第087回国会 大蔵委員会 第15号
昭和五十四年四月二十六日(木曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     河本嘉久蔵君     真鍋 賢二君
     藤川 一秋君     岩崎 純三君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         坂野 重信君
    理 事
                梶木 又三君
                藤田 正明君
                和田 静夫君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                岩崎 純三君
                嶋崎  均君
                戸塚 進也君
                藤井 裕久君
                細川 護煕君
                真鍋 賢二君
                勝又 武一君
                竹田 四郎君
                福間 知之君
                吉田忠三郎君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                佐藤 昭夫君
                渡辺  武君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
   政府委員
       経済企画庁物価
       局審議官     坂井 清志君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       大蔵政務次官   中村 太郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵大臣官房審
       議官       天野 可人君
       大蔵省主計局次
       長        禿河 徹映君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省証券局長  渡辺 豊樹君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
       大蔵省国際金融
       局長       宮崎 知雄君
   説明員
       外務省中近東ア
       フリカ局アフリ
       カ課長      原口 幸市君
       外務省経済協力
       局国際機構課長  木村 崇之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する
 法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○勝又武一君 一昨日は大臣が御欠席でしたので、そのときにお伺いしましたが、国債の消化につきまして再度お伺いをいたします。
 一昨日の理財局長の答弁では、国債の消化は大丈夫です、心配はないですと胸を張って答弁をなされておりましたが、私は本当にそうだろうかというように思うわけであります。
 確かに四月債の一兆円を国債発行世話人会がお引き受けになった。そのときのお話は局長も涼しげなお顔でおっしゃっていらっしゃいましたけれども、金融界は相当無理に引き受けているのではないのかというように私は思います。売れるのかという心配、あるいは評価損が出るかもしれないと、あるいはまた近く金利が上がるだろう、こういう先高感等々を持っていると思うんですが、率直に言って一兆円を押しつけられたという印象を持っているのではないかというように考えますが、この点、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 昨年に引き続いてことし十五兆円余りの国債でございますから、消化も並み大抵なことではないと考えております。簡単に消化できるとは私ども考えておりませんけれども、今後いろんな多様化をやりまして、やはり市場の実勢に合わせたものを出したいというふうに考えている次第でございます。
 場合によっては、十年物はきらわれている向きもありますから、もっと期間を短縮したものを発行してもいいというようなことで、それからもう一つ考えなきゃいかぬのは、やっぱり個人消化が案外十分いってないんじゃないかと思うんです。その他、安定消化層をどうやってつかむかということがこれからの大きな課題でございまするけれども、あらゆる手を尽くして、これだけは円滑な消化を図ってまいりませんと予算の執行ができないことになりますので、全力を挙げて努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、一時国債の消化、四月債を見送るというような時期もございましたけれども、これは金利が上がるんじゃないかといううわさが市場に流れまして、その先行きの見きわめがつかぬということで事実上発行がむずかしいというような時期もございましたけれども、先般の公定歩合の引き上げで大体のめどがついたことから、金融界としても証券界としても、今度の一兆円の割り当てというか、引き受けにつきましては快く協力をしていただいた次第でございます。決して渋々引き受けてもらったというふうには私どもは考えておりません。七分二厘債と言えば相当の高利回りの金利でございます。今日の金融機関の資金状況から言えば決して無理な投資物件ではないと、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
○勝又武一君 同じように、理財局長が一昨日私の質問に対しまして、金利は「当分の間」上げない、こう再三繰り返されたわけですが、「当分の間」というのは、それを過ぎればもう上げるということにもなるのでありまして、まさに利にさとい金融界のとこであります。しかも金融制度調査会が金融関係諸法律の抜本的な改善を目指しまして本年の六月ごろですか、答申を出そうとしている、そういう現況にもあると思うわけです。
 それともう一つは、一兆円というのは四月だけでなくて、五月債、六月債、毎月毎月これは一兆円程度のものが出てくる。こういうことについては、やっぱり金融界に対して大蔵省が大きな借りをつくっている、こういうことを印象として国民が持つと思うんですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(金子一平君) 金利水準は、まあ当分というよりも今日の経済情勢が続けば、その間はもうこのままこういう状況で私は国債も発行できるんじゃないかと、またしなければいかぬと考えております。
 と申しますのは、経済活動がやっと今日活発になりましたのは、やはり金融緩和の低金利のおかげでございまして、これそうむやみやたらに金利を上げたら、それこそまた企業活動が萎縮するだけでございますので、物価と景気の両にらみの財政金融政策をとるということを前々から申し上げておりますのは、そういう点から申し上げているような次第でございますので、恐らく日銀当局としても、金利をそう簡単にどうこうするということは――特段の、特別の突発的な事情ができれば別でございますけれども、それはまず考えられないというふうに私どもは考えている次第でございます。
○勝又武一君 六・一国債と七・二との差の問題なんです。
 一つは、新発債と流通利回りの差についてお聞きをしたいんですが、三月国債の場合には〇・八%の差を〇・四%だけ詰めた。それでもなお四月発行が一時できなかった。今回は〇・七%上げてもまだその差が一・一%ある。これではもうなかなか売れない、こういうように考えるのもあたりまえだというように私も思いますが、一体それだけの乖離があって本当に売れるようになるのか、具体的にその理由をお聞かせいただきたいと思うのです。
○政府委員(田中敬君) 前回の改定のときにも御説明を申し上げましたが、市場実勢が〇・八ぐらい開いておったのを〇・四埋めた、その〇・四残りがあったというふうに客観的な数字では見えますけれども、しかし、その残った方の〇・四というものは、これは市場実勢というよりも先高金利感その他あるいはまた六・一という非常に低クーポンに対する抵抗感というようなものがあったためでございまして、実勢というものは恐らく〇・四あるいは〇・五、その近辺の数字であったと思います。これはいろいろ利回り計算をいたします場合に、直利方式、単利方式、複利方式というようなことで流通価格を再検討いたしてみますと、大体そういう数字が出てきたわけでございます。今回も同じでございまして、六・一%国債が八十八円程度で流通利回りが八%を超えるというような状況のもとでの改定でございましたけれども、これも公定歩合論議が行われておるというような最中で、そういう意味での金に対する先行きの不透明感というものが大きかったこと、それから、やはりいま相場として上場されておりますものが、取引所の通則といたしまして現存する最長期ものを上場するということになっておりますと、どうしても六・一%という低いクーポンのものが上場され、その相場気配が出るわけでございますが、六・一%物につきましては、いま申し上げましたように、非常にクーポンが低いということ自体から、長期金利の実勢以上にこれがきらわれまして、低い価格をつけるという実態になっております。
 私どもは三月に国債の条件を改定いたしまして、一カ月間、今回改定するまでの平均の利回りを先ほど申しました三つの方法で検証いたしました結果、〇・七ぐらいが適正であろうと判断をしたわけでございます。
 また、この〇・七を決定いたしました判断につきまして、市場関係者、すなわち公社債の流通市場をあずかる証券会社あるいはまた国債を引き受ける金融機関を中心とする引受シ団につきましても、〇・七%の改定幅というものは実勢に見合った十分の改定幅であったという評価をいたしております。そういう点で、私どもは六・一という低クーポン債の市場実勢と申しますか、現状気配相場だけで長期金利の実勢というものを判断するのは非常に危険であろうと思ったわけでございます。
○勝又武一君 私がこの問題を何でこんなにおとといからくどくお聞きするかといいますと、何というんでしょうか、善意は別として、結果的に国民をだますことになってきているわけですよ。だからお聞きしているんです。
 そこで大臣にもう一度お聞きしますけれども、金利を上げないというのは、「当分の間」という意味ではなくて、よほどの事情がなければという答弁だというように先ほどお聞きしましたが、新聞では理財局長は年内という言葉を使われた。そこで私がおとといはくどく「当分の間」というのはどうだということをお聞きしたんですが、明らかでありませんでしたので、新聞にはそう書いてあった。
 そこで大臣に再度お聞きしますけれども、まず年内は国債金利の引き上げということはあり得ないと、こういうふうに明言なさることができますか、国債の金利。
○国務大臣(金子一平君) 私は「当分の間」というのも相当長期に考えておりまして、いま勝又さん、年内とおっしゃいますから申し上げますが、年内にまた続いて上げるようなことは全然考えておりません。この程度の引き上げで安定すると私どもは考えておる次第でございます。
○勝又武一君 それでは、六・一国債と七・二国債との利子の差の問題についてお伺いしますが、二月買った方は六・一だったと、四月末、あさってあたり買えば七・二だと、わずか二カ月ちょっとの差で一・一%の差が生まれる。
 おとといもお話ししましたが、この六・一国債が先週末で八十七円六十九銭になったから売れば損するので、十年持っていれば損しませんよ、こういう議論がありましたけれども、その議論は別にいたしまして、それとは全然別に一・一%の利子の差が二カ月ちょっとの差で生まれている。しかもそれは十年間続く問題ですね。
 そして定期預金でもほかの預金利息でもみんな同じですよという答弁が恐らくあると思いますが、国民の側から見ますと、とらの子の退職金を充当したものが圧倒的に多いと思うわけです。そういう意味からいきますと、定期性の預金は一年か二年ですけれども、国債の場合は十年である。この十年間の一・一%の差というのは私は大変大きいというように考えるのがあたりまえだ。しかもこの利子の差の生まれてきた国民の受ける損失、しかもこれは国債の大量発行、国債の暴落、発行停止、公定歩合の引き上げ、国債金利の引き上げというように、すべて政府の財政運営の失敗からきていることじゃないか。ですから大衆の側から言いますと、大衆を守っているという気持ちは全くなくて、ただ金融機関のみを擁護しているというように思うわけです。
 しかも、これはきのうの新聞の広告ですけれども、こういう大変大きな新聞広告に、国債ですから安全、確実と、こういうようになるわけですから大変政府の責任は大きい。そういう意味での責任を政府としてどう果たされようとしているのか、大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(金子一平君) 勝又さんのおっしゃる意味は私よくわかります。まあしかし、金融情勢で金利を上がったり下がったりさせなきゃいかぬことが政策上どうしても必要なことが多いものですから、国債につきましても八分何厘債も出ておりますし、その後六分六厘債、六分一厘債と下がってきて、また六分五厘、七分というようなことで、そのときそのときの情勢によって金利の上げ下げがあって、これが国債を買った人に対してプラスになりあるいはマイナスになる、その点は私どもも十分わかるのでございますけれども、まあやはりこれだけの大量国債発行いたしますと、私どもとしては少なくとも今度の七分二厘債を安定させればおのずからやはり六分一厘債の方も安定しますので、これは七分二厘債出しますとちょっと一時的には下がります、古いやつは。しかし、国債の市況全体として安定することになると思うのです。その安定を一日も早く図りたいということ、同じ問題は預貯金についてもございまして、そのときそのときの金利政策でやはり上がったり下がったりする同じような問題があるものですから、極力このぶれを少なくするようにこれからもできるだけ持っていかなきゃいかぬという感じを抱いておる次第でございます。
○勝又武一君 これはいつ聞いても水かけ論なんですが、いまの大臣の答弁でも不満なのは、国債の価格そのものの安定という問題と別にしまして、私がお聞きしているのは十年間の利子の差の問題なんだ。そうするとそれは定期性預金でも同じだとおっしゃる。ところが定期性預金の方は一年とか二年とか短期なんだ。国債の方は十年間だと。しかも、その原因は国民の側の選択の問題よりは大量国債発行という政府の政策的な責任の方が大きいんじゃないか、こういう意味でくどくお聞きをしているんですが、答弁は依然として同じですのできわめて不満ですが、その問題は終わります。
 そこで、国債利子と所得再配分という観点から考えてお聞きをしたいんですが、五十四年度の国債費四兆三百億のうちで支払い利息が三兆二千億ぐらいでしょうか。それから五十五年度から五十九年度までの国債費の内訳を見ましても、その八割は大体国債利子の支払い分だと。たとえば六十年度の国債費十一兆七百億のうちで八兆四千億が利息だと、こういうようにお聞きをしているんですが、これは大体五十三年度の文教予算の二・二倍ぐらいになるわけですね。大変そういう意味でも膨大な額だと、同時にその膨大な額が税金から支払われている。そして、その大部分というのは金融機関、証券会社、そういう支払い先になっている。
 そこで私考えるんですが、税負担の逆累進性の問題もございますし、不公平税制の実態ということもある。そういう上に立って、この大量国債発行の、結果的に年間八兆四千億から九兆円近い利息が特定の層に支払われる。まさにこのことは所得の再配分の機能、そういうものが減殺されている、こういうように私は思いますが、大臣としてはいかがお考えなんでしょうか。
○政府委員(田中敬君) 事務的に先にお答えさしていただきます。
 勝又委員の御指摘の所得再配分の問題でございますが、国債の発行というものは財政にいろいろの機能が与えられ、所得再配分機能あるいは調整機能というようなものが付与されておりますが、公債の発行というものは、別にこれは所得配分機能という面には全然着目をいたしておりませんで、これは一つの歳入調達手段として行っているものでございます。また、御指摘の非常に多額にのぼる国債の支払い利子が税金で支払われる、お説のとおりでございます。
 これがどういうふうに配分されて支払われていくかと申しますと、五十三年度末現在の国債の保有者の分類を見てみますと、個人等が約二一%、市中金融機関が四八%程度、運用部が一〇%程度、それから日本銀行が吸い上げたものが約一九%程度でございます。ですから、この支払い利子というものが保有者別の構成がこのようであるとすれば、このような比率で支払い利子が払われるわけでございます。市中金融機関あるいは証券会社に利息が支払われる、これが所得再配分機能を非常に阻害するんではないかという御指摘でございますが、金融機関に支払われます利子と申しますのは、金融機関が引き受けました国債の引き受けた資金と申しますのは、大部分が個人等の預金から引き受けているわけでございます。金融機関といたしましても、引き受けた預金を国債に運用し、あるいは貸し出しに回しまして、そこで一定の収益を上げて、そしてこれを預金者に利子として還元するということでございますので、国債の支払い利子というものも回り回って金融機関に預金をした方に返っておるという点にも御着目をいただきたいと存じます。
○勝又武一君 そのこともよくわかりますけれども、しかし、大衆である国民に返るのは預金の利息として返るだけであって、銀行、金融機関における内部留保の問題もあるでしょうし、非常に私はこれは問題が多いと思います。しかしただ、きょうは本論でありませんので、これもきょうのところはこの指摘だけにとどめておきたいと思います。
 そこで、五十四年度予算との関連について次にお伺いをしたいんです。
 何回も指摘をしてまいりましたが、国債の売れ行き不振、価額の値下がり、応募者利回りと流通利回りの乖離、そして公定歩合の引き上げ、国債利子の引き上げ、そしてついにプライムレートも〇・五%引き上げざるを得なかった。国債の大量発行によるクラウディングアウトが生じたと言っていいと思うんです。これはもうお認めになると思うんですが、ところが昭和五十四年度の予算は、ここにもありますけれども、景気の回復を図りつつ財政の再建にも配慮を加えること、これを予算編成の基本方針としております。
 そうすると、この予算編成の基本方針といまのこの事態というのは矛盾するんじゃないんでしょうか、どうなんでしょうか。国債発行条件の引き上げがプライムレートの引き上げにつながったわけでありますから、いままで言ってきました政府の経済政策の破綻でありますし、むしろ予算案のつくり変えこそが必要でないのかという観点もあると思います。ですから、三月のときに〇・四%の小幅な引き上げでお茶を濁す程度にやったのは、むしろ本年度予算案を成立させる便法ではなかったのかとさえも私も思うわけです。
 そういう意味でいえば、クラウディングアウトが生じたことによりまして、五十四年度の当初から政府が志向しています本年度財政の基本が崩されたと、こういうことになると思うんです。そういう意味で、このような本年度の予算というのは、予算そのものが矛盾を露呈したわけでありますから、政府はこの欠陥予算を組んだことに対する責任があると思うんです。そういう意味での政府の認識なりあるいはこれに対してどのように対処しようとしていらっしゃるのか、大蔵大臣の見解をお聞きをいたします。
○国務大臣(金子一平君) 確かに、予算編成当時の経済情勢と今日の経済情勢は相当変わりつつあります。あの当時はもうとにかく不況のどん底にある日本経済をどうやって立て直すか、活力を与えるかという点に重点を置きながらやってまいりましたけれども、予想外に早く、何というか、企業がある程度活力を得てきておる状況であると思うんでございます。しかし、だからといって経済企画庁で今日策定しております経済七カ年計画をこの際全面的に改定しなきゃいかぬような状況ではない。したがって、私どもも財政の運営、金融政策のかじ取りにつきましては、経済の動きに十分あわせてやっていかなきゃいかぬと思っておりまするけれども、いま直ちに財政全般について、予算全般について見直しをしなきゃいかぬような状況であるとは考えておりません。
 それから、クラウディングアウトが金融界にもう生じておるとおっしゃっておりますけれども、今日はまだそういう段階までいってないんです。これは相当、秋口以降にあるいはそういうことになるかもしれませんけれども、金融市場の繁忙の状況等について専門家にいろいろ話を聞いてみますと、まだとてもそこまで元気を出している段階ではありませんよと、こういうふうに私どもは言われております。さように理解しております。
○勝又武一君 いまの最後の大臣のおっしゃったクラウディングアウトが発生しているのか、生じている状態にあるのかないのかというところについては、私はやはり幾つかの専門家の意見を聞きましても、大臣の見解と違うように思うわけですけれど、これもやや水かけ論的な感じがいたしますので、きょうはおきます。
 そこで、財政収支試算についてお伺いをいたします。
 国債の発行につきまして、五十一年度の財政収支試算の場合にはたしか五十五年度にゼロにする。それから五十二、五十三年度分は五十七年度にゼロにする。本年度の五十四年度分は五十九年度に国債発行をゼロにする。こういうように、もう毎回毎回この財政収支試算と国債発行の打ち切るめどが違っている。たとえば、税収の見込み値も毎年違いますし数字も毎年変わっておる。毎年大幅な改定をしておるのに守られてもいない。
 私は、財政収支試算というのはこれきわめて簡単なお粗末なものだ。余りにも専門家の大蔵省にしてはラク過ぎるんじゃないか。何か予算委員会と大蔵委員会にまあ適当にこれ配っておいたらいいんじゃないかという程度にさえ率直に感ずるわけですよね。御反省はありませんか。
○政府委員(吉野良彦君) 御指摘のように、財政収支試算はある意味できわめてラフなものでございます。何回か御答弁申し上げましたが、今回御提出申し上げております財政収支試算も、先般閣議了解になりました七カ年計画の基本構想に描かれております六十年度の経済の中でとらえられます財政上の幾つかの指標、社会保障の水準でございますとか、あるいは六十年度までの公共投資の累積額でございますとか、あるいは六十年度に描かれます租税負担のあり方、そういった幾つかの指標に即しまして五十四年度の一般会計予算と先ほど申しました六十年度の幾つかの一般会計の姿を描く材料になります指標とを機械的にいわば結びつけたものでございます。その限りにおきましてラフなものということは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、私どもこの財政収支試算といいますものは文字どおり試算と心得てございまして、年度別のいわば一般会計の予定を必ずしも示しているものではございませんで、その趣旨あるいは目的といたしますところはやはり六十年度の経済の姿、そこに描かれます、想定されます一般会計の姿を概括的にとらえまして、そこまで、五十四年度から六十年度までに至ります一般会計の大まかな筋道を描き出しまして、今後毎年度毎年度の経済の運営あるいは財政の運営に当たります場合の一つの基本的な手がかりにしようと、こういう趣旨で御説明を申し上げているわけでございますので、そういった目的なりあるいは趣旨からいたしますれば、いま程度の概括的な姿でもそれなりの機能と申しますか、意義を果たし得るのではないかと、かように考えているわけでございます。
○勝又武一君 この試算の三ページに表がございますが、たとえばいままで税率の弾性値も毎年一・二だと、あるいは成長率の伸び率、きわめて形式的ですね。私がラフだというのは一つはそこにあるんです。ですから、たとえばいま試算の三ページの表にある税収の伸びを見ますと、五十五年度はこの試算の作成段階では大蔵当局は一般消費税の導入を予定されていらっしゃるわけですね。ところが、この五十五年度の増税所要額は一兆二千六百億ですよね。大変少ないんじゃないんですか。
 それから、五十六年度以降の毎年の増額分も大蔵当局なりに一般消費税導入と基本で言ってらっしゃるんですから、それと比較して余りにもラフじゃないんですか。この辺などどうお考えですか。
○政府委員(高橋元君) 税収でございますが、この財政収支試算の三ページにも書いてございますように、また先ほど主計局からお答えを申し上げておりますように、この試算の中の税収は各年均等に一〇・四%の経済成長が続く、そういうことを前提といたして想定をいたしておるわけであります。
 五十九年度において特例公債から脱却をすると、それが今後の財政運営上必要であるということでございますので、五十九年度と六十年度の間は弾性値丁二、われわれが過去において経験をしてまいりました長期弾性値を使いまして一・二で伸びるという想定をおきまして、五十九年の税収と五十五年の税収の間を等比でつないだわけでございます。
 確かにいま委員からお話のございますように、そういう点はラフではないかということでございます。私どもそういう面があることは否定はできないと思いますけれども、ただ五十四年度現在でわが国が持っております税制で毎年毎年等比一〇・四%という名目成長を前提といたしまして出てまいります税収というものをはじいてみて、それと先ほど御説明申し上げましたようないわば必要な税収との差額を(3)の(イ)というところに示しておりますような各年度の数字にばらしたわけであります。
 したがいまして、五十五年度の一兆二千六百億、例で申しますと五十八年度の二兆一千億、これが税収としていかなる税制が現行税制以外に必要かどうかということについて特に考慮をいたしておるわけではないわけであります。国税全体として必要な税収額、現行税制から出てまいります税収との差額がこういう等比でつないだ二つの線のすき間として出てまいる、五カ年間を通じて九兆一千百億円という新しい税制の導入が必要であるということをこれはここで申し上げておるわけであります。各年の税収というものは、景気の動きによって平均の一〇・四%の成長のあるいは上にいき、あるいは下にいくことがあるというふうに思います。
 それから、経済全体の運営にいたしましても、こういうふうに等比で伸びる経済というのは、そもそも長期で考えます場合の趨勢としては意味があるわけでございます。現実的には等比で伸びる経済というものはないわけでございます。各年の経済情勢なり社会情勢なり国民の負担のあり方なりというものを具体的に考えて、各年度の税制改正でいかなる既存の税制の増収なり、それから新しい税制の導入なりをお願いをいたすかということは、具体的に各年度に即して考えてまいるべきことではないかというのがこの試算をつくりましたときの私どもの考え方でございます。
○勝又武一君 私は二、三の指摘にとどめましたけれど、世界に冠たる名だたる大蔵省、経済企画庁ですね、皆さんの総力を結集されたら、もっともっと綿密な、そしてしかも総合的に正確なものができると私は思います。またしかも、つくる必要があるんじゃないんでしょうか。五十三年十二月二十七日でしょうか、財政制度審議会建議にもございますね。ここに持ってますが、財政健全化に対する国民の理解を得るためにも財政計画の策定を行えと、こういう建議であるわけです。私は大蔵省が財政計画の策定ということにきわめて消極的だと、なぜなのかと指摘をせざるを得ないわけなんです。
 そこで、最後にお聞きしたいのは、国民的なコンセンサスを得られるような中長期の財政計画を立てる、そしてこれを遵守するようにする必要があるんじゃないか、そして大蔵省はそれに耐えられるような綿密な総合的な財政収支試算というものをつくる必要があるんじゃないか、こういうふうに私は思いますが、大臣の御見解をお聞きをいたします。
○政府委員(吉野良彦君) ただいま委員御指摘のとおり、昨年の暮れの財政制度審議会の建議におきまして、「財政健全化に対する国民の理解を得るためにも、財政運営の中期的展望を何らかの形で策定・提示することが必要である」という建議をいただいております。
 財政制度審議会の建議のみならず、先年来国会でも財政計画の策定の必要性をつとに指摘をいただいておりますし、私ども大蔵省といたしましても、今日のような大量公債に依存する財政の現状からいたしましても、やはり中期的な展望を持った財政運営が特に重要であるということを痛感をいたしておりまして、財政計画という性格のものを何らかの形でやはり策定をする必要性があるという認識をいたしてございます。
 ただ、昨年暮れの財政制度審議会の建議にも同時にあるわけでございますが、「いわゆる財政計画の策定については、当審議会において鋭意検討を行っているところであるが、問題が広範多岐にわたっており、なお検討に時間を要すると考えられる」ということも財政制度審議会ではおっしゃっておられるわけでございます。
 これも別の機会に御説明申し上げましたが、財政制度審議会では昨年九月以来、特に財政計画のための特別の部会をおつくりになりまして精力的に御審議をいただいているわけでございますが、何分にもやはり問題の性質が広範であり複雑であるということもございまして、今日までなお的確なる御結論をいただける状況にはなっていないわけでございます。事務当局といたしましても審議会任せということでは決してございませんで、先年来精力的にいろんな角度から勉強をやってございます。言い訳になるようでございますけれども、非常にむずかしい問題を含んでございますので、ともかくできるだけ早く急ぎたいという気持ちはございますけれども、現在までのところ、いつまでにどういうような形のものを御提出申し上げられるかというようなことは申し上げられるような状況にないということも、またひとつ御理解をいただきたいと存ずるわけでございます。
○勝又武一君 次長のおっしゃっていることは理解できません。
 そこで、大臣に最後にこの問題でお聞きしますけれども、もっとやはり綿密なものをつくるという必要があるんじゃないですか、その点だけ聞かしてください。
○国務大臣(金子一平君) 勝又さんのおっしゃることはごもっともだと思うんです。私も、できればひとつ早くそういうものをつくったらどうかということを内部でも言っておるんですけれども、やはり問題は、経済の動きが刻々と動いておる。しかもこれは日本だけの経済ではございませんで、世界の中の日本の経済だものですから、いろんな動きがございまして、たとえば、冒頭に御質疑をいただきましたときにお答え申し上げましたように、昨年末と今日とでは経済情勢が相当変わってきておる。それだけに、やはりなかなか具体的な計画の面でどうしていくかというとやっかいな問題があるものですから、いま吉野次長からも申し上げておりますように、財政制度審議会でも問題の把握が非常にむずかしいということでおくれておりまするけれども、御趣旨は私はそのとおりだと思います。何らかの手がかりになるようなものを早くつくりたいという気持ちには変わりございません。
○勝又武一君 それでは、この国債の消化と日銀の引き受けについて、この問題について最後にお聞きしたいんですが、これは調査室でつくってくださった資料の十三ページ、これによりますと、五十二年度末の日銀の保有が一九・七%、さっき理財局長御説明になりましたね。あれと同じように一九・七ですね。
 そこで五十三年の十二月時点、国債の四十一兆、これに対する日銀の保有高はどのぐらいになっておりますか、その数字だけもしわかったら簡単に言ってくれませんか。
○政府委員(田中敬君) 五十三年の十二月の数字は先般まで持っておりましたが、ことしの三月末がわかりましたので、その数字を申し上げます。
 発行残高が四十二兆六千百五十八億円、うち日銀保有分八兆二千四百六十一億円、運用部四兆三千百億円、市中金融機関二十兆七千二百八十一億円、個人等九兆三千三百十五億円になっております。
