたい、かように考えている次第であります。
○中野明君 最後に、新聞で報道されておりました九月三十日から十月四日ごろまでに、山陰と北九州の日本海沿岸で何か変な怪電波が出て、テレビにも障害が出たというようなことが報じられておりますが、この影響した範囲と原因は本当のところ何だったのか、いろいろ新聞で防衛庁の関係者が推測で物を言ったりしてわけわからぬようなことになって、肝心の電波監視の責任当局である電波監理局の公式の表明が、私の見落としかもしれませんけれども、あったやに聞いておりませんので、電波監理局としてその原因をどうキャッチしてしておられるか、その二つ。
○政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。
 去る九月三十日、山口県下の民放の放送区域の一部におきまして、テレビション放送の映像にしま模様の混信が発生いたしました。その後この混信は、福岡県下の民放及び島根、鳥取両県下の民放の放送区域の一部におきましても発生をいたしておりましたが、十月四日未明、この混信が消滅をしたわけでございます。
 郵政省といたしましては、急遽山陰地方に電波監視車を出動させまして調査を行うとともに、海上保安庁、漁業用海岸局等を通じて情報の収集を図ったわけでございますが、残念ながら混信源を把握するに至らなかったわけでございます。しかし、監視車によります測定結果、あるいは混信状況の情報等から判断をいたしますと、混信源は周波数が約二百十メガヘルツのパルス状の電波でございまして、比較的遠距離の海上方向から発射されているものというふうに推定をしたわけでございます。なお、影響を受けました世帯数は延べ約二十八万世帯というふうに推定いたしております。
○中野明君 過日、電波ジャックということもありまして大騒ぎになりましたが、これからますますこういう放送が発達してくるにつれて、一つ妨害があり、あるいはまた逆宣伝の間違った情報が流れるということは、先ほど最上委員の質問に関連して言うのではございませんけれども、大変なパニック状態を起こすおそれは濃厚であります。
 そういう点から見まして、私の国元の高知県でも、営業のいわゆる無線電波に障害があるということで、調べてもらうのに松山から来てもらってずいぶん騒いだようですけれども、全然やっぱりわからない。こういうことで、何か監視体制の陣容、規模、いままでそういうことがなかったからのんきにおられたのかもしれませんが、今後、そういう事態に対応して、早急に陣容の整備なり、あるいは予算上の措置なりを講じられないと、影響が非常に大きいものですから、その辺郵政大臣のお考えをお尋ねして終わりたいと思いますが、ちょっと何かそういう妨害とかあるいは電波ジャックとか、そういうものに対応する対応策が弱いんではないだろうか。いままでなかったからそれで済んできたようですけれども、今後こういうことはかなり起こる可能性がありますので、私どももそういう体制を早く強化する必要があるんじゃないか、こう思いますので、御意見をお聞きして終わりたいと思います。
○国務大臣(服部安司君) 東京都内の電波ハイジャック、今度は山陰地方の怪電波の問題、確かに今日までこういった事案は皆無であったと言っても過言でない状態でありました。これに対する対応策は、これまたおくれていることも素直に認めねばならないと考えております。
 東京の怪電波から、急ぎ予備費の支出の承認をとって、完璧な監視体制のための監視車の進路をいろいろ考えてこの対応策を立てておりましたが、今度は海上からの怪電波で、これまた正直言ってあわてふためいている状態であります。現在、御指摘のとおりに、監視体制が整っておりませんから、何としても海上保安庁または自衛隊に協力方を要請せねばならない立場にございますことは御案内のとおりであります。海上保安庁に早急連絡をとって、また全面的協力を得て、器具、器材を積み込んで、方向を見定めて、いつでも出動できる態勢をとった時点では、恥ずかしながら怪電波が終わっていたという状況でございます。
 私といたしましては、国民の日常生活に及ぼす影響はまことに大でありますので、今後こういった問題が起きることを想定いたしまして、いま、たとえば一面飛行機による捜査ということも、探査ということも考えて、この問題も事務的に検討をさせながら、一方、これは法律改正になるか政令改正でできるのか、海上保安庁の任務事項に入れてもらって、その場合にはもう法律に基づいて出動せねばならないと、いわゆる郵政省電波監理局と、また地域の電波監理局と緊密な連携をとりながら、間髪を入れず出動し、この発生源をつかむという制度に持っていくべく、目下省内で検討を加え、関係機関にも協力方を要請している状態でございます。
 まことに遅まきで、こういった事態を招いて、発生源をつかめなかったことは、率直に申し上げて、まことに申しわけないと思う一面、それなりに、先ほど来申し上げております対応策を立てて、今後は万遺漏のないように期してまいりたい、かように考えている次第であります。
    ―――――――――――――
○委員長(赤桐操君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本放送協会昭和五十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査のため、本日の委員会に、新東京国際空港公団理事角坂仁忠君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤桐操君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○沓脱タケ子君 それでは、日本放送協会五十年度決算に際しまして、二、三点のお尋ねをしたいと思っております。
 NHKは、放送法に基づく特殊法人で国の出資を受けない、また特定の資本にも頼らない、もっぱら全国の視聴者からの受信料を受け取って、これで運営をする日本ではただ一つの公共放送事業体でございます。したがって、公共放送として国民の信頼にこたえるためには、これは何と言っても言論・報道機関として番組編成の自由、経営の自主性の確保というのが何よりも大切であるということがNHKの基本的性格であると理解をしておりますが、会長、これは変わってないですね。
○参考人(坂本朝一君) 先生おっしゃるとおりでございまして、放送法の第一条並びに第三条に示されております精神、これを守りますのが私の責務の一番大きな眼目の一つであろうというふうに考えておる次第でございます。
○沓脱タケ子君 NHKのいわゆる放送規制というのが、これは歴史的に、戦前にさかのぼって見てみますと、大分いろんなことがあるわけですね。これはまあ詳しく調べたわけではないんですけれども、若干歴史的経過を調べてみますと、昭和十二年の七月にはすでにいわゆる内務省警保局からの時局に関する記事取り扱いに関する件ということが出て、一般治安に関する報道差しとめ事項、それから反戦反軍の印象を与えるもの、好戦的侵略主義的印象を与えるもの、わが国に対する外国の批判等を規制をしているわけです。それから、昭和十四年の七月には時局放送企画協議会の発足。そして、番組編成は内閣情報部の指導を強化するというふうになって、そしてこの協議会は情報局と当時の逓信省が参加をして番組制作の指針を出すと。で、いろいろありますけれども、昭和十五年の十二月には内閣に情報局を設置する。政府放送の実施もこの日から行われる。昭和十六年の十二月五日には、国内放送非常態勢要綱というのが発表されているわけですけれども、これによりますと、これはちょうど第二次大戦の直前ですね。それから、昭和十六年十二月九日、この時期には全国同一周波数とするということで、第二放送を中止しております。それから十六年十二月二十一日には、言論、出版、集会、結社等臨時取締法。それから昭和十七年の十一月には日本放送協会に対する情報局の指導、監督を強化というかっこうになって、大本営発表というふうになったわけでございますが、こういう過去の戦前の歴史がございます。
 今日、特に本臨時国会では、御承知のように有事法制化の問題あるいは秘密保護法の法制化の問題、さらにはこれが一般国民にも及ぶんだなどという論議が行われているということ、もう御承知のとおりでございます。そうなりますと、当然これは言論、報道の規制につながるというのは、これはもう過去の歴史的経緯を見て明らかでございます。で、ちなみに、NHKというのは国民の信頼にこたえる、支持と信頼にこたえると、会長の御見解でもずっと言っておられますが、国民の信頼にこたえる唯一の公共放送機関として言論、報道の自由を守るということこそが最も重大な使命であると思うわけでございます。
 しかし、一方いま申し上げたようなことになってまいりますと、NHKの基本使命である言論、報道の自由という根幹を揺るがすおそれなきにしもあらずということが考えられます。今日の放送法のもとでは、この定めによればそのおそれはないはずであります。しかし、念のために、最初にこういった言論、報道の統制については、NHK会長としてはどういうふうにお考えになっているか、その点を端的にお伺いをしたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 具体的な問題についての意見は差し控えますけれども、私冒頭申し上げましたように、NHKの会長としては放送法の第一条、第三条を守るということが大きな使命、任務であろうというふうに考えておることで御理解賜りたいと思います。
○沓脱タケ子君 私は踏み込んできょう御見解を伺おうと思ってないんです。基本的な問題なので御見解だけをお伺いをしたいと思ったわけです。
 次に、一つは従来問題になっておりますNHKの米軍受信料の問題なんですね。これは、この問題につきましては、昨年来衆議院、参議院両院で論議がなされてまいりましたし、私もことしの春以来本委員会でも、また本院の決算委員会等でもいろいろとお尋ねを申し上げてきたのでございます。
 そこで、まずお聞きをいたしたいのは、米軍の受信料問題については、これは決着がついたのか、一体どうなったのか。これはまあ春ごろからですからしばらく間がありますので、その後の経過、これをひとつ最初にお聞きをいたしたいと思います。
