第087回国会 大蔵委員会 第16号
昭和五十四年五月八日(火曜日)
   午前十時三十三分開会
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   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     真鍋 賢二君     河本嘉久蔵君
     岩崎 純三君     藤川 一秋君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         坂野 重信君
    理 事
                梶木 又三君
                藤田 正明君
                和田 静夫君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                嶋崎  均君
                戸塚 進也君
                藤井 裕久君
                細川 護煕君
                勝又 武一君
                竹田 四郎君
                福間 知之君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                佐藤 昭夫君
                渡辺  武君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
   政府委員
       警察庁刑事局長  小林  朴君
       大蔵政務次官   中村 太郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵大臣官房審
       議官       海原 公輝君
       大蔵省主計局次
       長        加藤 隆司君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
       大蔵省国際金融
       局長       宮崎 知雄君
       国税庁直税部長  藤仲 貞一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       経済企画庁調整
       局調整課長    赤羽 隆夫君
       経済企画庁総合
       計画局審議官   高橋 毅夫君
       大蔵省銀行局保
       険部長      貝塚敬次郎君
       農林水産省経済
       局国際部国際経
       済課長      岡田 明輝君
       食糧庁管理部長  石川  弘君
       通商産業省貿易
       局総務課長    黒田  真君
       自治省行政局選
       挙部政治資金課
       長        緒方信一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (当面の国債管理政策に関する件)
 (租税及び金融等に関する件)
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○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十七日、真鍋賢二君及び岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として河本嘉久蔵君及び藤川一秋君が選任されました。
○委員長(坂野重信君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 この際、田中理財局長から発言を求められておりますので、これを許します。田中理財局長。
○政府委員(田中敬君) 昨年来国債を取り巻く環境がきわめて厳しくなっている情勢のもとで、大量の国債の円滑な消化、流通を図っていくためには、国債管理政策全般にわたってなお一層の検討を加え、さらにきめ細かい運営を行っていくことが必要と考えられますので、大蔵省といたしましては、今般、「当面の国債管理政策について」次の七項目の措置を講ずることといたしましたので、御報告いたします。
 七項目の内訳は、ただいまから申し上げるとおりでございます。
一、シ団引受予定の十年利付建設国債を一兆円減額し、資金運用部において中期国債で引き受ける。
二、入札の状況に応じ、中期国債公募入札予定額の増額を検討する。
三、シ団引受予定の十年利付建設国債の償還期限短縮についてシ団と協議する。
四、国債の私募形式による発行についてシ団と協議する。
五、国債整理基金等の資金を活用し、国債市場の安定化を図る。
六、必要に応じ証券金融会社における公社債流通金融を拡充する。
七、予算の執行状況、税収の動向等を見ながら可能な限り国債の減額を行う。
 以上でございます。
○委員長(坂野重信君) それでは、これより租税及び金融等に関する調査について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 まず、銀行局長にお尋ねしますが、金融制度調査会では昭和五十年五月の大蔵大臣諮問に基づいて審議を重ねてこられましたが、答申はいつごろ出される見込みですか。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、昭和五十年五月に金融制度調査会に対しまして、銀行法を中心としました金融制度の見直しについて諮問が行われたわけでございます。
 これに基づきまして、金融制度調査会としては七つの個別項目につきまして非常に精力的な審議を続けてこられたわけでございまして、その七つの項目につきましての審議が一応昨年末でもって終了いたしまして、現在は答申の取りまとめに入っている段階でございます。
 非常に膨大な答申でございますので、取りまとめにもかなり時間がかかるものと考えられますが、いまの審議の進行状況によりますと、六月ごろには御答申がいただけるのではないかと、このように考えております。
○和田静夫君 諮問では、「銀行に関する銀行法その他の法令及び制度」について意見を求めているわけでありますが、「その他の法令及び制度」とは具体的に何を指しますか。
○政府委員(徳田博美君) 五十年の五月十四日に出されました諮問事項といたしましては、「経済金融情勢の推移にかんがみ、銀行に関する銀行法その他の法令及び制度に関し改善すべき事項並びにこれらに関連する事項について」当調査会の意見を求めますと、こういう表現でございます。
 この「銀行法その他の法令及び制度」と申しますのは、銀行のほかに長期信用銀行法、外国為替銀行法あるいは相互銀行法その他法令一般を考えておりまして、それから制度と申しますのは、たとえば預金に関する制度であるとか、そのような資金調達に関連いたします、必ずしも法律を必要としない制度があるわけでございまして、このようなものにつきましても広く審議を行うと、このようになっております。
○和田静夫君 そうすると、日銀法を含めて法改正を行う必要があるというふうに理解をしておいていいわけですか。
○政府委員(徳田博美君) 日銀法に関しましては、「これらに関連する事項」という表現がございまして、この「これらに関連する事項」というところで日銀法が含まれるものと、このように解釈しております。
○和田静夫君 ちょっと日銀法の現行法ですが、この現行法の十三条ノ三の十号のロですね、「必要ナル法律ノ改正」ですか、これが意味するものですが、銀行法その他いま諮問をされているこれらの法律の改正を、政策委員会としてはいつかこう必要なるものとして提起をしたことがあるわけですか。
○政府委員(徳田博美君) 最近におきましては、この十三条ノ三第十号の口に掲げる「必要ナル法律ノ改正」に関しましては、特に最近の報告ではこれは行われておりません。
○和田静夫君 いえいえ、私の言っているのは、いま改正作業が進もうとしている銀行法などについては、日銀の政策委員会はこの十三条ノ三に基づいてみずからの仕事をやったんですかやらなかったんですか、かつて報告をしたことがあるんですか。
○政府委員(徳田博美君) いままでの報告につきましては、ちょっと手元にございませんので正確にはお答えいたしかねますが、最近の報告には記載がなかったかと記憶しております。
○和田静夫君 ここは別の機会に譲りますけれども、ちょっとこの法律の条項との関係では、これだけの大作業が進むのでありますから、日銀法に基づいて政策委員会なるものが真実仕事をしていたとすれば、高額をはみながら仕事をしていたとすれば、銀行法全体についての改正を必要とする勧告などというものを当然行わなきゃならぬだろう、それではその権限というものとの兼ね合いにおいてはサボっておったのじゃないだろうかという感じがするものですから、ちょっと尋ねておきました。なお精査をした後、論議をすべきならばまた論議をしてみたいと思います。
 そこで、調査会の法制懇で銀行法改正の検討が行われている。その結論を含めて調査会答申が出されることになるのだと思うのですが、出れば直ちに改正作業に入るというふうに聞いていますが、この大蔵省の改正作業、いつごろ成案を得るという見通し、段取りですか。
○政府委員(徳田博美君) 現在は、先ほど申し上げましたように、六月に入りまして答申がいただけるものと考えて期待しているわけでございますが、答申をいただきましたならば直ちに改正の作業に入りまして、秋の終わり、年末までには一応の成案を得たいと、原案をつくりたいと、このように考えております。
○和田静夫君 銀行法に続くこの改正作業が予定をされているわけでありますが、これどういう見通しを立てておられますか。
○政府委員(徳田博美君) 現在は、先ほど申し上げましたように、普通銀行のあり方を中心として御審議をいただいているわけでございまして、普通銀行の審議に必要な限りにおいてほかの金融機関の制度につきましても一応の審議を行っているわけでございますけれども、それぞれの制度につきましては正面からはこれを取り上げられていないわけでございます。
 今後の金融制度調査会の運びにつきましては、総会において各委員からいろいろな御発言がございまして、現在予想されておりますところでは、この普通銀行制度に関する答申をお出しいただいた後で相互銀行制度、それから信用金庫制度、それから労働金庫制度等につきまして必要な御審議をいただいて、必要な法律改正について何らかの御結論を得るような運びになるのではないかと、このように考えております。
○和田静夫君 それは日程的にはどういう、時期的にどういうことになりましょう。
○政府委員(徳田博美君) 今後それ以外の法律、つまり長期信用銀行であるとか外国為替銀行であるとか、そのほかの制度につきましても審議をすることは考えられるわけでございますが、ただいま申し上げました相互銀行、信用金庫あるいは労働金庫等につきましては、これはまだ、時期は金融制度調査会でお決めになることでございますけれども、恐らく八月とか九月というような時点で御審議をいただけるのではないかと、このように考えております。
○和田静夫君 そこで、銀行法等の改正に踏み切られた背景について少しお聞きしておきたいと思います。
 先日、「金融制度調査会の審議状況について」と題する簡単な説明文書をいただきましたが、調査会への大蔵大臣の諮問を行った背景を三点挙げられております。
 第一点は、「わが国経済は高度成長から安定成長へと移行しつつあり、また経済の国際化が進展する等構造的な転換期を迎えており、これに伴い金融構造も大きく変わろうとしていること」という説明があるわけです。この「金融構造も大きく変わろうとしている」という点ですね、まさにこれが私は問題点なのでありますが、もう少し具体的に説明をしていただけますか。
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘の金融構造の変化でございますが、御承知のとおり、わが国経済はオイルショック等を契機といたしまして高度成長から安定成長へと移行したわけでございます。金融も当然実体経済の反映でございますので、金融構造も大きく変わってきたわけでございます。
 で、変わってきた点は幾つかございますが、まず資金の供給面で申しますと、個人部門の比率が非常に上がってきたわけでございまして、これは個人の資産の蓄積あるいは最近における貯蓄率の上昇等を背景に、資金の供給者としての個人の地位が次第に上昇してきたわけでございます。したがいまして、当然金融機関としては個人の取引あるいは個人消費者との取引が面においてもあるいは深さにおいても非常にいままでと違ってまいったわけでございまして、こういう点で金融機関としてそのあり方を考える必要が出てきたわけでございます。
 第二番目は資金の需要面でございまして、かつては資金の需要者としては法人企業がその主要な位置を占めていたわけでございまして、三十年から四十年にかけては資金需要のうちの七割以上が法人部門に流れていたわけでございますけれども、御承知のとおり、最近はその資金の流れが大きく変わってきたわけでございまして、資金需要者としての法人企業の位置が低下してまいったわけでございます。
 これは法人企業活動は昔ほど活発でなくなったことであるとか、あるいは法人の自己資金が非常に増大してまいったことであるとか、いろいろ背景があるわけでございますが、かつて七割程度であった法人企業の比率が四割程度に下がってきたわけでございます。
 逆に今度は、公共部門のウエートがかつては十数%であったものが、国債等を背景といたしまして非常に大きなウエートを占めるに至ったわけでございまして、これが資金需要の四割以上を占めるに至ってきたわけでございます。
 それから個人部門の資金需要も、これもまた非常に増大してきたわけでございます。これは消費者ローンであるとかあるいは住宅ローンを中心に伸びてきているわけでございまして、これも十数%を超すような勢いになっているわけでございます。
 このように資金需要面の構造が変わってきたということは、金融機関の資金配分面で非常に変化をもたらすと同時に、これが金融機関の経理面にも大きな影響を及ぼしているわけでございます――と申しますのは、法人企業部門と申しますのは、いろいろ債務者預金もございますし収益性が高い部門でございますけれども、公共部門は利回りがどちらかというと低い部門でございます。それから個人部門は、どちらかというとかなりコストのかかる部門でございまして、このようなことを背景に金融機関の経理面でも非常に環境が変化してまいり、厳しさが増してまいったわけでございます。これが二番目の変化でございます。
 それから三番目に、民間金融機関の金融市場における位置の変化でございます。これは、かつては都市銀行、地方銀行あるいはその他銀行を含めて五割近い金融市場におけるシェアを占めていたわけでございますが、最近における推移を見ますと、金融機関、つまり間接金融の比率は必ずしも下がっていないわけでございます。逆に言えば、証券市場等の直接金融の比率は下がってきているわけでございまして、間接金融全体としてはウエートは上がっておりますけれども、その中における民間金融機関の占める位置というのは変わってまいりました。これは郵便貯金の伸び等を背景に政府関係機関のウエートが非常に高まってきたわけでございます。したがいまして、相対的に都市銀行、地方銀行等のウエートが低くなってきたわけでございまして、量的な面でも業容について大きな変化ができてきたわけでございます。
 このような量的面、質的面の金融構造の大きな変化がございますので、こういう実態の変化を背景にしてこれからの安定成長下における金融機関のあり方を探るというのが金融制度調査会の論議の方向であったわけでございます。
○和田静夫君 それは要約して、結局文書によれば、「経済社会構造の変化に伴う国民の意識の変容等を背景に国民のニーズが多様化していること及び金融機関と個人との接触が深化していること等の情勢変化の下で、特に、近年、金融機関について様々の問題が提起される等金融のあり方に対する国民各層の期待と関心が急速に高まってきていたこと」というふうに説明されていますね。
 それで、この情勢変化ということ、それに対する金融のあり方ということ、いまるる御説明がずっとありましたが、諮問の背景説明に挙げられているわけでありますから、大蔵省としては何らかの制度化が必要だと、そういう考え方になられたというふうに受け取っておいてよいのですか。
○政府委員(徳田博美君) こういう諮問をした背景でございますが、これは現在の銀行法が制定されてからすでに五十年たつわけでございます。現在の銀行法は当時の金融恐慌のようなそういう情勢を背景にいたしまして、預金者保護、あるいは経営の健全性、保守性ということに重点を置いて法律がつくられたわけでございます。しかしながら、最近におきましてはただいま先生御指摘のように、金融経済情勢が非常に変わってきておりますし、消費者のニーズも高まっているわけでございます。したがいまして、これからの金融機関と申しますのは、経済社会が金融機関に求めている機能を十全に発揮しているかどうかについて国民の信認を得ることが必要になってくるわけでございます。そういう意味では、公共性という意味での機能発揮が問題になるわけでございます。
 そこで、いままでの法律は、先ほども申し上げましたように、どちらかというと金融機関の健全性を中心に、いわば静態的な法律であったわけでございますが、これからは、機能発揮という面を含めまして、そういう動態的な側面も加える必要があるわけでございまして、そういうことを加味して、銀行制度あるいは普通銀行のあり方全般について御審議を願う必要があると、このように考えられたわけでございます。
○和田静夫君 いわゆる目的規定でありますが、この銀行法などに、社会的責任とか、あるいは公正とか、そういう一種の精神的な倫理規定にとどまるのかしりませんけれども、そういう目的を規定する御方針ですか。
○政府委員(徳田博美君) 現在の法律は御承知のとおり非常に古い法律でございまして、目的規定は全くないわけでございますが、これから法律を規定いたしますことになりますと、通例、目的規定が最初に出てくるわけでございます。やはりこれからの金融機関のあり方ということを中心に目的規定を考えていく必要があるわけでございまして、経済社会の安定的かつ堅実な発展に資するために金融機関がどのようにあるべきかということについて銀行法にいろいろな規定を置くことが必要でございますので、そういう意味で、金融機関の公共的機能を背景にいたしまして、公共性ある金融機関として国民経済の健全な発展に必要な規定を置くというような形での目的規定が必要ではないかと、このように考えております。
○和田静夫君 最近、徳田銀行行政という言葉で、新金融効率化ということが標榜されているわけですが、この言葉も必ずしも私は明確ではないんですけれども、先日「新金融効率化について」と題する説明文をおたくからいただきました。その中で四項目具体的に挙げていらっしゃいます。
 その四つのうちの2と4に注目しているのでありますが、1と3は抽象的でありますから一応除外をしておきますけれども、CDは今月中旬にも発行されるなど、実施に踏み切った模様でありますが、その他のものですね、店舗、コンピューターなどの提携、あるいはディスクロージャーを挙げているわけですけれども、これはどういう考え方になりますか。
○政府委員(徳田博美君) 先ほども申し上げましたように、これからの金融機関と申しますのは、経済社会が金融機関に期待している機能を十全に発揮しているかどうかについて国民の信認を得る必要があるわけでございます。しかしながら、一方、金融機関は私企業でございますから、私企業としての効率性も追求する必要があるわけでございます。そういう意味で、これからの金融機関は私企業性と効率性とを調和して実現する必要があるわけでございますが、その実現の手段といたしまして、行政等で手取り足取りすることは必ずしも好ましくないと考えているわけでございます。
 私どもといたしましては、金融機関がその公共的、社会的役割りを十分果たしていくために、適正な競争原理のもとで、自己責任の原則に立ち、自主的な企業努力によってその効率化を進めていくことが必要であると、このように考えているわけでございます。
 このための行政は、環境づくりをすることが必要ではないかと考えているわけでございます。したがいまして、従来の過保護と申しますか、護送船団的と言われるような行政は極力排除して、適正な競争を進めるわけでございますが、このためには、不必要な行政介入を抑制して、金融機関の自主的経営努力、創造性を生かすようにしたいと、このように考えているわけでございます。したがいまして、店舗につきましても、これは金融機関の経営の効率化にとりまして非常に大きな項目、事項でございますので、これにつきましてもいままでのような厳しい規制は極力これを排除して弾力的に進めていきたいと考えているわけでございます。
 ただしかしながら、金融機関の店舗というのは一般消費者、利用者の利便にとって非常に大事な問題でございますから、そういう点の配意はこれはどこまでも貫かなければならないわけでございます。
 したがいまして、金融機関の効率性と利用者利便と両方を調和する形で弾力化を進めていくことを考えているわけでございまして、具体的に今度打ち出しましたのは、従来金融機関の店舗というのは、ともすれば非常に巨大な建物を、広い土地で、駅前の繁華街の非常に土地の値段の高いところに設置する傾向があったわけでございますけれども、これは最近の金融情勢のもとでは必ずしも効率性という点では望ましくないわけでございますので、そういう点を考えまして、一つは小型店舗を考えたわけでございます。これは行員が十人以下の住民利便を中心とした店舗でございます。それからもう一つは機械化店舗でございまして、これは機械を主体にして配置いたしまして、従業員は四人以下とする店舗でございます。このような小型の機動的な店舗、しかも駅前のような繁華街ではなくて住宅地の中心に置くような店舗制度を考えたわけでございます。
 それからまた、その店舗の配置につきましては、経済環境の変化によりまして随時いろいろ即応し得るような体制が必要でございますので、配置転換も行いやすいような制度を認めましたし、それから金融機関相互の間で店舗を売買し得る道も開いたわけでございます。このようにして金融機関の創造性を生かす、自主的な努力を生かす道を講じたわけでございます。
 それからコンピューターの提携でございますが、これにつきましては、コンピューターによりましていろいろな自動振替であるとか給与振込であるとかという機能が非常に最近は増大してまいったわけでございます。特にこれらの機能は各金融機関が相互に提携することによって飛躍的にその効果が増大するわけでございますし、また、コストの面でも非常に割安になるわけでございますので、コンピューターの面での提携を大いに促進したい。これは利用者の利便を増進するとともに経営の効率化に役立つものではないかと、このように考えているわけでございます。
 それから第三番目に御指摘のディスクロージャーの面でございますが、先ほど申し上げましたように、これからの金融機関は公共性と私企業性を調和して実現することが必要でございますけれども、これを行政で強制することは好ましくないわけでございますので、この両方を自主的に実現する一つの輪としてディスクロージャーをわれわれは考えているわけでございます。
 このディスクロージャーと申しますのは、従来証券関係で株主を中心に考えられていたわけでございますが、いま私たちの考えておりますディスクロージャーは、利用者なり消費者なり国民を中心に考えたディスクロージャーでございます。したがいまして、経理だけではなくて資金配分面についても、その内容を公開をすることによりまして金融機関に対する国民の理解を深めますと同時に、またそのディスクローズ、つまり中小企業金融比率であるとか住宅金融の比率であるとか、そういうものを公開する以上は、当然その批判に耐え得るような比率にしなければならないわけでございますから、したがって金融機関が自主的にそのような公共性を追求するようになることが考えられるわけでございます。
 しかも、これは自主的にやるわけでございますから、私企業としての調和を考えながらやることになるわけでございまして、そういう意味でこのディスクロージャーというものをこれから大いに生かしていきたい、このように考えているわけでございます。
○和田静夫君 店舗についてはこういう意見があるんですね。「金融財政事情」の四月三十日と五月七日の合併号で、お読みになったと思うんですが、都銀の業務部長匿名座談会、これの二十九ページから三十ページなんですが、「機械化店舗とか小型店舗という新しい考え方の行政が出てきて、それはそれで非常に結構なことだと思う。ただ、若干疑問に思っているのは、そういう店を出して、経営にプラスかマイナスかの判断がつかない。その判断がつかないまま、合計八カ店とかいう認可が下りると、銀行はそれを無批判に受け入れ、大も小も、余力があろうとなかろうと、八カ店は八カ店として自行の権利だという形でワクをとって出店する。そういう店の出し方が、真に地域社会にも役立ち銀行の経営にも役立つかどうかという点になると問題だ。」と。これはまあ私は適切な批判だと思うんですが、反論はございますか。
○政府委員(徳田博美君) 店舗につきましては、従来どちらかというとかなり抑制的に設置を認めてきたわけでございます。したがいまして、従来は行政において認められた枠をかなり無理しても全部消化してしまう。でないと、ほかの金融機関とのバランスがいろいろ崩れるのではないかというような傾向があったわけでございまして、横並び意識というものもそこから出てまいりますし、それから、無理してその枠を消化することから来るいろいろな非効率の問題も出てきたわけでございます。
 しかしながら、このように数少ない店舗の認可にとどまる限りは、そのような非効率性というものはどこまでも残るわけでございまして、金融機関の自主性を生かす余地はだんだん少なくなってくるわけでございます。
 これに対しまして、今般はかなり思い切って大幅に多くの店舗数を認めることにしました。ただその店舗は、かつてのような、いわば大艦巨砲主義と申しますか、駅前の豪華な店舗ではなくて、郵便局類似の小型な簡素な店舗である。しかも、これはいろいろ設置をするに当たりまして、駅前にずらっと店を並べるというような、そのような条件は認めないことにしておりまして、相互間に五百メートル以上の距離が必要だということが条件になっているわけでございます。こういう意味で、住宅地の中で本当に住民の利便に適するようなところに設置をするような店舗になっているわけでございます。したがいまして、この八カ店という枠を認めたことに対しまして、いままではかつての非常に厳しく規制をしていた時代の惰性として、あるいは精いっぱい消化をしようとするような傾向が最初のうちはあるかもしれませんけれども、しかし、漸次その行政が長年続くことによりまして、各金融機関の実力に応じた店舗配置あるいは店舗設置が行われるようになると考えられるわけでございます。これがまさに金融機関の効率性の発揮あるいは店舗の自主的な自由化に近い姿の規制の緩和につながるわけでございまして、この行政を続けることによって真の効率化が達成されるものと、このようにわれわれは考えております。
○和田静夫君 CDは十四日に発行されると報道されておりますが、発行枠はすぐ消化してしまう模様であります。発行額の枠やあるいは五億円という単位が次第になし崩しに拡大されるのではないだろうかと、そういう危惧する者が非常に多いわけですね。そういう可能性はありませんか。
○政府委員(徳田博美君) CDが近く現実に――これはCDを発行するための通達はもうすでに三月末に出たわけでございますが、いろいろな手続の関係もございまして、現実にはまだ発行されてなくて、近く現実に発行されることになるわけでございますけれども、このCDを認めるに当たりまして、金融制度調査会におきましてかなり長い間議論が交わされたわけでございます。
 CDを発行する目的といたしましては、日本ではいままで短期金融市場が育っていなかったわけでございます。しかし今後、金融政策が安定成長下においてきめの細かい運営を必要とするわけでございまして、その場として短期資本市場を育成する必要がある。その育成するための有力な手段としてCDを生かすべきではないかということが一つあったわけでございます。
 それから二番目は、日本の金融はいままで余り弾力化、自由化が進んでいなかったわけでございますが、金融機関が提供する資金吸収手段として、初めて完全に金利自由化の商品ができたわけでございまして、このことが、日本の金利自由化を大きく一歩進めることに役立つわけでございます。