○勝又武一君 そこで、そういう金融機関なりその他の市中の国債の消化力のいわゆる限界がきた場合、その場合には日銀が引き受けるしかなくなるんじゃないかということが一つ懸念されますが、いままでどおり新規の国債、これについて日銀は直接引き受けない、これは大臣明言をしていただけますか。
○国務大臣(金子一平君) 新発債について、日銀に引き受けをさせるようなことは絶対にいたしません。
○勝又武一君 そうしますと、最後にお聞きしたいのは、いま絶対にいたしませんということですので、そうならば、財政法五条のただし書きについて、日銀が新発債についても直接引き受けることができると、そういうことを含んでいるというように私は思います。
 そこで、国債発行のこの歯どめ論も一時期のような熱もなくなってまいりましたし、政府が大量に国債を発行し、その歯どめもない、しかもそれをすべて日銀が引き受けるという、そういう余地を、大臣の言明はありましたけれど、法律的に残してあるというのは重大な問題だと思うんです。そこで厳重にやはりこの五条のただし書きを改正したらどうか。事務当局にいろいろお聞きしますと、時間がありませんから一方的に質問しますが、それは借りかえ債を発行するために五条のただし書きが必要だと、こういう見解でありました。
 そこで、日銀法の二十二条の二項「日本銀行ハ国債ノ応募又ハ引受ヲ為スコトヲ得」とありますし、国債整理基金特別会計法第五条「政府ハ国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ起債スルコトヲ得」、こうあるわけでありますから、もし財政法五条のただし書きはこの借りかえ債のみに限定するとおっしゃるならば、この特別会計法第五条の場合のみに限定をして行うことができると、こういうように条文修正をすれば日銀が直接引き受けるということを排除できる、こういうように私は思いますけれども、これについて大臣はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(吉野良彦君) 法律的な問題でございますので、私からお答えさしていただきたいと存じます。
 財政法第五条でございますが、先生おっしゃいますように、これは現在は日本銀行が保有をいたしております公債の借りかえにつきまして適用があるということで、毎年度国会に予算総則の形で御承認をお願いしているわけでございますが、そもそもこの財政法第五条のただし書きの立法趣旨でございますが、これは財政法が制定されました当時の論議の経緯を振り返りまして勉強いたしてみますと、必ずしも日銀保有国債の借りかえ発行のために、それを念頭に置いてそのために置かれた規定というふうには理解がされないわけでございます。
 当時の記録等も振り返って見ますと、やはり経済のことでございますから将来いかなることが起こり得るかそれはなかなか予断ができない。何が起こるかわからない。そういう万が一何らかの理由で必要を生じた場合に、その道を完全に封じ切っておくのはいかがなものであるかというような趣旨でこのただし書きが置かれたというふうに私ども理解をしているわけでございます。
 財政法は、御承知のように財政の基本法でございますから、基本法としてそういう何が起こり得るかわからないという場合を想定してそういう道を一応開いてあるということもそれなりの理由があるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
○勝又武一君 何が起こるかわからないというところがやっぱり一番問題なんです。だから戦争中にこれ適用されたんじゃないんですか。だから、そのことをやっぱり排除しておく必要があるというように私はくどく思いますので、これは法律論ではありませんので、大臣の御見解を承りたい。何が起こるかわからないからつくったという立法の精神、その通りでしょう。だから、戦争中にまさにこれを適用して日銀が直接引き受けやったんじゃないんですか。そうだとすれば、絶対やらないという大臣の言明であるならば、これはもう法律的な技術論でありませんので、大臣のひとつ絶対やらないという点について、ただし書き排除について……。
○国務大臣(金子一平君) 特別の事情のある場合がいかなる場合に該当するか、いまから予測することはできませんけれども、特殊異例の場合を考えてこういう立法にしたんだろうと思いますけれども、まあ私の在任中は、大量発行のもとですぐやるとかそういうことは一切考えていないという意味で、先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
○勝又武一君 時間ないから困るけれども、それじゃどうしようもないな。大臣の在任中じゃ困るんですよ、委員長。
○国務大臣(金子一平君) 申すまでもなく、国会の議決を得なきゃいかぬとかいろんなむずかしい条件をつけております。そういう意味での制約がございますから、大蔵省といたしましては軽々にこのただし書きを発動するようなことはするつもりはありません。
○勝又武一君 もう時間がありませんので、するつもりがなかったら、ぜひただし書きでそういうことをやらないように、日銀の直接引き受けはやらないんだということを法律的にも保証するようにひとつ検討していただくことをきつく要望して、質問を終わります。
○矢追秀彦君 初めに、私は、公定歩合の引き上げについて少し大臣にお伺いしたいと思います。
 物価の抑制を理由に日銀は公定歩合を引き上げたのでありますが、卸売物価上昇の主因が海外国際商品市況等海外要因にあると、このような従来の政府答弁からいたしますと、物価抑制のために公定歩合を引き上げる効果というものが期待できないと思いますが、その点はどうお考えになるのか。
 といいますのは、最近の資料を見ますと、三月の海外要因、卸売物価の上昇に対する海外要因は〇・五ですね、それから国内が〇・四、両方で〇・九%。四月の上旬は海外要因が〇・三、国内要因が〇・五、合わせて〇・八%。この四月上旬の海外要因、確かに三月よりは減ったにせよ〇・三%、〇・八%の中に占める〇・三ですからかなり海外要因というものが卸売物価上昇の主原因と考えてもいいわけです。
 といたしますと、この公定歩合の引き上げというものが物価抑制にそんなに予防的措置と言われておるほどの効果は期待できないのではないか。こういった意味で私は予算委員会でも、また当委員会でも、公定歩合引き上げについてはいまは時期尚早である、時期は間違っていないかということをずっと主張してまいりましたが、また大臣もすぐはやらないんだと、やらないやらないと言っておりながらやられたわけでございますが、仮に予防的な引き締めということが言われておりますので、もしそうであるならば、この海外要因が主因だという政府のいままでの考えからすれば、これは矛盾といいますか、物価抑制は私は期待できない、こう思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(金子一平君) 卸売物価の上昇が、海外要因によるものが相当のウエートを占めております。これを公定歩合の引き上げによって抑えることはこれはもう私も不可能と思うんであります。
 今度の公定歩合の引き上げの目的は、日銀総裁も言っておられますように、警告的な予防的な意味だということでありますが、その趣旨は、それが消費者物価にはね返ったり、あるいは海外の物資高騰の要因が二次製品に波及したり、あるいは思惑買いに走るような企業の動きを封ずる意味において効果があるということでございまして、いわば物価上昇のスピードが加速されるのを抑えるとか、あるいは物価上昇の幅を抑えるという意味においては十分の効果を発揮するんじゃないかと、こういうふうに私は考えております。
○矢追秀彦君 その点についても、私、再三大臣にも申し上げておりましたように、売り惜しみ買い占めが始まりつつある、しかしそれは公定歩合の引き上げというふうな形ではなくて、公正取引委員会等がもっと厳しいことをやる、あるいはあの法律を発動させる、いろんな手だてがあるんでありまして、ただこの公定歩合の引き上げだけでできるのかどうか。もし仮に譲って、予防的引き締めと言われるならちょっと〇・七五というのは高過ぎないか、もっと低い利率でよかったのではないか、こう思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(金子一平君) おっしゃるとおりだと思うのでございまして、そういう意味で、企画庁はもちろんでございますが、物資担当の通産省におきましても、個々の物価の監視、行政指導等について万全を期してきめ細かい物価対策をまたやることを決定いたしております。そういう意味において総合的に物価を抑えることにいたしませんと、一つ公定歩合上げたからそれで万事終われりだというような気持ちでは私ども全然おりませんことを申し上げておきたいと存じます。
○矢追秀彦君 それから日銀総裁は、公定歩合の引き上げで金利は上昇し貸し出しは抑制されると、こういうことを期待しておられますが、景気が上昇に転じたばかりであるのに金融を引き締めることは内需、なかんずく動意の見え始めた民間の投資回復に水を差すと、これは経済界のいろんな方、賛否両論この公定歩合引き上げにございますけれども、反対を唱えておられる方は、やはり民間設備投資の回復に水を差す、せっかく内需が起きかけておるところへ水を差すと、その結果生産能力の拡大が阻害されてくる、そういうおそれを言われておりますが、これについてはどうなのか。
 その景気回復が、私はかつての高度成長時代のような非常に需要も伸び、それに対して供給をふやすという形で過熱ぎみの回復であればいいんですが、現在景気回復していると言われているのは、もちろん設備投資も物によっては伸びてきておりますが、一つは減量経営あるいはまた以前にあったカルテル、そういったことが効き過ぎて、じゃあ今度は何か生産をふやさなければいかぬ、設備投資だ、そういうことで、しかもまた財政がかなりこの景気回復に大きな影響を及ぼしておる、財政負担が大変効いておる。そんなことからいたしますと、かつてのような高度成長期のいわゆる景気回復とは形が違ってきていると私は思うわけです。
 といたしますと、かつてと同じようなパターンで景気がよくなっているから締めたんだと、それだけでは私はちょっとまずいんじゃないか。むしろいま、もう少し堅実な、いわゆる本物の景気回復といいますか、学者の方によってはいまの景気回復は本物じゃないんだと、依然としてゼロ成長なんだという厳しいことまで言う方もおられますので、そういうことを考えますと、やはり水を差してくる可能性の方が強いのではないか、こう考えておるわけですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(金子一平君) 矢追さんのおっしゃるように、やっと活力を取り戻してきた経済界に水をぶっかけて活力をそぐようなことがあっちゃなりませんので、そういう意味において〇・七五%というような程度の引き上げに日本銀行としてもとどめられたのであろうと思います。
 私どもといたしましても、まあいま非常にインフレが強く進行しておる状況とも考えておりませんし、石油ショック時代と考えてみますと、やはりいつも申し上げておりますように、国内、日本列島総改造というような時代ではございません。また、需給のアンバランスもまあ大分縮まってまいりましたけれども、まだ需要がオーバーしているような状況とも考えておりませんので、そういう点を考慮して〇・七五にとどめて、なるべく経済の活力をそがないようにという配慮でいまのような公定歩合の引き上げが行われたものと了承いたしております。
○矢追秀彦君 これは今後の推移を見なけりゃわからぬことでございますので、また結果を見ていろいろ議論したいと思います。
 次に、最近の銀行貸し出しの増加、これを見ておりますと中小企業向けが伸びてきておるわけです。全国をとりましても、五十三年の八月が中小企業向けが五・四%、九月が六・二、ずっと上がりまして十二月が九・六、五十四年一月が六・六。それに対して中小企業以外は、五十三年八月が一・六から五十三年の十一月はマイナスの〇・三、十二月はマイナス〇・四、五十四年一月でマイナス〇・七%。これは都市銀行と地方銀行に分けましても大体同じ傾向。特に都銀の場合は、中小企業以外が五十三年の十月から五十四年一月までずっとマイナスが続いております。一方、中小企業向けは五十四年一月が八・九、昨年の八月が八・一。それから地方銀行にいたしましても、地方銀行は中小企業以外は都市銀行ほどは落ちておりませんが、やはり五十四年一月でマイナス〇・四と、五十三年の八月から十二月までは一応プラスになっておりますけれども、一・〇とか〇・九、一・一、そんな状況です。それに対して中小企業は五十三年八月が三・八からずっと上がってきまして、この一月でも五・二と、こんな状況に大ざっぱに言ってなっておるわけです。
 ということは、やはり大手、大企業というのは自分の持っている資金がありますから、そんなに借りなくてもいいというふうに私は思うわけです。ところが中小企業というのは、やはりまだまだお金を借りたいという、こういったところでずっとふえてきているところにこの公定歩合の引き上げということは、結局中小企業にとって大変な金利負担になってくる。そういう意味でも私は、時期についても、もし仮に上げるとしたら幅についても反対であるということを先ほど申し上げたとおりでございますが、この点についてはどうお考えですか。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、最近各金融機関とも中小企業に対する金融の比率が上昇しているわけでございます。これは相対的には大企業の資金需要が設備投資その他がまだ動き出してないということで低迷していることもございますし、それからまた、大企業が手元資金が潤沢になっているということもあるわけでございます。こういうことを背景に、しかしながら卸売物価等の物価の上昇に対して予防的な措置をとるということで公定歩合引き上げの措置が行われたわけでございますが、これによりまして預貯金金利の引き上げも行われますので、当然民間の金融機関の資金コストは上昇するわけでございます。したがいまして、短期プライムレートは、公定歩合の引き上げと間もなくこれと同じ幅で上がるわけでございますが、確かに先生御指摘のとおり、中小企業金融の金利も上がることは予想をされるわけでございます。
 ただ、資金需給がかつての引き締め期のように非常に逼迫しているという情勢にはございませんので、各金融機関とも必ずしも急激な金利の引き上げが行われるかどうかということについては、その点は必ずしも十分な見通しはないようでございますし、それからまた、卸売物価の上昇がこれによりましてその速度が抑えられるということになりますと、中小企業としてもその製品の原価の上昇は抑制されることになりますので、この点は中小企業にとってもプラスの点があるのではないか。したがいまして、この点を総合的に勘案した上で御判断願いたい、このように考えております。
○矢追秀彦君 いま局長言われた最後の卸売物価が鎮静するかどうか、これは私は石油の値上げが一つの一番大きな原因ですから、なかなかこれからむずかしい、こう考えますので、やはり今回の公定歩合の引き上げというのは中小企業にはかなりの負担になる、これはもう意見の分かれるところですから、こう主張をしておく次第です。大臣も同じ考えですか、局長と全く。
○国務大臣(金子一平君) お話しのような中小企業の問題がございます。それにつきましては、今後も、金利は上がりましたけれども、必要な対策だけは十分講じてまいりたいと考えております。
○矢追秀彦君 今回の公定歩合の引き上げと円相場の関連でございますが、どのような関連があると見ておられるのか、最近の動向の中から。それから、今後はやはり影響が出てくると見ておられるのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(金子一平君) たとえばアメリカと日本との間に相当の金利差があるもんですから、手持ち資金でたとえばアメリカの財務省証券、TBを買い取るというようなことで、相当大量の金額が流出しておった事実がございますが、これは金利差が縮まることによって十分抑えられますし、そういう意味で為替の安定に相当大きくプラスになると考えております。ただ、まだ今日の状況ではほかの要因で円安の動きはまだとまっておりませんけれども、今後の為替の安定には相当大きなプラスになるというふうに私どもは見ております。
○矢追秀彦君 余り時間がありませんので、次に国債の問題に移らしていただきます。
 国債の多様化について六年物、七年物の発行、そういった計画がされているということが言われておりますが、五十四年度予算は四月の三日に成立をしたわけです。審議に当たりましてわれわれに示された国債発行計画には六年物、七年物というのは入っていないわけですよね。もちろん、その国債発行計画は添付でございますから、それ自体は議決をされたものではありません。したがって、入ってないからこれは違法だとか何とかまでは私は言いませんが、やはり国会で審議をする以上、どうもこういったことが釈然としない感じを受けるわけです。国債償還期限の決定は大蔵省がすべてを握っておる。要するに国会では余りかけなくてもいいと、こういうことにもなってくるわけですが、一応償還計画というのはついておりますけれども、この国債の発行計画、いわゆる償還計画、特にいま申し上げた六年物、七年物が書いてない。これはどういった、やはり今後弾力的だからこういった点はもうやむを得ないとおっしゃるのか、この点はどうですか、国債発行計画添付との関係。
○政府委員(田中敬君) 六年物、七年物につきましては、これをどういうふうな形で発行するかということはただいま検討中の問題でございますので、確定次第また御報告の機会を得たいと存じます。
 しかし、いずれにいたしましても国債に関する法律に基づきまして国債の条件、この条件と申しますのは期間であれあるいは発行方式であれあるいは金利であれ、これは大蔵大臣に授権をされておりますので、その授権の範囲内でやらしていただけるものと存じております。
 ただ、本年度国会に提出いたしました償還計画表によりますと一応十年物、それから二、三、四年物というようなこと、あるいは五年の割引債というものを一定の数字を前提として償還計画表を提出申し上げております。
 昨年におきましても、五十三年度当初予算におきまして三年中期債というものは予定をいたしておりませんでしたが、国債市場の状況にかんがみまして、三年の中期債を年度途中で発行させていただきました。その際、ただいま矢追委員の御指摘のございました償還計画表との関連におきまして国会でも御論議をいただきまして、政府といたしましてはその際統一見解を御提出申し上げてございます。
 それは、ただいま申し上げましたように、の条件等は大蔵大臣の権限にゆだねられている問題である。しかし、一たん国会に償還表を御提出申し上げてございますので、年度当初提出申し上げました償還表と異なる国債の償還期が定められて、そのような発行を行った場合には、その都度国会に償還計画表を改めたものを御提出申し上げるということで、本件につきましては昨年御了解をいただいたものと存じておりますので、本年度におきまして、あるいは来年度以降におきましても、当初予定いたしたものより異なる償還期限という形の場合には、その都度変更表を提出さしていただくというふうにさせていただきたいと存じております。
○矢追秀彦君 まあ、従来の経緯は私もわかっておるんですが、ただこの五十四年度の公債償還計画に載っていない六年物、七年物を発行するということは、これは問題にならないか。さっき言われたことはよくわかるんですけど、今回は新たに出てくるわけですから、それがこの償還計画表には全然ない。そういうことができるというなら、国債償還計画に規定されている権限等も自由に変更できると、こういうことに結局はなってくると。
 まあ国債の多様化は私は決していけないと言っているわけじゃなくて、必要だと思います。しかし、さっぱり手続上この国債償還計画、またその反面での国債発行計画、この存在は軽視してはならぬと、こういうことをまあ御注意として申し上げたいわけですから、やっぱりこういう状況が大体予算編成時期にはある程度わかってたんじゃないかと思うんですがね。そうすると、やっぱり六年物、七年物を出す場合、償還計画等にきちんと出てきていいのではないかと、こう思うんですが、その点いかがですか。
○政府委員(田中敬君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、昨昭和五十三年度におきましても当初三年債というのは全然予定をいたしておらなかったわけで、昨年は十年債と五年の割引国債のみを当初予算では計画をさしていただきました。で、昨年の五月に初めて三年債を発行いたしたわけでございますが、そのとき御議論をいただきまして、新たに三年の償還期限が到来するような償還計画表をその際提出をさしていただいたわけでございます。
 本年度におきましても、御指摘のように、当初御提出申し上げました償還計画表では十年、五年割引、二、三、四年という種類に限定をされたものになっておりますが、六年物、七年物、これは今後どのような形でいつごろ発行されるかは、いまだはっきりしためどは立っておりませんが、その時点におきましては昨年の例にならいまして、昨年初めて三年債を創設さしていただきましたときの例にならいまして、今年度もそのような措置をとらしていただきたいと思っております。
○矢追秀彦君 まあ私が指摘をして言うのは、もう少しこの償還計画表、実際これだけではまあ余り計画と言えるものではないことば大蔵省もよくおわかりだと思うんですが、国会における審議権というふうな上から申し上げているのが一つと、もう一つは、やはりもう少しきちんとした発行計画というものが出されてこないと、経済は生き物ですから、ある程度はやむを得ないにしても、少なくも五十四年度予算編成、かなり年末ぎりぎりであるわけですから、いろんな経済の動きもわかってきておるし、そういった点の世界の情勢も、流動的とはいいながら、私はある程度きちんとした見通しを立てて、そうした上でやるべきであると。そういう意味で、やはり償還計画を立てた以上は、そこの中に、もし六、七年物を出すなら入れておくべきではなかったかということでありまして、後からこれ出しましたよと、それで御了解と、そういうことであれば、結局だんだんずるずるとなってきてずさんになってくる。そうすると、先ほどちょっと申し上げたように、いろんなことが自由裁量で変更されていく。
 そうでなくても大量発行ということはいまもう問題なんですから、その中でまたいろんな点がルーズになってくることを大変私は恐れるから申し上げておるわけでして、いま申し上げた点については大蔵大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(金子一平君) まあ、当初の償還計画どおり、発行計画どおりいけばこれは一番問題ないのでございまするけれども、とにかくきわめて経済界流動的でございますんで、十五兆という国債を発行しようと思いますと、ある程度銘柄の多様化をやっていかなきゃいけない。実情に即した多様化を図っていかなきゃなりません。その点はひとつお許しをいただきまして、発行計画を変更する、あるいは償還計画を変更するというようなときは、十分に大蔵委員会の皆様にも御説明をし、御了承を得るように、今後も取り計らってまいりたいと考えておる次第でございます。
○矢追秀彦君 時間ですから、多様化の問題まで入りますと時間オーバーいたしますので、私は最後に、いまその国債多様化でいろいろ苦労しておられる、これはよくわかりますけれども、まあ私、素朴な質問、疑問といいますか、いまの、先ほど来質問してきた問題もそうですけれども、要するに一番大事なことは何のために国債を出しておるのかということ。
 結局国債を出すことによって資金を集め、その資金で公共投資をやり、いろんなことをやって、結局は景気をよくし税収を上げていくと、こういうことにあるわけで、また国民も建設国債であれば、長い将来、六十年だと、将来自分たちの子孫といいますか、そこまでのためにあるんだから、まあ国に奉仕するために国債を買おうということになるわけですから、やっぱり一番大事なことは、いかに経済を安定した成長の中へ持っていくかと。もちろん国債いろいろ売ることも大事ですよ。これはまあ売らなきゃならぬし、大変だと思うんですけれども、もう少しこの大量発行をしなくても済む方法、これは再三私は歳出のカットということも言いましたが、今度は歳入をふやす。そうするとすぐ一般消費税と、こうくるわけですけど、そうでなくて、もう少し経済の安定成長ということに私はもう全力を挙げてやらなければ、一番もとのことはそこにあると思うんです。それで、潤沢な税収が出てくれば国債発行もそうしなくてもいい、償還もできると。ところが、どうもそちらの方が何か大変むつかしい経済情勢です。世界の情勢も厳しいし。しかし、その中でどう努力するかが大事なことで、そのためなら国債、まあいろいろ国民も納得をして買っていただけると思うんです。
 ただ、そうではなくて、何か経済運営というものにまだまだ自信がないといいますか、見通しがない、そんな状況ですから、大量国債を発行して国も借金財政大変だと、よけい国債というのも魅力がなくなってしまう、だから値下がりもすると、こういうことになってくる。やはり一番大事なことは根本的な経済の安定成長の軌道に乗せるということで、これはもう政府は前々から、オイルショックの後からもいろいろ言われてきて、まだまだきてないんですよね。前総理は全治三年と言われた。全治三年どころか、もう足かけ六年になろうとしてるわけですから、それでもまだ全治はしていない。少し治りかけたかなあという感じ程度。しかも、その中には大量の失業者という犠牲が出てる、こういうことですから、安定経済の成長軌道に乗せる、これはきちんともう現内閣でやっていただきたい。まあその所信といいますか、それをお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 経済の安定を図るために今日の大量国債を発行していることは申すまでもないことでございまして、景気がよくなって税収でも予想以上に出ればまた国債の発行も削減できるわけでございますし、そこら辺の点はこれからの先行きをながめながら十分考えてまいりたいと思います。私どもも歳出の削減に決してやぶさかではないのでございますが、うっかり――先ほどもお話し申し上げたように、経済の先行きに冷水をぶっかけるようなことをしちゃ困るものですから、そこらのさじかげんが実は大変むずかしいところでございまして、慎重にやってまいるつもりでおります。
○渡辺武君 昨年の九月期決算以来、わが国の、特に大企業ですが、減収増益という新しい形が出てきているわけです。
 これは申し上げるまでもなく労働者の大量首切り、それから下請、中小企業いじめなどを内容とする減量経営ということが進んで、売り上げ高は減っても利益の方は伸びるという事態を言ったものだと思うんですが、ことしの三月期決算、これは各経済関係の新聞や雑誌などを見てみますと、未曽有の増益だということが言われているわけですね。九月期決算も恐らくそれを上回るだろうという見通しになっているわけです。
 それで、これは経済成長率に税の従来の経験則による弾性値を掛けた税収見通しを上回る税収があるんじゃないかということを予測させるわけですけれども、五十三年度の法人税関係の税の自然増収はどのくらいと見ておられるのか、それからまた五十四年度についてはどう見ておられるか、まず伺いたい。
○政府委員(高橋元君) 二月末までの収納状況でまいりますと、前年対比で、十二カ月ベースの法人税収に対する進捗割合は前年に比べて四・四ポイント上回っております。昨年が十二カ月ベース、もちろん昨年は十二カ月ベースだったわけでございますが、九三・一でございまして、これに対して五十三年度二月末では九七・五ということになっておりますので、その差が四・四になっております。
 これは二月末の税収でございますから、一月から三月まで決算をされて三月から五月までに入ってまいります税収というものもまだ織り込んでおりませんけれども、そういった一−三月期決算分の法人につきましても法人の収益は順調に推移するであろう。したがって法人税収も順調に入ってくるであろうというふうに考えておりますので、五十三年度全体といたしますと予算額をかなり上回るというふうに考えてよろしいかと思います。
 ただし、私が申し上げました進捗割合というのは、五十三年度五月分の制度改正に基づきます税収は除外しております。したがって、三月期決算分が収納される五月税収がどの程度の伸び率になるかということにつきましては、いま渡辺委員からお話のございましたように、私ども民間の調査機関のいろいろな決算予測を見ておるわけでございまして、たとえば日本銀行の短観でございますと、ことしの三月期決算分は一一・五%のアップというふうに経常利益を見ております。これに対して、まあ名前を言ってもあれですが、一証券会社の見積もりでは二〇・一アップというふうになっております。
 経常利益の予測につきましても、民間の機関はいろいろ、委員もよくお調べだと思いますけれども、かなりのぶれがございまして、五月税収が幾らになるかということはいまのところはっきりした数字ではつかめないわけでございますが、いずれにいたしましても、法人税収は昨年の秋ごろに考えておりましたように予算を下回るということは全くなくて、かなりの自然増収が出てまいるであろうと思います。
 ただ、計数が幾らになるかということにつきましては、ちょっと、民間の経済予測につきましても大変なぶれがございます現状でございますから、いま申し上げるだけの自信がないわけでございます。
 五十四年度どうなるかということでございますけれども、五十四年の九月の対前期利益が増益と見ているところ、減益と見ているところ、これはさまざまでございます。それから五十五年の三月期になりますともっと見通しがむずかしくなると思うわけであります。
 いずれにしても、六月から五十四年分の法人税が入ってまいるわけでございますから、これからの経済の推移というものをよく見ませんと、予算額を上回るか下回るかということはなかなかいまの段階で私どもの見通しの能力を超えておる問題であると思います。
○渡辺武君 前回私は、すでに国債の価格の暴落などにあらわれている消化難が表面化しているという点から考えまして、五十四年度の十五兆三千億円もの大量国債発行、これは一層消化の問題で大きな問題に突き当たるんじゃないか、あるいはまた、他方ではクラウディングアウトとかインフレの高進とかいうような危険性も出てくるおそれがあるわけで、それについての対策を求めましたが、大臣からは、できるだけ国債も減額したい、それから支出の削減も検討するという御答弁があったわけです。
 そこで、伺いますけれども、税の自然増収を待つというだけでなくて、各企業がいまも申しましたように業績が急速に回復している状態に照らしまして、特別の税の増収対策を講じて赤字公債の削減を極力やるというお考えはございませんか、その点を伺いたい。
○政府委員(高橋元君) 確かに法人の収益については好転をしておるわけでございますが、法人企業統計で見ておりますと、いわゆる経常利益率というものにつきまして、異常に高い水準に到達しておるということではないようでございます。五十年の石油危機以後、法人の経営利益率は非常に低迷をいたしておりました。それがやっと――やっとと言っては言葉が悪いわけでございますが、ようやくにしていわば過去の正常の水準に戻りつつあるということかと思います。
 しかしながら、私ども国民の皆様に一般的な税負担の増加をお願いをいたすというような段階でもございますし、ことしの税制改正の中でも極力努力してそういうふうにしてまいったつもりでございますけれども、各種の準備金なりそれから特別償却なりそのほかの租税特別措置につきまして、随時社会経済情勢を踏まえて政策目的を勘案して見直しを行って、それによって法人関係の増収を図るということに努めておるわけでございます。