○参考人(中塚昌胤君) 先生御案内のように、ことしの二月の初めごろから米軍との間で文書のやりとり等ございました。で、その後私どもの担当者が横田基地に行って話し合うとか、あるいは私自身が横田へ赴いて米軍の責任者と話し合うとか、そういうことを行いまして、しかし、最終的に六月の二十八日付の文書で米軍から回答がございました。で、これによりますと、米軍側は従来の見解に変わりはないということを改めて言ってまいりました。その従来の見解と申しますのは先生も御承知のように、在日米軍人、軍属は、地位協定に基づいて受信料の支払いの義務はないんだという趣旨でございました。
 そこで、私どもではこの取り扱いについて検討いたしました結果、これ以上NHKと米軍当局との間で交渉を続けても結論を得るには至らないという判断をいたしまして、七月四日に私どもの坂本会長から郵政大臣あてに要望書を提出いたしました。この問題については今後政府関係当局と米軍との間で問題解決のために積極的な御協力をお願いいたしたいという趣旨の要望書を提出した次第でございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、従来からの米軍とNHKとでいろいろと折衝されておられた範囲で言うておられた、いわゆる米軍としては最終的に言うてきたのは、日米地位協定の十三条の三項に合意されておって、したがってアメリカ合衆国要員はその支払いを求められないという本司令部のこれまでの長い期間に及ぶ見解だというふうなことが、三月にも言われておりますが、その見解を変えないということなのですね。
○参考人(中塚昌胤君) そのとおりでございます。
○沓脱タケ子君 これは従来から米軍はそういうことを……
○国務大臣(服部安司君) 中塚参考人からいろいろ説明いたしましたが、そのような経過をたどったことは事実でありまするが、郵政大臣に要請したといういまの御意見で、われわれはそれを受けて立って、米軍側の受信料支払い拒否は日米地位協定の解釈の誤解であるということを強調いたしました。最後の手段といたしまして、日米地位協定上の正式な協議機関である日米合同委員会の議題とするのが適当であると考えて、外務省を通じて米国側に折衝を続けてまいりました。やっと先週末になりまして、今度は外務省を通じて米国側より、当問題について再度米軍とNHKとの間で話し合いたいとの申し入れがありました。来週中にも米軍とNHKの間で話し合うことになっておりまするが、当問題の解決のためには米国側と粘り強い折衝が必要であると考え、また目的達成のためにNHKと緊密な連携をとりつつ、われわれはできる限り側面から援助を与えたい、こういう今日の状況でありますことをちょっと中塚参考人に補足いたしておきます。
○沓脱タケ子君 いや、それはもうちょっと後で言うていただこうと思ったんですが、ちょっと早過ぎた。(笑声)といいますのは、問題はいま大臣がお述べになられたいわゆる地位協定の十三条の三項の理解の違いなんですね。わが方の園田外務大臣も、ことしの春に明確に、十三条の三項で免除されているというアメリカの理解はこれは違う、そういうものに該当しないから、当然聴視料は支払ってもらうべきだという点は国会で私も答弁として伺いましたし、何回もお述べになっておられるわけです。ところが、米軍側は依然として十三条の三項に基づいて支払わなくてもいい租税に類するものだと、これが争点になっていたわけですね。長いことほっておったんだから、戦後長い間ほっておったんだから、とにかくNHKの責任であるんだから、ひとつ七重のひざを八重に折ってでもよく折衝をしてちゃんと話をしなさいということであったわけですね。
 いま大臣がお述べになられたので、ちょっとその間の経緯を聞きたいと思うのですけれども、七月の四日に服部郵政大臣あてにNHK会長から要請が出たわけですね。それから、それでは郵政御当局の方といたしましては、外務省を通じて、これは何を折衝をされたんですか。というのは、ちょっと気になりますのは、ことしの春、園田外務大臣がおっしゃったのは、こういう問題を解決するということについてはいわゆる外交問題なんだから、もう国際問題だから、一つの法律を通じての解釈が両国の当局者によって違う、まさに国際問題なんだから、これは日米合同委員会の下部組織、つまりこれはその下部組織には周波数分科委員会だとか通信分科委員会だとかいうのがあるので、どこかにその任務を付与したら折衝の権限が生まれるんだということをことしの春にお述べになっておられます。
 で、郵政大臣からの要請で、外務省としてはどういうふうに事を運ばれて、その結果、来週米軍とNHKともう一遍会おうということになってきたのか、その間の経緯を少し御説明をいただきたいと思います。
○説明員(丹波実君) お答えいたします。
 ただいま郵政大臣が申し上げたことに大体関連するわけでございますけれども、NHKのそのような要請書を郵政省が受けまして、郵政省の担当課長が私のところに参りまして、やはりこれは合同委員会のような場で取り上げてもらうようにアメリカ側と交渉してもらいたいと、そういうことでございましたので、私の方から七月に在京米大使館の担当官及び八月に横田の在日司令部の参謀長と直接会いまして、本件をめぐる国会論議も紹介かたがた、かつ過去のNHKと横田との交渉経緯についても改めて説明の上、合同委員会の周波数分科委員会であるとかあるいは通信分科委員会の中か、あるいはその下に新たにワーキンググループのようなものをつくって、ぜひ日米間で誤解が解けるように話し合うようにしたいので、そういう場を設定することについて検討してほしいということをるる説明したわけでございます。
 これに対してアメリカ側は、内部でいろいろ検討しておったようでございますけれども、今月の十日及び十一日の二日間にわたりまして、在京米大使館から連絡がございまして、大使館と横田がいろいろ話し合った結果、本件についてはもう一度NHKと直接話したいと、こういうことで、大使館は中に入って場所と、NHKと今度横田が会う時間と日にちと、そういうものを設定しましょうということで回答が参りましたので、私の方からこれを郵政省にお伝えし、郵政省がNHKに伝えて、NHKが在京米大使館とコンタクトをとって、その結果、来週にももう一度お話し合いの会合を持つ、こういうことになっておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 そうしますと、この地位協定十三条の三項についての解釈の違いという点についてはほぼ話がついたということですか。ついたのでもう一遍NHKとお話ししましょうということですか。
○説明員(丹波実君) 私としては、とりあえず郵政省の要請を受けましてそういう場を設定することがまず第一の任務と考えておりましたので、そういう交渉をしたわけでございまして、内容については必ずしもアメリカ側がどういう考え方を持っているかは私の段階では必ずしもわかっておりません。ですから、アメリカ側が十三条三項についての考え方を変えたということを私がここで申し上げるようなところにはまだ私としてはそういう認識は持っておりません。
○沓脱タケ子君 そうしますと、その解釈の相違というところが明確になりませんと、NHKと米軍ともう一遍話し合っても、これはちょっと解決しにくいのではないかというように思うんですよ。というのは、昨年以来、特にことしの初め以来、相当繰り返し繰り返しその問題を通じて折衝が重ねられてきた経緯というのは委員会等でつぶさに拝聴しているわけです。で、これは四月十日だったと思いますけれども、本院の決算委員会で、その何回かやりとりをしている経緯を踏まえて園田外務大臣にお尋ねをしたわけです。だから、これはそういう地位協定をめぐる解釈の相違ということになるんだから、これはもう日米合同委員会の下部組織で検討をするということにする以外にないと。で、二つの委員会を、たとえばということでお出しになっているんですよね。そういうことは外務省では御検討になってないんですか。郵政省から言うてきたからそのまま米軍へ申し入れに行かれたんですか。外務省としては、その取り扱いについて協議をされるということはあったんですか、なかったんですか。
○説明員(丹波実君) まず第一点でございますけれど、私はアメリカがその立場を変えたのか変えてないのかは、私はいまの段階ではわかりませんと申し上げたつもりでございまして、あるいはアメリカ側としては、今回新たに再びNHKとの話し合いを通じて双方に横たわっておる誤解を解こうという、こういう考え方を持っているのかもしれません。
 それから第二点につきましては、合同委員会の中で話し合いを行う場合には、現実にその周波数分科委員会あるいは通信分科委員会というものは、一応郵政省が主管の立場に立っておりますので、こういう場で話し合うのが最も適当であろうと、こういうことを郵政当局とも協議の上、それが適当ではないかということでアメリカ側に提案した、そういうことでございます。
○沓脱タケ子君 それで、私は外務省の御答弁が、アメリカ側の誤解が解けたというふうにお伺いをしたわけではありません。そういうふうに解釈の違いが解けているというふうに見えないのに、もう一度NHKと会いたいというふうにおっしゃるということなので、ちょっと理解に苦しんでいるわけですよ。そういう外務省のごあっせんでNHKともう一遍会おうということで、来週にそれが迫まっているということだそうですので、これはそれとして事が運ばれると結構だと思いますが、私はなかなか解決しないんじゃないかという心配を依然として持っております。
 そこで郵政大臣、これは外務省に御依頼をされたと思うんですけれども、外務大臣が国会でもお述べになっておる経緯もあることですし、これは来週の経過を見まして、うまく解決の運びになればよろしいけれども、ならなければ、これは大臣から直接外務大臣に申し入れられて、ぜひともこれは日米合同委員会の下部機構の議題として、そうして正式に論議をして明確な態度を明らかにするということで進めていただくということが一番大事ではないかと思うんです。
 特に私はこのことを何回も申し上げておりますのは、これは朝からの論議の中でも明らかになっておりますように、NHKの基本的な性格からいいまして、国民がいろんな点でやはりNHKの一挙手一投足というのは注目をしているわけです。そういう点ですでにこの問題がどうなっているかということは、ときどき私どもだって実は聞かれるわけです。国民の中にそういった点の疑念というのは一つ一つ晴らしていくということ、これがNHK会長が言っておられる視聴者の支持と信頼を集めていく一番大事な点だと思うから特に申し上げているわけでございますが、大臣、その点どうですか。