 三番目は、これは海外において日本の金融機関がCDを出さないことについていろいろ批判がございまして、CDを出すことによりまして外国からのいろいろ日本の金融の閉鎖性に対する批判もなくなるわけでございまして、金融の国際化に役立つというような、そのような目途をもちまして、CDの導入について前向きの結論が出たわけでございますけれども、ただその場合に、やはり金融というものは急激な変化を与えることは問題がございますので、既存の金融秩序に急激な悪影響を与えないようにという配慮が行われたわけでございます。特に中小金融機関であるとかあるいは地方銀行、さらには証券界に対する影響ということを考えて、いろいろな制約が当初は行われたわけでございまして、先生御指摘のように、額面を五億円にすることであるとか、あるいは自己資本を中心にして発行限度を抑制するというようなことが決められたわけでございます。このことにつきましては、やはり新しい商品を導入して、日本の金融の情勢がどのように変わるかということを慎重に見守っていく必要があるとわれわれは考えているわけでございまして、もちろん本来諸外国ではCDの発行限度その他については、あるいはその一件当たりの金額についてははるかに自由になっているわけでございますから、将来はそのような方向に進むことも考えられますが、当面は現在の規制をそのままにして、日本の金融市場に与える影響を慎重に見守ってまいりたいと、このように考えております。
○和田静夫君 ところで、この新金融効率化についての文書の三ですがね、「これらがさらに、どのような方法により実現されるべきかについては、金融制度調査会、金融問題研究会等の場を通じて検討が行われている。」とされております。
 私は、この後者に疑問があることは、昨年も本委員会で質疑をしたところであります。ここでは時間がありませんので、一つの批判だけを引用をいたしますが、すなわちこのメンバーの一人ですね、堀内昭義一橋大学助教授が書いておられるわけですが、「関係者の一人として誠に残念ながら『金問研報告書』については、高い評価を下すことができない。」としているわけですね。そしてるる事情を説明しておられる。真意は全文読んでもらうほかありませんから少し引用をいたしますが、「『金問研報告書』はその冒頭で、「金融機関が今後とも適切な金融活動を行い、わが国経済社会の効率的運営に寄与していくため、金融機関はいかにあるべきかについて審議を行った」と明記している。」、「いったい専門家――とくにアカデミックな専門家――は、経営者たちを差し置いて、金融機関の経営内容に関してアドヴァイスを与えるだけの知識、経験をもち合わせているのだろうか。また、そもそも、研究会に出席する専門家に期待されているのは金融機関の経営がいかにあるべきかを主張することだろうか。筆者の考えでは、専門家は民間金融機関の具体的経営内容に指示を与えるにふさわしい知識、能力をもってはいないし、また専門家に期待されている役割もそのようなものではない。」、「季刊中央公論」の春季増刊号の、いま読んだのは七十一ページから七十二ページにかけてです。
 私は、これはもう反論の余地はないと思うのですが、次にこの七十二ページから七十三ページにかけまして、「『金問研報告書』では、金融機関の経営がいかにあるべきかにかかわる数多くの主張が繰り返しおこなわれる反面、これと全く対照的に、「金融行政はいかにあるべきか」という主旨の主張がひとつも見られないことにも注目すべきである。」、「『金問研報告書』の問題点は、筆者の考えでは、実は長年にわたってわが国の金融行政を支えてきたひとつの基本的な発想法の反映にすぎない。この発想法とは、要するに、民間の金融機関をあたかも政策当局の「下部組織」のように考えるというものである。」。
 果たしてこういう指摘に反省がないか、これは大臣、約束の時間に来ないので困っているんですが、次官いかがですか、ここのところは。
○政府委員(徳田博美君) 金融問題研究会は、現在第一線で活躍されております若手の学者先生あるいはジャーナリストの方を中心としてメンバーが構成されているわけでございまして、これに対しまして、この会議の運営といたしましては、各金融機関の実務担当者あるいは第一線で実務をやっている方、あるいは本部でいろいろなコントロールをやっている方に御出席いただきまして、そういう方々の御意見を伺って、それを踏まえていろいろ勉強していただいているわけでございまして、行政につきましても、やはりこちらで行政の実態についていろいろ説明を申し上げるというスタンスをとっておりまして、御審議の内容自体には行政は一切関与していなかったわけでございます。
 したがいまして、そういうものとして金融問題研究会の議論が取りまとめられたわけでございまして、そういう金融問題研究会の各委員の方々の意見の取りまとめであるというふうにわれわれは考えております。
○和田静夫君 最後にしますけれども、学者の引用としてもう一つ、この六十八ページにおもしろい表現があるんですが、「「垣根」の撤廃それ自体が、『金問研報告書』が主張するような「競争原理の活用」に直結しないかも知れないということである。現在のわが国において、業務分野の専門化規制が除去されたとしたら、金融構造に対してどのようなインパクトが加えられると予想されるであろうか。各金融市場における競争の条件はどのように変化するであろうか。このような問題に関して、多少なりとも検討を加えることなしには、「垣根」の撤廃が「競争原理の活用」の上から望ましいかどうかを判断することはできない。なぜならば、専門化規制が除去されるにしたがって、特定の金融機関ないしそのグループが金融市場全体を席巻して、むしろ金融市場の寡占的状態を従来にも増して強固なものにするかも知れないからである。」、私はこの指摘正しいと思っているんですが、この危惧に、いや大丈夫だというだけの政策当局者の主観ではなくて客観的な条件整備というものが新金融効率化行政の中にあるだろうか。銀行局長の姿勢が強い調子であるだけに、懸念、反発が一時強かったわけでありますか、局長の考えがあれば聞かしてください。
○政府委員(徳田博美君) 日本の金融制度あるいは組織と申しますのは、戦後昭和三十年ごろまでに大分整備されたわけでございますけれども、その後、先ほど申し上げましたように経済金融構造が非常に変わってきておるわけでございます。
 特に各種専門機関と一般の普通金融機関との経営の実態が内容面の方から先に変わってきているわけでございまして、最近におきましては、長期信用機関が長期金融よりもむしろ短期金融の方の比率が高まっているというような状態になっているわけでございまして、各種専門金融機関の普通金融機関化が非常に進んでいるわけでございます。
 このような実態を背景に物事を考えますと、かつてのように非常に金融が逼迫して長期の信用が必要だったというような時代と異なりまして、非常に専門金融機関のかきねを高いままにしておくことが日本の経済界にとって適当であるかどうかということについては非常に問題があると考えられるわけでございます。
 もちろん、それぞれの専門金融機関はそれぞれの特殊性を生かして国民経済的にも高い評価を得ているわけでございますから、専門機関同士のかきねを全く取り払うということはこれは適当ではないわけでございますけれども、それぞれの金融機関の本質に触れない範囲においてかきねを低くすることによってお互いの競争できる分野においては競争さしていく方が金融制度全体として効率的になるのではないかと考えられるわけでございます。また逆に、そうすることによって専門金融機関はこれから健全に経営していくためにはますます自己の専門性を生かして社会的に評価されなければならなくなるわけでございますから、ますます専門性に徹することになるわけでございまして、それが金融機関全体としての、金融組織全体としての効率を高めることに役立つのではないか、このようにわれわれは考えておるわけでございます。
  〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
○和田静夫君 どっちみち銀行法の作業過程なり、出てきた段階で論議をいたしますから、銀行法関係は以上でやめておきます。
 そこで、四月二十四日の当委員会で日本リザーブグループをめぐる大手都銀を含め二十一日金融機関の手形割引、過振りについて質問いたしました。
 そこで、当日の委員会答弁と、昨日も御説明をいただきましたが、その内容をつらつら考えてみましたが、どうも腑に落ちないのであります。
 大蔵省側の説明を私なりに言いかえてみますと、商行為を逸脱したかどうか判定が大変むずかしい問題であるが、とにもかくにも不渡り手形となったわけであって、債権の回収はほとんどできなかった。したがって、この三月決算で償却を認めたということに尽きるようであります。しかし、四十数億円の手形枠をつくって短期日に三十数億円もの高額な償却をせざるを得ない、そういうような巨額の金額にしては日本リザーブ及びそのグループは経営内容など余りにも問題があると思うのですね。協和銀行などは八億円近い手形の割引枠をつくっておる。担保、保証は一割にも満たない、預金取引関係もそれだけの枠をつくる内容ではない、これはそういうふうに聞かされています。
 そこでこの件は、先日も聞きましたように、本店で審査をする、稟議にかけたと思うんです。ここにかかわった各金融機関、それぞれどういう審査をしたのか、審査部でどういうランクの審査結果を出したのか、まずその点をお尋ねをいたしたいんです。
○政府委員(徳田博美君) これは個別の問題でございますので、そういう面からのお答えはお許し願いたいと思いますが、一般に銀行の貸付実行はその金額の大小によりまして、御承知のとおり本部の稟議を経て行うものと店長権限内で行うものとに分かれているわけでございます。
 この御質問の日本リザーブの取り扱いにつきましても、すべてこのような所定の手続を経て行われているというふうに考えられるわけでございまして、したがいまして、その金額によりまして支店長権限で実施されているものもございます。すべてが本部の稟議を経て実行されているとは限らないわけでございます。
○和田静夫君 正直な話、きょう協和銀行あるいは住友銀行グループ、東海銀行など非常に多額のものを出したところ五銀行の頭取に全部ここへ来ていただこうと思っておったんですが、ちょっとほかの論議で時間がとられますから、きょうはそれは省略をいたしましたが、どうもいまの答弁ではやっぱり納得ができません。
 銀行の審査というと、その厳格さにおいて非常に名高いのでありまして、一般の私たち個人の場合で言えば、住宅ローンを借りようとするとこれは容易ではありません。それにもかかわらず、日本リザーブという会社について稟議書がつくられサインされている。恐らく審査のチェックポイントの総合点がこれだけの融資をするのに合格点を得ていたとは考えにくいのであります。結果、どういうレベルの人がどういう判断で決裁したのか、そういう場合の責任は一体どうなのか、これは各行についてやはり私は責任追及があってしかるべきだ、そういうふうに考えているんですが、これはどうでしたかね。
○政府委員(徳田博美君) 御指摘のとおり、金融機関は大切な預金者の預金を運用しているわけでございますから、審査はどこまでも厳重かつ厳正に行われるべきものでございまして、その点におきまして審査が不十分な点があれば、これは厳重に反省をしてもらう必要があると、このように考えております。
○和田静夫君 これはおいおい煮詰めますから、そのうちに方法考えますが、そこで関連してお尋ねをしますが、銀行法の改正問題で経理の公開が大きなポイントになっていますし、先ほどもお尋ねしましたように、リテールバンキングというテーマも話題になるような時代であります。いわば銀行経営を大胆にガラス張りにするとともに、大衆化の要請にこたえるということが、局長さっき何遍も言われるように、時代の流れだろうと私も思うんです。
 そこで、融資について通常、特に個人や小さな企業、あるいは商店などの場合、判断基準がわからないという方がいま通常なんですね。融資の審査基準といったものを公開にすべきではないかと思うんです。
 たまたま目についたことでありますが、三菱銀行では貸出稟議書自動作成システムを何か四月から全店で実施しているそうでありますね。センターのデータとオンラインですぐ判断が出る。恐らく、項目数はふえたそうですが、パターン化は進んでいるでしょう。そういうものをお客にも見せる、公開する、そういう方向に進むべきだと思うんです、今度のこの事件をつらつら考えてみると。いかがでしょう。
○政府委員(徳田博美君) 金融機関の貸し出しにつきましては、貸し出しあるいは借り手の実態であるとか、あるいは性格であるとか、あるいはその信用度であるとか、人柄であるとか、そういうものをきわめて総合的に判断して行われることになりますので、一定の規格のようなものをつくることは非常にむずかしいのではないかと考えられます。
 ただ、個人に対する消費者金融につきましては、一定の判断基準のような、いわば表のようなものはつくることは可能でございます。また、そのようなことを実施している金融機関もあるようでございます。したがいまして、一応の個人の消費者金融については目安が出るかとも考えられますが、一般の事業金融についてはその点はかなり困難ではないか、このように思います。
○和田静夫君 自賠責でちょっとお尋ねしますが、自賠責保険の医療費、これは通常よりも異常に高い。かねて批判があるところであります。
 本日は、その関係をまず基礎的なところから伺っておいて、なお論議を発展させたいのですが、基礎的なデータをそういう意味ではいただきたいわけでありますが、ここ五カ年程度の自賠責保険の医療費の支払い額、これは幾らでしょう。
○説明員(貝塚敬次郎君) 手元にちょっと資料がございませんので、後ほど……
○和田静夫君 そうすれば、私的医療機関への支払い額がその中でどれだけを占めるかということを含んで知らしてもらいたいんですが、よろしいですか。
○説明員(貝塚敬次郎君) お答えする前に、ちょっとお尋ねみたいで恐縮でございますが、私的医療機関ということの概念でございますが、公的医療機関というもの以外というふうに理解してよろしいかと思いますが、公的医療機関といたしましては、自治体病院であるとか日赤であるとか、それに国立病院を加えましたものを公的医療機関、それ以外を私的として了解した上で資料を作成いたしたいと思います。
○和田静夫君 医療機関からの請求の計算方法というのはわかりますか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 医療機関から請求がありましたときには、自動車算定会というのがございまして、そこに医療費調査部というのがございます。一件一件審査をいたしまして、それが適正かどうか審査いたしますし、また、政令を改正いたしまして、請求するときには必ず医師の診療報酬明細書を添付することになっておりますので、それによってチェックすることができます。
○和田静夫君 各県ごとに自賠責保険調査事務所と各県医師会側とで協定しているようですね、この計算の方法というのを。この調査事務所というのは一体何ですか、おわかりになっていますか。
○説明員(貝塚敬次郎君) お答えいたします。
 自動車保険料率算定会というのがございまして、それの下部機関といたしまして調査、統計をいたしますのが調査事務所でございます。
 調査事務所は、事故の実態を調査いたしまして、それを各保険会社に報告いたしまして、実際の査定は各保険会社がやります。査定の責任は保険会社にあると。調査事務所というところでは一件ごとの調査をいたしましたり、統計をとったりいたしますところで、繰り返しになりますが、自動車算定会の地方の下部機関というふうに御了解いただければ結構だと思います。
○和田静夫君 一点単価は協定しているでしょう。
○説明員(貝塚敬次郎君) 協定という言葉はちょっと当たらないのではないかと思います。ただ、各県ごとに地方の医師会とその調査事務所が話し合いをしているという事実はございます。
○和田静夫君 そこで、現在この一点単価は幾らですか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 大変大ざっぱな答弁になりますが、最近私どもが報告を受けましたのは、大体健保単価の二倍、すなわち二十円というのが大体九〇%前後を占めているという報告を受けています。詳しくは後ほどの資料と一緒にお届けしたいと思います。
○和田静夫君 全件中、最低、最高、平均、それはいまわかりますか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 申しわけございませんが、それもちょっと手元にございませんが、最高でも四十円くらいというようなことをちょっと記憶しております。もう少し詳しく調べまして御報告させていただきます。
○和田静夫君 きょうは大体、その資料をそれじゃいただくことに主眼を置きますが、健康保険の場合、一点十円、それが二十円、三十円のところがある。いま言われたとおり、二十円、三十円のところもある。
 私の調査では、栃木、埼玉、神奈川、静岡、兵庫などでは単価三十円の申し合わせが一部医療機関でなされている。
 このように地域によって単価がばらばらなのは、これはどういう科学的根拠に基づくとお考えになっていますか。
○説明員(貝塚敬次郎君) その点につきまして、実は昨年の四月でございましたか、厚生省、それから運輸省、大蔵省、三省の協議会をつくりまして、もっぱら先ほど申しました自動車算定会の方の報告を聞きまして、各県ごとにどうなっているか、実情を聞いているわけでございます。いま申しましたように、県によってばらばらでございますが、その原因につきましては私たちはっきりと把握しておりません。
 それから、同時にその三省協議会で、従来の交通事故医療関係の判決例などの紹介もありましたが、その判決例なども大体二倍なら妥当であろうと、二倍ちょっと超えても妥当であろうというのが判決に出ておりますが、いまの御質問に対しまして、どういう理由かということは、ちょっと私たちつまびらかにしておりません。
○和田静夫君 私は、その科学的な根拠がないのが非常に不自然だと思っているのですがね。これは地域だけではないのですね。調べてみますと、医療機関ごとに国立大学、自治体、公立、私立、これも設立主体によっても単価が違うわけです。この科学的な根拠は御存じですか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 申しわけございませんが、実態は私たちつまびらかにしておりません。
 といいますのは、先ほど申しました料率算定会の統計といいますのが、そういった医療機関別につくっておりません。もっぱら一点単価はどうなっているかと、地区別にやっておりますので、まずその実態を私たち見ないと責任のある御答弁は控えたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
○和田静夫君 それじゃ、ここのところも実態をちゃんと把握して、私に報告していただけますか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 実はどのくらいの時間で、どのくらいの精度でできるか、ちょっと自信ございませんので、できれば後ほど先生のところで御相談したいと思いますので、それで御了解願えればと思います。
○和田静夫君 じゃ相談して、そう決めます。しかし、地域のやつはすぐ出ますからね。私は地域のやつは持っておりますから。
 それから、初めに聞きましたように、医療費支払い額、各県医療機関別にこれはデータいただけますか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 医療機関別というのはちょっと自信ございませんが、調べてみたいと思います。
○和田静夫君 端的に言って、現在の自由料金制は矛盾だらけなんですね。これは健保を適用してもよいはずでありますが、私の調べたところでは、公的病院が二五・三%、私的病院がわずか五・八%ですね。しかもどちらかというと、私的機関の方には、施設がないだけに軽症の患者が行くわけですね。運ばれる。とすると請求するだけもらえるので、同じ状態で、健保とかけ離れてもうかるということになるわけですよ。このことはおかしいと思うのですがね。これ論議聞いていてそう思いませんか。この辺も実は大臣に聞きたかったところなんですがね。
○政府委員(中村太郎君) 自賠につきまして御指摘のようないろんな御批判があることは私ども承知いたしておるわけでございます。いま御指摘の点につきましても、実際感じとしてはそういうふうに私どもは受け取っているわけでございます。
○和田静夫君 後日またデータを出していただいてから質問いたしますが、支払い調書は出しているわけです。そうすると、自賠責による所得の税申告額、それから各県医療機関別に出ますかね、これは、国税庁。
○政府委員(藤仲貞一君) 申しわけありませんが、ただいまちょっと聞き漏らしましたので、大変恐縮でございますが……。
○和田静夫君 あのね、自賠責の論議ちょっとやっているんですがね。どっちみち後刻、いま資料もらって煮詰めた論議、私も意見を述べますが、ちょっと気にかかるのは、自賠責による所得の税申告の額なんです。それからこれを各県医療機関別に出ますか、おたくで。
○政府委員(藤仲貞一君) お答えいたします。
 私どもではそういう統計が出ないと思います。また、自賠責をもらった人たちは多くの場合非課税になるということは御承知のとおりだと思います。
○和田静夫君 医療機関の方は。
○政府委員(藤仲貞一君) お答えいたします。
 そちらの方も統計が出ないと、こういうことでございます。
○和田静夫君 これは何で出ないんですか。
○政府委員(藤仲貞一君) 私どもそういう医療機関別とかそういうことで実は税務の統計を一切管理いたしておりません。そういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。
○和田静夫君 ちょっと後で相談します。私は少し注文出します、これは。
 次に移りますが、東京信用金庫なんですが、昨年七月六日の決算委員会で、東京信用金庫のきわめて憂慮すべき経営内容について質問をいたしました。それは、同金庫の五十二年度決算について問題としたわけであります。徳田局長の答弁は、調査する、改善を指導するというものでありました。きわめて抽象的で要領を得なかったのでありますが、まあ平場でやれることやれないことがありますから、その後大蔵省は二月に検査にお入りになった。そして三月末に五十三年度決算期を迎えたわけでありますが、どう経営内容が改善されたのか、明確に実はお答えをいただきたいんです。
 東京信用金庫は大蔵省の決算承認金庫ですが、まだ五十三年度決算は承認されていないようでありますから、確定した数字はわからないわけでありますが、大体第四分類が一・三億円、第三分類が八十億円程度と言われています。その他いろいろな数字を見ますと、改善されていないどころか、私はもう大変悪化しているんではないだろうかと。同金庫のここ三、四年の決算というのは、不動産売却、有価証券売買でつじつまが合わされている。数字上利益計上されている状態であります。金融機関の正常な姿ではないのではないだろうか。大蔵省は昨年七月の決算委員会及びいま私が指摘した点について説明をしていただきたいんです。
○政府委員(徳田博美君) 検査結果の内容につきましては、これは検査のことでございますので申し上げることをお許し願いたいと思いますが、
  〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
全般の分類状況から申しますと、前回検査よりは若干の良化を示しております。
 それから決算面でございますが、これもまだ確定はしていないわけでございますけれども、経常利益は、五十二年度が二億三千万ほどであったのが、五十三年度では恐らく八億を超す数字になるかと思います。ただ、当期利益は五十二年度よりも若干の減少というような形になるんではないかと思っております。
○和田静夫君 日研製薬という株式会社に対する融資が総額十四億円、これに対して担保評価はせいぜい四億円程度と見られる。これは融資限度額をオーバーしているわけですが、現閣僚の一人に対する政治的な融資であると、こう言われているんです。私は、名前もわかっておりますけれども、きょうはここでは申し上げませんが、この件はどう五十三年度決算で処理されていますか。
○政府委員(徳田博美君) この点につきましては一応検査等で把握はしておりますけれども、個別の取引の問題でございますので、恐縮でございますが、ここで申し上げることはお許し願いたいと思います。
○和田静夫君 もう一つ伺っておきますが、株式会社エヌエス本社、これに対する暴力団事件として、元専務及び支店長が第一審実刑判決を受けたあの不正融資ですが、不正貸付十五億八千万円、これは担保評価三、四億ぐらいでしょうか、現状では処分不可能に近いものですから、評価できないと言うべきかもしれませんが、この件はどう処理されましたか。
○政府委員(徳田博美君) この点につきましても、個別の案件でございますので、具体的な数字を申し上げることはお許し願いたいと思いますが、先生御指摘のとおり、これは清水それから大森という二人が関係しているわけでございますが、この両名が現在控訴しておりまして、まだ刑が確定しておりませんので、一審の判決だけをもって判断することは適当でないと考えております。ただ、浅野前理事長は、本件の責任をとりまして、五十二年十二月の臨時総代会において会長に退く等の措置が講ぜられているわけでございますが、今後の問題につきましては、さらに今後出る判決等を踏まえまして、必要があれば検討したいと思っております。
○和田静夫君 実は、いま挙げた二件とも処理されていない。実質的には四分類にしてもよい内容でありますが、決算上見かけをよくする決算をするために第四分類としない、償却をしないというようなことは東京信金では行われている。ディスクロージャーが課題とされる今日、大蔵省の秘密主義も改めなければなりませんが、金融機関もそれに対応して改善すべき点はすべきでしょう。
 それはさておくとしましても、本年二月六日東京地裁刑事九部で、いま言われた元東京信金清水晶専務、大森富哉中井駅前支店長、これに対する背任等の事件について判決が出された。これを通読いたしましたが、私が注目いたしました一つの点は、導入預金があったことが判決文において認められていることです。導入預金が立件されることはわりあい珍しい私はケースではないかと思うんですね。それだけに中井駅前支店に対する融資というのはきわめて異常な問題であったと言えるわけです。
 ところで、こういう無理な融資というのは、特別宣伝費を出すなど、かなり強引な預金集めなどの経営姿勢と関係をしているのでしょう。しかし、最高責任者である浅野前理事長、現会長は、経営責任をその意味ではおとりになっていない。最近、総代職員を指示して理事長復帰運動をやられた模様であります。総代の一部は大蔵省に陳情さえしているというではありませんか。
 そうとすれば、個別の金庫問題とはいえ、私は金融機関の社会的責任も怪しくなるんではないだろうか。一般に導入預金に対する経営責任、大蔵省はどういうふうにお考えですか。これは一般論としてはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(徳田博美君) 導入預金は最近はかなり実績が少なくなったわけでございますが、以前はかなり行われていたわけでございまして、公共性ある金融機関として決してなすべからざるものでございまして、導入預金のような行為をした金融機関に対しましては厳しい監督を行ってまいりたい、このように考えております。
○和田静夫君 その一般論の上に立って、東京信金のこのケースについてはどうお考えになりますか。
○政府委員(徳田博美君) このケースにつきましても、東京信用金庫に対しまして厳重に注意を与えましてその後の状況をフォローしております。また、先ほど申し上げましたように、理事長に対しましても責任をとらせたわけでございます。
○和田静夫君 昨年七月六日の質問で、五十二年度決算において、ミキ通商分六億七千四百万、それから清和産業分五億二千万、合計十一億九千四百万円の償却について、その担保についての疑惑を私は質問をいたしました。
 すなわち、五十年十月の大蔵省関東財務局の検査の直前に、と私は思っておったんですが、どうも直前ではなくて実は検査の最中であったようでありますが、担保の工作が行われているのではないだろうか。浅野現会長が指示して取引関係のある三好建設株式会社に定期預金約三億五千万円、それから商業手形の質権、これが七億円が設定されたわけです。五十二年六月にこの担保が解除された。しかも、両社とも倒産してから後ですね。清和は五十年九月に倒産、ミキは五十一年二月に倒産。倒産してから担保解除がされている。こんな異常な例はちょっと聞いたことがありません。したがって、これは官庁欺罔行為ではないかと私は思うんです。その後お調べになったはずでありますから、事実か否か、いかがでしょう。
○政府委員(徳田博美君) 本件につきましては、その後の検査等においてもいろいろ調べたわけでございますが、結果的には、そういう御指摘のような検査を欺罔するような意図であるということを確認することができなかったわけでございます。
○和田静夫君 大蔵省が解除を認めたいきさつですね、東京信用金庫の大蔵省に対する説明というのは、これはそれじゃどういうことだったんですか。