 たとえば、五十四年度の税制改正で申しますと、いろいろな企業関係の特別措置を整理をいたしたわけでございますが、五十四年度の増収で、平年度ベースで法人税が約二千二百億の増収でございます。それから価格変動準備金が今後五年または十年にわたって段階的に整理をしてまいりますので、それを見通しますと約二千百三十億の増収ということになろうかと思います。法人関係の税につきまして、租税特別措置の整理、そのほか貸し倒れ引当金の繰入率の縮減等によりまして四千三百億ばかりの増収ということを五十四年度の税制改正でもいたしたわけでございまして、法人税率に直しますと約二・四%ぐらいになろうかと思いますが、そういう努力と、また全体としての法人税率をどう考えてまいるか、国際水準なり企業の適正な経済活動なりというものとの中でどういうふうに法人の税率水準を考えてまいるかという問題もまた別途あろうかと思います。
○渡辺武君 大臣、いま答弁ありましたですけれども、まあ一般論はそのとおりだと思うんです。
 しかし、先ほども申しましたように、一方では国債の消化難、あるいは場合によってはクラウディングアウトやインフレの高進というようなかなり切迫した事態になってきているわけですね。他方で企業の方は減量経営で相当の収益力を持ってきておる。事実、予測として、正確にはまちまちな数字が出ているにしましても、かなり業績は向上しているということはほぼ見通しとしては一致しているわけですな、各経済専門誌の見通しとしては。
 そういう事態の上で、ことしの税制改正について、内容は私も承知しておりますが、改めてまた今年度中にさらに増収を図るための措置を講ずるという意図はございませんか。
○国務大臣(金子一平君) せっかくのお話でございますけれども、やっと税制改正を終わって、いま主税局長から申し上げておりまするように、法人税の税率で言えば二・三%ぐらい上がる程度の負担を企業にお願いしておるわけでございまして、一方においては、まあ景気は次第に回復に向かっておると言いましてもやはり企業によって相当ばらつきもございますし、それよりも先行きの経済見通し、これは日本だけの問題じゃないんです。OPECの六月の総会による原油のプレミアムが一体どうなるかとか、いろんなやっかいな問題がたくさんあって、多少まだ気迷い――多少というか相当気迷いの状況にあるような状況でございますので、この際特にまた改めて年度内に税負担をお願いするというのはいかがなものか。むしろそういうことをやりますと、せっかく上向いたところがそれこそぺしゃんこになるようなことになりますので、ことしすぐ新たな負担をお願いすることは考えておりません。
○渡辺武君 大臣ももう御存じかと思いますが、財界の代表的な経済調査機関である日本経済調査協議会ですね、これがことしの一月付で「これからの税制と租税負担のあり方」という表題の提言してますね。
 お読みになったと思いますが、この中に「資本蓄積、内部留保の充実といったこれまで重視された政策目標のために、税制を活用するのは明らかに時代おくれである。したがってこの目標に関連する各種の準備金や特別償却制度を廃止もしくは縮小すべきである。」というふうに提言しているわけですね。
 私ども最近、トヨタ自工とか松下電器とか新日本製鐵とか第一勧銀とか、こういう大企業の上位五十社の内部留保を計算してみたんです。昨年九月期の決算で十一兆六千九百億円とべらぼうなものになっているわけですね。石油ショック以来ものすごい最高の伸びをこの一年間示しているという事態になっているわけです。
 それで、こういう準備金とか引当金とか、これの増加にいわばいままで役立たせてきた税制ですね、その税金を取られる側の方で思い切ってこういうのは時代おくれだから整理しろという提言しているわけですから、大蔵省として大いにこの言葉いただいてやったらどうかというふうに思いますが、どうですか。
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のような準備金、引当金等が企業の内部蓄積に大きなプラスになって、それが企業経営の健全化に役立ってきたことは、これは紛れもない事実であろうと思います。しかし、それはそれなりの役割りを果たしてきましたけれども、いつまでもそういう制度をこういう財政窮迫の折から続けていいかどうか、これはまた別問題でありまして、そういう観点から、ことしも相当程度、いま御指摘のようなもろもろの特別措置についての圧縮、削減に努力をしてまいります。一遍に一〇〇%切りかえだというわけにはなかなかいきません。これは会社の方の都合もございましょう。経営をすっかり変えなきゃいかぬということになっちゃ、特に今日のような一種の困乱期では、やはり企業経営の背後にはなにがありますから、雇用の問題がありますから、ある程度雇用を維持しながら企業にもがんばってもらわなきゃいけませんから、そういう意味でことしも段階的ないろんな整理をやってまいっておりますが、来年度の問題としては、さらに御指摘のようないろんな問題につきまして徹底的に洗い直しをやりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 細かい点につきましては主税局長から申し上げます。
○渡辺武君 ちょっと主税局長答弁いただく前に。
 いま日経調の方でも準備金だとかそれから特別償却制度、これは廃止、縮小せよということを積極的に言っているわけですな。
 ですから具体的な問題として、たとえば価格変動準備金ですね、先ほどもお話ありましたが、ことしの税制改正で若干の措置はありますけれども、せっかく財界の方からこういう提言があるわけですから、特別償却制度も含めてこの際やっぱり思い切って検討すると、たとえば五年、十年というような価格変動準備金のああいう期間ももっと繰り上げるというような措置を考えたらどうかと、特別償却についても廃止もしくは縮小という方向で思い切って検討したらどうかというように思うのですね。
 それから、償却制度に関連して言えば、減価償却資産の耐用年数ですね、わが国の場合は外国と比べて短か過ぎるわけですよ。それで、これも従来からわれわれ問題にしていますが、もう減速経済へ入っているわけだから、高度成長のためにつくられたこういう制度というのもこの際思い切ってやっぱり検討するということも考えてほしいと思います。
 それから、貸し倒れ引当金や退職給与引当金ですね。これについてもしばしばこの委員会でも私ども提起しているわけですが、この点についても実態にもっと即したようにこの際検討をしたらどうか。
 私、もっと根本的な財源対策について申し上げたいんだが、問題は、いま大量国債の消化が困難で、もしこれ強行すればまた経済にそれなりの大きなマイナスの影響があるという事態ですから、差し当たってこのくらいは今年度中くらいに手をつけたらどうかという考えで言っているわけです。その点どうですか。
 それからなお、時間がないので全部関連して申し上げて申しわけないのですが、会社臨時特別税ですね、これは例の物価狂乱のときに一度制定しましたが、いま廃止になっているわけですが、とにかく卸売物価の動きなどは狂乱物価直前の状態に近いと、日銀総裁などもこの国会でそういう言明もしておられるわけで、それで、その背景にはやっぱり企業の大量の手持ち流動性というのがあって、これまあ在庫投資にも向かっているでしょうが、同時に仮需要、つまり投機が起こりつつあるという非常に危険な状態にあるわけですね。そういう状態も勘案をして、この税制をこの際やっぱり復活させるということもあわせて考えていただきたいというふうに思いますが。
○政府委員(高橋元君) 租税特別措置の改廃につきましては、先ほど大臣からもお答えございました。私が申し上げましたように、毎年毎年従来よりも厳しい目を持って見直しを図ってまいるということは、これはもう今後とも変わらない方針であると思います。
 なお、租税特別措置の中でいわゆる企業の内部留保の充実とか企業体質の強化そのものに向けられております措置というものは毎年毎年減っておりまして、ことしのグロスの租税特別措置の減収九千二百十億の中で内部留保充実とか企業体質強化ということは五百八十億の減収を見込んでおるわけでございます。そのほかのものは、環境対策でございますとか、貯蓄奨励でございますとか、資源開発の促進でございますとか、技術の近代化というようなことに向けられておるわけでございます。したがって、企業の内部留保の充実のための租税特別措置につきましては、特別措置の中でも先駆けてかなり整理を行ってまいったわけでございますが、今後ともこれは続けてまいる必要があると思います。
 それから価変でございますが、本年度の成立いたしました租税特別措置法で五年または十年の間に段階的整理を図るということで、昭和二十七年以来二十数年間続けてまいったこの内部留保の利益留保性の高い準備金につきまして整理を行ったわけでございます。今後二千百三十億ばかりまだこのまま十年間に増収が入ってまいる。それを短縮したらどうだというお話でございますけれども、大体価格変動準備金による減収の中で二%ものは御案内のように五年間で整理をいたします。増収額の過半は二%ものでございますから、ほぼ五年内に整理が終わるものというふうに思います。
 それから特別償却でございますが、これにつきましても、ことし廃止、整理合わせて十九項目整理をいたしました。特別措置の中で特別償却によりますものが大体全体の項目数で言いますと半分ございます。これにつきまして、公害でありますとか中小企業対策でございますとか、それぞれの政策目的を考えながら特別償却制度につきましても見直しを行ってまいる必要があると思いますが、これも従来からやってきております方針を堅持していきたいと思っております。
 それから耐用年数でございますが、日本の耐用年数が外国に比べて短いという御指摘ございましたけれども、私どもこれは一つは物理的な寿命の問題、もう一つは技術的な陳腐化の問題でございまして、アメリカ、ドイツと比べて日本の耐用年数が特に高いというふうには思っておりません。たとえば鉄鋼業でございますと、ドイツは十年ないし五年、アメリカが十四・五年に対して日本は十四年でございます。それほど高い水準になっておりません。イギリスの場合には耐用年数は即時償却を認めておるというようなこともございますから、私どもは、これはもちろん見直しを行っていくことは当然だと思いますけれども、日本の耐用年数の水準が国際的に飛び抜けて高いというふうには考えておらないわけでございます。
 それから貸し倒れ引当金、退職給与引当金等の引当金でございますが、これは毎々申し上げておりますように、企業会計上の所得計算の合理的な基準というようなもので、企業会計原則とも商法とも連動しておる制度でございます。ただし、その繰入率につきましては、ことし貸し倒れ引当金について行いましたように、今後随時経済の水準に応じて見直しを行ってまいるということを考えておるわけでございます。
○渡辺武君 ちょっと恐縮で、最後に一問だけ。
 五十二年の十月の税制調査会の中期答申の中で、法人税の実効税率、これは外国に比べて低いので、適当な時期を見て外国並みにすべきだというふうに述べているんですね。ただ、不況だったものですからずっと延びているんですが、業績も回復してきている、特に経済の成長率に比べて会社の業績の改善の状態というのは著しいわけですから、この際法人税率の引き上げ、これを考える余地はないのか、最後に伺います。
○政府委員(高橋元君) 五十二年の中期答申の中で、国際的に比べてなお若干引き上げの余地があるということを言っておられるのは事実でございます。私どもも、今後適当な機会をとらえて法人税に若干の負担の増加を求める余地があると考えるという中期答申の考え方を、経済動向それから雇用情勢等を見ながら、そういう考え方の実現について検討を今後続けてまいる必要があると思います。
 なお、先ほどちょっと私お答えを漏らしましたが、会社臨特を復活したらどうだという御指摘がございました。これは、一つは四十九年当時のような狂乱物価ということ、それから非常に大きな有効需要の超過というような情勢が現在まだございませんというふうに考えておりますのと、もう一つは、四十八年当時の異常な法人の経常利益率の増加というような事態はまだございません。その辺のところにつきましては大臣からもお答えございましたように、私どもは現時点で会社臨特税を復活すべしというふうには考えておらないわけでございます。
○野末陳平君 これまでに国債を買った個人投資家といいますか、そういう人たちに対して発行者たる国あるいは販売した証券会社などがPRの上で非常に不親切といいますか、アフターケアが不足しているというか、そんな点を非常に感じるんですが、今度の値下がりに関しても、まあ人によって売却損が出た人、あるいは評価損は当然ですけれども、これに対して新聞などでちらっと見た投書では、あるいは町のそういう国債を持っている人の意見では、やはり政府が非常に無策である、無責任じゃないかと、そういう批判する声があったり、中には補償しろ、責任とれというようなややヒステリックな投書も出ていたんです、新聞に。
 こういう意見が大新聞に載るということに対してまず大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(田中敬君) 国債というもの、あるいは一般に事業債でございましても、債券というものは長い期間の約定のもとに発行するものでございますので、そのときどきの経済情勢、金融情勢に応じましてそのもの自体の評価が上がる、いわゆる値上がりをしたり値下がりをしたりするということは当然のことでございます。債券をお持ちいただく方は、そのときの御判断に従って六・一%あるいは七・二あるいは八%という約定金利で長く持っていただく、それを投資をするというお心組みで持っていただいたものであるにもかかわらず、債券の性格というものにつきまして、特に最近の公社債市場の状況にかんがみまして、これが暴落、値崩れをしたということが非常にセンセーショナルに取り上げられました結果、債券の保有者に不安を与えているということにつきましては、債券の性格についてのPRをもっとすべきであるという野末議員のお説には全く同感でございます。私どももそういう意味におきまして、今後政府を初めといたしまして証券を販売する証券会社あるいは証券広報センターというものもつくっておりますので、そういうものを通じまして債券の性格について十分PRをしてまいりたいと存じております。
○野末陳平君 つまり、これからしなきゃいけないというのは、今度の値崩れがここまでひどいという予想ができなかったからかもしれませんが、これからというのはもうちょっと遅いので、もちろんこれからすべきだと思いますが、いま言った債券の基本的な性格というものはやはり行き渡ってないんですね。
 というのは、証券会社がいままで売るときに、新聞広告もそうですし、それから窓口もそうですが、要するに相場があるということ、途中で換金して売るときには損もあるしもうかるときもあるというか、そういう基本的なことを全然説明をしないで、はっきり言えばただ売りまくったんですね、一時もうかりましたから。だから、新発債を鳴り物入りででかい広告出して売りまくった、ここらに問題があって、いまそのとがめが出てきたんだと、そう思うわけです。
 ですから、いまからでも遅くないですから、不安を与えないようにPRを基本的に、啓蒙といいますか、してほしいですが、しかし、いまの時点でもPRしにくい、あるいは説得しにくい点が幾つかあるんです。それを二、三お聞きしたいんですね。
 満期まで持てば元金は保証されていると言うけれども、もし途中で換金する必要が生じた場合に、いまはもう完全に売却損になりますが、今後十年持てと言ってもこれは長いです。特に去年の六・一国債だと後八年以上持たなきゃならない、これは長いですね。そういう人たちの場合、途中換金ができるかどうかという不安を持っていると思いますね。これはやはり国債相場を安定させることが大事なんですけれども、保有者に対して十年待てという説明だけでは不安感といいますか、不信感というか、そういうものはぬぐえないだろうと思うのですね。
 そこで、どうなんでしょうかね、大臣。これは相場の先行きを大蔵省は断言できるわけはないかもしれませんが、十年持っていれば大丈夫だよという説明だけでいままで売った責任がとれるかどうか、やはり途中換金が生じても損がないような信頼を与えなきゃならぬでしょう。これはPRじゃありませんね、現実にそうしなければいけませんから。その点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(金子一平君) 六・一債大幅な値崩れをしまして保有者に大変な不安を与えていることは事実でございます。今後できるだけひとつ全体の問題として国債の価格の安定政策を強力に推し進めてまいりたいと思いますが、いまのその売却して損が出るというような場合には、保有国債を担保にして貸し出しをやる制度もできておるんでありまするけれども、そういうPRが、正直言っていま売りまくるだけで十分なPRがされてないと思うんです。これはもう大変遺憾なことでございますけれども、そういう点につきましても証券業界にも十分徹底させるように努力してまいりたいと考えております。
○野末陳平君 その意味のPR不足というか、不親切な売り方が長い目で見て個人消化にブレーキをかけるということはもう十分に考えられるわけで、力を入れてほしいと思うんです。
 いま、売却損あるいは評価損のことについて触れましたけれども、同時に値下がりした国債はこれを買うということもできるし、それでこれを買えば利回り上はかなりいいという魅力ある投資の一つだということもPRしてもいいんじゃないかと思うんですね。これ余り行き過ぎると今度新発債で問題が出るのかもしれませんが、それにしてもやはりこれも債券の基本知識を啓蒙する以上これは欠くことのできないことですね。
 ですからどうでしょうか、既発債について投資家が非常に安直に買えるようにそういう市場をなじみ深いものにする、こういうことをいましておけば、あるいはかつてしておけばここまでの値崩れがもしかしてなかったかもしれない。これはもちろん結果論で、そんな簡単なものじゃないかもしれませんが、いずれにせよ既発債が値下がりしたといって、片方でこれを批判される面だけが取り上げられましたけれども、これを今度買うということでもやはりPRが不足しているというふうに思うんですね。だから既発債について非常にプラスの面とマイナスの面と両方の面で余りにも発行者たる国は無関心過ぎたといいますか、配慮が足りな過ぎたと、そういうふうに感じるわけですね。
 そこで、いまの問題ですけれども、どうでしょうか、既発債が非常に利回りの条件がよく買えるんだということも今後PRするというか、証券会社にそういう指導をするというか、その辺については大臣はどうお考えですか。
○政府委員(渡辺豊樹君) 証券会社が国債を販売いたします場合に、現在新発債を重点に置いているのはそのとおりでございます。また、個人消化をお願いいたします場合にはマル優、マル特を利用しておられる個人がほとんど大部分でございますので、したがいまして、個人消化の場合には長期に持っていただくという趣旨で証券会社も売っているわけでございますが、しかし、PRの仕方といたしましては、先ほど理財局長の答弁にもございましたように、大蔵省も協力いたしました証券広報センター、証券界全体のPR、あるいは各証券会社がつくっております国債販売のためのパンフレットの中でも、満期まで持っていただけば元本は返ります。しかし途中で換金される場合には時価で売っていただくことになりますということは明記してございますし、かつまた、実際に個人に接触する場合にもそういう趣旨で証券会社が話をするように指導しているところでございます。
 しかし、先生御指摘のような、まだそういう点が十分ではないんじゃないかという御指摘もございますので、その点は今後とも証券界にも十分指導してまいりたいと思いますし、かつ、既発債につきましては、売るのは個人がそれほど多いわけじゃございません。金融機関の売りの方が多いわけでございまして、したがいまして、ロットとしては大きくまとまったものでございますから、なかなか個人の少額の投資に対して対応しにくいという面はございますが、それでも大手の証券会社で見ますと、数社合計いたしまして毎月数十億という既発債を個人が買っております。さらに、現在のこのような市況にかんがみまして、個人が既発債を買いたいというときには、当然証券会社はそれに対応して売っているわけでございますが、さらにそのPRの進め方等については、十分考え、かつ、証券会社を指導してまいりたいというふうに考えております。
○野末陳平君 時間が来ましたけれども、要するにまだ日本の一般の投資家は余り、投資家というか普通の貯蓄者は債券に無関心というか、なじみがありませんで、結局これを安全確実だというようなPRだけをしておきますと、銀行の定期預金とか郵便局の定額貯金と同じで、途中で換金しても元金が保証されているという錯覚を持っている人も多いですね。ですからひとつ基本的な、いまの印刷物に書いてあると言いますけれども、現実に書いてあったって行き渡ってなければ意味がないですから、ひとつ債券の、基本的な国債の知識をさらに啓蒙することにも配慮してほしい、そう要望しておきます。
○委員長(坂野重信君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 二十四日の委員会で、財政規律及び国債消化の問題について質問をして事務当局者から説明を聞いたのでありますが、その上に立って、総理に少し広い視野からきょうはお尋ねをしたいと思うんです。
 国民の素朴な感情からしますと、日本経済はいつ景気を回復するんだろう、あるいはいつ安定成長に着地するのだろう、政府が責任を持ってその見通しを私は明らかにすべきだろうと思うんです。新経済社会七カ年計画の基本構想をよく読みましたが、これでも明瞭ではありません。構想においてこの点をもう少し明確にすべきだろうと私は思います。
 そういうふうに質問しますと、一日も早くやりますという答弁が返ってくるのでは困るのでありまして、そういうあいまいな表現ではなくて、七カ年計画において安定成長の諸目標を明記をする、そしてその達成時期を約束する、それが私は政府の責任というものだろうと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 大変いまの時期は、和田さんも御案内のように、一つの転換期と申しますか過渡期でございまして、国の内外にわたりましてなかなか展望をしにくい段階でありますることは御案内のとおりでございます。したがいまして、新しい七カ年計画というものにつきましても隔靴掻痒の感を持たれるのはよく理解できるところでございますけれども、それではその御要望にこたえてもっと明確なものにしろと、こう言われましても、そのような状況でございますので、なかなか御期待に沿いにくいのではないかと考えております。
 しかし、こういうむずかしさはむずかしさとして前提しながらも、御要望の線に沿いましてできるだけのものは作業してまいらなければならぬと考えておりますが、大体の方向といたしましては、かねがね本院におきましても論議されておりまするように、内需中心の、生活中心というところに道標を置きまして展望を国の内外にわたってつくり上げていくと、バランスをとっていくという方向で考えていかなければならないのではないかと思っています。
○和田静夫君 この構想では、現在の昭和五十年代前期経済計画の実績を反省をしまして、こういうふうに述べているわけですね。
 昭和五十年代前期経済計画では、「想定成長率自体を従来より控え目な六%強とし、この実現に向けて政府の異例の努力がなされたにもかかわらず、実績はこれをやや下回るという推移を示した。これは、内外環境条件の変化が大方の予想をはかるかに超えて厳しく、こうした変化への適応が困難を極めたからであった。」と、環境のせいにしているわけです。
 私は、石油ショック以来の調整インフレあたりから自民党政府の経済財政政策の失敗が今日の経済状態を招いた、そう考えています。いわば花見酒経済のツケが回ってきたんだという見解を持っておるのでありますが、こういう意見も政府部内ではあるわけですね。
 経済企画庁の内野達郎氏は五十二年三月十三日の日経新聞で、役所をおやめになるに当たって、「約三十年間をかえりみて、よかった経済政策もあればそうでなかった政策もある。最も悔いが残るのは昭和四十七、八年の当時である。いまからみると、あのころが、日本経済が西ドイツなみの安定法を設定し、景気安定基金を堅実に積み立て、税率調整で過剰流動性を吸いあげ、全体として経済安定装置を国内につくりあげ、減速経済に備えるべき最大のチャンスだった。もしそれができていたら、その後の日本経済の安定成長移行もこうまで苦しまずにすんだに違いない。」。
 同じ自由民主党政府でありますから、反省をこそ率直に計画に盛り込むべきだ、こういうふうに思うんですが、総理の反省はいかがです。
○国務大臣(大平正芳君) 石油危機が表面化いたしましたのは四十八年の暮れのことでございました。それに先行いたしましてすでにドルのゴールドオフがございましたし、世界経済全体がやや雲行きが険しくなってきておったわけでございます。
 それまでは、わが国は、ドルは安定いたしておるし、輸入原材料は低廉な安定供給が確保できましたし、労働力は豊富でございましたし、新規のテクノロジーの開発も順調に行われておると、すべて好条件に恵まれておりましたので、わが国が高度成長を遂げることができたのはいわばあたりまえなことであったと思うのでございます。これは政府として誇るべきことというよりは、むしろこういう条件に恵まれますと経済の高度成長というのはそう大きな苦労なく実行できるものであったと思うのでございますが、問題はそういう条件が長く続くであろうということを前提にしておりますと、その後の条件の変化は大変われわれの予想を超えたものになりまして、石油にいたしましても一挙に四倍にも値上げするというような事態になったわけでございますから、全く見当が狂ってしまったわけでございます。
 これは日本ばかりでございませんで、世界全体がそのために大変苦しみを経験いたしたわけでございますが、そういう過程で一つの私の反省はというお尋ねでございますが、こういう過程を乗り切りましてどうにか内外にわたって経済の均衡を維持していく、雇用、物価その他に大きな異変が生じないようにやってまいるということはこれは非常にむずかしいことでございますが、そういう課題には私は比較的日本はよくこたえたのじゃないかと思っています。これはわれわれが言うのじゃなくて世界がそう言っているので、この間もキッシンジャー博士が参りまして、石油危機の乗り切りにおいて一番政策を誤らなかったのは日本であるといってほめられたわけであります。これ若干ディプロマチックの意味もありますが、だけども、いずれにいたしましても日本の対応はそんなにまずいものでなかったと思っておりますが、ただ、私も本院におきましてたびたびあなたを初め皆さんと論戦を繰り返しておりますのは、そういうときに安定成長に乗っていかなければならないと、減速経済に乗り込まなけりゃならないとした場合に、いち早くそれに対応する姿勢をとればよかったじゃないかということであろうと思うんでございますが、しかし、そんなことをやりますと、せっかくの――もう経済かめちゃめちゃになってしまうわけでございます。つまり、せっかく雇用を維持しようといたしましても、思い切った減速経済、減量経済にしなけりゃならぬと、そんなことになりますといけないので、財政が無理いたしまして内需を喚起いたしまして雇用を支えていくというようなことをやらざるを得なかったわけなので、つまりこの危機を一挙に相当の外科手術で乗り切るか、それとも時間をかけてじっくりと対応していくか、どちらの選択をするかという場合に、日本は後者をとったんでございますと、選択は間違っていなかったと思いますと。
 しかし、問題はそれだけに後にだんだん残ってきましたので、いまこれで苦しんでおりますけれども、これはあの当時の選択は、あのときに速減経済に対応する構えをいち早くやってしまったらよかったと言いますけれども、あのときにやったら私は経済は大変な局面を迎えた、中央、地方を通じて大変な局面になっておったと思うんでございますが、それを比較的順調に乗り切ることができたというのは、私は政府の選択は誤りでなかったし、政府の施策もまた誤りでなかったと、世界的な物差しから見ても決して成績は悪い方ではなかったと。野党の方は厳しゅうございますけれども、世界の評価は相当高い評価をしていただいておるんじゃないかと私は思っています。
○和田静夫君 ちょっとこれ引用が長くなりますが、表現がおもしろいんで、読んでみて総理の見解承りたいんですが、経済企画庁のESPです、これ。
 成績大学の竹内靖雄教授がこの中に書いているんですが、「「資本主義は死すべき運命にあるにもかかわらず現に生きながらえているのは国家による治療行為のおかげである」というマルクス主義者の論理に対して、今日のケインズ派は、「病気が治らないのはあげて治療の不手際のせいである」と主張する。これに自由主義的マネタリスト派の「国家の政策的介入=治療行為そのものが病気の原因である」という主張を加えてみると、ここに「三賢人」の経済哲学上の立場が」明らかになっていると。「マルクス派は外科手術の必要を唱え、ケインズ派は特効薬の大量投与を勧め、ハイエク=フリードマン派は恣意的な治療行為の即時中止を主張する。
 ここでは残念ながら三賢人の経済哲学を闘わせて勝敗を判定している余裕がない。ただ、当面の不況と財政破綻の問題に関していえば、もっとも信用を落としているのはケインズ派である。」――まあ、「あろう。」と、あるとは言い切っていませんが。「一方では「もっと大きな財政赤字を」といい、それでは財政破綻をどうするかと問いつめられると事もなげに「いずれ増税すればいいだろう」と答えるような医師は、少なくとも素人からは信用されない。現在の財政のあり方について大蔵省が懸念を抱くことは大蔵省としてまことに当然であり、この問題は三賢人の高邁で気楽な論議とは別の次元で大いに検討されてしかるべきである。」
 さて、大平総理はこの三賢人のだれの見解をよしとされるのですか。予算政策のこの私はベースになる哲学の問題でありますから、ぜひお聞きをしておきたいのであります。
○国務大臣(大平正芳君) 私もいま御指摘になりました論文を拝見してそれを検討したことがございませんので、的確なお答えができると思いませんが、いまの問題は、インフレと成長の問題と申しますか、経済と財政の問題と申しますか、一方に忠実であれば一方がだめになる、一方を立てようとすれば他方がだめになるという、そういうトレードオフの関係にあるわけでございまして、それをどちらもこうするのが正しいということは私言えないと思うんでございます。
 世界のどの国におきましてもそういう権威のある学説なんかないわけで、問題はどういうところでバランスをとっていくかと、インフレにならぬように、雇用を維持しながら、物価の安定基調も壊さない範囲内においてどのようにバランスをとっていくかという工夫が現実のわれわれの任務でございまして、われわれは学者でないわけでございますから、そういういろんな論説の中からくみ取るべき教訓はくみ取らなければならぬと思いますけれども、現実に経済と財政の取り組み方を考えていくと、物価と雇用、インフレと成長、そういった問題につきまして一方に偏ってやれるはずはないわけでございますので、どういうところで与えられた条件の中でバランスをとっていくかということが私どもの責任ではないかと考えておりまして、そういう観点から言って、先ほどお話がございました転換期に処する経済運営につきまして、曲がりなりに合格点はいただけるように私は日本はやっておるんじゃないかと思ってます。
○和田静夫君 ちょっと引用が続いて恐縮ですが、もう一つだけ聞いておきたいのですが、公正取引委員長の橋口收さんが、この夏、ある小中学校の先生たちだけを対象にした研修会に臨まれましていろいろおしゃべりになって、帰りに若い先生の二、三から質問を受けた。「じつは、私ども、生徒に国債を教えるときに困っているのです……」「なにをですか……」と橋口さんが言ったら、「国債は、わるいものと教えるのか、いいものと教えるのか、どうしていいのかわからないのです。」と、こう答えられた感想をずっと「財政危機を直視せよ」という、こういうあれに載せていらっしゃる。