○国務大臣(服部安司君) 先ほども御答弁申し上げたとおりに、郵政省といたしましては、NHKの要請を受けて、日米地位協定上の正式な協議機関である日米合同委員会の議題とするのが適当であると判断をいたしました。機関である外務省を通じて米軍側に強力に申し入れた。その結果、米国側は、来週に米軍とNHKと話し合いの場を持ちたいという正式の回答がありましたので、私はこの来週の正式の会合の結果をまず見きわめて、その状況に応じて適切な対処をいたしたい、かように考えております。
○沓脱タケ子君 これはぜひ――まあ、NHKに私、これ以上もうお伺いいたしません。これはどうしたって、郵政大臣のまさに政治力にかかっているというところまで来ておるわけですから、その点は来週の折衝の結果を踏まえて、うまく解決すれば結構でございますし、うまくいかなければ、ぜひ既定方針どおり進めていただきたい、そのことを重ねて要望しておきます。
 それから、時間がありませんので次に移りたいと思いますが、次に私、受信障害の問題についてお伺いをしたいと思っております。特に、全体についてはずいぶん詳しく同僚委員からもすでに御質疑もありましたので、私、成田空港に限ってお伺いをしたいと思います。
 受信障害というのは、これは視聴者にとってはもう非常に腹の立つ問題だし、それから、まさに電波は国民共有の財産だと言われておりながら、しかも見ることができないという点では、知る権利を奪われているという点で、何としても解決をしなければならない重大課題だと思っているわけです。特に成田空港についてお伺いをしたいと思うんですが、成田空港は、開港以来ほぼ五カ月を経過いたしました。で、成田空港というのはずいぶんいろいろな諸問題を含んだ空港でございますが、ちょうど開港の直前にも本委員会で、空港公団に対してもそういった点についてのお尋ねをしております。関連をいたしまして公団にお伺いをしていきたいんですが、あの開港直前にいろいろお尋ねをいたしましたが、まだ飛行機は飛んでいるという段階ではないから、全部障害がわからない、したがって、開港後できるだけ早く対処していきたい、こういうふうにあの当時は結論的にはそうお伺いをしたんですが、その後どのような手だてをお立てになったか、ちょっと概略伺いたいと思うんです。
○参考人(角坂仁忠君) 開港前にも私、答弁した記憶がございますが、その当時は、一月から二月にかけまして、慣熟飛行の際に、予想されます地域につきまして一応調査したわけでございますが、やはり相当の範囲に特にフラッター現象が起きるということを考えておりまして、開港いたしましていわゆる予定機数が飛び立ちますと、やはり相当な範囲にフラッター現象が起きますので、早速専門家に調査をお願いいたしまして、六月から、そういうフラッター現象のある家庭から全部申し込みと申しますか、一応こういう障害があるということを受け付けいたしまして、七月から工事を始めまして、現在までに約一万本のフラッター防止アンテナをつけております。まだ、率直に申し上げて、全部ではございませんが。なおさに周辺にも出てまいっておりますので、現在、約一万三千ないし一万四千の申し込みがございますので、もう三千ないし四千はつけていかなきゃいかぬと思っております。これはいま、早急に実施中でございます。
 ということで、いまのところ、本年じゅうには、現在出ております障害の電波障害につきましては、フラッター防止アンテナで防止できるものはぜひやっていきたい、かように考えております。
○沓脱タケ子君 それで、これは開港前に空港公団が御調査になった部分をいまやっておると、進行中だということでございますか。
○参考人(角坂仁忠君) 中心は大体開港前調査した範囲でございますが、この範囲以外にもひどい電波障害が出たところは広げてやっております。現在でもやっております。
○沓脱タケ子君 それで、私、開港前の質疑のときにも申し上げたんですけれども、公団が調査をされた範囲を、さらに、千葉県がそれ以外に十の市町村を御調査になっておられましたね。で、あのときには、その十の市町村の中で四十地点を調べて、三十四地点がいわゆるフラッター障害評価基準ですか、あれの3以下だと画面が揺れるという状況以上のひどい障害があるということが千葉県の調査でも明らかにされていたんですが、これはその後御調査になられましたか。
○参考人(角坂仁忠君) 現在、公団の調査範囲を広げておりますけれども、私どもが独自にやりました調査は成田空港の離発着の分でございまして、いわゆる成田空港離発着、離陸いたしまして大きく旋回いたしまして、いわゆる一般の飛行経路になるまでの範囲は実は公団はまだ調査をやっておりませんで、県からそういう話は聞いておりますけれども、両側へ広げた調査はやっておりますけれども、遠いところまでは実はまだやっておりません。
○沓脱タケ子君 それで、これはすでに開港後五カ月、六カ月になろうとするという段階へ来ているわけです。で、千葉市が調査をいたしましたのもNHKの指導で調査をしているんですね。それを見ますと、やはり3、2、1というのがかなりあるわけですよね。たとえば幾つかの市の状況を申し上げますと、たとえば佐原ですか、佐原市という町の場合は、これは大体人口五万、世帯数一万の町のようですが、これも一つは発着の飛行コースがやっぱりずれるということも含めて、旧市街を含め、全市的に受信障害がある。その受信障害は画像が揺れる、消える、画像が重複する、こういう三種類の障害を訴えています。特にこの地域は秋から冬にかけて風向きが北風が多くなるんだそうですか、そうなると、発進の飛行機のコースが変わるんですね、結局。ですから、北風の吹く日ということになるとこれからですね、これからの季節になると非常にそういう障害の起こる頻度が高くなる、こういうことで大分問題になっておりますが、一つは、これはどこの町も一緒なんですけれどもね、文句があってもどこへ言っていっていいかわからぬ。で、被害を本当に直してくれるのかどうかというふうな意見が市役所に集中してきている、こういう状況なんですよ。
 これは佐原市だけではなしに、八日市場市というんですか、これは人口三万一千の町ですが、ここも全市的に被害がひどい。これはNHKに相談に行ったりいろいろしているようです。それから光町も人口一万一千の町ですが、ここも開港前に県が調査しただけで、その後公団は何もしてくれないということです。それから小見川町というところも同じように被害は出ているんだけれども、公団は調査も何にもしてくれない、画面が揺れて困るということです。それから山田町や東庄町というんですかね、こういうところもほぼ同じような状況だということで、千葉県が当初調査をいたしました十の市町村というのは大体まだ放置されているという状況のようなんですが、これは早急にまず調査をして解決する必要があると思うんですが、どうですか。
○参考人(角坂仁忠君) いまお述べになりましたので、正直言って、近い方でこれから調査に入る町村も二つ三つございますけれども、全般的な調査にまだ至っておりませんが、御指摘のように、やはり実態調査が必要だと思いますので調査をいたすことにいたします。
 ただ、いままでいろいろ専門家の御意見を聞きますと、やはり特に佐原市、御指摘されました佐原の話を聞いております。非常に電波が弱いんだそうでございまして、仮に、これは飛行経路下の問題とそれから成田の空港の直進の離発着の問題と非常に微妙な関係がございまして、この点につきましては鋭意運輸省と話し合っておるところでございますが、結論的に非常に電波の弱いところをいろいろ聞いてみますと、フラッター防止アンテナをつけてもどうにもならぬというようなこともございますので、その辺につきましていろいろお話を聞いておるわけでございますが、基本的にはやはり電波の難視聴対策ということでございますか、そういうものを根本的に何かやっていただく方法はないものかという広い地元対策の意味から、いろいろ関係方面にお願いをしているところでございます。
 いずれにいたしましても、成田空港の離発着によりますそういう影響につきましては、それは、公団がやるべきものは当然やらなければなりませんし、いま一生懸命やっているわけでございますが、そういう遠いところの問題、飛行経路の問題、あるいは非常に電波の弱いところの問題等につきましてはいろいろな問題が残っておりますので、これは公団がすべきものはやるし、公団がお願いするものはするということでいま鋭意関係方面といろいろ御相談あるいはお願いをしている最中でございます。
○沓脱タケ子君 私は非常に意外な気がしますよ。
 と言うのは、開港直前の場合は、たとえばフラッター防止アンテナですか、それから共同アンテナ、共聴アンテナとか何とか、三つの方法で対処しますと、こういうお話であったのが、いまお話を伺っていると、フラッター防止アンテナだけしか使っていないという話のようですけれども、これは飛行機が飛び出したら少々手を抜いてもよろしいというわけじゃないんですよ。その辺、何かお聞きをしているとそんな感じがしますね。
○参考人(角坂仁忠君) いまフラッター防止アンテナを申し上げましたけれども、いわゆる共同受信アンテナ、共聴アンテナ、これはとりあえず非常に速く効果があるわけでございます。フラッター防止をやりましたけれども、フラッター防止でどうにもならぬところは共同アンテナ、共聴アンテナ、これは非常に技術的な問題がございますので、現地を調査いたしましてこれがいいということになればすぐそれは公団でやるようにいたしております。
○沓脱タケ子君 NHKにちょっと聞きたいんですけれども、これらの調査はNHKが全部御指導になって大体調査をおやりになっておられるようなんですが、調査の結果どういうふうな対処が必要かということは、技術的にNHKは全部おわかりでしょ。その点はどうなんですか。
○参考人(沢村吉克君) 御指摘のとおりに私の方で御指導申し上げました。空港公団ばかりでなしに、千葉県あるいは茨城県の御調査に対しましても、指導をしてほしいというお申し出がございまして、私の方で指導をいたした次第でございます。その指導結果から申しますと、いま空港周辺で一万五千程度が解消を要するだろう、一部は当然なことでございますけれども、フラッター防止アンテナではとうてい改善困難だという地区がかなりございます。周辺部分になればなるほどフラッター防止アンテナの効果が出てくるわけでございますが、一方、周辺の方は飛行経路がいまお話のように、飛行機の発着相手空港との関係、あるいは風向きの関係で、日によって、季節によって相当変わります。したがいまして、ひどいときはこの程度、軽いときは大したことはないというような状況が非常に多うございまして、どの範囲までが本当に御納得いける範囲なのかということの判定は非常にむずかしいかと思いますけれども、私どもの見当からいたしますと、ミニマム、非常にシビアに考えましても、ここはひどいといいますのはほぼ三万世帯あろうかと思っております。千葉県、茨城県にかけまして。非常に軽微なものまで含めますと九万世帯ほどになります。