○政府委員(徳田博美君) これは一応信用金庫側の説明につきましては、その検査における分類等を回避するような意図ではなかったというような説明がるるなされたわけでございまして、それに対してそうではないということを立証するようなものが把握できなかったわけでございます。
○和田静夫君 実は、解除の理由について東京信用金庫は大蔵省にこう説明したというふうに聞いています。
 ミキ通商、清和産業には相当な資産があると考えて三好建設がその再建に乗り出そうとしたのだが、調査してみると再建できそうもない。そこで一たんは担保提供して両社をバックアップしようとした。が、五十二年六月に至って手を引くことになったと言われている。いかがですか、そういう説明であったのではないですか。
○政府委員(徳田博美君) 説明の正確なところはちょっと記憶しておりませんが、恐らくそのような方向で説明がなされたのかと思います。
○和田静夫君 この問題では、日銀から来られていた新山元理事は稟議書に捺印しなかったために詰め腹を切らされているわけですね。そういう有名な話があるんですが、このことは御存じですか。
○政府委員(徳田博美君) その事実は私は聞いておりません。
○和田静夫君 くどいようでありますが、この問題は私は重大な実は意味をはらんでいますからさらにお尋ねするんでありますが、実はこの三好建設の担保設定は架空のもの、関東財務局の検査に対する一時逃れのものであって、東京信金は三好建設株式会社に担保を返却する旨の文書を入れて仮に担保を設定した。これには、場合によっては、私は責任を持ってこういう論議をしているわけですから、いつでも証人を立てる用意がございますが、大蔵省としてはこれはメンツにかけてももう一度はっきり調べるべきだと思うんです、ここのところは。
○政府委員(徳田博美君) 東京信用金庫と三好建設との間に御指摘のような文書があったということは大蔵省では確認していないわけでございますが、仮にそのような文書があるということが確実になりますれば、それをもとに再調査をしたいと思います。
○和田静夫君 なお一言つけ加えておきますが、仮に架空の担保でないとすると、担保解除は同金庫に損害を与えた結果になるわけです。この点についても筋道の立った調査が必要であると思うんですが、これはいかがですか。
○政府委員(徳田博美君) 仮にそのような形で処理が行われたとしますれば、もちろん信用金庫自体に損害を与えたことにもなりますし、それから、やはり信用金庫法第九十条の第三号にある、検査に際し、不実の申し立てその他を行ったというような条文にも該当することになると思います。
○和田静夫君 東京信用金庫は、板橋支店移転用地としまして、板橋区仲宿の乗蓮寺所有の土地約千坪の買収を浅野前理事長の指示で行って、昭和四十九年七月一日に乗蓮寺から約十一億円で三井建設に土地の所有権が移転をされました。三井建設は東京信用金庫の命を受けたもので、事実買い戻し条件がついておる。そのため三井建設は約六億円を立てかえ払いにしている。また残り約五億円は三井建設の子会社の三建不動産株式会社、東京信用金庫から三井建設にかわって代理貸しを受けている。この支店の移転及び用地取得については大蔵省は御存じでしょうか。
○政府委員(徳田博美君) そのような用地取得の経緯があったということの概略は一応聞いております。
○和田静夫君 この物件には、浅野理事長が実権者である東京建設資材株式会社が仲介料三千万円を受領していますね。この会社は東京信金の支店用地問題でいつもこれ出てくるんですね。これは浅野前理事長が自分の実質上実権をふるっている会社を帳簿上仲介させているものなんではなかろうか。きわめて違法性が私は強いと思う。事実上これは背任に当たるんではないかとさえ考えられる。
 具体的には局長ここではお答えになれませんでしょうけれども、一般論として私は問題があると考えられますが、これは小林局長いかがですか。
○政府委員(小林朴君) お伺いしておりますと、私は具体的な事実は存じませんけれども、特定の第三者の利益を図るために会社そのものに損害をかけるという行為でございますれば、背任の行為に該当するのではないかというふうに思います。
○和田静夫君 これは捜査して疑義を明らかにすべきであろうと思うのですが、警察庁いかがですか。
○政府委員(小林朴君) 捜査の問題では、こういうものにつきましては大変むずかしい問題が基本的にございまして、できれば大蔵省の方の第一次的な監査と申しますか、そういうものによりまして具体的に犯罪の容疑というものがはっきりいたしますならば、当然私どもで捜査をすべきではなかろうかと思うわけでございます。ただ警察の場合にこういう会社関係の、銀行も含めてでございますけれども、一般的な捜査というのは相当な容疑がないと中へ入っていくことはできないわけでございます。ところが、中へ入らなければ相当な容疑がつかめないというような問題が基本的にございまして、なかなかこの知能犯の捜査というのは端緒のつかみ方がむずかしいわけでございます。うわさだけでなかなか十分な捜査ができないというのが現状でございます。
○和田静夫君 この土地は、実際に東京信用金庫に所有権が移転されたのは昭和五十三年――昨年であります。すなわち五十三年八月三十一日、藤和不動産、これが千九百五十五・一八平方メートル、五十三年十月二十四日、東京信用金庫千六百十・九六平方メートルというように分割して所有権移転か行われました。分割したのは事情があったからでしょう。それはまあ後に触れたいと思うんです。
 とにかく東京信用金庫の支店移転用地として約四百八十八坪。これはいかにも大き過ぎますね。マンションを建ててその一部に支店が入居するという計画だということですが、これは大蔵省、決算承認金庫でもあるわけですが、認められたわけでしょうか。
○政府委員(徳田博美君) この支店の移転するかどうかにつきましては、まだそういう申請が出ておりませんので、その段階で判断をしたいと思います。
○和田静夫君 大蔵省には、五百坪の用地取得は何の目的であるかというような形の報告というのはないわけですか。
○政府委員(徳田博美君) 本件については特に報告はございません。
○和田静夫君 五百坪近い支店用地取得というのは、これは金融機関の土地取得に社会的にも厳しい声が上がっている折から私は疑問であります。まさか東京信用金庫が不動産業を兼営するというわけではないのですから、この点は私は注意を喚起しておきたいと思うのです。
 問題は取得の価格です。すなわち、東京信用金庫とさっき言った藤和不動産は昨年の十月、それから八月、同時期に同じ場所で土地の条件に大差のない土地を買っているわけです。ところが、藤和不動産は坪約百三十万円で入手しているのに、東京信用金庫は坪約百八十万円で入手しているわけです。その差、坪単価にして五十万円でありますが、報告を受けていないと言われる以上大蔵省はこれは御存じないと思うのですが、一遍報告、調査をされてみたらどうでしょう。
○政府委員(徳田博美君) その点は調べてみたいと思いますが、一般的に金融機関の支店を認可する際には、その土地の取得価格が付近の公示価格等と比較して不当に高いものであるとか、あるいは近隣の地価をつり上げるようなものであるとか、そのような場合には事情によって支店を認可しない場合もあり得るわけでございます。
○和田静夫君 これは三井建設からの買い戻しが経営上の理由などでおくれ、金利負担分が上乗せされた分を東京信用金庫の買い取り分におっかぶせた結果だと私は見ています。こういう土地取得によって、結果として金庫に損害を与えたことになるわけでありますが、大蔵省としてはこの購入価格、お調べの結果でありますが、いま聞いてもあれでしょうが、適正なものだとはお考えにはならないでしょうね。
○政府委員(徳田博美君) その点は、実態をよく調査して判断したいと思います。
○和田静夫君 東京信用金庫の場合は固定比率は幾らですか。
○政府委員(徳田博美君) ちょっと手元にございませんので、後ほど御報告申し上げます。
○和田静夫君 東京信用金庫と同和火災が新宿区三光町に九階建ての共同ビルを昭和四十七年に完工させていますね。このビルというのは両者合わせて約百坪の土地、東京信用金庫は約半分五十四坪、その上に地下の一部と一階から三階が東京信用金庫、四階から六階がインターナショナル宣伝という会社、それから七階から九階が同和火災の所有ということになっている。六階までについては東京信用金庫が相当の費用負担をしたようです。ただし、金融機関は不動産売却のために建設できませんから、インターナショナル宣伝も共同建て主となっている。その費用は約三億同金庫が融資をした。その見返りに昭和四十七年インターナショナル宣伝は約九千六百万円を浅野前理事長に支払ったと言われる。本来であれば金庫に入るべき金でありますが、個人のものになって数支店に架空預金をされた。大蔵省はこのことは御存じでしょうね。
○政府委員(徳田博美君) その数支店に架空名義で預金されたという事実は、現在手元には資料はございません。
○和田静夫君 じゃ、九千六百万円入ったということだけはわかっているわけですね。これは警察庁、時効の関連がありますが、私は横領に当たるのではないだろうかというふうに考えているのですが、そういう立論にはなりませんでしょうか。
○政府委員(小林朴君) 事実関係を私どもよく調べてみないと何とも言うわけにはまいりませんが、一般論としてそういうふうに考えられるかとも思います。
○和田静夫君 東京信金一応終えときますけれども、なお調査結果に基づいて論議を深めてみたいと思うんです。
 東海銀行をメーンバンクとしていた繊維機械輸入商社のパシフィック通商が二月十五日に自己破産申請をいたしました。これについて東海銀行が同社から撤退を図ったことが大きな要因であると言われていますね。すなわち、営業本部長山本博さん、それから管理本部長阪本修さんという二人の専務を東海銀行が派遣をしていたのでありますが、この二人を引き揚げさせ、融資残高も次第に減らしてきているようであります。約半年前の八月に三十億だったものが倒産前十六億円という形で半減をしています。しかもこのパシフィック通商は上場も近いと言われた会社、企業でありまして、月別でも経常黒字であったようであります。そういうことを考えてみますと、東海銀行の撤退がきわめて大きな原因となって倒産につながったと言えると思うんです。東海銀行の役員及び融資の引き揚げは、これはもう大変無責任ではなかったんだろうかということを客観的に思うんですが、大蔵省の見解を伺いたいのですが。
○政府委員(徳田博美君) いまの御質問にお答えいたします前に、先ほどの固定比率でございますが、五十二年三月末で八六・七%でございます。
 それから、パシフィック通商の問題についてお答えいたします。
 これにつきましては、いま詳細な資料を手元に持ち合わせてないわけでございますけれども、同社は五十四年の二月に自己破産の申し立てを行って事実上の倒産をしたわけでございます。倒産に至った原因といたしましては、上場を意図した無計画な背伸び経営をしていたことであるとか、あるいは関連業者が業績不振であったとか、あるいは子会社に対する焦げつき債権の発生とか、あるいはこれによります資金繰りの悪化等が原因であったと聞いております。
 なお、東海銀行との関連でございますが、東海銀行はパシフィック通商のメーンバンクとして四十二年の五月ごろから取引を開始しておりまして、ピーク時には先生御指摘のように三十六億円程度の貸し出しが行われていたわけでございますが、昨年の三月に至りまして、決算内容に関連いたしまして相互の意見がいろいろ対立いたしまして相互の信頼関係が損なわれた結果、東海銀行としては取引を縮小してきたというように聞いております。
○和田静夫君 何か私が聞いているのでは、これには感情的な問題があると言われているわけですね。すなわち、このパシフィック通商が東海銀行から同社の預金五億円ぐらいをおろして、そして三和銀行に預けかえた、そういうことがあったようであります。そうしたことがこじれたということが十分あり得ることのようです。
 しかし、それにしても銀行が融資や信用といった手段でもって――こういう言い方は悪いけれども、パシフィック通商程度の会社をつぶすことは私は簡単だと思うのですね。そういうことを示した結果になっているわけだろうと思うんです。私は、これは問題だと言わざるを得ません。銀行のとるべき態度ではない。十分な解明をしなければならないと考えますが、いかがですか、さらにこれ詳しく調査されるように私は求めたいんですが。
○政府委員(徳田博美君) 一般的に申しますと、金融機関は健全な経営努力をしている企業に対して貸し出しを行っている場合に、その企業がまじめに経営を行い、そして経理内容も健全であり、また将来の見通しも確実であるというならば、それはどこまでもその企業を支持して融資を続けるべきだと考えられますが、ただしかし、その場合にやはり金融機関と企業との間には相互信頼関係があることが大事ではないかと考えているわけでございます。したがいまして、このパシフィック通商の場合には、その一番大事な相互信頼関係が両者の意見の相違等、あるいはただいま先生御指摘のようなことを契機といたしましてなくなってしまったわけでございますので、このような場合にもはや主力銀行としての融資を続け得なくなるということも、やはり金融機関も私企業でございますから、ある程度やむを得ない面があったのではないかと考えられます。
○和田静夫君 この東海銀行も、さっきの日本リザーブ問題の中では四億四千万を超える手形割引枠の問題がありますから、その問題とあわせて東海銀行の姿勢というものをもう一遍問い直してみたいと思っていますけれども。
 新日鉄と三菱グループが共同出資している日本鋳鍛鋼という会社が北九州にあるわけですね。これは資本金が百二十二億、金田義夫社長、これは何か三菱製鋼の社長でもあるようでありますが、この会社の経理担当の社員、これは三菱銀行から出向しておった人でありますが、街山武男、そういう人が十六億五千万円も手形を乱発した。そしていま訴訟事件になっているようであります。これは日本鋳鍛鋼が振り出して、同社とは何の取引もない自動現像機製造の資本金一千万円のこの街山が取締役をしている東新化工という会社、これは練馬区にあるんですが、を受取人としておる。すでに事件発覚直後に倒産したそうであります。事件がちょうど昨年の七月からであることが時期的に総裁公選と絡んで政治資金云々のいろいろの疑惑がいま飛んでいるわけでありますが、この金がどう使われたのか。また、この街山は先ほど言ったとおり三菱銀行からの出向社員でありますが、単に個人の犯罪とは見られないようでありますが、警察庁、これ概要おわかりになっていますか。
○政府委員(小林朴君) 初めて聞くことでございます。
○和田静夫君 これ警察庁、ちょっと一遍調べてもらって報告をしていただきたいんですがね。
○政府委員(小林朴君) 調べられる範囲で一応また聞いてみますが……。
○和田静夫君 近畿相互銀行でも暴力団におどかされて小切手の過振りが発覚していますね。近畿相銀の天六支店次長日夏寛次郎さんが住吉連合の幹部におどかされて三月二十日から四月九日の間、二十日間ほどの間で支店長交代のすきをついて計一億七、八千万円から二億五千万円程度の過振りをしていたということであります。
 これは暴力団員と日ごろからの関係があってのことだと言われていますが、それにしても取引を開始して半年余りのことであります。余りにもやすやすと暴力団につけ入れられているわけですね。そして、こんな極端なケースではありませんが、最近似たような例が間々あるようでありますね、新聞報道など見ていますと。どうしてこういう事件が起こったのか、これは警察庁からお聞きしたいんです。
 また、大蔵省からは、職員の管理上についてここらをどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(小林朴君) この近畿相互銀行の問題も、私初めて聞くことでございますので、一応また事情を担当の県の方に一回照会をしてみたいと思います。
○政府委員(徳田博美君) この近畿相互の事件につきましては目下調査中でございます。ただ一般論として申しますれば、そのような暴力団などに融資するということは、これはもう公共性ある金融機関としてあるべきことではございませんし、また、恐らく何らかその暴力団につけ入れられるようなすきがあるということは、やはり職員のあり方として非常に問題ではないかと考えております。
○和田静夫君 近畿相銀の問題はもうかなり大きく中間的には報道されていることでありますので、警察庁の場合はもう少しこの辺は熱意を持って調査をしてもらいたいと思います。
 大蔵大臣、お見えになるのが非常に遅かったのですが、銀行法の改正問題などでかなりの時間をかけていろいろ銀行局長との間で意見の交換をしてきたところであります。その間代理して次官などにお答えを願ったところですが、最後に、小坂経済企画庁長官が昨日仙台で記者会見をされて、「日米共同声明にある『内需の拡大』と『財政引き締め』は矛盾するものではない。」と発言をされたとけさ報道されています。これはまさに大蔵大臣にお伺いしたいところなんですが、どのようにいまお考えでしょうか、ここのところは。率直なところ、アメリカの注文はなかなか厳しいものですがね、どうでしょう。
○国務大臣(金子一平君) 日米首脳会談の内容につきましては、まだ共同声明以外に報告を受けてないんです。きょう関係者帰ってまいりましたからいろいろ話を聞いてみたいと思っておるんですが、私の端的な感じを申し上げますならば、いまの日本でとっております内需振興中心の、主導型の経済の運営というものは、これはやはり基本的には続けていかなきゃいかぬことであるということが一つ。しかし、先般の日銀の公定歩合引き上げによって、これが大きく私どもは変わっておるというふうには考えておりません。やはり経済の発展のためには、基本的な問題は物価の安定ということが一番大事なことでございますんで、そういう意味での警告的と申しますか、引き上げが行なわれたわけでございまするけれども、これによって今日の日本経済が大きくいま変わってしまったというふうには私どもは考えていないわけでございます。
○和田静夫君 報告具体的にお聞きになっていないと言われてしまうとこれ以上突っ込んだ論議になりませんがね。
 もう一つちょっとそれじゃ聞いておきたいんですが、これも報道にあったことでありますからあれですが、政府調達問題について、ルール化について大平さんはお帰りになってすぐ指示をされたというふうに報道されていますね。具体的な内容については外に漏れていないと、こう言われているんですが、これは大蔵大臣、もう御存じのことでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 政府調達問題につきましては、八一年の一月一日から実施することになっておる。それで、それまでになるべく早い機会にこの結論を出す手順、ルールを決めて具体的な詰めをやりたいというのがこの調達問題に対する政府部内の考え方でございます。
○和田静夫君 そこで、その具体的な手順等について何か構想がもうすでにあって指示をされたわけですかね、大平さんは。
○国務大臣(金子一平君) これはこれからの問題だと思います。きょう帰ってこられて、こういうことで方針を決めたから、後、中身を詰めてくれ、こういう話でございまして、構想をあらかじめ決めてこういうことでやれよという指示ではなかったと考えております。
○和田静夫君 ところで、最後にしますが、小坂経済企画庁長官は、昨日の同じ記者会見で新経済社会七カ年計画達成のために一般消費税を早急に導入する考えはないと述べておられるわけです。これは同じ政府の閣僚でありますから、これは小坂経済企画庁長官のお考えに同調を大蔵大臣されるわけですか。
○国務大臣(金子一平君) 企画庁長官の仙台発言というのを実は私もまだ聞いてないんですけれども、これは来年以降の予算編成のことを考えたならば、従来の税制の見直し、あるいはいろいろ御提案いただいておる新税だけではとうてい財政の赤字はカバーできないと私どもは財政当局として考えております。だから、これは今後の具体的な詰めによって決まることでございますけれども、いま政府部内において一般消費税の導入をあきらめたというようなことは全然ないとお考え、御理解いただいて結構でございます。
○和田静夫君 じゃ終わりましょう。
○委員長(坂野重信君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十九分開会
○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、租税及び金融等に関する調査について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○浅野拡君 昭和四十八年のオイルショックを境として、日本の経済は低成長時代に入ったと言われております。にもかかわらず、財政の体質は若干の見直しをしながらも、歳出面では、国民生活の安定と景気の回復を図るため必要な規模を確保せざるを得ないという大義名分を打ち立てて従来の惰性を追い続けている感じで、いまなお高度経済成長時代の延長をしているところに私は大きな財政の危機が含まれていると思います。五十四年度の租税の伸び率は六・九%、しかし財政規模の伸びは一五%、当然ここに公債依存度というものが大きくなってくるのはあたりまえなんであります。
 そこで、第一番にお聞きしたいのは、昭和四十八年からの租税の伸びと予算の規模の伸びをまず示していただきたい。それから二番目は、昭和四十八年からの公債依存率と、主なる国、数カ国で結構ですが、外国の公債依存率というものはどういうものか、この例をも示していただきたいと思います。
○政府委員(加藤隆司君) 第一の、四十八年度から五十四年度までの租税と歳出予算の伸びでございますが、四十八年度の補正後――十二月十四日に補正がございましたが、オイルショックが御承知のように十月でございます。四十八年補正後から五十四年度当初までの数字で申し上げますと、租税及び印紙収入は九・三%でございます。歳出は一六・七%でございます。
 それから第二の、公債の依存度、主要国と比べてどうかという御質問でございますが、決算ベースでございますが、四十八年度が、まず日本から申し上げますと一二・〇、アメリカが六・〇、イギリスが八・七、西ドイツが二・六。
 それから四十九年、一九七四年でございますが、日本が一一・三、アメリカが一・七、イギリスが一二、西ドイツが七・八。
 それから七五年度でございますが、日本が二五・三、アメリカが一三・八、イギリスが一八・四、西ドイツが二一・二、フランスが一二・二でございます。
 一九七六年、昭和五十一年度でございますが、わが国が二九・四、アメリカが一八・二、イギリスが一四・二、西ドイツが一六・〇、フランスが六・四でございます。
 それから七七年、五十二年度でございますが、日本が三二・九、アメリカが一一・二、イギリスが一一・九、西ドイツが一三・〇、フランスが五・六でございます。
 それから七八年、五十三年度でございますが、日本は補正後でございますが三二・八、アメリカが一〇・八、イギリスが一六・八、西ドイツが一四・〇、フランスが七・二。
 七九年度、五十四年度でございますが、わが国が三九・六、アメリカが七・六、イギリスが未詳、西ドイツが一五・五、フランスが二・九でございます。
○浅野拡君 ここ数年来の財政主導型のみの景気回復策等に依存し過ぎてきたということは否めない事実でありますが、果たしてその成果というものは十分あったのか、そしてその反省は、一体何が一番欠けていたか。
 二番目は、国民経済の景気を上昇させる要素としまして、公共投資あるいは国民の購売力、民間投資、こういうものが三本の柱として景気の回復に対する大きな要素ですが、その要素のウエートが一体どんなような比率であるか。
 それから三番目は、続けて申しますが、昨年の予算審議のときに、当時の河本通産大臣は、公共投資をやる、しかしそれだけじゃ足らないから、民間投資として主に電力会社に原子力発電等に約五兆円の投資を起こさして、そしてその成果を期待する、こうおっしゃっておりましたが、一体その進行状況、どこまでそれが進められてきたか。
 以上三点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(米里恕君) まず第一点の財政主導型経済の効果でございますが、御指摘のように石油ショック以後景気が停滞してなかなか期待どおり浮上しないということから積極的に財政支出、特に固定資本形成、いわゆる公共事業投資でございますが、をふやしてまいりました。その効果がようやく五十三年度、昨年の夏あたりから顕著に出てまいりまして、民間経済の活力がかなり全体として高まってまいっておるというふうに私どもは考えております。
 各要素のウエートでございますが、数字でざっと申し上げますと、まずGNPの中に占めます実質の構成比という数字で申し上げますと、政府支出につきましては四十八年度が一五・七というウエートでございます。四十九年以降これが徐々に高まってまいりまして、大体一六%前後、五十二年度には二八・六になっておりますが、五十三年度にまた一段とこれが高まりまして一八・〇、五十四年度一八・三、先生御指摘のように、景気浮揚ということを中心といたしましてGNPの中における政府支出はかなり高まっております。特に固定資本形成の割合は四十八年の八・八から五十三年度には一〇・五というような高まりを見せております。
 それから民間設備投資でございますが、四十八年度のウエートが二〇・四%という数字でございますが、その後下がってまいりまして、五十二年度には一五・八まで下がっております。五十三年度一六・四、これは実績見込みの数字でございますが一六・四と、やや持ち直しております。
 それから個人消費、民間最終消費支出でございますが、四十八年度の数字が五三・五、これはその後確たるトレンドが見られませんで、五三、四、五%台を年によって上下しておりますが、最近は五十三年度実績見込みで五三・三という数字になっております。
 こういう数字に見られますように、御指摘のとおり、かつての民間設備投資主導型の経済成長が石油ショック以後かなり設備投資のウエートが減じてまいりまして、政府支出のウエートが高まってまいったということでございますが、冒頭に申しましたように民間設備投資もどうやら着実に上昇傾向に向かっておる段階であろうかと思います。
 最後にお話のございました電力投資でございますが、ちょっと正確な数字を持ち合わせておりませんので恐縮でございますが、確かにおっしゃいますように五十三年度は行政指導という面もございまして電力投資を中心とした設備投資というものを活発に行ったわけでございますが、ようやくこの電力投資のいわば呼び水効果というようなこともございまして、五十三年度後半あるいは五十四年度にかけまして電力投資以外のもの、すなわち第三次産業で申しますと卸、小売、あるいはまた建設、製造業でも業種によってはかなり上向きの動向が出ております。主として省力化投資、合理化投資というようなものもございますし、あわせまして設備投資の中期循環過程というような陳腐化の問題もございまして、更新投資が全体的に出てまいっておると。したがって現在では、五十三年度の総額と比べまして現在のスピードが特に設備投資で高まっているとは思われませんけれども、中身の入れかえが相当ございまして、電力投資にかわってその他の非製造業あるいは製造業の一部がかなり着実に上向き傾向にあると、こういった状況にあると認識しております。
○浅野拡君 そこで私は政府に、一体この高度経済成長時代に果たしてきた財政の役割り、そうして低成長時代の財政の本質というものはどうあるべきか、こういうところをぼくは聞きたいと思います。
 高度成長型財政体質というものは大企業に対する財政からの資金供給、あるいは公共事業の大型プロジェクトといったようなものに財政というものは大きく働いたというようなイメージがありますけれども、私はそれは的確じゃないんだと、こう見ております。高度成長期に果たした財政の基本的役割りというものは、むしろ後進地域や後進産業に対して断片的で後ろ向きの所得補償を行うところにあったのじゃなかろうかと私は思っております。高度成長は重化学工業や輸出志向産業を核として、民間経済部門の急速な拡大によってもたらされたものだと私は思っております。
 このプロセスにおいて、財政は租税特別措置や、あるいは開発銀行の融資などを通じて関与はしましたけれども、それには私はおのずから限度があったんだと思います。多くは国民の貯金が市中銀行を通じてその役割を果たしてきたと思います。ただ、日本の予算の中には、防衛費とかあるいはまた社会保障費というものが非常に負担が小さかったということも大きな、財政そのものには有利であったかと思います。しかし、こうした高度成長経済から入ってきたいわゆる租税によって高度成長型の財政というものができ上がり、財政というものは歳出面にのみ必然的にどんどん伸びてきたんじゃなかろうかと私は思います。