 そこで、生徒に国債はいいものと教えるべきか、悪いものと教えるべきか、総理が先生だったらどうされますか。
○国務大臣(大平正芳君) 国債を出さなければならなかった事情を私はまず説明したいと思います。
 すなわちあの当時、私が大蔵大臣をやっておった当時でございますが、和田さんも御承知のように、三兆八千億円の歳入欠陥を来したわけですね、あの石油危機のために起こりましたリセッションの結果。ああいう場合には、財政のオーソドックスの理論から申しますと、それだけの歳入欠陥ができたんだから、今度は逆に歳出の方を締めましてバランスをとっていくというのが普通のやり方だと思うのでございますが、そうなりますと、まず中央の政府、地方の政府、それから国民、みんなが急に冷蔵庫に入ったような状態に、入れられたような状態になりまして、異常な事態が発生したと思うのでございます。だから、この病は長い時間かけてやろうと、先ほどそういう選択をしたと言いましたが、しばらく国の財政で穴を埋めて、きのうもきょうも変わらないように国民生活は維持していこう、そして時間をかけてこれは解決していくんだという選択をするために国債を大量に発行したのでございますと。
 だから、国債がいい悪いという問題ではなくて、国債を発行すべきか発行すべきでないかという選択の場合にあなたはどういう選択をしますかと私だったら聞きただしてみたいと思います。そうしたら一あの当時としてはやむを得ませんでしたねという答えが出るのじゃないかと思います。
○和田静夫君 小中学生相手に……。
 今国会は雇用問題が大きなテーマとなったのでありますが、財政には雇用創出効果がきわめて低いという無力感ばかり感じられた。そこで大蔵省は昨年の十一月に、もはや雇用確保に成長率の引き上げというマクロの総需要政策は無力化した、そういう前提に立って、前提条件をかなり緩くしても成長率一%でわずか四万人の雇用増という試算をされたようでありますね。
 これは自由民主党総裁選挙で雇用の確保について八%成長が必要というふうに主張されていた河本現政調会長、当時通産大臣の主張に大蔵省が反駁したものであると、こういうふうに言われているんですが、こういう試算からしますと、成長を大きなメルクマールとする予算編成というものは、たとえば景気刺激型とか抑制型とかという予算編成よりは別のメルクマールを今後は掲げていくべきではないかというふうに私は思うんですが、来年度からの予算編成の問題でありますが、夏になれば作業が開始されるのでありますから、ゼロベース方式の導入などをいまから検討を指示する必要があるだろうと思うんですけれども、総理はどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(大平正芳君) 例年でございますと、御指摘のように、八月末に各省から概算要求が出てまいりまして、秋風とともにヒヤリングが始まりまして、暮れに予算案をつくるという手順になるんだろうと思いますけれども、私はここにおられる金子大蔵大臣にいま申し上げているんですけれども、ことしはそんな悠長なテンポではだめですよと。ことしはもう予算を編成さしていただきましたその日から来年度の予算の問題はひとつ前広に勉強を始めようじゃないか、つまり各省の概算要求を待ってやるというそういう在来の方式で乗り切れるような事態ではございませんので、いろんな想定を置いてこれから政府が一つの方針を持って各省を指導しながら予算をつくっていかなきゃいかぬ、そういうつまり各省から要求があったのを受けてやるという悠長な平時的な編成ではなくて、もう財政施策こういうことしか考えられないんで、その範囲内で、諸君、まず物は相談だが、どうしてやるかをひとつ工夫してみないかというようないわば予算編成のやり方をことしは金子さん考えなきゃいかぬぜと言うていま話をしておるところで、すでにそういう勉強を始めております。
○和田静夫君 財政がどういう役割りを果たすかという点について新しい国民的合意を形成する必要が私は今日あると考えているんですが、従来の経済財政運営は成長至上主義という性格がありましたけれども、新しい予算政策として、たとえば西ドイツの経済安定成長促進法、これは成功したかどうかは評価は別でありますが、思い切った対策をとる時期にそういう意味では来ているのじゃないだろうか。効率的な政府をお説きになる大平さんでありますから、かじ取りの方向を変えようとされているのだというように、いまの御発言でも一生懸命そうお考えになっているのだろうと思うのですが、本年度の予算を見ますと、景気浮揚も財政再建もという折衷型である。安定成長下の予算政策とはどういうものかまだ明らかでない、まあいま若干お述べになりましたが。そういう一貫した方針のないままに来年度以降も財政が大きな借金をして景気対策をやっていくというようなことはやっぱりやるべきではないんじゃないか。財政計画の策定作業の一環としてこれを国民の前に政府として問題提起をすべきだ、また財政計画の策定をもっと政府全体で本格的に取り組む場を各省庁間にまたがってつくるべきである、そういうように思うのです。
 私もこの間、問題取り上げましたように、きょうもわが党の勝又委員取り上げて、あるいはきょうつける附帯決議のいろいろなやりとりの中で、与党の皆さんはわれわれ野党が言うそういう計画の問題について合意をされたが、どうもそっちへ持っていくとそっちの方で断固として反対というそういう形が大蔵省側から出て、ここのところは何とかぼかすというような形になって、わが方は計画という含みを持ちながらということになる。
 午前中も大蔵大臣は、大蔵大臣個人としてはやはりつくるべきだと思っている、そうして財政当局に対して指示する。しかし国内外の経済の激しい流動の中で云々とこうなって、結果的にはだめだと、こうなっているわけですね。総理、この辺は総理の確信のあるところでいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど冒頭にも申し上げましたように、非常に内外の状況が不安定な状況で、また展望がとりにくい状況でございますので、経済計画とか財政計画とかというようなものがっくりにくい時代でございます。
 また、仮に無理してつくってみましても、それはある意味において非常に不具な計画になりまして、お役に立たないというようなことになるといけませんので、これは衆議院から参議院を通じましてずいぶん前から財政試算という形、つまり計画までいかぬけれども一応こういう前提で計算してみたらこういうことになりそうですというようなところをベースにして国会でも議論を深めていただけますまいかということ、これは国債の発行、国債の償還に関連いたしまして国会の方で大変御心配になられまして、政府の方もそういう姿でひとつ御審議を願えますまいかということにいたしたんでございますが、しかしこんなことではだめだと、和田さんおっしゃるように、やっぱり財政計画にならぬとこれは話にならぬじゃないかと。大変国会の方は欲張った御要求されますので、まあ当然かもしれませんけれども、私の方じゃいま計画をつくるというようなことは非常に不可能に近いことなんです。
 しかし、その御要求は当然だし、それからそれはもうできませんと言うて逃げ回っておったんでは政府の責任は果たせないわけでございますので、財政計画をつくること、これはどうしてもしなけりゃならぬと私は思います。思いますけれども、いついつまでにという約束をいたしまして、そうして自信のあるものを出すということを、いついつまでにはやりますということをまだ申し上げる自信はないわけでございますが、その財政計画をつくらなけりゃならぬと、その決意で当たるということは仰せに従いまして政府もやってまいるつもりでございます。
 それから、それより別に、いま大変御不満でございますけれども、いろいろ試算をして御検討いただいておるものにつきましては、なおいろいろこういう点はどうだ、こういう点はどうだという追加のいろいろな御要求がございますならば、またそれは政府の方で精いっぱい勉強いたしまして財政計画への足がかりをつくっていかなけりゃならぬのじゃないかと思っています。
 問題は、今度の財政再建の問題は大蔵省の力でできるようなものでもございませんし、政府の力でできるようなものでもございませんし、与党の力でできるようなものでもございませんし、もう国会全体のお力をかりなけりゃならぬ大変大事業でございます。そういう意味で幾らでもおしかりはちょうだいいたしますけれども、温かい気持ちでひとつ財政再建には御協力を願いたいものと、また御指導いただきたいものと思います。
○和田静夫君 一般消費税の創設について、これは各方面からきわめて強い反対が出ております。総理は予算委員会でも各党の合意を得ることを前提としておられました。大型税でありますから国民的合意が必要なのは当然でありますが、今国会の論議でも、一般消費税創設以前に税制全般にわたって検討すべき事項が多いことを繰り返し私も主張してまいりました。また、一般消費税の税調の案では仕入れ控除方式を含め問題が多い。これは出された問題ですべて詳細に再度総点検をすべきであろう一総点検運動を私は提唱いたしたいわけです。
 従来からの野党の主張には耳を傾けないという態度をもうやめて、富裕税についてもあるいは土地税制についてもあるいは租税特別措置、この不公平税制の問題についても、そして法人税の仕組みの問題など非常に長い税制論議があったわけでありますから、それを振り返って、そしてわれわれ野党とも広いレベルで意見を交わす、部門ごとに公開討論をやる、そして報告書をつくる、それぐらいの運動が私はあってもしかるべきじゃないか。
 また、大平さんの姿勢からいけばそういうことを取り上げて主張される、主唱をされる、そういう政治家としての素質をお持ちですから、総理になって何でもできる立場なんですから、これぐらいのことはおやりになったらどうだろう。そういう結果によって国民の判断にゆだねるべきである、そういうふうに思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 一般消費税の問題は、私どもは来年は何とか導入さしていただきたいということを方針にいたしておりますけれども、しかし、これは和田さんも仰せのとおり、国民の理解を得なければできることではございません。大事業でございます。
 そのためには、あなたがおっしゃるように既存の税制の洗い直しもございまするし、また新しい新税を、富裕税その他いままで国会で論議が出ておりましたものもございます。つまり既存のもの、それからいままで論議が交わされておったものもございますし、また新しく今度こういうものはどうだという御意見があるかもしれません。そういう意味で歳入、それから税外収入等につきましてもいろいろ御工夫がございますものは政府も虚心に拝聴いたしまして、政府の持っておる資料に照らして議論を深めていく、相互の理解によって物になるものは物にしていくという建設的な努力を惜しむべきでないと私も考えております。
 それから歳入の面ばかりじゃございませんで、歳出の面につきましてもいろいろ工夫しなければならぬことがたくさんございますわけです。そういうものもわれわれだけで、政府だけでこじんまりとやろうなんという、そんなことではとてもいけない事情であることは先ほど申し上げたとおりでございますので、問題の御提起がございますならば、それについて政府も一緒になって勉強していくということは一切、いささかも私はちゅうちょをするものではございませんで、そういう意味で来年度の財政再建への歩みを前にいたしまして、ことしはその点について本当に議論を深めていただきたいということはかねがね国会にお願いいたしておるところでございます。
 そういう気持ちで対処いたしますので、御意見はもちろんでございますけれども、また資料の要求その他ございますならば、それに対しましてそれぞれ政府の方も精力的に対応をしてまいるつもりでございますので、よろしくお願いします。
○和田静夫君 金融制度の改革の作業が進められておる。その中で金利の弾力化が大きなテーマとなっているわけです。
 これまでの護送船団方式をやめて自由競争原理を導入する、それはわかりますが、ただそれが個人金融、中小企業金融に影響を及ぼす恐れが多分にある。この点については留意をしていただきたいと思っているんですが、特に個人金融については福祉預金の問題であるとか、あるいは住宅ローンの失業者への特別の対策など、また住宅ローン等に一定のシェアを確保する措置、そういうものを検討すべきだと思うんですが、総理どうですか。
○政府委員(天野可人君) 金利の自由化に関連した問題でございますが、今後の市場金利、方向といたしましては、自由化できるところは自由化していきたいというのが私どもの考え方でございます。
 ただ、先生御指摘のように、金利体系何でもかんでも自由化すればいいということではございませんので、その辺の問題は今後金融制度調査会等の意見も踏まえましてよく検討していきたいというふうに考えております。
○和田静夫君 この電電公社のいわゆる政府調達の門戸開放について、日米交渉が行き詰まって、政府は昨夜、当面妥協しない方針を確認したということでありますが、総理の真意をひとつお聞きをしたいのと、私は、政府はすでに妥協し過ぎたのではないかと実は思っているのです。
 門戸開放は開放経済でありますから大いにやればよいと思いますが、日本経済の不均衡は基本的には民間経済の問題でありまして、政府調達部門の開放でつじつまを合わせるということに疑問を感じます。
 それはさておくとして、電算機本体についての日米の解釈の相違で交渉が難航しているということであります。もしそうなら、電算機本体の電子交換機など中核部分は、前に本委員会で竹田委員がしばしば指摘をしたのでありますが、国家機密との関連で妥協してはならない性質のものである、貿易不均衡という経済問題とは次元の違う問題であると思うんですね。この点の認識が総理にあるのかどうか。国家機密にかかわるという点に留意して、当面ではなくて絶対に妥協しない。それとも総理は、私たちが基本的な理論としている国家機密はない方がいいというふうにお思いになっている、それならまた話は別ですが、そういう立場でしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) いま政府調達問題についての日米間の問題についてのお尋ねでございますが、もしこれ国際的に定立した一つのコードというかルールがございますれば、それを中心にして処理すればいいわけで、比較的問題は簡単だと思うんですが、和田さんも御指摘のように、なかなかこの電気通信機器産業のあり方が各国違いますし、その強さも違いまするし、これを市場に国際的に開放するについてはこういうルールに従えといいましても、そういうルールがなかなかできにくいようなものだと私は思います。
 そこで、問題はしかし、アメリカからこういう問題が提起されたわけでございますから何とか解決せにゃならぬわけでございます。したがって、日米間の経済問題として何とか解決しなきゃならぬのじゃないかと、前向きに解決しなきゃならぬのじゃないかという気持ちが一つと、しかしながら、同時にこれは、電電なら電電、国鉄なら国鉄という、公企体はそれだけ国民に対しまして低廉で安全なサービスを提供しなければならぬという厳粛な責任を持っておるわけでございまして、それに真剣に当たっておるわけでございます。そのために彼らはそれなりの調達秩序というものをつくり上げて今日までやってきておるわけでございます。
 したがって、そういう真剣な使命達成をわれわれの方から崩してしまうというようなことは、これはいけないことだと思うんでございます。日米間のために解決せにゃならぬことで、できるだけ支障のない限りは開放に持っていってくれることを私は希望しますけれども、しかし電電や国鉄の死活の問題まで犠牲にしてやらなけりゃならぬというようなことは慎まなけりゃいかぬことと思っております。
 どこが一体それじゃ限界かという問題は、実は私なんかはもう技術者でないのでよくわからぬのです。わからぬので、責任を持たれておる電電なら電電、国鉄なら国鉄の諸君が真剣に考えて、この程度まではどうしても致命的とは言えないで、ひとつ開放するように努力しましょうと、この点は何としてもむずかしいということの御意見を承りましてやってきたんでございますが、どうも最近のアメリカの主張はそういう問題が核心にだんだん触れてきたようでございまして、なかなか電電当局と応諾しにくい状況のようでございます。したがって、これは無理押しするのもいかがかと思いまして、この問題の解決は少し時間をかけてじっくり検討してかからにゃいかぬじゃないか。早急な解決、私の訪米までの解決というようなことには熟しないのではないかといま考えております。
○和田静夫君 最後ですが、政治的な問題として解散論議が非常に活発になってるんですね。もともとどうも総理の周辺から流されたものであろう、大平派の会合で総選挙の準備をしろと、こう大平派の幹部が言われたと報道されていますから。総理はそれを否定をされない。きのうは西村副総理が田中派の会合で選挙準備を指示される。自由民主党内の主流派は解散、総選挙体制に踏み切ろうとしている。反主流派はそれぞれ会議を開いて反対と言う。党内抗争の焦点になりつつあるようでありますが、そういうふうに横から見ていると見えますが、第一はこのタイミングでありますが、今秋以外にはかなりむずかしいと言われているんですが、それはそういうことでしょうか。それから第二は、任期後約三年たった。第三は、自由民主党にとって有利だと伝えられているという。いろいろ条件は整っているようでありますけれども、大義名分がないと反主流派は主張する。これらの点は一体総理としてはどういうふうにお考えになっているのか。解散をはっきり否定をされることにはならぬと思うのですが、そういうことについてちょっとお答えいただきたいんですが。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、民主議会制度のもとで解散をどう考えるかということは大変重大なことだと思っております。どうしても民意に問わなけりゃならぬ、この際総選挙を通じて民意に問わなけりゃならぬ大きな選択があるかどうかということを考えてみると、そういうこといま私の頭にはないわけでございます、皆さんはどうお考えになりますか。立法府と行政府がのっぴきならぬ対立になりまして、もう政局はにっちもさっちもいかぬというような状況にあるかというとそういう状況ではないと思うんでございまして、すれすれの状態でございましたけれども予算も成立させていただきましたし、激しくいろいろ御批判はいただいておりますけれども建設的な御協力をちょうだいいたしておるわけでございますから、国会と行政府がのっぴきならぬ対立関係にあるとは考えておりません。したがって、いま解散をやらなけりゃならぬ必要とか、解散をやらざるを得ない状況とか、そういうものはいまないと思っておるわけでございます。
 したがって、たびたび聞かれますけれども、私は解散というようなことは考えてないと申し上げておるわけでございまして、せっかくまた、残されたわずかの会期内で懸命にやらなきゃいかぬこともたくさんございますし、国会が終わりましたら外交案件は山積いたしておりまするし、いま解散を考えるまた余裕もないということを申し上げる次第であります。
○和田静夫君 もう時間ですからあれですが、いま現在お考えになっていないという主張はわかりました。
 そこで、私さっき一問で触れたんですが、タイミングの問題として今秋以外、この秋を外すというのはやっぱり常識的には考えられないじゃないか、かなりむずかしいんじゃないか、やっぱりタイミングはそこが一番いいんじゃないかという一つの政治的常識みたいなものがずうっとあるわけですね。現在の立場はわかりましたが、評論的に考えてみまして、総理もやっぱり今秋というのは一つのタイミングだなあとはお思いになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) ともかくいまそういうことを考えてないということを申し上げたいのです。それで御了承いただきます。
○鈴木一弘君 初めに国債の問題で一、二伺ってから基本的なことを伺いたいと思いますが、私が三月九日の予算委員会の席上で、総括質問で、国債はもう売れないんではないかと、こう申し上げた。そのときに大蔵大臣は十分に消化できる、こういう答弁をいただいております。今日のこの段階では十分消化できる、こういう答弁があるんですけれども、一カ月後の現在、私が御指摘申し上げたように、心配したように、国債が売れなくて困ってきている。だからこういうのを見ますと、一カ月先の国債の消化についての見通しも立たないということは、余りにも少しいいかげんな答弁だったんじゃないのかということで、これは冒頭、最初大蔵大臣にまず伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(金子一平君) 先般の御質問に対しては、いまお話しのように、十分消化させるつもりでございますということを申し上げたのでございますが、その後御承知のような、金利が上がるんじゃないかというような市場の心理が高まってまいりまして、せっかくいろいろ努力しておったんでございますけれども、六・一債がだんだんと価格が下落するというようなことで、国債消化がむずかしくなってまいりましたことは事実でございます。しかし、先般やっと公定歩合の問題がけりがつきましたので、まあこれで先行きまた上がるだろうと、もう一度上がるだろうというような空気は払拭されたということでございます。だんだんと展望が開けてまいりまして、七分二厘債は一兆円四月債としてシンジケート団にお引き受けいただいたと、こういうことでございます。
○鈴木一弘君 これは答弁の席上に総理もその予算委員会では同席をされて、大蔵大臣の答弁をされたのは聞いておられた。間違いないんです。ましてちょうどテレビのときですから、大臣の答弁は国民もよく知っておったわけですけれども、聞いておりますから。
 国債について最も詳細にわかっていなければならない大蔵大臣の答弁にしては、余りにもその場限りのものではなかったのか。十分消化できますと言いながら、それが後に、金利の問題云々といういま説明はありました。ありましたけれども、それはあくまで説明でありまして、当時そういうことがすでにわかっていなきゃおかしいだろうという感じがするし、余りにもおざなりな答弁だったと言えるんだと、こう思うんですが、この点は総理はどうお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) この予算を組みました責任は私にあるわけでございまして、あの当時国債の問題がこれほど深刻になるとは私自身考えていなかったんです。もとより、あの当時から景気がよくなってまいる、先、金利が高くなることが予想されるというような事態になるとこの国債の問題というのは容易ならぬことになるのではないかという、内心そういう懸念が全然なかったわけではございませんが、その後見てみますと、若干石油が上がってまいりましたし、国際の商品市況も変わってまいりましたし、卸売物価の上げ足が早くなってきたということ、それからそこへもってきて国際的な金利格差があんまりひどくなってまいりました。そのようなことが、私どもがあの当時十分見通されなかったことでございまして、これは申し訳けないと思っております。金子大蔵大臣も、このあたりがらがら条件が変わってくるので、当時考えられておった事態よりはよほど深刻になったという思いをいたされておるに違いないと思うんでございますが、あの当時、的確に今日の事態を予想できなかった政府に責任があると思うんでございます。
 しかし、このような事態になってきた以上は、それを踏まえて最善を尽くさにやならぬわけでございますので、大蔵省もいろいろ苦心をされておるわけでございまして、いろんな手当てをいま講じておるところでございますけれども、なおこれで十分でございませんで、今後またなお一層努力していかにゃいかぬものと考えております。
○鈴木一弘君 新たな大量な国債発行、今後もずっと続いていくわけですね、計画によりますと。それだけに巨額の国債残高が残っていく。そういう中で国債管理政策というものが非常に財政金融全般に影響を及ぼす重要な政策になってきます。その点で今後の国債管理政策、こういうことについて総理はどうお考えでございますか。総理の見解を示していただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 私といたしましては、まず、いま国債市場に赤信号が出ているわけでございまして、鈴木さん御指摘のように。
 まず第一に、やっぱり期限の長い低金利の国債が順便に消化できるような状況でない。それから、ずいぶん大量の発行、従来二兆円ずつふやしてきたのにことしの場合四兆円でございますから急速にふえたという事情もございますので、まず第一に何といたしましても基本は国債をできるだけセーブするというか、国債を出さないような財政政策にだんだんと持っていかなけりゃいけない、そういう意味では、来年は財政再建の第一年にさしていただきたいと言っておる趣旨のゆえんのものもそこにあるわけでございます。
 あと、発行をどのような銘柄を出すかとか、それからどういう金利にするかというようないろいろテクニカルな、国債市場に対してどういう政策をやるかという点につきましては、大蔵大臣からお聞き取りをいただきます。
○国務大臣(金子一平君) やはり国債発行をします場合の金利、市場の実勢に即応したものでなければなりませんから、二回にわたって引き上げたわけでございまするけれども、七分二厘の今日の金利水準がまあいま大体シンジケート団でも満足すべきものだと評価してくれておりますので、大体これでいけると思うんでございます。
 問題は、十年物が必ずしも希望が、ニーズがたくさんあるわけじゃございませんので、場合によると六、七年物に相当部分を切りかえるとか、それから二、三年物、四年物をもっとふやすとか、いろんなことをこれから実勢に応じて考えていかなきゃいかぬと思います。同時に、やはり個人消化等につきましても、これは今朝申し上げましたように二割を超えておるんでございますけれども、もっとふやすとか、安定的な消化に資するように一段の工夫をこらしていかなきゃいかぬということで、いま鋭意細目を詰めておる段階でございます。
○鈴木一弘君 国債のことで最後にもう一つ聞いておきたいんですが、財政法第四条で国債発行の禁止について述べられておりますが、昭和五十年度から毎年毎年きょう審議しているこの財政特例法案が出てくるわけですね。そして大量の赤字国債が発行されてきている。いま総理は、まあ来年から少しでも減らしたいと。それはお気持ちはわかりますけれども、財政収支試算ではふえることになっています。だんだんだんだんふえていっちゃうんじゃないか。ずっと、少なくも昭和五十九年まではこの財政特例法案が続くということは、もういまの財政法それ自体存在意義がおかしくなっているということはだれもが疑問に思っちゃうんだと思うんですね。こういう点について、一体これはどういうことになっていくんだろうかという、この点については総理の御見解をひとつ伺いたいんです。
○政府委員(吉野良彦君) あるいは法律上の問題かとも存じますので私から先にちょっと御説明さしていただきたいと存じますが、鈴木先生もうよくよく御存じのとおりでございまして、毎年度毎年度特例公債法という形でお願いをする形をいまとっているわけでございますが、あるいは複数年度にわたりまして授権をいただくということも確かに一つの考え方ではあり得るとは存じますけれども、五十年度に初めて特例公債法をお出しいたしまして以来、毎年度お願いをしていくということを政府の方針として従来までやってまいりましたということを御了承いただきたいと存じます。
○鈴木一弘君 存在意義をどう思っておられるのですか、その点についての見解はどうなんですかと聞いている。これは総理の問題だと思うんですよ、財政法それ自体の存在意義の問題。
○国務大臣(大平正芳君) そういう存在意義が問われるような事態、つまり財政としては非常に異常な事態でございますので、そういう事態を乗り切るために複数年度にわたって授権をしていただくというような横着なことを政府がやっておったんじゃいけない。これはやっぱり毎年毎年国会に提出いたしまして、国会であらゆる角度から厳しく御審議をいただくことを通じて今日の直面している財政状態に責任を持っている政府の心構えをはっきりさしていかなければならぬという趣旨で、あの当時私が大蔵省におったときに決めさしていただいた方針でございますが、そうやっておるわけでございます。
 言いかえれば、いま鈴木さんのおっしゃるそういう事態であるがゆえに、毎年毎年、念には念を入れて御審議をいただく、そしてこれは政府全体が真剣に取り組まなければならぬ問題であるということをもう一度全員に徹底させるようにいたしておるのが今日の姿勢でございます。
○鈴木一弘君 次に日米首脳会談について。
 今月三十日にカーター米大統領との首脳会談のために渡米される、大変御苦労だと思いますが、総理の基本的姿勢を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) 今度の訪米も、別に特別の意味があるわけじゃございませんで、日米首脳の間には間断のない対話があって理解を深めていくことが大事だと思いまして、私も就任以来その機会をねらっておったんでございますが、すぐ予算の編成、予算の審議が始まりましたので、国会のお許しが得られる時期を考えて、先方の都合も聞いてこの連休にお願いすることにいたしたわけでございます。言いかえれば、特別に考えた訪米ではございません。日米間の間断のない対話の一環と心得ていただきたいと思います。
 それから第二点、しかしながら、今日世界の情勢、あらゆる意味においてむずかしい局面でございます。日米間にも険しい経済の問題等が若干あるわけでございます。相互に理解し合っていくということ、信頼を維持していくということはよほど努力をしていかなければならぬことだと思っておりますので、まず第一に今度の訪米に絡んだ問題といたしまして、当面の経済問題の処理をどうするかという問題がございまして、これには政府調達の問題でございますとか、関税のステージングの問題でございますとか、若干テスティングでございますとか、たばこの問題でございますとか、細かい若干の案件がございますが、そういった問題は私の訪米を待つまでもなく早く片づけておきたい。中には片づけられたものもございますけれども、政府調達問題のように残念ながらただいま解決できない問題もございますが、できるだけの問題はこれを契機に在庫を一掃しておきたいということで努力をいたしておるところでございます。
 それから第二は、しかし、依然としてやっぱり日米双方に見解の相違がありますのは、依然として日本は黒字国じゃないか、いまでこそ円が安くなり、このまま続くとこの暮れには、この下半期には輸出がまた伸びるんじゃないかという懸念をアメリカは半ば信仰に近い確信を持っております。われわれといたしましては、いま盛んに輸出数量は減っておりまするし、輸入はふえておる。とりわけ製品輸入がふえておりますので、だんだんと均衡化の方へ非常なスピードで進んでおりますので、やさしいと思っておるわけでございますけれども、ここ五年なり七年なりの先々日本はどうするか、アメリカはどうするかというようなことを十分話し合った上で、先ほど和田さんからも御指摘になりましたような、ある一つの展望というようなものを持ちたいという希望を向こうも持っておるようでございます。私どももできたらそれをやってみたいんでございますけれども、なかなかこれも、先ほど和田さんにお答えしたとおりむずかしいことでございますけれども、できるだけそういった問題について双方隔意のない意見交換を遂げて、意見の一致したものにつきましてはコミュニケ等ではっきりさせていきたいと考えております。