 ですから、対策をいたしますのはこの三万ないし九万の間になろうかと思いますけれども、これは大部分はいま申しましたフラッター防止アンテナで解決できょうかと思いますが、これも一部は共聴を使わざるを得ないところもあるように聞いております。
○沓脱タケ子君 指導したNHKはわかっているんなら、これはそれに基づいて公団に適切に早速やってもらえばいいわけですよ。それで、これは空港公団、この前に私聞いたときに、電波障害に対しては対策費は五千万円予算がありますと言われたんで、それは少ないんと違うかと言うたですね。そうしたら、いや、騒音対策事業費というのはうんとたくさんあるから、これはひとつ予算の組みかえをしてもらって折衝中なんだと言っておりましたけれども、ちょっとNHKが言っておられるのは、多く見れば九万だと言っているんですね、辛く見ても三万だと。対策はその間ぐらいで片をつけなければならぬと言っているんですが、予算の対策はとれたんですか。
○参考人(角坂仁忠君) 私、五千万とお話ししましたけれども、現在すでにいままで三億ちょっと使っておりまして、大体私どもとしては六億ぐらいの予算が要るだろうと思って、予算の手当てはいたしております。
○沓脱タケ子君 そうしますと、NHKは大いに公団を指導して、予算もあると言っているんだから、これは対策を促進させるべきだと思うんですけれども、どうですか。
○参考人(沢村吉克君) 担当のところで公団当局と御相談を進めておるはずでございます。
○沓脱タケ子君 そんなことおっしゃるけれども、地元では文句をどこに言っていったらいいか、窓口もないんだというのが被害者の人たちの意見ですよ。該当する市や町にせめて窓口をつくってくれないかという意見などが出ているというのが今日の姿ですよ。私は、そういう被害を直接受けている住民の意見に、要求にこたえるという対策というのは大事だと思うんです。これはNHKが窓口をつくれと言っているんじゃないんですよ。しかし空港公団がそのくらいのことやらないとだめだと思うんですよ。NHKは打ち合わせしているはずですと言われても、下では窓口もないという状態なんですから、これは公団としてもそういう点はっきりした方がいいですよ。どうですか。
○参考人(角坂仁忠君) いまの各地のそういう個個の苦情あるいは市町村の苦情は、私の方が一応いろいろ聞いております。私、先ほど申しましたのは、いわゆる経路下の問題につきまして、これを一体どうするかということをはっきりいま運輸省と鋭意協議中でございますので、NHKさんの方にはいろいろ技術指導をお願いいたしまして、先ほどのように、フラッター防止アンテナでできないところは、これは一時、共同アンテナはこういうふうにしなさいという御指導を受けまして、その方針が決まればどんどんやっていくということで、いわゆる騒音対策、テレビ難視聴対策と並行いたしまして、経路下の問題につきまして早急に結論を出さなきゃいかぬと思っております。それを早急に協議いたしまして、方向を決めて、公団がやるべきものはやるというふうにやっていきたいと、かように思っております。
○沓脱タケ子君 それから、電波が弱いのでとさっきもおっしゃったですね。電波が弱くて、しかもそれに航空機障害がプラスされるということで、住民が平素でも困っていたのが一層障害がプラスアルファして困っているわけですね。だから、そういう点については私は確かにフラッター防止アンテナだけではあかぬのだろうと思いますわ。当然NHKと相談して、その辺のことの対策は的確に進められる必要があると思うんです。特に成田空港の周辺というのは、開港のときから問題があっただけに、もうそれに関する諸問題というのは、やはりできるだけ的確に速やかに対策を講ずるべきだと思うんです。その点で強く要望しておきたいと思います。
 で、大臣ね、わりとのんびりしてますな、いまの話を聞いておりますと。そういう点はひとつNHKにも大いに督励をしてもらって、やはり運営の適正を期していくためにも、また、国民の電波共有の権利を保障していくというためにも、この分野はやっぱりもっと施政を積極的にやっていただくということがきわめて重要だと思いますので、その点はNHKの会長並びに大臣の御見解を伺って終わりたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) その点につきましては全く先生御指摘のとおりで、私自身、いまやりとりを聞いておりまして、まことに残念だと思った次第でございます。もっと積極的にNHKが主導をして、そうしてお願いするところはお願いする、責任を持っていただくところは責任を持っていただくということをもっと積極的にやるべきだというふうに反省した次第でございます。
○国務大臣(服部安司君) 成田空港周辺の受信障害については、かねがねわれわれも大変憂慮をいたしております。また、周辺の地域住民にとっては、いかに国の施策といえども、国策といえども、これはふんまんやる方ないだろうと、私は十分に理解できます。ところが、ただいまのNHK並びに空港公団の御答弁を聞いておりますると、私どももまことに歯がゆい感じがいたします。
 これは、こういう場でこういうことを言うのはどうかと思うわけでありまするが、非常に多岐にわたる受信障害があるんですね。いわゆる離着陸、直進とか上昇、下降とか、また航空路、非常に多岐にわたっておりまするが、しかし、空港の方に今度逆にお願いですが、きわめてごのんびりとした考え方のように思いまするが、それではますます成田空港周辺の住民の顔を逆なでするような結果になるので、ひとつ金があるという大変なりっぱな御意見であり、NHKの技術担当理事が、いやもう十分やり遂げたと、じゃ、調査だあるいは検討だっていうようなことは、これはもう今日あの実態から言って許されないと思います。また、電波が弱かったから、それはまたその所在をはっきりなんてとんでもないことであって、電波弱かったってその当時見られていたのに、さらに加えて航空障害がプラスされるわけですから、そういうことは言わないで、むしろこの地域住民のためにすぱっと、なるほどというような結果が出るようにひとつ努力をしてもらいたい。御要請申し上げて私の答弁といたします。
○沓脱タケ子君 終わる予定だったんですけど、大臣、ここでの御要請だけではなくて、後々あんなのんびりした答弁が出てこないように、ひとつ厳しく督励をしていただきたい、そのことを要求して終わります。
○木島則夫君 時間が制約されておりますので、ひとつ簡潔に、本音でお答えをいただきたいと思います。
 現代は、地殻変動を伴った変化の時代ということでございまして、しかもこの変化の中には、価値の多様化を包蔵をした大変な時代であることは自他ともに認めております。これは個人だけでなく、国家や企業、いろんな機関もいやおうなく対応を迫まられているわけでございます。こうした中で、放送文化の担い手であり、先駆的な役割りを果たすべきNHKも、このようなうねりの時代の枠の外にいることは許されないわけです。むしろこういった変化を直視して、その本質は何であるかをとらえて時代の先取りをしていかなければならない立場にあるNHKの責任というものは、これからますます重くなってまいります。
 したがって、これから各論に入る前に、会長から、放送文化の担い手としてのNHKの使命をひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘のように、価値観が多様化し社会構造が複雑になり、いろいろと国民がNHKに対してどう期待するかということを把握することがなかなか困難な状況の中であればあるだけ、なお一層NHKの立場というものが重大になるというふうに認識しておりますので、そういう意味でNHKの使命を完遂するということに渾身の努力を払いたいというふうに考えておる次第でございます。
○木島則夫君 NHKがこの四月にテレビの番組改定の大幅編成を行って、改造を行いましてから半年余りたちました。私は、この春の通常国会の審議の折に、まさに変化への対応という受けとめ方をしてNHKの番組改定を、問題はあるとしながらもひとつ推進をしていただきたいと御激励を申し上げたことを覚えております。私は、その後NHKの番組を一人の視聴者という立場でも注意深く見守ってまいりました。私の感じといたしましては、全体としては御趣旨に沿った成功をしていると言ってよろしいと思います。
 たとえば、週二回ありますNHKの特集番組ですか、これはさまざまな問題を背景を紹介しながらよくこなしていると思いますし、ドラマにいたしましても人間特集、たとえば「夫婦」に見られるような身近な問題を本音で畳み込むように、これまでNHKには見られなかった、問題と四つに組んだ取り組み方というものが、いままでの放送を頭の上から流れてくる放送とするならば、心臓の近くで鼓動するような、そういう部分もふえてきたという意味では、私は大いに歓迎をするものでございます。
 そこで、その改定から半年余りたちました時点で、改定のねらいだった生活態様の変化への即応が一体どれだけ行われているか、つまり成功をしたか。中には、私はこういう改定に対して相当きつい意見もあったんじゃないかと思います。この辺をまず伺っておきたいと思います。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 NHKの番組改定につきまして温かい激励の言葉を再度いただきまして、ありがとうございました。その面では、大体私たちも成功の糸口をつかみつつあるんではないかというふうに現在感じております。しかし、御指摘のように、NHK特集あるいは「夫婦」のような成功の番組もございますが、必ずしも全部がいいというわけじゃございませんし、さらにNHKらしい本格的な番組を期待する声もございます。しかし、視聴態様の変化に応じ得たかどうかにつきましては、大体のところ六時台、七時半台の視聴者の動向を見ますと、私たちが期待したとおりの年少者の視聴がふえておりますので、その点はよかったんじゃないかと思っておりますし、さらにテレビコラムを含めまして教育テレビにおける視聴者が、数は少のうございますが、はっきりした伸びを見せていることに一つの安心感を見出しているわけでございます。