 ところが、低成長時代に入れば租税が入ってこない。だから、徹底した歳出面の洗い直しをしなくては、私は低成長時代の財政というものはあり得ないのじゃなかろうかと。公共投資というものは、それによる財政主導型の景気回復策というものは、一時の不況というものを乗り切るためにはあるいは効果があるかもしれない。しかし、長期の低成長時代に入ってきたということならば、私はおのずからそれには限界が出てくるんじゃなかろうかと思う。
 だから私は、あの四十八年のオイルショックを境としたときに、すでにいわゆる歳出面の徹底した洗い直しをして、低成長型の財政に入って、しかも公共投資というもので若干の景気の歯どめをかけながらやってきたならば、今日これほどの公債依存度のような、いわゆるツケが回ってきたような、こういう財政にはなってこなかったのじゃなかろうか。
 そういう面において、政府が一時的な不況だというような認識という甘さ、これからは低成長時代に入っていくんだと、こういう時代と口では言いながらも、そういう認識をしてきたならば、そのときからすでに低成長型の財政に私は徹底したいわゆる歳出面の洗い直しをしてくれば、私は今日サラ金財政というようなこんな財政までにはこなかったんじゃなかろうかと私は思います。
 そこで、なぜ民間投資というものが伸び悩んできたか、あるいは国民の購買力も伸びなかったか、それは私は政府の経済に対する中期展望、そういうものを示さなかった、そうした面の指導的役割りを果たさなかった、その工夫がなかったということだ、私はこう思っておりますが、一体その辺はどうか。
 以上二、三の点について、いわゆる高度経済成長時代に果たしてきた財政の役割り、あるいは低成長時代の財政の体質というものはどうあるべきか、この二点を中心にお答えをしていただきたいと思います。
○政府委員(加藤隆司君) 最初の高度成長下における財政の特徴の問題でございますが、大変傾聴すべき御意見でございまして、繰り返しになりますが、大企業優先である、あるいは大プロ中心であるというような御意見もございますが、ただいま御指摘のような地域間の所得配分、あるいは後進産業部門に対する所得移転というような観点に特色があるんではないかという御指摘でございますが、このような御意見もあることは承知しておりますし、大変示唆に富む御指摘だろうと思います。
 ただ、財政はいろんな機能を営んでおりますから、どの点に重点を置いて高度成長下の財政の特徴をとらまえ出すかというような問題はあろうかと思います。ただ、御指摘のような御意見は非常に傾聴すべき御意見だと思います。
 それから、低成長下に入った場合に財政としてどうあるべきかという問題でございますが、これは御指摘の中にもございましたように、高度成長下におきましては租税の自然増収が非常に入ってまいりました。これを歳出の増と減税の増に振り分けながらやってきたわけでございますが、四十五、六年、産業構造の変化が徐々に進行しつつある過程でオイルショックが起こり、あるいはその前の円ドルの問題があったりして、いろいろな意味でショックを受けたわけでございますが、成長率が一〇%ぐらいから六、七%に低下してきているという段階で財政がどうあるべきかという問題でございますけれども、高度成長下の特色でございました自然増収がなかなか期待できないという点、したがって歳出面の洗い直しを徹底的にやらなければいけないという御指摘、これはまことにそのとおりだろうと思います。
 現に、五十年に財政制度審議会で高度成長下から低成長へ移るときの財政のあり方について議論がございましたが、御指摘のように、第一点は高度成長下において恵まれておりました自然増収がないという点、この点をよく考えて国民経済の規模と内容等、調和のとれた財政というものを今後は確保していかなければいけないという点、それから安易な財政依存を排除するというようなことが重要ではないか、あるいは行財政の効率化、能率化に努めなければいけないというようなこと、それから受益者負担の適切な引き上げとか、財政負担のあり方について検討する必要があるんではないかというような指摘を、五十年の七月に、安定成長下の財政運営に関する中間報告ということで私どもいただいておるわけでございますが、全く御指摘のような点が言われておるわけでございます。
 大変簡単でございますが、大変示唆に富む御指摘をいただいたと認識いたします。
○浅野拡君 そこで、私は金子大臣にお聞きいたしたいと思いますが、戦後三十年の財政の中で、四〇%の公債依存度ということは、昭和二十二年の、いわゆる戦後廃城の中の大変なときが四二%なんです。この二つのときが一つの、今度二回目の大きな公債依存度ということなんですが、そのときは、昭和二十五年にシャウプ勧告というもので、日本の国は上からの力で財政の立て直しというのか、税制体系をつくり直してやったと。しかし今度は国民の合意を得なきゃ、国民の合意によって、みずからの手で解決していかなきゃならぬという、そういうところに私はむずかしさがあると思います。
 大臣は、一体国民というものは、果たしていまの国の財政が本当に危機に瀕していると認識しているかどうか。私は、国民はまだ十分な認識を持ってないと思います。そういう認識のないところに合意は生まれてこないんです。だから、政府はサラ金財政と言いながらも、一体その国民の認識に対してどういう方策で、どういう対策でこの認識を与えていくのか。私はこれをやらない限りはこの危機は乗り越えていけないと思いますが、その辺のところを大臣にお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 浅野さんの御指摘、全く私もそのとおりだと思うんです。まあ情勢が、高度成長時代とすっかり変わってきたんですから、今後、安易な財政運営やるべきでございませんけれども、まあことしは、とにかく長年の不況を脱するためにある程度の赤字財政もやむを得ないということで、四割近い国債発行に踏み切ったわけでございますが、この情勢を来年も再来年も続けるようなことはとうていできません。今朝来、お話も出ておったと思うんでございますが、公債消化が相当苦しくなってまいっております。
 そういう状況であることをどういうふうに国民に認識させるのかということですが、まあ率直に言って、十分私は、予算編成の政府原案ができる当時までは、国民の皆さんもそう考えておられなかったと思うんでございまするけれども、やはり国会のいろんな論議の中で、予算委員会や大蔵委員会の論議の中で、これはやはり大変な事態になっておるということを、相当私はおわかりいただけたと思っております。
 現にまた、各方面の方といろいろ話をいたしましても、よほどこれ政府もしっかりがんばらなきゃいけませんよと。いつまでも甘い気持ちで補助金つけるだけが政治だと考えちゃいけませんよというようなことを真剣に皆さんが言ってくださるようになった。私は、やはり国会論議を通じて大きな前進があったと考える次第でございまして、根本は、やはりこういう機会をとらえて、率直にこちらの立場も申し上げ、皆さんからもそれじゃこういう点はどうだと、こういう点はこうしたらどうだというような積極的な建設的な御意見をいただくことが、一番国民の皆さんに事態をわかっていただくための最良の手段でないかと考えておるような次第でございます。
○浅野拡君 財政の歳入と歳出の見直しが必要でありますが、その前に、参考までに世界各国の租税の国民所得に課せられた比率、それから直接税と間接税の日本における比率、それから主なる国の例ですね。そこで、この間接税を少なくともどの程度の比率にすることが一番財政にとって健全であるかと、どういうふうに大蔵省は見ているか。
 それから、一般消費税の導入というものは、直接税を中心主義にしておる日本の国の税体系では、基本的な転換に入るのじゃなかろうかと私は見ております。だから、このいまの四点にわたって簡単に、ずっと年度別じゃなくていまの現行だけでいいから、現在の、ことしの比率だけでいいから御説明ひとつしておいていただきたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 租税負担率でございますが、国民所得に対する国税、地方税の負担でございます。日本はこれは五十四年度一九・六%でございますが、国際比較のために便宜五十二暦年でもって申し上げますと一九・二でございます。これに対してアメリカは二八・九、イギリスが三七・三、西ドイツが三二・三、フランスが三〇%ちょっきりでありまして、日本のいずれも倍または六割増しということでございます。
 それから直間比率についてのお尋ねでございますが、五十四年度当初予算でのいわゆる直間比率は、直接税六七・三、間接税三二・七であります。戦後、二十五年ごろには直間相半ばしておったかと思いますが、現在では三のうち二が直接税、一が間接税、大まかにそういうことが申し上げられるかと思います。
 国際的に比べてみますと、アメリカは連邦税に関しては直接税に非常に偏っておりますので九一%が直、九%が間であります。英国は直接税六〇・五、間接税三九・五、ドイツが直接税五六・四、間接税四三・六、フランスが直間の割合が四〇・一が直、五九・九が間、こうなっております。
 概して申し上げますれば、外国では、ヨーロッパ、大陸では間接税がどちらかと言えば、フランスの場合に四分六の割合で重んぜられておるということが言えるかと思いますが、この間接税の中で、いわゆる付加価値税がフランスは国税全体の半分であります。ドイツが四分の一、イギリスが八分の一というものが付加価値税の税収になっておりますというのが現状であります。
 それから第三番目のお尋ねは、直間比率をどういうふうに持っていくか、持っていくべきかということだったと思います。いずれの国の税制も非常に長い間の歴史の沿革を経て現在に至っているわけでございます。国民性と申しますか、国民経済の実情というものを反映しての税制でございますから、したがって、理論的に直間いずれの割合に税体系全体を振り分けたらいいかというようなことに対するいわゆる最適――タックスミックスというんですか、そういうことに対する一義的な答えというものはなかなか理論的にも出てまいらぬ。
 日本の場合には、先ほど申し上げておりましたように、戦後直間相半ばするところから直接税が二、間接税が一というところまで現状来ておるわけでございます。それぞれの税制にはそれぞれの長所もあり、また短所もあるわけでございますが、理論的に申せば、所得に対して累進的な負担を求めておる直接税、なかんずく所得税というものがすぐれた税制だということは申せますけれども、しかしそれのみをもって歳出をカバーするに必要な歳入を上げ得ないというのも現状であります。それでは所得税を仮に何割か、また極端な場合倍にしていくかということが可能であるかということを考えれば、やっぱりそうはまいりませんので、所得、消費、支出、そういうそれぞれの物差しをもって税負担を各階層に公平に分けていくために、どういう税体系の配分の仕方があるかということだと思います。
 昭和五十二年に税制調査会の中期答申というのが先生御案内のように出ておるわけでございます。その中でも、税体系をどういうふうに持っていくべきかということについていろいろ模索をしております。それは五十二年だけでございませんで、過去おおむね三カ年ごとに税制調査会はそういう中長期の税制のあり方というものについての勉強をいたしまして、その都度答えを出しておるわけでございますけれども、やはり一義的に、税体系の中で直接税は半分であるべしとか、三分の一であるべしということを一度も言われたことはないわけであります。現状の税制から出発して必要な歳入を上げていくためにどういう税を賦課し、また現在の国民負担なり、それから国民経済に与える税制の影響というものを考えて、どういうふうに税制を補強し改善していくか、そういう努力の積み重ねが、いまお尋ねにありました直間どういうふうに持っていったらいいかということに対する答えであろうと思います。
 大変不明断で申しわけないんですけれども、ただ最近、アメリカあたりで、私どもいろいろ話を聞いておりますと、直接税というものは非常に税収の安定性を欠く――アメリカは九割が所得税分であります。それから生産に対して阻害的な効果があると指摘できる。したがって、アメリカの場合、これは主として議会筋に多いようでありますけれども、やはり安定的な歳入を得、かつ生産に対する阻害的な効果を除くために、連邦所得税中心の税体系から、やはり消費課税というものを重視する税体系に移っていくべきだという議論がかなり強くなってきているようであります。
 で、必要な歳入を上げる手段として――再び繰り返しで恐縮でございますが、いかなる税目がよろしいか、それが安定性から見て、また、その十分の原則から見てどういうふうに考えるべきか、公平をどう考えていくか、各国とも苦心惨たんをいたしておるわけでございます。
 私どもも、一般消費税というようなことを中心に国民に新しい一般的な税負担の増加をお願いしておるわけでございますが、それにつけましても所得税その他の既存の税金、それから法人税その他の企業に関する税、それぞれについてすべて公平の確保なり執行の改善ということをやっていかなきゃならぬというふうに思っておる次第であります。
○浅野拡君 まあ歳出の洗い直しの大きなものとして、俗に言う三Kと不公平税制、行政の合理化の五つを中心に私は進めたいと思っておったんだが、時間がありませんので、要点だけにしぼってまいりたいと思います。
 第一番に、食管の赤字ですけれども、ことし消費者米価を四・二%上げて一千億ばかり何とか増収を図って赤字を少しでもなくしていく。しかし、生産調整費として二千二百億、あるいはまた良質米奨励金として千三百億、いずれにしても米に対してはかなりの金をかけてきているということは否めないことなんです。
 そこで問題は、食糧庁あるいは農林水産省がこの食管の赤字をどうなくしていくかということに対する取り組み方ですね。大蔵省が幾らどう言うたって、これはもう農林水産省あるいは食糧庁それ自体がこの食管の赤字をいかにするかということについての取り組みというものがなくちゃ私は実現していかないと思います。
 要点は、米の過剰をどうしていったらなくすることができるか、いままでの過剰在庫をどうするかとか、あるいは今後過剰を出さないための対策をどうするか、あるいは売買逆ざやをどうするか、さらに問題になるのは経費の節減をどうするか、いわゆる検査、流通の合理化を図って、――いま食糧事務所関係に二万人の方がいらっしゃいます。この二万人の方が大体十月、十一月、十二月の米の検査、麦の六月、七月ころに重点的に――後は、半年あたりはいわゆる物価の調査とかあるいはまた苦情相談とかいろいろやっていらっしゃいますが、いままで三万人おったやつを二万人まで減らしてきたといいながらも、こういうような問題について一体農林水産省はどうこれに対処していかれるのか。
 しかも、これだけ米をつくっちゃいけないんだと、なるたけなら米をつくらぬようにしてくれと、こう言いながらも、生産調整費を出してやりながらも農民は米をつくっていくと、私はここに根本的な農業政策の問題があると思います。
 同時に、いま一つ問題にしなきゃならぬことは、いわば農業生産が米だけで三兆三、四千億の生産額です。それから野菜とか畜産とか果実、こういうものに、総合計いたしますと九兆三千億ぐらいが昭和五十一年、五十二年が十兆円ばかりですが、これをつくっていくのに、裏を返してみると、農機具の生産額が大体六千億なんです。これは輸出が若干あるといいながらも六千億というものが農民の中に消化されていることは事実なんです。そうしますと、農協はこれに対して、農協自体が経営を維持するために、何とかして一個でもよけい売っていこうとしている。しかも政府は近代化資金とかあるいは補助金支出なんかに六百億、いずれにしても近代化というためにかなりの金を出しておりますが、いま七月に米価闘争に入っていきますから、これだけの赤字を持っていれば据え置きだという考え方で政府は臨まれるだろうけれども、恐らく政治的配慮で若干のことは考えていかなければならない。
 しかし、農民がいま実際の生活は楽であるかどうかと言えば、これは私は、農機具でぐんぐん食われていきますから、どうしたらこの、いわゆるわずかしか使わないような農機具、あるいはまた、もう本当に耕作面積の少ないような農家にも農機具が競争のような形で買われちゃっていると。結局これで食われていっているという形の農業のあり方なんですが、それはなるほど農民は楽いたしております。しかし、結果は農民の生活というものは楽じゃないんです。
 そうすると、少しでも米価を上げてこようと、こういう激しい米価闘争に入ってきますけれども、この農機具の効率をどうしたらよくして、農家の経済を少しでも楽にしてやるかという、私はある程度の農業政策の見直しというものを考えていかなきゃならぬと思うが、この一点について、ひとつ農林水産省のお考え方をお聞きしてまいりたいと思います。
○説明員(石川弘君) 米に関連しました財政負担の問題でございますが、御承知のように、米に関連いたします財政負担、御指摘のように三つございまして、一つは米の過剰から来ております財政負担でございます。さらには御承知のような、相当改善はいたしてまいりましたけれども、売買の逆ざやがございます。これに関連いたしまして、自主流通米等を流通いたさせます場合にも若干の奨励措置が要るということでございます。
 もう一つは、これはまあ赤字ということとは必ずしも結びつきませんけれども、米を管理いたしていきますための管理経費でございます。
 私ども、まずこの事態におきましては、過剰による財政負担というのはこれは二度と発生させないと、前回ここで特別会計法のときにも申し上げたわけでございますが、これが何よりの急務でございまして、過剰による財政負担を今後起こすことのないようにと、したがいまして、生産が需要とバランスするようにという政策を第一に考えなければならないと考えております。
 次に、御指摘の売買逆ざやでございますが、御承知のように四十八、九年あたりに生産費は上昇いたしましたけれども、物価安定のために消費者米価を上げられなかった時期にかなり大きな逆ざやが出ておりましたけれども、五十一年以降逐年改善をいたしてまいりました。現在では末端の逆ざやは一応解消いたしまして、順ざやとなっております。売買逆ざやにつきましても、五十年当時に約三十数%の逆ざや比率でございましたものを一〇%台まで落としてまいりました。
 ただこの問題につきましては、先生よく御承知のとおりに、生産者米価、消費者米価という二つの米価の決定方式の結果として生まれるものでございまして、現段階では着実に縮減はいたしてまいりましたけれども、これを現実に縮減いたします場合に、どのような手法をとるかによりましては、米の生産をあるいは刺激するとか、そういう危険性も残っておりますので、現在の物価とかあるいは米の需給動向というようなものを見ながら、両米価決定の際に慎重に取り進めてまいりたいと考えております。
 それから、御指摘の経費の問題でございますが、これはたとえば金利とか保管料といったような、米の管理のためにやむを得ないものもございます。それから先生御指摘の管理のための人件費もあるわけでございます。これは全体の管理経費の中の国内米管理勘定の中だけで申しますと、人件費分は一割を若干上回る程度でございますけれども、これとて、やはり合理化を進めるべきものと考えておりまして、御指摘のありましたように、四十三年以降の行政改革の中でも、約四分の一の人員は削減をいたしております。
 ただ御承知のように、米の物流を考えましたときに、非常に何と申しますか、単位の小さいものを動かしておるということから、たとえば検査にいたしましても、従来毎個検査というような、現実にはかなり手間暇かかることをやってきましたけれども、幸い、たとえばカントリーエレベーターとか、消費地の方にも大型精米工場というようなものができてまいりますと、この間の輸送はバラ輸送ということが可能になる。したがいましてバラ検査を導入していくとか、それから袋の検査につきましても、毎個検査から抽出検査へと誘導するというようなことで、極力要員を縮減いたしまして、管理経費が増高しないという形にぜひ持っていきたいと思っております。若干の時間は置かしていただきたいと思いますが、方向としてはそういう方向へ持っていくつもりでございます。
 それから、御指摘の農機具でございますが、米の生産費中に占めます機械の費用でございますが、昭和四十五年ごろからほぼたとえば物財費の中で申しますと、たしか物財費全体の中の四〇%台、それから総生産費に占めます比率といたしましては、たしか二〇%を若干上回るような経費でございます。急速に上昇しているという姿ではございませんで、ほぼ二〇%台あるいは四〇%台のところにあるわけでございますけれども、最近若干機械費用がふえてきているというような傾向もございます。
 それから、御指摘のように、非常に経営の規模から見ましても、そういう大型機械等がなかなか十分稼働しないようなところにも、やや何と申しますか、その地域地域では流行と申しますか、そういう導入がされているというふうな実態もございますので、われわれの生産対策の中でも、極力機械の共同利用とか、あるいは組織的な地域全体としての機械利用を考えるような形で今後誘導していくつもりでございます。
○浅野拡君 せっかくぼくは国鉄の方に入ろうと思ったんですけれども、時間がありませんので、これは次回に譲ることにいたしまして、途中の結論を結論にいたしたいと思いますが、結局、財政の危機を乗り切っていくというためには、大臣、収支の均衡というものを図らなきゃならぬと私は思います。だから本当ならば、時間があれば、あるいは農林省あるいは運輸省あるいは厚生省、それぞれ行政の合理化、そういう各省にまたがって、いかにして各省がそれに取り組んでいくかという姿勢をとらない限りは、これはどうにもならないと私は思います。だから、これも収支の均衡をいかにしてとるかということ、それに対するやはり大蔵省としての決意というものがなくちゃいけないと私は思います。
 同時に私は、最終的にはこの赤字をどう乗り切るかということになってくると、いろいろ洗い直してはいくけれども、結局ここまで来たら、いつかは増税という姿をとらざるを得ない形にはなってくるんじゃなかろうかと思う。増税という形になってくる場合、大臣、一般消費税によるのかあるいは所得税の増税になるのか、この恐らく二者択一を迫られてくるんじゃなかろうかと私は思います。
 大臣としては、たてまえとしては、どうしても一般消費税というようなことを口にしてきていらっしゃったから、恐らく私はいまここでどうこう言えないかもしれませんが、結局は二者択一に迫られてくるんじゃなかろうかと思いますが、その収支の均衡を図っていくための決意と、二者択一のどちらを選ばれるかということに対する大臣の決意というものをお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 簡潔にお答えいたします。
 収支の均衡を図らぬことには、もう財政は長持ちできないと思いますし、その結果は、また日本経済に大きな悪影響を及ぼすことになりますから、一刻も早く収支の均衡だけはとらなきゃいかぬと思っております。しかし、これは大蔵省だけで数字のつじつま合わせをやればそれで済む問題ではありません。各省庁に御協力をいただいて、政府全体として、あるいは政府も党も一体になって収支のバランスを図っていくことを考えなければいかぬ、ちょうどいまその大事な時期に来ておりますので、財政当局としては、各省庁ともいろいろすでに連絡をとりながら、来年どういう方向でこれを片づけるかを模索しておる最中であることを申し上げておきたいと思います。
 それから、国債の発行が安易にもうできない。十五兆何という大きな数字の国債発行ができないことは、だれの目から見ても明らかでございます。
 そういった場合に、増税をそれじゃ何によるかと言えば、お話しのように所得税、法人税の増税か、あるいは一般消費税的なものになるのかということですが、所得税の増税といったら、これは現在の急カーブの税率から申しますと、これ以上なかなか簡単に税負担を強いることは私は不可能だと思うのです。それはいろいろ議論がありますから、大いにこれからやっていただきたいと思うのです。
 同時に、高度成長下の経済ならばいざ知らず、こういうように中成長、安定成長に入りますと、もう所得税制による課税では、やっぱり税収の不安定という問題が出てくるわけでありますから、先ほど主税局長からお答えいたしましたとおり。そうなると、所得課税ではつかまらないけれども消費課税でつかまる担税力はあるはずであります。そこら辺をやはりヨーロッパの各国もすでに実践しておるわけですから、ここら辺で、ひとつ日本の税制についても新しい観点から見直しをやるべき時期に直面しているのではないかと私は考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 保険問題、それから国債問題と入りたいと思いますが、最初に保険問題から若干お伺いしたいと思います。
 愛知県での保険金目当ての連続殺人事件、こういうことに象徴的にあらわれておりますけれども、こういうような保険金を目的にした事件が最近多くなっている、こう聞いておりますが、実態はどうなっておるのか。特に生命保険、損保別に件数とか、会社が支払った保険金の額等について、二、三年間の分ぐらい言ってほしいと思います。
○説明員(貝塚敬次郎君) お答えいたします。
 生命保険の方でございますが、いわゆる保険金目当ての不正事件といたしましては、死亡保険金そのもの、あるいは入院給付金を目的といたしましたものが見られるわけでございますが、特に入院給付金につきましては、交通事故を利用するものがふえております。
 件数でございますが、保険金目的の殺人事件で、起訴のベースで申し上げますと、五十一年度は四件で、保険金額、これは支払ったかどうか、ちょっと時間がなくて調べられなかったわけでございますが、保険金額ベースで二億九百万円、五十二年が九件で、金額ベースで九億五千万円、五十三年が三件、五億六百万円となっております。
 それから、給付金の目的のもの、これは検挙ベースでございまして、三百六十六件で、被害総額が四億二千万円、これは五十三年度しかわかりませんが、判明しております。
 それから、損保も起訴ベースで申し上げますと五十三年度は五件で、任意の自動車保険だけでございますが、二億三千七百万円、自賠が九千七百万円、それから、ちょっと順序が逆で恐縮ですが、五十二年が任意保険が八千二百万円で二件でございまして、自賠が一件で三千八百万円、五十一年は任意の自動車保険ございませんで、自賠だけの四件で三百六万四千円と、以上のようになっております。
○鈴木一弘君 大変金額が大きいわけでありますけれども、新聞等によりますというと、交通事故を装った保険金詐取、これを見ると、五十三年度中に、いまのは起訴例できておりますが、警察で検挙したものだけで千二百件以上で、三日について大体十件の割合ぐらいではないかというような、こういうことでございます。これは前の年の二・六倍、金額で一・九倍の急増ぶりというふうに伝えられているんですけれども、これは事実かどうか、この急増の原因はどういうのが多いのか、その点ちょっと伺いたい。
○説明員(貝塚敬次郎君) 警察の発表でございますので、私どもお答えするのは差し控えたいと思いますが、警察が公式に発表しているので間違いないかと思います。
 それから急増している原因でございますが、これは一般的に言われておりますのは社会的、経済的要因ということが言われておりますか、保険業界を指導している私どもの立場といたしましては、従来ややもすると販売方法、販売体制、それから支払いの際の審査が必ずしも十分でなかったというようなことを反省しておりまして、これが急増した一因ではなかったかと思っておる次第で、大変遺憾に思っております。
○鈴木一弘君 いまの話で、いわゆる販売方法そのほかということですから、結局事件の当事者である保険会社それ自体の経営方針、それが利益第一主義に走っているということから、起こるべくして起こったという原因もあるんじゃないか。一つには歩合制、これは前からやっておりますけれども、それだけじゃないと思いますけれども、お得意さんを調べる調査の甘さがあるとか、こういったようなことで、結局起こるべくして起こったふうな感じはないんですかね。
○説明員(貝塚敬次郎君) 実は数年前から私たち量的拡大競争はやめなさいと、実は保険業界は競争がない社会というふうに一般に言われておりまして、競争原理の導入ということは強く言っているわけでございますが、競争が量的競争に走ってはいかぬことは確かでございまして、数年前と申しますのは、たとえば報告をとりますときに保険金額ベースで報告をとりますと、つい横を見て抜いたり抜かれたりということになりますので、われわれは保険金額の新契約ベースの報告はなるべくとらないようにしております。
 良質のものをとりなさいと、良質というのは具体的にはどういうことかというと、継続率といいまして、ある契約をしたのか、その後数年間、どのくらい継続しているかと、そういう質的なものに注目して、そこに重点を置いて報告をとっておりますし、その方面で指導しておりますが、まだその点の十分でないことは反省しております。
○鈴木一弘君 いまの量的拡大競争はやめろということで、新契約の報告等は余りとらないようにということを言っておられたというんですけれども、いわゆる契約ごとのノルマ制みたいなものもあるでしょう。その辺はどうですか。