 第三の問題は政治的な問題でございますが、このようにエネルギーの問題がやっかいになってまいりますと、エネルギーの安定供給を確保するというために、またエネルギー関係の技術の開発を円滑にするにつきましても国際的協力が第一でございます。とりわけ日米協力というのは非常に大事でございますので、そういった問題につきましていろいろ相談をいたしておるところでございます。
 それから、せっかくの機会でございますので、アジアの情勢、中近東その他の情勢は十分先方からも話を伺っておきたいと考えておるところでございまして、冒頭に申しましたように、間断のない対話の一環でございますが、今日の事態は大変むずかしい事態でございますので、一段と緊張を持って相互の意思の疎通を精力的にやっておかなければならぬと考えておりますが、六月末には東京でサミットが行われるわけでございまして、これはアメリカを初め各国の協力を得てやりますけれども、アメリカと事前によく話し合っておくことは、サミットを成功に導く上から申しましても徒事でなかろうと考えております。
○鈴木一弘君 いま四つ、五つと、こう挙げられたんですけれども、最初の当面の経済問題の処理について訪米を待つまでに解消したい在庫一掃ということで、いわゆる日米経済摩擦と言われている問題の解消をということであったわけですけれども、いまもそう言われておりましたけれども、これは非常に困難ということになっている。この見通しはいま大分むずかしいようなお話でございますんですけれども、長期的に見て展望を持って話せばというような感じにもちょっと受け取れたんですけれども、その点、対米交渉の見通しとしてはこの摩擦の問題は解消すると思いますですか、在庫一掃本当にできて。
○国務大臣(大平正芳君) 日米間は三百七、八十億ドル、四百億ドル、往復でそれぐらいの大きな貿易をやっておるわけでございますから、貿易の摩擦がないなんというようなことは私考えられぬと思うんです。あらゆる瞬間、あらゆる場面、あらゆる品物についていつ問題が起こるかわからぬわけでございます。現にこれまでも悶着が絶えないわけでございます。これはあたりまえだと思うんです。四百億ドルの貿易をやっておって何も問題が起こらないなんというのはうそだと思うんです。これは問題がある方があたりまえだと思っておるんです。だから、これは貿易上の摩擦が起こらないようにするなんということはできないと思いますが、問題は、摩擦はあっていいんで、ただ問題が起こった場合にはやはり公正な解決をせにゃならぬと考えておりまして、いまちょうど在庫にありまするいろいろな問題をともかくこの機会に、せっかく訪米という機会があるんだから、その前に一掃できないもんだろうかと思ってやってみたんですが、なかなかそうは問屋は安く卸してくれませんで、なかなかうまくいかないんです。
 そこで若干問題が残ります。残りますが、残ります問題はまた残った問題としてしんぼう強く、またこれ国の内外にわたって折衝しながら解決点を探っていかなければいかぬと思っておりますが、政府調達問題はにわかに解決しようと思っても時間が相当かかるんじゃないかと思います。八一年の初めから適用になるわけでございますから、まだタイミングは相当ありますんですが、困ったことにはアメリカの方も国会がございますし、われわれの方も国会がございまして、ジュネーブでイニシアルをいたしましたいろんなMTN関係の協定が国会に出てきますが、その場合にそれに関連した問題ぐらい解決しておくと、アメリカ政府が言うようにコングレスを説得することができるからというわけで、コングレスの説得のために今度の政府調達問題の解決を急いでおったわけです、どこも国会対策が頭にあるようでございまして。ところがそれがもうずっと延びますので、ちょっと最初考えておったような段取りではいかないことになったわけでございますが、これ仕方がございません。それは時間をかけてやっていきたいと思っております。
○鈴木一弘君 したがって最初の、いま御答弁にあったのと最初から伝えられていたいわゆる日米経済問題が日米の首脳会談では中心だろうと言われておりましたんですが、昨日の政府からの出ている日米共同声明日本案の骨子というのを見ますというと、経済摩擦問題が大きく後退してきてエネルギー問題が、先ほどは三番目に言われたエネルギー確保の問題等が表に出てきているような感じを受ける。つまり、日米首脳会談の意義が大分当初お考えになっていたよりぐるっと変わってこられたというふうにとるんですけれども、その点はどうでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) いや、そんなことはないんです。日米間に経済摩擦は先ほど申しましたように起こり得るし起こらなきゃうそだと思います。しかしそれを公正に解決せにゃならぬ。解決するルールはどこにあるかというと、やっぱりMTNと申しますか、ガットの場で時間をかけてやりました関税引き下げその他一連の合意があるわけでございますから、それは数年前東京でガットの総会が開かれて採択されたことがようやく実ったわけでございます。したがって、日米双方ともこの合意をベースにいたしまして、日米間に問題が起こりましたならばそれを処理していくと。これは、こういう大事な会談には必ず確認しておかなけりゃならぬことであろうと思うわけでございます。
 それから第二は、やっぱり日米双方とも先進国でございますし、先進国なりの責任は持っているわけでございますので、いまのような状況で経済協力、南北問題に対する協力というような点につきましても、これはまた意見が一致しておるわけでございます。だから意見の一致している点、これは同じベースに立ってやることの方が多いわけで、協力が多いわけでございまして、政府調達みたように一部にまだ最終的には合意に達していないものがありますけれども、それは非常に例外的なものでございまして、それあるがゆえに日米間の経済関係がおかしくなっておるというものとは私思わぬわけでございます。そういう了解の上に立って、今後中長期にわたって何か双方で理解し合って両国の国民にいいことがまとめてくればと、いま念願しているところです。
○鈴木一弘君 いまのお話でいろいろわかってまいりましたんですけれども、姿勢としてアメリカ側の日本に対する経済摩擦の要求、いま総理から議会の関係のこと、話がございましたけれども、それがアメリカの場合はそれと政府が一体となってきている。ちょうど日本で東京サミットが開かれると、主宰国になったというチャンスをつかまえて全部計算の上で何か経済問題等がぐっと来たんじゃないか。こういう点でアメリカに対しての読みの甘さというのがなかったかということが一つでございます。それの例として、これ一つお伺いしたい。
 もう一つは、一月三十一日にジョーンズ報告というものに対するわが国からの反響、反論、これを当然すべきだったという、これはところが国内向けの見解だけで終わっているという感じがあります。そういうことで実際黒字国の問題だけ、またあるいは黒字だけ見てもとにかく四半期ごとに見ていけば減ってきているわけですから、そういうことの努力の強調、それからやはり米国自身の貿易赤字の解消の問題、いま中長期にわたっての調整の問題の話がありましたけれども、この貿易赤字対策というものもアメリカと日本だけの問題じゃなくて、多国間で調整すべきであるという考えがあるわけですけれども、そういう方向にまでいく予定でございましょうかどうか、伺いたいんですが。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカの要求が日本の足元を見て予想以上に険しく激しいものがあるじゃないか、それを予想できなかったのかというようなお尋ねでございますけれども、こう申し上げては何ですけれども、いま世界的に見ましてだんだん国会が強くなりましてね、政府よりね。シングル・イシュー・エイジといいますか、いろんな国会議員がいろんなことで持ち出してくる案件が内政ばかりじゃなく、外交にだんだん反映してきている。これはアメリカばかりじゃございません、日本もそうです。そういう傾向になってきましたので、アメリカ政府ばかり責めるわけにいかぬと思うんですよ。アメリカのコングレスがいろんな要求を持ち出してきているようでございまして、その点にアメリカ政府が一生懸命に対応に苦労されておる、そういう点は弱い者同士の政府なんでよくわかっております。(笑声)
 そこで、その点はそういう要求をアメリカ政府は常に背負っておるんだということでございまして、私どもわからぬわけじゃないわけです。
 しかしそれだからというて、それでは一々それにお愛想しておったら大変でございますので、公正な解決を図るべくわれわれも一生懸命にやっておるつもりでございます。
 それから、しかしアメリカ側にも責任あるじゃないかということでございます。なるほどアメリカもインフレ率が高くなってきておるし、ドル防衛にもっと熱心であってほしい、そういうようなことはかねがね私どもの方からも機会あるごとにアメリカに要望いたしてきておるわけでございまして、アメリカ自身もみずからのことでございますから、人に要請されるまでもなく、インフレ、アンタイインフレ政策をやらなければならぬということで最近もう相当の勇気を持って金利政策、エネルギー政策等、カーター政権が実行に移しておりますことは御案内のとおりでございます。
 したがって、アメリカの国際経済に対する、世界経済に対するアメリカ政府自体の責任の所在というものを見逃すことなく、われわれもこれを追及していくという態度は堅持していきたいと思っています。
○渡辺武君 総理、就任直後の記者会見で、高目の経済成長率を設定してこれをしゃにむに達成させるために財政を運用するというのはよろしくないという趣旨の発言をしておられたと思いますが、いまもその考えには変わりがないかどうか。また、そういう御発言をされた趣旨はどこにございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほども和田さんの御質問にお答え申し上げましたように、日本の必要とする原材料、資源が安定的に低廉な価格で供給が確保できるというような状況下では相当高い成長は期せずしてできるわけでございます。経済の合理性自体からできることでございますけれども、すべての条件が変わってまいりまして、経済の成長は減速してきた、低成長にならざるを得ない状況になってきたということは、政府の意思いかんにかかわらず客観的な事実であろうと思うのでございまして、そういうことを頭に置いてこれからの経済運営に当たらぬといかぬじゃないか、高度成長のベースでいろんなことを考えておると、またいろいろと間違ってくるんじゃないかというごくきわめてあたりまえの常識を申し上げたわけでございます。
○渡辺武君 いまもそのお考えは変わりませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 考え変わっておりません。
○渡辺武君 私は、従来政府がいま述べたような財政運営やってきたということの要因ですね、これはやはり日本の大企業が高度成長を志向していたと、その要求が非常に強かったということと、同時に国際会議などでやっぱり他国の要望が黒字国責任論だとか、あるいは日本、西ドイツ機関車論だとかいうようなことで日本に高い成長率を要求するというようなことが根本の原因としてあったんじゃないかという感じがするんです。
 それで、今度まあ東京サミットもありますし、その前に日米会談もあるわけでございますが、再びこれらの会談で高い成長率を公約させられるというようなことがあるんじゃなかろうかという感じがするんですけれども、その点はどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) まあそういうことはございませんし、そういうことがありましても、日本が自主的に判断すればいいことでございます。問題はですね、こういうことがあろうかと思います。
 つまり、世界の国際収支のあり方でございますが、産油国に外貨が集まると、産油国が黒字になるということはどっかが赤字になっておるということでございますが、そういうときにはドイツとか日本とかいうように足腰の強い国は若干の赤字を覚悟していただかないと、つまり世界的な経済のバランスはとれないじゃないかという主張はずうっとOECD中心にありましたわけですね。そういう考え方は、いまなおなくなったわけじゃございません。だから、日本で言うと基礎収支論でもうたくさんじゃないか。日本は基礎収支がとんとんにいけば世界的にちゃんとした適正な役割りを果たしてるんだから、もう文句の言いようはないじゃないかという議論は私は有力な議論としてあると思うんです。
 ところが、いま言ったような事情でございますから、いましばらくはしかし日本みたいな国は若干赤字でやってくれないとOPECに金が集まっている間はいけないんじゃないかという、いましばらく例外期間を覚悟してもらわんといかぬという声は依然としてあるということでございます。だから、その点についてどの程度日本が判断して協力を、世界経済に対する責任を果たすかということは、日本の物価なんかの事情をよく考えながら、財政力も考えながら判断していくのがわれわれの任務じゃないかと思っております。
○渡辺武君 そう伺いますとますますちょっと心配になってくるんですがね。つまり、国際的にも相当強い要求はあるだろうと。それから、いま伺った政府の態度もこの問題についてはちょっとやはりあいまいな感じですね。
 それで、今度の東京サミットの議題の中に、まあ聞くところによると、経済成長とインフレ問題というのも議題の一つになっているそうですけれども、そうなってきますと、前回、前々回のような、やっぱり日本が高目の成長率を公約せざるを得ないというようなところに追い込まれるおそれあるんじゃないかと思いますが、大体成長率の問題は議論になるんでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) サミットではどういう問題を議論するかというのは、準備会議というのが行われていまして、そこで各国相談いたしておりまして、まだどういう議題をどういう手順で取り上げていくかというようなことは決まっておりません。渡辺さんの言われる経済成長の問題は、ボンでは問題になりました。これ、東京でどういうように問題になるか、問題になるとしたらどういう態様でどういう関連で問題になるか、これはまだ決まっておりません。
○渡辺武君 日米会談ではどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 日米間の関心は要するにこの黒字問題、とりわけ対米黒字が大きいわけでございまして、これができるだけ均衡化の方へ向くことをアメリカは期待しておると。それに対して、いま現に輸出は伸びず輸入がどんどん伸びているわけでございますから、対米の収支もずうっとこう順調に何か均衡化の方向に行っておるわけなんですが、先ほど私が申し上げましたように、このままでずうっと行けばいいんですけれども、また再び日本の方で輸出力がついてきて、下半期あたりから大きくなるんじゃないかという懸念をアメリカは持っているわけですね。先のことだからわからぬのですね。わからぬのですけれども、そういう中で日本の姿勢としては、しかし、できるだけ世界経済に対する日本の責任を考えながら、不当に黒字が出るような経済の運営はやらぬつもりでございますということは私も申し上げますけれども、これだけの成長率を維持して、何としてもこの要請にこたえるつもりでございますなんという勢いのいい――私は非常に弱虫でございますからね、そんなこと言うつもりはございません。
○渡辺武君 まあ総理自身が批判されておられましたような、高目の経済成長率を設定して、大量の赤字公債を発行するのもいとわず、しゃにむに財政をそれに役立たしてきたと。このやり方は、私、五十四年度予算案を見まして、もう成立しましたけれども、総理自身がやっぱりやってるんじっないかという気が非常に強いんですよ。六・三%という経済成長率を設定しておいて、そして国債依存度四〇%というようなこの状態で財政をそれに役立たしてきている。私、この結果がいまどういうことになっているか。
 端的に言えば公債の暴落と将来の消化難の見通しと、あるいは場合によってはクラウディングアウトも起こるじゃないかと、インフレも高進するんじゃないかというような重大な問題が起こってるわけですね。
 特に私はインフレ問題ですね、今後絶対に軽視できない非常に重要な問題だという感じがするんです。それは、卸売物価指数の動きは物価狂乱直前の状態に近いというような状況でもありますし、今後大量公債の発行によってこれがどうなるかと、非常に心配なんです。
 そこで、日米会談にせよ東京サミットにせよ、この成長率の問題ですね、これよりもむしろインフレ対策、これをこそ重視して、その立場から日本も発言をすべきですし、また、特別インフレが激しいアメリカなどに対してもこのインフレ対策を十分要求するという態度で臨んでいっていただきたいと思いますが、その点どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) その点は、渡辺さんと意見を非常に異にすることが多いんでございますけれども、インフレを防遏することが一番ベーシックなものであるという点につきましては、全く同感です。
○渡辺武君 まあ珍しく同感されたわけです。
 それで、次に伺いますが、東京サミットの第一回の準備会議が三月の末にあって、そこでエネルギー問題、南北問題、それから国際通貨問題、これらについては日本が報告を担当するということが決まったという新聞報道を見ました。恐らく事実だろうと思うんですが、日米会談も近いし、まあ時間がないからその中から選択的に一、二伺いたいんですが、特に南北問題ですね、これはまあUNCTADの会議も近うございますし、総理大臣もそれに出席するということも伺っているんですが、あの大平語録見ますとね、総裁選挙の当時の。
 パンパシフィック・コミュニティー構想というのを盛んに言っておられたですね。これらの会議でそれを提起されるのかどうか。それが一点。
 それからもう一つは、特にこの一次産品の共通基金問題ですね、これが非常に発展途上国の強い要求になっておりますが、これに対してはどういう態度で臨まれるのか。これを伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 環太平洋構想というようなものをまだ外に出すほど自信ないんです。国内での政策検討の課題として私は提言いたして、いま各方面のブレーンに御参加をいただいて検討しておるところでございまして、よそへ出すとか、国会にもまだ一いま勉強中でございますということを申し上げているわけでございます。外国へ出すなんというつもりは毛頭ありません。そんな自信ありません。勉強中であると。
 それから一次産品の問題でございますが、これは一次産品の輸出国の所得を補償していく、その国の経済の安定、自立化を助けていくという趣旨で、日本は精力的にあらゆる場合に推進してきたことでございます。これは各発展途上国もよく承知しておることでございます。今度どうやらUNCTADの総会で取り上げられるようでございますので、われわれといたしましてはそれを推進する側に立って努力したいと考えています。
○渡辺武君 そのパンパシフィッンク・コミュニティーの構想ですね。大臣のいままでの国会答弁は私も承っているわけですけれども、とにかくあの大平語録の中では比較的まとまった具体的なものですね、わりあいに。あとはかなり抽象的なことを言っておられたようですけれども。
 それで、いま検討中だというので、具体的なまとまった形で提起するということは、いまおっしゃったように、まだかもわかりませんけれども、そういうような構想を頭に描きながらUNCTAD会議などには臨まれるのか、あるいは日米会談、東京サミットなどでもそういう構想を頭に描きながら臨まれるのか、その点どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) まだそんなに――むずかしい問題でございまして、いま検討を始めておるというにすぎないわけでございまして、まだ外に出す段階ではありません。
○渡辺武君 それから国際通貨問題ですね。
 これも大平語録を再度拝見しますと、積極的に提案すべきだということを繰り返し言っておられるようですね。今回はどういう提案をなさるのか、これはどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) この方もいま勉強しておるところでございますが、国際通貨問題と申しましても、やはりその基盤が大事でございまして、国際経済、いわゆる先進国と発展途上国との格差というような問題も拡大する方向にさえあるような状況でございますし、また、先進国同士の間におきましても、日米間に見られるように不安定な要因を多数抱えておるわけでございますので、今日のような状態におきまして、国際通貨問題、通貨制度をちょっといじれば物事がすべてうまくいくような簡単な時代ではないと思います。
 問題はしたがって、その基盤になる経済状態ができるだけバランスのとれた安定した状態になるような補完施策が並行して行われなければならぬことと、それから、現にあるフロート制を中核にいたしました国際通貨制度というものを、不完全なものでございますけれども、これを賢明に運用していくということで世界経済の安定にどのようにすれば若干でも寄与ができるかという、両面からこの問題に対する接近を考えていくべきじゃないかと。何としてもしかし、これは先進国を初めといたしまして各国の協力にまたなければならぬわけでございますので、ことにそういう点についての各国の協力姿勢、協力精神というものの喚起に努めていかなければならないのではないかと思っております。
○渡辺武君 いま伺った御答弁の範囲でしたら、ボン会議の前でも同じようなことだったと思うんですよ。何か今回新しい提起があるんじゃないかというふうに思って伺ったわけです。
 それで先日、これは民間の会議ですが、日米欧委員会が開かれましたし、それから総理のブレーンだと言われている海外経済政策研究グループですか、ここでも、この国際通貨問題の解決の手段として産業構造の調整ということを盛んに言っておられるようですが、そういう議論が大臣の方から提起されるのかどうか、あるいは産業構造の調整ということになるとどういう内容のものなのか。
 私の心配しておりますのは、いま農産物の自由化などアメリカから非常に強く要求されているし、特に中進国からは中小企業製品の関税問題等等の自由化に近い要求が非常に強く出てきているわけですが、農業や中小企業に大きな打撃があるような方向での産業構造の調整ということが行われるんじゃないかという心配が非常に強いんですが、その点どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申し上げましたように、これからの経済運営は国際的な納得を得なけりゃならぬ問題があること、もう当然でございますが、それは東京ラウンドで合意を見ましたベースに立ちまして貿易の自由な拡大を図っていかなければならないと。そういう中で、当然その道行きをたどっていく間に産業構造はそれに応じた変容が行われるわけでございます。
 言いかえれば、頭からこういう産業構造に日本の国をするんだというような大それた考えは持ちませんけれども、こういう自由貿易体制をベースに開かれた経済を運営してまいりますと、日本の産業構造というものは当然の経済合理性の結果としてこういうことになってくるのではなかろうかという意味で、私は構造論は議論になるのではないかと考えておりますが、意図的にこういう産業構造にしなけりゃならぬ、するんだというようなことを提起するつもりはありません。
○渡辺武君 最後に一問だけ。
○委員長(坂野重信君) もう時間がないから簡単に。
○渡辺武君 先ほどもちょっと質問がありましたが、重要な問題なので総理に伺っておきたいんです。一般消費税の問題です。
 五十五年度のなるべく早いうちに導入したいということを従来言っておられたんですが、最近若干慎重になられたというような模様も新聞などでは拝見しておるわけです。これは地方選挙対策、あるいは解散を予定しての慎重の態度じゃないかという見方もあるわけですが、当初の方針に変わりはないかどうか、その辺伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 私の申し上げているのは、国民の理解を得まして来年の早い時期に導入いたしたい希望を申し述べておるわけでございまして、理解を得るためにはいろいろなことをやらにゃいかぬわけでございますので、そういうことを精力的にやっていって、熟した理解の上に立って来年は導入できるような事態になれば非常に結構だと、そのために努力をしなけりゃならぬのじゃないかというふうに考えています。
○中村利次君 総理が就任をされましてから、日本にはいろんな大事なそして困難な問題がたくさんあるわけです。そういう意味では総理の指導権を求める声がかなりあるし、あったと思うんですよね。
 それに対する総理の姿勢は、総理として指導権を発揮して国民を引っ張っていくというよりも、いろんな主張、意見、要望、多様なものをくみ取って、そういうものをいろいろな条件整備をやって、そうしてりっぱな政治をやっていこうという、そういう姿勢であったと私は理解をしていたんです。きょうのこの審議の中でも、たとえば財政の再建計画にしましても、一般消費税の導入等にしても、そういう総理の姿勢といいますか、政治理念というものに基づくものがあらわれていたと思うんです。
 私がやっぱりきょうお伺いをしていて、あれ、これはちょっと違うなと感じましたのは、五十五年度の予算編成について、これはまあ大変な予算編成になることが恐らく予想されると思いますが、大蔵大臣にも、とにかくまあこれだけのものなんだよと、そういう器を示して、その中でいろいろ各省庁にも知恵をしぼってもらうような、そういう編成をいまから考えておるんだということをおっしゃった。これは聞き流してしまえばそれまでですが、私は、いままで私が申し上げましたような政治理念から、総理のきわめてこの予算編成についての積極姿勢をある意味では感じたんですよ。
 というのは、やっぱり財政の健全化、この五十五年度の予算編成に当たっては、一つは大蔵省に指導性というよりも強い主導権を持たせると。そして、総理が強い指導性をもって五十五年度の予算編成をやるというかなり強い意欲のあらわれを感じたんですが、これはいままでの総理の政治理念と、見よう考えようによっては何か変わっているような気もしますけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、日本の政治風土の中では指導者というようなのは余り向かないんで、いままでリーダーと言われるような政治家がおったためしがないんです、日本は。大体国民の方が賢明ですから、これを、その国民の声を聞きながら賢明に誘導していくというのがいままでの日本の政治の、政治指導のあり方だったんじゃないかと思っていまして、別に私の性格とか政治理念というんでなくて、日本の政治風土はそういうものでないかというふうに考えておったわけでございます。
 いまの予算編成の問題でございますが、しかしまあ、事柄が非常にむずかしい局面になって、在来のやり方ではとても乗り切れないというようなときには、新たな工夫をしなけりゃならぬのは、またこれ、リーダーでなくてもコンダクターとしても当然考えなきゃならぬ責任ではないかと思うのでございまして、別にリーダーを気負っておるわけじゃ決してございませんで、こういう困難なときでございますから、先ほど中村さんが御理解いただいているような手法でひとつこれは立ち向かわなけりゃいかぬ事態じゃないかと、まあ金子君と寄り寄り相談しておるところでございます。
○中村利次君 私は非常に持ち時間が短かいですから、もっとこれは質問したいと思いますが、次に移ります。
 大量の国債の発行が、これは私はある意味では国債の発行そのもの、これは特例債を含めて善であるとか悪であるとかいうそういう単純な決めつけというものはできない。いろんなそのときそのときの条件によって判断をすべきだという立場をとりますが、しかし、まあ大量の国債発行がインフレ懸念に通じ、最近どうも国債の発行そのものにもかなりの暗影を感じなければならない、そういう状態になってきたことに目をつぶるわけにはいきません。
 なお、インフレ懸念につきましては、国際市況、それから油の価格、こういうものは、円安の問題にしても、私は石油価格に原因するものがかなりの部分で非常にこれは心配、懸念ですね。
 過日、日銀が低金利政策に終止符を打って〇・七五%の公定歩合の引き上げをやった。金融もことしに入ってから引き締め基調にある。そういうインフレ対策、これは私はインフレ対策、純粋なインフレ対策のみではなくて国債対策でもあると考えますけれども、しかし、一面ではやっぱり景気対策も手を緩めてはいけないというものがあると思いますよ。ですから、こういう困難な課題にどう誤りなく対応していくか。
 私がここで総理にお尋ねをして、加えて要望をしたいと思いますのは、アメリカも日本も、いま国際市況だとか円安問題だとかいろんな重大な課題がございますけれども、その根本である石油価格にきわめて無神経な政策というか、無神経な実績しか出しておらないような感じがいたします。
 アメリカの新エネルギー政策を見ても、米国産の石油を国際価格にずっと近づけていこうというのですから、これはOPECにとってはOPECの石油値上げのいい口実、私はこれは間違いないと思う。それからインフレ要因も含んでいる。それからIEAで決めました石油の五%節約というのが、私はアメリカでも成功してぴしっとそうなるとは思わぬ。ところが日本の場合も、通産省、政府の発表によりますと、五十四年度の石油の輸入計画は五十三年度よりも七・九%多い二億九千二百万キロリッターと言っている。これは景気対策をやっぱり両にらみにする政策として私はあながちこれを批判するつもりはありません。しかし、備蓄問題もあるにしても、八%程度の油を五十三年度よりも五十四年度余分に輸入するということは、OPECの値上げ要因をつくるということは間違いないと思うのですよ。
 だから、そういう問題に対して、インフレとそれから景気の両にらみというのが果してつじつまが合うのかどうか。これはまだ大量の国債を発行をしていってインフレを伴わないような健全な消化をしなければならないという課題もあわせ持っているわが国の政策としては、一体こういう非常に相矛盾するような政策に対してどう対応していくのか、きわめてこれは私は強烈な大平総理の指導性がなければ、これはかなり心配なことになるという懸念がございますが、総理のこれはぱしっとしたお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) いま景気対策も無視はできないと、しかし、いまの物価の足取りも懸念にたえないし、国債の市場の状況というのは確かにあれは赤信号じゃないかと。そういう状況に処してどう対処するかということでございますが、この景気の維持、経済の維持、雇用の維持、これをわれわれが責任を感じておるところでございますが、同時に、安定した物価基調を堅持していくということもまたわれわれの至上命令でございます。
 だから、どれをどうと選択するわけにはまいりませんで、インフレを抑えながら景気の維持を図っていくということに尽きるわけでございますが、日本銀行を初めといたしまして、最近いままでのように景気回復型と申しますか、景気刺激型といいますか、そういう金融政策の立場は変えて、警戒的な姿勢に戻ると、しかし引き締め政策に転ずるわけじゃないと、そういうところでしばらくやっていきたいということでございますし、私どももそれに賛意を表しておるわけでございます。
 したがって、直截簡明なお答えはできませんけれども、雇用、経済を維持しながらインフレを防ぐと、物価の安定基調を損わないということを念願にしながら死力を尽くしていかなければならぬと考えております。
○中村利次君 答えにならないんだな、どうも。
○野末陳平君 国債の総合的な管理政策というのは、もちろんそれを打ち立てることは非常に必要になってきたと思いますけれども、これから国債をどう消化していくかという点に関して二問だけお聞きします。