○木島則夫君 生活態様にどれだけ対応できたかという点では一応対応しているというお話でございます。私は、それなりに評価をいたします。しかし、ただ対応しただけではだめであって、対応してそこに何を主張し、何をこれからやろうとしていくかということが大事だと思います。前田会長時代をちょっと振り返らしていただきたいんでありますけれど、強引とも思える編成方針で、ゴールデンアワーに報道番組やらそれに近い番組を、ぶち込んだと言うと言葉は大げさになりますけれど、設置をいたしました。確かに抵抗はございましたけれど、それはそれなりに一つの見識であったと思います。五十三年の四月の番組改定――ことしの番組改定、国民の生活態様に対応し、価値の多様化に対応したと、これはそれなりの成果が上がりつつあるといういまのお話でありますから、しばらくこれは見守っていきたいと思います。しかし、番組編成はそうであっても、個々の番組の中で本当に生活態様に対応できているかというと、私は必ずしもそうでないものが散見できる。たとえばニュース番組を一つとって、私の私見でございますけれど、考え方を申し上げてみたいと思います。
 定時の夜七時のニュースですね。必ずしも生活に対応したニュースの取り上げ方、並べ方かというと、私は必ずしもそうではないと思います。ここにはあるかどうかはわかりませんけれど、相変わらず政治、経済、社会、スポーツといった順位がどうやらありそうであります。それは実生活とは全く関係もないことだと私は思います。たとえばヤクルトが優勝したらこれがトップニュースであって当然だと思うし、ダンプカーの引き込み事故があったらば、このことが世間の大きな関心事であるならば、一交通事故がトップニュースときて、そしてそれを国会の運輸委員会なり地方行政でどうそれを論議したかというニュースの関連で受けとめたって私はいいと思っております。
 私が申し上げたいことは、何も磯村さん個人をここでいい悪いというふうに申し上げているわけではございませんが、磯村さんがせっかく開拓したテレビのニュースとはどういうものなのかという提示が、地方局の「六・四〇」ですか、六時四十分の中では生き生きと動き出しているのに、必ずしも中央ではそうした生き生きとした感じを与えてくれない。これは新聞コンプレックスなのかどうかわかりません。お名前は申し上げない方がいいと思う、ある編集者は、自分が並べた編集項目を後で新聞と見比べて、ああよかったと安心なさる。これは意味のないことですね。それから政治に気を使い過ぎるのか、政治コンプレックスというのか、こういうこと言うと失礼かもしれない、衆議院で行われた質疑と同じものがただ場所を変えた参議院で行われたというだけでセレモニー的にこういうものを出さなきゃならない。これも私は実生活と余り関係ないと思います。
 つまり、そういうことを一つ一つとっていくと、本当に生活態様に対応した、即応した番組の編成なり個々の番組のつくり方というものがNHKの中で行われているんだろうか。私はまずこの辺を、これは質問項目として御提示を申し上げておかなかったんでありますけれど、それはもう堀総局長は御専門でございますから即応していただけると思います。いかがでございましょうか。
○参考人(堀四志男君) お答え申します。
 まさにジャーナリストとしての本質に対する御質問でございます。木島先生のおっしゃる趣旨は、NHKはニュース編集のオーダーのみならず、全番組についてビビッドなジャーナリストとしての感覚、すなわち視聴者、国民の感覚を身につけて日々の業務に精励すべきであるという御意見かと思いますし、またそれに対応し切れない要素がまだ散見するではないかというおしかりかと思います。私も経営者の一員とし、また番組の責任者の一人として、日々その点は留意し、叱咤しているつもりでございますが、力の及ばざるところのあって御指摘を受け、激励を賜ることについては、感謝と同時に今後の戒めとしたいと思っております。
○木島則夫君 別にNHKを責めてみたり個人的にどうのこうのと私は申し上げているわけではございません。やはり表現の自由を守り、言論の自由というものを守っていくために、根本的な問題としてこれから触れようとしている問題であるからでございます。
 先般来、先ほど来議論をされていることを集約をいたしますと、NHKが置かれている環境の中で、たとえば経営委員のメンバーを変えるとか、何らかの形、制度をつくって財政的な措置をとったらいいんじゃないかというようなことも議論をされている。これも確かな議論であろうと私は思いますけれど、私に言わしむれば、NHKは持てる力をフルに動かしているかどうか、この点をもう一度直視をすることがいま一番大事じゃないだろうかというふうに思います。そして、この持てる力がフルに番組づくりに集約されたときに、NHKに対する信頼が生まれて、NHKは何としても国民の広場としてこれを維持発展させなければならないという国民の皆さんの御参加が得られ、そこから聴視料、受信料の問題も私は向上し、発展をしていくんじゃないだろうか、そういうふうに考えます。
 これは私見として失礼なことを申し上げることになるかもしれませんが、お許しをいただきたい。フルに力を発揮できない一つの要因は、組織が巨大になり過ぎて縦割りの機能が先行をして、横のコミュニケーションがとれないところに問題点があるんじゃないだろうかと思います。たとえば、事件が起こる、番組ごとの取材は懸命に、克明に行われますけれど、全局的な取材なり統括というものが果たして機微に応じてできるかどうか。個々には私は申し上げません。こういうところから類推をするとセクショナリズムが起こる。お互いの領分は侵さないでそっとしておこう、こういうことになったら、これはまさしくNHKの持てる力が本当に総力を発揮できない一番大きなみぞになるわけでございます。
 これがあるかないか、私は政治がそういうところまで介入をする必要はないと思いますけれど、私の知人なり地方の人が口をそろえて言うことは、たとえば磯村さんが開拓したテレビのニュースとはというあの番組が地方に与えた影響はすこぶる大きいけれど、一体中央は何をしているのかという疑問とか批判となって返ってきている声も私は十分にそしゃくをしていま申し上げているつもりでございます。いかがでしょうか。
○参考人(堀四志男君) お答え申します。
 NHKの組織が他のあらゆる大組織と同じように縦割りであり、それからもたらされる幾多の欠点については御指摘のとおりかと思います。その一般論については御指摘のとおりだと思いますし、またそういうものが全くないというのは私はうそだと思います。しかし、それが何とかなくなるように、私は一昨年でございますか、NHKスペシャルという部を設けまして、そしてたとえば先ほど御指摘になりましたNHK特集はその部で制作しておりますが、その部だけじゃなくて、その部にはわりとパーマネントスタッフと申しまして、少しの、その部としては余り多くの人間を持っていないんでございます。そして、テーマが決まりましたごとに各部から有能な人を集めまして、知識を結集して番組の成果が上がるようにやっているわけでございますが、それも今後はさらに大きなテーマを与えることによって、さらにNHK各部の持っている力が番組に、ブラウン管にはっきりあらわれて視聴者の御満足を買うように、またNHK一生懸命やっているなという印象を与えられるように努力をしたいというふうに思っております。
 なお、磯村君がテレビニュースという、ことに新しいNHKとしては一ページを加えたわけですが、これも必ずしもNHKだけの成果でございませんで、各放送関係者の努力の一つのあらわれだと思っております。そして、私たちはいまNHKの中の磯村が去ったからそれで後はだめになったんだというんじゃ、いま各社も同じような努力を重ねている中で、競争におくれて視聴者の批判を呼ぶわけでございますので、その点についても、今後運営面も含めまして努力を続けたいというふうに覚悟をしております。
○木島則夫君 大変率直に現状をお認めになり、しかもその中で何を志向するか、いま短いお言葉ではございましたけれど、堀総局長がおっしゃったことは、実は私が御提言申し上げたかったことにもつながることです。
 と申しますのは、縦の機構とか横の機構とか、そういう巨大化した組織を一回打ち破るために、私はどえらいスケールの番組をおつくりになってみてはいかがかと、こういうふうに御提言申し上げたかったわけです。それが一点。その中にはもちろん現代の悩みに真っ向から取り組む番組、こういうものも私は含ましていただきたいし、それは時間の枠を超え、テレビの枠を超えたものであっても差し支えない、そういうふうに御提言を申し上げたい。
 それから、確かにNHKの番組、NHKの性格、体質というものは、私ども四十代以上の人間には口当たりがいい。で、これからテレビ離れをしようとする、テレビに対して一つの批判を持っているヤングゼネレーションというものをどうテレビに吸収していったらいいか、これは私は非常に大きな問題だと思います。確かにヤングを対象にした番組はございます。ございますけれど、それがつまり四十代の感覚を持った人がヤングの番組をつくっているんではないかと思われるような、体臭もバイタリティーも感じさせないようなものも中にはある。こういうことも私は問題であろうと思います。
 その二点について、ひとつ堀総局長、どんなことをお考えになっているのか。私はここらがこれからNHKが本当にNHKのカラーを発揮し、国民の皆さんと手をつなぐ本当の広場たり得るかという、何と言うんでしょうかね、正念場だろうと思いますけれど、堀さん、ひとつきょうは本音で、NHKこんなことを考えているんだよということを御披露いただけませんか。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 この席がそういう多少でも私の夢を申し上げるのに適当な席かどうか、ちょっと疑問でございますが、たとえばドラマにいたしましても、御承知のようにいい脚本なしにいいドラマが生まれないというところで、いろいろ脚本についての経済的な手当てもいたしまして、時におほめにあずかるようなドラマもできるわけでございます。大きなスケールの番組と、しかもNHKの総力を結集し、先ほど木島委員が申されました価値の多様化、変動からくる一種の国民のファンというものにも対応する番組となりますと、かなりの準備期間による、いわばいいドラマの脚本に当たる部分が組織的かつ継続的に行われた成果を問うということに相なるかと思いますが、私はこれはできたら来年から一つのテーマを、まさに国民的なものに対応できるテーマ選びまして、そういう準備に入りたいというふうに思います。したがって時間がかなり長いことかかるという点についても、私はある程度の覚悟をしているわけでございます。