○説明員(貝塚敬次郎君) ノルマという言葉でございますが、確かに給与面でそういう面が加味されることは事実でございます。
○鈴木一弘君 今回の事件、大きな事件であれだけでっかく新聞に出たわけですが、この事件の関係保険会社に対して大蔵省はどういう調査をしてどういう指導をしたか、その辺伺いたいんです。
○説明員(貝塚敬次郎君) 関係各社の責任者を呼びまして、契約の状況はどうなっているんだと、それから締結したときの経緯はどうなっているか、報告を求めました。
 それから、申し込みの受け付け時にどういう審査をしたかと、そういうものを一件一件細かく調査を行っております。
 それで、指導でございますが、いま申しましたように従来から契約締結に際しましては、不正事件を避けますために申込者の所得、月給でございますね、それから資産あるいは被保険者の年齢、それから第三者を受取人といたしますような場合がありますが、そのときにはそれとの続き柄といいますか、続柄と申しますか、それから社会的地位、そういうものを勘案いたしまして、異常に高額と思われるもの、要するに社会的常識を逸するものについてはよくよく審査するようにということに十分指導しておるわけでございますが、たまたま四月の二十日に各社の社長が集まります理事会というのがございましたので、その理事会の席でも特に発言を求めまして、社会的批判を招かないように十分に内部の審査体制を確立するようにというような指導をしておるところでございます。
○鈴木一弘君 内部審査体制の確立を図るということは、これは当然のことだと思いますけれども、だからといって余りこれ微に入り細にわたってチェックをしますと、いわゆる大多数の善意の加入者というものについては迷惑が出てくる。今回の場合の事件等を見ましても、いわゆるいま話にあった所得、資産年齢あるいは第三者受取人の場合の社会的地位の問題、それから異常な金額という、こういうような話からすると、少し注意をすれば不自然な点がはっきりわかったんじゃないかという感じがするんですね。それが一社だけじゃなくて何社もということが問題だと思うんです。
 ちょっと、各社別の加入者への融資額はどんなふうだったのか調べてございますか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 各社別の数字ちょっと持ち合わせておりませんので、後ほどお届けいたします。
○鈴木一弘君 各社別のは通告してなかったから無理かもしれませんが、こういうふうに一社だけじゃなく何社も同様だというのは、これは一つ問題だと思うんです。
 それが一つと、生命保険にしても損保にしても、同一人がその年収にかかわりなく、一つの会社だけじゃなくて五つでも六つでもの会社に加入できるという現行体制、いわゆる預金であれば名寄せを行って税の対象にされていきますような、そういうことがあるんですけれども、この場合五社でも十社でも入ろうと思えば入れるわけですね。それも事件発生の大きな原因じゃなかったのか。そういう点で保険業界それ自体の横の連絡といいますか、そういうものを連携を取り合うというシステムの確立ということがこれから必要じゃないかと、いまの二つの点ひとつ答えてください。
○説明員(貝塚敬次郎君) 御指摘のとおりでございまして、確かに情報を交換するシステムが十分でなかったことは認めざるを得ません。たまたま、いま大蔵大臣の諮問機関でございます保険審議会でモラルリスク対策ということを審議しておりまして、そこでどういうことが議論になっているかといいますと、まずアメリカなんかの例でいいますと給付の金額を制限するとか、それから待ち期間を設ける、契約してもすぐに払えないようにするとか、それから足切りの期間を設けるとか、そういうことをやっているようでございます。
 これ先生ちょっと御指摘になりましたように、余りこれをやりますと善良な契約者、せっかく入ろうと思ったのに契約が入れなくなるというようなもろ刃の剣みたいな面がありますので、これは第二のステップとして考えるべきではないか。
 それでは第一のステップとして何を考えるかといいますと、まず加入状況について情報を交換する制度を早期に導入しなければいけないんじゃないか。それから、ほかの会社に入っている加入状況について契約者に開示してもらうというようなこともやらなければいけないんじゃないかというようなことを保険審議会でも議論になっておりますし、われわれも当然のことだと思いますが、ただこれにつきましては法律上の問題もございます。
 それから、具体的にどのぐらい可能かというような実現可能性の問題もございますので、いま各論につきまして法制面、実施面について詰めている段階でございますが、方向といたしましては、ただいま先生の御指摘になったとおりでございます。
○鈴木一弘君 詐取されるというようなリスクがあるのはこれはもう当然のことですから、それを絶無にすればそれが一番いいんですが、そうはいかないと思います。そういうことも考えた上での最大限の防止策を考えると、こういうことだろうと思いますけれども、保険金目当ての犯罪事件については大蔵省に報告する義務はないんですかね。
○説明員(貝塚敬次郎君) 生損保ともに不正請求という点で報告を求めておりますが、不正の概念が大変むずかしゅうございまして、一応報告とっておりますが、それをチェックするのにどうするかというのがいま問題になっております。
○鈴木一弘君 それから、会社が契約して従業員を被保険者にする、その場合受取人が会社であると、こういうようなケースもいろいろ出てきますね。いままでもそれがあって、こういう事件出ていますけれども、その保険金額については退職金相当額を限界にするべきじゃないかと、こういう声もあるんですが、その点はどうですか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 大筋においてはそのとおりでございます。大筋においては退職金限度ということになりますが、いろいろ退職金以外にも職員の福祉その他ございますので、ケース・バイ・ケースで判断してまいりたいと思います。
○鈴木一弘君 それから第三者受け取りについては、以前は禁止をされていたと思うんですよね、そういうふうにぼくは思っていたんですけれども、最近は契約して後に第三者受け取りの変更ができるというようになってきているということなんですけれども、その経過はどうなっているのか。
 それから、当然第三者受け取りについては、住宅ローン等の特別なものを除いては再検討するときに来ているんじゃないかというふうに感じるんですけれども、この二つについて。
○説明員(貝塚敬次郎君) 第一点の経緯は不勉強でちょっとお答えできませんが、同意につきましては、たとえば掲示板に掲示をするとか、それから労働協約などはっきりしていますれば問題になりませんが、その点で本人の同意を確認しているところでございます。
 それから、そういったものか不正に悪用されることのないように、私ども対策を考えたわけでございますが、弁解がましいんでございますが、どうも一つのことをやろうと思うと、その面は解決してもほかの何かデメリットが出てくることがありますので、いま関係者ともどもその対策を練っているというような段階でございます。
○鈴木一弘君 人間の生命と引きかえの融資と、こういうのが生命保険では、これは人間の命それ自体をかけるわけですからね、保険に。こういうことが金融界、保険業界ではさほど珍しいことではないということまで言われております。つまり金融会社、保険会社等での融資の条件に生命保険に加入させる、こういう姿勢がありますけれども、こういうことが生命軽視のようなかっこうにもなり、そしてこういう事件の発生の原因になっていったんじゃないかというふうにも考えられるんですね。
 といって、先ほど申し上げた住宅ローンのような場合のこともありますから、禁止するとかなんとかということじゃなくて、そういう要因の一つとしてこれは何か考えなきゃならないんだろうと思いますが、その点いかがですか。
○説明員(貝塚敬次郎君) 住宅ローンの点では、残された遺族の生活ということがございますので、それを一概に無視することもできません。しかし御指摘でございますので、その点どういうふうにするか、実は私今日はいい知恵ございません、正直申しまして。きょうの御指摘を契機といたしまして、より一層検討したいと思います。
○鈴木一弘君 何か病気は起きているけれども医者がいないみたいな感じの答弁でまいっておりますけれども、本来保険というのは善意の人たちがいざというときの場合に備えて金を掛け、そして助け合っていくという相互扶助からできている、そういう精神が土台になっていると思います。それがこんなような目当てにした人をあやめたり、あるいは先ほどあったように入院して給付金をとるという、これも大分いろいろ悪用されているのが目立っているようですね。そういうようないわゆる詐取事件が出るというふうなことが多発することでは、保険制度そのものに対しての信頼というものもなくなってくると思うんです。また、保険制度そのもののあり方というものに問題があるんじゃないか、こういうようにマスコミの指摘もされてきている。これは大変な問題だと思います。
 それで、その信用、発展という点からも大きなマイナスでもあるということで、いまいろいろ聞いていれば、細かい点の指導や何かについては大蔵省としてもやっているのはわかるけれども、先ほど申し上げたような大きな問題になってくると、今度はどうしていいか悩んでいるという話ですが、これは大臣、ひとつこの辺で業界の健全な発展ということをさせないと善良な善意の人々が大変困るわけでございますし、そういう点で適切なる指導、対策というものがどうしても望まれてくると思うんです。その点で伺いたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) いま鈴木さんから御指摘の幾つかの点、全くごもっともだと思うのでございます。ただいま保険審議会でお話しのような点につきましても検討を加えておりますので、今後被保険者、その家族等に迷惑をかけないように、また一般世間の疑惑を招かないように、契約のやり方その他について十分慎重にやるように指導してまいりたい。その結論を待って保険会社、関係業界の指導を行いたいと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 余分なようですけれども、余り厳しくやってしまって角をためて牛を殺したようになるとかえって善意の契約者を苦しめるようなことがあってもならないという点で、その点の配意だけは十分心得ておいていただきたいと、そういうように思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(金子一平君) 善意の契約者に迷惑を及ぼすようなことはあっては当然ならないことでございます。その点は十分配慮してまいりたいと考えます。
○鈴木一弘君 次に、国債のことで伺いたいと思います。
 大蔵省は昨七日ですか、国債消化難を解消するために総合的な国債管理政策を発表した。これによって消化と、それから大蔵省報告でここに出ておりますけれども、日経ですか、国債の消化及び相場の回復ができると、こういうふうに思っていらっしゃいましょうか。
○政府委員(田中敬君) 新聞報道によりますと、総合的国債管理政策というふうに報ぜられておりますが、私どもはこれを総合的なすべてのものというふうにはまだ私ども自身思っておりません。当面の国債管理政策としてできるものからやっていく。そのできるものを拾い上げて集約したものが昨日発表いたしました七つの項目でございます。
 御承知のように、一月以降の国債の暴落に近い市況に備えまして、三月、四月条件を改定いたしました。特に四月には〇・七%という大幅な改定によりまして、市場はようやく国債の新条件を受け入れる態勢になっております。これらによりまして市場環境がやや整ってきつつあるところに、今回この政策を加えることによりまして国債市場に好影響を与える、先行きの不安感を払拭するということで、これによって国債の消化の円滑化が図られようと思います。
 特に、市場で十年債の負担というものが相当大きく言われておりますが、これにつきましては公募枠の拡大でございますとか、あるいは十年債の期間短縮ということを今後シ団と協議をして、できればそういう方向でやっていくという姿勢を示したために、引き受シ団としてもこれを好感いたしてくれておりますので、これによって今後国債が円滑な消化をできるよう期待いたしております。
 しかしながら、国債の消化、流通面につきましてこれを特別にうまくするという奇手、奇策、妙手というものがあるわけでございませんので、今回の七項目でできるものから着実に実施いたしますとともに、そのほかよく言われております評価損対策でございますとか、オペレーションツイストでございますとか、これらにつきましては成案を得次第、順次これを実施してまいりたい。それらとあわせて年度間の国債の消化の円滑化を期したいと考えております。
○鈴木一弘君 とにかく流通市場で大変人気のよくない六・一%の国債、これが新聞の報道等によれば二兆円も潜在的な売りがあると言われている。こういうときに、この発表された七項目の管理政策といいますか、これで果たして相場の安定ができるんだろうかというふうに思われるのですけれども、その点はとにかくやれるものからやってみようということだけは伺ったんですが、安定は困難なのが本当にできていくのか、その辺の見通しはどうなんですか。
○政府委員(田中敬君) 六・一%国債につきましては、本年三月、それまでに上場いたしておりました六・一%国債の銀行保有分につきましては、銀行の統一経理基準に従いまして評価損を立て、これを償却いたしております。いま大量の六・一%国債の売りが出るんではないか、売り圧力がかかるんではないかというお話でございますが、なぜ売り圧力がかかるかと申しますと、本年九月の決算で再び新たに上場されたものの評価がえをするとこれで評価損が多量に出る、これが銀行の決算対策上相当の重圧になる。そのためには評価損を生じないように、少々の売却損が出ても六・一%国債の保有負担を軽減しようという動きがあるからだというふうに一般的に報ぜられております。そういう向きもあろうかと思います。
 六・一%国債につきましては、新発の国債が七・二%という新たな条件が設定され、金融の先行き、金利の先行きにつきましても不透明感がなくなった。そういう意味では新発債の消化環境というものは非常に好転したと思いますが、六・一%国債を中心とする既発債の市況というものは依然低迷を脱しておりません。しかしながら、六・一%国債の低迷と申しますのも、新たに七・二%という長期物の金利が設定された以上はこれは額面価格を割る、発行価格を割るのは当然でございまして、これが暴落さえしなければ、乱高下さえしなければ既発債市場はおのずと安定に向くものと考えております。そういう意味におきまして、昨日発表いたしました対策の中でも「国債整理基金等」と申しておりますが、資金運用部資金、国債整理基金によりまして、一方では国債整理基金、資金運用部資金の有利運用ということを考えながら、乱高下を防ぐ意味で六・一%国債を一部市場から買い上げる措置あるいはまた日本銀行と提携いたしまして中央銀行が行います年間一兆数千億に及ぶと考えられます買いオペにつきましても、これら六・一%国債を中心として市中から買い上げ、その保有圧力を軽減するというような措置により漸次六・一%国債の市況も安定するであろう、あるいは安定してほしいという期待を持っておるわけでございます。
○鈴木一弘君 国債の管理政策の中でシンジケート団が引き受ける予定の十年物建設国債を一兆円減額し、資金運用部がその分を中期国債にかえて引き受けるということで、資金運用部引き受けか当初の予定より一兆円ふえるということになりますか。そうなると財投への影響などはどうなるのかということです。
○政府委員(田中敬君) 財政投融資計画と申しますか、鈴木委員御指摘の問題を二つに分析さしていただきたいと存じます。
 まず、一般的な財政投融資計画というものは、いわゆる長期運用法、すなわち、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律と、いわゆる長期運用法とわれわれは呼んでおりますが、長期運用法に基づきまして五年を超える資金運用部資金等の運用については国会の御承認を得るということになっております。
 一方、そういうことでございますので、本年当初予定をいたしました十年国債の引き受けと申しますのは五年を超える運用でございますので、国会で予算総則でその旨お願いを申し上げまして御承認をいただいております。
 で、今回運用部が引き受けるということにつきましては、対策にも明記してございますように、「中期国債で引受ける。」ことにいたしております。これは二年で引き受ける、三年、四年いずれの債券で引き受けるかはいまだ確定いたしておりませんが、いずれにいたしましても五年未満の年限で引き受けるということでございますので、五年未満の運用につきましては、先ほどの法律で国会承認事項から外されております。ただし、法律で設定されております資金運用部審議会の議を経ることが必要となっておりますので、私どもといたしましては、具体化した段階におきまして資金運用部審議会の議を経てこれを実行させていただきたいと存じます。
 それから、財投への影響という第二点は、恐らく原資はどうなっておるのかというお話と存じますけれども、原資につきましては、先般来本院で御説明申し上げましておりますとおりに、運用部に預託される金とその金が実際に貸付機関に貸し付けられるいわゆる運用のずれ、あるいは恒常的な繰り越しというようなことで底だまり的な手元流動性がございます。先般この手元流動性が一兆ないし一兆五千億あると御説明申し上げましたが、大体その程度あろうと思います。それから本年度におきましては、五十三年度中に予定いたしました財投計画の中で予想よりも若干不用額が多かったとか、あるいは預託金の増加があったというようなことで、それらによる資金も動員をいたしますれば、一兆ないし一兆五千億の運用は可能であろうと思います。
 しかしながら、この一兆ないし一兆五千億の手元流動性と申しましても、財投のニーズが出てまいります場合はこれを財投資金として活用する必要がございますので、そういう意味で流動性を確保するという意味におきましても、先ほど申し上げましたように運用部で引き受ける国債というものはなるべく短い債券で引き受けたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 へそくりを全部使っちゃおうという感じに聞こえるんですけれども、そういうことになりますと、たとえば中期国債で短期に運用しようという、そういうふうな場合であっても、国債の発行及び消化の計画、資金運用部の資金運用計画、原資計画、こういうのが国会の論議の際に大蔵省が示してくれた資料とは変わってくるわけですね、一兆円の場合に。その辺はどう思っておりますか。
○政府委員(田中敬君) 国会に御提出をいたしておりますいわゆる財投計画と申しますか、資金計画では、各財投機関に対する貸し付けと一兆五千億の国債の運用ということで、
  〔委員長退席、理事藤田正明君着席〕
いわゆる五年以上の運用について御提出を申し上げ、御決議をいただいておりますので、この五年未満につきましてはその点についての訂正は必要はないかと存じます。
 それから、財投計画に財投三表と申しまして予算の参考資料といたしまして財投計画に見合う原資、資金を御提出申し上げてございます。これも財投計画に見合う資金ということでございまして、年々それ以外に回収金がふえるとかいうようなものがございますので、この辺につきましても従前御提出を申し上げたことはございませんけれども、いずれにいたしましても決算報告という形で最終の御報告は申し上げているわけでございます。
 問題は、国会に御提出を申し上げております国債の償遷計画表との関連でございます。これにつきましては、昨年、三年の中期債を創設さしていただきました際に御了承いただきましたと同様な形で、本年度も新たに中期債を予定よりも超過してお引き受けする、あるいは十年債が予定よりも減少するという現実が起きました際に、その都度国会に償還計画表の改定をしたものを御提出申し、上げる、こういうことにいたしたいと存じております。
○鈴木一弘君 時間が来ましたのでい国債整理基金を運用してという問題等についてはこの次にしておきたいと思います。
 きょうはこれで終わらしてもらいます。
○多田省吾君 私は、最初に緊急輸入の問題でお尋ねしたいと思います。
 今回の日米首脳会談や共同声明で明らかになりましたことは、日米間の最大の問題はもちろん経済問題であるということでございます。しかも大統領選挙に絡んで、あるいは国会議員の地元対策に絡んで対日強硬策をとった方が国民にアピールするんじゃないかということで、相当強い態度で各方面から望まれているようでございます。また、ECとの関係においても同じような姿があるわけです。特に経常収支の黒字幅の削減がわが国にとってきわめて重要問題であると思います。近くサミットも控えておりますし、私はこの経常収支の黒字幅の削減という問題で、昭和五十三年度のいわゆる緊急輸入というものを鳴り物入りで行ったわけでございますけれども、その目標と実績はどうなっているか、まず経企庁にお尋ねしておきたいと思います。
○説明員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。
 五十三年度の緊急輸入でございますけれども、私どもは当初四十億ドル程度のものを見込みとして計上してございました。実績で申しますと、これが約三十二億ドルということでございます。この三十二億トルのうち主要な――この政策を進めるに当たりましての主要な手段であります輸出入銀行の外貨貸し制度によるものが二十六億ドル、それから石油公団のタンカー備蓄が四億ドル、そのほか五十三年度の補正予算によりますものが約一億ドル、都合三十二億ドルでございます。
○多田省吾君 輸出入銀行関係の、航空機等のリースなんかも入っていると思いますが、そういった項目別のものは大体どうなっていますか。
○説明員(赤羽隆夫君) まず一番金額の多いものがウランの濃縮役務及びウラン鉱石関係でございまして、これが約十一億ドル、それから二番目、これはタンカー備蓄でございまして、これは外貨貸しの対象外でございますが、これが約四億ドル、それから鉄鉱石のペレット、これが一億四千万ドル、それからニッケル、クローム約四千万ドル、それから航空機リース、これが二番目に金額の大きいものでございますが、七億四千万ドル、その次、仕組船六億ドル弱、それにこれも鉄鉱石の関係、焼結鉱か三千万ドル弱、それからその他三千万ドル弱でございます。
○多田省吾君 そうしますと、五十三年度の目標の四十億ドルに対しまして約三十二億ドルの達成ということで、目標の約八〇%ということになります。結局これが一〇〇%達成できなかったという結果が、日本に対する不信感の増大というものをもたらしているわけでございます。
 ですから私は、やはりこういった経済的な国際緊張のもとにありましては、一たん立てた目標というものは場当たり主義ではなくて、もう完全に達成するという姿勢によってやはり努力すべきである、このように思います。そうしないと、今後もやはり無用の誤解を諸外国に与えかねません。今後このような失敗を繰り返さないためにも、この五十三年度の失敗の、また達成できなかった原因というものを私は明らかにする必要があると思いますけれども、経企庁といたしましては四十億ドルを達成できなかった原因、なお八億ドル不足していた原因というものをどのように考えておりますか。
○説明員(赤羽隆夫君) まず、お答えを申し上げます前に、ちょっと私どもの方から、これは誤解ということではございませんけれども、正確を期する意味でコメントをさせていただきたいと思いますが、先生はただいま緊急輸入の目標という言葉をお使いになりましたけれども、私どもは、緊急輸入というものは決して政策の目標ではない、こういうふうに理解してございます。政策の目標は経常黒字を圧縮する、そのための手段の一つとして緊急輸入というものを考えたということでございます。
 ところで、経常黒字の圧縮の目標でございますが、当初におきましてはこれは六十億ドルにしたい、こういう目標でございました。ところが昨年の春以降になりますと、とうていこのままいったんでは、六十億ドルはおろか、百五、六十億ドルになってしまう、こういうふうな情勢になりまして、改めて緊急輸入という手段を強化をいたしまして、その結果で百三十億ドル程度の経常収支の黒字に持っていきたい、こういうふうにしたわけでございます。これが目標でございまして、緊急輸入というものはそのための手段でございまして、その当時の情勢としては、百三十億ドルという目標を達成するためには四十億ドル程度の緊急輸入を計上予定しなければいけない、こういうふうに考えたわけでございます。
 ところが、実績につきましては、すでに発表されておりますように、経常の黒字というのは百二十億ドル、したがいまして、四十億ドルという計上予定に対しまして三十二億ドル、約八割の達成でございましたけれども、それにもかかわりませず、政策が本来目的といたしました経常黒字の方は、十億ドル以上の超過達成、こういうふうになっておるわけでございます。
 で、この緊急輸入を始めましたのは、ただいま御説明したような事情からでございますけれども、もう一つその際に考慮いたしましたのは、円がどんどん高くなっていく、この円高対策ということも頭にあったわけでございます。
 ところが、すでに御案内のように、昨年の十一月以降、円は基本的に円安の方向に動いてまいっております。むしろ円安に歯どめをかけるために日本銀行が介入をする、こういうふうに情勢が全く逆の情勢ということになってまいりました。こうした情勢変更に対しまして、これまでのような方法での緊急輸入のやり方というものは必要がないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○多田省吾君 まあ手段であって、緊急輸入というものは目標ではなかったと、こうおっしゃいますけれども、やはり諸外国では、手段といえども、日本国政府が一応目標としたところの四十億ドルという線はどの国も見ているわけでございまして、まして経常の黒字を最初六十億ドルにしたい、それがいまのままでいったら百五十億ドル、どうしてもこれは百三十億ドルにしなければならないということでまた努力されたということでございますけれども、最初の目標のやはり六十億ドル経常黒字ということから見れば、達成した百二十億ドルといえども、やはり六十億ドルの超過ということでございまして、説明はそのときそのときにおいてわれわれに対してはいろいろ弁解はなさるかもしれませんけれども、やはりアメリカとかEC諸国に対する説得力というものは、それによって私は出てこないんじゃないか、このように思うわけでございます。
 また、情勢が円安の結果変わってきたということでございますけれども、それでは昭和五十四年度の緊急輸入目標――これも目標でないかもしれませんが、この二十億ドルという達成したい見通しですね、こういったものは変わるんですか、どうなんですか。
○説明員(赤羽隆夫君) 五十四年度につきましても、これは五十四年度の経済見通しを実際に作業いたしました時点でございます昨年の十一月現在で申しますと、まだ円高は相当に続くであろう、それから石油の価格の上昇はほぼ一〇%ぐらいでとどまるであろう、こういうふうな見通しのもとに、それを前提にして五十四年度の経常の黒字というものを素直に見通すと、やはり百億ドル近いものになってしまう。そこで、これではやはり大きいということで、緊急輸入をほぼ二十億ドルぐらい努力をして計上を見込みたい、こういうことでございました。
 ところがそれ以後、繰り返しになりますけれども、最近、円の傾向が変わってきたということもございますし、石油価格も予想を上回る大幅な上昇になってきた、こういうことがございます。そういうふうな実態を踏まえまして、現在依然としてこの制度か九月末まで――外貨貸し制度でありますけれども、続けられておりますが、この外貨貸しの条件に合うというふうにお考えになり、民間から申請がありましたものについては継続をする、こういう態度を続けるわけでありますが、特にこの際改めて努力を倍化する、こういうふうなことは必要がないのではないか、このように経済企画庁では考えておる次第でございます。
○多田省吾君 そうしますと、五十四年度の緊急輸入目標二十億ドルはそのまま一応据え置いておくけれども、やはり円安のような姿がある、あるいは石油価格も予想以上に上回った価格になりそうだということで、格別努力はしないということであって、決してこれを十五億ドルとか十億ドルに減少させると、こういうことではないということでございますか。
○説明員(赤羽隆夫君) そのとおりでございます。