 たとえば、目先は六分一厘の暴落した国債に対して、たとえば日銀の買いオペとか、資金運用部資金を活用するなどが考えられているように聞くんですが、ぼくはこの運用部資金のさらに積極的な活用ということを本格的に考えるべきではないかと思うんですね。一部には貯蓄国債を発行せよという意見もあるようですが、そもそも郵便貯金がその性格を持てばいいわけで、第一問は、総理、この資金運用部が財政投融資の運用先を少し整理してみて、どこまでできるかわかりませんが、そこで浮いた金をもっと国債を引き受けることに回すと、こういうことは当然必要じゃないかと思うんです。いまのところ運用部が引き受けているのはちょっと少ないんじゃないかと、そう思いますので、この国債の消化対策について、総理は運用部の資金をそれにさらに回すような考えがあるかどうか、その点をまず第一番に……。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのお説は私はよく理解できます。それは確かに検討に値する政策の方向だと思うのでございまして、前向きに検討していきます。
○野末陳平君 前向きの検討が果たして財政投融資の運用先というのの整理というか、その検討が非常にむずかしいと思うんですが、来年度の課題としてお願いをしておきます。
 それからもう一問、やはり今後の消化の問題ですけれども、今度の値崩れなどを見ましても、どうも銀行とか法人などがかなり売り崩しているような感じが持たれまして、やはり一番安定しているのは個人ではないかと、いま個人の保有が二割を超えているようですが、この個人がさらに国債になじむために、どうでしょうか、ずっとここのところ問題になっておりました銀行の窓販ですね、あれもぼくもどういうのがいいのかいろいろ考えていたんですが、個人的に言いますと、やはり国債にとっては銀行の窓販というのはプラスになるんではないかと、その面がむしろ大きくなるんではないかと、これはやり方次第だと、そういう意味で、政府としてもこの窓販にもう前向きの結論を出すべきだと考えているわけなんですが、総理大臣の意見をお聞きします。
○国務大臣(大平正芳君) いま仰せのような有力な御意見もございます。政府の方でいまそれ検討いたしておるところだと私は聞いておりますが、結論がまだ出たとは私聞いておりません。御提言がございました点につきましては、財政当局によく吟味検討を急がしていきたいと思います。
○委員長(坂野重信君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認めます。
 三時三十分まで休憩いたします。
   午後三時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三十五分開会
○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、河本嘉久蔵君及び藤川一秋君が委員を辞任され、その補欠として真鍋賢二君及び岩崎純三君が選任されました。
○委員長(坂野重信君) 昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案について、藤田正明君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、本修正案を議題といたします。
 まず、藤田君から修正案の趣旨説明を願います。藤田君。
○藤田正明君 ただいま議題となりました昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨又びその内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、この法律の施行期日は、原案では「昭和五十四年四月一日」となっておりますが、すでにその期日を経過いたしておりますので、本修正案は、施行期日を「公布の日」に改めることとしようとするものであります。
 何とぞ御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
○委員長(坂野重信君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
○福間知之君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案及び同法律案の修正案に対し、反対の討論を行うものであります。
 赤字公債発行のための財政特例法は、昭和五十年度以降すでに五回を数えるのであります。この間、わが党は、過去の高度成長型の財政運営を軌道修正し、不公正優遇税制などの抜本的見直し並びに所得税減税の実施などこそ福祉の充実、景気の着実な回復という国民の強い要請にこたえつつ、財政再建を実現する有効適切な方策であることを強調し、政府に政策の転換を要求し続けてきたのであります。
 しかるに、政府、財政当局はわれわれの主張に耳をふさぎ、依然として旧来の財政から転換することなく、公共投資重視の財政運営を続けてきた結果、景気回復は遅々として進まず、財政収支の不均衡はますます増大し、公債依存度は四〇%にも達しようという、まさに破局的状態をもたらしているのであります。
 財政当局は、本年度で四回目の財政収支試算を明らかにしております。しかしながら、当初は赤字公債からの脱却を昭和五十五年度としていたにもかかわらず、年を重ねるごとに後退し、今次試算では五十九年度にまで延びているだけではなく、本年度は赤字公債が建設公債を上回るなど、政府の財政運営に対する姿勢に疑問を抱かざるを得ません。収支試算そのものがきわめて適確性を欠き、国民に対し財政当局の責任が問われるところであります。
 本年度十五兆二千七百億円という大量国債の発行は果たして完全に消化できるのでしょうか。すでに国債の流通価格は暴落し、年度当初の国債発行の一時停止などの事態を生じせしめたことは、わが国経済の国債包容力を超えた過大な国債発行が行われていることを示しているものであり、政府、財政当局の政治責任はきわめて重大だと指摘しなければなりません。
 以下、本案に対し反対の理由を申し述べることといたします。
 まず第一は、大量の国債発行は将来の財政運営に極度の硬直化をもたらすばかりでなく、財政本来の機能をすら喪失せしめるものであります。その約八割が国債の利払い費である国債費は、本年度すでに四兆円を超え、予算総額の一〇%を超えておりますが、赤字公債の償還が始まる昭和六十年度には約十一兆円で予算全体の一五%を超え、以後加速度的にその額、比率ともに増加することが明らかになっており、まさに後向きの固定経費の累増によって硬直的な財政運営しかできないこととなり、増大する財政への国民の期待を大きく裏切ることになるのであります。
 さらにこの巨額の金の流れについて見たとき、われわれは財政構造が好ましからざる方向に落ち込んで行くことを無視できないのであります。すなわち、国債費は一般国民の納税金から支払われるものであり、特に大半を占める利子については、国債を買い得るより富める階層や資金的ゆとりのある機関へと還流されていくということであります。これは財政が担う役割りが大きく阻害されると言わねばなりません。しかも、なお不足する財源対策として、政府は逆進性がきわめて強く所得再分配に逆行する一般消費税を導入しようとしているのであります。これは、所得格差をさらに拡大させ国民福祉に逆行するものであり、断固として反対せざるを得ません。
 第二は、赤字国債を縮減するための不公平税制の是正及び歳出の節減がまことに不十分であるということであります。
 本年度の税制改正は、不公平税制を抜本的に是正する正念場であったにもかかわらず、注目された医師税制について小手先の改正をしたほか、特別措置について若干の手直しをしたにとどまり、また利子・配当所得に対する総合課税化を見送るなど、政府の真剣な取り組みが感じられないのであります。しかも、昨年度に続いて物価調整減税すら行うことなく、大企業の各種引当金、準備金に対する減免措置を温存するなど、財源確保の手段を大衆課税の強化によってのみ得ようとすることに怒りをさえ覚えるのであります。
 一方、行政改革の根本的な見直しが迫られているにもかかわらず、経常的経費の伸びを抑えたことをもってこれを糊塗し、各種補助金の洗い直しを見送ったほか、特殊法人などの制度改革には何ら手をつけようとしていないのであります。
 第三は、大量の国債発行がもたらす民間金融への影響並びにインフレとの関係であります。高度成長期においては、現在ほど国債の発行量も多くなかった上、成長通貨供給の手段として、その範囲内で市中銀行が引き受けた国債は一年後に日銀の買いオペによって吸収されてきたため、旺盛な民間の資金需要にもかかわらず、市中銀行を中心として消化されてまいりました。しかし、昭和五十年度以降はデフレ基調のもとで民間資金の需要が低調を続けてきたため、辛うじてクラウディングアウトは回避されてきたのであります。わが党はこれまで、内需の拡大が緒につけば、これまでの状況は終わりを告げて、クラウディングアウトが発生し、日銀の買いオペ必至となることを警告してまいりました。果たせるかな、国債価格の暴落で二度にわたる国債の利上げの必要性が公定歩合の引き上げをもたらし、景気回復途上において貸出金利を引き上げ、民間資金を締め出す方向をとらざるを得なくなったのであります。
 預金増加の七割を国債引き受けに回さなければならない状況は、まさに異常というほかはありません。今後さらに民間資金の需要が盛り上がった場合、景気回復の芽を摘む愚を冒してまで貸出金利を引き上げようというのでしょうか。それとも、市中銀行の引き受けを強制する一方で成長通貨の枠を超えた買いオペを行い、インフレへの道を歩もうというのでしょうか。物価の騰貴が憂慮される昨今、さらに財政インフレの惹起を危惧せざるを得ません。また、国債発行とインフレとの関係を断ち切る手段である個人消化については、いまだ積極的かつ具体的な方策、手法を講じているとは思えません。
 最後に、国民に対し財政健全化への緊要性を訴えて大衆負担の増大を強いる前に、財政危機を招いた責任を謙虚に反省し、その回復策について国民の声を十分に徴した上で明示すべきであることを申し添え、私の反対討論を終わります。(拍手)
○梶木又三君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案及び同法律案に対する修正案について、賛成の意を表明いたします。
 わが国経済の現況は、低迷する景気に対処して、公共投資の大幅拡充を初めとする財政政策並びに金融緩和基調の維持による金融政策両面からの効果が浸透し、設備投資、個人消費等、内需を中心として順調に安定成長への道を歩み始めるに至りました。
 しかしながら、雇用面にはなお厳しいものがあり、国際収支面では経常収支について黒字幅の一層の縮小が国際的にも要請されているところであります。さらに物価については、海外市況を反映して、卸売物価の上昇が続き、これが物価全般へ波及することがないよう、機動的な政策運営が望まれているのが実情であります。
 このような実態を背景とする昭和五十四年度の経済運営に当たっては、均衡のとれた安定成長路線へ円滑に移行させるという中長期的視野のもとに、物価の安定を図りつつ、雇用の改善を一段と推進し、対外均衡の回復をより確実なものとすることが最大の課題であると考えます。
 しかしながら、財政収支の不均衡は、わが国経済の着実な発展を図るためにもすでに放置することが許されない異常な水準に達しており、財政健全化を早期に確立するための、本腰を入れた取り組みもまた、緊急の課題となっているのであります。
 このような状況に対処して、政府は本年度予算において、厳しい財政事情のもとで経済に適切に対応するとともに、できる限り財政の健全化を推進することとし、財源の重点的かつ効率的配分を図り、歳出の質的充実に努めることを基本として編成されておりますが、私は本年度予算が国民生活の基盤である社会資本の整備を推進するとともに、景気の着実な回復を図るため、財源事情の許す範囲内で投資的経費を確保する一方、経常的経費については節減合理化を進め、緊要な施策に重点的に配意しつつ、全体として極力その規模を抑制していることについて、これを高く評価するものであります。
 また、歳入面について見ますと、懸案とされていた社会保険診療報酬課税の特例を初めとする租税特別措置の整理合理化について、精力的な検討を経て思い切った措置が講じられているほか、揮発油税の増税等が行われているものの、昭和五十三年度において、五月分税収の所属年度区分の変更が行われたことも関連して、租税収入は前年度当初予算程度しか見込むことができず、このため歳出増加額のほぼ全額を公債の発行収入に依存せざるを得ないのが実情であります。
 したがいまして、昭和五十四年度の特例措置として、引き続き特例公債を発行することにより、適正な行財政水準の維持を図り、もって国民生活と経済の安定、さらに国民福祉の充実に配意した政府の政策判断に対しまして、私は、まことに必要にしてやむを得ない措置であると考え、これに賛成するものであります。
 申し上げるまでもなく、本案は財政法の特例措置を講じようとするものであり、できる限り速やかに特例公債依存の財政から脱却すべきは財政運営の要諦であります。そのためには、政府のみでなく、立法府もまた一体となって国民の要請にこたえるべく、努力を傾注していかなければならないことを改めて強調したいと思います。
 最後に、景気回復基調の維持、雇用の拡大、物価の安定、そして国民負担の公正かつ適正化への方向等財政再建への着実な歩みが整合性を保ちつつ実現できるよう、政府の一層の努力を要請して、修正案を含め、本案に対する賛成討論といたします。(拍手)
○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案並びに同修正案について反対の討論を行います。
 わが国経済の現状は、なお多くの不均衡が存在しており、景気回復、雇用拡大、国際収支調整等が必要で、そのための財源調達を国債に求めることは、近代国家の財政運営として是認されねばなりません。しかし、この国債を活用しての財政経済運営は、とかく節度を失い、財政インフレを招きやすいことを忘れてはなりません。五十年代のわが国の国債にのまれた財政運営は財政経済破綻の瀬戸際に立たされており、政府が国会に提出した財政収支試算の道を歩むならば、六十年度の赤字国債発行打ち切りの前に財政経済が破綻し、国民生活が破壊される危険が非常に高まっています。政府は五十四年度末の国債累積約六十兆円、六十年度百四十兆円からあえて目をそらし、その日暮らしの財政運営を行っており、五十四年度の国債依存率三九・六%、国債発行額十五兆二千七百億円に安易に寄りかかっている姿勢は許されません。
 わが党は、衆参両院の予算審議を通じ、財政再建を実現するための財政計画の作成を強く要請したにもかかわらず、財政当局は言を左右にして財政計画を拒否しているのであります。こうした政府の姿勢では、サラ金地獄と同じ財政運営に陥ることは必至で、将来の財政健全化の見取り図なしの五十四年度の特例公債発行に基本的に反対であります。
 次に、赤字国債発行もやむを得ないと私どもが認めるだけの前提条件が整理されていないことであります。国債という借金で国の財布を賄うことは、結局将来の国民に負担を転嫁することであります。したがって、それが許されるためには徹底した不公平税制の見直しによる歳入の確保を図ることが必要不可欠であります。政府も五十四年度租税特別措置法の改正についてはわれわれが長年にわたって要求してきた是正に手をつけた点については一応の評価をするものであります。しかし、何としても時期おくれであり、しかも、その内容も不十分であります。
 すなわち、広範多岐にわたる金持ち優遇策や資本蓄積優先策をたな上げにしていることであります。言い古された取るべきところから取る税制の確立の意欲も姿勢もない政府に特例国債発行の資格はないと断ぜざるを得ません。
 赤字国債発行の前提条件の二つ目は、歳出分野の徹底的な見直しが肝要であります。むだの多い補助金の整理もお題目だけで、前年度に比べ一兆五千億円余も五十四年度はふえており、また三K赤字については解決のめどさえ立たず、解消方法も示せないという状況で、高度成長下の財政運営の惰性を一歩も出ておりません。さらに、行政改革についても、現内閣は福田前内閣より明らかに後退しております。これでは底の抜けた器に水をくむようなもので、借金がふえるばかりです。これでは将来の国民に負担を転嫁する特例国債を発行することを認めるわけにはまいりません。不要不急の歳出の切り詰めを行った上に財源が不足するというのであれば国民も国債の発行を納得するでありましょうが、大平内閣の五十四年度予算編成を見る限り、国民の大多数は特例法による赤字国債に反対であることを政府は知るべきであります。
 次に、国債管理政策皆無のもとでの大量国債発行に反対せざるを得ません。
 四十年代の国債は、日銀買い上げ集中方式によって何とかほころびをつぐなってきましたが、質疑を通じ明らかになったとおり、大量の国債発行に伴う有効な国債管理政策の構想すら持ち合わせていない状況であり、こうした無責任な体制こそ昨年暮れ以来の国債不人気、消化難の根本理由で、政府の怠慢というほかありません。
 大量の国債発行がインフレやクラウディングアウト、さらに財政硬直化等を招く危険性をしばしば私たちは指摘し、警告を発してまいりました。しかし政府は、国債発行に伴う弊害の未然防止対策はもちろん、当面の消化対策すら持ち合わせていないと断ぜざるを得ません。
 五十四年度の国債多様化政策にしても、二年物、四年物等を加えてはいるものの、期間五年以下の国債発行予定額は一兆九千二百億円で、発行総額の一二%程度にすぎず、消化難に陥っている長期十年物が大部分で、国債多様化政策は政府の宣伝とはうらはらに、評価できるほど進んではおりません。
 さらに、六十年物の建設国債を多様化しながら、十年物特例国債八兆五百五十億円については五年物がわずか千百億円といった状況で、確固とした多様化政策の方針や理論を政府が持っていないことも質疑を通じて明確になりました。これは御用金調達意識が改められていない証拠であり、これではわれわれが主張してきた公開市場における入札制や公社債市場の育成を通じる資金調達とはかけ離れており、国債発行による危険性をますます高めることになる政府のやり方に反対せざるを得ません。
 さらに、国債の多様化は、当然に国債の借りかえ償還を含む国債管理政策に大きな影響を与えることは必至であるのに、当面の消化策は金集めだけに関心が集まっていることはわが国財政の将来にとって寒心にたえず、こうした無計画、無方針の五十四年度の国債発行には強く反対いたします。
 私は、以上述べた理由から、政府のいわゆる赤字国債の発行に対する態度は総合的な財政運営の方針に欠け、安易に特例公債に依存しており、結局近い将来財政インフレによってみずからの借金は棒引きにし、その被害を善良な国民に押しつけるものと判断せざるを得ません。したがって、こうした結果を招く根拠法である五十四年度の財政特例法案については強く反対するものであります。
 以上で私の討論を終わります。(拍手)
○中村利次君 私は、民社党を代表して、昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案及びその修正案に賛成をいたします。
 大量の国債発行は、当面、国債の健全消化の方法等についての問題点を有するものでありますし、また、将来に向かってはインフレ懸念の条件もあるわけでありまして、本来、大量の国債発行、特に特例債の発行については、これを是とするものではないことはこれはもう申し上げるまでもありません。また、昭和五十四年度の予算における政府の歳入歳出の見直し等につきましても、これは同意できるものではありません。
 しかしながら、わが国経済の現状、インフレ懸念と景気の回復、雇用不安の解消という両にらみというきわめて厳しい困難なそういうわが国経済の実情、その中における昭和五十四年度の財政、こういうことから考えますと、真にやむを得ないものとしてこの特例公債に賛成する立場をとるわけであります。
 そこで、政府は歳出の厳しい見直しを行うことは当然、この公債の償還計画、あるいはまた財政健全化の計画等、あるいはまたこの公債の発行によって民間の資金需要を圧迫することがない等、当然行うべき施策を誤ってはならない姿勢を堅持すべきであると考えます。
 私はそういうことを条件として、本法案並びに修正案に賛成いたします。(拍手)
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表し、本法案並びに修正案について反対の討論を行います。
 政府・自民党は、大企業優先の経済政策のもとで、わが国経済を深刻な危機に陥れたばかりか、昭和四十年度以来の建設国債の発行、五十年度以来の特例国債の恒常的発行を進め、財政をも大きく破綻させてきました。
 国債発行政策は、いまや重大な転換点に立っています。にもかかわらず、さらに一層の国債増発を進めようとする本法案に、以下の点で強く反対するものであります。
 第一に、財政危機を破局の事態にまで推し進めるものにほかならないことであります。建設国債七兆二千百五十億円を合わせ十五兆二千七再億円、予算の実に三九・六%にも及ぶ巨額の国債の発行は、まさに暴挙と言わざるを得ません。政府・自民党は、口を開けば財政の危機を強調し、増税の必要性を説くわけでありますが、果たして国債発行額の削減、財政健全化の必要性を真剣に考えているのか、大きな疑いを持たざるを得ません。
 今年度予算では、景気回復の名のもとに、予算の伸びをばるかに上回る公共事業予算を組み、大型プロジェクト重点の従来型施策を進めるばかりか、憲法違反、疑獄がらみのE2C導入を初めとする莫大な軍事予算を二兆円の大台に膨張させております。一方、税収確保面では、国民へ厳しい負担増を強いながら、大企業、大資産家向けには不公平税制の是正もきわめて不十分で、かえって産業転換投資促進減税や土地税制緩和の措置を講じております。この結果、財政の破綻は救いがたい事態となり、わが国経済にはかり知れない重圧を与えることとなっています。
 また、財政収支試算においても、大企業優遇、国民負担強化のこの基本が貫かれており、真の財政健全化を放棄したものとなっているのであります。
 第二に、物価高、インフレ促進に与える影響であります。金融の緩和基調を基本としていた政府、日銀みづからが公定歩合を引き上げ、物価警戒を打ち出さざるを得なくなったように、最近の物価はきわめて危険な状況にあります。卸売物価の連騰や大企業の手元流動性の高まり、一部に見られる土地、為替投機の動きは、まさに狂乱物価前夜に通ずるものであります。ところが政府は、十分な物価対策もとらず、かえって一連の公共料金引き上げで物価上昇に拍車をかけています。そればかりか、今回の大量の国債発行は、金利面での行き詰まりや事業債発行の縮減などクラウディングアウトの徴候を示している今日、日銀買い取りによる通貨供給の増大を必然化させており、インフレ危険をかってなく強めるものとなっているのであります。
 第三に、国民向け支出を圧迫し、逆に負担を増大させるものとなっていることです。今年度予算の一割超四兆七百八十四億円は国債元利償還に先取りされ、財政収支試算の最終年度六十年度には実に十二兆円、予算の一六%が先取りされるのであります。しかも、予算の二分割方式によって福祉、文教など国民向け予算の切り詰めを図ろうとしているのであります。また、今年度の税制改正で打ち出された一般消費税の五十五年度導入を初めとする一連の国民向け増税の背景に巨額の国債発行があることは明らかであり、こうした態度を断じて認めることはできません。これらの措置は、単に国民生活を圧迫するにとどまらず、個人消費を抑えて、ひいては景気回復に水を差すことにもなるのであります。いまや、国債大量発行政策の破綻は明確であります。この問題は若干の金利引き上げや種類多様化によっては何ら解決できないものであります。その解決策は国債発行の厳しい縮減をおいてほかにありません。
 いまこそ、国民本位の経済政策を確立し、不要不急経費の削減、大企業、大資産家向け増税を断行し、国債縮減への道をとるべきであります。このことを重ねて強調し、反対討論といたします。(拍手)
○委員長(坂野重信君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案について採決に入ります。
 まず、藤田君提出の修正案を問題に供します。
 藤田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(坂野重信君) 多数と認めます。よって、藤田君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(坂野重信君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 この際、和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田君
○和田静夫君 私は、ただいま修正議決されました昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブ及び新自由クラブの各派共同による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
  昭和五十四年度の公債の発行の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。
一、健全財政の早期実現を期するため、中長期の財政を展望しつつ、財政収支の改善に全力を尽すとともに、速やかに特例公債依存の財政から脱却し得るよう努めること。
二、国債は将来の国民の負担となるので、償還財源についても長期的な展望をふまえ、財源の確保に努め、償還に支障のないようにすること。
三、財政支出のうち、不要不急の経費を削減するとともに、補助金行政の洗い直しを行うなど、抜本的な行政改革を進めること。
四、財源対策としての税制改革に当たっては、負担の公平化を重視し、中長期にわたる基本的展望に基づいて見直しを行うこと。
五、公共債の発行が民間の資金需要を圧迫することのないよう留意し、また、個人住宅資金、中小零細企業金融等についても配慮するとともに、財政インフレを招かないよう十分に対処すること。
六、国債の個人消化を促進するとともに、国債の発行形態の多様化、発行条件の弾力化、公社債市場の整備拡充等、国債管理政策の改善に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
○委員長(坂野重信君) ただいま和田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(坂野重信君) 多数と認めます。よって、和田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、金子大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。金子大蔵大臣。
○国務大臣(金子一平君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
○委員長(坂野重信君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(坂野重信君) アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。金子大蔵大臣。
○国務大臣(金子一平君) ただいま議題となりましたアフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 わが国は、現在、政府開発援助三年間倍増の方針に沿った経済協力の拡充に努力を払っているところでありますが、そのためには、国際開発金融機関に対しても引き続き積極的な協力を行う必要があります。
 アフリカ開発基金及び米州開発銀行は、ともに、それぞれアフリカ及びラテンアメリカの開発途上国の開発の促進を目的とする地域開発金融機関であります。わが国は、アフリカ開発基金については設立時の昭和四十八年に、また米州開発銀行については他の域外先進諸国とともに昭和五十一年にそれぞれ加盟し、自来、両機関の活動を積極的に支援してきたところであります。今般、両機関におきまして、その円滑な事業活動を継続し得るよう増資を行うこととなりました。これに伴い、わが国は、現在の合衆国ドルで申しまして、アフリカ開発基金に対しては総額約一億四千八百万ドルの追加出資を、また、米州開発銀行に対しては総額約一億四千二百万ドルの追加出資をそれぞれ行いたいと考えております。
 このため、本法律案において、政府は従来の出資金額のほか予算で定める金額の範囲内において両機関に対し出資することができることとし、あわせて昭和五十四年度予算において所要の追加出資の限度額について御承認をお願いしている次第であります。
 このたびの改正は、最近における国際開発金融機関の増資が頻繁に行われることを考慮したものであり、これによってわが国のこれら開発金融機関に対する積極的協力姿勢を明らかにすることにもなると考えられます。政府としては、最近におけるわが国の経済協力に寄せられている大きな期待にもかんがみ、本法律案の成立後速やかに増資応募の通告を行いたいと考えております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(坂野重信君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○福間知之君 外務省にちょっと冒頭にお聞きをしたいのですが、アフリカあるいはアフリカの諸国、さらにはまた、いま米州開発銀行の対象になっている中南米、これらの国々は私どもは比較的当事国の事情というものに疎いわけですね。これは外務省の方も私決して十分情報が得られているとは思わないのですけれども、しかし、私どもよりは継続的に情勢の推移というようなものをつかんでいられると思うのです。
 最近、私が申し上げるまでもなく、アフリカでもあるいは南米あるいは中央アメリカでもかなり政治的な激動が続いていると思うのですね。アフリカでは、代表的な南アフリカのアパルトヘイト問題、ローデシアの独立をめぐるその後のぎくしゃくした状況あるいはナミビアの問題、アンゴラとザイールの関係とか、いろいろ複雑な状況にあると思うわけです。私たちがいま審議しようとするこのアフリカの開発基金にしましても、これらの国々を対象にして経済的な基盤の強化、民生の改善向上ということを意図するわけですけれども、その前提としてこれらの国々の実情というものが私たちはもう一つわからないんですよね。
 外務省としては、私ども以上にそこらについても御心配もなされているでしょうし、当然の立場として状況把握に努めていられると思うんですけれども、まず概括的に、最近におけるこのアフリカあるいは中南米における政治状況と、それに対応するわが国外交のあり方、姿勢というようなものについて見解をひとつお聞きをしたいと思うんです。
○説明員(原口幸市君) 最初に、アフリカ課長でございますので、アフリカの問題につきまして概括御説明さしていただきたいと思います。
 いま先生御指摘のとおり、アフリカ大陸におきましても諸種の流動的事態が見られるわけでございますが、特に最近注目されます点はローデシアの問題であろうかと思います。
 簡単にローデシアの最近の流れというものをお話しさしていただきたいと思いますが、七七年の九月に英米提案というのがございまして、その骨子は、全当事者が参加する形で公正な選挙を行って、真の多数支配による政権をつくれという提案でございましたが、この提案は結局白人政権側と黒人側との間で折り合いがつかず、七八年の三月には内部解決でいこうという白人政権とそれから黒人穏健派の合意ができまして七九年一月に新憲法案が作成されまして、その一月の末には新憲法案がレフェレンダム、これはもっぱら白人及び一部カラード、それからアジア人によって行われたレフェレンダムでございますが、このレフェレンダムによって新憲法案が作成、承認されまして、これに基づき二月の末にこれまでの議会が解散させられて四月十日に白人議員の選挙、これは二十議席を争うものでございますが、が行われ、さらに十七日から二十一日にかけまして黒人議員七十二議席の選挙が行われたわけでございます。