 それから、若い人にチャンスを与えてという、そして年寄りが若い者向けの番組をつくる、そういう欠点と申しますか、それをなくするようにということでございます。御指摘の趣旨はよくわかりますし、またそういう意味で若い人がビビッドな番組をつくっているという例もローカルその他で十分ございますので、そういう教訓を、自分自身が得た教訓をNHK全般に及ぼしていきたいというふうに考えております。
○木島則夫君 細かい内容について議論を申し上げる時間がございません。ひとつそういう方向で勇断を持って進めていただきたいと思います。
 ラジオについて私の素直な感想を言わしていただくと、ラジオというものが視聴者の中に見直されてきているということでございます。たまたまNHKの出版協会がお出しになっている「放送文化」を拝見をいたしましたら、「ラジオが変わる!!」いう座談会が載っておりました。NHK、民放の現場のプロデューサーの生の意見が述べられていて、大変興味深く私は読ましていただきました。その中に、何年も同じことをやっていれば衰弱しますよという発言やら、しゃべって終わってはいさよならという現場の素直な反省が述べられていたり、一方、心の中のコミュニティーを考えたい、ラジオで本当の本音まで引き出したい、プロデューサーの個性をもっと出せないかという意欲が述べられておりまして、ただいま脱皮中ということで終わっております。私はこれを読んで、送り手の現場のプロデューサーの中にも、いまのラジオをもっとよくするために真剣な模索が行われていることを知って力強く感じた次第です。
 で、NHKはテレビの番組改定に続きまして、ラジオについても近く外科手術的な大改革を行うということを伺っておりますけれど、これはどういう反省から、どんなねらいで、どのような内容のものになるんでしょうか。あらましで結構でございます。お答えください。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。
 ことしの四月十五日から二十四日に至る間、関東地方一都六県の約四千人をピックアップいたしまして、ラジオについての調査を行いました。その結果、いろんな調査をしましたが、先ほど最上委員にお答えしましたとおり、ラジオに対する関心が高まっているということが特に数字の面ではっきりいたしまして、たとえばテレビ以上にラジオはよいというのは五%、テレビとは別にラジオはそれなりに役立つというのは五七%でございます。テレビがあればラジオは全く要らないとお答えになった方が七%に比較しますと、ラジオの受けとめ方が非常に重要視されているということがわかりました。しかしながら、九〇%以上、すなわち特に昼間の聴取者はながら聴取であるということもわかりましたので、その種の聴取態様の変化及びラジオに対する関心の高まりに応じて私たちは番組改定を行いたいと、こう思っているものです。
 特に先ほど申し上げましたとおり、十一月二十三日に周波数が変わりますので、その日を中心に一週間特別編成をいたすと同時に、その後、ことに夜の七時台は七時台の、八時台は演芸、九時台にはラジオ小説を含めての教養的なもの、十時台は総括というふうに、ことに夜間専心にラジオをお聞きになる方がふえておりますので、その方々がお聞きになりやすいような番組編成をかえまして、その編成を機会に内容の充実に努めて御期待にこたえたいというふうに考えておる次第です。
○木島則夫君 そういう趣旨でひとつテレビと格差をつけないで、やっぱり双方とも大変大事なものなんだという御認識のもとに進めていただきたいと思います。
 それにつけても、私は目の御不自由な方がラジオを聞いている情景とか、ラジオを抱え込むようにして一生懸命ラジオに耳を傾けているような情景を思い浮かべますたびに、ラジオというものもいいもんだなあ、大事なものだなあ、だから大事にしていってほしいという感想をここで申し上げておきたいと思います。
 一方、不幸にして災害が起こった際は、情報はテレビよりもラジオに頼るケースが非常に多いことはいままでの災害時でこれはもうよく経験をしたところでございます。最近の宮城県沖地震の際、NHKのラジオがどう対処したかを取り上て問題点を一、二伺っておきたいと思います。
 六月の十二日の午後五時十五分、宮城県一帯は八分前の震度二の余震に続いてかなり大きい地震に襲われたわけです。そのときちょうどスタジオにおりましたアナウンサーが、「また地震です。激しく揺れています。」こう述べてNHK仙台放送局の地震情報が始まったということでございます。私は多くの方々から、NHKは本当によくやったというお話を聞いております。初めに、災害時のラジオの重要性を知るために、この地震に際しましてどれくらいの人々がラジオの情報に頼ったか、きっと御調査があったと思いますので、それがあればデータとして聞かしていただきたいと思います。
○参考人(堀四志男君) お答えいたします。地震の情報の入手手段のメディア、何によったかということを、六百一人を抽出して調査いたしました結果、約七二%がNHKラジオというふうに答えておりまして、当日あるいはよく聞いたという中の、情報入手の手段として約七〇%の方がNHKラジオによったというふうに調査の結果は出ております。
○木島則夫君 それだけの方々がNHKのラジオに情報を依存したというその一言だけでも、これはやっぱり大変だなと私は思うんですね。仙台では、ラジオで聴取者の不安といったような心理的な状況をきめ細かく配慮をしながら、市民に安心を与えるような情報を頻繁に送り出していること。また、たとえば、ガスは点検するまで使わないようにといった災害予防的な注意も出しております。また、個人の情報もどんどん出していた、こういう点はいままでになかった点と思います。そこには、これまでの災害放送からの発想の転換があるようです。これが無意識な発想なのか、意識的な発想なのかは別にいたしまして、結果的に、いままでの災害放送というものは、災害の現状や結果のニュースにウエートを置き過ぎたこれまでの出し方であったと思います。そういうものから、防災的な配慮を優先させた出し方への転換、いま言ったように、これが現場の中で無意識に行われたのか、意識的に行われたのかは私はわかりませんけれど、とにかく大きな転換であったと思います。
 今度の仙台の場合には、被害もそれほど甚大なものではありませんでしたし、電話線が生きていて、情報の収集や個人情報の提供が可能であったことなど、確かに条件もよかったと思うのです。仮にもっともっと大きな被害が出て、電話線も切れた場合にどうするか、またもっと大きな過密都市での個人情報の扱い方など、問題はないかと言えば、これはそのケース、ケースによって、場合、場合によって問題点も違ってくると思います。仙台の地震情報の成功は、集約しますと、限られた地域の中でそれほど激甚な被害がなかった、寄せられた個人情報も善意にあふれていたなど、条件が幸いしたことはいま申し上げたとおりです。しかし、これがほかの災害放送の場合にそのまま適用されるとは限りません。恐らく現場で経験した方々も、この体験が初体験であった方も多いと思いますね。
 たとえば大都市、東京とか大阪のような都市で、個人情報が果たして個人情報としての安心感を与える効用があるかどうか。ためにするデマ情報というものがないかというと必ずしもそうではない。マイクの開放というものが、かえって放送局の編成権、編集権というものを放棄することになっていきやしないだろうか、これやあれやを考えますと、私は今度の仙台の災害の折に得られた教訓というもののデータから、放送事業体、つまり七〇%の人がNHKのラジオ放送に災害情報を依存したという事実によっても明らかなように、今後、ここから起こった問題をどういうふうにまとめていったらいいか。たとえばプロデューサーなりアナウンサーが外に出る、群衆が私にマイクを、ぼくにマイクをと言って個人情報をアナウンサーからマイクを取って放送したら、一体編集権なんていうものはあるのかどうか、そういうことなどもおもんばかりまして、どうでしょうか、将来の参考となるような一つの形態と申しますか、体系というようなものがここから生まれ、そしてこれがラジオ放送の将来にある種の変革を起こすことにつながっていくのか。
 断わっておきますけれど、これは私は法律でそうあってほしいとか、法律で拘束をしてそうあってほしいなんということをいま言っているんじゃない。あくまで放送局の自主性において、こういう問題が研究されなければならない。いかがでしょうか。将来どういうふうに問題点を把握し、整理をし、これを類推をしていこうとなさるのか、いかがでございましょうか。
○参考人(堀四志男君) 今回の宮城県沖地震の対応につきましては、先ほども申し上げましたように、年に二回必ず行われている災害訓練及びそのたびに行われている放送に対する反省会というものが一つの実を結んだんだと思っておりますし、また個人情報の提供につきましても、実は新潟の地震のときの体験のレポートを踏まえての処置でございまして、したがって絶えざる日常の努力というものが結果的に幸いすると、総括的にはそう思っております。しかしながら、今回の宮城県沖地震の放送がうまくいきました条件は、いま御指摘のとおりの条件で、一歩間違えば果たしてああいう成果が上げられたかどうかは私自身も疑いを持っておりますし、ある意味で絶えず薄氷を踏む思いで反省を続けるというような総括をしているところでございます。
 で、今後の施策につきましては、御承知のいろんな資材の完璧さというものももちろんでございますが、その他、人間系のソフトの災害に対する責任感と、そしてそれに対するふだんの訓練と、あるいは柔軟な物の考え方というのが必要じゃなかろうかと思って、まあ実地訓練のたびに反省を行って災害に備えるということです。何か抽象的な態度の表明にとどまりまして御不満かと思いますが、それ以外に具体的にどうするということもケース・バイ・ケースでいろいろございますので、これをもって答弁にかえさせていただきたいと思います。
○木島則夫君 やや質問の大筋から外れると思いますけれど、こういう小さいこともひとつ要望しておきたいと思います。テレビ時代の中では、とかくトランジスタラジオの電池がどうなっているか、トランジスタラジオがどっかにしまい忘れられてしまっているんじゃないだろうか、そういうことを絶えず喚起をなさることも災害を未然に防ぐ備えにつながる、こういうきめ細かな配慮こそ、私はテレビ、ラジオ併用時代の一つのあり方だと、これは要望だけでございます。