 で、先ほど先生が御指摘になりましたアメリカであるとかヨーロッパであるとか、こういうものから不信感を招くのではないかと、こういう点でございますけれども、実はアメリカにいたしましても、またEC諸国にいたしましても、この緊急輸入によりまして経常黒字が減った分については、これは決して基本的な改善ではない――ファンダメンタルズという言葉を使っておりますけれども、基本的な改善とは認めがたい、こういうふうに言っておるわけでございます。そういったような向こうの評価というものもあわせ考えますと、四十億ドルの予定が三十二億ドルになり、あるいは二十億ドルという今年度の目標が、実際上はそれを下回る数字になったからと申しましても、わが国の輸入努力というものについて深刻な疑惑を向こうから表明される、こういうふうな事態にはならないものと私どもは考えておる次第でございます。
○多田省吾君 まあ日米首脳会議によって、あるいは共同声明の結果、アメリカの要望というものは大体電電公社関係の政府調達関係でございますか、そういうことがわかってきたわけでございますが、ECにおきましても河本政調会長等が会談しておりまして、やはりECからの要求というものもあったわけでございます。それをひっくるめて、それじゃアメリカ、ECは日本に対するいわゆる基本的な輸入改善というものをどのように日本に対して要請しているのか、その辺まとめて
 アメリカ、ECあるいは諸外国というふうにまとめてひとつ経企庁から御報告していただきたい。
○説明員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。
 輸入をふやしてほしい、これが一音で申しまして、アメリカ、ECその他の諸国のわが国に対する要望でございます。そうした場合の輸入というものは国内の成長率を高める、景気をよくすることによって、国内の購買力をふやすことによって外国の品物を買ってもらう、われわれの品物を買ってほしい、こういうのが向こうの要求でございます。
 先ほどはそういう言葉を御紹介いたしませんでしたけれども、実はアメリカなどはこと緊急輸入政策に対しましてかなりひどい言い方で表現をしております。それはウインドードレッシングではないか、粉飾ではないかと、こういうふうな気持ちが根底にありまして、やはり基本的な改善というものは日本の国民の購買力をふやすような景気回復を通じて輸入をふやしてほしい、そのような方法以外のことは、たとえ短期的には若干助けになるようなことがありましても、そういう人為的な手段によりましてふくれたものは必ず後になって引っ込むと、こういうふうな性質があるわけでありますから、やはり内需の拡大によって輸入をふやしてほしい、これが共通したわが国に対する考え方ではないか、要望ではないかと考えます。
  〔理事藤田正明君退席、理事梶木又三君着席〕
○多田省吾君 大蔵省の見解をお伺いしたいんですが、まあ経企庁は緊急輸入に対していまのような答弁をなさっておりますけれども、本年度の緊急輸入目標二十億ドルのうち航空機リースというものもかなり大きなシェアを占めていたと思いますけれども、この外貨貸し制度を中止した結果、航空機リースができなくなったということで、緊急輸入の努力というものが必要なくなったのか、最初の考え方と違ってきたのか、この辺大蔵省はどう考えておりますか。
○政府委員(宮崎知雄君) 緊急輸入制度は、御承知のように日本の黒字が非常に大きい、それを縮小するための緊急にとられた措置でございます。日本の経常収支の黒字を縮減するためには内需の拡大、それからまた市場の開放の措置が必要でございましたし、また、円高を甘受するということでその効果が出てくるのを待つ。これらの措置は、いずれにいたしましても、それが具体的に国際収支の面にあらわれてくるまでには相当時間がかかるわけでございます。その時間がかかる間にまた円が一段と高くなるということになりまして、いろいろな悪循環が出てくる、そういう現象を防ぐために、いわばそういうファンダメンタルな措置の効果が出てくるまでの一種のつなぎの措置として緊急輸入、外貨貸し制度を導入したわけでございます。
 御承知のように、最近の国際収支の状況をごらんいただきますと、昨年の当時と比べますとさま変わりの状態になっております。昨年の三月には、経常収支の黒字が季節調整済みで約十七億ドルという数字だったわけでございますが、それがことしの三月には、この緊急輸入を除きましても季節調整済みで三億ドル、三億七千万ドルというような大変な縮小をしてきているというような状況であるわけでございます。
 それからまた、一方、円相場の動きにつきましても、これは一月以降円安の状況にずっとなってきております。このように、国際収支の状況も変わってきておりますし、また円相場の動きも従来と全く反対の動きになっております。
 こういうふうな情勢になりますと、当然外貨貸しの制度というものは、この際見直しをすべきではないかということが私どもの基本的な考え方でございます。したがいまして、本年度からにつきましては、外貨貸しの適用につきましては、従来からの継続案件であって、しかもそれが本当に日本の経済の健全な発展に役立つもの、そういうものに限って運用していくという慎重な態度で私ども運用をしてきているわけでございます。
 それから、御指摘の航空機リースにつきましては、これは確かに過去におきましては相当の実績がございました。しかし、ただいまのような方針をとりますと、この航空機リースというものも必ずしもその方針に合致いたしませんし、それからまた、このほかにIMFの統計が改正になりまして、この航空機リースというものは輸入に計上しないというような勧告も出ている、そういうふうな経緯を踏まえまして、私ども航空機リースにつきましては、前年度限りでこれを打ち切るという方針を決めたわけでございます。
 ただしかしながら、航空機リースのうちでも、商談が継続しているものにつきましては、これを急に打ち切るということになりますと、いろいろ国際的にも問題が起きるという心配もございましたので、ある程度の経過期間を置きまして、五月十五日までにそのデリバリーが終わるというようなもので、真にやむを得ないものにつきましては、これは関係各省と相談いたしましてこれは対象に入れるということにいたした次第でございます。
○多田省吾君 じゃあこの問題の最後としまして、通産省側はこの航空機リースの打ち切り問題についてはどういうお考えでいるわけですか。
○説明員(黒田真君) お答えいたします。
 緊急輸入制度につきましては、先般来企画庁あるいは大蔵省の方から御説明がございましたように、昨年の大変な円高の状況に対処する一つの緊急つなぎの措置として実施されてきたと思っております。
 私ども通産省といたしましては、その実施部門を請け負ってきたわけでございまして、関係者大変努力もいたしまして、時間をずいぶんかけたり、問題点をそれぞれ解明しつつ今日に至っておるわけでございますが、先ほど来御指摘がございますように、最近大変環境が変わってきておるという意味から、それなりに当時ございました緊急輸入の緊急性というものも相対的に当時ほど強くはないというようなことがございます。そういう状況下で、航空機リースに関しましてはいろいろな問題点がございまして指摘されてきておったわけでございますので、この際はそういう全体の環境の中で、これを五十三年度限りにするというようなコンセンスに私どもも従うというふうに決定をしたわけでございます。
○多田省吾君 次に大蔵大臣にお伺いしますが、サミットを前にいたしまして、アメリカあるいはECの対日経済的な不信というものが非常に厳しいものがあるわけでございます。こういう経済摩擦を解消するためには、共同声明にも一部うたわれておりますが、わが国の内需の拡大あるいは輸入の拡大というものが当然望まれるわけでございますけれども、今後のわが国の対外姿勢を具体的にどのようにすべきだと大臣は考えておりますか。
○国務大臣(金子一平君) 一番問題は、百二十億とか百四十億という、その経常収支の黒字が多過ぎるというので、もう少し各国との調整のとれた限度まで輸入をふやせという要請がいま強く表面に出ておる次第でございます。しかし正直言って、日本の経済構造から申しますと、いろいろ努力しましても、やっぱり私はある程度の黒字が出て、それで必要な油その他の原材料、資材を買う。残った黒字を結局海外援助とか、あるいは海外直接投資に充てて、基礎収支で赤字なりとんとんのバランスをとっていくというのが日本の国際収支の姿ではないかと思うんでございます。しかし、それにしても少し黒字が、貿易収支の黒字が多過ぎるという点につきましては、これは各国もやかましく言っておりますので、それなりの私どもは努力をしなければいけないと考えております。しかし、これは短期的に問題を片づけようと思ってもそう簡単にはまいりませんから、ある程度の年月をかけて漸次やはりそういう方向に誘導するということが大事なことであろうと思います。
○多田省吾君 日本の経済成長を内需拡大型に移行するということは、政府も、また大臣もおっしゃっていることでございますけれども、六月中旬に最終答申が出るはずの新経済社会七カ年計画によりますと、相変わらず社会資本充実のための財源というものを、一般消費税の五十五年度中の導入というものを前提にしているようであります。われわれからすれば、これははなはだ財源問題についても深刻な反省が足らない。また、徹底した行政改革や歳出の見直しなどもやらなければならないのに、まだまだわれわれから見れば不十分である。現状のままで一般消費税の五十五年度中の導入ということになりますと、自民党の内部にすら、選挙を前にしてだと思いますけれども、非常に反対論が強くなっておるわけでございます。このように一般消費税の導入を前提とした経済計画というものは、果たして六月中旬に発表されるのかどうか。また私は、当然この一般消費税というものも抜本的に見直しすべきではないかと思いますけれども、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 来年度の予算編成あるいは来年度以降の予算編成に当たりまして、先ほども申し上げたことでございますが、安易な国債発行に頼るわけにもまいりませんから、漸次国債を減らして税収をふやすという方向に持っていかざるを得ないことは、これはもう必然であろうと思うんであります。
 ただその前提として、歳出の見直し、行政機構の再検討といった問題を避けて通るわけにまいりません。私どもはこの点にひとつ極力焦点を当てて、これからの財政再建に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
 ただ、一般消費税導入を仮にいたしましても、私どもの見方によれば、それがすぐ国内消費の大きなマイナス要因として働くかというと、私どもは、それはすぐ歳出に充てられるわけでございますので、ちょうど所得税や法人税の収入があって、それがまた社会保障や教育やあるいは公共事業に投ぜられると同じようなかっこうになるから、そうデフレ的な要因として働くとは考えていないわけです。ただもちろん、仮に税率五%にすれば二・五%ぐらいの物価の上昇は、一遍こっきりでございますが、これは避けられない問題だと考えておる次第でございます。
 そこで、これは私の方の考え方を申し上げた次第でございまして、あと新経済六カ年計画か七カ年計画にどういうふうに取り上げられるかにつきましては、企画庁の方から答弁をしていただきます。
○説明員(高橋毅夫君) お答え申し上げます。
 先ほど先生が六月中旬に決定されるという御発言があったわけでございますけれども、この点につきまして正確にまず最初にお断り申し上げたいと思います。
 一月の二十五日に閣議了解になりました今回の七カ年計画の基本構想につきましては、その後各方面からの御意見や御要望が出ております。それらを参考にしながら検討を進めているわけでございますが、さらにまた最近の経済情勢、なかんずくエネルギー事情等の変化もございますので、それらも勘案しながら本計画の内容を現在詰めているというところでございます。
 先ほど先生がおっしゃいました決定の時期でございますけれども、いまのところ、六月ごろを目安として作業を進めておりますけれども、それをいつ決定するかという時期の点につきましては、そのときの作業の大体の終了状況を踏まえて、その時点で最終的に決定をいたしたい、かように考えておりますので、現在から、もう確実にその時点というふうに決めているわけではございません。
 それから、先ほど大蔵大臣から御答弁があったわけでございますが、新計画の基本構想の中で消費税等の関連のお話があったわけでございますけれども、この基本構想では一応全体の政策運営の計画期間内におけるスタンスといたしましては、当面需給のアンバランスとか、あるいは中高年層を中心にいたしました雇用の問題でございますとか、あるいは先ほど御指摘のございました国際収支のバランスの問題、さらには財政の問題等々、経済の各部門におきましていろいろな不均衡が出ておりますけれども、このどれかをバランスさしてどれかは残しておくということでは経済を安定成長軌道に乗せるわけにまいりませんので、それらの各般の不均衡の是正を図りながら、自律的に日本経済を安定成長の軌道に乗せる、これを基本的な方向にいたしているわけでございます。現在、基本構想におきましては一応六%弱という七カ年平均の成長率を予定しているわけでございますけれども、そういう方向に沿って、各般のいろいろな対策あるいは需要の動向等を総合的に考えて、この目標を実現するというのが基本構想の基本的な考え方でございます。
 この中で消費税の問題につきましては、昨年の暮れに政府税制調査会から御答申があり、また閣議で決定されました方針を基本構想の本文に例記いるわけでございますけれども、計算上はまだその仕組みがどういうふうになるか、あるいはこれまで経験のないことでもございますので、間接税と直接税の関係ということで作業計算をいたしているわけでございます。
○多田省吾君 じゃ、高橋審議官にもう一点お尋ねしておきたいと思いますが、この新経済社会七カ年計画は六月を目安として作業を進めておられるというお答えでございましたけれども、サミット前に閣議決定するのか、あるいはサミットの後でその討議結果を反映させてつくるのかというような点もやはり注目されているわけでございます。われわれとしては、早くこの計画は発表していただきたいとは思いますが、最後に一点お伺いしておきたいのは、その計画の中に経常収支の黒字の縮小をどのようにするか、またこの計画にどう盛り込むお考えであるか、その辺はどうなってますか。
○説明員(高橋毅夫君) お答えいたします。
 先生御指摘になりました経常収支の黒字縮小の問題でございますけれども、基本構想におきましても、計画期間の前半において対外均衡の改善ということを重点項目の一つに取り上げております。具体的には内需の拡大、輸入政策の活用といったような諸政策によりまして、計画期間のできるだけ早期に経常収支の黒字を縮小することに努力いたしますと同時に、中期的にも経常収支の水準が国際的に調和のとれたものになるというように引き続き努力をするということを明記しているわけでございます。この点につきましては、先般行われました日米首脳会談における日米共同コミュニケの考え方との食い違いは全くないというふうに理解をいたしております。
○多田省吾君 次に一点お伺いしたいのは、中国がアジア開銀に加盟するための非公式な打診を始めているということをお聞きしましたけれども、わが国としてはこの中国の加盟問題についてどういう考えで臨まれているのか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) アジア開銀の総会の席上では、一部の国から、これは去年もそうでありましたそうでありますが、加盟を認めるべしという提案かなされておりましたけれども、総会、理事会等でこれは取り上げられるに至りませんでした。また、伝え聞くところによると、中国はまだこの問題についての意思表示は全然してないと私どもは伺っております。意思表示を待ってこれに対処してまいりたいと考える次第でございます。
○多田省吾君 最後に大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、例の会計検査院法の改正の問題でございますが、もうすでに第三次案もまとまっているところでございますけれども、新聞報道によりますと、今回の会計検査院法の改正につきましては、大蔵省の反対があるために閣議決定がおくれているという報道もなされているわけでございます。確かに大蔵大臣も三月七日の衆議院の予算委員会で、政策金融離れの問題があるというような答弁をなさって消極的なような御答弁をなさっているわけでございます。
 しかしながら、これはロッキード事件あるいはソウルの地下鉄問題等の反省から生じた問題でございまして、会計検査院のやはり権限を強化せよということは国民も強く望み、衆参両院の本会議でもこの権限強化を決議しているということでございまして、また最近のダグラス、グラマン、ボーイング等の問題もございますし、あくまでも今回の改正は国民の税金で行われる政府出資法人の貸付業務の適用をチェックするのが主眼でございますので、私は大蔵大臣もこの趣旨をよくお考えになりまして一日も早く実現するよう努力すべきだと思いますけれども、大蔵大臣の御見解をお伺いいたしまして終わりといたします。
○国務大臣(金子一平君) 大変むずかしい問題でございまして、補助金等の支出の場合には補助金を受け取ったところを当然会計検査院が調査する権限を持ってしかるべきだと思うんですが、融資先まで一々検査するという例は、実は世界各国どこにもないんでございます。ただ、問題のある必要な場合におきましては、関係省庁はもちろんでございますが、銀行も会計検査院の調査に協力するにやぶさかでない、その道は従来から開いておるわけでございますんで、一般的な権限として、政府資金ではございますけれども、融資先まで一々調査をするような権限を与えるかどうか、やはり立法政策上いろいろ議論があるというふうに私どもは考えておる次第でございまして、まだ結論に達するに至っておりません。
○佐藤昭夫君 きょうは、サラ金規制立法の問題と日米共同声明に基づく今後の財政政策について御質問いたしたいと思いますが、まず昨年の臨時国会の段階でも、当時の福田総理、村山大蔵大臣は政府を代表して、いわゆる悪徳サラ金業を規制する立法を次期国会に提出をいたしますというふうにはっきり言明をされてきたにもかかわらず、いまだに今国会に提案の手続がなされていないのはまことに奇怪と言うか、遺憾に思うわけでありますが、その後も、御存じのようにサラ金の悲劇は依然として後を絶っていませんし、業者数も増大の一途をたどっている。
 去る五月の一日発表された全国長者番付にはサラ金業者が初登場し、例の山一グループ、サラ金三兄弟が全国二十位台にずらりと並ぶと、こういう実情となっていると思います。
 そこで、まず大臣にお尋ねしますが、今国会も会期末を控えておりますが、この懸案のサラ金規制立法について、政府としてはどうするつもりなのか、もう政府提案は断念をしたのか、その点についてまず明確にお答えを願いたいと思います。
○政府委員(徳田博美君) サラ金問題は先生御指摘のとおり大変な社会問題になっているわけでございまして、今国会におきましてサラ金を含めまして、貸金業問題に関しまして立法措置を講じて規制を強化する必要性につきましては、関係六省庁において意見の一致を見ているわけでございます。現在、関係六省庁を含めまして各方面の間で鋭意その案を詰めている段階でございます。また各政党の間でもいろいろ御意見があるわけでございますので、そのような御意見も拝聴しながら案を固めている段階でございまして、政府といたしましても各党と御相談いたしまして、早急に成案を得まして何らかの形で今国会で御審議をいただく運びにいたしたいと、このように考えております。
○佐藤昭夫君 そうしますと、いまの御答弁で一つお尋ねをしたいのは、政府として今国会に提案をするということもあり得るというのが、きょうの当委員会における公式の答弁だということで理解をしておいていいのかという問題と、それから六省庁の間で意見を詰めておるというふうにおっしゃっていますが、そういう言い方をされて以来すでに半年たっていると思うんです。もうきょうは五月も十日近くなっていますからね。
 にもかかわらず、実際にこの意見の統一が依然として進んでいない模様であるわけですけれども、一体どの点が政府における意見統一の難点になっているのか、問題点になっているのか、そうした点についてはどうですか。
○政府委員(徳田博美君) サラ金の規制の問題点については三つほどあるわけでございまして、第一は、先生御承知のとおり現在は届け出制でございまして、事実上野放しになっているわけでございますので、これに対しまして登録制を採用いたしまして、一定の欠格要件のあるものはこれを認めないと、あるいは悪質な業者については登録を取り消すというような、いわばいままでの自由業に比べれば百八十度の転換をするという問題が一つあるわけでございます。
 それから第二番目は行為規制でございまして、御承知のとおり、いまサラ金業の社会的な問題の原因となっておりますのは、非常に苛酷な取り立てを行うことであるとか、あるいは非常に高利をむさぼっているとか、そのような問題もございますし、あるいは正確に金利を表示しないとか、領収書を提示しないとか、そのような問題があるわけでございます。このような行為、不当な行為に対してこれを厳しく規制するという問題が二番目にあるわけでございます。
 三番目は、現在高金利の規制をどのようにするかという問題でございまして、日歩三十銭まで現在は一応認められている形になっているわけでございますが、これを大幅に下げる必要があるんではないかという問題でございます。
 このうちの第一番目の登録制の問題と、第二番目の行為規制の問題については、ほぼ各省間の合意が行われているわけでございますが、第三番目の高金利の規制の問題、それから特にこれと利息制限法との関連の問題につきまして、まだ若干詰めの問題が残っているわけでございます。
 なお、法案の提出方式につきましては、先ほども申し上げましたとおり、いろいろ各政党の御意見との調整もいま行われている最中でございまして、どのような形になるかということにつきましては、まだいまの段階では申し上げかねるわけでございます。
○佐藤昭夫君 大臣にお尋ねしますけれども、政府といいますか閣議といいますか、そこの確認としては、今国会に政府として責任を持った提案ができるようにと、こういう方向で今日までもいろいろ検討作業をやってきたし、いまその詰めをやっているということなのですか。
○国務大臣(金子一平君) 銀行局長が申し上げておりますように、一方において政府におきましては、関係省庁が多いものですからいろいろ議論を重ねてきて、問題は金利の問題にしぼられているわけです。一方、各政党からいろいろな御提案がなされております。それとの調整をいま政党間でやっていただいておるわけでございまして、最終的に議員立法の形になるか政府提案の形になるかはわかりませんけれども、いずれにしても今国会ではけりをつけたい、こういう気持ちで私どもお願いをしているような状況でございます。
○佐藤昭夫君 どうも依然としてはっきりしない、ちょっと理解しにくい点があるわけですけれども、その点はまた後でもう一回繰り返しお尋ねをすることにしまして、問題を先へ進めます。
 御存じのように、わが党としても昨年の六月に、わが党の考え方こ基づくサラ金規制の法案の要綱を発表をし、十二月にこの参議院で院に対しての提案の手続もとったということは御存じのとおりだと思うわけですけれども、現在片一方、衆議院の大蔵委員会の理事会で議員立法という方向をおおよその含みとしながら自民党試案をもとにしていろいろ検討協議がやられているということになっているわけでありますけれども、この内容は、たとえば悪徳行為を規制をする、そういった点では現状よりは、野放しのこの姿よりは規制をやろうという内容も含まれておりますけれども、しかし、多くの点で依然として弱点を持っているということで、たとえば出資法金利の定め方についても現在の一〇九・五%を、これを七三%に、そして三年ないし五年後にやっとその半分の五四・七五%ということで、業界の例のJCFAから出されております案によっても五十六年度五五%、五十八年度四八%と、これで業界は十分回ってきますという意見も出されておる。これと対比をしても、高金利を野放しにする、公認をする結果になるんじゃないかといったような問題点もありますけれども、一番最大の問題は、この利息制限法の適用を外すという、こういう内容がこの自民党試案なるものの中に含まれておる、ここがとりわけ問題だというふうに思うわけです。
 言うまでもありませんが、この利息制限法に定める利息を超えて払った利息、これは任意に払った場合それは有効だという、こういう法改正を行おうということでありますけれども、この問題にかかわっては、御承知のとおりの最高裁の明確な判例が出されておるということでありますが、先ほどの政府六省庁のいろんな意見統一の中でも、利息制限法の扱いについていろいろ意見不一致がありますということが局長答弁にも少しあったわけですけれども、いま申しました最高裁判例を新しい立法で覆すことに結果的になるような法改正をやるという問題について、それはそういうこともあってもいいことだ、妥当なことだということで政府として同意をしていることなのかどうか、その点についてはどうですか。
○政府委員(徳田博美君) 自民党でお考えの案の中には、先生御指摘のように、任意で支払った利息につきましては、もちろんその出資法の最高限度は別にあるわけでございますけれども、二〇%を超えたものであっても返還請求権をなくすというような考えがあるということは承知しております。これに対する政府の見方というのはまだ決めてないわけでございますけれども、ただ、このような自民党のお考えをそれなりにわれわれとして解釈いたしますと、現在確かに利息制限法によりますと、任意に支払ったものであっても二〇%を超えた金利は返還請求権を行使して返還を受けることができる仕組みになっているわけでございます。
 ただしかし、今度自民党でお考えになっている案は、全体としてこれを見ますと登録制を採用しておりますし、それから利息の最高限度も従来の半分に下げるという措置をとっているわけでございます。また、店内その他に利息の表示をすることを強制しておりますし、それからいろいろな領収書等の交付も、これもまた罰則をもって強制しているわけでございます。したがいまして、こういうことを勘案いたしますと、いままでと違いまして借り手としては何%の金利で借りているかということが事前にわかるわけでございまして、その場合に、いわば納得づくで借りて金利を払うということができる体制になっているわけでございます。そのような場合に、納得づくで借りた金利であっても、しかも罰則で強制された領収書を受け取って、一つの証拠物件があるわけでございますから、それを盾にして一たん金を借りた後で返還請求をするということになりますと、事実上は最高限度が金利二〇%と同じことになってしまうわけでございます。そうしますと、国で登録を認めた貸金業が、ある場合にはもう商売として成り立たないというようなことも考えられるわけでございまして、これはやはり少し問題があるのではないか。全体の規制の強化、あるいは利息を半分に下げるということとひっくるめて考えれば、このような措置をとりましても借り手側の保護に欠けることにはならないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 それからなお、このような自民党でおつくりになった案に基づきましても、利息制限法の限度を超えた金利につきましては、裁判上支払いを強制されることはないわけでございまして、いやならばそれ以上の金利を支払わなくていいという、民事上支払わなくていいというような仕組みはこれからも残るわけでございます。したがいまして、これを全体として考えれば一つの方向ではあろうと、このように考えております。
○佐藤昭夫君 しかし、重大なことを言われますね。あなたのこの解釈でいけば、確かにいろいろなこの自民党案の中には業務を規制をする、そういう内容もいろいろ含まれてはいます。しかし、問題のこの利息制限法との関係についていえば、最高裁の明確な判例が二回ありますね。一つはそれの還付請求ができる、一つは元本充当ができるという、この判例があるわけですけれども、この判例との関係において、もし今度の法改正、この利息制限法の法改正をやって、この利息制限法のここの部分を適用を外すということになれば、最高裁判例を法改正によって内容的に手直しをする、あるいは、別の表現を使えばそれを覆すと、こういうことになる、その限りの問題においては否定できないでしょう。
○政府委員(徳田博美君) 最高裁の判例は、先生御指摘のとおり、任意に支払ったものであっても返還請求権があるというわけでございますから、いま自民党でお考えになった案は、それに対しまして、これを変更するという方向でお考えになっているということは、これはそのとおりでございます。ただ、これにつきまして政府としてはどのように考えるかということは、先ほど申し上げましたように、まだいろいろ議論が分かれているわけでございます。
○佐藤昭夫君 その議論が分かれているのは、もっと突っ込んでいえば、大蔵省、あるいは銀行局長の意見はどっちの意見なんですか。
○政府委員(徳田博美君) この問題については検討中でございまして、まだ確たる結論が出るには至っておりません。