 報告によりますと、選挙結果は黒人の投票者の六割強が投票所にあらわれて選挙を行った。そして、きょう入った電報によりますと、大体各黒人穏健派の議席の割り当ても定まったということでございます。
 今後の予定といたしましては、五月の中旬にさらに若干残っている白人議員の指名が行われまして、続いて上院議員三十名の選定が行われる。そして五月の下旬には新議会が招集されて大統領、首相それから内閣に当たる執行評議会メンバーというものが決定されて、六月上旬には新しい国名、ジンバブエ・ローデシアという国名の国が成立するという手はずになっているようでございます。
 この選挙につきましては、結局愛国戦線側と言われている黒人が参加を拒否しておりますので、今後新しくでき上がった新政権がその愛国戦線側とどういう形でどういうふうに解決をさらに図っていくか、あるいは実際に行われた選挙が本当に公正に行われたのかどうか、あるいは周りの国々を含めた世界の国々がローデシアの新政権をどのような形で承認あるいは承認しないかという点はわれわれ慎重に見守っていかなければならないかと思っております。
 それから南部アフリカでございますが、南部アフリカにつきましては、依然として先生御指摘のアパルトヘイト政策は続いておりまして、むしろまあ強まっているかとも言えるわけでございます。
 最近では、特に領土的な隔離政策の実施段階というものに入っております。すなわち、この計画は黒人諸部族に対し南アの一部地域を与え、民族ごとにいわゆる独立を与えようとするものでありまして、一九七六年にはトランスカイ、七七年にはボプタツワナが成立しました。
 しかし、こうしたいわゆる独立国は、その与えられた土地が狭小で荒廃地が多い等問題が多く、結局この計画は人種差別政策の一環と考えられるので、わが国を含む国際社会はトランスカイ及びボプタツワナの独立を認めておりません。いずれにしましても、南アの人種差別政策の基本には依然として変化はないとわれわれは考えております。
 あと、最近の出来事としましては、ウガンダにおきましてああいう形で新政権ができましたし、それにチャドでは内部で北部側の回教徒系と南部側の黒人との間で依然として内紛が続いているというような状態はございます。
○説明員(木村崇之君) 引き続きまして、中南米諸国に対するわが国の考え方を若干申し上げます。
 中南米諸国と申しましても非常に多様でございまして、新興工業国として発展の目ざましいメキシコ、ブラジル、それから石油産出国であるベネズエラ、メキシコ、それからそういう国と比べまして、独立後日が浅くまだ国家基盤ができていないカリブ海の小国等ございまして、一概に全体としては申せませんが、非常に概括的に申し上げれば経済発展も順調に進みつつありまして、経済水準は比較的高い状態になっております。
 そういうことも反映いたしまして、南北対話の場におきましても中南米諸国は概して穏健な立場をとっておりまして、今後ともわれわれとしてはこういうような中南米地域の特性を生かした意味での経済協力を進めてまいりたいと、かように考えております。
 以上でございます。
○福間知之君 アフリカの場合は五十カ国ですか、あるわけですね。中南米でも二十五ですか、あるわけで、名前を聞いただけではちょっとわからない。いまおっしゃられたような代表的な国の名前は何となく頭に入っておりますけど。
 まあ、たまたまいまわれわれが審議している法案は、これらの地域の国々を対象にしておる開発援助金融機関に対する出資問題ですね。そういうことになりますと、正直言いまして現地の事情というものがほとんどわれわれが判然としてつかめないままで実はこの審議をしなければならない。こういうことで、これはことしだけじゃありませんが、前回の場合もそういうこと痛感しておったんです。
 そうなると、外務省がいまおっしゃられたような国々だけをとってみましても、果たしてここ数カ年、その国の経済発展の事情はどうなのかなと、こういうことが気になるわけです。
 かなりローデシアにしましても、あるいはナミビアにしましても、あるいはまたアンゴラ、ザイール等にしましても、内部における政情不安なりあるいはまあ隣接国との紛争なりが絶え間ないわけですね。そういうことに明け暮れしているんじゃないかとすら思えるわけですね。
 そうすると、実際民生の向上あるいはまた経済の基盤の改善などは果たして進んでいるのかどうか、こういうことが実は気になるわけです。
 たまたま私、大蔵省からいただいた資料を竹田先生を通じてちょっと見ているんですが、いまアフリカの二、三の国が挙がりましたけれども、そういう国には開発基金から援助資金は行ってないんですよ。それ以外の、むしろ私どもが頭になかなか名前の入らないような国々に事実としていっているんですね。
 だから、そういうことを考えましても、まだまだ開発基金そのものが汎アフリカ諸国というか、全アフリカ諸国といいますか、そういう全域にわたって必ずしも発動されていないと、こういうようなことが一つ感じられます。
 それから、南アメリカ、中央アメリカ――中南米ですね、中南米につきましても、先ほど挙げられたようなブラジルあるいはアルゼンチン、メキシコ等、比較的進んだ国々は開発銀行の方から相対的にかなりの援助金額が出資されております。
 こういうことを考えますと、この両者の開発金融機関のこれからの実は仕事といいますか、その任務とするこれら地域諸国に対する開発援助という事業は、私、多分に単なる金融機関としての立場からの狭いアクションじゃなくて、言うならば私たち先進国と、あるいはまたがっての宗主国なら宗主国と現在のそれらの国々とのよりよい外交関係といいますか、そういうものが一つ非常に重要であるし、また、国内における一般的な民主化といいますか、政情の安定化というふうなものが基盤にならないと、われわれがいま推し進めている国際的な開発援助基金の発動というものが効果的に進捗しないんじゃないか、そんなことが懸念されるわけです。
 私、いままで日本の外務省がどういうことをやってこられたか知りませんが、こういう開発基金の国際的事業というものと、わが国外務省の外交政策あるいは姿勢というようなものとはどの程度かみ合っているのかどうか。言うならば、これは管轄が大蔵ですから、大蔵と外務との間でこの種の問題についての意思疎通というか、ミーティングというか、そんなものはいままでにあったのかなかったのか。
○説明員(木村崇之君) お答えいたします。
 アフリカ及び中南米のみならず、こういうような国際開発金融機関――アジア開発銀行それから世界銀行等の開発金融機関におきます援助政策が日本の援助政策と必ず一致するというわけではもちろんございませんが、わが国のそういうような国際機関に対する立場というものにつきましては、大蔵省と外務省及び関係各省の間で密接に連絡をとっておりまして、常に調整をしつつ、わが方の意向が可能な限り反映されるよう努力しております。
○福間知之君 じゃ外務省の方、もう少しお聞きしてもいいんですが、時間がありませんので結構でございます。
 具体的に今度の法案に関しましてお伺いをしたいと思います。
  〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
 今回のこの法案で、要するに国際的な開発金融機関への追加出資をするに際して、いままではその都度法改正を行ってきたんですけれども、今後はそれを必要としないと、つまり当大蔵委員会での審議をし決定をするというプロセスを経ないで予算に定めた限度内で政府判断によって出資できるようにしたいということのようですが、そういうふうな改正をする理由は何ですか。
○政府委員(宮崎知雄君) 従来、国際開発金融機関に対する追加出資につきましては、その追加出資の都度、それぞれの加盟措置法におきましてその金額を規定いたしまして国会で御承認をいただく、こういう方式をとっております。しかし、今回のアフリカ開発基金、それから米州開発銀行への追加出資につきましては、それぞれの参加ないし加盟措置法におきましては、予算の定める範囲内において、出資することができるという包括的な規定にさしていただきまして、具体的な金額につきましてはこれを予算総則において定める、こういう形にさしていただきたいというふうにお願いしているわけでございます。
 その理由と申しますのは、まず第一に、最近国際開発金融機関の増資が非常に頻繁になってきている。その背景には、開発途上国の資金需要が非常に旺盛になってきております。また世界的なインフレというようなこともこれに加わりまして、資金需要が非常に強くなってきている。そのために国際開発機関の増資を頻繁に行わなければならないという情勢になってきているわけです。
 今回御審議いただいております両機関に対します追加出資の中にも、たとえばアフリカ開発基金でございますと第一次の増資に対する追加出資というのがございますし、また、米州開発銀行につきましても第四次の増資に対する追加増資、こういうようなものが入っているわけでございます。
 このように、国際機関の資金需要が非常に強くなりまして、その結果増資の頻度が非常に高まってきた。これに機動的に対応するためには今回のような形でやらしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 従来も追加増資が予想されますような場合、たとえばこの米州開発銀行の中に特別にソフトな条件で資金を貸し出します特別業務基金というのがございますが、そちらの方につきましては、すでに加盟措置法の方では包括的な規定にさしていただきまして、予算でもってその限度額を決めるという形にさしていただいております。同じことはアジア開発銀行の開発基金あるいは国際農業開発基金に対する追加拠出につきましても同様の規定を設け、それをすでにお認めいただいているわけでございます。
 私どもといたしましては、最近の国際的な援助、後進国、開発途上国に対する援助に対する国際的な関心が非常に高まってきておりまして、わが国がこの三年間にIDAを倍増するというような積極的な姿勢も打ち出しております。こういうときにそういう追加出資の規定を法律の中に設けるということは、わが国のそういう経済協力に対する積極的な姿勢を鮮明にすることにもなるんではないか、そういうことで今回のような改正をお願いしているわけでございます。
 諸外国におきましても、主要国におきましてはこの追加出資は予算で決められるという形になっております。
 もちろん、予算でその限度額を今後決めさしていただきましても、これは政府限りで勝手にその金額を決めるということはできないわけでございまして、これは当然国会に付しまして御審議をいただいて、その結果それについて御承認をいただくということでございますので、私どもとしてはそういう趣旨で今回の改正をお願いしているわけでございます。どうかよろしくお願いをいたします。
○福間知之君 いま米州開発銀行の特別業務の基金、あるいは先ほどおっしゃられたアジ銀の開発基金、あるいは国際農業開発基金の追加拠出ですか、そういうものはすでにそうなっている、こうおっしゃいました。今後いわばIMFの基金とか国際復興開発銀行、国際金融公社、国際開発協会等への出資あるいは拠出、そういうものすべてについてやはりこの種の扱いにしたいと考えるわけですか。
○政府委員(宮崎知雄君) ただいま御指摘の国際金融機関の中で、たとえばIMFは、これはちょと国際開発金融機関といいますよりは、むしろ国際通貨の方の短期の融資の機関でございますので、若干性格が異なるかと思います。
 しかし、それ以外のたとえば世界銀行あるいは国際金融公社等の機関、それぞれ国際開発を目的とする金融機関でございます。
 ただその範囲につきましては、これは世界銀行、あるいはまた第二世銀というものにつきましては、これは大体地域がグローバルで世界全体を対象とする金融機関でございます。アジア開発銀行につきましては、これは地域の金融機関でございます。そういう差異が機能的にあるわけでございますけれども、資金調達の態様ということになりますと、これは大体いずれもこれらの開発金融機関につきましては類似したものがあると思います。
  〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
 そこで、私どもとしましては、これらの機関の増資の頻度がどの程度かということによると思いますけれども、非常に頻度が高くて追加出資の可能性の多いもの、そういうものにつきましては、今回のように予算でその金額を定めるという形にしていただきたいというふうに現在のところ考えておりますが、これはいずれにいたしましてもそういう問題が、増資の必要性が起きましたときにまた検討さしていただきたい。これまでの御審議のそういう経緯も踏まえまして、必要性がある場合にはできるだけ御理解をいただくように努力していきたい、こういうふうに考えております。
○福間知之君 その問題はまた後ほど少し詰めた話をしたいと思うんですけれども、いわゆる米州開発銀行で、さきの総会ですか、コングレスにおいて、米州開発銀行の政策とか業務、資金調達方法などの洗い直しをめぐる議論というのがかなり行われたと、こういうふうに聞いているんですけれども、具体的にはどういうことですか。
○政府委員(宮崎知雄君) 米州開発銀行の今回の第五回の増資に際しまして、若干新しい方針が打ち出されてきております。
 その一つは、御承知のようにこの米州開発銀行には、ソフトな条件で融資いたします特別業務基金というのがございますが、一つは、この中南米諸国の平均的な所得水準というものがわりあい高いわけでございますので、余りソフトな条件の特別業務基金からの融資というものはそれほどふやす必要はないんではないかということで、大体今度の増資期間は四年でございますけれども、その金額につきましては、従来の実績を大体踏襲すると、こういうことになっております。それ以外のものにつきましては、一般の通常の資本の面から融資される、こういうことが一つ決まっております。
 それから第二番目の点といたしましては、融資の対象でございますけれども、融資の対象をできるだけ貧困国にしぼっていくという方針が打ち出されております。
 具体的に申し上げますと、全体のこれは資本と特別業務基金の両方の合計額でございますが、そのうちの半分以上は所得水準の低い国に融資をするという方針が一つ決まっております。それからさらに、先ほど申し上げました特別業務基金の融資につきましても、これはその七五%ないし八〇%というものを特に所得の低い国に融資すると、そういうふうな方針になっております。
○福間知之君 そのいまのお話の中でも、ソフトローンの財源たる特別基金の貸し付けについては、言うならばLLDCという部門を中心に対象としてやっていくということでございますが、それも私は大事なことだと思うんです。大事なことだと思うんですけれども、問題は、それを受け入れる側の社会的、制度的基盤というものがやはり一つ前提として考慮されなきやならぬと思うんですがね。いままで一、二の例でそういう対象がありましたら少し教えてください。
 具体的に、どこの国でどういう対象に対して米州開発銀行がやってきたか、あるいはアフリカの開発基金がやってきたか。いまおっしゃったLLDCというものに焦点を置いて具体的な事例を出してください。住宅だとか道路だとか下水道だとかいろんなことがあるんだと思うんですけれども。
○政府委員(宮崎知雄君) 具体的な事例につきまして御説明申し上げます。
 まずアフリカ開発基金の方でございますが、これは主といたしまして所得の一人当たりのGNPの非常に低い国に多く融資が行われております。
 具体的に申しますと、たとえば一番この基金から多く貸し付けが行われておりますのは、一人当たりのGNPが百ドルのマリに九・九%、それから百八十ドルのタンザニアに五・九%というふうに、所得の低い国にその多くが融資されているわけでございますが、プロジェクト別に見てまいりますと、農業関係の比率が一番高くなっておりまして、これが基金の融資のうちの三四・七%を占めております。それに次ぎまして運輸関係、水道でございますとかあるいは公共事業、これは水道等、そういうふうな順序になっております。
 また、特にアフリカ開発基金の場合には、ほかの国際開発金融機関と比較しまして保健とか教育、そういうふうなプロジェクトにも大きなウェートが置かれているのが特徴でございます。
 具体的にちょっと例を申し上げますと、たとえばエチオピア、これは所得が一人当たりのGNPが百ドルということで非常に低いわけでございますが、このエチオピアの農業開発計画の一部になるんですが、ジンマとチダというところの間の道路を約八十四キロにわたって建設するという融資が行われております。これは融資の額が約八百万ドルということになっております。
 それからまた、教育の面で申し上げますと、ソマリアに対しまして教科書の印刷の施設を拡大する、具体的には学校の教材需要を満たすために印刷出版施設を拡大改善するというプロジェクトに二百万ドル融資がされております。また医療関係につきましては、これは西のアフリカの方でございますが、ベナンに対しまして六百万ドルの融資が行われております。これは新しい保健センターを建設する、あるいはまた薬局をたくさんつくる、あるいは看護学校を再編成するというようなことで、この医療衛生サービスの開発に貸し付けを行っております。
 それから次に、米州開発銀行の貸し付けの例でございますが、米州開発銀行の方も先ほど申し上げましたように貧困層に対して重点的に貸し付けを行う、こういう方針が打ち出されております。
 従来までのところ、特に特別業務基金から融資されたプロジェクトについて例を挙げて御説明いたしますと、一つはコスタリカに対して農村の電話サービスのプロジェクトに対して、これにつきまして特別業務基金から千二百万ドルの貸し付けが行われております。これは具体的には、たくさんあります部落に小規模な電話交換所をつくりまして、大きな部落との通信のために公衆電話とか共同組合とか、あるいは小規模の農園、病院、学校、それぞれに多くの公衆電話を設置するというようなことで、これによりまして約二十四万五千人の農村人口に電話サービスをもたらすというような成果が上がっております。
 それからまた、パラグァイにつきましてこれは上水道でございますが、上水道の建設をやっております。これはパラグァイの中央にあるビヤリカというところでございますけれども、この水道の建設の結果、約八〇%の家庭に水道が敷設されるというような成果が上がっております。
 それからまた、都市開発につきまして、コロンビアでございますが、これにやはり特別業務基金から四千百万ドルの融資が行われておりまして、これは港町のブエナベンツラというところでございますが、そこが非常に人口がふえまして、約三千五百世帯ぐらいが水上で生活をしなければならないという、そういう非常に居住環境が悪化しているところがあったわけでございますが、これをこの都市開発によりまして全部住民を陸上の新しい地区に移住させる。そしてまた学校とか水道とか下水、そういうそれ以外の交通施設、そういうようなものの建設をこの都市開発でやっていくというような成果が上がってきております。
○福間知之君 局長、大変繁雑な御答弁を煩わしましたけれども、そういうことで着々成果を上げていると、こういうことだろうと思うんですが、そうしますと、その種の援助事業というものは今後とも需要としてはかなりなものが予想されるわけですね。したがって冒頭の説明にもあったように、増資という頻度が今後も高くなってくる、こういうふうに思うわけですね。
 たとえば、今回わが国も増資を応諾して、その結果それぞれ出資額のシェアは上がるわけです。それはアメリカあるいはヨーロッパ諸国等々との兼ね合いで金融局を中心でいろいろ判断されるでしょうし、それは結構なんですけれども、ざっとこう見まして、いわば先進国が中心で出資しているわけですね。最近は中近東などのお金持ちの国が大分できておりますので、そういうところに出資国として参加していただく、そういう必要があるんじゃないかなあと、こう私は思うんですがね。資金需要が旺盛になってくるというお話でもございますし、私もそうだと思いますので、そこらはどうなんですかね。
○政府委員(宮崎知雄君) 資金需要が旺盛になりますにつれてこれらの国際開発金融機関の増資が行われる、その頻度が非常に高くなる。その資金の出資先、提供先というのが先進国だけではなくて、これをもう少し広げて石油産出国にも広げたらどうかという御意見でございますが、私ども基本的にはそういう考え方は賛成でございます。国際機関の出資のシェアと申しますのは、やはりそれぞれの国の実力と言いますか、経済の実態に応じてシェアが決まっていくということであるべきだと思っております。
 当委員会におきましても、従来再三にわたりましてこの国際開発基金等に対する増資の御審議をお願いしているわけでございますが、その都度、これらの機関の重要性にかんがみまして、その増資に当たっては各国の経済の実態が十分反映されるように、またその運営については日本も協力していくようにという附帯決議もいただいております。そういう考え方からいたしまして、最近OPECの国の経済力がついてまいりましたわけでございまして、そういうところのシェアが広がっていくというのもこれは結構なことだと思います。
 ただ問題は、一つはある国のシェアが非常に広がるということは逆にほかの国のシェアが落ちるわけでございます。このシェアが落ちました場合に、この出資のシェアと言いますのは大体発言力と非常に関連していることになっております。そのために、必ずしもシェアが低下するのを好まないという国もあるわけでございます。したがいまして、各国のシェアを調整いたします場合にはすべての国が相談いたしましてそこで調整をしなければならない、こういうことでございますので、そう簡単にすぐ産油国のシェアが上がっていくということにはあるいはならないかもしれませんが、方向といたしましては次第に産油国のシェアがふえていくというのが自然の傾向にあるんではないかというふうに考えております。
 ただ、もう一つ産油国からの開発途上国に対する援助につきましては、これは国際機関とは別個に、またそれぞれの産油国が一つの信託ファンドみたいなものをつくりまして、そこに資金を入れ、そこを通じて途上国に援助を行っていく、こういうケースもあるわけでございます。
○福間知之君 そうですが、別途の信託ファンドなどをつくってやると、むしろそちらの方へ傾斜している。あるいはまた、いまアフリカの開発基金にしてもあるいはIDBにしても、こう見ましたところ産油国入っていませんわね、入っていないですね。だからそれは理事会か何かで産油国を入れるというふうな議論はもうこれは行われてきていないのか、行われてもなかなかそういう意見はまとまらないのかどうか、これは時間がありませんから簡単にひとつ言ってください。今後またそういう参加さしていく可能性はあるのかないのか、この表で見る限り入っていないです。
○政府委員(宮崎知雄君) アフリカ開発基金につきましてはサウジアラビアとクウェートが入っております。これがサウジアラビアがシェアで申しますと一・六%でございます。それからクウェートが〇・七%でございます。
 それからそのほかの、たとえば国際機関で申しますと国際開発協会でございますが、いわゆる第二世銀と言っておりますが、そこにおきます産油国のシェアをちょっと申し上げますと、サウジアラビアが四・五六%を占めておりますし、それからクウェートが二・三四%、それからアラブ首長国連邦、これが〇・六六%ということで従来のこれらの産油国のシェアと比べてみますと相当シェアが高くなってきていると、こういう現象が出てきております。
○福間知之君 時間がございませんのでこの問題はこれで、また必要によって今後お聞きをしたいと思います。
 先ほどの問題に戻りますが、例の「損失補償契約等の限度額」という予算総則の中身の中で、今後この増資に際しての予算の限度額というものを扱っていくということのようですが、どうも大蔵省の皆さんの方からいただいたこの予算総則第十条、これを見ますと、私たちがいま議論しているこの増資のための原資はなじまないような項目が多いんです。
 たとえば、「「原子力損害賠償補償契約に関する法律」第八条の規定による金額の限度」、「「矯正医官修学資金貸与法」第四条の規定による金額の限度」、「「公衆衛生修学資金貸与法」第四条の規定による金額の限度」、こういうふうな、これは国内的な問題でございますけれども、それと同列の扱いになるというのが常識的にどうも扱い方が腑に落ちないんですよ。この点が一つ。
 それから、先ほど局長がおっしゃっていたように、要するに予算でこの限度額というものを設定する。要するに応募総額が示されているだけであって、実際の払い込み額は歳出の予算に明確には示されていないということになるわけですね。それで、実際に支出するときには国会での御審議をいただくというふうな御発言が先ほどあったやに伺うんですが、それは具体的にそういう形になるのかどうか。当大蔵委員会が審議をし採決権を行使するという立場での扱いになるのかどうか、その二点お伺いします。
○政府委員(宮崎知雄君) 二番目の点についてお答え申し上げたいと思いますが、予算の総則で今度金額を定めることにさしていただきたいということでございますが、その際には私ども当然に、出資できる授権は、これはそれぞれの法律、参加法がございますが、その参加法に基づいて私どもは出資する授権をいただくということでございます。ただ、その具体的な金額は予算総則で決めていただくと、そういう仕組みになるわけでございます。
 そこで、具体的にじゃあ歳出予算にどういうふうに出てくるかということになりますと、これは歳出予算の方はもう従来から、その年度に必要な現金の支出がある場合にはそれは歳出予算に出てまいりますけれども、現金以外の、今回のような場合の国債で払い込むような場合には、歳出予算の方には具体的な数字は実は出てこないというのがこれは従来からのやり方でございます。その点は今後も変わりないわけでございます。
 それから、この大蔵委員会でもって審議がないんではないかと、こういう点でございますが、私どもといたしましては、予算の総則で具体的に金額を決めさしていただきました後も、今後追加出資があります場合には必ず本委員会にその旨を御説明申し上げますし、それからそれの御審議に必要な資料は提出いたしましてこの委員会において御審議をいただくと、それがまた国民全体が援助問題に対して関心を持ってもらうためにもこの場で御審議していただくのがいいんではないかというふうに考えております。
 それから第一番目の損失補償契約等の項目に立てるのがいいかどうかということにつきましては、主計局の方から御説明を願いたいと思います。
○政府委員(禿河徹映君) こういう国際機関に対します出資の限度額等を、予算総則の第十条、そこに一括して「損失補償契約等の限度額」というところに書くのはいかがかと、こういう御指摘でございますが、実は、財政法の二十二条におきまして予算総則で規定すべき事項というものが定められております。
 たとえば公債発行の限度額だとかあるいは一時借入金等の限度額というふうに、財政法の二十二条に個別に書かれております事項につきましては、予算総則におきましても条文ごとに見出しを区分いたして掲げておるわけでございます。
 その他の各種の限度額というものにつきましては、たとえばここにございますとおり、損失補償契約の契約金額の合計額が幾らであるかとか、あるいは修学資金の総額その他一括してこの予算総則に書いておるわけでございます。
 実は、国際機関に対します出資等の限度額につきましても、こういうことに当たります年度におきましては、従来から、たとえばアジ銀に対します出資金とかいうものもこの十条のところに一括して書いておったわけでございます。見出しがちょっと変でございまして、御指摘のとおり「損失補償契約等の限度額」ということで一括して書いております関係上、見出しと中身が若干違うじゃないかと、こういう実は御指摘もございますが、私ども従来からここに一括いたしまして「等の限度額」ということで掲げさせていただいておったわけでございます。
 実は、先般衆議院の大蔵委員会におきましても、こういう国際機関に対します出資の限度額を一括掲記するのはどうかという御指摘もございまして、私どもどういうものにつきましては将来の検討課題といたしまして、予算総則の書き方あるいは見出しのつけ方という点につきまして検討させていただきたいと、かように御答弁申し上げたような次第でございます。
○委員長(坂野重信君) 福間君、時間が大分超過しております。
○福間知之君 ぜひ次長ね、いまの御発言私も覚えておきますから、「損失補償契約等の限度額」の「等」に考え方として含めているようでございますが、これはやはり少し新しい時代にふさわしくないというふうに思いますので御検討願いたい。
 それから最後に大臣、これは大臣にお聞きするよりもむしろ衆議院の大蔵委員会の委員長を呼んできて聞かにゃいかぬのですが、衆議院でもいろいろ議論があって、実質上この大蔵委員会が所管の委員会として、この種問題について、今後の増資に際して法律は出ないかもしらぬけれども審議はすると、これは責任持って大臣の方も御答弁されているようですけれども、この中身について、当院、参議院の大蔵委員会としても大臣から確たるひとつ御答弁をいただいて私は終わりたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) いま福間さんから御指摘のありました点は、従来からこの関係法案を大蔵委員会で御審議いただいておった経緯もございますので、仮に一括授権をいただきましても、個々の具体的場合に当たって大蔵委員会にお話しを申し上げ、十分御審議をいただくようにいたしたいと存じます。
○多田省吾君 時間も余り多くありませんので、簡明に御答弁をいただきたいと思います。
 初めに大蔵大臣にお伺いしますが、いまも質問がございましたけれども、今回の法改正では、今後は法改正をしないで予算で定める金額の範囲内で出資できることになりまして、大蔵委員会の審議を必要としなくなるわけであります。これでは融資内容などを国民の目から遠ざけるものでありまして、当委員会の審議を著しく制約するものと言わざるを得ません。
 この点につきましてはすでに何度も議論されておりますので、一点だけお伺いしておきますが、大蔵省は、増資の頻度が多くなった、また予算委員会で審議できるからよいと、こうお答えになっておりますけれども、予算では応募総額が記されているだけで実際の払い込み額はわからないわけであります。また頻度が多いほどさらに審議によって明らかにすべきであります。
 いま、従来どおり大蔵委員会で審議を具体的に願うというお話もありましたけれども、そこで、なぜ従来の方式ではいけないのか、また従来の方法に戻すことは考えられないのか、その点を含めて大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 先ほどの福間さんの御質問に対して国際金融局長お答えいたしましたとおり、最近こういった地域開発の金融機関の数がふえまして、それで必要に応じて相当頻繁に増資を引き受けなきゃいかぬような場合がふえてまいりましたものですから、大蔵委員会における審議は、これはもうその都度必要資料を整えて十分御審議いただくことといたしましても、全体としての授権だけはひとつ政府にお与えいただきました方が今後の各金融機関との折衝等において便利に、機に応じ変に応じて行動できるんじゃなかろうかと、こういうことでお願いをしておるような次第でございます。