 で、いろいろ問題点ございますけれど、私の持ち時間が参りましたので、私はひとつ結びをここで一、二分言わしていただいて、最後に会長と郵政大臣の御意見を伺いたいと思います。
 私は、きょうは番組を中心としてお尋ねをいたしました。限られた時間の中で、私が番組の問題に終始をいたしましたのは、放送事業体にとって番組が勝負だ、番組の一点にしぼって評価をしたい、こういう立場から番組問題にしぼってお尋ねをしたわけです。
 で、さきの委員会で審議の際にも、NHKは公共放送を十分に意識してほしい、だけど萎縮をしてほしくないということを申し上げてまいりました。困難な財政事情、価値観の多様化の広がり等等、NHKを取り巻く情勢はきわめて厳しいものがございます。だからこそ、私はNHKは萎縮をするな、こういうふうに御激励を申し上げてまいりました。確かに経営委員会のメンバーの更新あるいは何らかの形、制度をつくって財政的なバックアップをするような方策もこれは必要かもしれません。私は、大事なことは、内部の体質改善と申しますか、やる気――精神的拡大再生産という言葉がいいかどうかは別といたしまして、いまこそ精神的な意味で拡大再生産に向かって進んでいただきたい、こういうふうに思います。
 会長を初め、NHKの指導者の方々にお願い申し上げたいことは、迎合とかすり合わせの合理的な刷新ではなくて、現実を的確にとらえて、個人の悩み、社会の問題点など、四つに組んでの番組づくりを勇気と決断を持って実行していっていただきたい。外部からの支えが、あなた方、つまりNHKの持てる力がフルに発揮されない中で潜行したとしたならば、それこそ表現の自由、言論の自由の放棄につながりかねない事態になることです。
 最後に、会長の決意と、私のこのような考え方に対する郵政大臣の所信を伺って私の結びとしたいと思います。
 失礼なことを申し上げたかと思いますけれど、私は放送を愛し、NHKが本当に国民の広場になっていただきたいという気持ちから発したものでございます。御了承ください。
○参考人(坂本朝一君) 大変的確な御指摘をいただきまして、先ほどから感謝をしておる次第でございます。
 この委員会で私もたびたび申し上げておるとおり、NHKが国民に何をもってこたえるかというのは、もう番組をもってこたえる以外にないんだと、したがってまず番組の充実ということに努力すべきであろうというふうに考えております。ただ、NHKを取り巻きますいろいろな厳しい状況の中で、ともすれば手がかじかむあるいは手が縮まるというようなことがあってはならないというふうに思っておりますので、私はそういう意味で、大胆に番組制作に当たるべきだということは日ごろ指導しておるつもりでございますので、いま先生の御指摘に十分おこたえする決意でもって事に当たりたいというふうに考えておる次第でございます。
○国務大臣(服部安司君) 御指摘の問題、私も傾聴いたしました。大変感動したという言葉はオーバーかもしれませんけれども、公共放送を健全に育て上げたいという強い意欲に燃えている私は、大変感銘を受けました。
 放送法の第一章総則第一条にもはっきりと明記されております。まず私は、この「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」、言うならば、何人にも侵されないという、法律で守っているわけでありまするから。そういった考え方でやはり公共放送の使命を、会長以下全員が十二分に理解、体得されて、国民の期待にこたえてもらいたいものであるということを強く感じたわけであります。もちろんその監督官庁である郵政省といたしまして、所管大臣としましても、今後は緊密な連携をとりつつ、何人にも侵されない、いわゆる決まった方針はもちろんこれは真剣に比較検討せねばならないが、勇気を持って国民のために放送事業を行ってもらうように努力してまいりたい、指導してまいりたい、かように考えております。
  〔委員長退席、理事案納勝君着席〕
○青島幸男君 私、せんだって多重放送の問題につきまして幾つか御質問した際に、著作権のことに触れましていろいろお話を申し上げたんですけれども、その際に、テレビの画像の中にもう一つ違った画像が映るというような機器が開発されつつあるということを申し上げたんですが、幸か不幸かその機械がすでにできまして、カタログまで、私、持参しましたが、もう御承知と思いますけれども、こういうものでございまして、一つの画像の中のすみに他局の画像が同時に映るという筋合いのものです。
 これは宿命的に著作権を侵害する可能性を持っている機器だから、こういうものが次々に開発されたりふえていったりするということが、著作権というものを空洞化してしまうのじゃないかという懸念を抱いて申し上げたわけですけれども、まさにNHKさんとしても、良質な画像で人々の心に深く訴えるようなものを、構図の上からも色の上からも十分に配慮をしてオンエアしているわけですね。その十分に配慮した絵に全くNHKの意図、真意と関係なく、違う画像が同時に映って、その画像をいわばめちゃくちゃにしてしまうような可能性を秘めた機器があるわけですね。こういうものはNHKさんにとっては決して歓迎する機械じゃないと思うんですけれども、よく調べてみますと、こういう機械をつくって、こういう機械で見てもらっちゃ困るんだというようなことはNHKは言えない立場におありのようですね。
 出すまでもございませんが、放送法九条の六に「放送受信用機器若しくはその真空管又は部品を認定」したり、放送受信用の機器の修理を業としたりしてはならない。また、どんな名目であっても、「無線用機器の製造業者、販売業者及び修理業者の行う業務を規律」したり干渉したりできないことになっていますね。ですから、そういうものをつくってもらっては著作権があってもなくても同じことになる、だからそういうものをつくってもらっちゃ困るんだということを言えない立場におありになることは事実なんですけれども、しかし、こういう機器があるということは、知らず知らずのうちにNHKさんは他の局の画像の著作権を侵害するということに加担するようなことになりますし、また逆に、NHKの画像は他の局によって侵害されるおそれがあるということですね。NHKは、この機器の業者についてとかく言えない立場におありでしょうけれども、こういう受信機を歓迎するとはよもや思いませんけれども、こういう機器についてどういうふうなお考えをお持ちか、まずNHKの感じ方を御説明いただきたいと思います。
  〔理事案納勝君退席、委員長着席〕
○参考人(堀四志男君) ただいま御指摘になりましたのはテレビ・イン・テレビという機種かと思います。ところが最近新たにいま一つ、テレビ・アウト・テレビというのも開発されました。NHKといたしましてはテレビ・アウト・テレビの方を歓迎する次第です。
○青島幸男君 確かにそうなんです。私もここに一つカタログ持ってますけれども、テレビ・アウト・テレビですと、同時に二つ見たいという要求をお持ちの方も中にはおいででしょうから、そういう要求は、別にこういう機器がなくとも二つ買ってきて違ったチャンネルを見ればいいわけですから、お互いに侵害し合うこともないわけです。こういうテレビならば私は著作権云々で問題になることばないと思いますが、中に映るということは、こういう機器があるということは、たとえばこういうことをお考えになったらどうでしょうね。NHKの総合と教育を映して見ているわけですね。そうすると、この機器はNHKさんがみずから自分の著作権を侵し、著作権を侵されていることになるわけですね。ですから、こんなものは望ましいわけはないと私思うんです。アウトテレビにするのなら一向に構いませんが。
 著作権の問題なんですけれども、切りかえたり、いやだから見ない、消してしまうというのは、それは見る方の御随意ですから一向に構いませんが、画面の中に違った画面が入ってくるということは、当然著作権を侵しているわけですから、NHKさんがふだん、特に著作権を侵すようなことのないようにという配慮からだと思いますが、外国の名作のフィルムなどを勝手に編集なすったり、カットなすったりなさらないで音声もそのままお送りになるということは、その著作物の権威といいますか、持っている芸術性というものを全く損わないようにしたいという御配慮からだと思うんですが、NHKさんはそういう御配慮を持ってやっても、この機器がある限り、そういうことが侵されてしまうということなので大変私は心配に思うんです。
 ただ、幸か不幸か、こういう機器がそんなに爆発的に売れるとは私思いませんし、これが白黒テレビがカラーテレビにかわったような勢いで取り入れられるとはよもや思いませんので、そんなことにはならないと思いますが、ただ、こういうものを放置しておくことが、著作権というものの意味、とかくわが国では形のないものには余り注意を払わないという傾向がそれでなくてもあります。一回金を払って買ったものなら、どう放送しようといいじゃないか。また見る側も、横になって見ようと縦になって見ようと、間に何をはさもうと構わないじゃないかというような認識を持ちますと、これは大変なことになりはしないかということで申し上げているんですけれども、著作権の問題になりますと、文化庁おいでいただいていると思いますけれども、文化庁ではこういう機器についてどういう御見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(小山忠男君) 結論の方から先に申し上げたいと思いますが、いまお話がございましたようなテレビ・イン・テレビの場合は、著作権法上、そうした人格権との関連で特に新しい問題を生ずるというようなことはないと考えております。
 と申しますのは、この場合問題となり得ますのは、著作者人格権の中の同一性保持権という権利でございます。この同一性保持権という権利は、著作者が自分の創作しました著作物のタイトルとかあるいは内容につきまして、その意に反して修正とかカットとか、そういう改変を受けない、そういう権利でございます。
 そこで、このテレビ・イン・テレビの場合でございますけれども、第二の画面によりまして第一の画面の一部がカットされまして、たとえば映画の放映の際に、その映画の作者であるプロデューサーとか監督の同一性保持権というものが侵害されるという可能性があるというような指摘がございます。この場合、いまもお話がございましたように、視聴者というものはみずからの選択によりましてテレビの画面を操作しております。したがいまして、第一の画面につきまして当初からその一部分がカットされたような内容になっているというような誤解を与えるおそれはないと考えられます。