○佐藤昭夫君 だから、まことに無責任な一言い方じゃないですか。大蔵省としても銀行局長としても意見はまとまっていませんけれども、しかし、六省庁でたまたま意見がありますから意見がまとまらない、したがって政府見解も明確にできない。
 しかし、そういう言い方をしておる間にどんどんと日は推移をするということになっているんですけれども、それで、最初お尋ねをした問題にまた話の成り行き上戻りますけれども、大臣、とにかく今度の国会に極力提案をするという方向でこの詰めをやっているんですと。しかしあなた、これ会期あともう残っているの十日余りでしょう。いつまでに結論つけるということで最終的な検討をやっているんですか。
○国務大臣(金子一平君) 佐藤さん御指摘ございましたように、この金利の問題大変やっかいな問題を含んでおりますものですから、政府はもちろんでございますけれども、各政党との間の意見の調整を、いま衆議院の大蔵委員会でいろいろ調整を進めていただいておる段階でございます。私どもといたしましては、今国会中にこの話が決まれば、もうそれはすぐでも出せる問題でございますので、議論だけは十分尽くして、問題が多いだけにやはり議論は私は十分やってもらう必要があると思うんです。そしてぜひ今国会に提案したいと、こういう気持ちでおることを申し上げておきます。
○佐藤昭夫君 逆にいえば、いま政党間で、衆議院の大蔵委員会理事会という、ここを舞台にしながら政党間での意見調整がやられておるわけですけれども、そこで意見がまとまらぬ場合には政府はどうするんですか。
○国務大臣(金子一平君) 恐らく意見は何らかの形でまとまるというふうに私は伺っております。
○佐藤昭夫君 そこが大変認識が甘いと思うんです。特に私が重大な問題だということできよう大きく指摘をしております利息制限法からの適用を外すという、ここの問題をめぐっては、言うならこの種法規制の問題について専門家団体としていままでいろんな研究もやり意見を発表してきておる諸団体がございますね。たとえば、大蔵省の大臣のところへも文書が届いておることと思いますけれども、三月三十一日に日弁連、弁護士さんの全国組織でありますが、この貸金業規制法案に対する意見書ということで、利息制限法を改めるとするならば一まあ、いま問題にしているわけですが、今回の貸金業規制措置はむしろ改悪であり、あえて反対を唱えざるを得ないという態度を表明をしておりますし、また学者、研究者の方々を含む全国サラ金協というのがありますけれども、ここが四月の九日に、こういう利息制限法から外し高金利を認めることは現行法の改悪だという、そういう見解を公表もされておるということで、この内容は届いていることと思いますけれども、決して共産党や私だけがこの利息制限法の適用を外すということはこれは問題だということで少数意見として述べておるということではないと思うんです。とにかく最高裁判例というものがある、このこととの関係において軽率な扱いをしたらいかぬということでこの問題が出ている。こういう状況のもとで、一体政府としては本当にこの問題についてどういう考え方で臨むつもりなんですか、大臣。
○国務大臣(金子一平君) 従来からの考え方は、これは利息制限法は借り主の保護のためにできているものですから、それはそれなりの意味があったと思うのでございまするけれども、今日のいろんな社会的問題を一歩でも片づけるための前進をするためには、現実に即してどう物を考えて運んでいったらいいのか、そういう観点からもやはり考えなければいかぬと思うわけでございまして、そういう問題と従来の考え方との調整をどこで図るか。
 衆議院の大蔵委員会では、いまそれぞれの党が政治家としての立場から、純粋の理論は純粋理論として、さらにそれを現実問題に当てはめてどう運用していくかという点において検討を重ねて調整を進めていただいておる。その結論を私どもは見守りながら、今国会に間に合うように提案をしてもらう。あるいは政府提案になりますか議員提案になるかわかりませんけれども、その時期を待っている次第でございます。
○佐藤昭夫君 私は、とにかくいま政府がとっておられる態度というのは非常にやり方が卑劣だと思うんですね。
 この最高裁判例との関係において政府からはなかなか言い出しにくいことであるので、そしてそれを各党協議という話の中でそういう問題をわやわやっと出して、そして意見がまとまるものならまとめてもらおうかという形で、政府の責任で、今日悪徳サラ金を規制をするために何が必要か、しかしいろんな各種法令や最高裁の判例との関係で適法的なまとめをどういうふうにつけていくかというところの、本来やるべき責任を回避をしながら各党協議に任せている。恐らくまとまるでしょう、という言い方をされていますけれども、私は簡単に全党一致にはならぬだろうと思っています、この利息制限法を外すというこの内容がある限り。
 提案をいたしますけれども、当面、全党的に意見のほぼ一致をする、監督取り締まりを強化をする、さっき局長が言われた行為規制にかかわる部分ですね。それから私ども共産党としては免許制ということを提唱しておりますけれども、免許制、登録制、ここにかかわる問題、こういうことも含めての監督、取り締まりの強化に関する問題。それから利息制限法問題は除く出資法改正、しかしこれはさっきもちょっと言いましたように、いま自民党案の中で言われておりますような金利の定め方では、まだまだ高金利野放しになるわけですから、もっと実情に見合った方向での金利引き下げをやるという、この業務規制と、それから出資法改正という形での金利引き下げ、これを内容にしたここの部分で意見一致を図って今国会に出すという方向で、もういよいよその判断を政府としてやるという時期に来ているんじゃないか。そういう検討をやるべきじゃないかというふうに私は提唱をしたいんですけれども、大臣どうですか。
○国務大臣(金子一平君) 佐藤さんの御意見は十分承ります。ただ、いませっかく各党でいろんな御提案をなさり、その調整に努めておられる際でございますので、いましばらく時間をかしていただきたい、そのことをお願いいたしておきます。
○佐藤昭夫君 私が仄聞をいたしましたところでは、衆議院の大蔵委員会では今週中を何といいますか、タイムリミットにして、意見一致を煮詰めようということで、大蔵委員会理事会として、今週も何回かの協議をやろうということになっておるそうでありますけれども、しかし、それで意見一致に至らない、要するに、利息制限法の問題がネックになって意見一致が得られないという場合、いま私が提唱いたしましたような、そういう内容、考え方で、政府として責任を持った提案をやるということを考えて、政府として考えてもらうべきだというふうに、要するに議員立法形式ではうまくまとまらぬという場合には、政府として提案をやると。さっき私が言いましたような限定をした内容で意見不一致部分を取り除いた内容で、政府としての提案をやるべきだというふうに、重ねてお尋ねをするんですけれども、どうですか。
○国務大臣(金子一平君) いませっかく各党努力をしておられるんですから、もうこれはまとまらぬと決めつける必要は毛頭ないんでございまして、まあそれぞれの専門家が責任を持って調整に努めておられるんですから、政府としては当然その結論をまって措置すべきだと考えております。佐藤さんの御提案は十分私も承りました。
○佐藤昭夫君 くどいようですけれども、もう一遍聞きますけれども、そういう言い方をされてて、しかし、最終的に会期末が来たけれども衆議院大蔵委員会を舞台にした各党間の意見一致ができなかったと。しかし、政府としても準備作業がおくれとったからもう時間切れで国会提案もこれまたできませんということは言いませんね。
○国務大臣(金子一平君) 最善の努力を尽くすつもりでおります。
○佐藤昭夫君 その最善の努力というのは、もう時間切れで、政府として出したい気持ちはあっても時間切れでできませんというようなことは決して言いませんというふうに理解しといていいですか、きょう、ここで。
○国務大臣(金子一平君) 最善の努力をするということを申し上げておる次第でございます。
○佐藤昭夫君 同じこと聞いても同じ答えばっかりですから、重ねて、さっき私が一つの提唱をしたわけでありますけれども、意見不一致部分を取り除いて、やはりそういう悪徳サラ金業を規制をするという、この業務規制をやるという、このことだけでも急務として急がなくちゃならぬという今日の事態だと思いますし、そういう点で、意見不一致部分は取り除いて、一致する点での最低効果のある必要な法改正、これを政府は責任を持ってやってもらうべきだということを重ねて要望しておきますので、最善の努力と検討をお願いをいたしたいと思います。
 それでは、日米共同声明との関係での今後の経済財政運営の問題でお尋ねをいたしますが、ほかの委員も幾つかお触れになりましたので、できるだけ重複は避けて質問をいたしたいと思います。
 いずれにしましても、私どももこの日米共同声明の声明文を読んでみましても、今後の日本の経済の将来にとって非常に厳しい内容が予想されるんじゃないか。結局それは国民の負担増になっていくんではないかという危惧を大きく持つわけです。特に大蔵省の所管事項であります国際収支、関税、国際通貨、財政、これが大蔵省としてはこの共同声明を実施をしていく主要な政策手段となるわけでありますけれども、まず基本的な大臣のこの共同声明をどう受け取りどう対処をしていくのか、そこの基本的見解をまず最初に尋ねておきたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) アメリカ側は比較的わが国の置かれた環境、今日までの努力を相当高く評価してくれておるというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。ただ短期的に見ますと、やっぱりいまの百二十とか三十というような経常収支の黒字は、世界各国から見てまだ多過ぎるという気持ちを向こうは捨てていないわけでございます。今後も市場開放政策をとることによってバランスをとることを強く要望しておる次第でございますが、たとえば政府調達等につきましてはいますぐそれじゃどうこうということじゃなくて、八一年の一月一日から実施するように、その手段を、あるいは手順を早急にまとめていくというようなことで今後の協力を約束いたしたような次第でございます。
 私どもといたしましては、日本の経済構造というものは、簡単にすぐ経常収支がバランスできるようなことにはならないと思いますし、また、基本的に石油その他の資材を貿易でかせいだもので買わざるを得ない立場にあるわけでございまするから、貿易をある程度推進すると同時に、やはりたまった黒字は海外援助なり海外の直接投資に注ぎ込んで、基礎収支でバランスを図っていくというような方向にいかざるを得ないと思っておるんでありまするが、そういう考え方は必ずしも全面的にいますぐ受け入れられたわけではないと思うのでございます。今後、今回の首脳会談で取り上げられましたような関税の前倒しその他のいろんな手段を通じて、極力世界全体の貿易のバランスを図っていくという方向にこれからも努力してまいらなきゃならぬと考えておる次第でございます。
○佐藤昭夫君 この日米共同声明の経済関係の部分で、一番力点の置かれていますのは、日米間の経常収支の調整問題です。しかもその目標を達成をするために、今後日米間で高級事務レベル会議を定期的に開いて点検をやっていくというふうにされておるわけでありますけれども、具体的にこれをどう進めるのか、その調整の手段としては結局日本の輸出を抑えながら内需を拡大をする、輸入をふやしていくということで、結局、内需拡大のためには財政負担の増大とならざるを得ないんじゃないかというふうに私は思うわけです。
 そうしますと、財政は日米間の経常収支調整のために、いわばその達成のためにしやにむにプッシュをされるという関係になっていくわけでありますが、この点でお尋ねをしたいのは、昨年の十二月の十四日に、大蔵大臣が就任をされました直後の当委員会で、高目の経済成長率を掲げてしゃにむにその達成に努力するというやり方は今後はとりませんというふうに言明をされているわけでありますけれども、この精神と、今回共同声明に基づいて取り決められた内容とは食い違ってくるんじゃないか。かねがねこの席でも強調されております財政再建という課題は後退をしてしまうんじゃないかという危惧を大きく持つわけですけれども、この点についてはどうですか。
○国務大臣(金子一平君) 昨年の暮れに申し上げました、無理な高目の成長目標を掲げてその達成のために日本の財政経済を混乱させるような方針は一切とりませんということを申し上げたかと思うんですが、その考え方はいまもって変わっておりません。ただ、やはり先ほども申し上げましたように、世界経済の調和ある発展を図るためにはある程度の、これは国内における雇用の維持からも当然のことですけれども、景気の維持は必要でございますので、そういう意味での景気策をとらなきゃいかぬことはもちろんでございますが、だからといって無理をして今日の財政をこれ以上に悪化させるようなことは絶対にやっちゃいかぬと考えておる次第でございます。
 それから、小人数のグループで日米間の経済関係の維持に必要な措置をいろいろ検討して、総理、大統領に勧告をするという委員会の設置の問題、これは私は日米間のいろんな今日までの摩擦の原因を考えますと、双方いろいろ接触をして情報交換は重ねておるんでございますけれども、やっぱりいろんな面においての誤解がアメリカ側にもございますし、日本側にもございます。そういう点で、これから日米両国が協力してやっていこうという場合には、常時やっぱりこういう機関を置いて、太いパイプを両国の間につないで無用な誤解に基づくフリクションを起こさないようにするということが一番大事なことじゃないかと思うのでございまして、こういう制度をつくることによって、案外これからの日米関係はよりスムーズにいくと考えます。
 今日のような財政事情が非常に何というか、日本はぎりぎりのところまで追い詰められておるんだというようなことは、向こうは実はよくわかってなかったように私は考えます。しかしブルメンソール以下、いろんな連中が来る機会をつかまえて、こういう状況だよと、日本はインフレにでもなったらそれこそ元も子もなくなるじゃないかと、ここまで努力してやっているんだということを説明しますと、ああそこまでいっておるのかということがやっとわかってきたように私どもは考えておる次第でございます。今後さらにそういう点についての努力を重ねてまいるつもりでおります。
○佐藤昭夫君 いまの大臣の答弁によりますと、アメリカ側は日本の財政の実情についてはよくわかってくれておる。しかし今度の共同声明でああいう内容が打ち出されてきた。当然今度の首脳会談に臨むに当たっては大蔵省からも一定の方が同行されて、決して総理が大蔵省を全く素通りをしてああいう内容に調印をしてきたという、勝手に調印をしてきたということじゃない。ですから、あの共同声明の内容を今後どういうふうに具体化を図っていくかということについては、大蔵省として一定の方策についての考え方が、同意を与えればこそ最終的に調印が行われたということになっているはずだというふうに私は思うわけですけれども、そうした点で内需拡大のために今後どういうふうにやっていくんですか。
 たとえば国会でも大いに議論になっています大型プロジェクト、これをますます推進をしていくというやり方をするのか、それとも住宅とか下水道などの生活密着型のそういう福祉、学校施設、こういうところに重点を切りかえていくのか、それから、いずれにしたって財源を一体どうするのか、この大量公債の発行というのがもう改めて言うまでもない、消化難でいま非常に重大な事態にぶつかっておるということは明白な事実でありますし、一般消費税導入、これやればかえって内需を縮小させるというのは、物価上昇が起こるわけですから内需を縮小させるということに結果的になっていく。また、片一方、それがさらに一つの呼び水にもなって一層物価上昇に拍車をかける。ですから、さっき大臣も強調されたインフレのない内需拡大というのは政策的にはどういう方策でやっていくのか、何かの考え方があればこそ共同声明に調印が最終的になされたということだと思うんですけれども、そこらについての具体的な方法はあるんですか、具体的な考え方は。
○国務大臣(金子一平君) やはり内需拡大をいたしますにつきましても、基本になるのは日本の経済財政をどう持っていくかということでございますから、経済についてはインフレのない経済の発展を考える、財政については健全財政の方向へより数歩、一歩でも数歩でも進めるということが基本になると思うわけでございます。国内の経済を進めるための財政の施策としては、大型大型とおっしゃいますけれど、私どもはことしも相当国民の生活環境の整備に重点を置いてやってまいっておりますから、やはりそういう方向で社会資本のおくれを取り戻すような方向に財政資金を大々的に投資すべきだと考えておる次第でございます。そういうことによって、一方においては景気の維持を図りながら、同時にやはり先ほど来申しておりまするように、一般消費税は大変評判が悪いんでございまするけれども、今日のような日本がヨーロッパ、アメリカ各国に比べて半分なり三分の二程度の税収で経済の安定成長を求めようというのはこれは無理なんですから、やはりある程度の御負担を国民の皆様にも苦しいところを御協力いただきながらやっていくということが必要であろうかと思います。私どもはそれは所得課税ではもう限界にきておるので、消費課税に負担を、担税力を求める方向にいかざるを得ないと考えておる次第でございます。
 また、それによってデフレ効果が相当大きく出るとおっしゃいまするけれども、それは歳出があって出る限りは、私どもは一般の所得税、法人税の税収を民間に還流させる場合と同じことだと考えておるのでございまして、それによって大きく経済の規模が縮小するというようなふうには考えていないわけでございます。
 ただ、今後六月にOPECによる石油の値上げがあると伝えられておりますが、そのサーチャージと申しますか、プレミアムが一体どうなるか、やはりいろんな不確定な要因がまだ残っておりますから、その辺も十分見きわめながら今後の財政経済の運営にひとつしっかりと努めてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○佐藤昭夫君 どうもいまの御答弁では、胸に落ちる形では納得ができませんけれども、もう時間ありませんし、最後にお尋ねをしておきますが、今度の共同声明では、「東京ラウンド交渉の結果を可及的速やかに実施するための国内的措置」をとるというふうにうたっておりますけれども、同時に総理は、ナショナルプレスクラブでの演説で、わが国の自主的措置として、東京ラウンドにおいて合意した関税引き下げの早期実施を行うよう国会の承認を求める決意をしたと述べておられるわけでありますけれども、いつの国会にこれは提案をするのかという問題が一つ。
 それからもう一つは、日米共同声明では、農産物が重要事項として一項目入っておりますけれども、アメリカの関心品目はオレンジ、牛肉、それから飼料、こういうものだと思いますが、これらの関税上の取り扱いはどういう合意に今回なったのか。以上二点。
○政府委員(海原公輝君) 東京ラウンド交渉におきます関税引き下げにつきましては、先生御存じのとおり、本年四月十二日イニシアルを了したわけでございますが、これはまだ正式にと申しますか、決まったというわけにはまいりませんで、今後技術的調整等を経まして、最後に正式署名を経て議定書として確定されるという段取りになっているわけでございます。これは予測でございますが、六月下旬ないし七月ぐらいになるのではないかというふうに考えております。
 したがいまして政府といたしましては、議定書の内容が確定しました暁には、法制局の審議を経た上で条約案件としてできるだけ早い機会に国会の御審議を煩わすと、こういう段取りになろうかと思います。
 それから先生もう一つ、総理がナショナルプレスクラブで演説されました、いわゆる前倒しと申しますか、早期実施という話でございますが、これにつきましても、本体でございます条約案件の国会審議との関連を考慮いたしまして、適切な時期に国会に提案しまして御審議を煩わすと、こういうふうに段取りを現在のところ考えておる次第でございます。
 なお、農産物のことにつきましては、農林省から来ておりますので、農林省の方からお答えしていただく方がよろしいかと思います。
○説明員(岡田明輝君) お答え申し上げます。
 日米共同声明にございます農産物に関する定期協議でございますが、これは主として小麦、えさ穀物、それから大豆についての需給状況等の協議を行うというものと理解しております。
 その関係でお尋ねがございましたアメリカの最大の関心事であるオレンジ、牛肉の関係はどういうことになっておるかという点についてでございますが、オレンジ、それからオレンジジュース、グレープフルーツジュースにつきまして、現行関税率をそのままバインドするという約束をいたしております。
 それから牛肉については、現行関税率二五%でございますが、これをバインドするという約束はいたしておりません。
 以上でございます。
○佐藤昭夫君 終わります。
○市川房枝君 私は、五月一日に発表された五十三年分の一千万円以上の高額所得者の問題について、大蔵並びに自治省当局に二、三お伺いしたいと思います。
 五月二日の新聞は、一日の発表を大きく各紙とも報道しておりますが、その中で、国会議員の申告所得の異常な低さが強調されております。
 毎日新聞は、「政治家の所得ほどハッキリしないものはない。」、「今年もまた、税金のかからない巨額な〃政治資金〃のベールに包んだ〃不正直申告〃がまかりとおったようだ。」と言っておりますし、読売新聞は、「首をかしげたくなるような国会議員の納税実態」、「重税にあえぐ国民には、どうにも割り切れない税の不公平」と言っております。また朝日新聞は、「政治家の申告ぶりは、またしても不可解だった。」と言っています。それから日本経済新聞は、「相変わらず不透明議員さんの所得」と、新聞はこのように解説をしております。
 国会議員の給与所得が、昨年一千百十六万七百五十円でありますのに、公示されている人が衆議院五人、参議院三人、計八人もおいでになるし、その中にはサイドビジネスの赤字を給与所得で穴埋めをし切れず、百七十万円の赤字申告をした方もおいでになります。四月一日後に申告したから、五月一日の公示には出ていないという人も何人かありました。
 国会議員の所得が国民にとって不透明であり不可解であるということは、きわめて憂慮すべき事態でございます。国民の政治に対する不信をつのらせるからでございます。大蔵大臣はこの現状をどのようにお考えになるでしょうか。不正直申告をはっきりお認めになるんでしょうか。
 また、四月一日以後に申告すると公示がされないということもこのまま放置して、これだんだんふえていくんだろうと思いますが、加算税をちょっと取られるけれども、やっぱり公示されたくないという人はこういう方法を将来とることになるんじゃないかと思うのです。そういう点などについての大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) まあ公示されなかったり、後から申告された方も何人かいらっしゃるようでございますけれども、私は、大多数の国会議員の方は正直に申告しておられるのじゃないかと思うのです。国民の皆さんにやはり誤解されるのは、政治資金規正法に基づく政治団体をおつくりになっておりまして、それでその方へ政治資金を入れておられて別経理になっている。代議士個人の給与所得なり、あるいはいろいろな報酬等、それから政治活動としての会計が別会計になっているものですから、おかしいじゃないかという国民の声があることは、これは否定できないと思うのですけれども、それは自治省においてよく見ておっていただくわけでございますし、公示されたその限度においては、私どもは大部分の方が正直にやっておられるというふうに考えておる次第でございます。
 なお、幾つかの御指摘の点は、きょうは担当の国税庁からも参っておりますので、御答弁をさせたいと思います。
○政府委員(藤仲貞一君) 四月一日以降に提出された確定申告について何とかしないかと、こういうような仰せでございますが、いま先生のおっしゃいましたように、四月一日以降に提出されました確定申告につきましては、無申告加算税が賦課されます。それからまた、納税がおくれました場合には延滞税が徴収されるわけでございます。そういうようなことでございますので、そういう負担を負ってまで公示を免れようとなさる方があろうとは私どもは考えておりません。
 私が聞いたところによりますと、何人かの先生方の場合、秘書の方がうっかりされたというようなことで時期を失されたというぐあいに伺っております。
○市川房枝君 いまのお答え、どうも忘れたというのでは、ちょっと一般の国民は納得しかねると思うのですけれども、まあその問題はそれだけにします。
 最近航空機汚職問題がまた出てまいって国民の政治不信をさらに強めておるわけですけれども、このような忌まわしい事件の再現を防ぐために一体どうしたらいいのかということは、前にも討議されて決定されている問題がありますけれども、一つは私は、政治家の金銭関係を潔癖にするということが何よりも大事で、これが不幸な汚職事件の教訓だと思います。国会議員一人一人が収入と支出とをありのまま国民に対して公表することが、汚職を防止し、国民の政治に対する信頼を取り戻すのに役立つはずであると思います。
 私は、前から自分の確定申告を公表しておりますが、国民から選出された議員としては、自分の身辺の明るさと清潔さを国民に知ってもらうためにこれが最もよい方法でないかと思います。つまり確定申告の全部でなくてもいいんですけれども、総計のところだけでいいんですけれども、私は各議員が公表をなさるということで、これはちっともめんどうではないんであって、きわめて簡単だと思います。まあどなたかまねてくださるといいと思うんですが、そうでもないらしいんですが、いかがですか、大蔵大臣は、この際、法でもって議員はやっぱり確定申告を公表するというか何かということの規定ができませんか。もし規定  そんなことは無理だと言うんでしたら、それはまあ、あとは議員の方々個人個人の自主的な判断によるよりないんですけれども、その際、私は、大蔵大臣、政務次官、議員でおいでになるし、自発的に御自分の確定申告を公表なさるようなお気持ちはありませんか、伺いたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) これは法律で縛るとかそういう筋合いのものじゃなくて、やっぱり議員個々人のモラルの問題だと思うんでございます。いかに刑法を強化してみましても、御本人がそういう気持ちにならなければやっぱり抜け道は出てくるわけでございますんで、議員というような立場にあられる方はぜひひとつ正確に申告をしていただくようにお願いをするということに正直言って尽きるんじゃなかろうかと考える次第でございます。
 私なんかも、まあときどき出るんでございますが、大体何年か傾向を見れば、あいつそうでたらめやっておるわけじゃないなあということをおわかりいただけているんじゃなかろうかというふうに考えております。
 ただ、全部の国会議員の方の分をそれぞれ発表しろと言いましても、これはなかなかむずかしい問題でございまして、今後のやはり一つの研究課題ということで、これは役所がああしてください、こうしてくださいということじゃなくて、国会議員としてどうすべきかという問題を別の場で御検討いただいた方が適当ではないかと考える次第でございます。
○市川房枝君 大蔵大臣は何かいままでにも発表しておいでになるようなふうにいま伺ったんですが、発表なさったのがありましたら、私にちょっと拝見させていただきたいんですが。
○国務大臣(金子一平君) 私が申し上げましたのは、ちゃんと総額がもう出ておるものですから、毎年毎年、私どもは給与が主ですから、ほかにないものですから、もう出ればそれっきりではっきりしておるものですから、ほかに土地収入があるとか配当収入があるというわけじゃございませんので、もうこれが出たらそれきりなものですから、いつもこれで済ましておるわけでございます。
○市川房枝君 五月一日に発表になったあれは、特に発表、御自分でしたというわけでなくて、それは税務署の方でお届けになったのを発表したんで、総額だけなんで、あれには収入支出というものもやっぱり書いて出しているわけなんで、私はその総額だけがいわゆる政治家が非常に少ない、そういう金額で一体、それこそ閣僚の方といいますか、あるいは有力な政治家たちがそれで生活をしておいでになるとはどうしたって思えない。こういうところに疑問が出てくるわけでありまして、その収入の全部なんというようなお話がさっきありましたけれども、それは後でちょっと伺おうと思う政治献金の問題なんでして、しかし、現状においても私はやっぱり税務署へお届けになるそれを、収入支出というか、あんまりたくさん細かいところまではなくてもいいと私申し上げているんですが、そういうものを発表をする、法でできなければやっぱり個人個人なされば、私は選挙区の有権者というか、一般の国民は非常に納得がいくというか、非常に政治家に対する信頼を取り戻していくということになるんではないかと思いますが、それはまあいま懸案として研究するとおっしゃっていただいたんですが、ひとつお考えをいただきたい。一番税金の元は大蔵省、国税庁でございますから、そこが国民のこの疑問にお答えいただく私は責任があるというか、こういうふうに考えております。