○政府委員(宮崎知雄君) ちょっと補足させていただきますが、先ほど予算の立て方に、具体的に歳出予算の方に金額が出てきてないではないかという御指摘でございますが、これは先ほども御答弁申し上げましたように、従来から法律でもってこの追加出資の御承認をいただいたという場合におきましても、具体的に現金を出資するという場合にはこれは歳出予算の方にその具体的な金額を掲示してございますけれども、国債で払い込むというような場合にはこれは従来から歳出予算には記入していないわけでございます。
○多田省吾君 次に、アフリカの開発資金に対する出資は、今回の増資前で考えますと出資主要国の中でカナダに次いで二位であったと思います。今度の増資で第一位になると思います。
 そこで、今回の増資に対するアフリカ諸国の反応はどのようなものか、また今回の改正案の特徴はどこにあるのかをお伺いしておきます。
○政府委員(宮崎知雄君) 御指摘のように、今回の第一次増資への追加出資と、それから第二次の一般増資への出資をいたしますと、わが国の出資シェアが一五・八%ということになりまして、これは最大の出資国となるわけでございます。この点につきましては、実はわが国は従来から経済協力には積極的な姿勢で臨んでいるわけでございます。二国間の援助につきまして当然これを強力に進めるということを続けてきておりますが、アフリカの場合には、わが国との地理的な関係からいきましても非常に遠隔の地にございますし、それからまた歴史的にも関係が薄いというようなことがございまして、なかなか二国間の援助をきめ細かくやっていくというのはむずかしい面もあるわけでございます。そういうふうな点を考慮いたしまして、一方におきまして、わが国が経済力が強まるに従って援助の地域というものもアジアだけに限らず、もっと広くアフリカその他中南米の地域にも広げていくという必要があるわけでございます。そういうふうな観点から、この国際開発金融機関の融資ということになりますと、それぞれの機関は専門的なノーハウも持っておりまして、そういうノーハウを通じて援助をやるということがひとつば非常に援助の効果を上げるという成果もあるわけでございます。
 そういうふうな観点で、私ども今回、従来もそうでございましたが、今回も積極的に第一次の追加出資とそれから第二次の一般増資に応募するということにしたわけでございます。第二次の増資につきましては、従来の大体シェアを踏襲するということでやってきておりますが、第一次の追加出資はございました。
 それから、カナダが今回は若干国際収支の状況が悪いということで出資の金額が落ちておりますのでわが国が第一位のシェアを占めていると、こういうことでございます。
 それで、今回の増資の特徴でございますが、一つには増資の規模が非常にふえているというのが一つの特徴であろうかと思います。この増資前は約四億七百万計算単位でございましたが、これが今度増資をいたしますと十一億二千六百万計算単位と飛躍的に拡大するということになります。これによりましてアフリカ諸国の経済的、社会的な開発に一段と大きく貢献できるということになるわけでございます。この点が一つと、それからもう一つは、今回の増資に当たりまして、特にこの期間が七九年から八一年までの三年間でございますが、この資金が低所得国に重点的に貸し付けを行うという方針が打ち出されております。
 具体的に申しますと、この開発基金の貸し付けは一人当たりのGNPが五百五十ドル以下の国に重点的に貸し付けるということになっておりまして、そのうち特に八〇%は二百八十ドル以下の貧困国に振り向けるという方針が出されております。この点が第二の特徴だと思います。
 それからもう一つの、わが国の増資に対する貢献度に対するアフリカ諸国の反応はどうかという点でございますが、具体的な反応といたしましては、昨年のガボンにおきます年次総会におきまして、わが国の代表が第二次の一般増資に対して九千五百万計算単位の出資の意図を表明しました場合に、これが会場で万雷の拍手をもって迎えられたということが一つございます。
 それからまた、先般セネガルの大統領の訪日の際にも、その際に共同コミュニケが出されておりますが、この中におきまして、わが国のアフリカ開発国に対する協力は高い評価が与えられているわけでございます。その共同コミュニケのところに「セネガル側は特にアフリカ開発基金に対する重要な寄与に示されているように、日本のアフリカ諸国に対する政府開発援助の増大を評価した。」というコミュニケの文書になっております。
○多田省吾君 次に、外務省にお尋ねしたいと思いますが、アフリカ開発銀行にわが国が加盟するという方向で現在交渉が進められていると聞いておりますが、アフリカ諸国との関係を深める意味で加盟が期待されているところでありますけれども、交渉の現状と加盟の見通しはどうなっておりますか。
○政府委員(宮崎知雄君) 昨年のアフリカ開発銀行の総会が五月に開かれたわけでございますが、その際に、アフリカ開発銀行としましては資金調達の観点からメンバーシップを域外国にまで開放するという決議を採択いたしております。この決議を受けまして、銀行とそれから加盟に関心を持つ域外国との間で昨年の九月以降、これまで数次にわたりまして交渉会議が開かれております。加盟条件等についての交渉がいま進展しているところでございまして、現在のところ域内国と域外国の出資のシェアをどうするかというようなことで一大体域内国のシェアを二、域外国を一とするような方向で話が進んでおりますが、まだ最終的な結論を得るには至っておりません。わが国といたしましても、アフリカ諸国の経済社会開発に果たしているアフリカ開発銀行の役割りを重視いたしまして、この交渉会議にも積極的に参加する、加盟についても前向きにいま検討しているところでございます。
 今後の日程といたしましては、ことしの五月に開催されます年次総会の際に恐らく詳細について最終的に検討が行われる予定になっております。もしそこで合意が得られました場合には、この総会で域外国加盟のための協定改正等の決議が行われるのではないかというふうに考えております。
 ただその決議が行われましても、その後まだ協定の改正のためにはこれは加盟国全体の承認が要るわけでございます。それにも相当受諾手続を要するのに時間がかかるので、恐らく具体的なわが国の加盟手続ということになりますと、若干日時を要するということになるのではないかというふうに考えております。
○多田省吾君 従来わが国の対アフリカ外交といいますと、南アフリカの白人政権を対象にしたものが多かったわけでありますが、いわゆる黒いアフリカに関してはほとんど無策と言っていい状況が続きました。いまも、今度は低所得国に援助の力を入れるというお話でありますけれども、現在までに南アフリカ以外のアフリカ諸国に対してどのような援助をしてきたのか、また歴代の外務大臣は何回ぐらい訪問しているのか、お聞きしたいと思います。
○説明員(木村崇之君) お答えいたします。
 わが国のアフリカ諸国に対する、いわゆる先生御指摘のブラックアフリカ諸国に対する経済協力の実績は、わが国の政府開発援助の六%程度でございまして、従来は低く、また援助実績の全くなかった国もあったわけでございますけれども、最近わが国の政府開発援助増大の努力の中で、アフリカ諸国は当然見直すべきであるというふうに考え、また先生御指摘のとおり、貧困開発途上国への援助ということが国際的な急務になっていると、こういう時代を反映させるためにもアフリカ諸国への援助増大を図っております。
 ちなみに、昨年度におきましても三度にわたりまして経済協力プロジェクトの発掘のために調査団を派遣いたしまして、十カ国を訪問してプロジェクトを発掘してまいりまして、今後アフリカ諸国に対する援助をさらに増大させたいと、かように考えております。
○説明員(原口幸市君) 先生ただいま、これまでに現職の外務大臣が何度アフリカを訪問したことがあるかという御質問がございましたが、それについてお答えさしていただきます。
 昭和四十九年の秋に当時の木村外務大臣がアフリカを五カ国、ガーナ、ナイジェリア、ザイール、タンザニア、エジプトと回ったことがございますが、これがこれまでの例でございます。
○多田省吾君 この前、わが国は国連の安保理事会の選挙でもバングラデシュに負けたわけでありますが、これは総会の大勢を占める多くのアフリカ諸国の票が日本に入らないでバングラデシュに入りた結果だと言われております。
 従来のわが国の第三世界外交というものはもう少し理論的に整理する必要があるのではないかと思われます。特にアフリカの位置づけを明確にする必要があると思いますが、先ほども前向きにという御答弁がありましたけれども、外務省は今後のアフリカ対策をどう考えているのか、御所見を承りたい。
○説明員(原口幸市君) 確かに先生御指摘のとおり、アフリカは非常に重要であると私たち考えております。それはサハラ以南のいわゆるブラックアフリカだけをとってみましても四十三の独立国が存在しておりまして、しかもそれぞれの、その四十三の独立国の大半が比較的最近に独立をかち得たという歴史的に非常に類似した背景がある。それから政治的独立をこれから経済的独立でバックアップしなければならないというような共通な背景もございますので、しばしばアフリカ諸国の間では連帯感が強く、したがいまして国際社会においてブラックアフリカの発言力というものは次第次第と強まってきております。そして、特に日本のような国におきましては、国際社会に生きていくためにできるだけ多くの国と友好協力関係を深めていかなければならないという観点に立ちますと、まさに先生御指摘のとおり、アフリカ諸国との友好協力関係は今後ますます強めていかなければならないと存じております。
 先ほど来もお話がございましたが、アフリカの国の多くは非常に経済的にも貧しい国でございまして、日本に対して、日本は西欧諸国と違いましてアフリカにおいて植民地支配をした歴史もないという、いわゆる手のきれいな、しかも最近になって急速に経済力を増してきた、言ってみれば自分たちの頼もしい兄貴分であるというような感じをもって見ていると思いますので、私どもといたしましては、できるだけ可能な範囲内でアフリカの経済開発あるいは民生の安定というものに協力して、できるだけ多くのブラックアフリカの国々と友好協力関係を深めてまいりたいと存じております。
○多田省吾君 海外経済援助では幾つかの基本的な問題があると思います。一つは単価と付帯経費の問題、もう一つは人手という問題です。
 まとめてお伺いしますが、たとえば単価と付帯経費の問題では、バングラデシュの独立直後に各国から救援物資が送られたわけでございますが配送経費の不足から港に滞積されて末端まで配送されなかったという事実がございます。これは援助だけすればよいということではなくて、相手国に歓迎されるように援助すべきであると思います。現在援助に伴う付帯経費はどうなっているか。また、付帯経費を増額すべきだと思うがどう考えておられるか。
 次に、援助業務に携わる人手の問題でありますが、海外駐在者の状況はどうなっているのか。多分非常に不足していると思いますけれども、たとえば昭和四十五年ごろインドネシアに対する援助額は日本もアメリカもほぼ同額で約五百四十億円ぐらいでありましたけれども、この援助を執行した担当者はアメリカが約百三十人、日本は二十八人、一人当たりの取扱額も日本の二十億円に対してアメリカは四億円と非常にきめ細かかった。人数が多ければよいというのではありませんけれども、援助案件の取り扱いに対する緻密さ、手厚さというものにやはり差が出てきているわけでございます。
 そこで、援助の実を上げるためにも海外駐在者の増員をすべきだという声もありますが、外務省はどう考えるか。また大蔵省もこうした予算を増額するお考えがないのかどうか、その辺あわせてお答えいただきたいと思います。
○説明員(木村崇之君) お答えいたします。
 まず最初に付帯経費の問題でございますけれども、わが方の無償援助の付帯経費につきましては、開発途上国の側にいろいろ予算上問題があるのは十分承知しておりまして、われわれとしては可能な限りこれを認めるという方針でやっております。わが国の援助の範囲内で付帯経費を負担するケースもずいぶんふえてきております。たとえば五十三年度におきましてはケニアのケニアッタ農工大学の建設、それからルアンダの国営マッチ工場建設等におきまして建設に必要な資材の輸送費、いま御指摘にあったように贈与で負担しております。また、そういう輸送費だけではなく、たとえば据えつけの費用を贈与で負担している場合、これは確実に据えつけまで見届けることができるということで十分カバーできると思いますし、また部品を提供することが非常に重要な場合もございます。
 またさらには、提供しました資材の修理工場を建設すると、こういうような点も場合によって配慮する必要が出てきておりまして、こういうことも配慮いたしております。
 先生御指摘のあった独立直後のバングラデシュの滞貨につきましては、輸送費の不足という面もあったのかもしれませんが、道路、橋の破損等による滞貨という面もあったやに聞いておりますので御指摘さしていただきたいと思います。
 それから、経済協力に関係する人員の問題でございますが、先生御指摘のとおり、私どもの省といたしましても経済協力の重要性は増すばかりでございますので、在外公館の経済協力実施体制の整備強化が重要であるというふうに考えております。
 発展途上国にあります在外公館においては、もちろん大使以下すべての館員が多かれ少なかれ経済協力に携っておるわけでございますけれども、経済協力担当官の増強と、経済協力をほぼ専任にやる担当官の増強ということについても定員要求の重点項目の一つとして努力いたしております。もちろんこれは総定員法の範囲内の配分という問題ではございますけれども、五十四年度予算におきましては経済協力専任の担当官として十二名の定員増をお認めいただきました。今後とも引き続いて経済協力実施体制の整備強化に努めてまいりたいと思いますが、こういうような定員の問題に加えて、本省よりきめの細かい訓令を出したり、随時人を派遣したりして実施体制の充実を図っていきたいと思っております。
○政府委員(禿河徹映君) 大蔵省の方からその人手の問題につきましてお答えをさしていただきたいと思います。
 もう御存じのとおり、国家公務員の定員とか、あるいは政府関係機関職員の定員等につきましては、全体といたしまして厳しい抑制の方針で臨んでおるわけでございますが、海外援助の関係につきましては、私ども関係省庁とも十分相談をいたしましてできるだけの配慮はしてまいったつもりでございます。
 ただいま外務省の方から、外務省の定員につきまして御答弁がございましたが、五十四年度におきましても在外公館の増員にウエートを置きまして七十二人の増、そのうち十二名は経済協力関係者の増員に充てるというふうにいたしておるわけでございます。
 それ以外の、たとえば海外経済協力基金につきましては海外支部の人員は五十年度におきまして十一名でございましたが、五十四年度におきましてこれを十九名にいたすと、五十四年度におきまして三名の増とか、あるいは国際協力事業団の経済協力部門におきましては五十四年度六名増加させまして五十四人にするとかいうふうな配慮はしてきておるわけでございます。
 そのほか、国際協力事業団が派遣いたします専門家、その数につきましても五十年度が千八十六人でございましたのを、五十四年度予算におきましては千六百六十九名というふうに大幅な増加を図っておるような次第でございます。
○多田省吾君 最後に大蔵大臣に、政府開発援助費につきまして二点お尋ねいたします。
 やはり量と質の問題でございます。UNCTADのマニラ総会を目前にいたしまして、発展途上国から、わが国とアメリカ、西ドイツの三大国に対しまして政府開発援助費、ODAを実質倍増するように求めるとの予測もございます。本年度予算では七千二百億円のODA予算を組み、消化率が八〇%程度でありましても、ドルベースで見た場合は確かに五十二年度実績に対して倍増できそうでございまして、対GNPの比率も〇・三一%と若干上がるわけでございますが、しかし、これもやっと先進国平均並みということでございまして、多い方ではないと思います。
 昨年度の実績は集計中でございますからわかりませんが、昭和五十二年度で見ますと、政府開発援助費の対GNP比は〇・二一%で世界の十四位、また援助の質を見ますと、贈与と借款の関係をあらわすいわゆるグラントエレメントも七〇・二%と、前年より悪化しておりますし、平均の八九%にはほど遠い状況であると思います。
 このような対外援助の後進性というものを今後どのようなお考えで改善していくのか、またUNCTADでの要求に対しましてどうこたえるか、量と質の面から最後にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 日本の今日のような経済的立場から申しますと、開発途上国に対してやはりそれ相当の援助をしなきゃならないのは私はやっぱり国際的義務だと思います。黒字が累積しておるといってアメリカ、ECから非難を受けますけれども、日本はやはり黒字で、貿易でかせいでそれを開発援助等に回して、あるいは直接投資をやって、基礎収支では大体とんとんか赤字を出すやり方を今後も続けなきゃいかぬと思っております。
 いま御指摘のODAにつきましては三年倍増の方針を立てまして、ある程度先進国、特にアメリカ、西ドイツ並みに近づいてまいりましたが、今後も特にやはり質の点に重点を置いて、日本の国際的責任を果たすようにこれからも努力してまいりたいと、こういう気持ちでおります。
○佐藤昭夫君 先ほど来福間委員や多田委員の方からも御意見が出ておりますが、私も同じように、今回の法改正の目的が従来のやり方を変えて、応募の際の限度額のみを予算で定めて、実際の出資については政府の判断でやっていくというこのやり方についてはどうしても同意をするわけにはまいりません。いろいろ理由が言われておりますが、この出資が頻繁になっていると言うんですけれども、そう一年間に何回もあるというふうにも想像ができませんし、国会としても通常国会にとどまらず、一年の間に臨時国会が開かれるということはほぼ通例化をしておりますし、また、アメリカでも応募は決めてもなかなか議会の承認が得られず、実際の払い込みがおくれるという例は多く報告をされておる事実でもありますし、何よりもなかなかこの種の問題というのは国民に目の届かない、わかりにくい性質の問題ですけれども、これが大蔵委員会の審議から遠ざけられるということによってますます国民にはわかりにくい問題になっていくと。こうした点でどうしても賛成をすることができませんが、先ほど来の質疑応答の中で、大蔵委員会には資料なども配付をして、実質審議がしていただけるように努めますということを御答弁なさっておるわけですけれども、これはどういう意味なんでしょう。
 そこで、大蔵委員会で各委員が出す意見がどういうふうに反映をされるのか、政府の判断に当たって。法案ではないけれども、委員会の承認事項として政府としては対処をしますという意味なのか、その点どうなんですか。
○政府委員(宮崎知雄君) 今回追加出資のやり方につきまして加盟措置法で包括的な規定にさせていただいて、具体的な出資の限度額を予算の総則で定めさせていただくということをお願いしているその理由につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、最近の国際開発金融機関の増資が非常に頻繁になってきますので、それに機動的に対応できるようにしたいと、こういうことでございます。
 しかし、もちろん従来からこれらの国際開発金融機関というものは大蔵委員会の所管でございましたので、私どもも、今後これらの機関の追加出資の問題が出ましたときにはその旨を御報告申し上げますし、それからそれに必要な資料は御提出いたしまして、この場でもって御審議をいただきたいということでございます。
 もちろん、この場で決定ということには法律的にはなりません。法案ではございませんのでなりませんが、予算の総則に書いてあるその金額について御異議があるということになりますと、これは当然、また予算委員会の方でもその問題について御検討、御審議がされる、こういうことになるのではないかというふうに理解しております。
○佐藤昭夫君 結局あれじゃないですか、実質審議をしていただくと言いながら、その実質審議は形態上保障はされていない。いろいろ意見があれば委員会で言うてください、資料は配りますということにすぎないということでありますけれども、こうした点で、先ほど言いましたような理由からどうしても納得できないわけですけれども、衆議院の大蔵委員会の理事会における申し合わせ事項として、採決に当たって、委員会に委員長の方から御報告がありまして、確認をされておるということになっておりますが、今後、他の国際開発金融機関への増資等について、この種法改正は原則として行わないという理事会、委員会としての意思まとめがやられているわけですけれども、政府としてはこれを尊重なさいますか。
○政府委員(宮崎知雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、今後の他の国際開発金融機関の追加出資の場合に、今回のようにその加盟措置法におきまして包括的な授権をいただくという形にさせていただくかどうかということにつきましては、これはその必要が起きましたときに私ども検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
 ただ私どもは、各種の国際開発金融機関の増資というのが今後非常に頻繁に行われますので、そういう増資の頻繁に行われるような機関につきましてはやはり同じような規定に変えさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、先ほど来の御審議の経緯を具体化し、それからまた、衆議院の委員会での意味もございますので、私どもはそういう御審議のあれを十分踏まえまして、今後私どもが必要だと判断した場合には御理解を得るように努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○佐藤昭夫君 いま衆議院の理事会の方の申し合わせも引用もしたわけでありますけれども、参議院の方でも、先ほどの福間委員も多田委員も私も、同じような意見を述べておるわけです。事務当局は何かかたくなにこの考え方を繰り返しておられるんですけれども、大臣、こういう形で意見が出ているということで、基本的にそれを尊重するということで今後対処してもらえますか。
○国務大臣(金子一平君) これは理事会の申し合わせを、私は十分尊重してまいらなければならぬと考えております。
 ただ、……
○佐藤昭夫君 いや、もういいです。ちょっと、私余り持ち時間がないから、もうそれでいいです。
 アフリカ開発基金について少しお尋ねをいたしますけれども、福間委員の質問で、一体この出資基金の運用がどういうふうに諸国の貧困克服や社会開発に役立っているかということについての御答弁ありましたけれども、この種の問題について、国民の側から見てわかりやすい、いろいろそのことについて知りたい、勉強したいというふうに思った場合に、そういうことがわかるような出版物というのはつくられていますか。実は私、きょう質問するに当たってもなかなか入手がむずかしかった。ないんですよ。
○政府委員(宮崎知雄君) これらアフリカ開発基金の活動状況につきましては、一つには大蔵省の関係のものにつきましては、国際金融局年報というものがございます。その中に国際開発金融機関の活動状況ということについての説明がございますし、それからまた、これは経済協力白書というのが、これは通産省から出ておるわけですが、その中におきましてもこれらの機関の活動状況というものは説明が出ております。
○佐藤昭夫君 そういう資料を見ましても、実際にどういうふうに役立っているか、またどういう問題点があるかということはなかなかよくわからないんです。せっかく国費を使ってのこういう出資をやっていくんですから、それが国民によくわかるような何らかの手だてというものは当然講じてもらう必要があるというふうに思います。
 それから投票権の問題ですけれども、昨年の銀行と基金の合同の総会で、域外国からの出資を求める決議がなされた。
 これは、発達がおくれておるアフリカの諸国から見れば資金は少しでも多い方がいいという気持ちではあるわけですけれども、しかし、同時に域外国からの発言権がふえるということについては、やはりアフリカのどの国も警戒をしているのではないか。
 そこで、経済協力――協力という名前で呼ぶからには、出資を通しての支配ではなくて、文字どおりの経済協力という、こういう見地で、出資のシェアにかかわらず、出資国の投票権についてはできるだけ制限をする、こういう立場がしかるべきだというふうに思いますが、現在わが国としてはこの問題についてどういう見地で臨んでいますか。
○政府委員(宮崎知雄君) 国際開発金融機関の出資のシェアと発言権の関係でございますが、これは通常の場合は、基本的には発言権というものは出資のシェアに応じた形になるのが通常の場合だと思います。
 ただ、このアフリカ開発基金と申しますのは、御承知のように、アフリカの諸国に対して融資をするという機関でございますので、当然にこれはアフリカ的な性格を持った、そういう金融機関である必要があるわけでございます。
 そういう点からいきまして、このアフリカ開発基金の投票権につきましては、その半分はアフリカ開発銀行が持つということになっております。それで残りの半分を域外国が持つ、こういう形になっております。したがいまして、形としましては十分に域内国の発言力が反映される。域外国は資金の供与をいたしますと。しかし、同時に半分の点については域外国も発言権を持つ、こういう仕組みになっておりまして、私は、地域の開発金融機関のあり方としては、こういう形でいいんではないかというふうに考えております。
○佐藤昭夫君 いま御答弁があった内容でありますけれども、ぜひ一層域内国の発言権を強める、そういう方向での努力をお願いをしたいというふうに思います。
 時間がありませんので進みますが、日本の対アフリカ外交に関しての若干の問題でありますが、政府は昨年の二月、政府派遣の経済使節団をアフリカに送り、また十月、十一月にも経済協力ミッションをアフリカに派遣をしておりますけれども、それぞれの使節団の構成、それと目的、それはどういうものですか。
○説明員(原口幸市君) お答えいたします。
 昨年の二月に送りました使節団は、経団連のアフリカ委員会の委員長である河野委員長、河野文彦さんが団長でございまして、団員として経済界の日本郵船相談役あるいは日本鉱業会長等々の方、それに外務、通産、大蔵、運輸省の役人も入りましてアフリカを訪問したわけでございますが、この目的は、アフリカ地域の主要国政府首脳と、要人と共通の関心を有する各種問題について忌憚のない意見交換を行い、相互理解を深めるとともに、特に経済分野での一層の協力関係促進を図るということにございました。
 それから、昨年の十月あるいは十一、十二月にかけまして、またミッションを送ったわけでございますが、これはもっぱら外務省のミッションでございまして、先ほど来御質問の中にもございましたが、アフリカ諸国の中には、こちらがただ待っているだけですと、必ずしも自分の国で何が一番必要としているかという観点から優良なるプロジェクトが出てこないおそれもあるという観点に立ちまして、こちらから幾つかの国々に出向きまして、その国で最も必要としているプロジェクトは何であるかということを先方の立場に立って発掘してこようと、そういう観点に立って派遣したミッションでございます。
 ちなみに、ことしの三月にももう一件同じ目的でミッションが出ております。
○佐藤昭夫君 そうしますと大臣、どうなんでしょうかね、去年の二月、政府派遣の経済使節団のその団長が河野さん――河野さんといえば三菱重工の相談役、この政府派遣の経済使節団、これに財界の代表が団長で行く、こういうあり方というのは一体どうなのかというふうに私は大きな疑問を持つんです。
 時間ありませんから、続けて質問をいたしますが、同様の見地の問題にもなるんですが、政府直接の投融資ではありませんけれども、あの問題の人種差別政策で国連総会の場でも何回も非難決議を受けております南アフリカ共和国に対するわが国の銀行の投融資の実態に関する問題でありますけれども、そういう国連総会決議で経済関係の断絶を含む非難決議が何回かやられているということですけれども、政府として、この南ア共和国に対してどういう対処をしているかということが問題でありましょうし、同時に昨年の三月、こういうかなり分厚い冊子でありますけれども、国連の反アパルトヘイト委員会、ここがまとめましたバンク・ローンズ・ツー・サウスアフリカ、一九七二年から一九七八年にかけてという報告書が出ているわけでありますけれども、わが国の大銀行、大証券の会社がアメリカ、イギリスなどにある海外支店を通じて南アフリカ共和国に対して相当な投融資を行っている。それは南アフリカの政府のみならず、鉄鋼、電力部門の基幹産業への投融資が中心になっているということがこの報告書にも出てくるわけでありますけれども、こうした形で国連での非難を受けております南アフリカ共和国を、日本の政府も、それからまた主要な日本の金融機関が経済的にこれを支え、援助をしているという世界の趨勢に逆行することが起こっているじゃないか、ということが大きな問題としてあると思うんです。この点についてどういうふうに事態を把握をしておられるのか。
 ぜひともひとつ、問題の全面的な実態の把握をやり、このような行為について何らかの規制を、政府として規制措置を手を打つべきだというふうに思いますが、以上二点についてお尋ねします。
○国務大臣(金子一平君) 最初の点でございますけれども、政府の使節団の団長に財界人というか、経済人を出すことも間々あると思うんです。やはり、役人よりは広い視野の経済面についてのエキスパートにおいでいただいた方が全体の把握に……。
○佐藤昭夫君 団長ですよ。
○国務大臣(金子一平君) 団長でございます。欠けるところがないという場合も間々あることでございますし、いろんな政府の審議会の方にも財界人、経済人出ていただいておりますから、私も、これは外務省ですか、外務省が御派遣になったわけでございますけども、そういう意味で出されたことと思います。
 それから後段の問題は、これは外地法人が――ロンドンにある日本の現地法人がやっていることで、なかなか日本の規制が及ばない点もありまするけれども、その実態につきまして担当の国際金融局長から報告をさせます。
○政府委員(宮崎知雄君) 南アフリカに対する融資の問題でございますけれども、これは現在のところ、国連の決議を尊重いたしまして、日本の為替銀行あるいはそれの海外支店が融資を行うということは自粛するように指導しております。
 それから、それに応じない場合には、もちろん法的な規制でこれを許可しないということにできることになりました。
 それから対外的な投資につきましても、一般の直接投資につきましては、これは届出だけで現在できるように非常に為替の自由化が進んできておりますけれども、南アフリカに対する直接投資については、これは特別に許可が要るということにしてございまして、その許可をいたさないという取り扱いにしております。
 それからなお、先ほどの国連の報告の中で日本の法人が一部貸し付けなりあるいは証券を取得しているというお話がございましたけれども、それは海外の現地法人がやった行為でございます。これはわが国の法の適用外の行為でございますので法律的には規制できません。ただし、その後調べましたところ、現在のところ貸付金は全部返済されておりますし、それから証券につきましても、これは全部売却しているということでございまして、関係の現地法人は現在のところそういう債券なり証券は有していない。そういう状況でございます。
○佐藤昭夫君 ちょっとよく調査してください。
○委員長(坂野重信君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(坂野重信君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回は五月八日、午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十分散会
     ―――――・―――――