 同一性保持権と申しますものは、著作者の意に反する改変によりまして、ある作品があたかも最初からそのようなものであるかのように、いわばイメージダウンした印象とかあるいは誤解を与えるような場合に人格上の利益の侵害があったものとみなす、そういう考え方に立脚しております。したがいまして、テレビの画面が当初から一部分カットされたというような場合でございますと、これは人格権侵害という問題が生ずる余地があると考えますが、テレビ・イン・テレビの場合には、そこに視聴者の自由な選択が働くということから、全くそういう場合とは条件が違うと考えられますので、特に人格権侵害という問題の生ずる余地はないというふうに考えております。
○青島幸男君 非常にむずかしい表現でおっしゃいましたけれども、つまり、見る方が勝手に操作するんだから、絵として局側が流すのは勝手な改変をしたりしていないんだから、見る人の側にたとえば選択権があるんだから、その選択権によってどうされようといいじゃないかというような御見解だと思います。
 しかし、こういう機器がたくさん出てくるというような状況になりますと、かつて白黒テレビとカラーテレビが半々ぐらいのころに、監督さんたちが、文字だとか表示だとかに、カラーフィルムで撮る場合もなるべく黄色を撮らないでくれ、黄色で表示するようなものは、カラーで見たときははっきり黄色に見えるんだけれども、白黒の場合、白の壁に黄色の字が書いてあるのはどうも白黒のテレビでは見にくいから、それはやめてくれという制約があったわけです。これと同じように、恐らくここにこういう画像が入るであろうから、なるべく重要な絵は外して撮るようにというような規制さえ出てくるかもしれませんね。しかも、このテレビのおもしろいところは、四すみに自由に動かせるようになっているわけですね、小さい方の画像は。しかも、適宜これを大きい方の画像とスイッチ一つで切りかえられるようになっているわけです。ですから、便利といえば便利ですけれども、なるべく四すみを切ったところで、たとえばスリラー映画などの重要な秘密だとか、あるいは事件のかぎみたいなものはなるべく端に映さないようにしないと、そこを見損なっちゃうと何のドラマだかわからないわけですね。そういうことのないようにしなきゃならないだろうということで、つくる人間たちにそういう強制さえ与えかねない、そういう強制まで受けるというようなことになると大変だと私は思うんですよ。
 そういう可能性さえ持っているんだから、見る人間が勝手に操作するんだからいいじゃないかという議論は当たらないような気がするんですけれどもね。そういう御見解をお持ちならお持ちで結構なんですけれども、ただ、こういう機器がどんどんあらわれてきたりしますとそういう可能性もはらんでまいります。ですから、十分に御検討をいただきたいと思います。
 で、私の申し上げていることもよく御理解いただきまして、この著作物としてつくっている人間たちの立場をもうちょっと思いやりのある考え方でごらんになって、なるべくならそういう機器は――これどういうことなんでしょうね、著作権を侵すからつくっちゃいけないという指令が出せるのか出せないのかですね。あるいは通産省で、これ人命にかかわるような自動車の欠陥ですとすぐもう問題になりますね。自動車ですと、すぐもう欠陥部品は回収しろ、そこは直せという命令が出るわけですし、当然そうしてもらわなきゃ困るわけですけれども、おおむねそれと同じぐらい将来の芸術作品に与える影響は私は大きいと思うんです。こういうものがどんどんばっこしてきて、そのことによって制約されるようになったら、本当に芸術性とか、著作権とかの意味というものは全く皆無になってしまいはしないだろうかということを大変恐れるわけですけれども、会長お聞きになっていて、私のこういう懸念というのは全くもういたずらな心配でしょうかね。それとも私の申し上げていることも一理あるようにお考えになりますか、どうでしょうね、その辺の見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(坂本朝一君) 放送する方の立場から申しましても、青島先生の御指摘の点はそう軽々に見過ごすわけにはいかないんではないだろうかと。ただ、いろいろな面がございますから、一概にけしからぬというわけにもいかないかと思いますけれども、やはり慎重にあらゆる点に御検討をいただく必要があるんではないだろうかと思います。ただ、聴視者の立場に立てば、私は必ずしも二兎を追う者一兎を得ずということもございますので、先ほどおっしゃったようにそう爆発的にこの種のものが売れ行きがあるかどうかということはちょっとにわかに予想しかねるんでございますけれども、しかし、やはり相当重要な問題は含んでいるだろうというふうには思っております。
○青島幸男君 そういうことだと思います。当然。これ放置しておきますと、意欲もかなり減退するんじゃないかという気がしますね。
 たとえば、最近のテレビごらんになっていてよくおわかりだと思うんですけれども、こう窓越しなんかですとか、あるいはガードの下なんかでうんとガードを大きく映しましてね、本当に下のすみに主人公が映っているというようなこった構図がかなり多く見受けられますし、画面自体も、画像自体も大きくなっていますね、受信機自体が。ですから、そういうこった画像、初期のころの小さい画像では余り効果をあらわしませんでしたけれども、最近の画像の中では、特に深刻なドラマにいたしましても、そういうふうに演出家がこって撮るわけですね。そうしてこって撮ったはずの画像をこういうテレビで映されると、何にもわからないわけですな。ですから、その芸術性を非常に損なう可能性を持っておるということで、ただお役所仕事でそういう懸念はないだろうというようなことで文化庁お考えになって一笑に付するというようなお考えではなくて十分に検討して、こういう機器が好ましくないというようなことで、著作権を守る方向に進んでいただければありがたいと思いますけれども、御検討くださることだけお約束いただけますか。
○説明員(小山忠男君) 現在の著作権制度における考え方につきましては、いま申し上げたとおりでございます。
 それで、いまお話ございましたように、いまこの機器につきましては非常に重要な問題を抱えておるということでございますので、そういう点は十分関心を持ちまして、将来問題が生じないように十分検討してまいりたいというふうに考えています。
○青島幸男君 大臣、どうでしょうね、こういう機器がふえてくるということは、私も幸か不幸かと言いますか、この会社にとっては不幸なことでしょうけれども、爆発的にヒットするとは思えません。しかし、こういう機器がやたらふえてくるということは監督官庁としてもちょっと問題なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(服部安司君) これはきわめて高度の法律的な問題であると思います。著作権ということになりますと。私は願わくは著作権保護という、これは法律で保護していますが、著作権協会というりっぱな団体もあるわけでして、こういった関係者が事前に十二分に話し合って、後で問題の残らないようにしてもらいたいものであるなあと、先ほどから感じている次第でございます。
 私は、直接この著作権問題についてはこれは文化庁の所管でありまするが、放送をあずかる行政官庁の立場で、機会があれば、先ほど来申し上げておりますとおりによく話し合って、後で問題の残らないような処理をしてもらうように指導してまいりたい、かように考えております。
○青島幸男君 実はこの会社は、この機器を開発するに当たりまして監督協会などと事前に話し合いをしたという事実を私は知っております。どういうものだろうかと、決して好ましくはないし、こういう危険をはらんでおるということを監督協会は申し入れをしたそうです。しかし、営利目的の会社ですから、需要があればいいじゃないかということで、しかも文化庁のあるいは考え方、公式な見解ではないと思いますけれども、恐らく先ほど説明受けましたような回答をベースにいたしまして、恐らく著作権侵害のおそれはこの機器が持つということはないだろうということでスタートしたらしいんですけどね。
 私もよくわからないんですけれども、どういう目的でこの機器をつくったのか。たとえばときどき野球の結果などをドラマを見ながら知りたいというようなことなんですかね。しかもテレビですから、テレビの機器を宣伝する場合にはテレビを主に使うだろうと思うんですね。そうすると、テレビでまず何とか劇場というのを流していて、コマーシャルの時間になったらすかさず視聴者はかちゃんと入れかえてコマーシャルを小さい方にして野球を大きくして見ているでしょうな。そうなると、自分のところで枠を買って大金かけて宣伝して、そのためにコマーシャルを目一ぱい時間見られないでしまうという結果になりはしないかと思うのですけれども、その辺を考えますと、どうも二つ同時に見るということにどれだけの意味合いがあるかとか、その辺を考えますと、その機器が爆発的にヒットしないことを私はひそかに望んでいるわけですが、その心配もないんじゃないかと思います。
 皆さん方からの著作権をいかにして大事にしていこうかという御意見も承りましたし、この機器があるのは仕方がないと思いますのでね、今後とも一層つくる人間たちの権利と意欲というものを大事にしていってほしいということが、やはり放送を一般国民に本当に親しまれるものにするためにはきわめて基本的な原則だと私は思いますので、この機器の問題ではなくて、そういう問題も十分お考えいただきまして、今後の放送事業に備えていただきたいと、こう思う次第でございます。
 時間が少し残りましたが、以上で終わります。
○委員長(赤桐操君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤桐操君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤桐操君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 日本放送協会昭和五十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(赤桐操君) 全会一致と認めます。よって本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤桐操君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時散会