 ところで、国会議員は税法上で優遇されているというのが国民感情でございます。月六十五万円の文書通信交通費が非課税になっておることも国民としては納得がいきません。優遇措置だと考えているようです。法的にはこれは無税となっておりまするけれども、その問題と別に、月幾らということで決めて支払う場合には、それは給与と認めるというのが国税庁の一般国民に対しての規定でしょう。
 ところが国会議員の場合には、これは実費弁償だということになって無税になっていると思うんですけれども、これをもう一遍大蔵省はどうお考えになっているか、ちょっと伺いたいんです。
○国務大臣(金子一平君) いまの文書通信交通費でございますか、これは議員立法で非課税という法律をおつくりになってやられたわけでございまして、大蔵省としては進んでこれを出したわけでも何でもないんでございます。その点ひとつ誤解のないようにひとつ御理解をいただきたいと思います。
○市川房枝君 それは私も承知しております。そして法になっていくのを知っているけれども、しかし、一般国民と議員と別の扱いを認めておいでになるというのは大蔵省でしょうが、その点を伺っているわけなんです。
○国務大臣(金子一平君) 法律が最高なんで、それでこれを大蔵省の通達で曲げるわけにもまいりません。定額給与と認めれば恐らく国税庁はそれは給与の一部というようなことでやっているのだろうと思うんでございますが、これはもうやはりそれくらいの交通通信費は国会議員の皆さん、お使いになっているという実績があり、そういう資料に基づいて議員立法として御提案になりそれを認めたわけでございますので、一大蔵省がとやかく言うべき筋合いではないと考えております。
○市川房枝君 それを伺っているわけでなくて、国民と議員との扱いを別にしていると、つまり議員だけ優遇しているというか。それでは国民も同じように月に幾らと決めて渡している場合に、それを給与ではなくて、それは実費弁償だと、交通費とか何とかいう、ということならば公平だと思いますけれども、少なくとも不公平だと一般国民には映っているという、その点を伺ったんですけれども、いまの大臣のお答え以上には伺えないでしょうから、これは省きます。
 次に、国会議員の所得が不透明だということを各新聞が書いたということを申し上げたんですが、その不透明になる最大の問題がいわゆる政治献金の取り扱いだと思います。
 五月二日のある新聞は、「派手な議員生活を支えているといわれる政治献金は相変わらず〃水面下〃に隠れたままだ。」と、これは日本経済新聞がそう書いておるんですが、そういうふうに批判をしております。政治献金がいかに巨額であっても、全部支出してしまえば届け出る必要はないというのがいまの税制の規定になっておるようですが、極端な優遇措置にこれはなっていると言っていいと思います。五月一日の発表ので、いわゆる芸能とかその他の人たちの金額は非常に多いのに、いわゆる政治家のはそれこそ給与だけの一千万円ちょっと余というか、という人が多いということは、問題は政治献金がそれに含まれていないんだと、こういう結果であることは言うまでもないんですが、これはほかの機会にも私は何回か伺っているんですけれども、一応いまの政治献金の扱い方を認めるとしても、一体幾らもらったのか、それで政治活動に使って残った金額に課税すると、こういうことになっておるようなんですが、一体残った金額がどれだけあるということで、それじゃお届けになって、そして税金をお払いになったケースがありますかとこの前伺いましたら、わかりませんということだったんですが、後で聞くと、何だか少しあるみたいなお話なんですが、それならとの税務署管内で――私、政党だとかお人の名前まで伺おうとは思いません。どの税務署の管内で一人ありましたと、そしてその税額は一体幾らでしたというぐらいは発表してくだされば、それは本当かなと思うんですけれども、わかりませんじゃ、結局ないからわかりませんとおっしゃるんだと私は解釈してしまうんですが、それでこれはこの点を、私この前この大蔵委員会で大平総理おいでになりましたときやっぱりこの問題を質問いたしまして伺ったわけなんですが、そのときに、政治資金の問題、政治資金規正法の問題ということになるとこれは自治省の所管でありまして、大蔵省でないことは私もちゃんとよく存じておりますが、これは自治省の方にちょっとお伺いしますけれども、自治省の方はいわゆる政治資金規正法の附則の第八条で、この法律が実施されて五年を経過したら個人の献金に移すように検討をする、あるいは企業あるいは労働組合の献金の実情も調査するというようなことが書いてあったわけなんですが、それでこれに対して大平総理は、三年目の政治資金規正法による届け出の報告といいますか、集計の報告がまだできてないので、それができたら検討をすると仰せになり、それからまた、私がいま申した議員個人の政治資金の収入というものは全然わからないということに対して国民の不満といいますか、不公平といいますか、そういうことも申し上げましたらば、それもあわせて検討をするとおっしゃいました。
 それで私はそのときに、ただ現在の政治資金規正法は政党、政治資金団体、政治団体だけを対象にしているので個人の問題は対象にしていないと、その点もお含みの上で御検討を願いますと申し上げたんですが、この点は自治省はどういうふうに準備に着手しておいでになるか、どんなふうなのか伺いたい。
○説明員(緒方信一郎君) お答えいたします。
 政治資金規正法の附則の第八条では、ただいまお話ございましたように、「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」というふうに明記をしてございます。この法律が施行されましたのが五十一年の一月一日でございまして、すでに二回公表を終わっておりますが、三回目の公表は現在自治省におきましてチェックしておると、こういう段階でございます。
 このようなものも踏まえまして、またいろいろ各方面の御意見にも耳を傾けながら、この問題につきましてはいろいろな問題をひっくるめましてこれから検討を進めさせていただきたいと、こう思っております。
○市川房枝君 さっき申した、国税庁の方から政治献金の残りがあって、政治活動に使って、そして残りがあって、一体それに対する税金をお払いになったケースが少しはあるということを伺ったんですが、どこの税務署でどれくらいということは伺えますか。
○政府委員(藤仲貞一君) 仰せではございますが、そのどこの税務署で云々ということはお許しをいただきたいと思います。
 ただ、私は直税部長の職にございますので、これはもう政治家の方の確定申告、それからまた修正申告をなさる場合もございますからそういう事例を承知しておりますが、当初から確定申告で政治資金に係る雑所得を申告していらっしゃる方もおられますし、また私どもの調査の結果、政治資金に係る雑所得の金額を修正申告されておられる方もいらっしゃるわけでございます。税務署等はどこかという点につきましては、ひとつ個別のことにかかわりやすい問題でございますので、お許しをいただきたいと存じます。
○市川房枝君 いまの答弁じゃやっぱりよくわからないんですよね。本当にあるんなら、私は名前なんか伺っちゃいない、政党の名前を伺ってはいないんであって、どこの税務署で一件あったんだと、それでそれの納税額は幾らだということを伺いたいんであって、いまそれをお答え下さいと言っても無理ならば次の機会にまた伺いますから、ひとつ調べておいていただきたいと思います。いかがですか。
○政府委員(藤仲貞一君) 私も税法を適正に執行しなければならない職務にございますので、私はそういう面においてうそを申し上げているつもりはございません。ただ、プライバシーに関することでございますし、私どもの立場からいたしまして具体的な税務署の名前等は御容赦をいただきたいと、こういうことをお願いしているわけでございます。
○市川房枝君 ちょっとやっぱり納得できないんですが、やっぱり国民の立場からいって、私はいまの税制というか、税の執行がどうも納得できないと、不公平だという気持ちを持っているんだから、それに対して納得できるように説明をするという義務が私は国税庁にあると思うんですが、いまのような御説明だけでは納得できないと思います。
 しかし、私の時間がちょうど参りましたから、また次の機会にこの問題を伺うことにして、一応これで質問は終わります。
 ありがとうございました。
○野末陳平君 大蔵大臣にお伺いしますが、新聞などで察するところ、大平総理大臣は一般消費税の導入にかなり積極的というか、当然だと思いますが、総理大臣としては。ところが、閣僚の中にはいろいろな意見が新聞を通して出てくるわけですね。
 ですから、われわれとしては、この一般消費税も重要な検討課題であるというところまではわかりますが、政府として今後の財政再建にはもうこの一般消費税の導入しかないという最終結論を出しているのかどうか、その辺のところがもう一つはっきりしないんですね。ですから、これがもう最終結論なんだよということなのかどうか、大蔵大臣の口から直接初めにお伺いしておきたい。
○国務大臣(金子一平君) これは党内にも、また第一に個人としてもいろんな自民党の中にも御意見がございますけれども、私ども財政をお預かりしておる者の立場といたしましては、財政の健全化を図り、インフレを抑え込むためには、やはり相当思い切った国債の圧縮を図らにゃいけませんから、来年度以降におきましても。そうなると、何らかの新しい税法を導入する必要があると。現在の所得税を増徴したり所得税の税率を引き上げたり、あるいは幾つかの提案されておりますような、個々の税金をいろいろ洗い直してみても、とても大きな金にはならぬと思います。
 そういう意味において、何らかの消費課税の方向へ持っていかなきゃいくまいというのが内閣としての考え方でございまして、これをそれじゃいつどういう形で国会に提出して御了承を得るかということはこれからの問題ですけれども、いまそういうことで予算案を提出以来、論議を深めていただいているような次第でございます。
○野末陳平君 いまのお答えですと、いろいろ検討してみた、とにかくいろいろ検討してみたが、どうもどれも不十分でだめなんで、結果的にはもう一般消費税であると、こういうことだろうと思いますね。
 そうなりますと、大蔵当局としてもうそこまで検討が済み、結論が出ているとなると、われわれとしてはほかに代案といってもなかなかそれはいいものがすぐあるわけじゃありませんが、あれやこれやと考えられる代案を議論する余地がもうないのではないかというふうに思ってしまうわけですね。要するに、これを出して賛成か反対かというところまできているのか、それともまだ代案については検討の余地があってというのか。その辺をお聞きしておかないと、質疑をしても結果的には意味がないような、それじゃ困りますので、その点はどうでしょう。
○国務大臣(金子一平君) いま野末さんのおっしゃっておりますいろんな案があると思います。それは今後もどしどしひとつ御提案いただきまして、議論をしていただけば結構だと思います。
 われわれも、政府の税制調査会もとことんまで議論をしてみて、結果的にはこういうことかなということで結論を出しておりますけれども、しかしこれは、各党の皆さんにはそれぞれの御意見もございましょうし、そういう点は謙虚に私どもも拝聴して、よりよい案があればそれに従うにやぶさかでございません。
○野末陳平君 まあなかなか、いい案がといっても、財政を再建するというような大目的の前には、一般消費税の方が何たって額からいっても違うということで、むずかしいと思うんですが。
 ただ、なぜこういうことをお聞きするかというと、どこへ行っても、さっきの大臣のお答えにもありましたけれども、評判よくないんですね。はっきり言って賛成するという方は、増税あるいは新税ですから賛成と言う人は少ないでしょうが、とにかくいろいろな団体、たとえば青色申告会のようなところでも反対しているということになりますと、何かこれ、一般消費税一本を出して賛成か反対かという聞かれ方をすると、もう反対としか言えない。あるいは反対論が圧倒的に強い。これを強行するというよりも、何か選択の幅があるような、そういう提出の仕方の方が、まあ結果論かもしれませんよ、しかし、よかったんじゃないかと。国民としても、さあどっちだというよりも、幾つかあるがどれを選ぶという程度の幅があった方が、やはり意見も言いやすいし、また検討もしやすいんじゃないかと思ってるんですね。そんな意味で、選択の幅の中に入るかどうかしりませんが、代案に似た、あるいは他の増税案というものがやはりもっと議論をされて、それが国民の目にもわかる、それが必要だと思うんですよ。ちょっとその過程がなかったという感じがしますし、これからもちろん一般消費税の理解に努めると、PRに努めるということはもう当局も何度も言っておりますけれども、それ以前に、この一般消費税しかなかったという、ここまでのプロセスがちょっとわかりにくかったというか、余りにも一方的過ぎたんじゃないかと、まあそう思うんです。
○国務大臣(金子一平君) それは野末さんのおっしゃるとおりだと思います。まあ強いて言えば、所得税、法人税の増徴によるか消費税を選ぶかという選択が一番可能性があると思うんです。そういう議論が実はまだ済んでない。これはまあ、ある程度案が固まって、出た段階でいろいろお願いするつもりだったと思うんです、当局は。しかし、所得税課税はまあ千五百万、二千万くらいからもう非常に累進度が急カーブに上がっておりまして、何兆というような税収を生み出すためには、プラスの税収を生み出すためには相当重い負担をお願いしなきゃいけませんけれども、これは不可能でございます。また下の方へ、つまり中小の所得者に重い負担を持っていくなんてこともこれは政治的にできることではございません。そういった幾つかの、こういう案もあります、こういう案もありますという説明が足りなかったことはおっしゃるとおりだと思いますけれども、これは、これから案の議論していただく際にあわせてやっていただくつもりでおるわけでございます。
○野末陳平君 いま大臣のお答えで、所得税負担の問題がちょっと出ましたけれども、まあ限界に来てると、上は無理だし下も無理だと。もちろん中ごろもきついわけですけれども。
 ただ、そちらからいろいろといただいている資料を見てみますとね、わが国の所得税というのは国際比較でいけば低いんだという資料が来るわけですね。事実、低いように思いますね。そうすると、やはり引き上げる余地があると思うのがこれ当然ですね。だから限界に来てるという説明と、それから資料による所得税の負担は低いという、この辺とがどうもしっくりいかないわけですね。
 そこで、大臣の限界に来てるんだというお答えに対しても、ぼくは、引き上げる余地があると見るのが普通の考え方ですね。しかし、こういう理由でそれは無理だと言うならわかりますが、その辺ちょっとはっきりしないんで、本当のところを聞かしてほしいんですがね。
○政府委員(高橋元君) いま野末委員からたびたびのお示しでございますが、まあ言いわけのようになって恐縮でございますけれども、五十二年に例の中期答申の際には、所得税の大幅な負担の引き上げをお願いするか、一般消費税という形の新税で負担をお願いするか、それはいずれか避けて通れない大きな選択だということから出発をいたしまして、一般消費税といってもいろいろ、まあ逆進的な税金でございますとか、またこれは物価が上がるとか、中小企業いじめであるとか、いろいろなその周辺の問題は言われておりますけれども、しからば、一般消費税を取り入れるべしという選択、いずれかの選択だと申し上げてる以上、一般消費税の具体的な仕組みが何かということをお示ししなければ議論が前進しないだろうと、そういうことで五十二年十月の中期答申は終わったわけでございます。
 それを受けまして、昨年の九月に一般消費税特別部会から、一般消費税の具体的な仕組みというものの骨子を発表がございまして、それに基づいていままで政治向きにも、また、各経済界につきましても、それから一般の国民の皆様との間でもいろいろな御議論をいただき、また私どももいろいろな御意見を申し上げておる、こういうような現状でございます。
 そこでお尋ねは、所得税の負担が低いではないかということで、それは確かにそのとおりでございます。たとえば日本の場合、所得税と住民税とを合わせまして個人所得に対する所得税負担率ということでお示ししますと、五十二年度で五・二%でございます。これはフランスが、まあ有名な間接税国ということでございますから、四対六の割りで、直接税が四、間接税が六といっておるフランスの所得税でも個人所得に対して六・四%というウエートを占めておりますから、それに比べれば確かに低い。
 それからまた、たとえば所得五百万と、給与収入五百万という人をとってみまして、日本の場合には五百万のその方が、給与収入五百万で子供が二人ある夫婦者というものの払っておられる税金は所得税の形で二十八万一千円、百円について五円六十銭、アメリカが七十一万四千円でございまして百円について十四円三十銭、イギリスは実に百五十三万四千円で百円について三十円七十銭、日本の六倍近い税金を払っておられるわけです。ドイツでもパーセンテージで申して一四・二%、フランスで九・四%。
 そういうふうに、各階層で見ましても所得税の負担が安いし、全体としての個人所得に対する所得税の負担も安い。それを引き上げていいじゃないかという御指摘だと思います。
 中期答申でも所得税及び個人住民税について大幅な負担の増加を求める余地はあるということを言っておられたわけでございます。十分ある。しかしそれをどういう形でやっていくかということが、先ほど大臣からもお答えがございましたが問題であろう。所得税は各種の基礎控除以下人的な控除、いまでございますと一律人的控除二十九万円ですね。それを所得からまず差し引いて、それから給与でございますと給与所得控除四割、三割、二割、一割と逓減しております給与所得控除をまず引いて、そこで給与収入から引いた残りを所得としまして、それから人的控除を引きまして、それに一〇%、一二%、一四%、一六%とだんだん累進してまいります税率を掛けて税負担を出しておるわけでございますね。
 その税負担の割合が、日本の場合には大体五百万のところから五千万のところにかけて急激に上がっていくわけでございます。それが日本の所得税の累進度がきわめて理論的にきちっと累進がきれいにあらわれている。たとえばイギリスの場合にはもっと低いところから高い税負担が始まりまして最後まで高いわけでございまして、日本の場合では最高の所得者の限界税率は九三%になります、地方税合わせまして。ですから、相当高い高額所得者の場合には税負担がそこに求められておるということも事実でございます。
 一方で、そういう方々の一千万超の給与収入を持っているサラリーマンというのは全体の一%しかございません。
 そうなりますと、さっき申し上げました人的な控除と税率表をかみ合わせてできております所得税の負担につきまして、各国に比べて負担の引き上げをお願いする余地があるということを前提としましても、つまり低所得者の方の低いところの税率を上げるという形でなければ税収が入ってまいらないというわけであります。
 現在特例公債八兆円でありますが、これは所得税の総額と同じであります。それだけ大きな財政のギャップというものを救ってまいりますための税収という面から所得税を考えてみますと、中小所得者の税率を大幅に引き上げる、または人的な給与所得控除を引き下げる、いずれを選ぶにしても、政治的にも社会的にも非常に問題の多い方法ではなかろうかと。
 そうなりますと、やはり新税でありますところの消費一般について負担の増加をお願いする一般消費税というものを考えてまいるのが一番素直と言ったらおとがめがあるかもしれませんけれども、一番プロバブルな方法ではないかということで税制調査会の検討はずっと進んでまいりましたし、先ほど大臣からもそういう趣旨のお答えを申し上げたわけでございます。
○野末陳平君 その経過についてはそれなりに部分的に見れば確かにそのとおりだと思いますけれども、しかし、それはあくまでも世論に問う形で行われたわけでなくて、まあ税調は一種の世論かもしれませんが、何となく結論だけを出されたというところにはやはりまだ若干の疑問があるわけですね。
 ぼくは所得税負担を引き上げるのがいいと思っているわけでもないんですが、ただ一般消費税にするか、あるいは所得税の負担の引き上げにするかという、この選択を仮に国民に問うた場合にどうなるだろうかということも何かわからないので、もう少し所得税の問題については考えた方がいいんじゃないかと思っているわけなんですよ。累進構造の問題出たりいろいろありますけれども、それは別の機会にもう少しこれをこのままにしておくのか、本来所得税における累進構造のあるべき姿とか、そのような点もいろいろともっと突っ込んでみたいと思うんですが、一般消費税についてさらに言うならば、現在は一応物品税があるわけですね。
 それで物品税の存在は、これは悪い言葉で言えば、知らない消費者といいますか、という方が多いと思うんですね。買ってでも、この中に税金が入っていると知らずに、だから、これは負担感がないとも言えるし、そういう税がいいのかどうなのかわかりません、いろいろ問題があるでしょう。だけれども、物品税というのは一応定着しているわけですね。これは小売段階の第一種よりメーカー段階の課税の方がはるかに多いですが、この物品税の品目を拡大していくことによって結果的に一般消費税のような、税収の面はともかくとして、に近い形も考えられるのではないかと。どちらもこれ増税ですからね。また、これは業者の問題いろいろややこしいことが起こるかもしれません。しかし、いま定着している物品税というものを基本に考えていくという方向は、これは考えられないのかどうか。これについてはどういう結論がそちらで出たのか、それともどういうお考えか、これについてもお聞きしたいんです。
○政府委員(高橋元君) お示しのように、現在六十八の品目について物品税をかけて納めていただいておるわけでございます。これを拡大していって一般的な製造税のようなものにしたらどうかということであろうかと思います、御提案は。
 そうなりますと、六十八品目に何を取り込んでくるかという、いまは限定列挙、物品掲名主義でございますから、法律をもって物品を指定して、これに一五%、二〇%というような製造庫出税をお願いをするという仕掛けになっておりますから、一体何を追加していくのだというバランスの問題が大変むずかしくなってくる。これはいま野末委員からもお話ございましたように、中小企業の問題でございますとか、生活必需品の問題でございますとかいろいろございまして、課税対象を一般的に広げていくという場合に、いまの六十八品目につきましても免税点があって比較的安いものは外れております。それとの関連で、広げていく場合にも、やはり免税点を設けて高い物品だけを課税の対象にすべしという御議論もございましょうし、中小企業製品であれば何ぼ高いものでもかけない方がいいんじゃないかという御議論もあろうと思います。
 そうなってまいりますと、一般的に物品税の課税対象の品目数を広げていくといっても非常に実際的にむずかしいし、また、何を課税の対象に取り込むかという客観的な基準というものをつくることは、これは私どもは戦後物品税をずっと緩和する歴史をたどってきておりますけれども、その段階での経験で申しましても、大変それを広げていく場合の客観的な基準を求め、それを現実に移していくことはむずかしいであろうというふうに思わざるを得ないわけです。
 それであれば、たとえばいま世界でたった一つ製造者消費税というのをかけている国がカナダでございます。カナダは製造物品について製造者の段階で消費税をかけております。たしか九%だと思います。ところが、カナダでも非常に問題があるというので幾つかのことが言われておるわけでございますけれども、一等問題になりますのは製造者の段階で、蔵出しの段階でかけますから、それ以後長い流通過程を経てみますと、消費者が買ってくる場合の税負担というのは変わっちゃうわけですね。流通段階が長ければ長いほど消費者の税負担が低くなる。どうしてもそういうことになります。そうなりますと、いわゆる中立性を害すると申しますんですか、消費税でございますから、消費者の担税力に応じて本来なら一番末端でかけるのが本来の筋道なんでございますね。小売課税が一番消費税としては理論的には正確だと思います。それに対して一番源泉でございますから消費者から遠いところで税金をいただくということになりますと、流通段階の短いものの税負担が重くなるという形で、消費ないし経済に撹乱が及ぶのではないかというのがカナダで言われておる一つの一番大きな問題でございます。
 もう一つは、何を製造されたか、製造されたものの値段は一体幾らかと、こういうことを決めるのに大変なトラブルがあるようでございます。たとえば製造者と一口に申しましても、卸屋さんに売るものは三分の一ぐらいで、製造から小売に行くものが三分の一よりもっと多いと、大口のユーザーに売るものも三分の一ぐらいございますというのが実態のようでございます。そうなりますと、製造者にどういうところで税金をかけるのかというのは大変な問題であります。
 そこで、カナダでも三十年近い歴史を経ておりますけれども、最近ではどうやら小売業者の段階で一般的な消費税をかけた方がいいんじゃないだろうかという御議論になってきております。これは実は一般消費税と全く段階が一段階であるか多段階であるかという差はございますけれども、発想としては同じことなんで、消費の直前で消費者の購入する価格に一定の税額を上乗せをさしていただくという意味の消費税であります。それでないと、執行面からしましても経済的な効果からしましても非常に問題が多過ぎるというのが現在カナダ、世界じゅうでたった一つこの国がやっているわけでございますが、カナダが直面しておる問題でございまして、いま確かに野末委員からお話のありますような製造者消費税というのは一つの御提案であろうとは思いますけれども、歴史の実験からしますと、まあこういう方法が必ずしも適当であろうかという感じがいたしてなりません。
 そしてもう一つは、サービスとか流通段階のマージンというのは課税の対象の外にむしろ置かれてしまいます。よく言われますのは、輸入品との競争関係が大変むずかしくなる。輸入品は輸入された段階での課税価格しか消費税が乗らないわけでございますけれども、国内品についてはそれよりももっと課税対象が広くなるわけでございますね。ですから、その製造者消費税をかけた場合には国内品に比べて輸入品が有利になるという問題が一般的に指摘されております。そういうこともまたカナダのように、また日本も今後そうなってまいると思いますが、国際経済の波にさらされております際に税制上の問題として取り上げられておるようでございます。そういう意味では、製造者消費税の問題というのは一般に考えられておるよりははるかにむずかしい問題を含んでおるというふうに私ども考えておりますし、現在の物品税を広げてそこに至ります政治的なプロセスを考えてみますと、森羅万象すべての製造品について課税するというようなことを考えるとしましても、なかなかむずかしい問題が含まれているんじゃなかろうかという感じがいたしてならないわけでございます。
○野末陳平君 そうですね。まあ、確かにいろいろなむずかしい問題考えられると思うんですが、しかし、やはりこの一般消費税の場合にも、またそれとは違うむずかしい問題、ずいぶん、あるいは混乱も考えられるようなんでね、どちらが何といいますか、少しの混乱で済むかと、どちらが導入に楽かという点はわからないと思いますね。
 いずれにしてもまだこれから、はっきりわからないところ多いですから質問していきたいんですが、時間が来ましたので、最後に大臣、この一般消費税、反対の声が圧倒的ですが、これに対して当局としては国民に理解を求めるためにどういうようなPRをしていくかというか、どういう対策をしていくか、今後のプランについてお聞きしたいんですが。
○国務大臣(金子一平君) いままでは役所ベースで中身の説明等をやっておったようでございますけれども、案が固まり次第、また関係業界との連絡の機会を数多くつくりまして、業界を通じていろいろのこういう点はこうしてくれ、これは少し無理じゃないかというような業界の要望も十分取り入れるようにやってまいるつもりでございますし、また、これを実施するためには、その前提として歳出その他につきましても相当メスを入れろということは、これは当然出てまいりますので、あわせて来年度の予算編成においてそういう点につきましても十分努力の跡をひとつ見ていただけるような体制をとってまいりたいと考えておる次第でございます。
○理事(梶木又三君) 本日の調査はこの程度にいたします。
 次回は五月十日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十四分散会
     ―――――・―――――